衆議院

メインへスキップ



第12号 平成21年4月22日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十一年四月二十二日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 田村 憲久君

   理事 上川 陽子君 理事 鴨下 一郎君

   理事 後藤 茂之君 理事 西川 京子君

   理事 三ッ林隆志君 理事 藤村  修君

   理事 山井 和則君 理事 桝屋 敬悟君

      赤池 誠章君    新井 悦二君

      井澤 京子君    井上 信治君

      飯島 夕雁君    遠藤 宣彦君

      金子善次郎君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    清水鴻一郎君

      杉村 太蔵君    高鳥 修一君

      谷畑  孝君  とかしきなおみ君

      戸井田とおる君    冨岡  勉君

      西本 勝子君    萩原 誠司君

      林   潤君    福岡 資麿君

      渡辺 博道君    内山  晃君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      園田 康博君    田名部匡代君

      高井 美穂君    長妻  昭君

      細川 律夫君    三日月大造君

      三井 辨雄君    柚木 道義君

      福島  豊君    古屋 範子君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働副大臣      大村 秀章君

   厚生労働副大臣      渡辺 孝男君

   厚生労働大臣政務官    金子善次郎君

   厚生労働大臣政務官   戸井田とおる君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  関  有一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           門山 泰明君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  上田 博三君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       村木 厚子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  宮島 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           佐々木 基君

   参考人

   (独立行政法人国民生活センター理事)       田口 義明君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  郡  和子君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     郡  和子君

同月二十二日

 辞任         補欠選任

  大野 松茂君     渡辺 博道君

  木村 義雄君     飯島 夕雁君

  岡本 充功君     高井 美穂君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     木村 義雄君

  渡辺 博道君     大野 松茂君

  高井 美穂君     田名部匡代君

同日

 辞任         補欠選任

  田名部匡代君     三日月大造君

同日

 辞任         補欠選任

  三日月大造君     岡本 充功君

    ―――――――――――――

四月二十一日

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

田村委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人国民生活センター理事田口義明君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として総務省行政評価局長関有一君、自治行政局選挙部長門山泰明君、厚生労働省医政局長外口崇君、健康局長上田博三君、医薬食品局長高井康行君、雇用均等・児童家庭局長村木厚子君、社会・援護局障害保健福祉部長木倉敬之君、老健局長宮島俊彦君、保険局長水田邦雄君、国土交通省大臣官房審議官佐々木基君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高鳥修一君。

高鳥委員 おはようございます。自由民主党の高鳥修一でございます。

 きょうは厚生労働関係で幅広い質問をさせていただきたいと思いますが、昨日、急遽質問の時間を削られまして、駆け足になるかもしれませんけれども、答弁はぜひ簡潔にお願いをしたいと思います。

 まず、障害者福祉の問題について質問させていただきます。

 私が日ごろ大変尊敬申し上げております福島豊先生が、四年前の決算行政監視委員会で質問をされたことに関連をして質問いたしたいと思います。それは成年後見制度と選挙権剥奪の問題であります。

 これにつきまして、私は地元の上越市の手をつなぐ育成会の会員でもありますが、同じ会員の松原さんという方から、今回の質疑について手紙をいただいております。ごく一部ですが、紹介をしたいと思います。

  二十五歳の長男は自閉症でかつ知的障害があり、療育手帳Bです。

  長男の将来を考え、平成十八年十二月に母親が後見人になりました。当然の事ながら同時に長男の選挙権がなくなりました。

  それまで長男は選挙に行っていましたし、投票所での介助者を必要とせず、自分で名前を書いて投票していました。

  法的行為の支援は必要な状態ですが、選挙において自分にとって「誰が」「どちらの人」が必要かの判断は十分できます。

  成年後見制度では知的障害者の多くは補助人や保佐人で無く、後見人を必要とすると考えています。したがって多くの知的障害者は選挙権を失う事になります。言い換えると投票可能な人から選挙権をはく奪するのです。

  以前の禁治産制度をそのまま現行制度に慣例的にスライドさせているのですが、正しい事でしょうか?

  権利、人権を守るための成年後見制度で権利をはく奪するのは矛盾していませんか?

  障害者自立支援法では「地域で暮らす。」が大目標です。地域で暮らす上で選挙は、「自己選択→自己決定→自己責任」の典型的な行為で、重要な事項と考えています。

  近年は障害者の自立、権利擁護、人権を守る、という方向で制度が進んでいますが、選挙権はく奪はこれらに逆行する行為です。

一部読ませていただきましたけれども、松原さんの手紙に、もうすべてが言い尽くされていると私は思います。

 そこで質問いたしますが、障害者の権利を擁護するシステムで権利を剥奪するのは、端的に申し上げますが、やめるべきだと思います。これについて、法改正に向けて前向きに取り組む考えはないのかお聞かせください。

門山政府参考人 お答えいたします。

 公職選挙法第十一条におきましては、成年被後見人につきまして、選挙権及び被選挙権を有しないというふうに規定されております。

 これは従来、同条におきまして、御指摘ありました禁治産者について、心神喪失の常況にある者であることから選挙権及び被選挙権を有しないというふうにされていたわけでございますけれども、平成十一年民法改正で、禁治産者が成年後見人の制度に変更されました。されましたが、対象は一致するものであり、選挙のときに個別にその能力を審査するということも実務上困難でありますことから、従前の禁治産者と同様、選挙権及び被選挙権を有しないとされたものであるというふうに承知いたしております。

 選挙権、それから被選挙権を有する者の範囲をどのように定めるかということにつきましては、これはさまざまな角度から検討すべき課題ではございますが、事理を弁識する能力を欠く常況にある者ということで、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた方につきまして選挙権を有する者とするということについては、慎重に検討しなければならない課題だというふうに考えております。

高鳥委員 大体そんな答弁かなと思っておりましたが、この成年後見の制度は、私も含めてですけれども、知的障害者は高齢者の介護と違いまして、高齢者は、こういう言い方はちょっと失礼かもしれませんが、親が先に亡くなります。順番に逝きます。しかし知的障害者の場合は、一般的には親が先に逝って子が残される。だから、自分がこの世にいなくなった後、自分の子供がどういう生活をしていくのか、守られていくのか、それが一番の懸念事項でありまして、その中で、財産の管理ということが主たる目的であると私は思うんです。

 ですから、財産の管理はだれかにお願いしなければならないけれども、投票には行きたい。実は、選挙が好きだという人は知的障害者の方の中で多いんですね。ぜひ行きたい、何時から始まるの、僕、一番最初に行きたいんだよ、こう言う子供さんに、おまえはもうこれから選挙に行ってはいけないんだよと親は答えられないんです。どうしてと聞かれても答えられないんですよ。その親のつらい気持ちをぜひ御理解いただきたいと思います。

 そして、その上で、これは大臣の所管ではないということは十分承知の上でありますけれども、この制度ができて、そろそろ十年になります。この制度全体を見直す時期だと私は思いますけれども、大臣としてではなくて結構ですが、一政治家として、あるいは舛添先生一個人でも結構ですが、どう受けとめられたか御感想をお聞かせ願います。

舛添国務大臣 介護の社会化というときに、二つの車輪を動かそう。一つは介護保険制度。これはそれなりに定着して、一定の実績は上がっていると思います。それからもう一つが成年後見制度。ところが、これは余り普及していない、解説した書籍も少ないというような状況なので、これをさらに進めることが必要だと思います。

 今の点について言うと、私は、実は母親を、そのころは成年後見制度ではないので禁治産者にして、私が後見人になりました。家庭裁判所でさまざまな手続をやり、いろいろ考えていますけれども、私の母親は認知症でしたので、これはもう選挙権、被選挙権がなくて当然という状況でありました。

 今のようなお若い方々で、特に知的な障害であるとか精神的な障害、こういう方について、今総務省の方からお答えがあったように、事理を弁識する能力が著しく不十分であるということをどう判定するかということが非常な問題になってきますので、これは管轄は法務省であっても、我々全員、国会議員として議論するとすれば、やはり議論の場を設けて、公職選挙法の十一条の取り扱いをどうするのか、そのために、例えば、この方は候補者について的確な判断ができるかどうかというのを判定するような、そういう一つの組織をつくるというのも案かもしれません。

 いずれにしましても、禁治産、準禁治産という民法上の法律から成年後見制度に変わって、今のような、委員が御指摘なさったような問題も出てきているわけですから、これは、行政の方でどうするかは検討させていただきますが、ぜひ議員の中でも、党派を超えた議員連盟のような形で少し検討を開始するような時期に来ているのかな、私もそういうふうに思っております。

高鳥委員 ありがとうございます。

 これは私見ですけれども、この方々が投票に行ったからといって、今、事理の弁識とか判定とかということがありましたけれども、だれに迷惑がかかるわけでもない。行きたい人から剥奪するというのはやはり問題があると私は思っております。

 今、各党でというお話がありましたので申し上げますけれども、実は、福島先生が四年前に質問したときにも、今後、各党各会派で御検討願いたい、そういう答弁があるんです。それから四年たっているんですね。どういう検討をされたのか。そんな後ろ向きの姿勢ではだめだと私は思うんです。ぜひとも、私はこれはあきらめませんので、障害者の人権を守るためにこれからも取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは次に、ちょっと話題をかえまして、今回の政府・与党の経済危機対策の中に、障害者自立支援対策の推進というのがございます。職員の処遇改善への助成と、それから新体系への移行促進というのがありますが、この中身を簡潔に教えてください。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の経済危機対策におきましては、障害者の自立支援対策の推進ということも掲げていただいておりまして、その中で、障害福祉サービスに携わられる福祉・介護職の方々の処遇改善、それから事業者の、この法律に基づきます新体系への移行促進の措置等を盛り込んでおるところでございます。

 具体的には、まず処遇改善の方でございますが、障害福祉サービスに携わる方々の賃金水準といいますのは他職種に比べてもまだまだ低い傾向にございます。このために、この方々の雇用環境を改善して、今後増加していく障害福祉サービスの需要にこたえていくために、処遇の改善、賃金の支援というようなことを盛り込んでまいりたいというのが一点でございます。

 それからもう一つ、この法律に基づきます新たな体系への移行、従前の法律の施設体系から新しい体系には二十四年三月末までに移行をしていただくということで経過措置がとってございますけれども、この移行を促進するために、新体系サービスで必要となります施設等の改修、増築等の基盤整備、それから事業者の方々が移行したときの運営の安定のための支援というようなことを盛り込みまして、これまでも各都道府県に積んでおります臨時特例交付金によります基金、これを積み増して支援を実施してまいりたいというふうに考えているところでございます。

高鳥委員 ありがとうございます。

 次に、所得保障の拡充についてお聞きをいたします。

 与党PTの中でも、自立支援法見直しの基本方針の中に、障害者年金の二級を一級に、一級をそれ以上にという話が出ておりますけれども、これについてはどう考えておられますか。

木倉政府参考人 御指摘のように、障害者の所得保障制度につきましては、年金あるいは諸手当、さらには就労施策の推進などさまざまな措置が講じられているところでございますが、このような措置をまずもって適切に充実、運用していくということ。

 それから、今の社会保障審議会の障害者部会におきましては、御指摘のように障害基礎年金の水準をさらに引き上げるべきではないかというような意見も含め、広く意見が提出されておりますが、その報告書の中では、最終的に、年金制度のあり方など社会保障制度全般の見直しの議論との整合性も踏まえる必要がある、こういうものを踏まえて検討していくべきであるという指摘をいただいております。

 障害基礎年金のあり方につきましては、その見直しには大きな財源が必要になってくるというような解決すべき課題がありますことから、そのような財源の確保も含めて、検討を深めていくべきであるというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、障害者の所得保障ということは、障害者の方々の自立した生活を支えていくために必要不可欠なものであるというふうに認識しておりますので、その充実につきまして、さらに幅広い観点から検討を進めてまいりたいと考えております。

高鳥委員 ぜひ前向きの検討を進めていただきたいと思います。

 次に、障害者の就労支援についてお聞きをいたします。

 今、百年に一度と言われる経済危機の中で、実は、最も弱いところといいますか、障害者の働く場にも大変大きなしわ寄せが来ております。先日、私は、地元の小規模作業所に訪問をして話を聞いてまいりましたけれども、結局、そういう作業所を支援してくれていた企業にもう仕事がなくなっている、激減をしている。

 しかも、例えば空き缶をつぶす作業が、去年まで一つつぶして二円だったそうであります。ところが単価も下がって、今は五十銭になっているということであります。作業所全体で一日に一万個ぐらいの空き缶をつぶすんだそうですけれども、以前は十数人の方で一日二万円ぐらいになったものが、今は四分の一ですから五千円にしかならない。一日働いて五千円にしかならない。

 こういう厳しい状況の中にいる障害者の就労支援についてはどういう対策を考えているか、お聞かせください。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今の経済不況によります影響というものが、障害者の就労関係施設に対しましても大きな、厳しい影響が来ているということは、これらの団体の方々からも直接伺っているところでもございます。

 このために、まず、昨年の秋の段階、十一月の段階では、都道府県の方に通知も出しまして、こういう作業所や授産の施設、就労支援の施設で、不況の事業からさらに新たな事業に転換を図っていくような努力をされるところに対しましては、今の工賃倍増のような補助金につきまして、さらに活用をしていただくような措置を促すことの通知も出したところでもございます。

 また、受注の機会をやはりふやしていかなきゃいけないということでございまして、現下の雇用情勢に対応するための、厚生労働省全体で取り組んでおります障害者雇用維持・拡大プランの取り組みの一つとしまして、経済団体あるいは企業等に対しまして障害者の雇用の維持、拡大をお願いする中で、障害者福祉施設に対しましての仕事の発注をさらにふやしていただきたいということを直接もお願いしておりますし、各都道府県、地域においてもお願いをしておるところでございます。

 また、地方公共団体みずからが、みずからの役務でありますとかいろいろな物品につきまして官公需の発注をふやしていただきたいということを、二月にも通知を出してお願いをしておるところでございます。

 さらに、国そのものにつきましても、全省庁の会計担当者を集めた会議を二月に持ちまして、三月には内閣府と厚生労働省から各省庁に文書を出して、障害者福祉施設への発注をさらに促進していただきたいということでお願いをしておる。こういう両面からまた努力をしてまいりたいと思います。

高鳥委員 ありがとうございます。

 障害者の働く場所を支援するハート購入法あるいは虐待防止法、それから障害者基本法の改正など、今、各党各会派で一生懸命取り組んでいただいていると思います。

 経済危機の中で障害者の生活を守る、権利擁護に取り組む大臣の決意をお聞かせ願います。

舛添国務大臣 障害を持っていても健常者と同じように仕事をし生活できる、それがノーマライゼーションの理想であって、そういうことを実現するためにも、今列挙していただいたハート購入法を初めさまざまな法律がつくられたわけですから、今後とも、障害者の権利を守るために全力を尽くしたいと思います。

高鳥委員 ありがとうございます。

 次に、難病対策についてお伺いをいたします。

 今回の経済危機対策の中で、難病患者に対する支援、「医療費の負担を軽減するため、現在、医療費助成の対象となっていない難病のうち緊要性の高い疾患について、医療費助成の対象に追加」とございます。

 時間がございませんので端的にお伺いをいたしますが、パーキンソン病について、これは既に医療費助成の対象になっておりますが、たくさん要望が出ております。特に薬代が高いので、軽度の方を含めて、すべての患者に薬代の助成をお願いしたい。これは要望だけにとどめておきます。

 それからもう一点、遠位型ミオパチーというのがございまして、これは、指先、足先から筋力の低下が進む病気でありますが、私の地元新潟県の津南町というところに福原さんという方がおられます。お話をお聞きしておりますと、原因というのがまだこのミオパチーについてはわからない、したがって薬とか治療法もない、こういう状況であります。日々進行していく病状に心まで折れそうになるということであります。

 今年度から研究奨励分野に入ったと聞いておりますが、研究開発費を増額して支援をすべきだと思いますが、今後の見通しについてお聞かせください。

上田政府参考人 遠位型ミオパチーにつきましては、根本的治療法開発をテーマに、平成十九年度から三カ年計画で研究を実施しておりまして、平成二十一年度においては研究費の大幅な増額を予定しております。これは二十年度に一千八百万から、二十一年度四千万。

 さらに、難治性疾患克服研究事業におきましては、平成二十一年度に当該研究事業の予算を前年度比四倍の約百億円に拡大できたことから、これまで研究が行われていなかった新たな疾患を対象とする研究奨励分野などを設けまして研究の推進をさらに図ることとしておりまして、遠位型ミオパチーについても、研究を新規に、この分は二千六百万で実施する予定でございます。

高鳥委員 ぜひ、難病に苦しんでいる皆さんのために全力で取り組んでいただきたいと思います。

 次に、地域医療の再生についてお聞きいたします。

 経済危機対策の中で、基金の活用ということが出ておりますが、この内容を簡潔に教えてください。

外口政府参考人 今般の政府・与党による経済危機対策においては、二次医療圏を基本とした地域医療再生計画に基づく医療機能の強化、医師等の確保等の取り組みを支援する旨が盛り込まれ、総額三千百億円の補正予算案への計上を予定しております。

 各都道府県においては、地域内の医療機関や医療従事者の連携のもとで、その地域の実情を踏まえた再生計画を策定し、地域の基幹病院を明確にしつつ医師の確保を図る。地域内の病院や診療所は、基幹病院との連携を前提に機能転換を図る。産科や小児科などの個別診療科についても、地域連携パスの構築を図る。県内医学部入学時の地域枠を設定するなどにより、地域における医師の確保を図る。

 こういった取り組みを通じて、地域医療の再生に活用していただきたいと考えております。

高鳥委員 ありがとうございました。

 次に、小児科医の激務についての対応策についてお伺いいたします。

 当委員会には、同じく私が大変尊敬を申し上げております阿部先生もおられますが、私の友人で小児科医を開業している人がいまして、その方がいろいろ、今回もまたファクスを送ってきてくれております。端的に申し上げまして、要望が二つございます。

 まず、病院小児科医以外の医者が先に診察して、病院小児科医の負担を減らす、このことが第一点。ちょっと読ませていただきます。

 病院小児科医の激務が非常に深刻である。軽症の患者さんが病院に多数、二十四時間受診することによって激務になっています。病院小児科以外の医者が先に診察して、重症な人だけ紹介をするということができれば非常に効率的になります。医者が病院小児科医に紹介をしたら、病院の収入と紹介医の収入、両方がふえる制度が必要です。夜間と休日だけではだめです。ほぼすべての時間に当てはまるような制度にすることが必要です。病院小児科が紹介を受けたならば、病院小児科医は特別優遇される、こういうことが必要であると。

 要は、開業されている方と病院勤務されている方の役割分担とか連携をしっかりしていくことが必要であると思いますが、この点についてはどう考えておられますでしょうか、質問させていただきます。

外口政府参考人 まず、病院小児科医と診療所の小児科のお医者さんとの役割分担と連携についてでございますけれども、確かに、御指摘のように、限られた小児科の二次救急医療機関に一次救急の患者さんとかが集中していく傾向もございます。

 こういったことを踏まえまして、現在も、小児初期救急センターの整備の支援等を行っているところでございますけれども、小児の一次救急について、もっと診療所の先生方が参加する仕組みなどを進めてまいりたいと考えております。

高鳥委員 もう一点、外来医療費の基本である小児科外来医療費を増額するということであります。

 今、開業医の収入を減らして病院の方に回すという、五分間ルールというんですか、我々が地元を回っていますと大変評判が悪くて、他の科目の先生方からもおしかりをいただいておりますが、こういうことをしても、長い目で見れば、小児科医の減少には歯どめがかからない。やはり根本的には小児科外来診療の増額が必要であると思います。この点については要望だけでとどめさせていただきます。

 次に、特定健診についてお伺いをいたします。

 平成二十年度の医療制度改革から特定健康診査が開始されましたが、受診者が減少したという報道がございます。主たる原因は、健診の実施主体とされた医療保険者の対応がさまざまであると言われておりますが、特定健診の入り口である受診券の配付は、事前に対象者全員になされる仕組みをつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 従来の市町村による基本健診につきましては、対象者の把握あるいは健診後のフォローアップが不十分である、こういう指摘があったことから、昨年度から、医療保険者による特定健診、特定保健指導への制度の再編成がなされたわけでございます。

 新しい制度の施行に当たりましては、関係者の代表から成ります検討会を開催いたしまして、保険者と医療機関等との間で契約を締結する際の留意事項など共通のルールを取りまとめたところでございますが、一部の関係者の間で必ずしも新制度への理解が深まっていなかったこと、それから関係者間の契約の締結がおくれたというようなこともありまして、円滑な実施が難しかった面があったと聞いております。

 こうしたことから、昨年末には、制度施行後に明らかとなった運用上の問題点やその解決策につきまして実務関係者の意見を集約して、受診券様式の見直しなどにつきまして関係者への周知徹底を図ったところでございます。

 今後とも、特定健診等が円滑に実施されるように、必要に応じた指導を行ってまいりたいと考えております。

高鳥委員 ありがとうございます。

 ぜひ、適切な周知徹底がなされるように取り組んでいただきたいと思います。

 次に、介護の問題についてお伺いをいたします。

 もう時間がかなりなくなってきましたので、介護報酬改定と小規模の施設について質問させていただきます。

 今回の介護報酬改定で、地域に根差したデイサービスを行う小規模施設については、改定の効果はどの程度と考えておられますでしょうか。

宮島政府参考人 一律にどの程度というのは難しいんですが、そもそも、小規模の通所介護施設というのは規模のメリットを受けないので、通常の大きさの通所施設より報酬を一五%高く設定しています。

 今回の改定の中では、介護福祉士を配置するとか、三年以上の常勤が多いというようなところでこの報酬の評価を行っているということですので、そのようなものをとって安定的な経営に結びつけていただきたいと思っているところでございます。

高鳥委員 ありがとうございます。

 今お話がありました、キャリアに着目した評価の見直しというので三項目ございますが、介護福祉士が五〇%以上配置とか、常勤職員が七五%以上配置、それから三年以上の勤務経験のある方が三〇%以上配置されている。これはいずれも、力のあるところはできるかもしれませんが、小規模とか新しく始めるところには非常に不利だと思いますし、ハードルがそもそも高過ぎると思うんです。

