衆議院

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第19号 平成20年6月4日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十年六月四日(水曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 茂木 敏充君

   理事 大村 秀章君 理事 後藤 茂之君

   理事 田村 憲久君 理事 宮澤 洋一君

   理事 吉野 正芳君 理事 山井 和則君

   理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井澤 京子君

      井上 信治君    石崎  岳君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木村 義雄君    櫻田 義孝君

      清水鴻一郎君    杉村 太蔵君

      高鳥 修一君    谷畑  孝君

      徳田  毅君    冨岡  勉君

      長崎幸太郎君    西本 勝子君

      萩原 誠司君    林   潤君

      福岡 資麿君    松浪 健太君

      松本  純君    松本 洋平君

      三ッ林隆志君    市村浩一郎君

      内山  晃君    菊田真紀子君

      北神 圭朗君    郡  和子君

      園田 康博君    長妻  昭君

      細川 律夫君    馬淵 澄夫君

      松本 大輔君    三井 辨雄君

      柚木 道義君    伊藤  渉君

      高木美智代君    古屋 範子君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      岸  宏一君

   厚生労働大臣政務官    伊藤  渉君

   厚生労働大臣政務官    松浪 健太君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  西山 正徳君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高橋 直人君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 岡崎 淳一君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中村 吉夫君

   政府参考人

   (社会保険庁社会保険業務センター所長)      中野  寛君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           北村 隆志君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月三日

 辞任         補欠選任

  福岡 資麿君     橋本  岳君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本  岳君     福岡 資麿君

同月四日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     徳田  毅君

  岡本 充功君     松本 大輔君

  柚木 道義君     北神 圭朗君

  古屋 範子君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  徳田  毅君     木原 誠二君

  北神 圭朗君     柚木 道義君

  松本 大輔君     市村浩一郎君

  高木美智代君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  市村浩一郎君     馬淵 澄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  馬淵 澄夫君     岡本 充功君

    ―――――――――――――

六月四日

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の一部を改正する法律案(河村建夫君外五名提出、第百六十八回国会衆法第一九号)

は委員会の許可を得て撤回された。

同月三日

 医療危機の抜本的打開を求めることに関する請願(吉井英勝君紹介)(第三三七六号)

 介護・福祉職場の人材確保、職員の待遇改善を求めることに関する請願(石川知裕君紹介)(第三三七七号)

 同(松木謙公君紹介)(第三三七八号)

 患者負担増計画の中止と保険で安心してかかれる医療に関する請願(穀田恵二君紹介)(第三三七九号)

 患者負担増に反対し、保険で安心してかかれる医療に関する請願(志位和夫君紹介)(第三三八〇号)

 医師・看護師などを大幅に増員するための法改正を求めることに関する請願(石川知裕君紹介)(第三三八一号)

 同(小川淳也君紹介)(第三三八二号)

 同(後藤斎君紹介)(第三三八三号)

 同(羽田孜君紹介)(第三三八四号)

 同(松野頼久君紹介)(第三三八五号)

 同(黄川田徹君紹介)(第三四一四号)

 同(近藤洋介君紹介)(第三四一五号)

 同(辻元清美君紹介)(第三四一六号)

 同(重野安正君紹介)(第三四二八号)

 同(安次富修君紹介)(第三四九九号)

 同(下条みつ君紹介)(第三五〇〇号)

 同(下地幹郎君紹介)(第三五四五号)

 同(徳田毅君紹介)(第三五四六号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(津島雄二君紹介)(第三三八六号)

 高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の中止・撤回に関する請願(岡本充功君紹介)(第三三八七号)

 同(伴野豊君紹介)(第三四一七号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第三五〇一号)

 ハンセン病問題基本法を制定し、開かれた国立ハンセン病療養所の未来を求めることに関する請願(津島雄二君紹介)(第三三八八号)

 後期高齢者医療制度を中止し、廃止を求めることに関する請願(石井郁子君紹介)(第三三八九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三三九〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三三九一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三三九二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三五四九号)

 高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の中止・撤回をすることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三三九三号)

 同(石井郁子君紹介)(第三三九四号)

 同(岡本充功君紹介)(第三三九五号)

 同(河村たかし君紹介)(第三四三〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三五五〇号)

 首都圏の介護を支えるための介護人材確保に関する請願(高木陽介君紹介)(第三三九六号)

 同(井上信治君紹介)(第三五〇三号)

 同(松本洋平君紹介)(第三五五二号)

 ジストニアの難治性疾患克服研究事業への指定及び症状に対する障害認定と治療環境改善に関する請願(笹川堯君紹介)(第三三九七号)

 同(柚木道義君紹介)(第三四三一号)

 最低保障年金制度の実現を求めることに関する請願(石井郁子君紹介)(第三三九八号)

 新たなウイルス肝炎総合対策の推進を求めることに関する請願(菊田真紀子君紹介)(第三四一〇号)

 同(郡和子君紹介)(第三四一一号)

 同(萩原誠司君紹介)(第三四一二号)

 同(三井辨雄君紹介)(第三四一三号)

 同(笹川堯君紹介)(第三四三二号)

 同(清水鴻一郎君紹介)(第三四三三号)

 同(杉村太蔵君紹介)(第三四三四号)

 同(林潤君紹介)(第三四三五号)

 同(細川律夫君紹介)(第三四三六号)

 同(三ッ林隆志君紹介)(第三四三七号)

 同(柚木道義君紹介)(第三四三八号)

 同(吉野正芳君紹介)(第三四三九号)

 同(新井悦二君紹介)(第三五〇四号)

 同(大村秀章君紹介)(第三五〇五号)

 同(川条志嘉君紹介)(第三五〇六号)

 同(園田康博君紹介)(第三五〇七号)

 同(松本純君紹介)(第三五〇八号)

 同(宮澤洋一君紹介)(第三五〇九号)

 同(山井和則君紹介)(第三五一〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三五五三号)

 同(石井郁子君紹介)(第三五五四号)

 同(笠井亮君紹介)(第三五五五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三五五六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三五五七号)

 同(櫻田義孝君紹介)(第三五五八号)

 同(志位和夫君紹介)(第三五五九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三五六〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三五六一号)

 同(松本洋平君紹介)(第三五六二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三五六三号)

 パーキンソン病患者のQOL(生活の質)向上を求めることに関する請願(桝屋敬悟君紹介)(第三四一八号)

 後期高齢者医療制度の廃止を求めることに関する請願(岩國哲人君紹介)(第三四一九号)

 同(岩國哲人君紹介)(第三四二九号)

 同(岩國哲人君紹介)(第三五〇二号)

 同(岩國哲人君紹介)(第三五四八号)

 一酸化炭素中毒患者に係る特別対策事業を委託する新病院に関する確認書早期履行を求めることに関する請願(古賀一成君紹介)(第三四九五号)

 同(園田康博君紹介)(第三四九六号)

 同(田島一成君紹介)(第三四九七号)

 同(松本龍君紹介)(第三四九八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三五六四号)

 同(辻元清美君紹介)(第三五六五号)

 同(保利耕輔君紹介)(第三五六六号)

 シックハウス症候群・多種類化学物質過敏症患者への国庫補助金給付に関する請願(浜田靖一君紹介)(第三五四四号)

 パーキンソン病患者のQOL(生活の質)向上に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三五四七号)

 後期高齢者医療制度の撤回を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三五五一号)

同月四日

 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願(石崎岳君紹介)(第三五八三号)

 同(岡本充功君紹介)(第三五八四号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第三五八五号)

 同(櫻田義孝君紹介)(第三五八六号)

 同(園田康博君紹介)(第三五八七号)

 同(谷畑孝君紹介)(第三五八八号)

 同(細川律夫君紹介)(第三五八九号)

 同(松本純君紹介)(第三五九〇号)

 同(三ッ林隆志君紹介)(第三五九一号)

 同(宮澤洋一君紹介)(第三五九二号)

 同(保岡興治君紹介)(第三五九三号)

 同(山井和則君紹介)(第三五九四号)

 同(新井悦二君紹介)(第三七三一号)

 同(内山晃君紹介)(第三七三二号)

 同(郡和子君紹介)(第三七三三号)

 同(清水鴻一郎君紹介)(第三七三四号)

 同(萩原誠司君紹介)(第三七三五号)

 同(三井辨雄君紹介)(第三七三六号)

 同(林潤君紹介)(第三八〇九号)

 同(村井宗明君紹介)(第三八一〇号)

 同(山田正彦君紹介)(第三八一一号)

 医師・看護師などを大幅に増員するための法改正を求めることに関する請願(石川知裕君紹介)(第三五九五号)

 同(岡本充功君紹介)(第三五九六号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第三五九七号)

 同(金田誠一君紹介)(第三六七五号)

 同(志位和夫君紹介)(第三六七六号)

 同(園田康博君紹介)(第三六七七号)

 同(高井美穂君紹介)(第三六七八号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第三六七九号)

 同(綿貫民輔君紹介)(第三六八〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三七六四号)

 同(石井郁子君紹介)(第三七六五号)

 同(笠井亮君紹介)(第三七六六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三七六七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三七六八号)

 同(志位和夫君紹介)(第三七六九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三七七〇号)

 同(末松義規君紹介)(第三七七一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三七七二号)

 同(徳田毅君紹介)(第三七七三号)

 同(日森文尋君紹介)(第三七七四号)

 同(松木謙公君紹介)(第三七七五号)

 同(村井宗明君紹介)(第三七七六号)

 難病、長期慢性疾患、小児慢性疾患の総合対策を求めることに関する請願(安住淳君紹介)(第三五九八号)

 同(飯島夕雁君紹介)(第三五九九号)

 同(石井啓一君紹介)(第三六〇〇号)

 同(石川知裕君紹介)(第三六〇一号)

 同(石崎岳君紹介)(第三六〇二号)

 同(石田真敏君紹介)(第三六〇三号)

 同(泉健太君紹介)(第三六〇四号)

 同(江藤拓君紹介)(第三六〇五号)

 同(大前繁雄君紹介)(第三六〇六号)

 同(奥野信亮君紹介)(第三六〇七号)

 同(梶山弘志君紹介)(第三六〇八号)

 同(亀井久興君紹介)(第三六〇九号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第三六一〇号)

 同(北川知克君紹介)(第三六一一号)

 同(後藤田正純君紹介)(第三六一二号)

 同(近藤昭一君紹介)(第三六一三号)

 同(近藤基彦君紹介)(第三六一四号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第三六一五号)

 同(櫻田義孝君紹介)(第三六一六号)

 同(園田康博君紹介)(第三六一七号)

 同(高井美穂君紹介)(第三六一八号)

 同(棚橋泰文君紹介)(第三六一九号)

 同(谷畑孝君紹介)(第三六二〇号)

 同(土井亨君紹介)(第三六二一号)

 同(仲野博子君紹介)(第三六二二号)

 同(西野あきら君紹介)(第三六二三号)

 同(西村智奈美君紹介)(第三六二四号)

 同(根本匠君紹介)(第三六二五号)

 同(林潤君紹介)(第三六二六号)

 同(林田彪君紹介)(第三六二七号)

 同(原田令嗣君紹介)(第三六二八号)

 同(平田耕一君紹介)(第三六二九号)

 同(福田昭夫君紹介)(第三六三〇号)

 同(船田元君紹介)(第三六三一号)

 同(細川律夫君紹介)(第三六三二号)

 同(松木謙公君紹介)(第三六三三号)

 同(松野頼久君紹介)(第三六三四号)

 同(松本純君紹介)(第三六三五号)

 同(松本龍君紹介)(第三六三六号)

 同(三ッ林隆志君紹介)(第三六三七号)

 同(山井和則君紹介)(第三六三八号)

 同(吉川貴盛君紹介)(第三六三九号)

 同(渡辺具能君紹介)(第三六四〇号)

 同(渡部篤君紹介)(第三六四一号)

 同(渡部恒三君紹介)(第三六四二号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第三六九七号)

 同(新井悦二君紹介)(第三六九八号)

 同(岩屋毅君紹介)(第三六九九号)

 同(奥村展三君紹介)(第三七〇〇号)

 同(加藤紘一君紹介)(第三七〇一号)

 同(鍵田忠兵衛君紹介)(第三七〇二号)

 同(笠井亮君紹介)(第三七〇三号)

 同(金田誠一君紹介)(第三七〇四号)

 同(亀岡偉民君紹介)(第三七〇五号)

 同(小坂憲次君紹介)(第三七〇六号)

 同(小平忠正君紹介)(第三七〇七号)

 同(郡和子君紹介)(第三七〇八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三七〇九号)

 同(近藤洋介君紹介)(第三七一〇号)

 同(坂本剛二君紹介)(第三七一一号)

 同(志位和夫君紹介)(第三七一二号)

 同(清水鴻一郎君紹介)(第三七一三号)

 同(階猛君紹介)(第三七一四号)

 同(高鳥修一君紹介)(第三七一五号)

 同(中井洽君紹介)(第三七一六号)

 同(中川正春君紹介)(第三七一七号)

 同(丹羽雄哉君紹介)(第三七一八号)

 同(萩原誠司君紹介)(第三七一九号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第三七二〇号)

 同(三井辨雄君紹介)(第三七二一号)

 同(武藤容治君紹介)(第三七二二号)

 同(山岡賢次君紹介)(第三七二三号)

 同(山崎拓君紹介)(第三七二四号)

 同(吉田泉君紹介)(第三七二五号)

 同(綿貫民輔君紹介)(第三七二六号)

 同(岡田克也君紹介)(第三七九四号)

 同(木村隆秀君紹介)(第三七九五号)

 同(佐藤剛男君紹介)(第三七九六号)

 同(園田博之君紹介)(第三七九七号)

 同(高市早苗君紹介)(第三七九八号)

 同(牧義夫君紹介)(第三七九九号)

 同(丸谷佳織君紹介)(第三八〇〇号)

 同(三日月大造君紹介)(第三八〇一号)

 同(三井辨雄君紹介)(第三八〇二号)

 同(村田吉隆君紹介)(第三八〇三号)

 同(山田正彦君紹介)(第三八〇四号)

 同(吉野正芳君紹介)(第三八〇五号)

 新たなウイルス肝炎総合対策の推進を求めることに関する請願(石崎岳君紹介)(第三六四三号)

 同(岡本充功君紹介)(第三六四四号)

 同(谷畑孝君紹介)(第三六四五号)

 同(阿部知子君紹介)(第三七二七号)

 同(内山晃君紹介)(第三七二八号)

 一酸化炭素中毒患者に係る特別対策事業を委託する新病院に関する確認書早期履行を求めることに関する請願(岡本充功君紹介)(第三六四六号)

 同(西村智奈美君紹介)(第三六四七号)

 同(山井和則君紹介)(第三六四八号)

 同(阿部知子君紹介)(第三七二九号)

 同(大串博志君紹介)(第三七三〇号)

 同(古賀誠君紹介)(第三八〇六号)

 同(武田良太君紹介)(第三八〇七号)

 同(山田正彦君紹介)(第三八〇八号)

 地域医療を守り、国立病院の存続・拡充を求めることに関する請願(岩國哲人君紹介)(第三六八一号)

 同(細野豪志君紹介)(第三七八三号)

 病院内保育所の拡充を求めることに関する請願(菅野哲雄君紹介)(第三六八二号)

 同(細野豪志君紹介)(第三七八四号)

 高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の中止・撤回に関する請願(古本伸一郎君紹介)(第三六八三号)

 医師・看護師不足など医療の危機打開を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第三六八四号)

 後期高齢者医療制度の廃止を求めることに関する請願(岩國哲人君紹介)(第三六八五号)

 同(岩國哲人君紹介)(第三七八五号)

 看護師をふやし、命を大切にする国に関する請願(志位和夫君紹介)(第三六八六号)

 後期高齢者医療制度を中止し、廃止を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第三六八七号)

 高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の中止・撤回をすることに関する請願(志位和夫君紹介)(第三六八八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三七八六号)

 同(笠井亮君紹介)(第三七八七号)

 同(細野豪志君紹介)(第三七八八号)

 同(村井宗明君紹介)(第三七八九号)

 首都圏の介護を支えるための介護人材確保に関する請願(岩國哲人君紹介)(第三六八九号)

 国の医療に回すお金をふやし、医療の危機打開と患者負担の軽減を求めることに関する請願(古本伸一郎君紹介)(第三六九〇号)

 ジストニアの難治性疾患克服研究事業への指定及び症状に対する障害認定と治療環境改善に関する請願(大串博志君紹介)(第三六九一号)

 同(金田誠一君紹介)(第三六九二号)

 同(郡和子君紹介)(第三六九三号)

 同(園田康博君紹介)(第三六九四号)

 同(三井辨雄君紹介)(第三六九五号)

 同(山井和則君紹介)(第三六九六号)

 同(平沢勝栄君紹介)(第三七九一号)

 同(松原仁君紹介)(第三七九二号)

 同(三日月大造君紹介)(第三七九三号)

 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(大島理森君紹介)(第三七七七号)

 同(神崎武法君紹介)(第三七七八号)

 同(北川知克君紹介)(第三七七九号)

 同(古賀一成君紹介)(第三七八〇号)

 同(清水鴻一郎君紹介)(第三七八一号)

 同(中川泰宏君紹介)(第三七八二号)

 医師・看護師などを大幅に増員するための法改正に関する請願(吉井英勝君紹介)(第三七九〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六九号)

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の一部を改正する法律案(河村建夫君外五名提出、第百六十八回国会衆法第一九号)の撤回許可に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

茂木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医政局長外口崇君、健康局長西山正徳君、医薬食品局長高橋直人君、労働基準局長青木豊君、職業安定局高齢・障害者雇用対策部長岡崎淳一君、社会・援護局障害保健福祉部長中村吉夫君、社会保険庁社会保険業務センター所長中野寛君、国土交通省総合政策局次長北村隆志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

茂木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。冨岡勉君。

冨岡委員 おはようございます。自由民主党の冨岡勉です。

 きょうは、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対して質問をしたいと思います。

 障害者の皆様、大変働く意欲があっても、いろいろな障害をお持ちで、働くことがかなわない方たちが随分多くおられるわけでございます。今回のこの法律につきましては、特に中小企業におけるパートタイムというんでしょうか、三十時間あるいはそれよりも短い時間の方でも働く、あるいは、少しでも、例えば十時間でもいいじゃないか、そういう考え方から出てきたものだというふうに理解します。

 昨年の資料ですけれども、一番多く雇用している会社、ユニクロというのがすぐ出てきて、八%、九%近くまで雇用率が高いんですけれども、ぽんと二位以下になると三%を切ってしまう、そういう企業になります。ずっと見ていくと、医療とか介護福祉施設はそれ相応の平均値はあるんですが、ちょっと僕が気になったのは、大学等の大きな、ベストファイブというんでしょうか、大規模なそういう研究所とか大学が非常に雇用率が低いというのが見えるわけなんです。

 そういった点からいって、なぜこういう大規模なところ、考えれば少しわかるような気がするんですが、なかなか改善が見られないという点からいいまして、当局としては、どのように考え、またどのような対策というんですか、指導というんでしょうか、講じてこられたのか、まずその点についてお伺いしたいと思います。

岡崎政府参考人 御指摘のように、医療業全体としましては、実雇用率も一・九〇でございますので、そんなに悪くないわけでございます。しかしながら、大きな病院でありますとか、それから御指摘の国立大学法人、これも大学病院を含めて病院を持っているところでございますが、そういう国立大学法人の中でも特に規模が大きいところ等につきましては、不足数が相当多いというのは御指摘のとおりでございます。

 やはり一つには、国立大学ですと、大学の先生になれるような障害を持った方がなかなかいなかったというような事情等々、それから、大学病院におきます医師、看護師等の中で、これもまた専門職ということでなかなか雇用が進まない部分があったというのが事実としてあるんだろうというふうに思っております。

 しかしながら、障害を持っている方々、いろいろな職場で職域を広げていくということが非常に重要だというふうに認識しておりまして、そういったところにつきましても、きちんとした雇用がされるようにということでいろいろな指導をしているところでございます。

 では、病院ではできないかということになりますと、実は、独立行政法人の国立病院機構がございます。ここも、従来は実は相当不足数が多かったんですが、私も直接総長にもお願いしましたけれども、努力していただいた結果、現在は雇用率を達成しているという状況でございますので、こういったところも、それぞれトップの方がきちんと認識して対応すれば、雇用率達成が不可能ということではなくて、むしろできるのではないか、こういうふうに思っています。

 したがいまして、例えば国立大学法人でありますと、東京大学も不足数がありますが、これは、私も直接総長にきちんとやってくれるようにというふうにお願いに参ったりもいたしておりますし、その他地方の国立大学につきましては、労働局長が、それぞれ学長なり、できるだけトップのクラスの方にお願いするというようなこともやっております。

 そういったことも通じまして、そういった大きな大学とかあるいは病院、こういったところにつきましても障害者雇用が進むように努力していきたい、こういうふうに考えております。

冨岡委員 それはだれでも考えることなんですけれども。診療するとかいろいろ、看護師業とかというのはなかなか大変かもしれませんね、障害の種類によっても。ただ、業種はたくさんありますよね。例えば白衣を洗う、あるいは器具の手入れをするとか、いろいろあるんですよね。

 ただ、それは今、外注というんでしょうか、外部委託の形態をとって、その分が逆に言えば算定されていないというような切り口から見ると、せっかくそういう簡単な仕事というんでしょうか、やれるものがあるんだけれどもそれは算定されていない、そこがちょっと潜んでいる部分なんですね。

 だから、私自身は、将来的には、大きな大学とか病院とかあるいは研究所とか、頭脳部分というんでしょうか、そういう部分は無理としても、逆に言えば、そういう施設が外注する際に障害者を雇用する、そういう働きかけというんでしょうか、あるいはそれをこういった点に算定できるようなシステムみたいなものを検討するべきかなというふうに思っておりますので、あえてちょっとそういう点を聞かせていただきました。

 それで、では、この法案が通ってどれくらいそういった変化が出るのか。下がるのか、上がるのか。例えば、今五つの、大学というか、ありましたよね。どういうふうな見通しを立てておられるのか、その根拠みたいなところを聞かせていただければと思います。

岡崎政府参考人 今回の法改正につきまして、最初に先生からも御指摘ありましたように、基本的には、中小企業における雇用を進めるという納付金制度の適用対象を暫定的に三百人まででとどめているのを百人にするということと、あと、短時間労働者につきまして雇用義務の対象にしていくという二点でございますので、そういった意味におきまして、今回、法改正の中身そのものが病院とか大学に直接かかわるということではないかとは思いますが、私どもとしては、今回の法改正を契機に障害者雇用全体についての機運を高める中で、そういった病院等につきましてもきちんとやっていく。

 御指摘ありましたように、今の外注に出しているもの等につきまして、やはり障害者に向いているものはある意味では自分のところできちんと障害者を雇ってやるというようなやり方、国立病院機構もそういったことも含めてやっております。そういったやり方もありますし、あるいは、特例子会社みたいな形でやるとか、そういういろいろな工夫をしながらそういったところについては進めていきたい、こういうふうに思っています。

 むしろ、今回の法改正の効果は中小企業とかそちらの方に出てくるだろうというふうに思っておりまして、例えば百人から三百人のところの雇用率につきまして、今一・三〇と、規模別で見ると一番低くなっております。現在、雇用率の適用対象になっています三百人から五百人の規模ですと一・四九でございますので、雇用率は納付金の対象にするだけで上がるということではありませんけれども、この一・四九と一・三〇の差というようなこともありますので、そういった部分がだんだん埋まっていくような形になっていくのではないか。そういったところの効果。

 それから、あとは短時間労働で、なかなか三十時間以上働けないという障害者の方も多いので、そういった部分の雇用は相当進んでいくのではないか、こういうふうに考えているということでございます。

冨岡委員 雇用納付金制度も百一人まで、中小企業まで拡大されたので、これ自身は一つの促進策になるかと私自身は思うんですが、ただ、法定雇用率の救済制度じゃないか、企業に対する救済制度じゃないかという障害者の皆様の御指摘もあるんですね。〇・五プラスして、寄せ集めてアップを図ってやるんだと。逆に一・八%の緩和策じゃないかという根強い指摘がありまして、その点について、何回も御答弁いただいているとは思いますけれども、反論するというんでしょうか、今の私が申しました、救済策じゃないか、むしろ政策としては退歩している、後ろに下がっているんじゃないかという指摘に対しての当局の御見解をもう一度お尋ねしたいと思います。

岡崎政府参考人 障害を持っている方々につきましては、障害の種別とか程度によりまして、やはり、四十時間とか働ける状況の方ももちろんおりますし、そういう方々についてはそういう形での雇用の場が提供されるというのが適切だろう、こう考えております。

 しかし一方では、やはり週三十時間以上はきついという方も相当おられるというのは、これまた事実でございます。審議会の中でもいろいろな議論はあったわけでございますが、総じて、障害者団体の代表の方々からは、やはり三十時間は働けない方々についてもきちんと企業の方を評価する形で雇用の場をふやしてほしい、こういう御指摘が多かったわけでございます。

 したがって、私どもとしては、三十時間を超えて働ける方々が三十時間未満になるという姿ではなくて、御本人の希望でやはり三十時間は厳しいという方々につきましても雇用の場を広げていく、こういう法改正だろうというふうに考えておりますし、また、そういう中で、カウントの方法も、三十時間以上の方々は一カウントでありますのに対しまして、二十時間から三十時間の方につきましては〇・五カウントというようなことにするということでありますので、これは、そういうバランスの中で全体として障害者の雇用の場を広げていく、こういう法改正であるというふうに考えている次第でございます。

冨岡委員 私もそのように考えます。ただ、一部でのそういう意見がありますので、やはり注意深くこれは追跡していただきたいと思います。そして、また機会があれば、どういうふうになったのか、現場はどういうふうに変わっているのか、どうぞ教えていただければと思います。

 さて、障害者の方は、四肢の欠損とか精神的なものあるいは知的なもの、いろいろあるんですが、再生医療という今新しい医学が出て、障害者自体に対して、例えば指の欠損を補うことができる、あるいは失明した方たちに目が見えるようになるという非常にすばらしい技術が出てきています。

 ややもすると、厚生労働行政というのは、例えば舛添大臣が就任されてすぐ年金問題とか肝炎の問題、昨今は原爆のいろいろな判決で、大変御苦労が多い。自分が知らなかったところでそういう事件とかがまだ継続しているという、大変な行政部門だというふうに理解しておりますけれども、その厚生労働行政の中で、再生医療というのは非常にクリーンヒットというんでしょうか、特に厚生労働省が取り組んで今から推進していくような非常にすばらしい政策の一つだと理解しております。

 再生医療というのは、例えば頸椎損傷とか脊髄損傷とか、あるいは角膜損傷による失明などは、今まで一生寝たきりで、それ自体雇用に全く結びつかなかった、それが雇用に結びつくようになるという、障害を完全に治癒させる、あるいは軽減させることによって雇用率が改善するという観点から、この再生医療について今からいろいろお聞きしたいと思っているんです。

 今、失明という言葉が出ましたけれども、東北大学の西田教授ですね、資料の二というのをちょっとごらんいただければと思います。再生医療の現状としては、角膜とか心臓に対して、大阪大学心臓血管外科の澤教授も臨床応用されて、非常にいい成績が出てきております。この西田先生の臨床例も、もう既に二十数例、三十例近い臨床例がございます。

 資料二の裏側を見ると、全く術前では見えなかった視力というんでしょうか、視力が非常に回復してきています。これは、おもしろいのが、自家細胞、自分の細胞、ほほの、口腔内膜を使って培養をしてこれが見られるようになる、非常に夢のような、今までは死体から臓器移植という格好でいただいた角膜でしかできなかったものを、自分の細胞で回復できる、とてもすばらしい治療法ができた。

 そうしますと、今まで働けなかった、あるいは職種が非常に限定化されていた方たちがこれを使って働くことができる、雇用の促進にも非常につながるというすばらしいものでございます。

 そこで、医療産業は世界の戦略産業になろう、これは厚生労働省が進めていく一つの道ではないかという観点からこの再生医療に期待がかかっていますが、厚生労働省としてはどのような促進策を現在のところ行っているか、まずその点についてお伺いしたいと思います。

外口政府参考人 再生医療に関しては、厚生労働省としても、重点的に取り組むべき分野として、臨床応用に向けた実用化研究を中心に支援を行っております。

 現在、iPS細胞に関する研究を初め、重症角膜障害に対する角膜再生、神経変性疾患に対する神経再生、重症心不全に対する心機能再生などといった臨床応用を目指したすぐれた再生医療研究に対して、厚生労働科学研究費補助金及び独立行政法人医薬基盤研究所から合計約八億円の研究支援を行っているところであります。

 また、本年度、再生医療技術を臨床応用するための細胞調製施設、セルプロセッシングセンターの整備のため、公募により数カ所の研究機関を選定し、そこに対して計約四億円の補助を行う予定であります。

 厚生労働省としては、障害を持った方々の社会復帰等の期待にもこたえられるよう、有効で安全な再生医療の早期の実用化に向けて引き続き支援を行ってまいりたいと考えております。

冨岡委員 種々の政策がとられていることは存じ上げているんですが、ちょっと話を整理させていただくと、体の中には先祖返りするような細胞があるわけなんですね。例えば動物ではトカゲとかイモリ、トカゲのしっぽを切ると生えてくる、それからイモリの手を切断すると五本の指が出てくるわけですね。もう原始的になればなるほどそういう再生能力がある。

 人が体の中にその細胞が自分たちにもあるというのを気づき出したのが数十年前になるんですけれども、私も実はその研究をしていた経過がございまして、何か細胞があるなという。ただ、やくざのお兄さんが小指を切って、小指が出てくるような現象は人間には起こらないわけです。ただ、それに似た細胞があるというのはわかってきた。これはある程度、体の体性幹細胞という、体の中にあるものはある一定の分化しかできない、先祖返りをぐっとすることはできない。

 そこで、ES細胞といって、いわゆる胚性幹細胞というのが出てきて、エンブリオニック・ステム・セルですか、その中で、亜型としてiPSが、インデュースト・プルリポテント・ステム・セルが出てきた。これらはかなり先祖返りできる、臓器にもなるということはわかっている。

 混同してはいけないのは、我々が非常に期待している、例えばiPSという言葉を使われましたけれども、iPS細胞が臨床応用をすぐできるかというと、これは絶対できません。したがって、私の流れとしては、やはり、体性幹細胞への研究助成というのを先行させて、次にES、そしてiPS、このラインはある一般の学者さんたちも納得しているところであります。

 したがって、例えば慶応大学でやられている脊損、これ、ではすぐに全身不随の人が歩くことができるかというと、現在のところは全く不可能です。脊損が発生した時点からある期間、例えば十日以内にやればそれはある程度回復するというのは知られているわけですが。したがって、今おっしゃいましたようなセルプロセッシングセンターとか、自分の細胞で自分でやるというのはわかるんですが、他人の細胞、他家細胞を持ってくるということはできません。

 ただ、そういう臨床試験を将来的に応用していくために、今言ったような、早い時期、例えば頸損とか脊損だったら十日以内にやはりその治療が行われないといけない、そういったプロセスをとる必要があるこういう再生医療に対して、いろいろ臨床応用の障壁が待ち構えています。

 当局としては、これらの、早く臨床治験をさせてくれ、応用させてくれと申しても、まず動物でしなさい。これは二年かかりますね。したがって、それを全部、二年たって、さあ、審査に出して、審査でまた一年かかって臨床治験、これではアメリカに追いつきません。

 そこで、再生医療をしている研究者、ベンチャーからいろいろな障壁を訴えられているのがこの資料一、「再生医療推進のための方策」というのをちょっと私自身がまとめたんですが、これらの推進策に対して、今厚生労働省はどのような障壁除去あるいは推進を考えられているのか。その点について、ちょっと問題が、話題が大きいかもしれませんけれども、どのように考えられているか御説明いただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 特にこの再生医療は、現実として使う場合には薬事法の承認が必要になるということでございますけれども、まず、現在のプロセスを申し上げれば、まず再生医療に用いられるヒト由来の細胞、組織を加工した製品につきましては、その安全性や品質の確保が重要でございまして、治験を行う前に、まず厚生労働大臣による安全性及び品質の確認を行うということにいたしております。これにつきましては、平成十二年にその評価のための基準をつくったところでございます。

 もちろん、先生がおっしゃるとおり、この再生医療の臨床応用の推進に向けては、こういった審査の迅速化、効率化、これは大変重要だというふうに私ども認識しておりまして、これは、一昨年十二月に総合科学技術会議からもそういった御指摘をいただいておりますが、私どもといたしましても、特に昨年から、こういった分野におけるそういった評価基準の作成とかいったものについて、先生の御指摘にありますように、明確化とか、こういったことで作業を特に力を注いでやっているところでございます。

