衆議院

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第13号 平成21年4月30日(木曜日)

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平成二十一年四月三十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田村 憲久君

   理事 上川 陽子君 理事 鴨下 一郎君

   理事 後藤 茂之君 理事 西川 京子君

   理事 三ッ林隆志君 理事 藤村  修君

   理事 山井 和則君 理事 桝屋 敬悟君

      赤池 誠章君    新井 悦二君

      井澤 京子君    井上 信治君

      小里 泰弘君    小野 次郎君

      近江屋信広君    金子善次郎君

      木原 誠二君    木村  勉君

      佐藤  錬君    清水鴻一郎君

      下村 博文君    杉村 太蔵君

      谷畑  孝君   戸井田とおる君

      長崎幸太郎君    丹羽 秀樹君

      西本 勝子君    林   潤君

      福岡 資麿君    内山  晃君

      岡本 充功君    菊田真紀子君

      郡  和子君    末松 義規君

      園田 康博君    長妻  昭君

      細川 律夫君    柚木 道義君

      坂口  力君    福島  豊君

      古屋 範子君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働副大臣      大村 秀章君

   厚生労働副大臣      渡辺 孝男君

   農林水産副大臣      石田 祝稔君

   厚生労働大臣政務官    金子善次郎君

   厚生労働大臣政務官   戸井田とおる君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  福島 克臣君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 高宅  茂君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    深田 博史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           尾崎 春樹君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  上田 博三君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       石塚 正敏君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           梅田  勝君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  前田 隆平君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 井手 憲文君

   参考人

   (食品安全委員会委員長) 見上  彪君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三十日

 辞任         補欠選任

  大野 松茂君     下村 博文君

  川条 志嘉君     近江屋信広君

  木村 義雄君     木村  勉君

  高鳥 修一君     佐藤  錬君

  とかしきなおみ君   小野 次郎君

  冨岡  勉君     小里 泰弘君

  萩原 誠司君     丹羽 秀樹君

  三井 辨雄君     末松 義規君

  福島  豊君     坂口  力君

同日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     冨岡  勉君

  小野 次郎君     とかしきなおみ君

  近江屋信広君     川条 志嘉君

  木村  勉君     木村 義雄君

  佐藤  錬君     高鳥 修一君

  下村 博文君     大野 松茂君

  丹羽 秀樹君     萩原 誠司君

  末松 義規君     三井 辨雄君

  坂口  力君     福島  豊君

    ―――――――――――――

四月二十四日

 狂犬病予防法の改正を求めることに関する請願(馬渡龍治君紹介)(第一九九四号)

 同(牧原秀樹君紹介)(第一九九五号)

 同(木挽司君紹介)(第二〇三五号)

 同(やまぎわ大志郎君紹介)(第二〇六三号)

 パーキンソン病患者・家族の生活の質の向上を求めることに関する請願(太田誠一君紹介)(第一九九六号)

 同(赤城徳彦君紹介)(第二〇四九号)

 同(越智隆雄君紹介)(第二〇八一号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二〇八二号)

 同(石崎岳君紹介)(第二一一一号)

 同(小此木八郎君紹介)(第二一一二号)

 同(大塚高司君紹介)(第二一一三号)

 同(鈴木俊一君紹介)(第二一一四号)

 同(田野瀬良太郎君紹介)(第二一一五号)

 同(萩原誠司君紹介)(第二一一六号)

 同(赤池誠章君紹介)(第二一三七号)

 同(木原誠二君紹介)(第二一三八号)

 同(寺田学君紹介)(第二一三九号)

 同(長勢甚遠君紹介)(第二一四〇号)

 肝炎対策基本法の制定に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一九九七号)

 同(三井辨雄君紹介)(第一九九八号)

 同(加藤紘一君紹介)(第二〇一六号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二〇八三号)

 社会保険二本松病院を公的病院として存続させ、地域医療の確保を求めることに関する請願(根本匠君紹介)(第一九九九号)

 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(根本匠君紹介)(第二〇〇〇号)

 同(北村誠吾君紹介)(第二〇一七号)

 同(長島昭久君紹介)(第二〇六〇号)

 同(市村浩一郎君紹介)(第二〇八五号)

 同(瓦力君紹介)(第二〇八六号)

 同(原田義昭君紹介)(第二〇八七号)

 同(川条志嘉君紹介)(第二〇九六号)

 同(船田元君紹介)(第二〇九七号)

 同(田野瀬良太郎君紹介)(第二一一七号)

 同(北村茂男君紹介)(第二一四二号)

 同(保坂展人君紹介)(第二一四三号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(根本匠君紹介)(第二〇〇一号)

 同(御法川信英君紹介)(第二〇〇二号)

 同(渡部篤君紹介)(第二〇〇三号)

 同(内山晃君紹介)(第二〇一八号)

 同(漆原良夫君紹介)(第二〇一九号)

 同(小沢鋭仁君紹介)(第二〇二〇号)

 同(川条志嘉君紹介)(第二〇二一号)

 同(北村誠吾君紹介)(第二〇二二号)

 同(津島雄二君紹介)(第二〇二三号)

 同(中川秀直君紹介)(第二〇二四号)

 同(中谷元君紹介)(第二〇二五号)

 同(後藤茂之君紹介)(第二〇六一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二〇六二号)

 同(市村浩一郎君紹介)(第二〇八八号)

 同(原田義昭君紹介)(第二〇八九号)

 安心で行き届いた医療・介護に関する請願(笠井亮君紹介)(第二〇〇七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇〇八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二〇〇九号)

 医師・看護師などを大幅に増員するための法改正に関する請願(石井郁子君紹介)(第二〇一〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇一一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇一二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二〇一三号)

 小規模作業所等成人期障害者施策を求めることに関する請願(馬渡龍治君紹介)(第二〇一四号)

 医師・看護師不足など医療の危機打開に関する請願(志位和夫君紹介)(第二〇一五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二一三三号)

 安心で行き届いた医療に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇二六号)

 同(石井郁子君紹介)(第二〇二七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二〇二八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇二九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二〇三〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二〇三一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇三二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇三三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二〇三四号)

 後期高齢者医療制度廃止法案の衆議院での速やかな審議と可決を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二〇四八号)

 同(笠井亮君紹介)(第二一二九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一三〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二一三一号)

 同(保坂展人君紹介)(第二一三二号)

 現行保育制度の堅持・拡充と保育・学童保育・子育て支援予算の大幅増額に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二〇五〇号)

 人間らしい働き方と暮らしの実現を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇五一号)

 同(石井郁子君紹介)(第二〇五二号)

 同(笠井亮君紹介)(第二〇五三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇五四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二〇五五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二〇五六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇五七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇五八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二〇五九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二〇八四号)

 障害児・者の福祉・医療サービスの利用に対する応益負担・負担増の中止を求めることに関する請願(柚木道義君紹介)(第二〇九五号)

 同(郡和子君紹介)(第二一一八号)

 同(細川律夫君紹介)(第二一一九号)

 同(細川律夫君紹介)(第二一四四号)

 トンネル建設労働者のじん肺被害の予防と被災者の速やかな救済を求めることに関する請願(萩原誠司君紹介)(第二一二八号)

 社会保障の拡充等に関する請願(吉井英勝君紹介)(第二一三四号)

 国の医療に回すお金をふやし、医療の危機打開と患者負担の軽減に関する請願(石井郁子君紹介)(第二一三五号)

 社会保障の二千二百億円削減計画を撤回し、安全・安心の医療を保障するよう求めることに関する請願(保坂展人君紹介)(第二一三六号)

 七十五歳以上を差別する後期高齢者医療制度の廃止を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二一四一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件(新型インフルエンザ対策)


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     ――――◇―――――

田村委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件、特に新型インフルエンザ対策について調査を進めます。

 この際、政府から説明を聴取いたします。舛添厚生労働大臣。

舛添国務大臣 日本時間の四月二十七日二十三時、WHOにおきまして専門家による緊急委員会が開催され、その結果を踏まえて公表されたWHO事務局長のステートメントの中で、継続的に人から人への感染が見られる状態になったとして、フェーズ4宣言がなされ、さらに本日、フェーズ5宣言がなされたところであります。

 こうした事態を受けまして、厚生労働省としては、メキシコ、アメリカ、カナダにおいて、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、いわゆる感染症法に規定する新型インフルエンザ等感染症が発生したことを二十八日朝に宣言したところでございます。また、本日も、フェーズ5宣言に伴いまして、政府の対応につき、けさ七時から緊急記者会見を行い、国民に説明をしたところであります。

 今後は、この感染症法や検疫法に基づきまして、新型インフルエンザの蔓延防止のために必要な措置を講じていくとともに、新型インフルエンザ対策行動計画等にのっとって、関係省庁と密接に連携しながら、国民の生命と健康を守るため、万全の対策を講じていくこととしております。

 まずは、ウイルスの国内への侵入を阻止するため、水際対策の徹底を図っていくことに万全を尽くします。厚生労働省においては、メキシコ便を中心として検疫体制の強化を図ってまいりましたが、今後は、検疫法等による強制措置の実施や検疫所と各地保健所の連携による徹底した健康監視を実施してまいります。

 また、国民等に対する相談体制につきましては、各地方公共団体でも保健所等において相談窓口が設置されております。さらに、国民の皆様の不安解消に努めるため、厚生労働省内にコールセンターを設置し、メキシコからの帰国者等からの相談に対応しており、引き続き適時適切な情報提供を行い、冷静な対応を呼びかけてまいります。

 さらに、今後新型インフルエンザが国内に流入することも念頭に、発熱相談センターと発熱外来の設置の準備等に取り組むとともに、抗インフルエンザウイルス薬の速やかな供給体制の整備、ワクチン株の早急な入手及びパンデミックワクチンの製造に取り組むことにより、万全の措置を講じてまいります。

 以上、御報告申し上げますとともに、厚生労働省としては今後とも新型インフルエンザに適切に対応してまいる所存でありますので、委員の皆様方におかれましても御理解を賜りますように、そして御支援を賜りますようにお願い申し上げます。

 以上でございます。

田村委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田村委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長見上彪君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官福島克臣君、法務省大臣官房審議官高宅茂君、外務省領事局長深田博史君、文部科学省大臣官房審議官尾崎春樹君、厚生労働省健康局長上田博三君、医薬食品局長高井康行君、医薬食品局食品安全部長石塚正敏君、農林水産省大臣官房審議官梅田勝君、国土交通省航空局長前田隆平君、政策統括官井手憲文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井澤京子君。

井澤委員 おはようございます。自民党の井澤京子でございます。

 ただいま大臣より、新型インフルエンザ対策について説明がございました。それに基づきまして、いろいろと質問をさせていただきたいと思っております。

 毎回委員会で質問させていただくんですが、これほど情報が瞬時瞬時に変わっていき、それに合わせて質問内容も変えて、あるいは事実に基づいたことを調べながらというふうなことが本当に大事だなと、今回の質問を通して感じております。

 日本時間のけさ、WHOのチャン事務局長は二十九日の夜、緊急記者会見をされ、新型インフルエンザの拡大を受け、警戒水準をフェーズ4からフェーズ5に引き上げることを決定したと発表されました。WHOが、世界的大流行、パンデミックの一歩手前を意味する5を宣言するのは歴史上初めてであるとあります。日本など各国はさらなる対応策が迫られ、各国の経済や社会に大きな影響が出るということが報道をされておりました。

 WHOは、三日前、二十七日夜にフェーズ3から4に引き上げたばかりですが、今回はまたわずか三日間の間で4から5に引き上げられる。このウイルスの活動は予測がつかないというコメントを発表され、感染のさらなる拡大を警告されています。

 この影響は、経済社会に影響を及ぼすばかりではなく、ちょうど今ゴールデンウイークが昨日から始まりました、海外の渡航やあるいはビジネスの出張、あるいはまた、新聞記事とかいろいろ読みますと、スポーツ界の大会や合宿の準備をしていた、そういうところも再検討に入った、修学旅行も中止に向けての再検討などなど、いろいろなところに影響を及ぼしているようでございます。

 では、大臣に早速お伺いをしたいと思っております。

 現在の状況、政府の取り組みというのが一番国民がメッセージとして知りたいことではないかと思っております。この今の状況につきまして、大臣として、政府では現在この新型インフルエンザに対してどのような現状認識をお持ちになり、把握されているのか、正確な情報を得ているのかということをお伺いしたいと思っております。

 二十八日の午前五時にWHOの発表を受け、その後、五十分後すぐ、五時五十分に舛添大臣が、感染予防法に基づき、メキシコ、アメリカ、カナダでの新型インフルエンザが発生したことを発表され、その素早い、スピーディーな対応が行われていると聞いております。そこの今の対応も含めまして、現状をお聞かせください。

舛添国務大臣 まず、危機管理の原則は正確な情報の入手ということでありますので、これはWHO、CDC含めて、それから外務省の在外公館網を通じて、迅速かつ正確な情報の入手をしております。しかし、情報というのは、複数入ってきてどれが正しいかということがわかりません。WHOの会議の日程についてもわからない。会議が何時間続くかもわかりません。したがいまして、あらゆる状況を想定して既にシナリオをかいてあります。そして、それに応じて、私が例えば何時に会見するのかということを的確に準備をした上で、それで、けさも二十八日と全く同じような感じの対応ができましたので、そこは万全の体制を整えたいというふうに思っています。

 フェーズ4からフェーズ5に上がったということは、やはりヒト・ヒト感染の疑いがあるということとともに、メキシコ以外で、これはメキシコ人の赤ちゃんにしろ、アメリカ国内で死者が出たということが一つある。それから、各国の対応がまちまちであったならば、感染が国境を越えて拡大することを防げませんから、むしろ各国の対応をしっかり統一してやってくださいよということで、きょうのWHOのメッセージがあったんだと思います。

 一方、フェーズ4に上げたときに、国境線の閉鎖をするなというようなことの指示があり、自由な渡航を制限するつもりはないということをWHOの声明が言っておりますのは、今のところ弱毒性の可能性が強いということでそういうことを言って、人類の経済活動、自由な渡航、そういうものはこれはこれで重要ですから、生存ということとそういう利便性ということのバランスのもとで、今WHO含めてやっていると思います。

 我々もそういう立場で行いたいと思いますが、何としても国民の生命と健康を守る、必要に応じて検疫体制の強化を図るというようなことで、省庁の縄張りを超えて、政府全体として対応したいということで、対策本部が総理のもとに直ちに立ち上げられました。これは二十八日のことです。そして、本日七時から私が記者会見をし、八時二十分から官邸におきまして対策本部の幹事会を開き、官房長官と私が直接指揮をするということで、今各省庁がそれぞれ持ち場に戻って、その対策をとっているわけであります。そして最終的には、残念ながら国内にウイルスが侵入したときどうするか、これについての危機管理体制を十分に整えて準備を進めているところであります。

井澤委員 今大臣より、いろいろとその体制についてお伺いいたしました。現状認識をされながら、関係機関と体制を整えていっていただきたいと思っております。

 政府として、この新型インフルエンザ対策をどのようにさらにまた進めていかれるのかということ、今後のことについて、また重ねてお伺いをしたいと思っております。

 実は、昨日も地元の方に戻っておりますと、今までは、選挙がいつなのか、いつなのかということを聞かれることが非常に多かったんですけれども、昨日は、豚インフルエンザって何なのか、豚インフルエンザは大丈夫なのか、そういう会話に変わって、この三日間ほどで、先週末から比べると、これだけ皆さんの関心が高いんだなということを改めて実感しております。

 実は私の選挙区は京都府の南部の方なんですけれども、平成十六年の二月に、京都府の丹波町、現在は京丹波町というんですが、ここで高病原性鳥インフルエンザ、H5N1型の感染が確認されまして、一週間ほどの間に、毎日千羽以上、約一万羽の鶏が死亡したという事例が発生いたしました。

 その当時、山田知事が本部長となり、高病原性鳥インフルエンザ京都府対策本部を設置して、発生農場から三十キロ以内の養鶏農家等に対する移動制限をして、約二カ月を経て移動制限を解除したというようなことを京都は経験しておりますので、それだけに、府民の皆さんあるいは市民の皆さんの反応は敏感であるなと感じているところでございます。

 京都府は、この経験を踏まえまして、早速二十八日に、新型インフルエンザ対策本部を設置し、府内の各保健所に二十四時間体制で電話を受ける発熱相談センターを設置し、また、私の京都南部の方の山城広域振興局では、出先機関の担当者、例えば保健所、教育機関、児童相談所、警察あるいは土木事務所なども含めた関係者五十人を集めて、新型インフルエンザ山城地域対策本部会議を開いたりしております。

 そこで、こういう特に厚労省や地方自治体、また保健所、相談窓口が一体となってどういう体制を強化していくのかということが必要かと思っております。そこで、舛添大臣に続けてお伺いいたします。

 政府として、対策本部を中心に、今後、各関係省庁とどのような連携を強化されるのか、また、地方自治体がやはり私たち住民の窓口になります、どのような形で連携をし、さらに体制を強化されるのか、お伺いをいたします。

