衆議院

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第31号 平成19年6月15日(金曜日)

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平成十九年六月十五日(金曜日)

    午前九時三十三分開議

 出席委員

   委員長 櫻田 義孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 鴨下 一郎君

   理事 谷畑  孝君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井上 信治君

      飯島 夕雁君    石崎  岳君

      加藤 勝信君    金子 恭之君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木村 義雄君    岸田 文雄君

      北村 茂男君    木挽  司君

      清水鴻一郎君    菅原 一秀君

      杉村 太蔵君    関  芳弘君

      高木  毅君    高鳥 修一君

      戸井田とおる君    冨岡  勉君

      西川 京子君    林   潤君

      原田 令嗣君    福岡 資麿君

      松本  純君    松本 洋平君

      内山  晃君    大島  敦君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      園田 康博君    田名部匡代君

      筒井 信隆君    細川 律夫君

      柚木 道義君    伊藤  渉君

      坂口  力君    東  順治君

      古屋 範子君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   参議院厚生労働委員長   鶴保 庸介君

   参議院議員        西島 英利君

   参議院議員        櫻井  充君

   参議院議員        渡辺 孝男君

   参議院議員        小池  晃君

   参議院議員        津田弥太郎君

   厚生労働大臣       柳澤 伯夫君

   厚生労働副大臣      石田 祝稔君

   厚生労働大臣政務官    菅原 一秀君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     寺村  映君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  松谷有希雄君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    村瀬 清司君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   政府参考人

   (国土交通省航空局技術部長)           谷  寧久君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十五日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     飯島 夕雁君

  木村 義雄君     金子 恭之君

  長崎幸太郎君     関  芳弘君

  松野 博一君     高木  毅君

  坂口  力君     東  順治君

  古屋 範子君     伊藤  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     井上 信治君

  金子 恭之君     木村 義雄君

  関  芳弘君     北村 茂男君

  高木  毅君     木挽  司君

  伊藤  渉君     古屋 範子君

  東  順治君     坂口  力君

同日

 辞任         補欠選任

  北村 茂男君     長崎幸太郎君

  木挽  司君     松野 博一君

    ―――――――――――――

六月十五日

 高齢期を生き生きと安心して暮らせる住まいと介護保障を求めることに関する請願(菊田真紀子君紹介)(第二〇五四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二一四五号)

 同(山井和則君紹介)(第二一四六号)

 安全・安心の医療と看護の実現を求める医療従事者の増員に関する請願(馳浩君紹介)(第二〇五五号)

 同(原口一博君紹介)(第二〇五六号)

 同(石井郁子君紹介)(第二〇九五号)

 同(萩原誠司君紹介)(第二〇九六号)

 同(綿貫民輔君紹介)(第二〇九七号)

 同(江藤拓君紹介)(第二一二八号)

 同(小川淳也君紹介)(第二一二九号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第二一三〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二一三一号)

 同(平野博文君紹介)(第二一三二号)

 同(松浪健太君紹介)(第二一三三号)

 同(山井和則君紹介)(第二一三四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二一六一号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二一六二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二一六三号)

 同(寺田稔君紹介)(第二一六四号)

 難病、長期慢性疾患、小児慢性疾患に対する総合的対策の早期実現を求めることに関する請願(坂口力君紹介)(第二〇五七号)

 同(中井洽君紹介)(第二〇五八号)

 同(馳浩君紹介)(第二〇五九号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第二〇六〇号)

 同(原口一博君紹介)(第二〇六一号)

 同(石井郁子君紹介)(第二〇九八号)

 同(大串博志君紹介)(第二〇九九号)

 同(川端達夫君紹介)(第二一〇〇号)

 同(松浪健太君紹介)(第二一三五号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二一六五号)

 新・腎疾患対策の早期確立に関する請願(寺田稔君紹介)(第二〇六二号)

 同(大串博志君紹介)(第二一〇一号)

 マッサージ診療報酬・個別機能訓練加算の適正な引き上げを求めることに関する請願(田名部匡代君紹介)(第二〇六三号)

 同(松本洋平君紹介)(第二一〇二号)

 同(福島豊君紹介)(第二一三六号)

 ウイルス肝炎総合対策の推進を求めることに関する請願(坂口力君紹介)(第二〇六四号)

 同(笹川堯君紹介)(第二〇六五号)

 同(冨岡勉君紹介)(第二〇六六号)

 同(福島豊君紹介)(第二一三七号)

 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(石井啓一君紹介)(第二〇六七号)

 同(遠藤乙彦君紹介)(第二〇六八号)

 同(岡部英明君紹介)(第二〇六九号)

 同(黄川田徹君紹介)(第二〇七〇号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第二〇七一号)

 同(坂口力君紹介)(第二〇七二号)

 同(末松義規君紹介)(第二〇七三号)

 同(冨岡勉君紹介)(第二〇七四号)

 同(中井洽君紹介)(第二〇七五号)

 同(中野正志君紹介)(第二〇七六号)

 同(長島昭久君紹介)(第二〇七七号)

 同(野田毅君紹介)(第二〇七八号)

 同(馳浩君紹介)(第二〇七九号)

 同(原口一博君紹介)(第二〇八〇号)

 同(森英介君紹介)(第二〇八一号)

 同(石井郁子君紹介)(第二一〇四号)

 同(川端達夫君紹介)(第二一〇五号)

 同(河本三郎君紹介)(第二一〇六号)

 同(園田博之君紹介)(第二一〇七号)

 同(伴野豊君紹介)(第二一〇八号)

 同(渡辺周君紹介)(第二一〇九号)

 同(江崎洋一郎君紹介)(第二一三八号)

 同(とかしきなおみ君紹介)(第二一三九号)

 同(永岡桂子君紹介)(第二一四〇号)

 同(葉梨康弘君紹介)(第二一四一号)

 同(平野博文君紹介)(第二一四二号)

 同(福島豊君紹介)(第二一四三号)

 同(安住淳君紹介)(第二一七五号)

 同(愛知和男君紹介)(第二一七六号)

 同(川内博史君紹介)(第二一七七号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二一七八号)

 同(七条明君紹介)(第二一七九号)

 同(二田孝治君紹介)(第二一八〇号)

 てんかんのある人の医療と福祉の向上に関する請願(坂口力君紹介)(第二〇八二号)

 同(田名部匡代君紹介)(第二〇八三号)

 同(阿部知子君紹介)(第二一一〇号)

 同(福島豊君紹介)(第二一四四号)

 潰瘍性大腸炎・パーキンソン病の医療費公費助成適用範囲見直しの撤回及び難病対策予算増額等に関する請願(岸田文雄君紹介)(第二〇九三号)

 パーキンソン病の療養生活の向上に関する請願(二階俊博君紹介)(第二〇九四号)

 労働法制の拡充に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二一〇三号)

 療養病床の廃止・削減、リハビリテーション日数制限の方針見直しと医師・看護師の増員を求めることに関する請願(山井和則君紹介)(第二一二二号)

 保育・学童保育・子育て支援施策の拡充等に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二一二三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二一二四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二一二五号)

 高齢者への社会保障の拡充を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二一二六号)

 出産費用等の軽減を求めることに関する請願(石井郁子君紹介)(第二一二七号)

 産む側の意見を取り入れ、地域の実情に合ったお産環境の整備を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第二一五九号)

 療養病床の廃止・削減と患者負担増の中止等を求めることに関する請願(石井郁子君紹介)(第二一六〇号)

 障害者の福祉・医療サービスの利用に対する定率(応益)負担の中止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一六六号)

 同(石井郁子君紹介)(第二一六七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二一六八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一六九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二一七〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二一七一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二一七二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二一七三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二一七四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案(内閣提出第八六号)(参議院送付)

 救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法案(参議院提出、参法第三号)

 社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八七号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

櫻田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、去る十三日に終了いたしております。

 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

櫻田委員長 起立総員。よって、本案は可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

櫻田委員長 次に、参議院提出、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として消防庁審議官寺村映君、厚生労働省医政局長松谷有希雄君、保険局長水田邦雄君、社会保険庁長官村瀬清司君、社会保険庁運営部長青柳親房君、国土交通省航空局技術部長谷寧久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法案、いわゆるドクターヘリ特別措置法案につきまして質問してまいります。

 ドクターヘリは、医師や看護師が搭乗して現場に駆けつけ、即座に医療を開始することができます。半径五十キロ圏内ならば十五分で現場に駆けつけ、即座に治療に当たる救命救急システムで、空飛ぶ救命室とも呼ばれ、救命率を高めることができると大いに期待をされております。

 公明党は、平成十七年のマニフェストにドクターヘリの全国展開を図ると明記いたしまして、党内に渡辺参議院議員を座長とするプロジェクトチームを設置し、昨年七月には、ドクターヘリ救急医療の提供に係る体制の整備の推進に関する法制化についての骨子を発表するなど、先頭に立ちまして全国配備に向け法制化を推進してまいりました。さらに、先ごろ、「命のマニフェスト」を発表いたし、その第一番目に、ドクターヘリの五年間で五十カ所全国配備を推進するとの項目を掲げております。

 私も、党ドクターヘリ全国配備プロジェクト事務局次長といたしまして活動してまいりました。二〇〇四年十二月には、愛知県伊勢湾岸自動車道開通前の高速道路上に、警察、消防、病院、関係者など集合いたしまして、大規模な高速道路上での事故を想定いたしまして、実際にヘリを高速道路の上におろしまして、そこから患者を搬送するという訓練にも行ってまいりました。その様子を目の当たりにいたしまして、このドクターヘリの機動力というものを実感しているところでございます。このたび各党の皆様の賛同を得まして本法案が提出されましたことを大変に喜ばしく思っております。

 ドクターヘリは、医師と看護師が搭乗するため、重症化を避けられる、病院に行くまでの時間が非常に短くて済む可能性が高まるなど、迅速な治療による救命率の向上が望めます。また、交通事故や災害発生地での実効性ある救急医療の確保、さらに医師不足問題の改善にも貢献できるなど、ドクターヘリを活用すれば専門の病院への迅速な搬送ができるため、適切な治療を受ける選択肢が広がっていくことが考えられます。

 そこで初めに、ドクターヘリの利点と本法案提出の意義につきまして、提出者にお伺いいたします。

渡辺(孝)参議院議員 古屋委員にお答えいたします。

 まず最初に、ドクターヘリの利点についてでありますが、一般に、重篤な救急患者であればあるほど、医師による早期の治療の開始がもたらす救命または後遺症の軽減効果が大きいと言われているところであります。

 救急医療用ヘリコプター、いわゆるドクターヘリは、事故、急病や災害等の発生時に、消防機関、医療機関等からの要請に対し、医師等がこれに搭乗し速やかに救急現場等に出動することができるわけであります。そして、搬送時間の短縮のみならず、救急医療に精通した医師が救急現場等から直ちに救急医療を開始し、高度な医療機関に至るまで連続的に必要な医療を行うことができること、また、救命率の向上や後遺症の軽減等に顕著な実績を上げているものであります。この点で、医師が搭乗せず、あるいは医師を搭乗させるために時間を要する他のヘリコプターとは異なるものであります。

 ちなみに、平成十七年度厚生労働科学研究によりますと、交通事故負傷者に的を絞り検討した結果では、ドクターヘリの事業効果について、医師の治療開始時間は従来の救急車の搬送と比較しまして二十七分短縮する、それから、交通事故死亡者は三九%、重度後遺症は一三%削減された、そういう報告がございます。

 次に、法案制定の意義でありますけれども、政府は、平成十三年度よりドクターヘリ導入促進事業として、負担割合を国及び都道府県それぞれ二分の一とし、基準額を一カ所当たり年間約一億七千万円とする補助事業を実施することにより、ドクターヘリ導入を進めております。しかし、現在、十道県十一機が運航するにとどまり、全国的に配備するには至っておりません。

 そこで、この法律案は、このような現状を踏まえ、救急医療用ヘリコプターを、地域の実情を踏まえつつ全国的に整備するという施策の目標を明確にし、その施策において留意すべき事項等を定めること、それから、救急医療用ヘリコプターによる救急医療の提供に関する費用に関し、必要な措置を定めること等により、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の全国的な確保を図るものであります。

