衆議院

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第1号 平成20年2月22日(金曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(平成二十年一月十八日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 茂木 敏充君

   理事 大村 秀章君 理事 後藤 茂之君

   理事 田村 憲久君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 山田 正彦君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井澤 京子君

      井上 信治君    石崎  岳君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木村 義雄君    櫻田 義孝君

      清水鴻一郎君    杉村 太蔵君

      高鳥 修一君    谷畑  孝君

      冨岡  勉君    長崎幸太郎君

      西本 勝子君    萩原 誠司君

      林   潤君    福岡 資麿君

      松浪 健太君    松本  純君

      松本 洋平君    三ッ林隆志君

      内山  晃君    岡本 充功君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      園田 康博君    長妻  昭君

      細川 律夫君    三井 辨雄君

      柚木 道義君    伊藤  渉君

      古屋 範子君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

平成二十年二月二十二日(金曜日)委員長の指名で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。

 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案審査小委員

      井上 信治君    大村 秀章君

      川条 志嘉君    後藤 茂之君

      清水鴻一郎君    田村 憲久君

      林   潤君    福岡 資麿君

      宮澤 洋一君    吉野 正芳君

      郡  和子君    園田 康博君

      山田 正彦君    山井 和則君

      古屋 範子君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案審査小委員長        吉野 正芳君

平成二十年二月二十二日(金曜日)

    午前十時三十分開議

 出席委員

   委員長 茂木 敏充君

   理事 大村 秀章君 理事 後藤 茂之君

   理事 田村 憲久君 理事 宮澤 洋一君

   理事 山田 正彦君 理事 山井 和則君

   理事 福島  豊君

      井上 信治君    石崎  岳君

      石原 宏高君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    木村 義雄君

      櫻田 義孝君    清水鴻一郎君

      杉村 太蔵君    高鳥 修一君

      谷畑  孝君    冨岡  勉君

      中根 一幸君    長崎幸太郎君

      西本 勝子君    萩原 誠司君

      林   潤君    福岡 資麿君

      松浪 健太君    松本  純君

      松本 洋平君    三ッ林隆志君

      内山  晃君    岡本 充功君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      園田 康博君    長妻  昭君

      細川 律夫君    三井 辨雄君

      村井 宗明君    伊藤  渉君

      古屋 範子君    高橋千鶴子君

      保坂 展人君    糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      岸  宏一君

   厚生労働大臣政務官    伊藤  渉君

   厚生労働大臣政務官    松浪 健太君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  新井 悦二君     中根 一幸君

  井澤 京子君     石原 宏高君

  柚木 道義君     村井 宗明君

  阿部 知子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     井澤 京子君

  中根 一幸君     新井 悦二君

  村井 宗明君     柚木 道義君

  保坂 展人君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

一月十八日

 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案(中山太郎君外五名提出、第百六十四回国会衆法第一四号)

 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案(斉藤鉄夫君外三名提出、第百六十四回国会衆法第一五号)

 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(大村秀章君外六名提出、第百六十八回国会衆法第六号)

 肝炎対策基本法案(川崎二郎君外十五名提出、第百六十八回国会衆法第八号)

 児童扶養手当法の一部を改正する法律案(西村智奈美君外二名提出、第百六十八回国会衆法第一四号)

 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案(金田誠一君外二名提出、第百六十八回国会衆法第一八号)

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の一部を改正する法律案(河村建夫君外五名提出、第百六十八回国会衆法第一九号)

 介護労働者の人材確保に関する特別措置法案(三井辨雄君外三名提出、第百六十八回国会衆法第二四号)

 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(参議院提出、第百六十八回国会参法第一号)

 労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十六回国会閣法第八一号)

 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十六回国会閣法第九五号)

二月十二日

 医療に回すお金をふやし、保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第三二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五九号)

 同(原口一博君紹介)(第九一号)

 同(池田元久君紹介)(第一三二号)

 同(岡本充功君紹介)(第一三三号)

 同(河村たかし君紹介)(第一三四号)

 身近な地域で安心して出産ができる助産所の存続を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第三三号)

 後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四九号)

 同(笠井亮君紹介)(第五〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五一号)

 同(志位和夫君紹介)(第五二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一一二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一三五号)

