衆議院

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第21号 平成19年5月18日(金曜日)

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平成十九年五月十八日(金曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 櫻田 義孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 鴨下 一郎君

   理事 谷畑  孝君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      秋葉 賢也君    新井 悦二君

      井上 信治君    石崎  岳君

      加藤 勝信君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    木村 義雄君

      岸田 文雄君    清水鴻一郎君

      菅原 一秀君    杉村 太蔵君

      平  将明君    高鳥 修一君

      戸井田とおる君    冨岡  勉君

      中根 一幸君    長崎幸太郎君

      西川 京子君    林   潤君

      原田 令嗣君    福岡 資麿君

      松野 博一君    松本  純君

      松本 洋平君    内山  晃君

      大島  敦君    菊田真紀子君

      郡  和子君    園田 康博君

      田名部匡代君    筒井 信隆君

      長妻  昭君    古川 元久君

      細川 律夫君    柚木 道義君

      坂口  力君    古屋 範子君

      高橋千鶴子君    保坂 展人君

    …………………………………

   厚生労働大臣       柳澤 伯夫君

   厚生労働副大臣      石田 祝稔君

   厚生労働大臣政務官    菅原 一秀君

   厚生労働大臣政務官    松野 博一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房政府広報室長)          高井 康行君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 門山 泰明君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    村瀬 清司君

   政府参考人

   (社会保険庁総務部長)  清水美智夫君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部企画課長)           今別府敏雄君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  新井 悦二君     中根 一幸君

  木原 誠二君     平  将明君

  松野 博一君     秋葉 賢也君

  菊田真紀子君     長妻  昭君

  柚木 道義君     古川 元久君

  阿部 知子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     松野 博一君

  平  将明君     木原 誠二君

  中根 一幸君     新井 悦二君

  長妻  昭君     菊田真紀子君

  古川 元久君     柚木 道義君

  保坂 展人君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本年金機構法案(内閣提出第七八号)

 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)

 歳入庁設置法案(山井和則君外五名提出、衆法第二三号)

 国民年金事業及び厚生年金保険事業の適切な財政運営に資するための国民年金法及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案(山井和則君外五名提出、衆法第二四号)

 公的年金制度に対する国民の信頼の回復を図るための年金個人情報関係調査の実施等に関する法律案(山井和則君外五名提出、衆法第二五号)


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     ――――◇―――――

櫻田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、日本年金機構法案及び国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案並びに山井和則君外五名提出、歳入庁設置法案、国民年金事業及び厚生年金保険事業の適切な財政運営に資するための国民年金法及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び公的年金制度に対する国民の信頼の回復を図るための年金個人情報関係調査の実施等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房政府広報室長高井康行君、総務省大臣官房審議官門山泰明君、厚生労働省年金局長渡辺芳樹君、社会保険庁長官村瀬清司君、社会保険庁総務部長清水美智夫君、社会保険庁運営部長青柳親房君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古川元久君。

古川(元)委員 おはようございます。民主党の古川元久です。

 きょうは、まず最初にちょっと政府広報について聞きたいと思います。

 最近いろいろな政府広報がありますね。「ストップ!いじめ」とかエイズ検査の勧めとか、あと、「「美しい国づくり」プロジェクト あなたが思う「美しい日本の粋(すい)」はなんですか?」、こんなことまで、政府の広報で税金でやるのがいいのかと思ったりしますが、中身については、そこにいらっしゃる鴨下先生とか私が所属している決算行政監視委員会の話かなと思います。

 きょう、広報室長に来ていただいています。どういうものを税金をかけて政府広報にするか、こういう政府広報でいろいろな新聞だとかテレビだとか広告を宣伝する、その手続について御説明いただけますか。

高井政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府の政府広報でございますけれども、政府の重要施策に関する広報につきまして、内閣におきます内閣広報室あるいは関係省庁と協議をいたしまして、毎月、広報テーマをとっております。そのテーマを集めまして、関係省庁と協議をして新聞、テレビ、雑誌等の広報を行っている、こういうことでございます。

古川(元)委員 室長、何か十五分に予定があるということで、どうぞお帰りいただいて結構です。ありがとうございます。

 要は、今の室長のお話だと、各官庁とかあるいは内閣で決めてということだそうなんですが、今、この委員会で我が党議員が毎日のようにお伺いしております消えた年金記録の問題について、これだけ昨年来から大きな問題になってきております。先日の委員会での大臣の答弁などもお伺いしておりますと、とにかく心配や疑問があれば申し出てくれ、それについてはちゃんと対応するんだという御答弁が続いているわけなんですが、その前提として、そもそも、心配や疑問を持つぐらいにこういうことが起きているんだということが国民に周知徹底されているのかどうか。今までこの問題について、これだけマスコミなんかでも載ってはいるわけですけれども、なかなか最近は新聞を読まない人も多いわけでありまして、国民に対する周知徹底というのはどれくらいこれまで行われたんですか。

青柳政府参考人 記録問題についての周知徹底についてのお尋ねがございました。

 私どもは、実は、年金記録相談の特別強化体制ということで、昨年の八月からこういう記録についてのお尋ねを受け付けさせていただいておりますということをさまざまな機会を通じてお知らせさせていただいております。

 具体的に例示を申し上げますと、昨年の十一月のねんきん月間の実施に当たりまして、新聞やポスターによりまして広報を行わせていただいておりますし、また、マスコミ等に公開の場となっておりますところの社会保険事業運営評議会、これは御存じのように、各有識者にお集まりいただきまして社会保険庁の事業について御議論いただく場でございますが、この場におきまして、あるいは社会保険庁のホームページにおきまして、こうした記録の確認作業の実施状況について逐次報告するというふうな形で、情報提供に努めさせていただいております。

古川(元)委員 そういう情報提供で、国民の皆さんに対しては、この問題はこういう問題が起きているんですよ、周知徹底は十分だ、そういう認識ですか。

青柳政府参考人 何をもって十分というふうに評価したらよいか、にわかにお答えできませんが、ただ、一つの事実として申し上げますれば、昨年の八月より開始をいたしました年金記録相談の特別強化体制によりまして、本年の三月までにおよそ二百十五万件の照会をいただいているというのは事実でございますので、それなりに功を奏しているというふうに私ども考えている次第でございます。

古川(元)委員 それなりにというのでまだ五千万件も残っているというその認識は、これは私はきょう皆さんに、昨年のねんきん月間のときに出されたという新聞広告をここに資料として出させていただきましたけれども、その認識は根本的にちょっと甘いし、そもそもこういう問題を起こしたことに対する反省もないんじゃないかなと思うんですね。そもそも、今まで新聞広告を打ったのは、ねんきん月間だからという中で打ったこの一回きりだという話なんですね。あと、ホームページに載っていますと。

 ちょっと後でも伺いますけれども、今、もう既に年金受給資格のあるような人の記録でも千九百万件とかいうふうに言われている状況の中で、果たしてこういう人たちが、ホームページまで見に行って、こういう問題が起きている、自分のは大丈夫かなというふうに心配になって連絡をするだろうか。

 しかも、この広告も何か、そういう問題が起きているということはここから見てもわからないんですね。「聞いた。わかった。安心できた。」「聞いて納得、国民年金・厚生年金。」私たちも普通こういう広告だと、ほとんど見逃しますね。特に、「年金記録相談の特別強化」のところだけもう少し抜粋しているのを二ページ目のところに大きく拡大して出させていただきましたが、ここに書いてあるのは、「社会保険庁ではご自身の年金記録への疑問や不安に少しでもお答えできるよう、本年八月二十一日から十二月末まで、次のとおり、特別強化体制で年金記録相談を実施しています。」云々かんぬんと書いてあるんですが、今、こうして問題になっているような事実が起きているということについては、一言も、記述もなければ、こういう事態を招いたことに対する反省もない。

 きのう、ある保険会社の全面広告がありました。ここには頭にどう書いてあるか。「このたび、保険金等のお支払いという生命保険会社として事業の根幹を成す業務において、ご迷惑とご心配をおかけするような事態を招いたことについて、お客さまならびに関係者のみなさまに深くお詫び申し上げます。」まず頭で、そういうところから、おわびから入っているんですね。支払い事由別件数としてどれだけ問題があったのかというので、「約四百二十一万件のうち二千百五十四件・約二・一億円のお支払い不足が判明」とか、事実関係をきちんと書いてあるんですよ。

 普通、これだけ問題になっていれば、最低限の誠意として、国民の皆様方に、いわば本来年金として給付をしなきゃいけないお預かりしたものの納付記録がはっきりしなくて払えないような状況になってしまった、こういう状況に対しておわびの一言もないというのは、これは余りにも誠意が見られないと思いますけれども、大臣、これを見られてどう思いますか。

柳澤国務大臣 五千万件、まだ統合ができていない年金手帳の符号番号の口があるわけでございます。そのうち、今古川委員が御指摘になられたように、既に受給年齢に達しているのではないかという年齢で区切ってみますと、千九百万件がそうしたものとして未統合の状況にある、こういうことでございます。

 この状況は、かねてから私たびたび申し上げておりますように、本当にできるだけ早く統合すべきは統合するという事態が実現しなければならない、こういうことでございまして、そういう観点から、いろいろな個別の方々に対して通知を行ってもいるわけでございます。五十八歳通知というものをさせていただいたということがございますし、また、その根っこのところでは、平成九年一月から基礎年金番号が付番されるというときにも、これは一億人以上の方々に対して、こういう付番が行われます、あなたはこのほかに年金手帳をお持ちではないでしょうかという問い合わせをしておるというのが、経緯として言えばそういうふうになっております。

 そういうことで、それに対して応じてくださった人も九百万件以上あるということでございますし、我々の方で、要するに氏名と年齢と住所が一致するものについては統合をいたしまして、これでよろしいでしょうかという確認の通知をした、これもまた九百万件以上に上ったわけでございます。

 このように、まず個別の受給権者あるいは被保険者とのコミュニケーションというものをとって、付番として残っているものの統合を図っていくということでございますが、同時にまた、一般的な広報ということでも私ども努力をしているということが、今、運営部長の方から御答弁させていただいたことでございます。

 そういう実績を御報告したわけでございますけれども、これから先も、個別にいろいろと被保険者あるいは受給権者に対して働きかけを行っていく、そういう体制にございまして、例えば、受給権者に対しては、今回、六月に年金の振込通知書にそのことをうたわせていただいて、ぜひ、不審というか、自分の年金記録を確かめたいという方は、社会保険事務所の方に特別の窓口をしつらえておりますので、そこに来ていただきたいという呼びかけをいたします。

 その際に、私は、あなたの年齢で、幾らまだ統合されていない符号番号の件があるということを知らせたらどうかということを提案したわけですけれども、今回の場合は、そういう、本当に年齢別のことまでなかなか十分な分類ができていないということですので、今委員も指摘されたような、既に受給権者になったと見られる中で未統合の件数が何件ありますということをはっきり明示いたしまして、そういう非常にたくさんの未統合の符号番号があるから、これをぜひ皆さん確認してくださいという呼びかけをさせていただく、こういうことを考えておる次第でございます。

 いろいろ、我々、これから先も、一番切実感がある、そういう形で被保険者、受給権者の皆さんに自分の年金加入記録の確認をしていただくべくお願いをしていきたい、このように考えております。

古川(元)委員 長々と御説明いただきましたが、私が大臣に聞きたいのは、そもそも今までやってきた周知徹底で十分なのかということなんです。

 これだけ年金に対する国民の不安が高まっている中で、政府を挙げてこの問題というのは取り組まなきゃいけないんじゃないですか。「あなたが思う「美しい日本の粋(すい)」は何ですか?」と聞く前に、まず、皆さんの年金がこんな状況になっています、とにかく皆さん一回確認してください、それくらい大臣から、政府広報でどんどんとこれはやってください、同じ税金をかけるのでも。

 今、国民が求めている政府広報は一体何なのか。これまでやってきたことは、この新聞広告は別にこの問題が起きたから出したわけじゃなくて、毎年、ねんきん月間のときには一回出している、そのルーチンでやっているだけなんですよ。そういう状況といいますか、そういう認識で、本当に国民の皆さんにきちんとこの実態をわかってもらって、御協力いただきたい、そういうそもそもの姿勢がこれで見られると思いますかということなんです。

 ナショナルやあるいは今回の生保もそうですけれども、今、大体、何か問題が起きると、企業はその生き残りをかけて徹底的に消費者の人たちに周知徹底をする。ナショナルのガスファンヒーターでしたか、あれなんかはいまだにやっていますね。そこまでやるかというくらいにお伝えをする、でもそこまでやってもまだ見つからない、そういうガスファンヒーターがあるから、とにかく見つかるまで最後までやるんだ、そういう姿勢。

 これは、年金制度に対する信頼そして年金を徴収する機関に対する信頼、それを確立したいんだというのであれば、こんな広報の体制では、今までのやり方では、そして大臣が今言われたようなこれから頑張りますという、そこの程度では、とても民間企業と比べても不十分だというふうに言えるんじゃないですか。そういう大臣の認識を聞いているんです。大臣、どうですか。

柳澤国務大臣 私どもがいろいろ事務の運営の過程において問題を数々抱え、そしてまたそのことを皆様方から批判され、そしてまたそうしたことが国民の年金に対する信頼ということを傷つけているということについては、私も大変遺憾だというふうに思っています。

 しかし、ここはいきさつをお考えいただきたいわけですが、平成九年一月に付番をした、その付番は、現に加入されている年金の口座というものを付番しました。したがって、過去に入っていた年金というものについては、多分それは、こういう付番をすればすぐに住所、氏名ということ、その他が一致をする、あるいは権利者の方からお申し出をいただいて、そして一致をするだろう、こういう想定があったわけです。

 そのような手続を踏んでこういうことをやりましたので、ぜひほかの番号を持っている方はお申し出くださいということをやったのですけれども、これに応対していただいた方々というのは、一億以上の付番をした先に出したのに対して九百十六万しかというんでしょうか、そういう形で返ってきたということであります。したがって、前に入っていた年金番号というものは、我々としては、自分らの努力でも三情報一致したものについてはみずからやって、それをまた再確認に出したわけですけれども、それ以外のものは今まだ、未統合の状態に残っているということなんです。そういう状況なんです。

 したがって、これはどうするかといったら、個々の被保険者あるいは受給権者に対して呼びかけていくのでなかったら、具体的にこれとこれとを統合するということをなし遂げなければこの問題は解決できないわけでありますから、そういう手続を私どもが重視して、したがって個別の呼びかけというものを重視して、そして今委員が御指摘になられるように、一般の広報というものももっと的確に使うべきではないかということについては、そのように我々も考えます。

 特に、政府広報の御指摘がありましたので、政府広報に対しては、これから私ども、ぜひ、我々のものを訴えていく、そういう機会をいただくように協議を早速にでもしてまいりたい、このように考えます。

古川(元)委員 最後のところをおっしゃっていただければよかったんですけれども。

 今の大臣のお話を聞いてちょっとここで確認したいんですけれども、こういう事態が起きた責任、そういったものは国民にもあるというふうに大臣はお考えなんですか。どうなんですか。

柳澤国務大臣 私は、今プロセスを申し上げますということで申し上げたわけでございます。したがいまして、私どもとしてはできる限りの努力をして、みずからの方で統合できるものは統合した、それからまた国民の皆さんからいただいた情報に基づいて統合した、さらにまたいろいろ呼びかけて、もっとおっしゃってきてくださいということの呼びかけをしている、こういう状況であります。そういう事実関係を私は申し上げたということでございます。

古川(元)委員 では、事実としてこの結果が起きたことについて、こういう結果になってしまってごめんなさいとおわびをするべき立場にあるのはどちらなんですか。だれも責任はない、これは結果責任として考えていただければいいと思いますけれども、結果責任、これはだれの責任でもない、そういうふうに大臣はお考えなんですか。

柳澤国務大臣 私どもは年金を所管する役所として当然責任を持っているわけです。したがって、この解消のためにいろいろな手だてを講じて、何とかできるだけ早い機会に統合を図っていかなければならない、こういう責任を痛感して今努力をしているということであります。

古川(元)委員 責任があると言われるのであれば、今までの書き方もそうなんですけれども、まずはこういう事態が起きてしまったことに対しておわびの一言もないというのは、これはどういうことなんでしょうかね。いろいろな経緯はあったかもしれません。しかし、こういう結果になってしまって、年金の保険料をお預かりしたにもかかわらず、納付記録があるにもかかわらず、払えないような状況になってしまっています。そのことについては、まずおわびがあってしかるべきじゃないかと思います。

 大臣、今出されているこれを見てどう思いますか、普通の感覚で見て。余りにも、こういう今起きている状況に対して「聞いて納得、国民年金・厚生年金。」と、何か人ごとのように私には見えるんです。これはやはり当事者として、今大臣がおっしゃったように責任があると言うのであれば、まずはこういう事態が起きたこと、状況に対して、大臣もこの委員会ではおわびしていらっしゃるわけですから、そこを国民に対してきちんとわかるようにおわびをして、その上で協力を求めるというのが筋じゃないかと思いますけれども、いかがですか。

柳澤国務大臣 この状態をどういう意味で責任と言うかということについては、私は国の行政を預かる立場からいいますと、では何か私ども不法行為を犯したんだろうか、あるいはそうした意味で賠償というようなことに結びつくような責任を持たなければならないのかということについては、私どもとしてはやや、そこまでというふうなことを委員がお考えなのかどうか、こちらからもお尋ねをいたしたいと思います。

 私どもは、確かに現に加入している年金というものに付番をさせてもらったわけでありまして、その方々の過去に加入していた年金というものは、確かに付番をしたときにはもっと簡単に統合されるべきものだというふうに思っていたんだろうと思います。しかしながら、いろいろな会社をかわる、あるいは住所をお変わりになる、あるいは場合によっては姓も婚姻によって変わる、こういうようなことが起こったものですから、なかなか過去の年金番号と今の年金番号を符合することが予想外に難しいことになってしまったということでございます。

 したがって、これはある意味で行き先がわからない年金になっていますから、そのことというのは、やはりまず今の年金の方々からお申し出をいただいて、そして情報としてそういうきっかけをいただいて、我々はそれをもとにこちら側を調査して統合していくという手続を迅速に行っていく、そういう責任を早く全うしたい、こう考えているということです。

古川(元)委員 大臣はアメリカにもいらっしゃったから、何か一言でも謝るとそれで法的責任にでもかかわると思っていらっしゃるのかもしれませんが、いいですか、私が、おわびするべきじゃないですか、まずおわびから入るべきじゃないですかと言っているのは、我が国においては、こういう事態が起きたら、法的な責任云々は抜きにして、まずは、こういう事態が起きたことに対して、申しわけなかったと。そういうおわびが、それはできない、そうやっておわびしたら責任が生じるんだというような発想だと、これはとても日本の国民の皆さんには納得されないんじゃないかと思うんですね。

 そもそもこの事態が起きたことに対して国民の皆さんに協力を求めるんだったら、それはいろいろな理由はあったかもしれません、その経緯は耳にたこができるほど聞いてよくわかりました。しかし、こうなってしまっている。やはりその事態を招いてしまったことについては、まず真摯に国民の皆さんにおわびをして、これを解消するために我々も努力するんです、だから皆さんもちょっとよく考えてみて、大丈夫だったか、そういうことのチェックをしてください、そして問いかけてきてくださいと、あらゆる手段を使って、あらゆる機会を使って呼びかけるのが、それが誠意というものじゃないですか。どうですか。

柳澤国務大臣 私としては、年金という大事な国民の財産をお預かりし、管理している立場から、こうした事態が起こっていることがやむを得ないとか、いいとか言うようなつもりは毛頭ありません。ありませんので、確かに今までの広報において、そうした政府の見込み違いから起こった、こういう現実に起こった結果というものに対する政府として感じていることの表現というのに十分でないということは、私も指摘を受けるまでもなく感じるわけでございますので、この点、これから表現に非常に工夫をしていかなければいけない、このように考えます。

古川(元)委員 何か問題が起きたときの民間の企業と政府の対応を見ていると、これが官民の違いなのかなと。

 私は思ったんですけれども、もしこの社会保険庁が年金機構というふうに変わったら、では突然、この広報もまずおわびから入るように、一生懸命やるように変わるんでしょうか。そうならなきゃ、この議論の中でもとにかく非公務員化すれば何かすべてがうまくいくかのような話になっているんですが、非公務員化されてもこんな同じような広報をもし何か問題が起きたときにやっていたら、それは一体何だと。普通は民間企業だったらそれでつぶれますよ。それくらいの認識を持った上で制度設計や何かしなければ、形だけ非公務員化しただけで問題が解決するような話じゃないと思うんですね。

 大臣は何度かお話をされる中で、だんだん、政府広報ももっとやらなきゃいけない、そして表現の仕方も考えなきゃいけないというふうに言われました。大臣、ちゃんと約束していただきたいんですけれども、きちんと国民の皆さんに、こういう事態が起きたことに対して、民間の企業でも出しているように当然まずおわびから入って、そして広く周知徹底されるようにちゃんと広報に努力していく、そのことをお約束いただけますか。

柳澤国務大臣 私どもは、個別の対応というものが具体的な成果に結びつくためには最も大事だというふうに思って、そういうことをいたしております。

 これはまた一方で行うわけでございますが、加えて、一般広報というものももっと工夫をして国民に現状がわかるようにすべきだということについては、私もそのようにいたしたい、こういうように考えます。また、その際の表現については、十分現在の事態を反映して政府の立場というものがよりわかりやすく伝わるように表現に工夫をしてまいりたい、このように思います。

古川(元)委員 期待して注視していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、業務の効率化について少しお尋ねをしたいと思います。

 資料三をちょっと見ていただきたいんですが、自民党もなかなかいいこともやっているなと、私もこの資料とかを見せていただいて思ったんですけれども、自民党e―Japan重点計画特命委員会戦略強化チームの中で社会保険オンラインシステムが取り上げられまして、「社会保険庁のパフォーマンス」のところで、国民年金事業のパフォーマンスは著しく低いというので、国税と、徴収コストや徴収額そして事務経費に占めるシステム経費の割合というのが示されているわけですね。

 ここでの歳入庁がいいかどうかという議論の中で、政府の方はいつも、そもそも性格が違うからというふうに言われるんですけれども、これは自民党がつくられた資料ですね。その中で比較をしているということは、国税徴収のところと勘案をして社会保険料の徴収のあり方も考えていかなきゃいけないという認識には立っておられるんじゃないかと思うんです。

 私たちはそういう認識に立った上で、これは、社会保険庁と国税庁を統合して歳入庁という形にした方が結果的にパフォーマンスが一番いい最適化に進むのではないか、そういう視点から歳入庁の法案を出しているわけでありますけれども、政府・与党の方はそれをとらなかった。

 とらなかったのであれば、少なくとも、これだけパフォーマンスが著しく低いと御自分たちで言っておられるわけでありますから、では、この年金機構に変わることによってどれぐらいパフォーマンスが改善されて、国税と比較してもこれくらい遜色のないところまでなりますよというぐらいの試算が出されていてもいいと思うんですが、そういう試算はあるんですか。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 お示しいただきました資料で、国民年金一万円徴収に必要なコストとして八百十円という数字が記載されておるところでございますが、これは、私ども推察をいたしますところ、国民年金の徴収額とそれからすべての事務費、すなわち保険料徴収だけでなく、適用でございますとか記録管理でございますとか給付といった業務すべてを含んでの数字、その事務費を徴収額で除したものではないかというふうに考えてございます。

 私ども社会保険庁におきましては、適用、徴収、記録管理、給付といった経費を区分せずに経理してございます。徴収コストを確定的に算出することは困難でございます。

 ただ、一定の仮定のもとに、十五年度につきまして、厚生年金、国民年金、政管健保の徴収コストを試算したものがございます。これを見ると、徴収百円当たり〇・三四円となるわけでございます。この徴収コストは国税と比べても高いというわけではないと思います。

 今後、日本年金機構、非公務員型の組織で保険料徴収をやっていくわけでございますけれども、この機構におきましては、能力と実績に基づく人事管理の徹底、それからまた、現在、社会保険庁で国民年金保険料の収納について市場化テストを実施してございますが、そのようなものの結果も踏まえ、民間委託の徹底を図る、こういったことを考えておるわけでございまして、これらによりまして公平、効率的な徴収に努めることが重要、そのように考えてございます。

古川(元)委員 では、この数字は間違っていると言われるわけですか。この数字は関知していないということですか。

清水政府参考人 今申し上げましたように、八百十円という数字は、徴収のみならず、記録管理、給付等に係るすべての事務費を保険料の徴収額で除したものではないかというふうに推察しているところでございます。

