衆議院

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第8号 平成19年11月21日(水曜日)

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平成十九年十一月二十一日(水曜日)

    午後一時五分開議

 出席委員

   委員長 茂木 敏充君

   理事 大村 秀章君 理事 後藤 茂之君

   理事 田村 憲久君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 山田 正彦君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井澤 京子君

      石崎  岳君    稲田 朋美君

      小野 次郎君    川条 志嘉君

      木村 義雄君    櫻田 義孝君

      清水鴻一郎君    杉村 太蔵君

      平  将明君    谷畑  孝君

      冨岡  勉君    長崎幸太郎君

      長島 忠美君    西本 勝子君

      萩原 誠司君    林   潤君

      平口  洋君    福岡 資麿君

      馬渡 龍治君    松浪 健太君

      松本  純君    松本 洋平君

      三ッ林隆志君    安井潤一郎君

      内山  晃君    岡本 充功君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      園田 康博君    長妻  昭君

      細川 律夫君    三日月大造君

      三井 辨雄君    柚木 道義君

      古屋 範子君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    保坂 展人君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           大村 秀章君

   議員           田村 憲久君

   議員           宮澤 洋一君

   議員           吉野 正芳君

   議員           後藤 茂之君

   議員           福島  豊君

   議員           古屋 範子君

   参議院議員        蓮   舫君

   参議院議員        大塚 耕平君

   参議院議員        辻  泰弘君

   参議院議員        足立 信也君

   参議院議員        津田弥太郎君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   厚生労働大臣政務官    松浪 健太君

   会計検査院事務総局第二局長            小武山智安君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  関  有一君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    荒井 英夫君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            太田 俊明君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           中村 秀一君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    坂野 泰治君

   政府参考人

   (社会保険庁総務部長)  吉岡荘太郎君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  石井 博史君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     馬渡 龍治君

  木原 誠二君     安井潤一郎君

  高鳥 修一君     稲田 朋美君

  萩原 誠司君     平口  洋君

  三井 辨雄君     三日月大造君

  阿部 知子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     長島 忠美君

  平口  洋君     萩原 誠司君

  馬渡 龍治君     井上 信治君

  安井潤一郎君     平  将明君

  三日月大造君     三井 辨雄君

  保坂 展人君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  平  将明君     小野 次郎君

  長島 忠美君     高鳥 修一君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     木原 誠二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律案(大村秀章君外六名提出、衆法第五号)

 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(大村秀章君外六名提出、衆法第六号)

 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一号)


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     ――――◇―――――

茂木委員長 これより会議を開きます。

 大村秀章君外六名提出、厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律案、大村秀章君外六名提出、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び参議院提出、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省行政評価局長関有一君、国税庁課税部長荒井英夫君、厚生労働省職業安定局長太田俊明君、社会・援護局長中村秀一君、社会保険庁長官坂野泰治君、総務部長吉岡荘太郎君、運営部長石井博史君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長小武山智安君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

茂木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。

田村(憲)委員 自由民主党の田村憲久でございます。

 いよいよ年金の議論ができるということで、私も楽しみにさせていただいておりますが、年金の問題、国民にとって一番と言っていいでありましょう、やはり国民生活に影響を与える、そういう問題でありますから、今、年金が不信だ、不安だ、こういうようなことを国民の皆様方が思っておられる、これを一つずつやはり解決していかなければならないわけであります。

 大きく分けて二つ、年金の問題というのは国民にとっては不安があるのであろう、不信があるのであろう、こう思うんですね。一つは、本当に今の年金で大丈夫なのかという年金の財政論の問題。そしてもう一つは、年金を運営してまいりました社会保険庁を中心とする組織、これがいろいろな不祥事、この宙に浮いた五千万件もそうでありましょう、そういう問題がある中において、本当にこの人たちに年金を任せていいのか、こういうような、漠然としたというか、具体的な不安が国民の皆様方にある。この二つを我々は解決していかなければならぬわけであります。

 そういう中におきまして、実は前回、一般質疑でも私、取り上げさせていただきましたが、岩手県の国民年金保養センターはなまき、この件に関して、冒頭御質問をさせていただきたいと思うんです。

 経緯というのは以前も、前回もお話をさせていただいたんですが、このはなまきという健康保養センターでありますけれども、ここのセンター長でありました元社会保険庁OB、この方は一九九八年に社会保険庁を退官されまして、同年に岩手県国民年金福祉協会の常務理事、そしてこのはなまきのセンター長、これに就任をされたわけであります。

 非常に運営が厳しいということがありまして、御本人もいろいろと考えられたのでありましょうけれども、そんな中で、有限会社金矢温泉商事というものを一九九九年に設立されました。その社長に就任をされたわけですね。これは、センター長、つまりこの保養センターの方から、実は発注といいますか委託をお願いするわけですね。受託をした会社がこの金矢温泉商事ということでありまして、発注する側、出す側と受ける側がトップが同じという、非常にこれまた奇妙な経営形態になっておった。しかも、いろいろと見てまいりますと、どうもこれを社会保険庁も以前からわかっておられた、こういうことであった。前回、こういうようなお話でありました。

 問題点としては、今も言いましたとおり、受委託関係にある両者、このトップが一緒である、これは大きな問題であります。これがまず一点。しかも、随意契約でありますから、入札はもちろんかけておりません。こういうことが本当に許されるのかどうか。

 さらには、このセンター長、及川さんという方でありますが、この方が両方から報酬をもらっておられた。これはどう考えてもおかしいですね。公務員ではないんでしょうが、話を聞きますと、一応、岩手県の国民年金福祉協会の中の規約で、兼務はだめだというようなお話であったらしいんですが、当時のこの理事長さんがこれを認めた、認めていない、口頭でそういう話はあったようであります、書面では残っていなかったというふうにお聞きをいたしておりますが。いずれにいたしましても、非常に不透明なこういうような形態で受委託をしておったということであります。

 そこで、社保庁にお聞きをいたしたいんですけれども、前回も聞きました、岩手県社保事務局に特別監査を社保庁から指示したということですね。しかしながら、指示した後も特別監査をやっていない。二〇〇七年には定期監査をやったようでありますけれども、指示したのにやっていないのはどういうことであったのか。

 あくまでもうわさですから、これは事の真偽はわかりませんが、中には、この及川さんはもともとOBでありますから、知っている部下も結構いるわけですよ。ですから、そういう意味からいたしまして、何かあったらおまえらもそれこそ同罪だぞみたいな、そういうようなおどしがあったのではないかというような、あくまでもうわさが流れている。これは聞きました、私も小耳に挟みました。まさかこんなことはないと思いますけれども、事実、やれと言ったのにやらない、これはどうもおかしい。

 果たしてその後、前回で調査するという話でありましたね、なぜ特別監査をやらなかったのか、調査の結果、その理由というものがわかっておれば、お聞かせいただきたいと思います。

石井政府参考人 お答えさせていただきます。

 前回、田村先生から御指摘を賜りまして、私ども、直ちに本庁の職員を岩手の方にも差し向けまして、今し方お話のございました常務理事兼センター長という立場にある者も含めまして、事情の聴取もしてきてございます。

 そういう過程を経ての御報告でございますけれども、平成十七年七月に岩手社会保険事務局は、はなまきというこのセンターのセンター長と、それからそのセンター長自身が個人的な立場で設立した有限会社、これとの間に要するに業務の委託契約があって、その関係が甚だ不透明で、改善指導をしているという報告を本庁の方にしております。本庁の方では、これを受けまして、特別検査をせよという指導をしたことは先生おっしゃるとおりでございます。

 その後の経緯でございますけれども、それを受けて、岩手社会保険事務局の方では、本庁の指導の線に沿って特別検査を実施するという方向で検討をしたというふうなことはわかってございます。

 ただ、検討の中身でございますけれども、いろいろな議論があったようでございまして、その主なものを申し上げると、例えば、契約そのものも不透明で誤解を招きやすいものではあるけれども、民法を初めとする法令等でありますとか、それから協会の就業規則に反するかどうか、それからまた協会に対する指導権限がどこまで及ぶのか、委託先まで及ぶのか、そうしたことについて検討を重ねたようでございますけれども、結論に至らなかったというようなことでございまして、そのような状況で時間がいたずらに過ぎてしまったということから、結果的に特別検査をするに至らなかった、こういうような経過をたどっているというふうに承知してございます。

 なお、その後のことでございますけれども、私どもの方も引き続き指導の方はしてきておりまして、それを受けて、十八年五月の協会の決算理事会、それから本年に入りまして三月、いずれも事務局長でございますけれども、強く口頭指導をしてございます。

 その結果として、ことしの六月下旬でございますけれども、問題の中心になっておりますセンター長であって常務理事で一方の会社の代表でもある、この者が会社の代表を退任するというような動きがあり、それからごく直近の動きといたしましては、協会がその会社との業務委託契約を解除し、そして会社もそれを受けて、十月三十一日というふうに聞いておりますけれども、解散をしてございます。

 そういうことで、不透明な、そして非常に誤解を招きやすい業務委託関係の存在というものは現時点においては解消されている、こういう状況でございます。

田村(憲)委員 平成十七年といいますと、もう社保庁、いろいろな問題が次から次へと出てきておりまして、国民の皆さんは社保庁に対して非常に不信感を持っていた、そのさなかですよ。そのときにこういう問題が起こって、ちゃんと監査ができない、こういう話でしょう。これはやはりあり方が問われていると思いますよ。

 こういう問題が二度と起こるとは思いませんけれども、よほど気合いを入れていただかないと、もっとも社保庁自体が形態が変わりますから、今のような社保庁で残りませんが、これは肝に銘じていただきたいと思います。

 しかも、このセンター長、今お話があったとおり、会社はもうなくなりましたから、当然社長はもうやめていますね。それ以前に、異論があったから副所長に社長をかえているんですね。はっきり言いまして、これは要するに同じ形態ですよね。センター長にかわって副所長が社長になったんでしょう。これ自体もわけがわからない。実態、何が変わっているか、よくわからない。

 さらに、今回、今言われたとおり、会社は一応なくした、解散したわけですね、契約もやめた、これはわかります。当たり前です。ただ、この後の理事会のいろいろな決定で、理事会というのは国民年金福祉協会、もともとここがこのセンターを運営していますからね。このセンター長、この方は留任なんですね。やめろという話になっていないんですよ。なぜ留任か、よくわからない。

 よくよく話を聞きますと、このセンター長、何と、これもよくわからない話なんですね、このセンターが赤字で従業員に給料を払えなくなっちゃった、どうしようもなくなっちゃって、この人の退職金か何かを担保にして金を借りたというんですね。要するにこの金をセンターが借りたんですよ。運営は、今もお話ししましたとおり、国民年金福祉協会ですね。福祉協会が金を借りるのはいいですよ。センター長の退職金を担保に入れて金を借りて、センター長というのはオーナーじゃないですよ、それでこのセンターの運営費に充てたというんですね。これも何かよくわけがわからない。何か弱みを握られちゃって、やめさせられないんじゃないか、そんな気さえするわけですよ。

 しかも、報酬を返していないんですね、金矢商事からもらった報酬。これはダブルでもらっていますからね。普通なら返すのが当たり前ですよ。しかし、この国民年金福祉協会、これは岩手県、財団法人、ここの理事会で報酬を返さなくていいと決めちゃった。これもよくわからない。もしかしたら、二千五百万円ですか、借りた、そのとき退職金を担保に入れていますからね、何かその弱みがあるのかどうかわかりませんよ。どうもこれは不透明、わけがわからない。普通ならば、センター長、これは返すのが当たり前。副センター長、この人はお金を借りるのに保証人にもなっていませんから、五百万円、この人も報酬をもらっているんですかね、これも返して当たり前。これ、問わないというんでしょう。

 これは社保庁としてしっかりと指導をして、こんなことは、やはり返せというふうに指導するべきだと私は思いますし、しかも、その方がまたセンター長を続けているということ自体が、私は、やはり国民に対して不信を招く一番の要因になると思うんですよ。これは、指導をするんですかしないんですか。

石井政府参考人 お答えいたします。

 今、田村委員に御指摘いただいた点、少なくとも二点あると思うんですね。一つは、協会の方の役員、常務理事という立場でございますけれども、そのまま就任を続けているということが一点。それから一方、既に解散いたしましたけれども、有限会社、これの代表取締役という立場で、額の方はともかく一定の報酬を得ていた、これをどうするかという問題ですね。

 この二点につきまして、私どもも、この契約関係そのものの不透明さ、そういう点からいたしまして非常に問題だというふうに思ってございまして、そういう点も含めまして、引き続き、地元岩手社会保険事務局を通じて、厳正な指導をやっているところでございます。

田村(憲)委員 こういう状況でありまして、きょうは民主党の提出者の方々もおられます。通告はないんですけれども、この話を聞いて、今どう思われますか。もし所感があればちょっとお聞かせいただきたいんですが。

大塚参議院議員 民主党の参議院の大塚耕平でございます。

 御指名をいただきましたので、冒頭に一言、私どもの法案をこうして衆議院の厚生労働委員会でも御審議いただけることを心から感謝申し上げたいと思います。

 今のお話、私も聞いておりまして、本当に愕然といたす気持ちでございます。

 私どもも、年金制度というのは、先ほど田村委員もおっしゃいましたように、これで大丈夫なのかなというその維持可能性と、制度そのものが公平であるかどうか、ここがポイントだと思っているんですが、このいずれも、国民の皆さんが信頼をできるかどうか、維持可能性についての信頼、公平性についての信頼、ここが一番重要だと思いまして今回も法案を御提出申し上げた次第なんですが、それ以前の問題として、このような事案が起きているようでは、与党の皆さんがいかにいい年金制度を御提案になったり、我々も、まだ不十分でございますが、年金制度を提案申し上げても、国民の皆様の信頼は得られないと思いますので、ぜひこういう点については与野党を挙げて正していくように御尽力いただきたいと思っております。

田村(憲)委員 社保庁、これは本当に、処分する権限はないと思いますが、ちゃんと指導して、こういう問題はしっかりと国民の目に見えるような形で結論を出さないと、今おっしゃられたとおり、国民の皆さんは年金を信じません。その点は、指導するようによろしくお願いいたしたいと思います。

 問題は、福祉協会の方がどうも弱腰だというところなんですね。この理事長さんは、実は大石花巻市長さんです。これは、民主党の先生、悪気で言っているんじゃないですよ、民主党が推薦された市長さんでもあるんです。だから、先生方からも、パイプがあればびしっと言っていただきたいんです、我々もびしっと言いますけれども。

 先ほども言いました。非常に何かよくわからないお金の借り方があるわけですよ、センターの運営で。所長の退職金を担保にして金を借りているんですから。私、ここが何かどうもひっかかるんですね。こういうもので協会の方が何も言えないというのでは話になりませんから、その点も含めてちゃんと指導するように、これは私の方から申し上げたいというふうに思います。

 さて、この会社と保養センターの関係なんですけれども、今、もう金矢商事の方はありません。私もよくわからないんですが、これで確かに黒になったというんですね。今まで保養センターの運営が赤だったのが黒になった。これでこの所長が評価されたなんという話も中にはあるんです。だけれども、委託契約の中身というのがまたよくわからないんですね、正直言いまして。一方で委託契約といいながら、請負契約といいながら、一方で何か人材派遣みたいな話もあるというんですね。

 社保庁、これは中身を把握していますか、どういう受委託契約であったかというのを。

石井政府参考人 中身の方でございますけれども、役務の提供、これを中心とするサービスであるというふうに承知をしております。例えば、清掃ですとか、あるいはリネン関係ですとか、あるいは調理関係とか、こうしたセンターを運営するときに必要な一定の役務の提供に関する業務の委託契約、こういうものであるというふうに聞いております。

 中身の具体的な実態なんですけれども、残念ながら、私ども社会保険庁の本庁といたしましては、この有限会社が存続していた間に営まれた業務そのものが具体的にどういうふうな姿のものであったか、大変恐縮でございますけれども、これは承知していない、こういうような状況でございます。

田村(憲)委員 非常に不透明な会社ですから、私自身、どういう契約形態であったか、非常に今注目をいたしております。

 ちなみに、労働局でありますけれども、労働局はこういう雇用等々の問題に深く携わっておられます。もちろんこれは、もとからそういうのが請負であったのか、それとも人材派遣であったのか、こういうことが争点になった問題じゃないので、調べておられるかどうかわかりませんけれども、労働局の方はこの実態を把握しておられますか。

太田政府参考人 一般論になりますけれども、都道府県労働局におきましては、例えば、労働者派遣法などの所管法令の違反の疑いのある企業の情報を把握した場合には、調査等を行った上で違反が認められれば指導監督を行うということでございまして、もし労働関係法令違反があるならば、厳正、的確に対処するというのが一般的な考え方でございます。

田村(憲)委員 何か、わかっていないのかわかっているのか、よくわからないような、そんな答弁でしたけれども。

 こういう問題がある会社は、やはりそこら辺のところもちゃんと調査をしていただいて、偽装請負があったかどうかそれはわかりませんが、とにかく非常に不明朗な形態の会社であることは確かでありますし、今から思うと、天下りの受け皿をつくっていたのかなとも受け取れなくもない。今なくなっちゃったから、そういうわけにいかないですけれども。だから、そういう意味で、やはり年金が絡んだそういうような施設でありますから、そこのところをちゃんと厚労省を挙げて調査できるような態勢というものを組んでいただきたいと思います。

