衆議院

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第6号 平成18年3月8日(水曜日)

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平成十八年三月八日(水曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 岸田 文雄君

   理事 大村 秀章君 理事 鴨下 一郎君

   理事 北川 知克君 理事 谷畑  孝君

   理事 寺田  稔君 理事 仙谷 由人君

   理事 園田 康博君 理事 山井 和則君

   理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井上 信治君

      石崎  岳君    上野賢一郎君

      加藤 勝信君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    木村 義雄君

      清水鴻一郎君    菅原 一秀君

      杉村 太蔵君    高鳥 修一君

      戸井田とおる君    土井 真樹君

      冨岡  勉君    西川 京子君

      林   潤君    原田 令嗣君

      平口  洋君    福岡 資麿君

      松浪 健太君    松本  純君

      御法川信英君    市村浩一郎君

      岡本 充功君    菊田真紀子君

      郡  和子君    田名部匡代君

      古川 元久君    三井 辨雄君

      村井 宗明君    上田  勇君

      高木美智代君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   総務副大臣        山崎  力君

   厚生労働副大臣      赤松 正雄君

   厚生労働副大臣      中野  清君

   厚生労働大臣政務官    西川 京子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房技術総括審議官)       外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  松谷有希雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月六日

 辞任         補欠選任

  内山  晃君     古川 元久君

同月八日

 辞任         補欠選任

  清水鴻一郎君     土井 真樹君

  柚木 道義君     市村浩一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  土井 真樹君     清水鴻一郎君

  市村浩一郎君     柚木 道義君

同日

 理事仙谷由人君同日理事辞任につき、その補欠として園田康博君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

三月六日

 児童手当法の一部を改正する法律案(小宮山洋子君外四名提出、衆法第九号)

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第一八号)


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     ――――◇―――――

岸田委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事仙谷由人君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸田委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に園田康博君を指名いたします。

     ――――◇―――――

岸田委員長 次に、内閣提出、独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房技術総括審議官外口崇君、医政局長松谷有希雄君、労働基準局長青木豊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田稔君。

寺田(稔)委員 自由民主党の寺田稔でございます。

 本日は、ただいま付託になりました独法法案につきまして審議を進めてまいりたいというふうに思います。

 独立行政法人制度につきましては、導入から五年が経過をいたしました。まさに我が国の政治風土の中で定着をしてきた感もあるわけでございますが、この独法制度、その本来の趣旨、目的に立ち返って考えてみますと、行政を企画立案部門そしてまた執行部門の二つに分離いたしまして、企画立案部門については行政の本体に残しつつも、執行部門そしてまた試験研究部門を、法人格が与えられました独立行政法人という新法人を設立することによって分離をする。そして、そのことによりまして、行政のスリム化と、そしてまた分離をされました、いわば外出しされました執行部門については一部民間原理も導入をしていきながら効率的な行政運営を図っていくというのが本来の独法制度の趣旨、目的であるわけでございます。

 そして、そのような本来の独法制度の我が国におけます立て方、これにのっとりまして、昨年の十二月に政府によりまして行革の重要方針が閣議決定をされたわけでございます。この行革の重要方針の中において独法制度につきましても記述があるわけでございますが、こういうふうになっているわけです。すなわち、独立行政法人に対します国の歳出の縮減を図る、財政構造改革の見地から独法の組織、業務のあり方、並びにこれに影響を及ぼす国の施策のあり方について検討を行う、そしてその検討結果に基づきまして必要な措置を講ずるというふうにされているわけでございます。

 そのような、まさに行革の観点、あるいはまた財政構造改革を推進していくという観点から見た場合、今回提出、提案をされておりますところの独法法案、すなわち、独立行政法人の産業安全研究所と、そして同じく独立行政法人の産業医学総合研究所、この二つの独法を統合いたしまして新たに独立行政法人労働安全衛生総合研究所とし、あわせて非公務員化を行うというふうな法案内容になっているわけでございますが、まず冒頭、大臣に今回この法案を提案されました趣旨、目的につきましてお聞きをいたしたいと思います。

川崎国務大臣 この法案は、独立行政法人産業安全研究所、独立行政法人産業医学総合研究所を統合して、労働災害の予防に関する研究、労働者の健康の維持に関する研究、職業性疾病に関する研究を総合的に行うとともに、今御指摘ありました、間接部門の合理化等による経費の節減を図ろうとするものでございます。そういった意味では、研究の充実と間接部門の合理化等による経費の削減、こうした考え方で進めさせていただいております。

 また、この法案は、労働安全衛生総合研究所と国立健康・栄養研究所の役職員を非公務員化し、これにより、民間企業との共同研究や人事交流を促進し、一層質の高い研究効果を上げようとするものでございます。

寺田(稔)委員 ただいま大臣から御説明がありましたが、間接部門の合理化によりまして経費の節減効果を上げていくというのが一つの目的になっているわけでございますが、それでは、この産業安全研究所とそして産業医学総合研究所の統合により、一体定量的にどれだけの行革効果、すなわち、これは行革でございますから、人減らし、物減らし、金減らし、この三つの削減を実現していかなければならない。典型的には人減らしそしてまた経費の節減、これについて、なるたけ定量的に行革効果についてお示しをいただきたいと思います。

青木政府参考人 産業安全研究所それから産業医学総合研究所の統合によりまして、経費等の節減をするということであります。

 統合をいたしまして直ちに効果が出てくるものと、それから統合効果が順次出てくるものとあると思います。

 直ちのものといたしましては、当面の予算、平成十八年度予算におきまして、役員三名の削減あるいは研究項目の重点化によりまして、対前年度比で約五千万円の経費節減を図るということにいたしております。

 それから、中期目標の期間中におきましては、平成十七年度の運営費交付金に比しまして、役員、管理部門の人件費を含みます一般管理費について一五%、それから事業費につきまして五%を上回る額を節減するよう指示することを検討いたしております。

寺田(稔)委員 ただいま行革効果につきまして局長の方から説明があったわけでございますが、今回の独法法案、実はこれは、まさに今政府・与党が一体となって取り進められておりますところの行政改革、そしてまた財政構造改革、またさらには三位一体改革、そして、それと密接に関連をいたしますところの社会保障制度改革、これらの一体の改革の推進の中で当然成果を上げていかなければならないわけでございます。

 そうした中、今現在、政府・与党で準備中でございますが、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案の中で、政策金融改革とともに、特別会計改革、そしてまた総人件費改革、またさらには独法改革、そして、政府全体の資産、債務の見直しを行うことによります諸改革、これが盛り込まれる予定になっております。そして、これまでの構造改革路線をさらに加速していくためにも、この行革効果、ぜひとも早期に発現がなされるようにお願いをするものでございます。

 また、そのような歳出削減、また財政構造改革の観点も必要であるわけでございますが、それとともに大事なことが、独法本来の趣旨、目的でありますところの各民間事業所におけます災害の防止、また労働者の健康の保持増進ということであります。そのような独法本来の目的を早期に達成するためには、独法がまさに立てられました趣旨、目的に沿いましたサービスの向上、あるいはまた、今回の独法は調査研究機関でございますので、調査研究機能の強化がぜひとも必要であるというふうに思われるわけでございます。

 すなわち、この行革を行っていく中で、これらの本来の趣旨、目的も独法に行わせることによって高めなければいけないというふうに思うわけでございますけれども、大臣にお伺いをいたしますが、そのような試験研究機能の強化につきましてはどのようなお考えであるか、お伺いをいたしたいと思います。

川崎国務大臣 産業安全研究所と産業医学総合研究所が統合されることにより、産業安全分野と労働衛生分野それぞれの研究者の知見を生かし、学際的研究が可能となる。具体的には、重大災害の防止のための工学的研究と、ヒューマンエラー防止のための心理学、生理学的研究を一体として行うなど、総合的な研究の実施による機能強化をしてまいりたいと考えております。

 また、今回の統合を契機として、災害調査について、産業安全分野、労働衛生分野にまたがって効率的に行っていくことが可能となり、分野の拡大に伴う民間企業や国民の問い合わせに対してしっかり対応していくことができると考えております。

寺田(稔)委員 ただいま大臣から、学際的研究の強化をすることによって、しかも、これまでそれぞれの独法が行っておりましたところの、片や工学的側面からの産業安全の推進、そして片や医学的観点からの労働安全の推進というふうなことを、統合することによって機能強化が一層図られるというふうな御説明がございました。ぜひともそのような統合効果、すなわちシナジー効果を高めることによって、独法本来の目的を達成していただきたいと思います。

 そのような観点に立った場合、昨今の重大災害の多発にかんがみますと、労働災害の原因調査を十分に行うことが当然必要になってくるわけでございますが、今回のこの法律案によりますと、私も、今回提出されました法律案を全文読ませていただきましたが、第九十六条の二におきまして、研究所による労働災害の原因調査を行うことができるという調査権、そしてまた立入検査を行わせることができるという立入検査権、この二つの、すなわち調査権と立入検査権が規定をされているわけでございます。

 ここで問題となりますのが、ここで規定をされております調査権そしてまた立入検査権、これがいわゆる任意調査であるのか、あるいは強制執行力を伴います強制立入調査権であるのか、また、そういったような立入検査の結果を踏まえて、この独法に勧告権が付与されているのか、お伺いをいたしたいと思います。

青木政府参考人 今御質問の立入調査についてのことでございますけれども、これはまさに今度の法律の中で、厚生労働大臣が指示をいたしまして立入調査ができるということで、九十六条の二に規定をするということにいたしているわけでありますけれども、この際には、この立入検査について、これを拒んだ場合には、労働安全衛生法の罰則が適用されるということになっております。「五十万円以下の罰金に処する。」ということでありますので、そういう意味では、いわゆる間接強制ということになっているかと思っております。

寺田(稔)委員 すなわち、罰則の付与をもって、これは強制執行力を伴う強制立入権である、すなわち強制調査権である、これは確認でございますが、そういう理解でよろしいでしょうか。

青木政府参考人 今申し上げましたように、立入検査を拒んだ場合には、労働安全衛生法百二十条の規定によりまして五十万円以下の罰金ということでございますので、間接強制ということになろうかというふうに思っております。

寺田(稔)委員 すなわち、間接強制ですから、自己執行力のある強制執行権ではない、しかし、罰則でもって担保されているという意味で、これは間接強制であるというふうな御説明であったかと思います。

 あと、私の後段の質問の方はまだお答えをいただいておりませんが、勧告権についてはどうでしょうか。

青木政府参考人 失礼いたしました。

 厚生労働大臣の指示によって立入検査を研究所がする、そして、研究所がこの指示に従って立入検査を行ったときは、その結果を厚生労働大臣に報告しなければならないということになっております。

寺田(稔)委員 すなわち、その部分は、独法というのは本来、大臣の指揮監督権が及ばないのが独法です。しかし、その部分は風穴をあけて、執行については、あるいは調査の結果を踏まえた是正措置については、直接大臣の命令に服せしめるというふうな法律構成、これはいろいろな独法の立て方があろうかと思います。原子力独法なんかは独法みずから勧告権があるわけですね。なぜこの点についてみずからの勧告権がないのか、御説明をいただきたいと思います。

青木政府参考人 これはるる委員がおっしゃいましたように、この研究所の仕事というのが災害調査をしようということでありますので、その際に、専門的な知識あるいはノウハウ、そういったものを活用して原因を究明しまして、その後の災害防止政策に生かしていこう、こういう趣旨でございますので、厚生労働大臣に報告をいたしまして、厚生労働大臣が所要の政策を講じていくということにしていこうというものでございます。

寺田(稔)委員 まさに、この独法制度というのは二兎を追わなければいけないわけです。すなわち、行革効果を発現していく中で、本来の趣旨、目的であるところの試験研究機能の強化あるいは調査の強化、そして、その調査の結果を踏まえた適正な業務運営を行う中で労働災害を防止していく。この労働災害の低下についても、明確な目標を、これから恐らく策定をされますところの中期目標の中でぜひとも設定をしていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、独法制度本来の趣旨に沿った運営がなされますことを切に希望いたしまして、私の質問を終えたいと思います。ありがとうございます。

岸田委員長 次に、福島豊君。

福島委員 本日は、公明党を代表して、私が質問させていただきたいと思っております。

 独立行政法人への移行、多くの組織が移行したわけであります。そのことによって行革が進んだという点もありますけれども、一方でまた、実際、独立行政法人になって実態はどこまで変わったのかね、こういう指摘もあるわけであります。かえって見えにくくなったんじゃないか、こういう指摘をする人も中にはおるわけであります。

 さまざまな制約が少なくなって、組織の生産性が果たして向上しているのかどうか、そしてまた、さまざまなコスト意識を反映した運営がなされているのかどうか。設立以来の今日までの経過について、こうした成果をどのように評価されるのか、政府の見解をお聞きしたいと思います。

青木政府参考人 平成十三年、独立行政法人化がなされまして以来、独立行政法人ということで、事業運営の効率性を求めるということでやってまいりまして、研究あるいは経費の節減、そういったことに対してそれぞれ努力をしてきたということでございます。

 例えば、少し例を申し上げますと、研究所でありますから研究員が極めて基本的な、大切なところでありますが、こういったことについても、研究員の採用につきましても、研究実績のある者を公募して選考によって採用するということ、あるいは若手の研究員については、任期つき採用などを導入するというようなことで弾力的な研究員採用というのを行う、あるいは、研究員の時間管理ということについても、フレックスタイム制などが定着いたしまして、研究員の実験が効率的に実施されるというような体制でやっているわけでございます。今後、私どもとしても、引き続き、独立行政法人としてこういった効率性を求めるということが必要だろうというふうに思っております。

 今お願いしております国立健康・栄養研究所では、プロジェクト研究を中心とした研究体制をつくったり、あるいは産業安全研究所では、グループ制をつくって研究を効率的に進めていこうというようなことをいたしましたり、産業安全研究所と産業医学総合研究所では統合していこうということでありますので、せっかくそういうことでありますので、統合を機として、両研究のノウハウ、知識、そういったものを活用して新たな研究を深化させることができるようにしようということで、横断的な研究グループを考えようというようなことも考えております。

 あるいは、経費の節減でいえば、いずれの研究所も、省エネルギー活動の徹底でありますとか、競争入札の導入でありますとか、ペーパーレス化の促進、こういったことで経費の節減を図っているところでございます。

 そういうことで、冒頭申し上げましたように、運営交付金は中期計画に従って節減がされました。また、研究成果としての論文件数は中期目標で設定されたものを上回るというようなことで、組織としての生産性が高まったと思っております。

 独立行政法人につきましては、厚生労働省に設置されております独立行政法人評価委員会で評価をするということになっておりますが、これも、同評価委員会におきまして、それぞれの研究所とも、中期目標期間全般についておおむね適正に業務を実施してきたというふうに評価されているところでございます。

