衆議院

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第7号 平成19年11月16日(金曜日)

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平成十九年十一月十六日(金曜日)

    午前九時三十三分開議

 出席委員

   委員長 茂木 敏充君

   理事 大村 秀章君 理事 後藤 茂之君

   理事 田村 憲久君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 山田 正彦君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      愛知 和男君    新井 悦二君

      井上 信治君    石崎  岳君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      木原 誠二君    佐藤ゆかり君

      櫻田 義孝君    清水鴻一郎君

      清水清一朗君    篠田 陽介君

      杉田 元司君    杉村 太蔵君

      高鳥 修一君    谷畑  孝君

      冨岡  勉君    長崎幸太郎君

      長島 忠美君    西本 勝子君

      萩原 誠司君    林   潤君

      福岡 資麿君    松本  純君

      三ッ林隆志君   山本ともひろ君

      内山  晃君    岡本 充功君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      園田 康博君    長妻  昭君

      細川 律夫君    三井 辨雄君

      柚木 道義君    伊藤  渉君

      古屋 範子君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      岸  宏一君

   厚生労働大臣政務官    伊藤  渉君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  西山 正徳君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中村 吉夫君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  石井 博史君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十六日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     山本ともひろ君

  川条 志嘉君     愛知 和男君

  木村 義雄君     篠田 陽介君

  松浪 健太君     鍵田忠兵衛君

  松本 洋平君     清水清一朗君

同日

 辞任         補欠選任

  愛知 和男君     佐藤ゆかり君

  鍵田忠兵衛君     松浪 健太君

  清水清一朗君     長島 忠美君

  篠田 陽介君     木村 義雄君

  山本ともひろ君    杉田 元司君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤ゆかり君     川条 志嘉君

  杉田 元司君     井澤 京子君

  長島 忠美君     岡部 英明君

同日

 辞任         補欠選任

  岡部 英明君     松本 洋平君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

茂木委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医政局長外口崇君、健康局長西山正徳君、雇用均等・児童家庭局長大谷泰夫君、社会・援護局障害保健福祉部長中村吉夫君、保険局長水田邦雄君、社会保険庁運営部長石井博史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

茂木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。冨岡勉君。

冨岡委員 おはようございます。長崎の冨岡勉です。

 本日は、舛添大臣並びに関係各位に三つの点についてお尋ねしたいと思います。

 舛添大臣が就任されて、私たち、委員会でその答弁、やりとりを聞いておりまして、大変前向きな答弁が多いと私自身思って、時にはちょっとはらはらするような、余り前向きになられて大丈夫かなと思うような御答弁も見られましたけれども、全体の流れとしては、大変我々国民にとってはありがたい、案件、肝炎の問題等、やはり精力的に進められている。まずもって、大臣のその熱意に敬意を表したいと思います。今回も前向きな御答弁をよろしくお願い申し上げます。

 まず、有床診療所について、その位置づけについてちょっとお尋ねしたいと思います。

 この有床診療所というのは、十九床以下のベッドを持ち、いわゆる地域医療の中核施設。有床、無床、そして病院、公的機関、大学病院なんかがあるわけでございますけれども、田舎に行けば、病院といえば有床診療所ということになるわけでございます。

 ところが、先般奈良県における妊産婦の救急車によるたらい回し事件や、内科、小児科、救急外来の不備など、医師不足や医師の偏在などに基づく国民の不安が非常に強くなってきております。

 考えてみますと、三十年ほど前に有床診療所というのは二万五、六千ありました。現在では、それが半減以下の一万二千四百程度まで下がってきております。毎年一千カ所ぐらい消失してきているというのが現状でございます。

 その結果、先般、申しましたように、妊産婦のたらい回し。実は、出産のおよそ四七%は有床診療所で行われております。つまり、百数万人の子供のうちに五十万人ぐらいは有床診療所で生まれている、そこが今危うくなっているのでこういう問題が顕在化していると考えられるわけでございます。

 有床診療所につきましては、政府の見解としては、減少しているのをどのように考え、また医療体系における位置づけとしてはいかように考えておられるのか、まずその点についてお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 今、お医者さんである委員がおっしゃったように、非常に地域の医療ニーズに対して小回りのきく、本当に住民の役に立っている、それが有床診療所だ、そういう位置づけで考えております。

 したがって、これをしっかり活用して、減少するということは今おっしゃられたような妊婦のたらい回しというようなことも起こりますから、やはりネットワーク、大きな、高次の医療を提供する病院も必要です、それから本当にかかりつけ医、ホームドクターも必要です、その中間というか、そういうものとして非常に重要な役割を担っておりますので、医療全体のネットワークの中にこれをきちんと位置づける、そして必要な支援を与える、それが必要であるというふうに考えております。

冨岡委員 この資料をちょっと見ていただければいいと思うんですけれども、ここの三枚つづりの、私が皆様のお手元に配付した資料がきょうは四枚ございますが、その三枚でホッチキスでとめてあるものが有床診療所、御存じでない方もおられるかもしれませんので、少し詳しいものを持ってまいりました。

 減るからには何か原因があるわけなんですけれども、大臣はそれなりの、必要であるというふうにお答えになりましたし、実際政府の方も必要性は認めるような発言はしておるんですけれども、いかんせん、一千カ所、率にして八%ぐらい、毎年毎年減っている。一体その原因は何かということを当局はどのように分析しておられるのか、その点についてお伺いしたいと思います。

外口政府参考人 全国の有床診療所の施設数でございますけれども、平成十二年から十七年にかけての五年間で約四千三百カ所減っております。毎年千カ所弱の減少となっているところでありますけれども、平成十六年から十七年にかけての変化を見ますと、千二百八十八カ所の有床診療所が無床診療所に転換しております。こうした有床診療所の減少分の多くは、無床診療所に転換したものと考えられております。

 このように有床診療所が無床診療所に転換する理由としては、その地域や医療機関の実情に応じてさまざまな理由が考えられるために一概にお答えすることは難しいと考えられますが、日本医師会の総合政策研究機構、いわゆる日医総研が平成十八年三月に実施した有床診療所に関する実態調査によりますと、その理由としては、人件費がかかり過ぎることや入院患者の減少が転換の主な理由であったと承知しております。

冨岡委員 そうなんですが、結局、人件費とかあるいは人材を求めることが難しい等あるんですけれども、実際、政府のベッド数の抑制政策の負の部分がここに私は顕在化しているんじゃないかというふうに思えてしようがないんです。

 ただ、ではベッドを抑制すれば医療費が抑制されるのかという、一つの信仰みたいなのがどうも厚生労働省の皆様には、ベッド抑制イコール在院日数を減らせば抑制になるというふうなお考えの方もおられるかと思いますけれども、表の三枚目の上の方に、病院との比較というのがちょっと書いてあります。これも日医総研のデータなんですけれども、気管支ぜんそくとか、よくある胃腸炎、それから頸部のリンパ節炎とか、例えば子供に関してこういうふうに、有床診療所の医療費が病院に入院したよりも半分ぐらいで済んでいるという、やはりきちっとしたデータがあるわけなんですね、これはおもしろいデータなんですけれども。

 どういうことかというと、今、お母さん方は、子供があるいは自分が入院すると、いろいろ検査をしたがるんですね。あるいは病院側も、何か間違いが起こってはいけないということで、例えば虫垂炎にしてみても、CTとかMR、心電図はとる、全部とっちゃう。ところが、有床診療所でそういう盲腸の十歳の子供が来ると、触診だけで、ああ、これは盲腸だよと。要らない検査はしません。そして、それが非常に短期間で帰っていく、そういういい面があるわけなんですね。

 これは、有床診療所がいわゆるよろず内科とかよろず外科とか言われた時代、町の唯一の医療機関であったときには、非常に重宝がられ、医療費の抑制にも貢献したということだというふうに理解できます。

 したがって、医療費抑制の面からいっても有床診療所をもっと活用するべきじゃないかというのが私の逆に感じている点でございますけれども、その点につきましてはいかがお考えでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 診療報酬についてでございますけれども、これは御案内のとおり、保険医療機関等が行う診療行為に対する対価として公的医療保険から支払われる報酬でございまして、提供される診療内容に応じて設定されるものでございます。

 有床診療所でございますけれども、入院につきまして、昨年の医療法改正によりまして、一般病床におきまして四十八時間の入院時間の制限がなくなったということがございます。私ども、有床診療所の提供するサービス内容につきまして、ただいま御指摘ありましたけれども、変化といたしましては、やはりこういった、むしろ入院医療の役割というものが大きくなっている、こういう変化もあるんじゃないだろうか、こう思っております。具体的に言いますと、やはり夜間などについて従前より手厚いサービスが求められるという側面もあろうかと思っております。

 したがいまして、お尋ねの有床診療所におきます診療報酬上の評価につきましては、まさに実際に提供される診療内容を注視しながら、中医協での検討を進めてまいりたい、このように考えております。

冨岡委員 この資料にありますように、資料の三枚目のスライドになりますけれども、有床診療所においては患者さんが非常に高い満足度を覚えています。

 これは、有床診療所というのがある程度の専門性を持ち、また、自分のおうちから非常に近いところに、十五分ぐらいで歩いて行けるところにあるということ。さらには、二十四時間いつでも、とんとんとたたけば、無床診療所のように、そこにお医者さんがいなくなる、夜間はいなくなるということはございません、そこに必ずおられるわけであります。また、自分が重い病気のときは、そこを通して紹介していただける。さらには、介護保険が適用になった以降には、そこに介護施設があったり、あるいは医療から、キュアからケアの方にシームレスな、継ぎ目のない医療と介護が受けられるという非常に理想のシステムがそこに存在するわけでございます。

 また、ゲートキーパーとして、医療、介護のみならず、いろいろな部分の相談にもなるという、まさに地域において、人口千人、二千人ぐらいの小さな地域においては本当になくてはならない施設ではないかというふうに思っております。

 ただ、この資料の二枚目の下に見ますように、やはり長期間に入院あるいはそこにとどまるということになると、これが政策誘導として非常に低い評価しか与えられなくて、追い出されるというような格好になります。その結果、全国で今三十八万人ほど老健とか特養に入所を待っている方が、おじいちゃん、おばあちゃんですと、手術をした後、そこにとどまっても、家に帰っても生活できない方が行き場を失っているというのが今の有床診療所の一つの問題点であります。

 この有床診療所というのは、ここ東京あたりではもう専門化して、大都市では例えば脳外科の手術、心臓のバイパスの手術、あるいは眼科の手術、特化できます。しかし、皆様方の田舎、考えてください。面積でいえば、日本の三分の二以上の地域が中山間地とか小さな町あるいは中都市でございます。そこにおいて同じような政策をとること自体が非常に矛盾した、いわゆる政策と実態が非常に乖離したような状態がこの有床診療所にも見られるということではないかと思っています。

 したがって、政策に一貫性を持たせて、いろいろな政策誘導をする際にも、今は保険点数等で、どうも保険局が何か政策誘導して、時に筋悪の政策を打ってくるような印象をどうも私自身は持って、囲碁を打つ人とか将棋を打つ人で筋が悪いと言われると、ごり押しでいくような政策を意味するんですけれども。そういった意味で、私は厚生労働行政のリーダーシップをとる局というのはやはり医政局が全体のペースメーカーでなくてはいけぬのじゃないかというふうに思うわけなんですけれども、その点につきまして、大臣のお考え、何かございましたらお聞きしたいと思います。

舛添国務大臣 委員御指摘のように、保険局、これは国民皆保険を維持するためにどうすればいいか、当然、給付の抑制というようなことを視野に入れないと国民皆保険が維持できない、これはこれで一つ存在意義はあると思います。しかし、今おっしゃるように、医政局は、では医療をどういうふうにして提供するか。例えば、有床診療所をどういうふうに使うか、ホームドクターのシステムをどうするか。これもやはりきちんとリーダーシップをとってもらわないといけない。

 そういう意味で、車の両輪のように、両方がしっかり連携をとることが必要でありまして、それは私が大臣としてしっかり連携をとらせる役割にありますので、そういう御指摘を賜って、きちんとやっていきたいと思います。

 ただ、一つ問題意識を申し上げますと、私自身はまだ着任して二カ月足らずでございますけれども、やはり、もう一度、この厚生労働省のあり方、それは大きく分けて霞が関の省庁再々編成というような観点からやらなければ、それは国家予算の四分の一ですから、一つの省が担っている、余りにずうたいが大きくなっている。やはり問題が出てくる面もあると思いますから、これは国民みんなで、どういうふうな形で厚生労働行政を担うシステムを変えていくか、改革の視点もまた必要であろうというふうにつけ加えておきたいと思います。

冨岡委員 ありがとうございました。そのエネルギーに期待をしておりますので、どうぞ頑張っていただければと思います。

 続きまして、私のローカルな話になるかもしれませんが、被爆地長崎、被爆地対策について少しお尋ねしたいと思います。

 この被爆者対策というのは、ずっと戦後六十二年間、いろいろな形で形を変えながら継続してやられてきております。昨今、注目を、耳目を集めているのは、原爆症認定をめぐる訴訟問題ではないかと思います。国側は六連敗ですか、ずっと負け続けているような判決が出て、広島原爆の日を前に、安倍前首相が八月五日に、原爆症認定のあり方について専門家の判断を見て見直しを検討したいと表明されたわけでございます。これを受けて、福田総理、そして舛添大臣が今それに取り組んでいるというふうに承知しております。

 ただ、原爆症をめぐる集団訴訟では、その判定基準になったのが、平成十三年に策定されました原爆症認定に関する審査の方針、これに基づいて認定をしているというように理解しておりますけれども、今回の見直しで新しい審査基準の作成検討に入ったということは、本当にこれは裁判所の判断に照らしても当然のことだと思うし、評価できると思います。

 これを受けて、我々与党PTでは、十月下旬より正式に活動を開始しております。政府の原爆症認定の在り方に関する検討会、これが並行しながら、今現在四回の検討を行っている。与党PTは回数はもう相当になっていますけれども、勉強会も含めれば恐らく十数回になっていると思います。

 さて、これとはちょっと話がまた違いますけれども、長崎における原爆被爆地域については、ちょっと参考資料をごらんください。資料の二に、このピンク色が三十二年に施行して、これは驚くべきことに行政単位で決められていますね。当時の市の区分プラス町ということです。これはおかしいということでいろいろ変遷を加えておられるのが、水色、グリーン、それから黄色ということになっている。

 この黄色の部分に関しましては、何と、被爆体験者という、これは被爆者ではなく被爆体験者とは一体何だろうかというような、僕も最初それを知ったときは、それは何ですかという質問をしたぐらいなんですね。

 つまり、この黄色の部分は、被爆五十五周年の平成十二年に、やはりおかしいんじゃないかということで、当時の森首相が見直しなさいよと言った経過がございまして、ただ、被爆者としてはなぜか扱われていない。PTSD、ポスト・トラウマティック・ストレス・ディジーズ、心的外傷後ストレス障害、こういう診断のついた人がそこにいるんだというような、ちょっと、何ですかといろいろ説明を聞かないとわからないような、そういう方たちがおられるということを知っていただきたいと思います。

 そして、これが、被爆体験者支援事業としてそういった方たちに支援が始まったんですけれども、何と、二〇〇五年六月の制度改正で、一部の人たちが、記憶のない人たちが外されたという経過がございます、簡単に言うと。記憶がないといっても、二歳とか一歳の人があるわけもないわけなので、実際、お兄ちゃんは記憶が四歳であったから、同じ家に住んでおって、それは認定されて、あなたはないからだめなんだと。私は一歳で覚えておりませんと言っても、しようがないということで、外されたわけでございます。極端に言えば、そういう説明でいいと思います。

 そういう経過がございまして、一体これは何からきているのかなということなんですけれども、そういった不可解な問題がございまして、実は昨日、この被爆体験者団体から訴訟が起こったということです、長崎ですね、これはおかしいじゃないかと。非常に残念な気もするんですけれども、現場で聞いてみると、本当に、当時子供で三、四歳の方たちも、原爆に関する閃光や爆風とか、ガラス戸が破れたということをやはり覚えておられます。そういう方もおられます。そして、雨が降った、黒い雨が降ったというふうに訴えられるわけですね。

 したがって、一体これはどういう扱いをすればいいのかということが問題になるわけなんです。これは、裁判が始まったので軽々にいろいろコメントがしにくいとは思いますけれども、恐らく、大臣、初めてこの被爆体験者という言葉を聞かれたんじゃないかなと思いますけれども、今のお考えというんでしょうか、自分のコメントとして、もし何かございましたらお聞かせ願いたいと思います。

