衆議院

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第9号 平成19年11月28日(水曜日)

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平成十九年十一月二十八日(水曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 茂木 敏充君

   理事 大村 秀章君 理事 後藤 茂之君

   理事 田村 憲久君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 山田 正彦君

   理事 山井 和則君

      新井 悦二君    井澤 京子君

      井上 信治君    石崎  岳君

      大塚  拓君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    木村 義雄君

      櫻田 義孝君    清水鴻一郎君

      杉村 太蔵君    高鳥 修一君

      谷畑  孝君    冨岡  勉君

      永岡 桂子君    長崎幸太郎君

      西本 勝子君    萩原 誠司君

      林   潤君    福岡 資麿君

      馬渡 龍治君    松浪 健太君

      松本  純君    松本 洋平君

      三ッ林隆志君    石川 知裕君

      内山  晃君    大島  敦君

      岡本 充功君    菊田真紀子君

      郡  和子君    園田 康博君

      田名部匡代君    西村智奈美君

      細川 律夫君    三井 辨雄君

      柚木 道義君    伊藤  渉君

      古屋 範子君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    保坂 展人君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           大村 秀章君

   議員           田村 憲久君

   議員           宮澤 洋一君

   議員           吉野 正芳君

   議員           後藤 茂之君

   議員           古屋 範子君

   参議院議員        蓮   舫君

   参議院議員        大塚 耕平君

   参議院議員        辻  泰弘君

   参議院議員        足立 信也君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   厚生労働大臣政務官    伊藤  渉君

   厚生労働大臣政務官    松浪 健太君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  関  有一君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   香川 俊介君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  阿曽沼慎司君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    坂野 泰治君

   政府参考人

   (社会保険庁総務部長)  吉岡荘太郎君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  石井 博史君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十八日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     大塚  拓君

  木原 誠二君     馬渡 龍治君

  萩原 誠司君     永岡 桂子君

  園田 康博君     石川 知裕君

  細川 律夫君     大島  敦君

  阿部 知子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     井上 信治君

  永岡 桂子君     萩原 誠司君

  馬渡 龍治君     木原 誠二君

  石川 知裕君     田名部匡代君

  大島  敦君     細川 律夫君

  保坂 展人君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  田名部匡代君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  西村智奈美君     園田 康博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律案(大村秀章君外六名提出、衆法第五号)

 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(大村秀章君外六名提出、衆法第六号)

 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一号)

 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案(中山太郎君外五名提出、第百六十四回国会衆法第一四号)

 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案(斉藤鉄夫君外三名提出、第百六十四回国会衆法第一五号)


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     ――――◇―――――

茂木委員長 これより会議を開きます。

 大村秀章君外六名提出、厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律案、大村秀章君外六名提出、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び参議院提出、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省行政評価局長関有一君、財務省主計局次長香川俊介君、厚生労働省老健局長阿曽沼慎司君、年金局長渡辺芳樹君、社会保険庁長官坂野泰治君、総務部長吉岡荘太郎君、運営部長石井博史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

茂木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井澤京子君。

井澤委員 おはようございます。自由民主党の井澤京子でございます。

 きょうは限られた三十分という時間でございますので、早速進めていきたいと思います。

 今回、質問するに当たりまして、先日、参議院での十一月一日の委員会、そして衆議院での十一月二十一日の委員会の議事録を読ませていただいております。その議事録に従いながら少し確認作業を、きっと国民であればこんなことを疑問に思うだろうなというような視点に立ちながら、一つ一つ基本的な質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、まず、本題に入る前に民主党提案者にお伺いいたします。

 年金制度は、私から申し上げるまでもなく、国民の安定した老後をはかるためにかけがえのないものであり、国民が四十年もの長きにわたり加入し、そして支給を受ける制度です。まずはその制度の安定性を確保することが大事であり、制度に対する国民の信頼を高めることがまずもって重要であるはずです。したがって、制度改革を行うに当たっては、その内容を慎重に検討し、国民に対しわかるように説明し、理解を求めていくことだと思っております。

 しかし、民主党は、年金制度の改革が必要であると論じながらその改正案を提示すると主張されているようですが、残念ながら、その内容は、制度概要、財源等を含めあいまいなものばかりで、全く具体策さえなく、改正案はいまだかつて提出はされておりません。

 民主党は、今国会において我々は年金制度の改正案を提出しているが、与党が与党案を示さないために議論ができないといった声を連続的に主張されていらっしゃいます。そもそもその論は、民主党が、議論を始めるというその以前に、年金制度の改革案を全く提示できていないのではないでしょうか。現在のようにあやふやな内容のままでは、そもそも議論は行うに値しません。こちらの趣旨説明書にありますように、国民の信頼を高めるように持続可能な公的年金制度の再構築を図るどころではないのではないでしょうか。

 他方、政府・与党は、平成十六年の制度改正において、社会保険方式を基本として長期的な給付と負担の均衡を確保し、制度を持続可能とするための抜本的な改革を行っております。

 民主党は、長年にわたり現行の制度を否定し続け、年金制度改革をするというのであれば、今回の法案のようなあいまいな内容で貴重な委員会の審議時間を費やすのではなく、その改正案を法案として提出し、国民の不安を常にあおってあおってあおり続けるのではなく、国民の前に明らかにその法案を提出するべきである、これは、国民であれば当然考えることだと思っております。民主党の提案者の方にまずお伺いいたします。

足立参議院議員 おはようございます。本日もよろしくお願いします。

 制度論が大事だということは、それはもう当然のことだと思っておりますし、私どもは、年金制度の改革法案というのは三年前から二度ほど提出しております。そして、今国会においてどの法案を提出するかというのは、これはまさしく政策判断、政治判断の部分がございますから、何から優先させて出していくかということについては、これは私どもの判断ということだと思います。

 そこで、制度改革がなぜ必要なのかということは、やはり現実の認識に立たなきゃいけないということでございます。何といっても、この国の国民が公的年金制度に対して非常な不信感を持っている、この原因はどこにあるのかという分析から入らなきゃいけないと思っております。

 それは、一つは、やはり職業によって全く違う制度、例えば国民年金、厚生年金保険、共済年金、働き方によって全く分立した状態にある。しかも、それが昨今の働き方の変化によって制度間を行ったり来たりするような状況になっている。そして、そのことが不平等を生んでいる。例えば所得が同じでも、保険料が異なり、将来受ける年金の受給額も異なっている、そういうような不平等の問題、これが不信感を抱かせている。そして、特にその中でも国民年金に関していいますと、免除者を含めまして半分以下、四九%の方しか保険料を払っていないという状況にあるわけです。

 これを解決するためにまず私たちが提案したことは、まず一元化をするんだ、そのことがあるわけでございます。これは、公平な制度にするというのが第一の目的でございます。

 そして、その二大要素といいますのが、所得比例年金部分と最低保障年金の組み合わせである。この所得比例年金を設けることによって、所得が同じなら同じ保険料、保険料が同じなら同じ年金給付をいただける、そして納めた保険料は必ず返ってくる、これが第一の原則でございます。しかし、その所得比例年金の部分において、年金の受給額が最低保障するには全く足りない、健康で文化的な生活を送るために足りないという部分に関しては、最低保障年金を加えるという制度設計をしているところでございます。

 その中で、保険料の設定や、あるいは所得による最低保障年金の給付制限等、また所得代替率の計算等、財政再計算を行って、今、制度を詰めているところでございます。

井澤委員 分析をして制度設計をしているだけで、まだ法案が出ていないということがよくわかりました。

 では、本題に入らせていただきます。与党について最初に質問を一つさせていただきます。

 今回の厚生年金保険の特例法案により、給料から保険料を天引きされていて国に納付をされていない事業者がいる、年金を受給できないという方が多くいらっしゃるということが報道されておりますが、年金を無事受け取られるようになることは、昨今の年金記録漏れ問題の解決を図る一つの糸口である重要なことではないかと思います。

 与党の先生方が提出された今回の法案では、現行法のもとでは時効の壁もあり、いろいろな財源のこともありますが、事業主に対して保険料納付を求めることができなかった状況を打破するべく、過去に保険料を納めていなかった事業主に対して保険料相当額を任意で納めてもらえる制度を整えたものと私は理解しております。社会保険制度の原則に照らせば、保険料を納めていなかった事業主に必要な負担を求めるということは不可欠であり、今回の特例法におきましてもその原則が生かされていることは、大変重要な意義深いものであると思っております。

 一方で、最後の手段ではありますが、国庫負担で給付財源を賄うということですから、中には、新たな税のばらまきではないかという報道も、幾つかの新聞にも出ておりますが、報道もあるようです。私としては、このような批判をはね返すためにも、社会保険庁には、事業主などに対して、この特例保険料の納付を周知徹底していただきたいと思っております。例えば、明らかに事業者の保険料負担の回避や着服、猫ばばとも言われていますけれども、悪質な事案があれば、その事業者に対してしっかりと責任を追及していただきたいと考えております。

 与党の提案者に、そのあたりの決意を含めて御意見を求めます。

大村議員 井澤委員から大変的確な御指摘をいただきました。

 この点につきまして、今回、私どもが厚生年金の特例法案、救済法案を提案したその趣旨、何といっても一番の目的は、厚生年金関係の年金記録問題を解決していく、そしてその給付に結びつけていくということを第一義に考えたものでございます。その際、やはり社会保険方式でありますから、保険料を納めていただかなければいけない、それを過去にさかのぼって納めていただくという道を開いたわけでございます。

 したがって、これは時効の壁とかいろいろな法制度の問題がありますので、完全に時効を取っ払ってということはなかなか難しいということで、任意の納付ということにさせていただきましたが、それにつきましても、できるだけこれはとにかく納付勧奨をし、追っかけて追っかけていって、これは委員が今御指摘になりましたように、周知徹底を行い、そして、こういった方に必ず納めていただくように督励をしていきたいというふうに思っております。

 そして、なおそれでもという悪質な方につきましては、詐欺、横領等々に当たるといったようなことがもし見受けられるということであれば、それは毅然として刑事告発も視野に入れて対応していく、こういうことになろうかと思います。

 いずれにしても、この事案を、厚生年金の記録問題を解決していくためにも、事業主に対しまして、追っかけていく、そして保険料を納めてもらう、そのことはしっかりと政府にはやらせていきたいということを申し上げておきたいと思います。

井澤委員 解決に向けての真摯な取り組みの姿勢、力強くお伺いいたしました。ありがとうございます。

 では、早速、本題でもあります民主党の提案についてお伺いいたしたいと思います。

 民主党は、この提案を年金保険料流用禁止法案と称されております。私は、この流用という表現は不適切じゃないかと思います。

 これまでの説明では、政府において、グリーンピアなどの施設、私から申し上げるまでもありませんけれども、職員用のゴルフボール、マッサージ機など無駄遣いを行った経過を踏まえて、今回、事業運営経費の財源を保険料から税に変えると主張をされていらっしゃいます。

 しかしながら、グリーンピアなどの無駄遣いについては既に政府・与党において徹底的に見直しを図っており、そのような過去のことを一つ一つとらえて現時点において流用を禁止するというのは極めておかしいことではないでしょうか。

 民主党がキーワードとして使っておられる流用という言葉について質問をしたいと思います。

 まず、提案者にお伺いいたします。

 今回提出された法案の中に流用という言葉は使われているんでしょうか。イエスかノーかでお答えください。

辻参議院議員 私どもが今回御提案させていただいております法案そのものの中に流用という言葉は入っておりません。

井澤委員 流用という言葉が入っていないということを今確認をしていただきました。今御答弁がありましたように、一切言葉は使われていないそうです。

 そもそも、流用という定義を使うのであれば、法律というのは、定義の解釈があってこそ法律は運用されていくはずです。そのことを一言申し上げたいと思います。そのように重要なキーワードであるにもかかわらず言葉をずっと使っていらっしゃるのは不思議でなりません。これは国民も同じように不思議に思うのではないでしょうか。

 この流用の定義に関して、参議院における審議の際には民主党から資料が提出をされていると聞いております。その資料において見ますと、法的とか社会通念的とか、二つの定義が書かれているとお聞きしております。

 そこで、提案者にお伺いいたします。

 参議院に提出された流用の定義に関する資料を読み上げていただけませんでしょうか。――速やかにお願いします。おかしいんじゃないですか、参議院にも提出されていて。おかしいですよ。(発言する者あり)

茂木委員長 ちょっと待ってください。

大塚参議院議員 大塚でございます。

 御指示でございますので読み上げさせていただきますが、流用の定義、

  法的には、国民年金及び厚生年金保険の被保険者が納付した保険料(以下、保険料と呼ぶ)を、国民年金の給付及び厚生年金保険の保険給付(日本国籍を有しない者に対する脱退一時金等の支給を含む。)以外の費用に充てることを指します。

  社会通念的には、保険料を、公的年金事業の健全かつ効率的な運営、及び国民の信頼を得るに足る運営に反する費用に充てることを指します。

以上でございます。

井澤委員 すぐ出てこないのをすごく不安に感じました。皆さんもそうじゃないですか。参議院と全然連携とれていないんでしょうか。

 民主党から提出された資料には、今お話がありましたように、法的にはという定義と社会通念的にはという二つの定義があるとお答えをいただきました。流用という一つの言葉には二つの定義があるので、そもそもこれは議論できるんでしょうか。

 ここで一つ確認をさせていただきたいと思います。流用の定義について、社会通念的には、公的年金事業の健全かつ効率的な運営や国民の信頼を得るに足る運営に反する費用に充てることと今おっしゃられました。

 提案者にお伺いいたします。

 この定義に照らして、年金給付以外の費用であって年金保険料を充てることが可能な費用とは一体何なのか、端的にお答えください。

大塚参議院議員 大塚でございます。

 参議院と連携していないのかという厳しい御指摘がありましたが、私どもは参議院議員でございますので、御理解をいただきたいと思います。

 今御指摘いただきました点につきまして、定義が二つあるのかということでございますが、まず、私どもの参議院の審議において提出いたしました資料は、流用の定義について御下問を受けましたので、書面にしたためて、このように御提出をしたわけでございます。

 前段、後段、二つで構成されておりますが、あえて定義という厳密な概念でいえば、法的にというふうに申し上げているところで十分なわけでございますが、円滑な審議のために、敷衍をして、社会通念的にというふうに御説明を申し上げているということを御理解いただきたいと思います。

 その上で、一体どのようなものに充てられるのかということでございますが、それを考えるに際しましては、冒頭御質問にありました、年金制度の信頼性、この部分が非常に重要でございまして、まず、私が先ほど読み上げました、あえて敷衍して書き加えております、社会通念的に国民の信頼を得るに足る運営に反する費用、これは井澤委員も冒頭御質問の中で御指摘、そして触れられましたように、ゴルフボールであるとか、本来の年金とは全くかかわりのないことに使うこと、これはもう何をか言わんやという世界でございまして、これに使うことはまかりならないと私どもも思っております。

 それに加えまして、今回私どもが念頭に置いておりますのは、こうしたことに付随をして、年金給付以外にさまざまな形で保険料を使うという構造の結果、諸般の問題が起きているわけでございますから、制度的に給付以外には使えないという姿をつくり上げることによって国民の皆さんの一抹の不安を解消する、このことがこの局面においては最も大切な対応ではないかという認識に立って、この法案を御提示申し上げているわけでございます。

 したがいまして、何に使えるのかということにつきましては、私どもの法案においては、給付以外には一切使えないという前提で法律をお出ししているということをぜひ御理解賜りたいと思います。

井澤委員 今、給付以外には使わないということをお答えいただきました。そのお答えによれば、公的年金事業の健全かつ効率的な運営や国民の信頼を得るに足る運営に反する費用に充てるという社会通念的な定義は、年金給付以外に保険料を用いるという法的な定義と一致するということでしょうか。

 しかしながら、民主党が提出された社会通念的な定義によれば、流用とは運営に反する費用に充てることともされています。一定の運営経費に保険料を充てることを前提としているのは、この定義からもわかることではないでしょうか。仮に、年金給付以外に使うことすべてが流用というのであれば、このようなあいまいな流用の定義は今すぐ撤回すべきであり、定義を二つではなく一つにすべきではないでしょうか。明確な答弁をお願いいたします。

大塚参議院議員 お答えをいたします。

 先ほども御回答申し上げましたが、法的な定義は一つでございます。繰り返しますが、「国民年金及び厚生年金保険の被保険者が納付した保険料を、国民年金の給付及び厚生年金保険の保険給付以外の費用に充てること」を指しているわけでございます。

 ただ、衆議院におきましても先般の審議でも御指摘がありました、また参議院でも御指摘がありましたが、年金制度運営のために本来必要な事務費等は保険料で賄っていいのではないか、こういう御指摘は私どもも十分理解できるところであります。

 とはいえ、先ほど申し上げましたように、諸般の問題が起きているこの現下の状況を考えますと、あえて保険給付以外に保険料は使わないという形を整えることが国民の皆さんの信頼を得る、そのことに資するという認識の上に立っているわけでございますので、その点を御理解いただいた上で、定義といたしましては、再度申し上げておきますが、給付以外には使わないということをもって法的な定義とさせていただいている次第でございます。

井澤委員 今おっしゃられた流用という言葉は、そもそも、また私は繰り返して言うようですけれども、法案にも使われていない、そして、定義としても法的、社会通念的と二つあるということがわかりました。これは、法を適用する場合にも定義が何といっても重要です。これは非常に問題であるということを指摘させていただきたいと思います。

 これまで、参議院で約九時間、そして、先日衆議院でもほかの、三法案を含めて三時間にわたりこの法案の審議を行ってまいりました。このようにいいかげんな定義を前提に、無駄な議論を行ってきたのではないかと思います。

 民主党が使っておられる年金保険料流用禁止法案という名前を今すぐ撤回し、この法案自体も撤回すべきではないか、私は、改めて提案者に確認の意味を込めてお伺いいたします。

大塚参議院議員 井澤委員にお答えをいたしたいと思います。

 与党と野党で分かれて議論をしているわけでございますので、なかなか私どもの主張を一〇〇%御理解いただけないということは、残念ではございますが、そういう状況になり得るということはやむを得ないことではないかというふうに思っております。

 あえて申し上げれば、例えば法案の名前、それが正式な法案名であれ、通称であれ、一般国民の皆様を含めて万人がどのように理解するかという点を、例えば障害者自立支援法という過去において審議した法案を例にとってみますと、この自立という言葉は、恐らく、これを提出していただいた政府・与党の皆様方としては、当然自立に資するというふうに思っておられるわけですが、しかし、そうは思わない多くの国民もいるわけでございまして、法案の名前のつけ方、そしてその呼び方、その認識について若干のそごが生じることはやむを得ないことだと思っております。

井澤委員 時間が限られておりますので、最後の質問に移らせていただきます。

 最後に、民主党案を実施するために必要な約二千億円の財源の確保に関連してお伺いをいたします。

 先日、二十一日の当委員会の審議でも、二千億円の財源として年金積立金の運用益を活用するという考えが民主党提案者からございました。その際、提案者からは、「非常にいわば優先度の低い、むしろ採用すべきではないけれども方法論の一つとしてはそういうこともあり得る」という発言がありました。

 提案者にお伺いいたします。

 なぜ年金積立金の運用益を活用するという方法を採用すべきではないとお考えなのでしょうか。

大塚参議院議員 私どもといたしましては、再三御説明をさせていただいておりますが、あくまで、予算措置を伴う法案が成立した場合には、予算編成の過程でこれを捻出することが第一義だと思っておりますので、るる幾つかのバリエーションを御説明した中では、優先度の低い手段であるということは御理解をいただけるものだと思っております。

 また、やはり私どもとしては、年金の保険料は給付以外に使わないということを前提としてこの法案をお出ししているわけでございますので、そういう観点から申し上げましても、今御指摘のような対応を選択すべきである、つまり、使わないという対応を選択すべきであるというふうに認識をしております。

井澤委員 次の質問に移ります。

 年金積立金は将来の年金給付のための積み立てであり、積立保険料そのものであり、運用益とはいえこれを活用するということは、民主党の提案と明らかに矛盾するものではないでしょうか。

 民主党が提案した九つの二千億円の財源確保策に、年金積立金の運用益を活用するという案がございます。この辺をもう一度、確認の意味を込めて答弁をお願いいたします。

大塚参議院議員 ぜひ御理解をいただきたいのは、私どもから提案をしたというわけではございませんで、参議院の審議の過程において、財源を捻出する手段としてどのようなものがあるかという御下問を受けたわけでございますので、そのことに対して、バリエーションとして整理して御説明を申し上げたわけでございます。

 今、井澤委員から再三にわたって御指摘をいただいている手段を採用すべきであるということで提案をしたわけではないということは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

井澤委員 後半、また同僚議員からも質問があるかと思います。財源というのは大変重要なことです。

 今回の法案につきましても、流用の明確な内容も定かではない、そして財源についても、定かな財源のことも、提案でないと今お話がありました。提案でなく、財源は一体確保できるんでしょうか。非常に重要な問題です。提案でなければ、どうやって財源を確保するのでしょうか。

大塚参議院議員 お答えいたします。

 繰り返し御説明をいたしておりますが、この予算については、例えば、今の予算編成の過程においても、まず政府から、公共事業や防衛費、それぞれにシーリングを課した上で概算要求が、大体想定される最終的な政府原案の一・一倍から二倍の規模で要求が出されているわけでございます。これを現在の予算編成の過程において精査をして、政府原案をつくっていただいているわけでございますので、その過程において、もし予算措置が必要な法案が成立すれば、当然そこに予算措置を講じるのが行政府、政府の役割でございますので、そのことを私どもは申し上げているわけでございます。

井澤委員 成立すればとか、もっと強い答弁をしてくださいね。本当に自信を持ってされているのであれば、提案ではなく、こうしたい、こうすべきであるというような、やはり力強い答弁が必要なのではないでしょうか。

 では、もう時間となりましたので、本日の私の質問に関し、ちょっとまとめさせていただきたいと思っております。

 民主党の根幹にあるはずの流用という言葉、この定義さえも明確ではなく、法的だの社会通念だの、いろいろな意味内容が含まれております。その内容も極めてあいまいです。

 また、なおかつ、一番大事な、提案や、いろいろな形で制度を改革したいと言いながらも、では、それをどうやって実現をするのか。財源についても、まだそれを分析あるいは提案をしているところで、いろいろなバリエーション、バリエーションは決めていかなきゃいけないんですよ。そういうものなんじゃないでしょうか。

 いろいろと幾つかのことを指摘させていただきながら、この意味のない法案は撤回すべきであるということを申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 委員会は、国民のために議論をする場でありまして、私は、政治は生活だと思っておりますので、真摯に議論をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いをいたします。

 質問通告の順番を少し変えまして、ねんきん特別便からお尋ねをしたいと思います。

 来月の十二月より、年金受給者また被保険者に対してねんきん特別便をお送りするというスケジュールになっておりますけれども、私は今まで大変勘違いをしておりまして、このねんきん特別便には、宙に浮いた五千万件の、お勤めになった会社名とか期間とか、こういったものが記載をされているものだと思っておりました。

 しかし、よくよく見てみますと、こういうものが全く記載をされておりませんで、こういうものを送ったところで、本当に年金記録、加入していた記憶を呼び起こす材料になるんだろうかと非常に危惧をしておりますけれども、御答弁をいただきたいと思います。

石井政府参考人 御答弁申し上げます。

 ただいま、ねんきん特別便における結びつくと思われる記録についての取り扱いに関して御質問をいただいたわけでございます。

 この五千万件の年金記録につきましては、本年七月五日の政府・与党で決定した御方針に基づきまして、来年三月までを目途に名寄せを実施する、そして、その結果として、記録が結びつく可能性がある方に加入履歴を送付させていただきまして、記録の確認をお願いするというのがそもそものお約束でございます。

 それで、その結びつくと思われる記録そのものをお送りするかどうかということについてでございますけれども、これまでも御説明をさせていただいておりますように、この名寄せそのものは、氏名、生年月日それから性別、この三つの条件が一致するかどうかという点を一つの要するにキーにしているわけでございまして、住所の情報とかそういうものは入っていないわけでございます。そういうことからいたしますと、一つの記録が複数の方に該当する、そういう場合もあるわけでございまして、したがって、この三条件合致だけで同一人と断定するには十分ではないというふうに考えているわけでございます。

 そのようにして断定することができない以上は、別人に年金個人情報を送付してしまうという可能性も否定できませんし、また場合によっては、御自身の記録でないものを御自身の記録であるというふうに、例えば勘違いなさるといった御回答をいただくというような事態の発生も可能性としては否定できないということでございまして、したがって、結びつくと思われる記録そのものを送付するということは適当ではないというふうに考えているわけでございます。

 そういうことで、恐縮でございますけれども、私どもの方といたしましては、既に基礎年金番号に結びつけられている加入履歴を特別便にきちんと記載してお送りし、そして、あわせてメッセージとして、結びつくと思われる加入記録がありますよということをお知らせすることで進めさせていただきたいというふうに思っております。

 基本的には、御本人の記録であることを確定するためには、やはり御記憶をきちんと喚起していただいて、それをもとに一つ一つ確認を行っていくということが重要であるというふうに考えております。そのことを要するにきちんと確保するために、電話あるいは来訪による照会あるいは相談……

茂木委員長 簡潔にお願いします。

石井政府参考人 はい。そういったもので丁寧に対応していきたいというふうに思っているわけでございます。

内山委員 御丁寧な答弁をありがとうございます。時間が限られておりますので、簡潔にお願いしたいと思います。

 しかし、本人はこういう手がかりがなければ、送られてきてもわからないわけじゃないですか。だからこそ請求漏れになっているわけじゃないんですか。そういう人たちに対して、どうやって救済するんですか、大臣。

舛添国務大臣 内山委員が受け取る人の立場から今御指摘なさった。私も、まず最初、全く同じ疑問を抱きました。それで、今政府委員が答弁したような問題点もあると。そこで、何とか解決策がないか。

 例えば、私、受け取りますね。そうすると、ずっと書いてある。ところが、三年間分だけが、何も書いてない部分が、これは確実にあります。それで、もらったときに、今度、もらうということは、あなたの記録で、どこか飛んでいたのが、今作業をしたら、そこが埋まる可能性がありますよというので来ているので、ああ、そうか、この三年分は何か発見できたんだなと。ただ、今言ったように、成り済ましとかいろいろな、ほかの人が取ったらいけないので。

 ただ、もう一つ前提として、既にわかっているものについても、もう一遍確認していただく。これが間違っているとまたいけませんから、その作業が一つあります。

 今言った、三年あいているところを社会保険庁が見つけてくれたんだなと、これは、もらった以上は大体予測つきます。それで、フリーダイヤルで電話番号、それから窓口、これを今少し増設して、きちんと対応できるようにします。ですから、既存のところについて間違いなくても、私は全員が電話をかけると思います。

 つまり、受け取るということは、いわゆる消えた年金記録が、自分のものがあったことを発見したからその届けが来たんですね。それから、長妻委員がこの前御指摘したとおりに、記録漏れの可能性がありますよと封筒に大書特筆するように変えましたから、もらってそれを見ると、これはあるなということを思いますから、必ず、既存の出ているところが間違っていなくても、そこについては電話してくる。電話してくれるようにお願いしますので、ですから、ほぼ全員がそういうふうに、それで、電話でお答えして、では、あなた、こういう記録なんですけれども、御本人で、これでよろしいですね、それで確認という、非常に手間がかかるんですが、成り済ましとかなんとかいう……。

 それで、なぜこれをやったかというと、今は三つの要素があって、重複期間も合っているから、実を言うと、最初は、今委員がおっしゃるように、私も、ここはもう出したってそんな成り済ましのようなことはないんじゃないかと思いましたが、二次名寄せをやったりするときに、要素が二つであったりすると複数の人のデータが出てくる可能性があるので、そのこともあるので、慎重にそういう体制をとって、マイナスをできるだけ少なくするために、御不便をおかけすることはあると思いますけれども、きちんと電話や窓口で対応して答えを出したい、そういうふうに思っております。

内山委員 大臣のお考えはよくわかりますけれども、電話をしてきたときに、事業所の手がかりすら本人はわかっていないわけですよ。

 では、どうやって対応するんですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 内山委員もそこら辺のノウハウは、ある程度というか非常にといいますか、御承知ではないかというふうに思いますけれども、お送りした特別便の、今大臣の方からも申し上げましたような、加入履歴の中の空白部分、ここに要するに該当する可能性というものがあるわけでございますので、手元に留保しておる記録、結びつくと思われる、その可能性のある記録、これに一定の情報がついてございますから、例えばその記録にかかわる事業所名だとか所在地だとか、そういうものを御記憶で喚起していただいて、それが記憶の中から出てくるかどうか。

 そういうふうな形で、いろいろな角度から、直接的なヒントにはならないような注意をしつつ、その御本人の記憶喚起のお助けをして、そして、それらの積み重ねの結果として、記録についている属性と情報的に合致するというあたりを確認して、そして最後、結びつけというような手順に至る、このように現場では進められているというふうに承知しております。

内山委員 それでは今の社会保険事務所の窓口の年金相談と同じなんですよ。窓口のウィンドウマシンで会社名、そういったものを言わなければ自分の年金加入記録に結びついていない人がたくさんいるんですよ。

 では、お電話をしてきた受給者または被保険者は、会社名、そういったものがわからなくても、電話の対応は、何かヒントとかそういうものを教えてくれるマニュアルになっているんですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、そうしたやりとりの基本は、現在、例えば来訪相談、電話相談、そうした場においてお寄せいただいている相談、ここで用いられているノウハウというものをベースに対応させていただくというような形になろうかと思いますけれども、ねんきん特別便の関係の業務を円滑かつ迅速に進めるために、私ども、一方では、おっしゃるような業務マニュアルというものを用意しようということで、現在取り組んでございます。

茂木委員長 今の答弁でいいんですか。

内山委員 だめですから、もう一回聞きます。

 そういう何らかの手がかりを示さなければ、電話してきても同じだと言っているんですよ、私は。だからこそ、大臣も言いましたけれども、これは書くのは限界があるかもしれない。だけれども、そういう何らかの手がかりが私はそのねんきん特別便にあるものだと思っていた、全くきのうまでそう思っていた。だから、そういうものが送られてくれば、ああ、私の記録かもしれないといって問い合わせをする、返信はがきを送るかもしらぬ。しかし、加入していたことすらわからない人がたくさんいる。そんな手がかりが、電話して、相手から何らかの記憶を呼び戻すようなものを言ってくれなければ救済されないじゃないですか。

 これは何件発送するんですか、一億件出すんですか。年金受給者三千万人、被保険者七千万人、相当な費用じゃないんですか。だったら、もっときちっと精査して、わかりやすいものを出すべきなんじゃないんでしょうか。どうですか、大臣。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 ねんきん特別便そのものにおける、その結びつく可能性のある記録についての記述、これは、大変恐縮でございますけれども、具体的にどのようなものか、あるいはそれがどのようなものであり得るか、そういったものの例えばヒントにつながるような記載というものをする予定は、実は先ほど申し上げたような心配もございますので、する予定はないわけでございますけれども、実際、特別便を発送してからいただくさまざまな電話なり来訪での相談において、的確に結びつけていくようなというか記憶を正確に呼び戻してさしあげられるような、要するにそういう丁寧な手順、方法、そういったものをできるだけきちんと書くような方向で整理をしていきたいというふうに存じます。

内山委員 それは、きちっと、どういう対応をするのか、マニュアルを後で示してください。そうしなければ、こんなの何度やったって同じですよ。税金の無駄遣いですよ。

 舛添大臣、来年三月までに年金記録の照合を終わらせると、安倍前総理もそういう話をされました。大臣は、三月までに、この状況だと、どう思いますか。私は、今ねんきん特別便を、受給者または被保険者、記録が結びつくであろうという人たちに十二月から送るとしても、これを、返信を待って、また電話の対応を待って結びつけていくなんというのは相当な時間がかかると思いますよ。どう思いますか。

舛添国務大臣 その問いにお答えする前に、委員もお手元にお持ちだと思いますけれども、封筒だけじゃなくて、一応このお知らせの中に、米印をつけて、五千万件の確認中の記録の中にあなたの記録と結びつく可能性のある記録があるためにこれをお知らせいたしますということなので、これは、いろいろ今委員が御指摘のような、十分でないところもあると思いますので、この特別便を発送するとき、いろいろな機会に、広報活動を通じてできるだけそれは補いたいと思います。

 それから、そういう作業の日程、工程ですけれども、基本的に七月五日の政府・与党の工程表に基づいてやっている。これは、電話の回線をふやしたり、窓口の対応をふやしたり、そういうことをして、全力を挙げて、予定どおりに消化できるように今からやっていくということでございます。

内山委員 このねんきん特別便の封筒の文言が、長妻議員によって改正をされました。

 私も一点指摘をしたいと思うんですけれども、大臣のサインの欄の上に「あなたの加入記録をお確かめください」というところがありますね。このところに、文章として「このお知らせは、基礎年金番号に結びついていない五千万件の記録の中に、あなたの記録と結びつく可能性のある記録があるため、お送りしています。」こうなっていますね。

