衆議院

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第19号 平成19年5月11日(金曜日)

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平成十九年五月十一日(金曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 櫻田 義孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 鴨下 一郎君

   理事 谷畑  孝君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井上 信治君

      石崎  岳君    加藤 勝信君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木村 義雄君    岸田 文雄君

      清水鴻一郎君    菅原 一秀君

      杉村 太蔵君    高鳥 修一君

      戸井田とおる君    冨岡  勉君

      長崎幸太郎君    西川 京子君

      林   潤君    原田 令嗣君

      福岡 資麿君    松野 博一君

      松本  純君    松本 洋平君

      安井潤一郎君    内山  晃君

      大島  敦君    菊田真紀子君

      郡  和子君    園田 康博君

      田名部匡代君    筒井 信隆君

      長妻  昭君    細川 律夫君

      坂口  力君    古屋 範子君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           山井 和則君

   議員           園田 康博君

   議員           枝野 幸男君

   厚生労働大臣       柳澤 伯夫君

   厚生労働副大臣      石田 祝稔君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   厚生労働大臣政務官    菅原 一秀君

   厚生労働大臣政務官    松野 博一君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  熊谷  敏君

   政府参考人

   (国税庁次長)      加藤 治彦君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    村瀬 清司君

   政府参考人

   (社会保険庁総務部長)  清水美智夫君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  戸井田とおる君    安井潤一郎君

  柚木 道義君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  安井潤一郎君     戸井田とおる君

  長妻  昭君     柚木 道義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本年金機構法案(内閣提出第七八号)

 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)

 歳入庁設置法案(山井和則君外五名提出、衆法第二三号)

 国民年金事業及び厚生年金保険事業の適切な財政運営に資するための国民年金法及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案(山井和則君外五名提出、衆法第二四号)

 公的年金制度に対する国民の信頼の回復を図るための年金個人情報関係調査の実施等に関する法律案(山井和則君外五名提出、衆法第二五号)


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     ――――◇―――――

櫻田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、日本年金機構法案及び国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案並びに山井和則君外五名提出、歳入庁設置法案、国民年金事業及び厚生年金保険事業の適切な財政運営に資するための国民年金法及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び公的年金制度に対する国民の信頼の回復を図るための年金個人情報関係調査の実施等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省行政評価局長熊谷敏君、国税庁次長加藤治彦君、厚生労働省保険局長水田邦雄君、年金局長渡辺芳樹君、社会保険庁長官村瀬清司君、社会保険庁総務部長清水美智夫君、社会保険庁運営部長青柳親房君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は質問の機会を賜りまして、ありがとうございます。

 まず、これはちょっと政府には抗議を申し上げたいんですが、三カ月前に、消えた年金納付記録の調査要請をしておりまして、二カ月前ですか、三月九日にしておりましたけれども、これは審議の前までに出してほしいという資料でございましたが、何かきょうの理事会に出してきて、私がこれを手元にいただいたのは、今から一分前ですね。こんな膨大な資料を、今嫌がらせのようにというか、直前に出してきて、読む暇がありませんので、これは委員長に御了解を得て、ちょっと休憩にしていただきたいと思います。

櫻田委員長 質問を続けてください。休憩の予定はございません。(発言する者あり)

 引き続き質問を続けてください。(長妻委員「だめだよ。一分前に来て、だめだよ。ちょっととめて、時計を」と呼ぶ)

 資料につきましては、理事会におきまして、理事会預かりとなっており、両筆頭間において協議されることになっておりますので、結論は出ております。引き続き質問を続けてください。(発言する者あり)

 資料につきましては、理事会で預かって、理事会の協議の結果、両筆頭間において協議することになっておりますので、結論は出ております。(発言する者あり)資料の取り扱いについては結論が出ております。

 質問者は長妻昭君であります。長妻君、質問を続けてください。(長妻委員「時計をとめてください、委員長。直前に出してきてできるわけないでしょう。一分で全部読めるんですか」と呼ぶ)(発言する者、離席する者あり)

 御静粛に。席にお戻りください。

 質問者は長妻昭君でございます。長妻昭君の質問を妨げるような行為は御遠慮願います。

 長妻君、質問を続けてください。(発言する者、離席する者あり)枝野君、枝野君は質問者じゃありませんので、席にお戻りください。席にお戻りください。質問者は質問を続けてください。該当者以外は席へお戻りください。(発言する者あり)

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

櫻田委員長 速記を起こしてください。

 長妻昭君、質問を続けてください。(発言する者、離席する者あり)山井君、席にお戻りください。質問者は長妻昭君でございます。山井君、席へお戻りください。(発言する者あり)

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

櫻田委員長 速記を起こしてください。

 長妻昭君、質問を続けてください。

長妻委員 この資料を我々民主党が三月九日に審議の前までにということで要求をして、社保庁によると、一カ月前にこの資料は完成をしていた、こういうことでございました。そのときに何で出していただけないのか、私が質問するその一分前に出すのか。これは、どう考えても嫌がらせとしか思えないわけでございまして、何も質問していないのに委員長の問題ある議事進行で既に七分が経過をしてしまいましたが、質問を続けます。

 今、一分前に出てきたこの資料を、全部は当然読めませんけれども、一部、この表を見させてもらいました。この表は、我々民主党の調査で明らかになった、基礎年金番号に統合されていない、宙に浮いた年金情報、納付記録が五千万件ある、こういうような案件の分析が資料として一分前に出てきたわけでございますが……(発言する者あり)そうですね。これ、配付してよろしいですか。そうしたら、社保庁、配付してください、これ。(発言する者あり)いや、委員長に、では、配付願います。

櫻田委員長 資料の配付については理事会で協議をすることになっておりますので、今回は、それは対象でございませんので、やりません。(発言する者あり)

 資料は、理事会で協議されたことは、質疑者が質問に必要がある資料のみ許可することになっておりますので、それ以外のことはなっておりません。

 質問を続けてください。

長妻委員 これは、資料を見ると、五千万件の記録の中で、生年月日を特定できない納付記録というのが、厚生年金保険で三十万六百七十五件、そして国民年金で千百六十六件あるということで、生年月日を特定できないものというのは、これは生年月日の欄が入っていない、つまり壊れた不完全データということでよろしいですね。

柳澤国務大臣 御指摘の五千万件のデータの内訳件数でございますけれども、生年月日に誤りがあると申しますか、また場合によっては、誤りが推定されるもの、記載がないというものが、今御指摘のように、厚生年金保険で三十万余り、それから国民年金で千百件余りあるということでございます。

 このような記録につきましても、氏名及び事業所名での検索を行うなど調査を丁寧に行って、御本人の記録と確認できたものについては、順次修正、整備を進め、そしてさらに基礎年金番号への統合の作業を進めるということでございます。

長妻委員 今まで政府は、我々が調査した五千万件の宙に浮いた年金納付記録に関しては、全く心配がないんだという答弁を繰り返しておりまして、柳澤大臣も青柳運営部長もそうでございますけれども、五千万件のデータというのは、もうお亡くなりになったり受給資格がない方など基礎年金番号に統合する必要のない方、こういう方もいらっしゃる。これは我々もわかります。それはいいんです、統合しないで。それ以外の方は順次統合ができるから問題ないんです、こういうことを国会でずっと言っていたわけですね。

 ところが、私はそれは違うというふうに言っていたんですが、これは一つの証拠となるデータだと私は思うんですね。つまり、年齢、生年月日が入っていない不完全データ、事業所名と言われましたけれども、事業所名が入っていないデータも私は不完全データとしてあると思うんですよ。つまり、五千万件の中に、納付記録、払い込んだ記録はあるけれども、本人も覚えている、それでこれを統合してほしいと社会保険庁に言ったけれども、コンピューターの中には払い込んだ記録があるんだけれども、不完全なデータで、生年月日が抜けていたりするんで、統合したくてもできない、本人も統合してくれと言っているのにできない、こういうデータもあるんだということを、大臣、これは二つだけというんじゃなくて、三つ目、第三分類もあるということをちょっとお認めになった方がいいと思うんです。

柳澤国務大臣 五千万件の中には、年齢に着目して分類をして件数をそれぞれに挙げさせていただいた、これはそういう資料でございます。そういうことからすると、生年月日を今申し上げたような理由で特定できないものが五千万件の中で三十万ちょっとある、こういうことでございます。今、委員が仰せのように、ほかの次元で、例えば事業所が欠けている、氏名と生年月日はあるというようなものもあるという可能性はあります。

 しかし、いずれにいたしましても、そういうような他の年金の年金手帳番号でまだ基礎年金番号に未統合なものは何らかの取っかかりがあるわけですから、いろいろなことを申し出ていただいたときには、それを社会保険庁として一生懸命、丁寧に、申し立てるとか御記憶を喚起していただいて、それに従って必要な、取っかかりと申しますかそういうものを手がかりにして、懸命の努力をして、そしてお申し立てが裏づけられるようであればそれを統合していくということでございます。

 これは、年齢が特定できないからもうあきらめだということではなくて、私どもとしては、申し立ての、いわば調査の手がかりとして、この五千万の他の年金手帳番号の方々、どこまでもこれを追求して、統合をしていくということでございます。

長妻委員 これは非常に政府、柳澤大臣の今の答弁も、問題ない問題ないと、余り大ごとにしたくないというような趣旨が見え見えなんですね。つまり、うみを一気に出した方がいいと思うんです。

 私が申し上げているのは、名前も違う人もいると思いますよ。現実にいますよ、名前も違う人。つまり、今まで政府は、すべてはいずれは統合できるから安心ですよ、こういうふうに言っていたわけですが、統合できない、したくてもできないものがあるんじゃないですか、ないと言い切れるんですかということです。

柳澤国務大臣 それは、まず申し出が真正である、真正であるかどうかというのは、結局は調べてみないとわからないわけですが、お互い人間で、記憶違いもあるわけですから。そういうことなんですが、そのお申し立てについては、とにかくできるだけ裏付けになるような、年金記号番号のそういう口座と申しますか、その番号の資料というものを統合すべく、チェック、突合していくわけでございます。

 それでは、突合の手がかりがないというものが全く皆無であるかということについては、なかなかこれを、皆無であるということを言い切るのは難しいと私は思います。

 問題は、その場合であっても、我々としては、例えば納付記録を子細に見るとかして、そして常識的、社会通念的に見て、そこだけが記録がないというのはむしろおかしいのではないか、また、被保険者なりあるいは既裁定者なりの申し立てからいっても、その事情に、申し立てに理由があるなというような場合にはそれも統合していく、確実なものは統合していく、こういうようなことでやっておるわけでございますから、長妻委員からかねてからこの問題を指摘されて、それは我々としても非常に参考になる御意見であった、御指摘であったということは、我々認めた上で、今後の作業の方針について申し上げているということでございます。

長妻委員 やっと認められましたね。政府も、統合したくてもできないデータが、これは皆無じゃない、ある可能性もあるということをやっとお認めになって、本当に微々たる前進だと思いますけれども。

 もう一つ、こういうケースもあるんですね。データは統合されていない、しかし、その統合されていないデータは完全なデータだということで、御本人の記憶があれば統合できるというのがありますね。ところが、御本人が忘れてしまった、転職をされたり国民年金であったり、この時期が抜けているけれども、示されたデータから記録が抜けているけれども、本人の御記憶がなかった、これでいいですと言ってしまう。

 記憶が薄れるというのは、これは人間どなたでもありますが、私のところに切実な相談が参りましたのは、認知症の方ですね。認知症ということで本当に記憶が病気で薄れてしまった方、この方に対してある社会保険事務所が、いや、転職先を全部覚えていないと全部きちっと年金を支給できませんよというふうに、息子さんが言われてしまったというので、どうしたらいいんでしょうということなんです。

 こういうケースは統合できないですね。

柳澤国務大臣 息子さんの場合であっても、うちの父はこうだったですよというようなことでいろいろ申し立てをいただければ、そのラインに沿った我々の資料のチェックというものが行われるわけでございます。これはもうできるだけ丁寧に行うということで、当然のことながら、年金権を持っていらっしゃる方々には我々はサービスをしなければいけない、こういう考え方で、あくまでも丁寧な調査を前提として手続を進捗させていきたい、このように考えております。

長妻委員 本当に丁寧な調査をしても、しているのかどうか私はわかりませんが、その方は、ある社会保険事務所から、だめだ、こう言われたわけですね。わからない、手がかりがないというふうに社保事務所に言われた。

 そしてもう一つ、社会保険庁には強く申し上げたいんですが、私どものところにいろいろな方からメールや手紙で相談が来ています。消えてしまったんだけれどもどうしたらいいのか。私も、ほとんどの方に電話でちゃんと話すようにしているんです、生で。そうすると、皆さん、非常にまじめな方でございますが、異口同音に、やはり社会保険庁が怖いと言われる方も多いんですね。つまり、しつこい、もう来るな、対応が非常に不親切で、もうないといったらないんだから、領収書を持っていなければだめだぞ、こういう居丈高な対応をされるという方が非常に多いわけでありまして、これは銀行でいったら、預金が一人でも消えていたら土下座ですよ。

 こういうようなことも、大臣、ちょっと現場を、私の言うことが間違っていないかどうかも確認をきちっとして、御自身で腹に落として、やはり指示をきちっといただきたいということを申し上げます。

 そして、次の質問に行きますけれども、やはり我々は、何よりも被害者救済をしたい。今回のケースの大きな問題は、自分が被害者だと気づいていない方もまだいっぱいいらっしゃる、こういうような大きな問題もございます。

 政府が出してこられた非常に数少ない、断片的データを我々が分析しますと、領収書を窓口に持っていって、社会保険庁の中には記録はなかったけれども八十四件の人が記録を訂正してもらった。これは領収書がなかったら、記録なんか社会保険庁は訂正してくれません、中に記録がなければ。

 そのうち、パターン一、二というのにちょっと分けてみたんですが、パターン一としては、社会保険庁には手書き台帳があった、手書き台帳には納付記録が手書きで書いてあった、しかし、コンピューターには入っていない。昭和五十九年前後にコンピューター化するときに、納付の手書き台帳を全部入力したわけですね。ところが、手書き台帳には納付したよと書いてあるんだけれども、コンピューターには入っていないという方が二十九人のうち十一人おられた、こういうことなんですよ。だから、そういう方もいるわけですね。

 まず、この十一人というのは間違いないですか。

柳澤国務大臣 お尋ねの件数でございますけれども、社会保険庁の被保険者台帳、今マイクロフィルムでやっている納付記録、そこには記載がありましたけれども、社会保険オンラインシステムに記録が収録されていなかった事例は十一件ということで、仰せのとおりでございます。

長妻委員 ですから、これは本来は手書き台帳を一〇〇%入力しなきゃいけないのに、非常にサンプルは少ないですけれども、入力していないのがあるということなんですよ。

 このお配りした資料の四ページ目に、ところが、こういう通知を社会保険庁は出されているんですね。つまり、昭和五十九年前後に全面コンピューター化したときに、手書きの国民年金の台帳をコンピューターに入力した、入力し終わったら手書き台帳は捨てなさい、こういう通知なんですね。特殊台帳と言われる一部の台帳だけはマイクロフィルムで写真を撮ってから捨てなさいとは書いてあるんですが、特殊台帳でないほとんどの台帳は、コンピューターに入力が終わったら手書き台帳は全部捨てなさいという通知が出ているわけです、昭和六十年九月。

 大臣、今から考えると、この通知は間違いだというふうには思われますか。

柳澤国務大臣 国民年金の被保険者台帳を磁気ファイル化するときにはどういうことであったかといいますと、当然コンピューターで磁気ファイル化したわけですけれども、その磁気ファイルが完了した後、当然のことですが、元台帳との突合、それから不突合があった場合にはこれを補正するという指示を出しておりまして、したがいまして、あえて同じ情報を二重に保管しないで磁気ファイルのみの保管になったということは、事務処理としては私は合理的なものであった、このように思います。

 もとより、いわばそういうことをすると危険な分野の台帳、名簿、いわゆる特殊台帳と言われるものについては、これはもう委員御案内のように、それをまたマイクロフィルム化して台帳として残す、こういうことをいたした、こういうことでございますので、通常の、全部、一つのところへ勤務しているとかというような整然とした資料については、突合した上で、そういうことで廃棄をしたというのは、コンピューター化ということを行う場合には私は合理的な事務処理であった、このように考えます。

長妻委員 大臣、これは認識を改めていただかなきゃいけないと思うんですね。まだお亡くなりになっていないのに、手書きの台帳をコンピューターに入力したからといって捨ててしまう。グリーンピアとかいいかげんな施設をいっぱいつくらないで、倉庫ぐらいはつくっていいと思いますよ。そういうところに保管する必要があるんですよ。

 大臣は今、建前的な議論で、何か二重チェックをしたようなことを言われましたけれども、私が聞いている、これは未確認情報でございますが、ダブルチェックもせずに、アルバイトに入力をさせてチェックなし、あるいは外注に出してチェックなし、あるいは一部の台帳は入力しないままに捨ててしまっている、こういうようなことを言う方もいらっしゃいまして、そういう意味では、ぜひ、手書き台帳とコンピューターの中身が合っているのかどうか、全件を照合していただきたいということをお願いいたします。

 こういうふうに、コンピューターに入力した手書き台帳は捨てなさい、「廃棄すること。」という通知が出ているんですが、これは逆に、幸いなことに、社保庁のいいかげんな事務処理体質の中で、この通知を守っていない社会保険事務所が全国にいっぱいあるんですよ。つまり、捨てないで地下の倉庫にまだ眠っている手書き台帳がいろいろな事務所でいっぱいあるというふうに聞いております。まじめに仕事をしないでこのケースはよかったのかなとも思うんですが。

 これは大臣、全国の社会保険事務所の地下に眠っている手書き台帳そのものを全部一カ所に集めて、何件あって、コンピューターと間違っているのか間違っていないのか、全件を突合調査するということをぜひやってください。

柳澤国務大臣 今の御指摘は、東京都の社会保険事務所で納付状況リストというものを保存しているというか、そういうことを念頭に置かれて御質疑をなさったかと思うわけでございますけれども、私どもといたしましては、この電算システムのデータを紙媒体に出力したものをたまたま持っていらっしゃるということでございますが、そういうことについては、これは活用させていただくということでございます。

 他の社会保険事務所におきまして、紙の被保険者台帳を保管しているかどうかにつきましては、私ども、今委員の御指摘はありましたけれども、全貌を把握しているという状況にございません。ただ、そうした今後の年金相談業務に当たりましては、マイクロフィルムや被保険者台帳の保管状況について調査を行うことは予定をいたしております。

長妻委員 そうすると、一つ一つ詰めますけれども、捨てないで残っている国民年金の手書き台帳、現物がどれだけあるのか、日本全国の社会保険事務所、これを探す、そして何件あったと報告する、こういうことでよろしいですね。

柳澤国務大臣 これは社会保険事務所のことでございまして、そんなに膨大な数ということではありませんので、それぞれの事務所で探すのにどのぐらいの手間がかかるかという問題はあるにしても、私ども、わかればそれを把握いたしたいし、必要であれば御提供申し上げたいと思います。

長妻委員 そして、先ほども申し上げましたように、そういうふうに捨てないで残っている手書き台帳とマイクロフィルム化した台帳、実はこれも仕事がずさんで、マイクロフィルム化するのは特殊台帳だけしなさいと言っているのに、特殊台帳じゃないのもマイクロフィルム化されているという事例も確認されました。そういう意味では、マイクロフィルム化された手書き台帳と現物の手書き台帳両方を、全件、コンピューターの中と合っているかどうか、このチェックをしていただきたいと思うんです。ぜひお願いします、これは。

柳澤国務大臣 社会保険事務所におきましては、そういうことをして、本来は、通達上はマイクロフィルム化を要しない部分までマイクロフィルム化したというようなところもあった、ないと私も言い切るつもりはありません。そういったものを総合的にチェックするかということでございますけれども、これはいずれにいたしましても、私どもは、被保険者なり既裁定者の皆さんから申し出をいただいて、そしてそれにおこたえするためにチェックをする資料として有効に活用してまいりたい、このように考えております。

長妻委員 これは本当に、別に、与野党超えて、私はこれは絶対やっていただきたいというふうに本当に思うんですよ。何でそんな手間を惜しむんですか。それは外部の民間業者にきちっとした情報管理をして委託したっていいじゃないですか。マイクロフィルムの手書き台帳と現物の手書き台帳を全部一カ所に集めて、それがコンピューターの中のデータと合っているのか合っていないのか。言われたらその人の分だけやるというんじゃなくて、全件やるというふうに本当に言ってください、大臣。

柳澤国務大臣 私ども、今申したような状況で、この五千万件の未統合の資料を持っているということでございまして、現在、完全な意味で基礎年金番号に統合が完了しているというようなことを申し上げるつもりはないわけでございます。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、被保険者あるいは既裁定者の皆さんからぜひ持ってきてください、お申し立てくださいということを申し上げているわけでございます。

 したがいまして、今委員が言われるような、もしお父さんが認知症にかかってしまったというような場合には、その方については、そういうことをテークノートしておいて原資料に当たるということもあり得る。そういう徹底的な、丁寧な調査をしてさしあげるというのは我々は当然のことだと考えております。

長妻委員 これは大臣、今いろいろな生命保険会社の問題が出ていますけれども、初めは、いや、請求しないから払わなかったんだよ、こういうような話だったんですね。ところが、それは国民は許さなかったわけですよ。ですから、今の大臣も似たような話で、いや、これはおかしいから自分の記録をちゃんと調べてくれ、そういう人だけその台帳とコンピューターのデータを突合するんだと。せっかくそれがあって間違いが明らかになったわけですよ、十一人という、冒頭大臣も言われましたけれども。そういうような状況で、何で全件やらないんですか。言われたら、その言った人だけをやると。

 これは自民党の皆さんも本当にそれでいいんですか、大臣の答弁で。(発言する者あり)共感するというふうに、自民党の中にも良識な方が一人ぐらいはいらっしゃるかなとも今思いましたけれども、大臣、本当にこれは何でなんですか。ぜひやってください。

柳澤国務大臣 私どもとしては、今申したような、あの当時は百万件でしたね、百万件ぐらいの中で八十六件というものがあって、そのうちで十一件ということに最終的になったわけでございますが、そういう状況を考えますと、やはりおかしい方には、自分の加入履歴はこういう御通知をいただいたけれどもおかしいのではないでしょうかということでお申し出をいただくということでございます。

 と申しますのは、今、長妻先生は民間の保険会社のことを申されましたが、確かに建前は、これは生保も、民保も、保険事故がどこで発生したかというのを保険会社側が知るということは事実上できませんという建前でございまして、そして、申請主義ということになっているんです。

 我々のこの年金についても……(長妻委員「だから、そんな建前じゃなくて、調べればいいじゃないですか」と呼ぶ)いや、年金も申請主義ということになっているんですが、現実に私どもがどうやっているかというと、我々が手持ちの、あなたの加入記録というのはこういうものですよ、お確かめくださいとやっているわけです。ですから、そのデータをもとに、いや、私の記憶とは違いますというリアクションとしてのそういう申し出というものをむしろ我々は歓迎して、そして、それについては我々はお調べしましょう、そういう仕組みであって、今の生保、損保で起こっているような不払いの問題とは本質的に違うということ。

 つまり、我々は、先に我々が持っているデータをごらんになって確認をしていただく、その中から申し出をいただくというものがスタートをするということでございますから、これはちょっと違うのではないか、このように申し上げたいのでございます。

長妻委員 いや、いろいろへ理屈はいいんですよ、へ理屈は。しかし、大臣、大臣は謝罪しなきゃいけないと私は思いますよ。

 というのは、消えているのが現実にあるわけですから。現実に年金納付記録が消えたという事例はあるわけですからね。そういう意味で、これは氷山のほんのほんの一角なんですよ、本人が領収書を持っていて初めてわかったわけですから。領収書を持っていない人というのはたくさんおられますよ。

 ですから、今の大臣の言い方というのは、いろいろなへ理屈をこねくり回して、疑問があれば国民から言ってこい、そうしたら調べてやるよ、こういう話なんですよ、はっきり言えば。そうじゃなくて、せっかくマイクロフィルムに元データがある、そして原票も、手書き台帳がある。それがあるのに、それを全部集めてコンピューターの中身と合っているかどうかを照合するという、これだけの作業を何でそういうふうに渋るんですか。自民党の皆さんも本当にいいんですか、こういうことで。(発言する者あり)コスト。コストの話かね。

