衆議院

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第4号 平成19年3月14日(水曜日)

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平成十九年三月十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 櫻田 義孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 鴨下 一郎君

   理事 谷畑  孝君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井上 信治君

      石崎  岳君    加藤 勝信君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木村 義雄君    岸田 文雄君

      清水鴻一郎君    篠田 陽介君

      菅原 一秀君    杉田 元司君

      杉村 太蔵君    鈴木 馨祐君

      高鳥 修一君   戸井田とおる君

      冨岡  勉君    丹羽 秀樹君

      西川 京子君    西銘恒三郎君

      林   潤君    原田 憲治君

      原田 令嗣君    広津 素子君

      福岡 資麿君    藤井 勇治君

      松野 博一君    松本  純君

      松本 洋平君    御法川信英君

      山本ともひろ君    内山  晃君

      大島  敦君    菊田真紀子君

      郡  和子君    園田 康博君

      田名部匡代君    筒井 信隆君

      細川 律夫君    柚木 道義君

      坂口  力君    古屋 範子君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       柳澤 伯夫君

   厚生労働副大臣      武見 敬三君

   厚生労働大臣政務官    菅原 一秀君

   厚生労働大臣政務官    松野 博一君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            高橋  満君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          奥田 久美君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  新井 悦二君     広津 素子君

  加藤 勝信君     西銘恒三郎君

  木原 誠二君     丹羽 秀樹君

  杉村 太蔵君     杉田 元司君

  林   潤君     篠田 陽介君

  松本 洋平君     山本ともひろ君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     林   潤君

  杉田 元司君     杉村 太蔵君

  丹羽 秀樹君     藤井 勇治君

  西銘恒三郎君     鈴木 馨祐君

  広津 素子君     新井 悦二君

  山本ともひろ君    松本 洋平君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 馨祐君     原田 憲治君

  藤井 勇治君     木原 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  原田 憲治君     加藤 勝信君

    ―――――――――――――

三月十四日

 国は早急に脳脊髄液減少症を病気として認め、治療法の確立と患者救済に関する請願(志位和夫君紹介)(第三二七号)

 無認可保育所への公的助成等に関する請願(園田康博君紹介)(第三二八号)

 同(阿部知子君紹介)(第三五六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四〇七号)

 同(石井郁子君紹介)(第四〇八号)

 同(笠井亮君紹介)(第四〇九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四一〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四一一号)

 同(志位和夫君紹介)(第四一二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四一三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四一四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四一五号)

 同(田名部匡代君紹介)(第四二四号)

 同(三井辨雄君紹介)(第四五四号)

 八代地域の医療の充実を求めることに関する請願(金子恭之君紹介)(第三二九号)

 潰瘍性大腸炎・パーキンソン病の医療費公費助成適用範囲見直しの撤回及び難病対策予算増額等に関する請願(阿部知子君紹介)(第三五五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三七五号)

 乳幼児医療費無料制度の創設に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三七一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三七二号)

 児童扶養手当の減額を最小限にすることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三七三号)

 雇用保険の特例一時金の削減に反対し、国の季節労働者対策の強化を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三七四号)

 最低保障年金制度の実現を求めることに関する請願(石井郁子君紹介)(第三七六号)

 同(笠井亮君紹介)(第三七七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三七八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三七九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三八〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三八一号)

 患者負担増の中止を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四〇二号)

 最低保障年金制度の創設に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四〇三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四〇四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四〇五号)

 療養病床の廃止・削減と患者負担増の中止等を求めることに関する請願(吉井英勝君紹介)(第四〇六号)

 建設労働者の労働条件向上を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第四二一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四二二号)

 同(志位和夫君紹介)(第四二三号)

 進行性化骨筋炎の難病指定に関する請願(福岡資麿君紹介)(第四三三号)

 格差社会を是正し、命と暮らしを守るために社会保障の拡充を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四四五号)

 生活保護に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四四六号)

 同(石井郁子君紹介)(第四四七号)

 パーキンソン病の療養生活の向上に関する請願(志位和夫君紹介)(第四四八号)

 同(棚橋泰文君紹介)(第四四九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

櫻田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省労働基準局長青木豊君、労働基準局労災補償部長石井淳子君、職業安定局長高橋満君、職業能力開発局長奥田久美君、雇用均等・児童家庭局長大谷泰夫君、保険局長水田邦雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 柳澤大臣に、冒頭、本題に入る前にお尋ねを申し上げたいと思うんですが、今国会で大変重要広範議案でございます社会保険庁改革関連法案、これを審議するわけでありますけれども、私たち民主党では、消えた年金保険料のことを十分議論しなければこの本題に入れない、こういうふうに位置づけをしておりまして、国民年金、厚生年金の納付記録消滅に関する予備的調査で判明しました数値や根拠、どのように調査をされたのか、これはやはり明確な資料を当局に要求しております。

 大臣からも、ぜひこの辺の資料の提出をするというふうにお約束をいただきたいんですが、いかがでしょうか。(発言する者あり)そうです、法案を提出前ということでございます。よろしくお願いします。

柳澤国務大臣 社会保険庁における、国民年金あるいは厚生年金、あるいは国民健康保険料等もかつてはそうでしたけれども、そういった、いろいろ窓口事務が行われているわけでございますけれども、これらの事務処理の状況を、業務管理的な意味で数値をつかんでいくという作業は、一つの組織体であれば一般にはかなり同時並行的に行われるということを私どもも期待しているわけでございますけれども、社会保険庁の仕事が、いろいろ所属が、地方というか国とあわせて責任を持つような体制から、さらにまた国の主管に変わるというようなことの中で、なかなか通常の、そうした経緯のない機関に比べると、そうした管理的な資料の整理というものが十全に行われていたかどうかということについて、いろいろと問題なしとしないという御指摘をかねてから受けているわけでございます。

 これらについて、今、資料として数字を出しなさいということを要請されておるわけでございますが、社会保険庁といたしましても最大限の努力をさせていただいておるということでございます。懸命の努力をしておりまして、できたものからできた時期に御提出いたしたい、こういう気持ちで今取り組んでいるわけでございますので、ぜひ、御指導をいただきながら御理解もいただきたい、このように考えている次第でございます。

内山委員 出すのか出さないのかということを明確に今答えていませんね。

 五千万件の年金受給に結びつかないデータがあるんですよ。五千万件ですよ。これは大変な数字です。それから、保険料を納めたという一万八百五十八人、納めたけれども年金給付に結びついていない。この人たちの千八百十五人しか認められていない。なぜ、その残りの人たちはどういう理由で認められなかったのか、それはすぐ出せるはずじゃないですか。

 ですから、法案審議の前に、まずこういうものを出していただきたい。出していただけるように当局に指導すると、ここで明確に答弁をいただきたい。

柳澤国務大臣 これは、数字については、今御指摘の有無にかかわらず審議の参考にすべき、管理をすることの必要性からくるいろいろな数値というものについては、これはもう私どももできるだけ整理をしておくようにということで今督励をいたしておりまして、これは出さないとかあるいは出したくないとかということでは全くないわけでございますが、できるだけ早急にその解明を進めて、できるものはできたときから提出をする、こういうことは私自身大いに督励をしている状況にございます。

内山委員 私の理解ができないのか、答えになっていない。出させるようにすると、ここで明言をしていただきたい。

柳澤国務大臣 今督励をしているわけでございますけれども、今申し上げますとおり、できるだけ早急に作業をし、できるものからできた時点において御提出をさせていただくということで、引き続いての御指導また御理解をお願いいたしたい、このように思います。

内山委員 当局に出すように指示をするかしないかと聞いているんです。そういう答弁では審議できない。

柳澤国務大臣 出すように督励をしている、こういうことでございます。

内山委員 大臣は日本語が余り理解できないとたしか答弁でおっしゃっていましたけれども、出させるようにします、こうおっしゃっていただきたいんですが。

柳澤国務大臣 出させるように私としては努めているわけでございます。

内山委員 では、私はこういう理解をします。大臣は、当局に出させるように指導する、こういうふうに思っている。これでよろしいでしょうかね。どうでしょうか。

柳澤国務大臣 もちろん指導もいたすということも含めているんですが、要するに、早く出すように努めなさい、こういうことを申しているわけでございまして、一生懸命やります、こういうことも申しているわけでございますけれども、できるものからできた時点でお出しをしていく、こういうことでございます。

内山委員 この社会保険庁改革関連法案というのは実に重要な法律ですよ。これから、国民の厚生年金や国民年金、こういった管理を公法人に任せよう。こういう問題を解決しなくて、新しい組織に行ったときに、この問題はどこが解決するんですか。どこの責任になるんですか。公法人だと情報公開制度や何かで情報が我々のところに来づらくなるじゃないですか。だからこそ、これは徹底的にやるべきだ。

 私たちは議論をしたいと言っているんですよ。なぜそれを、もっと、時期とか明確に出すとかということを言ってもらえないんでしょうか。これは年金不信はさらに国民に増しますよ。とてもそういう状況ではこの社会保険庁改革関連法案なんか審議できないですよ。いいんですか、これで。

 もう一度答弁を求めます。いつ出すのか。

柳澤国務大臣 新しい社会保険庁の体制と申しますか、その改革の法案は、日本年金機構という法律と、またその関連の事業運営の改善に関する法律ということで御提出をさせていただいているわけでございますけれども、その審議でさらにまた明確に申し上げますけれども、いずれにしても、財政責任それから管理責任というものは、国がしっかりと掌握した上で、実際の事業運営をそうした新設される非公務員型の機構にゆだねていくということでございますので、新しい体制でもって、国民に対する、あるいは国民の皆様からの年金に対する信頼というものは、これは向上していくと私どもは確信をいたしますし、また、それにふさわしい機構の改革、さらには実際の事務の運営をしてまいりたい、このように考えているわけでございます。

 そして、今委員の御指摘の、これまでさまざまに御指摘をいただいた管理の資料、いろいろな件数等の資料につきましては、今督励をして、できたものからできた時点でもって提出をするということに向けて懸命に努力をしているという状況でございますので、ぜひ、この間の状況を御理解賜りたいと思います。

内山委員 理解はできません。

 このままやっていましたら、私の持ち時間は終わってしまいます。私の質問の何倍も時間を費やしています。答弁拒否ですね、これ。我々も国民の負託を受けて国会に来ているんですよ。与党の議員だけが選挙で受かって国会に来ているわけではなく、野党の議員も皆、国民の負託を受けて、選挙で選ばれてここへ来ているんです。きちっと紳士的な審議をさせてくださいよ。

 特に重要な年金の問題です。ここできっちりと、新しい組織になったときに、この積み残された問題をその新しい組織も引き続いて責任を持っていくんですか、その一点だけ確認したいと思います。

柳澤国務大臣 今回は、より国が、財政責任、管理責任ということでは直接的な責任を負うという体制でございますので、そうしたいろいろな問題はすべて引き継いでまいることは当然のことであると考えております。

内山委員 わかりました。では、引き続いて責任は続くということで終わりたいと思います。

 それではもう一点。厚生労働省の科学研究費補助金をめぐる詐欺事件は、どのように今大臣は把握されておりますでしょうか。

柳澤国務大臣 厚生労働科学研究の補助金につきまして、今回、我が省から埼玉県に出向している職員が詐欺容疑でもって逮捕されるということが発生をいたしました。これはもう、私は大変ショックでもありましたけれども、遺憾きわまりないことである、こういうように考えているわけでございます。

 現在段階は、捜査が進行しているということでございますので、私どもとしては、この捜査に全面的に協力をする、そして事態の解明に資する、こういうことを基本といたしているわけでございますが、同時に、事案の解明が進んだ段階で、私どもとしても、この科研費の補助につきまして、どういうところに問題があってこういう不祥事が生じたのか、そういったことをめぐって再発防止に向けての対策を検討してまいりたい、このように考えている次第でございます。

内山委員 それでは、本題の雇用保険法等の一部を改正する法律案に入りたいと思います。

 行革推進法に沿った見直しの中で、六十歳から六十五歳の間に高年齢雇用継続給付金というのがございます。この高年齢雇用継続給付金の国庫負担を廃止する、こういうような案が出ておりますけれども、それはどのような理由で廃止をされるんでしょうか。

柳澤国務大臣 高年齢雇用の継続給付でございますけれども、高年齢者の雇用の継続を援助、促進するために、六十歳以上の被保険者の賃金の低下に対して給付をいたそうという制度でございました。

 一方、高年齢者雇用安定法によりまして、段階的にではありますけれども、六十五歳までの定年の引き上げというものが行われることになりまして、継続雇用制度の導入等の高年齢者雇用確保措置を講ずることが事業主の義務になってまいるという状況の変化がございました。

 このような状況にかんがみまして、高年齢雇用継続給付につきましては、こういう状況を考えますと国庫負担を行う本来の趣旨というものが薄れてきたのではないかというふうに考えられまして、こういうことを踏まえまして、今回、国庫負担を廃止するということに御提案を申し上げている次第でございます。

内山委員 当分の間とここに書いてありますけれども、当分の間というのはどの期間を指すのか。

柳澤国務大臣 これは、委員、当分の間の措置ではなくて、廃止をするものでございます。

 そもそも、六十歳以上の年齢の方について、再雇用なりなんなりされるときに、七五%以下でしたか、大幅に賃金が下がるということについて、少しでも補てんをしてその賃金の目減りを、負担を軽減しよう、こういうことでございまして、いずれ六十五歳定年になりますので、この制度そのものが事業主の責任ということになる、こういう考え方に立っておりますので、そういうことになれば、そういう措置として定着を私どもとしては考えているということでございます。

内山委員 実務的な話を少ししたいと思うんですが、六十歳になりますと、年金、サラリーマンでしたら厚生年金が受給できるわけです。在職をしておりますと、毎月の標準報酬月額によりまして在職老齢年金というものが、もらいながら働くことが可能である。同時に、被保険者ですから、雇用保険に加入をし保険料も納める。そして、定額部分が出てくる年齢、今ですと六十三歳になります、その定額部分が出てくる年齢を特例支給開始年齢といいますけれども、その段階で退職をしますと、年金を受給するか、基本手当をもらうか、この選択になるわけですね。

 選択というのは実はおかしい話で、働きたくない人は年金をもらう、働きたい人は雇用保険基本手当をもらう、こういうそもそもの原則なんですけれども、実際に、年金が報酬比例部分、定額部分が出てくる年齢から、基本手当とどちらの額が大きいかというと、やはり本来の年金の方が大きい。そうしますと、六十から特例支給開始年齢まで掛けている三年、四年という部分の失業保険、その本来の目的、失業したときの給付をする、それはそもそもあり得ない、発生しない人がほとんどだろうと思うんです。こういう人たちに対して保険料の徴収、基本手当をもらえない人に、年金を受給する場合に基本手当の受給を選択しない人に、さらに六十歳以降保険料を徴収するというのはどうなんだろう、こう思うわけです。

 外国人で、帰国するという場合には雇用保険の保険料を払わなくてもいいという制度があると思うんですが、こういう年金受給者に対しても、やめた後、基本手当をもらわないという人たちがあれば保険料の徴収を免除する、こういう制度はできないものかと思うんですが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 雇用保険制度そのものは、負担能力に応じて保険料を負担してもらう、それから、失業などの保険事故が発生した場合には必要な給付を行う、こういうことによって成り立っている社会保険制度でございまして、一定の要件を満たす者については強制的な加入をさせるということが前提で成り立つ保険制度でございます。

 したがいまして、加入を個人の選択に任せて、結果として失業のリスクの高い者だけが加入するというような、これは保険の世界でも、内山委員なぞはつとに御案内のとおりでございますが、いわゆる逆選択を引き起こしますと、これはもう社会保険制度としては成り立っていかない、こういうことになりますから、その関係で、今委員の提案のような選択制にしたりするということはどうかと言われれば、それは適切でないということをお答えせざるを得ないということでございます。

内山委員 それにも関連すると思います。格差問題で話題になっております非正規労働者の増加原因、大臣はこの原因は何だと思われていますか。

柳澤国務大臣 これはもう、たびたび私も御答弁をさせていただいていると思いますけれども、一つには、産業構造の変化の中で、グローバルな競争に生き残っていかなければならないという企業、経営者側の事情というものがございます。他方また、今度は労働者の側にも、いろいろな形態の労働のあり方と申しますか労働形態を選択したい、こういう状況もございまして、これらが相まちまして、いわば伝統的な、期間の定めのない長期雇用と申しますか、そういったものと違ったいろいろな形の労働形態が発生をし、またそれが増加をしている、こういうことであろうと考えております。

内山委員 大臣から今説明がありました、経営者側の事情と労働者側のニーズといいますか事情、これはウエートはどちらが大きいと思われますか。

柳澤国務大臣 計数的なものといたしましては、例えば派遣労働の方々に対して、できれば正社員になりたかった、正社員になりたいけれどもそれが満たされない、正社員に今もってなりたいと思っているという人と、今後とも派遣労働の形を続けたいというような人が、たまたまでしょうけれども、二七・何ぼというようなことで、大体三割ずつあるというようなそういう数字も、実は私、見せていただいているわけでございます。

 しかし、そういう計数的なことではなくて、体感して、感覚の問題としてどうか、こう言われますと、私はやはり、正社員になりたいという人たちの希望がかなえられない状況、つまり、そういう意味では企業、経営側の選択というもののウエートが高いというふうに考えるべきではないか、こういう感覚を持っております。

内山委員 十六年の年金改正法から、厚生年金ですと保険料が毎年〇・三五四%上がります。社会保険料負担として、厚生年金、健康保険、雇用保険、介護保険、こういう個人の負担は、労使折半ですけれども、税込み総支給額の約一三%あるんですよ。社会保険の空洞化というのも当然あります。今大臣がおっしゃった、なぜ経営者側のそういうニーズなのかというと、保険料負担が大きいんですよ。ここにやはり私は最大の原因があると思います。

 ですから、こういう高齢者のニーズ、基本手当をもらわないという人たちに対して保険料を徴収しないというのは、高齢者雇用の事業主負担を軽減する意味でも一つの大きな方策だと思うんですよ。そういうところをやはり役所の方できちっと把握しなければ、高齢者雇用も若年者の雇用も、非正規労働者、こういう増加も未然に防ぐことはできないと思います。やはり、もっともっとその辺は、大きな意味で社会保険料の負担の軽減に努めるべきだ、私はこう思います。

 それでは本題の方でもう一度。短時間労働被保険者と一般被保険者、これを一律にする、一本化にするということでありますけれども、短時間労働被保険者と一般被保険者の区分をなぜなくしたのか、このことについてお尋ねをしたいと思います。

柳澤国務大臣 今回、短時間労働と一般の労働の受給資格要件を六カ月ということで統一させていただきました。

 これは、統一すること自体としては、短時間労働者の利益をそうした形でより向上させよう、こういう効果があるということに着目をいたしておることは申すまでもないことでございますけれども、同時に、統一するに当たりましては、循環的な給付や安易な離職を防ぐことが重要であるし、また、解雇、倒産等の場合など、労働者が予見できない失業について配慮をする必要があることから、解雇、倒産による離職者について被保険者期間が六カ月以上であるということを受給の資格要件にする。同時にしかし、自己都合離職者等についてはそういう必要はないということで、これについては被保険者期間は十二カ月以上であるということを今後とも維持するということでございます。

 したがいまして、短時間労働者についても、予期しない解雇、倒産等によるものについてはできるだけ救済の範囲を広げるということが、結果として期待できるというふうに考えております。

内山委員 基本的なことをお尋ねしますけれども、短時間労働被保険者の定義、週二十時間から三十時間というところの勤務の方が該当するわけでありますけれども、この辺は、一本化することによって変わらないんでしょうか。

柳澤国務大臣 この関係では、受給資格要件の決定に当たって、短時間労働被保険者と短時間労働被保険者以外という区別そのものが消滅する、消失する、こういうことでございますので、今先生がおっしゃったとおりのことになるのではないかと考えます。

内山委員 もう一度ちょっと確認をしますけれども、短時間労働被保険者の定義というのは週二十時間から三十時間、これは変わらないんですかと聞いているんです。

柳澤国務大臣 ですから、雇用保険に加入するということが前提でございまして、その意味では、そこのところの、二十時間以上で一年以上の雇用が見込まれるという、その要件は今後とも維持されるということで、変わりません。

内山委員 そうしますと、ダブルジョブとか複数の事業所に勤める人たち、こういう人たちはどのような形で救済をするようになりますか。

武見副大臣 御提案のマルチジョブホルダーの件に関しましては、制度上、その実態を把握するというのが、委員御案内のように大変に難しいという側面を持っております。それだけに、今、労働政策審議会の雇用保険部会の報告におきましても今後の課題というようなことで位置づけられておりまして、引き続きその議論を私ども見守っていきたい、こういう立場でございます。

内山委員 今度の改正では、自己都合退職で六カ月の被保険者期間では基本手当を受給できないということになるわけでありまして、大変不利じゃないか、こう考えるわけでありますけれども、その辺はどうお考えでありましょうか。

武見副大臣 今回の受給資格要件の統一に当たりましては、期間雇用者については、有期労働契約の締結に際して契約の更新があることが明示されていた場合について、労働者の希望にかかわらず一年未満で契約更新がなされなかったときは、解雇、倒産等による離職者と同様、受給資格要件を六カ月とすることとしておりまして、この期間雇用者に十分な配慮を行うという観点を整えているというので対応を考えているところでございます。

内山委員 質問の答えがちょっと違っておりまして、期間雇用者じゃなくて、一般被保険者が六カ月でやめたら基本手当はもらえないわけですよ。今は一年に六カ月あればもらえる、そこが不利じゃないかという質問でございます。

武見副大臣 委員の御指摘の六カ月の点なんですけれども、私どもの考え方といたしましては、受給資格要件を統一するに当たっての、循環的な給付それから安易な離職、これらを防ぐことが重要だというまず認識を持っております。その観点から、適切という観点で対応しようということでございます。

内山委員 何も、離職する人が、循環的とか安易な気持ちばかりでやめるわけじゃありませんよ。そういうやむにやまれずやめなきゃいけない人たちに、失業保険を、基本手当を払わないというのはおかしいじゃないですか。循環的にやめるとか安易な気持ちでやめる、このデータでそういう判断をなさったんでしょうか。

 例えば、田舎の親が倒れた、介護をしなければならない、それでやめていく。これは自己都合ですか。そういう人たちに対して、やはり十二カ月以上なければ給付をしない。おかしいじゃないですか。どういうふうに判断しますか。

武見副大臣 御指摘のように、実際にさまざまな理由があって、解雇、倒産等といったような場合など、労働者の立場から予見ができないような失業については、これはもう十分に配慮する必要があることはよく理解をしておるところであります。

 その場合の解雇、倒産等による離職者につきましては、被保険者期間が六カ月以上、自己都合離職者等については被保険者期間が十二カ月以上あることを受給資格要件としたものでありまして、六カ月に統一するというのは適当ではないと考えております。

内山委員 答えに愛が入っていませんね。やめたくてやめる人ばかりじゃない、やめたくないけれどもやめざるを得ない、そういう人たちを循環とか安易とかという部類で、入ってすぐやめざるを得ない人だっているわけですよ、そういう事情の人まで、今までは六カ月あれば基本手当は最低でも九十日もらえたのにもかかわらず、十二カ月とするというのは、これは物すごい不利だと思いますよ。ここは見直すべきですよ。短時間労働被保険者の十二カ月に合わせるということはおかしいと私は思います。これはやはり納得できないですよ。

 十二カ月にした理由というのは循環とか安易、では、それはきちっとしたデータはありますか。それを示して回答をいただきたいと思うんですけれども。理事会でいただけますか。

武見副大臣 ここにある資料に基づきますと、自己都合等にかかわる方については三・六%というデータが出てきております。

内山委員 いや、そんなこと聞いていないんですよ。

 それは、ですから、循環とかそういう安易なという離職のデータというのはあるんですかということなんですよ。それがあったからこそ十二カ月にしたんでしょう。そういうデータをもって根拠を示してほしいと言っているんです。

武見副大臣 過去三年間に二回以上やめた方、実際に三・四%いらっしゃる、こういうことでございます。

内山委員 そういう根拠でこの六カ月から十二カ月にするとは、これはとても信じられないですね。委員長、これは審議できませんよ。(発言する者あり)

櫻田委員長 時間がかかりますか。

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

櫻田委員長 速記を起こしてください。

 この件につきましては、後刻、資料を提出させていただきます。(発言する者あり)ですから、この問題については、後刻、理事会で協議をいたします。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

櫻田委員長 速記を起こしてください。

 後刻、資料の提出につきましては理事会で協議いたします。

 内山晃君。

内山委員 私は、基本の基本を聞いています。

 雇用保険法等の一部を改正する法律案ということは質問通告しているわけでありまして、特別特段難しいことをお尋ねしているわけではありません。六カ月をなぜ十二カ月にしたんですか、その根拠、そのデータを示してください、こう言っているわけでありまして、事前に質問通告云々という問題ではないと思います。質問ができません。

