衆議院

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第7号 平成22年3月10日(水曜日)

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平成二十二年三月十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 藤村  修君

   理事 青木  愛君 理事 石森 久嗣君

   理事 内山  晃君 理事 黒田  雄君

   理事 中根 康浩君 理事 大村 秀章君

   理事 加藤 勝信君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    大西 健介君

      岡本 英子君    郡  和子君

      斉藤  進君    園田 康博君

      田名部匡代君    田中美絵子君

      中野渡詔子君    永江 孝子君

      長尾  敬君    仁木 博文君

      初鹿 明博君    樋口 俊一君

      福田衣里子君    藤田 一枝君

      藤田 憲彦君    細川 律夫君

      三宅 雪子君    水野 智彦君

      宮崎 岳志君    室井 秀子君

      森岡洋一郎君    山口 和之君

      山崎 摩耶君    山井 和則君

      和嶋 未希君    あべ 俊子君

      菅原 一秀君    田村 憲久君

      武部  勤君    橘 慶一郎君

      棚橋 泰文君    長勢 甚遠君

      西村 康稔君    松浪 健太君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    柿澤 未途君

    …………………………………

   内閣総理大臣       鳩山由紀夫君

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   厚生労働副大臣      長浜 博行君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 金澤 和夫君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       伊岐 典子君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  菊田真紀子君     中野渡詔子君

  初鹿 明博君     森岡洋一郎君

  福田衣里子君     和嶋 未希君

  三宅 雪子君     永江 孝子君

  松本  純君     橘 慶一郎君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  中野渡詔子君     藤田 憲彦君

  永江 孝子君     三宅 雪子君

  森岡洋一郎君     初鹿 明博君

  和嶋 未希君     福田衣里子君

  橘 慶一郎君     松本  純君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  藤田 憲彦君     菊田真紀子君

    ―――――――――――――

三月十日

 直ちに後期高齢者医療制度の廃止を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第三二六号)

 後期高齢者医療制度廃止などを求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第三二七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四七五号)

 生活保護の老齢加算をもとに戻すことに関する請願(阿部知子君紹介)(第三二八号)

 じん肺とアスベスト被害の根絶を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第三二九号)

 労働者派遣法の速やかな廃止を求めることに関する請願(服部良一君紹介)(第三四〇号)

 後期高齢者医療制度を廃止することに関する請願(武正公一君紹介)(第三四七号)

 医療崩壊を食いとめ、患者負担の軽減により安心して医療が受けられることに関する請願(石田芳弘君紹介)(第三四八号)

 同(吉田統彦君紹介)(第三四九号)

 パーキンソン病患者・家族の療養生活の質的向上を求めることに関する請願(玉木朝子君紹介)(第三五七号)

 同(大口善徳君紹介)(第四一二号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(牧義夫君紹介)(第三五八号)

 同(柚木道義君紹介)(第三五九号)

 難病、長期慢性疾患、小児慢性疾患の総合対策を求めることに関する請願(大口善徳君紹介)(第四〇一号)

 労働者派遣法の早期抜本改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四〇二号)

 同(笠井亮君紹介)(第四〇三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四〇四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四〇五号)

 同(志位和夫君紹介)(第四〇六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四〇七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四〇八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四〇九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四一〇号)

 命と暮らしを守り、社会保障制度の改善・拡充を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第四一一号)

 保育を必要とする子供たちすべてに国からの補助を求めることに関する請願(長尾敬君紹介)(第四二九号)

 介護保険制度の改善、社会保障の充実を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四六三号)

 後期高齢者医療制度を速やかに廃止し、高齢者・国民が望む医療制度を目指すことに関する請願(穀田恵二君紹介)(第四六四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四六五号)

 鍼灸治療の健康保険適用の拡大を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四六六号)

 同(笠井亮君紹介)(第四六七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四六八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四六九号)

 同(志位和夫君紹介)(第四七〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四七一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四七二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四七三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四七四号)

 後期高齢者医療制度を中止し、廃止を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四七六号)

 後期高齢者医療制度の即時廃止に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四七七号)

 中小業者とその家族の健康を守る対策に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四七八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

藤村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官金澤和夫君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長伊岐典子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大村秀章君。

大村委員 おはようございます。自由民主党の大村秀章でございます。

 本日は、この厚生労働委員会に鳩山総理にお越しをいただきまして、本当にありがとうございます。この子ども手当法案、民主党さんが一丁目一番地というふうに位置づけておられるということ、大変重要な法案だということもあります。そういう意味で、きょうは鳩山総理にお越しをいただいたと思います。きょうの質疑を通じて、さらにこの課題、問題点等々を深めていければというふうに思っておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 一つ一つ御質問させていただきますので、簡潔明瞭に御答弁をいただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 さて、まず鳩山総理に御質問させていただきたいと思います。

 これは身近な話から、鳩山総理の御家族には、この子ども手当の対象となる子供さんといいますか、お孫さんといいますか、そういう方が御家族におられますでしょうか。まずその点から。

鳩山内閣総理大臣 大村委員にお答えをさせていただきます。

 個人的な話でございますが、子供は三十を超えておりますので、子ども手当に当たる者はおりませんが、孫が二人おります。

大村委員 そのお孫さんはこの子ども手当の対象にはなりますか。

鳩山内閣総理大臣 現在、息子夫婦はロシアにおいて暮らしております。したがいまして、ロシアで家族で暮らしておりますので、その間、子ども手当ということに必ずしもならないのではないか、そのように思っております。

大村委員 ということでございまして、日本人の方で海外に御家族ともどもで赴任をしておられるという方は、今回の子ども手当法案というのは対象にならないということでございます。もし国内におられたら受け取られるのかどうかというのをお聞きしたかったんですけれども、大変残念でございますが、受け取れないということでございます。

 では、子供を日本に残して海外に駐在をしている日本人の家庭というのは受け取れるんでございましょうか。いかがですか。

長妻国務大臣 今おっしゃられたのは、海外に日本人の家族で行っているということでありましょうか。(大村委員「いいです、それは今鳩山総理に聞いたので。親が行って子供が残っている……」と呼ぶ)

藤村委員長 大村君、指名をして発言してください。

 大村君。

大村委員 よく聞いてください。家族で行っている場合は受け取れない。親が行っていて、子供が日本に残っている場合はどうかということでございます。いかがですか。

長妻国務大臣 これについては、子ども手当支給の要件というのは、一つは、監護という法律用語がございますけれども、お子さんを監護して、あるいは生計を一にするということでありますので、仮に親御さんが海外に行っていたとしても、例えばおじいちゃん、おばあちゃんがそのお子さんを監護しているということであれば、そのおじいちゃん、おばあちゃんの家の子供に手当が出るということであります。