 今、自民党の皆さんもコストを聞けというので、私はこういう金の話じゃないと思うんだけれども、では、コストはやると幾らぐらいなんですか。

柳澤国務大臣 コストは、今我々そうしたことをやるという考え方がないものですから、それを試算するというようなことをしていないんですが、先ほど来申し上げておりますように、何でも国民の側から言ってこいと言っているんじゃないんです。

 我々の方は、まず私どもが、我々の手持ちのそれぞれの被保険者の方の加入履歴というものはこういうことになっていますよ、五十八歳通知であるとか、これからもやりますけれども、ねんきん定期便であるとかいうようなことで提供するわけです。この前一億の人たちにはそういうことをしているわけですね。(長妻委員「いや、していないですよ、それは基礎年金番号だけじゃないですか」と呼ぶ)いや、それを基礎にしてやるわけです。

 ですから、そういうことで、これから我々はそういう施設を幾つにもわたってしっかりやっていくわけですから、そのときに確認をされて、腑に落ちない方はどうぞお申し出くださいというふうなことをやっているわけでございまして、この手続が私どもとしては最も合理的で建設的だと思っているわけでございます。

長妻委員 では、本人が忘れた方はどうするんですか。あるいはそういうふうにチェックをできない方。ねんきん定期便だって、一部の方だけは履歴を出すけれども、多くの、ほとんどの方は、何カ月ですというだけですよ。箇月だけですよ。国民から言ってこい、そうしたら調べてやる、同じですよ、大臣。言葉は丁寧かもしれないけれども、窓口でやっていることと同じじゃないですか。

 そんな大したこと言っているんじゃないんですよ、私は。手書き台帳とマイクロフィルムの台帳がコンピューターの中と合っているかどうか突合してくださいと言っているんですよ。これは本当に、自民党の国会議員の皆さんも、総意なんですか、そういうのは調べるべきじゃないというのは。私はそうじゃないと思いますよ。大臣も国会議員であれば、お役人なんかの抵抗を振り切って、そのぐらい言ってくださいよ、やると。何でだろう。ちょっと言ってください。

柳澤国務大臣 長妻委員の御主張の点も御主張としてかねてお聞きしているわけでありますけれども、結局、私どもといたしましては、前向きに、今申したような、これからそういう確認の施設というか、そういう機会というものを制度的に設置しているわけでございますから、それをもってしっかりやっていきたいということであるわけでございます。

 そういうことでありまして、今その十一件、百万件で十一件、これはもう本当に、それぞれの権利者のためには、私どもそれを大事にしていかなきゃいけないということでございますが、しかし、その大事にしていくということは、今申したような手続においてしっかりと対応させていただくということによってその権利の尊重ということを結実させていきたい、このように考えている次第でございます。

長妻委員 いや、二十九人の中で十一人なんですよ。必ず私は出てくると思いますよ、統合、突き合わせすれば、違うところが。

 では、そういう人たちが全部覚えていて、おかしい、おかしいと言ってくれるんですか。これは、公明党の副大臣もきょう御同席ですけれども、公明党を代表してぜひ、本当に調査しないでいいということですか、副大臣も。

石田副大臣 御指名ですからお答えしますけれども、今は政府の一員、副大臣として柳澤大臣と一心同体でやっておりますので、公明党を代表してという形では御答弁はできないということでございます。(長妻委員「政治家として」と呼ぶ)

 政治家という、では、一度終わりますから、また正式に聞いてください。

長妻委員 政治家としてはいかがですか。

石田副大臣 政治家ということですからお答えいたしますけれども、年金というのは当然リタイアした後を支える大変大事なお金でありますから、厚生労働省としても、これは最大限努力をしていくのは私は当然だろうと思いますし、それをどういう形でやっていくかということについては、それぞれ与党野党、いろいろな御意見があろうと思いますけれども、大臣以下、今最大限努力をしているというふうに私は思っております。

長妻委員 では、突き合わせ調査はする必要ないということですね。

石田副大臣 大臣と同じでございます。

長妻委員 いや大臣、同じ質問を何度もして恐縮なんですけれども、これは私は絶対譲れないんですよ。私も現実に相談を、いろいろな方から事例をお伺いして、みずからも調べて、民主党としても予備的調査もして、きちっと積み上げているんですよ、いろいろなことを。それでやはりこれは絶対しなきゃいかぬと。

 何でなんですか、私、そんな大それた、何か法律を何本も変えて大それたことをやれと言っているわけじゃなくて、ただ手書き台帳とコンピューターの中身が合っているのか調べてくださいと、間違っていた事例が現実にあるわけですから。大臣、では検討するということもしないんですか。全くはねつけるということですか、どうですか。

柳澤国務大臣 もろもろの年金制度が並立している中で統合するということをいたしました。その統合のプロセスの中で、コンピューターといえども、前の人力でやっていたところからコンピューターに記録を移すという仕事をやるのはやはり人間でございますから、そこでいろいろな事情が作用して結果として誤ったということが出ているということでございまして、この点については、私ども本当に、この仕事を預かる立場からいって、申しわけないということで、おわびをしたい、このことは申し上げているわけでございます。

 そしてさらに、長妻委員は、かねてからこの問題の究明のためにいろいろな観点の御検討をいただき、また実際国民の声もお集めになられて、いろいろアドバイスをしていただいているということについては、私どもはこれを極めて多といたしておるわけでございます。

 そして、我々としては、これから先どういうふうにしていくかということを考えて、先ほど言ったように、法律の枠組みは申請主義なんですね。法律に言っているのは、自分で加入記録を提出しろということを言っているんですが、そういうことを前提にして手続を進めるということは、やはりこれは実情にそぐわない。こういうことから、私どもが持っている資料をまず御提供する、それは事前に御提供する。

 そういうようなことで、我々としては、国民の皆様からの申し出というものを受けて、その申し出があったときには、今委員が言われるような、存在している資料を全部ひっくり返してそれをチェックさせていただく、そういうことで進めさせていただきたいということを申し上げている次第でございます。

長妻委員 国民の皆様に提供すると言われましたよね、納付記録を。

 ただ、きちっとした正しいデータを提供しなきゃだめなんですよ。ということは、突合、中で突き合わせをしてきちっと正しくして提供する、こういうことでいいじゃないですか。ですから、そのためにも、間違っているから手書き台帳とコンピューターの中を突き合わせをして、正しいデータにして国民に提供する、正しいものを提供するということが政府の役割、前提ですよ。

 これは大臣、突き合わせを検討すると、検討もしないということなんですか、これは。前置きはいいですから端的にお答えください。

柳澤国務大臣 お申し出をいただいたときにはこの突合をさせていただきます。

長妻委員 自発的に正しいデータに政府がみずから努力をしてする、そのために手書き台帳とコンピューターの中身の突き合わせをする、これを検討するということは言えないんですか。

柳澤国務大臣 私どもとしては、今るる私から申し上げてきたような、我々が今後において行おうとしているプロセスの中でベストを尽くして、お申し出をいただいたことについてはとことん丁寧にチェックをかけていく、そのときには、今委員の仰せになられたような、御指摘になられたような資料も当然のことながらチェックの対象になるということでございます。

長妻委員 これは、我々が政権をとっていたら、すぐやりますよ。

 これは本当に、私はあきらめません。きょう、時間がもう来ますから質問はこれ以上できませんけれども、絶対あきらめませんよ、やってもらうまで。

 次の質問に移りますが、これはもう一つのパターン二ですね。

 二としては、市町村が国民年金を集めていた時期がございまして、市町村の被保険者名簿という紙データ、市町村には確かにこの方は国民年金を払いましたよという記録がきちっと残っている、しかし社保庁には全くなかったと。本当は市町村から社保庁に伝えなきゃいけないわけでありますけれども、社保庁にも同じ記録がなきゃいけないんだけれども、市町村だけに記録があって社保庁にはないという方、これは何人おられましたか。

柳澤国務大臣 従来は国民年金の主たる窓口は当然市町村でございまして、そこに市町村の被保険者名簿というものがございました。そして、それを社保庁に進達する、社保庁はそれによって台帳をつくる、こういう仕方、仕組みになっていたわけでございます。

 したがいまして、この市町村のもとの名簿がどういう状況にあるかということも一つ問題なわけでございますけれども、市町村の名簿に納付記録が記載されていたけれども社保庁にはその見合いの記録が欠けておったというものは、十八件でございます。

長妻委員 非常に少ないサンプル、分母のうち、十八人がおられるわけじゃないですか。にもかかわらず、資料二をお配りしておりますけれども、国民年金の徴収は、市区町村がしていた時代が平成十四年の三月末まででしたが、平成十四年の四月一日からは、今から五年ぐらい前からは社保庁がやるようになったわけです。

 そうしたときに、市区町村は、持っていた手書きの納付記録を保存するかしないかは、まちまちの判断であったわけでありますが、社会保険庁は、市区町村に対して、持っている手書きの名簿記録、納付記録は捨てないで保管してほしいというのを、去年の八月十五日になっておくればせながら出した。これは遅過ぎるわけでありまして、こういう非常に遅い通知のために、今、市区町村では、手書きの納付記録を保管してある市区町村と捨ててしまった市区町村と、どのくらいですか。

柳澤国務大臣 もともとシステムとしては、委員も御指摘になられたかと思うんですけれども、市区町村の名簿というものがそのまま社会保険庁に進達されて台帳をつくるということでございますので、言ってみますと、生資料というか原資料というものは市町村にスタートをする、こういうことでございます。

 しかし、先ほど来お話しになりましたように、これは電磁ファイル化する、これは社保庁の持っている台帳から電磁記録化したわけですけれども、その電磁記録化したときに、特別なもの以外は台帳を廃棄しても結構ですよということを言った。今度は、そのときに市町村の方はどういう対応かといえば、それはもう台帳もいいというくらいですから、名簿もいいということになるわけですが、市町村の中には、これを今保存しているというお話を聞くようになりましたので、それは我々としても重大な資料だから、今お持ちの方はそのまま保存をしてくださいということを、このような事態になってお願いした。その時点が昨年の八月であった、こういうことでございます。

 それで、その結果、今はまだアンケート調査の段階でございますし、また、現にもう合併が終わった後、当局というのは合併後の市町村だものですから、そういう意味で、この名簿を持っていた旧の市町村に当たるということが本当は必要になってこようと思うんですが、今は合併後の市町村にとりあえずアンケート調査をするということになりましたので、その次元で申しますと、千五百五十一の市町村におきまして、名簿等の資料が保管されているという回答をいただいておる、こういうことでございます。

 しかし、これからはもう少し丁寧なことをやりたい、このように思いまして、公文書によって今度は正式な回答を求めるということを、そういう手続をスタートさせたところでございます。(長妻委員「保管していないのは何件ですか。今両方聞きましたから」と呼ぶ)

 保管がないという回答をこのアンケートに対してお寄せいただいた市町村は、二百八十四市町村でございます。

長妻委員 千五百五十一は保管してある。しかし、つぶさに中身を聞くと、保管といっても全部保管していなくて、一部でも保管していたら保管と答えるようなアンケートになっているので、全部が全部完璧にあるわけじゃない。しかし、全くない、何にも資料がない、すべて捨ててしまったのが、今言われたように二百八十四市区町村あるということで、これは引き継いだときに、捨てないように社会保険庁がその資料をもらっておかなきゃだめなんですよ。何でほったらかしにして、昨年の八月におくれてそんな保管指示を出すのか。

 私どもが申し上げているのは、被害者を少なくするために、こういう千五百五十一市区町村で、今大臣も言われた納付記録の生資料があるわけです。ですから、その資料も、社会保険庁が持っているデータと合っているのかどうか、それもコンピューターの中身と突き合わせをする。こういう、ある程度の証拠がないから帰れ、領収書を持っていないから帰れという対応だけじゃなくて、いろいろ知恵を絞れば、社会保険庁の内部でも政府の内部でも、幾らでもいろいろ被害者救済のやりようがあるんですよ。そういう努力をしないで……

櫻田委員長 長妻昭先生、申し合わせの時間が経過しておりますので、質問は簡潔にしてください。

長妻委員 文句があれば言ってこい、こういうことは到底容認できないわけでございますので、これは大臣、先ほど申し上げました手書き台帳とともに、市区町村が保存している国民年金被保険者名簿、つまり納付記録の生資料、原票も、コンピューターの中身と突き合わせをしてチェックをする。そして、すべて正しい、できる限り正しいデータにしたものを国民の皆様にお見せするというのが本来だと思いますので、我々はこれはあきらめませんので、ぜひ大臣、副大臣も、ちょっと先ほどは言いづらそうにしていたようにも拝見しましたけれども……

櫻田委員長 長妻昭君、申し合わせの時間が経過しておりますので、質問を終了してください。

長妻委員 ぜひよろしく被害者救済をお願いいたします。

 以上でございます。

櫻田委員長 午前十一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時一分開議

櫻田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長妻昭君。

長妻委員 先ほどに引き続きまして質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 一問だけ、先ほどの続きの、消えた年金納付記録の問題をいたしますけれども、もう一つ、大臣、厚生年金を払い込んだ記録が、手書きの台帳というのは、名前はいろいろな名前があるみたいなんですが、それは全件社保庁が保管している、こういうことなんですけれども、これは間違いございませんか。

柳澤国務大臣 これはかねて委員との間でいろいろ御質疑をいただいて、私を含めてお答えを申し上げているわけでございますけれども、このデータはマイクロフィルム化をしたわけでございまして、そのマイクロフィルムというものを廃棄するというようなことはございませんでしたので、したがって、それは保存されているということでございます。

長妻委員 私が先ほど質問したのは、国民年金の手書き台帳及びマイクロフィルム化された手書き台帳及び地方が、市区町村が持っている国民年金の納付記録の生データ、これをコンピューターの中とぜひ突き合わせしてほしい、こういうことを申し上げました。

 それにつけ加えて、今大臣が答弁されましたように、厚生年金に関しては、手書きの納付記録の元データ、元台帳がすべて社会保険庁の中に保管されておりますので、厚生年金も、その台帳とコンピューターの中が間違っていないのか、正しいのか、同じなのかというのを突き合わせをぜひしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

柳澤国務大臣 手書きの元台帳をマイクロフィルム化したわけでございますが、それと同じように、現在私どもがある意味で台帳的なものとして扱っている磁気データ、これとの突合をすべしということでございますが、もともとこの磁気データというのは、マイクロフィルム化されたものと同じものを情報データとして集約されたものに基づいて磁気データ化を図っているということでありますので、基本的にこれはそれぞれ照合済みのものであるというふうに私どもとしては考えております。

 しかし、人間のやることでございますので、これについても、国民年金の被保険者あるいは既裁定者と同じように、私どもの方から、加入履歴としてまず私どもの持っている資料をお示しし、それを御確認いただいた上で、何かまた疑問点等があれば申し出をいただいてということは、先ほどの国民年金と同じように考えさせていただきたいと考えております。

長妻委員 言ってこなかったら調べないよ、こういう姿勢は先ほどと同じでございまして、これは引き続き我々も要求をしてまいります。

 そして、政府が社会保険庁を日本年金機構にかえる、あるいは政管健保の公法人にかえるという法案、そして民主党からは、歳入庁設置の法案、年金流用は認めない法案、消えた年金納付記録被害者救済法案、年金信頼回復三法案というのが両方から出ております。

 まず民主党の法案提出者にお伺いしたいんですけれども、この社会保険庁というのは本当に不祥事のオンパレードでございまして、私は、きわめつけは今回の消えた年金納付記録だ、これは逃げ切りは許されないと思います。いずれにしても、この新しい組織では絶対に不祥事は起こしてはいけないと思いますが、民主党としては、この歳入庁でどんな不祥事防止策というのを考えておられるんですか。

園田(康)議員 民主党の法案では、まず、御指摘のとおり、これまでの社会保険庁にまつわるさまざまな不祥事、私どもも三年前にこの審議に携わったときには、いわゆるあのカワグチ技研であるとかパピアートといったようなものも出てきて、国民の保険料というものが流用されていた、あるいは宿舎、庁舎のさまざまな建設がその中で流用されていたという部分もあったわけでございます。そういった部分で、いわゆる賄賂を受け取る一方で、随意契約という名のもとで三十八億円もの発注をしていたというような事実もこの委員会で明らかになったということでございます。したがって、こういった不祥事というものは絶対に起こさせてはならないという私どもの考えに落ちついているわけであります。

 まず、歳入庁の母体であります国税庁の職員の士気の高さ、それからモラルの高さというものは、やはり、税金、租税法律主義という名のもとで、税に対する信頼の高さというものは他の省庁に比べてかなり秀でているという部分は私どもも評価をできるんではないかというふうに考えているところでございます。したがって、そういった現在の社保庁職員が国税庁職員と融合することによって資質と文化あるいはモラルというものが大幅に向上する、まずここに力点があるというふうに思っているわけであります。

 したがって、これまでのような不祥事というものは、この統合によって、もう二度と起こらない、基本的にはないものというふうに私どもは考えております。

 加えて、私どもが提案をさせていただいております歳入庁法案の第十二条、ここに着目をしていただきたいというふうに思っております。ここにおいては、いわゆる歳入庁監察官というものの設置を規定させていただいているところであります。

 これは他省庁の監察官にはございませんし、当然今の社保庁にもございませんが、犯罪捜査権をまず有しておるところでございます。この強力な権限を持って、まず内部監査、内部統制をしっかりと行うことができる、コントロールすることができるというふうに考えておりまして、そういった専門職を規定として設けさせているところでございます。

 また、捜査の対象は職務に対する犯罪等でございますけれども、その中には、職員が勤務時間外に起こした交通事故、こういった点も含まれるというふうな形で、広範な事案まで対象としているところでございます。

 また、モラルの向上に加えまして、このように広範な対象とともに強い権限を持った監察官、これを最大二百名配置するというふうに私どもは考えておりまして、今現在は国税においては百二十名ということでありますけれども、ここにおいてさらに二百名という体制の中でこういった内部不祥事を防いでいく、必ずこういったものを根絶していくという決意のもと、法案を提出させていただいている次第でございます。

長妻委員 歳入庁監察官というのを設置する、これは今の国税庁監察官百二十人というものと基本的には同じ権限だというようなことだと思いますけれども、きょうは国税の方もお出ましですので、簡潔に、現在の国税庁監察官の権限というのはどういうものでございますか。それで、他省庁にはそういうのがあるのかどうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国税庁監察官は、国税庁の所属職員につきましてその職務上必要な監察を行うとともに、国税庁の所属職員がした職務に関する犯罪等の捜査を行い、必要な措置をとることを目的としております。

 また、国税庁監察官が行う捜査の対象は、国税庁の所属職員だけではなく、国税庁の所属職員がした職務に関する犯罪等の共犯者や国税庁の所属職員に対する贈賄者にも及ぶということになっております。

 他省庁の例、私どもつぶさに承知しておりませんが、郵政にそういう制度があるということは承知しております。

長妻委員 私は、こういう国税庁監察官、民主党案では歳入庁監察官というのは、社会保険庁にこそ必要だというふうに思います。

 政府にお伺いしますけれども、日本年金機構となったときに、当然、こういう捜査権限のある監察官みたいなものを内部に置くということは間違いございませんか。

柳澤国務大臣 特に経済、それも現実のお金を扱うという業務を所掌している国税庁あるいは郵政、昔の郵政局、郵政の業務というものにつきましては、これを国家組織として行う場合には、監察官というようなものを置いて、そうしたことの規律がしっかり確保されるということでありました。

 しかしながら、今回の私どもの日本年金機構におきましては、これはそういうことではなくて、特別な公法人ということで仕組んでおります。そういうことで、まず、そうした官というようなものは当然置かれないということでございます。

長妻委員 社会保険庁は、今、監察官の捜査権限、あるんですか。

柳澤国務大臣 社会保険監察官とは、社会保険庁におきます社会保険指導官あるいは地方社会保険監察官を指しておられるものと考えますが、これらは、社会保険庁の所掌事務について、職員の指導及び監察に関する事務の処理に当たっているところでございます。

 この社会保険指導官等は、国税庁監察官とは異なりまして、所掌職員の職務に関する犯罪等に係る捜査は行わないということでございます。

長妻委員 せめて社会保険庁の監察官が犯罪の捜査を国税並みに行っていれば、またちょっと違ったのかなとも思いますが、では、この日本年金機構では監察機能というのはないんですか。

柳澤国務大臣 これは、通常の民間の機構、民間に倣う機構ということを主眼にして仕組みをつくっておりますので、そうしたことについては、監事であるとか、それに対して外部から監事を登用するとか、あるいは外部の監査法人の監査を受けるというようなことで、そうしたコンプライアンスにつきましても、会計面についてもこれを確保していくという仕組みになっているわけでございます。

長妻委員 これは間違いなく不祥事のオンパレードになりますよ、と私は思います。

 大臣、この日本年金機構というのは、これは特殊法人なんですか。

柳澤国務大臣 これは、固有の法律でつくられているものであるということでございますし、また公法人であるということの意味からいいまして、特殊法人ということに該当すると思います。

長妻委員 これは、国民の皆様も、この委員の皆様もそうでしょうけれども、特殊法人で、例えば道路公団、不祥事が多いというイメージ、現実も多いと思うんですけれども、そういう特殊法人になって、そして不祥事の防止機能が明確でない。民主党案は、身内の犯罪の捜査ができるということ、しかも、贈賄側、民間人から賄賂を渡された職員がいた、しかし、その民間人の捜査もできるという歳入庁監察官を置くということで、私は、これは本当に、与野党を超えても、そちらの民主党案の方が監察官は機能すると思いますよ。

 そしてもう一つ。今国民年金の未納が大きな問題になっておりますけれども、厚生年金の適用漏れ事業所の問題、これも大きいんです。厚生年金に入らなきゃいけない事業所がそれに入っていない。働く方が不利益をこうむる大きな問題でございますけれども、総務省が社会保険庁にいろいろ、適用漏れのおそれがどのくらいの件数あるよというのを勧告等していると思うんですけれども、総務省に聞きますけれども、適用漏れは何件ぐらいですか。

熊谷政府参考人 お尋ねの行政評価・監視におきまして、適用漏れのおそれのある事業所数は、六十三万ないし七十万事業所程度と推計しているところでございます。

長妻委員 格差問題でいろいろな法案を我が党も出していますけれども、これは現行の法律違反ですよ。こういうことをほったらかしていいんですか、社会保険庁は。

 では、社会保険庁にも聞きます。

 同じ質問ですけれども、適用漏れの事業所というのは、おそれのある事業所でもいいですよ、何件ありますか。

柳澤国務大臣 私どもは、具体的に、雇用保険の適用事業所データ等を活用して事業所の業務実態等を個々に把握した上で加入促進に努めているということ、そういう中から、平成十六年度から、把握した未適用事業所についてデータを掌握しているわけでございます。そういう個別具体的な行政プロセスを通じて把握しているということでございまして、推定ではないわけでございます。

 そういう手法で把握した数字といたしましては、平成十八年三月末時点で、未適用事業所は六万三千五百三十九事業所である、このように把握をいたしております。

長妻委員 これもびっくりしますね。総務省だってちゃんとしたお役所ですよ。六十三万から七十万事業所あるんじゃないのかと。しかし、社保庁は、把握しているのは六万三千事業所。一割以下じゃないですか。何でですか。これは、日本年金機構になっても全然改善しないと私は思いますよ。

 これは民主党法案提出者に聞きますけれども、こういう適用漏れ事業所の対策、これは歳入庁だとどうなりますか。

枝野議員 現状では、社会保険庁と税務署が分かれているわけでありますけれども、法人税法では、会社を設立登記した場合には必ず税務署に設立届を出すということになっているわけでありまして、当然、税務署が歳入署になるわけでありますから、そこでその法人が設立をされたと。

 そこが、税について、現状でもきちっと、もちろん一〇〇%ではないですけれども、非常に確率の高い徴収をしているわけでありますから、そことの突き合わせの中で、同じ役所の中で自動的に社会保険未加入の事業所は把握ができるということになりますので、もちろん、事業所というのは法人登記をした法人に限りませんけれども、その圧倒的多数、大部分はそうでありますから、未適用事業所を減らすというか、把握をすることがまずほぼ自動的にできるわけでありますから、今のけた違いの推計といいますか、把握ということ自体がなくなる。