 具体的には、先ほど申し上げました安全性評価基準につきまして、患者自身の細胞を用いた製品と他人の細胞を用いた製品の審査時の取り扱いの違いを明確化するために、まず、ことしの二月には、いわゆる自家細胞・組織加工製品を対象とした安全性評価基準を策定する、それから、他家細胞、他家由来の細胞・組織加工製品につきましても、安全性評価基準を従来のものよりもよりきちっとしたものを策定するという作業を現在進めているところでございます。

 また、今年度からは、分化能を持った幹細胞由来の製品の評価につきまして、より具体的な基準を策定するために検討を進めていきたいというふうに考えております。

 また、審査手続につきましては、これも、先ほど申し上げました治験前の評価と、それから治験をやっているときの、この両方で手続の書類などに若干の重複がございましたので、これにつきまして、昨年三月に、治験前の安全性及び品質の確認に当たっての申請と治験計画の両方で重複していた書類を、一部整合性を図って合理化したということでございます。

 このほか、審査に当たる医薬品機構におきましても、昨年四月から細胞・組織加工製品の申請に係るきめ細かい相談業務を開始しておりますし、また、昨年十月からは生物系審査第二部を新設いたしまして、細胞・組織加工製品の審査体制の強化を図っているところでございます。

 今後ともこうした取り組みを進めていきまして、再生医療の適正な推進が図られますように、私どもとしても最大限の努力をしていきたいというふうに考えております。

茂木委員長 冨岡君に申し上げます。

 きょうは障害者雇用促進法の改正案の質疑を行っております。再生医療の問題がなぜこれに関連するか、私なりに理解しているつもりでありますが、もう一回説明していただいた上で質問を続けてください。

冨岡委員 障害をお持ちの方の雇用を促進するために、再生医療をむしろ促進した方が究極的にはそういった雇用の改善につながるのではないかという、冒頭申し上げました趣旨から質問をさせていただいております。

 それで、今委員長にも申しましたように、雇用を促進するという意味で、ちょっと順番が逆になるかもしれませんけれども、スーパー特区という構想がございます。再生医療を推進するための先端医療開発特区という発想なんですけれども、ここでそういった再生医療を推進しようという構想があります。

 まず、その概略について私の方からも説明しますと、こういった一つの再生医療というテーマを限って、その中で、iPS、それから再生医療、さらには医療器具、そしてバイオ創薬、さらにはその他という五項目を選んで、それを推進しようということで、その中でiPSと再生医療というのが二つあります。

 そこで、このスーパー特区の公募に当たって私から一つ提案があるのですが、今委員長からの質問もあったように、この再生医療が雇用につながるという観点から物を考えるなら、障害者にとってこの特区というのは、自分たちにとって非常にありがたいというのでしょうか、待ちに待ったそういう特区構想だというふうに一面では理解できます。

 そこで、最先端の、恐らく大学とか研究所になるんですが、先ほど私、冒頭で、大学とか研究所の雇用状態、雇用率が低いというのをまず最初に指摘させていただいた、そこからつながってくるわけなんですが、こういった特区で、雇用に関して、再生医療、障害、雇用促進、これがつながらないかという提案なんです。

 つまり、そういう特区においては雇用率一・八じゃだめだよ、むしろ二とか三とかを目標にして、車いすで働く人たちの姿を見ながら、そういった再生医療、この車いすを彼から外してやるんだ、あるいは指を欠損したり目が半分失明状態の方たちに対して、再生医療が障害者のためになるんだ、そういうことでお互いの共助の関係をつくり、なおかつそこで雇用率を課す。むしろ、研究所、大学の、低いトップファイブの研究施設に対して課すような発想ができないか。そういう観点からちょっとコメントをお願いしたいと思います。

外口政府参考人 先端医療開発特区、スーパー特区は、最先端の再生医療、医薬品、医療機器について、研究資金の特例や規制当局との並行協議等を試行的に運用し、研究開発の促進を図るものであり、現在、関係府省において公募に向けた検討作業を行っております。

 この先端医療開発特区は、医療分野のイノベーションの促進を目的とした施策であり、御指摘のとおり、再生医療の実現は障害の軽減や克服につながり得るものと期待しております。このため、関係府省と連携のもとで先端医療開発特区をできるだけ早期に実現し、再生医療等の研究開発が加速されるように支援を行ってまいりたいと考えております。

 なお、障害者雇用促進につきましては、スーパー特区であるか否かにかかわらず、大変大切なことと認識しております。

冨岡委員 まあ、スーパー特区がそういった雇用率まで言及するのは、少し無理筋かなとは私自身も思うのですが、ただ、今ずっと説明してきたように、再生医療イコール、もう障害克服に直結する事業なんですね。

 したがって、そういう特区といったら、もう何か法律の壁をむしろ外してやるようなイメージ、あるいは促進、促進、促進だと、優遇すらされるようなイメージを持っているのですが、私自身は、障害者の方たちの雇用の場にもなってほしい、特に、自分たちのその障害を見ながら、そういう研究者のモチベーションを高めるような、そういう何か仕組みというか仕掛けがやはり必要かなというふうに感じておるので、こういうふうな特区構想に御配慮を、基準という面よりも、欄外にそういうものを付記するぐらいの程度で多分いいと思うのですけれども、その精神を酌んでいただければと思います。

 ちょっと話をもとに戻しますが、ただ、そういった障害者の方たちに臨床応用する場合に、研究者は萎縮してしまいます。なぜか。補償制度が完全に整っていません。

 御案内のように、薬の治験とかでは、ある意味では公費が入ったような制度があります。今、外口局長が御苦労されている臨床的な死因究明制度、こちら側に臨床があります。死因究明制度、今盛んに議論されています。そして、産科の無過失賠償制度が来年一月一日から、多分成立すると思います。

 ところが、この治験医療という大きな枠の中では、臨床研究と治験行為、さらには、製品化された後の、サリドマイドとかあるいは薬害肝炎もそうですけれども、全体として責任を追及する制度はあるけれども、補償制度は民間の例えば医賠責等しかないんですね。一部であるのが、医薬品に対する補償制度。事務費の二分の一の公費が入ってきています。

 そこで、お尋ねしたいんですが、臨床治験とか被験者に健康被害が生じた場合の補償制度を完備する必要があるんじゃないか。未知の世界に入っていきます。ここで、例えばiPSをほかの人の細胞化すると、二十年後にがんになる可能性は否定はできません。常につきまといます。では、それをやった人が罪になるのか、あるいは被験者の救済はどうするのか。全体の補償の枠組みが完備しないと、障害をお持ちの方に例えば指とか手を再生させたとしても、それががん化したら逆に非常にまずいことになります。

 したがって、この補償制度については、現在どういうふうな枠組みであるのか、あるいは将来的にはどういうふうな仕組みをつくろうとしているのか、特にこういった再生細胞的なものに対する御見解をお伺いしたいと思います。

外口政府参考人 自己由来の細胞・組織加工製品を用いた治験を行う際、当該治験を依頼する企業等は、医療機器の臨床試験の実施の基準、いわゆるGCP省令に基づいて、被験者に健康被害が生じた場合の治験に要する費用その他の補償のために保険への加入等の措置を講じておかなくてはならない、被験者に対して健康被害の補償に関しても説明しなければならないとされており、民間保険により被験者に対して補償が行われることとなっております。

 一方、自己由来の細胞、組織等を用いた臨床研究を行う場合は、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針により、被験者からインフォームド・コンセントを得る際に、研究者等から臨床研究に伴う補償の有無を被験者に対して説明するよう求めているところであります。

 なお、再生医療以外の臨床研究における補償の対応につきましては、治験等を参考に検討を行っているところであります。

 今後とも、治験及び臨床研究について被験者保護が適切に図られるよう努めてまいりたいと考えております。

冨岡委員 この研究というか再生医療の部分は、新たな障害者を生む可能性を秘めています。眼球を入れてうまくしたり、あるいは皮膚、骨を扱うと、そこから将来的に悪性腫瘍が発して切断という、ちょうどもろ刃のやいばのような感じで相対しています。

 したがって、それをスムーズに行うためには、やはり厚生労働行政としては、被験者にも治験者にも、ある意味では、そういった行為に対する免責、それから救済制度を、自賠責じゃないですけれども、ある程度きちんと共通する、共用できるような制度の枠組みを早急につくる必要があると私自身思います。したがって、そういう点からどうぞ検討をしていただきたいと思います。

 それから、最後になりますけれども、特許の申請、あるいは臨床治験のスピーディーさを進めるという意味で、例えば女子医大の岡野教授、これは、多層化技術をして臨床応用に進んできた非常にすばらしい技術ですが、日本で特許、あるいはそういった技術の臨床治験をする場合に、今さっき申しましたように、二年以上かかります。この岡野先生のグループは、EMEA、欧州医薬品審査庁、そこに申請をして、同時に、三十カ国でそういった手技の臨床治験、あるいは場合によっては特許まで成立させようとする方法をとられていますが、こういった意味で、我が国もスムーズにこうやって審査を進めていかなくちゃいけないと思うんですが、その点につきまして、審査機関のスピーディーさという点についてお尋ねをしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、再生医療にかかわる医薬品あるいは医療機器にわたるものがございますが、いずれにいたしましても、そういったものが、治験とかあるいは治験が終了した後、私どもはその審査にかかるわけでございますが、再生医療の推進のために、私どもとしても、そういったものについても迅速化の努力を最大限進めてまいりたい、かように考えております。

冨岡委員 障害者の雇用を促進するという意味で、きょうは後半から、再生医療を中心として、推進策イコール障害者救済施策だというふうな観点から質問をさせていただきました。

 本当に、願わくば、スーパー特区等でそういった研究自体が雇用にもつながり、しかも、障害者の皆様に対するパラダイスというのでしょうか、一つの希望の地域である、そういった医療特区にぜひ仕立て上げていただければと思っておりますが、舛添大臣、何か今のやりとりでお感じになられたことを最後にコメントとしていただければと思います。

舛添国務大臣 先日も、特定疾患、いわゆる難病、先生の資料にございますスティーブンス・ジョンソン症候群の方がお見えになりました。大変気の毒なことに失明状態だと。この新しい再生医療技術によってそういう方が再び光を取り戻すことができれば、その例にあるように仕事につけるわけですから、私はやはり、障害を持った方々が生き生き働ける環境を整えるために障害そのものを除去していく、こういう新しい可能性が再生医療について出てきたということは非常に朗報だと思いますので、そういう、専門家としての委員のきょうの貴重な御指摘も踏まえて、そのことも障害者対策の中に組み入れる形でやりたいと思っています。

 私は、本当の豊かな先進国というのは、そういう障害のある方々、例えば難病で苦しまれている方々、そういう方に対して、たとえ税金を出してもみんなで支えるんだ、そしてその人たちが本当にこの国に生まれてよかったなと、そういう社会をつくることが理想だと思っておりますので、いろいろ財源の制約はございますけれども、来年度予算の獲得に向けてその点でも努力をいたしたいと思います。

冨岡委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

茂木委員長 次に、高鳥修一君。

高鳥委員 おはようございます。自由民主党の高鳥修一でございます。

 きょうは、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 今ほど冨岡委員より、医師としての専門的な観点から御質問がございましたが、私は、障害者の家族としての立場から、障害者雇用促進法の一部改正について質問をさせていただきます。

 障害者施策については、ノーマライゼーションの理念のもとで、障害者が地域において普通に暮らすことができる、主体的に社会に参加していくことが大変重要であると私は考えております。そのためには、福祉や教育のみならず、雇用、労働の観点でも、地域において障害者が働ける環境を整備するということが大変重要であります。

 提案理由説明でもありましたように、障害者の就労意欲は近年高まっておりますが、まだ雇用率未達成の企業も多く、働くことを希望している障害者にとって雇用機会が十分に確保されているとは言いがたい状況にございます。

 以前、障害者自立支援法の質疑のときに申し上げましたが、自分も養護学校を卒業したら働いて世の中の役に立ちたい、仕事をして人に喜んでもらってそれを自分の生きがいにしたい、そういう意思を持つ障害者の希望をかなえることが政治に課せられた大切な使命であると考えております。

 雇用の場をふやしていくことがやはり障害者雇用施策の基本でありますが、それと同時に、就職後も働き続けられるよう雇用環境の整備や支援が行われることも大変重要であると考えます。

 以上申し上げた上で、改正案について何点かお伺いいたします。

 まず、障害者権利条約についてお伺いいたします。

 障害者の権利に関する条約は、二〇〇六年十二月に国連総会で採択され、五月三日に発効いたしました。我が国も、昨年九月に高村外務大臣が署名したところであります。

 この条約では、障害者の権利の保護、促進のため、さまざまな分野について五十条にも及ぶ規定がございます。

 労働・雇用分野については、その第二十七条において、雇用に係るすべての事項に関する差別の禁止、労働市場における障害者の雇用機会の増大、職場における合理的配慮の提供等のために適当な措置を講ずべきことが規定されております。

 条約の批准に向けて、これらの事項についてしっかりとまず国内法の整備や施策の充実等が行われる必要がありますが、厚生労働大臣の決意をまずお伺いいたします。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

舛添国務大臣 まず冒頭、委員がおっしゃいましたノーマライゼーション、この理想を掲げて国づくりをやるというのは非常に重要だ、それは先ほど冨岡委員に対してお答えしたのと同じ文脈で申し上げておきたいというふうに思います。

 障害者権利条約、外務大臣の署名まで二〇〇七年に終わっていますけれども、これからの国会承認、そして政府としての正式締結までは至っておりません。何とか早期に締結をいたしたいというふうに思っておりますので、そのため、国内法の整備を含め、全力を挙げてこの早期締結に向けて努力をしていきたい。そして、これが、国際社会の一員として日本もきちんとこの問題に対応して、ノーマライゼーションの理想を掲げた国であるということを示すことにもなると思いますので、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。

高鳥委員 ありがとうございます。全力を挙げて早期締結に向けて前向きに取り組んでくださるという御決意、大変心強く思います。

 私は、特に、障害者虐待防止法、それから障害者差別禁止法等の整備を早急に進めるべきだと考えます。これらの問題は党派を超えて協力できる部分が多いと思いますし、大臣からもぜひ積極的にお取り組みいただきますようお願いいたします。

 次に、企業に障害者の雇用を義務づける、あるいは企業での雇用を目指す障害者を支援するといった観点のほかに、障害者の地域での活動の場として大きな役割を果たしている障害者福祉施設等における働く場を確保していくことも重要であります。

 しかしながら、もともとこうした施設は小規模な作業所などが多く、従来から必要な仕事の確保に苦慮しているところであります。さらに、最近は、国や地方公共団体における随意契約の見直しなどの影響で、一層困難に直面しているところであります。

 こうした中、障害者福祉施設等への仕事の発注を増加させていくための施策が必要であると考えます。厚生労働省と障害者福祉施設等の契約の実績はどうなっているのか、また、障害者福祉施設等への仕事の発注を増加させるために厚生労働省自体はどのように取り組んでいるのか、お答え願います。

舛添国務大臣 委員のお許しをいただいて、その問題については局長の方からお答えさせますが、先ほどの、この問題の前提になっている権利条約について一言ちょっとつけ加えさせていただきます。

 委員御承知のように、この権利条約の中に、合理的配慮ということで、障害を理由とする差別はいけないという中に、「障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。」これが合理的配慮ということであります。

 これは実は新しい概念でありますので、合理的配慮とは何なんだと。委員の次の御質問にもかかわりますけれども、では企業は何をやればいいんだというような御質問がございますので、これにつきましては、この四月に、労使それから障害者関係団体の皆さん方にお集まりいただいて研究会を立ち上げました。そこで、この新しい合理的配慮という概念についても国民に周知徹底させ、法的な整備が必要か、そしてそういうことを整備した上できちんと障害者権利条約を締結する準備ということをやりたいというふうに思っていますので、ちょっとそのことをつけ加えさせていただきまして、今の御質問に対して詳細に答えさせていただきます。

岡崎政府参考人 障害者福祉施設等への発注の問題でございますが、まず、厚生労働省の実績でございます。

 平成十九年度につきましては、約一億五千百万円を障害者福祉施設等へ発注いたしております。

 この問題につきましては、厚生労働省自身の発注をどうやってふやしていくかという問題と、民間企業等の発注に対しまして政策的にどうするか、二つあると思います。

 厚生労働省自身の問題につきましては、私ども、全国に労働局、ハローワークを展開しておりますが、そういうところの必要な業務の中にも福祉施設等で受注していただけるものがあるのではないか、こういうふうに思っております。

 その観点から、現在は工賃倍増計画等々もやっておるさなかでございますので、この三月に労働局に指示を出しまして、まず、作業所等がどういう仕事を受けられるのか、その実態、状況を調べるようにということ、そして、そういう把握された中で、労働局が出せる仕事があればそれに十分配慮して対応するようにというような指示を出したところでございます。

 現在まだどういう作業所があるかという調査中というところもありますけれども、この二カ月間で把握したところでは、十労働局で二十四件、約四百万円の発注をしているというのが現在の状況でありますが、こういったことも進めていきたいと考えております。

 また、この部分、官公需だけではなかなか進まない部分がありますので、民間におきます発注の促進という意味では、平成十八年から在宅就業障害者支援制度というものを設けまして、企業が福祉施設等に発注する場合につきまして、障害者雇用納付金制度の中から一定の特例調整金というようなものを支給するということで奨励しているというのが一つでございます。

 それから、今年度からは、障害者福祉施設等への発注を増加させるインセンティブとなりますような税制の特例措置も成立させていただきましたので、こういったことを含めまして企業からの発注の促進にも努めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

高鳥委員 ありがとうございます。

 厚生労働省においてもさまざまな取り組みを進めているようでありますが、障害者福祉施設の仕事の確保はいまだ困難が続いております。

 今お話が出ましたけれども、平成二十年度の税制改正で障害者の働く場に対する発注促進税制が創設されたわけでありますが、民間中心の取り組みに加えて、国や地方公共団体の発注を強力に促進していく必要があると思います。

 この点、自由民主党は、障害者福祉施設の国や地方公共団体からの受注機会を確保するための法律案、通称ハート購入法を今国会に提出しているところであります。障害者の働く場を確保するために、速やかに議論を進めるべきであると思います。

 次に、発達障害者など障害者手帳を持たない方への就労支援についてお伺いいたします。

 例えば、高機能自閉症やアスペルガー症候群などの発達障害者は、上司や同僚とのコミュニケーションをうまくとれない、周囲から見たらちょっとしたことに動揺したりパニックを起こす場合があるなど、就職し働き続けるためにはさまざまな支援が必要であります。

 こうした手帳を持たない方々を就労に結びつけていくために、厚生労働省としてはどのような取り組みを行っていくつもりか、お答え願います。

岡崎政府参考人 障害者雇用促進法の中におきましては、手帳を持つか持たないかにかかわりなく、障害を持って働くことにいろいろな困難がある方につきましては、ハローワークにおきます相談、指導、就職支援と、それから地域障害者職業センターにおきますいわゆる職業リハビリテーション的な支援、これは手帳の有無にかかわらずすべからく支援する、こういうことになっております。

 具体的には、ハローワークにおきましては、福祉、医療等の関係機関と連携して、それぞれの障害を持った方々の個々の状況に応じたチームを組んで支援する。ですから、発達障害の方でいろいろ困難を抱えている方については、それに適した専門家でチームを組んで支援するというようなことをやっておりますし、また、そういう中で地域障害者職業センターが専門的な職業リハビリテーションを提供しておりますが、最近その利用者の中に発達障害等の方々もふえてきているという実態もございます。

 そういういろいろな取り組みの中でさまざまな支援をし、あるいはその一方では、企業の方にも発達障害ということについてのいろいろな理解を求め、そのために必要な雇用管理のノウハウその他を提供するというようなことを含めまして、発達障害等の方が働ける場を広げていきたい、こういうふうに考えております。

高鳥委員 ぜひとも、発達障害の方々に対する支援も怠りなく取り組んでいただくよう要望いたします。

 次に、障害者就業・生活支援センターについてお伺いいたします。

 発達障害者もそうでありますが、障害者は、働くためには健康面、生活面での安定が不可欠であり、就業、生活両面にわたる一体的な相談、支援を行う障害者就業・生活支援センターを拡充していくべきであります。現在までの設置状況と、今後どのように整備していくおつもりか、これがまず一点。

 それから、このような機関、体制の整備とともに大切なのが、それを支える人材であります。この就業・生活支援センターでは、障害者本人にとって地域で生活していく上でどのようなサービスが必要かを考え、就労面のみならず福祉とか保健とかあるいは教育とか、さまざまな機関と連携したサポートを行うことが求められるわけであります。今後、就業・生活支援センターをふやしていくのであれば、その増加に合わせて必要な人材をどのように確保していくのか。

 この二点について、お答え願います。

岡崎政府参考人 障害者就業・生活支援センターにつきましては、先生からも御指摘いただきましたように、障害者が最初に雇用されるだけではなくて働き続けるということを含め考えた場合には、非常に重要な機能を有する機関であるというふうに考えています。

 平成十九年度におきましては百三十五カ所設置していたわけでございますが、今年度につきましては予算要求上七十カ所の増設ということで予算措置しておりまして、現在の時点では、昨年来のものと加えまして二百二カ所を整備しているという状況でございます。

 この障害者就業・生活支援センターにつきましては、障害者の重点五カ年計画の中では、二十三年度までにすべての障害福祉圏域に設置する、約四百カ所というふうに認識しておりますが、設置するという方針を立てておりますので、この方針に基づきまして増設に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

 また、人材の面でございますが、従来、それぞれのセンターの予算上の配置人員につきましては二人ということにしていたわけでございますが、だんだん就職支援をし定着が進んでいきますと、対象となる障害者の方がふえてくる、一つのセンターにおきます対象者がふえてくるというような状況であります。

 そういう中で、一つは、より高い専門性を持った方を確保する必要があるだろうということで、予算単価の見直しも行いましたし、それから、二人というのは基本にしながら、地域その他で支援する障害者が多いセンターにつきましては、二人に限らず三人、四人というような、人数の面でも配慮する、いわゆる加配をするというような予算措置もしたところでございます。

 そういう中で、体制を整備しながら適切な支援が行われるようにしていきたいと思っておりますし、専門家の養成ということにつきましては、高齢・障害者雇用支援機構の方でいろいろ就職支援に係る方の研修等も行うことにしておりますので、そういう中で人材の育成を図りながら、処遇面でも配慮して適切な人材の確保に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

高鳥委員 今、拠点の整備というか設置状況を約倍にするとか、あるいは予算単価の見直し、加配、あるいは人材の研修等によって人材を確保していくという前向きな御答弁をいただきましたけれども、地域における障害者雇用を進めるためにこれはもう重要な拠点でありますので、一層の充実を要望いたします。

 次に、ジョブコーチのことについてお伺いをいたします。

 就労支援としてジョブコーチによる支援が重要であるということは言うまでもございません。最初に申し上げたように、障害者が安定して働き続けられるようにするためには、就職した後のフォローというのが欠かせないわけであります。

 例えば、知的障害者や精神障害者の就労について、企業の上司、同僚には、障害の特性や配慮が必要な事項を伝えたり、それから作業方法や設備についての工夫をアドバイスしたりすること、その一方で、障害者本人には企業側の声を伝えるなど、ジョブコーチは、障害者と企業の間に入ってスムーズに職場に定着できるようにしていく重要な役割を担っているわけであります。

 しかし、残念ながら、地方ではまだ十分な人数がおらず、本当は支援してほしくてもジョブコーチによる支援を受けられない方もおられます。このため、ジョブコーチの育成を急ぐ必要があると思いますが、どのように取り組むお考えか、お聞かせ願います。

岡崎政府参考人 ジョブコーチにつきましては、企業と障害を持った方々、その間に立ちましていろいろ調整するという意味で、障害者の方が円滑に働き続けるためには非常に重要な役割を果たしていただく方、こういうふうに認識しております。

 現在のところ、ジョブコーチ、養成した人数は九百二人でございますが、先生からも御指摘がありましたように、地域その他の状況を見ますとまだまだ不十分である、こういうふうに認識しております。ジョブコーチにつきましては、これも、障害者基本計画に基づきます重点実施五カ年計画の中で、平成二十三年度までに五千人を養成する、こういう目標を立てております。

 従来、高齢・障害者雇用支援機構が中心となりまして研修等を行っていたわけでありますが、これだけでは十分ではありませんので、民間機関におきます養成研修、これも厚生労働大臣の指定によりまして現在三機関を指定しておりますが、そういう中でジョブコーチの養成機関をふやしまして、この目標が達成できるように努力していきたい、こういうふうに考えております。

高鳥委員 ジョブコーチは障害者の就労に非常に重要な役割を果たしておりまして、十分な数とともに質が確保されるということを御配慮願います。

 次に、障害者の雇用機会の拡大のためには、企業でいえば大多数であり、地域において生活する障害者にとっては身近な存在であります中小企業において雇用を進めていかなければ進まないと思うんです。今回の改正において、中小企業にも納付金制度の対象を拡大したことは、中小企業における雇用促進という観点からは極めて重要であります。

 その一方で、中小企業の中には、障害者を雇用したことがない、ノウハウがなく実際に雇用するのに不安があるといった事情もありますし、経営基盤が脆弱で対応できるまでに相当の時間を要する場合もございます。

 このような中小企業に対しての配慮、あるいは別途の支援措置が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

岡崎政府参考人 障害者の働く場という観点から見ますと、中小企業というのは非常に重要な役割を果たしていく、あるいは期待しなければいけないところだというふうに認識しております。

 そういう中で、今回の法改正の中でも、納付金制度につきまして、従来三百人以上ということになっていたものにつきまして、百人まで適用するということにしたわけでございます。

 しかしながら、御指摘がありましたように、納付金制度の対象にすればそれでいいということでは当然ないわけでありまして、そういうような経済的負担の調整を一方で図りながら、やはり、ノウハウがない中小企業等につきましては、そういう障害者を受け入れる際のいろいろなノウハウの提供をする、あるいは現実に受け入れる場合には、先ほどのお話にありましたジョブコーチ等を含めましていろいろな形で支援をしていく、こういうことが非常に重要だろう、こういうふうに考えております。

 したがいまして、今回の納付金制度の適用につきましても、ある程度中小企業の経営実態等も見ながら、時期を置きながら適用する。そういう過程の中で、来年度以降、中小企業により重点を置いた助成制度とか支援のシステム、こういったものも考えながら、中小企業に義務づけたからいいんだということではなくて、むしろ中小企業と一緒になって、障害者の方が雇われるような形、こういったものをつくらなきゃいかぬ、こういうふうに思っていますので、その点の支援、助成、そういったもののあり方については十分検討して進めていきたい、こういうふうに考えております。

高鳥委員 ありがとうございます。

 納付金制度を拡大する一方で中小企業に対して適切な支援を行うことは、障害者雇用を拡大していく上で不可欠でありますので、しっかりと取り組んでいただくよう要望いたします。

 それから、今、中小企業により重点化した助成金を支給していくという答弁がございましたが、ぜひそうしていただきたいと思います。

 ただ、この助成金について一言申し上げたいのでありますが、私の地元の中小企業で、助成金をもらって障害者のための通勤用バスを整備した方があります。その方が前に私におっしゃったんですけれども、それまで助成金のことをよく知らなかったということであります。もしそれがもっと早くわかっていればもっと早く取り組めた、そういう御意見なんです。

 この助成金は、障害者を雇用するに当たって必要な施設整備や人的支援など、特に障害者を雇用したいと考えている中小企業にとって重要な役割を果たしているわけであります。助成金がもっと活用され、障害者雇用が進むようしっかり周知する、これが非常に重要だと思うんですが、これについてどのように取り組むお考えか、お答え願います。

岡崎政府参考人 障害者の関係の助成金につきましては、高齢・障害者雇用支援機構によりまして支給しておるわけでありますが、当然のことながら、この高齢・障害者雇用支援機構におきましても十分な周知の活動をするように、今後とも指導していきたいというふうに思います。

 それに加えまして、労働局、ハローワークにおきましても、事業主の方々に対しまして、障害者の雇用の促進につきましていろいろなお話をしているわけであります。そういう中で、単に指導するということだけではなくて、助成金のお話もしながら進めていくというようなことも考えていきたい、こういうふうに思っております。

 今回、法改正の議論の中で、中小企業の団体の方々からも、審議会の中でも、参加いただきましていろいろな御意見がありましたが、そういう中で、中小企業団体におきましてもその面でのいろいろな協力をしていただける、こういうお話もありますので、そういったいろいろなルートを通じまして、中小企業の方々に助成制度が周知されるように努力していきたい、こういうふうに考えております。

高鳥委員 企業の側から助成金制度に関する理解が深まることは障害者の雇用促進に非常に有効でありますので、積極的に情報を提供していただくようにお願いをいたします。

 次に、今回の改正案において、今ほど答弁があったように、中小企業が事業協同組合等を活用して共同で障害者雇用を行った場合に、雇用率を一括して算定する特例を新たに設けるということであります。

 中小企業では、一社では障害者を雇用するための十分な仕事がないために、志があっても雇用ができないことが少なくない。このために、共同で仕事を持ち寄って、共同事業の中で障害者を雇用できれば、それはまたすばらしいことであると私は思います。

 特例子会社でもそうでありますが、私は、障害者が得手不得手がある中で共同して働く、そこでの職場環境が整備されていれば、障害者の能力発揮という意味でも非常に効果が上がると思っております。共同事業で働く障害者にとって、職場環境が整備されていることが不可欠であると思いますが、いかがでありましょうか。

 また、共同事業の中で雇用が図られれば、個々の企業においてまで雇用しなくてもいいという考え方もあり得ると思うんです。この特例では、個々の中小企業においても一定の障害者雇用を要件としておりまして、この考え方についてお伺いをしたいと思います。

 私個人としては、ノーマライゼーション、これは非常に大事な観点でありますけれども、だからといって、必ずしも各社に一人ずつとか各部局に一人ずつ障害者を配置するよりも、障害者が実際に働きやすい環境を積極的に整備することが大切であると考えますが、いかがでしょうか。

岡崎政府参考人 障害者の雇用を進めていく際に、御指摘がありましたように、単に雇えばいいということではなくて、個々の障害者の方が、それぞれ障害を持ちながらも、どうやって能力を発揮できるか、そういうことを含めた意味での雇用が進んでいくというのが本来の姿であろう、こういうふうに考えております。

 現在も特例子会社という制度がございますし、今回は、中小企業につきましては一社で特例子会社ということは難しい中で、共同して仕事をしていく、そういう意味で事業協同組合を活用した形での共同した障害者雇用の場をつくっていく、こういう御提案をしているわけでございますが、これにつきましては、そういう場におきましては、特に障害者の方に適した職場をつくっていく、そういった意味で適切な雇用管理がされるようなことが非常に重要であるというふうに考えております。

 そういう中で、どういう要件のもとにこれを認めるかということにつきまして、先生から御指摘がありましたように、きちんと障害者の雇用の場ができれば個々の企業が雇わなくてもいいではないか、こういう考え方も一方ではあるとは思いますが、ただ、この議論をした際に、やはり障害者団体等の中から、すべてそういう場でいいんだというような流れになってしまうのもこれまた不安だというようなお話もございました。

 そういう中で、中小企業も規模がありますので、どういう規模のところであれば雇用を必要とするかというような要件につきましては、今後、中小企業の団体あるいは障害者の団体の皆さん方からもう一度意見を聞きながら具体的な要件は決めたいというふうに思いますが、やはりそういった意味で、普通の職場でというノーマライゼーションの考え方と、それから障害者に適した形での雇用管理、職場が提供されるという、その二つの考え方のバランスの中で適切な要件を定めていきたい、こういうふうに考えております。

高鳥委員 今の御答弁にもありましたし、その立場も理解できますし、障害者団体からのその声もあったということも私も理解をいたします。

 私も、つたない経験でありますけれども、実際、福祉作業所ですとか障害者の働く場所に足を運んだことがありますけれども、意外と難しいものだと思うんですね。障害者だからみんな一くくりにすればいいじゃないかというのもなかなかうまくいきませんで、例えば身体の方と知的の方とそれぞれ特性が違いますから、一緒に作業をしていてうまくいかなくて結局別々にしたとか、あるいは、作業ラインの中に一人だけ障害者の方が入っていたんだけれども、やはり孤立してしまってなかなかうまく仕事を継続できなかった、そういう事例も聞いております。

 これも考え方だと思いますが、言葉に語弊があってはいけないと思いますけれども、私は、体裁を整えるよりも、実質的に障害者が継続して働きやすいように、もしそれが障害者本人にとってプラスになるのであれば、ある程度、特例子会社やあるいは事業協同組合で人数をまとめた雇用の形態でも構わないのではないかと思っております。

 以上、意見として申し上げておきます。

 最後にもう一問、障害者が地域において就労していくためには、就労を希望する障害者ができるだけ雇用機会を得られるように雇用機会を増加させるとともに、雇用環境をよりよくして、雇用の継続、安定をも図っていくこと、いわば雇用の量と質を確保することが大切であると思います。