大村委員 これは、時間もありませんから申し上げますと、今大臣言われるように、監護する方が、おじいちゃん、おばあちゃんがおられるということであれば受け取れる。しかし、例えば寮とかに入れているような、監護者がいないというような場合は受け取れない、こういうことになるわけでございます。

 それでは、一方で、日本にいる外国人の方はどうなるんでございましょうか。これも簡潔にお答えいただけますか。

長妻国務大臣 日本にいる外国人の方については、お子さんが国内にいる、あるいは母国におられる、いろいろなケースがあると思いますけれども、いずれにしても、生計を一にする、かつ監護しているという要件を満たせば支給をされるということであります。あるいは、親御さんが日本にいてお子さんが海外にいるという日本人にも、この親御さんにも支給をされるということになります。

大村委員 子供さんが海外にいる、母国にいるという場合でもこれは受け取れる、それはもちろん監護しているということでございましょうけれども、ということになるわけですね。ですから、この点は、私もいろいろな、こういうケースをどう思うかということを多くの方に聞きますと、意外に受け取られる方が多いんです。海外駐在、日本人でも海外に行かれている場合は受け取れない。しかし、日本にいる外国人の方は、これはもちろん御家族で住んでいる場合は受け取れるんですが、本国、母国に子供さんを残してきた場合でも、それでもやはりその分を受け取れるということのようでございます。

 これについて、とある方が厚生労働省に電話で問い合わせた。そうしたら、これは何でですか、何で海外にいる日本人が受け取れなくて、日本にいる外国人、それも、日本に一緒に暮らしているならまだしも、母国にいる人まで受け取れるんですかと厚生労働省に電話で問い合わせたら、鳩山総理の友愛精神です、または、日本が難民条約を締結している観点からですというふうに答えたというのでありますけれども、そんな応答要領、マニュアルというのがあるんですか。

長妻国務大臣 そういう応答要領のマニュアルはございませんで、これはよく御存じだと思いますけれども、児童手当においても基本的には同じでございます。児童手当でも、一九八一年までは国籍条項がございましたけれども、一九八一年の難民の地位に関する条約の加入に当たっていろいろ時の政府も検討されたというようなことで、そういう措置になったというふうに考えております。

 いずれにしても、これについては、平成二十三年度の制度設計の中で論点の一つとして我々も議論をしていくということであります。

大村委員 ところで、ちょっと観点を変えますが、鳩山総理は、高校無償化の関係で、朝鮮学校は支給の対象から外すべきだというふうに中井国家公安委員長が発言をされたことについて、そのような考えは一つある、そのような方向になりそうだというふうに発言をしておられます。この点についてはいかがでございますか。今どうなっておりますか。

鳩山内閣総理大臣 高校無償化の問題に関して今お尋ねがございました。

 特に朝鮮学校をどうするか、お子さん方に対してどのように判断をするかということでありますが、これは、高校の課程、すなわち高校でどういう授業内容で教えているか、それに、まさに高校のレベルに類する課程であるかどうかということをある意味で制度的にしっかりと担保する必要があるということでございます。

 別に、拉致とかそういう話では必ずしもありません。そういうことではなくて、むしろ私が、国交というものが必ずしもない国に対して、本国に必ずしも問い合わせることができないような場合にどうなんだろうという問いかけを申し上げたところでございます。

 これは、最終的に省令でありますから、文部科学大臣が最終的に、議論をしていきながらお決めいただくということになろうかと思っておりますが、このようなときにどういう担保の仕方があるのかどうかということを今鋭意検討中であるということで御理解をいただきたい。まだ最終的に判断をしている状況ではありません。

大村委員 鳩山総理は、中井国家公安委員長の発言については、そうだ、これはもうそういう方向になるんだ、外してもいいんだというようなことをおっしゃられたというふうに受けとめておりますので、その高校無償化について外すのに、この子ども手当については、先ほどの話だと関係なしに満額受け取れるということですから、それは一貫していないんではないかということをお聞きしようというふうに思っておりました。

 今のお話だと、まだそちらの方は、高校無償化の方は全く決めていないということの御答弁でございました。一たん発言されたのに、もうあれから何週間もたつんですけれども決まっていないということは、私は大変問題だというふうに思います。その点はまた別の場所で同僚議員がしっかり詰めていただけると思いますので、引き続きやっていきたいと思います。

 そこで、この点について、さらにお聞きをしたいと思います。

 日本人でも海外駐在の場合は支給されない、しかし、外国人について、日本にいれば、本国にいる子供までこれが支給されるということは、やはり国民感情といいますか、国民の理解という点で、私は大変問題が多いんじゃないかというふうに思います。

 現行の児童手当がそうだというふうによく言われるのでありますけれども、それでは、現行の制度のもとでこの支給実績がどうなっているか、そのデータをぜひこの場でお示しをいただきたいというふうに思います。現行の制度で、いわゆる日本におられる外国人の方、そういった方が家族全員で日本にいて、どのぐらいの方が児童手当をもらっておられるか。それからまた、本国に子供さんを置いてこちらに来て働いている場合、そういった方々はどうなっておられるのか。そういうデータをここにお示しいただかないと、これは大変国民の皆さんは関心が高いと思います。現に私のところにもそういう話は、これはどうなるんですかとか、そういう話はあります。

 こんな大事な制度、法案の議論ですから、その前提となるデータをまずこの場にお示しをいただかないと議論ができないと思います。ぜひ、このデータをお示しいただきたい、そのことを申し上げたいと思います。お答えをいただきたいと思います。

長妻国務大臣 今の時点で、厚生労働省としては、外国籍の子供について対象となる方が何人いるのかというのは、特に調査は行っていないということであります。

大村委員 これは、今まで、児童手当というのはその支給も含めて市町村に任せているというふうにお答えを聞いておりますが、今回、子ども手当というのは、全く新しい制度をつくるんだ、全く新しい子育ての施策をつくって充実するんだ、それでもって、額も満額になれば五・四兆円ですよ。もう比較にならないほどの巨額の国家財政、お金を使ってやるというのに、その支給対象、どこまでが対象になるかというところ、これは十分議論をして、そして、これだけの五・四兆円というお金を使うんですから、やはり国民の皆様の理解と合意を得ていかなきゃいけない、それは当たり前のことだと思うんです。