 私は、これでは甘過ぎると逆に思うんですよ。同封した年金記録のほかに、あなたに該当するかもしれない年金記録が発見されましたとすべきじゃないですか。御意見をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御提案のあった文言でございますけれども、趣旨そのものは、そこに私ども記載させている案と同じだというふうに思っております。

 ただ、私どもは、一つやはり注意しなければいけないのは、そういう可能性があるものが出てまいったということをきちんとお知らせして、そして記憶を喚起していただくように促させていただくと同時に、一方で、先ほど申し上げたように、複数の方に一つの記録が、あなたのものではないですかというような形で照会が参る、そういうこともあるわけでございますので、過剰な期待をお一人お一人に抱いていただくということも、これはできるだけ抑えるようにしなければいけないという、そこら辺の兼ね合いを考えて、バランス的にそのような表現にさせていただいている、こういうことでございます。

内山委員 今のお言葉を返すようですけれども、過剰な期待というのは何ですか。あなた方の手続が不手際だったから五千万件の記録が残っているんじゃないんですか。言葉を撤回してください。

石井政府参考人 今、私の答弁の中に不適切な部分、過剰というような部分が適切でないということでございますれば、これは撤回させていただきます。

内山委員 注意をとにかく喚起するということは大変必要なんですよ。

 大臣、最後にもう一度。

舛添国務大臣 今の委員の御趣旨を踏まえて、私、実はこれは、役所だけではなくて、いろいろな一般の方々に、例えば私の周りの人にも、現実に年金をもらっている人にも全部見てもらって、直せるだけ直したつもりでいます。

 しかし、今のような御指摘もございますので、この特別便を出しますときに、記者会見をやる、それからいろいろなメディアにも出させていただいて、こういうことです、ですから、基本的に、こういうあなたの、まさに発見されていますというような言い方をするかどうかはちょっと検討させていただいて、厳しくもっと強く注意を喚起して、必ずお答えください、そういうふうに申して準備をしたいと思います。

内山委員 では、よろしくお願いいたします。

 それでは、質問をかえまして、与党提案の厚生年金の保険給付及び保険料の納付の特例に関する法律案についてお尋ねをしたいと思います。

 まず、この法案で、具体的にどのような事例が救済の対象となるのか、お尋ねをいたします。

大村議員 お答え申し上げます。

 私どもが提案をさせていただきましたこの厚生年金の救済の特例法案につきましては、厚生年金におきまして、事業主が、保険料を源泉控除していたにもかかわらず、社会保険庁に保険料を納付していない、または納付したか不明な場合ということでございまして、それを、七月に設けられました年金記録確認第三者委員会におきましてこのことが確認をされたという案件につきまして、これを対象としたいということでございます。

 今現在、数字はもう委員のお手元にもおありかと思いますが、十一月二十七日現在、第三者委員会に申し出がありました件数が全体で二万八千二百二十七件、うち厚生年金事案が一万七百五十一件というのが受け付け件数でございまして、そのうち、天引きが認定をされてあっせん済み、これは社会保険庁側の責任ということで、あっせん済みというものが四十六件、そして、天引きが認定をされたけれどもまだ審議中、これがこの法案の対象になるもので、三百件という数字でございます。

内山委員 細かくお尋ねをしていきたいと思います。

 法律案要綱の第一の保険給付に関する特例等の文中に、未納保険料を徴収する権利が時効によって消滅する前に被保険者の資格に係る届け出があった場合を除くとありますけれども、どのような意味を指すのでしょうか。お願いいたします。

大村議員 これは、事業主が時効期間内に被保険者の資格取得の届け出を行っていたというふうに認められる場合には、この特例法案による対応を待つまでもなく、現行の厚生年金保険法七十五条によりまして給付を行うことができるということでございます。

 これは、厚生年金保険法七十五条ただし書きによりまして、時効期間内に社会保険庁が被保険者を把握していながら、事業主の倒産等により保険料を徴収し切れなかった場合には、被保険者の立場に立って例外的に給付が行われるということで、現行法でも救済できるということでこれを除いているということでございます。

内山委員 同じく法律案要綱の第二の特例納付の保険料の納付について、「未納保険料に相当する額に厚生労働省令で定める額を加算した額を納付することができる」とあります。どのような額に保険料が増額されるのか、お尋ねをします。

大村議員 これは、保険料につきましては、国民年金法の免除、追納制度におきましても、一定の加算を行うということにされております。そのバランスを考慮いたしまして、本法案のこの対象の事業主、任意で納付ができるという道を開くわけでございますが、その対象事業主が不当に有利にならないように、保険料に一定の加算を行うということが適当というふうに考えて、この規定を設けたものでございます。

 この加算額の計算方法につきましては厚生労働省令で定めるということになるわけでございますが、現時点におきましては、未納保険料に現行の制度において用いられる追納加算率を乗じた額を定めることが適切ではないかということでございます。

 現行の保険料に加算をしていくという率が決められております。最近では国債の表面利率とか、過去にさかのぼっては財政再計算時の予定運用利回りとか、そういったもので現に決められているその率を使ったらどうかというふうに考えております。

内山委員 具体的には何%とか、そういう数字はおわかりですか。

大村議員 今私が申し上げました現行の追納加算率の算定されている率は、ちなみに申し上げますと、平成十六年度分が一・八%、十五年度分が一・四%、十四年度分が一・五%、さらにさかのぼりますと、平成十年から十三年度分が四・〇%、昭和二十九年から平成九年度分が五・五%、昭和十七年から二十八年度分が三・五%ということで、直近は十年国債の表面利率、そして、さかのぼった部分は財政再計算時の予定運用利回りが現行の追納加算率ということで使われておりまして、それによることが適当ではないのかなというふうに考えております。

内山委員 この法律によりまして、救済の対象の人数はどの程度と考えておられますでしょうか。お尋ねをします。

大村議員 対象者数につきましては、これはこの法案提出時が十一月二日でございますが、その際に見込める範囲といたしまして、第三者委員会の当時の受け付け件数八千六百二十二件につきまして、第三者委員会には中央と地方がございますが、中央段階でこの特例の対象になるという率が大体五六%程度ということでございますので、それを掛けまして五千弱、四千八百九十四という数字を根拠にいたしまして、それをベースにして、後は中央第三者委員会ではじき出したといいますか、対象になったその一件当たりの未納保険料総額でありますとか基礎年金の増加額等々をはじき出して、この人数にその額を掛けて、大体これに必要な額、十一月二日時点では大体十二億円、それからさらに、いわゆる任意で事業主に納付していただく保険料を引いた額、これがいわゆる国庫として必要になる額ということで計算をさせていただいております。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

内山委員 対象となる人数をもう一度ちょっと確認したいんですが。

大村議員 今申し上げましたように、十一月二日時点でございますけれども、その際の全体の、第三者委員会の当時の受け付け件数が八千六百二十二件、それに、中央第三者委員会で大体、はるかに件数は少ないんですが、それでこの救済の対象になるのが、いわゆる天引きが認められたというものが五六%ということで、それを掛けまして五千件弱、四千八百九十四件という数字が対象になるだろうということで推定をさせていただいております。

内山委員 今後も考えて五千件程度ということなんですか。

大村議員 今私が申し上げましたように、これは順次、順次ふえてきておりまして、これは十一月二日時点で第三者委員会の対象になるものがそのベース、その当時が八千件でございます。八千八百件が対象事案、地方が八千六百二十二件でございますけれども、今現在は、十一月二十七日時点、先ほど私申し上げました件数でいきますと、厚生年金事案が一万七百五十一件までふえてきております。したがって、その件数もこれに応じてふえてきているということになろうかというふうに思っております。

 ですから、今現在の直近の時点での対象となり得るものは約六千件弱であろうというふうに推定をいたしております。

内山委員 今後どういう人数が対象になるのか、それを私は聞きたかったわけですけれども、残念ながら数字がないようでありますので次に移りますけれども、今、大村さんの方から、十二億円の積算根拠というふうに考えていいんでしょうかね、その人数は。(大村議員「そうです」と呼ぶ)

 そうしますと、その十二億円、文中には、対象事業主から特例納付保険料の納付額を控除した額が見込まれるとありますけれども、対象事業主からどの程度の特例納付額が支払われると想像されていますか。

大村議員 これは、今回のケースで、先般の審議でもこれは議論をさせていただきました、最大がこの十二億円ということでございまして、そのうち、いわゆる対象の従業員からは、対象者からは保険料が天引きをされた、しかしその事業主、会社から社会保険庁に行っていないということがはっきりと明確になった場合に、公表をして、そしてそれでも払われなかった場合には国が負担をする。

 逆に言いますと、事業主と社会保険庁が、払ったかどうかが明確でない場合はこれは負担をしないということでございますので、前段私が申し上げました、会社から社会保険庁に払われていないというときに、追っかけても追っかけても払っていただけない場合に国が負担をするということでございますが、その払っていただいていない場合にといいますか、はっきりと社会保険庁に来ていないという場合にこれを納付していただくわけでございますので、これは納付勧奨を一生懸命やりますけれども、その見込まれる額というのは今現在ではなかなか推定できないということでございます。

内山委員 そうしますと、国庫負担で十二億円あるということもあり得るということだと思います。(大村議員「マックスはですね」と呼ぶ)はい。

 それでは次に、納付すべき保険料をなぜ任意とするのかということをお尋ねしたいと思うんです。

大村議員 この点は、正直言って、この厚生年金の救済を、特例のこの法案を提案させていただくときに議論をさせていただきました。年金保険料は、御案内のように二年の時効がございます。ただこれは、さらにさかのぼって納められるようにしたらどうか、そして、その際はある程度強制徴収といったことも考えたらどうかということも議論はさせていただきました。

 しかしながら、その議論の過程で、いろいろな法制的な観点からも検討を加えましたけれども、やはり時効消滅した保険料徴収権を復活させるということは社会生活の安定性を損なうということでなかなか難しいという法制的な議論、結論に至ったわけでございます。

 したがって、任意で納付する道を開くということにいたしましたが、ただ、その際、我々も、多分委員の方のお考えもそうかなと思いますけれども、やはり、そういった場合でも、はっきりとその事業主が払っていないということが明確であっても、そして幾ら追っかけていっても逃げてしまうというようなことがあってはならないと思うわけでございまして、そういう意味では、この点は納付の勧奨をしっかりやる、公表もする、そして、さらに追っかけていく、徹底的に追っかけていくということをやって、納付勧奨はしっかりとやっていきたい。とにかく、言葉はあれですけれども、逃げ得といいますか、そういったところが不当に利得をしないということは、これは政府にしっかりとやらせていきたいというふうに思っております。

内山委員 納付すべき保険料は事業主に勧奨するとの答弁も今ありましたけれども、つぶれてなくなってしまった会社、解散してしまった会社、こういうところにどうやって勧奨をするんだろうかと非常に疑問に思うんですけれども、お答えをいただきたいと思います。

田村(憲)議員 今委員御質問のとおり、今存在する会社というのは、それは今までの社会保険庁との年金記録のやりとりでありますとか、第三者委員会の中でのいろいろな議論の中で特定されてくるんだろうと思うんですね。

 ところが、今言われたみたいに、そもそも、もう会社が消滅をしておったりですとか、どこかに移転をしておる場合、こういう場合は、その会社自体、特に解散している場合にはこれはなかなか追いようがないわけであります。移転した場合などは、一つは、社会保険庁が持っております事業所記録情報等々で移転先をもちろん捜す。それで足らない場合には、法務省等々の商業・法人登記簿謄本等々で基本的にどこに会社が所在しているか、こういうものをさらに調べていく。

 しかし、それでもまだわからない、消滅していれば、ないという場合には、もう委員御承知のとおりでありますけれども、事業主の方にこれはなかなか請求といいますか、そういうものを勧奨できないわけでありますから、そこで、その役員という話になってくるわけであります。

内山委員 それでは、その事業主やまた役員をどうやって把握するんでしょうか。

田村(憲)議員 役員は確かになかなか発見できないという場合、多いと思います。

 ただ、一つは、そのための公表というものがあるわけでありますし、場合によっては公表することによって情報が集まってまいります。知人でありますとか会社関係者、そういう方々から、現在、当時の役員の方々、ここではまた役員の範囲とは何物ぞという話になってくるんだと思うのですが、そういう方々の居場所等々の情報をとにかく集めていきまして、今、大村提案者が申しましたとおり、一人たりとも逃がさないような、そういうような気持ちを持って対応していくということであります。

内山委員 役員を公表するというところで第二条の三項というところがあると思います。そして同じように、第三条の二項というところで、ちょっと整合性を整理して御説明をいただきたいんですけれども、どの範囲まで公表の対象となるのか、どういう状況で公表の対象となるのかというところをお願いいたします。

田村(憲)議員 基本的に今言われた両条の条文の中に書いてあるのですけれども、当該期間、つまり納付をしなかった期間、対象の期間です、この期間が役員でなかった者というものは、当然これは対象にはなってこないということになるわけであります。

 もちろん、役員のみならず、この二条の三項に書かれてありますけれども、「執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者」、「相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する」というような文言が入ってありますし、「同等以上の支配力を有すると認められる者」ということでありますから、ここでは役員というようなことを簡単に使っておりますけれども、このような状況で会社を実質的に動かしている者、そういう者は役職名にかかわらずここの対象に入ってくるということに相なると思います。

内山委員 会社の役員といいますと常務、専務とかいろいろ複数いると思うんですけれども、この複数全員に出すんですか。

田村(憲)議員 基本的にはそういうような形になります。役員は全員になります。

 ただし、その中で公表を除外されるという部分が、例えば厚生年金関連の業務等と関係のなかった役員、こういう者に関しましては公表の対象から除外をしていくということになります。

内山委員 そうすると、総務とか経理とかこういうところ、総務、そういう担当者以外は出さないということですか。もう一度。

田村(憲)議員 ちょっと誤解がありますのでもう一度御説明しますけれども、勧奨は全員にやります。

 ただし、公表ということになりますと、これは当時かなり深くかかわってきておる方々ということになりますので、やはりそういう意味では、この厚生年金関連の業務に携わった、そういう方々に限る。そこにかかわらなかった方に関しては、役員に関しては公表はしないということでございます。

内山委員 厚生年金業務にかかわる、かかわらないというのは非常に線引きが難しいんじゃないかと思いますが、何か基準をつくらないと後でもめると思いますけれども、どうでしょうか。

田村(憲)議員 先ほど来委員が言われたような、例えば、人事もそれにかかわってくるでありましょうし、それから総務、こういうところを対象に考えております。

 個別具体的に、かかわる、かかわらないというのはどういうような線引きをするかというのは、確かに言われるとおり非常に難しいわけでありまして、個別それぞれの、その場その場での判断というものがあると思います。

内山委員 条文に書いていませんので、それは、やはり現場で判断を求めるような形になると非常に難しいと思いますね。それはよく検討された方がいいと思います。

 次に、第一条の四項で、国民年金法の規定を適用するときは、第二号被保険者として保険料納付済み期間に算入すると書いてあります。同時期に第二号被保険者に扶養されている妻がいた場合に、その人は国民年金の第三号被保険者として救済の対象となるのかということをお尋ねしたいと思います。

大村議員 今回の特例により記録訂正されます厚生年金の被保険者期間は、社会保険庁の記録にそもそも存在しなかったものであるということから、委員御指摘の第三号被保険者、配偶者につきましては第三号被保険者としての届け出ができなかったというふうに考えられるわけでございます。

 したがって、今回の特例法案によりまして、この厚生年金の被保険者期間の記録訂正が行われた場合には、配偶者の第三号被保険者につきましても、これは、その根っこ、根っこというような言葉が適当かどうかわかりませんが、そこの御主人の方が対象になる、記録が訂正されるわけでございますから、あわせて第三号被保険者につきましても、現行法の枠組みで記録訂正になるということに考えております。

内山委員 そういう形で本当にいいんですね。

大村議員 これは委員御指摘のように、そのもとの部分が記録訂正されるわけですから、第三号被保険者も現行法でこれは訂正をされる。

 ただ、やはりそのときの手続も、実務上、御本人からそのことは届け出をしていただくということが必要かなというふうに思っておりますが、現行法で記録が訂正されるということになるというふうに考えております。

内山委員 ちょっと時間の配分を間違えておりまして、まだあるものだと思っていまして、まだたくさんありましたので、ちょっと飛ばして聞きます。

 第二条の六項というところで、書面により申し出をすることができるとあります。書面を出した後、特例納付保険料を払わない人もいると思いますけれども、こういうケースはどうなりますか。

田村(憲)議員 事業主から納付の申し出について書面の様式が決まっているのかというような話ですか、今の……(内山委員「いえいえ、書面を出さなかった場合。もう一度聞きます」と呼ぶ)申しわけありません。

内山委員 第二条の六項というところを見ていただければと思うんですけれども、「書面により申し出ることができる。」とありまして、その書面を出したけれども、その後保険料を払わなかった、こういうケースです。

田村(憲)議員 書面を出した時点で、とりあえず、払うという意思がそこで確認できるわけでありますから、そういう意味では、その時点では納付義務が発生をするわけですね。ところが、その後納付しなかったという場合、そういう場合は、当然のごとく、これは滞納ということになってまいりますので、滞納処分として強制徴収というものをいたしますし、場合によってといいますか、この場合は名前の公表ということに相なってまいります。

内山委員 この書面は任意ですよね、出す出さないというのは。ですから、そうすると、下手に書面を出すと強制徴収になるということを考えていいんでしょうか。

田村(憲)議員 書面を出していただくということは、基本的には、その時点では払おうという意思があったということでありますから、払わないという方と、もとから払う意思がなかったという方と、どうなんだということになると、バランス感覚、委員のおっしゃる意味もわかりますが、ただ、言われるとおり、ここは払うという意思があった後に払われないということでありますから、そこで義務が生じるということになりますので、強制徴収がここで行えるという形であります。

内山委員 続きまして、テーマをかえまして、年金時効特例法案につきましてお尋ねをしたいと思います。

 社会保険事務所の年金相談窓口で再裁定をした人のリストがコンピューター上から検索できるようでありますけれども、どのような人たちがこのリストに載っているのか、お尋ねをしたいと思います。

 済みません。時間がないので早くお願いします。

茂木委員長 早くしてください。

石井政府参考人 御答弁申し上げます。失礼いたしました。

 再裁定を受けた方でございますけれども、そのうち年金時効特例法の対象になる方でございますが、これは内容的にはさまざまでございますけれども、システム的に、過去、再裁定によって一定額の年金額の増額が認められつつも、五年を超える部分がその中にあったために、残念ながら従来であれば消滅時効にかかるという、そういう形で把握させていただいているということでございます。

内山委員 このリストに実は入っていない五年超の裁定請求を出された方がどうやらいるようでありまして、例えば六十五歳のときに国民年金を請求した、厚生年金の加入期間がわからなかった、そして数年たちまして厚生年金の新規の手続をしたという方が実はこのリストに入っていないということで窓口の対応が、社会保険事務所で幾つか混乱をしているようでありまして、私のところにも幾つかその情報が届いております。ぜひ再裁定リストの中に今の事案のようなものを大至急含めて精査すべきだ、こう提案をしておきます。お答えは結構でございます。

 年金時効特例法によりまして、七月六日から十一月十八日までに一万九千四百二十六件の受け付け手続がありました。このうち社会保険庁が再裁定の人に送りました通知は何件ありましたでしょうか。

茂木委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

石井政府参考人 はい。お答え申し上げます。

 具体的には、本年九月から、毎月でございますけれども、必要な記載事項を印字して手続用紙を送付させていただいているわけでございますけれども、まず九月でございますが約二千件、それから十月には約二千五百件を送付したところでございます。

内山委員 最後に。対象者が二十五万人もいるのに、大臣、ちょっと聞いていていただきたいんですけれども、たったの、今二千件と二千五百件、四千五百件しか送っていないんですよ。いかに仕事が遅いかということ。

 大臣、ちょっと答弁をもらいたいと思います。

茂木委員長 質疑時間が終了しております。

内山委員 言いっ放しになりますけれども、そういうことになります。たったの四千五百件しかやっていないわけですから、早急にその辺も急いでいただきたいと思います。

 終わります。

茂木委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 きょうは、まず最初に、与党提出のいわゆる救済特例法案、これについて少しお話を伺いたいと思うわけです。

 まず最初にお伺いしたいのは、夏の参議院選挙における自民党の公約を拝見していました。皆様のお手元にも今資料としてお配りをしていると思います。自民党マニフェストというところの六十番のところに、「政府が管理する年金記録のうち、基礎年金番号に統合されていない約五千万口については、一年以内にすべての名寄せを完了するなど、直ちに徹底的に精査をする。」と書いています。これは公約であるということでよろしいんでしょうか。提出者に御確認をいただきたいと思います。

大村議員 今委員御指摘のように、自民党のマニフェストには当然そういうふうに書いてありますし、これももちろんでありますけれども、年金記録問題につきましては、七月五日、政府・与党として決定をいたしております。

 その際、五千万件の未統合記録については、来年三月までを目途に名寄せと、その結果、記録が結びつくと思われる方々へのお知らせを行うということを決定しております。このことは、その後、ねんきん特別便ということで、四月以降も、まずは年金受給者、そしてその後は現役の方に対しまして、これまでの加入履歴をすべてお知らせし、確認いただくということになっております。そういう意味で、来年の秋、ほぼ一年の間に名寄せ等を完了し、この記録問題を解決していきたい、そういうことで、これは私ども政府・与党として決定をし、申し上げているところでございまして、そのことを着実に実施していきたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 この「など、」というところにこの法案が含まれるという理解でよろしいんでしょうか。

大村議員 七月の時点で年金記録第三者委員会から、これは私もこの場で再々申し上げておりますが、国民年金事案につきましてはこれで記録訂正ができる、ただ、厚生年金の事案につきましては、天引きはされていても事業主から社会保険庁に来ていないものについては法制的な対応が必要だという指摘もいただいているわけでございまして、そういう意味では、年金記録問題全体を解決するということで、この「など、」というところも踏まえてといいますか、全体の法案も、この法案が成立をして厚生年金の事案が救済できるということでございますので、そういうふうに受け取っていただいても結構だというふうに思っております。

岡本(充)委員 であれば、公約に書いてある一部に含まれると解させていただくわけでありますが、その上で少しお聞かせをいただきたいと思います。

 内容については、前段、同僚の内山議員が大分質問をされましたので、大きな概念での質問という形になるかもしれませんが、今回のこの法案は、事業所が給与から厚生年金の掛金、保険料を天引きしていたことが明らかにもかかわらず社会保険庁には保険料の納付記録がない事例は、従業員が本来損害賠償請求などをして解決するべきであるにもかかわらず、税金で救済をするという構成になっている理由、そしてまた、同様にこういう救済をした事例があったのかどうか、それについてお答えをいただきたいと思います。

大村議員 確かに、委員御指摘のように、本来といいますか、従業員と会社、保険料は天引きされていたけれども会社から国に行っていない、こういったケースは、従業員の方と会社の方の間のいわゆる民民の話、損害賠償の話ということではあるわけでございます。これまでも、そういったことで、裁判でそういったものが争われたケースといったことも私ども承知をいたしております。

 しかしながら、その際には、裁判によってやる、損害賠償請求によってやるということにつきましては、例えば事業主が倒産とかでなくなっちゃった場合、これは相手がいませんから救済ができない。それから、これまでの判例では、損害賠償が認められたケースと認められないケースがあるということもございまして、救済が完全にできるということでもない。そして、損害賠償が認められたケースでも、一時金ということで、年金ということにはなっていないということもございます。そして、訴訟ではやはり費用と時間がかかるということもございます。

 そういった意味で、年金記録ということで、従業員の方、保険料は天引きされていたということに着目をして、この方を救済するためには、今回の法案で年金記録を訂正して、そしてその方を救済するということが必要だ、年金問題として解決をするために与党としての政治決断としてこの法案を提出させていただいたということで御理解をいただきたいと思います。

 そして、なお、今委員御指摘の、こういったケースがほかに、枠組みがあるかということでございますが、私、今申し上げましたように、ちょっとくどくどと申し上げたかもしれませんが、あくまでも年金ということで、枠組みで救済をするという形でございますので、これは年金の制度固有の問題でございますから、こういったスキーム、枠組みがほかにあるということは承知をしておりません。

岡本(充)委員 私、今回このような事例で救済をするという話が出てきたのは、企業の問題というよりも年金の納付の仕組みに問題があったと考えているからこういうスキームを出してきたのではないかと考えているわけなんですけれども、その指摘についてはどのように反論されますか。

大村議員 これは、私、前の委員会でも申し上げました。このケースは確かに従業員の方と事業主の方との問題であるわけでございますけれども、一方で年金の制度そのものが、裁定主義ということがよく言われますけれども、年金の被保険者にとりまして本当に親切な制度だったのかということは、やはりよくよく我々考えていかなければいけないのではないかというふうに思うんです。

 そういう意味で、そういった制度全体のあり方等々を踏まえて、そして、こういった記録漏れの問題が起こったということも踏まえて、こういう方々をとにかく急いで救済するという、ある意味で政治決断としてこの法案を提出させていただいたということで御理解をいただければというふうに思っております。

岡本(充)委員 しかしながら、モラルハザードやばらまきではという批判は免れないと指摘をせざるを得ないわけでありまして、であるからこそ議員立法にしたのではないかと私はうがって見たくもなるわけであります。

 そういう指摘をさせていただいた上で、もう一点確認をしておきたいことがあります。当然、この法案が公約の一部であるとするのであれば、これは今国会で、多少の修正はあったとしても成立をさせる、こういう意気込みであるということでは変わりはないですね。

大村議員 今、委員、大変重要な御指摘をいただいたと思います。モラルハザードとかそういったことにならないように、この法案の枠組みは、事業主に対して、公表も含めて、とにかく追っかけていくということを徹底的にやっていきたいというふうに思っておりますが、その際、この法案、公約であったとかなんとかということではなくて、それも大事な話でありますけれども、それはそれとして、やはり厚生年金の記録の問題、この方々を一日も早く救済していかなきゃいけないということでございますので、ぜひこの法案については、この委員会で可決をし、そして参議院の方にも送って、何とかこの国会で成立をさせていきたいというふうに思っております。

 したがって、そういう意味で、私どもは、この法案について建設的で有意義な御提案があれば十分御相談をさせていただいて、修正も含めて、建設的な、有意義な御提案であれば、これは御相談させていただいて、ぜひ多くの会派の皆さんに御賛成いただくように我々も努力したいと思いますので、その上でぜひ成立をさせていきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

岡本(充)委員 後で大臣に聞こうと思っていましたけれども、提出者の大村議員におかれても、公約はそれはそれとしてという話では困るわけですね。それは、公約は、特に政権与党にある以上は、その責任は重いということを指摘させていただかなければいけません。どうも、順番が、本当は最後に大臣に聞こうと思っていたんですけれども、公約について軽くあしらわれてはやはり困るし、有権者の皆さん方は公約を見て投票行動をとっているわけでありますから、そういう意味で、この話は後でもう一回取り上げさせていただきますけれども、ぜひ発言には御注意をいただきたいと思います。

 その上で、我が党は、そういった中、年金の掛金を流用するなという法律案を提出しています。両案とも大分審議時間がたってきまして、きょうでも採決かと思いきや、採決の予定がこの中に入っていないようであります。

 今、提出者でもある大村議員は、当委員会の筆頭理事でもいらっしゃるわけでありますけれども、きょう、当委員会に付託をされておりますこれら三法案の採決を、もちろん先ほどの話、するという話でありましたけれども、それぞれ採決をして、当然、この国会の一つの大きな役割であります、法律案についての賛否を示す、こういうお考えでありましょうか。お答えをいただきたいと思います。

茂木委員長 ただいまの点につきましては、理事会で協議中であります。(岡本(充)委員「いや、手を挙げている。答弁させて」と呼ぶ)いいです。結構です。

岡本(充)委員 いや、委員長、これは、この法律を提出者がどういう意気込みでやっているのかという話を聞いているんですから、当然提案者にお答えをいただきたい。

茂木委員長 意気込みについてですか。(岡本(充)委員「ええ」と呼ぶ)

 では、大村君。

大村議員 今回、三法案を議員提案でそれぞれ与党、野党が提出して、議員同士で年金を中心とした議論を深めていくということは、私は大変すばらしいことだと思いますし、こういった機会はやはりふやしていく必要があるというふうに思っております。

 その上で、これは、今委員長が言われました、理事会で協議をしております。その理事会も含めて、また山田筆頭とも十分御相談、御協議を真剣に、真摯にさせていただいておりますが、私の今の考え方、御提案させていただいていることを申し上げますと、年金の事務費の法案につきましては、二つの法案がありますが、大変開きが多い、やはり考え方の違いが大きいということだろうというふうに思っております。

 したがって、これを現段階で採決ということにするのはどうかということで、私は民主党さんの方、野党の皆さんにも御提案させていただいておりますが、そのことは、正直言って、その両法案についてはなかなか難しいのではないかなというふうに私は思っておりますが、厚生年金については、これはやはり一日も早くこれを成立させて、そして救済をしていきたいということで、これはぜひ御相談をさせていただいて、成立に持っていきたいと思っております。

 そして、先ほど私、公約はということを申し上げましたが、公約は大変大事な話でありますが、ちょっと言葉の問題として、それよりも何よりも、何といってもまず、この国民の厚生年金の記録の問題を救済することの方が先なんだという意味で申し上げたので、決して公約をないがしろにするとかそんなことではありませんので、そこの点はぜひ御了解をいただければというふうに思っております。

岡本(充)委員 国民のニーズとしては、年金の掛金を年金の給付以外に使ってくれるなという非常に強い要望があるということを改めて与党の皆さんにも酌み取っていただいて、我が党案、多少の修正を与党から申し出られることがあったとしても、これを一刻も早く採決していただきたい。

 そして、今国会で、やはり年金の問題が一つ争点になっているわけですから、ある意味、方向性を見せていく。来年の三月に一つ大きな年金問題のリミットが来ておりますけれども、そういった中でも、その途中経過として、国民が大変注視をしている。

 そういうことを改めて指摘し、先ほどもお話をしましたように、公約の一部に入っていると明言をされているわけでありますから、とりわけこの厚生年金の問題も含めて、きちっと採決をしていただきたいということを改めて御指摘しておきます。

 さて、この掛金の流用という件でいうと、私は同様に今大変気になっている事例があります。介護サービスを提供する施設において、介護サービスの情報に係る手数料というのを取っているやに聞いています。介護の保険でも同じでありますけれども、介護保険の保険料を当然介護の費用に使ってくれという声は多いに決まっているわけでありますけれども、いわゆる介護サービス費用として計上されているお金の中から、こういった情報の調査手数料、公表手数料を、多い場合には六万円近い金額を取っているという話を聞いています。

 こういう方法も、それぞれの施設ごとだけではなくて、施設においてのサービスの提供の数において、例えば、訪問介護と訪問入浴介護、非常によく似ているにもかかわらずそれぞれについて調査をしろという。なおかつ、その調査を、一件一件、別建てで調査手数料を取っている。

 例えば、皆様方にお配りをしております、最後の方から四枚ほど紙をめくっていただきますと、これが東京都の介護サービス情報公表システムであります。このホームページに載る情報をとっているわけですが、これをめくっていっていただきますと、ありなし、ありなし、居宅サービスありなし、ありなしというのが、延々と十枚続くんですね。

 これを見て、利用者が本当に介護サービスの提供施設をこれで選んでいるかといえば、私が聞くところでは、アクセス数は上がっているものの、見ているのは主に事業者さんが見ている、事業所の事務長が見ているという話もあります。

 こんな情報提供に、一施設、例えば介護サービス費用が年間百万円超の施設であっても、本当に数百万円の介護サービス費用を受け取っているだけの施設で、年間三十万。例えば、一つのサービスにつき六万円ですから、五つサービスをやっていたら三十万円これはお金を払っているわけですね。介護の保険の世界から、場合によってはその費用の十分の一以上のお金を取っている。これは本当に問題だと思っているんですね。

 やはり介護保険も、その介護サービスの提供に資するものにぜひ使ってもらいたい、これは保険料を払っている皆さんの願いだとも思います。ぜひこの問題についても調査をしていただいて、少なくとも来年度から、この一情報六万円、訪問介護と訪問入浴介護は全く別々でまた十枚の紙で公表される、これでは私は大変非効率だとも思いますし、問題があると思います。

 大臣、どうか調査をしていただいて、この問題についても、費用面での改善を来年度から図るということについて、御答弁をいただけませんでしょうか。

阿曽沼政府参考人 お答えを申し上げます。

 介護サービス情報の公表の問題でございますけれども、委員御指摘のように、平成十八年の四月から、介護サービス事業者に対しまして介護サービスの情報の公表を義務づけるということで、利用者等による介護サービスの選択を支援する制度としてスタートをいたしました。

 この制度の目的でございますが、介護サービスを利用される方々に対して、みずから介護サービスを選択するという場合に役に立つ情報を提供する、また、事業者の方々に対しましては、御自分の事業所が、その運営状況あるいはサービスに関する情報を利用者の方々に公正かつ公平に提供する場を設けるということで、サービスの質の向上を図ろうということでございました。

