衆議院

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第11号 平成19年12月7日(金曜日)

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平成十九年十二月七日(金曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 茂木 敏充君

   理事 大村 秀章君 理事 後藤 茂之君

   理事 田村 憲久君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 山田 正彦君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      赤池 誠章君    新井 悦二君

      井澤 京子君    井上 信治君

      石崎  岳君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    木村 義雄君

      櫻田 義孝君    清水鴻一郎君

      杉村 太蔵君    高鳥 修一君

      谷畑  孝君    冨岡  勉君

      長崎幸太郎君    西本 勝子君

      萩原 誠司君    林   潤君

      福岡 資麿君    松浪 健太君

      松本  純君    松本 洋平君

      三ッ林隆志君    御法川信英君

      大島  敦君    北神 圭朗君

      郡  和子君    園田 康博君

      田名部匡代君    長妻  昭君

      西村智奈美君    細川 律夫君

      三井 辨雄君    柚木 道義君

      横山 北斗君    古屋 範子君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           大村 秀章君

   議員           田村 憲久君

   議員           石崎  岳君

   議員           後藤 茂之君

   議員           宮澤 洋一君

   議員           吉野 正芳君

   議員           井上 信治君

   議員           萩生田光一君

   議員           坂口  力君

   議員           福島  豊君

   議員           古屋 範子君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      岸  宏一君

   厚生労働大臣政務官    松浪 健太君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策評価審議官)       杉浦 信平君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮坂  亘君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  西山 正徳君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高橋 直人君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中村 吉夫君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月七日

 辞任         補欠選任

  石崎  岳君     赤池 誠章君

  三ッ林隆志君     御法川信英君

  内山  晃君     大島  敦君

  岡本 充功君     横山 北斗君

  菊田真紀子君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     石崎  岳君

  御法川信英君     三ッ林隆志君

  大島  敦君     内山  晃君

  西村智奈美君     北神 圭朗君

  横山 北斗君     岡本 充功君

同日

 辞任         補欠選任

  北神 圭朗君     田名部匡代君

同日

 辞任         補欠選任

  田名部匡代君     菊田真紀子君

    ―――――――――――――

十二月七日

 老人福祉法の一部を改正する法律案(宮路和明君外三名提出、第百六十六回国会衆法第五四号)

は委員会の許可を得て撤回された。

同日

 障害児・者の福祉・医療サービスの利用に対する応益(定率)負担の中止を求めることに関する請願(三井辨雄君紹介)(第八二四号)

 同(阿部知子君紹介)(第八三七号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第八三八号)

 同(萩原誠司君紹介)(第八三九号)

 同(園田康博君紹介)(第八四六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八九〇号)

 同(山田正彦君紹介)(第八九一号)

 同(内山晃君紹介)(第九三六号)

 同(郡和子君紹介)(第九三七号)

 公的保育制度の堅持・拡充と保育・学童保育・子育て支援予算の大幅増額に関する請願(岡本充功君紹介)(第八二五号)

 同(辻元清美君紹介)(第八二六号)

 同(三井辨雄君紹介)(第八二七号)

 同(阿部知子君紹介)(第八三五号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第八三六号)

 同(田島一成君紹介)(第八八八号)

 同(保坂展人君紹介)(第八八九号)

 同(石井郁子君紹介)(第九三三号)

 同(内山晃君紹介)(第九三四号)

 同(西村智奈美君紹介)(第九三五号)

 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(桝屋敬悟君紹介)(第八四四号)

 国の医療に回すお金をふやし、医療の危機打開と患者負担の軽減に関する請願(松野頼久君紹介)(第八四五号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第八七二号)

 同(近藤昭一君紹介)(第八七三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第八七四号)

 同(園田康博君紹介)(第八七五号)

 同(高木義明君紹介)(第八七六号)

 同(内山晃君紹介)(第九二三号)

 同(郡和子君紹介)(第九二四号)

 同(広津素子君紹介)(第九二五号)

 同(牧義夫君紹介)(第九二六号)

 同(山田正彦君紹介)(第九二七号)

 同(岡本充功君紹介)(第九四九号)

 同(河村たかし君紹介)(第九七六号)

 同(志位和夫君紹介)(第九七七号)

 医療危機打開と患者負担軽減を求めることに関する請願(市村浩一郎君紹介)(第八五九号)

 年金・医療・介護等の社会保障制度充実に関する請願(後藤斎君紹介)(第八六〇号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第八六一号)

 同(内山晃君紹介)(第九三八号)

 医療に回すお金をふやし、保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(市村浩一郎君紹介)(第八六二号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第八六三号)

 同(近藤昭一君紹介)(第八六四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第八六五号)

 同(園田康博君紹介)(第八六六号)

 同(高木義明君紹介)(第八六七号)

 同(石井郁子君紹介)(第九一〇号)

 同(岡本芳郎君紹介)(第九一一号)

 同(郡和子君紹介)(第九一二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九一三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九一四号)

 同(広津素子君紹介)(第九一五号)

 同(牧義夫君紹介)(第九一六号)

 同(山田正彦君紹介)(第九一七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第九一八号)

 同(大串博志君紹介)(第九四六号)

 同(岡本充功君紹介)(第九四七号)

 同(河村たかし君紹介)(第九七二号)

 国の医療に回すお金をふやし、医療の危機打開と患者負担の軽減を求めることに関する請願(高井美穂君紹介)(第八六八号)

 同(高木義明君紹介)(第八六九号)

 同(古賀一成君紹介)(第九一九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九二〇号)

 同(野田佳彦君紹介)(第九二一号)

 同(大串博志君紹介)(第九四八号)

 高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第八七〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第八七一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九二二号)

 同(志位和夫君紹介)(第九七三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第九七四号)

 安全・安心な医療提供体制の確保と患者負担の軽減を求めることに関する請願(村井宗明君紹介)(第八七七号)

 後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八七八号)

 同(石井郁子君紹介)(第八七九号)

 同(笠井亮君紹介)(第八八〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八八一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第八八二号)

 同(志位和夫君紹介)(第八八三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八八四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八八五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第八八六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九二八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第九二九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九三〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第九七八号)

 同(志位和夫君紹介)(第九七九号)

 高校生・大学生、青年の雇用と働くルールを求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第八八七号)

 不妊治療にかかわるすべての薬剤と検査に対する保険適用に関する請願(野田聖子君紹介)(第九三一号)

 同(牧原秀樹君紹介)(第九八〇号)

 大都市東京における特別養護老人ホームを初めとする介護保険施設の介護人材確保に関する請願(郡和子君紹介)(第九三二号)

 同(岡本充功君紹介)(第九五一号)

 一酸化炭素中毒患者に係る特別対策事業を委託する新病院に関する確認書早期履行を求めることに関する請願(大串博志君紹介)(第九五〇号)

 貧困・格差をなくし安心できる社会に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第九七〇号)

 身近な地域で安心して出産ができる助産所の存続を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第九七一号)

 中小自営業の家族従業者等に対する社会保障制度等の充実に関する請願(近藤洋介君紹介)(第九七五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 肝炎対策基本法案(川崎二郎君外十五名提出、衆法第八号)

 老人福祉法の一部を改正する法律案(宮路和明君外三名提出、第百六十六回国会衆法第五四号)の撤回許可に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 老人福祉法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

茂木委員長 これより会議を開きます。

 川崎二郎君外十五名提出、肝炎対策基本法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房政策評価審議官杉浦信平君、大臣官房審議官宮坂亘君、医政局長外口崇君、健康局長西山正徳君、医薬食品局長高橋直人君、雇用均等・児童家庭局長大谷泰夫君、社会・援護局障害保健福祉部長中村吉夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

茂木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三ッ林隆志君。

三ッ林委員 おはようございます。自由民主党の三ッ林隆志でございます。私は、非常にしばらくぶりにこの委員会で質問することになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 そして今回、私は、自民党、公明党から提出されました肝炎対策基本法につきまして質問をさせていただきます。

 肝炎といいますと、私がまだ医師になりたてのころは、今と違いまして、C型肝炎というふうには言われておりませんで、ウイルスもまだ見つかっていなかったわけでありまして、非A非B型肝炎というふうに言われておりました。

 また、私、小児科をやっておりましたので、子供自体が輸血するというふうな機会が少ない対象なものですから、輸血後肝炎というふうな患児さんを診る機会というのもそれほどなかったというふうに記憶しております。ただ、血友病の患児においては非A非B型肝炎というのが発症することがありまして、後になりまして、血液製剤によるC型肝炎ウイルスの感染によるものというふうなことがわかった次第です。

 そしてまた、成人でいいますと、産婦人科をやっていた私の友人がおりまして、医師になりましてから彼は慢性肝炎を発症しまして、症状がなかなか安定しないので、きつい産婦人科はやっていけないということで内科に移りまして、それでも症状が安定せず、いろいろ治療を続けておりましたけれども、生体肝移植等までいったんですが、結局数年前に亡くなりまして、そのときずっと本人もまた家族も見ておりましたけれども、その大変さというものは、少しばかりかもしれませんけれども感じてきたところでありまして、肝炎治療の充実というもの、これはぜひとも必要なことだというふうに思っております。

 そして、現在、我が国でのC型肝炎の患者さんあるいは肝炎症状のないC型肝炎ウイルスのキャリアを含めると百五十万人から二百万人、また、B型も含めますとより多くの患者さんが存在して、二十一世紀の国民病というふうにまで言われております。

 このような状況の中で、このたび提出されました肝炎対策基本法案は、肝炎対策に係る総合的な対策が取りまとめられておりまして、非常に意義深いものというふうに考えております。この法案を取りまとめられました皆様に心から敬意を表したいと思っております。

 そこで、この法案につきまして、二点ほど提出者に質問をさせていただきます。

 まず、ウイルス性肝炎につきまして、従来から政府でも懸命に取り組んできていたとは思いますが、今般新たに経済的支援も含めた総合的な対策を国等の責務として法律で定めようとする本案は、患者さんはもとより、自覚症状のないキャリアの方々にとっても大変意義あるものではないかと思います。提案者におかれましては、取りまとめまでに大変な御尽力をされたものと思いますが、改めて、本法案の趣旨や概要についてお聞かせください。

大村議員 お答え申し上げます。

 今、三ッ林委員、御質問の中でるる述べられました、まさに肝炎は、ウイルスキャリアの方々がB型、C型合わせれば三百万人を超えるということ、そしてまた、現に症状を発症されておられる方々が六十万人とも推定をされております。そういう意味で、国内最大の感染症であるということから、これはまさに国民病とも言えるものであると我々は認識をいたしております。

 また、肝炎につきましては、適切な治療を行えないまま放置をいたしますと、慢性化をし、より重篤な疾病に進行する可能性があるということでありまして、まさに国民の健康、生命にとっては大変な脅威になる大きな問題であるという認識に立っているわけでございます。

 したがって、こうした現状にかんがみまして、肝炎対策を総合的に推進するために、肝炎対策に関する基本理念を定める、そしてまた、国だけではなくて地方公共団体、そして医療関係者、国民、そうした方々の責務を明らかにするとともに、肝炎対策の推進に関する指針の策定をいたして、予防、早期発見、そして肝炎医療の均てん化の促進、研究の推進などなど、今我々が持っているツールを総合的に進めまして、この国民病とも言われる肝炎を克服していく、そのための総合対策として今般の基本法案を提案させていただいたわけでございます。

 三ッ林委員も御専門の立場からぜひまた御指導いただきますように、お願いを申し上げたいと思います。

三ッ林委員 ありがとうございました。

 大変広範囲で、本当に肝炎の患者さんをどのように国として支援していくかということを考えられての法案というふうに感じました。

 次に、肝炎対策基本法案の一つの柱として、肝炎患者の療養に係る経済的支援があります。第十五条に、「国及び地方公共団体は、肝炎患者が必要に応じ適切な肝炎医療を受けることができるよう、肝炎患者に係る経済的な負担を軽減するために必要な施策を講ずるものとする。」というふうにしております。

 その具体的支援等については、当然予算との関係もありますでしょうが、与党のプロジェクトチームでの対策はどのような支援策を想定しているのか、お話をいただければと思います。

石崎議員 三ッ林委員にお答えを申し上げます。

 十一月七日の与党肝炎対策プロジェクトチームにおきまして、B型、C型肝炎のインターフェロン治療に対する医療費助成を柱とする、検査から治療まで継ぎ目のない仕組みを構築するための新しい肝炎総合対策を取りまとめたところでございます。

 インターフェロン治療をする患者の倍増を目指し、さらには、肝炎検査について二十歳代以上の国民すべての検査受診の機会を確保するということを目的としておりますが、その中で、今後七年間で、インターフェロン治療を必要とするすべての肝炎患者がその治療を受けられることとなるように、治療費の自己負担につきまして、所得階層に応じた負担軽減を行うことを内容とする医療費助成の枠組みを取りまとめたところでございます。所得階層を一応三段階に分けまして、きめ細かく対応していきたいと考えております。

 この十五条は、こうした医療費助成を行うことを想定しております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 この慢性肝炎に対するインターフェロン治療というのは、大変金額がかかり、また期間も大変かかる治療でありますので、患者さん自身の負担というものがそれほどかからないような対策というものをぜひ考えていっていただければというふうに思います。

 次に、厚生労働省の方にちょっとお聞きしたいと思います。

 まず、肝炎対策について、肝炎訴訟がありまして、きょうの新聞では、大阪高裁より十三日に和解骨子案が提示されるというふうな記事が出ておりましたけれども、私としましても、一日も早く訴訟が終結し、患者である原告の方々におかれましても治療に専念していただきたいというふうに思っております。

 この訴訟に対しまして、舛添厚生労働大臣は、フィブリノゲンに限定せずに救済したいというふうな旨の発言をされております。これは、全員救済するというふうな意気込みと見ることもできますが、原告を全面救済し、訴訟を全面解決するというふうな理解でよいのか、厚生労働省の見解をお伺いいたします。

岸副大臣 訴訟につきましては、先生も御承知のように、五つの地裁の判決がそれぞれ出たわけでございます。その中で、十一月七日に大阪高裁から和解の勧告を受けたわけでございます。現在、和解に向けた協議が進行中でございますが、舛添大臣といたしましては、これは、一般的に我々も当然そうでございますが、罹患された患者さんの深刻な状況を知り、考えるときに、フィブリノゲンに限定せずできるだけ多くの方を救済したいという意気込みを示されたもの、先生のおっしゃるとおりだと思っております。

 今、和解に向けた協議が進行中でございますから、我々としましては、この和解の協議ができるだけ早く解決することを願っているところでございます。

三ッ林委員 ぜひとも患者さんサイドに立った和解というものを進めていただきたくお願いを申し上げます。

 次に、厚生労働省が四百十八名の症例一覧表に記載された患者に対する告知をしなかった問題で、西川厚生労働副大臣を中心とする調査チームが報告書をおまとめになりました。短時間のうちに莫大な作業を行っていただいたことに敬意を表したいと存じます。

 この報告書では、国としては具体的な責任があるとまでは言い切れないと結論づけておりますが、この点についてはマスコミ等から批判が出ているところも見受けられます。限られた時間でありましたから理解できなくもありませんが、実際に調査に当たられた西川副大臣に、この調査結果についてのポイントを御説明いただきたいと思います。

 また、あわせて西川副大臣御自身のお考えをお聞かせください。

西川副大臣 三ッ林先生にお答えいたします。

 そもそもこの肝炎の調査チームができた経緯ですが、十月の十六日に、舛添厚労大臣がマスキングをしていない方のリストはないと答えてしまった後に、地下倉庫からマスキングがない資料が出てきた、そういうことを踏まえまして、大臣が、一体この書類管理その他はどうなっているんだと。それと、患者の方々が告知をしてほしかったという思い、それの声を受けまして、この二点に絞って調査チームをつくってしっかり調べろという御命令のもとに、私をヘッドに、松浪、伊藤両政務官、それと、民間の第三者を入れるべきだということでお二人の弁護士を入れられた中で、あと官僚の何名かとで編成されたチームが今回の調査チームでございます。

 その中で、まず、今までの肝炎に対する厚生労働省の行政はどうなっているんだ、その辺を背景として、過去にもさかのぼってきっちり検証せよということでございまして、約四十名の官僚の聞き取り、それから原告団の方、さらにはお医者様、さまざまな方からも聞き取り調査をいたしまして、一カ月後に結論を出したということでございます。

 その中で、そもそも皆様に一番申し上げたいのは、この四百十八名のリストというのは、お医者様がフィブリノゲンを使った後にどういう副作用が出るか、副作用が出た場合にはぜひ製薬会社にその情報を上げてください、それを製薬会社から厚生労働省に上げなさいということになっているわけですね。副作用を起こした例を出してくださいというこの副作用報告書が、今回の四百十八名のリストそのものでございます。

 ですから、本来からいきますと、この告知という問題は、あなたは肝炎にかかっています、あるいはこういう薬を使っています、それはやはり患者とお医者様との信頼関係の中で行うべきものが告知という問題であることはまず基本でございます。そのことをまず御理解いただきたいということ。

 その中で、実は、当時とはいいながら、これが発生して肝炎が起きて、肝炎自体がC型肝炎ということもよくわからなかった時期に、お医者様がそこまでこのフィブリノゲンの告知ということをしていたかどうか。肝炎にはかかっていますということは当然わかっているわけですね。副作用報告としてお医者様が上げてきているわけです。それがそこまで告知されていたかどうかという問題になると、これはやはり患者の方々の聞き取りでも、聞いていないという方が多くいらっしゃいます。

 そういうことを踏まえまして、実はこの書類の管理、その以前にちょっと申し上げておきたいのは、平成十四年に大々的な肝炎対策の調査をいたしました。そのときのリストがずっと、そのときに、副作用報告としてミドリ十字社から出せと。余り副作用報告というのは数が出てきていなかったんですね、病気が起きている割に。それで、厚生労働省としては、徹底して出せ、そういう命令を四回にわたってかけて出させてきて、集まったのが四百十八名のリストなんです。

 そういう中で、当時の、平成十四年の検証したチームの報告書は、いわば、そのときに患者さんに告知をするというよりも、そのときの厚生労働行政はどうだったか、そういうものに視点を置いてできていた報告書だということで、聞き取りをいたしました当時の官僚の人たちは個人への告知ということはほとんど考えていない、そういう現実がありました。

 その中で、平成十三年にはやはり、いわばクリスマシンというもう一つの、ほかの第8、第9因子から成る病気、これに関しての肝炎に対しては確実にもう少し人数を絞って研究対象として副作用の問題をしっかり検証しようということで、この問題に関しては、実はかなり最後まできちんと告知という問題を頭に置きながらやっているんですね。

 それと引きかえで、なぜこのフィブリノゲンに関してはそこまでしなかったかということ。これが実は、平成十三年の有識者会議、第三者を入れた、大勢の方々に集まっていただいた有識者会議でこの問題がきちんと検討されまして、クリスマシンはそういう研究対象としてやるので、これはあくまでもきちんとやるべき。しかし、そのときに、フィブリノゲンに関しては、やはり大勢の、余りに対象が大き過ぎる。そういう中で、フィブリノゲンだけでなくて、輸血でもかかって肝炎になっている方々も対象に救済しなければいけないということで、医療機関を全部報告した中で、皆さん、患者に告知を徹底してくださいということを十六年にはやっているんですね。

 そうしますと、どこまで行政責任が問えるかとなると、法律家の先生方にも御判断を仰ぎましたけれども、やはり個人に直接厚労省が告知ということまではどうしても責任があったとは言い切れなかった、この苦渋の選択でございまして、そういう結論に達しました。

 しかし、私は、患者の方々のお話を聞いて、治療とか医療の面に関しては、フィブリノゲンでかかっても輸血でかかったとしても結果は同じなんですけれども、フィブリノゲンでかかったということがもっと早くわかっていたら人生観は変わっていたと。なぜ肝炎になったんだろうということがわからなくて御夫婦の関係もうまくいかなくなったとか、そういう話をお聞きして、なるほど、それはちょっと、第三者あるいは厚生労働行政側からなかなか思い至らなかった点だなという思いがありまして、実は、厚生労働行政の薬に関するきちんとした対応とか以上に、国民の皆様の心の部分まで引き受けた中での厚生労働省のあり方という、これは大変重い問題でございまして、重く受けとめたいと思います。

 ただ、この告知の問題は、やはり副作用報告というのが個人を特定しないがゆえにきちんと上がってくるという状況があります。それと、なおかつ個人には報告してほしいという、その両方のはざまの中で、一体どういう告知の仕方があるんだ、これは一カ月の私たちの検証チームでは出せない結論でございましたので、第三者機関をつくって、ぜひそういう問題を徹底して議論していただきたい、そういう思いの提言をさせていただきました。

 以上でございます。

三ッ林委員 大変詳しく説明していただきましてありがとうございます。

 たしか、その十六年くらいのときには、使用した全国の病院名を公表して、あとは病院から患者さんに連絡するというふうなお話なんかで確かに済んでいたんじゃないかというふうな気も私もしておりまして、ただ、病院から離れてしまっている患者さんに対してはなかなか連絡ができなくて、また現在のような状況にも結びついたのかなというふうに思っております。

 そのような中で、この四百十八名の方の症例、特定し、また追跡調査というものもしっかりやっていただきたいというふうにお願いしておきます。

 それでは次に、肝炎の検査についてお伺いします。

 厚生労働省におかれましても、老人保健事業の中で、五歳間隔でウイルス検査を実施することが推奨されておりますが、例えば老人保健事業におけるC型肝炎の受診率も約二割にとどまるなど、受診実績は低いとの批判もあります。

 受診率を向上させるためには、都道府県や市町村等の保健所や医療機関においても検診、受診のための窓口をしっかりと開設していただき、だれもが簡単に受診できる体制を整備することが必要であります。この意味で、地方公共団体における広報体制を強化することも必要ではないかと思います。

 そこで、これまでの肝炎検査実施についてどのように評価し、今後の対策を進めていこうとされているのか、厚生労働省のお話をお聞かせください。

宮坂政府参考人 お答え申し上げます。

 肝炎ウイルス検査につきましては、これまでも、御指摘のとおり、自治体が主体となりまして検査事業を実施してきたところでございます。これらの事業によりまして、事業開始が平成十四年度でございますが、それから平成十八年までの五年間で約一千万の方が肝炎ウイルス検査を受診したというふうに見込んでおります。このほか、疾病によりまして、入院時の検査などにおいても相当数の方々が検査を受診したというふうに認識をしております。

 これまでの事業の実績を踏まえまして、今年度から、より受診者の利便性を高めるという観点から、保健所におきます肝炎ウイルス検査事業につきまして、これを医療機関にも委託できるというような制度を導入しているところであります。