福島委員 いろいろな取り組みを進めていただいているということがわかりました。

 研究所でありますから、何よりも質の高い研究をしていただくということが大事だと思います。単に事業費を削減すればいいという話でもない。もちろん、間接経費というものは大きく見直しをする必要がある。その費用に見合った生産性を上げているかどうか、そこが一番大事な点だろうと思います。

 そのためには、研究所でありますから、何よりも大切なことは人だと。研究者の人がやりがいを持って、そして、創造性を発揮して研究できるような環境、そういうものがあるかということなんだろうと思いますし、また、そういう才能を持った人を集めることができるかどうか、そしてまた、その才能の発揮に対して適切な評価がなされるかどうか、こういったことが必要だろうというふうに思います。

 従来、国家公務員ということで、年功序列的な処遇ということになっておったんだというふうに思います。これが、独立行政法人化されて、どの程度、こうした職員、研究者の処遇というものについて自由度が与えられたのか、そしてまた、今回非公務員化にすることによって、今後どういうような処遇方式をとっていくのか、こういうことについても明らかにしていただく必要がある、そのように思いますが、この点についての政府の見解を求めたいと思います。

青木政府参考人 先ほども申し上げましたように、研究員については、これは、研究所でございますので、まず個々の資質というものが一番基本、大切なことだというふうに思っておりまして、ちょっと先ほど一部申し上げましたように、研究実績のある研究員を採用するということで公募制をしくとか、あるいは、若手研究員を集めるために期限つき採用を進めるというようなことをやったりいたしております。

 やる気というお話もございましたが、先ほどもちょっと申し上げましたように、働き方として、フレックスタイム制を定着させて、研究員として主体的に研究ができるという体制をとるというようなことをいたしましたり、あるいは、研究者自身の個人業績の評価ということについても、評価制度を導入しまして、評価結果を研究費の配分に活用するというようなこともいたしております。それから、産業安全研究所については、評価結果を勤勉手当に反映させるなど積極的な取り組みも行われております。

 いろいろな制度、柔軟な人事システムを構築して、優秀な人材の確保、それから、そういった人たちが十分に力を発揮できる、そういうような体制でいけるように指導していきたいというふうに思っております。

福島委員 業績の上がらない人は研究費を削減すると。ですから、やる気のない人は論文が出ない、研究費は削減される、ますます研究ができない、ますます低空飛行になる、こういう人がどんどんたまっていってもらったらまた困るわけなんですね。そこは、若手の公募とかいろいろとありましたけれども、官民交流というものをやはりもっと盛んにして刺激を与えていかなきゃいけない、そういうことが大切だろうというふうに思いますし、そのことがまた、職員、研究者の方々のやる気を引き出す一つの原因になるんだろうと思うんです。

 こういった点について、現状の取り組みと今後どういう方向でこれを進めていくのかということについて、政府の見解をお聞きしたいと思います。

青木政府参考人 委員おっしゃいましたように、官民交流というのも、研究の質を高めるという意味で極めて大切なことだというふうに思います。

 これにつきましては、それぞれの研究所におきまして、民間企業との共同研究等を中心として取り組みを進めてまいりました。例えば、産業安全研究所では、民間企業からの受け入れ実績十五名、あるいは大学等からの受け入れが六十名、産業医学総合研究所では、民間企業からの受け入れは三名、大学等からは三十一名というような実績もございます。

 共同研究につきましても、最初の中期目標期間、十三年度から十七年度におきまして、産業安全研究所においては十三件、産業医学総合研究所においては二十件、国立健康・栄養研究所においては三十六件の共同研究の実績を上げております。

 今後とも、大学あるいは民間企業との共同研究を一層促進していきたいと思っておりますし、大学、民間企業等からの資質の高い研究員の受け入れ、あるいは研究所の研究員の大学や民間企業等への派遣、そういったものを積極的に推進するように指導していきたいというふうに思っております。

福島委員 研究の質を高める、中期計画の策定に当たって、今までにない取り組みをぜひしていただきたいというふうに私は思っております。

 一方でまた、行革の実を上げるということで、できるだけ簡素化するものは簡素化していかなきゃいけない。先ほども寺田委員から御指摘がありましたけれども、産業安全研究所と産業医学総合研究所の統合において、その職員の体制がどうなるのかということは非常に大切だというふうに思います。

 厚生労働省からちょうだいをいたしております資料ですと、役員は現在八名から五名に減る、三名減るわけであります。職員は、それぞれ四十八名、七十三名、足しますと百二十一名ですが、それはそのままの形で移行するわけであります。ここのところは間接部門が重複をするわけでありますから、この中期計画の策定に当たってどの程度、先ほど一般管理費は一五%経費を削減する、こういう具体的な数値が示されましたけれども、間接部門の効率化ということで、もう少し詳しく御説明いただければと思います。

青木政府参考人 今御指摘になりましたように、研究に直接携わらない事務部門、間接部門につきましては、これは統合による効果というのが当然出てくるものだと思います。産業安全研究所にはそういった部門に十名、産業医学総合研究所には十五名、合計二十五名の常勤職員がおります。統合直後につきましては、それぞれで決算を行って財務諸表を作成するというふうな業務もございますし、独立行政法人評価委員会の評価を受けるというような業務もございます。ということから、当面この職員体制は維持するということで、御指摘のような状況でございます。

 しかし、厚生労働大臣が定める中期目標におきましては、一般管理を行う職員の人件費を含む一般管理費について、五年間の中期目標、計画期間中において、平成十七年度の運営交付金額に比して一五%を上回る額を削減しようということを検討しております。

 また、統合後の研究所が中期計画というのをこれから作成するわけですが、給与関係業務等についてオンライン化した管理システムを構築するというようなことで事務の効率化を進めて、研究に直接携わらない事務部門、間接部門に所属する常勤職員を、先ほど申し上げましたように現在二十五名になりますが、それから六名削減して十九名とすることを予定しているということでございます。

福島委員 しっかりとやっていただきたいと思います。

 そしてまた、統合によって一体的な研究を推進する、かつては、片っ方は工学部で片っ方は医学部だから関連がない、こういう御指摘もあったようでございますが、そうした過去の経緯はさておきまして、一体としてやっていく、そのことによって新しい問題に取り組んでいくということが必要だというふうに思います。

 統合によってどういった方向で調査研究を進めていくのか、この点について、時間も限られておりますので、簡単に御説明いただいて、私の質問を終わりたいと思います。

青木政府参考人 この産業安全研究所、産業医学総合研究所、今お話しございましたように、従来、別の研究所で研究をそれぞれの専門分野で行うということでございましたけれども、それぞれ、労働者の安全と衛生ということで専門的にやっておりましたが、これらの統合によりまして総合的に行うことができるようになるだろうと思います。

 例えば、重大災害を引き起こしているヒューマンエラー対策については、工学面から設備の本質安全化を図る研究をやる、それに加えまして、心理学や疲労等、労働衛生面、労働生理面からのヒューマンエラーの防止を図る研究を行うということで、設備、労働者を対象とした総合的な対策を提案することができるだろうと思います。例えば、化学物質につきましては、爆発危険性ということで、これは安全の観点から考えなければいけないことでありますし、あるいは中毒、発がん危険性、これはむしろ衛生の面から研究をしているわけでありますけれども、そういったことを全体としてのリスクを総合的にやることによって正しく評価できるというようなことが可能だろうというふうに思っております。

 この労働安全衛生総合研究所ができましたならば、ここで研究企画調整部門を統合しまして、こういった企画だとか評価、チェック、そういったものを一元的に行うことができるようにしたいと思っておりますし、外国の研究所も、安全、衛生、両方やっている研究所について、今までも連携なり情報交換はあったわけですが、今度は安全衛生という総合面での情報交換というようなことも可能になるだろうというふうに考えております。

福島委員 ありがとうございました。

岸田委員長 次に、田名部匡代君。

田名部委員 民主党、田名部匡代でございます。

 今回、内閣より提出されております独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関する法律案では、制度創設時に設立された産業安全研究所、産業医学総合研究所、国立健康・栄養研究所が対象とされておりますけれども、今回の改革で大事なことは、やはり国民の税金を投入して運営がされているわけですから、そこに無駄があるとすれば徹底して無駄を削減すべきだということであると思います。

 地方は、市町村合併を推し進めたり、小泉総理の三位一体の改革のもとに大変な痛みを押しつけられております。そういったことが、結局は国民一人一人の生活に降りかかっているわけです。議員年金のときもそうでありましたけれども、国とか政治家が、自分たちは痛みを受けずに利益とか利権を守り続けて、国民の皆さんだけは頑張ってください、我慢してください、そういったことは到底許されるべきではない、そのように思っております。

 そこで、これまでも、多くの天下りの問題、そして天下った職員の皆さんの高額な報酬、退職金、そういったことが取り上げられてきたわけでありますが、大臣、まず先に、この天下りの問題とか高額な報酬の問題について大臣はどのようなお考えをお持ちか、お聞かせいただけますか。

川崎国務大臣 天下りについては、総理大臣から予算委員会で何遍も御答弁いただいておりますとおり、まず、公務員制度、基本的に六十歳までしっかり勤められる体制にしていかなきゃならぬ、こういう認識を私も持っております。そこの制度の改善を全体的な課題として、公務員改革の中、あわせながら今取り組んでいるところでございます。

 報酬につきましては、この十年の流れを私自身見ておりますけれども、たしか日銀から始まったと思いますけれども、相当程度削減をしてきているな。厚生労働の関係で、もし常識を外れた高い報酬があれば、きちっとした調整をしなきゃならないと思っておりますけれども、基本的には、随分この報酬というものも調整をされてきたという認識を持っております。

田名部委員 本来はもっと早くに改革ができたことであります。これは政治家自身の覚悟であり、また行政の覚悟というものがあれば、本気で国民のことを考えて、しっかりとした改革をしようと思えば簡単にできたことではなかったのか、私はそのように思っております。ですから、国民がぜひ納得をするような改革を推し進めていただきたい、そのように思います。

 今回の法律案では、産業安全研究所、産業医学総合研究所を統合して労働安全衛生総合研究所とし、調査研究の業務を一体的に実施することで研究成果の質的向上を図ること、そして研究以外の部門の合理化等により一般管理経費等の削減を進めることを理由としておりますが、平成十六年八月に厚生労働省が作成しました産業安全研究所と産業医学総合研究所の見直しの案では、この両法人を統合するというふうにはしていなかったわけです。なぜ当時は統合すべきではないとお考えだったのでしょうか。

青木政府参考人 産業安全研究所、これは、主に工学的な面から作業の安全性あるいは機械設備の安全性、そういったものを調査研究いたしまして、災害防止、予防につなげるということでございます。一方、産業医学総合研究所は、医学、労働衛生的な面から職業病あるいは労働災害、そういったものの予防に資する研究をしようということでございます。そういう意味で、相当専門性、専門分野が異なっております。

 そういう意味で、きちんと、これまで実績を積んできた研究を引き続きしていくには、なかなか統合は難しいのではないかというのが、かつて私どもが議論したときの議論の内容でございました。

田名部委員 短期間の間に公務員であるべきだということから非公務員化ということを御納得されたわけでありますが、例えば、業務の停滞が国民生活また社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるもの、または当該独立行政法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して、その役員及び職員に国家公務員の身分を与えることが必要と認められる、そういう要件を満たしているということで公務員化の独立行政法人として設立されたと私は把握をしております。

 本来であれば中期目標期間終了後に組織、業務の見直しを実施することになっていたわけですが、産業安全研究所と産業医学総合研究所は一年前倒しで見直しをさせられました。中期目標期間が五年にもかかわらず、実質一年前倒し、つまり三年半で成果を評価することに本当に妥当性があったのだろうか、きちんとした検証が行われた上での統合だったのかということに疑問を感じるわけですが、その辺はいかがでしょうか。

青木政府参考人 これはまさに委員がお話しになりましたように、平成十六年の閣議決定で、政府全体の方針として、独立行政法人にした研究所について見直しをしようということを決めて見直しを行ったものでございます。そういう意味では、中期目標期間をおっしゃったように一年前倒しして見直しをするということでやったわけであります。

 そういった政府の方針、閣議決定を踏まえまして、私どもとしては、予算面も含めまして詳細な検討を、組織、業務のあり方について十分な検討を行いまして、今国会にこの法案をお願いしているところでございます。

田名部委員 つまり、何を申し上げたいのかといいますと、中途半端な見せかけの改革では困るわけであります。形だけの統合だとか、非公務員化することで数字上だけ何だか公務員が減ったかのように、あたかも改革が進められているかのような、そういったごまかしでは全く意味がないわけでありまして、実体上の統合をきちんと確保して、業務を極力整理縮小するために、組織の必要性を厳しく検討した上で方針が定められるべきだったのではないか、私はそのように思っております。

 その中で、業務の一つである労働災害の原因を調査する、これを行うに当たって、独立行政法人化しただけでも立入検査の際に以前より協力が得られなくなったというお話を伺ったのですが、そういったお話は皆さんの方で把握していらっしゃいますでしょうか。

青木政府参考人 私の方で直接そういうお話を伺ったというのは私は承知しておりませんが、この議論をするときの有識者会議におきまして、そういうような議論があったということでございます。

田名部委員 非公務員化することによって、一層協力が得られなくなる可能性というのはお考えじゃないですか。

青木政府参考人 確かに、検討するに際しまして、私どもも当初、非公務員化というのはなかなか難しいのではないかというふうに思っておりました。

 それは、おっしゃいましたように、この研究所の研究、例えば産業安全研究所におきましては災害調査、原因究明をするということでありますので、公正中立的な立場からきちんと的確なる調査をしなくちゃいけないという要請がございますので、そういう意味で公務員であるのがいいのではないかなと思っておりました。

 しかし、それらにつきましては、そういったことについての担保措置を講じた上で非公務員化して、官民交流をしたりあるいは研究員の採用、人事、そういう面で弾力的にできるというメリットもこれまたあるものですから、そういったことを考えて、今回、非公務員化ということでお願いをしたわけでございます。

 具体的な担保措置といたしましては、新たに厚生労働大臣の指示によります研究所の調査という権限をきちんと法律上明定をするというようなこともいたしましたし、あるいは公正さの担保という点では、みなし公務員規定なども設けるという措置をすることで、手当てを保障する、担保する手当てを講じているところでございます。

田名部委員 先ほども質問の中にありましたし、御回答いただいたところでありますけれども、この立入調査に対して強制力があるのかということで、罰則があるということでございました。

 例えば、急を要するような、本当に緊急の事態で急いで調査をしなければならないときに、相手が嫌だとかだめだとか、そんなことで時間がとられる可能性もあるのではないか。もしくは罰則をもっと厳しくする必要もあるのではないだろうか。また、そういったことによって万が一都合の悪いことが隠ぺいされるような、そういう結果も出てくるのではないかと思うんですが、いかがお考えでしょうか。