舛添国務大臣 これは、委員がおっしゃったように、現場、第一線が一番大事なので、都道府県、自治体と緊密に連携をとりながら、まず発熱相談センター、これは四十七都道府県全部に既に設置済みでありますし、発熱外来もほとんどの都道府県で設置しております。ですから、まず、熱が少しでも疑われる、どうもインフルエンザかなというときには電話をかけていただいて、そこから指示を出します。どうも疑いが濃いというときに、どこの病院に行ってくださいというようなことをやりますので、それは自治体と連携をとってきちんとやっていきたいというふうに思っています。

 それから、タミフルの供給体制についても、都道府県で、例えば京都なら京都府で、これぐらい使ったよ、在庫の減り状況に応じて補充できるようなことをモニターしながらやっていきたいというふうに思っています。

 それから、今、アメリカのCDCにお願いして、早急にワクチンの株を入手し、できるだけ早くワクチン製造、これは季節性用のワクチンとのバランスの問題も考えながらやっていきたいというふうに思います。

 それやこれや、さまざまな施策について国と地方とが連携をとって国民の生命と健康を守る、そういう立場で全力を挙げていきたいと思っております。

井澤委員 今、地方自治体との連携をさらに深めていくという御答弁をいただきました。

 たしか四月二十八日の第一回目の政府の対策本部では、基本的対処方針という具体案がいろいろと論議されたと聞いております。国民は、そういう具体案というのが、どういう形で論議をされて、どういうものなのか、自分がどういう判断でどういう行動をとればいいのかという、国民にとっては不安材料もふえていくことかと思っております。

 今お話がありましたように、国内感染回避へ向けた基本的な対処方針があると伺ったりしておりますが、まずウイルスの国内への侵入をできるだけ阻止すること、そして国内で新型インフルエンザの患者がもし発生した場合に備えた体制の整備、このあたりが一番不安を感じているところだと思いますので、大臣の方から御答弁をお願いいたします。

舛添国務大臣 今、メキシコ便、アメリカ本土便、カナダ便については、航空機の中に入っての検疫を行っております。今後の事態の推移によっては、この検疫対象航空機を出発国によって拡大する可能性についても考えないといけないというように思っています。まずは水際対策、これをしっかりやりたいというふうに思っております。

 それから、海外渡航をなさる方、これは注意を喚起するということであります。

 それから、正しい情報というのはやはり必要ですから、いたずらにパニックに陥らないように、新しい情報が入れば、必ず、私を中心として厚生労働省から国民の皆さんにきちんと情報提供をするということをやりたいというふうに思っております。

 それと、今、町を見るとドラッグストアでマスクが売り切れになっているというような話も聞きました。そういうことを含めて、電気、ガスとか水道、生活必需品、食料品、こういうものの供給体制が抜かりないように、これについてはきちんと指示を出しているところであります。

 いずれにしましても、これはオール・ジャパンで、国も地方自治体も、そして国民の皆さんの協力もいただいてというふうに思っています。

 それで、仮に、今から検疫を行う中で機内で感染者が発見されるというようなときには、その方を含めて、周辺の座席に座った方も含めて、十日間ぐらいの滞留をお願いする。こういうことは検疫法、感染症法という法律に基づいてきちんとやりますが、その法律に基づいてやると、どうしても御不便をおかけすることもあります。しかし、皆さん方の命を守るということがまず第一であって、そして感染を防ぐということでありますので、ぜひ御協力を願いたい。

 それと、例えば第三国経由でメキシコから帰ってこられる、メキシコにおられたんだけれども、その後どこかの国に行かれて、それで帰ってくると、入管のときに、どの飛行機に乗りましたか、例えばインド発の飛行機ですよということになればわかりません。検疫の方で、例えば過去一週間滞在した国を挙げてくださいという欄に正確に書いてもらわないとトレースできないので、ぜひ国民の皆さん方に御協力をいただいて、そして、まず水際作戦に全力を挙げる。

 しかし、目に見えない、本当にくしゃみしただけで二百万という数のウイルスが空中に飛散しますから、もし入ってきたときにこれを最小限にとどめる、そのことが大変必要なので、そのためには、一刻も早く感染者を発見し、そして早期に治療をすれば、タミフルは効きますから治りますので、そういう意味でも、国民の皆さん方の御協力を仰いで、全日本が協力してやれば必ずこの危機に打ちかつことができるというふうに私は思っております。

井澤委員 オール・ジャパンで取り組んでいただきたいと本当に改めて思っております。

 ただ、ちょうどきのうからゴールデンウイークも始まりました。幾ら水際対策として万全を期したとしても、万が一といういろいろな不安材料が今多くあるかと思っております。昨日だけでも、成田空港から旅立った海外旅行者は、一日で四万五千人ということを聞いております。観光庁の方にも問い合わせたところ、このゴールデンウイークの期間中、日本から海外への渡航を予定している方が約五十万人、日本国内で移動していく方も大変多く、約二千百四十万人ということです。日本のみならず、二十四時間地球上を航空機が飛び交うというのが今の世界です。

 また、法務省にも確認したところ、昨年の月別の結果で見れば、日本人の海外からの帰国者、外国人の日本への入国者合わせて、昨年の今ごろ、四月では二百万人、五月では二百五万人もの人々が海外から日本へ帰国、入国をされて、この時期、特に人の動きが非常に大きいということが昨年の結果としてもあらわれております。

 この方々の移動手段というのは飛行機だけではなく船舶もあるわけで、このような状況を見れば、水際対策をどうしていけばいいのか。何か羽田空港では、検疫官の人員が足りずに十分な検疫体制が行われずに、質問の記入や提出を乗客に求めないようなケースもあった、注意喚起の文書を受けとめるだけということで、提出までは迫っていないというようなことも聞いております。

 今後、水際対策を万全に徹底するには、検疫体制の整備強化がまず必要不可欠かと思います。検疫体制の現状、そして今後の人員整備、その強化について対策をお伺いさせてください。

石塚政府参考人 検疫体制についてお答え申し上げます。

 先ほど大臣の方からも御答弁申し上げましたように、一昨日のWHOによるフェーズ4宣言がありました段階で、検疫所におきましては、メキシコ、アメリカ本土、カナダからのすべての航空機を対象としまして機内検疫を実施いたしまして、全乗員乗客からの質問票を徴収し、サーモグラフィーという機械を用いまして発熱者の確認を行い、さらに、発熱、せき等の急性呼吸器症状を有する方に対する診察、検査を実施するなど検疫体制を強化しておりまして、客船につきましても同様の対応をしているところでございます。

 また、症状の有無にかかわらず、対象国から入国する全員に対し、検疫所からの連絡を受けて、保健所が入国後の健康状態を確認しているというところでございます。

 さらに、航空機につきましては、メキシコ、アメリカ本土、カナダから第三国を経由して入国する者を確実に把握するため、すべての入国者を対象に質問票を徴収し、健康状態を確認するということをしております。これは、先生が御指摘されたとおりでございます。

 海外旅行が多くなりますゴールデンウイークの時期を迎えまして、成田空港等検疫所では、他の検疫所等からの応援態勢を組むということをいたしております。

 ちなみに、成田空港で申しますと、通常は八十名の検疫官の体制でございますが、昨日は百三十名、本日は防衛省の協力を得まして百六十名の体制と、通常の二倍の体制を組んだというところでございます。今後とも、状況に応じまして、必要な検疫体制というものを確保してまいりたいと考えております。

 なお、羽田空港でミスがあったんじゃないかという御指摘でございました。

 これにつきましては、実は、新型インフルエンザのガイドラインというものに従いまして、第三国からの入国者というものをチェックしますためにすべての乗客に質問票を配るということにしておりましたのでございますが、何分早朝六時の宣言ということを受けまして、かなり混乱した時期でこの質問票の印刷それから配付ということを行いましたので、どうしても、機に積み込む、あるいはコピーが間に合わなかったということがございます。

 ただ、この第三国経由の入国者に対する質問票の目的といいますのが、まず、先ほど申しました三つの国から乗りかえによって来た方がいないかどうかをチェックする、それから、有症者がいるかどうかをチェックすることを目的とした質問票でございます。この質問票の趣旨を徹底するために、各航空会社に、この三国からの乗客がいないかどうかを既に事前に把握しておりました。

 これによりまして、客室乗務員にそれら第三国経由の対象国からの方については既に把握がされて、問題なく検疫を行っておりますし、また、有症者につきましても客室乗務員に機内で確認をいただいているということでございますので、確かに、体制が急遽決まったということで当初トラブルがあったわけでございますが、実質的には所期の目的は達成されておりまして、問題はないものと考えておりますが、今後とも、このガイドラインの徹底につきましてはさらに努力してまいりたいと考えております。

井澤委員 ありがとうございました。

 昨晩のニュースを見ておりますと、先ほどお話をしましたように、ゴールデンウイークの出国ラッシュで四万五千人の方が海外旅行に出かけ、多くの乗客がマスクをつけて海外旅行に行っているというニュースの映像が流れておりました。また、先ほどの朝のニュースでも、きのうの休日、銀座でマスクをした買い物客がいるというようなニュースも流れておりました。また、大手のコンビニ会社では、通常一万セットのマスクの注文をするところを二十六万枚、新たにまた三十万枚を発注したというニュースもあり、企業やインターネットからの注文も相次いでいるというような状況も今聞いております。

 そこで、新型インフルエンザの専門家の会議などの資料によれば、感染を防ぐにはマスクが必要である、その一つの目安として、一人当たり二十枚から二十五枚程度の備蓄が考えられるとしているということです。

 まず、現在のマスクの国内における備蓄状況をお知らせいただくとともに、先ほど大臣からもお話ありました、治療薬として抗インフルエンザ薬のタミフルというのがあります。名前が挙がっておりますが、これが例えば、季節性のインフルエンザで処方された十代の患者の異常行動が報告されたことにより、十歳以上の未成年の患者に対してだけ原則としてタミフルを使用してはどうかというようなことも出されておりまして、また、そのほかにも、もう一つの抗インフルエンザ剤であるリレンザも有効に活用して、その備蓄も考えるべきではないかということもいろいろと考えが出されております。

 そして、治療薬として名前が今二つ、タミフルとリレンザというものが今現在治療薬として挙げられておりますけれども、そのタミフルとリレンザの現在の備蓄量と今後の備蓄計画についてもあわせてお聞かせをいただきたいと思います。

 重ねてですけれども、まず、現在のマスクの国内における備蓄状況をお聞かせください。そして、引き続き、もしこのゴールデンウイーク中に不安を感じた国民の方がいらっしゃれば、どこにどういう形で相談をして医療体制に連絡をしたり、どういうふうに医療体制が今このお休みの中行われるのか、そこも含めてお伺いしたいと思っております。

上田政府参考人 まず、マスクについてお答えをいたします。

 マスクにつきまして、この備蓄量でございますが、平成二十一年四月一日時点で、メーカー在庫でございますけれども、合計約七千六百万枚の備蓄があるとの報告を受けております。

 なお、現在流通している量については把握に努めているところでございまして、今後、必要に応じて、増産についてもお願いをしていきたいと思っているところでございます。

 また、抗インフルエンザ薬でございますが、今回の新型インフルエンザにつきましては、タミフル、リレンザが有効であるということでございます。

 まず、タミフルでございますが、二十年度補正予算で増量を図りまして、現在、国、都道府県、流通分を含めまして三千三百八十万人分が確保されております。さらに、二十年度補正で、残りの分といたしまして八百三十万人分が既に製造済みでございまして、これが契約が済み次第、日本に入荷をしてくる予定になっております。

 また、リレンザでございますが、国において二百六十八万人分を備蓄済みでございますが、このほかに、都道府県において今後百三十三万人分を備蓄する予定でございまして、これについても引き続きその必要性について検討していきたいと考えているところでございます。

 さらに、ゴールデンウイーク中の対応について御質問がございました。

 本年二月に取りまとめられました医療体制に関するガイドラインにおきましては、都道府県における医療体制について具体的に考え方を示しておりまして、保健所などが中心となりまして、二次医療圏を単位として発熱外来を含む医療体制の整備を進めるよう既に依頼をしているところでございます。

 現在、国内での新型インフルエンザの発生が危惧されているところでございます。地方自治体に対しては、この大型連休を迎えるに当たり、この間における相談窓口、これは主として保健所になりますけれども、これをオープンして情報提供の体制整備を図るようにお願いをしているところでございます。

 また、国におきましても、コールセンターを引き続きこのゴールデンウイーク中も継続をいたしまして、国民からの質問にお答えをしたい、このように考えておりまして、地方自治体の意見も聞きながら、このような休日における診療体制も含め、新型インフルエンザに対する地域医療体制、国民からの問い合わせに対する体制整備をしっかり図っていきたいと考えているところでございます。

井澤委員 ありがとうございました。

 マスクについては、メーカー在庫が七千六百万枚ということで、日本の国民の数からいうとかなり少ない状況ではないかと思っております。これは、国策として、予防策としても、国民が不安を感じておりますので、早急に対策を練っていただきたいと思っております。

 最後の質問をさせていただきたいと思います。

 今、連日、きょうも各主要紙、新聞を読んでみますと、まず一面に豚インフルエンザ、死者がまた新たに一歳の子供が発生した、あるいは、ニュースを見ておりますと、いろいろな専門家が出てきていろいろなことを、国民はそれが一番のニュースリソースになりますので、見て、どうしたらいいんだろうと不安を抱える。私は、きょうの質問を通して国民目線でお話をさせていただいておりますが、国民にとって信頼できる一番の情報、正しい情報というのはやはり政府にあるのではないかと思っております。国民の信頼にこたえるためには、常に国としてメッセージをわかりやすく国民に届ける、広報体制をしっかりと強化すべきだと思っております。

 例えば、新型インフルエンザに関する相談情報窓口の一覧を出す。あるいは、新型インフルエンザ対策のQアンドA。どんな症状なのか、感染を確認する方法や予防策、治療法、豚肉を食べて大丈夫なのか、あるいは海外旅行は控えた方がいいのか、そのようなQアンドAの質問集をつくる。あるいは、大臣がみずから一日に何回か会見をされて、正しい情報を大臣みずからの言葉で国民に発信をしていただく。あるいは、政府広報できちんと早急に、新聞の一面を使うなど、あるいはニュースで広報をするなどして対応を練っていただきたいと思っております。

 今、国民は、どんな情報によってどういう行動をとればいいのか、とるべき行動を具体的に示してほしいのではないかと思っております。

 そこで舛添大臣に、今回の新型インフルエンザへの大臣としての力強い取り組みの姿勢そして国民に対する明確なメッセージを最後にお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 一番大切なことは、正確な情報に基づいて冷静に対応する、これに尽きると思います。世界じゅうの情報を含めて、正確な情報を私のもとに集約するように全力を挙げております。ただ、不明なことは不明ということははっきり申し上げます。例えば、なぜメキシコで重篤患者があれだけふえているのか、これはもうあらゆる情報のつてを通じて判断してもまだ判断しかねるところであります。

 そして、基本的に、今御議論があったように、タミフルやリレンザが効きますから、早期発見、早期治療をすれば治る、そういう前提のもとにきちんと、例えば人込みから帰ってくるとうがいや手洗いを励行する、場合によってはマスクを装着する、そして健康管理をみずからやる、そういうことも含めてお願いしたいと思います。

 そして、適宜、新しい情報が入り次第、国民の皆様にお知らせし、それは私が直接やる場合もあります、それからメディアの皆さん方の御協力をいただいて正しい情報を正確に伝えたいというふうに思います。先ほども申し上げましたけれども、国民が一丸となってこの危機に対応すれば必ずこの危機に打ちかつことができると思いますので、その見えない敵であるウイルスに対する闘いの最前線に立って全力を挙げたいと思います。

井澤委員 以上で質問は終わります。ありがとうございました。

田村委員長 次に、坂口力君。

坂口委員 久しぶりに質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 けさのニュースでWHOがフェーズ4から5に上げたというニュースが流されまして、大変だなというふうに思っているわけでございますが、大臣も早くからお出かけになっていろいろ声明を出されたりして、本当に大変だなと思いながら拝見していたところでございます。

 さて、WHOが一番最初フェーズ3で発表いたしましたが、私はあの時点のときにもうフェーズ4というふうに言われるのではないかと思っておりましたら、フェーズ3でした。そしてその次に、今度はフェーズ5に一足飛びに行くのではないかと思いましたら、フェーズ4でありました。何となくWHOの発表は抑制ぎみなような感じを受けております。しかも、その程度は弱毒性のウイルスではないかというような発言もあるやにマスコミでは報じられております。

 しかし、先ほども大臣がおっしゃいましたように、アメリカにおきましては非常に軽い人が多いということが言われておりますが、メキシコにおきましては非常に重症の人が多い。メキシコの場合、けさも二千四百九十八名罹患をして、そして千三百十一名が入院をしているという記事がございます。

 この二千四百九十八名、約二千五百名ぐらいの方というのは、重症の肺炎を持った人が二千五百人なのか、それとも、かかった人を全部ひっくるめて二千五百人の話なのか。それによって、亡くなった人が百六十人でありますとか、百五十九人だとかということが言われておりますが、その死亡率というものも変わってくるわけでありまして、この辺のところは、私たち、正確なニュースがはっきりしないわけでありますけれども、厚生労働省としてどう把握をしておみえになるのかということが一つ。