 さらに、その検査、検診の関係は非常に重要でございますので、今後、これらに加えまして、さらなる肝炎検査の受診の推進という観点から、緊急肝炎ウイルス検査事業といたしまして、自己負担の無料化や医療機関への委託のさらなる推進ということで利便性の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。

 それから、検診の制度をいろいろつくりましても、受けていただくということで、受診勧奨、それが非常に重要でございますので、去る十一月二十九日でございますが、新聞広告を用いまして全国的な広報を行ったほか、各地方公共団体、都道府県におきますホームページや広報紙などでウイルス検査の受診勧奨を行うということで、広報体制の強化ということにも努めているところでございます。

 このような取り組みによりまして、利便性の高い検査体制を樹立いたしまして、肝炎の早期発見に努めて、適切な治療へとつなげてまいりたいと考えております。

 以上であります。

三ッ林委員 ただいまの答弁にありましたように、いかに周知して検査を受けていただくか、まずこれが非常に重要だと思っておりますので、ぜひその対策というものを進めていただきますようにお願い申し上げます。

 それから、近年、妊娠、出産に伴う経済的な負担などの理由から、妊産婦が妊婦健診を受診することなく分娩直前になって医療機関に救急搬送されて出産するという事例、いわゆる飛び込み出産が増加してきていることが指摘されております。

 このように、駆け込まれた妊産婦の方がどのような状態なのか全く把握できないで分娩し、また治療に当たるのは、母子にとりましても、また医療機関にとってもリスクの高いことで、だんだんと問題化しつつあるというふうに思っております。

 例えば、突然飛び込まれてきても、一体妊娠何週で出産になるのかというのもわからないわけですから、場合によったら、三十週までいっていなくて出産となれば、当然NICU等の施設なんかがあるところでないと引き受けることもできないわけでありますし、そのような情報が何にもなければ、やはり簡単に救急の依頼等を引き受けるというのも難しい問題になってきたり、そのようなことが診療拒否のようなところに結びつく一つの影響となっているかもしれないというふうには感じております。

 その中で、本日の課題の肝炎ウイルスの感染に関しまして、頻度が少ないとはいえ、母子感染が認められておりますし、これを防止しなければなりません。こうしたことから、妊娠早期から健診を受診し、早期の発見が必要となってくると思います。厚生労働省では、少子化対策の一環として、定期健診の公費負担回数の増加を地方自治体に要請するなどの対策をとっておられますが、肝炎対策の一部分としてもさらに妊産婦の健診を積極的に支援していただきたいと考えますが、御意見を伺います。

大谷政府参考人 お答え申し上げます。

 母子保健法におきましては、市町村が、必要に応じまして妊婦に対して健康診査を行い、または健康診査を受けることを勧奨するということになっておりまして、この肝炎につきましても、これは必要な検査項目の一つとして、受診を勧奨しているところでございます。

 今般の事例等もありましたが、妊婦が健診未受診である、こういったことのケースにつきまして、私どもも、これは重大な問題であるというふうに認識いたしまして、実は今週月曜日、十二月の三日でありますけれども、妊婦健診の受診の勧奨のために、私どもにおいて、健診の重要性を理解するためのリーフレットを作成しまして、これをホームページに掲載するなど、広く国民に受診を呼びかけるということをするとともに、また、各自治体に対しまして、このリーフレットを活用するなど普及啓発の取り組みを促しているところでございます。また、今後、政府広報による国民への周知も検討してまいりたいと考えます。

 こうした取り組みを通じまして、国民に対して妊婦健診の受診の重要性を周知徹底するとともに、今御指摘ありましたように、今年度から地方財政措置を大幅に拡充したところでありますので、各市町村において、公費負担の拡充であるとかあるいは里帰り出産への対応を初めとして、地域の実情に応じたきめ細かなサービス提供を図られるよう期待しているところでございます。

三ッ林委員 今お話ありましたが、こういう妊婦健診を受けない方となると、なかなかそういう、役所等に行ったりとか保健所に行ったりする可能性は少ないのではないかというふうな気もしますし、そうなりますと、いろいろな広報の手段をとってもなかなか妊婦さんまで行かないというふうなことも考えられるわけでありまして、テレビ等で、実際に目に入るような広報事業というふうなものにも力を入れていただきますようにお願い申し上げます。

 次に、インターフェロンの治療についてですが、この肝炎、本来ならば予防できれば一番いいわけですけれども、残念ながら、C型肝炎ウイルスに対するワクチンはまだありません。今のところ治療の中心となるインターフェロン治療については、最近の知見をもとにした治療法により大きな効果を上げていることも事実でありますが、その一方で、治療の効果が期待できない方々もおられます。

 このような治療効果がなかった患者に対しての治療法に関する研究を進める必要、これは大変重要と思います。また、インターフェロン治療に伴い、重い副作用が生じることもあります。こういった副作用を抑制するための研究についても、国としても研究費を補助するなどの方法によって充実していく必要があると考えますが、今後の研究開発のあり方について御意見を伺います。

宮坂政府参考人 インターフェロン治療についての御質問でございます。

 ウイルス性肝炎に対しますインターフェロン療法につきましては、治療薬の研究開発によりまして、非常に治療の成績が向上してきたところでございます。しかしながら、御指摘のとおり、現在の治療法ではウイルス排除が完全にできない患者さんがおられるということも一方で事実でございます。

 このような、インターフェロン治療が不幸にして効果がなかったという患者さんにつきましては、肝疾患の進行を抑えるということが何よりも重要ということでございまして、こうした患者さんを含めました肝疾患治療全体についての研究というのを厚生労働科学研究で行っているところでございます。

 それから、副作用についての御指摘がございました。

 御指摘のとおり、インターフェロンではさまざまな副作用が報告をされているところでございまして、この副作用のため、残念ながら治療中断に至るという場合も報告をされているところでございます。

 このため、厚生労働省におきましては、これも厚生労働科学研究でございますが、副作用を軽減するための研究というのを行いました。その成果といたしまして、治療の中断防止のためのガイドラインというのを作成いたしまして、その普及啓発に努めているところでございます。

 いずれにいたしましても、肝炎の治療内容の充実というのは極めて重要な課題と考えております。今後とも、このような研究体制について充実をさらに図ってまいりたいと考えております。

 以上であります。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 もう時間が来ました。

 ただ、これからこの法案等が成立した暁には、十三条や十四条で、専門的な知識を持った医師の育成や、また専門的な治療を受けることができる医療機関を設置するというふうな案もこの中にあるわけでありますけれども、インターフェロンの治療を受けるとなると、患者さんによっては、最初は毎日、もしくは、その後は週に三日ほどの皮下注とか筋注とかを受けなければならなくなったり、間をあけてやれる人でも一週間に一回の注射ということで、医療機関に行かなければならないわけであります。余り遠いところに拠点病院をぽんとつくっただけでは、結局は、通院等に大変な差しさわりが出てきて、治療が途中で打ち切られるようなことになることも考えられます。

 ぜひそのようなことがないように、身近な医療機関でもしっかりとした治療が受けられるような、ガイドラインの策定でありますとか、また医療機関への周知でありますとか、そのような点にも力を入れていただいて、日本から慢性肝炎をなくすというふうな意気込みで、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 では質問を終わります。ありがとうございました。

茂木委員長 次に、福島豊君。

福島委員 おはようございます。

 本日は、先般報告がなされましたフィブリノゲン資料問題及びその背景に関する調査プロジェクトチームの調査報告書についてお尋ねをしたいと思っております。

 まず、冒頭申し上げたいことは、本日から、肝炎関連法案につきまして、与野党の協議がスタートするわけであります。一人でも多くの肝炎の患者さんの方々の救済、特に治療を進めていく体制づくりのために、ぜひとも成案が得られるように、与野党ともに努力をしていただきたいと思っておりますし、私も努力させていただきたいと思っております。ただ、いずれにしましても財政的な制約があるということは事実でございますので、そうしたことも踏まえた上で実りの多い議論ができればと、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 それでは、調査報告書について御質問させていただきたいと思います。

 現在議論されております薬害肝炎問題には幾つかのポイントがあると思います。

 一つは、日本では、肝炎感染の危険があるにもかかわらず、承認の取り消し、これがなぜ速やかに行われなかったのか。こういう本質的な問題。

 第二点目は、医薬品副作用の報告。厚生労働省の調査において、当時は厚生省でございます、個人に関する情報を、厚生労働省が、意図的ではないにせよ、入手していたにもかかわらず、当該個人に対してその健康被害を防止または軽減するために情報提供をなぜ行わなかったのか、これが二つ目の論点だと思っております。

 そしてまた、三点目の論点として、これは薬害肝炎だけに限るわけではありませんけれども、厚生労働省における文書管理、情報管理のあり方、省内に存在する情報が適切に活用されない、また把握できない、こういう組織のあり方、これが三つ目の問題だと思います。特に、これは訴訟におきまして、投与の事実の確認をめぐって厚生労働省の主張があった、しかし、実は原告側の訴えを裏づける資料を厚生労働省そのものが持っていた。こういう、ある意味では非常に問題のある対応をされたと私は思っておりますけれども、情報管理そのものの体制が不備であったというところに多分問題がある、これが三つ目の論点だと思います。

 それで、なぜフィブリノゲン製剤、早期に承認の見直しが行われなかったのか、これは今までもさまざまに議論が行われてまいりました。本報告書に関連する事項について質問したいと思います。

 昭和五十三年の再評価の対象になぜならなかったのか、これについての報告があります。そこには意図的なものがあるのではないか、こういう指摘に対して、「昭和四十二年九月以前に承認された血液製剤についても、昭和五十三年十月に再評価の対象として指定された。ところが、血液製剤のうちフィブリノゲン製剤については、約二年前の昭和五十一年四月に販売名変更により新規の承認を受けていたことから、昭和四十二年九月以前に承認されたものとみなされず、再評価の対象から機械的に除外されることとなった。」と、極めて簡略にこの報告書では記載をされております。

 しかし、なぜ機械的に除外をしてしまったのか。再評価の目的は、有用性についての評価が必ずしも十分ではない、こういう指摘があってなされたものでありますから、販売名の変更のみで新規承認を受けた製剤は、何のために再評価するのかということから考えれば対象とするのは当然である、そう政策判断するのは当然だ、普通はそう思うと思います。なぜそういう判断がなされずに、機械的に除外してしまったという判断になったのか、ここのところの事実関係はどうなっているんだ、こういう話があるんだろうと思いますけれども、この点についての政府の見解をさらにお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの再評価は、これは昭和四十年代それから五十年代前半ということになりますが、当時販売されておりました活性ビタミン剤や強肝剤などにつきまして、その標榜する効能、効果に疑義があるとの意見が発表されたことなどに伴いまして、医薬品の審査に係る基本方針を策定いたしました昭和四十二年十月以前に承認をされた医薬品を対象にいたしまして、行政指導として行われたものでございます。

 血液製剤につきましては、昭和五十三年に再評価に指定することとされましたが、昭和五十一年四月に名称変更のため新規承認されましたフィブリノゲン製剤については、承認時期から再評価の対象外とされたものでございます。

 昭和四十二年十月以前に承認をされた医薬品全体、そういった画一的な処理ということを行ったわけでございますけれども、これは、この再評価が我が国で初めて実施されたものでありまして、その対象品目は極めて多数であったこと、それからあくまでも行政指導であったこと、そういう状況を踏まえてこういった処理になったというふうに理解をいたしております。

 なお、昭和五十四年改正後の薬事法に基づきまして、その後、再評価は制度化されましたが、昭和六十年十月には、このフィブリノゲン製剤は再評価の対象として指定をされております。

福島委員 たくさん品目があったから、こういう御指摘でありますけれども、今後の再評価に当たりまして、やはり実質的な評価をしなければいけない、こういう視点をぜひとも堅持していただきたいというふうに思っております。

 続いて、次のポイントは、昭和六十二年の青森県での肝炎の集団発生後の対応であります。

 昭和六十二年三月に青森県三沢市の医師から非加熱製剤の投与による肝炎集団発生の報告を受け、旧ミドリ十字社による非加熱製剤の回収が行われ、四月三十日には加熱製剤への切りかえが承認される、極めて慌ただしい動きになったわけです。しかし、実際にはその後も肝炎の発生は続き、加熱製剤への切りかえは安全性の面から必ずしも有効ではなかった、こういうことになるんだろうと私は思います。

 実は、この時点でどう対応したかということが、その後に続く患者さんの発生を防ぐということにおいては極めて重要なポイントだったんだろうと私は思います。ただ、これは、安全かどうかということについては十分確認されていないという思いも多分あったんでしょう。ですから、引き続き追跡調査を行った。翌六十三年六月には緊急安全性情報の配付等が旧ミドリ十字社に対して行われた、こういう流れになっておりますけれども、六十二年の段階で非加熱から加熱に切りかえるということで対応を選択した、そこで安全性について十分評価が確立していたのか、そのあたりについては余り報告書にも書いていない。この点についてはいかがなんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 フィブリノゲン製剤に関する加熱製剤への切りかえは、肝炎対策を契機に、当時問題となっておりましたHIVへの対応も念頭にございまして、旧中央薬事審議会血液製剤調査会の意見を聞きながら、その審査を急いだところでございます。

 具体的には、この審査の過程では、現在もC型肝炎ウイルスのモデルウイルスとして用いられておりますウイルスやHIVウイルスなど、七種のウイルスに対する不活化効果を示す試験成績などを審査の対象といたしておりまして、C型肝炎ウイルスがいまだ発見されていなかった当時の科学技術のレベルを考えますと、その安全確保に必要な努力は払われたものというふうに考えております。

 それから、これは相手がもちろんまだわかっておりませんでしたけれども、まあウイルスではないかと言われていたノンAノンB肝炎でございますから、ウイルスですから、たんぱくですので、加熱すれば当然その活性が落ちるというのは、これはもうわかっておるものでございますから、加熱すれば当然安全性の向上を図れるという一般論としての期待感はあったのだろうというふうに考えております。

 なお、平成十四年八月のフィブリノゲン製剤によるC型肝炎ウイルスに関する調査報告書によりますと、当時の職員への聞き取り調査の結果、血液凝固第8因子製剤及び第9因子製剤でHIVの不活化に効果のあった乾燥加熱処理の導入によりまして、今申し上げましたように、当時、ウイルスが同定されていなかったノンAノンB肝炎についてもウイルス不活化効果を期待していたとの回答が得られたとしております。

福島委員 私は、当時の技術的な水準からいえば仕方がなかったというか、必要なことはやった、こういう話なんだと思いますけれども、もう一歩踏み込んで、やはり有用性、必要だったのか、こういうことも当然議論すべきだったんじゃないかと私は思うんです。

 そういう認識は多分あったんじゃないかとは思いますけれども、先ほど申し上げましたように、一年後には、旧ミドリ十字社に対して、六十三年六月ですけれども、フィブリノゲン製剤はやむを得ない場合に限り必要最小限の量を使用する、リスクに見合った使用じゃなきゃだめだよ、こういう話が出る。これがもう少し早く出ていればなという思いはありますけれども、こういう指示が出された。これによって使用量は約六分の一に減少する、こういう大きな変化が実はあったわけであります。

 フィブリノゲン製剤の医療機関への納入数量、一九八〇年、昭和五十五年、これは五万六千百本、一九八六年、昭和六十一年、これは七万六千五百本。不思議なことに、年とともに使用量がふえていく、こういう話になっている。一人当たり平均二本というふうに考えていますから、二万八千人から三万八千人に投与者がふえた。これは、分娩に伴う大量出血、それによってもたらされる後天性の低フィブリノゲン血症、それに対してこの薬が要るんだ、こういう話が産婦人科学会等から強く主張されていたわけでありますけれども、それにしても、だんだん産科医療を取り巻く状況というのは改善していくわけですから、年とともにふえるということの方がやはり私は問題なんだと思いますよ。

 大量出血の患者がふえるということがなぜ起こるのか。その背景にあるのは、やはり適用外の安易な処置がなされていたんじゃないか、こういう話だろうと思います。実際にいろいろな原告団の方々のお話をお聞きしていて、出血していないにもかかわらず投与されて肝炎になってしまった、こういう方がいることも事実ですね。これは本当に申しわけない話なんだと私は思っています。

 こうした医薬品の不適正な使用、適用外の安易な使用、こういうものに対しては厳に戒めていかなきゃいかぬし、その対応をとるべきだというふうに私は思っております。

 最近もリタリンの問題、これは国会でも取り上げられまして、不適切な投与の実態が問題になって、規制強化がなされる動きになっています。製剤企業がみずからの製品の販売を拡大するために医師に対してさまざまな便益を供与するというような商慣行や、また、薬価差益が医療機関に対しての重要な収入源になるというあり方自体が、一部においてこうした不適切な医薬品使用をもたらしてきた、そういう過去があったというふうに私は思っています。

 ただ、診療報酬における包括化でありますとか医薬分業など、こういう取り組みをさまざまに進めてまいりました。こうしたことに対しては、着実に改善をしてきたということは一方では認めなければならないし、評価すべきだというふうには思っております。しかし、将来にわたってこうした事態を防ぐということが必要だ。そのために医薬品の有効性、安全性を見直す仕組みとして再評価制度がありますけれども、これとは別に、企業の営業活動等によって医療上の必要性を上回る投薬が行われないように厚生労働省としてしっかり対策を講じるべきだ、このように考えますけれども、見解をお聞きしたいと思います。

外口政府参考人 医療用医薬品の流通におきましては、かつて、薬価差を前提とした取引や、医師に対してさまざまな便益を供与するという商慣行が見られ、是正の必要性が指摘されてきました。

 しかしながら、たび重なる薬価改定の結果、薬価差は平成三年の二三%から平成十七年の八%まで順次縮小し、過剰な薬価差については大幅に改善されてまいりました。

 また、便益供与の商慣行につきましては、昭和五十九年に策定された医療用医薬品製造販売業公正競争規約等に基づき、医療機関等に対し取引を不当に誘引する手段として景品類を提供することを禁止し、公正な競争に基づく商取引を確保する取り組みを推進してきました。

 このため、現在は、御指摘のような医療上の必要性を上回る投薬を医師が行うインセンティブはなくなってきているものと認識しておりますが、今後もそのようなことがないよう努めてまいりたいと考えております。

福島委員 リタリンについても、その提供体制を見直す、こういうことで今取り組みが進められております。

 ただ、非常に難しいなと思いますのは、一方で、こうしたリタリンの規制強化に対しては、患者団体の方からは、必要な医薬品が手に入らなくなるんじゃないか、こういう懸念も出ております。

 私のところにも、例えば日本ナルコレプシー協会、ナルコレプシー、リタリンの適応疾病でございますけれども、なかなか入手できなくなって困ってしまうよ、こういう話も寄せられておりますし、小児科のドクターの方からは、例えばADHDの治療に必要な処方というのがなかなかできなくなる、現場ではやはり混乱が起きていますよ、こういう示唆があります。

 不適切な投与というものは厳に戒めなければいけませんけれども、一方でまた、必要な患者に対して適切な供給を行っていく、これも両方やらなければいけない。この点についての取り組みを進めていただきたいと思いますけれども、どのようにお考えでございましょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のリタリンにつきましては、本年十月にうつに係る効能を削除いたしまして、治療に精通した医師などに限りましてリタリンが用いられるように、麻薬に準じた流通管理を来年一月から実施することとしております。その過程で、ただいま先生お話しになったような患者さん方からの御要望も出ているというふうに理解をいたしております。

 したがって、今回のそういった流通管理の適正化ということにつきましては、具体的には、製薬企業が学会関係者などから成る第三者委員会を設置いたしまして、一定の基準を策定して、医師等からの登録の申請を受け付け始めたところと承知をいたしております。

 そういった中で、真に必要な患者さん方にはきちんと行き渡るような体制の構築づくりに努めるようメーカーにもお願いをしたいというふうに考えております。

 以上でございます。

福島委員 続いて、この十四年報告書の作成の過程についても、この調査プロジェクトチームは検証しております。

 報告書では、平成十四年報告書の作成に当たって担当したいわゆるFチーム、略称でありますけれども、「メンバー一覧表や設置要綱は文書として残されていない。」と。実はこの調査報告書、ちょっと文章を間違っているんですね。「議事概要」に当たるような「記録は残されていない。」とされております。一方では、「調査に専念させるために、Fチームの存在やメンバーについては明確にしていなかったが、調査においては、エイズ問題の教訓を踏まえ、厚生労働省に不利な情報であっても、情報公開を徹底させることを基本方針とした。」こういうふうに書いてあります。

 ただ、これをさらさらっと読むと、旧三菱ウェルファーマに対して報告命令が正式に四回も出されている、それに対応したチームなんですけれども、全くこの議事録が残っていないという事態は、行政の記録のあり方としてどうなんだろうかと首をかしげざるを得ないところがあります。うがった見方をすると、廃棄しちゃったんじゃないの、こういう話になるわけでありまして、なぜ、こうした隠密チームのような調査チームで報告書を当時まとめる必要があったんだろうか、こういうふうに思ってしまいます、後から考えますと。

 エイズ問題の教訓に加え、薬害肝炎の問題の教訓としても、適切に、こうした場合にどういう形でやるのかということについてしっかりやっていただきたいと思いますが、この点について御説明いただきたいと思います。

杉浦政府参考人 お答えいたします。

 報告書にもございますとおり、平成十四年当時の職員の聞き取り調査によりますと、調査チームとして、いつ、だれと、何を検討したかといったような議事概要のような記録は残されていないということでございますが、これは廃棄したということではございませんで、打ち合わせの議事記録のようなものはなかったということでございます。

 また、調査チームの存在やメンバーについては明確にしていなかったのは、報告書にもありますとおり調査に専念させるためということでございます。ただ一方で、報告命令などで収集した資料につきましては、情報公開を徹底させるということを基本としておったということでございます。

 ただ、いずれにしましても、このように、当時の調査チームがきちんとした組織ではなくて、責任の所在ですとか各課との関係も不明確であったということなどから、文書の管理あるいは資料の引き継ぎが適切になされなかったというような原因にもなっておるのではないかというふうに考えられていると思います。

福島委員 そういうことを十分踏まえて、これからもまたいろいろなことが起こるのでしょう、しっかり、後日になってあの対応はどうだったのかと言われないように、頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、告知の問題、非常に重要な問題でありますが、一方でまた大変難しい問題であります。

 先般の委員会でも、薬事法の規定そのものを見直すべきじゃないか、こういうことを私は申し上げさせていただきました。報告書では、告知等について検討がなされなかった理由として、調査の目的が異なる、告知は医師が行うべきものだ、広く検査の勧奨を行うべきであるという認識であったことが記されております。