舛添国務大臣 委員おっしゃるように、被爆者と被爆体験者というのはどこが違うんだろうと、これは国民の常識的な観点から見て、皆さんそう思われると思います。

 今委員いみじくもおっしゃいましたように、訴えが起こされたと。その訴状がどういうものかは、まだ私受け取っていませんので、それはよく検討させていただきたいということをまず申し上げたいと思います。

 平成六年に、プルトニウムの残留がどれだけあるかという報告書がたしか出されたと思いますが、そのときには、その地域はありませんというような形の報告書が出ていて、片一方で、例えば、今被爆体験者と言われる方を何とか救えないかというようなことの、一つの政治的妥協でこういう形の言葉になったんだろうというふうに私は想像いたしますけれども、今委員がおっしゃったように、同じ屋根のもとで、記憶あるかなしかで区別するというのは、それはやはりおかしいことだと思いますので、少しこれは、訴状も含めて、状況を検討した上で、何らかの形の手が打てるかどうか、また検討させていただきたいと思います。

冨岡委員 ありがとうございます。

 実際、この定義としては、そのとき、原爆投下時に発生した放射線による直接的影響がない人と定義されて、ただ、この原爆症の認定問題で裁判所がずっと出しているのは、直接被爆という判定基準で今までやられているのがおかしいんじゃないかというのが原爆症認定で出された判決なんですね。

 それを解釈していきますと、誘導放射線とか放射性の降下物、そこから発生する放射能というのも、あるいはそれを飲水で、あるいは呼吸器から入ってくる粉じんみたいなもので内部被曝等も無視できないことが、これが認められたんですね。

 それを認めようとして、今、在り方委員会が検討している、そういう状態にあるもので、もしそれが、内部被曝とかというのを勘案すれば、この被爆体験者というグループがやはり被爆者として当然扱われねばいけないというふうな、そういう考え方が成立するわけで、その点をぜひいろいろ御検討いただいて、前向きな施策を打ち出していただければというふうに思います。

 最後になりますけれども、一つだけ年金問題についてお尋ねをしたいと思います。

 先日、総務省の年金記録問題検証委員会から報告書が出されました。年金記録問題発生の原因あるいは責任等について記述されていますけれども、根本にある問題としては、裁定時主義の問題が取り上げられていると理解するわけです。年金給付の裁定請求時等に本人が事務所に来るからそのときに記録を確認すればよいという事務処理上の考え方があるわけですけれども、こうした考え方があるからこそ、今までいろいろ、受給資格があるのに申請しない方がいらっしゃるのではないかと考えます。要するに、税金だったら強制的に取られるわけなので、自分が言わないと、それを忘れてしまうと、あんただめだということなんでしょうけれども。

 例えば、五年の時効にかかってしまったそれらの方が、本来もらえる年金を満額受給できないような方は一体どれくらいおるのか、また、こうしたケースについて今後どのような対策をとっていかれるおつもりなのか、自己責任で済んじゃうのか、あんたが悪いのよというだけでいいのかどうか、お考えをお聞きしたいと思います。

石井政府参考人 お答えさせていただきます。

 今先生からお尋ねをいただいたようなケース、すなわち、受給権発生後五年以上経過して裁定される件数でございますけれども、一定の前提を置きまして、直近三年分について集計をさせていただきました。申し上げますと、平成十六年度で約二万一千件、それから十七年度で約一万七千件、十八年度で二万一千件、このような件数になってございます。

 それで、取り組みの方でございますけれども、私ども社会保険庁といたしましても、このような請求漏れ、請求おくれというのを未然に防止しなければいけないという観点に立ちまして、まずは、平成十六年三月からでございますけれども、五十八歳通知というのを出させていただいております。それから、十七年十月からでございますけれども、六十歳あるいは六十五歳になって、裁定ができる、そういう条件を備えた方に対しましては、事前に裁定請求書の事前送付というのをさせていただいております。

 こういうような取り組みを講じさせていただいておりますけれども、さらに今後につきまして、本年十二月から、ねんきん特別便というのを送付することにしてございますけれども、この特別便による取り組み。それからさらに、平成二十一年度から、本格的にねんきん定期便というのを発送することにしてございますので、そうしたものを通じまして、御自身の年金記録を定期的に御確認いただくということで、そうした漏れとかおくれとか、そういうことが生じないようなきちんとした取り組みを私どもとしてもさせていただく、注意喚起をさせていただく、こういうことで取り組んでいきたいというふうに思ってございます。

冨岡委員 国民が一番素朴に思うのは、税金は取っていかれるのに、何で年金は自動的に来ないのかという点なんですね。もう本当にシンプルな、人間の持った気持ちなんですよ。だから、通知すればいいという、そしてやはり、万が一亡くなられた方もおられるかもしれませんし、住所を移転して。

 ただ、今までの経過を見ていると、私個人的には、やはりそこら辺の制度はきちんとして、実際に本当に届いたのかどうか。届かないかもしれないし、どこかで郵便配達人が捨てたかもしれないし、そういうのがあるから、確実に確認して、意思表示がわかるように、受けました、届きました、しかし、要りませんなら要りません、しばらく待ちますなど、やはりそういう制度構築をもう最初から考えないとだめだろうと私は思っていますので、その点をつけ加えさせていただきます。

 終わります。ありがとうございました。

茂木委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、安心して子供が産める環境整備について質問をしてまいります。

 先ほども話題に出ました、本年八月、奈良県で妊娠中の女性が多数の病院に受け入れを拒否され、救急車内で死産をするという大変痛ましい事件が発生をいたしました。このような事態が、これが決して特異なケースというわけではなく、各地で散発をしていることを公明党は真剣に受けとめ、国民の生命にかかわる救急医療体制の強化を最重要課題と位置づけ、先月、救急医療対策推進本部を設置いたしまして、産科を含めた救急医療体制づくりへ、現在、精力的に調査、また視察を続けているところでございます。

 一昨日も、渡辺孝男本部長等とともに、舛添大臣に申し入れをさせていただきました。大きな柱といたしましては、全都道府県に救急中央情報センター、仮称ですけれども、設置するなど、二十四時間三百六十五日受け入れ可能な救急医療の情報提供体制整備、また、搬送体制の強化、延命率の向上、五年間で搬送時間を二十分に短縮させていきたい、また、安心、安全の周産期救急医療体制の整備、救急医療を担う人材の確保、救急蘇生法、AEDの普及啓発など、五本を柱とした、二十二項目にわたる内容でございました。

 そこで、まず初めに、救急中央情報センターの設置に関してですけれども、先日、東京消防庁にも行ってまいりました。恐らく、我が国では最も進んだセンターであるというふうに思いますけれども、二十三区内とそれから二十三区外、この二カ所で集中して情報管理をしている。要請があったときには瞬時に、ここの病院のこの科があいているという情報が提供できるという、非常にそこに集中をしてできる。地方、市町村ではなかなか難しいなという感じもいたしましたけれども、全都道府県に、二十四時間三百六十五日対応の救急中央情報センターを設置して、リアルタイムでの受け入れ表示システムを導入するなど、広域連携体制を構築すべきと考えますが、大臣、いかがでございましょうか。

舛添国務大臣 緊急医療体制の整備につきまして、まず、公明党の皆さん方が本当に御熱心に取り組んでおられることに敬意を表したいと思います。

 やはりこれは、私も救急車のお世話になったことがある、私の子供も非常に体が弱くてしょっちゅうお世話になっている、そういう国民の観点から見て何が足りないか、これをやるのが厚生労働行政だ、そういうような考えを私は持っております。

 それで、二十四時間三百六十五日対応できる救急中央情報センターですけれども、今、四十四都道府県に設置されまして、あと残すところ三つだけであります。これは、都道府県の消防本部にも提供されておりまして、検索可能だということですから、できるだけ早く全都道府県に設置したいというふうに思っています。

 総務省の消防庁とこれは連携をとらないといけない。私自身は、千葉県を視察したときに、君津の消防署を見させていただきました。それでやはり、もうちょっとデジタル化が進めばいいな、ITをもっと活用してくれないかなというようなことがございますので、総務省と連携をとりながら、一日も早くこの体制を整備して、国民の命を救う、このシステムを整備して救われる人がふえれば、それは大変結構なことですから、そういうために全力を挙げていきたいと思います。

古屋(範)委員 今大臣からも、国民の視点で、また国民の命を守る、これこそが厚生労働行政だという強い御決意を伺いました。ぜひとも、全都道府県での整備、一日も早くよろしくお願い申し上げます。

 次に、先月の二十九日でございますが、福岡県にある久留米大学病院に行ってまいりました。ここは、総合周産期母子医療センター、高度救急救命センターなどございまして、同センター、そしてドクターヘリなども拝見をしてまいりました。

 ここでは、平成十八年度、約三百回ヘリが飛んでおりまして、今年度はもっと多くの回数飛んでいるそうでございます。最初、平成十四年にスタートしたころは、病院間の搬送というようなことが主な仕事だったそうなんですが、現在ではもう救急の現場に行って医師がそこから患者を直接治療しながら病院に搬送する、こういうところが主流になっているということでございました。病院を挙げて救急医療に取り組んでいらっしゃる。福岡県のみならず、隣接の佐賀県、また大分の一部まで含めてこの大学が救急医療を担っているということでございました。県を越えた広域の搬送を視野に入れたドクターヘリの配備、また周産期救急医療の拡充というものも痛感したところでございます。

 そこで、初めに、このネットワーク構築の中心となりますのが総合周産期母子医療センターでございます。この整備状況についてお尋ねをいたします。

 厚生労働省は、これまで、安心して子供を産み健やかに育てる基盤として重要な、この総合周産期母子医療センターを中核としたネットワーク整備を進めていらっしゃいます。平成十六年十二月に策定された子ども・子育て応援プランでは、平成十九年度までに周産期医療ネットワークを全都道府県で整備することを目標に掲げておられます。

 年度末まで半年を切っておりますけれども、現在、この総合周産期母子医療センター、四十二都道府県、六十八施設が整備されたと伺いました。昨年よりも整備されたとはいえ、未整備の県はまだ五県。山形、岐阜、奈良、佐賀、宮崎が残されております。十九年度末までに本当にこの残り五県を整備できるのか、国民が安心できる体制を一刻も早く整備していただきたいと思いますが、この点について、いかがでしょうか。

大谷政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお話がありましたように、周産期の医療ネットワーク事業と申しますのは、リスクの高い妊産婦や新生児などに高度の医療が適切に提供されるよう、各都道府県において、周産期医療の中核となる総合周産期母子医療センターの整備や、地域の医療施設と高次の医療施設との連携体制の確保などを目的とした事業でございます。

 今お話がありましたように、現在のところ、四十二都道府県において整備されておりまして、このうちの三県は今年度に入ってから整備されたものでございます。現在、さっき御指摘のありましたまだ未整備の県について、個別の事情をそれぞれ聴取して、その整備に向けた取り組みや、それから整備までの対応について必要な助言を行っているところでございます。

 聞いてみますと、各県には各県の個々の事情があるということも承知しているわけでありますけれども、十九年度の全県整備という目標に向けまして、各県にさらに努力を促しているところでございます。

    〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕

古屋(範)委員 それぞれ個別の事情がある、あるからこそできないんだと思いますが、ぜひ国として指導、助言、支援をよろしくお願いいたしたいと思います。

 また、先日の委員会で、NICU、新生児集中治療室、またその後方支援の施設の整備の拡充について質問させていただきました。周産期医療の充実と申しましても、その根っこには、小児科医、産科医、また看護師などの不足、こういう大きな問題が横たわっているというふうに感じます。ここで指摘しました周産期医療ネットワーク整備がおくれている背景に、こうした医師不足というものがあるということは指摘されております。

 産科医がやめてしまう理由、それには、過酷な勤務実態、また訴訟が多い、また若い世代で増加している女性医師が結婚、出産を通してやめてしまう、このような事情があるようでございます。産科医会は、過重労働やそれに見合わない対価が、産科医やお産ができる施設の不足に拍車をかけ、それが妊婦の搬送先が見つからない一因になっていると指摘をしております。女性の産科医は、出産、育児によっておよそ三分の一が現場を離れてしまうということでございます。それを考えますと、女性医師が出産、子育てを経ても働き続けられる、こうした環境整備が非常に重要ではないかと考えます。

 私は、かねてから、小児科医、産科医の確保の観点から、女性医師の就労を支援するため、女性医師バンクの創設を提案してまいりました。この女性医師バンクは、女性医師の再就職をあっせんする機関としまして本年一月にスタートをすることができました。非常に期待をされているところでございます。

 私も五月に行ってまいりまして、ここで実際に女性医師バンクを運営していらっしゃる保坂シゲリ運営副委員長から現在の状況を伺ってまいりました。十月三十一日現在では、登録者が百十七名、また求人登録一千七十六件、このうち四十三件が、一月から今日まで就職が決まっているという大きな成果を上げているということでございます。

 しかし、コーディネーター、女性医師バンクという名前は非常に立派なんですが、実際、保坂先生がたったお一人で実質的にはコーディネートをされていまして、御自身は横浜で開業されていますので、深夜、電話連絡やらメールを打ったり、非常に大量の業務、登録から就職相談、再就職支援など、たったお一人で担っているような状況であります。

 医師の偏在による特定の地域や、小児科、産科の特定の診療科における医師不足は非常に深刻でありまして、早急に解決していかなければなりません。その一方で、出産等で一時的に現場を退いた女性医師は、やはりパートタイムなどで柔軟な働き方をしたいという希望もございます。しかし、病院勤務ということになれば、やはりフルタイムで働いてほしい、夜間もやってほしいというような希望もあるわけで、ここのマッチングというのは非常に難しいわけであります。

 女性医師の育児支援あるいは再就職しやすい環境づくりを推進するために、女性医師のためだけではなくて、我が国の医師不足の解消、子育て支援、安全、安心の医療体制整備のために、私は需要と供給のミスマッチを効率的に解消するために、女性医師バンクの強化が必要であると考えます。

 このコーディネーターを予算として、増員の予算をぜひ確保していきたいと考えておりますけれども、この点に関しまして、大臣、いかがでございましょうか。

舛添国務大臣 医師不足、そして特に産科、小児科における女性医師の比率が非常にふえている、御本人が出産、子育てということで一時職を離れられる、そこからくる問題という、これはもう古屋委員と私は全く問題意識を一にしておりますし、女性医師バンクの設立に当たりましても、古屋委員初め公明党の皆さんが大変すばらしい提案をしていただきまして、本当にありがとうございました。

 ただ、今おっしゃられたようなミスマッチがある。実は、求職登録者は全体で二百二十九人いるんですが、四十三人というのは、ことしの十カ月ぐらいでできたというのは非常に結構だと思いますけれども、もっとふやしたいなと。ただ、今おっしゃったようないろいろな要望と病院側のニーズとが合わないということですから、ことしの五月に緊急医師確保対策を政府・与党で組みましたので、これを一つのてこにしまして、来年度は相談体制を拡充するように全力を挙げて、予算獲得を含めて頑張りたいと思いますので、またいろいろ御支援を賜りたいと思います。

古屋(範)委員 ぜひ女性医師への強力な支援、大臣を先頭にお願いしたいというふうに思います。

 さらに、私も先日、文京区内にある順天堂大学の院内保育所にも足を運びました。太田代表とともに参りましたのですが、ここの病院では、女性医師、また看護師の、ちょうどそのときは十二名の乳幼児が預けられていまして、開設三十年という歴史のある保育所でございました。しかし、都内でもなかなかこうした院内保育所という施設は少ないわけであります。太田代表も、若い世代、働く女性にはこういう施設が必要だ、女性医療関係者が働き続けられる環境づくりに全力を挙げていこうというふうに申しております。こうした深刻な医師不足問題に重要なかぎを握る女性医師の働く環境の整備に総力をさらに挙げていかなければいけないと感じたところでございます。

 そこで、医師、看護師、また女性医療スタッフの就労支援のために、院内保育所の整備、勤務時間の調整への支援を強化すべきと考えます。東京都医師会の先生方にもお伺いしましたが、民間病院は、この院内保育所の大切さはわかっていても、やはり人件費の高騰等、経営の厳しさからなかなか開設ができないというお声も伺っております。