 また、法律が制定されることにより、救急医療用ヘリコプターの有効性が広く国民に知られるようになることも期待をしているものであります。

 以上でございます。

古屋(範)委員 今、提出者渡辺孝男参議院議員より御説明いただきましたように、交通事故における場合も病院の搬送時間が短縮をされる、あるいは死亡率も大きく削減をされていくというこのドクターヘリ、法制化の意義は非常に大きいというふうに考えております。

 次に、大臣にお伺いいたします。

 私も、ドクターヘリを利用すれば、救命救急センターから遠い場所でもし事故が起きても、すぐにその場で治療が開始できるということで、救急車に比べて救命率が高い、そして、事故、病気の重症化を防げる、患者の入院日数を大幅に短縮できるなどメリットも多く、地域間の医療格差の解消にもつながると考えております。

 そこで、本法案の最大のポイントですが、公明党が主張し、本法案の目的に明記された、「良質かつ適切な救急医療を効率的に提供する体制の確保」であると考えます。現在、医師の偏在などで医療の格差が問題となっております。救急医療も例外ではございません。特に、地方、過疎地では十分な救急医療を受けることが難しい現状にございます。こうした状況を改善するためにも、良質かつ適切な救急医療を効率的に提供する体制の確立が欠かせない、このように考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

柳澤国務大臣 医療の供給体制につきましては、地域間に格差があるということはたびたび御指摘を受けておりまして、私どもも、そうした傾向が見られるということについては、これを強く認識をして取り組んでいるところでございます。

 救急医療体制につきましても、そうした懸念がないように、ぜひ救急医療体制の確保に努めろという御指摘でございます。救急医療体制につきましては、現在におきましては、都道府県がその地域の実情を踏まえまして、それぞれが定める医療計画において、初期の救急医療、二次の救急医療、三次の救急医療というように、順次高次のところに行くということで、体系的な整備を行っているところでございます。

 先般の医療法改正におきまして、今回、医療計画をまた定めるということになっておりますが、救急医療というのは、四疾病五事業を重視するということの中で、五事業の一つというふうに重点的に位置づけることにいたしておりまして、国としても、医療提供体制の確保に関する基本方針、それからまた、計画策定に当たっての指針等を示して、またこれから示そうとしている、こういう状況にございます。

 今年度の予算においても、救急医療体制の充実に関する必要な予算を確保いたしておりますけれども、御指摘のように、都市、地方間の医療格差が生ずることのないよう、引き続き、計画さらには予算面、こうしたものでしっかりした取り組みを支援してまいりたい、このように考えます。

古屋(範)委員 地方における救急医療体制の拡充のためにも、このドクターヘリの配備を強く求めてまいりたいというふうに考えております。

 次に、副大臣にお伺いいたします。

 現在、ドクターヘリ、全国の十道県の救命救急センターなどに合計十一機配備をされております。一機当たりの維持管理費として約二億円、一部を除き、国と各県が折半をすることとなっております。しかしながら、実際に導入する都道府県が財政的に大変厳しいために、導入したくてもできない、ドクターヘリは大変有効だが、なかなか導入できないという自治体が数多くあるのが現状であります。このため、本法案では、基金による助成を新たに設け、自治体の導入へと大きく道を開くこととなったわけでございます。

 さらに、本法案の第八条二項におきまして、「国は、予算の範囲内において、都道府県に対し、政令で定めるところにより、都道府県が前項の規定により補助する費用の一部を補助することができる。」と明記をされました。

 そこで、財政事情の厳しい自治体、地域への支援を促すために、ドクターヘリの全国配備が可能となるよう、国としても十二分な財政支援、財政措置を拡充すべきと考えますが、石田副大臣のお考えをお伺いいたします。

石田副大臣 今、大臣からもお話がありましたように、都市と地方間の医療格差が生じることがないように、引き続き、都道府県の取り組みを支援してまいりたい、大臣からもこのように御答弁があったところでございます。

 厚生労働省といたしまして、これまでも、ドクターヘリの導入促進が図られるよう、都道府県に対しまして財政面において支援をしてきたところでございます。具体的には、ドクターヘリの運航や搭乗する医師の人件費など、都道府県が負担する費用について、これは、一機当たり年間総額約一億七千万円を上限として、国が二分の一の補助をしてきているところでございます。

 本法律案成立後も、各都道府県の実情に応じて、複数の県をカバーする広域搬送体制の構築、消防防災ヘリの活用等に関する助言等も行いながら、必要な関係予算の確保に努めてまいりたいと思っております。

 御指摘のように、本法案の第八条の二項に、予算の範囲内において、政令の定めるところにより、費用の一部を補助する、こういうことも書かれておりますので、この点につきましてもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 全国の都道府県での導入が一刻でも早く整いますよう、国としての支援を何とぞよろしくお願いいたします。強く要望しておきたいと思います。

 時間ですので最後になりますが、人材確保ということで、フライイングドクター、フライイングナースの育成につきまして、厚労省のお考えを伺いたいと思います。

松谷政府参考人 ドクターヘリの搭乗には、一般的に、救急医療の専門医や救急医療での経験が豊富な看護師等が当たっているものと承知しておりますけれども、基本的には、ドクターヘリ事業を担う各病院の運航要領等によってこれが定められているというものでございます。

 現在、学会等を中心といたしまして、医師や看護師等を対象としたドクターヘリの講習会が実施されているという状況でございまして、厚生労働省といたしましても、必要に応じてこれらの活動を支援していきたいと思っております。

古屋(範)委員 こうしたドクターヘリに搭乗する医師また看護師の養成というものも、しっかりと今後行っていかなければならない、このように考えております。

 一刻も早く全国都道府県で本格的にこのドクターヘリが導入できますよう、公明党といたしましても、マニフェストに五年間で五十機の全国配備ということを掲げております。本法案が早期に成立をし、そして全国に国民の命を救うドクターヘリが配備されることを強く求めまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。

 ただいま議題となっております救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法案ということで、本日は、久しぶりと言ってもいいのかもしれませんが、与野党合意の上での、職権でない委員会となったということで、私も、この法案についてしっかりと質問をさせていただきながら、これは与野党超えての、全国民の医療提供体制全体の話であろうというふうに思っておるところでございますので、大臣の御所見も最後に伺わせていただきながら、このドクターヘリだけではなくて、これからの医療提供体制全体のいわば配備状況、整備状況というものを国会議員すべてそろってつくり上げてまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 そして、一点だけちょっと触れさせていただきたいんですが、私、社会保険庁の方も急遽ちょっとお呼びをさせていただきまして、年金記録の不一致、厚生年金の代行返上についての関係が少し出てきたということで、これは質問通告しておりませんでしたが、今、後ろで準備をいただいているということでありますので、後ほど、その感想、御所見も大臣にお伺いをしたいと思っております。年金問題に関しては、この間、日がわりのようにさまざまな数字が出てきてしまっているということからすれば、この問題も看過できないところもありますので、大臣、ぜひその点を明確にしていただければなというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 それでは、救急医療のヘリコプターを用いたこの特別措置法について、きょうは、参議院の委員長初め参議院の提出者の方々にもおいでをいただいております。まず、このドクターヘリの必要性というものは、これまで当委員会でも、何人かの委員によって取りざたされ、そして議論をさせていただいた経緯もございました。このドクターヘリも含めて、医療提供体制、救急医療の重要性というものが指摘をされていた。昨年の医療制度改革の法案の審議の中でも、民主党からも、その必要性についての議論もさせていただいたものでございました。

 ところが、平成十三年からこの施行事業が始まったにもかかわらず、全国配備というものは、当初の計画からすればなかなかうまくいっていないという状況がございました。それに端を発して、議員立法という形で出てきたのであろうというふうに思っておりますけれども、まず、法案提出者にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 このドクターヘリの全国配備が当初の計画からすればなかなか思うようにいっていないという原因といいますか要因について、この法案を作成するに至ってどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。

渡辺(孝)参議院議員 園田委員にお答えをいたします。

 ドクターヘリは、事故あるいは急病や災害等の発生時に、消防機関、医療機関等からの要請に対し、医師等がヘリコプターに搭乗して速やかに救急現場等に出動することができ、搬送時間の短縮のみならず、救急医療に精通した医師が、救急現場等から直ちに救命医療を開始し、高度な救急医療機関に至るまで連続的に必要な医療を行うことにより、救命率の向上あるいは後遺症の軽減に顕著な実績を上げているところであります。しかしながら、現在、十道県十一機が運航するにとどまっており、全国的に配備されるには至っていないのは御指摘のとおりでございます。

 これについては、幾つかの原因があるものと考えられます。第一に、救急医療用ヘリコプターを全国的に配備するという施策の目標が明確になっていないということ、第二に、救急医療用ヘリコプターによる救急医療の提供に要する費用が、厚生労働省のドクターヘリ導入促進事業によりますと、一カ所当たり都道府県の負担額が約八千五百万円と高額であること、それから第三に、救急医療用ヘリコプターの有効性がこれまで十分に知られていなかったことがあると考えております。

 そこで、この法律案は、このような救急医療用ヘリコプターの救命や後遺症の軽減の顕著な効果にかんがみて、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の全国的な確保を図るための特別の措置を講ずるものであります。また、法律が制定されることにより、救急医療用のヘリコプターの有効性というものが広く知られるようになることも期待をしているところでございます。

園田(康)委員 今、理由としてるるお話をいただいたわけでありますけれども、やはり財政的な面が大きな理由になってくるのかなというふうに思っておるところでございます。

 それに対して、今般のこの法律案につきましては、病院の開設者に対して費用を助成金という形で充てることができるというふうになっているわけであります。それに際しては、非営利法人、NPO法人等でありますけれども、これが基金を募って、これはドイツの例にも見られているかなというふうに私も理解をさせていただいておりますけれども、こういった助成金の交付事業を行うというふうに理解をさせていただいたわけでございます。

 まず、この交付事業に関して、今後もしNPO法人が基金を募ったならば、どのような基準をもってそれを病院等に、開設者に対して助成していくのかというところまで何か基準的なものがあれば、お聞かせをいただければなというふうに思っております。

櫻井(充)参議院議員 園田議員にお答えいたします。

 現在、国、地方自治体で補助金を出すというスキームがございますが、地方の財政が極めて厳しい中、民間のお金を有用したいということで、今回、九条に、資金を助成できる、そういう仕組みをつくらせていただきました。

 そこの中で、今委員からお尋ねがありました、どういう基準で病院開設者に対して助成するのかということですが、まだ詳細は固まっておりません。ただし、はっきりしていることは、三次救急を行えて、なおかつヘリポートを持っているところでないと難しいと現時点では思っておりまして、現在、百二十六の施設がヘリポートを持っておりますから、そういった病院を念頭に置いております。

 ただし、問題は、福島県であるとかそれから大分県のように、ヘリポートをまだきちんとつくっていない、そういった地域もございますので、そういったところの地域に対しての整備を早いうちに進めていかなければいけないのではないかというふうに考えております。

 もう一方、本当に寄附が集まるのかどうかということ、この点についても大きな問題だと思っておりまして、これは、法律が成立した後、寄附をした個人もしくは企業に対しての優遇税制等の措置を検討していかなければいけないのではないか、そのように考えております。

 以上でございます。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 確かに、ヘリポートの所有、これは救命救急センターの百二十六施設というふうに理解をさせていただきますけれども、そこにまだヘリポート等が所有されていないというところがあるのかな、私も、その点は、整備の必要性というものを共有させていただきたいというふうに思っております。

 そしてまた、この法案の目的のところにあったわけでありますが、ドクターヘリを用いた救急医療の全国的な確保を図るというふうに先ほどもおっしゃっていただいたわけであります。

 私も、このドクターヘリの配備状況を見させていただきまして、きょうは消防庁さんにも来ていただいているわけでありますけれども、消防防災ヘリの全国展開、整備状況というものは委員の皆様方にもお配りをさせていただいておるわけでありますが、それにかんがみますと、まだまだ偏っているのが現状なのかなという思いを持っております。