 例えば一点、施設系で介護福祉士の資格保持者は大体四割ということで、訪問系では十数%というデータも聞いております。結局、介護福祉士が足りないので引き抜き合戦が始まったり、施設系で四割でこの配置基準では五〇%以上というのはそもそも無理がある。今私がここで言うのもちょっと変かもしれませんが、今後、ぜひ実態に合わせた見直しをしていただきたいと思います。

 それからもう一点、介護報酬が上がるということは経営者にとっては歓迎すべきことですが、同時に、利用者負担がふえるというのは心苦しい点があるということであります。その点に関して、負担軽減についてはどのように考えておられますか。

宮島政府参考人 御指摘のとおりでございまして、利用者の負担は一割ですので、例えば要介護五の方は三十五万八千円まで月に使うことができます。例えば三十万の方について言いますと、この人の負担は今三万円です。それが三%上がるので、九百円上がるというような勘定になりますが、所得に応じて負担の上限を決めている仕組みがありますので、例えば基礎年金収入の方であれば一万五千円で打ちどめですので、その方はふえない。それから、市町村民税非課税でありますと二万四千六百円ですので、その方も負担はふえないというようなことで配慮されているということでございます。

高鳥委員 ありがとうございます。

 もう時間がほとんどなくなってきましたので、多分これが最後になると思いますが、薬事関係について、医薬分業の問題について質問をさせていただきます。

 新潟県の三条総合病院というところで、院外処方をやめて院内処方とすることを検討しているという報道がなされております。そもそも医薬分業とは、それぞれの分野の高度化、専門化が進む中で、患者さんの安心、安全のために推進された制度ではないかと思いますが、これをもとに戻すことについて、厚生労働省の見解をお聞かせください。

高井政府参考人 医薬分業でございますけれども、そのメリットといたしまして、薬剤師が医師と独立した立場から処方のチェックを行うことができる。また、患者が複数の医療機関にかかった場合でも、一軒の薬局で調剤を受けることにより、重複投与の防止や相互作用の確認が可能になる。

 いろいろな医療の質の向上でありますとか、患者にメリットをもたらすものと考えておりますので、厚生労働省といたしましては、今後とも引き続き、医薬分業を推進してまいりたいと考えております。

高鳥委員 ありがとうございます。

 この問題の根底には病院経営の苦しさというものがあって、少しでも薬価差益を経営改善の足しにしたいということがあると思われます。これはほんの一例にすぎないと私は思っておりまして、毎年二千二百億の社会保障費の伸びの抑制が医療経営を圧迫し、医療の現場を崩壊させてきたということについては、やはり反省や見直しをすべき点があると思います。

 この点について、厚労省といいますか、できれば大臣に御答弁いただきたいんですが、御見解はいかがでしょうか。

舛添国務大臣 医薬分業のプラスの面を考えると、薬価差益を得るためだけに院内処方をやるというのは果たしていいことなのか。本末転倒だと思います。

 その背景に社会保障費の抑制、特に二千二百億円の問題があるという御指摘ですけれども、社会保障費全体について、これはやはり未来への、明るい社会をつくるための投資である、医療体制をしっかりするための投資である、そういう観点から大きくかじ取りを変えるべき時期に来ているというふうに思っておりますので、これまでも閣内でそういう発言を続けておりましたし、今後もそういう方針で臨んでまいりたいと思います。

高鳥委員 ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

 もう少しだけ時間がありますので、最後にもう一問だけ聞かせていただきます。

 歯科医療の問題についてでありますが、口腔の健康保持については、乳幼児期から高齢期まで切れ目なく行われるべきであると思います。十八歳までは学校の健診でしっかりやっているわけでありますが、十九歳から四十歳の間は法の基盤が弱いと言われております。四十歳以上になりますと健康増進法がありますが、これも十年に一回ということで、とても十分とは言えません。

 口腔の健康保持を推進する法整備が必要だと考えておりますが、いかがでしょうか。

外口政府参考人 子供の虫歯の減少や八〇二〇達成者の増加など、歯科疾患の予防は大きな成果を上げていると認識しております。

 成人期の歯の健康を維持増進するためには、個人が行うセルフケアと歯科医師が行うプロフェッショナルケアを組み合わせて行うのが有効であると考えております。

 なお、歯科健診のあり方については、平成二十年度より、厚生労働科学研究において、成人期における歯科疾患の効果的なスクリーニング方法の開発に関する研究を行っているところであります。

 さらに、今年度、歯科保健医療関係者も御参画いただきまして検討会を設置することとしており、ライフステージを通じた歯科健診のあり方を含め、今後の歯科保健医療についての必要な方策について検討を行ってまいりたいと考えております。

高鳥委員 ありがとうございました。

 かなり駆け足でしたけれども、用意した質問を何とかクリアすることができました。次回はもっと掘り下げた質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、聞く機会をいただきましてありがとうございました。終わります。

田村委員長 次に、桝屋敬悟君。

    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。同僚の高鳥委員の時間を私がちょっといただいたんじゃないかと思っておりまして、申しわけないなと思いながら、同僚委員の幅広い審議を聞かせていただきました。

 私どもの衆議院議員のバッジの任期もそろそろ五カ月を切ったわけでありまして、そういう意味で、私ども、今しっかり現場を回らせていただいているわけでありますが、きょうは、この土日で現場でいただいたお声を早速国政に届けるという立場で何点か議論をさせていただきたい、このように思います。

 一点目が、障害者自立支援法、障害者施策の問題であります。今、自立支援法の見直し、やっと国会にかかっておりまして、やがてこの委員会でもきちっと議論をしなきゃならぬと思っておりますが、それを待たずにちょっと事前に議論したい、こんな思いであります。

 三点ばかり議論をしたいと思っておりますが、一点目が利用者負担の問題であります。

 今回の自立支援法の見直しで、利用者負担の規定ぶりについては相当手を加えるわけでありますけれども、現場を回っておりますと、こういう声が聞こえてまいります。障害者施設に入所した十八歳から二十歳までの重度知的障害者の場合の利用者負担についてでありますけれども、十八歳から十九歳、二十歳まででありますが、その前後に比べると負担感が大変大きいという声が聞こえてくるわけであります。十七歳まで、それから十八になって、十九。二十になるとまた新しい体制になるのだけれども、この十八、十九がちょっと負担については谷間じゃないですかという声がよく聞かれるわけであります。

 この現場の利用者の負担感はどういうことなのか、背景なり考え方を、あらあら御説明をまずいただきたいと思います。

木倉政府参考人 御説明申し上げます。

 十八歳、十九歳の方が施設に入所された場合の利用者負担につきましては、負担の上限額につきましては、十八歳までの障害児の方々と同様に保護者の属する世帯の所得で判断をする、それから十八歳までの障害児同様の負担上限額を設定するという仕組みをとっております。一方で、二十以上の障害者の方々につきましては、障害者本人及びその障害者の方の配偶者の所得で判断すること、あるいは負担額の計算方法で個別減免の仕組みがされているということで、負担額が異なっている状況にございます。

 それから、利用者負担と別に、食費、光熱費等の御負担というものもお願いをしておるわけでございますが、これにつきましては、保護者の所得に応じまして、地域で子供さんを育てられる場合の通常必要となるような費用につきまして、それを勘案して御負担願うということで、そうなるような補足給付ということもなされておるわけでございます。その補足給付を行います場合に、十八歳未満の障害児の方につきましては、教育費相当のものも必要だろうということで、現状では九千円多く補足給付をしておるということでございまして、この面からも、十八歳、十九歳の方々との負担額が異なっておる、この二面があろうかと思っております。

桝屋委員 今の御説明で、これは十八歳で大人の施設に移行したケースについても、あるいは児の施設でそのまま年齢延長したとしても、ほぼ同じ扱いだろうと思っているんですが、二つ御説明をいただきました。

 一つのファクターとしては、所得の対象、世帯の範囲ということなんでしょうか、それについて、これをどう見るか。今の御説明では、二十までは当然保護者と同じ世帯で見る、こういうこと。それから二十に到達しますと、本人及び配偶者の所得に着目をして負担をお願いする、これが一つのファクターかな。

 それからもう一つのファクター、これがちょっと私は大きいんだろうと思っているんですが、食費の負担ですね。食費の減免が行われているということでありまして、ただいまの御説明では、二十歳未満の入所の場合は、地域の一般家庭における子育ての実態に応じてその費用を考慮して補足給付を行っている、こういう御説明をいただいたわけであります。この補足給付が十八歳未満と十八歳以上では、教育費ということを勘案している、こういうことなんでしょうか。

 したがって、今の御説明、九千円という数字もお示しをいただいたわけでありますが、所得が五階層でありますが、所得区分ごとに、例えば一般の所得のケースで見ると、十八歳未満であれば、一割負担の部分と食費の部分を加えますと、一万三百円の負担になっている。これが、十八歳になると、教育費の考慮ということがなくなるわけでありまして、一気に一万九千三百円になる。それぐらいの差がある。それから、低所得の場合は、四千五百円が一気に一万三千五百円になるケースもある、こういうことかなというふうに理解をするんですが、そういう理解でいいかどうか、もう一回お答えをいただきたいと思います。

木倉政府参考人 十八歳、十九歳の方々の施設入所の場合の費用、今の御指摘でございますけれども、これは平均事業費をとって見ておりますので、先生御指摘の場合、平均で見ますと、ちょっと違う場合もあろうかと思いますが、今の低所得一、基礎年金程度の収入だけの方でありまして、十七歳までの方で、利用者負担の部分が三千五百円、食費等が千円ぐらい、それから十八歳、十九歳ですと、この利用者負担のところは三千五百円ですが、食費等が一万円の負担が出てくるような実例もあるということは事実でございます。

桝屋委員 今の低所得の例で挙げられますと、食費等の負担が、十八歳、十九歳になると千円から一気に一万円になるということで、これが利用者、保護者の皆さん方に十分理解される点かどうか。私自身に対して、ここは本当に谷間ですよ、こういう声があるわけであります。さっきの話じゃありませんが、二十になれば本人の所得だけで基本的には対応されると同時に、障害基礎年金の給付が二十になれば始まるということで、違う世界が始まるわけでありますが、二十未満の、今の十八歳のところの線引きというのは、何かこの負担状況は谷間になっているな、こう感じるわけであります。

 とりわけ、施設入所されているケースで今お話をしているわけでありまして、施設入所されて、確かに十八歳まで例えば高等部の特別支援教育の支援を受けるということはあるんでしょうけれども、保護者から見ると、特別支援教育のサービスはぱたっととまって、その分負担がふえるというような実感を受けるのではないか。本当に保護者はその負担増に理解をされているのかどうか、ちょっと気になるところなんですが、その点はどうでしょうか。特に、教育を配慮したというあたりをもう一度御説明いただきたいと思います。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 十七歳までの方々につきましてかかります費用がある、それは教育費であろうということで、今、現状としては、その費用の分を見ての補足給付を行うこととしておるところでございますが、一方で、十八歳、十九歳の方々の負担をお願いするときに、施設の場合に、親御さんの収入も見て、世帯で見ておるということにつきましての考え方をちょっと御説明させていただきたいと思うんですが、この差が出てきている面があろうと思うんです。

 まず、児童福祉法上、児童養護施設という、親御さんに養護されない場合の入所施設というものがありますが、これは十八歳を超えまして二十までの延長入所ができるということでありますけれども、その中には障害をお持ちの子供さんもともに入っていらっしゃるケースが多うございます。その場合の費用の負担につきましては、十八歳までの場合に親御さんの収入も見て利用者負担を決めさせていただいている、それを延長して二十まで入る場合も同じ負担でということが妥当だろうということで、同じ世帯で判断して負担を願っておるわけでございます。

 一方で、障害児の入所施設の方につきましては、措置の入所だけではなくて、十八歳から契約での御利用も出てくるわけでございますけれども、では、その契約の方だけ世帯ではなくて御本人の負担だけで見てはどうかというような御指摘もあるわけでございますが、そうしますと、やはり、措置ではなくて契約の方で、措置が必要だと行政の判断で入所をしていただいてきちんと処遇する必要があるという方についても契約に流れてしまうおそれもあるのではないかというようなことから、これは、障害児の方の支援施設、二十までの間も養護施設と同じように世帯での御負担でお願いをしておる。

 このバランスで、二十までの負担が、十八、十九の場合は若干多くなっておる。さっきの、十八歳まで教育費で補足給付で補てんをしておる面もありますが、十八、十九がふえる要素としてはこの部分があろうかと思っております。この辺につきましては、施設入所のあり方につきまして、少し全体の体系の中で検討させていただきたいというふうに思っております。

桝屋委員 今すぐどうこうしてくれということではないんですが、今の御説明で、十八、十九の養護施設等との関係で世帯の所得の把握というのは理解をいたしました。

 問題は、もう一つは食費のところでありまして、さっきの話じゃありませんけれども、十七歳までは千円、これが十八、十九になると一万円になる。ここは教育ということでは、ちょっと私、なかなかすとんと理解できないのでありますが、その部分、もしもう一度御説明いただければ、今すぐどうこうしろというんじゃないんですよ、これは今後の検討課題だな、こう思ってはいるんですが、いかがでしょうか。

木倉政府参考人 繰り返しになって恐縮でございます。

 補足給付の仕組みでございますけれども、二十未満の方々が入所していらっしゃる場合の補足給付というものは、地域で生活されている方々の平均的な費用ということを勘案しまして補足給付をしようということで見ておりますが、そのときの地域で暮らされている場合の支出額といいますものが、その世帯の収入に応じて、例えば、市町村民税の所得割課税世帯であって所得割額二十八万以上の場合に一人当たり支出が七・九万円程度であろう、それに該当しない場合は五万円程度、若干低いものであろうというふうなことを踏まえまして補足給付を立てておることで、この世帯の収入の認定の仕方からどうしても差が出てきてしまっておるのが現状だと思っております。そこのところのバランスをよく踏まえて検討させていただきたいというふうに思っております。

桝屋委員 今の御説明で、補足給付を行う場合の、地域で子供を育てるための通常必要な経費、それと、まさに利用者サイドの支出ということを考えるんでしょうが、十八歳以上は二万五千円、十八歳未満は三万四千円という、この格差があるんですね。ここが正直言って私はすとんと落ちないわけであります。それが、ましてや利用者から見ると、さっき言いましたように、施設へ入所されているケース、恐らく十八の線で教育のサービスがなくなる、逆に食費等は負担がふえる、何でそうなるのかなということは率直に現場の悩ましい声としてあることをきょうはお伝えするにとどめたいと思っております。

 今後の見直しに当たっては、児童施設におけるサービスのありようについては、今回の自立支援法の見直しの中で、十八歳以上の人については障害者施策として対応するという方向も示されておりますが、とりわけ十八歳、十九歳の負担のあり方について、引き続きぜひこれは検討していただきたい。我々も検討したい。大臣、ぜひそれは聞いておいていただきたい、ちょっと十八、十九が谷間になっている、こういう声がありますので。本当はそこはどういうふうにしたらいいか、私も党内でしっかり議論してみたいと思っております。

 それから、二点目でありますけれども、就労継続支援のサービスであります。

 これは、B型、A型、あるいは就労移行支援という、昔の時代からするとなかなかネーミングもよくわからないのでありますけれども、今、新体系に皆さんそれぞれ移行していただいているその準備の真っ最中だろうと思いますが、今回の自立支援法の見直しに当たって、私どもも、就労継続支援B型のありようについては、いわゆる小規模施設あたりから移行するということで、現場からもいろいろな声を聞いておりますし、随分議論をいたしました。

 ただ、ちょっと私自身も反省しているんですが、先日、就労継続支援のA型の皆さん方と議論をする機会がありました。さすがにやはりB型、A型、明確に違いがあるなということも私自身感じたわけでありますが、端的に言うと、A型の場合は、以前の措置の時代であれば、福祉工場というような形で、まさに利用者の方を従業員として、正式な被雇用者として扱うというようなタイプでありまして、ある意味、自立支援法が目指す理想に近い形が就労継続支援A型ではないかなということを私は改めて感じたわけであります。

 ただ、では自立支援法の報酬でどういう評価になっているかというと、私も見ましたけれども、B型、A型、ほぼ同額の評価をされているということで、確かに、A型で雇用されて働くという方はそれなりに障害の程度も軽い、稼働能力をお持ちの方が多いかもしれないんだけれども、逆に、A型というのはB型と異なりまして、これはまさに、雇用されて最低賃金、最賃が適用されるわけでありますし、あるいは被雇用者として雇用保険等の加入も必要だろうという意味では、やはりA型を運営し維持していくということは、なかなかこれは事業者としても大変なことだろうなと私は思っております。

 改めてA型の評価ということを考えなきゃいかぬのではないか、B型以上にA型の評価ということを検討する必要があるのではないかな、こう感じたのでありますが、状況をまず聞かせていただきたいと思います。

木倉政府参考人 障害者自立支援法に基づきます障害の支援の事業所でございますけれども、今御指摘のように、A型といいますのは、一般就労は困難ではあっても、福祉の支援も受けながらではありますけれども、雇用契約をきちんと結んでいただいて、賃金も最低賃金以上のものが支払われるという仕組みで頑張っていただいておるわけでございます。一方で、B型は、そこまではいかないけれども、しっかりと就労の訓練をやってさらに伸びていこうという御努力をされておるところだというふうに思っております。

 いずれも福祉の方の支援を伴っておるということでございまして、訓練ということも伴っておることでございまして、今、現状といたしましては、指導員等の配置基準も同一のものとして基本的には設定をされております。このような福祉からの支援ということに着目をいたしまして、障害の福祉サービスの報酬というものを設定しておる考え方の上から、基本的には報酬が同一のものというふうな仕組みでできておるのが現状でございます。

 しかしながら、一方で、A型の方々の施設につきましては、雇用契約を結んで頑張っていただいているという面で、雇用の方の仕組みの上からも、障害者雇用納付金制度によります助成措置を受けながらさらに頑張るという仕組みもとれるということにはなっております。

 また、私どもの方の障害福祉サービスの基金、各都道府県に積んでおります基金の事業におきましても、B型からA型の方に移行をする努力をされる、新しいノウハウを習得される努力をされるというふうな事業所に対しまして、A型に行かれる場合を前提に支援をするという仕組みをとっておりまして、A型ということをより伸ばしていきたい、非常に大事な仕組みであろうというふうに思っておりますので、この両方が相まって、また一般就労ということも相まって、障害者の方々の活動の場が広がっていくように御支援申し上げたいというふうに考えております。

    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕

桝屋委員 そうしますと、どうでしょうか。今、新体系に移行してA型になっている、昔の福祉工場あたりからA型に移行している実態というのはどういう形になっておりましょうか。御説明いただきたいと思います。

木倉政府参考人 二十年十二月時点で、まず、新しい法律に基づきます就労支援A型の数字が出ておりますが、これが三百十九カ所ございます。これは、障害の種別によらないものとして三百十九カ所頑張っておられる。一方で、旧法の体系の福祉工場、これは障害種別になりますが、十九年十月時点での社会福祉施設の調査によりますと、身体障害者の福祉工場が二十六カ所、知的障害者の福祉工場が三十五カ所、精神障害者の福祉工場が十二カ所、こういうふうな状況になっておるところでございます。

桝屋委員 そういう意味では、三百十九カ所ということは比較的順調に進んでいるのかと思うのでありますが、先ほどの御説明の中で、B型、就労移行、そしてA型、そして一般就労というお話を御説明いただきましたが、私はやはり本当にA型に移行する支援というものを、今回、補正予算でもまた基金を積み増すということもあるようでありますが、ぜひとも、これはA型が大事だということを大臣も少し御認識いただいて、支援策について大臣からもメッセージを発していただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 先ほどノーマライゼーションということも申し上げました。やはりこれは、働く、労働契約に基づく、それの方がはるかにいい。ですから、先ほどお答えを役所の方からいたしましたように、さまざまな基金の事業なんかもありますので、B型からA型に移行する、こういうことを促進していきたいと思っております。

桝屋委員 A型になれば、雇用ということで、雇用政策からの支援も受けられるというようなお答えもさっきありましたが、やはり、自立支援法の中で、これからもその動向を見ていただいて、必要であれば支援策はぜひとも御検討いただきたいというふうに思うわけであります。

 もう一点だけ、障害児の補装具について伺いたいと思います。

 補装具の支給については、原則として一種目一個ということでありますが、昔から、例えば車いす、家庭用とスポーツ用とかいろいろ議論があるところでありますが、とりわけきょうは申し上げたいのは座位保持装置であります。

 障害のある子供のための座位保持装置について、例えば、子供でありますから、学校現場における座位保持装置の必要性、あるいは家庭用、さらには通学の場合の車の中での座位保持というようなことがあるわけでありまして、教育上特に必要であるというような場合は、きめ細かなサービスといいましょうか柔軟な対応をぜひともお願いしておきたいな、こう思うわけであります。とかく、今、全部市町村に権限がおりて、県の更生相談所との連携等もあるようでありますが、とりわけ柔軟な対応ということをきょうはお願いしておきたいと思うんですが、現状とあわせて御説明をいただきたいと思います。

木倉政府参考人 補装具の給付の問題でございますけれども、今御指摘のように、基本的には、補装具の支給といいますと原則一つの補装具につきまして一個ということ、ただし、その状況を見まして、さらに一個までは追加をして支給することができるような仕組みをとっておるところでございます。

 ただし、障害児の今の御指摘のような場合について、座位の保持ができないような方についてということでございますけれども、長時間座位を保持できない方につきまして、今、その方の体型を採寸したり、その方に合わせたような特別の仕様のものとしての座位保持装置、家庭で過ごされる場合は車いすがついたようなものとか、学校教育現場で机をつけたような形のものとか、それぞれが支給をされる仕組みをとっております。もう一つ、障害児の方につきましては今でも座位保持のいすというふうな、これは子供さんだけについてなんですが、そういうふうな仕組みもございます。

 それで、今御指摘の通学時なんかで自動車の中で安定が保てないというような場合に、座位保持のいすといいますのは、パッドなんかを組み合わせまして体幹を保持するという仕組みのシートというふうな形をとっておるものが多いかと思いますけれども、これにつきまして、別途、座位保持いすという形での支給を認めておるケースもございます。

