衆議院

メインへスキップ



第18号 平成21年6月12日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十一年六月十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田村 憲久君

   理事 上川 陽子君 理事 鴨下 一郎君

   理事 後藤 茂之君 理事 西川 京子君

   理事 三ッ林隆志君 理事 藤村  修君

   理事 山井 和則君 理事 桝屋 敬悟君

      赤池 誠章君    新井 悦二君

      井澤 京子君    井上 信治君

      飯島 夕雁君    遠藤 宣彦君

      大高 松男君    金子善次郎君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      杉村 太蔵君    平  将明君

      高鳥 修一君    谷畑  孝君

      戸井田とおる君    長崎幸太郎君

      西本 勝子君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    林   潤君

      原田 憲治君    平沢 勝栄君

      福岡 資麿君    村田 吉隆君

      渡辺 博道君    内山  晃君

      岡本 充功君    菊田真紀子君

      小宮山泰子君    郡  和子君

      園田 康博君    長妻  昭君

      西村智奈美君    細川 律夫君

      柚木 道義君    坂口  力君

      福島  豊君    古屋 範子君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   厚生労働副大臣      大村 秀章君

   厚生労働大臣政務官    金子善次郎君

   厚生労働大臣政務官   戸井田とおる君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局次長)            笹島 誉行君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          松永 邦男君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         森山  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  上田 博三君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局勤労者生活部長)      氏兼 裕之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            太田 俊明君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       村木 厚子君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十二日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     村田 吉隆君

  大野 松茂君     渡辺 博道君

  木原 誠二君     平  将明君

  木村 義雄君     平沢 勝栄君

  清水鴻一郎君     飯島 夕雁君

  とかしきなおみ君   原田 憲治君

  冨岡  勉君     橋本  岳君

  西村智奈美君     三井 辨雄君

  細川 律夫君     小宮山泰子君

  福島  豊君     坂口  力君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     清水鴻一郎君

  平  将明君     木原 誠二君

  橋本  岳君     大高 松男君

  原田 憲治君     とかしきなおみ君

  平沢 勝栄君     木村 義雄君

  村田 吉隆君     井上 信治君

  渡辺 博道君     大野 松茂君

  小宮山泰子君     細川 律夫君

  坂口  力君     福島  豊君

同日

 辞任         補欠選任

  大高 松男君     冨岡  勉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

田村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案及びこれに対する西村智奈美君外六名提出の修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 原案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として総務省人事・恩給局次長笹島誉行君、自治行政局公務員部長松永邦男君、厚生労働省大臣官房総括審議官森山寛君、労働基準局長金子順一君、労働基準局勤労者生活部長氏兼裕之君、職業安定局長太田俊明君、雇用均等・児童家庭局長村木厚子君、年金局長渡辺芳樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新井悦二君。

新井委員 おはようございます。自由民主党の新井悦二です。

 前回に引き続きまして質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 また、新型インフルエンザにつきましても、フェーズ6となったわけでありますけれども、政府といたしましては、非常に大変な時期を迎えておると思いますけれども、慎重な対応をして国民がパニックにならないように、そしてまた風評被害というものをやはり防いでいかなきゃならないと思いますので、慎重な対応をよろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 閣法、そしてまた修正案につきましてよく読ませていただきましたけれども、それぞれ、飛んだ意見よりも、労働者側そして企業側の立場に立ってやはり考えてあげなきゃならないと思っております。そしてまた、社会全体がこの法案についてもしっかりとサポートして、そういう環境整備を進めることも重要ではないかと思っておりますので、ぜひともしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 まず、子供の看護休暇の拡充についてお伺いをさせていただきます。

 子供の看護休暇について、政府案では、小学校就学前の子が一人であれば年五日、二人以上であれば十日間とありますけれども、子供が多ければ多いほど私は大変だと思っております。そういう状態で、人数に応じて付与日数をふやすべきだと私は思っておるんです。

 また、一年間で病気、けがにより一人目の子供を保育園に預けられなかった日数の平均が十四・九日ということは、子供が二人以上いる場合では、法改正後においても全然この日数というのが足りないんじゃないかと思うんですけれども、その点はどのように考えているのかお伺いします。

村木政府参考人 御答弁申し上げます。

 子供の看護休暇でございますが、これは平成十六年の法改正のときに導入された制度でございます。このとき、労働者が一年間に子の看護のために休んだ日数が、年間五日までのものが男性では九割以上、女性でも五割強となっていたことを勘案し、このときは労働者一人につき年五日としたものでございます。その際、附帯決議で、子の人数に配慮した制度とすることについて検討すべきとされたところでございます。

 一般的に、先生も御指摘のように、子供の人数が増加すれば、子供が病気になる、けがをする可能性も増し、労働者が仕事を休む必要も増加をするものでございます。三人、四人とたくさんお子さんがいらっしゃる場合に多くの休暇をという御意見も審議の過程ではございました。

 しかしながら一方、この看護休暇は、その日の朝に、きょうお休みしたいのですと言ってもとれる休暇でございまして、大変事業主にとっては負担が大きいということもございますし、また、お子さんのいらっしゃらない他の労働者との公平感というようなものも問題があるのではないかという御指摘もあったところでございます。

 こうしたことを総合的に勘案いたしまして、さらに施策を充実するという観点から、労働者単位で見て、小学校就学の始期に達するまでのお子さんが一人であれば年五日、二人以上であれば年十日とする制度に改正をしようというものでございます。

 これによりまして、お父さんの育児参加がいただければ、夫婦二人であれば、子供が一人であれば年十日、子供が二人以上の場合は年二十日の看護休暇が取得できることになります。これによって、一定程度必要な日数をカバーできると思いますが、これに年次有給休暇を加え、それから、賛否はございますが、病児・病後児保育なども利用して、何とか労働者の仕事と家庭の両立が図られるものと考えているところでございます。

新井委員 今本当に、人口減少社会、そしてまた少子化対策といたしましてはある程度見てあげないと、二人目ぐらいは産んでいいけれども、三人目はどうしようかとかいう気になってしまいますので、ぜひとも、そういうことも踏まえて対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、看護休暇については、子供が熱を出すたびに一日の休暇をとることを前提にすると、年五日や十日では日数が足りないので、これは半日単位とか時間単位で取得できるように法規上明記した方が、労使の話し合いよりはこれがきちっととりやすいと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

村木政府参考人 看護休暇を付与する単位でございますが、時間単位あるいは半日単位という行使を認めるということは、労働者にとっては非常に利便性が高いということもございます。こうした意見もございましたが、最低基準としてこれを法律上明記すると、かなり事業主の側の労務管理の負担もあるということで、このバランスも考えて、法律で定める最低限としては一日単位の休暇ということを考えているところでございます。

 もちろん、企業の中で時間単位や半日単位の行使を認める制度というのは大変いい制度でございますので、それを進めるということはしっかりやっていきたいと考えております。

新井委員 ぜひとも今後、そういう子育て支援のニーズがあるんだったら、そういう統計もしっかりととって対応を考えていただければと思っておるんです。

 次に、これは高橋議員からあったんですけれども、取得の理由についても、子供の成長には保育園、学校等との連携が不可欠であり、保育園、学校等の行事への参加を理由とした休暇取得も認めるべきではないかと私は思うんですけれども、そこら辺のことは。

村木政府参考人 お答え申し上げます。

 子の看護休暇制度の取得事由でございます。

 子供の看護だけではなく、今回、使途をやはり少し拡大すべきでないかという議論が審議会の方でもございまして、昨年十二月の建議におきましては、子供の予防接種、それから健康診断の受診について取得を認めることが適当とされたところでございます。このほかにも、お尋ねのように保育所の行事ですとか、参観日ですとか、そういった親が仕事を休む必要があるさまざまな場合に、もっと拡大をすればどうかという御意見があるのも確かでございます。

 ただ、議論の中では、やはり予防接種、健康診断などの方が要望が強かったということ、それから、これからだんだん共働き家庭がふえる中で、保育園や学校の行事などはその持ち方も工夫をしていただきたいというようなこともございまして、まず、法律に基づく権利としては、予防接種あるいは健康診断の受診などを追加することが適当ではないかというふうに思っております。

 なお、これについては、具体的には今後労働政策審議会におきまして、公労使の御意見も踏まえて策定をする予定でございます。

新井委員 ぜひとも、そういうことも考えていただきたいと思うんです。昔だったら、母親が来てくれたぐらいの記憶は覚えているんですけれども、今、幼稚園とか小学校へ行きますと、夫婦そろって参観日には必ず来ています。運動会などは場所取りが大変なような状態ですから、そういうニーズもあるということをぜひとも踏まえて対策を考えていただきたいと思っております。

 そして次に、企業の負担とインフラ整備についてお伺いいたします。

 看護休暇を強化することについて、有給休暇である年次有給休暇と無給である看護休暇が混在することになると思うんですけれども、企業管理が煩雑になり負担が大きくなることや、経営面においても企業の負担が多くなると思っておるんです。経済的援助を含めた企業に対する支援策も考えるべきだと思っているんですけれども、その点についてはどうでしょうか。

村木政府参考人 子の看護休暇については、原則としては、労働者が労務を提供しないものでございますので、ノーワーク・ノーペイの原則によりまして、事業主は賃金を支払う法律上の義務はございません。この点、やはり年次有給休暇と異なる点でございます。

 ただ実態を見ますと、事業主の自主的な取り組みといたしまして、これは平成十七年度の数字でございますが、子供の看護休暇を有給としている割合が一六・五%、また一部有給としている割合も九・三%あるというようなことでございます。

 御指摘のように、確かに、こうした費用の一部を支援するということは今後の大きな方向としては大変望ましいことだろうとは思いますが、やはり財源の問題、それから政策の優先順位の問題もあろうかというふうに思っております。それから、やや実務的なことを申し上げますと、子の看護休暇は一日単位でございますので、助成額そのものも非常に小さいということで、なかなか、手続の煩雑な制度になるということもございます。

 こういった点も含めて、今直ちにこういったものに対しての助成制度をつくるということは難しいのかなというのが今の気持ちでございます。

新井委員 特に行政の指導というのは、書類関係とか事務関係が非常にふえてくるんです。私なんかでも、医療関係でもどんどん、書類の提出が山ほどふえて、いろいろなものを見直す見直すと言っているんですけれども、ただ単に書類ばかりです。企業にとっても、事務処理というのはどんどん煩雑になればなるほど、また一人ふやさなきゃならない、そういうことになりますので、零細企業などにとりましては非常に負担が多いと思うんですけれども、そこら辺の配慮というものもぜひとも考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、介護のための短期の休暇制度についてお伺いいたします。

 今、高齢化が急速に進展している中で、家族の介護を行いながら働く労働者が増加していると思います。介護を理由に離職するなど大きな問題となっておりますので、介護休業制度を、さらに長期の休業を認めることも考えてはいないのかどうかお伺いします。

村木政府参考人 現在の介護休業制度でございますが、これは、家族介護を行う労働者が就業を継続するために、少なくとも介護に関する長期的方針を決めるまでの間、当面、家族による介護がやむを得ない期間について休業できるようにするという考え方で、現在、九十三日の範囲内で休業を認めているところでございます。

 この休業期間を延長するかどうかということでございますが、やはり介護は、嫌な言葉ではございますが、終わりがなかなか見えない、非常に長期にわたることがあるということ、それから、介護が必要な程度はかなりまちまちでございますし、どういうサービスが利用できるか、また兄弟や姉妹がいるかといったようなことで個人差もかなり大きいということだろうと思います。そういった意味では、介護休業そのものを延長するという方向ではなく、長期にわたる介護と仕事を両立していくためにどういった制度を充実することが必要か、転職をしたり仕事をやめたりしなくてもいいように、どういった制度を導入すればいいかということが話し合われたところでございます。

 そうした議論の結果、今回の改正では、一日単位で利用できる介護のための短期の休暇制度を創設して、要介護者が一人であれば年五日、それから二人以上であれば十日の介護休暇、短期の休暇を設けるということで、これは介護の必要な状況が続いている間ずっと使える制度でございますので、こういったものを活用していただこうという結果になったところでございます。

新井委員 今回の介護のための休暇制度は、家族介護を前提にした制度ではなくて、労働者が働き続けるには介護サービスを利用しなさいということだと思うんです。だけれども、今、介護の状態もどうなっているかというと、大体四人に一人はうつ病になったりとか自殺を考えているという本当に深刻な問題でありますので、この休暇制度、そしてまた介護サービスも機能が十分整っていないように思うんです。

 これも、介護の問題だとか、労働の問題だとかそういうことで済ますんじゃなくて、やはりそれぞれの連携したものが必要ではないかと思うんですけれども、そのことについてはいかがなんでしょうか。

村木政府参考人 これからさらに高齢化が進む中で、仕事と介護の両立というのは、本当に今以上に、今後も大変になるということが想定をされます。これに対応するためには、先生御指摘のとおり、労働者側の働き方の問題と外部の社会的なサービスが車の両輪となって制度をつくっていかなければならない、対応していかなければならないというふうに考えているところでございます。

 労働の関係の部局、それから福祉の関係の部局、よく連携をとり合って施策を進めていきたいというふうに考えております。

新井委員 ぜひとも、しっかりとした社会基盤を整備することが労働においても、そしてまた介護においてもいいのではないかと思いますので、そこら辺のことをしっかりと考えて取り組んでいただきたいと思っております。

 次に、実効性の確保についてお伺いしたいと思います。

 罰則をつければそれでよいとは私も思っておりません。逆に、新たな制度導入が企業の負担となり、かえって子育ての可能性のある労働者の雇用を控えるなど、意図に反する弊害にも結びつくかもしれませんし、事業所の規模、特に大企業とか中小零細などの経営状態によってもまた深刻な問題を抱えていると思っておりますので、これは、すべて一律ではなく、きめ細かく対応する必要があると思うんですけれども、その点についてはどのように。

村木政府参考人 今回の仕事と家庭を両立する制度の充実については、労働者の側から見れば、大企業に勤めていても中小に勤めていてもそういう制度を利用できることが望ましいわけでございます。一方で、やはり中小企業につきましては、制度導入についていろいろな困難がつきまとうということも御指摘のとおりだと思います。

 そのため、今回の改正法でございますが、常時百人以下の労働者を雇用する事業主においては、改正法により新設をされる短時間勤務制度等の義務化について、施行までに一定の期間、三年ほどを考えておりますが、これを設けることとしております。この間に、よく法の趣旨を御理解いただくこと、それから制度導入についてしっかり企業の御相談に応じ、規定の改定などの情報提供もしっかりして、無理のない形で時間をとって導入できるように、支援をしっかりしたいと思います。

 また、助成金制度なども中小企業に手厚い形で設けてございます。こういったものも使い、また、行政だけではなくて中小企業団体のようなところのお力もかりて、中小企業でも法の趣旨をしっかり理解した上で導入が進むように努めてまいりたいと考えております。

新井委員 次に、不利益取り扱いの禁止についてお伺いいたします。

 今私たちのこの国は、平成二十年秋以後、世界的な金融危機の影響で経済情勢が急速に悪化をしております。経営の悪化から育児休業後に雇用や勤務条件の変更などを受けるケースが多くなり、育児切りと呼ばれる問題も、本当にこれは深刻な問題となっております。

 育児休業に係る不利益取り扱いについては、労働者からの相談件数は増加しているとはいえ、平成二十年度には千二百六十二件にすぎず、このうち是正指導に至ったものは四十一件にすぎないということでありますが、実際に不利益を受けている労働者の数はこれの何倍もいるんじゃないかと私は思っております。ただ相談もせずに、相談したとしても大体泣き寝入りをしているのではないかと思います。その対策はどのようにしているのか。

 そしてまた、不利益を受けている労働者がどこに相談していいのかわからないような状態もあると思うんですけれども、そういう相談窓口の周知徹底を図ることも必要であると思うんです。

 この二点の対策はどのように考えているのか。

村木政府参考人 先生御指摘のとおり、不利益取り扱い等がありましても、我が国の労働者の方で行政機関まで訴えてきてくださる方というのはまだかなり少ないのが現状だろうと思います。そうした意味では、訴えてきてくださった方に対して、しっかりと企業に対して是正指導をするということ、これは今回の改正法でも実効確保の措置強化をしていただきますので、それらも使ってしっかり指導をしていきたいと思います。

 また、行政機関に訴えることについてのハードルを低くしていくということで、これはやはり周知広報しかございませんので、そこをしっかりやっていきたいと思います。特に都道府県労働局の雇用均等室は大変小さい組織でありまして、労働者の方の中には室の存在を御存じないというようなこともあろうかと思います。室の存在も含めて、広く国民の方にしっかりわかっていただけるように、政府広報ですとか、ネットを使った情報提供とか、あるいは労使団体の御協力も得て、ここに相談をすればいいんだということを労働者の方に情報がしっかり伝わるように、これから努力をさらに続けていきたいと思っております。

新井委員 ぜひとも、弱者が泣き寝入りすることのないように気をつけていただきたいと思います。

 次に、労働紛争についてお伺いいたします。

 企業組織の再編や人事労務管理の個別化等に伴って、労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間の紛争、いわゆる個別労働紛争が今増加していると思います。個別労働紛争は年間何件ぐらい発生しているのか、また、そのうち育児休業や介護休業に関するものは何件ぐらい発生しているのかお伺いします。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十年度に全国の総合労働相談コーナーに寄せられました民事上の個別労働紛争の相談件数は二十三万六千九百九十三件でございまして、このうち、育児・介護休業に関するものは千九百八十五件となっております。

 また、平成二十年度の個別労働紛争解決制度における助言、指導の申し出受け付け件数は七千五百九十二件でございまして、このうち、育児・介護休業に関するものは三件。

 さらに、あっせんの申請受理件数は八千四百五十七件でございまして、このうち、育児・介護休業に関するものは三件となってございます。

新井委員 紛争の最終的解決手段としては裁判制度がありますけれども、それにはやはり多くの時間と費用がかかってしまうわけであります。

 職場慣行を踏まえた円滑な解決を図るために、個別労働紛争の無料の解決援助サービスとして、労働問題への高い専門性を有する都道府県労働局長による助言等と紛争調整委員会によるあっせんがあると承知しておりますけれども、紛争調整委員会はどのような方々で構成されているのかお伺いいたします。

森山政府参考人 あっせんを行います紛争調整委員会の委員は、学識経験を有する者のうちから厚生労働大臣が任命するものでございまして、具体的には、弁護士、大学教授あるいは社会保険労務士等の労働問題の専門家から構成をされております。

 具体的に、二十一年度における委員の内訳は、弁護士が五七・九%、大学教授等が一八・七%、社会保険労務士が一四・三%、こういうふうになってございます。

新井委員 今御説明いただいたのは、個別労働紛争の未然防止と迅速な解決を促進することを目的とした、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律に基づいているものだと思っております。

 今回の育児休業法改正により、育児休業、介護休業に関しては、男女雇用機会均等法やパートタイム労働法と同様の制度、調停で対応することとされておりますが、これによりどのように改善されるのかお伺いをします。

村木政府参考人 先生御指摘のように、今回の改正では、育児・介護休業法に関する労使の紛争について、従来のあっせんにかえまして、新たに調停委員による調停制度の対象とすることにしております。

 この調停制度でございますが、育児・介護休業法に基づいて、例えば解雇をされるとか不利益取り扱いを受けるとかいったことに対する紛争解決というのは、やはり法の趣旨に沿った解決が図られる必要があると考えております。

 当事者による自主的な解決に比重を置く今までのあっせんというやり方は、そういう意味では簡易で迅速にできるというメリットはあるわけでございますが、今回、調停の制度を活用しますと、事業主と当事者の個人の方だけではなくて、場合によっては、事業所の制度や慣行そのものを是正させるというような調停案もつくって、その受諾の勧告を行うことができるということになりますので、より具体的に企業の制度そのものを変えることができる。訴えてこられた方以外の、その企業の労働者の皆さん全体を救うことができるというような意味で非常にメリットがあるのではないかと思っております。

 なお、均等法の調停制度によりましても、これは金銭的解決などもいたしますが、制度や慣行を是正するような調停案も作成をして受諾勧告を行っております。均等法の方では、受諾勧告を行ったもののうち、九割強が調停案を双方が受諾して解決に至っておりますので、このことを考えると効果があるのではないかと考えているところでございます。

新井委員 ぜひとも、迅速な対応をして解決していただきたいと思っております。

 また、この育児休業等に係る不利益取り扱いに関する紛争が生じているのは、育児休業中における待遇とか、育児休業後における賃金等の労働条件があらかじめ明らかにされていないためではないかと思っております。私としても、ぜひともこれは書面に明記しておいた方がトラブルの原因にならないと思っております。

 また、育児休業に関する事項は労働者への周知義務がある就業規則への記載項目とされておりますけれども、十人未満の事業所には就業規則を作成する義務がないわけであります。就業規則は個々の労働者の労働条件を定めるものではなく、すべての労働者が確実に育児休業等に係る労働条件を把握できるように、育児・介護休業法第二十一条第二項の努力義務規定を義務規定にしてはどうでしょうか。

村木政府参考人 さまざまな先生から御指摘をいただいております。

 ただ、この不利益取り扱いは、書面があってもなくても明文で禁止をされているものでございます。不利益取り扱いがあれば、これは必ず指導をするということでございます。

 また、確かに就業規則は十人以上の企業への義務づけではございますが、すべての労働者に適用される制度として、きちんとここの中に育児休業の規定を盛り込んでいただくということは紛争解決の非常に大事な手段であろうというふうに思っております。

 休業取扱通知書の交付の義務化に関してでございますが、これは、これまでも御答弁を申し上げてきました、一定の効果がある、望ましいということはそのとおりではございますが、これを義務づけをするということになりますと、もともと休業をとらせないとかいったような事業主には効果がないということと、書面を交付した後に事情変更が生じた場合のトラブルというデメリットもあるということが非常に懸念をされるところでございます。

 そういった意味では、休業取扱通知書の義務化は現時点では困難ではないかと考えているところでございます。

新井委員 ありがとうございました。

 時間でありますので、これで質問を終わらせていただきます。本日は、どうもありがとうございました。

田村委員長 次に、鴨下一郎君。

鴨下委員 おはようございます。

 育休、介護休業のことについての話をする前に、きょうの未明に、インフルエンザ、パンデミックというようなことでフェーズ6に引き上げられました。これは我々も冷静に受けとめなければいけないし、なおかつ怠りなくしっかりと取り組まないといけない、こういうようなことであります。

 きょうは大臣がおいでになっていませんが、大村副大臣、ぜひそれについて大きな問題として受けとめていただきたいというふうに思います。加えて、これから対応することで一番重要なことの一つはワクチンをどうつくっていくかという話なんだろうと思っております。従来のラインの中で、鶏卵によるいわゆる今までのワクチンの製造、これを促進するというのは大変結構な話ですが、加えて、例えば組織培養によるワクチン開発のノウハウ、あるいは特に緊急を要するときのDNAワクチンだとかなんかのやり方についての研究、こういうようなことも含めて重層的に、国民の命を守るためにどうするか、こういうようなことに弾力的に対応していただきたいということをまず要望しておきますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、本題に入ります。

 まず、先般発表されました平成二十年の合計特殊出生率は一・三七でありました。平成十九年は一・三四でしたから〇・〇三ポイント上昇、こういうようなことであります。合計特殊出生率は、平成十七年が一・二六、そして平成十八年が一・三二、こういうようなことで、三年連続で微増であります。

 こういうようなことからいうと、この平成二十年の合計特殊出生率、何がきいてこういう状況になったのか。例えて言えば、いろいろな施策を打ってきておりますけれども、その中でどういうようなことがこの微増に通じてきたのか。こういうようなことについての厚生労働省の考えあるいは分析、さらには、これからそれをどう加速していったらさらに出生率が上がっていくのかどうかというようなことについて、もしお考えがあれば、まずお話をいただきたいと思います。

村木政府参考人 大変難しい御質問でございます。

 確かにこの足元で、一・二六から一・三二、一・三四、一・三七と、三年連続で上昇をしてきております。

 実は、この出生率の推移、中を年齢階級別に見ますと、二十歳代がわずかではございますが上昇傾向にあります。さらに、とりわけ三十歳代は上昇が大きいということで、年齢層を見るとそういうことでございます。

 では、どうしてそういうふうになっているかというふうに見ますと、日本は婚外子が少のうございますので、結婚というのがこの前提としてあるわけでございます。近年、晩婚化が進んでおりまして、初婚率というのが、三十歳代は上昇するけれども二十歳代は低下をするというのがこれまでの傾向でございました。ところが、平成十六年ぐらいを底にして、実は、二十歳代後半の初婚率もおおむね横ばい、あるいはわずかな上昇傾向が見られておりまして、これに三十歳代の初婚率の上昇が重なっていて、その結果として出生率にも影響が出てきたというのが数字を見る限りの動向でございます。

 それでは、なぜ結婚がふえたかというところになりますと、これは私見でございますが、やはり景気の上昇というところもあろうかと思いますし、施策的なものも幾分かの影響を与えているのではないかと思いたいところでございますが、これは具体的な寄与度というところを分析できるほどのデータがございません。

 いずれにしましても、そういった意味では、大変雇用情勢が厳しくなっているというようなこともありますので、ここ三年上昇はいたしましたが、厳しい状況にあることは変わりないという認識で施策を進めてまいりたいと考えているところでございます。

鴨下委員 今局長が、いろいろな施策をやってきたけれどもその寄与度についてはというような話で、ある意味では大変謙虚なんだけれども、逆に言えば、やってきたことを冷静に評価して、そして、一番きいた施策については、より重要だったということでありますから、さらに推進していかなければいけない。

 そういう意味でいうと、厚生労働省の施策というのは往々にしてそうなんですけれども、まだ少子化がこれから深刻だ深刻だというふうな空気をつくるということにもなりかねないので、必ずしも私は楽観的にあれというふうには言っていませんけれども、しっかりと冷静に評価をして、何が効いたのか、それについてはさらにそれを促進する、こういうようなことについてもっと明確におっしゃった方がいいというふうに思っておりますので、そういうふうに施策を進めていただきたいと思います。

 実際には、国民の皆さんが希望する結婚、出産、子育て、こういうようなことを実現できる環境を整えるというのが我々政治家あるいは行政の役目なんだろうというふうに思います。この子育て世代が、特にこれは第二次ベビーブームで生まれた方々、昭和四十六年から昭和五十年ぐらいに生まれた方々がいよいよ結婚なさって出産しよう、こういうようなことにもなってきているんだろうというふうに思いますので、多少晩婚、晩産というようなことはありますけれども、ここから先、そういうような人たちが結婚して子育てしやすい状況をつくっていくために我々は何ができるかということをしっかりと考えていかなければいけないんだろうというふうに思います。

 そういう中で、一つは、ワーク・ライフ・バランスの実現、こういうようなことが重要なんだろうというふうに思っております。

 特に、夜遅い電車だとかなんか見ても、多くの方々が疲れ果てた顔をして、そして電車に乗っていらっしゃる。こういうようなことを見ていると、夜遅くまで働いて、しかも子育てをする、こういうようなことになると大変なことになっているんだろうなというふうに察しているわけであります。

 その中で、私は、今まで局長を初め皆さんのお話の中では、子育てをする両親のことはいろいろとお考えになっているけれども、育てられている子供本位のところというのが若干手薄かなというふうに思っているんです。最終的にはお子さんたちがどういうふうに健やかに、健全に育っていくかというようなことを中心に、私たちはこの制度をある意味で深く考えないといけないんだろうというふうに思っておりまして、特に、両親、父母が子供としっかり向き合う時間を確保していく、こういうようなことが一義的に重要なんだろうというふうに思っております。