青木政府参考人 確かに、災害が起きたときに、その原因究明のための調査をするというときには、現場が保存をされていないと、なかなか調査、原因究明についても支障を生ずるということで、できるだけ機動的に調査をするということが大切だというふうに思っております。

 それで、今現在におきましても、それまで国にありましたときに、災害があり、極めて重大かつ原因がなかなか難しそうだというものについては、調査の要請をして一緒に調査をするというようなことも研究所についてはやってもらっておったわけでありますけれども、そういう意味では、今般きちんと法律上に、大臣の指示によって調査をするということを法律上明定するということでありますので、これをきちんと的確に、機動的にこの条項を適用して、災害の原因究明、調査に当たっていきたいというふうに思っております。

田名部委員 大事な仕事でありますから、立入調査といったことに支障を来さないような、そういう対応をとっていただきたいなと思います。

 さらにまた、非公務員化ということで制約がなくなるわけでありまして、例えば再就職先に行って、営利企業との癒着といったことが懸念されるわけですが、そういったことはどうお考えでしょうか。

青木政府参考人 これも今申し上げましたように、刑法に関するみなし公務員規定というものを今回の法案の中に入れさせていただきまして、そこで公正、中立性を担保しようということでございます。

 そういうことで、今回、法律上の手当てもあわせて行って、今後のきちんとした業務運営を心がけていきたいというふうに思っております。

田名部委員 お話を、御説明を伺っておりますと、なるほどと納得をさせられるところもあるんですが、これまでの政治の姿を見たときに、政官財の癒着の問題というのはいつも叫ばれ続けながら、一向に改善されてこなかった。それは、先ほど冒頭で申し上げました天下りの問題もそうでありました。口ではいろいろいいことを言うんですけれども、実態が伴っていないのがこれまでの現状だった、そのように思います。

 私、いろいろな質問を今しておりますけれども、決して改革に反対の立場で物を申し上げているのではございません。本当に改革は実行していただきたい、そう思っているんですけれども、ただ、何でも一律に、非公務員だ、廃止だ、民営化だということで果たしていいのだろうか。先ほどから御説明されておりますように、公平性、中立性を保つために国が責任を持ってやるべき部分もあるのではないか、そのことを思います。

 それだけではなくて、今回、中身を検証すればするほど、どうしても、言葉は余りよくないですけれども、見せかけの改革に思えてならないわけです。例えば、この二つの研究所も、所在地も別々なわけであります。統合後の職員数も削減されない。統合による実態上の変化が全く見られないんです。

 厚生労働省は、統合の理由として、先ほど来申し上げておりますけれども、一体的に業務を実施する、そのことによって研究の成果の質的向上を図るんだとおっしゃっておりますけれども、これは研究所、往復で四時間かかるそうなんです。一体的な研究というものが本当に行われるんでしょうか。

川崎国務大臣 今までの議論の中で少し申し上げますと、サッチャー政権のエージェンシー化という議論があって、我が国の中にも独法というものを入れていこうと、我が党内からでもいろいろ議論がありました、正直申し上げて。そんなことをやって大丈夫なのか。当然役人の方々は、このままの制度がいいですよ、変えない方がいい、こういう御主張が多かったと思います。

 しかし、全体の流れの中で独法化をして、それなりの成果が上がってきて、これならば民間の方へ移行しても構わないという整理もあります。また、公務員から民間人がやっても構わない、こういう形で徐々に世の中が変化してきている。そういう意味では、独法というものを一番最初に提案された時代から、だんだん国民の理解、また政治の上での理解、また官僚側の理解というものが進んできて、私は、そういった意味ではだんだん議論が煮詰まってきているなと思っております。

 市町村合併でもそうであります。二つの役場があったものを一つにする、それは遠いじゃないか、こういう議論が必ず出るんです。しかし、それは管理者がしっかり目を光らせながらやっていく。両研究所に対して管理者がしっかりした運営を行うということで、それは当然こなされる問題だろう。

 一方で、役職員は先ほどの数字のとおり削減されます。間接部門も間違いなく削減されます。それによる効果というものは、やはり国民の大事な税金でやっているわけですから、少しでも効果があれば、そこに対して勇気を持って進んでいくべきだろう、このように思っております。

田名部委員 管理者が目を光らせて何とかなるところと、これは研究の問題でありますので、一体的な研究という意味合いからいうと、果たして本当にそれが効果的で効率的なのかなというような疑問も残るわけであります。

 先ほど来、間接部門の経費削減というお話が出ております。人件費のお話も先ほどありました。常勤、十名と十五名、二十五名いらっしゃる中の六名を削減するんだというお話でありましたが、これは常勤だけではなくて、非常勤の職員の方は何人いらっしゃいますでしょうか。その非常勤の職員にかかる人件費も、おわかりになったら教えていただけますか。

青木政府参考人 今ちょっと直ちに出ませんので、後ほど申し上げたいと思います。

田名部委員 済みません、通告しておりませんでしたね。

 常勤の人件費を削減するだけではなくて、今回も、いろいろな資料を見ると、よくわからない、でも調べてみると後から後からいろいろな数字が出てきたりとかいうことがありまして、その人件費については非常勤の職員のところもしっかりと見直していくべきだと思うんですが、いかがお考えでしょうか。

青木政府参考人 失礼いたしました。

 非常勤職員でございますけれども、産業安全研究所は五名、産業医学総合研究所は二名。国立栄養研究所の方はちょっと今手元に資料がございませんので、後ほどまた委員に提出したいというふうに思います。

田名部委員 全体的に見て、本当にしっかりと、無駄な部分は徹底して削減をしていくということに努めていただきたいと思います。統合してすぐに人員削減だとかそういったことが、混乱を防ぐという意味でもちょっと難しいのかなというふうに思いますけれども、しかしながら、運営交付金の約半分は人件費となっております。やはり、今後厳しく統合後の経費削減状況を国民の前にも明らかにしていただきたいな、そのように思います。

 そもそも、この両法人が取り扱っている調査研究が、労働災害を調査研究して大変な効果を上げているということも承知してございます。しかしながら、民間も含めたほかの研究機関に共同研究とか研究委託をされている部分もあると思うんですけれども、もっと作業を分担してというか、民間に委託できるもの、また縮小できる分野、削減できるものというのは、統合した後の研究所の中にはなかったのでしょうか。

外口政府参考人 お答え申し上げます。

 産業安全研究所、産業医学総合研究所、そして国立健康・栄養研究所について、今見直しの議論をしていただいているわけでございますけれども、例えば、栄養や食品に関する研究についても、これは、国立健康・栄養研究所のほかにも、例えば大学とか食品メーカーとかそういったところで研究は行われております。

 こういったところに、では、アウトソーシングをするかどうかということでございますけれども、それぞれ研究の内容を細かく見ますと、例えば、国立健康・栄養研究所の場合では、運動と栄養の両面から健康にアプローチしている、そういった手法については、これは国立健康・栄養研究所独自のものでございます。

 そして、もちろん大学等との共同研究を、あるいは民間との共同研究を進めることによって、シナジー効果も含めて経費削減と効率化を進めているところではございますけれども、本来の業務をすべてアウトソーシングできるかどうかということについては、いろいろ検討いたしまして、直接的な研究以外の、例えば単純なデータ入力等そういったものについては、これは今積極的に外部委託を行っております。それは、研究の中身によって一つ一つ検討して、できるものは外へ出すけれども、本来やるべきものはそこでやっているということで、今、その内容を詰めて御提案しているところでございます。

田名部委員 例えば産業安全研究所では、統合した後、労働安全衛生総合研究所、これは、産業生態科学研究所とか産業医学振興財団、財団法人労働科学研究所というような法人があるんですけれども、こういったところでは類似した業務は行っていないんでしょうか。

 また、国立健康・栄養研究所に関しては、これもまたいろいろな財団法人がありまして、健康・体力づくり事業財団、財団法人総合健康推進財団、健康日本21推進連絡協議会、こういったところは似たような研究とか調査、そういったことを行っていないのでしょうか。

青木政府参考人 幾つかお話しになりましたけれども、まず、産業医学総合研究所、これとお話しになりました生態科学研究所でございますが、これは産業医科大学、北九州にございますが、ここの大学の中の研究部門でございます。

 この産業医科大学は、医学、特に産業医学に関する教育や研究を行うための私立の大学でございます。これは、産業医教育に必要な学術的、基礎的な研究を実施しております。具体的には、例えば、職業性疾病の臨床事例の蓄積あるいは産業医や産業医学における医師が活動するために必要な研究、そういったことをやっておりまして、研究者の多くは医学を専門分野としております。

 今度統合をお願いしております産業医学総合研究所は、主として労働災害防止のための技術開発あるいは労働安全衛生行政施策の推進に資するための研究ということで、医学ももちろんでありますけれども、医学だけではなくて、理学でありますとか衛生学など多くの分野の研究員が在籍して、労働衛生全般についての調査研究を行っております。そういう意味では、研究の目的、内容あるいは研究者の構成、こういったものは違っているというふうに思っております。

 それから、財団法人労働科学研究所ですかというお話も出ましたが、それは、たしか文部科学省の所管の財団法人ではなかったかというふうに記憶しておりますけれども、それの研究内容については、ちょっと具体的には今承知をいたしておりません。

田名部委員 確かにおっしゃるとおり、労働科学研究所は文部科学省の所管であります。

 しかし、本当に改革をするのであれば、縦割り行政のそれぞれが、同じような研究所を持ったり同じような仕事をしているところをそれぞれ抱えて、そこに予算をつけているということは、私は無駄だと思っております。本気で改革をするのであれば、どこの省であろうと、やはり国全体として無駄をなくすんだ、そういう思いで取り組まなければ、本当の意味で、国民が一生懸命働いて納めている税金が無駄に使われなくなる日は来ないのではないか、そのように思っております。

 そこで、先ほどの健康・栄養研究所の方なんですけれども、実は、私、たまたま御説明に来ていただいたときに受け取ったパンフレットだったんですが、パンフレットを拝見したときに、最初は、余り豪華なパンフレットをつくると、ここも税金の無駄遣いだということになりませんかと、ちょっとそういうお話をさせていただいたら、そこで出しているんじゃありませんという話になって、後から見たら、健康・体力づくり事業財団というところが出しておりました。

 それで、中身をよく見てみますと、健康・栄養研究所が行っている栄養のことだとか、糖尿病のことだとか、生活習慣病のこととか、そういったことが載っているんです。これは、ここが独自で行っている事業なのか、それとも同じことを二カ所で行っているのか、これは一体どういうことなのかなと思ったんですが、ここにも厚生労働省から何らか補助金とか助成金とか行っていないでしょうか。

外口政府参考人 お答え申し上げます。

 国立健康・栄養研究所ではさまざまな研究業務を行っておりますけれども、その中で、どうしてもこれは国立健康・栄養研究所でやらなければならないというものの例として、例えば国民栄養調査というものがあります。これは、昭和二十年からずっと続けているんですけれども、五千世帯、約一万五千人の食事の摂取状況とか、それから健康の状況とか、そういったものを地道に調べて、基礎的なデータをつくっているわけでございます。

 このデータは、いろいろなところで使われております。そして、国立健康・栄養研究所でもこれを幅広く世の中に普及するために、経費の削減もありますので、電子化といいますかウエブサイトを使って、できるだけいろいろなところで見れるようにしております。

 それから、一方、先ほどお話がありました健康・体力づくり事業団ですか、あそこは、やはりこういったいろいろなところから出てきたデータをもとにして、その普及啓発、国民のビヘービアを変えると申しますか、そういったことに力を入れてやっておるところでございます。

 もちろん、そういったところに対して、必要な研究費等については厚生労働省からも行っているとは思います。

田名部委員 もう何度も申し上げておりますけれども、本気で改革をしようというその思いが私には伝わってきません。

 例えば、名前を変えた、今申し上げたような同じようなことをやっているところに、それぞれに予算をとって補助金を出すというようなことを続けていたのでは、無駄がなくならないわけであります。本当に改革をするのであれば、トータルで物事を判断していただきたいと思うんです。今回はこの三つの独立行政法人に関して話がされているわけですが、それよりも、全体的に枝葉というか、いろいろな財団とかなんとかが出てきてもう調べ切れないような感じでありました。ですから、その関連した財団法人等も一緒に見直す。

 私は、何もすべてをなくせとか、それがだめだとか申し上げているのではなくて、国民の税金を一円たりとも無駄に使わないんだという、そのためには、こうやって同じことをしているところにそれぞれに予算をとったら、本当に全く無駄遣い以外の何物でもない、真剣さが伝わらない。私は、国民に真剣さが伝わらないのではないか、決して本気で改革をしようと思っていないのではないか、そう思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 研究とか科学技術というものをすべて効率性で割り切ることはできない、これはおわかりだろうと思います。

 研究もある意味では、例えば文科省がされる研究と私どもが健康、医療というものをとらえてやる研究、必ずしも、角度が違う。さまざまな研究というものが逆に生かされて、こういう立場の意見もある、こういう意見もある、その中でまさに国民的な議論が起きて、そして健康のために何をすべきか、また労働安全のために何をすべきか、こういう見地が出てくるんだろうと私は思うんです。

 そういった意味では、まさに、御指摘のとおり一円の無駄もないように努力をしたい。しかし一方で、研究や科学技術というものがすべて一〇〇%、それによって成果を得られるというものではない。逆に言えば、そういうものだけに、みんながよく見ながら育てていかなきゃならないな、こんな思いをいたしております。

 いずれにいたしましても、こういう部門は独立でそれぞれやった方がいい、また国がやった方がいいという今までの考え方から、一緒にやって、人的な面、それから生産設備の面、両方の面を合体しながら新しい研究にチャレンジをしていくということでございますので、どうぞ委員にも、御支援を賜りたいし、またしっかりウオッチもしていただきたいと思います。

田名部委員 ありがとうございました。重要な問題は、国民もいろいろな情報を知り得るようになって、例えば、特殊法人だ、独立行政法人だ、各種団体だ、そこに天下りが次々と渡り歩いてたくさんの報酬をもらったり退職金を何度ももらったりしているんだ、そういった実態を国民が知ることによって、やはり政治というものがどんどん信頼をなくしてきた。ですから、国民の信頼を取り戻すためにも大臣にもリーダーシップをとって頑張っていただきたい、そのように思います。

 それでは次に、国立健康・栄養研究所の特別用途食品の許可の話をお伺いしたいと思います。これは、平成十五年より、登録を受けた法人が民間で行っている許可を出す作業、作業というかそれを行っているところがあると思うんですけれども、これは効率化や経費節減ということを考えたときに、もっともっと広く許可を出す民間の企業を募って行った方がいいのではないかと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