 まず把握をすれば、あとは税の徴収にあわせて加入促進をさせればいいわけでありますから、非常に効率的に今の問題を解決することができる、こういうふうに考えております。

長妻委員 国税は本当にそういう情報の大もとですから、何で国税と一緒にやらないのかという疑問が私もあるわけであります。そういう意味では、本当に、総務省という外からこういう指摘をされて、現在把握しているのは六万三千事業所余りですというふうにのうのうと答弁をする大臣も、これはどうかと思います。

 大臣、これは日本年金機構になると劇的に改善するわけですか。

柳澤国務大臣 日本年金機構になった場合には、今私どもの提案でも申し上げておりますように、まず職員が完全に新たな募集、採用ということで、その意識改革がもう違うであろう、こういうように思っているわけでございます。

 そういうことに加えまして、この平成十九年度から、私ども、未適用事業所への加入指導、あるいは事業所調査、職権適用という一連の対策を進めているわけでございますが、そういうものに加えまして、新たな対策として、全社会保険事務所で民間委託による加入の勧奨を行う、あるいは雇用保険の適用事業所の情報を総ざらいするというようなことを含め、適用促進の行動計画を策定して、厳格な適用の適正化を推進していくということにいたしております。

長妻委員 何か精神論ですね。本当にちょっと頼りないというふうに私は思います。

 これは大臣にお伺いしますけれども、日本年金機構の職員、特殊法人ですけれども、この職員というのは民間人ということでいいんですか。

柳澤国務大臣 先ほども申したように、個別の立法に基づいてつくられた公法人ということでございますけれども、その職員の地位というものは非公務員であるということにいたしておるわけでございます。したがって、非公務員ということですから、この概念の整理としては民間人である。したがって、労働法制等はそういうことで適用を受けるわけでございます。

長妻委員 お給料はどこの財源から払われるんですか。

柳澤国務大臣 職員の給与でございますけれども、これは、国家公務員の常勤職員に対する給与、あるいは非常勤職員に支給される非常勤職員の手当は、職員の人件費として国庫負担をするということを昨年の十二月に決めたわけでございまして、そういうことでありますので、職員人件費としては国庫負担であるということでございます。

 なお、賃金、謝金につきましては、これは内部管理事務を行う者は国庫負担でございますが、それ以外の者については保険料財源を充てるということにいたしております。

長妻委員 これはちょっとお伺いしたいんですけれども、民間人でお給料は税金で払う、民間人で税金でお給料をもらうというのは、ほかには例えばどういうものがありますか。

柳澤国務大臣 非公務員型の独立行政法人の場合には、ここまで明確に職員人件費と国庫負担というものが対応しているかどうかはともかくとして、財政の、金に色目がないということからいたしましたら、そういったことも原資になっているということが言い得ると思います。

長妻委員 いや、全額ですよ。全額民間人で税金のお給料をもらっているところというのは私も余り聞いたことがないんですが、今の例でいうと、例えばアルバイト、今は庁費とか謝金職員とかがいらっしゃいますけれども、日本年金機構のアルバイトの職員の人件費、アルバイトの謝金とか庁費、これは保険料財源ですか。

柳澤国務大臣 アルバイトというのは非常勤の職員ということになるわけでございますけれども、これは先ほども申したように、年金の事務というかそういうことに直接かかわりのある、例えば庶務等の内部管理事務に従事する者については、これは国庫負担でございますが、それ以外、例えば業務の繁忙期に雇うなどの事業に必要な経費ということになりますれば、それは保険料財源をもって充てる、こういうことでございます。

長妻委員 非常にあいまいですね、繁忙期のアルバイトは人件費が保険料財源だと。これはまた野方図にどんどんいっちゃうんじゃないですか。保険料だから使うのをやめてください、年金の支給だけに使ってください。

 では、例えば年金相談をするときの建物、年金相談をする部分の建物の建設費、これは保険料財源ですか。

柳澤国務大臣 庁舎の整備というものは、行政施設として行われる基幹的な工事、これは改修を含めてですけれども、そういうものは内部管理経費として国庫負担になるわけでございます。

 しかし、例えば年金相談コーナーを拡充するというような工事ということになりますと、これは年金相談業務に係る経費ということになりますので、保険料をもって充てるというところで、そこのところは、将来の姿としては、そうした区分でもって運営されるというふうに考えております。

長妻委員 これは今、社保庁の内部の方に聞くと、グリーンピアがもうだめになったから、次は天下りの仕事を何にしようかな、こういうふうに皆さん話しているらしいんですよね。そうしたときに、年金相談センターとか年金教育センターとかそういう建物が、また豪華なのが保険料財源で、これは相談はいいことですよ、いいことだけれども、我々は、国庫負担で、必要最小限を税金のシーリングがかかった中でやるべきだということを申し上げているんですが、またオンパレードになるんじゃないんでしょうか。

 これは、民主党法案提出者に年金流用についてのお考えをお伺いします。

園田(康)議員 ありがとうございます。

 私ども、年金信頼回復三法案という形で、委員御存じのとおり、保険料流用に関しての禁止法案、これもセットで出させていただいているところでございます。したがいまして、保険料の給付以外には使わせない、これが私どもが提出させていただいている法案で明確になっているというふうに思っております。

 ただいま、いろいろ御指摘もあったように伺っておりますが、年金相談の名をかりてさまざまな、今までの、これまでの保険料流用という形が行われていたわけでありまして、宿舎、公用車、あるいはゴルフ道具やミュージカル、マッサージ機というようなものもこの中で購入されていた。

 あるいは、ある保険事務所に関しましては、年金相談という名のもとでカラオケのセットも買い、あるいはそのカラオケの部屋まで映画鑑賞あるいは音楽鑑賞という名のもとでつくられていた。その建設費すらも明らかになっていないという現状も私どもは絶対に見過ごすことはできないのではないかというふうに思っておりますし、これはあくまでも国民の納めた年金保険料から支出されたという厳然たる事実は、やはり私どもは絶対にこれ以上許さないという姿勢で臨ませていただいているところでございます。

長妻委員 ありがとうございます。

 もう一点、私は、流用に関して気になる答弁があったと思うんですね。五月八日の本会議での私どもの質問に、安倍総理は、諸外国で流用の事例に関して、諸外国の例から見ても妥当だ、つまり、諸外国でも年金保険料流用があるという趣旨の答弁をされているんですが、ちょっと細かく正確に政府に聞きますけれども、諸外国で、年金保険料の徴収、これの周辺業務に関して、年金保険料を流用しているところはどこの国ですか。

柳澤国務大臣 いろいろな国がいろいろな制度の立て方をしているわけでございますけれども、私どもが調査した諸外国の年金給付を実施する機関の事務費につきましては、例えばドイツというような国は、この保険料をもって事務費に充てているというふうに考えております。これは徴収につきましても、自営業者につきましては給付機関が同時に行っているという仕組みになっているということでございます。

長妻委員 大臣、多分、安倍総理にもその資料を見せられたんだと思いますけれども、諸外国は、集めるところは税務署あるいは歳入庁が多いんですよ。そういうところは当然徴収は税金で集めておりまして、流用というのはないわけでありまして、それは、別に分かれている給付の機関で一部の経費を使っているという諸外国のリストを渡して、それをもって流用をほかの国もしているというのは、いささかこれは論理が飛躍しているということも指摘をしておきたいと思います。

 そしてもう一つ、私は、この日本年金機構になると天下りし放題になっちゃうんじゃないのかと思うわけでございますけれども、これは当然、天下り規制、今、渡辺行革担当大臣が音頭をとってやっておりますけれども、日本年金機構の職員の天下り、この規制はどうなっていますか。

柳澤国務大臣 今回の日本年金機構発足時の職員の採用については、かねてから御答弁申し上げておりますとおり、新しい形で募集、採用するということでありまして、いわゆる天下りに当たるものではあり得ない、こういうことが申し上げられるかと思います。

 機構発足後の公務員の再就職という形で今委員が御指摘の天下りというようなことが行われるかということにつきましては、今国会に提出をしております公務員制度改革関連法というもので、この法律が成立をされるならば、これに則して適正に行われることになる、こういうことでございます。

長妻委員 ということは、日本年金機構という特殊法人からの天下り、この規制も人材バンクをちゃんと通さないとできないということですか。

柳澤国務大臣 公務員の天下りということで問題提起があったと思うんですけれども、そういうことでございます。

 日本年金機構につきましては、業務委託先へ出向というようなことが天下りにならないか、こういうことでありますれば、これはもう特別な民間的な手法による人事が行われている中で、出向、転籍、取引先への再就職といったことも選択されているのが実情でございますので、そうしたことに倣って行われることはあり得るということでございます。

 しかし、私どもとしては、この点が不透明になったり、あるいは不公正になったりということはこれはあってはならないわけでございますので、この点の出向などにつきましても、第三者機関における御議論なぞを踏まえまして、その取り扱いの基準と申しますか、準則というものを定めて対処したい、こういうように思います。また、そういうときに、その準則に従って出向というようなものが行われる場合も、透明性確保のために、その状況は公表いたしていきたい、このように考えております。

長妻委員 いや、規制が何にもないということじゃないですか。そして、今政府が出してきた天下り規制の法案にも引っかからないということじゃないですか。天下りし放題じゃないですか。与党の皆さんも聞いておられますけれども、本当にこういう案でいいんですか、これで。

 民主党法案提出者にお伺いしますけれども、この天下りに関して、御意見、いかがでございますか。あるいは法案の中身等。

枝野議員 まず、そもそもの天下り規制について、我々は、中央省庁、国家公務員そのものに限らず、いわゆる特殊法人や独立行政法人の職員の皆さんがそこから天下りするということについても規制をかけるべきであるということで、我が党の天下り規制についての提案をさせていただいているところでありますが、いずれにしても、この新しい機構が事実上行っている仕事は、従来と同じように保険料の徴収を行って、そして、税金やあるいは一部保険料を使って人件費が支払われ、運営が行われるわけですね。ですから、そこから外部委託をしたりする、仕事を外部の民間に発注したりするということについては、税金や保険料という広い意味での国民負担で行われるわけでありますね。

 だとすると、この皆さんが、先ほど出向の話に何かすりかえていたようでありますが、その一時的に出向する云々という話ではなくて、まさに再就職として天下りをする、つまり、取引業者、出入り業者、委託先等というところに対して、まさに税金をもってしての権限を背景にして再就職するというのは、例えば厚生労働省の職員が再就職するのと、国民の視点、負担者である納税者、社会保険料負担者の視点からは、何ら違いもないわけでありますね。

 にもかかわらず、形式的、名目的に公務員ではないという建前をつくるそのことのためだけに、今の与党の案はざるとはいえ、そのざるである天下り規制にも引っかからないということになってしまうというのは、まさに天下りやり放題、天下り天国をつくるということにほかならない。準則その他で天下りが防げるのであるならば、社会保険庁の天下りにまつわる今までの不祥事だって起こらなかったんじゃないのか、何で今度は起こらないのか、全く説明はないというふうに思っています。

長妻委員 次に、民間委託の件をお尋ねいたしますけれども、民間でできる仕事は、もう大幅にというか、もうできる限り民間に任せるということが私は筋だというふうに考えております。日本年金機構も、歳入庁法案でも大幅な民間委託というのがうたわれていると思いますけれども、ただ、心配なのは、日本年金機構で民間委託するのはしても、これは天下りの規制がないので、そこにどんどん天下りもできてしまう。そして、日本年金機構は民間だということなので、民間がまた民間に委託するというようなことで、国の、民間委託先への、再就職先へのチェックが非常にききにくくなって、個人情報等々の問題というのがどの程度防げるのかという懸念があるわけでございます。

 民主党法案提出者にもお伺いしますが、こういう、大幅に民間委託する場合、どういうふうにチェックをするのかというのをお尋ねいたします。

園田(康)議員 私ども民主党の案でまいりますと、これは国の機関という位置づけにまず当然なるわけであります。歳入庁というのは、国税庁とそれから今の社会保険庁を整理統合するという形でありますので、当然国の機関であります。

 したがいまして、国の機関ということは、もう委員も、あるいはここにいらっしゃるほかの委員の方も御存じのとおり、憲法できちっと決められた、国の機関に対する私どもの、国会のチェックがここできいていくというのは当然のことであろうというふうに思うわけであります。

 そして、いわゆる歳入庁というものが国の機関であるということであれば、当然のごとく、国に対するあるいは国会に対する説明責任といいますか、出席が求められた際には出席をきちっとしてこなければいけないという形でありますし、私どもの案におきますと、第七条において、まず、国会が歳入庁長官に対して出席を求めたとき、これについては当然にこれに従う義務というものが課せられているわけであります。

 同時に、国会はこの権能に基づきまして、歳入庁とそれから外部委託機関、先ほど長妻委員がおっしゃったように、外部委託機関との契約内容や履行状況等についてもきちっと直接的に国会の中で監視することができる。そういう形で、まず直接的なコントロールがきいているものというふうに考えております。

 また、歳入庁に、先ほど御説明申し上げました監察官、こういったものを置くことができるというふうに第十二条でやっているわけでありますが、この監察官は、歳入庁の職務に関して民間の調査も行い得るというために規定を設けさせていただいておりますので、抑制力が当然ここで働いていく、民間に対する抑制力として機能するものであるというふうに考えているところでありまして、実際に、先ほどのようなさまざまな不祥事が生じた際には、厳正な捜査というものがこの中で可能になっていくものであるというふうに考えております。

 以上のような仕組みをもって、外部機関に対する強力な抑制力を持つとともに、仮に不祥事が発生した場合においても高い自浄能力というものがこの中で有することができると同時に、国会のコントロールが直接的にきいているというふうに私どもは考えております。

長妻委員 今、国会のチェック、コントロールという話がありましたけれども、これは柳澤大臣にお伺いしますが、例えば、日本年金機構の理事長や役員というのは、国会質問のために国会が出席を求めれば、あるいは野党が出席を求めれば、これは出席していただけるということでよろしいんですか。

柳澤国務大臣 いろいろな公的な業務を行うときに国会のコントロールをどうやって及ぼしていくかということは、ある意味で、民間的な手法を用いてできるだけ効率的また公正な業務を行うということと、それから、国会のコントロールを直接に及ぼせるように国家の機関としてやろうかというのは、いずれにしても二つの選択肢としてあるわけでございます。

 私どもは、今回の社保庁のいろいろな問題というものを、日本年金機構というような形で、できるだけ内部的には民間的な手法でもって人事であるとかあるいは処遇であるとかというようなことを行わせることによってこの問題に対処をしていこう、こういう考え方でございます。

 そういうことで、日本年金機構の理事長は、これは国会の招致を受けたときにはどうするかということですけれども、一般の独立行政法人の理事長なぞと同じように、参考人とかそういうようなことで召喚をされて、意見を聞くということはあり得るというふうに思っております。

長妻委員 いや、あり得るとかあいまいですけれども、今、社会保険庁だからでしょうね、村瀬長官が、私もお呼びをしていませんでしたが、ここにおられるわけですよ、国会で。それだったら、私も実は別の委員会の理事をした経験上言うと、例えば、特殊法人の理事長や独立行政法人の理事長を野党の私が質問をしたいということでお呼びをしようとすると、与党の方が、呼ばない、こういうふうになってしまうと呼べなかった、こういう経験もあるわけでございます。

 そういう国会側の制約というのもあるわけですけれども、ちょっと委員長にお尋ねをいたしますが、これはうなずくだけで結構でございますので、例えば、仮に日本年金機構の理事長を野党である私がお呼びをしたいと言ったらば、これはもうそのまま出席を要請していただける、こういうことになるわけですか。

櫻田委員長 そのときになったら、そのときお答えします。

長妻委員 いや、これはブロックする可能性はありますよ、特殊法人とか独立行政法人の理事長は。

 これは、与党の筆頭理事もおられますので、筆頭理事もうなずいた形でお答えいただきたいんですが、今後、与党が今度は民主党になるか自民党になるか、民主党であればこれはもうそのまま呼ぶわけですけれども、与党の筆頭理事としては、今後はそういう要求が仮に国会であれば、日本年金機構の理事長は、もう野党ひとりが質問するときにお呼びくださいと言えば、それはそのまま呼ぶ、こういうこと……(発言する者あり)ケース・バイ・ケースだということです。

 今そういうお話がございましたが、民主党案では一野党がお呼びをしてもお呼びをいただけるということですか。

枝野議員 憲法や国会法に基づいて、国の機関、公務に携わっている者については、もちろんポジションによってどういう人を呼ぶかということはありますが、国会に出てきて説明をするという義務が法律上ございます。したがいまして、国の機関である我が党の歳入庁の構想では、当然、歳入庁の長官を初めとするしかるべきポジションにある人は、国会から質問の通告がなされたら、自動的にというか必然的に国会に出てきて答弁をする、説明をする義務を負うことになります。

 しかしながら、形式的であっても民間人ということである政府案になると、まさに理事会等の合意で、多数決で呼ぶか呼ばないかということになってしまうわけでありまして、私もいろいろな委員会の理事の経験から、いわゆる政府参考人でない普通の参考人をという形になってしまった瞬間に、必要に応じてその都度出席を求めて説明を求めることができないというのは、お互い国会の中にいる人間にとっては、残念ながら現状の常識という一方で、逆に言うと、本当の民間人ならば、国会が、だれかが呼びたいと言ったからといって簡単に呼べていいのかというと、これはまた違うんだと思うんですね。国会で、ああ、これは本当にみんなで必要だと思ったときでないと呼べませんということで、本当の民間人ならそれはそうなんだと思います。

 しかし、この与党の案の年金機構というのは、まさに税金で事務を行い、税金で給料をもらって、そして国民の皆さんの貴重な年金保険料を預かっているわけでありますから、こういう人たちが民間人と同じような扱いでしか国会に呼べないというのは、もうこの一点で制度的欠陥であるというふうに思っております。

長妻委員 現実に、やはり日本年金機構の理事長隠しといいますか、理事長に対する国会のチェックというのが著しく低下するというのは、これはもう間違いない事実だと思います。

 そして、もう一点でございますけれども、それでは、経費、コストというのは、民主党案と日本年金機構法案、どちらが安くなるのかということをお伺いしますけれども、日本年金機構というのは、社会保険庁が全部移行するわけではなくて、政管健保の部分などはこれまた分割されるわけでございまして、日本年金機構に移行する部分の事務の経費、これは民間委託も含めて確実に減るということで、柳澤大臣、よろしいんですか。

柳澤国務大臣 日本年金機構におきましては、民間的な手法を使ってできるだけ効率的な業務運営を行うということで、アウトソーシングを行うことも取り入れているわけでございますけれども、この機構の経費がどういうふうになるかということを今具体的な数字をもってお示しすることは、これから先、いろいろ、第三者委員会等におきまして組織のいわば切り分け等も行われるということでございますので、ここでお答えするということの準備はないわけでございます。

 いずれにしても、今回のこの日本年金機構というものに改組をするということの中には、業務運営の効率性というものが強く念頭にございます。そういうことでありますし、また、実際の業務の裏づけとしての予算につきましても、これは予算として国会の審議を仰ぐということになっておりますので、その際、議員のチェックもいただくということで、その効率化の方向性というものは国会の監視のもとで行われるという仕組みになっております。

長妻委員 非常にあいまいな御答弁ですけれども、同じ質問を民主党案の法案提出者にお伺いします。

 結局、人件費も含め、民主党案歳入庁でも大幅に民間委託するということでございますが、その民間委託の経費も含めて、トータルで、今と人件費等々の経費はどうなるのか、お答えください。

園田(康)議員 ありがとうございます。

 今の御質問でいきますと、私どもは、まず国税庁と、先ほど来申し上げておりますように、今の社会保険庁、この重複事務というものがかなり多くあるというふうに考えているわけであります。

 例えば、社会保険庁の業務量調査結果というものでいきますと、趣旨説明のときにも申し上げましたように、総務関係の業務が全体の一二%ございます。それから、徴収関係の業務が三七%。合計約五〇%という形になっているわけでありますが、これらの業務に関しましては、現在の国税庁の同様の業務と重複が想定されているわけでありまして、この総務関係の五〇%、大幅な業務の合理化というものが可能であるというふうにまず考えております。

 例えば、厚生年金におきますと、先ほどのお話でもありましたけれども、現在では、社会保険庁が、まず登記などを確認することによって適用を進めている。ところが、確実なものでしかその確認をすることができないという部分があるわけでありますが、その確認する作業として一定のコストがここの中で生じているというのは、皆さん、もう御承知のとおりでございます。

 しかしながら、もし国税庁とこれを統合した場合、歳入庁となれば、まず、法人税法に基づいて、新たに設立した会社というものは必ず税務署に設立の届け出を出さなければいけないというふうになっているわけでありまして、すなわち、わざわざみずからこの届け出に、調査という形で社会保険庁が赴かなくても、自動的に税務署に、いわゆる我々が提出をしております歳入署というところに届け出をしてもらえるという形からすれば、このコストも当然のごとく軽減できるというふうに考えております。

 それから、庶務であるとか人事であるとかの間接部門関係、ここにおきましては、その事務の性格上、重複する部分というものは当然多いというふうに考えておりますので、この部分に関しましても、当然のごとく大幅な削減というものが考えられるというふうに思っております。

 それから、さらに民主党では、先ほど御指摘のあるように、可能な限り事務を民間に委託することを考えておりますので、その切り分けというものをこの基本計画という中できちっと定めることによって、歳入庁が直接に行う事務というものを大幅にコストダウン、大幅に削減していくということが可能になってくるというふうに考えておる次第でございます。

長妻委員 そして、私は、この日本年金機構というところの職員は、ありていに言えば隠れ公務員だというふうに思うのでございますけれども、基本的に、今政府は、実力主義とか能力給を大胆に取り入れるから日本年金機構は効果が上がるということを言われておられるんです。

 これも、一つ、今政府が出してきた渡辺行革大臣担当の公務員制度改革では、民間並みの実力主義あるいは民間並みの能力給、これを実現するんだということで政府は法案を出してきているわけでありまして、その法案が実現すれば、仮にそれが正しいとすれば、私は羊頭狗肉だと思っておりますけれども、仮にそれが正しいとすれば、民間と同じような実力主義や能力給になるということであれば、非公務員にするというようなメリットというのはどこにあるのかと思うんですが、大臣、いかがですか。

柳澤国務大臣 最近におきましては、公務員の給与あるいは人事というのもできるだけ民間的な手法を導入しようという動きがあることは確かでありますけれども、やはりそういうことであったとしても、公務員には、身分保障等、やはり一定の地位が、公務員たるの地位というものが今後とも維持されていくであろう、このように思われるわけでございます。

 それに対しまして、私どもの今度の日本年金機構というものにつきましては、そういう非公務員型ということで、より効率性を追って、能力、実績に基づく人事管理あるいは柔軟な職員採用がしやすくなるということでございますので、したがいまして、私どもとしては、よりめり張りのきいた民間的な手法が取り入れられるというふうに考えております。

 そういう意味合いで、意識の問題といたしましても、ここで一たん公務員たるの地位というものをみんな捨て去っていただいて、新たな形で募集、採用をされるということで、職員に就任される場合には、これは国家公務員という地位をそのまま継続するのに比べまして、私は、はるかに違った行動というものが期待される、このように考えております。

長妻委員 そして、もう一つ柳澤大臣にお尋ねしますが、大臣、ぜひお約束いただきたいのは、我々の懸念は、特殊法人の平均のお給料というのは、同じ年齢とか職歴ですよ、特殊法人の方が国家公務員より高いんですよ、データで見ると。日本年金機構は国家公務員の平均給与よりは絶対上回ることはない、これは明言してください。

柳澤国務大臣 給与水準についても、私は、そういう委員の御指摘のような方向性をたどらなければ、この効率性の基本方向にそぐわないということになろうかと思います。そんな遠い将来のことまで私がここで言及することは必要ないかと思いますけれども、しかしまた同時に、他方、民間的な手法を導入するということになります場合には、大いに、メリットシステムというか、そういうようなものも採用していくということでなければならない、こういうように思います。

