衆議院

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第9号 平成18年3月15日(水曜日)

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平成十八年三月十五日(水曜日)

    午前八時五十一分開議

 出席委員

   委員長 岸田 文雄君

   理事 大村 秀章君 理事 鴨下 一郎君

   理事 北川 知克君 理事 谷畑  孝君

   理事 寺田  稔君 理事 園田 康博君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井上 信治君

      石崎  岳君    上野賢一郎君

      加藤 勝信君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    木村 義雄君

      清水鴻一郎君    菅原 一秀君

      杉村 太蔵君    高鳥 修一君

      戸井田とおる君    冨岡  勉君

      西川 京子君    林   潤君

      原田 令嗣君    平口  洋君

      広津 素子君    福岡 資麿君

      松浪 健太君    松本  純君

      御法川信英君    岡本 充功君

      菊田真紀子君    小宮山洋子君

      郡  和子君    仙谷 由人君

      田名部匡代君    西村智奈美君

      古川 元久君    三井 辨雄君

      村井 宗明君    柚木 道義君

      高木美智代君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           小宮山洋子君

   議員           古川 元久君

   議員           西村智奈美君

   議員           郡  和子君

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   財務副大臣        竹本 直一君

   厚生労働副大臣      赤松 正雄君

   厚生労働副大臣      中野  清君

   厚生労働大臣政務官    西川 京子君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大石 利雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            鈴木 直和君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       北井久美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           中村 秀一君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 塩田 幸雄君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  原田 令嗣君     広津 素子君

  三井 辨雄君     小宮山洋子君

  柚木 道義君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  広津 素子君     原田 令嗣君

  小宮山洋子君     三井 辨雄君

  西村智奈美君     柚木 道義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

 児童手当法の一部を改正する法律案(小宮山洋子君外四名提出、衆法第九号)


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     ――――◇―――――

岸田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案及び小宮山洋子君外四名提出、児童手当法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として消防庁次長大石利雄君、厚生労働省大臣官房総括審議官金子順一君、職業安定局長鈴木直和君、雇用均等・児童家庭局長北井久美子君、社会・援護局長中村秀一君、政策統括官塩田幸雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮山洋子君。

小宮山(洋)委員 おはようございます。民主党の小宮山洋子でございます。

 今回、政府提出の児童手当等の改正の法案に対しまして、私ども民主党は、その児童手当の部分につきまして、子ども手当の対案を出させていただいております。これからの一時間は、民主党のトップバッターといたしまして、大臣と基本的な考え方について質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず大臣に伺いたいんですが、今回の政府の児童手当改正案の主なねらいはどういう点にあるんでしょうか。

川崎国務大臣 政党として、まず選挙での公約もあります。

 一方で、少子化対策全体を推し進めなければならない、これはだんだん国民合意になりつつあるように思っております。その中で、若い御夫婦にどうした支援をしていくべきか。経済的支援の側面、それから保育の支援の側面、それから雇用の側面、この三つを柱と考えております。その中で保育、雇用はまた改めての議論になろうと思いますけれども、経済的支援という側面の中で、だんだん拡充してまいりました児童手当を小学校六年生まで支給拡大をしていこう、こうしたことで与党内の合意になったということが基本でございます。

 あわせて、三位一体の改革のときに、児童扶養手当と児童手当、基本的には国と地方が重層的に役割を担うということで負担率の見直しをいたしましたので、それもセットとして提案をさせていただいております。

小宮山(洋)委員 この少子化の問題というのは、一九八九年に一・五七に出生率が下がった、一・五七ショックという言葉が生まれたころから、政府は、縦割りではだめだというので、内閣の方で健やかに子どもを生み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議という会議をつくられまして、働き方の見直し、それから保育の充実、育児休業の充実とか、あとは住居の問題とか意識の問題とか、メニューはとうに、八九年、九〇年は私が解説委員になった年でございますので、その年と、もう十五年も前からメニューは出そろっているのに、ほぼ一貫して出生率が下がり続けている。これはやはり、タイミングとか必要な量とか中身の問題が、子育てをしている親にとって必要なものが必要なタイミングで出てこなかったということではないか、いつも子どものことが後回しになってきた結果ではないかというふうに感じております。

 今回のこの児童手当法の改正で、持ちたい人が持てる、政府の言い方からいきますと少子化対策、出生率が上がるとお考えなのか。先ほどおっしゃったように、もちろん経済的支援だけではなくて、雇用や保育の問題、いろいろございますけれども、今回の経済的な支援が少子化対策と政府で言っていらっしゃるものの柱となり得るものだとお考えなのか、お答えいただきたいと思います。

川崎国務大臣 今申し上げたように、経済的側面という意味では十分なり得ると。

 党内での議論を少し申し上げますと、前にありましたように、三歳までに重点的に支給すべきではないか、こういう議論もございました。これは、母親の負担、どうしても仕事を離れざるを得ない、そうした側面からの議論もございました。一方で、だんだん、小学校三年生までではなくて、やはり小学校に通っている間は全部拡大すべきだ、こうした議論として最終的には集約されたものと私は考えております。

 実は、私は団塊の世代でございますからよく申し上げるんですけれども、私の世代は四・三、先生もそうかもしれません。年を言ったら失礼ですから。四・三という出生率。それが、昭和三十年にもう二・一に下がっているんですね。

 これは韓国でも台湾でも似たような話でございまして、余り子供の数が多いのはどうだろうかという国民意識、そして家族計画というものが始まって、今中国で一人っ子政策をとっておられますけれども、同じように、基本的には子供を少し減らそう、アジアの国全体が、これだけ人口が多いのはどうだという問題意識の方が強くインセンティブとして出たんだろうと思います。そこへ、あの時代変化の中で、女性の教育レベルもだんだん上がってきて、そして大学を出られる方がだんだんふえてきた。そういった変化の中に、正直言って、政治全体、世の中の変化がついていけたのかということになれば、あの委員の御指摘も、一部私どももうなずける点がございます。

 そういう意味では、世の中というものが大きく変化していく中で、子育て全体の取り組みが、国民意識を含めて、実は対応がおくれたということは、私ども認識をいたしております。

小宮山(洋)委員 今、全体として子どもを減らそうというようにおっしゃったように思うんですけれども、政府とか国が、子どもを減らそうとか、産めよふやせよ、ふやそうとかいうふうに考えること自体が、私は、女性の立場からすると、ちょっと違うのではないかと思うんですね。持ちたい数の子どもを安心して持てるかどうか、その環境をいかに政府がつくれるかということだと思います。

 今も実は、若い人たちの八割ぐらいの方が二人は子どもが欲しいと言われている。それなのに一・二八、恐らく昨年は一・二六ぐらいまで下がっていると思うんですが。それはやはり、先ほどおっしゃったような経済的な問題とか雇用の問題、あるいは保育の問題、さまざまな環境が整わないから、皆さんが持ちたくないと言っているのであれば少子化への対応はしないでいい、それなりの国づくりをすればいいと思うんですけれども、持ちたいとおっしゃっているのに持てない、そのためにはやはり政府としてすべきことがあるでしょうというふうに思っています。

 その中では、経済的な支援ということが、経済的理由で持ちたい数の子どもが持てないという方がどのデータをとっても一番多い中で、私は大事な柱だというふうに思っています。

 その柱であるこの政府の児童手当、先ほど大臣は経済的支援になり得るとおっしゃいましたけれども、ずっと変遷を見てまいりますと、どうも政府の考え方が一貫していないように思います。

 今ずっと一九七二年からの改正の表を持っておりますけれども、一九九一年に第一子にも出すようになりまして、そのときは、第一子は一歳未満、第二子以降が五歳未満。九二年に、第一子を二歳未満として、二子以降は四歳未満というふうに、ここは支給の年齢を拡大しています。九一年からは一貫して、第一子、第二子は五千円、第三子以降が一万円という今の水準になっています。

 私は、二〇〇〇年の改正のときに参議院で本会議質疑をさせていただいていますが、このときは支給の範囲を小学校の入学前まで拡大したんですが、その財源に、十六歳未満の年少扶養控除を十万円引き下げる税制改正によって賄うという形でなされたときでした。ところが、その一年前には、子育て減税と銘打って年少扶養控除を十万円引き上げたばかりだったわけです。それを引き下げて、そういう何か小手先のところで拡大をしていくということに私たち民主党は反対をいたしました。

 今度、児童手当をまた拡充する、その財源の確保もなかなか抜本的な確保になっていない。そういう意味で、どうもずっとこの児童手当の改正を見てまいりますと、一貫してここを経済的支援の柱としてしっかり打ち立てていこうという姿勢が見えないように思うんですが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 選挙戦を通じながら、さまざまな議論が最近二回ございました。その中で、特に公明党さんを中心にこの議論が強く出てまいりました。我が党の中では税制という意見の方が強かったように思います、かつての流れといたしまして。しかし、政権与党という立場の中で議論をしていく中、やはり児童手当というものをしっかり位置づけをしていくべきだという政治的な決定がされてきておる、このように私どもは考えております。

小宮山(洋)委員 今回、三年生から小学校修了まで拡充するという政府案になっておりますけれども、その財源はどのように確保するんでしょうか。

 報道ではたばこ税の増税を充てるとも言われておりまして、十二月十五日の朝刊各紙には、与党の税制調査会が児童手当の財源確保のために二〇〇六年度からたばこ税の税率を一本一円引き上げることを決めたとされております。

 せんだって厚生労働省からレクを受けたときには、別にたばこ税を上げるわけではないです、全体の中から出しますということですけれども、一般の国民としては、今回の財源については、この十二月十五日の朝刊で報道された、ああ、たばこ税を上げるのか、何かそれを児童手当にするのもおかしいねと思っているのが現状だと思いますが、この点はいかがでしょう。

中野副大臣 小宮山委員の御質問にお答えいたしますが、今般のたばこ税の引き上げというものは、現下の極めて厳しい財政事情にかんがみまして、国債発行を極力圧縮するための歳出歳入両面における取り組みの一環でございまして、特定の歳出のために引き上げられたものではないということを承知いたしております。

 また、今回の児童手当の拡充でございますが、言いかえれば、御承知のように、小学校三年生から六年生まで、支給率も八五%から九〇%への財源につきましては、これはいわゆる歳出面での徹底した削減努力に加えまして、歳入面での増収を図られたことを踏まえての措置であったというふうに了解をいたしております。

小宮山(洋)委員 今おっしゃった歳入面をふやしてということの中には、たばこ税も含まれているわけですよね。ですから、この児童手当法というのは、ずっとここのところ毎年のように改正をされていて、確かにそれは中身の改正でない部分もございますけれども、最も近くは二〇〇四年に改正されているのだと思いますが、いつも小手先の改正で、それだけ少子化への対応に力を入れられる、少子化対策は政府を挙げてやっていらっしゃると言われて、先ほど大臣も経済的支援は大事だとおっしゃった。それでしたら、やはり財源を抜本的に見直すような改革をなぜなさらないのかと思うんですけれども、いかがでしょう。

川崎国務大臣 厚生労働省が担当している社会保障分野、さまざまな御要求がございます。いろいろ議論はございますけれども、やはりお年寄りに対する政策、特に介護保険制度の導入というようなことから、さまざまなニーズにこたえていかなければならない、一方で財政には限りがあることは事実でございますから、毎年毎年苦労しながら上げてきていることは間違いない事実でございます。

小宮山(洋)委員 先ほど副大臣がお答えになった歳入の面でも見直すという中身をもう少し御説明ください。

竹本副大臣 歳出歳入の一体改革というのはこれから考えなきゃならないことでございますが、少なくとも、所得税の抜本改革という点において、ちょっとお答え申し上げたいと思います。

 与党の税制大綱で、平成十九年度を目途に少子化対策を含めた抜本的改革を実現する、こういう趣旨のことをはっきりと言っております。扶養控除を含めました所得税の諸控除のあり方につきましては、所得税が家族のあり方や人々の働き方といった人の生き方あるいは価値観に密接に関係することを考えますと、税制全体における負担水準のあり方については、少子化対策の議論も念頭に置きながら、より広い観点から国民的な議論を尽くしていかないといけない、そのように思っておりまして、これからも税体系全体のあり方を総合的に議論してまいりたい、そのように思っております。

 ただ、個人所得課税の系列のいろいろな改革は行ってきておりまして、その一環として定率減税の方をやっております。ですから、税制全体の改革につきましては、今申し上げましたように、これからきっちりとやっていかなきゃならない、そのように思っております。

小宮山(洋)委員 その所得税の改正につきましては、後ほどまた財務副大臣にはゆっくり伺いたいと思うのです。

 今伺っておりますのは、私が当初の質問で、たばこ税の位置づけというのはどうなっているのですかと申し上げたところ、歳出と歳入の見直しでとおっしゃいましたので、今回の児童手当の財源として、政府は、歳入などはたばこ税も当然含まれるんだと思いますが、そこをもうちょっとわかりやすくお教えいただきたいということをお願いしております。

川崎国務大臣 議論の経過を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、選挙公約というものがあり、自民、公明、両政調会長での話し合い、そして、今回、先ほど申し上げましたように税源移譲を含めた地方への負担割合の見直しもございましたので、総務大臣、財務大臣、私が入りまして、小学校六年生まで拡大をする、所得制限も引き上げるという中での決定を見ました後、財源全体をどうするかということで、総務大臣、財務大臣がお話し合いをいただきまして、全体の収入、支出の中でやりくりをしていただいた、こういうふうに理解をいたしております。

 したがって、たばこ税等歳入確保のための議論がその前にされたことは事実でございますけれども、私はその場には加わっておりません。

小宮山(洋)委員 加わっていらっしゃらないということですが、報道ではそうされておりますので、一般の国民はたばこ税の増税が充てられるんだなと思っておりますから、ほかの方法をおとりになるのでしたら、そのこともしっかりと国民の方にアピールをしていただいた方がいいのではないかと思います。

 次に、現在の児童手当の費用負担、先ほど申し上げたように、一貫した姿勢で抜本的にやっていないものですから、継ぎはぎ継ぎはぎになって、第一子を加えたり年齢を上げたり、いろいろしているので非常に複雑な費用負担の仕組みになっていると思います。

 三歳までと三歳以上でまた仕組みが違いますし、ゼロ歳から三歳までは、被用者、特例給付、非被用者、公務員で事業主、国、地方などの負担割合が違いますし、これも途中で改正されたために、三歳以上は、被用者と非被用者は国が三分の一、地方が三分の二、公務員は所属庁が十割とすべて公費で賄うというような、非常に複雑な、いかにも継ぎはぎというふうになっております。これを抜本的にお変えになるおつもりはないでしょうか。

川崎国務大臣 この議論は私自身随分しかけておりまして、一つは、企業とか公務員、ここは配偶者手当、それから子供に対する手当が出ております。その額の問題、たしか配偶者に対する手当が一番多いと思います。そして、子供に出しているわけですけれども、たしか第三子までとか限りがあるような気がいたします。この問題も基本的には人事院も含めて見直していった方がいいのではなかろうか、こういうふうに思います。

 それから、税の問題、税の控除の問題。この問題もどう考えていくか。ただ、民主党案に対しては、私ども、それでは高校等の教育費負担というものをどう考えていくかという切り口があるんだろうと。したがって、税の問題は、必ずしも子育てという切り口が、厚生労働省という切り口だけではなくて、文科省という役所も加わりながら、この税の議論、教育費負担という議論をしていかなければならないだろうと。それから直接的な児童手当という切り口、こういう三つのものをどうこれから議論していくかなというのは、私は大きな議論だろうと思います。

 できれば、私は、配偶者に対する手当も子供に対する手当も同一金額に思い切って変えていった方がいいのではなかろうかな、こんな思いもいたしております。しかし、これは政府全体で今後の方向をどうしていくかという議論をしていかなきゃならぬと。

 前置きが長くなりましたけれども、昭和四十七年に導入したときは、基本的には企業が御負担をいただいて、その制度を基本的には移行していこうかなという考え方があったように聞かせていただいております。しかし、その後、企業はずっと子供に対する手当は続けられていますね、今日まで。そういった中で、そこを廃止していただいてこちらへ乗りかえていただくのか、もしくは、国や地方がきちっと責任を持っていただくのか。そういういろいろな歴史の経過の中で、今、企業にも、また国にも地方にも、それぞれ負担をし合いながらやらせていただいているという制度になっている。

 そういう意味では、まさにそのときの考え方が重なり合いながら今日の制度ができていることは間違いない。しかし、そこを、どういう時点で、今私が申し上げた三つ、税の問題、企業からの支出の問題、それから国、地方の問題、こういった問題をどうやっていくかというのは、まさにこれから私どもしっかり詰めながらやってまいりたい、このように思っております。

小宮山(洋)委員 そうですね。重なり合ってというお話がありましたけれども、ですから、見方によっては継ぎはぎになってしまっていて、抜本的にここに力を入れるという体制になっていないのだというふうに思っています。

 今、民主党案につきまして、教育の方はどうなるのだというお話がございましたが、私どもは、義務教育を終了するまでは、税の控除を解消して、それを社会保障のサービス給付、子どもに充てるという考え方をとり、高校以降は奨学金を出すという形でつなぎたいというふうに考えているんですね。きのうの参考人質疑でも、人口問題研究所の京極所長も、まさしくそのとおりとおっしゃっていただいたように、これは税と社会保障全体のあり方の抜本的な改革の中で子どものことをどうするかを位置づけていかないといけない問題なのではないかと思っています。

 そこについては、ぜひ、与野党そして政府、知恵を出し合って、いい形を、抜本改革目指してやっていくべきではないかと考えております。

 私どもの民主党では、ライフスタイルに中立な税制にするために控除を解消したいというところからスタートをしておりまして、恐らく、男女共同参画、男女平等と、持ちたい人が安心して子どもを生み育てられるということの根っこは同じなのだという考え方に基づいているんですね。

 控除は、その時々のいろいろな事情の中で非常に日本の税制は複雑になっております。その控除をなるべくスリム化をする、解消することによって、弱い立場の人への社会保障のサービス給付に変えたい。

 そのサービス給付に変える際に、高齢者については、社会的介護として、まだまだ見直しは必要ですが、介護保険制度ができている。そしてまた、御承知のように、社会保障給付費の高齢者対子どもが十七対一、子どもに高齢者の十七分の一しか出ていない。正確に言えば七〇%対三・六%です。このことからしまして、私どもは、ライフスタイルに中立な税制にするために控除を解消したものをすべて子どもに充てるという考え方をとっているんですね。

 このような抜本的な改革が必要ではないかと思うんですが、またちょっと繰り返しになるかもしれませんけれども、もう一度、そのあたりの、社会保障と税制をきちんと合わせて少子高齢化への対応を抜本的にやっていくというお考えはございませんか。

川崎国務大臣 先ほど申し上げたように、それを加えて、企業の御負担もあるものですから、児童手当は。企業側の要件も重ね合わせながら議論をした方がいいな、こういうふうに思っております。

 それから、確かに、数字的にフランス等と比較したときに我が国の子供に対する比重が高齢者関係と比べると低い、これは御指摘いただいたとおりだろうと思うんです。ただ、数字的にはしっかりもう少し詰めるように役所の中で指示をいたしております。

 これは、小坂文科大臣と話をするんですけれども、厚生省予算が子供を育てるための支援、給付であって、文科省予算が違うというのはやはり理屈に合わないねと。もうちょっときちっとしたトータルの数字を、実は予算委員会で民主党からも御質問されているんですけれどもね。やはり総合的に、今までの切り口はどっちからかというと、私の役所の方面からの切り口、それと外国と比べてどうだ、こういう話がつながっていって十七分の一だ、こういう議論になっているけれども、トータル的に、例えば義務教育とか幼稚園をどう考えるかというものを全部合わせてお互いに議論していった方がいいだろう、そのデータというものをやはりきちっと集積をしなきゃならぬねと。

 現状、今ありません。フランスのを出せ、フランスはどういうふうにお金を使っているんだ、まだわからぬ、こういう話でありますから、フランスが我が国より十七倍であるというのは何に使っているんだ、現実問題出してみてくれ、こう言っているんです。

 例えば、フランスで考えれば、フランスは二万円以上出していますけれども、第一子は出していませんよね。一方でN分のNという税制があったりということで、非常に比較がしづらいんです。しかし、ある程度この数字を出しながら、国会の中で議論していかなきゃならぬな、各政党の中で議論していかなきゃならぬな、こんな思いはいたしております。そういう意味では、我々の国が低いことは私ども承知しておりますけれども、この数字どおり、額面どおりですよというふうには思っておりません。

 いずれにせよ、今、小宮山委員から御指摘いただいたように、子育て、少子化対策という問題は、余り政党間の争いというよりは、お互いに詰めながらいいものをつくり上げていくということについては同感でございます。

小宮山(洋)委員 確かにおっしゃるとおりだという部分があると思います。

 一九八九年の一・五七ショック以降の、縦割りではだめだからといって先ほど申し上げた省庁の連絡会議ができましたが、結局一生懸命やっていたのは厚生労働省だけでした、対策室をつくって。あと、ほかの各省庁に窓口どこですかと聞いても、そんなのあるんですかという返事が取材をしているときにあったので、いかにほかの省庁が一生懸命やっていないかというのがありありだった時期が最初のうちございました。

 今は各省庁挙げてやっていらっしゃる部分もあると思うんですが、おっしゃるように、例えば幼稚園と保育所の問題も、これは今度文科の方の委員会で認定こども園という一体化したものの議論がございますけれども、そういう、まさしく大臣がおっしゃったとおり、私どもは、省庁縦割りで人材も予算もばらばらになっているところから、必要な子どもへの対応が必要なタイミングに必要な量出ないんだと思っておりますので、私たちは子ども家庭省という省庁をつくるということをずっと主張してきております。ですから、どういうふうにそこを総合されるのかということもぜひお考えをいただきたいと思っております。

 それで、お待たせをいたしました。竹本副大臣に、ここで本題、税の話を伺いたいんですけれども、私どもは、先ほど申し上げたように、ライフスタイルに中立な税制、控除の解消というところからこの議論を始めております。それは、やはり政府が所得税の抜本改革をされるときに議論を一緒にさせていただきたいと思うんですが、所得税の抜本改革を政府は一体いつ行われるんでしょうか。

 今、本当にサラリーマンの間では悲鳴が上がっております定率減税の廃止、これについては民主党は一貫して反対をしておりますけれども、定率減税廃止の前提のはずの所得税の抜本改革が行われないうちにその減税の廃止だけが決められたのは非常におかしいと思っています。

 民主党としましては、所得税の抜本改正のときに控除を廃止するという考えで、それまでは暫定的にこれまでの負担額の割合を事業主や地方には持っていただくという形をとろうと思っておりますが、その所得税の抜本改革、これについてはいつ、どのように行われるのかということを伺いたいと思います。

竹本副大臣 所得税の抜本改革の件でございますけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、与党の税制大綱において、正確に読みますが、平成十九年度を目途に、少子・長寿社会における年金、医療、介護等の社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通し等を踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系全体の抜本的改革を実現する、こういう道筋が示されておるわけでございます。

 そういう意味で、これから基本的に、総合的にこの問題について取り組んでいかなきゃならないわけでございますが、先生がおっしゃいました定率減税と抜本改革の関係でございますけれども、定率減税は、負担軽減法におきまして個人所得課税の抜本的見直しを行うまでの間の暫定的措置。では、個人所得課税の抜本的見直しはやれたのか、やれないのかということでございますけれども、これにつきましては、まず十五、十六年度改正におきまして、配偶者特別控除の廃止や老年者控除、公的年金等控除の見直しを行いましたし、十八年度改正におきましては、税源移譲に伴いまして個人住民税の税率を一〇%にフラット化し、所得税の税率をより累進的なものにするなどの税率構造の見直しを行ってきております。こういう抜本的改革ができましたので、今回定率減税の廃止を位置づけたわけであります。

 そのように、個人所得課税の面ではそういうことはいたしておりますけれども、先生おっしゃる全体のより大きな意味での抜本改革につきましては、十九年度を目途にと与党税制大綱に示されておるとおりでございまして、そのような方向でこれから対処していきたい、そのように思っておる次第であります。

小宮山(洋)委員 今、図らずも、より大きな抜本改革は平成十九年度とおっしゃいましたが、抜本改革というのは大きいものをいうんですよ。ですから、今までなさったことが大きくないということをみずから認められたような感じではないかと思っております。

 今おっしゃったような配偶者特別控除とか年金の控除の見直しということは、サラリーマンの世帯にとってはプラスになるものではございませんし、きょうはその議論がメーンではございませんけれども、全体を抜本的に見直した後で定率減税を廃止すると言ったことに、政府はその約束を破ったというふうにサラリーマンは受け取っております。

 そうなりますと、ますます経済的な負担で持ちたくても子どもが持てなくなる。ぜひそこの抜本改革を、本当は定率減税廃止の前にやるべきだったわけですけれども、平成十九年度などとおっしゃらずに、今年度、ぜひ早くにやっていただきたいというふうに思います。そういう抜本改革をしないから、先ほどから重ね合わせてとかいろいろな御答弁がございますけれども、継ぎはぎ継ぎはぎになっているので財源がきちんと確保できなくて支給額をふやすことができない。

 経済的支援として役立っていると言われます。確かに、七割から八割の国民が児童手当が役立っていると言ってはおりますが、第一子、第二子が五千円、第三子でようやく一万円、これは諸外国と比べても非常に低い額でございます。第一子で見ましても、イギリス、スウェーデンでは一万三千円、ドイツでは二万円となっておりますし、私どもが今回子どもたちに、子どもに焦点を当てますので第一子でも第二子でも第三子でもすべて一万六千円というのを出しておりますが、これがおよそヨーロッパの、第何子、分かれておりますけれども、平均的な額だというふうに思っております。

 そういう現在の、抜本改革、税制もしていない、財源をしっかり確保していない、だからこの金額しか出せないということを、諸外国と比較してどのようにお考えになっているでしょうか。

中野副大臣 今、諸外国のお話がございましたけれども、いわゆる諸外国の児童手当との国際比較につきましては、企業における年功序列賃金や家族手当の有無といった賃金体系のあり方や、扶養控除などの税制との関係など、条件が我が国と異なっているということでございまして、児童手当だけで単純に比較することはなかなか難しいと考えておるわけでございます。例えば、スウェーデンなんかでは児童手当のみで控除はありませんし、またドイツでは児童手当と控除の選択制ということになっておるわけでございます。

 なお、近年、年功序列賃金体系や家族手当のあり方などが変化しておるわけでございますけれども、依然として、我が国の賃金体系では、従来のような生活給とかいわゆる年功序列給とかというような性格が残っておるものと理解しておるわけでございまして、これらを踏まえながら、児童手当についての総合的な、前向きな検討をする必要がある、その点については委員のおっしゃるとおりだと思いますので、これからも考えたいと思います。

小宮山(洋)委員 ですから、今回私たちが提案をしたのは、そこの控除の方を解消してでも、経済的支援の大きな柱としましてこちらの子どもへの手当を手厚くした方がいいのではないか、私どもは、ずっと議論の積み重ねの中で、そういう割り切り方で今回提出をしているわけです。

 確かに、いろいろ控除の制度とか企業の拠出とかは違います。その中で、日本は腰が定まっていないということを申し上げているんですね。

 ですから、あれもこれも、それで財源確保しないでやっているから、ここの一番見えやすい額のところがこんなに少ない。五千円、一万円で子どもを産むかという御意見がよくありますけれども、そういう言い方をしているのではなくて、それは最初に大臣がおっしゃったように、さまざまな政策が総合的に必要です。けれども、経済的支援というのはその大きな柱となる。そこのところをやはりきちんと見直して、国の役割、企業の役割、地方の役割、いろいろあると思います、そこをしっかり整理しないからこのような額で継ぎはぎ継ぎはぎになっているんじゃないですか。

 そういう意味で、国としての、しっかり腰を定めた、どこにセールスポイントというかポイントを置いて日本は子どもを応援しますということをなさるのかということを伺っているのです。もう一度御答弁をお願いします。

中野副大臣 今委員おっしゃるように、控除の問題については比較的国民にわかりにくいという面があることは事実でございます。

 ですから、やはり児童手当の方がむしろそういう意味ではわかりいいという面がございますから、そういう点については総合的にこれから検討してまいりたいと思っています。

小宮山(洋)委員 そんな、わかりやすい、わかりにくいだけではなくて、最初に申し上げたように私どもはなるべくライフスタイルに中立な税制にしたいと思っておりますが、控除というのは、夫の給与から控除されるわけですよ。ですから、女性たちにとっては、昨日の参考人質疑の中でも公明党さんがお呼びになった大日向さんもおっしゃっていましたけれども、やはり働き続けながら子育てをしたいという人たちのニーズに合った形になっていないからどんどん子どもが減っているということもございますので、もちろんわかりやすさもありますけれども、見えればいいというものではありません。

 どこに腰を据えて抜本的な改革をするかということをぜひ政府内でも与党の中でもお話し合いをいただいて、私どもも考え方を持っておりますので、そこは与野党挙げてと大臣にも言っていただきましたから、ぜひそういう根本的な議論をする場を持っていただければというふうに思っております。

 そして、別の観点から見ますと、民主党では、税の控除を廃止することで一人月額一万六千円を支給するという法案を提出しております。同じ財源でも、第三子を今多くしているわけですね。ところが、平均した合計特殊出生率は一・二八、そして結婚している人たち、子どもを持っている人たちは二・二三人持っているわけですけれども、それでもなかなか三人目にはならない。その三人目を厚くしても余り意味がないんじゃないかということがございます。

 それと、私どもは、子どもに視点を当てているので、一人目であっても二人目であっても三人目であっても同じ額を出すという考え方もとっているんですけれども、とにかく子どもを持つかどうかを決断するのは一人目が一番大事なんですよ。そういう意味でも、やはり一人目が五千円で、なかなかみんなが持てない第三子でやっと一万円というのは、同じ財源を使うにしてもいかがなものかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

川崎国務大臣 これは考え方ですから、小宮山委員御承知のとおり、ヨーロッパのイギリス、フランス、ドイツをとりましてもそれぞれ違います。イギリスは御承知のように第一子が高くて二子以降だんだん低くなっていく、フランスは第一子には出さない、第二子以降、またドイツもだんだん高くなる、こういう制度があります。

 我が国は、先ほど制度のこと、いろいろ御批判もいただいたし、歴史もよく御存じのようですけれども、第三子につけるということから始まった。そういう意味では、我が国全体のこの児童手当に対する考え方として、三番目の子供を支援してやりたい、こういう気持ちが強く働いていることは間違いないと思いますし、また、家庭の負担ということから考えると、二人目、三人目となると母親がなかなか仕事がしっかりしにくくなってくる、こういう経済的な問題が出てきますので、そこに着目した制度としてでき上がっていることは事実だろう。これはもう、まさに考え方でございます。

 与党としては、第一子、第二子、第三子を手厚くしていこうという考え方で整理をさせていただいた。民主党は、第一子から手厚くしようという考え方をしている。まさにこれは政治ですから、考え方でございますけれども、諸外国を見ましてもそれぞれ考え方がある。私どもは、負担というものから考えれば第三子に手厚くしたいな、こんな思いをいたしております。

小宮山(洋)委員 確かに考え方ですが、当初スタートした三人目だけ出していたというときは、先ほど団塊の世代と大臣おっしゃいまして、私も団塊の世代でございますけれども、そのころは出生率がもっと多かったときなんですね。今は一・幾つなわけですから。それで、やはり特に子どもを持っていない人たちが子どもを持ったら経済的負担が高いと思っている割合がデータを見ても強いですので、ぜひ、そこのところもまた一緒に議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 それと、政府案では所得制限の額を引き上げていて、先ほども九〇%に支給できると言われましたけれども、依然として所得制限を設けていらっしゃる。諸外国を見ますと、所得制限を設けている国は主なところではございません。なぜ所得制限をかけるのか、そこの点の御説明をいただきたいと思います。

川崎国務大臣 これは、正直言って与党内でもさまざまな議論があったところでございます。一番有力な意見は、国会議員の息子に児童手当を出すのか、二千万所得を超えている人に児童手当を出すのか、こういう議論がありまして、しかし、できるだけ多くの国民が対象になった方がいいじゃないかということで最終調整をいたしました。

 そういう意味では、所得が限りなく高い人まで児童手当かなという感じが私どもは今日はいたしております。しかし、税制等での控除になると、実はそんな天井は何にもないじゃないかという御議論もあるわけで、まさにこれも一つの考え方であろう、こう思っております。