 厚労省、この取り組みについてお伺いをしたいと思います。

外口政府参考人 緊急医師確保対策におきましても、それから女性医師を初めとする女性の医療関係者の働きやすい環境づくりということにいたしましても、この院内保育所の整備は大変重要でございます。それで、平成二十年度予算におきましても、予算の増額はもとより、補助要件の緩和等も含めて充実強化を今お願いしているところでございます。

 また、院内保育所以外につきましても、女性医師の支援対策としては、医師の交代勤務制等の導入の支援でございますとか、それから先ほど御議論いただきました女性医師バンクの体制強化の問題、それに加えて、また、女性医師の方のキャリアを中断することなく柔軟な勤務体制が可能となるような、こういった短時間正社員制度の周知、これも進めていきたいと考えております。

 今後とも、女性医師、看護師を初めとした女性の医療従事者の方々が安心して就業できるよう、きめ細かく対応していきたいと考えております。

古屋(範)委員 厚労省におかれましても、こうした院内保育所の増設など、さまざまな取り組みをされているということでございますが、地方においても非常に深刻であり、都内はいいかといいますと、やはり都内も産科医が不足し、一軒の病院が産科を閉鎖する、そうすると、その隣接の病院にまた荷重がかかり、ドミノ現象で非常に厳しいというような意見も伺っているところでございます。

 次に、助産所との連携についてお伺いをしてまいります。

 現在、産科医の医師不足というものは非常に深刻であるわけなんですが、分娩を取り扱う施設も減少していることが指摘をされております。昨日発表されました読売新聞の調査でも、昨年四月以降、出産の取り扱いを休止した病院が全国で少なくとも百二十七カ所である、出産を扱う病院がこの一年半で約一割減っているということがわかりました。

 こうした現状を考えますと、産科の人材確保の観点からも、助産所のさらなる活用を進めていかなければいけないのではないか、このように考えます。

 私の住んでおります横須賀市におきましては、市民病院と助産師、ここが連携をしていかなければいけないということで、市が、行政が積極的にかかわっていきまして、今、市民病院には助産師外来が開設をし、市の支援によりまして助産師の人材バンクなども創設をされております。地域で安心して出産ができるよう、役割分担と連携で助産所の分娩が推進をされれば、産科の負担も多少減るのではないかということでございます。

 先月発表されましたNICUの全国調査を見ますと、助産所のネットワークの組み入れでは、十六自治体で助産所がネットワークに入っているということが明らかになっております。今後、助産所や助産師外来の開設を推進して、正常分娩における助産師のかかわりを強化すべきと考えます。この点に関しまして、いかがでしょうか。

 また、もう一つ。先日、日本助産師会との懇談の折に、開業助産師が引き続き安心して業務が継続できるよう、医療法第十九条に規定をされています産科嘱託医師、嘱託医療機関が確実に確保できるようにと要望を伺っております。

 医療法第十九条の改正で、開業助産所では出産の安全性が確保されるよう定められまして、来年の四月までに嘱託医療機関を確保することとなりました。助産師会の調査によりますと、これまで、助産師個人の自主的な努力によりまして約八割が確保された、全国的にもう一歩、国としても後押しをしていただきたい、このような声を伺っております。

 そこで、周産期医療ネットワークに組み込まれている助産所につきましては、嘱託医療機関を確保できたものとみなしてもいいのではないかというふうに考えますけれども、この点についていかがでございましょうか。厚労省の御見解をお伺いいたします。

    〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

外口政府参考人 助産師外来等の推進によって助産師の活用を図ることは、限られた医療資源のもとで安全、安心なお産ができる体制を確保するために大変重要だと考えております。

 本年五月の緊急医師確保対策も受けて、平成二十年度の予算の概算要求でも、院内助産所や助産師外来の整備の促進や、これらに携わる医師や助産師を対象とした研修事業を新たに盛り込むなど、助産師の活用についての支援を進めているところであります。

 また、嘱託医療機関を確保できていない助産所に関する今後の取り組みでございますけれども、これは、今後必要になってくるのは、それぞれの個別事情を勘案した上での対応になってくるかと思いますので、この点については、都道府県に対しても、嘱託医療機関の確保が着実に進むよう指導を要請して、進めていきたいと思います。

 それから、御提案の、周産期医療ネットワークを構成しているときは要件緩和という観点でどうかという御指摘でございますけれども、やはり、嘱託医療機関にとって必要不可欠な日ごろからの連携関係というものもございますので、周産期医療ネットワークを構成しているだけではちょっと無理があるのかなと思います。

 ただし、例えば要件緩和という観点から見れば、周産期医療対策協議会の場を活用するなどして、都道府県の支援のもとで、助産所が嘱託医療機関として特定の複数の医療機関を確保するといった方策については、これは有効ではないかと考えておりますので、そういった点も含めて、今後、嘱託医療機関の確保が着実に進むよう一層取り組みを強化していきたいと考えております。

古屋(範)委員 さらに、たらい回しの原因として、飛び込み出産というケースが非常にふえているということでございます。かかりつけ医がない、要するに妊婦が健診を受けていない方がふえているということでございます。

 今回の調査によりますと、無料の妊産婦健診を行っている回数、全国平均二・八回ということでございます。五回を目指そうということでございましたけれども、まだまだそこに至っておりません。

 この妊産婦健診につきまして、各自治体に運用が任されているわけですが、この中で、国としても、自分自身が住んでいる市町村を離れて、里帰りなどで他の自治体で健診を受ける場合にも、ぜひ公費助成が受けられるよう医師会また自治体へ働きかけて、自治体が取り組みやすいインセンティブを与えるなど工夫が必要かと思います。全国どこにいても安心して出産できる体制の整備に取り組んでいただきたいと思います。

 また、将来、望ましい健診回数十四回を確保できるよう、妊婦健診の支援を拡充すべきと考えますが、大臣、いかがでございましょうか。

舛添国務大臣 奈良県のたらい回しされた妊婦さんのように、一度も健診を受けていなかった、それで恐らく救急隊員の方もすぐ対応できなかったというのはあると思いますから、おっしゃるように、最低五回やるとこれは基本的な線はいけるということなので、そうするように、今年度、十九年度予算措置を地方財政上とってありますので、これはぜひ各都道府県、きちんとやっていただきたい。

 それで、秋田県なんかは十回、これは知事さんのリーダーシップでやっているんですね。それから、市町村によっては十四回やっているところもあるというのをお伺いいたしました。

 ですから、少し市町村、地方自治体のレベルで頑張っていただくということとともに、今おっしゃられた、里帰りで可能なためには、後払いという、償還払いのことができればいいので、現物給付だとなかなかこれはできませんから、そういうことも含めて、きめの細かいサービスを各自治体でやっていただくように今後とも促していきたいというふうに思います。

古屋(範)委員 ぜひ妊産婦健診の無料化を国としても後押ししていただきたい、このことをお願い申し上げます。

 最後になります。乳幼児突然死症候群、SIDSへの取り組みについてお伺いをいたします。

 このSIDSとは、元気な赤ちゃんが突然死亡するという、サドン・インファント・デス・シンドロームという病気でございますが、公明党としても、この予防キャンペーンを全面的にバックアップし、進めてまいりました。

 日本でその発症頻度はおよそ出生四千人に一人と推計をされておりまして、生後二カ月から六カ月に多いとされております。厚労省においても、二〇一〇年までにこの死亡率を半減することを目標に掲げて、十一月を対策強化月間とされています。

 このSIDSが、保育園等の預け始めに際立って多発している。昨年六月、横浜市内で行われたSIDS国際学会でそのことが報告をされています。国として注意を喚起すればこの発生の頻度を低下することができるのではないか、この調査を早急に行うべきと考えます。

 また、もう一つですが、無認可保育施設など、保育ママ、ファミリー・サポート・センターなど、こうしたボランティア保育の現場で子供がSIDSなどの病気で亡くなった場合、今は何の補償もないわけでございます。この事故発生時の保険、共済制度などの創設が必要と考えますが、この点、厚労省のお考えをお伺いいたします。

大谷政府参考人 乳幼児突然死症候群であります。今、SIDSというふうにおっしゃったわけですが、これは何の前ぶれもなく乳幼児に突然の死をもたらす病気のことで、その発症原因はいまだ不明であるとされておりますが、その予防が大変重要であるとされているところでございます。

 今、発症率についても、死亡率についても御指摘ございましたけれども、この死亡率、平成十二年には人口十万対で二十六・六でありましたものが、平成十七年には十万対について十六・四というふうに低下をしてきているところでございます。

 これは、うつ伏せに寝かせる、あるいは母乳によらない保育をする、あるいは保護者等の習慣的喫煙、こういった育児環境がこの発症のリスクを高めるという研究結果を受けまして、一つは、母子健康手帳へのSIDSに関する情報の掲載をする、二つとして、この十一月でございますが、SIDS対策強化月間を設定して、ポスターやリーフレットによる予防キャンペーンの実施、これらによりまして、自治体や保育所等の関係機関を通じて広く普及啓発に努めてきたということも一定の効果を上げたのではないかと考えているところでございます。

 さらに、その調査というお話がございましたけれども、平成十八年度の厚生労働科学研究におきまして、SIDSの診断基準を見直しまして、診断のための手引を作成し、現在、自治体、医療従事者など関係者への普及を図るとともに、引き続きその原因究明等に関する調査研究を実施しているところであります。

 また、認可外保育所についてのお尋ねがございましたが、認可外保育所におけるSIDS発生の予防対策につきましては、これは保育所保育指針というものを認可外の保育施設でも踏まえていただくというように現在周知しているところでありまして、引き続きその対策について徹底してまいりたいと考えます。

 それから最後に、SIDSが発生した場合の補償でございます。

 これは、現在は、各施設が任意で加入しております民間保険会社の保険により対応いただいているということでございます。これを新たな、例えば強制的な補償制度、こういったことの創設につきましては、その財源や給付の範囲をどう考えるかであるとか、既に民間保険会社に保険加入が相当程度普及している、こういったこともありまして、さまざまな検討課題がまだあるのではないかというふうに考えるわけでございます。

 厚生労働省としましては、第一義的にはこの発生の予防に努めることでありますけれども、万が一発生した場合について、保険に加入するよう関係者に促進してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 安全、安心な出産、この体制整備を強く求めまして、質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。

 私の時間は四十分ということでいただいておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 きょう午前中でも、これまでの一時間余りですが、医療の問題あるいは原爆症の問題等々、さまざまな議論がある。大変大きな厚生労働行政の幅広い仕事の中でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 また、肝炎対策につきましては、後ほど同僚の委員からも御指摘があろうかと思いますので、大臣の御英断といいますか、決断といいますか、そういったところも率直にお聞かせをいただきたいというふうに思っております。

 私、ペーパーでの通告ではなくて、第一問目の通告といたしまして、きのう口頭でも申し上げさせていただいておりますので、恐らく準備をされていらっしゃると思いますが、先ほど、冨岡委員からも原爆症の被爆体験者の話がございました。原爆症認定の在り方に関する検討会が先ほど少し議論になりまして、今鋭意検討中であるということでございますけれども、在外被爆者の問題もさらにあり、あるいは二世の問題もありということで、この原爆症の問題につきましては、先ほど裁判では国側が六連敗しているという話がありましたけれども、さまざまな問題がまだ内包しているというところでございます。早くこの問題も私は解決を強く求めたいというふうに思っておる次第でございます。

 そこで、検討会の推移でありますけれども、一体どのようになっていますでしょうか。今の現状をまずお聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

舛添国務大臣 肝炎の話も出ましたけれども、私は、お答えする前にちょっと一言この場でも申し上げたいのは、安倍総理が就任なさいまして、やはりC型肝炎も従来の延長線でない対策をきちんととるんだ、新たな対策をとるんだとおっしゃった。それから、原爆症の問題にしても、専門家にきちんと検討させて、しかるべき見直しを行うんだということをおっしゃった。

 不幸なことに、体調を壊されるような事情がありまして総理を退任なさいましたけれども、安倍総理が、やはりこの思いの中で、C型肝炎の問題であれ原爆症の問題であれ、大きく前に進めたいという御意思で第一歩を踏まれたことということを私はきちんと踏まえた上で、政権が今福田政権にかわりましたけれども、それをきちんと引き継いでやっていきたい、そういうことをまず申し上げておきたいと思います。

 そして、この専門家の検討会、私は、これは、関係者の方々からも、非常に公平なメンバーでやっておられる、いろいろな意見を持っておられる方がそこに入っているということでございますので、その上で今まで四回検討を進めていただいております。与党のPTにおいてもその検討もなされておりますので、それを踏まえた上で、少しでも前進させるように努力をしたいというふうに思っております。

 それから、在外被爆者の件につきましても、一九四五年の八月から数えますともう六十年以上たっておりますから、当然、それは皆さん、だんだん御高齢になる、海外から日本に検査を受けるために来られるというのは大変な御負担だ、こういう事情を踏まえて、与党のPTの方で一つの案を提案なさるということでありますので、それを受けた上できちんと答えを出していきたい、そういうふうに思っております。

園田(康)委員 大臣、与党ばかりのPTの話をされておられますけれども、実は、私ども民主党も議員懇談会をつくっておりまして、この問題は、厚生労働部門会議の中でも議論をさせていただきながら、先般、在外被爆者については見直しの改正案を取りまとめをさせていただきまして、今、延長国会になったという形でありますので、与党の皆さん方も取り組んでいらっしゃるということでありますので、このどこかでまた議論をする、そしてこれを改正に向けての提出へ、改正へというふうに強くお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 ただ、一点、ちょっとこの議論を余り長くすると、私は自立支援法の話をきょうはしようと思っているんですが、先ほど公平な検討会であるというお話をいただいたんですが、必ずしも私はそうとは言い切れないという面もまだあるのかなと。

 したがって、科学的知見というところを厚生労働省はとらえようとされておられるわけでありますけれども、果たしてその科学的知見で、六十二年前のあの原爆症の、残留放射線のものであるとか、あるいは内部被曝の関係であるとか、そういったものの起因性をしっかりととらえることができるのかというところからすると、私は、四回、五回ささっとやって、それで本当の意味での認定の基準というものがつくれるとは、ちょっと疑問を持たせていただきながら、その検討会のあり方を注視させていただいております。ぜひ大臣、その点は御留意をいただければなというふうに思っております。

 さて、十月の三十日でありますけれども、日比谷野外音楽堂に、ことしもと言っていいんであろうというふうに思うわけでありますが、昨年も十月の三十一日でありました。もとをただせば、二〇〇五年の十月三十一日にこの障害者自立支援法という法律が可決、成立をいたしました。私は、大変そのときは残念に思った次第でございまして、また、その強行的な手法に対して大変憤りを感じたものでございます。

 それも、やはり全国の障害者の方々の思い、あるいは現場の実態、そういったところを踏まえれば、そうそう軽々に、審議時間が来たからといってそれを成立させるということはいかがなものかな。しかしながら、一方で、障害福祉分野の行政を推進していかなければいけない、その思いについては私は変わりはない、皆さんと共有させていただいているわけでありますけれども、しかしながら、その中身をしっかりともう少し議論していただきたかったなというところがあったわけでございます。

 そのうちの一つに、ことしの十月三十日、「今こそ変えよう!「障害者自立支援法」一〇・三〇全国大フォーラム」という形で、私も今手元に持たせていただいておりますけれども、「私たち抜きに私たちのことを決めないで! 今こそ変えよう!「障害者自立支援法」」という形の黄色いパンフレットとして配られておりました。その際に、恐らく大臣のお手元にも、障害当事者団体の実行委員会の皆様方からの自立支援法の改正を強くお願いするという要望書が出てきたのではないかなというふうに思っております。

 その内容でいきますと、まず、今立ちおくれているこの障害福祉分野を全面的に引き上げていくためには、やはり予算というものをきちっと頑張ってつけていかなければいけないだろう、その取り組みに対する大臣の取り組みへの要望というものがあっただろうと思っております。

 それからもう一つには、この自立支援法そのものの理念でありますけれども、つくられ方でありますけれども、よく私もこの問題については研究をさせていただきまして、応益負担という考え方、これが、いわば法律の中身からすれば定率一割負担という形になっているわけでありますけれども、しかしながら、その実態でいきますと、やはりどうしても所得能力に応ぜず、そのサービス利用の量によって負担をお願いするという法律のつくられ方になっているというところからすれば、その応益負担、括弧して定率一割負担という形になるのかもしれませんが、それをいわば何とかしてほしいというところも大きな要望として出てきているものというふうに思っております。