 その前提となる、在日外国人の方がどういうふうに受け取っておられるのか、それから、本国におられる子供さんについても受け取っておられるのかどうか、このデータがないということですか。これは、この制度の法案の議論をするのに、やはり前提となるデータではありませんか。今すぐそのデータをお出しいただけませんか。そうしないと議論ができないと思います。いかがでございますか。

長妻国務大臣 今、突然のお尋ねでございましたけれども、これについては、今の児童手当による支給について、国として、国籍によってその支給の人数というのを集計させるということにこれまでなっていないわけでございます。

 そこで、例えば、外国人登録が多い地方自治体である東京の荒川区でありますけれども、荒川区に直接お伺いいたしました。人口は約十九万人でございますけれども、その中で、海外に居住する児童を監護する外国人受給者は百余人というような結果が出ております。

大村委員 これは、実は私、今回のあれもあるので、余り時間がありませんでしたけれども、私の地元にいる人材派遣の会社の方に、外国人労働者を使っておられる方に、どんな感じでしょうかというので、何社か聞いてみました。そうしましたら、家族ともども、子供さんも連れてこちらに来られているという方々は、大体申請をして児童手当をもらっている。でも、本国に残してきた場合は、それはほとんどもらっていないか、よく知らないか。中には、その会社の方に聞いたからあれですけれども、地元の自治体からは、日本にいる子供はいいけれども、本国に残してきた子はだめですよというふうにも聞いた。今度の子ども手当というのは、えっ、そういう方もいいんですかと、そういうふうな話も現にございます。

 さらに聞きましたら、そういう派遣会社で働いている外国人の方ですけれども、今は子供を連れてきているけれども、これが、月一・三万円、それから二・六万円になれば、それだったら十分養っていけるから、もう本国に帰してもいいというようなことも言っておられる。そういう話がこれからどんどん出てくると思うんです。

 今までは、とにかく地元自治体、先ほど私が申し上げたようなことだったと思いますが、今度は、これだけ話題にもなったし、先般、同僚の田村議員もここで質問しましたけれども、そういう意味で、何といっても支給額が違う。皆さん、総額で五・四兆円にしようというふうにされておるわけですから、そういった点について、この制度のここのところを、だれに、どこまで対象とするのか、これはやはり国民的な理解と合意がないと私はできないというふうに思います。

 ですから、その議論の前提となるこのデータを、今、長妻さんは荒川区ということだけを言いましたけれども、やはり、日本全国大体こんな状況なんですということを調べてお示しいただけませんか。それでないと、なかなかこの問題は、国民の理解は得られないんじゃないかというふうに思います。

 今のこの議論を聞いて、鳩山総理、いかがでございますか。こういうデータがないと議論ができないと私は申し上げているんですが、調べてそのデータを出して、そして議論をしたい、深めていくということについて、いかがでございますか。

鳩山内閣総理大臣 今、議論を伺いながら考えましたのは、やはり、まず二十二年度におきましては、児童手当というものがありまして、その上に拡充をして中学まで、あるいは額もふやす、あるいは所得制限を置かないといったような、仕組みを変えたわけでございます。したがいまして、児童手当と同等の仕組みにまずしておかないといかぬと思っております。

 しかし、二十三年度に関しては、今、大村委員からお話がありましたように、さまざま国民の皆様方に、こういう人までというような思いがあるいは出てくるかもしれません。そういったこともしっかりと議論をする必要がやはりあろうかと思っておりますから、二十三年度に関しましては、ぜひ検討してまいりたいと思います。そのときには、当然、より精緻なデータというものに基づいた議論をしていく必要があるのではないか、そのように私としては考えております。

大村委員 今の鳩山総理のお答えを聞きますと、二十三年度に向けては精緻なデータを集めて議論をしたい。ということは、二十二年度は、精緻なデータがなくてもえいやでやるんだというふうに聞こえますけれども、そんなのでいいんでしょうか。二十三年度以降は五・四兆円ですけれども、来年度でも、国、地方を全部足して、これは、この地方負担も大変問題だと思いますが、二・五兆円ぐらいかかるわけですね。そんなことでこれだけの巨額な予算をスタートさせて本当にいいのでありましょうか。

 それでもって、先日来といいますか先ほどの理事会でも、この議論をしたら、もう近々に、今度の金曜日にも採決したいんだというような話もお聞きをいたしました。

 とにかく、それは何ですか、ここで我々は、この子ども手当法案の議論を深めたい、国民の皆さんの理解と合意を得たい、そのためには、外国人の方々のデータはどうなっているんでしょうかということをお聞きして、それでもって議論を深めて国民の皆さんの理解を得たい、合意を得るべきではないかというふうに申し上げているんですが、その議論にふたをするということでありますか。そのデータを出していただけませんか。いかがでございますか。

長妻国務大臣 平成二十二年度について、何かえいやでやったのではないかということでありますけれども、この児童手当についても、いろいろこれはお考えになられて、いろいろな事務手続、地方自治体の負担なども考えて、年に三回の支給とか、いろいろな事務の要件を考えておられるというふうに思います。

 その中で、政府が一九八一年にはそういう国籍条項を撤廃した、こういう条約の問題等もありますので、そういう世界の状況、情勢も考えて、我々は、先ほども総理も御答弁されましたけれども、平成二十三年度の本格実施の中で、それも一つの論点として検討をしていくというようなことであります。

大村委員 そんなこと聞いていないんですよ。児童手当は、昭和四十年代半ばから我々が営々として、各自治体、それからいろいろな関係者の意見も聞きながらやってきたわけです。それはそれで理解、合意を得ながらやっているんです。

 ところが、この児童手当と全く違うものをつくる、全く新たな子供対策、子育て対策をやるんだと。それも、額も、最初小沢さんが代表だったときは、いきなり六兆円どおんとというようなことを言われたわけです。全く違うものをつくると言っていながら、とにかく児童手当をそのまま借用して、要は、皆さんの話を聞いていると、借用して、とにかく二十二年度はえいやでやるんだというふうにしか聞こえません。

 それは何のためかというと、あなた方、あれでしょう、はっきり認めたらどうですか。参議院選挙が七月にあるから、六月に何としても、とにかく何でもいいから配るんだ、ばらまくんだというためにしか今回考えていないということじゃないんですか。

 きのうの参考人質疑で多くの参考人の皆様が言われました。こういう五・四兆円、防衛費も教育費も上回る巨額の予算が毎年必要になる。どういうふうにこれを使っていくのか、それについては国民の皆さんの理解と合意が必要なんだ。これは党派を超えて一年ぐらいじっくり議論して詰めていったらどうですかというようなお話を、みんなそういうお話をいただきました。私はまさにそうだと思います。