 それからもう一つは、それでは、ウイルスが違うのか。アメリカやカナダではやっているウイルスと、それからメキシコではやっておりますものとは、メキシコではさらに進化をしたといいますか悪性化をしている、強毒化をしているというようなことなのか。それとも、医療の基準の違いなのか。アメリカ、カナダ、そしてメキシコとの医療水準の違いがこういう現状を起こしているのかというようなことがあろうかと思いますけれども、その辺のところをあわせてお答えいただくことができればと思います。

上田政府参考人 まず、御指摘のとおり、感染者数あるいは死亡者数、また、新型インフルエンザとして確定したもの、疑いの例、非常に錯綜しております。私ども、米国CDCのホームページあるいはWHOの発表、外務省からの公電、それから現地からのさまざまな情報、さまざまなものを収集しながら評価をしておりますが、一番基本にございますのは、今回の新型インフルエンザウイルスはA型のインフルエンザウイルスでございまして、いわゆる開業医さんなんかでもやっておられます簡易キット、これは十五分ぐらいで判定できるものでございますけれども、このA型の簡易判定キットでまずA型かどうかはわかるということでございます。その先、果たして人の従来のインフルエンザなのか、豚由来のものかは、これはわからない。

 これは、いわゆるPCR法とか、遺伝子の配列を厳密に調べなければいけないんですが、今、このPCRの方策を持っているのは、私の知る限りでは米国とカナダだけだということで、そこに持っていかないと確定例にならないということで、多くの患者さんが出ているんですが、それはインフルエンザの単なる症状だけなのか、A型の簡易キットでA型のインフルエンザとわかっただけなのか、あるいはPCRまで行って確定したものか、その辺がなかなかわからないということで、世界じゅうでもまだ多くの国でそういうPCR法が確立されていないものですから、疑いという形でとどまっているんだろうということでございまして、まずその辺のデータが非常に混乱のもとになっているということでございます。

 まず、メキシコでとられましたウイルス、どうもこれはカナダに持っていって調べたようなんですが、それとアメリカでとられたウイルスは遺伝子学的にはほぼ同一だというふうに言われていますので、同一と見ていいんだろうというふうに、これはCDCがそのように言っているところでございます。

 そうすると、なぜ先生御指摘のようにメキシコとアメリカでこのように死者数が違うかというのは、なかなか判断が難しいところなんですが、そういう観点からいたしますと、単に医療の水準の違いだけではどうも説明できない。しかし、ウイルスはどうも同じらしいということで、今、その点も含めて専門家がさまざまな調査、議論などを行っているというのが現状でございまして、私どもも今そういう情報をしっかり集めているところなんですが、なかなかまだ十分な結論が得られていないということでございます。

 今後とも、こういうふうなさまざまな調査をしっかり行い、速やかにメキシコと米国の違いというものを、なぜかということを評価することが、今後の水際対策、あるいは蔓延防止対策にも決め手になるというふうに考えておりますので、その点はしっかりやっていきたいと考えているところでございます。

坂口委員 もう一つ、触れましたように、弱毒性ではないかという報道がございます。これはWHOから出ているというふうに思いますが、これは、メキシコの例を見ますと、そうとも言えない。重症の肺炎を起こした人たちが二千五百人ぐらいいて、そしてその中の千三百人が入院をしているというようなことが事実であるならば、全体の数はわかりませんけれども、かなり重症の人が出ていることだけは間違いがないわけでありますから、どうもこのWHOがおっしゃるのは少し軽目におっしゃっているような気がしてならないわけです。

 日本として、厚生労働省としてというふうに言ってもいいと思うんですが、弱毒性というふうにおっしゃいますか、それとも疑いがあるというふうにおっしゃいますか、それとも今のところはそれはそうは言えぬというふうにおっしゃいますか、あるいは強毒性かもわからぬというふうにおっしゃいますか。そこのニュアンスをちょっと聞かせてください。

上田政府参考人 学者でもない私がお答えするのはいかがかと思いますが、おっしゃるように、メキシコは非常に重篤患者が出ている、それから、アメリカの例は、これはアメリカのCDCの会見などを見ていますと、入院も必要ない人もいる、このようなことでございます。

 そこはまさに、アメリカを念頭に置けば弱毒性ですし、メキシコを念頭に置けば強毒性、こうなるわけなんですが、ちょっとその辺についてはなかなか評価が難しいので、私の口から今お答えすることはできませんが、例えば、いわゆるスペイン・インフルエンザのときも、第一回目は弱毒であったんですが第二回の周期のときは強毒化をしていた、あるいは、SARSの際にも弱毒のものとどうも強毒のものがあったようでございますので、この辺はさらに学者の皆さんの御意見を聞きながら評価をしていく必要があるのではないかと考えているところでございます。

坂口委員 強い毒性のものが入ってくるということを前提にしてかからないといけないというふうに思うんです。

 それからもう一つは、先ほど挙げましたように、ウイルスが違うのではないか、医療水準が違うのではないかというほかに、今までの既存のインフルエンザの予防注射をしている人としていない人との違いではないかということを言う専門家もあるわけですね。これは私もちょっとわからないですけれども、今までの予防注射が完全ではないけれども多少なりとも効果を発揮するということであれば、今までの予防注射を捨ててしまって新しいのだけつくるということに専念するのもいかがなものかというふうに思いますし、その辺のところはどういうふうにお考えでしょうか。

上田政府参考人 その点につきましては、昨日、国立感染症研究所の先生方とも議論をいたしました。それで、これはあくまでも伝聞情報ということでございますけれども、メキシコは比較的通常のインフルエンザワクチンというものを使用していない国である、米国の場合には高齢者を中心に相当接種をしている、こういう違いがあるんだけれども、果たしてそれで説明できるものかどうかというふうなことはおっしゃっていましたけれども、ちょっとそれ以上のことについては私の口から述べることはできない状態でございます。

坂口委員 次の問題に移りたいと思います。

 熱がありますときには申し出てほしい、それは保健所へ申し出てほしいという話でございますが、熱もいろいろでありまして、普通の風邪の熱もありますし、今までの既存のインフルエンザの熱もあるでしょうし、風邪以外でも発熱する病気というのは全くたくさんあるわけで、熱があれば全部保健所に連絡するといったら保健所はパンクするんじゃないかというふうに思いますけれども、熱があって病院へかかりたいというときには全部保健所へ言うんでしょうか。それとも、そこまではいかない、海外旅行をしてきて、帰ってきてどうも熱があるというような人だけが言うんでしょうか。そこのところはどうするんですか。これは現場でかなり混乱すると思うものですから申し上げているわけであります。

 初めには熱はない、例えばせきだけだった、病院へ行って診てもらったら、どうもあなたおかしいねということになるというようなケースだってあり得るわけでありますから、その辺のところを区別するのもなかなか難しいですが、熱のある人は保健所へ言ってくださいというのは、そのほかの要素というものは皆カットして、熱だけで言うんですか。そこはどうするんでしょうか。

上田政府参考人 いつも、このような新しい感染症が出たときに、この病態というものはどういうものか、いわゆる症例定義というものを行います。先ほどからもございましたように、メキシコとアメリカの病態がかなり違うということで、まだ完全な症例定義ができていないということと、さらに、確定診断がわずかな国でしかできないということでございまして、現行では米国CDCが症例定義をしておりますけれども、基本的に、要素といたしましては、呼吸器疾患の症状がある、せき、鼻水、呼吸困難、そういうような呼吸器症状があるということと熱、さらに、それだけでは通常のインフルエンザと区別ができないわけでございますので、例えば、メキシコに行ったとか、疑わしい人と接触をしたとか、そういうウイルスを扱っていてそれに接触をしたとか、そういうふうな条件をつけてやらざるを得ないのではないかと思っています。

 そういう点におきまして、現在、検疫の窓口で、帰国者につきましては症例定義を作成いたしまして、そこには呼吸器症状、それから発熱、それ以外に、現在WHOが言っております、流行地に何らかの関係がある、旅行をしたとか滞在をしたとか、そういう条件を絡めて、まず疫学的にその人を捕捉し、さらに医師の診断などを加えて、さらにさまざまな検査を行って確定をしていく、こういうことをやっております。

 今後、先生御指摘の、地域でどうするかということになりますが、現在の検疫でやっておりますものを活用しながら、やはり、現時点では国内に入っている可能性は非常に少のうございますので、おっしゃるように、単に熱とか呼吸器症状だけではなく、そういう疫学的な、要するに、メキシコに行った、あるいはメキシコに行った人と接触したとか、何かそういうふうな疫学的な要素を加味して症例定義を行い、そういう方に対して、発熱外来に行っていただくとか、あるいは感染症指定医療機関に行っていただくとか、この辺はまず保健所が今申し上げましたことを加味して御本人と相談の上決定していくことになる、このように考えているところでございます。

坂口委員 なかなか微妙なところでありますし、一般の方も非常に混乱されると思いますので、その辺のところの情報もきちっと流していただきたいというふうに思います。

 これでフェーズ5ということになってまいりますと、あらゆる分野にこれは影響してくるわけであります。もちろん、厚生労働省の中でしっかりと対応していただくということが大事ではありますけれども、それだけではなくて、やはり各分野との協調ということも非常に大事になってまいりますし、密接な連係プレーが大事になってまいります。そうした意味で、これは内閣の中におつくりいただくのか、あるいは厚生労働省が中心になっておつくりになるのかよくわかりませんが、重層的な体制をつくっていただいて、そしてそこで議論を進めていただくようにお願いをしたいというふうに思います。それが一つ。

 それから、日本の国は今、水際作戦ということで一生懸命やっていただいております。成田やその他の空港におきましても大変努力をしていただいておることに感謝をいたしますが、それだけで果たして防ぎ得るかということでございまして、フェーズ5になってまいりますと、あってはならないことでありますけれども、一応、国内に入ってきているということも前提にして物事を考えていかなきゃならないのではないかというふうに思います。

 日本の国はどちらかというと水際作戦は得意でありますけれども、パンデミック型になりましたときにどうするかということはどうも日本は手薄だというようなことがよく言われたりいたします。そこで、そのときにどうするかというようなことも少し考えていかなきゃならない。そのためには、先ほど話をしましたように、重層的にお話し合いをいただく場所をつくって、速やかな対応が必要になってくるわけであります。

 最後にもう一つ質問しておきますが、オーストラリアでありますとかあるいはカナダなどにおきましては、いざというときに、ここは少し危ないというふうになりましたときに、それはタミフルなのかほかの薬なのかは別にいたしまして、予防学的に、予防投与をまずする、そして時間を稼いで、そしてその間にワクチンの方に結びつけていくというようなことが言われておりますけれども、日本はそうしたことも考慮に入っているんでしょうか、いないんでしょうか、その辺もあわせてお伺いしたいと思います。

上田政府参考人 行動計画によりますと、蔓延初期といいますか国内に入ってきた当初は、もちろん、患者さんについては入院をしていただいて治療するわけなんですが、その接触者、周辺の方、封じ込めをやるために、その接触者に対してはタミフル等の予防投与をすることになっております。そしてさらに、これが蔓延期になりますと、タミフルそのものを有効に活用するために、病気の人というか発症者に集中的にそれを使うということに今行動計画上はなっているところでございます。

坂口委員 それでは、最後に大臣にお伺いをしたいと思いますが、先ほども申しましたとおり、重層的におやりをいただかなければならないというふうに思いますが、そうした体制を、これはいずれにしても厚生労働省が中心になっておとりをいただかなければならないというふうに思いますけれども、ひとつ御提案をいただいて、あってはならないことでありますけれども、万が一のときに備えてどうするかといったことを、より具体的にひとつ対策を講じていただきますようお願いを申し上げたいと思います。

 その辺の御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

舛添国務大臣 坂口委員おっしゃったように、水際対策に万全を期しておりますが、万が一ウイルスが侵入した、発症者が出てきたというときの体制も既にとっております。具体的には、感染拡大防止ガイドライン、これで地域で封じ込める。

 ただ、離島であるとかいうことでない限り、これだけ交通機関が発達している中で、基本的にはそれは非常に困難であろうと思いますから、その場合には、感染の拡大をできるだけ地域レベルで防ぐために、例えば学校の臨時休業、これは今メキシコがやっている措置でありますし、それから、不特定多数の方々が集まるような集会とか大きな催しを自粛していただく、それから、公共交通機関の利用を自粛していただくようなこともあり得ると思います。それから、職場においては、職員の出勤数、つまり職場に出てくる数を減らすというようなこともありますので、そこまでを考えて、これは先ほど重層的にということを坂口委員おっしゃったように、あらゆる手を尽くしておきたい。そして、危機管理の前提でありますけれども、より深刻な事態を想定して準備をする。備えあれば憂いなしということでありますので、そういう思いで全力を挙げて陣頭指揮をとりたいと思っております。

坂口委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

田村委員長 次に、末松義規君。

末松委員 民主党の末松でございます。

 舛添大臣とは、つい十日前に決算行政監視委員会で、鳥インフルエンザ、新型インフルエンザ、そのときはH5N1の関係で質問させていただきました。舛添大臣とは、新型インフルエンザについてこれでもう四回目でございます。

 きょう、豚インフルエンザということで、私の方もちょっと驚いているんですけれども、もともと豚インフルエンザというのは、鳥インフルエンザが豚の体内で保存されて、そして人にかかる、あるいは人から人という話というふうにちょっと専門家から聞いたこともあるんです。

 まず一番最初に、衆議院の事務総長の方にお聞きをするわけでございますが、この新型インフルエンザの緊急時対応ということについて、今、各省からいろいろな団体、企業あるいは役所、そして学校等に、緊急時体制をやれと言われていると思うんですけれども、まず政治家がその手本を示さなきゃいけない。そういった意味で、衆議院、参議院、国会でどんな緊急時対応がとられているのか。

 特に、飛沫感染ということでございますから、大体、議員の皆さんは本当に議論が好きで、口角泡を飛ばす方が多いので、そういった意味で、衆議院の決定方法とか、あるいは、もし蔓延したら、こういったところで実際に会って話すことがいいのか、こういうことも出てくるわけでございますが、この前も決算行政監視委員会でも私は指摘しましたけれども、その辺について、どういう進捗状況になっているか、まずお伺いしたいと思います。

駒崎事務総長 お答え申し上げます。

 先生から、決算委員会の第三分科会で、四月二十日に御質問がございまして、翌二十一日の議院運営委員会の理事会で、私の方から末松先生の質疑内容を含めまして御報告をさせていただきました。それで、早速議院運営委員長のもとで検討を始めております。

 今次の新型インフルエンザの発生もありますので、事務局といたしましても、議院運営委員会の委員長、理事の先生方の御指導もいただきながら、まず、本会議、委員会等の意思決定のあり方、それから定足数の確保の問題、参観、面会の制限、タミフル等の備蓄の拡充等、現在、早急に具体的な対策を取りまとめているところでございます。

末松委員 それは早急に進めていただきたいと思います。

 それでは、これは舛添厚生労働大臣がいいのかどうかわかりませんけれども、先ほど答弁、今アメリカとメキシコ、あるいはカナダ、こういうふうなウイルスが同一なのかということを私が質問しようとしたら、基本的には、CDCがそれはほぼ同一であるという話であったということでございます。

 実は、もし日本で感染者が出たという話のときに、その特定の場合なんですけれども、先ほど、PCRという専門的な確定方法はアメリカとカナダしかない、だから、メキシコのウイルス特定が、アメリカとカナダでやっているので確定数が少ないんだというような話もされているわけですけれども、日本で発生した場合には、患者の確定をする場合は、その検体をアメリカとカナダに持っていって、そしてそこで確定するまで日本のウイルス確定というのはないんでしょうか。

上田政府参考人 確定方法は、まずPCRと、もう一つの方法として、遺伝子配列をすべて調べて同一かどうかを判定するという方法。これは、PCR法は大体六時間ぐらいでできるんですが、遺伝子配列をすべて調べるには二、三日から数日かかるということでございます。

 なお、これは国立感染症研究所で可能でございます。

末松委員 そうなると、どっちでやるんですか。そして、かかる期間はそうしたらどのぐらいに想定していますか。

上田政府参考人 今、何とか、六時間でできるPCR法を早く日本でも完成するように努力をしているところでございます。

末松委員 もうちょっと、努力していますというんじゃなくて、もうそれはこちらの方でいつごろまでに入手するんだというところまで来ていないと、今、水際、水際といっても、本当にひょっとしたらあすにでも出てくるかもしれないということなんですよね。それはどうなんですか。努力したときに、今しているということなんですが、どのぐらいでこのPCRの、教えてもらえるんですか。

上田政府参考人 これは極めて重大な、御本人にとっても重大な検査法になりますので、間違いもあってもいけませんので、精度管理ということも含めて、今、さまざまな検討を行って、とにかく早くつくろうというふうに努力をしているところでございます。

末松委員 国立感染症研究所の遺伝子にかかわるチェック法というのは、二、三日であれば確定できるんですね。そうしたら、それを使うということも考えているわけですか。

上田政府参考人 先ほど申し上げましたように、急げば二、三日、場合によっては数日かかるということなんですが、現在その態勢はとっておりまして、まだ水際で、第一号の疑い例が出ておりませんが、出た場合にはこの遺伝子配列を検証いたしまして確定をする、このような手はずになっております。