 副大臣、今お話をいろいろとお聞きいただいたと思います。徹底的にこの問題、解明もそうでありますし、それから処分といいますか対応、これをしていただくようにお願いしたいんですが、何かありますでしょうか。

西川副大臣 田村議員にお答えいたします。

 いわば社会保険庁の問題、例の年金の不払い問題から、ずっとさまざまな不祥事が延々と出てきた中で、いわゆる社会保険庁経営の国民年金保養センター、これは一切売却処理するということに決まった中で、RFOで委託されて、国民年金福祉協会に移管されていたわけですね。そういう中で、まさに国民の非難の真っただ中でこういう不透明な委託業務が行われていたということ、私も大変驚きでございます。私の立場で、こんな非常に無責任なような言い方かもしれませんが、本当にびっくりした状況でございます。

 公設民営という形でやっている中で、利益相反とかそういうことが果たして当たるのかどうか、その問題もありますけれども、ですから、やはり何といっても、残念ですが、自助努力、社会的責任というものを痛感していただいて、きちんとした自助努力をしていただかなければしようがない、そういうことになるんだと思いますが、これから私も厳正に対処していきたいと思っております。

田村(憲)委員 副大臣には御期待申し上げますので、よろしくお願いいたします。

 さて、このようないろいろな問題もあるんですが、しかし一方で、やはり、年金の保険料がいろいろ変なものに使われていくということに対しての国民の怒りというものがここ数年ずっと積もり積もって、年金の不信というものの大きなきっかけになった、私はこういうふうに思います。そんな中で、今回、自民党そして公明党、民主党、それぞれ年金の新しい法律を出す中でいろいろな議論をしよう、こういうことになってまいりました。

 民主党さんの法案、読ませていただきました。流用というのを趣旨説明の中でもおっしゃられた。よくわからない部分がございまして、というのは、今も言いましたとおり、例えばグリーンピア、いろいろな問題があった、それは我々も対応してまいりました。国会でいろいろ議論になる中で、とにかくそういうものに一切お金を使っちゃだめだ、当たり前の話です。いや、経緯はありますよ。グリーンピア、昔は全党一致で、全会派一致で、これをみんなで決議したというのがありますから、以前は以前として、しかし、途中から意味のなくなっちゃったものでありますから。そういうことをずっとやってきたわけです。

 事実、グリーンピア等々、こういう保健福祉施設等々、こういうものは一切お金が出なくなった。しかも、これを機構に移して、今これを売却しています。これは今、入札で高いところから順次売り渡して、その売ったお金は当然年金会計に戻している、こういうことを我々も、大村さんとともにやらせていただきました。

 そういういろいろなことをやってきたんですが、あえて今回民主党さんが、年金の保険料を事務費に一切回しちゃいけないというような法律を出してこられた。流用という言葉をよく使われるんですけれども、なかなか我々、この流用という意味がよくわからないんです。流用というのはどういう定義でお使いになられているのかということをまずお聞きいたしたいと思います。

辻参議院議員 田村委員の方から、流用の定義についての御質問をいただいたところでございます。

 一般に用いられる流用の意味としては、広辞苑によりますと、一番目の説明として、「きまった目的以外のことに融通して使用すること。」とされているわけでございます。また、法令用語辞典では、流用とは、「元来は、一定の目的に充てられた金銭、物品等をその目的以外の目的に使用することをいう。」とされているところでございます。

 私ども民主党は、国民年金及び厚生年金保険の被保険者が納付した保険料の本来の使用目的は、国民年金の給付または厚生年金保険の保険給付に充てることであると考えているところでございます。したがいまして、保険料の流用とは、国民年金の給付または厚生年金保険の保険給付以外に保険料を用いることをいうものとしているところでございます。

 なお、この法律案の条文においては、流用という言葉は用いていないところでございます。

 私ども民主党といたしましては、この法律案が、本来の目的以外に保険料を用いないこととするものであることから、略称として年金保険料流用禁止法案と呼んでいる次第でございます。

田村(憲)委員 もうその場でうなずいていただければいいんですが、要するに、現在の事務費は何に当たるかというと、これは全部当たるという話ですね。そういうことですね。

 ちょっとお聞きしたいのは、皆さんが言われているこの部分ですね、これは流用という言葉を使われるんですが、これは要するに要らない事務費といいますか費用だというふうにお考えですか。

蓮舫参議院議員 私どもが言わせていただいております事務費というのは、要らないとはしておりません。ただ、圧縮することが可能ではないかという部分は、これは思いを、認識を共有させていただいていると思います。

田村(憲)委員 今の話は、必要な部分はあるという話ですね。やめろという話ではないということですね。これは当たり前ですよね。これをやめちゃったら動かなくなっちゃいますから。本来の目的というのは、年金の保険料は給付に充てる、それは当然そうでありますけれども、それを運営するために使うのも我々は目的にかなっていると思っていますから、そこは多分考え方が違うんだというふうに思います。

 さて、そうすると、今、圧縮ができるという話がございましたが、あえてお聞きしますと、この法律の目的は何なのか。もう一度、この目的というものを簡潔に教えていただきたいと思います。

大塚参議院議員 大塚でございます。御質問ありがとうございます。

 先ほども御指名いただいたときに若干申し上げましたが、私どもは、年金制度のポイントは三つあると思っております。一つは年金制度の維持可能性。そして、制度設計の中でそれが公平に扱われているかどうか、公平な制度設計になっているかどうか。この二つはいずれも、維持可能性と公平性に対する信頼を国民の皆さんが抱けているかどうか。こういう観点で考えております。

 この信頼を維持するためには、維持可能性そして公平性以前の問題、まさしくきょう田村委員が取り上げておられたような問題も含めて、国民の皆さんが万が一にも年金制度の運営に疑義を抱くようなことがあっては、それ以前の問題としての信頼を得られないという考えに立ちまして、年金の保険料を給付以外には制度的に使えないという姿を担保することによって、国民の皆さんの、きょう田村委員が御指摘いただいたような問題も含めて、疑義の生じる余地を極力小さくしたい。そういう意味では、信頼を確保するためにこの法案を提案させていただいた次第でございます。

田村(憲)委員 まあ、そこがちょっと我々と考え方の違うところで、必要なものでありますから、どこかではお金を使わなきゃならないんですね。国民の皆さんにしてみれば、保険料なのか税なのか。多分、参議院の議論であったと思いますけれども、保険に入っていない方々まで年金を運営する事務費を税金で払うということになれば、そこで不公平が生じるという議論もあるわけですね。(発言する者あり)いや、ちょっと、笑ってしまいますので静かにしてください。いや、これは質問じゃないんです。ただ、そこはちょっと考え方が違うんです。

 一方で、今、蓮舫提案者がおっしゃられたように、無駄が生じる可能性がある、圧縮できる、この法案によってその無駄を圧縮できるんではないか、そういう意味合いも私はあるのかなと今質問させていただいたんです。

 では、この仕組みの中に、この事務費の無駄を省く仕組みというか制度、どういう部分で無駄が省けるのか、その仕組みというのはどう盛り込まれているんですか。

大塚参議院議員 お答えいたします。

 無駄をなくす仕組み、仕掛け自体は、この法案の中には制度設計としては入っておりません。ただ、経費を税で賄わせていただくことによって、保険料が特別会計の中で、国会や議員の皆様方の十分な監視が及ばない状況の中でさまざまな形で使われたことを考えますと、税で賄わせていただくことによって、より一段と、無駄と思われるものについて十分な監視が行き届く、そういう思いで提案をさせていただいております。

田村(憲)委員 今のお話ですと、税ならば無駄がチェックできるというような、何かそういうふうにも聞こえたんですね。

 ところが、税の方も無駄はたくさんございまして、それは、山井議員やいろいろな方々から我々もよくお話をお聞かせいただく部分でもあるわけでありまして、税だから大丈夫だというのはどうも、我々もどうなのかなと首をひねる部分です。

 そこで、ちょっとこれは社保庁に聞きますけれども、そもそもこれは、特別会計だからといって、税と同じような、要するに、国庫と同じようなチェックを、一般会計と同じようなチェックを受けていないのかという部分と、それからもう一つ、今現状で、どういう仕組みで今言われたような無駄を省く、そういうものを仕組みとして入れてあるのか、これをお聞かせください。

吉岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま特別会計の保険料財源によります予算のチェックの仕組みについてのお尋ねがあったと思うのですけれども、社会保険庁の特別会計の予算でございますけれども、これは御案内のとおり、毎年度国会で御審議をちょうだいしているものでございます。また、政府として予算を出すに至ります過程におきましても、政府部内で、予算編成過程におきまして、財政当局によります必要な調整を経ております。さらに、事後におきましても会計検査院の検査も受けるという厳しい監督を受けているところでございます。

 一方、その執行に当たりましても、物品等の調達におけます競争性及び透明性を確保し、さらには、調達コスト削減に向けた積極的な取り組みを推進しているところでございます。

 具体的に申し上げますと、社会保険庁本庁で調達いたします物品等に係る案件につきましては、平成十六年十月に設置されました、民間からの実務経験者も参画いただいている社会保険庁調達委員会におきまして、個々の契約案件ごとに調達の必要性、数量、契約方法等を審査しております。

 特に、社会保険オンラインシステム等のシステムの開発につきましては、民間のシステムに精通されたCIO補佐官などの外部の専門家が参画いたしますシステム検証委員会において、開発規模等の妥当性を精査した上で契約、調達するという仕組みになっております。

 また一方、地方庁におきましても、平成十七年四月に全国の社会保険事務局にそれぞれ契約審査会を設置いたしまして、調達の必要性、数量、契約方法等につきまして同様に審査をしております。

 また、平成十七年一月に本庁に監査指導室を設置いたしまして、内部の会計監査の強化を図っているところでございます。

 今後とも、これらの取り組みを確実に実施いたしまして、国民からの信頼を得られるように努めてまいりたいと考えております。

田村(憲)委員 多分、ざるだったからかなり厳しくしたんだということを言いたかったんだろうなというふうには思いますが、問題はここですよね、無駄があるかないかというのは、チェックできる仕組みをどうやってつくっていくかというのが非常に大きなポイントだと思います。

 今、部外者も入れてチェックするようにはしていただいておるようでありますけれども、これは、検証して、無駄があるのならば仕組みをもう一回見直さなきゃいけない。私は今のが完璧だとは思っておりません。これは我々もこれからもいろいろなことを皆さんには申し上げていきたいな、こんなふうに思っております。

 ですから、野党案はそこがちょっと私は、もうちょっとそこら辺のところを何かチェックできる仕組みみたいなものを盛り込めなかったのか。

 何かありますか。

蓮舫参議院議員 御答弁申し上げます。

 法案自体は極めてシンプルな内容でございます。年金保険料を預かった場合、給付以外には使わないというものでございます。

 ただ、特別会計でも一般会計でも、どちらにおいても、税であれ保険料であれ、一円たりとも無駄遣いは行ってはいけないというのは当然なことなんですが、ただ、現在のシステムでいいますと、特別会計より一般会計の方がより国会のチェック機能が働くということになっております。

 財源を一般会計とすることで、政府によります一般会計予算の編成過程におきますシーリングの対象となりますので、まずはここで第一義的に財政当局によるチェックが働く。その後、こういう厚生労働委員会もそうですし、予算委員会、決算委員会あるいは行政監視委員会等関係委員会でしっかりと国会議員がチェックをしていく、あるいは会計検査院による事後チェックもしていく。この部分で、予算と決算、両方から国会機能が関与することによって、一般会計の無駄遣いがないのかどうなのか、これは田村委員が先ほど冒頭でおっしゃったこともそうでございます。やはり議員がしっかりとチェックできる、一般会計というのはそういう仕組みになっていると思う。

 それで、この部分で、特別会計もやはり同じようにもっともっとチェック機能を働かせることができるのではないか。ぜひそこは御協力をいただきたいと考えております。

田村(憲)委員 いや、ですから、それはわかっているんですが、それで無駄がいっぱい出ているんでしょう。だから、これはそれでよしという話じゃないと私は思いますよ。だって、それなら、一般会計に入っているものはみんなオーケーという話ですから。そうじゃないですよね、全然。いろいろな無駄がいっぱいあるんですから。

 だから、もっと私は、年金の問題というのは、一般会計よりも、ある意味、国民の皆さんの保険料を預かっている話だから、もちろん税金も大事ですよ、だけれども、その因果関係というのが結構ありますから、もっとしっかりとチェックできる仕組みをつくらなきゃならぬということを言っているんです。

 ただ、今回、与党提出の法案には、国会でチェックするというような文言が入っていますから、そういう意味では、我々は若干、野党の皆さんよりも、そこに重きといいますか、思いを入れている。どっちがいいじゃなくて、思いを入れているということは申し上げたい。(発言する者あり)

茂木委員長 長妻委員、この後、自分の質問のときに発言してください。

田村(憲)委員 私、耳に入っちゃうと笑っちゃうものですから、済みません、長妻さん、静かにしてください。

 さて、我々としては、いろいろと考え方が違うというお話をさせていただいてきたんですけれども、社保庁に聞きたいんですけれども、世界で、年金の事務費を保険料を使わずに税金からすべて出しているという国がどれぐらいあるのか。私の知るところ、ニュージーランドは税で全部やっていますから、これは保険料がありませんから当たり前なんですけれども、世界で、保険制度をやっているところで事務費をすべて税金から出しているというところ、私は余り思い当たらない。どこか知っている国があったら教えてください。

吉岡政府参考人 お答え申し上げます。

 諸外国におけます年金制度の事務費の財源についてのお尋ねでございますけれども、諸外国におきまして年金給付を行う年金実施機関の事務費につきまして私ども調査いたしましたところでは、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス及びスウェーデンのいずれの国の年金制度におきましても、保険料を事務費に充当しているということを承知しております。このように、いわゆる社会保険方式を導入している諸外国におきましては、その運営の事務費に保険料が充てられているところでございます。

 また、今、田村委員お尋ねの件でございますけれども、年金制度につきまして税方式を導入しておりますニュージーランドの老齢年金制度につきましては、これは全額が税財源により賄われておりまして、年金事業に必要な運営費についても税財源が充てられております。ただし、ニュージーランドは税方式の年金制度ということを承知しています。

 以上でございます。

田村(憲)委員 我々は、やはり一般的に、年金を運営する費用というものは、一部は仕方ないにしても、年金に加入していない方々の税金ですべて賄うというよりかは、年金保険料をそれに充当するべきだと思います。

 ただ、チェックは同じ思いですよ。今までいろいろなことがありましたから、こんなことは二度と起こさせないような仕組みをつくっていかなきゃならぬと思っておりますので、思いはよく似たところがあるんですが、ただ、皆様方のように、民主党さんのように、保険料から事務費を一切使わせない、給付だけだというのには、我々は賛同ができないということであります。

 それで、問題は、今も言いましたとおり、当然、お金は必要な部分はかかるんですね、今約二千億。これは参議院でも議論があったと思いますが、ではこれはどうするんだと。今、厚生労働、これは我々の政府の中でのそういう予算編成でありますから、シーリングはかなり厳しいですよ。社会保障二千二百億円圧縮なんて話もありますよ。これは伸びを圧縮するわけですから、大変ですよ、二千二百億。これは医療の現場も大変、障害者も今大変な状況ですよ。

 こういう状況の中で、我々としては、何としても予算を一定規模獲得していきたい。しかし、一方で財政再建という流れがありますから、厳しい中でシーリングがかかってくる。さらに二千億なんて、とてもじゃないけれども今我々は考えられないですね。民主党さんはいろいろなことを考えられるのかもわかりませんが。

 たしか参議院で、間違っていたらごめんなさい、参議院の皆様方の御意見の中で、これは財源はどうするんだという話をしたときに、年金特会から借り入れりゃいいじゃないかとか、積立金の運用を使えるんじゃないか、こういうような答弁があったというふうに聞いておりますけれども、皆さんはこの財源をどう考えられているのですか。

大塚参議院議員 大塚でございます。

 御指摘の点は、参議院で財源の議論になりましたときに、財源を捻出する方法論としてどういうバリエーションが考えられるのかということで、私の方から九つの考え方を申し述べました。そのうちの、非常にいわば優先度の低い、むしろ採用すべきではないけれども方法論の一つとしてはそういうこともあり得るのではないかということで申し上げた次第でございます。

 あくまで、私どもは、この国会で可決をされた法案が予算措置を伴うものであれば、それは予算編成の過程で財源を捻出するというのが、これがいわば予算編成と法律との適正な関係でございますので、もしこの法案を万が一お認めいただければ、それは編成の過程で捻出すべきものだと思っております。

 また、今シーリングのお話がございましたが、全くおっしゃるとおりでございまして、厳しい財政の中を、例えば、概算要求の時点で財務省から公共事業については三%のシーリングがかかっております。しかしこれは、三%マイナスのシーリングも、当初、始まるときには、とてもそんなことはできないという中で三%のシーリングを、しかし現実に各省努力をして行った結果の概算要求を出しているわけでございます。

