衆議院

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第2号 平成19年10月24日(水曜日)

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平成十九年十月二十四日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 茂木 敏充君

   理事 大村 秀章君 理事 後藤 茂之君

   理事 田村 憲久君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 山田 正彦君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井澤 京子君

      石崎  岳君    鍵田忠兵衛君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木村 義雄君    櫻田 義孝君

      清水鴻一郎君    杉村 太蔵君

      鈴木 馨祐君    薗浦健太郎君

      高鳥 修一君    谷畑  孝君

      土井  亨君    冨岡  勉君

      長崎幸太郎君    西本 勝子君

      萩原 誠司君    林   潤君

      福岡 資麿君    松浪 健太君

      松本  純君    松本 洋平君

      三ッ林隆志君    内山  晃君

      小川 淳也君    岡本 充功君

      菅  直人君    菊田真紀子君

      郡  和子君    園田 康博君

      津村 啓介君    長妻  昭君

      細川 律夫君    三井 辨雄君

      村井 宗明君    柚木 道義君

      伊藤  渉君    古屋 範子君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      岸  宏一君

   厚生労働大臣政務官    伊藤  渉君

   厚生労働大臣政務官    松浪 健太君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          松永 邦男君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   木下 康司君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  西山 正徳君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高橋 直人君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中村 吉夫君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  阿曽沼慎司君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (社会保険庁総務部長)  吉岡荘太郎君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  石井 博史君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十四日

 辞任         補欠選任

  新井 悦二君     土井  亨君

  井上 信治君     鈴木 馨祐君

  松浪 健太君     鍵田忠兵衛君

  岡本 充功君     小川 淳也君

  柚木 道義君     菅  直人君

同日

 辞任         補欠選任

  鍵田忠兵衛君     松浪 健太君

  鈴木 馨祐君     薗浦健太郎君

  土井  亨君     新井 悦二君

  小川 淳也君     村井 宗明君

  菅  直人君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  薗浦健太郎君     井上 信治君

  村井 宗明君     津村 啓介君

同日

 辞任         補欠選任

  津村 啓介君     岡本 充功君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

茂木委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局公務員部長松永邦男君、財務省主計局次長木下康司君、厚生労働省医政局長外口崇君、健康局長西山正徳君、医薬食品局長高橋直人君、労働基準局長青木豊君、雇用均等・児童家庭局長大谷泰夫君、社会・援護局障害保健福祉部長中村吉夫君、老健局長阿曽沼慎司君、保険局長水田邦雄君、社会保険庁総務部長吉岡荘太郎君、社会保険庁運営部長石井博史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

茂木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大村秀章君。

大村委員 皆さん、おはようございます。委員の皆さん、おはようございます。本当に御苦労さまでございます。

 そしてまた、舛添大臣、そして岸、西川両副大臣におかれましては、国民生活に直結をする大変大事な分野でございます。どうか、私どもこの委員会としっかりと建設的な議論を盛り上げていきながら、ぜひ国民の期待にこたえていただきますように、御期待を申し上げたいと思います。また、いろいろなテーマ、テーマにおきまして、私どももしっかりと審議をし、議論をし、そして時には厳しく、そして叱咤をしながら、いいものをつくっていきたい、そんなことでお願いを申し上げたいというふうに思います。

 そこで、きょうは私、トップバッターで質問をさせていただきます。自由民主党の大村秀章でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。

 そして、きょうは実は二つお聞きをしようかと思いました。

 まずは最初に、高齢者医療制度について基本的なお考えを、これは、大臣、まず高齢者医療制度と医療制度全体について基本的な考え方だけお聞きしたいというふうに思います。

 まさに医療というのは、国民の皆さんの命と健康を守る大変大事なものであって、なくてはならないものだと思います。これは、若い人でもお年寄りでも、そしてどこの地域に住んでいても、そしてお金持ちでもそうでなくても、とにかくすべての国民にとって大事な、まさにみんなで支えるべき公共財、これこそまさに公共財だと思います。ですから、みんなで支えていかなきゃいけない。

 その医療制度の持続可能性が、今のこの日本の人口構造の劇的な変化も含め、そしてまた財政の状況も含めて、国民皆保険制度ができて四十数年、やはりなかなか大きな転機に来ているというのも、これはみんなもうわかっていることだと思います。したがって、我々は、この制度をみんなで支えていく、しっかり進めていくんだということで、医療制度改革を一昨年、昨年とやってきました。これからまだまださらに努力をしていかなきゃいけないと思います。そういう意味で、高齢者の医療制度というのもつくらせていただいて、来年四月から本格施行ということになっております。

 ただ、みんなで支えていくという中で、やはり世代間、世代内、いろいろな公平性もあります。そういう意味で、御負担もお願いするところはお願いせざるを得ない。しかし、やはり御理解をいただきながら十分納得をしていただいてやっていくという必要がありますので、その点を考えて、今与党でプロジェクトチームをつくって、高齢者医療の負担のあり方とかそういったものを議論いたしております。

 基本的には、来年の、七十歳以上の二割負担はもう凍結をしたらどうか。そして、七十五歳以上の後期高齢者の、被扶養者の保険料負担についても凍結をしたらどうか。そして、御理解をいただきながら……(発言する者あり)御理解をいただきながらこれを進めていくということは、私は、国民すべての皆さんのためにやっていく方向だというふうに思っております。

 そういうことも含めて、これは、まず舛添大臣の御答弁をいただきたいと思いますが、一言だけ申し上げておきます。先ほど理事会で申し合わせたことをお守りいただかないと、先生、理事会から出ていっていただかなきゃいけないですよ。それだけは申し上げておきます。

茂木委員長 各委員にお願いを申し上げます。

 大変重要な委員会の審議であります。粛々と審議を進めたいと思いますので、御静粛にお願いをいたします。

大村委員 大臣、まず基本的なお考えだけお聞かせいただきたい。

舛添国務大臣 今、大村先生おっしゃったように、私は、海外での生活もあるものですから、やはりこの日本の国民皆保険というのは本当にすばらしい、これは何としても守っていかないといけない、そういうふうに思っております。そして、健康、医療、こういうものについて貧富の格差で差別があってはならない。今公共財という言葉をお使いになりましたけれども、ひとしくこれは、貧しかったら早く死ぬ、金持ちだったら長生きできる、こういうことが絶対あっちゃいけない。これは私が政治の道を志した原点でありますので、この原則をしっかり守っていきたいとまず思います。

 ただ、そのためには持続可能な制度をやっていく。これまでの私たち日本国民の努力で、大変な長寿社会、高齢化社会、本当に、みんな八十五まで生きる、こんなすばらしい社会を実現した、これを維持していかないといけないんですが、私自身もだんだんよわいを重ねていくにつれ、いろいろな体の部品の故障が起こってきたりする。そうすると、高齢者になるとどうしても医療機関にかかる可能性は高まります。

 そこで、世代間の負担の公平性を考えないといけない。若い人に余りこの負担がいくと、これはもう年金も保険もそうですけれども、この世代間の負担ということも考えないといけない。そこで、高齢者の、非常にお金持ちの高齢の方には少しは御負担いただけませんか、こういうことで、現役並みの所得を持っておられる方は現役並みにお払いくださいということで三割負担ということをお願いする。それから、七十歳から七十四歳までについても、これに一割から二割という案を提案したわけでございます。

 それから、七十五歳以上のいわゆる後期の高齢者の制度につきましては、これを先ほど申し上げましたように世代間で負担しよう、公平に負担しようということで、高齢者が保険で一割、現役世代の支援金で四割、公費が五割、こういうことで負担の公平性、世代間の公平性というのを担保したいというふうに思っています。それから、都道府県単位ですべての市町村が加入するような広域連合を運営主体としたい。これが後期高齢者の医療制度の改革の基本方針でありますので、方向性として、こういう形で進められればと思っています。

大村委員 この医療の問題につきましては、またこれからもしっかりと議論をしていきたいというふうに思っております。

 きょうは、次のテーマに参りたいと思います。肝炎の問題につきましてお聞きをしたいというふうに思っております。

 血液製剤のフィブリノゲンによりまして肝炎に感染したと疑われる方々の資料、データを二〇〇二年に製薬会社が作成し、それを厚労省は受け取っていたわけでございます。しかし、その段階で、製薬会社はこれらの方々に何らのアクションも起こさなかった。そして、厚労省も、こうした報告を受けて、フィブリノゲンを使ったおそれのある人は検査をするようにというふうに一般に呼びかけただけだったというふうにされています。個々の方々に知らされていたら、早く適切な治療ができて、症状の悪化を防げたのかもしれない、そして、今も知らされていない方がいるかもしれないという指摘がございます。私もそのとおりだと思っております。

 そこでお聞きします。

 なぜ、この情報を受け取った段階で、少なくともこれらの方々だけでも、本人を特定し、知らせるように努めなかったのか。そしてまた、こうした資料を受けて、フィブリノゲンによって肝炎に感染したおそれのある方々について、さらに多くの方々を特定できるよう、医療機関を公表し、広く働きかけを行わなかったのか。まず、この事実関係、お聞きをしたいと思います。簡潔にお答えいただきたいと思います。

舛添国務大臣 大村委員の御質問でございますけれども、平成十四年の調査の際に、旧ミドリ十字社がフィブリノゲン製剤の投与に関連する肝炎の発症例について過去の各時点でどのような情報を把握していたのかを確認するために、時系列で追った表の作成、報告を厚生省は求めた。まず一つ。このリストは、平成十四年七月二十六日付で国が三菱ウェルファーマ株式会社に発した第四回報告命令に対する報告として、平成十四年八月九日付で厚生労働記者クラブを通じて公表した。

 それで、当時の問題意識としては、このリストの対象となっている方々は当然のことながら、肝炎対策の一環として、とにかく検診してくださいということを広く呼びかけたということでございますけれども、私も、委員がおっしゃるように、さらにもう一歩踏み込んで個々人にできなかったのかなということは、これは思っています。

 医療機関については七千カ所、これは公表しております。

大村委員 大臣が今言われたように、もう一歩何で踏み込まなかったという思いはみんなあると思います。そして、今、医療機関の公表と言われましたが、それは時間がちょっとずれていますよね。だから、その点はやはり私はちょっと、何であのときにすぐにやらなかったのか、こういうことを指摘しておきたいというふうに思います。

 それで、そのときになぜすぐやらなかったのかということとあわせて、あれから五年の月日がたっております。そして、私、ここでお聞きをしたいのは、こうした資料が何で引き継がれずに五年間、倉庫に眠っていたのか。

 厚労省は、当初、肝炎発症者の個人情報を含む資料はないと言っていたわけであります。それで最近になって、前の担当者が思い出して地下の倉庫から捜してきたというのでは、余りにもお粗末ではないでしょうか。感染したとされる方々の命にかかわる情報が、引き継がれずに、たまたま前の担当者が思い出して見つかったというのでは、こんな大事な情報も管理できないんですか、そしてきちんとした対応もできないんですか。そんなことでは、国民の命と健康を守る薬事行政、医療行政はお任せをすることはできないのではないんでしょうか。組織としての体をなしていないのではないかと言われても仕方がないのではないかというふうに思います。

 今私が申し上げたことはすべて私の思いですけれども、多くの国民の皆さんはこれに同意をしていただけるのではないか。

 大臣も、とあるところで、私ちょっと報道で聞きましたけれども、システムとして重大な欠陥があると言わざるを得ないんじゃないかというようなことも言われていたと思いますけれども、こうした今私が申し上げたこの五年間の経過、何でこんなふうになったのかということを照らして、大臣、その責任をどういうふうにお考えか、これをお答えいただきたいと思います。

舛添国務大臣 私は、大村委員がおっしゃったのと同じことを公の場で申し上げました、組織としての体をなしていない。つまり、人がかわったらわからないというのでは、その組織は何ですかと。横文字で言うと、インスティテューショナルメモリー、つまり組織としての記憶、これが引き継がれていないというのは組織ではないということですから、私は、こういうところに徹底的にメスを入れて、そしてこの組織を、厚生労働省をきちんと立て直して、国民に対して信頼できる厚生労働行政を取り戻す必要があると思って、今、全力で取り組んでやっております。

 それで、私に直属の特別の調査チームをつくりまして、まず、今委員おっしゃった五年間の放置、組織としての問題点、これを徹底的に、約一月お時間をちょうだいしまして、これもできるだけもっと早くと思っておりますが、全力を挙げて、拙速主義に陥らないように、徹底的にメスを入れた上で、そして検討を加える、それで責任の所在が明らかになれば厳しく処分を含めて対応する、そういう覚悟でございます。

大村委員 今、舛添大臣は、徹底的にメスを入れるというふうに言われました。ぜひ徹底的にメスを入れて、これを明らかにしていただいて、国民の前に速やかにお示しをいただきたい、そのことを申し上げておきたいというふうに思っております。

 あわせまして、製薬会社の対応についてもお聞きをしたいというふうに思います。

 舛添大臣は、この問題が起きて早速、一昨日、製薬会社を呼ばれて、すぐさま対応するようにということを指示されたわけでございます。ということは、この製薬会社の方も、この五年間、こうした情報を持っていたわけですね。これは、製薬会社はこれまでどういうふうに対応してきたのか、患者の方々にお知らせするように努力をしたのか、何で、おとといになって、一昨日になって、今になって、実名百九十七人、頭文字百七十人のリストが出てきたのか、こんなに特定できたなら、何で今まで、患者の皆さん、関係の皆さんにお知らせをする努力をしてこなかったのか、それも疑問に思わざるを得ません。

 これまで製薬会社がとってきた対応がどうだったのか、それから、これからどういうふうに取り組もうとしているのか。これは大臣が一昨日、すぐさま対応するようにと指示をされたというふうに聞いておりますが、会社がもちろん一義的な責任ということかもしれませんが、指導監督責任は、薬事行政というのは大変重い行政ですから、厚生労働省にあるわけでございます。そういう意味で、製薬会社の対応、どうすべきなのか、こうしたことも含めて、厚生労働省の考えをお聞きしたいというふうに思います。

舛添国務大臣 この四百十八名のリストが出てきた、これはもう一日も早く対応しないといけない。一番優先すべきことは、投与された方々、肝炎にかかっている可能性がある、一人でも多くの命を一秒でも早く救う、これが原点にないといけないと思いましたので、とにかく早く知らせてあげてくださいよ、わかっているならばということで、直ちに製薬会社の責任者、トップを呼びまして、その要請をいたしました。そのときに、データを出せるなら、できるだけ、全部出してくださいということも要請した。もちろん、先ほど申し上げましたように、国の責任を放棄するんじゃなくて、国の問題は今、私のもとに直属チームをつくってきちんとやらせている。

 そうすると、今おっしゃったように、実名で百九十七名はわかっていた。私たちの調査、とりあえず週末徹夜でやって、二名出てきました。百九十五名という乖離がある。まず、私は実は驚愕したんです、こういう数字を製薬会社が持っていて、何をしていたんだと。それから、もう一つ、これは今解明しますけれども、その百九十七名のデータが厚生労働省に当時来ていたのか来ていないのか。今ずっと調査を、まだ、毎日続けさせていますので、これもぜひ解明したい。

 ですから、直ちに、それはもちろんプライバシーへの配慮とかいろいろな細かい配慮が必要ですが、一刻も早くわかっている方にはお知らせいただきたい、そういう要請をやっております。そして、製薬メーカーの方も、国と同じように作業チームを立ち上げて、この問題を徹底的に検証し対応するということですから、私も、言いっ放しではなくて、きちんと対応していっているのかどうなのか、継続的にきちんとチェックをしていきたい、そういうふうに思っております。

大村委員 そこで、今大臣が、先ほども言われました、調査プロジェクトチームを立ち上げたということでございます。これは、大変大事なことでございまして、とにかく、今お聞きしたら、大臣直属というふうにお聞きしました。ぜひここで、一日も早く事実関係を解明していただきたいと思います。この際、五年間ありましたけれども、これを徹底的にプロジェクトチームで調査してもらいたいというふうに思いますけれども、この点についていかがでございましょう。

舛添国務大臣 先ほど申し上げましたように、とにかく、この週末、四百十八名のリストを徹底的に調査いたしました。そして、その後も継続的にやる、新しいチームも動いている。

 そこで、皆様方にこの場をかりて御報告いたしますけれども、あれ以降、またきのう一日調査をしまして、先般、四百十八例のうち実名について二名、イニシャルについて百十六名を確認した、これは公表したとおりでございますが、この前は八冊のファイルを徹夜でチェックさせた、しかし、民主党の方々も厚生労働省にきのうお見えになって、私は、徹底的にほかのところも捜しまくれと言って今やらせています。別の資料も捜せ、直接関係なくても捜しなさいと。

 そうすると、医療機関が報告したものがございます、いろいろなペーパーの中に。その中の、照らし合わせをやらせましたら、きのうの夜中遅くなりまして、先ほど言ったイニシャル百十六名の中の八名については実名を確認することができました。つまり、あの表の中で、イニシャルがございますね。そして二名しか出てこなかった。別の資料を捜せと。そうしたら、この何番の方はこの方だという実名がほかの資料から出てきたということをまず御報告いたします。

 この報告では、それはお医者さんが、八例、これは自分で、このお医者さんは肝炎の専門家でもあるのでチェックして、こういう肝炎という症例が出ている、入院もさせて今検討している、その感染の事実を厚生労働省に知らせる、その報告書の中に実は実名が記されていた。これが八名でございます。

 そういうことも含めて、これからどんどん、ほかの側面からも資料を見て、そして新たな事実がわかればこれはまたお知らせし、一刻も早く患者の方々の命を助けるということを前提にやりたい。

 ただ、この方々は、先ほどおっしゃったように、お医者さんが既に肝炎と確定して、今うちで治療していますよという方々、昭和六十二年のケースでございます。

大村委員 今新しい事実を報告いただきましたが、プロジェクトチームで、今大臣が言われたように、とにかく今まであったものをすべて洗いざらい出し切っていただきたい。そのことがあって初めて国民の信頼が回復できるというふうに思います。

 そういう意味で、やはりこうした関係する方々の実態調査というところまで踏み込んでやっていただいたらどうかというふうにも思います。また、大臣、こうした方々にすべてお知らせするということは、これはもうやらなきゃいけないということを言われていますので、これはぜひやっていただきたい。そういう意味で、この問題も大臣が先頭に立ってやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 そのこととあわせて、この問題は全国五カ所で裁判になっているわけでございます。大阪高裁では和解協議も俎上に上っていると聞いております。この問題の解決に向けましての大臣の考え方をお聞きしたいと思います。簡潔にお願いします。

舛添国務大臣 何度も申しますけれども、一人でも多く一秒でも早く命を救う、このための支援策は支援策できちんとやります。

 訴訟につきましても、私はずっと申し上げているように、訴訟に貴重なエネルギーを使うことよりも、命を助けることにエネルギーを使うべきである。したがって、この訴訟の問題もなるべく早く解決すべきである。そういう思いから、先般の大阪高裁の和解の場に応じろ、テーブルにのれということで、テーブルにのせました。全力を挙げて、一日も早く、この訴訟の面についても、私が陣頭指揮をして、きちんと早く解決したいというふうに思っています。

大村委員 今、訴訟も含めてと大臣言われましたが、ぜひ、一日も早く、とにかく一人でも多くの方の命を救えるように、その姿勢でこの問題の解決に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 これは、我々与党の側の考え方でございますけれども、肝炎というのは、もう改めて申し上げるまでもなく、ウイルスキャリアの方がB型で百二十万から百五十万人、C型で二百万から二百四十万人、発症された患者さんがそれぞれ十万人、五十万人というふうに言われております。その規模からして、まさに国民病と言っても過言ではないというふうに思います。これを放置すると慢性化して、より重篤な症状へ進行するということから、早期発見、早期治療というのが大事だということであるわけでありますけれども、この問題にやはり国として全力で取り組んでいく、そして国民の皆さん、患者さんの健康に対する不安を取り除くというのは、まさに国策としてやらなきゃいけないことだというふうに思います。

 そういう意味で、我々としては、予防、早期発見、治療水準の向上、そして治療のための専門医の育成、拠点病院の整備、連携協力体制の整備、そして肝炎の研究、そしてその医薬品とか医療機器の研究、啓発、相談支援体制の整備、そして患者さんの治療に係る経済的支援、治療費の助成も含めて、国として大きな対策を講じていく責任があるし、今やらなきゃいけないというふうに思っております。

 我々自民党は、昨年六月にプロジェクトチームを立ち上げました。立ち上げたときの座長は私でございましたけれども、与党としては、この六月にプロジェクトを立ち上げて、精力的に議論を重ねて、今もやっております。先日は、この訴訟の原告団の皆さんとも意見交換も行いました。多くの関係する皆さんの声に真摯に耳を傾けて、これも、先ほど大臣が言われましたように、できるだけ早く解決に向けて取り組んでいきたいというふうに思っております。

 直近の与党のプロジェクトチームでは、この十月の十日に行いまして、治療費の助成も行うということも確認をし、できるだけ早く結論を出したいということを確認いたしました。基本的な考え方は煮詰まってきているというわけでございますので、できるだけ早い機会に成案をつくって、成案としてこれを出していきたいというふうに思っております。与党としての総合的な大きな国策の方向性をつくって、これは世の中にお示しをし、そして具体的な施策にしていきたいというふうに思っております。

 こういう意味で、この点について、この問題の解決に先頭に立って取り組むと言われる舛添大臣のお考えをお聞きしたいというふうに思います。

舛添国務大臣 与党の皆さん方、プロジェクトチームで精力的に御議論いただいてまことにありがとうございます。政府が一貫して、従来のやり方を超えてきちんと対策をとるということでございますから、必ず来年の予算編成に支援策をきちんと入れるという方向で、与党の皆さん方のお考えをなるべく早く取りまとめていただきたい。

 また、民主党の皆さん方も法案を既に提出し、私も民主党の皆さん方とも何度も協議を重ねております。

 これは、与野党を超えて国策として取り組むべきで、今先生いろいろおっしゃいました、いろいろな対策、治療法の開発を含めて、総合的に国として全力を挙げてやる。そして、年内をめどに、こういうことをきちんと取りまとめる覚悟で努力してまいりますので、どうか党の方でも、よろしく与党の方でもおまとめいただきたいと思います。

大村委員 今大臣に決意をお聞かせいただきました。これは、与党としても、今私が申し上げた、そういった内容を含んだ総合的な大きな陣構えで、しっかりとこれをやっていきたいというふうに思っております。

 舛添大臣には、就任以来、この問題も含めていろいろな懸案が次から次へと出てきておりますが、その都度その都度陣頭指揮で頑張っていただいております。その姿勢を国民は見ております。ぜひ、その陣頭指揮で、常に現場に行って物事を見て、常に現場の感覚で一日も早くこの問題を解決するように、先頭に立って頑張っていただきますことをお願いいたしまして、そして私ども与党も、当然与党ですからこの問題の解決に大きな責任を持っていると思います。全力で取り組んでいって、この具体的な形をしっかりつくって、政府と一緒になって、一体になってこれを解決していきたい、国民の皆さんのためにやっていきたい、そのことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

茂木委員長 次に、宮澤洋一君。

宮澤委員 自民党の宮澤洋一でございます。

 舛添大臣に初めて質問をさせていただきますが、大変難しい分野、しかも国民の期待の最も大きな分野の大臣。恐らく、十八人いる閣僚の中で最も重い責任と、一番忙しい大臣を務められているわけでございますが、本当に期待をしておりますので、よろしくお願いをいたします。

 私は二十分時間をいただいておりますので、年金問題、少し時間は短いんですが、少し質問をさせていただきたいと思います。

 前回私がここで質問をさせていただきましたのが、もう五カ月前、五月の二十五日でございます。ちょうど社保庁解体法案の最後の締めくくり総括といいますか、総理に御出席をいただいた場で、総理、また柳澤大臣に質問をさせていただきましたけれども、五千万件、いわゆる年金記録問題について質問をさせていただきました。

 この厚生労働委員会、前の通常国会は、この年金記録問題、大変議論を呼んでおりましたわけですが、正直言いまして、与党の我々の理事から聞いても、政府側の対応は若干生ぬるいなという印象でずっと聞いておりまして、そういうわけにはいかないということで、いろいろな知恵を出し、そして政府を叱咤激励して、いろいろな解決策を考えていただき、それを政府側から発表していただいたのがちょうど五月二十五日でございました。いろいろな質問をさせていただき、柳澤大臣からいろいろなプログラムをお答えいただいたわけでありますけれども、その後、参議院選挙を間に挟みまして、随分このプログラムも精緻なものになってまいりました。

 ただ一方で、なかなか中身が複雑でございまして、この五千万件の名寄せ作業を含めて、いつまでに何をやるのかということを、もう一度大臣の口からわかりやすく御説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

舛添国務大臣 まず基本は、とにかく国民の一人一人の皆さんが自分の年金についてしっかりと確保する、記録も確保するし、当然それに基づいて支給も確保する、これが最優先でありますので、優先順位をつけてやりたい。

 それで、まず、氏名などが抜けている方々が五百二十四万件あります。これは、この九月から作業を開始しまして、一カ月やった結果を皆さんには先般お知らせしましたけれども、大体七割方チェックすることができました。これをまず十二月までに完了する。

 そして、実は私、きのう、高井戸の社会保険庁の業務センターに行きまして、五千万件の名寄せの作業のプログラムの試運転を実際に見てまいりました。

 これは、氏名、生年月日、性別、こういうデータを入れて、いわゆる記録が漏れている方々の記録を基礎年金番号に統合していくという作業ですけれども、三つのこの条件を入れてやる、次は二つにする、一つにするということで、コンピューターを動かしていきますが、ちょっと予想より早くテストランができるようになりましたので、この第一次名寄せで使うプログラムで、これはやってみないと、五千万件のうち何割がそれに該当するかわかりませんけれども、例えば半分の二千五百万件がコンピューターが打ち出して出てくれば、十二月の段階でねんきん特別便で、これはあなたのデータではありませんかということで、こういうことになっていますがということで、お問い合わせの回答はがきも入れてやろうというふうに思っています。それが三月までの作業で終わりたい。

 それから、四月から五月までには、まず年金を受け取っておられる方々で、先ほどの名寄せの必要のなかった方々に再確認をやらせる。それから、六月から十月までに、私たちのように今現役で働いている人たちにやるということで、大体十月までに年金記録の確認を行いたい。

 それから、いろいろな、紙のままで置いている台帳が日本各地に散らばっている。そういうのも、これは優先順位を今つけて、工程表でやった上で、さらにその後、一つ一つ着実にやっていきたい。

 これがプログラムでありまして、私は現場を何度も見ていますけれども、基本的には順調に進捗しているということを御報告いたしたいと思います。

宮澤委員 まさに、どんどん順調に順調に進めていただきたい話でございます。

 大臣と私が中心になって立ち上げました政策勉強会の名前は、「安心と希望」でございます。福田総理のキャッチフレーズは「希望と安心」でございますが、ともかく年金は、まさに国民の安心の一番優先事、まさに一里塚でございますので、国民が安心できるように早く作業を進め、確実に進めていただきたいと思っております。

 次に、年金制度について少し質問をさせていただきます。

 ちょうど三年前、十六年改正という年金制度改正をいたしました。状況からいいますと、それまでの制度を続けておりますと、国民年金の場合は、それまでの制度をそのまま続ければ、二〇一七年、今からですと十年後には積立金が枯渇する。また厚生年金は、もう少し長いですけれども、二〇二一年ですから、今からいえば十四年後には積立金が枯渇する。ある意味では、その後の年金というのは積立金なしの、納付した保険料イコール年金額という大変小さな額になってしまうというような状況を目の当たりにして行った大変大事な改正だと思います。

 ただ一方で、中身からいいますと、既に年金をもらわれている方にも少し年金を我慢していただく、また、これから年金をもらう世代にも、少し今の世代よりは年金額が少なくなっていく、さらに、保険料で支えてくださる若い世代の保険料も少し上がっていくという、三方一両損のような制度改正。ただ、これはどうしてもやらなければいけない改正だったと思っておりますけれども、三年前の改正についての大臣の御見解をひとつお願いいたします。

舛添国務大臣 給付は減らされるわ、負担はふえるわ、しかし、国民の皆さん方がそこをしっかりと理解していただいたというのをまず私は評価したいと思います。その上で、あとはマクロ経済スライドを導入した、これも一つのポイントです。

 ただ、基礎年金の国庫負担、二十一年までに二分の一に引き上げるという、この重い課題をどうするのかなということで、これが当面する直面の課題ですから、必ずこれは解決したいというふうに思っております。

宮澤委員 一方で、三年前には民主党からも対案が出てまいりました。テロ特措の方は苦労されているようでございますが、年金の方はきっちりした対案をいただきまして、大変高邁な理想に基づいた法案でございました。高邁な理想ですから、逆から言えば、少し現実的でない部分もあるプログラム法だったと思っておりますが、それでも消費税の引き上げまで言及される非常に大事な提案をされたと思っておりまして、その後、議会の中で年金制度全般の協議が進むのかなと思っておりましたが、なかなか進んでいないという状況でございます。

 先ほどの、三年前の改正は、ともかくもう目の前に来た積立金の枯渇、年金制度の崩壊というものを何とか食いとめるためにはどうしてもやらなければいけない改正である一方、高邁な理想というものをやはり国会の中で、これはすべて国民のためでございますから、党派を超えて議論するということは大変大事な話であり、もちろん、その三年前の改正でも、足りない部分というのは随分ございました。

 例えば、未納、未加入といったものをどうしていくのかとか、また、民主党さんがおっしゃっていたように、自営業とサラリーマンとの間で転職をするというような事態もこれから十分想定されるし、それが、年金が妨げになるということも問題であろうといったようなこともあると思います。

 また、かつては一号は自営業と言っておりましたけれども、一号被保険者ももうさまざまでございます。例えばフリーターをやられているような方の老後の保障といったことをもう少し真剣に考えていかなければいけないといった問題等々、いろいろな問題を残したままの改正であったことは間違いなくて、やはり、その高邁な理想のもとにある程度議論を深めていくということを、我々はこれからまさに国会の中で党派を超えてやっていかなければいけない話だろうというふうに私は思っております。

 そういう中で、例えば、二号だけではなくて一号、三号の方に報酬比例年金を導入するといったことも民主党案にはございました。さらに、全額、今、社会保険料と税ということで基礎年金、国民年金を賄っているわけでありますけれども、これを全額税方式という提案もあって、私自身は、それはある程度考えていかなければいけない、考慮していってもいい話だろうと思っておりますけれども、いわゆる税方式について、大臣、どういうふうに考えられているか教えていただきたいと思います。

舛添国務大臣 税方式のいい点もたくさんございますので、私は、政治家になる前の論文を読んでいたら、税方式でやれと書いていた論文も昔はありました。ずっと検討して、やはりそれぞれメリット、デメリットがあります。だから、今おっしゃった未加入、こういう方々に対しては、やはり税方式の方がいいなという点もございます。

 ただ、問題はやはり、自立自助だという、こういう社会保険料のプラスをどうするか。それと、税でやるなら生活保護との関係はどうするか、こういうこともございます。

 それから、先ほど申し上げましたように、二十一年度の二分の一の国庫負担の財源をどうするか、非常に頭を悩めておりますが、これを全部やるとなるとかなりの負担になり得る。二分の一でも、消費税に換算すれば一%、二兆五千億円ぐらい必要でしょうし、全額やるとなるとやはり三%とか四%、それぐらい必要になってくる可能性があります。