末松委員 そうしたら、アメリカ、カナダには検体を持っていかないということですね。

上田政府参考人 アメリカ、カナダへ持っていきますと、これを飛行機に乗せて、それから時間がかかりますので、時間的に考えれば、むしろ国立感染症研究所でいわゆる遺伝子のシークエンスを調べた方が早いのではないかと思っております。

末松委員 なぜ私がここまで言うかというと、ここは弱毒性と、これは国立感染症研究所の田代先生なんかも新聞報道等で言われているようですけれども、弱毒性というのは感染力が非常に強いんですよね。スペイン風邪、あれは五千万人が亡くなったと言われていますけれども、あれも弱毒性でございました。ですから、そういった意味で、感染力が強いということは、これが二、三日から数日おくれて確定すればするだけ、どうもその間に広がるという話にもなりますので、そこはまず、PCRが輸入可能であれば、本当に速やかにやっていただきたいし、国立感染症研究所の方にも、それも本当に早くやってくれという形をぜひ引き続き努力してもらいたいと思います。

 それから、豚インフルエンザのウイルス、突然変異というのも非常に考えられるわけでございますが、ここで突然変異のことを言ってもしようがないんですが、この豚インフルエンザ、豚というのがちょっと気にかかるんですね。豚が死亡した例というのは、私は最近余り聞いていないと思うんですけれども、WHOも豚インフルエンザと言っているんですけれども、これは何で豚なんですかね。豚というのは確認をされているんですか。最初の感染例もよくわからない、特定できないときに、豚ということを特定しているのはなぜか。

上田政府参考人 おっしゃるように、今回、豚から直接感染をしたという事例はないわけでございますが、先ほど申し上げました遺伝子配列を調べたところ、かなりのものが豚由来である。そのほかに、ヒト由来、それからたしか鳥由来のものも入っているということで、メーンが豚由来ということで、これは豚のインフルエンザであると。

 それから、豚につきましては、この豚インフルエンザを持っていても病状が出ない、あるいは死なないことが多いということでございまして、なかなかそういう形では発見しにくいものだというふうに聞いております。

末松委員 内閣の方に聞きますけれども、WHOでフェーズ4からフェーズ5になったわけですが、4と5の違いというのを、緊急時対応というのを教えていただけますか。

福島政府参考人 政府は、今回の海外における新型インフルエンザの発生に際しまして、四月二十八日、内閣総理大臣を長とする新型インフルエンザ対策本部を設置したところでございます。その対策本部の事務局は、内閣危機管理監を長とし、内閣官房及び関係省庁の構成員によって構成されておりまして、官邸危機管理センターにおきまして、二十四時間体制で情報収集及び対策に当たっているところでございます。

 今般、フェーズ4からフェーズ5に変更されたところでございますが、国内での発生はいまだ確認されていないということでございまして、基本的な対応につきましてはそんなに現時点で大きく変わるということではなくて、今後、国内での発生等があった場合に、またさらに体制等、万全の施策をとるということになろうと考えております。

末松委員 では、4と5は、日本国内は余り体制は変わらずに、感染者があるかないか、これによって体制を一挙に変えていくというお話を今いただいたわけでございます。

 今、豚インフルエンザH1N1ということで、私はずっと二〇〇五年からH5N1の国家危機管理に対して早くやれと体制整備を叫んできたわけでございまして、選挙区なんか、オオカミ少年ならぬオオカミ中年と言われてきたわけでございますけれども。

 ここで、H5N1との違いは、プレパンデミックワクチンというものがこの豚インフルエンザはつくれない。最初にフェーズ3、4、5と来てしまったということなのでございますけれども、本チャンのワクチンは、どんなに急いでつくっても大体六カ月間ぐらいかかるというのは、それはもう明らかになっているわけなんですね。

 そうすると、対策はタミフルかリレンザ、ここがポイントになるわけでございます。

 先ほど、私もタミフルの備蓄量あるいはリレンザの備蓄量を聞こうとしたんですが、国内で、国、地方、流通在庫合わせて三千三百八十万人分、そしてさらに輸入で八百三十万人分というのがタミフルだということがわかりました。リレンザも二百八十万人分と、あと百三十三万人分ということで、合わせると四千五、六百万人分になるということで、一見すると、これはいいのかなという気はするんです。

 ここでちょっと気になるのが二、三ありますのでお聞きしますが、この国内流通在庫というのは季節性のインフルエンザにも使われるのかなという気がするんですが、そこの分はどうなんでしょう。取った形でこれは言っているんですか、それともそれを含んだ形で言っているわけでしょうか。

上田政府参考人 国内流通分というのは、今、問屋さんなどで流通をしているというものでございます。これは当然季節性インフルエンザでも使われるわけなんですが、大体我が国のいわゆる季節性インフルエンザは今終息期に入ってきておりますので、その分について余りこれから使われることはないんだろう、このように理解をしているところでございます。

末松委員 終息期というのは、何十万か何百万か、どのぐらいなんですか、今、大体平均すると。過去の統計でわかっていると思いますけれども。

上田政府参考人 終息期と申しますと、大体五月の連休ぐらいでインフルエンザの流行は終わるということでございますので、その時点で抗インフルエンザ薬というのは余り使われなくなる、こういうことでございます。

末松委員 感染が、スペイン風邪の例を見ると、二、三カ月に第一波、第二波、第三波が来て、ばっと一年から二年ぐらいかかっていくわけですが、そうすると、今度は秋から冬にかけて、そういったときではそういう流通在庫で通常のインフルエンザの方にかなり引っ張られるという懸念があるということですね。わかりました。

 それと同時に、タミフルというのは、一たん、例えば豚インフルエンザに私がかかったとしましょう。かかったときに、四十八時間以内に、一日二錠でしたか、五日間ぐらいやれば、ほかの細胞に移らない、細胞増殖はとまるということで、これをよく使われているという話なんですけれども、私がそれで一週間後から十日後に治りましたといったときに、治ってからまた豚インフルエンザにかかった、そういったときに、またタミフルを飲むということになるんでしょうか。

上田政府参考人 まず、二回とも豚インフルエンザに、同じウイルスにかかった、同一のものにかかったという前提でお話しさせていただきます。

 まず、インフルエンザにかかわらず、一般的にウイルス感染により発症してから投薬などによって治癒した場合でも当該ウイルスに対する免疫はつくわけでございますが、新型インフルエンザにつきましても、タミフルなどの治療によって軽快した後は、新型インフルエンザに対しての一定の免疫記憶ができますので、そういう点ではインフルエンザウイルスに対する免疫はできるということになります。

 しかし、インフルエンザウイルスというのは非常に変異が激しいものでございますので、また、どうも、一生涯を通じて、終生免疫はつかないというふうに言われていることもございますので、そういう点では、全く同一のウイルスに極めて近接した期間で感染したという場合には、二回目の感染に対しては相当強い免疫を持って感染を免れるか、あるいは重篤化しない、あるいは発症しないという可能性がある、このように考えているところでございます。

末松委員 そうすると、医療従事者とか社会機能維持者とか、そういった方々に対しては、継続的に、突然変異したウイルスに対する対応ということであれば、今度は別の、似通ってはいるが突然変異したウイルスが入ってきて、その際にはまたタミフルあるいはリレンザを飲まなきゃいけない、そういう話になりますと、四千五、六百万の備蓄というのは、これは同一の人に対して何回か打たなきゃいけないという話になれば、実際の備蓄の量というのは、何万人分というのはかなり減るんじゃないんですか、実際。

上田政府参考人 まず、今回のタミフル、リレンザ等の抗インフルエンザ薬の備蓄は、いわゆるH5N1の鳥インフルエンザを想定してされたものでございます。

 今回のような豚由来の新型インフルエンザになった場合にどのようにタミフルを使うかというのはいろいろ議論があるところでございまして、例えば、非常に軽症なものであれば、タミフルを使わずに、むしろ備蓄をしていくことも一つの選択肢ですし、重篤なものであれば、今タミフルは効くようでございますから、これを使って対策をとっていく、このようなさまざまな対応を考えなければいけない。そういう点では、今まさにこのインフルエンザがどういうものであるかということを確定しなければ、その辺の対応というのは決まってこないのではないかと考えているところでございます。

末松委員 そこは、だからこれからも備蓄の量をふやしていく、流通在庫とか。あるいは、同一の人がかかる可能性、何回かということもあり得る話ですから、特に医者なんかはほとんど常時そういう接触をするわけですから、そういったところの供与が本当に必要になるわけでございます。それはまた後で質問をします。

 それでは、先ほどもちょっと質問がありましたけれども、未成年者に対するタミフルですね、これはかなり慎重投与と。いろいろな例が出て、例えば飛びおりてしまうとかそういうことで、十代あるいはその前の年齢の人たちに対しては慎重投与という話だったと思いますけれども、こういう時期になって、もし日本で感染者が出た場合、その方針はどうなるんでしょうか。

上田政府参考人 タミフルの十代への予防投与の問題でございます。

 タミフルの使用上の注意では、十歳以上の未成年に対し、インフルエンザについて、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては原則使用を差し控えること、このような規定がされてございます。新型インフルエンザの疾患リスクなどを考慮し、適切に使用することを妨げることにはなっておりません。なお、小児の予防投与は、十三歳以上について承認がなされているところでございます。

 また、平成二十一年二月に策定されました抗インフルエンザウイルス薬に関するガイドラインにおきましては、予防投与については、必ずしも薬事法で承認が得られていない場合も含め、投与対象者にその有効性及び安全性について十分に情報提供し、同意を得た上で行うこととするとされており、必要に応じて予防投与が可能となっているところでございます。

末松委員 ですから、聞いているのは、日本で感染者が出た場合に、そのときには十代に対する慎重投与というものは、これはインフォームド・コンセントのもとに供与するのかということを体制としてどう考えているんだというのを、私は舛添大臣にあらかじめ質問していたわけです。

舛添国務大臣 医学の知識を持った局長からまず事実を伝えてもらうことが肝要だということで、先に事実について説明を申し上げました。

 インフォームド・コンセント、つまり同意を得ればそれは十分可能である、予防投与は可能であると思っております。

末松委員 これは、医師の間でもまだ迷って、どうなんだろうという話の方がおられました。それを今ちょっと反映した質問なんでございますけれども。

 それから、先ほどから、ウイルスに暴露をされてしまうお医者さん、この前も質問をやりましたけれども、私、西東京市という自分の地域の選挙区で、お医者さんと歯科医師とそれから薬剤師の方々の連絡会で新型インフルエンザについてお話をさせていただいたときに、お医者さんの方から、例えば防護服とか、防護衣というのかな、あるいはマスク、あるいは今回の場合A型の簡易検査キットですか、こういった、H5N1のときには検査キットがないと言っていましたけれども、それから、タミフルなんかどうなっているのか全くわからぬということで、それははっきりさせてくれよということで、それもあって、この前、決算行政監視委員会で大臣にお聞きをしたわけでございます。そのときに答えられた大臣の方が、適宜それはやっていきたいんだという話をされていました。

 今度の豚インフルエンザについて、例えばかかりつけ医の人に、どうなっているんだと、電話じゃなくて直接会いに行く人、そうなった場合に、そこは、もし感染者かどうかわからなくてお医者さんが丸腰でやると、お医者さんの命にも危険を与えるわけですけれども、そういったところは、これは早く供与していくべきだと思うんですね。フィジカルプロテクションというか物的防護、それを早くせよと思うんですけれども、大臣、その辺についていかがですか。

舛添国務大臣 これは、危機管理の優先順位という危機管理の手法、さまざまの、これは坂口さんが先ほど重層的ということをおっしゃいましたけれども、まず感染者がそのウイルスを拡散しないということが一番大事ですから、感染した疑いのある方、これはなるべく動かないでいただきたい。したがって、発熱相談センターへかけ、状況を見、ただ、それがメキシコに行っていたんだというようなことになれば、ちょっと待ってくださいよというような形で、次は発熱外来に行ってくださいになる。

 ただ、そこから先、人から人への感染というのが拡大していった場合に、メキシコに行っていなくても当然かかるわけですから、先ほどの坂口委員のお話のように、ではどこで区別するのかね、全員が発熱相談センターに行ったらパンクするじゃないかということであります。

 今のところ、防護セットというのは、十九年度補正予算で十二万六千セット、それから二十年度の補正で五十九万セットということで、備えはしております。

 基本的には、これは各地域の医師会の皆さん方にも協力をいただかないといけませんが、当然それは、マスクとか手袋、それは普通、今の状況でも病院できちっとやることができます。その上で、各地域、地方自治体と連携をとり、その地域の、西東京なら西東京の医師会の皆さん方が地域と連携をとり、それをどういう形で配備するのか、それを今早急に決めないといけないというふうに思っております。

 今、これは二月に新型インフルエンザ対策行動計画、対策ガイドラインということを策定して、そこで例えばタミフルを予防的に摂取しなさいというようなことも書いてあります。

 それから、けさ対策本部の幹事会を開きましたので、今委員の御指摘の点についても、総務省にも私が指示をし、こういう今のような点についても連絡態勢そして初動態勢がおくれないようにときちんと指示をしていますので、今事務方で、具体的にどういう態勢をとるか、特に現場の地方自治体の動きが重要でありますし、ぜひこれは各地域の医師会の皆さん方にもいろいろ協力をし、要請があればそれにこたえられるようにしたいと思っております。

末松委員 そこは本当にポイントなんですね。発熱相談センターというのは、電話をするかどうか、それはテレビでもどんどん報道して、あるいはラジオでも報道していただいて、とにかく発熱相談センターなんだよという話をすればいいけれども、ただ、それが各県、各市町村でどのくらいあるんですかという話になると、やはりお隣のいつもかかっているかかりつけ医さんに相談に行きましょう、先生だったらよく知っているはずだと言って行っちゃうものなんですよ。そういうときに、お医者さん、看護婦さんが丸腰でやったら、それこそ大変な話になるわけですし、今、防護衣を含めて何十万か、実は態勢はあるとはいっても、それが実際に供与はされていない。そこが問題なんですよ。

 ですから、先ほど医師会の方々の協力を求めるという話でしたけれども、とにかくそこはもう医師会を通じて、きちんとみんなそれが供与されるというところまで一日も早くやっていただきたい。お医者さんあるいは看護婦さん含めて、それでもし患者さんから豚インフルエンザにかかって死亡でもするものなら、ここは補償が全く出ないというのをこの前の委員会で確認していますから。そして、お医者さん自体、そういったものが町のお医者さんが全く知らされていないという状況は避けていただきたい。そこを一刻も早くやっていただきたい。そこを強くお願いしておきます。

 さて、それから今度はワクチンについての話をさせていただきます。

 パンデミックワクチンというか、これは蔓延したときのワクチンですね。これは今、生産量拡大のために一千三百億円、H5N1のための生産ラインをつくるというようなお話もございました。この生産ラインというのは、生産するまでどのくらいかかるんですか。それをつくる、施設をつくるというところから始まるという話なんでしょうけれども、その辺はどうなんですか。

高井政府参考人 今回の豚インフルエンザの関係でございますが、先ほどから出ていますが、ウイルス株の特定に努めるということがまずございます。そのウイルス株の重篤性あるいはWHOの提言等も勘案して、季節性でつくっております今のインフルエンザワクチンの製造をどうするのか、一方、パンデミックワクチンの製造に切りかえることの適否を判断して、必要な対策を実施していかないといけないと考えております。

 現時点では、このウイルスの増殖性等が不明であるということでございますので、具体的に製造期間を示すことはできませんけれども、仮に季節性インフルエンザワクチンのウイルス製造株と同様の増殖性というものがあるといたしますれば、ワクチン企業がワクチン製造株を入手して最初の製品を出荷するまでに、早くとも数カ月の期間が必要と考えているところでございます。

末松委員 いや、それは私の次の質問だ。

 今、一千三百億つけて新しい施設をつくってという話があるけれども、それはどのくらいでできるんだというのをまず私は聞いたんですよ。

高井政府参考人 今回の一千三百億のメーンは、細胞培養ワクチンで新型インフルエンザワクチンをつくろうといたしております。これは、細胞培養というのはまだ開発段階でございますので、まず開発をして、試験をして、治験をして、そして生産ラインをつくらないといけませんので、できるだけ早くと考えておりますけれども、すぐにはできないという……(末松委員「何年」と呼ぶ)ここはまた数年かかると考えております。

末松委員 ということであれば、現在あるラインを何とかうまくやっていかなきゃいけない、あるいは輸入するかということですけれども、輸入というのは全世界的なものなのでなかなかできないだろう。そうしたら、日本の中できちんとつくらなきゃいけない。そうした場合には、舛添大臣もテレビで、なかなか苦渋の思いで言われていましたけれども、その流通在庫、既存のインフルエンザの型と、それから今回の豚インフルエンザのワクチン、流通のラインが限られているわけですね。どのくらいの割合でつくるのかというのは、まだそこは決まっていないんですか。答えてください。