 そこで、私ども民主党は、もうずっとこの衆議院の厚生労働委員会でも、これを改正する、その当時は一部凍結法案というふうに命名をさせていただいておりましたけれども、この委員会で審議をしてほしいということで、ことし、前々国会でありますけれども、百六十六通常国会にその法案を出させていただいておりました。ところが、なかなか審議に入っていただけないということで継続案件になっていたわけでありますけれども、今国会でそれを取り下げさせていただいた上で、参議院で九月の二十八日にこの法案を、応益負担廃止法案という形での法案、障害者自立支援法の一部改正法案を提出させていただいております。

 早くこの審議に入っていただきたいというふうに思っておるところでございまして、参議院の方でなかなか多くの議題があるということでありますけれども、ぜひ与党の、これは大臣というよりも与党の皆様方がこの審議入りに対していわば抵抗することなく、早く、障害団体の皆様方の六千五百人がこの日比谷野音に集まって、何とかしてほしい、一刻も早くしてほしいという思いで、このことを取り上げてほしいというふうに集まってきたわけでありますので、この審議は院が違いますので、参議院の方にぜひこの衆議院の委員の皆様方からも働きかけをしていただいて、しっかりと審議に応じていただきたいというふうに思っております。

 そこで、大臣にお尋ねを申し上げます。

 まず、障害者団体の皆様方から要望書を受け取られたと思っております。その要望書を受け取られて、今の皆様方の思いをどのように受けとめていらっしゃるか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

舛添国務大臣 十月三十日にたくさんの方が集まられた、それは非常に重いことだと思いますし、謙虚にそういう方々の声に耳を傾けないといけないと思いますし、それからまた、それとはまた違う、雑多ないろいろな多様な意見が寄せられていますから、いろいろな方の意見をこれは謙虚に聞くということが必要だと思います。また一方、私も、時間が許す限り、なかなか時間が許さないんですけれども、現場を見たいということで、いろいろなところを見て、視察をし、いろいろな方と見解を交換したいというふうに思っています。

 ただ、私は、理念自体、障害を持たれた方々がきちんと仕事ができて、地域社会で生き生きとやっていくために支援する、これは間違っていないだろうと思いますから、そのためにきめの細かい具体的な政策をどうするのか、そこは今から議論していかないといけないし、予算の措置につきましては、当面千二百億円という暫定措置をつけました。それで、少しこれで助かりましたという声も聞いております。そういうことを含めて、いろいろな意見を賜って、いい政策に変えていきたいと思います。

 それから、国会運営につきましては、これは国会の皆さん方がお決めになることでございますから、行政の長としては申し上げないようにいたします。

園田(康)委員 いや、そこで見直しを考えていらっしゃるということでありますけれども、たしか福田総理が、自由民主党の総裁選挙の際に、高齢者医療制度の見直しと、それから、この障害者自立支援法に関しても見直すというようなことを公約としておっしゃっておられました。そこで私もすごく期待をいたしました。ところが、総理の所信表明演説の中でこれが抜けていたように私は受けとめさせていただいたんですね。障害者自立に関する施策を、自立支援法の抜本的な見直しを行うかどうかということに関して、所信表明からは抜けていた。ちょっとこれは後退したのではないのかなという印象を受けたわけなんですね。

 舛添大臣の大臣所信では、これも、連立政権合意を踏まえ、制度全般にわたる議論を行うというふうにおっしゃっておられるわけでありますけれども、抜本的見直しを行うというふうに、私は、全国民の皆さんに対してお約束をしていただいたのではないかなというふうに思うんですね。

 抜本的な見直しをする、あるいは見直しをするということであるならば、いつどういう形で行われるのか。私は、一刻も早くこの臨時国会にでも審議をして、さらにさらに施策を進めていくということが必要ではないかなというふうに思うんですが、大臣、今後の見直しのスケジュールをどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 自民党と公明党の連立政権合意をちょっと今読んでみますと、「障害者自立支援法について抜本的な見直しを検討するとともに、障害者福祉基盤の充実を図る。」これが正確な文言でございます。

 そして、その検討をするための与党のPTがつくられていて、そこで今きちんと議論をしている。それを踏まえた上で厚生労働省としてはどうするかということを対応していきたいというのが今の状況でございます。

園田(康)委員 それはすなわち、厚生労働省としてどのように考えていらっしゃるかというのを私は一点聞きたかったわけなんです。与党の皆さん方がやるのは、それはそうですよ。我々もその議論はずっとやらせていただいております。

 全国から多くの皆様方が、六千五百人もことしも集まった、去年は一万五千人ですよ、大臣。先ほど、厚生労働省として、特別対策を行って一千二百億円を行った、そこから少しは助かったという声をいただいている、それはそうでしょう。少しは助かっているのは当たり前のことです。負担が大きく一遍に課せられたわけですからね。それによって、その軽減策をさらに行ったということではそうなんでしょうけれども、しかしながら、先ほど申し上げたように、抜本的な見直しはまだ全然行われていないということが、私は大変懸念に思っているんですということなんです。

 そこで、私は、早くこの審議に入っていただきたいというふうに思っておりますし、また、早く参議院から通過をしてこの衆議院に来て、そして、そこで与党の皆さんとしっかりとした議論をさせていただきたい。私は、今の障害者の当事者の皆さん方の生活を考えれば、一刻も早くこの抜本的な見直しが劇的に行われるということをやらなければいけないというふうに考えているわけであります。その御決意を私は大臣からお伺いしたかったということでございます。

 そこで、少し先を急ぎますけれども、大臣、根本的な問題として、応益負担という考え方を先ほど来私からは申し上げさせていただいているわけでございます。この定義でさまざまな、皆様方とは意見が食い違うところはあるわけでありますが、仮に、私の定義を申し上げさせていただきますと、電気もそうでありますけれども、利用したならば利用した分だけそれに対する利用料を払う。これはいわば、それの利用量に応じた、サービスを受けたわけですから、利益を得たわけでありますから、それによってその利用料を払うというのは、当然、私はこれが応益負担的な考えになっていくんだろうなというふうに思っておるわけでございます。

 そこで、この障害者自立支援法の法律のつくられ方でいきますと、福祉サービスを受ける、その量によって、何時間受けたか、そしてそれによって、まず根幹的な二十九条のつくられ方は、一割負担、定率な一割負担を課せられています。すなわち……(発言する者あり)ちょっと待ってください、それは次に言います。

 まず、法律の根幹のつくられ方は、サービスを受けたその量によって定率の一割負担が課せられています。そして、そこに、先ほど上限が課せられているというふうにお声が出ているわけでありますけれども、確かに、そこで減免措置として上限策が設けられているというのがこの法律のつくられ方であろうというふうに思っております。しかし、その根幹は、受けたサービスの量によってその負担が課せられているというのがこの法律の根幹にあるつくられ方だというふうに定義づけることができれば、私は、当然ながら、これは応益負担の考え方としてこの法律がつくられているというふうに断ぜざるを得ないわけでございます。

 この議論はさんざん法案審議のときにもやらせていただきましたが、そのまま定率負担、そして、応能負担的な減免措置をやっているんだから何とか御理解をというふうに言われました。減免措置を何とか、まあ数で通されてしまったので、その後は減免措置で、私も、何とかもう少し軽減策にならないかというふうに、現行の成立をしてしまった制度を前提にお話をさせていただきましたけれども、しかしながら、抜本的な見直しというふうに大臣がおっしゃっていただけるのであるならば、私は、まずこの法律の根幹にあるつくられ方から変えていく必要があるのではないかなという思いを持っております。

 そこで、応益負担というその制度が、障害福祉行政の中でこの考え方が導入されるということが果たしてふさわしい制度であるかどうかということは、大臣、まずお考えを聞かせていただきたいと思います。

舛添国務大臣 これは、本格的な議論をすれば何時間も必要な議論だと思いますが、例えば、年金についても税か保険料かという議論がありますね。介護の費用についてもそうなんで、保険料というような話のときに、どうしても自立、自主的なという側面があることは確かです。ですから、私は、結果としてきめの細かい対策をとって障害者の方々が困らないようになればいいのであって、原則論で、言葉遣いは応益とか応能という言葉がいいかどうかは別として、おっしゃることはよくわかりますので、どちらを原則にするかということの議論を尽くすより、私は、どちらが原則であってもいいんだと思います。

 しかし、私から言うと、やはり基本的に、先ほど光熱費の例を出されましたけれども、受けたサービスに対してきちんとコストを払うよ、それが自立した人間の基本であるということを前提にした上で、しかしながら、そんなに生活にお困りですか、とてもじゃないけれどもそういうお払い能力はありませんね、では、そこは軽減いたしますよとした方がいいのではないかと思うのは、この法律の理念は、障害者が生き生きと地域で生活をして、できれば就労をして税金を払えるような立場になる、私もそういうところを見ています。これが理想ですから、その理想からいったときに、私はこれだけ稼ぎました、障害者だけれどもこれだけの税金も払っています、したがって電気も水道も払えますよ、これが原則であった方が、実を言うと自立を促す方にはいいのかもしれません。

 しかし、委員がおっしゃるように、やはり全体を見てみると、そういう方はごく一部で、つまり、就労して自立できるのは一部で、本当に困っておられる方が各地域にたくさんおられると思います。したがって、そういう方の方に重点を移せば、まず能力に応じてとやった方がいいのではないかというのは、これも一つの考え方だと思います。

 しかし、これはもう議論すれば本当に原則の議論になると思いますが、私は、今政治において必要なのは、結果として困った方を一人でも少なくする、そういう方向でいい政策ができるべきではないかなというふうに、一応、今、短時間で話を整理すればそういうお答えになると思います。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

園田(康)委員 この問題は、いずれ本当に長時間いただいて、大臣のお考え方もしっかりと私は議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 次の質問に移りますが、その前に、やはり、先ほどおっしゃっていただいた、結果的に負担が一緒になるのであればというようなお話が前提にありましたし、どちらを選択してもという大臣のお話がありました。私は、そこに何らかの次へのステップの方策を見出したいというふうに思っております。

 これは恐らく、一つは、もう選択なんだろうと思うんです。最終的な選択なんだろうというふうに思います。であれば、負担額が、恐らく、与党の皆さん方が今議論されていらっしゃるというふうに私も伺っておりますし、私どももずっと求めさせていただいているわけでありますけれども、ここで額的に負担がほぼ同じになってくる、さらにさらに減免措置を行って、特別対策を行って、あるいは本人の所得に応じてという、まあ扶養者の要件を外すというような形まで踏み込んでいって、我々と額がほとんど変わらなくなってきたならば、あとはその理念を入れかえるだけだというふうに思っておりますので、ぜひ、この点はさらなる努力をお互いにさせていただきたいというふうに思っております。

 そこで、では、その進展につきまして、少し事務方の方にお伺いをしたいというふうに思っております。

 自立支援法の附則の第三条の「検討」の部分で、第一項では、政府は、この法律の施行後三年をめどとして、この法律の規定について、障害者等の範囲を含め検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとなっております。この障害者等の範囲に関する検討状況は、今現在どのように進捗をしていますか、お伺いしたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者等の範囲、定義につきましては、障害者自立支援法の附則において検討課題とされておるところでございます。障害者の範囲、定義につきましては、一つとしては、身体障害者等については、難病の方や内部障害者の方についてどのように考えるか、二つ目といたしましては、発達障害者や高次脳機能障害者をその中にどのように位置づけるかなどの指摘がされております。

 障害者自立支援法につきましては、先ほど来の御議論にありますように、与党の連立政権合意におきまして、「抜本的な見直しを検討する」とされているところでございまして、これを受けまして、与党において障害者自立支援に関するプロジェクトチームが設置され、御議論が行われておるところでございます。

 厚生労働省におきましても、与党のプロジェクトチームにおける議論等も踏まえつつ、施行後三年の見直し規定において検討対象となっております障害者の範囲について、今後よく検討してまいりたいというふうに考えております。

園田(康)委員 もう一つ、ついでにお伺いをしたいと思います。

 附則の第三条の「検討」の第三項でありますけれども、障害者等の所得の確保についての規定がございます。それでいきますと、「政府は、障害者等の福祉に関する施策の実施の状況、障害者等の経済的な状況等を踏まえ、就労の支援を含めた障害者等の所得の確保に係る施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」というふうに書かれてあります。

 これは私どもの附帯決議でも、衆あるいは参の附帯決議においてもその旨を記載させていただいているわけでありますけれども、この検討状況についてはどのようになっていますか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者の所得の確保につきましては、さまざまな課題があると考えておりますけれども、一般就労への移行促進や工賃の引き上げを図ることが何より重要でありますので、まずはこれを積極的に推進することとしております。

 具体的には、一つは、障害者自立支援法に基づき、福祉サイドから一般就労への移行を促進します。それから、二つ目といたしましては、全都道府県において策定する工賃倍増五カ年計画による福祉的就労の底上げを図るなどの取り組みを実施しておるところでございます。

 また、厚生労働省の障害者自立支援推進本部におきまして所得確保に関する検討チームも設置しておるところでございまして、今後、幅広く検討を行っていきたいというふうに考えております。

園田(康)委員 そうすると、今のも私が、この答弁の裏でといいますか、担当の方からいろいろお話を聞いていますと、厚労省そのものは、きちっとしたこの法律の附則あるいは衆参国会の意思としてつけさせていただいた附帯決議、それに基づいて主体的に検討をしていくという形には実はなっていないわけでございまして、与党の方では確かにそのことを一生懸命やっていらっしゃるというのを私は関係者の方からも伺わせていただいておりますけれども、厚労省そのものが主体的にこの定義そして所得の確保策をどんどんやっているかというと、そんなにやっていない。

 では、何回、どれだけ、どのような形で行われているのか、その会議の内容すらも明らかになっていない、私的な懇談会的なそういう扱いでしか行われていないとなると、やはりそんな悠長なことを言っている場合ではないのではないか。先ほども申し上げたように、ことしも六千五百人が全国から集まって、何とか一刻も早くこの制度を見直しをしてほしいというような要求、要望、そして生活実態として言われているわけであります。それにきちっとこたえていかなければいけないのが政治の役目ではないかというふうに私は考えておりますので、ぜひその点はお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 そして、その実態について、さらに少しお伺いをしたいと思います。

 ことしの十月の三十一日に正式には発表になりましたけれども、では、先ほど大臣がおっしゃっていただいた特別対策でございます。特別対策の影響調査をやらなければいけないということで、私どもも要望をさせていただきました。ようやく十月の三十一日に、特別対策実施後の福祉サービスの利用の実態についてということで調査結果が、都道府県から出てまいったのを取りまとめをして出ました。

 それでいきますと、入所、通所サービスの利用の中止状況という形で、恐らく後でも御答弁なされるかもしれませんけれども、前回調査が昨年の三月から十月の間で四十七都道府県で行われて、中止した者、退所した者、合わせて千六百二十五人、二十二万一千三百二十七人中という形で、単月平均で〇・〇九%であったのが、今回の調査によりましては、昨年の十一月から本年の六月までで、これは三重県だけは除いて四十六都道府県の単月平均で〇・〇二%、先ほどの数字で申し上げますと、退所した、あるいはサービスの利用を中止した者は三百八十一人、二十一万八千四百五十八人中という形になっている、このような数字が出てまいりました。

 この調査結果を受けて、まず、大臣はどのようにこの調査結果を受けとめられたでしょうか。その感想をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 今委員おっしゃったように、〇・〇九%から〇・〇二%に減った、約四分の一に減ったということなので、そういう意味では、前回の調査より減っているということは抑制した人が少なくなったということで、それはそれで一定の評価ができるかもしれません。

 ただ、では、なぜ減ったのかということについて、これはいろいろな角度から分析してみないと、表面の数字からだけで出ないものがあるかもしれません。これはもっともっと、先ほど私が申し上げましたように、実態調査であるとか現地視察とかをやってみる必要があると思いますけれども、しかし、こういう調査も踏まえながら、きちんとした対策は今後ともとり続けたい、そのように考えております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 実は私も、この調査結果を数字で見て、一瞬、ああ、減ったからどうなんだろう、いいのかなというふうに、数字的にはそういう印象を受けるんですけれども、実は、この数字にはいろいろな、トリックではありませんけれども、現場、現実とはかけ離れた実態がまだあるのではないか。すなわち、実態をよく調査するということを同時並行でやらなければいけないということなんですね。