 したがいまして、今の点につきましても、恐らく平均給与ということになれば、これはもう問題なく効率的なことで、今委員が仰せられるような方向であろう、こう思うわけでございますけれども、私ども、独立行政法人法制をやったり、あるいは民営化というようなものをやる中で、同時に個々の職員の人件費というかそういった処遇についていろいろと言うということになると、せっかくの民営化であるとか独立行政法人化ということの意味合いというものを減殺しかねない、そういう懸念も持っております。

 したがって、今私は、だから、平均的な給与水準が高くなる、あるいはこれまでの特殊法人と同じようになるというようなことを申すつもりは毛頭ありません。毛頭ありませんけれども、同時に、処遇についてはメリットシステムを大いに入れていくということでないと、本来の我々がねらいとする民間的な手法というものに欠くるところが出てくる、そういうことでありますので、その点を付言した上で、今委員に対するお答えにしておきたい、こう思います。

長妻委員 私も、実力主義でお給料に差がつくというのはどんどんやった方がいいと思います。ただ、平均給与が国家公務員より上がっちゃうというのは、平均ですよ、これは野方図にどんどんどんどん上がっちゃう可能性が私はあると思うので、そういうあいまいな答弁だとやられちゃいますよ。

 最後に、参考人招致の要求をいたします。

 まずは、大野功統議員、自民党の議員でございますけれども、これは平成十六年二月二十五日、衆議院の予算委員会で、当時の与党年金制度改革協議会の座長であられましたが、こういう発言をされました。同協議会の与党合意として、我々は、「国民の皆様の大事な年金の保険料は年金の給付以外には絶対使わない、こういう誓いに達したわけでございます。」これは、NHKの生中継も入っている委員会でこういうふうに言われまして、これとは異なる法案が、今ここで政府案が審議をされていますので、その公約違反。これは、自民党がその法案に反対をするということならまた話は別でございますけれども、これをお伺いしたいということで、大野功統議員。

 そして、もう一人、小泉前総理大臣も参考人でお呼びをしたいということで要求をいたしますけれども、小泉総理も、平成十六年の四月九日、厚生労働委員会で、我が党民主党の質問で、「年金の保険料は基本的に年金に充てる、事務費には充てないという御指摘、これはやっぱり真摯に受けとめるべきだと思っております。」というふうに御答弁されておりますが、それとは全く逆の法案が今ここで審議をされておりますので、委員長におかれましては、お二人の参考人招致を要求いたします。

櫻田委員長 理事会で民主党さんが提案していただきたいと思います。(発言する者あり)

 では、理事会で協議いたします。

長妻委員 終わります。ありがとうございました。

櫻田委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時二分開議

櫻田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日、私はこの質疑時間を、同時刻にイラク特別委員会がありますために、民主党の御好意で民主党の皆さんよりお先にやらせていただくことになりました。大変にありがとうございます。

 そこで、冒頭、早速大臣にお伺いさせていただきますが、年金の問題と申しますのは今国民にとっても最大の関心事ですし、私どもがこうした委員会で審議することが、国民にとっての年金不安や将来不安にきっちりこたえていくような場であってほしいと願うものであります。しかしながら、せんだっての与党の皆さんの水曜日の質問に引き続いて、きょう午前中、民主党の長妻さんが質疑をなさいましたけれども、私は正直言って、こんな法案だったの、こんなずさんなことが放置されたまま、またさらに恥の上塗りの法案になっていくのかなという危惧を持ちました。

 そこで、大臣に冒頭、大きく二くくりで二問お願いしたいと思います。前半の年金という問題では、今我が国の年金ということについて最も重要な問題は何であるのか、この点の大臣の認識をお願いいたします。

柳澤国務大臣 年金制度は国民の老後生活等の安定、これは遺族年金、障害年金を含めてお答え申し上げているんですが、基本的には老後生活の安定ということが柱だと思います。そういうことで、少子高齢化が進む中にありましても、国民皆年金のもとで、その役割、機能を堅持していくということが最も望まれる機能でございます。

 この国民の期待にこたえていくために何が一番大きな課題かといえば、それはもう申すまでもなく、長期的な給付と負担の均衡を確保することを通じて制度を持続可能なものにすること、これが最も大事なことである、私はこのように考えます。それと、そういう制度的な、実態的な課題ということと同時に、年金の運営組織について国民の信頼にこたえるということが最も大きな課題である、このように考えます。

阿部(知)委員 当然ながら制度と運営だと、両方を大臣は御答弁でありました。

 そして、制度の中身ということを言えば、一番大切なものは年金というものに対しての拠出、すなわち、国民年金であれば保険料の納付、あるいは働く者の厚生年金であれば勤労者と事業主の両方の保険料負担。今の我が国にとって、この年金制度の根本になる拠出の部分が非常に揺らいでいるんだと思います。この入ってくる方が揺らげば、当然アウトプット、給付という方も問題になりますし、その中間を、ハンドル、扱う例えば社会保険庁等々の機構もまた非常に難題を抱えるんだと思います。

 私はきょう、長妻委員と大臣の御質疑を聞きながら、例えば総務省の方が厚生年金の未加入の事業所の数を六十万と推定され、今社会保険庁の方では実際に実務でそうしたことを調べて加入促進を図ったのが六万、この間にある大きな乖離、もちろん、一方は予測であるし、片っ方は実績であるといっても、これだけ乖離があると、国民にとっては、みんなで負担してみんなで支えていこうよという原則にはならないわけです。

 この背景には企業の保険料逃れというのも大きいと私は思いますし、また、働く者にとっても、やはり、非常に収入が不安定で目先も大変だ、日々の生活が大変だというところで、長期的な年金への信頼やあるいはそれを負担してもいいかなという気持ちもどうしても揺らぎがちな、非常に深刻な時代に立ち至っていると思います。そして、そういう時代であるからこそ、これをつかさどります社会保険庁の役割というものは、この年金制度をしっかり国民が信頼してくれるように百倍努力せねばならないんだと思うわけです。

 しかし、今回出された法案では、私は聞けば聞くほど、さっき申しました、えっ、そんな法案だったの、官もどきか民もどきかわかりませんが、どちらともつかないゆえに、どちらの悪い方も引きずったまま、この組織が新たに看板をかけかえるのではないかと思います。

 具体的なことを大臣に伺いますが、これは政権与党の公約でありました、年金の運営の事務費等々にかかわります問題です。

 先ほどの御質疑にもありましたが、保険料をいわゆる年金給付以外には使用しない、これは小泉前首相のお言葉でありますし、また、百歩譲っても、いわゆる事務費とは給付にかかわりますさまざまな事務であって、それ以外でも以上でもないということは、例えば現在の法改正が行われました平成九年から十年にかけましても恐らく確認された原則であって、平成十年から十五年までの間、年金事務費の一部に国の負担以外の財源を充てる、すなわち保険料を充てることについては、人件費以外の年金事務費に対して保険料財源を充当となっております。人件費以外の事務費に対して今保険料が使われているというのが現状の骨格であります。

 ところが、大臣、御存じでしょうか。平成十年から今日の平成十八年まで、年金の事務費というものにかかわりますうちの国庫負担分と保険料負担分の比率が、どんどんどんどん国庫負担分が下がり、保険料から支払われる分がふえてきております。このあらあらのデータを御存じでしょうか。大臣、もしおわかりでなければ実務サイドでお願いいたします。

柳澤国務大臣 阿部委員におかれては、午前中の御議論を聞いていて何か不安になられたというようなことをおっしゃるわけですが、それでは困るわけでございまして、それはどうしてかといいますと、こういう社会保険庁の抱えるいろいろな問題を解決しようというときに、先ほども申したように二つ方向があるんですね。

 民主党さんのように、これをもっともっと国の機関として国会の議論の近くに置くということと、それと、我々のように、できるだけ民営化をしていって、それで、民の行動原理と申しますか、そういう原理を使ってこの問題を解決しようということと、二通りあります。

 私どもは、独立行政法人を考えるときも、我々の行政改革のところでは二通りあったわけですよ。そういうようなことで、これはもう基本のところで方向が違ったということでございます。

 我々は、そういうことの中で、一つ事務費について、これを直接的に年金の給付、徴収、こういうようなことをやるところに限る、しかし、人件費等、一般の行政経費については国庫負担をする、こういう原則を立てて今回もやっているわけでございまして、グリーンピアに象徴されるような、そういう年金福祉というようなものについては、これを廃止したということでございますので、御理解を賜りたいと思います。

阿部(知)委員 大臣も、数値等々おわかりのない中で、精いっぱい答えようとしてくださったんだと思います。

 私は、午前中を聞いて、年金が国民にとって不安になった大きな理由を二つ述べさせていただいたつもりです。

 一つは、拠出回避、いわゆる保険料負担を免れている人たちがそんなにいるのかというふうに国民が思えば、例えば国民年金の納付率もそうでございます。これは最後に村瀬長官にも伺おうと思いますが、八〇%などという目標を立てても、せいぜい不正免除や、本当はそこにいる人を不在処理して、分母処理をして上げているだけの、実際は、納められない、あるいは納めていない人の増大、そして企業も保険料負担を回避する、これはもう制度設計にかかわります問題で、大きな不安のもとです。

 もう一つは、これを運営する組織が、今大臣がおっしゃったような独立行政法人、これももどきですけれども、そういうものにしていくことが本当に何を意味しているんだろうかと。私はいろいろな意味があると思いますが、一つわかりやすい数値でお伺いをしたいと思って、事務費の問題を取り上げたわけです。

 これは、大臣、御存じないかもしれませんので、平成十年度予算では、例えば年金事務費二千九百三十七億円中、国庫負担は二千三百二十九億円、そして年金の保険料負担は六百八億でありました。約四対一と記憶してください。そして、平成十九年度になりますと、国庫負担は千七百九十六億に対して、年金の保険料負担が九百五十七億、二対一くらいに保険料負担の占める比率が高くなっているわけです。

 その間にあるからくりは何だろうか。私は、その答えの一つを先ほど大臣の答弁の中に見出したので、あえて伺ったわけです。

 大臣は先ほど、これからさらに看板がかけかえられて独立行政法人もどきになったときに、さらに、繁忙期にそこで臨時に雇った方の人件費も保険料から出すとおっしゃいました。実は、この間のからくりとは、正規の職員以外の、例えば年金のためのいろいろなサービス説明やそうした非常勤の皆さんの給与を、ある意味で、非常勤であるゆえに物品費同様に扱い、年金の人件費としてではなく、いいですか、大臣、保険料から流用してきたんですよ。そして、今度この看板のかけかえが起こったら、さっき大臣のおっしゃったようなことがさらに加われば、これは保険料からどんどんどんどん使い込まれていくわけです。そんな改正におめおめ、何が官から民ですか。これは流用法案ですか。保険料をさらに流用して恥じない法案ですか。

 大臣、答えていただきたい。なぜこの十年間で国庫負担は減り、保険料の負担がふえ、そのふえた中身は何であり、今度かけかえたらどうなるのか。そこをこの審議中に明確にしていただかないと、こんなもの、官か民かの言葉の遊びで、実際は負担増法案になります。いかがでしょう。

柳澤国務大臣 先ほど私が答弁申し上げたのも、常勤、非常勤ということで、片や国庫負担、片や事務費というふうにするということを申し上げているわけではありません。非常勤でありましても、恒常的なマンパワーを裏づけるところの人件費、これは形態的に物件費の形をとろうとも、これはもう国庫負担で行うということでございます。

 しかし、季節的な繁忙というようなことで、直接に、年金の事務が繁忙期になったというのでそういうような臨時の職員を雇った場合は、これはまさに直接、年金事務に充てられる事務費ということで、これは保険料によって充当されるということを申し上げたので、一般的に常勤、非常勤で分けるということではありませんので、その点は御理解を賜りたいと思います。

 それからまた、もう一つ申し上げたいのは、保険の事務費のうち、保険料負担の部分がふえてきたのではないかということですけれども、これは、明らかに平成十年度から、いわゆる特例措置という形で、事務費のうち保険事業運営に直接かかわる経費はやはり保険料で持っていただくべきではないか、こういう考え方の転換がありまして、それ以降、そうしたことが数字の上にもあらわれているということで、そこで一つの制度的な変換が行われたということを御理解賜りたいと思います。

阿部(知)委員 制度的な変換が起こったのは、平成九年度から十年度なのです、大臣。その後もどんどんどんどん保険料からの支出がふえていくんです。私は、なぜですかとそこを伺いたいです。

 いいですか、大臣。平成十年度、初めて六百八億が保険料から充当されました。現在は九百五十七億です。そして、これから先、この看板のかけかえ後は果たしてどうなっていくのでしょうか。今大臣の御説明の中の、このうち幾らが、これまでも、繁忙期だからこれは人件費から出さないで、働いてもらった人には保険料から出しましょうとやってきた分がどんどんどんどんふえてきたのですか。なぜ保険料からの支出はふえてきたのですか。今後はどうなるのですか。大臣には、ここをきちんと見せていただかないと、国民は納得できません。

 大臣、御存じですか。せんだっての福島委員の御質疑の中でありました。例えば労災保険あるいは失業保険等々は、全員が加入しているものではないから、その運営には保険料を充てるということも考えられるでしょうと。福島委員もそうおっしゃいました。御答弁もそうでありました。しかし、大臣、年金という仕組み、冒頭大臣がお答えになりました、全国民の強制加入を前提に、全国民がかかわるわけです。世代間扶養と所得再配分を行う仕組みなのであります。世代間扶養と所得再配分を行う仕組みにかかわる事務費なのであります。

 これは、正直言って、限りなく税に近いものだと思います。ここの社会保険料と税の仕切りは、この年金問題においては、私は、今後ますます、ある社会保障税的な意味を持ってくるものと理解しております。ですから、そういうものを扱うのに、保険者が一つの共助の仕組みの保険のあるグループだけの保険料で運営するというやり方が、どんどんどんどん、いつの間にか国の財政の逼迫の中ですりかえられて、論理も理屈も立っていないと私は思います。

 そして、大臣、なぜここまで、九百五十七億にふえてきた中身は何ですか。せめてそこだけでも明確にしてください。六百八億円からふえてきた中身は何ですか。

 そして恐縮ですが、今御答弁がかなわなければ、きょう私はこれを予告はしておりませんので、朝、長妻委員の御質疑を聞きながら、そこまで使っちゃうのと本当にびっくりしました。繁忙期の職員の給与まで出していったら、今度どんどん正職は少なくして、繁忙だ繁忙だといって非常勤を雇って……(発言する者あり)本当です。年じゅう繁忙だったらどんどん保険料から使うんだろうか。これは素朴な国民の実感ですよ、大臣。

 だから、なぜこれまでの十年間こうやって保険料からの拠出の方が多くなっているのか、この点について次回で結構です、詳しいデータ分析をしてぜひ御答弁を賜りたいのと、看板をかけかえた場合にこれはどうなっていくのか、その点についても聞かねば私たち納得できませんので、よろしいでしょうか、大臣、お願いします。

柳澤国務大臣 まず第一に、事務費を一切保険料で賄うということをやめるべきだ、そういうお立場からの議論でございますけれども、これはやはり海外の例もそうですし、また、いろいろな民間における活動という場合にも、直接に年金保険というものを賄う、運営する費用ということにつきましては、そうした事務費については保険料で負担をしていただこうということが、先ほど委員も御指摘になられた特例という形で最初はスタートしたということでございます。

 その後、事務費が十三年、十四年というところで少しふえたわけでございますけれども、これはむしろ、地方の事務であったものを国の事務に転換をしていくという例の行政改革の裏づけとしてこちらの事務費がそれなりに増嵩をしたということでございまして、その中で徐々にそれを節減する努力が続けられているというのが、最近、ここ数年における推移であるということで御理解を願いたいと思います。

阿部(知)委員 申しわけないが、大臣は数値をごらんじゃないのでちょっと答弁がずれていらっしゃるんだと思いますので、今私は質問予告しましたし、また次回、数値も用意して大臣ときちんと質疑させていただきたい。

 とりあえず、平成十年から十五年のお約束は人件費以外のものでございますから、それが例えば繁忙期であれ何であれ、その間の人件費まで保険料でかぶっていくというふうな構造をこのたびの改正でさらに滑り込ませる、そういう邪悪な改正と申しましょうか、これ、ずるですよ。そういうことまでやるのかとびっくりしましたということだけ申し添えて、次回また引き続いてやらせていただきます。

 今大臣は、世界各国の年金の仕組みにおいて、運営にかかわる費用がどのように拠出されているかというところにも少し言及されましたが、そうならそうで、もっと現下の国際情勢、世界じゅう年金は、先進国で年金制度を持っているところはどこも悩んでおるわけです。しかし、年金の信頼性、例えば効率性、透明性、公平性を担保するために世界各国は集まって、ISSAと略される会議、これは国際的ないわゆる社会保障担当官庁国際研究機構というのがジュネーブにございまして、そこでみんなで知恵を集めて、本当に年金問題を、お互いのいいところを取り入れて、官庁としても上手にやっていこうという部署もあるわけです。社会保険庁からもこのISSAに人が派遣されていると思います。

 村瀬長官に伺います。これまでの世界各国との論議の中で、今長官は、我が国の年金の運営組織の問題点と、世界各国が抱えている問題点と、また、交流の中で学ぶべき点があったとすれば何であるとお考えか、御答弁をお願いします。

村瀬政府参考人 今委員御指摘のように、国際社会保障協会、通称ISSAと言っておりますけれども、これに対して社会保険庁は加盟をしております。日本の社会保険制度や事業運営を他の国の加盟機関に情報提供するとともに、社会保険庁の事業を推進させるために必要な情報を収集しているということでございます。

 私自身も実はそのISSAのメンバーでございまして、三年に一度、世界大会が開催されますけれども、その総会が近場で行われたということで、一昨年、参加をしてございます。また、アメリカの社会保障庁の長官は訪問していただきまして、意見交換もしておりますし、それから本年度はドイツの年金保険機関から二名ほどお越しいただきまして、お互いに持っている情報交換もさせていただいております。

 また、ISSAへ派遣しています職員からは、会議参加を含めて、人口の高齢化、社会保障制度の事業運営の効率化、被保険者等へのサービスの質の向上、お互いにやはり同一の問題意識を持っておりまして、その部分についての意見交換もさせていただいております。

 したがって、我々といたしましては、ISSAが持っておりますデータベースであるとか会議レポート、これらを通じまして、我々の情報も適宜公開し、また各国の情報もいただいているということでございます。

 また、最近の例といたしましては、ねんきん定期便でございますけれども、この部分につきましては、ISSAからの情報を参考にして検討した経緯はございます。

阿部(知)委員 スウェーデンのオレンジレターでしたか、それからねんきん定期便、いい考えだと思います。よいところはどんどん取り入れて、ただし、今村瀬長官があえて御存じでおっしゃらなかったのかどうか、私は村瀬長官はそこまで回避する方ではないと思うので指摘させていただきたいですが、世界じゅうの年金の徴収の仕組みで大体諸外国が最も眼目としておりますところは、加入者の満足度の改善ということで、サービスの改善ということです。

 ところが、我が国とギリシャのみ保険料拠出回避対策というのが、すなわち冒頭申し上げました、例えば保険料を企業も回避してしまう、あるいは国民年金の保険料納付が実は六割だ、国民の保険料回避対策が眼目の一になっているというところは、本当に先進諸国の中では少ない。それが現状、日本がなぜそこに立ち至っているのか、そのことを考えると、実は年金の制度設計の問題にも連なってくるんだと思います。

 そして、一言で言えば、村瀬長官大好きなというか、私も大事と思いますガバナンスと言われる年金の問題における効率性、公平性、透明性、これを総称してガバナンスといいますが、これをどう運営組織の中に根づかせていくかということが実は世界じゅうで問題になり、しかし、日本はその場合、まず第一に保険者に払ってもらわなくちゃねというところでとどまっている。国会でこういう審議がある都度、社会保険庁ってまたそんな不祥事をしたの、もう保険料なんてどうなっちゃうかわからないね、今度、保険料から事務費まで全部出すんだってさ、いや、もう底なし沼だねと国民は思うわけです。でも、それではやはり余りにも悲しいと思います。

 私は、実は社会保険庁改革においてはいろいろな提言をしたいです。でも、きょうは、最後の一問になりますが、この間、社会保険庁がいわゆる市場化テストというのを行ってこられましたが、これもまた、やって、その成果をあるいは総括をちゃんとして次のステップに臨んでいるのかどうかというところで、私は、国民に対しての大きなごまかしがあると思います。

 実は、皆さんのお手元に配らせていただいた資料、二枚でございますが、「国民年金保険料の収納業務(市場化テストモデル事業)に係る評価について」というのがございます。平成十七年十月から十八年九月までの一年間、五カ所で保険料の徴収業務を市場化テストに投げました。そして、その結果を社会保険庁自身が評価されたものが二枚目に書いてございます。

 簡単に言うと、今回の市場化テストは、コストは安かったけれども、納付率の改善もさしたるものもないし、むしろ徴収が困難な、二枚目の上の方に書いてありますが、遠隔・山間地などの全区域で納付督促を実施する等々の今の社会保険事務所がやっていることには手をつけられていない。簡単に言えば、安かろう悪かろうで、五カ所とにかく終わった。ところが、これが今年度もう既に、この総括を待たずして、平成十八年七月から対象事務所を三十カ所拡大しております。

 大臣に伺いたい。市場化テストはやった。いろいろな問題があってはかばかしい評価は出なかった。しかし、その評価を前に、それ以前に、次の年も同じ手法でまた三十カ所市場化テストを投げ、さらに来年は九十カ所やり続ける、こういうのを税金の無駄遣いというんじゃないでしょうか。

 市場化テストはやるなとは言いません。しかし、一つ一つ丹念に問題点を把握して次に進む、これが政策というものがどのように評価され、定着していくかのもとではないですか。なぜ、この市場化テスト、十八年度、十九年度と当初の総括を待たずして次々にぶん投げられていくのか、御答弁をお願いします。

柳澤国務大臣 そんな乱暴な阿部委員らしくないお言葉を使われなくてよろしいかと思うんですね。それはどうしてかというと、私どもは、こういう総括的な評価をしつつも、なるほどな、民間の人たちはこういうことをやるのかというところを感じるところがございました。

 それはどういうところでそういうことを感じたかと申しますと、やはり、個々の被保険者に直接納付を働きかける場合に、早朝とか夜間とか休日など、通常、国家公務員の活動としてはなかなか考えられないようなところで被保険者と接触をされて、一定の成果を上げたというようなことが実はあったわけでございます。そういうようなことは、なるほどというようなことで、まさにこうした弾力的な対応が可能なのは民間だ、したがって、ここのところは民間を活用して大いにやろう。

 そして、今委員が指摘されたような、なかなか不便なところには手間がかかるということで、コストの競争という面もあったので行かれなかった。しかし、今度は行くような、そういう我々の評価基準みたいなものをつくって、そういうところにも手を差し伸べていただくように、これはスキーム自体を改善して委託をしていこう、こういう考え方に立つということについても御理解を賜りたいと思います。

阿部(知)委員 何も乱暴なのは私じゃなくて、この市場化テストのやり方なんだと思います。

 大臣が今御答弁されたような内容は、ここには一言も言及されておりませんし、すなわち、戸別訪問をきっちりと、社会保険事務所の場合は電話だけじゃなくて出かけていく、電話に加え戸別訪問などのウエートが高いということがコスト高にはしておる。しかし、その双方を比べたときの徴収率においては、電話だけの方でもさしたる、コストも安く、しかし、なおかつ成績も悪い、こう五カ所中四カ所書いてあるんです。それでも、同じスキームで次をやられた。

 もう時間の関係で委員長がこちらを強くごらんになっていますので、これは次回に送らせていただきますが、今の大臣の御答弁は、ちょっと私は納得いたしませんし、ますます語気も強くなりますので、次回にさせていただきます。

 終わります。

櫻田委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 岡下政務官も到着されましたので、まず政務官にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 先日、本会議場で質問させていただきましたので、それをもう少しクローズアップして質問させていただきたいと思います。

