衆議院

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第14号 平成18年4月12日(水曜日)

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平成十八年四月十二日(水曜日)

    午前十一時八分開議

 出席委員

   委員長 岸田 文雄君

   理事 大村 秀章君 理事 鴨下 一郎君

   理事 北川 知克君 理事 谷畑  孝君

   理事 寺田  稔君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井上 信治君

      石崎  岳君    上野賢一郎君

      大塚 高司君    加藤 勝信君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木村 義雄君    清水鴻一郎君

      菅原 一秀君    杉村 太蔵君

      高鳥 修一君   戸井田とおる君

      冨岡  勉君    長崎幸太郎君

      西川 京子君    林   潤君

      平口  洋君    福岡 資麿君

      松浪 健太君    松本  純君

      御法川信英君   山本ともひろ君

      伊藤  渉君    上田  勇君

      高木美智代君    高橋千鶴子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   厚生労働副大臣      赤松 正雄君

   厚生労働大臣政務官    西川 京子君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 松山 健士君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   鈴木 正規君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  松谷有希雄君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  中島 正治君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  磯部 文雄君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 塩田 幸雄君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     山本ともひろ君

  原田 令嗣君     長崎幸太郎君

  上田  勇君     伊藤  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  長崎幸太郎君     原田 令嗣君

  山本ともひろ君    大塚 高司君

  伊藤  渉君     上田  勇君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     加藤 勝信君

    ―――――――――――――

四月十一日

 安心して透析を受けられる医療制度改革に関する請願(小宮山洋子君紹介)(第一三〇九号)

 同(川条志嘉君紹介)(第一四一四号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(遠藤武彦君紹介)(第一三一〇号)

 同(小野寺五典君紹介)(第一三一一号)

 同(岡本芳郎君紹介)(第一三一二号)

 同(奥野信亮君紹介)(第一三一三号)

 同(北村誠吾君紹介)(第一三一四号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第一三一五号)

 同(高村正彦君紹介)(第一三一六号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第一三一七号)

 同(斉藤斗志二君紹介)(第一三一八号)

 同(田野瀬良太郎君紹介)(第一三一九号)

 同(津島雄二君紹介)(第一三二〇号)

 同(寺田稔君紹介)(第一三二一号)

 同(中谷元君紹介)(第一三二二号)

 同(平沼赳夫君紹介)(第一三二三号)

 同(宮澤洋一君紹介)(第一三二四号)

 同(村井宗明君紹介)(第一三二五号)

 同(山口俊一君紹介)(第一三二六号)

 同(渡部篤君紹介)(第一三二七号)

 同(あかま二郎君紹介)(第一三四七号)

 同(井上義久君紹介)(第一三四八号)

 同(遠藤利明君紹介)(第一三四九号)

 同(大畠章宏君紹介)(第一三五〇号)

 同(上川陽子君紹介)(第一三五一号)

 同(亀岡偉民君紹介)(第一三五二号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一三五三号)

 同(下条みつ君紹介)(第一三五四号)

 同(田村憲久君紹介)(第一三五五号)

 同(達増拓也君紹介)(第一三五六号)

 同(玉沢徳一郎君紹介)(第一三五七号)

 同(筒井信隆君紹介)(第一三五八号)

 同(中野正志君紹介)(第一三五九号)

 同(長島昭久君紹介)(第一三六〇号)

 同(古川元久君紹介)(第一三六一号)

 同(古屋圭司君紹介)(第一三六二号)

 同(松本剛明君紹介)(第一三六三号)

 同(三谷光男君紹介)(第一三六四号)

 同(三ッ林隆志君紹介)(第一三六五号)

 同(水野賢一君紹介)(第一三六六号)

 同(望月義夫君紹介)(第一三六七号)

 同(安住淳君紹介)(第一三九四号)

 同(石田真敏君紹介)(第一三九五号)

 同(川内博史君紹介)(第一三九六号)

 同(黄川田徹君紹介)(第一三九七号)

 同(佐藤茂樹君紹介)(第一三九八号)

 同(松島みどり君紹介)(第一三九九号)

 同(村田吉隆君紹介)(第一四〇〇号)

 同(甘利明君紹介)(第一四一七号)

 同(小野晋也君紹介)(第一四一八号)

 同(川条志嘉君紹介)(第一四一九号)

 同(近藤洋介君紹介)(第一四二〇号)

 同(萩生田光一君紹介)(第一四二一号)

 同(松野頼久君紹介)(第一四二二号)

 同(横光克彦君紹介)(第一四二三号)

 同(山口泰明君紹介)(第一四七八号)

 同(山崎拓君紹介)(第一四七九号)

 患者・国民負担増計画の中止に関する請願(下条みつ君紹介)(第一三四四号)

 パーキンソン病患者の療養生活上の諸問題救済策に関する請願(林田彪君紹介)(第一三四五号)

 同(赤城徳彦君紹介)(第一四七〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四七一号)

 無免許マッサージから国民を守る法改正に関する請願(後藤茂之君紹介)(第一三四六号)

 同(北村誠吾君紹介)(第一三九三号)

 同(赤城徳彦君紹介)(第一四七五号)

 同(山口泰明君紹介)(第一四七六号)

 同(山本明彦君紹介)(第一四七七号)

 安全で行き届いた医療・介護に関する請願(近藤昭一君紹介)(第一三九一号)

 医療制度改革関連法案反対に関する請願(日森文尋君紹介)(第一三九二号)

 患者負担増計画の中止と保険で安心してかかれる医療を求めることに関する請願(岡本充功君紹介)(第一四一五号)

 同(河村たかし君紹介)(第一四一六号)

 同(牧義夫君紹介)(第一四七二号)

 新しい高齢者医療制度の創設に関する請願(下地幹郎君紹介)(第一四五九号)

 男女雇用機会均等法等の抜本改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四六〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第一四六一号)

 同(笠井亮君紹介)(第一四六二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四六三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一四六四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四六五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四六六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四六七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一四六八号)

 進行性化骨筋炎の難病指定に関する請願(川条志嘉君紹介)(第一四六九号)

 青年の雇用に関する請願(志位和夫君紹介)(第一四七三号)

 男女雇用機会均等法等の改正を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第一四七四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)

 良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

 小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案(小宮山洋子君外四名提出、衆法第一七号)

 医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案(園田康博君外三名提出、衆法第一八号)


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     ――――◇―――――

岸田委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、社会民主党・市民連合、国民新党・日本・無所属の会所属委員に対し、事務局をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

岸田委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ、社会民主党・市民連合、国民新党・日本・無所属の会所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案、小宮山洋子君外四名提出、小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案及び園田康博君外三名提出、医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官松山健士君、財務省主計局次長鈴木正規君、厚生労働省医政局長松谷有希雄君、健康局長中島正治君、老健局長磯部文雄君、保険局長水田邦雄君、政策統括官塩田幸雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鴨下一郎君。

鴨下委員 自由民主党の鴨下一郎でございます。

 いよいよ、健康保険法そして医療法等の一部を改正する法律案、審議に入るわけでありますが、国民注視のこの法案、ある意味で、さまざまな問題について与野党がしっかりとした議論をして、その中で国民の皆様に、どういうことが重要なのか、そしてどういう問題について国民の皆様にもお願いしなければいけないのか、この問題を明らかにするのがこの厚生労働委員会でございます。

 そういう中で、冒頭から、民主党さん、そして社民党さんに御出席いただけない、こういう中でのスタートになってしまったことを、私たち、国の中で政治を承る、こういう立場の人間としてまことに残念に思うわけであります。

 いよいよこれから重要な法案を進めていくわけでありますけれども、そういう中で、まず冒頭に大臣に対して伺いたいことは、私たちは国民皆保険のもとに、ある意味で世界に冠たる医療水準を築いてきたという自負は、それぞれ医療に携わる人間、あるいは保険さらには納税、こういうようなことで医療制度を支えてくださっている国民の皆様、加えて、昼夜を分かたず頑張っていらっしゃる、小児医療をやっている方々を初め多くの医療関係者、こういう三者の、言ってみれば涙ぐましい努力のもとにこの制度が成り立っているわけであります。

 ですから、私たちが議論をするときに、どういう立場の皆さんの意見を代表して語っているのか、こういうのは常に意識しなければいけないと思うんです。

 あるときには、医療関係者のために労働条件をどういうふうに緩和するべきか、こういうような話もあるかもわかりません。加えて言えば、高度な医療をあまねく広く患者さんにお届けしたい、しかし、それには多額の負担もかかる、そういうときに、保険料を納めてくださっている方々、さらには税金を納めている方々、こういう人たちの思いにもある意味で我々は配慮しなければいけない。こういうような中での議論でありますから、非常に難しい話であります。

 特に医療は、複雑な制度の中でこの三者の、ある意味で利害が複雑に絡んでいる、こういうようなところでありますので、ぜひ、きょうは大臣に、まず最初に、今回の健康保険法、加えて医療法等の改正、このことについて大臣の御意見を承りたいというふうに思っています。

 まず、今回の法案では、安全、信頼の医療の確保、医療費の適正化の総合的な推進、さらには新たな医療保険制度体系の実現、こういうようないわば三つの大きな柱を掲げているわけでありますけれども、この点に関しまして、先ほど申し上げましたように、保険料を納めている方々、税金を納めている方々、さらには医療を担っている人たち、加えて、不幸にも病気に罹患してしまった患者さんたち、こういう立場の方々にとってこの法案はどういう意味を持つのか、基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。

川崎国務大臣 鴨下委員が昭和二十四年生まれで、私は昭和二十二年生まれ、団塊の世代という時代に生まれた者でございます。そろそろ六十歳という節目の年を迎えるころになってまいりました。

 そうした流れの中で、一方で少子化というものが進んでくる、最もたくさん生まれた世代が、負担をしていた時代から給付を受ける時代に変わってくる、次の世代を担う若者の数が毎年毎年少なくなってくる、こうした条件の中で社会保障制度をどう持続可能なものにしていくか、これが私どもの大きな課題であろうと思っております。

 そういった中で、二年前、年金制度の御議論を賜りました。昨年は介護保険、障害者自立支援の御議論を賜りました。そして、ことしは医療制度改革ということで御議論を賜ることになる。特に医療のことにつきましては、後期高齢者の医療が基本的には大きなウエートを占める。今千二百万人でございますけれども、我々がその世代に届きますと二千万人を超す時代がやってくる。したがって、いろいろな御意見がありますけれども、給付というものがふえざるを得ない、そういった中でどういう御負担をいただきながらやっていくのか、どうすれば持続可能になるのかというところが今回の大きな焦点だろうと思います。

 そういった意味では、医療費の適正化という中で、一つは、長期入院の是正と予防、生活習慣病というものの予防、これをまず大きな柱として立てさせていただいたということになります。

 それから、若者の数が減っていくわけですから、お年寄りといっても、ある程度力のあるお年寄りと弱者であるお年寄りと、それは対応が違うんだろうという中で、現役並みの所得があるお年寄りには三割負担、現役同様の負担をお願いしたい。

 一方で、医療に従事しておられる方々、今日まで大変な御苦労をいただいてきたことは間違いない、しかし、我が国のこうした状況の中で、医療費適正化ということで診療報酬三・一六%の引き下げ、大変厳しい判断をいたしたわけでありますけれども、御理解をお願いしていかなければならない。

 そういう意味では、御負担をそれぞれお願いしなきゃならない、医療をされる方々にとっては引き下げという大変大きな課題、そしてお年寄りのある程度負担能力のある方々には三割負担をお願いする、こんなことを今回の柱といたしております。

 あわせて、七十五歳以上の高齢者を対象とした新たな医療制度の創設、それから年金は国が基本的にやる、介護は市町村という一つの位置づけの中で、医療というものについては都道府県の役割をできるだけ大きくしていこう、我々から、権限、またさまざまなことを移譲しながら、県が中心になりながら、保険者の再編統合また地域の医療計画、こうしたものをおつくりいただく時代に変えていくということが次の課題であろうと思っております。