 委員御指摘のように、制度が実施されて二年目に入りますけども、この問題については手数料が高いのではないかというふうな御指摘もいただいております。確かに私どもとしても、手数料の設定については問題があると思っておりまして、これまでも各都道府県に対しまして、実態を十分に検証し、また国民の皆さんに納得が得られるような水準にしてほしいということで、再三要請をしておりますし、十一月の二日にも担当者会議を開きまして、その旨の要請をいたしました。

 今御指摘ございましたので、私どもとしてはさらに調査を実施いたしまして、現在の手数料の設定方法の実態を十分把握した上で、都道府県に対して、適正な手数料が設定されるように、必要な対応を行っていきたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 料金の問題もそうでありますけれども、一体このサービスをどういう人が利用しているのか、利用実態の把握、それからまた調査のあり方も含めて、そしてまた、もう一つ重要なのは、費用の面でいいますと、調査に来ている調査団体が都道府県によっては一つしかないところもあるんですね。

 皆様方にお配りをさせていただいております資料をもう少し前の方におめくりいただきますと、この調査に来ている団体が載っています。例えば、三重県、滋賀県、またおめくりいただいて、岡山、広島、山口、徳島、香川、高知などは、これは一施設だけでありまして、特に県の社会福祉協議会、ここは場合によっては県庁職員の天下り先とも言われておりますけれども、こういうところが一社独占で引き受けて、ここは随意契約をしているんじゃないかという疑いも持つわけでありますけれども、高過ぎる費用が発生をしている理由になるんじゃないか。ここをぜひ調査いただきたい。競争入札になりませんね、一施設だけだと。大臣、どうでしょう。

舛添国務大臣 実は私、ずっと介護の問題に取り組んでいまして、この制度を入れる前からそういうことが起こるのではないかという懸念がいろいろな事業者から寄せられていて、現に今委員が指摘のような御意見もずっと賜ってきております。

 したがいまして、これはきちんと実態を調査して、改めるべきところは改める、そういう方向で検討をさせてまいりたいと思います。

岡本(充)委員 ぜひその検討をお願いしたいと思います。

 その上で、この問題と絡む話でもありますけれども、こういったいわゆるサービスの提供ということについて利用者さんの声をきちっと反映していくということも重要だということですので、利用実態も調査をしていただきたいということをつけ加えておきます。

 さて、話は年金に戻るわけでありますけれども、ことしの六月に国民年金の保険者台帳のサンプル調査を厚生労働省はされています。これは私も説明を承ったわけですけれども、サンプル数は三百九事務所で十件をそれぞれ抜き取り調査をして、無作為抽出だ、こういうふうに書いてありますけれども、これはどのように無作為抽出をしたのか。時間もありませんので端的にお答えをいただきたいと思いますし、三百九事務所、それぞれ事務所の大きさも違うにもかかわらず、これを十件ずつ抜いてくれば無作為抽出となるかというと、統計学的にはこれを無作為抽出とは言いませんね。この調査方法で本当に母数を反映していると考えられるのか、その根拠をお知らせいただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 急なお尋ねでございまして、詳しいところまでお話しすることはちょっと今の時点では難しゅうございますけれども、承知している限りで申し上げますと、委員仰せのように、国民年金の特殊台帳、これは内容は御承知のことかと思いますけれども、一年を通じて、納められていない、そういうようなたぐいの納付状態のものを記録しているものでございますが、この内容がどのくらい情報の精度として高いものか確認するために行われたと。それで、仰せのとおり、全国、その時点で三百九事務所からそれぞれ十記録ずつ、記録を十個ずつ抽出した。

 その抽出の方法でございますけれども、これは、承知しているところによれば、事務所においてそれぞれ任意に抽出せよ、そういう意味で、無作為で行うようにという指示のもとに行われた、こういうふうに承知してございます。

岡本(充)委員 きのうそれは通告しています。今、部長の前にいた方、名前は言いませんけれども、通告をしています。

 この調査方法は、どのように調査をしたのか、どういうふうに十件抜き取ったのか、それを教えてくれということを通告していますので、任意にじゃなくて、それぞれの事務所じゃなくて、どういうふうに、例えばこういう方法は何事務所、こういう方法は何事務所、はっきり答えてください。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねをいただいている件でございますけれども、通告をいただいているということでございますので、その点については、今し方の私の部分は撤回をさせていただきたいというふうに思います。

 それで、お尋ねの中身の方でございますけれども、これは、本庁の方から各社会保険事務局を通じまして、それぞれの傘下の事務所において、任意に、記録を十個ずつ特殊台帳の方からピックアップするように、こういうような指示のもとになされたというふうに承知しておりまして、大変恐縮でございますけれども、今この場においては、それ以上詳しいことを申し上げるだけの材料をちょっと持ち合わせていないということで御理解いただきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 これは通告していますよ。当初の話で四件だったという、この後いろいろ展開があった話でありますけれども、本当に四件がサンプル調査の結果として母体をあらわすものなのか。〇・一%ちょっとだったという話でありますけれども、本当に母集団のバックグラウンドを正確に反映するのか、また、統計学的に意味のあるものであるのかどうかを知るために、どういう抽出方法をしたのかということについてそれは把握をしておく必要がありますよ。

 私は、きのうの段階で質問しています。これはあした聞きますよと言っているはずですよ。首を振っている人がいますけれども、言っています。したがって、これはちゃんと答弁をしてもらわないと困ります。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しで大変恐縮でございますけれども、具体的な、そして詳細な三千九十件のサンプルの抽出方法についての御説明は、大変恐縮でございますけれども、この場ではちょっと申し上げる準備ができていないということで、その点は御容赦いただきたいと思います。

 なお今、三千九十件の中で四件については誤りがあった、そごがあった、こういう御指摘がございました。この点については私も承知してございまして、内容的にはその四件は、少なくとも支給内容に影響があるようなものだったというふうに承知してございます。

岡本(充)委員 内容を話す前に、このサンプル調査のあり方をきちっと報告していただきたい。いつまでにこれは御返答いただけますか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 できるだけ速やかに、サンプル調査に関する経緯等も含めて、その事実関係、そして調査方法などなど確認をして、改めて、しかるべき場所で御報告を申し上げたいというふうに思います。

 具体的にいつというのは、内容にも応じて考えなければいけないということかと思いますので、この場で具体的に申し上げるのは御容赦願いたいというふうに思います。

岡本(充)委員 三百九事務所に聞く話ですから、そんなにかかるはずありませんよ。明確に答えていただかなければ質問が続けられません。

石井政府参考人 大変恐縮でございますけれども、そして重ねて申し上げますけれども、私どもも、御通告をいただいたお話であるということは承知いたしておりますので、御質問の趣旨も重々承知しておるわけでございますから、その意に沿うような形で、できるだけ早急にその調査を進めさせていただきたい、確認作業を進めさせていただきたいということでございます。

 それで、具体的にいつまでというのはなかなか申しがたいわけでございますけれども、例えば、遅くとも年内には、どういうような状況での調べだったかということを確認するようにしたいというふうに思います。

岡本(充)委員 国会開会中にはということでどうでしょう。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、全国の社会保険事務所、御案内のように、年金記録問題についてかなり人員のシフトをかけて取り組みを進めさせていただいているという事情も実はございます。ほかにもいろいろございまして、なかなかそういう状況の中で、的確に仰せのような確認作業を進めることが、要するにどのくらいスピーディーにできるか、実はこの場において確定的に申し上げるだけの情報をちょっと持ち合わせておりません。

 そういうことでございますので、今仰せの今国会の会期末、こういうお話でございますけれども、努力目標ということでどうか受けとめさせていただければというふうに思います。そういうことでぜひとも御理解をいただきたいと思います。

岡本(充)委員 会期末というのは十二月十五日でございますので、それを重ねて指摘しておきます。

 その上で、改めて質問の機会をいただきたいと思うわけであります。委員長、特段の御配慮をいただきたいと思います。

 委員長にうなずいていただきましたので、質問を続けます。

 氏名等が記録をされていない五百二十四万件の補正作業の進捗状況というものについて、ちょっとお伺いをしたいと思います。

 こちらの方、補正入力可能であることが確認できたものが八五%、四百四十四万件だということを、十一月四日現在、御報告されています。この進捗は、今、八五%がどのくらいまで進んだのか、これについてお答えをいただけますでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 仰せのとおり、十一月四日時点の数字は八五%でございますけれども、その後、作業が進みまして、十一月の十八日時点でございますけれども、全体の約九〇%、数にいたしまして四百七十三万件が補正できる、そういう状態にあるということを確認してございまして、十二月末を目途に、補正作業の方を引き続き、おおむね順調な中で進めさせていただいているという状況でございます。

岡本(充)委員 氏名等が記載されていない、補正がなかなか困難であるものがあるという話を聞いておりますが、今後、補正が困難だとして補正できずに残るというものはどういう事例を考えているのか、それについてお答えをいただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 氏名等が収録されていない五百二十四万件の記録の補正作業におきましては、基本的には、社会保険事務所で保管しております年金手帳記号番号払出簿あるいは被保険者名簿、原票、そうしたものによって、氏名、生年月日、性別、そうしたものを確認し、補正をするという作業を進めているわけでございます。

 そういう中で、私どもの方で報告ということで受けておりますものを若干御紹介いたしますと、一つは、厚生年金の場合ですと、制度が昭和十七年からずっと存続してございますので、戦災ですとかあるいは風水害、そういった事情のために、今申し上げた払出簿あるいは名簿、そういったものの確認ができないというようなものがある。あるいは、紙の状態が悪い時代のものがあって、それらのものが破損している、そういう状態の払出簿などもあるというふうな報告を受けているわけでございます。

岡本(充)委員 しかしながら、被保険者名簿、原票には誤りがない、しかもパーフェクトに全部残っている、こういう話も聞いておりますが、これは間違いないわけですね。だとすれば、こちらの原簿で確認をすれば、すべていわゆる氏名等はわかるはずであると思いますけれども、これについて、それでも困難な場合があるとすれば、どういう場合が考えられるんですか。それともう一点、今の、誤りがないということでいいか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げた払出簿あるいは被保険者名簿、原票、そうしたものについて、破損等があって必要な情報の読み取りができないという場合におきましても、別途、御案内のように、現在、社会保険庁の業務センターで旧台帳というものを保管してございます。要するに、これに当たることによりまして、さらに払出簿等では確認できない部分についての確認などもできるのではないかというふうに見ておりまして、いずれにいたしましても、十二月末を目途に補正するように作業を進めているということでございます。

 それから、厚生年金の被保険者名簿、原票、これについて基本的には誤りがないかどうか、こういうことでございますけれども……(岡本(充)委員「基本的にじゃない、誤りはないか」と呼ぶ)誤りがないかどうか。

 まさに、現在、確認をかけているわけではございますけれども、したがって、正確なところはその結果を見なければ申し上げられない部分もあるわけでございますが、しかしながら、私どものこれまでの作業の経過から申し上げれば、制度発足当時からでありますけれども、事務所において名簿あるいは原票、これを実際に用いてその管理もしてきているということから、基本的には誤りはないのではないかというふうに思っております。

岡本(充)委員 ないのではないかと思っておりますじゃなくて、ここに誤りがあったらえらいことなんですよ。

 これまでの中で、明らかにおかしい、例えば九月三十一日生まれだとか二月三十日生まれだとか、こういう原簿、原票があれば明らかにおかしいわけでありますけれども、明らかにおかしい原簿、原票があったという事実はないわけですね。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、実在しない日付の記録、こうしたものはございます。数は少のうございますけれども、存在することは間違いないわけではございますけれども、そうした記録においても、氏名が記載されている、あるいは年金手帳記号番号が記載されているということを手がかりに、払出簿あるいは原票、名簿、こういったものにアクセスして確認をすることができる、さらには、それが不十分であれば、旧台帳での確認も手段としてあり得る、こういうような状況で補正作業を進めさせていただいているという状況でございます。

岡本(充)委員 端的にお答えをいただきたいんですけれども、だとすれば、氏名等がわからなくて記録の補正ができないという事例は出てこない、一〇〇%できるということで、部長、よろしいんですね。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の各社会保険事務局において進めている補正作業、この過程で、御指摘いただいたような記録、確認に時間を要するようなたぐいの記録が出てきているという報告があちこちからあって、そして、先週でございますけれども、私どもの方から各事務局に対して、それはどのような状態のものなのか、また……(岡本(充)委員「端的に答えてください。できますか」と呼ぶ)そういうような連絡をしているわけでございまして、十二月の初旬にはそれに対する回答が集約されますので、その結果を見て判断をしたいというふうに思っております。

 仮に簡単に払出簿等で確認できないといたしましても、先ほど申し上げたような旧台帳を初めとするさまざまな方法で確認を進めていくことができるものというふうに思っております。

岡本(充)委員 大臣、今部長は、できるものだというふうに言われました。ところが、大臣、二十一日の記者会見でしたか、これはできないものが出てくる可能性があるということを示唆され、なおかつ、自民党の公約にも載っているじゃないか、先ほども指摘をしましたけれども、五千万件を名寄せするということを訴えていたにもかかわらずできないものが出てくるという話になると、これは明らかに公約違反ではないか、こういう指摘に対して、あれは意気込みだと語られたと。

 これは、意気込みというのであれば、自民党の公約のうち、どれが意気込みでどれが公約なのか、はっきりしてもらわなきゃいけないです。意気込みと公約は全く違うわけです。そういう意味で言っておりますじゃなくて、はっきりしていただきたい。

舛添国務大臣 公約としてきちんと言っておりまして、安倍前総理も、最後の一人まで、最後の一円まで頑張ってこれはやるということをおっしゃっている。私も、その気持ちは今も全く変わっておりません。

 しかし、公約の中にもいろいろな種類のものがございます。

 例えば、この前の最低賃金のように、では何月何日までに東京都の最低賃金を何十何円上げる、こういう形で明確にできるものと、これはどなたがおやりになっても全く未知の問題に取り組んでいるわけでありまして、今でも毎日のように、例えばこういうケースがありました、それから中小企業の経営者から、実は私は架空でこの従業員をでっち上げたことがありますというようなことをいろいろおっしゃっている。全く想定しないような件が出てきます。

 そういう意味で、今一生懸命やって、五百二十四万件、十一月四日の私の発表で八五%。その後二週間作業したら、さらに五%上がりまして九〇%。しかし、そういうふうにしてやっていって、虫が食っちゃっていた、戦災でなくなっていた、どうしてもできない。そして、もちろんそれだけじゃなくて、周辺情報を当たる。それはその御本人の家族を捜し出すとか、いろいろなことで時間はかかりますよ。その作業は途中でやめるわけじゃなくて、そういうことを言っている。

 それで、こういうことをおっしゃる方がおられるんですよ。できない可能性がありますけれどもやりますと言ったらどうですかと。私は、そういうものじゃなくて、政治家の言葉としては、全力を挙げてやる、そして、この公約が実現するように全力を挙げる。しかし、だれが見ても、そこまで努力しても、これは不可抗力ですね、どなたがおやりになってもできませんね、そういうことであれば、それはきちんと説明し、国民の御理解を賜るということでありまして、私はそれは公約違反だというようなことにはならないと思いますから、それは全力を挙げてやりますよ、そういう意気込みで公約を言わないで、いいかげんにそんな、できないかもしれませんけれどもやりますというようなことでは、私は政治家としての責任は果たせない。

 そういう意味でも、今でも全力を挙げて、最後の一人、最後の一円まで目指して頑張っているということでございます。

岡本(充)委員 それは、期限を示す公約としてはやはりふさわしくないわけです。だとすれば、こういう意気込みでやります、こういう全力を挙げて努力をしますと言うのであれば、これは公約として確かに全力を挙げて努力をされているんでしょう。しかし、期限を示されている以上は期限を示してもっとやっていただきたい。

 もう一つ言うと、薬害肝炎の問題もそうですね。十一月中をめどに解決すると大臣は記者会見で言われたにもかかわらず、本当に解決するんですか。なおかつ、これから調査をすると言っているわけですよね。

 時間もありますので端的にいただきたいと思いますけれども、そういう期限を示されるのであれば期限はきちっと守っていただかなきゃいけない。いや、それは同じことを言われると思いますよ。頑張ってやるんだ、十一月末をめどに頑張ってやるんだ、だけれどもできないこともある。だとすれば、そもそも最初からそういうふうな発言は、期限を示されずに、頑張ってやっていくんだ、もしくは、期限を示されるのであれば、それはきちっと守っていただく、そういう姿勢が必要なんじゃないかということは私は指摘をしておきたい。

 もう一点、大変気になることで、これも指摘をしておかなきゃいけないと思いますが、薬害肝炎の被害者の皆様方と初めてお会いになられて、テレビカメラが入っていました。満面の笑みでお会いをされる話じゃないんです、ああいう問題も。テレビの映りの問題、テレビに向けての発言、そういうものと、私は本当に大きく違和感を覚える昨今の一連の動向であります。

 もう一点、私、時間の関係もありますから指摘をしておきたいと思いますが、フィブリノゲン製剤投与後の四百十八例の肝炎等発症患者の症状等に関する調査検討会の構成員で五人の専門家を選定されております。このそれぞれ五人が、田辺三菱製薬から何らかの形で、講演料を含めて、研究費を含めて、お金をもらわれているのか、もらわれていないのか。それについてはお調べになられたのでしょうか。

舛添国務大臣 いろいろな御指摘をいただきましたので、それは非常に重く受けとめさせていただきたいと思います。

 そして、今の点においては、基本的にいろいろな観点から検討し、今おっしゃられたことも検討して、こういう方々であれば問題ない、そういう結論でございます。

岡本(充)委員 ぜひその点、質問通告していませんでしたので、後で明らかにしていただきたい。大臣、端的に一言だけ、調べていただけますか。

舛添国務大臣 御指摘の点は、さらに調査を進めます。

岡本(充)委員 最後に大臣に指摘をした上で、もう一つ、どうしても質問しておかなきゃいけない年金の問題がありましたので、大変申しわけありませんが、そちらにもう一回だけ戻らせてもらいます。

 一次名寄せの問題と二次名寄せの問題について、これは自民党の公約を実現するために、私は早目にやらなきゃいけないんじゃないかと心配をしているわけでありますけれども、一次名寄せはいつまでに終わらせるのか、また二次名寄せはいつから始めるのか。また、一次名寄せの結果どのくらいの記録が名寄せをされているのか。

 これは三月末までに名寄せを完了させるというのが自民党の公約ですから、自民党さんの立場でいえば、三月末に名寄せが終わっていたのでは間に合わないわけです。したがって、一次名寄せ、二次名寄せ、これを早目に終わらせなきゃいけないと思っているわけですが、どうなのか。また、結果についてもどのくらいの記録が名寄せされているのか、御答弁をいただきたいと思います。

茂木委員長 石井運営部長、既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

石井政府参考人 御答弁申し上げます。

 まず、五千万件の記録と年金受給者の方々の記録、これとの第一次名寄せでございますけれども、これを十一月から実施してございまして、現在も作業中でございます。十二月中旬には、記録が結びつくと思われる方々に対して特別便を作成、送付をしたいというふうに思っております。

 それから、二次名寄せの方でございますけれども、年金受給者の記録と五千万件との二次名寄せ、それから、現役加入者の記録と五千万件との一次名寄せ及び二次名寄せ、これは十二月から順次実施をすることにしてございまして、記録が結びつくと思われる方には、これは七月五日の政府・与党の方針のとおりに、その出てきた結果をお知らせとしておつけすると同時に、加入履歴も添えて特別便として作成、送付を三月までに行うという予定にしてございます。

 なお、どのくらいの件数が出てくるのかというお尋ねでございますけれども、これについては、今申し上げましたように作業中でございまして、現時点で申し上げることは困難でございますので、その点、御理解願いたいと思います。(岡本(充)委員「結果について答えていないですよ。結果を聞いているんですよ。」と呼ぶ)結果、大変ちょっと申しわけございません……

茂木委員長 では、もう一度質問してください。

岡本(充)委員 ですから、自民党さんの公約どおりに完了させるためには、二次名寄せが三月末に終わっていたんじゃ間に合わないですよね。ですから、随時二次名寄せもどんどん始めていかなきゃいけないんじゃないですか。それに至るためには、二次名寄せのソフトをどういうふうに組むかということを少し補正しなきゃいけない。例えば、日付をプラスマイナス一日にするのか、プラスマイナス三日にするのか、月もプラスマイナス一月オーケーにするのか、こういうコンピューター上の補正をかけていかなきゃいけないわけですから、一次名寄せの結果がわからなければ二次名寄せのコンピューターのプログラムができないはずなんですね。

 二次名寄せを十二月から始めていくというのであれば、一次名寄せの結果がある程度出ていなければ名寄せのソフトが組めないはずであるから、一次名寄せのある程度のサンプル調査なり、抜粋でもいいんですけれども、何らかのデータをもとに二次名寄せの補正のコンピューターを組んでいるであろうと推測をするので、一次名寄せの結果が出ているはずですよ、だから答えてくださいと言っておりました。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員が、一次名寄せのプログラムとそれから二次名寄せのプログラム、その関係をそういうふうにとらえているということを、私、ちょっといただいた質問の中でとらえ切れなかったものですから、結果という意味を正確に把握できませんでしたけれども、端的にお答え申し上げますと、実は、一次名寄せのプログラムと二次名寄せのプログラム、これは並行で進めてございます。

 二次名寄せのプログラムを開発しつつ、ある段階から重なるような形で第二次名寄せのプログラムの開発に着手しているということでございまして、一次の結果を見てそれから二次にかかる、そういうような形ではございません。

 よろしくお願いいたします。

茂木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

茂木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山井和則君。

山井委員 それでは、これから四十五分間質問をさせていただきます。三つの年金法案、また、消えた年金問題、そして最後に、薬害肝炎の問題も質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、与党の厚生年金特例法案について御質問をしたいと思います。

 私たち民主党も、消えた年金の被害者を救済するというこの趣旨には賛成であります。現時点においては、まだたった二%しか年金記録が第三者委員会で訂正されていない、九八%は訂正されていない、これは非常にゆゆしき問題だと思っております。

 私のお配りした資料七ページ目に、今回の法案の図をかかせていただきました。

 簡単に説明をさせていただきますと、従業員が給料から年金保険料を天引きされる、それで事業主が当然その保険料を社保庁に納めねばならない、ところが、ここで消えているケースがあるわけです。

 考えられるのは、三パターンございます。

 一番シンプルなのはCのパターンで、従業員の方は年金保険料を給料から天引きされた、そして事業主の人は社保庁に払った、にもかかわらず年金記録が消えている。当然これは現行法において救済されるということであります。

 問題は、AのパターンとBのパターン。

 Bのパターンはというと、従業員の方は給料から天引きされたわけですが、事業主が払っていない、詐欺している、悪い言葉で言えば猫ばばしているということがもう明らかになっているケースというのがBのパターンであります。それと、Aのパターン。これは、事業主が払っていないのか社保庁のミスなのかがうやむや。これが現時点では約三百件と言われているわけです。

 このようなケース、AもBも天引きをされた従業員には一切瑕疵はないわけですから、これを救済しようというのが今の議論になっているわけです。

 しかし、民主党としては、二つ問題点があるということをこの間指摘させていただいております。午前中の岡本議員、内山議員からも指摘がありました。

 まず第一点目は、Bのパターンにおいて、事業主が払っていないということ、詐欺をしている、猫ばばをしているということが明らかであるならば、今の与党案にある、勧奨する、名前を公表するということだけでは弱くて、やはりここは社保庁や国が従業員に成りかわってこの部分を請求する、請求できるということにすべきではないか。それで、年金保険料を払っていない、悪徳、不届き事業主を許さない。これは、与党案でも趣旨は一緒だと思います。趣旨は一緒だと思います、うなずいてくださっておりますが。そこをもう一段強くした方がいいのではないかというのが民主党の修正案の第一点であります。

 二つ目は、今、事業主が払っていないのか社保庁のミスなのかうやむやなケースが問題二として三百件あります。一歩間違うと、第三者委員会は、この新しい法案ができたら、わざわざ三十年、四十年前の調査をするのはもう大変だからとにかく払ってしまえ、調査するよりも払った方が楽だということになりかねないわけであります。

 しかし、これでは、やはり事業主が払っていないんだったら事業主に払ってもらうのが筋であって、救済をしたからといって安易に調査も不十分なままうやむやにするということでは、国民の税金や保険料を使うわけですから、これは理解を得られないだろうということで、二点目の民主党の修正案では、六カ月に一度、このあたりを国会に報告する。社保庁のミスの場合は何件だったのか、そして事業主が払っていないと明らかになったのは何件なのか、できるだけそのことを明らかにして、うやむやにすることはなくす、そしてそのことを半年に一度国会に報告すべきと。

 このような、繰り返しになりますが、事業主の年金詐欺の部分に関して、国が従業員にかわって請求をできるようにする、そして半年に一度、うやむやにするのではなくて、事業主が払っていないのか、社保庁のミスなのか、そのことについても第三者委員会から報告を受ける、この二点を民主党としては修正案として山田議員、長妻議員を中心に作成いたしました。そして、この民主党の修正案をできればこの委員会に出して、よりよい法案にして、やはり多くの方が困っておられるわけですから、この法案は成立させたいというふうに考えております。

 そして、この与党案の問題については私も質問しようと思っておりましたが、もう午前中、岡本議員、内山議員から指摘がありまして、大村議員のそれなりにもっともな答弁も、できる限りの配慮はしている、そういう答弁をいただきましたので、改めてそのことについてはもうお聞きをしませんが、一点だけお聞きをしたいと思います。

 今言ったような、事業主の年金詐欺の部分をもっと厳しく国が請求できるようにするということや、二点目の、うやむやに放置するのではなく、半年に一度第三者委員会から確認を、報告を受ける、このような修正というものについて、与党の提出者である議員から御意見をお伺いできればと思っております。

大村議員 お答えを申し上げます。

 山井議員から今るる御指摘をいただきました。

 私ども、この厚生年金の記録問題を解決するために、これは第三者委員会の審議結果を経て、天引きがあったというものに対しましては、これは記録訂正は認める、そして任意納付の道を開いて、ただ、事業主に対しては、これは徹底的に追っかけていくということは午前中も申し上げました。

 その際、その事業主に対して、国から何らかの形の請求というものができないのかという御提案でございますが、この点について、我々も、この法案を提出する段階でるる議論、検討させていただいた点でもございます。

 ただ、我々の検討の中では、時効の壁というのがありまして、なかなかそこまで至らない、だから徹底的にやろうということでございましたけれども、先週来、民主党さんの方から、今、山井議員が言われた法案の修正という御提案もいただいておりますし、それを検討させていただいて、私は、いろいろな議論なり論点はまだまだあろうかと思いますが、この事業主の責任をしっかりと追及していくということが、国民の大事な税金とか保険料を充てていくということに対するやはり一つの大きな説明になろうかと思います。

 したがって、今、山井議員が御提案をされた民主党さんの御提案につきましては、私ども与党としても前向きに検討させていただいて、できましたら、これを合意の上でこの法案は成立をさせていきたいというふうに思っております。

 なお、この三百件というのは、山井議員、これはAとBを合わせて三百件ということでございますので、御理解をいただければと思います。

 それからもう一点、これを半年ごとに国会に報告するという御提案もいただいております。

 現段階で第三者委員会のいろいろな資料、データ等々は、いわゆる審議結果は、大体一週間か十日に一回ぐらいは公表をしているわけでございまして、そういった中身を精査して、そして第三者委員会において、山井議員の資料のAなのかBなのか、どちらに責任があるのかということをできるだけ追っかけて明確にしていくということは、これも私は当然やっていかなきゃいけないことだと思います。

 そういう意味で、この御提案につきましても、我々与党としては前向きに検討させていただいて、そして、できましたら、民主党さんと話をつけてこの法案をぜひ早く成立させていきたい、そのことを御答弁させていただきたいと思います。

山井委員 この民主党の修正案、もう物はできておりまして、今ぜひとも出させていただきたいということをお願いしているところですので、ぜひとも、この修正案を出させていただいた上で、修正して可決ということに民主党としてもしていきたいというふうに思っております。

 では次に、年金保険料流用禁止についてお伺いをしたいと思います。

 これについては、民主党が年金保険料流用禁止法案を出しております。そして、与党の方は、箱物には使わないといういわゆる箱物禁止法案を提出しているところであります。

 そこで、いろいろ論点はあります。

 非常勤の職員の社会保険料をなぜ保険料から出さねばならないのか、あるいは、これから正社員が減って非常勤職員やアルバイトがどんどんふえれば、年金保険料からどんどん流用される仕組みに与党案はなっている。

 そしてまた、今日では、二十代後半では約四〇%の人しか国民年金の保険料を実質納めていない。その理由は、自分たちの年金保険料が、いろいろな理由はあったとしても、年金事務費、つまり年金給付以外に使われる可能性があるのならば、やはりもう払うのやめておこうか。

 それは、いろいろな理屈はあるでしょう。もうグリーンピアは建てないとか、これからはきっちりチェックしますとか、いろいろあるでしょうけれども、そう言いながらも今まで裏切られた歴史があるわけですから、そういう趣旨のもと、私たち民主党では、年金の信頼を回復する、そうしないと納付率はもう向上できない、その意味で、参議院選挙から、年金の保険料は給付以外には一切使わない、そのようなことを申し上げて、そして今回法案を出したわけであります。これは圧倒的多数の国民の思いでもあります。別に民主党の考えではありません。

 そこで、一つだけ質問したいんです。

 与党は、年金保険料を年金給付以外に使わないということに関しては賛成なんですか、反対なんですか。イエスかノーかでお答えください。

吉野議員 お答え申し上げます。

 年金保険料は、年金の給付と、年金給付に密接に関連する事業運営費に限って充てております。

 保険運営上必要な事務費に保険料財源を充てるということは、まず、民間保険、これは全額保険料を充てております。また、公的保険でも、例えば労働者災害補償保険、これは五百二十八億円、事務費を使っておりますけれども、これも全額保険料から充てております。雇用保険、これは九百三十六億円、事務費があります。このうち、保険料は九百二十八億円、国費は八億円を充てております。また、外国の例であります。外国の例でも、イギリスは全額保険料を充てております。アメリカ、ドイツ、フランス、スウェーデン、これは保険料と国庫であります。

 よって、私は、妥当であると思います。

山井委員 質問に答えてください。

 民主党のように、年金保険料は年金給付以外には一切使わない、この考え方には、じゃ、反対ということですか。

吉野議員 諸般の事情から見て、私は、妥当である、このように思います。(山井委員「いや、質問内容は、反対なんですか、民主党の考え方に」と呼ぶ)

茂木委員長 吉野さん、もう一回。

吉野議員 与党の案は妥当である、このように思います。

山井委員 皆さん聞いていただいたらわかると思いますが、言えないんですよね。年金保険料を年金給付以外に使わない、この民主党の考え方は正しいんですよ。正しいからこそ、その考え方に反対と言えないんじゃないんですか。

 もう一回質問します。

 年金保険料は年金給付以外には使わないという民主党の考え方に反対なんですか。

吉野議員 はっきり申し上げます。

 反対です。

山井委員 そう言っていただいたらいいんです。そのことを私たちは参議院選挙でも問うてきましたし、解散になれば次の衆議院選挙でも国民に問いたいと思っております。

 そこで、明確に言っていただきました、政府・与党は年金保険料を年金給付以外に使わないという考え方には反対だと。これは非常に重い答弁です。国民はこの年金保険料流用の問題に関しては非常に関心を持っております。早晩この法案は当然採決されることになると思います。採決されない法案なんというのはほとんどないわけですから、やはり、そこまで反対と言い切られるのであれば、そのことを採決という形で国民に知ってもらうのは当然だと思っております。

 民主党は、この年金保険料流用禁止法案そして与党案の採決というものを求めますが、採決はするということでよろしいですか。

茂木委員長 委員会の運営につきましては、委員長を中心に理事会で協議をさせていただきます。

山井委員 理事会でも協議していただきますが、午前中、大村議員からそのことについて答弁がありましたので、そのことについてお聞かせください。

茂木委員長 午前中は大村議員の感想を聞きました。また感想を聞くんでしたら、指名します。

 大村議員。

大村議員 山井委員から御質問をいただきましたが、午前中も同じ御質問をいただいて、私の考えを申し上げさせていただきました。私どもは、厚生年金特例法案を採決し、一日も早く成立をさせていただきたいと思っております。

 こちらの両法案につきましては、余りにも与野党の考え方が間があるということでもございますので、私は、この両法案を採決ということではなくて、厚生年金法案を採決して成立させていただきたいということを申し上げたところでございまして、午前中の答弁と一緒でございます。

 あと、今後どうするかは、理事会で協議をさせていただきたいと思います。

山井委員 私、今の答弁、論理的におかしいと思うんですね。与党案と民主党案とに大きな隔たりがあるから採決しないと。そんなこと言ったら、ほとんどの法案、採決できなくなってしまうじゃないですか。隔たりがあるないは関係ないんですよ、それは両政党の考え方の違いですから。でも、そのことの結論は、やはり採決をするのが普通ですよね。なぜこの法案に限って、ほかにも隔たりが大きくて採決している法案というのはいっぱいあると思います。