 こういうふうなことを、やはり市町村の方々にもその方のニーズをよく踏まえて決定してほしいということについて、さらにきめ細かな指導をしてまいりたいというふうに思っております。

桝屋委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それで、最後のテーマになりますが、宮島局長もいらっしゃるので、介護保険を一問だけ議論したいと思います。訪問看護ステーションの活動であります。

 これは、今回の見直しで相当整理していただいたようであります。時間もないので私の方から申し上げますと、訪問看護のサービスで、いわゆる看護師さんだけではなくて、PT、OTさんがその現場で随分活躍しているという実態がある。これは、現場のいわゆる脳卒中等の後遺症の訪問によるリハビリのニーズにこたえるというものでありますが、余り頑張り過ぎて、厚労省がおもしろくないので総量規制をかけられたというようなことが一時期ありましたが、やはりサービスは必要だなという強いニーズで、今回、総量規制は大分見直していただいたようであります。

 ただ、具体的に、厚労省が出されているQアンドAあたりを見ますと、今回の取り扱いも、確かに訪問看護というサービスの中でのPT、OTさんの活躍、STも含めてでありますが、どうも、やはり看護師さんの補完的な位置づけといいましょうか、地域において訪問リハビリセンターがないから、サービスがないから、その場合はしようがないからいいよというふうにも読めなくもないわけであります。

 ここはやはり、とりわけ地域における訪問リハビリのサービス、これが地域でまだまだ十分ではないという実態からすると、今回の見直しは次の見直しに向けての取り組みとしてしっかりあるべきだと私は思っているんですが、今回の見直しの意義なりを御説明いただきたいと思います。

宮島政府参考人 今御指摘ありましたように、訪問リハについては、平成十八年の改定のときに、訪問看護ステーションからの理学療法士の訪問は看護師の訪問回数を上回らないということにされましたが、これによって理学療法士等の訪問件数は減りました。それから、訪問リハビリを提供している事業所は数が少ないわけですね、訪問看護ステーションと比べ。ですから、地域差が出てきて、事業所に地域差がありますから、利用者にとってはアクセスが低下してきたというような問題があったので、今回の改定にあわせて、訪問看護ステーションからの理学療法士の訪問に係る制限については撤廃をしたということでございます。

 訪問リハビリでございますが、リハビリが、急性期病院における急性期のリハ、それから回復期のリハ、そして地域における維持期というか生活期のリハというふうにつながっていくためには、地域格差なく、全国、身近なところでリハビリが受けられるという体制をつくっていかなければならないと思っておりまして、今後ともいろいろな取り組みをしていきたいと思っております。

桝屋委員 ありがとうございました。

 私は、訪問リハビリステーションの単独型がやはり地域で必要だろうというふうに実は思っているわけであります。大臣、もちろんドクターがバックには必要ではありますが、PT、OTさんが行うデイサービスや訪問リハ、目が覚めるような施設がございますから、そういう現地を一回ごらんになることをぜひお勧めしたいというふうに思っています。予防も含めて、介護保険の大きな力ではないかなと私は思っておりまして、また御紹介を申し上げますから、ぜひ現地を見ていただきたいなと思う次第でございます。

 以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

田村委員長 次に、園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。

 本日は、午前中、さながら障害福祉の集中審議のような形になっております。高鳥委員、そして今、桝屋理事の質問が障害福祉に集中しておりましたけれども、私も時間をいただきまして、障害福祉、とりわけ難病対策ということで触れて、さらに深掘りをさせていただきたいと思っております。

 先ほど高鳥委員もお触れになっておられましたけれども、今般の追加経済対策、まだ正式には出ておりませんけれども、難病対策、医療費助成ということで、少し報道等でも私も拝見をさせていただいているところでございますし、また、平成二十一年度の予算においても、大臣、昨年、大変強い決意をお示しいただいたわけでありますけれども、そこの中において、いわば対策としての増額をとっていただいた、措置をしていただいたというふうに認識をしているところでございます。

 そこで、皆さんのお手元にお配りをさせていただいておりますけれども、難治性疾患克服研究事業において、とりわけ、今まで二十五億円だったのを百億円にしたというふうに大臣も高らかに宣言をしていただいたわけでありますけれども、これのいわば進捗状況をまず最初にお伺いしたいと思います。

上田政府参考人 厚生労働省におきましては、難治性疾患克服研究事業において、いわゆる難病に関する実態の把握や病態の解明等に向けた研究を行っており、平成二十一年度から本研究事業を大幅に拡充し、前年度比四倍増となる百億円の予算を確保できたところでございます。

 これに伴い、従来の百三十疾患を対象とする臨床調査研究分野に加えまして、新たに、診断法の確立や実態把握のための研究を行う研究奨励分野等を設けて研究を行うこととしております。

 研究奨励分野については、既に多くの研究者の方々から研究課題の申請をいただいているところでございまして、これらの研究課題については、第三者から成る評価委員会で採択について検討、判断されることになっております。

園田(康)委員 そうしますと、今般、二十一年度予算は、難病対策の推進という形で、全体で一千五百八十七億円、そしてこの研究分野事業に関しては百億円という形で増額をしていただいたわけでございます。

 今、研究奨励分野に特化して御答弁をいただいたわけでございますけれども、とりわけ、この難病の、いわば難治性疾患の克服研究事業に入らないところの対策費としても、この分野は大変重要な予算であるというふうに私は認識をさせていただいておりますし、また、特定疾患への移行も含めて、今般の医療費助成、追加の経済危機対策の中でも盛り込んでいるというふうに私は理解をさせていただいているんです。

 そうすると、来年度以降も、この分野の研究費といいますか、事業費百億円、これは当然継続して行っていく必要があるのじゃないかというふうに私は思うわけでございます。単年度だけで終わってしまって、来年度以降はまたもとに戻ってしまうというような状況では、私は、まだまだ研究を進めていかなければいけないこの分野、未知のそういった病気を治していかなければいけないという患者の方々からすると大変不安に思うところではないかなというふうに危惧をするわけでありますけれども、その点、大臣、来年度も含めてどのように今後進めていきたいか、その御決意をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 今園田委員がおっしゃったとおりであって、今年度限りでやめるというようなたぐいのものではなくて、本当にこれは、研究をし治療法を確立する、たくさんの方がお待ちになっている、ただ患者の方が少ないから力を入れないでいいということではないと思いますので、来年度以降も継続して、できればさらにふやしていく方向で努力をしたいと思っております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 先ほども桝屋理事、いなくなりましたけれども、私ども、衆議院の任期が切れるのがだんだん近づいてきておりますので、来年度の予算編成のときにどういう政治状況になっているかというのも少し気にかかるところではありますけれども、今、大臣から強い御決意をいただいたというふうに思っておりますので、それを受けて、私どもも政権を担わせていただいたときには、しっかりと予算の獲得に向けて頑張っていきたいなというふうに思っております。

 そこで、これに関して、お配りをした資料を一枚おめくりいただきますと、ここに、難治性疾患克服研究事業、これは百二十三疾患と書いてありますけれども、この左下のところに追加の七疾患がありますので、現在は百三十疾患という形になるわけでございます。また、医療費助成の今般の追加の経済危機対策の中で、恐らく、十一なのかどうかまだちょっとわかりませんけれども、それが足されると、この右側の特定疾患治療研究事業、四十五疾患になっておりますけれども、これが少しふえるという状況になってくるのかなというふうに見込まれるわけであります。

 そうしますと、この左の上のあたりにある患者団体等から研究事業への追加の要望、まだこの克服研究事業の対象になっていない疾患が多数ありまして、もう一枚おめくりをいただきますと、三ページ目でありますけれども、ここに、今要望書等が提出されている疾患の一覧を記載させていただいているところでございますけれども、まだまだたくさん、これだけの要望をされておられる方々がいらっしゃるわけでございます。

 そこで、実は私のところにも一つ、混合型血管奇形の難病指定を求める会の家族の方からも要望書をいただいているところでありまして、来週の二十八日には、大臣、実はこの混合型の血管奇形の方々、全国の家族会の方々が厚生労働省に要望にお伺いをする予定になっております。四月の二十八日でありますけれども、恐らく、国会の日程で大臣もお忙しいとは存じますけれども、その後、局長等々を通じてその様子は大臣のところに御報告が行くものではないかというふうに思っております。

 この難病は、本当に苦しいようでありまして、私も実は知らなかったのでありますが、血管の動脈であるとか静脈、複数の血管が、形が大きくなったりあるいは細くなったりあるいは曲がったりして、そういったところから激しい痛みが全身を覆うような状況にもなるようでございますし、時には、その患部に衝撃が加わると、そこから大量出血へつながって、本当に生命の危機にも通じるようなところのようであります。

 風邪一つ引いても、それに対して気をつけなければいけないというような、本当に難病中の難病という形にもなるようでありますので、この方々からの要望も含めてでありますけれども、先ほど御提示をさせていただいた、まだ難病指定になっていないところも、ぜひお考えをいただきたいなというふうに思っておるところでございます。その点については、早期に検討を行うべきというふうに考えているわけでありますけれども、厚生労働省としてはどのように対応されるでしょうか。

上田政府参考人 厚生労働省におきましては、難治性疾患克服研究事業において、いわゆる難病に関する実態の把握や病態の解明等に向けた研究を行っていますが、本研究事業については、平成二十一年度から、先ほど申し上げましたように大幅増の予算が確保できました。事業内容についても、これまで研究が行われていなかった難治性疾患について、診断基準の作成や病態の実態把握を目指す研究奨励分野を創設して、さらなる研究の推進を目指すことにしております。

 なお、混合型血管奇形につきましては、これまで本研究事業で行われていました臨床調査研究分野の対象疾患、これは現在百三十疾患ございますが、この対象とはなっておりませんが、診断が的確に行われないことによって患者さんが医療機関を転々とするようなことがないように、まずはその診断基準の確立や実態の把握を行うことが重要であると考えておりまして、この疾患につきましては、研究奨励分野の中で、診断基準や治療指針の策定を目指す研究の申請がなされているところでございます。今後、第三者から成る評価委員会での評価を待っているところでございます。

園田(康)委員 ぜひ評価委員会でもお取り上げをいただいて、早急に、この疾患も含めて、こういったまだまだ対象になっていないところも、研究分野への移行というものをぜひお図りいただきたいというふうに思うわけでございます。

 ちょっと質問には入っていなかったんですけれども、一点、局長で結構でございます。

 今回、この二枚目でお示しをさせていただいている、これは厚生労働省からいただいたペーパーでありますけれども、真ん中の克服研究事業であります。この百三十疾患のうち、十一疾患が要望という形で特定疾患治療研究への矢印がついているわけでございますけれども、何かこの十一疾患だけがこの四十五特定疾患の中に入っていくような印象を私はちょっと持ってしまったんです。

 そういうことではないということをちょっと確認させていただきたいと同時に、この下にある、例えばシェーグレン症候群であるとかFOPもそうでありますし、またXPもそうでありますけれども、要望が実際に患者の方々あるいは家族会の方々から出ているにもかかわらず、要望はあるけれども、この四十五疾患、特定疾患への移行がまだなされていないところもあるわけでございまして、この上と下には別に違いはない、上にある「要望」、矢印がついている十一疾患が右に移行する、ここだけではないんだということを局長から再度答弁をいただきたいと思います。

上田政府参考人 委員御指摘のように、数多くの病気を持った患者さん方から、私どもさまざまな、これは治療研究事業の対象にしてほしい、あるいは克服研究事業の対象にしてほしい、こういう要望をいただいております。

 今回の経済危機対策の中で、緊要性の高い十一疾患ということで、この上の「要望」とついておりますところについては対象になるのではないかというふうに考えているところでございますが、その他の対象を拡大するには、今後、関係方面と調整の上、特定疾患対策懇談会の御議論などを経て決定していくことになるのではないかと考えているところでございます。

園田(康)委員 ぜひ幅広く御議論をしていただいて、少しでもそういった患者の方々の不安を取り除いていただきたいというふうに強く要望を申し上げておきたいと思っております。

 そこで、次の質問に入らせていただきますが、この難病対策の中で、この克服研究事業とともに治療の助成というものもあり、さらに難病患者等の居宅生活支援事業というものが行われております。これについては、今現在約二億円強の予算が組まれているわけでございます。私のお配りをさせていただきました四ページ目の資料で、ここに居宅生活支援事業の予算額の推移というものがありますけれども、今、全国の実施状況、この予算も含めてどのようになっているかお聞かせいただきたいと思います。

上田政府参考人 難病患者等居宅生活支援事業の実施状況につきましては、平成十九年三月三十一日現在で、全国の千八百二十七全市町村の三六・五%に当たる六百六十七市区町村が難病患者等ホームヘルプサービス事業をやっております。また、二六・二%に当たる四百七十八市区町村が難病患者等短期入所事業を行っています。また、四三・七%に当たる七百九十九市区町村が難病患者等日常生活用具給付事業を実施しているところでございます。

 また、難病患者の居宅支援事業における予算額の推移については、そこの表のとおりでございます。

園田(康)委員 そうしますと、ホームヘルプ事業については全市区町村の三割強しか行われていない。それから、短期入所、ショートステイでありますけれども、この事業が二割強でありますし、また、日常生活用具給付も五割を下回っているという状況であるわけでございます。

 まだまだこれは、ほかに行われていない、あるいは、市区町村によって、隣の市区町村は対象として行っているわけでありますけれども自分のところは行われていないというような状況があるやに伺っておるわけでありますけれども、そもそもこの当該事業、これはどのような根拠に基づいて行われているのか、お聞かせいただきたいと思います。

上田政府参考人 御指摘の難病患者等居宅生活支援事業につきましては、健康局長通知により、平成十年四月に初めて難病対策特別推進事業実施要綱を定め、当該実施要綱に基づき実施しているところでございます。

園田(康)委員 つまり、法律上の根拠はまだないというふうに理解をさせていただいた上で、お配りをさせていただきました資料五、五ページ目でありますけれども、事業運営要綱というものがございます。その中の一枚、ホームヘルプ事業だけを抜粋させていただきましたけれども、難病患者等が居宅において日常生活をきちっと営むことができるようにということで、患者等の家庭等に対して、ホームヘルパーを派遣して、入浴等の介護あるいは家事の日常生活に必要な便宜を提供するという事業であります。

 さて、ここの三番目、「事業対象者」をごらんいただきたいんですが、「難病患者等ホームヘルプサービス事業の対象者は、日常生活を営むのに支障があり、介護、家事等便宜を必要とする難病患者等であって、次の全ての要件をみたす者とする。」ということで、一、二、三というふうにあります。

 一番目、「別に定める厚生労働科学研究難治性疾患克服研究事業の対象疾患患者」まずこれが挙げられていて、「及び関節リウマチ患者」というふうについています。二番目は「医師によって判断される者」、三番目は、介護保険や老人保健福祉の施策の対象となっていない、つまり、ほかの施策ではサービスを受けることができない、対象となっていない人を、この事業で生活、居宅の支援を行っていこう、予算措置でこれが行われているということなんです。

 そもそも、この一番に掲げる特定疾患の「克服研究事業の対象疾患患者」だけならわかるんですけれども、「及び関節リウマチ患者」が入っているその理由をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

上田政府参考人 難病患者等居宅生活支援事業につきましては、平成九年一月より開始されているところでございますが、リウマチ患者さんについては、患者さんの数が多い、約六十万人と推計をされておりますが、こういうことで、いわゆる難病の要件を満たしていない。

 難病の要件としては、患者数が少ない、あるいは原因が不明であるとか、治療法が未確立である、あるいは長期にわたる生活の支障を来す疾病、こういう四要件があるわけでございますけれども、特に、患者数が少ないということについては要件を満たしていないわけなんですが、手足に強い変形を来すなど生活の支障が著しく、また、当事業が始まった時期には他制度によって支援を受けることができない、さらに、治療法も十分ではないということでございました。さらに、悪性関節リウマチは医療費助成の対象に含まれている、こういうことも勘案して対象になったものというふうに考えております。

園田(康)委員 そうしますと、そもそもこの事業は、特定疾患の、先ほど申し上げた難治性の克服研究事業、難病の対象者に対して、ホームヘルプサービス等の短期入所の事業であるとか、あるいは日常生活用具の事業であるとか、そういったものをしようというふうに始まっていたわけでありますけれども、そこに入っていない、対象となっていない関節リウマチの方々でも、今局長から御答弁をいただいた理由によってこの事業の利用対象者としたということですよね。

 であるならば、ここに入らない他の難病、つまり克服研究事業にも入らない方々で、このサービスを必要とされる、あるいは必要だというふうに判断される方々は、当然ながらこの事業の中に含んでもいいのではないのかというふうに私は考えるんですが、その点はいかがでしょうか。

上田政府参考人 まことに役人答弁になって恐縮なんですが、表題が「難病患者等」というふうに「等」が入っておりまして、私どもの理解では、もちろん難病の患者さんもやる、しかしながら数の多いリウマチの患者さんもやるということで、この二つをくっつけるために、こういう「等」をくっつけて事業を起こしたものだ、このように想像しているところでございます。

園田(康)委員 局長、大変申しわけないんですけれども、人数で、人数の多さ、多い少ないだけで、こういった本当に生活のために必要とされておられる方々の支援を行うということを考えてもいいのではないのか。

 仮にこれが法律できちっと定義づけられて、きょうは余り議論したくないんですけれども、今後議論をすることになるかもしれませんが、例えば障害者自立支援法のように、身体障害者福祉法であるとか、あるいは知的障害者福祉法であるとか、あるいは精神保健福祉法上の定義に基づく方しか利用できないというふうに行うんだったら、その法律の定義をまた変えていきたいというふうに議論はできるんですけれども、この場合、法律事業ではありませんよね。

 先ほど局長から御答弁いただいたように、そもそもそのときに、ほかに制度としてサービスを受けることができない方々がいらっしゃって、その方が大変多い、したがって、本来は難病の、特定疾患の方々だけに絞ろうというふうに思ったんだけれども、関節リウマチの方々はこの制度、枠組みには入らないけれども人数が多いというところから、恐らくそのときの政治判断でこの事業の対象者になった。

 これは運営要綱で対象者になっているんですよね。だったら、この運営要綱を広げることというのは政治判断として今後できるのではないのか、法律改正を何かしなければいけないということではないんではないかなというふうに私は思うわけであります。

 そこで、きょうは国土交通省の方にちょっとお越しをいただいているんですが、次のページ、六ページ目をおめくりいただきたいんですが、公営住宅法という、いわば住宅に困窮する低額所得者に対し低廉な家賃で供給しようという法制度があるわけでございます。

 これについての資格要件、すなわち、これには障害者手帳を保持するというような限定がなされていないと解釈をさせていただいているわけでありますけれども、障害者手帳を持っていなくてもこの制度が利用できるというふうにした理由は、どのような理由だったでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 今、先生からお話ありましたように、公営住宅制度につきましては、一定の程度の障害を持つ身体障害者等につきましては単身での入居を可能とするとともに、入居収入基準を事業主体である地方公共団体が条例で引き上げて入居しやすくできるということにしているところでございます。

 これらの対象となる障害者の障害の程度につきましては、公営住宅法施行令や施行規則において定められているところでございますけれども、そこに定められております障害の程度に具体的に該当するか否かという判断につきましては、障害者手帳の提示またはその写しの提出による方法以外に、市町村等の福祉主管部局等の証明書の提出による方法ということも可能にしているというところでございます。

 したがいまして、法令上、障害者の資格を証明するに当たりましては、障害者手帳の提示を要件とはしておりませんで、事業主体である地方公共団体におきまして法令等を踏まえて適切に判断すべきというふうに考えているところでございます。

園田(康)委員 そうすると、審議官、二点確認をしたいんですが、まず一点は、まず医師の診断書があって、それを自治体が証明されたというふうに判断すればこの利用が可能になるということでいいのかどうか。これがまず第一点。

 それからもう一点は、身体障害者福祉法上、別表の一級から四級に該当する程度というふうにされているわけであります。そうすると、「該当する程度」というふうにしているということは、必ず該当しなければいけないんだというふうにしているのではなくて、「該当する程度」で、それは医師の診断書程度で認められるんだということでいいんですねという、この確認をまずきちっととらせていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 まず、最初の御質問でございますけれども、先ほど申しましたとおり、障害の程度に該当するかどうかという判断につきましては、必ずしも障害者手帳の提示のみではございませんで、市町村等の福祉主管部局等の証明書の提出によっても結構だということで通知しているところでございます。

 しかしながら、障害の程度を証明する方法はこれに限定されるものではないというふうに考えておりまして、地方公共団体の判断におきまして、今お話のありました医師の診断書をもって法令で定める障害と同程度の障害があるということが証明される場合には、それをもって法令で定めるところの障害の程度と認めるといったこともあり得るというふうに考えております。現にそのように運用している地方公共団体も幾つかあるというふうに聞いているところでございます。

 それから、二番目の点でございますけれども、この「程度」というのは、それに類似するということではございませんで、あくまでも障害の段階ということを言っているわけでございますので、したがいまして、公営住宅法施行令及び施行規則におきましても、身体障害者福祉法施行規則別表に定められた障害の程度、これは段階でございますけれども、それと同程度であるかどうかということを判断しなければならないということでございます。

園田(康)委員 そうすると、大臣、この公営住宅法のスキームというか、そもそもこれは障害者基本法にのっとって行われているものであります。したがって、手帳を取得していない、あるいは取得できない方であったとしても、医師の診断書等があって、そして、それによって一級ないし二級、身体障害者なら一級から四級程度の証明ができたということを市町村が判断すれば、この制度は利用できるんだということなんですね。

 既にほかの制度においてはここまで広げて、手帳取得が前提となっていないところまで、私たちがずっと申し上げてきた、いわゆる制度の谷間になってしまっている、手帳を取得することができなくて、今の法律上、特に、とりわけ身体障害者福祉法においては、その度合いと、それから疾病別によって今は限定をされてしまっている、それをある面、基本法によって広げて解釈して、そして、そういう手帳を取得しない方でもその制度が利用できるんだというところまで踏み込んでやっていらっしゃるんですね、今。