外口政府参考人 お答え申し上げます。

 最初に、先ほど委員から御指摘のありました国立健康・栄養研究所の非常勤職員の数でございますけれども、三十九名でございます。

 それから、特別用途食品にかかわる許可試験の実績を最初に申し上げますと、国立健康・栄養研究所で、例えば平成十七年の二月末現在だと件数五十八件、このほか大阪市立の環境科学研究所あるいは財団法人日本冷凍食品検査協会が、これはまだ件数は少ないのですけれども、検査を行っておるところでございます。

 もちろん、一定の水準を満たしてもらわなければなりませんけれども、そういった水準を満たしてくれるのであれば、こういったところも一緒になって頑張っていくというか、活用するというか効率化していくということも、いろいろ努力していきたいと考えております。

田名部委員 民主党は今国会で、非公務員型の独立行政法人等の役職員等、営利企業への再就職を制限することを内容とする法律案を提出しておりますけれども、大臣、このことについて大臣はいかがお考えですか。

川崎国務大臣 法令に照らしながら人事院等の審査を受けながらやっております。そういう意味では、人材の活用という側面も否定できないと思っております。また、逆に官へ、例えば今度の社会保険庁の長官は民から来ていただいている、相互の交流というものを当然逆に進めなきゃいけない問題もありますので、硬直化にならないような法案になれば賛成をしたいと思いますけれども、どんな法案の内容かわかりませんので反対、賛成は言いかねます。

田名部委員 ぜひ、いい法案でございますので、賛成をしていただきたいと思います。

 あと、非公務員型の独立行政法人の問題点といたしまして、国家公務員共済組合法の適用に関するものがございます。大臣は、過日、予算委員会で、またその後の記者会見で問題を指摘されておりますけれども、いつまでにこの国家公務員共済組合法の適用を見直すおつもりなのか、お聞かせいただけますか。

川崎国務大臣 独法が職員を民間人とした場合に、国家公務員共済で処遇をしている、国家公務員共済年金の中に入れている、こういうのを私は問題点として指摘をいたしました。といいますのは、今度、社会保険庁の政管健保をやっている部分は切り離しいたしまして、その人たちは厚生年金の適用になります。そういう意味では、時代の流れの中で、やはり早く、共済年金、国家公務員共済、地方公務員共済、それから厚生年金というものは統合されていかなきゃならない。民間人であろうが公務員であろうが、同じ掛け率を掛けて同じ年金をもらう、早くこの統合をなさなきゃならない。

 したがって、四月の末までには政府・与党の考え方を決めて、また国会で御審議をいただきたい、こういうふうに思っております。

田名部委員 もう一点、もう時間になりましたけれども、随意契約についての資料をいただきました。結構な数がありました。ただ、そこの中身について何か問題があるかといえば、随意契約をしているところにたくさん毎年随意契約をしているとか、件数が何件もあるというものについてはそこに天下りが行っていないだろうかということで、お調べをさせていただきました。役所からの回答では天下りは行っておりませんということでございましたが。

 例えば、物品を購入したりする部分については別ですが、細かい工事、床の張りかえだとか壁紙の張りかえだとかいう、確かにルールには違反していないのですけれども、百万以上また三百万以上のそういった工事があるんです。これまでのいろいろな問題を振り返ったときに、やはりこういったことも、ぜひ明確に一般競争入札にしていただいた方がわかりやすいのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

川崎国務大臣 これにつきまして、やはり予算委員会で国立病院機構の問題について御指摘をいただいて、少なくとも今国がやろうとしている基準というものに独法等も合わせてもらわなきゃならないという考え方でおります。したがって、この間も御指摘いただきましたように、余りにも随意契約が多いという問題については解消するという形で私が指導を行うと明言いたしましたので、すべての厚生労働省の関係の機関、どのようになっているか調べながら順次やってまいります。

田名部委員 大臣のその言葉に期待をさせていただきたいと思います。

 これからも、国民にわかりやすい本当の意味での改革が進められることをお願いいたしまして、終わります。ありがとうございました。

岸田委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 きょうは、独立行政法人の今後の行方と、そして国の公務員の数を将来的に見据えていく重要な審議の入口でもある独立行政法人の統合、廃止、こういったものについて審議をさせていただくわけであります。

 まず、その大前提として、私は、昨日夕刻ですけれども、お願いをした資料がきょういただけておりません。それで、何を要求したかというと、厚生労働省の総職員数、そして独立行政法人、厚生労働大臣が主務大臣を務めてみえる、その独立行政法人の職員数、公務員型、非公務員型を問わずその職員数、平成十三年の三月末の独立行政法人発足前とそれ以後の人数の推移、どのようになっているか、それをお調べいただけませんかということをお願いしました。そうしましたところ、その資料はいただけない。

 私はこう思うんですよ。独立行政法人の今回の評価の一つに、やはり人数がどう変わってきたか。そしてまた、その人数の推移こそが国の公務員数の総枠なんです。総務省が未定稿ですがまとめた資料という形で、私がちょっと入手をさせていただいた資料の中では、日本の国家公務員数は必ずしも多くない、こういう資料をいただいたことがあります。それを見る限りにおいては、あたかも日本の国家公務員数が少ないように見受けられるんですが、実は、それをひもといていきますと、この中に独立行政法人が入っていないんですね。

 これは一応未定稿となっているから、数字が正式なものかどうか、微調整があるのかもしれませんが、例えば、人口千人当たりの公務員数、日本は三十五・一人だ、イギリスは七十三人だ、フランスが九十六・三人、アメリカが八十・六人、ドイツが五十八・四人となっている。日本は少ないんじゃないか、こう思うんですが、実は、ここに独立行政法人が入っていない。

 なおかつ、ほかの国は二〇〇一年のデータを使っているが、日本だけは二〇〇四年のデータを使っている。なぜかといったら、独立行政法人が除かれるように資料をつくったんじゃないかとすら思えるような数字を持ってきて、日本の国家公務員数は人口千人当たりこうも少ないんです、こういう話をされる。これは、誤った方向に議論を導くと私は思う。

 したがって、独立行政法人の人の数、国から離れていった人、公務員型の人、非公務員型の人を問わず、国から運営費交付金という名前でお金が出て、人件費が出ている、この人たちの数を私は知りたいんですけれども、これがいただけなかったんですが、それについて、大臣、重要なデータと私は思うんですけれども、いかがお考えですか。

赤松副大臣 今の御指摘の点、きょうまでにということで、ちょっと難しかったと思われますが、直ちに、できるだけ急いで出すようにいたします。

岡本(充)委員 これ、いつ出していただけるかということがわからないと、これは採決もできないということになるんですね。これは重要な数字なんです。これが出なければ議論が始まらないと私は思っている。

赤松副大臣 定員及び定員以外のいわゆる賃金職員等を精査するのに少し時間がかかったということでございますので、できるだけ早く、もちろん採決までの間に出すようにいたします。

岡本(充)委員 いつ出していただけるんですか。それから審議をしたいと思うんです。

赤松副大臣 きょうじゅうに出します。(発言する者あり)

岸田委員長 まず、この資料提出については努力をいただくとして、岡本君におかれましては、きょう、質問の準備をされて、それ以外の部分について質疑の続行は可能ではありませんでしょうか。

岡本(充)委員 後でその数字についてもう一回審議させていただけるなら、ほかの部分をやりますよ。

岸田委員長 だから、とりあえず今、それ以外の部分において質問を続行していただいて、政府においては、きょうじゅうということですから、どの程度の時間にいただけるのか、ちょっと精査をお願いできますか。

赤松副大臣 大枠の数の説明はすぐにでもできますが、詳細にとなると少し時間がかかるということでございます。(発言する者あり)

 では……(発言する者あり)いやいや、ちょっとこちらにも態勢がございましたので、質問の中で出てくるというふうに私は想定しておりましたので、ちょっと対応がおくれたことをおわび申し上げます。

 厚生労働省の平成十三年三月の職員数は、国立病院の賃金職員も含めれば約十万九千人。平成十八年三月の職員数は五万五千三百十九人でありまして、約五万四千人の減ということになっております。

 一方、厚生労働省関係独立行政法人に相当する職員につきましては、平成十三年三月で約二万人、平成十八年三月では約六万七千人で、約四万七千人の増と考えられます。

 これを単純に比較することは適当でない部分がございますけれども、両者を合わせますと、平成十三年三月の職員は約十二万九千人、平成十八年三月の職員は約十二万二千人となりまして、約七千人の減ということになっております。

 以上です。

岡本(充)委員 何できのうの段階でこの数字を出してもらえなかったのかということは、大変私は疑問だし、今ここで出したということは、これは、詳細を私は検討したいから出してくれと言ったのに、詳細を検討する時間を与えないというやり方だ。これは出し方自体も私は問題だと思う。

 しっかりはっきり言っておきましたよ。必ず今夜中にファクスで入れてくれ、それを見た上で私は審議をする、こういうふうにお話をしたのに、来たのは質問者のファクスのみです、厚生労働省から来たのは。これはきちっとお願いをしておいて、しかも無理な話じゃないのに、これを出さないというのは私は大変問題だと思うし、なお、今の話を伺いましたが、これは特殊法人由来の独立行政法人を含む数だというふうに考えてもよろしいんでしょうか。それからまた、出向者、ほかのいろいろな財団法人含めて、出向している人数を含めての数だと承知してよろしいんでしょうか。

赤松副大臣 後に独法となった特殊法人、認可法人等の職員を含んでおります。

岡本(充)委員 出向者はどうなっていますか。

岸田委員長 厚労省、速やかに答弁をお願いいたします。

赤松副大臣 済みません、おくれまして。

 出向の職員も入っております。

岡本(充)委員 ということになりますと、これは、厚生労働省に籍を置く、もしくは出向を含む人間、また、特殊法人、厚生労働省の大臣が主務大臣を務められる独立行政法人、すべてを含む人数だと承知をさせていただきたいと思いますが、この人数の変化というのは極めて私は少ないという印象を持つわけなんですね。実際のところ、独立行政法人になり、そして総公務員数をあたかも日本は少ないかのような報告が一部では出ている中で、実のところは変わっていないということを今回くしくも認めたことになるわけなんです、大臣。

 今お聞きいただいたとおり、十二万九千人が十二万二千人になった。五年間の独立行政法人の成果としてこれが適切な成果だったのかどうかについて、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

川崎国務大臣 どこかで私もその資料を見まして、私は、正直言って、この問題、二十年以上やっているんです。日本の公務員の数は多くないという認識は持っております。正直言って日本の公務員の数は多くない。しかしながら、この十年、財政的な問題があって、きちっと、公務員の管理も、もう少し縮減していこうという中で努力が行われてきたことは事実だろう。

 一方で、その資料を見ましたときに、どうして二〇〇一年と二〇〇四年を比較しているのかね、総務省がどうしてアメリカやイギリスやフランスの国家公務員の人数を二〇〇一年時点でしかとらえられないんだということを聞いてこいと、実は私の方から言ったこともございます。

 そういう意味では、先ほどから御指摘のように、データというものはやはり同じ年次で、同じデータベースで比較しながらやっていかなきゃならない、しかし、いろいろ議論はいただきますけれども、我が国の公務員の数は決して多くないということは間違いないと思っております。

岡本(充)委員 私は、それを聞いているんじゃないんです。この五年間の人員の変化、厚生労働省に関する公務員、もしくは非公務員型を含みますけれども、国から人件費の出ている人間の数が十二万九千人から十二万二千人ですか、独立行政法人の評価として、効果として、大臣はこの人員の変化についてどのような御評価をなさるのかということです。

川崎国務大臣 この五年の中で厚生労働省が担当しなけりゃならない仕事はどのぐらいふえたかというものを加味しながら、最終的な判断をしていかなけりゃならないだろう。急な御質問でございましたので、そこまでデータを持っておりません。

 しかし、基本的には厚生労働省の仕事、分野、この委員会でもいろいろ御質問いただきますけれども、ふえてきていると思います。ふえてきている中で削減をしながらやっていることは事実だろう、これは委員の方も御理解をいただけるものと思っております。

岡本(充)委員 大臣、私も別に急な質問をしたかったわけじゃないんです。このデータが出てきたら、それに伴って質問通告をしたかったわけなんです。しかし、それができなかったことを大臣もぜひ御了解をいただきたいというふうに思います。

 その上で、では、厚生労働省関連の仕事がふえてきている、今、こういうお話ですが、後ほどこれは指摘をさせていただきますが、私は、外部へ発注できる仕事が幾つもあると思っていますし、もちろん国でやらなきゃいけない仕事もあります。その中できちっと選別をしていけば、決して仕事が単純にふえてきているという、言い逃れと言っては失礼ですけれども、そういう理由だけが人員削減を阻んでいるわけではないということを御理解いただけると思いますので、その点については、私は逆に指摘をさせていただきたいと思います。

 時間の関係もありますので、ちょっと質問を進めていきたいと思います。

 まずは、今回の独立行政法人の全般的な問題に関してでございますが、先ほど田名部委員からも質問がありました。私も改めて聞きたいと思いますが、平成十三年の四月の時点で、これら今回審議の対象となっております三つの独立行政法人は、すべて公務員型で出発をしました。公務員でなければこれらの業務は行えない、そういう判断をなされていたにもかかわらず、十八年の法案審議に当たっては、非公務員型でも構わない、こういう考えに変わってきております。

 これは一体どういう変化があったのか、それぞれお答えをいただきたいと思うわけですが、よろしくお願いします。

川崎国務大臣 一つ一つの理由は後で答えさせますけれども、総論から申し上げると、先ほどもお答え申し上げたように、サッチャー政権でエージェンシーというものの効果が上がっているという定義がされて、我が国の中でも独立行政法人化をして、今まで直接官がやっている部分をできるだけ移行していって、効率的な仕事をやっていった方がいいんじゃないか、そして、その独立行政法人自体が評価をされて、先ほどの仕事との比較論が一つ一つされていくことによって、我が国のシステム全体がより効率的なものになるのではないか、こういう議論で始まりました。

 しかし一方で、先ほど申し上げたように、我が党の中でも反対論が多うございました。まして、非公務員化ということは国の仕事の放棄だという議論まである、しかしながら、やはり一つ進めようという中で、議論として公務員化を選択したもの、非公務員化を選択したものとに分かれてきた。

 しかし、昨年、郵政公社で御議論をいただきましたように、もう郵便の仕事を公務員がやる必要はないだろうという枠組みの中で、世の中全体の理解というものが変わってきたという中で、それでは今まで主張してきたこととの担保の裏づけ、これは後から説明があると思いますけれども、担保の裏づけをした上で、非公務員化はできないか、できるだけ努力してみろという中で、今回、内閣としての一つの提言を受けながら、厚生労働省として、こういう部分についてはもう一歩踏み込むことはできるだろうという判断をしたということでございます。