 それから、安心の問題につきましては、やはり今日まで、今の鴨下さんのお話のように、大体の水準として、我が国は諸外国から勉強に来る方々も随分多いですし、WHOについても高評価をいただいておりますけれども、例えば、小児科、産科等の医師不足問題、こういう問題にどう対応するかということがございます。

 それから、医療計画制度全体を通じまして、急性期から在宅医療に至るまでの地域連携というものが、正直、諸外国に比べたら劣っておるんではなかろうか。それから、患者さんに対しては、医療費の内容がわかる領収書の提供など、情報提供というものをしっかりしていこう。

 それから、最近よく比較論に出てまいりますのは韓国との比較論で、レセプトのオンライン化、これは我が国は相当おくれたぞという認識の中で、医療を提供する皆さん方の御理解を得ながらオンライン化をしっかり進めてまいりたい。こんな施策を、今回、全体の概要として取り組ませていただきました。

 そして、冒頭、鴨下委員からお話がありましたように、我が国の国民皆保険制度という、ある意味では諸外国よりすぐれているものをしっかり保ちながら、足らざる点は補いながら改革を進めてまいりたい、このように考えております。

鴨下委員 大臣、ありがとうございます。

 それでは、具体的に話を進めてまいりたいと思いますが、まず最初に、医療提供における公と民の役割分担、こういうようなことを私は常日ごろから考えております。

 特に、ある意味で非常に厳しい僻地医療あるいは救急の一部については、利益を度外視してといいますか経営を度外視して、きちんとしたサービスを供給しなければいけない、こういうようなことについてはまことに事実でありますけれども、基本的には、民間の医療機関でやれることはできるだけ民間にやってもらった方がいい、こういうふうにかねてから思っているわけであります。そういう意味で、特に最近においては、医療に対する国民の関心が高まってくる中で、患者の視点に立った良質な医療の提供が求められているということが一つ。

 加えて、我が国の医療サービスが、国民皆保険のもと、保険料と公費をその財源としている。こういうような前提条件がある中で、限りある医療資源というものをより有効に、なおかつ良質な医療を提供していくというようなことについては、多分民間の知恵を最大限使った方がいいんじゃないかというふうに私は思っているんですね。

 そして、今、公的な医療機関においても限界のあるところが見えてまいりました。特に、日本病院協会等の調査でも、自治体病院の九割近くが赤字だ、こういうようなことも現実であります。ですから、そういう意味で、今後、良質でしかも効率的な医療体制を構築するに当たって、本来的に公がやるべきなのか民間がやるべきなのかというようなことについての大方針といいますか、こういうものについて、これは赤松副大臣にお答えをいただきたいと思います。

赤松副大臣 今、鴨下委員の方から、公と民の役割、こういうふうな分担についての基本的なお話がありました。

 大きな方向性として、鴨下委員が御指摘なさったようなことが重要な意味を持つんだろうなというふうに私どもも認識をいたしております。

 今まで、余り採算のとれない、不採算、しかし住民に必要な医療を提供する、そういう分野を公的な医療機関が担ってきたわけでありますけれども、委員御指摘のように、小児救急医療の分野あるいは僻地医療、こういったところで極めて確保が難しい、そのような状況も今起こってきております。

 そういう中で、先ほど大臣からもお話がありましたように、公的医療機関につきましては、都道府県が定めた施策に協力をする、こういう格好で公的医療機関の足らざるを補う、さらに強化していく、こういうことで、まず、公的部分の医療機関についてしっかり強化をしていくという側面も必要であろう、そう思っております。

 もう一方で、先ほど来委員御指摘のように、民間で十分担えることができる医療についてはできる限り民間にゆだねる、こういったことを基本的な考えとして、これまで公的医療機関が担ってきた役割を一般的な民間の医療法人にも積極的に担っていただくということで、今回、社会医療法人制度の創設、こういった形でしっかりと新たな仕組みを盛り込んでいく、こんなふうなことを考えているわけでございます。

 以上のような趣旨を踏まえまして、今後とも、委員御指摘のような良質かつ効率的な医療提供体制の構築に向けまして、公と民がそれぞれ適切に役割を分担して力を発揮できるような形をしっかりつくり上げていきたい、そんなふうに考えているところでございます。

鴨下委員 副大臣がおっしゃるとおりなんですけれども、私は、問題意識として、例えば県立病院あるいは公的な病院というのは、診療報酬だけでなく、ある種、その自治体の一般財源あるいはさまざまな繰り入れ、こういうようなものでランニングコストそのものも補っているということがあるわけでありますし、もちろん設備投資、イニシャルコストについてはほとんどがいわばそういう別個の財源から賄ってきているわけであります。そういう意味でいうと、民間の病院と比べると圧倒的に地域の中で立派な病院で、しかも民間の病院はどんどん圧迫されていく、こういうような現状があるわけであります。

 ですから、私はやはり、全体的に言えば民がやっていくべきだというようなことにおいては、民間と公的な医療機関とがイコールフッティングでやっていけるような、さまざまな工夫というのが必要なんだろうというふうに思っています。

 そういうような意味で、公的な医療機関に対するいわゆる優遇措置を含めたトータルコスト、こういうようなことで考えますと、副大臣がおっしゃるように、必要不可欠、なおかつ不採算の部分については担ってもらう、しかし一般的な部分については原則民間に任せる、こういうようなことを徹底した方がいいんだろうかというふうに思っておりまして、これは医政局長にその所感について伺いたいと思います。

松谷政府参考人 今般の医療制度改革におきましては、今副大臣の答弁にもございましたとおり、従来公的医療機関が担ってきた医療を一般的な民間の医療法人も積極的に担うよう推進することを基本的な考え方といたしているところでございます。

 具体的には、小児救急医療、災害医療、僻地医療等の医療サービスを民間の医療法人が積極的に担ってこれを住民が支援するという仕組みとして、社会医療法人制度を今般の医療法改正案において盛り込んだところでございます。これによりまして質の高い医療が効率的に提供されるということを期待しているわけでございまして、委員御指摘のとおり、公がどうしても担わなきゃならない部分ももちろん残りますが、できるだけ民間において効率的な医療の提供がなされるよう、今回の改正において進めたいと思っております。

鴨下委員 ぜひ医政局長そして大臣、お願いを申し上げたいんですが、そういう厚生労働省の大きな方針で、民間を生かす、こういうような観点を忘れないでいただきたいというふうに思います。

 それでは、引き続きまして、今度は医師の問題について少し触れたいと思います。

 今、特に昨年そして一昨年あたりは、病院勤務医が非常に不足している、それから、例えて言えば産科だとか小児科、こういうような分野においてなかなかお医者さんが集まらない。こういうようなことで、病院によっては産科、小児科を閉鎖せざるを得ない、こういうような状況も出てきているわけでありますけれども、実際に医者はどうなっているかというと、医師数に関しては、過去十年間で医師総数が約三万六千人、率にして一六・二%ふえています。ところが、産科や小児科の医師数は七%減。

 こういうようなことで、ある意味で、医師の偏在というようなものが一番重要なことなんだというふうに私は思うわけでありますけれども、そういうような問題を解決するときに、では、そのトータルのお医者さんをどんどんふやせばいいかというようなことでいいますと、お医者さんをふやせば、では小児科そして産科にどんどん入ってくださるかというと、それとはまた別のような気がします。

 そういう意味で、私は、もちろん先頭に立ってお医者さんは一生懸命頑張ってもらわないといけないわけですし、加えて小児科、産科にもどんどん果敢にチャレンジしていただきたい、こういうふうに思っているわけであります。

 ただ、孤軍奮闘、加えて言えば重労働、こういうようなことでみんなへとへとになっちゃう。そういう意味でいうと、支えるチームといいますか、私はかねてからチーム医療というのは非常に重要だというふうに思っております。看護師さんあるいはさまざまなコメディカル、こういうような人たちを加えていわば小児科領域あるいは産科領域がきちんとした形で機能する、こういうようなことが重要なんだろうというふうに思っておりまして、いわば看護師さんを含めたコメディカルをどう生かすか、こういうようなことも重要な観点だろう、こういうふうに思っているんですが、これも医政局長、答弁ください。

松谷政府参考人 現在指摘されております病院勤務医の過重労働につきましては、医師以外の医療関係職種あるいは事務職が十分できることを医師みずからが行っていることも一因であるというふうに指摘されていることも承知してございます。

 一方、患者さんのニーズに応じてよりよい医療サービスを提供していくためには、先生御指摘のとおり、医師、看護師その他の医療関係職種が、チーム医療のもとでそれぞれの専門性を十分に発揮しながら、相互の信頼関係のもとに密接に連携することが重要であると認識しているところでございます。

 これまで、厚生労働省といたしましては、看護師等コメディカルの医療関係職種の資質向上に努めるとともに、例えば平成十四年には、新たな看護のあり方に関する検討会の検討結果を踏まえまして、それまで医師、歯科医師のみが行うこととされていた静脈注射を看護職員に対しても認めるなどの取り組みを進めてきたところでございます。

 厚生労働省といたしましては、今後とも、医療関係職種を初めすべての関係者間で適切な業務分担がなされるよう、諸外国の状況も見ながら必要な取り組みを進めていきたいと考えておりまして、医師とコメディカルの協調、役割の分担ということによりまして、少しでも病院医療の進歩が図られるように努めていきたいと考えております。

鴨下委員 それでは、次に終末期医療について伺います。

 射水市民病院の事件がございました。いわゆる延命医療の中止、こういうようなことをめぐって終末期医療のあり方そのものがある意味で大きく報道されましたし、私は、こういうような問題というのは、きちんと国民の皆さんが深い理解のもとに進むべきだというふうに思っているんです。

 私自身も昭和五十年に医師になって約十七、八年臨床をやってまいりまして、その中で、そういうような場面に直面することがございました。そういう中で、例えば患者さんの意思はどうなのか、あるいはそれを取り巻く家族の皆さんの考え方はどうなのか、そして加えてそれに携わっている主治医はどういうふうに考えているのか、この三者の意見がきちんとした形で意思疎通されることがやはり重要なんだろうというふうに思います。

 ただ、その場合に最も重要なのは何かというと、やはり最終的に終末を迎えている患者さんがどういうふうに考えるのか、このことが私は一番重要なことだというふうに思っておりまして、そういう意味でいうと、今、尊厳死の問題、あるいはリビングウイルをどういうふうにするか、こういうようなことがありますけれども、今国会の中でも、それから有志の議員たちも、そういうようなことで議論が始まっているわけでありますけれども、厚生労働省の中ではこのリビングウイル、尊厳死、こういうような問題についてどういうようなお考えがあるのか、そしてどういう方向で今検討されているのか、このことについてお答えください。

松谷政府参考人 終末期医療についてのお尋ねでございます。

 これにつきましては、人の生死に深くかかわる問題でございまして、国民の関心も非常に高いものがございます。重要な課題であると考えてございますが、一方で、終末期医療のあり方やその法制化につきましては、国民の間でも判断が分かれる難しい問題でもあるというふうに認識してございます。

 現在、厚生労働省では、終末期における患者の同意等を確認するための手続等の整理を含めまして、終末期における望ましい医療に関する研究を支援しているところでございますが、今後検討を行っていく際には、人の尊厳ある生き方を支えるという観点に立って、医療界、法曹界などの専門的な方々を中心として、広く国民の意見も聞きながら真剣な議論を行っていくことが必要だと考えておりまして、この一部につきましては、関心も高まっていることから、検討を急いでいきたいというふうに考えているところでございます。

鴨下委員 私も、尊厳死、リビングウイルについて、法制化が本当に必要なのかどうかというのはちょっとちゅうちょする部分があるんです。よりハードなといいますか、法律というようなものじゃなくて、むしろソフトロー的な部分で何かコンセンサスを得られる、こういうような道がないだろうかというふうに思うわけでありますから、ぜひ、あらゆる方面から、今まさに直面している重要な問題でありますので、よろしく御検討ください。