 私は、肝心かなめの厚生労働省がそこに踏み込んでいただけないというのは、大変今残念に思えてならないわけでありますけれども、大臣、いかがでしょうか。こういった例も含めて、先ほど申し上げた難病疾患の居宅支援事業においても、手帳がとれない方々、ない方々においても、運用上、そういった適用が可能であるのではないか。これも恐らく政治判断、先ほど「等」と局長はおっしゃったわけでありますけれども、その「等」を政治判断で広げることができるのではないかというふうに私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 委員がおっしゃることはよくわかります。ただ、私は、やはり根本的には、難治性疾患克服研究事業の対象疾患をふやす、今回もそれを七つふやし、さらに助成の方は恐らく十一種類またふえていくと思いますけれども、そこをやはりふやすことが根幹であって、そうすれば当然対象になりますね。だから、それまで逆に、例えば住宅の支援についてだけちょっと配慮してということで、非常に善意でおっしゃっているし、私もそれは共感するところはありますけれども、ただ、逆に、ほかの面で、やはり対象疾患として指定されるかどうかで全然扱いがある意味で違ってくる。

 だから、これは、私の気持ちとしては、何とかしてくださいと、二十八日に来られるということなので、できるだけ私も国会の日程が許せば直接お会いして、どんなに苦しんでおられるかというのは自分の目で確かめたいと思っていますけれども、そういう方々全員これは指定したいという気持ちでやってきて、一歩一歩これは進めていきたいと思っています。

 まずそれが本筋だということを申し上げた上で、委員がおっしゃったようなことが可能かどうか、これはちょっと検討させていただきたいと思いますし、どうしても、難病の方々の住居の支援になっていますので、では定義はどうするんだとかいうことがあるので、「等」を活用するという手もあるかもしれませんが、ちょっと検討させていただきます。ただ、困っている方々に必要な手を差し伸べる、この原則を忘れずに考えたいと思っています。

園田(康)委員 私は、ここは立法府でありますから、大臣と全く同じ考えです。本来であるならば、このような運営要綱でどうのこうのするというものではない。でき得れば、一番最初に大臣に申し上げたように、こういった事業をきちっと法定化を私はしたい、するべきではないのか。今までずっとこの難病対策というものを予算事業でやってこられた、その努力は私も買わせていただいていますし、今般、確かに予算措置が大幅に増加した、これも私の中では高く評価をさせていただいています。

 だからこそ、きちっと法制度化して、この制度が拡充をしていくという方向性を打ち出すことができないだろうか。そうすれば、今後、障害者福祉の総合福祉法的な議論の中にもリンクをしてくるものではないのか。でき得れば、今般の障害者自立支援法の三年後の見直しの中でも、このようなものも含めて、大きく大きく広げた解釈を行うことができれば、私は大変すばらしかったのではないかなというふうに思うわけであります。

 まだそこまで至っていないということであるならば、その次善の策として、きちっとこの難病対策が法制度化される。しかも、それは、いわば研究の分野と、それから治療の分野と、そして今申し上げた生活支援の分野、これをきちっと法制度の中で位置づけることによって、患者の方々がまず安心をされること、そして、そこから今度は総合的な福祉法というところに議論をしていけば、必ずやそれが大きな我が国における制度になっていくのではないかなというふうに思うわけであります。ぜひこの検討をお願いしておきたいというふうに思うわけであります。

 最後の質問になるかもしれませんが、だからこそ、障害者自立支援法、先ほど桝屋理事も少しお触れになっておられましたけれども、私は、今申し上げた障害者の範囲の問題だけ少し質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 今般、その見直し案が出てきているわけでありますが、この見直し案の中で、障害の範囲については所得の確保も含めて障害の範囲がきちっと位置づけられなければいけないというふうにずっと申し上げてきたわけでありますけれども、発達障害については、発達障害者支援法の中でこれが対象となっているんですよということは法律上明記をされることになりました。

 しかしながら、その他についてはまだ置き去りになっている。高次脳機能障害については、どうやら通知等も含めて行うんだということでありますけれども、法律上の明記にもなっていない。それから、今申し上げてきた難病についても、まだこっちの医療支援の方がきちっと、難病対策の方がきちっとできていないという理由なのかもしれませんけれども、今回、いわゆる谷間と言われた難病が入らなかった。入っていないというところ、先送りになってしまったその理由をお聞かせいただきたいと思います。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者自立支援法の見直しに当たりまして、この対象範囲についても検討をするという要請があったわけでございます。その中で、今御指摘の発達障害あるいは高次脳機能障害でございますけれども、これは、もともと医学的な概念といたしましては精神障害または知的障害に含まれ得るということでありまして、今でも対象になっておるものではありますけれども、これが非常にわかりにくい、周知されていないということで、サービスが受けにくいという実態の御指摘もございました。

 これらを踏まえまして、より明確にして、サービスをきちんと受けていただくということが必要であろうということ、これは社会保障審議会等でも御議論をいただきましたし、団体の方からも御要望をいただき、御議論を繰り返してまいりました。

 そのために、今先生御指摘のように、発達障害につきましては、さきに発達障害者の支援法というものの中で医学的な概念も踏まえて定義をいただいております。これを引用する形で、今でも含まれておるんだということを法律上も明記をしていきたいという仕組みで今御提案をさせていただいております。

 また、高次脳機能障害につきましては、これは法律での概念ということがまだない、あるいは医学的にも、ICD10等の分類でも少し多分野にまたがっておるというふうなこともございます。そういうことを踏まえて、現実にこういう方々の支援をしていくということを通知、告示等のレベルでも明確にして運用を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 難病につきましては、今御議論いただいておりますけれども、難病等について、今の身体障害者の考え方、身体に日常生活上の制限を受けるような障害を生じておる、それが固定をして永続していくという考え方に照らしていきますと、難病患者の方々、治癒によって軽減される方々も含まれておるわけでございまして、一律に取り組むということについてはなお議論が必要だというようなことを審議会でも御指摘いただいておりますが、どのような仕組みにおいて難病患者の方々に対する医療とともに生活支援も図っていくか、これは充実を図る方向でしっかり議論をしていかなきゃいけない課題というふうに認識しておるところでございます。

園田(康)委員 そうすると、基本法の改正が、ことし五年目の見直しということでこの国会で行われるのかどうか、まだちょっと微妙なところではありますけれども、この基本法の改正、権利条約も含めてことしはさまざまな動きをしていかなければいかぬというふうに私は申し上げてきたわけであります。

 大臣、先ほど申し上げた難病の対策と、それから障害福祉の対策というか、範囲も含めて、これをぜひもう一回、今御答弁いただいたのは社会・援護局の障害保健福祉部でありますけれども、先ほど来お話がある難病についてはまだ健康局の対応になっている。ここを省内横断的な特別チームをやはりつくった方がいいのではないか。先ほど検討をぜひしたいというふうにおっしゃっていただいたので、何かそういった組織横断的なものをぜひつくってお取り組みをいただけないかというふうに思うんですが、大臣、最後に一言お願いします。

舛添国務大臣 私が難病対策に力を注ぎたいと思っているのは、実を言うと難病対策をきちんとやれるかどうかが我が国の社会保障政策の真価を問うことになる、ある意味でシンボリックな面である。つまり、数は少ない、そして皆さんが注目するわけではない、しかしみんな本当に困っている、こういう方にもきちんと光を当てることができるかどうかが高度な福祉社会だと思っておりますので、ぜひ、そういうことは実現したい。

 その中で、障害者に関する法律でカバーできるものもありますけれども、障害者とオーバーラップしない部分があります。難病の方々はまた別のカテゴリーの面があります。ですから、おっしゃるようなこと、省横断的に検討することはいたしますけれども、これは私が申し上げることではないかもしれませんが、私の思い入れを言うと、ぜひこれは国会議員の間で、例えば難病基本対策法のようなものを党派を超えて議論して、その基本的な法律に基づいてさっきの住居の支援がある、その法律に基づいて例えば対象疾患をふやす。予算措置をするときもそういうのは助けになりますので、これはぜひ皆さんで、私も国会議員でもありますから、議論を進めて、やはり難病対策、難病で苦しんでいる方々に対して力を、皆さんで支援をするということは、これからの日本の目指すべき社会だと思っておりますので、全力を挙げて取り組みたいと思います。

園田(康)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、私どもも皆さんと一緒に取り組んでまいりたいというふうに思っておりますので、また今後ともよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

田村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山井和則君。

山井委員 きょうは、四十分間質問時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まず最初に、国民年金の納付率、そして所得代替率のことをお伺いしたいと思います。

 前回の質疑の中で、きょうも一ページ目の配付資料をお配りしておりますが、国民年金の納付率が現状並み、六五%であれば五〇%を切るという答弁をいただきましたが、舛添大臣、五〇%を切るのはいつごろになりそうですか。六五%の場合です。

舛添国務大臣 六五%の場合に所得代替率が五〇%を切るのは、というか、要するに法律上は所得代替率五〇%を確保するということなので、切ることはこの法律を守る限りはないということをまず前提にした上で、仮に五〇%以降も機械的にマクロ経済スライドをずっと適用し続けたと仮定した場合について試算をすれば、ラフな試算ですけれども、二〇三九年度に所得代替率が五〇%を下回る見込みということです。

山井委員 それに続きまして、前回の答弁で、六五%の場合の最終的な所得代替率が四九・二%から四九・三%ということでしたが、では、ここの最終的な所得代替率に行き着くのは何年後ぐらいになりますか。

舛添国務大臣 これは先ほどと前提は同じですが、法律上は四九・二となることはないんですが、仮にマクロ経済スライドで機械的にかけ続けるという状態でやった場合に、これは給付水準調整が二年ほど長くなりますから、先ほどの三八年プラス二年で二〇四〇年ごろということでございます。

山井委員 機械的な話でありますが、現状並み、六五%の国民年金の納付率であれば、二〇三九年度に五〇%を切り、二〇四〇年度には四九・二%から三%の最終的な所得代替率になるということなんです。

 ここで、八〇%に国民年金の納付率を引き上げるのはなかなか難しいであろうということで、その理由は、この三ページにもありますように、免除、猶予の方を加えた計算によりますと、実際には、一番下に書いてありますように、全加入者の四七・三%、二人に一人も納付をしていないという現状があります。さらに、四ページにもありますように、六三、六七、六六、六三というふうに下がってきておりまして、この上がったときも、分母対策と言われる、とにかく免除や猶予の人をふやすことによって見かけの数字は上がっているわけですが、実際には、納付しておられる方々はどんどん下がっていっている。それはこの三ページを見てもらったらわかりますように、一直線に実際納付している方々の率は下がっていっているということなんですね。

 そういう意味では、今回のこの試算の中で国民年金の納付率をどう仮定するかというのは、私は極めて重要なファクターであるというふうに思うんです。

 大臣にお伺いしますが、今回のこの試算において所得代替率が八〇%を前提に計算してあるということを大臣がお知りになったのは大体いつごろでしょうか。

舛添国務大臣 それは、財政検証の結果がこういう形で出ますという前提として、今財政検証をやっていますというときに、CPIが幾ら、何が幾ら、今の八〇%が幾らというのを一括して報告を受けております。

山井委員 ということは、最終報告書が出る前だということですね。今うなずいておられますが、前に聞かれたと。

 そこで、話は戻るんですが、その説明を聞かれたときに、しかし、前回も話をしましたように、この報告書にはどこにも八〇%という数字は入っていないんですね。入っていないんですよ。そのときに大臣は不思議に思われませんでしたか。国民年金の納付率というのは非常に重要なファクターの一つなんですが、そのことが実際の報告書にはかけらも明記されていない。そのことについて大臣は、明記をすべきじゃないかとか、そういう印象は持たれませんでしたか。

舛添国務大臣 いろいろな役所の書類を見ますから、完璧に網羅的に全部書いていないとだめだと私が言うわけではなくて、それは何らかの形で、概要がこうで、詳細はホームページに載っていますとか、概要はこうで、あとはこの分厚い参考資料に載っていますということですから、これはもう何度も議論していますけれども、役人言葉で言えば、「直近の実績データ等」ということに全部含まれるという書き方を彼らはするわけですね。ですから、書いていないからこれは特別おかしいと、隠しているということであれば問題ですけれども、隠しているわけじゃないわけですから、そこはとりたてて問題視はしませんでした。

山井委員 ちょっと細かい質問になるかもしれませんが、では、その時点でこの「等」の中に八〇%が入っているということは認識されていたんですか。

舛添国務大臣 とにかくたくさんのデータ、全部は載せないというケースはたくさんあります。ただ、役人は知恵を働かせますから、したがって、何か言われたときに、どこにあるんだと言って問い詰められればここの「等」とか、さっきの関節リウマチの前に「等」をつけるとか、そういうことをやるわけです。事後的に、要するにどこにあるんだと問い詰めれば、それはホームページにちゃんと載っていますよとあるんだけれども、この文章の中でどこで見るんだということを山井さんも含めて言われますから、では、それは君らはちゃんと書いているのかと言ったら、ここの「等」というところに含まれる、そういう役人的な説明がありました。

山井委員 その役人的な説明を聞かれたのはいつですか。

舛添国務大臣 それは、ちょっと今正確に何月何日何時というのは覚えていませんけれども、要するに納付率八〇%がどこにも書いていないじゃないかというような御批判が出てきたときに、それは確かめないといけないですから、それはどこだというと、役人的にはここだ、「等」ということです。

山井委員 確認しますが、長妻議員や私たちが国会でそのことを問題にしてから役人の方々から聞いたということでよろしいですか。

舛添国務大臣 データ自身はホームページに細かいのがあるのは知っていますが、あの紙の中でどこで見るんだというのは、そういう役人的な解釈であるというのを聞きました。それは皆さん方、山井さん含めそういう声もありましたので確認をしたら、そういうことです。

山井委員 ということは、舛添大臣は、この「等」の中に八〇%が入っているということは、この報告書が出たときにも御存じなかったということでよろしいですか。

舛添国務大臣 全体の大きなことを考えていますから、細かい文言がどうだ、そういうところまでは余り気にしておりません。

山井委員 舛添大臣、まさにそこが認識の違いなんですね。細かいことは気にしていられませんとおっしゃいますが、私たちからすると、この八〇%を前提に五〇・一%になっていて、そこが五%でも下がったらまさに百年安心の公約である五〇%を割るんだというのは、小さいこと、細かいことではなくて、これは非常に重要なことなんです。非常に重要なんです。これは別に民主党が関心を持っているだけではなくて、国民にとっては安心感の一つの歯どめになっているわけなんですね。

 そうしましたら、今のお話を聞いて、当たり前の話ですが、この報告書の責任者は舛添大臣ですよね、この報告の責任者は厚生労働大臣ですから。ところが、厚生労働大臣は知らないけれども官僚の方々が「等」という表現を使ったということでよろしいですか。

舛添国務大臣 やはり私は議論をミスリードしちゃいけないと思うのは、納付率なんかは、全力を挙げて努力し、国民がそういう意識になれば変わるんですよ。あした雨が降るか雪が降るかという話じゃない。もっと言うと、実を言うと、CPIの数字であるとか、経済指標の方がはるかに変わる可能性がありますよ。だから、この前も申し上げたと思うんだけれども、こういう議論をしていると、誤解する人がいたら、さっき二〇四〇年と言ったでしょう、二〇四〇年も六五%でいくのかねと。

 私は、八〇という数字を掲げること自体、恥ずかしい。国民皆年金なんだから、国民皆保険なんだから。納税だって一〇〇%あるべき。ただ、困った人に対する免除はしますよ。だけれども、困ってもいなければ払わなきゃ。片一方は歯を食いしばって払っている人がいるんです。みんな、社会的連帯でしょう。だから、実を言うと八〇%という答えですら厚生労働大臣として恥ずかしくてしようがない、日本国民として恥ずかしくてしようがない。一〇〇%を目指すべきであって、それはわかりますよ、直近、来年そうなりますか、それは難しい。こういう経済情勢だからわかるけれども、さっき言ったじゃない、二〇三八年とか二〇四〇年、そこまでずっと六五%でいっていいんですか、皆さん。国民皆年金じゃないじゃないですか。

 だから、そういう理想を求めて、我々が何もやっていないなら文句を言われてもいいですよ、コンビニでやる、こういうことをやって、いろいろな施策をやっているわけですから。努力をしてやれるものとそうじゃない指標については、努力をしてやれるものの方がはるかに高い数字を設けてもいいので、私は、この国民年金の納付率の八〇ということだけを、これだけで何か世の中ひっくり返るような議論をするのは、ちょっと合点がいきませんね。

山井委員 これはまさに政府の公約であり、自民党、公明党の公約であるから、非常に重いんですよ。これはシンボルなんですよ。やはり、今の年金の安心感のまさに一番のシンボルになっているんですね。

 今、八〇%という議論をするのが恥ずかしいとおっしゃいましたが、私たちは違うんです。八〇%を目標に掲げながらも全く達成できない、にもかかわらず、抜本改革をせずにそういう制度を放置している方が恥ずかしいと思っているんです。だから私たちは抜本改革をしようと言っていまして、それは民主党だけじゃないんです。

 繰り返しになりますが、二十二ページにありますように、麻生総理もおっしゃっているんですね。「「国民皆年金」という謳い文句は、もはや死語だ。学生や失業者にも一律定額の保険料の負担を求めるのは、酷であり、未納問題の解消は難しいと言わざるをえない。」これはほかでもない総理大臣がそうおっしゃっていて、ですからこそ、二十一ページのラストになりますが、「国民に安心を与えるのが政治の責任だ。抜本改革しか、国民の信頼を取り戻す術はない。」「政府がどんなに「百年安心」と謳っても、自戒を込めて言えば、もはや信用する人は誰もいないのだ。」と。こういう状況でありながら、抜本改革を先延ばししている今の政府・与党こそが恥ずかしいと私たちは思っているんです。

 大臣、それでは、八〇%を前提にやっているということは報告書が出る前にお聞きになったということですが、きょうの配付資料の中の八ページにありますように、昨年五月の社会保障国民会議のときには、六五%、八〇%、九〇%、丁寧に実績程度ということで書いてあります。そして、九ページには、九〇%のケース、八〇%のケース、六五%のケースと書いてあるんですね。

 大臣、昨年五月の社会保障国民会議では六五%の実績程度も入れていたのに、今回はなぜそれを入れなかったんですか。

舛添国務大臣 その前に、八ページの委員の資料を見ても、八〇%が暫定試算の前提、実績程度が六五、九〇がその他に拡大する場合。だから、私も申し上げたように、本来的には、改革する方向としてはA、B、C、これでいうと六五、八〇、九〇、三パターンありますよと示した方が、それははるかに丁寧だというふうに思います。そして、国民会議の場合も、八〇以外にも出したらどうだということで六五を出したというふうに聞いておりますので、いずれにしましても、一つの数字を使って、先ほど言った八〇を使ったということです。

 それから、先ほど、この前もちょっとお願い申し上げたんですけれども、八〇%の議論は恥ずかしい、やるのは恥ずかしいと言いましたかというので、そうじゃなくて、八〇という数字は恥ずかしくて一〇〇を目指すと言ったので、私が言ったことを繰り返すときは、どうかオウム返しに繰り返していただきたいと思います。

山井委員 こだわりますが、今回、六五%という試算もせずに八〇%だけでやった、このことは大臣の判断ですか。

舛添国務大臣 いや、私の判断ではありませんけれども、六五%で今から三十年後もそのまま続くというのはむしろおかしい。それは、少なくとも八〇%ぐらいは目指さなきゃ、一〇〇%が国民皆年金なんですから。

 だから、要するに、出してみるのはいいですよ、九〇、八〇、六五、そのとおり出してもいいんですよ。だけれども、どうですかね、三十年、四十年後、今のまま六〇ぐらいでいって大丈夫なんですかね。だから、やはり八〇というのは、相当割り引いて、努力も実らない、国民の意識も変わってくれない、そういうことを前提にして八〇ということですから、別にそれで六五を出さなかったからおかしいということではないと思いますよ。

 だから、私が出すなと言ったことはありません。

山井委員 これはうがった見方で非常に失礼かもしれないんですが、昨年五月の段階では、六五%でも五一・一%にしかならないんですよ。五〇%を切らないんですね。ところが、今回の場合は、六五パーを書いてしまうと、それが四九・二%になってしまうわけですよね。ですから、それではまずいということで六五%を載せなかったんではないかと邪推を私はしたくなるんですね、これは。ただ、大臣がそれを指示したんではないということはお聞きしました。

 そこで、では大臣、八〇%から、七五%、七〇%、六五%、とにかく八〇%を切って七五や六五や七〇になれば所得代替率が五〇%割れをするということをお知りになったのはいつですか。

舛添国務大臣 だから、それは、シミュレーションをやれといってやれば出てきますから、それをやらないとわかりませんからやってということで、やった上でです。

山井委員 ということは、確認ですが、私たちと同じように、このペーパー、シミュレーションのペーパーを見て初めて大臣もお知りになったということですか。

舛添国務大臣 財政前提の検証委員会の先生方は、名簿を見て、個人的にもほとんどの方は私はよく知っていますけれども、非常にすぐれたエコノミストがいっぱい入っていますから、彼らが計算するんですから、それはその数字をそのまま受け取りますし、前提が変わってどうだというのはやってみないとわからないので、前もって知っている、今、みずから邪推とおっしゃいましたけれども、御本人が邪推と言うなら邪推でしょうけれども、そういう邪推をする性格では私はありませんから、いずれにしても、出てきた試算を見てということなので、六五でやったら必ず五〇を切るから、これは公約違反になるからやばいから、ちょっとそれをのけて八〇でやれ、そういうことを言ったことも一度もありません。それはここで正確に申し上げます。

山井委員 いや、大臣はそうおっしゃいますが、結果出てきたものを見れば、そういうふうに受け取らざるを得ないような気もするんですね。

 それで、大臣、先ほどおっしゃったように、もし残念ながら六五%の現状維持のまま続けば二〇三八年度には五〇%を切る。そのときには何らかの措置を講じねばならないということに十六年改正の法でなっているわけですね。

 前回もお示ししましたが、三つ可能性があるんですね。厚生年金の給付水準五〇%を維持するため、選択一「年金保険料を上げる」、選択二「支給開始年齢を遅くする」、そして、前回答弁されましたように、選択三「国庫負担を上げる(消費税増税?)」とクエスチョンマークになっていますが、大臣、どれをやる可能性が高いんですか。