古川(元)委員 さっき自民党を褒めましたけれども、やはりちょっと訂正しないといけないですね。与党であるにもかかわらず、そんなきちんとした数字を政府からもちゃんととらずに、これは間違っていると言われているような数字をベースに議論していらっしゃるというのでは、そういうところから正しい政策が出てくるとはとても思えないですよ。きのうレクに来た社会保険庁の人は、この数字は政府から出したものだというふうに言っていましたけれども。

 普通は……(発言する者あり)何か不規則発言がありますけれども、こういうことが政府と与党との間で行われていて、まず私は、別にこの数字の真偽を聞いたわけじゃないんですけれども、そういうところからしてそもそもこれはおかしいなと思います。

 それは、百歩譲って、数字の真偽は別にしても、そもそもこういう形で国民年金の徴収コスト、そして国税のコストとかを比較している。それであれば、与党も与党ですけれども、政府としても、少なくとも与党から、では年金機構になったら、国税と比較しても、数字上これくらいのコストになりますよ、パフォーマンスは改善しますよ、そういう数字ぐらい、やはり与党も、ちゃんとここまでやったのなら出させるべきだと思いますね、政府に対して。それをやっていなくて、ただ効率化します効率化しますと言っても、一体何を見てそれを判断すればいいんですか。

清水政府参考人 数字の点について、もう少々御説明申し上げたいと思います。

 私どもは、徴収額一万円当たりの事務費ということでの資料はお出ししたことはございます。

 それから、今後の徴収コストでございますけれども、先ほど申し上げましたようなさまざまな効率化努力というものを重ねていくというのは当然のことというふうに思ってございますが、ただ、それがどの程度具体的なものになるかということにつきましては、なかなか算定は難しいのではないかというふうに考えてございます。

古川(元)委員 与党の人、よく聞いていただきたいですけれども、私が向こうに座っていたときに、一体どれだけコスト削減になるんだ、出せ出せというふうに言っていて、我々に言う前に、まず政府にきちんと言って、どれくらいコストが削減になるのか、それを出させていただきたいものですね。自分の身内の、まさにコントロールしているはずの政府にも言わないでおいて、野党の方に出せと言うのは、これはちょっとお門違いじゃないかなと改めて思った次第であります。

 もう時間も限られていますから、次のところに進みたいと思います。

 データ通信、システムコストが非常に高いということで、システムを変えていこうということの提案がされて、最大の問題が残債だ、五ページを見ていただくとわかりますけれども、今までの契約を解除できない最大の問題は残債だと。「毎年、制度が変更になることにより、システム開発が発生し、その分の債務が発生しているので、残債の額は増加、減少を繰り返しており、〇になる見通しは全くない。」六ページに行きますと、「今後の方向性について」「このスキームを放置しておくと、額が多額で残債を払うことが出来ないので、永久に契約の解除ができず、同じ業者との関係が続いていく」「国民の貴重な年金が極めて高コストである情報システム経費に消えていく」、こういう指摘があるわけですね。

 こういう指摘を受けて、結局、システムを変えるということになりました。次の七ページを見ていただきたいと思うんですが、システムを変えることによって、今まで千三百億とか千四百億、千五百億とかかかっていたのが五百五十億になる、そういう数字が出ているんです。

 結局、これは残債の部分も全部年金の保険料で、つまりツケが払われたという認識でよろしいですね。

青柳政府参考人 システムの財源についてのお尋ねでございます。

 今委員の方からも御紹介がございましたように、残債というのは、未償却分を繰り延べした分、これを繰り延べで払っていたために生じているものということでございますので、お話の、御紹介のございましたシステムの刷新のためには、この残債分をいずれにしろすべて償却しないと、例えばシステムのオープン化であるとか、そういったいわば刷新が行えないという事情がまず背景にございます。

 その上で、私どもといたしましては、まさに先日来話題になっております膨大な加入記録を長期的に記録管理して年金給付を迅速かつ正確に行う、これが社会保険の使命であるというふうに考えておるわけでございますので、御指摘のありましたようなレガシーシステムからの脱却というのは急務であるというふうに認識をしております。

 そして、その便益は被保険者あるいは受給者に広く及ぶものである、このような認識のもとに、これに必要な経費は、残債も含めてでございますが、保険料を充てさせていただきたいと考えている次第でございます。

古川(元)委員 そもそも、こんな膨大なお金がかかることを今までずっとやっていたということ自体、この責任が問われてしかるべきじゃないかなと思います。

 一点だけ、ちょっと時間もないので確認をさせていただきますが、今まではシステム変更のために毎年毎年債務が生じるという形だったんですが、二十三年以降は一切そういうものが発生しないという試算になっているようなんですが、それは発生しないんですか。

青柳政府参考人 二十三年以降の見通しについてのお尋ねがございました。

 ただいま委員が御紹介いただきました七ページにございます資料の中で、「現行システム」というところに書いてある数字に着目をいただきたいわけですが、この現行システムの中には、いわゆる制度改正によりましてシステム改変が必要になった経費も含まれております。例えば、平成十六年の年金改正の関係、それからその後の介護保険の改正、これは年金からの源泉徴収が必要になったという意味でやはりシステムにはね返るわけでございます、そして医療保険の改正によりまして同様の改正が行われたもの、これらがすべて現行システムというものの中に含まれております。

 したがいまして、平成二十三年度以降も、何らかの形で社会保障制度の改正があり、そしてその改正が年金のシステムに影響を与えるものである場合には、ここに挙げさせていただきました数字以外にまさにシステム経費が必要になるというふうに御認識を賜りたいと存じます。

古川(元)委員 そういう意味では、やはり丁寧にその辺のところはきちんと書いていただかなきゃいけないところがあると思うんですよ。何かこれだとすごくコストが下がったみたいにだけ見えますけれども、やはりそういうおそれもあるわけです。ただでさえも今システムに膨大な経費をかけているわけでありますから、この辺のところは、きちんと効率化が本当に最適な形でされていかないと、いつまでたっても私たちの年金の保険料がこういうものに消えていってしまうということになりますから、ぜひきちんとやっていただきたいと思います。

 時間がなくなってきてしまいましたけれども、最後に少し、今後の、これから社会保険庁が変わっていく、そういう中で高齢者が置かれると思われる生活環境について、基本的な認識をちょっと大臣にお伺いしたいと思います。

 今後、団塊の世代が本格的にリタイアしていくことに伴いまして、団塊の世代、結構退職金が多い人もいれば少ない人もいるし、ないような人もいる。また年金額も、人によって相当ばらばら。そういう意味では、退職世代の所得の源泉、中心は圧倒的に年金であるということは大臣も御承知だと思いますが、今後、そういう年金額の違いなどによって、高齢者の間の所得格差というのが拡大をしていくのではないかというふうに思われますが、大臣はどのように認識しておられますか。

柳澤国務大臣 高齢者の間の所得格差というものがどういう推移をこれからたどるかということについては、委員の御指摘のような傾向を生み出すのではないかという要因も指摘できますけれども、今現在、高齢者の間の格差はどうなっているかというと、それ自体としてはやや縮小のあれを示しております。

 したがって、一概に断ずることはできない。私どもは、労働力の関係からいきまして、高齢者の方、特に六十五歳以下であるとか、あるいはもうちょっと七十歳まで働ける企業とかというようなことで考えてまいりますので、そういう就労の状況というようなことも変わっていくというような面がございます。

 だから、そういうようなことを前提にしながら、しかし、一般論として言うと、この推移の状況というよりも、現にどうかということになると、高齢者の間では確かに所得の格差は大きいということは言い得るわけでございます。

古川(元)委員 資料の八とか九を見ていただくとわかるんですが、高齢者世帯で生活保護を受けている世帯がどんどんと増加をしてきているわけですね。こういう状況があるわけなんです。

 この状況を考えていきますと、今大臣は、今のと言われましたけれども、私は、これからリタイアしていく人たちがもらうであろう年金の受給額の差というものは、団塊の世代はかなり年金が成熟した形でもらう人も多いわけですから、厚生年金でもらう人と国民年金しかない人では、かなりの差が出てくる。それが所得格差につながっていくだろう。しかも、今新しい組織になって収納率を上げるというやり方は、収納率を偽装するような事件で去年問題になりましたけれども、要は、所得の低い人で今の時点では年金の保険料は払わなくてもいいような所得状況の人には免除をきちんと適用して、結果的に収納率が上がったような数字を求めていくという形になろうかと思うんです。

 そうなりますと、保険料を払わなかった人は、当然将来の年金給付額は少なくなるわけですね。きちんと免除対象者に対して免除をするということは、現役時代の保険料を払わなきゃいけないその時点で所得が低い。そもそもその時点で所得が低い、年金の保険料も払えないような人が、では老後に対してどれくらいの貯蓄とか蓄えができるのかと考えると、これはなかなか難しいと思うんです。

 そうすると、そもそも老後の蓄えもできないような人たちが、年金の保険料も払っていない、別にそれは、未納じゃなくて、払わなくてもいいですよ、あなたは所得が低いですからといって払わなかったりする。しかし、そのことによって、その人は老後を低年金しか、少ない年金しかもらえませんから、結果的に老後の年金収入も小さくなる。

 そうすると、収納率は上がっても、このままいくと将来どんどん低年金の、そして低所得の高齢者がふえていくということに、推移的に考えていけばそういう危険がかなり大きいというふうに考えるのが普通じゃないかと思うんです。そうしたら、今の状況でも生活保護がふえている、高齢者がふえている、そういう人たちが生活保護に落ちていってしまう、そういうことになれば、生活保護に落ちれば、それはすべて税金で賄うということになります。

 これは大臣、よく考えていただきたいんですが、年金制度、幾ら収納機関を形を変えて収納率を上げても、しかし結果的に将来の低年金の人たちをふやすようなことになれば、それは将来の生活保護予備軍のような人たちをふやすことにもつながっていき、それは国全体で見れば、結果的にトータルとしての国民負担というものは大きくなってしまうんじゃないか。

 ですから、私たちが問題というのは、ただ収納率を上げればいいというだけじゃなくて、こういう低年金の人たちが生まれてきてしまうような状況がある、そこまで含めて年金制度を根本的に変えないと、これは問題解決に全くならないんじゃないか。ただ政府から出されているような今の形の法案だけだと、将来、結果的に低年金になるような人たちをどんどん拡大してしまう、そういう危険が高いんじゃないかと思いますが、どのようにお考えですか。

柳澤国務大臣 収納率を上げることが年金の給付額の格差を生むというような論理かと思いますが、それはそうではないと思います。

 これは、そういうことではなくて、収納率は収納率としてできるだけ向上させなければいけない。そしてまた、給付の問題というのは、年金の実体的な制度としてどのように仕組んでいくのがいいか、こういう問題で、これは別の問題であるというふうに私どもは考えておりまして、収納率は収納率としてその向上に努めていくのは当然のことである、このように考えます。

櫻田委員長 古川君に申し上げます。

 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力願います。

古川(元)委員 はい。もうやめますけれども、これは別の問題じゃなくて、そこはセットで改革しなければ、年金に対する国民の皆さん方の信頼は到底回復されないんだ、そのことを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

櫻田委員長 次に、林潤君。

林(潤)委員 自由民主党の林潤でございます。

 本日は、質問の機会を賜りまして、まことにありがとうございます。

 今回やっております社会保険庁の審議も佳境に入ってまいりました。年金は私たちの老後にとっても命綱でありまして、この審議では、国民にとって年金を扱う機構がいかにあるべきかが問われるわけであります。つまり、将来、保険料を納めた国民のだれもが安心して年金を受け取ることができる機構になり得るか、そして年金の持続可能性を担保するにはどういった機構がよいのか、こういう議論をさらに浮き彫りにする必要があり、年金制度への信頼回復ができるかどうかは、まさにこの国会の審議にかかっていると言っても過言ではありません。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

 まずは、社会保険庁の年金記録の問題について質問申し上げますが、この委員会でも多くの指摘がなされました。基礎年金番号に未統合の記録が約五千万件、生年月日に誤りがあるのが約三十万件あったということですが、問題は、社保庁がデータの管理をしっかりできているのか、そのデータをもとにした被保険者の年金はきちんと支払われるのかという国民の不安にこたえられるかという点にあります。

 平成十六年の改正を受け、社保庁が五十八歳通知を出すようにしてからは、徐々に正確なデータが集積されつつあり、さきの基礎年金番号は、未統合の記録についても、約五千万件の大部分は死亡した方だと想定をされ、また、平成十八年の六月から十カ月間で約百五十万件が統合され、その点については一定の評価はできると考えております。

 また、五十八歳通知として発送いたしました件数、約四百六十六万件のうち、調査の申し出があったものが約四十一万件、うち回答したものが三十五万件と聞いておりますが、これはむしろ、五十八歳通知が正常に機能しているあかしではないかと思うわけであります。

 つまり、年金記録の国民的な関心が高まっている中、通知を送ることで正確なデータが着実に集積をされているわけで、徐々に前進はしていると言えます。この社会保険庁の改革の議論を見守りながら、多くの国民は、新制度になることで年金支給に関する不安を払拭できること、これを願っていることは明らかであります。

 そこで、年金のデータ管理について、国民の不安払拭に向け、社会保険庁はどのように取り組んでいるか、将来的な構想とともにお聞かせください。(発言する者あり)

吉野委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

吉野委員長代理 速記を起こしてください。

 林潤君。

林(潤)委員 質問を再開いたします。

 先ほど、一問目の質問ですけれども、年金のデータ管理についての国民の不安払拭に向けて社会保険庁がどのように取り組んでいるか、お聞かせ願います。

青柳政府参考人 データ管理の不安についてどのように社会保険庁が取り組んでいるかということでお尋ねをいただきました。これは、ただいま委員が御質問の中でも御整理をいただいた点に重なる点がございますけれども、経緯のある話でございます。

 そもそも、各制度ごとにそれぞれに記録管理したという形で我が国の年金制度は長い間推移をしてきたわけでございますが、それを、平成九年から基礎年金番号という形で統合的に整理をしようということに取り組み、ここで一元的な記録管理をスタートさせたわけでございます。

 その際に、これは先ほどの御質問でも大臣の方からもお答えを申し上げましたとおり、私どもは、単に番号をつけてそれで終わりということにしたわけではなくて、被保険者の方々に広く、ほかに番号がないでしょうかということのお尋ねをいたしました。また、それをお尋ねしてお返事をいただいただけではなく、私どもの手持ちの情報の中でも、これが同一の番号かどうかということの照合をした上で、その方々にほかに記録がないかということのお尋ねをし、お申し出と合致したものについて、順次、確認の上、統合してきたという経緯がございます。

 そういう経緯を踏まえて統合を進めた上に、これまた御紹介のございました五十八歳通知ということで、年金受給開始直前に改めて私どもの持っている記録を御確認いただいて、それをそのまま六十歳の年金裁定につなげていくという形の取り組みをさせていただいております。このことは、ことしの三月から三十五歳通知という形で、より若い時点で御確認がいただける機会をふやそう、また、十二月からは四十五歳通知という形で、さらにその十年後に確認のできる機会をふやそうということで、国民の皆様が年金の記録を確認できる機会を少しでもふやしてそういった不安を払拭するという、構造的な対策と申しますか対応と申しますか、これを進めさせていただいておるところでございます。

 それに加えまして、現在、五千万件の記録ということで御指摘がある点がございますので、この点につきましては、昨年の八月から年金記録の特別体制というのを組ませていただきまして、御相談、お尋ねのあった方に直ちに御対応できるようにという体制を組ませていただいて、これは、ことしの三月末までの間に二百十五万件も御照会をいただいて、それに基づき対応させていただいているというところでございます。

林(潤)委員 年金記録の不安払拭に向けては、こうした平成九年からの基礎年金番号の導入で、確かにデータはその後は正確になっていますし、平成十六年改正を受けた五十八歳通知により、データも徐々に補われてきております。また、平成十八年の八月から始まった年金記録相談の特別強化体制、ことしの三月までの間に記録確認が約二百十五万件あったと聞いておりますが、そのうち、申し立て内容と社保庁の記録が違ったケースというのは約二万件存在し、そのうち九九%近くが窓口調査で確認が済んでおり、物的証拠もなく食い違いのある案件として本庁に申し立てられたのが二百六十二件と聞いております。

 確かに、こうしたことから、被保険者の申し立てにこたえる体制やデータの整備が進んでいることは認めますが、国民の中からは、こうした被保険者からの指摘を受け続けなければ正確な年金データが把握できない現状はいつまで続くのか、こうした根本的な課題に突き当たります。究極的には、被保険者のデータが平成九年以降になるまで完全なデータは得られないと考えられまして、完全なデータを得るためには五、六十年かかってしまう、こんな見通しなわけであります。

 被保険者から指摘を受けながら徐々に正確なデータを仕上げていくやり方、これは非常に理解はできるわけですが、国民にとっては、その都度確認をしなくても正確な年金の支給をしてもらった方が親切であろうし、早期の改善で信頼回復につなげられないものか、これをお聞かせ願います。

青柳政府参考人 年金記録の統合についてのお尋ねでございますけれども、年金の記録というのは、例えば、私どもがあるデータを持っているからといって、一方的にこれを例えば職権で統合するということのできるものではございません。あくまでも、そういういわば可能性のあるということが仮に絞り込めたとして、それについては、最終的に、御本人がそのことを思い起こし、例えばほかにもあるということを御確認いただかない限り、それを御本人の記録として突合することはできないという性格を持っておるものでございます。

 したがいまして、最終的にはそういった御本人に確認をしていただくという手続を経なければならないとするならば、私どもとしては、現にそういった御懸念や御疑問を抱いておられる方の対応を最優先にしていくということが最も望まれておるものではないかということから、今日、そのようなことを最優先の課題として取り組ませていただいていることに御理解を賜りたいと存じます。

林(潤)委員 いろいろな形でフォローに、格段にこの数年力を入れてきた、こうしたことは認めるわけなんですけれども、これは私の持論ではありますけれども、一般的に、日本人の国民体質というものは、役所の態度、こういうお上意識というものに不満はあったといたしましても、役所が扱うような統計や管理については、少なくとも民間よりは信頼していると考えています。

 だからこそ、今回の年金記録が紛失した件については、言葉は悪いですけれども、裏切られたという思いも非常に強いわけでありまして、申し出があれば調べるという態度では、積極性に欠けると感じるわけであります。つまり、正確な年金記録をつくるためには、国が国民から言われたらやるというボトム・ツー・アップだけではなく、国がみずから範を示すというアップ・ツー・ボトムの両方とも必要だと考えられるわけであります。

 そこで、日本年金機構について質問させていただきますが、新機構は、外部委託の推進や合理化といったものを図ることが主眼とされております。これは当然、第三者機関の判断にもよることでしょうが、新機構の発足に伴い、外部委託の推進の一環といたしまして、年金記録をより正確を期するためにも、新たにデータを精査することも検討案件に含まれるのか、お聞かせ願います。

青柳政府参考人 新機構において、この記録の問題、どのような体制で対応するかというお尋ねかと存じます。

 私どもは、新機構に移行の前におきましても、きょう今日においても、当然のことながら、この記録について、現在、特別強化体制をとっているわけでございますが、力を入れてこれを推進していかなければならないという認識を持っておるわけでございます。したがいまして、新組織になった後も、現在以上に強化をしてこの記録管理の体制をとらなければいけないということは御指摘のとおりかと存じます。

 ただ、この記録の問題は、先ほど来繰り返しておりますように、お一人お一人の記録を丁寧に、当時のさまざまな資料に基づいて復元、統合していくということが最大の課題でございます。

 したがいまして、例えば、このことについては、過去の年金制度あるいは手続の仕組みについて十分にこれを熟知している者でなければ、最終的にお一人お一人の記録を統合するということはかなわない作業でございます。現在、本省の作業チーム、この特別強化体制のための作業チーム、十五名というふうに先日も委員会で御答弁をさせていただいたわけでございますが、大変少ないじゃないかという御意見もあろうかと存じますが、現実問題として、ただいま申し上げたような相当細かい専門的な知識を持った人間で、現在これに専従できる者というのが現実には十五名であるというのが実情でございます。

 したがいまして、何らかの形で、そうした外部委託も含めて、この記録を整備するための体制を強化していくということには引き続き努めますし、新機構においてもそれは強化することをお約束はできるだろうと思いますが、それが、外部委託をしたからといって、何か今まで以上に目覚ましく推進ができるというような性格の作業でないということもぜひ御理解を賜りたいと存じます。

林(潤)委員 外部委託を含めて引き続き努めていくということでありまして、過去にコンピューター技術が未発達な時代もありまして、また、人為ミスも重なって誤ったデータが管理されることになったわけでありますが、それはもう戻せない、過去のことだから仕方ないことにいたしましても、いずれにいたしましても、これからは、古いデータも含め、年金の的確な管理に努めてもらいたいと願います。

 さて、国民の次なる不安は、年金保険料の流用で無駄遣いがされないかという点にあります。全国にグリーンピアに代表されるような採算のとれない無駄な箱物がつくられるような、こんな愚は繰り返さないのは当然にいたしましても、無駄遣いを絶対にやめさせるという強い信念のもと、国民の信頼に足り得るような改革を徹底すべきだと考えます。

 今回、厚生年金保険法第七十九条、「必要な施設をすることができる。」この規定を削除したということは、当然、年金保険料は年金給付のためだけに使うべきであって、それ以外の経費に充てるべきではない、こういう考え方を遵守したものといたしまして評価できると考えますが、また一方で、若干懸念するところもあるわけであります。

 そこで、まず、保険料を事務費に充てることは妥当なことかどうか、社会保険を採用しているドイツやフランスなど諸外国の例や、雇用保険や労災保険などと比較し、妥当だとされるような論拠をお示し願います。

清水政府参考人 私ども、諸外国の年金実施機関の事務費について調べたところでございますけれども、その結果を申し上げますと、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、スウェーデン、それらの諸国いずれもが保険料を事務費に充てているというふうに認識してございます。

 これらの機関につきまして、国によりましては、給付のみを行って徴収は別の機関が行っているもの、あるいは給付と徴収あわせて行うものなどございます。この中で、例えばドイツの場合、保険料徴収事務につきましては、一部は年金実施機関がみずから行いまして、一部は別の法人が行っている、そういうこともございますけれども、いずれもが保険料の徴収事務費に保険料を充てているということだと認識してございます。

 また、日本の公的保険についてでございますが、厚生労働省所管のものについて申し上げますと、雇用保険でございますが、一部は国庫が入ってございますが、大部分は保険料で賄っているというところでございます。また、労働者災害補償保険、労災につきましては、保険料のみで事務費を賄っているというふうに承知をしているところでございます。

林(潤)委員 さらに、厚生年金保険法第七十九条の中には、政府は、厚生年金保険事業の円滑な実施を図るため、厚生年金保険に関し、次に掲げる事業を行うことができる、一、教育及び広報、二、相談その他援助、三、利便の向上に資する情報提供ということが挙げられています。

 これだけでは、法規定があるだけで、無駄な箱物はつくらないにしても、例えば、広報用のパンフレットを大量に印刷したり、年金知識啓発のための研修センターの建設などは可能なように思いますが、こうした使途が無駄にならないためにどんな方策を考えているのか、お聞かせ願います。

清水政府参考人 厚生年金会館等につきましては、さまざまな御批判、状況の変化等がございますので、現在、独立行政法人に所有権を移しまして、譲渡等を行っているところでございます。

 今御指摘のございました福祉施設規定、これを廃して新しい規定を置くということにつきましては、今後も厚生年金会館などはもうつくらないということを法律上明らかにするものでございます。

 日本年金機構におきます経費の適切な執行という観点からどう考えているかという点でございますけれども、それは、一つ、まず厚生労働大臣が機構の事業計画、予算を毎年度認可する、こういうことを通じまして予算執行面で無駄がないかを事前にチェックする、また、不適切な予算執行がございますれば厚生労働大臣が是正命令を行うこともできるという形で、厳しく監督することをしてございます。

 さらに、執行に当たりまして、機構には、民間企業人の参画する調達委員会、これは現在設けておりますのを引き続き設けるような形で、厳重な審査を実施するなど、無駄遣いを排除するための方策を講じてまいることを考えてございます。

 さらに、いろいろと、透明性の確保といった点からは、ホームページによりまして予算関係の情報を積極的に開示するということに努めてまいりたい、このように考えてございます。