 そこで、このドクターヘリに関して、この法案のいわばスキームの中でどのように全国展開を図っていこうというふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

西島参議院議員 園田議員にお答えをいたします。

 この法律の中で、厚生労働大臣は、医療法の基本方針に、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する事項を定めるというふうになっております。そして、その基本方針に基づきまして、今度は、都道府県は、地域の実情に応じて、地域医療計画の中に救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する事項を定めるということになっております。

 そして、実はことし、全国都道府県、全部これは地域医療計画を見直します。それで、来年からこの地域医療計画に基づいて事業がスタートいたしますので、そういう意味で、今回これを御提案したということは、全国都道府県がこの地域医療計画の中に救急医療用ヘリコプターの導入に関する考え方を書いていただくということを、私どもは非常に、どちらかといいますと希望して、こういう形で、きょう急いで出させていただいたという経緯も実はございます。

 以上でございます。

園田(康)委員 ありがとうございます。隗より始めよ、進めていかなければいけないというところから、こういう法案のスキームになっているんだろうというふうに思っております。

 ただ、いわば基本となる厚生労働大臣の基本方針、ここで全国的な視野があるわけでございます。地域事情は確かにいろいろあろうかと存じますけれども、厚生労働省におかれましては、今後、全国展開の配備状況をしっかりと頭に入れていただきながら、基本方針を立てていただければなというふうに思っておる次第でございます。

 では、厚生労働省にお伺いをしたいというふうに思っておりますが、そもそも、このドクターヘリの導入促進事業の中で、当初は三十機の全国展開を図るというふうに出ていたと私は理解をしておりましたけれども、先ほど法案提出者からも御報告がありましたとおり、今のところ十一機ということで、その配備状況がまだまだ不十分であったのかなというふうに思っておったわけでございます。

 この全国展開の三十機導入という基準は、どのような基準でお考えになったのか、厚生労働省からお聞かせをいただきたいと思います。

松谷政府参考人 委員御指摘の三十機という配備数の目安についてでございますが、平成十二年にドクターヘリの導入を事業化したわけでございますが、その事業化に当たりまして、当時の消防防災ヘリなどの配備状況も踏まえまして、ヘリコプターの飛行範囲円、約二十分以内で到着できるというような半径七十キロの円でございますが、これをもとに、全国をカバーする場合の配備数を機械的に試算をして、目安にしたというものでございます。

園田(康)委員 そうしますと、恐らく厚生労働省さんも海外の諸事情、いろいろ研究をされていらっしゃるのかなというふうに思っておりますけれども、例えばドイツでいきますと、今、半径七十キロというふうにおっしゃっていただいたわけでありますけれども、ドイツの場合は、十五分の半径五十キロ、十五分ルールというのがありまして、いわばミュンヘン・モデルというふうに言われているものであります。すなわち、通報があってからそれを受信して駆けつけるまで、ヘリが飛び立って現場に到着するまでが大体十五分の範囲内で円をかいて、それを全国配備していくというようなことがありました。

 そこからすれば、これはちょっと古いデータかもしれませんが、ドイツにおいては全国的に七十八機、私の持っているものでは、いただいているわけでありますが、これを見ますと、ほぼその範囲円でいきますと、全国すべてのところをカバーできる状況になっているのかなというふうに思っておるところでございます。その計画の見直しということを言うつもりはありませんが、参考までに、こういう事例もあるということだけ御指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 そこで、現行の救急医療体制について少しお話をさせていただきたいというふうに思います。

 読売新聞だったでしょうか、消防法に基づく救急告示病院、医療施設の数が過去五年間で四百二十七カ所減少したという報道がなされていたわけであります。これは、病院については百七十八カ所、診療所においては二百四十九カ所という形で、これがいわば、今まで救急受け入れ体制ということで、病院あるいは診療所が手を挙げて受け入れ体制を整えていたというところでありましたけれども、それを返上したということだろうというふうに思っておるところであります。

 これは消防法に基づく告示病院という形の位置づけであったのかなというふうに思っておりますが、一方、医療制度改革等々もありまして、医療法に基づいては、救急医療体制というものが今とられつつあるわけでございます。

 まず、厚生労働省が考えております、医療法に基づく救急医療体制というものはどういうものであるのかということと、それに基づいて、救命救急センター、これの整備目標と現在の整備状況はどのようになっているか、お聞かせいただきたいと思います。

松谷政府参考人 委員お尋ねの、現在の救急医療体制でございますけれども、これは消防法に基づく救急告示制度とは別の枠組みとして、昭和五十二年度から、各都道府県において、初期、二次、三次の役割分担に基づいて体系的な整備を進めているところでございます。

 それぞれの地区数、施設数は、この五年間、ほぼ横ばいまたは増加傾向という状況にございます。この中でも、特に第三次の救急医療機関として最も高度な役割を担う救命救急センターにつきましては、人口百万に一カ所程度の整備目標であるところでございますが、既に二百カ所を超えて整備されているという状況にございます。

 今年度予算におきましても、救命救急センターを初めとして、救急医療体制の整備に関し必要な予算を確保したところでございまして、引き続き、都道府県の取り組みを支援していきたいと思っておるところでございます。

園田(康)委員 正確にいきますと、局長、済みません、今、二百カ所以上というふうにおっしゃいましたけれども、今二百一カ所というふうに理解をしてよろしいでしょうか。

松谷政府参考人 御指摘のとおり、二百一カ所でございます。

園田(康)委員 ありがとうございます。人口百万をめどとして整備をし、そしてそれ以上の二百一カ所が今全国に整備をされているということでございます。

 また、昭和五十二年度から始まっておりますドクターカーというものがございましたけれども、やはりこれも医師が同乗して現場に駆けつける、そしてその搬送中も医療行為に基づいてさまざまな医療処置を行うという形になっているわけであります。

 このドクターカーの整備について、その沿革、それから、救命救急センター二百一カ所中、ドクターカーの整備状況並びに出動実績についてはどのような数字を把握されておられるでしょうか。

松谷政府参考人 委員御指摘のドクターカーでございますが、医師等が救急車に同乗いたしまして速やかに処置を行うということは、救命率の向上あるいは後遺症の軽減に資するというものでございまして、厚生労働省といたしましては、都道府県による救命救急センターへのドクターカーの配備につきまして、昭和五十一年度から毎年補助を行ってきたところでございます。

 その結果、平成十八年十二月時点で申しますと、救命救急センター二百一カ所のうち七十七カ所に九十台のドクターカーが配備されているという状況でございます。また、平成十八年における運行件数でございますが、一万一千二百九十一件となってございます。

 厚生労働省といたしましては、引き続き、救命救急センターへのドクターカーの配備について必要な支援を行っていきたいと思っております。

園田(康)委員 失礼いたしました。五十一年度から始まっているということでございますけれども、二百一施設中七十七施設の九十台ということでございました。ただ、二百一施設中の七十七施設でありますので、整備途中という形ではありますけれども、まだ半分にも至っていないというのが現状なのかなというふうに思っておるところでございます。

 このドクターカーの有用性といいますか、これについては厚生労働省さんもしっかりと把握をされておられるわけでありまして、この整備についてやはり急いでいただきたい。それも、やはり地域事情があるんだろうなと。ドクターヘリとドクターカー、さまざまな地域事情によって、先ほどの地域医療計画といいますか、それに基づいて行うという形が言われているわけでありますので、やはりそれをしっかりとサポートしていただければなというふうに思っておるところでございます。

 また、先ほど法案提出者から御説明がありました、救命救急センターの二百一施設中のヘリポートを確保している施設数といたしまして、二百一施設中の百二十六施設というふうに御報告がございました。

 逆に、では、ヘリポートが設置されていない箇所がまだ七十カ所以上あるわけでありますけれども、この理由についてどのような理由があるのかということと、それから、救命救急センターでヘリポートを活用しているというふうに聞いているわけでありますけれども、どういう活動がこの中で行われているのかということをお聞かせいただきたいというふうに思います。

松谷政府参考人 御指摘のとおり、救命救急センターにおけるヘリポートの整備数は百二十六カ所となってございまして、搬送件数でいいますと、七千五百五十七件となっているわけでございます。

 ヘリポートが確保されていないところもあるわけでございますけれども、その理由につきましては、一つには、地域によってはむしろ陸上における搬送体制が十分に整備されているというような場合、また、都市部の救命救急センター等につきましては、地理的な制約あるいは建物の構造上の問題等から整備が難しいといったようなことなどが考えられます。

 各都道府県におきましては、運航調整委員会における検討を通じまして、ヘリポートの確保状況を踏まえた上で適切な医療機関を救命救急センターとして選定していただくということが望ましいと考えておりますけれども、厚生労働省としても、その選定に向けて必要なアドバイス、また財政的支援も行っていきたいと思っているところでございます。

園田(康)委員 おっしゃるとおり、地域事情といいますか、陸上での搬送の方が速やかに行うことができるというような状況があるというふうに私も伺っておるところでございまして、ドクターカーとドクターヘリのいわば混在した中で、その中から選択肢として一番いい方法での搬送ができるという状況をつくり出していかなければいけないというふうに思っておるところでございます。

 そして、先ほど、救命救急センターは人口百万程度を目標として設置を今行っているということでございましたけれども、一方、消防組織上、消防組織法の改正が昨年の六月に行われたわけでありますけれども、いわば、これから広域消防という形にどんどん推移をしていくんだろうというふうに思っておるところでございますけれども、現在、この組織法の改正によって、消防本部の規模というものはどの程度で設置をされるべきというふうに消防庁さんの方はお考えなのか。そしてまた、現在の消防本部の数というものはどのような形になっているのか、現状をお聞かせいただきたいと思います。

寺村政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、平成十九年四月一日現在で、全国の消防本部の数は八百七本部でございます。

 また、平成十八年六月の消防組織法の改正を受けまして、現在、効果的、効率的な消防体制の整備を図る観点から、消防本部につきましてはおおむね管轄人口三十万人以上の規模とすることを目標といたしまして、市町村の消防の広域化を進めているところでございます。

園田(康)委員 消防本部につきましてはおおむね三十万人規模という形で、それ以上というふうに理解をさせていただいているところでありますけれども、広域化を行いつつ、それによって集中的に配備をしていくというふうに理解できるのかな。したがって、救命救急センターの百万をめどというのと消防本部の三十万以上というところがこれから少しずつリンクをしていくというふうに、今後の医療提供体制からすれば行われていくのかな。

 今、市町村では、地方分権に伴ってさまざまな合併なども行いながら、消防の広域化、そして医療提供体制の充実確保というものを同時にあわせて行っていくという施策が行われているというふうに理解をいたしますし、またこれを、連携をしながらぜひ推進していっていただきたいというふうに思うわけでございます。

 それで、その中でちょっとお伺いをしたいんですが、消防本部、全国八百七カ所に設置をされているというふうにお伺いをいたしましたけれども、その消防本部の指令室に医師が常駐をしているところは幾つございますでしょうか。

寺村政府参考人 指令室に医師が二十四時間常駐している消防本部の数は、消防庁といたしまして把握している限りにおきましては、東京消防庁など四本部でございます。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 今、東京消防庁など四カ所というふうにいただきました。私がいただいている資料でいきますと、千葉市の消防局、それから東京消防庁、そして横浜市安全管理局、さらには京都市の消防局という形で、これが二十四時間常駐体制であるというふうに伺っております。

 なぜ消防本部に医師が常駐している数をお伺いしたかというふうにいいますと、今、いわばメディカルコントロールという概念が言われているところでありますけれども、すなわち、消防本部で指令を受けて、受信をして、そこから、先ほど申し上げたようなドクターカーであるとかドクターヘリであるとかあるいは消防車であるとか、そういった配備を現地に派遣するという形になっていくわけであります。通信の傍受の初期段階から、現場に救急隊員、これは一元的にはまず救急隊員に求められるものでありますけれども、その現場に救急隊員が到着して、それから医療機関にこれが搬送されるまで、いわばそこに、消防本部に医師が二十四時間体制でいれば、その医学的な判断というものが早期、早期といいますか、受けたときから、その時点から行うことができるというふうに私も理解をするわけであります。医学的判断を早く的確に行うということができるというふうに思うわけであります。