舛添国務大臣 この前、後で第四の選択肢をつけ加えたと思うんですが、それは、マクロ経済スライドをすぐ終わらせないで、先ほど申し上げたようにもっと先まで延ばす、これも可能です。

 ですから、十六年改正というのは四つの前提があって、何のためにやるか、保険料をむやみに上げませんよ、一八・三とか、それから今の所得代替率、給付を下げませんよ、積立金を活用しましょうよ、そして国庫負担、まさにこれは二分の一だ、これによって今のを守るということです。

 そしてこれは、年金制度ができてからずっと、私の記憶が正しければ、こういう財政検証的なことは五年ごとにずっと同じ指標を使ってやってきた。何のためにやるんですか。大体、財政検証なんてそんなのやる必要もないのか。それは、やるにはやる意味があるので、五年ごとにやります。これでは危ない、まさに危ない、では、やはり保険料を上げるのかなとか、今ここに、支給開始年齢を遅くするとかいろいろ選択肢、まだほかの選択肢も考える、四番目はマクロ経済スライドの終了時期をさらに先送りするとか、そういうことをやって持続可能なようにする。

 だから、五年ごとにそういうことをやって、十年後、十五年後、危機的な状況にならないように、まさにそれを活用して必要な手直しをやっていくということですから、私は、それは一つの制度としては間違っていないというふうに思っております。

山井委員 大臣、そこは、認識の大きな違いが国民と大臣とあると思うんです。

 なぜならば、保険料をもうこれ以上上げない、支給開始年齢を遅くしない、平成十六年改正で、百年安心ですということをおっしゃったのは政府であり、そのことを、きょうの配付資料にも入っていますが、選挙の公約にも与党は掲げておられるわけですね。それを今になって、納付率が万が一下がったら、年金保険料を上げるか、支給開始年齢を遅くするか、そういう選択肢もあり得るという話になったら、百年安心ということではやはりないということですか。

舛添国務大臣 私自身が百年安心という言葉を使っていないので、百年安心という言葉は使いたくないんですが、いずれにしても、持続可能な制度を目指すためには、いかなる制度であれ、必要な見直しは適宜行わないといけない。

 後ほど時間があれば介護保険制度についても御議論をしたいと思いますが、介護保険についてだって、五年後の見直しはすべて決まっているわけですよ。それは、介護保険という制度を持続可能なものにするための知恵ですから。ですから、これは、長期にわたって持続可能なものに年金制度をするために五年ごとに財政的な検証を行って必要な見直しをやるということですから、それはそれで間違っていないと思いますよ。

山井委員 舛添大臣、今、百年安心という言葉は使いたくないとおっしゃったんですが、その理由をお聞かせください。

舛添国務大臣 いや、私は、政治家として、個人的に、百年安心と叫んだことは一度もありませんからということで、私はそういう言葉は使わないと。

 しかし、何度も申し上げているように、たとえ民主党が政権をとって、民主党が新しい年金制度改革案を出しても、それはやはり百年ぐらい持続可能なものでなければ、国民に対して、十年、二十年ですぐひっくり返るようなものは、それはよもや責任ある政党としてはお出しにならないでしょうねというようなこともこの前申し上げたので、我々はそういう覚悟でやっているということです。

 やはり、短期的にころころころころ変えるというのは、我々の人生ですから、今、八十五、九十まで生きるので、その長い人生でころころ変えられる。それは、新しい年金制度改革案を出してもいいんですけれども、ただ、やはり経過措置をどうするかで、この前どなたかの議論にあったように、経過措置で八十五年かかるというような話でしょう。ですから苦労しているんですよ。それは、きょう提案して、あしたころっと変えられれば、こんな楽なことはないですよ。苦しみながら、少しでも持続可能なものにするという工夫をやっていますから、公約を破りたいとかそういうことでやっているのではないということを御理解いただければと思います。

山井委員 いや、これは、十七ページの議事録を見ていただきたいんですが、当時の、平成十六年のトーンとかなりダウンしていると思うんですね。当時の森副大臣は、「百年後でも絶対大丈夫ということを申し上げます。」そして横のページの坂口厚生労働大臣は、「百年安心にしていくという案を作ったわけであります」と言っているんですよ。これは明確におっしゃっているんですね、国会審議のときに。

 舛添大臣は、しかし個人的には百年安心とは言えないとおっしゃるわけですか。

舛添国務大臣 言葉の問題で、こういう言葉を使う、こういう言葉を使わないということを言っているだけであって、長期間安定的な制度を構築する、そのことは変わりない。それをスローガン的に百年安心というような言い方は、私の言葉遣いとしてはやらないたぐいの人間ですから、そういうことはしたくないということです。

山井委員 百年安心という言葉は使わないたぐいの人間というのは、それはどういうことをいうんですか。もしかして正直ということですか。うそはつけないということなんですか。なぜ百年安心という言葉は自分は使いたくないんですか。

舛添国務大臣 余り言葉遣いの議論は実り多くないのでやりたくないんですけれども、つまり、物事をスローガン的に言ってしまうと、本質的なものが隠れたり、もっと言うと緻密な議論ができないから、私は余りそういうスローガン的なことで発想したくない、やはり一つ一つ仕事をして実績を上げていきたい、そういうことでありたいと願っているということです。

山井委員 ここは私はこだわりたいんですけれども、この百年安心プランというのが大きな争点だったんですよ。争点だったんですよ。ということは、百年安心という旗を舛添大臣個人としては今後は掲げないということですか。

舛添国務大臣 皆さん、この十七ページの議事録で言っているのは、百年間安心できるようないいものをつくりたいとおっしゃっているので、その志はよろしい。しかし、旗を掲げてやるというような話ではなくて、やはり実質的にきっちりやっていくということでありますから、実績で勝負するしかないと思っております。

 それで、しかも、先ほど来御質問に答えて、何年になりますか、五〇%を切るのは二〇四〇年ですよ、その六五という前提を置いたって。二〇四〇年というのは今から三十年後じゃないですか。三十年先だって五〇切るか切らないかで、しかも六五という、言うと恥ずかしくて見ちゃおられないような数字を前提に置いてそうだから。八〇だって恥ずかしいと言っているんですから。

 もっと言うと、山井さん、出生率は低目に出ているじゃないですか。もっと高目に出たら、もっと大きく変わりますよ。

 だから、いろいろな数字を出しているのは、どれが確実になるというのはそれはわからないわけですから。しかし、大体の目安でこうだ、黄色い信号がともりますよ、では、ともったらどういう手を打ってそれを改善して青信号に変えていくんですか、そういうための財政検証ですから、それはやはりポジティブにとらえて、それは山井さんの役割は、政府を厳しく監視して批判して、さらにいい政策にしていく、これは大変すばらしい役割だと思いますけれども、たまには一緒に前向きにやりたいと思います。

山井委員 将来のことはわからないということなんですが、過去三年間、八〇%目標で努力して、全く達成されていないどころか落ちているというところがこの問題の深刻さなんですね、この納付率は。

 そこで、お伺いをしますが、今回も配付資料に入れましたが、平成二十年度はもう終わっていますよね。平成二十年度は今回は何%ということで計算してあるわけですか、この試算は。

舛添国務大臣 それは当然八〇%です。

 だから、さっき言ったじゃないですか。ことし、来年八〇というのは、それは今の経済状況から見れば難しい、だけれども、三十年後、四十年後、例えば今から三十年後、まだ六五とかで低迷していたら、それはとんでもないことですよ。今から十年後ぐらいには一〇〇%に行くという目標を掲げてやるべきで、それは、今八〇以上でやれば、ことしだって八〇ですよ、来年だって八〇ですよ。しかし一〇〇に近づけていくんですから、十年後、二十年後、九五なんてなったら相殺されるので、長期のスパンでやっているということを御理解いただければと思います。

山井委員 目標を高く掲げることは大事なことなんですが、私たちが一番心配するのは、直前になって、保険料を上げます、支給開始年齢を上げますと言われるのが怖いから、それでは安心して人生を送れないからということで年金改革の議論をしているわけです。

 そこで、先のことじゃないんです。実際平成二十年は終わっているんです。二ページ目を見てください。かつ、平成二十年の一月末現在までのパーセンテージは六〇・九%。舛添大臣、これを見て、平成二十年度、本当に三カ月で六〇%から八〇%まで上がる可能性があると思われますか。私は、申しわけないけれども、この平成二十年度に関しては八〇%は絶対無理だと、一〇〇%無理だと思います。

 委員長もうなずいておられますよね。そうでしょう。

 可能性が低いんだったらまだしも、絶対、もう二十年は終わって、一〇〇%無理なことを前提に計算するということ自体が、この報告書が極めて無責任、実現可能性ゼロじゃないですか。これは、平成二十年度で八〇%、今回の計算の前提の八〇%を達成している可能性は、大臣、あると思われますか。

田村委員長 山井委員、首を縦にうなずいているからといって、賛成という意味とは限りませんので、一言申し上げておきます。

舛添国務大臣 いや、それはもう、現状を見て、派遣の人たちが苦しんでいる、これだけの失業率だというようなことを考えれば、それは無理ですよ。だから言っているので、財政検証とは何かと、最初からちょっともう一遍よく見てくださいよ。それなら、経済成長率、合計特殊出生率、全部の数字が合っていない、あっ、今年度合っていない、来年度合っていない。これは最初から無理ですよと。

 三十年、四十年のロングスパンでやっているんですから、しばらく六〇とか六五、続いていく。それで、今度、みんなで頑張って一〇〇%になったら、あなたは、十年後、十五年後、おかしいじゃないですか、こんな八〇なんかに指定して、何であのとき一〇〇にしなかったんですか大臣ということになったらどうするんですか。

山井委員 大臣、それは聞き捨てならない。

 平成二十年度八〇%、それは無理ですよと言いたいのはこっちですよ、無理ですよと言いたいのは。無理なことを書いているから、無理じゃないですかと言ったら、それは無理ですよと言ったら、この報告書は、前提、一年目から間違っていますよと、大臣がそんなことを自慢してどうするんですか。無理ですよじゃ済まないですよ。無理だったら、この報告書の計算間違っているじゃないですか。基本的係数が早くも一年目からけつまずいているじゃないですか。無理ですよはあり得ないですよ、そんな答弁は。無理だったらそんな数字載せないでくださいよ。

 せめて、平成二十年度は八〇%は無理だから六五%にしておこう、平成二十一年度からは八〇%というならば、まだ実現可能性はありますよ、まだ終わっていないんですから。でも、平成二十年度から八〇%という前提で計算しておいて、可能ですかと言ったら無理ですよと言われたら、この計算自体をもう非現実的だと大臣が認めていることになりますよ。

舛添国務大臣 だから、何度も言うように、私が言ったことをオウム返しに言ってくださいよ。違うじゃないですか。

 要するに、ことしはどうですかと言うから、それは無理だと。正直者ですから、無理だから無理だと言っているので。だけれども、これは今から三十年、二〇四〇年にわたる数字で、そうしたら、全部、あなたが言ったような数字、使いものにならないじゃないですか。

 財政検証のあり方というのは、合計特殊出生率、CPI、何々と全部の数字を出して、それを一つの数字でやっているので、それは、はい、ことし六一%、来年六二、再来年何という、そういうシミュレーションじゃないんですよ。一定の数字を置いて、五十年後、四十年後、三十年後、それぐらいのロングレンジでプロットしたものですから。

 それなら逆に、合計特殊出生率、ことし出ますね、それより低い数字を使っているんですよ。私をしかってくださいよ。変じゃないですか、無理じゃないですか、あんなに子供が生まれているのに、何ですか大臣、こんなに子供の数が少ないのでいいんですかと言わないといけなくなりますよ、すべてについて。だから、財政検証は何かということで、何か一つだけつかまえて言うというのは、やはりちょっとバランスを失しているような気がします。

 それから、お願いでございますから、私が言ったことを正確に繰り返してくださいよ。私が言ったことはテレビは撮らないんですよ。山井さんが言ったような映像を撮って、山井経由の私の実像しか映らないので。これは非常に悲しく思います。

山井委員 そんなことはない。それは、大臣の発言はそれだけ重いということなんですよ。今回の、神のみぞ知るとか、ああいうことをおっしゃるから、逆に納付率は下がりかねないんですね。ですから、大臣、この試算、もちろん目標を掲げることは大事なんですけれども、実現不可能なことを書くと、それは目標じゃなくてうそになるんですよ。だましになるんです。

 では、大臣にお伺いしますが、この表を見て、平成二十年度の国民年金納付率、一月末六〇・九%。では昨年度の、昨年末は大体何%ぐらいだと正直に言えば思われますか。

舛添国務大臣 ちょっと、おっしゃったことがよくわからないんですけれども、二ページ目の資料をお使いになりましたですね。(山井委員「はい。この三月末で何%になりそうかということです」と呼ぶ)はい。失礼いたしました。

 それは、計算してみないとわからないと思いますが、今のような経済状況を考えて、残念ながら八〇には行かないと思います。かといって、それで不安をかき立てているというんじゃなくて、あなたのその質問の仕方が不安をかき立てているんです。

 だから、一緒に努力をして、上げるように努力をしましょうよ。それは国民をディスカレッジして、勇気づけないですよ、あなたの言うことを聞いたら。六五、六〇、その程度でこれは上がると思いますか、皆さん上がると思いますか、そうじゃなくて、私が尊敬する山井さんなんだから、民主党の輝かしいリーダーなんだから、ぜひ国民に対して、みんなで納付率を上げましょう、これじゃ恥ずかしいです、八〇に上げましょう、僕も頑張ります、こう言ってくださるといいんだと思います。

山井委員 いや、国会の審議というのは、希望的観測だけ語っていてもだめなんです。国民の老後の責任を持たないとだめなんですよ。その責任を持った発言をするならば、今の制度のまま八〇%に上げるのは、これは無理ですよ。

 繰り返しになりますが、ほかでもない麻生総理がそのことをおっしゃっているじゃないですか。一定額の保険料の負担を求めるのは酷であり、未納問題の解消は難しいと。もう国民もわかっているんですよ。

 一番困るのは、現実を直視しないことなんです。正直に、今のままでは制度がもちませんよ、ですから、国民年金の一元化を含めて、抜本改革をしましょうと。だから、私たちはそのことを正直に言っているわけです。経過期間四十年ぐらいかかりますと。でも、こうしないと、非正規雇用の方も含めて、生活保護とのバランスも含めて、成り立ちませんよということを、責任を持って私たちは言っているわけなんですね。それを、大丈夫だ大丈夫だと言って先延ばししながら、気がつけば約束した五〇%の給付率を果たせない、そのことが一番無責任なんですよ。私たちは、現実を踏まえた、それこそ正直な議論をしないとだめだと思います。

 舛添大臣にお伺いしますが、麻生さんがおっしゃっている、今一万四千六百六十円になりました国民年金の保険料。フリーターの方、ワーキングプアの方、またリストラされている方、そういう方がふえてくる中で、麻生さんは、一定額の保険料の負担を求めるのは酷であるということをおっしゃっていますが、この見解に関して、舛添大臣はいかが思われますか。

舛添国務大臣 さまざまな免除規定がありますから、生活に困窮し、どう見ても支払いが困難な方に対しては、さまざまな免除策をやっています。そういう方に対してはきちんと手を差し伸べる。しかしながら、私は、現実を踏まえてじゃなくて、現実をさらにいいものに変えていく希望を掲げて前進するのが政治家の仕事だというふうに思っておりますし、たまには国民に対して厳しいことも言わないといけないですよ。それは、同じ境遇にある方でも、歯を食いしばって保険料を払っている、それは事業主も同じですよ、みんなやっている人がいる。片一方で、同じ境遇にあられながら、払っていない人がいる。それは不公平ですよ。

 しかも、それは本人のためになるんですよ。私も一万四千六百六十円、今毎月払っていますよ。しかし、それは、払うことが将来の老後の保障になるのであって、しかも半分は税金が入りますから、それは民間会社の生命保険なんか入るよりはるかに有利なんです。

 それとともに、公的な年金制度ですから、国民相互の連帯、助け合いということがあるわけですから、そういう認識をしっかり持って、税金なら、憲法に書いてある納税の義務ならやるけれども、憲法に書いていない社会保険料というのはどうでもいいんですかというような議論になるんです。

 私はあえて国民の皆さんにお願いしたいのは、歯を食いしばって払える方は払ってください、あなたのためになりますし、この社会をよくすることにもなります、しかしどうしようもない境遇で苦しい立場でお困りの方には免除措置がありますからそれを御利用いただきたいと。

 そういうことでやるのが責任ある政府の仕事であると思っております。

山井委員 時間が来ましたのでもう終わりますが、最後に一言申し上げますが、舛添大臣、御自分が一万四千六百六十円払っているというふうに自慢されていますが、それは高額所得者が一万四千六百六十円払うのと、本当にフリーターの方やワーキングプアの方も、これは定額なんですよ。そこが問題なんですよ。こういうより厳しい雇用情勢の中でそれを払ってもらうことはもう限界があるということは、民主党と麻生総理の認識は一致しているんですよ。その現実を直視していないのがあなたなんですね。

 本来、きょう介護の問題も質問しようと思っていましたが、それができなかったことをおわび申し上げます。

 どうもありがとうございました。

田村委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほどの質疑を聞いておりまして、非常に大臣は、初めから比べると傲慢になり、ふまじめになったというふうに強く思います。山井議員が、納付率が八〇%を前提に計算をする、こういうあり得ない数字を前提として使うと、逆に国民の皆さんが不安に思うんじゃないのか、こういう質問をしたときに、不安をあおっていると。これは私も五千万件の質問をしたときに安倍総理から言われました、国会で不安をあおっていると。非常に権力を持っている同じ政府側、特に政府側の責任者として、これは看過できない発言だと思いますので、これを撤回して取り消すということをぜひお願い申し上げます。

 そして、財政検証の前提でございますけれども、これはもう舛添大臣も御存じのように、平成二十年度も八〇%ということで計算しているんです。これは我々の認識は、今の制度のままだと八〇%さえ回復するのは難しいんじゃないか、こういう認識なんですね。つまり、国民年金では生活できない、こういう意識が世間にもあり、年金不信もあり、制度を抜本的に変えて、消えた年金問題を解決する、この二つを同時並行でやらなければ、それはもう回復しないという危惧を持っております。

 それにしても、例えば、初めは六五%の数字で推移して徐々に上げていくような前提、こういうことだってとれるはずなのに、いきなり平成二十年度から、二十年度といったら先年度ですよ、二十年度から八〇%として計算。舛添大臣もそれについては、正直者だから、無理だから無理だと今言われましたけれども、無理だから無理だの数字を使って、すさまじい税金をかけて、金額を見ました、財政検証にかかる費用を。すごいお金をかけて計算をする。だからこそ、こういうことをやるからこそ、むしろ政府の方が不安をあおっているんじゃないかというふうに反論せざるを得ません。

 そして舛添大臣も今の質疑の中で言われておられたのが、新しい年金制度を出してもいいんですけれどもと、こういうふうに言われておられる。これはぜひ、我々期待しておきたいと思います。我々民主党は新しい年金制度を、かつては法案としても国会に出しましたし、今、マニフェストにも書くということで準備をし、前回の参議院選挙でもきちっと書きましたので、政府としてそれはいつ実現するという期限は、先ほど言われたようにいろいろ移行期間の問題もありましょうけれども、政府として、これが新しい年金制度だ、こういう制度を打ち出す、こういうことをぜひやるということをお答えいただきたいと思うんです。

舛添国務大臣 いろいろなことをおっしゃったので、ちょっとメモしておかないとちゃんと答えられないので。

 まず、説明は繰り返しませんが、財政検証は何かということを御説明したつもりなので、そうすると、先ほどと同じですよ、合計特殊出生率、毎年変えたのを使うのか、物価上昇率、何を使うのかということになりますから、一つの数字だけ暫定的にやることはできませんということと、これは社会保険庁が八〇%達成という一つの目標を掲げているので、来年の目標が六三、次は六七、そういうわけにはいきませんということで、それは当然、シミュレーションですから、それの限界はありますよということを申し上げたので、ぜひそこは御理解いただきたいと思います。

 それからもう一つ、今大事なことをおっしゃったのは、経済情勢もあるんだけれども、確かに年金記録問題というのは、今、これは一生懸命私は取り組んでいますけれども、やはり大きなマイナスのファクターになって、政府に対する信用、国家に対する信用、そして年金制度そのものに対する国民の信用を失墜させたんですね。だから、これは一生懸命取り組んでいますので、まだまだ難問がありますから、一つ一つしか片づきませんけれども、そういう努力も続けていきたい。

 それから、三番目におっしゃった改革の努力ですが、これはまたぜひ皆さん方と党派を超えて議論せぬといかぬ。スウェーデンなんかを見ても、長期間かけて、党派を超えて議論をしていますから。

 その中で、今おられませんけれども内山さんとか、長妻さん、山井さんもそうですけれども、いろいろな方が御提言なさった中で、どう見ても今の制度は不合理な問題がたくさんあります。被扶養されている者が男か女なのかで違うというのは、それはどう考えても合いませんね。ですから、そういうものを一まとめに変えていく。例えば在職老齢年金を変えていけば、今私が申し上げたことは一遍で片づきますね。

 そういうクラスターごとに片づけられるものから片づけていくという手法もあるでしょうし、ただ、クラスターごとにやればさほどデメリットは出てきませんけれども、何といっても、経過措置をどうするんだということに対して相当な担保をしておかないと、例えば全額税方式で一元化をやるといっても、事業主と従業員の負担、それから特に、消費税に変えようとしたときに今の受給者の方々から物すごい不満が起こると思いますから、こういうことの議論はきちんとやりたいと思っております。

長妻委員 ぜひこれは、総選挙も迫っておりますし、やはり年金制度を国民の皆さんにきちっと、どちらがいいのか選んでいただく。今のままだと、政府・与党は非常に不十分な現行の制度の微修正という形になるわけでありまして、ぜひ舛添大臣が中心となって、新しい年金制度を今後つくっていくんだ、こういう決意をちょっといただけないですか。