 このような障害者の雇用の促進、安定に向けて、厚生労働大臣の意気込みをお聞かせ願いたいと思います。お願いします。

舛添国務大臣 今、雇用の量と質ということをおっしゃいました。障害者の本当に働きたいんだという意欲の高まりにこたえられるように就労支援を強化する、そして雇用機会の拡大を図る、これは極めて重要だと思いますので、これに取り組んでまいります。

 さらに、納付金制度の運用、それから雇用率の制度の運用というようなこと、さらにハローワークにおける職業支援、それから、先ほど、助成金の話をもっと早く知っていれば早く手当てができたのになと、通勤に使うバスの話がありましたけれども、そういうことを含めて、質の面での改善、これはやはり、非常にきめの細かい、ニーズに応じた支援体制をやることが必要だと思いますので、量と質、両方の面から障害者の雇用機会の一層の拡大を図り、ノーマライゼーションという目標も達成したいというふうに思っております。

高鳥委員 舛添大臣から、ノーマライゼーションの観点を含めて、社会的な弱者に対する温かい心を持ってこの施策に取り組んでいかれるという大変心強い決意を聞かせていただきまして、うれしく思っております。

 私は、障害者自立支援法も、これはさまざまな御意見がありますけれども、この自立支援法を障害者本位に見直しをしていくということは、これはもちろん大切だと思っております。ただ、一方で、障害者が一定のサービス料の負担をしても十分に生活がしていけるだけの所得の向上あるいは就労支援というものにむしろ積極的に力を入れていくことが大切だと私は思っております。

 そういう意味において、就労支援、所得向上というのは、障害者が社会に参加する、かごの鳥のように人里離れた施設で保護されて一生を終えるのではなくて、その方の希望に応じて社会参加をし、社会貢献をし、また、そのことをみずからの生きる喜びとしたい、そういう方々の期待にこたえるものであると思いますので、ぜひとも全力で取り組んでいただくよう強くお願いをいたしまして、ちょっと時間が早いですが、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

吉野委員長代理 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 おはようございます。公明党の高木美智代でございます。

 大臣には、毎日積極的に、そしてまたスピーディーにさまざまな課題に対しまして御努力をされているお姿をいつも拝見しながら、大変だな、でも大変頑張っていらっしゃるなと、いつもエールを送らせていただいております。

 まず私は、質問に先立ちまして、大臣にお礼を申し上げたい点が一つございます。

 それは、フェニルケトン尿症、そしてまたメープルシロップ尿症、こうした小児慢性特定疾患に指定されております疾病がございます。これは、恐らく委員の方も、御承知の方も、またない方もいらっしゃるかと思いますので少し説明させていただきますが、必須アミノ酸の一つであるフェニルアラニン、これを代謝する酵素が生まれつき欠損をしている、こうした先天性代謝異常でございます。これがフェニルケトン尿症。そして一方、メープルシロップ尿症の方は、このアミノ酸の物質といいますのは、ロイシン、イソロイシン、バリンという名称だそうでございます。

 いずれにしましても、これを放置しますと、知能の発達障害であるとか、またけいれん、そして最後は命に及ぶ、こうした病気でございまして、新生児のマススクリーニングによります早期発見で、このフェニルケトン尿症の方は約四百八十人、そしてまたメープルシロップ尿症の方は七十六人がこの約二十年間で発見されている、そういう状況でございます。

 この治療法といいますのは当然まだ発見されておりません。低たんぱく質の食事、そしてまた、もう一つはそれぞれに応じた治療用ミルク、この二つが必要でございます。フェニルケトン尿症の方は二十まで飲み続ける、そのことによって少しそうした症状は抑えることができる。しかし一方で、メープルシロップ尿症におきましては、さらに重篤な状況がありまして、この成分を除去したミルクを生涯続けなければやがて死に至る、こうした大変深刻な病気でございます。こうしたことから小慢に指定をされておりまして、さまざまな助成措置が講じられております。

 ところが、今回、四月一日からの薬価の改定によりまして、このミルク代が突然急騰するという事態がございました。伺えば、それぞれオーファンドラッグのような、こうしたミルクでございますので、製造ラインがやはり一社に限られている。その製造ラインが古くなってしまったために、それをこのミルク代に上乗せしてお支払いいただかなければいけない、こういう背景もあったようでございますけれども。

 いかんせん、このフェニルケトン尿症の方のミルクについては、今まで、千二百グラム入りで一万一千四十円であったものが、一万七千六百四十円に突然値上がりをしてしまった。また、もう一方のメープルシロップ尿症の方は、一缶九千五百円であったものが、六・五倍の六万二千百六十円に値上がりをしてしまったということから、患者の方たちから私どもに陳情がございまして、地方議員の方を通し御紹介をいただきまして、厚生労働部会におきましてさまざまお話を伺いました。

 やはり、その席上おっしゃっていたことですけれども、特にこのメープルシロップ尿症の代表の方は母親でもあられます。そのお嬢さんが半年後に二十になられる。でも、二十になったらこの助成措置が切れてしまう。普通であれば、成人式を迎えるというのは、御一家にとっても、またそのお嬢様にとっても、最も喜びに包まれる、これがその日ではないかと思うのですが、この方たちはその日を境に助成が受けられなくなってしまう。そのミルク代を自分で負担できればいいけれども、そのミルク代をどこまで我が家は負担することができるのか。それが払えなくなるということは、私はもう死を選ぶしかないと。

 このお嬢さんがおっしゃっていたのは、お金がかかる私たちに、ミルク代が払えないなら死んでくれ、そういうふうに政治が言っていることに等しいことね、そう言って泣いていらしたそうです。そのことをまた、お母様はお話をされながら、娘はどんな気持ちで二十を迎えるのでしょうか、このようにお母様も涙ぐみながらおっしゃっていらっしゃいました。

 この改定につきまして、早速、厚生労働省、御対応いただきまして、六月二日だったかと思います、この薬価を本当に異例のこととして大幅に引き下げていただきまして、要望を実現していただいたということ、これはまさに、私は、この方たちの安心、そしてまた命を守ることであると大変心から御礼を申し上げますとともに、評価をさせていただきたいと思っております。

 本来であれば、こうした内容を、患者の皆様とともに大臣のもとに申し入れに伺わせていただきまして、こうした疾病の存在、また患者の皆様の思いを知ってほしいと思っていたところ、このような質問の機会を与えていただきましたので、この場をおかりしまして御報告をさせていただきたいと思います。

 しかし、一生涯このミルクを飲み続けなければならないといった難病でございますので、やはりこれは国としての難病指定にきちっと入れてもらいたい、こうした運動につきましては今後ともしっかりとやらせていただきたい、また、ぜひ大臣にもその点を御理解いただきたい、このような患者の方たちからのお話でございました。

 大臣、大変に恐縮でございますが、この際、この患者の皆様に、何か大臣の御所感を含めましてメッセージをいただければありがたいと思います。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

舛添国務大臣 特定疾患、これは本当に、御本人たち、いろいろな原因があり、御本人の責任じゃない、そういうことで、しかも数が少ないということで十分な手当てが受けられない、何とかこれをしたい、もうほとんど毎日のように特定疾患のさまざまなケースの方がお見えになります。できるだけ私もお会いして直接お話を聞くようにしております。

 今のような形で、ささやかでもあれ手当てができればいいのですが、委員御承知のように、特定疾患のための予算は二十四億円なんです。だから、その研究をするだけでも光が見えてくる。先ほどの冨岡委員との質疑でありましたけれども、再生医療を使えば、スティーブンス・ジョンソン症候群で目の見えない方が見えるようになる。私はやはりこういうところにお金を使うべきだと思っておりますので、来年度には、この二十四億円を倍にしたって五十でしょう、ですから、ぜひ皆さんの御支援を賜って予算獲得をやりたいと思います。

 私は、やはりこういう難病、特定疾患にしっかり対応できるという国が本当の先進国だと思っておりますので、ぜひ頑張りたいと思います。(拍手)

高木(美)委員 今委員の皆様からも大変力強い拍手がございました。まさにこうしたことこそ、超党派でしっかりと取り組むべき課題であると思っております。倍でも五十億。もう少し大臣、もう一息、大きくいきませんと、最後また小さくなってしまいますので。私どももしっかりと、難病指定をさらに拡大できますように頑張ってまいりたいと思っておりますので、お取り組みをよろしくお願いいたします。

 それでは、雇用促進法につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 既に五月二十九日の本会議におきまして、大事なポイントにつきましてはほぼ大臣から御答弁をちょうだいいたしました。私は、そのときに時間の関係で触れられなかった御質問、そしてまた障害者の皆様から寄せられている御意見等々含めまして、本日、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の雇用促進法の中で、派遣労働につきまして、これは労働政策審議会の意見書におきましては、「派遣労働については、現在、派遣労働者として働く障害者は少数であるが、派遣労働で働くことを希望する障害者もいることから、働き方の選択肢の一つとして、適切に派遣労働により働くことができるようにすることが必要」、このような意見書が出ております。しかしながら、今回は見送ることとなりました。

 当然、派遣労働に対する障害者の理解とかニーズの動向を慎重に見きわめる必要がある。この派遣労働自体も、今、しっかりと足元固めをしていかなければならない段階でございますので、そうした点が勘案されるかと思っておりますが、一方で、紹介予定派遣、これはかえって派遣先で直接雇用に進む可能性もありまして、これが上手に活用されれば雇用の機会もふえるのではないかと考えます。

 障害者の方は、職場定着に時間もかかりますし、適切な配慮もさらに必要でございますし、そうした点も含めて、今回は見送ったにしましても、派遣労働という形において安心して働けるように、やはりこの雇用促進法の審議の機会に、派遣元と派遣先と両方が配慮する事項につきまして、これはぜひ厚生労働省でお取りまとめいただきまして、何かしら公表をいただくということも必要ではないかと考えております。

 このような御提案もさせていただきますが、見送った理由と今後の対応をどのようにお考えか、答弁をお願いいたします。

岡崎政府参考人 働き方がいろいろ多様化する中で、短時間労働とともに派遣労働がふえてきている、一つの選択肢になっているというのは事実だろうというふうに思います。

 そういう中で、障害者の雇用という観点からどういうふうにこれを位置づけていくかということ、これが労働政策審議会で、今回、法改正に先立ちまして議論した際に、一つの論点として議論されたということでございます。

 そういう中で、一つには、派遣会社におきます雇用率が非常に低迷しているという事実があるということも含めた上で議論が行われたわけでございます。

 そういう中で、派遣会社あるいは派遣という形で障害者が働く場合に、今御指摘になりましたような紹介予定派遣等で将来的には安定した職場につながるというようなメリットもあるではないかというようなことでありますとか、一方では、派遣会社が障害者雇用のノウハウを蓄積して、派遣先にそれを提供しながら働くというような形で、むしろ派遣という形でいろいろな支援を受けながら働く形ができるではないか、こういう意見が一方にあったのは事実でございますが、一方では、現下、いろいろ派遣労働につきましての議論が行われている中で、やはり障害者団体の中から、積極的に進めていくということにつきましては、派遣労働そのものにつきましての議論の推移でありますとか、あるいは、今御指摘ありましたように、派遣労働につきましての障害者の理解、ニーズ等々、もう少し動向を見きわめながら慎重に議論すべきだ、こういうような御意見がありまして、今回、法改正の中で派遣労働については対象としない、こういうことにしたわけでございます。

 ただ、一方では、派遣という形で働いている障害者の方も、率としては少ない面もありますけれども、やはりおられるのは事実でございます。そういう方々が、派遣会社と派遣先との間で、むしろはざまに入るような形になればこれは適切ではない、こういうふうに認識しておりますので、派遣で働く場合におきます派遣元、派遣先で、障害を持っている方々に、元、先がそれぞれどういう形で配慮するのが適切か、これにつきましては、きちんと整理して、派遣会社及び派遣先に示して、派遣で働く場合におきます適切な雇用管理を進める、これはきちんとやっていきたい、こういうふうに考えております。

茂木委員長 岡崎部長、答弁をしていただきましたが、恐らく一、二分でできる答弁を相当長くしましたので、次から簡潔にお願いします。

高木(美)委員 それでは、今、岡崎部長からお話がございました派遣先とそれから派遣元と両方に配慮する事項につきまして、ぜひおまとめいただきまして、お取り組みをお願いいたします。

 続きまして、精神障害者の方の雇用につきましてお伺いをいたします。

 これは、平成十八年から障害者雇用率制度におきまして、実雇用率の算定に当たってカウントすることができるというふうになりました。しかしながら、雇用義務は課せられておりません。実雇用率のカウントや、また雇い入れ計画の対象も手帳所持者に限るというふうになっております。

 今、精神障害者の方は約百七十四万人、そのうち手帳交付者は三十八万人、約四分の一に満たないという数字でございます。それに対しまして雇用数はどうかといいますと、五人以上の規模の企業におきまして一万三千人という状況でございまして、決して企業において精神障害者の雇用が進んでいるとは言えないという状況でございます。発達障害につきましても同様の現状があると認識しております。

 精神障害者も雇用義務の対象とすべきではないかと思います。現在もさまざまな支援策がとられておりますけれども、予算措置など、障害者の雇用義務化の環境が整いますように、一層の支援充実が図られるべきと考えます。厚生労働省の答弁をお願いいたします。

岡崎政府参考人 前回の障対法の改正におきまして、実雇用率への算定は行う、こういうことにしたわけでありますが、その際に、手帳の対象者だけにした、これは精神障害者の団体等からも、どういう形で把握するかということにつきまして、いわゆる掘り起こしみたいなことへの危惧等々もありまして、確認方法としては、その時点では手帳所持者ということが適当ではないか、こういう御意見があって現行制度になったわけでございます。

 今後、精神障害者を義務化の対象にしていく場合に、手帳制度でいいのか、あるいはもう少し広くとるのか、そういったことを含めた議論が必要ではないか、こういうふうに考えております。

 いずれにしましても、御指摘のように、まだ精神障害者の雇用が進んでいない状況でありますので、今回の審議会の議論の中でも、もう少し現実に精神障害者の方の雇用を進める中で将来の制度のあり方を検討すべきだ、こういう御指摘があったわけであります。

 したがいまして、精神障害者に対しますいろいろな支援、助成を進めながらそういう環境の整備を図っていきたい、こういうふうに考えております。

高木(美)委員 私も、精神障害の方たちの、どちらかというと生活の場ですが、グループホームであるとか、またピアサポートを推進している事業者の現場であるとか、何カ所か視察もさせていただきました。

 やはり、そこで実感することは、今回の雇用促進法の中でも、就業と生活と一体となった支援、このことがうたわれております、精神障害の方ほどこの就業と生活と一体となった支援というものが必要なものはないと認識しております。やはり、グループホーム等、そうした生活基盤、それがしっかりと充実できれば、またさらにそこから安心して企業に通勤することができる、また、帰ってきて、そのグループホームでいやされながら、またしっかりと受けとめてもらいながら、また自分の次の生活に進むことができる、このような地域における基盤整備も急務であると思っております。

 恐縮ですが、これは質疑に入れておりませんが、このような精神障害の方たちが、もちろん就業・生活支援センターなんですけれども、就業と生活と一体となった支援がどのように価値的に行われているのか、こうした成功事例につきましても今後御検討いただきまして、広く紹介をするなど、推進をお願いしたいと思っております。これはお願いでございますが、もし答弁いただければありがたいのですが。

岡崎政府参考人 障害者就業・生活支援センターにおきましては、知的障害者の方、精神障害者の方々、いろいろな支援を行っております。そういう中でいろいろな蓄積ができてきておりますので、厚生労働省としましても、そのいい事例を集めて、それをフィードバックする形で、より適切な支援が行われるように努力していきたい、こういうふうに考えております。

高木(美)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 続きまして、除外率につきまして伺わせていただきます。

 これはノーマライゼーションという理念から平成十六年四月に廃止されたと伺っております。一応、廃止とうたわれてはおりますけれども、この法の附則におきまして、当然すぐには無理でございますので、経過措置として、除外率設定業種での雇用状況を考慮しつつ段階的に縮小するとしております。

 そうした流れから考えますと、これが附則に規定されている以上、当然、段階的に引き下げ、廃止を着実に目指すべきと考えます。前回の引き下げにおきましては、幼稚園、小学校、また船舶運航業、道路旅客運送、また金属鉱業等々、一〇%引き下げたと聞いております。例えば、単純計算で、千人の企業の場合、除外率四〇%、こういう業種が一〇%引き下げられることになりますと、法定雇用率は十・八人であったものが十二人ということになりまして、二人プラスできるわけでございます。

 ただ、一方で、これまでの法定雇用率を達成している企業数自体がほぼ予定の半数に満たない、こういう状況を考えますと、引き下げればいいというものではない、こうした意見にもうなずけるものがあります。しかし、やはりこれは進めると決めた以上は進めるべきではないか。あらゆる業種にどのような形で障害者が雇用され、そこで能力を発揮することができるのか、そのような理解と普及を進めることも必要と考えます。

 今回、この除外率の引き下げをどのようにお考えか、私は検討を当然進めるべきではないかと考えますが、伊藤政務官の答弁を求めます。

伊藤大臣政務官 除外率の引き下げについては、今御指摘のとおり、昨年の十二月の労働政策審議会意見書におきまして、一つは、法律の規定等に沿って、段階的に引き下げ、廃止を目指すという基本的方向に基づき、今回、一定の引き下げを行うこと、また、この際、社会連帯の責任の理念のもと、前回、平成十六年の一律一〇%ポイントの引き下げを参考にすること、こういったことが指摘をされているところでございます。

 こうした指摘を踏まえつつ、具体的な引き下げの方法について、受け入れ側の状況にも配慮しつつ、着実に除外率の引き下げを図ってまいりたいと考えております。

高木(美)委員 重ねてこれは岡崎部長にお伺いいたしますが、小学校、幼稚園、そしてまた高等教育の場ですね、私は、こういうところでこんなに高い除外率になっているということを、本当に申しわけないことに、今回、この質疑に当たりまして知った次第です。

 ここのところは当然、教育委員会の中におきましても、大学教育を受けなければ教員になれない、そういう資格の問題から、そもそも大学に進学するという障害者が少ない、そのような事態をどのように変えていくか、そうした教育の問題から出発をしているとも思いますが、ただ、こうした教育の場におきましても、障害者が参入する仕事というのは私は探せば多くあるのではないかと考えます。

 したがいまして、こうしたところにつきまして、先ほども既にこれは質問にあったかと思いますけれども、もう一歩、この教育の世界でもどのように進めていくのか、これを強く推進していただくことは、これは子供たちにとりましても、早い時期からそうした障害者の方に触れ合って育つ、配慮しなければいけない、人には差異がある、その差や違いを認め合えるという、ここが今一番日本の教育に欠けているところと私は思っております。

 という観点から、この教育の分野もさらに進めるべきということで、先般、文部科学大臣にも答弁を求めまして、そのような答弁をいただいたところでございますが、大変お話ししにくいでしょうけれども、これをどのようにお考えか、率直なお考えを伺いたいと思います。

岡崎政府参考人 除外率につきましては、昭和五十一年当時のさまざまな状況を踏まえて率が設定されました。そういう中で、小学校につきましては、学級担任制であるというようないろいろな要素を考えて、非常に高い除外率が設定されたということでありますが、いろいろな形で障害者の雇用はできるのではないか、御指摘は、それはもっともだろうというふうに思っております。

 ただ、そういう高い除外率の中でも、現在、教育委員会の達成状況が非常に悪いというもう一つの問題もある中で、私ども、文部科学省とも協力しながら、いろいろな形で学校現場での障害者雇用を進めていく、こういう立場に立って頑張っていきたい、こういうふうに考えております。

高木(美)委員 恐らく、大学に障害者が進学をしてそこで教育を受けるというこの機会自体、環境自体を整えるところから始まるのだと思います。またそれは、こうした障害者の雇用の世界におきましても、私たちの先輩があんなふうに立派になっているじゃないか、私たちにも可能性があるじゃないか、こうしたことを発信する意味でも大事なことだと思いますので、これは私も積極的に引き続き取り組ませていただきたいと思います。

 次の質問でございますが、障害者自立支援法との関係につきまして、少し御質問させていただきたいと思います。

 実は最近、養護学校にお子さんが通っていらっしゃる保護者の方から何件か質問が寄せられる中で、我が子の場合は、企業や特例子会社などの一般就労はとても考えられる状況にない、これまでも在学中に実習があったけれども、もう二、三日でできないということがよくわかった、しかも大変落ち込んでいると。

 卒業した後に就労継続支援B型を利用するには、まず、一般就労に向けた訓練機関である就労移行支援事業所で二年間の訓練が必要とされております。御本人や保護者が希望すれば、訓練機関を経由することなく、最初から就労継続支援B型を選択させてもらいたいと。

 子供は今の作業所が一番向いていると思うのです、企業就労は無理とわかっていて、二年間も講習に行ったり面接に行ったり、本人が落ち込んで、その都度家族が支えて、そういうことを考えると大変つらいものがある、しかし新卒はB型には行けないというふうに区の役所からも言われました、この点についてどうなんでしょうかという質問でございます。

 まず、この点につきまして答弁をお願いいたします。

中村政府参考人 お答えいたします。

 特別支援学校の卒業生の進路状況を見ますと、一般企業に就職された方は約二五%にとどまっております。また、授産施設等を利用した場合には、その後、一般就労に結びつく割合は約一%と大変少ない状況にございます。

 障害者の自立のためには、可能な限り一般就労していただくことが適当であり、このため、特別支援学校の卒業生につきましては、まずは、一般就労への訓練を行う就労移行支援事業を利用していただくこととしたものでございます。

 就労継続支援B型事業につきましては、通常の事業所に雇用されることが困難な方を対象として訓練を行う事業でございまして、その対象者といたしましては、就労経験がある方で、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった方、あるいは、就労移行支援事業を利用した結果、本事業の利用が適当と判断された方などを対象としておるところでございます。

 一般就労の体験や訓練を行わず、就労継続支援B型事業を利用できるようにすることにつきましては、結果といたしまして、一般就労につながる可能性が低くなるおそれもありますので、まずは就労移行支援事業での訓練をお願いしておるところでございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 私は、こういう質問を受けながら、この中に大変深刻な問題があるというふうに思いました。

 やはり障害者の一般就労を進めるには、まず障害者本人の意思、それから保護者の方の決意、そしてまた学校、企業、さらには受け入れる企業の、ともに働く人々の理解が必要であると思います。特に保護者の方におきましては、うちの子は無理だと。精神障害の方、知的障害の方、その方たちの親御さんといいますのは、無理して働かなくていい、そうでなくて、むしろ福祉でしっかりと守ってもらいたい、こういう御要望が強い、そういうデータも以前ございました。

 という点も含めまして、やはり、このような環境を整えています、先ほどの就業・生活支援センターであるとか、またハローワークの方たちがこういうふうに面倒を見ます、学校もこうやって押し出します、そのようなあるスキームをきちんと説明を申し上げて、その中で、どういう経路をたどればいいのか、ここでだめだったらどう戻ればいいのか、厚生労働省がおつくりになったような図の説明とか普及啓発もあわせまして、ぜひとも周知徹底をお願いしたいところでございます。

 この理解の促進、周知徹底につきましてどのようにお考えか、伊藤政務官に伺います。

伊藤大臣政務官 障害者の一般就労についての企業や国民の理解を進めていくこと、これは御指摘のとおり非常に重要でございまして、今年度から、本人や保護者、福祉施設や学校などの関係者から国民全般に至るまで、さらに幅広い層の意識改革を図るために、障害者も可能な限り大人になったら働いていただくという意識の醸成を図るために、インターネットによる情報の発信やセミナーの開催、地域の事業主団体を活用した意識改革セミナーを開催するなどの事業を実施することとしております。

 また、都道府県労働局においては、福祉施設や特別支援学校などと連携をしまして、一般雇用や雇用支援策に関する理解の促進を図るセミナーや事業所の見学会等を実施し、一般就労に向けて理解の促進を図っているところでございます。

 こうした取り組みを通じて、今後ともさらに障害者の一般就労に対する理解の促進を図ってまいりたいと考えております。

高木(美)委員 次に、小規模作業所への対応につきましてお伺いいたします。

 小規模作業所につきましては、与党PTは、先般、昨年の十二月に抜本的見直しということで報告書を発表させていただきました。その中に、「円滑に法定事業に移行できるよう、コンサルタントの活用など「特別対策」を一層有効に活用するとともに、法定事業に移行する際の基準の見直しなど、更なる移行促進策を講ずる。また、小規模作業所の移行のための新たな受け皿の在り方についても検討」する、このように書かせていただいております。

 現在、こうした報告書を踏まえまして、どのようなことを行っていらっしゃるのか、また、今後行う御予定なのか、特に、新体系に移行できない、利用者が十人に満たないような小規模作業所に対しましてどのような対策をお考えなのか、答弁を求めます。

中村政府参考人 お答えいたします。

 小規模作業所につきましては、それぞれの地域において、障害者の働く場、創作活動の場、社会参加の場として重要な役割を果たしておると認識しております。

 そういうことでございますので、小規模作業所につきましては、障害者自立支援法による新体系の事業に移行することによりまして、障害者の働く場や日中活動の場として経営基盤がより安定したものとなり、障害者の自立した生活の実現に向け、前進するということになろうかと思っております。このため、規制緩和などの取り組みを通じまして、地域活動支援センターなどへの新たな事業への移行を促進しているところでございます。

 現況を申し上げますと、昨年十月一日の時点では、新体系への移行率は四三・四%となっております。

 お話がございましたように、利用者が十人未満の小規模作業所の移行が困難であるというような御意見もございますし、また、御指摘がありましたように、与党プロジェクトチームの報告書の指摘もございますので、現在は、一つは、少人数の小規模作業所同士が統合するまでの間に必要となる小規模作業所間の調整、連携や、情報交換、意見交換についての支援を行っております。

 それから、二つ目といたしまして、地域活動支援センターにつきまして、主たる事業所とは別の場所で、一体的な運営管理のもとでサービス提供を行う事業所、これは従たる作業所と言っておりますけれども、設置する場合には、それぞれの定員を六名以上とすることができるようにする、そういうような措置を講じておるところでございます。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、小規模作業所の経営基盤の安定という面からいたしますと、新体系への移行というのが大変重要でございますので、いろいろな措置を講じて支援をしていきたいというふうに思っております。

高木(美)委員 私が伺いましたある小規模作業所では、当然、十人がやっとであると。移行するに当たっては、確たる法人がしっかりとバックアップをしなければ移行はできない、そのようにある県の担当課から言われたという話もございました。こうしたことが大変大事な点でございますので、今部長からお話ありました点につきましても、さらなる県また自治体への徹底をぜひお願いするものでございます。

 一方で、小規模作業所の利用料につきましても、利用者負担等の大幅な軽減であるとか、また個人単位での所得段階区分への見直し等も行われまして、七月からその緊急措置がスタートいたしますので、それを障害者の方は待ち望んでいらっしゃるという状況でございます。しかし、先が見えませんと、またこれが不安でございますので、ぜひとも積極的なお取り組みをお願いいたします。

 今部長がおっしゃいました地域活動支援センターでございますが、小規模作業所から移行した事業所につきましては、移行前に比べて補助水準が下がっているところが多いと聞いております。自治体の事業となっているために経費が回っていないのではないか、むしろ国としてきちんと支えていかなければいけないのではないかという声も寄せられております。厚生労働省としての対策をお伺いいたします。

中村政府参考人 お答えいたします。

 地域活動支援センターの運営費補助につきましては、障害者自立支援法の施行後につきましては、市町村の事業といたしまして、地方交付税において措置がされておるところでございます。

 具体的に申し上げてみますと、市町村の標準団体、行政規模が十万人では約二千万円の措置がされておるところでございます。そういう中でございますけれども、従来からの運営費が確保されていない事例も見受けられますことから、私どもといたしましては、各市町村に対しまして、全国会議などの場を通じまして、必要な運営費を確保するように指導を行っておるところでございます。

 また、基幹的な事業につきましては、地方交付税で措置をされておるわけでございますけれども、機能強化を図る場合には、地域活動支援センター機能強化事業として国庫補助を行っておるところでございます。

高木(美)委員 地方に相当ばらつきがございますので、これもまた次の大きな課題であろうかと認識しております。また、今後とも御検討をお願いしたいと思います。

 最後に、大臣にお伺いをさせていただきますが、実は今、障害者の方たちまた保護者の方たちから寄せられているお声といいますのは、むしろ働ける方はどんどん働く、これは雇用促進法等で推進をしていただくところでございます、しかし、全員がこうした高速道路に乗れるわけではない、むしろ、働けない方たちについては、安心して生活できるようにやはり年金など所得保障をきちんとすべきではないか。

 特に、それがなされませんと、今の小規模作業所の問題もそうでございますけれども、働けない場合に、こういうきちっとした居場所がある、そしてまた生きがいを持って働ける場所がある、こういう手当てをやはり何段階にもしていただくことが必要ではないかと思います。そうでないと、手のかからない人を相手にしているのではないかといった批判も出始めているというのも現実でございます。手のかからない人が優遇されるのではないか、そういうふうになってしまったら、何のためかわからなくなってしまうと思います。

 こうしたことにつきまして、障害者の雇用促進に対します考え方、また働けない方たちへの配慮につきまして、大臣の御決意を伺いたいと思います。

舛添国務大臣 一般の企業に就労できれば、これは一番いいわけですね。先ほどの委員の御質問にありましたけれども、とにかくB型の作業所がいいんだ、それはもうお子さんたちの気持ちはよくわかるんですね。新しい環境に入るというのは本当に精神的にもストレスがあります。そうすると、親御さんの立場から見ると、それでいいじゃないかとなるけれども、そこは心を鬼にしてというか、何とかそれでも一般企業に、できるような訓練はする、非常にその兼ね合いが難しいんですね。

 ですから、障害者自立支援法の理想はいいとしても、今おっしゃったように、働けない方々をどうするか、これに対する手当てもやはり細かくやっていかないといけないというふうに思っております。

 それで、与党の皆さん方が、昨年の十二月七日に、障害者自立支援法の抜本的見直しについての御提言を下さいました。その最後のところに、所得保障のあり方ということで、幅広い観点から検討を行うこととし、社会保障制度全般の一体的見直しに関する議論との整合性や財源の確保を図った上で、障害基礎年金の引き上げ、これは例えば二級の金額を一級並みにする、一級の金額をさらに引き上げる、それから、住宅手当の創設、この検討ということも御提言をいただいております。

 これを受けまして、もうこれは抜本的見直しの時期が来ますから、障害者自立支援法について、この四月二十三日から、社会保障審議会の障害者部会におきまして、今の御提言を受けた形での検討を開始いたしました。

 あらゆる観点から検討して、本当にこの法律で、いろいろな形の障害者の方がおられるわけですから、きめの細かい形での対応ができる、それが政府の責任であるというふうに思っていますので、与党としっかりとスクラムを組んで、そういう方向でのさらなる努力を続けていきたいと思っております。

高木(美)委員 大変力強い御決意、ありがとうございました。

 以上で質問を終わらせていただきます。

茂木委員長 次に、園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。

 私からも、引き続きまして、障害者雇用促進法にかかわります質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど来の御質疑の中でも触れておりました、障害者を取り巻く環境、あるいはその中において今般の労働政策、福祉の政策、そして生活の政策という形で、さまざまな観点から障害者の生活実態というものをさらに促進していきたい、その思いは皆さんと一緒に、私も共有をさせていただいているところであります。

 先ほど大臣は、与党の皆さんと一緒になってというふうにおっしゃっていただいたわけでありますけれども、我々野党も、しっかりとこの問題に対しましては取り組ませていただいているところでありまして、与野党問わず国会を挙げてといいますか国の機関を挙げて、この問題にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っておるところでございます。

 質問に入る前に、これは関連しなければちょっとまずいと思っておりますけれども、六月二日に起きた事件といいますか発生事案について、少しその概要等につきましてお伺いをしたいと思っております。

 これは神奈川県の綾瀬でしたでしょうか、グループホーム、ハイムひまわりで起きた火災におきまして、知的障害者の方が三名お亡くなりになられたということ、また、さらに三名の方が他の入所ホームで保護されている、あるいは男性一名が今病院にて治療中ということでございます。

 これは気になっている点が私も多々ありまして、火災報知機等がまだ設置をされていない。今後、これはすぐさま設置義務というものが課せられる過程に今あるわけでございますけれども、どのように火災というところから障害者を守っていくのか。あるいは、ここの場合は知的障害でありますけれども、例えば視覚障害あるいは聴覚障害の場合は、これまた、火事が起きているという現状がすぐさま把握できない状況になってくるわけでございます。そういった面では、やはり深夜の職員体制というものもきちっとしておかなければいけないのではないのかなというふうに思っております。

 この火災発生について、今、厚生労働省ではどのような形で把握をされておられて、そして今後どういった対応策というものを考えていらっしゃるのか、冒頭ちょっとお伺いをしたいと思っております。