 今回の育児・介護休業法の改正の中で、こういう観点、特に子供中心という観点はどういうふうに考えているのかということについて、話すことがあれば話してみてください。

村木政府参考人 御指摘のとおり、今の働き方というのは、もしフルタイムで働けば、本当に家庭のことというのはぎりぎりのことしかできない、あるいは延長保育等長時間保育に頼らざるを得ないという状況、また、特にお父さんの状況を考えますと、家族と一緒に食事をする機会も非常に少ないというような状況で、家庭の中で一体お父さん、お母さん、子供がどれだけ向き合う時間を持てているのかというのは、これは非常に深刻な問題だろうと思います。

 親の立場と子供の立場というのを相反するような形でよく言われるときがありますが、働いているお母さんたちに聞きますと、子供の成長に応じて、子供が小さいときはできるだけ子供と一緒の時間をとりたいとお母さんたちも望んでおられるというような数字も見るところでございます。

 こういうことも踏まえまして、今回の改正は、短時間勤務制度を導入する、あるいは残業は一切しないという制度を導入する、それからお父さんも育児休業をとれるようにする、子供が病気のときは親が看護できるように休暇をふやすというような制度を導入するわけでございます。

 これによって、父親も母親も子供としっかり向き合って、家族のきずなが強まるような形の改正というのを、今回、子供の立場に立って、そして子供を思う親の立場としてぜひ成立をさせていただきたいと望んでいるところでございます。

鴨下委員 今回の法案をきちんと成立させるというのは多分第一歩なんだろうというふうに思っておりますけれども、そういう中で、労働条件をどうするというのは非常に重要なことでありますけれども、加えて、子供にとって、本来、育児あるいは養育というものがどういうことなのか、こういう観点を私たちは忘れてはならないと思っておりますので、ぜひ雇児局もそういう趣旨でこの行政を進めていただきたいと思います。

 そういう中で、私は、ゼロ歳からの保育ということに多少疑問を持っています。それは、ゼロ歳で預けられたお子さんにとってみれば、どんなに優しい保母さんがしっかりと保育をしてくれても、これは親よりもすぐれているということはないんだろうというふうに思います。ですから、できればゼロ歳児ぐらいはしっかりと親が、あるいは安定的な養育者が育てていく、こういうようなことが重要なんだろうと思っております。

 これは、私の友人のある心理学をやっている人が情緒応答性という話をしていました。情緒応答性というのは、例えば、子供が甘えたいと思ったときには甘えさせてあげる、おなかがすいていると思ったときにはしっかりとその子が求めているものを食べさせてあげる、そして、少しほっといてもらいたいときにはほっといてあげる、こういうようなことで、子供が何を考えているかというのを敏感に察知して、そしてしっかりとそれにこたえる、こういうようなことが特にゼロ歳、一歳、二歳ぐらいまでの間は重要だというふうに思っているんですね。

 ですから、そういう意味でいうと、どなたでもいいんだけれども安定的な養育者がしっかりとその子をマンツーマンで育てていく、こういうようなシステムというのをもう一度我々は考え直さなければいけないんだろうと思っておりまして、そういう意味で、せめてゼロ歳児の間は保育園に預けずに親が育てられる、こういうような環境を整えていくというのが重要なんだろうというふうにかねてから思っているわけです。

 そういう中で、予算面で見て、例えばゼロ歳児保育にはそれなりにランニングコスト、一人当たりに相当かかっているというふうな話を聞いていますが、まず、具体的に一人のお子さんを預かるのに大体運営費というのはどのくらいかかっているんですか。

村木政府参考人 ゼロ歳児を保育所でお預かりした場合にかかるコストということで、平成二十一年度の予算におきますゼロ歳児一人当たりの保育所運営費の月額で申し上げますと、約十七万四千円でございます。

 ちなみに、お母さんあるいはお父さんが休業をとられておうちでお子さんを見た場合には休業給付をお支払いいたしますが、これは現在、平均で月額約九万四千円でございます。

鴨下委員 そうすると、お子さんにとってみると、ゼロ歳児で預けられるというようなことについては、悪いけれども、子供にとっては迷惑なことなんだろうというふうに思います。親御さんがしっかりと養育してあげた方がいいに決まっているわけで、現実に、行政の方はそれだけの負担をして、そして給付を受ける場合と比べると、倍とは言わないけれどもそのくらいのコストがかかっているというようなことを考えると、できれば、ゼロ歳児で保育園に預けるというようなことじゃなくて、むしろ育児休業、こういうようなことを取得促進して、予算面からのプラスアルファをしていく、こういうようなことの方が、親にとっても子供にとっても行政にとっても、そして国民全体にとってもいいことなんだろうと思うんだけれども、どうしてそれができないんでしょうかね。

村木政府参考人 ゼロ歳児のときには家庭で、手元で育てるということについては、非常にやはりお父さん、母さんもそれを望んでいらっしゃる方が多いというふうに私も思っております。子の年齢別に、子供を持つ母親として望ましい働き方というのを調査いたしましたが、子供が一歳までの場合は、九割近くの方が育児休業をとる、あるいは子育てに専念をするということを回答しておられます。ですから、これをぜひ実現できるような形にしなければいけないというふうに思っております。

 もちろん、それぞれの事情があって、どうしても預けざるを得ないということもあろうかと思いますので、必要のある人にはゼロ歳児でも保育が提供できる仕組みというのはやはり残さなければいけないだろうと思いますが、ぜひ自分で見ていくということができるようにしたいというふうに考えております。これは、施策的にもしっかり努力をしたいというふうに思っております。

鴨下委員 ぜひそれは、子供本位、子供中心に考えていただくとおのずと答えが出てくるというふうに思いますので、しっかりとこれは取り組んでいただきたいというふうに思います。

 いろいろと御議論ありましたので、法案の中身については、多少通告してあったけれども省略します。時間がもうあと二十分ぐらいしかないものですから。

 そしてもう一つ、テレワーク、在宅就労、こういうような観点から少しお話を聞かせていただきたいと思います。

 子育てを行いながら仕事を続けるためには、それなりの環境整備が重要であるというふうに考えております。例えば自宅等で仕事を行うテレワーク、こういうようなものをしっかりと推進していくということが、いわば、家にいて、なおかつ仕事は続けられるということになるんだろうというふうに思っておりまして、職住の接近、こういうようなことで、テレワークというのは非常に重要な観点だろうというふうに思っています。

 育児と仕事の二者選択の状況をできるだけ両立させる、こういうような趣旨において、特に育児期の女性の働く意欲をしっかりと維持しつつ、なおかつ子供さんを育てていくという環境、こういう意味において、残念ながら今は女性が働きながら子育てをしていくというのは、さっきのゼロ歳児の保育じゃありませんけれども、なかなか葛藤が大きくて、そしてそれを乗り越えられないということがあるものだから、結果的にまだほかの、特にヨーロッパ諸国と比べると、いわゆるM字型カーブになりやすい。

 こういうような意味でいうと、そこのへっこんだところを補うのに、今これだけ情報社会になって、例えば社内でも、お互いに端末、コンピューター、パソコンで隣の人におはようとかお昼何食べるとかこういうような話、隣の人とコミュニケーションするにもやっているんだけれども、そこが例えば三十キロ先の自分の家の端末で仕事をしたってそんなに変わらない、こういうような仕事が必ずたくさんあるはずなんですね。ですから、そういう意味においては、これを推進するべきだということは私もかねてから主張しているし、実際に、何年か前に厚生労働の副大臣で労働担当になったときに、それはとにかくどんどん推進しようよ、こういうような話をしたことがあります。

 平成十九年の五月にテレワーク人口倍増アクションプランなるものを政府が取りまとめて、テレワーカーの比率を就業人口の二割にするという話がありました。実際にはそれがどのくらいになっているかというようなこともありますけれども、その進捗状況と、加えて、このテレワークについて厚生労働省としてはどういうような施策を打って推進しようとしているのかどうか、このことについての話を聞かせてください。

氏兼政府参考人 まさに先生御指摘のとおり、テレワークのような働き方でございますが、この推進は、個々人の置かれた状況に応じまして多様で柔軟な働き方を可能にするということで、育児と仕事の二者選択の状況を緩和する効果も期待されているところでございます。政府といたしましても、テレワークの普及促進に鋭意取り組んでいるところでございます。

 国土交通省が行っておりますテレワーク人口実態調査によりますと、就業人口に占めるテレワーカーの比率でございますけれども、二〇〇二年時点で六・一%でございましたものが、二〇〇五年時点で一〇・四%、直近の二〇〇八年時点では一五・二%というふうに、順調に増加傾向にございます。

 テレワークの普及促進につきましては、御指摘の平成十九年のテレワーク人口倍増アクションプラン、それから一昨年末に策定されましたいわゆるワーク・ライフ・バランス推進のための行動指針等におきまして、二〇一〇年までにテレワーカーの就業人口に占める割合二割を達成するという政府目標を掲げておりまして、今後とも一層の取り組みを行うことが必要でありまして、引き続き積極的に諸施策を講じてまいる所存でございます。

鴨下委員 甚だお役所的な答弁、お役所だからしようがないんだけれども。

 それで、民間の事例が幾つかあります。例えば、テレワークにより社員一人一人がワーク・ライフ・バランスを実現し、最大の能力を発揮できる場を提供しようということで、女性活性化プロジェクト活動の中で育児支援を中心として検討、女性社員だけでなくて全社員の仕事と家庭生活の両立支援としてテレワークを選択して、なおかつ、テレワークに関するすべてを直轄するワーク・ライフ・バランス推進室を設置して、経営の権限委譲を受けた推進室がテレワークポリシーの立案、導入、実行、管理を行って、そしてセキュリティー対策を施したパソコンやPHSを申請者に貸与して、女性にとどまらず社内対象職員の二〇%がテレワークを申請した、こういうような例とか、フレックスオフィス制度として、多種多様なワークスタイルを選択することにより、仕事と生活の調和、それから多様性、こういうものを実現しているというようなこともあるわけであります。

 民間も、いい社員、それから有能な社員、さらには途中でおやめになるような、能力はあるけれども残念ながら家庭に入らざるを得ない、こういうような方々に、ぜひ在宅で、あるいはテレワークで仕事を続けてもらう、こういうことは企業にとってもいいことなんですよね。ですから、そういうことをぜひ進めていただきたい。

 これが私は、地域のコミュニティーの復活、あるいは、全員が同じ時間にラッシュアワーの電車に乗って会社に行って九時にタイムカードを押すというのは規格大量生産型の名残なわけだから、もうこれだけの情報社会になってきたので、ぜひそういう多様な働き方というものを推進してもらいたいというふうに思っているんです。それが、介護それから育児というようなことも含めた全体的なバランスの中で働くということができてくる、こういうふうに思っておりますので、頑張ってもらいたいんだけれども、幾つか制度を整備していかないといけないというふうに思っています。

 一つは、例えば時間管理で、九時から五時まで働くという話だけれども、パソコンのスイッチが入ったところで働き始めるということにするのか、そういうようなことも含めた全体的な管理をどうするかという話。それから、例えば、在宅で働いていたんだけれども、たまたまちょっと外に出たときに転んでけがをしたというのは果たして労災になるのかどうか、こういうようなことも含めたいろいろな制度整備をしていかないといけないんだろうというふうに思っております。

 このことについては、今、厚労省はどんな状況にありますか。

氏兼政府参考人 テレワークにつきましては、御指摘のとおり、環境整備を行い、さらには適正な労働条件を確保しつつ、その普及促進を図っていくことが重要であるというふうに考えてございます。

 こうした観点から、厚労省におきましては、テレワーク導入、実施時の労務管理上の留意点を整理いたしました在宅勤務ガイドライン、これを平成十六年の三月に策定いたしまして、さらに、直近、平成二十年七月にこれを明確化するなどの改定をしております。労働基準法の三十八条の二に、事業場外で業務に従事した場合におきまして、労働時間の算定がしがたいときには所定労働時間労働したものとみなす制度、いわゆる事業場外みなし労働時間制がございますけれども、この制度の適用要件でありますとか、みなし労働時間制における深夜、休日労働の取り扱い、これらについて明確化するなどの所要の改定を行ったところでございます。このガイドラインの改定内容につきましては、パンフレットの配布等を通じまして周知を行っているところでございます。

 これに加えまして、専門相談員がテレワーク導入、実施時の労務管理上の課題につきまして相談に応じるテレワーク相談センター、これを現在、東京、大阪、名古屋の三カ所に設置しているところでございますが、今後は、札幌、福岡を加えた五カ所に拡大することとしてございます。

 さらには、テレワークセミナーを全国主要七都市で開催いたしまして、在宅勤務ガイドラインを中心とした、テレワークに係る適正な労務管理の方法の解説等を行っているところでございます。

 今後とも、適正な労働条件下でテレワークが図れるよう、制度整備、普及促進に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

鴨下委員 民間にそうやって勧奨するのは大変結構でありますけれども、厚生労働省も多くの職員を抱えて、それぞれの立場で働いているんでしょうけれども、どうしても本省まで来なきゃいけない人もいるんだろうけれども、悪いけれども白書だとか何かを書いている人たちは一カ月家にこもってやってもらったっていいような仕事も幾つかあるんだろうと思います。

 ですから、どうしても来なければいけない仕事以外はみんなテレワーク、在宅就労するみたいな話でやると、二〇%どころか、四割、五割の人が在宅とそれから通勤と両方をうまく使い分けられる、こういうような仕組みになるんだろうというふうに思いますけれども、まず、厚生労働省は今、例えばテレワークあるいは在宅就労という意味において、どの程度の人がそういうようなことをやっているのか、聞かせてください。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 テレワークにつきましては、先生御指摘のとおり、その推進を図ることは重要であるという認識をしているところでございます。

 そのため、政府全体としましても国家公務員のテレワークの推進を行っておりまして、厚生労働省職員につきましては、これまで、平成十九年度で三名、平成二十年度で二名についてテレワークを試行的に実施しているところでございます。

 現段階では試行段階でございますが、これらの試行結果等を踏まえまして、今後一層職員のテレワークの活用を進めてまいりたいと考えているところでございます。

鴨下委員 私は成功例を民間で幾つか申し上げましたけれども、うまくいっているんですよ。それで、いろいろな弊害は乗り越えなきゃいけないけれども、まずみずからやってみて、そしていろいろな問題点だとか何かというのが出てきたときにそれを乗り越えていく、こういうふうなことなんだろうと思っています。

 私は、方向性としては、工場のラインに労働者がいっぱい集まって、そしてそこで一人でも欠けたらラインが動かない、こういう働き方のところというのは減ってきたんだろうと思っているんです。むしろ、目の前に自分専用のパソコンがあれば、端末があれば仕事ができるという方々がたくさんいるわけだから、そういう人を全員同じ本社に集めて、そしてだれか上から管理して、さあ一斉にラジオ体操をやって、そしてやりましょう、こういうようなことじゃなくたってみんな働きますよ。

 ですから、まず厚生労働省がきちんと、在宅勤務ないしはテレワークできる人たちはできるだけ多くそれをやっていって、そして近代的な役所にしてみてくださいよ。そういうふうなことをやれば民間の企業だって、ああ、厚生労働省もやっているんだから自分たちもやりたいなと思っている人はたくさんいるのに、三人とか四人では話にならない。

 そういうようなことを申し上げて、最後に、せっかく大村副大臣がおいでだから決意を聞かせていただいて、質問を終わります。

大村副大臣 鴨下委員から決意をということでございますが、まずテレワークにつきましては、まさに鴨下委員おっしゃるとおりでございまして、やはり役所の中でもそうした在宅勤務、テレワークになじむ業務があるわけでございますので、そうしたものを、隗より始めよということで厚生労働省の中で、特定のというかローテーションを組みながらということもあると思いますが、ぜひそれは進めていきたいというふうに思っております。

 それから、きょう御質問いただきました子育ての支援につきましても、今回の法律改正はやはり一つの一歩だというふうに思いますし、今回与野党で協議をいただいて、いい形になるというふうにもお聞きをいたしておりますが、ぜひこれを一つの一歩として、さらに取り組みを進めていきたいというふうに思っております。そういう意味で、一・三七となったわけでありますが、それはまだまだこれからということだと思いますので、引き続きしっかりやっていきたい。

 最後にもう一つだけ。新型インフルエンザにつきましては、冒頭、鴨下委員から御激励いただきました。いろいろ対策はありますが、特にワクチンにつきましては、ワクチンの政策につきましてこれまでもたびたび御指導いただいていました鴨下先生の御指摘をしっかり受けとめて、この秋以降の第二波というのはちょっと語弊があるかもしれませんが、本格的な秋から冬にかけて間に合うように、これはしっかりと開発、そして準備を進めていきたいというふうに思っております。

鴨下委員 終わります。

田村委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 早速質問に入りたいと思いますが、先ほど同僚鴨下委員のテレワークに対する熱い思いを久々に聞かせていただいたわけでありますが、冒頭、出生率のお話を鴨下委員もされました。二十年度の実績が出たわけでありまして、ここ三年何とか頑張っているな、こういう感じがするわけであります。その成果といいましょうか、そうした実績についてしっかり評価をし、分析をし、効果があったものについてはしっかり取り組まなきゃならぬ、こういう御指摘であったかと思っております。

 私も同じ思いでありまして、かつて一・五七ショックから相当の作業を我々はやってきたわけでありまして、エンゼルプランあるいは新エンゼルプラン、さらには子ども・子育て応援プランとか、さまざまなプランを組み立てながら取り組みを進めてまいりました。

 最近も、我が党も随分叫んでまいりましたが、児童手当の拡充であったり、妊産婦健診十四回、これなんかは、全国で、千八百の自治体ほとんどで十四回実施されるようになったということは大変大きな成果で、余り世間では評価されませんが、妊産婦健診の公費負担が始まったのは、私の記憶では昭和四十四年ぐらい。ですから、四十年間ぐらい二回の公費負担であったものが十九年度に五回になり、そして今回十四回、ほとんどの市町村で実施されるようになった。

 舛添大臣がおっしゃっていますが、本当に子供を産み育てることについて経済的負担はできるだけ軽減したい、こんなことをいろいろやってきた。さらには、民主党の皆さんまで、子ども手当ですか、おっしゃっているわけで、与党、野党を挙げて、子育て支援といいましょうか、あるいは両立支援といいましょうか、そうしたことをずっと叫んできたその結果ではないかなというふうにも思っているわけであります。

 大村副大臣、もちろん、持続する社会保障制度ということを考えますと、長期における出生率の趨勢ということが非常に重要ではありますが、これからの課題はさらに大きいわけであります。ここ三年、恐らく、ここに大臣がいらっしゃれば、私が大臣になってからずっと上がっているんだというようなことぐらいおっしゃるかなと思うのであります。

 副大臣、どうでしょうか、この三年の成果、そしてこれからへの思いというものを厚労省はどんなふうに感じておられるのか、お話をいただきたいと思います。

大村副大臣 桝屋委員御指摘のとおり、この三年間、一時は一・二六ということでどうなるかと思いましたけれども、これがだんだん回復をし、三年上がってきた、一・三七まで戻ってきたということは大変喜ばしいことだというふうに思います。

 先ほど村木局長の方から、いろいろな要因を申し上げさせていただきました。三十代の方々の結婚、そしてまた出産がふえたということ等々もあるかと思いますが、やはりいろいろな意味での政策が功を奏してきたということもあろうかと思います。

 ただ、これからを考えますと、第二次ベビーブームの方々が、だんだんさらにさらに若い世代に移っていきますから、そういう意味ではその世代の女性の数が減ってまいりますので、これはやはり、これからも私ども政治の立場で、政策面の後押し、桝屋委員言われましたように、妊産婦健診の無料化、それから、出産にとにかくお金がかからないようにする、経済的負担の軽減、子育ての支援、そうしたことを総合的にさらにやっていく必要があるというふうに思っております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 きょうは本当はこの席に少子化担当大臣も来てもらいたいな、こう私は思ったりしたのでありますが、現職の大臣で出産を控えておられるというようなことも、非常に象徴的だな、いいことだなと私は思っておりますし、できれば彼女が、大臣が出産するまで解散しない方がいいんじゃないかと思ったり。私は総理ではありませんからできるわけではありませんが、そんなことも、ある意味、国民に与えるメッセージとしては大きいことだな、私はこう思っているわけであります。

 先ほど申し上げたように、決して、三年間微増しているということで安心できるわけではない。まさに長期の出生率の動向ということが重要でありまして、今後とも、少子化対策あるいは両立支援というようなことについては我々の政治の舞台でも最重要の課題であり続けるというふうに思っておりまして、そうした思いからきょうの議論をしたいというふうに思っているわけであります。

 さらに強力な少子化対策を進めるという観点に立ちますと、今回の法案は、働き方の改善あるいは特に女性の継続就業にどれぐらい寄与するのか、そこも期待をしたいわけでありますが、どういうふうにお考えなのか。これも副大臣、できればお答えをいただきたいと思います。

大村副大臣 今回の改正法案は、仕事をやめずに出産をしたい、子育てと仕事を両立したいという希望を実現するための支援対策を充実するものでございます。特に女性の継続就業を実現するために、育児休業を取得した後も子育てをしながら働くことができる環境を整備するための改正事項について盛り込んでいるところでございます。

 今回の改正が少子化対策にどの程度どういうふうに寄与していくか、これは数字で定量的にというのはなかなか難しいわけでございますが、少子化対策としては、保育等の子育て支援サービスの充実とともに、今回の改正により子育てしながら働くことのできる職場環境をつくっていくということを車の両輪として整備し、今回の法律改正、それから子育て、保育サービス等の充実、そういったものを両方進めていって、この対策をさらに強化していきたいというふうに思っております。

桝屋委員 もう少し、参考人ではなくて副大臣と議論をしたいと思うのでありますが、今いみじくも副大臣がおっしゃった、今回のこの法案で行われます育児・介護休業制度の拡充と、それから保育等のサービス、これを車の両輪として拡充していかなきゃいかぬというお話がありました。私は、両立支援ということを考える場合に、よく私たちも市民相談という形で御相談をいただくわけでありますが、とりわけ若い御夫婦、これから子供を産むという若い御夫婦の方からいろいろなお話を伺いますが、妊娠から出産、それから育児、さらには職場復帰というような過程の中で、労働法制による支援策と、それから保育などの支援策、今副大臣がおっしゃった二つの車の両輪、この車の両輪がどうも連動していない、一貫していないという実感を持っております。そういう声をよく聞くわけであります。

 さっきの話じゃありませんが、舛添大臣は確かに、子供を産むということについては経済的な負担はできるだけかけたくない、こういうことを何度もおっしゃっているわけでありますが、同時に、安心して育児やそして仕事への復帰というようなこともできるように、一貫した両立支援策、サービスの提供体制が必要ではないかと私は感じているわけであります。

 端的に言えば、若い共働きの御夫婦が妊娠をされる、妊婦健診十四回を受ける、その前に母子健康手帳の交付を受けるわけでありますが、その段階から、両立支援のための育児休業とか、あるいは職場復帰の際の保育サービス、場合によっては、通常の保育園がいっぱいでなかなか利用できない、そうすると、無認可の保育所に行かざるを得ない、あるいは時間外であればどうしても無認可の施設の方がサービスは利用しやすい、こういうケースがあったりするわけであります。あるいはファミリー・サポート・センターなどもあったりするわけでありまして、こうした幅広い社会サービスを、できればワンストップで、相談あるいはサービスのコーディネート、こうしたことができる仕組みが何とかできないかなというのはずっと私は思い続けているテーマであります。

 例えば、職場内に保育施設があるというような方については本当に働きやすい環境だと思うんですね。安心して結婚して子供をもうけることができるわけでありますが、一般的に見て、職場に連携した保育サービスなんというのはまだそんなに多くあるわけではないわけでありまして、妊娠しますとやはり地元の市区町村へ行かなきゃいかぬ。行ってみると、何か待機者だけでいっぱいだというようなことで、自分が職場復帰しようと思うときに、ちょうど自分のニーズに合うサービスが本当に手に入るのかということは、結局、サービスを利用する人が自分自身で一生懸命コーディネートして、自分自身で一生懸命動かなきゃならないわけであります。

 そうした社会というのは、さっきM字型の話がありましたが、やはりM字が一番へこんだところでの葛藤ということはあるわけでありまして、そこを国を挙げて、もちろん地方自治体と連携をしながらサポートしていくという体制が要るのではないかな、こう私は思っているのでありますが、副大臣、どうでしょうか。何かいい手がないかなと私はずっと思い続けているのでありますが、何かお話がありましたら承りたいと思います。

    〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕

大村副大臣 桝屋委員まさにおっしゃるとおりだというふうに思っております。

 やはり、さまざまな保育サービスそして子育ての支援、いろいろな政策をそれぞれの部署部署でやっておりますし、私もこの立場にありまして、改めて、省内、そしてまた子供の教育というので文部科学省からも先般トータルで話を聞いてデータを集める機会があったんですが、みんなそれぞれが一生懸命やっているんですけれども、どうも、タコつぼと言うと語弊がありますが、非常に専門分化して、それをトータルでつなぎ合わせて、さあ鳥瞰図はこうなんだということを、そういった意味でのPRといいますか御紹介を、やはりワンストップでできるだけわかりやすく国民の皆様に提供していくということをもっともっとやっていかなきゃいけないというふうに思っております。

 現行制度では、もう先生言われましたように、母子健康手帳におきまして、母子の健康、発達等に関する情報に加えて、産前産後、育児期の労働や育児休業制度に関する情報を盛り込むように、市町村に厚生労働省の方から記載例を示している。そういったようなこともやっておりますし、また、市町村には、保育を初め地域の子育て支援事業に関する必要な情報を提供する義務を児童福祉法で課して、地域の実情に応じていろいろな各種子育て支援情報を盛り込んだパンフレットの作成もやっていただいているというわけでございます。

 それから、こうした情報について、乳児家庭全戸訪問事業、いわゆるこんにちは赤ちゃん事業というもので、市町村が乳幼児のいる家庭を訪問した際にお届けをするということ、また、乳幼児連れの親子が集う地域子育て支援拠点事業といったところでも、そういったパンフレット等をお配りさせていただいております。

 ただ、こうした面で、もっともっと情報提供を積極的に進めていく、お知らせをしていく、それもワンストップでやれるようにしていくということを、先生言われるように、これからもしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりなんですね。大体メニューはそろってきたのでありますが、一つは、介護保険と同じでありまして、介護保険が選択できるサービスなんということをよく言いましたけれども、とてもとても現場では、選択できるどころか一年待ち、二年待ちという実態があるというようなことと同じでありまして、やはりインフラ整備を特段に進めなきゃいかぬのは一つあるんだろうと思います。副大臣の今のお話は、まさに厚生労働省内部で議論するのでもそういうことだというふうにおっしゃったんだけれども、一番大事なのは、現場において実際にサービスを利用する立場でそうしたことが何とか安心してできるようにできないかなというのが私どもの問題意識であります。