 シーリングの数字は閣議決定ではございませんで閣議了解でございますので、この三%を例えば四%という英断ができれば、その一%分で、概算要求を出す段階でそれなりのアローアンスを確保できるものではないかと思っております。

茂木委員長 大塚さん、万が一なんて弱気なことは言わないでください。

田村(憲)委員 今非常に、どちらかというと、例示として余り採用したくない中でというお話でしたが、それなら言わない方がいいですよ、こんな例示は。だって、今おっしゃられたような、特会から借り入れるだとか運用益を使うなんて、運用益を使うということは、全くもって今と変わらない話ですからね。同じ話ですよ。

 年金の制度というのは、運用益というのは、要するに長期で再計算してそれを将来の給付に充てているわけですから、だから、そんなものを使っちゃったら何になるかというと、給付が減っちゃう。でも、その部分、二千億余ってくるから結果的に一緒だという話ですからね。全く同じ話になっちゃうでしょう、年金の計算上は。まあ、後でまた民主党の先生方からそういう御意見をいただきたいと思いますが、とにかく、採用する可能性が低いのならば言わない方がいいと私は思います。

 問題は、今シーリングでどうのこうの、厳しいというお話がいろいろありました。財政的に厳しいのもよくわかっていただいておると思うんですが、だからこそ、このお金を税から使われると、我々は余計につらい部分があるわけですよ。当然これ、二千億余ってくるわけでしょう。余ってくるというのは変ですけれども、年金の会計の中に残るわけですよね、特会の中に。この二千億は、年金の中において何に使われるつもりなんですか。これがよくわからない。給付なのか、保険料の下げなのか。何にお使いになられるつもりなんですか。

津田参議院議員 委員にお答えを申し上げます。

 給付以外の何物でもないということであります。

 年金保険料の流用を禁止し、年金事務費を国庫で捻出した場合、結果として、それだけ保険料財源の負担が軽くなるわけでありますが、今回提出させていただいた法案は、年金保険料への信頼を早急に回復すべきであるとの我々の確固たる信念に基づいて、制度への信頼を失墜させた大きな一因である保険料流用について、これを明確に禁止するものであると考えております。

田村(憲)委員 何か参議院では積立金に回すみたいな話で答弁されたというのを私聞いておりましたものですから、若干違うのかなとは思いますけれども、給付に回されるという話ですね。わかりました。

 それは一つの考え方ですけれども、一方で我々も、二分の一、これから国庫を入れなきゃいけない。三分の一から二分の一に基礎年金の国庫負担を上げなきゃいけない。それは税でやるわけですから、何か行ったり来たりでよくわけがわからない話だな、何かどっちでも同じような話になっちゃうのかななんということを考えました。

 ただ、すると、所得代替率を上げるという話なのかな。そういう考え方でいいんですかね。将来的には給付というのは所得代替率が上がる、そういうことですか。

大塚参議院議員 お答えいたします。

 恐らく、今所得代替率の御質問が出たということは、給付に充てるということは給付水準を上げるということかというふうに御理解されたんだと思いますが、そういう意味ではございません。給付水準は、私どもの制度設計の中で、年金の持続可能性、維持可能性を高めるように制度設計してまいりますが、給付の財源以外には充てないという意味ですから、そういう意味では、田村委員の今の御質問には、所得代替率を上げるということを前提にして給付に充てるという意味ではございませんので、そのように御理解いただきたいと思います。

田村(憲)委員 そうすると、年金の数理計算上は、多分、最終的には九十五年後かな、我々の年金の制度はそうだと。皆さんはまた新しい年金の制度を提案されていますから、違うんでしょうけれども。要するに、一年と言われている積立金が積み上がるという話ですね。多分、数理計算上はそういうことだと思います。そういうことでしょう。

大塚参議院議員 お答えいたします。

 年金数理計算の現行の計算結果が正しいかどうかという点についてはちょっと私どもも異論はあるんですが、現在の厚生労働省が開示をしている、九十五年後に一年分残るというこの計算が正しいとすれば、今御指摘のとおり、二千億分掛ける九十五年分掛ける運用利息分が、言ってみれば年金の財源のアローアンスとして高まるという格好になると思います。

田村(憲)委員 疑問が解けました。

 それも一つの考え方なのかもわかりませんが、やはり目の前の医療だとか、そういう問題を考えますと、我々としては、やはりそちらの方にこの二千億は使いたい、税として使いたい、それはありますね。ですから、そこはやはり考え方が違うところだというふうに思います。

 さて、前回の参議院選挙の民主党のマニフェスト、細かい字のところまでちょっと読ませていただきました。基礎的財政収支を二〇一一年均衡化ということを言われておられます。これは我々も言っています。我々は数字を出しています。これが推計どおりいくかどうかは別でありますけれども、そのためには、十一・四兆円から十四・三兆円、何だかんだ税収増も含めて十六・ちょっと、これは穴を埋めなければプライマリーバランスは均衡化しないという一応計算のもとで、今我々は予算組みをやりながら苦しんでおるということなんです。

 民主党さんの中で、これから幾ら歳出を圧縮していく、もしくは税収増をしていく、これで基礎的財政収支を均衡化させようというような、そういう計算はお持ちですか。

大塚参議院議員 お答えいたします。

 二〇一一年度にプライマリーバランスを均衡化させるという、このベンチマーク自体は政府と私どもと一緒でございますので、そういう意味では、政府と同じ経済前提に立つとすれば、二〇一一年度までに五年間で最大十四・三兆円の歳出削減を行った場合に、二〇一一年度の収支がGDP比で〇・二%の黒字になるということですから、我々もそれは同じ計算になります。

 もっとも、この試算は、今申し上げたのはことし一月時点の試算でございまして、政府が八月に改定した試算では黒字幅が〇・〇%に縮小されました。これは名目成長率の想定を引き下げたことに伴う税収見通しの減少が主な原因と私ども考えております。

 このように、経済環境の前提や税収の所得弾性値の設定によって大きく中身は変わってまいりますので、我々もそういう経済前提について幾つかの仮定を置いた上で計算をしてまいりたいと思いますが、あくまでグロスの数字として申し上げれば、同じ年度をターゲットに置いているわけでございますので、十四・三兆円の歳出削減、もし所得弾性値等が高まってその想定以上に税収がふえればその分歳出削減の額は少なく済む、そのように考えております。

田村(憲)委員 考え方というか、認識は同じような認識をお持ちだということはよくわかりました。

 問題は、この二千億というのは、その中においても決して小さい数字ではないわけでありますね。民主党さんがいろいろと先般の参議院選挙でマニフェスト、公約を訴えられました。十五・三兆円と仄聞いたしておりますけれども、いろいろな事業を考えられております。

 私は、個人的には、それぞれ個々は反対じゃないものも結構あるんですよ。私は、自民党の子育て小委員長をやっていましたときに、児童手当、何とか三万円ぐらいまで引き上げられないかななんということを議論したこともありますし、試算もいたしました。皆さんは二万六千円でしたか、子ども手当。まあ、期間はちょっと我々と考え方は違っていたんですけれども。

 ただ、それにやはり五兆円近いお金がかかってくるだとか、いろいろなことを考えると、それぞれはいいんですよ、だけれども、それが合わさったときに果たして現実性があるかないかというのが、やはり政権を担当している我々としては甚だ疑問であったというのを前回争点にしたかったんですが、残念なことにそれ以外の、政治家の事務所費の問題ですとかいろいろな問題でそれが争点にならなかった。これが残念で仕方がないんです。

 問題は、その財源をどうするんだという議論はあのときもいろいろありました。そのときに皆様方も、例えば、独立行政法人等々に行っている補助金なんかを見直したら幾ら出てきますよとかあったと思います。もっとも、これも一兆円は多分研究開発独法で研究開発なんかの費用として行っていますし、一・二兆円ぐらいは国立大学法人ですから、もともと公務員だったんですから、これの交付金なんかばあっと切っちゃったら、もう国立大学が全部つぶれちゃいますからね。だから、こういうことはそう簡単にはできないと思っています。

 それぞれ、いろいろな無駄という部分でも皆さんおっしゃっておられるんですが、実は我々も、そういう無駄をなくそうというので、今積み上げながら、例の十一・四兆円から十四・三兆円というのをやってきて、まず、これは圧縮しなきゃいけないということがありきなんですね。

 だから、与党の議員と、それと財務省もそうですし、もちろん政府もそうです、そこでいろいろな葛藤がありながら、やりたい政策もなかなかできない、我慢をするところは我慢をする、選択と集中なんてやって、それがうまく国民の皆さんに評価をいただけなかったものですから、まあ、おしかりもいただいております。

 それで、お聞きをいたしたいのは、そう考えると、我々も十一・四兆円、十四・三兆円、そこはどこか圧縮しなきゃならないと今おっしゃられました。それプラス十五・三兆円の事業を皆さんはやられようと。この中には、この年金の、例の基礎年金、これを全部税でやっちゃえというような、皆さんは最低保障年金とおっしゃるかどうかわかりませんが、こういう案まで入ってきているわけですよ。皆さんは、年金制度を安心させるためにはこれが必要だと。

 しかし、実際、まず十数兆円の財政を圧縮した上でさらに十五・三兆円の事業を新たに行うなんということは、我々はできないと思っています。その中に、皆さんのおっしゃられるこの年金も入っています。この点はどのように皆さんはお考えになっておられますか。

辻参議院議員 民主党のマニフェストについて御質問いただいておりますけれども、まず、私どもが提示しております二つのポイント、一つは十五・三兆円ということと、もう一つは二〇一一年度のプライマリーバランスと、この二つがあろうかと思います。委員御指摘の点は、中期的な方の十四・三兆円という部分、二〇一一年に向けての歳出削減ということだと思うのでございますけれども、私どもが申し上げております十五・三兆といいますのは、ある意味では、単年度でまずやっていこう、こういうことで申し上げているわけでございます。

 ですから、十五・三兆円の内容については御議論があるかもしれませんけれども、私どもが申し上げておりますのは、十五・三兆円の削減について、そしてその削減分を給付に充てるという、そのことの改革をまずやる、それがまず最初にあって、その後に二〇一一年度に向けてのプライマリーバランスを回復するということに向けての努力をしていこう、こういうことになるわけでございます。

田村(憲)委員 よくわかりません。というのは、何か単年度ということは、皆さんが政権をとったら、来年だけ十五・三兆円という話ですか。再来年からはやらないんですか。十五・三兆円は逆に歳出が減っちゃうという話ですか。一年だけやるということですか。

辻参議院議員 私どもがマニフェストにおいて申し上げておりますことは、無駄を省くことで得られる財源を十五・三兆円調達し、そのことによって得られる財源をもって主要政策に必要な経費に充てる、こういうことで十五・三兆円を出させていただいているわけでございます。

 そういった意味では、まずそのことを、単年度といいますか、まず当面やるということが先にあって、その努力にまたプラスする中において、二〇一一年度におけるプライマリーバランス回復に向けての努力を重ねてやっていこう、こういうことでございます。

茂木委員長 辻君、毎年十五・三兆ずつ圧縮をするわけでしょう。それと、二〇一一年にはさらに十四・三兆加わってくるわけでしょう。それについてどうするかという質問をしているんだと思いますけれども。

大塚参議院議員 若干補足をさせていただきます。

 十四・三兆は、辻議員の御説明では中期的なというふうに表現をさせていただきましたが、これは、プライマリーバランス均衡に向けて、税収がふえたり、あるいは本当に不要不急の歳出を削っていくという中で十四・三兆を確保していくということになりますが、私どもがマニフェストで掲げておりますのは、これは政策財源でございますので、いわば組み替えでございますね。組み替えを行わなければならない。

 その組み替えの前提としては、今の予算の中身を見直すということになりますので、今の委員長の御指摘にお答えすれば、組み替えた結果、組み替えが、毎年毎年それが経常的に、一回組み替えてしまえば確保できるものであれば、それは毎年ということにはなりませんが、組み替え以外で調達しなければならない部分があるとすれば、それは、その分掛ける年数分の財源捻出努力が必要になるということだと思っております。

田村(憲)委員 よくわからないんですが、組み替えだけじゃなくて、公務員の削減だとか、いろいろなのが入っていますよね。だから、どう見ても組み替えじゃないですよね。無駄も省くことがかなりこの中に入っていますよね。

 だから、我々もやらなきゃならないんですよ。皆さんはこの政策で十五・三兆円と言われたけれども、我々は、プライマリーバランスをとにかく均衡化するために、十一兆円から十四兆円、いろいろなものを削らなきゃならないんですよ。さらに、皆さんは政策のつけかえだとか言うけれども、具体的にそれがよくわからないから我々もわからないんですけれども。

 その意味で、どちらにしても、何らかの歳出抑制財源というか金額として、二〇一一年には三十兆円近い金額が削減されるということですね。削減されるというのは、皆さんは、十五・三兆円、それにつけかえる分もありますから、そこはつけかえるという話なのかもわからないけれども。

大塚参議院議員 お答え申し上げます。

 今の田村委員の御質問の観点からすれば、確かに、私どもは中長期的なプライマリーバランスの均衡に向けた十四・三兆以上の努力をしなければならないというのは、多分事実だと思います。

 ただ、その際に、例えば先ほどは公共事業のシーリングでマイナス三%というふうに申し上げましたが、与党の皆様方はよく御承知のとおり、概算要求のときの防衛費のシーリングはマイナス一%でございます。例えばこういうところを、現下のこの情勢を考えますと、防衛費のマイナス一%がマイナス三%、マイナス四%という切り込みがもし可能だとすれば、そういうところが、今申し上げました十四・三兆にプラスアルファする部分の、我々の努力の結果捻出しなければならない財源に該当するということだと考えております。(発言する者あり)

田村(憲)委員 わかりやすくはないんですが。

 これは一度ちゃんと議論をさせていただく機会があればなと。なかなか皆さんとこうやってできないんですよ。そういう機会をつくっていただきたい。我々が納得できなけりゃ、国民は納得できないと思いますから。

 時間の方がだんだん迫ってまいりましたので、もうそう長く私も質問できないんですが、本当は、民主党の年金法、あれの議論を私はしたかったんです。きょうはそれまでで終わっちゃいました。

 というのは、年金両院協議会をつくったんですね。あれは何年前でしょう、私は覚えていませんが、私もメンバーでした。ところが、もう途中とまっています。あのときに、例えば、民主党の年金制度は賦課方式なのか積立方式なのか、こういう質問もしました。積立方式だと言いながら、一方では賦課方式だとも言われる。いや、我々はこれは積立方式と言うけれども、自民党さんは賦課方式とそれを呼ぶんですねとか、わけのわからない答弁が、あのときの議事録が残っています。

 賦課方式ならば、安心な年金じゃないですからね。少子化になれば、当然のごとくそのときには給付引き下げがありますから。皆さんは、給付引き下げがないようなことをあのとき言われたんですよ。賦課方式というのはそういうものです。子供が減れば、当然、保険料を上げるか給付を下げるしかないんですから。おわかりだと思いますが。

 そういう議論をぜひともまたやりたいと思いますので、両院協議会が今まだ残っているかどうかわかりませんけれども、あれば、早急に、皆様方も協力していただいて開催をいただきたいということを最後にお願い申し上げまして、質疑の方を終了させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、福島豊君。

福島委員 参議院の提出者の皆様、御苦労さまでございます。

 年金の運営に当たる事務費を保険料で賄うのがいいか税で賄うのがいいか、議論は参議院でも平行線といいますか、いわば神学論争のような様相を呈しているわけであります。

 ただ、私が申し上げたいことは、社会保険方式で運営されている年金の運用に当たるさまざまな経費を保険料で賄うということは、決して不思議なことではなく、むしろ、世界的に見れば極めて自然なことだ、こういうことが言えるだろうと私は思います。先ほど田村委員の方からも御質問がありましたけれども、諸外国の状況、イギリスにしましてもアメリカにしましても、社会保険方式で行っているところは保険料で当然のごとくこれは行っている。ニュージーランドは税方式でありますから税でやっている。とても自然な話であって、そこのところをとやかく言うのは、余り私は生産的ではないなという気がします。

 ただ、根っこにある問題というのは、日本の年金制度というものに対して、社会保険庁の不祥事がさまざまにありました。大変信頼が揺らいでいる。その揺らいだ信頼をどう回復するのか、こういう問題なんだと思います。

 民主党の皆さんは、年金の保険料というものは給付にしか充当しない、こういうことを明定することによって年金制度に対しての信頼を回復することができる、このようにおっしゃられるわけであります。

 私はむしろ、何よりも、保険料であろうと税であろうと無駄は無駄でありますから、その無駄を省く仕組みをどうつくるか、そしてまた、保険料にかかわりましても、年金記録の問題のように、しっかりと保険料を受け取っていながらその記録が残っていない、こういう組織のあり方そのものが年金制度に対しての信頼を損なわせているわけでありまして、新しい組織というものをどのようにつくっていくのか、このことが最も大切ではないかというふうに思うわけであります。