 今回の社会保険庁におきましては、新機構がみずから行う業務と外部に委託する業務の振り分け、その結果としての機構の人員規模は、内閣官房に設置されるというふうに聞いております第三者機関が検討することとなっておるわけでございます。これは法案審議後に機構の具体的な姿を決定するということでございまして、大変重要な役割でありまして、第三者機関が、またその人選が大きな影響を与えるというふうに思います。

 法案では、この第三者機関のメンバーは、「年金又は経営管理に関し専門的な学識又は実践的な能力を有し、中立の立場で公正な判断をすることができる学識経験者」というふうにされておりますが、具体的にはこれはどのような人をイメージされていらっしゃるのか。また、中立的な立場の者の中から社会保険庁の業務のように専門特化した分野に精通している者を見つけるということは、非常に難しいのではないかなというふうに思いますが、この人選のイメージをお答えいただきたいと思います。

岡下大臣政務官 糸川議員にお答えいたします。

 委員がおっしゃいましたように、日本年金機構の業務の委託の推進とか職員の採用に関する基本計画を定める際の学識経験者からの意見聴取については、総理の指示によりまして、渡辺行革担当大臣が担当いたしまして、林副大臣及び私が渡辺大臣を補佐することになっております。

 そして、この学識経験者につきましては、法案附則の三条三項におきまして、「政府管掌年金又は経営管理に関し専門的な学識又は実践的な能力を有し、中立の立場で公正な判断をすることができる学識経験者の意見を聴く」ということに規定をしておりまして、その規定を受けまして、それに従いまして渡辺大臣が適切な方々の人選を行っていくことになっております。

 今、委員がどのような人をイメージするのかという御質問でございますけれども、例えば、公的年金に関する研究者でありますとか、それから企業の経営者が考えられますが、いずれにいたしましても、さまざまなしがらみにとらわれることがない、国民の立場に立って適切な人選を行ってまいりたいと存じております。

糸川委員 ぜひ政務官、しがらみのないというお言葉をお聞きしましたので、しがらみのない公平な人選を行っていただきたい、国民のためになる方を選んでいただきたいというふうに強く思います。

 この新機構の人員規模につきましては、業務の振り分けにかかわります第三者機関の検討を待たないとわからない旨の答弁がこれまでもなされてきております。確かに、この機構自体がみずから行う業務の範囲、これは不明かもしれませんけれども、厚生労働省であったり地方厚生局に移行する業務の範囲、これは決まっているはずでございます。ですので、その部分の人員というのはどの程度見込まれているのか、お答えいただきたいと思います。

清水政府参考人 今回の法案におきましては、まず、二十年十月に保険医療機関の指導監督等に係る業務が社会保険庁から厚生労働本省あるいは地方厚生局に移管されます。

 また、二十二年一月に、公的年金関係の業務あるいは社会保険審査官等に係る業務が社会保険庁から厚生労働本省あるいは地方厚生局に移管される、御指摘のとおりでございます。

 今回の法案におきまして、法律上、当然のことながら、これらの権限の整理をしているところでございます。しかしながら、この権限に係ります事務の量、すなわち人員規模と申し上げてもよろしいかと思いますけれども、これらにつきましては、具体的な個別事務を今後精査いたしまして、また定員管理当局とも十分な議論をする必要がございます。今後、それぞれ平成二十年度または二十一年度の組織定員要求、予算編成の過程で、それら当局と協議しながら決めていくということになると思っております。

 このため、現時点では、恐縮ではございますけれども、具体的な人員規模について申し上げることはできないということでございます。

糸川委員 現時点でまだ決まっていらっしゃらないということですが、私は、それはちょっとどうなのかなと。今、厚生労働省の本省であったり、地方厚生局に移行する業務の範囲自体は決まっているはずですので、ある程度このぐらいの人員が必要であるということは、内々にはもう決まっているんじゃないかなという気はするんですけれども。

 そうしましたら、社会保険庁が分割された後、各組織間の人事交流についてお尋ねしますけれども、円滑に年金業務を運営していくためには、ある程度の人事交流というものは必要だろうというふうに考えますが、幹部クラス、それからその他の職員それぞれについて、どのような目的のもとで、どの程度の人事交流というのを今後行っていくおつもりなのか、考え方をお伺いしたいと思います。

清水政府参考人 年金業務は全国で統一的に実施すべきものでございまして、これを円滑に実施していきますためには、年金制度の企画立案や財政、管理運営責任を担います厚生労働大臣配下の職員と一連の業務を担います日本年金機構の職員の連携、あるいは年金に関する知識や意識の共有を図るといったことも必要ではないかというふうに考えてございます。これは、幹部クラスであろうと一般職員であろうと、ともに必要ではないかというふうに考えております。

 したがいまして、業務の的確な遂行のためには、御指摘のとおり、一定の人事交流は必要と考えてございます。ただ、やはり留意すべきは、かつての社会保険庁のようにポストを固定的に考えるということではなくて、年金業務の円滑な実施という観点から、柔軟かつ適切な人事配置ということが必要と考えてございます。ただ、人事交流の具体的なあり方や規模などにつきましては、今後、内閣官房の第三者機関におきます機構の業務の振り分けの検討を初め、機構の業務の具体的な組み立て方など、そのあるべき姿を見定めつつ、その時点で十分検討してまいりたい、かように考えてございます。

糸川委員 部長、今ちょっとお伺いしていると、これもまた決まっていない。何かこの人事交流のあり方、社会保険庁が、こういう人事交流のあり方が望ましいんだということもまだ決まっていないようでございますが、そういう御答弁でよろしいのか。もう少し誠意があってもいいのかなという気がしないでもないですが。

 ちょっと私、持ち時間が少ないものですから、大臣にお尋ねいたしますが、前国会で廃案となりましたねんきん事業機構法案、これでは、厚生労働省のOBが年金運営会議の委員ですとか特別監査官にはなれない、こういう規定がございました。今回の法案では、理事や監事についてそうした規定というのは設けられておりません。

 この新機構は、特殊法人であることから、天下りが横行するというイメージがつきまとうわけでございますが、なぜ今回、この法案で厚生労働省のOBを除外する規定がないのか、その理由をまずお伺いしたいのと、法制上の理由など単に規定がないだけで、実際にはOBを送り込む予定がないということであるならば、新機構の発足時だけではなくて、将来にわたっても厚生労働省のOBを用いないということを大臣に明言していただきたいというふうに思います。

柳澤国務大臣 前国会で廃案となりましたのは、ねんきん事業機構を引き続き国の行政組織として組成をするということでございました。

 このために、公務員組織の中で外部の意見をどういうふうに取り入れていくかということの一環で、年金運営会議を置いたり、あるいは特別監査官というようなものを置く、こういうことでありましたが、その実効性を確保するためには、それは外部の専門家というものの中に厚労省の常勤職員であった者がいたのでは何をやっているのかわからなくなってしまう、こういうことで、わざわざそうした規定も置いたということでございます。

 ところが、今回の法案におきましては、これはもう国と切り離しまして、非公務員型の公法人にするということで、その組織原理なぞも、理事会制であるとか、あるいは外部の、社外監事的なものも当然置きますし、また、外部の監査法人の監査を受けるというように、もうある意味で民間のガバナンスのやり方に準じてやりますから、そこにおのずから政府との間の関係というのは希薄になってくる、こういうことがございます。

 したがいまして、仮にOBがそこの中に入ったとしても、それはある意味で全体の組織原理が民間であるということが前提になりまして、そういうことで採用される、こういうことになるということでございます。

 したがいまして、これは少なくとも、少なくともというか、当初の段階なぞには、第三者機関がどういう人物がいいのかというようなことについても基準を設けたりすることになっているということで、御理解を賜りたいと思います。

糸川委員 きょうは時間が参りましたので質問を終わりますけれども、大臣が今おっしゃられているように、OBは適正に入っていくことになるんでしょうかね。正直、それはどうも天下りが横行してしまうんではないかなという気がしないでもないんですね。

 ですから、この辺はまた次回の質問にさせていただきますが、もし大臣、何か一言あるようでしたら、ちょっと補足していただければと思います。

柳澤国務大臣 今申し上げたように、採用の基準なぞについては、中立公正の第三者機関で基準を定めるということになっておりますから、そういう方々が定めた基準に合致するような、そしてまた民間的な活力というものが発揮されるような組織でなければ、中期目標であるとか中期計画というものの完遂というのはおよそ不可能になってしまうだろう、そういう全体の仕組みの中で考えられていくということでございます。

糸川委員 そうすると、やはり第三者機関のメンバーが重要な役割を担いますので、これをまずは明らかにしていただきたいなというふうに思います。

 きょうはこれで質問を終わります。ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、細川律夫君。

細川委員 民主党の細川でございます。

 私は、四月四日の当委員会で、年金福祉事業団やその後身の年金資金運用基金で、本来の事業とは別の団体をつくって、その収益が裏金になっていた可能性があるということを指摘いたしました。その団体の名前は年金福祉研究会といいまして、融資の申請書などを作成、販売したということでありました。

 その中で、年金局長は調査を約束して一カ月程度時間が欲しい、こういう答弁があって、私は、もっと早くその調査の報告をするように、こういうことを申し上げました。このことは櫻田委員長にも求めたところでございました。

 しかし、二回目のいわば中間報告をもらったのは昨日でございまして、まだ調査が進んでいないといいますか、そういう事項も大変多くて、私は、余りにも調査が遅い、進んでいない、こういう気持ちでいっぱいでございます。

 きょうもこの件について質問をいたしますが、その前に、この年金福祉研究会の持っている意味についてちょっと申し上げます。

 まず、年金福祉事業団ですけれども、この法人は、厚生労働省所管の特殊法人として年金の運用、融資を行う一方で、年金受給者や加入者のための保養施設を経営しておりましたが、その立地条件や経営手法の問題で結果的に年金加入者に損害を与えたということで、何度も国会でも指摘されましたし、国民からも厳しく批判を受けてまいりました。そして、この事業団と後身の基金の部長級以上の管理職は、ほぼ全員が社会保険庁からの天下りでありまして、彼らが状況判断を誤って福祉事業で大きな失敗をしたのでございます。

 それらの法人の役職者が、世間の非常に強い批判の中で、一方で、この内職まがいのことをして裏金づくりを続けていたとしましたら、この法人の役職者は何と常軌を逸しているかということを思わざるを得ないのであります。

 一方、公務員や特殊法人の職員らが監修料を受け取っていたということも問題となりました。これも、勤務時間中に監修作業を行っていたことも含めて、やはり公務員の内職としての批判を受けたものでありまして、この際も、厚生問題研究会のような任意団体が問題となりました。これらの件も全く反省材料にはなっていなかったというふうに言わざるを得ません。

 年金積立金管理運用独立行政法人の調査によりますと、平成十二年度にこの年金福祉研究会は約四千九十万円の収入を得て、九十四万九千七百円の法人税を支払っております。この平成十二年がどういうような時期かといいますと、平成九年にグリーンピア事業から撤退、こういう閣議決定をいたしまして、高知県の横浪基地を譲渡、また中央高原基地を営業停止にした年でもございます。

 この通称グリーンピアと呼ばれる大規模年金保養基地について簡単に言えば、全国十三カ所に合計千九百五十三億円という巨費をかけまして建設いたしましたけれども、経営に失敗をして、自治体などに転売をしたものの、譲渡価格はわずか四十八億円、簿価にしても千八十六億円の売却損となったのであります。この建設費は財投からの借り入れでありましたから、年金特会から財投に対して償還すべき元利合計金額に至っては三千五百八億円。いずれにいたしましても、千億円を超える金額が損失となり、三千億円を超える金額が年金積立金から失われる、こういうことになります。

 こうした事実が大きな問題になっているさなかに、事業団や基金の役職者が別の任意団体をつくって営利活動をして、この失われた年金積立金の一部を補てんするというようなことも一切全く考えもなくて、収益を上げていたということになります。

 この問題を徹底的に究明して、二度とこのようなことがないようにすることが、今度の年金の納付、運用、給付といった制度論の前提だというふうに私は考えております。こんな体質を徹底的になくしていかなければ、幾ら制度を変えたところで何にもならないというふうに思います。

 したがって、私は、この年金福祉研究会の問題をやはり徹底的に解明しておかなければいけない、このように考えております。

 そこで、政府の方にお聞きをいたしますけれども、今度の法案につきまして、年金の無駄遣いについては、いろいろこれまで国会でも問題となりました。こうした福祉施設の運用あるいは事務費を含めた経費に対しまして年金積立金が流用されてきたわけですけれども、こうした流用に対してどのような歯どめがかかるのか、歯どめをかけるつもりなのか、この点についてまずお聞きをいたします。

柳澤国務大臣 年金福祉施設等につきましては、たくさんの批判やまた状況の変化もありまして、もう既に譲渡等を行っているところであることは、今委員も御指摘いただいたとおりでございます。

 この事業の根拠となったいわゆる福祉施設規定というものは、今回の法律案におきましてはこれを廃止するということにいたしたわけでございます。

 具体的には、これまで批判のありました、必要な施設をすることができる旨の規定を削除いたしまして、具体的に、年金相談、年金教育及び広報、情報提供など、真に必要なものを明示的に列挙して、事業の範囲をこれに限定するという規定を置いているところでございます。

 したがいまして、従来いろいろな施設があったわけですが、そういうものはもうつくらないということも、法律上明確になったものと考えております。

 年金事務費の関連で申し上げますれば、今回の法案で年金給付と密接不可分なコストである経費、これに保険料を充てるということにしておるところでございます。

 重要なことは、無駄遣いは絶対にさせないということでありまして、この日本年金機構の予算を精査することはもちろん、執行に当たりましても、例えば調達においては、民間企業人も参画する調達委員会によって厳格な審査を行うなど、そのための取り組みを徹底してまいりたい、このように考えております。

 また、年金保険料の使途が国民の目に明らかになりますように、ホームページで予算を公表し、一層の透明化を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

細川委員 今大臣の方からお話がありましたけれども、果たしてそういうことで大丈夫だろうか、事務費などが肥大化していく危険性はないんだろうか、そのことが再び無駄遣いにつながっていく可能性があるんじゃなかろうかというような、そういう疑問も否定できないところでございます。

 それでは、そういう点について、民主党の提案者に尋ねますけれども、民主党の方では、この事務費を含めます年金の流用というようなことについてはどのように考えているか、お答えください。

山井議員 細川委員にお答えをいたします。

 私たち民主党案では、年金支給以外の事務費などへの流用は一切認めません。そのような年金保険料流用禁止法案を今回提出いたしております。その理由は、三年前の年金改革の審議の際にも、一番国民の不信を買ったのが、年金の支給以外に保険料を流用してしまうということでありました。

 そして、今回、それをまさに事務費という形で、二千億程度の流用を恒久化する法案を政府は出してきたわけですが、これでは国民の不信はますます大きくなるばかりであります。

 今回、納付率の向上が非常に重要なテーマとなっておりますが、国民に今まで以上に厳しく保険料を納付してくれと言う以上は、逆に集める方も、痛みを伴って、私たちも、皆さんの大切な保険料は一切、事務費など拡大解釈で膨れ上がるそういうものには使わないということを、まさに政府の方も厳しく律しないと、国民の信頼回復は図れません。

 きょうの午前中の審議でも、繁忙期の非常勤職員の給料は保険料から流用できる、もしかして一年じゅう忙しかったら、非常勤職員の給料は全部保険料から流用できる、また、年金相談という名目だったら使えるということは、大規模な年金相談センターを建てることにも保険料は流用できるというのが政府案でございます。

 そういう意味では、私たちは、そういうことでは年金の信頼回復、納付率の向上は図れないということで、年金支給以外は一切流用を禁止する法案をこのたび提出いたしました。

 以上です。

細川委員 ありがとうございました。

 それくらいの厳しい法改正をしないと、保険料を負担している人は安心できないのではないかというふうに私も思います。

 それでは、昨日いただきました年金福祉研究会の件の中間報告も踏まえまして、質問をいたします。

 まず、この年金福祉研究会の主たる業務というのは、融資の申請書類や融資事業にかかわる手引書の作成、販売、こういうことですけれども、これは事業団や基金の本来やっている業務の中に含まれるものではないかというふうに私は思いますが、なぜ融資の申込書の作成を別の団体でやるのか、そもそもなぜこうした団体をつくったのか、お答えいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 冒頭、なお調査が完了していない点につきまして、おわびを申し上げたいと思います。

 ただ、先日来調査を進めてきております過程におきまして、先生にも御報告申し上げましたとおり、平成七年に定められた当研究会の規約において、年金福祉事業団の業務の円滑な実施を図るために必要な協力事業を行い、被保険者等の利便を促進するという目的で、調査研究のほかに、おっしゃられたような融資業務に係る借入申込書等の印刷とか各種手引書等図書の企画、出版などの業務を行うということになっていた、研究会という任意団体でございます。

 これをなぜ当時の年金福祉事業団の本来業務とはせず、別の任意のこうした団体を設立したのかということに関しまして、書類として残っておるものは調査結果として出てきておりませんが、幅広く退職者も含めた元職員などの証言等からいいますと、申請書類に係る費用について、公費によって賄うのではなく、融資を申請する利用者に負担していただくことが適切ではないかという考え方に当時立っていたと思う、それから、政府部内の他の関係機関などの情報においても、申請書類に利用者負担を求めるというような団体があったというふうに記憶している、こういうような証言が得られております。

 そうしたことから、本来の年金福祉事業団とは別に整理をしてこうした業務を行っていたのではないかと思いますが、厳密な意味で、どうしてそういう判断でなければならなかったのかという点について、私ども、今の時点から振り返ってみますと、先生の御指摘にも非常にうなずける点もあるわけでございまして、それならそれでやり方があったのではないかという気持ちも持っておるわけでございますが、当時の考え方を当時の関与した職員に確認したところは、やはり利用者本人の負担に帰するべき申請書類の費用負担ではないかということで、別に分けたという記憶であるということでございました。

細川委員 仮にそういうことであったとしても、そういう団体で収益が上がった場合に、それを事業団とか基金の会計に入れる、そういうことはなぜしなかったんでしょうか。

渡辺政府参考人 この団体自身が収益を上げることを目的としていたのかという点については、いろいろな事実に基づいて総合判断しなければいけないとは思いますが、現に、申請書類を利用者負担として御負担を求めてこの任意の団体の収入としている以上、それをどうして事業団の会計に繰り入れなかったのかという点につきましても、私どもとしても関心を持ち、関係者からのヒアリングを行ったところでございますが、年金福祉研究会の収益は、利用者に直接負担いただいた費用から生じたものであるから、これを事業団の会計に繰り入れて、結果国庫に帰属させるというのではなく、別の扱いをしたものではないかというふうに考えております。

 収益の処理方法として、利用者に還元するというのも考えられるわけでございますが、多数の融資利用者にわずかな収益を還元するというのは現実的にいかがかというようなこともあり、年金福祉研究会における事業実施に充て、将来の利用者のために用いられるようにするという当時としての判断をしたのだと、各種証言を解釈すれば、当時としての次善の策としてはとり得るものではなかったのかというふうに思っております。

細川委員 そういう団体で、利用者のためといいながらも、結局は収益で利益を得て飲み食いに使ったという結果でありますから、その点についてはまた後ほど質問するとしまして、それでは、この年金福祉研究会という団体はいつから存在していたんですか。

 平成七年に収益事業として税務署に届けるその以前は、それでは収益は一体どういう収益になっていたのか。収益がありながら申告していなかったならば、これは法人税法の違反の疑いもあるんですけれども。これはどうですか。

渡辺政府参考人 先月の御答弁におきましても、平成七年度以前からあったようだという証言であった旨を申し上げ、御紹介したところでございますが、この間の関係者の調査、ヒアリングなどによりますと、中に、昭和四十二年あたりからではないかという証言をする者もおります。確たる資料があるわけではございませんが、かなり昔からであります。年金福祉事業団が創設されましたのは昭和三十六年でございますので、かなり早い段階からというふうに考えられます。

 そうした平成七年度以前の収益につきまして、現時点では、私ども、書類等による、しかとした情報に接することができません。

 例えば、その研究会は恐らく銀行との取引関係を立て、口座でその資金を管理したものと想定されますが、平成七年度以前の預金出入り関係の情報については、当時の預金先の金融機関に対し、これは判明しておりますので提供を依頼しておりますところですが、何分古い記録であり、調査が大変難航しているというところでございます。

 なお、こうした以前の収益状況につきましても、既に関係金融機関に協力を依頼しているところでもあり、引き続き調査の対象として努力していきたいと考えております。

細川委員 この年金福祉研究会で、役員あるいは担当者、そういう方もいた、この間の四月四日の委員会では、そういう関係者が十五人から二十人ぐらいいる、そういう人たちに当たるには時間がかかる、一カ月程度待ってほしい、そういうことだったじゃないですか。そういう人たちに当たったんですか。さっきの話では、七年以前が全く皆無じゃないですか、調査した結果は。もう一回きちんと報告してください。

渡辺政府参考人 先ほども申し上げましたように、七年以前のことについても現在調査を続けております。例えば、相当昔のことになりますものですから、そうした方々につきましては、書面を送付し、事情をお伺いするというようなことは徹底してやっているところでございます。

 また、平成七年度以降につきましても、当時の総務部長、総務課長、総務課長代理等々、悉皆的に、これは書面だけではなく、直接お会いして事情をお聞きするなど、前後の関係についてさらに調査を深めるということで今日に至っております。

 その結果として、ある程度の状況というものがつかめてきたように私どもには思う点が多々ございますので、昨日、中間的に先生に御報告に上がった次第でございます。

細川委員 今、後半の答弁の中で、ある程度状況がわかったので中間報告をしたというふうにおっしゃいましたけれども、私の方は全然、ある程度の状況はわかっていないというふうに判断していますから、これは後で質問いたしますけれども。

 平成七年に規約を定めて役員を置いたということですけれども、その規約の役職とかいうものはどんなものだったか、その役員の名前、それから出身の組織はどういう組織なのか。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 平成七年に整備されました年金福祉研究会の規約につきまして、税務関係書類から確認ができましたので、それを書き写させていただくという形で調査をいたしました。それによりますと、この研究会には理事、監事を置き、理事のうちの一人を代表世話人とするなどの規定がございました。

 また、代表世話人は、年金制度に関係する団体である、財団法人年金住宅福祉協会の当時における理事長でございました末次彬氏であったことは、当該税務関係書類により確認ができたところでございますが、他の役員につきまして、その氏名は確認できなかったところでございます。

細川委員 代表一人の名前がわかって、ほかの人は全然わからないなんて、そんなのは当時の人に聞けばいいでしょう。

 規約はどんな規約だったか。先ほどは目的のところだけを言いましたけれども。

渡辺政府参考人 恐れ入ります。

 その他の役員につきまして、先ほど少し言葉が足りませんでしたが、確かにお名前が確認できておりませんが、関係者にはそれを繰り返し尋ねておるところでございます。

 年金制度に関係する他の団体の役員クラスに就任をお願いした記憶があると証言する者がございますが、その当時のどういう名前の方であったかについての詳細が確認できていないという状況で、まことに申しわけございません、引き続き努力させていただきたいと思います。

 御指摘の年金福祉研究会規約についてでございますが、先ほど目的だけちょっと触れさせていただきましたが、そうしたことを目的として、事業という規定で、第四条に、年金福祉の普及に関する調査、研究、広報、諸外国の年金福祉に関する調査、研究の補助、各種手引等図書の企画、出版、あっせん、頒布、それから、融資事業に係る借入申込書等の印刷、請求の受け付け、あっせん、頒布、その他研究会の目的を達成するために必要な事業を行うとされておりました。

 関係者からの聞き取り調査等によりますと、規約に掲げられている事業のうち、研究活動等の事業実施内容が必ずしも明らかになりませんでしたが、少なくとも、融資の事務処理マニュアルの作成、それから、融資借入申込書の作成、印刷、販売、これらの業務を行う賃金職員の雇い入れというものが事実として行われていたようでございます。

 研究会における事業内容について、再度当時の担当者から聞き取り調査等を行い、事業内容のさらなる究明に努めてまいりたいと考えております。

細川委員 規約の中に理事だとか代表世話人あるいは監事とかいうのがあったというふうにありますが、それでは、理事会などは会合が開かれていたんですか。それから、今言われた研究会の名に値するような福祉の研究だとか、その活動はやっていたんですか。さっき言われた三つくらい、それだけだったんじゃないですか。はっきりしてください。