中村政府参考人 お答えいたします。

 大変残念なことでございますけれども、委員から御指摘がございましたように、神奈川県綾瀬市のハイムひまわりで火災が発生をいたしました。当該施設は、社会福祉法人が運営をいたしますケアホーム、グループホームでございまして、火災当時、七名の方が利用されておられました。

 神奈川県や消防庁からのこれまでの情報によりますと、火災は六月二日午前二時四十分ごろ発生いたしまして、お話がございましたように、三名の方が亡くなられ、一名の方が病院において治療中でございます。そして、三名の方が、同一法人が経営しております入所施設において保護されておるというような状況等にあると承知しております。

 厚生労働省といたしましては、今後とも情報の収集に努めるとともに、必要な対応をしていきたいというふうに思っております。

 昨日には、ケアホーム、グループホームの防火体制及び緊急の対応の徹底につきまして、各都道府県、指定都市に要請をしたところでございます。

園田(康)委員 ぜひ、この対応をしっかり全国的にも指摘していただきながら、今後のこういった事案発生の防止策というものに対応していただきたいと思っております。

 この点につきましては、大臣もしっかりと見ていただいているというふうに伺っておりますので、これについてのコメントは結構でございますので、次に移らせていただきます。

 先ほど高鳥委員も御指摘をされていらっしゃいましたし、私もさきの本会議におきまして、権利条約の件につきましても、大臣あるいは官房長官にも御質問をさせていただいたところでございます。改めて、この権利条約、先ほど力強い大臣からのお言葉もあったわけでございますけれども、先般、官房長官の御答弁をいただきました。

 今でも当事者参画はしっかり政府としてもやっておられるというお言葉ではありましたけれども、さらにもっともっと、ただ単に当事者団体の方々から意見を聞くというだけではなくて、私があくまでも参画ということを申し上げたのは、そういったいわゆる意見を聞くということではなくて、当事者の団体の方々が一緒になって、法整備の中で不備なところ、あるいは、先ほどきめ細かな対応をしてまいりたいというふうにおっしゃっていただいたんですけれども、まだまだ目が行き届いていないところがあります。

 そういった点を、そういう方々にぜひとも一緒になって審議会の中に入っていただく、あるいは委員会の中に入っていただくという形にしていただいて、そしてその中から、政府と一体となってそういう方策をつくっていくべきであるというふうに私は考えておるところでございます。

 今のスキームの中でもそれはできないことはないというふうに私は思っておりますので、さらにそれを進めていただくように、大臣にそれを力強く推進していただきたいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 先ほどもお答えをしたんですけれども、障害者の権利条約の中で、例えば合理的配慮を提供しないといけない。合理的配慮とは何ですかというときに、それは研究者の答えもある、労使双方の答えもあります。しかし、やはりそこで働かれるのは障害者の方々ですから、この方たちの御意見がしっかりと反映しないと、例えば法整備をするにしても不備を来すというふうに思います。

 したがいまして、このたび研究会を立ち上げましたけれども、そこには個々のというよりも団体として、障害者関係団体の代表の方に参画していただいて、そういう意思がきちんと反映される、何よりも一番の権利条約の対象、そして利益も受けるし、場合によっては損害も受ける方々が障害者であるわけですから、その点はしっかり今後とも配慮してまいりたいと思っております。

園田(康)委員 よろしくお願いいたします。

 ただ一点、先ほど来出ております、この四月からスタートいたしました労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会、これは厚生労働省の中に設置をされていらっしゃるところであります。

 これに、当事者団体は確かに中に入っていらっしゃいます。入っていらっしゃいますけれども、メンバー構成、選任方法ですね。このメンバーの中に入っていただく団体の方々が、今の段階でいきますと、今設置されている研究会の中におきますと、私から申し上げればまだほかにも団体で、もっと入ってもよかろうかなというところはあるわけでございます。

 したがって、質問としては、選任方法はどうですかというふうにお伺いをしていたんですけれども、では、ちょっとこれは質問を変えてといいますか、要望にかえさせていただきたいと思うんです。

 もっときめ細かなというふうにおっしゃっていただけるのであるならば、他の団体でまだ足りないところがあるのではないか。そういったところも、一度このメンバー構成の中を見ていただいて、さらに拡充をしていく、メンバーをもっともっとふやしていただきたいというのを私の要望として申し上げておきたいというふうに思っております。

 ぜひもう一度、メンバー構成も含めて、当事者団体、どういった団体の方々に入っていただいたらさらにこの内容が、今大臣がおっしゃっていただいたような合理的配慮というものが、こういった雇用の分野にどうやったら生かせられるのかというところをさらに考えていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 障害者の雇用実態調査というものが出ております。私が伺っておるところでいきますと、これはホームページでも掲載をされておりますので見ておったわけですが、これは五年に一回行われる実態調査というふうに理解をさせていただいているところでございます。

 この障害者の雇用実態調査において、民営事業者の事業主に対しまして、雇用している身体、知的、精神障害者の雇用管理上の措置というものを調査しております。そういったところをやはり実態的にきちっと調査していきながら、今後の対応策というものを考えておかなければいけないのではないかというふうに思っております。

 ちょっと古いんですけれども、二〇〇三年の実施分、十五年度の実態調査が今直近のものとして出ておって、今度、ことし実態調査が行われるということでありますので、どういうふうに実態調査をするかも含めて、十五年度の雇用状況というものがどのようになっていたのか、まず一番最初に教えていただきたいと思います。

岡崎政府参考人 御指摘の調査は五年に一度の調査でございまして、直近のものは平成十五年のものでございます。

 この調査は、事業所の側と働いている障害者の方と、両方の面から調査をするということでございます。十五年の際には、その当時、精神障害者の問題がいろいろございましたので、従来からの身体障害者、知的障害者に加えまして、精神障害者につきましても調査対象に加えたというのが前回の特徴でございます。そういう中で、企業におきます状況、それから障害者の方が抱えている状況等を把握したということでございます。

 今年度やりますので、これにつきましては、今回のいろいろな御議論を踏まえながら、また調査項目等も検討して、より適切に企業及び障害者の方の状況が把握できるようなことを考えていきたい、こういうふうに考えております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 その際に、これもやはり要望として申し上げておきたいわけなんですが、この平成十五年度の雇用実態調査を拝見させていただきますと、調査票が五千七事業所に対して送られているわけでありますけれども、回収率が七一・五%、そして個人票の調査票としては、身体障害者が一万百九十人、知的障害者が九百八十六人、回収率六二%。しかし、精神障害、確かにこの十五年から始まった精神障害でありますけれども、たった四十七名なんですね。回収率も二三・五%と大変低うございます。

 一番最初にやった調査でありますので、この部分が大変低い状況になっておるというところからすれば、本当の意味での実態調査、精神障害の方々の労働面や生活面というものがどういったものであるのかというのがこの調査の中からしっかりとした形で浮き彫りになるというにはほど遠い数値かなと私は感じておりますので、ぜひ、ことし行う調査の中では、この精神障害者の個人票の回収率も含めて、調査項目等もしっかりと対応をしていただきたいというふうに思っております。

 とりわけ精神障害の場合は、後ほど取り上げさせていただきますけれども、手帳の取得が、雇用されてから精神障害の手帳を取得される方、あるいは雇用される前に精神障害という形で手帳を取得されて雇用される方という形で、同じ精神障害の方でも、最初に障害手帳を持った方が就職されるのと、後から手帳を取得されるのとではまた少し状況が違うのではないかというふうに私は思っております。これはいわば精神障害の掘り起こし的な部分も、行われていないというような部分をちょっと私は危惧しておりますので、この辺の実態がきちっと出てくるような調査方法をお願いしたいというふうに思っております。

 続いて、それに際しまして、毎年、これもやはり職業安定局の高齢・障害者雇用対策部において、雇用率、雇用の促進に関する問題に関しまして、適正実施勧告というのをやっていらっしゃいます。

 ごめんなさい、ちょっと問題を飛ばしました。

 もう一問。先ほどの雇用状況の調査に関しまして、これは民営の部分はございます。公的な部門における実態調査というものはあるんでしょうか。あったら教えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

岡崎政府参考人 民間の部門については先ほどの調査がございますが、公務部門について同じような調査はないと思います。

 ただ、政府全体で、障害者施策推進本部のもとに公務部門におきます障害者雇用推進チームというのを設けて、公務部門での障害者雇用の促進をいろいろ検討しておりますので、そういう中で、実態の把握等を含めて、関係省庁とも協議していきたい、こういうふうに考えております。

園田(康)委員 ぜひお願いをしたいと思うんです。

 もしそれがかなえば、公的部門もきちっとこういう民間のような形で表に出して、今の公的機関の部分、国、都道府県、自治体も含めて、どういう状況になっているのかというのは、やはりきちっと明らかに公表をしていただければなというふうに思うわけでございます。そうすれば、私どもも、内部で行われていることはなかなか、我々委員もそういった中まで、出てきてからわかるという形でありますので、その調査が行われて、それをどういう形で外に出していくのかということも含めて御検討をお願い申し上げたいと思っております。

 先ほどちょっと触れさせていただきました、厚生労働省から毎年発出されているわけでありますが、この雇用の促進等に関する法律に基づいて、それがきちっと行われているかどうか、厚生労働省から各部門に対して適正実施の勧告というものが行われているわけでございます。

 この勧告、私もちょっと拝見をさせていただいているわけでございます。関係法令として、これは法律の三十九条あるいは施行令の二条に基づいて行われているわけでありますけれども、この勧告を実施して、どのような効果が今までにきちっと見込まれているのかということをちょっと質問したいなと思っております。

 あわせて、これは、二〇一二年度末までにすべての公的機関の雇用率を達成するという目標を掲げているわけでございます。その雇用の取り組みをどのように促進していくのかという中身を、具体策をお伺いしたい。

 それから、この適正実施勧告の発出の中で、私はとりわけ気になった点があったわけですが、やはり都道府県の教育委員会の達成率の低さでありますね。これにつきましては、勧告についても、先ほど申し上げた施行令の二条においては、通常は政令で定める雇用率は二・一ポイントという形でありますけれども、ただし、都道府県に置かれる教育委員会その他厚生労働大臣の指定する教育委員会にあっては二・〇ポイントという形で、少しここで配慮がされているわけであります。

 しかしながら、調査によると、都道府県の教育委員会の達成率の低さというものは、私からすれば目に余るものがあるという形であります。とりわけ京都と奈良でしたでしょうか、この二つの県についてはきちっと達成、同じ都道府県の教育委員会でもきちっと達成をしている県があるんですね。そういう事例があるにもかかわらず、他の都道府県はまだそこが達成をされていないという状況からすれば、これは少し取り組みの状況が弱いのではないか、きちっと勧告を行っているというところからすれば、これはさらに問題視を強めていただいて行う必要があるのではないかというふうに私は思うんですが、いかがお考えでしょうか。

岡崎政府参考人 公的部門での雇用というのは本来率先して行うべきということで、一・八に対しまして二・一ないし二・〇という高い雇用率を行っております。そういう中で、残念ながら達成していない機関があるということで適正実施勧告をしているわけでございます。

 まず、教育委員会以外の機関の状況を申し上げますと、十七年に五つの機関、それから十八年に四つの機関に対しまして適正実施勧告を行っておりますが、十七年の場合では、五つのうち三つは達成していただいて、その他残りの二つもそれなりに進展はしたという状況でありますし、十八年は、四つの機関のうち達成したのは一つでございますが、ほかの三つも相当不足数は減少した、それなりの効果はあったということでございます。

 二十四年に向けてというお話もございました。国の機関等はほとんど達成しておりますが、まだ地方公共団体等で達成していないところがある。そして、御指摘の教育委員会につきましては、大阪と京都は達成しているという状況でございます。

 ただ、逆に言えば、残りの四十五は達成していない。これにつきましても適正実施勧告をして、今やっておりますが、正直なところ、まだ十分には進んでいないという状況でございまして、昨年十月には、各都道府県の労働局長が原則として教育長さんをお呼びして、きちんとやるようにというような指導を行ったりというようなことで、指導を強めているというのが一つでございます。

 教育委員会の中でも、教員採用に障害者の特別枠を行う等々いろいろな取り組みはしていただきつつありますが、教員だけではなくていろいろな部門を持っておりますので、京都、大阪の例も見ながら、ほかの教育委員会に対しましても、そういう形での推進をお願いしている。

 そういうことを含めまして、平成二十四年という目標を立てておるわけでございますので、関係省庁とも協力しながら、公的機関は本来率先して障害者雇用を進めるという立場に立った対応ができるようにということで努力してまいりたい、こういうふうに考えております。

茂木委員長 岡崎部長、それなりの成果というのは、日本語として決して成果が出ているということではないですから、次から気をつけてください。

園田(康)委員 しっかりとした取り組みというものは国みずから率先して行うべきであるし、また公的機関、これは都道府県も含めて、やはり範たる公的機関が率先して取り組む問題であろうというふうに考えておりますので、ぜひ、そういった面をしっかりと指摘しながら進めてほしいというふうに思っておるところでございます。

 ところで、障害者の常用雇用と言う場合、今回さまざまな形で厚生労働省は使われていらっしゃるわけですが、この常用雇用の定義というものはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

 また、正規、非正規別の実態というものをきちっと把握しておかなければいけないのではないかというふうに思っておりますけれども、今現在、公的機関がちょっとないということかもしれませんけれども、公的機関、民間の別でのそういった状況というものはどのように今把握されていらっしゃるでしょうか。

岡崎政府参考人 常用の概念でございますが、雇用契約の形式のいかんを問わず、事実上期間の定めなく雇用されているという概念でございます。従来でいけば、雇用保険の一般被保険者になっているかどうかで判断をしてきております。

 そういう定義でございますので、いわゆる正規、非正規という概念での分類にはなっていないという状況でございます。現在、官民問わず、六・一報告等で報告は求めておりますが、その場合におきまして、正規、非正規という区別での報告は求めておりませんので、残念ながら、そういう統計は今のところ持っていないという状況でございます。

園田(康)委員 残念ながら、今はまだ持っていないということでありますので、先ほど申し上げましたように、雇用の実態をしっかりと把握するということがやはり一つのポイントになってくるというふうに私は思っております。したがって、いろいろな調査方法というものをこれから考えていかなければいけないんだろうなというふうに思っておりますので、その実態がわかるような形の調査項目というものもさらに追加をしていただくなり、検討をしていただきたいと思っております。

 さらに、雇用されている障害者のうち、最低賃金の適用除外を受けている方について、それぞれ民間の場合の障害種別ごとの人数というものは、あるいは賃金の実態、どのような賃金形態で雇われているのかという実態は、基準局の方ではおわかりになっていらっしゃいますでしょうか。

青木政府参考人 平成十八年に、最低賃金法に基づく最低賃金の適用除外許可を受けている者については、精神または身体の障害により著しく労働能力が低い者については三千七百五十五人でございました。そのうち、精神の障害により著しく労働能力の低い方については三千四百九十二人、また、身体の障害により著しく労働能力が低い方は二百六十三人というふうになっております。

 また、その状況でありますけれども、この十八年の適用除外許可の中で、賃金支払いの分布でございますが、三千七百五十五人の許可人員のうち千百十三人を抽出調査いたしましたところ、賃金の下限額が、通常の賃金の八〇%以上が二六・四%の方、六〇%以上八〇%未満の賃金が五一・八%の方、四〇%以上六〇%未満の賃金は一八・四%の方、四〇%未満の賃金は三・五%となっているところでございます。

園田(康)委員 そうしますと、最低賃金を下回るということが、これは特例事項でありますので、適用除外という形で前回のところから定められているわけでありますけれども、最低賃金を下回るというのは、私から言わせれば、やはり異例中の異例の話であるわけです。

 したがって、これをそのまま、本当にそうであるのかどうかというものもきちっと把握をしながら、とりわけ六〇%、最低賃金ですからね、最低賃金のさらにその六割しか払えていないという実態が、これは常用雇用とか雇用されている実態として果たして適当なものであるのかどうかということは、さらにやはりもう一度考えておく必要があるのかなというふうに思っておりますので、もう少し調査を進めていただいて実態を把握すると同時に、このままの状態でいいかどうかということは、やはりもう一回議論をさせていただきたいというふうに私は思っております。

 だからこそ昨年の最低賃金の改正のときにも、さまざまな形で全体的な引き上げを求めていかなければいけないのではないかというのは、この委員会での共有した考えであったというふうに私は理解をしておりますので、障害を持っている、あるいはそれによって、この部分は仕方がないんだということではやはり済まされないというふうに考えております。

 そして、調査室の資料の中にありましたけれども、先ほど来出ております就業・生活支援センターの事業実施状況によりますと、十八年度末時点において支援対象障害者数、登録数でありますけれども、二万二千三百三十九人、就職件数は三千六百三十四人、就職後の六カ月経過時点での職場定着率は七五・六%というふうに数字が出ておりました。

 これはもう全部一緒くたになって、七五・六%が職場定着であるというふうに出ていたわけでありますけれども、これは、障害種別で見るとどういうふうになっているのかというところをちょっとお伺いしたいわけであります。

 と同時に、これは六カ月の経過時点だけではなくて、一年経過したら定着率というものはどのようになっているのかという質問をさせていただきたいと思うんですが、聞くところによると、この数字を持っていないということであったわけです。

 私はこの定着率というものは、就職をあっせんする、促進する、これも本当に重要なことである、そして就職をした後の、それがきちっとやはり定着をしていく、先ほど申し上げたように、労働と生活そして福祉というのは一体となって、きちっとした支援をしていかなければいけないというふうに私は考えておるところであります。ただ単に就職をした、それで、じゃ後はいいんだという形にはならないというふうに思っております。その考え方も含めて、この定着率についての今後の調査も含めて、どのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いします。

岡崎政府参考人 障害者就業・生活支援センターについては、それぞれ、社会福祉法人等に委託して事業を行っているわけであります。その際、受け手の社会福祉法人の事務負担その他も考慮して報告事項を決めた関係で御指摘のような数字しかなくて、障害種別ごとの定着率あるいは一年後という数字を現在のところは持っておりません。

 ただ、この施策は、御指摘のように、就職さえすれば終わりということではなくて、きちんと定着してそれをフォローしていく、それも個々の状況に応じて、六カ月で終わりという発想ではなくてずっと支援していく、こういうものでございます。したがって、悉皆してとるかどうかは別としまして、この状況、あるいはその機能がうまく果たされているかどうか、いろいろな形で把握しながら施策の充実に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

園田(康)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 後ほど触れますけれども、ジョブコーチの場合は、これは定着率が八五%を超えている。目標値においても八〇%を超えていくんだという形で、それは達成されています。私自身はこの部分は評価をさせていただいておりますので、それをフォローアップするためには、ぜひこの調査もしっかりと行っていただくと同時に、もし定着率の部分を見て、それを置くという政府の姿勢があれば、職場の方々、事業者の方々も、そういう意識でしっかりとやっていかなきゃいかぬというふうに伝わっていくのではないかなというふうに考えております。よろしくお願いを申し上げます。

 続いて、やはり先ほど少し議論になっておりましたけれども、生活支援センターと福祉の分野との連携というものはきちっとしておきたい、おかなければならないというふうに思っておりまして、その連携というものは大変重要であると考えております。地域において、相談支援業務というものをあわせてその中でしっかりと行っていかなければいけないわけでありますけれども、自立支援法の議論の中で、地域の自立支援協議会を設置して、相談支援事業をその中においてしっかりと行っていくというふうに掲げられていたわけであります。

 私は、この自立支援協議会の役目というのは大変重要であり、そして、地域において障害福祉の分野をきちっと連携、ネットワークをつくっていくためにはここの部分が核となる必要があるというふうに、私はこの部分はいいと思っておるんですが、この設置状況と施行の実態の中身というものをどのように把握されていらっしゃいますか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 自立支援協議会の設置状況でございますけれども、都道府県につきましては、現在、四十七のうち四十五が設置されております。市町村につきましては、平成十九年十二月一日現在、千八百二十一のうち九百四、四九%で設置をされておるというところでございます。

 御指摘がございましたように、私どももこの自立支援協議会というのは大変大切なものだというふうに思っておりますので、すべての都道府県、市町村で設置されるべきだというふうに考えておりまして、担当者会議などを通じまして設置を促しておるところでございます。

 また、地域自立支援協議会の運営状況につきまして昨年調査を行いましたところ、どのように運営したらよいかわからないとか、あるいは専門的な知識を持った人材が確保できないなど、一部の市町村におきまして運営上の課題が見受けられました。このため、一つは、都道府県からのアドバイザーの派遣を補助事業の対象にしたり、あるいは二つ目といたしまして、自立支援協議会の運営マニュアルを作成するなどの支援を行っておるところでございます。

 いずれにいたしましても、私どもも、先ほど申し上げましたように、自立支援協議会は大変大切なものだというふうに思っておりますので、今後、設置あるいは運営につきまして引き続き努力をしていきたいというふうに思っております。

園田(康)委員 私も地元でいろいろお話を聞いておりますと、この自立支援協議会、今部長からも御答弁がありましたように、市町村においてはまだ半分、全体で千八百二十一ある市町村のうちの半分しかまだ設置をされていないという状況、そして、設置されていたとしても、何をどういう形でやっていっていいかというのがわからない状況になっている。つまり、ただ単に設置しましたよというだけでは、これはネットワークとして機能しないわけなんですね。

 あるいは、もっと申し上げるならば、自立支援協議会の中だけではなくて、さまざまなほかの施策の中において、ネットワークで、会議、会議、会議で、やりましょう、やりましょうというふうにやっているところはあるんですけれども、しかしながら、同じようなメンバーが同じような集まりで、ただ単に繰り返しをやっているだけにすぎない。

 であるならば、ほかの施策をもう少し集約して、ここをきちっと拠点として、そこからネットワークとしてさまざまな情報交換あるいは施策の連携というものにしていくんだという一つのキーポイントにしていただければなというふうに思うんですね。あれもこれもそれもということでは、何をやっているのかわからない、施策がぼやけてしまっているというところがありますし、また、それだけに時間をとられてしまうという状況では、本当に必要なサービスと必要な支援をしなければいけないというときに、どうしてもこれが足かせになってしまっているところも実はあるというふうに思っています。

 だから一回もう少し整理をして、自立支援協議会というものが、どのような役割を示して、そしてそれが地域のネットワークの中でどういう役割を担っていくのかというところをもう少しきちっと周知徹底をしていただければ、私はもっと機能を図れるのではないかなというふうに考えておりますので、ぜひとも、この自立支援協議会のものをあわせて行っていただきたいというふうに思います。

 そうすれば、これはハローワークとの連携、あるいは先ほども申し上げた就業・生活支援センターとのかかわり、あるいは先ほど高木委員からも御指摘があったような特別支援学校との連携、医療機関との連携、各市町村との連携というものがきちっと機能させていけるのではないかなというふうに私は思っております。そうすれば、学校から就職あるいは訓練から就労に結びついて、その就労の後の定着、生活支援、そういったものがパッケージできちっとできる形になるのではないかなというふうに考えているところでありますので、ぜひ、核となる部分をしっかりと担っていただきたいというふうに思っております。

 それから、今般の労働施策の関連の中でお話をもう少し進めさせていただくならば、就労移行支援事業の中において、施設外授産というのがございますね。それから、職場見学の実習というものが図られております。この施策はどのようなものであるのかということ。

 それから、私自身が伺っておるところによりますと、例えば施設外授産をやっている場合に、公的な保険がないという御指摘があったわけでございます。すなわち、事業場に出かけていってそこで訓練をしながら、職場の内容をしっかりと把握しながら、適応できるかどうかというところを図っていくという部分でありますけれども、そこで働いているときに労災的なけがをした場合に、実は保険が課せられていないというところからすれば少し不安がある。働く障害者の方からも不安があるし、あるいは事業主からしても、そういったところでもし何かあったときに責任をとらなければならないというような形になってしまうのではないかという不安があって、なかなかこれがしっかりと進まないという状況もあるように聞いているわけでありますけれども、この辺の状況も踏まえて、どのようになっていらっしゃるでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 障害者自立支援法におけます就労移行支援事業あるいは就労継続支援事業におきましては、当該事業所内での生産活動だけでなく、一般就労への移行を促進するために、一定の要件を満たした上で事業所以外の場所での活動を行う場合、施設外就労支援として報酬算定の対象としておるところでございます。

 この施設外就労支援につきましては、企業内での就労あるいは職場実習、見学を含む求職活動、在宅就労などの事業所外での活動が含まれるものでございます。

 この施設外就労支援につきましてさらなる促進を図るために、平成二十年度におきましては、都道府県に設置されております基金を活用いたしまして、施設外就労支援によって一般就労に結びついた場合には、実績に応じて助成を行うこととしたところでございます。

 また、御質問ございました、施設外就労支援によりまして事故等が発生した場合の対応につきましては、運営基準上、事業者が損害賠償を速やかに行わなければならないということを定めるとともに、通知におきまして、このために損害賠償保険に加入しておくことが望ましいことを指導しておるところでございます。

 なお、全社協におきまして福祉サービス総合補償という仕組みをとっておられまして、在宅福祉サービス、介護保険サービス等を実施する団体並びに従事者を被保険者といたしまして、全社協が一括して保険会社と契約をされているというような仕組みがございます。

園田(康)委員 全社協さんの資料を私もいただいているわけでありますけれども、しかしながら、これはいわば損害賠償の対象にならないようにというような話ではなくて、公的な部分の補償というものがきちっとやはり担保されなければならないのではないかな、私はそういう方向で少し検討をしていただきたいと思います。

 すなわち、これは就労に実際に移行する際に、何段階か状況があるというふうに私は思っております。後ほど取り上げさせていただきますけれども、就職に至るマッチングの、移行の前の段階、すなわちトライアル雇用をする前の段階でも、施設外授産という形式は大変重要な施策であろうというふうに考えておるわけでございます。これは割と、私の地元の企業さんにしてみてもかなり受け入れやすいというか、それによって障害の特性なども見ながら、ああ、こういう仕事ができるんだ、あるいは、こういう子にはこういう形の仕事をしてもらおうと。

 そこで、また、トライアル雇用になる前の段階で、いわば顔見せ的なところもあるんですけれども、そういう施設外授産というものをきちっと位置づけてどんどん推進していくことによって、さらに雇用の場が広がると同時に、事業主側の理解度が私は深まるのではないかな。そうすれば、どんどん積極的に意識も変わって、トライアル雇用で、じゃ一回ちょっと半年間やってみようというような形にさらにここで、きっかけになるところですから、この部分をもう少しきちっと、福祉部の方からも強力に推し進めていただきたいというふうに思っております。そのための補償というものも同時に考えていただきたいということであります。

 それから、就業・生活支援センターの役割の重要性というのは先ほど来御指摘があるわけでございますけれども、やはりマンパワーの充実というものは、もっともっとさらに拡充をしていっていただきたいところでございます。

 先ほどの話でも、これはさらに充実を図っていきたいというお話もありましたし、また、現在の設置数でいきますと、割と進んできているということでありますけれども、しかしながら全障害福祉圏域からすれば、四百ぐらいでしょうか、そこからすればまだまだ足りないわけでございますので、ぜひともこれは全障害福祉圏域の中に設置するように、これもなるべく早く図っていただくように努力をお願い申し上げておきたいと思っております。これは要望だけにとどめておきます。

 それから次に、職業センターであります。

 障害者職業センター、これも大変重要なもう一つの役割のセンターであろうというふうに私は思っております。各都道府県に設置をし、そして、場合によってはそこから支所というものを設置して、さらにその支援的な部分を行っていくというふうに伺っておりますけれども、この職業センター、しかしながら、支所の部分が完全な形で網羅されているかというと、まだそうではない。

 私の県、岐阜県について申し上げては大変恐縮でございますけれども、大変広い県で、しかも、そのセンターがあるのは岐阜市一カ所であります。今、高速道路網が充実されて、飛騨高山というところから岐阜市に通おうと思えば通えない距離ではない。しかしながら、その部分でいくと、通勤というかそこに至るまでの経路は、やはり片道、最低でも一時間半以上はかかってしまうという形になります。そうなりますと、職業センターで研修を受けて、またさらに帰っていくという道中もやはり大変危険が生じる。ふだん疲れながら運転すると、またそういった事故にもつながるのではないかなというところがあります。

 限られた予算の中で、これをさらにふやしていくというのは大変難しいであろうというふうに思っておりますけれども、できるだけそういったきめ細かな支援というものを行っていく、さらには、それを担うセンターとしてきちっとした役割を示していくということであるならば、センターとともに、さらに支所の設置も含めて考えていただけないかなというふうに思っておるところでございます。

 さらに、ちょっともう一問、あわせてお答えをいただければなと思っておるんですが、先ほどジョブコーチの話が出ておりました。

 このジョブコーチにおいては、これも今の現状でいきますと、地域のセンターにおけるいわば設置型のジョブコーチというものが、全部で九百二人のうち三百四名。それから第一号のジョブコーチ、これは福祉施設におけるジョブコーチでありますけれども、五百六十七名。さらに二号ジョブコーチとして、これは事業所の中に入ってのジョブコーチでありますけれども、これは三十一名という形であります。

 これを先ほど、二十三年までにだったでしょうか、五千人までという目標値が今掲げられております。今の現状で本当に五千人までいけるのかどうかというのは、ちょっと私、まだ不安を持たせていただいています。

 すなわち、職業センターのマンパワーもまだまだ足りない職員でありますし、研修も、今一生懸命やっていただいているところは私も見て聞いて伺っております。そういった面で、でも、これをまたさらに全体の数で五倍までふやしていくとなると、この中に相当な力を注いでいかないとなかなか難しい。実際にふたをあけたらそれができなかったということにならないようにしていただきたいというふうに思っておるんですが、その辺の対応方はいかがお考えになっていらっしゃるでしょうか。

岡崎政府参考人 一つ目の、地域障害者職業センターの件でございますが、これは、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の組織として置いてございます。

 これをふやすかどうかということにつきましては、その独立行政法人としての規模をどうするかというような問題等も絡んでくる中で、どうしていくかという検討をしなきゃいけないだろう。そういう中で、むしろ、地域障害者職業センターは各県ごとの中核的な職業リハビリテーションの専門機関としつつ、先ほど来御議論いただいております就業・生活支援センター等々を県内におきます一定のネットワークとしながら、そこへのノウハウの提供等を進めながら、県内全体での職業リハビリテーション体制を整えていく、こういう考え方で現在のところ対応しているということでございまして、そういうことを含めまして適切な体制の確保に努めてまいりたい、こういうふうに思っております。

 それから、ジョブコーチにつきましては、人数、現在の状況は御指摘のとおりでございますが、先ほど申しましたように五千人まで養成をするということで、従来から、高齢・障害者雇用支援機構での研修に加えまして、民間機関での研修コースも指定して対応しているところでございますが、そういうことを含めましてジョブコーチの育成に努めてまいりたい。これは、やはりきちんとした研修がないとちゃんとしたジョブコーチになりませんので、ちゃんとした研修ができるところを指定して、民間の力もかりながら養成していきたい、こういうふうに考えております。

園田(康)委員 ぜひお願いを申し上げます。

 岐阜の例ばかり申し上げて恐縮なんですが、ここの職業センターも、たしか指導員が六名であったと思っております。この六名であの広い岐阜県の中もやっていくとなると、一人一人にかかる負担というものが大変厳しいものになってくるということであります。独立行政法人の運営のあり方でもありますけれども、やはりこの辺は、きちっとした訓練等が研修としてできるような、そういったものに結びつけられる支援というものを厚生労働省としても考えながら行っていただきたいというふうに思っております。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、少し質問を飛ばさせていただきたいと思います。

 今回、法改正によって、短時間労働者の雇用義務の対象への追加という形がなされております。これはいろいろ御指摘がありまして、当事者である障害者の方からも、やはりフルタイムでの働きはちょっと厳しいと同時に、いわゆる状態像なんかも、精神障害の方々からすれば、そのときそのときでかなり状態像が変わる場合がある。そういうときにはやはり病院に行きたい、あるいはすぐ休んでおきたいというニーズというものもしっかりと受けとめていかなければいけないというふうに思っておるところでございます。

 ただ同時に、一つ少し気になっていることがありますので、この点ちょっと、後ほどひょっとしたら出るかもしれませんけれども、私からも問題意識として共有をしておいていただきたいというふうに思っております。

 それは、まず、短時間労働者を雇用義務という形で今回行うわけでございますけれども、そうなったときに、要は、今フルタイムで働いている方を、ではこれを短時間でもいいんだという形で仮に雇用主の方が考えて、フルタイムから、わざとではありませんけれども、いわば、フルタイムでないこういった短時間への振りかえというものがなされる一つの危惧が私はまだあるのかなというふうに思っております。

 それに対するきちっとした措置をとっておかないと、短時間労働者になれば、どんどん社会保険が、運用の中ではやっていらっしゃるということを私は伺ってはいるんですけれども、そういったものが、いわば雇用主からすれば保険を払わなくてもいいんだというような形に振りかえてしまおうという形になりかねない、一つ間違えばなりかねないところもあります。