 高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(石井郁子君紹介)(第五五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一一四号)

 同(笠井亮君紹介)(第一三六号)

 障害児・者の福祉・医療サービスの利用に対する応益(定率)負担の中止を求めることに関する請願(岡本充功君紹介)(第五八号)

 国の医療に回すお金をふやし、医療の危機打開と患者負担の軽減に関する請願(原口一博君紹介)(第七八号)

 同(岡本充功君紹介)(第一三七号)

 同(河村たかし君紹介)(第一三八号)

 公的保育制度の堅持・拡充と保育・学童保育・子育て支援予算の大幅増額に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七九号)

 同(新井悦二君紹介)(第八〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第八一号)

 同(笠井亮君紹介)(第八二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第八四号)

 同(志位和夫君紹介)(第八五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八六号)

 同(高井美穂君紹介)(第八七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八八号)

 同(萩原誠司君紹介)(第八九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第九〇号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一一五号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一一六号)

 同(園田康博君紹介)(第一一七号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一一八号)

 同(日森文尋君紹介)(第一一九号)

 同(松本大輔君紹介)(第一二〇号)

 同(阿部知子君紹介)(第一三九号)

 同(岡本充功君紹介)(第一四〇号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第一四一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四二号)

 生活保護等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇八号)

 同(石井郁子君紹介)(第一〇九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一〇号)

 児童扶養手当の削減、生活保護の母子加算の廃止をやめることに関する請願(笠井亮君紹介)(第一二九号)

 非血縁者間骨髄移植に係る医療保険の適用範囲拡大を求めることに関する請願(逢沢一郎君紹介)(第一三〇号)

 病名や健診データなどプライバシーの漏えい、流用につながる診療報酬オンライン請求義務化の撤回に関する請願(吉井英勝君紹介)(第一三一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 小委員会設置に関する件

 小委員会における政府参考人出頭要求に関する件

 小委員会における参考人出頭要求に関する件

 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案(中山太郎君外五名提出、第百六十四回国会衆法第一四号)

 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案(斉藤鉄夫君外三名提出、第百六十四回国会衆法第一五号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

茂木委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 厚生労働関係の基本施策に関する事項

 社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する事項

 労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する事項

以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

茂木委員長 第百六十四回国会、中山太郎君外五名提出、臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案及び第百六十四回国会、斉藤鉄夫君外三名提出、臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両法律案につきましては、第百六十六回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、中山太郎君外五名提出)

 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、斉藤鉄夫君外三名提出)

    〔本号末尾に掲載〕

     ――――◇―――――

茂木委員長 次に、小委員会設置の件についてお諮りいたします。

 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案を審査するため小委員十八名からなる臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案審査小委員会を設置することとし、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長において指名することに賛成の諸君の起立を求めます。ちゃんと立ってください。まじめにやりましょう。

    〔賛成者起立〕

茂木委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。

 次に、小委員、小委員長の辞任の許可及び補欠選任並びに小委員会において参考人及び政府参考人の出席を求める必要が生じました場合には、その出席を求めることとし、日時、人選等につきましては、委員長に一任することに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

茂木委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

茂木委員長 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、厚生労働大臣から所信を聴取いたします。舛添厚生労働大臣。

舛添国務大臣 厚生労働委員会の御審議に先立ち、厚生労働行政についての所信を申し述べ、委員各位を初め、国民の皆様方の御理解と御協力をお願い申し上げます。

 厚生労働行政は、国民生活に最も密着した分野であります。年金記録問題、医師不足への対応、食品安全の問題など待ったなしの課題を抱えており、これらの問題につきましては、一日も早く国民の皆様の安心や安全を回復できるよう、全力で取り組んでまいる所存でございます。

 一方で、中長期的な課題への対応も着実に進めてまいります。人生八十五年時代を迎えた今、生き生きと人生を楽しむこれからの日本人の暮らし、働き方、人生設計のイメージを描き、あわせてそれを支える仕組みを提言すべく、各分野の有識者にお集まりいただき、人生八十五年ビジョン懇談会を立ち上げたところであります。本年三月の取りまとめを目途に検討を進めているところであり、こうした将来像を描きながら厚生労働行政に取り組み、改革を進めてまいります。