渡辺政府参考人 ただいま、研究会は名目だけでそうした研究事業等の実態はなかったのではないかという大変厳しい御指摘を受けたところでございますが、先ほどお答えしたような事業につきましては、調査対象となった者一同の認識としてもそのようでございまして、業務の実態はその限りにおいてはあったものとはっきり認識しております。

 また、研究会の役員会は開かれたのかということでございますが、先ほど申し述べました代表者の言葉によりますと、確かに集まったことがあったような記憶はあるが、いつ何回、こういうような点については、しかとした記憶はないということでございました。

細川委員 結局、年金福祉研究会というのは、実態は、さっき言われた融資の申請書、それから手引書などの作成、販売、これに特化したようなことしかやっていなかったんじゃないですか。ほかのことは一切やっていなくて、それだけを目的とした団体だったんじゃないか。結局、調査したってそれしか出てこないはずですよ。いかに役員を置いたところで、そんなのは名目だけだったんじゃないですか。だから、調査したって出てこないんじゃないですか、わからないんじゃないですか。まあいいですよ、もう先に行きますから。

 今まで聞いても、ほとんど実態のようなものはわからない。設立の時期や目的なんかも、平成七年以前はほとんど全くわからないような、そういう調査結果。これは、この間の四月四日の委員会のあれでも、当時の部長や課長、課長代理、やめた人も含めて、そういう人に直接当たって調べてみる、そう言いながら、この研究会に関する私どもの質問の答えが全く返ってきていない。(発言する者あり)やっていないんじゃないかという声もありますよ。

 これは、厚生労働省の方でも、しっかりこれを解明するということならば、どんどんどんどん進めてくださいよ。日にちだけ延ばそうと思ってずんずん先延ばしではだめですよ。

 それで、その四月四日の質問で、ごく最近の平成十七年度の収支についてはゼロだ、これはおかしいんじゃないか、そんなことは信じられない、こういうふうに私は指摘をいたしました。四月四日には、十七年の収支は、繰越金が約三十万、販売収入が約六十万、CD―ROMの作成費用が九十万、収支ゼロ円だった、管理部長にこれを聞いてそういう報告になった、こういうことですが、私は、それはおかしいだろう、ゼロになるのはおかしいじゃないか、こういうことを指摘したんですけれども、その後の調査で何かありましたか。

渡辺政府参考人 少し追加的に御説明をさせていただく点をお許しください。

 十分正確に申し上げていなかったかもしれませんが、この間の調査につきましては、存在が確認されている平成七年度から十七年度までの時期に、現在の法人の前身に当たる旧年福事業団及び旧年金資金運用基金の総務部長、総務課長、または総務課長代理の職にあった者など約十八名に対する直接の面談による聞き取り調査を中心にして、それ以外の方々も必要に応じて、税理士さんであるとか出版社であるとか金融機関等に対しても、聞き取り文書提出による調査を頼んでおります。

 また、研究会、平成七年より相当以前ということを申し上げましたが、これまでの聞き取り調査によれば、同年以前は研究会として特段の規約もなく、総務課庶務係の職員が窓口に備えつけてあった関係書類を申請者等からの求めに応じて販売し、総務課長代理、総務課長が口座で経理を行っていたというぐらいの記憶を得たというようなところでございます。

 そこで、では直近のということで、せんだっても大変厳しくお尋ねいただいたわけでございますが、十八年度に年金資金運用基金が廃止され、研究会の業務に関連する住宅融資貸付債権回収業務は別の法人に移ってしまうということで、従来から銀行方面から要望のありました事務必携の電子化、CD―ROM化を行うこととして、繰越金の残額にCD―ROMの販売代金六十三万七千四百円を加えて、そしてCD―ROMの作成に要する費用を賄ったが、その後は新たな事業が見込めないことから研究会を廃止した。

 その際の十七年度の収入、支出の費目で見ますと、収入が六十三万七千円、支出が九十一万四千円、差し引き二十七万七千円ですが、繰越金がおおむね三十万あったということでございますので、この年金福祉研究会の経理としていえば、厳密にゼロというような報告を先日私ども受け、そのまま聞いた旨御報告申し上げた点について、厳密にゼロであるかという点は今回も必ずしも正確に確認はできませんでしたが、おおむね収支消えてしまうような十七年度の最後の処理であった。

 この年金福祉研究会のCD―ROM周辺とその口座の廃止に係る動きとしては、今日に至っても、おおむねそういうような状況ではなかったかと承知しております。

細川委員 年金福祉研究会の十七年度の収支はゼロだ、そして、平成十八年の一月下旬ごろ、この研究会に係る十六年、十七年度金銭出納簿、領収書、預金通帳、これを管理部長がみずからシュレッダーで廃棄をしたというのが前回ですね。

 この預金通帳は、年金福祉研究会の預金通帳でしょう。そのほかに預金通帳が出てきたんじゃないですか、あったんじゃないですか。

渡辺政府参考人 御指摘のとおり、年金福祉研究会の解散に際し、研究会の関係書類は、総務部長、それからその後の調査によりますと、総務部長及び総務課長代理によりシュレッダー等により廃棄処分されたということを承知しております。

 これらの調査の過程、税務の関係書類に接し、また、近年の数カ年の口座の管理状況について金融機関の特段の御協力を得て私どもの独法が詳細に調査をしている、そうした過程におきまして、実は、年金福祉研究会名義の預金口座とは別の口座による経理が行われていた疑いがあるということが新たに判明してまいりました。

 新たに明らかとなった当該別経理について、当該金融機関の御協力も得て預金の状況等の情報の入手に着手しておりまして、私どもとして速やかに事実関係の解明を行ってまいりたいと思っております。

細川委員 年金福祉普及研究会の口座名義があったということですね。これは年金福祉研究会の口座でもあるわけですね、名称は違うけれども。そこをまずはっきりしてくださいよ。

渡辺政府参考人 少々紛らわしくて大変恐縮でございますが、先ほど来の御質疑に対してお答え申し上げてきた、それから先月来調査をしてまいりましたのは、年金福祉研究会というものでございました。そして、その年金福祉研究会の口座がございます。

 さらに紛らわしくて恐縮なんですが、当該年金福祉研究会の経理につきまして、所轄税務署に届けられていた研究会の名称は年金福祉普及研究会、こうなっておりましたが、その二つは、私どもの調査によると、税務署の数字とそれから年金福祉研究会口座というものは、これは同一のものを指しているのではないかというふうに考えておりますが、別途、紛らわしくて恐縮ですが、税務署と同名の年金福祉普及研究会名義の口座があったということが判明したところでございますので、それらの紛らわしさを排除しながら、関係をもう少し整理し、調査をまとめたいというふうに考えております。

細川委員 その年金福祉普及研究会の十七年度の収支はどうなっていますか。

渡辺政府参考人 残高が明らかになったところでございます。口座そのものについては既に解約されておりますが、解約時点の残高の情報を金融機関からいただいております。約四百七万円であったというふうに承知しております。

細川委員 だから、収支は幾らかと聞いているんですよ、収支は。十七年度の収支。

渡辺政府参考人 申しわけございません。

 この残高四百七万円の前提となる、十七年度における年金福祉普及研究会という別の名義の預金口座で見た収入でございますが、百九十三万五千円、支出は四百二十一万五千円であったということでございます。

細川委員 これはもう全然あれじゃないですか。年金福祉研究会という口座と、全然多いじゃないですか、額だって。年金福祉研究会の口座の方は収支ゼロだ、もうゼロになっていますから書類も全部廃棄しましたと。ところが、実質的に、もう一つ口座があったじゃないですか。これはいつわかったんですか。

渡辺政府参考人 私ども、その情報に接しましたのは、先日の五月の連休の谷間でございました。

細川委員 その年金福祉普及研究会の書類だとか、あるいは預金口座だとか、それはだれが管理をしていたんですか、十六、十七年。

渡辺政府参考人 今はっきり承知しておりますのは、平成十八年度において当法人の管理部長及び総務課長であった者、そして現在もそうでございますが、その二名が共同で管理していたということでございます。

細川委員 四月四日に当委員会で私が質問したときに、その管理部長から直接質問をして聞いた結果を局長がここできちっと話したじゃないですか。それはうそだったんですか。この委員会をどういうふうにあなたは考えているんですか。あのときみんなの前で、ほかには何もないというような話じゃないですか、あのときは。

 それで、この四百何万は、だれが現金でそんなのを持っていたんですか。何に使ったんですか。

渡辺政府参考人 四月四日に私から御答弁させていただきましたのは、御承知のところでございますが、そのときまでに年金福祉研究会の代表を務めていた、現在の独法の管理部長から聴取した内容であり、引き続き調査中であるということを申し上げました。その引き続きの調査の中で、大変遺憾ではございますが、こうした事実に逢着したということでございます。

 なお、先ほど少し答弁で、もう一つの口座について、解約時の管理者という意味で管理部長及び総務課長と申しましたが、それはいつ開設されたのかという点につきまして、現時点までで判明したところによりますと、当該年金福祉普及研究会名義の預金口座は平成七年に開設されているということが調査の過程で明らかになってまいりました。

 では、その間、一体だれが管理していたのかという点につきましては、その当時、当時の総務課長代理であるということが確認をとれたところでございます。

 これの資金の使途ということでございますが、私ども、それにつきましては、一部を職員の飲食代等に費消していたものというふうに考えております。

細川委員 ちょっと事実関係を確定しておきますけれども、この現金を持っていたのはだれですか、解約をして現金を持っていたのは。

渡辺政府参考人 相済みません。答弁しておりましても、少し複雑なものですから、私の方も十分にわかりやすく御説明できていないと思いますが、一言で言うと、名義は総務課長代理であります。解約をした後の残金四百七万につきましては、管理部長及び総務課長が共同で管理をしていた、こういうことでございます。

細川委員 よくわかりませんね。普通だったらあれでしょう、解約なんかせずに、ちゃんと、きちんと口座で、そこに保管しておくんじゃないですか。全然おかしいですね。

 それから、委員長、ちょっとこれは聞いてください。

 今までの年金福祉研究会の収支は一体どういうことになっていたのかということを私が尋ねて、それに対する答えが出てきているんです、十二年から十七年ぐらいまで。その根拠は年金福祉研究会の口座の出入りで、そこで、それを根拠に算出をして出しています、こういうことだったんです。

 今、新たに年金福祉普及研究会という口座が出てきて、それが平成七年にできているんですよ。そうすると、それからの、ずっとその口座で取引をしているその数値で、大きければ、これは大変な額にもなってくるだろうし、ここをはっきりしないと、今までの調査の報告が全部でたらめだということになるんですよ。わかりますか、委員長。

 これは本当に、この間の四日の質疑なんかでも、全然何の意味もなかったということですよ。また時間ないからということで、これは本当に委員会の権威として、こんなでたらめなことをしてもらったら困りますよ。全部無駄じゃないですか。新たにこんな預金口座が出てくるなんて、考えられますか。何らかのからくりがあるんじゃないですか、これは。

 これ以上、私はもう質問できないですね、こんなことでは。

櫻田委員長 細川律夫君に申し上げます。

 資料の提出、そういうものについては、提出を求めるような質問をしてください。新たに資料の提出が求められるならば、そのような質問を続けていただきたいと思います。(発言する者あり)

 細川律夫君、質問を続けてください。要求するような内容がありましたら、そのような質問をしてください。

細川委員 では、ずばり質問すれば、今までの、その新しい年金福祉普及研究会の口座の全容ですよ。出せるはずないんだ、今まで答えないから。

櫻田委員長 渡辺年金局長、質問に誠意を持って答えてください。

渡辺政府参考人 取引先である金融機関の御協力が得られる見込みでございますので、若干の時日をいただいて、この新たに判明した年金福祉普及研究会の預金の動きにつきまして、収入、支出両面で説明できますように、調査を急ぎたいというふうに考えております。

 なお、前段でお話のありました年金福祉研究会の収支につきましては、十一年度から十三年度まで、前半部分は、税務処理をしておりました関係上、最寄りの税務署における資料というものを参酌させていただいて、それによりお答えし、残りの年限は、今申し上げましたような協力をいただいた金融機関の預金口座の情報によって御報告を申し上げた次第です。(細川委員「質問に答えていないじゃない」と呼ぶ)

櫻田委員長 では、そのような質問をしてください。

細川委員 前回、この解明をするのに一カ月くれといって、一カ月やって、全然何の意味もなかったじゃないですか、この報告が。何の意味もないですよ。こんな新しいものが出て、その新しいところでまた全部やらなきゃならぬ、これで質疑を続けてくれといったって無理ですよ、委員長。(発言する者あり)

櫻田委員長 提出時期も含めて質問してください。求めてください。(細川委員「きょうだよ、きょう」と呼ぶ)

 渡辺年金局長、きょうという質問でございます。質問が、きょう出してくれということでございますが、出せるような状況であるかどうか、お答えいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 調査結果の提出ということにつきましては、私ども、平成八年度以降の預金出入り記録の分析を今急いでおるところでございます。それは、日ごとに記録された預金出入り記録の集計、その結果と証言者との突合、必要に応じての再聞き取りというプロセスを経ておりますが、今御指摘になりました口座につきましても、今月中に処理ができるというふうに理解しておりますので、そのように、今月中ということで作業を整理させてもらいたいというふうに考えております。(発言する者あり)

櫻田委員長 渡辺年金局長、質問者の細川律夫君にわかりやすい形で資料を提出していただきたいと思います。

 既に申し合わせの時間が経過しておりますので、よろしくお願いいたします。

細川委員 だから、今までの質問が意味がなくなったんですよ、私は。前回の四月四日の委員会の質問だって何の意味もないじゃないですか、こういうことならば。(発言する者あり)

 このまま行っちゃだめですよ、そんなことで。私の質問権もきちっと保障してくださいよ。

櫻田委員長 渡辺年金局長、資料はいつまでにわかりやすい形で出せるか、それを答えてください。

渡辺政府参考人 普及研究会の方は最近新たに判明したものですから、金融機関にも急ぐようお願いしておりますが、八年度までではなく十一年度からということであれば、週明けにもその概要を提出させていただきたいと思います。

櫻田委員長 細川律夫君、週明けまでに御返事はできるということでございます。

細川委員 本質的な問題は、管理部長に調査をあなた方はしたわけでしょう。そうしたら、何で最初から出てこないんですか。管理部長が管理をしているんですよ、この二つの口座を全部、通帳から何から。

櫻田委員長 細川律夫君に申し上げます。

 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力を願います。

 既に提出の時期は、週明けまでに出るという答弁はしております。

細川委員 では最後、一問だけ。

 私としては、厚生労働省の方にしっかりこの問題を解明していただくようにということでやってきて、全く解明されないし、新たな疑惑が出てきているわけなんです。

 これは大臣、こういう審議の状況を見て、厚労省としてしっかりと調査をしているように私には見えないんですよ。どこかで何か変な力が加わってあいまいな調査がなされるとするならば、これは大変なことだし、これはどういうふうに大臣は認識されて、これからこの問題の解明に努力をされるのか。ちょっとそのお考えを聞かせてください。

柳澤国務大臣 細川委員の御指摘になられている、こうした任意の団体が融資の申込書等を販売することによって一定の収益を得て、そして、それをなかなか正当化できないそういう使途に充当しているというような事態は、私はもう本当に遺憾きわまりない事態だ、このように考えております。

 今この調査の状況についても御言及があったわけでございますけれども、委員からは、年金福祉研究会という団体についての御指摘がこの問題の端緒であったわけでございます。渡辺年金局長の方はそういうことで一生懸命今調査をしているわけですけれども、その調査の過程で、実は非常に名前が似ているけれども違う団体の口座が銀行から見つかったということを言っているわけでございまして、そういうことを正確に、誠実に、こういったこともございましたと言って説明しているのが年金局長の答弁だというふうに私は聞いておりました。

 そうして、その上で申し上げますと、結局、これは今税務官署、それからまた銀行、金融機関というようなところの協力を得て、過去にさかのぼって調査をするということを鋭意進めているようでございますけれども、これにはやはりいろいろと、現実に、例えば金融機関等ですぐに右から左へその資料として提出できるような状況にある場合と、そうではなくて、銀行自身がその口座を、できる限り協力していただくにしても、自分の書類の保存期間、こういうものがあるわけですから、それの範囲で一生懸命調べるということでお願いしているようでございますけれども、それもまた非常に、実は物理的になかなか手間のかかる仕事であるというようなことから時間がかかっていると今説明をしているというふうに私は聞いておったわけでございます。

 したがって、すぐ調査ができる、調査結果が出るというものについては、今局長の方から来週早々にでも明らかにしたいということを申し上げておりますので、ぜひともそれをごらんになった上で、さらにどこまでさかのぼれるかという問題はありますけれども、委員の方でさかのぼれということであれば、さらに調査を進めていく。こういうようなことで、委員と同じような、全貌の究明というものを私もすべきである、このように考えておる次第でございます。

櫻田委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。

細川委員 はい。

 最後に申し上げますが、今大臣のお話の中で、年金福祉普及研究会、こういう別の団体があったわけではないんです。これは、年金福祉研究会の中でそういう二つの口座を使っていたんですよ。それで、それを佐々木さんという人がちゃんと管理もしていたんですよ。そこへ質問をして、それで一方だけをしゃべったのが前回の話なんですよ。だから、私は本当に、ここでうそをつかれたな、こんなことはとんでもない、こういう私の話なんですよ。

櫻田委員長 質問したいことは多々あると思いますが、優に十分過ぎるほどの持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。

細川委員 非常に大事なことだと思いますので、また時間をとらせていただきます。

櫻田委員長 次に、内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 今、多くの国民が将来不安を抱いています。特にその将来不安の中でも老後の不安、その老後の不安のやはり最大の原因というのが年金不信、年金不安であります。今回、五千万件もの宙に浮いた年金記録の件も、やはりさらに年金不信に拍車をかけることだろうと思います。

 柳澤大臣、お疲れのところ、もうしばらくおつき合いをいただきたいと思いますが、質問通告の順番を変えまして、五千万件の年金記録のところからお尋ねをさせていただきたい、こう思っております。

 まず、大臣、この五千万件の原因をどのように把握されておられますでしょうか。それをお答えいただけますか。

柳澤国務大臣 年金記録の問題につきましては、御承知のとおり、平成九年に基礎年金番号を皆さんに付番するということをいたしたわけでございますが、そういう中から、実は、その付番の結果、すぐに統合できたという他の年金手帳の記号番号もあったわけでございますけれども、なかなかすぐに基礎年金番号と統合できない、そういうものとして、厚生年金、国民年金合わせて五千万の未統合の年金手帳記号番号のものが残った、こういうことでございます。

 それは中身はどうかということはるる御説明しておりますので、もう委員も御案内のとおりでございますけれども、この付番の前に亡くなられた方であるとか、さらには、そのときまでに支給要件を満足させないで保険料の納付等が終わってしまった、こういうような方々もいらっしゃいますし、さらにまた、現在、将来において一定の年齢等に達する等の要件を満たす事態になれば年金受給が行われる見込みの方々のものもある、こういうように分類できようかと思うわけでございます。

 したがって、私どもとしては、一番最後に申し上げました、今後において受給権が発生するような方々については、今後いろいろな機会をとらえて当方からも働きかけをさせていただきまして、その資料等で他の年金手帳の記号番号をお持ちの方はできるだけ申し出ていただいて、私どもの資料と突合することによってその統合を図ってまいりたい、そして、五千万件でそうした統合ができるものを、とにかく一〇〇%統合ができるように努めていかなければならない、このように考えているということでございます。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

内山委員 私は、なぜこの五千万件の記録が宙に浮いているのか、その原因をどのように大臣が把握されているかというところでお尋ねを実はしたかったわけであります。

 これは私の聞き及んでいるところでいきますと、やはり昭和の五十五年というところに、紙ベースから、大量のキーパンチャーを雇いましてデータを入力した、その際に、本来紙ベースには名前の振り仮名が振ってありませんでしたので、担当者がそれぞれの読み方で振り仮名を入力してしまった。

 年金の記録というのは、氏名と生年月日で検索をされるということになりますと、間違って振り仮名が振られておりますと当然出てこない。こういうやはり入力のヒューマンエラーといいますか、これが最大の原因だろう、私はそう思っているんですが、大臣はいかがでしょうか。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

青柳政府参考人 ただいま委員から、五千万件が生じた原因について、一つの事例をお挙げになりまして、そういったことがあったのではないかという御指摘があったところでございます。

 正直申し上げまして、私どもも、五千万件の記録につきましては、さまざまな原因が、さまざまな入力に至る過程のところで生じたのであろうということは容易に推測ができるわけでございますが、個別具体に、ではこの案件についてはどうだというようなことになりますと、なかなかこれを確定することは今となっては難しくなっておりますので、午前中から大臣からも何度も申し上げましたように、一つ一つの記録を丁寧に照合することによって統合に結びつけていきたいというふうに考えている次第でございます。

内山委員 私が何を申し上げたいのかといいますと、発生する原因をつかんでいなければ対処ができないということです。

 やはり間違いというところには、いろいろ、御本人が偽名を使って資格を取得するケースがあるでしょう、生年月日を就職難のときに若くサバを読む方もいらっしゃるかもしれない、さらには事業所で資格取得届に転記をするときに記入間違いをするかもしれない。そして、先ほど申し上げましたとおり、社会保険事務所の方でデータ入力の際に間違った読みを、これは故意にというわけではありませんけれども、入れてしまう。例えば安倍総理、これを音とか訓とかというような読み方を変えまして、ヤスベというようなところで入れますと、これは絶対出てこないわけですね。やはりこういう入力ミスの部分が大半あると、私は当時お勤めであった方からも話は聞いています。入力が九九%ということでは、これはだめでありまして、一〇〇%じゃなければだめなんですよね。九九%の確率で入れた、でも、残り一%ではやはり物すごい間違いの量になってしまいます。

 だから、ここを、どこに間違った原因があるのかというところをまずきちっと把握をしていただいて、それを直すにはどうしたらいいのかということを、まず原因をつかんだらその原因を解決するために対策を打つべきだろう、こう思うわけでありまして、今どのようなシステムになっているかわかりませんけれども、いろいろデータをとるとかといいますと、やはりそれぞれプログラムを組む、それがレガシーシステムですから、一本データをとるにしても一億円単位の大変膨大な費用がかかるということは聞き及んでおります。

 例えば、振り仮名で検索ができないのであれば、漢字で名寄せをするようなことはできないのだろうかとか、こういう、今できる範囲で最大限の処理をすべきであろう、こう思うわけでありまして、何もお金をかけてやらなくても、今できることがあるんじゃなかろうか、こう思うんですけれども、その辺、現状で対応できる部分というのは、お考えになられる部分はないでしょうか。

青柳政府参考人 具体的な検索の仕方について何かアイデアはないかというお尋ねがございました。

 まず、これはちょっとケースが違うぞというふうに最初におっしゃられるかもしれませんが、最後までちょっとお聞きいただきたいと思うんですが、似たようなケースで出てまいりますのが、旧姓で入力をされているものが、結婚によってお名前が変わって、それがもとのままになっているために変わらない、こういうものをどうするかというようなケースもございます。これは御本人が、ただ、自分は旧姓はこういうのだったので、それで検索をしてみてくれないかということで御照会いただければ、比較的容易にその旧姓を調べることはできるということだろうと思います。

 また、漢字の読み間違いということではないかと思われるような可能性がある場合には、ほかに読み方がないかということで、その名前を、例えば先ほどの例で申し上げれば、安倍さんをヤスベさんというふうに入力をして、これで検索をして探してみるということも、先ほどの旧姓の場合よりは若干時間もかかるかもしれませんが、十分に可能でございます。

 そういう意味では、私どもはやはり御相談に来ていただいた方のお立場に立って、いろいろな可能性というものを考えて必要な検索をするということで取り組ませていただきたいと考えております。

内山委員 私も議員になる以前は、社会保険労務士として約五、六千人の年金相談に携わりました。

 昔から、記録は正確に出てこないというのはもう周知の事実でありまして、働いたんだけれども記録がないという方の相談を受けた場合には、年金加入期間確認通知書というものを書きます。何通りもの読みを書きまして、送ると、中にヒットするわけですね。どこかで間違いが入っているということなんですよ。それから、国民年金の納付記録なんかも、結婚して転居するなんということになりますと、転居先では氏名が変わってしまっておりますので、二重に番号があるなんというケースも過去にありましたね。