 それを少しひもといていきたいと思うんですけれども、今回、正式名称でいくと「障害福祉サービス利用の実態について」という形で、特に特別対策実施後の実態を調査するためという形で各都道府県に投げた調査依頼であったわけでありますけれども、しかし、その特別対策の対象というものは、この調査の対象となるべき特別対策そのものは、まず、先ほど少し議論をさせていただいた定率一割負担のさらなる減免措置、それから事業者に対する激変緩和策、さらには新法への移行等のための緊急的な経過措置が、まず特別対策の限定的な対策であったわけなんですね。であるならば、ここの対策の対象になってこない部分というのも実は障害者の生活実態には多くあるのではないか。

 自立支援法の法律の形式の中で、市町村にいわば限定をさせた施策がよくあるわけでありますけれども、その代表的な例として地域生活支援事業というのがあります。これは、移動支援であるとか相談支援であるとかコミュニケーション支援であるとか、そういったものを市町村でやってくださいねということで、これをいわば交付金をつけて市町村に渡す、そこの中でやってくださいというものがあるんですが、これはいわば特別対策の対象になっていないサービスの一環なんですね。

 そうすると、ここの中で、例えば移動支援で、前の自立支援法が導入される前に移動支援として行われていた、移動介護が行われていた障害者の皆さん方が病院に移動しよう、その際にヘルプサービスをつけようというようなときにも、それをそれによって所得に応じてサービス料を払っていたというところがあったんですが、それがこの自立支援法からはいわば市町村が規定する形になってしまった、実施する形になってしまったものだから、国の限定的な基準、国庫負担基準に基づく裏づけがなくなってしまったんですね。それによって、各市町村ではかなりのばらつきがあるのと同時に、これが減らされている実態というのも実はあるわけなんですよ。

 したがって、よく実態を把握していただきたいと思うんですが、その実態というものは、厚生労働省、このサービス利用の実態の調査の中から出てきていますか、どうですか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 外出時の支援を行う移動支援事業につきましては、障害者の社会参加を促進し、地域での自立した生活を支える上で重要なサービスであると認識しております。

 移動支援事業につきましては、さまざまなニーズに対応することが必要でありますので、地域の特性であるとか、あるいは利用者の状況に応じた柔軟な事業展開が可能な地域生活支援事業として位置づけておるところでございます。

 具体的に申し上げますと、例えば、移動支援事業につきまして、各市町村の判断によりまして、一つとしては、個別支援が必要な方についてはマンツーマンによる支援、それから二つ目といたしましては、複数の障害者等へのグループによる支援、あるいは福祉バス等の車両巡回による車両移送、こういったいろいろなやり方があるところでございます。

 こういう状況でございますので、移動支援事業に係るサービスの利用実態につきましては、今ほど申し上げましたように、地域生活支援事業が、地域の特性や利用者の特性に応じて、各自治体の裁量により、利用者の負担の設定の仕方も含めさまざまな形態で実施されておりますので、今回の調査の対象にいたしておらないところでございます。

 いずれにいたしましても、移動支援事業につきましては、その重要性にかんがみまして、市町村が必ず実施しなければいけない事業としている、必須事業としておりますので、事業の効率的、効果的な事例を示すなどによりまして、市町村において適切な事業が展開されるように努めていきたいというふうに考えております。

園田(康)委員 今るるお話をいただいたわけでありますけれども、要は、何も実態調査をしていないということなんですよ。しかも、市町村に柔軟かつそういう対応をしてもらうからそれでいいんだというような形の投げやりの答弁を、私は、担当部局としては、承服できる話ではありません。

 大臣、こういう事例もあるんですよ。例えば、きょうは病院に通院するから付き添いの介護をしていただこうというときに、病院に移動支援という形で行きます。その途中に、例えば、行って帰ってくる帰りがけに、では、きょうの何か野菜を買っていきたい、どこかのスーパーに寄ろうというふうに思っても、それはサービスに入っていないからだめですよというふうになっちゃうんですよ。

 あるいは、今までだったら、長時間そういうサービス利用もできたわけでありますけれども、これが市単独の事業という形で、必須事業であるけれども単独になってしまったおかげで、予算に限りがあるものだから、それでここまでですよと、かなりのサービスが削られている、サービス量が減らされているという実態もあるんだということなんです。これはぜひ調査をしていただきたいと思う。

 それからさらに、今回の調査結果について、先ほど申し上げた、例えば、この入所、通所サービスの利用の中止の状況で、前回調査では、一千六百二十五人が中止をしたというふうに出ていたんですね。ところが、今回は数としては三百八十一人に減った。でも、それが、では前の調査で一千六百二十五人が、一たんやめた人が特別対策によってまたサービスを利用するようになったんですか、あるいはそうなっていないんですか、あるいは今回三百八十一人がどういう形でやめられているんですかというような詳細な調査まで行っているのかというと、そうではないんだという実態なんですね。

 したがって、数さえ小さくなればそれでいいという話では私はないと。先ほど大臣がおっしゃっていただいたように、この数字の中身の実態まできちっと把握するようにぜひ努めていただきたいというふうに思っております。

 それから、もう時間がなくなってまいりましたので、さらに申し上げますが、特別対策、これは一千二百億円が使われたわけでありますけれども、そのうち、十八年度補正予算で、三百億円と六百六十億円ですから九百六十億円、九百六十億円が、都道府県に対しての、基金という形で今つくられて実施をされているというふうに私も把握をさせていただいておりますが、この九百六十億円の基金がどのように使われて、そしてそれがどのような効果を生んでいるのかというような調査は、把握はされていらっしゃいますか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点で把握しております都道府県及び市町村における特別対策の執行状況につきましては、平成十八年度補正予算の成立時が平成十九年二月六日であったこともございまして、平成十八年度につきましては三十六億円、九百六十億円の全体から見ますと三・八%ということになっております。結果といたしまして、各自治体における本格的な事業の実施につきましては、平成十九年度それから二十年度になるというふうに認識しております。

 また、一部の自治体におきましては、事業の交付要綱の策定などにつきまして事務のおくれが認められるような状況もございましたので、都道府県に対しまして、基金の円滑な執行につきまして、課長会議等、あるいは個別にお願いをしたところでございます。

 今後とも、特別対策の効果が一刻も早く事業所等に行き渡るよう、基金事業のメニューを周知するとともに、この事業の円滑実施について重ねて調査をしたい、お願いをしていきたいというふうに思っております。

園田(康)委員 もう時間が来ていますので、これで終わらなければいけないというふうに思います。

 大臣、お聞きいただいたように、まだまだ全然その内容、実態が把握されていないということであります。ぜひ今後そのことを強化していただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、山井和則君。

山井委員 これから三十五分間、薬害肝炎について舛添大臣に質問をさせていただきます。

 まず冒頭、非常に残念なことですが、田辺三菱製薬からの告知の結果、十一名の方が、リストの患者の方が既にお亡くなりになっていたということが判明をいたしました。その方々に関して、心より御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 まず最初に、きょう、与党が肝炎対策基本法案を衆議院に提出されるということをお聞きしました。非常に歓迎をいたしております。

 それで、きょう配付した七ページに、与党案と民主党案の比較の表をつくらせていただきました。法案のみならず、舛添大臣がテレビでも御説明になっている、一般肝炎患者に対するインターフェロン治療への医療費助成、薬害肝炎患者ではなくて一般対策でありますが、それの比較であります。

 簡単に言いますと、低所得、二五%の方は、民主党案では無料、与党案では一万円。そして、一番違うのが、四百五十万円から九百万円という中所得者の階級では、民主党案では一万円、インターフェロン治療が与党案では三万円というふうになっております。

 本当でしたら、これは生活保障までしないと、インターフェロン治療をやれば仕事ができなくなるという方も多いわけでありまして、そういう意味では、私たちは、この額でも高過ぎると思っているぐらいであります。このことはまたきっちり法案審議のときに議論をしたいと思います。これが一番目の違い。

 二番目の違いは、与党の考え方は、四月一日からインターフェロン治療をスタートということですが、私たちは、法案成立後速やかに、できれば来年一月一日からと、三カ月早いことを考えております。

 なぜならば、今、相談ダイヤルにもう電話が殺到しておりますが、法案が成立したらインターフェロン治療をしたい、それまでは、お金がないから待っている、でも、お医者さんからは一刻も早くインターフェロン治療をしなさいと言われている患者さんからの悲鳴に似た電話が今殺到しております。そういう意味では、三カ月おくれれば一万人の方が亡くなられるということですから、私たち民主党としては、できるだけ早くということを思っています。

 最後に、民主党の法案には、国の責めに負う患者の方もおられるということで、国の責任を明記しておりますが、与党の基本法案には国の責任が入っておりません。これは、今、薬害肝炎訴訟がこれだけ大きな深刻な問題になっていることから考えても、やはり国の責任というのは当然明記すべきだと思っております。

 しかし、これはこれから国会で審議することでありますので、ぜひとも、きょう提出をいただいて、一日も早くこの衆議院の厚生労働委員会で与党案を審議、また参議院の方では民主党案を審議して、協議という話もありますが、もちろん、最終的にはそういうこともあろうかとは思いますが、まずは国民に見える形で、最初から水面下でずっとやっていたら、何が議論になっているのかわかりませんから、正々堂々と国会審議をして、与党案のいいところ、民主党案のいいところをぶつけ合いたいというふうに思っております。

 それでは、まず質問をさせていただきます。

 残念ながら、十一名の方がお亡くなりになっているということが発覚をいたしました。そこで、この御遺族の方にまだ告知がされていないんですね、リストの中に入っていましたよという。やはり御遺族の方にも、リストの中に入っていたという告知をすべきだというふうに思いますが、舛添大臣、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 まず、そのリストを見まして、私は、とにかく一刻も早く告知をしてくださいと。それは、今生きておられて、そのことも知らない、一刻も早く検診を受けて、それで治療を受ければ命が助かるわけですから、それを最重点の課題としてやりました。

 ですから、実を言うと、亡くなった方を前提にしてやっていなかったものですから、しかも、山井委員がおつけくださいましたこの資料がございます。十一月十二日に私のところにこれは送ってきましたから、すぐ国民の皆さんに公表しました。

 この中に死亡の事例が全くないんです。それで、そういう例があるかないかというよりも、とにかく今生きている方に一刻も早く知らせたい、それが前提だったものですから、実は私もそこまで考えが、本当に申しわけないことですけれども、亡くなった方まで及ばなかった。

 ただ、今、山井委員がおっしゃったように、御遺族の方がおられる、そして死亡なさった方がおられるので、これは当然お知らせすべきだと思いますので、先ほどメーカーの方にきちんとやっていただきたいという指示を出したところでございます。

山井委員 そうしたら、確認しますが、きょうあるいは来週早々にも御遺族の方に告知するということでよろしいですか。

舛添国務大臣 製薬メーカーの方に指示を出しましたから、今すぐにでもできるところからやっていただく。そして、私は、申し上げましたように、大臣がお願いしたことですから、こちらから言わなくても、一週間に一遍ぐらいはきちんと報告してください、これを厳しく申し上げておりますので、必ず来週報告させます。

山井委員 それは当たり前のことでありますが、それだけではなくて、大臣、問題は、では何の死因で亡くなられたのかというのが一つ目、二番目が、いつお亡くなりになられたのかというのが二つ目、それと三つ目は、フィブリノゲンによる感染の事実を知っておられたのかということ、そして、インターフェロン治療をしていたのか否か。こういうことも当然調べて、もちろん特定されるような形ではだめですが、プライバシーに配慮をしながら、お亡くなりになられた方々の死因、死んだ時期、インターフェロン治療をされたか否か、フィブリノゲンによる感染の事実を知っていたか否か、こういうことも公表をすべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 山井委員のおっしゃるとおりで、私も知りたいんですね。例えば、五年前どういう状況だったのか、ちゃんと告げられて治療を受けたのか、フィブリノゲン投与というのを告げられていないのか、それは、そのお医者さんがどうだったか。私、今、このリストについての調査をさせておりますけれども、一番個人的に願っているのは、その五年前なら五年前の状況の再現をしてみたいと思っているんですね。だから、どこかのお医者さんが、実は告げた、告げていない、そして、例えば今おっしゃったようないろいろな点について、一個一個出せればそれは大変結構だと。

 ただ、そのときに、留保をつけますと、一つは、その結果を公表するかどうか。これは、やはり公表ということになると、個人を特定したりとか、御遺族の方とか、家族関係とか、いろいろあると思いますから、公表を前提とするかどうかは、ちょっと一つ置いておいて、しかし、こういうことはできるだけ調査をしてみたいと思います。それで、お医者さんが、片一方で守秘義務がかかるわけですね、それをクリアして、いや、自分はここまで言いましたということは、できるだけ私は呼びかけてみたいと思います。

 やりたくないから留保ということではなくて、今のような困難な点もありますが、山井委員がおっしゃったことは、私も全く知りたい。ですから、お医者さんの中に、公表を前提とするならだめですという方がおられるかもしれません。ですから、そういう方のこと、それから、個人のプライバシーとかそういうことを十分配慮した上で、できるだけのことは知りたい。したがって、これは調査したいと思います。

山井委員 大事なことですので確認します。

 もちろん私も、本人が、あるいは御遺族が特定されるようなことはよくないと思いますが、特定がされないような、プライバシーに配慮した範囲で、今言った、死因、死んだ時期、インターフェロン治療を受けたかどうか、フィブリノゲンの感染を知っていたかどうか、こういうことはプライバシーに配慮して公表するということでよろしいですね。

舛添国務大臣 それは、山井委員、公表の仕方をどうするかで、実名、例えば、ある方がおられて、私のお母さんは亡くなっていますけれどもそれは公表して構いません、みんなのためですから、こういう事例があったんですよと公表してくださいとおっしゃってくださる方があれば、これはいいと思うんです。だけれども、そうじゃない場合に、実名でできるかということになると……(山井委員「いやいや、実名じゃないですよ」と呼ぶ)ですから、例えば、それこそイニシャルでA、B、Cとか……(山井委員「いや、イニシャルじゃなくてもいいですよ」と呼ぶ)

茂木委員長 勝手にしないでください。

舛添国務大臣 済みません。

 したがいまして、そういうことも含めた上で、やはり公表の仕方というのが非常に難しい。これを勘案した上で、できるだけ、こういう事例であったということは明らかにしたいと思います。

山井委員 それは、舛添大臣と半分は同感ですね。もちろん、実名を出してくれとか、イニシャルを出してくれ、そんなことは全然考えていません。

 本人が特定されない形で、しかし、大臣もそこが一番知りたいとおっしゃっているように、これはもう国民的な不安でもあるわけですから、真相を隠ぺいすることになっては、これはますます不信感が高まりますから、今おっしゃったように、本人が特定されない形で公表していただきたいと思います。

 それで、この議論をしていくと、舛添大臣、これは当然十一人だけの話じゃないんですね。今治療中の四十四名の方も、治療済みの方も四十四名の中に含まれていますが、その方々が、では、今がんになってしまっているのか、肝硬変なのか、あるいは生体肝移植までされているのか。舛添大臣がおっしゃったように、五年前だったら、もしかして生体肝移植までしなくてインターフェロンでいけたんじゃないか、そういうケースもあると思います。

 先ほどの質問にも重なりますが、十一人の死亡者のみならず、四百十八人のリストの全員について、二〇〇二年のときにどういう状態だったのか、今どういう状態なのか、そして、どういう治療を受けたのか。このことを調査して、今おっしゃったように、本人が特定されない形で公表するということでよろしいですか。

舛添国務大臣 これは、先ほどの十一人の死亡した方と同じでございますけれども、一番そこでお願いしたいのは、医療機関、お医者さん、この人たちの協力がなければいかない。だから、私は守秘義務があります、だから一切それは知らせませんということになれば、今は、そういうことになれば、それは行けないと思います。行けないというのは、先に調査が進まない。

 しかし、今はインフォームド・コンセントじゃないけれども、医者が患者に、あなたの症状はどういうことであって、どういう原因であって、しかし私は、これとこれの処方をいたしますよと、それを知らせた上で、そして、エビデンスに基づいたEBM、エビデンス・ベースド・メディスンとやるのが、これはもう今の時代ですから、今この国会の場をおかりしてお願いしたいのは、ぜひ医療機関の方々、お医者さんの方々、個人情報の保護ということは十分配慮いたしますので、どうか御協力いただきたい、そのことをつけ加えておきたいと思います。