 感想で結構ですので、大村議員、この御質問にお答えいただければと思います。

大村議員 また私の考えといいますか感想を申し上げさせていただきたいと思いますが、国会の運営は、法案をどういうふうに扱っていくかにつきましては、これは議論、審議をした上で、理事会で協議をして決めていくということでございますので、私は今考え方を申し上げたわけでございまして、いろいろなパターンがあると思います。すぐ採決をするもの、十分協議を、審議をした上で、幾つかの国会にわたって協議をして審議をしていくもの、そしてまた、時間切れになってそれが採決に至らずに流れていくものなどなど、いろいろなものがあると思います。そのことを含めて、先ほど私、考え方を申し上げましたが、理事会で協議をさせていただきたいというふうに思っております。

山井委員 これは与党の新しい戦法の、採決拒否という戦法ですね。審議拒否というのは聞いたことがありますが、採決を拒否する。

 その理由は、先ほど吉野議員も口ごもられましたが、年金保険料を年金給付にしか使わないでくれ、これは国民の願いなんですよ。民主党の願いじゃないんですよ、国民の願いなんですよ。そのことを、民主党や野党が採決で起立する、にもかかわらず、与党は座って、国民の当たり前の願いである法案をつぶす、そういう光景を見せたくないということでしょう、本音で言えば。(発言する者あり)今、思い込みという話がありましたので、思い込みであるならば、ぜひ採決をしていただきたいということを要望したいと思います。

 それでは、消えた年金問題に移らせていただきます。与党案に対する質問はもうこれ以上はいたしません。

 舛添大臣にお伺いをしたいと思いますが、今まで、きょうも資料でお配りをさせていただきましたが、舛添大臣のおっしゃったことが実行できないというケースが非常に最近ふえていると思います。午前中も岡本議員、内山議員から御指摘がありました。

 資料の二ページにありますように、五千万件の年金の名寄せは、「公約の最後の一人最後の一円まで確実にやるということで取り組んで行きたい」と、これは舛添大臣、就任の記者会見で約束をされました。新聞記者が、公約に政治生命をかけるのかと言ったら、本当に命がけでやりたい、お約束をしたいと。これは非常に重い発言だと思います。

 次のページをお願いいたします。三ページ目。また、五百二十四万件の名前のない年金についても、私たち民主党は、これは大丈夫かということで、蓮舫議員とともに東京の社会保険事務局にも行って、非常に不安が大きいということを指摘しましたが、九月十一日の閣議後記者会見では、舛添大臣は、私も千件やって漏れがない、千件全部わかるということをおっしゃったわけであります。にもかかわらず、先日の、十一月二十一日の記者会見では、五千万件の年金記録について、最後の一円までやるというのは、ある意味で選挙のスローガン、意気込みだということで、数%は氏名の補正ができない可能性があるということで、大幅にトーンダウンをされたわけですね。

 これは国民としては、当然、大臣が約束するとまで言った、それを意気込みだったというふうに言いかえるのは、これは公約違反と受け取るというふうに思いますが、舛添大臣、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 先ほど、午前中にも申し上げましたように、「最後の一人最後の一円まで確実にやる」と、「政治生命をかけるというような意気込みでいらっしゃるということですね。」と今引用されて、私は今でもその気持ちは全く変わっておりません。

 ただ、全く未知なものに取り組んでおりますから、予想を超えるようなことも出てきた。先ほどの五百二十四万件、私も今、蓮舫委員や山井委員が行かれたように、現場で見たときに、まさに千件やって千件出てきた、しかし、十一月の四日には八五%わかった、それから二週間後の十八日にはそれが九〇%まで上がった、そういう形で、地道に一つ一つ取り組んでまいります。

 したがって、これはだれが見ても、もう戦災で焼けたこの記録で修復できない、しかしそれでも、ほかの記録を使って全力を挙げて最後までやる、そういう気持ちはいささかも変わっておりませんので、ただ単に選挙のスローガンで言ったのではありません。

 それから、きちっと日程を決めないでやるということは、仕事がはかどりません。ですから、私はいいかげんに言っているのではなくて、政府・与党で、三月までに名寄せをやり、十月までに通知をやるというのは決まって、やはり、ある大きな目標に向かって進んでいくときには、この日にちまでに何をやる、この日にちまでに何をやるということをやっていく手法というのは、私は悪いことばかりではないと思います。

 ですから、ただ一生懸命やる、そういう言い方も、私は、逆にある意味で無責任だし、今度は、ひょっとしたらできないかもしれないけれどもやってみるよ、そういう意気込みを感じられないような政治姿勢はよくないということで、私は、本当に命がけで年金問題に取り組ませていただいております。

山井委員 いや、やはり意気込みと公約は違うんですよ。ですから、後になって、あれは意気込みだった、スローガンだったとおっしゃるんでしたら、午前中も岡本議員が指摘されたように、言うときに、これは公約ですよ、守ります、これはスローガンですよ、これは心意気ですよというふうに区別をして言わないと、実際、消えた年金の被害者がこの発言を聞いて、涙を流して喜ばれた、そういう場にも私は出くわしているんですよ。だから私は言っているんですよ。本当に困っている方は期待しているんですよ。

 実際、きょうの資料の六ページを見ても、最後の一人までと言いながら、第三者委員会でも、二万七千件の申請に対して、まだあっせん件数五百三十五件、つまり二%しか結果が出ていない、九八%は結果が出ていないわけですね。

 時間に限りがありますので、これに関連してもう一つ、未払いの、時効の年金の議論に入ります。四ページであります。

 過去八年間に、請求漏れで、受給年齢が来たけれどもまだ請求していないということでもらえていない年金が八年間で、舛添大臣、何と合計二千四十一億円ですよ。平成十八年度は二万五百五件、時効で、申請をするのを忘れていてもらえなかった平均額が一人当たり百六十二万円、総額三百三十三億円。何と、許せないことに、三年前から自民党では会議でこの資料を配って、この問題を把握していた。雑誌に出ておりました。にもかかわらず、何の手も打たずに、民主党が出せ、出せ、出せと、内山議員が国会で何度もおっしゃって、やっと出てきたのが先週じゃないですか。

 これについて、舛添大臣、端的に申し上げます。やはりこれは、この平成十八年二万五百五件、特定して、あなた、請求していませんよ、年金もらえませんよということを親切に言うのが当然じゃないですか。この間、部会で質問したら、社会保険庁の担当者は、いや、忘れている方が悪いんですみたいなことをおっしゃっていたんですけれども、その次のページの朝日新聞にも書いてありますように、この記事によると、この未払い、時効年金の中には特別支給の厚生年金というのが多いんじゃないか。基礎年金の繰り上げ受給制度と混同して、早くしてもらうと年金額が減るんじゃないかという、制度がわかりづらくて請求していない方も多いんじゃないかと思うんですね。

 さらに言うと、きのうも社保庁の担当者と議論したけれども、社保庁は、この二万人の人がどういう理由で請求していないのか全く把握できないと言っているんですよ。全く把握できないということは、やはりこういう制度がわかりづらくて申請していない人も当然多いと思うんです。

 与党の消えた年金の時効特例法案は、救済は八百億です。しかし、これは過去八年で二千億も時効でもう消えちゃっているわけです。こっちの方がはるかにでかい問題なんですよ。ほったらかしにはできない問題だと思います。

 舛添大臣、これはその御本人に、手間はかかると思いますよ、手間はかかると思いますが、あなた、請求漏れですよということを、時間がかかろうが手間がかかろうが、やはり連絡すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

舛添国務大臣 お答えいたします。

 今のような請求漏れを未然に防ぐために、一つは、五十八歳に到達する方に対する通知がございます。それから、平成十七年十月からは、社保庁が把握している加入などの期間によって、受給資格要件を満たしている六十歳及び六十五歳に到達する方にこの事前送付を行うことにしています。具体的には、この十二月からねんきん特別便を送りますので、そういう中で年金裁定請求についての注意喚起を図ってまいりたいと思います。

山井委員 もうその答弁は聞き飽きているんですよ。それだけじゃ気づかないから、本人を調べて、その人は保険料はもう払っているんですから、社保庁はその保険料をもらっているわけですから、突きとめて親切に連絡するのは当たり前でしょう。大臣、そう思われませんか。

舛添国務大臣 個々のケースによって、どういうことで今のことが起こったのか、勘違いされている方がおられるんじゃないかとおっしゃった。したがって、そこの個々のケースを判断してやるのが非常に困難ですから、そういう御趣旨は、できればやりたいという気持ちはありますけれども、今のことですと、例えばまた新たにプログラムを組まないといけないというようなことになりますので、今すぐやれというのは若干困難だということを申し上げざるを得ません。

山井委員 いや、プログラムが大変だとか困難だじゃなくて、これは姿勢の問題なんですよ、保険料はもらっているんですから。それで、本人の落ち度じゃなくて、制度が難しかったり社会保険事務所の説明が不十分だったりしてもらっていない人がいたら、どんな困難があろうが、やはりその方に連絡するのは当然だと思います。ぜひ実態調査をして、御本人に連絡してほしいと思います。

 残り、少し肝炎の質問をさせていただきたいと思います。

 これは、十二月七日に和解案が出るということを大阪高裁から聞いておりますが、それに向かって大詰めの時期に来ております。

 そこで、舛添大臣も御存じのように、今、原告の方々や全国の患者の方が一番心配されていることは、二つの線引き問題なんですね。

 どういうことかといいますと、一つは、原告百七十人の中で、フィブリノゲンやクリスマシンを投与された時期によって救済の線引きをされるんじゃないか。それと製剤、フィブリノゲンはオーケーだけれどもクリスマシンはだめだとか、そういう製剤の区別によって線引きをされるのではないかということ。その線引き問題が一つ。

 それともう一つは、原告は救済するけれども、四百十八人のリストとかまだ提訴していない人とか今後明らかになった人は救済、補償しませんよとか、そういう、原告の方と原告になっていない人の線引き。でも、原告になっていようがなっていまいが、薬害で苦しんで今病気になってしまっているということに関しては何ら違いはあるはずないですよね。

 舛添大臣は、この間、全面解決ということで、先頭に立って非常に御努力していただいていることには敬意を表したいと思いますが、やはりこのことはぜひ実現をしていただきたいんですね、全面解決ということ。

 それで、そのためには、舛添大臣も御理解いただいていると思いますが、もし、こういう線引きをした和解案が十二月の六日や七日に出てきたら、これは残念ながら原告はのむことはできないでしょう。被害を受けた患者には、一日違いで救済される、されないなんということはあり得ないわけですから。ということは、国がそういう線引きをしないということを受け入れるかどうか、このことが、全面解決するかどうか、かかっているわけですよ。もし国が線引きに最後までこだわるのであれば、これは解決は無理です。この和解の話は国がつぶすということになるんですね。

 ちなみに、民主党は、薬害肝炎の方々、そして一般の肝炎の方々に対する医療費助成の法案も今参議院に提出をしております。その中で国の責任を明記しております。民主党は、線引きには絶対反対です。原告の中の線引きにも反対。また、原告と一般の患者の方々に対する線引きにも反対です。小沢代表も、三月の座り込み以来、何度も原告の方々や患者の方々にお目にかかられて、五月十六日の党首討論でも安倍総理に、この肝炎の問題は一刻を争う、一日に百二十人も亡くなっておられるんだということで訴えておられます。今度、十二月十二日の党首討論でも、小沢代表はこの肝炎の問題を取り上げられるのではないかと思います。

 この問題は、命のかかった問題ですから党を挙げて取り上げたいと思っておりますし、何よりも、与党も肝炎対策基本法を衆議院に提出されて、こういう問題は、政局にせずに、やはり困っている方を、一日も早くいい治療を受けてもらって救済する、このことに関しては党派を超えてやりたいと思っております。

 そこで、舛添大臣にお伺いしたいんですが、原告に対する線引きですね、このことをやればもう和解は無理になりますが、このことについて大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 まず、党派を超えて、この問題を政局にせずに解決しよう、この姿勢は私も全く同感でございます。その上で、今の線引きの問題にお答えする前提としてちょっと一、二点申し上げさせていただきます。

 今、大阪高裁の場で和解の協議についていて、この中身については、まさに和解を成立させるために、原告側、被告側の意見については非公表にしてくれということでやっていることは御承知のとおりだと思います。その上で、五つの判決が全部違います。例えば仙台は、国は責任がないという判決も出ている。そういうことを、この判決は判決として、五つの判決をきちんと踏まえた上で、では、どういう考え方を厚生労働大臣として私が持っているかということを申し上げたいと思います。

 まず第一に、薬害であり、この薬害で非常に困ったり、命を落とされたり、今病を得ておられる方々、この方に対してきちんと対応する、これがまず第一である。その上で、血液製剤、そういうものを危険であることを承知しながらつくった、第一義的にはメーカーの責任であります。

 それでは、その次、国の責任はどうかといいますと、それはまさに、どの時期であるとか判決によって全部違います。しかし、広く言うならば、HIVの問題が起こっており、その他の薬害の問題が起こっておきながらまた薬害を起こしたということについては、薬事行政の責任者として反省しないといけない。反省する以上は、謝罪すべきは謝罪し、償うべきは償わないといけない。こういうふうに考えております。

 そして、薬害でということは、例えば入れ墨をして感染したとか、輸血をして、こういうことを今私は対象にしているのではありません。薬害で悩まれた方々、この方々をできるだけ広く救済するという方針をとるべきであるというふうに思っております。

 それで、三位一体の一つの解決案を考えていまして、一つは、既に与党合意、先ほどありましたように、七年計画の治療計画で、これで、広く、多くの、三百五十万にも及ぶ肝炎の患者の方々を救う。だから、例えば輸血とか入れ墨とかいうような方も、これで一部分は救われると思います。そして、基本法、肝炎の対策に対する基本法、これは今与野党両方でお出しになっている、これを何とか成立させていただきたい。そして最後は、いつも申し上げますように、命を救うためにエネルギーとコストを使うべきであって、訴訟に使うよりもそちらに使った方がいいという原点に立ってすべての訴訟を解決したい。ですから、この今の三つを三位一体としてやる、そういう方針で臨みたいと思います。

 そこで、細かい点につきましては、今、大阪高裁のリーダーシップに任せて、細かい点、例えば投薬証明書はどうするんですか、こういういろいろな問題がございます、これは今一つ一つ現場で解決に向かって進んでいるところでございますので、私のこの基本方針でまいりたいということを申し上げさせてもらいたいと思います。

山井委員 広く救済したいということをおっしゃいましたが、ちょっと抽象的なわけです。

 先ほど申し上げた、原告の中での線引きの問題、それと、原告である人と原告でない同じ薬害の人の線引きの問題、この二つが全面解決の必須条件です。今おっしゃった、裁判にエネルギーを使うんじゃなくて救済にエネルギーを使いたいと、今もうなずいてくださいましたが、この二つの線引き問題について大臣の決意をお聞きしたいと思います。

舛添国務大臣 私は、先ほど基本方針を申し上げましたので、その基本方針にかなうような形で全力を挙げてまいりたい。

 例えば、原告と、それからそうでない方々をどうするのか、こういうことにつきましても、それから製剤による種類につきましても、これは今精力的に大阪高裁の場で解決に向かって努力をしているところでございます。詳細については、非公開にしろということで、裁判所の命令でございますからできませんが、私が申し上げた、広く救済したい、そういう方針が生きるように全力を挙げて努力をいたしたいと思います。

山井委員 これは、広く言えば三百五十万人もの肝炎の患者の方々の命がかかっている問題であります。舛添大臣も、ここまで答弁をされている以上、間違っても、原告がのめないような和解案が、国が抵抗したからという理由で出てきて、結局和解ができなかった、泥沼になっていった、そういうことでは、民主党としても絶対それは許しません。近い将来、総選挙があるでしょう。私たち、党を挙げて、そんな、命を軽視する政府なのかということで、これは徹底的にやります。衆議院選挙の最大の争点にもしたいと思います。

 ですから、繰り返しになりますが、こういう問題は、政府と野党とが、政党で違いがない。そのためには何としても、十二月の六日、七日までに、国が、今言った二つの線引きをしないという方針を固める。固めるならば解決しますよ、固めないならこれは解決しません。そのときには、これは政権交代しか解決策はなくなるわけですから、そのことをしっかり申し上げたいと思います。

 そして、関連して、一つ気になりますのが、この間、調査チーム等で、大臣が国会で答弁されたこと、つまり、議事録で、二〇〇二年の患者の調査やあるいは死因の調査、そういうことをやるべきだと十一月十六日に私が質問したら、大臣は、私も知りたい、五年前の状況を再現してみたい、調査をします、十一月末までに必ず報告書を出しますと答弁されたんです。しかし、実際、これは今度の報告書には出ないわけです。

 具体的に一つお聞きします。

 先週火曜日に、多くのニュースで、死因の調査を製薬会社に指示したというふうに舛添大臣は明言されているんですが、製薬会社に私きのうも電話して聞きましたら、死因や患者の実態調査はまだ指示されていないと製薬会社は言っています。大臣はテレビで、指示をしたということをおっしゃっているんですが、指示はしたんですか。製薬会社に指示は行っているんですか、行っていないんですか。事実を聞かせてください。

舛添国務大臣 十一月二十六日に、メーカーに対しまして、広報資料を送付する等の具体的な協力を指示いたしております。

山井委員 違います。私が聞いているのは、死因の調査や二〇〇二年の実態調査のことを私は国会で取り上げて、テレビや新聞記者の方々もその質問をしているんです。その死因調査や実態調査ということを製薬会社に指示は、厚生省は既にしているんですか、していないんですか。

舛添国務大臣 きちんと実態調査をしろということは申し上げております。

山井委員 いつ指示を出したんですか。その指示は出ていませんよ。これ、うその答弁をしたら後で問題になりますよ。製薬会社は指示は受けていないと言っているんですから。厚生労働省も、実は指示していないと言っているんですよ。大臣、そのことも御存じないんですか。

舛添国務大臣 私が申し上げたいのは、とにかく一日も早く告知をしなさい、これがまず第一です。

 そして、今委員がおっしゃったことに関しては、告知をして捜してみた、そして、この方がお亡くなりになっている。私は、それならば、普通の常識でいえば、ではどういう原因でお亡くなりになったのか、そういうことをきちんと調べるのが当然じゃありませんか、そういうことであります。

 そして、できるだけ協力をするように言いました。ところが、やはり、行政ではないので、そこまでの、個人情報についての開示ができないということですから、最終的には国がきちんと乗り出しますよ、そういうことを申し上げたということであります。

山井委員 大臣、指示は行っていないんです。厚生省も、製薬会社には指示していませんと言っているんです。製薬会社も、指示は来ていないと言っているんです。指示したと言っているのは、申しわけないけれども、舛添大臣一人なんですよ。その事実をまず認めてください。これは大事なことですから。厚生省も指示は出していないし、製薬会社も指示は受けていないと言っています。その事実を認めますか。

舛添国務大臣 私は、少なくとも、メーカーにきちんと協力しなさいという指示は出した、出しております。それをメーカーが聞いていないというのは私は聞いていないし、直接お伺いしていませんから、それは今何とも言えません。

山井委員 いや、一事が万事なんです。枝野議員の質問に対して、八七年のころからフィブリノゲンの問題を調査します、それも調査報告書に含めますと答弁したけれども、そんな調査はしていませんと言っているじゃないですか、調査チームが記者会見で。

 また、二〇〇二年を再現したい、私も知りたい、十一月末に報告書を出すのに必ずそれも入れますと言ったけれども、調査チームは、八名の人員でそんなこと一カ月でできるはずないじゃないですかと言っているじゃないですか。舛添大臣に言うのは酷かもしれませんが、大臣が答弁したことを調査チームも厚労省もやっていないんです、はっきり言って。

 そのことについて、もう時間は過ぎていますが、最後に一言、答弁をお願いします。

舛添国務大臣 私は、二〇〇二年のこの状況を再現する、しなければ現実がわからない、そういう思いできちんとやっています。そしてまた、それぞれの部局の担当者もそういう方向でやっているということを信じていますけれども、しかし、そういうことできちんとやれていなければ、それは私の管理能力が問われるわけですから、今後、きちんと反省して、答えが出るように努力をいたします。

山井委員 もう終わりますが、まさに、指示どおりやっていないんですよ。信じていますとおっしゃっていますが、その信じているのは裏切られているんですよ。

 ですから、国会で答弁したこと、記者会見で言ったことが、年金にしても肝炎にしても、そのとおり全く実行されていない。こんなことじゃ国会が笑われますよ、大臣が笑われますよ。やはり、これは党派を超えて、国会で答弁したことはきっちりやっていく、そうしないと国会が信用されません。どうかよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 まず舛添大臣に、細かいことは後で長官の方に聞きますが、基本的な認識、前回、十分間の質疑でさせていただいた、おおむね現在七十歳以上の方の厚生年金記録にかかわる、いわゆる旧台帳と呼ばれていますが、これは、戦争が激しくなってきたので、当時中央にあった記録を疎開させて、各地方で預かった。また、年金裁定が近づいてきた、戦後大体十年を経た時期にもう一回中央に集めた。その中央に集めた中で、年金に当時加入されている方、昭和三十年当時ですが、その方たちは、現存台帳として、使う可能性が高いなということで磁気テープ化して、紙の台帳も取り置いたということですね。これが千三百六十五万件。そして、一たん入ったけれども抜けている方、これについてはマイクロフィルム化して、千四百三十万件で取り置いている、こういうことでございます。

 この旧台帳、とりわけ私が聞いている千三百六十五万件あると言われる紙の台帳、この存在は大変重要だという認識で聞いているんですが、大臣もそれを共有されますか。

舛添国務大臣 そういう資料は大変重要だと思います。

保坂(展)委員 それでは、社会保険庁長官に聞きますが、前回のやりとりで、これは八十坪という坪数でワンビシアーカイブズと契約をしている内容である、そのときに、数は確認をしていないのだということでした。さらに、数を確認していないのに、なぜ契約書の仕様書の中に千三百六十五万件という数字が出てくるんですかという質問に対しては、社会保険業務センターで使用している被保険者記録等事務処理要領ですか、ここに出てくる数字なので、これを記したものと思われますと答弁されましたね。

 つまりは、千三百六十五万件あるはずだ、あるようだと。いわば推定値であって、実際上の数字じゃないということでよろしいですか。

坂野政府参考人 ただいま御指摘の件数については、先般御答弁申し上げたとおりでございまして、現在、その保管状況について鋭意確認を行っているということでございます。

保坂(展)委員 八十坪という坪数というか広さで契約をされた。ですから、これは、この倉庫会社は非常に日本有数のセキュリティーがなされていると私どもも聞きましたので、悪意で何か職員の方が持ち去るようなことはないだろうと思いますけれども、悪意ではなくて間違えて、例えば、その千三百六十五万件あるはずの台帳を移動してしまうとか廃棄をしてしまうとかということに仮になったとしても、これは社会保険庁としては気がつく手段がありませんよね、幾つあるかわからないんですから。

坂野政府参考人 ただいま御指摘のようなケースが本当にあるのかどうか、私、今つぶさに存じ上げませんけれども、いずれにしても、時間はかかりますが、保管箱における各台帳の保管状況について具体的に確認を行っておりますので、その中で、もし万が一そのようなケースがあれば、それはどういう状況で起きたかということもあわせて調査をしていく必要があると考えております。

保坂(展)委員 もう一度伺いますが、その千三百六十五万件のうち、何件でもいいですよ、これがそこからなくなったときに、なくなったことがわかる仕組みというのはないわけですね、今精査中なわけですから。それは正直に答えてください。

坂野政府参考人 現在保管をしております台帳が、どれだけ、どういう状態で入っておるかの一〇〇%の確認が済んでいない、そういうことは申し上げたわけでございます。

 したがって、その記録について、これまでさまざまな機会に、引き抜いて、確認をして、また戻すという作業を行っておるわけでございますが、その中で、もし、御指摘のように、それが異なった場所にまた再収納される、あるいは他の違った書類と紛れ込むとか、そういうようなことは通常ないと想定はしておりますけれども、今、この場で私が全くないという保証をするわけにはまいりません。

 また、かつ、そういうものを一つ一つ検出する仕組みを埋め込んでおるかということであれば、私どもは、一つ一つそういう事態を検出する仕組みを埋め込んでいる、そういうことにはしておりません。

保坂(展)委員 今大事な答弁があったんですね。この旧台帳が、本来は八十坪の中にあるはずなんだけれども、もしかするとほかのところにあるかもしれないですね。あるいは、その幾つかがなくなったにしても、それが直ちに特定できるようなシステムにはなっていないということです。

 長官に引き続き伺いますが、現在、五千万件の中の五百二十四万件の名前がない記録の照合を急いでいらっしゃいますね。これは大変な作業ということで、通常の社会保険業務センターから照会するというやり方では間に合わない。したがって、全国の社保事務所からワンビシアーカイブズの八十坪の中に直接職員の方が出張して、泊まりがけでそちらに行って、例えば県の年金手帳番号順に台帳を照合して一生懸命捜していらっしゃるということを、先日、柳澤社会保険業務センター記録部長から私は聞いております。

 いつごろからこれをやっているんでしょうか。そして、例えば先月は、何件、どのぐらいの事務所の何人ぐらいの方が八十坪に入って作業をされているんでしょうか。

坂野政府参考人 御指摘のように、全国の事務局から職員がこの保管庫に出張いたしまして、旧台帳の確認作業を行っております。ことしの十月の末から、おおむね三十ぐらいの社会保険事務局から順次そういう確認作業に来てもらうということで、既に半ば過ぎておるわけでございますが、なお今後も行う予定でございます。

 大体、平均、一事務局当たり五、六人の方が来ておられて、三日か四日ぐらいで作業をしておられます。

 作業の仕方は、保管庫そのものの中に入ってそこで作業をするわけではなくて、その保管庫から、業者の手によって、指定した収納箱、該当する記録が含まれているということで判明している指定した収納箱を、別の場所、倉庫の敷地内でございますけれども、別の場所にそれを移しまして、そこで確認をして、確認が済めば、また業者の手によって保管庫に戻すということでございます。

保坂(展)委員 舛添大臣、よろしいですか。

 この枚数が何件なのか、なかなか数えられないわけが今わかったんですね。だって、全国の社保事務所から五百二十四万件捜しで照合しているわけですから、照合してあちこちで捜しているのを数えるわけにいかないわけで、そういうことを正直に質問に対して答えていただきたいですね。

 そのことは御存じでしたか。

舛添国務大臣 あの五百二十四万件の照合の現場に私は立ち会いまして、それは非常に大変な作業だなと。もうそれを見てきましたから、各地でそういうことを行っているということは承知しております。

保坂(展)委員 ワンビシアーカイブズに行かれたんですか。

舛添国務大臣 その五百二十四万件の作業場、私が見た作業場は、新宿に持ってきて作業をしている場面でございます。

保坂(展)委員 いろいろなところで作業をされているんですが、最終的に、住所が記載されているその旧台帳の紙記録は、ワンビシアーカイブズというところに、八十坪のところにふだんはあって、ふだんはあるんだけれども、今長官がおっしゃっているように、今非常事態だ、早く照合しろということで、倉庫の中の別スペースで今捜しているとおっしゃっていましたね。そういうことだそうです。

 先日お配りした資料をきょうも再配付させていただいているんですが、社会保険庁長官、平成十九年度のワンビシアーカイブズの、社会保険業務センターから引き出し依頼をして、旧台帳はありますかと引き出し依頼をして、この十九年度、ことしの上半期は千七百五十やって、あったのが九百二十四だと。一年半でいうと、二千七百四十六件を捜してみて、ちょうど半数の千三百七十三件がありましたよと、こういうことでよろしいですね、長官。これは前回確認をしております。

 長官に対する質問は、今、社保事務所の方たちがワンビシアーカイブズに行って捜しているとおっしゃったじゃないですか、その数字もここに入っているんでしょうか、これは入っていないんでしょうか。

坂野政府参考人 含まれておりません。

保坂(展)委員 含まれていないということで、全国三十の社保事務所が三日ぐらいかけて、こうやって捜しておられるということなので、きのう聞いたところ、社保庁ではその数は把握してないということですので、社保事務所に通知を出して、ぜひ、何件照合した結果何件あったのかということを把握していただけますか。そして、報告をいただけますか。

坂野政府参考人 ただいまのお尋ねは、旧台帳に当たって、五百二十四万件の中の記録で、不備なものを保管したものが何件か、そういうことのデータを出せというお話だと理解をいたしますが、今、私、直ちに材料を持っておりませんし、そういうふうに集計をする作業上の仕組みを仕組んでいるかどうかということであると思いますが、私が承知しております限りは、そういう当たり方別に具体的にどうだということを通常の業務の中の仕組みとして入れ込んでいるのではないんじゃないかという、ちょっと推定をいたしております。

 ただ、ちょっとここは不確かでございますので、改めて少し調査をしまして、また御報告をさせていただきたいと思います。

保坂(展)委員 重ねて、わかりやすく言いますけれども、例えば北海道の社保事務所が旧台帳を捜しに来るわけですね。例えば五百件持ってきたけれども、照合できたのは幾つだったということがわかればそれでいいということです。それがわかれば、教えてください。

 それで、もう一つですが、その社保事務所の皆さんは、旧台帳があった場合、照合できた場合、勤務先を見たり、あるいは名前を確認したりするんだと思うんですが、どういう方法でその記録を持ち帰るんでしょうか。例えば、コピーするとか、手書きで写すとか、その方法、どんなふうにやっているんでしょうか。

坂野政府参考人 旧台帳に当たって確認を要する記録というものの性質はいろいろなものがあるかと思いますが、ちょっとそこのことを申し上げてからにしたいと思います。

 前から申し上げておりますように、払出簿に当たって大体は確認ができる。かつ、払出簿で確認ができない場合は、被保険者名簿に当たって確認ができる。そういうことで、通常、想定した仕組みで作業しておるわけでございますけれども、例えば、その払出簿でも、戦前、戦中、あるいは戦後直後に作成されたものの中には、戦災あるいは自然災害等で破損をしておるものもあるわけでございまして、データの一部が読み取れない、そういうようなものがございます。そういうものは、旧台帳に当たればそこに必要な事項があるわけでございまして、まずはそういうものについて旧台帳に当たってデータの補充をしようとしている、そういうものでございます。

 そこで、旧台帳に当たってそういうものに該当するものがあれば、その当該記録の部分のみをコピーいたしまして、原本はまた返して、そしてコピーしたものだけを事務局に持ち帰って、そして最終的な補充をするということになるわけでございます。

保坂(展)委員 最後の三十秒のところが質問の答弁だったので、時間がないので簡潔にお願いしたいと思います。

 つまり、コピーをされて、持って帰られるということでした。

 こういった五百二十四万件の照合のためにワンビシアーカイブズに全国の社保事務所から行かれる職員の旅費や宿泊費やあるいは出張手当などは、年金保険料財源から出ているんでしょうか。

坂野政府参考人 今年度急遽発生した作業でございますので、既定経費の範囲内で賄うべく今鋭意努力をいたしておりますが、なお実施途上でございますので、全体としてどれぐらいかかり、どのような性質のものであったかという整理をする段階にはまだ至っておりません。

 旅費の性質については、通常の記録の照会、あるいは給付等に必要な業務のための記録の確認、そういうために必要な業務と、それから今回のように全く別の理由で発生した業務と混在して実施をするということもあり得るわけでございまして、それは業務の内容等も精査をした上で、きちんと計数の整理をしてみたいと思っております。

保坂(展)委員 ちょっと明確な答弁が得られないんですが。

 民主党の提出者の方に聞きたいんですけれども、この名寄せ作業もまた莫大な経費がかかるわけで、今明らかになったように、私たちが門前払いを受けたワンビシアーカイブズ第二倉庫の中では、こうやって、日がな、この記録はあるかなと捜していらっしゃる。そこを見せていただければ、なるほど、こうなっているのか、ちょっと整理がよくないなとか、数はどうなのかなとか、わかるわけですね。ところが、舛添大臣は前回ちょっと前向きなことをおっしゃいましたけれども、かたくなにこれまで、いや、そこだけはだめですというふうに拒んでこられた。

 実は、この千三百六十五万件を全部入力をし直せと、私はこれをやるべきだと思うんですね。事業所の名前はオンラインにそもそも入っていないわけですから、必要かと思います。このワンビシアーカイブズの倉庫の視察の重要性は高まったと思いますが、その点についてお考えを聞きたいと思います。

茂木委員長 これは、呼ばれていないんだ。要求がない。

保坂(展)委員 そこに提案者がいらっしゃってもだめなんですか。短くでいいんですけれども。

茂木委員長 次回から通告してください。

保坂(展)委員 今、年金流用の話になったので、ちょうどいらっしゃるから、一言御見解をということだったんですが、いけないんでしょうか。これから通告するようにしますけれども。

茂木委員長 理事会において協議します。今回は控えてください。

保坂(展)委員 活性化をした委員会運営のためにはそういうこともいいと思いますけれども。

 では、舛添大臣、どうですか。今、民主党の提出者には答えていただけないという運営のようですけれども、大臣としての認識ですね。これはワンビシアーカイブズの倉庫の中にある千三百六十五万件です。これについては数は把握できていないということがわかりました。これから数えるんだということ。それから、オンラインに入っているんだ、全件大丈夫なんだと私たちは聞いてきましたけれども、入っている分については事業所名はないんですね。ですから、事業所を探るためには、やはり紙に当たらなければならない。