 ですから、そういうことをきちんと御議論していただいて、我々も議論をして、やはり、いいところ悪いところ、メリット、デメリットを勘案した上で、総合的にやるべきだというふうに思っています。

 それからもう一つ、今の方式を一挙に税方式に変えるというこの移行期間の問題。すぐあしたからやれるかというと、今の方式でやっている方々がプラスマイナスがあります。ですから、そういうことを考えると、少し移行期間の問題もあるのかなということで、これはしかし、国民的な議論を重ねて一番いい制度をつくりたい、私はそういうふうに思っています。

宮澤委員 まさに幅広い議論が必要だと思いますけれども、今の移行期間の問題というのは、恐らくこの問題で最も難しいし、大事なところだろうと思います。三年前の議論でも、そこまではっきりはおっしゃいませんでしたけれども、民主党の提案者も、いろいろ考えていかなければいけないということをおっしゃっていました。

 簡単に言えば、一番素直に言いますと、きのうまでの年金は社会保険方式で計算をする、そして、きょうからの分を税方式で計算をして、六十五になってその期間もらえるというのが最も素直な方式になるわけですけれども、一方、そうなりますと、これは税方式に完全移行するのには実は四十年たってしまう。山井先生でも全部は税方式にならない、こういう話になるわけで、この辺は大臣、どういうふうに考えられますか。

舛添国務大臣 いや、まさにそこが知恵の働かせどころで、私たちが制度設計して四十年後というのでは、ここにおられる方々皆さんひっかからないというような感じもありますので。

 ただ、私たちが二分の一、民主党さんの案が全額、四十年もかけないでどこかで接点ができないか。御承知のように、スウェーデンの場合は、途中で政権交代があったけれども、年金については与野党を超えて議論しましょうというのでずっと継続して協議をしていた、それでも約十年ぐらいかかっていますね。

 だから、やるならば、四十年と言わなくて、完璧な公平は保てないかもしれないけれども、まあこれぐらいなら、例えば仮に二十年、これぐらいの、ちょっと不公平はあるけれども、全体の制度設計から見たらプラスの方が多いのでどうか国民の皆さん御了解いただきたい、こういう態度で臨んで、何かいい案ができないかなと。だから、ぜひこれは皆さん方のお知恵を拝借したいというふうに思います。

宮澤委員 恐らく相当知恵を出さなきゃいけないし、一番わかりやすい、移行の仕方がはっきり出てくるのは、免除の方の年金を幾らにするかというのが恐らくある意味では象徴的な部分になるんだろうという気がいたします。

 また一方で、全額税方式ということを経団連もどうも主張されているということでありますけれども、今の厚生年金、基礎年金でありますと、雇用者、雇い主の負担といったものが保険料としてあるわけでありまして、もしかしてその雇い主側の方は、税方式にするとこれはなくなるんじゃないかと思われているかもしれませんが、そうは問屋が卸さないわけでありまして、その部分の負担をどういう形でいただくか。当然、現状と同レベルにはいただかなければいけない。

 それは、社会保険料負担といったものがまだ、ヨーロッパの諸国、特にフランスあたりはめちゃくちゃにたしか高い中で、日本は平均的といいますか、というようなレベルをさらにまけるほどの財政能力が我が国はない。こんなことを私は考えておりますが、その辺、大臣はどんなお考えですか。

舛添国務大臣 企業の第一義的な目的は利潤を最大にするということ、利益ということでありますけれども、しかし、企業も社会的責任ということを忘れてもらっては困る。特にこれは私は日本の企業に申し上げたい。アメリカの場合はチャリティーという考え方がありますから、大変もうけた方は、ビル・ゲイツのように大変寄附をなさるというようなことをやるんですね。

 それで、今おっしゃったように、仮に全部税方式になれば、企業の負担は減りますけれども、消費税を例えば五%上げないといけないということになります。その消費税が上がった分、そういうものは企業のつくった製品に対してもかかりますから、だから、今先生はそうは問屋が卸さないという言葉をおっしゃいましたけれども、私も同じようにそれは思っておりますので、この点も含めて総合的な議論が必要だろうと思います。

宮澤委員 これは質問に前もってしていなかったので恐縮でございますが、大臣ならお答えできると思いますので、少し議論させていただきたいんです。

 民主党案の中には、サラリーマン以外の方にも報酬比例年金を導入するということが入っておりました。これは、理想として私はこの方向は悪い方向ではないと思いますけれども、税方式の導入よりははるかにハードルの高いことなのかなと。

 それは、簡単に言えば、今、一号であり三号である被保険者の方の所得からある程度の保険料をいただくということでありますから、たしかあの民主党案には納税者番号的なものを、相当厳しいものを導入して所得の把握をきっちりやるんだという方向は示されておりましたけれども、そういうことについて国民的な合意ができるかどうかに加えて、新たな保険料を払わなきゃならなくなる方たちが、それは将来のためですよ、あなたのためですよと、遠い将来のことを考えればそうかなと思うけれども、目の前で言えば、国民年金ですら、携帯電話料を払う方が優先するという人たちに納得をしてもらえるかどうかというと、私は、かなりこれは納得していただくのは難しい、政治的なハードルは大変高いなという気がしておりますけれども、サラリーマン以外の方に報酬比例年金を導入するということについてはどういうふうにお考えか。

舛添国務大臣 一つの例を挙げると、例えば専業主婦という方がおられる、だんなさんの方は大変な稼ぎがある、それで個々人の収入ということになれば、ゼロということですから、この方にどういうふうに援助をしていいんですかと。では、例えば全く折半して、配偶者は、サラリーマンの、働いている夫の半分はそのまま計算する、その分はサラリーマンは半分と見るのか、こういうところの議論が非常に難しいと思います。

 ですから、要するに、納税者番号的、社会保障番号制的なものをみんな入れて、そしてポータブルにするという観点ではすぐれていると思いますけれども、今言ったことを国民に納得させる必要がある。そのためには、やはり年金というのも社会的連帯の一つのあり方であると。

 つまり、富める人がいろいろな事情で困っている方々に手を差し伸べる、それが保険であり年金である、そういう意識を国民が広く持つということを啓発すれば不可能ではないと思いますけれども、私が今出した一例のようなことも含めて、これはもう少しきめの細かな対応が必要になってこようか、そのように考えています。

宮澤委員 大臣から、すぐにできる話ではないわけでございますけれども、いろいろなお話を承りました。

 年金の話というのは、もちろん年金記録の話はすぐに、確実にやらなければいけない話でありますけれども、年金制度につきましては、やはり我々の、国民の次の世代、その次の世代を考えて、それこそ政権がかわっても、変わるような制度ではいけないわけでありまして、ぜひとも国会を挙げて議論をしていかなければいけないと思っておりますし、ぜひとも野党の方にもそういう方向で御協力をいただければありがたいなと思っていることを最後に申し述べさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、田村憲久君。

田村(憲)委員 ありがとうございます。自由民主党の田村憲久でございます。

 久しぶりに厚生労働委員会に帰ってまいりました。もう何年ぶりかなというふうに思うわけでありますが、ここで質問をさせていただく、しかも今国民の皆さんの中において一番期待をされておられるであろう舛添大臣に対して質問をさせていただくわけでありまして、大変光栄には思っておりますが、ただ、いろいろな問題がございまして、大臣、厳しいことをきょうは申し上げなければならないかもわかりません。どうかよろしくお願いをいたしたいと思います。

 まずは、障害者の問題を議論させていただきたいと思うんです。

 小泉改革、安倍改革、改革は必要であると思います。あったと思いますし、当然、全く元気がない人たちばかりの格差のない社会というのはどうしようもないですね。その中から元気のある人たちが出てきましたから、格差は当然生まれてくる。しかし、その中において、まだ元気の出ない方、なかなか元気を出せない方、これをどうするのだ、これが我々の大きな課題であると思いますし、そこをセーフティーネットでしっかりとお救いをしていくというのが社会保障制度でもあろうと思います。

 医療の問題、いろいろな問題があります。介護もあります。シーリングという大変厳しい上限がある。こんな中で厚生労働行政をやられてきておるわけでありますが、障害者施策も非常に弱者切り捨てだ、こういうような厳しいお言葉をいただいております。参議院選挙でも、そんなお言葉をたくさんの障害者の関係の皆様方からもいただきました。

 実際問題、自立支援法をつくるときに、私もいろいろな議論をさせていただいたんですけれども、質、量ともこれは充実をしていかなきゃならない。それから、やはり財政基盤ですね。今までのように裁量的な経費の中で、補正で走り回るなんてことは、これはもうとてもじゃないですが続けていけない、障害者予算、どんどんふえていきますから。そこで、やはりこれは負担金としたい、負担費としたい、こういうような思いの中でこの法律を通していったわけでありますが、一方で、いろいろな御不満もあるわけですね。

 全体として、本法施行後、関係予算の伸びがどうなっているか。本当に厳しいシーリングの中で、予算が切られている、もしくは伸びを抑えられている、こういうことになれば問題であります。予算の推移がどうなってきておるか。それから一方で、サービスの利用者の動向がどうなってきておるのか。ぜひとも大臣からお聞かせいただきたいと思います。

舛添国務大臣 私も厳しい参議院選挙を戦いましたから、全国区で、比例区でありますから全国歩いて、今委員がおっしゃった声を本当に各地で聞きました。

 したがって、この問題を何とかせぬといかぬということでございますが、今お尋ねの国の障害福祉関係予算でございますけれども、本法施行後、平成十八年が四千三百七十五億円、平成十九年が四千八百七十三億円、これは一一・四%プラスです。そして、来年度要求で五千三百三十二億円、九・四%プラスの要求をしているところでございますので、一般歳出の伸びよりもはるかに大きな伸びをしているということがまず事実でございます。

 それから、サービスの利用量ですけれども、居宅サービスの利用量が、平成十八年度から二十年度にかけて毎年一〇%増加し、五年後の平成二十三年度には一・五倍としたいという目標を設定しております。

 それから、この法律の目的は、就労支援ということが大きな目的でございますので、福祉施設から一般就労への移行者数については、平成二十三年度には平成十七年の三・九倍に増加させよう、そういう目標値が設定されておりますので、これは各自治体とも協力して、何とかそういう方向で努力を続けてまいりたいと思っております。

田村(憲)委員 ありがとうございます。

 この法律が非常に前向きにいろいろなことを考えながら、また、もちろん、いろいろな問題点が出てくれば、そこを一つ一つ繕っていく、こういうような話であろうと思います。

 ただ、やはりきしみが出ているんですね。

 まとめて御質問をいたしますけれども、特別対策、年末に与党で議論してやりました一千二百億円。中身に関してはまた後に、同僚の議員の方に譲りますけれども、これがなかなか理解していただいていないんですね。ですから、実施している率がどれくらいなのかというのも甚だ疑問なところもあるんですけれども、なぜ浸透していかないのか。それから、それはどこに問題があって、どのような対策を打っていかなきゃならないのか、この点。

 もう一つは、話はかわりますけれども、自立支援法をつくるときから課題でありました区分の認定が、どうもこれは介護保険の仕組みをそのまま使っちゃったんですね。ですから、知的、精神、こういうところに障害をお持ちの皆様方は十分に反映されていない。一次認定から二次認定、変わる率が五割ぐらいあるというんですね。これは大問題でありまして、非常に御心配をいただいております。

 こういう問題、どうこれから対応していくのか。多分認定の方法を変えていくんだという話になるんだろうと思うんですけれども、これは障害保健福祉部長で結構でございます。

中村政府参考人 お答えいたします。

 まず、特別対策の問題でございますけれども、お話にございましたように、障害者自立支援法に関しましては、法の円滑な施行を図るため、平成十八年度から平成二十年度までの三カ年で、国費千二百億円の特別対策を実施しております。

 実施状況につきましては、利用者の負担の軽減という点につきましては、利用者の負担は最大一割の定率負担であるところでございますけれども、特別対策の実施後の平均的な負担率は、四%から五%ということになってございます。

 また、事業者に対する激変緩和措置あるいは新法への移行のための経過的措置につきましては、各都道府県に総額九百六十億円の基金が設けられておりますけれども、私どもで把握しておりますところでは、平成十八年度におきましては三十六億円、全体の三・八%の執行状況というふうになってございます。

 今後、本格的な実施は十九年度からということになろうかと思いますけれども、特別対策の内容が利用者や事業者に十分浸透していないという御意見もございますので、さまざまなルートを通じた一層の周知を図っていくとともに、執行状況を十分調査いたしまして、地方公共団体に早期の実施をお願いしていきたいというふうに考えております。

 また、障害程度区分の問題につきましては、お話がございましたように、さまざまな御意見がございますので、おのおのの障害特性をより一層反映できる仕組みとなるよう、見直しを検討しております。そのために、障害保健福祉部長の勉強会を二月から開催いたしまして、各関係団体から意見を聴取したところでございます。

 こうした意見を踏まえながら、障害程度区分における課題を現在は整理しているところでございまして、今後は、整理した課題を踏まえて、おのおのの障害特性をより一層反映できる仕組みの具体的な方策を検討してまいりたいというふうに考えております。

田村(憲)委員 特別対策、せっかくこれだけの金額を使っているんです。実際問題、うまく回っているところは、負担感がかなり軽減したといって喜びの声も結構いただいているんですね。これが本当にうまく回っていくように、周知徹底できるように、大臣、これはぜひともよろしくお願いいたしたいと思いますし、程度区分の方なんですけれども、これに関しましても、それぞれの障害によって問題点が違うわけでありますから、それがわかる専門的な方に入っていただいた上で、これがうまく動いていくように、ぜひとも次、変えるときに検討をお願いしたいと思います。

 続きまして、年金の問題に入りたいんですが、民主党さんから流用禁止法案が出されております。一つ私は疑問なのが、流用というのはどういう定義なのか。本当は民主党の皆さんにお聞かせをいただければありがたいんですが、きょうはそういうわけにいかないものでありますから、厚生労働省の方にお聞きをいたしたいわけであります。

 実際問題、保険料から使われております二千億と言われている部分ですね。ただ、この年金事業の運営費というものは、私がお聞きをする限り、また調べる限り、システム経費だとか年金相談だとか、督促状でありましたりとか、五十八歳のときの社会保険庁から流される便、ああいうものに使われているという話。これは中身だけ見れば必要なものなんだろうな、そういうふうに思うんですね。

 一方で、よく言われるのが、年金福祉施設、グリーンピア、象徴的であります。すごい金が使われた、とんでもない話でありますが、ただ一方で、当初は、これは附帯決議等々で全会派たしか一致だったと思うんですけれども、年金の保険料だけ払って、四十年後じゃないと自分たちに何のメリットもないから、だから現役世代のうちに何かメリットがないだろうか、こういう期待の中でこの法律がつくられたというふうに聞いております。当時、私、国会議員ではありませんでしたから、参加いたしておりません。そういう意味では、その来る地域も、産業の活性化、雇用、いろいろな期待があって誘致をした部分もあるんだと思うんですね。

 問題は、当時、保養施設、宿泊施設がなかったときにはそれでよかったんでしょうけれども、民間がいろいろなものをつくりましたから、もうとてもじゃないけれども、こんなものはなくたっていい。赤字を垂れ流してもやり続けた。これは官僚の悪いところといいますか、役所の悪いところ、これはチェックできなかった政治も悪かった、こう思いますね。チェックして、野党の皆様方もいろいろな御意見が出た。与党もやりましたよ。

 ですから、最終的に、もう既に、こういうものに一切お金を使うなということで我々は決定をさせていただきましたし、また一方で、法律をつくってこういうものを全部売却しよう、入札で売却しよう、こういうようなことも決めさせていただいた、このように思うわけでありますが、報道なんかでも、まだグリーンピアに年金の保険料が使われているなんというような、私は誤った報道だと思うんですが、たまに流れるんですね。司会者の方々が言われるんですよ。

 確認しておきます。こういう年金福祉施設に一切こういうお金、年金の保険料はもう使われていない、このことを、これは大臣、ぜひとも大臣のお口からお言葉をいただきたいと思います。

舛添国務大臣 今、運営費を含めて一切そういうお金は使っていない、そういうことであります。

田村(憲)委員 ありがとうございます。

 そういうことであるということを前提に、私もそう思っておりますけれども、次の議論を進めさせていただきたいと思うんです。

 民主党さんがよく言われるのは、天下りのために、年金教育センター、それから年金PRセンターなる箱物がこれからも、言うなれば魔法の財布みたいなものから流れて、役人が天下りしてぽっぽに入れるんじゃないかと。これはやはり公務員というものに対して非常な不信感をお持ちなんだろうと思います。我々だって持っていますよ、はっきり言いまして。

 これもできれば大臣からお言葉をいただきたいんです。こんなものは絶対につくらせない、つくれるわけがない、この一言を聞くだけで、国民の皆さんは誤解が解けるんだろうと思いますので、ひとつよろしくお願いします。

舛添国務大臣 そういうものを絶対につくりません。

田村(憲)委員 つくれるのは、税であろうが何であろうが、つくろうと思えばそれはつくれるんでしょうから、これから、なぜこの流用法案が我々はいいと思っていないかという議論もさせていただきたいというふうに思うんですが、その前に、また一つ、国民の皆さんが非常に不信感を持つ事件が出てまいりました案件であります。

 一部新聞報道がなされておりますけれども、国民年金健康保養センターはなまき、財団法人岩手県国民年金福祉協会が運営しており、これは委託されておるわけでありますが、この常務理事でありセンター長である社会保険庁OB、この方が、みずからが設立した会社、これの代表取締役になっておりまして、有限会社金矢温泉商事というんですかね、ここに随意契約で清掃や宿直を業務委託していた、こういうのが出てまいりました。

 これがまたびっくりすることに、こういう兼任の問題について、岩手県の社会保険事務局は、平成十一年に把握していたんだけれども、十五年二月の定期監査まで指導しなかった、こういう話なんですね。しかも、指導も口頭による改善指導であった。ことしの六月になってようやくセンター長がこの有限会社の代表取締役を辞任したわけでありますが、その後任が何と、センターの副支配人である方がまた社長になっちゃったというんですね。これはだれが認可しているかというと、協会の理事長、これは花巻市長であります。こういう状況なんです。

 これは、委託費等々に保険料や税金は入っていないとは思いますけれども、決してこの兼業は適正じゃないと思うんですね。多分、兼業規定、あると思うんですよ、禁止だというのが。これは一体どうなっているのか、運営部長、お答えください。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生からの御指摘をいただいた点でございますけれども、少なくとも二点あろうかというふうに思います。

 まず、今御指摘をいただいた有限会社金矢温泉商事、こういう名前の組織というふうに承知してございますけれども、こちらに対して協会から委託費なるものが流されているのか、しかも、その内容が、保険料や税金、こういったものが入ってのものなのか、こういうお尋ねがあったかと思います。

 まず、その点でございますけれども、その前に、全体的なこともちょっと触れさせていただきたいというふうに思うわけでございます。

 今もお話の中にございましたけれども、問題になっております岩手国民年金保養センターはなまき、これは昭和五十五年二月に開設をいたしたものでございまして、財団法人岩手県国民年金福祉協会に運営を委託してまいっておる年金福祉施設でございます。

 まさにこうした年金・健康保険福祉施設につきましては、二年半前でございますけれども、御審議をちょうだいいたしまして、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構、これの設置法というものが成立し、今この整理機構において順次整理がなされております。今申し上げたセンターというのも、この整理機構におきまして売却の対象となっている、そういう状態のものでございまして、現在は、独立行政法人の方から、今申し上げた岩手県国民年金福祉協会、こちらの方に経営委託がなされている、その関係での問題ということでございます。

 それで、まず、保険料あるいは税金、そうしたものが原資となっている委託費がここに投入されているのかどうかということでございますけれども、これは、そういうものは一切ございません。そういうものを原資とした委託費は流れておりません。

 しかしながら、先生御指摘のように、今回の事案、公益法人である協会と、それから協会の理事あるいはその職員である副支配人、そうした者が別途に会社をつくっていて、それでそこが業務委託に関する契約をするという兼業の状態、これは非常に適切ではない状態だというふうに思っております。

 その関係で、協会の就業規則がどうなっているかということでございますけれども、これは、就業規則上、やはり許可の対象事項ということになってございます。

 それで、昨日まで確認したところで申し上げますと、口頭ではありますけれども、問題になっております常務理事、それからこの六月で交代いたしました副支配人、いずれも口頭ではあるけれども理事長から兼業についての許可を得ている、こういうような状況にあるというふうに承知してございます。

田村(憲)委員 口頭でがいいのかどうなのかという問題もありますし、それから、許可が出ているということ自体がちょっと私は信じられないですね。利益相反ですよ、はっきり言いまして。しかも、センター長が、副センター長が、みずから会社設立して、要は両方から給料をもらっているんでしょう。こんなばかげたことが何で起こるのか。

 これは、社会保険庁は直接やったわけじゃないですけれども、情報が入ってからの対応が遅いと私は思いますよ。もっと早くこんなものは指導しないと。今回、やっとですけれども、余り遅いから、また副センター長がなるなんというなめられた行動になっちゃうんですよ。厳しくこういうものに対しては対処していただかなければならない。もちろんやめさせることはできないと思うので指導という形になると思いますけれども、ぜひともよろしくお願いをいたしたいと思います。何か見解があれば。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、本庁の対応でございますけれども、十七年の七月に岩手の社会保険事務局の方からこれは問題があるという報告を受けておりまして、この時点で本庁の担当の方から特別検査を行うようにと指示もしたという経緯がございます。ただ、これを受けての岩手サイドの対応にいろいろと反省をすべき点があったのではないか。細かいことは今調査をしているわけでございますけれども、結論的には特別検査というものをするに至らなかった、こういうことでございます。

 この点が一つのポイントだろうというふうには思っておりますけれども、その後における状況についても本庁がどこまできちんと把握できたのか、ここのところの事実関係を現在詳細に確認中でございますし、きちんと整理し次第、それを踏まえて適切に措置したいと思います。

 それから、こうした事案に対する姿勢でございますけれども、施設が売却途上にあろうがなかろうが、やはり透明でそして公正なきちんとした運営を確保するということは必要なわけでございますので、これは本当に厳正に指導していきたい、そういうふうに考えております。

田村(憲)委員 本当に姿勢が問われる話だと思うので、しっかりと指導をしてください。

 大臣、今回のC型肝炎の患者の方々のリストの問題にしましても、以前からこういう問題が後を絶たないんです。厚生労働省の倉庫は臭い物に倉庫じゃないか、こんな話があるぐらい、何でもあそこから出てくるんですよ。何かあったら、あそこからこんなものが後から出てきましたと。

 私は思うんですけれども、それぞれの職員の方々が悪意でやっているわけじゃないと思いますよ。しかし、例えばこのリストが当時手に入った担当の方、これを見て一番初めに思わなきゃいけないのは、厚生労働省というのは国民の生命を守る大きな責務があるわけですよね。これを使えば患者の方に早く情報をお渡しして、そして未然に発症を抑えられるかもわからない、こう思えば、こういう意識があれば、すぐにそれをやっているはずなんですよ。

 ところが、多分ルーチンの業務で、再発防止やそんなもの、頭がそれにしか回らないんでしょうね。ですから、そういう方向には利用するけれども、当の本人にとって一番必要な情報の使い方というのはやっていないんですよ。

 これはもう意識を変えてもらわなきゃいけない。やはり厚生労働省は国民の命を守っているというのを職員に徹底していただきたい。例えば大臣の訓示、年に何回か、月に何回かあるでしょう。そういうときは必ずそれを言っていただく。我々は発想を変えましょうよ、ふだんの流れていく作業をやるだけの役所ならば意味がないじゃないですか、国民に対する我々の奉仕者としての役割は一体何なんだ、こういうのを大臣から、また次官から口を酸っぱくして、意識改革をしていただきたい、このようにお願いいたします。

 それともう一点は、それだけじゃないんですね、防衛庁の問題もそうですよ。本当に情報がどうなっているんだろうな、上に上がってこない、隠ぺいする。これは厚生労働省だけじゃなくて、考えてみれば、今までいろいろこういう問題がありました。どうも行政、霞が関の体質のような気がするんですね。やはりこれは内閣がしっかりガバナンスをきかせていただかなきゃいけないので、こういうものを徹底的に変える。行政改革で箱は変わりますよ。だけれども、中が変わらない。これをしっかり統治できるような機構にしなきゃいけない。これはぜひとも内閣で取り組んでいただくように大臣から提案していただきたいんです。どうでしょうか。

舛添国務大臣 田村委員おっしゃった第一番目、これはイマジネーションの欠如。つまり、あのときも、とにかく皆さん検診してください、これはやったんです。何もやっていないわけではない。だけれども、それぞれ一人一人の国民の目線に立ったときにそれで十分か。だから、私は不十分だということを申し上げています。

 それで、お役人になるときに皆さん一つの希望と大志を抱いておなりになって、なぜ厚生労働省に来たんだ、それは国民の命を守るためだ、その原点に戻れということを私は就任のときにも申し上げましたし、これからも申し上げていくつもりであります。

 それから、文書管理を含めて、こういうものが組織としてああいうふうにずさんであってはいけないし、今おっしゃったように防衛省の問題も出てきました。総理からも、これは徹底してきちんと綱紀粛正、そしてこの体質を改めるということでございますので、必ずそういう改革をやり遂げたいというふうに思っております。

田村(憲)委員 本当に重要な法案がメジロ押しでありまして、年金の議論も本当は民主党としっかりやりたいですよ。だけれども、年金の中身じゃなくて、社会保険庁のこんな対応の話ばかりになっちゃう。こんな問題が出るから国民にとってはよくないですよ。本当の議論をやらせていただく、そういう意味で本当に大臣に期待をさせていただきますので、ぜひともそういう対応をよろしくお願いいたしたいと思います。

 最後に、流用禁止法案の中身の議論をさせていただきたい。これは本当はこちらとさせていただかなきゃいけないんですが、きょうはできませんので、あえて厚生労働省の方に質問させていただきます。

 なぜ民主党さんがこうやって言うか。話をいろいろと聞いたりだとか私の思うところ、違っていたらまた後の御質問で言っていただければいいんですが、多分、税でやるのと保険料でやるのと、保険料の方がチェックがきかない、だから、だだぼだに使われる、無駄がいっぱい出てくるだろう、税の方は一般会計ですからシーリングもかかるだろう、こういう話なんだと思うんです。しかしながら、本会計の方でも無駄はいっぱいあるんですね。だから、年金が保険料じゃないから大丈夫だという話は、私は通らないんだと思うんですよ。

 要は、これが変なものに使われないか。といったって、使われるものは今も事実上は限定されている。この中でも無駄がないかどうか、これをどうチェックするかが大事であって、これさえできれば、別に年金の保険料であろうが税であろうが、国民の財布からは一緒ですからね。私はそう思っているんですね。

 まず一点は、チェックをしていただかなきゃなりません。現状、どういうチェックをしていただいているのか。そのためには、もう社会保険庁では信用できないんですよ。これは申しわけないですけれども、私もこの間まで総務副大臣をやっていてこの問題の後の始末を総務省でさせていただいておりましたが、これは第三者に入っていただいていなければまず前提としてだめだと思います。今どういうチェックになっているのか、大臣、お聞かせください。

舛添国務大臣 その問いにお答えする前にちょっと三十秒だけ時間をいただきまして、先ほどの厚生労働省の改革の問題で、実は私のもとに今回の調査チームをつくりました。これは守秘義務があるものですから内部だけの委員にしておきましたけれども、ちょっとこれでは足りないなと私も思いますので、弁護士のような法律専門家であれば守秘義務をかけられますので、これを今至急リクルートして、外の者も入れます。それがまず第一。

 それから、今おっしゃったのは、これはもう第一義的に、一般会計であれ特別会計であれ、いろいろな国会でのチェックというのが第一だというように思いますし、それから予算編成過程において財政当局もチェックをする、それから会計検査院もある、こういうことでありますし、それからやはり第三者の目はそういう意味で必要だと思います。今いろいろな社会保険庁のあり方についての委員会、検証委員会などは総務省のもとに置いているというのは、実はそういう意味もあると思います。

 それから、社保庁の調達で先ほど来いろいろな問題がありますけれども、これは平成十六年十月に、民間の方にも入っていただいて、社会保険庁調達委員会ということで、一つ一つチェックをしております。それから、例のコンピューターについてはCIOの補佐官を入れるというようなこともありますし、地方の社会保険庁においても契約審査会を設置する。それから、本庁にも監査指導室を十七年の一月に置いた。

 いろいろなところで会計監査の強化をやっておりますので、第三者のチェックを入れまして、この点も、委員のおっしゃるとおり、しっかりとした体制を整えたいと思っております。

田村(憲)委員 本当に今、厚生労働省、問われていると思うんですよ。国民が本当は一番信頼しなきゃいけない、信頼したい、そういう省庁ですね。それが今一番信頼できない、そういう役所になっているということを本当に我々も悲しく思いますし、職員の方々は、先ほども言いました、悪意でやっているわけじゃないと思うんです。みんなそれぞれ仕事を一生懸命やろうと思っている。ただ、その歯車が合わないような中の機構に今なっているんですね。だから、それをどう変えていくか。これは本当に大臣の重い仕事だというふうに思っております。本当に御期待を申し上げます。

 重ねて、この年金の運営費の話なんですが、どこかで必要なものであるとするならば、保険料を取らなくなって、保険料が安くなれば、その分その保険料を目的税としてもらってこれに充てれば一緒の話なんですね。そうしなければ、借金して、国債を発行してその部分を充てなきゃいけないかもわからない。それは後世の負担になるわけでありますから、決してこれをやめれば金が浮いてくるという話じゃない。そういうことを改めて確認させていただきたいというふうに思います。

 きょうは、時間がなかったものですから、質問が駆け足になって失礼いたしました。またゆっくりと大臣とはいろいろな社会保障の哲学に関しても議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。

 安倍総理から福田総理にかわられました。福田総理の理念は自立と共生、この理念のもとで多くの政策を展開していると思います。まさに自立支援法もこの福田総理の自立と共生の理念を具現化したものだと私は思っております。障害者が働く機会を得て職場に参加をし、社会に貢献できる、これは大きな意味を持つと思います。

 一方、障害者福祉の自立、これは経済的な自立と私たちは普通思います。だれの世話にもならないで自分で経済的にも自立ができると思うんですけれども、私は、そうではないと思うんです。働くことができないが、さまざまな福祉サービスを利用しながら地域生活をしている重度の障害を持つ子供さんが、ボランティアやお母さんたちにありがとうという心を込めてほほ笑む、これも私は障害者にとっての自立だと思います。この言葉を最初に言ったのが、横浜市にあります訪問の家の日浦美智江理事長さんがこの言葉を言いました。

 大臣は、障害者の自立について、ほほ笑みも自立である、この考え方にどういう思いを持っているか、聞かせていただきたいと思います。

舛添国務大臣 今吉野委員からすばらしい言葉をおっしゃっていただきましたように、まさにそのとおりだというふうに思っています。

 一人一人が自立して生きていける、これは、ノルウェーなんかで一九七〇年代の初めにノーマライゼーション、こういう発想があって、そして障害があっても健常者と同じように生活できる、そしてそれは残された能力を活用する、そして自己決定をやる、人生の一体化を継続させる、こういう観点でありますから、まさに自立という観点から見て、ほほ笑みを返してくださる、こういう社会をつくるというのが私たちの目的であろうというふうに思いますので、そういう思いで私も、障害者の問題、そして厚生労働行政に取り組んでまいりたいと思っております。