 年金記録問題への対応につきましては、昨年七月に政府・与党で決定した方針に基づき、五千万件の未統合記録と約一億人の方々の記録をコンピューター上で突き合わせ、その結果、記録が結びつく可能性がある方へねんきん特別便をお送りしております。これを確実に進めるとともに、その他の方々にも順次お送りし、こうした取り組みにより、約一億人の方々お一人お一人に記録を確認いただくとともに、市町村、企業、労働組合、社会保険労務士などの御協力を得ながら、記録確認の周知、相談体制の確保等に国を挙げて対応するなど、国民の皆様の信頼回復に向け、全力を挙げて取り組んでまいります。

 また、一人一枚の社会保障カードの導入に向け、引き続き検討を進めてまいります。

 社会保険庁改革につきましては、平成二十二年一月の日本年金機構の設立等に向け、その準備を着実に進めるとともに、新組織においては、能力と実績に基づく人事管理の導入やサービスの向上、事業の適正かつ効率的な実施に努めてまいります。

 社会保障制度は、国民の暮らしを支えるセーフティーネットとして、社会全体の発展を支える仕組みであります。

 少子高齢化のさらなる進行に伴い、社会保障の給付の増加が見込まれる中で、世代間の公平性の確保や給付と負担の均衡を図りつつ、安全、安心で質の高いサービスを安定的に供給する持続可能な社会保障制度を構築し、国民が安心して生き生きと暮らすことができるよう、必要な施策の充実に取り組んでまいります。福田総理のもとに社会保障国民会議が設置されましたが、その議論も踏まえ、国民の希望と安心につながる社会保障制度の構築に向けて、最大限努力してまいります。

 年金制度につきましては、基礎年金の国庫負担割合を平成二十一年度までに二分の一に引き上げることとしており、これに向け、平成二十年度の国庫負担割合を引き上げるための法案を今国会に提出したところです。また、平成二十一年にはしっかりと財政検証を行い、国民の老後生活の安心の確保に最善を尽くしてまいります。

 医療制度につきましては、医療費適正化の総合的な推進を図るとともに、新たな高齢者医療制度の円滑な施行に向け、きめ細やかな対応を行ってまいります。また、平成二十年度の政府管掌健康保険に対する国庫補助額の特例などを内容とする法案を今国会に提出したところであります。

 地域において必要な医療を確保するため、病院勤務医の過重労働の改善など各般の対策を着実に実施するとともに、救急患者の受け入れを確実に行うためのシステムづくりなど救急医療の充実を図り、地域における医療提供体制の整備強化に取り組んでまいります。また、診療行為に係る死因究明制度の検討を進めるなど医療リスクに対応できる支援体制の整備を図ってまいります。

 介護保険制度につきましては、介護サービス事業者の不正事案の再発を防止し、介護事業運営の適正化を図るため、事業者における法令遵守体制の整備等を行う法案を今国会に提出いたします。

 障害者施策につきましては、与党の検討結果も踏まえて、利用者負担のさらなる軽減や事業者の経営基盤の強化のための緊急措置を講ずるとともに、障害者自立支援法の抜本的な見直しに向けた検討を進めてまいります。また、サービス基盤につきましても一層の充実を図ってまいります。

 援護行政につきましては、中国残留邦人に対する新たな支援策、戦没者の遺骨収集や慰霊事業、戦傷病者等に対する支援などの適切な実施に努めるとともに、戦没者の父母などに対する特別給付金を来年度以降も継続して支給するための法案を今国会に提出したところであります。

 人口減少が現実のものとなった今日、若者や女性などの労働市場参加を進めつつ、国民の希望する結婚や出産、子育てを実現できる環境を早急に整備することが、我が国の経済社会の持続的な発展のためには不可欠です。昨年末に取りまとめた子どもと家族を応援する日本重点戦略に沿って、働き方の改革による仕事と生活の調和の実現と、多様な働き方に対応した保育サービスなど子育て支援の基盤充実を、車の両輪として進めてまいります。

 このため、新たな子育て支援に関するサービスの創設、職場における仕事と家庭の両立支援の促進、虐待を受けた子供などへの支援の強化などを内容とする法案を今国会に提出するとともに、希望するすべての人が安心して子供を預けて働くことができるよう、質と量の両面から保育施策を充実強化する新待機児童ゼロ作戦を展開するなど、次世代育成支援対策に総合的に取り組んでまいります。