 そういう民主主義のプロセスをすべてすっ飛ばして、詰まってもいない、データもないけれども急ぎたいというのは、七月の選挙の前の、何としても六月にばらまくんだということにしか聞こえません。

 鳩山総理、これについていかがでございますか。もう認めたらどうですか。七月の選挙の前にばらまきをするんだ、そのためだけの制度なんだ、だから詰まっていないけれどもやるんだ。いかがですか。御答弁いただきたいと思います。

 総理、答えないんですか。

長妻国務大臣 今、一年ぐらい議論をしてからやったらどうだというお話もございましたけれども、これはマニフェストで、大村委員はマニフェストを厳守せよということをよく言っておられるわけでありまして、この二十二年度の工程表の中でも、四月から半額支給するというのを書かせていただいているということ。

 あとは、その六月支給というのは、児童手当と同じ事務のスキームを使わせていただくんですけれども、六月に支給されるということがないと、今まで児童手当を支給されていた方も何もなくなるということで、やはり当然、そういう準備、そういうお金が入るという想定で生活しておられる方もいらっしゃるわけでありますので、その意味では支払いのスキームは同じにさせていただくということで、決して、選挙が云々とかばらまきとか、そういう御指摘は当たらないというふうに考えております。

大村委員 それなら、この議論の前提となる、私がさっきから申し上げている、外国人の方がどのぐらい受け取って、本国に子供のいる方もどういうふうな状況なのかということを、そのデータを何でお示しいただけないんですか。大事なデータでありますよ。そのことを、これは前から、そういうデータはないのか、ないのかと役所に聞いたら、いや、ないんです、調べていませんというような話でした。

 この法案の審議が三月にあるんだとわかっていて、何で調べないんですか。それを何で示していただけないんですか。それでもって、マニフェストについて、これはこう書いてあるからと。これは、あなた方がそれを約束したから、私はそれについてどうだと聞いているんです。これをやるんだったら、国会で議論をして法律をつくらなきゃいけないのに、何でそのデータすら示していただけないんですか。私は極めて残念だと思います。

 これについて、鳩山総理、御答弁いただけませんでした。七月の参議院選挙前のばらまきだということを認めたらどうですか。いかがですか。

鳩山内閣総理大臣 これは、長妻大臣が今申し上げたとおりでございますが、マニフェストに書かれていることも、一つ当然あります。その約束を守るというのは国民の皆さんとの契約であります。

 ただ、それとともに、そのマニフェストがなぜ国民の皆さんに大変強く支持されたのか。その中でも子ども手当に対する国民の多くの皆さんの御期待があったことは、これは間違いありません。それは、私どもが選挙のときなどにも強く感じたことでございます。それだからこそ、私たちは、まずこのマニフェストに従って子ども手当というものを支給させていただこうということにしたわけでございます。

 その財源という手当てに関して、なかなか初年度からすべてということにはいかなかった。その意味で児童手当の拡充という形をとらせていただいた。したがいまして、児童手当のやり方に従いまして、今回の外国人の問題などもそのような方向でまずは初年度は手当てをさせていただこうということにしたわけでございまして、くどいようでありますが、決して、参議院選挙に間に合わせるためのばらまきをやろうなどというような発想ではありません。

 そもそも私たちは、このようなことは、ばらまきではなくて、子育てを社会でしっかりと支えていくために大変大事な手当だ、そのように考えておりますことをどうか御理解願いたい。

大村委員 鳩山総理が言われた国民の期待というのは、今まさに失望に変わっているんですよ。こんなはずじゃなかった、そんなこと聞いていないよということばかりですよ。この点についてもそうです。この在日外国人の方についてはこうなんですよ、本国に残した子供までもらえるんですよと言ったら、みんなええっと言われますよ。そのデータすらないんですよと言ったら、またええっですよ。その点について、とにかくこの資料を絶対出してもらいたい。そうでなければ、今週中に強行採決なんというのは絶対認めませんから。そのことを申し上げておきたいと思います。

 最後に、私は資料を配付しております。この資料、非常にコントラストでわかりやすいので、ここに提示しました。

 一枚目。これは今週月曜日の東京新聞の高校生の方の投書です。名前はあえてこれは消しましたけれども、「子ども手当 将来が不安」。子ども手当がこういうふうに支給される。しかし、国会では満額は無理だと言われている。最後に、「今や日本は借金大国です。ギリシャの財政危機がいわれていますが、子ども手当をもらう子どもたちが、大人になっているころは、日本も財政破綻しているかもしれません。 鳩山民主政権は国債を乱発して公約を果たすよりも、将来の日本のことを考えて、政治を行うべきです。」という高校生からの投書。

 それから、二枚目。非常にこれは鮮やかな対比だと思います。ちょっと前でありますが、一月十九日、読売新聞。「子ども手当で支持戻る」。山岡国対委員長が会議で、支持率が下がっているが、予想よりも高い、地元では非難を浴びると思うが、子ども手当が通れば大きく変わってくると述べた。これは、「子ども手当を支給すれば支持が回復するとの見通しを示したものだ。」山岡氏としてはこういうことを言ったんだけれども、その出席者から、「バラマキをすれば支持が戻るというのは、国民を愚弄した話だ」というふうに指摘されているという記事であります。

 高校生が国の将来を考え、民主党の国対委員長、国会の責任者が子ども手当ばらまきで支持が戻るというふうに言っている。私は、非常にわかりやすい話だと思います。こんな志の低いこと、こんな性根の低いことでいいのでありましょうか。私は、この二つの記事を見て、残念でなりません。これが民主党の本音なんだなというふうに思います。

 きのうの参考人の質疑でも、各委員からそういう話がありました。一年かけて議論したらどうか、しっかり議論したらどうか、いろいろなデータも生煮えだ、制度設計が全然生煮えなんだという御指摘がありました。そのとおりだと思います。

 ぜひこの資料、データを出していただくことを強く要求して、そして、そういうデータもなしに、議論にふたをして今週にも強行採決をされようとしている、そのことを絶対認めない、断固反対だということを申し上げて、私の質問を終わります。またしっかりやります。

 以上です。

藤村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 十二月七日、厚労省が保育施設における死亡事例について発表しました。平成十六年四月から二十一年十一月までの間に発生した保育施設における死亡事例が、認可保育所で十九件、認可外保育施設で三十件、計四十九件、五十二名もあったということです。