吉野委員 ありがとうございます。私も全くその思いで障害者の問題に取り組んでいるところであります。

 次に、特別対策なんですけれども、特別対策をつくったときに、利用者負担、これは一割負担をするわけですけれども、その水準が実際には利用者の所得の実態に合わなかった。また、旧体系から新体系へ移るための移行に対しての配慮が足らなかった。こういうことで、与党は昨年度、一千二百億の特別対策をやりました。

 この中身は、義務的経費として、まず利用者の負担をできるだけ軽減していこうという、十九年度、二十年度の予算措置で計二百四十億です。もう一つは、事業者の収入に対する激変緩和措置として九〇%まで保障していこう。これは実は県事業、市町村事業でありますので、三百億の基金を市町村に、県の地方自治体に積ませていただきました。もう一つが、移行が円滑にいくための緊急的な経過措置として六百六十億円、これも地方への基金という形で積ませていただきました。

 合計九百六十億の基金を十八年度補正でつくったんですけれども、この基金が果たして積んだままになっているのではないかという声が事業者の方から結構聞かれております。

 そういう意味で、地方自治体におけるこの基金事業の進捗状況。例えば、地方ですから、きちんと要綱をつくって、その要綱に基づいて支払うというのが普通のやり方なんですけれども、この要綱をつくるのに、この事業だけではなくてほかの事業も、何ぼ早くても半年から十カ月間ぐらい、地方では、国が予算措置しても、それに対する要綱をつくるという時点でもう半年から十カ月くらいはおくれてしまうのが普通なんです。でも、この特別対策だけは緊急性を要しておるものですから、でも、まだまだ地方としてはそこまでの基金事業を有効に活用していないのではないか、そういう思いをいたしております。

 そういう意味で、進捗状況とその後の対策についてお伺いをしたいと思います。

岸副大臣 ただいまの先生のお説のとおり、特別対策をやっておるわけでございます。

 この事業は、十九年の二月六日に補正をいただいたということで、十八年度の進捗状況というのは、部長からも御答弁申し上げましたが、三十六億円という形になっております。そういうことを考えますと、吉野先生が御心配されるように、一体、十九年度は、あるいは二十年度はうまくいくのかどうか、そういった懸念もないわけではございません。

 そこで、対策といたしましては、まず一つは、都道府県、市町村が、これらの事業、特にメニューとしては十四あるし、それからそれを細かく分ければかなりの数になるわけでございます、そういうものを周知徹底するように、今後一層、都道府県、市町村によく知らせてやる、こういうことが大事だ。

 さらに、一体どう進んでいるかということをやはり一々検証する必要があるということで、九月十八日だったと思いますが、ブロックの会議を開いて各県からヒアリングをいたしております。このヒアリングを見ますというと、かなりばらばらでございまして、積極的に、これはきちっと予算を消化できる、地域の人も期待している、こういう回答もあれば、どうも地域にまだ浸透し切れていない、そういう地域も確かにあったように聞いております。

 そこで、さらに周知徹底させるべく、今回、障害者自立支援対策臨時特例基金による執行日程等調査というものを九月末日現在で提出するようにというお願いを都道府県にいたしまして、これらを早く集めて、せっかくこういう特別対策に乗り出したわけでございますから、国民の期待に沿うように全力で対応をいたしたい、こういうふうに考えております。

吉野委員 思ったよりも取り組みを一生懸命やっているなという思いです。でも、一枚の紙でこれをお願いしますということではなくて、今までの中で取り組みの遅いところは、厚生労働省、国が出向いて、どうなっているのかと、そこら辺までやってほしいな、私はこのように思うわけです。本当に御努力感謝申し上げたいと思います。

 次に、日割りの問題なんですけれども、この間、日曜日に地元の施設の秋祭りに行ってきたんです。ここはまだ旧体系で運営をしているんですけれども、新体系に移りたいという希望を持っています。新体系に移ると、いわゆる日中活動と、住まいの場、夜の活動、この二つに分かれて、それぞれの報酬単価が違っていますね。

 日中活動の方で、一月が三十日だとすると、二十二日分しか出ないんだ、マイナス八日分なんだというお話を伺いました。これも、理解不足の点もそこの施設の施設長にあろうかと思いますけれども、要は、新体系に移るときに、日割りですから、本当に経営的に、収入が確保されるかされないかというもの、きちんと自分でシミュレーションをしてどちらか選ぼうとしているんですけれども、新体系に移るに当たって、日割り、特にマイナス八日という部分がかなり阻害要因になっているのかな、私はこう思います。

 その辺のところをどう対応しているのか、お知らせを願いたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者自立支援法では、従来のサービス体系を見直し、障害者の方々の障害の程度やニーズに応じた適切な支援が提供されるよう、入所施設のサービスを日中活動と夜間の支援に区分するとともに、夜間の支援等については、平均障害程度区分と利用者の規模に応じまして必要な人員配置をお願いしているところでございます。

 この人員配置につきましては、夜間においてもサービスの質を担保するために最低限必要なものであるというふうに考えております。ただ、運用の観点から、非常勤職員も柔軟に活用できる常勤換算方法の採用によりまして、弾力的な運用も可能としているところでございます。

 それから、施設の経営につきましては、報酬が大変重要でございますけれども、報酬の設定に当たりましては、利用率を加味するほか、加算措置や規制緩和を行うなどの配慮を行っておりまして、私どもといたしましては、事業者の創意工夫により柔軟かつ安定的な経営が可能ではないかなというふうに考えております。

 ただ、先生から御指摘のありましたような声もございますので、今後の課題として受けとめさせていただきたいというふうに考えております。

吉野委員 次に、障害児、子供のデイサービスなんですけれども、障害児のデイサービスは、今までは同じ単価だったんですけれども、今度、いわゆる小学校、学校に上がらない子供、未就学児が七割なければならない。もし七割を切ると単価が安くなる、こういう制度に今回なりました。

 まさにこれは、いわゆる文部科学省と厚生労働省の縦割りの行政のにおいがぷんぷんにおうわけでありまして、その施設を利用する子供、小学生であろうとも、また幼稚園、保育所の子供であろうとも、このデイサービスを利用する者にとっては何ら関係ないわけでありますので、この辺の基準を何とかならないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 児童デイサービス事業におきましては、障害をできる限り早期に発見して適切な支援につなげることが重要であるということで、今回、就学前のお子さんを七割以上受け入れ、個々の状況に配慮した支援を行う事業について報酬上評価するということにいたしました。

 他方、就学児童の放課後対策や保護者のレスパイト対策につきましては、地域生活支援事業の日中一時支援事業において対応しているというところでございます。

 なお、障害者自立支援法施行前の旧体系の児童デイサービス事業におきましては、七割要件を設けておりませんでしたので、従来から事業を実施していた事業所には配慮いたしまして、未就学児童の七割要件を、全体の定員ではなくクラスごとに判断することも可能とする要件緩和を講じておるところでございます。

 なお、御指摘のございました障害児の療育環境の整備については、大変重要な問題と考えておりまして、障害者自立支援法の附則におきまして、施行後三年を目途に障害児施策についても検討するということになっておりますので、必要な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

吉野委員 次に、これが私は自立支援法の本質だと思うんですね。

 私たちは、人間は、生きるため、生活するために働いて所得を得ます。そのお金をもって、生きるために食べ物を買ったり、楽しむために映画を見たり、ある意味の物やサービスをそこで支出していきます。これが私たちの活動、人間の活動だと思います。そして、そのサービスが、食べ物がおいしくなかったら文句を言って、もっとうまいものを出せ、こう言って、そこのサービス提供者はサービスの向上に努めていくというのが世の中だと思うんです。

 障害者も同じだと思うんです。障害者も生きるためにいろいろなサービスを買う。そこにはやはり、対価を払っていく、お金を払っていく、そして、そのサービスが悪かったら文句を言って、私たち健常者と同じく文句を言って、そのサービス向上を目指していく。

 でも、障害者は所得が少ないです。ですから、所得の確保ということが自立支援法の一番大きな目的だと思います。一義的には、やはり働くことです。我々は、役所も就労支援をどうしていくかという、ここに一義的には力を注がねばなりませんけれども、働いても、稼いだ金で自分の生活を満足させるだけの収入は得られない方もいます。

 ここのところを、きちんと所得保障という形で、年金はなかなか難しいでしょうから、では手当なり、こんな形できちんと所得保障をしていく。これが、障害者を一人の人間としての人権を認めていく、障害者自立支援法の一番根底にあるのは、障害者も人間なんだ、人権を持っているんだというここのところだと思うんです。そこのところを満足させていくのが私はこの所得保障だと思いますので、この点について、大臣の御見解をお願いしたいと思います。

舛添国務大臣 先般、大臣に就任しまして、障害者の方がやられているパン屋さんを訪れました。非常に生き生きして、一定の給料もいただいている。ただ、こういう方ばかりではないので、今おっしゃったようなケースについては、やはり工賃を引き上げるということを考える必要がありますので、工賃倍増五カ年計画ということで今取り組みを、これは全都道府県でやっていただいています。

 それから、厚生省の中でも雇用を促進する本部を設けまして、工賃の引き上げ、そして今委員がおっしゃったような、きちんと生活が確保できるということに今後とも取り組みを進めてまいりたいと思います。

吉野委員 今大臣から工賃倍増五カ年計画、まさにこれを進めていってほしいと思うんですけれども、このスピードを速めるために、就労支援事業を行っている施設に企業がいろいろな仕事を発注した場合に、その企業に対して、例えば法人税の軽減措置をとるとか、障害者雇用率に算定するとか、具体的にはこれからいろいろ考えていけばいいんですけれども、ある意味のインセンティブな措置、メリット措置というものを企業に与えることによって、工賃倍増計画の五カ年が四カ年でできる、三カ年でできるというような形になろうかと思いますので、その点はいかがでしょうか。

岸副大臣 就労支援につきましては、工賃倍増計画によって、就労支援を積極的に進めていかなきゃならない、こういうふうに考えているわけでございますが、所得がどうも上がらないということについて、利用する費用がかかるということよりも、工賃が低いということが最大の問題だというふうに思っております。

 したがって、私たちは、先生がおっしゃいましたように、さまざまな会社に対して、障害者の方々にお仕事を発注していただく場合、それを補助するメリットの部分をかなりの形で事業を行っているわけでございます。今後、この事業をやはりもう少し広報して、皆さんに知っていただく仕事ということが非常に大事なんだろうというふうに心がけたい、こういうふうに思っております。

 それと同時に、おっしゃいました税制の問題でありますけれども、二十年度の税制改正に対して、我々は、ぜひ障害者を支援してくださる事業者に対する税の優遇政策をとっていただくように要求をしたい、こういうふうに考えているところでございます。

吉野委員 二十年度税制、ぜひ優遇税制を厚生労働省として出していただきたいと思います。ここに民主党さんもおられますから、我々与野党こぞって応援をしたいと思います。

 就労支援、いろいろ知恵を出してやっていると思います。全国でも、役所の目から見てすばらしい事例がございましたらば、御紹介いただきたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 障害者自立支援法の施行によりまして、障害福祉サービスのうち、就労支援事業を含む通所サービスにつきましては、運営主体が社会福祉法人のみならず、NPO法人や営利法人等も参入可能となるように規制を緩和したところでございます。

 実情を見てみますと、平成十九年四月一日現在で、約二千の事業所が就労移行支援事業等を行っておりますけれども、運営主体がNPO法人であるものが約四百四十事業所、全体の二二%、それから株式会社等であるものは約五十事業所ということで、全体の三%ということになっております。

 この規制緩和によりまして、多様な運営主体が参入し、サービスの拠点が少ない地域を抱える小規模な市町村等においても、障害福祉サービスの基盤の充実やサービスの質の向上が図られるものと考えております。

 一つ事例を申し上げてみますと、広島県で就労継続支援事業A型に取り組むエフピコ愛パック株式会社では、親会社が特例子会社の経営等でこれまで培った障害者の支援あるいは企業経営のノウハウの提供を受けることによりまして、安定的な工賃の確保等につなげておるという事例がございます。

吉野委員 工賃と利用者負担についてなんですけれども、授産所とか作業所で働きます。働くのですから、当然、労働の対価としての報酬、いわゆる工賃を受けます。でも、そこは福祉サービスなので、一割負担をとられるんです。働いているのに、お金を払って働かせてもらっている。ちょっと、常識的にというか、気持ちとして違和感を覚えます。

 就労支援A型ならば、これは労働性があるからきちんとした最低賃金法適用になるわけなんですけれども、この辺のところ、素直に、工賃を上回るような利用者負担、また利用者負担のあり方について、御見解をいただきたいと思います。

岸副大臣 この問題につきましては、先生おっしゃるように、福祉サービスという……(発言する者あり)

茂木委員長 御静粛に願います。

岸副大臣 福祉サービスという、そういう点もあるということは当然でございますが、何といっても、工賃が低いということはやはり問題だと思います。

 なお、この法律には、附則に三年後の見直し規定、こういうものもございますし、与党においても、この法の施行状況等を勘案しながら、検討チーム、プロジェクトチームを立ち上げているというふうに聞いておりますが、非常に重要な問題でございますから、そんな形で今後しっかりと見守っていきたい、こういうふうに考えております。

吉野委員 工賃倍増計画、倍になり三倍になれば、利用者負担を払っても、それは満足といいますか文句が出ない、このように思いますので、ぜひ工賃倍増計画を進めていただきたいと思います。

 最後に、大臣に伺います。

 障害者福祉施策をどのように見直すことが福田総理の言っている自立と共生の社会づくりになるのか、その辺の思いを大臣の言葉としてお聞かせ願いたいと思います。

舛添国務大臣 障害を持たれた方であっても、健常者と同じように生活できるようなあらゆる施策を施す、これが先進国のやるべきことである、私は、その原則でこれまでも行動してきましたし、今後ともそういう方向で障害者の自立支援に取り組んでいきたいと思います。

 また、福田総理が自立と共生の社会を実現するということをおっしゃっていますけれども、まさに自立と共生というのは、先ほどノルウェーのノーマライゼーションという原理を申し上げましたけれども、これとまたぴったり一致するというふうに思います。

 抜本的な見直しということにつきましては、昨日、与党でこの問題に関するPTを立ち上げになったということをお伺いしておりますので、ぜひしっかりと与党の皆さん方でまず議論をしていただきたい。そしてまた、そのことを踏まえまして、もともとは三年たてば見直すという規定はあるわけです。しかし、それはそれとして、きちんと原理原則に立って見直すことをやる。

 そして、これは皆さん方の御努力で、千二百億円、三年間のある意味で激変緩和措置をとりました。先ほど委員おっしゃったように、地域によってはそういうことで感謝しているところもある。しかし、十分効果があったのか、何か問題があったのか、こういうこともしっかり検証していく、そういう思いで、よりよい障害者自立支援の政策に向けて全力を挙げていきたいというふうに思っています。

 自立と共生、そして本当の先進国というのは、障害を持った人たちも、健常者と同じように、自分の意思で、そして自分のやりたいことをやる、そういうことができる社会だということを重ねて申し上げたいと思います。

吉野委員 ありがとうございます。ほほ笑みは自立なり、この心で障害者政策を頑張ってください。

 終わります。

茂木委員長 次に、福島豊君。

福島委員 大臣、副大臣、大変に御苦労さまでございます。

 九月の福田内閣の発足に当たりまして、私ども、連立政権の協議を改めてさせていただきました。その中では、高齢者医療の負担の問題、そしてまた障害者自立支援法の問題、さらには母子家庭の問題、年金の問題もありましたが、再度ぜひ協議をさせていただきたい、こういうことを合意に盛り込ませていただきました。

 近年、年金制度改革、医療制度改革、介護保険制度改革もありました。さまざまな改革を行ってまいりました。これは、少子高齢化がさらに進む、その時代に対応して持続可能な制度とするためにはどうしたらいいか、そしてまた、日本の国家財政は極めて厳しい状況にあります、そういう財政状況にどう対応していくのか、こうした観点から、やむを得ない改革、そしてまた必要な改革であったというふうに思っております。

 また、障害者の自立支援法の話について言えば、就労支援をどう再構築していくのか、極めて大事な課題でございます。そしてまた、障害者の方お一人お一人がサービスを選択できるようにする、そのような仕組みに変えていかなきゃいけない、これも理念としては極めて正しい改革だったと思います。しかしながら、その改革、次々と余りにも速いスピードで行ってきたがゆえに、さまざまなひずみといいますか、もたらしているというところも、これは直視しなければならない事実だと私は思います。

 そういった意味で、連立政権協議で一つ一つこうした問題を取り上げさせていただいたのは、改革を後退させないためにも、いま一度立ちどまって、見直すべきものは見直しをし、手当てすべきことは手当てをする。何よりも、こうした改革について国民の理解をしっかりといただけるようにしなければいかぬ、そういう視点から私どもは申し上げた次第でございます。

 ぜひ舛添大臣には、その先頭に立って、改革を後退させないためにも、いま一度必要な手だてを講じていただいて、そしてまた国民の声を幅広くお聞きいただいて、頑張っていただきたい、そのように冒頭、要望させていただきたいと思います。

 本日は、薬害肝炎の問題についてまずお尋ねしたいと思います。

 二〇〇二年に厚生労働省に対しての製薬会社からの報告、四百十八名のリストの中に実名二名、これは先ほどの大臣の御説明で実名十名ということになろうかと思いますけれども、イニシャル百十六名、これは百八名ということになりますが、含まれていた。こうした個人情報が全く生かされていなかった。五年間にわたって放置されてきた。この問題は極めて重要だというふうに私は思います。

 お一人お一人の方からすれば、いち早くみずからの感染ということを知り必要な治療を受ける機会を奪われた、こういう怒りがあるのは私はごもっともなことだと思っております。そして、この問題に対して、大臣が先頭に立って、当時の取り組みは一体どうだったのか徹底して調べていただく。そしてまた、お一人お一人の方にどのような形でこれをお伝えするかということについても努力されるということで、大いに期待をいたしておりますし、頑張っていただきたいと思っております。

 四百十八名のリスト、改めて私は拝見させていただきました。さまざまなことが書いてあるのでありますけれども、その中で感じましたことは、お一人お一人の方に対して、果たして医療機関からきちっと告知がされているのかどうか、こういうことについて確認をする欄は一つもありませんでした。

 まさに、個々人の立場に立ってどうなのか、こういう視点が欠けていた。ですから、逆に言うと、個人情報がたくさん寄せられていたにもかかわらず、それを放置していくことにもつながったんじゃないか、個々の人に対してどうアプローチするのか、こういう視点が全くなかった、ここに問題の原点があるのではないかというふうに思います。

 当時の調査におきまして、医療機関における告知の状況はどうだったのか、こういうことについて私は製薬会社に対して調査をさせるべきだったというふうに思いますし、それが今日の結果をもたらしていると思います。

 当時、厚生労働省として、こうした個々人に関してどうするのかということについて、どういう議論をしていたのか、どういう考え方でおったのか、この点について確認をさせていただきたいと思います。

高橋政府参考人 御指摘のリストは、平成十四年の調査の際に、旧ミドリ十字がフィブリノゲン製剤の投与に関連する肝炎の発生例につきまして、過去の各時点でどういった情報を把握していたのかを確認するために、時系列で追った表の作成、報告を求めたものでございます。

 この資料は十四年の八月九日付で公表しておりますが、当時の関係者の意識としては、こういった方々を含めて広く肝炎検査を受けていただく、そういうことでやっていくというような考え方ではなかったかというふうに見ておりますが、その詳細につきましては、今度調査チームを立ち上げまして、そこできちっともう一回調べていく、そういうことになろうかというふうに考えております。

茂木委員長 告知の問題に対する認識について答えておりません。

高橋政府参考人 ですから、当時の関係者が告知の問題につきましてどういうふうに認識していたかというのは、当然、調査チームでの調査の対象になろうかというふうに考えております。

福島委員 こうした告知の問題、そしてまた、個人情報が含まれていたにもかかわらず放置されていた、それはどういう行政判断によるものであったのかというところまできちっと調べていただきたい、私はそう思います。

 これは年金記録の問題ともつながっているな、私はこういう気がして見ていました。要するに、お一人お一人の立場に立ってどうなんだ、こういう視点がやはり希薄なんじゃないかと。当時のリスト、四百十八名、そして時系列的にどういう発生をしていたか、こういうことを中心に報告書はまとめられています。そこには個人の視点というのがない。国会では、個々人の方をどうするんだ、こういう議論になって、医療機関の公表ということも追って行われるようになったわけであります。

 私は、当時の行政、今もそうかもしれません、こうした医薬品の副作用が出たときに、個々人の方をどうするのか、どうすれば個々人の方に役に立つのか、こういうことがそもそも薬事法の法規定の中にも明確になっていないということが問題じゃないかというふうに思っています。

 これは、くしくも二〇〇二年に薬事法の改正を行ったわけです。これは大改正を行いました。この薬事法の第七十七条の四では、「保健衛生上の危害が発生し、又は拡大するおそれがあることを知つたときは、これを防止するために廃棄、回収、販売の停止、情報の提供その他必要な措置を講じなければならない。」このように、非常に概括的な規定をされている。

 ですから、当時の担当者からすれば、副作用の被害の件数がどうであったかということが中心なのであって、そして、個々人の被害を受けた方についてどう対応するのかという視点が抜けてしまったのも、このような概括的な規定で、行政としてどう対応すべきかというルールが確立されていない、ここのところに一番の問題があるんじゃないかというふうに私は思います。

 今回、大臣は、こうした個々の方に対してきちっと情報が伝わるようにということで努力をしていく、こうおっしゃっておられますけれども、その根っこに戻って、こういう副作用の被害届が出たときに、これからも起こり得るわけです、個々人に対してどうするのか。これは、もちろんプライバシーの問題もあります。そしてまた、医療機関が直接には患者さんと対応している、こういう話もあります。ですから、医療機関がきちっとその告知ということを果たすべきじゃないか、こういう一義的な責任はあるわけです。

 しかしながら、それが果たされているのか果たされていないのかということをチェックすることも当然必要でしょう。チェックするためには、個々人の利益に立って副作用の被害についての対応をするという原則がやはりそこにはなければならないのだろうというふうに思います。

 この点について今後どう取り組まれるのか、お考えをお聞きしたいと思います。副大臣、お願いいたします。

岸副大臣 製薬会社等は、医薬品の副作用と疑われる疾病や感染症の発生に係る情報を知ったときには、薬事法に基づいてその旨厚生労働大臣に報告を申し上げて、さらにそれの対応をするようにというふうに義務づけられております。

 医薬品による副作用や感染症を感染、発症した場合、その診断を行った医師が当該副作用及び感染症に対する適切な治療や必要な情報提供等を行うものであって、また個人のプライバシーに深くかかわりがあることになります。治療に当たる医師の介在なしには、患者個人に直接そういったことを提供するということは、非常に大事なことではありますが、非常に難しい問題であります。

 よって、患者個人に対する情報提供を新たに法律に位置づけるということはなかなか困難である、こういうふうに申し上げざるを得ないということでございます。

    〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕

福島委員 これは、年金の申請主義の話とほとんどうり二つだと私は思います。

 医療機関が介在する、これはいいと思います、原則として。ただ、国として、承認をした医薬品によってこうした副作用被害が発生した、最終的に、被害を受けた国民の利益をどう守るのか、お一人お一人の利益をどう守るのか、ここのところの視点は厚生行政の薬務行政の運営に当たって変えてはならない、こういう視点だということを申し上げたいと思います。

 そして次に、裁判の問題であります。

 先ほど大臣から御答弁ありました。大阪高裁では、和解のテーブルに着いてはどうか、こういう話がありました。大臣からも、テーブルに着くようにという御指示がありました。しかし、複数の裁判が並行して行われているわけであります。いたずらに控訴をするということではなくて、より積極的に和解に向けた努力というものをすべきだ、このように思いますけれども、再度、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

舛添国務大臣 福島委員おっしゃるとおりで、何度も私申し上げていますけれども、人の命を救う、患者さんの命を救う、御支援申し上げる、これがまず第一である。そういう方々が、その貴重なエネルギー、これを訴訟に費やされるというのは非常に忍びない。

 いろいろな、これまで五つ判決が出ています。その内容もすべて違います。しかし、やはりこれはきちんと話し合いの場に立って、先般、今月の十五日に、国は今こういう考え方を持っていますよということを大阪高裁に伝えてあります。

 そういう中で、何とか、この訴訟の問題についても、私が先ほど申し上げました思いが実現できるように全力を挙げて取り組んでまいりたいと思いますので、与党の皆さん方、また、会派を超えて、この委員会の皆さん方の御支援も賜りたいと思います。

福島委員 見直しが必要だというのは、私は、介護の現場についても必要だというふうに思っています。

 平成十七年に介護保険法を改正いたしました。さまざまな御批判はありますけれども、介護予防という視点を入れたということは決して間違っていなかった、私はそう思っております。そしてまた、介護報酬の改定もございました。ただ、財政が非常に厳しい中で、非常に厳しい改定が行われたということもありまして、現場では、介護の現場で働く方々が大変な困難を今味わっているという事実、これをぜひとも直視すべきであるというふうに思います。

 私の地元にくすのき連合というのがあります。介護保険者でありますけれども、三つの市が連合をつくっております。そこに所属するケアマネジャーの方々から、現在の状況についてお話を伺う機会がありました。また、みずからアンケートも行っておられました。

 その中でお聞きした声は、将来に希望が持てない、また、一生懸命働いても赤字経営を脱却できないと、厳しい意見が相次ぎました。また、せっかくケアマネジャーになっても、一年、二年でやめていく人が後を絶たない、将来に希望が持てない、一生これでやっていけるのか、こういう思いがあるからだ、こういう指摘がありました。

 介護保険制度のかなめがケアマネジャーであります。ここで役割を果たす人が将来に向かって希望を持って経験を積み重ねていくことは、今後の介護保険の運営に当たって極めて大事である、このことは間違いございません。

 その中で出されました御意見について、その一端をきょうはお尋ねしたいと思います。

 一つは、業務が非常に多くて大変だと。これは以前から指摘がありまして、ケアプランの作成件数について上限が求められたわけでありますけれども、それだけではなくて、本来の業務であるケアプランの策定に入るまでにさまざまな相談に応じなければいけない、そしてまた、みずからケアプランを作成した方については、例えば途中で入院をする、そうすると医療機関との連携などの問題も対応しなきゃいけない。同居している親族の方が障害者だったりする場合もある、そうすると、その人のことまで相談に乗らなきゃいけない。本来介護保険で給付の対象となっている業務以外のことも断れないわけです。全部引き受けなきゃいけない、何でも屋さんになってしまう、そういう中で多くのケアマネジャーの方が疲弊をしている、こういう実態があるというふうに思います。

 私は、こうした実態をぜひともしっかりと調査していただきたい、そう思いますし、また、介護報酬のあり方についても次の改定のときにぜひ考えるべきだと。

 彼らが行いましたアンケートでは、「報酬にむすびつかない仕事がありますか?」、これに対して「はい」と答えた人は七七%です。八割の人がそのような経験をしている。そしてまた、「ケアマネージャーの業務について、不満はありますか?」という質問に対しては、「事務作業量が多い」、これが四一・七%であります。

 こうした実態をぜひ直視して、適切な対応をしていただきたいと思いますが、厚生労働省のお考えをお聞きしたいと思います。

阿曽沼政府参考人 お答えをいたします。

 ケアマネジャーのお話がございましたけれども、介護保険制度においてケアマネジャーの役割というのは大変重要でございまして、平成十七年の介護保険の見直しにおきましても、ケアマネジャーの担当件数というものをできるだけ重要に考えるということで、三十五件に引き下げるということに改正をいたしまして、特に介護予防の部分のケアマネジメント機関を分離いたしまして、中度者に支援を強化するといったような改正をいたしました。

 先生御指摘のように、適切なケアマネジメントが実施をされるということは大変重要でございますので、特に、事務負担の問題については私どもとしても大変重要な問題だというふうに思っております。それにつきましては、まず実態の把握が第一だと思っておりまして、ことしの十一月から十二月にかけまして、ケアマネ事業所あるいはケアマネジャーの業務の実態に関する調査を行おうというふうに考えております。この結果をまとめまして、その上で十分、特に事務処理の問題について対応していきたいと思っています。

 また、介護報酬の問題でございますが、この問題は大変、事業の経営の問題あるいは事業者の実態の問題、いろいろ詳細に実態把握をしなければならないということでございますので、また、介護保険料の問題とも絡んでまいりますので、社会保障審議会の介護給付費分科会等において十分な御議論をいただきまして、今後、適切な対応をしていきたいというふうに考えております。

福島委員 調査していただいて、介護報酬の面でもしっかり対応していただきたいと思います。

 そしてまた、すぐにできることはぜひすぐにやっていただきたい、こういう課題もあります。例えば、事務量の多さの理由として、書類をたくさんつくらなきゃいけない、こういう話があります。福祉用具の貸与の場合でも、六カ月に一回サービス担当者会議を開催して書類をつくらなきゃいけない、それが大変です、どうしてこんなに頻回やらなきゃいけないんでしょうかと。

 ここのところは、すぐに見直すことのできることについては、ぜひ見直しを前倒ししてでもしていただきたい、このように思うわけでありますけれども、再度御答弁を求めたいと思います。

阿曽沼政府参考人 今御指摘いただきました福祉用具の件でございますけれども、この件は、平成十七年の社会保障審議会の介護給付費の分科会におきまして、ケアマネジャーが、介護サービス担当者の会議の結果を踏まえて、ケアプラン、サービス利用票に導入理由を明記する、それから、定期的に導入理由について検証することが必要だというふうな御意見をいただきまして、それで、十七年の制度改正の際に、利用者への実態像に応じた適切な福祉用具が提供できるように、六カ月に一回のサービス担当者の会議を開催してほしいという形で見直しをしたところでございます。

 この点については、もともと軽度者の利用者ということで、福祉用具貸与の不適正な利用の是正という趣旨でございましたけれども、今御指摘のございましたように、事業者の事務負担の問題も一方ございますので、今後、実態把握に努めまして、その上で適切に対応していきたいというふうに考えております。

福島委員 以上で終わります。ありがとうございました。

田村(憲)委員長代理 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 大臣、また両副大臣、このたび御就任になられましたことを心からお祝いを申し上げさせていただきます。

 本日は、私からは母子家庭の問題につきまして質問してまいりますので、よろしくお願いいたします。

 少子化対策が叫ばれる中でございますが、こんな過酷な状況に置かれる母子家庭があっていいものかと思われるような、母子家庭を取り巻く厳しい状況でございます。

 先日発表されました平成十八年度全国母子世帯調査によりますと、母子世帯の就業状況、平成十五年度の前回調査に比べまして一・五%ふえた、八四・五%。常用雇用者はその中で四二・五%、前回の三九・二%と比べ、ややふえてはおります。しかし、その中で臨時、パートの方は四三・六%。まだまだやはり雇用の安定化とはほど遠い状況にあると言えます。

 また、母子家庭の平均就労年収百七十一万円。前回調査よりも九万円ふえておりますが、児童扶養手当などを含めた平均年収、前回より一万円増、二百十三万円。やや上向いたとはいえ、一般の平均年収五百六十四万円の四割にも満たない。八年前の水準も回復できておりません。全体的には改善が見られず厳しい状況にあるということが明らかになりました。