 とすれば、この千三百六十五万件について、やはりこれを入力し直し、そして、一体どのくらいあるのかも正確に把握し直した後に名寄せをするべきじゃないですか。その方がずっと合理的だと思いますが、どうでしょう。

坂野政府参考人 この点についてはこれまでも繰り返しお答えをしてきたと思いますけれども、千三百六十五万件についてはオンラインに収録をされているということで私どもお答えをさせてきていただいておるわけでございます。したがって、私ども、改めてこれをすべて入れ直すという作業を必要としているとは考えていないわけでございます。

 ただ、申し上げるように、入れたときに、入れたもとになる紙の台帳についてはセキュリティー倉庫に保管をしてある、その保管状況について具体的な確認を今やりつつある、そういうことを申し上げておるわけでございます。

保坂(展)委員 もう時間がないので大臣に答えていただきたいんですが、これまで、五千万件の宙に浮いた年金、そして、先ほど説明した千三百六十五万件のものは入力されていたからとりあえずよし、入力されていない千四百三十万件については調べるということでやられてきました。

 私が言っているのは、数の把握もない、そして契約上の数字も確認をしていない、あくまでも推計値でそのくらいあるのかなという話で、実際に二千七百件照会してみると、半分はないんですね。こういう実情なので、もし仮に紙が百万枚でも二百万枚でもなければ、ないものは入力しようがないわけです。それから、入力されたものについても完全には入力されていないわけです。これはやり直す必要はありませんか。しっかり答えてください。

舛添国務大臣 限られたマンパワーと限られたコストをどういうふうな優先順位で使うかということをしっかり念頭に置いて、今五千万件の名寄せの作業を行っていますので、私は、そういう方針で優先順位をつけてやりたい。

保坂(展)委員 そうすると、舛添大臣は、千三百六十五万件がたとえ幾つ、これは九九%あるのならまだいいんですよ、これが八割なのか、六割なのか、こういったことが判明しないまま、このまま今のやり方で突っ走っていいんだと。

 ワンビシアーカイブズというところにどのぐらいの量があるのか。二つあると思うんですよ。数がないのか、どこかでなくなってしまっているのか、別のところにしまわれてしまっていて確認できないのか、あるんだけれども目の前にないという問題か。もう一つは、千三百六十五万件ほとんどあるんだけれども、うまく整理されていない部分があってなかなか捜し出せないんだ、だから、二千七百照会をかけるけれども半分しかヒットしないんだ。どちらかだと思います。

 どちらの状態であっても、これはしっかり、現在七十歳以上、現在そういう人たちの記録なので、後でまた気がついてこれもやれということにならないように、今やった方がいいですよ。いかがですか。

舛添国務大臣 その提案は提案として受けとめさせていただきますけれども、私が今行っている優先順位は、別の優先順位で行っているということです。

保坂(展)委員 では、最後に一問だけ聞いて終わりますけれども、年金局長、グリーンピア南紀について、新しい展開があり、契約企業との契約撤回が自治体から言われたと聞いていますけれども、厚生労働省にどんな報告が上がっているか、一問答えてください。

渡辺政府参考人 御指摘のグリーンピア南紀の利活用の状況につきまして、毎年定期的に報告を受けるほかに、さまざまな機会に、必要に応じ報告を求めて状況把握に努めてきたところですが、そうした中で、この秋、御指摘のように、町が契約した民間企業との契約を町として解除に向けて方針を決めた、こういう経緯が発生しております。そういうことを町議会に町長が説明された翌日でございます十一月の二日に上京していただいて、正式に町の当局から私ども報告を受けたところでございます。

 その経緯の報告とあわせて、今後につきましては、町当局としては、契約解除等を円滑に行った上、利活用計画に沿って事業を行う別の事業者を選定して事業を進めていきたい、こういう町長及び町当局の意向であるという旨を私ども聞き取ったところでございます。

保坂(展)委員 舛添大臣にもぜひ注目をしていただいて知恵を出していただきたいということを言って、終わります。

茂木委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川でございます。

 本日は私の持ち時間が短いものですから、最初にまず政府側に質問をさせていただきまして、その後、提出者の皆様方にできれば質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 年金記録をめぐって、今さまざまな問題が上がってきているわけでございます。その中で、給与から保険料を天引きされていながら、事業主が社会保険庁にきちんと届け出をしなかった、そしてまた納付をしていなかった、こういう場合は現行法では救済ができないということでございます。

 私も救済はすべきだというふうにも思っているわけでございます。ただ、今回、最終的に国庫でこれを救済するということを言っている以上、どうしてこういう事態が起きてしまったのか、また、放置されてしまったのかということは明らかにする必要があるというふうには思っております。

 この法律案は、年金記録確認第三者委員会で認定されたケースが対象となっておりますけれども、この第三者委員会で調査審議中の事案のうち、この法律案の対象となる事例がどのようなものがあるのかお伺いをしたいということが一点と、また、そのうち事業主が既に廃業されてしまっているケースはどのくらいあるのか御説明いただけますでしょうか。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 与党御提出の厚生年金特例法案の対象となります、事業主が、被保険者の負担すべき保険料を控除した事実があるにもかかわらず、当該被保険者に係る保険料を納付する義務を履行したことが明らかでない場合という事案といたしましては、年金記録確認第三者委員会におきまして、現在三百件がこれに該当するものと判断されているところでございます。

 このうち、主なものとして、中央第三者委員会において調査審議されている例で申し上げますと、企業内の転勤、例えばA支店からB支店に転勤をしたような場合でございますけれども、資格喪失日と資格取得日、これを同じ日にすべきところでありますけれども、そのような処理が行われなかったことによりまして、被保険者につきまして、社会保険庁の記録上は一カ月の空白期間が生じている、このような例がございます。

 それから、お尋ねの、事業主が既に廃業したケースについてどのくらいあるかということでございますけれども、中央第三者委員会の例でいいますと、おおむね二割でございます。

糸川委員 では、舛添大臣に今度はお尋ねしたいんですけれども、今回の法律案で対象となるケースの一つとして、給与からの天引きは認定をされている、ところが、事業主が社会保険庁に保険料を納付したか、していないかがわからない、そこで第三者委員会が納付をしなかったということを認定してしまった場合、事業主が、いや、自分は払っているんだ、どうしてもそれは不服だという場合、第三者委員会への申立人でない事業主が社会保険審査会に申し立てをすることができるのか、それとも、一般の行政不服審査もしくは裁判、こういうような手続になるのか。どのような形でこの事業主は、自分が支払ったということを証明する、再度闘う、抗弁をすることができるのか、これを大臣にお答えいただきたいと思います。

舛添国務大臣 少し複雑な構造になっていますので、正確にお答えいたします。

 委員御承知のように、年金記録確認第三者委員会というのは、社会保険庁側に記録がなくて、本人も領収書も何も持っていない、こういうときに、その記録訂正に関して総務大臣のもとに置いた機関であります。したがって、その第三者委員会の判断そのものが処分性を持つわけではありませんので、厚生年金保険法上の保険料の賦課等の処分に当たるものでない、したがって不服申し立てや訴訟の対象にはなるものではございません。

 ただ、総務大臣のあっせんに基づいて、社会保険庁は対象者に係る資格取得の確認を行い、事業主に対してその旨を通知いたしますが、事業主は、この資格取得の確認などに不服がある場合は、社会保険審査会等に対して審査請求を行うことができる、こういうのがこの厚生年金法上の仕組みであります。

 もし、私の説明で十分じゃなければ、政府委員の方に細かい説明をさせます。

糸川委員 大臣、ここはちょっと大事なところなものですから。

 その救済を受けるときに、今回の場合、例えば社会保険庁が従業員の方の代位権を使って後で事業主の方に、支払っていないならば支払いなさいということを言うわけですね。ところが、事業主の方は、いや、払っているんだということを言うケース。これに不服だという場合は社会保険審査会に申し立てられるのかということなものですから、その手順として、まずどこに行って、その後裁判にするなら裁判にするとか、どういう形の手順をとったらいいのかというのを、これ、もしあれでしたら政府委員でも構いませんが、明確にお答えをいただきたいというふうに思います。

舛添国務大臣 政府委員の登録がなかったようでございますので、失礼いたしました。

 当該処分についての再審査請求または審査請求に対する社会保険審査会の裁決を経た後でなければ不服申し立てを提起することができないとなっておりますので、基本的には、そのような事業者がおられれば、まず社会保険庁に行かれてそういうことを申し立てていただき、そこできちんと相談をしていただければ、ケース・バイ・ケースの対応になると思いますけれども、今言ったような形で、不服申し立てができるような道があるか、これは社会保険庁の方できちんと対応させていただきます。

糸川委員 ということは、第三者委員会が今回、会社が納付をしていないということを決定した場合でも、それを覆すことができるというようなことになるわけですね。

舛添国務大臣 だから第三者委員会、つまり総務大臣にあっせんをしてもらって、社会保険庁に今言った御相談に行っていただく、そういう形で対応してまいりたいというように思います。

糸川委員 わかりました。

 あと、今回、時限立法という形で法案が提出されておるわけでございます。ただ、今後もこうした事業主側に責任がある事例というのが恐らく発生するのではないかなというふうに思います。それを防止するということが非常に重要になるわけでございます。そのためには、事業主からの届け出等が正確なものであるということをチェックする体制が必要になるわけですね。社会保険庁の解体後、この組織というのはどのような再発防止策に取り組んでいくことができるのか、お尋ねをしたいと思います。

 また、事業主に絡んだ問題といたしまして、これまでも指摘をされておりますけれども、厚生年金の適用逃れ、これが問題になっておりますので、そちらの対策もお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 既に事業主に対しては、算定基礎届の説明会などを通じて適正な届け出をやるようにという指導を行っております。さらに、適用事業所の四分の一以上の事業所を対象とした事業所調査を実施しておりまして、各種の届け出が適切であったかどうかも確認をしております。さらに、日本年金機構へ移行した後も、こういう、今申し上げたような事例が発生することがないように、きちんとした対応を引き続きとってまいりたいと思います。

 それから、もう一つ御指摘の未適用事業所でございますけれども、これはもうとにかく一つでも減らしていかないと、厚生年金に対する信頼性や公平性が確保できない。そういうことで、これにつきましても、的確な現状把握をする、加入の指導をやる、事業所調査、職権適用という一連の対策を進めることによりまして、平成十九年度から、全社会保険事務所、これは三百十二ありますが、ここで民間委託による加入勧奨を行う、さらには雇用保険の適用事業所情報の総ざらえによる最新の実態把握を行う、さらに、各社会保険事務所、事務局ごとに、適用促進対策を進めるためのアクションプログラムを策定するということを実施しておりまして、さらなる適正化の方策を推進していきたいと思っております。

糸川委員 ありがとうございます。

 では、提出者にお伺いをしたいと思います。

 まず、与党の提出者にお伺いしますが、今回与党案では、年金事務費等について、保険料、税の財源ごとの使途、これを国会に報告をするということになっております。これはどの程度詳細なものを想定されていらっしゃるのか。予算、決算の費目を財源ごとに分けた程度では具体的な使途というのはわからないのではないか。できる限り詳細でわかりやすいものに変える必要があるわけですが、これは提出者、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

吉野議員 お答えを申し上げます。

 おっしゃるとおり、わかりやすいものにする必要がございます。そういう意味で、まず税金を財源とする費用については、その総額と、そしてその内訳として、職員人件費の額、もう一つは内部管理事務費経費等の額、これを国会に報告させます。また、保険料を財源とする費用については、その総額、その内訳としては、適用、徴収、給付の事務費に要した費用、もう一つは社会保険オンラインシステムに要した費用、もう一つは年金相談等の事業に要した費用の額を基本に、それぞれ報告することを想定しております。

 いずれにしても、無駄遣いを徹底的に排除する観点から、可能な限り具体的に、わかりやすいものにする必要があると考えております。

 以上です。

糸川委員 ありがとうございます。

 では、もう時間ですので、最後に民主党の提出者に一問お聞きしたいんですが、年金の福祉施設については、現在、年金・健康保険福祉施設整理機構で売却が進められております。この過去の経緯というものはおいておいても、施設の売却に当たっては、役に立っている施設、これは残してもよいのではないかというような議論もあったというふうに思っております。機構では雇用面などにも配慮をされておるようでございますけれども、施設の売却が進んでいる状況に対して、民主党の提出者の皆様方の見解、評価というのをお伺いしたいというふうに思います。

足立参議院議員 お答えいたします。

 福祉施設というものに関しては、大きく三つあるんだと思います。グリーンピアのこと、それからその他の年金福祉施設、それから厚生年金病院、社会保険病院。その中で、今、真ん中の年金福祉施設に絞ってお聞きになったと思います。

 これは、施設整備費及び不動産購入費の累計額は一兆四千億円でございます。そして、今現在私が把握しているところでは、出資された福祉施設三百二施設のうち百十三施設が総額五百四十三億円で売却されている、そのように認識しております。いずれも、やはり売却によってかなりの損失が拡大しているという認識で、責任は重いと思っております。

 これは、流用の話が出ておりますが、流用の中でも無駄遣いということでございますので、こういうことを二度とやってはならないというための法案が必要だと私は認識しております。

糸川委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、質問を終わります。

茂木委員長 次に、木原誠二君。

木原(誠)委員 自民党の木原誠二でございます。

 きょうは、三十分お時間をいただきまして、三法のうちでも特に民主党から御提案をいただいている事務費に関する法案、質問をさせていただきたい、このように思っております。どうぞよろしくお願いをいたします。

 昨日通告をさせていただいておりますけれども、通告した質問に入る前に、お答えいただければ結構ですし、ちょっと感想を述べさせていただきたい、こう思っております。

 午前中の同僚の井澤委員との質疑の中で、私は、ちょっと注目すべき発言があったな、こう思っております。それは、年金制度改革の全体像をしっかり法案として示すべきではないか、こういう質問があったわけであります。そして、もう既に二回提案をしております、しかし今は詰めている段階であると。きょうの質疑の中で、公約の重さということについて随分議論がありました。私が理解するには、この年金制度改革、民主党のマニフェストの中でも一丁目一番地だろう、このように思います。その年金制度改革の中身が今は詰めている段階であるというのは、私は、これはいかがなものかな、率直にそのように思った次第でございます。

 私は、恐らくそうではないんだろう、もう中身は十分詰まっていらっしゃるんだろう、こう思いますので、もしお答えいただけるのであれば三点だけお伺いをいたしたい、こう思っております。

 というのも、信頼回復を果たすためには、やはり中身がわかっている、中身がわかっていないとますます不安になる、こういうことだろうと思いますから、私がちょっとお伺いしたいことは通告外ですから、もしお答えいただければと思っております。

 一つは、いわゆる最低年金の部分に全額税金でやられる、こうおっしゃっておりますけれども、その際、恐らく所得制限というものを付されるんだろうというふうに思いますが、付されるのか付されないのか、付すとしたら幾らぐらいで付すのかということが一点目。

 二点目として、全額税金でということになると恐らく経過措置が必要になるというふうに思いますが、経過措置はどの程度のものを考えていらっしゃるのか。最長でいけばやはり四十年ぐらいかかるんだろうというふうに思いますけれども、もし経過措置を付さないということになりますと、負担の公平という観点からしますと、既に保険料を払った皆さんに過去債務を戻さなきゃいけないんだろうと思うんですね。そうすると、十六兆とか二十兆というようなオーダーではなくて、過去債務について百兆を超えるようなオーダーでこの負担がまた生じるんだろうというふうに思います。ここはどのようにお考えになっているのかということが二点目。

 それから三点目は、積立金の取り扱いを今後どうしていくのか。私の記憶するところですと、民主党さんの年金改革プロジェクトチームでは、なるべく早期に取り崩していくというような方針が出ていたかのように思いますが、その点はどうなっているのか。

 お答えいただければお答えいただきたいと思いますし、感想であれば感想で結構でございます。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

大塚参議院議員 木原委員にお答えをさせていただきます。

 午前中の質疑を踏まえて私どもの年金制度について御質問をいただいたわけでございますが、まず、率直に申し上げて、完全に詰まっているかと御質問をいただくとすると、これは午前中に申し上げたとおり、まだ詰めるべき点が多々ございまして、現にそういう作業をやっておりますので、その点は御理解いただきたいと思います。

 その上で、三点御質問をいただきました。

 まず、最低保障年金というふうに私どもが申し上げている部分の所得制限のところでございます。

 これは、参議院選挙の選挙期間中も、テレビ討論等で例えば千二百万というような数字とか六百万というような数字が議論されたことも承知はしております。しかし、これは冒頭申し上げました詰めるべき点ということと密接な関係がございまして、これは参議院の審議でも、また衆議院の第一回目の審議のときにも申し上げましたが、財政再計算、年金数理計算ですね、ここの部分との関連が非常に深いということは、財務省御出身の木原委員におかれては重々御理解をいただけると思うんですが、例えば厚生労働省が五年ごとに再計算をしてまいりましたこの年金財政再計算も、繰り返し見通しが外れているその理由は何だろうか、本当に合計特殊出生率だけの問題なのだろうか等々について、やはりこれはしっかりと確認をした上でなければ、所得制限のところについてのきっちりとしたベンチマークは、まだ私どもとして定まらないというところが正直なところだと思っております。

 そして、二点目といたしまして、しからば経過措置をどうするか。

 これは、まさしく端的に御指摘がありましたとおり、例えば新規に年金制度に加入された方が四十年を満期とした場合、受給資格を二十五年としても、仮に四十年を満期とした場合に、制度の完成年次は四十年になりますので、では四十年先までこれを一切導入しないのか、あるいは旧制度のものをいわば清算する形で初年度から完全に導入をするのか。この点についても、やはり年金数理計算との関係がありますし、そして第三点目に御質問いただいた積立金、さすがに論理的に詰めた御質問をいただいたわけでございますが、この経過措置をどうするか、所得制限をどうするかということも、実は受給の財源として何年分の積立金を残すかということと密接に関係をしておりますので、まさしく積立金の取り崩し方をどうするかという問題でもあります。

 私どもは、三点目の御指摘にありましたように、積立金は早期に、今政府・与党がお示しいただいている年金財政再計算よりは早期に取り崩していくことを考えております。

 と申しますのも、二〇九九年に一年分の積立金を残すというその仮定において、やはり積立金は、あれば何かに運用しなくてはならない、あるいは何らかの形でこれを管理していかなくてはならない。その中で、今回私どもが御提案申し上げている法案の背景にあるような現象も起きたわけでございますので、加えて現下の低金利の状況を考えますと、積立金を余りたくさん持っていることのメリットは少のうございますので、以上のような考え方で現在検討をさせていただいているところでございます。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 通告がなかったにもかかわらず御答弁いただいたわけでありますけれども、正直申し上げて、要するに何も決まっていない、こういうことだろうというふうに思います。

 私は、公約の一丁目一番地について中身は全く決まっていないということについては、やはりもう少し率直に、こう言ったら失礼ですけれども、反省をしていただいた方がいいかな、こう思います。

 そして、今回の法案も、やはり全体像の中で議論をしないことには、木だけ議論して森を見ないというわけにはいかないんだろうというふうに思います。そういう意味でいいますと、本来、今回御提案いただいている法案も審議に値しないのではないかなと正直私は思いますし、そのことは冒頭申し上げておきたい、このように思います。

 それから、午前中の議論の中でもう一点、私自身もおもしろい議論だなと思ったのは、流用の定義ということであります。やや議論はすれ違いだったかな、こう思うわけですけれども、一つヒントがあったかなと思っておりまして、それは、まさに今提案者の大塚議員が障害者自立支援法の自立という言葉について一つの示唆をいただいた、このように思います。

 まさに流用という言葉をどのようにとらえるかというのは、それぞれそれぞれの立場でまた違ってくるんだろう、このように思いますけれども、それはさておいて、大切なことは、税金であれ保険料であれ無駄遣いをさせないということ、これが一番重要なことなんだろう、このように私は思っております。

 ちょっと今から読み上げる文章を聞いておいていただきたいんですが、「社会保険庁は、年金保険料を公用車購入費用や宿舎建設費用などに無駄遣いをしてきました。」中を抜きますが、「民主党案では、年金保険料の流用を禁止し、大切な保険料の無駄遣いを許さないように措置をしております。」これは、実は通常国会で皆さんが今回と同じ法案を提案された際の趣旨説明でございます。この趣旨説明の中には、無駄遣いを排除するという大きな目的が二カ所にわたって述べられております。

 私、今回非常に違和感を覚えておりますことは、今回の趣旨説明、提案理由説明には無駄遣いを排除するということが一切書かれておりません。これは、皆さんがもう無駄遣いを排除するということをやめたのではないかと私は勘ぐっておりますが、そういう理解でよろしいかどうか。これはもうイエスかノーかで結構ですから、お答えください。

大塚参議院議員 無駄遣いを排除する努力は引き続き続けてまいりたいと思っております。

木原(誠)委員 言葉で言うのは非常に簡単なことであろうというふうに思います。

 私は、趣旨説明というのは非常に重いものであって、法案の中身をまさに端的に国会に御説明いただくということでありますから、無駄遣いという言葉をわざわざ今回抜いたということについて、しかも前回は、皆さんが御提案いただいた趣旨説明というのはほんの数行の提案理由でございましたけれども、今回は非常に長い提案理由をされている中であえて無駄遣いという言葉を使っていないということについて、やや違和感を覚えております。

 そこで、今、無駄遣いは今後も排除をしていくんだ、徹底的に是正をしていく、こういうお話でございましたけれども、私はその点についてやはりやや疑義を持っております。

 というのは、これもまた、今ちょっと読ませていただきますので聞いておいていただければと思いますが、「年金保険料を公用車購入費用や宿舎建設費用などに無駄遣いをしてきました。にもかかわらず、政府提出の法案では、福祉施設の規定は削除していますが、ある意味、それ以上に広範囲な流用が可能と考えられる教育及び広報等への保険料流用が可能となっています。」つまり、単に施設できる規定を廃止して、教育・広報等に限定列挙するだけでは流用の可能性がある。これは、前回の通常国会での民主党の方からの発言の一部であります。まさに、政府が提案をした前回の法案については、皆さんは、教育・広報という目的に応じて新たな施設ができるじゃないかということで反対をされた。

 私、今回非常に違和感を覚えますのは、全く同じ規定を、今度は国庫負担のところに入れていらっしゃる。これはある意味、年金保険料でこういうことが起こるかもしれないと言いつつ、税金の方では同じことを許容しているというふうにもとれるわけですけれども。さらに言えば、前回の皆さんが提案された法案では、これを単純に削除して、国庫負担のところにはその規定を入れておりません。今回わざわざその規定を国庫負担のところに持ってきております。

 私は、そういう意味でいうと、皆さんは無駄遣いを排除するという姿勢を放棄されているんだろう、このように思いますけれども、この点について御答弁いただきたいというふうに思います。

大塚参議院議員 木原委員にお答えをしたいと思います。

 まずは、財務省の御職歴があられて、国会対応で趣旨説明等を書くときに一言一言重みを持って書いておられたそのお気持ちがよく伝わってまいりましたので、私どもといたしましては、その御指摘は真摯に受けとめて、今後も努力をしてまいりたいというふうに思っております。

 その上で、無駄遣いをなくす努力を続けていくということは先ほど申し上げたとおりでございまして、もちろん、国庫でこの経費を賄うことに、事務費を賄うことになりましても、だからといって、通常国会のときと違って、国庫であればそういうことをやっていいというふうに考えているわけではございません。今回は、再三御説明をさせていただいておりますけれども、少なくとも、今、公的年金制度に加入をしていらっしゃる国民の皆さんが、給付以外に保険料を使うという道が制度的に可能であるとすると、そのこと自体によって何がしかの不信感を抱くという結果が今起きておりますので、そういう道を閉ざすために、給付以外に使えないという法案を提案させていただいているわけでございます。

 その上で、しからば、国庫で一切そういう道を排除してはどうかという御疑問もあろうかと思いますが、この点も、再三他の委員の皆さんからも御指摘がありますが、全部が無駄かと言われれば、それは私どもも必ずしもそうではないという思いでおりますので、必要なものは国庫の財源の中で対応していく。ただし、保険料を特別会計の中で厚生労働省の皆さんが使途を決めていくよりも、より厳しくチェックをさせていただく可能性が高まるのではないかな、そんな思いで組み立てさせていただいているということは御理解をいただきたいと思います。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 やはり条文というのは非常に重いものだというふうに思います。わざわざ皆さんが否定をされた条文を、全く何の工夫もなく国庫負担のところに持ってくるというのは、私はやはり本気度が問われるな、このように思っております。皆さんは、まさに年金保険料について無駄遣いがある、この規定をもって無駄遣いがある、こうおっしゃっていたわけでありまして、私に言わせれば、皆さんの法案というのは、逆に言うと税金の無駄遣いを放置する一つの法案じゃないか、あるいは、促進するとまでは言いません、しかしそういう法案ではないかということは御指摘をさせていただきたいな、こう思っております。

 もう一点、先ほどの山井議員の質疑の中にもございましたけれども、国民が求めているものは、年金保険料を年金給付だけに使うということでは必ずしもないんじゃないかというふうに私は思っております。やはり国民が求めていることは、年金保険料の、あるいは年金にかかわる無駄遣いをやめてくれ、こういうことであるんじゃないかなというふうに思っております。本来であれば資料をお配りしておけばよかったんですけれども、先ほどの山井議員の質疑を伺いながらちょっと疑問を持ったので。

 実は、ここに、「民主党「年金保険料流用禁止法案」のポイント」という皆さんの法案の概要説明紙、これは民主党のホームページからいただいたものであります。済みません、お配りしておけばよかったんですけれども。ここの「福祉施設費」というところに、皆さん、こう書いてあるわけですね。「国年法・厚年法の第四章に「福祉を増進するため、必要な施設をすることができる」との規定があり、これによってグリーンピア等の福祉施設の建設・運営が可能。」です。そして、「その額は千八十二億円」です。これを普通の人が読むと、この千八十二億円が依然としてグリーンピア等の福祉施設に回っているというふうに読めるんですね。そう言われれば、こんなのはやめてくれと、皆さんがおっしゃったようなことになるんだろうというふうに思います。

 私は、別に皆さんが世論を誘導しているとまでは言いませんけれども、やはり公党ですから、ホームページに載せる法案の説明資料というのはもう少し正確を期していただきたい。もう既にグリーンピア等の施設整備はできない、しないということになっているわけでありますから、あたかもこの千八十二億円がそういう福祉施設、施設費に回っているかのような書きぶりというのはやはり是正していただきたい。このことは、通告をしておりませんので指摘だけにさせていただきたい、このように思っております。

 その上で、今るる申し上げたように、やはり無駄遣いを排除するということが私は最大の点であろうかというふうに思いますけれども、そこで、与党の提案者の方に、今回与党から提案をいただいている法案ではどういう仕組みが盛り込まれているのかということについて御説明をいただきたいと思います。

古屋(範)議員 お答えいたします。

 今回の提出法案では、まず、本年六月に成立した社会保険庁改革関連法におきまして限定列挙した年金教育・広報等について、いわゆるセンター施設の建設を行わないことを前提としていましたが、これを行わないことを条文上改めて明確にいたしました。

 また、今回提出の法案では、年金事業運営経費の国庫及び年金保険料の財源ごとの使途を国会に報告する。これによりまして、年金保険料は、年金給付と、また年金給付に関係すること以外には使わないということを担保することとし、これにより、国会としてのチェック機能が十分発揮されるものと考えております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 やはり本気度が問われるという意味では、私は、与党は前回の改正案でも十分であったかなと思いますけれども、あえて無駄遣いということにさらに切り込んで、福祉施設、施設整備はしないんですよという規定を確認的に置く。同時に、予算、決算のみならず、国会への報告をしっかりやるという仕組みを取り入れているんだろうというふうに思います。私は、そういう意味でも、もう少し民主党の提案の皆さんには、やはり無駄遣いを排除するということについての工夫をしていただきたい、このように思うところであります。

 あと、同時に、これは政府の方にお伺いしようと思っていたんですが、時間が余りないのでお伺いしませんけれども、既にこの年金保険料の無駄遣いということについては、平成十六年の与党での合意を踏まえて、もう多くの措置がとられているということについても確認をしておきたい、こう思っております。

 ちょっと議論をかえて、提案者の皆さんにお伺いをしたいんですけれども、私自身は、今申し上げたように、今回の民主党の法案というのはまだ大分不十分だし、無駄遣いを排除するという面では全く効果を発揮しない法案だ、このように思っております。私自身は、そもそも、やはり年金に係る事務費というのは保険料で賄われるべきである、このように思っております。今、どうしてこれだけ年金に対する国民の関心が高いかといえば、これはやはり、税金にどんぶり勘定で入っているからではなくて、保険料というものでまさに運営がされているからこそ多くの皆さんの関心が高いんだろうというふうに思います。

 私は、いろいろな、例えば、家庭の家計を見ても、給料のほかに配当所得があったときに、配当所得は夜の食事に少しぜいたくをしようかなとか、やはりその収入ごとにそれぞれ考えることもあるんだろうと思うんですね。むしろ、どんぶり勘定にしてしまうことによって姿が見えなくなってしまうという面があろうと思います。

 まさに受益と負担が一致しているというところに監視が働く。国会の監視、そして財務省による予算査定上の監視のみならず、やはり私は、国民による監視、無駄遣いの是正に向けた監視というのは非常に重要であろう、こう思っております。

 だからこそ、諸外国でも、これは提案者の皆さんもお認めいただいているというふうに思いますけれども、すべてのと言っていいと思います、ほとんどの主要国において、保険料と税金を合わせて年金の事務費を賄っている、こういうことであろうと思います。わざわざ税金だけでやる国はないということであろうというふうに思いますけれども、もし御感想があれば、お聞かせいただきたいと思います。

辻参議院議員 まず、私どものこの法案にかけた基本的な思いを申し上げておきたいと思います。

 我が国における年金の事務費に対する全額国庫負担の方針は、昭和十七年の労働者年金保険、昭和三十四年の国民年金創設時に、国民福祉の増進、国民皆年金の実現を図る、その下支えの機能を果たすべく定められたものでございます。しかし、平成十年度以降、そのような精神が踏みにじられる形で事務費への保険料の充当が特例的に認められることとなり、さきの国民年金事業等運営改善法において恒久化が定められたということでございまして、私どもからいたしますと、もとに戻せ、もとへ戻すんだ、こういうスタンスであることを申し上げておきたいと思います。

 そこで、ただいま諸外国との制度比較の御指摘がございました。

 よく政府からも配布されている資料がございますけれども、アメリカ、スウェーデン、イギリス、ドイツ、フランスなどにおきまして、事務費に保険料を充当しているということが指摘されているわけでございます。ただ、制度の対象範囲を見ますとき、アメリカ、スウェーデンにおきましては、無業者、無職の方には適用がない。また、イギリス、ドイツ、フランスにおきましては、無業者、無職の方々が任意加入とされているわけでございます。

 それに対しまして、日本におきましては、無業の方を含めたすべての国民を対象とした強制加入を原則としている。そして、世帯主はその世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負い、配偶者の一方は他方の保険料を連帯して納付する義務を負っている、国民年金法第八十八条でございますけれども、こういった強制加入、全国民を対象としているということがあるわけでございます。

 このように考えますときに、日本の年金制度というものは他の諸外国に比してまさに皆年金の度合いが強い制度設計となっている、このように考えているところでございまして、そういう意味におきまして、事務費を全額国庫負担によって支えることは筋の通った考え方だ、このように私も思っているわけでございます。

 なお、ちなみに社会保険方式という御指摘があるのでございますけれども、財政構造改革法の後の平成十六年度以降におきまして、厚生労働省は全額国庫負担に戻そうと取り組まれたわけですけれども、財務省との調整の中であきらめて今日に至っている、こういうことでございまして、そのときの大臣の答弁も必要であれば申し上げますけれども、そういった経緯があることも申し上げておきたいと思います。

木原(誠)委員 強制加入の度合いが強いかどうかということで、新たな切り口を提示していただいたんだろう、こう思いますけれども、例えばイギリスをとってみると、イギリスはやはり強制加入が基本なんですね。そういう意味でいいますと、そういう議論をしますと、私自身は、例えば、では厚生年金はどうするんだ、こういうことになるだろうと思います。あるいは、共済年金はどうなるんだろう。要するに、全国民を対象にしているかどうかという議論をすると、共済年金、厚年は一体どうしたらいいのか、こういうことになってくるんだろうというふうに思います。

 いずれにしても、事実は、税金とそして保険料がまざって運営をされている、こういうことではないかというふうに思います。

 それからもう一点、私自身、財政構造改革法をみずからまさに書いた方でありますので、あえて申し上げますと、もともと国年そして厚年に税金が事務費として負担をされてきたということは、まさに国年、厚年の、つくった当時に、信頼感をどうやって高めていくのかということにおいて、当初の段階としては税金でやることがやはり国民の信頼を高めることであった、こういう背景があるというふうに私は認識をしております。

 時代はやはり変わっているわけでありまして、そういう時代の変わりを見て、まさに、財政構造改革法の中で、税負担ではなく保険料負担でもいいのではないか、こういう議論があったというふうに承知をしているところであります。