林(潤)委員 こうした外部からの厳しい監査や審査を受け、適切かつ妥当な使い方をしなければならず、過去の失敗を絶対に繰り返さないように努めてもらいたいと思います。

 最後に、ここで日本年金機構の組織形態に関することについて質問いたします。

 社保庁を解体して新しく出直すということですが、職員の身分を非公務員としているのが昨年廃案となった法案と大きく違います。

 そこで、非公務員としたねらいは何か。公益性が大きく、利潤を追求する業種ではないため、民営化というわけにはいかなかったのでしょうが、公務員の身分と比べ、納付率の向上や組織の効率化が期待できる根拠は何か、それをお聞かせ願います。

清水政府参考人 今回の法案におきましては、新しい法人をつくりまして、日本年金機構、それで非公務員化していくということでございます。非公務員化での一番のポイントといたしましては、やはり、能力と実績に基づく人事管理でございますとか柔軟な職員採用が可能になるというふうに考えてございます。

 職員の給与につきましては、独自の給与体系が可能となるわけでございます。例えば、勤務年数に応じた部分、能力や実績に応じた部分、役職の重さに応じた部分など、さまざまなものを最適に組み合わせて、能力と実績に基づく民間的な給与体系が可能ということになるわけでございます。

 また、職員の採用につきましても、国家公務員試験の合格者の中から採用しなければならないということではないわけでございまして、そういう制約のない採用ができるということでございます。

 あわせて行います法人化によりまして、ガバナンスの強化ということで、理事会におきまして重要事項を審議する、あるいは監査法人の監査を受けるということで、お金の流れに関しましては、伝票の一枚一枚に至るまで外部の目を入れることができる、そのようなことになるわけでございます。

 これらを通じまして、職員の意識改革でございますとかサービス向上、事務処理の効率化を図る、そういうことによりまして、より全体的な事務の水準アップというものを図ってまいりたい、そのように考えておるわけでございます。

林(潤)委員 時間が迫っておりますので、もうそろそろ終わりにさせていただこうと思いますが、こうした過去の不祥事を踏まえて、職員の意識改革を断行し、第三者機関の意向をしっかりと取り入れながら組織の刷新を進め、国民の信頼を真にかち取ることができるような組織の実現に向けて努力してもらいたいと最後に申し上げ、質問を終わらせていただきます。

吉野委員長代理 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日も社会保険庁関連法案の審議となりますが、私からは、社会保険庁のこれまでの不祥事に対する対応状況と総括、そして、百年安心の年金制度改革のその後の状況について質問をしてまいります。

 今回の法案は、与党がリーダーシップを発揮し、徹底した改革を実現するために取りまとめた法案であります。ここに至るまで、社会保険庁のさまざまな不祥事、またその組織のあり方に対して、国民、マスコミ等から多くの批判を受け、当初、非公務員化ということに対し、官僚からの抵抗もありました。しかし、徹底した改革を行うとの観点から、今回の改革となったわけであります。

 私は、公的年金制度に対する国民の安心、信頼を確保していくために、まず制度自体が将来にわたって持続可能なものであること、また、制度を運営する組織が国民から信頼されることが大切であると考えます。このために次の課題として、公的年金制度の運営組織に対する国民の信頼を確保するため、社会保険庁の抜本的な改革を速やかに完了させることが不可欠であります。

 社会保険庁につきましては、平成十六年の年金法改正の国会審議を契機に、社会保険庁職員の不祥事や、年金保険料の無駄遣いや、加入情報ののぞき見など、事業運営上のさまざまな問題が明らかとなり、国民から厳しい指摘を受けたところであります。こうした批判に対し、当時、坂口厚生労働大臣が平成十六年夏から社会保険庁改革に着手をし、改革を主導してきたものであります。

 そこで、新年金組織を設置する法案の審議に当たり、まずはこうしたこれまでの一連の不祥事、また諸問題、例えば年金個人情報の業務目的外閲覧への対応、年金保険料無駄遣いへの対応と今後の使い道について、また年金福祉施設の検証結果と売却状況、そして国民年金保険料の免除等の不適正事務処理への問題、このような問題につきまして、その原因をどのように分析し、どのような調査、処分を行い、どのような再発防止策を講じたのか、副大臣にお伺いいたします。

石田副大臣 それぞれの項目について申し上げたいと思います。

 社会保険庁につきましては、これまでさまざまな不祥事が発生したことから、その一つ一つについて徹底した調査と処分を行い、再発防止策を講じてまいりました。

 まず、御指摘のありました年金個人情報の業務目的外閲覧につきましては、オンラインの通信履歴の記録等をもとに徹底した調査を行いまして、停職を含む延べ三千七百八十六名の厳正な処分を行いました。再発防止策としては三点ございまして、一つは、端末操作に必要なカード番号の固定化、一人に一枚渡す、こういうことをいたしました。二つ目には、年金個人情報へのアクセス状況の監視をいたします。三番目に、全職員に対する研修、特に個人情報の保護、こういう観点からの研修を行ったところであります。

 また、年金保険料の無駄遣いとの指摘に対しましては、保険料の使途について整理するとともに、会計法令上随意契約ができる場合であっても、可能な限り競争入札または企画競争に付することを原則とし、民間企業人の参画する調達委員会において厳格な審査を行うなど、無駄遣いを排除するための取り組みを進めてまいりました。

 年金福祉施設につきましては、厚生労働省に外部有識者による検証会議を設けて検証を行い、かつては被保険者等の福祉の向上に一定の役割を果たしてきたものの、その後の環境の変化に対応した見直しがおくれた、こういう報告もいただいております。

 平成十七年十月から、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構により、一般競争入札による売却を進めておりまして、平成十八年度末までに六十六施設を売却いたしました。売却額は約三百五十億円、出資額の約一・四倍という実績であります。

 国民年金保険料の免除等の不適正事務処理につきましては、昨年八月に第三次調査報告書を公表するとともに、大臣政務官主宰の検証委員会においても報告書を取りまとめ、停職処分を含めた千七百五十二名の厳正な処分や、降格を含む厳正な人事を行いました。

 このような事案が生じた背景には、社会保険庁のかつての地方事務官制に由来する閉鎖的で内向きな組織風土、内部統制の不足などの組織の構造的問題があったところであり、このため、法令遵守意識やコスト意識の徹底、業務の標準化、統一化の徹底、広域的な人事異動等による組織の一体感の醸成、能力主義の人事評価などによる意識改革の徹底、こういうものに取り組んでいるところでございます。

古屋(範)委員 一つ一つの課題に対し、調査、処分、そして再発防止への対策を講じられてきたものと存じます。

 図らずも、きょうの毎日新聞にまた、年金運用基金の裏金、飲食代年平均五百万というような記事も出ているわけでございますけれども、村瀬長官にお伺いをいたします。

 私は、このようなさまざまな不祥事や問題が発生したことに、社会保険庁の組織風土に根差す問題があるのではないかと考えております。これらの一連の問題の対応について、村瀬社会保険庁長官はこれまでも大変御苦労されてきたと思いますが、一連の問題について社会保険庁長官としての総括をお伺いいたしますとともに、職員の意識改革や法令遵守の徹底につきましてどのような取り組みをされているのか、この点についてお伺いいたします。

村瀬政府参考人 委員の御質問にお答え申し上げたいと思います。

 まず最初に、さまざまな不祥事が起こったということでございまして、国民の皆様の信頼を損ねたことに対しまして、長官といたしまして深くおわび申し上げたいと存じます。

 また、御指摘を受けた事案につきましては、先ほど副大臣からお話ありましたように、一つ一つ徹底的な調査を行いまして、関係する職員の処分を行い、再発防止策を講じてまいりました。今後、このようなことが二度と起きないように徹底してまいりたいというふうに考えております。

 さらに、職員の意識改革について、ちょっと御説明申し上げたいと思います。

 職員の意識改革ということで今まで進めてきたことは何かといいますと、業務の進め方をやはり独自のやり方でやっておりましたので、これを改める。そして、みずから変わらなければだめだという意識を持ってもらう。こういうことを含めまして、現在、四十七の事務局、三百十二の事務所があるわけでございますけれども、やはり現場の職員が一人一人変わってくれないと組織全体が変わらないということで、二年半の間に複数回、全事務所を含めて回らせていただきました。その中で、私の方から現場の職員にどういうことを言ってきたかということを、ちょっと具体的に幾つかお話し申し上げたいと思います。

 一つは、すべての解は現場にある。職員のやる気をいかに引き出すかということで、現場の職員からさまざまな改善提案を組織的に吸い上げる仕組みをつくりたいということで、業務改善提案制度というものを設けまして、現在もメール等を通じまして幾つか、こういうふうにやったらもっとよくなるのではないか、こういう形での提案をいただいております。

 それから、私が入ってくるまでは、事務局、事務所ごとに事業目的を明確に定めるだとか、サービススタンダードということで事務処理をいつまでに完了させるかという明確な方向がございませんでした。したがいまして、事務局、事務所単位にその目標をしっかり定めまして、それをしっかりしていただく。また、その中で、いい事務所、事務局については、しっかり庁として表彰する、こういう仕組みを導入させていただきました。

 それから、やはり働く人が報われる組織にしなきゃだめだということで、能力と実績に基づく新たな人事評価制度、これを導入させていただきました。そして、先ほど副大臣からもお話し申し上げましたように、ばらばらの事務処理をやはり統一的な事務処理にしなきゃいかぬということで、事務処理の基準の統一をさせていただいております。

 そして、昨年の秋からは、さらにもう一歩スピードアップしたいということで、改革リスタートプランということで、職員一人一人から、こういうふうにしていったらいいんじゃないかという提案を出していただきまして、それを職場内トーキングいたしまして、それを社会保険庁改革リスタートプランに生かした。その最大のねらいは何かといいますと、組織内のコミュニケーションが残念ながらこの組織はなかなかなかったということで、組織内コミュニケーションをしっかりする、そして、ひいてはそれを組織の一体化につなげる、こういう形の取り組みをさせていただいているわけでございます。

 それから、法令遵守につきましては、先ほど副大臣からお話し申し上げましたので割愛をさせていただきたいと思います。

 どちらにいたしましても、全力で改革を進めまして、社会保険業務をできる限り高いレベルに引き上げてから新しい組織に移行できるよう、しっかり仕事をやってまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 今長官より、さまざまな角度からの意識改革への取り組みをお答えいただいたわけでございます。

 しかし、これほどの多数の不祥事が集中して起きた組織の廃止、これは当然であります。そして、国の組織ではなく新たな法人組織とし、また職員も非公務員。すなわち、新年金組織を法人化、非公務員化することにより、新年金組織が単なる看板のかけかえにならないよう進めていかなくてはならないと思います。そして、すべての国民から、本当に変わったな、そう納得してもらえるようにすることが大切であり、今回の法案は解体的出直しにふさわしい内容でなければなりません。

 非公務員型の公法人の創設は、これまでの社会保険庁のぬるま湯的な体質を改め、民間的人事評価制度を取り入れることによりまして、緊張感を持った業務への取り組み、組織の活性化につながることが期待をされております。さまざまな不祥事を起こし、国民の信頼を失墜させた社会保険庁を廃止して、新たな組織として再出発させることについて、副大臣の御見解をお伺いいたします。

石田副大臣 先ほども答弁を申し上げましたけれども、さまざまな不祥事を起こして、その後の対策についてもお話ししたとおりでありますけれども、やはり今回の改革案では、抜本的に社会保険庁を廃止する、そして新たに非公務員型の公法人として日本年金機構を設立して再出発させる、こういうことでございます。

 日本年金機構につきましては、今までさまざまな御議論がありましたので割愛をさせていただきますけれども、やはり先ほど委員がお触れになったように、本当に変わった、こういうふうに言っていただかなければならないわけでして、私は、もうそんなにチャンスは残されていない、ある意味ではラストチャンスだ、こういうぐらいの思いで取り組まなければならないと思います。

古屋(範)委員 今副大臣からは、ラストチャンスと思い改革に取り組むという強い御決意をお伺いいたしました。ぜひとも、そのような新組織に向け邁進をしていっていただきたい、このように思います。

 次に、年金百年安心の制度改革とその後の状況につきましてお伺いしてまいります。

 少子高齢化が進行する中で、老後の生活を支える公的年金に国民の高い関心が寄せられております。公的年金の制度自体については、平成十六年度の制度改正におきまして、給付と負担、この両面からの改革を行い、百年間、給付と負担の姿を明確にし、年金百年安心の制度に改め、将来にわたって国民の信頼にこたえ得る持続可能な制度を構築いたしました。

 平成十六年度の年金制度改革におきまして、百年間の給付と負担の姿を明確にし、給付と負担を均衡させる、保険料の上昇は極力抑え、将来の保険料の水準を固定する、また、年金を支える被保険者数の減少に対応し、給付と負担のバランスを自動的にとることができる仕組みに変更する、標準的な年金受給世帯の給付水準は、現役世代の平均年収の五〇%を上回る水準を確保する、基礎年金への国の負担を三分の一から二分の一に引き上げるなどの改革でありました。

 年金制度に対する国民の信頼の確保を目指した平成十六年度年金制度改革から二年余りが経過をいたしました。その評価とこれまでの取り組みについてお伺いをいたします。

渡辺政府参考人 御指摘のとおり、年金制度につきましては、平成十六年の制度改正で、長期的な給付と負担の均衡を確保して、制度を持続可能なものにするためのさまざまな見直しを行いました。これは、諸問題に真正面から取り組んだまさに抜本的な改革であると私どもも考えております。また、その中では、単に給付と負担だけではなく、本年四月に実施されました離婚時の厚生年金の分割制度を初め、女性など、さまざまな多様な生き方、働き方に対応できる仕組みが導入されております。

 さらに、十六年改正後の状況でございますが、大切な基礎年金の国庫負担割合を二分の一にする前段階として、毎年段階的に引き上げを図ってまいりました。従来の国庫負担割合を、三分の一というところからスタートいたしましたが、十九年度以降は三六・五%というところまで引き上げるに至っております。

 また、十六年改正時から検討課題とされておりましたが、翻れば二十年来の課題でありました厚生年金と共済年金の一元化を実現するとともに、また、二十七年ぶりにパート労働者の厚生年金適用基準を見直して厚生年金の適用範囲を拡大するというための法案を、あわせて被用者年金一元化法案として、先般国会に提出させていただいたところでございます。

古屋(範)委員 今の御説明にもありましたように、百年、団塊の世代、そして団塊ジュニアの世代、この人口の二つの山を乗り越え、また、人口減少時代に持続可能な年金制度を確立する、そのための改革であったと私も認識をいたしております。

 次に、我が国の国民皆年金の制度は、世界的に見ても大変すばらしいものであると思います。年金制度を税方式に改めるべきという意見もございますが、年金制度は社会連帯に基づく支え合いの仕組みであり、社会保険方式の自助自立に立つ制度の基本を堅持すべきと考えます。基礎年金の財政方式を現行の社会保険方式から全額税方式に改めるべきとの意見がありますが、こうした考えについての御所見をお伺いいたします。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、基礎年金に関しましてさまざまな御意見がございます。そのうちの一つに、基礎年金を全額税方式化してはいかがか、こういう御議論もあることはよく承知しております。

 ただ、自立自助の考え方に立って、社会保険方式による拠出制の年金制度というものを昭和三十六年に皆年金の形でスタートした、このメリットを放棄するかどうかという問題であろうかと思っております。また、生活保護との関係をどう考えるか、巨額の税財源をどのように手当てするのか、それから、長年にわたりこうした自立自助の考え方に賛同し保険料を納めてこられた方々と、そうではなかった方々のバランスをどう考えるかなど、さまざまな解決しなければならない課題があると思っております。

 例えば、御承知のように、国庫負担二分の一を平成二十一年度に実現するというときの国庫負担総額の見積もりは、現在、九・九兆円でございますが、今の基礎年金六・六万円をいわゆる税方式にして、拠出制ではないということにいたしますと、所要総額は二十三・七兆円にはね上がると見ております。したがいまして、二分の一国庫負担実現のために必要な国庫負担追加所要額は二・五兆円であるのに対しまして、今のような仕組みでございますと追加所要額は十六・三兆円も必要である。こういう意味も含めて、巨額の税財源というものをどう考えるかということが避けて通れない課題であると考えております。

 引き続き、私どもとしましては、拠出制の社会保険方式の基礎年金というもの、それから厚生年金と、あわせて国民の老後生活の支えとして有効に機能させてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 私も、税財源とすべきという意見に関しましては、その財源を明らかにしていかなければ成り立たない論理だろうというふうに考えております。

 次に、平成十六年度改正におきまして、給付と負担のバランスを均衡させる、そうした制度改正を行いました。昨年十二月に発表されました日本の将来推計人口で、将来の合計特殊出生率が前回の推計よりも低く見積もられ、一・二六で半世紀後も推移するとの予測から、国民の年金への不安が高まり、年金の百年安心プランは大丈夫かとの声が上がっております。

 厚生労働省は、こうした不安の高まりに対し、平成三十八年以降、所得代替率五一・六%を維持できるとの試算をし直しました。しかしながら、この試算に対しまして、今後の物価や賃金上昇率、運用利回りの数字は好都合過ぎるのではないかとか、また、五〇%以上を確保するためのつじつま合わせではないかとの批判もございます。

 年金水準は将来にわたり所得代替率五〇%を確保する、この平成十六年度改正法附則の規定の考え方に変更はないと考えてよろしいのでしょうか。

渡辺政府参考人 御指摘のとおり、平成十六年年金制度改正におきまして、年金水準を、標準的な世帯で見て、将来にわたり所得代替率五〇%を確保することが附則に織り込まれております。また、制度として、少なくとも五年ごとに財政検証を行い、年金財政の長期的な給付と負担の均衡を確保するというふうにされておるわけでございます。

 お触れになりました昨年末の新人口推計を織り込んで、ことしに入りまして行いました年金財政の暫定試算におきまして、人口面では、確かに一層の少子高齢化の進展が見込まれるため、大変厳しい要素は抱えますものの、近年の経済動向を織り込みました基本ケースにおいて、全体として年金財政は好転しており、最終的な所得代替率は五一・六%を確保することができるのではないか、こういうふうに見通しておるところでございます。

 私どもの現時点での認識でございますが、例えば、お触れになりましたように、こうした将来推計において非常に重要な要素を持っております実質運用利回りについて申し上げましても、過去十年の実質運用利回りは三・五%でございます。これに対し、今回の暫定試算は、これまでの財政再計算等の経緯も踏まえて、一・六%というふうにやや控え目な試算の前提を置いております。

 この実質運用利回りは、年金が物価や賃金の上昇に対応していくという性質のものでありますから、それを安定化させるために大変重要なファクターでございますので、そうしたところを見ていただきましても、控え目に見ても、将来にわたり所得代替率の五〇%を確保することは十分可能ではないかというのが今回の暫定試算でございます。

 いずれにしても、正式の審議会でまたよく見直してもらいますが、所得代替率五〇%を確保するとした平成十六年改正法附則二条でございますが、それを変更する必要は認められないと思っております。

 また、その認識のもとに、今般、国会に提出いたしました被用者年金一元化法案においても、当該条項を改めて存置しているということについて御報告申し上げたいと思います。

古屋(範)委員 五〇%を確保するというお答えでございました。ぜひとも、国民の不安を払拭する、今後もそういったしっかりとした検討をよろしくお願い申し上げます。

 公明党は、こうした少子社会に対するさまざまな政策に取り組んでまいりまして、我が党が提案をいたしました少子社会トータルプラン、この着実な取り組みによりまして、若い世代が安心して結婚し、また出産、育児ができるように、希望する方々には子育てが安心してできる、そういう社会を構築しつつ結果として年金制度を支える、そうした着実な取り組みをさらに進めていきたい、このように考えております。

 次に、国民年金基金についてお伺いをいたします。

 年金制度を老後の生活の支えとするために、基礎年金よりもさらに高い年金水準を求める自営業者の方々のために国民年金基金制度がございますが、なかなかその存在自体、国民の間に浸透しておらず、まだまだ加入率も低い状況と聞いております。この国民年金基金について、現在の加入状況についてお伺いをいたします。

 また、自営業者の方々や加入率の低い若者たちにとって、より国民年金基金に入りやすい、使いやすい制度とするために、掛金の小口化等、制度を改善すべきではないか、このように考えますが、いかがでしょうか。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 国民年金基金制度についてのお尋ねでございます。

 御指摘のように、自営業者など第一号被保険者の方々が老後の所得保障をより充実したものとすることができるように、一例で申し上げますと、二十から御加入の場合、月九千円で、受給するときは月三万円、こういうスキームでございますが、老齢基礎年金に上乗せして給付を行う制度でございます。

 現況についてお尋ねがございましたので簡潔に申し上げますが、国民年金基金制度の加入者は、平成十七年度末で約七十三万人となってございます。ただ、第一号被保険者は全体で約二千百九十万人でございますので、ごく一部、そして、十分に普及していないという御指摘を各方面からいただいております。自営業者等の方々の老後の所得保障をより充実したものにするために、国民年金基金の普及促進は重要な課題であると考えております。御提案のございました掛金の小口化ということも課題の一つとして認識しております。

 国民年金基金については、従来から国民年金基金に関する理解を深めるための広報などを行ってきておりますが、引き続きこうした広報活動等に努力するとともに、今御指摘のありました点も含め、制度の改善の研究を行うなど、普及の促進をさらに図ってまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 この国民年金基金の普及活動、また小口化を含めましたさらなる使いやすい制度への改革を、ぜひとも早急に検討をお願いいたしたいと思います。

 最後の質問になります。

 副大臣、社会保険庁を解体いたしまして新年金組織を創設するねらい、これは、地に落ちた社会保険庁、ひいては公的年金制度に対する国民の信頼を回復するところにあります。

 そのために、国家公務員や地方公務員等について、民間のサラリーマンとは別制度となっている被用者年金制度の一元化が重要であると考えます。また、年金百年安心を実現するために、基礎年金国庫負担金、これの二分の一への引き上げの実現が不可欠でございます。官民の公平性を確保するための被用者年金一元化を早期に実現するとともに、次なる課題である基礎年金国庫負担金二分の一への引き上げに取り組むべきと考えます。私は、年金に対する国民の信頼を取り戻すだけでなく、納めやすい環境づくり、このような消極的なものではなく、納めたくなるような年金制度の確立が必要であると考えております。

 そこで、被用者年金制度の一元化、基礎年金国庫負担二分の一への引き上げ、そして納めたくなるような年金制度の確立につきまして、石田副大臣にお伺いいたします。

石田副大臣 私は、年金制度の根幹はやはり信頼ということだろうと思います。四十年にわたり掛け続けていただかなければならないというのが大前提になっておりますので、そういう意味で、今回、しっかりとこれは取り組んでいかなきゃいけないというふうに思っております。

 今御質問のありました被用者年金の一元化につきましては、民間サラリーマンか公務員かにかかわりなく、将来に向けて、同一の報酬であれば同一の保険料を負担し同一の給付を受けるという、官民の公平性の確保などの観点から、厚生年金と共済年金の一元化を速やかに実現するため、今国会に法案を提出いたしました。

 また、基礎年金制度につきましては、現在、約三六・五%の国庫負担が行われておりまして、個々人で老後生活等に備えるより安心できる、有利な仕組みとなっております。

 今後、税制の抜本的な改革にかかわる動向も踏まえつつ、所要の財源を確保しながら、平成二十一年度までの二分の一への引き上げを実現すべく努力をするとともに、こうした仕組みについて、国民の皆様に十分説明をしてまいりたいというふうに思っております。

 また、昨年末に公表された新人口推計の中位推計や近年の経済動向を織り込むと、全体として、平成十六年財政再計算時より年金財政は好転してきておりまして、引き続き、所得代替率は五〇%以上を確保できる見通しとなっております。

 今後、法律の規定に基づき、平成二十一年までにしっかりと財政検証を行いまして、国民の老後生活等の安心と制度に対する信頼を確保してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 この社会保険庁改革、二法案を早期成立させ、改革を促進させていく、このことを強く申し上げ、質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、山井和則君。

山井委員 これから、三十分間にわたりまして質問をさせていただきます。

 おとついは、六十六歳の女性の方が、五年五カ月国民年金を払ったという主張にもかかわらず、納付記録が、二年間いろいろなところに、市役所や社会保険事務所に行ってもらちが明かないというお話をさせていただきました。

 先ほど古川議員の御質問にもございましたが、きょうの資料にも配付をさせてもらっておりますカラーのコピーは昨日の朝日新聞の全面コピーですが、第一生命は、今回の保険の掛金を掛けてもらったのに保険が未払いになっているということ関して、「ご迷惑とご心配をおかけするような事態を招いたことについて、お客さまならびに関係者のみなさまに深くお詫び申し上げます。」ということで、請求がなくても、こういう保険の未払いがないかということをきっちり調査しておるわけであります。民間でも、ある意味ではこれぐらいのことはやっている。にもかかわらず、公的年金、強制加入、そして強制徴収までやっておきながら、五千万件もだれのものかわからないという年金記録がある。