 こうした、なかなか厳しい状況から抜けられない、いわばワーキングプアが多いとされる母子家庭、この状況につきまして、まず副大臣の御認識をお伺いいたします。

    〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

岸副大臣 この十八年の調査でございますが、これは、平成十四年に、母子及び寡婦福祉法、それから児童扶養手当法、この法律に基づいて、五年に一回調査をしていこう、こういうための調査でございます。いろいろ母子家庭の問題が国民的な関心を喚起している中で、この調査は、本当ならば十八年じゃなくて二十年に行うことになっておりましたが、前倒しで調査を行ったものでございます。

 そこで、この結果でございますが、先生おっしゃるように、一定の成果というんでしょうか、それは見られた。けれども、決して上々の結果だというふうなことにはならないのではないかなという私の認識でございます。

 ここで、なぜなのかということになるわけでございますが、これは、雇用環境などが悪化した時期でもあったし、そういった経済社会の状況も非常に大きいわけでございます。しかし、もう一つは、これらの自立を支援する事業について、やはりもうちょっと、私たち、広く企業に対しPR、広報、こういったものを強めていく必要があるのではないか、こういうような感じを強くいたしております。

 例えば、臨時というんでしょうか、有期で勤めておられる寡婦、母子家庭の方が常用化されるとなると、三十万でしたか、会社に対して補助がつくわけでございますけれども、これについて調べてみると、わずか二十何件しかない。そういうことを見ますると、やはりもうちょっとPRする必要が、もうちょっとというよりもかなりあるのではないか、こういうふうに思っています。

 同時に、だからといって、政策そのものは、支援策そのものは非常にきめ細かいものなんですね。私も、マザーズハローワークですか、渋谷にありますけれども、そこに行ってまいりました。行ってまいりまして、非常にゆったりとして、また気兼ねなく職探しをできる、御相談もできるということで、いらっしゃっている方から直接お聞きして、非常に評判もいい。そういうものもあるものでございますので、こういったことを両々相まって、ひとつ、今後一層その対策を充実していかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。

古屋(範)委員 上々の結果ではない、反省点もあるというお話だったと思います。

 母子家庭にとって、児童扶養手当、非常に大きな支えとなっているわけでございます。この児童扶養手当、来年四月から一部削減が予定をされているわけでございます。この経緯、平成十四年の母子寡婦福祉法改正の際に、児童扶養手当につきまして、離婚後等の生活の激変を一定期間緩和し、自立を促進するという趣旨から、就労支援策等の強化を図る目的で、平成二十年四月から支給期間と手当額の関係を見直すこととなったものでございます。

 こうした改正が検討されていた当初、厚労省は、支給総額を抑制する立場から、手当の平均受給期間五、六年であることを理由に、支給開始から五年で手当を打ち切る案を検討しておりました。しかし、公明党は、支給期間の短縮は、受給者の生活状況によって大きな負担を強いることになると、この支給期間を安易に短縮することは一貫して反対をしてまいりました。また、児童扶養手当制度を見直すのであれば、母子家庭の生活に急激に変化を与えないよう配慮する必要がある。当時、浜四津代行、福島部会長を中心に、この激変緩和措置の具体策を示して当時の大臣に要請を行いました。こうした強い主張によりまして、現行の支給期間を維持することが決着したわけでございます。

 この厳しい財政状況を考え、支給期間が五年以上となれば一定の割合で支給額を減額する、この点についても、公明党の主張に沿って、実施期間を平成二十年度以降とするなど、早急な実施が見送られました。減額率についても、各種自立支援策の進捗状況、母子家庭の自立状況を総合的に判断して決めるとされたものでございます。

 先日、団体から御意見を伺いました。全国母子寡婦福祉協議会、吉村マサ子会長等より、この減額、生活実態を把握し、慎重に検討してほしい、このような要望を伺いました。母子家庭の母の就労に関する特別措置法の延長など、切実な内容でございます。

 ただいまありましたようなさまざまな支援策は講じられているものの、やはり、就労に対する施策というものは緒についたばかりではないかと思います。ましてや、地方におきましては、全体の雇用状況そのものが厳しいわけでございますので、そうした中で、正社員になれない、あるいは、児童扶養手当はやはり欠かせないじゃないか、また、減額されたら生活できない、このような声を伺っております。

 また、二十二日の報道によりますと、朝日新聞が実施した母子家庭の就業支援事業の調査、常用雇用転換奨励金事業、この予算見込み、約一割しか使われていない。予算を組んだ三十一都道府県のうち二十二都道府県が実績ゼロ。自立支援教育訓練給付金も、半分以下しか使われておりませんでした。

 このような現状を考えますと、児童扶養手当の見直しはやはり凍結し、さらに就労支援を進めるべきではないか。このように考えますが、大臣、いかがでございましょうか。

舛添国務大臣 今、古屋先生御指摘のように、現実にこの母子家庭の生活実態を見ると、地域差もありますけれども、非常に困った状況にある方々がおられる。一生懸命就労支援をするということは本当にやらないといけないと思いますが、連立政権の与党の中で、今御議論がプロジェクトチームで始まっておりますので、それを見守りながら、どういう形できめの細かい対応ができるか。もちろん経済的支援もそうですし、今御指摘のように、就労支援、これにも全力を挙げていきたいということでございますので、きめの細かい施策をとって対応してまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 私たち与党もしっかりと取り組んでまいりたいというふうに決意をしているところでございます。

 また、この母子家庭の就労支援施策の充実ということに関しまして、この六月に発表されました母子家庭白書によりますと、母子家庭の母を正社員に転換した事業所に奨励金を支給する事業、これを実施いたしましたのは昨年度で二百十九自治体、割合はわずか二六%でございます。また、教育訓練給付金の支給、介護福祉士など経済的自立が比較的可能になる資格を取ることができる、こうした高等技能訓練促進事業の件数も伸び悩んでいるのが現状でございます。

 現行の就業支援策の一層の充実というものが求められているというふうに考えますが、この件に関しまして、厚労省の取り組みをお伺いいたします。

大谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ありましたように、母子家庭のお母さん方の経済的基盤について、就労されている割合は高いですけれどもなお低所得の方々が多い、こういったことで、その経済基盤をさらに安定させるということで、例えばスキルアップをするであるとか資格の取得を促進するとか、常用雇用の促進が重要であるということで、事業のメニューといたしましては、一つは、パソコンやホームヘルパーなど教育訓練講座の受講に要した経費の一定割合を支給する自立支援教育訓練給付金であるとか、また、資格という意味で、看護師や介護福祉士等の経済的な自立を図る上で効果的な資格を取得するための受講期間中の生活費を支援する高等技能訓練促進費、こういった政策を展開してきたところであります。

 今御指摘ありましたように、地方自治体についてもさらに取り組みをお願いしていかなければなりませんし、また関係者にこういう制度があるということを周知して御利用いただくということで、さらなる自立を支援してまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 やはりこの就労支援も使い勝手のよい制度でなければならない、このように考えます。地方自治体の課題も多いわけですので、私自身も、地方議員と連携をとりながら就労支援をさらに進めていきたいと決意をしているところでございます。

 次に、母子家庭のお母様の就労支援を行う上で私が特に進めたいと思っておりますのがテレワークでございます。

 通勤時間もない、あるいは生活スタイルに合わせて、自分の時間帯に合わせて仕事ができるこのテレワーク、母子家庭の収入アップ、また昼夜のかけ持ちなどの仕事から在宅就労になる、副収入としても期待ができるのではないかと考えております。

 そのテレワークを進める上では、パソコン機器の貸与、また技術がなければなりません。また、そのための指導者の確保などさまざまな課題があるところでございます。

 先日、私たち公明党で、NPO法人あごらの久保理事長より、母子家庭の母親にテレワークの就労支援をしている事業内容、国への要望なども伺いました。そこでは約五百人が登録し、二百五十人が常時働いているそうです。発注を確保するために、もっと母子家庭の母親の就労支援をしている企業、団体に支援をしてほしい、メリットを与えてほしい、あるいはテレワークに必要なパソコン、高速回線の費用の補助、またテレワークという就労形態、新しい就業形態ですので、それに対する制度設計の整備など、具体的な要望をお伺いしたところでございます。

 そこで、この母子家庭を対象としたテレワークを進める取り組みについてお伺いをしたいと思います。

大谷政府参考人 今御指摘ございましたように、パソコンなどを活用して在宅で就業する、こういう形は、母子家庭のお母さん方の就業を図る上で非常に有効な選択肢の一つとなり得るということから、こうした就業形態を支援していく、大変重要なテーマだと考えております。

 しかしながら、その普及については、今少し御言及がありましたけれども、幾つかまだ課題があるということで、現在その先駆的な取り組みがまず進められていくということも重要であろうかと考えておりまして、こうした観点から、現在、母子家庭の母の在宅就業を普及させるために、支援団体に委託しましてそのマニュアルの作成を進めているところでございます。

 また、関係企業との、どうやって推進していただくか、あるいはコストの問題、こういったこともございますので、今現在あります貸付金の活用とか、そういうことも含めて、今後どうした方法がさらにとり得るか検討してまいりたいと思いますが、いずれにせよ、この在宅就業については積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 私、一年前、総務大臣政務官をしておりましたときに、このテレワークを推進しようということで、税制の創設あるいは共同システム開発の推進などに取り組んできたところでございます。既に厚労省におかれましても、なかなか後ろ向きだったような印象はあるんですが、厚労省におきましても前向きに取り組んでいかれているということでございます。

 舛添大臣、このテレワークの普及につきまして、厚労省でも試行実験をされているということでございますが、ぜひ今後、労働を所管する厚労省におきまして本格導入を目指していただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。

舛添国務大臣 このテレワークのメリットというのは、古屋委員おっしゃるとおり、私も非常に高く評価しております。

 昔は、SOHO、スモールオフィス・ホームオフィスなんて言われていましたけれども、これだけITが進んでいる、そうすると、母子家庭にとって御家庭にいながら仕事をできるということは非常にいいことでありますし、厚生労働省、女性の職員もたくさんおります。

 そういう意味で、まず隗より始めよということでございますので、この七月から、現実に育児をなさっている職員を中心に試行実験を今やっております。そして、これが軌道に乗って、いろいろな問題点もまた出てくると思いますが、そういうことを踏まえた上で、本格実施をぜひやりたいなと思っております。

古屋(範)委員 大臣の御決意を伺うことができました。ありがとうございます。

 母子家庭の問題、非正規雇用あるいはパート労働の問題、また最低賃金あるいは地方の問題、そうしたいわば我が国で一番切実な問題が凝縮をしている母子家庭、この母子家庭に対します支援、また就労支援、今後とも拡充することを強く要望いたしまして、質問を終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 端的に御答弁をいただきますようお願いを申し上げます。

 まず、舛添大臣にお伺いしますけれども、紙台帳とコンピューターデータを照合してデータを正しくする、これは平成二十二年一月の日本年金機構発足までにやる、つまり二年二カ月でやるということでよろしいんでございますか。

舛添国務大臣 私が申し上げましたのは、新しい組織ができるときには、今一生懸命この記録問題の不備を解決しています、ぜひそこまでには何とか解決したいということでありまして、今工程表で決まっているのは、この七月に政府・与党で決めまして、来年の十月までの工程表が決まっています。

 同時進行でこういうこともやっていますが、常に優先順位を決めてやっておりますので、このことも、最終的には、委員御承知のように、どれだけの人手がかかるか、どれだけのコストがかかるか、こういうことをしっかりと踏まえてやらないといけないと思いますが、私が申し上げたのは、新しい組織が生まれるまでにはこういう問題をぜひ解決したい、そういう決意でございます。

長妻委員 ちょっとこの前の、ことしの十月十五日参議院の予算委員会の答弁よりも若干ニュアンスが違ってきているんですけれども。

 つまり、我々民主党は、今回の消えた年金問題で最大の解決策の一つは、紙記録ですね。全国の自治体にもまだ残っているものもあります、捨てられているものもありますけれども、あるいは全国の社会保険庁の事務所、あるいは貸し倉庫、あるいは社会保険庁所有の倉庫、全部の紙記録を引っ張り出して、草の根分けても捜し出して、それをコンピューターデータと照合してコンピューターを正しくする、これは非常に重要だ。政府は期限を決めていない。いまだに決めていない。ここで柳澤大臣にも、期限を出してくれというのにいまだに出していないんですね。

 ところが、舛添大臣は、二十二年一月の発足まで、つまりあと二年二カ月でやるということを前回の参議院の予算委員会で答弁されて、翌日これは新聞記事、全紙でかでかと出ていますよ。記事になっています。私もそう受けとめましたので、これは公約として、二年二カ月以内にやる、こういうことをぜひ明言していただきたいんです。

舛添国務大臣 いつもいい御指摘をいただいて、そういう長妻委員の御意見を賜って、一つ一つこれを解決していく。それで、今申し上げているように、私は、今委員がおっしゃった紙台帳との突き合わせ、これもやらないといけないと思いますが……(長妻委員「期限は」と呼ぶ)

茂木委員長 勝手に議論を進めないでください。委員長の指名に従ってください。

舛添国務大臣 しかし、まず優先順位をしっかり決めて、まず、それよりも一人一人の年金を確立する。それでまず五千万の名寄せをやる。その前提で五百二十四万件をやっていくということでございますから、これは、私は先ほど来申し上げているように、そういう決意で取り組みますということでありますので、とにかく一つ一つ優先順位を決めてやっていく。

 私は、だから、認識が委員と若干違うのは、それをやらない限り前に一歩も進めませんということではなくて、順次やっていきます。そして私はそういう決意で取り組みますということです。(長妻委員「委員長、期限、答えてないよ。期限、聞いているんです」と呼ぶ)

茂木委員長 聞きますか、もう一回。(長妻委員「いや、さっき聞いたから」と呼ぶ)

 では、期限についてもう一度答えてください。

舛添国務大臣 それは、私はそういう決意で取り組みますので、ぜひ人手の問題それからコストの問題、こういう解決をして、それは、私は関係閣僚会議を年金記録問題についても立ち上げてもらいました。そういうところで財源の問題、人手の問題、きちんと議論をした上で、私が先般申し上げたことが実現できるように全力を挙げてやりたいということは今も申し上げておきます。

茂木委員長 長妻君。(長妻委員「いや、委員長、期限、言ってないよ」と呼ぶ)

 長妻君、指名をいたしました。(長妻委員「おかしいじゃないですか、委員長」と呼ぶ)答えられる範囲で答えていると思います。

 長妻君、続けてください。もう一度質問をしてください。

長妻委員 議事録、二ページ目に配付申し上げておりますけれども、舛添大臣はこういうふうに我が党の櫻井充参議院議員に答弁されているんですね。後半の方ですけれども、「いろんな田舎の町なんかに置いてある紙台帳というのの突き合わせをやっていく、そういうことを全部やって、ですから、二十二年に新しい年金機構ができるときには、それと同時にデータの完璧性を期したいと思っているんです。」こういうふうにきちっと期限を答弁されているんですね。

 これはぜひやりましょうよ、大臣。官僚は、我が党が昨日、山井議員などとヒアリングをしたら、そんなものは大臣が勝手に言ったんで、聞いていない、こういうことを明言しているんですよ。そんな官僚を許しちゃだめですよ。

 二十二年の一月、今から二年二カ月かけてやる、こういうことをぜひ明言してください。

舛添国務大臣 今、長妻委員がお読みいただいたこの資料の中で私が申し上げているのは、「二十二年に新しい年金機構ができるときには、それと同時にデータの完璧性を期したいと思っているんです。」これに尽きるわけでございまして、それはぜひやりましょう。

 ただ、そのときに、私がもう一つ常に考えているのは、それは今何千億使ってでもやってよろしい、何十万人の人を雇用してでもやってよろしいというんならば、それはやれます。頑張ってやりますが、ただ、それは私はやはり公平に考えて、資源が限られている、人手も限られているところでやらないといけないときに、それは国会の皆さんの御了承もいただき、国民の皆さんの御了承もいただいてやる。ただ、ここに書いているとおり、新しい組織ができるときには、同時にデータの完璧性を期したいということでございますから、私の先ほどの答弁はここから間違っているとは思っておりません。

茂木委員長 大臣、答弁は簡潔に願います。

長妻委員 大臣、二十二年一月に日本年金機構が発足する。我が党の案は歳入庁が発足する。同じ時期なんですね。つまり、それまでにすべて解決しておかないと、わけがわからなくなるんですね。新しい組織に行って、また資料が散逸したりして。これがもうタイムリミットなんですね、根本解決の。

 今言われたのは、何十億かかるか、あるいは何十万人かと言われましたけれども、ですから見積もりしてください。これはもう何度も質問主意書でも聞いていますよ。全部の紙台帳と突き合わせしてデータを正しくするには、人、物、金、どれだけかかるのか、これを見積もりする、この委員会に出す。明言してください。

舛添国務大臣 何月何日までにということは今お答えは申し上げませんが、その方向で努力します。

 というのは、今本当に限られたマンパワーで、私は優先順位をつけて、その五千万件を一生懸命やっています。そうすると、その人手も全部とられちゃうわけです。そこで、その優先順位は私にお任せくださいということを申し上げているんです。

長妻委員 私が予算委員会などで福田総理大臣に、国家の危機です、今現在、この年金不信、国家の信頼に直結するんだ、国家プロジェクトでやってほしい、こういうことを何で我々、口を酸っぱくして言っているかというと、今はっきり言うと、残念ながら、社保庁が仕事が終わった後、言葉は悪いですけれども、片手間で今処理しているんですよ、現実は。マンパワーはふえているわけじゃありません。

 そういう意味では、国家プロジェクト、全省庁を挙げて、余剰人員全部集める、守秘義務をかけて民間に委託をする、こういう、人をきちっと措置しないと、こっちをやっているから二つは同時にできない、こんな今の答弁になってしまうわけで、これは国家プロジェクト。大臣は抱え込まないで、全省庁でやる。

 そして、ここで約束しているわけですから、これ、もう一回聞きますけれども、そうすると、あと二年二カ月ですべての紙台帳を照合してコンピューターデータを正しくする、こういうことでよろしいんですね。公約ととらえていいんですね。

舛添国務大臣 それは私の決意でございますから、全力を挙げてその私の決意が実現できるように努力いたします。

 ただ、何度も申し上げますけれども、優先順位、私は一人一人の個々人の年金を早くやりたい。それから、国家プロジェクトであることもわかっていますし、全く長妻先生と意見は同じなんです。だから一生懸命、閣僚会議も立ち上げて、それから、例えば第三者委員会だって人が足りませんから、これも職員倍増するようにあらゆる省庁からかき集めてやります。

 だから、全力を挙げて努力をしますけれども、私の今の優先順位だと、その紙台帳、何冊あるからこれでどうだという見積もりをつくるよりも、今一日も早く皆さん方の年金、一人一人の記録をやる方が先だ。そういう、無尽蔵に資源があるならばできますけれども、どうか私の優先順位に基づいて資源を配分しているという考え方を御理解いただきたいと思います。

長妻委員 我々もいろいろこれまで質問して、期限がない約束というのは結局うやむやになっちゃうんですね、これまでの例からいって。

 そして、今決意と言われましたからぜひ、二年二カ月ですべての紙記録と照合するには、では人、物、金、どれだけかかるのか、この積算を今やらなければうやむやになりますよ。今こういう時期に大臣がやると、ここで大臣が答弁すると、大臣の背後にある何万人もの組織が動くんです、そこで大臣がぶれなければ。ここで格好いい答弁して、役所に戻って官僚に説得されて、ああ、やっぱり撤回しよう、こういうことのニュアンスに聞こえるわけですよ、さっきの参議院での予算委員会の答弁が。

 ですから、もうここで言ってください。官僚に相談したら、できないできないですよ。ですから、二年二カ月で紙記録と全部照合するには、人、物、金、どれだけかかるのか出す、こういう見積もりを早急にこの委員会に出す、これは本当に重要なことですからぜひお願いします。

舛添国務大臣 官僚に相談して物事を決めたことはありません。私の指示で全部動いています。まず、そのことを申し上げたい。

 それから、まずその五千万件の名寄せ、三月まで、これに私の力を注がせてください。そして一つの提案ですけれども、三月、それでここまでいきました、例えばその段階でやらせてくださいよ。

 というのは、長妻委員とそこが違うのは、今一生懸命その見積もりをする、例えば人間が五人必要だったら、その五人は名寄せの方に使った方がいい、こういう優先順位で申し上げて、やらないとか逃げているとか役人の言いなりだということではありません。全面的に全力を挙げて努力をしております。

長妻委員 大臣、本当に認識を変えていただきたいのは、これは五人とかなんとかという話じゃないんです。これは本当に国家の危機で、国家プロジェクトで、下手したら数万人とかそういう総人員が必要になる可能性だってあるんですね。ですから、ここでもう見積もりをとる。二年二カ月ですべてを、紙台帳を照合するには、人、物、金、どれだけかかるのか。

 なぜ私、こういうことを言っているかというと、今五千万件の問題がクローズアップされています。五千万件を統合する、当然これは重要です。しかし、それ以外、今統合されて持ち主がわかっている厚生年金、国民年金の記録、御存じのように二億五千万件あるんですね。これは統合されています。しかし、その中に受給に影響のある入力ミスが見つかりました。これは政府も、柳澤大臣の答弁で明らかにしました。ですから、統合しても安心じゃない。

 つまり、紙台帳からの入力ミスがたくさんあるんで、そこを直さない限り根本解決にはいかないというのが我が党の主張でありますので、ぜひここで、見積もりぐらいいいじゃないですか。二年二カ月でやるには、人、物、金、どれだけかかるのか、指示して、この委員会に出させますと。(発言する者あり)何でこれ、与党もまたかばうんですか。

舛添国務大臣 例えば私が作業して、紙台帳からコンピューターに移すときも、神様ではありませんから、百件全部をやって百件完璧かどうかわかりません。しかし、百件全部間違えるということはまずない。百件やったら、九十五件ぐらいはそれは正しいでしょう。

 ただ、その五件をほったらかしておいて、これを片づけない限りほかの九十五件に手をつけちゃいけないということは、優先順位じゃありません。まず九十五件からやらせてください。ですから、とにかく五千万件、きちんとやらせてくださいよ。それの上で、私はきちんと見積もりをやるならやるということを申し上げているんです。

長妻委員 そうしましたら、大臣、御自身の発言に責任を持っていただきたいと思うんですが、この議事録ですね。つまり、この議事録では、翌朝の朝刊にも全部出ましたよ、大臣の公約だということで。二年二カ月でやると言われていますから、二年二カ月でやるには、では、どの程度、先ほど数十億円、数十万人と言われましたけれども、その程度の想定を持って答弁されたんですか。数十億、数十万人ということは確認されておられるんですか。

舛添国務大臣 その数字は例えで申し上げたわけで、五人とかいうようなことも例えで申し上げたわけです。

 ですから、ここには「二十二年に新しい年金機構ができるときには、それと同時にデータの完璧性を期したいと思っているんです。」と。だから、翌日の新聞がどういう報道をしようが、それは報道機関の自由です。しかし、ここにきちんと書いてあるとおりで、るる説明していますように、私は、物事に優先順位をつけないと、資源が無限であればそれはきょうでもやれます、だけれども、やるとすれば、せめて、その見積もりを出すのも、どうか五千万件の名寄せが終わる三月からにしていただきたいということを申し上げておる。

長妻委員 いや、そうすると、大臣、ちょっと驚くのは、二年二カ月以内にやると言ったのは、これは根拠のない当てずっぽうで言ったということですか。(発言する者あり)

茂木委員長 答弁の前に、答弁者、質問者、委員に申し上げます。御静粛にお願いいたします。

舛添国務大臣 この年金記録問題を解決するというのは、まだだれもやっていない、未知の領域に立ち向かってやっている仕事であります。ですから、今申し上げたように、どれだけの件数があり、どれだけがあるかということを、それはサンプル調査であっても、どこまで正確かわかりません。

 これ、私は何度読んでも、「二十二年に新しい年金機構ができるときには、それと同時にデータの完璧性を期したいと思っているんです。」ということを申し上げているわけですから、当てずっぽうとかなんとかということではなくて、それを期したいと思って全力を挙げますから、どうか皆さん、御協力ください、そういうことも含まれております。

長妻委員 根拠がなくて言ったのであれば、しかし、これはもう言ったことですから、では、根拠を、きちっと裏づけをとるというのが大臣の仕事だと思いますよ。ですから、その根拠となる見積もりを、人、物、金がどれだけかかるのか。では、これは総務省と今やっているし、ほかの省庁との連絡会議があるから、見積もりを別の省庁につくらせてもいいじゃないですか、経済産業省だってやっているんだから。

 今わかっているだけで八億五千万枚の紙記録がある。我々は中身を全然見せてもらっていないので、何件入力するのか、どういう作業なのか、細かい状況がわからないわけですね。ですから、政府に出していただきたい。そして、それが可能であれば全力でやる、こういうことを政府が覚悟するのであれば、我々も協力しますよ。

 ただ、その見積もりが全然わからない、人、物、金なんか出さない、忙しいから出さない、こういう態度じゃ、また参議院選挙の前と同じ状況になりますよ。ですから、社保庁に見積もりをさせるんじゃなくて、忙しいんだったらほかの省庁に人、物、金の見積もりをさせるとぜひ答弁してください。

舛添国務大臣 そういう可能性も含めて、関係閣僚会議がございますので、各省庁の協力を得ます。ただ、何度も申し上げますように、とにかく五千万件の名寄せを最優先にしたいと私は思っています。

長妻委員 協力してやってくださいよ、大臣。これは、ですから、閣僚会議をせっかくつくったんだから、ほかの省庁で手が余っているところもありますから、二年二カ月で、一番の根本解決だと思っているんです、我々は。そのデータの訂正をするには人、物、金がどれだけかかるのか、これをきちっと見積もる、そして、この委員会で報告すると。いいじゃないですか、それを言っていただいても。何で言えない。

舛添国務大臣 何月何日までにということは今申し上げませんが、今、長妻委員が御提案のようなことも、各省庁とも相談して、全力を挙げて、私は私のこの決意が実現できるように努力をいたします。

長妻委員 ということは、人、物、金の見積もりを出すということですね。

舛添国務大臣 先ほど答弁したとおりでございます。

長妻委員 出すんですか、見積もりを。

舛添国務大臣 そういう方向で全力を挙げて努力します。各省庁とも相談をしないといけない、お金の問題もある、人手の問題もあります。しかし、おっしゃるように、そういう仕事をするときにはいろいろな見積もりがある、工程表をつくるということは前提ですから。

 ただ、何度も申し上げているように、まず五千万件をやらせてください、それをお願いしているんです。そして、これはおっしゃったような工程表をつくります。

長妻委員 五千万件の処理というのは、これはどんどんやっていただく、これは当然ですよ。しかし、根本解決策を逃げているんですね、政府は。期限も言わない。(発言する者あり)

 ですから、もう一回、今与党席から私の質問はしつこいしつこいと言われましたけれども、確認しないと逃げるんですよ、政府はこれまで。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━何がしつこいんですか。きちっと確認しないと被害者の補償が進まない、逃がすわけにはいかないんですよ。

 見積もりはきちっととりますね。

舛添国務大臣 逃げているわけではなくて、全部とにかく、長妻委員がいい指摘をいつもやっていただきますので、そういういい御指摘、我々が見落としている、いい御指摘をいただいたのを一つ一つ確実に手を打っていくということでありますから、おっしゃったことについても、これはそういう方向できちんと工程表を出したいと思います。したがって、見積もりをつくります。

長妻委員 ぜひ早急にお願いをしたいと思います。

 次に、脱退手当金の問題でございますけれども、これは私どもの事務所にも多くの御相談が来ているんですね。脱退手当金をもらっていないのに、あなたはもらったんだと社会保険庁から言われて、その間の記録が抜けている、金をもらったんだから抜ける制度ですね。

 そういうことで、もらった、もらわないの非常に多くの御相談が来ているんですけれども、これは配付資料の三ページ目でございますが、昭和二十一年度から平成十八年度まで、脱退手当金を裁定した方、決定した方が約六百四十万人もおられる。そこで払い戻された金額というのが一千五百六十億円ある。

 そして、四ページ目を見ていただきますと、トラブルが、実は昭和三十六年ぐらいから政府は把握していたんじゃないかという、これは政府の通知です。厚生年金保険課長が出した通知には、「請求者本人の意志を確認することなく、退職の際事業主等から便宜的に裁定請求がなされている事例が見受けられる」というふうに書いてあって、つまり、本人が意思を表明しないとお金をもらって脱退することがあり得ないのに、勝手に事業主がやっちゃっているんだと。こういうことが昭和三十六年に確認されて、措置をきちっととれと。しかし、その措置がとられた形跡はない。このトラブルも多い。

 そして、五ページ目でございますが、これも社保庁が出した通知でございますけれども、昭和三十八年にはこういうトラブルも把握しているわけですね。つまり、「脱退手当金の請求は制度からの完全な脱退を意味しているので、被保険者台帳記号番号の重複等のため被保険者期間の一部を把握できないで脱退手当金を支給したことが判明したときは、その支給決定を更正すべきである。」つまり、脱退手当金をもらってしまうと、その前に入っている厚生年金すべてが脱退になるということになるわけですね。

 ところが、このときからトラブルがあったのは、本当はすべて脱退になるはずなのに脱退になっていない厚生年金の部分が残ってしまっているということで、これは記録の問題とも密接に絡む話なんですね。政府は把握しているんです。脱退手当金に関する抜本的調査、これをぜひやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。

舛添国務大臣 脱退手当金制度自身の御説明はもうよろしいですね。ちょっとこれは複雑ですけれども、今、長妻委員が御説明したことで説明にかえたいと思います。

 これは、何とか今言った調査をやらぬといかぬと思っています。ただ、本当にこれをいつも私は申し上げて恐縮なんですけれども、本当にレガシーシステムというのは動きがとれなくて、これは新たなプログラムをつくらないといけないんです。だから、これまた何とか資源の余裕のある限りでつくりたいと思いますけれども、まずそれをやれるか。委員、今のレガシーシステムですぐ出せというのは困難です。これはそういうシステムになっていない。ですから、ぜひプログラムを組んでやれということであれば、これはそういう方向で検討して、きちんと、この問題も今おっしゃったように一つの問題ですから、解決したいというふうに思っております。

長妻委員 ぜひプログラムを組んでやっていただきたい、調査していただきたい。

 もう一回だけ御答弁ください、調査するということを。

舛添国務大臣 これも実は、今申し上げなかったんですけれども、今の五千万件の名寄せと同じコンピューターを使っています。そうすると、これに新たなプログラムをつくってこの作業をやりますと、またそこがちょっと足を引っ張られるということが起こるので、これもちょっと時間の余裕を賜れればありがたい。まさに優先順位をつけないと、私は、全部できればいいんですけれども……(長妻委員「調査はするんですね」と呼ぶ)ええ、調査する方向で全面的に努力しますが、まずちょっと五千万件をやらせてくださいというお願いでございます。

茂木委員長 答弁者と委員の間で委員長を介さずに勝手に議論を進めないでください。

長妻委員 ですから、いつも社会保険庁は、いや、五千万で忙しいからほかはできないんだ、できないんだと。ですから、国家プロジェクトとして、自分のところで抱え込まないで。いや、大臣、大臣はそういう気がないかもしれないけれども、下のお役所は今そういう形になっているんですよ。ぜひ中を見ていただいて。

 そしてもう一つは、これも私は知らなかったんですが、国家公務員の方が、共済年金、これは国家公務員の方の年金ですけれども、それと同時に厚生年金もダブルで受給している。こういうことがわかりまして、これは、ダブル受給というのは幾らの金額で、これは地方公務員、国家公務員両方あると思うんですが、当局、来ておられますから、その是非も含めて、数字も含めてお教え願います。