柳澤国務大臣 今回、要するに短時間労働の被保険者と、それ以外の、先生のお言葉では一般の労働者、これの受給資格要件を統一したわけでございます。

 それで、従来それを異にしておりまして、短時間労働者については十二カ月必要だ……(発言する者あり)

櫻田委員長 御静粛に願います。

柳澤国務大臣 それから、長時間というか、一般の労働者については六カ月でいいというふうにしておったのを……(発言する者あり)

櫻田委員長 御静粛にお願いします。

柳澤国務大臣 それを統一して、そして、まさに、労働保険というか、この雇用保険の一番中核的な保険事故であるところの不本意な労働者の予見できない失業については、これはもう六カ月にする、それは短時間労働者といえどもそうしましょうと。しかし、それを、そうではない自己都合による者については十二カ月ということで統一をしよう、こういうことを立法の基本的な考え方としてこれを行って提案をさせていただいている、こういうことでございます。

 したがって、ここはもう立法によってこういうふうに統一的な取り扱いにしようということが趣旨でございますので、ぜひそういうものだということで御理解を賜りたいと思います。(発言する者あり)

櫻田委員長 この際、内山晃君の残余の質疑は後刻行うことといたします。

 次に、原田令嗣君。

原田(令)委員 自由民主党の原田令嗣でございます。

 雇用保険法等の一部を改正する法律案について、自民党を代表して質問申し上げます。

 雇用保険制度について、保険料率や国庫負担の引き下げを含めて議論ができること自体、大変意義深いものがあると考えております。

 日本の失業率は、一九九〇年代前半までは二%台と、欧米各国がおおむね八から一二%台の高率に悩んでいたのと対照的な低水準を示していました。ところが、バブル崩壊後の長い不況の中で企業のリストラが大きく進んだこともありまして、失業率はじりじりと上昇し、年間失業率は一九九五年に三%台となり、二〇〇一年にはついに五%台となりました。そして、二〇〇二年には五・三%のピークを記しました。求職者と求人との比率をあらわす有効求人倍率も、一時期は〇・五倍を割り込み、求人一人当たり求職者二人以上という極めて厳しい状況に我が国は陥っておりました。

 本日議題となっております雇用保険制度については、失業給付が大きくなったため、積立金が平成十年度から平成十二年度にかけ三年連続で年間一兆円取り崩され、平成十四年には、積立金が約四千億円、当時の給付にすると二カ月分ほどの低水準となり、危機的な財政状況となりました。

 その後、小泉政権下の中で、改革なくして成長なしの旗印のもと数々の改革が進められたことも幸いして、平成十五年からは失業率も改善に向かい、昨年は四・一%、ことし一月には四・〇%となり、有効求人倍率も一・〇六倍となりました。今のところ、穏やかな景気回復基調と歩調を合わせて、雇用失業情勢も落ちついていると思われます。

 こうした中で、雇用保険制度は平成十六年度から急激に財政状況が好転しているように思われます。今回の雇用保険制度の見直しの契機としては行政改革推進法があることは周知のとおりでありますけれども、雇用失業情勢が大きく影響していることは間違いないものと考えております。

 世界の中で日本の雇用情勢を位置づけてみますと、英米の失業率は四%台と一時期の高い失業率からは脱却しているのに対して、ドイツ、フランス、イタリアなどEU諸国はなお一〇%前後の高い失業率に苦しんでいます。

 小泉政権による規制緩和と構造改革による経済再建政策は、欧米型の社会への転換を促進し、景気が回復しても失業率水準は高いまま推移するのではないかという見方もありました。しかし、実際は、高水準の失業率が維持されたのではなく、かなりの改善が見られています。

 昨今の失業率の低下は、日本型経営と呼ばれるような日本型社会特有の失業を生まない伝統が復活したのでしょうか、あるいは積極的雇用政策とも呼ばれる欧米型の構造改革が進んだ結果失業率が下がったのでしょうか、それとも単なる景気の問題なのでしょうか。雇用保険制度を考える上で今後重要な視点ですので、その点について考えをお聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

武見副大臣 平成十五年四月には過去最高の五・五%でございました完全失業率、構造改革の進展による我が国経済の民間需要中心の持続的回復、それから政府がこれまで講じてまいりました各般の雇用対策の効果などによりまして、平成十九年一月には四・〇%と、平成十年四月以来、約八年半ぶりの水準にまで低下をしてきたところでございます。しかしながら、先ほどからお話いろいろございましたけれども、若者の失業率が依然として高い状況にあるということや、雇用情勢の地域差、それから増加基調にあります非正規雇用をめぐる問題などの課題が実は残されております。

 こうした課題の解決に向けて、本日御審議いただいております雇用保険法を初めとした働く人たちのための一連の労働法制の整備に全力で取り組んでまいりたい、かように考えているところでございます。

原田(令)委員 雇用状況が好転したのですけれども、失業等給付に係る保険料率が引き下げられるわけです。法定の保険料率である一・六%は引き下げられず、弾力条項を〇・二%から〇・四%に拡大し、保険料率を一・二%に引き下げる予定だと聞いております。なぜ法定の料率を変更せず、弾力条項を拡大することで対応しようとしているのか、その理由をお聞かせ願いたいと思います。

 また、第二番目に、保険料率の引き下げ自体は朗報だと思いますけれども、労使の負担はどの程度軽減されるのか。平均的な労働者の具体的な負担軽減などをわかりやすく御説明願いたいと思います。

 また、保険料率と雇用保険財政については、これからも雇用情勢によって紆余曲折が予想されます。国民の不安、懸念の解消のため、今回の保険料率引き下げによる今後の雇用保険財政状況の見通しをお聞かせください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正法案におきまして、失業給付に係ります保険料率でございますが、現在、雇用保険の財政状況が好転をいたしておるわけでございますが、他方で、今後の経済情勢の動きによりましては、給付が大幅に増加する可能性も否めないということを踏まえまして、弾力条項の変動幅をプラスマイナス〇・二%からプラスマイナス〇・四%に拡大することといたしまして、これを前提に来年度の保険料率を一・六%から一・二%に引き下げることを予定いたしておるところでございます。

 この保険料率の引き下げによりまして、労使合わせますと約六千億円の負担軽減を見込んでおるところでございますが、ちなみに、雇用保険におきます被保険者の平均的な年収水準約四百二十万円程度ということになっておりますが、その場合の労働者の負担分の軽減といたしましては、年間約八千四百円程度の負担軽減になると見込んでおるところでございます。

 また、今回の見直しに当たりまして、制度の安定的な運営を確保するということがまず第一義的な大前提という立場で検討を行ったわけでございます。そういう観点から、検討をいただきました労働政策審議会におきましても、現下の雇用保険財政の状況を前提に、今後の雇用失業情勢について幾つかのケースを想定した上での財政試算といったこと、それに基づきまして多角的に御議論をいただいたわけでございます。

 その結果といたしまして、雇用失業情勢の急速かつ極端な悪化ということがない限り、今後五年程度の期間を想定いたしますと、今回の保険料率の水準で制度の安定的な運営が確保できるものというふうに考えているところでございます。

原田(令)委員 保険料率とともに失業等給付を支えているのは国庫負担です。現行制度では、失業等給付の最も過半を占める基本手当について、国庫負担率は四分の一と定まっております。保険料率だけで雇用保険制度を支えるというのは、直接保険料を負担する労働者や雇用者の皆さんには酷なことではないかと思っております。また、諸外国を見ても、失業者に対して行う給付に国庫の負担が全くないといった国はむしろ少数派だと聞いております。

 失業等給付の国庫負担は雇用保険制度に必要なものと考えておりますが、そもそも国庫負担が存在している積極的な理由を改めて伺いたいと思います。

高橋政府参考人 雇用保険におきます保険事故でございます失業、これは政府の経済政策あるいは雇用政策、そういったものと無縁ではないわけでございまして、政府もその責任の一端を担うべきであるという考え方のもとに、この失業等給付にかかわりまして、単に労使双方のみの拠出にゆだねることなく、国庫もその費用の一部を負担していこうということがこの考え方でございます。

 こうした考え方は、失業保険法制定以来の考え方としてずっと定着をしておるものというふうに理解をいたしております。

原田(令)委員 国の雇用対策に対する責任を体現しているのが国庫負担であるという基本的な考え方は了解できるものです。

 それでは、今回、国庫負担を一部廃止したり削減する考え方は、一体どのような考え方に基づくものなのでしょうか。御説明いただきたいと思います。

 また、国庫負担の削減は当分の間、すなわち、先ほどの質問にもありましたように、暫定措置とされておりますけれども、これは一体どういう意味なのでしょうか。今後、雇用情勢が悪化した場合、国庫負担をもとに戻すのか、あるいは専ら保険料率の引き上げで対応するのか、明確にお答えいただきたいと思います。

高橋政府参考人 御指摘の失業等給付の国庫負担の見直しでございますが、これは、行政改革推進法の規定を踏まえつつ、雇用保険制度の安定的な運営を確保できることを前提に検討を行ったわけでございます。

 そうした検討の結果といたしまして、御提案をいたしておりますとおり、今回の改正法案におきましては、高年齢雇用継続給付に係る国庫負担、これにつきましては、高年齢者雇用安定法によりまして、段階的に六十五歳までの高年齢者雇用確保措置を講ずることが事業主に義務づけられた、こういう状況にかんがみて、それを廃止する。と同時に、現在の雇用保険財政の状況でありますとか過去の国庫負担率の縮減方法にかんがみまして、当分の間、本来の負担額の五五%を負担するということといたしたわけでございまして、国庫負担にかかわる基本的な考え方、こういうことを変更するものではないというふうに受けとめておるわけです。

 今後、雇用保険制度の安定的な運営を確保するために必要が生じました場合、つまり、急速に雇用失業情勢が悪化する等々の場合につきまして、その時点での雇用保険財政や雇用失業情勢の状況、さらには国家財政の状況等を踏まえながら、保険料率の水準とそれから国庫負担のあり方、これを適切に検討すべきものと考えておるところでございます。

原田(令)委員 次に、当委員会でもしばしば問題になりました雇用保険三事業の見直しについてお伺いいたします。

 雇用福祉事業の廃止と残りの二事業の不断の見直しという原則については理解できます。ただし、事業を特別会計だからという理由で一律に廃止することは適切ではなく、やはりやるべきことはやる、やめるべきことはやめる。やり方も、効率的、効果的に行う。いわば必要なことを重点的にやることが重要ではないでしょうか。

 現在、若者対策、高齢者対策、少子化対策など、雇用対策として取り組むべき課題は山積しております。一方、限りある財源を有効に活用していくには、重点的に絞り込みを行うことがやはり重要であります。

 残される雇用安定事業や能力開発事業の今後の重点はどのようなところに置くのか、お伺いしたいと思います。

武見副大臣 今回の雇用保険三事業の見直しにつきましては、失業等給付の抑制に資する観点から見直しを行ったものでございます。

 今後、雇用安定事業や能力開発事業では、人口の減少社会において、若者、高齢者、女性、障害者など、すべての人の就業参加の実現を目的とした雇用・能力開発対策、それから雇用のミスマッチ縮小のための労働者に着目した雇用・能力開発対策を推進する観点から重点化を図っていきたいというふうに考えております。

原田(令)委員 日本の戦後の発展と繁栄は、日本人が前向きに働く意欲を持って仕事をしてきたからこそ実現したものだと思います。失業保険、そしてそのうちの雇用保険の制度は、国民の働く意欲を支える制度的なインフラとして機能してきたと私は評価しています。

 近年のグローバル化の中で、日本の労働者は、途上国の、低い賃金にもかかわらず、でも向上意欲にあふれた労働者と競争することが避けられません。そうした日本の現状を見ると、若者や子供には、学ぶ意欲や働く意欲が、かつての日本と比べ、また中国や韓国、ベトナムなどアジアの諸国と比べ低い水準にあるという調査結果が多く出されており、非常に憂慮すべき状況にあると感じております。

 こうした状況を克服するには、教育再生や家庭や地域のきずなの復権、特にアジア諸国の若者との交流を通じた意識改革などを積極的に行っていくことが重要だと考えております。

 雇用保険制度についても、新しい状況に対応した考え方で制度改革を行う必要があると思います。働くことの喜び、働く苦労を知るためにも、ともに学ぶことの喜びを感じさせることを切に望みたいと思います。単なる雇用保険の改正にとどまらず、安倍内閣の再チャレンジを生かした法改正を望みたい、そのような雇用保険法の改正を望みたいと思い、私の質問を終わりたいと思います。

 以上であります。

吉野委員長代理 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日、雇用保険法改正案につきまして質問してまいります。

 まず初めに、育児休業給付の拡充についてお伺いをいたします。

 仕事と子育ての両立を支えるために、これまで公明党は、育児休業取得者への所得保障の拡大を一貫して推進してまいりました。その取り組みは、まず二十二年前の昭和六十年、政党として初めて育児休業法案を国会に提出したところから始まりました。その後、公明党単独で二回、また野党共同案を三回国会に提出、その後政府案が出されまして、平成三年五月、育児のために休業する権利を初めて認めた育児休業法が成立をいたしました。この育児休業は所得保障なしで制度化をされましたが、平成七年に、休業前賃金の二五%給付が実現をいたしました。そして、十三年には、給付額が四〇%と倍増し、育児休業中の健康保険料また厚生年金保険料の免除、さらに、一年前には、パートまた派遣労働者にも休業取得の門戸が開かれ、育児休業期間は最長一年半までと延長され、制度の拡充が着実に進んできているものと認識をしております。

 そして、このたびの改正案では、育児休業給付率がさらに四〇%から五〇%へと引き上げられることとなりました。これは非常に大きな前進であると評価をしております。しかし一方で、この引き上げ措置が、平成二十二年三月三十一日までに育児休業を開始した者とされております。その理由につきまして、副大臣にお尋ねいたします。

武見副大臣 今回の改正法案の中で、育児休業給付の率の引き上げ、平成二十一年度までの暫定措置としたその理由でございますけれども、子ども・子育て応援プランにおきまして、平成二十一年度までの期間において少子化対策に重点的に取り組むこととされております。これは、平成十七年度から平成二十一年度までの五年間という期間になっております。これを踏まえたものというふうにお考えいただければと思います。

 平成二十二年度以降の件につきましては、今回の措置の政策的な効果、その時点での育児休業期間中の所得保障についての検討の状況などを踏まえまして、適切に対応していきたいと考えております。

古屋(範)委員 二十一年度までの五年間の方針にのっとっているということ、そして、二十二年度以降はその政策効果を勘案してということでございます。

 ただいまの御答弁で、二十一年度までの暫定措置とされた理由、よくわかりましたけれども、この見直しの時期となる三年後ですけれども、ぜひさらなる拡充を求めたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。

 現在、政府は、少子化対策のために、男性の育児休業制度の取得を推進されています。平成十六年十二月に出されました子ども・子育て応援プランにおきましては、十年後までに育児休業取得率、男性一〇%また女性八〇%に引き上げることを目標として掲げています。

 しかしながら、平成十七年度時点の実際の取得率、これは、厚生労働省の女性雇用管理基本調査によりますと、女性は七二・三%と高いものの、男性は〇・五%となっており、このままいけば、女性は政府目標を達成する見込みでありますが、男性はとても無理であることが予想されます。

 内閣府が平成十七年に発表いたしました少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査では、男性の育児休業取得率を引き上げるための施策を聞きましたところ、男性社員が育児休業を取得した場合の事業主への財政支援が四二%と最も多く、続いて、行政や事業所による啓発活動の強化三三・五%、それから、事業主に対する行政指導の強化三三・三%、そして、育児休業給付制度の支給額の引き上げが三二・三%と続いております。

 夫の収入が家計を支えている家庭が非常に多い中で、夫が育児休業をとることは家計の圧迫につながるというのが現実であります。今回、給付率が一〇%上がったとはいえ、雇用保険から育児休業取得者に支給されるのは、職場復帰後六カ月以上雇用された場合、休業前の賃金の五〇%にすぎないわけであります。しかも、支給対象となるのは毎月の給与に当たる部分であって、ボーナスは対象外となっております。男性の育児休業取得が多いスウェーデンでは、三百九十日間、育児休業により得られなかった給料の八〇%が保障をされていることを考えますと、我が国で男性の育児休業取得者をふやすためにはさらに手厚い所得保障が必要かと考えます。

 これにつきまして、副大臣のお考えをお伺いいたします。

武見副大臣 まず、基本的に、こうした育児というものについて、女性のみならず男性もこれに積極的に参加をすることの必要性というのは十分に認識をしておるところでございます。ただ、委員御指摘のとおり、男性が育児休業を取得しない要因の一つとして、育児休業中の所得の低下というのが挙げられている、これも認識しております。

 この育児休業中の所得保障ですけれども、今回の改正法案において、育児休業給付の給付率を四〇%から五〇%へと暫定的に引き上げて、雇用保険制度としては最大限の対応を図るという努力はさせていただいたわけであります。育児休業取得者等に企業独自の経済的支援を行う事業主に対する助成制度を創設するということもしておりまして、これらの措置が男性の育児休業の促進にも資するものと考えています。

 なお、男性が育児休業を取得しない理由として、他に育児をする者がいるというふうに挙げるものが多いわけでありまして、今後とも、さまざまな政策手法を用いて、男性の意識改革を含めて、男性の育児休業の取得促進に努めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 全体として男性、女性の給与の所得格差があるということも大前提として考えていかなければいけないのだろうというふうに思っております。

 また、今武見副大臣がおっしゃいましたように、男性が、他に育児をする者がいるという理由を挙げていることにつきましても、やはり、若い世代になりますと大分考え方は変わってきているというふうに思いますけれども、男性も女性もともに共同して育児をしていこうという、現実にはなかなか、男性の側も、長時間労働している、あるいは往復の通勤時間も非常に長い、首都圏では一時間、二時間、通勤時間もありまして、実際に家に帰ると子供は既に寝てしまっているという家庭が多いように思います。その辺の男性の側の事情もありますでしょうが、この点、さらに推進をしていかなければいけない点である。一時代前までは、女性は家で家事、育児という概念がありましたけれども、逆に今は、仕事も家事も女性の側に負担がかかっていってしまっている、そういうさらに厳しい時代なのかなというふうにも思っております。

 男性の育児休業取得促進のために、所得保障のみではなく、今副大臣がおっしゃいましたように、男性の意識の啓発、また、上司や同僚、そういった職場の周りの理解の促進、また、育児休業中の代替要員の確保の必要性など、さまざまな問題が指摘をされております。男性を含む働き方の見直しを柱の一つに加え、男性の育児休業の取得に力を入れている子ども・子育て応援プランの、十年後の男性の育児休業一〇%目標達成のためにも、また、男性の育児参加が普通と思える企業風土をつくるために、日本の現状に合った制度の見直しが必要であると考えております。職場で人が一人いなくなるということに関しましては、周りの方に仕事量がふえるわけですので、現実には男性が育児休業をとるというのは非常に難しいというふうに思います。

 例えば、現在は、労使協定を結ぶことによりまして、配偶者が子供を養育できることが可能である場合、つまり、妻が専業主婦であるとか、妻が育児休業取得中などの場合は、企業は、夫が育児休業を取得する申し出を拒むことができるということになっております。またさらに、分割して休業を取得するということが認められておりません。このため、週二日の休みを四週間取得するような柔軟な働き方ができないわけであります。さらに、育児休業を希望する者は予定の一カ月以上前までに申し出をしなければいけないなど、育児休業の機動性が損なわれている側面があると思います。これも、分割して休業をとるなど短期間の育休をとることができれば、代替要員の確保が必要でなくなり、事業主の負担も周りの負担も軽くなると考えられます。

 例えば、企業名を出して恐縮でございますが、ソニーなどの場合には、配偶者、男性の側が出産休暇をとることにつきまして、二〇〇四年までは二日間、無給にしていたそうであります。これを変えまして、その後、五日間、有給としたところ、二〇〇六年三月まで、男性社員二百八十六人、取得可能の五五%までが取得をしたという結果が出ております。ですから、とれるものなら、やはり男性の側も、たとえ五日であっても育児休業をとって、例えば、出産後、何人かのお子さんがいた場合には上のお子さんの面倒を見なければならないというような事情もございますでしょう。

 そこで、男性の育休取得を促進するために、改めて現行制度を、日本の家庭、男性が望んでいる育休のニーズに合った見直しをすべきと考えます。

 妻が専業主婦や育児休業中の場合も、父親の方は育児休業取得を可能にする、また、複数回に分割して育児休業を取得できるようにする、短期間の場合には育休の申し出を一週間前程度に短くするなど機動的に育休を取得できるようにする、このようなさまざまな努力を積み重ねた上で、育児休業を父親が必ず何日か取得できる父親割り当て制、パパクオータ制の導入をすべきではないかと私は考えておりますが、いかがでございましょうか。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

大谷政府参考人 男性の育児休業でありますけれども、そもそも職場における理解がまだ不足している、あるいは法制度に関する理解が行き渡っていない、こういった背景がありまして、先ほどお話がありましたとおり、男性の育児休業の取得率はまだ〇・五%にとどまるなど、取得が進んでいない状況にある、おっしゃるとおりでございます。

 今お話がありましたスウェーデンとかノルウェーといった国で、いわゆるパパクオータ制度といいます、こういう男性の育児休業の取得が促進されているというような制度があるということは承知しているところでありますが、今申し上げたように、我が国の現在の社会状況を踏まえますと、男性の育児休業の取得促進のために、まずは現行の制度の周知や、社会全体の機運といいますか、そういったものの醸成に取り組んでいくことが肝要ではなかろうかと考えております。

 このため、厚生労働省といたしまして、全国の労働局におきまして、男性も育児休業を取得できることを周知徹底するということ、また、次世代法に基づきます企業の認定基準に男性の育児休業取得実績を盛り込んで男性の育児休業の取得を促進するということ、さらに、男性の育児参加促進のためのモデル的な取り組みを行う企業二百社に対する支援、あるいはこういう事例の普及を図るということ、次に、昨年十月に取りまとめられましたが、男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会、こちらの提言を普及していく、こういうことに取り組んでいるところでございます。

 分割とかいろいろな工夫がございますけれども、まずは、今申し上げましたような前段階というべき部分、男性が子育てをしながら安心して働き続けることができる、そういった機運の醸成、社会の実現に努めているところでございます。

古屋(範)委員 厚労省におかれましてもさまざまな御努力はなさっているというふうに感じますが、ともかく国全体として子育てを応援していこう、そういう空気を醸成していくことが最も重要であり、国民に対して強いメッセージを発していくことが重要ではないかというふうに考えます。

 次に、さきに申し上げました、女性の育児休業取得率というものは順調に伸びている、事業所規模の合計で七二・三%、また六年前の五六・四%から飛躍的に拡大をしているということであります。しかしながら、やはり、五百人以上の規模では八七・三%であるのに対しまして、中小、五人から二十九人規模では五八・五%、企業規模によって非常に取得率に差が生じているというのが現状であります。

 このように小規模企業で育児休業の取得が進んでいないのは、男性の場合と同様に、職場の雰囲気、また仕事の状況、代替要員の確保が困難であることなど、さまざまな要因が考えられます。

 さらに、内閣府の少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査では、妊娠、出産、子育て期に子育て支援制度を利用したかにつきまして、働きながら制度を利用したが二〇%にすぎない。働いていなかったが四〇・九%、また、何も利用しなかったが三五・六%で、制度を利用していない女性が多数を占め、子育て期に仕事をしていない女性が大変多く、育児休業や短時間労働などの制度があっても、それが実際には十分活用されていないというふうに考えます。

 仕事と家庭の両立を可能とする職場環境を整備することは、出産、育児を行う女性が退職することなく働きたいという希望をかなえることになるなど、女性の就業継続を促進し、社会の支え手をふやすこととなります。さらに、少子化対策という観点からも、将来の社会の担い手をふやすことにもつながることから、雇用対策としても積極的に取り組んでいく必要があると考えています。

 今回、育児休業給付が五〇%まで引き上げられますが、育児休業取得の促進策は給付だけではないと思います。

 そこで、育児休業の取得促進と、また仕事と家庭の両立のための施策、育児休業制度を実効あるものとするための取り組みについて、さらにお伺いをしたいと思います。

大谷政府参考人 お答え申し上げます。

 男性も女性も子育てをしながら安心して働き続けることができる社会を実現するためには、育児休業や短時間勤務などの柔軟な働き方の普及、定着を図っていくことが必要でございます。

 育児休業を利用できたのに取得しなかったという理由を見ますと、これは男女ともに、職場に迷惑がかかるため、こういった職場の要因を挙げる方が多かったということであります。安心して育児休業が取得できるようにするためには、今御指摘ありましたように、職場環境といったものの改善が大変重要であると考えております。

 このため、次世代法に基づきます企業の行動計画の策定や実施を促進するということ、あるいは御審議いただいております十九年度の予算案におきまして、育児休業制度等を利用しやすいような職場風土の改革に取り組む中小企業に対する助成制度の創設といったものを盛り込んでおります。こういった形で企業における取り組みの促進に努めているところであります。