 ただ、参議院でも指摘されましたが、日本の年金、国民年金制度、今からかれこれ五十年ほど前にスタートするわけでありますけれども、その当時、事務費に関しては税でやる、国がきちっと担います、こういうことを前提としてスタートしたんですね。

 そのときにあった議論、これは御存じかどうかわかりませんが、そのときにも、今と同じ、税方式でやるのか保険方式でやるのか、どっちでやるんだ、こういう議論が盛んに繰り返された、これは間違いありません。また一方では、保険料を納めることに対して、未納を勧める、納めない。これは野党の方々を中心としてだと思いますけれども、納めないという運動すら実は起こった、こういう歴史があるんですね。

 新しい制度ですから、それをどういうふうにして国民に定着させるのかということで、あえて日本の政府は、税金で事務費は賄います、ですから国の制度です、信用してください、こういう話だったんじゃないかなというふうに私は思うのでありますが、そのあたりについて社会保険庁から何か御意見ありますか。

吉岡政府参考人 御答弁申し上げます。

 今ほど福島委員からのお尋ねの件でございますけれども、年金制度というのは、国民の全体の信頼がなければ運営することができない長期的な制度でございます。したがいまして、年金の給付設計、財政制度はもとより、今ほどおっしゃいました、この制度について国がどのようにかかわっていくかということは大変重要な論点であったということを承知しております。

 その中で、今ほど福島委員がおっしゃったように、特に国民年金の発足当初におきまして、事務費についてきちっと国が財政的にかかわる、そういう政策がとられたもの、このように承知しております。

福島委員 今、年金制度に対しての信頼が揺らいでいる。民主党の皆さんが、だから税でやったらどうかと言うことは、わからないではありません。しかしながら、今の日本の国家財政というものを考えたときに、少しでも歳出について見直しを厳しく行っていこうということをやっているわけであります。その中にあって、恒久的な制度としてどういうものを設計すべきなのか、このことについては、十分私は勘案をしていただく必要があると思います。

 そしてまた、年金に対しての信頼を回復するためには、単に、保険料を流用しません、こういうことではなくて、やはり、厳に、皆様からちょうだいした保険料であれ、また税であれ、それをいかにして無駄なく使っていくのか、厳正に使っていくのか、この組織をきちっとつくっていくということが最重要の課題ではないかというふうに思います。

 私どもは民主党案に対比するような形で法案を出させていただいた。これは、国会に対して、実際に保険料をどのように使ったのかということについて具体的な報告をさせていただき、きちっと御審査をいただく、こういうことを加えさせていただきました。そういう意味では、保険料をきちっと使わせていただく、この体制を私どもはつくっていくということが大事ではないかというふうに思っております。

 そして、いろいろと議論があるのでありますけれども、参議院でも繰り返されましたし、今ほど田村委員の方からもいろいろと御指摘もありましたので、重ねることは避けさせていただきたいというふうに思っております。私のそういった思いを述べさせていただくのにとどめさせていただきます。

 先ほど申しましたけれども、歴史は繰り返すという言葉がありますけれども、五十年前と同じような議論をやはり日本はしている。この五十年の間に日本の年金制度というものがどれだけ国民に浸透したのかな、理解されたのかな、こういう点について、いささか、まだまだ十分理解されていないんだな、こういう思いがする一人でございます。

 還元主義という言葉を御存じでしょうか。裁定主義ではありませんで、還元ということがいっとき非常にうたわれたわけであります。保険料を納めている、これに対して、年金というのは将来の給付ですから、そもそも還元というのは年金を受け取って初めて還元なんですね。しかし、かつて繰り返された議論というのは、払った保険料に対して見返りはないのか、こういうことを労使双方が強く求めた、こういう歴史があります。これは年金制度に対しての基本的な理解がやはりそのころは不十分だったんだろうな、私はそんな思いがいたします。

 また、年金制度、これだけ長く続く間に、保険料の引き上げ、こういうことを年金再計算と同時に行ってきましたけれども、そのたびに国会で行われた議論というのは、基本的には私はこうだったと思っているんですね。保険料はできるだけ上げない方がいい、給付はできるだけ上げる方がいい、こういう議論です。

 負担は少なく、給付は多くというのは、とてもわかりやすい議論なのでありますけれども、この議論が繰り返されて、実際に何が残ったかというと、積立金も百四十兆を超える水準がありますけれども、過去債務というのははるかに大きいわけですね。要するに、給付に見合っただけ、積立方式であれば当然あるべき積立金というのがない。それは要するに、見合っただけの保険料をちょうだいしてこなかった、こういう話でも実はあるんですね。ただ、それ自体は年金制度全体の運営の話ですから、将来世代においてどう清算していくのか、こういう話でありますけれども。

 そういう意味では、国民の年金制度とどう向かい合ってきたか、特にまた立法府がどう向かい合ってきたか、ここのところにやはり大きな問題があったんだろうなというふうに私は思っております。

 還元事業ということで、どんなことを言われていたか。与野党問わず、労使の意向の反映、被保険者の意向の反映として還元事業を推進すべきだと。ずっと議事録を調べてみたんです。特に、大規模年金保養基地の整備を進めるために、四十八年に国民年金法の改正をしていますね。その当時の議論、例えばこんな意見があるんですね。あえて、どこの党のだれとは申しません。

 「原則的には、積み立てた年金積み立て金というものはすべて、こういう賦課方式とか積み立て方式ということを一応抜きにして、」一応抜きにしちゃうんですね、やはり当時の議論は。「いまの制度のもとでは膨大な、こういう積み立てられた資金というものを、一〇〇%国民の福祉面に還元する、こういうことが妥当ではないのか、」こういう発言がしっかりと国会で繰り広げられている、こういう状況ですよ。

 かつて、民主党の枝野さんが李登輝の言葉を、前の通常国会の議論の中でありましたが、政治は時間の関数であると。まことに関数でありまして、マイナス、プラスと関数が変わっているような気がいたしますけれども、そういう議論が繰り広げられた。

 また、年金保養協会、これは、グリーンピアで問題になりました大規模な保養施設の建設に当たって、これをPRするためにつくられた協会。ここには、労使双方、大企業の役員も入っている、また総評の議長さんも入っている、また同盟の書記長さんも連なっている。ですから、今でしたら連合の高木さんなんかが連なる、こういう話だと思うんですけれども、そういうことで、国を挙げてといいますか、労使双方が、また国会も与野党問わず、還元すべきだ、こういうことを一生懸命言っていた。

 今、現時点に至りますと、こういった考え方そのものが、年金に対して信頼を損ねる大きな出発点になったということが問題だろうというふうに私は思うのでありますが、この点について、御意見といいますか、御感想をおっしゃっていただければと思います。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

津田参議院議員 福島委員に感想も含めて述べよと言われましたので、多少長くなります。

 福島委員が御指摘のように、過去において、積立金を現役世代に還元することは望ましいということで、融資や福祉施設整備が行われてきたことは事実ではないかというふうに考えます。

 現実に、昭和三十四年三月の国民年金法案に対する衆議院社会労働委員会における附帯決議に次のような項目が盛り込まれております。「積立金の運用については、一部を資金運用部資金として運用するほか、一部は被保険者の利益の為に運用する方途を講じ、努めて被保険者にその利益が還元されるよう特段の配慮を加えること。」という附帯決議でございます。当時、この決議は、自民党と社会党が共同提案をし、全会一致で採択をされているということでございます。これが被保険者への還元事業を進める一因になっているのではないかということでございます。

 恐らく、この還元事業の一部については当初それなりに存在理由があったのかもしれませんが、制度の存続の過程で必要な見直しが図られず、今日の年金不信の一因を生じせしめたことは、極めて遺憾であるというふうに思います。与野党を問わず反省する必要があるだろうし、当時の労働界にも責任の一端があるのではないかと問われれば、それを全面的に否定しようとも思いません。

 しかし、行政の執行という意味で、一義的には政府・与党に責任がある中で、自民党が反省をされているかどうか、これは福島委員も同じように思われているだろうと思います。

 ここに一枚の選挙公報がございます。昭和五十一年十二月の衆議院選挙の選挙公報でございます。これは、グリーンピアの問題で、全国十三カ所中八カ所が歴代の厚生大臣の地元に集中をしているということで、これは当時の厚生年金局長としてグリーンピア構想を発案しました横田陽吉さんが、一九七六年、昭和五十一年十二月の衆議院選挙に当時の宮城一区から自民党公認で立候補されて、選挙公報で、「大規模年金保養基地(百億円、岩沼に誘致)」というふうにこの選挙公報でその実績を宣伝されているということであるわけでございます。このように旧厚生省と社保庁官僚の甘言に踊らされ、地元への利益誘導を続けてきた自民党には大きな責任があると言わざるを得ません。

 今回の我々の提出した法案をぜひ成立させていただき、年金の保険料は年金の給付にしか充てないという大原則を国民の前に明らかにし、失われた信頼を回復すべきだというふうに考えておりますので、福島委員の問題意識をぜひ共有していただきたいことをお願い申し上げたいと思います。

福島委員 そのとき、今御説明ありましたけれども、社会党の議員の方々でも地元誘致のための請願を紹介されたりとか、与野党問わずに同様の状況であったということは申し添えたいと思っておりますし、そういう意味では、これは余り誇らかに語る歴史ではないというふうに私は思うんですよ。どちらにしても、この根っこにあるのは、国民の年金制度に対しての理解がいかなるものであったか、こういう問題だと思います。

 そして、年金という益を受ける、受益のためにみずから負担をする、このリンクの問題。ですから、年金の運営に当たって事務費を保険料で負担するというのは、受益と負担の関係からやはり逆にそうあるべきなんだろうと私は思います。みずから負担しつつ運営していく。だれが負担しているかがわからない、こういうことであってはならないんじゃないかなというふうに、こういうことを踏まえつつも思うわけであります。

 そこからもう少し話を進めさせていただきますと、先ほどもありましたけれども、さまざまな福祉施設がつくられました、それを今売却しようと。これは、自民党そしてまた私どもも、今までの、過去のこの負の遺産というものについてきちっと整理をして、そして、その収益といいますか、売却益というものはきちっと年金の給付に充てさせていただく、これが筋だろうというふうに思っております。

 ただ、この点については国会でもさまざまな議論がありましたし、そしてまた、この臨時国会における議論の中でも、民主党の提出者の方々からは必ずしも明確にそういう方向性といいますか意見がお示しになられていないんじゃないか、こういうふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

足立参議院議員 参議院でも、先ほど審議のことはおっしゃっておりましたけれども、二年前ですね、機構法案の審議の際に、我が党の委員、それから他党の委員も、実際に非常に役立っているものはそのまま残していいんではないかというような議論もあって、そのことと今回の保険の給付以外には使わないということが矛盾するんじゃないか、恐らくそういう趣旨の御質問だと思います。

 結論から言いまして、私は矛盾しないのではないかと思っております。二年前の審議は、成立が六月だったと思いますが、まず基本的考え方、基本原則というのが四項目ございました。それにのっとって審議されたわけですが、三月三十一日に合理化計画も出ましたが、その後、具体的に、どういう形で使われていくのか、あるいは雇用の配慮はどうなるのか、今ある施設をどのように活用するのか、そういう具体的な議論、あるいはその内容が示されていなかったんですね。ですから、そのことについては私どもは反対という形をとったんです。しかしながら、もう既に国民の財産になっている、その国民の財産になっているものを全部売却というのはいいのかというのが今の議論でつながっていったわけです。

 福島委員が後半におっしゃられたことは、この年金保険料に使うべきではないかということについては、その使途がどのような、住民の意見を酌みながら、どういう使途で使っていくということが明示されて、それが納得できるものであれば、そういう使われ方がいいのではないかと私は思っております。

福島委員 先ほど還元事業のお話をしましたけれども、還元事業的考え方の系譜といいますか歴史がまだ残っておるのかな、このような思いが、足立先生の答弁をお聞きしながら感じた次第でございますけれども、その問題はその程度にいたしまして、財源のお話をさせていただきたいというふうに思います。

 大塚先生の方からるる御答弁がありました参議院での御答弁についても拝見をさせていただきました。

 ちょっと確認なんですが、九つありますよ、こういう話で、先ほども田村委員の方から御指摘がありましたけれども、財源確保の手段としては、大体九つぐらいのパスを考えておりますと。一つは既定経費の節減、二番目は予算編成過程での要求節減、三番目は政府関係機関の国庫納付金の増額、四番目は特別会計剰余金の増額、五番目は特別会計積立金からの繰り入れ、六番目は政府保有有価証券の売却等と書かれております。

 しかし、これは、この御答弁自体が、民主党のマニフェストですと特別会計は廃止しますよね、廃止してしまって、そこから回してくるというのは、御答弁としては矛盾しておられるんじゃないかと思うんですが、そのあたりはどう説明されますか。

大塚参議院議員 お答え申し上げます。

 私どもがもし政権を担わせていただければ、その際には特別会計はなくなるわけでございますが、今回の法案は現在の制度的枠組みの中での財源捻出の議論でございますので、その中でどういう手段があるかと問われれば、そのバリエーションの一つとしてそういうこともあるということを申し上げた次第でございますので、その点はぜひ御理解をいただきたく、また、参議院での議事録を大変詳細にお読みいただいて本当に感謝を申し上げますが、今御指摘いただいた一番目と二番目ですね、既定経費の節減、そして予算編成過程での要求節減、これがあくまで私どもにとっては基本的な対応であるということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

福島委員 いつ政権をとるかわからないわけですから、それを前提としない答弁というのはいかがなものかな、こういうふうな思いもするわけでありますが、まあそれはそれでおいておきましょう。余り失礼なことを申し上げるのは申しわけないと思っております。

 それで、もう少しそのマニフェストの話もお聞きしたいんですけれども、同じく先生の御答弁の中から、予算編成の過程でという話と同時に、補助金の一括交付、あるいは特殊法人や独立行政法人の廃止、税制の見直し等により徹底的な歳出削減を図りたいということを申し上げて、そういう方策についてもしっかり検討する、こういうお話がございました。

 それで、具体的に、いろいろとあるんですが、きょうは一つだけお聞きをしたいんですけれども、民主党のマニフェストでは、補助金の一括交付金化等によって無駄を排除して、六・四兆円歳出を削減する、こうなっております。今の地方向けの補助金はトータルで十九兆円でありますから、六・四兆円削減するということは、差し引きしまして十二・六兆円になる、これが一括交付金化する、こういう考え方でよろしいんでしょうか。

大塚参議院議員 お答え申し上げます。

 現在の数字と私どものマニフェストの六・四兆円を差し引きすると、それはもうそのとおりでございます。

 ただ、私どもは、例えば財源移譲等あるいは税源移譲等によって地方に回る一括交付金のトータルの金額をどうするかということについては、これはまだ検討も工夫の余地もあるというふうに理解をしております。

福島委員 そうしますと、この六・四兆円というのは一体どうやってはじき出しているんでしょうか。

大塚参議院議員 これは個々の予算項目をつぶさに検討させていただきつつ、しかし、私どもとしては、残念ながら、その中が、本当にこれが必要なものかどうかということを細目にわたるところまで情報をしっかりフォローいたしませんとわからない部分がございますので、ある程度予算書をにらみつつつくった数字ではございますが、若干は目標値的な色彩も帯びているということはぜひ御理解を賜りたいと思います。

福島委員 今、別途、地方自治体に対して税源移譲します、こういう話で補完をされているのでありますが、地方向けの補助金、老人医療や市町村国保、生活保護、介護保険等々、社会保障にかかわる義務的な経費としての経費、そしてまた義務教育の経費、こういうものを合わせるだけで十三・七兆円になるんですね。六・四兆円削った後、とても足りない、こういう話になる。

 では削るんですかと言われると困りますから、別途財源を持ってくるんです、こういう話になるのかなというふうに思ったわけでありますけれども、どの程度の財源をどこから捻出して地方にお渡しされるんでしょうか。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

大塚参議院議員 お答え申し上げます。

 今の御質問に対しても、先ほどのお答えを若干繰り返させていただくことになりますが、どの程度の財源をどこからというのは、私どもが予算の細部にまでわたって十分な情報を把握できるような状況になってこそ、責任ある、より細かな数字を御提示申し上げられるものと思っております。

 いずれにいたしましても、今回、この審議におきましては、私どもが提案を申し上げている二千億の財源については私どもも本当にしっかりと考えているわけでございますが、今御質問の点につきましては、先ほども申し上げましたような位置づけの数字であるということをぜひ御理解いただきたいと思います。

福島委員 細部にわたって細かいデータがありません、それはそのとおりだろうと思います。ただ、事は、何兆円というお金をどうするか、地方に財源をどの程度移譲するか、これは大枠の話なんですね。大枠の話は、むしろ、細かいことがわからないということではなくて、民主党としてはこういうところをこう削って、こういう形で移動するんです、こういうつじつまの合う話をしていただきませんと、こちらとしても理解できない。これ以上審議ができませんというようなことを申し上げるつもりは全くないのでありますけれども、そういう点をしっかりと御検討いただければというふうに私は要請をしたいと思います。