 そして、きょう配付しました資料の四ページにありますが、昨日の読売新聞の一面記事でも、既に「支給開始年齢に達しているのに年金給付の対象となっていない八十歳未満の保険料納付記録が約千九百万件もある」ということですね。これは大変な問題ですよ。既に受給されている方がまだ気づいていないわけです。それは数少ない件数だったら、困った人は来てくださいということでいいかもしれませんが、これだけ多くなっている。

 また、次の五ページを見ていただきますと、「救済へ調査チーム」ということですが、その次の六ページ、昨年の十月三十日の産経新聞でも、何と、「八月下旬から年金保険料の納付記録に関する相談体制を強化したところ、九月末までの一カ月余りに十五万件の照会があり、このうち約二割について社会保険事務所の記録と加入者の申告との間に食い違いがあることが分かった。」約二割が食い違っている。これだけの高いリスクの中で、まだまだ気づいていない方はいっぱいいるわけですよ。中には八十歳、九十歳、もしかしたら御病気の方もおられるかもしれません。こういう深刻な問題である。

 そして、今回、この消えた年金問題、そして五千万件の統合されていない年金記録、特に、既に受給が始まっている一千九百万件の未統合の記録、こういう問題にきっちりと政府が対処をしないと、もっと納付しなさい、強制徴収を強化しますよと言っても、これでは、払っても記録が残っていないという理由で社会保険庁のミスではねてしまわれるということでは、納付率は下がる一方になってしまうんではないでしょうか。

 そこで、具体例をお話ししたいと思います。このパネルを見ていただければと思います。

 先日、あるテレビ番組に出演をされていた方でありますが、この方は、六十歳の裁定時においては、実際は九年五カ月の厚生年金を払っていたわけですね。九年五カ月、百十三カ月。しかし、七年十一カ月は記録が見つからないということで、一年六カ月分のみしか見つからないから、一年六カ月分しか支給がされませんでした。七十七歳の自営業の方で、九年五カ月企業に勤められて、その厚生年金、九年五カ月払ったにもかかわらず、一年六カ月しか十六年前には裁定をされなかったわけですね。

 ところが、七十六歳のときに、いろいろマスコミでも年金記録が不安だという話で、もう一回年金手帳を見てみたら、年金手帳の端っこにほかの社会保険事務所の判こがあった。それを持っていったら、七年十一カ月分の振り込みがやはりあったということが確認できたわけです。ただ、遡及して、繰り上がっての支給は過去五年分だけだったわけですね。

 柳澤大臣、これは当然実話なわけです。そして、今回の消えた年金や五千万件のだれのものかわからない年金記録のまさに象徴的な、氷山の一角であると思いますが、このような事態が今、全国各地で起こっている。このことについて、こういう事例について、柳澤大臣、いかが思われますでしょうか。

柳澤国務大臣 今、山井委員から、具体的な事例に即して再調査の申し出をいただいた。それにもかかわらず、そのときの調査の仕方の結果、お申し出を確認することができなかった。しかしながら、七十六歳時に再調査をしたということから御主張が確認できた、こういうことであったわけですが、要は、他方にある時効という制度によって、その全額の回復ができなかったという事例でございます。私も、大変遺憾だというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。

 時効というのも、国損を与えないために、会計法の基本原則ということで規定がなされておりますので、これに従うということにならざるを得ないわけでございます。こうした事例について、一体、時効中断という措置が国民の側にないのかというふうに思うわけですけれども、唯一、審査請求ということがあるということでございまして、これを具体の適用としてどういうふうに運用していくかという面もあって、これをまた我々考えなければならないところが、そういう余地があるのかもしれません。

 いずれにせよ、そうした時効中断の措置をとるということによってしかこの救済というものが図られないことが、現在の日本の会計法規を初めとする法制度の実態と申し上げざるを得ないわけでございます。

山井委員 柳澤大臣、遺憾とおっしゃるならば、その時効がきいていない十一年間の分もやはり年金を支給するということにつながらないと、遺憾だけれども払いませんというのは理屈が通っていないんじゃないですか。

 そして、この金額を見てください、柳澤大臣。本来支給されるべき年金額は、九年五カ月払い込み分百十三カ月で、年額五十一万一千円だったんですよ。しかし、六十歳の時には、十八カ月、一年六カ月しか振り込んでいないと言われて年額八万一千円しかもらえなかった。つまり、年額四十三万円がもらえなかったわけですよ。そして十六年たった。そうしたら、これは五年間だけ時効があった。

 柳澤大臣、そうしたら、時効によって受け取れなくなった年金額は幾らになると思われますか、これで。幾らですか、十一年間で。五十一万円もらえるところが八万一千円しかもらえなかった。大体幾らぐらいだと思われますか、十一年分。

柳澤国務大臣 ちょっと至急計算をしようかと思ったら山井議員のこの資料にございまして、多分正確だと思いますが、四百九十三万八千円ということでございます。

山井委員 今大臣答弁されたように、この十一年間、時効によって、本来受け取られるべき四百九十三万八千円が受け取れなかったわけですよ。柳澤大臣、これは遺憾で済む話ですか。四百九十三万八千円、時効ですから遺憾です、それで終わりですか。

 柳澤大臣、このことに関して何か本人の落ち度はあったんですか、本人の落ち度は。

柳澤国務大臣 私も、事実問題として落ち度はなかったであろうというふうに思うわけでございますが、もし資料があればこれは簡単に調査が可能であったということもあっただろうと思います。

 いずれにせよ、私は、ちょっと今、この時期を承知していないのでございますけれども、昨年の八月以降の私どもの体制というものが、その状況を踏まえてそういう体制をつくらせていただいたということでございますが、この時期そうしたことができ得なかったことはまことに遺憾だ、このように申し上げた次第でございます。

山井委員 これは大事なことですよ。

 今、柳澤大臣は、本人には落ち度がなかったということをお認めになられた。にもかかわらず、まじめに一生懸命働いて、まじめに納めた年金保険料、その給付が四百九十三万八千円もなぜ受けとれないんですか。

 では、話を逆転しますが、社会保険事務所や社会保険庁に落ち度はなかったんですか、これが十六年間発見できなかったことについて。

柳澤国務大臣 一般論といたしまして申し上げざるを得ないわけでございますけれども、私どもの調査が、まず、厚生年金でありますとマイクロフィルムにその原資料はございます。台帳、それからまたその台帳の写しということでマイクロフィルムがそのままあるわけでございますが、その中に記録がなかったのかどうか、あるいは記録があったにもかかわらず、磁気ファイルの方に転記が正確でなかったのか、そういうことが想定されるわけでございますが、いずれにいたしましても、そういう調査の中でそれを見出し得なかったということはまことに遺憾であった、このように考えます。

山井委員 ということは、本人には落ち度がなくて、社会保険事務所と社会保険庁にミスがあった。にもかかわらず、何でこれは加入者が四百九十三万円も年金給付を受けられなくなって損をしないとだめなんですか。こんなもの、国家的な詐欺じゃないですか。強制加入で強制徴収と言っておきながら、社会保険事務所や社会保険庁のミスで記録が十六年見つからなかったら、四百九十三万払わなくても、これは大臣、大事なところですよ、四百九十三万円払わなくても仕方がないと大臣は思っておられるんですか。

柳澤国務大臣 これも一般論としてお答えいたします。個別のケースというのは、我々すべての資料を承知いたしているわけでもございませんし、そういう限界がございますので、一般論として申し上げるわけでございますが、先ほど言った、会計法の国のあらゆる歳入歳出の共通ルールといたしまして、この時効というものは例外が認められておらないわけでございます。この一般ルールと個別の権利救済との調整の問題につきましては、個々の事案に即して個別具体的に判断をするということが必要になるわけでございます。

 社会保険庁が受給権者の請求権の行使を著しく困難にさせた結果ということで、年金の請求権、支分権でございますが、発生から五年以上経過した後に行使されることとなったというような事例につきましては、消滅時効の主張が信義則に反し許されない場合もあり得るというふうに委員の御議論でございますので、そうしたことも考え得るということを申し上げておきたいと思います。

山井委員 これは全く納得できません。

 本人には何ら落ち度がない。社会保険事務所あるいは社会保険庁のミスで記録が見つからなかった、後になって見つかったら、時効が成立していますからその分は払えません、こんな理屈が通ると思いますか。何ら落ち度がないじゃないですか。この話は、すべての日本じゅうの年金の加入者に起こり得る話ですよ。

 そうしたら、柳澤大臣、私たちがこれから年金保険料をずっと払っていって、社会保険事務所や社会保険庁の何らかのミスで、年金がもらえるときに見つからなかった、それで後になって見つかったら、それはもう時効だといって、まじめに払ってももらえないんですか。柳澤大臣、本当にそんな制度で国民に理解されると思いますか。柳澤大臣、いかがですか。

柳澤国務大臣 従来から申し上げておりますように、基礎年金番号が付番をされたときにもう一つ違う会社にお勤めとかいうことで、その九年一月の時点でその付番でもって加入をされていなかったというような場合には、当然のことながら符号を統合されるということが想定されておるわけでございますが、先ほど申したように、違う付番がありますかとか、あるいは、我々の方で三情報が一致した場合にはこれを統合するというような手続も踏んでやったのでございますが、まだそれが統合されずに残っているという事態があるわけでございます。

 そういうものについて、現在お申し出をいただいて調査をするということをしておるわけでございますけれども、私どもは、その調査について特別な強化体制ということの中で、今取り組みを改めて強化いたしているわけでございますので、今後はそうしたことが起きるということはないように私どもしたい、こういうように考えて、この前の審議のとき以来、るる私から御説明をさせていただいているわけであります。

 一方、この消滅時効というものにつきましては、先ほども申したように、これは会計法の共通ルールで例外がないということでございますので、私ども、法を法のとおりに守って行政を行う立場では、やはりこの中でしかいろいろな行為ができない、こういうことでございます。したがいまして、もし消滅時効の主張が信義則に反し許されない場合があると考えられるような事例であれば、これはまた救済をされる、そういう機会があり得るということを申し上げているわけでございます。

山井委員 請求が著しく阻害されたというケースのことを今おっしゃっていましたが、阻害されるも何も、幾ら払ったと言っても記録がないと言って追い返したのは結局事務所の方じゃないですか。請求はしているわけですよ。過去、最高裁の判例では、時効というのは、権利を行使することが期待できるのに行使しなかった、それが五年過ぎたら時効ということになっているんですよ。でも、今回は、権利の行使、つまり記録を認めてもらえないんだから行使できないじゃないですか。だから、最高裁の判例でも、権利行使が期待できないときには時効は進行しないというふうに最高裁でも出ているじゃないですか。そういう意味では、これは時効は成立しないんですよ。

 大臣、これは権利を行使することが期待できる状況だったわけですか、この方は。

柳澤国務大臣 請求権の行使を著しく困難にさせたという事情があったかなかったかということは、まことに個別具体的な判断、ケース・バイ・ケースの判断によるところでございまして、私どもは、会計法のルールに反してこういうことに従わないということはできないわけでございまして、それはまた別途の法的な判断として、これが認められるということが必要だということを申し上げているわけでございます。

山井委員 大臣、大臣は今大変なことをおっしゃっていますよ。明らかなんですよ。六十歳のときに行ってかけ合っても、年金記録がないと言って却下されているんですよ。これは明らかなんですよ。そして、そのことに文句があるんだったら法的手段をとってください、一々裁判しないとだめなんですか。これは、払った保険料に見合う給付を払ってくださいという当たり前の権利じゃないですか。七十歳、八十歳、九十歳のお年寄りの方々のとらの子の年金、そのために裁判なんか一人一人できますか。

 先日、おとつい取り上げた方も、このまま五年五カ月の国民年金を払ったというのが認められなかったら、おとついも言ったように、今後八十四歳まで生きたら、何と二百五十万円も給付がもたらされないんですよ。ひとり暮らしの貧しいお年寄りで、老後を何とか安心して暮らしたいという思いで、毎月会社を遅刻してまで国民年金を払ってきた、そのおとついの方もおっしゃっていたじゃないですか。

 大臣、年金がどれほど高齢者の老後にとって切実なものなのか、その認識が大臣はなさ過ぎますよ。四百九十三万円というのはちょっとした額ですか。おとついの女性の方の二百五十万円は、高齢者にとったらちょっとした額ですか。夜も眠れない、そうおっしゃっているんですよ。当たり前じゃないですか。大臣も認めたように、本人に過失はないんでしょう。そんなことで年金の信頼が得られるはずないじゃないですか。いろいろ組織改革とか今回おっしゃっていますが、その以前の問題ですよ。払った年金がちゃんともらえる、その前提ができていないんじゃないですか。

 そして、今回特殊法人化するという政府案が通ったら、まさに私がこうやって訴えているようなことをやっても、新たな日本年金機構の理事長も国会には出てくる義務はなくなる、資料要求にも十分こたえてくれない、国会のチェックは弱まり、特殊法人で政府の監督は弱まる。こういう問題、氷山の一角ですよ。大臣、これをどうするんですか。

 二日前にここで取り上げさせてもらった方も、地元で、五年五カ月の国民年金を払ったはずなのに記録が見つからないと、二年間必死になって回っておられました。しかし、今回柳澤大臣から、それだったら一度社会保険庁に上げてもらってくださいということで、昨日、地元の社会保険事務所に話しに行かれましたが、まだ調査が終わっていない、もうちょっと調べるということで、社会保険庁に上がることにはまだなっていないようであります。

 柳澤大臣は答弁で簡単に、不安に思ったら社会保険事務所に申し出てくださいとおっしゃっているでしょう。しかし、現場ではどうなっているか。現場としても領収書がなかったら相談に十分こたえられない、そう言って、おとつい取り上げた女性の方も、三十年、四十年前に払ったことを証明してくれる友人を今も捜しておられるんですよ。そして、私に対しても、こんなことを山井議員に相談して頼んで本当に申しわけない、申しわけないと恐縮しておられる。でも、よく考えたら、その年金記録が見つからない女性の方も被害者じゃないんですか。謝る必要、恐縮する必要なんか全然ないんですよ。

 大臣、このように時効ということは絶対納得できません、社会保険事務所が記録がないと言ってはねつけているわけですから。

 この時効の実態、平成十八年度の年金給付の中で時効が何件ぐらいあって、幾らぐらい時効によって年金給付がもらえなかったのか、この総額をぜひすぐに調査して報告してほしいと思います。大臣、いかがですか。

柳澤国務大臣 十八年度におきまして裁定の変更を行ったもののうち、年金給付が時効消滅した件数、それから金額ということのお尋ねでございますが、これについては私ども、あらかじめそうした状況を把握するということをいたしておりませんので、お答えをすることはできないわけでございます。

 また、これを改めて調査するということになりますと、今申したもの全部に当たるということがございまして、私どもといたしましては、そういうことをするのではなくて、先ほど委員がいろいろお訴えいただきましたような申し出に対して、いかに的確に対応していくかということに持てる力を差し向けていきたいということを考えているということを申し上げておるわけでございます。

山井委員 いや、本当にそういう実態もわかっていないとだめですよ。

 もう時間が来ますので、最後、質問させていただきます。

 きょうの、七ページ、今回、社会保険庁の医療官が逮捕されました。今まで不祥事のオンパレードと言われてきましたが、またこういう問題が起こっています。やはり、こういう審議をする際には、何が問題でこういうことが起こったのか、再発防止策もきっちり議論しないとだめですし、この全容を解明しないとだめです。

 委員長にお願いしたいと思います。

 ぜひ、この厚生労働委員会で、今回のこの逮捕の事件について集中審議をすべきだと思います。委員長、お願いします。理事会に諮ってください。

櫻田委員長 後刻理事会で協議いたします。

山井委員 時間が来ましたので、これで終わらせていただきますが、柳澤大臣、きょう答弁されたこと、全国民がお知りになられたら、みんなもうびっくり仰天して、そんな無責任なのか、そんなことだったら、本当にこれは年金、安心じゃないじゃないかということになりますよ。

 とにかく、これからじっくり時間をかけて、この消えた年金、五千万件の統合されていない年金記録、また、こういう小学生が考えても納得できない時効の成立の問題、このことについて、今後も徹底して議論していきたいと思います。

 ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 前回に引き続きまして、柳澤厚生労働大臣初め、お尋ねをさせていただきたいと思っております。

 前回、茅ヶ崎の領収書の件の調査をお願い申し上げまして、私のところにその報告が少し前に届いてまいりました。

 茅ヶ崎の方では、領収書の保存期限の五年間ということに対して、十九年前のことでもあり、理由は判明をしません、このような回答がございました。しかし、茅ヶ崎市の行政文書管理規則第九条の中で、保存期限規定で、予算、収入、支出に関するものについて五年と表記があることから、会計法上の第三十条の一項の時効が五年と定められておりますので、これらを根拠にしたことではなかろうか。さらに、前回、平成四年の口座振替の領収書の保存期限が、平成元年と変わっておりまして「年金請求時まで」と表記をされておりますけれども、茅ヶ崎市の回答では、市が単独で行うことはないので、何らかの指示が国からあったと思います、具体的にいつ指示されたのかは定かではありません、こういうふうになっておるわけであります。

 これを踏まえまして、もう一度お尋ねをしたいと思います。十六日の当委員会で指摘をしました茅ヶ崎市の国民年金保険料領収書、平成元年度には、「この領収書は、下記により大切に保管してください。」と明記をされています。その保管期限がただいま申し上げました五年間。今現在、社会保険事務所等に私の年金の加入記録がおかしいということで、抜けているということで御相談に行った方は窓口でどういう対応を受けているかといいますと、領収書がないからだめであるといって追い返されている、これが現状であります。

 大臣、そもそも国民年金保険料の領収書の保管期限が五年、こういう形でなっておりまして、その五年の保管期限に従いまして処分をしてしまった方に対して、領収書がないから取り扱わないと門前払いをするというのはどうでしょうか。大臣、どういうふうにお考えになりますか。大臣からちょっと聞きたいと思います。

青柳政府参考人 最初に、今お尋ねのあった件についての事務的な背景を御説明させていただきたいと存じます。

 社会保険庁におきましては、これは前回の委員会のときにも少し私の方からお答えさせていただいた点でありますが、その後、きちんと確認をいたしましたので、お伝えをいたしますが、昭和四十六年の十月から、国民年金保険料の納付方式を、それまでの印紙納付方式から、現金納付方式も認めてもよろしいということに切りかえをいたしました。この際に、都道府県に対しまして、領収書が、そういうことで現金納付方式になりますと、今までは印紙の検認ですから手帳に全部その証拠が領収書がわりに残るわけですが、これが現金納付になりますと残らなくなる。したがいまして、領収書は必ず国民年金手帳に張りつけておくべき旨を注記する等の方策を講じ、当該領収書を長期間にわたって所持しておくよう被保険者にその周知徹底を図ることという通知を私どもの方から発翰させていただいております。

 これは、実はその後、昭和四十九年十月に、これも委員よく御存じのように、年金手帳の様式というのを三制度共通の様式に改めたわけでございますが、この際にも、都道府県に対しまして、被保険者から保険料の額に相当する金額を領収したときに市町村が交付する領収書については、大切に保存しておくべき旨を注記させるなどして、長期間にわたって所持しておくよう被保険者にその周知徹底を図ることという通知をいわば繰り返し行っているわけでございますので、私どもといたしましては、そういう形で長期間保存するという前提のもとに事務が行われるべきものというふうに認識をしておる次第でございます。

内山委員 ただいまの発言の青柳さんは、社会保険庁には責任がないというふうにおっしゃりたいんですか。そして、五年間を保管期限と設定した市町村の対応がまずい、こういうことを言っているわけでしょうか。もう一度確認します。

青柳政府参考人 もとより、当時の仕事の仕方は、いわゆる機関委任事務という形で市町村に仕事をお願いしておったわけでございまして、市町村長は、その場合には当然国の機関としての知事の指揮監督を受けるということでございますし、社会保険庁が都道府県に国民年金事務に関します通知を発した場合には、都道府県は、その通知を受けて市町村に対して指示をし、指揮監督などを実施するということでございますので、指導監督をするという意味での責任というか、私どもの任務というものもあったというふうに承知をしております。

内山委員 国の年金制度ですよ。国も地方も一心同体じゃないですか。地方の領収書の保管期限が五年だからといって、国が無関係、無責任ということはあり得ないですよ。あなた方の周知徹底がまずかったからこそ、きっと市町村も独自の会計処理の関係で書かれたんだと思います。

 これはたまたま茅ヶ崎だけをお調べいただくようにお願いを申し上げましたが、委員長に、全国の市町村も調査をしていただきたい、こうお願いしたいのですが。

櫻田委員長 後刻理事会で取り上げます。

内山委員 はっきり申し上げておきますけれども、国に責任があるんですよ。国に責任があって、保険料を払った領収書を持ってこなければならないということは、論理が矛盾するんですよ。

 一方では破棄をしておいていい、今回、訪ねていくと領収書がないからだめだと棄却をするような対応は、今後一切改めてもらいたい、こう思うわけでありまして、また、逆に言いますと、国民が国に申し出た疑義ある国民年金保険料納付期間に対して、社会保険庁は、国民が年金保険料を本当に払わなかったということを逆に皆さんが立証すべきだと思います。いかがですか。これは、やらなければあなた方の詐欺ですよ。

 三十万件の、基礎年金番号に統合されていない、生年月日が壊れた厚生年金の被保険者番号について、柳澤大臣、五月の十一日に厚生労働委員会で答弁をされております。五千万件の未統合の年金手帳記号番号の中身については、定性的に三つに分類できると発言されておられます。一つは、亡くなられた方、二つ目は、支給要件を満たせないで保険料の納付が終わった方、三つ目は、一定の年齢に達する等の要件を満たせば年金受給が行われる方、このように発言をされておられますけれども、大臣、これでよろしかったでしょうか。

柳澤国務大臣 定性的にということと同時に、私ども、その一部については、実際にもそうした事実で死亡が確認されたとかというようなことがありまして、私はそのようにお答えさせていただいた次第でございます。

内山委員 それでは、それを前提に、再度掘り下げて質問させていただきます。

 生年月日が壊れた三十万件の被保険者番号に該当する者は、亡くなられた方、受給資格が発生しない方を除きまして、すべて六十歳未満の方と考えてよろしいんでしょうか。もう一度聞きますよ。いいですか、よく聞いてください。三十万件の生年月日の壊れた被保険者番号に該当する者は、亡くなられた方、受給資格が発生しない方を除き、すべて六十歳未満の方と考えてよろしいのか、お尋ねをしたいと思います。

柳澤国務大臣 生年月日が壊れた三十万件も、その三つのいずれかに大別されるということだと思います。

内山委員 いいですか、三十万件の壊れた年金の被保険者番号に該当する人は、亡くなられた方、受給資格が発生しない方を除いたら、すべて六十歳未満で、これから年金に結びつく方と考えていいんですかというふうに聞いているんです。

青柳政府参考人 生年月日が壊れているわけでございますので、それが年齢がどうであるかということは一義的には確認できませんが、概念的には、六十歳以上の方が含まれる可能性も否定できないというふうに考えております。

内山委員 いいですか、大臣が三つの要件と言ったじゃないですか。亡くなられた方と支給要件が満たせない方、そうしたら、あとは一定の要件で年金をもらえるという方じゃないですか、その三つ目でいえば。だけれども、この三十万件のデータの中でいけば、残っているそういう人たちを省いたら、六十歳以上の方がいたらおかしいですよ。いいですか、一定の年齢に達する等の要件を満たせば年金受給が行われるとの答弁があるわけですから、そうならないといけないんですよ。もう一度確認します。

青柳政府参考人 これは、例えば六十歳未満で五十八歳通知によって統合されるというふうに大臣が申し上げたわけではございません。当然のことながら、御本人から申し出があったりすれば、これは将来的に統合が可能なものという意味では、御答弁のとおりで間違いないかと承知しております。

内山委員 年金に結びつくんだったら、この壊れた三十万件の人たち、どんどんどんどんデータがつぶされて、なくなるはずなんですよ。しかし、六十歳以上の人たちで、次に言いますけれども、千九百万人のデータがあるじゃないですか、六十歳以上の人たちをカウントすると。そうしたら、この人たちは死亡した人、受給資格の発生しない人として、すべて年金受給に結びつかないデータと考えていいんですか。