 したがって、できれば、今二十四時間体制で八百七消防本部のうち四カ所というふうに言われたわけでありますけれども、願わくば全消防本部の中で医師がそこに常駐をするという体制を整えていくべきではないのかなという思いも持っているわけでありますけれども、この考え方に関して、消防庁としてはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

寺村政府参考人 消防庁といたしましては、傷病者が医療機関に搬送されるまでの間、医師の指示あるいは指導助言等が必要な場合に、医師と常時連絡をとることのできる体制を整備するよう各消防本部に要請しております。これを受けまして、全国の消防本部におきましては、携帯電話などで医師と常時連絡をとりながら救命救急処置等を行い医療機関まで搬送する体制、これが構築されているというふうに理解しております。

 指令室に医師が常駐するということにつきましては、医師と常時連絡をとる一つの手段というふうに理解をしております。

園田(康)委員 これは恐らく医師会の皆様方の御協力等も仰がなければいけないというふうに思っておるところでございますけれども、今、携帯電話等で通信の連絡も行っているということでありましたけれども、私から言わせれば、少し心もとないのかな。

 仮に指令室に専門的な医師が常駐し、そして入ってくる情報を一つ一つ確認しながら的確に判断をし、そしてその中から搬送先を決めていく、あるいは処置を指示していくことができるという体制が、これから恐らく通信手段がもっともっと高くなれば、いわば現地の映像をそのまま指令室に送りながら、そこでまた指示を行うということも将来的には可能になっていくのかな、試験的には行ったこともあるというふうに少しお伺いをしたわけでありますけれども、これからその精度を高めていけば、より確実な判断ができるようになっていくのかなというふうに思っておるところでございます。

 そこで、厚生労働省さんにお伺いをしたいというふうに思っておりますが、今、メディカルコントロールという考え方、これには直接的な、オンラインのMCと、それから間接的な、オフラインのMCという考え方があるわけでありますけれども、このメディカルコントロールの必要性というものをどのように考えておられて、そしてこれからどのようにこれを展開、実施していくというふうにお考えなのか、その御所見をお伺いしたいと思います。

松谷政府参考人 患者さんが医療機関に搬送されるまでの、病院前救急医療と申しますが、この質の確保のためには、今委員御指摘のメディカルコントロール体制の整備充実というものが大変大事なものだというふうに認識しておるところでございます。

 今後、厚生労働省といたしましては、総務省、消防庁とともに、メディカルコントロールに係る研究の促進、また全国におけるメディカルコントロール体制の実態調査、また全国メディカルコントロール協議会連絡会を実施いたしまして、各協議会間での情報交換や好事例の紹介などの対応によりまして、その体制の一層の充実を図っていきたいと考えておるところでございます。

 情報通信あるいはIT技術というものが日々進歩してございまして、これらの活用も踏まえながら、一層の充実を図っていきたいと考えておるところでございます。

園田(康)委員 これから検討しながら進めていきたいと前向きな御答弁をいただいたというふうに理解をいたしました。

 そして、ただ、現状からすれば、先ほどの御報告ではありませんけれども、携帯電話等での体制は整えているという御報告がありつつも、残念ながら、八百七カ所中四件、四消防本部ということで、ただし、聞くところによりますと、この四消防本部の体制というものが大変高い評価を受けているということは私も聞き及んでいるところでありますので、ぜひこれに向けて努力をしていただきたいというふうに思っております。

 消防庁に、さらにお伺いをしたいというふうに思っております。

 医師が常駐して判断をする、そしてそれによって的確に処置をしていくということが一番理想的なんだろうというふうに思うわけでありますけれども、ただ、それが今の体制ではなかなかかなっていないというところからすれば、では、それをまた現場でどのように判断していくのかというところも一つ考えていかなければいけないのかなというふうに思うわけでございます。

 大規模な災害であるとか、これは平時の救急要請の際にも言われているわけでありますけれども、緊急度でありますとか重症度の選別という考え方、トリアージというふうに言われておりますけれども、このトリアージの重要性については、私がいただいた、十九年、ことしの三月の消防庁の報告書によりますと、救急業務におけるトリアージに関する検討会というのが設けられて、ここで中身の検討をしていらっしゃるということでございますけれども、その概要とそれから今後の進め方について、御所見があればお伺いをしたいというふうに思います。

寺村政府参考人 消防庁におきましては、救急需要が非常に急増する中で、真に緊急を要する傷病者への対応がおくれることのないように、平成十七年度に救急需要対策に関する検討会というのを開催しております。

 この中で、交通手段がない要請者に対する民間搬送事業者の紹介でありますとか診察可能な病院情報の提供、あるいは頻回利用者等に対する福祉部局と連携した適正な利用の呼びかけ、あるいは、救急隊だけではなくて救急有資格者の乗車するポンプ隊との連携、このようなことを総合的な対策として示してきたところでございますけれども、この検討会の中で、実は、御指摘のとおり、一一九番受信時におけます緊急度や重症度の選別、いわゆるコールトリアージにつきまして、引き続き検討が必要とされております。

 そういうことで、昨年度、救急業務におけるトリアージに関する検討会というのを開催いたしまして、緊急度、重症度の選別のための判断基準あるいは質問要領の作成、消防本部におけます検証を行ってきたところでございますけれども、現在、緊急度あるいは重症度の高い事案を低い事案と誤認する、これを極めて少なくすること、あるいは、最も低い事案、これをもう少し拡大しようということ、あるいは、そういうことのために判断基準や質問要領の完成に向けたさらなる検討が必要であるというふうに言われております。また、住民への周知、これも合意形成等の必要性というのも指摘されたところでございまして、現在、まだ検討中でございます。

 今年度におきましても、これらの課題を引き続き検証いたしまして、検討を進めていくということを考えております。

園田(康)委員 これからまた検討を重ねていくということでありました。

 確かに、この報告書でも、いわゆる誤認と言われているアンダートリアージというものの危険性をもっと低めていかなければいけない、ぜひ、これは厚生労働省とも連携をしていただきながら、しっかりと、こういうところであろうなというふうに思います。

 初期の判断の誤認に基づいて死亡をしてしまう可能性も、またそこで高まってしまうわけであります。報告の中では、初期の判断が誤ったがゆえに、これは別に消防庁さんを責めるわけではありませんけれども、結果的にさまざまな病院のたらい回しに遭ってしまって、そして最終的には死亡につながってしまったという事例も聞き及んでいるところであります。

 例えば、産婦人科の急なお産というところで意識不明に陥った際に、それを救わなければいけない。ところが、第一報だけ聞きますと産婦人科だけの話としてとらえてしまい、そこの中だけで病院を探してしまうというような形にもなってしまう。そうなると、満床の産婦人科のところに入れることができなくなって、結果的には、それが最終的に解剖等で出したら脳出血の方につながっていたということであったわけでありますので、一般の救急病院の方にもし早期に運んでいれば、その方もひょっとしたら救えたかもしれないという事例があったわけであります。

 したがって、このトリアージの重要性というものは、私は、これからの緊急、救急救命に関する大きなポイントになってくるんだろうなというふうに思いますので、ぜひお取り組みをお願いしたいというふうに思うわけでございます。

 そこで、るる状況を、いろいろ実態をお聞かせいただいたわけでありますけれども、この医療提供体制全体の問題として、昨今から言われております医師不足という問題がございました。

 いわば患者搬送時において、先ほど来私もお伺いをさせていただいておりますけれども、ドクターカーであるとかドクターヘリであるとか、そういったところに、あるいは消防本部指令室に、お医者さん、専門的な医師が常駐をするということを求めれば求めるほど、お医者さんの数が今少なくなって、偏在等々も言われているわけでありますけれども、それによってなかなかその体制というものが整えることができない、難しいという形になってきているわけであります。したがって、救急専門医の医師確保の問題というものは今後の大きな問題として取り組んでいかなければいけないのかなというふうに思うわけでございます。

 そこで、厚生労働省さんといたしましては、専門医、救急医の養成であるとかあるいは充実を図る必要性があるというふうに私は考えておりますけれども、厚生労働省としてどのように今お考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

松谷政府参考人 ドクターカーやドクターヘリの搭乗には、救急の専門医の、救急医療に経験の豊富な医師というものが当たることが望ましいわけでございます。

 今後ともこれらの医師の養成を図っていく必要があるわけですが、救急科の専門医は、当直明けの後も勤務を行うことが常態化しているなど大変厳しい勤務状況にある、あるいはそういった勤務に見合う処遇が必ずしも得られていない、それから救急科としてのアイデンティティーが認知されていないということなど、救急科の専門医の養成や充実を困難にしているというような指摘がなされているところでございます。

 こうした指摘につきましては、過酷な勤務状況につきましては、例えば交代制勤務など、病院勤務医の働きやすい勤務環境の整備、また、医師、看護師等の業務範囲の見直しなどを通じましてその負担を軽減する方策を探っていく、また、救急科のアイデンティティーにつきましては、関係学会等の関係者からの意見も伺いながら議論を進めていきたいと思っておるところでございまして、救急は医師、医療の中の原点ともいうべき分野でございまして、大変やりがいのある仕事という点から、関係学会の方々のお力も得ながら、こうした取り組みを通じて、救急科専門医の養成と充実にさらに努めていきたいと思っております。

園田(康)委員 よろしくお願いをしたいと思います。

 恐らく、先ほども、ドクターカーの配備がまだまだ全国展開からすれば半分以下であるし、あるいはドクターヘリに関しましても、当初の三十機というところからすれば、まだまだ三分の一にしかなっていない。仮にこの法案を通して、そして基金を募りながら全国展開を図っていくという形がとれたときに、そこにお医者さんがいなければ配備しても意味がないわけでございますので、ぜひその点も強力に推進をしていただきたいというふうに思います。

 そこで、ドクターヘリでありますけれども、今、消防防災ヘリを消防庁さんでは全国配備をしているところでございます。中には、この消防防災ヘリをドクターヘリ的な運用に使っている、活用しているというところもあるわけでありますけれども、まず、この消防防災ヘリの現在の配備状況、それから活動状況について御報告をいただきたいと思います。

寺村政府参考人 消防防災ヘリコプターの配備状況でございますけれども、平成十八年四月一日現在におきまして、四十五都道府県におきまして五十二団体、合計七十機が配備されております。

 活動状況でございますけれども、平成十七年中の総出動件数は五千三百五十五件でございます。その内訳として、火災によるものが千百六十一件、救助によるものが千四百八十件、救急によるものが二千四百九十二件、その他が二百二十二件というふうになっております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 今御報告をしていただきましたのが、皆さんにお配りをしております資料の一ページ目とそれからその裏の二ページ目でございます。

 まず、一ページ目の資料で見ていただきますと、先ほど四十五都道府県、五十二団体で七十機という形で御報告をいただいたわけでありますけれども、その内訳といたしましては、消防機関保有ヘリコプターとしては二十八機、それから道県保有のヘリコプターが四十二機であります。残念ながら、佐賀県と沖縄県についてはこれが整備をされていないというふうになっているわけでありますけれども、このうち複数機を保有しているのは、ここでいきますと、北海道と宮城県、埼玉県、東京も入りますね、それから千葉、神奈川、静岡、愛知、大阪、兵庫、京都、岐阜、それから広島と福岡という形になるわけでございます。

 そして二枚目の、この資料裏でいきますと、いわば火災、救助、救急という消防防災ヘリの役割があるわけでありますけれども、大臣、ごらんをいただければおわかりのとおり、この資料でいきますと、平成七年、当初は火災が一番多かったわけでありますけれども、今や救急に使われている現状がこの資料から見ても明らかであろうというふうに思うわけでございます。したがって、消防防災ヘリの救急に使われる頻度というものがこれからといいますか、年々高まってきているという現状であります。

 そこで、消防防災ヘリの装備について少しお伺いをしたいというふうに思うわけでございますが、まず、消防防災ヘリの基本的な装備はどのようになっているのか、そして、火災時と救助時と救急時の場合、それぞれその装備は異なるものとして理解をしていいのか、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。