 今副大臣が御説明いただいたように、それこそ地域子育て支援拠点事業であるとか、子育て支援センターとか、マザーズハローワークとか、母子家庭等の就業・自立支援センターとか、乳児の全戸訪問事業、こんにちは赤ちゃん事業、いっぱいあるんですね。これだけあって、何で私のところへ若い夫婦が、いよいよ自分は職場復帰したい、本当に保育のサービスにたどり着くだけでも大変なんですという声になるのかなというこのギャップですね。ここは、さっき申し上げたインフラ整備と同時に、現場の市区町村でのサービスの組み立てということもあるのでありましょうが、いま一つ政府を挙げての取り組みが求められるところだな、こう私は思っている、問題意識を申し上げたわけであります。ぜひ、こういう議論をしたということも大臣にお伝えいただきたい。

 今のこんにちは赤ちゃん事業なんて、全家庭を訪問するわけでありますから、この情報を生かしてサービスにつなげるということはぜひ、恐らく現場は、私、現場を歩いて感じるのは、全部訪問したら訪問する方は大変だと思いますよ。そこに、うみといいましょうか、相談の量がたまって、相談は受けるけれども解決するアウトプットがない。こういうことが全国にいっぱいあるのではないかな、そこに手を打つ次の作業が必要ではないかと私は思っておる次第であります。

 具体的な話に入りたいと思いますが、子育て期間中の働き方の見直しについて、短時間勤務制度の義務化あるいは所定外労働の免除の義務化が今回図られるわけでありますが、対象を三歳までとされた理由ですね。これは三歳をもう少し上げた方がいいのではないか。現場の利用状況等からしても、実際に今運営されている現場の状況からしても、小学校に上がるぐらいまで実際におやりになっているところもあるわけでありまして、ここを、三歳をどう説明されるのか、お伺いしたい。これは局長で結構でございます。

村木政府参考人 短時間勤務等の措置については、お子さんの年齢がかなり高くなるまで措置をぜひ入れてほしいという御希望は確かに強いわけでございます。ただ、どこが一番強いかというと、年齢が小さいほど短い時間で勤務する御希望が強いということがございます。

 そういう中で、今回、何歳までこの措置を入れるかということでさまざまな議論をしたわけでございますが、一つには、現在の導入状況でございます。短時間勤務制度の措置は全事業所のうちの三割強の導入、それから所定外労働の免除措置については二割強の導入率ということでございますので、年齢をかなり大きくするということよりは、まずはすべての事業所に普及を図るというのが一つ大事なことかというふうに考えました。

 また、短時間勤務制度等を最低限の法律の措置としてやりますと、これは実は二年以上続く措置でもあるということで、かなり企業の負担が多いということも考えました。

 また、これは一部ではございますけれども、やはり女性がとる制度になってしまう、そうすることによってまた女性のキャリア形成の面ではマイナスがあるのではないかというような御意見もありました。

 こういうさまざまな意見を踏まえて、まず法律で定める最低限の義務としては三歳までということにしたわけでございます。もちろん、その後、小学校就学の始期に達するまでの子に関しては、これらの制度も努力義務といたしますし、努力義務である以上、私どもも普及を応援したいと思います。また、就学後も短時間勤務の制度を導入しているような企業も今ございますので、こういったいい制度を導入するところも含めて、助成金のようなソフトな応援の措置をしっかりとっていきたいと考えているところでございます。

桝屋委員 現状を踏まえて、法律の義務化については一定の線を、あとは努力義務で、こういうことでありましょうが、次のステップをぜひ我々も目指していきたいと思っておる次第であります。実際に、それを補完する保育サービス、これは三歳で大きな制度の区分があるわけではありませんので、ここはできるだけ早く、当然小学校までだなという時代を我々はつくっていきたいというふうに思っておる次第であります。

 もう一点でありますが、今回のパパ・ママ育休プラスなどについてでありますけれども、要は、男性の長時間労働の流れを変える必要があるんじゃないかということで、この委員会でも随分議論がありました。私自身の議員になる前の働き方も含めて、本当に働き方を変えなきゃいかぬとつくづく私も思っている一人であります。

 今回、百年に一度と言われる状況、雇用調整助成金あたり、二百万を超えるような方が利用しておられる。雇用調整の今真っ最中であります。全国でワークシェアリング等あまたの企業が取り組まれているわけでありまして、この局面というのは大変なピンチでありますけれども、これをチャンスととらえて、次またどうせ景気はよくなるわけでありますから、そのときはまた精いっぱい働くというようなことではなくて、今回のこの状況で、元気になるときには、少し働き方が変わったなと言われるように、ぜひ私は長時間労働を減らす機会にすべきではないかと思っているのですが、いかがでしょうか。

氏兼政府参考人 我が国の労働者の総労働時間でございますが、御指摘のとおり二極分化が進んでございまして、とりわけ週六十時間を超えて労働する労働者、これは子育て世代でもある三十代の男性でございますが、五人に一人が六十時間を超えるという状況になっておりまして、長時間労働の抑制ということは重要な課題であるというふうに認識しているところでございます。

 一昨年末に、仕事と生活の調和憲章、いわゆるワーク・ライフ・バランス憲章とその推進のための行動指針が策定されましたけれども、そこでも、「健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会」を目指すとされているところでございます。

 足元で、景気情勢もございますので労働時間は減少傾向にはございますが、今後の景気回復期に再び長時間労働に戻るということを抑制するとともに、景気や雇用の情勢にかかわらず、働き方の改革、長時間労働の抑制に向けた取り組みを着実に進めることが重要であるというふうに考えてございます。

 厚生労働省におきましても、これまで、それからこれからもでございますけれども、我が国を代表する企業の具体的な取り組みの成果を広く周知する仕事と生活の調和推進プロジェクトを展開しておりますし、また、業界団体による業種の特性に応じました仕事と生活の調和推進プランの策定を支援しますでありますとか、それから、仕事と生活の調和について相談、助言を行う専門家の育成というようなことを、さまざまな観点から鋭意取り組んでいるところでございます。

 さらに、来年四月より改正労働基準法が施行されますけれども、これによりまして、月六十時間を超える時間外労働の法定割り増し賃金率、現在二五%でございますが、これが五〇%になること等とされておりまして、これも長時間労働の抑制に大きく寄与するものと考えてございます。

 今後とも、これらの取り組みを通じまして、長時間労働の抑制に努めてまいりたいと思います。

    〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕

桝屋委員 ぜひお願いをします。

 今の答弁、それで結構なんですが、時をとらえるといいましょうか、百年に一度と言われる今回の経済不況、とりわけ雇用情勢、これをしっかりとらえていただいて、来年四月はまた大きなチャンスではないかと私は思っておりますので、お取り組みをお願いしたいと思います。

 こうした観点では、平成十五年に成立をしました次世代育成支援対策推進法によりまして、地方公共団体あるいは一般事業主が行動計画を策定するということで主体的な取り組みをしていただくという流れになっているというふうに思っております。

 特に、一般事業主の行動計画の取り組み、その実績など、ぜひこれは厚生労働省としてもチャンスととらえて、推進状況を確認しながら前へ進めてもらいたいというように思っているんですが、長時間労働等について、あるいは育児休業のあり方についても、それぞれの事業主が行動計画をつくっていただいて、そして計画が終了し目標達成をすれば、厚生労働大臣によって認定を受けて、次世代認定マーク、くるみん、こういう認定マークを出すというようなことでもあるようであります。こうしたことは本当に今の状況に応じて一段と力強く取り組んでいただきたいと思うわけでありますが、この点、いかがでございましょうか。お願いします。

村木政府参考人 次世代法に基づいて、事業主の方が自社の従業員のために次世代支援の計画を立てるというのは非常に大事なことだと思っております。

 二十一年三月末で三万一千五百九十九社が届け出を行ってくださっております。このうち一万三千五百八十八社が、計画の策定、届け出が義務づけをされている三百一人以上の事業主でございます。届け出率九九・一%と大変高い率になっております。また、逆にそういう義務がないところでも同じ数以上の企業が計画をつくってくださっているということで、かなりこの制度は軌道に乗ってきたと思っております。

 くるみんマークの方はまだちょっと知名度が十分とは言いがたいんですが、それでも認定を受けた企業が六百五十二社になったところでございます。ぜひ、このマークを持っている会社はいい会社だという認識が広がるように一層努力をしたいと考えております。

桝屋委員 今は大変雇用情勢が厳しいのでありますが、やがて必ずこれは反転をするわけで、事業主にとって、いい労働者を得ようと思えば、こうした認定を受けなければいい労働者は来ないんだ、こういう時代がそう遠くない状況で出てくるのではないかな、またそうしなければならないと私は思っている次第であります。

 それで、介護休業はもう時間がなくなりましたから飛ばしまして、今回の安心こども基金の運用についてちょっとお願いをしておきたいなと思っております。

 育児休業制度の拡充とともに、先ほど申し上げた保育などのインフラ整備、要は量が足らないというのが実態でありまして、ここは、保育のあり方も今から抜本的に見直しをする、こういうときに入った、しなきゃならぬと私も思っておりますが、それを前にしまして、二十年度の第二次補正あるいは二十一年度の補正予算で各都道府県に積まれております安心こども基金であります。ここは、金額にしても一千億と一千五百億、合わせて二千五百億でありますので、この二千五百億というのはめったにない財源でありますから、これをよほどうまく活用して取り組みを進めてもらいたい、こう強く期待をしております。

 現場の都道府県に積まれた基金の状況、今まさに地方は六月議会真っ最中でありまして、その議論の動向を私もずっと聞いておりますけれども、二十年度の補正は突然であったということもあって、相当あのときは現場は混乱があったようでありますが、今回、二十一年度、合わせて積み増しをするということになりまして、大分地方自治体も腹を決めて、チャンスだととらえて取り組んでいただいているようであります。

 中には、地方自治体から、地域の実情に応じた各団体の独自制度、地方単独の制度などにも柔軟に対応できるものにしてもらいたいというような声。あるいは、地方財政も厳しい中で地方負担をできるだけ軽減する方向、どうしても負担割合があるものですから、地方負担もつき合えということでありまして、そこは、いかにこういうときであってもなかなか厳しい、こういう声。さらには、運用に当たって、余り言うと民主党から一括補助金にすればよかったではないかと批判を受けそうでありますけれども、やはり厚労省が出すと、それぞれ基金ごとに事業を想定して、その事業に合うものは使えますよということであると、現場はやはり、場合によっては事業間の流用とか、さまざまに地方の実情に応じて地方の創意工夫を生かしながら事業を展開する、そういうふうにしたいという声がまさにこの六月議会の現場での議論の内容であります。

 こうしたことについて、一昨日、全国の課長会議等もおやりになったようでありますが、ぜひともこうした地方の声も踏まえて運用について御配慮いただきたいと思うわけでありますが、いかがでしょうか。

村木政府参考人 安心こども基金でございますが、先生おっしゃったように、昨年度の第二次補正で一千億、このときは保育が中心でございました。さらに、二十一年度の補正予算において千五百億、これは、保育に加えまして、一つには、すべての家庭を対象とした地域子育て支援の充実、それから二つ目として、一人親家庭への支援、三つ目としまして、社会的養護の拡充などの新しい事業も加えて積み増しをしたところでございます。昨年の補正の後、まさに先生がおっしゃったような声を大変たくさん地方からいただきましたので、ぜひその声を生かしてこの基金の運用をしたいと思っております。

 具体的に、まず、地域の独自の事業に使えないかという御希望が大変多かったわけでございます。これは、今回のことしの補正におきまして「すべての家庭を対象とした地域子育て支援の充実」という項目を立てましたので、自治体の、地域の実情に応じた創意工夫をした子育て支援事業に対して支援をする地域子育て創生事業、これは小渕大臣の命名でございますが、これを創設しておりますので、これをしっかり活用していただくことができると思っております。

 それから、地方負担の軽減でございますが、これは、内閣府の所管の地域活性化・経済危機対策臨時交付金におきまして、安心こども基金の各事業というのが対象になっております。一部法律で地方の負担についての規定があるものだけはちょっと難しゅうございますが、それ以外のものはこの交付金が使えるということがはっきりしておりますので、それも使ってぜひこども基金を上手に運用していただきたいということで、地方にもその旨お伝えしました。

 それから、事業間の流用の問題でございますが、先生からも御指摘がありましたとおり、去年の二次補正でかなり細かいルールをつくっておりました。これは、実は、こういったルールを撤廃して、基本的には、さっき申し上げた保育ですとかひとり親ですとかという大きなくくりの中では流用が簡単にできるということにしたいと思っております。

 それから、大きなくくりを超えての流用でございますが、これはさすがに自由にというわけにはいきませんけれども、どうしても必要な場合には、都道府県から協議をいただいた上で流用できるというような仕組みをつくりたいと思っております。

 ただ、これはまだ関係機関と調整中でございますので、ぜひ実現しますようにお力添えをいただきたいと思っております。

桝屋委員 時間が参りましたから終わりますけれども、今御答弁いただいたように、この安心こども基金は、文科省とのすみ分けもあるようでありまして、認定こども園等は文科省分と厚生労働省分とかあるわけでありまして、この辺はできるだけ現場の必要性に応じて柔軟に対応していただく、それがまさに今回の基金の目的を達するものだと思っておりまして、副大臣、ぜひ、大体そのような方向であるようですから、また副大臣のお立場で目を光らせていただきたいなというふうにお願いをしまして、質問を終わりたいと思います。

大村副大臣 桝屋委員から言われました御指摘、しっかりと受けまして、また前進させていきたいというふうに思います。ありがとうございます。

桝屋委員 ありがとうございました。

 大臣も来られましたので、終わります。

田村委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 大臣、参議院の方から駆けつけて、まだ息も整っていないところでございますが、早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 十日水曜日のこの委員会での質疑を通じまして、実は、育児・介護休業の制度を申請したら解雇されてしまったり、あるいは減給、配置転換などのいわゆる不利益取り扱いを受けてしまっておられる方々が全国に多数おられる実態が明らかになりました。

 そこで、いま一度整理をしてみたいと思います。

 こちらの方にちょっとわかりやすくボードをつくってみました。ここに、育児休業と介護休業、そして子供の看護休暇も含めて、いわゆる相談件数の中でも不利益取り扱いに関する件数の推移を表にまとめてみました。育休を見ていただくと、ごらんのとおりどんどん年々ふえていっています。介護休や看護休における不利益取り扱いは、この表だけで見ると一定の推移なんですが、実はこの中身を精査していくと大変大きな問題があるということを後ほど申し上げたいと思います。

 こういう現実を、いま一度ここで本委員会の委員の皆様に、そしてきょうは、実はせんだって水曜日に傍聴にぜひ来たいとおっしゃっておられたいわゆる育休切りの被害に遭われた方々も傍聴席にいらっしゃる、あるいはもう間もなく到着されるという中で、この不利益取り扱い、その不利益の中でも究極の不利益とも言える育休切り、さらに介護休業切り、さらには、場合によっては看護休暇を申請することによっての退職奨励のような事態も実はございまして、そういった事態についてこの委員会の中でも御認識を共有させていただき、ぜひ本改正案の制度改定によってこれらの被害を起こさせない、それこそが我々議員あるいは行政に課せられた責務であると考え、質疑に入らせていただきたいと思います。

 こうした現状を改善していくために、本改正案では、新たに罰則規定として企業名公表あるいは過料を科すなどの規定を設け、さらには、この委員会でもそれぞれ委員の方々がさまざまな質問をされておられましたが、いろいろな政策とのミックスで育休切り初めさまざまな不利益取り扱いの防止を実現しようとしている。

 ただ、私は、やはりその一つのツールとして、水曜日にもこの委員会で我が党委員の方も質疑をされておられました、野党修正案にもございます育児・介護休業を理由とした解雇、不利益取り扱いなど防止のための休業前後の書面による明示の義務化、これについて、何とか当委員会においてさらにもう一歩踏み込んだ議論をさせていただきたい、大臣からもさらにそういった意味ではそのような御答弁もいただきたい、そのように考えております。

 確かに、水曜日の議論でも大臣がおっしゃっておられましたように、書面明示を義務化することによって、仮に労働者側にデメリットがあるというようなことになればこれは本末転倒にもなりかねないわけですから、そういうデメリットは最大限考慮するにせよ、先ほども申し上げましたように、不利益取り扱いの中でも最大の事例はやはり育休切りであるわけですから、それを回避できる方法は、ここはやはり何らかの形で委員の皆さんとも知恵を出し合って考え、そして形にしていくという努力をしていくべきだと考えておりまして、そのような思いを委員の皆様も共有され、法案提出者の方々を中心に御尽力をされて、実は、けさの新聞報道等を見ると既に記事が、これはある新聞紙の一面に、「育休法改正案成立へ」というような大きな見出しで出ておりまして私も若干驚いてはおりますが、しかし、とにかく、きょうの段階に至るまで、さまざまな方々の御尽力で何とか書面による文書の明示の義務化についても合意に向けた努力が行われてきたようにもお聞きしております。

 そこで、大臣に伺いますが、この文書の明示の義務化について、法案修正とかあるいは省令改正の項目に関する具体的かつ詳細な質問はこの後また我が党委員から改めてあると思いますが、私からは、以下、大枠の方向感なりあるいは大臣の御認識を伺いたいと思っております。

 この間るる議論があったことも踏まえまして、本日のこの現段階に至って、大体の大枠として、例えば法案修正あるいは省令改正なり、この育児休業の申出書、あるいは通知書、そのいろいろな使い方の工夫も含めて、ぜひ、きょう傍聴席にいらっしゃる育休切り被害者の皆さん、また全国の被害者の皆さんに向けて御答弁をいただけないかと思いますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 一昨日、私が尊敬する郡委員や山井委員からさまざまな御意見をいただきました。そして、与野党を超えていい意見であれば虚心坦懐に聞くべきである、そういう方針でずっと私は参りました。

 一昨日も申し上げましたように、紙の形できちんと出した方が、それは口頭で言った言わないというようなことが起こらない、これは大変にいいことであるということは共通の認識であります。それからもう一つは、ただ、今柚木さんもおっしゃってくださったように、かえって労働者に不利になるような縛りがあって、非常に悪意の経営者がそれを盾にとって逆に労働者をいじめる、いじめると言うと言葉は悪いけれども、不利益な取り扱いをするということがあってはいけません。

 そういう中で、山井さんが、少なくとも休業開始の日と終了の日をきちんと書いてやるというのはどうだということをおっしゃった。例えば、今考えていますのは、育児休業申出書というのはだんだん促進されてかなり実施されている、なかなかその取扱書の方までいくのは企業側も難しいというようなことなので、一つの方向としては、育児休業申出書を提出していただく、そしてそれに対して、手書きでも何でも、きちんとそれをやりますというようなことで、労働者に対して、わかりました、何日から何日までですね、そういうメモをきちんと書いて、判こを押して、戻す。そうすると、証文というかそういう形でできるので、こういうことはなかなか法律で義務化というのは難しくても省令を使うことができますので、省令において措置する方向でこれは検討したいなというのが、山井さんや郡さんの意見も、今のそのほかの委員の先生方の意見を入れて、この一両日考えてそういう方向を出したいと思っております。

柚木委員 ありがとうございます。大変前向きな、さらに一歩前進と私は今理解をいたしました。

 きょう、資料にもおつけをしております、資料二ページ目の仮名ユウコさん、あるいは三ページ目のマユミさん、そして四ページ目のアキコさん、きょうもここにいらっしゃるまでにハローワークに行ってからこちらに来るとか、あるいは、きょう資料には、水曜日にはおつけしていたんですけれども、都合でおつけしておりませんが、七月の十日ごろに出産を御予定されている妊婦の方も、何とかこれに間に合うように駆けつけたい、そんな思いで、皆さんがとにかく自分たちの、一労働者、一妊婦のこの思いが国会で聞き届けられるのであれば、ぜひ大臣の御答弁も含めて見届けたい、そういう思いできょうこちらにいらっしゃっているということで、今の御答弁を受けまして、私、もう一度確認させていただきますが、育休に関する不利益取り扱いのパターンとして、年々ふえてきているこの不利益取り扱いの中でも最大の不利益である育休切りが、今の書面の明示をいろいろな省令改正等で工夫をするということによって、少なくともこの数値自体が、あるいはこの中に含まれる育休切り自体が減少していく、そのようになっていくんだということで、大臣、認識はよろしいでしょうか。

舛添国務大臣 今おっしゃったように、いわゆる育休を理由として解雇されたり不利益になる取り扱いがあってはならない。そういう意味で、先ほど申し上げたような形できちんと事業主が育児休業申出書に追記をして、つまり、ちゃんと書面によって申し出を受けましたよ、何月何日から何月何日までが休業の日にちですよ、これは確認しましたよ、こういう紙をきちんと戻すということによって、不利益な取り扱いが大きく減っていくということを期待したいと思っております。

柚木委員 ありがとうございます。

 そういった形で、本当に経済的に雇用の情勢も厳しい中、何とかこの育休切り、あるいはこの後も申し述べますが介護休業、看護休暇に係る不利益取り扱いが減少していく、そういう一つの大きな端緒になることを私も期待させていただきたいと思います。

 さらに、この不利益取り扱いに関しまして、資料七ページ目に、実はそれぞれの不利益取り扱い事案、平成二十年度の二百二十一件の内訳、そしてその指導後の結果等に関しての資料をおつけしております。

 ごらんをいただきますと、それぞれ三番の「雇用不継続」というのがいわゆる育休切りというところに当たってしまうわけですが、よくよく見ると、各項目の二番の「解決しなければ連絡とのことだったが連絡なし」、それぞれ項目に件数もございます。この連絡なしという部分の件数自体が、ひょっとしたら、今後仮に追跡調査等を行った場合に、先ほど示したこの不利益取り扱いの件数の中における「雇用不継続」に、連絡をとった場合になっている可能性もこれはあり得る。その結果次第では、実は育休切りの実態がさらにふえる可能性があるというふうに私は考えるんですが、大臣、これについて認識はいかがでしょうか。

舛添国務大臣 これは雇用均等室に、実態はどうだということを若干精査させたんですけれども、やはり自分が勤めてきた会社の話なんで、まず匿名でお願いしますといって来られたり、いや、申しわけないけれども役所の方からは連絡しないでください、連絡先を残していくのはちょっと勘弁してくださいというような声があったりするというのは、非常によくわかるんですね。

 それで、紛争があって、解決しても、職場に戻っても何となく雰囲気としてやりにくいということがあるので、やはり紛争を未然に解決するということが最大の眼目だろうというように思います。

 今おっしゃったようなことは、ここの「解決しなければ連絡とのことだったが連絡なし」という件が、まさにあきらめちゃって、不利益取り扱いを受けてもしようがないわと思って、解決していないのに連絡しなかったことも当然あるというように思いますので、今言ったような状況で、匿名でお願いしますという方とか、連絡先を残していかない方はフォローがなかなかできませんけれども、例えばアンケート調査をやってみるというようなことで、もう少し実態を明らかにできればということも考えております。

柚木委員 ありがとうございます。

 結局のところ、これまでの事案の中でも泣き寝入りというケースを紹介しております。まさに連絡なしの方にもそういう方が多数含まれていることも考えられますので、そのアンケート調査等の実施によって、さらに連絡なしの方々に対するきめ細やかなフォローについても今御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 それを受けて、私は、資料の八ページ目あるいは九ページ目以降、介護休業に係る不利益取り扱い事案、さらには看護休暇における事案についておつけしておるんですが、実は、八、九のページを見ていただきますと、これは「介護休業に係る不利益取扱い相談事案」ということでありまして、一からずっと見ていただくと、どれも、申し出たところ、例えば退職勧奨あるいは解雇された、さらには配置転換が起こった、まさに介護休業切りと言わざるを得ないようなさまざまな実態がこの八、九ページの各項目を見ても明らかでございます。

 その明らかな中で、実は、十ページ、十一ページ目を見ていただくと、ちょっとこの集計方法が変わっております。それぞれ私の方から厚労省さんにお願いをして作成をいただいた形式になっておりますが、これは、相談内容に加えて、実際に会社の主張、そして指導の結果ということまでまとめられております。

 実は、育休切りに関しては、こういったまとめ方で厚労省さんの方から資料提供をいただいた関係で、いろいろな実態が明らかになり、まさにきょうの書面の明示の工夫に至る、本当にそこまで議論が進むということになったわけでございます。

 そういった意味で申しますと、介護休業に係る不利益扱い、並びに看護休暇に関して、件数は少ないですがそういった扱いについても、この十ページ、十一ページのような形で、厚労省さんとしても数値は把握をしている、しかし実態としてはこういうまとめ方をしていなかったということで、正直、こういうまとめ方をすることによっていろいろなことが明らかになったという御認識をお持ちだということですから、この集計方法についてもぜひ工夫をいただきたいのですが、大臣、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 今おっしゃるように、私も介護をずっとしてきましたから、介護とか看護について不利益取り扱いをするというのは、まず前提として、それは育休の場合と全く同じで、これは法律で禁止をされておりますから、ぜひそこをまずしっかりと認識していただきたいというふうに思います。

 その上で、今どういう形で整理、公表するかということを審議会などにおいて検討させていただいております。個々のケースを一つ一つ解決していくというのが基本的な雇用均等室の仕事でありますし、そういう意味で、今委員がおっしゃったようなことも含めて今既に検討中でございますので、どういう形でこういう事案を整理し、どういう形で公表することが可能であるか、常に個人のプライバシーとかそういう問題もありますから、そういうことも含めながら、今後さらに検討を進めていきたいと思っております。

柚木委員 ありがとうございます。さらに半歩あるいは一歩前進というふうに受けとめさせていただきました。

 ここには、介護休業による不利益取り扱い、年々の推移が百七十件前後でございまして、全国から見れば、実はこれは氷山の一角で、資料の一ページ目におつけをしておりますように、介護休業制度に関する問い合わせ自体は年間五千件近く来ているわけですね。

 ですから、今のようないろいろな集計方法等の工夫によって、この背景にある、もっともっと全国の方がそもそも休業制度自体を利用できない、あるいは、この後申しますが介護と仕事との両立、こういったことに関して、ぜひこういった不利益取り扱いが今後是正されていくような形で希望いたしますし、この後議論を進めさせていただきたいと思います。

 きょうは、介護休業に係る不利益取り扱いに加えて、介護と仕事の両立支援についてぜひお尋ねしたいと思っております。

 実は、私が、いろいろな介護の問題の相談を受けられている、専門の仕事をされておられる方に、この不利益取り扱いあるいは仕事と介護の両立支援について昨日いろいろお尋ねをいたしました。そうすると、柚木さん、一昨日のNHKさんの「クローズアップ現代」を見てください、あそこにすべてが凝縮されていますということだったんですね。私、何とか取り寄せて見ました。

 大臣、ちなみにこれをごらんになったか、多分忙しいと思うので、一昨日ですが、三十分の。みんなごらんになっていないですね。それはもうお忙しい中だと思います。

 私見てみたんですね。その中でいろいろな問題が明るみになっていまして、そこで取り上げられた事案も多少参考にさせていただきながら、今度はちょっと介護と仕事の両立支援についてお尋ねをさせていただきたいと思っております。

 日本の高齢者が二千八百万人、そして介護保険施行十年、施設の不足や、あるいは、この四月からの認定基準変更によるいわゆる介護切りとも言われるような問題も明らかになってきている中で、今度は、仕事か介護か、この二者択一を迫られている方が急増している。