 その点はちょっと、さらに先に行かせていただきたいと思っておりますけれども、もう一点確認をしておきたいのは、皆さんは、二千億円の事務費を税金で賄う、こう言っております。財源の問題もあるというふうに私は思いますけれども、財源論をしている時間がないのでそれは飛ばしまして、二千億円を税金で賄った、そうすると、今度は保険料の方でこの二千億円が、余りいい言葉ではありませんけれども、浮くということになるんだろうというふうに思います。この二千億円については、給付を引き上げるのか保険料を引き下げるのか、どちらなのか端的にお答えをいただきたい、このように思います。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

足立参議院議員 これはもうたびたびお答えしておりますように、年金保険料は年金の給付以外には使わないという趣旨で出しているものでございますので、給付に回すということでございます。

木原(誠)委員 若干前回の答弁とは違うのかな。前回は、積立金の方に回っていくんですよ、こういうことであったと思います。

 きょう、冒頭、なぜ皆さんの制度改正全体像をお伺いしたかといいますと、冒頭、大塚議員の方から、積立金は積み立てていかないんですよ、民主党の案としては、積立金は厚労省の手に入れるとまた何らかの形で運用しなければいけないから積立金は積み立てないんですよという御答弁があったというふうに思います。

 私は、今の御答弁、まさに積立金としてこれは恐らく積み立てていかれるということ、前回の答弁はそうだったというふうに思いますけれども、全体像を一回聞いてみると、そこはやはりそごがあるんだろうというふうに思います。全体像の議論の中では、積立金はこれから取り崩していく、むしろ積み立てさせない、こう言いながら、しかしこの法案の中では二千億円はこれから積み立てていくと言う。

 私は、そごがあるのは仕方ないと思います。なぜならば、年金制度全体についての詰めがまだ終わっていないからということだろうと思います。だから、この法案を出すことは、私はやはり時期尚早なんだろうというふうに思います。皆さんが年金制度全体の詰めをしっかりされて、そしてこの法案との整合性というものをやはり図っていただかなければいけないというふうに思いますけれども、もし何らか御答弁があればお伺いをしておきたいというふうに思います。

大塚参議院議員 御指摘の点でございます。今足立議員が御回答申し上げた部分ですが、給付に使うということは、これはいわば後入れ先出しで、新しく今年度に歳入として入った保険料を給付に即使うということを必ずしも意味しているわけではございません。これはやはり給付の財源となる、その財源の中に、新しく保険料を納めていただいた分は入れていくということになりますと、これは積立金に充てるというよりも、そこに足していくということでございますので、多分、木原委員が御指摘いただいていることと私どもが申し上げていることは、その部分においては同じだと思いますので、そこはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

木原(誠)委員 その点は今理解をいたしました。

 もう時間も参りましたのでこれで終わりにしたい、こう思いますけれども、私は、冒頭から申し上げましたように、やはり、税なのか保険料なのかにかかわらず、無駄遣いをしっかり排除していくということが国民が求めていることであろう、こう思っております。そういう意味でいいますと、今回御提案をいただいている皆さんの法案は、まさに趣旨説明の中でもお認めされているわけですけれども、無駄遣いを排除するということについてはやはり非常に弱い、むしろ税金についてもしかしたら無駄遣いを促進してしまう面もあるんだろうと私は危惧をしております。

 それと同時に、財源の議論ができませんでしたけれども、財源も必ずしも明示をされていないということでありますし、そしてまた、どういうふうに還元をするかということについては、給付で還元をする、こういうことでありましたけれども、全体像の中でそれがちゃんと整合性がとれているのかということについても、まだまだ不十分な点があるんだろう、こういうふうに思っておりますので、そのことを指摘いたしまして、もう少ししっかりと議論を深めていく必要があるな、そして、全体像を見せていただいての議論を深めていただくことが必要だ、このことを申し上げまして、私の質問を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、長崎幸太郎君。

長崎委員 自由民主党の長崎幸太郎です。

 本日は、民主党さんに、年金流用禁止法案について、先ほど同僚の木原議員からの無駄遣いとの関係でいろいろお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私自身は、この民主党さんの法案の中で、年金制度の運営に対して国民の信頼を確保するんだ、こういう志については大変高く評価をしたいと思いますが、その手段において、ちょっと問題あり、的外れ、こんなような印象を受けているわけです。若干繰り返しになるかもしれませんが、まず初めに、この民主党の法案の趣旨についてお伺いしたいと思います。

 年金保険料を給付以外に一切使わないということと、年金制度の運営に対する信頼を確保する、これはちょっと論理の飛躍がある、ダイレクトに結びつかない。そんな中で、私なりに勉強もしましたが、十一月の二十一日、前回の田村議員の質問に対する大塚先生の答弁の中で、国民の信頼を維持するためには、国民の皆さんが万が一にも年金制度の運営に疑義を抱くようなことがあってはいかぬ、年金保険料を給付以外に制度的に使えないということにすることによって、疑義の生じる余地を極力小さくしたい、こんなような答弁をされていたわけです。

 今回の問題の発端、年金運営費のもとにカラオケだのマッサージ機だのゴルフだの、こんなようなものを買っていた、こういう無駄遣いが行われていた、こういうことに問題が発しているわけですが、その大塚議員の答弁における疑義が生じる余地というのは、こういう無駄遣いが起こり得るんだということを意味しているという理解でよろしいでしょうか。

大塚参議院議員 そういう意味でございます。

長崎委員 ありがとうございます。

 したがって、無駄遣いというのはやはり大変重要な民主党の法案のポイントでもあるんだと思います。

 片や、無駄遣いの防止そのものについては、民主党さんのお考えですと、きょうも御答弁ありましたし前回の蓮舫議員の答弁にもありましたけれども、保険料財源であっても税財源であっても無駄遣いは適当ではないんだ、しかしながら、税財源を充てることによって、一般会計からの歳出となることで、多角的なチェックが可能になるんだ、これで無駄遣いが防止されるんだ、こんなような御答弁の内容だったというふうに理解しておりますが、これでよろしいでしょうか。

蓮舫参議院議員 そのとおりでございます。

長崎委員 いずれも私の理解で正しいということで、要は、保険料というのはもちろんのこと、税財源であっても、保険事業運営に係る事務費としてゴルフだのミュージカルだのマッサージ機だの、こんなような無駄遣いがなされていては、私は、トータルとしての年金制度の運営について国民の信頼が失われることになるんだ、こう考えます。

 それで、民主党さんの年金制度の考え方はまだよく理解はしておりませんが、仮に基礎年金を全額税財源で賄うような場合であったとしても、まさか事務費でカラオケを買わせるようなことは当然あり得ないんだろう、これはお伺いするまでもないことだと思いますが、要は、財源の種類のいかんにかかわらず、歳出の中身の厳格なチェック、こういう体制をどのように確立するか、これこそ国民が求めていることだと私は考えます。

 それで、もちろん、民主党さんのお考えの中で、税財源であれば無駄遣いをしても年金制度の運営に対する国民の信頼というものには傷がつかないんだということではないということだと思いますが、それもそういう理解でよろしいですね。

大塚参議院議員 税財源であったとしても無駄遣いがあれば、例えばそのことによって国民の皆さんが何か政府は無駄なことをしているなというまさしく疑義を抱かれることはあります。当然それはあってはならないことでありますが、少なくとも、直接、国民の皆さんがこれは年金のために納付しているんだという保険料が給付以外に絶対に制度的には使われないという形を維持するということは、やはり無駄遣いを具体的になくすということにプラスアルファの信頼性向上の効果があるのではないかなというふうにも考えております。

長崎委員 年金の事務費に保険料を充てない、したがって税財源を充てる、これはすなわち、一般歳出をかませることによって無駄遣いがなくなるんだ、無駄遣いの中により厳しいチェックが働くんだ、こういうことなんだと思うんですが、それについても若干違和感があって、民主党さんは二千億円の財源について、これも大塚議員がおっしゃっていましたが、予算編成の過程で捻出するんだと。要は、極めて極めて厳しい厳しいチェック、しかも国会によるチェックがなされているはずの一般会計を見直すことによりこういう財源を、二千億円もの財源を捻出するんだ、こういう答弁でありますから、事務費を一般会計につけかえたからといって、より厳しいチェックが働くんだ、だからそこで無駄がなくなるんだというのはどういうことなんでしょうか。

蓮舫参議院議員 御答弁させていただきます。

 まず、私ども、今回、年金事務費を年金保険料ではなくて税金で見させていただきたいと御提案をさせていただいている次第でございます。

 その際、年金事務費のボリュームとしては、この数年間の決算経緯を見ますと大体二千億円ぐらいということなので、二千億円と仮に御答弁をさせていただいておりますが、細かく項目をチェックしていきますと、本当にこの事務費に二千億円が必要なのか、あるいはこの二千億円をもう少し圧縮することができるのではないかというのもあわせて御提案をさせていただき、これは与野党ともにぜひ御努力をさせていただきたいと思うんです。

 例えば、平成十九年度予算では二千三十九億円となっている事務予算額のうち、特例措置分は九百五十七億円を計上しているんですね。ただ、この特例措置分の事務費、この数年間の推移を見ますと、実績が予算額を毎年下回っております。これまでの八年間の予算総額八千三百五十億円に対し実績は七千三百六十九億円で、決算総額が予算より九百八十一億円下回っている。つまり、ここの部分だけをしっかり見ていっても二千億を圧縮することは可能だと思っておりますので、税財源に戻したところで無駄遣いがなくなるんだという議論の前に、まず情報公開をしていただいて、圧縮をさせていただいて、その上で一緒に無駄遣いをなくす努力をさせていただければと考えております。

長崎委員 二千億円をどう圧縮するかなんて僕は一言も聞いていなくて、一般会計に移せば無駄はなくなるんだ、より厳しいチェックができるんだという御意見がどうなんですかと。もともと、一般会計ですら二千億円もの圧縮ができるという御主張をされている、ということは二千億円もの無駄があるということであって、一般会計に移せばそのまま無駄がなくなるんだという御主張はいかがなものですかということを言いたかったわけなので、ちょっと困った。(発言する者あり)いや、へ理屈じゃない。これは重要なところであって、ぜひもう一回お伺いしたいと思います。

大塚参議院議員 先ほどの木原委員、長崎委員と、それぞれ財務省の御出身で、財政健全化に向けた強いお気持ちが伝わってまいりますし、私どもも同じ気持ちでございますので、その観点からお答えをさせていただきます。

 再三御報告をしておりますように、私どもは、予算編成の過程で捻出をするということは決してとっぴなことではないと思っておりまして、例えば、現時点では、御承知のとおり、概算要求八十五兆六千九百十七億円、これは最終的に来年度どうなるかわかりませんが、八十二兆ぐらいまでスリム化していくわけでございますね。

 ここでぜひ長崎委員にも一緒にお考えいただきたいのは、もし、保険料で賄うはずだった二千億円、これを予算の中で、一般会計の中で国費で賄うとなれば、確かに、その二千億を丸々捻出しようと思えば、今まで今回の措置をしなければ予算に入っていたであろう二千億をどこかから削らなきゃいけないわけですね。そういたしますと、今までの八十二兆の、真水の部分はもっと小さいですが、その部分において全く無駄がなければ、では一体その二千億で押し出された部分はどうするんですか、こういう議論になるわけです。

 ところが、今まさしく話題になっております防衛省の問題しかり、まだまだ各省庁にいろいろと事件、事故が起きてから、ああ、こんな無駄もあったのか、あんな無駄もあったのかということがわかるわけでございまして、これは主計局などを御経験になられた木原委員なんかも実感で持っておられると思いますが、査定の過程でなかなかすべてわからない。そして、執行してみて査定のときとは違うことが起きたりするということを考えますと、つまり、保険料の中で賄うはずだった二千億が一般会計の方にシフトして、一般会計から押し出される二千億というのは、今私たちが、それがなかりせば、そのシフトがなかりせば気がつかない無駄をいわばたたき出すというか、それを見つける作業につながるという意味はあるということはぜひ御理解いただきたいなと思います。

茂木委員長 大塚さん、先ほどから質問しているのは、要するに、一般会計の部分で無駄があるからそちらから捻出はできますと、民主党としては。一方で、一般会計の方に移せば保険料ではなくて、無駄遣いがなくなりますと。そこのところに矛盾がありますという質問をしているので、それに答えてください。

大塚参議院議員 確認ですが、恐縮ですが、一般会計に移すことによって一般会計の無駄がなくなるという御質問ですよね。

長崎委員 ちょっといろいろ時間もかかるので、言いますが、二十一日の田村委員の御質問で、野党案でチェックをする仕組みみたいなものはないのかという御質問のときに、蓮舫先生から、現在のシステムでいくと、特会よりも一般会計の方がより国会のチェックが働くんだ、こういう答弁をされているわけですね。多分、私が聞きたかったことに対する民主党さんのお答えはそういうことだとは思うんですが……(発言する者あり)いいですね。

 それで、では、ちょっとこの点について政府にお伺いしたいんですが、予算編成過程において、特会歳出と一般会計歳出のチェックというのは、実務的あるいは法律的に何らか差異が生じ得るものなんでしょうか。

香川政府参考人 特別会計は、一般会計と区分経理することによりまして、負担と給付の関係といった国の収入と支出の仕組みを明確にするために設けられるものでございます。

 予算編成上の取り扱いでありますとか国会審議における取り扱い、それから査定事務的な作業における取り扱いにおいて、一般会計と特別会計で基本的な違いはございません。

長崎委員 要は、一般会計歳出でも特会歳出でもその編成プロセスには差異がない、したがって、特会歳出を一般会計歳出に振りかえたからといって、それがそのまま自動的にチェックの厳格化に結びつくものでもない。出口の国会審議においては何らの差異もない。

 ということは、要は、保険料財源による特会歳出であれ一般会計歳出であれ、その違いがないということは、政府のチェックも甘いけれども、我々国会のチェックも甘かったんじゃないか、こういう点については我々真摯に、与野党ともに反省するべきだとは思うわけであります。

 そういうことで、要は、歳出の中身についてどのようにチェックを厳格化するか、こういう意味できょうは建設的な議論をしていきたいと思っていますが、民主党法案におきまして、これは十一月の二十一日の答弁にありますように、無駄をなくすという仕組みはこの法案にはビルトインされていない、こういう御答弁がありましたが、これはそのまま正しいということでよろしいですか。

足立参議院議員 前回の答弁と同じように、チェックの厳格化の具体的方法については触れておりません。

 さらによろしいですか。(長崎委員「もういいです、それで」と呼ぶ)一つ具体例をお出ししようかなと思うんですが、よろしいですか。

茂木委員長 せっかくしゃべりたいんだから、しゃべらせて。

長崎委員 では、どうぞ。

足立参議院議員 一般会計であっても特別会計であっても、無駄遣いをなくすのは立法府の務めだ、この点はもう全く皆さん同じだと思います。

 そこで、一例にしかならないとは思いますが、平成九年まで国庫から負担していた場合と、平成十年から十六年まで保険料で負担するようになった事務費、ここで購入の仕方に変化があったかどうかを調べてみました。

 例えば、ゴルフ道具は、これは平成十年から十五年、保険料になって二十四万一千円。それから、ミュージカルは平成十四年、保険料になって五万四千円、国庫のときはございません。それからマッサージ機は、平成十年から十五年、五千五百万、残念ながら、これは、平成九年以前の国庫のときはどうだったかということについては詳しい情報はありません。

 具体例としてはそのようなことが挙げられまして、これは事務費の中でも備品ということで処理をされております。カラオケセットについては平成十四年九十万円、保険料になってからでございます。

長崎委員 その保険料の特会歳出について、いかに我々国会が見逃してきたか、こういう一例だったかと思います。

 年金制度の運営に対して国民の信頼を確保する、すなわち無駄遣いの防止をする、これについて、今言われた議論では、特会歳出を一般会計歳出に振りかえても、それだけでは意味がない、特別の手当ても民主党さんの法案の中ではないんだ、こういうことであると思います。

 それで、国会による歳出チェックというのはそもそも、特会であれ一般会計であれ、予算書をもとに行われるわけですが、予算書では、歳出予算は「項」、いわゆる「項」「事項」の「項」として記載されて、これが国会の議決の対象になります。

 ちょっと社会保険庁にお伺いしますが、十九年度予算においては、年金に係る事務費等についてどのような項立てがされてきたのか、すなわちどのような形で国会議決を求めてきたのか、端的に教えていただきたいと思います。

吉岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成十九年度予算におけます「項」の記載、これは年金事業の運営について御説明申し上げます。

 二つございまして、一つは、職員人件費あるいは公用車等の内部管理経費並びに適用、徴収、給付の経費及びこれらに係る社会保険オンラインシステム経費等の年金事務費を、予算上、(項)業務取扱費及び(項)施設整備費並びに(項)予備費に計上しております。

 一方、年金教育・広報、年金相談及びこれに係る社会保険オンラインシステム等の経費につきましては、これを(項)福祉施設事業費等に予算書上計上しているところでございます。

長崎委員 ちょっと、これを今聞いてもよくわからない。今言ったシステムは、福祉施設事業費などに掲げられていたり、一つの項目がいろいろな業務取扱、施設整備費に分散されて計上していたり。こういう形で国会議決を求められても、確かに民主党さんが御心配されるように、国会でチェックしようと思ったって、それはなかなかうまくいかないんじゃないか、民主党さんの御心配ももっともなところが私はあると思っております。

 そこで、もう一回政府にお伺いしますが、今現在、予算書、決算書の見直しの議論、予算書の表示のあり方について、それを見直すんだという議論が部内でなされていると承知しておりますが、その目的、概要について、これも極めて簡潔に御説明いただきたいと思います。

香川政府参考人 現行の予算書、決算書につきましては、これまで表示科目が政策の内容と必ずしも結びついていないという指摘がなされてきたところでございます。

 現在、二十年度予算からでございますけれども、政策ごとの予算、決算を示すべく、予算書、決算書の表示科目の単位、これは「項」と「事項」とございますが、それと政策評価の単位を原則として対応させることということで見直しを行っております。

長崎委員 表示科目を政策ごとに分けていくんだ、そんな中で、国会のチェックが働けるような書きぶりを工夫しているということだと思います。

 まさに国会が年金に係る事務費等についてしっかりとした審議をして、適用、徴収、給付の経費が適正なのかどうなのか、システム経費が適正な内容となっているのかどうなのか、年金相談等の経費として不適正なものが紛れ込んでいるのかいないのか、こういうことを個別具体的に議論できるようにすることこそが無駄遣い防止の本筋であると私は思っております。

 こういうことで、予算書、決算書、今の議論を受けて社会保険庁にお伺いしますが、年金に係る事務費など、こういうものについて二十年度概算要求ではどういうふうに要求されていて、その予算書上の「項」の記載の仕方、要は国会の議決の求め方として、どのような方向で記載することと考えているのか、この点について教えていただきたいと思います。

吉岡政府参考人 御答弁申し上げます。

 平成二十年度の概算要求におけます考え方でございます。

 一つは、先ほど申し上げましたように、職員人件費あるいは公用車等の内部管理経費並びに適用、徴収、給付に係る経費については、先ほどと同様に(項)業務取扱費、(項)施設整備費及び(項)予備費として要求しております。

 一方では、前回の通常国会で成立しました社会保険庁改革関連法におきまして規定の整理がございまして、必要な施設という規定がなくなったわけでございます。法律上、事業の範囲を限定し、年金教育・広報、年金相談、情報提供など真に必要な経費が限定列挙された。これを踏まえまして、十九年度まで(項)福祉施設事業費という名称を用いておりましたが、二十年度の概算要求におきましては、(項)年金相談等事業費ということで変更して要求しております。

 一方で、社会保険オンラインシステムの運用につきましては、法律上、これが明確にさきの国会において位置づけられたということで、これをオンラインシステムと一本化いたしまして、新たに(項)社会保険オンラインシステム費という項立てを行ったところでございます。

 また、あわせてお尋ねの平成二十年度に向けました予算書上の整理ということで、先ほど財務省からお話ございました。現在、財務省を中心に検討させていただいております。

 考え方といたしましては、各府省の政策評価上の政策ごとに予算と決算を結びつけ、予算とその成果を評価できるように、予算書、決算書の表示科目単位の「項」「事項」と政策評価におけます政策とを原則として対応させるといった見直しを平成二十年度から実施することとしておりまして、具体的な社会保険庁の予算におけます取り扱いにつきましても、現在、政策評価と予算、決算の連携強化をさらに進めるという観点から、財務省と相談をさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

長崎委員 ちょっとがっかりするような答弁ですけれども。

 政策評価の単位に合わせるということが、事後チェックがしっかりできる単位に合わせる、要は、事後チェックがしっかりできる単位で事前の国会議決をとるんだ、こういう理解でいいんでしょうか。簡潔にお願いします。

吉岡政府参考人 委員御指摘のとおり、一つは、従来わかりにくかった、事業の中身がわかりにくいという点の反省を踏まえまして、今回の二十年度に向けた見直しの中で、わかりやすい項立てをして、それぞれ、目的としております政策評価と予算、決算書がスムーズに結びつき、また、国会審議でもよくそこが浮き上がって、わかるような形の努力を引き続きしてまいりたいと考えております。

長崎委員 まず政府で、ぜひ国会議決がしやすいような、国会議決すなわち国会の審議がしやすいような表示の仕方というのをぜひ検討していただきたいと思います。そうすることで国会の審議が深まる、これによって無駄遣いが防止できる、これによって国民の年金事業運営に対する信頼が確保できる、こういうことになりますので、極めて重要な作業だと思いますので、ぜひ慎重に考えていただきたいと思います。

 一点、済みません、時間もあれですので、与党の案についてお伺いします。

 こういう政府部内での統制に加えまして、今回、与党の法案では幾つか工夫が、一つ大きな工夫がなされていると思いますが、これも繰り返しではありますが、国会の統制、チェックという意味では、どういう仕組みが用意されているんでしょうか、教えていただきたいと思います。

古屋(範)議員 今回の与党の提出案におきましては、いわゆるセンター施設の建設等は行わないことを条文上改めて明確にいたしますとともに、年金事業運営経費の国庫及び年金保険料の財源ごとの使途を国会に報告することによりまして、年金保険料は年金給付と年金給付に関係すること以外には使わないということを担保するものでございます。この改正によりまして、無駄遣いをなくすことをより一層明確にできるものと考えております。

 いずれにいたしましても、与党として、このような事務費等の無駄遣い防止に全力を挙げていきたいと考えているところでございます。

長崎委員 ありがとうございました。

 これまでの議論をちょっと簡単にまとめたいと思いますが、税財源であれ保険料財源であれ、年金事務費に係る無駄遣いというものは、トータルとしての年金制度の運営に対する国民の信頼を失わせるものである。したがって、これは防止していかないといかぬ。ただし、政府部内の予算編成プロセス、そして国会による予算のガバナンス、こういう点においては一般会計も特別会計も差異はない。したがって、年金事務費を一般会計に振りかえること、こういうことは無駄遣いの防止という観点、すなわち、制度の運営に対する国民の信頼確保という観点からは、意味がないのではないかと思われること。むしろ、政府は年金事務費についてしっかりとした形で、明確な形で国会審議を求めるようにすべきであろうこと。それから、与党法案にあるように、しっかりと国会の場において事後チェックができるような措置を講じること。

 こういうことで、一番重要なのは、国会は国民の負託にこたえて、予算審議あるいはその事後チェックの場において無駄遣いをしっかりと防止していくこと、こういうことこそが重要であると思います。

 こういうことを考えますと、民主党さん、無駄遣いの防止をしたい、そういう志は、冒頭申し上げましたが、大変高く評価いたしておりますが、一般会計に振りかえるということは、手段としてはちょっといかがなものかな。そうはいっても御安心いただきたいのは、政府の予算書の取り組みあるいは与党提出法案の国会報告規定、こういうもので、我々国会として、事前、事後のチェックがしっかりできるようになっておりますので、どうか御安心していただいて、与党の法案に御賛成いただければと思います。

 以上をもちまして私の質問を終わります。ありがとうございました。

茂木委員長 次に、林潤君。

林(潤)委員 自由民主党の林潤です。

 本日は質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 最近の国政選挙の世論調査を見ましても、国民の最大の関心事は社会保障であり、中でも年金は大きな比重を占めます。

 年金問題は大きく分けて二つ。現行の賦課方式で続けられていくのかという、財源を念頭に置いた、持続可能性を初めとしました制度全般の問題、これは根底的な問題だと思っています。そして、組織や職員に関しまして、その運用に信頼を持てないという事務手続の問題があります。

 国民にとって、国を信用して保険料を納め、老後にはきちんとした給付を受けられることを期待していたのに、年金が間違っていたり、保険料が無駄な施設に使われたり、あるいは職員に猫ばばをされたのでは、年金全般に対する信頼が地に落ちてしまいます。

 故意にせよ過失にせよ、社会保険庁を中心とする行政の事務のこうした手続のていたらくの積み重ね、これが今日の信頼低下を招いた大きい要因であることは否定できませんが、同時に、私たち立法府が幾度となく法改正を重ね、チェック機能を働かせながらも、国民の年金不信に十分にこたえられていない、払拭できていない、こうした現状に責任の一端を感じるものであります。この点は、今回、与党と民主党、それぞれ法案を出し合っておりますが、共有できる部分があるのではないかと考えております。

 この国会では、衆議院で三法案が一括審議をされておりますが、国民の年金不信を払拭するという観点からすれば、手法や見解の違いはあるものの、与野党で同意できる部分もあるし、全く相入れない部分もあります。

 今回、与党案と民主党案がそれぞれ提出されている現状がかえって政策論争を活発化させ、野党だけではなく、与党のサイドからも問題点を浮き彫りにすることを期待し、まずは、三法案のうち、厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律案を議題とし、質問させていただきます。

 この法案が想定しておりますのは、厚生年金保険料を事業者に天引きされたにもかかわらず、事業者が保険料の納付の届け出を行っていない、こうした事案でありまして、現行法で対応できない部分を、記録の訂正をさせるという内容です。しかし、納付しない事業者を、勧告をしただけで結局のところ国庫で救済してしまうのは問題ではないかと思うわけであります。なぜなら、原則からすれば、民事上の損害賠償請求など、粘り強く事業者から取り立てをするのが当然だと考えられるからであります。

 国庫負担を行う理由をお答え願います。

大村議員 お答え申し上げます。質問通告はありませんでしたけれども、お答え申し上げたいと思います。

 これは先週、そしてまたきょうもずっと答弁させていただいておりますが、年金記録問題を解決していくという私ども与党の強い決意、そして政治決断として今回の法案を提出させていただきました。

 特に、第三者委員会で、今、あっせんの件数がどんどんふえてきておりますけれども、国民年金事案はこれで救済をされる。

 しかしながら一方で、厚生年金の事案、今、林委員言われましたように、まさに天引きをされた従業員の方と会社の方との民民の関係であって、国の方に、社会保険庁の方に保険料が来ていないということで、今まではそこで終わっていたということであったわけでございますけれども、この年金記録問題を厚生年金も含めて前へ向けて進めていく、これを救済するというためには、その点についても、まず、従業員の方からは保険料は天引きをされているということ、そして従業員の方に責めはないということに着目をしてこの方を救済する。ただ、その事業主に対しては、たびたび御答弁申し上げておりますが、納付勧奨をしっかりやって、公表もして、そして徹底的に追っかけていくということで、決して逃げ得といったようなことにならないようにこれはしっかりと取り組んでいきたい。その上で、まずはこの年金記録問題、厚生年金事案の救済を最優先としてやっていく、そういう意味でのこの法案であるということを御理解いただければというふうに思っております。

林(潤)委員 こうした民と民の関係に国が救済に乗り出したというのは、私は前進だというふうに思っています。こうした中、合意できる部分はその部分としてまとめていただきたい、こういう思いを持っております。

 また、最近の総務省の検証委員会の調査で話題となりました社会保険庁及び市町村の職員による着服、横領の事案は、判明しただけでも合計で四億一千万円もの金額に達しました。国民感情からすると、驚きと怒りでいっぱいであると同時に、判明しただけで四億円以上もあるのだから氷山の一角ではないか、もう保険料なんてばかばかしくて納められない、こうした声が出てきても当然ではないかと思っております。会計検査院に報告しないで内部処分で済ませたケースもありまして、時効で立件できないケースもあり、確かにこれは過去の蓄積ではありますけれども、年金不信を増大させております。

 こうした職員による着服、横領事案についてもこの法案を適用していくのか、そして、損害賠償請求をしても納付がない場合はどのように対処するのか、お聞かせ願います。

大村議員 今、林委員が御指摘になった社会保険庁職員の横領、着服という事案、これは、全体の奉仕者である国家公務員が国民の財産を侵害するという絶対あってはならない犯罪であるわけでございまして、こうしたケースには、氏名の公表、厳正な処分、懲戒処分、そして現に刑事告発といった厳しい態度で臨んでいるわけでございますし、市町村の職員の場合でも、これも市町村に厳しい態度で臨んでもらう、場合によっては国の方からも告発するということも進めているわけでございます。

 そういうことをやっていく一方で、厚生年金保険料納付に関して社会保険庁職員が横領、着服をしたということでございますから、事業主から国の方には来ているということでございますので、これはこの法案ということではなくて、現行法のもとでも、社会保険庁に適正に保険料が納付されたものとして取り扱うことになっているわけでございまして、その上で、この着服、横領した職員に対して国の方から損害賠償請求が行われているわけでございます。

 したがいまして、現行法で対応いたしますが、これは救済といいますか、できるわけでございますけれども、この着服、横領事案については、先ほど申し上げましたように、厳しく厳しく対応をしていきたいというふうに思っております。

 なお、現在、社会保険庁においては、舛添大臣の指示のもとで、社会保険事務所における保険料の現金徴収を原則的にやめたらどうかということを検討しているというふうに聞いておりまして、こうした取り組みも進めていって、こういったことがないようにやっていきたい、そういうふうに申し上げていきたいというふうに思います。

茂木委員長 横領事案に対する給付の財源は保険料で賄うのかどうかということ。

大村議員 済みません。ということでございますので、保険料は国の方に来ているということですから、現行法のもとで、これは適正にその期間は納付があったということで、救済というよりも、それは当然、その記録は正しいものにするということでございますから、保険料と国庫で対応する。その分の損害は、その職員に損害賠償ということでかかっていくということで御理解をいただきたいと思います。

林(潤)委員 ぜひともトータルで厳しく対応してもらいまして、まじめに保険料を払い続けた被保険者がばかを見ることがないように、ここの部分は協力がもしできましたら与野党協力いたしまして、ぜひとも年金全般の信頼回復に向けて配慮してもらいたい、そう思います。

 ここで、与党が提出をいたしました国民年金事業費法案について質問をいたします。

 与党改正案の大きな特徴は、「ただし、専らこれらの事業の用に供するための施設の取得(建設を含む。)又はその敷地の取得は、行わないものとする。」と、箱物の禁止についてあえて明記をしております。さきの通常国会でも、箱物はつくらないという旨の大臣答弁もありまして、今後についても十分に担保されていると考えますが、あえて条文に書き込むという形で踏み込んだこうした記載をした理由についてお聞かせください。

吉野議員 お答えを申し上げます。

 本年六月に成立いたしました社会保険庁改革関連法において、年金教育・広報について、いわゆるセンター施設の建設等は行わないことを前提としております。今回の法案では、いわゆるセンター施設の建設、箱物等を行わないことを条文上改めて明確にすることによってこの趣旨を国民に明らかにしようとすることでございます。

林(潤)委員 グリーンピアなどは、国民にとっても一種のトラウマになっているかもしれない事案だと思っています。箱物は絶対につくらないという決意のもと、こうした年金不安に一層こたえていただくようにお願いをいたします。

 さて、参議院で審議をされました民主党提出の国民年金事業費法案について質問をいたします。

 これまでに自民党から四人の委員が質問したことから、これを踏まえて質問をさせていただきます。

 趣旨の説明にもあるとおり、確かにグリーンピアやマッサージ機は論外でありますし、私もけしからぬというふうに思っております。こんな使い方をしたら、どんな国民だってこれは許せない、私もそう思っております。国民の公的年金の不信感を高めた大きな要因になった、これも私も同感であります。

 しかし、趣旨説明にある、流用されたという言葉の主語をたどってみますと、「年金保険料がグリーンピアに代表される不要不急の施設や職員用のゴルフボール、マッサージ機などに使われ、総額で六兆八千億円もの保険料が」と、この「保険料が」というのが主語になりますね。この部分が私はおかしいと思っています。

 六兆八千億円が流用されたとありますが、その全額が流用されたという認識でよろしいんでしょうか。

辻参議院議員 私どもの考え方の基本は、委員御案内と思いますけれども、年金の保険料は年金の給付に充てる、それ以外は使わないということを申し上げているわけでございます。そういった意味で、我々からいたしますとき、年金の保険料を年金の給付以外に充てることを流用というふうに私どもとしては定義をしているわけでございます。そういった意味におきまして、六兆八千億については保険給付以外の用途に使っている、そういった意味合いにおきまして流用というふうに申し上げているわけでございます。