 いろいろ議論した中で、委員のような意見もあり、私が申し上げたような意見もあり、そして最終決着をしたということで御理解を賜りたい。

小宮山(洋)委員 民主党の考え方としては、所得制限は設けていません。高額所得の方は累進課税でその分を支払っている。子どもについては親の所得と関係なく、とにかく子どもに視点を当てるという私どものチルドレンファースト、子ども第一に考えていくという考え方から、親の所得にかかわらずすべての子どもにという考え方をとっております。

 また、所得が高額だから子どもの数が多いというわけでもないんですね。総務省の二〇〇三年の家計調査によりますと、年収四百万から六百万で二人子どもがいる世帯は四八%、一千万以上で四三%、ですから、ここはかえって四百万から六百万の方が子どもがちょっと多いです。三人子どもがいる世帯は、四百万から六百万でも一千万以上でも一九%で、年収と子どもの数というのは、ほとんど余り関係ないんですね。

 そういう意味では、やはり子どもに対して出す手当というふうな考え方を私どもとっておりますので、そうすると、この所得制限をどうするかということも、最初に申し上げた、税制がどうあるのか、そして社会保障制度を少子高齢社会の中でどうしていくのかということにもかかわりますが、やはりここの見直しの議論もあっていいのではないかと思いますが、もう一度お答えいただければと思います。

中野副大臣 今大臣からもお話ございましたけれども、所得制限の問題でございますが、いわゆる児童手当を高所得者に支給する必要性につきましては、いろいろ議論がございましたが、特に、児童手当の額が一定である以上、高所得の人たちに対しては相対的に効果が少ないんじゃないか。また、高所得の方でも、いわゆる扶養控除、先ほども扶養控除のお話がありましたけれども、今現在こういう減税の効果に浴している、相対的に必要性が低いということが考えられるわけでございまして、我が国といたしましては、今、支給対象が九〇%ということの中で、国の厳しい財政事情を勘案しますと、所得制限を設けることの必要性は、これはやむを得ないものであるというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 そこは考え方の違いと大臣がおっしゃったとおりでございますので、やはり全体のあり方の中でそこのところは考えていきたい。あくまでも私たちは、子どものいる家庭の家計の足しにするというよりは、子どものために行くような形、それは親の所得とかかわらず、一人目であろうが三人目であろうが、その子どもに対して出していくという考え方をとりたいと思っております。

 そのあたりも、また全体の見直しの議論を、年金につきましては全党で合同会議ができて、その後どうなってしまったのかはちょっとわかりませんけれども、そういうようなことがございましたが、ぜひ子どもの問題につきましても、社会保障、税制、全体を含めた中で、これもまた高齢者の方が先に合同会議がつくられておりますけれども、ぜひ御熱心な公明党の皆様方も声を上げていただいて、本当に党派を超えて全体で抜本的な子どもへの支援のあり方を見直すようなことを議論させていただく場ができれば、そこでこういうことについても、各論、いろいろまた含めて議論ができればというふうに思っております。

 持ちたい数の子どもが持てない理由として経済的な負担ということが上げられていると申し上げましたが、昨年の国民生活白書では、子育てや教育にお金がかかり過ぎるという答えが五六%、特に若い世代、今本当に、先ほど日本の賃金構造が諸外国と違うというお答えが、児童手当が低いときにお話あったと思いますけれども、現在、雇用の中も非常に変わっております。特に、御承知のように、若者たちは大学を出ても正社員につけない。それが非正規の労働に男性も含めてなってしまっている。そのことが、所得を持てないから結婚できない。これはまた民法の問題にもなりますけれども、非嫡出子というのはいろいろな差別がございまして、そこの改正も進んでいないので、なかなか結婚ができなければ子どもが持てない。

 ですから、どこが鶏か卵かということがございますけれども、やはり、特に若い世代の人たちが経済的な支援を必要としているんだと思います。特に三十五歳未満では、国民生活白書でも、持ちたい数の子どもが持てない理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからというのが七七%にも上っておりまして、断トツの一位になっているんですね。

 それから、財団法人のこども未来財団が子育てに関する意識調査というのを行っておりますけれども、ここでも、子育てに対する不安や悩みを聞いたところ、子どものいる家庭の三六%、子どものいない既婚者で七二%が、子育てに伴う経済的負担が重いと答えている。このことが、やはり特に子どもを持っていない人へのインセンティブが経済的な支援として必要じゃないかという理由なんですけれども、こういう一般の皆さんに政府がなさっている調査、それから、きのうの参考人質疑で、小泉総理のメルマガでも経済的支援を望む声が一番多いという参考人からの御指摘もございましたが、そうしたことに対して、やはり児童手当の持っている役割というものは非常に大きいかと思うんですけれども、いかがでしょう。

中野副大臣 今委員がおっしゃったとおり、経済的負担というものを解消するということが、やはり子育てに対しての大きな課題であるし、現在の児童手当がこたえていないんだろうかというような御疑問だと思いますけれども、少なくとも、子育てに対する負担感というものは、今おっしゃったとおり、経済的なものは一応重要でございますけれども、それだけでなしに、例えば心理的要因とか、例えば仕事ができないとかといういわゆる仕事と育児の両立とか、そういういろいろな面があるわけでありまして、一概に児童手当だけが問題じゃないというふうには考えておりますけれども、しかし、重要な問題であると思っております。

 いずれにいたしましても、少子化対策といたしましては、今の児童手当等の経済的支援を含めまして、地域や家庭の多様な子育ての支援とか働き方にかかわる施策だとか、また今、先ほどの正規社員の充実とかというような、多岐にわたる次世代育成支援策におきまして、総合的かつ効率的な視点に立って、子育てのあり方について、関係各省と連携をしながら、全体的な、しかも積極的な対応を、検討を進めてまいりたいということが我々の考え方でございます。

小宮山(洋)委員 その全体策が必要だということは私どもも考えておりまして、総合的な支援策の大きな柱でしょうということを申し上げているんですね。

 今申し上げたデータのほかにも幾らでも、持ちたい数の子どもが持てない理由として経済的な負担ということが一番だというデータはたくさんございまして、内閣府が昨年三月に行われた少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査というところでも、「経済的支援措置」が必要だというものが六九・九%、次の「保育所の充実をはじめとした子どもを預かる事業の拡充」の三〇%台のおよそ倍ぐらいそういうニーズがありますので、もちろん総合的なものが必要なんですが、その大きな柱であるこの児童手当をしっかり腰を据えてもっと充実すべきだということを申し上げておりまして、そこで私どもは、繰り返しになりますが、税制改正を含め税の控除の解消を含めたそういう形で、ヨーロッパ並みの子ども手当をすべての子どもに出したいというふうに思っております。

 今副大臣もおっしゃいましたけれども、最初に川崎大臣もおっしゃいましたが、政府もこのことだけではなくて総合的に取り組んでいるというお話がございました。六月ぐらいには、総合的な子育て、子どもへの支援策を、きょうはおいでになりませんが、猪口担当大臣のところででしょうか、内閣官房としてお取りまとめになるということでございますが、大臣に伺いたいと思いますけれども、政府のその少子化対策とおっしゃっているものの全体像、それをもう少し御説明いただけますでしょうか。

川崎国務大臣 今回、官房長官のもとでさまざまなことを再検討に入っているわけですけれども、簡単に言えば、我々政治だけで考えていてはだめだ。企業の問題もあります。先ほど申し上げた国民意識の問題があります。まず大前提として、結婚というものをどうとらえるかということもあるんだろうと思います。

 先ほど委員も少しお触れになりましたけれども、フランスの現実の姿というものを見たときに、どう考えていくのかねと。そして、アジア全体として、そうはいうものの、子供の数を減らした方がいいよという時代があった、それも受けながら、時代の変化に全体が対応し切れなかったということも事実だろう。そんなものをひとつしっかり分析をしながら、次の対応に進まなければならないだろうと思います。

 この委員会でもいろいろな御議論をいただいて、私もなるべく頭の中に入れておこうと思っているのですけれども、先ほど申し上げた経済的支援。それから、保育の支援。保育は、ある意味では多くの方々に御理解をいただけるようになってきたな、こう思っております。あともう少しだと。それから、雇用の面では、正直言ってまだまだだ、まだまだ、これからよっぽどやっていかなきゃならないなと。雇用は、必ずしも女性の雇用だけではなくて、結婚という問題を考えると、若い男の雇用の問題ももう少し、これは総理も発言されていますけれども、若い人の雇用はできるだけ正規雇用を頼みたい、こういう総理の御発言もございます。やはり、そういった問題も含めながら、全体で取り組んでいかなければならないだろうと。

 その中で、国の制度としての役割は何があるか。これは法律的なこともあります。それから財政的な面もあるだろうと。一方で、つい最近、県民所得が、各県の比較が発表されました。あの順番と子供の出生率の順番を比べると、ある意味では逆になっているかもしれません。必ずしも豊かな地域がより多くの子供を出生しているわけではない。ですから、必ずしも経済だけで物事を考えてはならない。やはり意識という問題もあるだろう。

 そういう意味では、全体をどうまとめていくかというのは私の仕事ではなくて、私は皆さん方から聞いたことを発信しながら、最終的には予算となりますと厚生労働省に大体戻ってまいりますから、受け皿はつくっていかなければならないだろうと思っております。

 いずれにせよ、少子化担当大臣、猪口大臣、また官房長官のもとでの取りまとめでございますので、今日までの議論とかいろいろなものの蓄積を厚生労働省としてしっかり発信しながら、そして最終的には受け手になって制度というものをつくり上げていかなければならない、このように思っております。

小宮山(洋)委員 私がそこのところの責任者でないとおっしゃらずに、先ほど申し上げたように、本当に最初からこの少子化社会について、持ちたい人が持てるようにしなければいけないと一番取り組んでこられたのが厚生労働省だということは、当時厚生省ですが、よく承知をしておりますので、ぜひ強く御主張いただきたい。そこは応援をさせていただきたいというふうに思っております。

 民主党といたしましては、総合的な子ども、子育て応援政策、これをいろいろな方から御意見を伺いながら取りまとめてきておりますので、政府が出されるより恐らく以前に発表することができると思いますが、そういう総合的な政策も提示をし、この国会で、今審議中のこの子ども手当法案に加えまして、医療の中でも小児医療の充実、やはり子どもはいつ病気になるかわからないのに、小児科のお医者さんが不足をしていてたらい回しで亡くなる、こんなことがあったら安心して子どもが産めるわけがございませんので、こちらも法案を今つくりたいと思っております。

 それから、幼稚園と保育所、これも縦割りになっておりまして、幼稚園は、私の住んでおります世田谷でも三割ぐらいあきがございます。そして一方、保育所の方は相変わらず待機児さんが何百人もいらっしゃるのに、縦割りでそこが融通がきかない。

 今回は、先ほど申し上げたように文科の委員会に提出されますが、認定こども園という考え方を出されますけれども、三万七千も幼稚園、保育所合わせてある中で、千ぐらいの認定こども園をつくること、そこが第一歩という考え方で私どもも議論をさせていただきますけれども、やはりそこのところの縦割りを、先ほど大臣もおっしゃったように取り払っていって、就学前の子ども、働いている親の子どもだけではなくて、児童虐待を残念ながらするのも、一番接する時間の多い専業主婦の母親が多いということもございますので、必要とする子どもに質のよい場所を就学前につくるということも大切な政策だと思っておりますので、そうしたことも、また個々の法案の審議の中でさせていただきたいと思います。

 その中で一点、雇用の問題。これは今回、二十年目の均等法の見直しもございまして、それもこの委員会でまた審議をされることになると思いますけれども、先ほど大臣もおっしゃったように、雇用については本当にまだまだですよね。本当におっしゃったとおり、若い男性の雇用も含めて変えていかなきゃいけない。そのときのキーワードが、今、ワークライフバランスと言われておりますけれども、仕事と生活の調和。

 現在、育児休業制度がございまして、次世代育成で三百人以上の企業に計画を出せということをおっしゃっていると思いますけれども、これにつきましても、女性は八割、男性で一割を目指すというふうにされていますが、現在、女性が七割とっていると言われているものも実際は数字のマジックで、妊娠したときに女性たちの七割がやめています。残りの三割のうちの七割がとっているので、実際には、妊娠した女性の二割しか育児休業を使っていない。これはやはりぜひ考えていただきたい点だと思いますし、現在、恐らく直近の数字で、お父さんが育児休業をとっているのは〇・五六%かと思いますね。それを一割にするというのは相当なことが必要で、今回企業に求めているのも、計画をつくったという報告をしなさいということで、中身を報告しなさいじゃないものですから、これで本当にできるのかなというふうに思っております。

 なぜそれがとれないかというと、これは、仕事と子育ての両立支援ということで育児休業制度もつくられてまいりましたけれども、やはりそれは、子どもがいる人、あるいは介護では介護をする家族がいる人の特別の特権みたいな形で、これだけ厳しい企業の事情の中でなかなかとりにくいということがあります。

 それに対して、このワークライフバランスというのは、子どもをもう育ててしまった人も、独身の人も、すべての人が、仕事と生活、その生活には家庭生活だけではなくて、地域生活とかボランティア活動とか、すべて合わせた人間的な生き方ができるようにという考え方を企業にも取り入れてもらって、そういうベースの中で考えていければと思っているんですが、大臣、いかがでしょうか。雇用の問題について、企業にどのように働きかけていただけるでしょうか。

川崎国務大臣 先ほど、ここへ来る前に失業率の話をいたしておりました。

 十五歳から二十四歳ぐらいの若者が八%を超える失業率になっている、平均は四・四ですね。一方で、六十を超えた六十から六十四でしょうかの世代の、我々のちょっと先輩、この人たちの失業率が実は全体より低くなっている、四・〇ぐらいになっている。そういう意味では、坂口厚生労働大臣以来、高齢者の雇用を、特に再雇用という形でお願いしたい、またハローワーク等で年齢制限の撤廃というような運動を展開してまいりまして、おかげさまでやはり成果は上がってきたな、こういう認識をいたしております。

 そういう意味では、日本の企業は、しっかりとした指針をお願いしていけば、私どもの思い、また国会の審議を通じての思いというものは伝わる、こういうふうに思っております。それだけに、企業の皆さん方にも我々はっきり申し上げながら、日本の社会、ある意味では転換期を迎えている、経済的な転換期は十年前に迎えたのかもしれません、そのため大変経済界の方々は苦労された、今度は社会の転換期を迎えているので、経済界の皆さん方のより一層の御協力を賜りたいということをはっきり政治家も発信すべきときに来ているのかな、こんな思いの中で一生懸命やりたい、こんなふうに思っております。

小宮山(洋)委員 また雇用のときに議論をさせていただきたいと思いますが、このワークライフバランスをしっかりととれるようにして働き続けられるようにするということは、企業にとってもメリットがあります。

 せっかく教育訓練をした人がやめてしまうと、ある計算では、企業のロスが一五〇%、それに対して、育児休業をとって帰ってきてもらえば三二%で済む、企業にとってもお得ですよということもございますので、それはいろいろな形でやっていければと思っております。

 今回、私どもも対案という形で提案をさせていただきましたが、ぜひ、私たちの考え方の中で取り入れていただける点は一緒に力を合わせてやっていって、持ちたい人が安心して持てる、そういう日本にしていきたいというふうに思っております。

 あと十秒ほどで私の持ち時間でございますので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

岸田委員長 次に、寺田稔君。

寺田(稔)委員 自由民主党の寺田でございます。

 本日は、この民主党より提案になりました衆法第九号、これは政府案に対する対案ということで提出をされておられます。専らこの衆法第九号に絞りまして質疑を進めさせていただきます。簡潔に、そして的を射た御答弁をよろしくお願いしたいと思います。

 まず初めに、今回、いわゆる子ども手当法案、児童手当法の一部を改正する法律案として提出をされておりますが、端的に、そのねらいについてお伺いをいたします。

小宮山(洋)議員 今度は答弁をさせていただきます。

 この法案は、今私も質問の中でも申し上げましたけれども、民主党は、チルドレンファースト、子ども第一ということで、いつも後回しになってきた子どものことを第一に考えようという考え方をずっととっております。

 その中で、子どもに着目をして、子どもが安心して育つことができるように、そしてまた、親が安心して子どもを育てられるように、今るる質問でも申し上げましたように、子どもに係る経済的な負担、これが持ちたい数の子どもを持てない最大の原因になっておりますので、これは社会全体で負担すべきだという考え方に立ちまして、その子どもの養育に係る経済的負担を軽減することを目的といたしまして、また、先ほど申し上げたように、男女のライフスタイルの中立、税制の方でそちらを図りながら、それを財源にして子どもへの手当てという形にしたいというふうに考えております。

 現行の児童手当というものは、家庭における生活の安定を目的としておりますが、これはどちらかというと、子どもというよりも子どもを持っている親の方に注目をした制度ではないかと思っております。子ども手当としましては、現行の児童手当制度にかえまして、子どもに着目をした形で、今回すべての子どもに同額を支給するというこの制度を考えております。

寺田(稔)委員 今御説明がありましたが、経済的負担の軽減ということを言われましたが、次代の社会を担う児童の健全育成、これはねらいではないんですか。

小宮山(洋)議員 重ねてのお尋ねなので続けて答えさせていただきますが、私どもは健全育成という言い方は余りしておりません。健全育成というのは、やはりこれが健全育成だという大人の視点で、それに合わせて子どもをはめていくような考え方かと思いますので、子どもが安心して個性を生かして育つことができる、そのために子どもを養育している家庭に子どものための手当を出すという考え方をとっております。

寺田(稔)委員 今、健全育成という言い方をされておらないと言われましたけれども、先週の金曜日、まさに小宮山委員が読み上げられました民主党議員立法についての提案理由説明、これを見ますと、目的として、この経済的負担の軽減、これは先ほど言われました、それとともに、この児童の養育に係る負担の軽減とともに、次代の社会を担う児童の健全な育成及び資質向上に資するというふうに、はっきりと書かれておりますが、いかがでしょうか。

小宮山(洋)議員 そういう意味でいえば、おっしゃるその健全育成ということですが、その中身といたしましては、私どもは、子どもたちのそれぞれの伸び方がありますので、それを応援するという、中身の考え方としてはそういう考え方をとっております。

寺田(稔)委員 これは、法改正のまさに目的規定のところにも明確にこの児童の健全育成ということが、経済的負担の軽減を図るとともに、児童の健全育成と、並列で書かれているわけですよね。すなわち、この経済的負担の軽減を図ることによってではなくて、あくまで並列の目的記載でございます。

 そうしますと、この児童の健全な育成も法律上明確な目的ですから、当然それは、児童のいわゆる健全育成事業によって達成をされることになろうかと思うのですけれども、この民主党案によりますと、これはあくまで暫定措置なんですね。附則第四条の経過期間の間でしかこの児童の健全育成事業は措置されないということですけれども、では、いかにしてこの児童の健全育成を図っていくのですか。その具体の手段をお伺いします。

小宮山(洋)議員 暫定措置というのは、その財源の手当てを、先ほど申し上げた所得税の抜本改正のときに税の控除を廃止してやるという基本的な考え方にのっとった、全額国費負担にしたいと考えておりますので、今おっしゃったのは、健全育成事業の部分を事業主が負担をしている、そこをどうするかということだと思うのです。そこにつきましては、私どもは、事業主の負担すべき子どもに対することにつきましては、やはり育児休業などの手当てとか、今とは違った形での負担を求めたいと考えております。

寺田(稔)委員 あくまでこの事業主拠出金というのは、経過措置の期間の間の財源措置なんですよね、すなわち、いずれ全額国庫負担に変えていくということで。そうしますと、児童の健全育成事業というのは、民主党案によると、あくまで附則四条の間であって、その附則四条の経過措置期間が経過をすると健全育成事業はなくなる、こういう理解でよろしいですか。

小宮山(洋)議員 おっしゃった現行の児童育成事業というのは、全額その事業主からの拠出金の負担で行われているわけですけれども、この法案によりまして、事業主からの拠出金を廃止するということになりますので、児童育成事業に、これは児童健全じゃないですよね、児童育成事業に係る規定は本則から削除することとしてございます。

 現行の児童育成事業で行っている事業のうち、育児に関する必要な援助など引き続き行われるべき措置につきましては、一般会計の中で継続していくつもりでございまして、必ずしも現行の児童育成事業に行われている措置が不要であると考えているわけではございません。

 なお、暫定措置として事業主からの拠出金の徴収が行われている間は、従来どおり児童育成事業を存続していく、そういう考え方をとっております。

寺田(稔)委員 そうしますと、この児童育成事業により、今現在行われております放課後児童クラブ、いわゆる学童保育ですね、これは予算上の根拠を失うわけですね。今、一般会計の中で行うとされましたけれども、この明確な財源をまず示してください。

小宮山(洋)議員 私どもは、毎年民主党の予算案ということを、ことしで四年目でございますけれども、示させていただいておりまして、その中で、特別会計の見直しとか公共事業のあり方を、コンクリートから人への投資をするなどということで、特に、安全、安心が見えること、物から人へ、十兆円という枠をとっております。その中にこの子ども手当のこととかあるいは放課後児童クラブ、これも私どもは拡充をすることを考えておりますので、そうした予算は全体の歳出の見直し、歳入の見直しの中でしっかり財源をとってございますので、御心配いただかなくて結構だと思います。

寺田(稔)委員 この全体の歳出の見直しの中で賄うということでございますけれども、私も二十年間以上財務省で予算をやってまいりました。予算の各項目について恐らくかなりの程度に知っておろうと思いますけれども、歳出削減というのは恒久財源なんですか。歳出削減は恒久財源ですか。端的にイエスかノーかでお答えください。

古川(元)議員 先ほど来から御議論があっておりますが、私ども、児童育成事業については、暫定措置の間は事業主からの拠出金の徴収、そこの部分を充てると。その間、先ほど来から、大臣いらっしゃらないですね、大臣と小宮山委員との間で議論されておりましたように、子供をめぐる、まさにこれは委員御承知のとおりでございますけれども、歳出全体の見直しを行っていく中で、社会保障の分野でいけば、またそうした給付の分野でいけば、高齢者の方と十七対一という話もあったわけでありますけれども、そういうものをどういうふうに子供のところにシフトしていくか。そういう暫定措置の間に全体的な見直しをしていく。

 そういう中で、今行われている児童育成事業の必要なところについては、きちんと手当てをすればいいということで、今の御質問にあったそこのところが別にイエスかノーかということは、ここの議論に直接関係する話じゃないんじゃないかなというふうに思います。

寺田(稔)委員 いやいや、関係するわけですよ。つまり、児童育成事業がなくなったときに、今まさに歳出全体の見直しの中で財源を捻出するんだと明確に小宮山委員言われましたよね。私が聞いたのは、その歳出削減は恒久財源になるんですか、ならないんですかということを端的にイエスかノーかでお答えください。

古川(元)議員 済みません。大変先輩に恐縮でございますが、ちょっと歳出削減が恒久財源という、イエスかノーかと言われる、歳出削減したら当然その分歳出規模は小さくなるわけでありますけれども、残りの歳出の中で必要なことは行っていくということだというふうに認識をしております。

寺田(稔)委員 そこらはぜひ、古川さんも財務省におられました。財政制度を熟知されておられると思いますので、余り専門的な議論に立ち入ることはいたしませんけれども、恒久財源となるかどうかは、一体どの歳出を具体にどれだけ切っていくか、またそれが財政法上のどの規定に該当するか、そういったようなことをきちんと見ないと恒久財源かどうかは決まらないわけですから、そこらも十分に研究並びに検証していただきたいというふうに思います。

 次に移りますが、一律一万六千円、先ほども小宮山委員説明されましたけれども、この一律というのはやはり私は支給制度としてはおかしいんだろうというふうに思います。すなわち、もちろん少子化対策以外のいろいろな側面があろうかと思いますけれども、少子化対策という側面もあるわけですよね。これは明確に提案理由説明でも少子化への対応としてと書かれていますから、少子化対策としての側面。

 そうであれば、第一子より第二子をふやす、あるいは第一子、第二子より第三子をふやすというふうなインセンティブの付与を行う、めり張りをつけるのが当然の姿だと思います。諸外国でも本当に一律支給の国はあるんでしょうか。いかがですか。

西村(智)議員 御質問いただきました一律一万六千円とした件についての御質問でございますが、先ほどの小宮山議員と大臣との議論の中にもございましたように、これにはいろいろな考え方、いろいろな議論があるというふうに承知はしております。

 諸外国におきましては、例えばイギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、このように欧州先進国、児童手当を非常に拡充しているところはございますけれども、額は、第一子、第二子、それぞれというところでございます。第一子の方を第二子以降よりも手厚くしている国もあるということでございまして、私たちは一人一人の子供を公平に、その子供に着目するという点から、一律一万六千円としたということでございます。

寺田(稔)委員 つまり、諸外国で一律としている国はないというお答えですか、今のお答えは。諸外国を見て、一律支給している国はないということでよろしいですか。確認ですけれども。

西村(智)議員 一律に金額を設定している国は先進国ではあるのかというふうにお伺いされましたので、その答えは、ないということでございます。

 ただ、この一律としたことの意味をぜひ御理解いただきたいと思います。私たちは、一人一人の子供、第一子であろうが第二子であろうが第三子であろうが、いずれにもかかわらず公平に着目したということでございます。

寺田(稔)委員 先ほどの小宮山委員の御説明ですと、第一子を産むことが非常に困難なんだ、第一子を産めばその後の出生率は二・二を超えるということでしたら、むしろ第一子の方を手厚くされるのが少子化対策にもかなうんじゃないですか。

小宮山(洋)議員 私自身も三人子どもを育てておりますけれども、確かにインセンティブとして、ベースは今、西村議員がお答えしたようにすべての子どもに同じというのがベースなんでございますが、実情からいきますと、確かに一人目のときには初めての子どもですからいろいろな投資をしなきゃいけない、その気持ちの面でのインセンティブとして、第一子を今よりは高くした方がいいということがございます。

 二人目、三人目になりますと、今度は保育園に入れるとか幼稚園に入れるとかまた違った事情でお金がかかることがございますので、必ずしもそこのところは変えなくて、全体をトータルに考えますと、やはり子どもに平等にというところに着目をしたいというのが私どもの考え方です。

寺田(稔)委員 余り説得的な説明とはなっていないと思いますね。やはり少子化対策としてきちんとめり張りをつけるというふうなことでいくのが私は正しいと。そういうふうな諸外国もないということでございます。

 次に、高校生、大学生なんですけれども、これは、扶養控除等諸控除の廃止によりまして親の養育能力も非常に低下をしてくるということになると、他の条件が等しければ、他の条件をして与件として等しくすれば、本案では高校生、大学生にとっては改悪ですね。端的にイエスかノーかでお答えください。

郡議員 お答えいたします。

 端的に言えばどうなのかという御質問でございましたけれども、この議論の中でもたびたび御紹介されております昨年の二月に行われました政府の子育て女性の意識調査の中では、児童手当の今後のあり方に対する要望について、その支給対象の児童の年齢を引き上げることというのが六一・三%ございました。また、それぞれの支給額を引き上げてほしいという要望が五九%、この二つの要望が圧倒的に高くなっております。

 子ども手当を何歳までにするのかというところは大変議論があるところだと思いますけれども、我が国のこれまでの児童手当について見ましても、その創設時から、そしてたび重なる改正を振り返りますと、同一世帯内での支給対象児童の数あるいはまたその支給額、支給年齢などがさまざま、時々の財政事情やまた政治事情によって目まぐるしく変化しております。残念ながら、そこに対しては明確な政治理念もそれから将来ビジョンもないというふうに言わざるを得ないと私自身考えております。

 私たち民主党の考え方といたしましては、物から人への投資である、チルドレンファーストという次世代を見据えた中長期ビジョンと明確な指針に基づいて、今回の児童手当改正案を提案してございます。

 現に子育てをしております親の強い要望を第一に考えまして、手当額の水準それから所要財源それから財源措置あるいは欧州における子供手当などの状況も勘案しまして、今回、政府案に比べまして支給対象年齢を可能な限り引き上げたということでございます。

 さらに、子育ての中で教育費の占める割合というのが大変高いという調査結果がどこでも出ております。この教育費、子育て費用の三八%を占めているという二〇〇三年の民間調査機関の結果もございます。年齢層が上がれば上がるほどこの教育費の負担が高くなってまいりまして、四十代の女性では平均で四六%が教育費であるということでございます。

 公費と私費を合わせました分野別の子育て費用に関する内閣府の調査でも、十八歳未満の子供の教育費が五二・七%……(寺田(稔)委員「簡潔に答えてください」と呼ぶ)はい。特に、十二歳から十七歳の教育費、これは六五・四%にも達しております。こういったことを勘案しますと、子ども手当というものとは別のものが必要であろうかというふうに考えます。

 具体的な教育費の負担を私どもは……(発言する者あり)答えております。私どもは……(発言する者あり)答えてございます。私どもは、高校生や大学生の対応といたしましては、その支援の費用対効果なども勘案しまして、希望者全員に対しまして奨学金を無利子で貸与すること、それから私立学校通学者に対します授業料の直接補助その他の措置を講じる、そういう支援を別途考えてございます。

寺田(稔)委員 いやいや、私が聞いたことは、他の与件を等しく、ちゃんと聞いてください、質問を。何も奨学金で支援することを聞いているんじゃないんですよ。この法案プロパーとして、他の与件が等しければ、高校生、大学生に対しては扶養控除がなくなる分だけ親の養育能力が低下をするから、これは改悪なんじゃないですかといった……(発言する者あり)いやいや、ですから、私は、あくまでこの法律自体においてどういうふうな扱いになるのかというのをお聞きしたかったわけで、ちょっとずれた答えをされたので、そこはまことに心外でございますが、いずれにしても、そこは私は改悪になることは明らかだと。

 もちろん、教育費の支援をしなければいけないというのは確かですけれども、この一万六千円というのは、教育費と全然関係ないわけですからね。食費と被服費でしょう。ですから、この一万六千円の根拠にも全然なっていないわけですよね。ですから、そこは全く別の提案であって、本対案においては改悪になるということは明らかであるというふうに思います。

 次に、所得制限の問題、先ほども議論になりましたけれども、これはやはり所得制限を設けないというのはおかしいんじゃないですか。何で資力と能力のある人に払う必要があるんですか。ばらまきじゃないですか。財政構造改革に反するじゃないですか。何で所得制限がないんですか。お答えください。

西村(智)議員 まず、先ほどの一万六千円ということがこの法案の中では改悪ではないのかというような御発言があったかと存じますけれども、私たちは、今回政府から提案されております閣法、第一、二子五千円、第三子以降の一万円、この額についても、その根拠が極めて不明確だというふうに思っております。

 私たちは、少なくとも、子育てを社会全体で見ていくというような考え方から、政府よりは多い額を手当てする、こういう法案を提出しているわけでございまして、その点については先ほど御発言がありましたので、お答えをさせていただきます。

 先ほどの御質問でございますけれども、所得制限につきましては、私たちは、今回の法案を提出した理由、家庭における生活の安定を図るものではございません。あくまで一人一人の子供に着目をいたしまして、その子の養育に係る経済的負担を社会全体で負担すべきである、そういう考え方に立っているものでございます。

 そもそも、高額所得者に対しましては、既に累進課税制度のもとで応分の税負担が求められているということ、そして、欧州におきましても所得制限を設けずに手当を支給しているということが一般的である、こういうようなことから、子供の養育をする者の所得の多寡に関係なく子ども手当を支給することが適切だと考えたところでございます。

寺田(稔)委員 それは、財政に本当に余裕があって、そういうふうな余裕があればいいですよ。しかし、今まさに財政構造改革をやって、二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスの回復のために全力を挙げて無駄をなくしている時期じゃないですか。これで所得制限を設けずに資力と能力のある人にも払う、まさにばらまき施策そのものである、もう時計の針を逆に戻すものであるというふうに思うわけでございます。

 次に、財源論についてでございますけれども、これは平年度ベースで、国費で三兆三千五百六十億円が見込まれておりますね。税の諸控除の廃止や簡素化で、一体財源として幾ら充当されるんでしょうか。端的に数字でお答えください。