山井委員 確認ですが、四百十八人のリスト全員についても、死亡者十一人と同様の実態調査なり公表基準で公表するということでよろしいですね。

舛添国務大臣 メーカー、医療機関の全面的な協力を賜って、その情報をできるだけ探し出して明らかにして、つまり、なぜこういうことが起こったんですかと。全く知らないまま亡くなっている方もおられるかもしれない。だから、この実態を解明するということが二度とこういう問題を起こさないことの大前提ですから、それは心して取り組んでいきたいと思います。

山井委員 舛添大臣がおっしゃるように、私も言っているのは、二度と薬害を起こさない、この薬害肝炎で最後にする、そのためには、和解も大事ですけれども、真相究明がやはり欠くことができないんですよ。なぜこんなことになったのか。

 きょうも、与党が肝炎対策基本法を出してくださいました。与党案で医療費助成も出してくださいました。そして、これだけ今国民が肝炎の問題に関心を持っています。今まで、職場や学校あるいは結婚、いろいろなところで肝炎の差別や偏見で苦しんでいた方が、今も厚生労働省に相談の電話をされて、きのうも二十回線やったけれども、もうパンクしているわけですね。私も実は五回電話しましたが、一回もかかりませんでした。それだけ今、多くの関心になっているんです。

 でも舛添大臣、ここで私申し上げたいのは、もし二〇〇二年に告知していたら、この議論が五年前に行われていたんですよ。五年前に医療費助成が実現していたんですよ。五年前に治療ができたんですよ。今回の与党の案、民主党案も目指すところは似ておりまして、今五万人しかインターフェロン治療を受けられていないのを、十万人に、二倍にする。そうすると、大体これ、精度が、有効性が上がってきたから、五万人新たに医療費助成によってインターフェロン治療を受けられたら、一年間に三万人は命が助かって完治する。五年前にやっていたら、十五万人がもう完治していたかもしれない。

 そして、この五年間、訴訟で苦しみもがいておられる原告の方々もおられます。失われた五年間、そして失われた五年間での命。五年間の間に、肝炎が原因で離婚された方も残念ながらあるんではないかと思います。家庭が崩壊した方もあるんではないかと思います。あるいは就職のチャンス、逃した方もあるんではないかと思います。この五年間の失われた人生、生活、家庭、これというのは本当に取り返しがつかないんですよ。だからこそ、舛添大臣もおっしゃっているように、五年前に告知していたらどうだったんだろうか。そのことの真相究明はせざるを得ないんですよ。これはやはり、和解できたからうやむやというわけにはいかないんですよ。

 東京原告十三番の方はこの五年以内に亡くなってしまわれました。二〇〇二年の時点では存命をされていたんです。このリストの中にありました。その原告の妹さんから私のところに電話がありまして、山井さん、姉がリストの中に入っていましたと連絡がありましたと言うんですね。五年前に連絡してくれたらインターフェロン治療ができて生きていたかもしれなかったのに、この無念の思い、命を守る役所である厚生労働省が、もしかしたら国民の命や生活を見殺しにしてしまったかもしれない。これはちょっとやそっとのことじゃないと思うんです。先ほども言ったように、五年前にこの議論をしていたら十五万人が肝炎が治っていたんです。もしかしたら何百人、何千人、万という単位の人が命が救われていたかもしれないんですよ。

 大臣にここでお伺いしたいんですが、もし五年前にリストの方々に告知をしていたら、その前にもう一つだけ言います。

 なぜこんなことを言うのかというと、当時そんなことを考えなかったというふうに当時の厚生労働省の担当者はおっしゃっておられるようですが、六ページにありますように、この前の年、二〇〇一年には、クリスマシンの方々に対して、電話と手紙で連絡をして、肝炎は大丈夫ですかという告知を行っているんですね。その翌年ですから、気づかなかったというはずはあり得ないんですよ。このことを告知したら大騒動になる、薬害だと言われる、裁判で負けるんじゃないか、隠してしまえ、そうは思いたくないけれども、そういう意識が働いたのかもしれないんです。

 舛添大臣、五年前に告知をしていたら救えた命があったかもしれない、そのことについて舛添大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 今、この六ページ目の新聞記事に関連して山井委員おっしゃいましたけれども、私も全く同じ感想を持っているのは、これは平成十三年、クリスマシン、第9因子製剤、この肝炎の感染者の調査をやって、しかも告知している。何で翌年フィブリノゲンがやれないのか。だから、私、先ほど申し上げたのは、その状況を可能な限り再現してみたいと思っています。

 ですから、今、相当数の役人に聞き取り調査をやる。それも内輪でやらないで、弁護士を入れる。それから、こちらにおります副大臣、政務官、つまり我々の仲間である国会議員がそこに入って、役人に任せない、そういう形で精力的に聞き取りを行っておりますけれども、私は、実はそれじゃ不足している。医療機関、お医者、できるだけ聞き取りをやってこいということで、今指示をしたところでございます。

 ですから、全く問題意識は同じで、前の年にやっているのを、なぜフィブリノゲンについて、クリスマシンについてやっていてできないのか。そういうことなので、今精力的に調査をして、これは委員おっしゃるように、なぜか、なぜやらなかったのか、これがわからなければ亡くなった方々が浮かばれない。常に、やはりその家族の方も含め、患者さんは当然ですけれども、家族の方々、こういう視点に立ってやるのが厚生労働行政だという原則に返って、これはきちんと調査をしたいと思います。

 今、答弁が長くなって恐縮ですけれども、実は第9因子、第8因子についても、これはこの記事にあるように、十三年にやっていても、しかし、やはり漏れていたり、そのとき気づかない方がおられるといけないというように思いまして、これは阿部委員がたしか時々問題提起なさってくださったこともありますので、私、きょう実は指示をしまして、フィブリノゲンだけじゃなくて、第8、第9因子の製剤についても、やり方はまたいろいろ、新聞広告とかホームページとか考えますけれども、これはもう一遍呼びかけを行ってもう一遍チェックしたい、これを先ほど指示したところでございます。

山井委員 阿部議員のみならず高橋議員も、この第9因子と線引きしないようにということを大臣に要望されておられ、そして前向きな答弁をいただいております。まさに、大臣がおっしゃったとおりで、この真相究明なくしては薬害の再発防止はできないんです。

 そこで、大臣、調査報告書、今、調査チームが調査をして報告書をつくられますね。枝野議員の質問に対して、十月三十一日、枝野議員が、「そのチームでも刑事告発も視野に入れて宮島局長のこの不作為について調査をされるべきだと思います。」というのに対して、舛添大臣は、「すべてのことを含めて洗いざらい、今調査を既に始めております。」とおっしゃっています。

 ですから、ここで改めて確認したいんですが、このように二〇〇二年の当時、患者の方々はどういう病状だったのか、そしてこの五年間、放置したことによってどういうことが起こったのかということの調査や、その当時の厚生労働省の対応というのがそれで適切だったのか。また、そのことは、残念ながら告知しても命が救われない、救われるということを知らなかったんだったらいいんですけれども、もう二〇〇二年の当時にはかなりインターフェロンの精度も上がっていましたから、告知したら救われる可能性があると知りながらそれをやらなかったとしたら、やはりこれは業務上過失致死という疑いも出てきかねないわけですが、そういうことも含めて調査チームで検証を行って、報告書でも、そういうことも含めて報告書が出てくるというふうに理解してよろしいですか。

舛添国務大臣 そういうことも含めて、とにかく、私の表現で言えば、当時を再現してみたいというふうに思っております。

 それで、今精力的に、西川副大臣を主査としてそのチームが動いております。今のところ、今月末ぐらいにはきちんとしたものを出したいと思いますが、ちょうどきょうは月の中間でございます。できれば来週にでも、中間報告書というような形では出せなくても、個別の名前は出せないにしろ、これだけの数の役職の人について調査をいたしました、それから医療機関についてはどうです、それから当時についてわかったことはこれぐらいありますというようなことを皆さんにお知らせするべきかなというように今考えてはおります。

 一月間何も報告しないのではなくて、例えば、役人三十人に今聞き取りをやっています、それからメーカーに対してはこういうことをやっていますというような、それから、新しい資料が出るなら出ましたというようなことも含めて、できれば何とか来週、西川主査のまとめているところで、具体的な細かいところまでいかなくても、出すことも一つの方法かというふうに思いますので、またこれは皆さん方の御意見も賜った上で決断したいと思います。

山井委員 確認しますが、その報告書はいつまでに出されるんですか。

舛添国務大臣 報告をスタートして一月をめどにして出すということを申し上げていますので、十一月末までには必ず出すようにいたします。

 そして、いろいろなこういう不祥事、資料が後で倉庫に眠っていたなんという組織としてはあってはならないことが起こっているわけですから、やはり国民の皆さんが厚生労働省に対して極めて不信の念を持って見ているというのは事実だと思います。したがって、そういうこともありますので、中間的に、こういうことをやりましたというのを、同時に私たちは副大臣を含め政務官も国会議員でありますから、きちんと何らかの形で皆さんにお伝えすればと思います。

山井委員 私がこういう質問をするのは、先日ある担当者の方に、患者の方の五年前の状況とか今の病状とか、そしてなぜこういう五年間の空白ができたのか、放置になったのかというようなことも調査チームで調査しているんですかということを質問したら、その担当の方が天を仰がれて、いや、倉庫になぜ入っていたのかという管理体制について調査しておりますということを個人的にその方がおっしゃっていましたので、いや、ちょっと待ってくださいよと。まさか、報告書が出てきたら、なぜ大事なファイルが地下三階にあったのかが一カ月かけてわかりましたよとか、そういうことになったら国民みんなひっくり返ってしまいますからね。

 ですから、そういうことではなくて、まさに今言ったように、五年前に告知していたらどうなっていたか、それを告知しなかったことによって患者の方がどう変わってしまったのか、なぜ当時告知をしなかったのか、そしてそのときの責任は結局だれにあるのか。

 繰り返し申し上げますが、消えた年金の検証委員会の最終報告書を見てショックを受けたのは、結局、厚生労働大臣もすべて悪かった、社会保険庁長官も歴代悪かった、社保庁幹部も歴代悪かった、みんなが悪かったです、こういうことになっているんですね。でも、これは逆に言えば、もう責任をだれもとらないということになりかねないんですね。こういうことにだけはしてほしくないと思います。

 繰り返しになりますが、資料の保管体制とかじゃなくて、患者さんの実態調査、そして当時なぜ告知しなかったのか、そういうことの調査も含めて月末までに出すということでよろしいですか。

舛添国務大臣 そのことも含めてきちんと出したいと思います。

 私が五年前のことを再現したいと申し上げたのは、あのリスト、そもそもが副作用報告書を基本としてつくったわけですね。そうすると、このフィブリノゲンを使ってかくかくしかじかの副作用が出て、こういう対処をしましたというのを製薬メーカーに上げる、それであれをもとにして、ほかのデータもあると思いますが、基本的にはそうだと。そうすると、先ほど来、十一人の方とか、亡くなった方を含めての例を委員は出されましたけれども、そのときに、お医者さん、あなたは告知をしてちゃんとおやりになりましたかということが言えたのかどうなのか。そういうことも含めて、少し、リストがつくられる経緯、そしてそれにどういう人がかかわり、役所がどういうふうに対応したか、だれに責任があるか、こういうことを含めてきちんとした報告書にまとめたいと思います。

山井委員 これは、現時点では四十四事例が治療済みか治療中ということで、何と、四百十八人のうち一割ぐらいしかわかっていないんですよ。早急にこの告知の作業を急がないとだめだというふうに思っております。

 しかし今回、大臣、私がびっくりしましたのは、大臣は十一名が死亡したとは知らなかったとおっしゃっているんですが、新聞には出ているんですよ。製薬会社が厚生労働省に言わなかっただけなんですね。やはり大臣、それはおかしいと思いませんか。わざと三十でくくって、住所不明と死亡者が三十、それだけ言っておいて、そして新聞社から追及されたら、実は亡くなったのは十一名ですと。やはり舛添大臣というか厚生労働省も少しなめられているんじゃないかと私は思うんですよ。

 担当者の方に言いました。住所不明と亡くなった方が三十人という報告を受けて、なぜ一言お亡くなりになったのは何人だったんですかと聞き返さなかったんですかと言ったら、いや、聞き返しませんでしたと。やはり私は、こういうやりとりを聞くと本当に背筋が寒くなるんですよ。国民の命が失われているかどうかの問題なわけですよ。

 そこで、御提案したいと思うんですが、やはり厚生労働省の二〇〇二年当時の担当者や一九八七年当時の担当者を、調査チームで調査をしてもらうのももちろん大事です、しかし、国会の場に参考人として来ていただいて、この場でお話を聞くべきではないか。このことは菅直人議員からも三週間前に要望しておりますが、理事会でまだ与党の賛成を得られませんが、ぜひこれは真相究明のためにも、先ほど大臣がまさにおっしゃった、亡くなられた方が真相がやみの中になったままだったら本当に浮かばれないんですよ。何でこんなことになったのか。ですから、呼ぶべきではないかということをここで改めて提案したいと思います。

 それに加えて、田辺三菱製薬についても、なぜわざと死亡者の数を舛添大臣に報告しないのか、そして遺族にも告知していない、また死因も調べていない、余りにも不誠実な態度ではないか。その意味では、一度田辺三菱製薬の社長にもこの委員会に来ていただいて、ある意味で、ぜひ告知のことも含めて、今後の対応、頑張ってくださいということの激励も含めて、参考人として来てもらうべきだと思い、提案をします。

 また、そしてもう一つ、原告の方々にも参考人として委員会に来ていただいて、話を聞くべきではないかと私は思うんです。もしかしたら、訴訟をやっているときに原告に来てもらうのはどうかという意見があるかもしれません。しかし、残念ながら、過去五十回、百回も国の言い分は聞いたんですよ、責任がない、責任がないという国の言い分は嫌というほど聞き続けているんですよ。舛添大臣、一回ぐらい原告の方々に来ていただいて、原告の方々の、被害者の言い分というのも正式に聞いていいんじゃないですか。先日、舛添大臣が面会してくださって、本当に私は感謝しております。でも、やはり議事録に残るオープンな場でやるべきではないかと思います。

 そして、最後に加えまして、きょうもこういう時間をとっていただいて感謝しておりますが、和解勧告も出ました、さらに、死亡者も残念ながら明らかになってしまいました、こういうことで、私は、集中審議をやはり開くべきだというふうに、このような厚生労働省の担当者、田辺三菱製薬の社長さん、そして原告を呼んでの参考人質疑、そして集中審議を求めたいと思います。

 一言、舛添大臣から、もちろん理事会の件ではありますが、舛添大臣からも御意見をお聞きしたいと思います。

舛添国務大臣 まず、委員会の運営につきましては、理事会にお任せしたいというふうに思います。

 それで、田辺三菱製薬の、山井委員のこの資料の最初の三ページについていますが、私は、この日にちが書いていますように、十一月十二日付で田辺三菱製薬からこの紙をいただきました。これはもう直ちに国民に知らせるべきであるということで、しかも、一切厚生労働省の役人の手を加えちゃいけない、このまま出しなさいということで私は出させました。

 そして、この三ページ目の注の三に、先ほど御指摘いただいたように、ほぼ特定できた症例のうち、直接御本人にお知らせが不可能な症例数は三十例となっておりますというので、この方はどういう理由だろうなとは思いましたけれども、やはりちゃんと問いたださなかったというのは、これは我々のミスだと思います。

 しかし、それはやはり、十一人死亡なさっていたら、わかっていたら書いていてほしかったなという残念な気持ちでございますので、今後は必ず数を出してくれということは既に申し上げております。

 そして、冒頭、与党の肝炎対策法案、そして民主党の法案についても言及なさいました。私は、二度とこの薬害を起こさない、そして、これはみんなの力でこの問題の解決を図りたい、そのために、訴訟もそうですし、支援策もそうでありますし、それから、研究開発して、この肝炎に対する本当の、もっとすばらしい治療方法を確立する、そういうことを含めて、全力を挙げて取り組んでいきたいということを申し上げておきたいと思います。

 ありがとうございます。

山井委員 今のことを重ねて理事会でも協議してもらいたいと思います。

茂木委員長 山井委員の方からお申し越しのありました四件でありますが、これにつきましては理事会で協議をさせていただきます。

山井委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

茂木委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 私は、きょうは、児童扶養手当の削減問題について質問させていただきます。