寺村政府参考人 消防防災ヘリコプターは、それぞれの活動内容に応じまして資機材を活用することになっております。消火活動につきましては、消火用のタンクあるいは消火用のバケット、それから救助活動につきましては、要救助者をつり上げるための救助用のホイスト、こういうものなどの救助用資機材でございます。あと救急活動につきましては、応急措置に必要な自動式人工呼吸器あるいは担架などを装備することとしております。

園田(康)委員 私のお配りをさせていただきました資料三が、救急業務の実施基準といたしまして救急時に備えつける装備一覧というふうになっておるところでございます。きのうのレクでお伺いをいたしましたら、基本的には別表の第一の部分が標準装備で、二と三については、その都度その地域によってそれぞれ行うということであります。

 ここで少し欄外に書かれてある、自動式心マッサージ器であるとか心電図の伝送装置については地域の実情に応じて備えるものとするというふうになっておりますけれども、これは今や、AEDもそうですけれども、標準装備的になっているというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。

 一本ちょっと質問を飛ばして、例えば、火災時の装備でヘリコプターが待機状態にある、その火災時の装備から救急時の装備に切りかえるという形のときにはどのぐらいの時間がかかるものでしょうか。

寺村政府参考人 ヘリが待機しておりますときにどういう装備をしているかというのは、ヘリの運航方法によって異なるとは思いますけれども、通常は救助用の態勢でいるのではないかと思っております。

 その救助用の態勢から救急時の装備に切りかえるために必要な時間につきましては、特に統計はございませんけれども、実際に運航している消防本部に確認いたしましたら、平均としてはおおむね五分程度は要するというふうに報告を受けております。

園田(康)委員 おおむね五分程度かかってしまうというところがあります。すなわち、これの意図するところは、きょうはドクターヘリの話でありますけれども、ドクターヘリというのは救急専門で飛んでいくわけでありますから、最初から救急用の装備をしているというわけであります。ところが、消防防災ヘリについては、先ほどお示しをさせていただきましたとおり救急に使われている頻度が高いわけでありますけれども、これだけに使われるものではなくて、それぞれの都道府県によって、火災やあるいは救助、山岳救助あるいは海難救助という形、さまざまな状況下において使われるというふうになっております。ドクターヘリのように目的を固定化させたものではないというところから、仮にその装備とは違う指令が入ってきたときに、その装備にかかる時間が五分ぐらいはかかってしまうというところがございます。

 また、私が聞いている中には、先ほど少し申し上げましたいわばピックアップ方式といいますか、待機をしていて、そこからヘリポートのある病院に飛んでいって、そこでお医者さんをピックアップして、そして現場に駆けつける事例があるというふうに聞いておりますけれども、どのようなところでどういう方式をとっておられるのか、把握しておられる限りにおいてお知らせをいただきたいと思います。

寺村政府参考人 一つの例として確認したところでございますが、実際に運航している消防本部におきましては、消防防災ヘリコプターが航空消防隊基地を離陸しまして、近隣の病院のヘリポートに一たん着陸して医師を同乗させ、そこから救急現場へ出動する、そういうふうな形態をとっていると聞いております。

園田(康)委員 このピックアップ方式というものでお医者さんを現場にいち早く搬送するという形がとられているというふうになっているわけでありますけれども、その際、例えば通信が入ってお医者さんをピックアップするまでの時間というのはどのぐらいかかっているというふうに理解をしておられますか。

寺村政府参考人 先ほど御報告申し上げました実際に運航している消防本部の例でございますけれども、消防防災ヘリコプターが離陸してから病院の医師をピックアップする場合に要する時間につきましては、おおよそ五分程度と聞いておるところでございます。

園田(康)委員 そうすると、このドクターヘリ的な運用、活用といいますか、ピックアップ方式を行うというものでありますけれども、災害あるいはそういう救急通信というものはいつ何どきどういう形で入ってくるのかわからないというところからすれば、残念ながら、例えば先ほどの話でいきますと、救助の装備をしている消防防災ヘリが救急時に切りかえるのに五分、それからピックアップのために要する時間が五分という形で、既にここで十分かかってしまうという形になるわけでございます。

 そこで、この消防防災ヘリに関しまして、例えば二十四時間体制をとっている消防団体、航空消防隊は全国でどのぐらいあるでしょうか。

寺村政府参考人 現在二十四時間体制をとっている団体は、五十二団体中、東京消防庁あるいは愛知県など九団体でございます。

園田(康)委員 残念ながら、現行の消防防災ヘリについても、この二十四時間体制、先ほど申し上げたように、災害はいつ何どきどういう形で起こるかわからないという状況からすれば、二十四時間体制の全国配備がまだされていないというところがあるわけでございます。全体の二〇%ぐらいという形なのかなというふうに思うわけでありますけれども、この精度をもう少し高めていく必要があるのではないかなというふうに思うわけでございます。

 そこで、ドクターヘリの状況を少しお話を聞かせていただきたいというふうに思うわけでございますが、その前に、消防庁さんに、現行の最新の消防白書で、救急車の事案覚知から病院搬送までの平均時間はどのぐらいかかっているというふうに理解をしていらっしゃるでしょうか。また、搬送された方のうち、病院の収容までに三十分以上の時間がかかってしまった方の人数と割合はどのぐらいでしょうか。

寺村政府参考人 平成十七年中に救急自動車によりまして搬送された者につきまして、救急事案の覚知から医療機関等へ収容するまでの平均所要時間は三十一・一分でございます。そのうち三十分以上の時間を要した者は約二百十八万人でございまして、全体に占める割合は四三・九%でございます。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 それでいきますと、残念ながら、平成十六年度の消防白書と比べてみますと、病院搬送まで二十九・四分であったのが、今回は三十一分に延びてしまっているということであります。それから、病院収容までの時間、三十分以上時間を要した者が、平成十六年度では三八・五%の百七十六万人であったわけでありますが、今御報告をいただいたように、四三・九%と割合が高くなってしまっている、時間が少しかかってしまっているという形なのかなというふうに思うわけであります。

 一方、ドクターヘリの場合、事案覚知から、まず治療着手までの時間というふうに私は指定をさせていただきたいんですが、その所要時間は大体どのぐらいというふうに把握をしておられるでしょうか。

松谷政府参考人 委員御指摘の件につきまして、平成十七年度厚生労働科学研究におきまして、ドクターヘリにより搬送された四百七十四症例の調査分析の結果、ドクターヘリの要請から医師が治療を開始するまでの時間は平均十四・〇分と報告されております。

 なお、ドクターヘリが活用できた場合と従来の救急車搬送と比較した場合の治療開始時間の短縮効果で申しますと、平均二十七・二分の短縮効果があるというふうに報告されております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 十四分で、ドクターヘリの場合はお医者さんが乗っていくわけですので、そこですぐ治療を初期段階で行うことができるというところからすれば、かなりの時間短縮であろうというふうに思うわけでございます。

 そこで、私が今資料としてお配りをさせていただきました、裏の、資料四というふうに書かれたところであります。これが今御報告をしていただいた厚生労働科学研究班の「ドクターヘリの実態と評価に関する研究」というもので、ここに図がありますけれども、この場合は「大量出血例における時間経過と死亡率」という形でお示しをされているものでありますけれども、三十分を超えてから死亡率がかなり高まってしまうという形になるわけでございます。

 この場合、救急車の搬送の場合の病院到着、推定で四十七・五分というふうになっているわけでありますけれども、ここでいきますとほぼ一〇〇%に近いといいますか、かなりの高い確率に死亡率がなっているという形からすれば、三十分を切るか切らないか、ここが大きな境目にもなってくるのであろうというふうに思うわけでありますし、先ほど申し上げたように、一分一秒を争う事案も中にはあるわけでありまして、残念ながら、先ほどの消防庁さんのドクターヘリ的運用、確かにこれは今の現状では有用であろうというふうに思うわけでありますけれども、ドクターヘリを配備してそこに行った方が、時間短縮にはかなりの効果を上げることがあるんだということが言えるのではないかというふうに思うわけでございます。

 そこで、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、きょう、国土交通省さんにも来ていただいておりますので、国土交通省さんに少しお伺いをしたいんですが、ドクターヘリと消防防災ヘリとでは航空法上の違い、扱いが違う点があるわけでありますが、この点について教えていただきたいのと、それから、ドクターヘリの航空法の飛行場外の着陸禁止規定についての適用除外といいますか、緩和策がとられているというふうに聞いておりますが、その実態について教えてください。

谷政府参考人 お答えいたします。

 現在、ドクターヘリの運航は、ヘリコプターの運航事業者によりまして、航空法上の航空運送事業として行われております。このため、ドクターヘリの運航者に対しましては、消防防災ヘリを含む一般のヘリコプターに対する安全規制に加えまして、航空法第百条に基づきます事業許可、あるいは同じ航空法の第百四条に基づきまして、国土交通大臣の認可を受けた運航規程及び整備規程に従って運航及び整備を行わなければならないという規定が適用されます。

 次に、飛行場外の着陸に関する特例的措置についてでございますけれども、ヘリコプターが飛行場以外の場所で離着陸を行う場合には、航空法第七十九条ただし書きという規定がございますが、この規定に基づく許可が必要でございます。しかしながら、警察ですとか消防防災ヘリ等の公的機関の航空機及びこれらの公的機関の依頼または通報を受けた民間の航空機が人命救助等を行う場合には、人道的見地から、この許可を受けなくても離着陸ができるという特例的措置がございまして、ドクターヘリにつきましてはこの特例的な措置を適用いたしております。

園田(康)委員 そしてもう一点、ドクターヘリの夜間飛行が現状では行われておりません。ただ、先ほど申し上げたように、消防防災ヘリでは幾つか行っている。二十四時間体制で夜間飛行も行っている事例があるんですが、今のところ運航事業者がドクターヘリに関して夜間の飛行を行っていないというところもあるわけでありますけれども、ドクターヘリの夜間運航に関しての何か制約というものはあるんでしょうか。国土交通省さんにお伺いをしたいと思います。

谷政府参考人 お答えいたします。

 ドクターヘリの夜間運航ということにつきまして特有の制約というのは、航空法上は特にございません。

 ただ、一般論といたしまして、夜間飛行を行う場合には、ドクターヘリであるか否かにかかわらず一般的に、まず航空機について、衝突防止灯等の航空灯火の装備が必要でございますし、それから運航するパイロットにつきましては、夜間の飛行経験が求められております。また当然、飛行に当たりましては、経路上、常に地上の灯火、照明等で自分の位置を判断できること、あるいは離発着する場所につきましても、必要な照明等が安全上不可欠であるというふうに考えております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 安全が確保されるということが大前提になるんだろうというふうに思います。

 るるここまでお話を、状況をお聞かせいただいたわけでありますけれども、私が提出をさせていただいた資料でいきますと、民主党で救急制度改革法案を提出させていただきまして、最後のところであるわけでありますが、残念ながらこれは審議されていない。参議院に提出をさせていただいたんですが……

櫻田委員長 園田康博君に申し上げますが、申し合わせの時間が経過しましたので、御協力ください。

園田(康)委員 はい。わかりました。

 最後に、大臣にこれをお伺いしたいと思います。

 救急制度改革の法案について、これをごらんいただきますと、救急本部を都道府県に置き、そして救急要請がされてからトリアージ、先ほど言った緊急度、重症度を選別しながら、軽症、重症のいろいろな判断をしながら、救急車であるとか消防防災ヘリであるとかドクターカーであるとかドクターヘリ、さまざまな出動命令、要請を行いつつ、医療機関に適切な連絡を行っていく、こういう救急時の医療提供体制というのを考えていかなければいけないのかなというふうに思っております。

 最後、大臣に、医療提供体制の全体の充実を図るという観点から、今後、大臣がどのように、このドクターヘリの法案成立とともにお考えになるのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。

櫻田委員長 柳澤厚生労働大臣。時間が経過しておりますので、簡潔な答弁でお願いします。

柳澤国務大臣 はい、わかりました。

 今回、ドクターヘリ法案が成立いたしまして、良質かつ適切な救急医療を提供するということになりますと、その実現に当たっては、我が省のみならず、関係省庁との連携が殊のほか大切になってくるというのは委員が御指摘のとおりかと思います。