 一方では、患者の中には実際に告知されていない者があり、また、告知が大切であるという点について、平成十四年当時にも当然認識され得るものであるという観点から、「患者の特定・告知に向けた配慮は可能であった。患者の生命・健康に関する問題であり、反省すべきである」、このように記載されております。さらにまた、薬事法上の規定については、国に告知を求めるものではないと解釈をした上で、「当時の状況として国に具体的な責任があるとまでは言い切れなかった。」としております。

 この点についてはさまざまな意見が出されているというふうに思っておりますけれども、最後の、「国に具体的な責任があるとまでは言い切れなかった。」としておりますけれども、道義的な責任、これはあるというふうにお考えなのか。その点について御説明をいただきたいと思います。

杉浦政府参考人 ただいま御指摘のとおり、報告書におきましては、患者への告知を行わなかったことにつきまして、「調査チームとしては、当時の状況として国に具体的な責任があるとまでは言い切れなかった。」というふうにしております。この点につきましては、薬事法等の法的な責任や行政遂行上の責任まで含めまして、そのような判断をしたものというふうに承知をしております。

 その上で、当時、患者に対する告知に思いが至らなかったということにつきまして、「患者の視点に立ち、肝炎で苦しんでいる人々に対し行うべきことは何かについて思いを致すべきという批判を、国民の命や健康の問題を所掌する組織全体として重く受け止めるべきである。」というふうにしたところでございます。

福島委員 思いをいたすべきであると。これは、行政組織ですから、思いをいたすべきであると言うのであれば、その思いをいたすような仕組みを考えなきゃいけない。どうすれば思いを今後いたさないで済むかという話なんだというふうに私は思います。

 法的な規定がそのようになっていないと。私も薬事法をずっと読ませていただいて、確かにそうなんです。具体的な責任のない、責任があるかと言われると、やはりこれは法的にはなかなか難しい話になるんだろうなというふうに思いますけれども、反省すべきだと総括している以上は、告知の問題について今後検討すべきだ、厚生労働省の組織のあり方としてどうするのか、行政のあり方としてどう考えるのかというふうに私は思います。

 一方では、医薬品の副作用報告制度があります。こうした告知の問題と絡んだときに、確かに、この報告書にありますように、ちゃんと報告してくれるんだろうか、そのもの自体が隠ぺいされちゃうんじゃないか、こういう懸念も一方では当然指摘できるんだろうと思いますし、そしてまた、個人情報の取り扱いをどうするんだと、配慮すべき話もある。そしてまた、医師と患者の関係というものをどう考えるのか。告知というのはやはり本来医師が行うべき話である、信頼関係の上で行うべき話である、関係のないところから情報が提供されれば、医師の方がかえって混乱する、こういう指摘があるというのもわかります。

 ですから、そこで大事なことは、行政は何をしなきゃいかぬのか、医療機関は何をしなきゃいかぬのか、製薬企業は一体何をしなきゃいかぬのかと、それぞれの役割というものを明確にしていく。まあ、それを法規制するかどうかということはまた別な話でありますけれども、こういう観点で今後議論をしっかりしていくということが必要だと思いますけれども、いかがでございますか。

    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

杉浦政府参考人 報告書におきましては、今後、早期に患者に告知することにより治療が望み得るような一定の疾病については、医薬品の安全情報を広く通知するという副作用報告制度の機能を損なうことなく、また、個人情報の保護や患者との関係に十分配慮しつつ、国民個人がその疾病の罹患について知り得るような方途のあり方を、有識者等が参加する検討の場を設け、広く議論すべきであるというふうに提言をしておるところでございます。

 この検討に当たりましては、ただいま御指摘のありましたような、行政、医療機関、製薬会社、それぞれが担うべき役割を明確にしていくような検討というものは不可欠であろうというふうに考えますので、御指摘の点を踏まえ、検討していくことが必要であるというふうに考えております。

福島委員 これは、お一人お一人の原告の方からすれば、本当に断腸の思いといいますか、非常に深刻な思いがあると私は思います。ですから、できるだけ早く設置をしていただいて、具体的にどういう意見があり得るのか、検討していただきたい、早くやっていただきたい、そう思います。

 そしてまた、医療機関の役割で私がいろいろと思うところがあるのでありますけれども、医療機関名の公表について、いろいろと議論する中で、医療機関からさまざまな意見が逆にまた寄せられている。最終的には、情報公開審査会で、公表すべきだ、こういう判断になりました。

 医薬品の投与によって副作用被害が発生したときに、患者への適切な説明義務が医療機関には当然存在するというふうに私は思います。それは副作用だけじゃなくて、マルプラクティス、例えば医療事故、重大事象が起こったときに、それをやはり患者にきちっと説明する、そういう義務があるんだ、こういう考え方も一部では立法化されたりしております。そういう役割があるということを医療機関にはしっかりと認識していただきたいと私は思いますし、そのことが現場ではなかなか言いにくいんだろうと思います、この薬によってこうなったかどうかと。当時、わからなかったときは、もっとそれは難しい話になると思いますけれども。しかし、現に告知されていなかったケースがたくさんあったということであります。

 今後、こうした状況になったときに、医療機関における医師と患者の関係の中で適切に告知が行われる、これをどういうふうにして促していくのか、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。

高橋政府参考人 告知という問題は、それは患者さんと医療を提供する側の医師などとの、その関係の中の話でありますので、極めてプライベートな領域に係る事柄があるわけです。その中で、医薬品という広く流通されているものが登場するということで、通常の病名の告知とかそういうものであれば、もちろん患者と医師との関係の中で行われるだけの話ですけれども、それが医薬品の副作用ということで、メーカー、あるいはそのバックに私ども、その監督責任、国があるということでございまして、そのことについて、医療機関に何か義務づけしてそれをやるというようなことは、もちろん、適正処方であったかどうか、適正使用であったかどうか、そこに判断もかなり伴いますから、非常に難しい問題だと思いますけれども、そういったことについて、医療機関の側でも、できるだけ説明の中でそういったこともきちっとやるように私どもとしても考えていきたいというふうに考えております。

福島委員 これは医師の裁量権の問題がありますので、行政としてどこまでできるかと、こういうことで、今のような御答弁になるだろうと思うんですが。

 医療事故についての調査委員会をどうつくるか、こういう話を今与党で、自民党、私どももやらせていただいていますけれども、大事なのは、医療事故の問題でも、その事故が起こったときに患者にどう説明するか、これが非常に大事なんですね。

 医療の中におけるリスクということについては、多分共通するところがあるんだと思います。医薬品にも一定のリスクがある、さまざまな医療行為にも一定のリスクがある。

 そこで、マルプラクティスではないにしても重大事象が起こったときに、それをどうするか、どう対応するか。なかなか医療機関から説明しにくい、そういう心情があるというのは私はわかります。ただ、そこのところは、今までのいろいろな経験を踏まえた上で、もう少し、医療機関自身が、また医師自身が、どういうふうな責任を担っているのかということについては、より明確化すべき方向でさまざまな議論を起こしていくべきじゃないかというふうに私は感じております。

 次に、時間もありませんので、最後に、厚生労働省の文書管理の問題であります。

 「文書の保存・廃棄ルールについて、外部の目を入れる等により抜本的に見直す必要がある。」社会保険庁の問題にある意味共通するところがあると思っております。

 厚生労働省には非常に膨大な情報が集中して、大変な作業を要求されているところであるということもわかっております。人員体制の問題もあります。業務の整理もしなければいけない。電子化なども必要なんでしょう。この点についてはしっかりと議論をして、今後に禍根を残さないような体制づくりをぜひともしていただきたい、そのように思っております。そのためには人も金も要るだろうというふうに思いますけれども、ただ、将来にわたって何がどうなんだかわからない、こういう状況は改善されるべきであるというふうに思っております。

 この点について一つ申し上げておきたいのは、裁判を争っているときに、原告の方の投与の事実関係について議論がなされたわけですね。そのときに、国は被告ですから、その事実があるんですかないんですかということについて厳しく対応するのは当然だと私は思いますけれども、しかしながら、一方で国は医薬品の安全を管理する立場にあるわけで、さまざまな情報を持っていたということも事実です。みずからそういう情報がどこからか得られないかと、こういうことに当然思いをはせるべきだったんだと私は思います、民間同士の裁判ではありませんから。

 もう時間もありません、大臣についての御質問は割愛させていただきまして申しわけありません。この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。

茂木委員長 質問時間が終了しておりますので、簡潔にお願いします。

杉浦政府参考人 報告書にもございますとおり、肝炎に関する訴訟の担当である副作用被害対策室におきましては、平成十四年に企業から提出されたさまざまな資料につきまして同室に共有されていなかったということが判明をしたわけでございます。

 今回の訴訟では、原告の一人について投与の有無について争うことになりましたけれども、資料の共有が行われていれば、結果としてフィブリノゲン製剤の投与の有無について争う必要はなかったというふうに言えるわけでございます。今回の私どもの調査そのものも、存在しないとされた資料が後になって出てくるといった事態が発端でございまして、文書の保管、管理等や職員の意識に大変問題があるというふうに考えております。

 したがって、報告書にもありますとおり、文書管理につきましては、厚生労働省全体の問題として抜本的に見直す必要があるというふうに提言をされたところでございまして、そのように取り組んでまいりたいと思います。

福島委員 ありがとうございました。

茂木委員長 次に、山田正彦君。

山田委員 最初に、これは局長でも結構ですが、四百十八名のリストについて今どうなっているか。その調査の結果というんですか、患者に特定してそれを知らせるという作業だと思うんですが、その中で、既に死者が五十一名、治療中の方が三十八名、治療済みが十八名というデータが報告されております。

 この死者五十一名の内訳というんですか、私、質問通告しておったんですが、いわゆる肝がんで亡くなられたのかどうか、その辺を、また、治療中はどういう、例えば重篤な肝硬変なのかどうか、あるいはまだ慢性疾患の状況なのかどうか、これだけではわかりませんので、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。

茂木委員長 大きな声ではっきり答えてください。

高橋政府参考人 今回の四百十八名の症例リストの方々に対するお知らせというものは、かつてフィブリノゲン製剤を投与したことがあるということのお知らせと、C型肝炎ウイルス検査を受けてくださいというお願いをするということでスタートしているわけでございます。その過程で相手の方が特定されて、医療機関からお知らせした際に、既に亡くなったということが相手方から答えが返ってきたということでございまして、この五十一名の方の死因については現在のところは把握できておりません。

 四百十八例に該当する患者の方々についてのこうした症状や治療内容などの事実を正確に把握するため、実態調査を実施することといたしておりまして、亡くなった方につきましては、死因などについてもその中で調査をいたしたい、かように考えております。

山田委員 ちょっと解せないんですが、これは当然のことながら厚生労働省が直接調査に当たっているんでしょうね、医療機関に対して。

高橋政府参考人 調査は、もちろん当然医学的な分析を必要といたしますので、現在、調査票の発出そのものにまだ至っておりませんが、その調査のやり方といたしましては、調査票を私どもからメーカーに送付して、メーカーから医療機関へ、それから医療機関から御本人へ送付する。その御本人が、今現在かかっている医療機関などにそういった調査への協力を依頼する、こういう格好になっております。

茂木委員長 つまり、いわゆるメーカー経由で聞いていて、直接は当たっていないということですね。

山田委員 この四百十八名の調査についてもメーカー経由でやっている。ところが、薬事法を読んでみても、厚労省は直接医療機関に対して、六十九条、七十七条からしても、立ち入りしていって調査することができるようになっている。何でメーカーを通じてこの大事な四百十八名の調査をしなければいけないのか、その理由を明らかにしていただきたい。

高橋政府参考人 薬事法上の規定は、厚生労働大臣等が必要があると認めるときは、薬局、病院、診療所などに立ち入りまして、帳簿書類などを検査させることができる旨を規定しておりますけれども、この規定は、現在流通している不良な医薬品などを発見、排除することを目的といたしております。

 したがいまして、個々人の症状、治療内容などのそういった個人のプライバシーに関するような情報を入手することについてこの条項を適用することは想定をいたしておりません。

山田委員 局長、間違っている。

 大臣、よく聞いていただきたい。

 この薬事法六十九条にしたって、危害の発生をできるだけ防止するため、その規定であって、そのためにこれは医療機関に対して調査、立ち入り、帳簿の閲覧、質問その他できるようになっている。いわゆる薬害、そういったものの危害の発生を防止するためなので、それを局長が今のような大変大事な発言をした。こういう間違った見解ということは大臣の責任である。大臣、それはぜひ正していただきたい。

 大臣は、十月二十四日、うちの菅代表代行の質問に対してこのように言っています。まず第一に、三菱ウェルファーマ株式会社作成のフィブリノゲン製剤による四百十八名のリストについて、直ちに感染被害者を特定する、直ちにと言っているんです。これから大変な時間がたっているということ。そして、その中で、その症状、治療状況について実態調査をお願いする、これは一生懸命実態調査をする。

 これは当然、厚労省が直接やるという大臣の見解ではなかったのかどうか。メーカーを通じて、相変わらずその死因もわからない、治療中でどういう病名かわからない、そういう調査しか報告されていないということ。これを大臣、どうお考えか。

舛添国務大臣 今の山田委員の御指摘の件ですけれども、四百十八人のリストができる経緯をさかのぼってみますと、まず、医療機関、お医者さんから副作用報告という形でメーカーにデータが来た。それが国にやってきました。

 今やっているのは、やはり一番患者さんの状況を知っておられる、それはお医者さんたちである、これは間違いないと思います。そのお医者さんたちにどういうルートでアクセスするのが一番早いか。薬を卸したのが医療メーカーで、お医者さんとのルートもそこから来ているわけですから、逆のルートをたどって、医薬メーカーに対して、お医者さんたちに対して、それにいろいろな指示をしてください、第一義的には、早く見つけて、あなたにはフィブリノゲンを投与しましたよ、すぐ検査を受けてください、これが第一の目的であります。そして、その過程で、死因を含めていろいろなことは、同時に、できれば協力してもらいたい、そういうことは既に言っているわけであります。

 しかし、今の段階で、死因について、またその後の経過について、きちんとした情報がメーカー経由では上がってきませんので、今お願いしているのは、新しい委員会をつくりまして、調査項目を専門家のお医者さんの先生につくっていただく。そして、その調査票をあのリストに載っている方々にお医者さんのところに持っていっていただいて、そしてきちんと書いていただく。それで、もちろんその前提として検診をきちんと受けていただくということは必要なんですけれども、そういうルートで今やっております。

 これは私も、非常に時間がたって、なかなか隔靴掻痒で、もっと早く上がってこないのかなと。それで、とにかく一週間に一遍その状況を、メーカーについては報告するように要請をしておりますけれども、今はそういう形で全力を挙げてやっているところであります。

山田委員 今、その実態調査、この前の山井さんの質問に対しても、二〇〇二年八月当時の状況を再現して、それから、どういう状況にまで、死に至ったか、あるいは重篤な状態になったか、それもきちんと調べたい、大臣そう言われましたよね。それについては、今、直接医療機関に対して委員会をつくってやるんだというお話でしたね。それは間違いありませんね。

舛添国務大臣 先般の西川副大臣をチーフとする調査委員会とは別に、今言った、フォローアップをしたいということで、これは検討委員会を今立ち上げました。そして、私は専門家じゃないものですから、お医者さんに、どういう項目できちんとやれば、先ほど先生おっしゃったように、肝硬変になっているのかどうなのか、それがわかる調査票を今大至急つくらせているところでありまして、それで、きちんとそれは国が責任を持ってやるということでございます。

山田委員 調査票を検討しているというので、その調査票の項目、それだけでも僕は資料要求して、きのうずっと遅くまで待っていました。ところが、夜遅くなっても、十時過ぎても十一時過ぎても持ってこない。これはどういうことか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 調査票につきましては、先日、十一月三十日の調査検討会における議論を踏まえまして、現在作成中でございます。途中段階での案をお示しすることは差し控えたいと存じますけれども、まとまり次第明らかにいたしたい、かように考えております。

山田委員 調査票で隠さなきゃいけないことというのは何もないと思うんだけれども。

 その調査票は、直接医療機関に送るのか、わかっている患者に送るのか、それともメーカーを通じて送るのか、どちらですか。

高橋政府参考人 先ほど申し上げましたように、この調査の調査票などの書類は、メーカーから医療機関、医療機関から御本人に送付するという格好で考えております。ただ、回収は御本人から、これは新たな個人情報に係るものが記載されますので、それにつきましてはプライバシーの保護の関係がございますから、その回収は直接私どもに送付をいだたく、かように方法を考えております。

山田委員 大臣、大臣は先ほど、その実態調査は直接医療機関なり患者にやると言われませんでしたか。そういう答弁じゃなかったですか。

 今、メーカーを通じてもう一回実態調査をやると言っているんですよ。いいですか、この前の記者会見のとき、被害者、原告団と一緒に記者会見のときに、メーカーにこそ責任がある、加害者であると大臣は明確に言いましたね。その実態調査をメーカーを通じてやるというんですよ、大臣。

舛添国務大臣 今私が考えていますのは、一番早く患者さんにお知らせして、調査票を渡すルートがどれが一番早いかということを今考えておりまして、メーカーが調査をするとかそういうことではなくて、今、あのリストの中の医療機関にかかった方、それは、先ほど申し上げましたように、上がってきたルート、来た道を逆に戻るのが一番早いという判断ですから、そういう形で、とにかく医療機関を特定する、そしてその医療機関でどの方が投与を受けたかを早く知らせる、そしてその紙を、調査票をその患者の方が持って、そして、お医者さんにしか書けませんから、それを書いていただいて、それを直接、そこから先はもうメーカーなんかを経由しないで、直接私のところに送っていただく、そういう意味であります。

 だから、メーカー経由というのは、それが逆ルートをとるのが一番早いという判断で、メーカーに任せるという意味で申し上げたわけではなくて、今度、直接国にいただいて、国から集計する、そういう意味で、私は、直接管理をすると。だから、アクセスについてのルートがどれが早いか、そういう観点から申し上げましたので、矛盾はしていないと思います。

山田委員 大臣、冷静に考えていただきたい。

 既に四百十八名のうち三百人近い人については住所も氏名もすべてわかっている。それをもう一回さかのぼって、メーカーから医療機関に、患者に、患者から医療機関にというそんなことではなく、あれだけの調査委員のメンバーも決まったんだったら、厚労省と調査委員の一人が直接患者のところに行って症状をお聞きするのが一番早い、一番正確な道でしょう。大臣、大臣の頭は最近おかしくなったんじゃないですか。

 どうぞ、お答えください。

舛添国務大臣 私は、一番正確に書ける人はお医者さんだというふうに思っていますので、このかぎを握る方々は医療機関、お医者さんだというふうに思っています。

 ですから……(発言する者あり)患者さん本人は、それは、例えばフィブリノゲンを投与されたことも聞かされていないかもしれない、それから、お医者さんじゃないですから、今かかっていて常に自分の健康状態の情報を得ていられる方はそうですけれども、フィブリノゲンを投与されたことも知らされていなくて、しかも検査もまだやっていなくて、そして、仮に検査をやっていたとしたらどの状況まで進んでいるか、これはやはりお医者さんに書いていただかないといけないので、そのお医者さんへのアクセスということを私は実は申し上げているわけであります。

山田委員 お医者さんにアクセスすることは、それはそれで意味があるとしたって、本人にもお医者さんにも直接厚労省が連絡するということは当然であって、舛添大臣が、加害者であって一番責任があるのはメーカーだと。何でその加害者であるメーカーを使わなきゃいけないんですか、相変わらず。癒着としか言えないじゃありませんか。

高橋政府参考人 ちょっと説明に不十分な点があった……(山田委員「いや、高橋局長じゃなくて、意見を舛添大臣に聞いている」と呼ぶ)

茂木委員長 事実関係を簡単に答えてもらった上で舛添大臣を指名します。

高橋政府参考人 最終的にはもちろん、仮に五年前に告知があったら現在状況がどういうふうに変わっていたか、これをきちんと調べるということが目的でございます。これは患者さんの現在の新しい情報でございますので、国がきちんとやらなければいけない、私どもかように考えております。

 ただ、投与時に、過去にフィブリノゲン製剤を投与したときにどういう状況で投与されたかという、その何年か前の、あるいは何十年か前の投与時のデータも要りますので、投与したときの医療機関の方の情報も加えていただかなければならないということで、投与時医療機関の情報も付加するということで今までのルートをもう一回たどる必要がある、こういうふうに考えております。

舛添国務大臣 とにかく医療機関にアクセスをして、結局、メーカーは薬をそこに卸した、それで、そこから先どういう方にフィブリノゲンを使ったかを知っているのはやはりお医者さんなんですね。ですから、一番早いルートは、薬を卸したのが一番よくその医療機関を知っているだろう、そういうことで、お医者さん一人一人の協力をどうしても求めないといけない。

 それで、私はルートとして使っているんであって、一番の加害者であるメーカーを癒着とかいうことで使っているわけではございません。それだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。

山田委員 大臣、こういうので時間をそんなにとらせたくないんで、いいですか、私がきょう示している資料の四―二を見ていただきたいんですが、これは、がんがんがんがん私どもが言って、七千の医療機関に対して国が直接調査用紙を送付しているんです。

 いいですか、この四百十八名の実態調査についても、医療機関、この四百十八名のははっきりわかっているわけですから、直接送れるんです。それを何でメーカーを、加害者であるメーカーをわざわざ使わなければいけないなんというのは論理性が全くないんです、大臣。厚労省が既にやっている部分もあるんですよ。

 大臣はぜひ、こういうふうに直接医療機関なりそして患者に対してこの実態調査を調査委員を通じてやるように指示してください。これは、もういいです、これ以上、この質問は。

 次に移ります。

 それでは、この調査報告書、先般プロジェクトチームをつくって、我々が幾ら聞いても、プロジェクトチームの結論を待たなきゃ我々は何とも答えられませんと。何度も苦い思いをして、むしろ、私どものいろいろな質問に対して厚労省は、このチームがあるからそれを待ってということで答えてくれなかった。我々にとっては、これはいわば隠ぺいチームじゃないかとまで言われたほどのチームで、さぞかし立派な報告が来るであろうと。こうして見てみましたら、何ということはなかった。結局、これは国に責任がなかった、当時の状況として国に具体的な責任があるとまで言い切れないと。

 いいですか、大臣は、十月二十四日、菅さんの質問に対して五つのことをいろいろ、いわゆる四百十八名については、適切な治療を受けていたら症状の悪化を防ぎ得た者が含まれていた可能性がある、この場合、被害者の特定と告知を怠ったことが刑事責任に該当する可能性がある、この可能性について調査し、該当する場合には責任者を刑事告訴すると、重い発言をこの議場でやっているわけです。まさにそのために私の直属の特別調査チームをつくり、これを検討した上でと言っているんです。

 この特別の調査チーム、これは大臣、読まれましたか。そして、国に責任がないと。これを読まれて大臣、あそこまで言い切った大臣は、この調査結果にどういう感想を持たれましたか。大臣のお気持ちを率直に言っていただければ。