古川(元)議員 私ども、所得税に係る配偶者控除、扶養控除等の改廃によりまして、約二兆円を予定しております。

 さっき所得制限の話が出て、一言だけ言わせていただきたいんですが、ぜひ与党の皆さんにお願いしたいのは、一昨年の年金審議のときに、年金の一元化ができない理由として、所得把握ができていないんだ、所得把握ができないから年金の一元化はできないんだというふうに与党の皆さんは我々を批判したわけですね。

 今、寺田委員がこれだけ歳出の見直しをしなきゃいけないというのであれば、所得制限をするというのであれば、そのベースとなる所得把握がきちんとなっていなければ、所得制限というのは非常に不公平になるわけであります。ですから、そういう意味でも、ぜひ与党の中で、これは所得把握をきちんとしていただく、まずそういう体制をとっていただくことが、委員が指摘された意味でも大事なことではないかというふうに思います。

寺田(稔)委員 今、諸控除の簡素化で二兆円というふうに言われましたよね。では、税法改正も当然これに付随して出されないと、これだけでは税法は変わりませんから、この諸控除の簡素化についての税法改正も当然対案として提出されるわけでしょうか。

古川(元)議員 これは厚生労働委員会でございますので、財務金融委員会の方に提出するとかそういうことになるかと思いますが、私どもも、そういう必要があればこういう準備をしていきたいというふうに思っております。

寺田(稔)委員 きちんと税法改正の方も財金の方で提出をされるということでよろしいわけですね。そこはきちんとこの対案の全体像を示していただかないと、我々も議論ができないわけでございます。

 次に、この改革の関連を申し上げますが、政府案は、地方への税財源移譲、恒久財源としての税財源移譲を伴っております。すなわち、国と地方の負担割合を二対一から一対二に変更する、まさに三位一体改革を進めているわけですけれども、本提案では全額国費ということでございますので、三位一体改革は後退しますね。端的にイエスかノーかでお答えください。

古川(元)議員 いつも私が質問してもイエスかノーかで答えていただけませんから、少し御説明させていただきます。

 三位一体改革という視点でこの議論をするのは、ちょっとここのところは、先ほど委員の方はこの法案の中でという話をされていたわけですから、そういう中でお話をさせていただくとすれば、これについて私どもは、暫定的な期間が終わったときには、所得税の抜本改革が終わった中ではこれは国で全額というふうに考えておりますけれども、今の時点においては、当分の間、地方が負担していただいているものもそうお願いをすると。ただし、私どもは、国、地方の全体の役割分担の見直し、その中で財源全体の割り振りも見直していこうと思っております。

 そういう中では、私どもは、三位一体、今の政府の考えているような考え方とは根本的に異なる形で、もっと抜本的に地方の権限と財源を強化し、そして、その中でその手当の財源をきちんと手当てすることにしておりますので、政府の三位一体と私どもの考え方が根本的に違いますので、三位一体の議論の上での判断をされるのは、ここでは議論する余地といいますか、それは余り議論する意味がないんじゃないかなというふうに思っております。

寺田(稔)委員 いやいや、議論する意味がないということはないと思いますよ。

 つまり、この案では国費で持つわけですから、少なくとも地方には行かない。もちろん暫定的に、今地方が持っている分は持ってもらう、それはそれでいいんですけれども、さらに地方への税財源移譲を進める部分は、この案においてはないですねということの確認でございます。その点はよろしいですね。再度お願いします。

古川(元)議員 この案については、そういう考え方は入っておりません。

寺田(稔)委員 三位一体改革も後退をするということでございます。

 次に、いわゆる子ども手当法、今回のこの対案の策定により、特殊合計出生率、直近はまさに一・二九ショックというふうに言われていますけれども、この一・二九が、この法案によって定量的に一体どこまで回復をすると見込まれておられるんでしょうか。お伺いします。

小宮山(洋)議員 そういう考え方自体が違うということを申し上げているんです。持ちたい人が安心して子どもを産み育てられた結果として出生率が幾つになるかということであって、出生率の目標値を幾つにするなどということは、それこそ人口政策の道具として女性を考えている。一九九四年のカイロの人口会議で、これは政府も参加されて合意されているところの、それぞれ産むカップル、特に産む性が自己決定をして持ちたい数の子どもを持つということです。

 それで、今お尋ねになったことからしますと、ヨーロッパの各国でもほぼ一九八〇年代に出生率が低下しております。そこを経済的支援とか育児休業をとりやすくしたとかいうことで、例えば、アメリカの場合は八〇年代一・八だったものが二〇〇三年には二・〇四、それから、フランスは一・七台がずっとありましたのが今一・八九、スウェーデンでは一・六まで下がったものが一時二・一四まで上がりましたが現在は一・七というふうに、それぞれ必要な施策がとられて持ちたい人が持てるようになれば、数字がその後ついて上がってくるということで、目標値を設定すること自体が少子化対策とおっしゃっている政府の考え方は、私たちは違うと思っております。持ちたい人が安心して生み育てられ、生まれた子どもを安心して育てる、そういう意味の法案でございます。

寺田(稔)委員 小宮山さん、私の言うことをよく聞いてください。私、一言も出生率を目標にすると言っていませんよ。結果としてどれだけ回復するかを聞いたんですよ。

 先ほど少子化対策の側面もあると言ったじゃないですか。現にあなたの提案理由説明でも、少子化への対応としてと書いてあるじゃないですか。結果としてどうなるかを聞いたんです。お願いします。

小宮山(洋)議員 少子化への対応と少子化対策とは全く違います。少子化への対応ではございますが、それは持ちたい人が持った結果幾つになるか。今持ちたい数は大体二・五から二・六人持ちたいと言われているわけですから、本当に持ちたい人が持てるだけの政策を政府がおとりになれば、持ちたい数が持てればそれなりの数字が出てくるということでございまして、そこが幾つというのは目標値だから、そういう定めるやり方は違うと私は申し上げております。

寺田(稔)委員 何回も言うように、私は、目標値と言っているんじゃなくて、この案によって結果としてどれだけになるかというのを聞いているだけであって、その点について明確なお答えがないのは非常に残念で悲しいことであろうかというふうに思います。

 いずれにいたしましても、今回、非常にいろいろな問題点、まだまだ議論をしたい。私の質問項目も半分ぐらいしかないわけで、まだ半分残っておりますけれども、ぜひとも、こういった点についても明確なお答えを期待いたしまして、私の質問を終えます。

岸田委員長 次に、福島豊君。

福島委員 本日は、三十分お時間をいただきましたので、主に三位一体改革等々について政府の御見解をお聞きいたしたいと思います。

 小泉内閣のもとで三位一体改革が進められ、地方への財源移譲そしてまた地方交付税の改革、大きく進んだというふうに思います。それぞれのプロセスの中では、毎年毎年大変苦労があったなというような実感であります、どうするのかと。ただ、この改革はやはり日本の将来を考えたときに避けては通れない改革であったというふうに思いますが、全体としての三位一体改革の評価というものについて、まずお聞きをいたしたいと思います。

赤松副大臣 今福島委員から、この数年におけるところの三位一体改革、非常な苦労があったという実感の伴ったお話を聞かせていただきました。

 厚生労働省としての三位一体改革をどう評価するか、こういうことでございますが、ここ数年、例えば、一昨年は公立保育所運営費の一般財源化がありました。去年は国民健康保険の国庫負担の見直しということがございました。そしてことしは、先ほど来お話がありますような児童扶養手当、児童手当の国庫負担の見直しや施設介護給付費の国庫負担の見直しとあわせた施設整備費の一般財源化、こういったことを行ってきた、こういうことでございます。

 その結果としてどういうふうなことが可能になったかといいますと、例えば、公立保育所の運営費や特別養護老人ホーム等の施設整備費に係る補助金の税源移譲により、従来の国の補助基準等にとらわれず、地方独自の判断と責任で事業内容を決定し地域の実態に応じたサービスの提供が可能になった、こんなことがありますし、また、国民健康保険の国庫負担につきましては、国の財政調整機能の権限の一部を都道府県に移譲することによりまして、都道府県が域内の市町村国保の保険運営の広域化や医療費の適正化に主体的に取り組むことが可能になった、こんなことが上げられようかと思います。

 ともあれ、国の関与をあとう限り縮小して地方の権限、責任を拡大するとともに、国そして地方を通じた行政のスリム化を推進してくることができた、こんなふうに評価をいたしております。

福島委員 一定の成果を得た、これは間違いがないと思います。

 ただ、この地方分権改革、そしてその根っこには、公明党は事業仕分けということを言っておりますけれども、国と地方の役割分担を本当にどうやるのか、そのことによってトータルとして非常に効率的な政府をどうつくるか、こういうことが問われているんだと思います。いまだに国と地方の意見というのは平行線である部分もたくさんあります。ポスト三位一体改革をどう進めていくのか、このことがやはり問われなければならないというふうに思います。

 先進各国のように、国と地方が協議する場というものを制度として明確に位置づける、こういうような考え方もあるだろうというふうに思います。また、社会保障制度についていえば、私どもは今まで、介護、障害者、児童福祉といった分野は市町村が集中的に行うべきである、医療は都道府県単位でこれを行うべきだ、年金はやはり国だ、こう階層化を進めるべきだということを申し上げてまいりました。

 一つの理由は、負担と給付の関係、どのような負担でどのようなサービスを受けるのかということは、できるだけ国民の、住民の身近なところで決定をされる、明確にする必要がある。今までの社会保障制度というものは負担と給付の関係が不透明だった、残念ながら不透明でわかりにくかった、このことが社会保障制度改革にとっては一つのマイナスの要素になっていると私は思います。

 そうした負担と給付の関係を明確にするという観点からも、介護や障害者の福祉といったような現物サービスというものはできるだけ身近なところでやる必要がある。そしてまた、給付のコントロール、いかに適切な給付を行うか、こういうこともやはり身近なところで設計をする必要があるんだろう。ただ、医療に関していえば、市町村となりますと余りにも小さくなり過ぎて十分なコントロールということにもなかなかならない、そうすると都道府県だ、こういう位置づけで階層化を進めるべきだということを訴えてまいりました。

 ポスト三位一体改革の中で、こうした点についても十分配慮しながら取り組みを進めるべきであるというふうに私は思っております。今後の政府の取り組みについてお考えをお聞きいたしたいと思います。

赤松副大臣 三位一体改革がこの数年行われてきて、そして今後どういうふうにしていく考えなのかということ、そして、公明党が考えている先ほどおっしゃったような、身近なサービスを必要とするようなものは身近な市町村、地方自治体が行い、そしてより大枠としての対応が必要なものは県やあるいは国、こういうふうな考え、そういう公明党の政策提言に基づいたお話がございました。

 ポスト三位一体改革をどうするのか、これはそれこそポスト小泉にかかわってくるような話でございましょうけれども、いずれにしても、基本的にはこの数年の流れとしての、地方公共団体が自主性を発揮して地方のニーズを的確に踏まえた施策をしっかりやっていかなくちゃいけないということはこれからも引き続き行われていくべきである、そんなふうに考えます。

 そして、先ほどおっしゃった、いわゆる介護や障害者あるいは児童福祉といったものは市町村で、そして医療は都道府県で、年金は国で、こういうふうな社会保障制度の分権化、階層化という考え方につきまして、大枠としてそういうふうにとらえていくという考え方は、全く厚生労働省としても公明党の政策提言と同じ考え方に立っております。

 もちろん、そうはいいましても、部分的には重なり合う部分、重層的なものがあったり、あるいはお互いに連携をとったりするということは当然必要になってまいりますので、その辺は委員御承知のとおりでありますけれども、多様なサービスに対するニーズの要求、そういうことをしっかり踏まえながら大きく仕分けをして、そしてしっかり連携をとって重層的に対応していきたい、こんなふうに考えております。

 以上です。

福島委員 ぜひ、よろしくお願いいたしたいと思います。

 そして、もう一つの視点なんですが、地方分権ということを進めるに当たって、日本が人口減少社会に突入した、こういうことも視野の中に入れておかなければならないというふうに思います。東京都でありますとか神奈川でありますとか、こういう大都市圏は人口の減少は起こらず、ほぼ横ばいになる。ただ高齢化が進む。しかし地方では、人口減少がまさに深刻なものとなっている。

 その中で、地方分権といってもこれをどう進めていくのか。例えば、町づくりの分野では、コンパクトシティーというような考え方も出されてきております。効率的な行政というものが運営できない。今、例えば介護の分野では、施設から在宅へ、障害者も同じですけれども、そういう流れが一つあるわけであります。

 ただ、こうしたことが人口減少社会、地方においては過疎化がさらに進んでいく、その中でこれをどう考えていくのか。こういうことも十年、二十年のスパンでありますけれども、視野に入れながら地方分権改革というものを考えていかなきゃいけない、私はそのように思うわけでありますけれども、この点についての政府のお考えをお聞きしたいと思います。

塩田政府参考人 我が国におきましては、昨年、出生数が死亡数を下回り、戦後初めて人口が減少しました。人口減少、既に地方圏では経験していることでありますけれども、いよいよ国全体として人口減少社会になったということだろうと思います。少子化の流れを改善して、人口減少に耐え得る社会の仕組みをつくっていくということが重要であると思います。

 同じ人口減少といっても、御指摘ありましたように、大都市圏ではこれから急速に高齢化が進み、かついろいろな問題があるわけでありますが、地方では少子高齢化のみならず過疎化が社会全体として進むということでありまして、それぞれ大都市圏と地方圏で取り組むべき課題には異なる面もあると思いますけれども、人口減少社会に対応した持続可能な社会保障制度をつくるという点では、共通のテーマがあると思います。

 そのためには、いろいろな切り口がありますけれども、一つは、高齢者とか女性とか若者、障害者も含めて、だれもが地域の中で働くことができて地域に貢献できるような、多様な仕組みをつくっていくことが大事だろうと思っております。そういうことで地域のいろいろな活力を高めることができたり、あるいは地域の富をつくっていくというようなこともできるのだろうと思っております。

 また、議論になっておりますように、国と地方の役割分担を思い切ってするということも大事だろうと思っておりまして、地域の実情、特性に応じて、それぞれの地域の持つ社会資源とか人の力を生かして、地域全体としての力を高めていく、そういう取り組みが大変重要になると思っております。

 いずれにしても、地域にいろいろな方々、障害者も含めて若者、高齢者、女性、いろいろな人が住んでおりますが、それぞれが自立して支え合う、自立と共生の地域社会をつくるということが大変重要だろうと思っております。これからの社会保障においても、こういった観点も踏まえて、いろいろ検討していくことが必要だろうと考えております。

福島委員 財政状況が非常に悪化している、そしてまた、今後は社会保障の給付費が伸びていくということで、効率化は避けられないわけであります。

 効率化を図るということは、給付の抑制ということにつながらざるを得ないだろうと思います。そうした中で、すき間を埋めていくものは、ともに支え合う、共助の社会ということなのだろうなと私は思うのです。ただ、その一方では、地域力そのものが衰えていく、こういう現実もある。なかなか容易ではない時代に突入しつつあるのだろうな、こんな思いがいたしております。

 ただいまも政府参考人から御答弁ありましたけれども、地域力をどうするかというようなこと、そしてまた、町づくりもどうするか、こういうようなことも含めて総合的に考えていかなきゃいけない、そういう時代なのだろうと思います。そういう流れであればこそ、地方分権ということをさらに進めて、それぞれの地域で工夫をしていただくということが避けられない、私はそのように思います。

 次に、具体的な項目について一つずつお聞きをいたしたいと思います。

 まず、生活保護の問題なんですね。この制度の見直しをどう進めるか。先般、生活保護行政を適正に運営するための手引について、いろいろと御提案があったようでございます。この三位一体改革の中で一番地方と対立した点の一つは、生活保護の負担割合を見直す、こういうことだったのだというふうに思います。これについてはさまざまな意見があろうかと思います。

 ただ、コンセンサスとしてそこに常にあり続けたものは、生活保護制度自体を、どういうふうにこれを見直すんだ、これをぜひしっかりやってくれよと、これは変わらない地方の声であったというふうに思います。いろいろな指摘があります。国民年金と生活保護の給付水準はどうしてこんなに格差があるんだ、こういう指摘もずっと昔からあるわけであります。こういったことをどういうふうに整理をしていくのか、なかなか難しい問題であります。

 また、生活保護を受ける人も、高齢で本当に仕事もできない、病気で仕事もできない、こういう人もおりますけれども、やはり若い世代で受けておられる方もいる。自立や就労にどうやって結びつけていくのかと。こういった制度も、先進諸国は共通して苦しんできたわけでありますけれども、ぜひ見直しをしていただきたい、こういうような考え方もあります。また、トータルとしての生活保護ということではなくて、部分的に扶助するような仕組みができないか、こういうような意見を言う人もおります。

 いろいろな課題があるわけでありまして、この点については、三位一体、一つの区切りになりましたけれども、引き続いてぜひ検討していただかなければいけない。

 と申しますのは、都道府県、大都市部における生活保護率というものはこの十年間で高まって、地方自治体の財政というものは大変厳しい状況に置かれている、これは間違いがありません。ですから、そこで負担割合の見直しというものがあるということについて反対が強かったわけであります。ですから、これは終わったということではなくて、引き続いてどう見直しをしていくのかということが迫られている課題であるというふうに思います。

 この点について、政府の御見解をお聞きしたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 生活保護制度につきましては、一昨年の政府・与党合意に基づきまして、昨年四月から国と地方の協議会を設置して、生活保護のあり方について議論を重ねてきたところでございます。

 委員から御指摘ございましたとおり、三位一体改革の中では一致点を見出せず、この観点からは改正を行わないこととされましたけれども、生活保護の適正化が必要である、こういうことにつきましては、国と地方、ずっと協議会の中でも一致しておりまして、地方から御提案があった事項のうち合意を見た事項につきましては、早急に実施に移す、こういったことで今年度中に見直しをするということがあり、具体的には、例えば、資産調査等に関する関係機関との連携強化、年金担保貸付制度の見直し、不正受給に対する刑事告訴等の強化など、そういった運用改善案を盛り込みました手引、これも委員から御指摘ございましたけれども、これを取りまとめ、十八年度から国と地方と一緒になって生活保護の適正化に取り組むことといたしております。

 地方公共団体から御要望がありました、あるいは御提案がありました中には、これらのほかに、生活保護の基準の問題、水準の問題や、制度運営のあり方、さまざま御提案いただいております。私ども厚生労働省といたしましても、生活保護実施自治体との意見交換を行っているところでございまして、これからの生活保護のあり方について幅広く検討を行ってまいりたいと思っております。

 また、委員から御指摘のありました自立支援につきましては、昨年度から、生活保護の中でも自立支援プログラムを開始したところでございまして、十八年度には全自治体で実施していただく、こういったことをお願いしておりますし、また、就労につきましても、ハローワークとの連携事業につきまして、昨年から実施しまして、五千人程度実施したところでございますが、来年度は三万人まで実施していきたいと思っております。

 こういう努力を続ける中で、生活保護制度の見直しにつきましては、地方公共団体ともよく意見交換をして、直すべきところについては直す方向で、前向きに取り組んでまいりたいと考えております。

福島委員 今回のこの三位一体改革の中で、公明党としては、厚生労働省とは若干意見の異なるところもあったわけでありますけれども、地方の声というものをしっかりと受けとめて、引き続き私どもは議論してまいりたいというふうに思っております。

 若干論点がそれるのでありますけれども、地方議会から寄せられている意見の中で、こうした点が近年ありました。

 これは、児童福祉法の改正によって小児慢性特定疾患治療研究事業について、対象疾患がふえて、また通院も対象となる制度の改善が図られたのでありますけれども、一方で、気管支ぜんそく等の一部の疾患においては基準が極めて厳しくなったのではないか、こういう指摘がされております。この基準の緩和をぜひ図ってほしい、図るべきだ、こういう意見が多く寄せられております。

 この基準の緩和ということについて、ぜひ私は政府に取り組んでいただきたい、そのように思いますが、御見解をお聞きしたいと思います。副大臣、よろしくお願いいたします。

中野副大臣 福島委員の御質問でございますが、小児慢性特定疾患治療研究事業におきましては、安定的な制度になるように平成十六年十二月の児童福祉法の改正におきまして法制化をし、対象疾患の拡大や通院患者への支援の拡大を図るとともに、対象疾患ごとの認定基準を設けたところでございます。

 平成十七年の四月の施行以降、一部の自治体や学界等の関係者の方々から、気管支ぜんそく等を含む幾つかの疾患について認定基準が厳しいのではないかという御指摘がございました。このために、これらの疾患について平成十七年四月から九月にかけまして給付実績の調査を行い、改めて学界等関係者から意見を聴取いたしまして、その結果といたしまして、気管支ぜんそく以外については対象患者数も給付額も増加しておりまして、認定基準はおおむね妥当と考えられたとしております。

 しかし、気管支ぜんそくにつきましては、特に入院患者の数が半減していたことや意見聴取の結果を踏まえ、従来は対象となっていました長期入院患者のうち一部の重症患者が対象外となっていた可能性があったことから、これらを救済することといたしまして、新年度から施行ができるよう現行基準を緩和する手続を進めているところでございますので、御理解を賜りたいと思います。

福島委員 どうもありがとうございます。よろしくお願いいたしたいと思います。

 引き続いて、今回の改正では児童扶養手当についての補助率の見直しが行われるわけであります。これは、先般の法改正によりまして、児童扶養手当制度そのものが二十年には大きく変わる、こういうスケジュールになっているわけであります。

 一方で、就労支援ということを、厚生労働省を先頭に進めてきていただきました。ただ、残念ながら、客観的に見てどの程度進んだのかということについては、いろいろな意見があるところだろうというふうに思っております。

 この二十年に向けて、児童扶養手当をどう考えるのか、母子家庭の経済的な支援をどう考えるのかということについては、十分な議論が必要だというふうに私は思っております。この点についての政府の見解をお聞きしたいと思います。

北井政府参考人 母子家庭への支援についてでございますが、今御指摘のように、平成十四年の法改正によりまして、児童扶養手当ばかりの支援でなくて、就業、自立に向けた総合的な支援を実施するとともに、受給期間が五年を超える場合の児童扶養手当の一部支給停止措置を導入したところでございます。

 この一部支給停止措置の検討につきましては、今後、十四年当時いただきました国会の附帯決議を踏まえて、関係者の御意見それから実態調査の結果などを十分踏まえて検討をしていきたいというふうに考えております。

 そして、その中でやはりポイントとなりますのは、就労自立支援策であると考えております。この就労自立支援策につきましては、平成十五年度から新たに施策のメニューも導入し、さまざまに自治体に取り組みをお願いしてきたところでございますけれども、年々進展し、成果も上がっているとはいうものの、まだ地域間格差もございまして、いまだ十分とは言えない状況にあるわけでございます。

 したがいまして、子ども・子育て応援プランにおきましても、目標値を掲げるなどして、総合的な支援を、自治体に対してあらゆる形で働きかけを行っているところでございまして、平成十八年度から、福祉部局と労働部局の連携をさらに強化して、労働サイドと福祉サイドが連携をしてマンツーマンで自立支援のプログラムをつくり、就労につなげていくというようなプログラムを全国展開していくことを計画しておりますので、こうした施策を強力に展開して自立支援を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

福島委員 この点については、ぜひ厚生労働省、よく考えていただきたいのは、母子家庭の福祉施策の方を厳しくすると、生活保護に移っていく人がまたふえるということなんだと思いますね。これは年金との関係でも言えるんですけれども、何となく、ほかの制度の見直しというか、適正化というか、その結果がすべて生活保護に流れ込んでいくような、そういうことはやはり避けなければいけないんだろうというふうに私は思います。

 それぞれの制度が整合性のある制度として、社会で頑張っていただける人はできる限り頑張っていただくというものになるために、ぜひ工夫をしていただきたいというふうに私は思っております。

 そして、時間もありませんので次々お聞きをしたいんですが、若干はしょらせていただきたいと思います。

 今回、子育ての、児童手当法の改正ということもありますので、昨日、参考人がお越しになられて、いろいろと御意見をお聞きいたしました。その中で、子供保険といいますか、社会保険方式を活用して子育てをトータルに支援するというようなことを述べておられる方々がおられたわけであります。

 この点については、すべて税でやるべきだ、こういう議論もありますけれども、私は、皆で支え合うという観点から、こうしたこともぜひ検討すべきであろうというふうに考えております。この点についてのお考えをお聞きしておきたいと思います。

中野副大臣 今日、急速な少子化の進行を踏まえまして、次世代の社会を担う子供が健やかに生まれ育成されるように、社会全体で支援していく必要があるということは認識をいたしております。

 今委員に御指摘いただきました子供保険につきましても、子育てを社会全体で支援するという観点から、御指摘のとおり、一つの選択肢であるということは十分認識をして考えております。

 しかしながら、出産は親の選択、裁量のもとで行われるものであるということ、それからまた二つ目には、子を持つ意思のない方や高齢者など給付を得られる可能性が少ない方も多数存在するということなどから、社会保険とすることについてはなじまないんではないかという意見もあります。

 しかしまた、その反面、次世代育成支援のため幅広く拠出を求めることにおいて、国民、企業等の理解と納得が得られるかが課題である、そういう認識もありますことから、今後さまざまな角度から研究を重ねることが必要であると私ども考えておりますので、今後ともよろしく御指導のほどお願いしたいと思います。

福島委員 三位一体改革、地方分権をどう進めるかということで議論されてきたわけでありますが、やはり国の行政組織としての体制のあり方自身も見直しが必要なんだろうというふうに思います。

 社会保険庁につきましては、社会保険庁改革ということで、分権化が大いに進められることになったというふうに認識をいたしております。

 そしてまた一方で、地方厚生局、地方の出先機関というものがあるわけです。ここのところをどういうふうに見直しをしていくのか。

 かなりコンパクトにやっておられるというふうには伺っておりますけれども、ここのところは、都道府県の業務と国の出先機関である例えば地方厚生局の業務、こういうものをどう整理していくのか。国会での議論でも、こういった点は取り上げられることが余りなかったんではないか。私どももよくわからない点が多々ございます。

 こういう点について、できるだけここも簡素化をするということが必要だ、もちろん業務に応じてということになると思いますけれども。そして、業務に応じてということは、都道府県との役割分担をどうするか、こういうことにつながってくるんだと思います。

 この点について、近年の省としての取り組みまた努力について御説明いただきたいと思います。

金子政府参考人 地方厚生局のあり方についてのお尋ねでございますが、御案内のように、この地方厚生局につきましては、中央省庁再編が行われました平成十三年の一月に、それまでの地方医務局と地区麻薬取締官事務所を統合いたしまして設置したものでございます。あわせまして、本省から各種の実施業務も移管をしたということになっております。

 今議員からも御指摘がございましたが、全体としてもう既にブロック局として運営をさせていただいておりまして、定員も六百二十五名ということで運営をさせていただいているところでございます。

 また、今般の社会保険庁改革に伴いまして今国会に提出をさせていただいておりますねんきん事業機構法案におきまして、現在の社会保険事務局で行っている医療指導監査等の業務をこの地方厚生局に移管するという内容も盛り込まれているところでございます。

 議員御案内のように、この地方厚生局につきましては、このように多岐にわたる事務を実施しているわけでございますが、今後、行政改革でありますとか、国と地方の事務のありようの問題とか、いろいろな論点が出てくるんだろうと思います。これに関連して地方厚生局にかかわる論点も当然出てくるだろうと思いますので、こうした動向を踏まえながら、我々としては、地方厚生局のあり方についてもきちんと検討を加えていきたい、こんなふうに今考えております。

福島委員 最後に、この法案とは直接関係がございませんけれども、格差社会ということがこの国会で繰り返し取り上げられておりますので、その点について触れておきたいと思います。

 中央公論の今月号におきまして、特集で「若者を蝕む格差社会」、こういうことが組まれております。その中で、いろいろと大切な指摘があるというふうに思います。これは本田さんという研究者の方の発言です。

 一九八五年に発表された経済企画庁の報告書の中で既に、九一、二年ごろに十八歳人口のピークを迎える団塊ジュニア世代の中から、学校卒業時に職を得られない者が大量に出現することへの危惧は示されていた。しかし、その直後、バブルを迎えたことで企業は大量採用に走り、この問題はかなり解決されたかに見えた。しかし、やがてバブルは崩壊し、団塊ジュニア以降の世代の採用が急激に抑制された。主に七〇から八〇年代初め生まれの彼らこそ、現在の若者における雇用問題の核であり、ロストジェネレーション、失われた世代と言えるのではないか。今では、アルバイトやパート、派遣といった非正規労働に従事する若者の割合が約三割に達している。

 日本では正社員と非正社員との待遇格差が極めて大きいということは周知の事実でございます。ここのところに格差社会の問題の中核があるというふうに思います。

 引き続いて、既に学校を離れて、しかも正規雇用されていない人たちの問題、つまり失われた世代の人々に対して社会がいかに責任をとっていくかは、緊急の課題である。日本の若年労働市場は極めて硬直的で閉鎖的なので、正規雇用の入り口がほぼ離学時に限定されてしまい、一度非正規雇用者になると、正規雇用に転じることが非常に難しい。

 そして、このことはまた、少子化の問題ともつながっているわけであります。男性は正社員でないと結婚するのは難しい、三浦先生、これは研究者の方ですけれども、このように指摘をしております。私も直接お話をお聞きすることがありました。

 こうした問題の所在が大分明らかになってきている部分がある。ここをどうするか。これは早くやらなければいけません。十年先というわけにはいかないと思います。この一、二年の間に集中的に、これは私は、経済界もしっかり責任を持ってもらわなきゃいけないと。

 この十数年、雇用の問題については規制緩和を進めてまいりましたけれども、一方ではこうした問題が出てきているわけでありまして、こうした点は、将来にとって、支え手になっていただけるのか、それとも支えられる側になるのか、こういうことともつながってくるわけであります。そしてまた、安定した家庭をつくってもらうためにも、こうした方々の就労が安定する必要がある。

 この点について、最後に政府の御見解をお聞きしたいと思います。

中野副大臣 若者の雇用につきましては、有効求人倍率が一・七九倍と高い水準で続いている一方、失業率も七・八%という高い水準で移行しているのが現状でございます。また、フリーターが二百一万人とかニートが六十四万人とかということで、いろいろ対策の効果が上がっておりますけれども、依然として多い状況でございまして、その状況は厳しいものと認識をいたしております。

 我が国にとりまして、人材こそが国家の基礎であり、我が国の将来を支える若者が、働く意欲と自信を持って働くことができる社会を実現していくことが非常に重要な課題だと考えておりますが、そのために、平成十七年の五月から、二十万人、フリーターの常用化を目指す目標を掲げて、企業の協力を得ながら、この九カ月間で約十五万二千人の常用雇用を実現いたしました。また、平成十八年度には目標を二十五万人に引き上げて頑張りたいと思います。

 また、ニートを初めとして、若者の働く意欲を高めるために、若者自立塾事業の推進のほか、新たに、若者の置かれた状況に応じた専門的な相談や地域の若者の支援機関であるところのネットワークを活用したところの地域若者サポートステーション等の設置を行っているところでございます。

 厚労省といたしましては、若者をめぐるところの雇用問題の解決を図るためには、これらの施策を積極的に推進することによって、若者の雇用対策の充実を図ってまいりたいと思っておりますけれども、特に、今委員が御指摘のとおり、若者の正規雇用の拡大、そういう問題を初めといたしまして、失われた世代の方々の対策を含めた、社会的に責任を持っているところの企業の理解を得るために、今後も全力を挙げて頑張りたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

福島委員 副大臣、力強い御答弁をいただきまして、どうもありがとうございました。

 以上で終わります。

岸田委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十三分開議

岸田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田名部匡代君。

田名部委員 民主党、田名部匡代でございます。

 本日は、児童手当の見直しについて質問させていただきますが、これまでも、政府は子育てに対するさまざまな支援を行ってきました。しかしながら、先日、委員会で自民党の委員の方からも御発言がありましたように、我が国は、子供たちやまた子育て世代に対する支援がまだまだ不十分だと思います。

 少子化が深刻さを増す中、ちょうど子育てをしている世代、これから子供を生み育てていく若い人たちがこの高齢化社会を支えていくわけでありますが、これまでも、医療費や年金といった現役世代の負担というものはどんどん大きくなってきました。二十代、三十代、私も三十代でありますが、二十代、三十代、四十代といった世代が、その生活が安定していなければ、高齢者を支えていくことも、また子供を安心して生み育てることもできなくなるわけであります。