 また、昨年末に策定された仕事と生活の調和実現のための憲章等を踏まえ、国民運動を通じた社会的機運の醸成を図るとともに、長時間労働の抑制など、社会全体で働き方の改革を進め、仕事と生活の調和を推進してまいります。

 最近の我が国の雇用失業情勢は、厳しさが残るものの、改善しているところであります。しかし、このところ改善の動きが弱まっている中で、雇用情勢の地域差、若者の雇用問題や雇用形態をめぐる問題などさまざまな課題を抱えており、このため、雇用改善に向けた意欲のある地域の取り組みを積極的に支援するなどの取り組みを推進するほか、常用雇用化三十五万人を目標としたフリーター常用雇用化プランの推進、有期契約労働者の雇用管理の改善や正社員への転換支援などの取り組みを進めてまいります。

 また、ジョブカード制度の本格実施に向けた準備を進めるとともに、いわゆるニートなどの職業的自立の支援を図るため、地域若者サポートステーションの拡充強化や若者自立塾の運営に取り組んでまいります。

 労働者派遣制度につきましては、喫緊の課題となっている日雇い派遣についてのガイドラインを早急に創設するほか、偽装請負も含めた違法派遣の一掃に向け対策を強化するとともに、働く人を大切にする視点に立って見直しを行ってまいります。

 障害者雇用の一層の促進を図るため、中小企業に関して障害者雇用納付金の徴収などの対象範囲を拡大することなどを内容とする法案を今国会に提出するとともに、募集、採用における年齢制限の禁止や六十五歳までの雇用機会の確保を着実に進め、さらに、七十歳まで働ける企業の実現に向けて取り組むなど、中高年齢者が意欲と能力のある限り幾つになっても働ける社会の実現に向けた環境整備に取り組んでまいります。

 また、駐留軍関係離職者等の雇用の安定を図るため、所要の措置の継続を内容とする法案を今国会に提出したところであります。

 さらに、良好な労使関係の維持発展、政労使の意思疎通の促進に努めるとともに、働く人の安全や安心を確保する観点から、労働関係法令が遵守されるよう、引き続き指導等に適切に取り組んでまいります。

 C型肝炎訴訟につきましては、先月、全会一致で特別措置法が可決、成立し、その後、原告団との間で基本合意書に調印し、現在、全国の裁判所で和解協議を進めているところであります。長年にわたる感染被害者の方々の御労苦に思いをいたし、改めておわびを申し上げます。今後は、この法律の周知と実施に万全を期すとともに、今回の反省に立ち、医薬品による健康被害の再発防止に全力を尽くしてまいります。また、肝炎ウイルス検査の無料化の拡大、インターフェロン治療に係る医療費の助成など、肝炎総合対策に全力で取り組んでまいります。

 食品の安全につきましては、輸入食品の安全性確保やBSE対策などについて、関係行政機関と連携して取り組み、国民の健康の確保を図るために全力を尽くしてまいります。また、今般の中国産輸入食品の事案につきましては、被害拡大防止や原因究明に全力で取り組むとともに、再発を防止するため、徹底した検証を行い、その結果を踏まえ、制度の改善も含め、適切に対応してまいります。

 新型インフルエンザにつきましては、その発生が国際的にも予断を許さない状況になっており、関係省庁等とも連携し、発生直後から迅速かつ確実な対応が講じられるよう、法改正も含め対策の一層の充実を図るとともに、麻疹につきましては、流行を二度と繰り返さないよう対策の強化に努めてまいります。

 がん対策につきましては、放射線療法及び化学療法の推進等に重点を置き、対策の一層の充実を図ってまいります。

 昨年策定した革新的医薬品・医療機器創出のための五カ年戦略に沿って、医薬品、医療機器分野におけるイノベーションの促進に向け、関係省庁との連携のもと、研究開発の促進や治験活性化などに総合的に取り組んでまいります。

 また、行政改革推進法案等を踏まえ、政策医療の牽引車としての機能の充実強化を図ることを目的として、各国立高度専門医療センターを平成二十二年度から非公務員型の独立行政法人へ移行させるための法案を今国会に提出いたします。