舛添国務大臣 私が一人でやれる話でもないし、厚生労働省が一省でやれる話ではなくて、国民全体にかかわる問題ですから内閣を挙げてやらぬといかぬと思いますし、むしろそれは党派を超えて、スウェーデンの例のように、たとえ政権交代があろうと、こういうもの、それは外交も同じですが、変わってはいけないものがあるという形でやりたいので、できることはさまざまな提言を含めてやりたいと思いますが、これはまた田村委員長を含めて与党の皆さん方ともきちんと議論をした上で前に進めたいと思っております。

長妻委員 これは何度も申し上げましたけれども、党派を超えてというのは重要ですが、スウェーデンの例も、党派を超えて年金ワーキンググループというのができたんですが、その数カ月前に政権交代が起こっているわけですね、年金を争点にして。現行のはだめだというコンセンサスがあって与野党が集まっているわけでありまして、その国民の審判なしに、何か今の制度を足して二で割るような変な形になるということは避けなければならないので、やはりきちっと出していただきたい。

 それともう一つ、年金とは別でございますけれども、治験というものがあります。

 これはどういうものか定義を聞くと、新薬や検査機器の承認申請のために行う人体試験、こういうようなもので、申請の直前に動物実験もクリアした後、人体試験を行うというものでございます。

 最近、国立循環器病センターやあるいは東京女子医大病院で、治験をめぐる死亡事故、死亡案件が起こっているんですけれども、十八歳の男性あるいは四十一歳の女性ということでございますが、これに対してどういう姿勢で厚生労働省としては臨んでいくのか、お考えを聞かせていただければと思います。

高井政府参考人 治験につきましては報告を受けているところでございますけれども、まずは現場で調査をしっかり行っていただいた上で適切に対応したいと考えているところでございます。

長妻委員 死亡が出て、そして御遺族がインフォームド・コンセントなどの問題を提起されておられると認識していますけれども、厚生労働省は静観ということですか。

高井政府参考人 それぞれの現場で調査をまずしっかりしていただこうということで検証をお願いしている、こういうことでございます。

長妻委員 非常に無責任というか、何にも厚生労働省としては動きがないということだと思うんです。

 一ページでございますけれども、これは、国民生活センターに治験に関するいろいろな苦情相談が受け付けられているんですが、国民生活センターの担当の方も来ていただいていますので、お配りした一ページ目の丸をつけた二例、これはどんな具体例でございますか。そして、どういうふうに解決に導いていったんですか。

田口参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の二例でございますが、まず一つ目のものですが、他の県に住んでいる高齢の母が去年からデイサービスとヘルパーさんの訪問を受けるようになって、その紹介で認知症専門の病院にかかるようになった。他の病気に関しては近所の病院に通っておられましたが、そちらの方の病院に通うのはこれを機会にやめた。新しい専門病院の方から治験中の薬を勧められて購入するようになったけれども、デイサービスの人との会話などから考えると、専門病院との間で個人情報が流れているのではないかという御相談でございます。

 それから、もう一つの丸をつけた事例でございますが、これは、御相談された方が市内の医者から紹介をされて、治療に大学病院へ行った。医師から署名は求められたが、特に意味はないと言われていたわけですが、投薬の二日後に、新薬の治験に参加の同意を求める文書だということに気づいた。薬を服用した後、体調が悪くなって、急患で病院に駆けつけた。病院に説明を求めたところ、なかなか納得できる説明が得られなかった。病院のある保健所等に相談しても、何とも言えないという回答であった。らちが明かず、消費生活センターに相談してみた。こういう相談概要でございます。

 これらにつきましては、医薬に関する御相談窓口等を紹介したところでございます。

長妻委員 これは、この情報の詳細を厚生労働省にも渡すように申し上げていたんですが、それで、本人の同意がとれれば連絡先にも連絡していただきたいと申し上げたんですが、厚生労働省、この二案件についてはどんな認識でございますか。

高井政府参考人 まず一件目でございますけれども、個人情報のお話も今ありましたけれども、薬事法上においては、治験においては原則として薬代を患者に請求することはないということでございますので、治験そのものの問題ではないというふうに認識いたしております。

 二番目は、医師から署名は求められたが、特に意味はないと言われていたが、投薬の二日後に、新薬の治験に参加の同意を求める文書に気づいたということでございますので、治験参加に当たっての説明が十分でなかった可能性もあると考えております。

 いずれの事例につきましても、より具体的な情報が得られるのであれば、必要に応じて調査をするなど、それぞれの事案を明らかにしていきたいと考えております。

長妻委員 不思議なのが、過去三年で五十件以上、治験の相談が国民生活センターに寄せられているんですが、今の案件も含めて厚生労働省に情報が提供されていない、こういう宝の持ち腐れのような状態になっているんです。

 PIO―NETという端末は厚生労働省に一台あるらしいんですけれども、国民生活センターは、なぜこういう情報を厚生労働省に提供しなかったんですか。

田口参考人 お答えを申し上げます。

 一般的に、国民生活センターにおきましては、消費者被害の未然防止、拡大防止の観点から、必要に応じまして、相談情報の中で重要なものについて関係行政機関等に情報提供を行うとともに、記者公表を行っているところでございます。

 厚生労働省に対しましても、平成十六年度以降五年間で、計四十四件の情報提供を実施したところでございます。また、昨年二月に、委員御指摘のとおり、厚生労働省にPIO―NETの端末が設置されたところでございまして、消費生活相談に関する情報共有を図っているところでございます。

長妻委員 そういういいかげんな御答弁ではなくて、今申し上げた二つの事例は厚生労働省にきちっとお知らせしたんですかということです。

田口参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、その時々において重要な問題について国民生活センターで情報を整理し、必要に応じ関係省庁に情報提供をしているわけでございますが、個々の情報について、それぞれ一つ一つ関係省庁に伝達をするという形はとってございません。

長妻委員 これは、今消費者庁の議論が進んでおりますけれども、私もああいう枠をつくるというのは重要だと思いますが、今もやることをやっていないんですね、私から見ると。つまり一切、個別のこういうような治験の情報を、問題だと思ってもそこで、はい、聞きおくと。これだったら、極端に言ったら、申しわけないですが、留守番電話に被害者の方が吹き込むのと同じなんですね。ただそこで聞いておく。それで、国民生活センターが件数としてデータを表に出す。

 こういうことじゃなくて具体的に個別案件を、それで、治験に関してちょっと調べてみますと、薬事法等で治験の副作用の報告、これはどういう報告かというと、治験薬及び治験医療機器が原因であると否定できないもので、死亡または死亡のおそれ、重篤事例は厚生労働相に報告させるという法律があるんですけれども、過去三年の死亡案件と重篤案件というのは何件ぐらいあるんですか。

高井政府参考人 まず死亡案件でございますけれども、平成十七年度が五十七件、十八年度は三十九件、十九年度は八十一件。それから死亡のおそれ、重篤事例といたしましては、平成十七年度で二百十九件、十八年度で二百四十九件、十九年度で二百七十五件でございます。

長妻委員 件というのは人数と同じだと言われておられるので、三年で百七十七人が死亡された、死亡のおそれ、重篤事例では三年で七百四十三人がそういう状況になったということですけれども、あらかじめ調査をお願いしていた死亡事例の二つについて、ちょっと説明いただけますか。

高井政府参考人 その前に、今申し上げた数字につきましては、第一報の報告でございまして、その後いろいろ追加報告がございまして、その数字を反映していないということを申し上げさせていただきます。(長妻委員「その追加は何件ですか」と呼ぶ)ちょっと、今すぐ手元にはございません。済みません。

 今御指摘の、死亡の二例の件でございますけれども、一番目の事例といたしましては、六十歳代の男性で、痴呆症の薬の治験でリンパ腫を副作用とする死亡が報告されたものでございます。本症例については、担当医から、非臨床試験では発がんは認められておらず、また、これまでの臨床試験においてもリンパ腫は認められていない、本事象は偶発的なものと考えられるが、因果関係を完全には否定できないため不明とすると報告されております。

 二番目の事例でございますけれども、七十歳代の男性で、気管支ぜんそくの薬の治験で肺炎を副作用とする死亡が報告されたものでございます。本症例については、担当医から、治験薬投与により肺炎が引き起こされた合理的な可能性はない、増悪因子として治験薬が働いた可能性を完全には否定できないと報告されているところでございます。

長妻委員 先ほどの三年間の件数というのは、配付資料の六ページで、厚生労働省につくっていただいたものであります。今、死亡案件百七十七人、全部説明いただくわけにもいかないのでお話しいただきましたけれども、そうすると、この二つについては厚生労働省もしようがないということですか。これは調査を厚生労働省としてするということはないわけですか。

高井政府参考人 この件、二例でございますけれども、報告を聴取いたしまして、このとおりでありますので、このとおりと承知をいたしております。

長妻委員 副作用かどうかわからないというふうに現場から上がってきて、わからないならしようがないね、でも副作用報告では受けておく、こういうことなんですか。原因を厚生労働省として究明しない、そういう緩いことでよろしいのでございましょうか。

高井政府参考人 個々のケースにつきまして、一つ一つケースの内容を把握いたしております。そういうものを調査いたしまして、全体としてどういう薬の副作用がどうかということを判断しているということでございます。

長妻委員 そうすると、今の話だと、治験で副作用か副作用じゃないかわからないけれども、副作用でないとも断定できないが、死亡した案件については、その原因究明等々は厚生労働省は関知しません、こういうことだと認識します。ちょっと私は違和感があるんですが。

 では、死亡のおそれと重篤事例について、これも四事例、あらかじめ調査していただきたいとお知らせしているんですが、これはどんなものでございますか。

高井政府参考人 四事例でございますが、一番目の事例は、七十歳代の女性で、腎性貧血の薬の治験で乳がんが報告されたということでございます。本症例では、担当医からは、治験中に初めて発見された乳がんであるため、因果関係は否定できないと言わざるを得ないと報告されたところでございます。

 二番目の事例は、七十代男性で、痴呆症の薬の治験で網膜静脈閉塞が報告されたものでございます。本症例については、担当医から、治験開始前から緑内障は存在したが、治験中に急速な症状悪化が見られたことから、多分関連性ありと報告されております。

 三番目の事例でございますが、七十代男性で、痴呆症の薬の治験で細菌性髄膜脳炎が報告されたものでございます。本症例については、治験薬との関連性は否定的ではあるが、先行感染症はなく完全には否定できないため、関連性はあるらしいと評価した旨、担当医から報告をされております。

 四番目でございますが、七十代女性で、痴呆症の薬の治験で胃がんが報告されたものでございます。本症例については、偶発的に発生した可能性が高いが、治験期間中に発現しており、因果関係は完全には否定できず、関連ないとも言えないと判断する旨、担当医から報告されている、こういうことでございます。

長妻委員 そうすると、厚生労働省としてはまた、こういう報告が上がってきたから副作用だろうという案件と、どっちかわからないけれども、重篤、死亡のおそれといったらかなり重大な形になっているわけですが、これも聞きおいておく、こういう対応だと思うんですが、そういうことですか。

高井政府参考人 副作用報告は、まず医薬品医療機器総合機構に上がってまいります。そこにおきまして担当の専門家が副作用との関連性について分析をする。必要に応じて、もちろん最後には治験の中止というところまでいくわけでありますけれども、そういう分析をして、その件につきましては我々厚生労働省も情報を共有している、こういう状況でございます。

長妻委員 国立循環器病センターのトラブルというのは何が原因なんですか。

高井政府参考人 循環器病の、人工心臓のお話かと思いますけれども、現在、センターにおいて、第三者である外部委員を中心とした事例調査委員会を設置して検証しているということで、その調査委員会の報告を待っているところ……(長妻委員「何が原因なんですか、どういう案件なんですか」と呼ぶ)循環器病の件ですか。これは、治験中の補助人工心臓を用いて治療の途上で、容態が急変して不幸な転帰をたどったという報告を受けておるところでございまして、原因等についてはまだ申し上げられる状況にないと思います。

長妻委員 そうすると、先ほど四事例教えていただいた死亡のおそれと重篤事例、この四つについては患者さんには、副作用のおそれでこういうふうになってしまって申しわけありません、こういう説明というのはきちっとされているというふうに考えてよろしいんですか。

高井政府参考人 ちょっと現時点で、四事例についてなされているかどうかは確認をとっておりません。

長妻委員 これはなされなくてもいいんですか、法律上は。

高井政府参考人 治験につきましては、治験の規則を定めた省令がございます。そこにおいては、治験の委員会を各治験ごとにつくることになっておりまして、個別のケースについては、医者の方からその治験を担当する委員会の方に報告するということになっているところでございます。

長妻委員 委員会に報告することになっているのはいいんですけれども、一番重要なのは、死亡した方とか死亡のおそれ、重篤になってしまった御本人あるいは御本人の家族にきちっと、副作用のおそれでこうなって申しわけありません等々、説明をするということは確実にやられているということなんでしょうね。そういう規則があるわけですね。

高井政府参考人 今の省令上におきましては報告を規定いたしておりますけれども、あと御本人に対してどこまで説明するかというのは、一般医療のルールに従っているという状況でございます。

長妻委員 何かあいまいなお話で、そういうことがあるから、循環器病センターとかいろいろなところでトラブルが起こっているんじゃないでしょうか。

 では、本人に、副作用のおそれで、例えばリンパ腫で亡くなった方、肺炎で亡くなった方、あるいは乳がんになってしまった、静脈閉塞になった、細菌性髄膜脳炎になった、胃がんになった、確実に副作用とは断定できないけれども、副作用でないとも断定できない、一部濃淡はあるでしょうけれども、そういう方々に確実に、そういう状況になってしまいましたという説明が御本人に、亡くなった方は遺族でしょうけれども、これは確実に行くという仕組みには今なっていないわけですか。

高井政府参考人 先ほど申し上げましたように、一般的な医療のルールで説明をするということでございまして……(長妻委員「そのルールというのは何ですか」と呼ぶ)済みません、治験のルールでございまして、治験に関する省令が定められておりまして、そこでは委員会に報告することになっておりますけれども、個別のそういう説明については一般的な医療のルール……(長妻委員「だから、やるんですかやらないんですか、説明を」と呼ぶ)

田村委員長 勝手にやりとりしないでください。

長妻委員 だって、答弁しないから。

田村委員長 では、手を挙げてあれしてください。

長妻委員 それは時間稼ぎじゃないか。では、ちゃんと答弁してください。

高井政府参考人 一般的な医療の中で説明はされているというふうに考えております。

長妻委員 そうすると、これは影響が大きいので確認しますけれども、亡くなった場合は御遺族に副作用の可能性を必ず説明する、重篤事例でその方に説明するということは必ずやらなきゃいけないことだ、こういうことを答弁してください。

高井政府参考人 必ずという義務づけはなされておりませんので、一般的な医療の説明の中でなされているということを申し上げたところでございます。

長妻委員 舛添大臣、これはどう思われますか。義務づけはない、必ずする義務はないんだということで、副作用の可能性がある形で死亡のおそれや重篤になった場合、これは必ずするということじゃなくていいんですか、舛添大臣。

舛添国務大臣 まず一般的に、治験に参加するときには、事前に十分な情報を与えて、本人ないしはその家族の同意を得て治験に参加していただく。そして、その結果、不幸にして治験の過程において重篤な事故が起こったり死亡ということがあれば、どういう理由であるかということについては、重篤の場合は本人、亡くなられた場合は家族、こういう方に対して理由はこうですよと、基本的にはこれは治験をやっている担当の主治医からお答えするというのが基本的な方向だろうというふうに思っていますので、それは現場できちんとやられているというふうに思っております。

長妻委員 そうしたら局長にお願いしたいのが、この死亡事例二案、重篤事例四案、本当にきちっと伝わっているかどうか調査をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

高井政府参考人 わかりました。調査をいたします。

長妻委員 そして、開発中止届というのもあります。七ページですけれども、これは治験等々をしていろいろな理由で開発を中止するということであります。これも、あらかじめ申し上げていた一番の事例というのを教えていただけますか。

高井政府参考人 一番目の事例でございますけれども、国内では、第一相試験が終了した段階でラットがん原性試験成績が明らかとなって、人での発がんリスクが完全には払拭できないため開発を中止するということが届け出られたものでございます。

長妻委員 これは既に何人に投与していて、御本人には知らせたんですか。

高井政府参考人 第一相試験ということでございますので、大変限られた範囲の人数というふうに認識いたしております。

長妻委員 限られた人数だからいいということではないんですけれども、発がんリスクがあることが払拭できないということが後からわかったわけで、その投与した人にちゃんとお知らせしているんですか、こういう薬を投与してしまいましたということを。

高井政府参考人 この点についても調査をしたいと考えております。

長妻委員 それと、先ほども、痴呆の方に痴呆の新薬の治験をやる、そして副作用の可能性という例が報告されましたけれども、痴呆の場合は御本人の了解がとれないと思うんですが、これは本人の了解はとらなくてもいいわけですか。

高井政府参考人 先ほどから申し上げています治験の省令でルールを決めているわけでありますけれども、今の、認知症患者など御本人の同意を得ることが困難である患者の場合には、代諾者、かわりに受けられる方となるべき者の同意を得ることによって、当該患者を被験者として治験に参加させることができるとされているところでございます。

長妻委員 これは今、補償制度というのが、治験でトラブルが起こったとき、副作用が出て、基本的には入院相当の副作用の場合に補償するという保険制度をいろいろ議論してつくったと思うんですが、副作用が出て入院などして補償された人というのは過去に何人ぐらいおられるんですか。

高井政府参考人 補償については把握いたしておりません。

長妻委員 治験について、厚生労働省は、何でもかんでも国が規制すればいいという考えには私は立ちませんけれども、余りにも、きちっとした基準なり国の把握というのがなされていないという感を強く持っております。

 これは、GCP、医薬品臨床試験の実施の基準に関する省令というのができたのに伴い、実際に治験をして入院してしまった、そういう方に補償する制度というのができたわけですよね。これで何件補償され、一体どういう症例で、改善する余地がある治験というのはどこにあるのかというのがさっぱりわからない。件数さえわからない。こういうことで件数を把握されるという予定は今後ありますか。

高井政府参考人 まず、今指摘されました事例につきまして、国立病院あるいは主要製薬企業の四社から五社程度に協力を求めて、できれば一カ月を目途に調査をしたいと考えております。

長妻委員 治験については、いろいろなメディア、インターネットあるいは書籍などでもいろいろなことが言われております、真偽は私は全部確認したわけではありませんけれども。これは余りにも基準なりなんなりというのが明確になっていないのではないかということで、本当にインフォームド・コンセントがきちっとなされているのか、あるいは副作用等で非常に問題のある事例はないのかというのも、きちっと厚生労働省として、やはり資料としては把握する。常に全部国が前に出ろ、私はそういう考えではありませんが、一応情報は把握する、実態を。それを怠っていると私は考えておりますので、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 そして、もう一回年金の問題でございます。

 きょうは第三者委員会に来ていただいておりますが、配付資料の十五ページに、二〇〇〇年以降に年金記録が消える、最近消えるということでございますけれども、この資料に限らず、二〇〇〇年以降に消えた年金記録というのは、例えば国民年金で大体何件ぐらい、厚生年金で大体、何千件か何万件かわかりませんが、何件ぐらいとお考えでございますか。

関政府参考人 二〇〇〇年以降の期間について記録がないということで第三者委員会に申し立てがあった事案でございますが、ごく最近までのデータというのはちょっと集計しておりませんものですから、昨年十二月末までに結論が出されたものということで御報告をさせていただきたいと思います。

 件数につきましては、国民年金で百件強、それから厚生年金で二千件弱。この二千件弱といいますのは、そのうち、ボーナス分につきまして事業主の届け出漏れによる事案、これは一括申し立てがなされました事案でございますけれども、これが一括で千八百件ございまして、それを含めて二千件弱。国民年金と厚生年金、合計で二千百件程度につきまして、第三者委員会におきまして記録の訂正が必要であると判断を行ったところでございます。

長妻委員 私も相談を受けるんですね、ついこの前払った記録が消えてしまっているんだと。これは真偽はわかりませんけれども。

 今の話だと、二〇〇〇年以降でこれだけの数があるということで、今もいろいろな、非常にずさんな事務処理が続いて記録が消える。当然、第三者委員会に行くのはほんの氷山の一角だと思いますので、こういうことが非常にあるのではないか。

 これは、まだ学習していないというか、これはどうすればいいんだ。本当に人、物、金をきちっと投入して、我々は、社保庁の選ばれた職員を税務署に合併してきちっとした組織をつくれと言っているんですが、結局は特殊法人に衣がえするということで、さらにひどくなる懸念を持っているんです。

 十五ページですけれども、例えば、この国民年金三例、厚生年金二例をちょっとピックアップしていただきましたが、これはそれぞれ、簡単に言うと何が原因なのかと思われますか、推定で結構ですけれども。

関政府参考人 厚生年金の方は二つの事例を挙げてありますけれども、さかのぼって標準報酬月額が引き下げられていたとか、さかのぼって加入期間が縮められていたという事案でございます。ですから、もともとの記録、社会保険庁に届けられた記録の方が正しくて、その後修正がなされたわけですけれども、それは不合理な処理であったのではないかという事案でございます。

 それから国民年金の方につきましては、自分は免除期間の申請をしたはずだ、しかしながら、それが記録上は単に未納となってしまっているというような事例等でございます。

 この三件を総合して言うのはちょっと難しゅうございますけれども、社会保険庁側に事務処理の過誤があったのかなという事案もございますし、それから、申し出人のいろいろな状況を総合的に判断すると、やはり申し出人の主張していることが一応確からしいと判断された事案。ちょっと抽象的で申しわけありませんけれども、そんなことかと思います。

長妻委員 例えば十九ページなどは、これは国民年金ですけれども、平成十七年の六月と七月に納めた分が消えてしまった。夫と二人で保険料を納めに行った。間違いなく納めた。これは第三者委員会で認められたわけですけれども、このケースというのは、やはり社保庁の事務のいろいろ過誤なんですか。