 続いて、政府がきょうはお越しでございますので、少し御質問させていただきたいと思います。

 無駄という話の中には、年金資金の運用の話も非常に大きな話だというふうに私どもは思っております。年金資金の運用が十分なパフォーマンスを得ることができない、このことは、ある意味では裏返して無駄を発生させているということじゃないかと思うわけでありますけれども、近年の運用の状況について御報告をいただきたいと思います。

西川副大臣 お答えしたいと思います。

 皆様からいわば預かったこの資金、まさに大きな責任があるわけでございますので、厳正にしっかりと運用していくというのが基本方針でございますけれども、今現在におきまして、累積の運用収益は、十八年度までですと十三・一兆円、今期十九年度の上四半期では二・四兆円上げておりますので、合計で十五兆余り運用収益が上がっております。

 その中で、運用実績に基づいて着実に運用機関を選ぶということは大変重大なことでございまして、今までに毎年一回、定性評価ということで、運用プロセス、事務処理体制あるいは投資方針その他をきっちり精査しながら、そして定量的には超過収益率等を組み合わせて、厳正に運用機関を選定しているところでございます。

 その中で、原則として三年ごとに総合評価というのを行いまして、今までも解約ということを厳正にきっちりと結構やっておりまして、きちんとした運用実績を上げていきたいと思っております。

 いずれにいたしましても、年金制度そのものが大変長いスパンの話でございますから、皆様から長い間お金をお預かりして給付をするということでございますので、マクロ経済のもとに大きなスパンで考えた着実な対応というのを心がけていきたいと思っております。

福島委員 今、副大臣から、最近非常に成績がいいですよ、こういう話がありましたけれども、しかし、少し過去を振り返ると、旧年福事業団のときには、財投との関係もありますけれども、逆ざやも生じて非常に損害を与えた、こういうことも事実でございますし、また、年金資金運用基金に移りましてからでも、十三年度はマイナス二・五九、十四年度はマイナス八・五三と、その後回復してきているんですけれども、非常に悪い時期があったことも事実でございます。

 これはさまざまな場所で取り上げられております。その運用機関とこの基金が言ってみればもたれ合いの関係になっていて、厳正なことがなされていないんじゃないかと。最近、パフォーマンスがよくなってくる中で、こういう運用機関の選択についてどういう厳しい判断を下しておられるのか、具体的にお答えいただきたいと思います。

西川副大臣 済みません。ちょっと訂正させていただきます。

 先ほど、私、上四半期と申し上げたようで、二・四兆円の件は第一・四半期の間違いでございます。

 それから、今の具体的に精査した中でのお話、実は平成八年度には、生命保険各社が予定利回りを下げたということで、これを解約したりしております。それから、各種解約状況、これは余り個社名を出しますと、それぞれ経済活動に支障を来すと思いますので、きっちりとこの辺はやっていきたいと思っておりますが、特にこの運用受託機関が、あるいは民間銀行に天下りとかそういう問題、それもしっかりとないということで、そういうきちんとした公正性も保ちながら、しっかりと厳正に対処していきたいと思っております。

福島委員 随分簡略化された御答弁でございましたが、国民にしっかりとやっているということが目に見えるように頑張っていただきたい、そのように思います。

 以上でございます。

茂木委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 質問をさせていただきますので、できるだけ端的に御答弁いただければ幸いでございます。

 まずは、年金の信頼性という中で、一つ不可解な事例がございました。国民年金の資格を喪失するという事例でございますけれども、本来は、資格喪失というのは、その資格から離脱するというか、もう資格がなくなるという大変な処理でございますけれども、それがどうも法律にのっとっているのかどうか疑問なケースがございました。

 これは、ことし六月前後に仙台市内の北社会保険事務所というところで年金相談に来られたAさん、国民年金に加入されておられるはずのAさんのケースでございますけれども、この方はなぜか平成元年四月一日付で資格が喪失になっている。しかし、その方は、住民票も含めて、昭和六十一年の十月から今日にあるまでずっと住民票があり、当然死亡もしていないわけでありますから、あるいは海外にも行っていない、あるいは厚生年金にも入ったというわけではないということで、にもかかわらず、なぜ資格喪失になったのか、非常に私自身は不可解でございますけれども、これは何かミスなんですか、どうなんですか。

舛添国務大臣 お答えいたします。

 今回のこの事案は、仙台市が政令指定都市となった平成元年四月以前から住所が不明となっているため不在被保険者として管理してきた被保険者のうち、五年を経過してもなお住所が判明しない者を、政令指定都市になったことを契機に、社会保険事務所において第一号被保険者の資格を喪失させたということであります。

 国民年金法では、第一号被保険者は日本国内に住所を有しなくなったときに資格を喪失することとされておりますが、この住所の解釈としては、住民票の住所をいうものとしてとらえてきておりまして、外国に居住する場合のみならず住民票がない場合を含めて考えてきたところであります。

 したがいまして、この事案は、住民票がどこの市町村にあるか不明となっており、その状態が長期に及ぶ場合に、ほかの者と同様に被保険者のままとしたのでは、市町村や社会保険事務所において被保険者の管理事務を行うに際して支障が生じることから、住所のない場合に該当するものとして被保険者資格を一たん喪失させる整理を行ったものであって、法令に反した事務とは考えていないということであります。

長妻委員 でも、このAさんは昭和六十一年十月から今日までずっと住民票はあるわけですよね。では、この処理は全く問題ないんですか。

舛添国務大臣 今申し上げましたように、仙台市の中でどの地域にあるかということについて、政令指定都市になったときに、今申し上げたように、第一号被保険者の資格を喪失してきたということの報告を受けております。

長妻委員 これは、官僚の方からきちっと報告を受けておられるのかどうかあれですけれども、私が官僚の方から説明を受けたのは、昭和六十一年の十月からこの方は住民票がずっと同じ場所に現在もあると。これは間違いないですね。

舛添国務大臣 このケースは、平成元年以前には転居を行っており、また、平成元年以前に仙台市において不在被保険者として登録されていたことも判明しているが、その後、仙台市において住民票があることがわかり、不在者登録を取り消した時点で社会保険事務所に報告すべきところ、それが行われていなかったために、平成六年に至り、かつて仙台市において不在被保険者として登録されていた情報に基づいて社会保険事務所が資格喪失を行ってしまったものと推測される。

 結果としていえば、本来この方については社会保険事務所において平成六年に資格喪失を行うべきではなかったものであり、その原因は、市町村と社会保険事務所の間の情報伝達が不十分であったと考えられます。

 しかしながら、仙台市においては、不在者登録を取り消した時点以降、本人の所在地に納付書を送り続けており、本人の側には、社会保険事務所において資格を喪失させていることによる不利益は生じていなかったということであります。

長妻委員 そうすると、昭和六十一年十月からは、住民票はずっと同じ場所にあったということでございますね。

舛添国務大臣 御指摘のとおりでございます。

長妻委員 再度聞きますけれども、この処理は間違いだったということでありますね。不適切あるいは不正な処理だったということでありますね。

舛添国務大臣 その一つの原因は、市町村と社会保険庁が情報伝達をきちんとやっていなかった。したがって、そういう意味で事務処理上のミスであると言うことができると思います。

長妻委員 しかし、私も非常に不可解なのは、資料をお配りしましたけれども、四ページ目。この資料は仙台北社会保険事務所長からほかの事務所にあてた資料でございますが、簡単に言うと、三千三百九十四人の人の資格喪失をやりなさい、こういう指示書なんですね。それで、一人の方はミスという、私は、これは意図的なものも含まれているのではないかと疑うんですけれども、この三千三百九十四人の方は何で資格喪失してしまったんですか。そして、本当にこれは住民票がないですか。これはミスじゃないんですか。

舛添国務大臣 平成六年に仙台の社会保険事務所で行われました資格喪失処理の対象者を当時の書類によって特定することは、関係書類が既に廃棄されているために困難であります。また、システムでこの対象者を抽出するためには新たにプログラムを作成する必要がありますが、現在、今の名寄せプログラムに全力を挙げているということで、優先処理をそちらにやらせていただきます。したがいまして、現時点で、資格喪失処理をした対象者の一人一人について、当時にさかのぼって住所の所在が真にわからなかった者かどうかを調査することは極めて困難であります。

 また、平成六年当時は市町村が収納事務を行っており、社会保険事務所において納付率引き上げのために作為的に不在者処理をするということは考えられません。そのような観点から、不正には行われていないということは申し上げられると思います。

長妻委員 そうしたら、わからないということであれば、三千三百九十四人の方、資格喪失というのは大変なことですよ、これはお一人お一人チェックいただけませんか。

舛添国務大臣 今直ちにすぐ行えということは非常に困難でございますけれども……(長妻委員「資格喪失しているんですよ」と呼ぶ)その資格喪失の、今申し上げたことにつきましては、名寄せのプログラム……(長妻委員「不正かもしれない」と呼ぶ)

茂木委員長 勝手にやりとりしないでください。

舛添国務大臣 はい。失礼しました。

 名寄せのプログラムをとにかく優先的に完了させた上で、そして、今委員が御指摘になりました点について精査をしてみたいと思います。

長妻委員 これは成績を上げるための新たな分母対策ではないかと私は疑ってしまうんですけれども。

 もう一点不可解なのは、この仙台の資格喪失、社保庁がしたわけですけれども、実際に平成六年の六月に資格喪失のコンピューター操作をしているんですが、資格が喪失されたということは、平成元年の四月一日付で、六年もさかのぼって資格を喪失させている。これは何年でもさかのぼっていいんですか。

舛添国務大臣 仙台が政令指定都市になった平成元年四月以前から不在者登録をされている被保険者のうちで、五年を経過した平成六年においてもなお住所が判明していない者に対して資格の喪失処理を行ったわけであります。すなわち、平成元年四月一日時点において既に住所がどこにあるのか不明となっていた者でありまして、その状況のまま五年を経過していることから、平成元年四月一日をもって、住所がない者として資格喪失したわけであります。

長妻委員 ですから、これは平成元年の四月一日に何でさかのぼっちゃうんですか。

 では、この四月一日の前の日に住所が確認できなければ一日後に資格喪失する、こういう手続は正当なんですか。

舛添国務大臣 その前の五年間移動がなかった、五年間という期間で……(長妻委員「平成元年に消えているわけですよ」と呼ぶ)その時期で区切ってやったということだと思います。

長妻委員 前というのは、平成六年から五年前にさかのぼると住所が確認できないと。それも本当にそのとおりなのかというのは疑問がありますけれども、さかのぼって平成元年四月一日に資格喪失する。そうしたら、その時点は住所が確認できているかもしれない、前の日まで住所があったかもしれないわけで、つまり、大臣にぜひ、お役人の非常に誤解を生むような答弁書を全部信じないで、大臣の感覚でお教えいただきたいんです。

 そうすると、三千三百九十四件は、たまたま明らかになった一件は問題があった、私は不適切な処理だったと思うので、ということは、ほかは全部正しい、一件だけが不適切だということは、普通、常識であり得ないと思いますので、三千三百九十四件はやはり問題がある、いずれは調査する、こういうことでよろしいんですね。

舛添国務大臣 その前に、一つは、やはり住民票の保存期間が五年間ということなので、五年間で住民票がないということですから、その前、どこにその方はおられるのか、証拠の書類はそこで切れているということは一つあると思います。

 ただ、今委員がおっしゃいましたように、一件は事務上のミスだということで、もとに戻すことは可能であったと思いますが、今おっしゃったように、三千件以上の中でたった一件だけかというと、それは、すべての方が全部仙台からどこか外国に行ったり遠くにいたということは常識的に考えれば極端ですから、これは少し時間を賜りまして、きちんと経緯と経過を精査させていただいて、どういうことであったのか、そして、それに対してどういう対応ができるのかを検討させていただきたいと思います。

長妻委員 事務方の話によると、住民票は今はさかのぼれて、今であれば住民票の確認は昭和六十一年十月まではさかのぼれる、そういう話ですから、五年ではないと思いますので、これはチェックしようと思えばできます。これは重大な問題です。

 しかも、資料の一ページにもございますけれども、四つの県の事務局でなされていたということでございますが、これは調査いただけないですか。宮城、東京、兵庫、鹿児島で資格喪失がなされていた。これは不適切な可能性がある。今回と同じような手法でありますけれども、いかがですか。

舛添国務大臣 今委員が御指摘になりましたように、仙台のほかに、東京、兵庫、鹿児島において同様の処理が行われて、このことが明らかとなっております。恐らく同じようなケースだと思いますので、少し時間を賜りまして、先ほど申し上げたような経緯、経過の精査をして、検討させていただきたいと思います。

長妻委員 仮に、これがかなり大規模な不適切あるいは意図的なことであれば、これは不正免除どころか、資格を喪失、資格そのものをつまり年金制度から葬り去ってしまうというとんでもない話であります。

 宮城は平成六年度に資格喪失を実施した、東京は平成十一年度、兵庫は平成六年から七年度にかけて、鹿児島は平成五年度にかけてということでございますので、これは日本全国の資格喪失の方についても、オンラインシステム等々で抽出したり調べることは可能でありますので、この四つの県だけではなくて日本全国の、それも調査をいただくということをお約束いただきたいんですが。

舛添国務大臣 今おっしゃいましたように、日本全国、これは経緯、経過、調査をやってみたいと思います。そして、やはり最終的には社会保障カードのようなものを、これは今検討に入っていますけれども、きちんとつくることによって、二度とこういうことが起こらない、そういう体制をできるだけ早くつくり上げたいというふうに思っております。

長妻委員 仙台の三千三百九十四人というのはもう確定してわかっている、文書が残っていますので、この方々、多分かなり多くの方が今も資格喪失のままだと思いますので、ぜひ、これはちょっと早急に、一カ月ぐらいをめどに全部チェックするということをお約束いただけませんか。

舛添国務大臣 事務手続上、資格喪失ということが法的にあるものですから、これはやりました。しかし、だからといって記録が全部失われているかというと、先ほどの仙台のAさんのように、きちんと精査をすればそこに残っております。ですから、今こういうことの精査を、記録の精査をやっていただく。

 ただ、先ほど来申し上げていますように、今全力を挙げて三月までの名寄せをやっています。コンピューターもそれで稼働しておりますから、ちょっと時間を賜りまして、優先順位として今とにかく五千万件ということをやらせていただき、そして、これはできるだけ早く、委員の御指摘の点も精査をしてまいりたいと思います。

長妻委員 これは、官僚の方も大臣と同じように、何かを不正があって調査すべきだ、救済を早急にすべきだと言うと、いや、五千万件がありますから、ありますからと。だから、私どもは福田総理にも、国家の危機だ、国家プロジェクトでやってくれ、オール・ジャパンのほかの省庁の人材も全部、マンパワーを集めてやってくれと。今ちまちま社会保険庁の中で、夕方、夜、時間があいたところでやっているという体制ではもうもたない、抱え込まないでいただきたいというのもぜひ大臣に強く申し上げたい。

 もう一点、これも厚生労働省の信頼性にかかわる問題でありますので。

 厚生労働省が労働関係調査委託というのをされておられるわけですけれども、これは会計検査院が指摘をしたんですが、検査院、概要を説明いただきたいと思うんです。

小武山会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 労働関係調査委託事業の会計経理に関する指摘の概要及び問題点につきまして御説明いたします。

 厚生労働省では、労働問題に精通した者に対し、労働情勢一般に関する動向の調査等を委託する労働関係調査委託事業を実施してきたところであります。この労働関係調査委託事業の実施に当たり、厚生労働本省と受託者の間で締結された委託契約書によると、受託者は、委託費の出納管理に当たっては、出納簿を作成し、必要書類を整え、委託調査に要した費用の出納を明らかにするものとされており、また、受託者は、委託調査の結果収集した情報については、本省に対し文書で報告するものとされております。

 しかし、十三年度から十八年度までの本件調査委託事業について検査いたしましたところ、いずれの受託者も出納関係書類を作成、整備していなかったため、各受託者における調査委託費の出納及び使途の状況を確認することはできませんでした。

 また、本省では、受託者が収集した情報について受託者から直接報告を受けたとしているものの、文書による報告は受けておらず、また、その具体的な内容を記録した資料についても、ごく一部を除き、保有しておりませんでした。

 このため、労働関係調査委託事業については、受託者における調査委託費の出納及び使途、収集情報の報告状況等について十分確認できない状況となっていました。

 しかしながら、厚生労働省では、こうした状況について十分に把握して、適切かつ必要な審査等をすることのないまま、調査委託費の交付、精算等を行っていたと認められたものでございまして、十三年度から十八年度までの間に支払われた調査委託費の計一億七千七百万円余に係る会計経理が著しく適正を欠いていて、不当であると指摘したものでございます。

長妻委員 これは、厚生労働省が、平成十三年度から十三人の方に、合計で一億七千七百五十万円の随意契約を個人と結んでいる。しかも、十三人のうち十人は厚生労働省のOBである。あとの三人は、これは私も不可解なんですが、マスコミの方だということであります。

 これは、昭和三十一年度から、国が労働組合の動向を調査するということで始めていた制度でありますが、今回、会計検査院の何十年ぶりのというか、昭和三十一年度からですからもう五十年以上でございますけれども、指摘が初めてあって、そして、この調査は会計検査院の指摘直後に全部中止、今後しないということになったわけであります。