 児童扶養手当については削減をするべきではないと、昨年の三月、ことしの三月と質問させていただきました。平成十四年の母子寡婦福祉法の改正によって、受給期間五年以上、末子の年齢が八歳以上、この世帯が今年度中に最大で半額まで児童扶養手当を削減することが決まっています。受給世帯の三割近い二十八万人に影響が及ぶのではないかと心配をされているところです。

 しかし、削減幅を最小限にすべきだという請願が重ねて衆参で採択されてきたこと、十一月二日には、全国知事会、市長会が、一部削減を凍結せよと申し入れを行っています。また、民主党さんや与党さんも、この見直しについて検討されている、そういう状況である。私は、改めて、きっぱりと削減はやめるべきだと訴えたいと思います。

 そこで、質問は、まず、厚労省が検討の材料にすると言ってきた全国母子世帯等調査結果が先般公表されました。母子家庭の年収はふえたのでしょうか。果たして、五年たったら削減してよいという根拠ある数字だと認識をしておりますか。伺います。

大谷政府参考人 先般公表いたしました平成十八年度全国母子世帯等調査の結果を平成十五年度に行われました前回調査と比較いたしますと、一つは、母子世帯の平均の年間収入でございますが、これが二百十三万円となっておりまして、前回調査の二百十二万円に比べまして一万円増加。二つ目として、平均の年間就労収入でございますが、これは百七十一万円になっておりまして、前回調査の百六十二万円に比べますと九万円の増加ということでございます。

 こういったことで、数字的には一定の改善は見られるところでございますけれども、母子世帯の平均の年間収入は、一般の世帯と比べましてなお低い水準にあります。また、低所得世帯が多くを占める状況に大きな変化はなかったということで、引き続き、就業支援施策に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

高橋委員 今、大きな変化はなかったというお話でしたけれども、その続きが、引き続き就業支援策にということですけれども、これは根拠ある数字だとは言えない、五年では十分だということではないということを確認してよろしいでしょうか。

大谷政府参考人 さっき申しましたように、一定の改善は見られたというふうには理解しておりますけれども、なおその水準が十分でないということでございます。

高橋委員 十分でないということを確認させていただきました。

 資料の一につけておきましたけれども、これは母子家庭白書ですね。一世帯当たり平均所得金額及び世帯人員一人当たり平均所得金額は、全世帯と比べて、あるいは高齢者世帯と比べても、母子世帯が極端に低いということが一目でわかると思います。これは、今回の母子世帯等調査結果においても、全世帯の平均所得の三七・八%という形で、依然として低いということが改めて確認をされたと思っております。

 それで、今も十分でないというお答えをいただいたんですけれども、この中身なんですね。例えば、二百十三万円に一万円アップしたということがあったと。新聞報道で、年収が五年前と比べてちょっと上がっているじゃないか、削減幅が限定的なものになるのではないか、ちょっとそういう報道が一時出たんですね。それで非常に不安を広げてしまった。

 しかし、それが十分ではないということの一つの試算として、これも依然として児童扶養手当の一部支給の対象には当然なっているわけですね。例えば、今の二百十三万円で一体どのくらいの手当になるかなというのを計算してみますと、一万二千九百八十一円、年十五万五千七百七十二円かなと思います。

 つまり、年に一万円ふえて、月一万円以上の手当が減らされるというと、何倍もの打撃になるわけですね。それはもう十分お認めになると思いますが、その点を確認させていただきます。

大谷政府参考人 どういった対象の方にどういった幅で減額するかについては、まだ固まっておりませんので、今おっしゃったように、金額で突合することはできませんけれども、確かに、わずかに収入がふえた結果、計算の上では給付額が下がる世帯が出るということは、制度の改正によっては起き得ることだと思います。

高橋委員 改めて、五年で削減してよいという根拠にはならなかったと思っております。

 十四年の法改正のときは、いわゆる経済支援から就業支援に切りかえたのだと説明をしてきました。私は、もちろん就業支援はやるべきだと思っています。だけれども、それが、実効が上がる前に、現実に、今言ったように十分な所得は結局上がっていない、そういう状況があるのに削減ありきということがやはり問題なのではないかと思っています。

 そこで、調査は母子家庭の実態に迫れたのかということです。シングルマザーは、常用雇用が若干ふえたとはいえ、依然として臨時、パートが四三・六%です。では、社会保険の加入率はどうなっているでしょうか、また、ダブルワークがどのくらいあるか。この二点を伺います。

大谷政府参考人 平成十八年度の全国母子世帯等の調査結果によりまして、母子世帯の母の社会保険の加入状況でありますけれども、まず、雇用保険につきましては、加入している方が五六・三%、医療保険につきましては、被用者保険に加入しておられる方が四九・〇%、国民健康保険に加入しておられる方が四四・六%、次に、公的年金でありますが、被用者年金に加入しておられる方が四五・四%、国民年金に加入しておられる方が三七・二%となっております。

 また、ダブルワークとおっしゃった内容でありますが、母子世帯のお母さんが複数の仕事をかけ持ちしているケースというふうに理解するのかと思いますが、これにつきましては、私ども、当事者団体のヒアリングやあるいは報道等で、そういった実態があるということは承知しておりますが、今回の調査ではその数量的な把握はしておらなかったところでございます。

高橋委員 社会保険の加入率については、今回の調査で初めて行ったということを伺っています。

 改めて、ひどい実態だと思うんですね。雇用保険の未加入が、つまり四三・七%だと。さすがに医療保険というのは一番多いわけですけれども、それでも未加入が六・五%。そして、公的年金が一七・五%という、まさに本当に未権利な状態で働いている。多くのシングルマザーが、もし自分が倒れたらこの子はどうなるんだと将来に不安を抱えている、そういう実態が浮き彫りになったのではないかと思います。

 それから、もう一つのダブルワークの問題ですけれども、今回の調査にはありませんでした。

 私たち、紹介をさせていただいておりますが、新日本婦人の会が、ことし三月から五月に、全国の五百五十九名からの回答をいただいた母子世帯の就労・子育て実態調査、この中で、二カ所かけ持ちで働いている方が一〇・九%いらっしゃいます。そして、三カ所あるいは四カ所以上、これを合わせると二・六%もいらっしゃいました。こういう実態なんですね。

 大臣に次に伺いますので聞いていただきたいと思うんですが、深刻だと思うのは、手当が減額されたらどうしますかという問いがあるんですね。それに対して、三八・一%が仕事をふやすと答えています。

 つまり、今現在でもダブルワークの人たちが、ふやすと答えている。今一つの人でもふやすということは、ダブルワークになるということですね。そういう実態が、つまりダブル、トリプルという形になっていくということをまずわかっていただきたい。今回の厚労省の調査でも、帰宅時間が午後十時から十二時に及んでいる方、深夜、早朝の方を合わせると六・四%もいらっしゃる、そういう実態だということです。

 九月の交渉に私も同席させていただきましたが、新婦人の会の申し入れのときに、福島から来たシングルマザーが訴えておりました。夜九時に仕事を始めるんですね。朝の七時か八時に帰ってくる。だから、息子さんは中学生なんですけれども、顔を見られない、いつもすれ違いなわけです。ですから、息子さんと一緒にいたいんだけれども、昼働きたいんだけれども、夜の方が時給が高いと。今、最賃の話もこの間しましたけれども、そういう状態で、少しでもいい方を選ばざるを得ないんだと。ですから、お弁当も持たせてやれない、毎日コンビニで弁当を買わせる、そういう実態なのだということを訴えられていました。

 私は、こういう就業形態で、さらに仕事をふやすなどということを選ばざるを得なくなったら、子供も母親もどうなるかはもう推して知るべしではないかと思います。

 このような実態を大臣はどう見ますか。せめて手当は削らないでと訴えています。この児童扶養手当は既に毎年削られています。減っています。だから、本当は全然足りないと言いたいんです。でも、せめて削らないでと言っているんです。児童扶養手当が命綱であることを認めますか。そして、少なくともこれ以上削るべきではないと考えますが、いかがですか。

舛添国務大臣 先般、母子家庭の皆さん方ともお会いいたしました。

 そして、実は、私自身、父親を子供のときに亡くして、ずっと母子家庭ですから、母子家庭の大変さというのは本当に身にしみてわかっているつもりでございます。そして、私が子供のころというのは、戦後すぐですから、児童扶養手当なんて何にもない。ダブル、トリプルどころかクアドラプルになるように、とにかく仕事があればみんなで、残された者で働いて生き抜いていく、そういう思いがありますので、この問題に対して私は人一倍強い思いを持っております。

 ぜひこれは、議院内閣制ですから、財源の問題も考えないといけません、政府・与党のしっかりとしたスクラムを組んで、私もしかるべきリーダーシップを発揮する、そしてまた与党の皆さん方の御英断を賜りまして、今委員がお話しになったようないろいろな問題点が解決できるように、全力を挙げて取り組みたいと思います。

高橋委員 全力を挙げて解決できる、今の言葉の中には、私が質問をした、削減すべきではないということも含まれているのかなと。

 これには法律の改正が当然必要であります。期限を区切っているものを削除するか、あるいは、せめて延長、今年度中には結論を出さないという手段があるかと思います。このことも含めて検討されるということでよろしいでしょうか。

舛添国務大臣 その前にやはり、私の例を出したのは、就労支援というのは非常に重要ですよということは、まず一つ申し上げておきたいと思います。

 その上で、本当に困っている方々をどうして救うか。大きな理念、大きな理想を掲げるのはいいんですけれども、現実にある法律を施行したときにさまざまな問題点が起こってくる、それにきちんと対応するのが政治家の仕事だと思っていますし、そのことを与党の皆さん方はプロジェクトチームでしっかりと今検討なさっておりますので、スクラムを組んで、問題を感じている方々にそういう悩みを持たないで済むように、そういう方向で全力を挙げていきたいと思っております。

高橋委員 私が先ほど指摘をしたのは、含めてですから、そのことも含めて最大限努力をしていただきたいということなんです。

 一言だけ就労支援の問題で言いますと、これは政府としても、来年度の概算要求の中でも、予算のいろいろな面で考慮をされております。教育訓練のときの生活支援ですとか、そういうことは十分承知をしております。しかし、それはまだ緒についたばかりなんですね。

 ですから、これから一定前進をするかもしれないけれども、今年度中には決着しないというのはもう当然である。よろしいですね、それを局長にちょっと、最後、一言確認して。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

大谷政府参考人 ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、就労支援という自立の問題も含めて、対策を全般的に講じてまいりたいと考えております。

高橋委員 以上で終わります。よろしくお願いいたします。

茂木委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、与野党の理事並びに委員長の御高配で一般質疑の時間を設けさせていただいて、本当にありがとうございます。きょうは、与党の冨岡委員に始まって、非常に内容があり、また聞いていて勉強にもなる質疑が行われておりますので、ぜひこの厚生労働委員会、国民の期待の高い委員会ですので、審議時間をこうした法案以外のことでも十分とっていただきたいとお願い申し上げます。

 冒頭、舛添大臣にお伺いいたします。

 きょう、古屋委員は救急医療のことを随分取り上げてくださいましたが、私の一問目も救急医療に関しますことでございます。

 実は、大臣、お気づきになりましたかどうか、数日前の新聞に、埼玉医大の総合医療センターというところで、軽症の救急患者さんについては、受診のときに、保険適用以外に八千四百円いただくようなことを検討しておる。まだこれはもちろん実際ではございませんし、その地方の社会保険事務局に届け出て、またその後が進むわけですが、私は、この埼玉医大の救急センターというのは、たまたま私の後輩が救急部の長をやっておりまして、過重労働と申しますか、本当によく働いておられるし、ぎりぎりのところでやっておられることを知っているだけに、この申し出というのを、ある種、救急現場からの悲鳴と受けとめました。

 まず冒頭、大臣には、これは例えば、そうした一般の軽症者から高額なお金を取るのはけしからぬとかいう言い方もできるのかもしれません、でも、私には、現場から見て、とてもそうは思えなかったんですが、大臣はお気づきであったか。あるいは、今の私の指摘でどのようにお考えであるか。お願いします。

舛添国務大臣 これは、報道されたときから気づいておりまして、私も、けしからぬという対応じゃなくて、もうここまでせっぱ詰まってやらないと救急医療が崩壊するという悲鳴だというふうに受け取りました。

 では、どうするかなんですけれども、いわゆるトリアージ、患者の症状の重さによって振り分けをやる、このトリアージのシステムが国全体でできていない。これを何とか確立したい。ですから、本当に、軽症の方がそういう救急に来られる、そうしたら、もっと大事な人はどうするか。

 私は、世田谷の成育病院でいつも子供がお世話になっているんですけれども、あそこは病院に入った段階でトリアージをきちんとやってくださって、それで、そのトリアージに対して患者の方も別にクレームをつけない。今のは一つの病院の例を出しましたけれども、地域全体でトリアージをやる。そして、国民の間にも、自分の症状によってトリアージをやっていく。

 ですから、例えば、救急車を有料化するという話もやはり同じ悲鳴の一つだと思いますので、トリアージのシステム化、体系化、地域全体、国全体でトリアージのネットワークをつくる、これが今一つの大きな課題だと考えていますので、またいろいろお知恵を拝借して、この点での施策も頑張ってやりたいと思います。

阿部(知)委員 私もたまたま国立小児病院に勤務しておりましたから、あの病院と例えば他の救急病院の違いは、世田谷等々はER方式、テレビでもやってございますから、一次でも二次でも三次でもとにかく受け入れて、そこからトリアージしていくんですね。でも、今の日本の医療制度は、一次救急、二次救急、三次救急、おのおの担当病院が違うわけです。これは、どちらがいいとも言えないところがあると私は思うんです。

 今、日本でとっている一次、二次、三次がなぜ破綻して三次に全部押し寄せているか。この埼玉の医療センターは三次でございますが、二次救急病院がここのところ地域で本当に崩壊、例えば公立病院あるいは地域中核病院が救急医療をやれなくなっております。

 私は、国情に応じた救急医療の構築というのは非常に大事と思いますが、その前提には、一体地域で各救急はどうなっているのかということのデータが厚生労働省としてきちんと整っていないのではないかという点を非常に懸念するわけです。救急実態の調査について、担当部署からお願いいたします。

外口政府参考人 まず、御指摘の救命救急センターの実態でございますけれども、全国約二百カ所ございまして、患者数については、平成十八年の実績では、一カ所当たり一日平均救急外来患者数が三十一人でございます。

 そして、医師の勤務実態については、平成十九年で、夜間、交代勤務制をとっているところが二七・二%、それから、当直勤務制をとっている施設では、一カ月当たりの当直、日直回数については、施設当たりで最大十三・五回、平均で四・六回となっております。

 このように、救命救急センターにおける勤務実態は大変厳しい状況にあると承知をしております。

 埼玉医大の総合医療センターについては、来週実情を詳しくお聞きする予定でおりますけれども、こういった実態の把握について適宜行ってまいりたいと思います。

阿部(知)委員 個別に、こうやって悲鳴が上がったからそこに行って調査するというのではとても間に合わないし、それから、三十一人なんという数は、どこを調べたら、その日の救急患者が三十一人なんというところは、一体どこでどんな実態調査をしたのかと、非常に私は不審に思います。

 既に厚生労働省が研究班で、小児医療の救急あるいは一般救急の調査報告をしておられるわけです。ここから酌み取る作業と、あわせて、もっと面として、地域でどうなっているかという調査がなければとても対応できません。もちろん、おっしゃった三交代じゃなくて、日直、当直を繰り返して週の労働時間が百時間以上などというのはざらなことであります。その結果、医師たちが疲弊し、去っていく。地方病院は、救急をやることの財政負担で破綻していく。本当に深刻な医療崩壊です。

 冨岡先生も朝、医政局よ頑張れとおっしゃっていましたが、私は、本当にこの医療崩壊の現状を政治が放置しているとしか思えませんので、大臣には、調査方法も実態調査も含めてよろしくお願いします。

舛添国務大臣 その二次の部分がどうなっているのかを含めて、私も実はそれを知りたいというふうに思っていますので、この問題は内閣全体としても取り組む課題だというふうに思っていますので、都道府県、市町村の協力を賜って早急にきちんとした調査をやらせます。

阿部(知)委員 いつも前向きに御答弁、ありがとうございます。

 引き続いて、さきの十月でしたか、御報告をいただきました。これも大臣が熱心にお取り組みですが、診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案、前回も少し取り上げさせていただきましたが、今この二次試案に対してのパブリックコメントを求めておられる最中というふうにも伺っております。