 大臣のお気持ちはわかりますよ。一生懸命やろうとしているけれども、なかなか官僚が笛吹けど踊らず。私どもが幾ら聞いても、官僚は、大臣はそんなことを言ったんですか、我々は知りませんと。そんな中で苦労しているのはわかりますよ。しかし、このプロジェクトチームの調査結果、そして、このチームはもう既に解散した。そのことについて、大臣、どう思われますか。

舛添国務大臣 その後の国会におきましても、私は、まず前提として、五年前の状況を再現したいということを申し上げました。そうすると、なぜ国が患者さんの立場に立ってきちんと知らせてくれなかったんだろうかと。例えば、副作用報告書が上がってきた、基本的にはイニシャルで書いてある、こういうことに対してどう対応するか。それから、その他の面についても、当時の状況がどうであったか、それを一生懸命調査チームはヒアリングをする、それから、外から弁護士さんも入れて、必ず弁護士さんについてもらってヒアリングをする。それなりの努力をしたというふうに思います。

 それで、その結論は、要するに、法的な責任をとるという形で見ると、そうではないという形での報告書が出ました。私は、それは一つの結論であろうというように思いますが、今後はこれはぜひこの国会の場でもきちんと一度議論をしたいということで、きのう、実は参議院の厚生労働委員会で問題提起をいたしましたけれども、副作用報告書をどう活用するのか、副作用報告についてどうすればいいのか。これは、副作用報告がきちんと上がってくるルートを確立しなければ薬害がなかなか減らない、そういう面がございます。これはもう委員御承知のとおりです。

 しかし、片一方で、今から思えば、そこにきちんと副作用報告書が上がっている。上がっていれば、この報告書の結論は、当然それは、お医者さんが、既にフィブリノゲンを投与しましたよ、したがって肝炎になりましたよということを言っているという前提でその当時は動いたということなんですけれども、いや、まさに、ただ、あなたは肝炎ですよと言っただけで、フィブリノゲンの投与について知らせない医師がいるのではないか、そういうことについて、そのときは、やはり国が薬事行政の最後の責任者としてもっと親切に踏み込んでやるべきではなかったか、そういうことの多々の反省は私はあると思いますので、それをしっかり踏まえた上で、二度とこういうことが起こらないようにするために、今、一つ例を挙げたのは、副作用報告書をどう活用するかということでございますけれども、そういうことを、この報告書をもとにして、さらにきちんと立て直しをしていきたいというのが私の今の気持ちでございます。

山田委員 情けない話ですが、今言った、では、なぜ法的責任はないのか。これは、大臣でもいいし、局長でもいい、あるいは調査チームの責任者、事務方をきょう呼んでいるはずですから、その方でもいい。お答えいただきたい。

杉浦政府参考人 報告書におきましては、法的責任の関係につきまして、薬事法上の責任について検討をいたしたわけでございますけれども、薬事法上の目的からいたしまして、医薬品等の安全対策上の措置を規定するという趣旨でございますし、また、医薬品副作用報告制度も、そういった趣旨から、関係者に広く注意喚起をするということを目的としておるものでございまして、直接患者に注意喚起をするということを想定していないということで、患者に対し告知をするということが国に義務づけられるものではないということでございます。

 また、薬事法六十九条の三におきますいわゆる緊急命令につきましても、同様の趣旨から、医薬品等の安全に対する規制の措置として考えられておりまして、患者の救済を図るという観点のものではないということで、こういった観点からの法的な義務ということは求められないという判断で報告書に書いたものでございます。

山田委員 いいですか、そのプロジェクトチームの責任者の方に申し上げますが、私も法律家だ。薬事法一条をよく読んでもらいたい。これは物に対して書いているんじゃない。この「目的」は「保健衛生の向上を図ることを目的とする。」と書いている。これは人に対してなんですよ、当然のことながら。人があって、物なんです。

 六十九条、これもよく読んでください。危害の発生または拡大することを防止するために緊急命令を出すことができるとなっている。権限があるんですよ。やらなきゃいけないんですよ、法律的に言ったら。それを怠ったんです。わかっていながら、患者にフィブリノゲンを打って、そして、二〇〇二年の八月ですよ、このままでいったら、そのうちに肝硬変になり肝がんで亡くなるであろうと。既に五十一名の方が、今わかっているだけで亡くなっているじゃありませんか。それが十分、法律的に言ったら予見できたんです。それなら、直接でなければ医療機関に緊急命令を出して、患者に通告しなさいというのもできた。やらなきゃいけない。法律上の作為義務があった。それを怠ったのに、何で法的責任がないんですか。お答え願いたい。

杉浦政府参考人 この点につきましては、チームの顧問になっていただきました弁護士の方とも御議論をさせていただいたところでございますけれども、やはり、先ほど申しましたとおり、薬事法上の目的あるいは医薬品副作用制度、それから緊急命令等におきましても、医薬品の安全対策を図る観点からの措置という観点でございまして、患者に対する告知ということに対しましてまで国に義務づけをするということにはならないだろうということの意見でございましたので、それをもとに報告書として書かせていただいたものでございます。

山田委員 大臣、よく聞いていただきたい。大臣が選んだ弁護士さんがそのような見解を述べたらしい。本当に述べたんですかと僕は聞いた。弁護士であったらそんなことを言うはずがない、私はそう思っています。

 もう一つ。いいですか、法的責任がないという理由の中に有識者会議のことが書かれています。有識者会議においては、フィブリノゲンについては、クリスマシン、第9因子と違って広く使われているから、患者一人一人にまで個別にする必要はないんじゃないか、そこまでは書いていないんですが、これは、いわゆる一般的な啓発でいいんじゃないか、そういう有識者会議の結論があるから、そこまでの必要はなかったんじゃないかということを導き出しているようです。

 それで、私は、有識者会議の第四回、五回の議事録を読まさせていただきました。ところが、この中で既に齋藤医師が、フィブリノゲンについて、いわゆる第9因子の凝固製剤と同様に個別の実態調査をすべきでないかと、そう言っているんです。そして、それに対して杉村座長が、そうですな、そうでしょうねと、そう答えているんです。ところが、当時の鈴木さんという血液対策課長が、今緊急的ないろいろな措置をとっているからそれを待ってくださいと、それを阻止しているんですね、議事録の中では。いいですか。

 そこで、そのままに終わったのに、結論としては、この報告書の中では、多分厚労省の事務方が書き上げたんでしょう、広く使われているからこの場合には単なる啓発でいいというような結論を、議事録とは別に、勝手に書き上げてしまっているんですよ。意図的なんです。

 審議会のいろいろなものは、官僚、いわゆる事務方が意図的につくり上げてしまう、この典型的な例です。それを調査チームは、詳しく議事録があって、議事録まで調べずに、その部分だけ持ってきて、あなたの直属の、弁護士も入れた、その調査チームはそういう結論で、そこまで、我々国に対して責任がなかったという言い方をしているんですよ。大臣、それについてどう思われますか。大臣に聞いています、見解を。

舛添国務大臣 お答えする前に、できれば、今委員が御指摘なさったことの事実関係を政府委員の方に確認させたいと思います。よろしくお願いします。

杉浦政府参考人 お答えいたします。

 第四回の有識者会議の議事録でございますけれども、そこの中の委員のお一人が、考えられる集団、リスクのある集団の中にフィブリノゲン製剤というのが当初含まれていなかったということでございまして、それに対していろいろ、肝炎の危険が高いということが広く知られているかどうかというのはわからないと言いながら、こういったものも対象に含めた方がいいというような御発言があることは事実でございますけれども、ただ、これについて個別に対象を特定して調査をするというところまでの議事録はないように思われます。

 有識者会議につきましては、先ほど委員の述べられましたように、フィブリノゲン製剤につきましては、広く一般対策として、検診を呼びかけるという対策をとったところでございますけれども、それについて特に異論があったというふうなことも記録としては残っておりません。

茂木委員長 第四回、第五回の議事録の中では、個別の実態調査をすべきだ、こういう表現はないということでよろしいんですか。

杉浦政府参考人 はい。フィブリノゲンにつきまして個別の実態調査をすべきだというような発言はありません。(山田委員「齋藤医師の発言は」と呼ぶ)

茂木委員長 そうしましたら、もう一回聞いてください。

山田委員 齋藤医師が発言しているじゃないか。それに対して杉村座長が、そうだねと言っているじゃないか。

 もうそれについてそれ以上聞かなくてもいい。大臣の所信だけ、そういうことに対してお聞きすればいいと思っています。

舛添国務大臣 これは、今議事録はないと思いますので、議事録をきちんと精査した上でまたお答えをいたしますけれども、仮にそういう議論がきちっとあって、それが報告書の中に反映されていないということは、なぜそうなったか、それはきちんと、説明責任があると思います。

 私は、まずその議事録を精査し、もし委員のおっしゃる発言がその委員の方々からあって、それで今のような結論が導かされたとするならば、どういう経路であったか、そしてそれはきちんと説明することが可能であるかどうか、それをきちんと検討して調べたいと思います。

山田委員 大臣は、つい二、三日前の記者会見で、この問題は薬害であると、謝罪しておられますね。企業が一番悪い、それでも、国も悪いというか、謝罪しています。ということは、やはり国も責任があるということをお認めになっているということでいいわけですね。いかがでしょう。

舛添国務大臣 その前に、今の件は、私は、だから、人数が多いから、ただ一般にやればよかったということだけで済むかということは、これはあらゆる手を尽くして告知できればやった方がいいだろうと、今にして反省してみれば、そういうことも申し上げられると思います。

 それから、HIVの件も含め、次から次と薬害が起こっている、こういうことは二度と起こしてはいけない、そのためにきちんと反省をする前提として、やはりこれは薬事行政の失敗であることは私は確かだと思います。したがって、そのことが原因でたくさんの方が苦しめられてきた、それは本当に心からおわび申し上げないといけない。そして、その原点に立つと、謝罪すべきは謝罪し、きちんとこれは、償うべきは償うべきである、そういう基本的な姿勢で問題に対応していきたい、その決意は変わっておりません。

山田委員 そのスタンスというのは評価したいと思っておりますが、薬害である、いわゆるエイズのときと同じように。ということは、まさに国が加害者である、大臣、そう考えてよろしいですか。

舛添国務大臣 薬害であるということは、これはしっかり認めるべきであると思います、まず第一。

 それから、そういう危険な例えば血液製剤を製造した、その第一義的な責任はまさにメーカーにあります。しかし、国は薬事行政全体に対して責任を負う立場でありますから、それがきちんと果たされなかった、そういう意味での責任を私は感じているということでございます。

山田委員 前回の質問で私は、加熱製剤を十日間で、普通なら二年かそこらかかる承認をたった十日でやってしまった、それでさらに被害が拡大してしまった。そのとき、厚労省の担当者のメモに、これはFDA、アメリカでは使用禁止に既になっているし、有効性にも疑問があると。いわゆる、それなりに厚労省は、薬剤を承認することの難しさというか、将来こうである、こうしてまた薬害が発生するであろうということを認識しながらそういうことをやった。そして、本当に多くの方がこうして死んでいったという、加害者である国が、ここは非常に大事なことなんですが、交通事故に例えれば、車をぶつけた、これは加害、この車をぶつけた方が国だとすると、車にぶつかって倒れて、もしかしたら死にかかっているかもしれない、その人に対して何らかの救援措置をする。このままほうっておいたら、これは刑事法でいったら要保護者遺棄罪に当たるんです。

 そうすると、それをほうっておいて、わかっていて、四百十八名の患者さんがフィブリノゲンを使った、いわゆる交通事故に遭わせた。そして、そのうち肝炎、肝硬変で亡くなる、既に五十一名が亡くなっている、それをわかっていた。しかし、その時点で告知しておれば、名前もわかっていたんですから、死なないで済んだ。これはまさに交通事故の場合における業務上過失致死。犯罪そのものじゃありませんか、その責任者は。大臣、いかがですか。

舛添国務大臣 そういう点も含めて、今、五つの裁判所のさまざまな判決が出て、法的にどこにどういう責任があるか、それから、交通事故の場合とそのまま一〇〇%比較できるかどうかということも含めまして、今、大阪高裁での和解に向けていろいろな協議を重ねているところであります。

 それで、今のアメリカの決定について、今FDAについて言及をなさいましたので、そこのところの事実関係がもしつまびらかでなければ、これは政府委員からお答えさせていただきたいと思いますが。

山田委員 いや、FDAのことについては、前回、私は証拠で出しておりますし、FDA自身は一九七七年に既に禁止していますね。だから、あの加熱製剤を十日間で承認するときの担当者のメモの中に、FDAにおいてもこれは禁止されているし、有効性にも疑問がある、それでも十日間でやってしまえというようなメモがあったので、それを証拠で出した。それをただ引いただけですから、それについてはもう結構です。

 ただ、大臣、今申し上げましたように、さっき交通事故の例を挙げましたけれども、国がいわゆる加害者であって、そして相手方が、既に告知すれば助かったかもしれない。大臣も十月二十四日に言っているんですよ、これは防止できたかもしれないんだと。それを何で告知しなかったかが大変重大なことなので、それを明らかにして、この調査報告でその責任を明らかにしたいと大臣は言っておったんです。場合によったら自分が刑事告訴もするとまで言ったんですよ、大臣。そうですよね。

 それでいて、今言ったように、国に責任はない、法的責任もない、こういう調査報告を出したということに対して、大臣、もう一度感想を述べてくれませんか。これでいいのか。法的責任はないと言ったけれども、私は法的責任はあると言いましたけれども、それについても含めて。

舛添国務大臣 これは先ほど委員から御指摘がありましたが、お二方の弁護士の方、法律専門家の方の御意見を聴取した。そうすると、薬事法の解釈上、法的に責任がない、責任を追及する、例えば今おっしゃったような業務上過失致死のようなことでやるのは極めて困難であるという結論を得た上でのことでございます。

 それで、私が申し上げているのは、法的ということよりも、むしろそのときの状況を再現することをまずやる、しかし、その中で患者の視点に立っていないということについては重大な反省が必要である、そういうふうに今も考えております。

山田委員 薬事法についてどうかと聞かれたら、弁護士は薬事法についての直接の規定はありませんねというぐらい言ったかもしれません。しかし、法的責任というのは、私も弁護士ですから、薬事法だけじゃないんです。業務上過失致死、過失致傷というのは刑法なんです。私は薬事法の観点からも作為義務があると思っていますが、そこは弁護士によって見解が少し分かれるかもしれませんが、我々弁護士としてはそういう見解をとるというのは信じられなかったので、聞いたんです、これは本当に弁護士さんがそう言ったんですかと。

 しかし、いずれにしても、私は法的責任はあると思っていますが、こういう結果について非常に残念な思いがしますので、本当のところ、さらにそれ以上、「背景」と書いていますけれども、加熱製剤の承認のときにさかのぼって、国の責任というのは、当事者の責任というのは、今刑事事件としては既に時効部分もありますけれども、時効になっていない部分もある。これからさらに問題になるかもしれない。これは大きな問題です。そこは直属の本当に信頼できる調査チームをつくってもらわないと、大臣、この解明には当たらないと思います。

 一つ、時間もなくなってきたので、今、大阪高裁で和解が進められておりますが、それについて少しお聞きしたいと思うんです。

 私どもも裁判上の和解というのは随分体験してまいりましたが、やはり原告側の意向を聞き、被告側の意向を聞き、そして、では、こういう形で救済というか、そういう面での和解案を裁判所は出してくると思うんです。七日に、あるいは延びるかもしれないという大阪高裁の和解勧告の話ですが、その中でいろいろ新聞等々にも報道がなされております。やはり、どうやら報道等によると、東京地裁の裁判例のいわゆる一つの基準といいますか、それでもって国は救済したいという意向のようです。ところが、これは非常に問題があります。

 例えば、大臣も、きょうこれから後の質問に出てくると思いますが、加地智子さん、この方は四百十八名のリストに入っていて、この前ようやく告知を受けた方で、しかし、今現在すごい重篤な状態ですね。ところが、この方は九一年三月にフィブリノゲンを投与された。ということは、この方は東京地裁のこの基準に合わないんです、救われないんです。ところが、九一年三月というと、既に血液の中からC型肝炎のウイルスをチェックできる体制が整っておったんです。製剤するにしても、そういう血液は外すことができたんです。それを怠ったこと、しかもフィブリノゲンを回収しようと思ったら回収できたはずなんです。それをしなかったという意味では、従前よりもさらに国の責任は、監督、被害を防止すべき責任は重かった。それなのに、そういった人を外すような和解というのは妥当なのかどうか。大臣、御意見をお伺いしたい。

舛添国務大臣 今週あるいは来週に大阪高裁が和解案を出してくださるということで、原告、被告の考え方をずっと今聴取してくださっているところだと思います。そして、裁判長から厳しく言われておりますのは、このプロセスについて、それぞれの意見について一切公表してはならないということでありまして、私もいろいろな報道でいろいろな案を聞きますけれども、どれが正確で、またどれがどうなのかということはわかりません。

 そして、今、和解協議に向けて裁判長のところで詰めをやっておりますので、今の委員の御意見に対して私が申し上げられることは、先般も申し上げましたように、薬害である、したがって、その被害者はできるだけ広く救済したい、そういう思いで方針を立てているところであります。

山田委員 広く救済したいということのようですが、それで、大臣のお気持ちは私もわかります。しかしながら、実際に我々は何度も厚労省の役人と接していて、大臣はそんなことを言ったんですか、我々は知りませんよと。これは、本当に愕然とするようなことが多々あるわけです。そういう意味では、大臣、ぜひそこはしっかりとやってもらわなきゃいけないんですが、大臣、資料四と五を見ていただけますか。資料四の棒グラフ。この中に、いわゆる黒で囲ったのは東京地裁で救われない部分です。ブルーのものが救われる部分の数です。

茂木委員長 カラーになっていない。白黒、薄い方ですね。

山田委員 ごめんなさい。この真ん中の薄い方が救われる部分で、濃い方が救われない部分です。そう見てください。

 もう一枚、今度は資料五を見てください。今の資料四は四百十八名のリストをグラフにしたものです。これはその比較ですね。ところが、資料五の方は……

茂木委員長 山田さん、恐らく先ほどのが五―一で、今お話ししているのは五―二じゃないですか。(山田委員「ああ、そうですか。僕が持っているのがちょっと違う」と呼ぶ)それでわかります。大丈夫です。今説明しているのは五―二です。

山田委員 失礼いたしました。

 この五―二は、全国の原告のこれをやはりグラフにしたものです。そうすると、これはほとんど一致するんです。東京地裁で救われる人が約三分の二です、薬害患者の。救われない人が三分の一です、これでいきますと。それを、大臣がお述べのように、僕はもう一回十月二十四日の議事録を読んでみたら、大臣は、すべての人を救済したいと言っているんですよ。すべての人を救済するとしたら、あと三分の一の人も必要なんです。

 私、原告の人たちと、原告団の弁護士ともいろいろお話しさせていただきました。その中で、皆さん方としては、場合によれば自分たちのもらい分は東京地裁より少なくなっても、その残りの三分の一も一緒に救ってほしい、皆さんそういう気持ちです。これは非常に大事なことです。それについては、恐らく大阪高裁が和解勧告をもう一週間近く延ばしてくれそうですが、高裁としても、それまでに国がそれだけの決断を、東京地裁の基準じゃなく、患者はそこまで、原告団はそこまで言っているわけですから、そこまでの政治的判断、これが今大臣に求められている、そう思います。

 どうか、大臣、そこのところを本当によく考えていただきたいと思います。言えること、言えないことはよくわかりますが、決意だけでも言える範囲で述べていただければありがたいと思います。

舛添国務大臣 今の委員の御提案も重く受けとめまして、できるだけ広く多くの人を救済したい、その気持ちで臨んでまいります。

 ただ、どうしても裁判長から経過については公表するなという御命令でございますので、それは従いたいと思います。

山田委員 今の大臣の言葉に大変私もありがたく明るいものを感じております。

 念のために、たまたま、私も弁護団あるいは患者の方々からは、すべてを救済したい、私たちがその分だけ金額が減っても結構ですよというのは聞いていましたが、毎日新聞を見てみましたら、資料六です、「薬害肝炎補償 「三分の二に減額で全員救済」」そういう記事が、これは本当かどうかわかりません。そういうこともあります。仮に、私が先ほど示したデータ、三分の一を救うとしたら、多分国としても十分可能な和解じゃないかなという気が私自身はしております。この際、大臣の意も酌んで、一刻も早い解決を望みたい、そう思っております。

 次に、最後に質問させていただきますが、いわゆる今回の肝炎の問題で四百十八名とか、原告団の人、その人も本当に大事なんですが、最も大事なのは、この薬剤が、加熱製剤、非加熱製剤ともに承認されて使われた。使われて、実際に薬害肝炎にかかっている人が二十八万から三十万人と言われております。当時の報告で、青森県の三沢の医師からの報告でも、当時、八例中八例発症した、一〇〇%。加熱製剤になってから、大丈夫だろうと思って加熱製剤を厚労省は認めたと思うんですが、その後、これはこの前も私、裁判例を示しましたが、長野県の医者からの報告で、自分が使った四例中四例発症して、一〇〇%とやはり書いています。

 そうなると、一万何千人しか患者がいないであろうというのは当時の旧ミドリ十字からの報告であって、実際には私は二十八万人すべての人がほぼかかっているんじゃないか。その人からさらに二次感染の人を入れると、かなりの数の人が、国民で苦しんでいる人がいるんじゃないか、そう考えますので、この七千の医療機関に対して何らかの、早く患者に対して救済措置といいますか、それを調べて、カルテとか云々残っているものに対して告知してほしいということを再三言ってきました。それに対して、大臣がどうしたらいいかということについての所信を伺えればと思います。

舛添国務大臣 まず七千の医療機関、これは公表を私は約束をいたしまして、十一月三十日付の官報に一般競争入札の公告を出しました。それで、十二月の十一日、もうやがてでございますが、これを開札して、落札した広告代理店を決定して、一月中旬にはこれをまず発表したい。そして広く呼びかける。

 国民の皆さん方は、ぜひ役所のインターネットにアクセスしていただければ、そこにもうきちんと全部出ております。既にインターネットは使えますが、その上で、できるだけ多くの方に申し入れていただきたい。そして、一日も早く検診をして、そして、一刻でも早く、一人の命でも守りたい、そういう決意でございます。

山田委員 時間が来ましたので。

 大臣の今のお言葉、本当に早く新聞広告を出す、そして私の方で資料でつけさせていただきましたが、各医療機関に対して直接厚労省からアンケート調査をやっております、これについて、返ってきているはずだから、その中身を私の方にきょう資料提供してほしいと申しましたが、それは残念ながら、きのう夜遅くまで待っていましたが、得られませんでした。これは結構です。