林(潤)委員 まず、この流用をめぐる解釈が、これから後で申し上げますけれども、幾つもあって、そして私たちとも解釈が違うということを指摘させていただきたいです。

 ことし七月に、参議院選用に民主党がつくりましたマニフェストによりますと、「こんなにある行政のムダ!民主党は、全部なくします。」「保険料の流用は、何と何と総額六・四兆円!」と記載されています。これは平成十七年の分だから、恐らく四千億円ぐらい差があるんでしょう。

 ここでお聞きしますけれども、では、一応六兆八千億円で統一させていただきます、この六兆八千億円は、すべて使うべきでなく、必要なかった、無駄だったという認識なのか、それとも、使う必要だったが、すべて税金で賄うべきだったという認識ですか、あるいは、一部に無駄があったという認識ですか。いずれの認識か、お答えください。

大塚参議院議員 まず、結論から申し上げますと、一部に無駄があったという認識だと思います。

 これは、今の辻議員の答弁を補足させていただきますと、私どもとしては、この法案の定義上、保険料を給付以外に使うことをこれまでの審議の中で流用というふうに申し上げさせていただいておりますので、そういう観点で、今、林委員が御指摘になった金額になっておりますが、ここから先も、再三御指摘をいただいている点ですが、しからば、それが全部無駄であったかと言われると、必ずしもそうであったとは思っておりません。したがって、必要なものもその中であったのではないかというふうには思っております。

 なお、最後に、全部税金で賄うべきであったのか、あるいは全部保険料かという趣旨の御質問もありましたが、これも、今後においては、私どもは、今回御提案申し上げている法案にありますように、諸般の事情を考えると保険料で賄わさせていただきたいと思っておりますが、過去において、これがどちらが適切であったかということについてはなかなか難しい点があろうかと思います。もし適正に制度運営がされていたのであるならば、保険料と国庫と相応にシェアをして運営していくということもあながちおかしいことではなかったのではないかというふうに思っております。

茂木委員長 今、保険料と税金、逆に言っていませんでしたか。

大塚参議院議員 逆に申し上げたつもりはございませんが、もし誤解を呼んでおりましたら、そこはしんしゃくをしていただければと思います。

林(潤)委員 今後は保険料も使うということなんですか。

大塚参議院議員 失礼しました。そう申し上げたとしたら、そこは委員長の御指摘のとおり、今後は税金、国庫でということでございますので、おわびして訂正をさせていただきます。

林(潤)委員 すべては無駄ではないという認識については了解をいたしました。

 いろいろ、参議院の方、そして衆議院で先週答弁がありますので、さらってみますと、十一月一日の参議院の厚生労働委員会では、辻議員の答弁では「年金給付以外の支出ももちろん無駄であると、すべてが無駄であるという前提に立つものではございません。」とあります。私は、ここにちょっと矛盾があると思っております。すべてが無駄ではないというのは、これは社会通念的な流用のことを指しているんじゃないかと思うわけなんです。

 提出資料によりますと、「社会通念的には、保険料を、公的年金事業の健全かつ効率的な運営、及び国民の信頼を得るに足る運営に反する費用に充てること」としていますね。これだと、一定の事業運営費には保険料が充てられるかのように解釈ができます。蓮舫議員も、先日の委員会で、田村委員からの、事務費は要らないのかという問いに対しまして、事務費について、要らないとは言っていない、圧縮できると考えていると答えている。ということで、私はこれは矛盾すると思っています。

 参議院厚生労働委員会では、大塚議員は、流用の定義について、これはもう何回も繰り返していることですけれども、「法的には、国民年金及び厚生年金保険の被保険者が納付した保険料を国民年金の給付及び厚生年金保険の保険給付以外の費用に充てること」としています。これは、民主党さんの解釈の中では原則論に立っているものだと思います。これだと、一定の事業運営費にさえ一切保険料を充てることはできないということとなりまして、みずから矛盾する説明を行っているんじゃないか。同じ委員会の答弁でも、辻議員は「先ほどの定義も、一部不備があったかもしれません」と、一日の議事録にそのように記載をされておりました。

 よって、民主党案は、その根幹となります流用という言葉の定義があいまいで、また財源について、これも後で触れますけれども、未確定であり、こうした前提条件を十分に示しているとは言いがたい以上、極めていいかげんで、およそ法案としては成り立たないと私は申し上げたいと思っております。では、趣旨説明に流用禁止をうたいながら、流用の定義やその論理が矛盾しているというのをわかっていて、そしてあえて法案には流用禁止を書き込まなかった、そうじゃないかというような勘ぐりさえ出てきてしまうわけであります。

 こうして、今まで答弁でずっと繰り返してきました、本来の目的が年金給付にあるということにすべて置いているわけですと、いろいろな論点がありましても、そのような答弁をしておりました。私は、これは本来的な目的が合致していればすべてがその答弁で許されるかというと、そうは思いません。看板だけ流用禁止、これはいわゆる流用禁止法案ということですよね。こうした言葉を使いながら、肝心の法案の定義はなく、使用もしていない。これはどういうことでしょうか、その理由をお聞かせください。

辻参議院議員 まず、参議院で提出した資料についてでございますが、社会通念的にはということで、一般的な理解を申し上げているということだと私は思っております。

 それから、六・八兆円については、すべて無駄ではないというのは、現実に今まで年金事業運営をされてきた中で六・八兆円がすべて無駄だったことではない、こういうことを言っているわけでございます。

 それから、なお大事なところは、流用という言葉自体は本法には全く入っていないわけでございます。我々としては年金保険料流用禁止法案という一般名称として使っているわけですけれども、流用という言葉が法案の中には全く入っていない、ここは十分御留意いただきたいと思います。

林(潤)委員 なぜ流用という言葉を本文で盛り込まなかったか、そういうことを聞いているんです。これは整合性がとれないから、法制局で結局入れられなかったんじゃないんですか、この問題は。

辻参議院議員 私どもといたしましては、流用という定義を、年金の保険料は年金の給付以外には充てない、そういった考え方のもとに、それ以外の使途に使うことを流用というふうに定義づけて、これは根本的に持っているわけでございます。ですから、そういった意味を法案にしたのがあれである、こういうことになるわけでございます。

林(潤)委員 やはりこれは法学的な観点からして、私、ちょっといろいろ調べてみたんですよ、こういう法案というのが成立するかどうかということを。

 それで、何冊か読みましたけれども、ちょうど「ワークブック法制執務」という、ぎょうせいから出ている本なんですけれども、「法令、特に法律においてある用語を」「定義するに当たっては、法令の分かりやすさという観点から、その用語が社会通念上有すると認められる一定の内包と外延とを考慮して、通常の用法と著しく異なることとならない範囲で定義するように努めなければならない。」というふうに記載があるわけであります。よって、その解釈に疑義が生じるようでは、何のために定義規定を置いたかわからない。

 ですから、本文の中に何で定義を置かないかというのは、私は本来、やはり流用という言葉を使うんだったら本文でも使うべきだというふうに申し上げているわけです。

足立参議院議員 先ほどの辻議員の答弁で、本法案の中には流用という文言は使っていない、しかるに、今御質問は、その定義規定を置くべきだということと、それが置いてある、それが間違っている、いろいろな使い方をされる、両方御質問があったので、どこに焦点を絞ってお答えしようかと思いますが、私どもの考え方は先ほどから何度も申してありますが、年金保険料は年金の給付以外には使わないということなんですね。それ以外に使うことを流用と申し上げているわけで、では、この法案が成立した場合には、年金保険料は年金の給付以外には使われなくなるわけですよね、なくなるわけですよね。ということは、あえてそれを定義する必要性がこの法案にはないんじゃないでしょうか。私はそう思います。

林(潤)委員 定義をしなくていいというのは、これは無責任でおかしいと思いますよ。やはり法案をつくる上できちんとした原則がなければ、これはかえって、行政にこの解釈というのをゆだねてしまうことになって、本末転倒になると思っています。やはりつくり方がずさんでおかしかったら、これは立法府の出す法律としてはお粗末なものだと私は思いますよ。

 国民からすれば、こうした年金不信があるのは、私たちも同じなんですよ、そういう思いは。それを払拭して克服してきたい。ただ、やはりそれが現実的なものなのかどうかということは、非常に極めて大きな判断となるわけなんです。やはりこんな中で流用禁止という言葉をうたえば、私は、これは、そうだ、賛成だとする国民の方が多いというふうに思います。だから、内容はいかであれ、こうした法的問題さえ無視をしている民主党案というのは、ある意味これは、盛り込まなかったことはPRのためにつくっているんじゃないか、こんなうがった見方もできるわけであります。

 それで、さっきの財源のことに移ります。

 民主党が示した案で、法案の中身で財源が明確にされていないというのは幾度となく指摘があったと思いますけれども、ほかの社会保障の関連予算が果たしてどうなるんだ、いろいろな形を見れば、この二千億の財源をどうやってつくらなきゃいけないか、やはりそういう問題になるわけです。これは、たとえ圧縮するしないにせよ、そういう問題が出てくるわけであります。

 参議院の厚生労働委員会で、厚生労働省の予算二十兆円のうちたった一%であるという趣旨の発言があったかと思うんです。これは、私は危険なことだと思っていますけれども、どういう意味で言っているのか。捻出するのはたやすいというようにも聞こえますけれども、どういう意味でしょうか。お聞かせください。

大塚参議院議員 お答えをさせていただきたいと思います。

 先ほど長崎委員の御質問のときに例示で申し上げましたように、保険料で賄っていた事務費が、例えば一般会計で二千億賄われるということになった場合、今まで一般会計の中にあった二千億は何らかの形で押し出されるわけであります、もし総額を一緒とすれば。そうすると、今の例えば八十二兆という予算の中に、全く効率化の余地や無駄というものがないということであれば、まさしく押し出される予算はどうするんだということになるわけでございますが、私どもとしては、先ほどは防衛省の問題をたまたま一つの例として申し上げましたけれども、まだ予算の中身は精査をする余地があるのではないかという趣旨で申し上げているわけでありますので、一%といっても、絶対額にすれば大変大きな金額でございますので、それを簡単に捻出できるということを申し上げているわけではありませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。

林(潤)委員 この二千億もの巨額な予算を捻出するためには、これをどこからとるかということは、恐らく全体からとか、普通で今の現行制度で考えれば厚生労働予算ですね。そのうちの大体社会保障ということになるんでしょうけれども、今、二十一・五兆円のうち二十・二兆円が年金、医療の給付に充てられていますね。一・三兆円が残っていますけれども、ここから人件費や義務的経費を差し引きますと、七千五百億円程度しか残らないわけです。

 今、税調の方でも、診療報酬のそうした論議でも、二千二百億円のマイナスシーリングの中、どれだけ血が出る思いで、頭を悩ませながら厚労省あるいは与党の幹部が予算を削っているかというふうに考えますと、私は、ちょっと無責任でのうてんきな答弁じゃないかなというふうに考えざるを得ません。

 もちろん、民主党さんが今まで言ってきたことで、命の値段は削れないということを言っていたわけですから、こうした診療報酬や薬価を大幅に切り捨てたりとか優良企業の健康保険組合からさらに保険料を取ろうとか、そういったことは考えてはいないんだろうとは思いますけれども、やはり国民にとっては、どこをどう減らされるかというのは非常に恐ろしいことだというふうに思っています。

 民主党では、財源の二千億について、いろいろなところから無駄をなくすということですけれども、厚生労働予算にも無駄があるとお考えでしょうか。

大塚参議院議員 まず、今の御質問にお答えする前に若干補足をさせていただきたいんですが、林委員の御指摘は大変的確な問題意識で、もし厚生労働省の予算の中から削ろうとすれば、後段の御質問につながりましたように、一体どこに無駄があるんだという話になるわけでありますが、日本の予算編成は省別、縦割りの、つまりシェアが固定化しているというところにも大きな問題があるという認識でもおりますので、必ずしも厚生労働省の中だけで自己完結をしろということを予定調和のように申し上げているわけではございませんので、その点はぜひ御理解をいただきたいと思います。

 その上で、厚生労働省の中にもまだ無駄があると思うかと問われれば、これは例えば介護の世界でも不正請求等の問題もありますし、しっかりと精査をすることで若干の余地はあろうかと思っております。

林(潤)委員 もう時間になりましたので、最後にいたしますけれども、九月三十日付の産経新聞の中に、小沢代表が、九月二十六日ですけれども、「政策決定機関「次の内閣」の会合で「参院選で国民に約束したことを守っている姿を見せることが大事だ。野党なんだから細かい数字など分からないのは当たり前だ」」そういうふうに言って、「十本以上の法案提出にかじを切った」というふうな記載があります。

 今回の法案提出もそんな認識で出しているんでしょうか。これを最後の質問にいたします。

大塚参議院議員 そういう認識ではございません。また、この法案自体は、小沢代表のその発言の以前からしっかり精査をしておりましたので、ぜひとも御理解をいただき、採決をしていただければと思っております。

林(潤)委員 私たちも、年金保険料は給付以外には使わないというこの理念には賛同できるものの、やはり通知を初め年金給付に係る最低限の事務は必要だという認識です。問題の本質は無駄遣いをいかになくすかということでありまして、流用禁止という言葉を趣旨説明でしか使えない、こうした法案について、非常にこれは非現実的で欠陥だらけの内容である、これをつけ加えて、質問を終わらせていただきます。

茂木委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 法案の質問に入ります前に、低年金、無年金対策について副大臣にお伺いをいたします。

 まず初めに、無年金対策といたしまして、年金の受給資格期間短縮の問題でございます。

 近年、公的年金の加入期間が所定の二十五年に足りず、年金をもらえない無年金者がふえていることが指摘をされております。

 社会保険庁の平成十六年度の調査によりますと、六十五歳以上で公的年金の受給権がない無年金者は六十二万六千人に上っております。また、六十歳未満の国民年金未加入者三十六万三千人のうち六・八%が、未加入理由として、これから保険料を納めても加入期間が短く、年金がもらえないためと答えております。

 こうした調査結果からも、受給資格期間二十五年というハードルが未加入者の増加、年金の空洞化につながっているということが言えるのではないでしょうか。

 公的年金を受給するには、国民年金や厚生年金保険加入期間、免除期間などが合計で二十五年以上なければならないわけですが、この二十五年は長過ぎるとの声もございます。例えば、イギリスでは男性十一年、女性九・七五年、アメリカで十年、ドイツ五年など、諸外国と比べても長いことがわかります。派遣やパート、非正規社員がふえている現状を考えますと、年金の受給資格期間の二十五年を短縮すれば、未加入者を減らすことができるのではないか。

 まずは無年金対策の一つとして考える必要があると思いますけれども、副大臣はどのようにお考えでしょうか。

西川副大臣 古屋委員にお答えさせていただきます。

 今、二十五年間の受給資格期間、要するに納める受給資格期間というのは長いのではないかという御指摘でございますけれども、我が国の公的年金制度は一応、この制度は四十年間保険料を納めていただくということを前提として成り立っている制度でございまして、そのために、この二十五年間を確保するために、実は低所得者層の方々に関しては免除制度というのを設けておりまして、所得が低いから払えないけれども、受給資格として、年数としてカウントしますよという制度を設けております。それから、六十歳以上になってもまだ払い続けていいですと。そういう制度をいろいろと利用いたしますと、所得が低いからとかいろいろな条件で二十五年間払えないということはかなりクリアできるのではないか、今のところ、厚生労働省としては、社会保険庁としては、そういうふうに考えているところでございます。

 また、ある意味では、いたずらに年限を短くいたしますと、結局それだけしか年金は出ませんから、低額の年金者をふやすことにつながらないか、あるいは、それまで二十五年間まじめに納めていた人たちとの整合性をどうするんだという、その辺の問題もありまして、かえって年金制度に対する信頼が揺らぐおそれがあるのではないか。その辺のところのバランスを考えまして、今のところ、二十五年間の制度ということを維持させていただいております。

古屋(範)委員 確かに、低額の年金者がふえるのではないか、あるいは公平性の観点から、いろいろな御懸念があることはよくわかりました。

 しかし、国民年金に二十五年加入しても、支給額はわずか月額四万一千円。さらに、国民年金の老齢年金受給者は今約二千百万人おりますが、このうち年間四十八万円以下の方が二五%を占めているわけでございます。四人に一人が月額四万円しかもらっておりません。

 そこで、まずは、受給資格期間の短縮など、未加入者、無年金者をなくして、その上で生活の基本的な支出を賄うことができる対策が必要ではないか、このように考えるところでございます。ぜひ前向きな御検討をお願いしたい、このように考えております。

 次に、低年金者対策といたしまして、保険料納付期間の延長について、続いてお尋ねいたします。

 国民の皆様から数多く伺うお話に、国民年金は生活保護よりもらえる額が少ないとの御指摘がございます。実際、単身の高齢世帯の生活保護費、都市部では月額約八万円となっておりまして、老齢基礎年金満額支給月額六万六千円を上回っているのが現状でございます。

 もちろん、生活保護費と年金は一概に比較できるものではございません。年金受給者から見ますと、地道に四十年間納めてきた、生活保護費より受給額が少ないという現状に心情的に割り切れない部分が残るのもわかる気がいたします。

 そこで、公明党として、取り組むべき喫緊の課題といたしまして、受給額の低さが指摘されている国民年金の充実を提案させていただいております。

 具体策として、まず保険料納付期間の延長。現在、保険料の納付期間は二年間で時効となります。これを五年に延長し、追納できるようにすれば、年金の受給額がふえることも期待をされます。十月の予算委員会で、公明党斉藤政調会長の質問に対しましても、大臣は、検討を続けていきたい、このような御答弁をされていますけれども、ぜひこの早急な検討をお願いしたいと思いますが、副大臣、この点はいかがでございましょうか。

西川副大臣 古屋委員にお答えさせていただきます。

 今、低年金、無年金対策の一環として、確かに、保険料の納付期間を延ばしたら、二年から五年ということでございますけれども、やはりそれだけ追納の機会がふえる、そういう御質問だと思います。国民年金の保険料の事後追納を五年間に延長する、そういう法案が過去に議員提案として出された例もございます。

 しかし、こうした措置について、納付期限を延ばせば、それだけ受給権を得られる者がふえる可能性があるというのも事実なんですけれども、実は、今現在、社会保険庁は、未納問題で大変御迷惑をかけているわけですけれども、そのために、かなり厳しい、所得があっても払わない人、いろいろな人がいる中で、強制徴収という方法を導入するということになっておりますが、そういう強制徴収の徹底などをするときに当たって、二年間の期限をさらに五年に延ばしてしまうと、五年あるんだからといって逃れられてしまう、そういう問題との整合性をどうするかとか、いろいろな問題が含まれておりまして、非常に、これからもう少し深い検討を要する問題だなという思いがあります。

 ただし、やはり未納による低年金、無年金を防ぐにはどうすればいいかということの意識は共通認識でございますので、今後、十分に御意見をちょうだいして、検討課題とさせていただきたいと思います。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

古屋(範)委員 確かに、強制徴収との兼ね合いの問題もございますでしょう。しかし、若いころはなかなか余裕がなくて納めたくても納めることができなかった、年限がたって、今納めたいというような御希望もございます。ぜひ、国民の視点に立った、さらなる拡充の御検討をお願いしたいというふうに考えます。

 続きまして、国民年金基金についてお伺いをしてまいります。低年金対策といたしまして、国民年金基金をさらに利用しやすい制度にするための施策についてお伺いしてまいります。

 国民年金基金、現在は六十歳未満の加入しか認められておりません。二十代、三十代のころは加入できなかった方々も、五十代、六十代には余裕が出てきて、加入したいと思ったときにはもう認められない、残念だという声もございます。また、この制度そのものをなかなか知らないという方も多いわけでございます。そこで、加入年齢を引き上げる見直しを行えば、受給額アップにつながるのではないでしょうか。

 また、現行の国民年金基金、二十歳男性で、月額九千円の掛金で月額三万円の上乗せができます。しかし、月額九千円は若者には多少ハードルが高いということも考えられます。そこで、この上乗せ分は二万円になっても、掛金を月額六千円程度に引き下げる、こうした若者にとっても加入しやすいきめ細やかな対応が必要であると考えます。

 一刻も早く、加入年齢の引き上げ、また掛金の小口化など、実現を図るべきと考えますが、これに関しまして厚労省のお考えをお伺いいたします。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 今の点につきまして、去る五月十八日、古屋委員から御質問があり、私の方から、こうした制度の改善についての研究をさらに行ってまいりたいという旨御答弁申し上げた経緯がございます。その後、十月に御党の斉藤政調会長から私どもの舛添大臣に対して検討の御要請があり、大臣から、そうした提案について現実に検討を指示して、そういう方向で動けるようにやっていきたいという御答弁をさせてもらった経緯がございます。そういう経緯を踏まえまして今の御質問だというふうに理解をしております。

 前置きを抜いてポイントを申し上げれば、制度の普及に向けた改善が重要であるというのは、私どもも共通の認識でございます。御指摘の加入可能年齢の引き上げ、これは法律改正が必要でございます。掛金の小口化、これは各基金等の規約改正が必要でございます。有効な方策の一つではないかという観点から、現在、その具体的なあり方について、国民年金基金関係者とともに私ども当局として検討を進めているところでございます。

 と申しますのも、国民年金基金制度は、御承知のように、私どもが直営でやっているものではございませんで、国民年金基金及びその基金の連合体である国民年金基金連合会が実施主体となっておられるところでございます。それぞれが主体的にその事業として、こうした御提案、検討課題について、与える財政影響をしっかり検討して用意を進めていただくということが大変重要でございます。

 しかも、こうした掛金の小口化等につきましては、いわゆる予定利率の見直しなど、五年に一回財政再計算を各基金が行いますが、そうした時期に合わせて検討することは有益でございます。具体的には、近々で申しますと、平成二十一年度がそうした予定利率の見直し等々のタイミングになりますので、そうしたところに向けて、さらに各基金、連合会における検討も深めてもらいたい。そうした現実の実施可能性とあわせて、私ども政策当局としても具体的な道筋を検討してまいりたい、こんな状況でございます。

古屋(範)委員 法改正あるいは規約改正等が必要である、なかなか難しいということなんでしょうが、やはり国民にとっての年金額のアップ、これは非常に重要な点でございますので、さらに前へ進めていただきたい、このように思うところでございます。

 次に、このたび与党が提出をいたしております厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律案について、副大臣にお伺いをしてまいります。

 私たち与党は、年金記録問題につきまして、政府とともに最重要課題として早期解決に取り組んでおります。

 そこで、今回、与党として、厚生年金の保険料を給料から天引きされていたにもかかわらず、企業が保険料を国に納めなかったために年金を受け取れない従業員を救済する特例法案を提出したところでございます。私も提出者の一人でございます。法案により、年金記録漏れ問題に対処する総務省の第三者委員会が受け付けた事例で企業による保険料の天引きが認められた方々で、現行制度では保険給付を行うことが困難となっている多くの人の救済ができるわけでございます。

 野党の皆様にも御協力をいただき、与党の厚生年金特例法案を成立することが急がれております。そして今、第三者委員会での処理をお待ちになっている多くの方々の年金記録を速やかに訂正し、解決を行うことにより、公的年金制度に対する国民の信頼の確保を図る必要があると考えます。

 この点につきまして、副大臣の御感想、御所見をお伺いいたします。

西川副大臣 まず、このたびの年金の記録問題に関しては、社会保険庁のさまざまな不手際で本当に大変御迷惑をかけていることを私も心からおわびしたい、そういう思いでおります。その中で、この年金の記録問題について、政府・与党挙げてきっちりと、国民の皆様にきちんと説明ができる体制に持っていくということで今努力中でございます。

 その中で、今回の、要するに厚生年金を払っている側からすると、大変理不尽な事態なわけですね。お給料から天引きされているのに、その企業主が、さまざまな事情、あるいは理由はさまざまありますが、きちんと厚生年金を社会保険庁の方に払っていなかったという中でもらえないという事実が出てきたわけですから、これはやはり何とか、今回の問題の解決の中の一つとして大きな問題である、そういう問題意識を持たれて、与党の、古屋先生も御提案者でいらっしゃるということで、同じ共通認識を持たれて議員立法で今回提出していただいたということで、今の法の枠組みの中で考えますと、これをきっちり払うというのは、整合性、今の法の枠組みの中では大変難しい問題があります。

 しかし、現実に今第三者委員会で、例えばいろいろな当時の客観的情報がきちんとそろっていれば特にオーケーだという個人の問題もありますし、今回のような企業がきちんと責任を果たしていなかったということ、そういうことを勘案しますと、今回議員立法でこういう救済措置をしていただくということは、やはり本当にある意味で早急な問題解決に向けてありがたいことだというふうに認識しております。

 その中で、ただし、これはやはり一般の法的な整合性を考えると非常に微妙なところがございますので、今回のこういう事案に限ってということで先生方も御努力いただいたということで、私としても非常に感謝申し上げ、一刻も早い法案の成立を願っているところでございます。

古屋(範)委員 年金記録問題の早期解決に向けまして、この与党提出の厚生年金特例法案の一刻も早い成立を望むところでございます。

 次に、民主党案について質問をさせていただきます。

 民主党提出の年金保険料に関する法案についてでございます。公的年金に関する法案の審議ということで、民主党の年金改革案についても若干触れさせていただきたいと思っております。

 まず最初に、民主党から参議院に「保険料流用の総額」という資料が提出をされております。昭和二十七年から平成十九年の流用総額約六兆八千億円だと書かれていると伺っております。

 そこで、まずお伺いいたします。

 この「保険料流用の総額」という資料に出てくる六・八兆円というのはすべて流用というふうに民主党は主張をしていらっしゃるのかどうか、これについてお伺いをいたします。

辻参議院議員 先ほども御議論いただいたところでございますけれども、私ども民主党が申し上げております流用というものは、国民年金及び厚生年金保険の被保険者が納付した保険料を国民年金の給付及び厚生年金の保険給付以外の費用に充てることと定義づけているわけでございます。

 そのような定義からいたしますと、年金給付以外への保険料の充当は流用となる、こういうことでございまして、委員御指摘の六・八兆円は、そういう意味におきまして、私どもからすると流用に当たる、こういうふうな考え方でございます。

古屋(範)委員 六・八兆は流用であるという今の御答弁でございます。

 また、趣旨説明におきまして、「これまでに国民の皆様からお預かりした貴重な年金保険料がグリーンピアに代表される不要不急の施設や職員用のゴルフボール、マッサージ機などに使われ、総額で六兆八千億円もの保険料が流用されてきたことが明らかになり、国民の皆様の公的年金制度への不信感をさらに強めたことは異論を見ないことだと考えます。」とございます。

 ここでさらに確認をしたいのですが、趣旨説明において批判をされているこの六・八兆円、全額が国民の不信感を高めたと民主党は主張されているわけですが、六・八兆円の中には、住宅融資、また保険料納付書の印刷、郵送費等の経費が含まれております。これらについても国民の不信を高めたとおっしゃるのでしょうか。これについてお伺いをいたします。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

蓮舫参議院議員 これまで流用されてきた六・八兆円の保険料の中には、確かに御指摘をいただきました住宅融資や保険料納付書の印刷、郵送経費、あるいはほかにも年金手帳の作成費といった、こういうものにもお金が使われてまいりました。

 今審議をさせていただいて、こうした事務費を、保険料を財源に使うのか、税金を財源に使うのかというのは考え方が違うところで、意見が分かれるところではございますが、問題は、流用されてきた中で、グリーンピアなどの不要不急な箱物でありますとか、あるいはゴルフボールやマッサージチェアといったものが含まれていた、このことをもってして、国民の間で、これまで一生懸命信頼して納めてきた保険料を一体国はどういうふうに使ってきたのかという不信感がばっと全体に広がったところが私どもは問題だと考えております。

 年金事務費の中で一部合理的なものが含まれているのかもしれませんが、保険料が流用されていること自体に対して国民の皆様方の不信感を結果として買ってしまったものを私たちは問題だと考えさせていただいています。

古屋(範)委員 ただいまの答弁では、事務費とまた年金手帳、それは必要な経費である、先ほどは、六・八兆は流用であると。ここに、どちらなのだろうという、非常に矛盾があるというふうに考えます。

 また、施設関係につきまして質問をしてまいります。

 与党といたしましては、グリーンピアまた福祉施設はもうつくらないということでこれまでも改革を進めてまいりました。そして、六月に成立をいたしました社会保険庁改革関連法案におきましても、施設をするという規定を削除いたしまして、年金運営事業として行うべき事業も真に必要なものに限定列挙する改革を進めております。

 また、民主党も、先ほど御発言されましたとおり、六・八兆円はすべて流用だと主張をされるわけですが、ここで確認をさせていただきたいのですが、民主党は、年金保険料は年金給付以外に使うべきではない、福祉施設もつくるべきではない、こういうお考えでよろしいんでしょうか。

大塚参議院議員 給付以外に使うべきではないというのは、そのとおりでございます。

 後段の部分につきましては、それが本当に必要だということが認定をされれば、別途の対応によって議論をすべき問題であるとは思っておりますが、少なくとも、私どもは給付以外には使うべきではないというふうに考えております。

古屋(範)委員 給付以外に使うことは許さないが、施設は、必要なものはつくっていくというお考えなんでしょうか。

 私たち、今までの議論を聞かせていただいておりまして、参議院におきます御答弁、議事録を読ませていただきました。

 渡辺孝男参議院議員の質問に対しまして、民主党の提案者は非常に興味深い発言をされています。その中で、「六兆八千の中には福祉施設を造るために使われた部分が多々あるわけでございますが、その福祉施設の中には必ずしもそれが無駄であったというわけではないものもある」と述べられています。

 また、二十一日の衆議院厚生労働委員会におきましては、福島委員が福祉施設につきまして質問したのに対して、民主党の提案者から、「その使途がどのような、住民の意見を酌みながら、どういう使途で使っていくということが明示されて、それが納得できるものであれば、そういう使われ方がいいのではないかと私は思っております。」と発言をされています。

 与党としては、もうつくらない、また、既存の施設も含めて徹底した改革を提案し、実行してまいりました。民主党のおっしゃっていること、施設の一部は残してほしいということなのでしょうか。だとすれば、六・八兆円のすべてが流用と主張されていることと矛盾するように思いますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。

足立参議院議員 この点に関しましても何度か答弁しておりますので重なるかと思いますが、要は、私たちが流用と考えているのは、年金の給付以外に使うことというふうに考えております。

 そこで、今まで保険料を使ってつくられてきた、例えば年金福祉施設、先ほど一兆四千億円という話をしましたが、これが無駄であったのか、あるいは納得できるものであったのかということと流用の定義そのものは別問題だと私は考えられると思いますし、一番の例としては、やはり厚生年金病院、これは地元の意向も非常に強いものがあって、では、これも無駄なのかということになりますと、それは、個々の施設の判断というのは個別具体的にあるんだろうと思います。

 これがもう既につくられた後、国有財産であるということですから、先ほどから言っておりますように、それを個別具体的に評価する、そしてどのような処理にしていくかということと保険料を流用してつくられたということは別問題だと私は考えたいと思いますし、二度と目的外の使用はしないということが大事でありまして、そのことを法案として提出した、そういう次第でございます。

古屋(範)委員 無駄ではない施設もある、また、無駄ではない、当然必要な経費もあるという答弁でございます。

 であるならば、六・八兆がすべて無駄ではないという意味ですね。要するに、いかにもこの六・八兆がすべて流用されたかのごとく喧伝される、国民にとって非常に不安をあおるものではないか、このように思うわけでございます。やはり六・八兆という数字の大きさ、これにより非常に惑わされる、そのような思いがいたします。このような六・八兆という誇大宣伝にも似たような内容というものは撤回すべきではないか、私は、今答弁を伺っていてそう言わざるを得ないわけでございます。

 次に、財源の問題について議論をしてまいります。

 民主党の法案を拝見いたしますと、単に財源を保険料から税財源につけかえているだけではないのか、財源つけかえ法案とでも呼ぶべきではないかというふうに考えております。しかも、どうもこのつけかえ先の財源については全くめどが立っていない、このような印象がございます。

 これまでの議論を勉強させていただきましたけれども、二千億の具体的な財源について民主党から全く示されておりませんでした。参議院第一党の責任を担うべき政党が提出した法案ですので、これは非常に驚きでございます。このように大きな財源が必要となる法案であれば、本来は、具体的な財源を示しながら法案を出すというのが責任のある態度ではないかと思います。

 また、民主党提案者からは、予算編成前に予算措置が必要な法案が成立すれば、当然、その編成過程で対応するのが政府の義務という御発言もございました。また、先ほどから多くの委員が指摘をしていらっしゃいますように、このような御答弁もございました。基本的な対応の仕方としては私どもは五通りあるというふうに思っておりまして、一つは、先ほど申し上げましたように、例えば、この法案が成立をさせていただいた場合には、これは、予算編成前に予算措置が必要な法案が成立すれば、当然、その編成過程で対応するのが政府の義務でございます、このような御答弁もございました。

 法案を提出している以上、財源のめどをつけるのは提案者の義務ではないかと思います。法案の提案者から、財源も含めてしかるべき提案がされて国会で審議もされ、成立すれば政府も真摯に対応するというのが筋ではないかというふうに思います。そもそも、提案も十分にされていなくて、なぜ政府が対応しなければいけないのか。