 しかも、二〇〇六年度の調査によりますと、介護離職者は十四万四千八百人。その中で、実は特徴的なのが、二万五千人は男性で、しかもその方々の半数が四十代、五十代という、いわば社会においても家庭においても一家の大黒柱として会社でも中核的な役割を担っていらっしゃる、そういう方々が、仕事か介護かという選択を迫られている。大臣、どっちか選択できればまだいいですよ。ですが、仕事をして生活費がなければそもそも介護の制度自体を御家族が利用できない。そういう中で、何とかこの制度を工夫して、仕事をしながらでも介護と両立をさせていきたい。そんなことで、短時間勤務制度の利用等、いろいろな企業も努力をされておられますし、また、今回の事案の中でも含まれていると思っております。

 そこで、具体的なことをお尋ねする前に、介護休業取得率。育休の場合には男性の目標値が二〇一七年に一〇%、女性が八〇%という目標値が設定されておりますが、介護休業の取得率というのは、現状ではわずか一・五%。これでは幾ら制度があっても絵にかいたもちでございまして、私は事前に質問しておりませんので、後ろの方、教えていただいて結構ですので、介護休業の取得率、これは育休と同様に目標値を設定されているんでしょうか。

舛添国務大臣 目標値の設定はないということだそうです。

柚木委員 ありがとうございます。

 確かに育休の方が、件数でいっても、先ほどの表のように、ある意味では絶対数としてのニーズは高い。しかし、ここに来てにわかに今度は介護の中における仕事との両立で、特に働き盛り、しかも、ある意味では、育休の場合には、女性の方が休暇をとられた場合に御主人が一生懸命働かれて家計を支えておられる、もちろん給付もありますが、しかし、四十代、五十代の一家の大黒柱の方が休業をとって、これで家計が成り立つのか、こういう問題がある中でこの一・五%という数字になっているんだと思うんですね。

 そこで、詳細な質問はこの後短時間勤務の中でも伺いますが、まずはというか、だからこそ、ここで介護休業の取得率に対しても、私は男性と今言いましたが、もちろん女性の方も含めて、ぜひ目標値を設定して取り組んでいく姿勢をお示しいただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 私自身が、四十代、五十代まで入っていたかな、とにかくほとんど介護に十年近く明け暮れていましたので、本当にその大変さというのはよくわかります。

 ただ、問題は、一つは、やはり介護保険制度をさらにいいものにして、仕事と介護が両立できるようにする。私が母親を介護していたときはまだ介護保険制度が入っていませんでした。あのころに既にあれば相当楽だったのになというふうに思いますから、一つは介護保険制度を充実させる。

 それから、目標値の設定も考えてもいいんですけれども、要するに、介護が必要な人が百人いれば、その対応が百人全部違いますね。そうすると、どういう形で介護と仕事を両立させるかというのは、かなり細かい工夫が要るかなというふうに思っております。

 それから、たまたま私はそのころ自由業でしたから、自分で、仕事を週の前に集中して後半は母親の面倒を見るとか、そういうことができましたけれども、これはサラリーマンの場合だと全く不可能ですから。仕事をしている方のこともあるので、一つの目標を設定するというのは可能ですけれども、やはり政策のメニューとして多様なものを持っていく、それで、倒れてぱっと二月ぐらい長期的にしっかり見て、その後、実は三日とりたい、二日とりたいとかいうのがあるので、今回そういうことをぜひ実現したいというふうに思っています。

 当然目標値の設定も考えたいと思いますが、介護した立場からいうと、若干今言ったような問題点も逆にあるかなというふうな気もします。

柚木委員 数値の設定自体、時間があればもう少し触れたいと思いますが、確かに大臣がおっしゃったように、その他のいろいろな事情あるいは施策優先度もあろうかと思います。ですから、ちょっと先に進みますが、まさにそういう目標値設定自体を可能とするためには、まずは具体的な施策の充実もセットでやらなければ、逆に変な足かせになってもいけませんから。

 そんな中で、介護と仕事の両立において、後ほど休暇制度についても新設の部分を伺いますが、短時間勤務の拡充をぜひお願いしたいと思っております。

 実は、そのNHKの番組では、ある百貨店勤務の男性の事例を挙げておられました。奥様がクモ膜下出血で倒れられて、一命を取りとめたものの重い障害が残ってしまわれた。一方で中学生のお子さんがいらっしゃる。そういった中で、なかなか休業というわけにもいかない。そこで、実は百貨店というところが一つのポイントで、女性の職員の方が多い中で、育休制度自体が大変先進的な取り組みで充実している。まさに育休のパターンを今度は介護に生かそうという形でいろいろな制度の工夫がされていて、実は、休業は一年間、有給は四十日、さらには短時間勤務制度は四パターン、こういう中で制度を組み合わせて利用できて、その方は有給と短時間勤務制度を組み合わせて利用ができたんですね。

 そういう形で何とかやっていくことができたという事例だったんですが、今回、育休については、勤務時間のこと、就学前までの拡充等、我々も修正案を提案しておりますが、ぜひ介護休業についても何らかの短時間勤務の支援強化拡充を行うことをお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 短時間勤務制というのは、介護だけじゃなくて、女性の医師が復職するときにも非常に有効なので、そちらの面でもこれを活用しております。

 それで、今現行法では、選択的な義務措置として、短時間勤務制度も一つ入っていますし、それからフレックスタイム制、さらに始業、終業時刻の繰り上げ繰り下げ、さらに介護サービスの費用助成、この四つから一つを選択して義務とするということで、この短時間労働制も含めて、今のようなことは有効な制度だというふうに思いますので、今後、この選択的義務制度からさらに進めて何らかの改善ができるか、また検討させていただきたいと思います。

柚木委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、まさに今回新設の介護休暇制度の方もあわせて確認というか、お尋ねをさせていただきたいんです。

 私は、この休暇制度も意味があると思いますが、やはり先ほどの、今御答弁をいただいた短時間勤務制度との組み合わせ、これによってより実効性を高めていただきたいと思います。そういう意味では、今の御答弁いただいた部分の確認にはなりますが、今後仕事と介護を両立できるという意味で、先ほどおっしゃっていただいた、育休の方は単独の措置として短時間勤務の制度を選ぶことになっている、しかし、介護休の方については現在は選択制でその中の一つが短時間勤務制度であるということで、それをいわばまさに単独の一つの項目として省令改正を検討いただける、そういう御答弁でよかったのか、確認させてください。

舛添国務大臣 そこまでいくかどうかというのは、逆に介護する立場から見たときに、短時間勤務制度のみを単独義務にするのか、それとも、私はちょっとそれを考えていて、四つぐらいの中から一つ選ぶというメニューも悪くないかなという感じはしていますね。

 だから、短時間勤務制やフレックスタイム制、そういうのを上手に使っていく。それから、人によっては、むしろ頑張るから費用をもらった方がいいというのは、片一方で介護保険制度があるものですから、私が短時間勤務して早く帰って母親を見るよりは、むしろ費用をいただいて、それで介護保険でカバーできない横出しとか上乗せの部分をその費用を充ててプロにやらせた方が、ひょっとしたら介護としては、いつもいつも私が言うように、介護はプロに任せましょう、家族は愛情のみでといつも言い続けているので、そっちの方がいいかなということもあるので、これは介護の立場にある方々の御意見なんかもいただきながらさらに検討したい、そういうふうに思っております。

柚木委員 この取得率一・五%という実態を考えると、まさに短時間勤務制度の実効性というのが背景にあろうかと思いますので、これについてはさらに研究、進めたいとおっしゃっていただきましたので、ぜひ審議会等でも前向きな検討を進めていただきたいと思います。

 引き続き、答弁の中でまさに触れていただいたんですが、経済的な支援、特に、まさに働き盛りの方々が介護と両立しながらという問題がある中で、休業を取得したときの経済的支援というのも実は大変大きな要件でございます。

 短時間勤務の方の事例、先ほどのテレビ番組の例だと、年収五百万だった方が二百五十万円になってしまった。奥様が若年性の認知症を患われて、そのために短時間勤務に切りかえた。しかし、施設での介護を受けた場合に、月二十万円の費用を払ったら生活が成り立たない、普通に働いていたら給料と同じ額が出ていく、これはもう限界だと。九時から四時までデイサービスを受けて、だから十五時で仕事を切り上げて帰らざるを得ない。

 残業をすれば、今度は逆に介護の利用の限度額を超えてしまって全額自己負担となってしまって、何のために働いているのかわからなくなってしまうというような実態のある中で、では仮に休業したときの所得保障、今四〇%だったと思います。こういう短時間勤務ももちろんそうなんですが、今度は休業を取得した期間中の経済的な支援、はっきり言うと所得保障の増額、こういったものについてもぜひ御検討いただきたいんですが、大臣、前向きな答弁をお願いします。

舛添国務大臣 委員御承知のように、この休業の場合は失業に準じた職業生活上の事故ととらえて雇用保険から支給するということになっているわけで、要するに問題は、失業者よりも高い給付率でいいのか、それが最大の問題なので、六〇%というのはそういうことであります。

 それで、雇用保険のセーフティーネットでやるわけなので、今の御質問を聞いていて、私は、方向としてはむしろ介護保険制度をさらにより充実したものにして、それで、先ほどちょっと申し上げましたけれども、四十万円という枠で、一割で四万円で実費の負担は済むはずなんですが、横出しとか上乗せがある部分がふえてきちゃうわけですね。だから、むしろそこを充実する形の方が、雇用保険のセーフティーネットで支えるよりも全体の社会的に見るといいのかなと。

 だから、いつも申し上げているように、さまざまなセーフティーネットが重層的に織りなしている、どれを使うのが一番いいかというとちょっと私はそういう気もしていますけれども、これはまたともに検討したいと思います。

柚木委員 そういう意味では私も実は共通した認識を持っておりまして、大臣、介護保険制度における、今一割負担の部分の限度額の引き上げ、こういった部分をぜひ具体的な検討をいただきたいと思いますが、いかがですか。

舛添国務大臣 ちょっと質問の意味を誤解したらいけないので、もう一度おっしゃってくださいますか。

柚木委員 利用限度額を超えてしまうと全額自己負担という部分ですね。ですから、自己負担にならない部分の額、サービスを利用できる金額をさらに引き上げていただければということの御見解を。

舛添国務大臣 それも給付と負担の関係であるし、保険料がどこまで上がっちゃうのかなということもあると思います。

 さらに、私は介護保険が入ってから相当よくなったと思っていますのは、私の母親は介護保険が入る直前に死んでしまったものですから、それがないでやってきていて、実は私の姉が働いていたんだけれども、介護にこれだけ金がかかるならあなた仕事をやめなさい、あなたの給料より介護の費用の方がかかるじゃないかというような議論をしたこともあるのを今でも覚えております。それに比べれば介護保険が入って相当よくなっていますが、今おっしゃったようなことも含めて、今後の介護保険改革の一つの大きな課題だと思っております。

柚木委員 ぜひ次回改定のときの一つの大きなテーマとして、審議会等でも議論を進めていただきたいと思います。

 続きまして、今度は、この委員会の中でも多少触れておられるんですが、この介護、育休制度とはまた別の支援策になるんですが、企業に対する支援ということで、育児・介護雇用安定等助成金、いわゆる中小企業子育て支援助成金について質問させていただきたいと思います。

 資料の十二ページ、十三、十四、十五とずっと、制度の概要、そして今般の拡充策、これまでは一人目、二人目だったのが五人目までの拡大、あるいは二人目以降の支給額の増額ということを十二ページで触れておりますし、十三ページにおいては利用の件数、そして支給の金額。これは大変な勢いでふえているんですね。十八年度はわずか八件、予算は十一億八千万用意していたのに六百四十万しか実績がない。ところが、翌年急増して千百七件、そして十一億という支給。そして、何と二十年度はさらに倍以上ふえて二千五百六十五件、支給が何と二十六億五千万円。一人目のケースをずっと今言っています。実は、この場合にはそもそもの予算額は十二億だったんですが、その他のいろいろな基金、特別会計をやりくりしていただいて、こちらに回していただいて、これだけの支給実績があるというようなことでございます。

 こういう現状の中で、実は私も指摘をいただいて初めて知ったんですが、私の地元の、決して大きい会社とは申し上げません、ある意味での地場産業、中小と言った方がふさわしいんだと思いますが、こういう問い合わせが来ているんですね。この制度を利用したい、あるいは利用しているんだけれども、同じ方が二人目の出産をされる場合にこの制度を利用しようとすると、実は利用できないと。

 中小企業にとって一人の方が半年以上休めば大変なことで、その中で穴埋めも必要になるし、そういう中でこの制度が、同じ方に何で一人目はよくて二人目はだめなんだ、一人目の子供と二人目の子供はどう違うんだ、ぜひ調べてほしいということで、ここにこのパンフレットを私も取り寄せて、雇児局の方にいろいろ御説明をいただきました。そうすると、同一人物が複数回数取得する場合は対象とならないというお答えなんですね。

 制度の趣旨を伺いますと、この資料の最後でしたか、おつけしておりますように、育休にしても介護休にしてもそうですけれども、確かに一番利用実績が少ないのは五人から二十九人等のいわゆる小規模の事業所ですから、そういうところへの最初の実績づくりのための制度なんだということを伺ったんですけれども、しかし、これはそれで本当にいいのか。

 私は、先ほどの予実をわざわざお示しをしたのは、これだけニーズがある中で、これは、個人だけでなしに企業に対する支援も重要だということをこの間やりとりもされているわけですから、同一人物の複数回の取得もぜひ対象に含めていただきたい。別に法改正が必要なわけではなくて予算措置ということでございますので、ぜひいろいろな形での特会の利活用も含めて拡充を検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 柚木さんのおっしゃることはよくわかります。ただ、もう一つ別の側面からいうと、なるべく多くの労働者の方にとっていただきたい。一人ばかりじゃなくて、最低五人、別々の人がとった方が、はるかにそれは企業にとっての公平感もあると思います。ただ、逆に、五人しか従業員がいないとかというようになったときに同一の人になっちゃうわけです。

 こういう制度というのは、制度が定着する過程において、だれも神様じゃないですから、完璧な制度を最初からつくれるわけではありません。今のような要求がさまざま出てくると思いますから、これは一つ一つそういう御要望をいただいた上で、どういう形で解決できるのか。ですから、百人以下の中小企業ということにしていますけれども、規模別に分けるのかとか、そういうことも含めて大事なポイントだと思いますので、一つの検討課題とさせていただきます。

柚木委員 そういう御認識で前向きに進めていただきたいと私が思うのも、今回、二十一年度予算の補正の中で子育て応援特別手当が含まれていたわけですが、第二子以降三歳から五歳の方を第一子に拡大する、そういう意味では、まさに同じ方に対してですよね。

 私は、こういうことを一方で実施している、そういう意味においては、特に、あえて申し上げますが、一人目の方よりは二人目の方の方が、経済的、仕事と家庭の両立、いろいろな意味でハードルも高いわけですから、同一人物に対して、一方では補正で支給を拡大している、この制度ではそうでない、その理屈にはならないと思うので、もう一歩踏み込んで前向きな答弁をいただけませんか。

舛添国務大臣 一人目が生まれた方の約一割の方がもし二人目を出産したというふうに計算したら一億四千万ぐらいの費用ということですから、私に言わせると大した費用でありません。

 だから、そういうことも含めて、要するにさまざまな観点から、事業規模とかそこにおける従業員の状況とかいうことを含めて、柚木さんがおっしゃったように、企業側が非常に苦しくなるわけですね、マンパワーがいなくなる、それを支えるということで非常にいい制度だからこそ、これだけ拡大したんだ、ニーズがあるんだと思いますから、ぜひそれは、どういう形で実現できるか、前向きに検討したいと思います。

柚木委員 ありがとうございます。

 その上で、この制度について、もう一つだけ質問というか確認をさせておいていただきたいんですが、実はこの制度が時限措置なんですね。十八年から二十年まで行ってきたものを、今般拡充、さらには二十三年度までの延長ということでございます。

 まさにこういう制度は、もう制度がある、そして、実際申請しても、これを利用するのは大分先なわけですから、これがあるから、中小企業のお勤めの方も頑張って、よし、うちに働いていてもちゃんとこういう助成金があるから、育休もとれる、子育てもしよう、出産もしようと思っていただいても、これが、知ったと思ったら、気がついたらもう制度が終わっていた。こんなことであっては本当にこの実効性自体が疑わしいというふうに私は考えておりまして、ぜひこれは継続的な、ある意味恒常的な形での施策として今後御検討いただきたいと思うんですが、大臣いかがですか。

舛添国務大臣 私は先ほど、一億四千万、大した金じゃないと言って、恐らくそう言ったらすぐどこから反論が来るかというと事業主なのです。これは雇用保険の二事業でやっているので、それは金を出しているのはおれたちじゃないかということになるのです。

 要するに、事業主の皆さん方の御理解もいただかないといけないのと、これはきちんとフォローアップをして、大変いい制度であってこれは続けるべきであるし、事業主にとっても大変いい制度だということになれば、これは十分続ければいいと思いますし、さらにこれが、今言ったような問題点が出てきたり、いや、もっといい制度設計ができるよ、もっとほかの制度の方がいいよということになるかもしれません。ですから、それを検証した上で、どういう対応がとれるかということはやっていきたいというふうに思っております。

柚木委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 時間もそろそろ迫っておりますので、ここでちょっと介護休業に関係して、ある意味では休業の取得あるいは不利益扱いにも大変影響し得ると思っておりますので、これまで大臣とやりとりをさせていただいている部分で関連して質問させていただきたいんです。

 要介護認定基準の変更が四月から実施をされておられます。私との何度かのやりとりの中で、答弁の中では、六月とか、七月というときもあったんですけれども、一カ月でも前倒ししてとか、そういう形で事後検証を行って、そして私が経過措置をぜひということで、大臣、これを実現いただいて大変ありがたいと思っていますが、実はこういうことが起こっているんですね。

 今回の経過措置というのは、更新の申請者だけが経過措置の対象であって、新規の申請者はこの対象から漏れてしまう。これはどう考えても、いわゆる受給者の権利を侵害してしまっている事態が今起こっている。ぜひこの経過措置を新規の方も含めた形に広げていただく、もちろんこの検証の結果も早く出してもらって、そして必要な改定も行っていただきたいんですが、この新規の方に対しての経過措置の部分、これについてもぜひちょっと検討していただくとお答えいただけませんか。そして、早目に答えを出していただくと。

舛添国務大臣 一番早くやらないといけないのは、今この認定の見直しのためのいろいろな研究会をやっているので、これの結果が出れば新たなことができるので、今やったことをどういう形で実現するのかなというのは、更新するときに今までと違うということに対する経過措置であったので、その問題もちょっと預からせていただいて検討させていただきたいと思います。

 というのは、今すぐ私の判断で、これはもうそうしますということは言える状況じゃないんじゃないかなと思っていますので、問題点の意識は認識をさせていただいて、どういう形でこの経過措置の拡大ということが可能かどうか、それを検討させていただきたいと思います。

柚木委員 終わりますが、大臣、この実態も含めてそういう制度をちゃんと拡充していかないと、やはり減っていかないと思うんですよ。ぜひそこは、さらなる、今の調査結果を早く出していただいて進めていただくことをお願いもして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田村委員長 次に、園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田でございます。

 引き続きまして、育児・介護休業法の改正案につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 一問目は大臣に質問通告をさせていただいております。先ほど柚木委員もお取り上げになられまして、再度大臣から、この書面、いわゆる育休取得を行った方々が解雇あるいは不利益な取り扱いを受けてしまったという状況に対しての前向きな御答弁をいただいたということで、これは質問通告はいたしておりませんけれども、事務方で結構でございますが、均等室等の対応も含めて、ちょっとこの経過の御所見をいただければなというふうに思っておるんです。それを踏まえて、最終的に大臣から少し御意見をちょうだいしたいなというふうに思っております。

 皆さん方に資料をお配りさせていただいております。その中で、先ほど大臣もおっしゃられました、先般、山井委員がお取り上げになった事例を、失礼ながら、そのまま本日私も資料としておつけをさせていただきました。

 二ページ目でありますけれども、仮名としてケイコさん、あるいは三ページ目、ユウコさん、さらにはマユミさん、そしてアキコさんという形で、ここでは四名の方の事例を取り上げさせていただいております。その中で、先ほど柚木委員も触れておられましたけれども、きょう三名の方が傍聴に来ておられるということでありました。

 三ページ目のユウコさん、この方の事例でいきますと、最終的には自己都合でもう退職をされたということでございます。しかしながら、自己都合とはいっても御本人は仕事を続けたかった事例でありまして、会社側から、もう戻っても道はないというような形で、最終的には離職票の退職理由に「育児による負担」というふうに書かれてしまった事例でございました。ここに書いてありますけれども、訴訟を起こす余裕がなく、お子さんが小さいわけでありますので、なかなかそういった訴訟であるとか、あるいは引き続いての会社側との交渉が難しいというのが実態なんだろうというふうに思います。

 それから四ページ目でありますけれども、マユミさんの事例で、これは均等室の対応がこれでいいのかどうかというところをちょっと確認したいと思っておるんです。これは、突然メールで育児休業の期間を延ばしてほしい、延ばすんだということで、そのまま延ばされてしまった。どうやら二カ月間の延長のようであったわけであります。

 これは真ん中ぐらいに書いてありますけれども、労働基準局の雇用均等室に相談したところ、担当者が、明らかに違法なので勧告しましょうかと言った。事を荒立てると復帰しにくいので断ったということでありますけれども、いきなりこういう勧告というものを持ち込んで指導をされるのかというところですね。最終的には、この方も自己都合に追い込まれてしまったということのようであります。

 それから次のページでありますけれども、アキコさんの事例。これもやはり業績不振によって人員削減という形になったわけでございますけれども、これは中段より下の方ですね、ここで、均等室の会社への指導内容を書面で欲しい、均等室と事業者、事業主とのやりとりが何度かあったようでありますけれども、これについての書面を見せてほしいというふうに言ったところ、書面での提供はできませんというふうにお答えになられたそうでございます。

 個別具体的な事例がいろいろあるわけでございますけれども、均等室というところはこういう対応をされておられるのかというところは、ちょっと私は疑問に思うわけであります。局長で結構でございますが、御所見として、こういう対応の仕方が適切な対応か、一般論で結構でございますけれども、ちょっと御所見をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕

村木政府参考人 ここにある個別の事案が実際どうであったかというのはわからないところでございますけれども、一般に言えば、御相談があった場合に、法律に照らして事業主の方がやっておられることが違法かどうかというのをまず相談者からの言い分で判断をします。その上で、乗り込んでいかれるのが嫌だと言われればとめますが、そうでなければ、まず事業主のところに行って事業主の言い分も聞いた上で、普通は助言というところから始まって、助言、指導、勧告とだんだんレベルを上げていって指導していくというのが一般的でございます。

 それから、事業主に渡した紙なんかを、そのまま生でコピーを例えば労働者の方にもお渡しをしてしまうというようなことをするかどうかは別として、均等室へ来られた後で民事へ行かれる場合もありますので、そういうときには、均等室でやった指導が後のいろいろなことにも役立つようにできるだけ情報提供をさしあげるというのは、これは均等室としてはやらなければいけないことだというふうに考えております。

 それから、企業への指導を思いとどまってほしいと言われた場合にも、では、御自分でまずやってみますか、それでも聞いてくれなかったらもう一度ぜひうちへ来てください、それから、行政機関に違反を申し立てることは決して悪いことではないし、行政機関へ訴えたからといって不利益取り扱いをしたら、その企業をきちんと指導することはできるんですよということはお話をいたします。

 また、場合によっては、余りこういうところで言うことが適切かどうかわかりませんけれども、うまくいく場合には、普通にいろいろな形で、御相談がなくても私どもは事業所にこちらから積極的に行って制度の状況を調査するということがございますので、そういう形で企業に入っていくということもできますので、それはさまざまな工夫をいたします。

園田(康)委員 今局長がおっしゃっていただいたんですけれども、均等室というところ、いわゆる行政権限を持っていらっしゃるところが企業側に入っていくということになると、相談者の方々が危惧されておられるような現象が起きかねないという心配は確かにあるんですね。したがって、それを少しでも和らげる方法を何らかの形で均等室が、段階的に助言あるいは指導、勧告に至る前の段階で、前というよりは、指導に入るその前の段階があってもいいのかなと私は思っておるんですね。

 前回の大臣と委員間の質疑の中で、恐らく、法の周知、法律の趣旨が周知徹底されていない状況が、やはり今般のこういった問題、さまざまな誤解やらあるいは偏見、法律の無知というような状況が、今の中小企業、零細だけに限らずまだまだあるのではないか。法制度そのものをまだ理解しておられない方々に対する均等室の一つの仕事として、周知を行うという名目を使ってこういうところに入っていくということはあり得るのかなと。

 そうすると、個人が特定されない状況の中でいわばあっせんをしていくではないですけれども、その中で、例えば育休に対して何か不利益なことをやっていませんでしょうかというような形でもし入ったとするならば、あっ、しまった、そういうことも直近の例としてあったかもしれないという形の中ですぐさま是正に、ひょっとしたら気づいていただける事業主なんかはあるのかなというふうに思っておるんですね。したがって、均等室のやり方次第で、私は十分にこういう方々も救えるのではないのかなというふうに思っておるところでございます。

 このアキコさんの例でいきますと、最終的に均等室が、会社がいこじになってしまっている、指導に従わないので、もうここで打ち切りますと断言されてしまったやに聞いているんですね。そういうことは、この次につなげていくためには、最初に指導に入る前の、前段のやりとりがあるでしょうし、通常の法律の周知という職責の中から、任務の中から行う。それでもまだ直らないということであるならば直接的に、こういう方々の相談をきちっと受けていただいて、そして助言、指導、勧告というような段階を踏んでいく。それでもだめだというときには、もう打ち切りますよということでここで門戸を閉ざしてしまうというよりは、本来ならば、次のステップが残されているということをきちっと相談者の方々にもお話をされるべきではないのかな、私はそのように思っています。

 こういう方々に、通常働いていらっしゃる、あるいは子育て、お子さんを産み育てながら働いていらっしゃる方々に法律の詳細なところまで、あるいは法制度にどういう紛争処理解決制度があるのか、恐らく国会議員でも詳細にわかっている方々というのは私はいないと思いますよ。にもかかわらず、こういう方々に何の情報提供もせずして打ち切ります、はい、終わりました、あとは御自分で裁判なり訴訟をやってもお金がかかるだけだし、時間もかかるし大変ですよね、小さなお子さんを抱えてそのようなことがやれるのかというような形になって、均等室ができるのはもうここまでですよというふうに打ち切ってしまう、そういう対応というのは私は今後直していただきたい。

 そうすれば、今回法改正をいろいろします、そして先ほど大臣にも御答弁をいただいたように、さまざまな修正協議を経ながら、今最終段階を迎え、新たなこの育休法が成立していく、そういう段階になったときに、私は、それとともにやはり均等室の対応の仕方、そのこともしっかりと今後見据えながら改善をお願いしたい。局長、いかがでしょう。

村木政府参考人 この案件のケースがどうかということではありませんが、私ども、御本人がもう嫌です、やりませんと言わない限りは、事業主が法違反をしている以上は打ち切らないというのが原則だろうというふうに思っております。そういう意味では、今回、企業名公表というような手段も入るということになれば、必ずそういうところまで最後は行って指導を貫徹すべきだと思います。そういうふうにできていない事案があれば、きちんと検証をして指導の仕方を改めたいというふうに思います。