 しかし、大臣、既に返ってきております。その中を精査していただいて、その中には既に名前がわかっている方がいらっしゃるかもしれない。どうか、一刻も早く告知するようにお願いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

茂木委員長 次に、山井和則君。

山井委員 これから五十分間、質問をさせていただきます。

 まず最初に、残念ながら、今週の報告では、四百十八人のリストの中の方で既に五十一人もの方がお亡くなりになったということが判明をいたしました。このことに関しまして、本当に心より御冥福をお祈り申し上げたいと思います。また、四百十八人のリストの中だけではなく、薬害において何百人あるいは何千人もの方々が亡くなろうとされている、あるいは亡くなった方もおられるかもしれません。そのことについても、今御病気で苦しんでおられる方々、御家族の方々、そういう方に関しても、本当に申しわけないという思いで、私も立法府に身を置く人間の一人として思っております。

 それとともに、このような死者の数がどんどんふえているにもかかわらず、舛添大臣から、そういうリストの中でお亡くなりになられた方々に対するお悔やみの言葉が一言もないことに関して、私は、なぜかなという気持ちを持っているということを最初に申し上げます。

 最初に、舛添大臣にお伺いしたいと思います。

 今私たちは、C型薬害肝炎訴訟を中心に議論しておりますが、もともと、長らくこの肝炎問題で訴訟をしておられたのは、木村原告を代表としますB型肝炎の方々なんですね。二十年以上訴訟をされて、昨年、最高裁判決で国が敗訴をした。これは、予防接種、注射針の使い回しということでありました。二十年以上争って、最高裁で敗訴をした。訴訟中は、訴訟が終わるまでは原告と会えないということで、二十年間面会を拒み続けてこられました。

 ところが、最高裁判決が出たにもかかわらず、一年以上たってもまだ、何度要望しても大臣面談はかなっておりません。先日も改めて要請をされました。C型肝炎の原告の方々とは、大臣、二回お目にかかっていただきました。やはりB型肝炎の原告の方々とも、最高裁の判決が出て国が敗訴したわけですから、当然会われるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 昨年の六月、今委員が御指摘になりました最高裁判所の判決が確定いたしました。これはやはり国として非常に重く受けとめるべきであるというふうに思いますし、そしてさらに、きちんと今損害賠償も行われているところであります。今の委員の御意見を賜って、今後検討させていただきたいと思います。

山井委員 検討するということは、会う方向で検討するということでよろしいですか。

舛添国務大臣 これから私がやるべきことは、二度とこういう問題を起こさないように全力を挙げるということで、その政策をきっちりまずはやりたいというふうに思っています。

 その上で、いろいろな状況を勘案し、今の委員のおっしゃったことを一つの提案として受け入れて、そして検討をしたいと思います。

山井委員 ぜひとも早急にお目にかかっていただきたいと思います。

 なぜこういうことを言うかといいますと、三百五十万人もの肝炎のキャリアの方々の中で、薬害だけではなくて、当然、もっと多くの方々が予防接種あるいは輸血というもので苦しんでおられます。ただ、それがなかなか確定できないわけですね。そういう意味で、今回、フィブリノゲン、クリスマシンなどの薬害肝炎訴訟、これは、一C型肝炎あるいは薬害ということに関してだけではなくて、国が認めた医療行為によって感染された方も非常に多いわけです。しかし、そのことの立証ができないから、ある意味で、三百五十万人もの多くの感染者の代表として、薬害肝炎の被害者の方々が裁判を闘ってくださっているんだというふうに私も理解をしております。

 もう一点、舛添大臣。

 先ほどの山田議員との質疑で、私、少し気になったんですが、今、改めて二〇〇二年のときにさかのぼっての患者の方の実態調査をされているということですが、先ほどの話を聞いておりますと、何か医師の方に回答してもらうということなんです。ここは大事なことなので確認したいんですが、御本人の御意見なり、御本人が意見を書く欄というか、そういうのも当然用意するわけでしょうね。

 お医者さんが一方的に書くのでは、一番困っている本人は当事者ですから、当たり前の話ですけれども、まさか、お医者さんだけが書いて本人の書く欄がないなんということはないと思いますが、そのことだけ、大事なことですので、本質的なことですから、大臣に確認したいと思います。

舛添国務大臣 そのことも含めて、今、お医者さんのチームで、どういう質問項目票にするか、例えば、患者さんで既にもう自分の状況、今、肝硬変である、どれぐらい進んでいる、既にかかっている、そういうことは当然本人できちっと書ける方はおられるわけですし、そうじゃない方をむしろ前提にしてお医者さんにきちんと書いてもらいなさいということですから、今の山井委員の貴重な御意見を賜りまして、これを調査検討委員会の質問票をつくる専門家の先生方にお伝えして、そういう意向が反映するように努力いたしたいと思います。

山井委員 確認ですが、もし御本人が非常に重篤で書けなかったら御家族の方に書いてもらうとか、もちろん私はお医者さんにも書いてもらったらいいと思うんですよ、ただ、お医者さんだけではだめだと思いますので、御家族、本人などにも基本的には書いてもらえる方向で検討するということでよろしいですか。

舛添国務大臣 私は、山井委員の意見は極めて正鵠を得ていると思いますので、きょうの山井委員と私のやりとりをきちんと検討委員会の先生方にお伝え申し上げて、そういう方向で、質問事項、調査票をよりいろいろな方の意見を入れた完璧なものにしていただきたい、それはきちんとお伝えいたします。

山井委員 それで、もう一つつけ加えますと、二〇〇二年に告知されなかったことに関して、本人や御家族あるいは御遺族がどう思っておられるのかというのは、これはやはり非常に重要なことです。そこが本質です。そのことについてもやはり書き込んでもらうということでよろしいですか。

舛添国務大臣 一番のポイントは、先般、お二方が提訴をまたなさいました。先ほど山田委員がおっしゃられた方で、私もテレビを通じて拝見しました。フィブリノゲン投与ということについて、全くこれは告知をされていなかった、肝炎ということは知らされていても、それを知らされていなかったということでありますから、その点は、告知されていたのかいなかったのか、極めて重いことでありますから、そこはきちんと書いてもらわないと、私は調査する意味がないと思いますので、それは必ず外さないように項目を立てていただきます。

山井委員 いや、私の質問に答えていただきたいんですが、フィブリノゲン投与を教えてもらっていたかどうかという事実関係だけじゃなくて、二〇〇二年のときに知らせてもらっていなかった場合には、知らせてもらっていなかったことに関する患者や御家族、御遺族の感想、御意見、それこそがこの調査で一番重要なわけですから、それも書いてもらうということでよろしいですか。

舛添国務大臣 それは恐らく、工夫をいたしますが、まずは事実関係、告知されたのかされていないかをやる調査票をきちんとつくって、例えば備考であるとか別紙という形で書いていただいた方が、調べるとき、私はなるべく早くやりたいので、そういう工夫をちょっとやってみたいと思います。

山井委員 今の別紙という形でも備考という形でもそれは結構ですので、あくまでも主人公は患者の方であるわけですから、ぜひともその方々の思いというのをきっちり調査していただきたいと思っております。

 それで、先ほど山田議員の質問にもありましたが、二日前に加地智子さんが新たに実名で原告に加わられました。それで、九一年に投与をされたということであります。八九年の十一月には、日赤でウイルスが同定されていて、ウイルスチェックもできる状態になっていたにもかかわらず、危険な製剤をつくり続け、また回収もせず、なってしまったわけですね。ところが、この東京地裁判決の基準でいくと、この方は救済されない。先ほどの山田議員の質問とも重なりますが、これはどう考えてもおかしいのではないか。

 それで、かつ、この方は、二〇〇二年の際に告知をされていたら、きょうの記事にも出ております、私が配付した資料、十一ページ、十二ページに、今、残念ながら慢性肝炎でも最も重い症状まで進行してしまっているということで、なぜ五年前に告知をしてもらえなかったのかということをおっしゃっておられるわけですね。

 本当にこれは取り返しのつかないことだというふうに私は思っておりますが、こういう方が救済の対象に入らないというのは、どう考えてもおかしいと思うんですね。ぜひ大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

 例えばですが、こういう加地智子さんのような方は救済の対象として含めるべきと考えるか否か、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 私が、今、大阪高裁の和解協議の枠組みの中で申し上げられることは、できるだけ広く、多くの方を救いたい。今の個々のケースについては、一週間延びたということでございますけれども、何とか来週の和解協議が大阪高裁のリーダーシップのもとに満足のいくものであるように、そういう思いで今プロセスを踏んでいるところでございますので、それ以上の踏み込んだお答えはちょっと御容赦願いたいということでお答えしたいと思います。

山井委員 舛添大臣、先ほどからの発言で私が一番気になっているのは、大阪高裁の意向を、和解案を見守りたいじゃないんですよ。一週間延びたのは、逆に、大阪高裁が舛添大臣や福田総理の政治的判断を見守りたいと、ボールは舛添大臣と福田総理に来ているんですよ。その認識をはっきり持ってもらわないと、これは和解勧告案が出てからでは遅いんですよ。

 きょうの新聞の一面にも出ています。私も非常にショックを受けました。ここに出ておりますように、「患者の救済範囲限定」「「全員救済」を満たさず」「国の意向を大きく反映した内容」「原告側の反発は必至だ。」ということになっております。

 全面解決、全面解決と舛添大臣はおっしゃいながら、結局は国は限定すると裁判所に伝えているんじゃないですか、結果的には。ですから、こういうことに今なっているわけじゃないですか。

 舛添大臣にお伺いします。

 全員救済をしない、救済範囲を限定してしまう、こういう和解案が来週十三日に出た場合、原告弁護団はのむと思われますか。いかがですか。

舛添国務大臣 まず、今お示しいただきました新聞記事の中身がどこまで正確であるのかどうなのか、これはちょっと私は判断ができかねます。

 それから、何度も申し上げていますように、今和解交渉のプロセスにありますので、公表するなということであります。

 それで、原告側の皆様方が、仮に今おっしゃったような和解案が出たときに、それに対してどういう対応をとられるかということは、これはもう原告側の皆さんに直接私がお伺いするなり御意見を賜るしかないので、私が勝手にそんたくするのは大変失礼だと思います。

山井委員 舛添大臣、そうじゃないでしょう。火曜日に会ってくださったじゃないですか、二回目、原告の方々と三十分。本当に感謝しています。その三十分の中で繰り返し原告が言ったのは一つしかないんですよ。全員救済をしてください、救済範囲を限定しないでください、そのことを既に原告は大臣に伝えているんですよ。だから、私は今の質問をあえてしたんですよ。

 つまり、このような和解案が来週十三日に出たら、もちろん私は当事者ではないから確定的なことは言えませんが、今までの発言を聞いている限りでは、原告弁護団はのめないですよ。のめませんと今まで言い続けているそのものを出すんですから。そうしたら、これは和解成立しないですよ。そのことを舛添大臣は当然わかっておられると思うんですね。

 ですから、私は、きょうのこの朝刊というのはすごく重い問題提起をされていると思いますよ。このままいけば、つまり、来週十三日まで舛添大臣や福田総理が政治決断をされなければ、この和解はほぼ確実に成立しない、そういう状況に今あるんですよ。このことは舛添大臣もおわかりになっていると思います。そういう状況に今あるわけです。

 そういう状況の中で、きょうも患者の方や原告の方も傍聴に来ていただいておりますが、舛添大臣は、具体名を出して、福田衣里子さんは、シンボリックに言えば、救済しますということを明言されました。

 そこでお伺いしたいんですが、個人名を出して恐縮ですが、福田衣里子さんはこの救済範囲には入りません。八〇年、そしてクリスマシン投与です。ということは、大臣が救済すると明言されたということは、このように救済範囲を限定することはしないということですか。

舛添国務大臣 何度も申し上げて恐縮なんですけれども、細かい具体的なプロセスについては発言をするな、公表するなということを裁判長に言われております。

 しかし、私は、一生懸命原告団として頑張っておられる方々、この方々の一人一人のお名前もお顔も浮かびますので、福田さんも救う、そういう方針でしっかりやりたいということでありますが、今の新聞記事が正しいかどうかがまずわからないということと、なぜ大阪高裁が一週間延ばしたかということも私は裁判長からその理由は聞いておりません。それから、一週間後にどういう案が出るかということもまだ全く聞かされておりません。

 その過程において、原告と被告が和解できるような案を今一生懸命大阪高裁の裁判長がやってくださっているというふうに思いますので、そのリーダーシップに期待をしたいというのが今の私の立場でございます。

山井委員 舛添大臣、やはり根本的に間違っていると思うんですよ。リーダーシップに期待したいじゃなくて、今問題になっているのは、国が限定すると言っているから大阪高裁は困っているという話なんですよ。リーダーシップが期待されているのは、舛添大臣、あなたなんですよ。今あなたのリーダーシップが問われているんですよ。ボールはこちらにあるんですよ。和解勧告案が具体的に出たら、これはもう取り返しがつきませんよ。その中であえて福田衣里子さんの名前を出されたから、どういう意味ですかと私は聞いているわけなんですね。

 福田衣里子さんを救済するというのは、これはもう宣言されたわけですから当然本当のことだと思いますが、そこで一番重要なのは、福田衣里子さんは当然原告です。でも、八〇年、クリスマシンを投与という方は、福田衣里子さんだけじゃなくて全国にも多くおられる可能性は当然あるわけですね、同じような状況の方は。その方が、まだ未提訴である、原告でない、そういう場合、これからわかってくる可能性がありますよね。その方も当然救済するというふうに理解してよろしいですか。

舛添国務大臣 今まさにそういう点について大阪高裁の場で細かい議論を行っているところでありますので、今それ以上のことは差し控えたいと思います。

山井委員 いや、大臣がおっしゃったわけですよ、福田衣里子さんを救済すると。

 では、もう一つ聞きますが、大臣のおっしゃった真意は、限定する範囲からは外れているけれども、原告だから大目に見て救済するということなんですか。もしそういうことだったら、私はある意味で問題だと思いますよ。なぜ原告か未提訴者かによって救済するか救済しないか、全く違いはないじゃないですか。まだ自分は感染に気づいていない人もいるわけであって、ここは本質的な問題ですよ。私は論理的な話をしているわけです。

 大臣は、事実として、福田衣里子さんという、八〇年、クリスマシンの人は救済すると明言をされた。ということは、その方が原告でなくても当然救済されるということになりますよね。そうしないと、原告だから救う、原告じゃない人は救わない、それでは理屈が全く通らないわけですよ。その当たり前のことを聞いているわけです。

 原告だから救う、原告でない人は救わない、そういう分け隔てというのはあり得るんですか。

舛添国務大臣 今の山井委員の意見も非常に重く受けとめまして、その上で、来週の和解協議が実りあるものになるように全力を尽くします。

山井委員 いや、重く受けとめるといっても、当たり前のことなんですよ。原告か原告でないかによって切るのは、理屈として全く成り立ちませんよ。大臣はうなずいていられますが、どういう理屈が成り立つんですか、原告だったら救済するけれども、原告じゃない人は救済しませんという。理屈というのは、これは成り立ちようがあるんですか。

 それで、かつ、そのことで今大阪高裁も悩んでいて、繰り返しになりますが、舛添大臣もわかっておっしゃっているんでしょうが、その判断がつかない。昨日あるいはきょう発表したら、これはもう和解は壊れてしまう。大変なことになる。そこで、一週間延ばして、舛添大臣や福田総理の政治的判断を待とうとしているわけです。

 ここで私は舛添大臣にぜひ申し上げたいんですが、そもそも薬害肝炎訴訟、これは何でやっているんでしょうか。本来なら、先ほども言ったように、予防接種の注射針の使い回し、輸血、そしてフィブリノゲンやクリスマシン、PPSB―ニチヤク、こういうふうなことで感染した人に関しては、本来、国に責任があるわけですよ、国が認めた医薬品、国が認めた医療行為によって感染したわけですから。そのことを、日肝協の方々や、B型肝炎訴訟のことも、十年、二十年以上言い続けてこられた。インターフェロン治療への医療費助成も、ずっと十年以上前から言われているんです。にもかかわらず、国はその患者の方々の悲鳴を無視して、第二の国民病であるにもかかわらず、全く動かなかった。

 これは、正直言いまして、立法府にいる議員も、私も含めて責任があると思います。厚生省が隠して握りつぶすから、国会議員もいま一つ、家西議員は精いっぱい頑張っていられましたが、やはり私も含めて一般の議員はそのあたりの追及も弱かった。だから、だれかが先頭を切って、立証が可能な薬害という形で裁判しないと、国が動かない、政治が動かないということでこの訴訟は行われているんです。ということは、本来、厚生労働省がやらないとだめなこと、国会議員がやらないとだめなことを、かわって、一番御苦労されている被害者である患者の方々がやってくださっているんですよ。このことを、国も国会議員も、恥ずかしい、情けないと思わないとだめだと私は思います。

 そして、今、原告の方々は、百七十人のみならず、三百五十万人とも言われる日本全国の肝炎患者の方々の救済という重い重い使命を持って今闘っていられるわけですよ。先ほどなぜ私が福田衣里子さんの話をしたのかというと、もし舛添大臣の発言が、個人的に福田さんがかわいそうだから救済してあげる、今、首を横に振られましたね、そうじゃないということですね、ということでないわけであって、そういう次元の話じゃなくて、原告の方に象徴される薬害の被害者の人たちを全員救ってほしいということなんですよ。だから、もし舛添大臣の発言が、原告だからあなたは救いますという発言であったならば、私は、それは原告の方々に対して非常に失礼な発言になってしまうと思うんですね。

 原告の方々は、自分たちがお金が欲しいといって裁判されているんじゃないんですよ。だれかが犠牲的精神で訴訟でもしない限り、医療費助成、動いてくれない。結果的にそうなったじゃないですか。五年前に四百十八人のリストに告知していたらどうなっていましたか。薬害の問題になって、訴訟をやるまでもなく、国会で医療費助成の議論が起こっていたんじゃないですか。そうしたら、これを五年前から、きょうまさにこれから質問しますが、インターフェロン治療への助成などやっていたら、何百人、何千人の人の命が救われていたかということなわけですよ。

 舛添大臣に一つだけ確認したいと思います。

 この原告の方々は、御自分たちのために訴訟をやっていられるのか、あるいは、御自分たちのためじゃない、すべての患者の方々の代弁者として訴訟を闘っていられるのか、大臣のお持ちになっている御認識をお聞かせください。

舛添国務大臣 横文字で恐縮なんですが、私がシンボリックにと言いましたのは、皆さんの代表としておやりになっている。それから、私自身も国会議員であり、今は厚生労働大臣として、こういう問題に気づくのが遅く、立ち上がるのが遅かった、これは非常に反省し、きちんと、今後二度とこういうことが起こらないようにやらないといけない、そういう思いで、今、全力を挙げております。こういう方々の御努力の上に、これは三百五十万人の方々を、今からインターフェロンの治療の御支援を申し上げるということでおこたえをすることができる。

 ですから、この五年間の時間を無駄にしない形で、厚生労働行政、薬事行政、そういうものをきちんと立て直すために全力を挙げたいと思います。

山井委員 大臣には、そういう原告の方々が本当に全国の被害者、患者の方の代表者として訴訟されているということを言ってくださいました。そういう気持ちをわかっていただいて、期間による限定、製剤による限定、そして、原告か原告でないかによる線引きというものはぜひしないようにしていただきたいと思います。

 そこで、ちょっと与党案について質問をさせていただきたいと思います。しばらく大臣には質問をいたしませんので。

 それで、きょうは大切な法案審議であります。きょうの午後から協議が始まるということですが、もちろん協議も大切ですけれども、基本的にこういう委員会というオープンな場で、国民にわかる形で、民主党案と与党案がどう違うのか、それを議論するのが国会議員の責務であると思っております。

 時間が限られておりますので、簡単に申し上げます。民主党案と与党案との違い、大きく四点あります。

 配付資料八ページにも入っておりますが、一点目は、与党案の方が自己負担が重い。インターフェロン治療の自己負担が高いわけですね。

 二つ目。民主党案では、法案成立の三カ月以内に速やかにということで、山田議員もおっしゃっておられますが、できれば来年の一月一日からこのインターフェロン治療への医療費助成をやりたいというふうに考えております。しかし、与党案では四月一日と、三カ月の大きな差があります。

 そして三番目。まさに今薬害で問われている国の責任というものを、民主党案では「国の責めに帰す」という表現で明記をしております。しかし、与党案では「不幸な出来事」と書いてあるんですね。その表現では、患者の方々は当然納得はできません。

 そして四点目は、与党の医療費助成は七カ年プランということになっておりますが、七カ年でインターフェロン治療を受けられていない方がゼロになるとは到底民主党は考えておりません。

 そこで、順番にお伺いします。四点お伺いしますので、簡単に答えていただければと思います。

 一番大きなのが医療費の違いですね。今回、十一月十五日から厚生労働省が肝炎の相談ダイヤルをしたら、二週間で七千四百件の相談電話が来た。そのうち二千六百件が、何と、医療費助成はいつから始まるのか、どういう医療費助成をしてくれるのか。これだけ多くの本当に深刻な問題になっています。

 しかし、ここにございますように、民主党案では、低所得の四分の一の方は自己負担無料、しかし、与党案では一万円。一番大きいのは、年収四百五十万円から九百万円という、いわゆる中所得の一般世帯の方々が、民主党案では一万円、しかし、与党案では三万円というふうになっております。

 私の知り合いの方でも、一人、もうインターフェロン治療待ったなしという方がおられます。その方にこの話をしたら、一万円だったらインターフェロン治療できるかもしれないけれども、三万円だったら、自分の所得では三万円のところに当たるけれども、難しいということをおっしゃっておられました。なぜならば、インターフェロン治療をしたら、副作用も強いから仕事を休まねばならないかもしれないということもあるわけです。実際、インターフェロン治療が原因で、私の知り合いのある女性の方は、大切な仕事をもうおやめになってしまわれました。本当に、ある意味で人生が狂ってしまったと言えるかもしれません。

 それで、配付資料にもありますように、民主党案でいけば、今五万人しかインターフェロン治療を受けていないのが、これぐらい軽減すれば、十万人、インターフェロン治療を一年間で受けられるのではないか。五万人受けられたら、平均の完治率、一年間が六〇%ですから、三万人、命が救われるのではないかというふうに推定をしております。

 しかし、その論法からいくと、与党案の方が自己負担が高い、民主党案だったら五万人受けられるところが、残念ながら、三万人ぐらいに減ってしまうんではないだろうか。減ってしまったら、三万人に〇・六を掛けたら一万八千人。つまり、これは一つの例ですが、三万人と一万八千人でしたら一万二千人、本来だったら完治する人が、自己負担が高かったら完治できないのではないか。本当にこれは人の命のかかった問題なわけです。