 しかも、これは個人で、一年間、多い方は四百八十万円も報酬を得ていて、報告書も出していない、領収書も何にもないということでありますが、この十三人のうちの六人は、この契約当時、公益法人にも勤務をされていたということで、二重取りのような、天下り団体ですね。特殊法人には、お一人は勤務されていたということで、これも厚生労働省管轄でありますので二重取りだということであります。

 そして、もう一つ大きな問題は、これが税金によって、ある意味ではスパイ的行為ではないかと私は疑うんですけれども、民主党の内部の調査をここでされておられる、あるいは選挙動向などを調査されておられるということ。

 例えば、先ほどの全員の表は二十一ページでございますが、二十三ページをお開きいただきますと、これは報告書でありますが、これは、本人、受託者が書いたものではなくて、その調査を受託した人が電話をしてきて、そして厚生労働省の職員がメモ書きとして残っている紙だということで、これは厚生労働省からいただいたものであります。まず、この二十三ページは、これは業界紙の記者なんですね、委託先は。

 ちょっとその次のページを見ていただきますと、一カ月三十八万円、税金で調査費をもらってこの調査報告を書いたということでありますが、若干抽出して読みますけれども、これは選挙情報です。○○というのは黒塗りの部分であります。「昨日も○○の決起集会に参加してきたが、結構盛り上がっていた。」「全国千カ所近くを訪問しているらしい。」「日焼けで真っ黒な顔になっていた。」と。これ以外どういう詳細な選挙情報がもたらされたかは、すべての資料は残っていないということでありました。

 また、二十六ページ。これは非常に詳細に、民主党の内部の、マニフェストを作成する過程が報告をされているんですね。税金で何で政党の内部を調査して政府に上げるのか。まさか、それが大臣の目を通って自民党に流れているのかと疑ってしまうわけです。

 例えば二十六ページは、民主党の東京都連が都議会議員選挙のときにマニフェストをつくった、その内部の過程が記されている。これは、平成十七年六月十五日に電話を受けたということであります。この調査員の方は、厚生労働省のOBで、一カ月三十六万五千円、報酬を税金で毎月得ていた。

 そして、二十九ページでございますけれども、この二十九ページも、この方も業界紙の記者です。これは、労働組合の組織内候補や重点推薦候補を、当然、こういうお金を払った情報ですから世間に出る前にもたらされたんだと思いますが、平成十七年八月二十二日であります。重点推薦候補○○ということで、黒塗りになっています。○○議員は、「議員の七十歳定年制に触れるので立候補していない。」こういうような情報ももたらされて、この方は業界紙の記者で、一カ月に十二万円毎月もらって調査をされておられる。

 そして、この三十二ページ。これは平成十七年八月二十六日にもたらされた情報でありますけれども、これも選挙の話で、「○○が当選したら、○○の影響が強くなる懸念がある。それとは手を組めない。」ということで、内部のいろいろ力学が報告がなされている。この方も、一カ月十二万円毎月毎月もらって、こういう情報をもたらされていた。

 平成十七年九月十四日にもたらされた情報の、報告書三十五ページでございますけれども、「今回の総選挙でも、○○から立候補した。立候補するのは勝手だが、特定政党から出るというのは如何かと思う。やるなら年休使用ではなく、キチンと辞職してやるべきだ。」こういうような情報も、一カ月十二万円毎月、もたらされておられるということで、大臣、これについてどう思われますか。

茂木委員長 長妻委員に申し上げます。

 理事会におきまして、提出資料につきましては出典を明らかにする、このような形になっておりまして、今お示しいただきました二十三ページ、二十六ページ、二十九ページ、三十二ページ、三十五ページにつきまして、恐縮ですが、もう一度出典をお話しいただければと思います。

長妻委員 すべて厚生労働省からいただいた資料でございます。

舛添国務大臣 今、この資料を読ませていただきました。

 労働関係調査委託事業ということで、これはもう廃止されましたが、こういうことをやっているときに、労働関係ですから、当然、労働組合の動向がどうであり、労働組合の皆さん方がどういうことを考えているかというのが調査の対象であることは確かであります。恐らく、その付随の関連で、ちょうどこれは選挙の前後であり、前選挙の時期でもありますから、労働組合の方々の動向を追っていて、こういうことの情報も上がったかというふうに思います。

 ただ、これを、例えば自民党にそのまま上げる、それから大臣に上げるということはなかったというふうに思います。恐らく、そういう状況を全部、ほかの資料とともに勘案して、例えば、今の労働情勢はどうである、労働組合はこういう政治的な判断でこういう活動をしているというような報告の形ではまとまっただろうというふうに思います。

 私は、これがどういう形で具体的に大臣のもとに上がったのかどうなのか、どういう形の報告書としてアウトプットが出てきたのかというのを知りませんので、今の私の答弁としては、今申し上げたように、そのままの素材で上がってきた、それから、目的がこういう政治活動をやるために、あくまで行政ですから、厚生労働省としてやるので、自民党がやるわけじゃありませんし、例えば民主党が政権をとった場合であっても、これは民主党政権下の厚生労働省で、行政の中立性ということから考えれば、少なくともそこは、自民党がやるとか民主党がやるとかいう調査ではなくて、行政がやるわけですから、最低限私は、そこの基本的なラインは超えるはずはないというふうに思っております。(発言する者あり)

茂木委員長 御静粛に願います。

長妻委員 廃止されたと言われても、昨年、平成十八年の八月に廃止しているわけです。これも、会計検査院に指摘されて、慌てて、まずいということで廃止した。ついこの前までやっていた。つまり、大臣に私がお伺いしたかったのは、一政党というか、一政党どころか野党第一党の内部の情報を税金で調べる、これは問題なのか問題じゃないのかということなんです。

舛添国務大臣 あくまで労働組合の動向を調べて、付随的にそれは出てきたというふうに私は思っています。

 それから、行政情報の収集の中に政党というのも当然含まれております。

長妻委員 行政情報の収集で政党も含まれていると。

 では、民主党の情報を、政府がつかんだ情報を全部いただけますか。どうですか。

舛添国務大臣 正確に私が申し上げます。

 行政施策に関する各方面の情報をとる、それはよろしゅうございますか。その中で、では、行政施策に関する各方面というのはどういう方面をいうかというと、一つは省内、もう一つは関係の省庁、そして、これは、今厚生労働行政をやるときに、例えば、自民党であれば部会、それから民主党であれば部門会議、こういうところに出て、そしてその情報を収集して、そしてそれを政策の形で行政としてまとめるというのは当然であると思いますが、今申し上げたように、私は、基本的な行動、今度の、廃止はされましたけれども、この労働情勢の委託業務というのは、あくまで労働組合を含めての労働関係の動向を施策に生かすために調査したということが主眼であって、これは今長妻委員おっしゃったように、これぐらいしか残っていないので、私も、どれだけあるのか、どれだけ残っているのかもわかりませんけれども、しかし、こういう情報ばかりをねらってとっていたとは、私は、常識的に考えてそうは考えられませんということを申し上げております。

長妻委員 厚生労働省の事務方の方に事前に説明を受けましたら、こういうふうに残っている情報はかす情報ですというんですね。つまり、本物の一番重要な情報はまずいので、すぐ捨てていますというんですね。ですから、どういう情報があったのか。

 例えば、選挙の情報、細かい情報が、税金でそれの動向を政府が集めてどういうことに使うのかということが大変疑問なわけでありますので、これ以上の情報があるということは政府も認めているわけですので。

 それで、もう一点、問題は、現役の業界紙の記者にもこういう仕事を頼んでいる。ひょっとすると、取材を受ける側は、業界紙の新聞に出るから、国民の皆様にお知らせをする、知る権利にこたえるということで取材に応じた方もいるかもしれない。しかし、実際には税金で調査ということで報告書に反映される。こういうことがあったのかなかったのか。あるとすれば、記者に税金で仕事を依頼する、依頼する側の厚生労働省という、これに問題はないんですか。

舛添国務大臣 私は、労働問題に精通していれば、学者であれ、専門紙のジャーナリストであれ、どういう方であったって、その方の識見、知識、そういうことを活用させていただくということでありますから、それは、そこから先は、その本人が、自分の仕事と委託された事業とをきちんと混同しないで、職業意識にのっとってやるということに尽きると思います。

長妻委員 そうすると、これは実は全国紙の記者のOBの方もいらっしゃったわけですけれども、では今後、時と場合によっては、これからも、情報をとる仕事を現役の記者に税金で、随意契約でお願いするということもあり得るというか、何ら問題ないということですか。

舛添国務大臣 この労働委託の調査はもう既に廃止をしています。

 今後、これからどういうふうにやるかということは今から検討すべき課題だと思いますが、しかし、そうすると、例えば、これは厚生労働省じゃなくても、極めて限られた専門分野の科学的ないし技術的な問題を精査しないといけないときに、そういう技術にかかわるところで、それもやはり情報というのは非常に広いですから、その中で専門的な知識、その能力がある方を採用するというのは基本的には私は間違っていないと思います。

長妻委員 憲法には報道の独立というのもあります。これは私は大変問題が大きいということで、日本版ウォーターゲート事件ではないですけれども、こういうことを本当に、今自民党席から笑いが起こりましたが、本当にいいんですか、税金で。私はちょっと怖い感じはしますよ。どういう感覚なんだ……(発言する者あり)

茂木委員長 御静粛に願います。

 特に山井君は先ほどから不規則発言が多いです。御静粛に願います。

長妻委員 では、国税庁に聞きますけれども、これは領収書も何もないつかみ金ですよ、一億円以上、これは課税はするんですか。領収書が全くなくて、全部経費と認めてしまっていいんですか、国税。

荒井政府参考人 お答えさせていただきます。

 一般論として申し上げれば、官公庁から業務の委託を受けた者へ交付される委託費につきましては、委託を受けた者の所得の計算上、収入金額となります。一方、その委託業務に要した費用につきましては必要経費として取り扱われることになり、収入金額から必要経費を差し引いた残額があれば課税対象となります。いずれにしても、国税当局といたしましては、個々の事実関係に基づき、法令に照らして適正に取り扱うこととなります。

 それから、先ほど御質問がありました領収書の保管のない場合についてでございますが、これも一般論としてでございますが、税務調査の際に領収書の保管がない場合に必要経費になるかどうかにつきましては、その支出の事実の有無及び必要経費として支出されたものであるかどうかの事実関係を総合勘案して判断していく、そういうこととしております。

長妻委員 随分何か優しいですね。一般の事業主が領収書、証拠の書類がなければ、丸ごと全部、経費で、言い値で認めちゃうんですか。口で言えばいいんですか、経費だと言えば。国には非常に優しい感じがいたします。

 そして、大臣、この問題について、厚生労働省はお金はもう一銭も返さないというふうに言われておりますが、その問題、返金するべきだと私は思いますけれども、それと、マスコミを使った、あるいは政党の内部情報、選挙情報を税金で集めていた、こういうことに関して調査をするということをぜひお願いしたいんですが、いかがでございますか。

舛添国務大臣 情報収集活動をいろいろな各方面からやって、厚生労働省の施策に生かしていくということをきちんとやっている以上は、私は、これはその結果としていろいろな政策に反映しておりますので、それをきちんと調査する必要はないというふうに思います。

長妻委員 では、どんな政策に生かしたのかだけ、一枚ごとにいただけますか、報告書ごとに。

舛添国務大臣 さまざまな情報をいただいて政策に反映しておりますので、それがどういう形でなったかというのは、これは雑多な情報の中から政策の中に生きている、そういうふうに思っておりますので、私は今そういうことをやる必要は感じません。

長妻委員 私は、今の答弁は容認できませんので、この問題は引き続きいろいろな場面で追及をしていきたいと思います。

 次に、この法案でございますけれども、与党提出者に、厚生年金特例法でございます。

 十四ページにAとBというパターンに分けて書かせていただきました。このBのパターンでありますけれども、つまり、事業主と社保庁の間で、もう事業主は保険料は払っていないということが確定した場合、この場合、事業主はもう払っていないわけですけれども、こういう場合に、従業員の方を税金で補償するというのは、民間と民間の関係だと思うんですけれども、どういう理屈で税金で補償するということでございますか。

大村議員 お答えを申し上げます。

 この今回の厚生年金の、いわゆる救済のための特例法案の一番根っこの部分ということでございます。これは、まず、今回も、委員も御案内のように、年金の記録問題を解決するというのが、私ども政府・与党そして国会に課せられた大変大きな使命だというふうに思っております。したがって、第三者委員会におきまして、その記録なりいろいろなものを、申し立ての方のものを精査して、そしてこの従業員の方から事業主の方、この表の、ここの天引きがあったということが認定をされたということになりますと、これにつきましては、その従業員の方には責めがないということに着目をし、そして、とにかくこの方を救済するということで記録を訂正する。

 ただ、それだけでは、やはりこの社会保険の原点であります負担なくして給付なしというところにひっかかるということでございます。したがって、これを時効を取っ払ってさかのぼって強制徴収ということはなかなか難しい、法制的には難しいということでございますので、これは任意で納付をする道を開いて、そこに、繰り返し勧奨しながら、そしてまた、そうでもなければ、また公表もしながら勧奨する、さんざんこれはぎりぎりまで保険料納付を求めることをした上で、それでも納付が得られないという場合に、国庫負担をして、そしてこの分の年金を救済するということでございます。

 そういったことでございますので、御理解をいただきたいというふうに思っております。

長妻委員 そうすると、このBパターンですね。社会保険庁は全く落ち度がないというケースでございますかね、事業主は払っていないわけでありますので。そうすると、国に落ち度がない場合に税金を使うということは、何らかの落ち度がある、そういう解釈をしたということでよろしいんでございますか。

大村議員 これは、まず我々がこの法案を提案させていただいたのは、やはり迅速に確実にこの年金の記録問題、年金記録を回復するということで、まずそのことを急がなければいけないということで、この法案を提案させていただきました。

 そして、一方、今委員御指摘のように、この問題につきましては、事業主から国の方に保険料は行っていない、このBのパターンはそれが認定されたということでございますが、そのことにつきましても、国に直接の責めがないということではありますけれども、年金のこういう事態に至ったいろいろな経過、そうしたことも踏まえて、今までの年金の法制度が、委員もよく御指摘のように、年金の受給者とか被保険者の皆様に、丁寧でない、親切でないとか、いろいろなことがあった、そういったことをすべてひっくるめて踏まえて年金記録問題を解決するという、まさに我々与党の政治判断としてこの法案を提出させていただいた、こういう事例を救済するという法案として提出させていただいたということで御理解をいただければと思います。

長妻委員 私も、保険料が天引きされたというのが確認された方々、本当にお気の毒な方々ですので、何らかの対応は必要だというふうには考えております。

 Aのパターンは、事業主は社保庁に払ったと主張している、社保庁はもらっていないと言っている、お互い、どっちがどっち、言い合いをして、まだ決着がついていない。このケースも、従業員の方は、これは保険料で補償されるわけですけれども、そうすると、従業員の方を補償したらそれで終わりじゃありませんので、その後に、事業主が悪いのか、社保庁が悪いのか、社保庁が消してしまったのか、きっちりとその責任を明確にする調査というのはきちっとなされるということでよろしいのでございますか。

大村議員 委員のこのペーパーのAのパターンでございますけれども、やはりどうしても、もちろん、これで社保庁が悪いということになれば、それは今の現行法でも訂正、救済ができるということでございますから、なかなかこれが、どちらがどちらかというのが判定しかねる、ただ天引きだけは確実だという案件が、やはり第三者委員会でも認定をされておられます。ですから、これについては、法制度として、今回、このAのパターンは、その場合はよくよくわからないということなので、公表も国庫負担もあえてこれを求めないという法制度の仕分けをさせていただいております。

 ただ、今委員御指摘の点は大変大事な点でございまして、今現在、第三者委員会で天引きは認定されたけれども、まだこのAのパターンでどちらかわからないというケースはそこそこあるというふうに聞いておりますが、これはやはり、そういった第三者委員会等々でどちらがどうなのかというのはしっかりと追及をしていく必要があるというふうに思います。

 その上で、社保庁の方にそういう責任があるということになれば、これはまた、社会保険庁の責任、その担当者がどうだったかといったこと等々はやはり調べて、しっかり適切に対処をしていく必要があるというふうに思っております。

長妻委員 そしてもう一つ、こういう責任分担の中で、厚生年金の保険料でも、消えた厚生年金記録という存在が、たった二件ですけれども、二件だけ政府は認めたということです。

 つまり、事業主には払った、証拠の書類を事業主は持っている、しかし、社保庁の中にはどこにも、しかも、マイクロフィルムの台帳そのものもない、現物もマイクロフィルムも何にもない、コンピューターの中にも何にもないというものが二件認定されたということですけれども、その二件の概要を簡単に説明いただきたいと思います。

舛添国務大臣 事業主が保管していた、保険料を納付したとする公的な資料に基づき厚生年金保険の被保険者記録を訂正した事例としては、まず第一に、年金記録確認第三者委員会の判断を受けて記録を訂正した事例が一件、それから社会保険庁が独自に記録を訂正した事例が一件、合計二件あります。