青柳政府参考人 年金受給に既に結びついている方の扱いについてのお尋ねかと承知をしておりますが、年金受給に既に結びついた方の中にも、例えば、既に私どもが数字をお届けしておりますように、再裁定という形で、後で例えば何らかの形でそういった昔の記録があるということをお申し出になる方もいらっしゃいます。

 したがいまして、千九百万件の中にも、そういう形で、既に年金受給には結びついているけれども、今後、何らかの事情で裁定時には判明しなかったものが判明したので、再裁定をして年金に結びつく方は当然含まれ得るものと承知しております。

内山委員 今までの答弁はすべて矛盾していますよ。六十歳以上の人は、年金受給のときに、六十のときに、国民年金や厚生年金で番号を複数持っている人はここでつぶれていく、だからこそ、六十歳以上の人がいること自体がおかしいんですよ。

 いいですか、死亡した人、そして受給資格がない人を除けばすべて年金受給に結びつくと大臣が三つの要件で言っているじゃないですか、定性的に。それが、今何ですか、千九百万件も六十歳以上でデータがあるじゃないですか。これは明らかにおかしいということですよ。定性的の三つの中に入っていないということです。

 大臣、もう一回言ってください。大臣がさきに述べました三つの中に入り切っていない人たちがいるわけですよ。

青柳政府参考人 ただいま、これまでの答弁が矛盾しておるのではないかというお尋ねがございましたが、私の承知しておる限りでは、大臣からも、年金受給者の方に、まさに年一通知、いわゆる振込通知書という形で、ことしの六月に、受給権者は三千万人いらっしゃいますが、その方々にも御通知をするというふうに御答弁されています。これは、当然に、その方々の中にもまだ番号が統合されていない方がいらっしゃることを前提にした答弁でございますので、これまでの答弁とは全く矛盾していないと承知しております。

内山委員 三十万件の壊れた年金被保険者番号、そしてこの千九百万、共通点というのは、三つの定性的な分類の中に入っていない人たちがここに含まれているということですよ。だから、五千万件のデータというのは、いずれ、亡くなった方や受給資格が発生しない方たちを除けば年金受給に結びつくという皆さんのよりどころを説明されているわけじゃないですか。

 しかし、生年月日で見る六十歳以上の方が千九百万人もいるということは明らかにおかしいですよ。年金裁定請求のときに、国民年金がある、厚生年金がある、共済がある、それぞれ基礎年金番号に統合されていない人たちがここでちゃんと処理をされていれば、六十歳以上の人たちのこんな大きな数字が出ていること自体がおかしいじゃないですか。さらには、先ほど申し上げました三十万件の壊れた生年月日のデータがこうやって生き残っていること自体がおかしいじゃないですか。

 大臣、ちょっと答弁してくださいよ。大臣に答弁してほしいんです。

櫻田委員長 青柳運営部長の次に、大臣に答弁を願います。

青柳政府参考人 委員長からの御指名でございますので、先に御答弁をさせていただきます。

 ただいま、一千九百万件と大変多量の計数があるではないかというお尋ねがございましたが、この五千万件の中に相当部分、例えば亡くなられた方がいるではないかというようなことを私どもは常々申し上げています。

 一例を申し上げますと、年齢別にお示しをいたしました資料の中の百歳以上の方の数字を見ていただきますと、百六十万件の方がいらっしゃるというデータになっております。御存じのように、日本の全人口に占める百歳以上の方の人口は、およそ三万人余りでございます。したがいまして、この年齢層の方の中には、当然のことながら亡くなられた方がいるということが傍証できようかと存じます。

 その意味では、千九百万件の方がすべて現在御存命の方であるという前提でお尋ねをいただきますのは、ややいかがかというふうに存じます。

柳澤国務大臣 私どもは、五千万件をとにかく統合いたしたい、できるだけ早期に統合いたしたいということをるる申し上げてまいりました。

 したがいまして、千九百万あるいは三十万の方々が仮に既裁定者でありましても、その方々にこれからお呼びかけをして、そして年金加入履歴のある期間が統合されていないというようなことでありますればこれを統合いたしたいという気持ちで、これからまた呼びかけをさせていただくということをお答え申し上げてきたわけでございます。

内山委員 大臣、既年金受給者にどうやって呼びかけをするんですか。ねんきん定期便は受給者には行かないんじゃないんですか。

柳澤国務大臣 これは、年一回の支払い通知書ということでいつもお便りを差し上げておりますので、その中に特別の欄を設けまして、私は年齢別にと当初申し上げたわけですけれども、今回はそういうことが間に合わないということで、この六月の場合には、受給権者となり得る年齢以上の方が五千万件の中にどのくらいいるかということをはっきり申し上げて、受給権者の中に年金履歴が漏れている方がいらっしゃいますから、よくよく御自身の年金記録というものを想定されて、御疑問があったらぜひ私どもの方に申し出ていただきたいということをお願いするという手はずを今整えつつあるところでございます。

内山委員 それでは全然進まないんですよ。いいですか。仮に六十歳以上の方で、この五千万件の中に既裁定請求者で請求漏れの年金となっていれば、一月一月その方が損をするわけです。さらには、数カ月間の記録が見つかることによって、年金の受給資格が発生しない方で新たに年金の受給額が発生することもあり得る方が、皆無とは言えませんよ。

 だからこそ、前回も申し上げましたとおり、三十万件の壊れた生年月日のデータは、被保険者の記号番号でどこの都道府県のどこの社会保険事務所から振り出した被保険者番号だというのがすぐわかるわけですから、該当する社会保険事務所に行って、台帳をひっくり返して正しくして、わかる体制をすぐ整えなければ、被害が大きくなりますよ。山井議員の先ほどの質問と同じですよ。さらに逸失利益がふえていくわけです。

 大臣、高齢者世帯の六割以上が年金しか収入がないんですよ。年金、とらの子、第二の給与、こういうものを扱っている厚生労働省が国民のためにそういうことをしないで、だれがするんですか。おかしいじゃないですか。できることですよ、それは。それをぜひ早くやっていただきたい。国民の年金を救済するためには、まずそのできることを、三十万件の件をまず処理してくださいよ。どうですか、大臣。

柳澤国務大臣 今、内山委員から専門家の十分なノウハウを踏まえての御議論がございました。ただ、その御議論の中で、私どもの年金の支給手続というものを全部飛ばしておっしゃっているのではないかと私は大変遺憾ながら思うわけです。

 それはどうしてかというと、年金の裁定のときには、はっきりと受給権者からの申請をいただきまして、そしてこちらもよくそれに対応した形で裁定を行わせていただいておる、これがまず大前提なんです。そういう中で、平成九年一月に付番をしたときに、現に今加入している年金を付番させていただいたということで、過去にお入りになっておられたそういう年金には、これは明らかに重複になるわけですから、付番をいたさなかった。

 ですから、それは今そういうものとして、基礎年金番号が付番されない形で保存をされておって、そしてそれについてはそのときにも、ほかに年金番号を持っていらっしゃいますか、こういうお問い合わせをし、かつまた、私どもの部内で三情報が一致するものは仮に統合いたしまして、それを確認するというような手続をいたしておるわけでございまして、その上のことでございますので、ぜひそこのところも御勘案した上での御議論をいただければありがたい、このように思います。

内山委員 柳澤大臣は、全国三百十二の社会保険事務所の年金裁定請求書の事務処理を御存じないんですよ。そんなに一つ一つ時間をかけてゆっくりと被保険者期間そして職歴の期間を突合して事務処理をしていると思われているんですか。全くそれは違いますよ。受け付けた裁定請求書はそのままほとんど処理をしてしまっているわけでありまして、そこでこの五千万件の基礎年金に統合されていないようなデータが、このまま未来永劫にわかるわけがないですよ。今特別な相談をしているといっても、日常の社会保険事務所の裁定請求書の受け付け処理なんというのは、そんなに親切丁寧に物理的にもできません。ことし六十歳になる人は二百三十万人いるんですよ。その人たちが三百十二の社会保険事務所で何分時間をとって処理ができるんですか。それは間違いですよ。

 だからこそ、今わかっている、できることを事前にやるべきだと前向きな御質問をさせていただいているわけでありまして、なぜやらないんですか。こういうことをやらずして、新たな日本年金機構などというものをつくって、社保庁改革になるんですか。国民の年金制度を守るのは、厚生労働省であるんじゃないんですか。

 私は、今手元にある資料をお配りしております。いかに社会保険事務所で、社会保険庁で国民の年金記録をいいかげんに管理しているか、一例、二例、時間の範囲で説明をしてみたいと思います。

 この大きな紙の資料の一番下になります。資料の六と右の頭に書いてありまして、下に線を引いているところを読ませていただきたいと思います。

 船橋市の前田満子さん、六十六は、年金の受給が近づいた九九年に社会保険事務所に行き、出産のため会社をやめた後も、勤めた覚えがない会社に勤めたという厚生年金の記録が一年半分あることを知った。正直に間違いを指摘したところ、自分で調べるように社会保険事務所の担当者に言われた。仕方がなく、記録にあった会社に連絡をとると、自分の旧姓と同姓同名で、生まれた日が三日しか違わない人が、自分についていた期間に働いていたことがわかった。

 何ですか、これは。こういうデータが入っているわけじゃないですか。余りにもひどいですね。ひど過ぎますよ、本当に。

 そして、資料の一番に、該当する社会保険事務所の所長のおわびの文書が出ています。

  拝啓 時下ますます御清栄のこととお喜び申し上げます。

  平素は社会保険事業に対して御理解と御協力を賜り厚くお礼申し上げます。

  さて、このたびは、当事務所職員の応対に、甚だ失礼な態度がございまして、御不快感をお与えいたしましたこと、誠に申し訳なく心より深くお詫び申し上げます。

  日頃より、窓口及び電話でのお客様との対応には失礼のないようにと、厳しく指導してまいりましたが、私の監督、指導の不行き届きと申すほかなく、お詫びの申し上げようもございません。

  今後は、このような失礼のないよう、十分注意いたす所存でございますので、なにとぞ御容赦くださいますようお願い申し上げます。

  なお、厚生年金の被保険者記録について、早速調査いたしましたところ、御指摘のとおり他人の記録が混入していることが判明いたしました。

  前田様の年金記録については、当事務所で責任をもって訂正をした後記録票をお渡しすることとさせていただきます。

  当方の対応のまずさによって、御多用中にもかかわらずお手数をわずらわせ、御迷惑をお掛けいたしましたこと謹んでお詫び申し上げます。

船橋社会保険事務所所長のこのおわびの文、船橋社会保険事務所の印も押してない。これは余りにも失礼な文であります。

 資料の二を見てください。

 佐賀社会保険事務局、去年、十八年の六月二十八日で「報告」というものが出ています。

 「「国民年金納付記録」誤りについて」、事象、平成十八年六月十二日、佐賀社会保険事務局に御本人様が来局され、国民年金納付記録の誤りの報道記事を見て、自分の記録、昭和三十六年四月から三十八年三月までが未納となっているが誤りではないかと相談に来られ、事務局年金課より管轄の佐賀社会保険事務所へ確認依頼したところ、マイクロフィルムに特例納付された御本人の記録があり、国民年金納付記録漏れであることが判明した。漏れですよ、これは。

 原因、一九八一年ごろ行われた紙台帳からコンピューター管理へ切りかえる際に、誤って記録されたものと思われる。また、平成十六年三月、御本人が年金相談センターを訪れ、納付記録を照会されたが、コンピューター上未納との回答しかしておらず、記録確認を徹底しておれば、その時点で判明した。

 こういう、今、二例を申し上げましたけれども、明らかに社会保険庁、社会保険事務所の間違いが出ているじゃないですか。だからこそ、きちっとした年金記録の確認をとって五千万件の整理をしなければ、社保庁を解体、改革なんかできないんですよ。あなた方は国民の年金を守る立場にあるんじゃないですか。しっかりやってください。

 この続きは、また次回もやらせていただきます。

櫻田委員長 この際、休憩いたします。

    午前十一時五十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五十二分開議

櫻田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として社会保険庁運営部企画課長今別府敏雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 質疑を続行いたします。細川律夫君。

細川委員 民主党の細川律夫でございます。

 まず最初に、社会保険庁の解体に伴う職員の問題についてちょっと尋ねておきます。

 政府案でも、また民主党案でも、いずれにせよ民間委託が進み、あるいは歳入庁により効率化が図られる。こういうことを前提に考えますと、現在の社保庁の職員の雇用問題が発生する可能性があります。社保庁にはさまざまな問題がありまして、特に役職者に関しては相当厳しく反省をしてもらわなければならない点がたくさんありますけれども、私も、効率化の方向というのは当然と考えております。

 今後、社保庁がどのような形になるにせよ、それによって、ここで働いております多くの人たちが職を失って路頭に迷うというようなことがあってはいけない、そういう事態は避けなければならないと思います。これまでの審議でも、政府からも分限免職を回避するよう努力する旨の答弁があったところでございます。

 そこで、お尋ねいたしますが、社保庁廃止の際、具体的にどう分限免職回避の努力をしていくのか、職員の雇用確保に向けてのお考え、決意というのを社会保険庁長官にまずお伺いいたします。

村瀬政府参考人 委員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 社会保険庁の廃止に伴いまして、職員の移行につきましては、まず職員の希望をとった上で、日本年金機構の設立委員に希望者の名簿を提出し、機構発足のおおむね一年前ぐらいを目途に、設立委員による採否の審査の結果をお示しいただける、まずこういう手続になるんだろうというふうに思っております。

 その際、新組織に採用されない職員につきましては、任命権者であります私、社会保険庁長官といたしましては、配置転換等の分限免職を回避する努力を行う。では、具体的にどういう形で行うかということでございますけれども、まず第一点は、厚生労働省本省の任命権者であります厚生労働大臣に対しまして転任の受け入れの要請、これが一つあろうかと思います。また一方、それで不足する部分については、他省庁に対して厚生労働本省から転任の受け入れの要請を行っていただく、こういうことが起ころうかと思います。

 また、この機に民間へ行きたい、また退職をしたいという方々もおろうかと思います。その民間への採用という観点につきましては、ハローワーク等を通じて積極的に対応していく、こういうことを行う形になろうかと思います。

 その詳細につきましては、どちらにしましても、委託業務や法人の人員規模、日本年金機構の規模でございますけれども、この部分が明確になりませんと、具体的な取り組みということは今の段階では申し上げられない。ただ、先ほどもお話し申し上げましたように、回避をする努力を行うということは当然だというふうに考えております。

細川委員 では、次に移りますが、先週金曜日に、厚生労働省所管の特殊法人年金福祉事業団とその後身の年金資金運用基金の役職者が私的な団体をつくり、住宅融資申請書などを作成、販売して、それによって得た利益を裏金として、飲食等に使っていたという疑惑について、二度目の質問をいたしました。

 何度も早急な調査をお願いしてきたところでございますが、この間の調査の結果が昨日厚労省の方から私の方にありましたので、これについてお尋ねをいたします。

 先週の質問のときにも大変驚いたのでありますが、私は、従来、この年金福祉研究会が裏金づくりのための団体だと思っておりましたら、何とさらに別の口座が出てまいりまして、これが正真正銘の裏金を保管して、飲食に使用していたということでございます。便宜上は、年金福祉研究会名義の口座を第一口座、裏金を扱う年金福祉普及研究会名義の口座を第二口座ということで、これからお尋ねをいたします。

 まず、第一口座、年金福祉研究会名義の口座であります。

 これまでは、収入について、最高は平成十二年の四千三百三十九万円、これが最大でありましたけれども、新たにわかったところでは、平成八年の五千四百六十二万円、これが最大となっております。平成七年以前は全く判明していなくて、報告にもありません。これだけの金額を事業団の外部で私的な団体として扱っていたこと自体が、大変大きな問題だろうというように思います。

 ただ、この口座は、入りと出のお金、入出金に基づいて税務署への決算報告が行われていた、こういうことでありますから、そういう意味では、表の口座ということも言えるかもしれません。

 そして、第二口座というのはどういう報告になっているかというと、平成七年から税務申告をするようになったというようなことでありますけれども、この第二口座がつくられたのが平成七年ということであります。そして、平成九年から十二年度まではコンスタントに一千万円以上の収入があって、十二年度では繰越金も五百三十七万円ふえております。税務署に対する申告が第一口座に基づいてなされていたと考えますと、この第二口座がいわば脱税をするための裏金口座になっていたことは明らかであります。

 そこでお尋ねいたしますけれども、この第二口座で判明した収益というのは税務申告を行っていたのかどうか、今後、この課税についてはどのような処理をするのか、お尋ねをいたします。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 年金福祉普及研究会名義の預金口座、今先生、いわゆる第二口座と整理をされましたが、この第二口座に関する税務処理状況につきまして、現在の年金積立金管理運用独法の調査結果によりますと、納税がなされたという資料及び証言などがないことから、税務申告は行っていなかった可能性は否定できないというふうに私どもも認識しております。

 今後、その税務処理についてどうするのかというお尋ねでございますが、税理士等に早急に相談して、適切に処理させる必要があるものと考えております。

細川委員 つまりは、この第二口座というのは脱税のための口座だったということを認められたわけでございます。特殊法人の幹部の職員が意図的に脱税を行っていた、こういうことになりますから、これは大変大きな問題だというふうに私は思います。

 そこで、次にお伺いをいたしますが、問題は、年金福祉研究会の活動によって得た収益と、それを一体何に使っていたか、何に使用したかということ、これが大きな問題だというふうに私は思います。

 報告書によりますと、印刷製本代など正当と考えられる経費以外に、職員の飲食代などに使った、こう記載をされておりますが、職員といっても、この研究会の職員は、事業団や基金などの部長とか課長、課長代理を除けば、たった一名の職員がいただけであります。したがって、彼らだけで飲食したとは思えない。職員の飲食代に使ったというならば、年福事業団や年資基金の職員ということになるんだろうと思いますが、その飲食費につきまして、第一口座、つまり税務署に申告のためにつくった口座と、それから第二口座、つまり完全な裏金口座、脱税口座に分けて、一体どういうふうに飲食に使ったかについてお聞きをいたします。

 まず、第一口座ですけれども、平成十二年の損益計算書の数字がわかっております。これだけしか、ここの十二年しか損益計算書に報告はありませんけれども、これを見ましても、申告した全体の収入が四千九十万円で、経費を見ますと、給与手当が百八十八万、これに対して、福利厚生費が何と百六十七万円、接待交際費が百二十五万円。人件費に近いほどの金額が福利厚生に充てられているというような、そういったような団体がどこにあるか、こう思います。

 そこでお聞きをしますが、まず、接待交際費はそのまま飲食費だろうし、社会保険料という保険料などの法定福利費はまた別に払っておりますから、この福利厚生費というものは飲食代だったのではないか。これらの経費が法人税法上の必要経費と言えるかどうか、私は大変疑問でございます。だから、こういう接待交際費、福利厚生費、これは全部飲食代に使われたんじゃないか、この私の疑問に答えてください。

渡辺政府参考人 年金福祉研究会名義の預金口座、いわゆる第一口座につきましては、その内訳、十二年度について調査がされております。その中での交際費以外に出ております福利厚生費、その扱いについてのお尋ねでございます。一体これはどうなのかということでございます。

 御指摘の点、私どもも同感でございます。ただ、一点、平成七年以降、外部の税理士に依頼して税務処理が行われていたというのも確認されております。したがいまして、当時の税理士を含めた判断としては、この福利厚生費の計上について、適切に処理されたものと認識されていたのではないかと推察せざるを得ません。

 いずれにしても、今回の調査により、委員から御指摘もあった、いわゆる第二口座が存在し、当該口座については、税務上適切な処理がなされていたとは確認できないわけでございます。したがいまして、改めて、第一、第二を通じた全体の収入支出の状況について、税務上の問題点等を含めて税理士等に相談の上、早急に適切な処理がなされるべきであると考えております。

細川委員 今の御答弁でも、福利厚生費というものは飲食代に充てた可能性は否定できないというような答弁でございますから、つまり、表の金でも三百万ほどが飲食費等に使われていた、こういうふうに考えられます。

 そこで、では、この飲食費というのはどういうような会合に使われて、そういう会合の対象はだれだったのか。これは、調査の結果、わかりましたか。

渡辺政府参考人 年金福祉研究会、いわゆる第一口座から支出された飲食費等につきましては、前回の御質疑までの間の調査によりましても、年金福祉事業団または年金資金運用基金内の忘年会や新年会、総務部または総務課の職員の関与した飲食代等に充てられていたことが明らかになっております。いわゆる交際費で見て百数十万円、福利厚生費についても、今御指摘のとおり、飲食費に充当されていた可能性は否定できないものと考えております。

 整理のため、次にいわゆる第二口座でございますが、ここから……(細川委員「まだ質問していない」と呼ぶ)そちらについても飲食費等にまた使われていたものと考えております。

細川委員 私は、質問するときに、第一口座と第二口座の出入りの関係は別々に質問するというふうに話したでしょう、最初に。今答えてもらったのは第一の方ですから。

 今度、第二。本当の裏口座、脱税のための口座をつくっていた、これの出入りのところでお聞きをいたしますけれども、こちらの方では、これは何か出張旅費の立てかえとかいうのにちょっと使ったとか、これは立てかえですけれども、そういう出入りがあるという報告であります。しかし、この第二口座というのは完全に飲食などの不適切な使途だ、こういうふうに私は考えております。

 では、毎年、この第二口座からどれぐらいの金額が飲食やあるいはタクシー代などの不適切な使途に使われたと皆さんの調査ではわかったのか、またどういう会合でそういうお金を使ったのか、報告の結果を教えてください。

渡辺政府参考人 報告を受けました内容についてお答え申し上げます。

 いわゆる第二口座である年金福祉普及研究会から支出されていた飲食費等の態様でございますが、総務部または総務課の職員の関与した会合のほか、各部課単位の忘年会など、それから総務部長や総務課長による二次会などを含めた会合、これらの会合に際してのタクシー代、こういうものにも充てられていたことが確認されております。

 先ほど先生御指摘ございましたように、この口座におきましては、職員の旅費がやむを得ず事後払い、精算払いになるケースにおける支払いまでの立てかえを便宜行っていたことに伴う支出も確認されておりますので、これら立てかえ払いの支出分を勘案し控除いたしますと、年金福祉普及研究会名義、第二口座名義での飲食費に充当されていた金額は、毎年度平均しまして三百万円程度であったと考えられます。

細川委員 第二口座の方からは、口座の出入りで大体三百万程度が飲食費に使われたと。その使われ方は、部課単位の忘年会などの援助、それから総務部長、総務課長の交際費あるいはタクシー代。これは総務部長、総務課長なんかの個人的な形の交際で使ったんですか。これはわかりますか。

渡辺政府参考人 必ずしも詳細は明らかでございませんが、総務部長や総務課長が出席した会合の一次会、二次会が終わった後のタクシー代ということで、その会合に出席していたほかの者にも充てられていた可能性は否定できないと思っております。

細川委員 いずれにしましても、そうしますと、第一口座あるいは第二口座、それの出入りを見て、毎年、少なくとも合わせて六百万円を上回る程度の金額が飲食やタクシー代に使われていた、こういうふうに見てよろしいですか。

渡辺政府参考人 結論的に申し上げますと、先ほど御指摘のございました第一口座の福利厚生費に計上されている費用の中にも飲食費が含まれているというふうに私ども理解しておりますが、そういうふうな理解に立ちますと、毎年度、平均して六百万円から七百万円程度が職員の飲食費等として費消されていたものと考えております。

細川委員 これは、いつからそういうふうになっていたかということについては、皆さんの報告からではわからない。平成七年からは、口座をつくったりして、あるいは税務署に届け出をするというようなことから報告はありますけれども、それ以前に相当な期間、事業をやっておりますから、その間、一体何をやっていたかというのもさっぱり報告もないからわかりません。しかし、今話にあったように、少なくとも六百万や七百万のお金を飲食費に使っていた。十年で六千万から七千万でしょう。二十年続いていたら、もう一億二、三千万から四千万と大変な額を使っていた、こういうことになるわけですね。

 これは、この収益が本来だれに帰属するかということは議論がありますけれども、少なくとも事業団や基金の幹部職員のものではないんですよ。それを団体ぐるみで飲み食いをしてしまったということは、私はとんでもないことだというふうに思っております。

 そこで、これもまた本当に一体何だと私は思いますけれども、第二口座、これは裏金口座、正真正銘の裏金の口座なんですが、最後に口座に残っていた四百七万円、これは解約して現金にして部長と課長が管理をしていた、このように報告書になっていますが、この金は一体どうなったんですか。何かに使ったんですか。今も残っているんですか。