 もちろん、先ほど福島議員もおっしゃっていたように、財政的な制約があるということはわかります。しかし、次を見ていただきたいんですが、これは、熊田医師が今までから研究している、インターフェロン治療を早期に受けてもらったら、将来的に肝硬変、肝がんにならなくて、幾らぐらい医療費が逆に抑制されるかという調査報告をもとに、この四ページ、私が個人的にですが計算してみました。そうしたら、三万人の方が逆に一年以内に完治したら、トータルすると、肝硬変、肝がんの医療費は一千億程度抑制される可能性がある。

 こういう調査は難しいので、断定的なことは私も言いませんが、必ずしも高くはつかない。目先のお金を節約したら、結果的には医療費も、肝硬変、肝がんなら、それどころか、その方が亡くなったら残された家族はどうなるのか。また、その方が御存命のまま仕事をされたら、その方は納税者となって、これからもある意味で国家経済にもプラスの影響をもたらされる。

 そういう意味では、民主党案のような、自己負担がより安い方がいいと思いますが、与党提出者の方、いかがでしょうか。

石崎議員 山井委員にお答えを申し上げます。

 今般、与党が取りまとめました医療費助成策は、患者の経済的負担を軽減することによってインターフェロン治療を受ける患者さんを倍増しようということを目指したものでございます。

 今御質問の自己負担限度額につきましては、現行の医療保険制度における高額療養費との比較などから、患者の負担が過度とならないように設定したものでございます。自己負担限度額、一万、三万、五万としたのも、限られた財源の中で、所得の多い方、少ない方も公平に経済的負担の軽減が図られるように、実現可能かつ妥当な額を設定したものでございます。

 特に、対象者の半数に対して月一万円の限度額となるように基準を設定させていただきましたので、こうしたことによってインターフェロン治療が促進されるものと期待をしております。

山井委員 先ほども言いましたように、残念ながら、本来、二〇〇二年に告知をしていたら、この議論を五年前にできたんですよ。どれだけの人が救われていたか。

 御存じのように、インターフェロン治療も適切な時期というのがあって、手おくれになるともう効かなくなってしまうんですよ。先ほど、二〇〇二年のときに告知していなかった責任は国にないという、そういう報告書の話が出ましたが、ないはずないじゃないですか。五年前に告知していたら、まさに今与党も認めたように、医療費助成をしようという話になっていたんじゃないですか。この失われた五年間、命が失われているわけですよ。

 その反省に立てば、もちろん財政的な制約というのはわかりますが、でも、これは患者に対するおわびですよ。遅くなって本当に申しわけない、本来ならば、もっと早く早くやるべきだったのにと。今からでも遅いんですよ。にもかかわらず、財政的な理由はわかります、本当は私は与党の言い分もわかります、わかりますけれども、ここで、じゃ、民主党が、わかりました、民主党よりもうちょっと高くていいですよと言ったら、そこの妥協で千人、五千人、一万人と救える命が減っていくんです。これは本当に重い重い議論なんです。お金を減らす、インターフェロン治療を受けられる人を減らすということは、救える命を減らすということなんです。

 ぜひここは、与党の皆さんに民主党の案に賛成をしていただきたい。

 実は、私も多くの患者の方に聞きました。手前みそになりますが、民主党案の、中所得の方、一万円ぐらいだったら受けられるけれども、三万円となるとやはりきついなという声が多いんですよ。本当に多いんです。本当は患者の方の願いは生活保障までしてくれということなんですよ、副作用も多いし、仕事もできないから。でも、そこを百歩譲って一万円としているのが民主党案なんですよ。そこをわかっていただきたい。

 それと、もう一点。先ほども言いましたように、私も直接電話を受けました。もうお医者さんから一、二カ月以内にインターフェロン治療した方がいいよと言われている、来年の四月だったらもう時期を逸するかもしれない、本当にそういう切実な声があるんです。だから、二千六百件も相談ダイヤルにたった二週間で来ているんですよ、いつから医療費助成してくれるんですかと。

 これから半年先、それでは遅過ぎると思うんですね。ぜひ、民主党が主張しているように、一月一日をめどに速やかにやる。三カ月おくれたら、一万二千人、その中で肝臓がん、肝硬変で亡くなられるんですよ。ここはぜひ、四月一日ではなく、民主党案のような一月一日をめどに早めてやっていただきたい。これは本当に、おくれればおくれるほど救える命が削られるんです。与党、いかがでしょうか。

石崎議員 山井先生がおっしゃる早期発見、早期治療、できるだけ早くというのは我々も思いは全く一緒でございますが、今まさに、この法案の審議をし、そして、これから来年度予算の編成をするという今の時期でございます。

 ですから、この治療支援策を全国あまねく行うためには、我々国もそうですが、地方でも準備をしていただかなければならない、患者さんにも理解をしていただかなければならない。そして、何よりも、国とそして地方の予算の手当てということもしっかりやっていただくということが前提でございますので、来年度、来年の四月一日から施行したいということでございます。御理解をいただきたいと思います。

山井委員 理解できません。繰り返しになります。来年の四月ではもう救われない命があるんです。患者の方にはやはりそれは言えないと思うんですね。予算の都合があるから残念でした、あなたのインターフェロン治療は受けられませんよと。命が削られてしまうんですよ。

 繰り返しになりますが、一万円でも高いんです。民主党案でも不十分だということは私たちもわかっています。本当は生活保障までしてあげないと仕事ができないケースがあるんですね、やはり副作用が非常に強いですから。家西議員も本当に副作用で苦労されました。ただ、生活保障まではさすがに無理だろうということで、中所得者も一万円ぐらいにしているわけですから、そこはぜひ早めてほしいというふうに思います。

 それと、もう一つ、これは舛添大臣にお伺いしたいんですが、舛添大臣は、七年間でインターフェロン治療を受けていない方がゼロになるということをおっしゃっておられます。しかし、患者の方々に聞くと、そんなことはあり得へん、こうみんな言っているわけなんですが、その根拠をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 まず、与党のプロジェクトチームの取りまとめの中で、今後おおむね七年間で、インターフェロン治療を必要とする肝炎患者すべてが治療を受けられる機会を確保すると。わかりやすく、私は、肝炎治療七年計画という形で申し上げました。

 その与党の取りまとめのときの根拠をお伺いいたしましたけれども、これは、現在おられる慢性肝炎患者約五十万人がインターフェロン治療を受けていないと仮定する、今後七年間に慢性肝炎に移行する患者は約二十万人と試算する。その合計が五十万足す二十万で七十万人であります。現在、年間五万人の方が治療を受けていることを踏まえて、仮にこれが倍増して年間十万人が治療を受けた場合に、十掛ける七で、七年間ですべての治療を必要とする方にという一つの試算でございます。それを私が、与党PTのおまとめになったこの試算を引用させていただいた、そういうことでございます。

山井委員 一つの試算としてはあり得るのかもしれませんが、恐らく与党の案では五万人も新たに受けられないと思います、この自己負担の高さでは。そして、七年後にインターフェロン治療を経済的な理由で受けられない方をなくすという話でしたが、そんなことはあり得ないと思います。

 そこで、与党の提出者にお伺いしたいのですが、これは七年後も、まさか七年で終わるのではないんですね。八年後、九年後も新規にインターフェロン治療が必要になる方もどんどんこれから出てくるわけですから。いかがですか。

石崎議員 さまざまな病気がある中で、今回、インターフェロン治療の効果ということに着目して、集中的に七年間の治療支援を行うということを決めたわけでございますが、その七年後に治療していない慢性肝炎患者がゼロになるという一つの大きな目標でございますけれども、七年後にそうならない場合も、もちろん十分考えられます。そのときは、この七年で終わるということを今言うわけではなくて、七年は一つの大きな目標、目安でありますけれども、その時点でまたしっかり対応していくということを考えたいと思います。

山井委員 この医療費助成なんですが、根本的なことをお伺いしますが、舛添大臣、これは、法改正や新しい法律がないと医療費助成というのはできないんですか、それとも、具体的に言いますと、今与野党で協議している肝炎の法案というものが成立しなくても医療費助成というのはできるんですか。

舛添国務大臣 今の御質問ですけれども、この医療費助成につきましては、事業実施要綱に基づいて実施されています既存の予算補助事業と同様の手続を行うということによって、法改正あるいは新法の制定ということを実施せず、それをやらずに実行することが可能であると考えております。

山井委員 わかりました。

 これは非常に重大な話であって、与野党でこれから協議をするということを言っておりますが、別にこの法律がなくても、医療費助成は粛々として、予算措置としてやっていけるということです。

 でも、私、不思議だなと思うのが、実は昨年の十二月一日に、インターフェロン治療を一万円にすべきではないか、これは法改正なしでできるでしょう、厚生相の決定でと言ったら、当時の柳澤大臣は、いや、それはできませんということをおっしゃったわけです。昨年の十二月、一年前です。ですから、民主党は必死になって本法案をつくったんですよ。そうしたら、何か一年たったら、法改正や新法なしでもできると。そうしたら、何で去年の十二月に決断しなかったんですか。そうしたら、もっと多くの命が救えていたじゃないですか。そのことも意味不明であります。

 そして、とにかくこれは命のかかったことでありますから、ぜひとも早い時期に、そして民主党案のような安い自己負担でやっていただきたいと思います。

 与党案では国の責任は明記されず、「不幸な出来事」となっています。これについては、多くの患者の方々や、被害者、原告の方々が、「不幸な出来事」という次元の話じゃないでしょう、やはり国の責任を明記してほしいという声が非常に強くあります。そしてまた、国の責任を、もちろん全面的にとは言いませんが、一部認めない限り、なぜ肝炎にだけこれだけ手厚い助成をするのかという理屈もつきにくいという面もあるんではないかと思います。

 「不幸な出来事」という、何か他人事のような、国は知りませんよ、全く関係ありませんよというような無責任な書き方じゃなくて、やはり国の責任というものを明記すべき、これが民主党の考え方でありますが、与党の提出者、いかがでしょうか。

大村議員 お答え申し上げます。

 私どもの御提案をさせていただいております肝炎対策基本法案というのは、この二条の「基本理念」のところに書いてありますが、総合的な研究、検査、医療、そして人権の尊重などなど、そういったものに基づいて、まさに国民病と言われる肝炎を克服するために総合的な対策を講じていくんだということで御提案をさせていただいているものでございます。

 その法律の前文に、これまでの経過をずっと、今私申し上げた、肝炎というのはこういう大変な病気であり、これを克服していかなければならない、そして、その中で、戦後の医療の進歩、医学的知見の積み重ねなどなど、こういったことの過程において肝炎ウイルスに感染するという不幸な出来事が生じたことは事実である、こういうことをここに触れさせていただいております。

 これは、いわゆるB型肝炎のウイルスが発見されたのが一九六八年、C型肝炎のウイルスが発見されたのは一九八八年という経過の中で、それまでは、発見されなければ、その検査のやり方とか治療とかが十分できなかった。そういう中で、今回のこの多くの患者さん、そして薬害の患者さんの方々はもちろんでありますけれども、輸血で感染された方、そしてまた母子感染、性交渉による感染などなど、多くの、いろいろな感染の経路がありますけれども、そういった方々を総合的にこの総合対策で救済し、そしてこれを克服していこうという法案としてこれを仕立て上げさせていただいているわけでございます。

 一方で、そういった意味で、法律をつくるときに、全体の法体系の中ですから、他の立法例をやはり調べていかなければならないと思っております。そういう中で、こういった国の責任ということが明記してあるのは、例えば原爆の被爆者の対策法は、国の責任において、この戦争の帰結によって、原子爆弾の投下の結果として云々と、こうあります。こういったものでありますとか、ハンセン病についても、これは責任という明記はありませんけれども、「悔悟と反省の念を込めて」といった、こういう立法例はございます。

 ですから、私ども、総合的な対策としてお示しさせていただいております。ぜひそういったことで御理解をいただければと思いますが、委員も先ほどお話ありましたが、きょう午後にも与野党でこの協議をさせていただければというふうに思っております。その段階で、民主党さんからも御意見をしっかりお伺いして、そして協議をさせていただければというふうに思っております。

山井委員 何か厚生労働省の代弁者のような答弁でありましたが、もう少し踏み込んだ答弁を期待しておりました。(大村議員「失礼なこと言うな」と呼び、その他発言する者あり)

茂木委員長 御静粛に願います。

山井委員 それで、先ほどの四百十八人のリストの調査チーム、これは全く責任がないというのは、これはやはり民主党としては絶対認められません。一昨日も菅直人代表代行が舛添大臣に強く抗議をして、最終報告書の出し直しを要望いたしました。

 五年前に告知をしていたら、救える命は本当に多くあったんです。医療費助成も五年前にできたんです。今回の加地さんも、五年前に告知されていたら、肝硬変の一歩手前までなっておられなかったんです。

 そういう意味では、与党が調査できないのであれば、先ほど議論がありましたが、当時の鈴木課長や宮島局長、そして患者の方や原告の方、そういう方を含めた参考人の質疑をしっかりやるべきではないかと私は当然思っております。

 これはまた委員会でお諮りいただきたいと思いますが、このことについて与党に理事会で要望しても、イエスという返事が返ってきませんので、ぜひこの参考人質疑をやっていただきたい。あの調査報告書では全く納得できないと思いますが、与党の御意見をこの参考人質疑についてお伺いしたいと思います。

茂木委員長 山井委員に申し上げます。

 その前に、理事会においては、山井委員も加わって、さまざまな問題について真摯な議論をさせていただいております。

山井委員 ですから、今のことについて、与党の御意見をお伺いしたいと思います。

茂木委員長 理事会の問題です。私がお答えしました。

山井委員 理事会にも諮ってください。

 でも、与党はどう考えているのかという、提出者の見解をお伺いしております。

大村議員 その前に、先ほど私が真摯に御説明をさせていただきましたけれども、最後、ああいう言い方をされるというのは極めて心外でありますので、そのことは申し上げておきたいというふうに思っております。これから誠心誠意、与野党協議をしていこうということでありますから、ぜひそのことは十分御理解をしていただいて、対応をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 その上で、今、山井委員が言われましたことは、理事会の協議マターでございますから、協議をしていきたいというふうに思っております。

山井委員 もう質疑時間は終わりますので、最後一言コメントを申し上げますが、私も、個人的な意見を言っているんじゃないんですよ。国の責任が入るかどうかというのは、非常に重要なことなんですよ。まさにそこが今問われているわけであります。

 最後になりますが、舛添大臣におかれましては、十三日の和解案が出てからではこれはもう遅いわけですから、それまでに、福田総理と舛添大臣に、線引きはしない、限定はしない、全員救済をするんだという、政治的リーダーシップをお願いしたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

茂木委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 失礼いたします。民主党の柚木道義でございます。

 本日は、法案審議はもちろんのことではありますが、この委員会を通じて既にやりとりもされておられます四百十八人リストの調査報告書、あるいは十三日に延期が報道されております和解の問題、こういった問題も密接にかかわってまいりますので、まず、法案の質疑に入る前に、私からも、きょうのこれまでの議論も踏まえて、幾つか御質問をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、厚労省調査班の四百十八人リストの調査報告書について、西川副大臣初め御労苦をいただいたと思いますが、そのきょうの御答弁をお聞きした部分も含めて、これはぜひ大臣に、個別の内容であればこれは西川副大臣であろうかと思いますが、これを受けての認識ということで、幾つかお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、先ほど、実は大臣いらっしゃらなかったんですが、この四百十八人の方々への告知責任についてやりとりがなされました。私、聞いて、少しメモをとらせていただいておりましたが、西川副大臣の方から、今回のこの調査報告の中では、確かに、そういう心情的な部分でのさまざまな責任、あるいはそれに対してのおわびといったことは触れられているんですが、しかし、法的には、直接その個人に告知をしないということが、法的責任までは言い切れないという御答弁をなされておられました。

 恐らく、副作用報告についてということですから、きょう、幾つか資料をおつけしておりますが、言われていたのは、薬事法七十七条の四の二の項目に基づいて法的責任までは言い切れないとおっしゃっていたんだと思うんですが、ここで幾つか別の見方もできると思いますので、私の方から御質問をさせていただきたいと思います。

 実は、薬事法には先ほどの副作用情報報告についての条項も定めておりますが、一方、これは資料を見ていただきたいと思いますが、六ページの下の「監督」のところ、六十九条を見ていただきますと、「立入検査等」とありまして、七ページの一番下の部分までかかりますが、これは医療機関やメーカー等に立入検査をする権限を認めているものでございます。

 そういったことや、あるいは、ほかに厚労省の設置法というものも資料としておつけをしております。ページは二ページ目になります。厚生労働省設置法において、第三条におきまして、全文は読みませんが、これはいわゆる国民生活保障責務ということで、厚労省が主体となって国民の、まさにここに書かれておられますように「生活の保障及び向上を図り、」云々ということが明確に規定されておるわけでございます。

 そして、第四条以下に、それを具体的に達成するために、この第四項を見ていただきますと「原因の明らかでない公衆衛生上重大な危害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態への対処に関すること。」というふうに規定もされておるわけでございます。

 そのほかにも、こういった薬事法に規定されていない場合であっても、さまざまなそういった行政法上の調査権限等、ある意味では、やろうと思えば幾らでもそういったことをしっかりと対処することができるということを踏まえて考えたときに、今回のこの四百十八人のリストをこの五年間にわたって放置をしていたことに対して、私は、逆に、法的責任があるとまでは言い切れないのではなくて、法的責任がないということを言い切れないというふうな見方もできると思いますが、大臣、いかがお考えになられますでしょうか。

舛添国務大臣 それはまさに法律の解釈の問題でございますので、薬事法にしても、厚生労働省設置法の今御指摘になられたことについても、いろいろな御意見があろうかと思いますけれども、法の適用というのは、私は極めて厳格でなければいけないというふうに思いますし、このチームに参加していただいたお二人の弁護士の方も、同意見でございます。

柚木委員 法の解釈について、さまざまな解釈があるということは、私もそのとおりだろうと思います。

 それでは続けて伺いますが、では、当時、二〇〇二年時点で告知を行わなかった厚生労働省の担当者の責任、これは告知を行わなかったこと自体ということも関係をいたしますが、この報告書の中を私も読ませていただいておる中で、当時の医薬局長、報告書の十一ページを読みますと、大臣お読みだと伺いましたので、十一ページにこう書かれております。「マスキング無しの資料の存在の認識」「局長以外の局内の幹部は認識していなかった。」と記載がある。これは、逆に言うと、局長はこの実名入りの資料を認識していたことをあらわすわけでございます。

 これは大臣、薬事法の七十七条の四、この九ページ目を見ていただきますと「危害の防止」ということが述べてあります。「医薬品」云々とくるわけですが、こういった「使用によつて保健衛生上の危害が発生し、又は拡大するおそれがあることを知つたときは、これを防止するために廃棄、回収、販売の停止、情報の提供その他必要な措置を講じなければならない。」と。

 とりわけ、今回、この四百十八人の方々に対しての告知を怠ったという意味における「情報の提供」、これを行わなかったという意味におきましては、まさにこの薬事法第七十七条の四に私は違反するのではないかというふうに考えるわけですが、大臣の見解はいかがでしょうか。

西川副大臣 今回の聞き取り調査をいたしました中で、当時の官僚のそのときの認識、それの事実関係だけを報告させていただきたいと思います。

 先ほど、局長その他、実名リストの中で、それを、マスキングなしのを知っていたはずだというお話がありました。確かに、局長、マスキングなしのそういう書類があるのはもちろんわかっていたんですが、実はその当時の官僚はすべて、実名がそこにあるということはだれも認識していないのですね。

 今回、実名が二名、書類の中に入っていたという事実は、今回の、現時点での調査の報告の中で出てきた話でございまして、当時の官僚は、実名リストを持っていたという認識が全くなかった。その辺が実は、個人の、今回の原告の方や患者の皆様に対して思い至らなかったという最大の原因だと私は思っております。

柚木委員 確かに、そういった認識をすべての担当官の方が持たれていたのかどうかというのは、今御答弁いただいた部分もあるでしょう。しかし、「局長以外の」とあえて書いているところは、逆に言うと、局長はやはりこの資料の存在を認識し、そして、この間、その報告書の中でも、さまざまなそういう調査を通じて、そういったものを実際に見たという方もいるとか、個人の名前は挙がっていませんよ、そういう認識をしていた人もいるとか、それに対する対応がおろそかだったと言われればそうかもしれないと思った方もいるとか、そういう認識を持っていた方々は間違いなくいるわけです。

 そういう中で、私は、ぜひ大臣に伺いたいと思いますが、先日の十二月四日に薬害肝炎原告団の皆さんと会われた際に、大臣はこのように述べておられます。一応新聞記事もつけておりますので、二十四ページ目をごらんいただければと思います。ちょっと資料が大分先になりますが、大臣が謝罪された部分について。「薬害を起こしたということは薬事行政として反省し、謝罪しないといけない」と原告の皆さんに謝罪をされました。

 大臣、これは、今回のこの四百十八人のリストの問題において、こういった、まさに告知が行われなかった、そこも含めての薬事行政としての反省であり、そして謝罪であった、そういう認識でよろしいんでしょうか。

舛添国務大臣 薬事行政の失敗、責任ということを申し上げました。その中に、今おっしゃった、告知することの法的責任云々ということは、先ほど来、報告書の責任者であります西川副大臣も答えているとおりであります。

 私は、原告の皆様方にお会いしたときに、血液製剤によってこれだけ苦しめられてきたその苦労、それを思うとき、本当に心からおわびを申し上げます、そして、肝炎の治療計画、それから基本法を制定する、訴訟も解決する、こういうことをきちんとやってまいりたいと。

 そして、今の委員の御質問に対しては、私は、やはり組織として問題があった、そういうふうに考えておりますので、その点については、きちんと組織を立て直していきたい、そういう思いであります。

 薬事行政に大きな問題があったという認識は基本的に変わっておりませんが、告知について言うと、今言った、薬事法その他の関連から、弁護士の先生方ともきちんと協議した結果、法的責任ということを個々の人に問えないという結論でございましたので、それを厳粛に受けとめさせていただいて、そういう報告書の記述になったわけであります。

柚木委員 先ほども申し上げましたが、薬事法、それぞれの項目の規定、確かに、告知責任、法的にそこまで問えるかどうかという解釈はあるんだとは思います。しかし、あえて資料に薬事法の第一条からわざわざおつけしているわけでございます。第六十九条第一項の調査権限、六十九条の三の、命令をすることができる、そして、先ほども申し上げましたような七十七条の四、そういったことも含めて、こういったことに明記をされているのに加えて、先ほどわざわざ厚生労働省設置法についても、国民生活保障責務についても触れました。さらには、行政法上も法律にこだわらず行政指導権限があるというのは、これは共通の認識をいただけると思うんです。