 そういった部分をどのように今考えていらっしゃるのか、改めてちょっとお伺いをしたいと思っております。

岡崎政府参考人 短時間労働者を義務の対象にする際に、一つは、どういうカウントにするかという議論がございました。やはり短時間の場合もフルタイムの場合と同じように一のカウントにすると、短い時間の方に企業側のインセンティブが働くんではないか、こういう議論もございまして、そういう中で、三十時間以上の方については一カウントにいたしまして、二十時間から三十時間のところは〇・五カウントにした、そういう一つの歯どめ措置は内在させたというのが一つでございます。

 一方、障害者雇用促進法の八十条という規定がございますが、ここで、現に短時間で働いている方がおられるわけでございますが、障害者である短時間労働者の希望を踏まえて、フルタイム労働に移行させる等、適切な待遇を行うように努めるという事業主の義務も現在の雇用促進法の中にございます。

 こういう規定等も活用しながら、障害者雇用対策基本方針というガイドラインも法律に基づいて定めておりますが、場合によってはこういったものの改定等を含めまして、今御危惧のようなことがないようにきちんとした対応を進めていきたい、こういうふうに考えております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 そうすると、今部長からお話がありました八十条の規定でありますけれども、今おっしゃっていただいたように、「短時間労働者に対し、その有する能力に応じた適切な待遇を行うように努めなければならない。」と、努力規定になっているわけでございます。ここからさらに、短時間労働の方が、今回の法改正によって、労働者の体力の低下であるとかそういった合理的な理由がある場合を除いた部分に関しては、やはりこの所定労働時間というものに対してしっかりと大臣が定める、労働時間の短縮をしてはならないというような形へ結びついていけるように、ぜひお願いを申し上げなければならないのかなというふうに思っております。

 そして、それがきちっと、事業主の方々にもわかりやすいように、今部長もおっしゃっていただいた基本方針、現行の基本方針を私も拝見させていただきましたけれども、残念ながら、今の規定ぶりでいきますと、きちっとした形の短時間労働者に対する対策、対応策というものが書かれていないわけでございます。

 例えば、ここの第四の六の「多様な雇用・就労形態の促進」というところで書かれているんですが、「短時間労働、在宅就労等の普及は障害者がその能力や特性に応じて働くための機会の増大につながるものであり、必要な支援、環境づくりに取り組むこととする。」ということぐらいしか書かれていない。

 となると、今回の改正が行われたならば、やはり短時間労働で振りかえが行われる、安易な代替措置という形に結びつく可能性があるんだという指摘があるならば、この部分もきちっと、先ほど改正も含めてというふうにおっしゃっていただけたので、この部分がさらに浮き彫りになるように、事業主、雇用主に対して、もう少しメッセージとして発していく必要があるのではないかなというふうに私は考えております。

 と申し上げるのはなぜかと申し上げますと、これは大臣もおわかりだというふうに思っておりますけれども、今政府から提案をされている法律の、被用者年金の一元化の法案がございます。この中の一文で、パート労働者に対する社会保険の適用対象範囲の拡大というものがございますね。これは政府から提出をされておられるわけですから、当然これも念頭に置いていたわけであろうというふうに思っております。

 すなわち、二十時間以上のパート労働者に対しても社会保険の適用対象とするんだということを法律として、もう今既に政府は提出をされていらっしゃる。これは残念ながらまだ審議に入っておりませんので、私どもも、この部分に関しては少し前向きにとらえていかなければいけないというふうに考えておりますけれども、もし仮にこの法律が審議、成立をしたという形になれば、施行時期については、これは二十三年の九月一日から既にパート労働者に対する社会保険の適用対象が拡大されるわけですから、障害者も含めて、全部ここの部分に入っていくわけなんです。

 したがって、それに先行するような形でこの障害者雇用促進法があるわけでございますので、この部分で、短時間労働者まで今回拡大をして適用対象とするというふうに明言していただけるのであるならば、私はかなり進んだ形になっていくものだというふうに期待をさせていただいているわけでありますけれども、この間を、大臣、どのように取り組んでいかれるのか、その決意といいますかお考えをお聞かせいただきたいと思います。

舛添国務大臣 当然、その一元化法の形になるわけですが、今委員おっしゃったように法律が成立しないと、それで、二つの法律の間にタイムラグがあるというようなことがあったときも、一元化法案の規定でやろうということですから、そこは、障害者雇用対策基本方針において、短時間労働者の社会保険の適用関係にきちんと追記をするとか、その八十条の規定に基づいて、適切な待遇を短時間労働者に対してもすべきであるというようなことで、運用の改善で行っていきたいというふうに思っております。

 同じ時期に成立すればそれが一番いいわけですけれども、国会の都合もございますから、タイムラグによって理想がかなえられないようなことは、いろいろな手を尽くして阻止するということであります。

 片一方で、今度、短時間労働者も法定雇用率の対象となるということなので、これを悪用してフルタイムの労働者を短時間労働者に切りかえるというようなことがあってはいけませんので、これは非常に気をつけながらやっていきたい、そういう方針で臨みたいと思っております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 法律の過程は別といたしましても、今回、短時間労働者を雇用義務の対象としていくという方針に関して、私も、これがすべてではないというふうに考えておりますけれども、これを契機にして障害者の雇用の促進を、まさしくこの法律の名称どおりだろうというふうに思っております。これを進めていっていただくと同時に、その労働環境、先ほど来申し上げておりますように、ただ単に就職をしてそれで終わりということではなくて、その労働環境と定着というものに焦点を当てて、これからさらにこの法律が拡充をしていくというふうに持っていっていただきたいと申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

茂木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五分開議

茂木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。郡和子さん。

郡委員 民主党の郡和子でございます。

 障害者雇用促進法の本案の審議に入ります前に、まず、大臣に冒頭伺わせていただきたいと思います。

 きのうも冷たい雨が降る中、日比谷公園で、原爆症の認定の全面解決を求めて、原告の皆さんたち、そして被爆者の方々が座り込みの行動を行いました。きょうもパレードを行って、そしてまた全面解決に向けた総決起大会も開かれるということでございます。

 先月二十八日、私の地元の仙台でも高裁判決が言い渡されました。そして三十日の大阪高裁の判決、いずれも原告の勝訴でございます。

 ことしの四月二十一日だったかと思いますけれども、我が党の高木衆議院議員の決算行政監視委員会での質問に対して、大臣は、五月末の高裁判決の判断をいただいた上で、政治の判断ができるかどうか、これはもう積極的に救うとの精神で高裁の判断を注意深く見守り、その上で何らかの判断なりを行いたいというふうに答弁されました。

 積極的に救うとの精神でとまで言っておられたわけでございます。今回の判決で認定されました甲状腺機能低下症を含む機能障害についても積極認定の対象と認めるべきでございましょうし、また、大阪高裁の判決の趣旨を尊重して、放射線の影響が疑われるのであるならば被爆者の利益を第一に認定していくという判断の基準を導入して、被爆者の救済に軸を置いた総合判断を行うべきと考えますけれども、まず大臣、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 今委員が引用くださいました四月二十一日の私の決意、発言、ずっとその方針は堅持をしております。

 それで、今、仙台、大阪、二つの判決が出ておりますので、この判決内容について五百ページ近くありますので細かく見ていますのと、法務省、財務省、関係省庁との連絡がありますのと、もう一つ、今、福田総理が不在でございますので、こちらで今準備をしています。

 それで、ポイントが幾つかあると思うんですが、一つは、この前、新しい認定基準を専門家の方々につくっていただきました。これはこれで一定の意義があるのは、これで今までの十倍の千八百人の方が救われる、訴訟なさっていた方も、新しい基準で救われた方がおられます。この認定基準を念頭に置いて二つの司法の判断が下されました。

 そこで、では、認定基準をもう一度つくりかえるのかというのが一つ問題があります。私の今の判断は、この新しい認定基準のもとでも個々のケースについて総合的な判断を下して、つまり、例えば病名で、認定基準として、ないケースについても救うことができるシステムがございますので、例えばこれを活用するということは当然念頭に置いてあります。

 そういうことで、これは最終的には国全体の方針でございますので、最後は福田内閣総理大臣の御指示を仰がないといけませんけれども、皆さん大変御高齢になっている、それで、今おっしゃったように、この冷たい雨の中でいろいろな行動も起こしておられる。

 私は、やはり積極的に、一人でも多くの方を救うべきだというふうに思っていますので、今、法務省、財務省と精力的な折衝を重ねているところでございますので、総理が外遊からお帰りになった暁に何らかの形で、私の基本方針が何とか実る形で努力をして、決断を政府全体として下したいと思っております。

郡委員 今、舛添大臣は、専門家がつくられた新しい審査の方針のことをおっしゃられたわけですけれども、それも不十分であるということが今回の高裁判決で明らかになったわけですね。

 また新しい方針をつくるのかどうかということも、検討されるということなのだろうと思いますけれども、やはり、これまで裁判でも闘ってこられて、司法の場では原爆症だというふうに言われていても、国の認定から外されてきている方々が大勢おられるし、そしてまた、新たに被爆者の間にも線引きがされるんですよ。このことについて被爆者の方々は大変苦しんでおられます。それぞれに健康被害を抱えたまま、ずっと長いこと過ごしておられるわけですから、ぜひ、このあたりのところはしっかりと見ていただきたいと思います。

 以前、仙台高裁の判決が出た後で、私ちょっと残念に思った大臣の発言がございました。それは、新しい審査の方針、専門家の意見を聞いて決めたのだから、今回の裁判の判断とはまた違うんだ、そういう意味のことをおっしゃったかと思うんです。

 その専門家の知識を得てつくられた審査の新しい方針ではありますが、この問題についての科学的知見というのはまだまだ途上でございます。放影研の所長でさえも、これまでこの問題を長く研究されてきた所長でさえも、この原爆被害というもの、放射線の被害というものについてはまだ五%しか解明されていないんだというふうに言っておられるわけです。まだまだ解明の途中であるということで、ここはぜひ、被爆者の方々の実態に即して認定をお進めいただきたいと思います。

 福田総理、外遊中でいらっしゃいますけれども、福田総理も大変このことについては前向きな御発言もいただいていると承知しております。官僚の方々のレクですと、お金がこれぐらいである、しかも科学的知見はここまでなんだということを言って動かないわけですけれども、ぜひとも、これは政治家として、やはり解決すべきは解決するんだということをしっかり御発言いただきたいと思います。そこをまた御確認させていただきたいと思います。

舛添国務大臣 私が申し上げたかったのは、司法の判断があります、しかし、専門家の先生方も一生懸命頑張っていただいて新しい基準をつくられて、どっちの方が正しい、どっちの方がいい、そういうことではなくて、新基準で十倍の方が救われるようになったので、この新しい認定基準には一定の意味がある、そういう意味で申し上げました。

 それから、例えば、今私も検討していますけれども、仙台判決で要医療性の有無というのがありましたね。これなんかはやはりある意味で、どういう病気を認定するんだ、甲状腺の障害とか白血病とかいろいろありますね、そういうことに注目が行っていて、要医療性ということについては、実は私は本格的な議論があったのだろうかというように考えていまして、これは、司法の判断をいただくというのはそういう意味で、新しい要素を入れて考えるということですから、私は、やはり要医療性の問題なんかについてきちんと議論をすべきだというように思っています。

 とにかく、原爆の被災者というのは、本人に全く責任も何もありません。そういう境遇に遭われて、しかも御高齢であって、そういう方々に対して、積極的に国として救うものは救う。

 そして、そのときに、これは当然財源は税金ですからきちんと国民の皆さんに御説明をして、みんなで、共助の精神でこういう本当に困った方々に対して救いの手を差し伸べるのは、日本国民として、これはしかるべき手でありますということをきちんと説明する必要もあると思いますので、そういうことをきちんと説明し、国民の皆さん方も私は必ず賛同してくださると思いますので、そういう方向で努力をしてまいります。

郡委員 ありがとうございます。まさに、被爆された方々の実態と被爆者援護法の趣旨に沿った形で、ぜひ、大臣そして福田総理の決断をお願いしたいと思います。

 その際にも、被爆者の方々とぜひ会っていただいて、こういう状況であるという声に耳を傾けていただきたいと思います。会っていただけますでしょうか。

舛添国務大臣 これまでもお会いいたしましたし、しかるべきときが来れば、きちんとお会いしたいというように思っております。

郡委員 まだ上告断念の声は聞いておりませんので、今週末にも福田総理が戻られて早々に、きっと声が聞かれる、断念という声が聞けることを念じております。

 それでは、障害者雇用促進法の質問に移らせていただきたいと思います。

 障害者雇用促進法の職業リハビリテーションという制度がありますけれども、これに関しては、身体障害の方、それから知的障害の方、精神障害の方のほかに、職業上に制限がかかる発達障害の方、それからまた高次脳機能障害の方、難病の方など大変幅広く対象とされております。

 しかし、なかなか、手帳のない方の就労支援施策の利用が低迷しているのですね。なお、私も大変驚きましたけれども、幅広に設定されているそういう制度の中で、障害者職業能力開発校の受講者におきましては、昨年度まで、手帳のある方のみしか入れないというふうになっておりました。これは考えてみましたならば、雇用、実際の就労という出口が大変狭い状態ですから入り口の訓練もおのずと狭くした、そんなふうに見てとれるような気がしてなりませんでした。

 障害者雇用促進法の実雇用率へのカウントや雇い入れ計画などの雇用率制度というのは、身体障害それから知的障害、精神障害のみが対象となっております。そして、納付金制度に基づく調整金ですとか奨励金、助成金措置においても、発達障害、高次脳機能障害、難病の方々などはほとんど対象外になっているわけですね。

 発達障害、高次脳機能障害、難病の、手帳のない方々は、訓練を受けても、実際の雇用の場面で事業主に対する助成措置などのインセンティブが働いていないわけですから、結果として、リハビリを行っても雇用につながらない、そういうのが延々とこれまで続いてきたのではなかろうか、そんな気がしてなりません。

 障害者を雇用する事業主を助成する制度として、障害者雇用促進法による納付金制度のほかに、雇用保険法に基づく雇用安定事業の特定求職者雇用開発助成金、いわゆる特開金という制度がございますけれども、この助成金は、障害者などの就職が困難な方々に対して雇用機会の増大を図るというのが目的でございます。

 この特開金の制度ですとか法定雇用率の対象として、今、手帳のない発達障害や難病の方々についてもこれをやはり適用して、幅を広げていくべきではないか、そんなふうに思うところです。手帳の有無にかかわらず、これらの対象範囲、要件の見直しと早急な制度改正が必要だと考えておりますけれども、今回の改正案の審議に際してこういったことは議論されたのかどうか、まず伺わせてください。

岡崎政府参考人 障害者雇用促進法の中で、障害者という定義は、先生おっしゃったように非常に広い定義として、職業上の障害がある方、こう広く記述してあります。

 ただ、雇用率制度等につきましては、きちんと制度として運用できるようにということで、それぞれきちんとした定義を定めております。身体障害あるいは知的障害については定義を定めて、それの確認方法として手帳制度を活用しながらやっている、こういうことであります。

 精神障害につきましては、定義の中で、手帳を持っている方とそれからいわゆる三疾患の方を対象にしつつ、ただ、現在、実雇用率の対象にするという意味においては、これは前回議論した中で、精神障害者の患者団体その他からの確認方法あるいは洗い出しみたいな話等の危惧もある中で、当面は手帳制度の中で実雇用率にカウントしましょう、そういういろいろな議論がある中でやってきているというのが前提でございます。

 そういう中で今回議論した中で、難病の方あるいは発達障害の方々、こういう方々への支援をどうするかという議論は行いました。ただ、現状において雇用率制度でありますとかに直ちに入れるということではなくて、それぞれ、その抱えている状況に応じた形で支援のあり方を考えていくというようなこと。特に発達障害につきましては、発達障害支援法があるわけでありますが、その法律の見直し等の状況も見ながら今後考えていく、こういうような議論になったということでございます。

郡委員 雇用促進法の雇用率制度、それから納付金制度においては、身体障害者の確認というのは原則として手帳だと。だけれども、手帳を持っていない者については医師の診断書、意見書によって確認をするというふうになっていますし、知的障害者についても原則として療育手帳だと。しかし、手帳を持っていない者については、知的障害者判定機関の判定書によって確認をするというふうになっているわけですよね。

 また、精神障害、今もお話ありましたけれども、納付金制度に基づく助成金の対象となる者の確認は原則として手帳だけれども、手帳のない者については主治医の診断書などによって行っているわけでございます。ただし、カウントするところについては、まだ手帳の交付のみとなっているわけですね、今局長からも長々説明がありましたけれども。

 一方、特開金の制度については、この対象者の証明というのは、助成金支給要領によりますと、きょう資料をお配りいたしました一枚目に、特開金と雇用促進法、それぞれの制度で対象がどうなっているのか書いてあるものですけれども、お配りしました。これを見てみますと、身体障害者は手帳、知的障害者は判定機関の判定書または療育手帳、精神障害者は手帳または主治医の意見書などとなっているわけでして、説明によれば、特開金の支給に当たっては事業主が雇用した者が障害者であることの確認が必要であるとして、原則として、障害者雇用率制度の対象となる障害者を対象としているということでした。

 では、精神障害者において、障害者雇用率制度の雇用障害者の算定、すなわち雇用率へカウントするかどうかというのは手帳を持っている者のみを対象としているのに、なぜ特開金の支給対象の範囲においては主治医の意見書でも認めることにされているんでしょうか。

岡崎政府参考人 雇用率制度と特開金制度との関係でございますが、身体障害者及び知的障害者につきましては、雇用義務としても、法定雇用率の算定にまで入れるという形の中で完全にインプットされている。そういう中で、特開金制度もそれとリンクする形で対象になっているということであります。

 一方、精神障害者につきましては、もともとは就職支援という方を行ってきて、その際、特開金制度の対象を含めて、精神障害者の定義が、手帳を持っている方とそれから統合失調症等三疾患、ですから、手帳を持っている人と手帳を持っていない三疾患の方。

 それで、これは手帳を持っていない方を前提としていますから、主治医の意見書という制度にもともとなっていたというのが前提としてある中で、実雇用率への算定で精神障害者をどうするかという前回の法改正の議論の中で、そこは使用者によるいろいろな洗い出しみたいな問題もあるので、実雇用率の算定については、手帳を持っている方を実雇用率の算定の対象にすべきである、そういう意見集約がされた。

 したがいまして、後から雇用率制度の方でそういう仕組みができた、こういう経緯でございます。

郡委員 ですから、特開金制度で、今御説明のあった統合失調症などを含んだ三疾患について助成金支給の対象範囲とし、そして医師の診断書などによって確認しているということでありますから、ならば、促進法の雇用率制度、納付金制度についてもこれを含めるというのは、これはいいんじゃないでしょうか。

岡崎政府参考人 確認方法としてどういうことにするかという問題と、そもそも制度の対象としてどういう方々を対象にするか。後から言った方がもともと前提にあって、それをどうやって確認するかというのは後からの議論かな、こういうふうに思います。

 そういう中で、どういう範囲の方を雇用率の対象にするか、身体障害者としてどういう方にするか、知的障害者としてどういう方にするか、これを決めている。その確認方法で、現在の身体障害者とか知的障害者については基本的に手帳の対象となる方々でありますので、確認方法も、基本は手帳とリンクさせながら確認する。ただ、いろいろな事情で手帳を持たない方については判定機関とか主治医の診断でもいい、こういうことにしているということであります。

 したがって、後から、対象が決まった中で確認方法が決まってきている、こういう関係であるというふうに理解しております。

郡委員 今の御答弁もよくわからないんです。わからないというより納得できないと思います。

 特開金制度というのはどういう制度だったんですか。雇用率とリンクした制度なんですか。そうではありませんですよね。前にも申しましたけれども、障害を持っている方々に対して、その就労がよりよく進むようにする、そのための制度なわけですよね。実際に、この特開金が、障害者の雇用によって生じる賃金払いについての補てんというか、そういう形になるわけです。

 同じように促進法の雇用率制度と納付金制度、これもいわばそういったような、雇い入れることに対しての経済的な負担の調整という意味合いを持っているわけでありますよね。であるならば、やはりこれは、片方がそうなっていて片方はそうなっていないという、どうも納得がいかないわけであります。

 特開金の精神障害者の範囲と同じように、促進法の雇用率制度の精神障害者の範囲も、手帳保持者以外にまず拡大すべきだというふうに思いますけれども、これについて、いろいろと御説明されるんでしょう。ならば、その手帳を持っている方々が何人おられるのかどうか、それについてはいかがでしょうか。

茂木委員長 中村部長、今度はわかるように説明してくださいね。

中村政府参考人 お答えいたします。

 精神障害者保健福祉手帳につきましては、平成七年の法改正で導入されたものですけれども、精神疾患を有する方のうち、精神障害のために長期間にわたり日常生活または社会生活への制約がある方を交付対象としております。

 手帳の所持者は年々増加しておりまして、平成十八年度末現在の交付者数は四十万四千八百八十三人となっております。

郡委員 では、精神疾患を患っている方は何人いらっしゃるんでしょう。

中村政府参考人 お答えいたします。

 精神疾患の患者総数につきましては、患者調査によりますと、平成十七年時点での推計で、入院患者及び通院患者合わせまして約三百三万人となっております。

郡委員 三百三万人のうち四十万人の方しか手帳をお持ちじゃない。手帳所持率というのは低いんだろうと思います。

 そういう中で、対象を手帳保持者に限るというのはどういうことかと。これも午前中の審議にもありましたけれども、やはりほんの一部しか利用できない制度でいいのかどうかという議論になるんだろうと思います。

 特開金制度と雇用促進法の間には障害者雇用支援制度としての矛盾点が、実はまだまだあると私は思っているところです。

 促進法に基づく職業リハビリテーション機関の支援、これは身体、知的、精神以外の障害者の方々も対象となっていますよね。ハローワークも職業リハビリテーション機関として、職業紹介、職業指導、労使への助言指導、トライアル雇用など各種の支援を行っているわけです。

 そのハローワークにおける障害者職業紹介業務取扱要領では、雇用促進法の対象となる障害者の範囲について、身体障害、知的障害、精神障害以外の障害者として、発達障害者、身体障害者の程度等級七級の者、それから促進法別表の身体障害に該当しない肝臓病、膠原病等のいわゆる難病、低身長症等の疾患、精神障害に至らない精神疾患もしくは高次脳機能障害等により、長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、もしくは職業生活を営むことが著しく困難な者が列挙されているわけです。

 そして、その確認の方法として、医師の診断書、意見書等を参考として、雇用促進法第二条第一号に規定する障害者の要件に該当するか否かを個別具体的に確認するとしています。

 特開金に係る職業紹介と助成金支給申請の受理は、ハローワークの同じところの業務なんですね。しかし、発達障害あるいは難病の方、高次脳機能障害の方などは特開金の制度から除外されているわけです。職業リハの支援対象となっていて、納付金制度に基づく助成金制度の一部についても対象となっている発達障害、難病、高次脳機能障害の方々は、なぜこの特開金の制度から除外をされているのでしょうか。

 それから、医師の診断書、意見書などによって「長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者」であることを確認できれば、これはよいということになるのじゃないでしょうか。なぜ特開金の制度から除外されているのか、しっかりと御説明をいただきたいと思います。

岡崎政府参考人 ハローワークでありますとか、あるいは地域障害者職業センターにおきます職業リハビリテーションの対象というのは、幅広く、できるだけ多くの方々を対象にするという考え方のもとに、障害者の方々についてはすべて対象にする、こういう基本的な考え方になっております。

 そういう中で助成制度の対象をどういうふうに整理していくかということにつきましては、もちろん障害を持っているということは前提でありますが、そのうちの対象者の範囲は、確認方法でありますとか、それから、どういう方々を助成金を出して支援していくことが適当か、そういう判断のもとに対象を決めていく。ですから、除外しているというよりは、特開金の対象をどういうふうに整理するかということで整理して、決めてきているということでございます。

茂木委員長 だから、医師の診断書とか意見書によって確認できればよいのじゃないかと質問していることに対して答えていないのですけれども。

岡崎政府参考人 もちろん、職業生活を営む上でいろいろな困難を持っているということについて医師の診断をして、それで、必要な方については、ハローワークの就職支援はきちんとやりますということが一つでありますが、その際に、そういう方々のうちでどの範囲の方を特開金の対象として助成金を出して支援するかということについては、障害者雇用促進法に基づきます対象者として決めてきている。

 御指摘の、難病の方とか発達障害の方々をどうするかということについては、今回も議論いたしましたけれども、難病の方々については支援のあり方をもう少し検討すべきだ、それから、発達障害の方については、発達障害者支援法の状況を見ながら、これもきちんと検討すべきだということにはなっているということでございます。

郡委員 ですから、この特開金の制度が雇用促進法の法定率のカウントの制度に直結しているものなのかというふうに前半聞かせていただいたわけですけれども、そうじゃないということですよね、それぞれの目的がもっと広がっているわけですから。

 そして、今部長おっしゃいましたけれども、それは部長の認識が大変誤っていると思います。

 これまで既に、この特開金の制度は雇用率の雇用制度よりも初めに幅を広げてきているんですよ。

 過去の歴史を見てください。知的障害者につきましては、促進法の雇用率制度で雇用を義務化したのが何年でしたか。一九九八年ですよ。特開金ではいつからそれを対象としていたか。ずっと前の一九八一年からですよ。そして精神障害についても、雇用率に算定するというふうになったのは二〇〇五年ですけれども、特開金の制度の中ではこの方々はいつから対象でしたか。ずっと前の九二年から対象になっているわけですよ。つまり、特開金の制度の中では従来から、促進法の雇用率制度とは別に、それよりも先行して範囲を広げて、そしてしっかりと対応してきた実績があるわけです。

 であるならば特開金制度の対象範囲を、確認要件を、今あるところを見直して、さらに広げて、それを促進法の方につなげていくべきじゃないか、発達障害、高次脳機能障害、難病などにもこれは広げるべきじゃないかというふうに申し上げているわけです。いかがでしょうか。

岡崎政府参考人 特開金制度と雇用率制度の関係は委員おっしゃるとおりでございまして、雇用率制度の対象にならなければ特開金制度の対象にならないということではなくて、むしろ、特開金制度等を含めたいろいろな就職支援の中で、企業におきます職域が広がったりという中で雇用率の対象をどうするか、そういう順番であるというのは御指摘のとおりであります。

 そういう中で、今の時点で難病の方とか発達障害の方を特開金の対象にするかどうか。それについては、雇用率の対象になっていないからしないんだという理屈を言うつもりは全くありませんが、特開金という制度の中でその対象にすることをどうするか。これは、先ほど言いましたような審議会での議論もありますので、そういったものを踏まえながら検討していきたい、こういうふうに考えております。

郡委員 だったらすべきなんですよ。だったらすべきなんですよ。それこそ特開金制度の目的というのは、また重ねて言いますけれども、障害などがあって就業が困難な方々に雇用機会を広げるために設けられた制度なんです、これは雇用率を上げていこうという制度とはまた違うんですから。私の言っていること、おわかりいただけますよね。

 障害者雇用促進協会障害者職業総合センターの研究調査というのがありますが、この中で、「難病等慢性疾患患者の疾患による就労機会の制限は、特定疾患の指定に関わらず、一部の非常に重症なものと反対に障害のない疾患を除いて、現行の身体障害者とほぼ同程度の範囲に広がっていた。」しかし、「身体障害者手帳受給は、疾患により≒〇%から一〇〇%まで様々」、「進行性筋萎縮症、先天性骨形成不全症、スモンではほぼ全員が身体障害者手帳の一級、二級の認定を受けていた。一方、肝臓病、糖尿病、潰瘍性大腸炎などは身体障害者認定を受けているものはほとんどなかった。その他の疾患では一〇%から五〇%強が手帳の支給を受けていた。」というふうにあります。昨年の調査でも、六六・七%は手帳を持っていないということでありました。

 障害者職業紹介業務取扱要領によりますと、肝臓病、膠原病等の、病気であるか障害であるかの区別が困難ないわゆる難病の者については、症状が長期にわたり、または永続するものである場合には、障害者雇用促進法第二条第二号に規定する身体障害者には該当しない者であっても、第二条一号の要件に該当する、すなわち、障害があるため、「長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者」であるとして、職業リハビリテーションの対象として認めている。これはもう、部長もこっくりこっくりうなずいておられる、もちろん御承知のことだと思います。

 こうした難病の方は、労働能力を有するか否かは、当該障害者がつこうとする仕事との関係において個別具体的に判断すべきものであって、単に当該障害者の程度のみによって判断してはならないとした職業リハビリテーションの趣旨を尊重して、雇用促進法の雇用率制度、納付金制度の対象にすべきではないか。もしそれが難しいというなら、少なくとも特開金制度の対象にはすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

岡崎政府参考人 おっしゃるように、難病の方々につきまして、就職するのにいろいろ困難な部分があるというのは承知しておりますし、そういう中で、企業に対しましての雇用管理のノウハウ、マニュアルみたいなものをつくったり、そういったことを含めて、雇用促進はしていっているという状況ではございます。

 そういう中で、特開金という助成制度の対象にするかどうかというお話でありますが、そこについては、そういう難病の方々の状況その他を見て就職支援のあり方を考えるべきだという審議会の意見書もありますので、そういうものを踏まえながら検討していきたい、こういうふうに考えているということであります。

郡委員 もう十年以上も前から研究がされているんです。違いますか。すっかりその報告書もまとまっていまして、今、当事者の方々はこの制度を利用できなくて大変困っているという御意見が多く寄せられているのも、当事者である厚労省は十分に御存じのことなんだろうと思うんですよ。

 厚労省は、私どもの谷参議院議員の質問主意書に対する答弁書で、雇用率制度は、当該事業主が就労支援や雇用管理を十分に行えること、障害の特性に配慮した職務が開発されていること、障害者であることの確認が可能であることが必要であるが、手帳を所持しない発達障害者、高次脳機能障害者、難病等については、現時点においては、このような条件が整っていないから、対象とすることは困難というふうにも回答しました。

 しかし、もう十年以上も前からこの問題の研究がなされていて、実はここに持っておりますけれども、こういう分厚い、各疾病ごとのガイドライン、雇用管理・就業支援ガイドラインというのもまとまっているわけじゃないですか。まだまだ時期尚早というふうな言い逃れはできないんだと思いますよ。難病のある方についても、ぜひとも、もう既に条件は整っていると私は考えます。厚労省の考え方としてはどうなのか。

 そしてまた、こういう難病の方々をこの制度に組み入れて、そしてノウハウを蓄積していって、モデルでもう既にやっていますよね、そういうものを積み上げていく上でも、難病の方々、本当に多くいらっしゃいますよ、手帳をもらえない方々は多くいらっしゃいますよ。

 例えば、二十三歳男性、クローン病の方です。障害手帳がないため就職するのに困難がある。手帳がなくても病気なのだから、会社や社会に理解が欲しい。

 あるいは、身体障害者の手帳の基準がきつ過ぎる。手や足が正常だから出ないというのはおかしい。発症所見があり、身体に痛みがあり、一生この痛みとつき合うのだから、この病名に対して支給が欲しい。これは三十三歳男性、強直性脊椎炎の方。

 それから、クローン病の方で、年齢制限などによりなかなか希望の就職先が見つからない。障害者雇用枠での就職を考えて障害者手帳を取りたいんだけれども、福祉事務所で入手した申請によると、クローン病というだけでは取れないことがわかり、残念に思っている。四十三歳女性の方。

 もう既にある程度の実績を上げているのですし、これから、さらにこういうふうな方々に雇用の枠を広げていこうということですから、せめて特開金を認めて、ケースを積み上げていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

岡崎政府参考人 再三のお答えで恐縮でございますが、審議会におきましてもそういう、今後、就労支援のあり方について検討することが適当という指摘は受けております。

 先生御指摘のように、高齢・障害者雇用支援機構等でもいろいろな研究は積み重ねてきているという事実もございます。そういう中で、この意見書も踏まえながら検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。

郡委員 ですから、いつまで待たせるのでしょうか。

 大臣、質問通告しておりませんけれども、積み上がっておりますので、ぜひ御決断をいただきたいと思います。

舛添国務大臣 先ほど、特定疾患、難病の問題について午前中お話ししました。

 今、発達障害、難病について雇用の側面から委員がおっしゃっていますけれども、私は、午前中も申し上げましたように、この特定疾患、発達障害、高次脳機能障害、こういう方々に対して総合的な大きな施策の転換を図るべき時期に来ている、そういう認識を持っています。

 恐らく三つぐらいの柱があるだろう。一つは、午前中の議論ですが、この病気と闘うために、例えば治療薬とかそのほか研究開発、このことによって支援をする。それと、今委員が御議論なさっている雇用の側面でお助けをする。そして三番目が、私が劣らず非常に大事だというのは、国民全体の理解を高める。