渡辺政府参考人 恐れ入ります。年金福祉普及研究会名義の預金口座を最後に解約したときに、残金四百七万円があったとの報告でございますが、この現金は管理部長及び総務課長のもとで共同管理されていた中で、その後、半額程度の額が職員の飲食代に費消されていたというふうに確認をいたしました。

 ただ、この残金四百七万は減ったわけでございますが、現時点では、四百七万円に原状回復の上、当該管理部長から同法人に提出され、同法人の依頼を受けた外部の弁護士が保管をしているというのが現況であるそうでございます。

細川委員 部長から返させて、それで保管を弁護士にさせていると。そんなことを言ったって、大体、現金にしてこの四百七万というのはどんな管理の仕方をしていたんですか。どこに置いていたんですか。

渡辺政府参考人 申しわけございません。管理部長と総務課長が相談の上、管理部長が個人として保持していたというふうに報告を受けております。

細川委員 保持をしているというのはどういうことですか。

渡辺政府参考人 現金を現金として保有しておられたということでございます。

細川委員 この人は、管理部長というのは、年金積立金管理運用独立行政法人の管理部長でしょう。その人が四百七万円、どんな管理の仕方をしていたんですか。保持をしていたと言って、現金で持っていた、どこへ持っていたのか。職場に持っていたのか、それとも家に持っていたのか。はっきりしてくださいよ、そういうことは。大事なことですから。

渡辺政府参考人 独法の調査によりますと、管理部長は、総務課長と相談の上、個人で保有するということで、御自宅に持っておられたというふうに承知しております。

細川委員 独法の管理部長がそういうことをするということは、ちょっと考えられないというか、国民の皆さんが聞いたら到底信じられないんじゃないですか。

 それから次に、社会保険庁OB団体への協賛金も支出をしていたということですが、これも年金福祉研究会とは全く関係ない支出じゃないですか。どこに支出していたんですか。金額は幾らだったんですか。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の調査によりまして、経理の内容として、お尋ねの社会保険関係者の任意の親睦団体の会費の支出というのが出てまいりました。具体的に当該団体について調べましたところ、社会保険倶楽部という親睦団体だそうでございます。その会費として、平成十六年に十五万円及び平成十七年に十七万円が年金福祉研究会名義の口座から支出されていたことが確認されております。

 この金額は、当該任意団体の団体会員が通常払う会費の金額であるというふうに確認をされております。

細川委員 社会保険倶楽部という任意団体で、年額三十万から四十万払っていたんじゃないですか。そうではないですか。十五万ですか、十七万ですか。二回だけですか。毎年三十万から四十万払っていたと聞いていますよ。

渡辺政府参考人 先ほどちょっと混乱いたしまして、数字を間違えて発音したかと思います。平成十七年の会費支出は十二万円でございました。

 それから、私どもの調査で、今申し上げました点、確認できたところですが、その他の団体に対する会費の支払い等の内容についてはよくわからなかったということでございます。

細川委員 どうもその他のというような形ではぐらかされましたけれども、社会保険庁OB団体へもっと行っているんではないですか。ちょっと時間がありませんから進みますけれども。

 それでは、先ほど、第二口座は解約をして、四百七万、そのお金は現金で家に持っていた、こういう報告がありました。平成十八年といえば昨年ですけれども、この年金資金運用基金の解散に伴って、この年金福祉研究会の関係書類一切を廃棄した、金銭出納簿あるいは領収書、こういうものを全部廃棄した、こういうことですけれども、では、一体だれが、いつ、どこで、どんな方法でこういう書類を廃棄したんですか。第一口座それから第二口座、これらの通帳も含めてお伺いをいたします。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、十八年の初めのことでございますが、十七年度中に年金福祉研究会を解散することとし、その際に、金銭出納簿、領収書、預金通帳等の関係書類、これを管理していた当時の総務部長及び総務課長代理により、廃棄処分されたというふうに報告を受けております。それは、平成十八年一月から三月のいずれかの日に行われたというふうに承知をしております。これが第一口座でございます。

 それから、いわゆる第二口座に関する年金福祉普及研究会名義の口座に関する書類につきましては、同じく平成十八年三月にそれらの書類を管理していた当時の総務課長代理が溶解により廃棄処分をしたという旨報告されております。

 いずれも職場でのことと承知しております。

細川委員 この書類の一切の破棄、これは何で破棄したかということは、大変裏のある大きな問題だと私は思っております。

 そこで、この年金福祉研究会というのは収益事業を行っていた、こういうことを税務当局にも一時は届けておりました。法人税法では七年の保存義務がある。社会保険庁に長年勤めていた部長職にある者がこの保存義務を知らなかったとは私は思えない。税法違反という罰則はついておりませんけれども、それにしても、こういう書類を一切廃棄するということは、私は責任は免れないというふうに思います。

 この第二口座については、そもそも脱税のために口座を開設して、そのこと自体がもう法人税法違反でありまして、この点については、当時の部長あるいはそれ以外の、ずっと以降の部長も課長も課長代理だけじゃなくて、私は、歴代の総務部長の責任は大変重いんじゃないかというふうにも思います。さらに、この第二口座も解約して現金で持っていて、これを飲食に使ったという、こんなことはもう刑事責任にもなるような問題でしょう。

 そこでお伺いをしますが、当時の総務部長あるいは総務課長らに対する処分は当然だと考えますが、また、当時の理事長を初め役員、管理責任も当然問われるべきだと私は思いますけれども、この点についてはどう考えていますか。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の、税務上の必要な措置あるいは刑事上の責任、こういった点については、それぞれ御担当の当局においての適正な御判断にゆだねるべきと考えておりますが、御指摘のとおり、研究会の関係書類については、法人税法及びその施行規則上、はっきりと保存義務があるにもかかわらず、解散に際し廃棄されたということは、まことに不適切な対応であったと考えております。

 今回の件の関係者の処分につきましては、関係法令それから年金積立金管理運用独立行政法人の内部規定に基づき、厳格かつ適切に行われるべきものと考えております。

細川委員 今までは厚労省の年金局長に主に尋ねてまいりましたけれども、今までの三回の質問で私が感じますことは、一体、管理監督、どういうふうになっていたかということが大変私は大事だというふうに思います。今後もこういうような問題を起こさないためにも、一体どういうような管理監督がなされていたかなどにつきましても、ぜひ明らかにしなければいけない。

 私は、そこで、現在の独立行政法人の理事長からも、この国会においでをいただいてお話を聞きたいと思いますので、委員長、ぜひ呼んでいただきたいと思います。

櫻田委員長 後刻理事会で協議させていただきます。

細川委員 四月四日のこの委員会で私が質問をしたときも、前の総務部長、今の管理部長をぜひこの委員会に呼んでほしい、参考人ないしは証人だということで委員長にお願いをいたしたところでありましたけれども、その点はどうなっているでしょうか。

櫻田委員長 現在、まだ協議しておりません。

細川委員 いや、委員長、大きな声であのときも、理事会で協議しますということをおっしゃってくれたんですよ。だから、私は協議をしてくれているものだと思っていたんですけれども、きょう改めて要求をいたしますので、さらに検討していただけますか。

櫻田委員長 はい、理事会で検討いたします。

細川委員 現在の年金積立金管理運用独立行政法人というのは、近い将来はおよそ百五十兆円の資金を運用するというように聞いております。こういう巨大な資金運用機関である法人の信用が低下しかねないような、国民の信用を失うというような問題を、この間ずっと私の質問でこの委員会でも明らかにしてまいりましたけれども、そこで大臣にお伺いをいたします。

 こういう、ずっと以前から続いてきておりました年金福祉研究会のこのような実態、実情がこの委員会でも判明をしたんですけれども、大臣、これをお聞きになってどのようにお考えでしょうか。

柳澤国務大臣 今委員がおっしゃられるとおり、年金積立金管理運用独立行政法人は、今後百五十兆円の積立金を有する資金の運用機関になるわけでございまして、その意味では、その責務は極めて重いということでございますし、また、当然のことながら、国民の皆さんから強い信頼を得るものでなければならない、このように考えております。

 そういう意味合いで、その前身である旧年金福祉事業団及び旧年金資金運用基金における今回の委員御指摘の年金福祉研究会等の事例というのは、まことに私は遺憾千万な事態である、このように考えております。

 今回の事例は、旧年金福祉事業団及び旧年金資金運用基金の本来の運用原資であるとかあるいは認められた支出というものの経理とは、これは全く切り離されて処理されていたものである。委員の御発言に端を発して解明されたわけでございますけれども、そのそもそもの収入というのは、住宅融資に絡んで必要な用紙の販売代金ということで入金したものであったということでございます。

 そういうことではありますけれども、今申し上げておりますとおり、この後身である年金積立金管理運用独立行政法人というものの使命にかんがみますと、これはもう重大な不祥事というか、そういうものだというふうに考えておりまして、私は、同法人におきましても、今後国民の皆様の信頼を回復すべく、組織運営の面で一層の適正化を図り、また、今回の事例に対して本当に真剣な反省をし、職務に専念していく必要がある、このように強く思っている次第です。

細川委員 このような不祥事が発覚した、これを機会に、独立行政法人というものの天下り体質を変えて、そしてコンプライアンスを強めていくということが大変大事なことだということを申し上げまして、私の質問は終わります。

櫻田委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日も質問の機会を賜りまして、ありがとうございます。

 私ども野党にとりまして、国会質問というのが国を動かす最大の機会でございまして、与党の皆様方は内閣に入っておられますので、いろいろな形で国を動かす手段はたくさんございますが、我々はこの国会質問の時間というのが本当に宝でございますので、ぜひ端的にお答えいただきたいということをお願い申し上げます。

 お手元にも資料をお配り申し上げましたけれども、五千万件の宙に浮いた納付記録ということで、この二ページ目に、年齢階層別の件数が先日来問題になっておりまして、その中でも、現在被害が既に発生している可能性が高いという受給年齢で御存命の方々というのが、厚生年金で標準的な、法令でも指定をされている六十歳から、平均的な寿命を八十歳超といたしますと、六十歳から七十九歳をカウントする。そして、国民年金では標準的な受給、法令で規定されている六十五歳だとすると、六十五歳から七十九歳をカウントいたしますと、一千九百万件の統合漏れの記録があるということでございます。

 そこで、ぜひ大臣に御提案を申し上げることがございます。資料の三ページ目にございますけれども、これは、今現在、厚生年金及び国民年金を、実際に御存命で受給をされている方々の人数でございまして、受給者数は、三千六十五万人の方が受給をされておられるということでございます。この約三千万人の方々の、当然、名前、性別、生年月日は、社会保険庁は記録としてもちろん持っておられます。そして、先ほど申し上げました宙に浮いた統合漏れの一千九百万件に関しても、生年月日等の記入漏れがない限り、名前も生年月日も性別も社会保険庁は持っておられます。

 ということは、ぜひお願いをしたいのは、この一千九百万件と三千万人の、今の三つのキーで、名前、生年月日、性別で同一のものがあるかどうか、何件ヒットするのか、これをコンピューターで調べていただきたい。そして、その結果を、今現在法案審議をしております、我々民主党も、消えた年金納付記録被害者救済法案も提出をしております、この衆議院での法案審議終了前までにその数字を出していただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

柳澤国務大臣 五千万件の中で、千九百万件の方々が既に受給の年齢に達している、この中には亡くなられた方もいらっしゃるかもしれませんが、逆に今、長妻委員が平均年齢でとおっしゃる形で八十歳どまりにされたということで、もっと長命の方もいらっしゃるわけですから、差し引きどういうことになるかわかりませんけれども。

 私どもといたしましては、この千九百万件、あるいはそれよりももっとお年を召された方も含めまして、やはり最終的には、個々の受給権者の加入履歴として確定しない限り、これを年金の給付につなげることはできないわけでございまして、そういう意味で、そういうことをするよりも優先的に、できるだけこの三千六十五万人の方々にお申し出をいただいて、そして、この千九百万件との突合をして、すぐに具体の給付につなげていくということが私どもの使命であるというふうに考えているわけでございます。

 三千六十五万人の方々も、これを裁定するときには、受給権者の方の申請に基づきまして、また、我が方の年金加入記録に照らして裁定させていただいたといういきさつがございますので、それを補正するということは、また一つ一つ丁寧にお申し出に対して対処する形で直接に給付に結びつける、そういう努力を優先して行ってまいりたい、このように考えている次第でございます。

長妻委員 大臣の今の答弁というのは、むしろこれをやらなきゃいけないという補強答弁になるわけです。つまり、午前中、山井議員からも質問がございましたけれども、今大臣が言われたのは、この三千万人の方々は、自分がこうだということで裁定をもう既にした、それを補正するんだというお話ですね。

 つまり、この三千万人の方は記憶がないんですよ。三千万人の方々は、示された納付記録に対して、これはきちっと社会保険庁は確認をとっていない件数もいっぱいあります。しかし、三千万人に対して確認をとったとすれば、その方々は、納付履歴を見て、ああ、これでいいですと言った可能性が高いわけでありまして、当然そうじゃない、いいかげんな社会保険庁のチェックできちっとチェックされない方もいっぱいいらっしゃったと思いますけれども、そういう三千万人の人は思い出しようがないんですよ、大臣。一千九百万件の記録を、思い出すんだったら、とっくに思い出して、裁定の前に、おかしいから補正してくれ、こういうふうに言うわけですよ。大臣、そういう理屈はよくおわかりになると思うんです。ですから、こちらの方からのアプローチ、つまり、政府からのアプローチが必要な方もいらっしゃるんです。それがまさにこの一千九百万件の方々なんですよ。副大臣はうなずいておられますよ。これは大臣とチェンジされた方がいいんじゃないですか。

 ですから、これは柳澤大臣、御本人にお尋ねしても、いや、覚えていないなという方も多分いらっしゃるわけで、そういう方はこちらからアプローチ、こちらから調査しないといけないじゃないですか。大体どの程度あるのか、そういう三つのキーでヒットするのは何件なのか。これはコンピューターでできますから、ぜひお願いをいたしたいと思うんです。

柳澤国務大臣 すっかり忘れられているということをおっしゃられるわけですけれども、私ども、今回も六月に、年に一回でございますけれども、年金の支給通知、支払い通知と申しましょうか、そういうものをさせていただきまして、同じ年齢層の方々の中で、まだ統合できていない件数、残念ながら死亡された方も含まれているかと思いますけれども、とにかく、その総体の数字をお示しして、注意を喚起し、少しでも御自身で、ちょっと社会保険事務所の方に出向いてみたいということであれば、その方の名前をいただいて、そして一つ一つ丁寧に、こういうことですかということで応対をして、直接に年金の給付につなげていくという作業、こういうことを早くやってまいりたい、私どもとしてはこのように考えているということを申し上げている次第でございます。

長妻委員 いや、柳澤大臣、思い出せない人はどうするんですか。

 つまり、三千万人の方がいらっしゃる。一千九百万件の宙に浮いた記録がある。例えば、お名前、生年月日、性別、これは同姓同名で、例えばヤマダタロウさんという非常に多い名前で、生年月日も同じという方は、これもいらっしゃいましょう、そういう方も例外的にはいらっしゃいましょう。しかし、その三千万件と、同じ名前、生年月日、そういう記録があった場合、それをいろいろ工夫して、その方にこちらから働きかける、こういうことも検討に値すると思うんですね。

 ですから、大臣、思い出せない人はそうしたらどうするんですか。これは大きくいえば憲法の財産権の侵害になるんじゃないですか。思い出せない人はどうするんですか、大臣。

柳澤国務大臣 それは、なかなか、自分の歩んできた人生の時間であるとはいえ、すべてつまびらかに、我々が、四十年前、三十年前、二十年前のことを思い出せるということは、むしろその方が大変だと思います。

 したがって、窓口に来ていただければ、私どもの方もそういうことですぐに電磁的ファイルを呼び出すということができまして、そうして、一件一件、それについて受給権者の方とお話し合いをすることによって、そういうことを明らかにして、これを直接に、すぐに給付につなげていく、こういうことを優先して考えたいということを申し上げているわけでございます。

長妻委員 それでは、大臣、答えてください。疑問が全くない方は窓口に行かないですよ。そういう方はどうするんですか。

柳澤国務大臣 それは、例えば年金の保険料の支払い期間を通じて、同じ会社にいらっしゃったとか、あるいは同じ住所でずっとお住まいになられていた方というのは、これはもうほとんど、年金記録の、そのときの、我々が基礎年金の、基礎年金番号を付番した時点と同じわけでございます、そういう方については。

 したがって、これについては、そういう疑問がないというような方がいらっしゃったとしても、それはもうある意味で当然のことでございまして、自分としては、付番をされた時点と同じ立場をずっと、ある意味、年金の保険料給付期間を通じてそこにいらっしゃった、こういうことであれば、それはそういうものであります。

 問題は、だから、いろいろ転職をされたり住居を変えたりあるいは姓を変えたりした、そういう人の場合が問題なのでございますので、それは、そういうことはもうおわかりになって、来ていただければ、我々はお一人お一人に親切に、丁寧に対応するということを申し上げているわけでございます。(発言する者あり)

櫻田委員長 疑問のない人はどうするのかということですね。では、もう一回聞いてください。(発言する者あり)

 長妻昭君、質問を続けてください。(長妻委員「時間をとめてください、委員長」と呼ぶ)長妻昭君、再度質問してください。

長妻委員 いいですか、大臣。自分の納付記録に疑問がない方は、それで受給されている、しかし、納付漏れが実は現実にはあった。でも、本人はそんなの、つゆ漏れているとは思わない。こういう方は窓口へ行かないですよ。そういう意欲がわかないですよ。窓口へ行くインセンティブというか動機がないじゃないですか。そういう方はどうするんですかと。

 切り捨てるのなら切り捨てると言えば、それはそれなりの大臣の意見でしょう。切り捨てないのであれば、ではどうするんですか。

柳澤国務大臣 五千万件の中に、統合されない記録を持っていらっしゃる方というのは、住所が変わったり姓が変わったり、あるいは会社が変わったりした、そういう客観的な事実があるわけで、記憶だけの問題ではないわけでございます。

 したがいまして、住所が変わったり、会社が変わったりした人というのは、やはり統合されていないという可能性があるわけでございますので、そういう意味で、いらっしゃっていただくというきっかけはつかめるわけでございます。

 もちろん、そういうことがあったとしても、自分の年金は、例えば九年一月の段階の、例えばポジション、そのポジションは例えば一年ぐらいだった。しかし、また自分の給付の基礎になった加入月数というのが非常に長期にわたっているとかいうことになれば、これは統合されている可能性がある。それでもなお、それが自分の指折り数えた統合の月数に満たなければ、おいでいただければいいわけで、ただ記憶だけでやるわけではないわけでございます。(長妻委員「全然答えていない。これはおかしいよ」と呼ぶ)

櫻田委員長 長妻昭君、質問を続けてください。(長妻委員「時間がもったいない。時計をとめてください、委員長」と呼び、その他発言する者あり)長妻昭君、質問を続けてください。

 山井君に申し上げます。席にお戻りください。(長妻委員「委員長、ひどい。こんな議事運営ないですよ、ほかの委員会で。こんな議事運営は初めてだ」と呼ぶ)議事は進行されております。発言の機会は認められております。発言を続けてください。(発言する者あり)

 答弁はなされたと思います。(長妻委員「どんな答弁ですか」と呼ぶ)答弁は、大臣はしたと思います。

 長妻昭君、質問を続けてください。(長妻委員「委員長、なぜ時間をとめないんですか」と呼ぶ)長妻昭君、質問をする権利は与えられております。長妻昭君、質問を続けてください。

長妻委員 委員長、これは、議場内協議をしているのに、何で時間をとめないんですか。

櫻田委員長 長妻昭君に質問の時間が与えられているから、とめるわけにはいきません。

長妻委員 そこで協議をしているときに私が質問できるわけがないじゃないですか。

櫻田委員長 質問をする権利が長妻昭君にはあります。質問を続けてください。

長妻委員 そうしましたら、大臣、きちっと答えてください。

 つまり、いいですか、今受給されている方が三千万人いらっしゃいますね。その方々は、ああ、自分の受給の金額はこれでいいんだろう、そして、納付記録もかつて見せられたかもしれない、それでこの納付記録でまあいいんだろうな、あるいは、昔は消えた記録の話なんてなかったから、余りよく見ないで、まあいいんだろうということで、社会保険庁を信じて裁定に応じた方もいらっしゃると思います。つまり、疑問を持たないで今年金を受給している。ところが、その方にも受給漏れはあるんですよ。つまり、統合漏れがあるんですよ。

 ですから、そういう疑問を持たない方はどうやって社会保険庁の窓口に相談に行くんですか。だから、行く動機がないですから、行かないんですよ。これは社会保険庁側からアプローチがないとわからないんですよ。疑問を持たない方はどうするんですか。(発言する者あり)

櫻田委員長 御静粛にお願いします。

柳澤国務大臣 委員の先生方も重々この問題の形というものを御存じだと思いますけれども、要は、平成九年一月に……(長妻委員「だから、答えている、それはさっきの二重の答弁じゃないですか」と呼ぶ)

櫻田委員長 黙って聞いてください。

柳澤国務大臣 基礎年金番号を付番したというときに、まだ自分に本来属すべき年金手帳の、番号と言わせていただきます、その前に符号がついていますから、符号番号、こういうふうに合わせて言っているわけですが、そういうものが複数ある人というのはどういう人かというと、典型的に言えば、企業をかわった人あるいは住所をかわったりした人、こういうような方なのでございます。

 したがいまして、私どもは、そういう方の場合には、これは、統合漏れ、まだ違う番号を持っているのが十分統合されていないという可能性があるということで認めているわけでございますので、そういうふうに、御自身の人生の歩みの中で住所だとかあるいは企業だとかをかわられた方は、ぜひこちらにいらっしゃっていただけば、我々はそれに対して丁寧に調査をして、もし統合漏れのものがあれば、それを統合して、我々として裁定のし直しをいたしますよということを申し上げているわけでございます。

 したがいまして、そういう可能性が全くなくて、ずっと同じ住所のところにいらっしゃったとかあるいはずっと同じ会社にいて、平成九年一月の段階に付番されたとき以外に番号を持ちようがない人というのは、これは疑問の余地がないということになろうと思うんですけれども、そこにかわった可能性があれば、そのときつけられた年金手帳の番号が必ず統合されているかどうかというのはチェックに来てくださいということを我々は呼びかけているということでございます。(長妻委員「だめ、だめ。疑問に思っていない人はどうするんですか」と呼ぶ)

櫻田委員長 長妻君、質問を続けてください。(発言する者あり)(長妻委員「委員長、時計をとめてくださいよ」と呼ぶ)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

櫻田委員長 速記を起こしてください。

 長妻昭君、質問を続けてください。

長妻委員 大臣、答えてください。(発言する者あり)とめてくださいよ。

櫻田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

櫻田委員長 速記を起こしてください。

 長妻昭君、質問を続けてください。

長妻委員 これは非常に重要なことなんですよ、大臣。

 つまり、この一千九百万件、受給年齢に達している宙に浮いた納付記録がある。これが統合できれば、今受給されておられる方々のうち、受給額が上がる、本来の受給額をもらえる方の被害者救済ができるんです。しかし、被害者というふうに私申し上げましたが、本人、自分が被害者だと思っていない方のことを聞いているんです。

 例えば、大臣は先ほどの答弁で、引っ越しをしたとか事業所をかわったとか、こういうことがある人は申し出ろと言われました。そういうことを忘れていて、複数引っ越したり、多くの事業所を渡り歩いた方で、例えば何カ所かを忘れて、示された記録に抜けがあるというふうに申し出なかった方、そういう方もいらっしゃるでしょう。あるいは、はなから社会保険庁を信じて、きちっと記録を見ずに、それで裁定お願いします、そういう方もいらっしゃるでしょう。

 つまり、疑問を持っておられない方は、社会保険庁側から、千九百万件の記録、生年月日、名前、性別、この三つのキーで、今三千万人の受給者と一致するもの、これはその方の可能性が非常に高いわけですから、そういうものを調べて、その方に工夫をして通知する。社会保険庁側から働きかける手段があるということなんですよ。

 ですから、大臣にお伺いしますけれども、疑問を持たない方はどうするんですか。呼びかけても来ないですよ。そういう方に対してはどういう措置を、では大臣としてはおとりになるんですか。