 ですから、はっきり言いますと、やろうと思えばできたことなんだと思うんですね。それをやらなかったということに対して、私はやはり、行政の不作為、この責任は免れ得ない。事実、薬害エイズの際には、厚生省の元生物製剤課長が、回収命令を出さなかったこと、まさに七十七条の四を問われて、業務上過失致死罪で有罪判決を受けているわけでございます。

 こういった背景がある中で、私は、今後の追跡調査といいますか、フォローして検証されるというふうに伺っておりますが、その中で、この告知責任の問題、さらには、それがもし法的にも認められるということであれば、これは、さらに申し上げますと、刑事訴訟法二百三十九条には告発義務というものも明記をされているわけでございます。そういった本当に重い判断につながり得る今後の追跡調査、そしてそれの結論ということになってこようかと私は思いますので、ぜひそういった視点も含めて、大臣にはしっかりとこの問題の検証をお願いしたいと思いますが、御答弁をお願いします。

舛添国務大臣 法律の中で、何々することができる、例えば命令することができるという書き方と、何々しなければならないという書き方がございます。その二つについて、これはやはり行政として立場が違うんだろうと思います。

 しかし、個々の側面において、行政のとるリーダーシップ、今委員がおっしゃったのはそういう意味だと思いますけれども、それについての法的な判断は、これは司法の場にゆだねないといけないというふうに思います。

 そういうことも含めまして、今後の課題とさせていただきます。

柚木委員 私は、この点、もうこれ以上申し上げませんが、やはり同じように薬害エイズで問題になった際、フランスなんかでは、当時のそういう行政関係者のみならず、担当大臣あるいは総理にまで政治責任が追及され、実際に起訴をされ、そして有罪判決を受け、そういったことも実際にほかの国ではなされているわけです。我が国の、責任の所在をあえてあいまいにされている部分、これはぜひ今後の薬事法の改定の中で本当に真摯に御検討いただきたいと思います。そうでなければ、同じことが必ず繰り返される、私はそのように考えております。

 時間がございませんので、引き続きまして和解案について、これはきょうの報道、たくさん出ておりまして、私も本当に心配をしているといいますか、今後の成り行きを注視しているわけでございます。

 先ほど山井委員の方から、まさにこの線引きの問題の当事者にもなっている加地智子さんのお話がございました。実は私も、昨日、御本人にお会いをいたしまして、そして、今のお気持ちについてさまざまな思いを承ったわけです。

 きょう、この資料の中に、御本人の御了解を得た上で、御本人の思い、そして原告番号七十一番としてのプロフィール、さらには、先ほどの山田委員からの御質問にありました、フィブリノゲン製剤をめぐる時系列の年表をおつけしております。

 まず、この御本人の文章、ぜひこれは委員の皆様にも、頭ではおわかりいただいていると思いますが、実際に当事者となってそういった状況にあるということを共有いただきたいという意味で、少しお目通しをいただきたいと思います。

 私の方から、抜粋をして少し読ませていただきたいと思います。この資料の、これは右下には二十一ページとあって右上には七ページとあるところ、途中ではございますが、こういった記述があります。

 「私は、肝炎になったことを恨みました。思うように動かない身体で、育児も思うようにできませんでした。自分自身が生きていくのがやっとでした。 家族には申し訳ない気持ちでいっぱいでした。しかし、運命だから仕方がないと自分に言い聞かせてきました。」その下に、治療のしんどさや、あるいは、その後初めて、この四百十八人リストの中に入っている、それを聞いたときに、頭の中が真っ白で、ほかには何も考えられませんでした、そういったことも書かれております。娘さんにそのことを報告したときに、娘さんは、お母さん、体、大丈夫、どうなの、長生きしてほしいと涙声で言われたと。

 そういう方が実際にいらっしゃる中で、そして、私は、ここに記されている、「運命だから仕方がないと自分に言い聞かせてきました。」この部分は、ぜひこの委員会の中でも、そうではないんだという認識を共有しなければならないと思います。

 まさに国の過失による薬害で、それを十六年間も知らされないままで、今日、肝硬変直前にまで病気が進行してしまっているんです。大臣、なぜ加地さんがこんな苦しみを負わなくてはならなかったんでしょうか。一体、加地さんにどんな責任があったというんでしょうか。

 当時、九一年三月に実際に投与され、その後の治療が続けられて、その後、治療をやめられて二〇〇二年を迎える。九四年と二〇〇二年とでは全く治療の進歩、状況も違います。二〇〇二年であれば、国がしっかりと告知をして、そして対策を講じていれば、ちょうどその前年の十二月からは効果の高いリバビリン併用療法も保険適用になり、九九年時点では実はだめだった二回目の治療への保険適用もできるようになっており、加地さんは、間違いなく告知をされていればインターフェロン治療を行っていたというふうにこの中にも書かれておりますし、そして調査チームの報告書にもそういった記載が実は述べられております。

 そこで、大臣、今回の和解の問題、こういった方に対しての線引きがあっては決してなりません。このおつけしております年表、先ほどの質問の中でも取り上げられた年表ですから既にもう頭に入られていると思いますが、いま一度、十六ページのフィブリノゲン製剤をめぐる時系列の年表をごらんください。

 線を引いておりますように、八九年十一月には既に、十二月という言い方もありますが、日赤におけるスクリーニングが始まっておりました。それにもかかわらず、旧ミドリ十字は、それまでの非加熱、そしてその後の加熱製剤をスクリーニングなしで製造し続けるという、本当に考えられない措置をとり続けました。その結果、九一年の三月についに加地さんに対するフィブリノゲン投与がされてしまいました。

 当然、この責任というものは現在裁判もしくは和解の中でも大変重要な案件となっているわけですが、これは、私は先ほども実は同様の観点から薬事法のことを申し上げたんですが、八九年にスクリーニングを開始して、その前段、八八年六月に緊急安全性情報を出しているんです。当然、八九年にスクリーニングが始まって以降もミドリ十字においてはそういったことが行われず、販売が続けられ、製造が続けられ、それを認可していた厚生労働省の当時の担当責任者の責任、これは〇二年の告知義務とはまた別に、まさに、それこそ業務上過失致死あるいは過失傷害、そういったことにも問われかねない大変重要な論点だと私は思います。

 この点、大臣、私は、この論点を言っておりますと多分また答弁がいろいろ長くなると思います。そこはあえてきょうは申しませんが、そういった観点もあるという中で、私は、この和解の中でこそ、こういった部分も含めて、本当に今切実に困っている方々に対しての線引きなき全員救済というものをお願いしたいと思うんです。

 ごらんください。この八九年以降に加地さんは投与されているんです。ですから、東京地裁基準、八七年四月から八八年六月までが国の責任、プラス、先ほど山田委員がおっしゃっていた前後一年ほど広げた製薬会社の責任も含めてのこの東京地裁の基準というものは、こういった加地さんのような方を切り捨てることになる。

 そして、それを実は基本方針、基準とした和解案というものが国から提起をされ、それが原因となってきょう恐らく和解案が提示をされなかった。そういった東京地裁基準というものを、大臣、これは和解と関係なくこの年表を本当によくごらんください、これが果たして本当に和解の基準として正しいのか。

 大臣は四日に原告の方々と、できるだけ広く救済したいというのが基本方針だ、きょうもそういった趣旨の答弁をされました。国の責任を最も広く認定しておるのは名古屋地裁の七六年四月以降でございます。本当に広く救済したいと言うのであれば、こういった他の地裁判決も含めて、東京地裁基準を適用することは私はやはり合理的な根拠に欠けると思うんです。

 大臣、原告の皆さんは、お金は減ってもいいと言われているんです、一人が三分の二の減額になってもいいと言われているんです。報道にもあります。官邸にも行かれている、そしてまた十日には行かれると。自分だけが助かるのではなくて、とにかく全員救済、このことを求めておられるわけです。それがそんなに理不尽なことでしょうか。国がなぜそこまでして命の線引きをする必要があるんでしょうか。

 大臣、ここまでお聞きになられて、本当にこの年表もよく見ていただいて、純粋に考えていただいて、この東京地裁基準というものが仮に和解方針の骨子になっているのであれば、これが正しいとお考えでしょうか。お答えください。

舛添国務大臣 何度も繰り返しになりますが、今、大阪高裁の和解協議の最中ですから、細かいことを私が申し上げられないということをまずお許しいただきたい。

 その上で申し上げますと、加地さんの例、今この文章も読ませていただきました。原告の方々ともお話をして、何が一番つらかったか、それは、フィブリノゲンだということをわかっていれば、今運命という言葉が出てきましたけれども、そういうことを思わなくて済んだ、私が悪かったのかという、非常に周囲の誤解を含めて、そちらがむしろ苦しかったんだということをおっしゃいました。十六年前に告知されなかったというのは、本人の気持ちになって、その気持ちは本当に思い余るというか、あります。

 したがいまして、加地さんが提訴された、そして実名でお出になって、私もテレビでも見ました。そしてまた、今委員が提供していただいた資料も読みました。この事実を極めて重く受けとめたいというふうに思います。それから、一人でも多くお救い申し上げるべきであるということは繰り返し申し上げます。

 そして、なぜそういう和解案になったのかということ、これは今大阪高裁の裁判長さんが頑張っておられますけれども、やはり広く国民が納得し、その説明を聞いて理解し、そして賛同いただけるものでなければならない。

 そういう今の私の気持ちを申し添えることで、細かい和解協議にかかわることは御答弁をお許し願いたいと思います。

柚木委員 大臣のお気持ちはよくわかりました。

 それを受けて、一つ、ここはお願いでございます。

 実は、薬害エイズの際に担当大臣であった菅さんが、薬害の解決のために必要なポイントが三つあったと考えているということを雑誌で述べられています。それは、まず厚生労働大臣のリーダーシップ、そして行政の理解、さらには総理大臣、官邸の理解が必要だ、そういった観点で取り組まれたと聞いています。

 舛添大臣、十三日に和解が延期になるときょうの報道がある中で、当然、法務省、財務省、省庁間調整もあるでしょう。そういった中で、きょうこの段階を受けて、改めて福田総理に対して、ぜひ大臣が直接お会いになられて、そして政治決断をいただける、和解が出たときに省庁が協力をして取り組むことへのリーダーシップを、舛添大臣のみならず、福田総理にも発揮していただきたい。その協力を呼びかけていただけることをここでお約束していただけませんか。

舛添国務大臣 いろいろな政府全体としての決断を下す、決定を下すというときには、内閣総理大臣そして官房長官、必ずこれは協議をすることになっております。そのことを今申し上げたいと思います。

柚木委員 必ず会ってお伝えをいただけるというふうに理解いたしました。

 時間が迫ってまいりましたので、肝心の法案、私も大変たくさん用意しておりますが、限られた時間ですので、項目をお伝えしておりますが、自治体の責務及び財政負担について、二項目続けてお尋ねをさせてください。

 二十五、二十六ページ、これは全国知事会よりの要望、及び当然私の地元岡山県からも同様の要望が上がっております。

 法案の第四条には、自治体が肝炎対策に果たすべき責務が書かれており、肝炎対策に関し、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有すると規定されています。政府についても同様の条項が第三条にあります。

 法制上の措置について、法案八条には政府の法制上、財政上の措置を義務づけておりますが、実は自治体の責務は述べられておりません。法案八条を反対解釈すると、国には法制上、財政上の責務があるが、自治体にはそれがないというふうにも読めますが、この解釈はどうなのかというのが一点。

 それから、財政負担については、これはまさにこの間の議論を見ても、自治体に財政負担を負わせるのは筋違いだというふうに私は思いますが、この二点についてお答えください。

大村議員 まず、私から法制上の点についてお答えを申し上げたいというふうに思っております。

 委員御指摘のように、第八条に、政府は法制上、財政上の措置というところが、義務づけといいますか、その規定がございます。地方公共団体に対しこの規定はないわけでございますが、ただ、委員も御指摘になりましたように、この法案では、四条に、地方公共団体につきましては、肝炎対策に関しまして、「国との連携を図りつつ、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」ということでございまして、ここで地方公共団体の責務を記しております。

 したがって、国、地方公共団体、医療関係者、そして国民、多くの皆様の御努力によって肝炎を克服していきたいということで、その一環として、地方公共団体についても規定をさせていただいているところでございます。

石崎議員 お答え申し上げます。

 先ほども答弁でございましたけれども、今回は、感染経路、原因を特定することなく、幅広い肝炎対策を国と地方で一緒にやっていこうということでございます。私の北海道も、長い間肝炎対策に取り組んでおります。そういう財政状況が厳しいところでも一生懸命やっているという事情がございます。今回も、与党PTでは、東京、北海道、長野の状況のヒアリングもさせていただきました。そういう中で、国と地方が力を合わせてしっかりやっていきたいと考えておりますが、その上では、地方財政措置、地方交付税対策をしっかり取り組んでいくということは地方財政当局にはもう既に指示をしているところでございます。

 それから、難病対策等で地方の超過負担問題がありますけれども、それについてもしっかり取り組んでいくということでございます。

柚木委員 御丁寧な答弁、ありがとうございました。

 最後に、時間が参りましたので、お願いと、それに対して御答弁をいただきたいと思います。

茂木委員長 もう答弁の時間はありません。

柚木委員 ありませんか。では、お願いということでお願いをしたいと思います。

 最後にあえてこの資料をつけているわけであります。二十九ページをごらんください。これは厚労省前に建てられている「誓いの碑」、碑でございます。十一年八月に、ここには「サリドマイド、スモン、HIV感染のような」とありますが、こういったことを発生させることのないように銘記をすると書かれているわけであります。この精神が本当に生かされていれば、きょうのようなことにはならなかったと思います。

 私は、これはもうお願いで終わりますが、先日、舛添大臣は私の質問に、介護の日の制定に前向きな御答弁をいただきました。この十一年八月、八月のどこかの日に、ぜひ薬害根絶の祈念の日を設けていただいて、一年のうちに一度でも、全省庁あるいは担当部局の方、薬害で亡くなられた方への黙祷、そういった精神を本当に確認する、そういう機会を設けていただきたいと思います。

 最後にそのことをお願いし、全員救済をお願いして、私からの質問を終わります。

茂木委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうまでの期限だった大阪高裁の和解骨子案が十三日まで延期をされました。既にその骨子の内容はけさの新聞報道でも示されているところです。

 舛添大臣が原告団と二度目の面会を行い、謝罪を初めて口にされたのは四日のことでした。私も同席させていただきましたが、しかし、その席上で、原告団の皆さんは、自分たちだけが救済されるのでは解決にならないとおっしゃっておりました。その言葉を正面から受けとめるべきだと思います。

 まず大臣に、先日のテレビのニュースで、ちょっとお見かけをしましたが、記者団の取材に対して、新しく提訴した方がいるがという質問に対し、提訴するのは個人の自由ですからと述べておられました。この言葉を聞いて本当に、謝罪も吹っ飛んでしまった、そういう思いがいたします。原告になりたくてもなれなかった方たちがいること、その意味をわかっていらっしゃるでしょうか。本当にわかるのであれば、このような言葉は言うべきではなかった、あるいは撤回すべきだと思いますが、いかがですか。

舛添国務大臣 私はそういう趣旨で申し上げたのではなくて、表現の仕方がそういうふうだったかどうか記憶しておりませんけれども、私の趣旨は、自分の命を守るために訴訟を起こすというのは、個人の権利であり、自由である、表現の自由がある、それから集会、結社の自由がある、そういうものの一つとして、自分の命を守るためにきちんと裁判をする自由があるんだ、権利があるんだ、そういう意味で申し上げました。

 そして、その後こういうことを、これはきちんと、それがどの番組であったかというのをまたお知らせいただきたいんですけれども、NHKのインターネットをとりますと、私が申し上げたその後、「自分の命を守るために訴訟を起こされているので、どんどんやっていただいて構わない。リストに載っている人でほかにも提訴された方がおり、きちんと対応したい」ということを述べておりまして、私の表現が悪かったかもしれませんが、私が申し上げたのはそういう趣旨でございますから、どうか御理解賜りたいと思います。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

高橋委員 きちんと対応したいと述べたところまでテレビで見ました。見た上で、やはりこの言葉はいかがなものか。つまり、非常に突き放した感じがする。大臣が当事者であるのに、先ほど来ずっと言われていたように、大臣自身が裁判を、政治決着をする判断ができる立場にいらっしゃるんです。そのときに、どうぞ個人の自由だと。でも、一方では線引きされるということがもう言われているわけですよ。そういう瞬間にその言葉を述べられるというのは非常に不誠実だった、私はそのように指摘をしたいと思います。そういう趣旨ではないと述べられましたけれども、それは今後、本当にそうだったのかどうかということが試されるのではないかと思っております。

 仮に、報道されている和解案の中身ですと、百七十名には解決金を払う、しかし、新たな提訴には線引きをする、東京地裁のが参考になるということが言われていると思います。このことの中身については、先ほど来大臣は言ってはならないということで、それ以上聞いてもおっしゃらないと思います。ですから、私は、これはそういう意味で聞きませんので。

 つまり、百七十名が一括して補償されるとすれば、逆に言うと、ここから先は線引きがあるよ、百七十名はいろいろあるけれども一括よ、あとは皆さんにお任せよということは、原告お一人お一人に対する謝罪の意味や責任が無になってしまうのではないかということを非常に恐れるんです。つまり、お一人お一人に対する謝罪の意味、責任をきちんと込めるつもりがあるのかどうか、そのことだけ伺います。

舛添国務大臣 裁判の場における和解は、その前提として、五つの裁判所のそれぞれ異なった判決があります。その司法の判断を前提とした上で、今大阪高裁が何とか和解案を出そうとして努力をしているところであります。

 私は、常に申し上げておりますように、これは薬害である、そして、その責任がある、謝罪すべきは謝罪し償うべきは償うべきである、その上でできるだけ多くの方を救済する、この三点、これをまた繰り返しておきたいと思います。

高橋委員 償うべきである、ですから謝罪の意味が込められているということで受けとめてよろしいんですね。これは、私、逆にあいまいになるのではないかということを非常に危惧をしているんです。ここは指摘にとどめたいと思います。

 そこで、与党の肝炎対策基本法案、これは名前のとおり基本法案なわけですね。今話題になっている薬害C型肝炎だけではない、肝炎全体、つまりウイルス性肝炎患者の救済と恒久的対策の根拠となるべき法案であると思うんです。そういう意味からいって、不幸な出来事としてしまうのは、やはり国や製薬会社の責任をあいまいにし、薬害原告らの闘いを無にしてしまうのではないか、国の責任を明記すべきと思いますが、いかがでしょうか。

大村議員 お答え申し上げます。

 先ほどの山井委員のときの御答弁でも申し上げました。今回の法案は、確かに今、高橋委員が言われましたように、この基本法案として御提案をさせていただいているものは、まさに肝炎の総合的な対策をもう関係者がすべて講じて、そしてこの肝炎という病気を日本から克服していこう、そういう意味で御提案をさせていただいているものでございます。

 その際、前文におきまして、この「不幸な出来事」云々というくだりでございますが、これは、肝炎につきましては、戦後の医療の進歩、医学的知見の積み重ねなどなど、先ほど申し上げましたが、B型肝炎のウイルスが見つかったのが一九六八年、そしてC型肝炎のウイルスが発見をされたのが一九八八年といったことで、肝炎のウイルスがそういった経過の中で発見をされた。そして、発見された後に、やはり検査の方法が確立をされ、治療が確立をされていく。

 そういう過程の中で、やはり今回の薬害肝炎の患者さんの方々はもちろんでありますけれども、輸血で感染された方、そしてまた母子感染、そして性交渉で感染された方、いろいろな感染経路で感染をされた方々をすべて含んで対策を講じていくんだということで、この基本法案を御提案させていただいているわけでございます。そういった趣旨で、この文章、この法案をつくらせていただいております。

 そういう意味でございますので、委員が言われました、国や企業の責任をあいまいにしてとか、そういうことではなくて、総合的な対策を講じていくんだ、こういう経過を踏まえてやっていくんだということで御理解をいただければというふうに思っております。

 そして、なお、先ほども申し上げましたが、国の責任なりそうしたことに触れた立法例というのは、他にもいろいろ探しましたけれども、原爆の法律でありますとか、またハンセン病、そういった例はあるわけでございますが、国の責任と完全に明記したのは原爆被爆者の救済法だけであるわけでございますが、そういったことも踏まえて、今回は総合的な対策をやるんだということで御提案をさせていただいております。

 なお、これから関係者の御意見もお聞きしながら与野党協議を進めていきたいと思っておりますので、またよろしくお願いを申し上げたいと思います。

高橋委員 ウイルス性肝炎の患者、感染者は三百五十万人以上、その大半が、注射針にせよ、輸血あるいは血液製剤投与にせよ、みずから防ぎようのない原因で感染した医原性の疾患と言われております。このことを踏まえても、やはりふさわしくないだろう。総合的な対策だからその中に含むというのであれば、むしろ「不幸な出来事」という表現は使うべきではない。そこに今の国の責任もあるんだ、あるいは、みずから防ぎようのないものなんだということをきちんと踏まえたものにするべきだということを御提案させていただきたいと思います。

 次に、西川副大臣に伺います。

 フィブリノゲン資料問題及びその背景に関する調査プロジェクトチームの報告書が十一月三十日に出されました。ずっと先ほど来議論されている四百十八名のリストの扱いをめぐっての責任の所在と提言が記されております。

 この中で概要版には、「今回、存在しないとされた資料が後になって出てくるという事態が生じたことは大変問題であり、責任を問うて処分を行う。」「なお、今回の一連の問題により、厚生労働行政に対する国民の信頼を著しく損ねたことについて、我々政治家としても重く受けとめ姿勢を示すべきと考える。」と。

 この一文はどういう真意かということと、なぜ概要版にあって報告書本体にはないのか、このことを伺います。

西川副大臣 今回のこの私をヘッドにいたしました調査チーム、これはそもそもの発端が、十月十六日の大臣の御答弁の中で、ないという御発言をしたマスキングされない資料が実はあったというその事態から、大臣が、この対応はどうなっているんだ、ちゃんときっちり、文書の管理システムその他、それと患者さんへの告知の問題、この二点を重点的に調査、検証しろという御命令で、一カ月後に結論を出すということで御下命をいただいたわけでございます。

 その中で、私たちも、まず、書類の管理あるいはきちんとした結論を次の責任者に受け渡していく、その問題に関しては大変ずさんであったという、その結論ははっきりしておりますので、きちんと処分をするということを明言いたしました。