 これらはいずれも、社会保険庁のオンラインやマイクロフィルムなどには厚生年金の記録はありませんでしたが、事業主が社会保険事務所に被保険者の資格取得または資格喪失を届け出た書類の控えを保管しており、これに基づいてこの二件は記録を訂正することができたものであります。

長妻委員 これはどう考えても二件のはずはないので、今、日本全国で二件だと言われておられるんですが、これも徹底してやはり捜していただきたい。

 そして、九ページ目でございますけれども、もう一つ我々が気がかりなのが、紙台帳がまだ未発見のものがあるんではないのか、こういう疑念をずっと持っているんですが、一つの倉庫が浮かび上がってくるんですけれども、ワンビシアーカイブズという民間の倉庫に社会保険庁が書類を預けている。参議院の議員の方々も、民主党の、我が党の議員も視察をしようとしたら直前でストップされたということでありますけれども。

 これは個人情報保護で視察させないというふうに、十ページ目、社保庁が公式に文書を出しているんですが、我々、一枚一枚台帳を全部見るということではありませんので、どういう台帳がまだスキームに乗っていない、つまり、新たな台帳がもし発見されれば、政府のすべての計画というのは崩れますよ、未発見のものがあったとすれば。ですから、我々も完璧を期すためにここの視察をさせていただきたい。当然、個人情報はさわらないようにいたしますので、いかがでございますか、大臣。

舛添国務大臣 基本的には、個人情報保護、セキュリティーということで、これまでも視察を含めて一切お断りを申し上げてきた。しかし、そのスタンスは基本的には私は維持したいと思いますが、どうしても、視察を何としてもおやりになりたいということであれば、今申し上げました個人情報の保護とか情報の毀損、こういうことのセキュリティーはきちんとやらないといけないですから、それは、やはり管理する者としては、長妻委員が相手であろうとだれであろうと、きちんとセキュリティーの保護はやらないといけませんので、そういう配慮をきちんとお約束いただけるということを御確約なさるということを条件に、これが可能かどうかということをちょっと検討させてください。

長妻委員 何か随分我々も信用されていないですね。そんな、そこで暴れたり何かするというふうに思われているのかどうかわかりませんけれども、そんなことはありませんので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 そして、もう一点気になることがありまして、私も、聞くと、舛添大臣が、何か年金の通知はクリスマスプレゼントとかお年玉というようなことを言われたというような話もあるんですけれども、それは事実でございますか。

舛添国務大臣 ちょうどそのねんきんを送る時期がそういう時期になっているということを言っただけであって、別に大きな意味はございません。

長妻委員 これは大臣の姿勢として私も大変気になることがいろいろある象徴だとも思うんですね。

 これは十三ページに、インターネットに出ております民放のこういうようなものがございました。ここには大臣の発言として、今から一カ月後およそ六百万人の方にお知らせが行きます、そのうちの五百万人の方は完璧に今のプログラムで出ましたからよいクリスマスプレゼント、いいお年玉が来ると思います、これは、こういうふうに言われたわけですか。

舛添国務大臣 それは言いました。それで、悪い知らせではありません。私はいい知らせだと思います。それは、原因は社会保険庁にあるんだ、おまえらがしっかりしないからということで今一生懸命やっているわけですが、ですから、そういう言葉じりをとらえておっしゃるのではなくて、私は、今までなかった記録がきちんと来る、そういう意味で、悪い知らせではありません、ですから、一生懸命今やっています、そして、少し前倒しにやりましたから、ちょうどこういう時期ですからそういう例えを使ったということであって、私が何かこれをやったから自慢するとか、そういう意味では毛頭ありませんので、ぜひそれは誤解をしないでいただきたい。

 きちんと今努力をしてやって、その結果、五百万件ぐらいの人はほぼ確実に、いろいろな事由で消えてなくなっていたその記録がきちんと補正できた、ですから、これができましたということで、当然これはやらないといけないことですよ。ただ、時期が時期ですから、こういう発言を申し上げて、それがもし、そういうことを言う姿勢が悪くて、こういうことを言うべきじゃないというなら、それはもう撤回いたします。

長妻委員 いや、これは失言とかそういう話ではなくて、姿勢の問題だと。私と多分感覚が全く違うんだと思うんです。言葉じりじゃありません。

 つまり、C型肝炎のときもそうなんですけれども、私どもが感じるのは、大臣は加害者側の責任者なんですよ。加害者側のトップなんですよ、立場としては。それが、クリスマスプレゼント、お年玉だからと。だって、これは当たり前の話ですよ。そんなもの別にプレゼントでも何でもないですよ。当たり前、金返せということですよ。C型肝炎だってそうですよ。

 そういう姿勢はぜひ変えていただきたいというのと、では、十二ページに大臣が言われたその通知でありますけれども、こういう封筒なんですね。「「ねんきん特別便」です。年金加入記録を十分お確かめの上、ご回答いただきますよう、お願いいたします。」ということで、これは、封筒をあけるかあけないかが一つの勝負というか、多くの方はダイレクトメールも含めていっぱい手紙が来るわけで、これをあけてもらうには、何でまたこんな抽象的な、これは税金の無駄遣いになりかねませんよ。

 ここには、例えば、あなたの年金記録が抜けている、漏れている可能性が高いです、五千万件の未統合記録の一つである可能性が高いです、調べてくださいと。何でこういう、これは普通の何かお知らせというか、何だかよくわからないような書き方になっているので、これは変更していただけますか。間違いなくこれは効果がというか、封をあける方が、言葉によって、同じ金をかけるんだったら、もっとちゃんとあけてもらうようにした方がいいんですね。ディテールに宿りますので、この年金は。

舛添国務大臣 いろいろ実は工夫をし、外部の一般の人それから今年金をもらっているお年寄りの皆様方にも、こういうものでいいだろうかという、きちんと準備はしてまいりました。

 しかし、今御指摘のように、「年金加入記録を十分お確かめの上、ご回答いただきますよう、お願いいたします。」というのは、やはり官僚的というか、見てぴんとこないと思いますので、年金、今おっしゃったように、記録漏れがある可能性があるとおっしゃいましたかね、かなりどぎつい言葉でというかきつい言葉で、可能性がありますということであった方が、確かに委員がおっしゃるように、では、あけてみようという意欲があると思いますので、たしかきょうじゅうに原稿をかえれば何とか間に合いますので、委員会が終わり次第直ちに指示をして、いい提案でございますので生かさせていただきます。

長妻委員 これは官僚の方独特なんですね。つまり、内部で使っているだれもわからないような用語を平気で外部の人にぺらぺらしゃべる。つまり、国民の皆さんは、ねんきん特別便というのはだれも知りませんよ、何の通知なのかというのは。多分官僚の方は、これはもう皆さん知っている、五千万件のあの通知だと思っておられるんですが、意識は全然そうじゃないですよ。一般の方は、ねんきん特別便という、こういうわけのわからない言葉、官僚的な言葉はわからないわけでありまして、ぜひ御注意いただきたい。

 そして、与党が箱物禁止法というような法案を流用の部分で、ほとんど流用がとまらないわけでございますが、この法案は、例えば、今年度は建物に幾ら予算が、年金保険料が使われているかというと、六十四億円使われているんですね。十八ページでございますけれども、今年度の平成十九年度予算で、建物関係では六十四億円の年金保険料が流用をされておりますけれども、例えば与党の箱物禁止法であれば、この六十四億円のうち、ここでいえば幾ら削れるわけですか。

古屋(範)議員 今回の法案の趣旨は、年金教育・広報等について、いわゆるセンター施設の建設等を行わないことを条文上明記しております。

 一方、御指摘の建物費用六十四億円につきましては、いわゆる施設の建設のための経費ではなく、年金保険事務所の年金相談コーナーの改修経費、年金相談センター等の建物の賃借料といった、いずれも被保険者や年金受給者へのサービス提供のために引き続き不可欠な経費でございます。

 いずれにいたしましても、年金事業運営費につきましては、今後とも、財源のいかんにかかわらず、無駄を徹底的に排除していくことが必要であると考えております。

長妻委員 変わらないと思うんですが、社会保険庁の事務方に聞きましたら、与党の案でも年金相談の建物は建てられるのではないかと。つまり、与党案が通っても、年金相談のスペースが少しでもあれば、年金相談の建物を新築してデラックスなものを建てるということができる、これは間違いないですか。

吉野議員 年金相談コーナーは、つくること……(長妻委員「新築」と呼ぶ)新築はいたしません。それは、必要であれば年金相談コーナー等々は賃借をして設けます。

 しかしながら、年金相談等々が終わればそれは賃借を解除するということで、建物はつくらないことになっております。

長妻委員 では、その年金相談の部分の建物の建設というのはないということですね。この法案ができればできなくなる、法律でできなくなると。

吉野議員 そのとおりでございます。

長妻委員 でも、条文では教育と広報と書いてありますが、どの条文でそれが読めるんですか。

吉野議員 ことし六月に成立しました社会保険庁改革関連法案、これによって、国民年金法七十四条、つまり、「必要な施設をすることができる。」この規定を削除いたしました。これによってでございます。

長妻委員 大臣、今の答弁で正しいのでございますか。

茂木委員長 議員立法に対して。

長妻委員 いや、議員立法の話じゃないです、閣法の話。

 ちょっと待って。今、多分訂正がありますから、言ってください。

吉野議員 この法案では、まず、専用施設であるか否かということは個別の事案に応じ判断する必要があるが、いずれにしても、今回の改正は、いわゆるセンター施設の建設等を行わないことを確認的に条文上明記するものであり、年金教育・広報等の事業を何%以上行うことが専用施設であるかとの一定の基準を設け、それ以上の施設の建設は行わない、それ未満の施設の建設は行うという性格のものではありません。

長妻委員 個別の判断だということで、あとは、何%によってはつくることも可能性としてはあるというふうに受けとめ……(発言する者あり)では、年金相談の建物は一〇〇%この法律で建てられないというふうになるんですか。後ろの事務方の方が詳しいでしょう。

大村議員 今回我々が提案しているのは、条文を読んでいただければそのとおりで、教育・広報、相談、それから情報提供、そういったものについては、専らこういったものをするための施設の取得、建設はやらないということでございまして、相談センターというのは、さっきも言いましたように、賃借でいろいろな、社会保険事務所等の外に、駅前とかいろいろ立地のところに、そういったところを借りてやっていくということは今でもありますし、引き続きこれはやはり、受給者とかいろいろな方の利便のためにやっているということなので、いわゆるセンターみたいな、皆さんが言っておられるような教育センター、広報センター、相談センターなんというどんとしたものをつくるということはないというふうに申し上げているんです。

長妻委員 今年度は十八・六億円、これはテナント代じゃなくて、年金相談のコーナーの整備の建設費が今年度使われているわけですね、十八・六億円。

 では、具体的に言います。この十八・六億円は、これはもう使えなくなるわけですね。

吉野議員 委員御指摘のこの十八ページ、まさにこの年金相談施設整備費十八・六億円というものは、相談コーナーの開設費であります。例えば、仕切りをつくったり、そういうものであります。ですから、これは建物の建設費ではございません。

長妻委員 その差は、どうやって修繕と建設というのを、例えば、では、増築はどうなのかとか、いろいろな個別の判断だという話でありますので、ちょっと非常に……。

 では、もう一点お伺いしますけれども、例えば、これは「公的年金」という社会保険庁が天下り団体に発注したCD―ROMです。これは随意契約で問題になりましたけれども、こういうものは保険料でつくってもいいわけですか。

吉野議員 まさにそれは年金教育の教材でございまして、お尋ねのCD―ROM、これは平成十四年につくられたものでございまして、それ一回限りでございます。そして、CD―ROMと同時に副読本もございます。副読本はこれから入札をしてまいります。(長妻委員「つくれるんですか、法律で」と呼ぶ)CD―ROMは、今はつくっておりませんけれども、そういうたぐいのものはつくれると思います。

長妻委員 CD―ROMなんかは、結局インターネット上にこういうクイズを載せればそれで本来は済むわけでありますけれども、基本的に、特別会計だから財源が青天井なんですね、特別会計というのは。

 税金というのは、ある意味では、社保庁の幹部が主計局に行って、自分より若い主計官にがみがみ言われていろいろ査定して、それで税金でお金をとってくる。これじゃたまらぬから、特別会計というのは金がうなっている、金がうなっているのは、彼らが使うためじゃなくて、国民の皆さんに払うために金がうなっている、財源の上限は青天井だということで、どんどんどんどん流用が続いて、こういうていたらくになったわけであります。

 もう一点申し上げますと、今、この十九ページでございますけれども、一年間にこの年金の保険料が、今年度千百五十九億円も、コンピューターの経費に毎年一千億円年金保険料が使われている。何でこれだけ水膨れしたのか。

 例えば、社会保険庁の職員に対して、NTTデータシステムサービスというところがこういう本を出版した、これを監修したという名目で毎年毎年同じ金額、一千四百万円が、現金が社保庁の職員のポケットに入った、あるいは厚遇で社保庁の職員が天下っているとか、そういうこのオンラインシステム、日立もオンラインシステムの中に入っておりますけれども。

 そして、会計検査院が、社会保険庁はNTTデータに対して三十三億円払い過ぎている、こういう指摘をしたんですが、そして、平成十二年度から十六年度まででは六十四億円が払い過ぎだと指摘をしたんですが、NTTデータに返してくれというふうに社会保険庁は言いましたか。

舛添国務大臣 平成十七年十月の会計検査院の是正改善の処置要求の趣旨は、社会保険庁がNTTデータに支払っているソフトウエア使用料のうち利子相当額の算出方法が適切ではなく、将来に向かって是正改善していくべきであるということでありました。

 是正改善の処置要求を受けまして、社会保険庁としては、会計検査院の趣旨を踏まえ、平成十七年十月以降新たに使用を開始したソフトウエアの利子相当額の算出において適切な率を設定することにより改善を図りました。

 一方、既に支払ったソフトウエア使用料の取り扱いにつきましては、法的には、委託先、NTTデータは返還請求に応じる義務がないとのことから、返還請求を行っておりません。

長妻委員 法的に義務はなくても、自主的に返納してくださいと。

 会計検査院に聞きますけれども、会計検査院は、自主的に返納すべき、そういうことを社会保険庁は働きかけるべきだというふうには思われますか。

小武山会計検査院当局者 本件の契約につきましては、社会保険庁及びNTTデータの双方が合意の上に締結したものでございまして、指摘した約三十三億円について返還させるのはちょっと難しいのではないかなと……(長妻委員「いや、だから、自主的なのを働きかけるんです」と呼ぶ)自主的に返還するようにというような……

茂木委員長 勝手にやりとりを始めないでください。委員長の指示に従っておっしゃってください。

 長妻君、質問があるのなら手を挙げてください。(長妻委員「さっき言ったじゃないですか、その質問を。何で二度させるんですか」と呼ぶ)

 長妻君。

長妻委員 会計検査院に聞くのは、では、自主的に、義務はないけれども、お返しいただきたいということを社会保険庁がNTTデータに申し上げるぐらいはするべきじゃないのか、そういうふうには思われるんですか。指摘しっ放しじゃだめですよ。

小武山会計検査院当局者 それに関しましては、会計検査院が申し上げるべきことではないと思います。

 まさにそのNTTデータの方でそのように自主的に返還されるのであれば、それは可能なことかなと思います。

長妻委員 これでいつも腹立たしいのは、会計検査院、六十四億円払い過ぎている、この中の多分大半は年金の保険料だと思いますよ。

 自主的に返していただけないでしょうかということを社会保険庁がNTTデータに申し上げるということ、それを舛添大臣、そのアプローチをNTTデータに申し上げるということは、それはしていただけないでしょうか。どうですか。

舛添国務大臣 法律専門家に、この件の処理をどうすべきであるかを諮問いたしました。契約内容を変更するには、契約の両当事者のその旨の合意が必要であり、その合意がなければ契約変更は実現できず、社会保険庁は既契約の条件に拘束されざるを得ないという、これは弁護士からの回答をいただいております。

 しかし、今委員がおっしゃいましたような指摘について、やはり非常に大切な社会保険料を使っている、皆さん方の年金の掛金を使っているわけでありますから、この使い道、使途について、今おっしゃったようなことができるかどうかも含めてさらなる検討をさせていただきたいと思います。

長妻委員 そうすると、これは六十四億円払い過ぎている。会計検査院が非常に低目に見積もっても六十四億円でありますので、これをそのまま返してもらわないで、確かに法的なことはないでしょうけれども、そうすると、繰り返し申し上げますが、自主的に返していただけないかということを申し入れる、こういうことですか。

舛添国務大臣 そういうことができるかどうかも含めて少し検討させてください。

 法的には、今申し上げたように、こういう法的な契約ですから、法的契約について、先ほど引用しましたように、これは拘束されるということですから、それを乗り越えて、今のような形でNTTデータに申し入れることが可能か、そして、それをやるとすればどういう形であるか、少し検討させていただきたいと思います。