 それから、民事へ行かれる場合のサポートの仕方、そういったこともしっかりやっていきたいというふうに思います。

    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕

園田(康)委員 ただ一点だけ、これは最終的に大臣の御所見をお伺いしたいと思っておるんですが、今局長がおっしゃったように、最終的にはこの法改正によってさまざまな措置が行われるわけであります。しかしながら、いろいろな相談事例の中で、私も何度かお伺いをしたんですけれども、その前の段階で、やはり途中でもうあきらめざるを得ない状況に相談者が追い込まれてしまうんだということなんです。

 先ほどの自己都合のお二人の方でも、最終的にはやめたくないんですよ、やめるんだったら会社都合でありますし、そうでなければ、ちゃんともとの職場で継続して働きたいというのが御本人の本当の思いなんです。

 だからこそ、法の無知によって、あるいは法制度の無知によってさまざまな、お互いに時には感情的になっていたかもしれませんけれども、しかし、その間に入ってちゃんと最後までケアをしていくというような形も、ただ単に行政的な、役人的な、ここまでしか権限がないからもうあとは終わりですよということではなくて、その間に入って第三者的にきちっと、最終的にその方々を、いや、この均等室そのものの立ち位置というのは、労働者の立ち位置に立って問題を解決していくのが本来の法の趣旨だと私は思います。だからこそ、私は、そういう立ち位置に役人が立つという考え方にやはり転換を、大きくかじを切るぐらいのことを考えて、今回、法改正を行っていただきたいんだと。

 大臣、この相談者の方々が本当に泣き寝入りをしないように、そして、それでも闘ってこられて、何とか世にこういう実態があるんだということを一生懸命訴えてこられた勇気ある方々に対して、その努力に報いるためにも、ぜひ大臣、そういう意識改革というものが、この均等室も含めて法改正の中には趣旨として、私はそういう気持ちでいるんですというようなことを大臣からしっかり御答弁をいただきたいと思います。

舛添国務大臣 労働大臣としての立場は、労働者の権利をいかに守っていくかということでありますから、厚生労働省の傘下にある都道府県の労働局を含めても、そういう意識できちんとやっていると思いますし、今後もそうやらないといけないと思っています。

 ただ、何度も、一昨日も申し上げましたように、労働法制自体がどこまで社会に定着しているかというと、これは事業主もしっかりやってもらわぬと困るし、働く人たちにもこういう武器があるんですよということを認識してもらわないといけない。我々はそれを施行する立場にある。

 そういう中で、例えば私たちがサラリーマンとしてどこかの中小企業の会社に雇用される。そうすると、当然、雇用保険というのは入りますね、それから健康保険も入りますね、もちろん厚生年金もそうですね、五人以下とか自営業とかをちょっとおいてですよ。だけれども、そういうことは当たり前のこととして、雇用保険入れてください、労災入れてください、厚生年金どうですかなんて言ったがために、気まずくなって首を切られるなんてことはありません。つまり、そこまでのレベルに制度が周知徹底しているわけです。

 労働法制は、これだけいい労働法制をたくさん持っておきながら、要するに、それを使ってはどうだと言ったときに、そんな要求をあなたはするんですか、じゃもう首ですよみたいな、それで、残ろうとしても気まずい雰囲気になる。

 だから、私は意識改革というのは、ちょうど今こういう審議をやっていますから、我々が中心になって国民全体の意識改革をする。それは、法律の名前でいうと刑法とか民法とか、最高法規である憲法を含めてそうなんですけれども、そういう法律に比べて、労働法制の定着度が残念ながら極めて低いと思いますので、これは教育のレベル、それから会社の新入社員のオリエンテーションのレベル、そういうところで徹底的にやっていかぬといかぬなと思います。

 ですから、この前も言ったように、もし仮に厚生労働省を再分割するなら、労働省というのは極めて強力な省にして、最重要閣僚をそこに据えるぐらいのことがあって、意識改革の先頭に立たないといけないというように思いますので、その決意で私も頑張りますし、職員一同にもそういう指導をしたいと思っております。

園田(康)委員 厚労省分割案は別として、大臣の意気込みは私自身も共有させていただきました。

 まさしく憲法にもありますように、労働者というものは弱い立場に立たされるものでありますけれども、本来ならば、きちっとその権利を明確にし、そして、その主体であるというところからこの労働法制、法規というものがつくられているわけでございますので、それをやはり一つ一つ、教育も含めて、もう少し認知を上げていかなければいけないのではないかな。だから、本来ならば、私もこの厚生労働委員会に所属をさせていただいておるところでありますけれども、労働法制の議論というものをもっと活発にこの委員会の中でもやっていきたいなというふうに思っておりますので、ぜひ大臣と御一緒にやっていければなというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、きょうは、質問通告をたくさんさせていただいておりますので、法律の個別具体的な中身についての確認を幾つかさせていただきたいと思います。

 まず二十三条でありますけれども、所定労働時間の短縮措置でございます。

 先ほど来いろいろ議論になっておりますけれども、この勤務時間の短縮は、事業主はいずれかの措置を講ずることが義務づけられていたわけでありますけれども、労使協定による除外は設けられておりませんでした。今回義務化になるということでありますけれども、労使協定によって除外を設ける理由というものはどのような理由があったんでしょうか。

村木政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、現在は、勤務時間短縮の措置等幾つかのメニューを並べた上で、いずれかの措置を講ずるということを義務づけております。したがいまして、どうしても勤務時間短縮の措置を講ずることが難しければ別の措置をとればいいということになっておりますので、労使協定による除外措置を設けてございません。これは、事業主がどの措置をとるかを選べるということがあるからでございます。

 一方、改正法におきましては、勤務時間短縮の措置を全事業主に負わせるということでございます。そうした場合に、場合によっては、例えば所定労働時間が割と短くて、そういった措置の対象とするまでの必要がないというような労働者ですとか、あるいは、業務の性質上あるいは業務の実施体制に照らしますと、そういった措置をとることが相当な努力をしてもやはり困難だという場合も出てくるということで、こういったことに関して、労使で除外ができるような制度を設けたものでございます。

 ただ、先ほど申し上げた、業務の性質とか業務の実施体制に照らして措置の対象とすることが難しい場合は、別の措置、代替措置を講ずることは義務づける方向で定めてございます。

園田(康)委員 そこで、これは一号から三号までの規定がありまして、一号、二号、三号によってさらに除外をしているわけでありますね。対象外、すなわち、とらせなくてもいいですよというところであります。まず一号で、「当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者」は除外をしておりますけれども、なぜこれは一年だというふうに位置づけたんでしょうか。

村木政府参考人 御指摘のとおり、一号は、事業主に引き続き雇用された期間が一年未満の労働者については、労使協定により措置を講じないことができるとされております。

 これは短時間勤務制度が、子供が三歳に達するまでということですから、二年以上、相当長期にわたって事業主に一定の負担を負わせるということでございます。現在の育児休業の制度もそうでございますが、非常に長期にわたる休業等である場合は、まず一定期間、企業への貢献を求めるということもやむを得ないというふうに考えているところでございまして、そうしたものとの均衡も考えまして、労使で協議が調った場合にはそういった方を除外することが適当ではないかということで、こうした措置をとったところでございます。

園田(康)委員 後で所定外労働のところでも申し上げますけれども、一年未満の方も、当然ながら対象から外しても私は構わないのではないのかなというふうに思っておるんですけれども、一年にという議論が、恐らく労政審でもここの部分は大変議論になっていたところであります。

 そうすると、次の二号においても、「合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの」というふうに、ここでもさらに挙げているわけであります。さらに先ほどおっしゃった、これは三号でありますけれども、業務の性質あるいは実施体制に照らして、これも困難だと認められる者は除くというふうにされたわけでございますけれども、具体的にどのようなものを想定しておられるのか。これは二号、三号、一緒で結構でございますけれども、お答えをいただきたいと思います。

村木政府参考人 まず二号でございます。

 これは、具体的にはこれから労働政策審議会で御議論をいただきますが、省令において、一週間の所定労働日数が著しく少ないものとして厚生労働大臣が定める日数以下の労働者というふうに定めたいと考えております。

 実際のこの日数でございますが、二日、したがって、一週間に二日以下しかお働きにならない方についてはこの制度を外すことにしてよいのではないかという考え方でございます。

 それから三号の方でございます。

 これもまた労働政策審議会で御議論をいただきますが、今想定しているものでございますが、まず、業務の性質に照らして制度の対象とすることが困難な業務でございます。例えば国際線のキャビンアテンダントのような業務ですと、短時間と言われても、乗り込んだ間は仕事をしていただかなければならないことになろうということで、こういったものが例外になるかと思います。

 それから、業務の性質及び業務の実施体制に照らして制度の対象とすることが困難な業務の例でございますが、今考えられておりますのは、流れ作業における製造業務ですとか、交代勤務による製造業務ですとか、個人単位で担当地域、企業が厳密に分担をされていて、ほかの者では代替が困難な営業の業務というようなものでございます。こういうものであれば直ちにということではなくて、こういったもので、ここはどうしても無理だなということが労使で合意ができればということでございます。

 それからもう一つ、業務の実施体制につきましては、非常に労働者が少ない事業場において、その業務に従事し得る方が著しく少ない、あるいはその方しかいないというようなケースもこれに当たろうかというふうに考えているところでございます。

園田(康)委員 そうすると、ちょっとこの部分が私は気になっているんですけれども、実際にこの措置をとろうというときに、事業主から、それはとれないよ、この各号に当たるんだから適用外だよというふうに広く解釈される可能性もあるわけですから、この部分はきっちりと、今後話し合いをしていただきながら、明確にしておいていただきたいというふうに思っております。

 先ほど、新井委員だったでしょうか、工場でのラインの話も少し出ておりましたけれども、それでも代替措置がきちっととれるような体制を考えるのは企業側だろうと私は思っております。育休をとるのはやはり労働者の権利として、あるいは先ほど来ずっと大きな話が出ておりますけれども、少子化を社会全体できちっととらえていかなければいけない。子供を産み育てる、そしてそれをいつしか社会全体が共有できる、そういう社会へとつなげていく環境も企業主がちゃんと考えながら責任を果たしていくというところからすれば、当然ながら、そういう措置をきちっと厳密に考えていくのは会社の責任であろうというふうに思っておりますので、この部分は余り拡大解釈できないような状況に持っていっていただきたいと思っております。

 それから次に、所定外労働の件でありますけれども、これも同じく、この免除に関しては、三歳までの子を養育する労働者の請求により対象となる制度とすることになっております。

 そもそも、所定労働時間というものは就業規則であるとかあるいは労使協定、三六協定などで、労使間できちっと話し合いをした上で決めているものであるわけでありますけれども、わざわざこの所定外労働の免除というものを今回さらに、労使協定で、請求できない労働者という形で定めるというふうにした理由は何でありましょうか。そもそも、所定労働時間というものはちゃんと労使協定なりで明確にされているにもかかわらず、さらに外のものを、屋上屋を重ねるようなこういう規定というものは余り意味がないのではないのかなと私は思ったわけでありますけれども、この点の御所見はいかがでしょうか。

村木政府参考人 確かに、先生おっしゃるとおり、所定労働時間というのは就業規則等に定めがある、それから法定時間外労働については三六協定があるということで、一定の規制はかかっているわけでございます。

 しかし、今回の所定外労働時間の免除につきましては、例えば法定労働時間が八時間だとしても、職場で七時間勤務とか七時間半勤務とかそういう労働者の方がたくさんいらっしゃいます。そういう方も、例えば六時間勤務の勤務時間短縮の措置をとれるというようなことが今回の制度によって可能になってくるわけでございます。そういう意味で、三六協定と違って、法定の労働時間以内の所定労働時間であっても、さらにそこから時間を短縮した勤務時間短縮の措置が、短時間勤務ができるというのが一つのメリットでございます。

 また、所定労働時間はそもそものお約束の時間ではありますが、通常、恐らく、労働契約においてその時間を超えて労働させますよということを最初に契約されているケースが非常に多いと思いますので、そういった場合でも短時間の勤務ができるというような大きなメリットがあるということでございますので、法定の労働時間とは別の形で、所定労働時間をベースにして今回の制度をつくったものでございます。

園田(康)委員 そうすると、所定労働時間が八時間というふうに合意して決めている場合は、これは余り適用の意味はないですけれども、それよりも短時間でやっている場合には、この所定外労働というものが有効に働いてくるということで理解をしてよろしいんですね。

村木政府参考人 さようでございます。

 それから、三六でうまくそういう方を除外できていない場合にあっては、三六が一般的な協定になっている場合はこの制度を活用していただければいいということになろうかと思います。

園田(康)委員 それで、先ほどの短縮措置と同じ指摘にはなるんですが、ここでいくと、一号と二号でやはり除外規定が設けられております。

 一号でいくと、「当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者」は除外している。そして二号では、先ほどと同じように、「当該請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの」というふうに、これもやはり除外ができているという状況であります。

 同じ質問でありますけれども、この所定外労働の場合の一年、これも先ほどと同じように、例えば有給休暇の取得が半年から権利として認められるということであります。それから雇用保険法の改正でも、今まで一年以上見込まれる者から六カ月以上というところに引き下げが行われたということからすると、これはまた一年以上じゃないとだめですよ、取得できませんよということに限定的に持っていくのは少し無理があるのではないのかなというふうに私は思っておるんですが、さらにここから引き下げるという考え方についてはどのように考えられるか、いかがでしょうか。

村木政府参考人 趣旨は先ほどと同じで、かなり長期にわたって一定の負担を負わせることになるので、一定程度企業に貢献した方にということで今回こういう制度にしております。

 確かに年休は継続勤務六カ月経過後ということでございまして、実は、看護休暇の制度につきましては、それから今回新設する介護休暇につきましては、これは単発の休暇でございますので、年休とのバランスも考えて半年というふうにしております。そういう意味では、措置の負担の重さというものとのバランスかというふうに思っております。

 もちろん、もっと短くしてはどうかという意見もたくさんあった中で、労使でいろいろと御議論をいただいた中で、今回はこういう水準に落ちついたということでございます。

園田(康)委員 合理的な説明なのかどうか、ちょっと私には何とも判断がつかないところでありますけれども。

 ということは、将来においてはさらにこの部分を修正なり、実態を見ながら改正を行っていくということも考えられるのかなというふうに思っておりますので、今後、この部分を少し注目していきたいなと思っております。

 そうなれば、さらに今の論点で、二号において「厚生労働省令で定めるもの」というふうに言っておりますけれども、これは、現行の施行規則の第七条に沿ったものとして今後つくろうというふうに考えておられるのかどうか。その点を、もし今わかっていればちょっと教えていただきたいと思います。

村木政府参考人 今後の検討ではございますが、御指摘のように、現状の七条の第二号のものと同様になるというふうに想定をしております。

園田(康)委員 そうであるならば、横滑りでそのまま規定をするということは、もう少し検討をしていただきたいなというふうに思うんです。先ほど、一年以内に雇用が終了するということが明らかな労働者が除外されるということでありますけれども、今回、所定外労働の免除についても、この人たちを対象にするという合理的な理由も今後考えておかないと、いわば矛盾というか、そごが生じてくるのではないかなというふうに思っておりますので、その点は少し御検討をいただきたいと思っております。

 時間がなくなってまいりましたので、ちょっと急ぎたいと思いますが、不利益取り扱いであります。

 先ほど柚木委員もお取り上げでございましたけれども、今回は介護休暇が新たに設けられるという形になるわけでございます。法の第十六条の七でありますけれども、いわゆる不利益取り扱いの十条の規定が、介護休暇の申し出及び介護休暇についても準用されるということになっておるわけでございます。この介護休暇における不利益取り扱いと言われるもの、これはどのようなものを想定されていらっしゃいますでしょうか。介護休暇の方です。

村木政府参考人 介護休暇に関する不利益取り扱いでございますが、これは、例えば介護休暇をとることを申し出たことを理由にして、例えば解雇をするとか、労働条件を切り下げるとか、降格をするとか、減給をするとか、あるいは不利益な配置転換をするとか、そういったことが考えられるんだろうというふうに思います。

 ただ、この不利益取り扱いを具体的にどういうものにするかというのは、今回の介護休暇については新しい制度でございますので、この制度特有の事項が何かあるかどうかというのは、さらにこれから検討をしたいと考えているところでございます。

園田(康)委員 そうすると、今回、公表を出してきているわけでございますけれども、では、この介護休暇の場合の公表要件というか、どういう状況になったときに公表という措置に当たっていくのかというところまで今御検討はされていらっしゃいますか。

村木政府参考人 具体的に細かい検討はいろいろあろうかと思いますが、非常にオーソドックスな例としては、介護休暇を申し出たにもかかわらず取得をさせてもらえなかったというようなケース、それから、介護休暇を申し出たために、もうやめてくれと言われたとか給料をカットされたというようなケースが行われた場合に、これは法違反でございますので、これに対して、しっかりした指導をしても事業主が従わない場合に公表の手段を用いる、こういうことになろうかと存じます。

園田(康)委員 今回初めて新設、創設された事案でございますので、介護休暇というものがどういう形で取得、まあ、介護休業そのものも、先ほど柚木委員の御指摘で、かなりまだ低い定着率というか取得率になっているところでありまして、そうなってくると、恐らく介護休業よりもこの介護休暇、もう少し取得のハードルを下げて周知することによって、割とこちらの方が使い勝手がよくなっていくのではないかなと、私はどちらかというと期待を持たせていただいています。

 恐らく、長期にわたる介護休業という形になると、労使ともに頭を悩ませなければいけないさまざまな状況が出てくるわけでありますけれども、この介護休暇、子の看護と一緒のような、もう少しフレキシブルにとれる状況というものに、今後あわせて持っていっていただきたいというふうに思います。

 時間がなくなってきましたので、大分質問を飛ばさせていただきまして、ちょっとここで大臣に介護休暇についてのお考えをお聞かせいただければなと思っているんですが、その前にまず、局長からで結構でございますが、今回の介護休暇を取得する際に、いわゆる子の看護のように、直前あるいは当日でもその申し出があれば介護休暇がとれるということでいいのかどうか。

 それから、あらかじめ要介護状態であるということをお示しする、会社側に、企業側にお示しをしておかなければいけないものであるのかどうか。恐らく突発的な要介護状態、後でちょっと議論はしたいと思っておるんですが、要介護状態に当たらなくてもそれに近しい状態で、ある日突然けがをして、あるいはつまずいてけがをしたというような状況。そのような状況でも、あらかじめ要介護状態が出ていなくても、そのときにすぐさま対応ができるものであるのかどうか。その点をちょっと教えていただきたいと思います。

村木政府参考人 御指摘のように、介護休暇を利用するケースについては、かなり突発的な事態もあろうかというふうに思っております。

 具体的な申し出方法については、これから厚生労働省令で定めることになりますので、審議会でも議論をいただきますが、私ども今のところ考えておりますのは、子の看護休暇と同様に、休暇を取得する当日に口頭で休暇の申し出をする、つまり、事前に明らかにする必要はないということを考えております。

 要介護状態にあることの証明書を事業主が求めることができるようにはしますが、それが間に合わない場合は、速やかに事後に提出をしていただくというような形が適切ではないかということを考えております。

園田(康)委員 恐らく突発的な事例もあろうというふうに思いますので、そういう点では、やはり子の看護と同じような状況でこの介護休暇という制度を運用していただきたいと思っております。

 そこで、大臣にお伺いをしたいと思うんですが、これはレクのときにも私も聞いたんですが、実は、育児・介護休業法における要介護状態と介護保険法上における要介護状態というのは、これはどうやら違うんですね。

 恐らく、介護保険法上の要介護状態で考えていくと、大臣も御存じのとおり、コンピューター判定から始まって、さまざまな制約がぎちぎちに課せられ、今回の四月からの改定でもそうでありますけれども、なかなか要介護という形に認定されるにはハードルが少し高いところもあるわけでございます。かといって、この育児・介護休業法における要介護状態を示す認定の項目は、もう少し幅広く見てもいいのではないか。

 介護保険法上の項目が、この育児・介護休業法上における要介護状態を示す項目の中に入っていないんですね。この違いをやはり今後埋めていかなければいけない。もう少しこの育児・介護休業法における状態を見るというところも、今後見直していくというか、考え方をきちっとまとめていただければなというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 育休法というのは平成七年にできましたから、そこにもう要介護というのはありましたけれども、その後、介護保険法ができたのでということが一つ。

 それからもう一つは、介護保険における要介護というのは、介護の手間暇の量がどれだけあるのかということを認定して決める。片一方の育児・介護休業法の方の要介護というのは、労働の義務を免除する前提として決める。若干違う面があると思いますが、別の法律ではあっても同じ言葉が使われておりますから、今委員が御指摘のような、この言葉をどういう形で統一するのかということは検討させていただきたいと思いますし、審議会などでも既にそういう検討に入っております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、この法案の中身を充実させていくためにはまだまだ検討しなければいけない事例があるというふうに思っておりますので、大臣、よろしくお願いをいたします。

 本日、済みません、質問通告をしておりましたが、森山大臣官房総括審議官、わざわざお越しをいただいておったわけですが、ちょっと質問ができませんで、大変失礼いたしました。また機会があればと思っておりますので、よろしくお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

田村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美です。

 育児・介護休業法の改正案について質問をさせていただきます。

 先ほど柚木委員からも言及がありましたけれども、何か新聞情報によると、きょう修正がされて、この育介法の改正案が成立するということだそうでありますけれども、私たちは、民主党と社民党と国民新党と共同で九項目に及ぶ修正案を提出いたしております。その趣旨に沿い、また政府にも取り組みなどについて確認を求めてまいりたい点がございますので、それらの点を中心に質問をしていきたいと考えています。

 率直に申し上げて、今回の育児・介護休業法の改正については、私たち民主党が二〇〇四年に改正案を提出しておりましたその趣旨の方向性に沿ったものであるというふうに理解をしています。つまり、当時の民主党案は、パパクオータというものを導入して、父親が育児休業を取得したときには期間を延長できるようにということで提案をいたしておりましたし、所定外労働の禁止などについても明確に修正点として挙げさせていただいておりました。今回の改正案の中で、方向性としては歓迎できるところはありますけれども、もう二歩、三歩、思い切って進めていただきたいというふうに考えているんです。

 第一点目は、父親の育児休業の取得、パパクオータについて伺いたいと思います。

 改正案の方では、パパ・ママ育休プラスというふうに呼んでおられるようであります。ヨーロッパの各国で導入され定着してきた父親の育児休業取得促進策がようやく我が国にもこれで誕生するのか、ちょっと遅かったなという思いがいたしておりますけれども、いずれにいたしましても、育児というのは男女がともに協力して行うものであることは、これは疑う余地はありません。

 民主党は、申し上げたとおり、十八カ月のうち一カ月を父親に割り当てるという仕組みで二〇〇四年当時は提案をいたしておりましたけれども、政府案においては、両親ともに取得をした場合に、子が一歳二カ月に達するまで延長できるというふうになっております。しかし、これは皆さんも御承知のとおり、皆さんが推進しておられるとおり、なかなか父親の育児休業取得というのは進んでおりません。

 仕事と生活の調和推進のための行動指針で、二〇一七年までに男性の育児休業取得率を一〇%まで引き上げるという政府目標がありますけれども、現状ではまだ一・五六%であります。長く〇・何%という低い数字をさまよっていたところから見ると、これを一〇%に引き上げるのは並大抵の苦労ではないだろうというふうに思うんですけれども、もっと延長期間を拡大して、より父親の育児休業の取得を促進してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 御趣旨は全く賛成というか、気持ちは同じなのは、よわい六十にして育児中の私が申し上げるので、本当にこれは切実に感じています。我々の仕事は、国民の代表として国会でやりますから、普通のサラリーマンとは違います。だけれども、これは社会全体でやはり変えていかないといけなくて、千里の道も一歩からという感じで、千里の道を最初から、〇・八里から行けないものですから。

 理想を言えば、そうだと思います。ただ、育児休業というのを、特に男性について延ばしてやっても、もちろんそれは助けになります、しかし、それだけで一気に変わるのかな。だから、やはり全体の国民の意識変化、事業主の意識変化、周りの社会の意識変化。それは、私がごみを出していると、珍獣パンダみたいに、毎日のように写真を撮りに来るんだもの。ごみぐらい男が出したっていいでしょう。だから、そのレベルなんです、悪いけれども。それは、男が家事をしようというのが何で悪いんだというようなことから含めて、ワーク・ライフ・バランスをしっかりやる、そういうことから含めて。

 今、御承知のように、ちょっと調べてみますと、男性の育児休業期間というのは三カ月未満が九七%なんですね。そういうことからして、一歳二カ月というのは、奥さんの方が一生懸命、妊娠、出産の後の職場復帰できる体に戻る、その後二カ月間はともにということであるのですけれども、とりあえずいろいろ聞いてみると二カ月ぐらいが限度かな、ニーズもそれぐらいかなということ。

 あと、私なんかは、やはり早くヨーロッパ並みにしたいなと。ヨーロッパが長かったですから。私は、日本に帰ってきて豊かさの実感というのを感じないのはこういうところにもあるというように思っています。

 ただ、父の月という形で、たしかドイツ、スウェーデン、これもとりあえず二カ月と決めていたような気がしますので、西村さんの高い理想には一〇〇%参加しますが、まずは一歩からという形でこういう期間の設定をさせていただいたということでございます。

西村(智)委員 舛添大臣が厚労大臣であられるあと三カ月以内に、今おっしゃっていただいた理想をぜひ実現していただくように努力をしてください。お願いをいたします。

 父親の育児休業取得は期間拡大だけでいいのかという大臣の答弁も先ほどありました。私も、そうだろうと思います。特に父親の育児休業の取得促進に係る部分で大きいのは、恐らく経済的な理由ではないかと思います。育児休業の給付金は、一般休業給付金と同じように、やはりこれは引き上げて六割くらいにするということによって取得促進は進むのではないかと考えておりますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 育児休業給付でございますけれども、現在、雇用保険制度の中で、休業を失業に準じた職業生活上の事故ととらえて支給しているものでございます。

 今、五〇%という対応をしているところでございますけれども、育児休業給付につきまして、引き上げて例えば六〇%にする等々のことにつきましては、現在の雇用保険制度の中心的な保険事故である失業に対して給付する基本手当の給付率が五〇%から八〇%ということでございますので、この五〇%を上回るということで失業中の者よりも高い給付率になり得るために、現行の雇用保険制度における対応としてはなかなか困難であるという状況でございます。

 ただ、御指摘のとおり、やはり休業中の所得保障をどうしていくかというのは大変重要な課題でございますので、この点につきましては、現在、社会保障審議会の少子化対策特別部会におきまして、次世代育成支援の新たな制度設計の検討を進められているところでございまして、育児休業中の者も含めた子育てに関する経済的支援の充実につきましては、こうした場におきましてまたさらに検討されるべきものと考えているところでございます。

西村(智)委員 先ほど私が経済的な事情によって男性の育児休業取得が進んでいかないのではないかと言ったことのもう一つの側面は、男性と女性の間の賃金格差の問題があります。

 男性の賃金を十とすると平均で女性の賃金は六とか七という状況では、どっちが休んだ方が経済的にデメリットが少ないかとやはり考えると思うんですね。そうしますと、やはり女性の方が休みましょうとか、あるいは仕事をやめましょうというのが合理的な選択であるわけです。ですから私は、育児休業の男性の取得促進という点からも、やはり男女間の賃金格差の問題、労働条件格差の問題は早急に改善をしていかなければならない問題だと考えております。