中野副大臣 岡本委員の御質問にお答えをしたいと思います。

 今般の独立法人の見直しの中で今の方針変更をした理由でございますけれども、それにつきましては、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会や行政改革推進本部の独立行政法人に関する有識者会議における議論を踏まえた、そういう結果でございます。総体的に言えば、今大臣の御認識もあったと思います。その中で、非公務員化によりまして民間との共同研究や人事交流を促進することによりまして、一層質の高い研究成果が期待できるという判断に達したことから統合に至ったと考えております。

岡本(充)委員 これは今大臣くしくも言われましたが、確かに公務員でなければできない仕事という概念は刻々と変わってくると思いますが、個別的な話として、平成十三年の段階では、業務の停滞が国民の生活または社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるもの、もしくは当該独立行政法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して、その役員及び職員に国家公務員の身分を与えることが必要と認められるもの、こういうふうな明確な基準があったわけです。

 この基準を平成十三年はこのように満たしていた、そして今現時点ではこのように満たさなくなった、それを個別にお聞かせいただきたいというふうにお願いをしているわけです。お願いします。

青木政府参考人 先ほど来申し上げていますけれども、平成十三年のときには、公共性が高い事務事業を万全に遂行するため、公務員型の独立行政法人としてスタートするということになったわけであります。

 そういう意味では、まず、産業安全研究所について申し上げますと、産業安全研究所は、労働災害防止のための調査研究を行うということで、事業場内におきます機械設備でありますとか、あるいは作業工程でありますとか、そういったことに災害発生の原因はないだろうかということで調査研究をするということでございます。したがって、各企業のノウハウに係る部分までも実は立ち入って見ないといけないというような面もございます。そういう意味で、非常に公共性が高いということでございます。

 ということで、公務員型ということであったわけでありますけれども、お話しありましたように、十六年には、業務運営をより効率化するということで、いわば非公務員化になったことによるメリットというものもあるではないかということで議論をいたしました。私どもとしても、当初、平成十六年段階におきましては、そういった公務員型をむしろ維持するのが適当ではないかということで議論をいたしました。

 しかし、産業安全研究所等については、災害発生時の立ち入り権限をきちんと措置する、そういう裏づけをした上で、これを非公務員化してもそういった問題はないだろうということで転換をいたしまして、今回、非公務員型ということでお願いをしようということにいたしたものでございます。

外口政府参考人 国立健康・栄養研究所におきましても、議員御存じのように、国民栄養調査でございますとか、それから、中立公正な立場からの情報提供とかそういった大変公的な部分の多い仕事をやっておりましたので、こういった中で、独立行政法人であっても公務員型というような考え方でスタートしてきたわけでございますけれども、時代の流れと申しますか状況の変化等がございまして、非公務員型にしても、そういったことをうまく工夫すれば、かえって非公務員型のメリット、例えば官民交流がやりやすくなるとか、中のシステムが組みやすくなるとか、それから若手のやる気のある人をきっちり処遇できるとか、そういったメリットも考えまして、中の考え方が変わってきたわけでございます。

岡本(充)委員 今、答弁にありましたけれども、法的措置、例えば労働安全衛生法の一部改正を伴うことで措置をすれば、公務員型でなく非公務員型でも当初からできたということをお認めに、産業安全研究所についてはそのように認識をされるのかどうか、まずそれが一点。

 それから、今、もう一つ答弁がありましたけれども、国立健康・栄養研究所については、工夫をしたと言われますが、これは当初からできる工夫ではなかったわけなんですか。今までかからなければならなかった工夫なんでしょうか。私は、そういう今の外口さんの答弁であれば、当初から工夫さえしておけば非公務員型でもいけたというふうに解釈するわけですが、これについて重ねて御質問させていただきます。それぞれお願いします。

青木政府参考人 理屈の上では、今から考えますれば、十分検討の上、そういったことがきちんと手当てできるということで手当てをすれば、その時点で可能ではあったと思います。

 しかし、そういったことの十分なる検討でありますとか、あるいはそのほかの議論、例えば、本当に効率的な官民交流を進めていくことができるんだろうかとか、そういうメリットの面についても十分議論をしなければいけないということでありますので、担保措置として限定して御議論されればそういうことだというふうに思っております。

外口政府参考人 今、非公務員化ができるんだから、前もできたのではないか、そういったようなお考えはあるかと思います。ただ、それにはやはり一定の、関係者を含めての御理解というものも必要だと思いますし、先ほど申し上げましたような一定の工夫も必要だと思います。

 工夫と言うのが適切かどうかわかりませんけれども、守秘義務についても、公務員はもちろん守秘義務がきっちりかかりますけれども、例えば研究所の役員、職員は職務上知ることができた秘密を漏らし、または盗用してはならない、そういった規定をきっちり設けることを含め、いわゆる公務員であることによって得られているメリットを何かほかの形で、就業規則等も含めてきっちりつくっていくことなどを含めて、職員が公的な仕事をやっていくということを続けながら、非公務員化のメリットを享受するということを検討して可能になったものと考えております。

岡本(充)委員 今お話がありましたけれども、まずは今回の統合と、そして非公務員化の問題、それぞれ、特に非公務員化の問題については、発足時点で努力をすれば、もしくはきちっと技術的な面について検討を重ねれば非公務員化することができたということをそれぞれお認めになったんだというふうに、今、理解をさせていただきました。

 その上で、別に私は非公務員化がすべていいと言っているわけではない、公務員でなければできない仕事があるのも事実だと思っていますので、そういう議論をしているわけではありませんが、そもそも、今御指摘させていただいたとおり、当初の検討が不十分であったということを、改めて、大臣、ぜひ御理解いただいて、次のまた同様の見直しの際に、五年前に見直しておけば技術的に可能だったのに、五年前に検討が十分できたにもかかわらず五年後にまた次なる問題を提起されることのないように、ぜひ今回の改正に当たっては万全を期していただきたいと思います。大臣の御決意をいただきたい。

川崎国務大臣 御指摘は、一部私も同意する点でございます。

 国鉄の改革、電電公社の改革というものを見ながら、何で郵便局だけおくれたんだという御質問をいただいているのと同じような話だろうと思うんですね。しかし、やはり、国鉄ができた、電電公社ができた中で、郵便というものをいつまで国家公務員がやるんですかという議論の中で、国民全体が、これはもう国家公務員というものを外していいんじゃないかと。実は、我が党内でも随分反対があったし、私も一時は反対の頭目の一人でしたからね。しかし、最終的には、民間人でもできるのではないかという理解になってきた。それにはやはり時間の経過というものがあるんだろう。

 先ほど田名部議員にもお答えしたんですけれども、一番最初に独法というものを持ってきましたときに、官僚の抵抗は正直言ってきつかったですよ。こんなもの本当にできるのかという意見の方が強かった。しかしながら、現実に試行錯誤しながらやってきて、自分たちもやってみて、ああ、これなら民間でできるじゃないかという形で変わってきた。そういう意味では、やはり仕事をしてもらう人たちの気持ちというものが大事でありますので、政治がリーダーシップをとることは大事でありますけれども、その現場で働く人たちの気持ちというものをやはりしんしゃくしながらやっていかなきゃならぬ。

 そういう意味では、だんだんやってきて、その現場で働いている研究者の皆さん方、事務の仕事をされている方々、トップに立つ理事の方々も、だんだんそうでいいだろうというものが醸成されてきたということは間違いないだろう。英断があれば十三年にできたじゃないかという御指摘もまた、先ほど申し上げたように、その一面だろうと考えております。

岡本(充)委員 こういった今の公務員型、非公務員型という今の議論を踏まえた上で、もう一つ重ねて、国立健康・栄養研究所についてお伺いをしたいと思います。

 頭になぜ国立という文字がつくのかということでございます。お答えいただけますか。

外口政府参考人 国立健康・栄養研究所は、議員御存じのように、国民栄養調査とか、それからいわゆる健康食品に関する調査研究を行って、正確な情報を公平中立な立場から国民やあるいは管理栄養士さんとか関係者の方々に提供しております。

 例えば、例を挙げれば、二年前に健康食品の素材のデータベースをつくってホームページで公開しました。最初の半年で百九十万件近くアクセスがありました。それだけ正確な情報を皆さんが欲していたわけでございます。この情報は、やはり、国立健康・栄養研究所がパブリックな立場、公的な立場であるということを皆さん信頼して、情報にアクセスしてくれたんだと考えております。

 また、一方で、こういった健康や栄養に関する情報というのはほかのところにもたくさん出ております。本屋さんあるいはインターネットで見ますと、さまざまな主体がさまざまな媒体で提供しているわけでございます。仮に国立健康・栄養研究所から国立という文字を外した場合、この健康関連の会社が、実は、健康研究所とかそういった名前の名称のところはかなりあります。こういった会社と混同されることも考えられるわけであります。

 こういったことも考えて、既に国立健康・栄養研究所の名称は広く定着しているところでございますので、独立行政法人国立健康・栄養研究所、そういった名称を用いることが適当ではないかと我々は考えておりますので、そこのところはぜひ御理解いただけたらと思います。

岡本(充)委員 私は、名前は確かにすべてではないということは認めます。内容も必要だと思います。内容を見ると、もう公務員じゃないんですよ、それから独立行政法人ですよ、確かにお金は運営費交付金という形で国から出ていますよ、そういう話であれば、残る理由は、広く国民にこれまで国立という名前がついていることを認識してもらっているからこのまま続けたい、こういう理解でいいわけなんですか。ああ、うなずかれましたね。そうですね。だとするならば、広く国民に認知をされている名前は変えないという話になってしまうわけですね。

 大臣、私、別に国立にこだわっているわけではありませんが、名は体をあらわすという言葉もありますけれども、名称とどういうふうな組織なのかということを国民が理解をする上で、私は、名称の変更があっても今回はよかったんじゃないかというふうに思うわけなんですが、大臣は今回のこの国立という名前に違和感は覚えられませんでしたか。

川崎国務大臣 例えば、大蔵省は造幣局、それから印刷がありますね。国立という名前を印刷だけはつけたようでございます。そういう意味では、そういう名前のネーミングは国民にわかりやすいだろうという選択だろうと思いますね。造幣だったら当然民間の機関はないですから。印刷はいろいろな民間の機関がありますから、あえて国立をつけられた。

 国立大学の問題、他の機関との整合性からいって、まさにイギリスでいえばエージェンシー、独法として国民に理解をいただくという意味では、この名前が通りやすい名前であろうという選択を今のところしているんだろうと思うんです。これは我が省だけの問題じゃなくて、全体として、何かいい名前があるんじゃないですかという御提言があれば、それはまたこれからの議論というか、この法律以降の議論として、大学の問題やさまざまな機関の問題、まだ国がやっているのかというイメージがいつまでもつきまとうというならば、何かいいネーミングに変えるのは、一つの提言としてはあるだろうと思いますけれども、今のところは、他の機関との並びからいけば、国立という名前をつけて国民の理解を得る方が早いだろうと思っております。

岡本(充)委員 続きまして、今度は、独立行政法人の今後について少しお伺いをしたいと思っています。

 今度新しくできる労働安全衛生研究所、国立健康・栄養研究所、それぞれ国から運営費交付金という名前で、今後も渡し切りでお金が渡されるわけであります。このお金についてはどういうふうな削減を目指していくのかということをきのう伺いましたら、まず、労働安全衛生研究所の方は、今後、中期目標期間中において、平成十七年度の運営費交付金額に比して、一般管理費(役員及び管理部門の人件費を含む)について一五%、事業費(研究部門の人件費を含む)について五%に相当する額を節減するよう指示することとしている、こういうふうになっているんですね。国立健康・栄養研究所については、今後、中期目標期間中において、平成十七年度の運営費交付金に比して、一般管理費については一〇%、人件費及び業務経費についても五%に相当する額を削減するよう指示することとしている、こういうふうになっています。

 これは正しいでしょうか。こういう認識でよろしいでしょうか。

中野副大臣 今の委員の御発言でございますが、そのとおりでございます。

岡本(充)委員 これは数を減らすということなのか、単価を減らすということなのか、どちらなんでしょうか。

中野副大臣 例えば、特殊法人から移行した独立行政法人と同じ程度の一般管理費という中には役員及び管理部門の人件費も含まれるということになりますと、例えば役員の数も八名から三名減らすとか、そういう量的な問題も当然含まれると思いますし、その中で、経費の削減の中では、単価というものも問題があるということは当然だと思います。

岡本(充)委員 大体残り時間があと五分になったわけですけれども、実は最初、これは内訳を聞いて、人数の話で質問したかった部分がありました。それについて、きょうじゅうに正確な資料をもらえるということなので、それを踏まえて、金曜日にこの人数の部分、残り五分でやりたいと思うんですけれども、それについて御理解いただけますでしょうか。

岸田委員長 それについては……(発言する者あり)

 それでは、それについては、別途理事会で協議をさせてください。お願いします。

岡本(充)委員 では、これで終わります。

岸田委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 独立行政法人産業安全研究所、独立行政法人産業医学総合研究所、独立行政法人国立健康・栄養研究所については、もともと国の機関として、そして平成十三年四月からは公務員型の独立行政法人として、それぞれ、公共の見地から確実に実施されることが必要な研究業務というのを担ってきたわけでございます。今般、これら事務事業が見直されまして、独立行政法人として真に担うべき事務事業に重点化されるとのことですけれども、これらの研究所がこれまでに何を行ってきたのか、今後はどのように研究を進めていくのか、一般国民はそれが見えにくい部分というのがあるのかなというふうに思います。そこできょうは、こうした点からいろいろと明らかにしていきたいなというふうに思います。

 まず、その三つの研究所について、簡単に、それぞれの研究所の基本的な性格、業績についてお聞かせいただけますでしょうか。

青木政府参考人 研究所の性格、業績でございますが、産業安全研究所につきましては、工学面からの労働災害の防止に関して調査研究を行うという研究所でございますので、これまで、フェールセーフ技術等機械設備の安全化の研究でありますとか、建設工事における溝の掘削作業の安全化の研究でありますとか、静電気災害の防止の研究等について研究業績を上げてきております。

 それから、産業医学総合研究所は、衛生面からの労働者の健康の保持増進あるいは職業性疾病に関する調査研究を行う研究所でございますので、これまで、労働者の心身の健康度指標でありますとか、あるいは長時間労働、深夜業の循環器系への影響の調査でありますとか、あるいは石綿の測定方法についての研究等について研究業績を上げてきているところでございます。

外口政府参考人 独立行政法人国立健康・栄養研究所でございますけれども、国民の健康と福祉の向上に貢献することを目的といたしまして、健康や食品分野における調査研究を実施してきたところでございます。

 これまでの研究実績は、エネルギー代謝に関する研究を実施することによりまして、健康日本21の策定に貢献したこと、国民健康・栄養調査を活用することにより、日本人の食事摂取基準二〇〇五の策定に貢献したこと等が挙げられます。