 命を守りたいという内閣にとって、本来安心して預けられるはずの保育所で我が子が命を奪われる、こんなことはあってはならないと思いますが、総理の率直な御意見を伺いたい。

鳩山内閣総理大臣 高橋委員から保育施設における死亡事例というお話を伺いました。まことに残念なことだと思います。

 子供の命を守る、そして健やかな生活を保障するということは、日々の保育におけるまさに基本でなければならないことだと思っておりまして、そんな中で、死亡事故はこういった保育施設の中で決してあってはならないことだ、そのように私も考えております。

 保育所においては、子供の心身の状態などを常に見ていかなければならないことは言うまでもありませんし、保育所の中の安全性などというものも常に確認をしていくことも重要だと思っております。そういったことをしっかりと行うことによって、保育中における事故というものの防止に積極的に努めていかなければならないことは言うまでもありません。

 したがいまして、国において何ができるかということも考えていく必要があろうかと思っておりまして、適切な保育というものが実施されていくように私どもとしても取り組んでまいる必要があろうかと思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 資料に少しこの間の事例をつけておきましたけれども、二枚目を見ていただきたいと思います。

 九八年に、川越の無認可保育園でうつ伏せ寝による窒息死でわずか四カ月の長女を亡くした小山さん夫婦は、東京高裁で〇五年に和解をかち取りました。この小山さんは、赤ちゃんの急死を考える会の副会長をなさっておりますが、当時のことを手記でこのように述べております。

 和、娘さんの名前ですけれども、和はまだ寝返りができないのに、うつ伏せ寝で約四時間放置されていたこと、丸一日おむつ交換されず、授乳の有無もわからないこと、かけ布団を頭までかぶせられていたこと、死亡の四日から五日前に同様の放置で危険な状態を間一髪救われていたことなどが明らかになった。

 それでも、亡くなった和ちゃんの遺体に会った直後に、これは突然死、SIDSだと言われ、保育所も一切責任をとらない。そういうことが繰り返されて、そのために親たちは裁判に打って出るしかなかったのです。

 同会が同じ経験をした親たちの手記を集めて二〇〇〇年に出した「SIDSってほんと?」というタイトルの報告集では、二〇〇〇年ですから、いずれにしても数十年間、保育所に限って言えば、公立保育園ではこの種の死亡事故は皆無に近くと書いていたのです。それが今や、公立保育園でも同様の事故が起こっていることを御存じでしょうか。

 同会の調査を資料の五に、グラフにいたしました。全く行政でない中で、新聞の記事やみずからの訪問調査などを踏まえて行った調査でありますけれども、見ていただけると、十年単位で見ますと、八〇年代はゼロだった認可保育所の死亡事故は、二〇〇〇年からの八年間で二十二件へと大きく膨れ上がっています。

 会が指摘をしているように、待機児童ゼロ作戦と銘打った小泉内閣のもとで、保育所の定員を一一五から一二五%まで詰め込みを認めたり、パート保育士をふやすことを認めるなどの規制緩和を行ってきたことが大きな要因ではないでしょうか。総理の認識を伺いたい。また、政府として因果関係を調べるべきではないでしょうか。

長妻国務大臣 まず最初に申し上げます。

 死亡事例に係る実態把握については、私が指示しまして、ことしの一月から、今後発生する事例については今までより詳細な報告を都道府県に求めていって実態把握に努め、そして、安全性の向上、これの推進というのは、これは言うまでもなく全力で進めていきたいと考えております。

鳩山内閣総理大臣 今、高橋委員がお示しをいただきましたこのグラフを拝見させていただくと、やはり、認可保育所、数が多いにもかかわらず、認可保育所での死亡事故よりもかなり認可外の保育所における事故の死亡例が多いということであります。これはやはり、認可と認可外での有意差は統計的に見てあるのではないかというべきかと思っております。

 したがいまして、一方では待機児童の解消に向けた努力というものは必要だと思っております。規制緩和という言い方がいいかどうかわかりませんが、自由度をある程度高めることは必要かと思っておりますが、一方でやはり、質というものはしっかりと守っていかなければならないということはこのデータからもわかるのではないか、私はそのように解釈をいたしました。

高橋(千)委員 今、総理が認可外の事故が非常に多いということをおっしゃいました。七〇年代は百七件、三けたに上るということ。しかし、こういう事件が問題になって、認可外の施設の届け出の問題や、あるいは最低限守るべき基準の問題などが言われてきたと思うんです。ここに今、二十二万八千人のお子さんが現実に暮らしております。それはまさに、保育所の受け入れ先がない、そういう中で高い保育料を払って過ごしている方もいらっしゃるわけです。そういう方たちを全部合わせて保育所の今の待機児童はせいぜい二万人とか、そういうことをやってきたのも厚労省であったということをやはり率直に認めるべきだ。つまり、そういうことも含めて全体の安全が守られるようにならなければなりません。

 また、今大臣が最初に、詳細なデータをとるようにしましたという答弁があったんですけれども、まさに十一月に赤ちゃんの急死を考える会の申し入れがあって、それを受けてのことだと思います。六に、そのデータのとり方についての資料はつけておきました。これは後の質問でもう少し詳しく伺いますので、よろしいかと思います。

 それで、最後に、総理にもう一問伺いたいんですけれども、やはり振り出しにきちっと戻るべきだ、原点に戻るべきだということで、資料の一を見ていただきたいと思います。東京池袋の無認可保育施設、ちびっ子園の記事であります。

 これは、東京地裁が執行猶予つき有罪判決を行った、ベビーベッドの中に赤ちゃんを二人寝かせていて、一方の赤ちゃんがもう一方の赤ちゃんの上にかぶさる形で窒息死をしたという事件でありました。同グループでは、七九年から九八年の間に二十人の乳幼児が死亡していたという事件でありました。ここに幾つかアンダーラインを引いてありますので、拾って読んでいただければと思いますが、木口裁判長は「収益を最優先するあまり、保育ベッドに複数の乳幼児を収容するなど、危険な施設運営をしていたことを知りながら防止措置を講じなかった」と指摘をし、「無認可保育施設への社会的需要に応え、極力多くの乳幼児を受け入れた」という弁護側の主張を退けたのです。

 この教訓が、今生きているでしょうか。極力多くの乳幼児を受け入れた。まさに今、待機児童がふえている、だから何とかしなければならないということが盛んに叫ばれております。しかし、待機児童を解消するためだからといって、子供の安全を守る最低限の基準さえ取り払うようなことはあってはならないと思います。むしろ、拡充するべきではないか。総理の見解を伺います。