 男女雇用機会均等法やパート労働法の審議のときにも問題となっておりました均等待遇です。これをどうやって実現していくのか。答弁、その後の委員会質疑の中などでも、職務評価の方法などについて研究をしますというふうに言っていただいていると思いますけれども、その調査研究は今一体どういう状況でしょうか。

村木政府参考人 男女の賃金格差の問題、非常に大きい問題だというふうに思っております。特に、賃金そのものは労使が決定をしていくものということで、労使に取り組んでいただくためにも、不当な格差が出ない賃金制度をどういうふうに広めていくかというのは非常に我々も大事だというふうに思っています。

 今、賃金格差の生成要因それから縮小に向けた方策については、有識者を交えた研究会を開催中でございます。特に、よい企業の事例について今検討を行っているところでございます。

 それからもう一つ、先生が御指摘をくださいましたように職務評価について、実はプロのコンサルタントのところとも連携をしまして、今事例の収集を行っているところでございます。

 どういう形で情報を整理して施策に結びつけていくかというのは私どもまだ非常に悩んでいるところでもございますので、いろいろアドバイスをいただいて施策を進めていきたいと考えております。

西村(智)委員 その際に、正規の男女間の賃金格差について調べるだけではなくて、正規と非正規間の賃金格差も視野に入れておかないと正確を欠く分析調査になると思いますので、そこのところはぜひ注意していただきたいと思います。

 ちょっと時間の関係で、少し質問を飛ばさせていただきます。

 民主党の考え方で申し上げますと、育児休業の取得促進に加えて、所定外労働の禁止と短時間勤務については、これは今回改正案では義務化されたということは評価をいたします。評価をいたしますけれども、午前中、桝屋委員の議論の中でもありましたけれども、やはり長時間労働というものをなくしていかなければならないという観点からしても、そもそも所定外労働を禁止する、なくしていく、こういうことが必要なのではないかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

舛添国務大臣 西村さん御指摘のとおり、長時間労働の抑制というのは極めて大事だと思います。そして、仕事と生活の調和、いわゆるワーク・ライフ・バランス憲章、さらに行動指針におきましても目標が設定され、先般の労働基準法もそういう方向で改正されたところであります。今後とも、長時間労働の抑制に取り組んでいく必要があると思っております。

 一方、特に三歳に達するまでの子供を養育する労働者にとって所定外労働が免除される制度の必要性が高いということが考えられることから、社会全体としての取り組みとは別に、今般新たにこれを設けることとしたわけでございます。

 申請によらず所定外労働そのものを禁止することにつきましては、子育て期の労働者であっても本人がほかの労働者と同じように所定外労働をやりたいと希望することもありますので、一律にそれを禁止するということから見て、それから業務の実態を見て事業主の負担が大きいこともまた考えられるということで、最低基準とするにはなじまないかな、そんな感じがしております。

西村(智)委員 所定外労働の禁止と短時間勤務は三歳に達するまでの子を養育する労働者に限ったというお話でありました。しかし、これも自民党と公明党の、水曜日の質疑にも、またきょうの質疑にもありましたとおり、三歳からせめて小学校に入るくらいまで拡大してはどうかというのは多くの委員が素朴に感じることだと思うんですね。

 現状を見ても、待機児童が年度当初で二万人、現在は瞬間風速で大体四・八万人の待機児童がいる。加えて、休日保育や病中保育などの多様な保育サービスの充実というのは残念ながらおくれております。こういう現状を見ても、やはり所定外労働の免除、それから短時間勤務については小学校の就学前まで延長すべきではないかと思います。イギリスなどでも六歳未満まで、スウェーデンは八歳までということになっているそうですので、ぜひ我が国でもこれを導入してほしいと思いますが、いかがですか。

舛添国務大臣 先ほど私が、若いころはずっとヨーロッパで生活して、日本へ帰って豊かさの実感が乏しいというのはこういう点にもあって、そういう意味では、この国の経済成長力、生産力をもっと高め、もっと豊かな国になる必要があると思いますのは、一つは、やはり事業主の負担ということも考えないといけない。企業が成り立っていかなければ、それはそこで働く人も困ります。そういう問題があるのと、やはり、今でも短時間勤務制度がある事業所は全体の三割強、それから所定外労働免除制度がある事業所は二割強なので、まずここを普及させる必要があるというふうに思っています。そういう意味で、もっと豊かになれというのはそういうことも含めてなんです。

 それからもう一つは、これは女性が例えば個人で選べればいいんですけれども、キャリア形成をやるときに、やはり頑張って歯を食いしばってきちんとフルタイムでやることがキャリア形成にプラスになるような仕組みになっていますから、そういう点も考えないといけないということでありますけれども、労働政策審議会においてもさらに議論を進めております。

 今後とも、大きな希望、到達すべきゴールはそういうところにあると思います。そういう意味で、この問題だけに限らず、これは、全体が豊かになる、全体がゆとりを持つ、つまり今のような制度を小学校ぐらいまで広げられる、八歳まで広げられるというのが本当の意味での福祉の発達した豊かな社会なので、しかしそれを支えるための経済力というのも必要なので、私は、セーフティーネットをきちんと張りめぐらすことと、日本の経済をきちんとやっていく、この両輪を動かしてやることが今後のさらなる豊かな日本をつくる道だと思っております。

西村(智)委員 これが第一歩ということでありました。ぜひ審議会の中でも引き続き議論をしていただきたいテーマの一つであります。

 今回の改正法で、現行法では幾つかある措置の中から一つを選択する措置義務であったところを、所定外労働の免除と短時間勤務を義務化したことによって、残りの項目、措置については努力義務となりました。

 私が懸念しておりますのは、例えば、フレックスタイムや託児施設を設置、運営していたところが、その二つが義務に格上げされて残りが努力義務になったということで、それを理由として突然託児施設をやめちゃったりしないだろうかということが懸念をされます。

 これについてはきっちりと、そういうことがないんだというふうに防止する、また、引き続きそういった意味での促進を図っていくことが必要だと考えますけれども、この点はいかがですか。

村木政府参考人 先生御指摘のとおり、短時間勤務制度と所定外労働の免除以外は努力義務ということになるわけでございます。

 フレックスタイムの場合は、特にそういう労使で所定労働時間をどう定めるかというのは、就業規則を変更する場合でもいろいろな議論が必要になりますので、そういう中で後退をしないように、それから事業所内託児施設につきましては、私ども、ちょうどことし予算で運営費の助成を拡大したところでございます。従来、運営費補助の支給期間は五年間でございましたが、これを十年にしましたし、それから、その事業所だけではなくて地域のお子さんを入れることについて、かなり規制を緩和しております。

 そういう助成金の措置なども使いまして、これは努力義務ですから、できるだけ企業にはやっていただきたいと私どもも思っておりますので、これが後退をしないように働きかけをしっかりしていきたいと思っております。

西村(智)委員 次のテーマに移ります。有期契約労働者の休業取得についてであります。

 御存じのとおり、働く女性の過半数は非正規雇用であります。今回、せっかくいろいろな制度が拡充をされましたけれども、有期契約労働者を含む非正規労働者はほとんど対象外となっておりまして、せっかく改正されるこの法律の適用対象者がこれでは限定されたままになってしまうのではないかという強い懸念を持っております。

 そこで、まず第一点目は、前回改正時の附帯決議、これをどう生かしてきたのかということを伺いたいと思います。

 平成十六年の法改正のときに附帯決議がつけられまして、例えば衆議院厚生労働委員会での附帯決議においては、「有期契約労働者への適用については、休業の申出及び取得を理由とした雇止め等不利益な取扱いが行われないよう、本法改正の趣旨の周知徹底を図るとともに、法施行後の有期契約労働者の休業取得状況等を勘案し、その在り方について検討を行うこと。」と記載されております。

 この附帯決議は、これからもう四年半たっておりますけれども、どう生かされてきたのでしょうか。状況等の把握は行っておられますか。

村木政府参考人 有期契約労働者について、十六年に新たに制度を導入いたしました。その後、パンフレット等あるいは集団指導等でこのことの周知徹底を図るということで、企業への指導を行ってきたところでございます。

 実際の取得者でございますが、育児休業給付の受給者の推移で見ますと、平成十七年度二千二百四十二名、十八年度四千七百七十名、十九年度六千五十二名ということで増加をしてきておりましたが、二十年度四千八百二十三名ということで減少しております。この動きをよく注視しなければならないというふうに思っております。

 それで、やはり取得要件がわかりにくいという議論が審議会の中でも御指摘をいただきましたので、これをよりわかりやすく周知徹底を図ること、それから、本年度でございますが、少し業種を取り出して実際のモデル事業を実施して、どういうふうにすれば有期契約の方々に育児休業をとっていただけるか、また、業種ごとに実態はどうなのかといったようなこともしっかり見ていきたいというふうに思っておるところでございます。

西村(智)委員 ふえてきて、またことしは減っちゃったと。恐らく、言われるところの世界的な金融不況の影響ということなのでしょうか。

 ただ、二千、四千、六千、そして四千台ですか、数としてはまとまった数のように見えるんですけれども、これは育児休業取得者全体から見ればわずかな割合でしかないのではないかと思うんですね。その数値について伺いたい。

 あわせて、先ほどおっしゃった取得要件についてです。取得要件がわかりにくいという問題があるのと同時に、やはりここは、より多くの適用対象者が生まれるように、ふえるように、この取得要件を緩和することが必要ではないか。野党三党の修正案では、この適用要件を一年以上の契約労働者から六カ月以上の労働者ということにしておりますけれども、この点についていかがでしょうか。休業取得要件は緩和すべきではないかと思いますが、いかがですか。

村木政府参考人 まず、数字の方を私の方から述べさせていただきます。

 育児休業給付の受給者数で見ますと、育児休業給付受給者に占める期間雇用者の割合は三%から四%程度にとどまっているところでございます。

舛添国務大臣 期間雇用の方々の育児休業の要件緩和の問題ですけれども、今、労働政策審議会の雇用均等分科会において公労使の三者で議論した結果でありますけれども、まずは、現行制度において育児休業の取得が可能である期間雇用者が、これは一年以上ということですけれども、より一層休業を取得しやすくするために、その休業取得要件をわかりやすく示し、周知徹底することが重要というのが結論づけられております。

 今委員からありました点については、今後は、育児休業や短時間勤務の取得できる期間雇用者の要件について周知をさらに進めて取得促進を図るとともに、期間雇用者の育児休業の取得状況等についてさらに実態把握を進めた上で、必要に応じて期間雇用者への適用のあり方について検討を行ってまいりたいというふうに思っております。

西村(智)委員 四年半前の前回改正案の採決のときに、有期契約労働者については状況を把握してきちんと検討を行いなさいというふうにもう既に言われていたわけですよね。今回の改正案でもその検討の結果が何も成果として出てこず、改正案に生かされていないというのは、これは大変残念といいますか、やはり怠慢だったと正直申し上げて言わざるを得ないわけです。

 ですので、ここのところは今後のまた審議会の中での重要な論点の一つだと思いますので、ぜひしっかりと議論をしていただいて、前向きに適用対象者を広げていただきたい。何せ働く女性の半分以上は非正規雇用でありますから、そこの人たちが育児休業などを取得して仕事と生活がきちんと両立できる、調和できるという状況でなければやはり問題は解決していかないのでありますから、ぜひそこは馬力を上げて取り組んでいただきたいと強く要請をいたします。

 そのほかに、所定外労働の禁止や短時間勤務の義務化などについても、私たちは、雇用された期間が一年以上ではなくて六月以上の労働者とすべきだというふうに考えております。これについて所見を伺いたい。

 それから、パート労働法において、実質的に期間の定めのない雇用契約と変わらないと客観的に判断できる場合には、ちゃんと引き続き雇用されているんですよというふうにみなされる、そういう判断をもとにしているわけですけれども、当然のこと、今回の育児・介護休業法においてもこのパート労働法の趣旨と合致しているものだと思いますけれども、その点を確認させていただき、また、その点はパート法とあわせて周知徹底を図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

村木政府参考人 御指摘のように、所定外労働の禁止や短時間勤務については、労使の合意があればということでございますが、その場合は一定の、一年間という継続勤務要件をかけておりますが、この勤務要件は、労働契約上の期間の定めにかかわらず、実態で判断をするものでございまして、有期労働契約者であっても一年以上継続して勤務している者は適用対象となるということでございます。こういったことは、要件をしっかり周知していきたいというふうに思っております。

 また、先ほど、パート労働法と同じような考え方をしているのかということでございました。パート労働法もやはり実態をまず見てということで、形式的に有期労働者であっても、契約期間が決まっていても実態を見るということで、これは考え方は同じでございますので、両方の周知をしっかりしていきたいというふうに考えております。

西村(智)委員 周知はしていただきたいですが、実際には、パート法の趣旨も余り浸透しているというふうに見えない事例がまだまだたくさんありますし、育児休業の申請や取得を理由として不利益取り扱いを受けている有期契約の方が大変多いわけであります。先ほど、育児休業取得者のうち有期契約労働者の占める割合は大体三%から四%というお話がありました。これは大変にバランスの悪い話ですので、ぜひここのところは、ふえていくのがやはり目指すべき方向だと思いますし、徹底して指導は強化していただきたいと強く要請をいたします。

 次に、具体的に、指針について一点伺いたいと思います。

 派遣労働者に対する不利益取り扱い。これは、育児休業等の申し出や取得を理由とした派遣労働者に対する不利益取り扱いなどは禁止されている、一般的に、常識的に考えてそうなんだろうなと思うわけでありますけれども、ここはちょっと確認をさせていただきたいんです。

 私が見たところですと、ガイドライン、指針などでは、「派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと。」というのは不利益取り扱いの典型例として示されております。これは派遣先。ただ、例えば、派遣元が取得の申し出をしてきた人に対してずっと待機していなさいとか、それで長期間待機を余儀なくされて、結果として退職という事態に陥ることも多々あると思います。

 この派遣労働者に対する不利益取り扱いの禁止はきっちりと指針で示していただいて、非正規労働者が働きながら子育てできる環境をつくるべきであると考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

村木政府参考人 育児休業法に係る不利益取り扱い等々についてでございますが、当然、これらの法律や指針は、派遣労働者を雇っている派遣元にも同様に適用されるものでございます。このことをしっかりと周知していきたいというふうに考えております。

西村(智)委員 派遣元と限定して指針に書いていただくことも、ぜひ検討していただきたいと思っております。

 次に、一人親家庭への支援について伺いたいと思います。

 私たち、二〇〇四年の改正案でも、一人親家庭に対しての特例的な措置はいろいろ盛り込んでおりました。今回の改正案について、残念ながらこの点は入っておりませんでした。

 特に、子の看護休暇についてなんですけれども、一人親家庭でいらっしゃいますので、子の看護休暇、必要があってもなかなか休めないということで、みずから休みをとることを抑制する方が多いかなというふうにも思います。しかし、子供一人一人にとって、やはり一定の日数の子の看護休暇を保障してやることは必要ではないかと考えるんですね。例えば今回の新型インフルエンザ、かかってしまうと大体一週間くらいですか、治癒するまでに時間がかかるということになると、インフルエンザに一回かかっちゃったら、五日の看護休暇ではあっという間になくなってしまうわけです。

 ですので、労働者一人についてというよりは、ここは一人親家庭への特例措置ということで、子一人について同じ日数の看護休暇をとれるというふうにすべきではないか。具体的に申し上げると、一人親の場合は子一人について十日とれるというふうにすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 これは、どれぐらいの看護が必要かということで、子供の人数に比例するだろうということなので、一人親か二人親かでやると企業内の労働者間の公平性とかいろいろなことがあると思いますので、そこは、この制度でやるよりも、一人親家庭に対するさまざまな支援策がありますから、そちらでやった方がむしろいいのではないかなというふうに思っております。

西村(智)委員 今回、子供の人数に応じて少し看護休暇がふえるというのは、これは評価するんです。評価するんですが、一方で、やはり一人親に対しても支援策が必要ではないかということで申し上げたんです。

 であるとすれば、舛添大臣がおっしゃった一人親家庭に対する別の支援のあり方、これについてはやはり必要だと思いますし、検討すべきだと考えますけれども、いかがですか。

舛添国務大臣 別の施策ということですけれども、例えば、一人親家庭において家事や保育サービスが必要になった場合に家庭生活支援員、ヘルパーを派遣するなど、母子家庭等日常生活支援事業というのがございまして、今年度からは、利用要件に残業を明記することとか、ヘルパーの要件を緩和することによりヘルパーの人数をふやすことということで、できるだけ利用しやすいようにしております。

 それから、今回の二十一年度の補正予算におきましても一人親対策を進めることとしておりまして、特に、一人親が子供を預けやすくするための支援方策として、ファミリー・サポート・センター事業におきまして一人親家庭の利用の支援策を設けたところであります。

 また、病児・病後児の保育につきまして、子ども・子育て応援プランに基づきまして、平成二十一年度末までに千五百カ所の実施を目標としております。

 さらに、二十一年度の本予算におきまして、病児・病後児保育施設について、これまでの定額の国庫補助から利用実績に応じた国庫補助にするような形に変えましたので、経営の安定化が図れるだろう。

 幾つか挙げましたけれども、そういう方向でサポートしていきたいというふうに思っております。

西村(智)委員 企業側の事情もあるでしょうというお話でしたけれども、これは、とれといっているのではなくて、とれるという看護日数ですから、ぜひそこは、今ほど別の施策ということで御説明いただきましたけれども、少なくとも、とれるという日数の拡大については、ぜひ私の立場からは要望を引き続きさせていただきたいと思います。

 続いて、いわゆる育休切りについてであります。

 既に多くの委員から議論のあったところでありますし、事例についても数多く紹介をされましたので繰り返すことは避けたいとは思いますが、一つは、育休切りはどういう場面で発生しているのか、そこを厚生労働省としてどういうふうに整理されているのかを伺いたいと思います。

 あわせて、育児休業というのは、本来は、労働者から書面によって育児休業の取得を申し出ることによって、自動的にといったらあれなのかもしれませんけれども、要するに、それによって取得することができる、それによって権利が生ずるという性格のものですから、ここの場面で、いわゆる育児休業の申出書ないし休業復帰後の労働条件の通知書などがやりとりをされているというふうに想像いたしますけれども、実際にどういうふうにやりとりをされているのか、この点について厚生労働省の把握、整理を伺います。

村木政府参考人 育休切り、こういう言い方がされますが、均等法の母性保護等も含めますと、まず、妊娠をしたという段階あるいは産休をとりたいと申し出た段階で解雇等を言われるというケース、続いて、育児休業を取得しようということで申し出た際に解雇等を言われる、それから今度は、休業中もしくは休業から復帰をしようとする時点で解雇を言い渡される、あるいはこれは退職勧奨の形をとる場合もありますが、こういった事案が想定をされます。

 書面での申し出ですが、先生が御指摘くださいましたように、基本的に、法律上、労働者が育児休業を取得しようとする場合は、休業開始予定日の一カ月前までに事業主に対して育児休業の始期と終期を書いた申出書を出すということでございます。これで、もう育児休業は実際にはとれるわけでございます。労働条件通知書の方は、通常、申し出があった後速やかに、今度は事業主の方から労働者に対して交付をされるということでございます。

 ただ、実際には、中小企業になりますと、事実上口頭でのやりとりが行われているケースもあるというふうに承知をしているところでございます。

西村(智)委員 いわゆるとつけさせていただきますけれども育休切りというのは、いろいろなステージで実際には行われ、そして、今のお話を伺いますと、育休を取得するために申出書を出せばそれでオーケーだ、とれるんだという話でありましたけれども、私も何人かの実際育休切りに遭った方々のお話を伺いましたし、またいろいろなことを考えてみましたけれども、やはり労働者の手元に何も紙がないということから、本当にきちんと復帰できるのだろうかということを不安になるのは、これは不安になるんだろうと思うんですね。

 実際に、その申出書が労働者の手元に残っていない。そこで、例えば気のきいた事業主は、この申出書はあなたも持っていた方がいいでしょうからといってコピーをとって渡してくれるところも、気のきいた事業主はしてくれるかもしれませんけれども、実際には労働者の手元には何も残っていないということが想像をされます。

 ここは、不安解消という点からも、やはり何らかの書面が労働者の手元に残るように、あるいは渡るように措置を講じるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 一昨日、山井さんや郡さんからも言われて、この紙が大事なんだということをおっしゃられて、私もずっと考えていて、例えば、年金の特別便をもらって訂正に来られるときに、窓口で、あなたはこれぐらいです、仮計算でいいからあったら安心だろうということで、一枚紙を係の人の判こを押して渡すようにした、あれで大分安心したということを言われました。

 そういうことも含めて、申出書を出していただいて、きのう山井さんがおっしゃったように、いつからいつまでが育休の期間ですよ、それは確認しましたという形で必ず労働者にお戻しする、そういう形を省令の措置によってやろうと思っております。

西村(智)委員 省令の措置をやってくださるということで明言をいただきました。

 ただ、まださらに心配はありまして、最近は労務管理を例えばパソコンですとか電子メールでやる会社がどうもふえてきているようであります。実際にパソコン上で、何かそういったソフトがあるんでしょう、ブラウザーで申し出て、それでいいやと思って、何も、要するに出した記録もこちら側の手元には残っていないということになっているケースもあるんですけれども、こういった例えばメールやパソコンを通じての申し出に対しても、今大臣がおっしゃってくださった、確かにそういった趣旨で受け取りました、あなたの休業期間はいつからいつまでですという書類を返付するということにこれはなるんですか。

村木政府参考人 現行の、今の育介法の五条の四項に基づく規則での申出書でございますが、これは書面でということになっておりますので、現在はメールやブラウザーによる手続ということは法令にのっとったものにはなっておりません。これからそれをどうするかという議論があろうかと思います。

 実は、さきのパート労働法の改正のときに、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法ということで、このときに初めてファクシミリと電子メールの送信の方法というのを入れましたが、このときは条件をつけておりまして、電子メールの送信の方法の場合は、受け取った側が電子メールの記録を出力して書面の作成ができる、その形の場合だけよいということにパート労働法はいたしました。

 ですから、そういった前例も含めて、最後は紙で持てるということを重視したわけでございますが、今やはり紙のやりとりをしないところもたくさんふえておりますので、具体的な議論はこの後ですることになろうかと思いますが、その辺、きちんと手元に紙が残るというのが今回の趣旨であるということを踏まえた上で、利便性の高い方法を考えていきたいというふうに思っております。

西村(智)委員 一点確認をしますけれども、メールやブラウザーによる申し出に対して、例えば事業主の方がある意味勝手に、そのメールを受け取りましたとか、ブラウザーでこういうふうに申し出がありましたということで、事業主が言ってみれば勝手に自分の方で受け取りの文書をつくって渡すということは妨げられるものではないと思いますし、そのことについては厚生労働省令で定めても何の問題もないと思いますが、この点はいかがでしょうか。

村木政府参考人 済みません、御質問の御趣旨は、申し出る方がそういうものを使うことがどうか……

西村(智)委員 事業主の方が自分のところでそのメールの申し出に対してこういう書面をつくって、それを労働者に渡すということについては、これは妨げられるものではないですよね。

村木政府参考人 これから具体的なやり方は検討いたしますが、基本になるのは文書の交付というふうな書き方に恐らくなろうかと思いますので、当然、事業主が文書でやることについては全く妨げないということになろうかと思います。

西村(智)委員 ぜひそれは、事業主にぜひやっていただく事項として省令にも書き込まれるようにお願いをいたします。

 今までのお話を伺っていますと、やはり書面による申し出というのが原則なんだということでした。しかし、書面による申し出で育児休業を取得するというこの手続を承知していない労働者、事業主は多いのではないか、少なくないのではないかと思います。事業主に対する周知徹底はもちろんやっていただきたいんですけれども、労働者の側に対してもしかるべき方法でそういったことをお知らせすることが必要なのではないでしょうか。

 委員会の中でも議論に出てまいりました母子手帳の活用ですけれども、私も同じことを考えました。母子手帳に、育児休業制度、制度の解説や説明だけではなくて、どういう手続で育児休業を取得しますよとか、問題が起きたときにはこういうふうに対応しますよというような、そういう手続などを記載して周知してはどうかと思いますけれども、いかがですか。

舛添国務大臣 これは出産のときにみんな受け取りますから、母子健康手帳というのはそういうことのために利用するのは大変結構だと思います。

 記載例を定めた通知において、育児休業制度についても記載して、市町村に対して既に周知を図っているところですけれども、何らかもう少し通知の方法を検討する、母子手帳以外にもさらなる周知方法を検討するということで、せっかくある制度ですから、さらなる周知徹底に努力をしたいと思います。

西村(智)委員 母子手帳に何を記載するかというのは検討会で決めるんですね。何か母子手帳の改正に関する検討会というので議論をして、必ず載せるべき項目はそこを通じて載せることにするのだそうでありますので、ぜひこの検討会を開いていただいて、必ず載せるべき項目としていただけるように議論をお願いしたいと思います。

 続いて、不利益取り扱いとの関係でありますけれども、労政審の建議では、実効性確保について、均等法における取り扱いも踏まえ、育介法の趣旨、目的に照らして必要な見直しを行うことが適当というふうにされております。

 実際に禁止されている解雇その他不利益取り扱いの典型例として、例えば昇進や昇格における人事考課において不利益な評価を行うことが考えられるわけですけれども、この例は、実は男女雇用機会均等法の指針には含まれているんですが、育介法の指針には含まれておりません。昇進、昇格の人事考課における不利益な評価というのは、これはやはり、先ほども経済的な理由でといった、男性が育児休業をとれない理由として一緒に挙げられるものではないかと思うんですね。

 つまり、育児休業をとったらその後の昇級や昇格に影響がありますよとアンケートで答えている企業は、二割とか三割とか確実にあるんです。確実にあるんです、育休をとったらその後の昇進や昇格に影響がありますよと言っているところが。ということは、ここをやはり不利益取り扱いの例として指針に含むべきだ、指針は見直すべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

村木政府参考人 御指摘のとおり、不利益取り扱いの具体例の中に、均等法では昇進、昇格を書いてございますが、育介法にはそれがございません。労政審の議論の中でもそのことの御指摘をいただいておりまして、この後、法律が通ればでございますが、不利益取り扱いについての指針の整備をする中で、均等法の扱いとの並びもよく勘案して整理したいというふうに考えているところでございます。

西村(智)委員 同じく指針ですけれども、禁止されている不利益取り扱いの中に、休業からの復帰に当たって原職または原職相当職につけないことという項目が入っておりません。法の第二十二条で雇用管理等に関する措置というのがありますが、それを受けた指針の中で配慮事項となっているのみであります。

 やはり、労働者が安心して育介休を取得することができるようにするためにも、休業後は原職復帰を原則とすべきでありまして、こうした取り扱いは不利益取り扱いであるということを指針に明記すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

村木政府参考人 御指摘のとおり、今の指針の書き方は、育児休業後において原則として原職または原職相当職に復帰させることが多く行われていることに配慮することとされております。

 原職復帰を原則というふうに書けるかということなんですが、一年とか一年半、あるいは企業によっては二年、三年、三歳までの休業を認めているようなケースもございますので、実際にその方がいらっしゃったポストは、代替要員で埋めるか人事のローテーションの中で後任の方が来られるというようなケースがかなり多うございます。それから、原職相当職であっても、例えば職場の中の違う部署の同じようなポストとか、あるいは、幾つか事業所があると、ほかの事業所で同じようなポストというような形で人事を何とか回しているというのが今の企業の実態でございます。そういう意味で、帰ってきたときは必ず原職だよ、こういうことはかなり難しいのかなと正直思っております。