糸川委員 今のところからも、研究的な業績は上がっているというのはわかるんですけれども、財政面について、国の施設等機関であったときより効率的にしなきゃいけない、効率的な運営を図っていかなければ独法化としての意味は薄れていくのではないかなというふうに思います。

 これまで業務の効率化にどのように取り組んでいらっしゃったのか、お答えいただけますでしょうか。

川崎国務大臣 人事の面と経費の面があると思いますけれども、経費の削減に関しましては、厚生労働省が中期目標にて定めた経費の削減目標に沿って、各研究所が、一般競争入札の促進、省エネルギー活動の徹底などを通じて、その削減に努めてきたところであり、今年度中にこの中期目標が達成できると考えております。

 また、個人業績評価システムの構築、若手任期つき任用の活用等、効率的で柔軟な組織づくりを行い、業務運営の効率化、弾力化に取り組んでまいりました。

糸川委員 では次に、産業安全研究所と産業医学総合研究所の統合についてお尋ねします。

 統合によって、さらなる経費の節減ですとか、それから事業運営の効率化というものを実現しなければならないことはもちろんなんですが、研究所を統合するからには、研究面での統合というメリットを発揮されなければならないわけでございます。統合について、研究面でどのような効果があるのか、どのような効果を期待されているのか、お答えいただけますでしょうか。

中野副大臣 糸川委員の、統合によって研究面でどのような効果が期待されるかという御質問にお答えをしたいと思います。

 産業安全研究所と産業医学総合研究所が統合されることによりまして、従来は別々の研究所で行われておりました労働災害の予防に関する研究というものと、それから労働者の健康保持、職業性疾病の予防に関する研究が一元化されまして、労働者の安全と衛生に関する研究を総合的に行うことができる、総論的にはそういうわけでございます。

 具体的に申し上げますと、例えば、産業安全という面で、重大な災害防止のための工学的研究、例えば機械とか設備などですね、それの研究というか、安全面。それから、労働者のヒューマンエラーの防止についての心理学的、生理学的研究、それから衛生面を一体に実施するということが具体的な、まず第一でございます。

 また、化学物質につきましては、例えば、爆発の危険性という安全面と、それから中毒とか発がん危険性という衛生面の両面から一体的に研究するということが考えられまして、それによっていろいろなリスクを総合的にとらえられるというような、総合的、学際的な研究が可能になるという効果を私どもは期待しておるわけでございます。

糸川委員 産業安全研究所と産業医学総合研究所について、統合しても職員数は、ここのいただいたものでは百二十一人と小規模である。これは、管理部門を削減するとしても、これはおのずと限界があるのかなというのは、この人数から理解できるところであるんですけれども。

 しかし、事務の進め方を改善する、また効率化を進めるべきだというふうに思います。その取り組みですとか方策について、お聞かせいただけますでしょうか。

青木政府参考人 確かに委員がお話しになりましたように、産業安全研究所と産業医学総合研究所を統合しても、労働安全衛生総合研究所としては百二十一人ということで非常に小さいところであります。それでも、管理部門も、当面はいろいろな統合に伴う事務がございますので削減できませんけれども、中期目標の間で、できるだけ削減をしていくということでそこの削減も考えたいと思っております。それから、今御質問にございましたように、それと同時に大事なことは、やはりおっしゃったように効率化を進めていくということだというふうに思っております。

 具体的な効率化の方策としては、これはやり方は、これこそまさに独立行政法人の責任ということでありますが、統合後の労働安全衛生総合研究所の裁量にゆだねられているわけでありますが、次の中期目標におきまして、平成十七年度予算に比しまして一般管理費を、一五%を上回る額の削減を行うというふうに指示しようと思っておりますし、これを踏まえて、統合後の研究所においては、給与関係業務等についてオンライン化した管理システムを構築することなどによりまして、効率化をより一層進めていくというふうに承知いたしております。

糸川委員 では、国立健康・栄養研究所についても、これは事務の進め方を工夫するなどして効率化を進めるべきであると考えますが、同じようにその取り組みや方策について、お聞かせいただけますでしょうか。

外口政府参考人 国立健康・栄養研究所につきましては、これまでの取り組みといたしましても、従来の組織にとらわれないプロジェクト研究を中心とした、業務運営体制として連携がとりやすい体制への移行等をしております。また、国民健康・栄養調査の集計業務につきましても、外部委託等により業務の効率化を進めているところでございます。

 さらに、今後は、研究内容の重点化、例えば糖尿病やメタボリックシンドロームの一次予防に資する調査や研究等を重点化することなどを含め、政策ニーズに対応した形で調査研究業務の推進を考えております。

 また、事務作業の迅速化、事務書類の簡素化、電子化等を進めまして、アウトソーシングが可能なものについては外部委託も積極的に進めていきたいと考えております。

糸川委員 できるだけ効率化を進めていただければなというふうに思います。

 続いて、役職員の身分としての非公務員化についてお尋ねをいたしますが、非公務員化することでどのようなメリットがあるのか、端的にお願いします。

青木政府参考人 役職員の非公務員化を契機といたしまして、民間の研究機関や大学などとの人事交流あるいは共同研究が促進されるものと考えております。

 具体的には、役職員が国家公務員法の適用を受けなくなりますので、これまでよりも柔軟な雇用管理が可能となりまして、人事交流が行いやすくなるものと思っております。

 これまでの研究所にはない知見をそういったことによって得ることによりまして、それを新たに研究に生かしていくということで、より質の高い研究成果を期待したいというふうに思っております。

糸川委員 では、国家公務員ではなくなったのに、守秘義務や、みなし公務員規定が設けられておるわけでございます。こうした規定を設ける必要があるのかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。

青木政府参考人 新しくできます労働安全衛生総合研究所におきましては、職業性疾病の研究の際に得られます個人の病歴などの個人情報でありますとか、あるいは、災害調査の際に得られます企業の生産工程でありますとか設備、機械、そういったものについての営業上の秘密、ノウハウ、そういったものを取り扱うということになります。

 それから、国立健康・栄養研究所におきましても、共同研究者である企業などからの研究データ、あるいは特許等に結びつく研究成果を取り扱うこととなります。こうしたことから、今回、これらの法人の役職員に対する秘密保持義務の規定を設けることといたしております。

 また、これらの法人の職務の内容は、公務に準ずる公益性、公共性を有するものでございます。公正、妥当な職務執行を確保するために、これらの法人の役職員を刑法その他の罰則の適用について公務員とみなす、みなし規定を設けることといたしたものでございます。

糸川委員 実は、私はこの守秘義務の使い方に若干疑問がございまして、これは厚生労働省さんの所管ではないんですけれども、別の省庁さんの所管でやはり同じような独法があるわけで、私は、今回、予算委員会で質問をするときに、その独法の人を呼んでいろいろ質問しました。

 その中で、調査をする上で守秘義務を巧みに使われる、巧みに使われることによって明らかにされない部分というのが結構出てきてしまうんです。

 ですから、今おっしゃられたような個人情報についての守秘義務というのはいいと思うんですけれども、それ以外で、開示しなきゃいけないものまで守秘義務だといって開示しないとか、教えないとかというようなことにならないように、ぜひそれはしていただきたいなというふうに思います。

 続いて、今後の研究の方向性についてお尋ねしたいんですが、まず、労働安全衛生総合研究所について、先ほど研究面での統合のメリットについてはお伺いしました。

 近年の重大災害の多発ですとか過重労働による健康障害の増加を踏まえて、昨年の秋には労働安全衛生法の改正法が成立したところでございます。

 このような状況を踏まえて、今後はどのような分野の研究に重点化をしていくのか、お聞かせいただけますでしょうか。

青木政府参考人 今お話ありました昨年の秋の労働安全衛生法の改正では、それ以前、数年間、重大災害が頻発をいたしまして、それに対応した危険性だとか有害性の低減というのが必要だということで事業者の措置を拡充いたしましたり、あるいは、お触れになりましたけれども、過重労働が増加するという中で、そういった過重労働対策あるいはメンタルヘルス対策の充実を図るというものでございました。

 こういったものに対応しまして、労働安全衛生総合研究所におきましては、一つには、高度の技術を要する重大な災害の防止に関する研究、二つ目は、技術の進歩に伴って発生する新しい災害に関する研究、三つ目には、過重労働あるいはメンタルヘルスに関する研究、四つ目には、労働者の心身の健康状態と事故の関連などに関する研究などを重点化いたしまして、調査研究するよう指示していきたいというふうに思っております。

糸川委員 今、国民の健康志向というのはどんどん高まってきておるわけです。いわゆる健康食品の市場規模というものもこれは拡大しているわけでございまして、健康食品の健康の影響に関する基本的な情報とか、それから個別の健康食品については、その科学的な分析結果を基礎とした健康の影響に関する情報をタイムリーに提供するということが食に関するリスクコミュニケーションの円滑化に寄与しているのではないかなというふうに思いますが、どのようにこれは今後充実を図っていくのか、お聞かせいただけますでしょうか。

外口政府参考人 健康食品に関する正確な情報提供を行うことはますます重要になっております。例えば、この健康食品が体にいいということも、エビデンスの段階によっていろいろな言い方があるわけでございます。例えば、コップの中で油が固まるから健康にいいんだとか、それから、では動物実験ではこうだったからいいのかというレベルもありますし、これこれの先生が言っているからいいのだというような、そういう情報もはんらんしているわけでございます。そういった中で正確な情報提供をいかに行っていくか、これは国立健康・栄養研究所の一つの使命だと考えております。

 そこで、国立健康・栄養研究所では、健康食品に含まれる食品成分の安全性とか有効性に関する内外の情報の収集をしておりますけれども、これをデータベース化して幅広く公開し、それを適宜、今更新しているところでございます。このデータを使ってリスクコミュニケーションの推進等に努めてまいりたいと考えているわけでございます。

 またさらに、国立健康・栄養研究所におきましては、今後、組織再編等を行いまして、研究所からの情報発信をさらに強化する、正確で透明な情報を次々と世の中に出していくということを考えておりまして、情報センターの設置なども今検討しているところでございます。

糸川委員 積極的に取り組んでいただければと思います。

 最後に、川崎大臣にお尋ねします。

 我が国が超高齢化社会、人口減少社会を迎える今、災害の防止や職業性の疾病の予防に取り組む労働安全衛生総合研究所も、食生活や国民の健康について研究を行う国立健康・栄養研究所も、目立たないところではあるかもしれませんが、非常に重要な研究を行っておるんだろうというふうに思います。

 そこで、今後も着実に研究を推進していく必要があると思いますが、この件について、大臣の御見解を最後にお聞かせいただけますでしょうか。

川崎国務大臣 御指摘いただきましたように、両研究所とも、国民の安全や健康を守るという国の重要課題に関する先進的な調査研究を行っている研究所であります。今後とも、これらの研究所がその研究成果を着実に上げて国民生活の安定及び向上に寄与することができるように的確に指導してまいりたいと思いますと同時に、この研究成果をやはりどう厚生労働省として生かすか、ここが重要な点だろうと私は思っております。

 すばらしい研究と我々の政策決定というものがうまく相まちながら、まさに国民生活の向上に努力をしてまいりたいと思っております。

糸川委員 独法は、先ほど大臣がおっしゃられたように非常にいい部分と、それから私が先ほど述べたように守秘義務やそういういろいろな見えなくする部分というのが巧みに使われないように、しっかりと監視をしていただければなというふうに思います。透明化を図っていただければと思います。

 ありがとうございました。

岸田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 最初に、二〇〇一年の四月に発足以来、三つの研究所が特定独立行政法人として公務員型になっていた理由を伺いたいと思います。

青木政府参考人 この三つの研究所、産業安全研究所、産業医学総合研究所、国立健康・栄養研究所については、平成十三年に国の施設等機関から独立行政法人化に移行するということでありました。そのときには公共性が高い事務事業を万全に遂行するということが必要でありましたので、そのため円滑な移行をするということでございます、そういうことで公務員型の独立行政法人としてスタートしたものでございます。

高橋委員 国の施設から移行をする、そのために公共性が高いことやほかにはない役割があってかえられないものだ、そういう議論がされた上での特定独立行政法人になったのではなかったかと思います、今のお話で。

 それで、二〇〇四年八月二十四日、独立行政法人評価委員会第十三回調査研究部会の中で、それぞれの三つの研究所について厚生労働省の立場を述べておられます。

 まず、国立健康・栄養研究所についてですが、厚生科学課の研究企画官がどのように述べているかということです。

 一つは、国民健康・栄養調査に係るデータの処理、集計、あるいは健康・栄養政策に係る基本的データの提供という業務がある、このことで栄養所要量は、日本人が健康を保つために必要なエネルギー及び栄養素の標準的な摂取量を示すもので、中略しますが、学校給食や栄養指導の現場はもちろん、バランスのとれた食事の献立づくりの基準として幅広く用いられていることから、国民の健康、栄養に係る指標が失われてしまうことになり、業務の廃止を行うことはできない、他に類似の調査研究を行っている機関はなく、信頼性や公平性において他に主体となり得るものは見当たらない、採算性は見込めないから民営化は困難、このような理由を述べておられました。

 それぞれの理由について、それがどう変わって、言ってみれば困難だという理由が克服されてどうなったのか、このことについて伺います。

外口政府参考人 国民健康・栄養調査が大変重要な指標であって、そして公的な業務としても今後も重要であるということについての考えは変わっておりません。

 ただ、その業務を行う主体が、公務員でなければどうしてもできないかということについては、さまざまな工夫をすることによって、非公務員化しても必要な調査は継続していけるだろうというように検討が進んだわけでございます。

高橋委員 厚労省は、ついこの間ですよね、二〇〇四年、平成十六年八月ですから、一年半前にみずからが述べていたことをみずからが否定をしている、そういうことになると思うんですね。今、重要な指標として必要な調査は続けていく、主体が変わっただけだ、そのようにおっしゃいました。しかし、国民健康・栄養調査は国民のプライバシーにかかわる情報を取り扱うから民間ではまずいと言っていたわけですよ。それを民間にする、あるいは外部委託をして効率化を図るという皆さんの言い方だ。それから、採算性は見込めないから民営化は困難と言ってきたはずですね。しかし、それについては、昨年の十一月三十日の指摘事項を踏まえた厚労省の見直し案の中で、競争的研究資金も積極的に獲得する、このように述べているわけですよ。

 そうすると、この四年間で競争的資金、全体の予算が六・八%削減されておりますが、外部資金は〇一年の五十八件、二億九千百万円から、〇四年、八十件、三億三千百五十万というように増加をしています。それが今後一層増加をするということが次期中期目標に書き込まれると、人事評価制度とも相まって、短期で結果を出すそういう研究に傾斜をするのは明らかではないかと思うんですね。