鳩山内閣総理大臣 まさに高橋委員が御指摘されましたように、質というものが大変重要だという認識を持つべきだと思います。

 待機児童の解消というものは、これは多くの国民の皆様方の願いで、お母様方あるいはお父様も含めてでしょうが、願いであることは間違いありませんから、その解消に向けた努力をする必要がある。したがいまして、地域において保育所の基準というものはある一定程度自主的に定められるようにするということは大事だとは思っておりますが、しかしながら一方で、やはり質というものが確保されなければなりません。

 その意味で、質の確保された認可保育所というものを充実させるということが原点に置かれなければならない、そのように考えております。

高橋(千)委員 ともかく子供を預けて働きたいと思っている人たちが、だからどんなところでもいいとは決して言ってはいないのです。預けたい、預けられてよかったと思っているお母さんたちが、自分が預けなければよかったのか、自分が働きに出なければよかったのかと自分を責めるような事件が後を絶たないということをしっかりと受けとめていただいて、最低基準を絶対に守っていただきたい、そのことを訴えて、次の質問に移りたいと思います。

 終わります。

藤村委員長 次に、郡和子君。

郡委員 民主党の郡和子です。

 総理に質問の機会をいただきました。感謝いたします。前政権の後始末に追われながらの政権運営、大変御苦労されているかと思います。

 政権交代後すぐに、厚生労働省は、我が国の相対的貧困率を初めて公表いたしました。この数字にショックを受けた方も多かったと思います。きのうは、人口問題研究所の阿部彩さんが、この場で、子供の貧困率について、政府が介入した後、再分配後の貧困率が高くなっていることに言及されました。このグラフをお示しいたしておりますけれども、OECD各国の中で、日本だけが実は所得の再分配後に貧困率が高くなるという、世界で類を見ないただ一つの国になっているということです。

 この子供の貧困というのは、社会経済的な影響を受けやすいという側面もあるでしょうが、それよりも何よりも、政治の貧困の結果、政策的に放置され、あるいは増幅された貧困と言っても過言ではない側面があるということが問題だということを指摘させていただきます。つまり、これまでのこの国の人生前半の社会保障の貧困を端的にあらわしているのがこのグラフだということだと思います。

 総理、私は、子ども手当の創設が、こうしたある意味で偏ってきたこれまでの社会保障政策を是正して、国として子育てを大いに支援し、そしてまた、教育への公的支出や若年者の雇用対策など、人生前半の社会保障の拡充強化を図っていくんだという明確なメッセージを国民の皆様方に発するという点でも大変重要な意味を持っていて、その第一歩だと考えております。総理の御所見を伺います。

鳩山内閣総理大臣 郡委員の御指摘、全くそのとおりだと理解をいたしております。

 今までの政策がどうであったか。私もこれを初めて見て、子供の相対的貧困率が社会保障の後でさらに、所得再分配でひどくなって、悪くなっている、貧困率が高くなっているということは、やはり制度的な大きな欠陥があった、そのように指摘されなければならないと思います。その意味で、今回、私ども、子ども手当というものを支給させていただくということにいたしました。

 社会全体で子供の育ちを支えるという発想を行いながら、一方では、控除から手当という方向に大きくかじを切る。そのことによって、これは明らかに、高額所得の方々よりもそうでない方々にとってこの子ども手当の意味が大きくなる、そのように我々は確信しておりまして、私どもが子ども手当を支給させていただく意味も、まさに所得再分配機能というものを強化させていただくということに当たる、そのように私どもは理解いたしております。

郡委員 総理も御承知だと思います。そもそも一九七一年、児童手当の法制化に当たって、当時の政治判断というのは、所得制限を設ける、そしてまた事業主負担割合を縮減する、支給対象は第三子に制限をする、いわば脆弱な制度として生み落とされたわけでございます。

 しかし、議論が始まりました当初は、政府の考え方というのはもっと前向きだったようでございまして、六〇年の所得倍増計画を初めとして、六〇年代の末までは、日本型賃金制度を、職務給とそれからまた社会保障としての児童手当の組み合わせに移行させるという、欧州をモデルとした構想の中で語られた時代もあったようでございます。

 六〇年代に提唱された児童手当制度の直接的な政策目的は、是非はともかくといたしまして、扶養責任の社会化というのをどのように設計するのか、社会保障制度の課題を提起した、問題提起したということでは、今日議論されております子ども手当にも通じるものがあるというふうに私自身も思っております。

 年功賃金制度が担ってまいりました子育て費用、教育費、そしてまた住宅費、その他の生活保障機能について、どのような勤労者に、どの部分、そしてどの程度、どのように社会政策的な資源の再配分で賄うのかという課題を突きつけているのだというふうに思います。

 そしてそれは、究極的には、同一労働同一賃金、それに基づく賃金制度の確立ですとか、それからまた正規、非正規、またジェンダーバイアスのかかった男女の賃金格差、これを均等待遇を実現していく、そういうことにもつながってまいりましょうし、セーフティーネットに裏打ちされたワーク・ライフ・バランスのとれた多様な働き方、生き方を選択できる、そんな社会をつくっていくということにつながっていくんだと思います。

 総理、私は、子ども手当の政策というのは、こうした働き方ですとか、生き方の大変大きな部分にかかわってくる、この国の形をまさに提起するものであるというふうに考えております。選挙目当てのばらまきと批判が上がりましたけれども、私は、まさしく視野狭窄に陥っておられると思います。子ども手当の創設の政策意義、それをより強く国民に訴えかけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 全く郡委員のおっしゃるとおりだと私は理解をいたします。

 子ども手当のお話で議論をいたしているわけでありますが、私どもが考えております友愛社会、目指すべき社会、これは、ある意味でお互いに幸せを享受できるような、そういう社会をつくりたいということでございます。働くことによって幸せを享受する人、その人たちの幸せを社会全体でどのようにして分かち合うのか、あるいは、ある意味でのロードというものを分かち合うのかということも含めて考えていく必要がある。ある意味で、国のあり方そのものにかかわる話だと思っております。そういう中で子ども手当というものを考えていく必要があるのではないか。

 私は、まさに郡委員がおっしゃったことが非常に大事だと思っておりまして、幸せというものを、あなたの幸せが自分の幸せだと感じ合えるような社会、子供というものを社会全体で支え合うということに対して、お互いに幸せというものを享受できる社会をつくり上げていくことができるのではないか、そのように思っておりまして、その意味での子ども手当の意義の大きさというものをもっと国民の皆様方に知らしめる努力というものが政府に必要なのではないか、そのように考えたところでございます。