 高齢化社会を支えるために子育て世代の経済的負担が大きくなることは、若い人たちだけではなくて、つまりは高齢者の皆さんにとっても不幸だということであります。ですから、もっともっと子育て世代に目を向けた政策、そして効果的で手厚い支援というものを、また予算の使い方をすることが必要だろう、そのように考えております。

 そこで、今回政府が提出されている児童手当法の一部の改正についてですが、まず、もともとこの児童手当が創設されたその背景は何だったのか、お伺いしたいと思います。

北井政府参考人 児童手当制度は、昭和二十二年の社会保険制度調査会の答申以来、各方面でその創設が取り上げられてきたわけでございます。昭和三十六年に国民皆保険、皆年金が実現した後は、我が国に残された最後の社会保障分野として創設議論が高まったわけでございます。そして、中央児童福祉審議会児童手当部会、さらには児童手当審議会を創設しての数々のさまざまな議論を経まして、昭和四十六年に法案が成立をし、昭和四十七年一月一日から施行に至ったという経緯でございます。

田名部委員 今御説明いただいたように、この制度が創設されたのは一九七二年、翌年が福祉元年と呼ばれた年であったと伺いました。当時は、高度成長を背景に、医療、年金、そして福祉の拡充が求められるとともに、大幅なその充実が図られたそうであります。

 児童手当制度は、先進諸国の中で、今御説明がありましたが、日本だけが唯一実現をしていなかったということで、最後の社会保障制度として創設が促された経緯があると資料で読みました。しかしながら、この制度創設時には、もう少し時間をかけて慎重に議論すべきではないか、そういった意見も多く出されたということを読みました。小さく産んで大きく育てるというフレーズがあったそうでありますが、制度の早期実現を最優先したことによって、議論が熟し切らないままスタートしてしまったのではないか、そういった議論もあったわけであります。

 そこで、この制度が今日まで続いてきたわけでありますけれども、家庭における生活の安定といった目的があろうかと思いますが、それは福祉的な要素を含んでおります。しかしながら、我が民主党が、今回、児童手当ということを新たに子ども手当ということで創設をいたしまして、法案を提出いたしました。これまでの政府がやってきた児童手当と違うこの子ども手当ということは、どういった理由で子ども手当としたのか、その理由をまずお答えいただけますでしょうか。

小宮山(洋)議員 子ども手当といたしましたのは、この私たち民主党の法案は、党の政策であるチルドレンファースト、子ども第一という方針のもとで、子どもに着目をして、子どもが安心して育つことができるということをまず置いています。そして、親が安心して子どもを育てられるよう、子育てに係る経済的負担を社会全体で負担すべきだという考えに立ちまして、その子どもの養育に係る社会的負担の軽減を図ることを目的としているので、こういう名前にしております。

 そして、今お話にあったように、現行の児童手当は家庭における生活の安定を目的の一つとしています。その面から、先ほども申し上げましたが、子どもではなく、どちらかというと親に着目をした制度となっていまして、私どもが、子どもを中心に、とにかく子どもが安心して育てることという考え方でやったものと違いますので、子ども手当という名前にしております。

田名部委員 本日は、その民主党の子ども手当についてじっくりとお話を伺いたいと思いますので、まず政府案との大きな違いを教えていただけますでしょうか。

小宮山(洋)議員 第一に、制度の仕組みなんですけれども、政府案が、児童手当制度の抜本的な改革を行わないで当分の間の暫定措置としての特例給付を拡大する、そういうような小手先での改正であるのに対しまして、民主党案では、制度を一本化して、抜本的な改革を行っております。そして、午前中も審議いたしましたように、社会保障制度と税制も含めた抜本的な見直しの考え方に立って、制度の仕組みをつくっております。

 第二に、制度の目的ですが、今第一問の問いにもありましたように、政府案が家庭における生活の安定を目的とした制度であるのに対しまして、民主党案では、チルドレンファースト、子ども第一という方針のもとで、子どもに着目をしまして、子どもが安心して育つことができるよう、そしてその上で親が安心して子どもを育てられるよう、子育てに係る費用を社会全体で負担すべきであるという考えに立ちまして、子どもの養育に係る経済的負担の軽減を図ることを目的としております。

 第三に支給対象年齢ですが、政府案では小学校修了前であるのに対して、民主党案では義務教育終了前としております。

 第四に所得制限ですが、政府案が依然として所得制限を設けているのに対しまして、民主党案では所得制限を設けず、義務教育終了前の子どもを養育する者すべてに対して子ども手当を支給することとしております。

 第五に手当の額ですが、政府案では、支給額が現行と同じ第一子、第二子がそれぞれ五千円、第三子以降でようやく一万円というのに対しまして、民主党案では支給の対象となる子ども一人につき一万六千円としております。

 第六に費用の負担ですが、政府案では、現行制度と同様、複雑かつ一貫性のない費用負担の仕組みのままになっております。これに対しまして、民主党案は、子育てに係る経済的負担を社会全体で負担すべきとの観点から、国庫が全額負担することとなっております。ただ、当分の間、暫定措置として、国が百分の九十二、地方が百分の五、事業主が百分の三と、国以外のところは今の負担額に相当したものと、これは暫定措置としてしております。

 以上です。

田名部委員 ありがとうございます。

 大臣にお伺いしたいんですけれども、今民主党の案の御説明がありました。その中に、抜本的な見直しをすべきではないかという御発言がありましたけれども、この制度が創設されてから随分長い年月がたちました。その間に改正も行われてきたわけでありますが、しかしながら、そのできたときの社会情勢とも現在は全く違うわけであります。そういったことを考えると、今ここで新たに抜本的な見直しも視野に入れて考えるべきではないかと思うのですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

川崎国務大臣 まず、財源について、財務省と議論しながら、何とか積み上げて今回の改正を提案させていただいております。

 一方で、与党の中でもさまざまな議論がございます。一つは、三歳ぐらいまでの乳幼児に集中的に投資すべきではないかという議論がございます。また、この制度の中で、そもそもスタートしたときに企業に御負担をいただいている部分がございます。そこへ、企業は今、配偶者手当、子供の手当として、自分たちの従業員に子供の手当を事実上支給しているという実態もございます。

 税の問題、児童手当の問題、企業の負担の問題、あわせながら、きちっとした議論をどこかで積み上げていかなきゃならぬな、こういう思いはいたしております。そういった意味では、民主党の御提案も道半ば、我々も道半ばかな、こんな感じをいたしております。

田名部委員 互いに道半ばではありますが、ぜひ、いい議論を尽くして、ただ否定をし合うのではなくて、民主党のすばらしい案にもきょうはじっくりと耳を傾けていただきたい、そのように思います。

 さてそこで、政府にお伺いいたします。

 民主党は、今回の法案では所得制限を設けておりません。しかしながら、政府は、今回も引き続き所得制限を設けております。その理由をお聞かせいただけますでしょうか。

北井政府参考人 今回の改正におきましても、相当な財源を必要とする制度改正でございます。そうした中でどういったところに優先順位をつけていくかという中で、所得制限のことに関しましては、やはり今回少し上げまして、支給対象比率を八五%から九〇%にしましたが、あと残った一〇%というのは相当な高額所得者でございますから、そうしたところに制限を撤廃して給付をするということは相対的に効果も低うございますし、優先順位の観点からも考えまして、所得制限を撤廃するということはしなかったところでございます。

田名部委員 午前中の質疑の中にもいろいろな御意見がありましたけれども、この所得制限に関してでありますが、そもそも所得制限という発想は、子供を持つ世帯での低所得者また高額所得者、そういう発想から、皆さんいろいろな意見が出たと思うんですが、子供を持つ世帯と持たない世帯との家計の負担の不均衡を是正するのが本来の姿ではないか、私はそのように思うわけであります。

 子供を生み育てている人たちの家計は、子供を産んで育てることでいろいろな負担がかかってくる。しかしながら、子供を産めない人、産まない選択をした人、そういった人たち、互いに支え合おうじゃないかというのが我が民主党の案でもあろう、その意味で所得制限を設けないといったことがあるんじゃないかと思うんですが、ぜひこの所得制限を設けないという民主党の案について、お考えを聞かせていただけますでしょうか。

西村(智)議員 ただいま御指摘、御質問いただきました所得制限についてでございますが、委員がおっしゃいましたとおり、私たちの法案は、社会全体で子育てをしていく、そのことを、いわばこの法律をもとに、そういった社会を改めてつくっていこうという目的もございますことを申し上げたいと存じます。

 そこで、お尋ねの点でございますけれども、私たちが提案しております子ども手当制度は、家庭における生活の安定を図るものではございません。あくまで子供一人一人に着目をいたしまして、その子の養育に係る経済的負担を社会全体で負担すべき、こういう考え方に立っております。

 先ほど政府案の説明について、政府参考人の方から、高額所得者が残りの一〇%に当たる、相当な高額所得者ではないかというような御発言もありましたけれども、そもそも、もう高額所得者には累進課税で応分の税負担が求められているということ、そして欧州におきましては、所得制限が設けられておらずに手当を支給しているということが一般的であることから、子供を養育する者の所得の多寡に関係なく子ども手当を支給することが適切と考えたところでございます。

 なお、民主党の政策といたしまして、所得控除を改廃して手当へ切りかえていくこと、そして高齢者に比べて著しく低い水準にとどまっている子供に対する社会保障関係給付を見直すことを掲げておりますので、子ども手当の創設もこうした一連の改革の中に位置づけているものでございます。したがいまして、子ども手当の支給のみを取り出してばらまきであるというような御批判があるとすれば、それは当たらないというふうに考えております。

田名部委員 私も、今説明があったとおりに、高額所得者への支援というものが不平等ではないか、ある意味、そんな必要はないんじゃないかという意見に対しては反対でございます。それを言うならば、扶養控除の問題も含めて、では果たして平等なのだろうかというところに行き着くわけでありまして、先ほども申し上げましたとおり、やはり子供を産まないこととか産めない人のことを批判するのではなくて、そういった選択も含めて、しかしながら、子供を産んで育てている人たちは、やはりこの国を支える、その子供を産むことである意味貢献をしている、そういったことを全員で支え合っていこうじゃないかという考えはごくごく当たり前の発想ではないか、私はそのように思っております。

 それでは、支給額についてお伺いしたいと思いますけれども、政府案では、第一子と第二子が五千円、第三子が一万円と、子供の数によって支給額が異なるわけですが、まずこの理由を教えていただけますでしょうか。

北井政府参考人 現在、児童手当の制度は、第一子、第二子が月額五千円、第三子以降が月額一万円となっているわけでございますが、この児童手当の月額の考え方につきましてもいろいろな国があるということはこの審議で出ているとおりでございます。

 そうした中で、我が国の児童手当制度の考え方は、一つは、やはり出生順位による児童手当の額の差は、子供の数がふえるほど就業中断の期間が長くなって家計の収入減につながるといったようなことで、子育ての負担がより大きくなるということから考えまして、こうした家庭に配慮する必要があって、こうしたことになっているというふうに考えております。

田名部委員 この支給額、額自体に何か根拠はおありなんでしょうか。

北井政府参考人 我が国の児童手当制度は、発足のときは第三子以降を対象に月額三千円ということで出発した制度でございます。そのときの三千円の考え方としては、当時の調査をもとにおおむね児童一人当たりの養育費の半額程度を目安として考えたものでございます。

 現行では第一子、第二子、月額五千円ということになっているわけでございますが、この児童手当制度だけで児童の養育費の全額を支給するというものではなくて、養育に係る費用の一部を軽減することによって、児童の養育について国や社会が応分の寄与をしようというものでございますので、現行の制度の額としてはおおむね妥当なものであるというふうに考えております。

田名部委員 第二子、第三子への支援というのは、例えば保育園とか幼稚園に通っている方の第二子、第三子の経済的な軽減措置というものがあったり、ほかの分野でも支援ができるのではないか、そう思うわけですが、第二子、第三子への支援だけが必要かといえば、決してそうではなくて、私は、実際、子供一人一人にかかる費用というのは同じだと思うんですね。二人目だから、三人目だからではなくて、一人だろうと三人だろうと、子供たちにかかる費用は同じなんです。

 午前中も話が出ましたけれども、現在子供がいる家庭の平均子供数は二・二三人であります。つまり、子供は三人生まれていない。三人生まれていないのに、三人目の手当を厚くしたところで、本当に支援されている方がありがたいと思うのかなと、ちょっとそれは疑問が残るわけでありまして、やはり支援を受けている人がありがたいと実感できる金額また支援の仕方でなければ意味がないのではないか、そのことを思うわけであります。

 また、これは第二子、第三子の問題だけではなくて、実は、この金額の根拠だとかそういったものが、本当に根拠があったのかなと思うようなところもありまして、つまり、では、総額の中で何を優先するのか、支給対象を優先するのか、それとも支給金額なのか、支給対象年齢なのかということを、もう決まった中でただ入れかえして議論がされているのではないかという気がしてなりません。

 大臣、私は、子供一人だから二人だからということではなくて、一人だろうと二人だろうとかかる費用は一緒、その一生懸命子育てしている人たちに、新たな政策で、制度で支援をしてあげるべきではないかと思うんですが、大臣、どうお考えでしょうか。

川崎国務大臣 午前中も議論しました。国によってそれぞれ違うんですね、イギリスのやり方、フランスのやり方。イギリスは第一子が一番高い、だんだん減っていく。フランスは第一子には出ない、第二子から、そしてふえていく。ドイツはだんだんふえていく。我が国もだんだんふえていくという制度をつくっている。

 そして、この制度に対する考え方というのはそれぞれあるんです。例えば二・二三しかいないから三人目は余りということでしたけれども、我々はやはり少子化対策としてやるとすれば、一家に子供が三人いてくれたらいいなという思いも込められていることは当然事実だろうと思います。

 そういう意味で、いろいろな議論を踏まえた上で、民主党は民主党さんなりに一つの制度をお考えになった。我々は我々としてこうした制度を自公でまとめて今回御提案をさせていただいている。そういう議論をいただいているわけですから、こっちの方がすばらしいからどうのこうのと言われても、正直、考え方が違うんだなという形で聞かせていただいておりました。

田名部委員 さまざまな議論や御意見があるのは私も承知をしておりますが、必ずしも第三子だから手厚い支援ということではなくて、やはりそれこそどういった支援が本当に子育て世代のためになるのかということを、原点に返っていろいろな意見を聞いて御議論いただきたいな、そのように思います。

 そこで、支給額の多い民主党案にお尋ねをいたします。

 民主党は、子供一人に対して月額一万六千円を支給するということを御提案されておりますけれども、この一万六千円というものには根拠がおありでしょうか。

西村(智)議員 月額の支給額についてお尋ねでございます。

 私たちは、今回、月額一人当たり一万六千円ということで提案をしております。

 一方、政府案の方は、第一子、第二子が五千円、第三子が一万円ということになっておりますけれども、五千円と一万円と二倍という非常に大きな額のアップとなっております。

 確かに、額をどこで設定するか、これは線引きはどこかでしなければいけないわけでございますけれども、大臣が諸外国の例を引きながらおっしゃったその国においても、日本のように、第一子、第二子及び第三子の間で額がこのように大きく違うという国はございません。スウェーデンなどでは、第一子、第二子が月額一万四千円、第三子になりますと一万八千円ということになっております。

 そこで、私たち民主党の月額一万六千円についてでございますけれども、申し上げるのも繰り返しになりますが、子供の養育に係る経済的負担の軽減を図ることを、今回の子ども手当の支給はその目的の一つとしております。

 手当の金額につきましては、所得税の配偶者控除そして扶養控除などの改廃による税の増収分により支給することができる額をベースといたしまして、諸外国の支給額も参考にして検討いたしました結果、一人当たり一万六千円を支給するということとしたものでございます。

田名部委員 冒頭にも申し上げましたけれども、制度が創設されたときとは、社会背景も随分変わりましたし、経済状況、消費者物価指数も変わりました。もちろん、賃金構造も随分変わってきたと思うのです。

 先ほど大臣から、それぞれの考え方があるんだという御発言をいただきましたけれども、それぞれの考え方は考え方として、それであれば、金額を見たときに、これで十分なのだろうかと。第三子が多ければ多くても構いません。しかし、五千円、五千円、一万円、この金額が本当に今の社会状況と見合った金額なのかということが私は大変疑問に思うわけであります。

 それは、多くの国民の要望でもあろうと思いますが、大臣、この金額に対して、少ないんじゃないかなと思われませんでしょうか。御意見を下さい。

川崎国務大臣 これも朝からやっている議論で、民主党さんの案の基本になるものとしては、配偶者控除をなくしましょう、それから高校生、大学生の控除はなくしましょう、それを金額に直して、中学生以下の児童手当に集中しましょうというお考えであろうと。したがって、配偶者控除というものをなくしてしまうという議論も、当然、我が政党の中でもしっかりやらなきゃならぬ話になってきますねということになりますね。それから、大学生の息子に対する税制的な支援はしないんですねということになると、また一つの議論にはなるだろうと。

 ですから、それは、民主党の案としてはそういう決断をされましたということは聞かせていただいた。しかし、私どもはそれに対して首をかしげておるというのが一つ。

 それからもう一つは、金額の問題としてはこれは一緒なんですね。我々は税控除をまだ残しておりますから、そういう意味では、税控除と児童手当、それから、今例えば公務員なら一万三千円の配偶者手当ですか、それに子供の手当が五千円か三千円でしょう、これが第一子、第二子、第三子と乗っていくわけですね。これを三つ合わせるとどういうふうに考えますか。この三つのグロスと他の国がやっている政策とどうであろうかと比較したときには、そう大きな違いはないのではないかな、こんな感じを私どもは受けております。

田名部委員 今、金額が多いか少ないかということをお伺いしたんですが、大臣、月におむつ代とミルク代でどのぐらいかかるか御存じですか。

川崎国務大臣 子育て経験が多い中野副大臣にでも答えていただいたらわかるかと、私はわかりません。

田名部委員 大臣、私もまだ子育て経験がございません。しかしながら、多くの同世代の子育てをしている仲間のためにも、やはりこの法案は大事だと思いますので、いろいろなことを調べてきました。大体平均で、おむつ代、ミルク代、高いミルクや高いおむつを使っている人もいるわけですから一定ではございませんが、月に八千円前後かかります。つまり、第一子が生まれて五千円の支援をもらっても、おむつ代、ミルク代といったことにもまだまだ足りないというのが現状なわけであります。

 ですから、そういった生活をしている生活者の実態を、どんなことに幾らお金がかかっているのか、どういうことを必要としているのかという、ぜひ国民の声をもっともっと聞いていただきたい、耳を傾けていただきたいな、そのように思います。

 さて、金額に続きまして、民主党にお伺いいたしますが、支給対象についても、政府案が小学校修了前なのに対して、十五歳以下の義務教育終了前と民主党はしておりますけれども、この趣旨は一体何でしょうか。

西村(智)議員 お答えいたします。

 支給対象の年齢を十五歳以下の義務教育終了前の児童とした趣旨でございますけれども、児童の養育に係る経済的な負担を軽減すること、このことと同時に、次代の社会を担う児童の健全な育成及び資質の向上に資するという子ども手当の目的にかんがみれば、小学校修了前の児童だけではなく、義務教育終了前の児童についても同様にその対象とすべきと考えたからでございます。

 ちなみに、諸外国におきましても、支給対象年齢は十六歳、十八歳、二十歳というふうに決められていることからしても、決して突出している年齢ではないと考えております。

田名部委員 そもそも児童という言葉が、辞書で引いてきました、児童福祉法では十八歳未満の者を言うとされておりますことから、年齢の点を見ても、かなり民主党案の方がこの児童手当といったものに即していると思われますけれども、大臣、こういったもう少し年齢を延ばして支援すべきということに関しては、どうお考えでしょうか。

川崎国務大臣 さっきからの議論というのは、要するに、財源をどこへ全体として求めていくかということでして、私どもは、そういう意味では、小学校までは税と児童手当による支援、そして中学、高校、大学は税による支援、あわせて企業からの扶養手当というものが出ていくんだろう。

 それを一本化して、高校、大学、それから配偶者を全部中学生以下にまとめてしまおうということについて、私どもは、正直言って、その政策がいいものなのかなという形で首をかしげているというのが事実でございます。

田名部委員 今、大臣から財源のお話がありました。

 そこで、民主党は、今回の手当支給の費用の全額を国庫負担するというふうにしております。これについて御説明をいただけますでしょうか。

郡議員 民主党案では、子ども手当の財源を全額国庫負担とするというふうなことにしております。

 現在、子供を持ちたい人が持てない原因として、子育てに係る経済的負担が重いということが上げられております。民主党では、これも重ねてお話をさせていただくことになりますけれども、党の政策として、チルドレンファースト、すなわち、子供一人一人がとても大切なんだ、第一番に考えていくんだという方針を掲げておりまして、この方針のもと、子供を持ちたい人が、子育てに係る経済的な負担を心配することなく安心して子供を生み育てることができる社会というのを目指しております。

 さらに、民主党は、控除から手当への転換を図っていく。すなわち、配偶者控除、それから扶養控除等の改廃、また手当の充実を主張しておりますけれども、現状として、子供に対する社会保障給付は、高齢者の社会保障給付と比較しまして十七対一と大変貧弱なものになっております。子供に対する施策をより充実していくことの必要性というのは、政府も既にお認めのとおりであります。

 以上のことを踏まえまして、今回の法案は、国として責任を持って子供を第一に考えていくんだ、チルドレンファーストの社会の実現に向け取り組んでいくんだということで、国の全額負担で子供への手当を支給するということにいたしたものでございます。

 ちなみに、イギリスやスウェーデンにおきましても、全額国庫負担でございます。

田名部委員 やはり先ほどから申し上げておりますとおり、子供は国の宝であります。そして、この国を支えていく、そんな子供たちをしっかりと社会全体で支えていくことが必要だろうと思うわけですが、今御説明の中にありました財源の確保に関してでありますけれども、所得税に係る扶養控除等の改廃といったお話がありました。もう少しこのことを詳しく御説明いただけますでしょうか。

郡議員 お答え申し上げます。

 将来的に、子ども手当の支給に要する費用というのは、国が全額を負担すべきであるというふうに申し上げました。当分の間は、現状からの激変を避けるための措置を講ずるわけでございますけれども、その財源ですが、所得税に係る配偶者控除、それから扶養控除などの改廃によって、およそ二兆円を見込んでおります。そのほかにつきましては、特別会計の見直し、それからまた公共事業のあり方の見直しなど行財政改革を進めることによりまして、徹底した歳入歳出の見直しにより捻出したいというふうに考えております。

 当分の暫定措置といたしまして、事業主と地方自治体には、現在御負担いただいております額に相当する額を引き続き御負担いただくというわけでございますけれども、残りの部分につきましては、特別会計の見直し、また公共事業のあり方の見直しなどによりまして、国が負担するものとしたところでございます。

田名部委員 私の目を通した資料の中にも、扶養控除を廃止して、それを児童手当に振りかえるだけでも、現行の児童手当の五倍弱程度の財源規模を確保でき、二十未満の児童一人につき、月額一万円の支給が可能となるというような文献が出てまいりました。民主党と違うところは、二十までの支援を考えたときに、月額一万円の支給がそれでも可能である、そういったことも出てきているわけです。ぜひこの子育て支援を国の責任として行っていただきたいものだ、そう思います。

 続きまして、午前中も議論がありまして、何度も恐縮でございますけれども、まず民主党にお伺いします。

 この児童手当、子ども手当を少子化対策だとお考えでしょうか。

小宮山(洋)議員 午前中もお答えいたしましたけれども、何々対策というと、あたかもそのことが悪いことで、そうならないように対策を講ずるというような考え方になります。私たちは、少子化対策というのではなくて、少子化への対応という見方をしておりまして、これは大きく違うところだと思っています。

 少子化対策というよりも、午前中からいろいろ申し上げておりますように、本当に政府が本気になって、安心して持ちたい人が持ちたい数の子どもを持てるだけの、一番大きいのがこの経済的な支援ですけれども、そのほか、働き方の問題、保育所の問題、さまざまな総合的な政策をとって、持ちたい人が安心して持てるようになれば、ヨーロッパの例などを見ましても、自然と結果として上がっていく。そこで、ですから、どれだけを目標にしてということではなくて、それぞれが、持ちたい人が持てるようにすれば、結果としてどの国の例を見ても上がってきているでしょう、それが民主党の考え方でございます。

田名部委員 午前中、大臣の御発言の中に、少子化になったその要因といいますか、そういったことについて御発言がありました。子供が多いのはどうかというインセンティブが働いたとか、国民の意識が子供を持たないようにというふうに働いた、そういった結果もあるのではないかと御発言されたかと思います。

 私は、そういうことは余りない、大きな要因にはなっていないのではないかと思うんですが、仮にそういった意識が働いて少子化になってきたとしても、それならば、これだけひどい状態になるまで政府は見過ごしてきたのではないかということになるのではないでしょうか。大臣、その点について、御意見をお願いいたします。

川崎国務大臣 ヨーロッパはどこでもふえるという、政策を打てばというお話がございましたけれども、ここでもお話ししたことがございます、フランスは、国民意識全体として、フランス人の人数が多いことがいいという一つの国としての意識、これが前提にありますよという話をしたことがございます。

 一方で、韓国の大使とこの間この問題でお話ししたんです。大使のお父さんは、私のように厚生関係の仕事、大臣をしたときがある、クリスチャンだったのに、逆に、産児制限というんでしょうか、子供の数を減らすという政策を韓国が組んだときに自分はそれを担当した、極めて苦しんだ、自分のクリスチャンとしての意識と子供を減らさなきゃならないという意識の中で、大変私の父親は悩みましたという話を、実は韓国大使からお聞きしたんです。中国も今一人っ子政策をやっている。

 我が国も、私どもが生まれたときは四・三という出生率なんです。それがどうして六、七年で急に二人までに下がったんですかということになれば、家族計画というものがあって、子供の数、四人もずっとというのは人口もどうであろうかという議論があって、社会全体として、一家に子供二人、二・二ぐらいでいいかなという感じがあったんでしょうよという流れがありました。

 その中で、その後、これは韓国も台湾も日本も同じでございます、学歴社会でだんだんだんだん女性の高学歴化というものが進んで、そこに対して職場なり社会というものが対応できないでいた。国民意識自体も、何となく我々の時代の、子供をそんなにという時代の流れの中にいた。

 したがって、今ここで転換すべきは、私はそういった意味で、十二月の二十四日ですか、日本の国の人口は一万人減ります、いつもだと元旦に発表するんです、一月一日に。だけれども、お正月の議題にしてもらおうと思いまして、一週間前にあえて発表いたしました。まさに人口が減る社会になってきた。国民全体で我が国のありようというものを考えてもらおう。その中において、社会というものができ上がり、家族というものができ上がり、そういうものがあるんだろう。いや、個人からでき上がるんだと言う人たちもいらっしゃるけれども、一方で、国民の意識というものもあるわけですから、私はやはり、国民も、みんなで協力し合いながら日本の人口を少しふやそうじゃないかという方向にベクトルが変わっていかなければならないなと思っています。

 そういう意味では、企業の対応、我々の対応もそうだったかもしれない、国民の対応も、全体的に少子化という問題を余り深刻に考えずに来てしまったことは事実だろう。まさに今委員が御指摘のように、一・二九という状況になって、まさに我が国の人口が減るということになって、みんな挙げてやらなきゃならないなという意識にそろそろ固まりつつあるな、こんな感じを受けております。

田名部委員 少子化の問題もそうであります。人口というのは急にふえるわけではありませんので、やはり、情勢を見きわめて、しっかりとしたデータをとりながら、正しい政策をつくり上げて実現していくことが大事なんだと思います。

 それは、この委員会で申し上げれば、やはり今回、医療制度の改正がありますけれども、医師不足についても同じことだと思います。こんなにひどい状態になるまでわからなかったのかといえば、決してそんなことはなかったはずです。本当に国民の医療をどうするのか、この少子化の社会を次の世代のためにどうやって支えていくのか、どういう社会をつくるのか、常に真剣にいろいろなことを考えて取り組んでいかなければならない。手おくれになってから、さてどうしようと慌てたところで、ここにおられる皆さんも、若い方がいっぱいいらっしゃいますけれども、もっともっと、本当にこれからの社会を支える若い人たちが、これからこの大変な国を背負って生きていかなければならないわけです。自分たちはもういなくなるから、仕事をやめるから、死んじゃうからいいということではなくて、やはり次の世代にいい国を残していくために、しっかりと互いに力を合わせていくべきじゃないか、そのように思います。

 今回の児童手当ですけれども、少子化対策であるかという政府に対するさまざまな御質問の中で、いろいろな要因はあるけれども、経済的な支援、つまりは少子化対策の一環にはなっているのではないかという御発言があったかと思いますけれども、これまで続けてきてどのような効果があったとお考えでしょうか。

北井政府参考人 児童手当単独の制度による効果というのはなかなか難しいわけでございますが、しかし、児童手当につきましては累次の改正を重ねてまいりまして、例えば、今回の改正におきましては、小学校三年修了前から小学校修了までに引き上げます。そして、その前の十六年改正では、義務教育就学前から小学校三年までに引き上げたわけでございます。前回の改正も今回の改正も、それぞれ数百万ずつの対象児童数の拡大を見ております。

 そうしたことで、累次の引き上げによりまして、こうした児童を養育されておる多くの家庭の生活の安定と児童の健全育成、資質の向上に効果があったものと考えております。

田名部委員 効果があったとお考えだとお答えになったんでしょうか、ごめんなさい。

北井政府参考人 平成十六年改正におきましても支給対象年齢を引き上げました。そうしたことによりまして、数百万単位で支給対象児童数がふえました。そういうことによりまして、児童を養育しておられる多くの家庭の生活の安定ということに資したというふうに考えておりますとお答えを申し上げました。

田名部委員 どうもありがとうございました。

 制度が新しくなって、支給される年齢が引き上げられたり、額がふえたりとか、そういうことになれば、もちろんそれは支援される側にとってはいいことでありまして、私がお伺いしたのは、これまでこの制度を続けてきて、効果がおありだとお考えですかということであります。お答えください。

北井政府参考人 児童手当制度単独の効果というのはなかなか難しいと思います。これまでも議論がなされておりますように、経済的支援のみならず、働き方の問題や保育あるいは地域の子育て力の強化充実といったようなことも含めて、さまざまな総合的な施策を強力にやっていかなければいけないということでございますので、そうした意味において、例えば児童手当制度の少子化に対する単独での効果と言われても、なかなかお答えが難しいというふうに考えております。

田名部委員 御説明のとおりでありまして、この少子化というのは、もう私が申し上げるまでもなく、いろいろな要因があってこういった社会を招いてきたのだと思いますけれども、しかしながら、政策の面から考えたときに、午前中の大臣の御発言にもありましたけれども、縦割り行政の弊害というものが出ていないだろうかということを私は大変感じるわけであります。

 例えば、文部科学省では文部科学省での子育てに対する支援だとか、そこに対する予算をとるわけであります。そして、厚生労働省は厚生労働省で、子供に対する政策を立ち上げ、そこに対する予算をつけるわけであります。

 しかしながら、国全体の財政が大変厳しい、そんな中にあって、この少子化を本当にどうしていくのか、縦割りを外して、やはり国全体で、少子化対策なら少子化対策、文部科学省も厚労省もなく、一緒になって、どういう支援が一番手厚い支援ができるのか、有効的なのか、効果的なのかということを議論する時期に来ているのではないかと思いますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

川崎国務大臣 さまざまな施策を実行しますときに、例えば、私の隣の村は、三人目の子供が生まれたら百万円のお祝い金が出ます。三人目の子供でお祝い金が出ます。また、ある地域では、二十歳代の若い人が住んでくれるなら、家賃を免除しましょう、家賃を応援しましょう。

 要は、まず、国、県、市というものが重層的に役割を担っていくんだろうと私は思っているんです。そういう意味では、児童手当という制度も、またさまざまな福祉制度も、これは国がやる、これは市がやるというものではなくて、三つが重層的に組み合わせながらやっていくものだろうとまず第一に考えています。

 もう一つは、教育という問題と厚生という問題を一本でとらえたらそれで済むのかということになりますれば、先ほどから議論していますように、女性の雇用の問題となると、どうしても労働関係という仕事が入ってまいります。企業に話をしなきゃならないということになれば、経産省という役所が入ってまいります。