 先ほど大臣は、田名部委員の質問に対して、研究や科学技術等をすべて効率で割り切ることはできないとおっしゃいました。私、本当に大事なことだと思うんです。すぐに成果が出なくても地道にやらなければならない研究というものはある、この立場はいかがですか。

川崎国務大臣 だから民営化を行わずに独法という新しい組織論の中でやらせていただく。ただし、その独法という国が一つ担保した組織の中で働く人が公務員でなければならないのかという議論をしてまいって、公務員でなくてもできるであろうという判断をして、今回の法改正をお願いいたしております。

高橋委員 今のお話は、先ほどの答弁とあわせて、どうしても整合性がとれないんですね。必要な調査である、しかしそれを担保するために主体が変わっても構わない、なぜそういうふうになるのか。

 この疑問とあわせて次の質問に行きますけれども、例えば健康増進法に基づく特別用途表示食品の収去試験等は、特別用途表示の許可の取り消しなど公権力の行使を前提とする試験である、このことも繰り返し厚労省自身が述べてきたことであります。企業の情報に深くかかわる、そういう意味からいっても、公平中立な公務員でなければならない、この立場についてなぜ変わることができるのか、もう一度伺います。

    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕

外口政府参考人 特別用途表示食品の収去試験等、公権力の行使の前提となる試験につきましては、とりわけ守秘義務、プライバシーにかかわる情報でございます。

 そういったことに関して、もちろん今まではそれは公務員であればそういったことが守秘義務がかかるだろうという考えであったわけでございますけれども、これは、新しい法律の中で守秘義務をきっちり規定するということによっても同じような効果が得られるのではないかということも含めまして、こういった検討を進めてきて、非公務員化という検討に至ったわけでございます。

高橋委員 守秘義務が法案の中に書き込まれると、同時に罰則規定も出ますね。しかし、罰則規定があって、義務違反があると罰則はある、一方では、それを担保するだけの身分保障はないわけです、義務だけが課される。そういう点で、本当にこれが本来の趣旨からいって正常なものかということが問われると思うんですね。

 昨今、健康食品に対する国民の関心が非常に高まって、また関連企業も増加をしております。昨年は、そうした背景を受けて特定保健用食品制度も見直しをされました。ですから、なおのこと、いろいろな企業がいろいろな思いでこの分野に参入をしてくる、そういう点で、ますます公権力の行使ということが非常に重要になってくるわけですね。

 その点で、単に罰則規定が出されたというだけで本当に彼らに対して対等、中立な立場を持ち続け、そして権力を行使することができるのか、この点、もう一度伺いたいと思います。

外口政府参考人 国立健康・栄養研究所に求められております中立公正な立場からの公的な業務、議員今御指摘のような健康食品にかかわる正確な情報の提供とか、そういった内容でございますけれども、これについて、私は、大事なのは理事長以下の管理者を含めた中の研究者が、きっちりとしたモラルを持って必要な研究それから必要な業務を行っていくことだと考えております。

 この点、とかく研究の場合ですと、例えば大学等の研究者におきましては、何か新しい研究をする、あるいは企業の研究者であれば、それが企業の業績に資する、そういったことに重点を置いて評価されがちでございますけれども、こういった公的な分野に地道に働いている職員、研究者の人たちを理事長以下がしっかりと評価して処遇していくことが大事ではないかと思いますので、こういったことを評価委員会等も含めて我々の方でもきっちりと見守って、必要な業務が果たせるよう努力していきたいと考えております。

高橋委員 中の方たちが地道な研究に対して評価をしていただきたい、そうおっしゃった。全くそのとおりだと思うんですね。評価委員会の中でも、大変いいミッションをされているということが評価委員の中から、この国立健康・栄養研究所に関してはされているということを承知しています。

 ただ、私は、今後の中期目標においては、経費の削減ですとか、やはり人事評価の中に研究の成果が当然対象となる、そういう仕組みの中で、地道な研究というのが後に追いやられるのではないか、あるいは、国の政策にかかわる、根幹にかかわる大事な部分が縮小されるのではないか、そういう強い懸念を持っているのであります。ですから、私は、やはり今聞いていても、言っていることと今やろうとしていることは違う、正直そう思います。

 しかし、そうおっしゃるのであれば、そのとおりのことを、最終的には中期目標を現認するのは大臣でございますから、その点でしっかりとした指導をしていただきたいと言っておきたいと思います。

 この私の不安に対して、次の研究所に関しても関連をしますので、次の問題に行きたいと思います。

 産業安全研究所と産業医学総合研究所、これは統合並びに非公務員化であります。やはり同じように、公権力の行使についての問題が大きいと思っております。

 先ほど紹介した評価委員会の、同じ日に、労働基準局の調査官が述べておりますが、最近は原因究明が困難であり、周辺住民を巻き込んだ大規模なものが多いとして、一工場の生産ストップから取引先や関連企業と本当に影響が大きい、そういうことをるる述べた上で、実際に立ち入り、必要であれば試料などの提供を受けるなど、公権力を行使しつつ災害調査を行う必要があることから、産業安全研究所職員は公務員でないとうまくいかない。産業医学総合研究所の研究は、職業性疾病や過労死の防止にかかわるものであるが、当該研究は、今後国が労働衛生政策の中で特に重点を置いて推進していく施策のために必要不可欠な調査研究であり、かつその重点の方向は、企業における個人の健康情報や企業の事業内容に幅広くかつ深く関与するものと説明をしております。

 私は、このことからいってもやはり、ついこの間厚労省は、だからこそ公務員でないといけないと言っていた、それと照らして今の方向はどうなのか、伺いたいと思います。

    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕

青木政府参考人 今お触れになりましたように、産業安全研究所、産業医学総合研究所ともども、そういう意味では極めて公共性の高い調査研究を行うものだというふうに思っております。

 しかし、今般、そういう意味で、非公務員化をして特定独立行政法人以外の独立行政法人への移行ということをお願いいたしておりますのは、やはり、弾力的、機動的な官民交流を行うことによって研究の質を高めることが可能だろうということで、そういうメリットも考え、しかし、お触れになりましたような懸念、デメリットはできるだけなくさなければいけないということで、今般、法案の中にも、労働災害の原因の調査をする際には、厚生労働大臣が必要と認めるときに研究所に対して指示をするということで行う、そしてまた、その任に当たる職員には秘密保持義務が課される、刑法その他の罰則の適用については法令により公務に従事するものとみなされるということで規定をいたしまして、そういう措置を講ずることによって、中立性、公正性を確保するということを図ったわけであります。

 そういうことで、労働安全衛生総合研究所ということになりましても、従来から担わされていた災害予防、災害防止のための原因調査等に支障のないようにしようということにいたしているところでございます。

高橋委員 先ほど私が紹介した部分、公権力の行使にかかわるところは、単にデメリット、そういう表現では整理できないものではないのかと思うんですね。そして、今、答弁がありましたけれども、立ち入り権限の付与だとか守秘義務、そこを書き込んだら、これまでと同様のことが本当にできるのかということがやはり問われていると思うんですね。

 整理のために一つ聞きますが、労働基準局は司法警察権を持っていると思います。単に立入調査というだけではなくて、証拠物件の差し押さえなど、司法処分が可能なはずだと思いますけれども、それを具体的に確認させていただきたいと思います。

青木政府参考人 労働基準局で勤務をいたして労働基準法等の施行を行っております労働基準監督官の権限といたしまして、捜査あるいは送検等の事務を行うことができるということになっております。

高橋委員 いわゆる司法警察権ということでよろしいですよね。

 そこで、二〇〇四年の九月六日に独立行政法人評価分科会が行われていますが、そのときに、厚労省の担当者は、基準局を警察に例えれば、産業安全研究所は科捜研のようなものだ、そういう評価をしておりますね。これまでの経過からいっても、司法権の行使に当たって基準局と一体の行動がとられてきた。やはり、それは、現場で基準局がやれることと、研究という立場でそれを補うことと、それが一体だからこそできたものだというふうに説明をされているわけですね。

 それが、今、本当にこれからも司法権の行使に当たって、一体の行動がこれまでと同様にとれるのか。どうでしょうか。

青木政府参考人 労働基準監督官の捜査権限との関係でございますけれども、これまでも、事故、災害等がございましたら、災害調査ということで、その原因究明、調査結果に基づきまして、その原因の除去のためのいろいろな対策を講ずる、施策に反映するということで、そういう調査を研究所がやっているわけであります。

 それで、犯罪捜査との関係で申し上げれば、それは犯罪捜査のために行っているわけではございませんで、むしろ、鑑定といいますか、そういう関係で、研究所に対しまして専門家の意見を聞くということで対応しているところでございます。その関係は、今般の非公務員化あるいは統合ということによって変わるものではございません。

高橋委員 変わるものではないということだったのですけれども、そういう点は非常に不安があるということを指摘しておきたいと思うんですね。

 では、具体的な研究の中身についてちょっと伺いたいと思うんですが、先ほど来、労働災害の防止、予防という目的だということがお話をされているわけですけれども、やはり、労災による死亡者数が年間一千六百人を超えて、約五十三万人が被災しているということがございます。重大災害の発生件数の増加、あるいは過労死や精神障害にかかわる労災認定もふえている、そういう背景があるからこそ、労災の予防、防止という観点から、両研究所が重要な役割を持っているのではないかと思います。

 そこで、職業性疾病について、産医研の研究がもとになり、ガイドラインあるいは行政指針、規則改正に至るなど、重要な役割を果たしていると思います。最も古く、かつ、今なお新規の所見者があらわれているじん肺について具体的に伺いたいと思うんですが、このじん肺について産医研がどのような貢献があったのか、伺いたいと思います。

青木政府参考人 お話ありましたように、産業医学総合研究所におきましては、じん肺対策に関するさまざまな研究にこれまで取り組んできております。例えば、粉じんの量とじん肺との関連性、あるいは肺がんとの関連性、それを定量化する研究、あるいは、溶接作業について、溶接の際の粉じん濃度の評価方法を開発したり、あるいは溶接用排気フードの開発等の研究を行ってきております。

 これらの研究を通じて蓄積された成果については、例えば、平成十二年の防じんマスクの規格の改正の際、あるいは平成十五年のじん肺の合併症として原発性肺がんを追加する規則の改正の際には、産業医学総合研究所の研究員がこういった検討会に参画して、その知見、ノウハウを活用しているところでございます。

高橋委員 時間がなくなるので、最後に、大臣にお伺いしたいと思うんですね。

 今、いろいろな労働災害がある中で、今一つじん肺について伺いました。防じんマスクの問題だとか、あるいは規則改正の問題だとか、研究所の研究のデータの積み重ねによって、現実のじん肺対策においてさまざまな成果があったということが言えるかと思うんです。

 じん肺法が成立されたのは一九六〇年、今、ILO、WHOは、二〇一五年までに全世界からじん肺を根絶するべきであると提言をしております。しかし、その一方で、長い争議があって、ゼネコンに対する訴訟は全面解決、そういう歴史を経てこれまでの各種対策がなされてきたわけです。しかし、今現在も、厚労省からいただいた資料におきますと、建設工事業における定期監督等の実施状況を見ますと、違反率、これが五割を超えているんですね。建設工事業であると五七・五%、土木であると五〇・二%、いずれもふえているんです、違反率が。ですから、そういう点では、本当に各種規制を生かす方法が求められていると思うんです。

 私が最後に伺いたいのは、先ほど来さまざまなお話をしてきたけれども、やはり、公権力の行使にかかわる研究所であるということでは、企業からの独立、これが必須条件である、そのことが本当に保たれることが何よりも大事である。労災というのは常にこういう企業との関係が問われるわけですから、その点に深くかかわる研究所は必ず独立していなければならないと思うんです。この点について、大臣の見解を伺いたいと思います。

川崎国務大臣 今まで両研究所がいろいろな成果を上げてきたことは、御指摘のとおり事実でございます。また、新しい制度の中におきまして、この研究所がまさに民間との関係もしっかり整理をしながら提言をしてもらう、研究成果を上げてもらうことは大事だろう。一方で、その上がってきた研究成果というものを私どもがどう生かしていくかということも大事だろうと思っておりますので、そこの二つをしっかり私の方からも指導しながらやってまいりたいと思っております。

高橋委員 質問に答えていただいてないんですが。企業からの独立に対しての大臣の見解を伺いました。

川崎国務大臣 基本的に、職員には秘密保持義務が課されている。刑法その他の罰則適用についても、法令により公務に従事するものとみなされる。中立性、公正性が確保されるような仕組みに今回もなっておると考えております。

高橋委員 必要性について伺ったつもりでしたけれども、なかなか答えにくいのかなと。しかし、その点が最低条件であるという立場で臨んでいただきたいということを指摘して、終わりたいと思います。

岸田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、与野党の理事の皆さんの御好意で二十五分というお時間をちょうだいいたしましたので、冒頭、大臣と少し根本的なところでの質疑をさせていただきます。なお、これは質問通告してございませんが、川崎大臣の政治家としての姿勢を伺うものでありますので、どうかお許しをいただきたいと思います。

 大臣は、今回のこの行政改革の一環としての独立行政法人の組織変更という法案の審議に際しまして、それ以前に、例えば、今度は労働安全衛生総合研究所という名前がつく機関ができるわけですが、労働安全衛生の今日的課題とは何であるというふうにお考えでしょうか。

川崎国務大臣 今日というか今時点だけで申し上げれば、最近は大規模の災害が多い、この問題についてしっかり取り組まなきゃならない、こう思っております。

阿部(知)委員 私の質問が少し唐突であったかもしれませんが、実は、今回この質問に際しまして、厚労省の担当の部署の方から、いろいろなことを調べて情報をいただきました。ここに私がいただいたものの中で、アメリカにございます米国国立労働安全衛生研究所という組織がございます。国立であるかどうかは、先ほど岡本委員の御指摘にもございましたけれども、結局、労働現場の安全や安心あるいは国民の健康ということをめぐって、ある意味でのどんな国家意思があるか、そして現状の課題が何であるかということを、私は、まずこの委員会は共通認識にすべきであると思うのです。

 この米国の労働安全衛生研究所においては、アメリカでも現在日本と同じようなことが進んでいて、一つは大臣の御指摘になった大規模災害、あとは、長時間労働、非正規雇用、そして勤労者が平均年齢が上がっておるなど、やはり今の時代、私どもが世でいうところのグローバル化経済のもと、規制緩和が進行している中で働いている生身の人間が抱える労働安全衛生上のいろいろな課題ということを、私は冒頭、やはりしっかり大臣にお考えいただきたい。大臣の意思が労働安全行政をどのようにも向けていくんだと思うのです。その組織がどのようにいじられるか。例えば、表面上独立行政法人の非公務員型にして、公務員の数を数合わせだけでいじることではなくて、私は、労働安全行政というのは今本当に転換点に差しかかっていると思います。