 救急搬送と救急医療との連携につきましては、現在、地域に、医師、消防機関等から構成される協議会、名前はさまざまで、場合によってはメディカルコントロール協議会というような名称を与えているところもあるわけでございますが、そういうものを置きまして、適切な搬送手段や搬送先医療機関の選定に関しての助言あるいは計画的な救急救命士の育成等、そういったことを行う体制を推進しておりまして、これによって救命率の向上を図っているというところでございます。民主党提出の救急協議会というようなものとほぼオーバーラップしているのかなとも思っておりまして、このような体制をさらに一層強化してまいりたい、このように考えております。

園田(康)委員 ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 患者の搬送時間や的確な判断が生死を分ける救急医療や災害救助などにおいて、ドクターヘリの果たす役割は非常に大きいと思います。私は、そういう意味で、当然にこの法案には賛成するものでありますが、ただ、特段の予算措置をしているわけではないので、これが大変飛躍的にふえるだろうとかいうことはなかなか期待しがたいところがあるのではないかと思っております。

 きょうは提案者に質問はしませんが、基金の造成についても、非営利団体によって運営するということが本当に実効あるものにいくんだろうかという点では若干の不安を持っております。諸外国にも学びつつ、適正な運営、効果を上げていくことを期待すると同時に、国が果たすべき役割、財政的にも国が支援できるところはもっとやっていくべきじゃないかということは考えを述べておきたいと思っております。

 そこで、まず最初に、ドクターヘリ導入促進事業については、まだ現在十道県十一機にすぎないわけでありますが、先ほど園田委員の資料でも紹介されているように、消防防災ヘリが各県それから全国の消防局で七十機が配備をされている中、年間五千三百五十五件の出動の中で救急が二千四百九十二件と半分近くを占めているという、大きな役割を果たしているという実態がございます。

 そこで、消防防災ヘリにおけるドクターの添乗の状況と、また、そうでない場合どのように医療連携を行っているのか、伺います。

寺村政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十七年中の消防防災ヘリコプターによります救急出動件数は、先ほど御指摘のとおり二千四百九十二件でございますが、このうち医師が同乗した件数は千四百九十二件でございます。

 それから、消防防災ヘリコプターが救急出動する場合に、医師の同乗にかかわらず、救急隊員の資格を有する者が同乗して出動することとしております。さらに、地上の救急隊と連携を図りまして、救急車の救急救命士などが消防防災ヘリコプターに搭乗するなど、二人以上の有資格者の体制により救急活動を実施するというふうにしております。

高橋委員 ちょっと通告しておらないんですけれども、実はヘリコプター添乗医師確保事業というのが昭和六十二年度以来やられており、二百万円という小さな予算ではありますけれども、一千五件、うち七百八十四件、離島などで活用実績があると聞いています。私は、〇五年の四月に三宅島に視察に行ったときに、中央診療所でたくさんの高齢者の皆さんが集まっていて、三人の医師が確保されているという状況を見てきたわけですが、しかし、そうはいっても脳梗塞など緊急の事態にはヘリで対応している、都内の病院に運んでいるということが紹介をされまして、やはりヘリの役割というのはここでもなるほどと思ったわけです。

 今回、ドクターヘリ法案において僻地医療などでも活躍をするということが位置づけられたわけですが、そういう意味では、小さいけれども、これは海上保安庁ですとか自衛隊のヘリなども含めて、自治体が要請すれば医師の添乗を支援する、こういう小さな制度も、やはりしっかりと僻地医療に大きな貢献をしてきたという点でむしろ位置づける、拡充をしていくということも大事だと思いますが、見解を伺います。

松谷政府参考人 委員御指摘のヘリコプター添乗医師確保事業でございますが、昭和六十二年度からこれを行っているものでございまして、今御指摘ございましたように、離島、山村等において発生をした重症救急患者をヘリコプター等により搬送する際に、地方公共団体等の要請によって、機内において必要な救急措置を行うために添乗するお医者さん等を確保するという観点から、万一の場合の保険料等を補助しているというものでございます。

 大変、予算額が二百万というところでございますけれども、実績としてはそれなりに活用されて喜ばれているものでございます。

高橋委員 ですから、語尾があれだったんですが、きちんとこの点も拡充をしていくなり、そういうことは考えていらっしゃるということでよろしいですか。

松谷政府参考人 引き続き、これについて拡充を図っていきたいと思っております。

高橋委員 ありがとうございます。

 同時に、やはりヘリには限界があって、先ほど指摘されているように、夜間の問題やあるいは天候不順によっては飛べないのだということ。地域医療に何とか貢献できないかということがあるわけですけれども、一方では、そういうところは豪雪地帯だったりとかさまざまなハンディがあるわけで、やはりドクターヘリと同時にドクターカーなどの拡充もあわせてやっていかなければならない。

 そこで、ドクターカーの拡充状況と今後の取り組みの決意といいますか、どういうふうに考えているのか、伺いたいと思います。

松谷政府参考人 御指摘のとおり、ドクターヘリは悪天候や夜間においては運航できないといったような場合もございますので、ドクターヘリのみならず、救急車、消防防災ヘリ及びドクターカーといった、いろいろな搬送手段をあわせて整備していくということは大事なことだと考えております。

 ドクターカーにつきましては、厚生労働省としても財政支援を行っておりまして、その結果、平成十八年十二月時点で申しますと、救命救急センター二百一カ所のうち七十七カ所に九十台が配備されているという状況でございます。また、救急車や消防防災ヘリなどにつきましては、医師が同乗した場合には、消防機関にもよりますけれども、手当が支給されておりまして、さらに診療行為を行った場合には、診療報酬上、救急搬送診療料や往診料として評価がされているところでございます。

 厚生労働省としては、ドクターカーを含めまして、各種搬送手段の整備について必要な支援を引き続き行っていきたいと思っております。

高橋委員 次に、阪神・淡路大震災の教訓から整備をされてきた災害拠点病院が今、全国五百七十三カ所になっている、また、災害時の緊急医療チームであるDMATが百六単位まで整備をされてきたということで、これらとの連携は非常に大事なことだと思っております。

 ただ、拠点病院が、指定は要求を満たして指定をされたのではあるんでしょうけれども、実際にそれが本当に動いていくのかという点ではどのような評価をするのか、つまり、目安はどのようになっているのかということと、また、拠点病院が行う災害医療にかかわる医療従事者の研修はどのように行われているのか、伺います。

松谷政府参考人 災害拠点病院は、今委員御指摘のとおり、平成十九年五月現在で五百七十三病院が指定されております。指定開始から十年が経過をしたところでございまして、病院間で機能の充実度に格差が生じているということが考えられることから、全体の底上げを行いまして、一定基準以上の機能を確保していくということが災害医療活動を円滑に行う上で重要であると考えております。

 このため、平成十九年度厚生労働科学研究におきまして、災害拠点病院のハード面、ソフト面などあらゆる観点から評価するための手法についての研究を行っているところでございまして、省としては、この研究成果を踏まえて、災害拠点病院の適切な評価を行っていきたいと思っております。

 また、DMATにつきましても、これは、被災地に出動して災害急性期における医療活動を行う体制整備という観点から、災害拠点病院や救命救急センターの医療従事者を対象として専門的なトレーニングを受けた方々でございますけれども、このチームが、平成十七年三月から開始しましたが、十九年六月一日現在で計二百九十八チーム、千四百九十人を養成しておるところでございます。

 この研修につきましては、国立病院機構の災害医療センターを実施機関といたしまして、災害医療従事者研修会を毎年実施しているところでございます。この研修会では、災害発生時の多種多様なケースに対応できるためのトリアージなど災害医療に関する見識、知識、技術の向上を図るため、災害時に指導的役割を果たせる人材を育成することを目的として、災害の拠点病院また救命救急センターの医療従事者を対象に実施しているところでございます。

 今後も、全国いずれの地域においても災害医療が対応可能になるように、その育成、研修に努めていきたいと思っております。

高橋委員 まだ、ことし、その適切な評価ということで、目安が今検討されるということでは、なかなか厳しいなと思うわけです。

 平成十一年当時は、災害拠点病院として準備すべき項目が不備だと過半数で回答された項目が何だったかというのを見るときに、ヘリポートはないよ、多数の患者さんが来るということで簡易ベッドがないよ、緊急搬送車両でさえ三一%しかないよ、そういう状況から始まったんだという点では非常に急速に求められてきたものが大きいわけで、一定設備はそろってきたかと思います。まだ五割台のものがございますね、それを一応確認させていただきます。

 それで、問題は、今は実際に一般の病院でも深刻な医師不足、スタッフ不足の中でどう対応するかということがやはり一番問われているんだと思うんですね。

 当時のアンケートでも、今研修のことを私は伺いましたけれども、研修をするにもスタッフが忙し過ぎると答えたのが六九%、専門家がいないと答えたのが四四%で、なかなか追いついていかない。今でさえ大変な中で特別な体制をとるということは非常に大変だということがあると思うんですけれども、このスタッフの問題についてどのように考えていますか。

松谷政府参考人 災害医療は、個々の人を扱う救急医療とはまた違う大量の傷病者を扱うという面を持っておりまして、先ほど申し上げたように、それに必要な研修ということは充実していく必要があるというふうに考えております。先ほどのDMATの養成でも、二百九十八チームと申しましたが、合計一千四百九十名が養成されたところでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、救急あるいは災害医療と申しますのは、医療の中でいわば原点ともいうべきことでございまして、いろいろな専門の方がいらっしゃいますけれども、どの専門の方でも身につけるべき基本的なものもあろうかと思っておりまして、いろいろな機会を通じましてその確保に努めていきたいと思っております。

高橋委員 この点については、やはり大臣にも伺いたいと思います。

 全体的に医師不足、スタッフ不足という中で、ここをどう確保していくのか。もちろん、今、研修の充実ということがありましたけれども、現実的に人の確保というのが大事だと思うのと、あと、ドクターヘリなどに従事する場合に極度の緊張そしてリスクを伴う、そういう点では、一般的に診療報酬で出ますよというだけではなくて、例えば加算をするとか、何らかの財政措置も含めて、もう少し検討される余地があると思うんですが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 現行制度を御説明しますと、現在は、ドクターヘリに搭乗する医師、看護師の確保の経費につきましては、積算の上、その二分の一を補助しているという制度がございます。

 それからまた、診療報酬上の評価につきましては、さらに、同乗した医師がヘリコプター内において診療を行った場合には、救急用車両の場合と同様に、その診療行為に対して診療報酬上の評価がなされているところでございます。

 ただ、今回法案が成立した場合には、その附則第二項の規定に基づきまして、法施行後三年をめどとして、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の提供の効果や費用等について、中医協の議論等を踏まえ、必要があると認められたときは適切に対応するということになっておりますので、そのような方向で今後進めてまいりたいと考えております。

高橋委員 十分にお願いしたいと思います。

 さらに、もう一度消防庁に伺いたいと思うんですが、災害救助において被災地の情報がいかに迅速に伝わるかが大変重要であると思います。

 ヘリテレと言われているようでありますけれども、ヘリコプターから送られてくる映像をいかに都道府県が共有できるかという点での整備がどうなっているか。あるいは、夜間でも可能な赤外線カメラなどの情報の共有あるいは整備がどうなっているか。これを拡充するということも含めて、伺いたいと思います。

寺村政府参考人 議員、最初に、申しわけございません。先ほど御答弁申し上げました医師が同乗した件数を、千四百九十二件と申し上げましたけれども、千四百二十九件の誤りです。申しわけございませんでした。

 今御指摘のことでございますが、消防防災ヘリコプターから映像を受信できる設備を配備しております都道府県は、四十七都道府県中二十九都道府県でございます。その中で赤外を保有しておりますのは九カ所でございます。赤外線カメラを持っておりますと非常に有利でございますので、私どもとしては、極力設置が進むように努力してまいりたいと考えております。

櫻田委員長 高橋千鶴子君。質疑の持ち時間が経過しております。

高橋委員 はい。時間が来ましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。

櫻田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日の審議に係りますドクターヘリの問題以前に、きょう御出席をいただきました社保庁長官の村瀬さんと、そして柳澤厚労大臣に、おのおの一問ずつ、緊急に私が確認しておきたいことがありますので、お願いを申し上げます。