木下政府参考人 お答えいたします。

 まず事実関係でございますが、議員御指摘の制度、復帰希望職員制度と申しまして、昭和三十六年の国家公務員共済組合法の改正により創設されておりますが、既に五十四年には廃止されておりますという制度でございます。

 それで、まず人数等々の事実関係でございますけれども、復帰希望職員に係る年金額等についてデータが存在いたしますのが昭和六十年度以降に年金が決定された職員に関してのみでございますので、六十年度以前の分も含めて年金額等をお答えしろということであれば、一定の前提を置いて機械的な試算になるわけでございます。

 例えば六十年度以降に年金額が決定されたいろいろな数字のシェアが六十年度以前も不変だったとの仮定に基づいて試算いたしますと、まず第一に、復帰希望職員制度が適用されている受給者数は約五千百五十名。それから、平均出向期間は約四十三カ月。それから、復帰希望職員の平均年金額は、一人当たりですが、約百八十一万二千円。そのうち御指摘の出向期間に係る平均年金額は約二十万四千円。それから、その期間に係ります年金受給総額は十一億三千六百万円。こういう数字の試算でございます。

 それから、制度の是非についてでございますが、先ほど申し上げましたように、五十四年にこれは廃止されたものではございますが、当時、民間の被用者は厚生年金適用を原則とする公的年金制度の体系の中、国家公務員が公庫、公団等に出向いたします場合に不利益をこうむる場合がございました。そこで、本制度は、国の人事政策の一環といたしまして、公庫等の国の事務等と密接な関連を有する業務を行う法人に出向したにもかかわらず、職員本人にこうした不利益をもたらすことを避けるために例外的に法律で設けたものでございます。

 したがって、その後、五十四年に国共法の改正により廃止されておりますが、本制度はこうした創設当時の年金制度を取り巻く状況においては必要な措置であったと我々は考えております。

松永政府参考人 地方公務員共済組合の関係につきましてお答え申し上げます。

 まず、関係の方のいろいろなデータでございますが、地方公務員共済につきましても、大変恐縮でございますが、一定の前提を置いた上で極めて粗い機械的な試算を行わせていただきますと、次のとおりでございます。

 復帰希望職員制度が適用されている受給者数は約七百七十人。復帰希望職員の平均出向期間は六十九カ月。復帰希望職員の平均年金額でございますが、約百六十八万五千円。そのうち公庫、公団等への出向期間に係ります平均年金額は約二十七万八千円。それから、復帰希望職員の出向期間に係ります年金受給総額は約二億一千四百万円ということになろうかというふうに考えております。

 この制度につきましては、地方公務員共済組合は昭和三十七年に創設されておりますが、制度創設当時から、国家公務員共済組合につきまして同様の制度が設けられておりますが、それとほぼ同様の趣旨でこの制度は設けられておったものでございます。昭和五十四年に同じように廃止されておりますが、やはり国家公務員につきましてと同じように、創設当時の年金制度、こういうものを取り巻きます状況におきましては必要な制度であったというふうに考えているところでございます。

長妻委員 これは結局、国家公務員で、今の説明のとおりダブル、厚生年金と共済年金両方受給している人が、今現在で御存命の方で受給している人は五千百五十人が推定される。その出向時期だけ本当は厚生年金にならなきゃいけないのに、便宜的に共済もダブルでもらえる。その出向時期だけの共済の受給額が、トータルで十一億三千六百万円が一年間に毎年出ている。そして、地方公務員は七百七十人で、同じベースで二億円だ、こういうこと。

 先ほどの説明と、私も事務方から説明を聞いて、やはり非常に官尊民卑の話だ。先ほど御答弁されたのも、不利益をこうむるからこういう制度をつくったと。公務員が不利益をこうむる。つまり、今もそうですけれども、特殊法人、公庫、公団というのは厚生年金適用事業所なんですね。国家公務員の身分じゃなくなるから厚生年金になってしまう。そうすると、厚生年金というのは三階建て部分がないから、低い年金だから、それじゃ不利益をこうむるから、出向しているにもかかわらず、移籍をしたにもかかわらず共済を便宜的に続けてあげよう、しかも両方もらえるようにしてあげよう。

 さすがにまずいということで昭和五十四年末に廃止をされたというふうに聞いておりますけれども、被保険者が廃止されただけで、受給している人は今もなおずっとダブルでもらい続けているということ。これは、公的年金制度は複数同時に入るというのは多分ないんじゃないかと思うんですね。何で自分たちが不利益をこうむるから二つダブルで入れちゃうんだ。

 大臣、これは見直す必要があるんじゃないですか。今現にもらっている方がいられるんですよ。

舛添国務大臣 委員おっしゃるように、やはり官尊民卑、私も、こういうことはあっちゃいけない。それは、あえて言えば、掛金は両方払っているんだと言われるかもしれません。しかし、そういうことはあっちゃいけない。ただ、その時期にはこれは認められていたことでありますから、今受給していた人から、掛金もダブルに払っているのに引きはがすというところまでいけるかな、法的にも、そういうことは考えております。

 そういうためにも、被用者年金の一元化、これをぜひ皆さん方のお力で実現させていただきたいと思います。

長妻委員 これは今現在、制度は廃止をしたといっても、これも不可解なんですね。

 つまり、今現在、独立行政法人とか特殊法人、公庫等に出向する方、移籍するわけですけれども、その方は本来は厚生年金適用になるはずなのに、それはならない。今度はダブル受給はできないけれども、共済をずっと続けてあげましょう、本当は厚生年金なのに。こういうおかしな制度も、結局事務方に聞くと、いや、共済の方が三階建てがあるからいいんだ、それを続けたいんだと。

 でも、それは制度として厚生年金になるんだから、それはだめですよ。一般の方はそんなこと、ぜいたくできますか。サラリーマンをやめて国民年金になった、国民年金は受給額が低いから厚生年金を便宜的に続けましょうなんて、そんなことあり得ないですよね。

 ですから、大臣、これは見直す。確かに保険料はもうダブルで払っておられますから、保険料を返して、片方の制度をなくしていく、受給をなくすとか。何にも措置されないんですか、大臣。

舛添国務大臣 現に制度は終わっていますから、今受給されていた方をどうするか、これはまた与党ともきちんと議論をして検討してみたいと思います。

長妻委員 このくらいは自分の御判断で答弁していただきたいと思うんですね、大臣ですから。

 次へ行きますと、厚生労働省の職員の高額アルバイトの問題でございます。

 十四ページでございますけれども、平成十八年度、一番アルバイトで稼いだ方が、一位がお医者さんでございますけれども、厚生労働省の職員である国立循環器病センターの部長さん、二千八百万円をアルバイト、原稿料とか講演料で稼いでいる。そのうち、医薬品メーカーからの報酬というのがほとんどを占めて、二千百万円占めておられる。しかも、この方は、職員であると同時に、薬事・食品衛生審議会薬事分科会副作用・感染等被害判定第二部会にも所属して、副作用をチェックする、製薬メーカーのお目付役ですね。それが、贈与報告書に出ているものの、二千万円ももらっている。

 例の、午後にフィブリノゲンの話などございますけれども、何か癒着して甘くなっているんじゃないのかというふうに我々は危惧を持ってしまうのでございますが、これは高額過ぎませんか。どうですか。

舛添国務大臣 これは現実に調査を行いました。公務員が報酬を得る場合には、国家公務員倫理法及び国家公務員倫理規程に基づいてかくかくしかじかやらねばならないということがございますけれども、例えば講演、この多額の金額のもとになっていますが、勤務時間外など日常業務に支障がない範囲で行うということで、日常の時間に行うときには年次休暇を取得した上で行えと。

 さらに、報酬の算定に当たっても、国家公務員倫理規程に基づいて、厚生労働省倫理監督官が定めた基準の範囲内で行っているかどうかということで調べましたら、そういう違反に当たることはないということで……(長妻委員「金額」と呼ぶ)金額も、調べましたら、この方はもうスーパーマンのような方で、一回の金額が多いのではなくて、物すごい回数をおやりになっているということを聞いております。

 それから、製薬メーカーからもらおうがどこからもらおうが、国家公務員の規程というのはありますから、それにきちんと適合していることが必要だ、そういうふうに思います。

長妻委員 いや、ですから、政治家ですから、規程を見直す必要があるんじゃないかと。規程に合っているから何でもいいということじゃないですよ、我々は。

 そして、この方に対して、我が党の小宮山泰子衆議院議員は、ことし五月二十五日の決算行政監視委員会でも質問をしたときに、菅総務大臣はこう答弁されているんですね、「非常識で理解に苦しむ額だなと私は思っています。」と、この二千八百万という数字を。

 そして、午後にも我が党の菅議員、山井議員から質問がありますけれども、C型肝炎の問題で、三菱ウェルファーマ、ここからの贈与等をまとめてみますと、十五ページ目でございますけれども、多くの方が、厚生労働省の職員が報酬をもらっておられる。その中で一番多いのは、国立循環器病センターのこれもまた部長さんで、五十二万円、三菱ウェルファーマから報酬をもらっている。トータルでは、この方は一年間でアルバイト代を医薬品メーカーからだけでも三百万円もらっていますけれども、その内数が五十二万円であります。しかも、この方は、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会に所属している方なんですね。

 ですから、全部規則が合っているからいいんだ、いいんだというふうに本当に言えるのかどうか、金額とか状況を見て。これは私は一回調査する必要があると思うんですが、本当に、規則に違反していないから全部オーケーだ、こういうふうに言えるんですか。

舛添国務大臣 まず申し上げたのは、規則ということで適用すれば、これは違反していない。しかし、今委員がおっしゃったように、製薬メーカーであるとか利害関係者であるとかそういうところで頻繁に講演をして報酬をもらうということは、やはり私は国民の不信を高めることになると思いますから、そこをしっかり考えてくださいよ、そういう形で厳正に指導し、しかも、今実例が挙がった方々に対しては、既にそういう形でのお申し入れをしております。

長妻委員 いや、ですから、C型肝炎に対する対応をめぐって厚生労働省が批判されているわけですよ。医薬品メーカーに私は甘いと思っておりまして、その背景にこういうことがあるとすれば問題だから、一回調査をしてみるということをもう一回言っていただきたいんですね。

舛添国務大臣 いささかもそういう不信感を持たれることがあってはいけませんので、きちんと実態を把握してみたいと思います。

長妻委員 そして、もう一つは、厚生労働省が脱税をしているんじゃないか、こういう問題でございますけれども、十一ページでございます。

 これは脱税をしていますか。していたとしたらどれだけの金額ですか。お答えください。

舛添国務大臣 御指摘の件ですけれども、厚生労働省職員の生命保険の団体取り扱いを行っている任意団体のうち、一部の部局における団体において、団体生命保険の手数料収入について適正な納税処理がなされていなかったということでございます。

 特に、都道府県労働局では、四十七局のうち二十六局における団体が、平成十四年度以降確認できたもので合計一億五千百五十八万円の手数料収入について、適正な納税処理を行っていなかったということでございます。

 なお、これらの事例は、重加算税の対象となるような隠ぺい、仮装等が行われていた悪質なケースではないということは聞いていますが、今のような数字でございます。

長妻委員 結局、地方厚生局五局、都道府県労働局二十六局、省内三互助会が脱税をしていたということです。生命保険に職員の方がお入りになるということは、これは悪いことではありません。しかし、生命保険の団体取り扱いということで、つまり一括して入るといろいろ便宜があるんですね。つまり、事務手数料というのがもらえる。これは公務の話ではないので、別にお金をためておく、こういうところが税金を払われていなかった。

 しかし、もう一つの疑問は、ではその会計係は、ある意味では私的なことを勤務時間中にやられているというお話でしたけれども、そういう形で、しかも納税をしていないということは、今後ともこれは続けるということでよろしいんですか。

舛添国務大臣 今後とも続けるのではなくて、きちんと納税しないといけないものをしなかった、こういうことは許されることではございませんし、今、長妻委員が御指摘のように、勤務時間内でそういうことをしたということであれば、あれは収益事業としての課税の対象になるわけですから、それはきちんと厳しく指導してまいりたいと思います。

長妻委員 ぜひ税金もきちっとさかのぼって払っていただきたい、これは当然だと思います。

 そしてもう一つ、独立行政法人の天下り団体です。

 たくさん天下っておりますが、勤労者退職金共済機構、これも私が衆議院の本会議で代表質問させていただいたときに、中小企業の退職金、四十九万人、三百六十五億円が未払いだ、こういう指摘を申し上げましたが、この同じ団体が建設業退職金共済事業というのもやっているんですね。

 建設業で働かれているいわゆる日雇いの方々に対して退職金を国が補助する、こういう制度もやっているんですが、調べると、未払いがこちらもかなり多いのではないかということで、十七ページでございますけれども、四十一万人が更新していないということなんですが、この四十一万人というのはどういう数字でございますか。

舛添国務大臣 これは、建設業退職金共済制度において、掛金の納付の月数が二十四カ月以上で、かつ、過去三年以上手帳の更新実績がない被共済者が約四十一万人、そういう数字でございます。

長妻委員 ですからこれは、最後の手帳の更新をして三年間更新されていない、しかも受給資格のある人が平成十八年度末で四十一万人おられる。ですから、これを問題ない方と問題ある方を仕分けしてほしいと申し上げたんですが、それはできないと。ということは、我々としては、この四十一万人が未払いになっている可能性があるんじゃないのかと言わざるを得ないんですね。

 四十一万人のうち、本当に未払いになっている人が何人かということは調査していただけないですか。

舛添国務大臣 これは、既に若干私もこの制度を調べまして、調査もかけてみましたけれども、今の段階で、例えば、出稼ぎの労働者で、冬の間だけ北国の方から出てきてやられる、それで年間三カ月働く。あれは、委員御承知のように、共済の手帳に事業主が雇用日数に応じて共済の紙を張っていくということで、それが一年分になれば更新するわけですから、年に三カ月しか出稼ぎに来なければ、四年かからないと更新の時期が来ない、そういうようなことがございます。

 それから、今言ったような例も含めて、一年ごとの更新がわかればそこでチェックできるんですけれども、長期により手帳を更新していない方をどういうふうにして探るかというのは非常に難しいので、実態調査を今、一生懸命やらせていますけれども、今のような事情があって大変難しい。ただ、今後とも努力はするというふうに申し上げておきたいと思います。

長妻委員 ぜひ実態を把握していただきたいのは、私も現場の方とお話をすると、いやこれは、この制度に入っていると入札のとき経営の点数が上がる、つまり、入札のランクも上がる可能性が出てくるので有利になるんですね、御存じの方は多いと思いますけれども。

 ですから、そういうことで、この制度には入る、入るけれども、その手帳をもらうけれども、肝心の日雇いの方に渡していない。目的は別にそういう方の福祉じゃなくて、入札を有利にするためだから、手帳を自分のところで抱えちゃっている、本人に渡っていないというケースもあって、結局、天下り団体を養うだけの存在価値ということになりかねないので、これも指摘しておきますので、ぜひ厳しく調査をしていただきたい。お話がありましたので、ぜひよろしくお願いします。

 そしてもう一つ、これも私はびっくりしましたが、二十四ページでございますけれども、かつて民主党が参議院選挙の前に再三再四要求して、企業年金連合会の不払いの問題、未払いの問題、これは、選挙前に政府は把握したにもかかわらず、選挙に不利になると思ったのか、選挙が終わった後、一千五百四十四億円、申請漏れが百二十四万人ということを出してこられた。

 これに関して、住所をほとんど把握されていないということが大きな問題になったわけでありまして、何で把握されていないのかということで、これは私のところに、最近はありがたいことに、日本全国、多くの方から、問題点の指摘のメールとかファクス、手紙をたくさんいただきます。本当にありがたい話です。それで、この点も指摘があった。二十四ページですね。

 つまり、企業年金連合会、前身は厚生年金基金連合会というところなんですが、この郵便はがきというのは、あなたが会社の基金から当時の厚生年金基金連合会に移ったときに、ここに移りましたよという通知なんですね。そのところの(一)に、「この「お知らせ」が到着した後、年金の請求をするまでの間に氏名、住所の変更があっても届出の必要はありません。」なんて書いちゃっているんです。「氏名、住所の変更は年金を請求するときに訂正します。」と。

 請求書がなければ請求できないわけで、つまり、何で住所の変更があれば直ちにお知らせくださいというふうに書かなくて、「届出の必要はありません。」こういう驚くべき通知をずっと送っていたということです。

 舛添大臣の九月七日ですかの記者会見の発言で、この企業年金連合会というのは、企業年金は勝手に企業がやるものだ、そこまでお上にやれと言うのか、官の責任に関してそういうお話がありました。

 しかし、厚生年金保険法では、立入検査の権限や報告徴求の権限や監督指導、是正勧告の権限があるんですね。これはやはりきちっと権限を使ってやっていただかないといけないので、こんなふざけた通知をずっと出していたんです。住所変更でも届けないでいい。これは新たな事実ですから、どうされますか。

舛添国務大臣 まず、私は、企業年金連合会の理事長を呼んで、第一義的には会社がしっかりしてくれないとだめですよということをしっかり申し上げた。後はどういうふうに皆さんが報道されるかは別ですが。

 しかし、役所は何の責任もないということを申し上げていないので、今の、住所変更をやらないでいいなんというのは、おっしゃるとおり、とんでもないことでございまして、現在の様式では、これはちゃんとやるように書き直させております。

長妻委員 こういう過去の責任もぜひ追及をしていただきたいというふうに思います。

 そして、最後に、年金の保険料の横領の問題です。

 今、我が党も強く要請をいたしまして、社会保険庁の職員、OBすべての聞き取り調査というのを当局がされている。そのときに、これまでは、実際に国民年金を扱う国民年金推進員はなぜか除外して調査されていたのですが、我々がそこも調査の対象に加えてほしいということで、その国民年金推進員、現役、OBも全部今調査をされておられるということです。

 周りで横領を見聞きしたことがあるでしょうか、こういうような調査でありますが、十月十二日締め切り、国民年金推進員は十一月二日締め切りということでありますけれども、既に締め切った中で、新たな横領というのは、発覚した事案があればぜひ教えていただきたい。対応も含めてです。

茂木委員長 舛添大臣、質疑時間が終了しておりますので、簡潔にお願いいたします。

舛添国務大臣 要するに、二十三日現在で七千六百人から回答が参りました。今、来たばかりですから、これを一生懸命集計しておりますので、まだわかっていません。わかり次第お知らせしたいと思います。

長妻委員 終わります。ありがとうございました。

茂木委員長 午後一時から委員会を再開することし、この際、休憩いたします。

    午後零時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

茂木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。菅直人君。

菅(直)委員 昨日は、舛添大臣がお留守のときに、厚生労働省地下三階の倉庫にお邪魔をいたしました。医薬食品局の倉庫でありまして、大臣の方からの指示で扉を開いていただきまして、お約束でしたので中に入ることは控えましたけれども、扉の開かれたところから中の様子をしっかりと見させていただきました。御指示をいただいたことは大変ありがたいと思っております。

 最近の舛添大臣の発言、率直に言って私の目から見ると、お役所に乗せられた発言が多いなという感想があるんですが、少なくとも、この倉庫の扉を開くという一件に関しては、お役所の抵抗をはねのけられた、多少の期待はまだ残してもいいのかなというのが私の率直な感想であります。

 なぜこれほどに私が厚生省のそういう資料についてこだわるのか。

 今、この机の上に、私が厚生大臣時代、薬害エイズに関して、十数年間、見つかりません、ありませんと言い続けた資料、実はこれでも一部なんですが、二十九冊、当時のコピーを持ってまいりました。これが、当時大変注目されました郡司ファイルと呼ばれた、当時の生物製剤課長の郡司さんが管理していたとされる、薬務局から出た最初の一号ファイルであります。

 薬務局に限りません、保健医療局とかいろいろなところに、当時のいろいろな省内での議論や、あるいは安部英さんを委員長とする委員会での議論が全部、これだけあるにもかかわらず、これが当時は、大体、一九八三年当時でありますけれども、私が大臣になる九六年までの間、歴代大臣がそういう資料があるんじゃないかということを何度も官僚の皆さんに聞いたにもかかわらず、一貫して、見つかりません、ありませんと言い続けたんですね。そういう体質が私は改まっていると思ったんですが、残念ながら、この間の経緯を見ると全く改まっていません。

 そういった意味で、つまり、このファイルの山をまずごらんになって、どうですか、舛添大臣。当時の教訓を生かして、お役所の皆さんが、これは早くちゃんと公開しなきゃいけないという姿勢にあるのか、相も変わらず、自分たちに都合の悪い資料を隠そうとしているのではないか、まずその面についての大臣の所見を伺いたいと思います。

舛添国務大臣 この二〇〇二年当時の四百十八件のことについて、もっとないのかと。それで、この週末、不眠不休でやれということでしたら、出てきました。ですから、残念ながら、今、菅さんがおっしゃったようなこういう体質が完璧に改善されたかというと否定せざるを得ない。

 したがって、今後、こういう体質を改めていく、そのために全力を挙げたいというふうに思っておりますので、厚生労働大臣経験者として、いろいろ薬害エイズのときにもなさった経験をまた教えていただき、そして、これからの厚生労働行政を立て直していく、組織を立て直していく、そういうために活用させていただきたいというふうに思います。

菅(直)委員 言葉の端をとらえるようですが、不眠不休と言われましたよね。私も、今週になってから、審議官からその話を聞きました。不眠不休で調べた。本当ですか。もともと知っていたんじゃないですか。つまり、知るべき人に聞けば知っていたはずなんですよ。まあ、これは今から申し上げますけれども。

 つまりは、それは今の担当者が知らなかったかどうかは知りません。不眠不休だったかもしれません。しかし、厚生省の責任者として、不眠不休で頑張ったんだという言い方は、私はちょっと違っていると。ちゃんと当時のことを知っている人に聞けばわかっていたはずなのであって、これと同じですよ。

 ですから、そういう言葉が、私は率直に言って、お役人に乗せられた言葉だ、あるべきところにはあるのであって、それが何か一生懸命捜して初めて見つかるなんという、そういう発想に乗せられていることに私は心配をいたしております。

 そこで、具体的な話に行きます。

 まず、先週の金曜日に大臣室にお邪魔をいたしまして、我が党として、この問題、四百十八人の問題を中心にして、抗議要請書というものを私の手から大臣にお渡しをいたしました。これにはその席では回答いただけるような雰囲気でありましたが、今日までまだ回答いただいておりません。この場で回答いただくというふうにも聞いておりますけれども、我々のこの抗議要請文に対してはどのように回答いただけますか。

舛添国務大臣 この国会の場の議論できちんと私の考え方を述べたいというふうに思っています。

 何点かございますが、まず第一点が、三菱ウェルファーマ株式会社作成のフィブリノゲン製剤による四百十八名のリストについて、直ちに感染被害者を特定し、この投与の事実を告知すること。この点は、月曜日に製薬メーカーの代表を呼びまして、直ちに指示をいたしました。

 それから二番目でございますけれども、C型肝炎感染被害者について、その病状、治療状況について実態調査をお願いするということでございますけれども、これも今一生懸命取り組んでいます。ただ、もちろん、プライバシーの点は十分配慮するということをお伝えしておきたいというふうに思います。

 それから三番目が、四百十八名の感染被害者の報告を受けたときに、患者を特定し報告する必要がないと判断した理由と、その責任者を明らかにすること。それから四番目が、四百十八名の中には、平成十四年八月当時に被害者を特定して告知していれば、適切な治療を受けて、病状の悪化を防ぎ得た者が含まれていた可能性がある、この場合、被害者の特定と告知を怠ったことが刑事責任に該当する可能性がある、この可能性について調査し、該当する場合には責任者を刑事告発する。それから五番目が、薬害被害者全員に対し謝罪し、具体的な救済策を講じること。今私が読み上げました三点につきましては、まさにそのために私の直属で特別調査チームをつくり、これを検討した上で、その上で対応を考えたい。

 それから、菅委員に申し上げますけれども、こういう委員会をつくってしっかりやるべきだ、やった方がいいという御提言も菅委員からいただいて、それはそのとおりだということで、一つは、どうしても守秘義務絡みがありますので、とりあえず私のもとに役人を中心につくりましたけれども、ただ、やはり厳しい第三者の目が入らないと、今、菅委員が御指摘になったような厚生労働省の体質がございますので、これは外の人を入れようと。ただ、守秘義務の関連で、弁護士であるとか、そういう方を含めて今大急ぎで人選をしているところでありますから、この調査特別チームにつきましても、役所だけでやるんじゃない、第三者の委員も入れて厳しい目で検討したい、その上で対応を考えたい。

 そして、この報告をいつまでものんべんだらりとやるのではなくて一カ月、一カ月と言いますけれども、それは二週間で終われば二週間、できるだけ早い方がいい。できるだけ早く、ただ、一応一カ月をめどにということで対応してまいりたいと思います。

菅(直)委員 一つ一つのことはもう細かくは申しませんが、今から具体的なことを申し上げていきます。

 まず、この四百十八名について厚生省が報告を受けたのは二〇〇二年、二度にわたっておりますが、二度目の報告が七月二十六日の命令に基づいて八月九日に受け取られていると思いますが、それで間違いありませんか。

舛添国務大臣 そのとおりでございます。

菅(直)委員 厚生省がミドリ十字、これは旧ミドリ十字、今、名前は変わりましたが、そのままミドリ十字と呼ばせていただきますが、ミドリ十字から受け取られた資料には、私たちに示されている一部マスキングされたリスト以外に、患者さんの実名等が少なくとも一部はわかる資料が同時に提出されたというふうに先日説明を受けましたが、そのとおりですか。

舛添国務大臣 そのとおりでございます。

菅(直)委員 大臣、自分が言われていることはおわかりなんでしょうね。

 二〇〇二年の八月九日に、実名入りの、少なくとも患者さんの実名がわかる資料を厚生省は受け取っていた、それを認められるわけですね。

舛添国務大臣 それを調べてみたら、二名出ていたということでございます、実名が。

菅(直)委員 一週間前の我が党参議院の福山委員の質問には、いいですか、今二〇〇七年ですよ、五年前にちゃんと厚生省が報告を受けていたと今認められている、その報告によれば実名がわかるということを今認められている、しかし、全然わからなかったと言われているじゃないですか。一体、二〇〇七年と二〇〇二年というのは、何か国でも変わったんですか。

舛添国務大臣 私は、福山議員の質問に対する答弁を準備する過程で役人からそういうふうな事実を知らされた。したがって、それを述べましたけれども、今、その後、調査をしたらそうではなかったということですから、大変申しわけない、私が参議院の予算委員会で答弁したことは間違いでありますから、撤回いたします。

菅(直)委員 最近、テロ特でも、あるいは私、予算委員会でも同じ答弁を元官房長官である福田総理から聞きました。

 私は、余り私の例ばかり引いてもあれですが、厚生省がありませんと言ったときには、そのままありませんとは答えません。少なくとも、厚生省にはさらに調べるように言ってあるけれども、現在のところはこういう報告が来ているとしか答えません。しかし、大臣の責任で答えているじゃないですか、ありませんと。しかも、それはミドリ十字にあったんじゃないですよ、厚生省に渡されていたんですよ。

 そこで、もう一つ進みましょう。これを受け取った当時の局長はどなたですか。

舛添国務大臣 宮島局長でございます。

菅(直)委員 今何をなさっていますか。

舛添国務大臣 医薬品機構の理事長であります。

菅(直)委員 やはり、こういう人の話を聞かなきゃいけませんよね。今、外に出られているんですから、今、政府委員とは言いませんか、政府参考人としてお呼びするわけにいかない。そうすると参考人か証人。

 どうですか、これは委員長にもお願いしたいですが、まずこの人を呼んで、ちゃんとした集中審議をすべきじゃないですか。つまり、二〇〇二年に受け取りながら、二〇〇七年になって大臣に対して何も伝わっていないなんというのは役所として成り立っていない。どうですか、委員長。

茂木委員長 理事会において協議をさせていただきます。

菅(直)委員 そこで、二〇〇二年の十月に被害者の皆さんから訴訟が起きました。いろいろな点がありますが、大阪原告の十六番の人がこのリストの中に入っているわけですね。つまり、二〇〇二年に厚生省は、だれがこの中に入っているか知っていた、その実名がわかっていた中に入っているわけですよね。それでいながら、ことしの六月八日に、国は、この原告十六番の人に対して、フィブリノゲンの投薬が信用できない、そういうことを裁判で言われていますよね。一体これはどういうことですか。

舛添国務大臣 そのお話の前提になっている十六番の方、この方と、この週末に実名がわかった二名の方とは違います。

菅(直)委員 厚生省が〇二年に把握した中、二名に限らず、その中にはこの十六番の人は入っていないということですか。あるいは、さらに言えば、四百十八名の中にはこの十六番の方は入っていないということですか。

舛添国務大臣 四百十八名の中には入っています。ただ、先般実名が明らかになった二名とその十六番の方は違う人であるということです。

菅(直)委員 私は、先般のことは言っていません。先般というのは、ついこの間でしょう。私は二〇〇二年のことを言っているんですよ。二〇〇二年に厚生省に出された資料にあったかどうかということを聞いているんです。だって、ついせんだってと、裁判はもっと前からやっているんですから。厚生省としては当然、二〇〇二年に受け取った資料の中に入っていることはわかっているはずです。二〇〇二年の中の資料に入っていたかどうかということです。

舛添国務大臣 今回わかった二名の実名の方がおられますね。その十六番の方の実名というのは、二〇〇二年の段階ではわからなかったということです。それで、四百十八名の中には、その方は十六番という形で入っているということです。

菅(直)委員 本当にそういう答弁でいいんですか、局長さんたちは。さっきから、言っていることを本当にわかっているんですか、大臣。

 いいですか、二〇〇二年には、我々に示されたマスキングされたリスト以外に、一部実名がわかる資料があったということを本人が認められたんですよ。それは二〇〇二年のことですよ、言っておきますけれども。

 いいですか、最初に聞いたじゃないですか。二〇〇二年のときに、そういう実名ないしは実名がわかる資料がミドリ十字から厚生省に来ていたということを、さっき認めたじゃないですか。二名の実名というのは、つい数日前の話でしょう。話が違うんじゃないですか。

茂木委員長 確認した上で答弁してください。

舛添国務大臣 ですから、二〇〇二年の段階でも、捜せばその二名の実名はあったということは申し上げているんですよ。(発言する者あり)いや、十六番の名前はそこにはありませんということです、実名は。

菅(直)委員 私は、できるだけ大臣に聞きたいんですが、ちょっと審議官、あなたの言っていることと違うから。いいのね、これだけ間違ったことを言って。後になってまた、役所が言ったからなんて言われると困るから。審議官、答えてください。

茂木委員長 審議官は政府参考人に入っておりません。

菅(直)委員 だから、どうだれに聞けばいいんですか。さっき、二〇〇二年には局長、では局長、答えてください。

茂木委員長 きょう、菅委員から指名を受けております政府参考人は、西山健康局長、そして高橋医薬食品局長であります。

菅(直)委員 医薬食品局長、答えてください。(発言する者あり)

茂木委員長 できるだけ早く答弁してください。(発言する者あり)だから、できるだけ早く答弁してくださいと申し上げております。

 高橋医薬食品局長。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 医薬品副作用・感染症症例票、この中で、報告された中では、氏名とかそういったものは黒塗りになっておりますが、投与の開始日などから十六番の方ではないかというふうに見ているということでございます。