 また、育児休業の取得率を見ますと、これも御指摘ありました、大企業に比べて中小企業においてその取得が立ちおくれているということから、平成十八年度に、従業員百人以下の中小企業におきまして育児休業取得者が初めて出たといった場合に助成金を支給する制度を設けたところでございます。

 こういった取り組みによりまして、子育てしながら働き続ける、また育児休業が取得できる、こういった環境を整備できるよう努めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 職場環境の改善ということで、次世代育成法に基づく企業の行動計画の推進、また、これは公明党が主張してまいりました、育児休業取得を促進した場合の中小企業への助成制度、こういったものも十二分に活用されることを心から期待をいたしております。

 次に、教育訓練給付の見直しについてお伺いをしてまいります。

 この教育訓練給付につきましては、平成十四年度に千八百万円、また十五年度二千百万円、十六年度三億七千万円の不正受給が発生をしております。そして平成十七年度の不正受給額は二億二千万となっておりまして、この教育訓練給付総額百十八億の一・九%に上っているということであります。このように、不正受給の発生が多いと指摘をされているこの教育訓練給付につきまして、これまでの対策にかえまして、不正受給を防止する体制を早急に整備する必要があると考えます。

 そこで、これまでの不正受給防止対策と、また今回の改正で不正受給の抑制効果が一層図られることが期待されるところでございますが、これらの内容についてお伺いをしてまいります。

高橋政府参考人 教育訓練給付に係ります不正受給でございますが、これをめぐっての不正受給の事案として、大変典型的と申しますか多発をいたしました事案でございますが、対応でございますが、教育訓練機関が受講者に対しまして偽りの修了証明書等を発行いたしますことによりまして不正受給を行わせるといったような形で、組織的かつ大規模な不正受給の事案が見られたわけでございまして、他の失業等給付に係ります不正受給との比較で見ますと、大変高い比率の状況にあるということは御指摘のとおりでございます。

 こうしたことから、私ども、教育訓練給付の不正受給に対しましては、一つは、支給申請をいたします際に、郵送あるいは代理人による申請というものを原則禁止するといったことを初めといたしました支給審査の方法を見直すということと同時に、組織的な不正受給事案が発見されました場合、把握されました場合につきまして、例えば、当該事案に関連する事案につきましてすべて全国的な形で調査を行うといったようなことなど、不正受給の防止にこれまでも取り組んできたわけでございます。また同時に、不正受給にかかわった教育訓練事業者に対しましては、講座の指定を解除する、またあわせまして、特に悪質な場合には刑事告訴をするといったような措置をとってまいってきたところでございます。

 さらに、今回の改正法案におきましては、今申し上げましたようなこれまでの不正受給対策に加えまして、不正受給をさらに防止をしていくための措置を一層強化していく、こういう観点から、一つは、教育訓練機関が偽りの修了証明書等を発行するなどして不正受給が行われました場合に、当該教育訓練機関に対しましても、連帯しての返還、納付命令をかけられるようにする、また、教育訓練機関に対しまして報告徴収を求めることを可能にするといったようなことを盛り込んだわけでございまして、こうしたこれまで講じた対策も含めまして、不正受給に関与した教育訓練機関に対して一層厳正に対処をしていきたいというふうに考えておるところでございます。

古屋(範)委員 そうした組織的あるいは大規模な不正受給に関しまして、さらに厳正、適正な対処をお願いしたいというふうに思います。また、処分を受けた事業者の講座の再指定をしないというようなこともしっかりと行っていただきたいというふうに要望いたしておきます。

 次に、教育訓練給付の受給要件についてお伺いをいたします。

 新規学卒者の就職後三年目に仕事をやめてしまうという率を見ますと、大学卒業者は三割強、また高校卒業者は約五割というふうになっております。非常に多いということが言えるかと思います。また、労働力調査によりますと、若年者の雇用失業率情勢は改善しているとはいいましても、十五歳から二十四歳までの完全失業率は八・七%となっておりまして、全年齢の完全失業率四・四%と比較をいたしますと、依然厳しい状況にあると言うことができます。さらに、非正規雇用者の割合も若者を中心に増加をしているのが現状であります。

 先日、これは国の機関ではございませんが、東京都が設立をいたしまして財団が運営をしている千代田区の東京しごとセンターに、党の雇用・再チャレンジ支援本部で視察に行ってまいりました。ここでは、登録者約四万八千人、その中で約二万人が就職を達成しているということでございまして、高齢者、中高年、若い方々とフロアごとに分かれていまして、特に三階の若者のヤングコーナーにおきましては、カウンセリングから就職の指導までマンツーマンで何カ月もかけて、あるいは少人数のクラスなどもつくって、非常にきめ細やかな対応をされておりました。

 担当の職員の方にもいろいろお話を伺ってまいりましたが、今の若い方々、そこにいらっしゃるのは非常にまじめな方が多いそうでありまして、自分はどのような仕事をしたらいいのかよくわからないですとか、あるいは自分が何に向いているのかわからない、あるいはそれ以前に、仕事をするのが怖いといったような相談があるそうでありまして、中高年以上の場合には、どこに就職をするか、基本的には仕事をするということが大前提で就職先を探していくかと思いますが、若い方々の場合には、その悩みというものも非常に多様化をしているんだろうなという気がいたしました。

 こうした若年労働者の定着率を向上させるために、自主的な職業能力開発の促進を図っていくことが大事なんだろう、就職しても、こんなはずではなかった、あるいは自分の希望と違っていた、さまざまなことが起きてくるんだろうと思います。

 この改正案では、これまで三年以上の被保険者期間が必要である教育訓練給付の受給要件を、当分の間、初回に限り一年以上の期間に緩和されることとなり、これら若者の失業の予防、また早期再就職の促進が大いに期待されるところであります。このように使い勝手のよい改正案となっているわけですが、なぜ当分の間とされているのか、これについて御説明をしていただきたいと思います。

高橋政府参考人 この教育訓練給付の受給資格要件でございますが、今委員御指摘のとおり、十五年の改正によりまして、それまで五年以上の要件を要しておりましたものを、三年以上の要件という形で緩和をいたしたわけでございます。ただ、依然として若い人たちの中からは、この制度を利用して自発的な能力開発を行おうというにはなかなか使い勝手が悪いという声もあったことは事実でございます。

 そうした声も私ども踏まえると同時に、今委員御指摘のように、若い人たちが大変早期に離職をされる方がまだまだ多い、そういう中で、できるだけ早く自分の能力を高めていく機会というものを得ていただくということは大変重要なことでございまして、そうしたことも踏まえながら、今御提案をしておるとおり、教育訓練給付を受ける場合については、初回に限りまして被保険者期間一年以上という要件で設定をしたいということで御提案を申し上げているわけでございます。

 ただ、この要件緩和によってどれだけの政策的効果が見込めるのか、そこら辺はやはり十分検証する必要もあるだろうということから、今回、当分の間という措置で御提案を申し上げているところでございます。

古屋(範)委員 政策効果を見てということでございますので、若い方々への使い勝手のよい教育訓練給付、実を上げていけることを心から期待いたしております。

 やはり能力開発というものがこれから非常に大事になってくると思います。産業構造の変化、一つの能力で一生涯働き続けるという時代でもなくなってきていると思います。こうした中で、どこかで能力開発また能力の再開発というものも行っていかなければならないわけであります。そうしたことにこの教育訓練給付が資することを期待いたしております。

 さらに、教育訓練給付につきまして、どの程度の金額の講座を受講できるのかを受給者自身が決定することができるために、適切な自己負担を通じて真に必要な範囲で給付が行われていく必要があると考えます。そのため、教育訓練給付の講座指定に当たって、引き続き雇用の安定と就職の促進に資するものに限定していくよう吟味する必要があると考えます。今後、どのようにこの指定講座を厳選していかれるのか、この辺に関してお伺いをいたします。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 教育訓練給付制度の対象となる講座につきましては、今委員お話ございましたように、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練を指定する、こういう考え方が基本にあるわけでございます。

 こうした考え方を踏まえまして、実際には、基礎的、入門的水準の講座を除外するとか、あるいは趣味的、教養的な講座を除外する、それから、いろいろな資格があるわけですけれども、そういった資格の中でも職業能力を評価するものとして社会一般に認知されていないものについては認めない、こんなような考え方で基本的には進めているところでございます。

 また、資格につきましては、公的な職業資格等の取得を訓練目標とするなど訓練目標が明確になっている、また訓練効果の客観的な測定が可能である、こんなようなことも指定に当たりまして考慮をしているところでございます。

 また、資格の中には、レベルがいろいろなレベルで分散をしているものがございますけれども、こういったものにつきましては、社会一般にどういった資格が一番認知をされているかということにつきまして調査をいたしまして、それが広く流通しているものを指定する。

 例えば、英語に関する資格でありますとか情報処理に関する資格でありますとか、こういったようなものにつきましては調査をしながら、指定のたびにといいますか、随時ですけれども、講座を指定するたびに基準の見直しをしながら、先生御指摘のように、厳選をして対象を定めていくということに努めているところでございます。

古屋(範)委員 最後の質問でございます。

 今回の改正では、育児休業給付の四〇%から五〇%への引き上げ、また短時間労働被保険者の区分の廃止と受給資格要件の変更、また教育訓練給付制度の見直し等、被保険者にとって大変に重要な改正が行われることとなっております。

 このような非常に重要な施策、制度が有意義に使われますよう周知徹底をお願いしたいと思いますが、この点についてお伺いいたします。

高橋政府参考人 御指摘の今回の雇用保険法、制度改正の内容につきましては、法案成立後、ハローワーク等でのパンフレット配付をいたす、あるいは厚生労働省のホームページでの情報提供、またテレビ、新聞等マスコミを活用した周知等々、さまざまな媒体を通じまして国民への周知徹底に努めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 時間でございますので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、田名部匡代君。

田名部委員 民主党の田名部匡代でございます。

 まず冒頭に、このたびの委員長職権で強引に委員会が開かれて強行採決がされているという現状を大変残念に思っておりまして、それだけではなくて、予算委員会では混乱ぶりをカメラにおさめるという全く考えられない非常識な行動を行った自民党の議員の方もいらっしゃいますし、またあげくの果てに、起立採決のときに他党の出した法案に、間違ったのか賛成だったのかわかりませんけれども、起立していたにもかかわらず、起立少数につき法案を否決するという、こんなでたらめな国会があっていいのかなと、私はまだ新人でございますけれども、これが国会の姿なのかなと。とても恥ずかしくて地元に帰って報告ができませんし、そんないいかげんな運営でいいのであれば、例えば民主党の委員長がいるところは、そんなでたらめな採決していいんですかということになるわけですから、このことに強く抗議を申し上げますとともに、ぜひ一日も早く正常な運営になっていただけますように期待を申し上げたいというふうに思っております。

 まず初めに、雇用保険法についてお伺いをする前に、大変大事な問題でございますので、大臣に一つお伺いをいたしたいと思います。

 大臣もきょう新聞等でごらんになったと思いますし、きょう発売の週刊朝日にも掲載をされておりますタミフルの問題についてであります。週刊朝日の記事では、「タミフル異常死と「疑惑のカネ」」というタイトルでございました。

 まず、大臣はこの記事をごらんになっているかどうか、お答えください。

柳澤国務大臣 私は、この記事そのものについては精読をいたしておりません。

田名部委員 週刊誌だけではなくて新聞にもきょうは載っていたんですけれども、それもごらんになっていないということですか。

柳澤国務大臣 週刊誌に載った段階で、事務当局の方からこうしたことがあったということを聞いているというところでございます。

田名部委員 記事によりますと、研究主任教授が製薬会社から一千万円受け取っていた、寄附を受けていたということでございました。この記事につきましては、その当事者もそのことを認めているわけでありますが、大臣、このことについてどうお考えでしょうか。

柳澤国務大臣 今は報道機関による報道が行われているということでございますので、まず真偽について、事実関係でございますが、これについて把握をしなくてはならない、こういうことを考えている段階でございます。そうした事実の把握をした上で、いろいろとまた検討すべきことがあれば検討してまいりたい、このように考えております。

田名部委員 事実関係と大臣おっしゃいますけれども、新聞では教授御本人がちゃんとお答えをしているということでありまして、この問題は人の命にかかわる大変重要な問題だというふうに思っております。

 私が申し上げるまでもなく、大臣も一連のこのタミフルの事故については御存じだと思いますが、一例として申し上げれば、岐阜県、高校二年生の男子生徒が、タミフルを飲んだ四時間後、雪が降る中、パジャマ姿で自宅を出た、その後、トラックにはねられて死亡してしまった。また、愛知県では、中学校二年生の男子生徒が、タミフル服用から二時間後にマンション九階から転落死。つい先日の事件におきましては、仙台市のマンションで十一階に住む中学校二年生の男子生徒がまた転落死をしたという問題でございます。

 このことについて、大臣、現時点で、タミフルの投与によりまして異常行動死に至る可能性があるので、これは投与をやめるべきだというお考えはないでしょうか。

柳澤国務大臣 現在、厚生労働省といたしましては、このタミフルの投与とそうした異常な行動との間に因果関係があるかないかは明らかでない、むしろ否定的である、こういう考え方をいただいているわけでございまして、私どもといたしまして、今この段階で、今委員の仰せられるように、使用中止というようなことをするつもりはありません。

 現在、厚労省が行っておりますことは、一つには、注意事項を医薬品に表示をしていただく、お医者さんが見られるように表示をするということと、それから先般、医療関係者に対して注意を喚起する、そういう通達を発出した、こういうことで対処しているところでございます。

田名部委員 先日、三月の五日でありますけれども、我が民主党の櫻井充参議院議員が予算委員会でこのタミフルの件について質問しておりまして、そのときの大臣の御答弁で、調査中であるということを前提に、疫学的調査、これについては現時点では因果関係が認められていない、と同時に、小児科医による死亡例ごとの評価、検討、それを総括するところの薬食審の安全対策調査会、こういうようなところでその評価について確認をいたしているというふうに御答弁になっております。

 つまり、私は、先ほども申し上げましたとおり、人の命にかかわることでありますので、あくまでも慎重にこれはやっていかなければならないことだというふうに思っているんですけれども、現時点では因果関係の確認はされていないけれども、今後、調査を行うに従って因果関係が出てくる可能性もあるということでしょうか。

柳澤国務大臣 今委員が私の答弁を御引用いただいたとおりでございまして、タミフルにつきましては、小児科医等の臨床専門家による個別の死亡症例等の評価や検討、そして、それを受けての専門の委員会での確認、それからまた、疫学的な見地からは、小児等における異常言動等の発現状況に関して調査を行っておる、タミフルを服用したか否かにかかわらず、異常言動の発現に有意な差が見られなかったということを把握しているわけでございまして、こうした死亡事故とタミフルとの因果関係は現時点では認められていないということでございます。

 将来どうなるか、このことについては、本年二月に入りまして二件について事故もございまして、今、これについての個々の調査もしておりますし、さらに疫学的調査については、引き続き、前回よりも規模を大きくした、そういう調査を行っているということでございまして、それを踏まえてまた専門の先生方によって研究がなされる、検討がなされる、このように承知をいたしております。

田名部委員 私は、少しでも可能性がある以上、今投与をやめるべきではないかというふうに考えておりますが、厚生労働省が、平成十六年五月、このタミフルについて、重大な副作用の欄に、精神・神経症状があらわれることがあるのでというふうに書いてあります。これについては、具体的に意識障害、異常行動といった症状も書かれております。

 つまり、異常行動といった症状があらわれることはお認めになっておられまして、その異常行動によって死に至ってしまったケースが今現にこうしてあるんじゃないでしょうか。それはほんのまれなケースだから、それでいいということですか、大臣。

柳澤国務大臣 私、先ほど概括的に申し上げましたように、このタミフルの承認を、添付文書の重大な副作用の項に、平成十六年五月、肺炎及び精神・神経症状について記載するように指示をいたしたということ、それから、平成十七年七月に出血性大腸炎について記載するよう指示するということなどの対策を講じてきておりまして、私どもとしては、この副作用について注意を喚起して、そういう注意を払いながらお薬の使用をお願いする、こういうことで今対応しているわけでございます。

田名部委員 可能性がある以上、もしも今後、同じようなこういう痛ましい事件、事故が起こったときに、大臣、人の命に対して大臣は責任をとられるんですか、とることができますか。可能性がある以上、国が責任を持って、それは慎重に対応すべきじゃないでしょうか。今までの我が国の薬害問題、医療事故というのは、何度も同じようなことを繰り返してきたじゃないですか。その反省もなく、可能性があるのに、それをとめることもなく、大臣はそのまま投与をお認めになるということでしょうか。

柳澤国務大臣 こういう状況でございますので、今後とも、私どもとしては、タミフルに関する国内外の情報の入手、分析等に努めまして、適切な対応ということに万全を期してまいりたい、このように考えております。

田名部委員 その三月五日の櫻井議員の質問に、何も危険を冒して投与する必要性はないんじゃないかと櫻井議員がおっしゃっていることに対して、大臣は、あくまで各患者の症状や容体によって個々の医師が判断すべきというふうにお答えになっております。

 大臣が個々の医師が判断するんだとおっしゃったということは、もしもこのような同じような事件、事故が起こったときに、国は関係なくて、判断した医師が悪いということになりませんでしょうか。

柳澤国務大臣 十歳代の子供さんに処方する必要があるかどうかというような問題提起を受けたわけでございますが、私どもとしては、ただいまの基本的な考え方のもとで、これを一律に制限するのではなくて、あくまでも各患者の症状や容体によって個々の医師が判断すべきことであると考えておりまして、医師が判断する際に必要となる副作用等の情報は添付文書に広く記載するとともに、個別の副作用報告や研究成果等についても情報提供に努めているというところでございます。

田名部委員 国に責任はなくて、判断をしたお医者さんに責任があるということになるんでしょうかというふうにお伺いしています。

柳澤国務大臣 こういう薬につきましては、現在、私どもとしては、そうした観点ではなくて、できるだけ注意を払いながら、この薬の効能があるわけでございますので、それを生かして御使用をいただくということで対応をしているということでございます。

田名部委員 何か質問にきちんとお答えいただいていないんですけれども、先ほども申し上げましたように、これまでも国の薬害問題で同じような過ちを犯してきたのではないでしょうか。薬害エイズも肝炎もそのとおりであります。

 今は、国だけではなくて民間でもそういった同様の事件、事故があるというのは大変残念なことでありますけれども、数件だからいいとか、可能性はあるけれども、それがはっきりしていないから明確になるまで、危険性は含んでいるけれども、はっきりするまでそのまま放置をするということになれば、これ以上、もしも大切な命が奪われるようなことになったときに、これまで同様、国も責任がない、だれも責任がない、ただ子供さんや家族を亡くしたその被害者だけがずっと苦しみ続けなければならない、そういうことになりかねないから、この問題を取り上げて、大臣にお伺いをしているわけであります。

 何度も申し上げますけれども、万が一であれ、危険だという可能性がほんの少しでもある以上、国が責任を持って指導するべきではないでしょうか。またあわせて、そういった人の生命にかかわるところで寄附を受ける、一千万もの寄附を受けた、またその班の中にいる人も二百万円の寄附を受けた、こういった事実が明るみに出たときに、御家族の皆さんが研究の結果を、調査の結果を真実だと思えるんでしょうか。大臣だったらどうですか。

柳澤国務大臣 お薬につきましては、副作用がある場合もあるということでございまして、この副作用等の情報を提供して、そしてそういう副作用の情報をよく判断されて、患者さんの状況や容体によってお医者様が処方をなさるということであろうと思いまして、責任云々というようなことをおっしゃられているわけですけれども、こういう薬事の問題については、厚生労働省の中のきちっとした手続を踏んでやっておるということに尽きるわけでございまして、私どもとしては、そうしたことで、丁寧なまた専門的な手続を踏んで判断をされたことに従って承認をし、そしてまた必要な副作用等の情報を提供しながらその薬剤の効能を生かしていく、こういうことで進んでいるということでございます。

田名部委員 適切な情報提供ということでありまして、厚生労働省の出している「インフルエンザ治療に携わる医療関係者の皆様へ」という中にも、医療関係者は、家族、患者に対しちゃんと説明をするようにと。「少なくとも二日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮すること」というふうに記載されております。

 しかしながら、本当に今共働きの世帯がふえて、ずっと子供のそばにいられるかどうかわからない。現に、これまで起きた事件でも、たった三十分、目を離したときに転落死をしてしまったというようなこともあるわけですから、やはり御遺族のまたそういう被害者の皆様のお気持ちを最優先に考えて物事に取り組んでいかなければならないというときに、最初の問題に戻るわけですが、製薬会社から大学また教授等に寄附が行われていたのを厚生労働省が知ったのはいつのことでしょうか。

柳澤国務大臣 私どもといたしましては、週刊誌にこれが報道されたということで、その事案について報道を承知した、こういうことでございます。

田名部委員 諸外国では、この種の研究者は、どこの会社から献金をもらっているか等をきちんと公表するというような制度になっているわけですけれども、厚生労働省としては、寄附が行われていたり献金が行われていたり、そういったことがあっても構わない、そういう御認識で事前に調査をなさっていないということですか。

柳澤国務大臣 私どもも、この報道がありまして調査を始めたわけでございます。

 まず、事実の解明ということのための調査を行うということでございますし、また、そういうことで一定の調査の結果、私どもが、今委員の指摘をされるような、制度的ないろいろ考えなければならないことがあるかどうか、こういったようなことも含めて、その調査結果を踏まえて検討するということになろうと思います。

田名部委員 考えることがあるかどうかではなくて、大臣のお考えをお聞かせいただきたいんですけれども。

 こういった調査がでたらめだろうとかうそだろうとか申し上げているのではなくて、きちんとした調査が行われているかもしれません、行われているだろうと信じております。しかしながら、国民から見たら、また、子供さんを亡くした御家族から見たら疑惑を感じるようなこの実態を、大臣は、このままでいいと思っているのか、変えるべきだ、やはりしっかりと諸外国のように事前に調べて公表すべきだと思われるか、大臣のお考えをお聞かせください。

柳澤国務大臣 私が申し上げていることも、委員の御指摘と余りかけ離れてはいないというふうに思いながらお聞きをいたしております。

 私どもも、この事案、報道に接しまして、一体事実はどうなっているのかということの把握に努めているわけでございまして、そして、その事実関係というものを広範に、広く把握した後に、現行の私どものこういう審査の人選だとかというようなことと、その背景にあるいろいろな研究費の問題というようなものをどういうふうに整理していくのがいいか、現行制度に照らしてもなお欠くるところがあるかどうかということを今後検討していかなければならない、これを課題と思っているということでございます。

田名部委員 いつまでに結論を出されますか。

柳澤国務大臣 これはできるだけ早急に、この事案の解明ぶりに応じて、我々は、改善点等について必要とされるものについて結論を出さなければいけない、このように考えております。

田名部委員 ぜひ大臣には、被害者の皆様の怒りだとかそういった疑念というものをしっかりと心で受けとめていただいて、誠実に対応をしていただきたいと思いますし、早急に結論を出していただきたい、そのように思っておりますが、この報道を見ていろいろなことを感じられたであろう被害者の皆様に、大臣から何かあれば一言お聞かせ願えますか。

柳澤国務大臣 この報道については、私ども、それが何か被害とどのように関係するかといったようなことについては、現在、全くその関連づけについて考えているわけではありません。

 そういう理解の上で申し上げるとすれば、その因果関係もよくまだ解明されていないわけですけれども、とにかく、お亡くなりになられた方がいらっしゃるわけですから、その方々に対しては、私、多分、櫻井委員の御質問のときだったと思いますけれども、深く哀悼の意を表させていただいておりますが、今回もまた同じ気持ちで、哀悼の意を表したいと思います。

田名部委員 タミフルの問題はもう終わりにしますけれども、今大臣の方から、この記事を見て被害者の皆様がどうお感じになったかはというような、クエスチョンマークがついたように思いますけれども、私がこの記事を見たときに真っ先に思い出したのは薬害エイズの問題でありました。あのときも、製薬メーカーから多額の寄附が、献金が行われていた、そして早急に対応しなかったことによって被害が広がってしまった、そういうことが現にあったわけでありますので、ぜひ、そういうこれまでの反省も踏まえて、早急な対応をしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 そしてもう一つ、余談でございますけれども、実は、柳澤大臣にどうしてもこのことを伺いたい、コメントをいただきたいと思いまして。

 実は、先日、記者会見で松岡農水大臣が、今どき水道水を飲んでいる人はいないとおっしゃっておられました。私、松岡大臣に直接お会いをする機会もなくて、私は、時には地元のおいしい水も届けていただいて飲んだりしますが、通常は会館の水道水を飲んでいたんですけれども、今どき水道水を飲んでいる人はいないと言われまして、どうしてだろう、水道水は危険なのか、東京の水は危険なのかな、まずくて飲めないということなのかな、どういう意味だったのかはわかりませんけれども、これは、水道法の中に水道水質基準というものがありまして、厚生労働大臣が定める方法によって行う検査において、基準に適合するものでなければならないと記載があるわけですが、今どき水道水を飲む人はいないと。これは、厚生労働大臣として抗議をするお気持ちはおありでしょうか。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