 ちなみに、目標を立てたりデータで比べていくという方法もあると思います。アメリカにおいては、例えば、労働災害によって障害を残し、世でいう障害者という形になる方が毎日九千人、人口規模がもちろん違います。あるいは、事故によって亡くなられる方が十六人、そして、労災関連で亡くなる、例えば中皮腫なんかもそうですが、それも含めて、これが一日百三十七人となっております。

 果たして、我が国ではこのような統計はどうなっておるのか。あるいは社会的コスト、そうして人が病になり、傷つき、倒れることの社会的コストはどのように算定されておるのか。もしデータをお持ちであれば、青木局長でも結構です、お願いします。

青木政府参考人 今ちょっと手元に資料がございませんので、出次第、またお答えいたします。

阿部(知)委員 私は、こうした組織いじりをするときに、やはりそれが本当の労働安全行政の向上に結びつくのかどうかということが大きな評価の視点なんだと思います。大臣は、もちろんそれは共有していただけますよね。どうでしょう、ここは。

川崎国務大臣 言われるとおり、データを持ってきちっとした議論をしていくというのが一番国会で求められていることであろう。我々も把握をしたデータを、正確性がなきゃいけませんけれども、正確性を持って公表していくということは心がけてまいりたいと思います。

阿部(知)委員 私は、単に数値のための数値目標というよりは、現状を改善していくための数値目標をぜひ厚生労働省でも立てていただきたいと思います。そして、現下の労働者が置かれた労働実態をもう少し、先ほどの大臣の一点の御指摘はございましたが、多面的にしていただきたいということ。

 もう一つ、この米国の国立労働安全衛生研究所を例にとりましたのは、実はこの研究所は、一方で、疾病の登録機関であるCDCと申しまして、アメリカでどんな病気がどの数あるかという国家統計をしております、これと深くリンケージ、連動して動いております。

 私は、もし組織改編が行われるのであれば、やはりよりよきもの、そして、より安全や安心に向けて国家意思の働くものにすべきであると思いますが、果たして、今度改編されるこの組織においては、疾病の情報処理と数でございます。日本はなかなか疾病の登録がありません。例えば、この前問題になりました石綿の中皮腫一つ登録制度がございませんでした。大臣、どうでしょう。ここは、例えば中皮腫の登録制度を初めとして、疾病の登録ときちんとタイアップできるような研究所に機能していただきたいですが、お考えを伺いたい。

川崎国務大臣 アスベストの話がございましたので、これはもう既に委員会で御答弁申し上げましたけれども、基本的に、労働災害の方々は全員を私どもで把握できることになるだろう。そして、一方で、環境省の方のテーマで、住民の方々の数の把握にも入ってまいるだろう。そういう意味では、中皮腫全体の概要はつかめるようになるだろうと思っております。

 そういうように、アプローチの方法、いろいろなアプローチの方法があるんだろうと思いますけれども、現存のデータを集めても無理ならば、いろいろなデータの集め方を考えながらやっていかなきゃならない。そういう問題も当然こういうところで議論をしてもらっても結構だろうと思っております。

阿部(知)委員 しつこくて申しわけありませんが、私は、議論をしてもらって結構だろうという程度のことでなく、そのように国を挙げて労働災害に取り組んでいただきたい。

 例えば、大臣もよく御存じのように、一九七二年、かつての、産業医学総合研究所の前身である労働衛生研究所が、工場周辺の住民のアスベスト被曝、一九七二年のことでございます、お調べになって、あるというデータを出されました。しかし、これがずっと活用されずに、この前の私どもが審議いたしましたアスベストの救済法につながっていくわけです。七二年から失った三十数年は非常に大きいし、こうやって、情報をどう生かすか、国の研究機関でありながら疎通もなかったこともあるわけです。そういう点ももう一つ反省していただいて、迅速に情報処理をしていただくという点を一点御確認いただきたい。

 同時に、何度もアメリカを出して恐縮ですが、私は、アメリカの方がすべていいとは思わない点も多いですが、しかし、アメリカにおける労働安全衛生研究所では、勤労者側から、こういうことがあるから調査してほしい、研究してほしいというアクセスの窓口を持っております。これは私は非常に重要なこれからの情報の、お互いの、何よりも被害者がまず自分の体に負うわけですから、そうした労働者側からの研究の訴え、例えば労働団体とはどのようにこの機能を連結、意思疎通させていかれるのか。この二点、お願いいたします。

川崎国務大臣 一つは、関係省庁との連携に欠くることがあった、アスベストの反省の中で申し上げております。そういった意味では関係機関としっかりやっていかなければならないだろう。

 この例とは違いますけれども、最近の例では、タクシーの問題、過重労働、この問題については、国土交通省と労働基準監督署とチームを組みながら一緒に作業をするということで、実態の解明と、そしてしっかりとした指導をしていかなければならない、こういう立場に立ってやらせていただく。そういう意味では、各省庁間の連携が大事であるという御指摘はまさにそのとおりであろうと思いますし、より進めなければならないだろう。

 一方で、今度、医療の分野と労働の分野をしっかり結びつけてやりなさい。厚生労働省という役所をつくったこと自体がその大きな目的であろうと思いますので、そういった意味では、この研究の中においてそういうものがしっかりなされるように私どもの方からも指導してまいりたいと思います。

阿部(知)委員 私が今伺いましたのは、もう一点、例えば住民とか勤労者との窓をどう開くかという点でございます。

 大臣、一つ追加させていただきたいので、例えばアメリカの労働安全衛生研究所では、毎月五十万件のアクセスがございます。ホームページを開いて、そこに五十万件のアクセスがある。情報を得たいと思う人がアクセスするわけです。私は、今回のこの機構いじりの中で、むしろ人員が切り込まれていく、そのことによって外に発信する力あるいは相互交流する力を失っていく、これも懸念するわけです。

 大臣が今おっしゃったのは省庁間の問題、これも大事です。私がお尋ねした国家意思も大事です。あともう一つ、やはりその情報にどれだけの人がアクセスしてくれるか、これが開かれた行政になるかどうかの私は決め手であると思います。その点はいかがでしょう。

川崎国務大臣 予算の分科会の御議論の中でもありました不当解雇の問題、特に出産を理由とする解雇、これについては御相談くださいということになっておりますが、割合数が少ないということを申し上げました。確かにどのぐらいのアクセスが、何も研究所ということじゃなくていろいろな機関がありますから、またこの機関から上がってくるデータを逆に研究所はどうとらえて、それをもっと掘り下げて研究するか、こういう連携の話だろうと思います。

 そういう意味では、しっかり連携をとりながら、窓口はたくさんございますから、いろいろなものを受け付けながらデータ的に最後は整理していくというのが委員の今の御指摘であろうと思いますので、その目的に沿いながらしっかりやりたいと思います。

阿部(知)委員 そういうふうにしっかりやるには、私はこの組織改編は単なる数合わせ、そしてもう一歩先に進むための準備がないというふうに思います。先ほど高橋委員もお取り上げでありましたが、例えば現場で起きたいろいろな労働災害に立入調査をするときに、やはりそれなりの権限と身分がなければそういうことは遂行されませんし、それを非公務員化していくということは、私は、むしろ国は何を専らにやるべきかということからは逆なベクトルだと思います。安心、安全は国が一義的に責任を負う体制ということは、やはりどのように規制緩和されようと譲ってはいけない点だと私は考えております。この点は先ほど高橋委員がかなり突っ込んでやっていただきましたので、次の質問に移らせていただきます。

 先ほど大臣はタクシードライバーのお話をお取り上げでしたが、きょう私が二問目に用意いたしましたのは、長距離のトラックの運転者の労働実態でございます。

 ちなみに、三月四日の朝日新聞の夕刊に掲載されておりましたが、長距離運送業者が、やはり長い時間トラック運転をして、仮眠もせずに運転をする、そして、今ガソリンが値上がりしておりますし、どこを削減するかというと、なるべく荷をたくさん積んで、長く走って、距離で稼ぐ等々の中で、非常に労働時間が厳しい、あるいは仮眠がとれない等々の実態があり、「世界」のことしの二月号には、覚せい剤を使用するトラック運転者が多くなる、眠気を覚ますために覚せい剤を使用するということで、悪循環があるということでございます。

 私がきのうの段階であらかじめ事務局サイドにお伺いいたしましたところ、この長距離トラック運転手の労働時間の実態と申しますのは、大体平成十六年度で年間二千五百五十六時間で、全産業の男子に比べて、これは二千百九十六時間でございますので、一・一六倍も時間が長いという調査でございます。

 私はさっき申しました、こういうことこそこの機関がお調べくださる、時間の長さと同時に、仮眠状況、食事はどのようにとれているのか、あるいはシャワーも浴びなきゃいけない、おふろも入らなきゃいけない、労働実態というのは生活実態とカップリングしたものでありますから、こうしたテーマを、先ほど冒頭申し上げました、現在の私どもの社会が抱えている規制緩和後の労働実態としてお調べいただきたいと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

川崎国務大臣 昨年、随分油が上がった経過の中で、国土交通省、基本的に、荷主さんに、適正な運賃を支給してほしい、そうした要請をいたしたところでございます。私も運輸大臣をいたしておりましたので、この問題の原因、過積載と過重労働問題は、やはり運賃が適正に支払われていない、荷主の問題に半分ぐらいあるのではないだろうか。したがって、経済界にそういった意味では協力を、たしか経産大臣も参加をしていただいて求めた、このように思っております。

 そういう意味では、タクシーと並んでこのトラックの過積載、特に我々からいえば過重労働問題というのは大きな課題であろう。したがって、ことし調査研究を実施するということにいたしております。

 ただ、現時点でどこにやらせるかということはまだ決定いたしておりません。これは、もう何でも全部そこにやるんじゃないかと逆に御批判をいただきますので、そういう意味では労働安全面と労働衛生の両面から総合的な調査が実施できる機関にしっかりやらせたい、このように思っております。

阿部(知)委員 前向きな御答弁で大変ありがとうございます。

 ちなみに、陸上貨物についての規制緩和が行われました一九九〇年以降、例えば交通事故の件数であれば、一九九〇年では二万三千九百六十八件が、二〇〇三年では三万二千四百九十件と三六%増。そして、平成十六年度の統計では、陸上貨物のトラック輸送の死傷者が年に一万三千七百三人、非常に多い数です。日に直すと三十八人が四日以上けがしたり重傷になったり死んでいるという実態でございますので、大臣は先ほど前向きな御答弁でありましたが、正直言って、九〇年から今まで、遅きに失すると私は思う点もございます。

 ただ、大臣がかつて運輸大臣であられ、今厚生労働大臣ですから、きっとリーダーシップをとって、この現状を把握し、改善するための諸策を打ってくださるものと確信してやみません。

 そしてもう一つ、交通労働災害防止のためのガイドラインというのを厚生省ではお出しでありますが、これは、現状でいろいろガイドラインはございますのですが、このガイドライン以上の業務をトラック運転手さんたちはやっておられる。どういうことかというと、一人運転になって交代がおりませんので、荷物の上げおろしも全部自分でやり、上げおろして運転しということで、非常にこれも過酷な労働実態になっております。このガイドラインというものを現状のトラック労働者の現状に合わせてしかるべく改変していくべきと思いますが、労働局長、いかがでしょう。

青木政府参考人 今お触れになりましたガイドラインでございますけれども、これは平成六年に交通労働災害防止のためのガイドラインというのを策定いたしまして、これに基づいて自動車運転者についてのさまざまな状況について改善をしてもらいたいという指導の根拠としたものでございます。

 確かに自動車運転者については非常に長時間労働でございます。そういうことで、私どもは、今申し上げましたようなガイドラインなどをつくりまして、労働条件の向上のためにやらなければいけないということで努力をしているところでございます。

 このガイドラインはさまざまなことを言っておりまして、例えば、災害防止のために規定をつくれとか、あるいはそういう管理者、担当者を決めて、それで事業場内できちんと対応してくれとか、あるいは個々の業務でいえば、走行経路を調査してくださいとか、走行計画を作成して不当に労働が長くなったりしないようにしてもらいたいとか、乗務記録等もきちんととって適正な走行管理をしてくださいというようなことでありますとか、教育もきちんとやってください、健康診断等の健康管理もこういうことでやってくださいというようなことを定めたものでございます。そのほか、災害事例などを運転者にも周知をして意識を高揚させるとか、そういうようなことも触れているものでございます。

 これは、申し上げましたように平成六年につくりましたけれども、その後の実態等も逐次把握したり、あるいはこれからも調査をしたいと思っていますが、そういう中で必要な見直しはしたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 ガイドライン自身が、御自身おっしゃったように現状に合っていなくなっていますので、ガイドラインもつくって、ほい、投げただけでは意味がない。やはりそのようになされているかどうかの実態が大事ですので、その意味でも、こういう新たにできる労働安全衛生総合研究所等々で実態を調査していただきたいということを重ねて大臣にもお願いいたします。

 それからもう一つ、実態調査、特に夜勤にかかわる実態調査ということにおいては、残念ながら小児科医の夜勤ではなくて、今度郵政公社で、「深夜勤(ふかやきん)」と申しまして連続十一時間くらいの夜勤が郵政公社の中で導入されております。大体夜の九時とかからやって翌朝の八時まで、仮眠なしが連続四日間とか三日間続くということで、非常に非生理的な作業を強いられて、過労死ないしはいろいろな精神的なダメージが大きいということで、一方で裁判等々も起きております。

 大臣に最後にまとめて恐縮ですが、これはILOの百七十八号勧告等々でも、夜間労働者の通常の労働時間は一般的に平均して短くするようにと。当たり前です、夜は寝るものですから。しかし、こうした勤務形態が導入されています。

 このこともあわせて、人間のサーカディアンリズムといいますが、日内リズムを大きく狂わせるもとですので、労働実態が身体に及ぼす影響として、先ほど私が申し上げました国家意思をもってお調べいただきたいが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 郵政公社の実態は私承知しておりません。

 原則論を申し上げますと、深夜業に従事する労働者の健康への配慮が必要であると考えており、深夜業に労働者を常時従事させる場合には、事業者に、半年に一度の健康診断を行うとともに、その結果に基づき必要に応じて深夜業の回数の削減などの適切な措置を講じることを義務づけている。

 「深夜勤(ふかやきん)」の勤務形態に関する健康影響についての調査は、今のところ厚生労働省としては実施しておりません。しかしながら、今後、勤務時間の多様化が健康に与える影響があるかどうかについて、本日御審議いただいております労働安全衛生総合研究所において研究を行う予定といたしております。

阿部(知)委員 やはり人あっての国、安心、安全あっての国だと思いますので、大臣には特にその点、采配をよろしくお願い申し上げて、私の質疑を終わります。

 ありがとうございます。

岸田委員長 次回は、来る十日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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