 非常に熱心に厚労省の方もやっていただいておるんですが、意外と、パブリックコメント、まだ一部ですが、拝見すると、拙速に過ぎてやってもらうとかえって医療現場を崩壊させる等の意見もあると私も伺っております。私も現実にそのような懸念を抱く点がありますので、一、二、きょうこの場で指摘させていただきます。

 現場の医師たちが何に一番不信や不安を抱いているかという点で、報告の一部にございますが、こういう事故調査委員会に申し出た調査報告書を今度は刑事手続で使用されることもあり得ると。

 これは、調査というのはあくまでも実態を調査して、なるべく正直に現状を言っていただく以外に医療現場をよくする手はありません。刑事となれば、当然そこには処罰、犯罪、いろいろな問題が絡んでくると思います。この「あり得る」という一行が今度は非常に波紋を生んでいるという点も、正直言って、御答弁いただく時間がないので、指摘をさせていただきます。

 それから、死亡事故だけでなく、日常の医療事故にも広げていくということと、もう一方の患者救済、被害者救済というのが、いわゆる労働基準監督署の行っているような実際の原因究明と補償という両輪が回らないと、これもまた、医療現場にいる者としては、届け出はした、だけれども補償も見えないとなれば、非常に、患者さんにとってどうなのかというこの懸念がとれません。

 大臣、この点、私は非常に骨格的なことをお願いいたしましたが、御答弁をお願いいたします。

舛添国務大臣 厚生省が今試案として出しているものが完全だとは私は思っておりません。したがって、パブリックコメントに付し、皆様方の御意見を賜りたい。

 そして、やはり、行政がかかわった調査報告書が裁判過程に使われるということに対する懸念というのは、現場から私も声を聞いております。これをどうするか。したがって、ADRの位置づけというのをもう少し工夫すべきではないかというふうに思っていますから、この点は事務当局にも指示をいたします。

 それとともに、無過失補償制度、これは車の両輪としてやらなければ、このノーフォールトというものを、今は脳性麻痺の方々だけをとりあえずということですけれども、できるだけこれを広げる。

 遺族の方たちの思いは、ないしその患者さんの思いは、まず真相究明、これが知りたいんだ、その上できちんともとの体に戻してほしい、こういう願いがあるわけですから、それを踏まえた上で、どうか、阿部委員も含めてもっと広くこの試案に対する御意見を賜って、さらにいいものにしていきたい、そういうふうに思っております。

阿部(知)委員 大臣のせっかくのお言葉ですから。今、産科領域で進んでいる無過失補償制度は、出産一時金といって、患者さんに本来行くべきものの一部がプールされて、これは交通事故に遭った側からお金をプールしていく仕組みですので、私はこれも懸念がございますが、時間の関係で指摘だけにさせていただきます。

 最後に、高齢者医療制度、私は、これは、きょう午前中、園田委員が御質疑でしたが、障害者自立支援法の応益負担と応能負担のように、コンセプトそのものが間違っていると思うのです。

 一つは、七十五歳という年齢を区分けしてその一グループをつくる保険というのは、世界各国、前例がございません。なぜ世界はそういうことをしないのか。弱者連帯になってしまうからです。アメリカの、大臣も御存じだと思いますが、メディケアというのは、かなりの部分、ほとんどが税で高齢者をそこは救わないと、あの自由競争の国ではどうにもならないという国情であります。

 我が国が高齢者医療保険制度をつくった。私は先日、ある七十五歳以上で元気で働いている方から御指摘を受けました。今自分は組合健保である、妻は七十三歳である、自分が高齢者医療制度に行っちゃったら妻はどうするんだろうか。今の日本の七十五歳以上の男性は、本当に、家族を背負って、妻を扶養し、あるいは子を扶養しているかもしれない。

 七十五歳以上で被用者保険、働いている保険に入っている数は日本で三十万人おられます。一千三百万人の高齢者のうち七%か八%、こんなに高齢者が働いている、七十五歳以上が元気で働いているんです。

 だのに、この制度では、七十五歳以上の高齢者医療制度、特性一、老化に伴う生理的機能の低下、二、高齢者は軽度の痴呆を含めていろいろある、三、後期高齢者は、この制度の中で、いずれ避けることのできない死を迎える。そういう制度にわざわざ切り取って送り込むわけです。

 私は、大臣もそうでしょう、生涯現役で働きたいと思っています。働いているならば、きちんと健康保険法の勤労者に対して、働くことに対して保障される保険制度の中にいる権利があるはずです。そして、子供もまだ扶養している方だって、七十五歳以上だっているんです。奥さんもおられます。

 こういう制度自身、なぜその方の労働者性を否定して高齢者医療制度の中に持っていかねばならないのか。時間ですので、大臣に端的にお願いします。

舛添国務大臣 一つは、やはり、今ステレオタイプ的なことだという御指摘だというふうに思います、七十五歳以上の高齢者についての見方が。この七十五歳以上の後期高齢者の医療費が急増すると、それによって国民皆保険というシステムが壊れるということの危惧が非常に片一方であるということだと思いますが、しかし、阿部委員がおっしゃる御指摘ももっともだと思います。

 私は、人生八十五年時代ビジョンというのを今策定して、八十五までみんな生きるんだよ、その中で、仕事の仕方、そして生活の仕方、趣味のあり方、全体的にとらえていきたいと思いますので、そういう中で、今言った、まさに働いている方がそれだけの数、七十五以上いってもおられるということですから、その大きなビジョンの中で、これは私は非常に原点に戻ってもう一遍そこで検討してみたい。検討をしてみます。

 ただ、どうしても財政当局とのやりとりの中で、財政破綻、財政破綻ということがありますから、そういう面での配慮もあり、財政のこともしっかり考えながら、国民皆保険を守りたいということをきちんと主張しながら、しかし、今委員の御指摘もきちんと賜った上で、人生八十五年ビジョンの中でその考えを生かしていきたいと思います。

阿部(知)委員 七十五歳以上の高齢者で働いている方のパーセント、九・〇でございました。本当に哲学が誤れば制度は成り立ちません。よろしく御検討ください。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 本日は、生命維持に欠かすことのできない水の問題について質問させていただきたいと思っております。

 この水の問題は、私、昨年の予算委員会、平成十八年二月十六日の予算委員会で当時の川崎大臣にお聞きしました。また、この委員会でも聞きましたし、柳澤大臣にも質問をさせていただきました。ですから、本日は、舛添大臣にどのように引き継ぎがしっかりとできているのかということも踏まえて質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 先日、十一月一日の災害対策委員会におきまして、私、耐震化のことについて、水道管の耐震化が必要であるということで質問をさせていただきました。

 当時、平成十八年の二月十六日に川崎厚生労働大臣が、私が耐震化を進めるべきではないかという質問をいたしましたら、国庫補助制度での支援ということから、耐震対策が不十分な老朽管の更新、そして、基幹病院など災害時において給水優先度の高い施設への配水を確保するための耐震性配水管の整備等の国庫補助というような施策を進めながら、委員が御指摘のように、一〇〇%を目指して努力してまいりたい、このような答弁があったというふうに思っております。

 これは水道ビジョンで、耐震化率一〇〇%を目指す、これは平成二十五年までに一〇〇%にするんだということでございます。私が十一月一日の災害特で、この耐震化率は今どうなっているんですかと聞きましたら、内閣府の政策統括官から、現在、耐震化率は必ずしも高くない状況なので、平成二十五年に一〇〇%を達成するのは容易でない、このような答弁をいただきました。

 私は、これは川崎大臣の発言と矛盾するのではないかということで、再度、泉大臣にお尋ねをいたしました。そうしましたら、泉大臣も、やはりなかなか達成は難しい、このような発言をされたわけでございます。また続けて、重要なインフラですから、厚生労働大臣に実現を求めていくんだということもあわせておっしゃられました。

 そこで、まず大臣にお尋ねいたしますけれども、基幹病院など優先順位の高い施設における水道の耐震化率、これは一〇〇%という目標を平成二十五年までに達成することは可能かというお尋ねをさせていただきたいと思います。

舛添国務大臣 きちんと目標を掲げて、そのために全力を挙げる、これが行政の仕事でありますから、可能か不可能かということではなくて、その目標達成のために全力を挙げるということであります。

糸川委員 大臣、今のは私は、達成すると言ってほしかったわけですよ。特に基幹病院、この間、中越沖地震のときに、柏崎の市内の病院、これは透析させることができませんでしたよね。それから手術を受けさせることもできなかった。これは、水道が、水が来なかったということが原因なわけですよ。

 ということは、これは命ということをはかったときに、一刻も早く水が必要だというところに水を流してあげることもできないということから、大臣は、これは厚生労働大臣として責任を持って、二十五年までに優先度の高いところには水を流すんだという決意が欲しいわけですよ。いかがですか。

舛添国務大臣 上水道の担当は、私、厚生労働大臣であります。いろいろな担当がありますけれども、水も私の担当でございます。しっかりとこれはやっていく。

 どうしても、水というのはただ、水と安全はただとイザヤ・ベンダサンが言ったように、そういう感覚があるんですね。だから、一朝有事で地震になったら、皆さんそのときに大切さが初めてわかる。だから、例えば東京都内にどれだけ井戸が残っていますか。もうどんどんつぶしていっている。私は、もう少し国民が危機管理ということをしっかり考えるべきだというふうに日ごろから思っております。

 したがって、泉大臣ともお話しして、これはきちんとやりますよ、防災の一つですから、危機管理の一つですから。ですから、まさに災害は忘れたころにやってくるということであります。

 ただ、問題は、国庫補助をするにしろ何にしろ、財政の負担が伴うわけですね。ですから、これはすべての問題についてそうですけれども、私は頑張ってやります。そのために、ぜひ予算措置というのが必要になってくると思いますけれども、そういうところを国民の御理解を賜ってきちんとやっていきたいと思います。

糸川委員 大臣の決意、しっかりとやっていただくということで確認いたしました。

 それでは、十一月一日から今までの間に、泉大臣からこの水道の耐震化のことについて、舛添大臣は何か要請というものがあったというふうに認識されていらっしゃいますでしょうか。

舛添国務大臣 ここのところずっと、地震や、特に新潟を含めいろいろなところで、能登もそうでしょう、本当に災害の多い国だなと思います。

 泉防災担当大臣がしっかりこの点を認識なさっていますので、スクラムを組んでしっかりやろうということで今連係プレーをとりつつあります。

糸川委員 実は、大臣、これは十一月一日のときに泉大臣が、厚生労働大臣の方に実現を一日でも早く進めていただくように私からもお願いを申し上げたいと言っていますので、要請があったというふうにきょうは認識をしたいと思います。

 改めて、きょうは時間がほとんどありませんので、今ここで聞くというのはちょっと難しいんですけれども、ぜひ平成二十五年までに、どのような形で、今、耐震化率というのはまだ一三%程度でしょうか、ということであるならば、それを平成二十五年までに一〇〇%にするには、どの程度の予算が必要で、どのような目標を掲げながら毎年それをこなしていくのかということも明確にしていただきたいと思うんですが、これはいかがでしょうか。

舛添国務大臣 そういう形のプランニング、工程表、こういうものができるか、できるならば、早急に作成をさせてみたいと思います。

糸川委員 大臣、プランというのは、これは私も予算委員会で川崎大臣に確認をして、川崎大臣はやるとおっしゃられたわけですから、ぜひ、厚労省の中で、一〇〇%にするためのプラン、どのようにしていったらいいのか、できないならば、どういう順序で、優先順位の高いところからどのようにやっていくのかということを改めて今後お示しいただきたいと思います。

 きょうは時間がございませんので、もう一つ、今、鉛の問題とか、おもちゃに鉛が入っていてそれをすべて回収したとか、いろいろなことが言われております。その中で、実は水道管も鉛管というのが使われているということがあるわけです。

 水道水質基準では、鉛の水質基準、これは〇・〇一ミリグラム・パー・リットル以下というふうに定められております。このように規定するということは、これ以上は健康に影響を及ぼす可能性があるんだという認識があってのことだと思いますが、国内外の調査研究結果などを受けて、我が国の水質基準、これの鉛の基準値を定めるまでの経緯、根拠を御説明いただきたいと思います。

 まず大臣にお聞きしたいですね。

西山政府参考人 済みません、ちょっと化学的な話で、私の方から答えさせていただきます。

 鉛は蓄積性がございまして、摂取量が多い場合には中枢神経系など人の健康に対する影響が懸念される物質でございます。

 鉛の水道水質基準については、昭和三十三年に設定いたしまして以来、段階的に強化しております。平成十五年からは、WHO飲料水水質ガイドライン値や乳幼児への影響等を厳格に考慮した、〇・〇一ミリグラム・パー・リットル以下としたところでございます。

糸川委員 人体にどのような影響があるかということで今局長が御答弁されましたけれども、大臣、例えば、幼い子供は成人と比べて鉛の影響、これは四倍から五倍吸収しやすいそうです。身体からの排せつ速度も低いということで、例えば、慢性中毒としてけいれんとか昏睡とか、その場ですぐに症状が出るわけではないわけですね、蓄積されて出てくるということです。

 そこで、このような鉛管の健康への影響というものがあるということを認識した上で、今現在、道路に埋設されている水道管、ここから建物へ水道を引き込む給水管には、以前鉛製のものが使われておりました、現在も使われているということでございますが、鉛管はどの程度残存しているのか、大臣、お答えいただけませんでしょうか。

茂木委員長 事実関係ですので、西山局長から答弁させます。

西山政府参考人 恐れ入ります。

 平成十八年度に水道事業者を対象に調査した結果がございます。各水道事業者が把握している鉛製の給水管延長ですけれども、約九千百キロメートルとなっております。

糸川委員 大臣、今の数字を聞かれて、鉛製のものが使われているということに関してどのように対処するというお気持ちでしょうか。これは今、健康に害があるということを私御説明しました。これを聞いてどのようにお感じでしょうか。

舛添国務大臣 水道管がメーターまで来るのは、これは例えば、何とか市水道局がやっていればそこの担当でしょう。メーターから自分のうちまでは、例えば、私のうちは私の担当だ、恐らくそうなっていると思います。

 ですから、まず正確に、鉛が使われているのがどこでどうであるかという情報を、これは各水道事業者、都市の水道局、こういうところにお尋ねする。

 その上で、何らかの助成措置がとれるのか。それは例えば、市の水道局が、個人についていえば、若干補助をするからかえてくださいと言うか、そういうことも含めて、それから、市町村に対して国が何らかの財政的な支援ができるか、これは検討して、国民に鉛の被害を与えないということが重要だと思います。

糸川委員 今、局長は九千百キロあるというふうに言われているわけですから、もうどこにあるかというのもわかっているわけですね。

 個人の自宅は、確かにそれは、鉛管を使われているということは、ではだれが負担するのかというのはまた別にしても、鉛管が使われているかどうかということを個人の方に伝えてあげないと、例えば、長期出張した後、自分の水は安全だと思って蛇口をひねって飲んでいる、すぐに飲まなければいいんでしょうけれども、バケツ一杯程度出してから飲む方はいいんでしょうけれども、即座に飲んだ、そういう方が、子供が、いつもそういう形で水を飲んでいると蓄積されていってしまうわけですよ。

 ということは、自分の水道管が鉛管かどうかなんということをよく知っていらっしゃる方というのは非常に少ないんじゃないかなと思うんですね。ですから、その辺の広報活動、これもどのようにされるのか、大臣にお聞きしたいと思います。

舛添国務大臣 私も、私の水道管が鉛管かどうかというのは知りません。知っているのは、例えば東京都の水道局が知っていると思いますから、そういう事業者に対して指導して、きちんと情報を与えなさいということはきちんとやりたいと思います。

糸川委員 ぜひ大臣、このことについて、やはり健康に被害が出る、今、肝炎にしても、知っているけれども言わないというようなことでいろいろ被害が出てきて、そして、では今から明らかにしようと。

 もし東京都水道局が九千百キロのうちどこどこに鉛管が使われているということがわかっているならば、厚生労働省として、やはりこれは指導して、鉛管をどのようにかえていくのか、では、その助成金が出せるのか出せないのかということも含めて、東京都はいいけれども過疎地域は無理だということならば、どのようにかえていくのかということも、大臣、これは取り組んでいただく必要があるというふうに考えております。

 ぜひその辺も大臣に取り組んでいただきたいということをお願いして、時間が参りました、今後またこのことを追及させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。終わります。

茂木委員長 次回は、来る二十一日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会


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