柳澤国務大臣 私ども、今回、この六月に予定をいたしております振込通知書というものに、あなたの年金加入記録を確認しますということで、細かくはお読みいたしませんけれども、いずれにいたしましても、私どもの方で基礎年金番号に統合されていない記録をたくさん管理しております、こういうことを申し上げまして、ああ、そうか、統合されていない記録がこんなにあるのか、ではおれのはどうなのかなというような、そういうことをお考えいただくような、そういうきっかけになるような情報もお与えさせていただいて、そうして、いろいろな方が自分の記録というものを正確にしようということで、我々の専用窓口を設置しておりますので、お気軽に御相談ください、こういうお呼びかけをさせていただいておりますので、それに対して、とにかくいらっしゃっていただければ、我々として、そこで照合をしたりいろいろな調査をさせていただく、そういうきっかけを得て、丁寧に御対応させていただきますということを申し上げているわけでございます。

長妻委員 大臣の今の言い方は、疑問に思わない人あるいは思い出さない人は切り捨てる、こういうことに私は理解をいたしました。とんでもない話です。

 つまり、これは、何度も言いますけれども、与党の方もぜひ本当に御理解をいただきたいと思うんですが、一千九百万件の受給年齢に達した宙に浮いた情報は、名前がわかっているんです、性別もわかっているんです、生年月日もわかっているんですよ。それで、三千万人の年金をもらっている人の名前も性別も生年月日もわかっているんですよ。ですから、コンピューターを動かすなんて、これはCOBOLという言語で書いてあるらしいんですが、突合作業なんてすぐできるんですよ。それを突合してくださいと私は言っているだけなんですよ。そうしたら、何人分の同じ名前、同じ生年月日、同じ性別のがあるかわかるじゃないですか、一千九百万件の中に。それを、コンピューターを動かしてそういう作業をしてくださいということを私は言っているんですよ。これをしてくださいということなんですよ。してください、ぜひ。

柳澤国務大臣 これは冒頭から申し上げておりますとおり、私どもとしては、五千万件の統合から漏れていらっしゃる方々の処理をいたしたい、こういうことで、それについては私どもありとあらゆる、例えば五十八歳の通知であるとか、あるいはまたさらに四十五歳、それから既裁定者については、今回、振込通知書の中で、そういう、思い出していただいたり、あるいは正確を期していただくということを呼びかけさせていただいて、そうして、それを窓口で受け付けることによってすぐさまに年金の給付に我々は結びつけていく、そういう事務の運びを心がけていきたいということを申し上げているということでございます。

長妻委員 いや、これは本当に、大臣は与党の方ですからちょっと与党の皆さんに向いて話しますけれども、私は何も、何かすごい大それたことを言っているわけじゃないんですよ。

 一千九百万件の宙に浮いた情報があるけれども、それは昔ので、住所とか入っていないかもしれないですよ、間違っているかもしれないですよ。ただ、名前、性別、生年月日、一千九百万の宙に浮いた情報、これはほとんどがわかるんですよ。そして、坂口元大臣もうなずいておられますので、ぜひ聞いていただきたいと思うんですが、一千九百万件のその記録はあるんですよ、三つ。今三千万人の受給している人がいるんですよ。名前と生年月日と性別がこれは完璧にわかっているわけですよ、社保庁が。

 これは手作業じゃなくて、全部コンピューターに入っているわけですから、では、それを比べて何人分がダブっているのかと。そうすると、その記録はその方の可能性が高いじゃないですか。統合されていない記録はその受給者の方の可能性が高いじゃないですか。私、その件数を教えてくださいと言っているんですよ。これは、鴨下さん、私の言っていることは暴論ですか。国会がとまるぐらいの、役所が全力で抵抗してやらないというふうに言うほどの何かすさまじい破壊力を持つような提案じゃないですよ。

 ですから、これはうがった見方をすると、ちょっと本当に悪いんですが、うがった見方をすると、それの数字が出ちゃうと、非常に大きい数字で、これはもう対応に追われるからまずいと考えるとしか思えなくなっちゃうんですよ。ですから、大臣、大臣は最高権力者ですよ、これはやると言ってくださいよ。

 実はきのう、私の議員会館に事務方の方を呼びました、社会保険業務センターのコンピューターの担当の方。そうしたら、それはできると言ったんですよ。コンピューターでプログラムをつくれば、NTTデータに頼んでプログラムをつくってもらえればできますと確認をとっているんですよ。

 大臣、これはやっていただきたいと思うんですよ。委員長も、本当に、与党と野党の立場ですけれども、これはやってほしいんですよ。大臣、どうですか。

柳澤国務大臣 私どもは、とにかく統合をしたいという気持ちはやまやまでございまして、その見地から私どもは、結局は、最終的には個々の人に結びつかない限りこれは受給権に結びつかないんです。その手間を、そのプロセスを、私どもとしては全般的な呼びかけ、きょうも午前中古川委員からのお呼びかけもありまして、一般的な広報ももっとすべきだ、したがって我々は内閣の広報室にも頼んで、そういう呼びかけをこれからもっと、それからその言葉遣い、表現にも気をつけて大いにやりますということで、そして個々の人のお出かけそれから申し出を受けて、即座にそれが直接我々の記録の統合に結びつくような形でやりますということを申し上げているということでございます。

長妻委員 今、手間という言葉がございましたけれども、多分ほかのことが忙しいから、それは手間だ、だからやらないというような趣旨だと思います。

 そうしましたら、お伺いしますが、では、NTTデータに頼んでプログラムの見積もりをとってくださいよ。どのくらいのプログラムの代金でできるのか。これは手間じゃないですよ、皆さんがやるわけじゃないですから。これはコンピューターですから。社会保険庁の中にはプログラムを書ける人がいないということを聞いておりますので、そういう業者に頼んで、これは私の言っているのは暴論ですか。(発言する者あり)コストにもよるという話がありましたけれども、私は、そういう言い方もおかしいと思いますよ。例えば生命保険会社とか信頼を失った会社は、幾らかかろうが信頼を回復しないとつぶれるんですよ。

 大臣、そうしたら、幾らぐらいかかるか見積もりをとってください。きょうでも、見積もりを下さいということで。それはできますね。

柳澤国務大臣 私は、事務の運びのことを責任ある立場で考えて、結局は個々の受給権者の裁定額というものを変更するのかしないのかという、その一番最終的な受給権者のところに手が届くようなところまでのことが一番大事だ、こういうような観点でそういうことを申し上げているということでございます。

 したがいまして、今の見積もりをいただくなどというようなことは、私の今のそういう考え方の中では出てこないということを御理解賜りたいと思います。

長妻委員 大臣が言っていることも、疑問がある人は言ってきてください、これも一つそのとおりでしょう。しかし、社会保険庁の中でできることがあればそれをやるというのが全く欠落しているんですよ。

 今、お金でもないということですね。鴨下先生、見積もりもとらないというのは、お金がネックでもないんですよ。手間ではないんですよ。ですから、メンツなんですよ。

 これは残念ながら、ここにいらっしゃる国会議員、私も含めて、巨大な情報にアクセスできないんですね、我々は一切。完璧に、一〇〇%柳澤大臣が受給権者の情報を握っているんですよ。こちらがやらないとどうしようもないんですよ。ぜひ与党の皆さんも、一千九百万件のもらえるはずのデータ、これが宙に浮いている可能性があるんですよ。名前と性別と生年月日はわかっているんですよ、一千九百万件。それで、今三千万件の受給している人がいる。

 では、同じのが何人ぐらいいるのか。これを調べるのが、何で国会でこういうふうにすごい時間を使って言わないとやらないんですか。重要な案件がいっぱいありますよ。これをすぐやると言えば、どんどん前に進みますよ、いろいろな問題が。

 副大臣にお伺いしますが、副大臣、何でやらないんですか。やらない理由というのは何なんですか。

石田副大臣 今大臣と委員が随分長くやりとりをされておりますので、大体政府としてのお答えは尽きているんじゃないかと思います。

 お金の問題とかそういう問題では私はないと思いますが、基本的に年金をどういうふうに、役所と個人と、どういうふうに考えていくかということだと思います。これは私が考えると、年金の裁定は勝手に社会保険庁がこうだと決めつけて送っているわけでもないわけですから、その前提として、来ていただいたときにお互いに記憶を喚起して、そして裁定が終わっていると思いますから、これについては今大臣がお答えになったように、ぜひ来ていただいて、その上で丁寧に対応する、こういうことだろうと思います。

長妻委員 いや、一千九百万件の宙に浮いた納付記録のデータがあって、三千万件の今受給している人と同じ名前、生年月日、性別があるとすれば、その三千万人の方に、あなたはひょっとしたらこの時期こういうことがありますかというふうに聞くことも可能なんですよ。ただし、工夫しないといけないのは、その方がそれがなくてもそれを了解すれば金額がふえると思って意図的に言う、こういうこともあるかもしれないので、それはそれできちっとした措置で裏をとるということはしなきゃいけない。こういう前提でありますけれども、そういう形で個別にアプローチができるんですよ。そういう検討も進むんですよ、その件数がわかれば。

 これは何でですか。そうしたら、大体幾らぐらいかかるんですか、そういうプログラムの見積もりというのは。

柳澤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、私どもといたしましては、年金の受給権というものは、結局、個別具体的にそこに結びついていくということでなければ、大数観察でもって何%あるとか何千万人いるということではないわけでございまして、したがって、私どもとしては、先ほど、呼びかけをしたらどうかという、結局そういうところなんですが、私どもは、こういう形で何回もお呼びかけをして、おいでいただいて、そしてこの受給権に結びつけていくということで考えております。したがって、そういう予算上のこと等について私が今何か考えを申し上げる、そういう状況にはないということを御理解賜りたいと思います。

長妻委員 本当に与党の皆さんも大臣と同じお考えなんですか。そういう同じお考え……(発言する者あり)同じですという、自民党の方ですか。(発言する者あり)自民党の方も同感だということですね。

 一千九百万件の、せっかく、そういう私が申し上げた作業をすれば進む可能性が高いのに、与党も、自民党もそういうのをする必要がないという方もいらっしゃる。全部の自民党の議員の方ではないとは思いますが。

 そうしたら、(発言する者あり)いや、鴨下先生……

櫻田委員長 長妻昭議員に申し上げます。

 答弁者はこちらでございますので、答弁者に向かって質問をしてください。御注意申し上げます。

長妻委員 はい。

 そうしましたら、これは与党の方も大臣も、見積もりをとると幾らぐらい、私どもが今申し上げた作業をすると幾らぐらいのプログラムの代金になるのか、この金額を教えてください。これはいいですね、皆様方も。それはどうですか、大臣。

柳澤国務大臣 もう何回も御答弁申し上げておりますが、我々は、この五千万件あるいは千九百万件の……(発言する者あり)

櫻田委員長 御静粛に。

柳澤国務大臣 統合漏れになっているものについて、具体的に個々の受給権者あるいは被保険者に結びつけていく、そういうことが最終的に必要でございますので、そのプロセスを私は先ほど来るる申し上げて、もうこれを繰り返しませんけれども、そういう手続のもとで考えているということでございます。

 受給権者の皆さんにもこういう新たなる呼びかけをしているということでございますので、御理解を賜りたいと思います。

長妻委員 大臣は今、やらないというお話ですけれども、では、そういうことをやるとすれば幾らなのか。我々は、国会でこの委員会で、ではその金額を、どのくらいかかるのかだけを教えてくださいと、この金額さえも教えないと。教えない、その理由は何なんですか。金額を教えない理由は。

櫻田委員長 既に申し合わせの時間が過ぎていますので、答弁は簡潔にお願いします。

柳澤国務大臣 教える、教えないということを今委員は問題提起なさいましたけれども、私どもとして、そういう問題のところまで至っていないわけですね。私どもは、具体的な受給権者あるいは被保険者のところの受給権に結びつく、そういうことを確保すべく、その手続を考えているということでございまして、その手続の中ではそういう問題が浮かんでこないということは、御理解を賜れるはずだと思うわけでございます。

櫻田委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力願います。

長妻委員 今のやりとりで、本当に被害者救済の最大の障害は柳澤大臣そのものだと思いました。本当に柳澤大臣、辞任してください。別の大臣のもと、きちっと被害者救済を進めてください。よろしくお願いします。

櫻田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、一昨日の本委員会の開催中に、社会保険庁の指導医療官が逮捕されたという事件は、またも社会保険庁かと大変落胆しました。医療Gメンという不正をチェックする立場の人間が、その地位を利用して十年にもわたって不正に身を染めていたという事実は、大変衝撃でした。これでは国民の不信感は募るばかりであります。

 冒頭、この点で大臣に一問だけお伺いします。

 指導医療官は、医科が六十五名、歯科が四十二名、百七名いるとのことでありますが、この事件によって、他のまじめに仕事をしている指導医療官の方がどんなに落胆されているか、あるいは、多くの開業医、歯科医師らが、みんな悪者のようにテレビでも扱われております。そうした方たちに報いるためにも、徹底調査と再発防止を打ち立てるべきだと思います。

 特に、指導医療官は、来年十月から全国健康保険協会が設立されることに伴い、地方厚生局にその任務が移ります。これをどう生かし、不正を許さない取り組みとするのか、伺いたいと思います。

柳澤国務大臣 今回の事件、事案につきましては、私といたしましても、極めて遺憾だ、このように考えております。厚生労働省の立場としては、捜査に全面的に協力する、事実解明を待って厳正に対処する、こういうことでございます。

 この事態を受けまして、四十七都道府県の各社会保険事務局長に対し、担当課から改めて、綱紀の保持について職員一人一人に徹底するよう、電話で指示をしたところでございます。

高橋委員 私はこの点については指摘にとどめますけれども、今議論をされている日本年金機構に先行してこの健康保険協会が来年設立をされるわけです。国に監査機能を残し、非公務員型の公法人でスタートをする。そのときに、今、公務員かどうかなんという議論がされているわけですけれども、こういう機能でももうだめなんじゃないかということが今提起されてしまっている。ですから、私は、これが本当にうまくいくんだろうか、監査機能もちゃんといくんだろうかということを見きわめてから次に進むという選択肢もあると思っております。

 今の年金記録の問題もそうです。日本年金機構法案の成立を今急ぐべきではない、このことを強く指摘しておきたいと思います。

 さて、きょうは年金保険料の流用問題について伺います。

 この問題について、五月八日の本会議で安倍総理は、私の質問に対して、極めて妥当なものと言い切りました。少なくとも原則国庫負担とされてきたものが、国の財政事情から特例措置となって、それを恒久化するというときに、なぜ極めて妥当という開き直りができるのか、全く理解できません。

 資料の一枚目を見てください。今年度の年金事業運営費の予算の内訳が書いてありますけれども、保険料財源となるのは、この真ん中の九百五十七億円、保険事業運営に直接かかわる事務費となっておって、「特例措置」と書いてあります。これがいわゆる事務費の分野でありますけれども、そのほかに福祉施設費というのがございます。千八十二億円。ああ、施設がこんなに残っているのかと思えば、これはいわゆるハードではなくて、年金相談、広報、教育などに使われるお金だと言っているわけですけれども、合わせて二千億円を超えるお金が今後も毎年保険料から出るということでしょうか、確認をいたします。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 年金事務費は年金給付と密接不可分なコストでございます。これに保険料を充てますことは、受益と負担の明確化という観点からも、また、民間保険はもとよりといたしまして、他の公的保険、諸外国の例から見ても妥当なものであるというふうに考えております。

 ただし、財源のいかんを問わず、経費の効率的な使用ということは大変重要なことであるというふうに考えてございます。今御指摘の十九年度二千億円という額でございますが、かつて、十三年度、ピークであったときには三千億円を超えておったわけでございますので、年々節減に努めて、現在二千億円にしているということでございます。

 今後に向けてでございますが、今回の法案で、いわゆる福祉施設規定を改めまして、事業の範囲を年金相談等に限定列挙するという点が一点ございます。また、日本年金機構の予算等に関しましては、厚生労働大臣が毎年度認可するということによりまして厳しく監督するということにしてございます。

 また、現在、可能な限り競争入札や企画競争にいたしましたり、調達委員会で厳格な審査をやっておるところでございますけれども、機構発足後におきましても、現在の取り組みを踏まえ、無駄の排除をし、効率的な経費の用い方を徹底してまいる、このような考え方でおるわけでございます。

高橋委員 いろいろ説明されましたけれども、質問には答えていないと思います。毎年このくらいかかるのですかと聞いています。

清水政府参考人 機構発足までの社会保険庁の時代におきましても、また機構発足後におきましても、予算を精査いたしまして的確な予算立てをするとともに、できる限りの節減、執行面におけるさまざまな無駄の排除を徹底してまいりたい、このように考えております。

高橋委員 できる限りの節減とはおっしゃいましたが、それ以上具体的に踏み込めないということは、やはり二千億円前後あるいはそれ以上ということが予測できるのではないかというふうに私は思います。そういう説明も実は受けております。

 肝心なのは、それが、今説明されたように本当に密接不可分なコストなのか、本当に妥当なのかということが絶えず問われなければならないと思うんですね。

 事務費については、昨年十二月十八日の財務、厚労二大臣の合意において特例措置を継続することが確認をされて、その考え方については平成十七年度以降と同じだ、保険料負担を保険事業運営に直接かかわる適用、徴収、給付、システム経費に限定するとされました。

 しかし、この福祉施設費の方は、これは第七十四条に書いてありますが、「政府は、第一号被保険者及び第一号被保険者であつた者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができる。」現行法にはそれしかないわけですね。その「施設をすることができる。」という中にいろいろなものが隠れていて、これが今、「施設をすることができる。」を取ったかわりに、広報だ、教育だ、相談云々というのが出てきた。これが何でそこに保険料財源が使えるということになるのか、理解できません。

青柳政府参考人 いわゆる福祉施設規定についてのお尋ねでございます。

 ただいま委員からも御紹介がございましたように、国民年金法七十四条で申し上げれば、福祉施設、「必要な施設をすることができる。」ということで、被保険者の方やあるいは受給者になった方々に対してさまざまなサービスを提供する際に、そのサービスに必要な財源を保険料に求める。これは、まさに事務費とはそこの点が異なりまして、被保険者、受給権者に対するサービスということをどういう財源で賄うかということの判断でございます。

 今回の法案におきましては、これまで批判のございましたこの「必要な施設をすることができる。」旨の規定を廃止いたしまして、公的年金事業の実施のために真に必要なものを明示的に列挙し、保険料を財源とする事業の範囲を限定するということをいたしたわけでございます。

 具体的には、年金相談として、年金加入記録の照会対応や年金見込み額の試算、そして年金教育、広報といたしまして、中高生、大学生に対する年金教育、被保険者等を対象とした制度内容や手続の周知、そして情報の提供といたしまして、五十歳到達者に対する年金加入記録のお知らせや、加入履歴を印字した裁定請求書の送付、あるいはインターネットを活用した年金加入状況の情報提供、今後は、例えばねんきん定期便といったものも含まれてくるわけでございます。

 いずれにいたしましても、今回の改正は、年金保険料は年金給付及び年金給付に関連すること以外には使わないという政府の一貫した方針に沿うものと御理解賜りたいと存じます。

高橋委員 今の説明を聞いても、この間積み上げられてきた事務費に関する議論とは別の概念が出てきた、新たな解釈が出てきたということなんです。サービスが本当に、先ほど来言っているように、年金給付と密接不可分なコストとだれが判断できるのかということ、これは全然理解ができません。

 もしそれが本当に不可分なものであるのであれば、逆にこれは、条文にあるように、「政府は、」となっていますから、国の責任でやるべきではありませんか。

青柳政府参考人 この福祉施設につきましては、利用する方が、だれがそのサービスを利用するということが明確にわかるわけでございます。したがいまして、利用者のいわば負担、それを利用料という形で個々に取るという手法も技術的にはあるかもしれませんが、現実的にはそれには徴収等の別のコストもかかるということがありますので、保険料という形で被保険者あるいは受給者の方がその提供されたサービスを負担していただくというやり方で制度発足以来運営をしてきたものと御理解賜りたいと存じます。

高橋委員 国民皆年金なんですから、利用者はすべてです。すべての国民に向かって政府は広報をするんじゃないですか。安心した年金制度をつくるということに責任を持つために、こうしたいろいろな広報などをやるのではないですか。それを、保険料の財源だ、利用者なんだからといったら、その理屈がどこまで広がるのかということになるわけですよ。

 この間答えてきた中で、例えば年金機構への交付金については予算の段階で使途をホームページなどで明確にする、だから間違った使い方はしないんだということを答えてきました。だったら、こうした問題についても、いわゆる福祉施設費の中に隠れていたものをどう使うのかということも予算の段階で明らかにする考えはありますか。

清水政府参考人 御指摘のとおり、国が日本年金機構に交付いたします運営費交付金の使途につきましては、条文上は、機構に対してその使途を明らかにするというふうに書いてございますけれども、私どもといたしましては、これをホームページ等を活用いたしまして広く情報開示したいというふうに考えておるところでございます。

 そこで、広報につきましても、同様な形でホームページで予算を公表するというような形にしてまいりたい、このように考えておるところでございます。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

高橋委員 これは最低限やっていただきたいと思います。そして、国民のチェックがしっかりといって、そこでまた立ち戻ることや考え直すことができるというふうにしていかなければならないと思うんですね。

 それで、続けますけれども、資料の二枚目なんですが、この十年間で、いわゆる国庫負担である人件費、これは本当に純粋な部分は、十年前の二千三百二十九億円から、今、十九年度予算で千六百五十億円というように、七百億円も減っております。そして、逆にふえているのはシステム経費であります。これは、いわゆる事務費にも、また、今言っている福祉施設費に紛れていた中にも、同じようにシステム経費がございます。二種類あるんですね。

 それで、資料の三に、システム経費だけを特記したものを載せておきました。これを見ると、同じように平成十年から比較すると、六百六十四億円だったものがことしは千二百九十八億円にもなり、倍になっております。先ほど来話題になっておりますが、NTTデータなどがシステムを随意契約で独占し、言い値で経費をつり上げてきたではないか、このことがこの間繰り返し指摘をされてきたんだと思うんです。それが本当に生かされているのかということがまた問われると思うんですね。

 今回、レガシーシステムと呼ばれる旧システムをオープン化することに伴い、NTTデータに返済する残債が幾らで、それがこの表のどこに計上されていますか。

青柳政府参考人 システム経費におきます残債についてのお尋ねがございました。

 残債については委員は御承知のことかと存じますが、社会保険オンラインシステムにおきますシステムの開発経費というのは、一つには金額が大きいということもございますが、例えば、大きな制度改正などがあるときに非常に多額のものがかかって、そういった制度改正がないときにそういったものが余り必要ないというような、非常に大きな凹凸というか、でこぼこが年度によって生ずるというような特殊な性格を持っております。

 そのため、これまでは、データ通信サービス契約によりまして、これを毎月の利用料という形で長期間をかけて、いわば延べ払いで支払うという形式をとっておりました。この契約を解除した場合には、そういったシステム開発のいわばソフトウエアの未償却額をNTTデータに支払わなければならないという性格のものでありまして、これをいわゆる残債と呼んでいるところでございます。

 私ども、この残債が存在する限り、いわばシステムのオープン化その他、システムの刷新が非常に困難であるということから、平成十七年度に最適化計画を策定いたしまして、十八年度から二十二年度までの五年間をかけて新システムを構築するということとしております。新システムの稼働時に、先ほど申し上げましたデータ通信サービス契約を解除することとしておりますので、二十三年度以降に支払ういわゆる残債をすべてこれは前倒しによって支払い、二十二年度までに完済をするということを計画しておるものでございます。

 この中のどれかと言われますと、ちょっとこれは見通しにくいんですけれども、残債という形で例えば平成十七年度に三百十八億からある金額、これは最終的にだんだん減っていきまして、二十二年度は二百億まで減少するだろうと思っておるわけでございますが、これを十七年度末段階でまとめて表示をいたしますと、千五百億という残債額になるというふうに御理解賜りたいと存じます。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

高橋委員 今ちょっと説明していただきましたけれども、この残債が一千五百億ということで、長期にわたって返すべきものが、新しいオープンシステムになることによって圧縮したという形になると思うんですね。平成二十二年度までかけて千五百億円を返す。

 同時に、同じタームでオープンシステム構築経費というものがかかることになるわけですね。でこぼこと言うけれども、重なっているという状態が起こっております。それを担当の方にまとめていただいたものを資料の四枚目に書いておきました。オープンシステム構築経費と未償却額の返済。

 そこで、システムを刷新するんだから三五%程度運用コストが削減されるんだ、毎年八百五十億円かかるものが五百五十億円、三百億円節減だという説明をしております。この根拠を教えてください。

青柳政府参考人 システム最適化までの間にかかります大きなシステム経費は、大きく分けますと三種類ございます。

 一つは、先ほどお答えを申し上げました残債ということでございます。

 それからもう一つは、今委員から御指摘のございました、次期システムを開発するための経費がかかります。これは、二十二年度までの開発でいわばイニシャルコストがすべて終わり、二十三年度以降は、今度はこれがランニングコストに切りかわるという形になるわけでございます。