 加えて申し上げますと、ついの住まいについての話であります。

 今、医療機関、病院で亡くなるような方々は、ちょうど私が医師になったころの昭和五十一年ぐらいが分岐点でありまして、それまでは自宅で畳の上で死にたいという人たちがそれなりにそういう状況を実現してきたわけですけれども、今はむしろ医療機関で亡くなる方が圧倒的に多くなって、約八割を超えているわけであります。

 こういうようなことの中で、私は、今、自宅といっても高齢者の独居世帯もふえているわけですし、本当に家族の機能がみとりまでできるのかというようなことについてはいろいろと難しい部分も出てきていると思います。介護施設、あるいは介護をある程度組み入れたそういうような住まい、こういうような中で最期を迎える、こういうようなことも一つの選択肢なのかなというふうに思っておりまして、単純に自宅あるいは自分の今住んでいるところそのものをついの住まいとすることだけが選択肢ではないのかなというふうに思っているわけであります。

 いわば施設で亡くなるといっても、ついの住まいとしての施設で亡くなるときに、そのいわば介護あるいは医療、こういうものをきちんとカバーしてサービスできるような体制をできるだけ手厚くする必要があるんだろうというふうに思いますけれども、これは介護に関することが重要でありますから、老健局長から答えてもらいましょうか。

磯部政府参考人 高齢者の尊厳の保持の観点から、高齢者が安心して最期を迎えるためには、委員御指摘のとおり、御本人や家族の希望を尊重しながら高齢者の心身の状況等を踏まえて、できるだけ住みなれた場所でみとりが行われる体制の充実が重要だと考えております。

 そのため、住みなれた施設におけるみとりも進めていくという観点から、本年の四月からの介護報酬改定におきましても、特別養護老人ホームあるいはグループホーム等におけるみとり体制を強化するとともに、また、診療報酬改定におきましても、在宅療養支援診療所から特別養護老人ホームの末期のがんの入所者に対して訪問診療を可能とするといった、終末期ケアへの対応を強化し、施設においても、医療機関等との連携によりまして、高齢者に対して適切な介護及び医療サービスが提供される体制の整備を図っているところでございます。

 また、入所者の状態に応じてふさわしいサービスを提供する観点から、入所者に対します医療の提供のあり方等につきましてもこれから検討を行っていくという旨の規定が、今回の改正法案の附則にも盛り込まれているところでございまして、今後とも、こうした問題について検討を進めていきたいと考えております。

鴨下委員 次に、今大臣が冒頭にお話しになりましたように、国民皆保険というものが日本の国のいわば医療保険制度において一番重要なことだというのは、私もそのとおりだと思います。

 加えて言うと、日本の医療制度の中でなかなかよかったことというのは、これは御批判もあったんですけれども、いわゆる出来高払いという制度がありました。これは、できるだけ医師がその方のためにあらゆる手を尽くして、それが積算されていく、こういうようなある意味で一生懸命やったなりのインセンティブがあった、こういうようなことがあるわけであります。

 加えて言うと、どの患者さんでも、どの保険に入っていても、どのお医者さんにもかかれるというこのフリーアクセス、この三つが私は日本の医療制度の中で特筆すべき立派な制度だったというふうに思うわけでありますけれども、先ほど大臣がおっしゃったように、結果的には支え手側の問題が出てきました。少子高齢化、さらに現役世代が減ってくる、こういうような段階の中で、この三つの重要な、いわば医療制度の中ですぐれた部分であったんですけれども、一つ一つある意味で制限せざるを得なくなってきたというのは、これはいたし方がないといえばいたし方がない話であります。

 その中で、私はやはり、最優先は、国民皆保険を守って、結果的にこの制度を持続可能にしていくということが我々にとって最も重要なことだと思います。

 加えて申し上げますと、できればフリーアクセスも可能な限り確保するべきだというふうに考えているわけでありますけれども、中には、ちょっとした風邪でも大病院に行っていい先生に診てもらった方がいいみたいな話になって、それはどうかなというような部分もあるわけでありまして、そのあたりのところで、フリーアクセスという部分についても多少制限せざるを得ないことも出てくるのかなというふうに思っております。このことについて、何を優先して、そして何を守っていくかというようなことについて、国民の皆さんにも協力をいただかなければいけないわけであります。

 そのフリーアクセスをどこまで確保するべきかというようなことについて、これは赤松副大臣、お答えください。

赤松副大臣 今鴨下委員御指摘の点、私を含めて私の周辺にも、割かし軽い病気であっても地域の大きな病院にかかりたがる傾向というものが、やはり今に始まったことじゃなくて、この数年、そういう傾向がかなり強いものがあろうかなという感じがいたします。

 今委員御指摘のように、フリーアクセスの本来の意味からいうと、決して今申し上げた私の周りにあるような事例ではなくて、病状に応じて適切に必要な医療が受けられることを本来にしている、そんなふうに思うわけですけれども、一段とフリーアクセスの本来の理念を踏まえた上で、適切な受診が確保されるためにはどうしたことが必要かという点で、一つは、患者の身近な地域で日常的な医療や健康相談等を行うかかりつけ医、かかりつけのお医者さんの普及、定着、これは今までも言われておりますけれども、さらに普及、定着を図るということが一点。

 もう一点は、当該のかかりつけのお医者さんが患者の病状を見きわめて、必要に応じてより専門的な医療機関に紹介をする、そういう地域全体で医療機能の適切な分化、連携が図られるということが大事だろう、そういうふうに考えるわけでございます。

 そこで、今回の医療法等改正法案の中では、医療計画制度を見直して医療連携体制の構築を一段と推進すると同時に、医療連携がより適切に行われるためのかかりつけ医の機能や、大病院の外来のあり方などについてもしっかりと検討していって、本来の姿を取り戻していきたいというか、築いていきたい、そんなふうに思っているところでございます。

鴨下委員 加えて一つ、セルフメディケーションということについてお伺いをします。

 セルフメディケーションという言葉そのものは近年出てきまして、いわゆる自分で薬を買って、自分で飲んで自分で治すというようなことを含めた、どちらかというと薬局の皆さんから出てきた概念だろうというふうに思っているんです。

 今フリーアクセスの話の中でも、人によってはちょっと薬局でお薬を買って飲んでしまえば治ってしまうようなことも、大病院にかかりたいという気持ちもわかるんですが、そこのところはある程度自己責任でやっていただかなければいけないというところもあるのかなというふうに考えておりまして、厚生労働省として、このセルフメディケーション、こういうようなことについてどういう見解を持っているのか。

 そして、今回の国会でも、今度薬事法の改正も出てきます。その中で、いわゆるOTC薬の扱いについてもいろいろな議論がこれからなされるわけでありますけれども、そういう観点からセルフメディケーションということについて進めるのか、それとも、これについては注意深くやるべきなのか、どういう問題点があるのか、このことについてお答えをください。

赤松副大臣 鴨下委員御指摘のセルフメディケーションについてですけれども、やはり余り行き過ぎると難しい部分も出てこようかと思いますし、かつ、同時にセルフメディケーションのいい部分も生かしていかなくちゃいけない、そんなふうなことを感じるわけですが、国民一人一人が医薬品の特性を十分に理解した上で適正に使用することができるような環境整備を進めることが大事である、そんなふうに考えております。

 今委員御指摘のように、実は薬事法につきましては、昨日、参議院の厚生労働委員会で大臣の方から趣旨説明が行われたところでございまして、予定どおりでいきますと、あしたから薬事法の議論が始まるということになっております。

 薬事法改正につきましては、厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会の報告書でも言及をされているところでありまして、これを受けて、一般用医薬品のリスクの程度に応じて専門家が関与し、適切な情報提供等がなされること等を内容とする薬事法の一部改正法律案が、先ほど申し上げましたように、あすから審議が参議院で始まろう、こういう状況でございまして、委員御指摘の点もしっかり踏まえた上で、医薬品の適正使用のための啓発にしっかり努めてまいるというところが、現時点における厚生労働省の基本的なスタンスでございます。

鴨下委員 もう残り時間が少なくなってまいりましたので、一、二問飛ばしまして、大臣に伺います。

 今回の健康保険法改正等でも、やはり一番私たちが苦しんでいるところというのは、高齢者がふえてくるというようなことでありますけれども、でも、ちょうど私たちが社会に出たころ、例えばペルーのビルカバンバというところとかコーカサス地方とかというところは世界の長寿村だという話で、長寿の人たちがたくさんいて、そういうところの人たちはヨーグルトを食べているから長寿だとか、植物性のものをたくさん食べているとか、いろいろな言及がなされまして、長寿になるためにはどうしたらいいかということを研究しているところがたくさんありました。

 そういう意味でいうと、世界から見ますと、日本というのは男も女も世界一の長寿国であります。ちょっと前に、ある中国の外交官の方と話していたら、中国では今鮮魚ブームだそうです。お刺身食べたり、すし食べたり、それはどうしてかというと、日本はそういうのをたくさん食べるから長寿だと。

 ですから、健康のためにそういうものを食べるというようなことで、最終的に日本のような長生きをしたい、こういうようなことで非常にブームになっているという話を聞きまして、なるほどな、そうすると、我々はいつも、少子高齢化というと何かネガティブな部分ばかり目が行ってしまいますけれども、実は世界から見ると羨望の的だというようなことでもあるわけであります。

 ですから、私は、厚生労働省がやるのがいいのかどうかわかりませんけれども、日本は、長寿というある意味で世界の中でまねのできない、ある種のキラーコンテンツを持っているわけでありますから、例えば日本のライフスタイルがいいのか、それとも医療システムがいいのか、社会保障全体がいいのか、はたまた地域のコミュニティーがきちんと機能しているのか、さまざまな分野から長寿という観点をきちんと整理して、そして、世界の中に、ある意味で商品として売れるものもあるかもわからないし、実際にまねしていただいて皆さんが幸せになってもらう、こういうようなさまざまなことができるんじゃないかというふうに思っております。

 大臣に、ぜひそういう意味で、高齢化というと何かネガティブな部分を皆さん感じますけれども、長寿という観点で大いに世界に、私たちは長寿社会を実現したんだ、こういうようなこともおっしゃっていただきたいなというふうに思っていますけれども、いかがでございましょうか。

川崎国務大臣 この間、ハーバードの学生が我々の医療制度の勉強に参りました。また、シンガポール等からも我が国の制度を学びたい。そういう意味では、我が国の国内での評価よりも諸外国から見た評価というのは、我が国の社会保障制度、高いのかな、このように思っております。そういった面で、少し積極的に売り出してもいいんじゃないかという御指摘だろうと思います。

 一方で、注意しなきゃならないのは、最近聞いた数字でございますけれども、沖縄県の男性が、長寿が今全国で二十六番目になった、沖縄県もびっくりしたという話が載っておりましたけれども、沖縄というのは我が国の中で一番長寿だったはずですけれども、少し対策が変わりますとやはりそうなる。だから、日本の社会が本当に長寿社会を保ち得ていけるかというところをまず我々考えていかなければならないんだろう。

 それから、私見ていて、なぜ我が国が長寿か、いろいろな要素もあると思いますけれども、一つは、六十歳を超えての労働意欲が我が国は非常に高い。ヨーロッパは四〇%ぐらいですけれども、日本は、男性でとりますと、六十から六十五、働く意欲がある、労働力人口が七〇%を超えている。すなわち、人生長くなってきて、おれはどういうことで人生を過ごしていこうかという中で、まだまだ引退する年じゃない、しっかり頑張ろうという意欲を持った人たちが多いという中で、実は我が国のこういう社会をつくり得ているんだろう。

 団塊の世代があと二年でそろそろ定年迎えるから我が国は大変だぞということに対して、私は、まだまだ我々の世代、働くんじゃないですか。働き方は変わってきます。週三日に変わったり、またNPOで社会に参加したり、変わってまいりますけれども、やはりそういった日本の長所というものをしっかり生かしていく。逆に言えば、なぜ我が国はこういう長寿社会をつくり得たのかということをもう少し分析した上で、長所を伸ばすことを我々考えていかなきゃならないし、今言われたように諸外国に発信していくことも大事だろう、このように思っております。