 例えば発達障害の方々、自閉症の方もそうですけれども、対人コミュニケーションに問題がある。そうすると、非常にこだわりがあって、パニックを起こす。そういう中で、例えば一生懸命リハビリをやっても、勤めた企業でそういうことを理解しない社員ばかりだったら、幾らリハビリをやろうと無理なんですね。ですから、受け入れる側で、こういう病名の方はこういうパターンを示すので、その人に合わせて自分たちも対応しないといけない、こういう国民教育的なことをやらないといけない。

 例えば、そういう三つを柱にするような総合的対策の中で、この問題もきちんとやる必要があります。そういう中で、何のために我々が立法府で、私は今行政府におりますけれども、国会議員で立法府の一員でもありますから、何のために法律をつくるのかといったら、大きな政策を実現するためにつくっている。

 法律がこうで、こっちの法律と違うからどうだということではなくて、それなら法律を変えればいいわけですから、こういう中において、手帳を持っているかどうかの有無とか、主治医の意見書があるかどうかの有無とかではなくて、私は、もうそろそろ難病であるとか発達障害である方々についても、例えば特定求職者雇用開発助成金、これの対象にする方向で大臣としては検討したい、そういうふうに思っております。

 ただ、もちろん、役人のレベルでそういう先ほどのような答えしか出ないのは、審議会がある、この人たちの意見も尊重しないといけない、今までの経緯があるということですけれども、私は、このあたりで大きく、発達障害を含めての施策の転換を図らないといけない。

 先ほど、二十四億円しかなくて倍にすると言ったら、それでは足りないんだとしかられましたけれども、例えばそういう形で予算をふやしたところで、そういう方々が生き生き働いて税金を払う方に回るということは、実を言うと、その予算額ぐらい出ると思うんです。そして、世の中明るくなります。希望を持った社会になると思いますので、私は、そういうことを理想として、きょうは非常にいい御意見を賜りましたので、そういう方向で、大臣としてやれることはやりたいと思っております。

郡委員 前向きな御答弁をいただいたと思います。同じ気持ちを共有していただいたものだと思って、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 が、この特開金、「が」が今ついてしまいましたけれども、「が」なんですね。この特開金の予算をちょっと見てみたいと思うんです。

 昨年度の予算額というのはおよそ二百九十四億五千五百万円、支給実績がおよそ二百三十億七千八百万円、そのうち障害者の雇用に対する助成金というのがおよそ百二億一千七百万円で、支給決定件数にして二万八千二百二十七件です。助成金全体の支給実績というのは、五年前の二〇〇三年度、二百四十七億三千八百万円から年々減ってきていますけれども、障害者分については、これはずっとずっと上がっているんですね。

 この特開金というのは、主に労働保険特別会計の雇用勘定による雇用安定事業の一つというふうに承知しております。雇用安定事業については、行革の観点から、事業の徹底した整理合理化が求められてまいりました。二〇〇五年の行革方針に基づきまして、この特定求職者雇用開発助成金、特開金につきましても、過大となっていた予算額を適正化するということが求められまして、二〇〇六年には一気に三五%、百十億円もの予算削減が行われました。私は、この行革方針に大変危惧を覚えているところなんです。

 まして、この特開金の支給決定額が全体に減少傾向にある中で、障害者の雇用開発助成金の支給額、件数というのは逆に着実にふえてきているわけですよ。二〇〇六年度の雇用安定事業の決算額は千四百四十八億円、剰余が三百四十六億円。同じ年の特定求職者雇用開発助成金、特開金の支給決定額の障害者分が九十六億八千六百万円だったでしょうか。障害者雇用開発はむしろ一層の拡充を図るべき分野でありまして、予算を余していると言ったらいいんでしょうか、であるならば、使っていくのが本当じゃないか、使い切ってしまっていいんじゃないか、そんなふうに思うわけです。

 大臣、また伺わせていただきます。

 障害を持った方々が生き生きと働いていく、そしてさっきおっしゃられたように、働いてタックスペイ、税金を払っていけるようなそういう立場になっていく、また、障害を持つ人も持たない人もともに助け合っていく、それぞれの生きる力を信じ合う、こういう社会、やはりとてもすばらしい社会なんだろうと思いますし、それが目指すべき日本の姿なんだと思います。

 また、ちょっと話はそれますけれども、先日、実は私どもの地元仙台で、とっておきの音楽祭という催しがございました。障害のある人もない人も一緒に、音楽を通して共生社会を実現していこうというお祭りなんですけれども、障害を持った方々、小さいお子さんからお年寄りまで町の中心部に大勢集まって、みんなともに体を動かしながら音楽を楽しみ、そして健常の方と一緒になって歌ったり踊ったりという大変すばらしい催しでした。仙台が誇るべきお祭りだと思うんですが、今、労働の分野では、なかなかそういう状況にならないんですよ。

 みんな違って、みんなすばらしいということを認め合う社会をつくるためにも、せっかくあるこういう予算ですから、ぜひとも充実していただくようにしていただきたいと思いますし、これが減らされることのないように、大臣の御決断をいただきたいと思います。決意をお願いいたします。

舛添国務大臣 私は、施策上、障害者施策に必要なものはきちんとつける、そのためのお金はきちんと持ってくる、そういう方針で臨みたいというふうに思います。ノーマライゼーション、そしてユニバーサル社会、そういうことを実現するために、やはり最後のセーフティーネットは国がやるべきだというふうに思っていますので、そういう方向で努力をしたいと思っております。

郡委員 ぜひお願いを申し上げたいと思います。

 これまでに、疾患名や機能障害の区分による障害施策の選別という従来の政策から、生活と就労のニーズに軸足を置いた政策の再構築、これが必要だということは、関係各方面から長いこと言われてきていることだろうと思います。

 一九九三年の障害者基本法の附帯決議以来十五年、「疾患は医学的な視点からだけでなく、疾患による患者の生活への影響の視点からみることが可能である。広い意味での障害の概念は、そのように疾患や健康状態によって発生しうる諸帰結の側面からみることを可能にするものである。」「障害の概念は、世界保健機関のものと比較して、我が国では定義及び範囲が限定的である。」というふうに、これは障害者雇用促進協会障害者職業総合センターの調査研究「難病等慢性疾患者の就労実態と就労支援の課題」というところでも述べられているところなんです。

 こういったようなことは、既に政府も御存じで、さまざまな研究もされているんだろうと思いますけれども、いまだに就業の場面では、障害の認定につきましても、障害の等級、いわゆる健康上の等級といいますか、そういうことで区分されているわけです。

 これも持ってまいりましたけれども、既に総務省も平成八年だったでしょうか、勧告を行っていますね。障害者個々の職業能力に応じて重度の認定を行ってというようなところがありますけれども、その重度判定基準の作成を検討するようにと。これはダブルカウントのことにもかかわってくる問題なんですけれども、これについていろいろと検討などはされているというふうに伺いますが、今なお物差しというのができていない状況です。これについても本当に大きな問題があるんじゃないだろうか、そんなふうに考えているところです。

 そのダブルカウントのところにちょっと飛ばして質問をさせていただきますけれども、法定雇用率の計算基礎となっている労働力調査による労働者数や、職業安定統計上の障害者求職、就職数等の統計数値は、これは実人数で、実際の人数で表示されております。社会連帯の考えに基づく障害者雇用の割り当て制である雇用率制度の本来の趣旨からいえば、やはりシングルカウントであるべきであろうというふうに思います。

 ダブルカウントというのは、重度の障害者、いわゆる障害手帳でいう障害等級区分の重度の方々の雇用促進を掲げて、七六年の法改正で設けられたわけですけれども、これはいわば雇用率数値を見た目で上げる、目先の数字をつくる、そういうふうな施策であるのではないかとも言えるんじゃないかと思います。

 経済界からも大変心強い発言が出ておりまして、企業が障害者雇用を社会的な責務として中長期的に考える場合などは、推進策の一つであるダブルカウントの人数は人数として、当社はシングルカウントで法定雇用率を達成するとの目標を立てるといった観点も忘れるべきではない、経団連の輪島さんという方がこんなふうに述べていて、大変良識のある声だなと感服いたしました。

 障害者の法定雇用率のカウントにおいて、重度障害者の場合ダブルカウントしているわけですけれども、これは、五月三日に発効いたしました障害者の権利条約に絡んで見ましてもその趣旨に反していると思われますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

岡崎政府参考人 障害者雇用率制度につきましては、障害者の方の雇用を促進するためにどういうシステムがいいか、こういう観点から制度設計されているというふうに考えております。

 その際に、もちろん、障害者それぞれは一人一人というお考えは当然理解できますが、一方では、企業にどういう形で障害者の方々の雇用の場をつくってください、こういうふうに進めていくかといった際に、障害の程度の軽い方と重い方がいた場合、やはり重い方の方が企業としてはいろいろな意味での負担が大きいということがあります。

 したがって、それを全部シングルカウントでした場合に、どうしても企業の側が軽度の方の雇用の方にインセンティブが働いてしまうのではないか。逆に言えば、重度の方の職域開拓がなかなか進まないのではないか、こういう危惧があるのではないか、こういうふうに考えております。そういう中で、やはり重度の方を含めて企業に雇用の場を広げていくためには今のような制度が必要ではないかというふうに考えております。

 今、一・八という数字がありますが、これも重度障害者がいることを前提にして計算しておりますので、全部シングルカウントにしたら一・八よりも低い数字になる。要するに、それも含めて制度設計してあるということを御理解いただきたいというふうに思います。

郡委員 ですから、一・八ということがダブルカウントを組み込んだ上ででして、実際に今、実雇用障害者数というのは対象になっている企業で何人かといえば、大体十九万七千人ぐらいですよ、一・八というふうに言われていましても。ダブルカウントのために底上げされているわけですよね。

 先ほど、障害の程度の重い方と軽い方とおっしゃいました。ですから、その基準は、職業能力において重いのか軽いのかというのは全く別のお話です。それについて何とかしなさいと勧告を受け、検討もしているというふうに言いながら、今なおそれが全く改善されていない。これはやはり怠慢じゃないかと私は思います。これは答弁は結構です。

 次に、通勤介助、移動支援のことについて伺わせていただきたいと思います。

 障害者介助等助成金という制度がありまして、適切な雇用管理のために必要な介助等の措置を行う事業主への助成金と位置づけられております。こういうわけですから、介助者による介助の場所というのが職場内に限られているんですね。そのために、例えば住んでおられるところから職場まで向かう、この間の通勤の介助というのはこの助成金の中には含まれない、つまり受けることができないわけです。

 そして、障害者の雇用促進のための納付金制度には、重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者の通勤を容易にするために、事業主が行う措置の費用の一部を助成する重度障害者等通勤対策助成金というのが設けられておりまして、その中に、通勤援助者の委嘱助成金というものがございました。

 ああ、これはとてもいい、助かる制度だなというふうに思いましたならば、何と支給期間が一カ月でしかないんですね、一カ月。つまり、行き方を大体覚えたらもういいですね、そういう方しか対象にならないですよ、これは。しかも、次にまた利用しようというときには、その対象となっている障害を持った方なりがどこか転居して、別の交通機関を利用するようなことになったりすると大変だから、それを援助するためにまた一カ月。一カ月しか使えないんですね。

 先ほど申し上げた、職場での介助者に対する助成は十五年ございます。通勤に対する助成も、一カ月ではなくて、やはり職場介助者のように十五年にすべきではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。その助成期間ですか、一カ月という期間を撤廃する、あるいは十五年にする。どうでしょうか。

    〔委員長退席、後藤(茂)委員長代理着席〕

岡崎政府参考人 それぞれどの範囲で助成するかというのは、その制度の趣旨、目的から考えていかなきゃいけないだろうと思います。

 通勤の場合には、今先生からもおっしゃっていただきましたけれども、公共交通機関を使って最終的には通えるようになるということを前提として助成金をつくってあるということであります。したがいまして、それは、なれるまでに必要な期間として一カ月を設定してあるということでありますから、こういったものは、職場介助者のような、ずっと職場内で介助が必要だというものとは少し趣旨、目的が違うのではないか、こういうふうに考えておりますので、やはりこれはなれるまでの仕組みとして運用していきたい、こういうふうに考えております。

郡委員 ですから、なれることが可能な、そういう人しか使えない制度なわけですよね。言っていること、わかりますでしょう。常に介助が必要な方はこれは使えないんですから、そこを何とかしてくださいよ。

 就労というのは、先ほども大臣もおっしゃいました、仕事をして、障害を持っている方でも生き生きと仕事をすることによって自分も納税者になろう、希望を持って仕事をして、そして生きる社会をつくりましょう、それを後押しするのがやはりこの制度なんだろうと思うんですよ。その就労のために必要な通勤に対する援助ですから、これは雇用促進という観点でとらえた場合、雇用促進法に基づく通勤対策助成という位置づけで十分な手当てがやはり必要なんだろう、そんなふうに思います。

 一方で、福祉の分野で移動支援がございますね。障害者自立支援法の地域生活支援事業の中の移動支援事業ですけれども、これは使える部分が、移動支援を実施することにより、社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動等の社会参加の際の移動の支援とされております。

 厚労省の御説明によりますと、社会生活上必要不可欠な外出とは、具体的に、官公庁や金融機関への外出、公的行事への参加、生活必需品の買い物、冠婚葬祭等とされております。さらに、ごく一部の自治体を除いてほとんどの市町村では、通勤ですとか営業活動だとかそういった経済活動に係る外出、また、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出というのは適用除外にされているんですよ。福祉の分野でも、この移動について見てもらえない。

 そもそも、通年かつ長期にわたる外出というのが、これは自立支援法上ということになるんでしょうが、移動支援の適用除外になっているのはなぜでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 移動支援事業を含む地域生活支援事業につきましては、地方分権の流れを踏まえまして、各自治体が地域の実情や障害者のニーズに応じて、創意工夫を生かして柔軟な形態で実施できる事業として位置づけられておるところでございまして、その対象範囲は、それぞれの自治体の裁量で行えるようになっております。

 この外出時の支援を行う移動支援事業につきましては、障害者の社会参加を促進し、地域での障害者の自立した生活を支える上で重要なサービスであると認識しております。

 しかしながら、限られた人員あるいは財源の中で障害者の多様なニーズに対応していくためには、通年かつ長期にわたる通勤や通学については、むしろ、まず、それぞれの分野において対応されるべきものであるというふうに私どもとしては考えております。

後藤(茂)委員長代理 郡和子君、持ち時間が終了しております。

郡委員 そうですか、申しわけない。

 今お話しになったのは、地方に任せているんだということで、この通勤については何ら自分の分野じゃないということをおっしゃったのだろうと思って、残念でなりません。

 地元の養護学校が、国のモデル事業で就労に結びつく事業をやっていただいています。私、そこにお伺いしましていろいろ見せていただいたんですけれども、職場体験もさせていただいて、事業主も、ぜひ、いいと言ってくださっても、公共交通機関もない、通勤の足がない、それで結局就労に結びついていないんですよ、何とかしてほしいんですと養護学校の先生もおっしゃっていました。これも重要な課題だと思いますので、何とかしていただきたいと思います。

 質問を終わります。

後藤(茂)委員長代理 次に、内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 まず、年金記録問題から、一問だけでありますので先にお尋ねをしたいと思います。

 厚生年金の旧台帳の記録千四百六十六万件の処理を五月末を目途で行っていたと思いますけれども、その辺の進捗状況をお話しいただけますでしょうか。

中野政府参考人 お答え申し上げます。

 マイクロフィルムで保管をしております厚生年金等の旧台帳の記録につきましては、氏名、生年月日などの記録について磁気ファイル化をするための入力作業を行った上で、コンピューター記録との突き合わせを行いまして、記録が結びつく可能性のある方に対しまして、予定どおり五月末に記録のお知らせを送付いたしました。

 これらの記録は昭和二十九年以前の古い記録でございますので、今後、回答はがきにより返信をいただいた方につきまして、相談のための準備を順次整えた上で、後日、おおむね一カ月後ぐらいかと存じますけれども、社会保険事務所などから御本人に電話連絡をとりまして、具体的な情報をお伝えしながら、旧台帳記録に係る記憶を呼び起こしていただくよう丁寧な記録の確認を行っていくことといたしております。

内山委員 私のところに、けさ、年金記録のお知らせという、このような封筒で送るんだというのを見せていただきまして、ねんきん特別便の場合には青だったりいろいろな色がありましたけれども、グレーなんでしょうかね。これが今、五月末から送ったといっても、恐らくきょうとか届いている方もいらっしゃるかと思うんです。七十万通というふうにお聞きしましたけれども、これに対するねんきん特別便のような、例えば新聞に周知喚起するPR、広告が出ていなかったと思うんですけれども、その辺はどうやって周知喚起をする考えでありましょうか、お尋ねします。

中野政府参考人 ねんきん特別便、それからこうした記録のお知らせにつきまして、私ども、これからも、お送りをしていること、それからそれに対する回答を積極的にお願いしたいという趣旨を、機会をとらえまして積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

内山委員 広報をやらないんでしょうか。その辺をお聞かせいただけますか。

中野政府参考人 これらについても新聞等を使った広報などを進めておるところでございます。

内山委員 そうしますと、最後に確認をいたしますけれども、この年金加入記録のお知らせが届きましたら、中の返信を社会保険業務センターあてに送りますと、各住所地の近くの社会保険事務所からお電話があって、いついつお越しください、こういう御案内があるということでよろしいんでしょうか。

中野政府参考人 この千四百六十六万件の旧台帳の記録に関するお知らせにつきましては、社会保険事務所の方から御回答をいただきました方に御連絡を差し上げるということにいたしております。電話などの手段を使って御連絡をし、その上で具体的な情報のお知らせなどを丁寧に進めていく予定にしております。

内山委員 最後にもう一点だけお尋ねします。

 この千四百六十六万件のデータのうち、発送できたのが七十万通というふうに聞いておりまして、約五%しか送れていないんだろうと思うんです。大半のデータ、脱退手当金を受給した期間等のデータは入力されていない、こういうふうに聞いておりますけれども、そういった残された年金記録はどのように、いつ作業されるのか、それをお尋ねしたいと思います。

中野政府参考人 今回、記録のお知らせをお送りいたしましたのは、記録が結びつく可能性のある方でございます。それ以外の方につきましては、漢字氏名、生年月日から旧台帳の手帳記号番号及び旧台帳が保存されているカセット番号などが検索できる漢字氏名索引のシステムを構築しておりまして、これにより、社会保険事務所等において旧台帳に係る記録の確認を容易にいたしまして、効率的、効果的な相談を行えるようにしているところでございます。

 さらに、今回記録が結びつくことが確認できなかった方々の記録につきましても、今後も引き続き解析、解明作業を進めていく予定にいたしております。

内山委員 もう一点、最後にちょっと聞きたくなりました。その最終的な期日というのがありますか、いつまでに仕上げようとかと。いかがでしょう。

中野政府参考人 詳細な期日につきましては、今後この内容を精査いたしまして、実施の手順等を検討し、定めていきたいと思っております。

内山委員 中野さん、ありがとうございました。それでは、本来の質問に入りますので、どうぞお引き取りいただきまして結構でございます。

 大臣にちょっとお尋ねをしたいなと思っております。先ほど通告したばかりでございまして、難しいことは聞きません。所見で結構でございます。

 短時間労働に関する障害者のニーズについてお尋ねをします。

 障害者の求職者の三八・八%、授産施設等利用者の四五・七%が、短時間労働、週三十時間未満を希望していると厚生労働省の資料にありますけれども、なぜこのようなニーズであるのか、その要因をどうつかんでいるか、それをお尋ねしたいんですけれども、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 それは個々の障害者の障害の特質によるんだろうというふうに思います。

 例えば非常に疲れやすいとか、それから、例えば発達障害の場合には、対人障害とコミュニケーション障害がある。ですから、健常者の場合に比べてどうしても、自分の健康を維持するために、健常者よりも少ない時間でないと仕事ができない、そういうことが一番大きな事情じゃないかと私は考えております。

内山委員 先日、千葉のとある授産園の施設長の方からお話を聞かせていただいたんですけれども、この短時間労働を希望しているニーズの数値は、障害者の就業に向けた学校教育や成人期教育の誤った環境に原因があるんだ、こういうふうに訴えをいただきました。

 障害者には訓練的な教育はしてはならないという考えから、一般の人たちと同じように八時間以上の労働をするだけの社会人としての体力、気力を身につけさせる教育が現在は皆無に等しいんだ、本来、知的障害者は、肉体的、精神的には生まれつきの欠陥を持っているわけではなく、生まれ育った環境の中で、障害があるのだから期待してはいけない、むしろ守ってやらなければいけないという偏見の中で過保護に育てられ、ひ弱で精神的にも弱い人たちのように親も社会もこの人たちをあきらめてしまったからなんだ、こういうのが現状なんだということを聞きました。

 ですから、健常者のように八時間労働をしようとしても、そもそもの教育がされていないから、そこの教育に問題があるんだと強く訴えを聞きまして、やはり一般の人たちと同じように現実的な労働にたえられるような体力、精神力を身につける、本当の意味での自立を目指すような教育機関を確立していくことが非常に大切じゃないかと。

 大臣、どう思いますでしょうか。

舛添国務大臣 私もそういう御意見には賛成します。そういう面もあると思います。

 ただ、今、発達障害、アスペルガー症候群にしろ自閉症にしろ、見ていますと、私が先ほど郡委員にお答えした三番目のポイントがあるというのは、本人に体力はある、一生懸命訓練する、しかし、対人コミュニケーションに問題があって、一定の行動パターンのこだわりがある。そのパターンから外れた場合に物すごいパニックになる。しかし、彼らは天才的な才能を片一方で秘めている。そのときに、周りの職場の仲間が、ああ、この人はこういうタイプなんだということでそれに合わせてやる。パニックが起こったからといって、何だと怒らないで、ああ、これはこういう形でやるとこの方は動くんだな、それもあるんですね。

 ですから、周りの人の理解があって、そのパターンをやっていただけば、発達障害の方も八時間でも十時間でも働く。ところが、最初からもう、こっちに行きなさいと言ったのにあなたは右に行ったじゃないか、これはだめだと言った瞬間にパニックになりますから、一分たりとも働けなくなる。

 ですから、今おっしゃることも非常に重要な意見だと思いますが、障害の種類によって、特に精神の障害、発達障害、高次の脳機能障害、そういう場合にはまたその場合のケースがありますから、そういう意味で、私は、総合的な施策、きめの細かい施策をやる必要があると思います。

 その前提としては、今言ったような研究の積み重ねが発達障害にあって初めてわかることでありますので、今の意見も非常に貴重だと思います。そういう中で、さらに総合的にいろいろな施策を進めていきたいと思っております。

内山委員 今申し上げたところは、知的障害者の授産施設でありますので、やはり訓練によって何でもできるんだと。

 先日、運動会に顔を出しまして、その運動会のプログラムを見ていましたら、和太鼓ですね、これもリズミカルに物すごくうまく打つんですね。さらには器械体操。跳び箱の上で逆立ちをして前転をする。これは私でもできないなと思うようなことがもうきびきびとできるんです。外見からは知的障害者とは全くわからない。でも、ここの職員の献身的な教育といいますか努力によって、そういう形に持っていけるという、やはり教育はすごく大切だなと感じた次第でありますけれども、ぜひ障害者の教育というところにも力を入れていただきたいなと。そうすれば、短時間労働を希望するニーズの数値も変わってくるだろうと思います。

 同じように、職業リハビリテーション体制というところの中で、これは先ほど通告したばかりでありますけれども、お尋ねをします。

 今、この中に授産施設というのが入っていないんですけれども、授産施設というのは生活指導もするわけですから、この授産施設をぜひとも活用していただきたいなと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

岡崎政府参考人 授産施設につきましては、障害者自立支援法の中で、就労移行支援事業あるいは就労継続支援事業等々、それぞれ新しい体系の中に入っていくわけでありますが、これらはそれぞれ、移行のためのいろいろな訓練をしたり、あるいはそのための準備をしたりという位置づけになっております。

 したがいまして、私ども、ハローワーク等、そういったような機関、既存の授産施設も含めて対応しておりますが、そういったところとネットワークを組みながら、個々の利用者の方々で一般雇用へ進みたい方については、それらの施設とチームを組むなどして、そこで準備をして就労する、こういう順番で対応する、こういうことを考えながらやっているということでございます。

内山委員 リハビリですから、体調を崩したときにはまた戻って、そこで再出発する、授産施設というのはそういう入所施設ですから、ぜひ、そこも核となるように御利用いただきたいな、検討すべきだな、こう提案をしたいと思っています。

 それでは次に、障害者の法定雇用率でお尋ねをしたいと思います。

 一・八%に義務化され、規定に達しているのは、規模的には五千人以上の企業だけでありまして、それ以下の企業はすべて一・八%の雇用率を平均的に下回っているという結果が出ています。今回の改正案の中で、一番雇用率の低い百から二百九十九人の規模にターゲットを絞っているわけでありますけれども、百一人以上の企業への拡大については、平成二十七年四月一日までの七年間の猶予があります。また、中小規模の支援策や経過措置としての負担軽減措置で障害者の雇用をアップさせるという支援も考えているようでありますけれども、果たして七年で本当に引き上げていくことができるんだろうかと。それで三点ほどお尋ねをしたいと思います。

 具体的にどのような支援策を行うのか、どのような負担軽減措置を行うのか、さらに、そのことによって法定雇用率達成企業の割合をどれだけ高めることができるのか、お尋ねをしたいと思います。

岡崎政府参考人 この制度を改正する際に、審議会の中で、中小企業の代表の方とそれから障害者の代表の方、相当いろいろな突っ込んだ御意見の交換がある中で、今の仕組みを御提案していると。

 負担軽減策として、一つは、平成二十二年、二十七年と比較的長い期間をとる、ここは中小企業の団体から、やはり中小企業のいろいろな経営環境その他を考えた場合には、比較的長い期間をとってくれないと、やはり小さいところほど対応が難しいということがあったということ。

 それから、納付金については、今のあれでは普通の企業で一カ月五万円ということでありますが、これについても、導入当初については軽減する、額を下げるというようなことも考えるということになっておりまして、具体的な額は審議会の中でまた検討していただきますけれども、下げるということ自体については既に合意を得ているという状況でございます。

 それから、支援策でございますが、これはやはり中小企業の場合は、今まで一人も雇ったことがなかったというような企業が相当あるのが事実でございます。やはり一人目を雇う際のいろいろな困難、ここのところに、より重点的な、金銭面とそれからノウハウと両方合わせたような支援の仕組み、これを来年度の予算の中で、中小企業、そういったところを重点にしながら、より中小企業に重点を置いたような助成の仕組み、支援策を考えていきたい、こういうふうに考えております。

 どのくらいまでいくかということについては、これはなかなか見込みは難しいわけでございますが、例えば三百人から五百人の企業規模であると、今、実雇用率は一・四九でございます。百から二百九十九が一・三〇でございます。もちろん一・八を目指すというのが当然といえば当然でございますが、やはり三百から四百九十九の一・四九という、その数字が現時点においては一つの目安にもなるかなというふうには考えております。

内山委員 次に行きます。

 厚生労働省の担当者は、中小企業、特に百人から二百九十九人の規模の企業が障害者の雇用に余裕があると思っているんでしょうか。実態をどのように理解をしているか、お尋ねをしたいと思います。

岡崎政府参考人 余裕という意味があれでございますが、かつて、比較的規模の小さい企業で障害者の方をいろいろな形で受け入れていただいてきたという事実は、一方ではあるということでございます。

 ただ、そういう中で、障害者だから負担だということではなくて、障害者でもこういうことはできる、人によってこういうことはできるという中で、企業活動のマイナスという考え方ではなくて、企業活動に障害のある方も参加できる、そういうような支援をしながら、要するに、重荷になるような意味での障害者の雇用をお願いするということではなくて、障害者もきちんと働けるような形を政府の方としても提案しながら、中小企業の方で雇用していただく、こういう考え方で進めていきたい、こういうふうに思っております。

内山委員 では、同じく大臣にも聞きたいんですけれども、民間企業に対する法定雇用率の一・八%の数値を高いと見ますか、それとも低いと見ますか、どのように認識をされていますでしょうか。

舛添国務大臣 法定雇用率をどうして出したかというと、全労働者というか、それに障害がある方々のパーセンテージで出しましたので、それを全く均等に割れば、社会全体としてそれだけの率を達成するというのが一つの理想であるというふうに思っています。

 ただ、先ほど来、委員が御指摘のようになかなか、やはり中小企業にとっては、いろいろな経営上の問題があったり、特に介助をする方もつけないといけないというようなことがあったりすると、それは企業によっては経営上大変苦しく考えられる方もおられると思います。そういう点がありますから、経過期間を七年置くとか、いろいろな支援策をやるとか。

 一方で、中小企業にもまたたくさんございますから、経営上の判断からいっても、むしろ積極的に採用するというところもあると思います。ですから、これはやはり中小企業によりけりなんで、きめの細かい対応をやる。

 私はあくまで、一・八というのはそういう数字ですから、これは理想としてノーマライゼーションをやる、そして豊かな先進社会として達成すべき理想として、あっていいかな、そういうふうに思っております。

内山委員 企業にとってみれば、一・八というのは、なかなか達成していないという数値があるとおり、実は非常に厳しいんですよ。理解のある事業主でも、やはり労働者としてのニーズを求めます。しかし、障害者を受け入れることによってだれか一人指導係として手をとられてしまうとか、こういうことを考えますと、非常になかなか難しいというところでありまして、そういう部分を本当にデリケートに対応していただかないと、七年猶予があっても、絵にかいたもちになってしまうだろうと思います。

 同じように、例えば百人から二百九十九人の企業と五千人以上の規模の企業とを同格にこれから扱うということになるわけでありまして、そもそも五千人と百人なんというのはもう比べようがない違いがあると思うんですけれども、ゆがみが出ませんでしょうか。例えば、トヨタ自動車とダイハツという自動車会社を比べますと、一律同じ基準で法律を適用するなんということは、必ずゆがみが生じると思うんですけれども、いかがでしょうか。

岡崎政府参考人 障害者の方の雇用、働く場というのを考えた場合に、やはり私どもとしては、ノーマライゼーションという考え方のもとに、すべての企業がそれぞれの中で働く場を考えていただくということをぜひお願いしたい。

 そういう場合に、やはり率で考えていく。そうなれば、規模が大きいところはより多くの職を提供するというのは当然のことでありますが、一万人であれば、一・八を掛ければ百八十人になるわけでありますし、そういう率というのが一つの考え方ではないかなというふうに考えているところでございます。

内山委員 先ほど園田委員も質問しておりましたけれども、雇用した後の定着はどうなっちゃっているんだろうか。定着率という数値がないとかというふうに言っていましたけれども、お尋ねをしたいと思います。

岡崎政府参考人 定着率そのものとしてはとっていないんですが、例えば、どのくらい働いているかというのを、障害者雇用実態調査、平成十五年の調査でございますが、これで平均勤続年数というのは出ます。これで見ますと、身体障害者の方が十年、知的障害者の方が九年三カ月、精神障害者の方が三年九カ月という状況でございます。

 それから、いろいろな支援をしていく中での六カ月時点の定着率というのはとっておりまして、ジョブコーチ支援を行った場合の終了後六カ月の定着率については八四・三%、それから、障害者就業・生活支援センターの支援を受けて就職した方、これらの方につきましては、就職後六カ月経過時点での職場定着率は七五・六%。そういったような数字は把握しているところでございます。

内山委員 今、数値をいただきましたけれども、一般の方に比べたらどうかという比較でいかがでしょうか。

岡崎政府参考人 今、ちょっと一般の方のを持っていなくてあれですが、身体障害者、知的障害者の十年あるいは九年三カ月というのはそれなりの期間ではないかというふうに思いますが、やはり精神障害者の場合、三年九カ月ということで、これは比較的低いのかなというふうに考えているところでございます。

内山委員 高齢者の皆さんには、例えば高年齢雇用継続給付金という制度がありますけれども、障害者雇用継続給付金という新しい制度をつくったらいかがか、創設したらどうだろうかという思いがあるんですけれども、どうでしょうか。

岡崎政府参考人 高齢者の場合には、御指摘のような高年齢者雇用継続給付金制度がございますが、障害者の場合には、少しシステムは違いますけれども、納付金、調整金という制度は、ちょっと別の形ではありますが、経済的調整はしているのではないか。要するに、基準となる人数より不足した場合には一月当たり五万円徴収し、それからそれを超えている場合には一月当たり二万七千円をお支払いする。

 ですから、給料とはちょっと違いますけれども、企業の負担という意味では、そこで一定の対応はしている。そういう中で、企業の方で障害者の方の賃金等を含めて配慮していただきたい、こういうふうに考えているということでございます。

内山委員 この納付金と調整金というのは、これは事業所に対してですけれども、この継続給付金というのは本人なんですよ。障害者本人に対して給与の補助をすべきだ、そういうふうにお話をしているんですけれども、それはいかがでしょうか。