長妻委員 これで質問を終わりますけれども、結局、こんな六十四億円も払い過ぎて、まあ、しようがないな、あるいは、毎年一千億円も年金保険料でコンピューター経費を注ぎ込んでも、非常に問題のあるコンピューターシステムだ、しかも、関連会社から監修料という名目で職員が現金を受け取る、こういうふうにどんどんコンピューター経費が水膨れしていく原因が、特別会計という、青天井でもう財源は幾らでもある、つかみ金のような形でどんどんつけられる、これが大きな原因だというふうに我々は考えていますので、与党も、年金保険料は給付以外には使わない、ぜひそういう姿勢に転換していただきたい。国民の皆様は、使っていいというまだ合意がなされていないですよ、初めから、今もかつても。何でそれをそのまま使い続けるのかというのが私は理解できません。

 以上であります。

茂木委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 冒頭、大臣に一言伺います。

 けさの日経新聞の一面に「生活保護引き下げ」という記事が載り、大変驚きました。昨日、有識者による生活扶助基準に関する検討会が開催されたと。記事によると、「検討会の結論を受け厚生労働相が告示を出し、来年度以降の生活保護額引き下げを決める方針」とあります。これは事実ですか。

舛添国務大臣 今御指摘の日経新聞の記事でございますけれども、生活保護の生活扶助基準につきましては、平成十六年の専門委員会の報告書で、その水準の妥当性について、五年に一度の頻度で検証を行うべきである、そういう指摘を受けたところであります。

 このため、五年に一度実施されている全国消費実態調査、直近は平成十六年であります、この特別集計が利用可能となったところから、現在、生活扶助基準に関する検討会を開催し、専門的な分析、評価を行っているところであります。

 この検討会では、昨日、十一月二十日までに計四回の会議を開催し、生活扶助基準が低所得世帯の消費実態との均衡が図られているかなどについて評価、検証を進めておりますが、現時点において、報道のように生活保護基準を引き下げる方針を固めたという事実は全くございません。

 毎年度の具体的な生活保護の基準は、予算編成過程において設定してきておりますが、厚生労働省といたしましては、平成二十年度以降の基準の設定に当たりましては、可能であれば、検討会の検証結果等を踏まえて、来年度予算編成で対応してまいりたいと考えております。

 なお、本検討会は、あくまで客観的な調査結果に基づいて専門家による専門的な分析、検討を行うものでありまして、あらかじめ基準額の引き上げまたは引き下げといった方向性を持って検討しているものではございません。

高橋委員 全く事実ではないということをまず確認いたしました。

 ただ、こういう問題は、いつでも報道が先に出て、事実が後から追いかけてくるということがありますので、これは非常に見過ごしできないことではないかと思っております。全国で生活保護を削るなという運動が大きく広がっています。また、参議院に移った最低賃金法案は、生活保護との調整という言葉が盛り込まれたばかりでございますから、非常に重要なことになります。また、今問題となっている年金でも、いずれ最低保障年金制度が議題に上り、生活保護との関連が議論をされることになると思います。

 一般世帯の低所得、低年金という実態が、これに合わせれば生活保護基準を下げなきゃいけない、こうなってしまえば最低賃金も引き下げるというような負のスパイラルではなく、人間らしく暮らせる最低基準をしっかり維持しながら、勤労者も年金者も全体の水準を引き上げるように力を尽くしていくことこそが政府、厚生労働省の仕事だと思います。絶対に下げるべきではありません。このことを指摘して、本題に入りたいと思います。

 さて、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部改正の改正案の関係ですが、与党案では、先般の改正で、第七十四条、「福祉を増進するため、必要な施設をすることができる。」の部分を削除し、「次に掲げる事業」として、教育・広報、相談、援助などの三つの事業を限定列挙しました。

 きょうは、政府にまず伺います。

 もともと、「施設をする」という規定の中に、今言った事業が隠れていたわけですね。「施設をする」をとってこの事業は生きたということになるわけですけれども、これが名目となって、ハードの整備がやられるのではないかという指摘が前の国会でもされました。

 それはないと否定をし続けてきたのに、なぜ、今回ただし書きを足して、あえて施設の取得または敷地の取得は行わないと書き込んだのでしょうか。つまり、先般改正した条文のままでは、教育・広報などを口実に、施設の取得または敷地の取得はできると読めるということでしょうか、確認させてください。一言で。

舛添国務大臣 そういうことではなく、繰り返し、そういうものはやらないと言ってきた。しかし、これを今回与党の皆さん方の御努力によって、法文上明文化することによって、国民に対してさらにこれを明確にした、そういう趣旨であります。

高橋委員 条文では読めなかったということでいいんですか。

舛添国務大臣 きちんとそういう趣旨を反映されていたものと思いますが、今度の与党提案でさらにより明確になった、そういうことでございます。

高橋委員 なぜはっきりと、条文では読めないんだと言えないのでしょうか。

 これは、やりとりの中でも、担当局に聞いておりますけれども、前の条文ではやはり読めるのだ、だからこそ、今回あえて明確なただし書きをしたのだというふうに私は思っております。

 この点では、やはり、政府がそのことによってハードをやるつもりだったかどうかを問うつもりはありませんが、法律をつくる際に、そういう抜け道のあるつくりをなぜしたのか。余りにも、法律をつくるということに対する軽々しさを感じてなりません。民主党が対案を出さなければ、このまま法律を変えることにはならなかったわけで、その責任は重大だと言わなければならないと思います。

 この間、重要な法律が強行採決あるいは短時間の審議での採決が繰り返されておりますが、これは、法律そのものが歴史にたえるものとならないのだ、今後の問題もありますので、政府はもちろん、提出者に対しても指摘をさせていただきたいと思います。

 先ほど、この条文に関して、長妻委員の指摘がございましたので、関連して与党に確認をしたいと思います。

 与党は、七十四条に、今私が言った、「施設の取得又はその敷地の取得は、行わない」の上に、「専ら」という言葉がある。この「専ら」の二字によって、いわゆる新築はしないけれども、フロアの賃貸など、ちょっと幅は広がる、含みがあるのだよということで確認してよろしいですか。

吉野議員 専らこれらの事業に供するための施設とは、年金教育・広報等の事業の用に供する専用施設、すなわちセンター施設のことでございます。

 また、専用施設は、これらの事業のみを一〇〇%行う施設ではございません。年金教育・広報等、これらの事業以外の事業が一切行えなくなるものでもなく、また、これらの事業以外の事業を少しでも行えば、直ちに専用施設でなくなるものでもございません。

 いずれにしても、今回の改正規定は、いわゆるセンター施設の建設等を行わないことを条文上明記し、国民にその趣旨を明らかにするものであり、現在、社会保険事務所で行われている年金相談事業のための相談コーナーの改修などについては、引き続き実施することとしております。

高橋委員 ですから、今指摘をしたように、この「専ら」という二字によって、かなり幅があるものだということを指摘させていただきます。

 次に、時間がございませんので、厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律案についてですけれども、厚生年金保険料を天引きされたのに、事業主から届け出や保険料納付がないために記録がない事案について、救済されるということを打ち出したということは、大変重要だと思っております。

 ただ、被保険者資格を確認するためには、年金記録確認第三者委員会の審議を経なければなりません。ここで、第三者委員会がかなり今オーバーワークになっているという実態があるのではないかと思います。

 総務省に伺いますが、中央、地方で五十の第三者委員会が立ち上がっております。今日までに受け付けた件数、あっせん件数を教えてください。また、総務省が、この第三者委員会体制強化のために事務局を一・六倍にするとの報道もございました。どのように体制を強化し、予算をどのくらい見ているのか、伺います。

茂木委員長 持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

関政府参考人 年金記録確認第三者委員会への申し立てにつきましては、社会保険事務所等で受け付けた件数は、約二万七千件であります。そこから第三者委員会へ送付された件数は、約一万五千件となっております。

 これらのうち、四百七十件につきましては、年金記録の訂正の必要があるとのあっせんを決定しております。また、百二十九件につきましては、年金記録の訂正が不要であるとの決定をいたしたところでございます。

 いずれにいたしましても、膨大な申し立て件数に対しまして、審議の公正性の確保を図りながら、さらなる審議の促進を図っていくことが喫緊の課題というふうに考えております。

 現在、先例となるあっせん事案を積み上げるとともに、地方委員会に対する個別アドバイスを行うなど審議の迅速化に努めているところでございますけれども、審議体制の大幅な拡充を図ることも不可欠と考えておるところでございます。

 このため、事務局体制につきましては、十月に四百人だった職員を速やかに倍増すべく調整を進めているところでございます。現在、約五百五十人の体制となっておるところでございますけれども、さらなる増員に努めてまいりたいと思っております。

 また、地方委員会の委員につきましては、十月下旬に政令改正を行いまして、これまで委員の上限が十人ということでございましたが、これを二十人以内ということで上限をアップいたしまして、十月には約三百人だった委員、これを追加任命を行いまして、今月中には五百人近くになる予定でございます。

 予算の関係でございますけれども、現在、五人の委員が任命されている第三者委員会では、一回の開催につきまして約九万円から十万円ぐらいの委員手当を支給しているということでございます。これは今年度末まで、六月下旬からスタートしておりますので約九カ月ということでございますけれども、委員の手当につきましては、今の段階で幾らというふうに申し上げることはできませんけれども、およそ二億円から三億円ぐらいになるのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。

高橋委員 長年の年金行政のツケがこのような形で噴き出しているということを指摘したいと思います。

 第三者委員会に丸投げすることなく、きちんとした、窓口で対応できるところは解決をするようにということを指摘して、また次の機会にしたいと思います。

茂木委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 舛添大臣に端的に伺いますので、短く答えていただきたいと思います。

 ずっとその行方を追っている昭和三十二年の段階で集約をした旧台帳の中で、お配りした資料の右側にある、これは磁気テープ化されたもの、オンラインに入っているものですね、千三百六十五万件、これについては紙台帳で先ほどのワンビシアーカイブズに保管をされていると聞いてきましたが、本当に全件保管されているでしょうか。

坂野政府参考人 先般お尋ねがございましたときに申し上げましたとおり、私どもとしては、この千三百六十五万件が……(保坂(展)委員「聞こえない」と呼ぶ)千三百六十五万件が紙台帳として保管されているのではないかと基本的に考えておるわけでございます。

 ただ、前にも申し上げましたように……

茂木委員長 もう少し大きな声で答弁してください。

坂野政府参考人 はい。

 前にも申し上げましたように、そのように認識をしておりますけれども、本当にどういう状態でどこまで入っているかということについては、なお精査を必要とすると考えておりまして、現在精査中でございます。

保坂(展)委員 舛添大臣、今の長官からの答弁は、十月十一日の予算委員会と全く同じなんですよ。同じ答弁書を読んでいると思う。大臣は、政府の総力を挙げて旧台帳の様子も調べると言っているんですね。

 これから大臣、ちょっと答えていただきたいんですよ。よろしいでしょうか。

 このワンビシアーカイブズというところに社会保険庁から預けますよね、荷物を。これは一般常識で聞いてください。預けるときに、幾つ預けますかということを文書で残すでしょう、それは預ける方は。預かる方も、これは大変重要な情報ですから、幾つ預かりましたという文書で残すでしょう。これをずっとこの間聞いているんですよ。二十回ぐらいヒアリングしました。ただ、今のところ、二〇〇〇年の段階でこれは契約開始しているんですが、文書保存期間が過ぎてしまったのでその契約書はもう廃棄しちゃったと。そして、預け入れたときの寄託書だとかあるいは受け入れた受領書だとか、そういうものは社会保険庁は持っていないと言うんですね。これは本当でしょうか。大臣、こういうことをずっと答弁をしていることについて、どうですか、同じことしか言いませんよ、ないんですよ。

 では、あるかないか、言ってください。

坂野政府参考人 恐縮でございますが、御指摘の書類は、保存期限を経過しておりまして、持ち合わせておりません。

保坂(展)委員 大臣、どうですか。千三百六十五万件の紙台帳を預けているとずっと国会答弁でも言ってきたんだけれども、その証拠はもう廃棄しちゃっているというんですよ。そんなことをして、どうやってこれから精査するんですか。きちっと指示してください。どういうふうに思いますか。今までの舛添大臣の答弁も崩れますよ、これは。

舛添国務大臣 その契約書が廃棄されていることが事実であって、しかも、それが保存期間のルールに基づいてやっているとすれば、それに法的に何の瑕疵もないと思います。

保坂(展)委員 廃棄されていない契約書があるんです、ここに。平成十五年から十七年までのものですよ。随契でやっていたと。そのときの契約書の四条を見ると、これはやはりさすがに書いてあるんですよ。社会保険庁が物を預けたときには、寄託の申込書、これを双方で検印して相互確認する、そういうふうに書いてあるわけです。そして、社会保険庁は保管物の状況をそれらによって把握をして、できるならばその帳簿を作成して、幾ら預けているのかということを確認するべしということがちゃんと書いてあるんですよ、契約書の中に。

 これが行われていないということを認めますか。大臣、どうですか。

茂木委員長 保坂委員に申し上げます。

 提出資料等々につきましては、理事会で承認を得てから提出することになっております。ここにあるという話であります。それはきちんとルールを守ってください。お願いいたします。

坂野政府参考人 現在の契約は、専用区画八十坪を借り上げて保管をするという契約になっておりまして、保管台帳の数による契約にはなっていないということでございます。

保坂(展)委員 舛添大臣、これは十月十一日にやはり、きょう提出している資料ですよ、同じものを提出しましたけれども、社会保険業務センターから、旧台帳引き抜き票というのをワンビシアーカイブズに出すんですね。この旧台帳の方のオンラインの記録には、実はその事業者は書いていないそうです。

 では、二枚目をめくってください。そうすると、これは社会保険庁からきのう段階で出してもらったものです、もう何十回と要請をして。そうすると、まとめたものを右端につけておきましたけれども、平成十八年に、約九百九十六件ありますかと言って、あったのは四百四十九件、五百四十七件はない。ことしに入ってから、年金記録問題で非常に心配になった皆さんが、千七百五十件捜してみたら、九百二十四件ありましたと。これは両方足してみると、二千七百四十六件捜してみて半分しかなかったんです。ちょうどぴったり千三百七十三件。これで、この千三百六十五万件が保存されている、きちっと紙台帳で残っているとずっと答弁してきたんですよ。

 この状態、先ほどワンビシアーカイブズの話が出ましたけれども、我々も、私も参議院議員の方と一緒に行きましたよ。そして、前日には社会保険庁から、あすの視察お待ちしていますというこういうファクスまでもらっているんですね。どうぞお越しください、ただ、マスコミには余り言わないでくださいとか書いてありますけれども。

 ですから、この旧台帳がどうなっているのか。どういう形状で置いてあるのか。千三百六十五万件あるはずだと言っているけれども、確認できないと言っていますから、大臣、一緒に行きましょうよ。重大ですよ、これ。答弁してください。

舛添国務大臣 先ほど来申し上げていますように、セキュリティーの観点があります。

 それから、私は行政のトップですから、立場が違います。

保坂(展)委員 舛添大臣、随分無責任じゃないですか、今の言い方。

 千三百六十五万件あるはずだ、オンラインに入っているはずだと。これは、国民全体の年金記録、しかも今七十歳以上の年金受給者の人たちの記録ですよ。これが本当に紙があるんですかというときに、今、長官の答えのように、八十坪と坪単位で契約したというんですよ。幾つあるかわからないんです。だから、この倉庫が、そういうことはないでしょうけれども、なくしちゃったらわからないという話ですよ。

 これは、本当に幾つあるのかということを見ないとわからない。そして、紙台帳が本当にオンラインに入っているかどうか、サンプリング調査をしなきゃわからないですよ、本当にこれはきちっとつながっているのか。そういうことは大事でしょう。それこそ、セキュリティーや個人情報に気をつけた上で必要じゃないですか、年金の記録の真相解明について。大臣の認識を問います。

舛添国務大臣 私の責任において、この件についてもきちんと社会保険庁全体で精査をいたします。

保坂(展)委員 ところが、社会保険庁長官に聞きますが、社会保険庁から出してもらった契約書の仕様書には、ある年、これは千三百六十五万件保管していると書いてあるんですね、不思議なことに。これはいつ、だれが数えたんですか、長官。

坂野政府参考人 今御指摘の千三百六十五万件の記載につきましては、平成十七年度に随意契約から一般競争入札に契約方式の変更を行った際、委託内容を要領に明記する必要があったことから、業務担当課で使用する被保険者記録等事務処理要領等に記された数により記載されたものと想定をされるわけでございます。

 これによって、現在の専用区画八十坪を借り上げて保管しておるものでございまして、保管台帳数による契約とはなっていないことは、先ほど申し上げたとおりでございます。

茂木委員長 既に持ち時間が経過しております。

保坂(展)委員 時間なので終わりますけれども、社会保険庁長官は、これは八十坪で借りて、今精査しているんだ、幾つあるのか調べているんだと言っているんですが、一方で、これは千三百六十五万件という理論値を書いているんですよ。あるべき数は書いてあるわけ。だけれども、実態は全くわからないということでは、これは国民の信頼回復はありませんよ、大臣。ぜひ倉庫の視察も、そして、徹底的に、何がどういう形で残っているのか、与野党ともに調べたいというふうに思います。

 終わります。

茂木委員長 次回は、来る二十八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十二分散会


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