鴨下委員 時間になりました。終わりますが、この法案は、健保法についても医療法についても極めて重要な、ある意味で広範囲な法案でございます。そして、国民の皆さんは、この厚生労働委員会において、与党、野党が激しい議論をして、そして問題点を明らかにして、国民の皆さんに選択肢を与える、こういうような意味で政治家というのは機能しているんだというふうに思っておりますので、今般、こうして民主党さん、そして社民党さん、お出にならない、こういうような事態、大変残念に思いますし、一日も早く審議に参加していただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

岸田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

岸田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、社会民主党・市民連合、国民新党・日本・無所属の会所属委員に対し、事務局をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

岸田委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ、社会民主党・市民連合、国民新党・日本・無所属の会所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 質疑を続行いたします。福島豊君。

福島委員 大臣や副大臣、大変御苦労さまでございます。

 本日より委員会におけます医療制度改革の質疑が始まるわけでございます。一連の社会保障制度改革の一角をなす極めて大切な改革でありまして、将来にわたって安定して運営していくことのできる医療制度をどう再構築するのか、大変大切な課題でございます。私どもは、この委員会での審議を通じて国民の皆様にもわかりやすい議論を展開し、そして実りのある成果を出していきたい、そのように思っております。

 大変残念なことは、民主党また社民党の御出席を得られないということでございます。がん対策をどうするのか、こういうことが一つの焦点となっておりますけれども、医療保険制度という安定した基盤があってこそがん対策というものも進むわけでございます。与党におきましても、昨日からPTを立ち上げましてどのようにこれを進めていくのかという議論を開始したところでございます。また、公明党におきましては先般要綱を取りまとめたところでございます。

 与野党超えてきちっとした議論をしていく必要がある、それはそのとおりでございますけれども、その前提として、この健保法そしてまた医療法の改正をどう考えるのか、その土台をどうするのか、まずそこの議論を民主党、社民党も参加してきちっと議論すべきである、私はそのように考えております。

 改めまして、本日は総論的なことについてお尋ねをしたいというふうに思っております。

 だれもが健康な生活を送りたい、このように願っております。医療サービスはさまざまな物財と並んで、また、場合によってはそれ以上に価値のあるものと言えます。また、医療は一つの社会システムであって、総合的にシステムとしてとらえ、その問題を考えていく必要があります。今回の改革は平成十四年の改革に引き続いて、その改革の中で残された課題、これを仕上げる改革であるということが言えるわけであります。少子高齢化という今後の人口構造の変化にたえ得る医療制度、医療保険制度へ改革するということが急務の課題であり、そしてまた、国民に対して責任を果たす立法府の役割であるというふうに考えております。

 昨年から、日本は人口減少社会に突入をいたしました。右肩上がりの社会の中で構築された諸制度というものを見直すということは急務の課題であります。大切な観点は、将来世代にツケを先送りしない、そういう制度を構築すべきだ、私はそのように思っております。

 ただ、一方で、国民が現在の医療システムに対してさまざまな不満を持っているということも事実であります。安全の問題、情報提供の問題、患者の選択の問題、さまざまなことが近年主張されております。また、診療科ごとの医師の不足であるとか、地域における医師の不足であるとか、深刻な問題として取り上げられております。医療制度を将来にわたって安定して運営できる制度へと再構築していくと同時に、このように近年つとに指摘された問題に対して的確にこたえていくということも同時に求められているわけであります。

 今まで医療制度改革といいますと、ややもすると医療費の増大に対して医療保険の財政を安定させるために、保険料であるとか、窓口負担、自己負担をどうするか、こういう議論ばかりが繰り返されたかのような感がございます。しかし、今回の改革は、人口減少社会に突入した現在、システム全体を俯瞰して全体の医療費を国民でどのように負担するのか、また世代間の負担の分かち合いをいかにやるべきか、また全体としての負担の増加をより軽減するためにはどのようなレベルで医療費をコントロールすべきか、こういった将来を見据えた包括的な議論をすべきである、そしてまた、包括的な改革であるべきである、そのように考えております。

 また同時に、こうした医療制度改革は先進諸国では共通した課題となっております。その中で言われてきたことは、バリュー・フォー・マネーという考え方であります。同じ資源を投与していかによりよいサービスを得ることができるのか、システムとしての効率、パフォーマンスをどのようによくするか、そういうことでございます。負担に見合った医療サービスが実現できているのかどうか、資源は効率的に配分されているのかどうか、こういったことについても深い議論が必要であるというふうに思っております。

 そしてまた、こうした議論の前提として考慮せざるを得ないことは、我が国の財政状況が極めて悪化をしているということでございます。この事実は、医療保険制度だけではなく、あらゆる制度に極めて強い制約を及ぼさざるを得ません。財政に与える影響というものを無視して医療制度ということを考えることはできないわけでございます。こうした非常に困難の中であっても、バリュー・フォー・マネー、一定の資源でいかにして効率のよい質の高いサービスをつくっていくのか、このことが国会に課せられた課題であるというふうに思っております。

 医療はシステムであり、さまざまな面からの議論が必要であります。もちろん、そういった中でがん対策ということも必要でございますけれども、何よりも大切なことは、システム全体をどのように考えるのか、そして極めて強い財政制約の中でどのようなシステムを再構築していくのか、このことでなければならないというふうに私は考えております。そうしたことをまず申し上げた上で、本日は、まず医療費の問題について取り上げたいというふうに思います。

 今回の改革では、医療費の適正化を図る、このことが一つの柱となっております。高齢化がさらに進む中で国民の負担ということを考えたときに、医療費の水準というものをもっと適正化すべきである、この指摘は確かに正しい指摘でもあろうかと思います。しかし、いかなる医療費の水準が適正かということについては、さまざまな議論があるというふうに私は思っております。

 かつて、医療経済学者の二木立さんは日本の医療政策について、世界一の医療費抑制政策だ、このように評価をしたことがございました。先進諸国の中で日本の医療費は比較的低い水準に位置づけられることは事実だと私は思っております。一方では、こうした事実を踏まえずに、医療費はもっと下げられるはずだ、下げるべきだ、こういう一方的な議論が多いことも事実でございます。

 本日の質問の中では、ここの基本的なことをまず確認をさせていただきたいと思っております。日本の医療費の水準をどのように考えるのか、先進諸国の中で比較した場合にどのように位置づけられるのか、このことについてまず厚生労働省にお聞きをいたしたいと思います。

水田政府参考人 我が国の医療費水準の国際比較についてのお尋ねでございますけれども、この医療費、制度や社会的背景の違いなどによりまして、単純に国際比較をするということは困難でございますけれども、我が国の総医療費の対GDP比で見ますと、OECD諸国、データのとれました二十九カ国の中で十七位と、さほど高水準にあるとは言えないわけでございます。ただ、一方で、国民一人当たりの医療費というものを見ますと、先ほどの二十九カ国中九位というふうに、比較的高水準にございます。

 今後、急速な高齢化の進展に伴いまして、一人当たり医療費は、単価の高い高齢者がふえていくわけでございますので、医療費の増大あるいはこれに伴う財政支出の増大が見込まれるものと考えてございます。

 したがって、私ども、皆保険制度を堅持してこれを将来にわたって持続可能なものとしていくためには、医療費適正化対策を総合的に推進していく必要がある、このように考えてございます。

福島委員 ただいまも御指摘ありましたように、GDP比におきましては決して高い水準ではない、そしてまた、一人当たりの医療費、これは九番目であるということでございますけれども、九番、十番、十一番、十二番、このあたりのグループというのは、一人当たりの医療費が大体三十万円程度ということで、一つの大きなグループとしてくくられるんだろうと私は思っております。単純に、九番だからそれほど低いわけではなくてやや高い水準であるという御指摘は、私は当たらないのではないかというふうに考えております。

 ただ、今後の高齢化の進行というものがこうした医療費の水準を押し上げていく、このことは間違いがございません。先ほど申し上げましたように、財政的な制約というものがある、このことも当然あるわけであります。そうした中でどのような答えを出していくのかということが問われているわけであります。先ほど申し上げましたように、ただ単に下げるべきである、こういう議論というものは成り立たないというふうに私は思っております。

 そしてまた、医療のパフォーマンスということを考えたときに、医療の無駄ということがつとに言われますけれども、しかし、日本の医療水準、そしてまたアクセスのよさ、そしてまた、先ほどもありましたように、GDPに占める医療費の水準が決して高くはない、こういうことを考えると、極めて高いパフォーマンスというものを維持しているということが私は言えるというふうに思います。医療費の水準を考えていくときに、こうした我が国医療のパフォーマンスというものをその中でどのように維持していくことができるのか、このことが同時に問われなければならないというふうに思っております。

 次に、今回の医療制度改革の中で繰り返し議論されましたことの一つは、医療費の総額を管理する、こういう考え方でございます。形を変えると、伸び率の管理ということになるわけでございますが、内閣府を中心として、経済成長の範囲にこれは抑えるべきである、もしくは、経済成長プラス人口の高齢化という要素を加味してその中に抑えるべきである、こういう主張が繰り返しなされたと私は承知をいたしております。

 こうした総額を管理するという考え方は、諸外国でも見られないものではありません。しかしながら、そこにはさまざまな政策的な副作用といいますか、いろいろな困難な点が存在するということも同時に知っていただかなければならないことである、私はそのように考えております。

 きょうは内閣府の方に来ていただいております。こうした総額管理につながる考え方、これがどうした政策背景から出てきているのか、そしてまた、その合理的な根拠といいますか、その主張の根拠といいますか、こういった点についてお聞きをしたいと思っております。

松山政府参考人 ただいま御質問の点でございますけれども、委員御指摘のとおり、昨年来、医療制度改革に関しまして、経済財政諮問会議、こちらの方でさまざま議論があったわけでございます。

 御指摘のとおり、今後急速な高齢化の進展に伴いまして医療費の増大が見込まれる、そういう中で、国民の安心の基盤である皆保険を負担面から見て持続可能なものとするためには、経済規模とその動向に留意する必要がある、そういう認識のもとに、諮問会議の有識者議員から、例えばということで、名目GDPに高齢化を加味いたしましたマクロ経済指標によりまして医療給付費の伸びを管理していく、そういった考え方が提案をされたわけでございます。このような有識者議員の提案を受けまして、諮問会議では、厚生労働大臣にもお越しをいただきまして議論が行われたわけでございます。

 そして、こうした議論も踏まえまして、今回の改革では、医療給付費の伸びにつきまして、医療費適正化策を積み上げた効果を織り込んだ形で、経済規模と照らし合わせ、国民にとって安心のできる医療の確保の観点でございますとか、それから国民負担の観点から評価をしつつ、五年程度の中期を含めまして、将来の医療給付費の規模の見通しを示す、そして、これを医療給付費の伸びを検証する際の目安として用いていく、そのように決まったものと承知をいたしております。

福島委員 こうした総額管理の考え方、例えばフランスでは違憲判決というものがそうした施策に対して下されているわけであります。導入したところも、ほとんどの国はうまくいっていないということが言えるんじゃないかと私は思います。

 というのは、OECDのヘルスプロジェクトというのが最近進行しておりますが、その中の報告、邦訳もあります、「世界の医療制度改革」というのになっておりますが、医療費はすべてのOECD諸国において過去十年間にわたって着実に上昇しており、ほとんどの国では経済全体の成長よりも速い速度であったと、もちろん、高齢化という要素もありますけれども。それに対して医療が疾病の治療、予防を行う能力の進歩は、医療費を増加させる主な要因であることは広く認められていると。ですから、そもそも経済成長、これに高齢化を加味するということもあるかもしれませんけれども、その中におさまらないというのが先進諸国の共通した経験である、だからこそ苦しんでいるんだろうと私は思います。