 一方、三点目といたしまして、既存のシステム、すなわち現在のシステムを運営するための経費。この中には、午前中の御質疑の中にもお尋ねがございましたように、平成十六年の年金制度改正に伴うところの制度改正関係経費でありますとか、あるいはその後の介護保険、医療保険の制度改正に係りますところの経費、そういったもろもろが含まれておるものがあるわけでございます。

 したがいまして、三百億円の節減になると申し上げる場合の比較は、既存システムで毎年かかっている八百五十億円からのオーダーの経費が、先ほど申し上げました新システムに切りかわり、二十三年以降のランニングコストで年間五百五十億円になる、八百五十億円が五百五十億円になるということで三百億円の節減ということでございまして、そういう意味では、二十二年度までに返済の終わる残債については、これはいわば別枠で申し上げているというふうに御理解賜りたいと存じます。

高橋委員 答えが説明を受けているのと全然違うわけですね。最初に私が指摘をしたように、随契で、当然言い値で経費がつり上がってきた、それは皆さんもこれまでも認めてきたことなわけですね。先ほどの答弁の中にも、一般競争入札にするんだというお話がありましたが、十六年度からと言っていたけれども、まだ実際はやられていない。そういうことで、競争入札にすることでのコストも一定削減になるんだという説明を受けています。

 つまり、裏を返せば、それだけの高い利用料を払ってきたということなわけですね。例えば、六十六の年金福祉施設を売却して得られたお金が約三百五十億円ということと比較しただけでも、いかに高いコストを払ってきたのかということは事実だと思うんですね。

 ただ、それとこれから先のことはどうなのか。つまり、今はオープン化するのはNTTデータと契約していた記録管理システムです。それから、先ほど来話題になっている基礎年金番号管理システム、これをオープン化するというんですが、もう一つございますね、年金給付システム、これは日立製作所と契約しています。では、これもこの後やっていくということになるんでしょうか。つまり、でこぼこと言いましたけれども、実際には、大体初期投資が払い終わったら、また新たな開発投資が始まるという形で、ずっとシステム経費が減らないということではありませんか。

青柳政府参考人 先ほど申し上げましたように、実はデータ通信サービス契約をしておりますのは、NTTデータとの関係、すなわち、今委員から御指摘のありました記録管理システム、それから基礎年金番号システムに関する開発経費の払い方でございます。したがいまして、今お話のありました高井戸でやっております年金給付システムについては、こういったデータ通信サービス契約という支払い方をしておりませんので、その限りにおいては、いわば残債という問題が生じないという事情がまず一つございます。

 加えまして、では、そういった年金給付システムについては今後どうなるのかというお尋ねが今のお尋ねの中にございました。

 これについては、私ども、確かに今回のレガシーシステムの見直しは、三鷹におけるシステムをまずは見直すということで進めさせていただきます。高井戸についても、現在のシステムを前提にした上でいわば効率化を図るという形で、より効率的なシステムに切りかえるということをやらせていただきますが、システムのベースのところ、本体そのものについては、第二弾として二十三年以降にまた本格的な見直しというものが必要になってくるというふうに現時点では見込んでおります。

高橋委員 ですから、結局、システム関連のお金というのは今後もかかっていくということでよろしいですね。もういいです。長い説明で時間がもったいないですから、そこは確認をしていきたいと思います。

 それで、今システムの話をしておりますけれども、例えばその運用業務、オペレーター、これももう既に外部委託になっていると聞いております。それを確認したいのと、これは随意契約なのでしょうか、委託先はどこなのでしょうか。お願いします。

青柳政府参考人 年金給付システムの運用業務の委託先は、日立公共システムサービス株式会社でございます。これは高井戸にあります給付システムです。それから、三鷹の方にあります記録管理システム及び基礎年金番号管理システムの運用業務の委託先は、株式会社NTTデータシステムサービスとなっております。

高橋委員 競争はありましたか。

青柳政府参考人 オペレーション業務は、従来は随意契約という形で今申し上げた会社と結んでおったわけでございますが、契約の透明性の確保、あるいはコスト削減を図るという観点から、十八年度におきましてシステムの運用業務の一部、これは著作権等の問題がなくて入札が可能なものということで、限定されるわけでございますが、一般競争入札を実施いたしました。

 結果的には、年金給付システムにおいては、日立公共システムサービスが落札、そして記録管理システム、基礎年金番号管理システムにおいては、入札不調ということになりましたので、株式会社NTTデータシステムと不落によるところの随意契約を締結せざるを得なかったというところでございます。

高橋委員 結局、競争しても競争相手がいなかった、そして今二つの随意契約を行っている会社の子会社にまたそれを委託しているという実態なんですね。ですから、こうして長い間やってきたことが、なかなか刷新につながらない、特定の会社を利することになっているのではないか。そのことによって保険料が浪費になったということは、もう否めない事実だと思うんですね。そういうことをしっかり反省されているのかということを一つ確認して、それで、大臣に最後に伺いたいと思うんです。

 今、こうした外部委託、市場化テストの前に既にこういう分野でもうやられております。民間委託できるものは外へといってどんどん切り分けが進んでいくと、本当に国庫が責任を持つ人件費の部分がますます小さくなって、いわゆる事務費ですから、事務費だ関連費だという形でどんどん外に出ていって、年金運営に国が責任を持っていますと胸を張って言えなくなるのじゃないかということがとても心配されますが、大臣、最後に一言。

柳澤国務大臣 この事務費あるいはそれに似通った内部管理事務経費は、片方が国庫負担、片方が保険料負担、こういう区分をするということを基本としているわけでございますが、これに基づけば、事業内容によって国庫負担の額と保険料負担の額が変わるという御指摘は、そのとおりでございます。

 そういうことですが、日本年金機構の発足に当たりましては、私ども、効率的、効果的な委託方法の工夫、その他の経費の節減努力等、各般の工夫を重ねまして、過度に保険料財源に負荷がかからないように努力をしていかなければならない、このように考えています。

高橋委員 時間が来ましたので、また次の機会にしたいと思います。終わります。

櫻田委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 我々の年金はどこに行ったんだと同窓会に行くと必ず言われますね。柳澤大臣に伺いたいんですが、私は、実は一九九九年、決算行政監視委員会、当時、原田昇左右先生が委員長だったときに、公的宿泊施設の点検ということを徹底的にやろうじゃないかと。グリーンピアがどうもこれは放漫だなということに着目をいたしまして、今検索したところ、十二回やっているんですね。グリーンピア事業について、これは国民の年金保険料を持ち出すことになってしまうんじゃないかという危惧を感じて、結局は持ち出すことになってしまったわけですけれども。

 基本的なことを伺います。

 グリーンピアは、年金の無駄遣いの象徴ということで大変有名になりました。年金の問題というとあのグリーンピアねというぐらいに有名になったんですが、これは社会保険庁の責任ですか、それとも厚生労働省のどこかの部局の責任でしょうか。

柳澤国務大臣 グリーンピアの事業というのは、年金の福祉施設ということで展開されたことは保坂委員御指摘のとおりです。

 これは、ちょっと申し上げますと、とかく日本語はあれですけれども、施設というのはハードを想像するんですが、この施設というのはソフトウエアも入っているというので、サービスが入っているというのは初めから前提になっているわけです。

 それはそれとして、このグリーンピアというのは現役還元ということで、それを推進する向きがありまして、結果において、本当に大変な損失を結果として生み出した。もちろん、実際に利用をしたという時期もありますので、それを勘案したときに、そのまま買ったときの費用から売ったときの収入を引くというものではありませんけれども、私の見るところでは、やはり相当な損失をそこに生じたということでございます。

 その責任は大いに感じまして、これから先はそういうことはしないということですが、これはどこに責任があるかといったら、やはり厚生労働省にあると言わざるを得ないと思います。

保坂(展)委員 どの部局にと聞いたんですが、これは厚生労働省年金局にあるんですね。

 年福、年金福祉事業団をつくりましたね。当時、これは昭和四十九年ですか、横田陽吉さんという年金局長が、このグリーンピアについて、一晩二晩ぐらいじゃだめだ、一カ月とか二カ月とかいわゆる中期滞在のための保養施設、ソ連のソチやヤルタ、こんなイメージで、こう答えているんですね。ところが、この答弁に立った横田年金局長は、七六年の総選挙で自民党から衆議院議員に立候補し、同氏の出身地である宮城県にグリーンピアを引っ張ってきた、ということでいっぱいできちゃったんですね。政治的につくられたという場面もございます。

 そこで、そういうふうにできて、大量の年金資金を使用してしまったグリーンピアが現在どうなっているかという問題です。

 これは、もう一点確認しますけれども、年金資金運用基金、ここが解散をして厚労省年金局が承継をしていると聞いています。年金基金が自治体に譲渡をした際に、十年間の転売禁止というルールを設けた意図はどこにあったんでしょうか。では、これは簡単に答えてください、意図。

渡辺政府参考人 お尋ねにつきましてお答え申し上げます。

 グリーンピアの譲渡につきましては、施設が年金資金を用いた資産であること、地域の活性化、雇用の確保等の役割ということを踏まえまして、施設を地域で有効に活用していただくという観点から、地元地方公共団体等への譲渡を優先する。譲渡後も、それまで同様、公共的用途に一定期間、十年間用いられることを条件に売却した、こういうことでございます。

保坂(展)委員 そこで、こちらの、四月十五日の朝日新聞に出ましたけれども、和歌山県にあるグリーンピア南紀というところが、今、譲渡をされたのはいいけれども、全く建設が進まない、こういう状況になっている。これは、香港ボアオという会社に賃貸借契約で貸した、こう言われていますけれども、どうやら二十数社から引き合いがあって、これは、実はボアオの蒋会長というのが中国の有力な実業家であるということで、平成十六年の一月二十三日に視察に来ているんですね。それ以後も、何社も、いろいろ事業プランなどを持ってきているんですね。

 ところが、これを公開競争入札によらずに、同社、この蒋会長とはパートナーである、最優先だということを、地元の有力政治家の紹介、二階氏でございますけれども、この紹介があったということで、公開競争入札をしない、こういう事情があったんでしょうか。これは厚労省年金局の方はどう把握していますか。

渡辺政府参考人 当時の年金資金運用基金からの譲渡の経緯でございますが、グリーンピア南紀の運営事業者を選定する過程におきまして、ボアオ以外の企業からの問い合わせなどがあった、二十数社程度あったという旨を那智勝浦町から聞き及んだことがございます。

 そういうことでございましたが、グリーンピア南紀の運営事業者となるためには、これは那智勝浦町と太地町と両方にまたがっておりますが、両町作成の利用計画及び事業計画に基づき施設を使用するということが譲渡の条件になりますので、譲渡といいますか、その施設を使用する条件になりますので、賃貸借契約上もそういうことになります。

 そういうことで、ボアオ以外の企業が、そういう条件ということに照らして、辞退された。ボアオのみが町のそうした利用計画、事業計画に沿った事業計画を提出し、その内容も、例えば、那智勝浦町、約三百ヘクタールの町域にある施設でございますが、すべてを利活用するという内容であったということから、那智勝浦町においてボアオは、年金資金運用基金に譲渡を受ける際に町としての利用計画、事業計画を提出しておりますが、当該計画に沿った事業を実現できる唯一の企業であるというふうに町として判断をし、町議会においてそうした契約を議決して、今日に及んでいるというふうに町の方からの説明を受けております。

保坂(展)委員 年金局長も、年金資金が大切な財産であると。これは国有地じゃないんですよ。年金の被保険者の共有財産ですよ、グリーンピアは。これを自治体に譲渡して、公共性、公益性のためにしっかり使いなさいよということで、もうわかっているわけですね、今。この香港ボアオが五十七億円総額の事業計画を出したけれども、進んでいますか、これは。進んでいないんじゃないですか。もう端的に言ってください。進んでいるのか進んでいないのか。

渡辺政府参考人 先ほど申し上げましたように、二つの町に譲渡されたものでございます。既に進んでいる部分、それから、なおこれからという部分両方ございます。施設のうち、テニスコート、多目的ホールなどにつきましては、既に地元の方々の供用が開始されておりますが、それ以外の部分につきまして、しっかり供用が開始されるよう、準備されるよう、両町と密接に連絡をとっておるところでございます。

保坂(展)委員 ごまかしちゃだめですよ、これは。太地町の方と那智勝浦とあって、山側が那智勝浦なんですよね、太地町は海側なんです。だから、本来、両方を取得しなければ、このボアオも開発できないんです。ところが、太地町は契約していないんですよ。だから、今の答弁はむちゃくちゃなんですよ。

 では、那智勝浦町で今一体何が起こっているのかというのを、これは最近の写真ですね、お配りしていますが、これを見てくださいよ。これは山里センターという中央部、これは那智勝浦部分にある。これは公衆トイレなんですよ。公衆トイレと、あと事務室みたいなものがあるあずまやですね。ここに四月の中旬に突然ユンボが入って、これは鳥獣保護区に県で指定されているらしいんですが、写真を見る限り、木をなぎ倒して何か変な工事をしたとしか思えないんですが、これが唯一、今年金局長が言った進んでいる事態なんですよ。現状が変更されたのはこれだけなんです。五十七億円どころか、これだけです。よろしいですか。

 しかも、那智勝浦町がボアオからとったこの設計図を見ると、これはどう見てもゲストハウスじゃないんです。洋室が四つあるんです。リビングがあって、子供室があって、子供室には何と朝シャンとかができるようにシャワー室があったり、書斎があったり、主寝室があったり、これは相当のお金持ちの別荘の様式だろうと建築士の方は言っていますよ。しかも、これは、年金局長、いいですか、この洋室のA、Bというのは公衆トイレの跡なんだよ、これは。そんなところにわざわざ超豪華高級施設のゲストハウスをつくりますか。感想を。

渡辺政府参考人 先ほどかいつまんで申し上げましたが、太地町にまたがる部分につきましても、五月十四日付で賃貸借契約の締結が終わっておりまして、そうした宿泊施設部門についての計画の進行について、これからスタートするというふうに承っております。

 それから、キャンプ場及びコテージ等につきましては、那智勝浦町からボアオへの賃貸借契約締結済みで、今お触れになりましたゲストハウスの建設作業用道路新設等について、事業者が説明会を開催、実施についての調整に入ったというふうに承知しております。

保坂(展)委員 政治的な意図によってつくられたグリーンピアが、国民の年金保険料の、まさに我々の年金はどこへ行ったんだという一部はグリーンピアに行っているわけでありまして、この売却、そして事業を民間に任せるという契約が、これは経済産業大臣の大臣応接室で締結されたというのは本当ですか、那智勝浦町とこのボアオの契約が。本当ですか、これは。局長。

渡辺政府参考人 那智勝浦町と一民間企業との契約ということでございますので、性質として、私どもがそれを現認する立場にも、報告を聴取する立場にもございませんが、昨年来、いろいろな経緯の中で、私どもが那智勝浦町から聞き及んだお話で申し上げますと、経済産業省の大臣室ではなくて大臣応接室となるそうでございますが、その応接室を借りて那智勝浦町とその企業との契約締結が行われた、大臣の同席はなかったという旨聞いております。

保坂(展)委員 これは、普通は、那智勝浦町の役場にその業者の方に来ていただいて締結するのが普通じゃないですか、柳澤大臣。どうですか、これは。こんなことがありますか。柳澤大臣も閣僚経験が長いけれども、大臣応接室で何か知っている業者を紹介して、契約書を締結したことなんかありますか。

柳澤国務大臣 それぞれの大臣の御判断によるのでしょうけれども、私はそういう経験を持っておりません。

保坂(展)委員 普通はないと思いますね、これは。

 しかも、これは急いで契約をしているんです、柳澤大臣。最初は、この契約書が作成された時点では、KS・ボアオという関西の会社だったんですね。そして、いざ契約の段になると、香港ボアオというふうに変わるんです。そして、この香港ボアオで契約を締結するんですが、これはブルー・オーシャン・アジアン・オペレーション・リミテッド、当て字でボアオになるようにこうした、その名前が間違ったんですね。これはオペレーションじゃなくてオリエンテーションでしたと。同じOで始まりますけれども、ということで変更の手続までしている。そして、一億三千万円の支払いを受けているときに、那智勝浦町の方は、香港ボアオというのは蒋会長のグループの中心的な企業だ、こう言っていたんですが、実は直前に設立されたペーパーカンパニーだったということを町自身が認めているんですよ、那智勝浦町自身が。ペーパーカンパニーなんですよ、こんなものは。

 しかも、いいですか、一億三千万の後、年間三百万払っていく、その払っていく、今度、払う主体が南紀ボアオという会社にまた変更されているんですね。こんなにころころ、実体のない会社。しかも、五十七億円という大変な資金を持っているのかどうなのか、そういうことも非常に疑問ですね。一年半、今、写真で示した工事しかやっていない。

 大臣、どう思いますか、これは。

柳澤国務大臣 私が報告を受けている点で申し上げますと、これはやはり、太地町の土地がなければいろいろな事業展開もできない。しかし、太地町との間が、先ほど局長の方から御報告、御説明させていただきましたように、本年の五月に至って、ようやくその間の契約が勝浦町との間でできたというようなことで、なかなかそこのところは時間がかかっているというふうに報告を受けております。

保坂(展)委員 柳澤大臣、御専門ですから、この私の配った資料の写真の裏側を見てください。

 これは那智勝浦町の町議会の資料なんですが、どうやってこの賃料を設定したか。税額相当分を全部合算して、なぜか一三%割り引いているんですね。そして、そこから、大きな施設をいっぱいつくってくれるからという理由なんでしょうか、二分の一に減額をしています。さらに、一億円以上一括で払ってくれるからということで、また十年を五年分に圧縮しているんですね。そして、切りのいいようにとまた数字をそろえたりしている。

 こういう賃料の設定の仕方というのはありますか、これは。厚生労働省年金局だって疑問を持つんじゃないですか、これは。柳澤大臣、見てどう思いますか。

櫻田委員長 渡辺年金局長。それから聞きますから。

渡辺政府参考人 年金局もという御指名もありましたし、委員長から御指名がありましたので、簡単に申し上げます。

 賃料一億六千万は当該物件の不動産評価額を基礎として設定されたものと承知しておりますが、そういうことですが、どのように賃料を設定して契約をするのかというのは、基本的には地方自治体たる町がきちっと相手との間で判断するものと考えております。

柳澤国務大臣 要するに、賃貸借契約によりましてその間の賃料というものがこの売却価格の相当額になるということで、賃料設定が行われるというようなことは、これはほかの例でもあるんではないかな、このように考えております。

保坂(展)委員 そんなこと聞いてないですよ。こういうのを見たことがありますかと聞いているんですよ。大臣もいろいろな書類を今まで目にしてきたと思います。賃料の設定のときにこういう計算の仕方を見たことがありますか。

柳澤国務大臣 ちょっと私も大変恐縮ですけれども、この数表を見せていただきましてすぐに感想を思い浮かべるということはなかなか困難でございまして、恐縮ですが、よりまたいろいろ御説明を伺うなりすれば私なりの感想が持てるかもしれません。

保坂(展)委員 年金の保険料で百二十二億円かけて取得されたところをペーパーカンパニーに売っている。そして一年半、工事はやぶから棒な、ちょっと山を削ったような工事しか進んでいない。そして、五十七億円の投資というのは、これは本当に可能なんですか。これは那智勝浦町が確かに結んだ契約でしょう。太地町も結んだと今言いましたよね。では、基金や国はこの香港ボアオ、これはペーパーカンパニーです。いろいろなボアオとついている会社はありますけれども。一人か二人か三人か、余りそんなに大勢でやっている会社ではないんですね、これは。しかも、契約書にはこの蒋グループの蒋さんというサインがあるだけですよ、契約書の中に。大臣、こっちを向いてください。サインしているだけなんですよ、本人が。判こも何もない。問題は、これだけのいわば大ぶろしきを広げて那智勝浦町の町民も町議会も夢を見て、そして契約を結んだんでしょう。しかし、本当にこれは大丈夫なのかという調査をしろと、基金や国はきちっとアドバイスをし、指導する責任があったんじゃないですか、大臣、どうですか。

柳澤国務大臣 私どもの条件、公共的目的に使う、それも十年間やってくれ、こういうことで、その他の私どもの条件が満たされるということについては、私ども、これはその時々に報告を徴する等してこれを監督しなければならない、このように思っておりますが、そういうことが実現されるならば、これに対して私どもとして何か物を言わなきゃならないという立場ではない、このように思います。

保坂(展)委員 違いますよ、大臣。今、私、説明しました。これは、契約の直前に香港ボアオというのは設立されたペーパーカンパニーなんですよ、実体のない。その契約をそれでいいとするんですか。年金のこの施設を預かって、公共性、公益性にしっかり役立てるために転売禁止規定をかけているんでしょう。十年貸すといったって、十年後には無償譲渡される契約になっているんですよ、これは。とすれば、ペーパーカンパニーで、実体のない会社で大丈夫なのかと基金や国は調査を求めるべきじゃないですか。那智勝浦町が困っていたら、アドバイスし、一緒に調べるべきじゃないですか。

渡辺政府参考人 契約を締結いたしました旧年金資金運用基金の契約上の地位というものを国が承継するということで、私ども年金局の方で、当該契約が履行されますように、今は、その施設、土地の所有をされておられる自治体がみずから提出した利用計画に沿ってうまくいくように努力しているかという点について、定期的に現場の報告を受け、そして時としては指導をするということで臨んできております。

 ややおくれて今日に至っている本件でございますが、町の方も、これまでの計画を聞く等々しながら、これからさまざまな工夫をして何とかこれを実現したいということを、私ども、報告を受けておりますので、そこを信じて引き続き報告を受けてまいりたいと思っております。

保坂(展)委員 いいですか。年金局長のその答弁だと、ペーパーカンパニーでも構わない、こういうことですよ。これだけグリーンピアで不始末して、大切な年金保険料を使って、ペーパーカンパニーでもいいと言えるんですか、大臣。そこだけ答えてくださいよ。

 ペーパーカンパニーでもいいんですね、国は。それで構わないんですね。今局長はそう言っているんですよ。大臣ですよ、だめだ、大臣、大臣。

櫻田委員長 渡辺年金局長。それから大臣にお願いします。

渡辺政府参考人 地方自治体が地方自治体としての判断で第三者との契約を結んだものでございます。私どもは、地方自治体としての責任のもとに行われたものという前提で臨んでおります。

保坂(展)委員 大臣、政治家としてこの答弁を認めちゃいけないんですよ。これで間違ってきたんですから、年金局は。

 だから、ペーパーカンパニーだった、実体のない会社だった、これはいけないの。これは公益性から外れてしまうんですよ。だから、大臣に聞きたい。ペーパーカンパニーではいけないんですよ。いいんですか。イエスかノーか、どっちか言ってください。

柳澤国務大臣 保坂委員がペーパーカンパニーという意味でどういうことを意味しているかということですが、このごろの会社というのは、事業を何か行っている会社だけではなくて、投資会社のような形、ファンドであるとか組合であるとか、そういうようなことでございますと、それは本当に人的な、それもかなり少数のような形態をとる会社もあるということでございますので、何か実業をしたりしていない会社以外は信頼できないというような、これは一般論ですよ、一般論ですが、そういう考え方は私は必ずしも現在の実業界の、産業界の状況からすると、そう簡単には断定するわけにはいかないと思います。

 ただ、本件については、私どもも、よくこれからその推移を監視、監督していかなければならない、このように考えます。

保坂(展)委員 もう時間ですから、大臣、一問だけ答えてくださいよ。

 この設計図をお見せしますけれども、便所の跡ですよ、これは便所の跡、洋室。そんなところへ泊まりますか、普通、賓客が。超高級ゲストハウスですよ、これは。公衆トイレの跡ですよ。そんなものをつくって……

櫻田委員長 保坂展人君に申し上げます。

 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力願います。

保坂(展)委員 わかりましたから、もうこれで終わりますから、はい、あと一問。

 こういうものをつくっていて、一年半も放置している。しかも、ペーパーカンパニーだけれども信じてみたいということですか。それだけ言って。

柳澤国務大臣 私どもは、このグリーンピアを勝浦町に売るに当たって条件を付しているわけでございまして、この条件がしっかりと遵守されるということについては、先ほど局長からも申したように、定期的な報告を徴し、そしてこの確保に取り組んでいく、努めていくというのが私どもの立場でございます。

櫻田委員長 次回は、来る二十二日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十分散会


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