 原爆症の認定のあり方に関しましては、昨年の専門家による御報告及び与党の御提言を踏まえ、新たな基準を策定し、認定審査をしてまいります。

 本年五月に新潟で開催されるG8労働大臣会合では、長寿化時代における持続的発展が可能な経済社会を構築するための方策について議論を深めます。また、七月の北海道洞爺湖サミットでは、母子保健対策、感染症対策など地球規模の保健課題についても議論が期待されるところであり、積極的に貢献してまいります。

 以上、御説明申し上げましたが、今国会において厚生労働省から提出及び提出予定の法案並びに現在継続審議となっている法案につきましては、一日も早い成立をお願いいたします。

 厚生労働行政には、このほかにも多くの課題が山積しております。私は、これら諸課題の解決に向けて全力を尽くしてまいりますので、委員長を初め、皆様方の一層の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

茂木委員長 次に、平成二十年度厚生労働省関係予算の概要について説明を聴取いたします。岸厚生労働副大臣。

岸副大臣 厚生労働副大臣の岸でございます。

 大臣の所信に引き続き、お手元の資料に基づきまして、平成二十年度厚生労働省関係予算案の概要について御説明申し上げます。

 まず、平成二十年度厚生労働省所管一般会計予算の規模は、総額二十二兆千二百二十三億円、対前年度六千四百五十四億円、三・〇%の増加となっております。

 次に、予算の主要施策について御説明申し上げます。

 第一は、五ページから十七ページにかけての、健康な生活と安心で質の高い医療の確保等のための施策の推進であります。地域において必要な医療が受けられるよう、緊急医師確保対策に基づき、医師派遣システムの構築、病院勤務医の勤務環境の整備などの医師確保対策や、救急医療体制の確保など、安全、安心で質の高い医療提供体制の充実を図ってまいります。

 また、子供を守り育てる健康対策、女性を応援する健康プログラム、メタボリックシンドローム対策などの健康施策を総合的に推進してまいります。

 がん対策につきましては、がん対策推進基本計画に基づき、放射線療法、化学療法の推進と専門医等の育成、治療の初期段階からの緩和ケアの実施、がん登録の推進などを重点課題として、総合的かつ計画的に推進してまいります。

 さらに、新型インフルエンザ対策や新しい肝炎総合対策などの感染症、疾病対策を推進してまいります。

 医療保険制度につきましては、安定的で持続可能な制度運営のため、被用者保険間の助け合いの考えに立って、政府管掌健康保険に対する支援措置等を講じつつ、各医療保険制度に係る国庫負担に要する経費を確保するほか、医療費適正化に関する施策を推進してまいります。

 第二は、十八ページから二十四ページにかけての、成長力強化に向けた雇用対策・職業能力開発等の推進であります。フリーターなど職業能力形成機会に恵まれない方々を支援するため、ジョブカード制度の構築を図るとともに、母子家庭、生活保護世帯、障害者等を対象に、セーフティーネットを確保しつつ、可能な限り就労による自立と生活の向上が図られるよう、福祉、雇用の両面にわたる支援を行ってまいります。

 また、中小企業の生産性向上に向けた人材確保や、雇用の改善の動きが弱い地域への重点的な支援などを行うとともに、最低賃金制度の機能強化のための施策により成長力強化を図るほか、若者に対する雇用対策、職業能力開発を推進してまいります。

 第三は、二十五ページから三十ページにかけての、仕事と生活の調和と公正かつ多様な働き方の実現であります。仕事と生活の調和の実現に向け、企業の取り組みに対する支援や、その成果について広く周知するなど、社会的機運の醸成を図ってまいります。

 また、職業キャリアの持続可能性を確保するために、生涯にわたる自律的なキャリア形成を可能とする環境の整備を図ってまいります。

 さらに、労働者派遣事業の適正な運営の確保を図るとともに、男女雇用機会均等の推進、総合的な安全衛生施策の推進など、公正かつ多様な働き方の実現と、安全、安心な職場づくりを進めてまいります。

 第四は、三十一ページから三十五ページにかけての、人口減少社会の到来を踏まえた少子化対策の推進であります。少子化や人口減少の進展は、経済産業や社会保障の問題にとどまらず、国や社会の存立基盤にかかわる問題であります。