岡崎政府参考人 障害者の方につきましても、企業の賃金という意味では、その働き方に応じて、企業と障害者の方々の中での賃金ということで対応していくべきものかなというふうに思います。あとは、全体としての所得保障という、年金制度等を含めた中で物事を考えていくべきものではないかというふうに考えております。

内山委員 セクションが違うかもしれませんけれども、障害者雇用継続給付金という制度の創設をぜひ御検討いただければなと。どうでしょうか、大臣。

舛添国務大臣 今のお話をお伺いして、一、二、ポイントがあると思うのは、一つは、本人に給付をしますね。しかし、それは例えば、仮にですけれども、十万給料をもらっている、例えば五万の給付がある。本当は十五万払わないといけないところを、五万、例えば政府が援助すると、企業の負担が結果的に五万減ることになれば、事実上、企業を援助したことにならないかというのが問題です。

 そのときに、私は、やはり企業の社会的責任というのがあるんだろうと思います。ですから、こういうノーマライゼーションの目的を達するために、例えば一・八という数字を達成するために努力をする。それで、納付金制度というのは、ある意味でペナルティーみたいなものなんですけれども、それは自助、共助、公助の共助の側面で、できないならお金を払って、そのお金を使ってさらによそのところで促進しますよということなので、企業の社会的責任という観点が軽視されるといけないかなというのがあるので、そういう問題点も考えながら、一つの御提案として検討させていただきたいと思います。

内山委員 今大臣がおっしゃりました高年齢雇用継続給付金は、まさしく逆選択で使われているというふうに思います。本来二十万給与を払うという方が定年退職後、高年齢雇用継続給付金が例えば三万円来るから、ではその分を割り引いて、一番高いところで払おうと。実質、企業負担を軽減するんですけれども、安く払うから雇用が継続する、そういう形になるんです。

 ですから、障害者の雇用に関しても、間接的な給与補助というような形、賃金補助というような形になるかもしれませんけれども、雇用を継続する政策の一つとしてやはり考えるべきだろうと思います。

 続きまして、特例子会社のメリットということでちょっとお尋ねをしたいと思うんです。

 親会社と異なる労働条件の設定や弾力的な雇用管理が可能であるとしておりますが、障害者に対して、賃金が逆に不当に低く抑えられたり、不利な労働条件や雇用管理が行われるのではないかと心配をするんですけれども、特例子会社の実態についてどのように把握をされていますでしょうか。

岡崎政府参考人 特例子会社制度につきましては、制度の条文の中でも、その子会社がその雇用する身体障害者、知的障害者である労働者の雇用管理を適正に行うに足る能力を有するものであるというのを一つの条件にしているわけでありまして、こういった法律の条文を踏まえながら、私どもとしては、特例子会社には、むしろ障害者に対して、より適切な雇用の場を提供し、適切な雇用管理をするものとしてやっていただきたいと思いますし、そういう視点に立った指導を今後とも続けていきたい、こういうふうに考えております。

内山委員 その特例子会社がそういう隠れみのにならないためにも、ぜひしっかりと指導、調査を今後とも続けていただきたいと思います。

 それでは、先ほど郡委員からも出ておりましたけれども、特定求職者雇用開発助成金の関係でお尋ねしたいと思うんです。

 この手続は非常にややこしいんですね。事業所も精通していませんと、いっぱい書類を書かなきゃならない。大体、社会保険労務士が顧問をしていますと、社会保険労務士が作成をするんですが、事業所を管轄するハローワークに出さなきゃならないんですよ。ですから、広範囲で顧問をしていますと、例えば極端な話ですけれども、大阪の事業所を東京の社労士が顧問をしていますと、大阪の事業所を管轄するハローワークに書類を持っていかなければいけない。今どき書類を持っていかなければいけないという仕組みになっていまして、郵送で処理ができないものだろうかと随分声が来るんですけれども、いかがでしょうか。郵送で処理を行えるようにしていただけないかという要望でありますけれども。

    〔後藤(茂)委員長代理退席、委員長着席〕

岡崎政府参考人 特定求職者雇用開発助成金等助成制度につきまして、やはり、不適正な支給でありますとか不正受給の問題が時々指摘されるという状況の中で、どういう申請手続にしたらいいかという観点ももう一方では考えなければいけないと思っています。

 そういう中で、現在は、特定求職者雇用開発助成金も、一回目の申請から二回目、三回目とありますが、二回目、三回目等については郵送を含めて対応するというようなことも考えているわけでございますが、適切な申請かどうか、そこを確認するということとの兼ね合いの中でやはり考えていかなければいけないのではないかというふうに考えてございます。

内山委員 では、今後検討するということでよろしいんでしょうか。もう一度答弁をいただきたいと思います。

岡崎政府参考人 その両方の兼ね合いの中で検討させていただきたいというふうに考えております。

内山委員 法定雇用率未達成事業所より徴収する納付金の年間総額と、雇用率達成事業所に支払われる調整金及び報奨金の年間総額、さらに、納付金と調整金の収支についてお尋ねをしたいと思います。

岡崎政府参考人 決算の出ています平成十八年度で申し上げますと、納付金の徴収額が二百十二億でございます。支出額につきましては、調整金として支出したものが四十九億五千万、それから報奨金として支給したものが四十六億三千万、それから助成金として支給したものが七十四億二千万でございます。

 収支でございますが、平成十八年度につきましては、その他の啓発経費、助成費等もかかっておりますので、最終的には十三億八千万のマイナス、赤字でございます。

内山委員 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

茂木委員長 次に、山井和則君。

山井委員 三十五分の質問時間をいただきまして、ありがとうございます。

 障害者雇用促進法に入る前に、一つ、きょうの朝刊を見てちょっと驚きましたので、そのことで舛添大臣にお伺いをしたいと思います。

 きょうの朝刊の報道によりますと、約七割が後期高齢者医療制度で保険料負担減と推計ということで、全自治体を対象とした、基礎年金だけの世帯などモデルケースについて保険料の増減を調べ、それをもとに全国推計したということでありますが、舛添大臣、こういう報道になっているんですが、実際このとおりなのでしょうか。

舛添国務大臣 そういう報道が出た経過についてはつまびらかにわかりませんが、今、集計作業を急いでおります。それで、詳細につきましては、集計作業が終わればきょうの夕刻にでも正式に公表いたしたいと思いますけれども、今委員が御指摘になりましたように、モデルケースを幾つか、十二パターンぐらい想定しまして、そして、そのほかのさまざまな情報を入れたところ、国保の場合に比べて今回の後期高齢者の医療保険料が下がった世帯で、六九%が下がっているという推計が出ております。

 詳細につきましては、今、最終的な数字をまとめておりますので、きょうの夕刻にはきちんと公表したいということでございます。

山井委員 今、世帯の六九%が下がったということなんですが、大臣に確認したいんですが、これはモデル調査ですよね。ですから、大事なのは、モデル世帯のうちの六九%が下がったということなのか、被保険者全体の世帯の六九%が下がったのか、それによって全然意味が違うんですが、どちらのことですか。

舛添国務大臣 後期高齢者の方が千三百万人おられます。ほぼ二百万人が被雇用者、サラリーマンの被扶養者になっていますから、この方々はそもそも払いませんから、ちょっと置いておきます。そうすると、一千万ないし一千百万人、こういう方をモデルにしてやったとともに、そのほか市町村のいろいろなデータを使ってやりましたから、お答えからいきますと、あくまで推計ですから、そういう意味では一〇〇%完璧だということではありませんが、一人一人に尋ねたわけじゃありません、一千万人。ただ、相当なモデルと統計学的な手法を使いましたので、ほぼ一千から一千百万人の全体に対して、モデル家庭だけじゃない全体に対しての数字で六九%という推計であります。

山井委員 私は、この推計は実態が正しく反映しているとは思えません。その理由を三つ申し上げます。

 一つが、これはもちろん、まだ正式発表を聞いていませんから私も確定的なことは言えませんが、まず一つには、モデルがたった十二世帯のモデルでしかありませんから、例えば軽減がされにくいから親子同居世帯の方が後期高齢者の保険料は高く出やすいんですね、軽減がなされないから。その親子同居の世帯は五五%実際はあるにもかかわらず、この十二のモデル世帯では四分の一しか入っていません。ですから、何を言いたいかというと、何割が上がっているかというためには、モデル数掛けるそのモデル世帯に何人がいるのかということを当然掛けないとだめですねということが一つ。

 それともう一つは、例えば東京都の青ケ島村は二百十二人の人口ですし、横浜市は三百六十万人ですから、大きな自治体で上がった人がこれだけいるという話と、小さな村で下がった人がこれだけいるという話は同列には議論できませんから、これも人口を掛けないとだめですよね。二番目。

 なぜこんなことを言うのかというと、舛添大臣、七、八割の方は下がると言われたけれども、後で言い直されて、七、八割の人が下がるのではなくて、七、八割の自治体だったと言い直されて、実はその七、八割の自治体は人口五万人以下の市町村が多くて、人口は四六%だったわけですね。こういうふうなことになりますので、ここは人数をちゃんと掛け合わさないとだめだ。それで、今回の十二のモデル世帯を見ると、比較的下がりやすいところがモデル世帯として選ばれている傾向がありますので、モデル世帯だけでやってしまうと、モデル世帯の選び方で簡単に結果が変わってしまう。

 最後の三点目は、すべての高齢者が資産があるという前提の調査になっているように思うんですが、実際に低所得の方々は、資産が少ない、あるいはない方が多いわけで、そうすると、低所得者の方々のもともとの国保の保険料が高くなっているという現状があります。一応このことだけ指摘をしておきたいと思いますが、このことについて、何かあれば。

舛添国務大臣 今御指摘の点、これは正式な数字が出て、しかも、統計学的な手法はその段階で専門家に答えさせますが、最初の、世帯の人数が多いのが入っていないじゃないかと。これは、私が先ほど確認しましたら、統計学上、統計をとるときにモデル設定がありますが、その要素も入れた計算だというのを一つ聞いております。

 それから二番目の、大きな自治体、小さな自治体というのは、全体の数を出すときには余り問題にならないんじゃないのかと思います。三番目は、もともと資産割というのを入れていませんですね。入れていたのを、今度は資産割をなくしたところが非常に多うございます。

 いずれにいたしましても、今の委員の御質問というか御批判に耐えられるような形での推計を行ったというふうに私は理解をしておりますので、そういう意味で、一〇〇%完璧だとは申し上げませんですけれども、大きな方向としては間違っていない、そういうふうに思っております。詳細は、夕刻に公表した数字でまた議論をしたいと思います。

山井委員 モデル調査についてはこれ以上質問しませんが、二点だけ言っておきます。

 今、自治体の人口は関係ないとおっしゃいましたが、これは小さな町村の方が比較的保険料は下がりがちで、大きな都市の方が軽減がなくなったりして上がりがちということがありますから、そこは自治体の人口と掛け合わせないとだめだというふうに思いますし、例えば老夫婦世帯で子供と同居している世帯は今回のモデル世帯にはそもそも入っていません。親一人、子供というのはありますけれども、老夫婦プラス子供の世帯というのはそもそも調査に入っていないわけですから、幾ら掛け合わせたって、もともと調査していないのは出てこないのではないかと思いますが、まあこれは出てきてからにしたいと思います。

 それでは、障害者雇用のことについてお伺いしたいと思います。

 きょうは、お二人の副大臣にもお越しいただき、ありがとうございます。

 まず最初に、障害者雇用に行く前提となる通所施設の障害者の現状について舛添大臣に質問をしたいと思います。

 今、一つ現場で障害者の方々にとって問題になっているのが、短期入所と日中活動系サービスを同一に算定する取り扱いについてということなんですね。簡単に言いますと、昼間そこで障害者の方が活動をして、晩そこでショートステイをする。そういう通所施設を経て障害者雇用に旅立っていくわけなんですが、このショートステイというのは、本人にとっても、また御家族の方々にとっても非常に命綱なんです。

 そして、そんな中で、この事業に対する重要性、意義というものを、今、厚生労働省もこれを積極的に推進されていますので、このことの意義についてお聞きしたいということと、もう一つは、この単価が切り下げられようとしておるという現状がありまして、実際、昨年末に、同一事業所では単価を切り下げる、あるいは認定を受け付けられないというような通達も一回出たんですが、ここにありますが、平成二十年の一月三十一日に、そういう取り扱いはなくして今までどおりでよいということで、今は暫定的に今までどおりの状況が続いているんです。

 そこで、二つ目の質問は、こういう短期入所、来年の四月に報酬改定になるんですが、このことについて、今までどおりの活動を地域の障害者の命綱として続けていただけるように、舛添大臣の決意をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 家族にとってやはり一息つける、レスパイトというか、これがやはり短期入所の最大のメリットだと思います。そして、今委員がおっしゃったように、非常に柔軟にこれを運用していく、これは私は二十一年四月以降も継続すべきである、そういうふうに考えています。

 そしてまた、この報酬につきましても、これはもう介護の場合も全く同じでありまして、実態をよく踏まえた上で大きな改善の方向を目指したい、そういう決意でこの問題に取り組みたいと思っております。

山井委員 舛添大臣からも力強い御答弁をいただき、ありがとうございます。

 私も実は相談を受けて正直言って一番心が痛みますのが、家族が疲れ切って、もう親子心中になりかかっている、介護者が精神的に参っている、しばらく親と子供が離れ離れになりたいと思ってもショートステイが満員だというような、そんな本当に切実な命綱としてこのショートステイがスタートした割には、単価をもうちょっと下げようというような話も出てきているわけで、ぜひ今までどおりの運営ができるようにしていただきたいと思います。

 例えば、そもそもの入所施設がショートステイをする場合は人手をそれほどふやさなくていいんですが、通所施設がわざわざナイトケア、ショートステイをする場合には、職員はやはりふやさないとだめなんですよね。そういう意味で、非常に単価が十分に必要になってくると思います。かつ、いろいろな認定の違いがありますが、どういう認定であっても十分な単価がつくように、ぜひとも御尽力をいただきたいと思っております。うなずいていただき、ありがとうございます。

 それで、障害者の雇用も大切だけれども、現場の方から言われているのは、そもそも現場で働いている職員のボーナスが自立支援法でカットされたりして、利用者である障害者じゃなくて、働いている人がその仕事をやめて新たな仕事を探さざるを得ない、こういう非常に切実な状況がありますので、こういう自立支援法の改正も今後は当然考えていかねばならないと思います。

 そこで、障害者雇用についてなんですが、副大臣にお伺いします。

 午前中からもこの議論は出ておりますが、今回新たに週二十時間労働も〇・五カウントにするということになりました。ここに資料を配付させていただいております。そこで、週二十時間労働の場合は、厚生年金や会社の健康保険に加入義務はあるのでしょうか。

西川副大臣 お答えさせていただきます。

 健康保険あるいは厚生年金保険の適用につきましては、基本的に常用雇用というのが今対象になっております。各事業所の労働者の労働時間、それと労働日数、労働形態などを勘案しまして、おおむね平均的な労働日数の四分の三以上である、それが健康保険、厚生年金保険の対象、被保険者として認定しているわけでございます。

 したがって、常用的使用関係があるか否かが判断の基本ではありますけれども、それとともに、週二十時間の短期労働者については、一般的には健康保険あるいは厚生年金保険の対象にはなっておりません。

山井委員 私、この法案は、もちろんいい面も多々ありますが、やはりこの問題は非常に深刻な問題だと思っているんですね。

 なぜならば、四十時間働いている人を二十時間に減らして二人雇う。本来、雇用主にとってニュートラルであればいいと思うんですが、かえって、今おっしゃったように、常用雇用の人は社会保険料を負担しないとだめだけれども、二十時間になると社会保険料を負担しなくていい、こっちの方が経営的には楽だということで、フルタイムの人が二十時間の非正規雇用になることになったら、これは御存じのように、今まさに若者の世界で問題になっている、正規社員になりたいと思っても、社会保険料負担を逃れたいと思う雇用主の思惑によってなかなか正社員になれない、そのことが、病気になったときの健康保険、あるいは老後の年金にまでこれは響いてくるという、まさに今の格差社会を一歩間違うと障害者の世界にもこの法案によって持ち込んでしまうことになるのではないか、そういう危惧を私は持っているわけであります。

 そこで、関連してお伺いしたいんですが、実は、ここの配付資料にありますように、今、継続審議になっております閣法、年金の一元化法案にこのことが実は入っているんですね、厚生年金保険法の一部の改正と健康保険法の改正。そして、ここに書いてあります。二ページのイ、ロ、ハです。

 ですから、除外規定として、二十時間未満の人はだめですよ、一年以上雇用される見込みがない人はだめですよ、それと、それ以外の、ここに書いてあるような条件も含めて、こういう方々を除けば、やはり二十時間でも、厚生年金、健康保険の加入義務を付加すべきだ、こういう閣法を今出されているわけなんです。

 そこで、改めてお伺いしますが、この閣法によれば、二十時間労働の障害のある方々は、厚生年金、会社の健康保険の加入義務は生じるということになりますか。

西川副大臣 この年金一元化法案の閣法は平成十九年の四月に提出されたわけですけれども、働き方が正社員に近い働き方をしているパート労働者という前提がついているわけですが、新たな基準として、週所定労働時間が二十時間以上、そして月額九万八千円以上の賃金を得ている、一年以上の勤務期間がある、そして学生は適用除外ですが、それと従業員三百人以下の中小零細企業の事業主にはちょっと新たな基準の適用を猶予する、こういうことが主にうたわれているわけです。

 したがって、二十時間労働者の場合でも、今申し上げた基準をすべて満たしていれば、この範囲、厚生年金、健康保険の対象になります。

山井委員 ということは、片や閣法では、二十時間でも厚生年金、健康保険法の加入義務が生じるという法案が出ている。それは継続審議に、この通常国会ではなってしまうのですけれども、一方、今私たちが審議している法案では、その二十時間労働の方々は厚生年金、健康保険に入れない、こういう問題が出てくるわけです。

 そこで、さらにお伺いしたいのですが、副大臣としては、こういう現状にかんがみ、やはりこの法案で適用される二十時間の障害者の方々も厚生年金、会社の健康保険に入れるようにすべきだというふうにはお考えになりませんでしょうか。

茂木委員長 山井委員に申し上げます。

 法案の審議予定につきましては理事会で協議いたしますので、継続にするのか、採決するのか、これは今後協議をしたいと思います。

岸副大臣 ただいま西川副大臣がお話をされましたとおりでございますが、これはぜひ一元化法案を早く通していただいて、そういう方々がたくさん出ることを期待したいと思います。

山井委員 いや、その議論はその議論としてありますが、実際問題としてこの法案の話をしているわけであって、この法案において、二十時間の方々が、四十時間から二十時間になれば、少なくとも現時点においては厚生年金も会社の健康保険も加入できないわけですから、そのことについてやはり問題だと思われませんかということです。

岸副大臣 具体的な実雇用率のカウントにおいて、短時間労働の障害者について、週所定労働時間が三十時間以上の場合の二分の一のカウントとすることを考えているところであって、このようなカウント方法のもとでは、事業主があえて障害者を短時間労働で雇用しようとするようなインセンティブは働かない、こういうことを申し上げたいと思います。

茂木委員長 事実関係として、三十時間以下ですね。(岸副大臣「はい」と呼ぶ)

山井委員 いや、私は見解を聞いているのです。

 この障害者雇用促進法において、今回、二十時間の人も〇・五カウントとして前向きに認めようということなんですが、前向きに認めようというのは一歩前進な点がある反面、逆に、やはり障害者の立場に立てば、それこそ後期高齢者医療制度で六十五歳以上の障害者も後期高齢者医療制度に入るわけですし、また、老後の年金のことも当然あるわけですから、働く時間が少なくなるのはいいけれども、老後や人生のことを考えたらやはり厚生年金と健康保険には入りたいと考えるのは当然のことだと思うんです。

 この法案ではそこが抜けているというか欠けていると思うのですが、二十時間で雇用される障害者の方々も厚生年金や健康保険に入れた方がいいとは思われませんか。

岸副大臣 個人的に申し上げれば、それはたくさんの方に入っていただいた方がいい、こういうふうには思います。

山井委員 確かに、本当に正直に言っていただきましたが、そのとおりだと思うんですよね。

 あくまでも、四十時間働くかあるいは二十時間働くかというのは本人の選択の自由であるべきであって、間違っても雇用主側が、社会保険料が安くなるから二十時間にしてもらおうかなんて、そんなことを考えられる方は少ないとは思いますが、でも、やはり残念ながら、この法案を見ればそういうことが起こりかねないんですね。

 残念ながら、過去の労働法制の審議のときもそうだったんですよ。もともとは働き方の自由度を高める、本人の選択の自由度を高めると言って派遣法などの規制緩和をやったんですけれども、結果的には、本人が長時間働きたいと言っても、雇用主側が、これだけ経営が厳しいときに社会保険料負担はもう耐えられない、だから短時間労働で我慢してくれという実態が残念ながらあるわけなんですよね。それと同じことがこの障害者の分野で起こってくるというふうに私は危惧しております。

 ですから、法案審議はきょうから始まったわけですけれども、やはりこの部分の修正も含めてやるべきじゃないか。これは与党と交渉することかもしれませんが、やはりそこがこの法案の一つの欠陥ではないかと思うんですが、そこを何とか、二十時間の障害者の方々も健康保険、厚生年金に加入できるようにしたいという答弁を得ることができませんでしょうか。

岸副大臣 企業が社会保険負担を避ける観点から、これまでフルタイム労働だった障害者が短時間労働に移行して社会保険に非加入というふうなことはあってはならないということで、事業主に対して十分な周知、指導を行う必要がもちろんあるということでございます。

 それと同時に、この法律そのものは、労働者の方々、障害者の方々の職業の幅が広がるように、皆さんがそれぞれ自由な形、自分の体や心の状態に合った形でお仕事ができるようにするためを考えた法律、法案でございますから、先生いろいろおっしゃいますように、本人の意思に反して短時間労働を強いられたり、そういうことはしてはいけないということを、今後、障害者雇用対策基本方針、今年度中にこれを策定いたしますが、この中で検討していかなきゃならない。

 それから、法第八十条には、事業主が、障害者である短時間労働者の希望を踏まえて、能力に応じフルタイム労働に移行させる等の適切な待遇を行う、そういう努力義務を課している。こういうことで、そういう御心配のないように対応していかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。

山井委員 まあ御答弁の趣旨はわかるのですが、やはり実効性が担保されていない。努力義務とか指導するとか周知徹底では守られないわけですね。ですから、本当に二十時間の障害者にも厚生年金、健康保険に入れるようにと言うならば、そういう法案修正をするなり、そういう形で答弁をしていただきたいと思っております。

 この問題は、これからも我が党として要望を当然続けたいと思いますし、やはり本当にこういうことがきっちり担保される法律でなければ、私自身は賛成できないというふうに思っております。

 そこで、また舛添大臣に少し高齢者のことでお伺いしたいのですが、六十五歳以上の障害者もこの後期高齢者医療制度に入ってくるということです。

 この資料の四ページを見ていただけますでしょうか。この四ページに、厚生労働省からいただいた資料が左半分、そして、この厚生労働省からいただいた資料を足し算したのが右の表で、これは私の事務所でつくったものであります。

 簡単にちょっと私から説明しますと、制度改正なしが上、平成二十年度で老人医療費がどうなるか。制度改正あり、つまり、後期高齢者医療制度を導入したらどうなるか。ところが、制度改正ありの方は、後期高齢者医療制度の導入と診療報酬の引き下げと老人医療費の自己負担のアップ、この三つが入っている。これは二年前の法案審議の際に作成された表であります。

 そこで、これを足し算してみると右の表のようになりますが、舛添大臣に御確認いただきたいのですが、ということは、今回の後期高齢者医療制度の制度改正によって、公費負担はここにありますように六千二百億円減って、そのかわり七十四歳以下の若年負担は一千百億円ふえた、こういうことでよろしいですか。確認をお願いします。

舛添国務大臣 この表どおり、つまり、山井委員がおつくりになった表をそのまま読めばそうですけれども、例えば公費負担という中に何が含まれているのか、例えば診療報酬の改定、そういうものも含まれておりますし、医療保険各制度ごとに見た若者の、現役の保険料負担は減少しておりますから、この数字ですべて全体像が見えるというわけではなくて、むしろ左側半分の数字の方がより詳細である、そういうふうに思っております。

山井委員 詳細は詳細でいいんですが、ただ、舛添大臣に御確認しているのは、この左の表を足し算したらこういうことになるわけで、トータルとして、理由はわかります、理由はいろいろあると思いますが、今回の後期高齢者医療制度の改正によって公費負担が六千二百億円減って、七十四歳以下の若年負担は一千百億円ふえた、これは厚生労働省がつくっている数字ですからね、ということでよろしいですね。これは事実として間違いないですね。

舛添国務大臣 左側の表の公費というところを単純に足せばそういうことだろうと思います。

山井委員 それで、もう一点、舛添大臣にお伺いしたいと思います。

 今回、後期高齢者医療制度が、六十五歳以上の障害者も入って、高齢者のみならず障害者の大きな関心を集めているわけなんです。そこで、今問題になっていますが、後期高齢者医療制度が導入された場合と、老人保健制度に戻した場合と、どちらが若者の保険料負担は高くなるんですか。

舛添国務大臣 これは、平成十八年度の診療報酬改定を含む全体の財政影響を平成二十年度について見たら、先ほど言ったように、すべての保険について若者の保険料負担は軽減しています。したがって、もとに戻すとふえるということになるんだろうと思います。

 さらに、先ほどの表で、例えば老人負担のところを、これは、老人保険料と自己負担というのは性格が違うのをこのまま二つ足していいんだろうかというような疑問もありますということを、ついでながら申し上げておきたいと思います。

山井委員 舛添大臣、ですから、私が質問したのは、後期高齢者医療制度を続けた場合と、老人保健制度に戻した場合と、七十四歳以下の若者の老人医療費に対する保険料負担はどちらが高くなりますか、そのことをお聞きしております。

舛添国務大臣 まず、長寿医療制度、後期高齢者医療制度の影響のみでの財政の計算はしておりませんが、唯一申し上げられることは、老人保健制度におきましても、長寿医療制度におきましても、要するに、原則五割の公費負担を医療給付費に対して行う、この点は変わりません。これははっきりと申し上げられるということであります。

 それ以外のことにつきましては、先ほど私は、診療報酬のことを申し上げたり、各保険者ごとの若者の負担というようなことを申し上げたので、単に後期高齢者医療制度をやめるか続けるかだけでの財政の計算はできないと思います。

山井委員 大臣、後期高齢者医療のみの比較で、後期高齢者医療制度を続けた場合と、老人保健制度に戻した場合と、どちらが若者の負担がふえるかは推計していないということをおっしゃいました。でも、大臣は、今までの発言の中で、老人保健制度に戻すと若者の負担が大変だという趣旨の発言をされているわけですよ。若者の負担が大変だという発言をされているのに、今の答弁で、どちらが負担がふえるのか推計していないというのは、矛盾するのではないですか。

舛添国務大臣 それは、年度ごとの財政計算と、大きな制度の仕組みが変わることによる長期的なトレンドについて申し上げているので、これはもう委員はおわかりになって御質問なさっていると思いますけれども、市町村単位の国保でやっている、そして今度は広域連合でやって、一割、四割、五割という負担の割合を明確化いたしました。しかし、国保のまま、老人保健制度のままであれば、当然のことながら、医療費に換算していけば、比較的高齢者の方が、個人単位で言っているんじゃないですよ、数を全体で見たときにそれは当然上がってくる。三十三兆円のうちの十一兆円が高齢者の医療費ですから。

 では、だれがどういう形で負担するのかということが明白ではありません。一割、四割、五割という形のたが、大まかな枠ですけれども、枠が決まっている場合と決まっていない場合には、それはだれが負担してくるのかということになりますと、それは高齢者以外の人たちが負担せざるを得ない。そういう意味で、このまま老人保健制度というのを続けていくならば、だれが負担するかということはよりあいまいになって、結果的には、若者、つまり高齢者以外の負担がふえざるを得ない。

 そういうことを申し上げているので、何年度から何年度については、診療報酬改定とかいろいろなものがありますから計算できないということなので、私は、その二つのことを言っているわけでありまして、全く矛盾はしていないと思っております。

山井委員 舛添大臣がおっしゃっていることはやはり矛盾していますよ。推計していないのに、どちらが高いか低いかわからないじゃないですか。舛添大臣がおっしゃっていることで、後期高齢者医療制度にして負担の割合が明確化になったということは私も賛同します。明確化になったけれども、どちらが高いか低いかは、推計していないのだからわからないわけでしょう。

 もう一点だけ聞きます。

 では、診療報酬の改定や自己負担のアップや医療費適正化計画、そういうものを抜きにして、後期高齢者医療制度単体では、老人保健制度と後期高齢者医療制度に変えるので老人医療費の伸びに影響は与えるんですか、与えないんですか。

舛添国務大臣 それは制度を変えたからといって、老人医療費の伸びがどうなるか、老人医療費の伸びがふえるかどうかは、例えばメタボ対策をしっかりやる、生活習慣病に対してしっかりやる、それから今度は、例えば糖尿病を治すような画期的な薬ができるとか、いろいろな要因によって医療費の推移が決まるわけですから、制度が変わったから、その結果、今度は医療費が伸びたとか減ったとか、そういう議論はそもそも余り意味がないのではないでしょうか。

山井委員 舛添大臣、今すごい重要な答弁をされましたよ。後期高齢者医療制度を入れる、入れないは老人医療費の伸びに影響を与えないということをおっしゃったんですよ。これは今までの説明と全く違うわけですから、もう時間が来ましたので終了しますが、推計をしていないのに、若者の負担がふえて大変だとかそういうことを言うというのは、根拠がないのになぜそんなことが言えるのか、私は非常に不思議です。

 それと、最初に戻りますが、本当に七割の方が安くなったのか、私は非常に極めて疑問です。やはり、そこまでおっしゃるんだったら、モデル調査じゃなくて、もっときっちりしたサンプル調査、実態調査をやらないと国民は納得しないんじゃないでしょうか。都合のいいモデル世帯だけを選んだということになるんではないでしょうか。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

茂木委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに一問、大臣に伺いたいと思うんですが、先ほど郡委員も取り上げておられて、答弁も伺っておりましたが、改めて原爆症認定問題について伺いたいと思います。

 ちょうど今の時間、原告、被団協の皆さん、弁護団、支援者の皆さんが、折りヅルパレードということで、衆参の議員面会所を埋め尽くしているというこの瞬間に、今質問させていただきます。

 二十八日の仙台高裁、三十日の大阪高裁の画期的勝利を受けて、国の控訴断念、新基準の見直し、そして全国の集団訴訟の一括解決を迫っています。とりわけ大阪高裁は、四月から始まった新基準でも対象とならない五名の原告について放射線起因性を認め、要医療性を認めた仙台判決と並んで、政府に根本的な見直しを迫るものだと思います。

 昨日、自民党の原爆被爆者対策に関する小委員会も決議を上げておられるようで、大変心強く思っております。

 上告はやめ、一括解決の道を目指すべきだと考えます。また、判決の趣旨に沿い、新基準についても再度の見直しをすべきと考えますが、伺います。

舛添国務大臣 今、二つの判決文について精査をし、法務省、財務省初め関係省庁と協議をしております。そして、総理は外遊中でございますので、政府全体としてこの問題に対応していきたいというふうに思っております。

 先ほど申し上げましたように、大変皆さん御高齢になっておられる。そして、この二つの判決の重みは極めて重いというふうに思っています。要医療性それから認定基準の問題も御指摘のとおりございます。そういう中で、例えば認定基準を新たにしなくても個々の判断で救えることができないのか、そういうことを含めて、これは総理がお帰りになりました後、政府全体としての方針を決めたいと思います。

 基本は、こういう方々、救える方々は積極的に救っていく。そして、そのときに、国民の皆さんの御支援がなければこれはかないませんですから、きちんと国民の皆さんの御賛同もいただけるように私の方から説明をしていく。そういう真摯な態度で臨んでまいりたいと思っております。

高橋委員 極めて重いと言ってくださったことと、総理が帰ってきたら判断をするというお話だったんですけれども、最後にお話しされた、個々の判断で救えないのかということに非常にひっかかりがあるわけです。

 原告団の皆さんも、総合的に判断をするということはもともと決まっていたはずなんだけれども、やはりDS86などの基本があってその上で個々にといったときに、今言ったように、裁判で勝訴をしている人でさえもはじかれるんだと。そこをちゃんと書き込んでいかないと、やはり個々に漏れる人が出るということなんですね。

 私、先日お部屋にいらした被爆者の皆さんが、被爆した時点で多くの仲間たちを自分たちは見捨ててきたと同じというか、やはりそういう思いがあるから、もう二度と一緒に闘っている仲間の線引きはできないんだ、そうおっしゃっていることを本当に受けとめてほしいと思います。