 やはり、年金受給をするときに、しっかりと加入歴とそれから職歴を丁寧に対応しなければ、これはつぶせないんですよね。でも、実際、今社会保険事務所の窓口でどのような処理をされているのかといったら、ほとんどの一般の方が年金制度には詳しくありませんから、通り一遍の裁定請求書を書いてそのまま出してしまう。窓口でも何ら精査をすることなく受け付けてしまう。そこに加入期間漏れというのが当然発生してくるということになるわけでありまして、ここはやはりもう少し、社会保険事務所の窓口の年金相談の担当者が知識をしっかり持って、受給者のために親切丁寧に対応すべきだろうと思うんです。

 青柳運営部長にはいつも、社会保険労務士が年金の裁定請求書に余りかかわっていない、こういうことを二度三度答弁をもらっていますけれども、それは明らかに間違っていまして、私ども、年金の記録がないという人を、社会保険事務所に行っても調べられない人を、相談を受けて、調べ上げて、きちっとした書類をつくって提出する、これはやはり相当貢献をしているんですよ。ですから、提出者代行印欄をつくるべきなんですよ。これはもうきょうのテーマとは違いますけれども、ぜひぜひこの五千万件をつぶすためにもやっていただきたい、こうお願いをする次第であります。

 大臣、五月の八日の本会議場の席で、大臣の発言ですけれども、「基礎年金番号に統合されていない五千万件の記録の中には、基礎年金番号導入前にお亡くなりになった方や受給要件を満たさなかった方、さらには今後において年金の受給資格を取得される方に係るものが含まれていると考えられます。五千万件の中に含まれるこれらそれぞれの内訳件数については、これを把握しておりません。」と答弁をされております。

 内訳を把握されていないで、亡くなった方とか受給資格を満たさなかったとかこれからと、どうして判断ができるのかと非常に疑問に思っていましたのですが、それをお尋ねしたいんですけれども、大臣にお尋ねをしたいと思います。

柳澤国務大臣 お答え申し上げます。

 私どもは、この五千万件の、要するにほかの年金手帳の記号番号を持っている者について、どうしてこの年金手帳の方々が基礎年金番号に統合できないのだろうかということを考えて、そして定性的に言えばこういうことになるというふうに考えまして、それを御説明として申し上げたということでございます。

内山委員 でも、それは余りにもいいかげんな根拠ですよね。根拠のないところで、把握していなくて、何人死んでいるのか、何人受給資格に結びつくのかと、これはやはり事の重大さを大臣は把握されていないんじゃないかなと強く感じるわけであります。

 年金というのは第二の給与と言われています。国民にとってみれば大変なことなんですよ。一カ月でも違えばずっと将来にわたる年金が少なくなるわけでありますから、ここはきちっと、この五千万件の記録、できる限りやはり国が調査をすべきだと、午前中長妻議員からも強く要望があったと思いますけれども、私からも強く要望を申し上げたいと思います。

 年金の知識を詳しく持った国民の方というのは非常に少ないです。そういう人たちを救うためには、文書を送ったなんということでは全く救済できません。一つ一つ、とにかく、あなたの年金が間違っているかどうか、国の方が、もらい忘れがありますよというぐらいのことを親切丁寧に教えてやらなきゃならない。だから、できる限り名寄せをするとか、類字で読めるような名前があるんだったら、例えば漢字で名寄せをするとか、いろいろ技術的なものが、考えられるものはあろうかと思いますよ。ぜひそれはやっていただきたいと思います。

 大臣の答弁に、もう一つ続きで、領収書等の納付した資料がない場合でも、「保険料納付に関する具体的な状況から納付があったことが確実と考えられる場合には、記録の訂正を行うこともあり得る」、こう大臣は答弁されていますけれども、具体的にはどういうことを指しておりますでしょうか。

柳澤国務大臣 まず、内山委員には大変失礼なんですけれども、私は先ほど定性的に三つのことがあり得ると考えるということを御説明申し上げたんですけれども、私ども、この五千万件をそれぞれ三つに分類して、それが幾ら、それが幾ら、これが幾ら、合計五千万件ですという形ではお示しできないということを申し上げているわけでありまして、もう既にこの統合が途中でできている方、それから亡くなっていらっしゃるというような方とかいうものは、もちろん一部は把握しているわけでございます。そういう意味で、それが合計して五千万件で、すべて分類できるということでないものですから、そういうことを申し上げているということでございます。

 それから、領収書そのものがずばりなくても、かなりの確度でもってそこは納付が行われたということが推測される場合には、これを訂正させていただくということがあり得るという姿勢で臨んでいますということを申し上げたんですが、これは実例もございまして、ある期間は抜けているんですけれども、両方で、ちゃんとした納付が行われている、ここはどこどこに行ったとかというような、勤務先がこうですというようなことで、我々が推測できるというようなケースについてそうしたことも行わせていただいたということで、それを念頭に置きまして、先ほど申したような表現で申し上げた、こういう次第でございます。

内山委員 ただいまのことで少し掘り下げて、具体的にお尋ねをしたいんですが、両方ということは、被保険者とそれから役所ということでしょうか。

 そして、厚生年金の期間にすれば、同じような期間が明示された、そして突合した段階で、これは間違いないだろう、こういうことなんでしょうか。どうでしょうか。

青柳政府参考人 ただいまの大臣の御説明を補足いたします前に、具体的に記録訂正に至った事例ということに即して、既に五十五件の事例は、社会保険庁、市町村の資料には納付記録が記載されていないけれども客観的な証拠で直したものというのを御紹介しているわけでございますが、そのうち記録訂正に至った被保険者が所持していた資料としては、例えば年金手帳、これには、委員御存じのように、昔は印紙を張って検印をしておりましたので、それが残っておったものが例えば二十八件あったとか、それから領収書というのは二十九件であるとか、領収済み証明書という形で証明されたものは四件あった、これはまず具体的な例としてお示しができるものでございます。

 それから、ただいま大臣がおっしゃいました事例というのは、例えば長期にわたって保険料を納付しているという記録が、これは例えばオンラインの場合もあるでしょうし領収書の場合もあると思うんですが、途中に何か記録が抜けているような期間がたまたまあった、その期間については、直接のものはないけれども、その方が例えば銀行口座でそれを引き落としているというような、その時期に相当の金額のものの記録があったりすれば、複数のいわば材料の中から、総合的、客観的にそこでの納付が行われたと推測するのが適当じゃないかと思われるような事例もあるということを今御紹介したわけでございますので、何か一つの基準で、この場合にはオーケーだというものがあるというよりは、そういう複数のものを丁寧に突き合わせることによって判断できる事例があるというふうに御理解賜りたいと存じます。

内山委員 今の青柳さんの説明では、それは領収書がない人がほとんどなわけですから、救済されないじゃないですか。そういう人たちを救済すると大臣はおっしゃったんじゃないんですか。

 納付した資料がない場合でも、保険料納付に関する具体的な状況から納付があったことが確実と考えられる、ですから、被保険者側の方から何らかのアクションとして提案できるものがなくても、何か役所の方からやっていただけるものがあるのかと私は判断したんですが、そうじゃないんですか。もう一回。

青柳政府参考人 繰り返しになりますが、一方的に役所の側から何か御提示をするというのではなくて、あくまでも被保険者の方、受給権者の方がいろいろお示しをいただいている材料の中からそういうことで総合的に判断できるケースがあるというふうに御理解賜りたいと存じます。

内山委員 ないから問題なんですよ。持っていくものがないから問題なんですよ。

 私は払った、集金に来た人がいて払った、こう言っているんです。それが届いていないわけですよ、その人が猫ばばしたのかどうかわかりませんけれども。でも実際、本人は払った。それで、役所の窓口に行ったら、領収書等がなければだめですよと。現に今、それで門前払いをされているんじゃないんですか。だから、その人たちをどうやって救済するのかなんですよ。何もないということじゃないですか、今。証拠も何もないんだったら救済しないということなんじゃないですか。

 大臣、どうですか、もう一回。ちょっと大臣に聞きたい。

柳澤国務大臣 私は、先ほど申し上げたことなんですけれども、要するに、今青柳部長も言いましたけれども、例えば、時系列的にいって、しっかり長期にわたって納付をいただいているということは、これはもう我が方にも記録があってわかっている、ところが、途中がすぽんと抜けているというような、例えばのことですけれども、そういう場合に、これはもう領収書なりしっかり納付したと証明できるそのものずばりがないという場合に、これは私ども、申請者のおっしゃることに、申し出者のおっしゃることに全然耳を傾けないかというと、そういう姿勢ではありません。これについて、いろいろなことをおっしゃっていただいて、そして我々として、この周辺の状況からいって、これは納付があっただろうというような、いわば状況的なことが確度を持って確実に読み取れる、あるいはお聞き取りできるというような場合には、これを訂正するというような、そういう姿勢でもって臨んでいきますということを申し上げたわけであります。

 ですから、もうこれは申し出をいただく方々にできるだけ御自身の申し出の背景にある事情を我々に教えていただきたい、こういうことで私ども考えてまいりたいというふうに申し上げた次第であります。

内山委員 大臣、そうしますと、そういう領収書等の資料がなくても、これからそういう方たちを受け付けますよとぜひ広報してくださいよ。門前払いを食らって泣き寝入りしている人がいるわけですから、現に。ですから、そういう人たちも、より詳しく相談に乗ります、こういうことでも受け付けますよという、ぜひ緊急に各社会保険事務所や何かに通知をしていただきたいな、こう思うんですが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 これは現在でも私どもそのような姿勢で臨んでいるわけでございます。それはどういうことを申し上げているかというと、社会保険事務所に来ていただいて、なおまだいろいろ自分で腑に落ちないという場合には、ぜひ本庁でそういう場を設けておりますので、本庁の方でよりいろいろ状況をつまびらかに伺って、我々としては判断してまいりたい、こういうふうなことで、今も本庁に上がってきている案件がそうしたところからございますので、我々としては、ある意味のそういうシステムでもって対応させていただいているということでございます。

内山委員 要は、門前払いをしませんよということをぜひさらにPR、広報していただきたいな、こうお願いをする次第であります。

 そして、厚生労働省の方の、出ている資料で、年金額の決定をやり直した件数が毎年三万件を超えているというデータがありますけれども、この三万件を超えている、やり直す原因というのは一体何なんでしょうか、それを教えていただけますか。

青柳政府参考人 裁定のやり直し、再裁定についてのお尋ねがございました。

 今、年間三万件を超えているというお尋ねでございましたが、これまでお求めに応じまして私ども明らかにしております数字は、平成十三年度から平成十九年二月末日までに約二十二万件、こういうものを受け付けている、これを一年当たりに直しますと、年によって若干の増減はありますけれども、大体一年当たり三万件強になっておる、こういう事情にまずあるものでございます。

 この裁定変更処理の主な理由といたしましては、三つぐらいのパターンがあるというふうに認識をしております。

 その一は、裁定請求の時点において、御本人がお申し出をされたわけでありますけれども、そういえば自分はこういうときにここに住んでいたこともある、あるいはこういう事業所に勤めていたこともあるということで、被保険者記録の一部がその時点では未確認である、しかし、既に二十五年という受給資格要件を満たしているので、その記録を探して年金の裁定が遅れるよりは、一日でも早く裁定をして年金を手にしたい、こういう御要望があるケースが少なくございません。その場合には、御本人の希望によりまして、まず先に裁定を行いまして、その後で、お申し出のあったことを含めたすべての被保険者期間を確認し、そのことにより記録の追加を行い、年金額の増額を行う、このようなケースがございます。

 それから、第二のパターンといたしましては、裁定の際には、御本人確認の上裁定を行ったわけですが、何らかの事情で、恐らく、お友達といろいろな情報交換をされたりとかなんとかというようなことが事情にあるのかと思いますけれども、後になって御本人から、実はこの期間を申告していなかったんだけれども、その期間があるんじゃないだろうかというようなお申し出があって、それに基づいて追加をするようなケースが考えられます。

 また、第三のパターンといたしましては、事業主の方から、例えば賞与等を記録訂正してくれというお申し出が後であって、それに基づきまして、被保険者であった方の裁定変更が必要になったというようなケースがございます。

 いずれにいたしましても、年金の裁定請求時には、御本人の請求に基づいて加入記録を確認した上で支給決定を行っております。

 現在では、委員も御承知のように、五十八歳の時点できちんと記録の確認をいただき、さらに、それをターンアラウンドという形で六十歳の時点でお手元にお届けをして、いわば裁定に結びつけるということにしておるわけでございますので、私どもは基本的に、例えば、受給者の方が早くそういうことで裁定を受けたいというような希望がある場合には、これを優先して対応させていただくわけでございますけれども、いずれにいたしましても、そういった事情のもとでの変更の依頼があってこれに対応したものでございますので、私どもの手続の不備によるというお受けとめ方はいかがかなというふうに思っている次第でございます。

内山委員 不備とは私は思っていませんし、不備だということを申し上げたわけじゃないわけでして、どういう原因がこの三万件の原因なのかということをお尋ねしたわけであります。

 昔勤めた会社の記録というのを、やはり数十年前ですと忘れてしまう方はたくさんいらっしゃいます。そんなことがあるのかと若い方は思うかもしれませんけれども、あるんですよ。年金相談に来る方は、中には自分の生年月日も書けない方もいますから。転職を繰り返していると、東京の神田の方で勤めたけれども、何か、魚屋だった、そんな程度なんですね。

 そういう記録を、例えば、事業所の所在地の社会保険事務所に行きまして、年金相談のコーナーに座りまして窓口のコンピューター、ウィンドウマシンがありますね、そんな話をすると、ウィンドウマシンには、全部その方の会社名とデータが出ているんですね。だけれども、そのマシンは御本人には見せないんです。会社の名前を言わなければ、本人かどうか確認できない。

 そこで、一つは、窓口でいつも年金クイズみたいなものを担当者とやっているわけでして、あなたの会社の頭文字で「か」がつきますね、そんなようなところでヒントをもらって思い出せればいいんですけれども思い出せない方もいる。機械ではわかっているけれども御本人がわかっていない、こういうところで、もう少し何かうまい工夫がないんだろうか。

 ただ、一つ懸念することは、同姓同名の方、記録をとると、とても勤務したことのない場所にデータがあるなんということもありますから、よその方のデータを自分の年金記録に加算してしまう可能性もありますから、そこはきちっと精査、峻別をしなきゃならないんですが、そこのウィンドウマシンではその者のデータであるということがわかっている場合、もっと何か、本人の記録であるというような形にならないものだろうかといつも非常に悩んでいるところです。

 何かそういう方法で、これからその五千万件の記録をつぶしていくためにも工夫をしていただきたいな、また、考えられることがないだろうか、将来にわたって検討するようなものがもしあれば、お話をいただきたいなと思います。

青柳政府参考人 まず、将来に向かってというふうに今委員の方から最後にございましたので、そこから申し上げます。

 御承知のように、先ほども申し上げました五十八歳通知ということで、これまでの加入履歴を私どもの方からお送りして、御確認いただき、それをターンアラウンドで裁定に結びつけるというのは既にとっている手段でございますが、これに加えまして、三十五歳の時点、これはことしの三月から既に実施しておりますが、それから四十五歳の時点、これはことしの十二月からを予定しておりますけれども、それぞれの時点において、それまで私どもが管理をさせていただいております記録をお一人お一人ずつ全部打ち出しをいたしまして、それをいわば見ていただく、すなわち、十年ごとに自分の年金履歴をきちんと確認できる機会というものをふやしていく、これが一つの、そういう意味で履歴というものの紛れを少なくしていくという、将来に向けての方法だろうと思います。

 また、現在、インターネットでお手続をしていただければ、比較的簡便な方法で御自身の加入履歴をいつでも確認できるというサービスもやらせていただいておりますので、こういったことで、将来的には加入履歴の紛れというものをなくしていくということは可能だろうと思います。

 ただ、委員が冒頭におっしゃいましたように、現に、例えば年金受給者になってしまっておられるような方々については、そういった形のサービスの利用が現時点ではできないわけでございますので、私どもとしては、大変煩瑣で申しわけございませんが、社会保険事務所においでいただいて、一つ一つの相談に丁寧に対応させていただくことによって、これを明らかにさせていただきたいと考える次第でございます。

内山委員 やはり本人の年金に対する知識というのは、年金裁定請求というのは一生に一回しかつくらないわけですから、知っている人はいないわけですよ。記録が漏れているかどうかもわからない。だから、きちっと役所の方で名寄せをして、やはり詰めていかなきゃならないんですよ。そこをぜひやっていただきたい。だから、レガシーシステムの膨大なプログラムを組むときに、予算的なものがどのくらいかかるのか、ぜひそこの部分も検討していただいて、予算でなるのなら、何とかしてくださいよ、大臣。

 三号の特例届け出というものだってやったじゃないですか。サラリーマンの妻、国民年金の第三号被保険者として保険料を払わなくてもいいのに、事業所の届け出のミスとか本人のミスによって、三号の未納という期間をさかのぼって、たしかこれは平成九年だろうと思いますけれども、それはなぜできたのかといったら、予算的な措置だけだったと。

 だから、こういう五千万件ものデータが宙に浮いている、幽霊記録というんでしょうか、ぜひつぶすために、システム内でできるようであれば、漢字の名寄せをするとか、できる限りのことをやって、詰めていただきたい。それから、先ほど長妻委員の質疑にもありましたとおり、それぞれ保管されている紙ベースの資料、あとはマイクロとか、ぜひその辺は、お金で処理ができるのであれば、国民の年金制度を守るためにもぜひやっていただきたい。(発言する者あり)そのとおりです。それがやはり納付率を高める最大の方策だろうと思います。

 そして、私、知りたいなと思っていた書類が長妻議員の質疑のときに配付されまして、私の手元に、先ほど見て、年齢別のデータがあるじゃないか、これを知りたかったんです。

 そして、これを見ますと、長妻議員もやっておられましたけれども、私も重ねて確認をしたいんです。この別紙一の下のところに「生年月日を特定できないもの」、厚生年金が三十万六百七十五、国民年金が千百六十六、こういうデータがありますけれども、まず、生年月日を特定できないというその原因、理由は何でしょうか。

青柳政府参考人 生年月日のデータそのものが入力されていない、あるいは、入力されているデータが生、年、月、日という形でそろっておらない、いろいろなケースがございますが、いずれにしろ特定できないというふうにお考えいただきたいと思います。

内山委員 特定できないということは、それは入力ミスなんでしょうか。

青柳政府参考人 さまざまな原因が推測できようかと思いますが、今となりましては、その個別個別について、どのような原因でそのような状況が起きているかについては推測のしようがないということで、お許しを願いたいと存じます。

内山委員 推測をしようがなくても、でも非はやはりあるはずなんですよ。管理している側にあるんですから。こういうデータが出てくるということは、やはり管理が悪いということです。いいですか、青柳さん、こういうデータを管理する側にあなたはいるわけですから、推測できないじゃだめなんですよ。だったら、こういう人たちをどうやって救済するかですよ。それはどうやって救済するんですか。

青柳政府参考人 これは午前中に大臣からも少し御説明ございましたので繰り返しになりますが、生年月日が欠けている方であっても、例えばその他の職歴でありますとかそういった情報を突き合わせることによりまして、生年月日がそろっている方よりは多少お時間もかかり、手間もかかるかもしれませんが、丁寧に一つずつ突き合わせをすることによって統合、復元が可能でありますので、少しお時間、お手間はとらせますけれども、私どもとしては丁寧に統合させていただきたいというふうにお答え申し上げたいと思います。

内山委員 一度確認をしておきます。

 そうしますと、生年月日を特定できないものに対しては、皆さん方が確認をするための作業をこれから行うということですね。

青柳政府参考人 これは先ほど来の繰り返しになって大変恐縮でございますが、生年月日の特定できないデータが紛れていた場合であっても、御相談なりで御本人が事務所等に御相談に見えた場合に、その方に相当するデータがないかということを捜し、その捜す過程の中で統合が可能であるというふうに考えております。

内山委員 管理する側に問題があるんですから、この三十万件はあなた方が自発的にやらなきゃだめなんですよ。本人のミスじゃないじゃないですか。これはたったの三十万件じゃないですか。まずこれさえできなくて、あとの五千万件なんかどうなっちゃうんですか。年金というのは第二の給与なんですよ。しっかりやってくださいよ。皆さんの責任ですよ。こんなことをやれないで年金を守れるんですか、日本の年金。だれも保険料を払わなくなりますよ。

 もう一回、答弁をいただきたい。

青柳政府参考人 年金記録の統合に関しまして大変に難しい点がございますのは、御本人の御記憶であるとか御主張と、例えば私どものデータが食い違った場合に、御本人の御記憶違いなのか、それとも私どものデータが不備であるのかということは、一つ一つ他の客観的な材料なども突き合わせていきませんと、これが明らかになりません。

 もし御本人のおっしゃっておられる御主張がすべて正しいのであれば、私どももこれは大変容易な作業として取り組むことができるわけでございますが、もし御本人の御記憶違いであるようなケースについて、それを安易に例えば統合してしまった場合には、大変な御迷惑を皆さんにおかけすることになるということは容易に御推察いただけるのではないかというふうに思います。

 したがいまして、大変に手間をかけ、御迷惑をかけるケースもあろうかと存じますが、一つ一つのケースをなるべく御本人のお立場に立って丁寧に統合していくというのが私どもの基本姿勢であると御理解賜りたいと存じます。

内山委員 青柳さんの話には矛盾がありますね。難しいケースだからこそ、本人にできないんですよ。役所がやらなきゃならないんでしょう。難しいケースだからこそ、あなた方がやらなきゃならないんですよ。そして、あなたの記録ではないですかとお尋ねすればいいじゃないですか。本人から、まさか生年月日が、私のデータが仮に三十万件の中に入っているなんてだれもわかっていない、だから申し出がないんでしょう。あなた方がわかる範囲でお示しをしなければ、国民は、この三十万人に該当する人たちはわかるわけはないじゃないですか。今、あなたが言っていることは矛盾していますよ。

 大臣、お疲れですからね、少しは聞いておいてください。これは何も大きなコンピューターのシステムをプログラムを組んでやらなきゃならないことじゃないわけですよ。現にこれだけ、三十万件という数字が出ているわけですから。それはもうできる範囲で、今の費用がかからない範囲でぜひ詰めてくださいよ。この三十万件に関して、八割九割わかりました、これは信頼回復できるじゃないですか。本人に任せていたら、これは絶対にできませんよ。ぜひ役所がやる仕事だと思いますけれども、大臣、いかがですか。

柳澤国務大臣 基礎年金番号を一億百五十万件付番させていただいたときにお問い合わせをさせていただきまして、ほかの番号をお持ちではないでしょうかというようなことでお問い合わせしたものに対して、九百十六万人の方が自分は他の番号を持っているんだというお話をいただきました。我々、それだけで済ませたわけではなくて、実は社保庁の方でも、この機会に何とか付番、基礎年金の番号とその他の年金手帳の記号番号とを突合させる、いわゆる名寄せの作業をいたしました。その数が九百二万人なんです。その数が九百二万人。ですから、何もしなかったということを前提にいろいろお話をいただくとすると、ちょっと私どもとしてもその点は触れさせていただきたい、こういうことでございます。

 そして、その上でこれからどうするかということでございますけれども、私どもの方で何もしないということではなくて、今申したように、五十八歳、四十五歳、三十五歳というように、我々が持っているデータを皆さんにお知らせするんですね。そして、受け取られた御自身の方で、僕のはここは抜けているじゃないか、私のはここが違っているんじゃないかというようなことを見出された方についてはそれを言ってきていただくということによって、この三十万件についても、内山先生のお言葉、私は実務的にはそのとおりだと思うんですが、いわゆるつぶしていくことができる、我々はそのように考えているわけでございます。