柳澤国務大臣 水道法には、今委員の御指摘のとおり、「この法律において「水道」とは、導管及びその他の工作物により、水を人の飲用に適する水として供給する施設の総体をいう。」云々、こうありまして、もともと水道水というのは、人の飲用に適する水として供給されているものでありまして、その意味では、松岡大臣が何か誤解をされたのかなというふうに考えます。

田名部委員 ぜひ、東京都民の皆様のためにも、日々水道にかかわるお仕事をされている方のためにも、大臣の口から水道の水は安全です、東京の水はおいしいんです、いつでも水道水を飲んでほしいということをおっしゃっていただければと思いますが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 水道水は人の飲用に適するよう水質基準が定められておりまして、安心して飲んでいただけるものでございます。

田名部委員 どうもありがとうございました。

 これで皆さんも水道水を安心して飲んでいただけると思いますし、松岡大臣にもぜひ水道水を飲んでいただきたいというふうに思っております。

 それでは、大変時間を違うことに費やしてしまいましたけれども、大事な問題でしたのでお許しをいただきまして、本題であります雇用保険法についてお伺いをいたしたいと思います。

 先日、本会議場で大臣に質問をさせていただきました。やじ、怒号が飛び交う中、大臣が一生懸命耳を傾けてくださいましたのに、私も大変早口で質問を申し上げてしまいました。大臣の席が聞き取りにくいということも、あのとき初めてわかりましたが、ぜひ、そのことを、基本的な御認識を伺ったということを御理解いただきまして、そのときに答弁漏れがございましたものも含めて、お伺いをいたしたいというふうに思います。

 まず一つ目でございますけれども、雇用保険三事業について、廃止も含めた徹底的な見直しが必要、この徹底的な見直しが必要となった大きな要因というのは、不要不急の施設の建設に事業主の保険料を多額に無駄遣い、無駄につぎ込んできたことも大きく起因するのではないかというふうに思っております。勤労者のためとは思えない不必要な施設が次々と建設をされまして、その総額は伺ったところ四千四百十六億円、一昨年四月までに譲渡された価格、総額は百二十六億円ということであります。

 こういった問題をずっと放置してきたという意味におきまして、今改革が行われ、何とか国民の皆様に納得していただける体制を整えようということであろうと思いますが、やはり、これまで失った信頼というものは大きいのではないか、幾ら改革をしても、またどこか抜け道があって、自分たちの保険料が無駄に使われてしまうのではないかと多くの国民の皆さんが疑問を持っているんじゃないか、不信感を持っているんじゃないかというふうに思っておりますけれども、先ほどの問題と同様、何事も振り返り、反省をし、検証をし、そして先を見つめてしっかりと取り組んでいくということが大事だろうと思います。

 今後、同じようなこういった保険料の無駄遣いというような問題が起こったときに、大臣、これはしっかりと責任を追及していくべきだと思うんですけれども、これは、一体だれに責任があって、国民にどのような責任のとり方をするのかということをお答えいただけますでしょうか。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

柳澤国務大臣 まず、先般の本会議におきます代表質問におきまして、田名部委員に本当に十分な答弁ができなかったこと、これは私の方からもおわびをしなくちゃいけない、こういうふうに思っておりましたところ、田名部委員の方から先にそういう言葉をいただいちゃって、私は本当に恐縮をいたしております。早く全体が正常化されて、しっかりした質疑応答ができますように、私からこの機会にもお願いを申し上げておきたい、このように思います。

 いずれにいたしましても、三事業につきまして今御質問をいただいたわけですけれども、例えば、勤労者福祉施設というようなものがございました。これにつきまして、どういうふうに評価すべきかということが一つ問題かと思います。長年にわたり、勤労者、国民が利用して利益を享受してきた、この事実も否定はできないわけでございます。

 しかしながら、他方、安易に事業を進めるなど本来の目的を逸脱しているものがあるのではないかという批判、これは無駄であったのではないか、こういう批判があることも事実でございまして、私どもとしては、その批判に耳を傾けるという意味合いも持ちまして、今回の改正に臨んでいるところでございます。

 まず、法律的な枠組みというのは、やはり国権の最高機関であるこの国会において枠組みが決められる。しかしながら、その枠組みの中で実際上どういうことをしていくかということは、また行政の責任で判断をされるということでございまして、私どもといたしましては、行政による法律の運用あるいは予算の執行というようなことについて国民の批判を浴びるようなことは、これはもう本当に全力を挙げて避けていかなければならない、このように考えているということでございます。

田名部委員 ぜひ、国民からの信頼を回復していただけるように大臣も一生懸命取り組んでいただきたいな、そのことを申し上げて、次の質問に移ります。

 教育訓練給付についてでありますけれども、これも本会議のときに御質問申し上げました。

 短時間労働者は、勤務先の会社が教育訓練を提供する機会というのが実態としてほとんど少ないわけであります。つまり、短時間労働者はみずからが企業外で教育訓練を求めなければなりません。しかし、平成十七年度に教育訓練給付を利用した短時間労働者は全体のわずか三・四%にすぎません。所得が低い、また時間がないというようなことも原因にあるんだろうというふうに思いますけれども、それだけではなくて、最も教育訓練を必要としている非正規雇用の人たちは教育訓練給付対象外。

 教育訓練給付、いろいろ中を見てみると、問題といいますか、本当にこの制度そのものが持つ意味をなしているのかなというようなことがあるんですけれども、私の地元の話で恐縮でありますが、青森労働局の教育訓練給付受給者数というものを調べました。そうすると、例えば平成十七年ですと、全体で千五百六十八人が教育訓練給付を受けております。そのうち、被保険者が九百十七名、雇用保険受給者が五百五十一名。過去五年を振り返っても、被保険者と雇用保険受給者、これが二倍から三倍違うんです。つまり、被保険者、仕事をされている方の方が圧倒的に教育訓練給付金を受けて教育訓練をしている。しかし、失業者の方々、まさに職業訓練をしながら職を探したいと思っている方々の受給者が非常に少ないということが青森県の労働局の調べでわかりました。

 もう一つ、青森県ではなくてこれは全体の数字なんですけれども、教育訓練の実施状況、正社員とパートで比べた場合、特に何も教育訓練を実施していない正社員はわずか四・六%に比べて、パートの方は教育訓練を受けていないのが三六・九%、これは企業の中においてであります。

 つまり、こういったことを考えましたときに、もっと幅広く教育訓練をきちんと受けられるような対策を講じていかなければならないのかなというふうに思うんですけれども、ちょっと大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

柳澤国務大臣 基本的に、失業をなさっている方、さらには、本当は正規雇用を望んでいるのに非正規雇用にとどまっている方、こういうような方々に何が必要であるかというと、私は、今委員が御指摘になられたように、教育訓練というか職業能力開発ということと就業、就労支援、この二つであろう、こういうように思っているわけでございます。

 今いろいろ委員がこの御検討の結果について我々に御教授もいただいたわけでございますけれども、いずれにいたしましても、従来は、企業内研修と申しますか、企業内での能力向上というものが日本では非常に広くまた厚く行われてきた。それに対して、どうも、失われた十年とか十五年とかと言われる非常に厳しい日本経済の低迷の時期に、企業内の職業訓練というものが手薄になっているんじゃないかということも指摘をされているわけでございます。

 したがいまして、私といたしましては、職業能力のレベルアップというのは双方にとって非常に必要だというように考えているわけでございまして、現に就業をされている方にも必要な制度でもあるし、また失業状態にある方、さらには望みながら正規にはなり得ない、今非正規雇用のもとにある方々、こういうような方々に広く利用される制度がなければならない、基本的にそういう考え方を持っております。

田名部委員 正社員というか仕事をされている方にとっても職業訓練というのは必要な場合も多々あろうかと思いますけれども、ぜひこれは大臣に、本当に必要な職業訓練がきちんと行われているのかということを精査する必要があるんじゃないかと私は思っておりまして、実は、職業訓練講座、一体どんなものがあるのかなということも含めまして、その訓練を受けた成果がどうなっているのか。ホームページを開きますと、きちんと、給料が上がったとか、思った職業につけたとかいう回答があるところもありますし、全くないところもあるわけであります。

 さらには、その講座自体がホームページには載っているのに、では、どこでその講座が受けられるのかなと調べたところ、東京にも一件もない、全国で一件もないというか、それ以上に、我が青森県においてはほとんどその講座が受けられないというような現状にあって、まさにいろいろなところで格差がありますけれども、教育訓練格差とでもいうのか、本当に、地方に、田舎に住んでいることがこういったことにまで大きな格差を生んでいるのかと。

 つまり、青森県にいれば、受けたい教育訓練もなかなか受ける機会がない。また、資格を取ろうと思っても、結局、他県に行かなければならないんです。つまり、交通費をかけてその資格を取りに行って、また有効求人倍率の大変低い中、仕事を探さなければならないという非常に苦しい状態にありまして、先日もお話をさせていただきましたが、本当に青森県の現状というものはこれだけではない、どれをとっても、本当にこんなに厳しい現状をわかった上でいろいろな制度を考え、法改正をし、対策をとっていただいているのかなということを時々疑問に思ったりもするわけです。

 この教育訓練給付、地方の格差というのも、大臣、何とかならないものでしょうか。旅費もかかるし、訓練を受けるところもないし、これは都会の人のためにできた制度じゃないと思うんですけれども、ちょっと大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

柳澤国務大臣 委員から今、教育訓練給付のことにつきましていろいろと御質疑をいただきました。

 どういう現状分析のもとでこの教育訓練給付の改革をしておるのか、こういうことでございますが、若干申し上げますと、この教育訓練給付を受給したことによって、その受けた教育訓練が役に立ったというふうに回答した人は在職者では八五・七%というような高い比率になっておるということでございます。

 それから、教育訓練を受けた後に離職をするということになりますと、やはり受けた人の離職の率の方が受けなかった人たちよりも低いという状況になっておりまして、教育訓練によって、さらに、現に自分が従事している仕事に継続してついているということに対して意欲が増すというか、そういう結果ではないか、このように考えております。

 そんなことで、いろいろと分析をした上で今回の改革案も提出をしておるわけでございますが、現実の教育訓練給付制度における指定講座というのは、いわば、現に存する民間の施設というものを対象にしまして、どれが教育訓練給付制度の対象としてふさわしいかということを考えまして指定をさせていただいているものでございます。したがいまして、私どもが施設そのものをどこかに立地するとかというような仕組みにはなっておりません。

 それでは、今委員の指摘されたような、地方の方はどういう教育訓練の機会を持てばいいんだ、こういう御質問であろうかと思いますけれども、これにつきましては、この指定講座の中で、相当部分で通信制の講座も指定をいたしております。指定の中に含めておりますので、そうしたことについても、またいろいろと委員の御誘導というか御指導によってそうした機会を持っていただければありがたい、このように考えている次第です。

田名部委員 ぜひそういった地方にも目を向けていただいて、大臣がおっしゃるように、もちろん、何か建物を建ててそういう場所をつくってくれとかそういうことではなく、ただ、現実に、教育訓練を受けられない、また受けたい訓練をする場がないという現状も踏まえて、ぜひ対応をしていただきたいなということを思います。

 今大臣の方から、この教育訓練を受けた在職者から八五・七%が役に立ったというお答えであったということでありますが、これは、受けるだけ受けておいて、余り役に立たなかったという人はいないのかな。つまり、自分の受けたいものを受けているわけでありまして、ここで気をつけなければならないのは、先ほど申しましたように、きちんと精査をしなければならないというのは、これが個人の趣味に対しての使われ方であってはならない。

 ですから、それが、その職場にいて、また新たな転職をするときにでも、どういう必要性があるのか、そして、受けた後、職場でどのような成果があったのかということをきちんと検証していかないと、例えば英会話に通って、会社でもどこでも、英語なんか使わなくてもそれなりの職についていけるかもしれない、でも、自分が英語を習いたいからというようなことに給付がされていたのでは、私は、ちょっとこの制度の意味が違うんじゃないかなというふうに思いますので、その辺は、きっちり厚生労働省の方で調査をしたり実態を調べていただきたいというふうに思っております。

 次の質問に移らせていただきます。

 失業給付手当についてでありますが、大臣がこの間の御答弁で、有期労働者が一年契約を更新できると言われてきて、例えば十一カ月でその契約を打ち切られたときにどうするんでしょうかというお伺いをいたしました。そのところ、大臣からは、そのときには、労働者の希望にかかわらず契約更新がされなかった場合は、受給資格要件を六カ月としてそれを認めるというような御答弁をいただいたと思うんですけれども、間違いないでしょうか。

柳澤国務大臣 もう一度改めて申し上げますと、今回の受給要件の統一、つまり、一般の労働者と短期の労働者との受給要件の統一に当たりましては、期間雇用者につきましては、有期労働契約の締結に際して契約の更新があることが明示されていた場合であって、労働者の希望にかかわらず一年未満で契約更新がなされなかったときということに要件がなっております。その場合には、解雇、倒産等による離職者と同様、受給資格要件は六カ月で結構ですということでございます。

 つまり、有期労働契約なんだけれども、その締結に当たっては契約更新があるということが明示されて、労働者の側にそういう期待が確実に持たれている状況、そういう期待がありますから、したがって、労働者の側から希望を持ってさらに契約更新を求める、こういうような場合に、その期待に反して契約更新がなされないときは、これは解雇、倒産等と同じですよ、こういう扱いになりますということが今回の法律の改正の趣旨でございます。

田名部委員 大臣、それは法律に明記されておりますでしょうか。

柳澤国務大臣 これは法律の条文にはないということですけれども、そういう運用でもって期間雇用者に対して配慮をしていこう、こういうことでございます。

田名部委員 であれば、法案に明記すべきだと思うんですけれども、なぜ明記されなかったんでしょうか。

柳澤国務大臣 これは、解雇、倒産等という法律上の規定に法律上はとどめておきまして、そうして、その具体の状況というか、これはもう非常に区々でありますから、これは省令とかそういうように、弾力的に、ある意味で状況の変化に応じて決められる法律形式を選んだということでございます。

田名部委員 それでは、省令にはきちんと定める、明記するということでよろしいんですか。

柳澤国務大臣 明記をいたします。明記をいたしますし、また、結果として同じようなことで、労働者の意に反して離職をするというようなときには、その状況をよく勘案して、できるだけ労働者の側に立って救済をしていこうということでございます。そうかといって、余り際限なく広げるという意味ではありませんけれども、できるだけきめ細かな配慮をしていきたい、このように考えております。

田名部委員 一つ心配されることは、契約期間が雇う側の都合でどんどん短くなっていくようなことがなければいいなというふうに思うわけです。一年になったから、では保険に入らなくていいように半年にしようとか、半年になったから、では三カ月で短期雇用、そういう短い期間で契約をしようとか、そういうことにならないとも言い切れない。そういったことに対する対策もしっかりと考えていくべきだと思うんです。

 ちょっと大臣にお伺いしますが、大臣は、非正規雇用が正規雇用になるということが望ましいというふうにお考えですか。

柳澤国務大臣 非正規雇用の方の中でも、実はそれをみずから選択されている方もいらっしゃいますので、一律にこれを論ずることは私はできない、このように思います。

 しかし、希望をしている方々については、できるだけ多くの方が正規雇用に移行するということを実現するような、制度的なことでそういうことができることがあれば、そういう制度を整備していかなければならない、このように考えております。

田名部委員 今最初に申し上げましたのは、保険に入らなくていいように短期で契約を切られることがあってはならないということと、そしてなるだけ、みずから短期とか有期雇用を望んでいる方は別ですけれども、やはり多くの人たちが正社員になれるということが大臣も望ましいというふうにお考えだということだと思いますが、実は厚生労働省でもたくさんのアルバイト、派遣社員、非常勤職員の方が働いていらっしゃいますけれども、大臣は、どのぐらいの方がアルバイト、派遣で働いていらっしゃるか、御存じでしょうか。

柳澤国務大臣 これは恐らく、非常に多いということです。それは別に、よくわからないという答弁の資料が参りましたけれども、私はこれはちょっと聞いたことがあるんですね。聞いたことがありますが、これはどうしてそういうふうになっているかというと、地方の社会保険庁の職員なども含めて言いますと、今はもう非常にそこは人手がかかっておりまして、マンパワーを補充するということのためにそうした雇用形態でお願いしているということがあったというふうに、私の記憶ですけれども、そういうことがありまして、かなり多い数になっているというふうに記憶をいたしております。

田名部委員 以前、私がお伺いをして、資料をいただきました。平成十八年、アルバイトの方は五百八名、派遣社員の方は五十三名というふうになっています。その採用、募集内容をホームページで確認をいたしまして、どうも厚生労働省はほかの役所の募集の仕方とちょっと記載内容が違うなという点がありました。実は、ほかの役所の非常勤採用案内、これは六カ月契約で、勤務成績により更新可能とはなっているんですけれども、例えば農水省だと、四月一日から来年の三月まで一年契約というふうになっています。ちゃんと給与の欄には「健康保険、厚生年金、雇用保険」という記載があります。また、文部科学省の募集要項にも、四月一日から三月三十日までの一年間、最大でも三年契約、こちらも「雇用保険に加入」と記載があります。

 片や、厚生労働省のホームページで採用情報を確認いたしましたら、厚生労働省大臣官房総務課、四月二日から九月二十七日まで、これは半年間ですね。ほかの募集も半年というのが大変多い。再度採用可能とはなっているんですが、ほとんど半年契約で、しかも、ほかの省みたいに健康保険、厚生年金、雇用保険という記載がないんです。社会保険適用ということは書いてあるんですけれども。大臣、これは真っ先に厚生労働省が雇用問題にしっかりと、雇用保険に入るとか、きちんとした契約でできるだけ多くの人を雇うというのが当然ではないかというふうに思うんですけれども、大臣、どう思われますでしょうか。

柳澤国務大臣 委員も御承知のとおり、正規雇用ということになると、これは定員の中の雇用ということになろうと思いますが、現在、行政改革の一環としてずっと定員削減ということに努力をいたしておりますので、まず、いわば非正規雇用というか、そういうようなものの形で、そういう方々のお力をかりるというようなことが多くなっているということかと思います。

 先ほど委員の五百何名ですよという御指摘があったんですが、多分これは厚生労働省本省の方々だと思います。それはそれで決して少なくないわけでございますけれども、厚生労働省がそうした外部の方々のお力をかりる、定員外の方々のお力をかりるということについては両面ありまして、行政の方としてはできるだけ費用をかけないようにやるという面もある。一方、今我々がまさに論じているように、労働者というか、そういう職員の方の立場ということに最大限配慮しなきゃいけない。この両方を勘案して考えていかなければならないんだろう、このように思う次第でございます。

 たまたまというか、そう言うとまたしかられるわけですけれども、農水、文科の雇用の期間に対して厚労の期間が短いということについては、再雇用がありということで再雇用しているのであれば、もうちょっとよく仕事の見通しを立てまして、そして長い期間を最初からお約束するというようなことは努力をしていかなきゃいけない、こう思います。

 なお、社会保険といって、健康保険、厚生年金、それから雇用保険というような記述がないという御指摘でございますが、社会保険ということですべてを包含した記述になっているということのようでございます。

田名部委員 ぜひ、本当に保険に入っているのかという実態も調べていただきたいと思います。

 もう時間が来ましたけれども、大臣、三月二日の記者会見で、フリーターが十四万人減ったという発言、その質問の中で、正社員に変わったんだ、ハローワークの努力と景気の回復で正社員になったんだろうというような御発言があったやに聞きました。大臣、前にパート労働法のときに、パートの皆さんが四%から五%、雇用環境が改善されるんじゃないかなと言ったけれども、「かな」が消えていたんだというあいまいな前例がありますので、これは何らかのデータをもとに正社員がふえたというふうに断言できるのか、そのことだけ最後に確認をさせてください。

柳澤国務大臣 私は、そのときに、正社員ということよりも常用雇用というふうに申し上げたかと思います。

 いずれにしても、正社員も正直言って定義がない、それから常用雇用も定義をどういうふうにするのかという、もちろん使っている人はそれぞれに定義を持っていらっしゃるわけですけれども、雇用形態についてはいろいろな言葉が行き交うというようなこと、私はこれをかなり気にしていまして、実はもうちょっと概念をきちっと決められないのかなという問題意識を持っておりますが、とりあえず、その点については今申したようなことであるということでお答えにしたいと思います。

田名部委員 終わります。ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。

 まず、委員長、冒頭、定足数に足りているかどうか、確認をお願いしたいと思います。

櫻田委員長 定足数に足りております。

園田(康)委員 それにしては随分少ない数であろうというふうに思っておりますが、委員長、冒頭少し、私からも抗議をさせていただきたいと思います。

 今回のこの委員会の持たれ方、こういう場合で、時間も大変不規則な時間帯になっている。しかも、先ほど大臣もくしくもおっしゃられましたけれども、早く正常化した状況の中でしっかりとした委員会質疑を行いたいという大臣からの言葉もあったわけでございます。そういった意味では、私どもも、この委員会で、この国民生活にかかわる重要な法案審議ということであるならば、やはりこの委員会の持たれ方というものは委員長職権で立てられるべきではないのではないか。

 しかも、それは、いわば先ほど田名部委員からも御指摘があったように、先般の本会議場でのああいうやりとりで、大臣も大変聞き取りにくい状況の中で答弁をしなければならないという形は、やはり私は不正常であろうというふうに思うわけでございます。

 したがって、ぜひ委員長にお願いを申し上げたいと思いますし、この委員会の持たれ方というものをもう一度精査していただいて、与党の理事の皆さんとともにこの正常化に向けての努力をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

櫻田委員長 聞きおきます。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 それで、先ほど質問通告がないというような話もありましたけれども、昨日といいますか、本日の午前零時過ぎになってから委員会のタイムテーブルが来るという状況の中では、私どもも、その質問の準備をしてから質問通告という形になるのではないかというふうに思うわけであります。

 したがって、そういう状況が今でも続いているということはぜひ委員各位の皆様方も御理解をいただきたいというふうに思いますし、そういう形で大臣も含めて厚生労働省が今大変苦労をされている。これは、厚生労働省だけではなくて、ほかの委員会でも恐らくそういうことが起きているであろうというふうに私は推察をいたしておるところでございます。したがって、ぜひそのお取り計らいを委員長にもお願い申し上げておきたいというふうに思うわけであります。

 さて、私も、幾つかこの雇用保険法の改正につきまして質問をさせていただきますが、一点、先ほどの田名部委員とのやりとりの中で、もう一度ちょっと確認をしておきたいというふうに思います。

 基本手当の受給要件につきましては、先ほどの答弁でいきますと、省令で明記をするというふうにおっしゃっておりました。つまり、受給要件に満たない一年未満の方に対しての対応策を省令で定めるというふうにおっしゃっておるわけでありますが、それでまず間違いないですね。

柳澤国務大臣 今回の受給資格要件の統一に当たりましては、期間雇用者につきまして、有期労働契約の締結に対して、契約の更新があることが明示された場合であって、その労働者の希望にかかわらず一年未満で契約更新がなされなかったとき、このときは解雇、倒産等による離職者と同様、受給資格要件を六カ月にするということを省令で明記するつもりでおります。

園田(康)委員 そうしますと、現存している省令の中では、「期間の定めのある労働契約の更新により三年以上引き続き雇用されるに至つた場合において当該労働契約が更新されないこととなつたこと。」というふうに、これが特定受給資格者の解雇等の部類に入っておりますが、これを改正するということでよろしいですね、変えるということで理解をしてよろしいですね。

柳澤国務大臣 現在の解雇等の規定におきまして、「期間の定めのある労働契約の更新により三年以上引き続き雇用されるに至つた場合において当該労働契約が更新されないこと」ということが書かれておりまして、それとの関連を委員がお尋ねと、このように理解をいたしますが、この規定とはまた別途に今申したような規定を置く、新設する、こういうことでございます。

園田(康)委員 それからさらに、その契約更新があるということは、すなわちどういう形で証明がなされるものなんでしょうか。

柳澤国務大臣 今度、労働契約法というのを新しく制定するように御提案をいたしておりますけれども、現在におきましても、有期労働契約の締結に際しましては、実効上、契約がはっきりした契約として労働者の側に示されておりますので、その中に契約更新のことが明示されているということが一つの要件となり、そういうようなことで確認がなされるということでございます。

園田(康)委員 そうしますと、契約の内容の中に、さらに引き続き一年以上雇用するということが書いてない場合は、これは証明できませんね。それでは受給の資格要件として当てはまらなくなってしまうんじゃないでしょうか。

柳澤国務大臣 そうすると、契約上、明示の文言がなければすべてこの規定が援用されることはないのかというお尋ねでございますけれども、これにつきましては、実際にそういうケースの場合には、労働者の側は、当然そういう理解のもとで自分は勤めていた、こうおっしゃるでしょうし、事業者の側にやはり実際上どうだったんだということを聞きまして、この両者からの報告に基づいて判断をするということにならざるを得ないというか、そういうことになるわけでございます。