舛添国務大臣 すべては今度の新しいインフルエンザの特性の確定ということによると思います。

 ですから、一部で言われているように、非常に弱毒性で、日本人がかかった場合にタミフル、リレンザで非常に有効であるという場合と、それと、メキシコで死者がたくさん出ていることの理由がまだわかりません。ひょっとしたら強毒性が含まれているかもしれない。そういうときには、季節性の、つまり、この冬にはやるものだって何型になるか非常に難しい判断が要るんですけれども、それだってワクチンがなければ一万人規模の死者が出るということになれば、こちらの対策もしないといけない。ですから、具体的に、七、三でやるのか、四、六でやるのか、五、五でやるのか、それはまだ数字が出ておりません。

 ただ、今思っているのは、しかしながら、今、細胞培養、組織培養というのは時間がかかって、まだ研究開発段階ですから、有精卵を使った従来の製造方法でやらないといけない。それはもう委員よく御承知のように半年かかりますから、十月ぐらいから寒くなるとすれば、六カ月引けば四月ですね。ですから、もうそろそろ製造に着手しておかないとこちらが間に合わなくなる。ですから、この製造に着手せよという指示は出したところであります。

 ただ、CDCから株をもらってこないといけないので、これを一日も早く下さいということを今要請しているので、来次第製造にかかって、そしてあと、これはもう臨機応変に状況を見てその比率を考えていく。本当は製造ラインが一気に拡大すればいいんですけれども。

 それから、やはり今委員がおっしゃったように、輸入に頼るというのは、こういう状況ですから基本的には無理だと思った形で国内態勢の整備を図った方がいいと思っていますので、全力を挙げたいと思っております。

末松委員 できればH5N1も、豚インフルエンザとは違うけれども、でも、これもWHOのヘッドが、いつ起こってもおかしくないという話になっていますから、ひょっとしてこの豚インフルエンザというのは前ぶれなのかもしれない。そこはわからないところではありますけれども。ぜひ、パンデミックワクチンが一番有効に効くという話でありますから、そこはできるだけ早くやっていただく。

 そこは、今もしつくり始めたとしても、先ほど大臣が言われたように、十月ぐらいから供与が開始されるという話でしょうから、それまでに第一波、第二波という話でなってくれば、これはもうタミフル、リレンザで対応するしかない。これは、どんなに屈強なスポーツ選手、レスリングの選手でも、吸ってかかれば、やはりやばくて、死ぬ人は死んじゃうということでありますし、これは私の伝聞なので確認はできない話なんですけれども、アメリカの方はすぐにタミフル投与をやって、メキシコの方はそのタミフルがない、不足して、ないということであれだけ被害が広がったという話も聞いておりますので、ぜひそこのタミフル、リレンザの供与政策は、特に医療従事者あるいは社会機能維持者にきちんと継続的にやっていただきたいと思うわけであります。

 さて、せっかく外務省の方も呼んでおりますので、ちょっとお聞きします。

 今、メキシコに対して渡航の延期勧告が出ていますし、また、逆にメキシコ在留邦人には、退避するような勧告というんですか、そこまで出ているような報道もありますけれども、もし日本にもまた感染者が出て広がりましたというようなことになったら、日本も人口が多いですし、そういった意味で、医療的なサービスはいいけれどもなかなか受けられないようなこともあり得る話でもありますが、そういった場合、メキシコに限らず、いろいろなところで、いろいろな地域で感染者が出てきた、そういったときには、実際に、メキシコならメキシコあるいはアメリカならアメリカ、そういったところの在留邦人への指示はどういうふうになるんでしょうか。ちょっとこれは頭の体操でさせていただきたいと思います。

深田政府参考人 先生御指摘のとおり、きょうの時点で警戒レベルがフェーズ5になったわけですが、四月二十八日のフェーズ4の段階で、メキシコに対しては、御指摘のとおり、不要不急の渡航を延期する、これはこちらから出かける人でございます。それから、メキシコ滞在中の邦人に対しては、出国制限が今後かけられる可能性もある、あるいは現地の医療が十分機能しなくなる可能性もあるということから、退避が可能な方から早目に退避することを検討する、こういう形で呼びかけを感染症危険情報の中でやっておるということでございます。

 こうした退避の呼びかけは、まさに現状において、メキシコでは豚由来の新型インフルエンザが深刻な拡大を見せておる、他方で、日本においてはいまだ感染が発生していないという判断のもとでこういうように退避を呼びかけている、こういうことでございますが、万が一この日本において感染が拡大して、日本への退避を呼びかけることがかえって邦人を危険にさらす可能性がある、こう判断される場合には、現地にとどまる、あるいは第三国への、より安全なところへの退避といったようなことを含めて、別途の感染症危険情報を通じた呼びかけを検討する、これは万が一でございますが、そういう事態になればそういうことを検討する、こういうことでございます。

末松委員 今、深田局長の方から、そういった臨機応変、時々刻々の状況に合わせた迅速な対応をしていくということで、そこは外務省も、迅速にやっていただいていますけれども、引き続きまたよろしくお願いをしたいと思います。

 最後になりますけれども、豚肉というか豚の輸入ですか、ちょっとこれについて最後にお聞きをしたいと思うんです。

 今、豚肉の輸入については、安全性が阻害されているとまでは言えないということで、引き続きメキシコからの豚肉の輸入がなされている。民主党の検討の部会で、それは本当にこのまま輸入していいのかという大きな疑問が示されたわけでございます。農水省に聞くと、これは家畜の伝染予防法ですか、その観点からそこまでの危害は認められないということで、そのまま輸入はいいんだという話でございますし、豚肉を七十度以上熱すればそこは安全なんだ、こういうことも世界で報じられているところでございます。

 一方、豚そのものの輸入は、例えば接触か何かして感染をした場合、これは厚生労働省の方で、食品衛生関係じゃなくて感染症法との関係でいけば、そこで接触して感染した場合、これは危険があるのではないかとは思うんですが、その辺はいかがなんでしょうか。

上田政府参考人 御存じのように、私どもでそれは所管をしておるわけなんですが、過去五年間、平成十六年四月から二十一年三月までで、財務省貿易統計によりますと、メキシコから生きた豚の輸入実績はないということでございます。

 そういうことで、メキシコからの輸入豚によるリスクは生じていないと思っておりますが、今後、もしメキシコからの豚の輸入ということがあるとすれば、その辺は、新型インフルエンザの発生を防止する観点から、農林水産省と連携を図って適切に対処していきたいと考えております。

末松委員 そこは、余り食肉業者の関係の方の不安を、あるいは風評被害ということでそれが起こらないような形でやっていくのも当然の配慮だと思いますけれども、また、一般の国民感情もございますので、そこはぜひ適切にお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

田村委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 それでは、私からも新型インフルエンザについて質問させていただきます。

 まず大臣、認識をお伺いしたいと思います。

 現時点において、この新型インフルエンザウイルス、パンデミックに至っていると考えてみえますか。

舛添国務大臣 本日、WHOがフェーズを4から5に上げたということは、これは国境を越えて継続的に人から人へ感染する、二カ国以上の国で。したがって、世界的大流行、いわゆるパンデミックに至る可能性が高まったということを示唆していると思いますが、今の世界各国の発生状況を見た段階では、まだその状況に至っているわけではない。

 ただ、そういう可能性があるわけですから、とりわけ複数の国で感染し、メキシコを初め一部の国で感染が拡大しているわけですから、やはり危機管理をしっかりする。そのために政府は対策本部をつくり、きょうも私は幹事会を招集して、体制整備を行っているところであります。

岡本(充)委員 では、パンデミックに至る可能性は高いわけですか、それとも可能性があるなんですか、どちらなんですか。

舛添国務大臣 フェーズ5ということでありますので、パンデミックに至る可能性、その可能性が高度に確実になった。言葉遣いが非常に難しいので、余りに恐怖心をあおることもいけませんが、しかし、フェーズ5ということであれば、その確実性が高まった、そういう言い方をしておきたいと思います。

    〔委員長退席、上川委員長代理着席〕

岡本(充)委員 大臣、重ねて聞きますが、では、あと何が加わればパンデミックだと大臣はお考えなんでしょうか。

舛添国務大臣 やはり複数の国、その数がさらにふえる。それから、やはり感染者の数がふえていく。そして、今のところ、例えばきのうアメリカで亡くなった赤ちゃんもメキシコにおられたということなんですが、そうじゃなくて、例えばアメリカのニューヨークの例なんかを見ていると、メキシコに行ったことがなくても、アメリカにしかいなくてもかかったということになれば、継続的に人から人への感染が広まっているということですから、大規模にそういう事態がこれからどんどん発生していけば、これはもうパンデミックだ、そういうふうに思っております。

岡本(充)委員 WHOの指摘がなければ国として判断をしないということではなくて、積極的に、大臣みずからこれは宣言をされてもいいと私は思いますよ。

 確認をしたいんですけれども、ヒト・ヒト感染は今どこの国で確認をされていますか、現時点。

上田政府参考人 先ほども申し上げましたように、ちょっとそれぞれの機関でデータが異なっている面がございますが、世界保健機関によりますと、四月二十九日現在、これは日本時間で四月三十日未明になりますけれども、確定診断による豚インフルエンザへの感染が確認されている国は七カ国でございます。これはあくまでも確認されたものでございますが、メキシコが二十六名、うち死亡者が七名、アメリカが九十一名、うち死亡者が一名、カナダ十三名、英国五名、スペイン四名、ニュージーランド三名、ドイツ三名、イスラエル二名、オーストリア一名。

 なお、感染経路については、すべてが明らかになっているわけではございません。

岡本(充)委員 こういう事態に至ってフェーズ5ということになったわけです。

 くどいようですけれども、大臣、この状況はパンデミックの可能性があるではなくて、ほぼ確実ではないかと私は疑っているわけですけれども、大臣、それを聞いてもなお可能性があるにとどまるのか。なる可能性がほぼ確実ですから、カメラも来ていますから、国民の皆さんに、ぜひ注意をしてくださいとここで呼びかけられるか、お答えをいただきたい。端的にお願いします。

舛添国務大臣 誤解を恐れずに明確に申し上げれば、パンデミック、つまり世界的大流行になる確実性が極めて高くなったということだと思います。

岡本(充)委員 それを受けて、ぜひ対策をとっていかなければいけません。

 それと、もう一つ認識の問題です。

 弱毒株、強毒株という言葉が取りざたされていますが、ウイルスというのは、これは体内でどんどん形が変わっていく、変異をしていくわけであります。弱毒だったものが強毒になる、また、もちろん強毒だったものが弱毒になるということは十分考えられるわけでありまして、現地で豚が死んでいないから弱毒だとか、メキシコだけで死者が出ていて、あのアメリカで亡くなった方もメキシコから治療に来ていた人だとか、こういうことを言わずに、強毒株だという認識を持って対処に当たるべきだと私は考えるんですけれども、大臣はどうお考えですか。

舛添国務大臣 先ほど申し上げたように、わからないものについてはわからないとはっきり申し上げます。わかりません。

 つまり、今の現状を見て、例えば、我々の感染センターの田代さんは弱毒性であるということをジュネーブでおっしゃっていますけれども、今委員おっしゃったように、わかりません。全くわからないので、しかも体内で突然変異する可能性もありますから、弱毒だということを前提に危機管理するのは間違っていると思います。ですから、強毒であることを前提にしてやっていった方がいい。

 ただ、そのときに、これまでの政府の行動計画はH5N1の強毒性をもとにしてやっていますから、フェーズ4をWHOが宣言したときも、直ちに渡航制限を行わないようにというような留保をつけました。だから、そこのところは弾力的に柔軟に、しかし危機管理の要諦を押さえた上でということでありますので、今、お医者さんである委員がおっしゃったように、本当に不明な部分があるわけですから、楽観的な前提を置いての行動はよくないと思っていますので、それは心して対応したいと思っております。

岡本(充)委員 これはちょっと通告していなかったので、わかれば教えていただきたいんです。

 厚生労働省として、今回の新型インフルエンザの症状の典型例、潜伏期間については、これはもともとガイドラインでは発症後に確定をするというふうにしていましたけれども、どういうものであるというふうにお考えなのか。まだ、これから検討であれば、いつごろまでに御発表いただけるのか。お答えいただければ教えていただきたいと思います。

上田政府参考人 まだ、現在国内で発生をしておりませんので、我々もその病状を把握しておりません。

 また、海外でもさまざまな病状が報告をされておりますので、これは先ほど申し上げましたように症例定義ということをやるわけなんですが、それもまだ世界じゅうで固まっていないということで、あくまでも疑い例ということで、先ほど申し上げましたように、呼吸器症状があるとか熱があるとか、あるいはメキシコの何かとのリンクがあるか、そういうことで現在は判断せざるを得ないというのが現状でございます。

    〔上川委員長代理退席、委員長着席〕

岡本(充)委員 その疑い症例になった方がどういう症状なのか、やはり早く国民の皆さん方にお知らせをいただきたいと思います。

 例えば通常のインフルエンザだったら、三十八度以上の発熱、せき、くしゃみ等の呼吸器症状、頭痛、関節痛、全身倦怠感、こういったものが基本的なインフルエンザの症状です。これと比較してどうなのか。例えば消化器症状が出るのか、どういうものがあるのか、やはりこれをある程度皆さんにお知らせをすることが、国民の皆さんとしても、自分が新型インフルエンザに罹患したのかどうかということをいち早く認識する重要なツールとなりますから、ぜひ早く公表していただきたいと思います。

 それを踏まえた上で、確定診断の話に行きたいと思います。

 先ほど末松委員とのやりとりの中で、PCRが六時間、シークエンスが二、三日かかると言われましたけれども、私の実体験からいうと、こんなに時間はかからないと私は思うんです。実際に、手技自体はもっと短く終わる。例えばPCRであれば、何サイクルやるかにもよりますけれども、二時間弱で完了することが多いと思いますし、シークエンスだったら一晩、およそ十時間ぐらいシークエンスの機械にかけておけば大体必要な部分は読める。また、PCRについても、プライマーだけはっきりしていれば、国内でも当然検査に付することができるわけであります。

 そういう意味で、先ほどの答弁というのは、確定診断までの時間が余りにも長くかかり過ぎる、もっと本当は短くできるのではないかと私は思うんですけれども、疑い症例から確定に至るまでの時間、厚生労働省としてはどのくらいで確定をさせるとお答えいただけますでしょうか。

上田政府参考人 私ども、感染症研究所からの報告で、PCRは六時間、それからシークエンスについては二、三日、ないし場合によっては数日と申し上げました。

 確かに、非常にキット化されたような形のPCRであれば、おっしゃるように二時間ぐらいでできるんですが、今回、非常に新しいものでございますから、精度管理とか確認とかそういうことを含めると、やはり六時間ぐらいのことは見る必要があるのではないか。それからシークエンスについても、全く新しいウイルスでございますので、厳密に、正確にやるということであれば、そこは若干の時間を要するのではないかということでお答えした次第でございます。

岡本(充)委員 いや、全く新しいウイルスではないんですよね。既存のウイルスの一部が変異していった形で、だから、インフルエンザウイルスなんですから。したがって、プライマーもどこに設定をするのか、そして、どういう条件でこれまでPCRをかけてきたかということがある一定明らかになれば、当然国内でもできるわけで、北米に検体を送る必要がない。

 そうじゃないかと私は確認をしたいんです。北米に送る必要ないですよね。その条件とプライマーさえ手に入れば、ウイルス株が来なくても国内で確定診断をすることができる。そうですね。

上田政府参考人 まず、これはプライマーをつくる必要がございます。プライマーを米国からいただいて、それを国内で増産するという方法と、既に今回のインフルエンザのシークエンスはCDCで公開をされていますので、私どもの方で、それをもとに、国内でまずプライマーをつくってみる。その作業を今やっているようなんですが、問題は、ポジティブコントロールといいまして、本物のウイルスを持ってきて、本当にそれで合致するかということを確認しなければなりません。そこの作業がまだ十分進んでいないということでございます。

岡本(充)委員 それはわかっています。ただ、今の話で、ポジコンが来れば、当然これは国内でできるということを今局長認められたわけですから、北米に送らなければいけないということは撤回をしてもらわなければいけないわけですね。これは国内で確定ができるんですよ。

 では、ウイルス株はいつ日本に来ることになっていますか。

上田政府参考人 その前に、北米に送るということは考えずに、まず国内でやるというふうに考えております。

 ウイルス株、今米国でとれたウイルスでございますけれども、現在、国立感染症研究所が、WHOインフルエンザ協力センターでございます米国CDCに対して依頼をしておりまして、米国において分離された豚インフルエンザウイルス株を入手する手続を今進めているところでございます。

岡本(充)委員 いつまでに来るんですか。私が事前に聞いたときには今週中というふうに言われましたけれども、そうお答えいただけないんですか。

上田政府参考人 実は、これは病原体でもございますので、米国から外へ出すときにいろいろな手続があるようでございます。出荷の段階に入っているというふうに聞いているんですが、きのうの時点で飛行機に乗ったというふうにはまだ私は聞いておりませんので、早ければ今週中に来るかもしれませんし、その辺の手続が米国内の事情でおくれれば、これは恐らくもう少し先になるのではないか、こういうふうに把握をしております。