茂木委員長 きちんと答えておりません。菅君の質問にきちんと明確に答えてください。

菅(直)委員 本当に大臣、わかっているんですか、今の答弁が何か。

 私は最初に言ったでしょう。二〇〇二年の七月二十六日の、多分これは六十九条の三でしょう、薬事法六十九条の三に基づく命令をかけた報告の中に入っていたということを認めたんですよ。何かこんな、副作用何とかの症例とかわけのわからないことを言っているじゃないですか。

 この八月九日の四百十八例の症例の中に入っていたということは大臣は認められました。当時、我々には明らかにされなかったけれども、相当数の実名がわかる資料も厚生省が受け取ったということも認められました。そのわかっていた中にこの原告十六番の方がおられたかということを、おられたと私は説明を受けていたんですが、何かおられなかったということを言うから、局長、ちゃんと答えてください。さっきの答弁ではおかしい。

舛添国務大臣 別の観点からちょっと申し上げますと……(菅(直)委員「別の観点じゃないんです」と呼ぶ)いやいや、私も知りたい、したがって調査をさせているんですよ。

 それで、相当数とおっしゃいましたけれども、私が今調べた限りにおいては、それはまた後で何か出てくるかもしれません、そこに実名で記載されたのは二名である。しかし、イニシャルで書かれた人たちが百数十名、百何名かおられた。そして、そのイニシャルがあって、それから投与の年月日がわかりますから、そういうことで推定していく作業をやらなかったというのは、私は不十分だということも申し上げているんですけれども、その実名は相当数じゃなくて二名。

 だけれども、私が月曜日に製薬メーカーを呼んだら、百九十七名の実名は捕捉していると言ったので、では、私たちが、今ある、まさに二〇〇二年からあっているわけですよ、それはけしからぬと私も思いますよ、その二名と百九十七名の、百九十五名の乖離は、これはずっと製薬メーカーが握っていたままなのか、それをきちんと百九十七名分、厚生労働省に対して提出したのかどうかということの判断を、私は今、だから別の側面から申し上げますといって、とりあえずそのことを申し上げておきたい。

高橋政府参考人 失礼いたしました。

 原告十六番の方については、私どもに今来ているものは医薬品副作用・感染症症例票というものでございますが、その中で、使用の、その投与の開始日、これが十六番の方と合致していると。ただ、私どもの持っているものについては、患者さんのお名前とかそういうものは記載がなかったというものでございます。

 それについて、メーカー側も同じものを持っていたわけでございますが、それが十六番の方であるということをメーカーが認めたので、私どもとしても、では、それは十六番の方だなということで、今回、個人の認否について変えたということでございます。

菅(直)委員 まず、厚生大臣、もしあなたがこの次、私に答弁するときは、みずから見ておいてください、現物を。あなたは命令すれば見られるんです。いいですか。二〇〇二年に、私たちに示したのじゃなくて、ミドリが出したものをすべて見てください。

 今の答弁もよくわかりません、局長の答弁も。今のあれは、もう一回確認だけしておきますが、八月九日に出てきた資料のことを言っているんですね、副作用云々というのは。ちょっと局長、そこだけ答えてください。八月九日に命令によって出てきた資料のことを言っているんですか。普通、副作用というのはそうでなくても出てくるんですよ、たくさん。はっきり答えてください。

高橋政府参考人 済みません。今ちょっと手元にその十六番の方の個別の票を持っていませんので。先ほど、医薬品副作用・感染症症例票と申し上げましたが、十六番の方についてはその票ではなくて別途のものであるということで、ちょっと答弁は先ほど誤っていました。済みません。

菅(直)委員 では、答弁まで待っていますから、とめておいてください。

茂木委員長 菅君、ほかの質問もあると思いますので、その間に調べさせたいと思います。(菅(直)委員「大臣も答えているじゃない」と呼び、その他発言する者、離席する者あり)静かにしてください。私が仕切りますから。まず信頼してからやってください。下がった上でやります。席に着いてください。

 時計をとめてください。速記をとめてください。

    〔速記中止〕

茂木委員長 速記を起こしてください。

 高橋局長。

高橋政府参考人 失礼いたしました。

 平成十四年の、メーカーから私どもに出されたそのデータの中で、投与日、これは六十一年十二月十三日でございますが、このデータと、それから年齢などの記載がございます。これだけでは個人の特定はできませんが、この例についてメーカー側が、これが原告十六番の方であるということで、情報量の多いメーカーの情報に基づいて、私どもとしても、この方が十六番であるということで認定をいたしたということでございます。

茂木委員長 二〇〇二年の段階では、実名はこの十六番の方についてはわからなかった、ことしの六月に原告団の方から資料の開示請求があって四百十八名のリストを出して、その資料の中で、Cの十六番の方が、これが自分ではないかということで、厚労省の方が製薬会社に問い合わせて実名がわかった、こういうことではないですか。(発言する者あり)確認をしているんです。

舛添国務大臣 二〇〇二年に症例一覧表が出ました。そこには年齢が書いてございます。男女の性別がございます。それから、使った薬剤、これの一覧表があり、どれぐらいの量を投薬して、投薬開始日、投薬終了日というのがあります。それで、個人名のイニシャルは、このケースについてはございません。

 そして、その後の経過でございますけれども、大阪の原告のお一人から、これは自分ではないかということで、三菱ウェルファーマに対して、今は田辺三菱製薬になっていますけれども、個人情報保護法に基づいて開示請求を行った、それで、同社の生物製剤部門の子会社であるベネシスが保有する個人情報の開示が十月五日の金曜日に行われたということで、これがその御本人であるということが確定した、これが今の経過でございます。

菅(直)委員 このこと自体に納得しているわけではないですが、さらに、これに関連して、二〇〇二年の八月九日以前に、厚生省はこのケースについて報告を受けているんじゃないですか。その八月九日の中に、昭和六十二年の指示というところがありまして、その次に薬事法と、多分この薬事法というのがその後の命令でしょう。

 昭和六十二年の指示に基づいて出された副作用報告にも、この人は入っているんじゃないですか。いかがです。

高橋政府参考人 この原告十六番の方につきましては、昭和六十二、六十三年に実施した肝炎発生状況調査報告の中に、当時提出されたものに含まれております。

菅(直)委員 わかっていますか、舛添さん、どういう意味か、今の答弁が。二〇〇二年じゃないんですよ。昭和六十二年ということは、西暦でいえば八七年ですよ。八七年当時の副作用報告に、わかっていたというんですよ。そして、この裁判は、国も被告でしょうが、ミドリも被告なんでしょう。少なくともミドリはわかっていた。少なくとも国も、この症例についてはわかっていたから、聞こうと思えば聞けた。それなのに、ことしの六月八日の準備書面で何と言っていますか。昭和六十二年からわかっていながら、いや、そんな投与をしたとは思えないと言って、投与を否定する、そういう主張を国がやっているんですよ。

 一体どういうことなんですか。二〇〇二年どころか、八七年、八八年にわかっていたんじゃないですか。どういうことですか。

高橋政府参考人 原告十六番の認否につきましては、認否時点で、私どもの中でそういった資料があるということについては担当の者は気づいていなかったということでございます。

菅(直)委員 厚生大臣、こういうことでいいんですか、国というのは。気づいていなかった。

 いいですか、一般人ならいいですよ。唯一、薬について命令を出したり、あるいは認可をしたり消したりできるのは、厚生大臣ただ一人ですよ、薬事法上。報告があって、気がついていなかったと言われたら、一般国民はどうするんですか。つまりは、報告がありながら、気がついていたか気がついていなかったか、私は、知っていたはずだけれども知らないことにしたと思っていますが、少なくともその責任はどうなるんですか。

 この方は、山井委員がいろいろとフォローされておりますが、今、大変重篤な肝硬変にかかっておられて、かなり大変な状況のようです。昭和六十二年当時にもしわかっていれば、早い検査、早い治療もできて、そういう可能性は十分あったわけです。今の話を聞いたら、二〇〇二年のときにはイニシャルはわからなかった、六十二年のときには忘れた。一体何なんです、これは。

舛添国務大臣 私は、先ほど来申し上げているように、そのときに、それぞれの患者さんの、その場合に投薬された方々のことをしっかりと考えれば、イニシャルがなくても何がなくても、製薬メーカーに対して、これはどなたなんだ、あなたたちの薬でこういう問題が起こっているじゃないかと。しかも、昭和六十二年には、これは危険であるということがわかっているお医者さんがいて、その報告も上がっている。

 したがって、私は、そういうことの対応が不十分である、しかし、これをきちんと検証して、だれにどういう責任があったのか、そして、二度とこういうことを起こさせないということでやったはずなのに、またこういうことが起こっている、それに対してしっかりと検証した上で、しかるべき対応をきちんととる、そういうふうに決意を既に何度も述べているところであり、必ずこれは実行いたします。

菅(直)委員 大臣は、先ほど、旧ミドリの、現在の製薬メーカーのトップを呼ばれて、いろいろと要請なり指示をしたと言われましたよね。数字がどんどん変わっていますが、旧ミドリ十字は百九十七名の実名を把握している、こういうことも言われていますね。

 つまり、厚生省は、聞けば答えるんですよ、命令をかければ答える義務があるんですよ。だから、メーカーの人、私は会っていませんが、厚生省と情報は共有していますという言い方をされていました。聞けば答えるのに聞かないでおいて、やっているか、やっているかと。聞いてくださいよ、ちゃんと。全員聞いて、そして、ちゃんとそのメーカーから、あるいは直接にその薬が使われた医療機関に、あなたのところのこのケースについてちゃんと患者さんに伝えましたかと。

 まず、四百十八名について、患者さんに伝えたかどうかというところまで含めて、きちんとこの委員会に報告してください。

舛添国務大臣 少なくとも私は、残された百九十五名の方々、これは先ほどギャップがあるという数字、共有しておりません。したがって、きちんと出しなさいということを既に申し上げておりますし、これはきちんと検証する、製薬メーカーにもちゃんとチームをつくってもらう、そして、必要に応じて適宜、継続的にそれをチェックしていく、それをきちんとやって、まとまった段階でこの委員会にきちんと報告したいと思います。

菅(直)委員 四百十八名についてきちんとやってください。どうですか。四百十八名ですよ、百九十何名じゃありませんよ。

舛添国務大臣 すべて洗いざらい、徹底的にやらせる決意でございます。

菅(直)委員 そこで、四百十八名のこのリストが注目されていますが、フィブリノゲンが投与された全体からいえば、これはまさに氷山の一角どころではありません。

 これまでフィブリノゲンが投与された患者数、医療機関、そして販売された本数について、さらには感染が推定されているデータも出ていると思いますが、その推定について、まず厚生省の方から数字を挙げてください。

高橋政府参考人 二十九万人の推定でございますけれども、平成十四年の三月四日に、会社側から報告がなされたものでございます。その中で、肝炎発生の概数につきましての報告があるということでございまして、そのときに、約二十八万の推計ということになっております。

菅(直)委員 ちゃんと答えていないじゃない。今のは人数だけでしょう。医療機関の数と何本の販売数と推定感染者数も出ているんじゃないですか。何を準備しているんですか、厚生省は。(発言する者、離席する者あり)

茂木委員長 静かにしてください。(発言する者あり)待ってください、議事進行は私ですから。(発言する者あり)ですから、ちゃんととめるときはとめています。静かにしてください。(発言する者あり)まずは席に着いてください、その上で始めます。

 高橋医薬食品局長。

高橋政府参考人 医療機関の数は、五月十八日報告、それから十二月末現在の報告とございますが、納入先医療機関数につきましては、五月十八日報告が七千四、それから十二月も同様でございます。

 それから、肝炎発生概数の算定に当たりましては、推定使用数量、それから一回当たりの平均使用量、これを使いまして推定使用者数というものを推定しております。これはもちろん五月十八日報告時点と十二月末時点がございますが、ちなみに十二月末時点で申し上げれば、推定使用数量は合計で五十三万八千三百本、うち静注が四十四万五千九百本、のり九万二千四百本ということです。

 平均使用量につきましては、静注が一回当たりの平均使用量が二・一八本の推定を立てて、のりについては一・一七本の推計を立てまして、数量を平均使用量で割りまして、推定使用者数を出した。この結果、二十万四千人、それから七万八千九百人、これの合計で二十八万三千五百十五例という数字になっております。(菅(直)委員「感染推定。何を言っているんだ。感染の推定、出ているじゃないか」と呼ぶ)

茂木委員長 待ってください。

 感染の推定者数につきまして、答えられる範囲で答えてください。

舛添国務大臣 推定肝炎発生概数、総計で一万五百九十四例でございます。

菅(直)委員 この数字がどういう意味を持つか、おわかりなんですか。

 その前にちょっと、こんな局でやれるんですか、本当に、審議を含めて。私はわかるように質問しているはずですよ。

 ミドリ十字、今の三菱ウェルファーマの、平成十四年、つまり二〇〇二年の八月二十九日の調査報告書の中に、一万五百九十四例が肝炎にかかっているという推定値が出されているんですよ。私はこれでも十分かどうかわかりませんけれども、少なくとも製造、販売した会社が、全体の中で、これは一九八〇年以降ということになっていますが、少なくとも発症が広がった少し前からこの数字を挙げています。

 先ほど舛添大臣は、前の質問の最後の答弁で、できる限りの全部の範囲でやると言われました。この全体、私が掌握しているのでは、一九六四年以来、百二十万本の販売量があります。そして、あとの数字はやや似ていますけれども、三十万人の人に投与されています、注射をされたり、のりで使われたり。この発生推定というのは、これはいろいろな副作用などの報告を彼ら自身が知っているわけですから。

 この全部についてきちんと把握して、そしてその人たちに、あなたはこの薬を投与されていますねということを伝えて、そして検査をするように勧めて、感染をしていた場合にはきちっと、これは薬害ですから、薬メーカーと国の責任でちゃんと治療費を出して治療をする、そこまでやることをちゃんと約束してください。

舛添国務大臣 これを約三十万本も使った。そして、私も、専門家ではありませんですけれども、いろいろな文献を読み、何とか一人の命でも早く救いたいという思いでいました。あの中には、ミドリがつくるときに大きくプールして全部入れていますから、物すごい数の肝炎ビールスがあるはずです。

 したがって、この推定肝炎発生概数は、それは統計的に一万であったって、投与された人は全員危険がありますから、投与された人に全員早く告知をして、あなたは、これはもうまさにビールスを打たれていると同じなわけです。ですから、全員に告知する、そして一日も早く検査していただく。そういうことのために精力的にあらゆる対策を打ってやりたいと思います。

菅(直)委員 普通ならこれでいいんですけれども、あらゆることという言い方は何をやるかということが問題なんですよ。今までだってあらゆることをやったと言うかもしれないじゃないですか。

 つまり、もう一度命令をかけ直すならかけ直して、旧ミドリに対して、今三十万本と言われましたが、三十万じゃなくて多分百二十万です、本数はですよ。人数が三十万ですが、まあそれはいいです。それは結構です、別にそんなことは小さいミスですから。その全部に対して、まず、納入した医療機関に全部調べてもらうように頼む、そういうことから始めなきゃいけません。

 しかし、このことについても、後ほど真相究明で申し上げますが、これまで我が党の家西議員が、例えば使われた医療機関を少なくとも公表しなければ、自分が行った病院はあるいは覚えているかもしれないけれども、使ったかどうかというのはわからないわけですから、患者さん自身は。そういうときでさえ、厚生省は公表を妨害したんですよ。御存じですか。つまり、あらゆることをやると言っても、妨害を一番してきたのが厚生省なんですよ。やってこなかったんじゃなくて、やることをとめたんですからね。

 一体何を舛添大臣になってやるんですか。この三十万人、推定一万人を超えているその人を把握するためにまず何をやるんですか。

舛添国務大臣 これは、まず、製薬メーカーが持っているデータに基づいて、全力を挙げて告知をする。それからもう一つ、これは、医療機関の皆さん方、お医者さんの皆さん方にもぜひ御協力を賜りたい。自分の患者さんのカルテを含めて、一番情報を持っておられるという方々は医療機関、お医者さんですから、この方々にも協力を要請いたします。そして、一秒でも早く、投与された方々に対してこれを知らせるということをまずやりたいというふうに思います。

 それで、先ほどの数字は人数の間違いでございますので、それは訂正いたします。

菅(直)委員 ここに、今申し上げた薬害被害者の救済の四項目を、お手元にもコピーをお渡ししておりますが、こういう形でまとめました。

 まずは、先ほど来申し上げているように、四百十八名について、既にメーカーが把握している名前だけでなく、把握していない名前もすべて把握をして、本人に通知が行くように、そして通知をされた方については検査を勧め、後になりますが、さらに治療ということにつなげていくようにというのが第一項目です。

 第二項目は、今申し上げたフィブリノゲンが投与された、これは一九六四年認可ですから、それから、今日はほとんど使われていませんが、今日までのすべての人を把握して、そして通知をする。約三十万人で、七千で、百二十万本というふうに言われています。

 そして、その人たちに検査をするように勧めて、治療をする。この件については、治療費は、メーカーと国の責任ですから、これはメーカーと国が責任を持つ。

 そして四番目は、我が党が既に出している法案であります。これは、現在のフィブリノゲンにかかわる、かかわらないを超えて、まだ原因が必ずしも特定されていない、特に予防注射の回し打ち等が原因ではないかと言われていますが、そういう、まだ薬害という形での特定まではいっていないところがたくさんあります。そういう皆さんについても、それこそ、何かあったら一般的に検査をされることを勧めて、この部分については、全感染者、治療を求める人に対して、インターフェロン治療が今の段階では一番効果があると聞いていますが、一万円を超える部分は公費で助成する。

 この四項目をやるべきだ、こう我が党は考えております。厚生大臣、これをやれますか。

舛添国務大臣 まず一番目と二番目、これは一刻も早くやらないといけないと思いますので、そういう形で実行いたしたいと思います。

 それで、先に四番目の方ですけれども、これは、今ほかの症例も出しました。そして、これは与党のPTも今精力的に動いております。民主党の皆さん方の助成法案も既に出ております。それを総合的に検討して、皆さん方の検討も待った上で、どういう形で助成をするのかという形が、細かい点についてはさらに検討を要しますが、基本的にそういう方向でやっていく。

 そして、当然、責任がある人たちが検査の費用を払うのは当たり前だと思いますから、三番目についても私は取り組んでいきたいというふうに思います。

菅(直)委員 そこでもう一つ。なぜ二〇〇七年のこの時点で、こういう形で、対策をこれからやりますということになってしまったのか。一体なぜ、もっと早い時点でそうしたことができなかったのか、やらなかったのか。私は、全体の流れを見ていると、フィブリノゲンを投与された人を特定するということに対して、先ほども申し上げましたが、妨害をしてきた経緯があると思うんですね。

 ですから、妨害があったなかったはこれから論証しますけれども、まず申し上げます。医療機関の公表、きょうは傍聴に家西さんも来られていますが、何度も何度も委員会等で、わかった医療機関は公表しろと言ったのに、相当の段階まで厚生省は拒否しました。最終的には、情報公開の異議申し立てをして、たしか家西さんが最初に言われたのが〇一年だと思いますが、最後は〇四年の十二月に公表されました。なぜ公表を拒否したんですか、厚生省は。

高橋政府参考人 個々の医療機関の名称の公表につきましては、一応医療機関側の同意をとろうとした、そのプロセスにかなりの時間を要したということでございます。

菅(直)委員 どういうことですか。何で同意が必要なんですか。危ない薬を認可しておいて、使ったところについて公表するのが、なぜ厚生大臣の権限でできないんですか。なぜできないんですか。

高橋政府参考人 一応、医療機関の方も、その名称を公表するということについては、医療機関側のプライバシーなどの問題もあるということで、そういった議論があったというふうに聞いております。

菅(直)委員 異議があったなかったを聞いているんじゃないんです。権限としてできるのかできないのかを聞いているんです。

 命にかかわる問題ですよ。普通の、これは多くが産科です。産科で子供が生まれたときに、出血される方もあって、それは重篤な方もおられますが、そうではない方もあって、自分が何を使われたかを、薬の名前まで覚えているなんてことはめったにありません。本来なら、先ほどのように、薬メーカーが医療機関に言って、医療機関があなたに使いましたと言うところまでやるべきですが、少なくともその手前の問題で、〇一年の段階から家西議員が、わかった医療機関の名前は公表すべきじゃないか、そして、この病院で子供さんを産んだりされた方で、その方については一回検査をしてくれということをちゃんと発表すべきじゃないかと。プライバシーですか、これが。

 それから、異議申し立てがあったらやらないんですか。命が危なくても、異議申し立てがあったら、医療機関のためには言うことを聞くけれども、患者の命については考慮しないというのが厚生省の方針なんですか。

茂木委員長 高橋局長、しっかり答えてください。

高橋政府参考人 情報公開法では、利害関係人の意見も聞くということになっております。その際には、発表される医療機関側の意見も聞いたということでございます。その際に、異議申し立てもあったということでございます。

菅(直)委員 大臣、こんな答弁でいいんですか。

 いいですか。これはその後、結局、家西議員が異議申し立てをして、内閣府がその異議を認めて、そして出すことになったんです。利害関係人、それは利害関係人ですよ。患者さんほどの利害関係人はいないじゃないですか。その患者さんは聞かれることもできないんじゃないですか。

 こんなひどいことでいいんですか。厚生省というのは、薬メーカーの利害関係人の代表を言っているんじゃないですか、今の話は。(発言する者あり)

茂木委員長 御静粛にお願いします。

舛添国務大臣 国民の生命を守るというのが、一番やらないといけない厚生労働省の仕事であります。そういうことがきちんとできていないなら、きちんと今から検証をして徹底的に改める、そういうふうに私は思っております。

 それから、今のようなケース、これは、国民の常識で考えれば、国民の命が一番大事なわけですから、このフィブリノゲンを投与されれば肝炎にかかる可能性がここまで高いんですというならば、これは告知をしないといけない。それで、家西参議院議員が情報開示要求を出すまでやらないということで、もし、例えば制度を、薬事法を含めて、こういうことについて法的にきちんと命令できる、私の理解では、このことを、今情報開示をやっていただきましたけれども、じかに薬事法で、その条項をもって命令が出せるかというと、ちょっと私は解釈はまだわかりません。

 したがって、これは、立法府の仕事としても、国民の命が一番大事である、そういうときには、もちろんそれは、医療機関は風評被害なんかを恐れて、そういうことを出したくないということを言うと思います。しかし、何が一番大事かということを考えた上で、きちんとした手を打つ。基本は私はそうだと思いますし、法に不備があれば立法府でもこれを整備していただきたい、そういうふうに思います。

菅(直)委員 大臣、六十九条の三を見てください。やらなければならないんじゃないですか、逆に。違いますか。

 「保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための応急の措置を採るべきことを命ずることができる。」その上には「危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、」云々と「緊急命令」の条項にあるじゃないですか。薬事法第一条、安全性という言葉がちゃんと入っているじゃないですか。「安全性の確保のために必要な規制を行う」ことと。

 これは、やってもいい、やらなくてもいいじゃないんですよ、言っておきますけれども。やれるのは厚生大臣ただ一人なんですからね、日本の法制では。

 どうですか。やるべきと書いてあるというふうに解釈するのが当然じゃないですか。いかがです。

舛添国務大臣 例の二〇〇二年の報告命令はこれに基づいたものであると思います。したがって、この条項を十分適用して、やれることはやりたいと思います。

菅(直)委員 これは、やってもいい、やってもいけないじゃないんですよ。こういうふうに「危害の発生又は拡大を防止するため」と。いいですか、感染症ですからね、これは。

 それは、薬害で、中には命を落とされるような薬害もあります。それは、亡くなられたら、一応それで、そのケースそのものは、いい悪いじゃなくて、そういうことで終わるケースもあります。しかし、これは、もちろん将来に向かって新たな薬害発生をとめることも必要ですが、感染している人に対して、まさに先ほど言ったような治療を求めたり、さらなる感染を防ぐようなことも場合によったら必要かもしれません。

 いいですか、危害の発生または拡大を防止する、これは厚生大臣の義務でしょう。これに基づいてやろうと思いますじゃなくて、やらなきゃいけないという認識をはっきりお持ちなのか。そうでなければ、私は、厚生大臣としての務めは務まらないと思います。どうですか。

高橋政府参考人 先ほどお話がありました六十九条の三は、これは医療機関に対する命令ではございません。これは、メーカーあるいは販売業者などに対する命令でございます。

舛添国務大臣 二〇〇二年のとき、私が申し上げましたように、これはこの命令に基づいて製薬メーカーに対して行った。したがって、私が先ほど申し上げたかったことは、製薬メーカーに対してはこの命令に対してきちんとやります。この前も、菅委員、月曜日に製薬メーカーを呼んだときに、とにかくきちんとやってくれという要請をした。そして、言うことを聞かなければこの命令を発令するという気持ちでおりました。

 私が立法の皆様もお考えくださいというときに、個々に、じかに医療機関に対してその命令が下せることになっていないんですよ。これは、今ちょっと読ませていただきますと、「医薬品、医薬部外品、化粧品若しくは医療機器の販売若しくは授与又は医療機器の賃貸若しくは修理を一時停止することその他」、先ほど委員がおっしゃった「保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための応急の措置を採るべきことを命ずる」。ここに医療機関を入れる、医師を入れるということで例えば今の問題は法的には解決できるかなということで、これは私どもももう少し検討いたしますけれども、立法府の方でも御検討願いたいというふうに思います。

菅(直)委員 だから最初に言ったでしょう、厚生大臣。だんだんあなたの顔が官僚の顔にそっくりになってきていますね。

 私は、きょうは薬事法しか持ってきていません。しかし、厚生省が持っている権限は強大なんですよ。場合によったら、医療法もあれば、保険法もあれば、いろいろな形で医療機関に対する監督責任なり権限を持っています。もちろん薬については、まずはつくった人ですよ。しかし、つくった人に対して許可を与えたのは厚生省なんですよ。いいですか、それで製造禁止命令を出したら、当然薬メーカーは使えませんよ。

 それから、感染予防法ですか、これは時期もありますが、感染症に対する対策も法律に書かれています。

 それから、薬害エイズのときには、第四ルートというのがあったんですよ。つまりは、血友病患者の皆さん以外に、ほぼこれと同じ目的で止血に使われたんです、かなりの人が。クリスマシンなどがですね。それから、何人かの方がエイズも発症し、同じく肝炎も発症されています。これは簡単には、つまり、血友病患者の皆さんは定常的にお医者さんにかかっている方がほとんどですからある程度わかるわけですが、それ以外の方は、どこにおられるのか一概にはわかりにくいんです。

 そういうことで、第四ルートということで、まさに同じことをやったんですよ、全部の医療機関を公表しろということを。一九九六年の、私が厚生大臣のときにやったんですよ。できないはずないじゃないですか。つまりは、やらないんですよ。

 なぜかわかりますか、大臣。特定することを恐れているんですよ。患者さんを特定したら何が発生しますか。責任が発生するんですよ。患者さんを特定しないで、一般的に、それこそ今度の社会保険庁と同じように、申請主義じゃありませんが、体調がお悪い方はぜひ検査をしてくださいと言っていれば、だれの責任かということを問われない。つまり、原因を特定すれば責任を生じるから隠しているんですよ。それを公表するのを妨害しているんですよ。

 家西議員が何回も何回も委員会で言い、そして、とうとう最後は異議申し立てまでされて、内閣府が命令しても、さらに半年以上公開を延ばしたじゃないですか。なぜですか。

舛添国務大臣 とにかく、洗いざらいすべてのものを洗い出して、どこに問題点があったかということをしっかりとこれはやっていきたい。そのために検証チームも、外からの人も、第三者も入れて、さらに強いものにしていく、そういう決意でありますし、私は今一生懸命これに取り組んでおりますけれども、まだまだ足りない点もあると思います。厚生労働大臣の先輩として、ぜひまた、そういう足りない点について、こういう場、またそのほかの場において、菅委員にもいろいろ御示唆、そしてまた御助言賜れればと思います。

菅(直)委員 同じ繰り返しになりますので、少し進めます。

 昭和六十三年、西暦でいうと一九八八年の五月十二日に、血液製剤評価委員会というものが開かれて、その記録が出されております。この中に、フィブリノゲンHT・ミドリ、これについての肝炎の発症の状況が報告されていると思いますが、何例中何例が発症しているんですか、この報告によれば。

舛添国務大臣 その件は質問通告を受けておりませんので、わかり次第、後でお答えいたしたいと思います。

菅(直)委員 何を言っているんですか。私は、この質問は全部薬害肝炎のことだということを伝えていますよ。そして、この血液評価委員会なんというのは、それのど真ん中にある委員会じゃないですか。

 八百四十六例中三十四例と書いてありますが、違いますか。

舛添国務大臣 ただいま確認させます。

高橋政府参考人 昭和六十三年五月十二日の血液製剤評価委員会の記録、この中で、フィブリノゲンHT・ミドリを使用した、おっしゃるとおり、八百四十六例の中で三十四例の肝炎の発症が見られたということでございます。失礼しました。

茂木委員長 菅君に申し上げます。

 理事会で決定されました菅委員の質問時間は既に過ぎておりますので、できるだけ手短にお願いいたします。

菅(直)委員 私が聞いているのは、同僚議員の質問の範囲内でいいと聞いていますし、ほかの委員会でも、全体枠を会派でもらっていますので、それは扱いが間違っていると思いますので、質疑は続けさせていただきます。

 いいですか。八百四十六例中三十四例の発症ということは、四%です。では、この発症の報告に対して厚生省としては何をやったんですか。この三十四例も含めて、感染者に対して何か通知をしたのか、あるいは血液対策課として何か対応したのか、この対応について聞きます。

高橋政府参考人 その加熱製剤への対応方針につきましては、血液製剤評価委員会を開催した後、対応方針を検討いたしまして、十五例のうちの六例及び医薬品副作用モニター制度により報告された一例の計七例については、加熱製剤の投与による肝炎の可能性が高いと思われること、それから、十六例中の十五例については、フィブリノゲン製剤の適正な使用とは思われないこと、あるいは、産科婦人科領域でのフィブリノゲン製剤の使用について学問的に検討する必要があること、それから、加熱製剤が市場に残っているのは好ましくないこと、こういったことの結論を得たということでございます。

菅(直)委員 今のは本当に、答弁としてもよく聞こえないし、ちょっと投げやりな答弁じゃないですか、聞いていて。一体どういうことなんですか、これだけ重大なことを、責任のところが。

 つまりは、結局のところは、直接は何もやらないで、その後、緊急安全性情報を出して使用を事実上抑えた。つまりは、この感染した人に対して何かやったのか。その後の使用について抑えたということは、さすがにこの時期になったら出たんです。これは加熱製剤ですからね、言っておきますけれども。いいですか。

 厳密にやるともっといろいろあるんですよ。非加熱から加熱になっても安全じゃなかったんです。加熱製剤でもこれだけ出たんです。それで、その人たちに対して何をやったか。

 もう一回だけ聞きます。感染した人に対してどういう対応をしたんですか。

茂木委員長 高橋局長、できるだけ大きな声で答弁をしてください。

高橋政府参考人 申しわけございません。

 個人の方々への何らかの働きかけ、そういった措置についてはとられていないということでございます。

菅(直)委員 結局、全く同じことなんですよ。この時期になって、加熱製剤で安心になっていなかったにもかかわらず、これだけの率ですよ。四%といったら相当の率ですからね。