 ただ、先生おっしゃっている御趣旨が、要は、休業から復帰してきたときに原職と比較して非常に不利益なところ、普通の人事異動のルールから考えるとそういうところではないはずだ、これはどうも育児休業をとったことのペナルティーではないかと思われるようなところに行かされることを防ぐという趣旨であれば、「通常の人事異動のルールからは十分に説明できない職務又は就業の場所の変更を行うことにより、当該労働者に相当程度経済的又は精神的な不利益を生じさせること」、これは不利益な取り扱いとして禁止をはっきりと指針でされておりますので、この指針を用いて、不利益取り扱い、特に配置の部分の不利益取り扱いを排除できるのではないかというふうに思っております。

 また、特に就業場所の変更については、別途法律や指針で当該労働者の子の養育または家族の介護の状況に配慮しなければならないという配慮義務がかけられてございますので、こういう形で実質的な担保を図っていくというのが現実的なやり方かなというふうに考えているところでございます。

西村(智)委員 ここのところは非常に難しい問題であることは私も承知しています。ですけれども、復帰後の取り扱いについて、会社の都合で決定するとアンケートなどで答えている企業はやはり高い率に上っているわけです。ですので、そういう現状を考えれば、ここのところは、やはり原職復帰を原則とすべきであるということについては指針に書いていただきたいと私は要望をいたします。

 続いて、ちょっと時間もなくなってきましたので先を急ぎまして、今回の改正法の中で、均等法と同じく、紛争解決の援助、苦情処理、そして調停、また悪質な企業名の公表や過料の創設などが盛り込まれることになりました。これは、やはり今このようにいわゆる育休切りなどが起きている状況を考えると、一日も早く施行して、その強制力をバックに強力に均等室などから指導していただくことが必要ではないかと思いますけれども、施行日の前倒しをして実効性の確保を図るべきということについてはいかがでしょうか。

舛添国務大臣 今のところ、準備期間があるというようなことで、一年以内に政令で施行日を定めるというふうになっていますけれども、ただ、実効性の確保のため、一定の範囲内で前倒しは可能だと考えますので、この委員会で御審議をいただきまして、それを踏まえて前倒しについても対応してまいりたいと思います。

西村(智)委員 ぜひそうしていただきたいと思いますが、均等法で、先ほど私は均等法と同じ仕組みと申し上げましたけれども、均等法が改正されて、この公表、過料の仕組みが導入されたのが二年前です、二年たっても、まだ公表、過料、一件も出ていない。それから、苦情処理や紛争解決の援助などでも、数千件の相談があるんだけれども、なかなか本当に解決まで導いていける件数というのは多くないということでありますので、ぜひ問題点をよくよく精査していただいて、改善を図っていっていただきたいと思っております。

 最後に一点、看護休暇の分割取得について伺います。

 先ほど私は一人親の看護休暇について質問したんですけれども、それとは少し趣旨が異なりますが、お話をいろいろ伺いますと、子の看護休暇を本当は一日単位とか、一日単位は今でもとれるということですが、時間単位で取得できるととても助かるのだというお話をたくさん伺います。

 やはり、ここは看護の実態に対応できるように分割取得は可能にすべきだろうと思いますし、そのときに、例えば一時間、一時間が無理だったら二時間とか、そういう形での時間単位の取得も可能にすべきだと思いまして、そういったことについて指針で例示をすべきではないかと考えますが、この点はいかがですか。

村木政府参考人 何度か御答弁をさせていただいたとおり、最低基準としては、事業主等の負担も考えて一日単位というふうにいたしたいと存じますが、時間単位の取得を、労使合意でそういう制度をつくっていくということは大変いいことだというふうに思います。

 先生御指摘いただきましたように、指針は今非常に抽象的な書き方、「弾力的な利用が可能となるように配慮するものとすること。」としか書いてございませんので、御指摘のように、時間単位の取得について指針で例示が置けるように審議会の方に諮ってまいりたいと存じます。

西村(智)委員 時間ですので、終わります。

 舛添大臣には非常に前向きな答弁をたくさんいただきましたので、ぜひ任期中に実現していただけますように心からお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

田村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、本来なら村木局長に答弁を求めるのがふさわしいのかどうか大変悩みました。障害者団体向け郵便料金割引制度の悪用事件で局長は渦中の方であり、これまで参議院の質疑などでは所管外であるとして答弁をされませんでした。しかし、昨日の新聞各紙では、偽造された証明書を当時の課長、つまり、村木局長に直接渡したことを逮捕された係長が供述していることが報道されました。現在、障害者団体へ詳細な調査がされているようですが、この事件のとばっちりで、まじめに頑張っている団体の活動が影響を受けるようなことがあってはなりません。

 きょうは、重要な育児・介護休業法が議題となっているため、このことについては質問はしませんが、委員長にお願いいたします。

 後日、当時の障害保健福祉部長である塩田幸雄現福祉医療機構理事を本委員会に参考人招致し、集中審議を行うようお取り計らいを要求いたします。

田村委員長 理事会で協議をいたします。

高橋委員 それでは、質問に入ります。簡潔にお答えください。

 育児休業では、厚生年金、健康保険の保険料が事業主、労働者負担ともに免除をされますが、介護休業にはありません。収入も著しく減る中、同様に減免措置を設けるべきと思いますが、いかがでしょうか。

渡辺政府参考人 お答えを申し上げます。

 負担に応じて給付を行うというのが社会保険の原則でございます。年金制度における育児休業期間中の保険料免除の取り扱いは、将来の年金制度の支え手となる次世代の育成支援という観点から、保険料財源全体が負担することにより行われているものでございます。

 一方、育児以外にも、御指摘の家族を介護する場合のほか、本人や家族の病気や事故で看護する場合など、さまざまな理由で休業せざるを得ないケースがございますが、そうした休業、なかんずく介護の休業でございますが、年金制度の支え手を支援するという育児休業と、やはり年金制度から見た場合の位置づけというのは異ならざるを得ないのではないかというのが、かねて来、審議会における議論でも、求める御意見もあるんですが、位置づけとしては違うねということが共通認識となって今日に来ておるものと考えております。

 したがいまして、御指摘ではございますが、介護休業期間中について、育児休業期間中の社会保険料の扱いと同様の処理をすることは困難であると考えております。

高橋委員 審議会でも議論があったというお話でしたけれども、ちょっと今の答弁では納得がいかないわけですよ。

 つまり、年金の将来の支え手を支援する、そういう考え方からいったら次世代育成とこれは違うんだと言っていますけれども、先ほど来お話があるように、家族介護のために、今働き盛りの人たちが四十五万人も職場を去っていくという状態なわけです。そのことを考えれば、その方たちが、介護もするけれども、やめずに働き続け、年金の支え手となっていく、このことがまさに合理的な理由になるのではないでしょうか。事業主にもメリットがあります。減免になるわけですから、理解が得られやすいと思います。

 そもそも、なぜ介護休業は三カ月だけなのでしょうか。実際には、厚労省の調査でも、三カ月から半年未満が一番多くて四割もいるわけですけれども、なぜでしょうか。

村木政府参考人 御指摘のとおり、介護休業について、最も多い取得というのは三カ月から六カ月というところでございます。

 ただ、私どもが法律の制度をつくるときには、労働者が仕事を休んで介護をすることをベースにすることではなく、仕事を続けられるような形で何とか介護を乗り越えていくということで、長期の介護の体制が整うまでの間、みずから介護をせざるを得ない期間だけを法律の最低限の期間として定めたということで、当初三カ月、今九十三日ということでございますが、そういう制度になったものでございます。

高橋委員 ですから、実はその三カ月というのは、だれしも三カ月で介護は終わらないよねと思うわけですけれども、今お話があったように、厚労省の説明は、介護を要する家族を抱えた労働者が雇用を維持していくために、家族の介護に関する長期的方針を決めるための期間とされているわけです。つまり、三カ月たったら職場に復帰をして、介護のサービス、居宅や施設などさまざまなサービスを利用しながら、今回は突発的な場合に備えて五日間の介護休暇を新設したわけですけれども、そうやってやっていけるだろうという制度設計であると。しかし、それがそうはなっていないということは、もう先ほど来の議論で明らかなわけですよね。前に私、一度質問しておりますけれども、同居家族がいるだけで生活援助サービスが受けられなかったり、そもそも施設が少ないこと、居宅サービスを全部受けても不十分、あるいは経済的な理由で上限まで使えない、そういう介護保険制度そのものの矛盾を変えなければなりません。

 まず、すぐできることを考えるとすれば、とりあえず、三カ月終わった後に、代替措置である短時間勤務ですとか、そういうことを休業を終わっても少しずつとれるようにしていく、それから介護休暇の性質を子の看護休暇に似たものにしていく、こういう考え方もこれありと思いますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕

村木政府参考人 介護についても短時間勤務の措置を、三カ月、九十三日を超えて、その後にそういう制度が設けられないかということが一つかと思います。

 今回、休業期間を長くできないかとか、そのほかに制度をもう少し充実できないかということは、審議会の中でも確かにございました。ただ、まず今回、真っ先に介護に関して今必要性が高いものは何だろうかということを議論した結果として、非常に長い期間の介護に対応するために、どこかで介護をやっていただいていたとしても、その手がたまたま足りなくなるとき、あるいは施設といろいろな御相談をする、お医者様といろいろな相談をする、そういうことに関しての休暇をとるということが非常に効果があるのではないかということで、今回の措置になったところでございます。もちろん、企業の努力等によって、充実した政策というのは非常に大事だとは認識しております。

高橋委員 経済的支援とあわせて、こうした制度設計について、さらに前進するように検討していただきたい、これは要望にとどめたいと思います。

 次に、今日焦眉の課題であるいわゆる育休切りについてなんですけれども、昨年度のデータは、育児休業に係る不利益取り扱いが千二百六十二件、妊娠、出産などを理由とした解雇等不利益取り扱いは二千三十件、いずれも五年間で二・三から二・四倍にふえております。

 例えば、きょうは、名誉のためにではありませんが、宮城労働局雇用均等室の相談の解決事例を少し紹介したいと思います。

 一つは、妊娠のため内勤に変更を希望したら、業績悪化を理由に退職を迫られ、いじめられた。これは、謝罪もさせて育休をとらせました。二つ目、産休前に自己都合退職せよ、期間前に復職しなければだめと言われたが、指導により契約更新できました。三つ目、育児休業を切り上げて復帰せよ、でなければ契約打ち切りという会社に対し、本人が雇用均等室に相談していると毅然と通告をしたために、きちんと育休をとり、もとの席をあけておくと言ってもらえた。四つ目、産休中に会社が閉鎖したが、指導により育休後関連会社に復帰を果たした事例がございます。

 これは全体の中ではまだまだ少ない事例なんですが、やる気になればできるというお話です。

 最大のものは、やはり事業主の法律への理解不足ということです。例えば、措置義務の一つである短時間勤務。短時間勤務にさせてくださいと言ったらパートにすればいいんだと思い込んでいるとか。今言った内勤希望もそうなんです。あるいは、小規模な事業所で育休までとられたら代替も見つからない、だからやめてくれと。でも、そうじゃないんだ、休業給付もあるし、それは事業主負担がないし、あるいは各種助成金制度があるよということをちゃんとアドバイスすれば、わかったということで育休がとれた、こういう事例もございます。

 そこで、先ほど来、書面の話がございましたが、これはもちろんやっていただくということでよろしいと思うんですが、そもそも、育児休業などの規定を就業規則に盛り込んでいる事業所が六割程度であるということ。〇四年改正の有期労働者についてはさらに低いと思いますが、どうでしょうか。まずは規定をきちんと書き込ませる指導を徹底することが不可欠と思いますが、いかがでしょうか。

村木政府参考人 御指摘のとおり、規定がある事業所の割合は六一・六%でございますが、特に、有期契約労働者について規定を定めている事業所は四六・四%にとどまっております。トラブルを解決するためにも、まず規定をつくらせるというのが一番基本だというふうに私どもも思っておりますので、ぜひこれはしっかりやっていきたいと思います。

 今も大変少ない人数で均等室はやっておりますが、計画的に事業所に出向いていって規定の整備状況を把握して、整備をされていなければ指導するということをやっておりますので、一層力を入れてやっていきたいというふうに思います。

高橋委員 有期に至っては四六・四%であるということでありました。

 きょうはちょっと時間の関係で質問ができないのですけれども、今後、不利益取り扱いに対して調停などの任務もあるわけです。しかし、均等室というところはやはり権限が労働基準官とは違うわけであります。この点については、大臣に強く要望しておきたい。権限の強化をしなければ、やはりこれ以上のことは幾ら言ったってできないのです。そこをしっかりやっていただきたい。

 それから、宮城の例でさっき紹介しましたが、きょうはいっぱい部屋にいるなと思ったら、たった五人が常勤の方で、その倍以上が週一回か二回出てくる非常勤の方でありました。こういう中で何とかやっているということも考えれば、体制の強化、ましてブロック制などということは絶対あってはならないということを指摘しておきたいと思います。

 さて、今度は基準局に聞きたいのですけれども、産前産後休暇と直後の三十日については、労働基準法第十九条で解雇できないと明確に書かれています。労基法は、その違反に対し刑罰のある強力なものであり、強制力があります。この十九条違反に当たる解雇事例がこの間どの程度あったでしょうか。

 私は、前回の質問で、異常出産が多いこと、母性保護の重要性について質問しました。労基法も、今や保護規定があるのは妊産婦だけであります。なぜ解雇できない期間を八週間プラス三十日としているのでしょうか。この枠をもう少し広げ、法的強制力を持たせる考えはないでしょうか。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からは二点御質問があったと思います。一つは、労働基準法第十九条によります解雇制限、これについての違反の状況ということでございます。まず、こちらについてお答え申し上げます。

 今御指摘ございましたように、労働基準法第十九条第一項におきましては、労働者が業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業する期間、すなわち労災で休業している期間でございます、その期間とその後の三十日間、それにもう一つカテゴリーがございまして、産前産後の女性が労働基準法六十五条の規定により休業する期間、これは産前については六週間、産後については八週間でございますが、それに加えてその後の三十日は解雇してはならないということで、大変強い解雇に対する規制がかかっております。

 これに対する違反でございますが、実は二つのカテゴリーを両方足し合わせたものしか今私ども把握しておりませんけれども、平成十七年、十八年、十九年について、それぞれ二十九件、二十六件、二十五件こうした法違反が認められましたので、労働基準監督機関において是正をしたところでございます。

 それからもう一点でございますが、この三十日間というのをもう少し広げることができないのかというお尋ねであったかと思います。

 この産前産後の期間につきましては、いわば働く方が絶対的に労働ができないような状態でございます。こうした状態の後、さらに体の状態が休業前の状態にまで戻る期間、そういういわば回復期間として三十日間の解雇を禁止しているというのが立法趣旨であるというふうに承知をしているところでございます。

 少し延ばすことができないのかという点でございますが、今申し上げましたように、労働者の身体状態が回復していない中で解雇いたしますと労働者の生活が極めて脅かされるというようなことで、最低限の保障といたしまして、このような厳しい規制を罰則をもってかけているところでございます。

 立法趣旨がこうしたようなことでございますので、このような立法趣旨からいたしますと、私どもとしては、現在、さらにこの制限を超えて延長するという状況にはないのではないか、このように考えているところでございます。

高橋委員 この点は少し大臣に伺いたいと思うんですね。

 休暇をとってから復帰して順々に体調が戻る期間、これが三十日間であると。しかし、これは、妊婦も、一般の労働者のいわゆる傷病後の復帰も、全部三十日なわけですよね。そうすると、実態がどうかということはもうずっと手がつけられていないわけです。それを少し考えた方がいいと思う。

 だって、今回の事例も、妊娠を告げた途端にやめてくれと言われている。そうすると、まだ産休に入っていませんのでこれは民事ですねという話になっちゃうわけです。だけれども、例えば、それでも同じように夜勤をやって切迫流産になった方もいました。週に三日休む、そうしたら、気分が悪いような顔をするなとか、やめた暁には、すぐ妊娠するような人を採ったのが間違いだった、そう言われたりしているということなんです。そうすると、切迫流産までするような状態は、それはもういわゆる傷病休暇と同じでもいいのじゃないかということもあるわけです。

 そういう状況にかんがみて、少し検討されたらいかがでしょうか。

舛添国務大臣 今、労働基準局長から答弁がありましたように、これは罰則をもって強制的に一定の解雇を制限する条項でありますから、そういう意味では、最低限のミニマムがここであるということだと思います。

 だから、これ以上法的な網をかけるよりも、むしろ、おっしゃるようなケースの場合に、まともな経営者だったらそういうことは言わないはずなので、それはもう企業の社会的責任であり、人を大事にしないそういう企業は将来的に伸びないと思いますけれども、いずれにしても、そういう問題点があるということ、それで、そういう個々のケースについてこれからどういう形で救済していくか。先ほど申し上げたように一律に法律の網をかけるというのは若干難しかろうと思いますけれども、それは検討課題として、ILO条約その他の精神にものっとって考えてみたいと思います。

高橋委員 これはきょうひとつ芽出しですので、検討していただきたいと思います。

 すぐに可能性があるんじゃないかなと思うのは、例えば、産後八週間就業制限がかかっていますけれども、本人のいろいろな事情や会社の事情を考慮して六週間で復帰した場合、この方たちも六週間プラス三十日しか規制がかからないわけですね。そういうのも八週間で見てあげたらいいんじゃないかというのは、もう七八年の研究会で指摘があったことであります。こうしたことをまず考えてみるということを御提案させていただきたいと思います。

 少しはしょります。

 一言でお答えください。今の女性の二人に一人は非正規雇用という働き方が、妊娠、出産を理由とした解雇や退職強要を許している背景にかなりあるという認識をお持ちでしょうか。

村木政府参考人 恐れ入ります。質問の御趣旨は、今の非正規化がこういった解雇等の原因になっているかどうかということでよろしゅうございますでしょうか。

高橋委員 いわゆる育休切りの中に有期労働者の事例が大変多い。私が仄聞したのは、四割なり七割ということがございます。まさにこれがかなりの要因になっている。いかがでしょうか。

村木政府参考人 非正規が多いところが育休切りの直接の要因になっているかどうかというところはなかなかお答えしにくいところがありますが、私どもが地方の均等室でいろいろ指導している中で実感をしておりますのは、雇用情勢が悪いとき等々について、やはり非常に弱い立場の人たちから解雇をされやすいということでございます。そういった意味では、非正規の人たちにそういった問題がより強く出るということはあろうかというふうに実感をしているところでございます。

高橋委員 まさしく弱い立場の人から、契約が切れていますよ、満了ですよという形で今雇いどめが起こっているということがまず一つの認識としてあるのではないか。ここがまず一つ問題だと思うんですね。

 それで、きょうは、ちょっと期間労働者の育児休業の問題についてもう少し踏み込んでお話ししたいと思うんです。

 資料の一枚目に、厚労省の資料ですけれども、「期間雇用者が育児休業をすることができるかの判断フローチャート」というものがございます。「期間を定めて雇用されている」、それが、そうなっている、なっていないという形でずんずん分かれていくんですが、敗者復活戦のように、期間が定まっていても、しかし引き続き一年以上雇用されている場合とか、あるいは実態を見て、実際はずっと雇用されている、そういうのが明らかであれば育児休業の対象になる、こういうことをいっているんだと思うんです。

 法改正当時、十万人育休受給者があるとすれば期間従業員は一万人、このような答弁をされたものであります。しかし、今や、十六万人に対して四千八百人ですから、三%にも満たない。看板倒れなんです。

 しかし、本当にこのチャートのようにやっていれば、女性の有期労働者の平均勤続年数は三年七カ月、年々ふえているわけですから、厳密に実態を見ていくともっともっと育休の対象になるはずだ。その点、一言認識をお願いします。

    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕

村木政府参考人 おっしゃるとおり、形式上有期契約の労働者であっても、非常に長く勤続をしている女性の方は大変多いと思っております。

 先生にお出しいただいたこのフローチャートで申し上げますと、一番最初のところに「期間を定めて雇用されている」と。これは、パートでも半分ぐらいの方はこういう方ですが、その次に「実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態になっているか」こういう問いが一番最初に来るわけで、実態で見るということでございます。

 ただ、このことが御本人たちに理解をされているか、あるいは事業主に理解をされているかというところが、まだ私ども徹底が足りないのではないかというふうに思っておりますので、ここの周知徹底は非常に大事だというふうに思っております。かなり救える部分があると思っております。

高橋委員 かなり救える部分があるというお言葉でした。そうしていただきたいと思います。

 そこで、きょうどうしても訴えたいのは、公務パートの問題であります。

 資料の二を見ていただきたいと思います。地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告書がことし一月二十三日に発表され、自治体パート労働者の実態が初めて詳細に明らかになりました。

 この資料は、再度任用の状況であります。本来、先ほど来お話があったように、一年の契約のはず、上限の定めがない、当たり前一年だということになっているはずなのに、上限があって、それが五回以上再度任用になっている。そういう状況が、例えば看護師の一般職非常勤職員は六・二回にもなっている。あるいは通算任用期間で見ますと、五年を超えているところが、看護師、保育士、給食調理員などで非常に多いわけです。

 その理由を見ますと、めくっていただいて、三の資料で、「専門的知識・技能、資格・免許を要する職であり、人材確保が困難であるため」とあります。看護師は七割以上、保育士は六六%、消費生活相談員なども五割を超えています。

 総務省に伺いますが、これは明らかに、先ほどのチャートに照らしても、育児休業の取得資格がある方がいる、そのように思いますが、なぜ対象外なのでしょうか。

松永政府参考人 お答えを申し上げます。

 地方公共団体の臨時・非常勤職員につきましては、本来、臨時的あるいは補助的な業務に従事するということが想定されておると思いますが、そもそも、長期にわたって勤務するということは想定されておりませんで、原則として任期は一年ということとなっております。一年以内で任用されております。任期が来れば当然にその身分は失われるものというふうに解されているところでございます。

 資料の点で、御紹介をいただきたましたが、地方公共団体によりましては、このような形で、再度の任用につきまして一定の回数というものを定められているところがございますが、これは、臨時・非常勤職員についての制度の趣旨を踏まえた上で、もちろん同一の方が結果として再度任用されるということがございます。そういうことを可能にしている場合につきましても、長期にわたって繰り返して任用されることによりましていろいろと問題が生じるということを避けるため等から、一定の目安、こういうものを設けられているものだというふうに考えておりまして、長期の任用を予定されているというわけではないものというふうに理解いたしているところでございます。

高橋委員 幾らそう原則として一年といっても、結局、皆さんがつくった資料が、これも運動団体のかなりの要求があってのことなわけですけれども、実際には、原則どおり一年ではない、同じ方が再度任用されている、余人をもってかえられないような働き方をしているということが明らかになったのではないでしょうか。そうすると、どちらの方にもならない、そのために結局救われない。これは絶対におかしいと思います。

 資料の四枚目を見ていただきたいと思います。これは「国家公務員、地方公務員の育児・介護休業等の規定」ということであります。

 これを見ますと、公務員の常勤職員は、育児休業が三年もあるとか、介護休暇が六カ月もある、そういうのも、ああ、すごいなと思うんですが、非常勤職員がいかに何もないかということが明らかになっております。

 しかし、お気づきだと思いますが、介護休暇や子の看護休暇、深夜業の制限などの規定については、これはまさしく私たちが今やっている育児・介護休業法の規定により、根拠としてとられているということなのです。なぜここは民間規定が地方公務員に適用されるのでしょうか。だったら、非常勤の育児休業も適用除外にしなくてもよいのではありませんか。これは雇児局に質問します。

村木政府参考人 法律の適用関係、民間の法律であるか公務員の法律であるかは非常に難しいんですが、今回、民間の労働者について時間外勤務制度が法制化された場合、一般職の国家公務員のうち、国営企業それから独立行政法人の職員について、また地方公務員については制度の基準について何らの法律基準がないこととなるので、これらの公務員に対しても、民間労働者と同様に、最低基準について法的に保障することが適当であるというふうに考えたものでございます。

 また、この場合に、既に介護休業や時間外労働の制限、深夜業の制限について、これら職員に関して育児・介護休業法において一括して規定をしていることから、これらについても同様に本法で措置をするということにしたものでございます。

高橋委員 最後にもう一度大臣に伺いたいと思います。

 今のお話を聞いていただいたと思うんですけれども、公務員だけれども公務員の法律に規定がない。ですので、育児・介護休業法の規定を設けているわけです。そういう考え方があるんですから、非常勤職員にこれができない根拠になるだろうか。当然やる気になればできるはずであります。自治体のパート職員というのは四十五万人います。常勤職員と同じ仕事をし、契約を繰り返し、何年も勤め、ベテランになっています。それなのに昇給、手当もない。しかも、派遣切りと同じように、解雇、雇いどめになっても、労働局もうちじゃない、総務省もうちじゃない、こうやってどちらからも救済されない立場の人たちなんです。こんなことはあってはなりません。

 先ほど大臣はILO条約のお話をされました。ILO百五十六号条約にかかわって、育児・介護休業法の適用範囲については、すべての部門、すべての種類の労働者について適用するよう何度も勧告を受けているはずです。大臣の決断を求めたいと思います。お願いします。

舛添国務大臣 私は、本来、パートであれ正規であれ、公務員には公務員にふさわしい育児休業法、それから、その他の、四ページの一覧表にあるものについて規定をするべきだというふうに考えております。規定がないから民間の法律を準用するということであるからこういうことになるのです。パートであったって公務員として働いているわけですから。ですから、これはある意味で立法者、つまり我々国会議員全員が、こういうことについて立法ということを考えるべき時期に来ているんだろうと思います。

 ですから、そういうことをこれからもっと議論して、同じパートでも民間の方が有利だよ、公務員のパートは不利だよということであってはならないと思いますので、今後の大きな、私たち党派を超えての全体の課題だとして取り組んでいきたいと思っております。

高橋委員 ありがとうございます。

 終わります。

    ―――――――――――――

田村委員長 この際、お諮りいたします。

 原案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省健康局長上田博三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田村委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 上田局長の御出席を追加していただきまして、ありがとうございます。私が本日、緊急に質問を投げましたための御配慮でございます。心から感謝いたします。

 そして、先ほど来のお話の中で高橋さんも御指摘でありましたが、本来は、実は私も村木局長に幾つか質問をしたいと思っております。

 大変に優秀な女性ですし、そして、これからの男性と女性が本当にワーク・ライフ・バランスをきちんと保ちながら働いていく社会の実現に向けて、彼女の仕事を期待するものであるのですが、さてさて、高橋委員も御指摘のありましたような、障害者団体を偽った証明書の発行の問題でいまだ幾つかの疑義が明らかになっていないということでありますので、私は一人の人間を、本日は雇用均等関係、かつては障害者関係と分けてやることはなかなかできないと思う立場から、本来は彼女の仕事を評価しながら、しかしきょうは、事が決着するまで質疑はほかの方にサポートしていただきたいと思います。

 冒頭、舛添大臣にお伺いいたします。

 昨夜というか、今朝早くと申しましょうか、WHOがインフルエンザに関しましてフェーズ6の宣言をいたしまして、それを受けて、けさ大臣が記者会見をなさいました。この新型インフルエンザ対策につきましては、この間参議院でもいろいろな御質疑がありましたが、本日、私はこの大臣の記者会見に沿う形で少しお話を伺いたいと思います。