郡委員 総理、ありがとうございました。

 ぜひ、子ども手当という入り口からこの国の将来像を大いに議論していただき、そして、その友愛精神に基づいた、幸せをだれしもが感じられるような、そういう社会を目指していただきたい、そういうふうに思います。ありがとうございます。

藤村委員長 郡君、ちょっとお待ちください。

 内閣総理大臣は一たん御退席いただいて結構でございます。

 郡君。

郡委員 ありがとうございました。

 従来型の日本の雇用政策、雇用形態というのはもはや壊れておりまして、雇用のフレキシビリティー、柔軟性と、そしてまた安全性、安心できる仕組み、セキュリティーを組み合わせたフレキシキュリティーの新しい道というのを今まさにつくっていかなければならない、待ったなしのところまで放置されてきたのではなかったでしょうか。だからこそ、この子ども手当の議論を契機に、日本の未来図を大いに議論すべきだというふうに思っております。

 先ほど鳩山総理からもお話がございました。子ども手当は、控除から手当へという考え方のもと実施されるものであります。大沢真理さんの評ですけれども、逆進的性格を持つ児童扶養控除こそ、実は、児童の最低生活を保障する上では最も非効率なばらまきだということがございました。私も同じ考え方に立つものでございます。

 そして、子ども手当の実施にあわせて、年少扶養控除が見直されることになるわけです。子ども手当は非課税所得となりますから、子ども手当によって手取り額がふえても、それによって保育料の負担がふえたりすることはないというふうに思いますけれども、扶養控除の見直しによって、保育料等の費用負担の基準の適用区分が変わって、結果的に子育て家庭の負担がふえるのではないかと心配する声が上がっているのも事実でございます。

 そこでお伺いいたしますけれども、扶養控除の見直しに伴うこれらの心配の声にどのように対応されていらっしゃいますでしょうか。

長妻国務大臣 今おっしゃられましたように、控除が廃止になって所得が変わるということで、厚生労働省所管のそれに連動する費用負担というのを全部ピックアップいたしますと、もう数十にわたるようなものが影響を受ける可能性があるということになりまして、これについては、これから、この問題だけではなくて、控除から手当への流れを加速するためには避けて通れない課題であるということで、税調の中に、控除廃止の影響に係るプロジェクトチームというのを関係各府省のメンバーで立ち上げました。

 ことしの七月をめどに一定の結論を得るということで、基本的には影響を遮断していく方法を検討するというのが一つの原則となっておりまして、そういう影響が極力出ないような、そういう方策を模索するということであります。

郡委員 ここはぜひ注意をしていただいて、そのプロジェクトチームで制度設計を図っていただきたいというふうに思います。

 次に、子ども手当の支給について、具体的に二つほど確認をさせていただきたいと思います。

 まずは、定額給付金を支給する際に、住民票を異動させずに逃げている親子がいる場合、加害者である夫に定額給付金が支給されて親子には行き渡らなかったということが問題になったわけですけれども、子ども手当でも同様の事態になるのではないかと心配する声も聞かれます。

 DV被害者に対する子ども手当の支給について御説明願います。

山井大臣政務官 郡委員にお答え申し上げます。

 DV被害者であって、母親が父親と離れて子供と生活していても、そのお母さんが子供を監護しているという場合には、児童手当と同様にお母さんに支給をすることになっております。その母親の住民票を異動させなくても、現に居住する市町村に対し、婦人相談所等が発行するDV被害者に対する証明書を添付し、子ども手当の申請を行うことにより支給を受けることができます。

郡委員 先ほど、総理に対する質問でも触れさせていただきましたけれども、子供の貧困というのは極めて深刻な状況でございます。子育て世代を中心として、格差社会の是正や貧困の問題に対応していくことが必要であって、子ども手当はその貧困問題への対応にも資するものである、そんなふうに考えているところです。

 一方、生活保護世帯におきましては、子ども手当は収入認定されると聞きました。これによって、生活保護世帯について子ども手当の恩恵が行き渡らないのではないかということを懸念する方もおられるようですけれども、これの取り扱いについて、わかりやすく御説明願いたいと思います。

山井大臣政務官 お答え申し上げます。

 この点は、生活保護受給者から、収入認定されて子ども手当の恩恵が生活保護受給者だけは得られないんじゃないかという不安の声が大きく寄せられておりました。

 そこで、今回の法案においては、子ども手当は確かに収入認定はいたします。しかし、それと同額の手当、同じ支給対象者になるように、現行の児童養育加算を拡充するということにいたします。したがって、生活保護世帯の子供にもひとしく子ども手当の効果が及ぶことになります。

郡委員 安心いたしました。

 私ども、野党時代からチルドレンファーストを掲げて、これまでさまざまな政策提言をさせていただいたわけです。昨年の夏の政権交代実現後、厚生労働行政においても新たな一歩が踏み出せたもの、そんなふうにうれしく思っているわけですけれども、この子ども手当、先ほども申し上げましたとおり、この国の働き方、生き方も左右する、大きなこの国のビジョンを示すものであるというふうなことだろうと思います。

 子育て家庭の皆様方の大変大きな期待もございます。平成二十二年度に向けては、まず、早期の法案の成立を図っていただきたい。そしてまた、来年度、積み残された課題はございますけれども、しっかりと議論をしていただき、二万六千円の子ども手当の実現に向けて、ぜひ、決意のほどを大臣にお尋ねしたいと思います。

長妻国務大臣 今まで子育てに関する予算というのは、議論にはなりますものの、余り大規模なものは、ほかにもっと重要なものがあるからということで先送りをされてきた歴史がございます。

 一歩一歩、若干ずつは進んできたという認識がありますけれども、それでも、先進国の中で、GDPの比率で子供に関する予算というのはアメリカが最低なんですけれども、その次に低いのが日本だということで、これは少子化というのも結果的に加速をしていると考えております。

 その意味で、平成二十三年度については本格施行をするということで、四大臣合意の中で、その詳細な制度設計、予算、財源については見出していくということを合意しておりますので、予算編成の中で十分に前向きに検討するということであります。

郡委員 総理への質問の中でちょっと触れさせていただきましたけれども、実は、そもそも、児童手当の創設の議論が始まったときに、欧州をモデルとした構想の中で語られた時代もあった。その流れの中でILOの百号条約の批准というのも行われたんだと思いますけれども、しかしながら、四十年たってもいまだその効果は、実効性は全くないわけでございます。子ども手当の創設、これを実行することを契機にして、扶養責任を社会化する。どういうふうに社会化するのかということを大いに議論をさせていただき、そして、来年度の本格実施に向けてなお御尽力いただきますようにお願い申し上げ、私の質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 自由民主党の橘でございます。