 大阪では九名全員勝訴しましたが、残念ながら、そのうち三名は一審の後に亡くなっています。三百五名の原告団全体でも四十九名が亡くなっています。文字どおり、時間との闘いです。いたずらに時間を延ばさず、きっぱりと政治決断をするべきだと思います。

 大臣、せっかく手を挙げているので、もう一言お願いします。

舛添国務大臣 私は、新しい認定基準を、これを頭からつくらないとかいうことを、そういう気持ちで言っているのではなくて、まさに時間との闘いですから、私が大臣になってからずっとこれはもう専門の委員会が開かれて、認定基準が決まるまでに何カ月もかかりました。こういうことを避けてより迅速な決断を下すとすると今の枠組みの中で何ができるか、そういうむしろ前向きな形での取り組みだというふうに御理解いただければと思いますが、委員の問題の指摘は十分受けとめて、長期的な問題についても考えたいと思います。

 ただ、時間がございません。時間との闘いでやりたいと思っております。

高橋委員 よろしくお願いをしたいと思います。

 それで、次に法律に入りたいと思うんですけれども、きょうは、まず障害者の交通機関における運賃割引制度について伺いたいと思います。

 資料の一枚目におつけしましたが、これは国土交通省がまとめている現行の運賃割引制度がどのようになっているかを示したものであります。JRの本人と介護者は五割引きを初め、バス、タクシー、船、飛行機、それぞれ条件はあるものの、割引制度が確立をしています。

 では、精神障害者についてはどうか。めくっていただきますと、二枚目にこれもまとめたものがございますけれども、平成十三年と十九年との比較があります。これを見ると、確かにふえていることはわかります。しかし、鉄道関係三十九者、乗り合いバス百七十四者、旅客船十五者と、数えるほどしかありません。

 障害者団体が繰り返し求めている内容ですけれども、障害者自立支援法でも三障害が統一されました。身体、知的と同じ扱いにするべきと考えますが、まず国土交通省に伺います。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

北村政府参考人 お答えをいたします。

 現在、障害者の方々に対する公共交通機関の運賃割引でございますけれども、基本的には各事業者の自主的な判断に基づきまして、今先生がおっしゃいました身体障害者だとか知的障害者の方に対して実施されております。これはなぜかと申しますと、割引によります減収を他の利用者の負担によって賄うという形で行われているものでございます。

 それで、割引対象を御指摘のような精神障害者やその他の障害者の方に対しても拡充するということにつきましては、先ほど申しましたように、割引による減収を他の利用者の負担によって賄うという形ですので、基本的には各事業者の自主的な判断に係る問題でございますけれども、国土交通省としては、従来から各事業者や事業者団体などの関係者に対して、機会をとらえて、割引に関する要望を踏まえて検討することにつきまして理解と協力を求めてきたところでございます。

 特に、今先生もおっしゃいましたように、精神障害者の方につきましては、障害者基本法において精神障害者が他の障害と区別なく取り扱われているということとか、障害者自立支援法におきましても身体、知的、精神の三障害の制度格差が解消されたというようなことでございますので、我々としましては、先ほど申しましたように、関係者に理解と協力を求めてきたところでございます。

 さらに、二年前になりますが、十八年の十月に、精神障害者保健福祉手帳制度におきまして、この手帳に本人の写真を貼付するという制度改正が行われましたことを機会に、交通事業者の方に対しては、手帳制度の改正の内容を周知しますとともに、精神障害者に対する一層の支援策を講じること等、さらに理解と協力を求めてきたところでございます。

 今先生から御紹介ありましたように、今現在、交通事業者が自主的に割引をしているのが、平成十九年四月現在ですけれども千四百十八者でございます。これはまたさらに増加傾向にありますので、国土交通省としては、今後とも引き続き関係者の理解と協力を求めていきたいと考えております。

高橋委員 ありがとうございました。

 確かに自主的な判断ということがこの資料にも書かれているわけですけれども、自主的な判断ではあるけれども、JRはJR、バスはバスという形で統一した対応がとられているわけですよね。やはりそこにきちんとした行政の指導なり援助なり、そして統一した対応というものが当然あられたのであろう。

 そうすると、ここをもって精神だけは違いますよというふうにはいかないし、減収という点であれば身体も知的も同じなわけで、ここに来て精神だけが入れると減収になるよという議論にはならないんだろうと思います。

 そういう点で、一番大もとになるJRさんなどにぜひ踏み切っていただいて、全体が回るような形でイニシアチブを発揮していただければと思います。これは要望にとどめたいと思います。

 そこで、私は、やはり厚労省が障害部局の中でこの問題を、国土交通省任せにせず、取り組みをするべきだと考えています。一つは、三障害が同じでない現状をどう考えているのか。そのために必要な手だてを検討するべきではないか。さまざまなことがあると思います、例えば減税措置とか、何かあるのではないか。三つ目は、各自治体で独自の助成制度をやっていると思いますけれども、調査をすべきではないか。

 以上、どうでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 まず、地方自治体についての調査の件についてお話をさせていただきます。

 厚生労働省におきましては、毎年度、都道府県及び指定都市におきます精神障害者保健福祉手帳に基づく各種の援助施策のうちで、公共交通機関の運賃の割引でありますとか公共施設の利用料の減免などにつきまして御報告をいただきまして、整理をした上でホームページで公表をしたり、あるいは全国会議の資料として配付をして、先生御指摘がありましたように、三障害できるだけ同じような扱いにするように進めてくださいというような要請を行っておるところでございます。

高橋委員 最初の、問題意識についてお答えになりましたか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 従来、精神障害者保健福祉手帳につきましては、写真の貼付を求めておりませんで、本人確認が困難であったことなどを背景としまして、他の障害者手帳と異なり、公共交通機関の運賃に対する割引等の支援の協力を得にくいという実態がございました。

 こうした課題に対応するために、先ほどの国土交通省からのお話にもございましたように、平成十八年の十月から手帳の様式を改正いたしまして、これを機に各事業者に協力をしてもらうよう、国土交通省にも私どもから協力要請をしたところでございます。それを受けまして、国土交通省の方で各事業者に対しまして協力措置をいただいておるということでございます。

 そういうことでございますので、私どもといたしましても、精神障害者保健福祉手帳に基づきます各種の援助施策についてより一層の支援が得られるように、事業者等に働きかけを続けてまいりたいと考えております。

高橋委員 ちょっと実務的なお話だったかなと思うんですけれども、大臣、ちょっとそのことも含めて御答弁をいただければいいかなと思うんです。やはりもう三障害にこの点で区別があってはならないのだということをはっきり言っていただきたいんですね。

 宮城県でこの間、交通費の問題で県当局やバス会社に何度も要望活動をしている青年からメールをいただいているんですけれども、バス会社の方も、やはり障害者基本法の定義、先ほど紹介があったように、十分理解していますと。国及び地方公共団体の責任として社会参加を支援することがうたわれておりますと答えていただいたそうです。それで、県内のバス事業者と当局と十分協議をして判断をしたいと言ってくださっている。県も、精神障害者だけおくれていることを申しわけなく思っていると。そういう意味では、とても誠意ある回答だと思うんですね。

 これはぜひ実現してもらいたいなと思うんですけれども、やはり出発点はそこをきちんと認識していただきたいんです。その上で、どっちの責任だという話にしないで、国土交通大臣とも話し合ってしっかり責任を果たしていただきたいと思いますが、大臣の見解を伺います。

舛添国務大臣 身体障害者、知的障害者、精神障害者、これはもう全く三障害同じであるということで、同じ取り扱いをすべきであるというのは基本だと思います。

 公共交通機関の場合、最初の二つに比べて精神障害者は外見からわかりにくいというようなことで、写真の貼付ということがあると思います。

 それからもう一つ大事なのは、これは、各バスとか電車とかにステッカーを張ってもらうようなこともやろうかなと考えているのは、やはりほかの乗客の皆さん方の御理解がないといけない。ちょうど妊娠している女性たちに対してそういう手を差し伸べるようにマークをつくりましたね、マタニティーの。あれと同じようなものをつくって、三障害ですよということを、私は、やはり広く国民の皆に知らせるという啓発活動も必要だと思いますので、国土交通大臣を初め関係閣僚ときちんとこれは議論をして、政府全体として前に進めたいと思っております。

高橋委員 よろしくお願いいたします。

 さっき紹介するのを忘れましたが、三枚目に国土交通省がまとめている地方公共団体の取り組み状況がございます。地域におりるともっといろいろなことがあるのではないかと思いますので、ぜひ調べていただきたいと思います。

 やはり、今話し合っている法案は、障害者の雇用機会を拡充しようというために促進法をやっているわけですし、先ほど大臣は障害者の権利条約の早期批准に向けて決意も披瀝をされたところであります。そういう点では、やはり自立や社会参加の前提として、そして権利条約にある障害のある人がない人と平等に生きるための条件整備、その前提としてこの問題は当然整備されるべきだというふうに思いますので、重ねてお願いをしておきたいと思います。

 次に行きます。

 障害者雇用促進法の中で、精神障害、ちょっと続けて精神障害のお話をさせていただきますけれども、実雇用率に含まれるけれども義務化されなかったのはなぜか。これは何度か議論がありますけれども、整理の都合上、一度伺いたいと思います。

岡崎政府参考人 精神障害の方をどうするかという問題につきましては、前回の法改正の際に随分議論していただきました。そういう中で、精神障害の方の現在におきます雇用の状況、職域の開発の状況、そういったものを考えた上で、当面は実雇用率の算定に精神障害者の手帳を持っている方をカウントする、こういう整理をされたわけでございます。

 その後、施行されてから二回把握する機会、六月一日の把握する機会があったわけでございますが、昨年の六月一日の段階では、五十六人以上の法定雇用率の対象企業では四千人という程度にとどまっているという状況でございます。

 こういう状況のもとで、次のステップというのはなかなか難しいのではないかということもありまして、今回も審議会では議論いたしましたけれども、むしろ、もう少し企業の理解の促進でありますとか、さまざまな支援施策を充実強化して、そういう中で精神障害者の雇用の促進状況をさらに進める、条件整備を進めて、その状況を見きわめながら雇用義務の対象とするかどうかを検討する、こういうことになったわけでございます。

 したがいまして、私どもとしては、そういう形で精神障害者の方の雇用を進める中で検討が進められるように努力していきたい、こういうふうに考えております。

高橋委員 今のお答えは、なぜ義務化しなかったのかというのに対して、実態がまだまだ追いついていないということですよね。それで、理解の促進もいろいろ必要だしと。

 そうすると、精神障害者の雇用がふえれば義務化を考えるという意味ですか。

岡崎政府参考人 数字的な意味だけではなくて、企業におきます精神障害者の雇用受け入れのノウハウでありますとか、そういったものを含め総合的に考えて、企業や障害者団体の皆様方に参加していただいて議論を進めていくということにしていきたいと考えております。

高橋委員 議論を進めていくということで、検討しているという意味ですよね、今おっしゃっているのは。私は、実態が低いからやらないと言えば多分実態は引き上がらないだろうという問題意識を持って、今質問させていただきました。

 昨年、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の委託事業として、社団法人全国重度障害者雇用事業所協会が平成四年以降行っている重度障害者多数雇用事業所の定点観測調査、これは平成四年からずっとやっておりますが、それに加えて、精神障害者の雇用を中心的に採用方針を調査しております。

 それが発表されておりますけれども、これを見ますと、今後精神障害者の雇用について前向きに考えたいが二二・三%、条件が整えば検討したいが三二・二%となっており、五割を超えています。特にその理由として、他の障害者に比べて雇用が進んでいないからが三二・六%で、おくれていることを自覚して実は前向きなんだということが読み取れると思うんですね。

 その前向きに考えていきたいと答えた理由。国の方針だからが二四・一%、関係機関、施設や病院などの依頼があればが二四・一%、同じだけあります。そして、向いた仕事があるというのが二九・六%で、私は、これは精神障害者の場合は特に、一定のキャリアを積んで、その途中で障害を持つという方が大変多いですので、もともと能力を持っている、それが発揮できる場所なんだということを理解して、向いた仕事があるという指摘もあるし、そこを生かしたいということも答えの中に出てくるわけですね。それで、あとは、前向きに考えるための条件のトップが、精神障害者の雇用管理について勉強し、自信が持てるようになったらが六五・四%であると。

 私は、言いたいことは、企業は、今調査をしたのは既に重度障害者を雇っている企業という条件がございますが、前向きであるということと、平成十七年の障害者雇用促進法の改正で雇用率の算定対象にしたこと、納付金制度の対象にした、やはりこうした国の制度が変わった影響が絶対大きいんだと。実際に、その一年以内に新たに精神障害者をあえて雇用したという方が半分なんですね、国の制度が変わったことを受けて。

 そうすると、やはりこの問題では、国のイニシアチブと援助が決定的だと言えるのではないでしょうか。

岡崎政府参考人 今おっしゃっていただきましたような意味におきまして、私どもは、精神障害者の雇用をまず進めていく、現実を進めていくことで条件整備を図りたいと思っておるわけでございます。そういう中で、新たな助成金の制度もつくりましたし、それから医療機関との連携をした形での復職支援等のスキームもつくったりしております。

 したがいまして、私どもとしては、できるだけ精神障害者の方の雇用を進め、職域を広め、あるいは企業におきます雇用管理のノウハウを普及させる中で、現在でも実雇用率としては算定するという中で進んできている部分もありますけれども、さらに完全な意味でインプットする形での条件を整えて議論を進めていきたい、こういうふうに考えているということでございます。

高橋委員 同じ質問を大臣に伺いたいと思います。

舛添国務大臣 今部長が答えましたように、今後、そういう方向で努力を重ねてまいりたいと思います。

高橋委員 先ほど紹介したように、国のイニシアチブと援助が絶対必要であるということを重ねてお願いしたいと思います。

 先ほど紹介した中に、障害者の雇用管理について勉強し、自信が持てるようになったらという声があったことや、国が決めたというのが、何か嫌々決められたということではなくて、やはり、病院や施設など関係機関との連携が本当によくとられていれば十分にそこが発揮できるんだ、企業の中にも相談者を置くという義務もございますし、そうしたところのフォローアップ、援助がよくよくとれていればもっといいのではないか、このように思います。

 それで、もう一つ、そうした点で、先ほど来、精神障害者の皆さんの、義務化なり雇用率を算定するに当たって掘り起こしがあるのではないかとか、いろいろな指摘がございましたけれども、その点で、「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドラインの概要」ということで、厚労省が事業主にこうしたものを出しているわけで、配慮について、必要のない情報の取得を行ってはいけない、ほかに使ってはいけないだとか、さまざまなことが言われていて、これはとても大事なものだと思うんです。

 同時に、せっかく最初は配慮するんだけれども、部署が変わってしまって、そのためにそれが全然伝わっていかないですとか、本人が我慢しているがために、病院のために休まなきゃいけないことに理解が全然進まないですとか、やはりそうした面でのもう一工夫が本当は必要なんだろう。

 一言お願いして、終わります。

岡崎政府参考人 おっしゃっていただきましたように、精神障害者の場合、周りのサポートが非常に重要な部分がございます。そういう中で、人事部門とかだけではなくて、現実に働いている中でどういうふうなサポートをするか。

 ただ、一方では、精神障害に対するいろいろな世間的な見方というのもありますので、そういうことがないような形の中でどうやってうまくサポートしていくか。これは我々もノウハウを開発しながら、企業にもそういったことを学んでいただきながら進めていきたい、こういうふうに考えております。

高橋委員 もう一歩前へ進めたいと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。

吉野委員長代理 次に、阿部知子さん。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、冒頭、舛添大臣に心からお礼を申し上げたい件がございます。

 実は、大臣初め関係の皆様の御尽力で、国立の長野病院に産科の医師の継続派遣が決まりまして、そのおかげさまをもちまして、そのすぐ近くの上田市で、これも、そちらの国立長野がなくなってしまうと患者さんの送り先がなくなってしまう上田市の助産院が、そっちも頑張ってくれるんだから自分たちも頑張ろうという形で、助産院の新装、新しく改築して長野病院の近くに開設されるという二つの幸運な報告が寄せられました。

 医療の拠点というのは、つぶすのは簡単ですが、本当にあらゆる努力をして何とか保持しようとすることは容易ではない中で、大臣に御尽力いただきましたこと、また昭和大学の方からも派遣を継続していただいたということですので、この場所で本当にお礼申し上げたいし、日本各地でそういう、産科医いない、病院つぶれちゃう、子供生まれられない、そういうところがたくさんありますので、ぜひ、大臣にも引き続き御尽力をお願い申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 引き続いて、きょう、この審議が終了した後、被爆者問題、特に在外被爆者問題で、これも各党派のこぞっての賛成で、在外被爆者について、今まで在外から、すなわち、例えば韓国から、ブラジルから、アメリカから手帳の申請ということができませんでしたけれども、被爆者の皆さんも御高齢になり、わざわざ日本に来てくださらなくても何とかこれが可能になるようにという、これは与野党のいろいろなお取り組みの中で、この法案も委員長が提案してくださることになっております。

 これも大変にありがたいことでありますが、私は、それに関連して、きょうは舛添大臣に二点、主な点ですが、ちょっとお伺いをさせていただきたいです。

 実は、これは昨年の十一月に、いわゆる三菱の徴用工裁判というのがございまして、強制連行されてこられて三菱で働いておられて被爆して、その後韓国に帰られて、しかし、この間の、被爆者手帳を持っていても国内にいないと使えないという四〇二号通達によって被害を受けたから、国はその四十人の方に、お一人当たり百二十万円の賠償金を支払えという最高裁判決でございました。

 このことに関しまして、当委員会でも、たしかこの直後、細川委員の方から御質疑で、今回は四十人の原告であったけれども、同じような方がまだまだおられるだろう、そういう方については今後どのように取り組まれるのかということを大臣にお聞きして、そのような検討をしていただくというお話でありましたが、どのように進んでおりますか。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

舛添国務大臣 この問題は、昨年の十一月一日の最高裁判決を受けての対応なんですが、問題は、国家賠償にかかわるものですから、どうしても今の法制上、司法の判断をいただかないといけない。

 ですから、個々個別のケースについて司法の方で判断していただければ、例えば直ちにそれを和解して迅速にお支払いする、賠償をお支払いするという形ができます。ですから、これを周知徹底して、ぜひそのアクションをとっていただきたい。そのことによって、私どもの方も、国としても迅速に対応したい、そういう方針でいきたいと思っております。

阿部(知)委員 今、大臣は大変にいい答弁をしてくださいまして、実は、例えばこの三菱の徴用工の問題では、当初四十六人で始めた裁判が、十二年間の経過の中で、亡くなられて十五人の方の賠償にしかならなかったというか、現実には生きて賠償を受けられた方はなかったということで、今大臣がおっしゃった、提訴を起こしてくれたら速やかに和解、この速やかに和解というところに二重、三重の意味がございますので、今も大臣は明確に御答弁でありましたので、そこはお尋ねいたしませんとして、よろしいですよね。はい。

 そして、ちょうど同じように薬害のヤコブ病という問題が起きましたときに、当時、坂口大臣でありましたが、同じように提訴問題が問題になって、未提訴者、まだ提訴していない方についても、提訴後は未和解原告らと同様とする、とにかく、あくまでも提訴して早期和解という以上に、裁判で認めていただいてすぐ和解する、それは大事なことなんですが、しかし、もう一歩踏み込んで何らかの早期な全面的な解決を目指そうとする姿勢、坂口大臣に当時お示しいただきましたが、こういう点については、舛添大臣はいかがこの問題をお考えでしょうか。

舛添国務大臣 昨年来の、例えばC型肝炎の問題ですと、これは訴訟がずっと続いていました。今の原爆症もそうです。ただ、今お話しになっている問題は、最高裁の判決が確定しておりますから、これをもとにすべて判断できるということで、いろいろな立法措置、それはまた時間がかかります。財務省との間の調整とか、政府部内の調整も必要です。

 そういうことを考えますと、先ほど申し上げましたように、最高裁は最終審ですから、もうこの判決が確定していますから、これを最大限活用する、それが一番皆さん方の御意向を酌んだ形で御支援申し上げる道だ、そういうふうに確信しております。

阿部(知)委員 大変前向きな御答弁、ありがとうございます。

 もう一つ、今回、在外からの被爆者手帳の申請が可能になるとして、一番問題が残るのは、朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮と総称されております、俗称と申しますか、と言われております地域にお暮らしの在外被爆者であろうかと思います。

 普通、在外被爆者でこの手帳を申請しようとするとき、在外公館に行って、そこから日本に来るわけですが、残念ながら北朝鮮には、我が国の在外公館という形では、国交がないゆえに何ら窓口が置かれておりません。しかし、被爆したという事実は一つでございます。

 実は、二〇〇一年に、恐らく外務省と厚生労働省の調査団が北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国にも出向かれて、在外被爆者、特に北朝鮮にお暮らしの方の実態も把握はしておられる。少なからぬ数、二千人近くかと思います、おられるわけです。その方たちにも、今回この衆議院で後々、すぐ後、委員長が御提案いただきます海外からの申請可能に道を開いたということが、同じように波及できるような道は何かないものか。

 ぜひここは、舛添大臣に外務省ともお話をしていただきまして、私は、事は人道ですから、本当に一刻も早くその方の被爆という状況に報いる道が立つべきと思いますが、大臣はどのようにお考えでしょう。

舛添国務大臣 私は、在外被爆者の方、韓国の方も、ブラジルにおられる方も、アメリカにおられる方ともお会いできました。しかし、残念ながら北朝鮮におられる方々にお会いすることはできません。それは、もう御承知のように、今の日朝の関係がこういう関係であるからでありまして、外交関係の樹立を含め、これは外交全体にわたる大きな問題だというふうに思います。

 そのような中で、何とか今委員がおっしゃったようなことが実現できないか。人道的だということをおっしゃいましたが、実を言うと、平成十三年のこの調査、これは北朝鮮側の調査ですけれども、朝鮮被爆者協会の調査で、千三百五十三名中生存者九百二十八名。ところが、ことしの四月だと、もう三百八十二人に生存者が減っています。それだけお亡くなりになったということですから、そういう意味でも、これはぜひ、北朝鮮の政府も人道的な立場に立たれて、しかるべき手を打っていただければと私も思いますが、これは外務当局とも相談の上、何ができるかを検討してみたいと思います。

阿部(知)委員 今大臣が細かな数値で御紹介いただきましたのは、御指摘の平成十三年の外務省と厚生労働省合同の調査になってございますが、その一年前年に、日弁連、日本弁護士連合会がやはり同じように実態調査をされて、この数値が一千九百五十三名ということになっております。

 確かに昔のことで、実態がどのくらいなのかという把握も難しいという、今大臣もお述べいただいた、またこれからもどんどん亡くなっていくという中ですので、ぜひ重ねてこの点は大臣にも御尽力をいただけたらと思います。これもよろしくお願い申し上げます。

 さて、本日の審議の法案に入らせていただきますが、私は今回、今週金曜日にも恐らく審議がございますことと思いまして、本日は、そもそも論というか、そもそも障害者雇用ということをどう考えて我が国が臨むべきかということで幾つかの御質問をさせていただこうと思います。

 実は、大臣も御承知おきかもしれませんが、昨年の十一月、我が国が、ILOの百五十九号条約にのっとって、百五十九号条約というのは障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する条約でございますが、この条約を我が国は一九九二年に批准しておりますが、批准したにもかかわらず、障害者の雇用率、法定雇用率にまだ遠く及ばない、もっと言えば、法定雇用率が義務化されてから三十年余にわたって達成をされておらないということをもって、このILO百五十九号条約に違反しているのではないかということで提訴をいたしまして、今厚生労働省の方でもこれに報告を出すような段取りにはなっているさなかとは思いますが、大臣の率直な御感想で、三十年間、一応法定雇用率ですから、目標としたところが達成されずに今日まで来たことの最も大きな理由は何だとお考えでしょうか。一問、お願いします。

舛添国務大臣 何が最も大きな理由かということですが、それは企業の側の努力も足りないだろうと思いますし、それから、国民全体、同じ働く仲間の理解も進んでいない面もあると思いますし、それから、障害者に対するさまざまな施策がおくれた面があると思います。

 私はやはり、大臣になって見ていて、労働関係の法律、これは派遣の問題にしてもそうですが、グッドウィルのきのうの逮捕事件もありましたが、遵守しないでいいような雰囲気があるんじゃないか。しかし、国会で決めた法律ですから、労働関係の法律もやはりきちんと遵守して、働く人たちの人権を守っていく、そして障害者の社会参画を果たしていく、それがノーマライゼーションであり、それが理想の社会である、そういう思いでありますから、こういうことについては今後さらなる努力が必要だというふうに思っていますし、反省すべきはやはりきちんと反省しないといけないと思いますので、国民全体の課題だというふうに思っております。

阿部(知)委員 既に大臣も御存じのように、障害者の権利条約が、我が国も批准し、そして批准国がある有効数に達したということで発効する段取りになっておる中で、もし我が国がこの百五十九号条約にのっとっていないというか、到達していないということで勧告等々を受けるようになることは、決して前向きではないと思いますので、そのためにもきょうの審議があることと思います。この点は、大臣がおっしゃった企業側の努力ということも一つあろうかと思いますが、私は、またもう一つ、もうちょっとここの、この段、三十年間達成されなかった障害者の法定雇用率に内包される問題で、幾つかちょっと大臣と論議をさせていただこうと思います。

 きょう私は、珍しく資料は一枚なのですが、お手元に一般民間企業における雇用率設定基準、いわゆる障害者雇用率の設定基準の数式がございます。分母に常用労働者数と失業者数、そして、特殊な業務で、例えば警察等々で障害者をなかなか入れるといってもいかないわけの除外率相当労働者数が引かれたのが分母に置かれて、分子では、身体障害者及び知的障害者であって常用雇用の方と、プラス失業している身体障害者並びに知的障害者ということになっています。

 私はここには二つ問題があると思うのですけれども、まずその一つ目からいかせていただきますが、下段には、いわゆるハローワークで把握されている障害者の求人、そこに行って仕事を求めていますというグラフがございます。下の段が新規求職申し込み件数。今でいうと、十万人余りが求職をなさっている。当然、仕事につかなければ失業なのですが、しかし、これは年々累積していって、上のグラフは、全体で、去年も求職したけれどもまだことしもなっていない、とにかく職にはついていないという有効求職者数です。

 ここを見ていただくと、まだまだ、四万の差とは言いませんが、やはりかなり多くの差が厳然として存在します。

 この問題一つとってみても、やはりある一部の方たちは求職しても求職してもなかなか就労できない実態が一方にあろうかと思います。

 と同時に、大臣は御存じでしたでしょうか。実は、ハローワークで失業者として数にカウントする中には、福祉的就労の方で自分は就職したいんだけれどもという人はカウントされないのであります。日本は二系列で、こちらに労働法制、こちらには福祉の行政というのがあって、福祉的就労の人はこのグラフにも出てこない。恐らく、沈殿と申してはなんですが、ここに、なかなかうまくいかない方たちも、いろいろな条件でなかなかうまく運ばないという二重の問題がこのグラフの中には内包しております。

 さて、大臣にお願いがありますが、これからは実は福祉的就労という方もなるべく働けるように政策をやっていかねばならないということが、平成二十五年目標で、例えば政府の成長力底上げ戦略では、平成二十五年には障害者雇用を六十四万人で、また、なお福祉的就労の方も九千人ここに入れ込もうという目標が立てられています。しかし、残念ながら、ハローワークという労働の窓口にはその求める人の数すら上がってこないという、私はこれは制度的問題なんだと思います。

 なぜハローワークには福祉的就労の方の求職は、仕事をしたいのに、数にカウントされないんでしょうか。

岡崎政府参考人 ハローワークの求職受け付けにつきましては、福祉施設の利用者の方も求職受け付けをしております。

 近年、福祉から雇用へという政策、厚生労働省全体でとり出しましたので、その方の統計も昨年度からとり出しております。

 ちなみに、障害者の方、新規求職申込者十万七千九百人のうち、福祉施設利用者につきましては五千四百十六人、昨年度の状況ではそういう数字になっております。

阿部(知)委員 おっしゃったことは、やっと昨年度になって、福祉的就労の人が就労したいよといったときに、しかし、残念ながら、こういうグラフ上は出てこない範囲内で処理されているということなんだと思うんです。

 憲法二十七条には、労働は権利であり義務であるとございます。働きたいという意思のある人の意思を集約するのが私はハローワークの仕事なんだと思います。

 大臣、今後は、去年一年、一点だけとったというんじゃなくて、福祉的就労の方の中でも働きたいんだよという人は、ここの働く意思、仕事を求めてきたということで、ハローワークでもきちんと集計をしていただけたらと思いますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 障害者の社会的参画、そして、先ほど申し上げましたように、むしろタックスペイヤーの方になるんだ、こういう心意気からしても、この数はきちんとハローワークで統計上に載せるべきだと思いますので、そういう指導をしてまいります。

阿部(知)委員 これも大変ありがとうございます。

 もう一つ、例えば日本では、重度、医学的な判定で症状が重いから労働能力がないというふうにみなされがちです。それが、先ほど郡委員も御質疑の、重度の障害者をダブルカウントしてみたりという、私はちょっと違うんだと思うんです。その方の労働能力は実は医学的な障害の程度によらないんだと思うんです。その医学的な障害の程度でいつもいつも、重度だ、軽度だ、さて働けるんだというふうに判定している限り、我が国の障害者の雇用政策は大きな前進をしないのではないかと思うのです。

 この点もぜひ、これまでは、例えばその方の障害度認定で、そもそも働けるのか、働けないのかとかやってきましたが、そういう見方でない見方で、もう一度、障害者就労を考えてみていただきたいと思います。ちょっと抽象的で申しわけないですが、私は逆に医者として自分がやってきて、医学認定とその方の就労能力は違うと思うんです。車いすでもいろいろなことができますし、もっと言えば、全身が全然動かなくても、目が動くだけでも、働きたい意思のある人が働ける場があるんだと思うのです。

 そういう意味で、大きく考え方を変えてみていただけまいかと思いますが、これは大臣でも担当部局でも結構です。お願いします。

舛添国務大臣 二つのことを申し上げたいと思います。

 障害者認定について、医学的な観点からだけでなくて、認定基準をどう見直すか、これはひとつ検討してみたいと思います。

 それでまた、お医者さんである阿部委員に言ったらしかられるかもしれませんが、もう一つは、しかしながら、医学認定自身も精度を上げるなり、新しいやり方を考えてほしいというのは、先ほど来、私、発達障害の問題を申し上げていました。発達障害、いろいろ新しい知見や研究が進んでおります。非常に能力を持った障害者に対して、古い医学的基準だと重い障害になってしまいます。むしろ、そういう能力を引き出せる、天才的な能力を持った発達障害の子がいます、そういう子供たちの能力を引き上げるために、医学的な認定の仕方もやはり検討すべき課題だということを、お釈迦さんに向かって説法するようで恐縮でございますが、私の感想を述べさせていただきます。

阿部(知)委員 まことにさようでございまして、その医学的認定というものがその人の労働能力、社会参加のところにきちんとフィットしていないということは、多々指摘されるところでございます。

 今後ますますそういう連携の中で、ぜひすべて、障害者、働きたいという意思を持っている方を働けるようにする政策、この次、金曜日、具体的にまた質疑させていただきます。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

茂木委員長 この際、お諮りいたします。

 第百六十八回国会、河村建夫君外五名提出、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

茂木委員長 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来、各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。

 原子爆弾の投下から六十年以上が経過し、日本国外に在住する被爆者の方々についても、健康管理手当の支給等、これまで国内の被爆者と同様の援護措置が行えるよう改善策が講じられてきたところであります。

 しかし、被爆者に対する各種の援護措置を受けるためには、まず、被爆者健康手帳を取得することが必要で、国外在住者も、この手帳の取得のために来日して手続を行うことが被爆者援護法において定められております。

 在外被爆者については高齢化がさらに進み、手帳を取得するために来日することが身体的、精神的にも困難な状況となってきています。このため、在外被爆者の方々が来日しなくても、手帳の交付申請手続が行えるようにしてほしいとの強い要望があります。

 本案は、こうした在外被爆者の方々の切実な要望を踏まえ、被爆者援護法を改正しようとするもので、その主な内容は次のとおりです。

 第一に、国内に居住地及び現在地を有しない在外被爆者であっても、被爆地の都道府県知事に手帳を申請することができるものとすること。

 第二に、政府は、在外被爆者に対して行う医療費の支給について、国内被爆者に対する医療費等の支給状況及び在外被爆者の居住地における医療の実情等を踏まえて検討を行うとともに、在外被爆者に係る原爆症の認定申請のあり方について検討を行い、それぞれ必要な措置を講ずるものとすることであります。

 なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております草案を原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の一部を改正する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

茂木委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま委員会提出と決しました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十一分散会


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