 このため、新しい少子化対策についてや、子どもと家族を応援する日本重点戦略等を踏まえ、仕事と生活の調和の実現に向けた施策の推進や、地域の子育て支援の推進、児童虐待への適切な対応、母子保健医療の充実など、少子化対策を総合的に推進してまいります。

 第五は、三十六ページから四十ページにかけての、高齢者等が生き生きと安心して暮らせる福祉社会の実現であります。高齢者が生き生きと安心して暮らせる社会を実現するため、介護福祉の人材の確保や介護基盤の整備、安定的、効率的な介護保険制度運営の確保を図るとともに、認知症対策、介護予防対策、元気高齢者支援対策等の関連施策を推進してまいります。

 あわせて、高齢者等の雇用就業対策について、六十五歳までの雇用機会の確保、七十歳まで働ける企業の普及促進等を図ってまいります。

 年金制度につきましては、持続可能で安心できる制度を構築するため、基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げに向け、国庫負担割合を着実に引き上げることとしております。

 また、支援を必要とする人々を支える仕組みを再構築するため、身近な地域における福祉活動の活性化を図るとともに、生活不安定者等に対する自立支援体制を整備するほか、生活保護制度につきましては、受給者の抱える生活上の課題に応じた支援を着実に推進し、その適正な実施を図ってまいります。

 第六は、四十一ページから四十四ページにかけての、障害者の自立支援の推進であります。障害者の自立生活を支援するため、良質な障害福祉サービスを確保するとともに、受け入れ条件が整えば退院可能な精神障害者の地域生活への移行支援や、発達障害者支援施策を推進してまいります。

 また、福祉施設で働く障害者の工賃水準の引き上げ、障害者の職業的自立に向けた就労支援を総合的に推進してまいります。

 第七は、四十五ページから四十八ページにかけての、国民の安全と安心のための施策の推進であります。医薬品、医療機器の安全対策を推進するとともに、医薬品等を迅速に提供するための対策、血液対策、麻薬、覚せい剤対策などを推進してまいります。

 また、輸入食品等の安全対策の強化、残留農薬等ポジティブリスト制度の着実な実施など食品の安全対策を推進するほか、自殺総合対策大綱に基づく自殺対策、健康危機管理体制の強化等の諸施策を進めてまいります。

 第八は、四十九ページから五十ページにかけての、年金記録問題等への対応でございます。年金記録問題への対応につきましては、昨年七月に政府・与党で決定した方針に基づき、本年三月までに、五千万件の未統合記録と約一億人すべての年金受給者と加入者の方々の記録をコンピューター上で突き合わせ、その結果、記録が結びつく可能性がある方々へねんきん特別便をお送りしております。

 さらに、その他の方々にも、本年四月から五月までにすべての受給者に、六月から十月までにすべての加入者に、順次、ねんきん特別便をお送りいたします。

 こうした取り組みにより、国民お一人お一人に記録を確認いただくとともに、市町村、企業、社会保険労務士等の御協力を得ながら、相談体制の整備等に国を挙げて対応するなど、引き続き、国民の皆様の信頼回復に向け、全力を挙げて取り組んでまいります。

 また、日本年金機構法に基づき、機構の設立準備を行うとともに、保険料収納率の向上、民間委託の拡大等の取り組みを徹底するなど、組織改革、業務改革の推進を図ってまいります。

 以上のほか、五十一ページから五十四ページにありますように、世界保健機関や国際労働機関等を通じた国際協力、国際協調の推進、外国人労働問題等への適切な対応、社会保障カードの導入に向けた検討、戦傷病者、戦没者遺族の援護、中国残留邦人に対する新たな支援の実施、原爆被爆者対策等の諸施策を推進してまいります。

 以上、主な内容について御説明いたしましたが、お手元の資料のうち、一般会計予算案の主要経費別内訳及び特別会計予算案の概要につきましては、説明を省略させていただきます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

茂木委員長 以上で大臣の所信表明並びに平成二十年度厚生労働省関係予算の概要についての説明は終わりました。

 今後とも、品位のある委員会審議を進めてまいりたいと存じますので、委員各位の御協力、よろしくお願いいたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時五十三分散会


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