関政府参考人 このケースにつきましては御本人が、納めたはずだということでそのときの状況について詳しく記憶をたどってといいますか、状況を説明してくださったということで、結果として、これは第三者委員会としては保険料のお支払いをしていたものと考えてもいいのではないかということでございまして、社会保険庁側にミスがあったというところまで第三者委員会で判断をして結論を出しているものではないと承知しております。

長妻委員 これは舛添大臣、ぜひ、最近もこれは消えているということを御理解いただいて、この事務処理の流れとか、これは一度、ちゃんとしたところに仕事の基礎を教えてもらうような取り組みをされた方がいいんじゃないでしょうか、ダブルチェック体制とか。

 事務処理の基本というのがあるんですが、申しわけないですけれども、基本というのがもう全くなっていないというか、事務局によってばらばらだし、フローチャートみたいな手順図もきちっと整備されていないということでありますので、ぜひ一度、今の記録が消えていたらこれはもうどうしようもないので、そこをきちっと、仕事のやり方を一から見直すということを、ぜひ決意をおっしゃっていただければ。

舛添国務大臣 今、一部総務省の方から何が原因であったかという、想定も含めて報告がありましたけれども、国民年金について、書類がなくなっている場合もあるでしょう、それから入力ミスとか、相変わらず伝達漏れとか、その他、先ほどボーナスの分を払わないといけないのを払っていなかった、いろいろなことがございますので、どういうことであるかということをできるだけつまびらかにした上で、もう二〇〇〇年を過ぎてこういうことがあってはいけないので、オンライン化はきちんとしてありますから、体制で不備があれば、それはきちんと立て直しをしたいと思います。

長妻委員 そして、最近、紙台帳との照合というのを我々がうるさく言わなくなったせいか、何か本当にやるのかやらないのかわからなくなっているような状況になっている。納付記録が記された紙台帳八・五億件ですけれども。

 これは二十五ページにも資料を配付いたしましたが、社保庁がサンプル調査を厚生年金で二万件して、そのうちの一・三%は年金額がおかしくなっちゃうミスだ、入力ミスだ、こういうふうに断定した。そうすると、今四億件の紙台帳がありますから、人数に換算すると、一・三%を掛けると五百二十万人もが入力ミスで受給額がおかしくなっている。これだけのものを放置されておられるというふうに言わざるを得ないんです。

 これは、またこの内部資料を見ますと、二十三ページですね、日本年金機構設立委員会へ皆さんが出した資料には大体十年ぐらいでやろうというようなことが書いてあるんですが、まさか十年以上かけてやるということになっているんですか。もう早急にやってください。

舛添国務大臣 この二十三ページにつけている今委員が御指摘の資料は、そこに書いてあるように、体制の試算で、仮に十年間で突き合わせを実施するとして云々云々ということであって、一つの試算であって、これでやるということではありません。

 具体的に紙台帳について言うと、平成二十一年度中に予算措置もとりましたので、電子画像データ検索システムをつくります。これで相当早まる。基本ができますので、いろいろな意味で使い道のある基礎的なデータになります。

 その上で、まず二十二年度から二十三年度までを集中受付期間として、お申し出のあった受給者、加入者についての突き合わせをまず実施する。それと並行して、お申し出のない受給者分についても実施するということでやっていって、現時点で何年かかるかというのは、今からやるわけですから、そこは今、明確に何年後に終わるということは申し上げられません。

 さっきの二十三ページ目の表は、十年間でやったら、これだけの人を得てこうだということでありますので、地道にこつこつとやっていきますけれども、現時点で作業の進捗状況、まず画像データをつくってやってみないとわかりませんから、明確にいつと言うことはできませんが、できるだけ早くやる努力はいたします。

長妻委員 非常に不明確な御答弁なんです。では、十年はかからない、これはもちろん断言いただけますね。

舛添国務大臣 だれもやったことのない作業ですから、まず画像データをしっかりやって、そしてこつこつとやっていくということですから、何年ということは今から申し上げられませんが、できるだけ迅速に努力をしていくということであります。

長妻委員 いや、これはとんでもない話ですよ。これは今、特別便を送って、間違ったところがあったら言ってきてくれ、こういうふうに国民の皆さんに言っているわけですが、こっちから調べれば、こちらから気づいていない方にもお教えできるんですね、この紙台帳の照合。まさか十年かからないでしょうねといっても、いや、それはわからないと。ぜひ早急にやっていただきたい。

 そして最後に、事業仕分けということがよく言われておりますけれども、天下り団体にお金が出ているケースで、例えば財団法人健康・体力づくり事業財団、これは申請の金額に同じ金額、満額に毎年補助金をつけている。理事長は、この財団は昭和五十三年に設立したんですが、設立してから今八代目の理事長ですが、一人残らず厚生労働省のOBが天下りですね。常勤役員二人は、もちろん二人とも全員厚労省の天下り。

 しかも、内部留保は、閣議決定では三〇パーを超えちゃいかぬと言っているのに、三五パーの三億四千二百万円も内部留保がある上、さらに補助金を年間一・四億円ももらっている。これはもう補助金をもらわないで、内部留保をため込んだのを吐き出してやれと思うわけであります。

 あるいは、例えば財団法人児童育成協会というところにも助成金、補助金が出ておりますけれども、これも申請の査定を全くしないで、満額補助金を毎年つける。平成二十年度は六億五百万円の補助金をつける。理事長は、少なくとも常勤になってから五代はすべて天下り。役員のうち常勤二人は全員天下り。しかも、昔、子供たちに牛乳が配れなかったころ、関税を安くして脱脂粉乳を輸入していた。昔やっていたんですが、惰性で今も脱脂粉乳を輸入して配っている、こういうことをやっているところであります。

 そういうところに、まず、天下りが何でこれは指定席で、ずっと設立以来、同じOBが順繰りに天下る。そこに内部留保金がいっぱいあるのに、さらにまた言い値で金を流し込んでいく。こういうことを全部見直す。

 厚生労働省の管轄では七百二十四法人、四千十六人が天下っています。そこに平成十八年度一年間で、これは厚生労働省主管の法人だけですが、七千六百三十七億円、税金あるいは保険料が流れているということで、こういう綿々と続く指定席天下りはもうやめる、そして事業をきちっと見直す、この二点をお約束いただきたいんです。

舛添国務大臣 後者の、内部留保が三〇%を超えている。これは、こういうことはあってはいけませんから、次の定期監査できちっとこれは数字を正させたい。数字を正させるというのは、基準に合わせるようにしたいというふうに思っています。

 それから、要するに公務員の天下りについてどうするか。それは、建前上でいえば、規則にのっとって、仕事の内容から見て適格な人を充てたということになるでしょうけれども、こういうこと全体について国のあり方をどうするか、役所のあり方をどうするか、そしてそれに伴う、こういう特殊法人を含めて関連の団体をどうするのか、補助金のあり方をどうするのか、これは全体的にチェックしないといけないですし、先ほど長妻さんがおっしゃったことが、例えば脱脂粉乳についてそのまま続けられているとすれば、私は子供のとき脱脂粉乳を飲まされて、今でもその味を覚えていて、つらい思いで飲んだことがありますけれども、今は牛乳しか飲みませんからね。

 だから、もしそういうことで内容が時代おくれになっていれば、それは当然見直さないといけないというふうに思います。

長妻委員 これで質問を終わりますけれども、我々は、天下り団体は原則廃止をして、事業仕分けで厳しくチェックする。どうしても必要な事業がある場合は、国があるいは自治体がやる。どうしても必要なそういう第三者的な団体がある場合は、役員は公募していく。こういう発想でやらないと、いつまでたってもおかしい金が、不透明な金が流れ込み続けるということでありますので、ぜひよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

田村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、保育の問題で質問したいと思います。

 今日の雇用失業情勢の中で、フルタイムで働きたい、仕事を見つけなければならないのに、子供を預かってくれる保育所がないと悲鳴が上がっております。例えば、昨年から何度も申し込んでいるけれども不承諾となり、幾ら待てば入れるんですかと聞いたら、限りなくゼロに近いでしょうと言われた文京区のお母さん、一歳と五歳の子供を家に置いたまま働いていますという大阪のお母さん。川崎市でことし不承諾とされた児童は二千三百二十四人にも上るといいます。厚労省の調査では、保育所待機児童数は五年ぶりに増加し、約二万人。認可保育所を申し込み、やむなく他の制度を利用している児童も入れると四万人を超えています。

 しかし、昨年秋以降、事態はさらに悪化し、待機児童も急増していると思われますが、どのような認識をされていますか。また、どのように対策を打つのか、伺います。

村木政府参考人 従来から、待機児童の問題は保育の行政にとって非常に重要な問題というふうに考えております。とりわけ、昨今の経済情勢の変化の中で待機児童が増加をしているというふうに私どもも承知をしております。実際の数字そのものは、四月一日現在の数字をとらなければいけないわけで、これはまだ上がっておりませんが、待機児童が大変増加をしているというふうに認識しております。

 新待機児童ゼロ作戦において、保育の供給をふやすということで一生懸命やってきているわけでございます。とりわけ、昨年度の第二次補正予算で、安心こども基金を積みまして、平成二十二年までの間に保育の定員を十五万人ふやしていくというようなこと、それから、特に足元、即効性のある対策が必要ということで、例えば、既存の施設を借り上げでやるとか、保育ママの制度を活用するとか、あるいは小さい分園型のものを活用するとか、そういった即効性のある対策も含めて、できるだけ待機児童を減らすように努力をしたい、大事な課題だというふうに思っているところでございます。

    〔委員長退席、上川委員長代理着席〕

高橋委員 今、安心こども基金、三年間で十五万人を対象にしようということを御紹介いただいたと思うんですけれども、その十五万人という数字は、まさに小泉内閣が、三年間で、〇四年に十五万人を受け入れるのだという待機児童ゼロ作戦をぶち上げた、こういう経緯がございました。しかし、そのために保育所を一体どれだけつくってこられたでしょうか。七千人待機者が減っただけだというのが厚労省のまとめではなかったかと思います。定員を一二五%まで水増しして受け入れたことや保育所民営化を進めてきた、こういう中身であったと思います。

 〇七年から〇八年までの一年間で、二百七十五の公立保育所が減り、私立保育所が三百三十六ふえました。保育所の数はわずか〇・三%ふえ、定員が〇・七%ふえたにすぎません。きちんと必要な保育所を整備してこなかったツケが今一気に噴き出したと言えるのではないでしょうか。

村木政府参考人 保育所の定員の増加、保育所の整備、先生おっしゃるとおり、これは非常に大事だろうというふうに思っております。

 平成十四年四月から平成二十年四月までの六年間の数字でございますが、保育所数については六百四十一カ所の増、それから定員でございますが、これは既存の保育所の定員増を伴う増改築も含めまして十六万三千人の増ということで、保育所の整備を計画的に行うということで一生懸命やってきたつもりでございます。

 しかしながら、やはりお子さんがいても働きたいという女性も大変ふえております。それから、私どもの一つ非常に反省点をいえば、今の保育所の数に来年はどれだけ、何%ふやせるか、こういうことで一生懸命予算をふやす努力はしてまいりましたが、逆に、本当に働きたいお母さんがどれだけいて、そのニーズを全部満たせばどれぐらいの保育所が必要なのかというところをしっかりと数字で見ながらそれに向けて計画を立てていくということが、財政事情が厳しい中でなかなかできておりませんでしたので、どうしても追いかけっこをする、保育所はふやすけれども、さらに利用者のお子さんがふえるというような状況でやってきたんだろうと思います。

 そういう意味で、新待機児童ゼロ作戦は、今のお父さん、お母さん方の就労の希望も聞き、それに必要な保育所が大体どれぐらいあるんだろうかという数字も見ながらゼロ作戦を策定し、そしてそれにできるだけ早く近づこうということで、平成二十二年度までを集中重点期間ということで、不十分かもしれませんが、十五万人分の保育所の整備ということを目標としたところでございます。

 この目標をきちんと達成して、さらに、新待機児童ゼロ作戦が掲げている最終目標まで行けるように、しっかり努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。

高橋委員 四月の初めに、厚労省の調査で、保育所を使いたいという潜在待機児童は八十五万人という数字が紹介されたと思います。

 こうした問題は、今率直なお話があったと思いますけれども、保育所の定義を非常に狭めて、二万何がし程度しかいないのだよと言ってきた、これまでの見方そのものもやはり問題だったのではないかということを今指摘させていただきたいと思います。

 例えば、今、全国で待機児童ワーストワンという地位に甘んじている仙台市でありますけれども、待機児童が七百四十人、認可保育所を待機している児童数でいうと千三百九十八人がいて、緊急対策として、三十五億円規模の予算で、私立保育所を十カ所程度、千八十人分整備をするとしております。そのほかは、現在の保育所の増床あるいは定員枠の拡大、それから、テレビでも紹介されましたけれども、せんだい保育室と言われる、東京都の認証保育所のような、市が認可をしている保育所をふやすことで対応するとしております。

 ただ、いかんせん、やはりこれまでずっとやってこなかったことが急に対策ということでありますので、例えば社会福祉法人の施設長さんなどは、土地を借りられたとしても新たにつくるのは財政的に大変厳しいとおっしゃっている。あるいは、せんだい保育室、家庭的な雰囲気で頑張っておられる方はたくさんいらっしゃいます。だけれども、保育料が一律で高いため、あきがあっても希望者が来ない。あるいは、入所しても待機をしていて、認可があけばすぐそちらに回るということで、受け皿としては矛盾を抱えているというのが現実だと思います。

 そうした中で、仙台市は、公立保育所を十年間で四割、二十カ所も民営化すると言っているわけですね。そうすると、やはり、ふえてくるという見通しがほとんど見えてこないのが現状ではないかと思うんです。

 これは全体に言えることで、公立保育所の運営費を三位一体改革で一般財源化し、財政が厳しい地方自治体が、民営化にしたり、あるいは職員の四割、五割をパート職員で補うなど、公的保育を後退させてきたことに最大の要因があると思いますけれども、いかがでしょうか。

村木政府参考人 児童福祉法上の考え方でいきますと、認可保育所につきましては、公立、私立を問わず、児童福祉法に定める最低基準を遵守していただけるというものでございますので、そういう意味では、公立、私立双方とも、基本的な保育の質が担保されているということだろうと思います。市町村については、こういう認可保育所を整備して保育需要を満たしていただくということが必要なわけでございます。

 その中で、公立の保育所をどういうふうに考えていくかということでございます。

 よく言われますのは、公立保育所については、例えば、障害児の保育をしっかりやるとか、相談支援がきちんとできるのはやはり公立の保育所ではないかというような御意見がございます。また一方で、いささか辛口になるかもしれませんが、休日保育や病児・病後児保育などの実施率は私立の保育所の方がかなり高いというようなこともあります。それぞれの地域でそれぞれ役割分担をして、公立、私立一緒になって地域の保育需要を満たしていただいているんだろうというふうに思います。

 その意味では、保育の実施責任が市町村にかかっております。地域の実情、それからもともとの公立保育所、私立保育所の分布状況、さまざまなことを御勘案いただいて、それぞれの市町村で適切に御判断をいただくということが必要だろうと思います。

 財政の問題も含めて、一般財源化のことについては考え方を申し上げにくいところもございますのであえて申し上げませんが、いずれにしろ、市町村が、よりよい保育の提供という観点で、地域の実情を踏まえて保育の実施責任を果たす、その市町村をお助けしていくのが私どもの政策のポイントだというふうに考えておりますので、そういった観点で、引き続き国としての政策のあり方を検討していきたいというふうに考えております。

    〔上川委員長代理退席、委員長着席〕

高橋委員 今のお答えにくかった一般財源のところを避けて、公立も民間も最低基準が担保されるのだからというのでは済まない事態がやはり起こっているのではないか。地方の財政は厳しい、そういう中で一般財源にされているんだということは、やはり起こっている状況というのは直視をするべきであろう。本当に今、待機児童ゼロ作戦を新でやっていこうとするのであれば、ここに声を上げていく必要があるのだろうということを重ねて指摘をしたいと思うんです。

 さて次に、そういう中で強い関心を呼んでいるのが保育制度改革である。

 大臣に伺いたいと思うんですけれども、二月二十四日、資料の一にあるように、新たな保育の仕組みを検討してきた少子化対策特別部会の第一次報告書が出されました。

 私たちの最大の関心は、今、実は局長がおっしゃられた市町村の実施事務のところなんですけれども、児童福祉法第二十四条、市町村の保育の実施事務、これがなくなるということが最大の関心であります。今でさえ、待機の問題などをいえば、市町村が実施事務を十分果たしているとは言えない状況であります。しかし、これを取り払ってしまうと、いよいよ保護者たちのよりどころがなくなってしまうわけで、この基本は変えるべきではないと思いますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 この報告書にありますように、矢印を書いて明記してあると思いますけれども、この報告書のポイントは、今の点についていうと、市町村の公的責任を後退させない、そういう仕組みをどうするか。それから、保育を必要とする子供たちに、質が確保されていないといけない、質の確保をされた公的保育は必ず保障されること。そして、当然その前提として、子供の健やかな育ちを第一に考えること。これが一貫している発想であります。

 いずれにしましても、今委員が御懸念のような、市町村の責務が後退しないことを前提にして、さらなる保育制度の充実強化に取り組むということだ、そういうふうに御理解いただければと思います。

高橋委員 そうであればいいのですが、現実がどうなっていくのかということを少し詳しくお話ししていきたいと思うんです。

 この資料の右側に、新たな保育の仕組みということが書いてありますけれども、市町村が保育の必要性・量、優先的利用確保の要否を認定するとある。この認定とは、具体的にどういうことか、どういう基準なのか。そして、例外ない保育保障、認定を受けた子供には公的保育を受けることができる地位を付与とありますけれども、例外ない保育保障とはどういうことか。

村木政府参考人 まず、保育の認定の問題でございます。

 詳細はこれから決定をすることになりますが、例えば、親が働いている、あるいは親が病気で子供の保育ができない、あるいは求職中である、さまざまな理由がございます。この保育の必要性について、客観的な基準でまず市町村が、このお子さんは保育が必要かどうかということをきちんと、お墨つきを与えると言うとちょっと変な言い方になりますが、保育が必要な子だと決めるということでございます。

 基本的な考え方としまして、今までは市町村は、保育の実施義務はございましたが、保育所が足りなければ、足りない分については認可外の保育所を紹介するというようなことでも足りるということで、かなり大きな例外があった。その例外があったことが待機児童をたくさん生んでいるということでございます。

 そういった意味で、これからの仕組みの中では、保育が必要だと判断をされた子供については、その必要量を満たす保育を自治体が提供できるように、その提供体制の確保の責任も市町村に負っていただく、そして利用支援の責務も負っていただくということ、それからまた費用負担も市町村の責務として負っていただく、こういう考え方で制度を設計したいというのが一次報告の考え方でございます。

高橋委員 お墨つきを与えるということと利用ができるということは、やはり別なのではないかということなんですね。特別部会の報告を読みますと、確かに、制度が例外を認めているから、結局、財政的理由により基盤整備がおくれていると保育を受けられなくても仕方ない、そういう議論になってしまうじゃないか。だから、言われているのは、医療、介護、障害者の仕組みのように、いわゆるだれもが受給する権利を付与すればいいのだと言っているわけです。だけれども、もしこうなると、保険あって介護なしの保育版になりかねないのではないか、こういうことを指摘しなければならないと思うんです。

 その基準というのがまだ決まっていないということでしたので、少しイメージでお話をしてみたいと思うんですけれども、資料の二枚目に仙台市の優先入所基準がございます。他県でも、例えば神奈川なんかでも見せてもらいましたけれども、仙台は点数だけれども、A、B、Cになっているとか、それぞれ違いは若干あるけれども、大体考え方は同じ。働いている方で、週五日以上就労し、しかも七時間以上働いていると十点、週四日就労し四時間以上であると五点というように、ここで大きく差が開きます。例えば、パートは五点、求職中は三点、介護をしている人はその介護をしている相手の要介護度によって十点から六点というように差をつけられています。

 そうすると、今待機がいるんだから一定の順位をつける必要があるのだと言うかもしれないけれども、初めから順位が決められて入れないという状況が生まれているわけです。そうすると、今ふえているのは、本当に細切れの雇用、二カ月単位で契約になっていますよとか、一人親が多いですよ、うつ病が多いですよ、そう施設長さんは訴えているんです。だけれども、そういう人たちがなかなか、これは点数になっていくとうまくいかない。

 また逆に、これが介護保険の仕組みと同じようになれば、だったらその必要に応じて保育の必要量を決めましょうとなる。週二日働く人は週二日受ければいいでしょう、例えばこんな考え方になったとしたらどうなるか。上限が決められて、それ以上、私は仕事を探したいから毎日預けたい、そうなった分、上回る分は自己負担を求めるのでしょうか。あるいは、必要量が多い、毎日働いています、そうすると、その分が多いほど保育料にはね返るのでしょうか。

 そういう仕組みになっては根本は崩れてしまうと思いますが、いかがでしょうか。

村木政府参考人 先生がお示しくださいましたこの例は、割と多くの自治体で使用されている、点数をつける形の選考基準だというふうに思います。

 これから将来、日本の保育の提供システムがこうあらねばならないという、少し理想形というか最終形の考え方で申し上げると、例えば、フルタイムだから保育が必要で、パートでしか働けない人は必要度が低い、あるいは、二、三カ月の雇用しかないので求職活動を一生懸命する、その求職活動中は保育の必要度が低いということではなくて、フルタイマーでも短時間雇用でも、早朝や夜間に保育を必要とする方でも、求職中、それから、おじいさん、おばあさんがいて子供を見られるという状況であっても、保育の必要性については、基本的にこういうお子さんは保育が必要だというふうに考えて、それをニーズとして保育の供給を考えていこうというのが今度の考え方でございます。

 今このように点数が細かくついているというのは、実は、入れない人がいるので、一点、二点の差でどこかで線を引かなければいけないという状況があるがゆえの仕組みでもあるわけでございますので、そういう意味で、保育が必要なお子さんの範囲をもう少し広く、そして明確にしていく中で、それに応じた供給をつくっていこうということでございます。