 そして、治療や予防を行う能力の進歩が医療費の増大に直結している。逆にいいますと、伸び率を例えば経済成長で管理をする、そしてまた高齢化を加味するということもあるかもしれません、そのことは、逆に言うと、こうした技術進歩を着実に医療サービスの中に取り込んでいくということに対して、ノーを突きつけるということにつながるのではないかというふうに私は思わざるを得ないわけでございます。

 そして、先ほども申しましたように、GDPに占める日本の医療費というのは先進諸国の中で決して高いわけではありません。むしろ低い方だと言ってもいい。そうした水準にあるということを前提とすると、このことがさらに言えるのではないかというふうに思います。しかし一方で、財政制約があるということも事実でございます。そのバランスの中でどう答えを出していくのかということだと思っております。

 それで、医療費の伸びというものをどう考えるのか、これは極めて大切な視点でございます。これについて、厚生労働省として、医療費の伸びの本質は何かということについて、近年の統計に基づいてお答えいただきたいというふうに思います。そしてまた、今後の医療費がどのようなペースで伸びていくのか、今回の改革がそれに対してどのような影響を与えるのか、このことについても御説明を賜りたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 医療費の伸びについての、その要因についてのお尋ねでございますけれども、これにつきましては、私ども、大別しますと三つ要素があろうかと考えてございます。

 一つ目は、人口の増減あるいは高齢化といった人口要因が一つでございます。いま一つは、制度改正あるいは診療報酬改定といったいわば政策的な要因でございます。それから三つ目が、ただいま委員御指摘にもありました、医療の高度化等に基づきますいわゆる自然増による影響でございます。

 それで、過去十五年程度で見てみますと、まず冒頭申し上げました人口の要因でございますと年率一・八から一・九%、自然増では二から三%、こういった推移を示しているわけでございます。この二つの要素につきましては、長期的に見ますと極めて安定して推移をしておりまして、制度改正を実施しなかった場合には、この安定した増加傾向が続くものと考えているわけでございます。

 それで、今回の医療制度改革におきましては、こういった要素に対しまして、一つには生活習慣病対策の推進あるいは長期入院の是正、こういった中長期的な医療費適正化対策を計画的に推進すること、それから高齢者の患者負担の見直しあるいは診療報酬の引き下げ、こういった総合的な医療費適正化対策を講ずることによりまして、現行のまま推移をいたしますと、二〇二五年、医療給付費が五十六兆円に達すると見通されるところを、今回の改革によりますさまざまな効果を見込んだ上で、医療給付費につきまして四十八兆円にとどめる、こういった目安を立てているところでございます。

福島委員 自然増という言い方が多分余りよくないんだろうと私は思います。今後も医療技術の進歩というものを取り込んでいかなきゃいけない、取り込んでいくに当たっては、やはり医療費の伸びというものがある。一人当たり医療費の伸び、これは経済成長率の高低であるとか制度改正の有無にかかわらず三%から四%で安定している、こういう数字をお示しいただいております。これこそまさに技術進歩の成果、結果であるということが言えると思います。そういうことを前提としてどう考えていくのかということでなければならないというふうに思っております。

 今回の改革では、先ほども政府参考人からお答えありましたように、疾病の予防をしていこう、そしてまた在院日数の短縮をしていこう、具体的な数字を積み上げていく、まさにこれは本来とるべき道筋だというふうに思っております。財政的な観点からその枠を決めるということではなくて、具体的な積み上げの中でどうしていくのか、こういう考え方が今後もとられる必要があると思います。そしてまた、今後の推移によって医療費が実際どう変わったのかと検証するタイミングが必ず参ります。そのときにおいても、どうするのかということについては、こうした視点を忘れずに対応を考えるべきである、私はそのように思っております。

 そして、次にお尋ねをいたしたいことは、今後、社会保障制度というものは、医療だけではなく、年金、介護、また雇用もあります、社会保険一体として考えていく必要がある。今回のこの改革によって医療費を適正化するということは、おのずとまた保険料の水準にも結びついてまいります。今回の改革の柱は、今後伸び続ける医療費というものを適正化することによって将来世代の負担というものをどうするのかということが問われているわけであります。

 そうしたことを考えたときに、それぞれの制度における負担というものが合算をすると一体どうなるのか、保険料ということになりますけれども、こういうことを総合的に考えて国民に示す、そして今回の医療制度改革の意義というものをそうした視点から説明していく、このことも極めて大切なことであるというふうに思っております。

 この点についての厚生労働省のお考えをお聞きしたいと思います。

塩田政府参考人 社会保障の負担水準につきましては、経済、財政とのバランス、それから世代間、世代内の公平性の確保などの観点も考慮しながら、給付のあり方とあわせて考える必要があると考えております。また、社会保障が本来果たすべきセーフティーネットとしての機能を維持しつつ、国民が負担可能な水準に抑制していくことが重要であると考えております。

 こういった観点から、これまで一連の改革に取り組んでまいりました。具体的に申し上げますと、一昨年の年金制度改革におきまして、改革前の厚生年金保険料率は二五・九%まで引き上げる必要がありましたけれども、その改正によりまして保険料負担の上限を一八・三%で固定をしました。また、マクロ経済スライドの導入によりまして給付水準を調整することといたしました。さらに、昨年の介護保険改革におきましては、予防重視型システムへの転換、それから食費や居住費の利用者負担の見直しなど給付の重点化、効率化を実施するとともに、昨年の十月、それから本年四月の介護報酬改定で二・四%マイナスといたしました。こうしたことで、平成二十六年度で給付費を二割程度抑制することとなりました。

 御審議いただいております今回の医療制度改革におきましては、生活習慣病予防あるいは長期入院の是正などの中長期的な医療費適正化対策を計画的に進めるとともに、患者負担の見直し、また三・一六%の診療報酬のマイナス、引き下げを行いました。こうした医療費適正化を総合的に推進することによりまして、平成三十七年度で医療給付費が約八兆円程度抑制される見通しになっております。こうしたことなどによりまして、社会保険料の負担は改革なき場合に比べまして相当程度抑制されるものと考えております。

 今後とも、給付と負担のバランスを確保しながら、社会保障制度が将来にわたり持続可能な制度となるよう、改革を着実に実施してまいりたいと考えております。

福島委員 こうして質問をしてきますと、一方では、医療費をもうちょっとふやしてもいいんじゃないか、こういうふうに聞こえるところもあろうかと思います。一方で、国民の負担を考えると、もうちょっと医療費を適正化した方がいいんじゃないかと。どうもおまえは矛盾したことを言っているんじゃないか、こういうふうに受けとめられる嫌いもあろうかと思いますけれども、そうではありませんで、将来にわたって国民の負担を適正にするということが必要だ、そこはやはり具体的な姿を示していかなきゃいけない。しかし、ただ単純にそのために医療費の水準を引き下げていく、こういう考え方はだめだということを申し上げたいんです。

 そうではなくて、総体的に低い医療費の水準の中で、良質の、そしてまたパフォーマンスのいい医療を提供していく、そのことが結果としてどういう影響を受けるかということをよく考えてもらわないといけない。そして、負担ということについても、医療の質が仮に劣化する、パフォーマンスが悪くなるということがあれば、逆にまた国民にこれを御説明する必要もある。要は、そこのバランスをどうとるか、財政的な観点からだけで医療システムは語ることができない、こういうことを申し上げているつもりでございます。

 そしてまた、今回の改革にとどまらず、年金の改革もそうですけれども、世代間の公平性をどう図っていくのかということも極めて大切な改革の視点でございます。

 諸外国の制度において高齢者というものはどう取り扱われているのか。今回の改革では、独立した高齢者の医療制度をつくる、今までは老人保健制度がございましたけれども、これは世界を見渡したときには、比較的まれな制度ではないかというふうに前から感じてまいりました。この点について御説明をいただきたいと思っております。

 そしてまた、今回のこの改革によって、世代間の公平性、世代間の負担の格差、こういうものがどう是正されるのか、こういった点についてもまとめて御説明いただければと思っております。

水田政府参考人 まず、高齢者医療制度について、諸外国の事例はどうなっているかというお尋ねであろうかと思います。

 実は、高齢者につきまして別建ての制度をつくっているというのは大変珍しい例でございまして、私どもの知る限りでは、アメリカにおきまして、高齢者を対象といたしました公的医療保険制度であるメディケアがあるということは承知をしておりますけれども、その他の国におきましては、例を把握はしてございません。

 その上で、次に、老人と若人の負担率につきまして、その負担の格差についてのお尋ねでございますけれども、これは委員御承知のとおり、まず現役の世代の患者負担につきましては、平成十四年の改正で三割負担に統一されたところでございますけれども、七十歳以上の高齢者につきましては、平成十二年改正で一割の定率負担が導入される、それから、十四年改正で現役並み以上の所得を有する方につきまして二割の定率負担が導入されたところでございます。

 さらに、今回の改革案では、高齢者にも応分の負担をしていただくという観点から、現役並み以上の所得を有する方につきましては、現役世代と同じ三割負担ということをいただくということにしたわけでございます。

 一方で、保険料につきましても、今回新たに創設することとしております後期高齢者医療制度におきまして、高齢者の方々の保険料、全体の給付費の一〇%のシェアを持っていただこうというふうに設計してございますけれども、これにつきまして、今後、若人人口が減少して、若人一人当たりの保険料負担が増大することが見込まれるわけでございますけれども、この増加分の半分、二分の一につきまして、これを高齢者の負担割合に乗せていく、こういう形で、高齢者にもまさに応分の負担をしていただくというふうな制度設計にしているところでございます。

福島委員 今政府参考人の方からは、具体的な個々の数字といいますか制度の仕組みを御説明いただいたわけでございますが、むしろ、もっとトータルで、世代間の格差というものはどうなっているのかというようなわかりやすい説明をすべきではないかというふうに私は思っております。これは年金にも通じることでございますし、今後若い世代がもっと減少していくということを考えたときに、社会保障制度をどう考えるのか、国民に対しての説明の中では、世代間の公平というものをどう図るかということが欠けてはならない要素であるというふうに私は思っております。

 次に、具体的に保険の給付のあり方についてお尋ねをしたいと思います。

 今回の改革では、保険給付のあり方についてもさまざまな議論がありました。本日は財務省にもお越しをいただいておりますが、財務省はかねてから、保険免責制度の導入を実現すべきである、こうした主張を繰り返しておられます。私どもは反対をしてまいりました。この点について、その政策的な背景といいますか考え方について御説明いただければと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の保険免責制についてでございますが、保険制度を持続可能なものとしていくためには、やはり公的保険でカバーする範囲を重点化していく必要があるというふうに考えておりまして、今回の医療制度改革の取りまとめに向けた議論の中で、財務省としましては、保険免責制を導入する必要があるという意見を申し上げてきたところでございます。

 ただ、御承知のとおり、今回の制度改革におきましては、関係者間で十分な御理解がいただけなかったというふうに承知しております。

福島委員 財政なんですね、せんじ詰めて言いますと。財務省ですから財政が大事だというのはよくわかります。しかし、医療はシステムであります。そうした保険給付のあり方が実際の医療サービスの利用に当たってどのような影響を及ぼすのかということについては十分考慮する必要があるというふうに私どもは申し上げてまいりました。

 日本の医療の特質、非常にアクセスが良好である、こうした特質というものを損ねるべきではない。日本の医療が信頼されている一つの理由はそこにあるわけです。そういったことから考えると、財政的な観点からのみこれを実現しようということについては、重ねて私どもは反対であるということを申し上げておきたいというふうに思っております。

 以上、たくさん質問が残っておりますが、ちょうど四十一分までということでございますので、残りの質問はまた改めてお尋ねしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

岸田委員長 次に、清水鴻一郎君。

清水(鴻)委員 自由民主党の清水鴻一郎でございます。

 私は、昨年九月に京都三区から初めて当選をさせていただきました。昨年の八月までは脳神経外科の医者として人生の大半を医療現場で働いてきた、そういう経験、またケアマネジャーとして老人保健施設や特別養護老人ホームの入所者の方々や御家族の皆様方の御意見を承る立場であったということ、また地方議員といたしまして、京都府議会議員として四期十数年にわたりまして地方の声を聞いてまいった、そういう経験を踏まえて質問をさせていただきたいと思います。