 役所の中で、厚生労働省、厚生分野、労働分野、教育の分野の文科省、また経産省、さまざまな役所がそれぞれの責任の中でやっていく。これを一つにせいと言っても、正直言って無理ですね、とてつもないでかい役所をつくってしまうわけで。したがって、その機能をどうやってとらえていったらいいかということで、猪口さんという担当大臣を内閣府に置いて、今申し上げた各省庁、ちょっと外しました、総務省という役所がありますね、当然地方がかかわるから総務省、そこときちっと調整をしながらやっていこうということで、専任大臣を置かせていただいた。

 そういう意味では、委員の御質問の半分ぐらいはその方向にあって、その大臣がきちっと全体を掌握しながら、各省を督励しながら、また地方自治体、県、市と連携をとりながらやっていくというのが福祉政策全体の概要であろうと思いますし、少子化対策というのは、まさにそのレベルで全部が動いていかないと、とても政策の有効性が担保できない、このように思っております。

田名部委員 ありがとうございました。

 まさに全体で力を合わせてやっていくべき対策だろう、そのように思っております。

 ただ、例えば、今、認定こども園というのがあるんですが、これは文科省と厚労省と両方の省にまたいでの政策なんですけれども、今、幼保一元化に向けたモデルケースで、そういった施設がありますが、このことも、役所の皆さんにお伺いすると、別に役所の皆さんを責めるわけではないですけれども、お伺いしますと、ちゃんとばらばらにならないようにやっていますという御説明を聞きます。

 しかしながら、実際にモデルケースとして立ち上げている方から聞くと、会計がばらばらだったり、出す資料がばらばらだったりで、大変なんですというようなお話も伺いますので、これは今の話とちょっと外れてしまいましたけれども、そういった一つの政策に向けていくときに、やはり互いが多くの議論を交わして、ばらばらにならないよう、そして無駄な予算の使い方にならないような、そういった深い議論をしていただきたいと思いました。

 大臣の今の御発言の中で、各自治体でいろんな支援策をしているというお話がありました。まさに、これは国ではなくて、自治体が苦しい財政の中で、自分たちで少子化社会を何とかしなければいけないという必死の思いでやっている事業ではないか、私はそのように思うわけです。私は、国の行っております三位一体の改革、これによって多くの地方は大変苦しんでいる、そのように感じております。

 例えば、いろんな政策を掲げて義務づけるけれども、あとは地方に丸投げというか、予算も一緒に丸投げしてくれればいいんですけれども、そうではない、予算はひもつき、いろんな手足を縛りながら、しかしながら自治体でやってくれといっても、これは自治体にとって酷ではないか、やはり権限と財源をしっかりと渡して、各自治体の実情に見合ったそういった政策を自治体なりに行っていけるようにしていくべきではないかと私は思いますが、大臣、どうお考えでしょうか。

川崎国務大臣 今のところの議論は、交付金という形でひもつきにして出すというのは余りよくないね、したがって税で出しましょうという議論をしてきたわけです。

 ただ、税で出しましょうという議論をしますと、所得税が多い自治体ほど受けるものが多くなってしまう。青森県なんか受けるものが少なくなってしまう、こういう問題が出てくる。したがって、三位一体改革の中の議論で、少額の補助金を割って渡してしまったときに、本当に担保されるかなというものを悩みながら我々やっていることは事実でございます。

 したがって、一たん、三位一体改革、一つのテーマが終わりましたので、次の国と地方の分権のあり方というのを議論していくことになろうと思いますけれども、その中で、財源というものを本当にどうするんだというのをきちっと議論しませんと、豊かな地域へどんどん財源が流れていく、財源の小さな県は疲弊していくということにつながりかねない。そういう面では、実は厚生労働省もある意味では同じ立場でございます。

 簡単に、三位一体改革だ、どんどん渡せということでやってまいりますと、本当に地方がもちますかね、そうなるとやはり第二交付税なんという話になってきてしまう。次の三位一体改革の議論というのは、しっかり委員の御意見も受け取りながらやってまいりたいと思います。

田名部委員 ありがとうございます。

 私のような、まだ新人議員の意見も大臣が聞いてくださるということは大変ありがたいことでございます。

 少し時間がございますので、民主党の政策、もっともっと皆さんにお伝えできるような質問をしなければならなかったのですが、最後、何点かお伺いしたいと思います。

 児童育成事業にかかわる規定についてでありますけれども、民主党案ではこの児童育成事業にかかわる規定を削っているんですけれども、現行の児童育成事業は不要だと考えているのか、その点をお聞かせください。

郡議員 私ども、今回、「家庭における生活の安定に寄与する」との規定を削らせていただきました。「児童の養育に係る経済的負担の軽減を図る」というふうにさせていただいたところでございます。

 重ねて申し上げますけれども、民主党案は、チルドレンファースト、子供一人一人がとにかく大切にされるんだ、第一にされるべきなんだという方針のもとに、子供一人一人に着目して、子供が安心して育つことができるように、そしてまた親御さんが安心して子供たちを育てられるようにすべきだという考えに立ったものでございます。

 「家庭における生活の安定に寄与する」という防貧的な所得保障政策というような形での位置づけをあらわす言葉を避けさせていただきまして、これを改めまして、「児童の養育に係る経済的負担の軽減を図る」ということとさせていただいたところでございます。

田名部委員 それともう一点、施行期日を平成十八年四月一日としているんですが、これは実務上可能なのでしょうか。

小宮山(洋)議員 この法案では、四月分から子ども手当の受給資格を有する者等に対しては、子ども手当の支給及び額の改定に関する経過措置など、必要な経過措置を設けておりまして、適切な支給が行われるよう配慮しております。また、最初に支給される四月、五月分の子ども手当は六月に支給されることになっているため、これは子ども手当法七条四項でございますが、子ども手当の支給には支障がないものと考えております。

田名部委員 ありがとうございました。

 これまでも、先ほども申し上げましたけれども、政府は、少子化対策そして子育て支援として、いろいろな政策を打ち出してきました。上げてみれば、エンゼルプラン、新エンゼルプラン、待機児童ゼロ作戦、少子化社会対策基本法、次世代育成支援対策推進法、子ども・子育て応援プラン、まだまだありましたが絞らせていただきました。次々とこういったプランを立ち上げているわけです。しかしながら、こういったことはそう簡単に結果の出るものではないのではないか、そう思うわけです。

 こういったことに対してきちんとした検証が行われて新たな政策を打ち出しているのか、まずその点をお聞かせください。

北井政府参考人 実証的な研究について行うべきだという御指摘は、この審議でもいただいているところでございます。私どもといたしましても、なかなか総合的な少子化対策の効果検証というのは難しい面もございますけれども、そして国際的な学究成果を見てみましても、必ずしもぴんとくるものがそうあるわけではないのでございますが、いろいろ国際的な学究の成果なども勉強させていただきながら、今後また検討していきたいというふうに思っております。

田名部委員 ぜひ、新しいものを次々と上げればいいというものではなくて、一つのことをじっくり腰を据えて、改善すべきは改善しながら進めていくことも大事なのではないか、そのように思います。立ち上げた政策に対してしっかりと責任を持って、どういった変化があるのか、効果があるのか、必ずその検証をしていただいて、検討をして、また次に踏み出すということをしていただきたいなと。そうでなければ、結局は中途半端になって、だれのためにもならない、ただ予算がついてお金だけが無駄に流れていくということになりかねないのではないかな、そのように思います。

 先ほども大臣からありましたが、私の地元でも、こういった国の少子化対策ということを受けて、保育園、幼稚園に通う第三子に対する負担軽減措置というものを行っていました。すくすく子育て支援とか、そういう名前をつけてやっていたわけです。しかしながら、それがどうなったかと申しますと、お金がないから、財源が苦しいのでといって廃止になりました。県では廃止になって、私の地元であります八戸では、苦しい中、何とかこれを続けていこうじゃないかと言っているんですけれども、これが地方の実態なんです。

 ですから、先ほど申し上げたように、必要な予算をしっかりと確保して地方に渡してあげるということをしなければ、次々と打ち出すプランにも地方の方がついていけない。余り次々と何でもやらないで、先ほどから申し上げておりますとおり、この国を担う子供たちを、そしてその子供を育てる親たちを、そしてさらには高齢化社会を支える世代に対して手厚い支援をしていただきたい。

 先ほども申し上げましたが、私はまだ独身で子育てをしておりませんけれども、いずれ子育てをする、その仲間入りをすることとなると思いますが、ぜひ、そのときのためにも、安心して子育てができるような、そんな社会づくりに頑張っていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

岸田委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党・無所属クラブの西村智奈美でございます。今度はこちら側に参りまして質問をさせていただきます。

 今回の政府から提出されております閣法について、恐らくいろいろな方がいろいろな感想をお持ちなんだろうと思います。国の補助金の整理及び合理化に関する法案ということで、中身、それから趣旨、目的、全く異なるものが一本の法律として提出をされた。私は、このように批判的に見ているものでございます。

 今回は、概要といたしますれば、児童手当法の一部改正、それから児童扶養手当法の一部改正、国民年金法の一部改正、それから公的介護施設等の整備促進法の一部改正、こういうことでございますけれども、まず冒頭、この法律のスタイルが極めてわかりにくい。非常に審議も、本当に一つ一つこれらの法案を見ていきますと論点がたくさんあると思いますけれども、こういうスタイルでは十分審議ができない、このことを申し上げたいと思います。

 それで、まず最初に、三位一体改革に関連して幾つかお伺いをしたいと思います。

 先ほど田名部委員も、今の三位一体改革、地方にとっては大変厳しいものであるというような指摘がございました。私も同様だと思っております。つまり、今、国では、行政改革推進法案の取りまとめ、そろそろ提出かと思われますけれども、定数の削減というような流れの中で、極めて厳しい行政改革に取り組んでいる最中でございますが、一方で、この三位一体改革と、そして市町村の合併です。これらで大変な激変を強いられてきたこの数年間ではなかったでしょうか。補助金の削減と、それから交付税改革と、税源の移譲、この三点セットが行われるということであるわけなんですけれども、どうもここ数年間の流れを見てまいりますと、一体これは何のための改革だったのだろうかと改めて考えることがございます。

 特に今回の厚生労働省所管部分の補助金改革の中身を見てもそうだと思いますけれども、厚生労働省は今回、生活保護費の負担金の引き下げ、これを当初提案されたようでございます。これが実は非常に地域から、地方から猛反発を受けて、最終的にはやらないということになりましたけれども、ここに含まれた自治体の思いを、ぜひ厚生労働省は酌み取るべきだというふうに思います。つまり、生活保護は法定受託事務、しかも、それが国から地方へ補助金が移管されるということで、これ以上の生活保護世帯の増加が、もう既に百万世帯を超えたという中で、これ以上の事務はできないということで事務返上の動きがございました。これは記憶に新しいところでございます。

 今回の厚生労働省所管の国庫補助負担金である国民健康保険、それから児童手当、児童扶養手当の国庫負担率の削減、こういったものが今回の三位一体改革の中では大部分を占めておるわけでございますけれども、これらは決して、三位一体改革が本来的に目指したところの、地方の自由度を高める、裁量を高める、こういったことにはつながっていないのではないか。これは単なる負担率の変更でございます。

 これで本当に分権のための改革と言えるのかどうか、このように考えておりますけれども、厚生労働大臣、ちょっとこれは通告をしてございませんが、この三位一体改革の意義というものについて、大臣はどのようにとらえていらっしゃるんでしょうか。

川崎国務大臣 基本的には、できるだけ判断を住民の近いところでした方がいいだろう。したがって、財源と政策を地方になるべく移していった方がいい。しかしながら、一方で、国として全体の調整をとらなきゃならない部分もある。したがって、厚生労働省全体としては重層的な役割を果たしていくんだろう、このように私は思っております。

 例えば、今回の知事さん、市町村長さんとの議論は、三位一体改革の中で生活保護の問題もしっかり話し合いましょうということで、二年間話し合いを続けてまいりました。生活保護というものについては、御承知のとおり、生活費の補助と住宅、それから医療の提供、この三つがございます。

 この中で、住宅、医療というものについては、国で基本的なものを定めるよりは、地方でお決めになった方がいいであろうと。

 地方の住宅事情、もちろん我々は調べて基準をつくっているんですよ。しかし、それは地方の裁量に任せた方がいいんじゃないですか、こういう議論をいたしました。また、入院の問題につきましても、これから医療制度改革の中で、より在宅へ近い形で、老健、またケアハウスという形で動いていきます、そうしたものについてもやはり県が一人一人の方々にこういう医療から介護、そうしたものの指導というんですか方向づけをしていった方がいいだろうと。それによって医療費全体、また生活保護費全体を適正化できるならば、お互いの考え方に資するのではなかろうか、権限もお渡ししましょう、そして地域でのいろいろな話し合いも地方自治体が中心になってやってください、こういうことで議論してまいりました。

 しかし、一方で、向こうの方からは、これは国がやるべき事務である、したがって全額国が負担すべきだ、いや、全額はしていませんね、我々四分の三、地方が四分の一負担していただいておりますねと。

 実は、そもそもの三位一体改革に戻ってしまうわけでありますけれども、それでは、地方が担うべき仕事、国が担うべき仕事は何ですかという議論をし出しますと、生活保護の場合は、例えばイギリス、フランス、こういう国々は全額国が責任を負っております。分権が進んでおりますドイツという国は、当然州がすべての責任を負っております。アメリカは、我が国同様、国と地方が重層的な役割を果たしております。では、我々はこれからどこの方向へ進むんでしょうか、分権という中でどちらの方向へ進むんでしょうか、こういう議論もいたしたわけであります。

 最終的には、西村議員の言われるとおり、これはどうしても地方はその負担というものを変えるわけにいかぬと言われるものですから、その話し合いの中で児童扶養手当という問題はどうでしょうかとお話を申し上げたところ、さまざまな議論がございました。いっそすべて自分のところでやろうかという御意見もありました。いっそ全部地方の負担でやろうか、もちろん税源移譲が前提ですけれども。こういう議論もありましたけれども、最終的には児童扶養手当については、やはり国と地方が重層的に担うべきだろうという結論に至ったという中で、実は今回の提案のような形になりました。

 そういう意味では、児童手当についてはそこまでの議論をいたしておりません。児童手当については、基本的には児童扶養手当と同じような形の整理をしましょうということで一つの結論がついた。

 実は、ここまでは、地方の皆さん方とけんけんがくがくやりました。反対論も多うございました。しかし、一方で、今回提案しております特別養護老人ホームの施設整備に係る補助金、財源移譲、厚生労働省、よくそこまで踏み込んでくれたなということで、知事さん、市長さんから厚生労働省の今回の決断というものを大変評価していただいている、このように考えております。

西村(智)委員 私は大臣に、大臣が三位一体改革の意義をどのようにとらえておられるのですかと伺ったんですけれども、そのことについての答弁のかわりに、児童扶養手当、それから児童手当の方まで、随分と延々と御答弁をいただきました。

 私は、やはり、今回の三位一体改革の第一期分が新年度予算編成で終了するわけですけれども、地方六団体あるいは地域、地方自治体と言ってもよろしいかと思いますが、そちらの方の要望があった部分が受け入れられたものもあると思いますけれども、実際には六団体が望んでいない補助金の改革が極めて多かったのではないかというふうに考えております。

 今ほど大臣が、生活保護費がだめだったら、では児童扶養手当はどうですかと言ったら、そちらの方は、ではまあ話に乗りましょうというような話し合いがあったということは、つまりこれは、数合わせのためにどこをどういじるかということがそもそものこの三位一体改革の発端にあったからではないでしょうか。

 それで、今回の、ことしのいわゆる三位一体改革、厚生労働大臣はどのように評価をしておられますか。

川崎国務大臣 他省のものはわかりませんけれども、我が省の問題については最終的に知事さん、市長さんと合意に至った。最終的には、いろいろ議論はあるけれども、両者が納得ずくで制度変換はしていかなきゃならぬな、こう思っておりますので、両者の合意にこぎつけられたということについては、私自身、よかったなと思っております。

西村(智)委員 それで、三位一体改革の第一期分はこれで終わるわけでございます。来年から三位一体改革第二期分が始まると承知をしておりますけれども、まあ大体うまくいったのではないかというような今の大臣の御評価でございましたが、この第二期改革に向けて大臣はどのように対応していかれるおつもりでしょうか。竹中総務大臣は、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会などというものを設置いたしまして、ここで六月をめどに歳出歳入一体改革についての中間的な取りまとめを行うというふうに言っておりますし、そのビジョン懇の中で消費税のあり方についても検討していくんだ、このように発言をしておられます。

 当然のこと、補助金、交付税、税源移譲、この三点セットは第一期分から第二期分も引き続き行うというふうに言っておるわけですけれども、厚生労働省として、この三位一体改革、どのように対応していかれるんでしょうか。つまり、座して待つのか、あるいは厚生労働省として積極的にこの改革に資するものについて早期から検討していくのか、どのように対応していかれるんでしょうか。

川崎国務大臣 この間の参議院でも、地方は難病対策の予算を要求はしていない、こういう御質問がございました。疾病対策全体として入れてあったものですから、誤解があったようでございますけれども、その中に入っている。したがって、がん対策とか難病対策とか、こういうものまで全部地方に財源を譲るべきだという御主張になっておりましたけれども、正直言って、いろいろな皆さん方の御議論を聞いていくと、そうではないですねと。がん対策にしても難病対策にしても、国と地方が重層的にかかわり合いを持ちながらやるべきであろう、どちらかが全部担うべきというお考えはどうもないんだなという感じがいたしております。

 そうなりますと、基本的に国が何を担い、地方が何をやりという整理を、厚生労働関係に限って言えば、お互いがまず整理をしてからかからなければならないねと。片っ方がメニューを出し、その中でどうですかという話ではなくて、どれを国が担うんですか、どれは地方がやるんですか。例えば今回の民主党さんの御提案ですと、児童手当は今までは重層的に担っておりますけれども、すべて国がやるんだ、こういう形に変わるわけですね、当然、変わるわけです。ですから、それも一つの見識だろうと思うんです。したがって、いや、我々は重層的に担うんです。ですから、そういう意味では、向こうからこっちへ変わるわけですね、今度。税源も移ってこなきゃならないんだろうと思いますけれども、民主党の案なら当然。

 そういうように、何を国がやるべきか、何を地方がやるべきか、厚生労働関係に限って言えば、きちっと仕分けをした上で地方と話し合いをしたいな、こんな思いをしている。それを出発点にしませんと、言われるような、数字合わせという御批判を招くことになるかもしれぬな、私は数字合わせとは思っておりませんけれども。(発言する者あり)

西村(智)委員 数字合わせの最たるものでございますと私も思います。

 それで、先ほど大臣が、重層的に国と地方で取り組む、例えばがん対策、難病対策とおっしゃいました、これは私もそうだろうと思います。国と地方がきちんとできること、やるべきこと、役割分担をするところからお金の話もついてくる、これもそうだろうと思います。

 ただ、特に厚生労働省に強く申し上げたいのは何かと申しますと、この重層的にという言葉が時々、逃げるときの理由に使われてしまうことがある。つまり、野球のゲームでよくありますけれども、バッターがフライを打つ、そのフライを外野の守備が、例えばレフトとそれからセンターが、真ん中でどちらに落ちるんだろうか、顔を見合わせているうちにぽとんと落ちてしまう、拾えないというようなことがぜひないようにしてもらいたい。つまり、これは国でもやるし地方もやるといったときに、最終的にどちらが責任をとるのかというその責任の所在があいまいになることによって、私たちの生活の安心、安全、これらがぜひ損なわれないようにしていただきたい。これは強く要望を申し上げます。

 そこで、次に、提出されております法案に入る前に、厚生労働省の考え方をもう少し伺っていきたいと思いますので、そのために、次世代育成支援対策推進法、これについてちょっと伺っていきたいと思っております。

 平成十七年の四月一日から施行されまして、私も実は地元でこの法律について聞かれることが大変多くございます。こういう法律ができたんだってね、次世代育成支援というから、どんなにか中身の伴ったすばらしい画期的な法律だろうかということの期待を込めていろいろな話を聞かせていただくわけですけれども、どうも中身が、タイトルから見たところ期待できるようなものになっていないのではないか、私はそう思っております。

 行動計画をそれぞれ企業なり自治体なりが策定するということになっておりますけれども、例えば、企業が行動計画をつくるときも、三百一人以上の企業を対象としているということでございます。三百一人以上の企業、では日本全国でどのくらいあるのかと見てみれば、全国、本当にすくうようにして見て、全企業数は大体百五十万程度と言われているそうでございますけれども、このうちほんの一万二千社余りということでございますね。全体的な企業数から見れば一%にも満たない。そこで働いている人たちはおよそ四割ぐらいがカバーできますよということですけれども、実はこれを、例えば三百一人以上ではなくて百一人以上というところに線引きを変えれば、カバーできる労働者の比率というのはもっと大きくなるというふうに思います。

 そして、行動計画についてでございますけれども、行動計画も策定したということを届け出すればそれで中身を問わない、こういう仕組みになっております。

 働く人たちから、この次世代育成支援対策推進法をもう少し強力にやってもらえないものか、こういうような声もあるわけでございますけれども、まず、この推進法、次世代育成法と呼ばせていただきますが、この法律を制定したその意図は何であったのか、改めてお聞かせいただきたいと思います。

中野副大臣 企業におきましては、仕事と子育てを両立しやすくするためには、いわゆる企業に何らかの措置を一律に義務づけるというんじゃなしに、各企業が自社の現状と課題を把握して、課題に応じた目標と目標達成のための手段を定めて自主的に取り組むことが重要であると考えておるわけであります。

 このために、昨年四月からの、今おっしゃった次世代法につきましては、今言ったような企業の自主性によって取り組むという考え方によりまして、何よりもまず企業の自主的な取り組みを促すことに重点を置きまして、企業の負担に配慮しつつ、その規模に応じて、行動計画の策定、届け出の義務、または努力目標を定めたわけでございます。

西村(智)委員 ちょっとよくわかりませんでしたけれども、企業の自主的な取り組みを促す、こういうことでよろしゅうございますね。

 そういたしますと、企業の自主的な取り組みを促す仕組みとしても、本当にこの推進法でできるんだろうかと。これは十年間の時限立法ということになっておりますけれども、行動計画、届け出をするだけで、その中身は認定申請をするまでうかがい知ることができない、こういう仕組みになっております。二年たってみて、認定を希望するところは申請することができるということでございますけれども、実際にこの申請をする予定のところは、届け出をしている一万二千社の中で約二割程度ということで極めて低い数になっておりますし、また、その行動計画の中身についても、私はちょっと実は心配をしております。

 私たちが普通に考えて行動計画とか目標といいますと、今自分たちが立っているラインよりも少しでも高い目標を掲げて、それを達成することを目指して実践していく、善意に考えれば、性善説に立って考えればこういうことなんですけれども、実際に、例えばこういうケースは考えられませんか。ある企業が認定を受けたい、二割しかないところですけれども、認定を受けたいというときに、そのハードルをクリアするために、自分たちが達成しているラインよりも低いところ、あるいは既に達成したラインを行動計画の目標としてやっているところはありはしないか。

 これは、企業の自主的な取り組みを促すどころか、むしろその活動を逆行させる、流れをとめるようなことになってしまっておりますけれども、私はやはり、企業の自主的取り組みを促すにしても、例えばもう少し人数のラインを低くするとか、あるいは行動計画の公表義務を課すというようなことが必要ではないか、そしてまたその運用の仕方についてももう少し工夫する必要があるのではないかと思いますが、これについて伺います。

中野副大臣 平成十七年の十二月現在で届け出状況が約九七%なんです。今お話しの、企業が仕事と子育ての両立をしやすくするということは、決して法律だからとかというようなことじゃなくて、自分たちの企業のためにやるということが一番大事なわけですね。ですから自律という話をしておるわけでございます。

 それから、そういう意味で、三百人以下、これが三百人が百人がいいかという議論はありましょうけれども、少なくともこのことを実行する上において、我が国においての中小企業のいろいろな存在に対する考慮というものもありました。それからまた、そういう中で、あくまでも企業の自主的な動きを推進しよう、そういう意味でもって、今とりあえず三百人以下については努力義務にしてありますし、また計画の公表義務はないということについても、そういう立場でもってこのことをやっているということについては御理解を願いたいと思います。

西村(智)委員 それでは、ちょっと視点を変えて一点伺いたいと思うんですけれども、自主的な取り組みを促すことによって、企業も子育てを応援していくような社会的な雰囲気を醸成していこうということがここの次世代育成支援法の立法意図の中に含まれているのではないかと思います。これで本当に子供を社会全体で育てていこうというふうに国民的な意識、社会的な雰囲気が醸成されるとお考えになっておられるのでしょうか。

中野副大臣 委員の御心配についてはある程度納得できるところもございますけれども、しかし、少なくとも、次世代法に基づくところの企業の行動計画を策定した時点におきまして、各企業がいろいろ目標を出してそれをやろうとしているわけでございます。ですから、とりあえず今の段階においては、その目標に向かって各企業に頑張ってもらう、それが大事でございまして、これは、これから、特に計画が二年以上五年以下であるということで期間がございますけれども、その中で、今我々は、ぜひとも企業がそういうことについての行動を具体的にやってもらう、それについては、取り組んだ企業に対しては認定を行うとか、いろいろなインセンティブも考えておりますから、そういう点ではある程度進むと思っております。

    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕

西村(智)委員 非常に苦しい御答弁だったと思うんですけれども、これでやはり本当に意識改革につながるかどうかというのが私は一つの大きなポイントだと思うんですね。

 今ほど伺っておりますと、そういうことで御理解いただきたいとか、二年たって認定という仕組みもありますのでというような非常に苦しい御答弁だったと思うんですけれども、やはり、事ほどさように、一つ言えるのは、子供を社会全体で育てていくという雰囲気をつくっていくというのはそんなに簡単なことではないというふうに思います。できれば、この次世代育成支援法も、行動計画を公表するときに何らかの便宜を図るというような仕組みについて、ぜひ厚生労働省の方で取り組んでいっていただきたいと思いますけれども、やはりこの質問の中で改めて感じましたのは、なかなか難しい問題なんだな、社会的な雰囲気、国民意識の形成というのは難しいんだなということを改めて感じました。

 そこで、次に、児童手当法についてお伺いをいたしたいというふうに思います。

 社会全体で子供を育てていく雰囲気づくりが非常に難しいと言われている中で、やはり、立法府といたしましては、法律をつくることによってそういった雰囲気をつくっていく、そのことが課せられた役割の一つであろうと思っております。そういった点からいたしますと、今回政府から出されております閣法は、支給額は変えることなく、対象年齢を小学校修了時までに引き上げる、そして所得制限を多少緩和するというようなことになっておりますけれども、やはり、ここは大胆に抜本的にこの制度を見直していくこと、そして、本当に社会全体で子育てを見守っていく姿勢がこの国にはあるんだということを示していくことが私は必要だと思っております。

 そういう意味で、私たち民主党が今回提案しております子ども手当法案は、先ほどからもいろいろな御説明をさせていただいておりますけれども、所得制限の額を設けずに、しかも、義務教育終了時まで。これは、高校、大学は奨学金で別途、別の支援方法を考えてまいりましょうということでございます。子供を大切にする、そういう社会をこの法律をきっかけとして、スタートとしてつくっていきたい、そういう思いで提案させていただいたものでございますけれども、まず、児童手当法の提出に係る経過を見ておりまして一点気になることがございましたので、そこから伺いたいと思います。

 今回の予算編成、三位一体議論の中で、児童扶養手当を三分の一に国庫負担率を引き下げた、そうしたら、児童手当も同じ子供のテーマなんだから国庫負担率を三分の一に引き下げたらいいじゃないか、こういう話が出まして、それで今回の国庫補助率の引き下げにつながった、こういうことでございますけれども、私は、この経緯を読みまして、これで本当にこの国の子育て支援は大丈夫かと非常に大きな懸念を持ちました。

 少子化というのは国の重要テーマであるはずでございます。それを、同じ子供の話だからというので、児童扶養手当の問題はまた別途といたしまして、これで本当に少子化対応が適切に行われるのでしょうか。この辺、どのようにお考えですか。

川崎国務大臣 もちろん、この議論の中に、最終的には財務省それから総務省も入ってもらいまして、財源手当てをしっかりするということで合意いたしておりますので、そういう意味では、国がやるから重要な施策で、地方がやるから重要な施策ではないという価値観は、私ども持っておりません。

 そういう意味では、重層的にやっていく、児童扶養手当と児童手当の整合性はとらせていただいた、これは御指摘のとおりでございます。

西村(智)委員 私も、国がやるから重要で、地方がやるから重要でないなどということは一言も申し上げておりません。そこはぜひ誤解なきようにしていただきたいと思います。

 ただ、国として少子化が重要なテーマですよね、それを、同じ子供の話だから。これは連絡協議会の場でそういう話になったんだそうでございますけれども、どうも私の目から見ると非常に安易な経過をたどっているようでございますが、それで本当にこの問題に対応するおつもりがあるのかどうか、そのことは、政府の責任の重さを重々自覚していただきたいということを申し上げます。

 そこで、ちょっと順番を変えますが、財源手当ても十分にされたというような今の大臣の御発言でございました。児童手当の財源措置について伺いたいと思います。

 今回、対象年齢が引き上げになったということで事務負担が増加するのではないかということで、ある自治体の方から聞かれました。その児童手当の対象拡大に伴う事務負担の増加分について、財源措置についてはどのように充当されるのか、これについて伺いたいと思います。

北井政府参考人 児童手当の給付に係る事務費につきましては、市町村の事務として同化定着しておりましたことを踏まえまして、既に平成十六年度に一般財源化をされております。そして、総務省において地方交付税の基準財政需要額に算定したものと承知をいたしております。

 それで、今回の支給対象の拡大によりまして、システム改修経費や広報関係費用等が生じますわけでございますが、こうした所要の経費につきましては、総務省におきまして基準財政需要額に算入されておりまして、こうした事務の運営に当たって支障は生じないというふうに考えております。

西村(智)委員 そうなんですよね。

 そういたしますと、ちょっと確認なんですけれども、三月の十日の厚生労働委員会で寺田稔委員が質問をしておられます。

 地方自治体が児童手当事務を行う、そして実際の支給も行っていく、済みません、寺田委員、ちょっと議事録を読ませていただいておりますけれども、そうした中で、当然のことながら十分な財源を地方のために確保してやることが必要なわけではございますが、その税財源、どうやって移譲するのかというような御質問で、北井政府参考人は、児童手当に係る地方特例交付金の創設等によって適切に処置されるというふうにお答えになっておられますが、これは、では、事務手当て分はここの特例交付金には含まれないという理解でよろしいですか。この答弁は、そういうことを含まずにお答えになったということでよろしいですか。

北井政府参考人 寺田委員にお答えいたしました趣旨は、今回の児童手当の支給対象年齢の引き上げに伴う引き上げ分の財源の地方負担増についてのお答えでございまして、その負担分については地方特例交付金の創設で対処されるということでございますが、給付の事務の事務経費についてはそこには入っておらないということでございます。

西村(智)委員 でも、寺田委員は、児童手当事務を行うので、当然のことながら十分な財源を地方のために確保してやることが必要とおっしゃっていたわけでございますね。寺田委員はここのところをどのようにお考えになっていたのか存じませんけれども、私は、この事務手当てがかなり膨大になるのではないかと思っております。

 先ほど基準財政需要額の方に算入するというようなお話がございましたけれども、交付税の不交付団体などはどうなるんでしょうか。これは特に、大規模な自治体においては、人口規模も多いわけですし、そうなると子供の数も多くなるわけですから、特に交付税の不交付団体については問題があるのではないか、問題が生じるのではないかと思いますけれども、この点はいかがですか。

北井政府参考人 地方交付税の基準財政需要額に算入してきちんとやるということでございますから、不交付団体についてはそういう措置はとられないということになると承知いたします。

西村(智)委員 これは、資料要求しているということでございますし、後日、仙谷委員が恐らく質問されるということでございますので、そちらにお譲りをしたいと思いますけれども、私はこれは大変大きな問題だと思います。

 今、これだけではなくて、本当にいろいろな法定受託事務に係る事務量がふえてきていて、この手当てがされないまま、本体部分の方はこうやって地方特例交付金でやるけれども、それ以外のところについては全くその手当てがされずに税源移譲されるということになりますと、これは単なる国から地方への仕事の押しつけというふうに言わなければいけないと思います。この点については、また後日、ぜひよろしく御答弁をいただきたいと思います。