 その中で、告知という問題、このことは私たちも、大勢の方、官僚あるいは原告団の方、当時治療に当たったお医者様の方々、そして二人の法曹関係者の方も御一緒にチームに入っていただいて検証した結果、やはり行政上、厚生労働省として、十四年、十六年の、あらゆる肝炎対策を一応やっているわけですが、その時点では、実名が入っているリストを持っていたという認識はだれも持っていないわけですね。そういう中で告知というところに思いが至らなかった、これが事実だと思います。

 その中で、大変それは、しかしもう一歩の努力をして、やはりそこまで努力すべきだったんじゃないかと。そういう思いは、私たちチームのみんながもう共通の認識として持っておりました。ただ、法的に責任があるとはやはり言い切れなかったという結論になったわけでございます。

 ですから、大臣が私たち副大臣、政務官を入れた真意は何かといえば、やはり官僚の行政権限の範囲なんかの中だけで考えるのでなくて、もう少し政治家として広い意味でこの問題を検証しろという御下命の真意だと思いますので、そういう意味では、今私たちのこの視点から考えると、当時の厚生労働行政、患者さん個人の心の中まで思いをいたした中での厚生労働行政というのはやはりあるべきだという大変深い受けとめ方をしなければいけない、そういう思いで概略に書かせていただきました。

高橋委員 その思いがなぜ本体に入らなかったんですか。

西川副大臣 検証チームの聞き取りということで私たちはしておりますので、やはりそこに限界があったと思います。聞き取った範囲の中では、どうしてもそういう答えが出てこなかったということですね。

 ただし、その中で、厚生労働行政全体としては、やはり本当に被害者の方々の思いを深く受けとめなければいけない、そういう思いで書かせていただきました。

高橋委員 ちょっと質問の答えになっていないと思うんですね。

 法的には責任はなかった、しかし、政治家としてどうだったのかということに思いをいたして書いたんだと。なぜ、その書いたことが本体に盛られなかったのかということ。本体がやはり最終的には残っていくものですから、そのことを言っていたわけです。ちょっと時間がないのでよろしいです。

 そういうことがやはり伝わらないわけですよ。せっかくの思いがやはり伝わらないし、今後に生きないということをあえて指摘させていただきたい。

 私は、やはり法的に責任があるかないかをぎりぎりと詰めていけば、多分責任はないというふうになるかもしれません。しかし、今問われているのは、本当にそういうことだろうか。実名があるかないかとか、そういうことだろうか。防ぎ得たことをやらなかったということが問われているんだと思うんですね。告知されなかったことについて、報告書には、当時の関係者の聞き取りでは、だれ一人検討しなかった、念頭に浮かばなかったということが書いてあるわけです。

 私は、率直に伺います。これは局長でよろしいです。二〇〇二年というのは、再提出を求めていますよね、この報告書、リストが出たのは。ですから、一般的な副作用報告書ではないわけですね。この年の三月には、既に弁護士でつくる薬害肝炎研究会が国の法的責任を指摘する意見書を提出しています。九月には被害者の会も結成されている。つまり、裁判の準備がされている時期だ。裁判で不利になること、あるいは原告がこれによって拡大することを恐れて告知をしなかったのではありませんか。

西川副大臣 ちょっと一言、済みません、さっきの補足をいいですか。

 当時、資料は全部徹底的に公開していたという事実の御報告と、それから、本文の中でも、十四年当時も、そこに思いをいたし、さらなる告知の努力をするべきであったのではないかということはちゃんと報告書にも書いてありますので、一切それに触れていないという高橋議員のおっしゃるのとは、ちょっと事実関係が違うと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの局は、この五年前の問題につきまして調査をするチームではございませんので、私の方から御答弁するのはちょっと違うんですが、御指名でございますので申し上げます。

 この調査チームの今回の報告書の中での記載によれば、平成十四年当時、調査チームにおいて告知などについて検討がなされなかった背景については、「調査の目的は、患者救済ではなく、フィブリノゲン製剤に関し、過去の行政の対応について検証するものであった」「患者に告知するのは、本来、医師が患者への診断の中で行うべきものであるとの認識から、四百十八名は症状があることにより国が改めて指示しなければならないとは認識していなかった」「フィブリノゲン製剤に限らず、様々な原因で肝炎に感染した者も含めた幅広い一般肝炎対策を実施し、広く肝炎検査の受診を勧奨していく考え方が支配的であった」、こういったことが背景にあるというふうに記載をされているところでございます。

高橋委員 当時の人のことがわからなかったのであれば、それを明らかにする必要があるのではないですか。

 私が言っているのは、一般的な副作用報告書とはどういうものかとか、そういう次元の話ではないわけです。つまり、一定の目的を持って再度集めているわけですから、一度は出された副作用の報告書を。そのときに、当然、被害者がもう既に出ている、病気が出ている。そうすれば、その被害の拡大を防ぐために告知をするのは、つまり、国ができなかったとしても、では、メーカーあるいは医療機関にちゃんとたどり着いていって告知をせよというのは当然のことだったと思うんですね。そこに意図的なものがあるのではないかと言っているんです。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十四年の調査の発端は、その一年か二年前だと思いますけれども、昭和六十二、三年当時、旧ミドリ十字から厚生省に対する肝炎の症例数の報告があったわけでございますけれども、それが後になって、実際には過小報告であったのではないかということから、もう一回過去を検証するという作業を始めたという経緯であったかと思います。

 その過程で、昭和六十二、三年ごろ、どういう報告をしたのか。個々の患者さんの状態、そういうものではなくて、何例ぐらいの報告であったのかということがそのときの調査の主眼であったというふうに認識をいたしております。

高橋委員 この問題は、まだ幕引きができないということを指摘しておきたいと思います。

 医療費助成の問題を質問したかったんですけれども、ちょっと時間がなくなりました。この間出されていたのでここは割愛させていただいて、最後に政府に、昨年七月に党としても申し入れを行ったわけですけれども、最初に言ったように、総合的な対策を本当にやるという観点からいって、呼吸器、心臓、腎機能障害などと同様に、肝機能障害を身体障害者福祉法による内部障害の対象とするべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者等の範囲につきましては、一般論といたしましては、障害者自立支援法の施行後三年の見直し規定において検討が求められているところでございまして、今後、幅広い観点から議論を行っていくこととしております。

 障害者の範囲、定義につきましては、難病などの疾患と身体障害との関係をどのように考えるべきかという点について、従来からさまざまな御指摘がございます。

 委員から、肝機能障害を身体障害者福祉法の内部障害とすることについての厚生労働省の見解のお尋ねがございましたけれども、ウイルス性肝炎等の肝臓の疾患については、継続的に医療が行われることや、治療により改善する可能性があることが想定され、身体障害者福祉法の基本的な考えである、障害が永続し、固定しているという要件には一般的に該当しないというふうに考えておりまして、肝機能障害を身体障害者福祉法の内部障害と位置づけることは困難であるというふうに考えております。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

高橋委員 この間議論されてきた医療費助成ではなかなかカバーできない問題があるということを踏まえて提言させていただきましたので、御検討いただきたいと思います。

 以上です。

茂木委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日、四時間の審議時間の中で、皆さんの御質問を拝聴いたしましても、まだまだこの問題は、四百十八人の皆さんへの告知問題も、あるいは、せっかくですが、議員立法で出していただいている肝炎の基本法というものについても、私は本来、もっともっとこの国会の場、議会の場で問題のありかを明らかにして、そして、最もよい対策が打たれるべきだという思いをきょうも強くいたしました。

 国会が会期末であるということもあり、衆参合同で肝炎基本対策法についてのよりよい法律を目指しての合同会議もきょうこの後開かれるということですが、合同会議の場は必ずしも開かれた場ではございませんし、その意味で、本来、今多くの国民がかたずをのんで見ておりますこの肝炎問題については、何度も申しますが、本来の開かれた議論の場ということの大切さを改めて私から冒頭指摘させていただきたいと思います。

 まず、大臣にお伺いいたします。

 この前、C型肝炎問題、とりわけフィブリノゲン等の薬害と大臣はおっしゃいましたが、この問題について、政治的決断ということがきょうの各質疑の中でも出てまいりました。私は、今大臣に二つの政治的決断をしていただかなければならないと、きょうの審議を通じても思いました。

 一つは、多くの肝炎の訴訟を起こしておられる患者さんたちが、年代によって線引きをしてくれるな、これは薬害なのであるから、何年以降が薬害で何年以前はそうではないというようなことでは、到底、満足、納得できない。その意味で、和解が今どのような形で進んでおるかは外からはうかがい知れませんが、大臣が広く救済するとおっしゃったのは、一つは、線引きをしない方向であるというふうに承ってよいのか。

 二点目は、ハンセン病の例を出させていただきますが、私もちょうど二〇〇〇年に議員に当選して、ハンセン病のいわゆる政治決断が行われたのは二〇〇一年のことでございました。これは、熊本地裁等々で国の隔離政策の継続は違憲であるという判断がなされまして、当時、小泉首相でしたが、国は、これまでのハンセン病政策に対して責任を認め、謝罪するとともに、裁判に参加された方に八百万から千四百万の補償をすると同時に、裁判に参加しなかった元患者らに同額の補償金を支給したということでございます。これをもって、いわば政治決断と呼ぶのだと思うのです。

 もちろん、裁判の和解にどのように臨むかも、一つ目の山の政治決断でございましょう。でも、私は、大臣に二つ目の山も越していただきたいんです。それが、患者さんたち、今訴訟を起こしておられる被害者の皆さんがおっしゃる、自分たちはたまたま訴訟できたからよかった、カルテがない人もいる。でも、広く救済する薬害であるという観点からは、この二つの政治決断をしていただかねばならない。

 後者は、もしかして舛添大臣だけでは、各省庁の、あるいは最高責任者である福田総理の英断も必要かもしれません。この二つの政治決断について、いま一度大臣の覚悟のほどをお話しいただきたいと思います。

舛添国務大臣 まず、私が何度も申し上げておりますように、薬害であることを前提にして、広く救いたい、救うべきである。その大きな大前提のもとに全力を尽くしてまいりたいというふうに思います。

 それから二番目は、ハンセン病の解決のことを御参考としてお出しになりました。そういうことも含めまして、非常に今、まず厳粛に受けとめないといけないのは、五つの異なった司法の判決がある。そして、司法とともに行政の一つの決断がある。そういう中で、司法、行政を超えていかに政治家として政治的な判断を下すか。このことについては、今阿部委員がおっしゃられたことを厳粛に受けとめて、これはまた政府全体の問題でございますので、先ほども御答弁申し上げましたように、内閣総理大臣及び官房長官と十分協議の上、そういう判断を下さないといけないときには、政治家としてのしかるべき決意を持って臨みたいと思います。

阿部(知)委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。司法といわば行政を超えて政治が決断せねばならない、それをもって政治の決断と申しますから、私たちが国民から選ばれてこの場所にいるということの意味を大臣にはしっかりと担っていただきたい、総理にも同じでございます。

 さて、この四百十八人リストに関係いたしまして、いわゆる告知の問題が各委員の中からも質疑に上がりました。ちなみに、簡単に要約すれば、四百十八人への告知は、そのとき診た医師がそもそもしたらよい、あるいはしてあるものと思っていたという、簡単に言わせていただきますと。

 高橋局長でも結構です。大体この四百十八人のリストの皆さんは一九八〇年代、一九九〇年代以前と言ってもいいと思います。当時のC型肝炎に対する認識、実際に担った医師たちの認識はどうであったというふうに把握しておられますか。

高橋政府参考人 ちょっと聞き漏らしました。昭和六十二、三年当時というお話でございますか。済みません。

阿部(知)委員 しっかり聞いてください、時間がないんだから。一九九〇年代以前、八〇年代の終わりまで。

高橋政府参考人 申しわけございません。

 C型肝炎ウイルスが同定されましたのが一九八八年でございます。その抗体検査などが導入されまして、医学的には、過去にさかのぼるレトロスペクティブ、あるいは患者を追跡するプロスペクティブな研究も進んだというふうに考えておりますけれども、九〇年の前といいますと、C型肝炎に対する認識は今の時代とはかなり違っているだろうというふうには考えております。

阿部(知)委員 役人の答弁なんだから、せめて正確に言ってください。かなり違っていたとか、そういうファジーな答弁はだめなんです。ほとんど、当時、これは例えば産科医会の報告でもそうですが、C型肝炎は重篤なものというふうに認識されていないんですよ。医師たちは、当然、患者さんに告知するにも、自分たちがそういう情報を当時持ち合わせていない。もっと言わせていただけば、私たち医師は、例えば厚生労働省が認可した薬を、患者さんによかれかしと思って使ったんですよ。

 そこで、私たち医師にその告知の責任の全体が負わされ、さらに、もう一つ伺います、当時、ではクリスマシン並びにフィブリノゲンは医薬品の副作用救済機構の中で救済される薬品に挙がっていましたか。それで投与して事が起きたら、被害救済されたでしょうか。教えてください。

茂木委員長 高橋局長、レトロスペクティブとかそういう言葉を使っちゃ悪いとは言いませんけれども、わかるように説明してください。

高橋政府参考人 一九九〇年までということでございますので、医薬品の副作用被害救済制度、これは医薬品のいわゆるその物質の副作用の救済ということでございます。この感染症に伴うような救済というものは、九〇年までのころは救済対象になっておりません。

阿部(知)委員 救済対象になったのは平成十六年なんですよ。それまでは、クリスマシンを投与してもフィブリノゲンを投与しても、起きた副作用は何ら救済機構から補償がなかったんです。そういう中で、医師たちは、一つには薬剤の認可、承認過程を信じました、そして投与しました。もう一つは、C型肝炎に対する知識も、まだ八〇年代です、ほとんどと言っていいと思います、その後肝硬変になり肝がんになり、残念ながら、そこまで持ち合わせている人はごく限られています。

 二〇〇二年の段階で、厚生労働省が今と同じような調査書をお出しになりました。その時点の調査書、西川さんがおいでじゃないので、とにかくどなたか行政で結構です、杉浦さんでも結構です。二〇〇二年のいろいろな意識調査の調査報告書がございます。省内の担当者、あるいは旧国立予防衛生研究所、感染症研究所などに勤務している人が、どのようにフィブリノゲンというものを理解していたか、あるいはそれによる安全の確保の問題がどう理解されていたかについて、お答えいただきたいと思います。

杉浦政府参考人 平成十四年の調査報告書におきましては、まだ非A非B型肝炎の予後に関する認識にしましても明確なものがございませんでしたし、それから、フィブリノゲン製剤に対するものとしましては、私どもが調査、当時の職員に対して聞いたところによりましても、そこについてのはっきりした認識と申しますか、それに対する告知に対する重要度といいますか、そういったところについての認識はそれほどなかったというふうに考えております。

阿部(知)委員 幾つかのことを一緒に聞いたのでわからなかったかもしれない。杉浦さんは平成二年の調査書というのは御存じですか。省内のいろいろな方とか、あるいは私の言った旧国立予防衛生研究所の方に聞いた、これは厚生労働省の調査書です。まず、御存じですかというのが一点。今回、こういう調査書をつくるに際して参考にしましたか、二点。ここには、昭和五十二年から平成元年に至るまで、すなわち多くの肝炎の今訴訟の患者さんたちの事案が起こった時点で、そこで医療関係者あるいは厚生労働関係者がどう思っていたかという元データがあるんですね。そのときは厚生労働省の皆さんも感染についてほとんど御存じなかった、そういう機序ということを。当然、医師たちも知りません。

 そして、二〇〇二年の段階では、有識者会議がありましたから、そこでいろいろと肝炎の、肝硬変になったり、あるいは防げるものだという認識が明らかだったわけですね。

 まず、二〇〇二年の調査書、厚生労働省自身がつくった調査書は御存じですか。

杉浦政府参考人 平成十四年、二〇〇二年の八月二十九日に公表されました調査報告書については存じ上げております。

阿部(知)委員 知っていたら、当時、平成二年までですよ、医師たちもまたC型肝炎がどういうものであるかということについてきちんとした知識を持ち得なかったというふうに判断すべきですよ。そうしたら、患者さんに告知されているなどというふうに、医師が告知するのが当たり前というふうに言うのは、全く実態を見ていない、自分たちの調査とも離反する結果だと私は思いますよ。杉浦さん、どうですか。

杉浦政府参考人 平成十四年の調査の結果の報告書におきましても、C型肝炎に関するいろいろな認識について、まだ結論的なと申しますか、明確な方向性が出されていなかったということは承知しておりますし、それから、今回、私どもが関係職員等に、あるいは医療関係者等に聞きましても、そこの部分についてはまだ十分な知識はなかったというのは承知をしているところでございます。

茂木委員長 阿部さん、年次が、平成二年のときがあったり一九九〇年、平成十四年、二〇〇二年。ですから平成二年が一九九〇年なんですね。それから平成十四年が二〇〇二年なんですね。どちらかにお互い統一していただいた方がわかりやすいと思います。

阿部(知)委員 杉浦さんはわかっていてごまかしているのかですよ。平成二年、一九九〇年以前の認識について調査書があるんです。一九九〇年以前、平成二年以前の意識、多くのフィブリノゲンが投与されたときの意識と、そして、近年の有識者会議、平成十三年、二〇〇一年になると思いますが、そこ以降は、C型肝炎というものについて厚生労働省は最も知識を集約し、そしてインターフェロンももちろん保険適用されていましたし、きちんとした知識にのっとって行動できる立場にあった厚生労働省ですよ。

 本当にあなた自身がわかっていないのか、ごまかしているのか、私にはよくわかりません、もうさっきからの答弁、混乱していて。申しわけありませんが、自分で整理してみてください。一九九〇年以前、あなたたちが医師たちが告知していて当然だと言っている、その時代の認識です。それについて、あなたたちはみずからの調査報告書を持っているんですよ、ほとんどは知らないと。残念ながらね。

 そして、大臣、伺います。私の時間が少ないので。

 実は厚生労働省は、この肝炎問題、二〇〇二年、坂口さんが厚生労働大臣だったときも調査報告書を出しました。その過程で、今問題になっている三菱ウェルファーマに、もっとちゃんと、過小報告じゃなくて全部報告しなさいよというふうに迫ったわけです。そして今回、大臣が命じて、西川副大臣以下、調査をなさいました。しかし、なぜ我が国でこれだけ肝炎が蔓延し、そして、なぜいいかげんな薬剤の承認過程が横行し、さらには知っていながら告知されなかった人が生じたかは、残念ながら、私は、医師が告知すればいいという言い方一つとっても、全く全貌が解明されていないと思います。身内による身内の調査の限界ではないでしょうか。

 大臣は、国民病、最大の感染症とまで言われるこの肝炎問題を、ハンセン病問題と同じように、きちんと、もっと第三者で、外部評価の目で、薬事行政の誤りや予防接種行政の誤りや、あるいは、なぜ一番の情報集約センターであった厚労省がその情報を十分生かすようなアウトカム、表現ができなかったかということも含めて、調査委員会をやり直すべきだと思います。第三者評価委員会としてもいいです。それくらいやっても当然です。三百万以上の方がいるんです、この国に。

 なぜ世界で最大の感染国になったでしょうか。自然発生したものではありません。その経緯を検証する、その面抜きに、私は、第二、第三どころか、根絶したはずの薬害というものはなくならないと思います。もっとしっかりとした検証委員会をつくるべきと考えますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 今の委員のお話もお伺いしていまして、また、私は昨日の参議院の厚生労働委員会でも議論をしたんですけれども、例えば副作用報告書のあり方一つをとっても、もっと議論をする必要はある。これが副作用について、医師の皆さん方の阻害要因になることがあってはいけない。しかし、これを活用して告知する道をどうすれば開くことができるか。

 それから、横文字しかないので、委員長にお許しいただいて、インフォームド・コンセント、つまり、患者さんにきちんと説明して御理解をいただいた上で治療をやるという考え方、それから、エビデンス・ベースド・メディスン、きちんとしたデータ、症例に基づいて医療をやっていく、こういういろいろなことについても少しきちんと検証していく。そして、二度と薬害が起こらないような、そういう体制をどうすればできるか、これは今後の課題として全力を挙げて取り組んでまいります。

阿部(知)委員 最後に、提案者の方に予告をしてあったので、インターフェロンもまた副作用の救済制度には乗らないお薬です、今のところ。そして、副作用が非常に強い。インターフェロン治療を受けようと思ったら、例えば、うつ病になる、あるいは白血球が減って感染症になるなど、いろいろな副作用がございます。この大村先生たちがお出しになった基本法の中では、インターフェロンだけに関した治療費の助成なのか、もっとインターフェロン治療を行うための助成費のいわば援助なのか、そのあたりをしっかりと検討していただきたいと思います。

 ごめんなさい、いいですか、お時間、委員長。

茂木委員長 時間が過ぎていますが、若干ロスタイムがありますので。

福島議員 先生御指摘のように、インターフェロン治療によって発熱や全身倦怠感などの副作用が生じるわけであります、よく知られたことでございますが。

 インターフェロン治療に対する医療費助成について、実際にこれを運用する場合に、運用主体は厚生労働省ということになるわけでありますけれども、副作用の取り扱いについて詳細に検討していただきたいと私どもは思っております。インターフェロン治療に一体のものとして付随する治療をどこまでのものとするのか、また、付随する治療と付随しない治療のボーダーを定めるのか定めないのか、こういうことも含めて、運用主体にしっかりと考えていただきたいと私どもは思っております。

阿部(知)委員 ぜひ、広く、多くの患者さんたちがその治療を受けることができるようなものとしていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

     ――――◇―――――

茂木委員長 この際、お諮りいたします。

 第百六十六回国会、宮路和明君外三名提出、老人福祉法の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

茂木委員長 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 老人福祉法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。

 農山村地域では、全国平均に比べ十年から十五年早いペースで高齢化が進展しており、特別養護老人ホームの必要性が増大しております。

 一方、農山村地域においては、特別養護老人ホームについて民間事業者の参入が期待しがたいこと、また、厳しい財政事情等のため、地方自治体による新たな設置運営も期待しがたい等の状況があります。また、農山村地域における高齢者の安心、安全な生活を確保するためには、医療と福祉が一体となったサービスの提供を行うことが必要であります。

 このような状況を踏まえ、医療法第三十一条に規定する公的医療機関として長年にわたって地域の医療を支えてきているJA厚生連が直接に特別養護老人ホームの設置、運営を行えるようにしてほしいとの要請が高まっております。

 このような状況にかんがみ、本案を起草した次第であります。

 次に、本起草案の内容を御説明申し上げます。

 その内容は、老人福祉法に特例を設け、医療法第三十一条に規定する公的医療機関に該当する病院または診療所を設置する農業協同組合連合会が直接に特別養護老人ホームを設置することができるものとすることであります。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 老人福祉法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております草案を老人福祉法の一部を改正する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

茂木委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま委員会提出と決しました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時十九分散会


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