 先ほどから川崎厚生労働大臣も昭和二十二年のお生まれということでありますけれども、私は一歳年上の二十一年生まれということでございますので、新人ではございますけれども人生の辛酸は私の方が若干長いかなということも踏まえて、しかし新鮮な気持ちでしっかりと質問をさせていただきたいと思います。

 まず、まさに今この政府提出の健康保険法あるいは医療法の一部改正、特に良質な医療を提供するためという前提もあるわけでありますけれども、先ほど福島委員等からもありましたので重複は避けたいと思いますが、やはり日本の誇るべき皆保険制度、いつでも、どこでも、だれでもが平等に最善の医療を受けられるということ、これが日本の医療を支えてきた大きな原因であることは間違いのないところであります。

 しかしながら、今の日本の財政状況の中で、医療費の適正化という名のもとに医療費の削減が行われようとしております。もちろん、無駄な医療費は削減するのが当然だと私も思います。しかし、何よりも大切なのは、国民の命、生命そして健康ということをいかに守っていくかということだろうと思います。そのことが脅かされるようでは、真の医療制度改革とは言えないと思います。

 今ちょっと資料として皆様にお配りしていると思いますけれども、先ほどもありましたから詳しくは申しませんが、これは「主要国の保健システムのランキング」、いわゆるWHOの二〇〇〇年のリポートでありますけれども、やはり総合評価、医療達成度は日本が一番だということであります。そのほか、例えば乳幼児の死亡率に関しましても、アメリカの六・幾らに対しましては、随分日本の方がいい資料も出ております。そういうことも含めて、日本の医療制度というのはある意味では世界最高の水準を保っているというふうに私は思っています。

 ただ、医療制度の効率等に関しましては、日本が十位というデータも、これは確かにあるわけであります。しかし、フランスが医療制度の効率の総合評価は一位でありますけれども、幾ら制度が効率的であっても、結果として医療の水準が達成されなければ、それはある意味では、目的が達成されるための医療制度でありますので、やはりこの医療制度達成度総合評価一位というのは大事にしなければならない観点ではないかと私は思っているところでございます。

 そしてまた、先ほどもありましたけれども、医療費でございますが、確かに医療費は、昭和六十年十六兆、それが平成十五年では三十一・五兆、約二倍に増加しております。そして、その中のいわゆる老人医療費というのは、四・一兆円から十一・七兆円、約三倍。医療費は約二倍に、しかし老人医療費は約三倍。確かに、高齢者の医療費が高齢者の比率とともにふえていることは事実であります。

 しかし、ここ五年ぐらい、平成十年ぐらいからこの五年間はほとんど三十兆を前後するということで、それほど急激に伸びているわけではありません。ただし、介護保険等が入ってきたということももちろん加味されなければならないとは思います。

 そして、では日本の医療費が本当に高いのか。先ほども議論がありました、重複は避けますけれども、資料二というのを見ていただければ、これが先ほど御説明もありました、OECDの加盟国で、日本が、ちょっと資料は黒くなっていますけれども、真っ黒になっているところが日本なんですが、十七位で、いわゆる総医療費の対GDP比は七・九%、アメリカの約半分。そして、先ほど医療制度がいいというフランス九・七%に比べても、随分安い医療費だということが言えると思います。

 そういう中で、特に医療費が、先ほども三つの要素というようなことで説明されましたけれども、やはり一つは、私が医者になりました昭和四十八年なんかの場合は、CTもMRIも、いわゆるお金のかかる医療機器、高度医療機器というのは全くありませんでした。脳の中がそのまま見えるなんということは、そのときは想像もできなかった。我々はハンマーを持って、そして足をたたいて、どちらが反射が高いか、そういうことでこちらに脳腫瘍があるとかこちらに出血がある、そういうふうな判断をしていた。その時代から比べれば随分診断力も、また顕微鏡による手術、とても一ミリの血管をつなぐということは昔考えられませんでした。

 しかし、今マイクロサージェリーの中で一ミリの血管もつなげる、そういう時代が来ました。そして、血管内治療を含めて医療機器の大変な発達というものが医療を支えている。日本人の平均寿命そして医療の苦痛を随分緩和してきたということは、これは事実だと思います。

 そういう事実の中で、先ほどもありましたけれども、日本の医療費が高い、そしてこれはどうしても削減しなければならない、本当にそういうふうな医療費であるのかどうか。

 そして、医療の今申し上げました内容も含めて、高齢化だけでなくて、むしろ、大変大きな医療機器、それも五年たてば、MRIももう前の旧型だと。いわゆるコンピューターと全く同じであります。五年前のものではとても古くて見られない、どんどん何億の機械をやはり更新していかなければ医療の水準を保てない、そういう事実があるわけでありますけれども、そういうことに関してもいかがお考えか。やはり高い、やはり削減しなければならないということになるのでしょうか。

 大臣、せっかくいていただけますので、もしお考えがありましたらお聞かせいただきたいなと思います。よろしくお願いします。

川崎国務大臣 今の委員の御指摘、それから先ほど福島委員からもいろいろ数字を上げながら、また我が国の財政状況も含めて、いろいろ御説明いただきました。

 現状認識としては、我が国がWHO等から大変高い評価をもらっている。私も先ほどお答えいたしましたように、諸外国からも我が国の制度を勉強したいということで来ていることも事実であります。一方で、小児医療、産科の問題、また急性期医療、過疎地域の問題等、さまざまな問題があることも事実でございます。そういったものにメスを入れていかなければならないという認識はあります。

 一方で、お示しいただいた表の中で、一番の違いは、我が国とドイツは共通点を持っておりますけれども、他の諸外国は、例えばアメリカは出生率が二・一を超えている。また、イギリス、フランスも極めて高い出生率を維持している。一方で我が国は一・二九という、これから担ってもらわなければならない人たちが極めて少なくなり、そして、あと十年、二十年たつと、そのお世話にならなければならない我々の数、清水さんも含めまして、これが圧倒的な数になっていくということからすれば、そのときになって急にカーブを切るんですかということは、医療にあってはならない、社会保障にあってはならないと思っております。私は、やはり急激な大きな変化というのを来さないで、少しずつカーブを切っていかなければならない。

 現状認識としては、いいレベルにあるねという認識はイコールであります。しかしながら、将来を考えたときに、カーブを切り始めないと、そのときに若者に全部負担を負わすことはできますかといったら、正直申し上げて、私はできないと思いました。したがって、カーブを切り始めたということで御理解を賜りたいと思います。

清水(鴻)委員 確かに、大臣のおっしゃる意味合いもよくわかります。ただ、きょう資料にはお示ししませんでしたけれども、例えば、大変、大企業に関しましては景気も回復基調にある。あるいは、金融機関も、随分、過去最大の利益を出す、二兆以上の利益を出す。いろいろなデータの中で、医療費を、少し前の大変厳しい財政状況、景気の悪い状況の中で考えられたこともあります。というのは、きょうは示しませんけれども、過去のデータでも百何兆将来には医療費が上がるとか、今はもう五十何兆、いろいろなことがされたからここで抑えられているということももちろん言えますけれども。

 しかし、一番大事なのは、何が大事だといっても、やはり国民の命、健康、生命、それを守るということ、これは何よりも、何をおいても大切なことだと思うので、その辺のところが、少なくとも今の医療レベルが下がるという方向にならないようにということで、しっかり取り組んでいただきたいし、また我々も一緒に取り組ませていただきたいと思います。

 では、次に、昨年十二月の二十二日に、突然、新聞報道で介護療養病床、二〇一二年には全廃という記事が出されました。資料三にお示しをしておきました。私も全く存じ上げませんでしたし、また療養病床に入院されている患者さんあるいは御家族からは、私などにも大変お問い合わせがあって、どうなるんだろう、どうだと。しかし、私も、全くその経過も存じませんし、説明も受けていなかったし、またこの国会、厚生労働委員会、あるいはもちろんいろいろな部会等も含めてお聞きをしたことが私自身はなかったわけであります。

 そういうことについても、こういうことが突然厚労省の方針ということで報道されるということ、これはいたずらに国民の不安をあおるだけになってしまう。正しい議論がされない、むしろ不安だけが先行してしまう、こういう現状になってしまうということが私は大変懸念されるところでございますけれども、こういうことに対しましては厚労省はいかがお考えでしょうか。

磯部政府参考人 昨年の秋に療養病床の入院患者の方々の実態、すなわち医療の必要度の低い方々が相当入っているという実態が中医協において明らかになったところでございます。この問題は、医療と介護の双方にかかわる問題でございまして、従来から懸案であります社会的入院として、その是正が求められていたということでございます。

 また、社会保障審議会介護給付費分科会におきましても、介護療養病床のあり方について議論が行われてきたところでございまして、昨年の十二月のその分科会の審議報告におきまして、療養病床全体のあり方について厚生労働省の基本的な考え方を早急に示すように求められていたところでもございます。

 このため、昨年十二月の二十一日に、厚生労働省の医療構造改革推進本部におきまして、療養病床の将来像について厚生労働省の考え方をお示しし、それが先ほどの新聞記事になったものということでございます。こういった経緯をぜひ御理解いただければと考えている次第でございます。

清水(鴻)委員 もちろんいろいろな経緯はあると思いますけれども、しかし、議会軽視、国民軽視ということでなくて、厚労省がすべて決めているんじゃなくて、やはり国会で国民の代表である議員の方々等々にいろいろなディスカッションがあって、国民的なコンセンサスを求めていかなければ、こういう問題は国民の理解は得られないと思うんですね。

 こういうことが先に新聞に出る、そういうことに関しては何のあれもないわけですか。特に、これは別にいいんだということでいいですか。

磯部政府参考人 先ほども申し上げましたように、厚生労働省内の医療構造改革推進本部が前日に開かれまして、そこにおきましてこうした考え方をお示しし、それが新聞記事になったということだと理解しております。厚生労働省の考え方をその時点でまとめたということで御理解をいただければと思います。

清水(鴻)委員 情報管理も含めて、むしろ逆に国民の理解が得られにくくなるということに関しては十分注意をしていただきたいなと指摘をしておきたいと思います。

 次に、もう時間もありませんので、平均在院日数というのは、非常に、ある意味で悪玉に上げられています。それで、日本の医療の中で目のかたきにされている平均在院日数の長さという問題でありますけれども、資料四でお示ししましたが、確かにこれだけを見ると三十六・四、ドイツやフランスやイギリスやアメリカに比べて長いなということでありますけれども、これは、日本の場合はまさに療養型、長くいてもいいですよという病院も含めたすべての病院の平均値であります。

 それに対して、例えばドイツでありますと、ここに注釈がありますけれども、「長期介護施設は除く。」また、フランスの場合は「全てのサービス」ただし「(短期)より算定。」そして、イギリスの場合は「公的施設のみ」。そういう、国によっていろいろな制度があります、いろいろな施設があります、ナーシングホーム、いろいろなことも含めて、こういう形で平均値を出すことは大変難しい、比較の対象でどうしても出さなければいけないということはあるかもしれません。だけれども、長期のところは除くとか、公的施設だけだとか、いろいろなことがありますので、これはかえって誤解を招くと思うんですけれども、こういう出し方というのは十分注意をしていただきたいなと思います。

 次に、さらにもう一つ、資料五をお示ししますけれども、ここで一般病床を見ますと、一般病床だと日本も二十・七、もう今は二十・〇を切っていると思います。つまり、一般病床、急性期の病院はほとんど外国と余り遜色のないところまで平均在院日数が短縮されてきている、そういう事実があるということを申し上げたいと思います。