 そのためには、やはりニーズに合って供給がふえる、きちんとふえていく仕組みというのをきちんとつくっていかなければならないというふうに思っております。

 それから、新システムに行く前に、さっき介護の、保険あってサービスなしという例を引かれましたが、保育が同じようなことになってはならないわけでございますので、何らかの形でこの緊急整備の期間を置いてつくって、それだけの財源を投入して整備を図って、供給量をきちんとふやして新しいシステムに移っていくという状況をつくり出したいというふうに考えているところでございます。

 それで、例えば、一日とか二日しか保育を利用されない、パートで週に一日だけ働きます、二日だけ働きますというような御家庭をどうするかということで、これは具体的にはもう少し細部の詰めをしなければいけませんが、基本的に、やはり働く時間や通勤時間を勘案して保育の必要量というのは考えていくと思いますが、それだけではなくて、お子さんが保育所という集団の中で、一日の中でどういう保育を受けるかということ、それから、小学校へ上がる前の幼児教育の場でもあるわけですから、そこでどういうふうに発達を支援していくのかというような、子供の側の生活の連続性、それをしっかりと考えた形で適切な保育が行えるような保育量ということも大事な観点だと思っておりますので、それらをあわせて、保育の必要量の判断をどの程度のものにするか、例えば二区分でいいのか、三区分ぐらい要るのかどうなのかというようなことをこれからしっかり検討をしていきたいというふうに考えているところでございます。

高橋委員 フルでも短期でも使えるようにという立場は大事なんですけれども、問題は、先ほど指摘をしたように、利用量が決められるということは、そうなってはならないという言葉をぜひ採用させていただきたいなと思っております。そうでなければ、朝早く来る子供と昼から来る子供とたまにしか来ない子供というのでは、保育計画も全くばらばらでとても組めないし、本当に子供の発達という点においても大きな障害があるだろうと思っております。

 とても時間がなくなってしまいまして全部が言えなかったんですけれども、あともう一つ、規制改革会議が非常に強調している直接契約制度の導入、これについてどのように考えているのか。まさか保護者みずから幾つもの保育所を訪ね歩けということなのか、生活保護世帯や低所得世帯が入ることができないのではないかということが不安になっておりますけれども、その点についていかがでしょうか。

村木政府参考人 直接契約という言葉はさまざまな意味があって、場合によってはマーケットで相対の関係で自由に契約を結ぶというようなことを想定してお話をされるケースもあるのでございますが、この一次報告にあります直接契約は、国や市町村が責任を持って公的な保育を提供する、その枠組みの中で利用者と保育所も当事者同士として契約をきちんと結んでいただくという考え方でございます。したがいまして、例えば、所得が多い少ない、障害があるないということで保育所が不適切な選別を行うとか、それから、母子家庭や虐待事例のようなとりわけ優先的に利用が確保されるべきケース、そういったものが排除をされるということがあってはならない、そういうことがない仕組みをつくりたいというふうに考えております。

 したがいまして、例えば、正当な理由なく子供の受け入れを拒んではならないという応諾義務ですとか、母子家庭や虐待事例等の子供の優先受け入れの義務といったようなことを課すとともに、公正な選考が保障される仕組み、それから、例えば、確かに供給量がまだ足りない状況、そういう状況をなくしたいわけですが、足りない状況でございますとか、あるいは、どうしても非常に地域性の強いサービスですので、人気のある保育所とない保育所というものの格差が出てしまうということは起こり得ることですので、そこの利用調整を市町村がきちんとバックアップできる仕組み。それから、さらに申しますと、虐待等の場合で、親御さんは保育所を利用したくないと思っていらっしゃるようなケースについて、利用を勧奨していく、親の意思決定を補佐していくというようなことも含めて、公的関与がしっかりできる仕組みを一次報告でも提案してございますし、さらに、これからの具体案の検討のところで、そういったところについて特に配慮して制度をつくっていきたいというふうに考えているところでございます。

高橋委員 保育所を保護者が選べるようになりますよと言っておきながら、実は選ばれるのは保護者であったということがないようにお願いしたいと思います。

 終わります。

田村委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 本日、私は、小児の救急医療についてお尋ねをさせていただきます。

 昨年の十一月、札幌市内で二歳の女のお子さんが、硬膜下血腫という、脳のみそと骨の間に血腫ができるという疾患で救急車で搬送されましたが、十一病院で、世で言うたらい回し、あっちへ行ったらここは小児科医がいないとか、こっちへ行ったらここは脳外科医がいないとか、救急センターに行ったらいやいや子供は受け入れられないとか、いろいろありまして、十一病院を受け入れ拒否されまして、最終的には、一たんは断られた市内の総合病院に収容されるという事案がございました。

 この十一カ所の中には何と四カ所の三次救急、いわゆる救命救急センターと言っていい場所と、十二カ所の二次救急病院がありましたが、電話だけのものもございましたが、収容されるまでに約一時間余費やしたということについて、まず、大臣はこの事案をどのようにお考えであるかということをお伺いいたします。

舛添国務大臣 なぜ受け入れるところが、今おっしゃったように二次、三次ありながら手を挙げられなかったかということで、私のところに来ている報告は、小児の頭蓋内出血、これに対して、脳外科疾患ということで対応できる医者がいないというようなことが主たる理由であったので時間がかかったということですから、そういう意味では、小児科全体のお医者さん不足ということもあると思いますし、小児科の集中治療室を含めて、それからそこにおられる医者、こういうことの確保をさらに努力せぬといかぬかな、そういう思いでこの報告を聞いたところであります。

阿部(知)委員 恐縮ですが、そんな一筋縄ではいかない、もっと深刻に受けとめていただきたいんですね。

 大臣のお手元に救急医療体系図というもの、これは、厚生労働省がこの間、救急医療の検討をしておられる中で出されたものです。大人の場合と子供の場合、系列、ルートが多少違ってございます。子供の場合は、最初に電話相談等々のものも拡大しておりますし、小児の救急の初期のセンターというものも一応はつくられ始めていて、さらに小児救急医療支援事業、これは医師会等々にお願いして、夜間輪番。そして、小児救急医療拠点病院、二次病院の整備というところにお金をかけ、さらに、救命救急センター二百十四カ所あるものに、この二次で手に負えなければ救命救急センターに送りなさいということでありました。

 一応、厚生労働省の頭の中では、このような救命救急センター二百十四カ所、あるいは小児救急医療拠点病院、まあ二十九カ所というのはちょっと少ないですが、これまでの整備事業の成果です。こういう図が上がっているのですが、大臣がいみじくもおっしゃったように、救命救急センターに行っても、脳外科医がいないから、子供の頭蓋内出血で、もう目が片っ方に寄っちゃってけいれん寸前のお子さんが受け入れられないといったら、一体何のための救命救急センターであるかということになるんだと私は思います。

 実は、大臣も覚えておいででしょうが、平成十四年のことでした。岩手県の一関市で、下痢嘔吐、赤ちゃんの吐き下しの風邪です、これで脱水状態になって、これもいろいろなお医者さんを回って、あるところに行ったら眼科だからだめ、あるところに行ったら小児科はいない、あっちの総合病院に行きなさい、あっちこっちしている間に亡くなったんですね、この患者さんは。

 平成十四年から今までだってもう七年もたって、今、日本じゅうの親御さんたちが最も求めているのは、子供が本当に急変したり重篤な病気になったら、やはり受け入れてほしいし、診てほしい。脳外科医がいないからあっちへ行けと言われて、あっちこっちして、結局時間がかかって落命する場合もあるという深刻な事態がいわば改善されずに続いているんじゃないかということなんですね。

 大臣には恐縮ですが、資料にして三枚目をちょっとごらんください。ここには、我が国の世で言う新生児死亡率というのは、これは世界で第一位になるほど低下させることができました。続いて、一歳までが乳児死亡率で、今度は幼児、一から四歳の死亡率はどうであるかということを諸外国と比べたグラフ状にしてございます。

 大臣もこれを見ていただければわかりますけれども、我が国の一から四歳の子供たちの死亡率というのは、OECDの上からとった二十カ国中、データ等々がちょっと不確かな韓国とかインドとか中国とか、あるいはロシア、ブラジル、メキシコを除いて十四カ国の平均をとったとしても、突出して高いのが我が国の一から四歳の死亡率なのであります。

 ほかの部分はみんな他の諸国の平均より下がっておりますが、果たして大臣は、この原因をどのようにお考え、あるいは役所の方からどのように聞いておられますでしょうか。お願いいたします。

舛添国務大臣 委員の資料で一歳から四歳の死亡率、今おっしゃったように、世界で二十一位だということで、年間一千人ぐらいお亡くなりになっているんだと思います。

 それで、平成二十年度の厚生労働科学研究の中に幼児死亡の分析と提言に関する研究というのがございまして、これを見てみますと、小児医療体制のほか、生活様式、居住環境などさまざまな要因が考えられるとして、しかし、中核病院となるべき大学病院、小児病院に小児重症患者の受け皿である小児集中治療室が十分整備されていないということが指摘されております。

阿部(知)委員 まさしく今大臣がおっしゃったとおりで、人災だと私は思います。一千名に及ぶ一から四歳の子があたら命を、救われる命をなくしているということは、私は本当に日本の政策的誤りだと思います。

 二ページ目の資料にお戻りいただきたいと思います。今、二百十四カ所ございます救命救急センターのうちに果たして子供の救急を受け入れる専用ベッドがどれくらいあるかという整備状況、上段をごらんいただきたいと思います、何とわずか十九床しかないのです。日本全国に二百十四の救命救急センターがあっても、子供を専用に受け入れていただけるのは十九床であります。当然、札幌で起こったようなことが日本各地で起こっているし、この調子だとこれからも起こります。

 そして、下段、これはいわゆる小児病院です。大臣の近くにも成育医療センターがあると思いますが、あそこにはPICU、子供のためのICUがございますが、この子供のための専門病院を例にとったとしても、PICUの病床のうち、施設全体は、今、日本で小児病院は多分二十九カ所くらいあると思いますが、その中で、手術のために、例えば心臓の手術や外科の手術のための術後回復のICUと別に、いわゆる外から運ばれる救急の患者さんに備えたPICUというのは、この右の端を足していただければ、重症、救急患者用病床のみありを六十五床、その下が、術後患者用病床と合わせて二十床、これを最大限見積もっても八十五床しかないんですね。一方の救命救急センターには十九床しかないんです。

 今、千名余りの子供たちが、不慮の事故やさまざまな、脳炎や肺炎で亡くなっておられます。その子たちの十分の一の手当てもつかないような我が国の実態があると思うんです。

 こういうことが明らかになったのも、大臣がおっしゃったような研究、これは、二〇〇五年と二〇〇六年に亡くなった子供たちのデータを、どこで亡くなられているか、どういう御病気で亡くなられているかを分析した結果と、そしてこういう施設整備状況の結果を突き合わせると、確かに、重い病気で、脳外科がいなきゃ治らない、助けられないというところに行かなきゃいけないのに行けない、しかし、身近なマンパワーもいろいろな設備も整わないところで亡くなっていく子が日本では大変に多いのだという実態であろうかと思います。

 私は大臣に、もともと大変こういう問題は熱心にやっていただけるものと思いますからお尋ねいたしますが、そもそも、各国、子は宝でありますから、子供たちのために一番勢力を割いて政策をやっておると思うのですが、こういうPICU、子供のための救急の準備状況は、アメリカでは二万人に一人、一番多いんです。いろいろな理由がありますが、ヨーロッパでは大体四万人に一人。では、我が国は今百床ですけれども、我が国の子供たちの数に比すと一体何床必要だというふうに算定されますでしょうか。大臣じゃなければ、担当部局でも結構です。

外口政府参考人 本年三月から、高度な救命処置を要する重篤な小児救急患者のための救急医療体制のあり方について、現在、専門家や患者さんの代表から成る検討会において、あり方、それから必要な施設の数等について検討しているところであります。こういった議論も踏まえて、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

 一般に、一年分のお子さんの数になると約百万人になりますので、一歳から四歳だけでも四百万人ということから計算すると、今の数よりかなり多い数が必要になると思っております。

阿部(知)委員 今、外口さんがおっしゃった研究の中でも、四百二十床という算定が出ているかと思います。よく読んでいただきたい。一千八百万人の子供の数とすると、ラフに計算すると五百床です。今おっしゃった研究班では四百二十床と出ていると思います。

 ところで、また外口局長にお伺いいたしますが、二〇〇七年に発出された医政局長通達、このときも外口さんかな、これで、三次救急にPICUをつくって、そこを二十四時間受け入れる体制にすることが急務というふうに医政局長通知がなされています。この通知は果たしてどこまで実行されましたでしょうか。二〇〇七年の医政局長通知、フォローアップされましたでしょうか。

外口政府参考人 救命救急センターに重篤な小児患者を受け入れる体制への支援でございますけれども、これは、十八年度から、専門病床を整備する場合の施設整備や運営に対する財政支援を行っているところであります。

 ただ、現在のところ、救命救急センターでPICUを持っているところは六施設でございまして、予算上も、実際にこの制度をお使いになっているところは現在一施設でございます。

阿部(知)委員 通達を出して予算をつけても、六施設のうち一施設が使っただけで、それも新規じゃないと思うんですよね、これは合わせたネットの支援措置ですから、救命救急センターを維持するため、プラスそこに子供さんのものをつくってくださいなというような。

 大臣、今度もまた補正予算が組まれ、その中で、子供の救急というのは大臣も一生懸命やりたいとおっしゃってくださっています。しかし、予算の執行状況を見ても、本当に使われていないんですよ。使えないというべきかもしれない。実は、全部そうなんです。

 大臣、四枚目に行かせていただきましょうか。

 平成二十一年度小児救急医療体制整備予算というものがございます。これは、予算案の審議は終わったのですが、私は引っ張り出してみました。そうすると、小児救急医療体制の整備ということで、初期から三次まで整備しなきゃいけないと。今ここで私が取り上げたのは、囲ってある四番目の小児救急専門病床確保事業ということで、ことしは一億四千九百万出るんですけれども、これは十八年度からの措置ですが、大体、出ても使っていない、使えない。その上の二つ、小児救急医療支援事業、これは先ほど言いました夜間の当直、開業医の先生が医師会にお願いして、泊まってくださるシステム、そして三番目の小児救急医療拠点病院運営事業、この二つも、おのおのいかほど予算執行されたでしょうか。わかる範囲でお願いします。

外口政府参考人 直近の数字で申し上げますと、小児救急医療支援事業が、平成二十年度は、予算額が十二億二千三百万円のところ、交付決定額が七億一千二百万円、執行率では五八・二%になります。それから、小児救急医療拠点病院運営事業が、予算額が八億二千百万円のところ、交付決定額が六億三千百万円、執行率は七六・九%でございます。

阿部(知)委員 今、外口さんがお答えになったように、例えば平成十九年度よりは二十年度の方が少しは執行率が上がっています。それまでは四割とか五割でありました。

 しかし、大臣、先ほど私がお願いした救命救急センターの運営事業等々は、小出しに、ほんのささやかに一億とか出してもだめなんです。本気で、例えば目標を持って、日本の中でPICUを何カ所にしよう。それには、こうした新事業の交付金、補助金の使いづらさ、さまざまにありますが、いろいろな条件があって、本当に思い切って使えない、思い切って人を確保できない。でも、この段ですよ。日本で少子化と言われ、本当に大事な子供たちが救える疾患で亡くなっているということを考えれば、私はこの支援事業のあり方を考え直していただきたいんですね。

 大臣に伺いますが、大臣は、いわゆる小児のPICUのあるような施設、どこか見学されたことがございますでしょうか。桝屋さんのさっきのあれじゃないですが、見学はどうでしょうか。

舛添国務大臣 NICU、MFICUについては、現場を見、その担当の看護師、医師とお話をいたしましたけれども、PICUについては、その現場を見て今のようなことをやった記憶はございません。

 ただ、自分のプライベートな生活では、いつも成育センターを使っております。

阿部(知)委員 大臣がいつもそのお話をしてくださいますので、逆に、成育病院のような病院が各地にあれば、随分周りの親御さんたちも安心できるし、私は、そういうところにぜひお金を使っていただきたい。

 先進諸国の中で、アメリカに次いで乳幼児死亡率が高いなんて、はっきり言って恥ですよ。アメリカはなぜ高いか、大臣はよくおわかりだと思います。貧富の差も激しい、あと国土が広い等々、黒人の問題、有色人種の問題、さまざまにあって、貧困問題もあり、あるいは銃による、犯罪による死亡も高いんですね。日本は、一応、曲がりなりにもそういう国ではない。最近、虐待がふえましたが。にもかかわらず、逆に、子供たちが十分な治療を受けられる病院に行き着かないんですよ。

 例えば、事故等々の場合でも、そうしたPICUのある病院に行って亡くなる子供さんの率というのは、恐らく逆算すると三割くらいだと思います。設備の整わないところに運ばれると、六時間以内で亡くなっておられる。すなわち、最初が大事なんですね。最初の救命で子供の予後は決まってまいります。日本にこれだけの死があるということは、実は私は議員の皆さんにもほとんど知られていないのではないかと逆に懸念するわけであります。

 大臣に引き続いてお伺いいたしますが、今大臣がいみじくもおっしゃってくださったように、NICUについては、先般の予算委員会のときでしたか、坂口元厚生労働大臣が、大学でのNICUを充実させるべきだという、私にとってはとてもありがたい、応援になる質疑をしてくださいましたけれども、果たして大臣、文科省の管轄なので済みませんが、大学病院にPICUがあるかないか調査がされているか、厚生労働省は知っているか、これをお伺いしたいんです。

 なぜなら、PICUには、小児病院形式のところと、それから救急救命センターの中に置くPICUと、もう一つ、大学の中にも置くことができます。私は、とりあえずの窓口は救急救命センターに、せめて、十九床じゃなくて、子供たちを受け入れられる初期の救急の対応ができるところをふやしていただきたい。でも、そこからもっと重篤で送られる先は小児病院や大学のPICUであってほしいと思います。

 さて、文科省とこの件についてお話をされたことがあるか、あるいは御存じであるか、お伺いいたします。

舛添国務大臣 残念ながら、PICUについて文科省と話したことはありません。N、MFについては、これは当然ありますし、その対策もとってきました。

 私の地元の九州大学病院の中にはPICUがあるというふうに聞いていますけれども、それ以外は大学の中にはないというふうに、私の情報が間違っていなければそういうことだと思います。どうしても墨東病院の件とか周産期医療センターの話がずっと、これは世論も非常に敏感になりまして、そういうこともあって、NICU、MFICUについては相当努力をしてきましたけれども、やはり、委員が御指摘のPICUについて、若干、これはさらなる努力をしないといけないというふうに思っておりますので、予算措置を含め、早急にこれは対策をとりたいと思います。

阿部(知)委員 私がこの問題を質疑させていただきますのは、大臣もおっしゃったように、妊娠中のお母さんの母体搬送で、そうした母子救急とあるいは一般の脳外科等々の救急のコラボ、一緒に、一本化窓口が大事だということは少しずつ進められていると思います。

 一方で、今大臣も御承知のように、臓器移植論議が大変に、この国会でも議決をしようかというふうな状況があると言われていますが、では、脳死になる子供たちも、それから重度の心疾患で助けを求める子供たちも、みんなこのPICUに入るんですね。今、拡張性心筋症で大変苦しんでいるお子さんも、もっと早くに小児医療の充実があれば、例えば長野県のこども病院では、子供たちの小さいうちからペースメーカーを入れて、心筋に負荷をかけないで、拡張性心筋症に進行させることを延ばすなり食いとめるなりできるんですね。小児医療の不備が、逆に、非常に私は不幸な極限を生むと思うんです。一方で、本当に助かりたいと願うお子さんをお持ちのお母さんと、しかし、例えばこの札幌の事案でも、十一病院にぐるぐる回って受け入れられもせず、脳死の判定のときだけたくさんの医者が来たって、なぜ最初から助けてくれないかと思って当然だと思うんです。

 ちなみに、大臣に、最後ですから、データですが、PICUのある十三都道府県と、ない三十四都道府県で、例えばゼロから四歳児が十万人当たり何人亡くなるかというと、ある方の十三都道府県が八・四、ない場合が十一・七と、格段にやはり差があるんです。これは、最初の、初期の六時間で事が決まっちゃうという、子供の本当に急激に悪化する状態と連動したものであります。大臣にはぜひ現状を知っていただきたい。また、福岡の大学のPICUも見ていただきたい。どれだけ小児科医が必死の努力をしてこれを守り、そして広げたいと願っているか。

 実は、日本におけるPICUは政策のエアポケットと言われています。大臣おっしゃったように、NICUは私の時代からどんどん充実するようになりました。しかし、一方で小児科医は減っていく。そして、どんどん小児科はつぶれちゃう。さて、本当の小児の救急をどうするかは、実は私は日本にとっては大変な課題だと思います。どうか大臣の本当にリーダーシップを発揮してのお取り組みをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

     ――――◇―――――

田村委員長 内閣提出、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。舛添厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

舛添国務大臣 ただいま議題となりました育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 急速な少子化の進行等を踏まえ、仕事と育児や介護を両立できるようにするための支援を推進することが一層重要となっております。

 このため、育児休業の見直し等により、労働者が子の養育または家族の介護をしつつ男女ともに子育て等をしながら働き続けることができる環境の整備を図ることとし、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部改正であります。

 三歳までの子を養育する労働者について、所定労働時間の短縮措置を講ずることを事業主の義務とするとともに、労働者が請求したときは、所定労働時間を超えて労働させてはならないこととしております。

 また、父母がともに育児休業を取得する場合、その子が一歳二カ月に達するまでの間に一年間育児休業を取得できるようにするとともに、出産後八週間以内に育児休業を取得した場合の再度取得の特例を設けることとしております。

 さらに、家族の介護を行う労働者の雇用の継続を図るため、要介護状態にある対象家族の介護を行うための短期の休暇制度を創設することとしております。

 これらのほか、都道府県労働局長による紛争解決の援助や調停の仕組みを創設するとともに、厚生労働大臣の勧告に従わない場合の公表制度や虚偽の報告をした者等に対する過料を創設することとしております。

 第二に、雇用保険法の一部改正であります。

 父母がともに育児休業を取得する場合における特例に合わせ、育児休業給付の給付対象期間の延長を行うこととしております。

 最後に、この法律の施行期日は、一部を除き公布の日から一年以内で政令で定める日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

田村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.