園田(康)委員 そうしますと、これは個別的な紛争という形に恐らくなっていくのかなというふうに思うんですが、そういうところに持っていけということを想定されていらっしゃるんでしょうか。

柳澤国務大臣 これは、実際上、受給を求める申請のときに、その窓口の事務処理に当たるハローワークにおいてそうした作業を行う、こういうことで、ハローワークの、給付を行う場所でございます。

園田(康)委員 そうしますと、期間の定めのある形の中で、例えばこの被保険者期間、一年未満で期間満了となる期間雇用者について受給要件を満たさない場合が生じるので、政府の中でそれに対しては省令で定め、そしてその証明方法については、それぞれの労働者、使用者側からの意見を総合して判断をされるということで、同時に特定受給資格者とみなすということが、先ほど少し内山委員とのやりとりの中でもありましたけれども、今現在の、統計的にいえば、短時間雇用者以外の被保険者のうち一年未満の者という形で、自己都合を理由に、あるいは重責解雇を理由にしているのが三・六%というふうに、全体の受給者の中からおっしゃっておられたわけですけれども、人数でいけば二万二千四百五十五人というふうに私は読み取っているんですが、まずこの数字は間違いないでしょうか。

柳澤国務大臣 受給者の実員に対するシェアとしては、そういう自己都合あるいは重大な責任によって解雇されるという、いわば自分の責めというんでしょうか、そういったような理由でもってその事態に立ち至った人のシェアをいいますと三・六%ということでございます。

園田(康)委員 そうしますと、今課題にさせていただいているのが、この二万二千四百五十五人のうち、一年未満で、いわば継続雇用を見込んで、期待をしていたにもかかわらず、そこで雇いどめになってしまったというところで、それの受給資格があるかないかということが判断されることになるんですが、この二万二千四百五十五人のうち大体どのぐらいというふうに見込まれていらっしゃいますか。

柳澤国務大臣 一年未満の方、これが三万七千九百二十五人いらっしゃるということですけれども、うち期間満了者ということでは一万五千四百七十人ということでございます。

園田(康)委員 ちょっと事務方も、私と今の答弁が全然食い違っているというのがわかっておられると思うんです。期間満了者は確かに一万五千四百七十名でございますが、私がお伺いしたのは、それとは別途で、自己都合で、先ほど申し上げた二万二千四百五十五人、期間満了に達していなくて自分が雇いどめになってしまったという方がこの中には入るんですね。したがって、この二万二千四百五十五人のうち大体どのぐらいの人数がそれに当たるんですかというふうにお伺いしています。

柳澤国務大臣 今の雇いどめになった方というのは、一万五千四百七十人のうちの内数ということになるのでございまして、そのシェアというのは、我々データを持ち合わせていないということでございます。

園田(康)委員 失礼しました。

 一万五千四百七十人ということで、であれば、データを持ち合わせていないのはどうしてですか。そういう統計をとっていらっしゃらないんですか。

柳澤国務大臣 期間満了ということはわかって、ここに今その人数を統計的につかんでおるわけでございますけれども、そのうち、どの部分が雇いどめであるか、あるいは自己都合であるかというようなことの分類ができていないということでございます。

園田(康)委員 そうしますと、これで法改正がなされて、自分がどういう部類に入るのかわからないまま、その受給資格を、基本手当として失業手当を受け取ろうといったときに、あなたはもらえませんよと初めてそこで知るということになってしまうんでしょうか。

 すなわち、法律を改正して、そして、先ほど大臣はおっしゃいましたね、省令でそれを変える。その省令がどういう形でその対象者に対して周知がされるのか。運用でというふうにおっしゃっておりますけれども、周知が先にあってしかるべきではないんでしょうか。

柳澤国務大臣 今回の受給資格要件の変更と給付に係る改正につきましては、今委員の御指摘のとおり、事前に十分に周知を図っておく必要があるというふうに私どもも思っておりまして、その意味で、この部分については本年十月一日の施行というふうにしているところでございます。

 改正法が成立した後、速やかに都道府県労働局やハローワーク等を通じまして、周知広報に努めるとともに、御指摘のような救済策を設けなくてもよいように、いずれにしても周知広報に努めていく、こういうことでございます。

園田(康)委員 どういう方法で周知広報をされるんでしょうか。具体的にまだ見えていないんですが、教えていただきたいと思います。

柳澤国務大臣 ホームページはもちろん使うわけでございますが、それのほかに、できるだけ読み取りやすい資料をハローワーク等に置かせていただくというようなことでその周知徹底をできるだけ広範に図ってまいりたい、このように思います。

園田(康)委員 対象者がどれだけいらっしゃって、そして、そういう方々に対して周知広報すらも、そういう受け身のことしかできない。

 すなわち、本来ならば、これは自分が受給できるかどうかというのは、おっしゃるとおり、一番最初の契約の段階で、私はそういうつもりであったというふうに思っていても、使用者側、企業側からそうではないというふうにその時点で言われてしまうと、そこまでなんですね。そこまでですね。したがって、最初からそういうことがわかっていれば、私はこれ以上継続して雇用できるものですねということが、最初の契約の段階で言えるのではないか、私はそのように考えているわけなんですね、そういう権利として考えるのであるならば。

 だったら、それをきちっと先に周知徹底をしなければ、先ほども申し上げたような、ハローワークで初めて受給資格がないというふうになってしまってそこで個別的な紛争に発展する、極めて非生産的なものがふえていくのではないかと私は思うんですが、大臣、その点はどのように考えていらっしゃいますか。

柳澤国務大臣 まず、有期契約をするに当たって、契約法を今度制定させていただきますけれども、そうした両者の理解のそごというようなことのないように、しっかり明定してもらうということも一つの眼目にしているわけでございます。

 しかし、それはこれからの契約じゃないか、こういう理解のもとで、委員が、現に行われている契約のもとの労働者については、そこのところはよく周知徹底を図るべきではないか、こういうことでございますが、私どもとしてできる限りの、今、期間も、少し施行の期間にゆとりを持つということも申し上げたのですけれども、その期間を使って啓発に努めていきたい、このように考えます。

園田(康)委員 労働契約法制の話題を大臣がみずからおっしゃいましたので、私からも、本日のこの話とは別でありますけれども、大臣に基本的な御質問を少しさせていただきます。

 労働者の就業請求権というものについて、大臣はどのように認識されていらっしゃいますか。

柳澤国務大臣 労働者側の契約就労請求権でございますか。

 これはむしろ、我々の方といたしましては、労働者側に不利にならないようにという配慮でいろいろな規定を設けるということにいたしておりまして、労働者側の有期労働契約の請求権については、今回の契約法制で、特段何か配慮を要するというような考え方に立って規定を設けるというようなことは考えていないわけでございます。場合によっては、とにかく契約内容が不明確なことが多いということの中に、契約内容をできるだけ書面で確認するということになりますので、もしそういった向きの意向を持つ労働者がいれば、その点が明確に文書で交わされるということになって、あくまでも労働者の側の不利益にならないような配慮をそういう形でしていくことになるのではないかと考えます。

園田(康)委員 あくまでも、これは個人としての勤労の権利に基づく請求をする、それもやはり労働者として、勤労者として、一人間としての基本権であろうというふうに私は考えるわけであります。したがって、要は、契約主義というところも確かに言われるわけでありますけれども、しかしながら、本来的に就業する側、つまり、みずからの肉体、能力を供給してそれによって対価を得るという人間と、それを雇う側の人間とでは、本質的に権利といいますか力のかげんがやはり不利に立たされている、違うというところからすれば、この就労請求権というものをしっかりと今後位置づけておくということも考えなければいけないのかなというふうに私は思っているわけですね。

 大臣、もう一つ。私もずっと以前、この委員会の中で議論をさせていただいたことがあったわけなんですが、今、能力開発という点において、キャリア権というものが言われているわけであります。このキャリア権、法政大学の諏訪先生などがおっしゃっておられるわけなんですが、今後この労働法制全体の中で、そのキャリア権というもの、職業能力開発ということをどのようにとらえていくかということは、やはり大変重要な概念になろうというふうに私は思うんです。

 今、後ろからペーパーが来ると思いますが、そのキャリア権について大臣はどのように考え、そして、できましたら、私は、憲法の概念と同時に、どういう位置づけで今後これに基づいて形成していくかということを少し、政治家としての大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

柳澤国務大臣 私は、ホワイトカラーエグゼンプションというのを提案させていただこうか、こう思っていたのも、実はそこに一つ要因があるわけですけれども、労働者がみずからもキャリアアップを図っていく、それには、いろいろな形での能力開発というか自己研修というか、そういうことの機会を持っていくということは非常に重要なことだ、これは、ひとり労働者の利益のためばかりではなくて、我が国全体の経済の力あるいは文化の力、そういったようなものも含めて非常に大事なことだというふうに考えます。

 そういうことで、私としては、そういう時間をみずからが生み出す、そういう労働時間規制の除外ということを一つあのときには考えたわけでございますが、それに上乗せして、むしろ事業主に対して、そういう機会をみずからに与えよ、こういう一種の請求権でしょうか、そういうようなものを構想する考え方も、今委員が仰せのとおり、学界の一部にあるということでございます。

 そういうことでございますが、これは論議すべき問題も相当多数あるというふうに思いますので、私は、今この段階では、自己啓発というかそういうものが労働者にとって非常に重要だということははっきりここで申し上げたいと思いますけれども、それをどちらの側の努力によって実施していくかということについて、今ここで明確なことをお答えするだけの用意はございません。

園田(康)委員 私は、我が国の雇用戦略といいますか雇用政策、労働行政というものは、やはりきちっとした柱を立てなければいけないんだろうなというふうに考えているんですね。今般、労働契約法制なるものは、まだまだ議論が必要であろうというふうに私は思っておりますし、何か、参議院選挙が終わったらその秋に出すぞというような話もあったようでありますけれども、そういう話の前に、まず柱をきちっと立てることから考えていかなければいけない。

 私から言わせれば、今回の雇用保険法の改正案も、それから雇用対策法も、それから地域雇用開発促進法、それらも今後出てくるわけでありますけれども、それらについても、景気のいいときと悪いときと、あるいは時代の変化、科学の発展、技術の進展等々、産業構造の変動というような話もあって、それに対していわばパッチワーク的に、これまた大変だというところで何か法改正をやる、あるいは対策法をつけるというような、あるいは、格差が言われてきたから、その格差に対する何か対応策を考えなければいけないというような形では、我が国の雇用戦略というものがきちっとした柱として本当にあるのかどうかというところが、私はずっと疑問に思っていたんですね。

 今回の機会に、さまざまな法律等々を読ませていただきました。中には、経済的な見地から、完全雇用であるとか、あるいは経済情勢にかんがみというような言葉も並んでいるわけでありますけれども、それもやはり時代の変化等々を通じて変わっていくものであろうというところで、では我が国は労働政策においてどういった面を目指すのか、それが私にはまだ見えてこないわけなんですよ。

 今回のこの雇用保険法の改正も、平成元年からこの改正のいろいろな内容を見ていきますと、パート労働者を適用対象にするであるとか、あるいは高年齢者、女性の雇用継続給付の創設であるとか、あるいは職業能力開発のための教育訓練給付、介護給付、これも創設をしていくというような形でその都度その都度変えてきているわけでありますけれども、柱となるものが私には実は見えていない。

 EUの雇用戦略の中には、フル就業といいますかそういった、やはりこれも完全雇用という形できちっとうたって、ではそのための職業訓練は何が必要であるのか、あるいは、そこから漏れ落ちてしまった方に対する失業扶助制度のようなものはどういったものであるのか、それに対する国の責任はどういう形であるのかということがきちっと柱が立って、それに対する施策が系統づけられているんですね。

 我が国の場合は、いいとこ取りという話もありますけれども、一体どこをどういう形で目指し、そして、それに対する対応策、それに対する施策は一体どういう形で行われているのか、その概念、この柱の概念というものがまだ私には理解ができていないんです。

 大臣、この部分をまず最初に教えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 雇用というものが極めて重要である。社会経済の変化に応じて、雇用に求められているいろいろな条件も変わってきている。

 つまり、私の言いたいことをもっと具体的に言えば、いろいろまたしかられるような話かもしれませんが、どちらかというと、日本では、創造的な仕事というようなものも今まで以上に、日本がGNPでいうと世界の第二位になった、そしてまた技術開発の面でもほとんどフロンティアに並ぶようになったということで、他の国で開発された技術を導入するというような形ではなくて、創造的な技術をみずからが切り開かなきゃいけない。そういうときの、労働者を初めとするそういうことに携わる人たちの要件というものは一体何なのかというようなこともあるでしょう。

 また、一面、定型的な労働に従事する人たちの労働というものが国際社会の緊密化の中で日本からだんだん少なくなっていくというようなこともある。そういうものに対して日本の労働雇用政策というのはどうあるべきかというようなことで、労働市場自身の労働者に求める要件、条件も非常に変化してきているわけでございます。

 それからまた、労働だけじゃなくて、仕事と生活というか、そういったもののバランスも、少子化対策などに絡んで、労働のあり方に非常に強く大きく要請をしている。

 こういうようなことがございまして、それらにどういうようにこたえていくかということを、私どもとしては私どもなりに、今そういった時代の要請というものを引き受けて、それで今回の労働六法の法制も構築した。これも役人だけでやったのではなくて、その道の権威と目されるような学者の先生方、現場の方々、経営者、それから労働側、ともに意見を聞く中で仕上げをして出しているわけでございます。

 その総括として、今委員がおっしゃるように、ヨーロッパなどに比べて柱が見えない、こういう御指摘をいただいたわけでございますが、私といたしましては、冒頭言ったような時代の変化に応じて労働に要請されるところを一つ一つできるだけこなして、対応して、そして法案をつくったつもりでございますので、ぜひ今後の御審議を通じてまたいろいろと御議論を賜りたい、このように思います。

園田(康)委員 仕事を通じて万人を社会に統合する、これがヨーロッパの根底にある考え方だろうなというふうに私は思っているんですね。

 社会をつくる、そしてその社会がまた時代の要請にこたえ、いろいろな変動をしていく。我が国にとって、社会であるとか、あるいは先ほど大臣もおっしゃった仕事と家庭というような話もあった。まず、個人の権利というか個人の人格形成というものが一体どこに向かってしまうんだろうなというところをやはりもう一度きちっと、まあ私はいつも教育の現場からそれをしっかり子供たちにも教えていかなければいけないんだというふうに唱えさせていただいているわけなんです。個人が個人らしさというものをやはりしっかりと主張でき、そしてそれが体現できる、具現化できる、そしてそれの集合体によって、社会が大きく変遷を遂げていく原動力になっていくんだろうなというふうに考えるわけなんですね。

 それが、要は何か問題が起きたら、さあ、そっちの方に対応するというような話でいってしまっているものですから、したがって、もう軸がぶれていってしまうんだろうというふうに私は見ているわけなんですけれども、やはりその軸というものがぶれることはもう勘弁してほしいなというふうに思うわけであります。それをまず今後の議論の中でさらに詰めていきたいと思うんですが、ちょっと時間がなくなりましたので、またこの点につきましてはきちっと議論をさせていただきたいと思います。

 もう一点、この間の田名部委員とのやりとりの中で、いわゆる期間労働者に対する給付金が減額をする、減額といいますか、それを法定上は五十日から三十日にするというふうになっておりました。暫定措置として、それを当分の間、四十日にするという形になっているわけでありますが、まず、この当分の間ということに対して大臣がお答えになったのは、「当分の間について私が個人的な御意見を、見解を申し上げるというのは余り適当でない。むしろ田名部議員が、同僚あるいは先輩の、立法作業にたくさん携わった方々に、当分の間というのがどういう意味か、田名部議員にとって有利なことなのか、不利なことなのかということをお尋ねいただいて、当分の間というものは、そのまま法文の文章として受けとめていただくのが私は正しい考え方だというふうに思います。」

 大臣、私からもう一度同じ質問をさせていただきます。この五十日を四十日にするということに対して、当分の間というふうになって暫定措置を設けているわけでありますが、この根拠はどのようにお考えですか。

柳澤国務大臣 このときに田名部議員からは、どうして変えるんだというお話もお尋ねいただいたかと思うのでございます。私も、もうほとんど聞き取れない中で、田名部議員は多分こういうことをおっしゃったんだろうななんて推測しながら答えておりましたので、ちょっと私の話も徹底しなかったかと思うんです。

 いずれにしましても、こういうサイクリカルな、季節的な労働をされる方々について失業給付をこういう特例一時金でやるということについてどうなんだというような、そういう基本的な考え方もかねてから指摘があったわけですが、それを踏まえて、今回は、いろいろなほかの給付とのバランスを考えまして、こうして法律上は三十日、こういうことにさせていただいたんですけれども、季節的な労働者の実態も踏まえて、当分の間は四十日分相当額とする、こういうことでございます。

 それで、当分の間とはいかなる期間かということをお尋ねになられた。至極もっともでございますけれども、これは、地域雇用対策の効果あるいは季節的な労働者の実態というようなものを踏まえて適切な時期までとする、こういうのが今届けられた事務当局からの模範答弁、こういうことになるわけですが、私が申し上げたのは、当分の間というのは、当分の間を一たん決めますとなかなか変えられないというのが、立法に携わる者の、何というか経験でございますと。

 もちろん、変えられないわけではないんですけれども、当分の間というのはなかなか変えられないというのが経験則ですよということを、まあ、そうここで言ってしまったわけですから、もうあれですけれども。(園田(康)委員「取り消していただいてもいいですよ」と呼ぶ)まあ、経験がそうだということですね、経験はそうだと。それでありますので、そういう経験をお持ちの方に、田名部委員はよく、御謙遜なんですけれども、私はまだ新人でとおっしゃるものですから、そういう経験をお持ちの先生にお尋ねいただくとよろしいんじゃないですかということを申したというのが私の発言の真意でございます。

 真意としてはそういうことでございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

園田(康)委員 ただし、それが法案を提出している所管大臣としてはやはり不適切な答弁であったんだろうなというふうに私は思うわけであります。

 したがって、議員同士の、そういう指摘をするということであるならばそれはそれでよかったんだろうと思うんですけれども、こちらは真剣に、この法律上の根拠と、それからそれに対する指針をやはり何らかの形でイメージとしてつかまなければいけないということで質問をさせていただいたわけでありますので、当分の間というふうに法律上明記をしておるということであるならば、それに対するやはり基準的なものを答弁すべきだったんだろうというふうに私は思っております。

 今後、こういった答弁がないようにお願いをしたいと思うのと、この言葉じりはもう私は結構でございます。

 今、くしくも大臣が、他の制度との整合性というふうにおっしゃったわけでありますが、この四十日にした他の制度との整合性というのはどの制度を念頭に入れていらっしゃるんでしょうか。

柳澤国務大臣 これは、参考にいたしましたのは、一時金である高年齢求職者給付金の支給水準、この場合には基本手当三十日分ということでございました。それからまた、一般被保険者の基本手当の受給要件の見直しにより、先ほど来御議論いただいておる自発的な離職や期間満了の場合は十二月の被保険者期間が必要になることということでございますが、そういうことで、これが季節労働者の場合には最低四月と二十二日というようなことがございますが、そういった制度とのバランスで三十日ということにいたしたということでございます。

 しかし、そうはいいながら、季節労働者の実態等を踏まえて、四十日ということを当分の間の措置として決めた、こういうことでございます。

園田(康)委員 といいますと、高齢者給付金の三十日とこれが同じ条件になるというふうに私には聞こえるんです。そうすると、季節労働者の概念でいきますと、大臣も御承知のとおり、ほとんどが北海道。

 この制度が創設された当初は、いわば出稼ぎの部分があって、冬季の、冬の間仕事のあるところに出稼ぎをして、そしてまた帰ってくる。しかしながら、冬の期間はどうしても収入が減ってしまう、あるいはそれによって職を失ってしまう、出稼ぎもできないような状況もあるものだから、やはり一カ月ではなくて二カ月近くのそういう給付金を特例的に支給しましょうという形で創設されたものであって、通常の高齢者のように、継続的に仕事をされていて、それで職を失ったという方とは全然別格といいますか、前提条件が違うのではないか。

 なぜこれを一緒にされるのか私には理解ができないんですが、大臣、その辺はおかしいと思いませんか。

柳澤国務大臣 これは、一年以上ですと五十日ということになるけれども、一年未満の場合は三十日ということになっておりますので、そういう見合いではやはり三十日というのがバランス上出てくるということも首肯できるのではないか、このように考えます。

園田(康)委員 それは、一般の離職者の規定に基づいて大臣は今おっしゃったんでしょうか。

 それでもいいんですけれども、私が申し上げたのは、一般の離職をされた方と、この一時的な特例金が創設された経緯は全く違うところにあったわけでありまして、これを他制度との並びで語るのはおかしいんじゃないでしょうかと。今の、仕事として、職を失っている状況に置かれている方々が、その地域の特性としてあるんだということを大臣はやはり考えて、加味をしていただく必要があるんではないかというふうに思うわけですね。

 したがって、これが五十日から三十日に落とすということではなくて、少しその状況、激変緩和的な考え方なのかどうかはわかりませんけれども、しかもそれを一時的に半分の四十日にしようというような話のレベルでは私はないんだ。今実態として、そこで生活をされておられる方々がどれだけこの額を必要とし、その給付金の必要性を、生活の糧とするしかない、余儀なくされているという状況をどのようにとらえるかというところにこの制度があるんだというふうに思うんです。

 だから、大臣は、今ここで、全国で二十三万人ですけれども、そのうちの十三万人が北海道ですよ、その次が青森県というふうになっております、この状況を、なぜそういう形で地域的な部分があるのかということもあわせて考えなければいけないわけですね。

 そして、しかもこれは、ではそういう地域地域で地域雇用のいわば促進が図られるというような対応策が今の厚生労働省の中にきちっとあるのかどうか。それがあるんだったら、これを段階的に削っていくといいますかもう必要性がないから削るということは考えられるんですが、地域できちっとした雇用政策というものが、この中において促進政策としてあるのかどうかということですね。

 大臣、この点はどうでしょうか。

柳澤国務大臣 そこまで根本的なことを問題といたしますと、やはり雇用保険でございますので、先ほど冒頭私が申し上げたように、本来雇用保険の問題なのかしら、こういう問題意識もあるわけでございます。

 加えまして、その上で、何か雇用政策そのものに取り組む話を厚労省として考えているのか、こういうことでございますが、これは私どもとしてはできる限り通年雇用化というような施策を強化したいというふうに思っておりまして、できる限り、例えば建設業の方々にも通年雇用をお願いして、そういうことが可能になるような事業展開をしていただくということが必要になるだろう、このように思っております。

 ハローワークを初めとした地域レベルでの相談支援体制の強化を図ることによりまして、今申した季節的な労働者の通年雇用化をできるだけ図っていく、そういう方向での努力を同時にしていかなければならない、このように考えております。

園田(康)委員 いや、今おっしゃったいろいろな施策が、私から言わせれば、それは完全なる形の施策にはなっていない、ただ単に相談支援を窓口に来たらやりますよというだけの話ですね。

 実際に、それが雇用に結びついて、しっかりと生計が立てられるまでの施策として立てられているのかということなんです。それがきちっと効果として上がった上で、もうこの特例一時金は余り意味のない話になってきましたね、通年雇用という形がきちっとできていますね、失業率もどんどん下がってきていますねと。

 北海道の失業率をどのぐらいだと見ていますか。それをきちっと、大臣の目から見てそれが改善された、先ほどもおっしゃった雇用保険でやる必要はないというふうにおっしゃられるまでに劇的に改善されているという状況であるならば、私はそれに対して、よし、理解をするというふうに言うことができますけれども、今の現状はそうなっていないじゃないですか。

 にもかかわらず、大臣はそれは同時にやっていくとおっしゃっておるわけですけれども、その対策が最初にあって、そして、それからこの対応策が、改正案が出てくるものだというふうに思うわけです。その影響というか効果が出ているかどうかわからないにもかかわらず、それで今回この改正をするということは、私はいかがなものかと思う。ぜひこの点は修正をしていただきたい。

武見副大臣 御指摘の通年雇用安定給付金制度の効果でありますけれども、これは、実際のところ、平成十七年度の支給実績、約三十六億円ございまして、約七千四百人の季節労働者が通年雇用されているということから、季節労働者の通年雇用化に一定の効果が上がったものというふうに考えているところであります。現に、季節労働者の人数でありますけれども、平成七年度約四十一万七千人という数であったものが、平成十七年度には約二十三万五千人にまで、約四三・六%減少してきているわけです。

 その理由というのは、実際のところ、こうした公共事業の縮小であるとか、あるいは労働者自身の高年齢化ということがこうした減少をもたらしているというふうに言われているわけでありますけれども、実際に、委員御指摘のとおり、これらをより充実させて、そして通年雇用化に一層の努力を図るという基本姿勢は、政府としてはきちんと堅持すべきだというふうに考えます。