 それからさらに、時間がありませんので資料六に行きますけれども、これで、また平均在院日数という同じ言葉を使って、これは同じ厚労省にもらったデータなんですけれども、今度は入院患者さんの平均在院日数は、医療保険適用だと五百九十五日、さらに介護保険適用だと六百九十三日。同じ平均在院日数ということで、前の資料五だと療養病床等は百七十二・三。余りにも違うわけですよ。

 もちろんデータのとり方とかいろいろあるんですけれども、一般的には、当然、いわゆる入退院数を足して二で割って母数に置いてという一つのルールがありますよね。にもかかわらず、こういうふうに大きく違う。そして、何か別の前提が書いてあるのかなと思ったんですけれども、何も書いていない。これだと、どちらを信用してどう論議していいのか、まさに平均在院日数が問題になっているこの点で、この資料に関してはどういう説明がなされるんでしょうか。

水田政府参考人 平均在院日数の数値についての御質問でございますけれども、先生御指摘のとおり、百七十二・三日という方は平成十五年病院報告でございまして、委員おっしゃられましたとおり、平均の延べ入院日数を、入退院を二分の一で割ったもので出した数値でございます。一方で、五百九十五日あるいは六百九十三日という療養病床における入院患者の平均在院日数、これは調査時点で入院している患者さんが入院の日から何日経過しているかということを算定したものでございまして、その意味では算出の方法が異なるものでございます。その点は注意して書くべきだったかと存じます。

 ただ、療養病床の平均在院日数をとりますときに、医療療養と介護療養を区別してとっているデータというものが、この中医協の専門組織がやっているもの自体、これだけでございましたので、これを使わざるを得なかったということもございますし、こういった長期の入所施設に関する平均在院日数をとる場合には、中医協の専門組織による調査の方が在院日数の状況をより反映する傾向があるというふうに考えております。

 またさらに、療養病床の中で在院日数が比較的短い回復期リハビリテーション病棟が算出対象となっていないということで、病院報告と大分違うような要素がございますけれども、今回の療養病床の再編に合わせて政策的に必要な部分というものをこの調査から取り出したということでございまして、説明がもう少し必要だったという点につきましては御意見として承らせていただきます。

清水(鴻)委員 では、出し方は同じ出し方だということですね。

水田政府参考人 再度お答えいたしますけれども、出し方が違います。

 つまり、中医協の専門組織が実施しました慢性期医療の実態調査につきましては、ある調査時点におきまして、その時点で入院している患者さんが入院した日から何日たっているかというものの平均を出したということでございます。

 それに対しまして、病院報告の方は、入院の総延べ日数を、入院数と……(清水(鴻)委員「それはわかりました、結構です。それは知っています、わかっています」と呼ぶ)ということで、違います。

清水(鴻)委員 だから、特別な出し方で出したときは、これは特別な出し方で、病院報告の報告の出し方と違うということを明記しなければ大変大きな誤解を招くと思うんですよ。(発言する者あり)いや、本当に。だから、同じ平均在院日数という書き方をしていますから、これは十分注意してもらわないと、変なふうにある意味で誘導されてしまう、大変長いじゃないかということになります。平均在院日数の出し方は一つのルールがあるわけですから、それならそれにのっとった形でやらないと比較できないわけですから、それは十分指摘しておきたいと思います。

 それから、資料七の医療提供体制ですけれども、確かに、人口千人当たりの医者の数というのはやはり日本は少ないんですよ。二・〇、少し少ない。ドイツの三・四、フランスの三・四なんかと比べれば少し少ない。やはりもう少しマンパワーをしっかりとつけていくこと、そのことをぜひ、時間がないのであれですけれども。

 あと、やはり私は、日本は、病床数が確かに多い。だけれども、では医療費が倍かかっているのか、決して倍かかっていない、むしろ安い。日本は、気軽に、簡単に言えば、入院しやすくて、長く完治するまで入院できる、あるいは長期療養病床でゆっくりとリハビリもできる。そういう環境で、そして、医療費がそれで倍かかっているんなら、それはやはり短縮しなきゃいけないし、病床数も減らさなければなりませんけれども、そうじゃない。入院しやすい、そして諸外国よりは少し長く入院できる、そのことが日本人の命を、日本人の健康を守っているむしろ源泉じゃないかというふうに私は思っているんですよ。

 だから、どうしてアメリカや、医療費がすごく高くて、かつ医療水準が高くないところの方向に我々が行かなければいけないのか。そして、では、アメリカや諸外国が安いんですか、決して安くない、なのにそっちの方向へ行こうとする、そのこと自体は少し方向が間違っているのじゃないかなということを、私、強く思います。

 それから、最後の質問にさせていただきますけれども、では、療養型病床群に、実際、医療費三十一兆ある中のどれぐらいの費用がかかっているんですか。

水田政府参考人 平成十五年ベースでの国民医療費に占める療養病床の医療費の割合でございますけれども、金額にして約一・二兆円、割合で約四%でございます。

清水(鴻)委員 三十一・五兆のうちの一兆ちょっとなんですよ、四%なんですよ。それで今国民に療養型病床群というのはすごく安心を与えているんですよ。そこのところだけはよく考えながら、これからの受け皿づくり、介護保険法の一部改正のところの附則もありますので、そこのところを十分検討して、安心した受け皿もつくっていかなければ、我々は国民に対して申しわけない、そういうふうに思いますので、今後、もう一度また質問する機会がありましたら、その辺しっかりと一緒に考えていかせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

岸田委員長 次に、戸井田とおる君。

戸井田委員 自由民主党の戸井田とおるです。

 実に六年ぶりになるんですか、五年八カ月ぶりというか、もうかすかな記憶に残っている昔に質問して、久しぶりの質問であります。非常に苦しい思いをして選挙を通ってきましたけれども、この場に立つのもなかなかいいものだなと思っております。

 先ほど、川崎大臣が、次の世代に先送りしないためにもカーブを切り出したんだということを言われておりました。確かに、適正化というのは厳しいことだなと改めて思っております。ある意味で、私が二回ぶりに当選してきたよりもはるかに厳しい道のりかな、そんなふうにも思うわけです。

 昨年十二月の医療制度改革大綱には、一番に「安心・信頼の医療の確保と予防の重視」ということがうたわれております。そして、「今後は、治療重点の医療から、疾病の予防を重視した保健医療体系へと転換を図っていく。」ということでありますけれども、今般の医療改革について、中長期的には、やはりここに書かれているように、安心・信頼の医療と予防の重視という方向を目指すということでよろしいのでしょうか。その辺のところのことを、川崎大臣の方からよろしくお願いいたします。

川崎国務大臣 今回の医療制度改革につきましては、短期的な問題と中長期的な問題、組み合わせながら政策を組ませていただきました。

 先ほど福島委員からも御質問がありましたように、私どもは、数字目標を先に決めてやるというやり方はやらない。これは、財政諮問会議でも随分議論したんです。向こうは、数字を決めてそれでやろうと。しかし私どもは、プラン・ドゥー・チェック・アクションを動かすと言われるから、プラン・ドゥー・チェック・アクションというのは、一つ一つの現場が組み立ててきて、それを上に持ってくる手法ですよ、上の方が数字を決めてプラン・ドゥー・チェック・アクションなどというようなことは私は聞いたことがない、私も松下で長い間それをやってきたけれども、そんな法則はない、したがって、下から積み上げを一つ一つやっていくことが大事だろうと。

 そういう意味では、長期的に申し上げれば、やはり入院の問題と予防の問題にしっかり取り組みながら、将来的に少しでも医療費が適正化されていくということを目指していかなければならない、だから、先に数字がありきというやり方は私は反対でございますということで去年随分やり合いました。したがって、最後は目安という表現に変わりましたけれども。

 そんな中で、今委員が御指摘いただきましたように、生活習慣病予防について、特に今回役割の明確化を図らせていただいた。特に、従来手薄でありました被扶養者に対する健診の充実、保健指導、予防重視の保健医療体系の構築を目指すということで、今までは、医療保険者自体に直接的な責任というものは考えてきませんでしたけれども、これからは、医療保険者が糖尿病等の生活習慣病に着目した健診等をしっかりやるということでこれから進めてまいりたい。

 今までやってきたことについて、いろいろ議論はあります。確かに、そのやり方について、半分目的は達したけれども、半分は御批判があったんだろう。今回は思い切って変えたということになります。

戸井田委員 やはり数字はどうしても頭にあるし、それを外せないのは仕方ないのかなというふうに思いますね。

 しかし、一方で、大綱で示されているように、生活習慣病の予防、今大臣もおっしゃられましたけれども、国民の健康確保の上で重要であるし、また治療に要する医療費の減少にも資するということが書かれておりますけれども、そこで、国民医療費の三割を占めるメタボリックシンドロームを初めとする生活習慣病の対策について、また全体像をお示しいただけたらと思います。

中島政府参考人 ただいま御指摘のありましたメタボリックシンドロームでございますけれども、これは、内臓に蓄積します脂肪、内臓脂肪が原因となります肥満でございますが、これが要因となって高血圧でありますとか高血糖、脂質、脂肪の代謝異常というような複数の疾病の要因を引き起こしまして、これが重複いたしますほど、脳卒中であるとか心筋梗塞などの発症の危険が増大をするというような状態のことを言っております。

 今回の医療制度改革につきましては、このメタボリックシンドローム、内臓脂肪症候群でございますが、これに着目をいたしました健診、保健指導を医療保険者に義務づけまして、特に効果的、効率的な保健指導を徹底することによりまして、糖尿病等の生活習慣病の発症予防、さらに重症化予防に向けた取り組みを徹底してまいりたいというふうに考えております。

戸井田委員 どうもありがとうございます。

 時間も短いので余りいろいろ質問もできませんけれども、できれば歯科の方に焦点を絞っていきたいと思っております。

 予防という方向をこれから中長期的には目指していくということがあるわけですけれども、実は、私の地元は兵庫県の姫路市です。かなり前から兵庫県では歯科医師会が率先して八〇二〇運動というのを地道にやっておられました。八十歳まで二十本の歯を残そうという運動だそうでありますけれども、その実態調査を兵庫県でして、いろいろなデータをまとめたということを聞いております。

 私が聞いたところによりますと、八〇二〇の達成者というのは、非達成者と比較すると医科の医療費が二〇%以上も達成者の方が少ないというような話を聞きました。もしその正確な実態調査の資料をお持ちであれば、内容を教えていただきたいと思うんですけれども。

松谷政府参考人 御指摘の兵庫県歯科医師会が実施いたしました八〇二〇運動の実績調査でございますけれども、平成十六年五月診療分の調査によりまして、七十歳、八〇二〇は八十歳なんですけれども、七十歳で二十本以上持っている方について十六年五月診療分の医科の医療費がどのくらいかかっているかということで調査をしてございまして、七十歳で二十本、七〇二〇を達成した方の医科の平均点数は千七百七十六・四点、非達成の方の平均点数は二千二百二十一・三点ということで、達成者に対して非達成者の点数は一二五・〇%ということで、二十本達成している方の方が医療費が安くなっていたという結果になっているというデータとなっております。

戸井田委員 七十歳、七〇二〇ということですけれども、八〇二〇も、その辺まで歯を残している人というのはその後もずっと残っていくんだろうなと思うんですが、どちらにしましても、歯が残っていることは非常に健康にもプラスになっているということなんだろうと思います。自分の歯を残すということ、歯周病を予防することが生活習慣病の予防につながることを示しているんだろうと思いますし、またその辺の歯周病菌の影響というものもかなり内臓にあるんだろうと思うんですね。

 そんなところのことも聞くわけですけれども、歯周病も、言ってみれば、考え方によったら生活習慣病じゃないかなと。ある資料をもらったんですけれども、アメリカでもって一九九八年に、米国ノースカロライナ大学の研究報告によって、歯周病が命にかかわるということが全米に知れ渡った。そのときに、フロス・オア・ダイということで、要するに糸ようじか死かというようなことが言われたそうであります。要は、歯磨きをきれいにするか、それともせずに死を選ぶかということなんだろうと思うんですね。だから、そういう意味では、歯をきれいにしておく、口腔内をきれいにしておくということは、内科にかなり影響があるということなんだろうと思います。