 もう一つだけ残念なことを聞かなきゃいけません。

 フィブリノゲンが本来再評価の対象になっていたはずなんですね。一九七一年に、それ以前に承認されたすべてのものを再評価の対象にする。しかし、現実には、その後、大分時間がかかった後ですが、七八年とか九年ごろに、血液製剤の他のものについては再評価の対象になっています。このときに再評価の対象になっていれば、これは急激に発症したのは八四年、ちょっと後ですから、七八年当時から八〇年の間でとまっていれば、この一万人を超える方は防げた可能性が高いんですね。

 なぜフィブリノゲンが再評価の対象から外されたんですか。

高橋政府参考人 再評価の対象になりましたが、製剤としての有効につきましては、産科婦人科学会から、なおこの製剤は大変有効である、そういう御意見が出て、その後も承認が続いたということでございます。

菅(直)委員 全然答えないね、この人は。

 なぜ再評価から外れたのかと聞いているんですよ。人気があったかなかったか聞いているんじゃないんです。すべての医薬品を再評価するということを決めたんじゃないんですか、一九七一年に。他の血液製剤も全部再評価したんじゃないんですか。なぜ再評価の対象から外れたのかと聞いているんです。(発言する者あり)

茂木委員長 全体的に粛々と進めたいと思います。

 高橋局長。

高橋政府参考人 第一次再評価は、これは昭和五十年度のお話でございますけれども。五十年度のその再評価指定時でございますけれども、委員が御指摘する年次がちょっと私どもよくわからない……(菅(直)委員「一九七一年」と呼ぶ)

 第一次再評価は四十年代後半からやっておりますが、四十二年十月以前に承認された医薬品について、四十六年十二月から昭和五十二年度末までの指定及び五十三年の追加によりまして、行政指導として行われた。

 この第一次再評価の経緯でございますけれども、これは、血液製剤につきましては、五十年度の最後の再評価指定時において、血液成分であって有用性に問題がないとされまして、当面の再評価の対象から外されたということでございます。

菅(直)委員 私が調べた限り違うんですよね。

 一九七一年に再評価することを決めて、そして、たくさんありますから、その後、六、七年たって再評価をすることになっていたときに、一九七六年にこのフィブリノゲンが承認の変更があったから、その承認の変更があったことで一九七一年以前のものとは該当しないということで再評価から外したんじゃないですか。違いますか。

高橋政府参考人 ちょっと前日、この辺の先生からのお尋ねにつきましては私どもで正確には通告を受けていないような感じで、ちょっと手元にきちっと詳しく調べたものがございません。ちょっと答弁は差し控えさせていただきます。

菅(直)委員 いいですか。きょう、私は、別に年金の問題も気になります、労働省の何か変な金も気になりますしいろいろありますが、この肝炎の問題に絞って質問をするということで、しかもフィブリノゲンという一つの薬剤についてずっと聞いているんですよ。それが、今医薬局ですか、昔でいう薬務局の担当者が、その責任下にあったことについて、わかりません、調べていません、そんなことが通りますか。

 いろいろ与党の方が言われますから、後のことは後の議員に譲りますから、少しだけこれを続けますと、大臣、私もこれが事実かどうかを確かめたかったんです、本当に。

 どういうことかというと、本来なら七一年以前のものは全部再評価の対象になって、実際にも、七八年とか七九年、八〇年に似たような血液製剤が再評価の対象になったんです。実はこの薬は七七年にアメリカのFDAでは取り消されているんです。

 理由はいろいろありますよ。しかし、それにしても、取り消されて、いろいろもう国内でも問題になっていたんです。だから、再評価されれば取り消されるのではないかといううわさもたくさんあったんです。

 それを、いよいよ再評価が始まる少し前に名前を変えたんですよ。名前を変える承認をとったんですよ。フィブリノーゲン・ミドリからフィブリノゲン・ミドリに変えたんですよ。(発言する者あり)ひどいでしょう。フィブリノーゲン・ミドリからフィブリノゲン・ミドリに変えたんですよ。

 そのときの社長さん、何という名前か知っていますか。松下さんという人なんですよね。その人は一九七一年のときに何をやっていたか知っていますか。厚生省の薬務局長さんですよね。一九七一年にいいことを決めたんですよ。それまでのいろいろなものについて再評価しましょう。それで、自分が天下った会社で、そろそろ再評価になりそうになったら、フィブリノーゲンをフィブリノゲンと名前を変えて承認の取りかえがあったということを聞いたので、私はこんなひどいことはないだろうと思って、今聞こうと思って聞いているんですよ。答えないじゃないですか。

 私は、こういうことを含めて委員長に、あるいは与党の皆さんにも、しっかりと時間をとった集中審議をお願いして、あとは同僚委員に譲りたいと思います。

茂木委員長 今、菅委員から御指摘の点につきましては、理事会におきまして協議をさせていただきます。

 次に、山井和則君。

山井委員 お二人のケースに絞って、私はお話をさせていただきたいと思います。

 最初のケースは、大阪原告十六番の方であります。

 先ほどの菅議員の質問にも重なりますが、この方は五年前から訴訟を争っておられます。にもかかわらず、国は、そして企業は、ことしの六月の段階でフィブリノゲンを投与していないということをおっしゃったわけですね。

 しかし、先ほどの菅議員とのやりとりでもわかりますように、企業が情報を持っているわけですから、もしかしたら厚労省も持っていたかもしれませんが、少なくとも企業は情報を持っていたわけですから、厚労省が、この方はリストに入っていますか、四百十八人に入っていますか、一言聞けば、その人がフィブリノゲンを利用したことがわかったはずじゃないですか。そんなこともしないんですか。

 その結果、この方は二十年間、肝炎と認められなくて、ビタミン剤しか飲めなくて、今肝硬変になっているじゃないですか。そして、御本人もおっしゃっていることだから申し上げますが、離婚もされておられます。

 そして、最初にこの方の副作用情報が上がってきているのは一九八七年、二十年前ですよ。余りにも厚生労働省のやり方は冷た過ぎるんじゃないですか。一言、調べたらいいわけでしょう。フィブリノゲンで肝炎になって、子育ても十分にできなくて、残念ながら離婚もして、そして裁判に訴えたら、事もあろうに、加害者側である企業や国から、あなたはフィブリノゲンは投与されていない。配付資料で、この中にも書いてありますが、国は、原告十六番はそもそもフィブリノゲンの投与なんか必要なかった症状だとまで言っているじゃないですか。

 舛添大臣、これでこうやって肝硬変にもなってしまわれました。この方に対して、きょうの毎日新聞によると、一転して投与を認めるとなっていますが、投与を認めるでは済まないんじゃないですか。舛添大臣、ぜひこの方にやはり一言謝ってほしいと思うんですが、いかがですか、大臣。

舛添国務大臣 今、山井委員がおっしゃったように、その当時、きちんと、私に言わせれば、常識を持って対応していればこういうことは起こらなかった。そして、今になって、御承知のような、今一連御発言になったようなことが起こった。

 私は、国としてこれは大変申しわけない、不十分でありますから今後徹底してこれは変えていきますけれども、その当時の対応は極めて遺憾である、申しわけないと思います。

山井委員 私、この方ともお話をしました。こうおっしゃっていました。もっと早くみんなに知らせてくれたら助かった人も多かったのに、私も今肝硬変になってしまっていますと。

 きょうお配りしている、この四百十八人のリストですが、その方がおっしゃるには、四百十八人のリストは命のリストでしょう、その命のリストを紙切れのようにしか思っていない、人の命をどう考えているのか。そして、舛添大臣に言いたいのは、謝罪をして、裁判を一日も早く終わらせてほしい、そして医療費助成などの恒久対策をしてほしい、インターフェロン治療を受けたくても受けられない人がいっぱいいる、何とかしてください、よろしくお願いしますということを本当に、肝硬変ですから今入院しておられるんですよ。少なくとも五年前に連絡が行っていたら、肝硬変までなっていなかった可能性が高いんですよ。

 先ほど、一般論として、申しわけないと思っているということですが、具体的に言いたいと思います。舛添大臣、ぜひやはり御本人に一言、私はやはり謝ってほしいと思うんです。いかがですか、大臣。

舛添国務大臣 今委員が訴訟のこともおっしゃいました。そして支援策についてもおっしゃいました。一日も早くこれを実現するように全力を挙げていきます。

 そして、あのときにきちんと国がやっておれば、今の方も含めてですけれども、こういうことにはならなかった。そういうことに対しては、国としてきちんと謝罪すべきであると私は思います。

山井委員 いや、これは一刻を争う話なんです。一日に百二十人が亡くなっておられるんです。

 そして、もう一人のお話をさせていただきたいと思います。

 その方は東京原告の方であります。本日、御遺族の方も来ておられます。御遺族の方の御許可も得て、ここにお写真、残念ながら、この東京原告の方は昨年お亡くなりになってしまわれました。肝炎から肝硬変、肝がんになられました。

 この方の資料については、この配付資料の中の一番最後に、今週号の週刊女性にこう書いてあります。「私はもっと生きたかった。皆で笑い転げたりしたかった…」「人の命って値段があるのでしょうか。まず、謝罪をしてください。私はもう死にますが、私と同じような人が出ないように、一日も早く救済してください」ということを、遺言でなくして、残してお亡くなりになられました。こういうふうに次から次へとお亡くなりになっているんです。

 この方は、どういう状況だったか、おわかりになりますか。三男のお子さんをお産みになって、感染した。インターフェロン治療を一回やった。でも治らなかった。一回四百万かかったそうですよ。本当は二回目をやりたかった。お医者さんからは、二回目をやらないと命が保証できませんよと言われた。

 しかし、当時、お子さん方は受験を控えておられた。自分のために、この方、言っておきますが、インターフェロンを使ったというふうに言われていないわけですよ。そして、二回目の治療は、家族に黙って、子供の受験の方にお金がかかるからということで、家族に黙って断った。そして、本人はアルバイトをしようとしたんですよ。自分の病気のことだから、家族に迷惑かけたくないと思って。でも、肝硬変でアルバイトができるはずないでしょう。そして、治療できないままお亡くなりになっているわけですよ、裁判の結果も出る前に。

 大臣、やはりこういう方に対しても私は謝罪をしていただきたいと思います。

 そこで、この四百十八人の、お手元にお配りした資料を見てください。実は、この方がこのリストの三十九Bなのではないかということが今議論になっているんです。二ページ目です、舛添大臣。一九八四年七月に投与、そして症状発現日、一九八四年の八月八日というのは一カ月目健診です。

 それで、御遺族の方が、これは私の姉ではないかということで問い合わせている。それに対して、舛添さん、どう言われているか御存じですか。本人じゃないと情報開示はできませんと言われているんですよ。本人、亡くなっているのに、どうやって本人が開示請求できるんですか、舛添大臣。御遺族が本当のことを知りたいと思うのは当たり前じゃないですか。

 舛添大臣、お答えください。この東京原告の方だけじゃなくて、これからこういうケースが出てきます。このリストは、もしかしたら亡くなった自分の肉親ではないか。そのときに、相続人なり御家族なり、そういう方も情報を開示してもらえるようにお願いしたいと思います。大臣、いかがですか。

舛添国務大臣 山井委員がおっしゃることは当然でありまして、その方向できちんと指示を出します。

山井委員 当然だと思います。

 ということは、御遺族から開示請求があったら、その問い合わせに答えてくださるということですね。もう一度お願いします、舛添大臣。

舛添国務大臣 メーカーに対して、きちんとそれを出せという指示を出します。

山井委員 舛添大臣、今そういう答弁をされましたが、今までどういう思いをされてきたか、ぜひ御想像いただきたいんです。

 何の罪もないのに、人生の大きな喜びである出産の際に打たれた薬によって薬害に感染した。おまけに、政府の答弁書では、打つ必要がなかった症状じゃないかとまで書いてあるじゃないですか。そういう薬を打たれた。そして、感染した。それで、せめて治療費を助成してもらいたいという思いで訴訟をしたら、少し聞けば、調べればわかるはずなのに、国はそのことを調べもせずに、あなたは原告になる権利はないと否定し続けて、裁判でいじめ倒して、おまけに、御遺族が本人じゃないですかと言ったら、本人しか開示ができませんと。余りにも非人間的なんじゃないですか、やっていることが。

 そこで、大臣、この七月にも熊本の原告の方が亡くなられました。一日百二十人も亡くなっておられます。一カ月解決がおくれれば、四千人亡くなります。その意味では、一刻も早くこの大阪高裁の和解も全面解決せねばならない。それで、舛添大臣、午前中から、何としても全面解決したいということをおっしゃいました。しかし、大臣もおわかりになっていると思います。何がポイントなのか。実は、ネックは国にあるんですよ。

 そこで、お伺いします。

 もうこのリスト問題も出てきた。やはり、裁判で争うのではなくて、和解の中で国は責任を認めて謝罪すべきじゃないですか。そして、菅元厚生大臣がやられたように、全面解決をして、一日も早く患者の方々に適切な医療を、国が責任のある場合には無料で受けてもらう。当然それをやるべきだと思うんですが、この国の責任と謝罪ということについて、舛添大臣、いかが思われますか。

舛添国務大臣 私が政治家になったのは、人の命を救いたい、私もいろいろな経験がある、その思いで、このたび厚生労働大臣になりました。国会議員としても相当いろいろな努力をやってきました。そして、今は厚生労働大臣ですから、私の持てる権限を十分に使って、そして、優先順位からいくと、今委員がおっしゃったように、このC型肝炎の問題については、とにかく一日も早く一人でも多くの人を救う、それをまずやりたい。

 それで、先ほど来申していますように、民主党の皆さん方にも、そして与党のPTの皆さん方にも早急にこの対策を出していただいて、私たちもそれと協議をして、支援策については、もう年内、一月でも前倒ししてやりたい、そういう思いで全力で取り組んでおります。

 それから、訴訟につきましても、先ほど来申し上げましたように、今、山井先生がおっしゃったのと私は全く同じ考えでございます。そういう意味で、今精力的に動いておりますし、そのためにも、その前提として、先ほど菅さんがあれだけのファイルを御提示になった、こういうことがあったんだよということを教えていただいた。そういうことも参考にして、私は、先ほど来申し上げたように、現状をまず一月以内にしっかり把握していく、そして、これは、大阪高裁の和解の場につけということで、つかしたわけですから、方向として、この訴訟の問題もできるだけ早く全面的解決をしたいと思います。

 ただ、そのときに、ずっとこれは菅委員も御質問になったように、何年段階でどういう問題があった、どういう問題があった。私はすべてこれを、着任したばかりですから、年金問題もありますし、すべて自分で今把握できているわけではありません。

 したがって、これを外部の方も入れた検証のための特別チームで、これも一日も早く、先ほど来言ったように、一月ということを言いましたけれども、前倒しできれば少しでも前倒しをしてやって、そういうことをきちんと前提にした上で、今、山井委員がおっしゃったように、一日も早くこの訴訟の問題も解決して、私も全力を挙げます、皆さん方の協力も得て、年が明ける前にこういうことをやりたい、そういう決意で今臨んでおります。

山井委員 繰り返しますが、年が明けるまでにそういうことをやりたいとおっしゃっていますが、そのネックは国なんですよ。原告の方じゃないんですよ。原告の方は、肝硬変で入院しながらも、必死になって、体調が悪い中もマスコミの取材を受けながら、命をすり減らして裁判を闘っておられるんですよ。謝罪してほしい、国の責任を認めてほしい、早く治療を受けたいと、命を削りながらやっておられるんですよ。それに対して、国の責任はない、謝罪もしない、原告とも会わないと言っているのは国の側なんですよ。

 ですから、今の確認ですが、医療費助成をしていくためにも、やはり国が責任を認めるということがないと医療費助成も進まないんですよ、物の順序として。うなずいておられますが、舛添大臣、国は責任を認めて謝罪する方向でこれから検討していきたい、そういうことでよろしいですか。

舛添国務大臣 私は、国の責任を認めないとかそういうことを申し上げたんじゃなくて、とにかく、私自身が目の届かないところもある。したがって、外部の方を入れて、とにかく検証してみたい。

 それは何も二〇〇二年のリストの件だけじゃなくて、先ほど菅委員も御指摘の、何年前の話であるわけですよ。六十二年ですから。まず、外の報道を通じて大きくなったことも含めて、そういうことを洗いざらい、早急にこれを洗い出して、そして一日も早く命を救うためにやれることを全力でやる、そういう方向だというふうに御理解ください。

山井委員 これは検証も大事ですけれども、最後は政治判断なんですよ。御存じのように、厚生労働省は、今も菅議員から指摘があったように、患者の命を守るというよりは、企業と一緒になって、どうやったら薬害を隠せるかということをずっとやってきた歴史じゃないですか。その歴史なわけですよ。ですから、そういう意味では舛添大臣の決断にかかっているわけですよ。

 それで、一つお願いしたいと思いますが、今検証ということをおっしゃいましたが、御存じのように、平成十四年の八月二十九日、この四百十八人が出てきたときの報告書も舛添大臣は読まれたかと思いますが、肝心なところは全部記憶になかった、記憶になかったと。不作為が問われそうなところは全部記憶がなかったじゃないですか。幾ら一カ月やろうが、出てきた報告書が肝心なところは記憶がなかったではだめなんです。

 そこで、菅議員からも話がありましたが、ぜひとも集中審議、参考人質疑を当時の担当者を呼んでやらないとだめだと思います。

 具体的には、二〇〇二年当時の宮島医薬局長、そして再評価を先送りした当時の鈴木課長。そして一九八七年当時、きょうの資料にも書いてありますが、集団発生で薬害肝炎が明らかになったときに、きょうの資料、この資料の中に出てきておりますが、二―(二)―五と書いてありますが、ここで、企業と一緒になって、「理論武装の用意が必要」「患者の不利益についてやむをえないことを述べている文献を用意できないか」「現在の学問レベルでは原因究明、予知は無理との文献はないか」「良くするには研究開発しか手がないということで肯定していく、即ち努力してもここまでが現状ということでいく」と。企業と厚生省の当時の関係者がここまで薬害隠しをやっているじゃないですか。

 やはりこういう担当者に来てもらって、集中審議、参考人質疑をやるべきだと思います。舛添大臣、このことについて御意見をお聞きしたいと思います。

茂木委員長 委員会の運営について大臣からお聞きになられますか。

山井委員 そうです。意見を聞きたいと思います。

舛添国務大臣 委員会の運営については理事会の専権事項ですから、そこにお任せしたいと思いますが、今おっしゃった、引用なさった文章は、私はずっと前に読んでおります。いささかもこの厚生労働省の薬を担当する人間が医薬業界と癒着しているようなことがあったら絶対にそれは許してはならない、そう思います。私はそういう思いで今厚生労働大臣をやっております。

 そして、何度も申し上げていますけれども、一刻も早く一人の命でも救いたい。そういうことで、私は、山井委員御承知のように、訴訟でありますからいろいろな前提作業はございます、そして今大阪高裁にボールを投げてあります。こちらの考え方もきちんと申し上げている。大阪高裁は原告の方々の考えもちゃんとわかっている。そういう中で、しかし、何度も山井議員もおっしゃるように一秒を争うわけですから、これは福田総理ともきちんとお話を詰めていって、きちんとした決断を政府全体で下していきたい、そういう決意でございます。

山井委員 今の集中審議と参考人について理事会で諮ってほしいと思います。

茂木委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をさせていただきます。

山井委員 今、癒着が問題だということをおっしゃっていましたが、二〇〇二年当時の医薬局長は、ホームページを見ると、現在、医薬品医療機器総合機構の理事長になっておられます。この医薬品医療機器総合機構の「ご挨拶」のところでこう書いておられるんですね。「健康被害を受けた方には、「より迅速な」救済を行う」ということを書いてあるわけですよ。これもちょっとブラックユーモアじゃないですか。この四百十八人のリストを受け取って放置してきたんじゃないか、そういう疑いが持たれているわけですね。

 舛添大臣、さらにお伺いしたいと思います。

 きょうも傍聴にお見えになっています。この方の御遺族もお見えになっています。菅元大臣もそれをされたように、これは患者の方、原告の方の話をまず聞かないとわからないところというのはやはりあるわけですよ。今まで舛添大臣は、最後の案ができたら会うと言っているけれども、裏返せば、案ができてから会ってもしようがないんですよ。当事者の声、御遺族の声を聞いた上でどうするかという判断をぜひしてほしいと思うんです。舛添大臣、ぜひとも原告の方にお目にかかっていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

舛添国務大臣 原告の方々、非常に今苦しまれている方々、お亡くなりの方々、こういう方々の声をいろいろなものを通じて、直接的ではありませんが、お伺いしております。

 私は、会いたくないから会わないとか、そういうレベルの話ではなくて、ほかの薬害の被害者の方、難病の方々、いろいろな方がたくさんおられます。私は、公平、つまり私がやるべきことは一日も早く解決することである、そのために全力を挙げます。

 そして私は、ぜひ誤解をしないで聞いていただきたいんですけれども、厚生労働大臣にお会いして話を聞いてもらえばこれが動く、聞いてもらえなかった方はどうだ、そういう声が実に来ているんです。だから、私はそういうことはけしからぬと思います。しかし、極めて短期間に大きな決断が下せるように全力を挙げますから、皆さんの声は本当に私の胸の中、心の中まで、隅々まで届いておりますので、どうかそれを信じてくださいまして、全力を挙げますということをお誓い申し上げたいと思います。

山井委員 その決断が一日おくれればおくれるほど百二十人の方がお亡くなりになるわけです。

 そして、私、公平という言葉が本当に気になるんですね。何が公平ですか。子供を産んだときにフィブリノゲンやクリスマシンを打たれて、自分には全く落ち度がないのに病気にさせられて、家庭も崩壊したりして、そして、せめて治療費の助成ぐらいといっても五年も六年も裁判を長引かされて、こんな不公平はないじゃないですか。

 ですから、舛添大臣、先ほど、大阪高裁にもう考えは伝えておりますからと大事なことをおっしゃいました。どういう考えを伝えているんですか。もしかして、新聞報道ですが、国の責任は認めない、謝罪はできない、金銭的救済はできないというようなことを伝えているんじゃないかと報道されています。もし既に伝えているからというのだったら、そんなことを伝えていても和解になるはずないじゃないですか。

 ですから、この場で、和解や救済、金銭的な救済や謝罪も含めて、そういう方向で和解を検討したいんだということをぜひ明確に言ってください。そうしないと、訴訟がずるずる延びれば延びるほど、どんどん命が失われていくんです。これ以上国家的な見殺しを続けないでください。きょうでそれをもう打ちどめにしてください。

茂木委員長 舛添大臣、既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔に答弁をお願いいたします。

舛添国務大臣 その決意で全力を挙げます。

山井委員 ぜひ、改めてになりますが、これは人の命がかかった思いで、そしてこのリストを見て、厚生労働省の方々、命のリストです。この命のリストを放置した、そして見殺しになっているかもしれない。実際、このリストの中には、既にお亡くなりになった方、肝硬変になった方、末期がんになった方、そして生体肝移植までせざるを得なくなった方も含まれているんではないかと既に言われております。

 このことについて、日本の厚生労働省は国民の命を守ってくれるのか、見殺しにする役所なのかという根本的なところが今問われておりますので、参考人質疑と集中審議、ぜひとも早急にお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。

茂木委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先ほど来、肝炎の問題について、菅元厚生大臣を初め、委員の皆さんの議論を伺っていました。本当に許せないと思います。大臣の決意を御披瀝されたと思いますが、省としては、先ほどの局長の答弁にあるように、誠意が全く感じられません。問題をあいまいにしてはなりません。参考人招致と集中審議を必ずやるべきだと思います。委員長に伺います。

茂木委員長 ただいまの件につきましては、理事会におきまして協議をいたします。

高橋委員 私は、きょうは時間が限られており、ほかの議題がありますので、一点だけ伺います。

 今回厚労省が明らかにした資料、きょうまた新たな事実も発覚しているわけですけれども、C型肝炎の原告である可能性が九名いらっしゃる。そして、うち二名は製剤の投与について国が争っている方だと推定されると言われています。けさの報道では、この二名について撤回するということがございます。

 そうなると、製薬会社は、先ほど来あるように、既に百九十七名の氏名を把握しているということもある。そうすると、この企業の情報を一刻も早く照合することによってさらに特定され、争っている方についての情報が得られる可能性は当然あるわけですね。

 これらについて急いでやることと、争っている方については撤回するべきだと思いますが、その点、大臣に伺います。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

舛添国務大臣 既に月曜日に製薬メーカーのトップを呼びまして、そのことは指示しております。そして、私のもとに直属の調査チーム、外部の人間も加えて補強した上で、徹底的に今委員がおっしゃったような方向ですべてを洗い出したいというふうに思っています。

 それから、今回のこの一連の調査で、今おっしゃいました二例、これは、一例は既にメーカーから、投与の事実を認めると言っているわけですから、たちどころに大阪地裁に対して、これはそのとおりであるという準備書面を提出させました。そして、もう一名の方は、今メーカーに資料を大至急出して確認しろと。ですから、確認がとれ次第、同じような措置をとって、きちんと対応させてまいります。

高橋委員 新たに今後そうした方が出るだろうということを予測して私はお話ししておりますので、当然同じような対応をされるということで確認させていただきたいと思います。

 今ほど、山井委員の質問に対して、原告に会って謝罪をする気持ちはないというお答えだったのかなと思いますけれども、私は、今回の問題が、やはり原告の皆さんはもちろん命をかけて闘っていらっしゃる皆さんだ、その皆さんに対して、まず、その闘いに大きな貢献をするであろう資料が厚労省によって隠されていたんだという事実を率直に謝るべきだと思うし、そのことがほかの薬害の皆さんに対して不公平なことではなくて、ほかの薬害の皆さんあるいは薬害が表面化されていない皆さんに対しても大きく貢献することだと思うんです。

 そういう立場で原告に直接会って謝罪すべきだと思いますが、もう一度伺います。

舛添国務大臣 先ほど申し上げましたように、全力を挙げてこの解決に取り組む。そして、私が公平という言葉を申し上げたのは、そういう方々の苦しみをわかっていないというようなことではなくて、それはもう山井議員と同じような認識を十分持って、それで寸暇を惜しんで、これはもう全力を挙げてやらないといけない、そういう思いでやっておりますし、いろいろな病に悩む、特に薬害の問題の方々については同じような気持ちで接したいと思いますので、どうか私の真意を酌んでいただいて、私は、きちんとした形で一日も早く解決策、支援策、訴訟についても解決する、こういう思いでおこたえしたい、それはだれにも負けない、そういう気持ちでやっているんだということを申し上げておきたいと思います。

高橋委員 ここは指摘にとどめますが、その思いを間接的に報道や会見で聞くのではなく、もちろんこの場にもいらっしゃいます、でも、直接お会いをしてその思いを伝えるべきだ、そのことが全体に発するメッセージとなるんだ、大臣の決意のあかしになるんだということを重ねて指摘しておきたいと思います。

 次の話題に入りたいと思います。

 来年四月から始まる後期高齢者医療制度について一部凍結が伝えられております。これは、午前の審議で、与党案も一定示されました。これについて端的に大臣に伺います。

 凍結が必要とされるその理由はなぜでしょうか。

舛添国務大臣 これは、今政府としては高齢者の新しい医療制度をつくっていきたいということでございますけれども、まず、参議院選挙などを通じて、国民の皆様が今どういう状況にあるか、いろいろな声を与党としても賜った。そこで、しっかり反省した上で、今、きめの細かい手当てをやはり高齢者の方にやっていかないといけない。しかし、片一方では財源の問題もある。世代間の公平で、若者だけに負担させていいのか、ベンツに乗っているようなお金持ちのおじいちゃんはどうするんですか、こういうのもありますから、そういうのを全体的に勘案しながら、基本的には与党のプロジェクトチームの精力的な御議論がもうすぐまとまると思いますから、それを受けた上できちんと対応していきたい、そういうふうに思います。

 先生の御質問に対しては、やはり現場で、国民の側から見ると、ちょっとこれは急激な負担に過ぎるよ、急にこういうふうになっていいのか、制度を改正するときは必ずそういう声が起きます。そういうことに対してきちんと対応していこう、こういう立場でございます。

高橋委員 正直、今の答弁は大変がっかりしました。先ほど来、命を大切にするという大臣の決意がいろいろな場面で言われた中で、やはりこの問題については、正直、政府の立場はゴーなんだ、参議院選挙があったので、急激な変化はちょっとという程度なのかということでは、非常に認識が残念だなと思わざるを得ません。

 昨年、後期高齢者医療制度を核とする医療制度改革は、野党と国民の反対を押し切って強行採決されました。昨年、私は、高齢者をねらい撃ちにした医療改悪だと強く反対しました。法改正後一年、しかも本格施行がまだされる前に、曲がりなりにも政府・与党から凍結論が出てきた。このことは、私たちが指摘してきたことのあかしだと考えます。

 制度自体は四月から走り出すことになります。全国で広域連合が設立され、既に準備が進められておりますが、現場は大混乱になっています。

 御存じでしょうか。自治体からの意見書は、中央社会保障推進協議会が調べて、十月二十二日現在で八県二区を初めとする二百三十九自治体、全国の一三・二%から、見直しや凍結を求める意見書が上がっているんです。数字を聞くたびにこの数はふえています。広域連合が設立され、具体的な中身がようやくわかってきて、驚きと怒りが広がっている、このことではないかと思います。

 四月からの実施は中止せよ、これが私たちの求めであります。

 そこで、具体的にお話をしますが、昨年の住民税増税、年金課税強化は高齢者を直撃しました。共産党の地方議員たくさんいますが、例えば、あした目が覚めなければいいと思って毎晩床につく、でも目が覚めてしまう、そういう高齢者の悲痛な訴えが寄せられていました。

 例えば、資料の1を見ていただきたいです。高齢者世帯の所得の内訳ですが、年金のみが家計のすべてである世帯は六割です。年金以外の収入のある一握りの高齢者世帯はあるものの、先ほど大臣、ちょっと極端な例をお話しされましたが、確かに一部はあります、格差がありますので。しかし、圧倒的には、二百万未満の世帯が四三%と、低所得者が多いわけであります。

 資料の2を見ていただきたいと思います。介護保険の保険料で、今所得段階に応じて保険料が決まっております。本人が住民税非課税の場合に基準料が一ということで、今、大体平均四千九十円ということですけれども、その段階がどうなっているか。昨年の増税によって、年金収入は一円もふえていないのに課税所得になり、第四段階、第五段階という形でふえた、課税世帯が六百六万人から九百五十七万人、三百五十一万人もふえたということです。一円も所得がふえていないのにです。

 これが、さらに医療という形でこれから負担がふえるということになる。これ以上負担をふやすべきではないし、少なくとも天引きはするべきではないと思いますが、いかがですか。

水田政府参考人 後期高齢者医療制度は来年四月から施行されるわけでございますけれども、そこで七十五歳以上のお一人お一人から保険料を負担していただくこととしてございます。

 その徴収に当たりましては、委員御指摘のとおり、特別徴収、年金天引きという形で徴収いたそうと考えているわけでございますけれども、その理由は、まず被保険者の保険料納付に当たりましての利便を確保するということ、それからもう一つは、市町村における保険料収納を確保する、こういった徴収事務の効率化という観点から、原則として保険料を年金から天引きする仕組みを導入することとしてございます。