岡本(充)委員 どちらにしても、ポジティブコントロールとして確定診断には必須なわけですから、早急に手に入れてもらわなければいけません。

 次の質問に移りたいと思います。

 ワクチンの話ですけれども、先ほどから話が出ておりました細胞培養ワクチンの承認。私は、安全性を早急に、二年、三年と言わずに、ぜひお考えになられてはどうかというふうには思っています。

 そこで確認をしたいんですけれども、インフルエンザワクチンの接種率とインフルエンザによる死者数との間にどのような相関があるかということを、実は一昨日、役所と大分やりとりしました。インフルエンザワクチン、今では二千五百万人分ほど製造されているんですが、平成六年から平成九年ごろ、このころは三十万人、七十万人分と極めて少なかった。この時期に、インフルエンザによる死者数というのは国内でふえたんですか。

上田政府参考人 ちょっとデータを今手元に持ち合わせておりませんが、御指摘のようにふえております。

岡本(充)委員 そのときの数字を見ると、平成七年が千二百四十四人、平成八年が百六十六人、平成九年が八百十五人、平成十年が五百二十八人だ、こういったことを厚生労働省から報告を受けました。これが平年と比べて、いわゆる死者のリスクがどれだけ高くなるかということを検討していただいて、要するに、今、季節性インフルエンザの十分なワクチンを、今までどおり二千五百万人分つくらなければいけないのか。

 先ほども大臣がちょっと、八、二なのか六、四なのかと言われましたが、大体、インフルエンザのワクチンは六カ月かかると言われていますけれども、実際の製造は、要するにウイルスを培養して、培養状況にもよりますけれども、二カ月、三カ月でできるわけです。つまり、今製造しているこの過程はすべて新型インフルエンザにかえて、そして新型インフルエンザの状況を見て、落ちつくようであればそこから季節性を、また七月以降再開するということも可能だと思うんです。

 つまり、現時点では一〇〇%、新型インフルエンザのワクチン開発に振り向けて、その減産分を、この冬の季節性インフルエンザのワクチン接種対象者を、より科学的根拠に基づいた接種対象者に絞ることで、その浮き分を出せるんじゃないかと私は思うわけですね。

 今現状では、正直言って、私も外来やっていますよ。そうすると、インフルエンザのワクチン打ってくれと言われたら、若い人であれ、いろいろな既往のない人であれ、リスクに関係なく打つというのがある意味現状であります。しかし、そこできちっとセレクションをかければ、もっと少ない本数で足りるはずだと私は思うんですね。

 そういうことを考えれば、その浮き分を、例えば、これからの二カ月で製造する分をすべて新型インフルエンザワクチンに振り向けても私は足りるんじゃないか。これはあくまで推測でありますから、大臣、そこをぜひ検討してください。

舛添国務大臣 私は、やはりこれはパンデミックになるということを前提にして、今委員がおっしゃったような方向を優先的にとりたいと言った途端に、さまざまな方から、それはおかしいという議論がありましたので、よく状況を見ながら配分割合を考えるということでありますので、また、今委員からお医者さんとしてのそういう発言をいただきましたので、これは検討させていただきます。

岡本(充)委員 ぜひお願いします。

 その上で、今度は抗インフルエンザウイルス薬のことについて聞きます。

 前回、災害対策特別委員会の質問の席上でお答えいただけませんでしたが、その後、お答えいただきまして、国内では二カ所、抗インフルエンザウイルス薬タミフルの備蓄をしている倉庫がある、こう聞きました。ここからどういった経路で、どういう方法で配付をするのか、そして対象者をどうするのか。こういったことについては今どのような検討がなされておりますか。そしてまた、いつからこれは実際に配付を始めるんでしょうか。

上田政府参考人 配付方法でございますが、今おっしゃいましたように、全国二カ所でこれの備蓄を国としてやっております。それ以外に、都道府県がそれぞれ備蓄を持っております。

 まず、それぞれの医療機関におきましてタミフルがいかに使用されるかという使用状況が都道府県あるいは私どもに入ってまいります。その使用状況に応じて、それぞれの各県の卸売販売業者さんを通じて各医療機関の発注に対応することになりますが、まずは流通分から医療機関に入っていく。流通分が足りなくなれば、都道府県の分がその流通分を補う形で出る。都道府県の分がなくなっていけば、国の分を都道府県で渡していく。こういう流れになっていって、最終的に医療機関で不足がないように補充をしていく、このような形になっているところでございます。

岡本(充)委員 それは前回、既に災害対策特別委員会で、政府参考人からその流れは聞いています。

 どのくらいの数量になったらこれの備蓄を放出していくか。もっと言えば、予防投与をスタートするのか。これは、国内でも一例見つかったらやるのかということは、私は主意書でも聞いておりますけれども、この検討というのはどのようになされているかということです。

上田政府参考人 これは、蔓延の初期といいますか、国内に患者さんが入ってきたときには、予防投薬ということも十分考えるということでこちらに使いますけれども、その次の段階で、いわゆる第三段階の蔓延期以降は、治療を優先するということで医療機関に集中的にタミフルを持っていくということで、これはあってはならないことですが、今後、国内に入ってその蔓延状況に応じて、予防投薬、それから治療に重点を置く、このような切りかえをどこかの時点で行うことになるのではないかと考えているところでございます。

岡本(充)委員 どこかの時点では困るんですよ。きちっとそこを検討して詰めておいていただかないと、ばたばたしてから急にやるという話では困る。したがって、ぜひ大臣、そこは詰めてまた御報告いただけますか。

舛添国務大臣 政府の対策本部、きょう、先ほど朝八時二十分から幹事会を開きました。そういう点についても細かい計画を立て、また必要に応じて公表いたしたいと思っております。

岡本(充)委員 そして、事業所における事業継続計画についてもお伺いします。

 実際、事業継続計画を立てるようにとガイドラインでうたっておきながら、私が聞いたところ、一体どれだけの企業がこの事業継続計画をつくっているかということについては、厚生労働省は把握をしていないというお答えでありました。そういうことではやはり困るわけでありまして、きちっと各事業所に、この計画を立てるよう改めて周知徹底を図っていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

舛添国務大臣 調査をいたしましたところ、本年二月時点において対策策定済みであるとする企業が一六%、それから検討中であるという企業は三六%ということで、そのレベルにとどまっておりますので、早急にこの事業計画を策定するように事業所、職場において呼びかけて、徹底を図りたいと思っております。

岡本(充)委員 続いて、検疫体制について確認をとります。

 米国、カナダ、メキシコから来た航空機については、今、検疫強化がなされているということでありますが、他の、例えばソウル、台北などを経由して帰国をする方もみえると思います。そういった意味で、人と時間がかかるわけでありますけれども、この体制強化をほかの便にも広げる必要があるのかどうか、これについて、今大臣はどうお考えですか。

舛添国務大臣 一番の問題は、第三国経由をどうするか。けさ、これは外務省並びに法務省に指示を出し、その点について検疫当局との連携を図れと。

 先ほど私が申し上げたように、基本的に申告主義になるものですから、正確に、メキシコにいたということを例えば台北から帰ってきた方がおっしゃらなければわかりません。ですから、そこを国民に協力してくださいというのは、そういうことであります。

 ただ、検疫体制の強化、これも柔軟に考えたいというふうに思っています。感染地が広がっていく、それに応じて全航空機、機内検疫をやらぬといかぬ可能性も出てきます。これは国土交通省に対しても、そういう可能性を考えて、場合によっては、極端な場合、便の数を減らす減便ということもやらないといけないかもしれませんので、危機が高まる段階に応じて危機管理のシミュレーションをやっているところであります。

岡本(充)委員 法務省にきょうお越しいただいておりますけれども、パスポートで確認をきちっととるということをもっと徹底されてはいかがかと思います。どうでしょうか。

高宅政府参考人 入国管理局といたしましては、既にフェーズ4の段階で、水際対策として、発生国に住所を有する方、これはEDカード等で確認できるんですが、さらに発生国の国籍を有する方の上陸申請に対して慎重な審査を実施するということをしておりましたが、これに加えまして、所持している旅券に最近の日付の発生国の証印があるかということについても確認いたしまして、発生国に最近滞在していたことが確認された場合には健康状態を確認するよう、全国の地方入国管理官署に対して既に指示しているところでございます。

 このような審査の結果、健康状態に異常が確認されましたときは、直ちに最寄りの検疫所に連絡するということをしております。

 なお、現在、新たな状況を踏まえまして、さらなる対策の強化を検討中でございまして、これも早急に実施したいと考えております。

 いずれにしましても、検疫所と連携を緊密にしつつ、感染者の水際での侵入防止を図ってまいる所存でございます。

岡本(充)委員 さらなる強化とは具体的に何ですか。

高宅政府参考人 ちょっと今の段階では検討中でございますが、例えば証印等で、入国、出国両方の証印があるんですが、出国の証印はしていない国等もあるということでございますので、例えば質問をするとか、これは実際にどこまでやるかはちょっと今、本当に検討中でございますが、そういったことを検討してございます。

岡本(充)委員 あわせて、今度は厚生労働大臣にお伺いしますけれども、この検疫体制、今、国際医療センター等から応援が来ているということですけれども、ほかの病院や大学等に要請をして、もっと人を集めてやるべきじゃないかと私は考えるんですが、大臣、どうでしょうか。

舛添国務大臣 きょうから防衛省の協力をいただいて、きょうは陸上自衛隊の防衛医官十一名、それから看護師二十一名の応援をいただいていますので、通常の体制の倍の百六十人から八十人ぐらいでやれるというふうに思っております。

 ただ、いかんせん、先ほど委員がおっしゃったように、これから検疫体制を強化していけば、しかも、これは私は長期戦になると思っていますので、短期での決戦で済みません。したがって、例えばきょういらしていただいている自衛隊の方々にしても、ずっと常におられるわけじゃないので、ローテーションを組まないといけません。けさ、それは各省に指示をしたところであります。

 我々も、医系技官を含めさまざまなお医者さんを各地に抱えておりますから、これをどう集中させるか。例えば今、成田、関空、名古屋ですね、中部国際空港、この三つに集中する。そうすると、先ほどの質問にありました羽田が若干手薄になる。今、東京、横浜から相当集中させていますけれども、そういうことがありますので、これは集中させながら、ローテーションも組みながら、どうするか、早急に体制を整えたいと思っております。

岡本(充)委員 人が必要であれば、ほかのセクションにも要請をするというお考えがあるかどうか、そこだけ端的に。

舛添国務大臣 我が省関連のほかのセクションのみならず、ほかの省庁に対しても要請をしていく決意でございます。

岡本(充)委員 その上で、この検疫強化体制をいつまで続けるのかということについて、これは政府参考人でも結構ですが、どういう段階になったらこれを解除するというふうにお考えですか。

上田政府参考人 検疫体制については、今回のWHOの宣言それから国内への侵入状況などを検討して判断することになりますが、現在、メキシコ、カナダ、アメリカ、特にメキシコを重点的に行っているところでございます。

 検疫の強化をいつまで行うかにつきましては、国内外の発生状況を検討し、検疫の体制を強化するか緩めるか、このようなことを今後検討していくことになりますが、とりあえず今回のことについて、国内侵入が防げる、国内に入ってこないというふうに確証できるまでは検疫を続けることになります。万一入ってしまって全体が蔓延状態になりますと、これは検疫は無意味になってしまいますので、その時点では、検疫体制はむしろ弱めることになるのではないかと考えているところでございます。

岡本(充)委員 それは悪い方の考えなんですけれども、ぜひ水際でとめられないか。WHOが、検疫、水際でとめようというのは無駄だ、無駄というか無理だというふうに言われたという人も、広報官が言っているという話もありますが、私はやはり、せっかくこの日本の地理的アドバンテージを生かすべきだと思っていまして、検疫体制の強化というのは、これは大臣、相当程度、WHOが例えばフェーズを下げてきたとしてもしばらく継続する必要があるんじゃないかと私は思っています。

 これは先ほども、どなたか委員が言われていましたけれども、スペイン風邪のときに、第一波ではなく第二波、第三波でより多くの方が命を落としたという実態を踏まえると、これは必ずしも、今回の波がたとえ小さかったとしても、ここで弱めるべき話ではない。日本に未侵入であればこれ幸いなわけでありますから、きちっと検疫体制を充実するべきだと私は考えますが、大臣、これについていかがですか。

舛添国務大臣 我々はある意味で、島国という地理的な優位性を持っていますから、空港、港湾を限定することによって、陸続きじゃないということで相当程度防げると思いますので、これは全力を挙げて水際作戦というのはやらぬといかぬと思っていますので、どのぐらいになったら手を緩めるかということではなくて、水際作戦を徹底して、まず入れない、このことに全力を尽くしたいと思っております。

岡本(充)委員 入れないんですけれども、私が言っているのは、WHOがフェーズ3に下げました、それをもって即検疫体制も緩めますという話ではないですよねという確認です。

舛添国務大臣 WHOの指示はあくまでガイドラインであって、我が国は我が国にふさわしいことをやりたいと思いますから、今のような状況になったときに、状況を見て柔軟に、しかし国民の命を守るということを最前線にして、例えば検疫体制は引き続き維持する、そういうことは十分考えたいと思います。

岡本(充)委員 その御決意をぜひ持っていただいた上で、ただ、経済に与える影響とか、国民のいろいろな意味での、旅行するニーズだとかいうことにも応じなければいけませんから、どういう検疫体制がいいのか、これは日々研究をしていかなきゃいけません。

 ただ、恐らく、今インフルエンザの迅速診断キットを検疫の場では使っているんだろうと私は思うんですね。これはWHOの方でこういう話があったと伝え聞くところによると、検疫だけでは無理だ、こういう話があるようですけれども、残念ながら、このインフルエンザの迅速診断キットもいわゆる偽陰性というものがあるわけであります。

 これはある製薬メーカーのホームページを見ましたら、偽陰性がおよそ一割程度はある。特に、このキットをつくっている会社のホームページを見ますと、小児と大人を比べた場合、小児は感度が高い、つまり大人の場合は感度が低い。それから、発症からの時間が短いと感度が下がる。つまり発症してまだ時間が短く、機内で発熱をしたような状況の場合、つまり搭乗前には発熱をしなかった場合、こういったときには感度が下がるんです。

 ここに書いてありますが、小児の場合、先ほど感度が高いと言われた小児でも、発症後六時間までの感度は、A型の場合は六四・三%、それから七時間から十二時間で九〇%。これは、高い方の小児でこれですから、どれだけ偽陰性があるかということは、大人の場合はこれより多いということになります。

 それから、一体どこの部位で検査をするかによっても感度が変わってくる。一番いいのが鼻腔の吸引液、その次が鼻腔スワブ、そして咽頭スワブの順に感度が高いんだ、こういうふうに書いています。

 したがって、機内でどういうような迅速キットの使い方をしてみえるか私は知りませんけれども、こういうことを踏まえて、ぜひ大臣、キットを使って陰性であったから、即、この人はA型インフルエンザではないんだといって、国内では発症例がありませんという話ではないんだということを踏まえて検疫をやっていただきたい。それを私から要請としてお話をしたいんですが、お答えいただけますか。

舛添国務大臣 今、即断診断キット、それから、ほかのA型との区別をどうするかということでPCRを入れておりますけれども、ただ、人間がやる検査ですし、そういう判断のキットにしても一〇〇%完璧であるわけではありませんから、そういうことも含めて、何重にも対応の手をとっておかないといけないと思います。それが危機管理だと思いますので、今委員がおっしゃったことはしっかりと配慮しながらやりたいと思います。

岡本(充)委員 つまり、疑わしい人を比較的広目にとって、その人が経済的損失を受ける可能性がある、それは後でどうにかして、まどえるものはまどうような方法は考えなきゃいけないと思いますが、我々としてできる網を広く広げて待っていないと、要するに、ストライクはここだけだと思っていたら、違うところもストライクだったという話になりかねない。

 そういう意味では、今回、鳥インフルエンザのマークを一生懸命やってきて、残念ながら豚の方のマークがちょっと緩かった。きょうは農水省に来ていただいています。豚のいわゆるサーベイランス、鳥に比べて手薄だったという認識はありませんか。

梅田政府参考人 高病原性鳥インフルエンザは、感染力が非常に強く、感染した家禽はほぼ一〇〇%死亡するため、家畜衛生上重要な疾病として、家畜伝染病予防法で法定伝染病とされております。このため、的確なモニタリングにより早期に発見、摘発することが重要と考えております。

 一方、豚インフルエンザについては、豚では一過性の発熱、せき等の症状を示し、通常一週間ほどで自然治癒するものであり、家畜衛生や畜産経営の観点から大きな障害になる疾病ではございません。このため、家畜伝染病予防法の対象疾病とはせず、サーベイランスにより我が国における豚インフルエンザウイルスの保有状況を調査しているところでございます。

 しかしながら、メキシコ等で人から人への感染事例が確認されたことから、新型インフルエンザ対策上の重要性にかんがみ、今後、サーベイランスを全都道府県に拡大して実施する等、これまで実施してきたウイルス保有状況の調査の一層の充実を図るべく準備を進めているところでございます。