内山委員 時間が追ってしまいましたので、ちょっとテーマを変えますが、これはぜひまた議論させていただきたいと思います。

 日本年金機構のことでお尋ねをしたいと思います。質問では十六番というところでお願いを申し上げていると思います。

 日本年金機構は国の機関ではなく、非公務員型の公法人としたが、非公務員化することによって効率はどのような形になるのかということをお尋ねしたいわけであります。

清水政府参考人 非公務員化することによりまして、能力と実績に基づく人事管理、柔軟な職員採用がしやすくなるというふうに考えてございます。

 御承知のとおり、職員の給与、公務員の場合、労働基本権の制約がございまして、勤務条件法定主義ということがございます。人事院勧告に基づいて定められます統一的な俸給表の等級号俸によらなければならないということになってございます。一方、非公務員でございますとそういうことはないわけでございまして、この法人独自の給与体系をつくることができるわけでございますし、その当てはめ、端的に言えば、例えば昇任昇級、降任降格なども公務員と違って柔軟にできるということがございます。

 また、採用につきまして、御承知のとおり、国家公務員は試験合格者の中から採用しなければなりませんが、非公務員になりますと制度的にはそのような制約がないということでございます。

内山委員 政府・与党案というのは、非公務員化で独自の給与体系、めり張りのきいた民間的な給与体系が可能になると主張されているわけであります。しかし、その給与が税金から出ているということは忘れてはならないわけでありまして、税金の使い道を政府の関与を受けずに民間人が勝手に決めることが許されるのかということを言いたいわけであります。

 日本年金機構の職員給与というのはどこから出ていますでしょうか。何度も聞かれていると思いますけれども。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 政府が交付金を日本年金機構に交付することになるわけでございます。その交付金の中で職員の給与を賄うという考え方になろうかと思います。政府が交付いたしますその財源でございますけれども、先ほどからほかの委員の方への大臣の答弁の中にもありましたように、職員人件費は租税財源という考え方でございます。

内山委員 税なんですよね。税が、政府の関与を受けずに民間人が勝手に決めるというような仕組みに、私は非常に大きな疑問を感じているわけであります。

 続きまして、年金実施機関が国以外の組織になると公的年金制度の安心感を失わせることにはならないか、どのように信頼を担保するのかという質問に対してお答えをいただきたいと思います。

清水政府参考人 年金制度は国の信用力の基礎でございますし、二十歳以上の全国民の方々は強制適用、一生涯にわたる保険制度ということになるわけでございます。

 したがいまして、この法案におきましては、社会保険庁の廃止の後におきましても国を保険者とする、そして国の責任において運営するという形にしておるわけでございます。年金制度に係ります国の責任を堅持するという考え方でございまして、具体的に申し上げますと、国は特別会計を持っているということでございます。また、保険料の徴収や年金の支払いも国庫金の歳入歳出といたしますし、お客様のお手元にお渡しいたします年金手帳、年金証書、これらも国の、厚生労働大臣の名義という、そのような形にしておるわけでございます。

 また、日本年金機構に対する必要な管理監督、これも厚生労働大臣が行う、そのような法的構成になっておるわけでございまして、そのような形で国として年金事業の運営責任を果たしてまいりたい、このような考え方でございます。

内山委員 政府案では、直接年金制度を運営する年金機構が、法律上、国会に対して全く責任を負っていないわけでありまして、厚労大臣を通じて間接的に責任を負っているのみで、仮に機構やその委託先において再度不正免除や不祥事が生じたときに、理事長を国会に呼ぶことができるんですか。大臣、不正や何かがあったときに、国会に理事長を呼べるんですか、もう一度お尋ねをいたしたい。

柳澤国務大臣 これは、従来、いろいろな公的な機関が、政府の機関ではなく独立の法人として成り立っているところは多いわけですけれども、そこの執行の責任者、これは参考人として招致できるということで、緑のリボンをつけられた方は大勢いらっしゃるわけでございます。

櫻田委員長 内山晃君、短目にしてください。

内山委員 最後の一問です。

 同じように、国は機構の委託先に対してどのように監督をするのか、お尋ねをしたいと思います。

櫻田委員長 時間が終了しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

清水政府参考人 日本年金機構は、厚生労働大臣の定める基準に従って委託を行うものでございます。その日本年金機構に対しまして、厚生労働大臣がさまざまな直接の監督、必要がございますれば是正命令等も行う、そのような関係になっているところでございます。

内山委員 またじっくりとお尋ねをしたいと思います。終わります。

櫻田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨年廃案になった社会保険庁の改革案が衣がえをして本委員会に付託をされております。閣議決定された三月の新聞各紙を見ますと、不祥事の百貨店、失態は底なし、こうした言葉が並び、実際に振り返ってみると、残念ながらそのとおりであったと認めざるを得ません。

 昨年の不正免除の問題が、数の上では二十二万件を超え、最も特徴的な事件でありましたけれども、しかし、それだけではなく、事務費の無駄遣いが億単位であったこと、監修料、納入業者からの金品の授受など、これらも億単位を超え、特に業者関係では免職者も出す、こうした対応が迫られてまいりました。これらの問題は絶対にあいまいにせず、何よりも徹底した再発防止と信頼の回復が求められると思います。

 同時に、依然として国民の不安や関心事のトップにある年金問題、将来にわたって安定した制度となるのか、果たして頑張って保険料を払っても本当に年金を受け取れるのか、国民の中にある年金制度そのものへの不信感に対しても明確な答えが必要と思います。

 最初に大臣に伺いますが、今回二つの法案を出した目的は、私が述べた二つの国民の不信感、これを払拭し、信頼を回復するのが目的であると確認をしてよろしいでしょうか。

柳澤国務大臣 年金に対する関心というものは、少子高齢化の中でますます高まっていくと我々は考えております。

 そういう中で、今委員もおっしゃられたとおり、長期的に給付と負担の均衡を確保して制度を持続可能なものとする、そういう実体的な制度の面をしっかり確立するということ、それからまた、実際のこの制度の運営に当たる機関、これがいろいろと問題を露呈させるというようなことは、これはもうそういう運営組織を通じて国民の信頼が揺らぐ基になるわけでございますので、これについてしっかりと立て直しをするということでございます。今回の二法案は、特に後者の要請にこたえるものであるということを申し上げたいと思います。

高橋委員 私が指摘したことと同じ答えだなと思って聞いていたら、最後に後者のというふうにわざわざおっしゃいましたので、やはりそれは二本足で、国民の年金制度そのものに対する信頼回復ということも同時に追求されていく、それがなければ、眼目としている例えば収納率の向上ですとか、そういうところには結びつかないのでありますから、当然そこは握って離さないというくらいの御答弁をいただきたかったなと思うんです。

 それを含んだ上で次のお答えをいただきたいんですけれども、では、今度の二つの法案が信頼回復の決め手となるのかということであります。

 昨年十二月十五日の朝日新聞の社説では、与党がまとめた社会保険庁の解体、再編案について、「頭と心臓は国。胴体は非公務員型の新法人。手足は民間」、こういう表現をしておりましたが、なるほどと思いました。とても真っすぐに歩いてくれるとは思えません。

 そもそも、与党の中にも、幹事長や政調会長など要職にある方が、歳入庁構想あるいは完全民営化など、それぞれが違うことを主張していたわけであります。そうしたことをつなぎ合わせてスタートするとすれば、足がもつれる、ぎくしゃくするのは当然ではないでしょうか。

 先日の本会議で、なぜ解体分割のこの法案が国民の信頼回復につながるのかと安倍総理に質問をしましたが、直接なお答えは得られませんでした。

 大臣に改めて伺います。なぜ今度の法案が国民の信頼回復につながるのでしょうか。

柳澤国務大臣 実体的な面は、平成十六年度の制度改正によって、私どもとしては、持続可能なものとする、そういう目的に対して十分こたえられる制度改正を行ったという認識でございます。

 そして、それに次いで、今度、年金の運営組織を国民の信頼にこたえるものとしたいということで制度設計に当たったわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、こうした今の社保庁というものをどうやって立て直すかというときに、一つは、確かに私は政府の機関としてもっと直接的なものにするということが想定の上では考えられると思います。民主党はそういう方向をとったということだろうと思うんです。

 それに対して、私どもとしては、そういうことではなくて、民間のいろいろな経営の原理と申しますか、そういうものでもって、より効率的な、そして不公正を許さない、そういう組織を実現することによってその期待にこたえようとしているということでございます。

 私ども、今回のこの日本年金機構という非公務員型の新法人をつくることによりまして、能力と実績に基づく人事管理の導入であるとか、あるいは職員の親方日の丸的な意識の払拭というものが可能となるというふうに考えておりまして、こういうことで組織のガバナンスを強化するということで、これまでのぬるま湯的、あるいは閉塞的なそういう組織の体質というものを一掃してまいりたい、このように考えているところでございます。

高橋委員 結局は、公務員でなくすれば解決し、信頼が得られるということですか。

柳澤国務大臣 これは、例えば国税庁というのが午前中以来の議論の中で大変高い評価を得ているわけでございまして、公務員であるから、あるいはないからということではないんですけれども、我々の社会保険庁の問題を今回解決して、そして本当に国民の信頼を得る道としては、やはり今のような公務員ということ、あるいは親方日の丸と先ほども申し上げましたけれども、そういうような意識というものを払拭する必要がある。これはやはり、公務員ということを続けていたのではそういうことはかなわないというふうに我々は考えまして、非公務員型ということでもって意識の改革を図り、そしてまた民間のいろいろなめり張りのきいた人事管理等のシステムを導入することによって問題を解決したい、このように考えているということでございます。

高橋委員 結局、すべて悪いのは公務員なんだ、これは職員の首を切れば問題が解決する、そう言っているのと同じなんですね。

 しかし、先ほど一部紹介をした、この間いろいろな問題が起きている、それを見ていきますと、やはり一人一人の職員が、その人が悪いという単純な問題じゃないわけですね。契約の問題、業者からの金品の授受、監修料の問題など、これは一人がそう思ってやっていることじゃなくて、組織的に行われていた不祥事が多いわけです。それを、個々の職員が悪い、不祥事をやった職員は首を切るんだと戒めのようなことを言って、肝心の組織の幹部はどうなるんでしょうか。

 職員の採否に当たっては、内閣府のもと、第三者機関である設立委員会が決めることになっております。しかし、新法人の理事長は大臣が指名し、役員は理事長が指名することになっております。ここで今のトップのメンバーが新法人にスライドするようでは何ら刷新にはならないと思いますが、大臣、どう考えますか。

柳澤国務大臣 ですから、業務の切り分けと採用等の人事面のことについては、内閣府に置かれる第三者の中立公正な有識の方々の意見を聞いてこれを行おうということを制度的に構築しているわけでございまして、そういうような中立公正な第三者の有識の方々の意見を聞くことによって、適切な人事が行われるように我々としては図ってまいりたい、こういうように思っている次第です。

高橋委員 私が聞いているのは、新法人の役員の体制の問題です。理事長は大臣が指名するんですよ。大臣に権限があるんです。今のトップがそのままスライドしてはだめでしょう。何も変わらないじゃないですか。職員だけ制裁して、トップのメンバーがそのままスライドするんですか。そういうことは考えていないとお答えになるのが筋じゃありませんか。

柳澤国務大臣 私どもは、考え方としては、ここで人事も刷新していくということでございますけれども、しかし、具体的な人材というものを考えましたときに、今委員が指摘されるような特定の方々の人事についてまでここで言及することは適切を欠くんだろう、このように私は考えます。

高橋委員 もちろん、ここで採用するとかしないとかというお答えはないと思います。ただ、当然、そこは踏まえていただきたい。個々の職員の責任にして、トップが組織の責任を問われることなくスライドするようなことはあってはならない、ここは強く指摘をして、続けていきたいと思います。

 それぞれの問題について処分や再発防止策はそのたびにとられました。しかし、それが本当に機能していくかどうかは、まだ一定の時間を要すると思います。

 昨年八月に公表した第三次調査報告書に基づく新たな事務処理基準のもと、まだ六十九万人の居所不明者の再点検が完了していないと先日の大臣の答弁でありました。また、きょうも午前中から繰り返し指摘をされている年金記録五千万件の今後の課題についても、民主党さんが要求していることと政府が答弁していることは若干食い違っているわけです。

 しかし、その中でも、大臣は、誠実に、単に最初から門前払いではなく、相談に乗っていきたいんだ、少しでも解決していきたいんだということをおっしゃっていたんだと思うんです。もしそうであれば、この作業が今回の法律で移行することによって宙に浮くことがあってはならない、途中で終わるようなことがあってはならないと思いますが、そこは確認したいと思います。

清水政府参考人 不在の問題でございますとか、現在引き続き作業しているものもございます。それらにつきまして、時間のかかるものもございますけれども、できる限り速やかに作業をしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。

 日本年金機構の発足の時期でございますけれども、平成二十二年一月ということを我々は考えておるわけでございますので、それまでの間、できる限り速やかに調査をし、さまざまな対策を講じてまいりたい、かように考えてございます。

高橋委員 大臣にもう一度伺いたいんですけれども、先日の本会議のときに、社会保険庁の在り方に関する有識者会議の最終とりまとめ、公的年金制度は、「国の責任の下に、確実な保険料の収納と給付を確保し、安定的な運営を図ることが必要」、この立場と、趣旨は沿っているものだという答弁が総理からあったと思います。

 私は、このことを踏まえて、最初に伺った処理の問題をきちっとやることも踏まえて、長い年月、正確な記録が求められる年金業務である、安定的な運営のための収納対策や事業所の適用対策など、こうしたそれぞれのことを突き詰めていくと、やはり国の責任ということで、国が直接にやらなければならないものではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

清水政府参考人 現在、私ども、社会保険庁という組織でございますので、現在進めるべき調査等は当然社会保険庁において行っていくということでございます。

 ただ、二十二年一月の日本年金機構という新組織というところまでを見渡して考えますと、やはり新組織の業務にふさわしくない職員までもが漫然と新組織に移るわけにいかない、そういう基本的な考え方でございます。現在こなすべき業務は粛々とこなし、また、日本年金機構が行うべき仕事、それからそれに対応した職員の採用、それはおのおの分けて考えていくべき事柄かなというふうに考えてございます。

高橋委員 済みません、今のは職員の分限のことを聞いたんではないんです。もちろん私、それは絶対やめるべきだと思っていますけれども、そうではなくて、新しい法人は、職員をどれだけ引き継ぐかどうかにかかわらず非公務員型なわけでしょう。それがやはり正確な記録が求められる年金業務にはふさわしくないんではないか、それをちゃんとやるにはやはり直接に国がやるべきではないかということを聞いたんです。

清水政府参考人 日本年金機構の運営に関しましては、厚生労働大臣が適切な監督をする、直接具体的な監督をする、また、必要に応じて是正命令等も行うということによりまして国の責任が十分に果たされる、そういう形になっておるわけでございます。もちろん、日本年金機構は、年金の実務業務を行うための組織でございますので、それが十分処理できるような体制にすべきものでございますし、そういう観点に立って、内閣の第三者機関も、どのような業務をみずから行うのか、委託に出すのか等々について御検討いただけるものだというふうに考えてございます。

高橋委員 今、国が適切な監督をするからという答弁であったと思います。そのことを少し検証していきたいと思います。

 具体的に伺いますけれども、平成二十年十月に発足する政府管掌健康保険の公法人、これがまず先陣を切っているので参考になると思うんですね。きょうは資料をつけております。公法人化についての組織、これも同じように、二枚目にメンバー表がありますけれども、設立委員会を設けて、事業の切り分け、法人の理念、運営方針、組織人員の骨格、採用基準、労働条件を決めるというふうになっているわけであります。

 「改革の視点」の真ん中のところに「被用者保険の最後の受け皿であることから、解散を認めない法人として政府により設立し、財政運営の安定化のために必要な措置を講ずる。」というふうに書いておりますが、なるほど、最後の受け皿であるというこの認識というのは非常に重要かな、これは年金においても同じことが言えるのかなと思っているんです。

 まず簡単なことを伺いますが、ここで採用される職員は、これも非公務員型ですので、一般公募、社会保険庁職員との兼ね合い、どのようになるのか、どのくらい採用されようとするのか、伺います。

水田政府参考人 全国健康保険協会の職員の採用についてのお尋ねでございます。

 その進め方について御説明いたしますと、まず、御指摘のありました設立委員会におきまして採用基準や労働基準を定めるわけでございます。これを踏まえて、社会保険庁におきましては、職員の意思を確認の上で、候補者の名簿を作成して設立委員会に提出をする、それを踏まえて、設立委員会におきまして職員の採用を決定する、こういう流れで行われることになってございます。

 お尋ねのありました採用基準につきましては、設立委員会におきまして、ことしの秋を目途に取りまとめる方向で検討が進められているところでございまして、お尋ねの社会保険庁及び民間からの採用の規模、それから職員に求められる条件等につきましても、この中で決定されるものと考えてございます。

 さらに、協会の採用方針についてでございますけれども、先ほど委員御指摘のような機能がこの協会にあるわけでございますので、こうした協会に期待される役割を適切に果たすことができる組織をつくる、こういう観点から、設立委員会において検討されるものと考えてございます。

高橋委員 ことしの秋に規模なり基準なりがわかるということだと思うんですが、その設立委員会が非公開で行われているのはなぜですか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 設立委員会は、設立委員が法人の設立に関する事務を円滑に処理するため、合意形成や意見調整等を行う場でありまして、他の法人の設立委員会におきましても非公開の取り扱いとなっているところでございます。

 全国健康保険協会の設立委員会におきましては、こうした他の法人の取り扱いも踏まえた上で、各委員の率直な議論を促すため、委員の総意に基づきまして、運営規則において非公開の扱いとしたところでございます。

 ただ、議論の透明性を確保するという観点もございますので、議事の概要については公表している、こういう取り扱いになってございます。

高橋委員 議事の概要をホームページで見ましたけれども、まだ第二回までしかアップをされていませんで、全く追いつかないんですね。だれがお話ししたかはもちろんわからないですし、あくまでも概要であります。

 私は、これが率直な議論を保障するということが委員の方から言われて、それを認めてしまえば、これから先、何でもそれが通用しちゃうわけですよ。せっかく情報公開ということがこの間ずっと進められてきて、後戻りさせる議論になっちゃう。これはやはり改善をしなければならないと思います。少なくとも、今どうしても公開は難しいんだというのであれば、議事録そのものをきちんとホームページにアップする、そのくらいのことはやっていいんじゃありませんか。

水田政府参考人 実はその点につきましても第一回の設立委員会で議論がございました。

 まず、この議事の公開の方法についての議論でございますけれども、これにつきましても、各委員の率直な議論を促す観点から、委員の総意に基づき、発言者名を伏した形で、議事の概要について公開するという取り扱いとなったところでございます。

高橋委員 委員の中に公開をするべきだという発言をした方がいたというお話ですよね。もったいないなと思います。やはりそういう率直な議論がされるんであれば、それこそそれを国民に見てもらわなければ、どうして信頼回復などということができるのかということを実は次に聞きたいんですけれども、日本年金機構においては、今度二つの、二階建ての第三者機関が設立されるわけですよね。繰り返し言われているように、この第三者機関が業務を振り分けするということですよね。かぎとなるということを先日長官おっしゃいました。これもやはり非公開となるんですか。

清水政府参考人 日本年金機構の業務委託あるいは職員の採用に関します基本計画を定める際の学識経験者からの意見聴取、これにつきましては、総理の御指示によりまして行革大臣が担当することになっているわけでございまして、それに関係します具体的な方法、公開、非公開も含めてでありますけれども、それは今後内閣官房におきまして適切に検討されるものというふうに考えてございます。

 また、日本年金機構の設立委員の方の会合のことでございますけれども、これは、今保険局長から御説明申し上げました全国健康保険協会の設立委員による会合の運営方法なども参考としながら、設立委員の方々において適切に判断していただくべきもの、かように考えてございます。

高橋委員 今のお答えのように、国が監督するんだから、責任持つんだからとおっしゃっていますけれども、この第三者機関の運営そのものだって内閣官房で決めるんだから、公開か非公開かすらも何の発言権すらない、これでどうして国民の信頼回復が得られるのか。とても再スタートなんてできるはずがないんです。そのことを強く指摘したいと思うんですね。

 それで、今言ったように、第三者機関は内閣府のもとに置くわけです。いわゆる民間委託できる業務の振り分けについて、内閣府のもとで第三者機関が協議をするんですよね。ところが、条文上は、「機構は、厚生労働大臣の定める基準に従って、」「業務の一部を委託することができる。」となっています。ここで厚生労働大臣が出てまいります。つまり、第三者機関の審議で決められる業務、大臣はそれができ上がるのを指をくわえて待っているのかということになりかねないんですね。でき上がってきたものに対して大臣は責任をとらされる。大臣が決める基準だと書いているんです、条文上は。だけれども、その運営に関しては内閣府で責任を持つ。

 どうなるでしょうか。大臣がどこで責任を果たせますか。ここの第三者機関に出ていって、国がやるべき業務はこれこれである、譲れないものがある、例えばこういう発言をするとか、拒否権、第三者機関が言ったのはそうだけれども、厚労省の長年の蓄積からいって、それはちょっと待ってくれという拒否権を持つとか、そういうことができるんですか。

柳澤国務大臣 日本年金機構法案におきまして、日本年金機構の業務の委託の推進や職員の採用についての基本的な事項に関する基本計画を定めるに当たって、学識経験者から意見を聞くということになっているわけでございます。

 そういうことでございますので、そういう基本計画を定める際は、総理の指示によりまして、渡辺行革担当大臣がこれを担当するということになっておるわけでございます。これは、国会対応につきましても、また法案成立後の関係業務というか基本計画に関する業務でしょうけれども、これを渡辺大臣が担当される、こういうことになっております。

 そのもとにおいて、私がまた具体的な基準を定めまして、そしてもっと具体的な業務運営の枠組みをつくっていく、こういうことになるんだろうと考えております。

高橋委員 そうすると、第三者機関が決める基準と大臣が具体的に決める基準と違うこともあるということですか。つまり、例えば、この分野は民間委託をすべきじゃないとか、ありますか。

柳澤国務大臣 基本計画のもとで私が基準を決めてということになるわけでございますので、そのもとでの基準が基本計画をひっくり返すような、オーバーライドするようなことはない、こういうことでございます。

 そういうことで、私としては、年金制度を所管する厚生労働省の責任者として、必要に応じて意見を述べるということは当然のことであろう、このように考えております。

高橋委員 必要に応じて意見を述べる、やはりちょっと受動的なことにならないかと思うんですね。

 やはり厚生労働大臣の責任で基準を決めて、その後の運営についての監督責任があるというときに、例えば、第三者機関が大臣の意見を聞きたいよということはあるかもしれないけれども、きょうは用がないよということもあるのかなと。そういうので本当にいいのか。やはり、厚労大臣として何を発言していくのか、あるいは積極的にかかわっていくという姿勢が欲しいなと思うんです。

 最後に伺いますが、業務がばらばらに細分化される、あるいは、民間委託という場合、都道府県の事務所、それぞれ委託先が違います。長くて三年で更新、そういう中で、人の一生のうち大部分を占める年金、この重要でかつ専門的な業務が安定的に継続されるというのは非常に考えにくいと私は思っているんです。率直な大臣の感想を伺いたいと思います。

柳澤国務大臣 先ほどのこととも関係すると思いますので申し上げますけれども、やはり、今回の日本年金機構の設立というものは、ある意味で行政改革の一環というふうに位置づけるべきであろう、このように思うわけでございます。

 そういう意味で、ある意味で私ども行政改革を受ける側でございますので、それが何もかも仕切ってしまったのではという考え方から、行革担当大臣が大きな基本のところを、大もとを決められる、第三者機関の決められることの担当をなさる、こういうことであろうということで御理解を賜りたいと思います。

 外部委託の問題ですけれども、これは、外部委託というものを、今、三年は継続するにしても、三年ですぐまたかわってしまうというようなことでは、年金業務の継続性というか安定性という観点から問題があるではないかという御指摘でございますが、そういうものももちろん念頭には置くわけですけれども、やはり外部委託というものが、効率というかあるいは公正というか、そういう年金業務が本来実現しなければならない理念、これに照らして常にチェックをされるということもこれもまた必要であろうと思います。その兼ね合いの中で具体的な判断が適切に行われるべきものだ、このように考えます。

高橋委員 時間が来たので終わります。また次にします。

櫻田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十六分散会


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