 そこで、児童手当法の本体の部分に入ってまいりたいと思いますけれども、私も田名部委員と質問が重なるかもしれませんが、幾つかお聞かせいただきたいと思っております。

 今回の対象年齢の引き上げは、小学校六学年修了時までとなっております。ところが、文部科学省の調査報告書によりますと、公立小学校の学校教育費は年間平均でおよそ五万円、公立中学校では十二万円、これに加えて学校外教育費、これに係る部分も多いんだろうと思うんですけれども、これを加えましたときに、これは国立国会図書館の調査報告書ですけれども、平成十四年度の学習費総額は、公立小学校の六年間で百七十五万円、そして公立中学校の三年間で百三十二万円ということになっております。これは単純にそれぞれ六と三の割り算をいたしましても、やはり中学校でかかっている学習費の方が圧倒的に額が多いというふうに思います。

 これを考えたときに、小学校六学年修了時までとするその合理的な理由、これについてぜひ伺いたいと思うんですけれども、この児童手当法の改正の目的とあわせて伺いたいと思います。

中野副大臣 今般の児童手当の拡充につきましては、特に小学生までは基礎的な生活能力を身につける重要な時期でもありますし、また親の年齢も若く、収入や母親の就業にも制約があるということが上げられております。また、いわゆる受給者側にとりましても支給期間の継続性というものが求められておるわけでございまして、それらのことを総合的に勘案しながら、特に財政事情が厳しい中において、小学校修了までの児童のいる家庭に対して優先的な支援を行うことにしたものでございます。

西村(智)委員 ここのところ、いろいろなアンケート調査、世論調査などを行いますと、子供を持つ保護者の方々、親の方々の意識というのは随分変わってきていると思います。

 数年前、数年前といってもどの程度数年前かはっきり申し上げることがちょっと困難なんですけれども、例えば五年前とか十年前ですと、理想の子供の数と実際に持っている子供の数というのはやはり違うわけです。例えば、持ちたい子供の数が三人、実際にいる子供の数が一人ないし二人で、なぜ理想の数の子供を持たないのか、持てないのかと質問いたしますと、例えば、子育てに係る心理的な負担、肉体的な負担が大きいからとか、あるいは働きながら子供を育てることが難しいからとか、子供が病気になったときなど近くに預かってくれる人がいないからというような項目が多かったわけなんですけれども、どうもここ数年間は、一貫して、子育てに経済的な負担が物すごくかかるから、こういうのがずっとトップを占めておるわけでございます。

 これは厚生労働省の国民生活基礎調査の結果でございますけれども、生活が苦しいですか、これはちょっとどういう質問かと思いますが、生活が苦しいか苦しくないかという問いに対して、十八歳未満の子供のいる世帯のうち、実に六三・一%が生活が苦しいと認識しておられる。これは、全体で五五・八%が生活が苦しいと答えていることから比較しても、極めて子供のいる世帯で生活が苦しいと実感している割合は高いと言わなければいけないと思います。

 厚生労働省の白書の中にも、これはもう言わずもがなですが、育児、教育負担の重さが、少子化の原因である子育てに対する負担感の増大につながっているということでございます。

 さて、手当額について、先進諸国と比べましても我が国の児童手当は極めて低いのではないかというふうに考えておりますが、この点について伺いたいと思います。つまり、実際に子供を育てている親がそのような意識を持っているということと、そして国際的な水準、先進国の水準からしても日本の手当の額は低いということについてどのようにお考えになっているのか、伺います。

中野副大臣 今、まず委員が、国際的な比較において低いというお話でございますが、これは、企業における年功序列賃金とか家族手当の有無といった賃金体系のあり方や扶養控除などの税制との関係など、諸条件が各国によって違っている。ですから、その点で単純に比較するのはなかなか難しい面があると思うのでございます。

 そういう中で、今委員の方から、この金額がどうか、水準が低いかという思いがあるわけでございますが、そういう意味で、いわゆる経済的な負担が非常に厳しいというのは、私どもも認識をいたしておるわけでございますけれども、ただ、現在、我が国の賃金体系というものがやはり、諸外国と比べましても、いろいろ変化はしておりますけれども、年功序列とか家族手当、いわゆる生活給というような性格が依然残っておるものでございまして、そういうものを含めた中で総合的に検討をしなきゃならないというように理解しておるわけでございますので、その点で、金額の議論についても、財政的な問題を含めて総合的な議論をすべきと思っております。

西村(智)委員 総合的にということであれば、副大臣、やはり賃金体系、パートと正規雇用の間の賃金の格差ですとか、男女間の賃金格差、こういったところまで踏み込んでいかなければいけないわけですよね。これについては、また後での議論にさせていただきたいと思いますけれども。

 本当にやっていこうとすれば、厚生労働省はそれこそ大車輪でやっていただかなければいけないわけです。そこのところがどうも、皆、中途半端な施策になっているように私には見えます。これもやる、あれもやる、そしてあっちもやるというふうに言っているけれども、みんな、かゆいところに手が届かない。本当にどれ一つとっても十分なものがなくて、では一つ一つの効果はどうなのかと言われれば、お金のつぎ込み方も制度設計の仕方も中途半端ですから、それは効果が出るわけはありません。そういった感じを非常に強く持っているわけでございまして、ぜひ、これは私たちだけでなくて皆さんに、今実際に子供を持っている方々、これから持ちたいと考えている方々に見えるような政策を打ち出していくべきだ、私はこのように考えております。

 ちょっと時間がなくなってまいりました。次に、所得制限についてお伺いをしたいんですけれども、今回、所得制限の額が引き上げられて、九割が対象世帯になるのではないかということでございますけれども、なぜこれは所得制限をつけておられるのでしょうか。私たちは、たびたび申し上げておりますけれども、チルドレンファースト、子供を第一に考えるという政策から、家族、家庭の安定のためというより一人一人の子供のことを中心に考えるという点から、額も一律とし、所得制限も外しているわけでございます。

 全く私ごとでございますけれども、私が誕生してしばらくしてからこの児童手当法というのが成立、施行されておりまして、私は二人兄弟でございますので児童手当の対象とはなりませんでした。同級生で児童手当を受けている友達がおりまして、その彼女が言うわけです。うちは何ちゃらというのでお金が来ているんだよと。私はそれを聞いたときに、子供ながらに、なぜそのようなものがあるのにみんなのところに行かないんだろうか、なぜその子のところだけ行くんだろうかというふうに子供心で考えました。ですけれども、なぜそうなのかということを聞く相手がおりませんでした。何でこういう仕組みになっているの、何で彼女のところにあって、何で私のところにはないのと。

 これは欲しかったから言っているのではありません。なぜそうなのかということについて子供は発言する機会がありません。そして、そのことについてどう思っているかということを表明する機会もありません。ですから、私たち大人たちが、子供がどう考えているのか、子供がどう育っていきたいのかということを酌み取りながら政策をつくっていかなければいけないわけでございまして、そういった観点からいたしましても、やはりここは一人一人の子供に平等にというポリシーを貫くべきだというふうに私は考えます。諸外国を見ましても所得制限がないという国が多うございますが、その点についてはどうお考えですか。

    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕

中野副大臣 委員が御指摘のとおり、九〇%のお子さんたちに児童手当を今支給しているわけでございます。特に所得制限を設ける必要性につきましては、何回も言われておりますけれども、児童手当の額が一定である以上は高所得の世帯には相対的に効果が少なくなっていること、また高所得でも扶養控除等の減税効果に、今の現状でございますが、浴していること等が理由で、必要性が低いということが考えられますことや、我が国の厳しい財政事情を勘案いたしますと少しでも有効にそのお金を使いたい、そういう意味も含めまして、所得制限を設けることは必要やむを得ないんだろうと考えておるわけでございます。

 今おっしゃったいわゆるチャイルドファーストですか、やはりそういう問題については、これは子供たち一人一人を大事にする、そういう意味の話とこの支給の話と一緒にしなくてもいいんじゃないだろうかと考えております。

西村(智)委員 子供一人一人にもきちんと人権はございます。ぜひ、一人一人の子供の人権を尊重するという厚生労働省のお立場からしても、子供たちに納得いく説明のできる制度であるのかどうか、それをもう一回お考え直していただきたいというふうに思います。

 次に、児童扶養手当について伺いたいと思っておりますけれども、国庫負担の見直しと税源の地方への移譲ということで、本当にこれで厚生労働省が期待している就労支援の充実に結びつくのかどうか懸念しておるところでございます。

 もう既に自治体は自治体ごとに母子家庭の就労支援施策、それぞれ行っているわけでございますけれども、やはり概観いたしますと非常に地域格差がある。自立支援センターなどを設置しているところは少しずつふえてはきておりますけれども、その中で例えば本当に就労に結びついている率、あるいはそのほかに厚生労働省が支援しておりますところのさまざまな施策も非常にばらつきが見られると見ておりますけれども、本当にこれで地方の自主的な責務に任せるというふうにしてよいのかどうか、この点が心配なわけでございます。

 いわゆる関係者協議会において、厚生労働省の方は、母子家庭対策につきまして自治体の役割が極めて大きいというふうにしているわけでありまして、児童扶養手当についても自立支援プログラムの導入といった自立支援などに関する自治体の役割と裁量の拡大が必要だとか、あるいは母子家庭の自立を支援する施策は整備されつつあるが、取り組みが進んでいない自治体もあり、精粗が見られるですとか、それから就業状況に実績を上げている地域がある一方で、全く効果が上がっていない地域も多いと指摘をしておるんですけれども、本当に、この児童扶養手当の国庫負担率の引き下げで果たして地方自治体がどこまで本気になって自立支援を行っていくのか、それは国はどのように担保されるんでしょうか。

川崎国務大臣 担保されるかというとなかなか難しい議論だと思います。今、西村議員が私の答弁をほとんど読んでいただきましたので、まさに進んでいる自治体と進んでいない自治体がある、その中で進んでいない地域がこれを機会にしっかりやってもらいたい、こんな思いがございます。

 一方で、ハローワーク等の支援体制というものもしっかり私どもはやっていかなければならないと思いますし、そういう意味では、先ほど申し上げましたように、国、地方自治体が重層的な役割を担いながらしっかりやっていこうというきっかけにできればいいなと思っております。

西村(智)委員 自治体がしっかりやっていってくれればいいな、そのように変わっていってくれればよろしいというような御発言でしたけれども、既にこのように自治体の間で非常に格差が見られるという実態からしても、またもう一つ加えて言えば、この母子家庭の自立支援というのは、実は自治体レベルではどうしようもない大きな課題があるのではないかということを私は強く申し上げたいわけでございます。

 昨日、参考人質疑で来られた方が、母子家庭では多くのお母さんが派遣やパートをかけ持ちして働いていらっしゃるというふうにおっしゃっておりました。実際に、一たん仕事を離れた女性が再就職をするというのは、これは極めて難しい状況がございます。加えて、正規雇用と非正規雇用の間の賃金格差、これはもう言うまでもございませんし、したがって生じてくる男女間の賃金格差、これは自治体では解消できない課題です。政府が責任を持ってやっていってくださらなければ、これらの問題は解消できないんです。

 ですので、このように母子家庭の就労支援を自治体にすべて任せるというような形で解消できる問題ではないんです。これはどのようにして解決していかれるおつもりなんでしょうか。特に、国の果たすべき役割、これは、川崎大臣が先ほど、地方と国がやるべき役割をきっちりと分担すべきだというふうにもおっしゃいました。国は何をするんですか、お聞かせください。

川崎国務大臣 個々の就労という形では、基本的には、自治体なりハローワークなりが共同した作業になっていくだろう、個々の就労。

 しかし、一方で、御指摘いただいた男女間の賃金格差の問題、また、パート労働者について基幹的役割を果たす者が増加する中で、その処遇が働きに見合ったものになっていない場合がある、これはあると我々も考えています。このため、その処遇についての正社員との均衡を図っていく、これは産業界全体と話し合いをしていかなきゃならない問題。もう既に、例えば私の地元ですと、ジャスコさん、イオングループなんかはそういう形でお取り組みいただいていますよね、現実の話として。

 そういう意味では、各企業と我々は話し合いをしながら、全体的な産業界との話し合いは、まさに我々の責務であろうと思っております。しかし、個々の就労支援という形になれば、より地方に精通した地方自治体の方が、精通していることは間違いない。

西村(智)委員 いきなり産業界との話し合いというところまで話が持っていかれてしまいましたけれども、少なくともこの通常国会でやるべきことというのはあるのではありませんか。そのことについてお聞かせいただきたかったんですけれども。

 例えば、ざっと思いつく限りででも、男女雇用機会均等法それからパート労働法などなどいろいろな関係法律がございますけれども、これらはすべからく女性の賃金の安定化に深くかかわっている法律でございます。これらについてはどんなふうに考えているんでしょうか。

北井政府参考人 我が国において男女間の賃金格差はあるわけでございますが、そうしたことにも大きくかかわります男女雇用機会均等法につきましては、より性別を理由とする差別の禁止の強化であるとか、あるいは妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止とかも含めました均等法及び基準法の改正案を今国会に提出をさせていただいておりますので、いずれ御審議を賜りたいと思います。

 それから、パート労働者の対策につきましては、その均衡処遇ということも大きな課題でございます。この点につきましては、厚生労働省では新たな助成金も設けまして、これまで以上に事業主にパートタイム労働者と通常の労働者との均衡処遇を確保する制度を促していきたいということで考えております。

西村(智)委員 また別の思いがこのテーマについてはございますので、お呼びいただければ、よそ者ではございますが、また議論に参加したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 今回の閣法は、私たちから見ますると、政府の姿勢が極めて不明確で、かつ、このように中身がばらばらのものを一本の法律として出してきた、目くらましと言ってもいい法案であると私は考えております。民主党が提出した子ども手当法案、これについては一つの見識だというふうに大臣からも発言していただきましたので、ぜひ与党の皆さんから御賛同いただいて成立させたい、このように申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

岸田委員長 次に、山井和則君。

山井委員 これから一時間にわたりまして、川崎大臣、赤松副大臣に御質問をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 今回の法案では、三位一体改革に伴う児童手当の改革が主な論点の一つとなっておりますが、この資料、きょう九ページ配らせていただきました。今も西村議員の方から格差の問題が言われていました。後ほど触れていきたいと思いますが、きのうの読売新聞の夕刊では「進学も格差社会」ということで、所得によって大きく将来の進路が、大学に行けるかどうかがもう差がついてしまっている、そういうふうなデータも出てきております。そういう中で、私たちも、政府案よりはるかに多い子ども手当についての対案を出させていただいております。この教育の格差や子ども手当については、また後ほど質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、学童保育の問題、子育て支援の一環としての小児医療の問題、そして介護の施設整備、この法案にも関係している問題、そしてまた児童手当について、教育格差について、そういうところを詰め込んで、一時間で質問をさせてもらいたいと思っております。

 まず最初に、この三位一体改革により自治体の財政は厳しくなり、児童手当と並ぶ重要な子育て支援の一つである放課後児童クラブ、以下学童保育と呼ばせていただきますが、学童保育の現場からも、将来に対して不安の声が上がっております。

 川崎大臣にお答えをいただきたいんですけれども、この学童保育、二〇〇五年の統計では約一万五千カ所、六十五万人が利用と、法制化七年間に学童保育のクラブ数は一・六倍、入所児童数は二倍になってきております。共働き家庭の子供たちは、学校から帰った後の放課後や、春、夏、冬休みなどの学校の休業日には子供たちだけで過ごすことになります。この共働き家庭の放課後の生活と安全を守るのがこの学童保育であります。

 しかし、核家族化の進展や都市化の進行、また一人で子育てに取り組む母親が不安や孤立感に悩まされたり、また女性の社会進出、就労形態の多様化などにより、子育てに悩む保護者も非常に多くなっております。

 こういう中で、最初の資料を御説明しますと、実は、小学校低学年、学校で過ごす時間よりも学童保育で過ごす時間の方が約五百時間も多い。特に今、週休二日制になっておりまして、土曜日も学童に行くということになっております。そういう意味では、今まで学童保育というのは歴史があるわけですけれども、当初のボランティア的にちょっと預かるという時代から大きく役割が多様化し、かつ重要になってきたんではないかと思っております。

 最初に、川崎大臣にお伺いします。このような学童保育の重要性について、川崎大臣、いかがお考えでしょうか。

川崎国務大臣 今お話しいただきました放課後児童クラブにつきましては、現状一万五千百八十四カ所、全国の小学校区が二万三千校でございますので三分の二、登録児童数は六十五万四千八百二十三、十七年の五月一日現在ということになっております。地方自治体の中で、ない組織があるのかということで、私も少し調べさせましたけれども、基本的には過疎地域の自治体、離島等以外は各自治体に行き渡った。しかしながら、校区単位ということになればまだ足りない。そういう意味では、市の中で二つはあるけれども、三つ目、四つ目という要請がある。

 そういった中で、今回平成二十一年度の目標一万七千五百カ所、十八年度予算案につきましては、九百カ所増の予算を計上させていただきました。地方自治体と積極的な意見交換をしながら、予算の獲得にしっかり努力をしてまいりたいと思います。

山井委員 続きまして、大臣と副大臣にお伺いしたいんですが、今数をどんどんふやしている、それで待機児童、まだまだ学童保育を利用したくてもできないお子さんもいらっしゃるわけです。そこで、厚労省のある方は、まずは量ですということもおっしゃっておられるわけですけれども、先ほども申し上げましたように、非常に役割は重要になってきております。例えば子供の安全一つとっても、さまざまな子供に対する痛ましい事件によって、やはり学童保育の時間を延長してほしい、きっちり学童保育で安全体制もしいてほしいというようなニーズも高まってきておりますし、またその中身ですね。やはり数十人のお子さん方のお世話をするというのは、そんな簡単な話ではないわけであります。

 そこで、親が子供を学童保育に預けるためには、やはり安定した預ける居場所が必要なわけであります。毎年のように指導員の方々がころころかわるとか、そういうなじみの関係がつくれなかったり、専門性が十分でなかったら不十分だと思っております。

 そこで、三位一体改革に関連した財源のことは後でお聞きするとして、まず、労働条件や就労形態についてお伺いしたいと思っておりますが、一例として、私、先日も学童保育に行ってまいりました。

 私も学生時代、母子寮やこういう学童保育でボランティアをしておりまして、こういう子供たちと遊ぶのが非常に好きなんですけれども、この宇治市の学童保育でも、二十の小学校でやっておりまして、千三百三十三人が利用している。一年から四年までで、一学級約五十人、二人の指導員体制で、宇治市は近畿で最も子育てに力を入れている、子育てしやすい町と言われておりまして、この学童保育にも力を入れているわけです。こういう学童保育も、もちろん一緒に遊ぶ、勉強するというのもありますが、例えば、障害児を受け入れるということも今非常に進んできております。

 それと、先ほども言いましたように、学校の先生よりも接する時間が長い。私も学生時代、母子寮や学童保育でボランティアをしていて痛感しているんですけれども、学校で見せる姿よりもより本当の姿を遊ぶ中で見せたりするんですね。そんな中で、いろいろいじめの問題や家族関係の問題点が見えてきたり、そういうことで、学校では発見されなかった虐待のことやいじめのことが学童保育からの通報によって問題が解決されたというような例もあるぐらい、非常に役割も重要になってきているわけであります。

 不登校、いじめ、引きこもりなどへの対応も求められておりますし、また、障害児の受け入れも、一九九八年の三千人から二〇〇四年には九千三百人に三倍増されているわけです。

 しかし、一年契約の方が多くて、来年の雇用が本当に保障されるかどうかもわからずに、よい指導というのはできないわけです。これだけ重要性、多様性、専門性が増してきた学童保育が、こういう一年契約の不安定な雇用形態のままでいいのか。それともう一つの質問は、やはりこの学童保育の指導員の専門性についてどう考えるのか。このことについて御答弁を願いたいと思います。

川崎国務大臣 まず、職員でございますけれども、十三年度調査で、従事者の約半数が経験年数三年未満となっております。一年というのは二三%、六分の一の職員が経験年数十年以上。

 雇用形態で言いますと、正規の職員が一万二千人、非常勤が約二万、パート、アルバイトが一万二千、ボランティア等が約二千、四万六千という数字になっております。

 いずれにせよ、放課後児童クラブにおける職員と児童の関係は、児童の健全育成の観点から重要であることから、職員には今御指摘のようにできる限り継続的に勤めていただけるよう、自治体において研修の充実などに配慮していただくことが重要であると考えております。

 国としては、こうした放課後児童クラブの職員については、子供を預かる時間帯が通常放課後に限られることから、非常勤とし、クラブの児童数など、その規模に応じて国庫補助を行っております。

 また、今お示しをいただきましたように、長時間開所する場合や障害児の受け入れを行う場合には加算するなど、改善を図っているところでございます。

赤松副大臣 後半の部分の専門性云々のことについて、私の方から答えさせていただきます。

 先ほど来、山井議員のいわゆる現場に即した御指摘、しっかりいただきました。

 放課後児童クラブの職員につきましては、保育士や教員等、資格を有している者も従事しておりますが、地域の多様な人材を確保する観点や実際に運営されている状況を勘案して、特別な資格要件は現在は定めていない、こういう状況があります。そんな中で、専門性が必要じゃないか、こういう事態があるじゃないかという御指摘でございました。

 放課後児童クラブのような多様なニーズにどうこたえていくか、こういう点についてはその必要性を感じておりますが、現時点で、職員の資質の向上を図るために県単位やあるいは全国の単位で、放課後指導員の研修を実施しております。つまり、新たな専門性を持った人を引っ張ってくるというよりも、今いる人たちに対して、より職員の資質の向上を目指してさまざまな手だてを講じたい、こんなふうな考えでいるところでございます。

山井委員 もちろん、そういう研修も重要でありますが、現場で何が困っておられるかというと、例えば私の知り合いの方は三十三年間も指導員をされておられます。齊藤高子さんという方ですが、その方がおっしゃるのは、現状では、せっかく学童保育に熱意があり働き続けていきたいという指導員がいても、一年契約の嘱託で待遇が悪過ぎる、先が見えないという理由でどうしても常勤の幼稚園や保育園に転職する人が多いと。

 やはりそういう現状があるわけなんですね。幾ら重要で魅力ある仕事でも、来年どうなるかわからない、十年勤めていったって給料は上がっていかない。やはりそれでは、責任を持って人生をずっと、この仕事をプロフェッショナルとしてやっていこうということにはなりにくいと思うんです。

 そこで大臣、改めてお伺いしたいんですが、やはり若い指導員の方々が夢を持って働き続けられる仕事でないとだめだと思うんですが、この指導員のお仕事について、川崎大臣、いかが思われますか。

川崎国務大臣 基本的には放課後ということですので、指導員については通常六時間の非常勤としている、それを時間をもう少し延ばして常勤化しろというお説だろうと思いますけれども、基本的には今の国の考え方は、今申し上げたような考え方でやらせていただいております。

山井委員 これ土曜日は丸一日ですし、休みの日の関係もありますから、最初に申し上げましたように、時間は小学校にいる時間よりも既にもう長くなっているという面があります。それとやはり、例えば学校の先生には見えないものを指導員の方が見ることもできる。長時間一緒に生活する中でいろいろな情報が入ってくるということもあるわけなんですね。やはり子供との関係の遊びの中から発見できることというのも、非常に多いわけです。

 そういう意味では、もう一つ最近ふえているのは、やはり少子化、核家族化の中で子育てに苦しむ親御さんもふえてきている。そういう親御さんの相談にも乗っている。それともう一つは、最近、子供の安全ということで、いろいろ子供の安全のチェックリスト、二十六項目のチェックリストをつくって、子供がちゃんと学童保育から家まで安全に帰れるかどうかのチェックもしろ、そういうふうなことも時代の要請として出てきているわけであります。

 それで川崎大臣にお伺いしたいんですが、国庫補助の基準は非常勤を前提とされているわけなんですけれども、これから子育て支援に国を挙げて力を入れていこうというときですから、やはり自治体に対しても、もっと国として、こういう学童保育、しっかりと指導員の方々が勤め続けられるようにすべきだというようなメッセージを発する必要があるんではないか。

 また、この国庫補助を非常勤前提ということではなくて、やはり専門性のある職員の方が長年、さっきもまさに答弁されましたように、半数の方が三年以下、もっと長いキャリアがあった方がいいケースもあるわけです。

 そういう意味では、その国庫補助の引き上げということと、やはり自治体に対してそういう働き続けられる労働条件をというメッセージを、大臣からお願いしたいと思います。

川崎国務大臣 運営費補助、総事業費のおおむね半額を利用者負担ということもあります。これはもう委員御承知のとおりでございます。そういった意味では、自治体の意見もしっかり聞きながら、どういう判断をしていくかということで、勉強してまいりたいと思います。

山井委員 幼稚園、保育園、小学校に比べると、この学童保育というのは、今までどうしても一時的に預かってもらっているというイメージがあったと思います。しかし、そういう考え方を私たちはやはり変えていかなければだめです。

 共働きの家庭がふえ、また核家族化で、あるいは一人っ子がふえて、なかなか友達と遊ぶということも減ってきたり、異世代の、あるいは学年の違う人たちと集団で遊ぶということが減ってきた。そういう中で、今までの一時預かっておくという学童保育の位置づけから、これだけ多様な専門性を要求されるニーズとなっているわけですから、学童保育の指導員さんがやはり夢を持って、若い人たちが、仕事は好きだけれども不安定な雇用なのでほかの仕事に移ってしまう、そういうことがないように、ぜひとも厚生労働省としても音頭をとっていただきたいと思っております。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 児童手当、学童保育、いろいろなメニューがありますが、ちょっと先日の質問の続きになりますが、小児医療も危機的な状況を残念ながら迎えているわけであります。このことについて二月二十四日に質問をしましたら、川崎大臣から、小児救急医療の労働実態について調べる、調査するという答弁を得ました。このことに関しては非常に感謝をしておりますし、今その調査をしていただいていると聞いております。いつまでにどのような調査をするのかということを御答弁願いたいと思います。

川崎国務大臣 二月二十四日、答弁をした後、指示をいたしました。全国の小児科勤務医師の労働環境については、国の補助金を受けて小児救急医療を行っている全国二十七カ所の小児救急医療拠点病院がその実態をよく反映していると思われることから、それら病院の夜間帯、二十二時まで、及び深夜帯、二十二時から朝六時までにおける患者数、医師数や小児科医師の一カ月間の勤務日数、勤務時間等について、緊急調査を実施いたしております。

 都道府県を通じながら、各病院ごとに今調査をお願いしており、三月中には結果を取りまとめて御報告できるだろうと考えております。

山井委員 こういうふうにすぐに調査をしていただいたことには、心から感謝を申し上げます。厚生労働省の職員の方々も、本当にいろいろ資料要求が多い中で大変かと思います。ただ、一つ注文をつけるならば、二十七という数字が少ないように思いますので、またこれをふやす努力をぜひともしていただきたいと思っております。

 それで、そのことに関連して、またこの資料を見ていただきたいんですけれども、なぜこういう安心して子供を生み育てにくい社会に日本はなってしまったのか。先ほど西村議員からも話がありましたが、長年言われているけれども、結局、かけ声ばかりあるけれども、事態はますます深刻化して、危機的な状況になっているんではないか。

 この三ページにありますように、これも二月二十四日にお配りしたのと同じ新聞記事、「小児科避ける新人医師」、ここをちょっと読みますと、「大卒時点では小児科志望の研修医が臨床研修中に「労働条件がきつい」などの理由で内科などに志望を変えるケースが多い。」具体的に言うと、ここに書いてありますが、「研修中に小児科から他の診療科に志望を変更した医師は二百二十三人を数え、他の診療科から小児科に変更した七十人を大きく上回り、若手医師の小児科離れを裏付けた。」となっているわけですね。

 これに対して、この資料にも書いてありますが、川崎大臣からは次のような答弁をいただきました。「民間病院、そういう全体の数の掌握、これを私どもは急がなければならない」と。要は、大学病院の小児科は減っているけれども、トータルではどうかわからない。したがって、「小児科のお医者さんが少なくなったんだというストレートな判断はいたしておりません。」という答弁をいただいたわけですが、この答弁にあります「民間病院、そういう全体の数の掌握、これを私どもは急がねばならない」という答弁のこの掌握、どのように今されていますでしょうか。

川崎国務大臣 十六年四月に臨床研修を開始し、新制度の研修医、対象者が二学年で一万四千八百七十人、二年の研修期間を今月修了することとなり、その後の進路についてほぼ固まっているだろう。そのため、当面、新制度の効果等を検証、分析するため、これは小児科だけじゃなくてこの研修医制度全体です、すべての研修医、臨床研修病院、大学病院を対象とする全般的な調査を先週から始めました。

 この調査では、臨床研修修了後の進路、どの診療科に進むかを含む質問をしており、今後、調査票の回収、集計、解析という作業を行い、結果はことしの夏までに取りまとめたいと考えております。

山井委員 途中までは非常にありがたい答弁だったんですが、夏までにとおっしゃいますが、医療制度改革の審議は来月にもスタートするんではないかと思うんです。それで、まさに大臣答弁されたように、もう進路は決まっているんですよ、もう四月から勤めるんですから。

 やはり、今小児科のお医者さんが減っているのか減っていないのかというのは、これは法案審議の根本的なポイントになるわけで、少なくとも、現場の声やこういう新聞報道を見ると、私も小児科のお医者さん、小児科を目指している研修医、学生さん、その御家族、たくさん知り合いがいます。週末は多くのそういう人とも議論しています。そんな中で、減っているという声が非常に切実なんですね。

 やはりそれは、夏までというよりは、もう答えは出ているんですから、現時点で。法案審議の際には、あらあらでいいですからそういう実態を、減っているのかどうかということは、やはり出していただきたいと思うんですが、大臣、非常に重要な点だと思いますが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 今調査、回収したところですから、毎週厚生労働委員会あるんでしょうから、理事会等で状況は御報告申し上げます。

山井委員 そうしたら、また委員長さんにもお願いしますが、ぜひともこのことは、まさにもう回収してそれも持っておられるわけですから、できるだけ早くオープンにしていって、そのことを見て、ふえているんだったらふえているでいいし、減っているんだったら、では、今回の医療制度改革の審議の中でどうするんだということをしっかりと議論したいと思います。一番困るのは、減っていないんじゃないかと言っていて、国会審議が終わって大幅に減っていましたということになると、それは非常に困るわけであります。

 次に、これも二月二十四日の質問の続きなんですが、このきょうの資料にもございますが、労働条件の実態調査をされて、二年前の調査で六百の病院に指導監督を、これは小児だけではありませんが、全般的に指導監督をされたと。その中で、その結果を一週間以内に出してくださるという答弁を川崎大臣からいただきました。その結果と、この資料の左側の上に改善報告件数とありますが、これが指導を受けて改善したという報告なのか、これから改善するという報告なのか。その二点についてお伺いしたいと思います。

赤松副大臣 私の方から答えさせていただきます。

 今御指摘の点、平成十五年度から十六年度にかけまして、労働基準監督署において宿日直許可を受けている五百九十六の医療機関に対し監督指導を行ったわけでございます。その結果がお示しの資料なわけでございます。

 監督指導によって、何らかの労働基準関係法令違反が認められた四百三十機関のうち、約八七%の三百七十三機関において法違反が是正されております。

 宿日直許可基準を満たしていないとして指導を行った二百四十機関のうち、約八〇%の二百機関において改善の報告がされております。改善報告のあった二百機関については、労働基準監督署において、報告の内容からおおむね改善されたものと判断したと理解をいたしております。

 今、最後に、改善したものとしていないものと、その辺の区別はどうなのかということでございますが、改善された旨の報告のほか、これから改善する旨の報告も、両方のものが含まれております。

山井委員 改善した旨の報告と改善する旨の報告というのは全く違うんですよね。ですから、お願いをしたいと思いますが、すると言ってしていないケースというのも残念ながらあるんじゃないかと思うんですよね。

 やはり指導した以上は、改善すると言っていますでは済まないので、この五百九十六、本当は六千六百もともとあるわけですから、そのうちの五百九十六、指導を出した以上は、五百九十六のうちどれだけが改善されたのか、すると言っていない、されたのか、このことの調査をして報告をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

赤松副大臣 御指摘の点、よくわかります。

 ただ、今は、改善された、それから改善したいと言っている分の区別につきましては、今後とも粘り強く指導いたしまして、しっかりとした結果が出るように働きかけをしていきたい、こんなふうに思っております。