岡本(充)委員 上手に言われますけれども、要するに、やはり頭数が少なかったという反省があるんだと私は思いますよ。それだからふやそうという話になるわけです。

 大臣、先ほどもお話をしましたように、鳥で一生懸命我々はウオッチしてきた、マークしてきた、サーベイランスしてきた、しかしながら今回は違う動物ではないかと言われていますけれども、そういう形になる。

 先ほどの羽田の話もありましたけれども、空港も本当にその三空港だけかどうかはまだわからない。ソウルから帰ってくる人は、ほかの空港にも帰ってくる可能性があります。

 そういう意味でいうと、より大きな網を広げておく必要がある。特に検疫についてはそういう体制をとっていただいて、疑わしい方については確実に、その方が我々日本国の中で蔓延の源とならないような措置をとる、こういう決意を一言いただきたいと思います。

舛添国務大臣 幾重にも備えをし、特に検疫体制の強化を図りたいというふうに思っています。

 きょうは大変貴重な御意見を岡本委員からいただきましたので、十分参考にして、対策に役立てたいと思います。

岡本(充)委員 そのほか、きょうはいろいろな省庁から来ていただいておりますが、確認をしておきたいと思います。

 きょうは食品安全委員会の委員長にもお越しいただいておりますけれども、豚肉は安全だ、食べても安全だ、おっしゃるとおりだと思いますね。加熱して食べるのが大体基本的な食べ方でありますから、そうだと思います。

 しかし、それに至る調理の過程になると厚生労働省だ、こういう話になりまして、縦割り行政のよくないところですけれども、これは安全だ、安全だだけじゃなくて、そもそも食肉であり、サルモネラもそうですし、他の菌等が付着している可能性もある。そういう意味では、安全だ、安全だだけではなくて、やはり十分な注意をする必要があるという認識、これは間違っていませんよね。

見上参考人 岡本議員のおっしゃるとおり、認識は間違っていないと思います。

岡本(充)委員 ですから、ぜひ厚生労働省も、また農林水産省も、きょうは食品安全委員会もお越しでありますから、もちろん、豚肉を食べることで感染をすることは基本的にはないと私は思いますけれども、十分注意をして調理し、調理後の器具についてもきちっと洗浄する、加熱消毒する、こういったことをすることも含め、広報していただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 それから、きょうは文科省にも来ていただいておりますけれども、日本に万が一ウイルスが侵入してしまった場合、どの段階で、小学校、中学校、公立の場合は休校措置をとるのか。

 これは議論にもなっておりますけれども、県境の場合だったら、例えば私の愛知県でいえば、豊橋で発生した場合は隣の浜松は休校にならないけれども、県の反対側である私の選挙区の一宮もしくは稲沢近辺は休校になるという話では、これはなかなか話として理解しづらいところもあるわけでありまして、どういうふうな休校措置をとるのか。また、私立学校についても強制力を持たせられるのか。この点についてお答えいただきたいと思います。

尾崎政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、休校についてのお尋ねがございましたけれども、私どもが定めております新型インフルエンザ対策に関する文部科学省行動計画の中で、今御指摘ございましたとおり、国内発生早期の対策といたしまして、休校の措置についての指示といいましょうか考え方を示してございます。

 具体的に申し上げますと、これは政府の行動計画を踏まえた内容でございますけれども、まず、都道府県において第一例目の患者が確認されるなどによりまして、都道府県の保健部局等から学校の臨時休業の要請があった場合、あるいは、学校におきまして児童生徒や教職員に新型インフルエンザの患者が発生したことがわかった場合、こういった場合に、学校の設置者、公立学校であれば教育委員会、私立学校担当部局であればそれぞれの設置者ということになるわけでございますけれども、その設置者は、臨時休業の開始時期等を検討し、適切な措置を講じるということになってございます。

 それで、今御指摘がございましたとおり、例えば県境のような場合にどうするのかということにつきましても、政府全体の新型インフルエンザ対策ガイドラインの中で考え方が示されてございます。

 具体的に申し上げますと、患者が確認をされていない都道府県においても、近隣の都道府県において学校等の臨時休業が実施された場合には、生活圏ですとか通勤通学の状況等を踏まえ、学校の臨時休業について検討し、必要であれば要請をするというような考え方になっております。また、県全体ということではなくて、その状況によりまして、都道府県の生活圏、通勤通学の状況を勘案して、市区町村単位で臨時休業の開始時期の要請の判断を行うこともあり得るというふうにされているところでございます。

岡本(充)委員 より明確なガイドラインをやはりお示しいただきたいと思います。

 これで大体質問の時間が来ましたので、最後に確認をしておきます。

 現時点で、国内における感染の疑い、確定はないとしても、感染の疑い症例もしくは停留人数は何人なのか。そして、今厚生労働省が電話の相談窓口を設置されているそうですけれども、ここは回線を何回線持っているのか。これは参考人で結構でございますから、事実関係を御説明いただいて、質問を終わりたいと思います。

上田政府参考人 厚生労働省では二十五日から電話対応、コールセンターを開始いたしまして、現在、九時から夜の九時まで十四回線でやっております。

 また、水際で、検疫業務の中で、疑い症例あるいは疑似症例というものはまだ一件も報告、確認をしておりません。

岡本(充)委員 ぜひ、万全の対策をお願いします。

 ありがとうございました。

田村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 けさ、メキシコ以外でも死者が発生したこと、感染国が七カ国以上ということで広がってきた、そうしたことを踏まえ、WHOがフェーズ5に移行したことを発表いたしました。世界的大流行の一歩手前まで来ているということで、大変緊張感が高まっているときであります。大連休が既に始まっていること、また深刻な経済不況の中である、こうしたことから、混乱に拍車をかけることにならないかということが危惧をされるところだと思います。

 そこで、大臣に最初に伺いたいと思うんですが、昨年四月、ちょうど今ごろ、感染症法の改正を行いました。そして新型インフルエンザ対策についても議論をいたしました。そのときの議論が生かされているのかということがやはり問われているのではないかと思うんです。

 当初は、鳥インフルエンザから変異して新型になるということが想定されていたこと、あるいはアジアや途上国からの発生ということが念頭に置かれていたこと、この点では違いがあるかと思うんです。ただ、もともと、豚が介在してウイルスが変異するということは言われてきたわけであって、新型インフルエンザ行動計画並びにガイドラインがやはりどれだけ徹底されるか、ここにかかっているのではないかと思います。ことしの二月十七日にこのような改定版も出されました。

 昨年の法改正以来の取り組みと、そして大臣が今認識している課題は何か、端的にお答えください。

舛添国務大臣 今委員から御指摘がありましたように、新型インフルエンザ対策行動計画を改定した、それから新型インフルエンザ対策ガイドラインの策定を行いました。

 特に現場の方々との連携が必要でございますので、ことしの三月には医師会との意見交換会を行いましたし、一月には地方自治体担当者への説明会とかブロック会議などを行いまして、また、二月から三月にかけて、全国の八会場に赴きまして、自治体の新型インフルエンザ対策担当者等、二千名を超える方々との意見交換を行いました。

 それから個別対策では、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄を国民の約二三%から四五%まで引き上げることとしましたし、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、水際対策用の個人防護服、それからマスクや人工呼吸器の整備など、補正予算などを利用してこれを実施しております。

 ただ、問題は、今回私も陣頭指揮をやっていて思いますのは、どうしても都道府県、市町村との連携、それから現場の医療機関がどこまでやってくれているのかの把握が必ずしも十分でないということで、ここを総務省の力もかりて今強化せぬといかぬというように思っています。

 これは、まさに現在進行形で危機が進んでおりますので、体制が整っていないからというような弁解は政府には許されません。全力を挙げて、中央、地方の政府を総動員し、また国民各位の御協力をいただきながら、まさにオール・ジャパンでこの危機を克服する、そういう思いで今後とも取り組んでまいりたいと思っております。

高橋委員 ありがとうございました。

 昨年の参考人質疑で、成田検疫所の所長の藤井氏が、水際対策と国内対策を両輪でやる必要があると指摘をいたしました。今日、海外からの入国数が、十六万機、三千万人、日に八万人が入国をしてくるのだ、何としても水際で食いとめたいという決意と同時に、しかし水際だけでは限界がある、こういう指摘があったかと思います。

 私は、そのときの委員会の質問で、先ほど来も出されているわけですけれども、やはり検疫の体制が弱いのではないかということを指摘いたしました。そのときの数字が、百八カ所、三百四十八名の検疫官であると。明確にされていなかったのは、検疫官のうち医師数が幾らかということです。まず、そこをお答えいただいて、現在どうなっているのかを具体的にお話しください。

石塚政府参考人 お答えいたします。

 全国百八カ所の検疫所等に検疫官を配置しておるところでございますが、今年度には、昨年度と比較しまして十名分増員しました。これで、プロパーの職員数でございますが、三百五十八名としたところでございます。

 また、医師は何名かということでございますが、こうした有症状者の健康を的確に把握して診察を行います検疫担当者として医師が配置されておるわけでありますが、今年度の状況で申しますと、医師は六十三名でございます。ちなみに、看護師資格を持った者が六十七名という状況でございます。

高橋委員 私、実は昨年、医師数を聞いたそのときの関心事は、機内検疫をしたり、あるいは入管から、もちろんサーモグラフィーをやって通るわけですけれども、十日間以内に関係する国を通ってきた人がいるとなったときにまた検疫所に返される。そういうことをするわけですけれども、そのときに、検疫所の外にきちっと医務室のようなものがあって一定の対応をとるんだということが説明をされていたわけですね。そういう点では、今回、機内検疫もやる、かつ検疫の中、外に出てからそういう体制もとるということでは、非常にまだまだ手薄なのではないか。

 防衛医官の応援体制などがこの間とられてきたということは当然ではあるけれども、しかし、今は絞った対応なわけですね。当初は、中国だけでも日に五十五便が来るんだ、要するにアジアからのことを念頭に置いていましたので、三空港に集約するんだということを言っていたわけですが、今回はもともと三空港しかアメリカとメキシコ便がないのだということで、当初の予定よりは便の数が若干少ないということがあるわけです。

 ですが、先ほど来お話があるように、質問票をすべての海外からの入国者に送るということもあるのですから、集中するだけでは今度は対応できなくなるということになると思います。当然、そういう点での増員体制というのは本格的に取り組む必要があると思いますが、いかがでしょうか。

石塚政府参考人 今後、現在対応しておりますメキシコ、アメリカ本土、カナダ以外に、どれだけの国に広がりを見せるかということは今後のWHOの判断にゆだねられるところでございますが、仮に今後、対象国が広がっていくという場合には、先ほども大臣が答弁いたしましたように、これは厚生労働省だけでなく、ほかの機関にも応援をお願いするということも考えなくてはならない。そういったことも踏まえまして、私どもも、今後とも検疫体制の強化あるいは充実というものに対して取り組んでまいりたいと考えております。

高橋委員 一足飛びにはいきませんが、まず、全体の底上げということは何としても必要なのだろうということで、これは大臣にも強く要望しておきたいと思います。

 次に移ります。

 ほかの機関からの応援ということで一定時間はやりますね、そしてそのうち、水際対策よりも国内対策に漸次移っていくということで、水際対策の人が少しずつもとに戻っていって、かつ国内対策ということになるわけですけれども、そこの間にすき間があってはならないということになって、国内の対応も余裕を持って体制が整う必要があるのだろうということをまず指摘していきたいと思うんです。

 そこで、国内に残念ながら侵入をしたとき、検疫の段階ではわからなかったけれども、その後発症するということをまず検討せざるを得ないわけですけれども、できるだけ感染を広げないための時間を稼ぐ必要がある、そしてそのことを、今まだできていないワクチンの問題ですとか、そうしたことにつなげていく必要があるわけです。

 そこで、資料の一にあるように、四月二十八日に、厚労省は、健康局長名で各都道府県知事などに「新型インフルエンザに係る対応について」という通知を発出いたしています。

 五項目あって、四番目に「積極的疫学調査の体制強化」、これも難しいが、非常に大事なことだと思います。五番目に「発熱相談センターの設置及び医療体制の確認」ということが述べられております。これですけれども、二十八日に通知をしたけれども、こうした事態が起こったときに、どこに設置をするのかということはもともと決めておく必要があったと思います。どのくらいの地方自治体で発熱センターの設置場所の特定、あるいは訓練などをやっているでしょうか。

上田政府参考人 今般の事態に対応しまして、速やかに地方に体制をとらすべく、とりあえず四月二十八日に通知を発出したところでございます。

 各都道府県における発熱外来につきましては、四月二十九日時点で、対応済みの都道府県が三十一カ所、今対応中というところが十六カ所であると承知をしております。

 また、発熱相談センターにつきましては、四月二十九日時点で全都道府県に既に設置をされたと認識をしております。

 このように、各都道府県におきましては早急に医療体制の整備を今行っているところでございますが、引き続き、このような都道府県の医療体制整備の状況把握と、必要に応じた支援を行ってまいる考えでございます。

高橋委員 発熱相談センターは、看板を上げるだけではうまくいかないということがあると思うんですね、医師、資材、スタッフなどさまざま必要である。

 それで、少しイメージができるものとして、資料の二を見ていただきたいんですけれども、多摩立川保健所が発熱センター運営のための手引きというもので図を示しています。

 これは一人の医師が診察する場合ということで、初期の段階なわけですけれども、要するに、入り口と出口を分けて動線を単純にするということ、医療従事者を介して感染を広げないということが言われていると思います。ですから、呼ばれた人、待っている人たちが二メートル間隔で待機をするということが図によって示されていたり、症状がない人が帰宅をして、その後の診察と一切分けるなどという様子が描かれているわけです。

 さらに、その次をめくっていただきますと、一体どのくらい必要なのかということを書いているわけですね。例えば立川市の場合は、人口十七万一千三百二十五人なので九カ所必要である。昭島の場合は、十一万三百六十八人なので六カ所必要である。こうしたことが細かくされて、また体制についても、資料の四枚目ですけれども、八時間連続勤務というのは非常に無理である、ですから、待機や勤務をきちっとローテーションを組んでやっていく。そうすると、市の職員が十三人必要だし、医師は二人、看護師六人、こういうことも明確にされているわけですね。

 実際、このような相談センターについて、これは東京都の中の取り組みですけれども、国としてはどれほど基準を示しているのか、また、そのための国による財政補助がどうなっているのか伺います。

上田政府参考人 財政補助について御説明を申し上げます。

 平成十九年度補正予算、平成二十年度補正予算により、新型インフルエンザ発生時に感染者の入院医療を担当する医療機関に対しまして、人工呼吸器及び個人防護具の整備に対する補助を行いました。

 十九年度補正予算では、PPEの整備に約六億円、これは十二・六万セット、それから二十年度補正予算では、個人防護具、約十億円で五十九万セット、それから人工呼吸器については十九億円で、二次医療圏、これは大体保健所の範囲でございますけれども、二次医療圏につき五台、このような補助を行ったところでございます。

 また、本年二月に策定いたしました医療体制ガイドラインにおきましては、既存の医療機関に専用外来を設置する形態が望ましいが、地域の特性に応じて柔軟に対応すること、新型インフルエンザ以外の疾患の患者と接触しないよう、入り口等を分けるなど院内感染対策に十分配慮すること、感染対策が困難な場合には施設外における発熱外来設営などを検討すること、また、実際の運用を確認するため、事前に訓練などを重ねておくことが望ましいこと、このようなことについて、設置に当たって必要になる事項を示したところでございます。

高橋委員 今のお答えでは、一つは、一般医療機関に対しても院内感染を防ぐための専用外来を設けろというふうなことをおっしゃいましたけれども、今の段階では、実際には指定医療機関に防護服などの補助をしている段階であるというのが一つだと思います。それから、発熱相談センターについては、外にということが当初から言われていたわけですけれども、そういうことも検討せよというだけであって、今私が紹介したような詳細な基準については実は何も決まっていないということでよろしいですか。

上田政府参考人 これは、大都市であるか過疎地であるか、人口の密集度、あるいは医療機関の配置等々ございますので、私どもとしては、一律にこうすべきというよりは、地域の特性に応じて柔軟に対応してほしい、このようにお願いしているところでございますが、個別に御相談があれば、その点についてはできるだけ支援をしていきたいと考えているところでございます。

高橋委員 確かに、地域によって、人口密集地とそうじゃないところの違いくらいは当然あると思います。しかし、個別に相談があればということを今言っているのはいかがか。一年前に、地方に対して明確な基準がないじゃないかということを私指摘しましたけれども、しかし、やはりこの段階でそのようなことを言っているのはいかがなものか。もう少し明確な国の姿勢を示すべきだと思いますが、これは大臣に一言お願いいたします。

舛添国務大臣 そういう基準を明確にするというのも一つの対策だと思いますので、そのことも含めて検討したいと思います。

高橋委員 次に、入院の問題ですけれども、感染症指定医療機関はまだまだ足りず、また、地方では身近にないわけです。このガイドラインの中でも、一般的な地方の病院でも、例えば一病棟丸ごとそこに充てるなどということで対応することができるように書いているわけですけれども、そういう条件が現実にあるのか、あるいは準備状況を何らか把握されているのか伺います。