 さらに驚きましたことに、提案者からは、必要な所要の予算措置については、ぜひ与党の皆様方の御協力もいただいて対応してまいりたい、あるいは、もしこの法案を万が一お認めいただければ、それは編成の過程で捻出すべきものと思っておりますというような答弁がございました。

 そこで、確認をさせていただきます。

 民主党は、法案については、成立の見込みがないので、財源の確保の見込みが全くなくても、とりあえず法案を提出したということなのでしょうか。十分な検討がなされていない法案になぜ与党も協力しなければいけないのか、これは非常に理解に苦しむところでございます。財源問題についてまじめに検討をしていただきたい。

 政府の義務あるいは与党の協力を得てということなく真摯な姿勢をお示しいただきたいと思いますけれども、この点、いかがでございましょうか。

大塚参議院議員 財源については再三御質問をいただいておりますけれども、私どもが申し上げております、予算措置が必要な成立した法案と予算編成の事務プロセスとの関係についての発言は首尾一貫をしておりまして、間違っていないと思っております。ちなみに、もし予算措置が必要な法案についてすべて事前に予算対応が必要だということであれば、過去の政府の、内閣法制局長官の答弁を変えるということにもなるわけでございます。

 再三の御質問でございますので、少し敷衍をさせていただきますと、国会は国の唯一の立法機関として法律を制定する機能を有しておりまして、これは、憲法に違反しない限りにおいてはどのような内容の法律も制定することは可能でございます。一方、内閣は法律を誠実に執行することをその職務としておりますので、議員立法を含む国会で成立した法律について、内閣の責任において予算措置その他の措置を講じて、これを誠実に執行していただくべきものと思っております。

 そうした観点から、例えば昭和六十年の第百二回国会の参議院における内閣法制局長官の答弁では、例えば法律で一定の予算を確保すべき義務があるというような規定がありました場合には、その裏づけとなる予算が組まれていないということであれば何らかの方法で予算的な措置を講ずる必要がある、これは一般論としては当然のことでございます、こういう御答弁がございます。

 私どもは、そういう考え方に基づいて今回真摯に御提案を申し上げているわけでございますので、もし、すべての予算措置が必要な法案について事前に予算を確保して提出をするというふうに、御方針を政府・与党が変えられるということであるならば、そのような考え方でこれから議論をさせていただきたいと思っております。

古屋(範)委員 では、さらに財源問題についてお伺いをしてまいります。

 参議院の質疑では、財源について幾つかの対応策をとるものと主張をされておりました。その中身も何度も出ておりますけれども、大塚議員から、一つは既定経費の節減、二番目は予算編成過程での要求節減、三番目は政府関係機関の国庫納付金の増額、四番目は特別会計剰余金の増額、五番目は特別会計積立金からの繰り入れ、そして六番目には政府保有有価証券の売却、七番目に日銀保有有価証券の売却、八番目に年金の特別会計からの借り入れないしは積立金の運用、九番目に過去何度も成立をし施行されております財源確保法などによる法的担保などを考えているというお答えでございました。

 また、辻議員の御答弁でございますけれども、一般会計における当初予算の予備費の不用額は、十八年度で三千二百一億円、十七年度で二千三百九十二億円、十六年度で二千三百九十三億円云々、これらは、政府みずからの会計処理でも当初に過大な予算計上をしていたとみなされるべきであり、これはすなわち、歳出の徹底した見直しを行えば必要な福祉施策等を後退させることなく財源が捻出できる、このようにお答えになっていらっしゃいます。

 この予備費を財源にすればよいという議論につきまして、非常に驚いたわけでございます。予備費というのは災害を初めとする想定外の事態に対応するための経費でございます。本来余って当然の経費であり、むしろ災害等が起こらず予備費が余ってくれてよかったというのが予備費の本質ではないかと思います。逆に、いざというときには絶対になければ困るのがこの予備費であります。こういう性質の予備費を財源として見込むべしという御主張、私は理解ができないわけであります。

 改めてお伺いいたしますけれども、この予備費を財源に振りかえるというお考え、本当に妥当だとお考えなんでしょうか。災害、想定外の事態が起きたときにどう対応されるのか、この点についてお伺いいたします。

大塚参議院議員 繰り返し、参議院からの一連のこの答弁については、予算編成の過程でのバリエーションとしていろいろ御提示を申し上げているということを御説明させていただいております。

 そして、我々は、先ほどの内閣法制局長官の答弁なども踏まえ、一般論として、やはり予算対応が必要な法案が可決された場合には、従来の政府・与党の考え方を踏襲して、予算編成の過程で対応するということを申し上げているわけでございます。

 そうした中で、予備費の議論も例えばということで出たわけでございますが、予備費はあくまでも予備費でございますので、最初から予備費を念頭に置いて予算措置を行うべきではないというふうに考えております。もっとも、予備費の執行状況や決算時の不用額なども精査して、財源確保の一助とする努力は行わなければならないというふうに思っております。過去において、予備費がまだあるのでということで安易な予算支出が行われていなかったか等々についても十分に精査をして、そういう余力を確保するべきだというふうに思っております。

古屋(範)委員 やはりこの予備費を財源として見込むというような答弁は不適切ではなかったか、私はこのように考えざるを得ないわけでございます。

 次に、民主党が主張されているキーワード、信頼回復だというふうにおっしゃっているわけなんですが、この信頼回復という観点について議論を進めてまいります。

 趣旨説明やこれまでの議論で、無駄遣いの例として、グリーンピアに代表される不要不急の施設、職員用のゴルフボール、マッサージ機などが挙げられてまいりました。御指摘の無駄遣いについては与党としてもさまざまな議論をいたしまして、社会保険庁の問題についてかなり改善を図ってきたところでございます。先ほど民主党の趣旨説明等で挙げられた無駄遣いについても、与党からの積極的な働きによって改善が進んできたというのが現実ではないかと思っております。

 そこで、提案者に確認をしたいのですが、無駄遣いの代表例として民主党も挙げられていらっしゃるこのグリーンピア等の施設、ゴルフボール、マッサージ機については、現在、このほかにどういう無駄遣いの問題が残っていて、どう対処されていこうとしているのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。

蓮舫参議院議員 確かに、国会においてさまざまな与野党の議論を経まして、無駄遣いをなくすための努力はこれまでもなされてきたところではございます。そのこと自体は全く否定はしません。

 ただ、やはり事務費を見てみますと、特に中でもコンピューター経費に係るものは、情報公開がまだまだ不十分なところもありますし、本当に適正な額なのか。

 例えば二十年度の概算要求で見ますと、保険料を財源にして賄っております社会保険オンラインシステム費、これは年金の裁定ですとか支払い、年金相談等に係るシステム経費として千二百六十八億円が計上されております。ここについて、これまでオンラインシステム費は保険事業運営に直接かかわる事務費と福祉施設費の両方で処理をされてきたところでございます。十九年度予算は千百七十三億円なんですね。

 ところが、国税庁の国税総合管理システム、同じ十九年度予算を見ますと何と三百六十億円。これはもう三分の一の額なんですね。さらに言いますと、社保庁の大型コンピューター五台のレンタル料は十七年度決算で百七十五億円ではございますが、国税庁のそれは十台で百八十一億円、一台当たり倍の費用がかかっているところでございます。

 社会保険庁は、これまで国内のメーカー特定二社だけにずっと随意契約の事業発注を繰り返して、これまで総額一兆七千億円ものお金を注いでいるんですが、この契約額が本当に適正なのか、今挙げさせていただきました国税との比較を見ましても、まだ私どもはここには無駄があると考えております。

 ぜひここにおいては、与野党問わず、無駄遣いをなくすためにも御努力、御協力をいただければと思います。そして、私どもの法案を採決していただければと思っております。

古屋(範)委員 時間でございますので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

茂木委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 まず最初に、検証委員会が十月三十一日に終了し、大部な報告書をいただきました。責任問題や、なぜこの問題が起こったのかというさまざまな究明と同時に、五千万件の記録、これがどのような性質のものであるか、その属性を明らかにする試みがされたと思います。

 そこで、サンプル調査によって明らかにされているわけですが、この五千万件の通算加入期間がどのようなものであったのか、また、それにより受給に結びつく可能性がどの程度あると推察されるのか、まず伺います。

関政府参考人 お尋ねのサンプル調査結果における加入期間でございますけれども、一年未満の記録が三九%、一年以上五年未満の記録が三四%、五年以上十年未満の記録が一二%、十年以上の記録が一〇%となっております。このように、一年未満のものが約四割を占めるわけでございますけれども、一方で、五年以上のものも約二割あったということでございます。

 また、お尋ねのサンプル調査でございますけれども、年金記録問題検証委員会が、基礎年金番号に未統合となっている約五千万件の年金記録について、問題の発生の経緯、原因等を調査する観点から、未統合の原因となっている氏名、生年月日の正確性や生存している者の記録、死亡している者の記録の割合などについて調査したものでございまして、受給に結びつく割合がどの程度となるのかまでの調査は行っておりません。

高橋委員 調査を行っていないのは十分わかって、その上で伺っています、推察ですので。いかがでしょうか。

関政府参考人 年金給付に結びつくかどうかという点につきましては、被保険者期間数がどのくらいあるかということで、期間数を満たしているかどうかということも問題になりますので、実際には、個々の御本人から実際に統合された後の状況というものも聞かなければ正確なところは出せないというふうに思っておりまして、軽々に推測することは差し控えさせていただきたいと思います。

高橋委員 この報告が出されたときに、四割の不明の記録があるということがまずすごくセンセーショナルに報道されまして、そのことに大変衝撃を受けたわけですけれども、一方で、一千万人近い方が亡くなっているのではないかとか、あるいは、明らかに生存の可能性が高く記録に結びつく可能性のある方が三割を超えているですとか、さまざまなことがわかってきた。しかも、その上で、今お話しされたように、五年以上の方が二割以上いるということを考えれば、このことが本当に早目にわかっていれば、もっともっと多くの方が記録に結びつき、受給に結びついたんだということ自体は、まず本当にわかることであるし、また、そのことの解明が急がれると思うわけです。

 それで、六月十四日の第一回の検証委員会があったときに、会見で座長が、五千万件の問題は、年金記録問題の上に黒い雲のように覆いかぶさっているので、それを国民にわかりやすく示したいというコメントをされております。黒い雲のようにという、これはなかなかの表現だと私は思いました。座長はこの大変な問題に挑む相当の決意をされていた、国民の前にかなりこれがクリアになるということを期待し、決意もされていたのではないか、こんなふうに思うのであります。

 ところが、十月三十一日の第十一回検証委員会を終えて、これで検証委員会は終わりですよというときに、記者から今私が述べたコメントについて指摘をされると、その他の記録が残ってしまったのは事実だが、社会保険庁が努力して解明していただけるものと期待をしているとコメントをされております。

 余りに長い時間放置されてきた問題のツケと検証委員会に与えられた限られた時間のはざまで、座長の無念の思いが伝わるような気がいたしますが、検証委員会は当初の目的を果たしたと言えるでしょうか。

関政府参考人 ただいま委員から引用していただきました座長の発言でございますけれども、年金記録問題検証委員会といたしまして、限られた時間の中で、五千万件の問題についてかなりのところまでその内容が解明できたこと、また、残った部分につきましても、社会保険庁においてさらに努力して分析していただければ相当程度まで解明されるものと考えられることから、当初の目的は達成できたとの認識を示されたものと理解をしております。

高橋委員 当初の目的は達成できたという今の答弁と座長のこの会見とではかなり違うかなと私は率直に指摘をさせていただきます。

 今後の教訓ということを見ますと、さまざまな、職員などにもヒアリングをしながら、原因究明に迫っておきながら、最終的には非常に、大変申しわけありませんが、ありきたりな教訓にならざるを得ないな、ここが限界なのかなと。あるいは、最初の記者会見のときには、歴代大臣にもヒアリングをしますかということに対して、聖域を設けない、そういう指摘をされておりましたけれども、結果として、大臣までは全く報告が上がっていなかったのだから、やる必要はなかったということが結論だったわけで、そうした点で、時間を急ぐ余りに本当に核心に迫ることができたのだろうかということは、やはり謙虚に受けとめる必要があるのではないかなと。

 私は、もちろん第一義的に総務省に責任があると思っているわけではありませんので、その点にもう少し期待をしたかったということをあえて述べさせていただきました。

 結果として、振り出しにまた戻るわけですね。さっき言ったように、社会保険庁に努力して解明していただけるものと期待しているということで、ボールは社会保険庁にまた返ってきてしまった。

 そこで、社会保険庁は今、満身創痍の状態ではないか。年金記録の問題での解明作業、相談作業、そして一方では解体に向けての作業も進行中であります。既に退職希望者がふえているという報道もございますが、昨年来、退職者がどのようになっているのか。記録問題にかかわる相談、調査、あるいは第三者委員会への出向など、体制強化が必要な中、いわゆる欠員についてはどのような体制をとっていますか、伺います。

吉岡政府参考人 社会保険庁におけます退職者の動向についてのお尋ねでございます。

 社会保険庁の定員は、平成十九年度の定員一万六千八百二十二人でございますけれども、この規模の中で、いわゆる退職者数、この中には定年退職者数、それから勧奨退職者数あるいは自己都合退職者数を含みますけれども、平成十八年度一年間におきまして五百九十八名、平成十九年度上半期、この半年間でございますけれども、五百七名ということで、増加をしております。このうち自己都合等によります退職者数につきましては、平成十八年度一年間が三百九十一名、平成十九年度同じく上半期で三百十七名ということになっております。

 この結果、定員割れという事態が生じておりますので欠員の補充ということが必要でございますけれども、今年度、人事院とも協議いたしまして、国家公務員の試験合格者の中から年度途中において採用するということで取り組んでおりまして、これまでのところ、約四十名程度の採用を実現したところでございます。

 なお、今年度中において、さらに三、四十人程度の採用を目指したいと考えております。

 また、こうした取り組みによりましても補充できないこともありますが、これにつきましては、民間企業経験者等からの選考採用ということも実施するなどして体制を確保してまいりたい、このように考えております。

高橋委員 今の、上半期だけで五百七名退職しているのに年度途中の補充が四十名ということでは、非常に大変な状態だなということがまず一つわかりました。また、上半期で一年分近い方が既にやめている、自己都合で比較しても、昨年が三百九十一名に対してことしの上半期で三百十七名ということ、これは非常に深刻な数字ではないかなと思うんです。

 大臣、大変申しわけありませんが、今の数字の感想も聞きたいと思っております。昨年一年分に匹敵するだけの方が既にやめているという状況がまず一つございます。

 社会保険庁に残された宿題は大変重いものがあり、年金記録の重大性について検証委員会からも改めて強調されたところであります。そういう中で、仮に名寄せ作業が来年三月までに終了し、すべての加入者に記録の通知を送ったとしても、その後、本人から申し出があり、記録が統合されていくという作業が、年金機構に移行するあと半年ですべて可能でありましょうか。少なくとも記録問題の管理が終了するまで社会保険庁の解体はするべきではないと思いますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 高橋委員に少し整理してお話し申し上げたいと思います。

 今やっていますのは、ことしの七月五日に政府・与党で決めました工程表に基づいて、つまり二十年三月までには名寄せをする。それは、五千万件の記録で名寄せを実施して、記録が結びつく可能性のある方にまず送ります。それから、そうじゃない方は、来年の十月までに記録の確認のために同じようなお知らせをお送りする。

 先ほど、実は、ねんきん特別便を十二月からお送りするということで、電話番号について私はフリーダイヤルと申しましたけれども、ちょっと訂正させていただいて、ナビダイヤルと申し上げるべきでありまして、これは市内通話料のみの御負担をしていただくということでございます。

 それから、年金記録の確認の第三者委員会についても言及なさいましたけれども、この確認についてもきちんと行います。

 そして、実は午前中に政府参考人がお答えしたことなんですけれども、年金時効特例法の施行前に再裁定を受けた方のうちで年金時効特例法の対象となる方には、あらかじめ必要な事項を印字した手続用紙を毎月お送りしているんですが、この送り方が非常に遅いということでありましたので、今年度末を目途にシステム開発をしろということを先ほど指示を出したところでございまして、このシステムが完成すれば、二十五万人と言われているこの人たちに、ほぼ一年を目途に手続の用紙を送ることができると思います。

 そして、こういう作業を続けていく。これは法律で日本年金機構に移るということが決まっていますし、しかし、社会保険庁であれ、日本年金機構であれ、国が最高の責任者としてきちんと管理をいたしますので、組織がかわって、さらに新しく、きちんとできる組織にかわります。したがって、高橋委員のおっしゃるような懸念はないと思います。

高橋委員 整理をしますけれども、組織がかわってもまだこの記録の作業は続いている、まず、そのことでいいですね。

舛添国務大臣 先ほど申し上げましたように、やってみると本当にいろいろなケースが出てくる、旧台帳まで見ないといけない、それでもわからない。そうすると、厚生省の中でも、戦争中の記録は援護局が扱っている、こういうところまではかってみるというような作業をして、粘り強くやっていかないといけない。そういう意味では、いろいろな作業は続いていくというふうに思っています。

 ただし、基本的には、ことし七月の政府・与党の工程表に基づいてやるということが基本でございます。

高橋委員 前国会の議論を繰り返すつもりはないんですけれども、まさに午前中から言われていた大臣の意気込みの話になってしまうと思うんです。作業は当然続きます。そして、送ってからでも、すぐに返事を返す人は多分いないと思うんですね。さまざま、それも何度もやりとりしてわかっていくという点では作業は続くということが今わかった。

 でも、組織はかわっても厚労省が責任を持つんだということは、新しい機構においては今までとは違うんです。そのことを、だから、機構にかわる過程において大臣の責任がどこにあるのかとか、あるいは、公が分担する分野と、ほとんどが委託、外部委託になりますから、そこで大臣がどれだけ責任を持てるかという議論を前国会でやりました。そういう中で、ほとんど実は明らかではないわけですね。そういう中で、そこまで言い切ることができるかということを私は指摘しています。

 ですから、これは確かに法律で決まったことだけれども、本当の意味で国民に責任を果たすというのであればこれは凍結をすべきだ。私たちは、解体はもともとすべきでないと思っています。しかし、少なくとも凍結をすべきだということを指摘しておきたいと思います。

 次に、続けますけれども、今回の与党案では、事業主に保険料納付を勧奨し、払わない場合は公表もするけれども、それでも実質納付されない場合、保険料相当額を国費で充当するとしています。こういう表現でよろしいでしょうか。そうすると、保険料と給付というのは、収入と支出はイコールではございませんので、そういう中で、相当額ということにこだわる、つまり、厳密に、払った分を国費で払う、その意味を、なぜなのかということを伺いたいと思います。

大村議員 お答え申し上げます。

 今回の私どもの提案の厚生年金の救済のための特例法案は、年金制度の枠組みの中で、厚生年金の記録を復活といいますか救済をするということでつくらせていただいております。

 したがって、本人から年金保険料の天引きがあったにもかかわらず事業主から国に来ていないといったものにつきまして、法律の構成上は、保険料は二年間の時効がかかりますが、それを超えて納付ができるという道を開いて、そして納付をしてもらって、さかのぼって納付をしてもらって、そして、従業員の方の年金の給付に結びつけるという構成をしているわけでございます。

 したがって、まずは、私ども、事業主を徹底的に追っかけて、年金保険料を払っていただくということにさせていただきますが、それがわからない場合、どちらが払ったかわからない場合とか、それでも難しかった場合などは、まず、従業員の方の厚生年金の記録の訂正、救済を優先し、その上で、どうしてもできなかった場合は国庫で負担をするという構成をしております。ですから、年金制度の中でこれを救済するということでございますので、そういうことで御提案をしているということで御理解いただければというふうに思っております。

高橋委員 救済を優先させるという考え方には私は賛同しているわけであります。

 ただ、ずっとこの間、財源はどうかとか、あるいは負担と給付のバランスですとか、そうしたことが繰り返し議論されてきていたので、当たり前のことかもしれませんけれども、あえて質問させていただきました。

 なぜなら、保険料というのは掛け捨ての部分もございます。払ったのに給付に結びつかない。つまり二十五年ルールがございますので、そのために給付に結びつかない方もいらっしゃいます。また同時に、支出の面でいいますと、先ほど来議論されていますが、保険料の財源によってさまざまな運営経費を出すのだとおっしゃっているわけですね。また、国庫負担がもともとある。そういう中で、厳密に保険料相当分を払う必要があるのかなというふうに思ったからでございます。

 そこで、私が言いたいのは、それ以上聞く必要はないんです。つまり、負担と給付のバランスとか、負担なくして給付なし、これは大村議員がおっしゃいました。そういう言葉がこの間、使われてきたんですけれども、だったら、負担あって給付なしという問題になぜ焦点が当たらなかったのかな、そういう率直な疑問を感じるわけであります。先ほど古屋委員の御指摘もありましたけれども、年金の信頼という点で、もっともっと、頑張って払ってきたことが給付に結びついて報われる、そういう方向にすべきなのではないかと思います。

 先ほどの検証委員会のデータで見ても、今の消えた記録の中でも、五年以上掛けている人が二一・九%もいらっしゃる。そのうち、二十五年以上も一%いるわけですね。そういうことを思ったときに、そのデータが結びつくことでもらえるかもしれない人がいるんだということが見えてくるし、あるいは、十年でよいのであればもっと熱心に当事者も、自分は受給できると思うかもしれないし、あるいは社会保険庁の方であっても、もっと多くの人が救済されるんだということに目が向くわけですね。そういうことを思うわけであります。

 そこで、まず伺いますのは、掛け捨ての方たちがどのくらいいて、給付に結びつかない保険料は一体どのくらいあるんでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 無年金者の数の推計ということでお答え申し上げたいと思いますけれども、抽出調査であります平成十六年公的年金加入状況等調査によりますと、六十五歳以上のそうした状態にある方といたしまして約六十三万人、これを世帯単位で見た場合には、無年金である方は約四十四万人という数になるというふうに承知しております。

 それからまた、社会保険庁が保有しております納付記録等のデータ集計の方法によりましてまた別の集計をしてございまして、こちらの方の数字でございますと、十六年の数字になるわけでございますけれども、二十歳以上五十九歳以下の無年金の状態にある方々、推計でございますけれども、およそ三十九万人、それから六十五歳以上の方々は四十万人、こうした二つの数字、合計で七十九万、約八十万という数字になるわけでございますけれども、要するにそういう状態の数値があるというふうに承知しているわけでございます。

 ただし、今申し上げた二つの数字を合算した約八十万の数値につきましては、六十歳から六十四歳までについては把握ができておりません。そういうような改善すべき点も多くございますので、現在、その全体を把握できるように作業中でございます。

 それから、保険料の額の方でございますけれども、大変恐縮でございますけれども、そのような集計をする仕組みを持ち合わせてございませんので、お答えすることができないことを御理解いただきたいと思います。

高橋委員 今お話ありましたように、全体を把握できていないそこの部分について、ぜひ調査の上、御報告いただきたいと思います。

 今の、間がちょっと欠ける、六十歳から六十四歳までの方が欠けるわけですが、八十万人の無年金の方がいるであろうという御報告でした。また、最初の、公的年金加入状況等調査ですかの中でも約六十三万人、この数字も、三年前と比べて二万四千人ふえているわけですね。

 このように、直接、本当の実態にはまだ迫り切れない数字ではあるけれども、いずれにしても、ふえていることは事実です。しかも、今の若い皆さんの働き方、非常に不安定な雇用の働き方を見ますと、この数字はもっともっとふえていくということが当然推察されると思いますが、いかがですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員おっしゃるように、十六年の数値以降の就業状況、あるいは年金各制度に加入するその状況、そうしたものを勘案いたしますと、正確なところは、また新しいデータをにらみながら申し上げるべきところではございますけれども、全体の姿としては、その数はふえる方向で推移しているのではないかというふうに思っております。

高橋委員 そのことを踏まえて大臣に伺いますけれども、やはり実質納付率が五割を切っているもとで、年金制度への信頼を高め、納付率を上げていく、また、年金の支え手をふやしていく、そういう意味でも、私たちは、二十五年掛けなければ一円ももらえない年金制度を改めて、せめて諸外国並みの十年にするべきではないかということを重ねて主張してきました。この点を検討する考えはないか、伺います。

舛添国務大臣 今の高橋委員の意見もいろいろなところからお伺いするところであります。ただ、すべての政策、制度変更には、それはメリットとデメリット、いい面と悪い面があります。

 それで、やはり受給資格期間が短くなると年金額が非常に低くなる、これにどう対応するかという問題がありますし、それから、みんなこつこつ二十五年以上納めてきた、そういう方に対して、では、急に短くていいということをどう説明するか、そういう意味でモラルハザード的な面もあります。

 それから、そのほかいろいろな問題点があるということとともに、ただ、二十五年の受給資格期間を満たすためには、例えば、非常に低所得などで困難な方には免除期間を受給資格期間に含める制度とか、六十歳以上でも任意加入できるという道がありますので、そういう手もありますので、今のところは、全体的に考えて、やはりバランスということを考えれば、二十五年ということをそう軽々に変えるということはいかがなものかなという感じがしております。

 しかしながら、そういう議論をきちんとやっていくということは、私は、それは十分やるに値することだというふうに思っております。

高橋委員 今述べられたデメリットの部分は乗り越えられるものだと私は思っております。

 先ほどの十六年度の年金加入状況等調査の中で、第一号未加入者が未加入になった理由については、制度の仕組みを知らなかったと、加入したくないという方がほぼ半々なんですけれども、私は、その中で、今後の加入意思のある方が二一・六%いらっしゃって、二十代の方が六割以上、これは当然なんですけれども、五十代でも、五十歳から五十四歳が一七・九%、五十五歳から五十九歳が一四・六%というように、あとわずかな方たちでもやはり加入意思があるんだというところは非常に重要だと思うんですね。

 いろいろ今信頼が欠けてきているわけですけれども、やはり老後の支えは年金しかないんだという思いは一方ではあるんだ、その声にこたえていくために前へ踏み出すべきではないか、このことを指摘して、終わりたいと思います。

    ―――――――――――――

茂木委員長 この際、大村秀章君外六名提出、厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律案に対し、山田正彦君外一名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。山井和則君。

    ―――――――――――――

 厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山井委員 私は、ただいま議題となりました与党提出、厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律案の民主党修正案につきまして、提案者を代表して、提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 昨年十二月、長妻昭議員が、年金記録問題について加入者全員の納付記録を緊急にチェックしてもらうべきだと訴えてから、間もなく一年になります。民主党の指摘により、年金記録問題の解決に向けた取り組みは行われつつありますが、その歩みは遅々としており、全面解決のめどは全く立っていません。

 その取り組みの一つが、社会保険庁に保険料の納付記録がない方の救済を進めることを目的とした年金記録確認第三者委員会の設置です。しかし、十一月十八日現在、申し立て受け付け件数は二万七千件に上る一方、あっせん件数は五百三十五件で、わずか二%にすぎません。今でも申し立て件数が日々ふえていくことが想定される中で、一体、すべての方の納付記録が確認されるのはいつになるのか、被害者の方々は途方に暮れる思いでおられると思います。

 そして、この第三者委員会において判断保留とされているのが、従業員として年金保険料を給料から天引きされていたにもかかわらず、事業主が社会保険庁に保険料を納付したことを確認できないという事案です。このたび自民、公明両党より提出された法案は、こうした方々の救済を目的とするものであることから、その趣旨に反対するものではありません。しかし、被害者救済のためとはいえ、責任を放置したままに安易に税金を投入することは、国民の理解を得られないと考えます。

 このような観点から、幾つかの問題点があるのではないかと考え、修正案を提出することにいたしました。

 以下、民主党の修正案について御説明申し上げます。

 与党提出法案は、第三者委員会において、御本人は保険料を源泉控除されているが、事業主の納付が確認できない旨の意見があった場合、社会保険庁長官は、この意見を尊重し、事業主に保険料を納付してもらうよう勧奨するという仕組みになっています。そして、事業主が保険料を納付しない場合に、国が税金で保険料相当額を負担するものです。

 この与党提出法案の問題点は二つあります。

 第一には、与党法案では、事業主が保険料を納付していないことが明らかであるにもかかわらず、その事業主があくまでも保険料の納付を拒否し続けた場合、国が税金によって保険料を肩がわりすることになり、事業主の逃げ得を許してしまうという点です。

 第二には、第三者委員会において御本人の保険料納付が確認できれば記録の訂正を行うということになると、そもそも、記録が失われている責任が社会保険庁側にあるのか事業主側にあるのかがあいまいにされかねない点です。うがった見方をすれば、責任の明確化は手間がかかることから中途半端に終わり、第三者委員会や社会保険庁が安易に特例法案に逃げ込むことになるのではないかという懸念さえあります。

 そこで、民主党は、この二点への対策として、国が保険料相当額を負担した場合には、もともと従業員御本人が事業主に対して有していた民事上の請求権を国に移すこととしています。これによって、国が負担した額を限度として、事業主に対する損害賠償請求権等を代位することができ、事業主の責任の明確化につながるものと考えます。また、第三者委員会において調査審議したそれぞれの事案において、年金記録が失われている責任がどこにあるのかを明らかにするため、事業主が保険料を納付した件数や国が負担した保険料相当額の金額などを国会に報告することを定めています。

 以上が、与党提出法案に対する民主党の修正案の提案理由及びその概要であります。

 議員各位の御賛同をお願い申し上げます。

茂木委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

 参議院の発議者は退席いただいて結構です。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

茂木委員長 第百六十四回国会、中山太郎君外五名提出、臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案及び第百六十四回国会、斉藤鉄夫君外三名提出、臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両法律案につきましては、第百六十六回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、中山太郎君外五名提出)

 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、斉藤鉄夫君外三名提出)

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木委員長 この際、両法律案の審査に関し、臓器移植の実施状況等について舛添厚生労働大臣より説明を聴取いたします。舛添厚生労働大臣。

舛添国務大臣 臓器の移植に関する法律に基づく臓器移植の実施状況等について御報告いたします。

 初めに、臓器の移植に関する法律につきましては、平成九年に法律が施行されてからことしで十年を迎えます。この間、臓器を提供された方々及び移植医療の普及に取り組まれた関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

 まず、移植希望登録者数は、本年十月末現在、心臓は九十五名、肺は百二十七名、心肺同時は四名、肝臓は百七十五名、腎臓は一万千七百二十六名、膵臓は二十五名、膵腎同時は百二十六名、小腸は一名となっており、角膜は、本年九月末現在、三千三百三十四名となっております。

 また、法施行から本年十月末までの移植実施数は、脳死下及び心臓停止下における提供を合わせて、心臓は四十九名の提供者から四十九件の移植が、肺は三十五名の提供者から三十八件の移植が、肝臓は四十一名の提供者から四十五件の移植が、腎臓は八百六十八名の提供者から千五百九十一件の移植が、膵臓は四十四名の提供者から四十四件の移植が、小腸は三名の提供者から三件の移植が、角膜は九千四百六名の提供者から一万五千三百三十五件の移植が行われております。これらの提供者に対しましては、厚生労働大臣名により感謝状を差し上げております。

 なお、法施行から本年十月末までの間に、法に基づき六十三名の方が脳死と判定されております。

 次に、臓器移植の推進は重要な課題であることから、厚生労働省では、社団法人日本臓器移植ネットワークとともに、臓器提供意思表示カード等の普及を図っております。また、本年三月から社団法人日本臓器移植ネットワークにおいて、インターネットを活用した臓器提供意思登録システムの運用を開始したところであり、今後とも、臓器移植の普及啓発に努めてまいります。

 そして、関係審議会及び脳死下での臓器提供事例に係る検証会議におきまして、本年十月末までに、一例目から四十二例目まで及び四十四例目から四十六例目までの事例並びに平成十一年九月の脳死判定中止事例の検証を行ったところでございます。

 また、平成十一年九月に厚生科学研究事業により、法的脳死判定を行う際に守るべき事項、適正な判定を行うための方法等を簡潔にまとめた法的脳死判定マニュアルが取りまとめられており、法的脳死判定の個々の検査の手法についてはこれに準拠することとしております。

 なお、昨年十月、生体腎移植に関し、臓器移植法第十一条違反により、被疑者が逮捕、起訴されるという事件が発生しました。また、同年十一月には、疾患の治療上の必要から摘出された腎臓を移植に用いた事例があることが明らかになりました。

 これらを受け、臓器の移植に関する法律の運用に関する指針を改正し、生体からの臓器移植の取り扱いに関する規定を新たに設けたところであり、今後とも適正な臓器移植の実施を図ってまいります。

 また、平成十八年五月に実施されました第四十六例目の脳死下臓器提供事例に関し、臓器提供施設において、法的脳死判定に当たって測定した脳波記録の紛失が判明したことを受け、各臓器提供施設に対し、脳死判定に関する記録の管理等について万全を期すよう要請したところでございます。

 以上、御報告申し上げますとともに、厚生労働省としては、今後とも、移植医療の推進に努めてまいる所存でありますので、委員の皆様におかれましては、御理解を賜りますようお願い申し上げます。

茂木委員長 これにて説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十六分散会


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