園田(康)委員 先ほどもおっしゃったその数字でありますけれども、三十六億円の経費で七千四百人が通年雇用に結びついているというふうにおっしゃったわけですよね。そうですね。そうすると、では、今の二十三万人の方々のうち、これに結びつけられるのはどのぐらいだと思われますか。

武見副大臣 その点はまだ明確に、エビデンスに基づいた数字は確認しておりません。

園田(康)委員 だからこそ、効果がしっかりとあらわれた上で、今まで、たった七千四百人じゃないですか。そうですね。では、今回この二十三万人のうち、どれだけなるんだと。二十三万人がまだ苦しんでいらっしゃるわけですね。にもかかわらずそれを下げていくということではなくて、これを継続的にやった上で、そして、今副大臣がおっしゃったような通年雇用制度もきちっとやって、最終的にこれがゼロに近い数字になったときに、これは時代の要請としてもういいね、いい制度になりましたね、しかも、雇用保険で見る制度ではなくなりましたねと言って御提案されるのだったら私は納得ができるんです。でも、それがきちっとまだ、あらわれているかあらわれないか、そして、その二十三万人のうち、どういう形態になっているのか、それをすべてきちっと調査されていらっしゃるわけでもないわけですね。

 どうでしょうか、大臣。ここはもう一度、大臣、この点を、きちっとやはり実態を把握した上で、どういう政策を行っていけばいいのか。先ほど私が申し上げたしっかりとした基準となる政策を打ち立てておく、そして、それぞれの人間が置かれている立場で、やはり労働基本権というものがあるはずだと私は思っていますよ。そして、それと同時に、二十五条による生活の保護といいますか、生活権というものもあるわけなんですよ。それをきちっと踏まえた上で、この政策は、他の法律の並びではないんです。この一時的な給付金、特例金の性質を見たときに、これは果たして削るべきなのかどうかという政治的な判断を大臣はすべきではないかと私は思うわけです。大臣、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 制度を実施するときに、すべてその問題が消滅したから制度を改正するということなのか。やはり、制度を改正する、したがって、その制度と両立するような事態をまた別途力を入れていくということはあり得るわけでございまして、私としては、今回の措置については、当分の間、中間をとって四十日ということで、モデレートな減少幅にするというような配慮もいたしておりますので、ぜひこのところは御理解を賜りたい、このように考えます。

園田(康)委員 きょうはもうあと時間がありませんので、また引き続きこの議論はさせていただきたいと思っております。

 大臣、中間をとって、それを御理解いただきたいと言われても、それに、なぜ中間をとったのかということに対するきちっとした政策的な効果が、全然エビデンスとしてないわけなんですよね。それで納得をせいと言われても、私には納得はできない。

 仮に五十日にしておけば、それと同時に別の施策を打って、しかも、地域雇用開発促進法という法律も別途考えていらっしゃるわけですよね、これによって、特に厳しい情勢の中においてはそれに対しての施策を打っていくというふうにおっしゃっておるわけでしょう。だったら、それに対する施策としてこれからどのようにあらわれるかというのを待って、見てからでも、この改正案というのは、それから判断してもいいのではないかというふうに私は思うわけですね。

 大臣、今までもらっていた方が、いきなりそれで切られて、五十日もらっていたのが四十日、たった十日間と思われるかもしれませんけれども、この十日間によって大変厳しい生活を強いられる方々にとってみれば、死活問題なんです。大臣、もう一度この点は次回の、恐らく正常化した上で、私の質問をさせていただいた上で、しっかりとしたお答え、御判断をいただきたいというふうに思っております。

 時間がございませんので、最後にもう一点だけ、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。

 雇用保険料の国庫負担の削減についてでありますけれども、ここの部分を、この間の答弁を伺っておりましても、四分の一から、さらにそこから差し引いて一三・七五%まで削減する、五五%まで引き下げたというこの概念が、いまいちまだ私にはわかりません。なぜ国庫負担を四五%削減して、つまり五五%にした、本来の給付額に対してそれを削減した根拠、そういう削減をすることができる根拠というものは何でしょうか。法的な根拠もあわせて御答弁をいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 まず第一に、国庫がなぜ失業等給付に係る費用の一部を負担しているかということですけれども、これは申すまでもなく、失業が、政府の経済政策であるとか雇用政策と無縁ではない、政府もその責任の一端を担うべきである、こういう考え方に出るものでございます。

 今回のこの四分の一を五五%掛けにするということにつきましては、かねて、行政改革推進法の趣旨がうたわれておるわけでございますし、それからまた、過去に国庫負担の縮減をした例、あるいは、現在の雇用保険財政の状況というようなものを踏まえまして、なお今後雇用保険制度の安定的な運営を確保できるかどうかということをしっかり前提にいたしまして、当分の間、本来の負担額を引き下げるということにしたわけでございまして、国庫負担の基本的な考え方を変更するものではない、こういうことでございます。

園田(康)委員 そうしますと、確かに国庫負担をこれで残しているわけでありますので、一三・七五%、したがって国の責任がこれでなくなるという議論にはならないかもしれません。しかしながら、この四五%削減して五五%掛けにしたということの根拠がまだわからないんです。これを六掛けにするか四〇%掛けにするかではなくて、なぜ五五%掛けにしたのかということなんですよ。この点をお聞かせいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 この点は、かつて同じような削減をしたことがございまして、その結果、平成十年度から十二年度までは本来額の五六%にしたという例がございますので、今回は一回で五五%にしたということでございます。

園田(康)委員 過去の話は過去の話で、そのときの事情があったんだろうと思います。私もちょっと一回その辺を調べておきますが、今度の宿題とさせていただきます。

 なぜ四五%という数字の削減を行ったのかという、その根拠なんですね。今の現状があって、それだからこそ国庫負担率はこれだけでいいんですよというような法的な根拠と状況を含めて、ぜひ今度までに大臣も、勉強といいますか、しっかりと調べておいていただきたいというふうに思っております。

 以上で終わります。ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今の議論にも若干関連するのかなと思って聞いておりましたけれども、まず、昨年七月七日閣議決定の骨太方針二〇〇六において、「「行政改革推進法」の趣旨を踏まえ、かつ、昨今の雇用保険財政の状況にかんがみ、二〇〇七年度において、廃止を含む見直しを行う。」とされました。

 今般の改正案では、失業等給付費に係る国庫負担額は、当分の間、負担額の五五%、つまり、現行二五%を一三・七五%に引き下げるとするものであります。私は、今回の見直しが、これで終わりでなく、〇七年度中にさらに廃止に向かって検討が続けられていくのかと非常に懸念をしておりますが、そんなことはないということを確認させていただきたいと思います。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

柳澤国務大臣 先ほども申し上げましたように、私どもは、雇用保険について国の責任を考えているということでございまして、今高橋委員が御懸念になるような事態は全く想定しておりません。

高橋委員 国庫負担が削減されたこと自体に対しては非常に問題だと私は思っておりますけれども、これ以上はないということで確認をさせていただきたいと思います。

 続けます。

 本会議において、またこの間、与党議員からも発言が繰り返しされております、報告書にも書かれておりますが、いわゆる雇用保険の財政状況が好転しているということが繰り返し述べられているわけなんですけれども、それは一体どういうことなのかをやはり具体的に確認したいと思うんですね。財政状況が好転という、その内容、理由はどのようなものでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用保険の財政状況、今委員御指摘がございましたが、好転をしておるということであるわけでございます。

 例えば、どういう指標で見るか、非常に端的に申し上げますが、収入に対して支出した分の差である部分が積立金として積み上がるわけでございますが、この積立金残高という点でまず見てみますと、非常に厳しい時期でございました平成十四年度におきましては、四千六十四億円というところまで減少いたしたわけでございますが、一番直近の決算でございます平成十七年度におきましては、この積立金残高が二兆八千三十二億円というところまで積み上がったというふうな点が指摘できるかと思います。

 こうした財政状況の好転の理由と申しますか背景でございますが、一つには、当然ながら、雇用失業情勢というものが改善を見てきておる、こうした点。また同時に、経済の回復等もございまして、保険料率を引き上げたということもございましたが、保険料収入が着実に増大をしたという点。またさらには、平成十五年の改正におきまして、給付の重点化を図る等々の見直しを行ったといったようなさまざまな事項がその背景として考えられるというふうに思っておる次第でございます。

 なお、平成十五年の改正でございますが、これは受給者の早期再就職を促進していく、こういう観点から、当時、基本手当と再就職時賃金とが逆転しておる、つまり基本手当の方が再就職時賃金より上回るケースもあったというようなこともございまして、これを解消していくというために給付の上限額を引き下げる等の見直しを行ったものであるわけでございますが、これらの見直しにつきましては、やはりセーフティーネットとしての雇用保険制度の安定的な運営を図っていく、そして労働者の生活及び雇用の安定を図る、こういう趣旨、目的の上では必要な改正だったと考えておるところでございます。

高橋委員 今最後に平成十五年度の改正のお話をされましたけれども、若干逆転現象があった、そのことをもって給付率を削減した、そのことによって三千億円の削減効果、皆さんに言わせると効果があったわけですよね。そのことが、その後に給付額が減ったということになっているわけで、何かそれを、非常によいことだけ述べられるのはいかがなものかと私は指摘をしておきたいと思います。

 今述べたことを、収支状況ということで、資料の二枚目につけてございます。少しごらんになっていただきたいと思うんですが、下から二番目の差し引き剰余というところをごらんになっていただけるとわかりますが、確かに、マイナスだった収支が十五年度から黒字に転化をしております。

 それで、給付費だけで見ていただきたいんですけれども、その上ですが、十五年度に五千億円の減、十五年度から十六年度に四千二百億円の減、わずか五年間で一兆円も給付費が減少している。これは全体の枠から見るとかなり大きいと指摘せざるを得ないと思うんですね。

 これをグラフに落とすとどうなるかというので、三枚目をごらんになっていただきたいと思います。失業者が減って給付が減った、そうなればそれは大変よろしいかと思うんですが、決してそうではないと思うんです。

 二〇〇〇年、平成十二年は、収支がマイナス一兆円を超えておりますけれども、そのとき、完全失業者が三百二十万人でございました。失業給付を受給していた比率が三三・三%でございます。二〇〇五年になるとこれがぐっと下がりまして、収支は確かに一兆円を今度は超えてプラスになっておりますが、失業者は二十六万人減った。しかし、それ以上に、給付率が二〇〇五年は二三・一%という形で、いわゆる給付率が一〇%もダウンしているんですね。

 つまり、雇用保険で救えている失業者が減っている、割合が減っているということになるわけです。失業者の二割強しか雇用保険で救えていない、圧倒的多くの失業者が雇用保険から排除されているということになりますが、このことをお認めになりますか。

高橋政府参考人 今委員がお示しした資料で見た例えば二〇〇〇年におきます受給者比率、これは完全失業者に対する受給者実人員の比率ということでお示しされていると思いますが、これが三三・三%だったものが二〇〇六年は二二・八にまで低下しておる、これは失業者の中に雇用保険の受給を受けられない人たちがふえているのではないか、こういう御指摘なのかもしれません。

 確かに、二〇〇〇年のころ、離職者と申しますか、企業のリストラ等を背景に、大変企業からの離職者が大きくふえた、そのことが完全失業者の増加ということをもたらしていた面があろうかと思います。その後の景気回復の中で、そうしたリストラ等々に伴う離職者というものが減少する。

 他方、労働市場が好転をしてくる中で、今まで労働市場から引っ込んでおられた方の中から、新たに求職活動を始める、こういうことを通じて失業者という形になる方がふえてきておる。そうした方々は、ある意味では雇用保険としての被保険者資格というものを持っていないわけでございますので、求職活動を始めたとしても雇用保険の受給というものはない。そうした面もこの比率の低下の背景にはあるのではないかというふうにも考えられるところでございます。

高橋委員 それについては、一〇%に値するだけ、そういうような引っ込んでいた方が表に出てきたということ、言えますか。

高橋政府参考人 今の御質問でございますが、一〇%の低下のうち、どれくらいが今言ったような要因で説明できるか、これはにわかにはこの場ではお答えはできませんが、我々もそこら辺は十分分析をしてみたいというふうには思っております。

高橋委員 この点については、分析の後、資料の提出をお願いしたいと思います。

 今おっしゃったことは、確かに一つの傾向としてあるかもしれないけれども、やはりそれは一部分ではないか、圧倒的には雇用の流動化などという原因があるのではないか、ここに真剣に目を向ける必要があると思うんですね。

 資料の一枚目に戻りますけれども、主要労働経済指標、完全失業者や率、有効求人倍率あるいは非正規労働者の割合などについて資料を述べさせていただきました。

 これはいろいろなところで議論をされていることですけれども、簡単におさらいをしますと、この右の表を見ても、二〇〇〇年から二〇〇五年の間に正社員が二百五十六万人減り、一方、非正規が三百六十万人ふえ、三二・六%の割合になっています。やはりこうした正社員から非正規社員への置きかえが進んできたことがいわゆる雇用保険から排除される大きな要因になっているということは否めないのではないかと思うんです。

 先日、私がお邪魔した山形労働局、三年連続で有効求人倍率が一倍を超えています、厳しい東北各県の雇用情勢の中でも求人数が着実にふえている、そういうふうに胸を張っておられました。では正社員の比率はどうですかと聞きますと、正社員はわずか三割強にすぎないと。やはり非正規の求人が圧倒的にふえているんだという現実でありました。

 そういう中で、今の青年の皆さんからは、雇用保険さえも入れないような働き方がふえているんだということでの訴えが続いていること、それは皆さんも自覚されていることではないかと思うんですね。そういう働き方の問題があるということをお認めになるのか。大もとにある働き方の問題、企業の無法、労働者の無権利状態を改善し、しっかりとした雇用を確保していくことが必要だと思います。そのために国庫負担を今減らすべきではないと思いますが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 委員も、財政状況そのものについては好転をしているということをお認めになっておられるわけでございます。それから、国が責任をいたずらに回避するというか、そういうような気持ちもないということも、先ほど私答弁したとおりでございます。

 そういう中で、行政改革の一環として今回のような国庫負担の削減をしたわけでございまして、これによって別段雇用保険の事業に支障が出るということでもないわけでございますので、一つの雇用保険の財政運営として、ぜひこの国庫負担の削減ということについては御理解を賜りたいと思います。

高橋委員 財政が好転していることと、国がいたずらに回避する気持ちはないのだということを繰り返されたわけであります。

 もちろん、今国庫負担を削減したことによって今すぐ支障が出るわけではない、例えば保険料率が下がっていますよとか、そういうことをおっしゃりたいと思うんですけれども、私があえて確認をさせていただきたいのは、財政が好転した背景に、雇用保険から排除される労働者がふえているとか、あるいは、その犠牲によって好転したのでは本末転倒なわけであって、本来の役割を果たすためにも、その大もとにある働き方の問題と真剣に向き合うのだということがやはり必要だと思いますが、その点はよろしいでしょうか。

柳澤国務大臣 正規雇用、非正規雇用という働き方の多様な中で、非正規雇用の皆さんの一部の中には雇用保険の対象者にならない方も出ている、こういう御指摘かと思います。

 しかしながら、雇用保険としてしっかりと、これは労働者の負担もあるわけでございますし、事業主の負担もあるわけでございますが、もちろん国庫負担もあるわけですが、そういう支え合いの中でこの保険が運営されているということでございますので、非正規の雇用者のどういう人たちを雇用保険の中に取り込んでいくかということについては、やはり一定の要件というものでこれを画する必要があるということは、これは御理解賜れるのではないかと思います。

高橋委員 私が聞いているのは、一定の要件で画することが悪いと言っているのではなくて、今そこを論じているのではなくて、要件があるのに、企業がきちんと届け出なくて資格を得ていないですとか、雇用の仕方によって雇用保険が受けられない、本人が希望しているにもかかわらず受けられないとか、そういう本人の意思とは別に雇用保険から排除される労働者がいてはならないですよということです。いかがですか。

柳澤国務大臣 繰り返しになりますけれども、雇用保険として、相互の支え合いの中の保険、こういうことを成立せしめるためには一定の限界があるということは、委員もお認めになられたところでございます。

 そういう中で、さらに、むしろ雇用形態というものを、要件に合致するような雇用をできるだけふやしていくという取り組みが必要なのではないか、こういう意味合いであれば、私ども、できるだけそういう、今たびたび申しておりますように、非正規雇用の中で、それを望まない、正規雇用を望んでいる方々が正規雇用に移行するということについては、政策的な対応をいろいろとらせていただいて努力をしているということで御理解を賜りたいと思います。

高橋委員 昨年の国民生活白書でも、正社員への転職を希望しながらパートやアルバイトをしている十五歳から三十四歳、九十七万人もいる、ふえているということがあります。こうした問題が大もとにあるということをしっかり見て今後の労働行政もやっていただきたいと思います。

 時間がないので、労働福祉事業について二点伺いたいと思います。

 労働福祉事業は、労働条件確保事業の廃止、事業名の変更などの改廃が行われます。その中で心配されていることは、賃金の八割を補償する労災保険者の休業補償、この二割は労働福祉事業の特別支給金として給付されておりますけれども、今回この二割分がカットされては困る、そういうことはないだろうかと懸念が出ておりますので、この点が従来どおり確保されるということを確認したいと思います。

 あわせて、倒産した際の労働者の賃金を補償する未払い賃金立てかえ制度、非常にこれも重要な制度でありますけれども、これに対しても、絶対になくせないと思っております。一部、使用者側から廃止論なども出ておりますので心配しておりますが、この点について確認をさせていただきます。

青木政府参考人 今委員御指摘になりました特別支給金でございますけれども、これは、労災保険給付が支給される場合に上乗せして、おっしゃいましたように、被災労働者、その遺族に直接支給されるものでございます。

 今回の労働福祉事業の見直しに当たりましては、見直し後の新たな事業を、保険給付の補完、労災の防止等、労災保険にふさわしいものに限定するということといたしたものでございます。この特別支給金は、従来から保険給付を補完する性格のものであるということから、引き続き存続することといたしました。このような特別支給金の性格にかんがみまして、これを廃止する予定はございません。

 それから、未払いの賃金の立てかえ払い、この事業につきましては、企業の倒産によりまして賃金が支払われない労働者に対しまして、未払い賃金の一定範囲を事業主にかわって支払うというものでございまして、国が設けるセーフティーネットとして重要な役割を果たしておりますので、先般の労働政策審議会の答申を踏まえまして、今後も継続して行うことといたしております。

高橋委員 ありがとうございました。二点確認させていただきました。

 時間になりましたので、もっと質問したいのですが、次の機会に譲りたいと思います。ありがとうございました。

伊藤(信)委員長代理 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、本日の質疑、民主党の皆さん並びに先ほどの高橋千鶴子さんの質疑を伺いながら、幾つか残された私自身の疑念がございますので、まず、予告外の質問ですが、柳澤厚生労働大臣にお願い申し上げます。

 田名部委員がお取り上げのタミフル関連の問題でございます。

 私は、既にこの問題は予算委員会で取り上げ、とりわけ、厚生労働省の薬事行政をめぐる姿勢、予防原則に立たない、そして、被害を繰り返す、たくさんの被害者がそこに生まれ、悲しい思いをしている現状等々があるということを予算委員会でも申し上げました。特に、このタミフルの問題では、柳澤厚生労働大臣がその前の週に、お産で実際に脳性麻痺になったり、お母さんが亡くなったりという患者さんとお会いいただきました翌週に、厚生労働省に三人のタミフル関連被害者の親御さんと一緒に伺い、今子供たちに異常なタミフル内服後の問題が起きているから、ぜひ早期に警告を発してほしいと厚労省に申し上げました。

 しかしながら、事態は後手に回り、その後に仙台の事案が発生いたしました。あのとき、すぐいろいろな勧告、あるいは注意を出していただければあの少年は死なずに済んだと思えば、本当に悔しい思いもいたします。先ほど大臣の御答弁で、いまだに事の深刻さに本当の意味では気づいておられないのではないかと私は思います。

 このたび、研究班の研究者である横浜市立大学の横田教授のところに、タミフルの発売元の中外製薬から研究助成の費用が渡っていたのではないかということをめぐっての質疑でありますが、大臣はそもそも、この日本の研究班と、アメリカのFDA、訳して言いました場合に医薬品安全局が、同じ症例を分析して、結果が異なる注意勧告が起きているということを御存じでしょうか。

 これも簡単に紹介させていただきますが、アメリカFDAで分析しました百三例、そのほとんどは日本の事案でございます。アメリカFDAが分析したポイントは三つでございます。内服時間との関係、タミフルを内服して事が起こるまで六時間以内のものがほぼ七、八割である。投与した医師は薬剤との関係を強く疑っておる。また、これまでインフルエンザ脳症で見られたような症状とは異なる、特に、自殺に関連するような、自殺と思われるような、突発的に飛びおりたり走り出したりというような症状は、これまでいわゆるインフルエンザ脳症で見られたものとは異なると。この三つに基づいて、FDAでは、実は世界じゅうのタミフルの消費のうち、およそ七割を日本が消費していると言われます、アメリカでも、これから、今後タミフルの使用がふえた場合に、日本と同じようなことが起こるのではないかという疑念のもとに、タミフルの内服と、特にインフルエンザと診断され、内服されるお子さんたちに注意を喚起しなければならないというのがFDAの趣旨でございます。

 大臣は多忙で、本当にいろいろな業務があると思いますが、このような一つのデータが出て、いつも日本の薬事行政はそうですが、諸外国で言われたもの、そのことについて鎖国状態、そして、我が国の研究成果は、いつも厚生労働省の害がないという非常に害のある態度によって、おくれおくれになっております。

 まず大臣、一点、アメリカFDAの報告、ごらんになりましたか。また御存じでしたでしょうか。お願いします。

柳澤国務大臣 FDAの検討については、私も、概括的かもしれませんけれども、報告を受けておりました。今このFDAの報告で三点、委員は御指摘になられましたけれども、このFDAの報告自体を、先ほど来私が申し上げております審議会では、それも俎上にのせて検討して結論を出しているということでございます。

阿部(知)委員 そうであれば、当然、厚生労働省の薬事行政は予防原則に立つべきなのです。真っ黒々になって、危険がわかってからでは、多くの死者がそこに生まれます。その予防行政に立つのかどうかという一点が、今厚生労働省には問われています。

 そして、そのスタンスに立ったならば、そのことを一刻も早く国民に伝えるということであります。いつも厚生労働省はあいまいにしたまま、例えば、医師たちに出された注意書きも、インフルエンザであれば二日間しっかり見なさいと親に伝えなさいというところで、一つ大事なことが抜けております。タミフルの内服との関係で、二日間ということは極めて重要な時間になっているということを、やはり正しく親御さんに伝えるべきであります。その伝え方いかんによって、先ほど田名部さんも申し上げました、二日間、インフルエンザと診断された子がみんな、親がずっと監視している状態というのは、親のいろいろな、今の働き方、あるいは時間のせわしなさの中で、大変にきついことであります。もちろん働き方がもっと緩やかになって、せめて子供が病気のときくらい、親は子といられてほしいと私自身は思います。だけれども、今とりわけ厚生労働省がやらねばならないのは、内服との関係で危険が指摘されているということは正しく伝えるべきであります。

 そして、大臣がおっしゃったように、我が国の、横田教授が、今度も研究班の主任研究者ですが、なされる研究班の研究のその趣旨におきましても、実は同じことが既に伝えられております。インフルエンザ発症後の症状の経過と治療薬剤の使用状況を調べて、治療薬剤使用と臨床症状発現との関連を検討することがこの調査の目標であるということを添えて、一方、親御さんにもアンケートが出されているわけです。

 やはり、一番あいまいなのは、厚生労働省の姿勢そのものです。そのことによって、本当は私はタミフルを全否定するものでは実はないのです。備蓄も必要になってまいると思います。しかし、危険性というものは十分知らされて、上手に使えるならば使いたい、そういう思いがやはり国民の合意にならないと、本当にお化けのような危険性と隣り合わせでこのタミフルという問題がこれ以上進んでいくということは、どうしても、私は国民にとっても不幸であろうと思うものです。

 もう一点、大臣に伺います。

 実は、もう一つ我が国において問題になっているのは、薬剤の効果や、今後始まるであろう治療研究、治療に使うときの研究に際して、いずれの団体から研究費を申し受け、そしてその研究者がいわばひもつきであるかないかということがオープンになっていないという点であります。

 大臣は、このたびタミフルの研究班の研究者に対して指摘されたさまざまな問題、この後どのように研究体制として是正していかれようと思っているでしょうか。この点もお願いいたします。

柳澤国務大臣 阿部委員の御指摘になられた、タミフルの服用についての注意事項ということが十分世間に知らしめられていないのではないか、こういうお話が冒頭あったかと思いますが、私の認識としては、小児、未成年者がインフルエンザに感染した際の注意として、医療関係者にこのことは注意を促す文書が発出されたということでありますので、この点について何か厚生省の行政として不十分な点があるということは、ちょっと、事実についてもう少し御認識をいただけたらというふうに思います。