山井委員 ちょっと今の答弁は納得できないんですよね。指導をして、まあ直すと言っているからいいじゃないかというような話で、やはり指導した以上は、そこを直したかどうかということを労働基準監督署がチェックせずに、直すと言っているからまあいいじゃないかということにはならないと思うんですね。

 ここはあえてもう一度答弁していただきたいと思いますが、やはり指導した以上は、改善をしたのかどうか、調査して報告していただきたいと思います。私は別に当たり前のことを言っているわけです、これはもう二年前に指導しているわけですから。いかがですか。

赤松副大臣 その方向で結果を出していくというのは正しいことだろうと思います。ただ、いついつまでとか期限を区切られても、なかなか難しい側面がありますので、その方向で努力をしたい、そんなふうに思います。

山井委員 ぜひ急いでいただきたいと思います。

 なぜこういう質問をするかというと、指導が入っても、どうせお医者さんもいないんだし、ほかも守っていないんだから、直しますと言ったらそれで済むんじゃないかと。これは私は病院を批判しているわけではありません。実際お医者さんもいないとか、さまざまな事情があるわけなんですよね、夜間も患者さんがたくさん来るとか。確かにそういう事情はあるけれども、指導をしたところがきっちり改善されているかどうかということをチェックするのは、これはやはり厚生労働省の責任だと思いますので、ぜひともお願いをしたいと思っております。

 それにも関連しますが、三月九日の新聞で、医療事故が非常に多いという記事が出ておりました。皆さんもごらんになられたと思います。年間百四十三人が死亡、医療事故で。そして、何と半年間で九万一千件もヒヤリ・ハット事例、あわや医療事故というケースがあったということであります。

 そこで、きょうの資料五ページを見ていただきたいんですが、今、アメリカでもヨーロッパでも、長時間労働が医療事故につながるんではないか、つまり労働時間が長くなると事故がふえるというような論文や研究が非常にふえているわけなんですね、これは。

 そこで厚生労働省にお伺いします。こういう労働条件や労働時間と医療事故に関する調査、今までされていますでしょうか。

赤松副大臣 医療事故に関しては、私自身も、個人的にも非常に強い関心を持っている問題でございます。

 医療事故に関しまして、そういう調査をしたことはあるのかという御質問でございますが、委員御承知だろうと思いますが、発生予防、再発防止を目的として、平成十六年、今から一年半ほど前ですね、平成十六年十月より、特定機能病院等二百七十二病院に対して、財団法人の日本医療機能評価機構に対しての報告を義務づけておるところでございます。

 報告された事例につきましては、日本医療機能評価機構において分析をし、取りまとめて公表されております。この制度の中では、医療事故の当事者の勤務状況について、直前一週間の当直または夜勤の回数、二交代制などの勤務形態の報告をあわせて求めております。

 しかしながら、医療事故と当事者の勤務状況との関係を明らかにするに足りる事例収集が残念ながら現時点ではできておらず、今後、日本医療機能評価機構において適切な事例収集、分析、取りまとめが行われるように促してまいりたい、そんなふうに厚生労働省としては考えております。

山井委員 それは、厚生労働省として、医療事故がこれだけ問題だという以上は、そこで何が問題なのか、労働時間なのか労働条件なのか、やはりそこはきっちりと調査するというのが当然国の責務だと思います。そして、私、手元に持っているんですが、看護師不足が背景とかさらっと新聞に書いてあるんですけれども、余り安易にこういうふうに決めつけるのもよくないと思うんですね。何がその背景にあるのか。

 まさに今、副大臣からも答弁いただきましたが、この出ました医療事故情報収集等事業報告書、私も手元に持っております。この中で、労働時間、労働条件、勤務体制とどう関連づけて調査がされているかというので、皆さんのお手元に書きました。これを見ていただきたい、川崎大臣も見ていただきたいと思います。

 どう出ているかというと、この情報収集の際のアンケート、直前一週間の勤務時間、どちらかに丸をしてください、一時間から百五十時間、あるいは不明。ちょっと残念ながらこれは調査になっていないんじゃないですかね。一時間から百五十時間に決まっているじゃないですか。一週間で百五十時間以上働けないですよね、人間というのは。それで、あとは不明。これじゃ調査項目にならない。それともう一つ、直前一週間の夜勤回数はゼロから七回ですか、不明ですかと。一週間というのは七日間しかないんだから、最大やっても七日しかできないですよね。ゼロから七回に決まっているじゃないですか。

 要は、申しわけないけれども、非常に失礼なことを言うかもしれないですけれども、普通の感覚でいえば、このデータ収集から、労働条件や労働実態と関連づけてこれは答えが出てこないと思うんですよね。いかがでしょうか。

赤松副大臣 御指摘の点、私もそのとおりだろうと思います。

 先ほど冒頭に言いましたように、これは厚生労働省がやっているわけではなくて、第三者機関のチェックが必要であるということでこの日本医療機能評価機構にお任せしていたと。その結果が、今御指摘になったように極めてその回答方法にあって、ちょっと不明確な側面があるということ、御指摘のとおりだろうと思います。

 この日本医療機能評価機構そのものも、委員御指摘のようなこともあり、回答方法の明確化などを今検討されておるということでございますので、私たちとしては、その後適切な分析と取りまとめが行われるものと期待をいたしているところであり、ぜひそのようにしてほしい、こういう要望も投げかけているところでございます。

山井委員 正直言いまして、この報告書自体は、私、読ませていただいてある意味ですばらしい報告書でありますので、その中の一部を取り上げて批判するのは失礼かもしれませんが、少なくとも労働時間と労働実態のところはきっちりとやっていただきたいと思います。

 それで、次に、私の資料の施設の基盤整備の部分ですね、七ページの資料、地域介護・福祉空間整備等交付金の見直し、このことについて質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、村井議員と私から、主に村井議員から資料要求をさせてもらっていて、この資料について、この三百九十億円の内訳、そして対象範囲を拡充、四百七十六億円、この一、二、三の交付金にかわるわけですね、この内訳をぜひとも示していただきたいということを村井議員からもお願いしているんです。

 なかなか出てきていないわけでありまして、これはちょっと質問通告しておりませんけれども、この内訳を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

赤松副大臣 村井委員からの御要望を聞いておりまして、今、そのことについていつまでに出せるか検討しているところでございます。

山井委員 ぜひとも早急によろしくお願いいたします。村井議員もそれを見て質問する準備を今いたしております。

 それで、私が心配しておりますのが、この交付金の見直しによって特別養護老人ホームや介護施設の整備が、進む自治体がもしかしたらあるかもしれませんが、おくれる自治体も多く出てくるのではないか。なぜかというと、私が知っているある自治体では、実はこういう制度改革によって、計画していた特別養護老人ホームの整備一つを断念したという自治体があるんですね。つまり、こういう一般財源化することによって、やはりそれはもちろん地方自治体の優先順位の問題ですけれども、介護施設の基盤整備がおろそかになる自治体が出てくるのではないか。

 御存じのように、今回、療養型病床を二十三万床も減らすということも厚労省はおっしゃっているわけですから、そういう中でこの介護基盤の整備がおくれることになると、これは大変なことになるのではないかと思います。

 この点について、いかがでしょうか。

赤松副大臣 今回の三位一体の改革では、地域介護・福祉空間整備等交付金を見直しまして、特別養護老人ホームなど、広域型介護施設の整備に対して助成する都道府県交付金を廃止、税源移譲するということにしておるということは今御指摘のとおりでございます。

 一方で、都道府県交付金に相当する補助を都道府県等が行う場合には、総務省におきまして必要な地方財源措置が講じられる、このように承知しておりまして、今後、広域型介護施設の新築等が必要な場合は、都道府県により適切な対応が行われるもの、そのように考えております。

 また、地域介護・福祉空間整備等交付金のうち、市町村交付金は継続し、介護療養病床を改修して老人保健施設とするような場合については、市町村の判断で市町村交付金を活用した支援ができるようにする予定としております。

山井委員 ぜひ、これによっておくれる自治体がないように、きっちりチェックもしていただきたいと思っております。

 今、長期療養病床の削減という話が出ましたが、このことについて、医療型療養病床の自己負担、厚労省のデータ、九・四万円というのがちょっと安過ぎるのではないかということを赤松副大臣に先日言って、このことに関しては、厚労省も都道府県別等で調べたいということをちらりとは聞いておりますが、この自己負担の調査についてはいかがでしょうか。

赤松副大臣 今御指摘のありました点、二月二十四日の当委員会におきまして答弁をしたとおり、一月当たりの一部自己負担の平均額に、日本療養病床協会が行った調査で把握された、いわゆる差額ベッド代以外のおむつ代、日常生活費の平均額を加えて、平均的な額を推計したものでございます。

 山井委員から要求のございましたデータについては、日本療養病床協会が昨年七月に行った調査における個々の病院にかかわるデータを示すものと思われますが、これは同協会が保有するものでありまして、厚生労働省としては、全国平均額のみ同協会から報告を受けているものであることから、これを提出することは困難であることでございます。

 しかしながら、委員御指摘のように、地域別の精査を行うべきだというこの御提案に沿った対応といたしまして、例えば地域ブロック別にデータを求めるといったことが考えられます。

 本件については、理事会で協議をされている事項でありますが、データを保有する日本療養病床協会の御協力が前提になりますので、同協会ともしっかり相談してまいりたい、そんなふうに考えているところでございます。

山井委員 また、理事会でもこれは協議をしていきたいと思いますが、今ちらっと聞いたけれども、都道府県別はなんだけれどもブロック別だったらいいとか、そういう何かせこいことを言わないで、なぜ都道府県別で出せないのか、ぜひともそこはきっちりとやっていただきたいと思っております。

 また、川崎大臣に戻ってお伺いしたいと思います。

 おとついですか、櫻井充議員が予算委員会で取り上げられた医師不足の問題、これはちょっと重要な問題なんで、お伺いしたいと思います。

 現状認識ですね。厚生労働省は、医師は不足していると現状認識しているのか、あるいは足りていると認識されているのか、その根拠は何でしょうか。大臣、いかがですか。

川崎国務大臣 医師の総数でございますけれども、平成十六年で二十七万三百七十一人、これを平成二年でいいますと二十一万一千七百九十七人、昭和三十年、このころですと九万人でございます。そういった意味では、医師の数は順調にふえてきていると承知いたしております。

 大体、七、八千人の方々が新しい免許をお取りになる。リタイアをする人たちを引くと、毎年三千五百から四千人程度順調に増加しており、平成十年に取りまとめられた医師の需給に関する検討会報告によれば、遅くとも平成二十九年ごろ、約十年後、供給医師数が必要医師数を上回り、将来的には供給過剰になるとの報告であります。

 その一方で、もちろん、医師の偏在による小児科や産科といった特定の診療科や、僻地などの特定の地域における医師不足が深刻な問題となっており、総務省及び文部科学省とともに関係省庁連絡会議を開催し、昨年八月には医師確保総合対策を策定いたしました。

 すなわち、数的には基本的には足りている。しかしながら、診療科によって、特に救急の問題、それから僻地などの問題というところに医師の不足というものが目立っていることは事実でございます。

山井委員 この現状認識は非常に重要なことなので、もう一歩お伺いしたいんですが、今医師はトータルでは足りているとおっしゃいました。そして、確かに私が手元に持っているのでも、毎年三千五百人から四千人ふえているということも言われております。

 しかし大臣、お考えいただきたいんですけれども、医療の高度化、インフォームド・コンセントでいろいろな説明をすることが求められること、また医療事故への対応、さまざまなことによって、一人のお医者さんが診られる患者さんの数というのは減ってきているという部分もあるわけなんですね。

 ですから、事実として毎年三、四千人ふえている、このことは事実です。問題は需要ですよ。需要に対して、三、四千人ふえて、足りているのか足りていないのか。ですから、需要の数のデータを持っておられるんですか、今日の需要医師数というのを。

川崎国務大臣 先ほどの話に対して、要は人口はふえていないけれども、先ほど言いました平成二年二十一万人が二十七万人、六万人ふえてきている、そういう意味では、委員の言われるとおり、人口がふえていないのに医師の数が六万人もこの十五年間でふえたということは事実です。そういう意味では、需要はふえているんだろうと、一つ一つの単位からすれば。

 しかし、それを全体的に専門家で議論してもらって、今私が申し上げましたように、基本的には足りているという認識をいたしております。

山井委員 その専門家で議論して足りているという認識というのは、議論されたのはいつのことですか。

川崎国務大臣 平成十年でございます。

山井委員 八年前じゃないですか。それから多くのことが変わってきているんじゃないですか、状況は、研修医制度にもなりましたし。八年前の現状認識、それで医療制度改革を議論するというのはちょっと難しいんじゃないかと私は思います。

 それでは、まさにその八年前の資料をここに、その答弁が来ると思って書いてあります。これがその八年前の調査なんですね。

 そうしたら、八年前の上位推計、中位推計、下位推計という需要がありますけれども、この需要、三つのパターンが示されたんですけれども、どのパターンで今の日本は必要数が推移しているんですか。

川崎国務大臣 先ほど二十七万人とお答え申し上げましたね。この数字でいけば、必要医師数、中位で平成十七年二十六万ですから、上位数が二十九万、ちょうど、十六年で二十七万ですから、中位と上位の間ぐらいの想定になりますね。

山井委員 いや、その答弁だけではなぜその数になっているのか全然わからないわけで、それはグラフを見たらその間に位置することぐらいだれでもわかるんです。ですから私が言いたいのは、今、医師の需給に関する検討会、新たに八年ぶりにもう一回やっておられますよね。それで先日聞いたら、その結果が出るのがまた二、三カ月先だということみたいなんですね。今まさに、八年もたっているからやり直していますと、やってくださっているんですか、ありがとうございます、それで、結果はいつですかと言ったら、二、三カ月先と聞いたんですよ。

 ところが、医療制度改革の審議をするのは二、三カ月先でもいいんですが、もうちょっと早いような気もするので、やはりせっかく出すのであれば、私が何を心配しているかというと、医療制度改革のときに今の川崎大臣の答弁のまま医師は足りているという前提で国会審議を行って、二、三カ月たって需給検討会の答えが出て、やはり足りませんでした、いろいろな医療の高度化や患者のニーズの高まりによってやはり足りませんでした、そういう回答がもし出たら、審議はゼロからやり直しになりかねないと思うんです。

 ですから、私、もちろん完璧なものは求めませんが、やはり八年前の検討で今回の医療制度改革を議論するというのは、ちょっと無理があると思う。今、検討会をやっているんだったら、現状で医師が足りているのか足りていないのか、その調査というものはやはりもう一度きっちりと早急にやっていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

川崎国務大臣 新しい議論を開始していることは事実でございますけれども、現時点では医師は足りているというふうに理解しております。

山井委員 これは、これから医療制度改革を議論するというときに大臣が医師は足りていると断言して本当にいいのか、その根拠はどこにあるのか、そのことは、これからまた議論をしていきたいと私は思っております。このことについては、本当に根本的な問題ですから、単なる偏在なのかそもそも医師が足りないのかによって、とる政策が全然違ってくるわけですから、ここは引き続き議論をしたいと思います。

 それで、もう時間がございませんが、三位一体改革によって、あと、施設整備費の都道府県の分が一般財源化されるという流れもあるわけですが、今、認知症のグループホームにスプリンクラーを義務づけてはどうかという消防庁の検討会が行われているということで、話によると近いうちに結論が出る、出そうだということでちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 御記憶にあるかと思いますが、長崎県で認知症のお年寄りのグループホームが火事になってお年寄りが亡くなられた、それを通じて、厚生労働省さんも夜勤を義務づけられたというようなことをされたわけです。その中で、今、消防庁さんが検討会をされているわけなんですね。それで、認知症のグループホームにスプリンクラーを義務づけてはどうかという議論がされております。

 ここで、お伺いしたいと思います。消防庁の大石次長さんと川崎大臣にお伺いしたいと思いますが、この件についてどう考えておられますでしょうか。

大石政府参考人 お答えいたします。

 ことしの一月八日でございましたが、長崎県大村市の認知症高齢者グループホームにおきまして、七名の高齢者の方が亡くなるという大変痛ましい火災がございました。このような火災は二度とあってはならないという考え方で、消防庁は、検討会を一月十九日に発足させたわけでございます。

 この検討会におきまして、このような施設における消防用設備それから防火管理等の防火安全対策のあり方について検討をいたしているところでございます。実は、本日も四回目の検討会が開催されたところでございます。

 認知症の高齢者グループホームには、入所者に自力では避難することができない要介護者の方が含まれているわけでありまして、火災発生時に、夜間、職員が一人で全入所者を短時間で避難させることは難しい、犠牲者を出さないようにするための対策が必要であると考えているわけであります。

 このため、防火管理者の選任義務の対象の拡大とか、自動火災報知設備の設置とか、それから自動的に消防機関に通報する装置、これを置いていただく、こういったことに加えまして、ただいまお話ございましたように、消火それから延焼拡大の防止をする、そして入所者全員が避難することができる時間を確保する、そのために、住宅用スプリンクラーの設備の設置を図る必要があるのではないかと考えまして、この考えに基づいて、去る三月三日の三回目の検討会において、消防庁の案をお示しして意見交換を行ったところでございます。

 今後、三月中に検討会での結論を得まして、必要な制度改正を行ってまいりたいと考えております。

赤松副大臣 後段の部分を私の方から答えさせていただきます。

 先ほど御指摘のあったこの長崎県大村市におきますところの認知症高齢者グループホームの火災は、本当に悲惨な事件でありまして、まことに、お亡くなりになった皆さんに対して心から御冥福をお祈りするとともに、人命第一であることを念頭に置きまして、再びこのような事件が生ずることのないように、必要な対策を講じなくちゃいけないということを心に銘記しているところでございます。

 厚生労働省としましては、先ほど委員から御指摘ありましたように、今回の介護報酬改定の中で、夜勤職員の配置を義務づけ、あるいはまた火災発生時の通報体制を確保することや、住宅地等に立地し、地域との連携を確保することを指定基準において義務づける等の対策を講じたところでございます。

 先ほどのスプリンクラーの設置義務づけの話でございますが、先般、NHK「クローズアップ現代」でこの部分をやっておりまして、私もしっかり見させていただいて、強く感じるところがございました。

 この問題につきましては、厚生労働省的には五つほどの観点があると思っております。一つは今回の火災の原因がいまだに不明確であるということ。

 二つは、たばこやライターを入居者自身に持たせていた、避難訓練を一度も行っていなかった、消防署への通報まで時間がかかり過ぎた等の特別な事情が重なった今回のケースを前提として、すべてのグループホームへ義務づけることが適当なのかどうかということが二つ目。

 三つ目が、さまざまな防火対策を徹底し、自動火災報知設備や消防機関への自動通報設備の設置を義務づけた場合においても、さらに住宅用スプリンクラーの設置まで義務づける必要があるのかどうかという観点。

 そして四つ目は、設置費用を負担し切れるのか、住宅用スプリンクラーの費用対効果は十分なのか、これは特にNHKの「クローズアップ現代」でもかなりこの辺が強調されておりましたけれども、そういう点。

 さらに五つ目は、スプリンクラーを義務づけた場合は、建物の状況によっては、グループホームのよさである家庭的な環境が保てなくなったり、閉鎖を余儀なくされたりする事業所も出てくるんじゃないかというふうに幾つかの検討課題が残っております。

 先ほどの消防庁のお話とは少し違うんですけれども、十分慎重にしていかなければならない、厚生労働省としては早急な結論は出すべきじゃない、こんなふうに思っているところでございます。

山井委員 いや、私も三月中に結論を出したいという話を聞いて、そんな急な話なのかとちょっとびっくりしたんです。

 こんなところで取り出すのはちょっとおこがましいんですが、なぜ私がこんな質問をするかというと、私は、実はもともとは、議員になる前はグループホーム研究者だったんですよね。こんなところに持ってきてもしようがないんですが、世界で初めて認知症のグループホームの本を書いたのは、スウェーデンのバルブロー・ベック・フリスさんというお医者さんで、その本を翻訳したのも私なんです。

 二年間スウェーデンにグループホームの調査で留学していまして、今まで四冊グループホームの本も書いていまして、二十七からですから十八年間、グループホーム問題、ずっとこれに私は取り組んできて、今議員に実はならせてもらっていまして、このグループホームに対する思い入れは半端じゃないんですね。(発言する者あり)そうですね、障害者の方々のグループホームもありますし。

 それで、今のグループホームの問題点は、利用料が非常に高いとか、やはり介護報酬が低くて職員の方々が十分に集まらないとか、職員の数が少なくてなかなか十分な夜間の介護ができないとか、人里離れたところにぽつんと、今回も民家が近所になかったという中で火災が起こったので、そういう問題が言われているんですよね。

 そこで、消防庁さんにお伺いしたいんですが、消防庁さんが、お年寄りの方が火事で死んだらだめだ、そういう使命感のもとにやってくださることに何かけちをつけるようで非常に申し上げにくいんですけれども、スプリンクラーというのは幾らぐらいなのかということと、それをつけるとしたら、結局だれがお金を払うことになるのかということと、それともう一つ、検討会のメンバーを見たら、何か消防関係者がほとんどで、厚生省の人が一人と、グループホーム協会の人が一人という中で、やはり現場の人がちょっと少な過ぎるんじゃないかなと思うんですが、大石次長さん、いかがでしょうか。

大石政府参考人 まず、設置費用のお話でございますけれども、そのグループホームの規模などによっても当然異なるわけでございますけれども、延べ面積が三百平米程度の認知症高齢者グループホームであれば、約三百万円程度で設置ができると我々は考えております。それから、負担のお尋ねですが、消防法令では、住宅用スプリンクラー設備の設置義務は、通常、施設の運営主体が負うことになっているわけであります。

 それから、検討委員会のメンバーでございますが、消防関係者ばかりではないかという御指摘があったわけですが、厚生労働省の担当課長さん、それから高齢者等のケア、防火対策に詳しい学識経験者の方、それから利用者の立場を代表されて主婦連の代表者の方、それから認知症グループホーム協会の代表の方、こういった方々に入っていただいて御意見をいただいております。

 また、そのグループホームの方々の生の意見を反映する場がないのではないか、このような御指摘に対しましては、実は、消防庁では、この検討会と並行いたしまして、既に二回、グループホーム関係者の方々と話し合いの機会を持ちまして、御意見をいただいているところでございます。

山井委員 本当にお年寄りの命を守るためにやってくださっていることには敬意を表するんですが、三百万円のスプリンクラーをつけて本当に効果があるのかということも一つありますし、また、それを自己負担、結局は利用者負担にはね返るわけですから、そうしたらますます、ただでさえ今、裕福な方しかグループホームに入れないというのが問題になっていて、ますますお金のある人しか入れなくなる。また、その三百万円をかけるんだったら、もしかしたら人手をふやした方が防火のためには役立つかもしれない。

 だから、私は、スプリンクラーをもちろん全否定するわけではないですけれども、まだまだ検討すべき課題はあると思いますし、はっきり言って、障害者福祉の目玉でもあります障害者向けのグループホームにもこれは波及する問題なわけなんですね。

 そういう意味では、消防庁さんの取り組みにも敬意を表するとともに、やはり現場の意見をじっくり聞いて、時間をかけて議論してほしいと思いますが、厚生労働省、いかがでしょうか。

赤松副大臣 厚生労働省としては、先ほども申し上げましたように、慎重に対応していきたい、そんなふうに思っておりますが、今御指摘のあったように、施設のサービスや経営に与える影響等を精査しながら、消防庁とも連携をとりつつ、性急な結論が出ることがないように慎重に検討を進めてまいりたい、そのように思っております。

山井委員 最後に一言だけ大臣に申し上げたいんですけれども、話は戻りますが、先ほど、医師は足りているということを大臣答弁くださいました。

 私は、やはり審議で一番重要なのは、エビデンス・ベースド・ポリシーといいますか、根拠とデータ、調査に基づいた政策論議をするのが国会だと思うんですね。足りていると力強くおっしゃられるわけですけれども、実際、需要がどうなのかということを調べたのは八年前なんですね。そういう意味では、私はもう一度、今の需要が八年間でどう変わっているのかということを、やはり今回重要な医療制度改革の審議をするんですから、検討会の議論をちょっと前倒ししてでもやった方がいいのではないかと思うんです。

 くどいようですが、最後に大臣の御答弁をお願い申し上げます。

川崎国務大臣 そこのところは、先ほどの発言のとおりでございます。新しい調査は新しい調査として、できた時点で御報告を申し上げます。

山井委員 ぜひ審議のときにそのデータが出てくることを期待しております。

 ありがとうございました。

岸田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨日の参考人質疑以来、児童手当や児童扶養手当を初めとして、少子化対策全般について話し合いが進んできたかと思われます。

 きょうは、その中でも保育所と学童保育の問題について伺いたいと思います。

 共働きや一人親家庭にとって保育所はなくてはならないものであり、かつて私たちの先輩たちは、ポストの数ほど保育所を、これをスローガンに赤ちゃんをおんぶしながら市役所交渉などを繰り返し、現在の保育制度を充実させてきました。

 昨年九月に発表された少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較では、OECD加盟国の中で、労働時間、雇用機会、地域の子育て環境、家庭内役割分担、子育て費用、若者の自立可能性など、子育てに関する指標で最も日本がおくれた国になっています。

 待機児童の解消と公的保育の拡充は、今なお急がれる課題であります。皮肉にも、ポストも民営化されましたが、保育所までも市場開放を迫る経済界の声に押され、大きく変質させられようとしているのではないか、このことに強い危惧を持っているものです。

 最初に伺いますのは、保育所の待機児童数が幾らか、そのうち旧定義による数字とあわせて伺いたいと思います。

北井政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成十七年四月の待機児童数は、二万三千人程度となっております。

 一方、いわゆる旧定義によります待機児童数は、四万三千人程度でございます。

高橋委員 我々としては、旧定義という問題があると思うんですけれども、依然として四万人という方が待機しているという事実があると思います。

 そこで、二〇〇四年から公立保育所の運営費が一般財源化されました。昨日の参考人質疑でも、これにより民間移管が急激に進んだという指摘がございました。

 この間、公立保育所から民間への移管、形はさまざまあると思いますけれども、どのくらいあるのか、伺いたいと思います。

北井政府参考人 平成十六年度からの公立保育所運営費の一般財源化後、公立保育所から私立保育所にどれぐらい変わったかという御質問でございますが、すべての数を把握しているわけではございませんが、平成十六年四月からの一年間で、公立保育所については、民間主体に対して、第一に無償譲渡が九十七カ所、第二に有償貸与が四十六カ所、第三に業務委託が四十三カ所ということでございます。

高橋委員 この質問をする前に、以前数字をいただいたときに、この間の数字で業務委託や財産貸与ということで五百八十八カ所ふえている、そういう数字がございましたけれども、その点、確認してよろしいですか。

北井政府参考人 お答えを申し上げます。

 十三年度から十七年度までの累計ということの数字だと思います。それは、ちなみに、民間への業務委託が累計三百九十八件、民間への公有施設の貸与、累計百九十件、民間への公有施設の譲渡、累計二百四十件という数字でございます。

高橋委員 ありがとうございます。

 三年間の数字と一年間の数字ということでお出しいただいたと思います。やはり、民営化や民間委託が進んでいるということが言えるんではないか。

 その背景には、自治体の財政難があると思うんですね。運営費の二分の一を国が持つという、いわゆるこれまでの国の責任を明確にした負担金制度から、使途が問われない一般財源化になったことが引き金となったのではないかと思います。

 そもそも、国の負担金の根拠となっていた保育費用、いわゆる補助基本額が余りにも低いのではないか。保育単価は勤続十年までしか賃上げを考慮しておりません。これでは長く働き続けると、その分、公立ですから市町村が超過負担せざるを得ない、こうした事情があったのではないか、一因ではないかと思いますけれども、局長の見解を伺います。

北井政府参考人 保育所運営費のレベルについてはいろいろな御意見があると思いますけれども、公立保育所と民間保育所の差を埋めるために、いわゆる民改費というものがございまして、その意味で、民間保育所の賃金水準についてもある程度の担保をしているものと考えております。

高橋委員 いろいろあるけれども、差を埋めるためにというお話でした。ですから、私たちにしてみれば、民間の方たちを公立並みに引き上げていくのがやはり本来の格差是正ということではないかと思うんですね。やはり、民営化が進むと、短期雇用、非正規雇用が拡大し、結果として保育の質の低下につながるんではないか、こういうことは当然言えると思うんですね。

 今年度から、施設整備費は次世代育成支援交付金に移行して、来年度から公立保育所分はなくなりました。実際、今年度の自治体から上がってきた協議の五四%しか交付金は配分されませんでした。自治体の裁量ということをよく言われますが、現実はこうではないのか。どうやってこれで待機児童を解消していくのか、再度伺います。

北井政府参考人 今お話しのとおり、平成十六年度から公立保育所の運営費は一般財源化し、十八年度から、この改革によりまして、公立保育所の整備費も一般財源化をすることになっております。

 今の御質問は、恐らく、今年度の保育所の整備費について、当初の用意が不十分であったということではないかと思いますけれども、確かに、当初予算におきましては、地方自治体から協議が上がってまいりました整備費の要請に対して十分こたえることができませんで、そういう意味では大変御迷惑をおかけいたしましたが、平成十七年度の補正予算とそれから十八年度予算案の総額で約四百十五億円ほどの手当てができておりますので、保育所の整備につきましては、この額を最大限活用して、十分な整備を図っていただきたいと考えているところでございます。

高橋委員 その補正については、全国の保育関係者の方から、私も宮城県の施設の皆さんなどともお願いをしましたけれども、全国からそういう声が上がって、当然配分されるものと思っていたのが何だ、これまでの施設の計画は途中でどうなってしまうのだという大きな要望があって、こう措置されたということだと思うんですね。

 ただ、補正予算のメニューが、たまたま今回、耐震化ですとかアスベスト対策ですとか、メニューがあったから救われたのであって、毎度毎度同じことを繰り返していくことができないわけですよね。そういう点で、本当に担保されるのかということが問われるのではないかと思うんです。

 私は、時間がないので、このことを踏まえていただいて大臣にちょっと伺いたいなと思うんですけれども、この間、待機児童対策ということで定員の弾力運用ということもやってまいりました。要するに、認可定員を超えて子供を受け入れてきた。厚労省はそれを弾力化し、三年が経過しふやした人数に変化がない場合はその人数を定員とすると。そうして結局それが、ふやしたまま定員になっちゃったわけですよね。基準緩和がどんどん進んでいる。

 ですから、当時、プールや園庭をつぶした、あるいはホールや廊下を保育室に読みかえて入所児童をふやした施設もある。それがそのままの状態で定員になった、進んでしまうわけですね。ですから、きちんとした予算の措置がされない。そういう中で、さっき言ったように保育士の問題もあるわけですけれども、また待機児童の数を減らすということにだけ進むと、やはりそこは基準緩和にだけ偏ってしまうのではないか。

 今、多くの保育関係者の不安は、やはり保育の市場開放を迫る声が強まる、きょう、認定こども園の話は質問できないんですけれども、次回に回したいと思うんですけれども、認定こども園の中でも、認可外保育所を地方裁量という形で認めるものだとかが今出てきます。そういう形で、待機児童対策の名のもとで規制緩和が進み、結果として保育制度、公的保育の中身を突き崩すことになるのではないかという不安があるんです。

 ですから、保育所として当然備えていなければならないもの、国が決めてきた基準というものは後退させるべきではない、あるいは拡充させるべきだと思いますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

川崎国務大臣 今数字でもお示しいただきましたけれども、都市部を中心に待機児童の解消が課題となる中で、保育所の受け入れ児童数の増加を図るため、保育の質の確保に配慮しつつ、保育所の配置主体制限の撤廃や保育所分園の導入といったさまざまな規制緩和措置を講じてまいりました。

 また、面積や職員配置の基準を維持できる体制のある保育所に限り、保育所定員を超えた受け入れを一定の範囲内で認めることにより、保育所入所の円滑化を図っており、この場合においても児童福祉施設最低基準は遵守されており、適切な処遇は確保されていると考えております。

 今後とも、次代を担う子供の健やかな育ちを中心に置いて、保育サービスの充実を図ってまいりたい。

 一方で、三位一体の議論につきましては、地方が責任を持ってやりたいという議論の中で、私ども、いろいろな考え方がございましたけれども、今日まで進めてきた議論の中で最終決断をしたものでございますので、どうぞ御理解を賜りたいと思います。