 私ども、全く素人ですからその辺の情報には疎いわけなんですけれども、またそこらのことで御存じのことがあったらお教えいただきたいなと思います。

松谷政府参考人 口腔と全身の関係についての研究でございますが、平成十六年度から十八年度の予定で、厚生労働科学研究におきまして、地域住民の口腔保健と全身的な健康状態の関係についての総合研究というのが行われてございますが、まだ途中でございますけれども、現在までに、誤嚥性肺炎、間違って肺の方にのみ込んじゃうということによる肺炎の予防に口腔ケアが有効であること、あるいは歯科治療によりましてQOLあるいは食事機能等の改善が図られる、それからかみ合わせの力が強いと日常生活活動能力、運動機能等がよりすぐれているといったようなことが報告されております。

戸井田委員 ありがとうございます。

 実は、私の知り合いの地元の歯医者さんが、高齢者の疾患に骨粗鬆症というのがありますけれども、この骨粗鬆症の進行は寝たきりのお年寄りをふやす原因にもなる、やはり早期発見、早期治療というのが鉄則であるということで、骨粗鬆症の早期発見というんですか、そのことに随分力を入れていて、何か骨粗鬆症というのは脊椎のところで骨密度をはかるらしいんですけれども、その歯医者さんは下あごの骨のところでそれをはかる、そのことを研究していて、自分でもってアメリカに行って研究発表をして、そしてそれが実際に科学誌に載ったということで、そのことをぜひ導入して、やれ、やれということを会うたびに言われるんですね。

 いろいろ資料は先日厚生省の方にもお渡しもしたんですけれども、要するにこういうことらしいんです。

 これまでも歯槽骨の骨密度と全身の骨密度の関係を指摘する論文は多数あったが、いずれも撮影時の条件で、レントゲンに写る歯槽骨像の濃淡に統一性が持てない場合があったということらしいんですね。それを解決するために、この友人は、実は、歯科医院のエックス線写真を使い、歯槽骨の骨密度を簡単にかつ定量的に測定する方法を開発し、これを研究に応用した。それはどういうものかというと、新測定法は階段状になった長さ二センチ、幅〇・五センチのアルミニウム製ブロックをレントゲンフィルムの上部に張りつけ、第一小臼歯を中心に周囲の歯槽骨像を撮影するということなんですね。それで階段状のアルミニウムを基準にして骨密度をはかるとわかるということらしいんです。

 そういうことをやり出して、これをすれば、歯科治療をしているときにレントゲン写真を撮る、そのレントゲン写真の上のところにその基準になるものを張っておけば、普通やるのと同じようなことでもって骨粗鬆症の進行度が判定できるということらしいんですね。そうすると、新たに費用をかけずにそれができる。逆に、それである程度骨密度が吸収されてきて薄くなってきたということがわかれば、医科の方に、骨粗鬆症の気があるからその治療を診てくださいという紹介ができるじゃないかということなんですね。骨粗鬆症の予防になれば将来寝たきり老人が少なくなるだろう。そうすると介護保険もふえなくて済む。

 風が吹けばおけ屋がもうかるじゃないですけれども、でも、その言っていることを聞いていると非常に合理的だし、これから厳しい、それこそ二回飛びで当選するよりもはるかに厳しいその道をたどっていかなきゃならない立場としては、そういう知恵を出して、なおかつ効果のあるものというものを政策の中に取り入れていかなければいけないんじゃないかなと思うんですね。

 ただ、今の私の友人の方法が広く一般的にこれから認められるかはまだぎりぎりのところなんだろうと思うんですけれども、今すぐ今回のあれでどうこう言うことではないと思いますが、しかし、そういうふうな努力をしている現場の人たちが実はたくさんいるんだろうというふうに思うんですね。そんな人たちのやる気をうせてしまうような制度でなく、なおかつその人たちを引き出してくるような、そういう行政をぜひやっていただきたいな、私の個人的な気持ちとしてはそうなんです。

 そのことを考えますと、ここで歯科の問題なんですけれども、実は今、日本の経済というのは大変な時代が続きまして、そして歯科医療の世界は底なしのような状態がまだ続いているということであります。

 簡単に言いますと、ここ十年の歯科医療費の総額は二兆五千億円程度でほとんど変わっておりません。一方で、歯科医師の数は二〇%から三〇%も増加しているということで、各診療所の収支状況も悪化の一途をたどっている。昭和五十六年には月額ベースで百五十八万円の収支差額が、平成十五年には百二十二万円と二十数%も減っているのが現状です。診察台のユニットも最低五百万ということを聞きますし、この中から設備資金の借り入れの返済も賄うということを考えると、各診療所の経営も相当大変なんだろうなということはやはり見てとれると思うんですね。医療保険の世界は言ってみれば統制経済の世界でありますから、歯科医師を次々つくり出して、そして自然淘汰ということでは、ちょっと話が違うんじゃないかなという感じがするんですね。

 実際には、平成元年にWHOから歯科医師増加に対する警告というのが出されて、旧厚生省から平成十年に、さらに平成十一年には旧文部省からも、それぞれ新規参入歯科医師の一〇%削減の報告書が出されているということであります。

 しかし、それにもかかわらず、その後の具体的な対応が何らなされていない。厚生労働省は歯科医師の人数がこれだけふえてきた問題をどう解決しようとしているのか、その辺のことをちょっとお聞かせいただけませんでしょうか。

松谷政府参考人 歯科医師数でございますが、医師・歯科医師・薬剤師調査の結果によりますと、平成十六年末現在で九万五千百九十七人となってございまして、二年前の十四年末に比較しまして二千三百二十三人増加しているという状況です。近年このペースで増加してございますので、先生御指摘のとおり、歯科医療費の額の増に比べますと、歯科医師の増の方がずっと多いということでございます。

 昭和六十一年の歯科医師の需給の検討会の報告によりまして、歯科医師の養成数を減少すべきであるという報告が出されまして、入学者数を二割減ということで厚生労働省から文部科学省にその旨要請をした経緯がございます。一〇〇%ではたしかなかったと思いますが、おおむね達成されつつあるという状況でございます。

戸井田委員 この歯科医師の需給問題というのは、人を減らして調整するのか、それとも診療報酬で調整するのか、やはりこの二つに一つなんだろうと思うんですね。だけれども、現実には、それだけの技術者というか歯科医師を養成しておきながら、ほったらかしにするわけにもいかない。かといって、診療報酬も三・一六マイナスということでありますから、まさにそのところがなかなか厳しいところなんだろうというふうに思っております。

 そういう意味で、先ほどの、中長期的な話になるのかもわかりませんけれども骨粗鬆症の問題、だから、これは、これからふえていくお年寄りの対策としては早くそれを予防していく、また骨粗鬆症に対する治療法というのも当然あるわけでしょうから、寝たきりをふやさないためにもやはりそういうことを、ましてや大きなお金が要るわけでもない、普通の歯科診療をやっている中で、あとは歯科と医科の連携でもって対応していけるということを考えれば、できるだけ早く確認をしてこういうことをやっていただきたいなと。

 また同時に、先ほど来の話の中からも、やはり口の中をきれいにしておくことは健康に大きな影響があるということでありますから、逆にその部分で歯科医師に活躍していただくということも、考え方によっては医療費を削減するという意味でもプラスに作用するのではないかな、そんなふうに思います。

 いつか、私もある人から、人間の体は何でできているか知っていますかと聞かれたことがあるんですね。私はそのときには骨と筋肉というふうに答えたんですけれども、その途中でもって、違いますよ、人間の体は食べ物でできているんですよと言われたんですけれども、そのときにまさに目からうろこのような気がしたんですね。口から入るものでもってやはり体は大きな影響を受ける。もちろん、骨をつくり筋肉をつくっていく、また成長していくためにも、すべて口から栄養をとっていくわけでありますけれども、同時に目に見えない細菌も口から入ってくるということを考えると、実際には、歯周病菌にしても、それ以外の細菌も、我々の目には見えないわけですよね。

 歯をきれいにすることによって、だけれども、きれいにするのも限度がある、また、さっき言った生活習慣病じゃないが、きれいになかなかできない人たちもいる。だけれども、そんな人たちであっても、きちっと歯科医院でもって口の掃除を定期的にしていくこと、それがまた保険で適用になっていくんだとしたら、逆に、将来もっと大きな病気で保険にかかるというよりは、そのときに前で抑えておく方がより安上がりでもって健康を保てるんじゃないかな、そんな気がするんですね。

 この歯科医の需給問題というのはそういった方向で解決していくという方がいいんじゃないだろうか、私は個人的に勝手にそういうふうに思っております。また何か御意見があったら、お聞かせいただけたらと思っています。

松谷政府参考人 歯科の八〇二〇を初めとした予防運動というものを今後進めていく必要があるというふうに考えてございますけれども、そういうことにおいて、今先生るる御指摘のとおり、医科の医療費との関係、あるいは全身の疾患への関係ということも示唆されるような研究も出ております。もちろんその解釈については、それが因果関係にあるのかどうかというような科学的な精査というのはさらに必要だと思ってございますけれども、少なくとも示唆されるような研究の報告ということもございますので、歯の保健あるいは予防ということを含めて、改革の中でさらに進めていくということは非常に大事なことだと私どもも認識しているところでございます。

戸井田委員 予防医療というか、そういうことをこれから診療報酬の中に組み入れていく、そういう気持ちがあるのかどうか、その辺のところを聞きたいんですけれども。

水田政府参考人 診療報酬における予防の位置づけという問いでございますけれども、予防そのものについて、疾病の治療ということで医療保険の給付というような範囲は画しているわけでございまして、そういう意味ではなかなかこれは根深い問題でございます。

 ただ、保険給付ということではなくて保健事業といたしまして、現在でも、御存じのとおり、健保組合あるいは市町村国保でも、いろいろと人間ドックのようなものはお金を出しているわけでございます。今回も、糖尿病等の生活習慣病につきましては医療保険者に実施を義務づけることといたしておりますので、給付に入れるという話と医療保険者がそれに取り組むという話はまた別なものだろうと思っております。

 したがいまして、保健事業としてその範囲をどこまでにするかということにつきましては、これはやはり知見を積み重ねることによって考えていくべき問題だ、このように考えております。

戸井田委員 いろいろ話もお伺いし、そして歯科、友人の一人の行動を見ていて、実は私は、こういうことというものは、多分これから予防医療というのは大変重要な位置を占めてくるんじゃないかな、そんなふうに思っております。これから、私自身も専門の領域を持った人間でもありませんけれども、ただ、一般の患者の立場ということで考えていったときに、やはり同じ治すなら、病気になってから治すよりも、病気になる前に、ならないような、予防策で何らかの形をとってほしいというのが、多分だれもが思う素直な気持ちなんだろうというふうに思うんですね。

 最後に、私の地元で、選挙でも大変お世話になりました赤松副大臣に、今までの私の議論、そして最後の予防のことに関して、何か御感想があったらよろしくお願いいたします。

赤松副大臣 長い間のブランクを経て登場された戸井田とおる代議士の御質問を聞いて、私も感慨深く聞かせていただきました。

 予防が大事だという観点、歯科医療、私も地元は姫路でございますけれども、姫路の歯医者さんの話を通されて、予防の観点が大事だということは、一つ歯のみならず、すべて人間の体にとって大事なことだろうと思います。御指摘いただいた点、しっかりと踏まえて頑張ってまいりたいと思います。

 以上です。

戸井田委員 どうも長いことありがとうございました。

 私も、いろいろな形で先代の時代からこの厚生労働関係に愛着も持ち、また、そこにつかりながら、ぬるま湯につかっていたこともあるかとも思うんですけれども、しかし、これからもこの関連を一生懸命やっていこうと思っております。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

岸田委員長 民主党・無所属クラブ、社会民主党・市民連合、国民新党・日本・無所属の会所属委員に対し、事務局をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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