 その際、介護保険におきます年金天引きの範囲と同様に、年額十八万円以上の年金額を受給している方を対象とするとともに、天引き額が過大とならないように、介護保険料と合わせた保険料額が年金額の二分の一を超える場合には後期高齢者医療の保険料については天引きの対象としないということとしているわけでございます。

 また、低所得者の方につきましては保険料の軽減措置を設けることとしてございまして、例えば、基礎年金のみを受給しているなど収入の低い方につきましては、全国平均で月額千百円程度と試算しているところでございまして、年金額の半額が天引きとなるようなことはないと考えているわけでございます。

 さらに申し上げますと、ほかに所得あるいは資産を全く保有していない方につきましては、生活保護の対象となり得るものでございまして、その場合には後期高齢者医療制度の被保険者とはならず、後期高齢者医療の保険料は徴収されない、このようになるわけでございます。

高橋委員 今、利便の確保とそれから収納率のことがお話にあったと思うんですが、資料の三枚目にあるように、介護保険でもう既にやられている特別徴収と普通徴収、つまり、天引きだと徴収率が一〇〇%なんですね。普通徴収、切符だと現状九割なんです。ですから、確かに取りっぱぐれはないんですよ、天引きすると。当たり前じゃないですか。だけれども、そのことによって何が起こるかということを本当に考えていらっしゃいますかということなんです。

 全日本年金者組合がまとめた証言集などを見ると、本当に少ない年金で、必死で税金や介護保険料を払って暮らしをつないでいる高齢者の姿がつづられています。例えば、八十八歳の女性。月八万円余りの年金で四千円の介護保険料、四つの病院に通っている、年齢相応なわけですね。介護保険の改悪で介護二から要支援となって、負担はふえるわ、利用は制限されるわ。入院すれば、離れて暮らしている息子の世話になれないということですぐに退院する。何のために自分は生きているのか、こういう訴えがあるわけですね。

 ですから、必死で受けている人たちのわずかな年金を頭から天引きする、これは厚労省は取りっぱぐれない。しかし、残された年金で食わずに生きろ、あるいは生きるなと言っているくらいの仕打ちだと思うんですよ。いかがですか。

    〔大村委員長代理退席、宮澤委員長代理着席〕

水田政府参考人 ただいま申し上げましたように、特別徴収にはそれなりの考え方があるわけでございますし、また、委員も御承知かと思いますけれども、高齢者の方々は納付率が大変高いわけでございます。

 そういう意味で、九〇%を超える方が現にお払いになっているということを考えますと、被保険者の利便のために特別徴収をするということがあってもしかるべきだと考えておりますし、市町村からは、やはり天引きということはぜひともしてくれ、このようなこともありまして、私ども、それらの御意見を踏まえた上でこうした措置をとることにしたわけでございます。

高橋委員 収納率は高いんですよ、高齢者は。まじめなんですよ。食べられなくても、無理してでも払っているんです。私がさっき紹介した証言集なんか、みんなそうですよ。四万、五万の年金でも無理して払っているんです。そういうところにあぐらをかいてと言っては失礼ですけれども、天引きで本当にいいのかということを言っているんです。実態に合わせるべきだということを重ねて指摘します。

 それで、今、もう一方の話ですが、年金収入が十八万以下の方あるいは無年金の方は普通徴収、切符による納付になるわけですね。そうすると、今回、滞納者に対する資格証明書の発行が初めて盛り込まれました。具体的に介護保険で既にやられておるわけですけれども、現在、普通徴収がどのくらいある、つまり切符で納めている人がどのくらいいらっしゃって、滞納したために利用制限された、つまり利用料三倍という制限をされている方が既にいらっしゃると思いますが、どのくらいですか。

阿曽沼政府参考人 お答えをいたします。

 介護保険の普通徴収及び特別徴収の関係でございますが、普通徴収の対象者は、今特別徴収で一部併徴というケースがございますけれども、基本的には四百五万人ぐらい、それから特別徴収の対象者は約二千三百十八万人程度でございます。

 それから、もう一つお尋ねがございました給付減額の件でございますけれども、六十五歳以上の方で保険料を二年以上滞納し、また、その未納の保険料の徴収権が時効消滅したことによって保険給付が減額をされるという措置の対象でございますが、十八年度中にそういう減額措置をした件数としては四千百八十五件というふうに承知をいたしております。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

高橋委員 こういう形で既に利用制限がやられている。これが今度医療の現場でも、直接お金を全額払わなければ病院にも行けないということで、命に直結する事態が起こってくるということなんです。

 それで、私は、七十五歳以上で年金が月一万五千円くらいしかないという方、あるいは寝たきりの方、そういう方たちというのは、ほとんどの方が世帯の中に病気の人がいるなど特別な事情に当たると思うんですね。国保法第九条三項にある保険料を納付することができないと認められる事情に値するんだ、ほとんどの方がそうだと思っています。

 そういう点で、資格証明書はよほどの例外と思いますけれども、機械的に出さないんだということを確認させてください。

水田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの資格証明書制度についてでございますけれども、この仕組みは……(高橋委員「説明は要らない」と呼ぶ)はい。

 この資格証明書の交付に当たりましては、御指摘のとおり、納期限から一年間滞納していることをもって機械的に資格証明書を交付するのではなくて、納付相談に当たります市町村が被保険者と接触する機会を通じまして、保険料を少しでも納めていただけるように個々の被保険者の状況に応じたきめ細やかな納付相談を行うとともに、個々の事例に応じまして、災害等の特別な事情があるかどうかについて判断する仕組みをとっているわけでございます。

 制度発足に当たりまして、資格証明書の発行事務を行う各都道府県後期高齢者医療広域連合、それから納付相談窓口となる市町村におきまして適切な運用が行われるよう、留意してまいりたいと考えております。

高橋委員 適切な運用というのはどういうことですか。機械的に出さないということを聞いているんです。イエスかノーかで答えてください。

茂木委員長 水田局長、はっきり答えてください。

水田政府参考人 先ほど答弁したつもりでございますが、納期限から一年間滞納していることをもって機械的に資格証明書を交付するのではないということでございます。特別な事情があるかどうかについて、個々の事例に応じて判断をいたしますということでございます。

高橋委員 確認しました。

 接触機会はふやすとさっきおっしゃいましたけれども、ふえませんからね。これは縁切りと同じですから、病院に行けないことになるわけですから、これはちゃんと正しておきたいと思います。

 そこで、自治体によっては、今もらっている国保税と大きく変わるところもあります。保険料の軽減策は広域連合として、あるいは自治体単独でもできると思いますけれども、そのことを確認させてください。その際、国から何かペナルティーなどということはないということも確認させてください。

水田政府参考人 お答えいたします。

 後期高齢者医療の保険料につきましては、政令に定める基準に従いまして広域連合の条例で定めるところによって、減額賦課を行った場合に、都道府県それから市町村の一般会計からの繰り入れを行うということが法定されているところでございます。

 これが法律上の制度でございますけれども、これとは別に、例えば保険料賦課総額の算定に当たりまして、広域連合の収入の一部として一般会計からの繰り入れを行う、こういった方法によりまして、都道府県及び市町村において、議会の議決等の手続を経た上で独自に保険料の減額を行うことは妨げられるものではない、このように考えております。

茂木委員長 高橋さん、既に持ち時間が経過していますので、簡潔に。

高橋委員 時間が来たので終わりますけれども、やはり弱い人、所得の低い人と障害のある方をまとめて一つの制度とすることに無理があるわけです。そこから来るのは、前にも、私は昨年の委員会でも指摘をしましたが、年齢による差別なんだということを指摘して、また次の機会に譲りたいと思います。

 終わります。

茂木委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 まず、舛添大臣には、国民の大きな期待の中、年金、医療、介護、あるいはこうした薬害問題、一番国民の関心事である分野を扱う厚生労働大臣に御就任であります。私から冒頭お願い申し上げたいのは、やはり一人一人の国民の痛みを知り、その立場からの行政を専らにしていただきたい。

 当たり前のようですが、先ほど来の御答弁のやりとりの中でもよく指摘されておりましたが、それは余りにも官僚的なという言葉で、私はそういう意味で官僚を悪くは言いたくありませんが、やはり、現実の生身の人間を扱うそのリアリティーを持っていただきたいということを冒頭お願い申し上げます。

 そして、きょう皆さんお取り上げのC型肝炎問題については、私は、きょうの質疑を伺いながら、実は患者さんたちは三度殺されるんだと思いました。

 どういうことかといえば、いいかげんな薬の許認可システム。それは、裏に利権があるかもしれません、天下りもあるかもしれません、そういう中で、本当は危険なものなのに認可され続けてきた薬事行政。そして二つ目は、副作用が生じたという場合に、それが報告されているにもかかわらず隠ぺいされるという構造。隠ぺいされ、本来はその人自身の一番の個人情報であるはずの生命にかかわることが伝えられない。そして三つ目は、裁判という場で、国がみずからに過ちを認めないために出されるさまざまな準備書面。それが患者さんたちをいかに傷つけ、絶望に陥れ、場合によってはその裁判の中で亡くなっていく、そういう実態が明らかにされたと思います。

 大臣には、きょう、自分の資料でなくて恐縮ですが、山井議員の資料、三枚目をごらんいただきたいと思います。流用して済みません。

 ここの三枚目には、実はこれは国が準備した準備書面、裁判の中、大阪裁判十六号であります。この方については、確かなカルテはないけれども、医師がフィブリノゲンの投与をしただろうということで、投与の証拠になさいましたが、これに対して、国の主張は、フィブリノゲン製剤の投与の事実が認められず、感染したとは言えないと。認められずと断定するに足る根拠を一体国はどの程度持っていたのか。私はこの書面を見てあきれました。あきれたと同時に、これは虚偽、うそ。

 そして今、大臣も御存じでしょう、厚生労働省が抱える裁判は全体の省庁の中でも一番多いと思います。薬害にさまざまにかかわる裁判もございます、残留孤児の問題もございましたでしょう、いろいろなところで厚生労働行政に過ちがあったのではないかと言われたときに、こうやって断定的にうその上塗りの準備書面をつくるような体質。果たしてこんなものがどうしてつくれたのか。私は、それをも含めて、大臣には次回明らかにしていただきたいと思います。

 でなければ、先ほど何度も申しました数々の裁判の中で三度目に殺されていると私は思います。この準備書面がつくられたのは二〇〇七年の六月八日、まだ四カ月ほど前のことであります。断定的な書きぶり、何の調査もしない、自分が持っている資料は隠す、こんなことが許されるのであれば、かえって厚生労働省などない方がいいかもしれません。

 大臣には、きょう数々の問題が提案されました。

 しかし、私は委員長にもお願いしたい。

 こういう一つ一つをやはり是正していく、そのために、国民の信託を受けた委員会の場がきちんと集中審議をする、これが野党総体のお願いであります。理事会でお取り上げくださいますよう、まず一点、お願いいたします。

茂木委員長 理事会において取り上げさせていただきます。

 それから、阿部委員に申し上げます。

 質問に当たって使用する資料につきましては、流用はよくありませんから、次は理事会において合意をとった上でお願いいたします。

阿部(知)委員 済みません。余りによくできた資料であったし、驚きましたので、こんな準備書面があるんだろうかと、私は驚愕いたしました。C型肝炎問題でも、本当は他のことで聞こうと思いました。でも、まずこの件をたださずしては、今、本当にしかばね累々です、そういう被害者の実態は本当に救われないと思いましたので。以降気をつけます。

 そして、次の質問に移らせていただきます。今度は自分の資料でいきます。

 私は予算委員会で、今の医療崩壊状況、我が国が世界第二位の経済大国でありながら、病院がつぶれる、お医者さんがいない、妊産婦さんはたらい回しにされる、本当にこんなことがあってよいのだろうかと、三十年以上医療の現場に身を置いた者としても悲しい思いですし、日本の最重要課題の一つだと思っております。そして、その医療の崩壊、逆にこちら側には再生の問題がありますが、そこに手をつけるに当たって、一つには、予算委員会で申し述べましたが、医療費抑制策をやはり見直すべきだ、本当に、こんなに対GDP比で、OECD諸国の中で一番低いなんということをやっていたらどうにもこうにもいかないよと申しました。

 二番目は、その医療費抑制策のあおりを一九八〇年代からひたすら受けたのが、医師の数でございます。私は、どこに医者が余っているか教えてほしい。偏在とかなんとか言われますが、医師は今、実数においても実労働においても足りません。これは国の政策の過ちです。そして、そのことが、実はきょうお伺いする三点目の、医療現場の疲弊、相次ぐ事故、そして相互不信、患者さんとの間の大きな悲しい溝を生むようになっております。

 私は国会に来て七年になりますが、この医療現場の事故を何とか、いわゆるお互いが恨み合ったり、あるいは裁判の場で長い時間かけて争わねばいけないような状況から一歩も二歩も脱却する道はないものかと考えて、いろいろな提案もしてまいりました。

 先日の予算委員会で、舛添大臣もこの件には本当に心がおありだということもわかりましたので、このたび報告が出ましたこの一枚目の紙、診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方、これは、調査委員会というものの発足を目指して厚生労働省の中で検討されてきたものでございます。

 医療事故が起これば、当然、一番そのことで大きく被害を受けるのは、被害者である患者さんであります。そして、今までの医療事故の報告事例を取りまとめます医療機能評価機構においては、患者さんの側が、事故じゃないか、ミスじゃないかと思っても、そこにどうアクセスしていいのか、その道は閉ざされておりました。今度のこの調査委員会では、まず患者さんのアクセスを開いた、おかしいんじゃないかと言っていける道を開いたということは一点高く評価いたしますし、大臣にはさらにその道を広げていただきたいと思います。

 と同時に、そこで起こったことを患者さんたちに、調査した結果、起きたことをきちんとフィードバックしていただくことも重要と思います。この点について大臣のお考えを一点お願いいたします。

舛添国務大臣 今、阿部委員おっしゃるとおりでありまして、私は、福島県の大野病院の事故で産婦人科医が逮捕される、これ以来、何とかこういうシステムをつくり上げたいと。あくまでこれは、医療事故調査委員会というのは一つのたたき台でございますので、ぜひみんなでこれを一つのたたき台として議論をして、さらにいいもの、特に、例えばADRをどう位置づけるかというようなこともございます。そして、遺族から、本当に亡くなった方の家族も、真相を知りたいというのが私がアンケートをとりますと一番多いんですね。そういうことでございますので、ちゃんと対応するように、これはもう既に指示を出しておりますし、そのことは全力を挙げて確保したいと思います。

阿部(知)委員 医療の場合のいわゆる警察権力の介入というものは、万やむを得ない場合あり得ると思いますが、しかし、なるべく抑制的に行えるような、医療の中の自律的な事故の究明や救済のシステムや、あるいは、なぜか、原因究明、そして患者救済、あるいは再発防止、この三つがいずれも大事であると私は思います。

 そのためには、医療者も、そこに報告したことが他に逆に不利益となって返ってこないだけのやはりある種の安心感がなければ、隠ぺい工作は進みます。申しわけないが、厚生労働省のこの間の隠ぺい工作も、あるいは防衛庁の給油をめぐる隠ぺい工作も、みずからを守ろうと思って真実を隠すことに必死で、行政をよくしようとする観点がございません。

 この調査委員会においても、大臣にごらんいただきたいですが、右側に、いわゆるここに明らかになった、報告されたものが、例えば民事訴訟での証拠として採用されたり、刑事手続に持っていかれたり、医師の行政処分につながるような書きぶりもございます。しかし、大臣、ここは本当に考えどころです。この調査委員会をより多くの事案を集めて医療の現場をよくするものに向けたいのであれば、やはり隠せない、隠さないという気風を育てねばなりません。

 この一点は、私は、この表を見たとき、大変懸念されます。別の仕組みで、医師の例えば刑事罰、行政処分もあり得ることと思いますから、きょうこの点はお答えを求めませんけれども、これからなっていくものと思いますから、重々御検討をいただきたいと思います。

 きょうの質問は、いわゆる亡くなった方の死因を調査するときに、どういう人材がそこにかかわるかという問題でございます。

 医療の中では、人を直接診察する産科や小児科や外科や内科のほかに、人間の組織や一部病気のあるところを取ってきて、あるいは亡くなった方を解剖してその一部を診る病理という分野がございます。お手元の二枚目の資料ですが、病理診断と言っております。これは、がんの診断でもそうですし、外科手術でもそうですし、乳がんなどは、どのくらい取ればいいかということは病理組織で決まってまいります。四番目に書いてございますのは、医療関連死を、どうして亡くなったのと診る場合に病理医が絶対的に必要であります。

 ところが、おめくりいただきまして二枚目、病理専門医試験合格者数の推移と書いてございますが、病理専門医は、ごらんになっていただきますればわかりますように、新たな臨床研修制度が始まってから、不人気と言うと失礼ですけれども、がくんがくんと減ってまいりまして、今二十歳代の病理医は全国で八十五名しかおらないという窮状になっております。

 引き続いて三枚目の資料をごらんいただきたいと思います。ここには、足りない足りないとよく言われる私の小児科、あるいは崩壊の危機の産婦人科、そして麻酔科も手術ができないほど足りないと言われます、その医師たちの年齢別構成が書いてございます。大臣には既に違う形でお示ししたことがありますが、ここで深刻なのは、病理医と産婦人科医は若手がどんどんどんどん減っているということであります。

 私は、大臣に二点お願いしたいです。文部科学省と一緒になったいろいろな取り組みの中で、病理医不足ということが項目として上がってございません。しかし、厚労省側から、本当に死因究明のためのその人材をきちんと確保するためには、病理医の問題にも提案をしていただきたいということと、なぜ病理医がこの間、大学の独立行政法人化、あるいは研修の話の中で減ってきたかというと、人を診ることは診療報酬に即はね返っても、病理の検査というのは、なかなか診療報酬上、きちんとした評価を得ていません。放射線の診断医はそれのみで診断評価をされます。病理の方は、そうした評価が甘く、少なく、いわゆる成り立たない形になっております。

 大臣には、これらをごらんになって、日本の医療、どこの科も足りないです、もちろん。でも、もしきちんと調査委員会をマンパワーで支えようと思ったら、病理医の不足は何としてでも手をつけねばならない課題であると思いますが、まず御所見を伺います。

舛添国務大臣 先般、阿部委員から予算委員会でこの点を指摘されました。私はしょっちゅう産科、小児科ばかり言っておりましたけれども、病理の専門家の不足は極めて深刻だと思います。

 それで、その後、病理学会の先生方とお会いして、現状を調査もいたしました。例えば、二〇〇七年度現在で病理学会が認定した病理専門医というのは千九百九十六名しか日本にいない。これは人口一人当たりでアメリカの三分の一です。これを何とかきちんとしたいというふうに思いますので、一つは、診療報酬上、今、検査の中に入っていますけれども、一つの部を、十三番目の部として病理というのを立てたいなと思いますし、それから診療報酬、これをきちんと、部として独立すれば当然きちんとしたものになりますので、平成二十年度の診療報酬改定において何とかやりたいと思って、今中医協にお願いしているところでございます。(発言する者あり)

阿部(知)委員 頑張ってくださいと与党からも声が上がりました。ありがとうございます。

 もう一問、今度は労働現場の崩壊現象をお伺いいたします。

 ちょうどいい秋の季節で、国会よりも旅行に行きたいなと思っている委員も多いかもしれません。しかし、ここでしっかり審議するわけですが、旅行に添乗する皆さんの働き方が今崩壊の状況を迎えております。

 どういうことかというと、添乗員の皆さんは、普通、一日八時間を超えたら残業、夜十時を過ぎたら深夜労働というふうな規定の中で働いてきたのが、この間のさまざまな労働規制緩和の中で、いわゆる時間外労働とみなさないんだ、自由裁量で働ける事業場外みなし労働だと言われるようになって、残業代の不払いが次々起きてまいりました。

 そして、そういう実態に対して、去年の十月十二日、東京の三田あるいは中央労基署から旅行綜研やダイヤモンドシステムに対して是正勧告、また、去年十一月十五日にも同じように新宿労基署から是正勧告が、例えばクラブツーリズムという会社に出されました。ことし十月一日は、東京の三田労基署から再び阪急トラベルサポートに出されました。

 さて、こうした旅行添乗員の皆さんの労働実態を考えれば、そもそも事業場外みなし労働という適用はおかしい、普通に残業代は払うべきだと一点、思います。また、そういうことを基発、労働基準監督局からきちんと指導していただきたい、基発として。そして三点目は、一体どんな労働実態にあるのかお調べいただきたいと思いますが、三点、あわせて御答弁をお願いいたします。

青木政府参考人 お話ありました事業場外労働に関するみなし労働時間制というものは、これは、事業場外で業務に従事した場合におきまして、労働時間を算定しがたいというときには原則として所定労働時間労働したものとみなすという制度でございます。

 しかし、この適用について、お話にありました添乗員につきましては、例えば現地到着後において旅行客への対応を義務づけられている場合もあれば、あるいはお客の要望があった場合のみ必要な対応をすれば足りる場合もあるなど、その労働実態に照らして労働時間を算定しがたいと言えるか否か、個別具体的に判断する必要があるというふうに考えております。

 個別の問題についても御指摘ございましたけれども、それはコメントは差し控えたいと思いますが、この事業場外みなし労働時間制については、例えばあらかじめ業務の具体的な指示を受けて、その指示に従って業務に従事する場合などについては使用者の具体的な指揮監督が及んでいるというふうに考えられるわけでありまして、当然労働時間の算定が可能であるというふうに思います。そういう場合には、事業場外みなし労働時間制の適用はないという旨を既に通達等でも示しているところでございます。

 労働基準監督機関におきましては、事業場外みなし労働時間制を含めまして、適正な労働時間管理が行われるよう周知を図っております。また、労働者の方からの相談など、さまざまな情報を精査して、旅行会社を含めまして、この関係法令に違反のおそれのある事業場を選定しまして、個別に立ち入って監督を行うというようなことをいたしております。また、問題が認められた場合には、必要な是正指導を行っているところでございます。

 今後とも、こうしたことを通じまして、法定労働条件の履行に努めていきたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 個々ばらばら、そうやってモグラたたきしているんじゃなくて、労働実態をきちんと調べて、どんな労働環境なのか、厚生労働省は知るべきですよ。そして、基発を出してくださいというお願いです。

 終わらせていただきます。

茂木委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 先ほども、菅委員含め皆様から肝炎問題について御質問がされております。私からも、製薬会社から四百十八人の症例が国に報告されていたにもかかわらず本人に告知されなかった問題、この問題についてまず御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 二〇〇二年に、薬害肝炎訴訟の被告企業が、同社のフィブリノゲン製剤を投与した後にC型肝炎を発症した四百十八人の症例を報告して、一部の症例については、患者の実名もしくはイニシャルや医療機関など、こういう詳しい情報を把握されていたのではないかなというふうに思います。しかしながら、厚生労働省がそのことを本人に告知しなかった問題、これは、当時の大臣も含め、対応が不十分だったのではないかなと。これは大臣もお認めになられていると思います。

 そもそも、厚生労働省は、企業から報告を受けた時点で、企業に、現在明らかになっていない患者の氏名、こういうものを確認することも必要でしたでしょうし、また、患者に告知することも必要だったのではないかなと思うわけです。そのことについて検討されたのかどうか、そしてまた、確認、告知することについて、その当時も含めて全く検討しなかったのか、まずお答えいただきたいと思います。

舛添国務大臣 その当時の状況について、これは徹底的に検証して洗い出す必要があると思いますので、この月曜日に検証チームをつくりましたので、できるだけ早く、今委員がおっしゃったことも含めて明らかにしたいと思います。

糸川委員 ということは、もうその当時のことは当時の人たちしかわからないということですから、ぜひこの委員会にお呼びいただいて、もちろん検証チームもしかりですけれども、お呼びいただいて、参考人質疑等も行っていきたいと思います。委員長、ぜひお願いいたします。

茂木委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をいたします。

糸川委員 医療機関からの症例報告をまとめた資料、これが、企業、例えば三菱ウェルファーマ、現田辺三菱製薬ですかにより厚生労働省に提出された。これは二〇〇二年八月という時期に注目をしたいと思いますが、これまで、HIV感染者等の健康被害等の発生、こういうものを受けて、再発防止をするために、二〇〇二年七月に薬事法の改正、これが成立したわけでございます。

 この改正によって、特に血液製剤等の生物由来製品の特性、こういうものに着目した安全の確保、こういうことを講ずること、そして、医薬品等の製剤販売業者等は、医薬品等の使用による危害の発生防止措置を講ずること、そして、医薬品関係者等は、副作用等の報告を厚生労働大臣にしなければならないこととされておるわけです。

 恐らく、その成立直後の八月ということは、厚生労働省内も含め関係者の皆様方にこれは周知徹底されていたのではないかなというふうに推測できるわけですね。しかしながら、厚生労働省は、八月にリストが企業より提出されていたにもかかわらず、何の対応もしてこなかったということ。これは、その当時のことを考えますと、法改正まで行って、医薬品の安全性向上というものを目指すということを認識されていらっしゃらなかったのかなというふうに考えますが、この点も含めてしっかりと検証していただく必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 肝炎の検診を受けてくださいよということは一般的に呼びかけたということですけれども、先ほど来申し上げていますように、きめ細かく、個々の方になぜお伝えすることができなかったのか、これは私の問題意識でもあります。

 したがいまして、この点も、この特別チームにおいて、当時、五年前のことですから、その状況をきっちりと正確に把握したいと思っております。

糸川委員 今大臣も、五年前、五年前とおっしゃられるわけで、その当時のことは本当にわからないとおっしゃられますが、この問題が当時から放置されてしまったことについて、例えば、人事異動によって担当者もかわってしまったと。五年たてば当然かわるわけですね。そういうことも弁解の方で話されているわけですけれども、組織の関係上、人事異動があるということはわかるんです。ただ、命にかかわる問題であるということを考えますと、今後も、その人事異動のことも含めて、しっかりと、問題のあり方、そして、どうやって案件を引き継ぐのかという省内の体制にもつながってくると思うんですね。

 人事異動してしまったらもうその当時のことはわからない、そのような弁解では通じなくなってくるのではないかなと思いますが、この人事異動に伴う現状と、今後の引き継ぎ体制というのでしょうか、こういうものがどのようになっていくのか、これは大臣に御説明いただきたいと思います。

舛添国務大臣 私が申し上げたかったことは、私は五年前にこの省の大臣ではありませんでしたから、私が今見てわかりませんので調査をしますということであって、今委員がおっしゃったことはずっと私が言ってきておりまして、人事異動があったから資料がどこに行ったかわからないというのは組織の体をなしていないといって厳しく、冒頭申し上げたのはそういうことでありまして、インスティテューショナルメモリー、組織としての記憶、これを続けていかない組織というのは組織じゃないんです。したがって、厚生労働省はまさに組織の体をなしていない、これを立て直すということでございます。

糸川委員 では、大臣、厚生労働省は今回、四百十八人のリストについて、地下倉庫に保存されていた、こういうことが明らかになったわけですが、これは、社会保険庁における年金記録、こういうずさんな管理の問題にも通じるわけですよね。結局、すべてにおいて、そのような体質、厚生労働省内の体質になってしまってきているのかなと。

 大臣、今、厚生労働省として体をなしていないというふうにおっしゃられますけれども、では、今は四百十八人のリストだけがあるということをおっしゃっていますけれども、今後もう出てくることはないのかとか、そういうことも含めて、今の体質も含めて、大臣の御見解をお答えいただきたいと思います。

舛添国務大臣 委員や私が指摘した問題のある体質は徹底的に改めなければいけない。そして、この週末に調査をして、それを月曜日に発表いたしました。しかし、ずっと引き続き調査をする。地下三階の倉庫でこの八冊のファイルが見つかった。しかし、また別のところにもっとあるかもしれない。また、その一件は、先ほど御説明したとおり、八名という数字がさらに出てまいりました。

 したがって、今後とも調査を続けていって、明らかになり次第、国民の前に明らかにしていって、とにかく今やらないといけないことは、肝炎で苦しむ方々、そして潜在的にそういう病に冒される可能性のある方々に対して、一刻も早い支援の手を差し伸べることでありますから、これをまず優先する。そして、そういう問題を起こした背景についてきちんとメスを入れる、そういうことであります。

糸川委員 これはもう徹底的にその地下の倉庫を洗っていただいて、そのリストがもしあるのであれば、これは命の問題ですから、大臣、まさか隠されることはもうないと思いますので、また出てくることがあるならば、この情報はすぐに公表していただきたいというふうに思います。

 この問題について、厚生労働省、大臣おっしゃられましたけれども、省内で特別調査チーム、これをつくられた。経緯、そして関係者の責任、こういうものも追及していくんだということもおっしゃっておられます。調査については過去の資料も含めて検討されるわけでしょうけれども、調査のための体制、これはしっかりと整備していく必要があるわけです。

 自分の省内で自分の職員を本当に切れるのかということも考えますと、外部の第三者、こういう方々にも御協力をいただいて、しっかりとメスを入れていく必要があるというふうに考えますけれども、今の現在の調査の体制で十分足りるのかどうか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 これは、厚生大臣を務められた、先ほど質問なさった菅委員のいろいろな御意見も賜り、またいろいろなアドバイスも賜りましたけれども、菅委員のときも、やはり守秘義務というのがかかるものですから、厚生省の中のチームで菅委員はおやりになった。そして、一応の、一定の成果を上げられた。

 私は、基本的にその路線で組み立てましたけれども、やはりもう少し厳しい目があった方がいいと思いまして、第三者を入れます。ただ、そこに守秘義務ということがかかりますから、法曹関係者、例えば弁護士、今大急ぎで人選を進めているところでございまして、この方々もチームに加える形で、さらにこの検証する組織の力をアップしていきたい、そういうふうに思っております。

糸川委員 今、大臣、大急ぎでというふうにおっしゃられたので、もし期限がわかれば、大体どのくらいまでにその調査チームを確立するのか、お答えいただけませんでしょうか。

舛添国務大臣 法律専門家であればだれでもいいわけではなくて、しかるべき識見を持っている、では、裁判官出身の方がいいのか、弁護士がいいのか、検察がいいのか。総合的な観点から、そしてその方々に来ていただかないといけないですから、お願いにも行かないといけない。できればきょうじゅうにもやりたいと思って、全力で探しております。ですから、一カ月後とかそういうことではありません。遅くとも二、三日以内には確定したい、できればきょうじゅうにでも確定したいという思いで今人選を進め、いろいろなところに依頼をしているところでございます。

糸川委員 大臣、それはもう一刻の猶予もないわけですから、ぜひ急いでやっていただきたい。

 さらに、今の厚生労働行政において、うみを全部出し切って、二度とこういう事態が生じないように取り組んでいただきたいと思うわけです。

 今後、処罰も含めて、どのように責任の所在、これを明らかにしていくのか、最後に大臣にお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 この今回の問題の検証チーム、これは、単にその四百十八人のリストということではなくて、きょうの委員会でいろいろ指摘されました問題につきましても総合的、全面的に検討した上で、その検討結果に基づいて、しかるべき措置をとる。その中には、その検討結果に基づいて、当然、処分ということもあり得るということでございます。

糸川委員 今、検討、検討とおっしゃられましたので、検討するには、恐らく、その当時の事情というのをよく把握する必要があるだろうと思います。その当時のことを把握するということは、冒頭も言いましたけれども、また他の委員からもさんざん話もございました、ぜひ、参考人、そして証人喚問、こういうものを含めて、しっかりと追及をしていくということも必要なのかなというふうに思っております。

 以上です。終わります。

茂木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十四分散会


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