 私も、今週、東京都文京区のマイクロフィルムの置かれている分室等々も視察してまいりましたが、今、年金の、消えた年金あるいは宙に浮いた年金、隠れた年金、わからなくなった年金、いろいろな呼び方ができますが、そのことを何とか自分の給付に結びつけたいと思う方々が社会保険事務所にはお訪ねでありますし、コールセンターにもたくさんの問い合わせがかかっております。

 まず、青柳さんもきょうお越しですが、村瀬さんにお伺いしたいですが、せんだって街頭でのチラシ配布をなさっていた絵柄をテレビで拝見いたしました。そもそも、このチラシはどのくらいの数をまかれて、予算は幾らで、それはどこから費用が出されたのでしょうか。済みませんが、短くお願いします。

村瀬政府参考人 御質問の問題について今最終資料を持っておりませんのであれでございますけれども、まず、コピー機で印刷をさせていただいております。そして、東京では、私のところでまきましたのは四千百七十枚でございまして、ちょっと記憶で申しわけないんですが、全国で約十五万枚だというふうに記憶をしてございます。

 そして、この部分については、今言いましたコピーのお金でございますので、金額的にはそんな大したお金ではない。また、職員については幹部職員を中心にやらせていただきましたので、すべてそういう点では残業代等がない。また、時間外にやらせていただいている、こういう形でございます。

阿部(知)委員 今わざわざ村瀬長官が幹部職員で残業代はないというふうにコメントされたのにはわけがあると思うんですね。

 私は社会保険事務所へ行ってみて、やはり中堅、若手の職員に、今、非常に、精神的にも肉体的にも仕事の量でも強いストレスがかかっていると思うのです。例えば、この前も、訴えに来た、年金を捜す方に殴られたりとか、いろいろな事案が既に起きております。

 それゆえに、政府としても一刻も早い対応をすべきと思いますが、私はここで、大臣にぜひお願いがあります。何かと申しますと、私が見たマイクロフィルムもそうでしたが、もとの台帳は例えば漢字で書かれており、それがフィルムに撮られ、今度入力するときは仮名になる。名前の読み間違いは、やはり起こるべくして起こるんだと思うんです。

 今、政府の方針としては、三千万人と二千八百八十万件の統合を早急にやるとおっしゃいますが、何度も言いますが、壊れたデータのままどう突合したって、やはり屋上屋を重ねるんだと思います。早急に入力作業の確認、要するに正しいデータかどうかを、オンラインは正しいのかどうかをやはりまず第一に手がけるべきで、私は、そこの仕事の負荷量を現在の若い職員たちにかけるということは、これ以上やはり無理だと思うのです。過去の負の遺産です。不良債権です。何十年の不良債権です。それを今、これから先もしっかり働いてもらわなきゃならない人たちにかける。

 なぜそうなっていくかというと、やはりそこにはきちんとした予算措置の覚悟がないんだと思うんです。大臣はこの件に関しては、いつまでということを一貫してお答えじゃないです。しかし、こういう形でだらだらやればやるほど、国民の不安も長引く、社保庁の中でまじめに働いている人たちにも負担が加わります。私は、これは国民にとって百害あって一利なしだと思います。一日も早く、正しいデータがオンライン上にある、それが私は今大臣が率先してやるべきことだと思います。

 そのための予算措置、例えば、総理のおっしゃることと財務大臣のおっしゃることにもそごがございます。財務大臣がそこに人を配置するための予算とおっしゃったのかどうかはわかりませんが、補正予算等々のお話も出ています。そこは実は、大臣がはっきり見通しを立てて、今ここをやるぞという決意と、それには人が必要だという見通しを出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 御理解をいただきたいところですけれども、要は五千万件の中で、今二千八百八十万という数字を出しているわけですけれども、この数字については、三千万人の受給者と突合したことがないんですね。だから、これは至急に早くやらせていただきたいということを申し上げているということで、まず御理解をいただきたいわけでございます。

 それからもう一つ、今委員もおっしゃられるし、また他の党の方々も力説されるところなんですけれども、原資料と今のオンラインの記録との突き合わせをやりなさい、これもやると私どもは言っているわけでございます。それから、今委員は御発言の中で、だらだらやっても、こうおっしゃったんですが、我々もだらだらやるつもりはありません。計画的に、しかもその進捗状況については定期的に公表しながらやるということを申し上げているわけでございますので、その点は御理解を賜りたいと思います。

阿部(知)委員 大臣、ちゃんと私の質問を聞いてくださいよ。そこには人手が必要なんですよ。大臣、見たことありますか。私も何カ所か見に行きました。本当に、一日で何件できるでしょうと考えてみて、それを今の現状の仕事とあわせてやれという指令は、さっき言った不良債権なんですよ、今の本当に真剣に働く職員に、それは余りにも過酷だと私は思います。大臣はわかっていて今の答弁であるならば、私はそれはやる気がないというふうにみなさざるを得ません。

 恐縮ですが、きょう、私十五分ですので、これは委員長にもお願いしますが、三千件のうちの四件と言われるミスの問題とあわせて、次回、大臣に明確な御答弁をいただきたいと思います。

 引き続いて、本日話題になっておりますドクターヘリの問題。もう各委員から、いろいろな多面的な御質疑がありました。例えば、ドクターカーはどうか、あるいは消防の持っている防災ヘリとの連動はどうか、そこのマンパワーはどうするのか、教育はどうするのか。そういうことはもう重なりますので、私からは、大体、救急というものの成り立つ土台、日常医療の部分で今進んでおります医療崩壊、この土台がなければ、これも幾ら屋上屋を重ねても瓦解いたしますので、土台部分についての質疑をさせていただきます。

 きょう、大臣のお手元にも配らせていただきましたが、この間、与党の皆さんも、医療崩壊状況、特に医師不足状況についてはそれなりのお取り組みをなさっておられることと思います。これは、数日前、厚生労働省で検討されました、例えば緊急臨時的医師派遣システムというものを構築するための会議の資料でございます。これは、コンクリート、まだ定まったものではございませんが、私は、それにしても、考え方において幾つか伺っておかねばならないと思います。

 今、例えば地域の中核病院で人手が足りない、それゆえに休診せねばならぬ等々の事案が生じた場合に、ここにドクタープールというのをつくる。このドクターのプールの中の、退職医師というのはわかります。もうすぐ私も、団塊世代で、医師としては退職に入りますから、これを確保しよう、いい案だと思います。

 一方の、全国規模の病院グループ等からの、例えば勤務医や後期研修医をグループにおさめて、ここから派遣しようということになってまいりますと、ここには二つの大きな問題が派生するように思います。

 ちなみに、時間がないため、私が一方的にしゃべらせていただきますが、全国規模の病院グループ、では、どんなところを考えていらっしゃるんですかと伺いましたら、一つは国立病院機構、旧国立病院、そして、二ページをあけていただきますと、日赤あるいは済生会あるいは厚生連などの病院でありました。

 現状、医療崩壊には大きな二つのファクター、一つは経営的、いわゆる医療運営上の経営的、お金にかかわること。例えば、救急医療もそうですが、救急医療を常時開いておくには日常的にお金が要るわけです、そこにまず場を確保して、医師を確保して、来ても来なくてもそこに開くという。このお金の問題も解決しなければ、先ほどのドクターヘリも解決しないという御指摘はありましたが、実は日常の医療でも、そこに病院が病院として成り立つための経済インフラというものが必要であります。

 これらの病院、ざっと見渡しますと、日赤、済生会、厚生連など公的病院の財政事情、これは厚生労働省の資料でありますが、見ていただきますと、赤字、黒字、赤字、黒字、病院比率が出ております。ちなみに、例を日赤に引かせていただきますと、平成十年から十五年にかけて、いわゆる赤字病院の比率はふえてきております。

 これは、実は、ぜひここを伺いたいのですが、近年の、ますます病院にとっては厳しく、苦しく、やりづらくなっている診療報酬改定前のデータであります。病院が赤字に傾けば、当然そこでいい医療もできませんし、人の確保も、特に医師の確保は難しくなってまいります。

 先ほどのドクタープールということを考える以前に、診療報酬改定に伴って各公的病院がどのような経営状態の変化を来しているか。ここには十五年までしか、これが最新データだと言われました、これ以外はないのでしょうか。そして、ない段階では、今お考えのところの、そこの病院から医師を引っ張り抜く、どこかに派遣するということも極めて深刻な事態になりますが、大臣、どう伺っておられますか。

 引き続いて、もう一点お願いいたします。

 ここには後期研修医も派遣すると書いてございます。しかし、後期研修医は、職員として雇うわけですが、三年間の期限の中で、おのおの自分の医師としての自己研修のプログラムがございます。それが、急にどこかで不足になったから、たまたまあなたのやりたいことと合うから行ってくれならばまだしも、後期研修をやりたいと思う医師にとって、その医師自身のニーズとここに生じた医師不足という情勢のニーズは必ずしも合致いたさない場合があります。そうすると、個々人の医師の自己研修という観点からは遠いところになりますが、そのことは今後どのように検討されるのか。

 大臣、経営面の問題、そして個々人の医師の自分の将来図の問題、この二つについてきょうはお伺いしたいと思います。

柳澤国務大臣 先般、地域医療支援中央会議におきまして、緊急臨時的医師派遣システムということを政府・与党の緊急の医師確保対策の中で決定いたしましたのを受けまして、私から、ぜひ派遣元とされる全国規模の病院のグループの代表の方に御協力をお願いした次第でございます。

 もとより、その方々からは、むしろ、事前に私個別にもお話し合いの機会を持たせていただきまして、それぞれに、今現在、今委員が御指摘になられるように苦しい状況にあるということはお聞きしておりました。しかし、私ども、緊急に医師派遣を行わなきゃならないというところの緊急性ということにかんがみまして、先生方にも御協力をお願いしたいということを折り入ってお願いした次第でございます。

 もとより、臨時、緊急ということでございますので、私ども、例えばの話でございますけれども、今のところお医者さんがいなくなってしまったけれども、来年の四月になればめどがついているんだ、それまでの話なんだ、こういうようなことになっておりますので、では、それまでのいわば補てんというような意味合いでお願いをするということでございまして、体系的に今このところを考えてやるというより、まさに緊急、臨時の措置としてお願いをしたということでございます。

 後期研修中のお医者さんにつきましても、これは、そういう方も想定をして、排除するわけじゃないという意味でそこに掲げさせていただいているわけで、その方々にすぐに行ってもらうというよりも、そのお願いをした医療機関の中でのいろいろな人選の中で決まってくる話だろう、こういうように思いまして、そう無理やりに御自身の持っている研修計画というものを大転換させるというようなことまでお願いするということには考えていないわけでございます。

櫻田委員長 以上をもちまして阿部知子君の質疑を終了いたします。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 まず、午前はドクターヘリのことについて質問させていただきます。

 このドクターヘリの問題につきましては、私もこの委員会等で言わせていただいておりますが、今回、事故、急病、そして災害等の発生時に、消防機関、そして医療機関等からの要請によりまして、直ちに医師が搭乗してヘリコプターで現場等に出動するドクターヘリ、これは、搬送時間の短縮だけではなくて、医師が救急現場等から直ちに救命医療を開始することができる、そういうことによって、救命率の向上、そして後遺症の軽減に大きな成果を上げるものだというふうに考えております。

 我が国におけますドクターヘリについては、厚生労働省において導入の促進事業が展開されておりますけれども、地方自治体の財政負担、こういうものが厳しい現状もあり、ドクターヘリの導入というのは進んできていません。このため、今回、参議院で法案を取りまとめられたということに関しましては、まず関係者の皆様に敬意を表したいというふうに思います。

 ただ、今回の法案につきまして、まだ幾つかの疑問がございますので、本日はそれをお尋ねしたいと思います。

 まず、この法案によって、今まで厚生労働省が導入促進事業を展開してきてもなかなか導入が促進されることがなかったわけですが、今回のこの法案ができたことによると、ドクターヘリの導入が促進される見込み、この効果、どのように考えていらっしゃるのか、提出者にお聞きしたいと思います。