上田政府参考人 今、準備状況については順次調査を進めているところでございますが、政府で策定している新型インフルエンザ対策ガイドライン等におきまして、国民一般に対し、新型インフルエンザの罹患が疑われる症状の方は発熱外来以外の医療機関には直接受診せずに、保健所等に設置される発熱相談センターに電話等でまず問い合わせをしていただき、その指示に従って、指定された医療機関で受診していただくこととしているところでございます。

 また、新型インフルエンザに関する感染防止方法について取りまとめ、周知していくことにより、感染症指定医療機関以外の医療機関においても適切な感染防止策がとれるよう、これから取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

高橋委員 もともと、病床の削減ですとか財政難ということが言われておりますので、これも非常に急がれる問題だと思います。

 その話をする前にもう一つ伺いたいんですが、残念ながら措置入院となった場合、公費負担となります。しかし、今回の新型インフルエンザであるということを特定される前に感染が疑われる場合、任意の入院をお願いすることになりますけれども、その際は自己負担であるということを聞きました。

 私は、短期間の勝負であり、負担がネックになって蔓延を防ぐことができないということはやはりあってはならないと思いますので、これは一切公費負担ということで検討されたらいかがかと思いますが、どうでしょうか。

上田政府参考人 新型インフルエンザの患者さんあるいはその疑似症患者さんとなった場合には、これは法的な措置として入院をしていただくことになるため、公費負担の対象となるわけでございます。

 任意ということであれば、これは当然ながら、任意で新型インフルエンザの患者さんということはないわけでございますので、そういう点では、任意の方については公費負担はあり得ないんですが、そういうことで、インフルエンザの疑似症の患者さんであっても、そのように診断された方については患者とみなして入院措置の対象となるため、公費負担の対象となるわけでございます。

高橋委員 ちょっと今の答えは、任意であるというのは、何も好きこのんで私インフルエンザかしらと思って入院するわけじゃないわけですよ。結果が出るまでわからないから入院してくださいということをお願いするわけでしょう。でも、結果が出ていないから措置はできない。そういう言ってみれば国の都合で、本人が外に出ない方がいいよということでやるわけですから、準措置なわけですよ。これはあいまいにしてはいけませんよ。

上田政府参考人 医師が、疑いがあり、疑似症の患者と判断した時点で公費負担の対象となります。

高橋委員 では、そこは徹底して、疑いがあるところも含めて公費負担であるということを確認させていただきたいと思います。私が説明を受けた時点では、要するに確定診断がされてからというふうに受けていますので、そこは整理をしたいと思います。

 時間が来てしまいましたので、例えば、仙台市の日赤病院が来年三月末で結核病棟を閉鎖するという方針を決め、ことしの九月末で新患の受付を終了するということが言われています。不採算が原因ということを言われていますが、もともと結核は不採算であるわけです。それで、病床のことを言ったときに、必ず、結核病床も含めて感染症対応病床を充実させるのだ、そこで対応するのだということを言っておきながら、国がこうした大事なところをどんどん減らしていっているというのが現状である。やはりここを、国がまず責任を持って閉鎖を見直すべきだということを指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田村委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 私は、本日の事態、ちょうど一カ月ほど前でしたか、この厚生労働委員会で一般質疑の時間をいただきましたので、今の日本の新型インフルエンザ対策では抜けているものが大きくあるのではないかということで、冒頭の一枚目にお示ししてあるような、豚が中間寄主になって、そこから感染が拡大していくような事態にも注意を喚起すべきだということを指摘させていただきました。

 私がこの指摘をいたしますに至る背景ですが、実は、新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議、平成二十一年二月十七日のものを拝見しても、私はここには三つの大きな落とし穴があるように思いました。

 一つは、世界的な疫学フォローアップ体制。なぜなら、これはあのとき申しましたけれども、カモの中に常在するA型インフルエンザというものが、鳥や豚、人と関連しながら、いわば人獣共通感染症として拡大していっているというのが第一ですので、もっと世界的な疫学の体制を構築しなきゃいけないし、その場合に日本は十分リーダーシップをとれるんだということがここには抜けておるのではないか。

 また、過度にワクチンの、それもこの一枚目を見ていただくとわかりますが、これは北海道大学の喜田先生がおつくりになった図に私が勝手につけ加えたので申しわけありませんが、ヒト、ヒト、ヒトと片仮名で三つ書いてありますところ。これは、鳥の高病原性鳥インフルエンザウイルスが人に来て、人に広がるぞということでずっと日本が開発してきたワクチンの行政は、本当にそれだけなのか、いつそこを判断すべきなのかで、過度にそこだけにとらわれたらやはり問題があろうということなど考えました。

 またもう一つは、きょうもそうですが、各省庁間で本当に連携がとれているんだろうかということであります。

 順次聞かせていただきます。

 舛添大臣は、こうしたプレパンデミックというか、もうパンデミックになるに際して、やはり正しい情報が一番だと。本当にそうだと思います。この正しい情報の第一は、今回は、メキシコで起きている事態についての正しい情報だと思うんです。

 これは健康局長でも結構ですが、答弁、繰り返しかもしれませんが、メキシコで亡くなられている方々の死因ですね。そして、特にインフルエンザの場合は、呼吸器感染症にとどまっているのか、あるいは全身の、サイトカインストームといいますが、全臓器に及ぶのかによって、重症度、きょうは強毒とか弱毒とか言っていましたが、ここが違うわけです。そういうことについて、今厚生労働省は情報を得ておられるかどうかです。亡くなった方の死因が何であるか、そして全身臓器に及んでいたかどうか、この事実確認をお願いいたします。

上田政府参考人 まず、メキシコで、いわゆるPCRによって本当に確定診断ができたものは七名でございますが、報道ではそれ以上の多くの方の死亡が報告されています。

 一方、アメリカでは、メキシコに行っていた幼児がテキサスで死亡したということで、アメリカの例はほとんど死亡者がなく、昨日のCDCあるいはWHOの会見なんかを聞いておりますと、入院も必要ないほど軽症であるということでございますが、メキシコの例については非常にわからないというのが現状でございます。

 おっしゃるようなサイトカインストームの可能性を指摘する方もあるところではございますが、現在それについてもいろいろ情報収集中でございますけれども、現時点ではよくわからないというのが現状でございます。

阿部(知)委員 ここの実態をつかむのに、もちろんWHOのさまざまな方法というか方策は必要ですが、私はやはり、こうした国境を越えて物事が一瞬に動くようになったとき、日本もきちんとした情報収集網を持つべきだし、また持てるんだと思うんですね。

 ところが、現在、メキシコには日本のJICA関係の皆さんが、シニアボランティア十三名、あるいは海外協力隊二十人、そして専門家がお二人、この専門家の中には保健師さんがおられるそうですが、これらいずれの方も帰国されてしまう。もちろん、御自身も危険だから、このことはとやかくは言えませんが、しかし、それで本当に正しい情報を得られるだろうか。

 まずは、起きたことは恐らく、豚を飼っている人に人獣共通感染が起こり、人から人に、ここには医療レベルの問題もあり拡大する。そして、そこで先ほどのPCR方法等々でウイルスを確定する作業も、実は、先ほどの御答弁では、簡単に言うと、何だか日本はWHOに劣っているやに御答弁でしたが、そうではないわけです。今は、今のはやっているウイルスの元株を持っているところがアメリカ、そこからもらわねばならないから日本の研究で確定するのがおくれるだけであって、技術的には日本は十分、日本の医師たちは能力を持っているし、また、これまでも、WHO関連のレファレンスラボラトリーというんですけれども、そういう材料が来たときに日本は協力して率先してウイルスの型分類もしているわけです。私は、やはり日本が、WHOが何か大きな巨大なもので、その下に日本があるんじゃなくて、むしろリーダーシップをとっていくというふうに考えるべき時代になっている。

 ここで舛添大臣にお願いがございます。

 実は、文部科学省の中に、新興・再興感染症研究拠点形成プログラムという長いプログラムを持った一つの、これは再興・新興感染症のために海外の、例えばインドネシアや中国や、各国のリサーチセンターと協力して事を進めていくというのが、何と二〇〇四年の骨太方針で既に決まっておるわけです。

 年間二十億円のお金がついて、先ほど私が申しましたように、各国で日本の科学者たちが、その地域ではやる感染症等々についても情報を得る。ちなみに、タイ、ベトナム、中国、ザンビア、フィリピン、インド、インドネシア、ガーナとか、各大学が協力して、そこの例えば診断技術を上げる。どんなウイルスがはやっているか等々も検索して、そして相手の技術を向上させていくという、本当にいい取り組みをしていると思うんです。

 ぜひ、関係閣僚会議におきましては、例えば、メキシコからは今、マスクを送ってくれとかタミフルを送ってくれとか器具を送ってくれという要請は来ていても、日本って本当にどこでも、そういう物と金しか要求されないんじゃなくて、人がすぐれているし、人が協力できる体制を外務省、文科省、厚生労働省でおとりいただきたいんです。できるんです。ただ、そういう目を持たなければできないし、いつも受け身ではこうした時代は乗り越えられないと私は思います。

 これはきょう初めて申しましたので、まず大臣には、私は舛添大臣ならできると本当に心からそう思いますので、ぜひ、そういう文科省の各国の大学やリサーチセンターと共通した取り組みの中にメキシコも上らせていただきたい。やはりここも重要な情報源で、日本の研究者が行った方がいいし、実は私は、SARSが発生したときの中国に行って、外務省に厚生労働省の方が一人しか派遣されていない、これでは厳しいなと思った経験があります。そこで大臣に、きょう初めて申しますが、御検討いただけまいか、お願いします。

舛添国務大臣 いみじくも阿部さんがおっしゃったように、日本に何が欠けているか、情報。情報小国であるので、これは国力として最大の欠陥でありますけれども、そういうことの訓練というのは我が学校で行われていない。私は、若いころ海外だったので徹底的にそれを鍛えられた。今回も、手足を使って片っ端からメキシコの病院に電話をかけさせた。答えが返ってきません。そして、今情報管理下にあるとか、それは健康局に聞いてくれというような話しか返ってこない。

 できれば人を派遣できればと思っていますが、今のような国際協力の輪を活用しながら先頭に立ってやるということが必要なので、やはり、ニーズがなければなかなか省庁の垣根というのは取り払えないので、これはやはり内閣主導できちんとやるべきだと思いますので、ぜひそれは活用させていただきたいと思います。

阿部(知)委員 実は、私はこの前、豚が中間の培地になるということをお話ししましたが、今、逆にH1N1が、これまでのスペイン風邪もソ連風邪もそうですが、それが日本で、パンデミックになると、その場合の人間に対する危害の大きさというのはまた別途検討しなければいけない。パンデミックという拡大した流行と一つ一つがどんな害を及ぼすかというのは、実は全く一緒ではないということはきょうのこの質疑の中でも明らかになりましたし、舛添大臣はそこを明確に区別されて御答弁であったと思うので頼もしく思いますが、今、事態はさらにもう一つのアンテナを張らなきゃいけなくなりました。

 この一枚目でお示しいたしましたが、今、あえて言えば一番懸念されるのは、もちろん目下のH1N1のパンデミックもあるのですが、高病原性鳥インフルエンザウイルスが豚に証明された。私がこの点々で書いたルート、これがインドネシアから報告が上がっております。これは、神戸大学が、先ほど私の御紹介しました新興・再興感染症研究拠点形成プログラムの中の資金を得て、インドネシアに行って、現地で豚をきちんとフォローした結果、何と、日本がこれまでずっと恐れてやってきた高病原性鳥インフルエンザウイルス、そのウイルスが豚の中で捕まっておるということなのであります。

 鳥だとか豚だとか何だとかこういうことばかり言っているようですが、この知見も、日本なればこそやはり世界に先駆けてできたし、この点についてもしかして大臣は御存じであったろうか。私は、きょうはみんなH1N1を取り上げて、それは大事と思います。しかし、もしかして、今あるのは予行演習かもしれません。これまでずっと警戒していた高病原性鳥インフルエンザが豚に来て、そしてその豚から人に来た場合は、H5が入っているということはやはり大変なことなのです。

 この情報について御存じであったかどうか、大臣に伺います。

舛添国務大臣 なぜメキシコだけが重いのかということのなぞを解くときに、実は阿部さんのこの紙を思い出して、ひょっとしたらH5N1がメキシコの豚に入っているんじゃないかというのは私は、まあ私が言うと大きくなりますから、いろいろな仮説の中でそれをまず考えたわけであります。

 私は医者じゃないので詳細なことはわかりませんが、あらゆる可能性があると思いますので、今、私たちがせっかく世界に広げているネットワークから入ってきている情報を生かしたいと思っております。

阿部(知)委員 ぜひ大臣には、文科省がやっておる先ほどの新興・再興感染症研究拠点形成プログラムに参加されている学者の皆さんからも鋭意情報を得ていただいて、本当に日本が最も世界の中でこのインフルエンザ対策を先んじたと言われるように御尽力をいただきたいと思います。

 引き続いて、ワクチンのお話に移らせていただきます。

 先ほども岡本委員とのやりとりの中で、今既にあるインフルエンザのワクチンの製造と、H1N1、豚のパンデミックという、指定されたワクチンの製造と、どちらを優先すべきかというふうなお話がありました。大臣がおっしゃったように、これはなかなか苦悩の対象ですが、私はここで一つの提案があります。

 実は、現在人に使われているインフルエンザワクチンも、いろいろ私どもが臨床で使ってみて、果たして、発症というか症状が出てくる方が少なくなったろうか、あるいは重症化についても少しいい方向があったろうかというと、ことしなどは、はっきり言って、インフルエンザA型に二回かかった、B型にさらにかかったと。私どもから見れば、ワクチンの効能も、ちょっとこれは患者さんに勧めるにも懸念が起きているような事態がもう発生しております。

 日ごろの、こちらの方の通常のインフルエンザワクチンの改良ということも取り組み、そして、もっと迅速にこちらもつくれるような体制というのは現在可能ですので、これはどっちかではなくて、現状のインフルエンザワクチンの製造過程ももうちょっと改善できるし、それとあわせて豚の方をやる、ないし、もしかしてこちらに乗せられるかもしれない。だって豚は、みんな今のは、スペイン風邪もそうですが、H1N1なんです。そうすると、今つくっているワクチンとも共通を持つかもしれません。

 ここは、大臣が今ハムレットのように悩んでいられるところを、ワクチンのそれなりの専門家ともう一度、現状のインフルエンザワクチンの改良点はあるかどうか、私はあると思っていますが、そういうこととあわせて検討をしていただきたいですが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 新型インフルエンザ、ずっと私も研究してまいりました。そして、今回、それこそ雨後のタケノコのようにテレビでたくさん専門家という方が出ておられますので、そういう方々のフォローをしていますが、だれが正しくてだれが間違っているのかよくわからない。それで、私のもとに、異なった意見を持っている、そして最先端の研究者を集めて、少しそういう作業をやりたいと思っております。

阿部(知)委員 その際に、お願いがございます。

 実は、こうした事態は、一年前の感染症の審議のときに、その附帯決議の三で、「新型インフルエンザの感染予防対策の重要性にかんがみ、」今のような型別のワクチンだけでなくて、「経鼻粘膜投与技術及び細胞培養による大量生産技術の開発等を推進すること。」と附帯決議に上がっておったわけです。

 果たしてこの一年間、何がどのように改善されたのか。附帯決議と申しますのはただつければいいだけではなくて、こういう事態が来得るからあのとき附帯決議もあったと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

上田政府参考人 今回の新型インフルエンザあるいは季節性のインフルエンザ対策を進める上でも、ワクチンの確保は重要な課題でございます。例えば、国内でのワクチン生産体制をあらかじめ整えるための技術開発も進める必要があると考えております。

 このため、これまでも国産のワクチン研究開発のための必要な予算などを確保してきており、平成二十一年度は、厚生労働科学研究費において、経鼻ワクチンの研究開発を推進するための研究を採択し、経鼻ワクチン開発を推進しているところでございます。

 また、国立感染症研究所におきましては、万能ワクチンというようなものも発想がございまして、この点についても研究が進められているところでございます。

阿部(知)委員 今御答弁になかったですが、ワクチンの製造の過程を、大量にもっと早くできるような方策も、日本の今の普通のインフルエンザワクチンもそうですが、やはり、もっと大量にスピーディーにつくれる方策、加える、アジュバントというんですが、それなどによって、今はわかってきております。日進月歩のワクチンの取り組みの中で、おくれることのないようなきちんとした対応をお願いしたい。

 ちなみに、最後の御説明しなかった図について、これは、H1N1型ではなくH5N1型で実は死者が出ている国、特に多い死者、中国、ベトナム、インドネシア、パキスタン、エジプト等々でありますが、ここでは、今度は鳥に戻ります、鳥にワクチンをやっているために、そこで実はウイルスが死に絶えないで長引いていっているのではないかという指摘もございます。ここが諸外国との連携が必要な理由で、例えば中国からの情報、そしてインドネシアからの情報、これからとりわけ重要となりますので、ぜひ舛添大臣には御尽力いただきたいと思います。

 終わります。

田村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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