高橋委員 今、最低基準の確保ということはお約束いただいたと思います。

 ただ、やはり規制緩和を進めていく、確保しつつも規制緩和を進めていくということでしたので、その点についてはやはり意見が分かれるところですので、今後の議論でまたお願いをしたいと思っております。

 次に、学童保育、放課後児童クラブの問題で伺いたいと思います。

 先ほど山井委員も、実は、学童保育というのは学校にいる時間よりも長いのだというお話をされました。まさにそうであります。五百時間も多い時間を生活の場として送っている。そういう点でも非常に大事ではないかと私たちは思っています。

 また、この間、子供たちを取り巻くいろいろな事件が起こっているわけですけれども、例えば、一昨年、下校途中の小学校一年生の女児の誘拐殺人事件が発生した奈良市では、新年度から、午後五時までだった開所時間を今後最大七時まで順次延長する予定だ、そして、事件後、前年度より四百人も多い児童が学童保育に入所し百人を超えるところが出てきている。ですから、子供たちを取り巻く深刻な事件を通して、改めて学童保育に注目が寄せられている、期待も寄せられている、そういう状況があると思うんですね。

 それで、私はまず大臣に、厚労省的に言うと放課後児童クラブの役割、意義について、どのようにお考えか、伺いたいと思います。

川崎国務大臣 子供が被害者となる事件が続いている中で、放課後児童クラブは、仕事と子育ての両立支援のみならず、子供が安心して過ごせる場として重要であると考えております。

高橋委員 ありがとうございます。

 そこで、今保育で幼保一元化、さっき言った認定こども園などの問題が話題になっております。学童保育においても、全児童対策事業ということがこの間やられてきて、一緒にやればいいのではないかという話がこの間随分出されているわけです。

 私は、放課後の学校の開放あるいは地域との交流が重要だという点では何も異論を挟むものではありません。ただ、児童福祉法を改正してあえて位置づけた放課後健全育成事業なるもの、それ自体をしっかり維持し、全児童対策事業などの中に解消されるべきではないと考えますが、見解を伺います。

北井政府参考人 全児童対策と放課後児童クラブの位置づけということでございます。

 いわゆる放課後児童クラブにつきましては、放課後児童クラブを利用される児童につきましては、保護者が昼間就労などで御家庭におられないといったようなことでありますので、こうした子供さんの置かれている状況に十分配慮した上で遊びや生活の場を提供する必要があると考えております。すなわち、例えば、状況に応じた開設日数や開設時間の確保が必要でございますし、保護者との日常的な連絡体制、意見交換の確保が必要でございます。また出欠の確認あるいは安全確認の徹底といったことも配慮が必要でございます。

 こうしたことを十分踏まえた上で放課後児童クラブというのはやっていかなければならないものだと思っておりますので、全児童対策というのはいろいろな形がございますから、しかも、特に学校の校内でやることが多いわけでございますから、それぞれの事業のやり方あるいは人材の交流、活用といったことも含め、あるいは学校との協力といったことも含め、十分連携していかなきゃいけないと思っております。

 こうした放課後児童クラブへの配慮ということも十分踏まえてやるとなると、例えば、直ちに全児童対策に全部統合してしまうということができるかどうかということになると、なかなか困難ではないかというふうに思っているところでございます。

高橋委員 改めて、やはり児童福祉法に位置づけられた放課後健全育成事業の役割というのが逆に整理されたのかなというふうに、ありがたいと思っております。やはり、連携を図るけれどもきちんと位置づけは保っていくという必要があるのではないかと思うんです。

 先日、北秋田市に行きましたら、地元の市会議員が学童保育を議会で何度も取り上げて実現したという手づくりのニュースを見ました。共働きで小一の子供が帰宅してもひとりぼっち、ストーブもつけられずジャンパーを二枚も着て寂しそうにしている、ある母親が涙ながらにPTAで話した一言がきっかけで、森吉町、これは合併したので旧森吉町なんですが、学童保育をつくる会が結成され運動が実った、そういうニュースでありました。

 私自身も、学童保育設置を求める運動をしながら隣の学区にお世話になっておりましたが、四時閉所だったこともありまして、息子には怖い思いも寒い思いもさせた、胸のつぶれる思いでこのニュースを読みました。

 三月まで保育所にお世話になっていた子供が、四月からは一人で留守番をする。急には変えられるはずがありません。先ほど来紹介されている全国学童保育連絡協議会の調査でも、保育園を卒園した子供の五割しか学童保育に入所していない、そういう調査があります。待機児童をどう把握されているでしょうか。

北井政府参考人 放課後児童クラブを利用できなかった児童数でございますが、平成十七年五月一日現在で一万一千三百六十人でございます。

高橋委員 今読み上げていただいた資料、厚労省の育成環境課の調査で確かに一万一千三百六十人、それから市町村の割合でいいますと八二・五%かと思います。

 それで、先ほど山井委員に対して、大臣は基本的には行き渡ったとおっしゃいましたけれども、まだそこまではいかないのではないか、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 申し上げましたのは、各地方自治体単位で見ると、過疎、離島の自治体を除いて大体設置はできたように思う。しかし一方で、一つの自治体で学校区単位に置いていくという方針でございますから、そうした考え方からすると、あと一つ足りない、二つ足りないという御要請が私どもの方にも届いている。

 そういった中で、私どもは十八年度予算案において対前年度比九百カ所の増を計上している。一万七千五百でございますけれども、何とか早く目標一万七千五百を達成できるように全力を挙げていきたい。そういう意味では、まだまだ足りないという意識は必要でございます。

高橋委員 ありがとうございます。

 まだまだ足りないという御認識をいただきましたので、頑張っていただきたいと思います。

 それで、ちょっと保育の中身の話をしたいと思うんですけれども、私は、二〇〇四年の七月に山口富男元衆議院議員と連名で質問主意書を提出させていただきました。その中で、学童保育の設置・運営基準を独自に設けている自治体は全国にどれくらいあるかと質問しました。厚労省は初めて全国調査を行い、都県を含めて四十五の自治体があるという中身でありました。たった四十五かということ自体に驚いたのですが、さらに驚くのはその基準の中身であります。

 大臣によく聞いていただきたいんですが、そもそも、国に基準がないため、どういう定めをするかも自治体によってばらばらであります。ロッカーが設けられていること、これ一つで基準ありと回答した自治体。トイレを設けていること、当たり前かもしれませんけれども、それ自体が基準になっている自治体もございます、ないところもあるわけですから。大変お寒い状況だと言わなければなりません。

 この間、学童保育連絡協議会も、繰り返しこの点要望してきました。埼玉県がお手本になって独自に基準をつくり、そのための改良に予算もつけて重点的に取り組んでいます。石川県、千葉県、群馬県と続いています。厚労省には繰り返し国基準の検討を求めてきたところですが、改めて、国として設置・運営基準をつくるべきだと思うが、どうでしょうか。

北井政府参考人 放課後児童クラブにつきましては、現在の実施要件は、各地域の実情に最も適した取り組みが行えるように放課後児童指導員の配置、それから遊具、図書、児童の所持品を収納するためのロッカーの設備等の配置といったようなことで、最低限の実施要件を規定するにとどめているところでございます。

 国としての基準という御指摘については、昨年の青少年問題に関する特別委員会におきましても、放課後児童クラブを中心とする審議がなされました際に、さまざまな観点から御議論をいただいたところでございまして、その際にも、国が策定すべきであるという御意見もございましたが、あるいは、地方の多様な取り組みを促すために地方が策定すべきだというような御意見もあったところでございます。

 厚生労働省といたしましては、各地域の多様で柔軟な事業が実施できるということを尊重しながら、国としてどのような対応が可能か、検討したいというふうに考えております。

高橋委員 私は、自治体が独自につくる細かい基準というのは、それは当然あるだろう、でも、多様だとかそういうレベルの話じゃないと思うんですね。そもそも、ロッカーがあればいいとか、その程度しか基準がないわけですから。先ほど全児童との関係で伺ったときに、出席をとって、出席をとるというのは非常に大事なことなわけですね、一人一人の子供がきょうは出ているか、それがどうなっているか。そういうことも踏まえて、やはり子供たちの安全確保ということが期待されている以上は、それだけの役割を果たさなければいけない。だけれども、それを担保するものがないということですね。

 児童福祉法施行令第一条には、「児童福祉法第六条の二第十二項に規定する放課後児童健全育成事業は、これを利用する児童の健全な育成が図られるよう、衛生及び安全が確保された設備を備える等により、適切な遊び及び生活の場を与えて実施されなければならない。」こう書かれております。しかし、これだけなんです。幾ら何でも貧弱過ぎます。

 衛生及び安全対策をどうやって確保するのか。適切な遊び及び生活の場をどうやって確保するのか。何らの基準がないというのはいかがなものか。大臣に伺いたいと思います。

川崎国務大臣 これについては、正直言ってなかなか難しい議論でございまして、私ども、いつも責められるのは、国で規則をぎりぎりに縛った補助金をつけて地方に全部やらせるのか、こういう御批判をいただく。一方で、委員のように、しっかり基準をつくって国でウオッチしながらやれ、この二つの意見がございます。一方で、衆議院の青少年問題に関する特別委員会、そこでも議員同士の御議論をいただいたと思っております。

 そういう意味では、今議論は半々なのかな、地方の自由な裁量に任せろという考え方と、国でもう少しルールづくりをしていった方がいいんではなかろうか、そういった御意見を賜っておりますけれども、よく皆さん方の御議論を賜りながら、最終的な意見集約に向けて頑張ってまいりたいと思います。

高橋委員 補助金の使い方で国の基準ががんじがらめになって問題だということが、三位一体の議論が起こってきた背景にあるわけですね。それと一緒にしちゃ困るんです。児童福祉法に基づいて児童の安全を守るということをしっかり書いている、それに対して担保するものが何もないじゃないかと言っているんですから、裁量だとかそういうものと一緒にしないでほしい。そういうふうに考えていただきたい。

 では、認可外の保育施設の指導監督基準というものがあります。認可外の保育施設には、御存じのように、いわゆる補助金のようなものは出ていませんね、運営費にかかわるものは出ていません。

 しかし、自治体が監査をしますので、最低限の基準がございます。保育に従事する者の数は二人を下回ってはならないこと、保育室の面積は、おおむね乳幼児一人当たり一・六平米以上であること、あるいは、先ほど火災の話も出ましたけれども、非常災害に対する措置、消火用具、非常口その他非常災害に必要な設備が設けられていること、いっぱい読みたいんですけれども、たくさんございます。

 そういうふうに、たとえ補助金が十分に出ていなくても、当然それは子供さんを預かる施設として、これだけの基準は守ってくださいよと言っている。それすらも、これに見合うものすらもないのか。いかがですか。

北井政府参考人 昨年の御審議でもそういう御意見もございまして、私もガイドラインというようなことについて少し研究してみたいということをお答え申し上げました。

 現状でございますが、私どもで、先ほど御指摘いただきました自治体の数字も前の資料になりますので、もう一度新たに自治体に、独自の基準のようなものをつくっておられるかどうか、どういう内容なのかというのを協力依頼をいたしまして、そうした内容について調査をして、それで今精査をしようとしているところでございます。

 そうしたようなことから始めて、少し勉強していきたいというふうに考えております。

高橋委員 調査、勉強していきたいというお答えをいただきましたので、前向きな答弁だと受けとめて、頑張っていただきたいというふうに述べたいと思います。

 昨年の十二月五日に、「児童館・放課後児童健全育成事業における児童の安全確保について(依頼)」という通知が出されています。改めて子供の安全対策における放課後児童クラブの役割を厚労省として認識して、また、自治体にもお願いをしている、そういう経過がございます。

 だからこそ、それを担保するために国も責任を負うべきだということでお願いをして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

岸田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 各委員並びに委員長には、長いお時間の審議、大変御苦労さまです。私に与えられた残り三十分を、きょうは主に、このたびの三位一体改革に伴う、特に、厚生労働省の行政にかかわります分野での補助率の削減という形をとった、地方へのさまざまな業務の移管について質疑をさせていただきます。

 本日朝からずっと私の席に座っておりまして、この間の審議を承っておりましたが、果たして本当にこれが地方の分権なり自治なりに向けた改革であり、そして、今回最も業務の移管が大幅に行われたところの、あるいは補助率が削減されたところの児童手当とか児童扶養手当とか、それから、先ほど高橋委員が問題にされました公立保育所の、これも補助を削減して地方の裁量でやるという問題等々をとってみると、ふたをあけてみると随分子供関連のことばかりなんだなという思いを新たにするわけです。

 いわゆる義務教育費の国庫負担については、国の責任という言葉もよく使われますし、子供をはぐくみ育て、教育するということにおいての、やはり国としての取り組みはあると思います。

 そもそも川崎厚生労働大臣は、子供ということをめぐっての特に養育にかかわる国の責任、ナショナルミニマムという言葉を使いますが、ここにおいては、今回の三位一体改革に伴う補助率の削減等々をもってしても揺らぐものではないとお考えなのか。抽象的な聞き方で恐縮ですが、いわゆる義務教育費の場合は、国の責任という言葉を盛んに使うわけです。

 私は、やはり子供というものは、大臣もおっしゃいました、授かりものだ。本当に親にとってはうれしいし、ありがたいし、そして、社会にとっては次代を担うまさに希望であり未来でありますから、このことに国も社会も挙げて責任を負っていくと思っておりますが、冒頭、まず大臣のそのことにかかわります決意のほどを伺いたいと思います。

川崎国務大臣 先ほど生活保護のことをしゃべり過ぎましたので、しかられましたので余りしゃべりませんけれども、生活保護も、国が四分の三、地方が四分の一ですから、国と地方が協力し合いながらやっていることは間違いないんです。

 要するに、国と地方のそれぞれの責任の負担のし合いをどうしていくかという議論であろう。子育てについても、国だけでこれは責任を持つとか、地方だけでおやりなさいとかいう考え方は、私はとりません。基本的には、国と地方が協力し合いながらしっかり子供を育てられる環境をつくっていこう、このように思っております。

阿部(知)委員 それは、一般論としてはそのようなのだと思いますが、私は、大臣がちょっとしゃべり過ぎたとおっしゃったので、生活保護の方については一点だけ確認をさせていただきます。

 この間、地方自治体のいろいろなやりとりの中で、生活保護制度が抱える問題について国も自治体も改善の努力を重ねるということで、この改善努力を見るまでは、いわゆる補助率を下げたり地方に投げたりということは当面は凍結されておると、ここで一言確認をお願いいたします。

川崎国務大臣 これは、福岡県知事がお見えになりまして、そんな御心配も含めてお話しいただきました。私は、二年間にわたって知事さんや市長さんと議論してきた。そして、お互いに適正化をし合うことで合意をした。したがって、その合意に基づいて、厚生労働省として誠意を持ってやっていきたい。

 例えば、資産調査というものをきちっとしよう。年金を担保にしてお金を貸してくださいという、この話はやめましょう。地方の提案があったことはやります、四月から。その中でお互いに議論していく話ですから、私が、そのとき私がやっているかどうかはともかくとして、厚生労働省の方から、この秋になってまた去年の議論を蒸し返すというつもりはございません。

阿部(知)委員 そのことを確認いたしました上で、児童手当につきましては、先ほど児童家庭局長から御答弁もありましたように、政府の案では、特例交付金等々を用いてこの年齢の拡充にも対応していくということですが、私がここで一番懸念しておりますのは、児童扶養手当に関します国の責任は何かということでございます。

 ちなみに、私的なことを申せば、私は二歳で父を亡くしておりまして、母が一人で育てるいわゆる母子世帯に育っております。今たくさんのお母さんたちが一生懸命子育てをしている。そして、ちなみに、日本のお母さんたちというのは、今いろいろな出来事が報道されますが、基本的には、子供を抱えて本当に努力しておられる方々だと思うのです。

 ところが、国の補助率が下がってこの児童扶養手当が地方に移管された場合に、もちろんその支給対象というのは明文化されておりますのですが、一方で、それでもなお、お母さんたちが抱く不安とは、例えば平成十四年のことでしたか、この児童扶養手当に関する法律の改正が行われましたときにもそうですが、やはりお母さんたちの就業支援が基本であって、逆に返せば、お母さんたちが余りしっかり働いていないのではないかというような受けとめ方もまだあるのではないか。

 ありていに申しませば、例えば大臣は、十二月七日に、これは第十四回の社会保障の在り方に関する懇談会の中でも、「やはり母子の就業支援が基本であるので、県、市と協力し合いながら、例えば五年たっても仕事をする意思がない場合は既に法律で」云々と、半分に下げることも決まっているという表現をとられるわけです。

 そこで大臣に伺いますが、今母子家庭で児童扶養手当をお受けになっているお母さんたちが果たしてどのくらい就業しておられるか、御存じでしょうか。就業率です。

川崎国務大臣 御質問通告いただいていませんので、私のうろ覚えで申し上げます。

 八〇%を超えると思っております。

阿部(知)委員 まさしく八〇%を超えております。

 実は、児童家庭局の方で五年刻みのいろいろな調査を本当に緻密にやってくださっていて、平成五年で就業率八七%、平成十年で八四・九%、平成十五年は少し下がりましたが、八三・〇%。いわゆる八割のお母さんは仕事を持っておられます。

 そして、大臣、通告外のことばかり聞いて恐縮ですが、この母子家庭における収入でございます。これだけ、八割以上就労しておられますが、果たして平均収入は幾らだとお思いでしょうか。

川崎国務大臣 平成十五年で平均収入二百十二万円でございます。

阿部(知)委員 大体その前後でございます。最近のデータでは、一般世帯が五百八十万に対して、母子家庭が二百二十五万、それでなおかつ働いておる。

 そういたしますと、大臣がここで御発言の、基本的には就労の問題であるということは、先ほど西村智奈美委員も御質疑の中で問題にされましたが、就業はしておるのでありますね。そこで基本的には就業の問題であって働く意欲がないと言われましても、やはりお母さんたちには、そうじゃないという思いが強くあると思うのです。

 大臣は、この働いていて、就業していてなおかつ二百十二万、二百二十万内外の収入であることの原因は、何と想像されますでしょう。

川崎国務大臣 一つは、残念ながら八七%の就業率から八三%に落ちてしまっている、特に七十九万世帯が百二十三万世帯になっていますから、逆に言えば、かなりの数の人たちが仕事をされていない数に上ってきていますね。上ってきていますね、数がふえていますから、百二十三万になっていますから。そういう意味では、そういうところにしっかり手が届くようにやっていかなければならないだろう。

 それから、差をどう考えるか。これは、先ほど御質問も出たと思いますけれども、パートでしっかりと正規雇用の方々と同じような仕事をしながら賃金に差がある、男女間に差がある、こういった問題については、しっかり私どもは詰めていかなければならない。

 一方で、中小企業等に、そうした問題をきちっととらえてくれるところについては私どもの方から助成金もやっていこうというようなことで、いずれにいたしましても、全体的に女性の仕事、中でもこの母子家庭の仕事というものに対してできるだけの支援をしていきたい、地方自治体と我々の一つの責務ではなかろうかということでやらせていただいております。

阿部(知)委員 突然ですので、大臣の御認識に少しそごがあると思うのですが、母子世帯数全体では百二十三万ですが、いわゆる児童扶養手当を受けておられる家庭は八十七万でございます。

 そして、さらに申しませば、これが一番私は問題と思いますが、パートの比率がどんどんふえてきています。大臣も御心配くださるように、景気情勢が悪いと失業なさるお母さんもふえるというのも一因でございますが、恐らくそれを上回る実態といたしましては、平成五年の段階では、常用雇用とパートの比は、約五三%が常用雇用、パートは三一・三%でございました。そして、他の一般世帯に比べた収入も、今ほど格差はございません。

 しかるに、平成十年には、常用雇用が五〇・七、パートが三八・三と、だんだんパートがふえてきて、特にこの五年が著しくパートがふえ、逆転をしてしまいました。パートが四九・〇、常用雇用が三九・二でございます。そうなると、幾ら地方でお母さんの就労支援をしていてもなかなか常用化されない、常用化されないゆえに低賃金にとどまるということがあります。

 ここで、雇用均等・児童家庭局長にお願いしたいのですが、私が昨日お伺いいたしましたように、常用化のための取り組みがどの程度実績を上げているのか。いろいろな補助金をつけてやっておられますが、悲しいかな、常用化の取り組みが一番実を上げておりません。

 まず、実態についてお教えください。

北井政府参考人 今お話しのように、パートで働く母子家庭のお母さん方に、一層経済的にも自立をしていただくためには、常用雇用を促していくということが大変重要なことでございます。

 自治体にお願いをしております常用雇用転換奨励金事業の実績で申しますれば、制度発足以来、実績としては転換が成った方々の数字は五十六人でございます。もとより、国の方のハローワークにおきましても、職業紹介をして常用就職に結びついておりまして、それで、助成金も使いまして常用雇用の促進をしているところでございます。そっちの方は実績が多いわけでございますが、自治体の取り組みとしては今のような実績でございます。

阿部(知)委員 今のさまざまな景気情勢の中で、人を常用雇用するということは、企業にも大変負担が強いということはあると思いますので、その点について大臣は、労働行政全体の中で、若年者の常用化を図るとか、特にこういう母子世帯の常用化を図ることに御尽力のことは知っておる上でお願いいたしますが、やはりこれは地方だけの努力ではどうにもならない。

 例えば、常用化されて、先ほどのプログラムはその雇用主に三十万円が行くということなんですね、OJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニングをして。しかし、雇用主にとっては、正直言って、三十万円もらっても、一人を正職にした場合の人件費負担等々を考えると、やはりなかなか利用しづらいということで、今、過半数の働くお母さんたちがパート化してしまっています。

 これは、平成二十年に、例えばその時点で児童扶養手当の見直しがありますよね、働いていない、あるいは働く意欲がない、あるいはこういう状態で長く働くことに疲れる、そうすると道は二つしかなくなってきます。一つは、仕事をやめて生活保護に頼らざるを得ない。あるいはまた、お母さんたちはそれでも必死に努力しますが、体を壊すなど、今、パートを二つ三つかけ持ちはざらなのですから。

 やはり大臣には、特にこの母子世帯ということにフォーカスを当てて、と申しますのは、今、格差社会と言われますけれども、格差が著しく攻め寄せるところというのは、わけても弱いところに大きく負担をもたらすわけです。大臣はそこはよく御存じと思いますので、このたびのさまざまな大臣の審議会での御発言等々も読み取らせていただいた上で、この児童扶養手当、ここにおける国の責任とは、私は、全体の労働行政の、正規を多くすると同時にこうした母子家庭のお母さんたちの常用化を図るために、鋭意精力的に御尽力いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 そこはまさに委員の御指摘のとおり、我々頑張らなきゃならないと思っております。特に、先ほど答弁で申し上げたように、しっかりやっている自治体となかなか進んでいない地域があることも事実です。そういう意味では、こういうものをきっかけにしながら、そういう自治体ともしっかり話し合いをしていかなきゃならぬ。

 それから、もう一つの切り口としまして、六十歳から再雇用する、この間、その人たちは六十五まで勤められることになるんだけれども、これを正規雇用と呼ぶのか非正規雇用と呼ぶのか、こんな議論をしまして、六十五までは勤められるよ、しかし一年契約だよということですから、どうも表現としては非正規雇用ということになるようでございます。

 パートというものも、よく見ていくと、企業の中で労働組合まで結成されてきちっとやっておる、大手のスーパーなんかはおやりになっていますね、そういうものと、ある意味では本当に劣悪な環境の中でやられている場合もある。そういう意味では、しっかりとした見方を私どもはしていかなきゃならないんだろう。

 一概にこれが非正規雇用だからという表現ではなくて、やはりどこが足らざる部分か、先ほど申し上げたように、正規の人たちと変わらない仕事をしていながら賃金はこれだけの格差があるという問題については、私どもしっかりウオッチしながら、申し上げることは申し上げながらやっていかなければならないだろう、こう思っております。

阿部(知)委員 特に子供を抱えているお母さんが、パートというか期間のある契約であるとか、あるいは時間の細切れの働き方であるということは、子供も含めて不安定になりますので、この実態については、担当部局は大変よくお仕事をしておられますので、大臣の方でもよく御承知おきくださって、実際、私は、実のある政策を打っていただきたいと思います。

 そして、それは何度も申しますが、地方の努力だけではいかんともしがたい部分もありますので、やはりそこに国として政策的に力点を入れるような、例えば六十歳から六十五歳以上の働き方の問題と一緒です、そういうふうにフォーカスを当ててお願いしたい。

 今大臣がおっしゃられた地方の側の状況ということでもう一点お願いしたいのですが、お手元に配らせていただいた資料の一枚目には、いわゆる生活保護等々を扱う社会福祉事務所、福祉事務所ですね、これの業務にかかわる人員数が書いてございます。

 この業務については、既に平成十二年の段階で、法定数で何々、何名置きなさいというのではなくて標準数に変えるという改正が行われたのですが、生活保護を受ける人の数はどんどんふえながら、その給付にかかわる業務をやる地方の社会福祉事務所の窓口職員は、減っていってというか不足が多くなっておるという実態が並べてございます。

 この現業員数というのが社会福祉事務所にお勤めの方の数でございますが、これが満たしている社会福祉事務所数が九百四十四に対して、不足という方が二百八十一。要は、満たしておるという方はほぼ変わらず、不足の方ばかりがふえていってございます。

 これはこうした、先ほどの児童手当の業務の、地方へのさらなる対象を拡大したときの業務量の増大もそうですが、自治体で担う職員の増加はこの時節柄なかなかない。そうすると、既に標準数といって、例えば都市部では八十世帯、八十人、あるいは、もうちょっと郡部では、何人と決められた数以上に抱えて働く社会福祉事務所の職員がふえておるという実情があります。

 大臣には、きょうお示しすることとあわせて、こうした点もどうやって、この方たちは、もう数においても満杯を抱えておられます。そして、おまけにいろいろこれから就労支援もしなきゃいけない、何もしなきゃいけない、業務量もふえてまいります。そのときに厚生労働省としては、もちろんそれは地方のことだと言っていられない大事な業務だと私は思いますので、これもまた大臣には実態を御承知おきいただいて、どのようにすれば実際の業務を担う職員が本当にやれる状態が来るのかということを御検討いただきたいが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 昨年まで二年間、生活保護問題、児童扶養手当問題を話し合ってまいりました。そして、お互いに適正化をしようということで理解が成り、一方で、地方からの御要望について、できるだけ私ども聞かせていただきながらこたえようと。

 そういった意味では、今、地方と援護局なり原局が話し合いに入っていっております。その話し合いの過程の中で、この福祉事務所の人数の問題についても私ども掌握させていただきながら、話を進めていきたい、こう思います。

阿部(知)委員 社会福祉事務所で働く皆さんのスキルアップにも、ぜひ厚生労働省の方からも御支援をお願いしたいと思います。

 残された時間がちょっと少ないのですが、児童手当の方に問題を振らせていただこうと思います。

 児童手当は、このたび、政府案が小学校六年の終わりまでの延長という形で、そして民主党の方からは、子ども手当というふうにかえて、年齢で、第一子、第二子、第三子区別なく、全部大体一万六千円でという御提案がございました。

 政府案についての御説明は、先ほど来大臣からいろいろしていただきまして、特に、昭和四十七年に第三子から始まったということは、当時、労働力不足等々言われたこともこれあり、企業も負担をしてくださったということもあると思うんです。しかし、このたびの改革では、総体の給付総額はふえましたが、企業負担分については据え置き、今のままの状態でございます。

 国が子供を育てるということと同時に、社会や企業にも私は何がしかの負担をしていただきたいし、そこをもっともっと広げていただくために大臣に頑張っていただきたいと思うのですが、まず、大まかに、大ぐくりに、一点、それをお願いいたします。

川崎国務大臣 これも先ほどの議論の中で申し上げましたけれども、この制度が第三子で始まったときは、基本的には企業側負担。それは、企業が企業に勤める人の子供に対して手当を出していた。そんな背景から、そろそろ全体的に公的負担にかえていこう、こんな議論もあったようでございます。

 しかしその後、企業は公務員も含めて独自の手当制度をそのまま継続しております。一方で、公的負担、国と地方の負担がだんだんふえてきたという中で、企業は、そんな経過もございましたので、そのまま据え置きで今日まで来ております。

 一方で、総括的な議論をするならば、まさに税で応援をしている面、それから手当という形で、児童手当という形で応援している面、それから企業が直接支援している面、この三つの側面がございますので、これをどういうふうにまとめ上げていくか、最終的にはどこかで整理しなきゃならぬ話だろうと。

 今までは、できるだけのことをしたいということで、いろいろな施策の積み重ねでやってきました。ことしも何とかふやさせていただきましたけれども、どこかで総括的にしなけりゃならないだろう、そのときは、やはり当然、税の問題、企業負担の問題等が出てきて児童手当をどうするかということになってまいるか、こんなふうに考えております。

阿部(知)委員 ちなみに、そこだけを取り上げるわけにいきませんが、大臣がきょう何回か例をお引きになったフランスでは、児童手当に対しては、事業主の拠出が六五%という制度設計を持っております。

 もちろん、これはトータルパッケージですので、大臣がおっしゃったように、どこを税で、どこを企業負担の拠出でお願いしてということは今後大きなテーマだと思いますので、ぜひ今回のこの審議をきっかけに、まだまだ続くものと思いますし、もっと充実していただきたいので、よろしくお願いいたします。

 民主党の方に、最後にお願いいたします。

 今回、法案を提出するということは、大変に御苦労もあり、エネルギーも要ることと思いますが、若い女性たちが中心になって法案を提出してくださったということは未来が明るいことと思って、まず冒頭はお礼を申し上げます。

 それから、午前中の寺田委員との審議の中で、第一子、第二子、第三子、同じところはないでしょうという質疑がありましたが、ノルウェーがそういう形態をとっておりまして、額も一万六千円くらいです。実はノルウェーとスペインがそうなんです。

 ノルウェーはかなり子供にフォーカスを当てて、この児童手当というのはいつも二つの側面、子供を養育する家庭の支援と、それから子供自身の子育ちを支援するというこの二本柱がありますが、今回民主党が考えられたのは、子供ということにもっともっとウエートとフォーカスを当て、そして家庭支援の方はまた別途いろいろ考えようということだと思いますので、ぜひ御参考にして、またいい案もお願いしたいと思います。

 そうしたことの前提の上に、やはり私が一つ懸念しますのは、今回暫定的に事業主負担は現状の事業主負担を入れ込んでおられますが、やがてこれを全部外して国による税の負担に持っていこうとなさっておられます。

 私の個人的考えを言えば、やはり、さっき言いました社会で支えるということで、いろいろな側面でもっともっと企業にも頑張ってほしいな、そして、この児童手当においても、そこにきちんとかんでほしいなと思うわけですが、そのあたりについてのお考えをお聞かせください。

西村(智)議員 午前中の私たちからの答弁を補強していただくような御発言をいただきまして、ありがとうございました。

 お尋ねの件でございますが、事業主の負担についてでございます。

 民主党では、党の政策といたしまして、チルドレンファースト、子供第一という方針を掲げております。この方針のもとで、子供を持ちたいという人が、子育てに係る経済的な負担、これを心配することなく安心して子供を産むことができる社会を目指しております。

 今回の法案は、チルドレンファーストの社会の実現に向けて、国の責任において取り組んでいくために、国の全額負担により子ども手当を支給することとしたものでございます。

 委員御指摘のとおり、当分の間の費用負担については、現に子供を養育しておられる方々について子ども手当制度を一刻も早く施行する必要があり、現行制度から新制度への円滑な移行を図るために、暫定措置として、事業主、都道府県及び市町村にこれまでと同様の負担をお願いすることといたしました。したがいまして、この法案では、事業主からの拠出金をふやすということは考えておりません。

 なお、事業主に負担を求めることにつきましては、やはり、社会全体で子供を育てていくという意識を形成する点からも、私も重要な課題であると考えております。よって、チルドレンファーストの観点から、例えば働く人のための子育て支援に資するような育児休業給付というようなものもございますし、こういった負担のあり方を検討する必要があるというふうに考えております。

阿部(知)委員 子供をめぐって深い論議がさらに行われることを望みまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

岸田委員長 次回は、来る十七日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十七分散会


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