鶴保参議院議員 お答えを申し上げたいと思います。

 この法案において、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保等に関する施策の目標等を定めること、そしてまた、厚生労働大臣が定める基本方針に救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する事項を定めることを義務づけることなどによって、施策の目標が明確になり、また、都道府県その他の関係者において、その必要性について十分な認識がなされるということが大きな効果であると認識しております。

 また、ドクターヘリの導入に際しましては、先ほど来お話をさせていただいておりますとおり、厚生労働省のドクターヘリ導入促進事業によると、一カ所当たりの基準額は年間約一億七千万円と高額な費用がかかるものですから、そのことに対して、国及び都道府県における補助に法律の裏打ちを与えること、また、助成金交付事業を行う法人の登録制度を設けること等により、ヘリコプターの導入が促進されると見込んでおります。

 また、副次的な効果といたしまして、法律が制定されることにより、救急医療用ヘリコプターの有効性が広く国民に知られることになることも期待されております。

 以上です。

糸川委員 では、この法案が制定されれば、ドクターヘリの導入後に、今の鶴保先生の御意見ですと、継続的に必要とされる維持費、それから運用費用の負担、これが軽減されるというふうに考えてよろしいのでしょうか。

 また、では、このような費用が継続的に助成されるということですが、それはどのように確保されるのか、継続的に助成されることがどのように確保されるのか、お答えいただけますでしょうか。

西島参議院議員 このドクターヘリにかかる費用というのはかなり高額なんですね。ただ、今、導入の促進事業では、ヘリコプターのリース料、これはパイロットの費用も含めて、それから燃料代も含めてでございますけれども、このリース費用に対して今補助金が出ているわけでございますが、これを法律補助という形にしたものでございます。

 ただ、今、年間に二百四十回ぐらいの飛行で実は積算をされまして、それで一億七千万の補助が出されているわけでございますけれども、全国的に今十カ所展開されていますが、これの平均でいきますと、大体四百回から四百五十回ぐらいの飛行回数ということになります。もしそうなりますと、試算を四百回飛行で試算しますと、大体一億九千万、二億近いお金がかかる。これが回数がふえますと、ヘリの変動費用ということで、大体一回の飛行につき八万円ぐらいがかかってくるということでございまして、これがどんどん積み重なっていくわけでございます。

 ですから、この一億七千万以外の費用をどうするのかということで、今回の法律の中には、助成金交付事業を行う法人を登録制度として採用させていただきまして、そして、ここには、例えば社会的な責任を果たそうとするさまざまな企業があるだろうと思います。例えば、自動車産業、それから損保会社等々、こういうところから、また、個人でもこれに対して協力しようという方々もいらっしゃるだろうと思いますが、こういう方々に御協力をいただいて、寄附をプールいたしまして、そのプールの中から、それぞれの試算した費用によってドクターヘリを運用している病院の方へ補助をしていこうということでございます。

 ただ、今先生がおっしゃったように、これがきちんと担保できるのかどうかということは、やはり寄附をしていただくところの理解度がどれだけ深まるかということはこれからの大きな課題だろうとは思っております。

糸川委員 今先生おっしゃられるように、寄附を募っていかなきゃいけないんでしょうけれども、寄附というのは非常に難しい。今、個人ですとか企業ですとかというお話ですけれども、なかなか難しいのかなと思いますので、やはり費用は待ったなしでかかってくるものですから、ぜひ費用の確保だけはしっかりとまた御検討いただきたいと思います。

 この法案で、例えば、今回定義されておりますドクターヘリ以外のヘリコプター、こういうものを利用して救急の患者を搬送する場合ですとか、それから、医師ではなくて、過疎地域等ではやむを得ず看護師さんが搭乗される場合もあるでしょう、そういう場合のこのドクターヘリの取り扱いというのはどのようになるのか、お答えいただけますでしょうか。

櫻井(充)参議院議員 糸川議員にお答えいたします。

 ドクターヘリ以外というのは、恐らく消防機関であるとか海上保安庁が保有している消防災害用のヘリコプターを想定されているんだろうと思いますが、今回のこの法律案では、これは対象外でございます。

 ただし、災害時等において、傷病者の運搬等これまで重要な役割を担ってきておりますから、地域の実情に合わせて連携していくということは極めて大事なことだと考えておりまして、本法律案の三条の二項にもその点について定めているところでございます。

 それから、もう一点ございました、看護師さんの同乗に関してでございますが、これは基本的には想定しておりません。それは、なぜならば、たとえ医師が同乗したとしても、私のような十年も救急の現場から離れたような腕のさびついた医者が仮に乗ったとしても何の役にも立ちませんから、そういう点から考えれば、救急救命の現場で専門にやっている医師が同乗してこそ本当の意味での救命率が上がる、そのように考えておりますので、基本的には看護師さんの同乗ということについては想定しておりません。

 以上でございます。

糸川委員 そうしますと、やはりこれは、先生、今、十年現場を離れていらっしゃるということですけれども、なるべく多くの医師の確保というものも進めていかなきゃいけないわけで、特に、過疎化が進んでいる地域ですとか、そういうところに関してはもっともっと配慮をしていかないと、このドクターヘリ、法案を通してもなかなか難しいのかなというのも感じるわけです。

 では、大臣に今度はお尋ねいたしますが、今回のこの法案によって、ドクターヘリに搭乗して、そして治療に当たる医師の、今救急医療の現場に携わっていらっしゃる方、そういう方々の実際の量というんでしょうか人数と、それから、救命の現場にいないと救命率が上げられないということですから、では、そういう質、この両面の確保、これが今必要になるというようなことで、両面の確保が重要な課題になっておるわけですが、今後の具体的な政府の取り組み、この方策を今大臣がどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。

柳澤国務大臣 ドクターヘリへの搭乗をされるお医者さんというのは、一般的に救急医療の専門医等の経験の豊富なお医者さんである必要がある、それでこそ本来の目的である救命率の向上というものが実現されるというふうに考えております。

 現在、救急の医療に当たるお医者さんにつきましては、国立病院の東京災害医療センターで研修をいたしておりますし、また救急医療財団におきましても研修をいたしておりまして、このような救急医療に適した情報あるいは知識等について、改めて先生方に習得をお願いしているということでございます。

 厚生労働省といたしましては、今後とも、こうした取り組みによりまして、ドクターヘリによる質の高い救急医療が普及するように努めていきたい。ですから、研修というものをもっと充実しないといけない、そういう方向で考えているところでございます。

糸川委員 そうしますと、大臣、またその研修等に結構費用もかかってくるわけですので、その辺の財政の確保、これが必要になるわけですが、医政局長にお尋ねをさせていただきます。

 今回の医療機関に対します助成金の交付事業、これができることによって、すべての財政責任を今後医療機関が負うことにこの法案でならないのかどうか、そのお考えを一点お聞きしたい。

 それから、もう時間がございません、諸外国のドクターヘリに要する費用負担、これは、諸外国の場合はどこがどのように責任を持ってやっているのか、そして諸外国の助成制度の概要というのはどのようになっているのか、お答えいただきたいと思います。

松谷政府参考人 ドクターヘリの整備につきましては、他の医療提供体制の構築の場合と同様、その責任を有する都道府県に応分の負担をしていただくということで、国はその援助をしているところでございます。今回の法案によりまして、またその財源等についての新たな手だて等の枠組みもできるということでございますけれども、基本的な枠組みは変わらないものと考えております。

 厚生労働省としては、今後とも、複数の県をカバーする広域搬送の体制、あるいは消防防災ヘリの活用などの方策を含めまして、先行した取り組みの事例の紹介を行いながら、このヘリが効率的に活用されるように努めていきたいと思っております。

 また、諸外国、先進国の状況等でございますけれども、他の先進国におけるドクターヘリに係る制度は、それぞれの国の歴史的背景等もありまして、さまざまでございます。

 例えば、アメリカで申しますと、地域によりさまざまな搬送主体が存在をいたしまして、これは民間あるいは州といったような場合があるようですが、その搬送主体により多様な形態をとっております。それが公的機関であれば公費、民間であれば民間保険を財源として、さらに利用者負担があるという状況だと伺っております。

 また、ドイツでは、搬送主体が自動車連盟などから成ります国内ほぼ一体の組織でございまして、財源は公的医療保険及び民間医療保険を主なものとしているというふうに伺っております。

 また、スイスでは、搬送主体がREGAと呼ばれる民間非営利団体となっておりまして、財源は会費と寄附によっているというふうに伺っております。

 以上でございます。

糸川委員 大臣、今回この法案が通ったならば、医師の量の確保それから質の向上、それから財源の問題、これはしっかりとまた取り組んでいただきたいと思います。

 以上で終わります。

櫻田委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

櫻田委員長 起立総員。よって、本案は可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

櫻田委員長 次に、内閣提出、参議院送付、社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案は、参議院で修正議決の上送付されたものでありますので、まず政府から趣旨の説明を聴取し、引き続き参議院における修正部分の趣旨について説明を聴取いたします。柳澤厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柳澤国務大臣 ただいま議題となりました社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 介護福祉士、社会福祉士制度につきましては、認知症である方に対する介護など従来の身体介護にとどまらない新たな介護サービスへの対応やサービスの利用支援、成年後見、権利擁護等の新しい相談援助の業務の拡大など、近年の福祉ニーズの多様化、高度化への対応が求められております。このような中で、介護福祉士、社会福祉士について資質の確保及び向上等を図るため、これらの定義、義務や資格の取得方法等を見直すこととした次第であります。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、介護福祉士の行う介護を「入浴、排せつ、食事その他の介護」から「心身の状況に応じた介護」に改めるなど、定義規定を見直すこととしております。

 第二に、個人の尊厳の保持、認知症等の心身の状況に応じた介護、福祉サービス提供者及び医師等の保健医療サービス提供者等との連携等について新たに規定するなど、介護福祉士、社会福祉士がその業務を行うに当たっての義務に係る規定を見直すこととしております。

 第三に、介護福祉士、社会福祉士の資質の向上を図るため、介護福祉士については、一定の教育プロセスを経た後に国家試験を受験するという形でその資格取得方法を一元化するとともに、社会福祉士については、福祉現場における高い実践力を有する人材を養成するための資格取得方法の見直しを行うこととしております。

 第四に、社会福祉士の任用、活用の促進を図るため、身体障害者福祉司等の任用の資格に社会福祉士を追加することとしております。

 最後に、この法律の施行期日は、一部を除き、平成二十四年四月一日としております。なお、介護福祉士の資格を取得するために新たに国家試験を受験することとなる介護福祉士の養成施設の卒業者については、当分の間、准介護福祉士の名称を用いることができることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、この法律案につきましては、参議院において修正が行われたところであります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

櫻田委員長 次に、参議院厚生労働委員会における修正案の提出者参議院議員津田弥太郎君。

    ―――――――――――――

 社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案の参議院修正

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

津田参議院議員 民主党・新緑風会の津田弥太郎です。

 社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案に対する参議院の修正部分につきまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本法律案では、介護、福祉ニーズの多様化、高度化への対応が求められている中、介護福祉士の資格取得については、その資質の向上を図るため、国家試験の受験を必須として一元化を図ることとしております。

 一方で、フィリピンとの間の経済連携協定においては、国家試験なしで資格を取得できる現行制度を前提として、フィリピン人の受け入れが規定されております。本法律案には、一元化の趣旨を損なわない範囲で協定との整合を担保するため、当分の間、養成施設の卒業者に、介護福祉士に準ずるものとして准介護福祉士の名称を与える仕組みが盛り込まれております。

 このような准介護福祉士の仕組みの趣旨を明確にするため、附則第九条の検討規定に追加して、新たに准介護福祉士に係る検討規定を置くこととしたものであります。

 修正の内容は、「政府は、経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定に関する日本国政府とフィリピン共和国政府の間の協議の状況を勘案し、この法律の公布後五年を目途として、准介護福祉士の制度について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」との検討条項を本法律案の附則に加えるものであります。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

櫻田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 この際、休憩いたします。

    午前十一時四十五分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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