 それから、研究班と申しますか、そういう方々と、例えばその研究資金等の関係についてこれからどうするつもりかということでございますけれども、これについては、今回の事案を私どもしっかりと把握した後におきまして、そうしたいろいろな疑念というか、疑念だけじゃなくて実際にそういう影響下に立つなんぞというようなことがあってはならないわけでございますので、そうしたことについて十全の対策を講じていく、これはもちろん必要性があるというふうな認識を我々が持った場合でございますけれども、そうしたことについてはしっかり取り組んでいきたい、このように考えています。

阿部(知)委員 まず、前者については、厚生労働省がお出しになったインフルエンザ治療にかかわる医療関係者の皆様へという文案を大臣は読んでおられないんでしょうか。やはり大臣の方こそ御認識していないんですよ。インフルエンザと診断され治療が開始された後は、タミフル処方の有無を問わず異常行動発現のおそれがあるからしっかり見ていてくださいというのが厚労省の出したものですよ。

 そうではなくて、それもあるとは思います、私はさっき言った、どんな子供でも子供が病気のときくらい親に見ていてほしいと、小児科医ですから思います。でも、今問題になっているのは、タミフル服用後、特に血液中の濃度が上がってくる二時間から六時間、大変に個人差によっていろいろなことが起こるということが指摘され、そして今進んでいる研究班の内容も、内服時間との関係、症状の出方を調べるということでアンケート調査が配られているんです。ごまかしているのは厚生労働省だけなんです。

 そして、一回目の横田研究班の報告の内容も、よく読めば、本当によく読めばです、内服時間と症状の出現とがまだ不明確である、だから調査しましょうとなっているんです。そこを厚生労働省はまともに受けとめないで、自分たちの本当におざなりな行政のツケを国民に負わせているものだと私は思います。それが命の犠牲を重ねているということ。

 そして、私はこれで時間が終わるのはちょっと予測外のことですのでお伺いいたしますが、大臣は、例えば今の段階で主任の研究者が、御存じあったかどうかわかりませんが、そういうまさに発売元から研究費の半分以上を受けていたという実態に即して、どのように是正されるべきだと思いますか。

柳澤国務大臣 今回のことにつきましては、まず事案の実態と申しますか、それをしっかりと私どもは把握する必要があると思っております。その把握がかなり進んでいるかと思いますが、私自身はまだ現在その報告を受けておりません。

 したがいまして、その事案の全容につきまして報告を受けた後に、私としても、そうした影響を受けているのかどうか、あるいは、そういったことについて世の中から疑念を持たれるというようなことについて、これをどう考えるか、こういうようなことで、この問題についてそうしたことのないような対策を必要に応じて打ち出していかなければならない、このように考えております。

阿部(知)委員 私は、内容にバイアスがかかったかかかっていないか以前に、やはり研究のあり方として問題だと思います。そして、次回委員会の冒頭までにお返事をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 では、通告してございます問題に行かせていただきます。

 私は、きょうは、いわゆるスポット派遣とか日雇い派遣とか言われる状態についてお伺いいたします。

 先ほど高橋委員の御質疑にありましたが、今雇用保険の給付が一定、赤黒を申せば黒字になっている。しかし、その背景が、本来は労働者性がありながら、そして失業、業を失う、仕事がないという状態になりながら、失業保険を受けられない人たちがそこにたくさん生じたことによって財政が黒になったのでは意味がないという御指摘があったと思います。

 私がきょう取り上げさせていただくスポット派遣あるいはワンコールワーカー、日雇い派遣と言われますようなものの実態は、携帯メールを用いて、登録してある先に、その日その日で仕事の有無を聞いて、その派遣現場に行くようなものです。

 厚生労働省には、このような働き方の方に対して、従来、日雇い保険と言われるものがございました。いわゆる、昔で言う山谷や釜ヶ崎などで勤労者を集めて運ぶ、そして働いていただく。しかし、職のない日もあり、きちんと手帳を持って日雇い保険が給付されるというセーフティーネットも、一方でやはりつくってきた歴史があると思います。

 現状のスポット派遣、日雇い派遣等々に関しまして、この失業保険、いわゆる雇用保険の給付について、申請等々が事案としてあったでしょうか。また、どのような検討がなされているでしょうか。大臣にお願いいたします。

柳澤国務大臣 日々の単位で労働者派遣が行われている、いわゆる日雇い派遣は、一般的に雇用が不安定な働き方であるということの認識は全く同じかと思います。

 労働者派遣法上、特別な規制が設けられているものでないことから、その詳細を当局として把握しているかといえば、これは把握をいたしておらないところでございますが、労働者派遣制度に基づく監督を通じまして、法令違反が認められれば適切に指導してまいる、こういうことでございます。

 いずれにしましても、若者を中心として低所得の非正規雇用の増加とかその固定化が生ずるということは、これは全く望ましくないことでございまして、私どもとしては、そうした雇用保険の問題の有無にかかわらず正社員化の機会をふやしていきたい、そういう施策でもってこの問題に対処していきたい、このように考えているところでございます。

阿部(知)委員 今の大臣の御答弁には二点あったと思います。実態がつまびらかでない、労働者派遣法に抵触すれば取り締まると。しかし、実態がつまびらかでないものをどうやって労働者派遣法できちんと管理監督できるかという、これはもう本当に言語矛盾になってまいります。

 大臣にはお願いがございます。やはり実態をつまびらかにする努力をしていただかないと、今、こういう労働形態で、夜はいわゆるインターネットカフェに泊まり、朝また仕事に出向くというような若い人たちが非常にふえております。では、実態はどうやって把握するのというのは、いろいろな仕方があると思います。でも、大臣、厚生労働省として、その実態、不安定な働き方の実態についてしかるべく現状の調査を進めるという一点と、また、日雇い保険の加入については、要件をきちんと検討して、少しでもセーフティーネットが張られるように努力するという、この二点の確約をいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 まず第一に、詳細を把握していないので、把握していないというんだったら法令違反が認められれば適切に指導してまいるというのは言語矛盾だとおっしゃったんですが、それは、私がその間に挟んだ労働者派遣制度に基づく監督を通じまして、派遣先に行ったりしてそういう実態が把握できれば、それはもう、法令違反であればそれは適切に指導するということを申し上げたのでございますので、そこは御理解を賜りたいと思います。

 日雇い労働者とはどういうものかといいますと、雇用保険制度におきましては、日々雇用される者、または三十日以内の期間を定めて雇用される者であって、一定の要件を満たした場合に適用されるわけでございます。一方、このような形で就労する労働者にありましても、直近二カ月の各月において同一の派遣元事業者に十八日以上雇用された場合には、原則として一般被保険者になるということでございまして、いずれにしても、現在、御指摘のような就労形態で働く労働者の雇用実態につきまして、個々に今調査をしておるところでございまして、この結果を踏まえまして、被保険者資格の有無等について今後検討をしてまいりたい、このように思います。

阿部(知)委員 ある派遣会社の集計では、この一年間で四十四万人が登録がふえておるわけです。早急な実態調査をお願いしたいということをお伝えして、本日の質問は終わらせていただきます。

伊藤(信)委員長代理 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 まず冒頭、本日のこの委員会が与野党合意のもとで立った委員会でないという中で質問せざるを得ない、こういうことに至ってしまったということに対して、非常に残念に思っておりますということを冒頭に申し添えておきたいと思います。

 その中で、まず大臣に確認の意味も含めた事項を質問させていただきたいと思うんですけれども、本会議の質問の中にもございましたけれども、ことしは、労働者のセーフティーネットとなるべき二つの制度、労災保険制度そして現在の雇用保険制度の前身である失業保険制度、これが創設されましてからちょうど六十年がたつわけでございます。

 その二つの制度の見直しの内容を含むのがこの雇用保険法等の一部を改正する法律案であるわけですけれども、今回の見直しの中で、この保険料率の見直し、今回の法案では、直接保険料率を引き下げるのではなくて、いわゆる弾力条項というものを用いて引き下げるという説明を聞いておりますけれども、失業等の給付に関する保険料率の引き下げのための改正内容及び弾力条項を用いて引き下げる理由というのを、まずお聞かせいただけますでしょうか。

柳澤国務大臣 労災保険と雇用保険、昔の失業保険の法律が施行されて六十周年ということし、記念すべき年であるという御指摘はまさにそのとおりでございまして、私どもとしても、このような制度の労働市場における役割の重大さというものにもう一度改めて深く思いをいたしてその改正に取り組まなければならない、このように考える次第でございます。

 そこで、今回の改正法案でございますけれども、失業等給付の保険料につきましては、現在、雇用保険の財政状況が好転しているということの一方で、今後の経済情勢の動きというものによっては給付が逆に大幅に増加する可能性も否めないというところをにらみまして、もともとの保険料率一・六%を引き下げるのではなく、弾力条項の変動幅をプラスマイナス〇・二%からプラスマイナス〇・四%に拡大することといたしまして、これを前提に来年度の保険料率を一・六%から一・二%に引き下げることといたした、こういうことでございます。

糸川委員 もう一問、ちょっとこれは確認なんですけれども、失業等の給付費というものは、労使折半の保険料それから国庫負担により賄われておるわけでございますが、改正案では、高年齢雇用継続給付に係る国庫負担の割合というものを、本来の負担額の五五%に引き下げるということにしております。このような改正については、国の雇用対策に関する責任放棄ではないのかなというふうに思うわけですけれども、このような改正に至った経緯と理由、これを大臣、お答えいただけますか。

柳澤国務大臣 この経緯と申しますのは、行政改革推進法で、国庫負担については検討しろ、こういうことが一つございました。それから、先ほど申した現在の雇用保険財政の状況、これもございます。それから、過去の国庫負担率の縮減の実績、こういったものもございまして、将来を見据えて、こうした暫定措置によって国庫負担の率を現在から縮減いたしましても、雇用保険制度の安定的運営にすぐに支障が出るというものではない、これを確保できる、こういうこと等を踏まえまして、当分の間、本来の負担額を引き下げることといたしたものでございます。

 もとより、失業は政府の経済政策、雇用対策と無縁ではなくて、政府がその責任の一端を担うべきものであるという考え方は、これは全く変更するものではございません。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

糸川委員 今の答弁にもございましたけれども、今般の財政状況を踏まえて国庫負担というものを暫定的に引き下げるんだということでございますが、国の雇用対策に関する責任の考え方というのは変わらないんだということでございますけれども、では、今後、雇用失業情勢というものが厳しくなって、受給者の急増により雇用保険財政というものが悪化した場合、国庫負担をこれはもとに戻すのか、それとも雇用保険料率の引き上げで対応するのか、厚生労働大臣の考えをお聞きしたいなと。

 また、財政制度等審議会などの財政当局は、国庫負担の全廃を念頭に雇用保険制度の改革というものを求めておるわけです。厳しい国の財政状況というものが続いていけば、さらなる国庫負担の引き下げや全廃だというような事態も考えられるわけですけれども、このような事態となった場合、厚生労働省としてどのような対応をするのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

柳澤国務大臣 まず第一に、雇用保険財政が景況等あるいは失業情勢によって悪化した場合にどうするつもりであるかという問題でございますけれども、これは、今回の雇用保険料率にかかわる弾力料率、この制度を適切に運営いたしまして、これはマイナス〇・四ということだけを決めているわけではなくて、プラス〇・四ということもございますので、そうした制度を活用して適切に雇用保険を運営していく考え方でございます。

 また、国の厳しい財政事情を反映して財政審等がその撤廃を求めてきた時点ではどうするのか、こういうことでございますけれども、私どもといたしましては、これはもう先ほど来たびたび申し上げておりますとおり、雇用情勢というものは、やはり国の経済政策によって規定されてくるという面もこれは否定できないわけでございまして、その意味では、国が一定の責任を負う、こういうことは申すまでもないわけでございますので、私どもは、そのような基本的な考え方に立って、そういう事態に対応していくということになろうと思います。

糸川委員 国もある程度の責任を持つということですけれども、その辺、では、しっかりとその責任をとれるのかどうか、今後、これは質問にしないで、また考えさせていただきたいと思います。

 次に、雇用保険三事業についてお尋ねをしたいと思います。

 雇用保険三事業につきましては、失業保険制度から雇用保険制度に切りかわる昭和五十年に新たに設けられた制度でございました。雇用保険三事業の見直し、これは、外部の事業主団体の方に参加いただいてかなり徹底的に行われたというふうに聞いておりますが、その結果、雇用福祉事業の廃止、こういうものが提案されております。

 今回の見直しによりまして、まず、雇用保険の三事業全体で、十九年度予算でどのくらいの削減を図られたのか、また、引き続き行うこととしている雇用保険二事業につきまして今後どうするのか、継続的に見直していくのか、大臣、御所見をお伺いしたいと思います。

柳澤国務大臣 このたびの平成十九年度予算案におきまして、三事業についての予算でございますが、対前年度予算比で六百四億円、率にいたしまして一四・五%の削減を図りました。その結果、現在の予算額は全体で三千五百六十三億となっているところでございます。

 今後の残された雇用安定事業及び能力開発事業でございますが、これは、今回の見直しにとどまらず、今後とも引き続き、PDCAサイクルによりまして目標管理を徹底する等により、継続的に評価あるいは見直しというものを実施していかなければならない、このように考えております。

糸川委員 今回の改正案では、一般被保険者の基本手当の受給資格要件につきまして、特定受給資格者については、離職日以前一年間に被保険者期間が通算して六カ月以上であることとしておりまして、それ以外の者については、離職日以前二年間に被保険者期間が通算して十二カ月以上であるということとしております。

 離職理由によって基本手当の受給要件に差を新たに設けることによって、自己都合離職者というものは受給資格要件である被保険者期間が六カ月から十二カ月に延長されるわけですが、このような離職者にとっては、今回の法改正というのは給付の抑制策ではないのかなというような疑問も生じるわけです。

 そこで、今回このように離職理由によって基本手当の受給要件に差を新たに設けた理由、これを大臣、見解をお伺いできますでしょうか。

柳澤国務大臣 循環的な給付や安易な離職を防ぐということがこの雇用保険の運用上極めて重要であるということが一方ございますし、また他方、解雇、倒産等労働者が予見できない失業といったものについては、これはもうしっかりした配慮を確保する必要がある、こういうことが制度の全体として私ども考えなければならないことである、こういうことであろうと思うわけでございます。

 そういう意味合いから、今回、そういったことを軸として受給資格要件を統一することにいたしたわけでございまして、統一はいたしましたけれども、やはり、今言った基本の考え方からして、解雇、倒産等による離職者については被保険者期間は六カ月以上でよろしい、ただ、自己都合離職者等については被保険者期間が逆に十二カ月以上になるということで、いわば切り分けの基準を変えた、より雇用保険としてのふさわしい条件、受給資格要件を整えたというふうに考えるところでございます。

糸川委員 大臣、受給者にとって厳しい改正内容、こういうものについてはきめ細やかな説明それから周知徹底というものが行われなきゃいけない。実際、まだ行われていないと思うわけですよ。その辺をしっかりと取り組んでいただかないと、国がどこかで責任をとるとかとおっしゃられても、なかなか実態に合わないかもしれませんので、大臣、その辺、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 次に、もう余り時間がないようですので、まだ聞きたいことがたくさんありまして、これも大臣にお尋ねしたいんですが、労災保険で行っている労働福祉事業についてですけれども、労働福祉事業の見直しについても、雇用保険三事業と同じく行政改革推進法において廃止を含めた見直しを行う、こういうことを踏まえてのものだというふうに聞いておりますけれども、これはどのような見直しなのか、お答えいただけますか。

柳澤国務大臣 労働福祉事業でございますけれども、これは今委員御指摘のように、行政改革推進法を踏まえまして今回改正をいたしているわけでございますが、基本をしっかり、原点に戻ろうということですか、労災保険給付を補完し、保険給付と一体的に運営される事業及び労働災害の防止等保険給付事業の健全な運営を確保するための事業、こういったものに限定していくことが適切と考えたわけでございます。この方針に基づきまして、既存の個別の事業を見直しまして、労働条件確保事業を廃止するとともに、労働福祉事業の事業名を社会復帰促進等事業に変更することといたしたわけでございます。

 しかしながら、先ほど来のお話にありますように、必要な措置については、労働条件確保事業というものの中にありましたものも、これをまた再編成して、しっかり維持していくという考え方をとっているわけでございます。

糸川委員 今、労働条件確保事業については廃止するとのことでございますが、その労働福祉事業の見直し全体として、財政的には実際どのような効果があるのか。

 労働福祉事業は、全額事業主負担の保険料で賄われている事業です。景気が幾ら回復基調にあるといっても、中小企業にとってはまだまだこれは苦しい状況なわけですから、今回のこの見直しも、このような中小の事業主にとって目に見える成果がなければ意味がないわけです。

 雇用保険の三事業については今回見直しを行って、雇用保険料率も引き下げる、こういうようなこととされていますけれども、それと比較して、労働福祉事業の今回の見直しは甘いのではないかというふうに思いますが、御見解をお伺いできますでしょうか。

松野大臣政務官 労働福祉事業につきましては、平成二年度以降、保険料負担者である使用者の代表にお集まりをいただき、定期的に意見交換を行いながら、個々の事業について毎年度精査を行い、これまでも見直しを行ってきたところであります。

 今回の法改正は、保険給付の補完、労働災害の防止等の労災保険事業にふさわしいものに限定すべく、労働条件確保事業を廃止する等のさらなる徹底した見直しを行うものであり、平成十九年度予算においては、前年度比で約一〇%減の九百九十九億円となっております。また、保険料率については、原則として三年ごとに改定を行っておりますが、平成元年度以降、一貫して引き下げ、平成十八年度にも引き下げを行ったところであります。

 労働福祉事業につきましては、今後徹底した見直しを継続して実施してまいるつもりでございます。

糸川委員 もう質問する時間がございませんので、本当は船員保険制度の体系的な見直しについてお尋ねしようと思っておりましたけれども、これは、船員保険制度の体系的な見直し、すなわち労災保険、雇用保険への統合という改正内容が今回盛り込まれておるわけですが、大臣、このような大きな制度改正というのを、日切れ扱いで本法案で実施しようとすることに、やはり若干疑問があるということを御理解いただいた上で、しっかりと取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 終わります。

櫻田委員長 この際、休憩いたします。

    午後一時五十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時二十分開議

櫻田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大島敦君。

大島(敦)委員 大島です。きょうは、これから一時間、柳澤大臣に質問をさせていただきます。

 今回の国会についてなんですけれども、私は、財務金融委員会と総務委員会、特に所得税法そして法人税法、税に関する法律が、審議が例年の多分五分の一から十分の一ぐらいで強行採決されたことに対して危惧をしております。もともと、国会の機能というのは、教科書的になるとは思うんですけれども、合意形成を丁寧に積み重ねることによって一定の国家権力を抑えていくというのが国会の機能であると思っておりまして、その中でも、税法の議論がその中核になると思っております。

 選挙がありますから、国民の一定の政策に対する不満というのは、選挙のたびに選挙の結果として出ると思っております。ただ、選挙後、次の選挙までの期間の国会の運営の中で、特に税法に関して丁寧な議論が行われなかったことは、これはややもすると、過去の歴史においては、テロリズム等のそういうリスクをこれから私たちの国が負うようなトリガーにならなければいいなという懸念をしておりまして、したがいまして、今回の、質問通告をしないとか、あるいは職権で立てた場合には私どもも一定の対応をとらせていただいているということは、理解をしていただきたいなと考えております。

 まず、きょうは各論からいきたいなと思っておりまして、教育訓練給付なんですけれども、教育訓練給付の中で、「厚生労働大臣指定教育訓練講座一覧」という小冊子を見ますと、この中にさまざまな講座があります。例えば「田辺由美の通信講座」というのがありまして、この講座が十万八千六百七十五円の通信講座なんですよ。

 どういう講座かなと思って見ますと、まずこういう講座を大臣は知らないかと思いますので、若干説明させていただくと、ワインアンドワインカルチャーという教育訓練の内容だと伺っておりまして、教育訓練として、教育訓練給付というのは、労使、それぞれ半分ずつ出した雇用保険の中から教育訓練給付が出ているかと思います。その中で、例えばこの「田辺由美の通信講座」、ワインアンドワインカルチャーという講座が本当にその職業訓練に資するものなのかどうか、大臣の率直な御判断をお聞かせいただければありがたいんですけれども。

柳澤国務大臣 ソムリエとして自分の職業を将来において考えているというような方がいらっしゃるとすれば、それはまたそういうことで意味があるという位置づけもできようかと思います。

大島(敦)委員 大臣の今の答弁は、本当にそう思われているかどうか。国の施策ですから、大臣が国の施策に対して守りたいという気持ちはよくわかるんですけれども、ソムリエの資格を取ることに対して労使の半分半分の雇用保険の保険料が投入されているということに対して、それが本当にその方のその後の人生にプラスになるのか、あるいは、特別会計の使われ方として正しいのかどうかということを、もう一度お聞かせいただければ幸いです。

柳澤国務大臣 私の周囲にも、ソムリエを志して、実際にソムリエになった方がいらっしゃいます。その人は、かなり大きいリゾートにもともと勤めておりましたけれども、志を立てて独立をしまして、今はワインの専門の飲食店をしているというようなことも、実例として私、知っております。

 ただ、それがこういう教育訓練給付が予定しているものかどうかということからの御質問でございますけれども、私は、いろいろな、多様な生き方を、あるいは職業を選択することを進めるという意味では、それもまた一つの意義があるということも、そういう見方も全く不可能ではない、このように考えるところです。

大島(敦)委員 今のはソムリエだったんですけれども、まあ、全部が全部このような資格ではなくて、そのほか、ISOの審査員の研修とか、私が自分のビジネスの経験から、それほど不適切じゃないなというのも、おおむね、大体不適切じゃないんですけれども。

 中には、先ほどのソムリエのほかに、着物プロ養成コース、入学金が一万五百円で、二十二万六千六百五十円のものがあったり、例えば、これも必要なのかもしれない、語学だと、前は、英会話については簡単なもの、初級講座もあったと伺っているんですけれども、最近は、英会話についてはある程度のレベル以上でないと認めないということになっております。

 では、英語がどうかというと、例えばほかの講座の中に、フランス語会話総合コースとかドイツ語会話総合コースというのがありまして、通信制で四万九千八百円だそうなんですよ。フランス語とかドイツ語は、御承知のとおり、そんなにすぐにはうまくならない言語で、ビジネスにすぐ使えるかというと、そんなにビジネスに直結しているとは思えない。教養の一つとして、フランス語とか中国語ができることは非常にいいかと思うんです。

 このような通信教育なんですけれども、そこに雇用保険の会計の中から出すことが適切なのかどうかについて、もう一度大臣としての率直な感想をいただければ幸いです。

柳澤国務大臣 この教育訓練給付制度でございますけれども、これは、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として厚生労働大臣が指定するというふうに、対象講座については決められているところでございます。

 こうした法律の趣旨を踏まえまして、これまでも、基礎的、入門的水準の講座を除外する、あるいは、公的職業資格等の取得を訓練目標として、訓練目標が明確である、そして、訓練効果の客観的な測定が可能である講座ということに、講座指定の厳格化を図ってきているところでございます。

 いろいろと例を挙げられたわけですけれども、このような考え方に基づいて指定されているところでございまして、法律の趣旨にかなったものになっているというふうに考えているところでございます。

大島(敦)委員 私は、すべての講座に対して疑問を持っているわけではなくて、今国が指定している講座をざっと見ると、自分の十九年間の会社員の経験から見て、これはちょっと雇用保険の会計から出すにはふさわしくないかな、あるいは、自分もドイツに駐在していたものですから、ドイツ語会話総合コース、非常に教養としてはありがたいし、皆さんがドイツ語ができればいいとは思うんです。

 ただ、これが直結してビジネスにつながっていくとか、あるいは、会社で面接をされたときに本当に評価されるのかどうかというのは非常に疑問だと僕は思っておりまして、多分、大臣もそのようなことを思っていらっしゃると思うんですけれども、大臣の素直な、率直な御感想をもう一回伺わせていただければ幸いです。

柳澤国務大臣 大島委員は会社員をお勤めになられ、また外国にも駐在になられたという御経験から、非常に成熟したビジネスマンの立場からの御指摘だというふうに承りました。

 しかしまた、最近の若者、あるいはまた実際の会社に現に就職されている方々というのは、非常にいろいろなことをお考えになっていらっしゃるということもまた事実だろうと思うわけでございまして、そういう多様な、職業の選択と申しますか、職業の構築と申しますか、そういったことを考えますときに、今私が申した基本的な枠組み、目標管理ができるとか、余りにも入門的、趣味的なものは除外するとかということのスクリーニングを経たそういう講座というものについては、ある程度これを認めていくというようなことも必要かと思いますが、要は、ケース・バイ・ケースの判断が的確に行われなければならないということについては、委員に賛同するところでございます。