 ちょっと時間の関係で私の方から、大臣が記者会見に用いられた原稿というか原案の中から、私が抜粋をさせていただきます。

 フェーズ6を受けて、今後、日本においてある程度の感染拡大は避けられないということを前提に、専門家の方々の御意見を伺いながら、感染拡大の早期探知のためのサーベイランスの強化や、医療体制について、重症者への対応を中心としたものにシフトすること等を速やかに提示したいと考えておりますという御発言でした。

 これを要約いたしますれば、WHOがフェーズ6にしたということは、蔓延期、あちらこちらで、二つ以上の大陸で発生しておる。これまでの主眼が感染の拡大、もちろんこれは今も重要ですが、それ以上に、蔓延しておる実態の把握をしなければならないというふうなお考えである。要するに、大臣のお考えの中で今一番変わったものは何であるか、そこを確認させてください。

舛添国務大臣 それは地域、つまり大陸を越えて蔓延している。さらに、急速に南半球、これは今冬に向かっていますから蔓延している。それから地域、こっちの地域はコミュニティー、この中で蔓延が行われている。それから、マーガレット・チャンさんの言葉にもありましたけれども、その拡大がキャン・ノー・ロンガー・ビー・トレースト、つまり、福岡の例でも船橋の例でも、どこに感染源があってどうだということが完全にトレースできない状況になっている。

 そこで、やはりサーベイランスの強化を含めて、若干対応を変えないといけないかなと思って、ああいう発言をした次第であります。

阿部(知)委員 私がきょうあえて取り上げましたのは、若干というよりも、大胆に変えねばならないのではないかという御提言であります。

 まず大臣には、先ほど担当の方にお願い申し上げましたが、日本感染症学会が緊急提言というものを二十一年五月二十一日に出しております。大臣は、この翌日五月二十二日、それまでの水際作戦あるいは空港でのいろいろな検疫体制から、むしろ、自治体の各地域の実情に応じた対策にかじを切るということを五月二十二日に発表されておりますが、その一日前に出た感染症学会の緊急提言でございまして、ポイントは、簡単に申しませば八点述べられております。

 過去の我が国の新型インフルエンザの実態から、これはスペイン風邪もソ連風邪もそうですが、その当時は新型でありました、そのありようから学ぶということ。

 二番目、新型インフルエンザといえどもいずれ数年後に季節性インフルエンザとなって、だれでもが罹患し得る病気だということで、これから、統計的にはといいますか経験的には一、二年のうちに二〇%とか四〇%の人がかかって、十年もたてばほとんどの国民がそれに罹患するだろうというような病態であること。

 そして三点目は、青壮年層が問題になるということと同時に、四点目、流行初期から一般医療機関への受診者が激増します。そうなりますと、今まで発熱外来とかいう形で区切ってやってきたところから、いわば最前線の一般診療機関がその窓口になるんだという認識であろうかと思います。ここを、まず一点、広く周知徹底していただく。

 大臣はごらんになったからおわかりだと思いますが、発熱外来は重武装して、航空での検疫と一緒で、ゴーグルみたいな眼鏡をかけて、外科用のマスクをして、そして予防衣を着てやるわけですね。これは正直言って、私ども小児科などは言っていたんですけれども、まず子供さんは泣いてしまってとても診察もできないし、行くだけで恐怖なので、お母さんたちに勧めてもまず行かないというようなことが、これまでもう既に問題になっておりました。

 大臣には一点、そういう体制から、逆に一般最前線が前線に立つんだということの確認と、そしてもう一つ、サーベイランス体制について。

 きょう新聞で報じられるところによりますと、これまで普通のインフルエンザのサーベイランスで五千拠点を、ここと、ここと、ここと決めて、そこからどんな形のものが流行するか挙げてもらっているわけです。このたび、厚労省では、そこから五百医療拠点だけピックアップして、そこで何がはやっていくかをチェックしようということであると伺いますが、私は、正直言って、五千カ所全体で例えばソ連型か香港型か新型かをサーベイできた方が、やはり本当に、次の発生のピークがもう一回来るかもしれませんのです。この冬は、やはりある意味では構えなければいけないのです。

 このサーベイランス体制の強化について大臣は具体的にどうお考えか、二点目、お願いいたします。

舛添国務大臣 第一点目ですけれども、感染症学会の提言が出る前から、そういう考えを持っているお医者さんの意見を常に聞いてまいりました。それから、私が五月二十二日に方針転換した大きな理由は、霞が関から見ていても見えません。現場の声、現場の状況を見るということで、実際に発熱外来だけじゃなくて一般の病院で、神戸でもう診ていたわけです、間に合わなくて。

 そういう状況を踏まえて、重症化する基礎疾患を持っている方々と新型インフルエンザ感染者を隔離するということを条件に、一般の病院でも扱うと。幸いH5N1じゃなくてH1N1だったわけですから、そういう方針でいきたいというふうに思っておりますので、今後ともその方針を堅持していく。

 それからもう一つ、サーベイランスですけれども、これも、やはり今回は我々初めての経験ですから、一〇〇%最初から確実ではなくて、試行錯誤を繰り返しながら反省していく。その中で、高校生の感染、水際作戦でももちろんひっかからない。なぜ高校生の感染がすぐ見つけられなかったか。それは、インフルエンザの学級閉鎖は小学校、中学校しか見ていなかったからなんです。高校生を見ていなかった。

 だから、定点観測でもこれをやっておけばよかったんですよ。とにかく海外渡航した者じゃない限りはPCRをかけない。たまたま神戸のお医者さんがそうじゃなかったわけで、かけたからわかったのであって、これは私ども反省すべきは、水際作戦をすり抜けて入っているのがあるかもしれませんと言ったけれども、我々が水際作戦をする前にもう既に入っていた可能性がありますよということをもっと言っておけばよかったなというような気はいたしますので、できるだけ多く定点を広げていって、すべての医師に対して、何かあれば必ず保健所に届けなさいということを申し上げているわけでありますから、これは、そういう形での強化をしていきたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 サーベイランス体制を広げるためには、山井さんではありませんが、物が要るわけです。その五千の拠点、今の通年のインフルエンザも五千の拠点でやっているんです。そこで、まずインフルエンザのA型かB型か、A型ではソ連型か香港型か、ことしなどは、実はソ連型はほとんどタミフルが効かないと、そのサーベイランスから出てくるわけです。

 もしPCRで新しい形のインフルエンザかどうかを調べなきゃいけないとすれば、その拠点にはその検査キットがないと、検査手技がないとできないわけです。これを一々保健所にまた行って、やってくださいというのでは定点観測にならない。本当は、各一般診療機関で同時にPCRができるような体制が一番いいと私は思いますが、それはお金と進みぐあいでしょうから、せめて現状である五千に。きょう、五百と見て、ちょっとそれは少ないと。

 本当に、これからは蔓延、普通のインフルエンザ化していくことを、でも、どんな形になるのかはまだわからないんですよ。そこを見なきゃいけないから、ここを大臣、きょう即答は御無理かと思いますけれども、せめて普通のサーベイランス体制にしてほしい。ほかのサーベイランスと同じ、通常のインフルエンザと同じ体制にしていただきたいが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 来週早々に、諮問委員会の先生、それから私のアドバイザリーグループの専門家たちに意見を聴取して、どういう形でやるのが一番いいかということで、来週中ぐらいに結論を出したいというふうに思っていますけれども、今の阿部さんの意見も踏まえた上で、必要であれば財源的な措置はきちんととって対応したいと思っております。

阿部(知)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 と申しますのも、これからどんな形に落ちつくかわからないインフルエンザを、一つは感染拡大防止、もう一つは重症化の防止だと言われておりますが、その真ん中に、重症化させないための治療がきちんとかかりつけの先生でできる体制というのも、本当にこれは子供のみならずいろいろな基礎疾患をお持ちの方でも、いよいよになれば肺炎ですが、そうさせないために、適宜適切に抗生物質を投与したりも必要なんですね。

 そのためにも、私は、今日本の医療はいろいろなところで問題を抱えていて、特に勤務医が足りないと言われ、開業は多いんだというような言われ方をしますが、そうじゃなくて、一般の最前線の開業の先生たちもここですごく頑張ってくださるわけですから、頑張れるだけの素地を国はつくっていただきたい。

 ちなみに、スペイン風邪でも何でも、二次感染の細菌感染で重症化して、呼吸不全で亡くなっていって死亡者数が多いと言われておりますから。今だと、発熱外来に行くと、もしキットでやってみて新型じゃないとほかの治療も何もなく帰されちゃうんですね。とにかくそれかどうかを診るだけですみたいなのでは本当に患者さんも行かないし、早期治療にもなりませんので、よろしくお願いいたします。

 では、本来の本日の質疑に移らせていただきます。

 せんだって、水曜日、私が大臣に有期労働者の育児休業の実態について、余りにこれでは少ないじゃないかということをお伺いいたしました。

 先ほども村木さんが御答弁でしたが、平成二十年度で有期の期間雇用の方は四千八百二十三人、初回をおとりになった。比べて、初回受給のいわゆる正規雇用の方は十六万六千六百六十一人で、実は、平成十七、十八、十九、二十と正規雇用の方はどんどんふえているんです。どんどんというか、もっとふえた方がいいですが。でも、明らかに非正規の方はがくんと平成二十年度で減っちゃった。

 大臣はこれを、景気が悪い、経済状況だとおっしゃいますが、私はそれでは余りにも、先ほど高橋さんがおっしゃいましたが、正社員と非正規の格差、著しいものがあると思うんですね。この実態に対して、この前御答弁をそれ以上はいただけませんでしたので、大臣としたら、プラス何をすれば。

 正社員の方が落ち込んでいないだけよかったろうと言われても、ちょっとそれは納得できない。非正規の方が格段に減ってしまう。景気はこれからもまだしばらくは厳しいと思わねばならない中で、何か大臣として、私のせんだっての問いに御答弁があればお願いをしたいと思います。

舛添国務大臣 いろいろな働き方の形はありますけれども、できるだけ正規雇用の方向に持っていく、これが本来だろうというふうに思っております。

 それで、やはり景気が悪くなると弱いところからしわ寄せが出てくる。したがって、本当はとりたいんだけれども、ここでとったら全く、解雇されるというようなことで雇用が継続できないよ、そういう不安感があれば、とりたくてもとらないというようなことになる。主としてそういうことが原因だと思いますから、私はとりあえず、正規化を大いに進めたいというふうに思っていますし、それ以外にさまざまな、今回の補正での雇用対策というのをやっていますので、そういう形で対応できればと思っていますが、もし足りない点があれば御指摘願えればと思います。

阿部(知)委員 大臣の御答弁のとおりで、労働力調査等々を見ましても、特に子供を産み育てる世代、男性も女性も非正規化が急速に進んでおります。女性では、例えば二十五歳から三十四歳は四〇%、十五歳から二十四歳は五〇%がもう非正規雇用になっているわけです。

 従来、非正規というのは、例えば主婦のパートであるとかという形で言われてきたのと今は全く姿が違ってきて、本当に適齢期にある人たちが膨大な数、非正規になっている。男性についても、二十五歳から三十四歳は一五%くらいといたしましても、十五歳からその前の二十四歳までが四〇%非正規であるとすると、みんな若年層が非正規になって、そこの世代が結婚もしない、あるいはできない、出産も選べないとなれば、我が国の政策は大きく後退することと思います。

 大臣は、この点にあっては、例えば派遣等々の働き方についても是正すべきだというお気持ちを強く持っておられると思いますので、引き続き御尽力をぜひお願いしたいと思います。

 引き続いて、これもこの前取り上げさせていただきましたが、地方の労働局の雇用均等室の体制についてのお尋ねでございます。

 育児・介護休業法五十六条に基づく行政指導を都道府県別にこの前御紹介申し上げましたが、先ほど高橋さんのお取り上げになった宮城県は助言から指導に至る数も大変に多くて、一生懸命頑張っているところかなと思いますが、それにしても、余りにも都道府県でばらつきが多いということはこの前御紹介させていただきました。

 さて、大臣のお手元に、これは雇用均等室が担当しております労働者からの相談及び指導等の状況で、育児休業法に係る不利益取り扱いの相談件数が上段、そして雇用均等法に係ります不利益取り扱いの相談件数が下段。これは昨日、厚労省の皆さんに残業をさせてしまいましたが、遅くにつくっていただきまして、十四年から二十年までをちょっと追っていただきましたが、平成十四年度では育休法に係るものが五百八十五件の相談、二十年度では一千二百六十二件と倍増であります。また出産、妊娠を理由としたものも、十四年では七百九十五で、二十年度では二千三十、これも二・五倍増である。相談件数はふえておる。

 さて、人員はどのように拡充されてきたかで、二枚目をごらんいただきたいと思います。

 ここにも都道府県の労働局の雇用均等室の定員の推移表が平成十四年から二十一年まで並べてございますが、ほぼというか全く変わらない。北海道でも六人から六人、ほぼ変わりません。東京が十から十二とかで、これは公務員の定員等々の関係でということもあろうかと思うのですが、さっきこの討議の中でも繰り返し繰り返し、村木さんもおっしゃいましたけれども、もっと指導したり周知徹底させたりというためには、やはり働いてくださる陣容が必要なんだと思います。

 大臣には一点、これ全然変わってないじゃない、十四年から二十一年。これは、データのあるもので一番さかのぼれるところをお願いいたしました。これで大丈夫だろうかということ。

 そして、資料の三枚目をおあけいただきたいんですね。

 では、相談件数もふえてきた、実際どうしているんだろうというと、先ほど高橋さんの御指摘の非常勤職員を、雇用均等室でも非常勤で雇い、恐らくその方たちは、先ほどの御指摘で、育休はとれずということになってしまいかねません。北海道は、平成二十年度は非常勤職員十人、二十一年度も十三人。

 雇用均等室の仕事をしっかりやろうと思う気持ちであるというのはわかりますが、正規の職員の二倍の数の非常勤職員を雇わねばやっていけない雇用均等室とは一体何であるのか。そのやっている人自身がとれなかったら、私はちょっとやはり、一生懸命やるといったって本当に大変だろうと思うんです。これは、きのう担当局がつくってくださったデータですけれども、大臣には御所見を伺いたいと思います。

舛添国務大臣 ハローワークも全く同じ状況です。正規の職員は減らさないといけない。何とかパートでもっている。それは、国家公務員の定員合理化計画、平成十七年度から二十一年度までの五年間に一割減らせということであって、私は、役所の仕事の無駄、非効率な面、これは改善することは続けていかないといけないと思いますけれども、国民の生活をよくするために必要なサービスは国家がやるべきであります。

 ですから、単純に小さな政府がいいとか大きな政府がいいとかいう話ではなくて、やはり必要なところには必要な手当てをするということが必要だと思いますけれども、非常に難しいのは、やはり政治の手法として、シーリングというのをぴしっとはめないとなかなか前に動かなかったというこれまでの経験があるので、こういう形での合理化計画をやっております。

 だけれども、これからの政治というのはそうではなくて、必要なところには必要な人材を充て、国民に対するサービスをきちんとし、そして、もはや無駄になる、時代おくれになったものは思い切ってスクラップしていく。スクラップがあって、スクラップのみじゃだめなんです、スクラップ・アンド・ビルドがないといけない。

 私は、政治家の資質はそんなにひどいものじゃないと思います。どの党が今後政権をとろうと、こういうことについてきちんと国民のためにどういう政治をするのか、そのために、ただ単にシーリングをやるという、この程度の政治手法しかないようではこれからの日本はやっていけないと思いますから、ここにおる我々全員で頑張って、いい政治手法に変えていきたいと思っております。

阿部(知)委員 では、ここにおられるすべての政治家の皆さんに、私は、ちょっとこれは余りに喜劇的だと思うんですね。雇用均等室の職員数は全然ふえず、非常勤が二倍数いて、自分の育休はどうかといったらとても保障されないというのでは、何だかとても足元暗いと思うので、ぜひ政治家の総力を合わせて、本当にこういう分野は、労働のきちんとした行政をやるということは人間らしい社会の原点でありますので、ぜひ大臣の音頭のもと、みんなで渡れば怖くないですから、皆さん政治家にも頑張っていただけるようお願い申し上げます。

 続いて、お父さんの問題、父親の育児休業についても聞かせていただきます。

 これもきょうお取り上げがありましたが、父親の育児休業取得率は一・五六%で、これはもう北欧に比べたらびっくりするほど低く、ドイツとかイギリスに比べても一けた違うわけですね、ドイツで一八・五、イギリスで一二ですから。

 政府は二〇一七年までに一〇%を目標としておられますが、正直言って、この改正でそれは可能なのか。可能と言ったら変ですけれども、そういう目安、可能と本当に思えるのか。

 それからもう一つ、これは大臣にぜひお伺いしたいですが、ノルウェーでは、九三年に父親割り当て制度、パパクオータを入れまして、それまで四%程度だった父親の育児休業取得率が九〇%近くまで上がった。もちろん、今賃金の問題がありますから、不景気なときで賃金の五割とかではいかないだろうということはありますが、それでも私は、自然の仕組みの中で男性が育児休業をとるように、ちょっと、ちょっと、ちょっとずつなっていくというよりも、何かもう一つ仕掛けがないと、なかなかこの国の習慣は変わらない。それは、女性が育児を担い、男性たちは仕事をするというこの二極分化が、本当に今の自然のというか、少しずつの改正でかち取れるのか、それとももう一つの仕掛けを考えた方がいいのか、ここを大臣にちょっとお考えを伺いたいと思います。

舛添国務大臣 今回の法律の改正だけですべてが可能だとは考えません。それは社会全体の意識変化も必要です。制度を変えることによって意識変化を促すという側面はこれであると思いますし、パパ・ママ育休プラスということで二カ月のプラスを設けたのは、ある意味でノルウェーのクオータ制なんかも参考にしながらやった話なので、これは一つのステップになると思います。

 だけれども、やはりワーク・ライフ・バランスというふうなことをしっかりやらないとなかなか実現しないと思いますから、あらゆる分野において、国民全体で総力を挙げてそういう目標に達するということをやる必要があると思っております。

阿部(知)委員 きょう午前中の質問で鴨下一郎先生が、子供には親といる時間を持つ権利があると。親にも子供といる時間を持つ権利があると思うんですね。我が国ではその双方が奪われておりますので、ぜひとも将来のために御尽力いただきたい。

 最後に、大村副大臣に一つお願いします。

 就業規則についてですが、これはずっと、〇五年度でも六一・六%規定がある。育児休業の規定が就業規則等々に明記されていて、何らかの規定があるものが六一・六%だということで、規定率そのものは〇二年度からほとんど変化がありません。もちろん就業規則に書かれていなくても育児休業は取得できるのですけれども、そもそもこの規定、できるとは思いますが、やはり就業規則に書かれるということは大きいと思うのですが、規定率が六割あたりでとまっていることをどうごらんになっていて、これは何らかの改善の取り組みがおありなのかどうかであります。

大村副大臣 育児休業制度の就業規則への規定率についてお尋ねをいただきました。

 六一・六%は阿部委員がおっしゃったとおりでございますが、これは、事業所規模が三十人以上だと八六・一%、五人から二十九人だと五六・五%、こういう乖離がございます。この差は、十人以上の事業所について就業規則の策定義務が課せられているということも一つの原因ではないかというふうに思いますが、いずれにしても、この育児・介護休業法の指針で、労働者が育児休業を容易に取得できるようにするために、あらかじめ制度が導入されて、規則が定められるべきものであるということが指針に書かれておりますので、これは、私どもとしても全力で取り組んでいかなきゃいけないと思っております。

 その上で、阿部委員、先ほどからお話がありました各都道府県労働局の雇用均等室、そういったところで計画的に事業所訪問などをやりまして、是正指導をやったり、またリーフレットの作成といったことで周知徹底を図っていきたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 では最後に、質問じゃなくて、大臣に一言だけお耳に入れたいんです。

 共稼ぎで、お父さんが失業されて失業給付を受けていたら、保育園から退園を迫られたというケースが東京都から相談で寄せられました。もちろん保育園の定数が足りないからだと思いますが、子供を家に引き取ったら仕事を探すことができません。今や、保育園不足がそういうところまで来ている。お二人で働いていて、どっちかが失業したら子供が保育園を退所しなきゃならない。これはあってはならないことですが、起きているという現状の中で、しっかり保育園の充実もお願いしたいと思います。

 終わらせていただきます。

    ―――――――――――――

田村委員長 この際、お諮りいたします。

 ただいま議題となっております西村智奈美君外六名提出の修正案について、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田村委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田村委員長 この際、本案に対し、上川陽子君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による修正案並びに高橋千鶴子君から、日本共産党提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者より順次趣旨の説明を聴取いたします。上川陽子君。

    ―――――――――――――

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

上川委員 ただいま議題となりました育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の要旨は、都道府県労働局長による紛争解決の援助の仕組みの創設並びに厚生労働大臣の勧告に従わない場合の公表制度及び虚偽の報告をした者等に対する過料の創設に係る施行期日を「公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日」に改めるとともに、調停の仕組みの創設に係る施行期日を平成二十二年四月一日に改めることであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

田村委員長 次に、高橋千鶴子君。

    ―――――――――――――

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高橋委員 ただいま議題となりました育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 本委員会で審議されてきた政府案、並びに、残念ながら今取り下げとなりました民主党、社会民主党、国民新党共同提出の修正案には、子育て期間中の働き方の見直しや、男性の育児休業取得の促進、仕事と介護の両立支援、紛争解決のための実効性の確保、非正規労働者への育児休業適用の一層の拡大等の観点が盛り込まれており、実現すべきものであります。

 しかし、非正規雇用の拡大で、男女ともに正社員という共働き世帯は減少しています。悪化する雇用経済情勢のもと、世帯収入が減少する中で、仕事と子育てや家族介護の両立を進めようとするなら、労働者の休業中の生活を経済的に下支えすることがどうしても必要です。

 今回政府案に盛り込まれたパパ・ママ育休プラスは、ドイツの制度を参考にしたと聞いていますが、そのドイツでは休業給付は六七%です。法改正というのであれば、父親が育児休業を取得しない理由として大きな比重を占める、父親の給料が入らないと経済的に困る、こういう労働者の声に正面からこたえる必要があります。

 本修正案は、育児・介護休業の取得を促進する上で障害となっている経済的負担を軽減するため措置を図るものです。

 修正の要旨は、第一に、育児休業、介護休業にかかわる給付を、休業前賃金の六割に引き上げるものとすること。

 第二に、現在行われている育児休業期間中の労働者と事業主に対する社会保険料の減免措置を、介護休業の場合にも適用すること。

 これらの措置について、施行期日を平成二十二年四月一日とすること。

 以上であります。

 なお、これらの修正の結果、初年度において、約二百五十億円の支出増が、また約八億円の収入減がそれぞれ見込まれます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

田村委員長 以上で両修正案の趣旨の説明は終わりました。

 この際、高橋千鶴子君提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。舛添厚生労働大臣。

舛添国務大臣 衆議院議員高橋千鶴子君提出の育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。

    ―――――――――――――

田村委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、高橋千鶴子君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田村委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、上川陽子君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田村委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田村委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

田村委員長 この際、本案に対し、上川陽子君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。西村智奈美君。

西村(智)委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 本法の実効性を高める観点から、事業主に対する周知徹底を図るとともに、育児休業請求等を理由とする解雇や職場復帰の拒否等の不利益取扱い等が急増している事態に対応し、都道府県労働局は、事業主に対する法令順守に向けた指導・監督を強化すること。その際、法令違反に対しては、新たに措置される企業名の公表制度等を十分活用し、厳正に対応すること。

 二 育児休業に係る紛争を未然に防止するため、育児休業申出書の提出及び育児休業取扱通知書の交付の実態を調査するとともに、普及を促進すること。併せて、休業を申し出た労働者の休業中の待遇及び休業後の労働条件等が明らかとなるよう指導を強化すること。

 三 育児休業の申出をした労働者に対して、事業主から、労働者からの書面による申出を受けた旨並びに休業開始予定日及び休業終了予定日を明示した書面の交付を行うことを省令に明記すること。

 四 有期契約労働者についても、育児休業等の両立支援制度が利用できるよう、制度の周知徹底に特段の配慮を行うなど取得促進策を講ずるとともに、有期契約労働者への制度の適用範囲の在り方について引き続き検討すること。また、育児休業等の取得等を理由とした派遣労働者に対する不利益取扱いを防止するなど、非正規労働者が働きながら子育てができる環境の整備を促進すること。

 五 育児休業等の申出や取得等を理由とする正社員から有期雇用への切下げ、有期契約の雇止め、契約期間の短縮などの不利益取扱いが行われないよう、指導を強化すること。

 六 ひとり親家庭における育児に配慮し、ひとり親家庭の育児休業期間及び子の看護休暇の日数の延長について、引き続き検討するとともに、病児保育を含む保育サービスの拡充その他の支援の強化を速やかに検討すること。

 七 仕事と生活の調和の実現に向け、「仕事と生活の調和推進のための行動指針」に掲げられた男性の育児休業取得率を二〇一七年までに一〇%にするという政府目標を踏まえつつ、男性の育児休業について本法により新たに措置される事項を周知徹底するほか、引き続き長時間労働の抑制や男性の育児休業取得促進に向けた社会全体の気運醸成に取り組むこと。

 八 出産を機に退職する女性が約七割に達するという状況が改善されていないことを踏まえ、女性労働者の継続就業の実態を正確に把握し、継続就業率を実質的に上昇させるよう努めること。

 九 仕事と家庭の両立支援の観点から、所定労働時間の短縮及び所定外労働の制限については、対象となる子の年齢を小学校就学前まで拡大することを検討するとともに、認可保育所の大幅な定員増、放課後児童クラブの拡充など、保育の質を維持しつつ地域における子育て支援施策を充実・強化すること。

 十 労働者ができるだけ自らのニーズに即した制度を利用できるようにする観点から、本法により選択的措置義務から努力義務となる始業時刻変更等の措置についても引き続き普及促進を図ること。

 十一 子の看護休暇及び介護休暇について、その必要に応じて休暇を取得することができるよう、取得要件の緩和を行うとともに、取得しやすい手続とすること。また、半日単位や時間単位でも取得できるような柔軟な制度とすることについて検討を行うこと。

 十二 家族の介護を理由とする離職者が多数にのぼる状況を勘案し、仕事と介護の両立を実現するために必要な働き方について介護サービスとの関わりも含め検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

 十三 育児休業中の労働者に対する経済的支援の充実について、速やかに検討すること。

 十四 育児休業等を理由とする解雇等の不利益取扱いについて相談があった場合に、雇用均等室において的確かつ迅速に対応することができるよう、企業への適切な指導手法の検討や職員の資質の向上を図ること。

 十五 本法による改正後の法の円滑な施行を図るため、雇用均等室の体制を整備すること。また、雇用均等室をはじめとする都道府県労働局の組織の在り方については、国民サービスの維持、労働者保護の実効性の確保、事業所の実態把握や機動的な指導、都道府県等との雇用対策の一体的推進等を図る観点から、現行の都道府県単位の組織体制の存続も含め、慎重に検討すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

田村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田村委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、舛添厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。舛添厚生労働大臣。

舛添国務大臣 ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

田村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

田村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.