大島(敦)委員 講座については最後の質問にしたいと思うんですけれども、その中で、運転免許及び建設機械資格取得講座とか、あるいは、ずっと見ますと、優良ドライバー養成講座とか、どちらかといえば自動車学校が指定をされて講座を受け付けているものもあります。普通免許ではなくて、これがフォークリフトとかあるいは玉掛けの訓練とか、特殊な車両の運転でしたら私もいいかなとは思うんですけれども、一般的な自動車教習に、それをプラスアルファ、フォークリフト等の一定の資格を得ることでこういう講座がもしも開設されたとすれば、これはちょっとバランスが、普通の人は自分の所得の中から受けられるものですから、少し疑問があるなとは思うんです。

 その点について、自分もまだ細かくは検討していないものですから、もしも普通免許であれば、その自動車学校を国が指定をするんじゃなくて、すべての自動車学校を逆にオープンにした方がフェアだと思うところもあるんです。ですから、ちょっとその点について大臣として今教えていただければなと思いますので、よろしくお願いします。

柳澤国務大臣 確かに、自動車の教習所があって、そこに行っている生徒の立場にある者がみんなこの教育訓練給付のもとで行われるというようなことは考えにくいことでございます。そういうことからいたしますと、やはり、相当に職業と、あるいは仕事と言ってもいいと思うんですが、仕事と直結したような、そういう自動車の訓練ということでないとなかなかこれはバランス上認めにくいんじゃないかという委員の御指摘は、私もそのとおりだ、このように考えます。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 教育訓練給付は恐らく善意でできた制度だと思うんです。やはり、教育訓練は、前は会社が相当な社員の教育訓練を行うことによって、入社してから三年間は余り使い物にならず、いろいろなオン・ザ・ジョブ・トレーニングを経て、徐々に一人前の会社員として完成、会社が相当面倒を見た。自分も相当会社にお世話になって、育てていただいたものです。日本のよき伝統が最近大分薄れてきたために、教育訓練給付という形で、労働者、従業員みずからが自分の職業能力を伸ばしていこうという時代に入ったということはそのとおりかとは思っております。

 しかしながら、そこには、会社、産業界が求める職業能力と、労働者あるいは従業員の皆さんが考えている職業能力は相当開きがあるなという実感を、この講座を見て思うわけなんです。ですから、本当に必要な講座、産業界あるいは仕事をしてもらいたい側が求める能力がしっかり確定しているんでしたら、今回のように四割から二割に下げる必要は僕はないと思うんです。それは四割でもいいし、かつての八割に戻してもいいかもしれないなと思っているんです、それが的確な職業訓練であれば。

 ただ、今の教育訓練給付の歴史を見ていると、八割、四割、二割ということになっていて、余り賢くないなと思うんですよ。どうして八割から四割、四割から二割になったのかが明確ではないところが非常にあると僕は思うんです。国としての職業教育に関して、こうあってほしいと思う意思が足りない感じがするんですけれども、その点について、大臣の御所見を伺わせてください。

柳澤国務大臣 教育訓練給付については、今度のような給付率を落とすことではなくて、むしろ厚くすることによって、まさに必要とされる職業能力というものを向上させるように、そうしたいわば間口はかなり厳格にしてみたらどうか、そういう方法が、その方がよろしいんじゃないかという問題提起でございますけれども、私どもといたしましても、先ほど来申し上げておりますとおり、基礎的、入門的レベルの講座は排除する等、指定の基準の見直しは行っているところでございます。

 そういうことで、せっかくの御提案ではありますが、今ここで、すぐにということはなかなか言いがたいわけでございまして、今回の制度改正の効果の検証、こういうことを行うことによって、必要に応じてそのあり方についても再検討を将来加えていくということであろうと考えます。

大島(敦)委員 教育訓練給付について、今回の法律が出てきたときの私の感想は、厚生労働省としてしっかりとした仕事をしてほしかったなというのが私の感想なんです。教育訓練給付をやめてもいいかもしれないなと思っているんです。中途半端に四割から二割に下げるよりも、やめてしまって、もう一度ゼロに振り返って、新しい仕組みをつくる時代に入っているのかなと思っているんです。

 ですから、私が過去の四割、八割に戻していいというのは、しっかりとした教育であれば私は必要だと考えております。

 これはなぜかというと、今回、たまには褒めることもありまして、「人口減少下における雇用・労働政策の課題」という二〇〇五年七月の雇用政策研究会の研究レポートは、非常によくできているレポートだと私は考えています。ここに書いてある内容というのは、自分が営業のときによく使っていたトークでして、私は、一九九五年から二〇〇〇年まで保険のセールスマンをしていた時代に、中小企業の経営者の方とお話しするときに、よく人口統計と、あと生産年齢人口の統計を使いながらいろいろな話をしていました。当時、経営者の方で、将来的には労働力の需給がタイトになるということに気づかれていて、従業員の入れかえをしていた経営者の方がいらっしゃいまして、できるだけ優秀な人を採りたいということに十年前に気づいて、ちゃんと手を打っている経営者の方がいらっしゃったのも事実なんです。

 ですから、今回の教育訓練給付の歴史は、一九九七年から徐々に正社員が減ってくる過程、これは、一九九〇年代の景気の後退期と、あと団塊の世代が非常に多かった時代に、相当努力、そのときのミスマッチを解消するために、ここにいらっしゃる坂口元厚生労働大臣が大分御苦労をされたとは思うんですけれども、そのリセッションのときの政策なんですよ。中高年の雇用のミスマッチを解消するために、さまざまな手だてのメニューの一つとして教育訓練給付というのをつくり、それで中高年の方に新しい能力をつけていただいて、リストラされたとしても次の職場にということが、一つの時代の使命でもあったのかなとは思うんです。

 だから、今回の改正で教育訓練給付をただ四割から二割に減らすのではなくて、本来、仕事をするとすれば、やめるか、あるいはまた違った制度をつくるかというのが私は国の役目だと思うんです。その点についてちょっと大臣から、本当に今回の教育訓練給付のあり方でいいかどうかについて、もう一度御答弁いただければ幸いなんですけれども。

 あと、その前段として、ここ十年間の大臣が見ていらっしゃる日本の雇用の実態について、大臣の御所見をまずお聞かせいただいてから、今回の教育訓練給付の見直しについての御所見を伺わせてください。

柳澤国務大臣 今大島委員から、この教育訓練給付制度の沿革というものについて御指摘をいただきました。本当に、失われた十年ないし十五年ということの中で、労働市場も大変厳しい状況になって、ミスマッチも起こりましたし、全体的な雇用の需要というものも非常に下がってきたわけでございます。

 そういう中で、坂口大臣のお名前も出していただいたわけですけれども、当時の坂口大臣、大変御苦労になられて、こうした制度の拡充に努められたということを伺いまして、日ごろからそう思っておりますけれども、改めて敬意を感じた次第でございます。

 私が今の労働市場をどう見ているかということでございますけれども、先ほどもお話を少しさせていただきましたけれども、私は、かなり日本の労働市場というものも、いろいろな知識だとかあるいは技能といったような面で、従来以上に高度なレベルのものが全体として要求されているということは非常に強く感じているわけでございます。

 そういう中で、これから必要なことというのは、就労の支援ということはもちろん大事なんだけれども、それと同時に、職業能力の開発ということが、あるいは向上ということが非常に今求められているということを考えるわけでございます。

 ただ、もう一つは、起業というかそういうことも、雇用以外の働き方として、自分自身が自営をするというようなことも同時に求められていることでございまして、この教育訓練給付の中で、これを利用するものの中にはそういったことも念頭に置いてこれを活用するということもあるんだろう、このように思います。それもあながち否定されるべきではない、このように考えるわけでございまして、いずれにせよ、教育訓練あるいは職業能力の向上というものが非常に強く求められている、こういうように考えておるわけでございます。

 そういう中で、今回の見直しをおまえはどう考えるのか、こういう御質問であろうと思いますけれども、私は、実は、職業能力の向上というものについて、厚生労働省の施策についていろいろなところで職業能力の向上という施策が出てまいりますので、一覧表をつくらせたわけでございます。そういうことをして、いろいろためつすがめつ比較をして見ているわけです。

 今委員が言われるように、そういうものを整理して、もっと一つ一つが強力なものになるようにしたらどうか、こういう御示唆かとも思いますけれども、いろいろな経緯でいろいろな制度ができて、それぞれに意味を持っているということも考えておりまして、先ほどの答えと最終的には同じになるわけでございますが、今度の改革につきましても、この改革をぜひ成就させていただいて、その成果が一体どういうふうになるのかといったことを検証して、必要とあらばまた見直していく、こういうことで今私は臨んでいるわけでございます。

大島(敦)委員 多分、労働行政というのは受け身の立場が強いと思うんです。一番の雇用対策は景気回復でして、ですから、職業能力をどうやってつけるかというのはなかなか難しいんだと思うんですよ。

 大臣がおっしゃった高度な能力が求められるというのは、今、通説のように皆さん話されるんだけれども、本当に会社の中で高度な能力というのが求められるのかということを皆さん考えてほしいんです。

 自分は、会社員としてそんなに難しい仕事はなかったと思っている。朝しっかりと九時に来ること、集中力を五時まで、六時まで持って、プラス残業するということ、そんなに高度な知識とかレベルというのは求められないですよ。

 これは高度な技術、高度な能力を求められるから、能力を持っていない人は安い賃金でいいという、非常に今そのような見方をされているわけです。それは、例えば中国との関係で、中国の労働賃金が非常に安いから日本の低賃金労働は中国に収れんしていく、確かに理屈はそうかもしれない。でも、会社の中でそんなに難しい仕事というのはあるんですか。そんなにないはずですよ、会社の中で。それは経営側が言っている。

 僕はサラリーマンの立場からいうと、一九九五年からのリストラが始まって相当皆さん苦労したわけですよ。苦労したというのは、希望退職を募り、多くの方が、団塊の世代がやめられて、かつ、賃金も定昇も落とし、ボーナスも返上し、相当な努力をして一九九〇年代を乗り切ったわけですよ、日本の会社というのは。ここに来て今会社側が非常にもうかっていることと、今大臣がおっしゃった、より能力のある人がより高い賃金をもらうということ、余り能力のない方は賃金を上げなくてもいいという考え方が通説のように思われているんだけれども、僕は違うと思う。

 それは、サラリーマンから見ると、一九九〇年代、経済誌と経済新聞を読みながら皆さん会社に通われるわけですよ。そこの新聞の中には何が書いてあるかというと、リストラが正しいと書いてあるわけですよ。それで会社に行ったときに経営側から、あなた、やめてくれよと肩たたきに遭ったときに、そうかなと思ってしまって一言も言えないこの日本のサラリーマンの弱さをやはり考えてもらわないと困るなと思う。そこを割り切ってしまうと、非常に冷たい政策になっていくんです。

 だから、僕は、今回の日興コーディアル、聞いたところによると、社長の年収が三億円ですか。日本の会社というのは従業員の中から選ばれて役員になるわけですよ。皆さんの協力を得て役員とか社長になっていくんだから、やはり新入社員の十倍ぐらいが社長とか役員の適度な給与かなと僕は思う。そういうよき伝統というのが私たちの社会の中で失われているということが、僕は今非常に危険だなと思っているんです。ですから、より能力がある方、そんなに能力というのは差があるのかどうかなんですよ。

 大臣がおっしゃっていた、ホワイトカラーエグゼンプションのときに能力評価の話をされておりました。本当に会社の中で正しい能力評価があるんですか。いろいろな仕事の仕方があるわけですよ。メーカーの仕事の仕方、商社の仕事の仕方、保険の外交員の仕事の仕方。いろいろな仕事の仕方があって、保険の外務員のフルコミッションの方は能力評価ですよ、売り上げに応じて給与が連動しますから。メーカーというのは余り能力評価がなじまないところでもあるわけですよ。技術者の方もいれば研究者の方もいる。現場、要は作業系の、一生懸命働いてくれる、改善活動、JK、QC、TPM活動をしている方がいる。そして、事務系の営業マンがいる。みんなチームとして活動をしているからそんなに給与差はつけないというのが、要は日本のこれまでの企業の伝統だった。そういう働き方。

 ですから、能力に見合った給与をつけようということを、そうかもしれないけれども、それが正しいというのは余り、ちょっと疑問を抱いてほしいなと私は大臣に思うんですよ。ちょっと気になったものですから。

 それで、ちょっと話は戻しまして、今回の教育訓練給付で何ゆえに四割を二割に下げたかという理屈が欲しいんです。前は八割から四割に下げて、今回二割に下げたその理屈をお願いします。

柳澤国務大臣 教育訓練給付につきましては、失業予防や早期の再就職等雇用安定に一定程度の効果があると考えられるわけでございますが、委員御承知のとおり、給付水準は二通りあるわけでございますけれども、この給付水準の違いによりまして給付の利用率に差がないということがございました。したがいまして、費用対効果の観点から、給付率を一律に二割、上限十万円に統一することにいたしたわけでございます。

 今回の改正におきましては、この給付率の改正のほか、講座指定の一層の見直し、それから教育訓練機関が不正給付にかかわった場合には受給者と連帯して返納、納付命令に応じさせることとする、こういった見直しを同時に行っておりまして、給付の一層の適正化も図ることといたしているところでございます。

大島(敦)委員 今の中でまだよく理解できないんですけれども、何ゆえに四割から二割だということなんですよ。要は、何で二割なのかと。切りのいい数字だから半分に、八割から四割、四割から二割にしたというのではなくて、理屈が私は必要だと思っておりまして、よくこの場でエビデンスと言われているものなんですが、その理屈をちょっとお聞かせいただければ幸いです。

柳澤国務大臣 先ほど申し上げたこと、つまり、給付の利用率が余り変わらないということから、加えて不正な給付を防止するというようなことで、今回、一律にすることによってそうした誘因をなくすというようなこと、この二点が今回改正の理由として挙げられるかと思います。

大島(敦)委員 申しわけないんですけれども、四割から二割に下げたわけでして、一割じゃなかったわけですよ、三割でもなかったわけですよ。四から二に下げる理由が、えいやで二割にしたのか、それなりの理屈が僕は必要かなと思う。

 給付率というのは、それは一割でも給付率はよかったはずなんで、あるいは三割でもよかったかもしれないので、なぜゆえに二割かというところの何ゆえにというところを、数字をもって語っていただけると非常にありがたいんです。

武見副大臣 この点については、従来、被保険者であった期間五年以上が四割、そして上限が二十万円、それから三年以上五年未満が二割で上限が十万円だった、今回はそれを三年以上五年未満という条件に一律にそろえるという、その考え方で二割になった、こういう経緯であります。

大島(敦)委員 そうすると、先ほどの五年以上の四割のところに関しては余り意味がなかった、そういうことでよろしいんですか。

武見副大臣 従来、これは八割であったわけですね。その八割であったときに、委員もよく御案内のとおり、不正の問題等が起きて、そして、むしろ抑止するという観点からこれを四割にした、こういう経緯であったわけであります。

 今回、改めてこうした状況下において、さらにこれを、従来の二割で三年というふうに二つの枠組みがあったものを、むしろ、この際だから統一しておこうということで二割で統一をしたという考え方であります。

大島(敦)委員 余りその根拠が感じられないんですけれども。現行だと、五年というのと三年から五年、四割と二割があって二割に落としたとしか聞こえなくて、それでどうして何ゆえに二割で、教育訓練給付の予算としては多分百億円を超えるかと思うんですけれども、その予算が支払われているわけですから、その何ゆえにかというところが。

 あともう一つちょっと伺いたい、多分数字を持っていらっしゃると思う。やはり百億円の予算で、これまでに給付した総トータルの金額を教えていただければありがたいんですが。総トータル、多分三千億円弱ぐらいと記憶しているんですけれども、総トータル幾らぐらい教育訓練給付で我が国の雇用保険財政から出ていって、ことしは幾らぐらいかと。その金額について、ちょっと教えていただければ助かります。

武見副大臣 今すぐ総額というのを出すのはちょっと難しいんですが、平成十八年度の予算の中では、二百三十八億円という数字になっております。

大島(敦)委員 二百億円を超える金額を出す根拠として、二割というと、どちらかといえば教育訓練よりも趣味的な講座の、要はプラスのお金かなと思うんですよ。国としての意思が入るというのは、やはり四割ぐらいが国としての意思が入ると思う、これも非常に定性的なんですけれども。

 ただ、その二割の根拠というのが、どうして二割なのかというのがよくわからないので、そこだけもう一度教えていただければ幸いです。

武見副大臣 申しわけございません。総トータルの数字が出てきたので、申し上げます。

 二千八百十五億円でございます。

大島(敦)委員 ですから、もう一回副大臣あるいは大臣に御答弁していただきたいんですけれども、四割から二割の根拠というのが、これまで四割と二割があって、使い勝手が余りよくないから二割に統一したというふうに聞こえるんですけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。

武見副大臣 御指摘のとおりであります。

大島(敦)委員 御指摘のとおりということなんですけれども、そうすると、その二割の根拠が余り理屈に基づいた根拠とは言いがたいなと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

武見副大臣 少なくとも、二割で、今の条件のもとで活用されてきたニーズというのは確実にあるわけでございまして、そのニーズに対してより効果的に対応できるというメリットは確実にあるだろうと思います。

大島(敦)委員 ちょっと論点を変えまして、教育訓練給付の平成十七年度の実績をいただきました。どの教育機関に対してどのくらいの金額を支払っているのかと。

 私、これまで、前の改正のときにも大分苦労して資料を出していただいたのですが、さすがに今回は皆さん用意してありまして、一番の会社がNOVA、二番目がニチイ学館、三番目が日建学院、四番目がヒューマンアカデミー、五番目がPCライフパートナーアビバ、六番目がGabaマンツーマン英会話、七番目が総合資格学院、八番目がLEC東京リーガルマインド、九番目が株式会社イーオン・イースト・ジャパン、十番目がTACとなっておりまして、大体、一番多い会社で八億三千万ぐらい、十番目の会社でも三億五千万ぐらいを出しております。

 これは、多分毎年このくらいの金額が出されているかと、過去はもっと多かったと思うんですけれども、この上位十番の中で最近新聞をにぎわわせている会社が何社かあるかと思うんですけれども、その点について大臣は存じ上げていらっしゃいますでしょうか。

松野大臣政務官 教育訓練給付につきましては、他の失業給付に比して不正受給の比率が高い状況にあるという指摘もいただいております。

 事例の中には、教育訓練機関が受講者に対し偽りの修了証明書等を発行することにより不正受給を行わせるなど、組織的かつ大規模な不正受給の事案も見られるところであります。

大島(敦)委員 今述べた十社、十教育機関の中で、ことしに入ってから大きく新聞等に取り上げられている会社がありまして、十社中何社ぐらいあるのか御存じでしょうか。

松野大臣政務官 上位十社の中では、NOVAが消費者保護上の問題があるという点、また日建学院が指定講座を持つ大手でありますけれども、指定取り消しになったという件が上げられております。

大島(敦)委員 一社漏れていました。LECなんです。この間、特区大学の初の改善勧告ということで、文部科学省が発動した会社が八番目に入っております。

 大臣、上位十教育機関のうち、あるいは十社のうち三社が、例えばNOVAに関しては、国民生活センターと各地の消費生活センターの苦情相談がありまして、外国語、英会話に対する苦情相談、例えば二〇〇六年、八百三十四件中二百五十一件がNOVAなんですよ。外国語、英会話の苦情件数の大体三分の一から四分の一がNOVAだと思ってください。

 もう一つは、日建学院についても、これも非常に悪質かなと思いまして、これも多分取り消されていると思うんです。これが一番目と三番目の会社。八番目の会社、LEC東京リーガルマインド、これについては、今回文科省からの改善勧告が発動されたということで、僕は、おかしい感じがするんですけれども。

 皆さんの雇用保険の保険料を使うには、ちょっとおかしくありませんか。十社のうち三社が大きく新聞報道されているようなところに教育訓練給付を出していいんでしょうか。

松野大臣政務官 御指摘の株式会社NOVAが、特定商取引法違反の疑いなどで経済産業省による立入検査を受けていたことについては、承知をしております。本件に係る対応としては、現在、経済産業省において検討中とお聞きをしております。

 教育訓練給付の支給対象となる教育訓練の指定基準では、教育訓練を実施する者が著しく不適当でない者であることを要件としているところでありまして、今後、経済産業省における処分が決定し、当該基準に適合しない等の事実関係が明らかになれば、処分の内容に応じて厳正に対処をしてまいりたいと考えております。

大島(敦)委員 政治家としての答弁を聞いているんだ、政治家としての答弁を。そんなの官僚答弁じゃないか。あなたの意思はどうなの。十社中三社が世間を騒がせているところに皆さんの雇用保険財政が入っていいと思っているの、不思議に思わないの、不思議に思わないんだ。これはやはりおかしいと思わないですか。

 ですから、教育訓練給付のあり方が僕は問われていると思っているんですよ。本当に必要じゃないかもしれないなと思っている。そこまで検証しているんですか、今回は、政務官に聞くけれども。そこまで検証しましたか、今回。

松野大臣政務官 NOVAの例にのっとりますと、現在、事実関係に関しては、経済産業省が検討中でございますから……

大島(敦)委員 検討中はいいんだ。検討中はいいんですよ。

 柳澤大臣に伺いたいと思うんですけれども、検討中はいいと思う。ただ、国の意思として、厚生労働行政を預かる大臣のお立場として、十社中三社が、どうも品がないと言っては失礼なんですけれども問題を起こしているというのは、例えば今NOVAに関するのは、消費者、これとともに結構問題がありまして、経営陣として、講師の方が大麻を密売して逮捕されちゃったとか、こういうことも非常にあるわけですよ、調べてみると。

 それに対して、去年ですか、これに関して朝日新聞のインタビュー記事で、これはNOVAの社長さんだと思うんですけれども、講師の質の低下を指摘する声もありますということに対して、これは新聞報道ですから正しく答えていると思うんです。NOVAは世界各地の採用オフィスで年間十万人を面接し、採用は三千人だけ、三日間しかトレーニングをしないケースがあり批判も受けるが、その程度の研修で済む優秀な人材しか採用していないということだと答えているわけですよ。これは新聞報道でしっかりと多分答えている内容だと思うので、そのままこの場で述べさせていただくんですけれども。

 要は、教育機関としてちゃんと襟を正して、しっかりとした生徒の教育なり、あるいは新しい職業能力を身につけたい方が自分のお金とあるいは雇用保険からのお金を充当して勉強するというときに、ちょっと、上位の十社のうち三社が、このような会社が多いというのは僕は何となく違和感を感じるんですけれども、感じませんか。

柳澤国務大臣 講座の指定をするというときに、指定の条件というか、どういうものを要件として指定をするかということにかかわると思います。その要件をまた一つ一つクリアしていく場合の認識というか認定というか、そういうことともかかわると思うんです。

 まず、概括的に言えば、非常に残念なことで遺憾だ、こういうように思いますけれども、しからば、その指定の条件として、そうしたいわば経営の中身にまで立ち入ったことを調査し、そしてその指定を行うというようなシステムまで本当に必要なのかどうか、ここのところは非常に悩ましい問題かと思います。

 現実に、例えば語学の研修機関としてしっかりマーケットの中で存在している場合に、教育訓練の機関としての指定をそのところでどう判断をしていくか、こういうことだろうと思いますけれども、全く実質的な、あるいは経営者の姿勢だとかそういったようなことまで立ち入ってこの要件を考えておけ、こうおっしゃるんだとすると、検討はしてみますけれども、なかなか難しい問題かというふうにも思うわけでございます。

大島(敦)委員 十五分までということですので、大臣、大臣の答弁としてはそこまでだと思うんですよ。ただ、十社中三社、上位の大きな会社の三つがこのような事件を起こしているということは僕は余り芳しくないなと思っているんです。

 要は、教育訓練給付が逆の目的、企業の営利目的に使われている。そのようなマーケティングをして、そのような勧誘をしているおそれもあるかもしれない。

 ですから、教育訓練給付のあり方は見直してほしいのと、一つ、商工会議所でもいいですよ、経営側の意見ですね。要は、どういう人材が求められているかというのもしっかりと講座を開設するときに議論をした方がいいと思う。これはなかなか自分のことは自分じゃわからない。そして、やはり企業側が求めるスキルが何であるかということについてもしっかりとした検討が必要かと思うんですけれども、最後にその答弁をいただいて、私の質問を終わります。

柳澤国務大臣 教育訓練給付のあり方については、今委員が御指摘になられたいろいろな問題、ポイント、こういったことも運用に当たってよく念頭に置いて臨みたい、こういうように思います。

 思いますが、教育訓練給付の講座の指定に関する基準の策定に当たっては、御指摘の商工会議所や日本経団連等の事業主団体の方々にも御参集いただいている関係審議会にお諮りして行っているわけでございます。また、これに加えまして、語学や情報処理に関する目標資格については、雇用主である企業における認知度、採用及び処遇の際にどの程度参考にされているか等に関してアンケート調査も実施しておりまして、その結果を踏まえて、指定の対象とする目標資格等の見直しを行っているところでございます。

 ただ、冒頭申し上げましたように、今御指摘のいろいろな問題をこれから念頭に置いて、運用に当たって遺憾なきを期してまいりたい、このように思います。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

櫻田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十六分散会


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