 いつもは総務委員会の方へ、あるいは内閣委員会の方で質問させていただくわけですが、自治体の方の現場に昨年の夏までいたということもございます。子ども手当のことについて、やはり市町村もかかわるものが多い、そしてまた、市町村で実際、子供たち、お子さんたちのいろいろな問題に接しておりますと、やはり現物給付的な中でいろいろな問題があるというところを感じるわけであります。

 そういったことも含めて、こういう機会をせっかく会派また同僚議員の皆様方のお許しを得ていただきましたので、きょうは、今まで思っているところ、少し気になっているところをまとめて、五十分の間で御質問させていただきたいと思っております。

 質問の中では、先に、この子ども手当法案の、長妻大臣からも今まで児童手当、ガラス細工のようなというお話もございました。法案の技術的には非常に難しい形になっているかなと思います。そういったこととあわせて、市町村にどういう形で配慮あるいは影響が出るのかということ、そして、後半では、現物給付の問題について、これは財源の問題にもかかわってまいります。そういったことで、幾つか既に質問主意書等でもお伺いした部分もございますが、確認も含めて、ここでお伺いをしてまいりたいと思います。

 それでは早速、まず、子ども手当法案の解釈の問題から、少し技術的にはなりますが、三点、順番にお聞きをしたいと思います。

 最初に、この法案の第十九条で、基本的認識という条項がございます。これを読みますと、二十二年度のこれから支給されるお金、これまでの児童手当の支給対象要件に該当する者、いわゆる所得制限つきの児童手当ということで小学校六年生まで家庭に支給されていたわけですが、これについては児童手当の支給ということになるとすると、今までの児童手当の支給要件に該当する方には児童手当、その他の方々にのみ子ども手当、このようにも読めるわけですが、そのように支給されるという趣旨であるかどうかの確認をさせていただきます。

長妻国務大臣 まず大前提にございますのは、子ども手当法案の第二章に規定されているとおり、あくまで子ども手当として受給者に対して支給することになるということでございます。

 今御指摘の第十九条につきましては、これは児童手当分を現行どおり国、地方、事業主が費用を負担して、それ以外の費用については全額を国庫が負担するというようなことをここであらわしているということでありまして、あくまで費用負担の一つの考え方に加えて、事務についても、先ほど来答弁申し上げておりますけれども、児童手当の支払いのスキームを活用させていただいて支払いの事務をするというようなことでございますが、あくまで第二章に規定されているとおり、この手当については子ども手当ということでございます。

橘(慶)委員 この児童手当法を引くということによって、児童手当というものが、さまざまな意味に実は子ども手当法案の中では変わっていくということが非常に気になるわけであります。

 その次の第二十条へ入ってまいりますと、今度は児童手当について、支給対象要件から所得制限を外した形で、要は、小学校六年生まですべてのお子さん方について、児童手当という形に読み込んで市町村の負担を求めるということになってくるわけであります。

 子ども手当は子供の健やかな育ちを支援する目的ということであり、児童手当は家庭における生活の安定に寄与する目的であり、目的が異なるから、児童手当を子ども手当と新たに読みかえたい、こういう政策意図だと思うんですが、しかしまた、十九条では所得制限つき。二十条になるとまたこれが所得制限が外れて、市町村には本当は今までの児童手当と同じ額だけしか負担をさせない、最後はそうなるんですが、そう言われながら、この二十条では、今度は、児童手当は突然所得制限がなくなるわけであります。

 この辺はどうしてこうなるのか、確認をしたいと思います。

長妻国務大臣 これにつきましても、所得制限を設けないというふうにしたところでございますけれども、事務の手法として、所得制限を設けないとしたにもかかわらず、一たん児童手当という事務で所得制限の方々を把握して、そしてその後、所得制限のかかっていない方とあわせて支給をするということになると、実質的にはその分手間がふえるということにもなろうかと思いますので、そういう条項を設けさせていただいて、手続あるいは事務の無用な負担をふやさない、こういうような一定の配慮をさせていただいているところであります。

橘(慶)委員 内閣提出の法案ということであります。技術的にということは理解するのですが、技術的にということによって、児童手当というものがいろいろな形になっていく。そしてまた、児童手当と子ども手当は違うと言われながら、内閣提出の法案ですから、そういう技術的な理由の中では言ってみれば同じものになってしまったりするわけですけれども、この辺は非常に臨時的な措置だと思うんですが、やはりそういう措置は解消されていかなければ法体系としておかしいんじゃないか、そういう認識はございませんか。

長妻国務大臣 これについては、平成二十三年度の実施の際に、これは負担の問題も大きな論点でございますし、先ほどの外国人の方の問題も論点でございますし、今御指摘の部分も論点として我々は制度設計をしていくということにしておりまして、またその際には、皆様方の御意見も賜りたいと思っております。

橘(慶)委員 以上三点は、同僚の方々からもお伺いのあった部分でありますが、要は、どうもこのあたりが、なかなか立法論としては難しいなと。児童手当の方の拡充で進められてもよかったし、あるいはもう少し段取りを踏んでやれば、もっときれいな形で立法できたんじゃないかな、ガラス細工がさらにガラス細工になっちゃったと。では、来年度に向けて非常にここの部分の解決ということが強く求められるんじゃないかな、あるいはここでもっと慎重であるべきじゃないかな、こんな思いをいたしております。

 それはそれくらいにいたしまして、そこで、市町村の、いわゆる地方の負担の問題であります。

 児童手当及び子ども手当特例交付金という形で措置されるわけであります。しかしながら、今お話がありましたように、所得制限を外してみたり、しかし、今までの児童手当に係る地方の負担と同じ負担にするというお話もあったりということで、なかなかここの計算というのは簡単ではないと思います。つまり、本当に各市町村で幾ら児童手当にかかったかということがわかっていわゆる国から補てんされるというわけではなくて、ある種の仮定を置いて推計をしていくことになるんだと思っております。

 私の質問主意書第一六九号への答弁におきまして、政府の方から、必要な調査または推計の方法を検討しているところであり、各市町村の負担が基本的に増加しないよう十分に配慮をする、こういうお答えはいただいておるわけですが、具体的にどのような調査なり推計ということをされて、どのように基本的に増加しないようにできるのかということについてのお答えをいただきたいと思います。

金澤政府参考人 特例交付金の算定につきましては、それぞれの地方自治体の負担の状況を可能な限りしっかりと反映できるよう、現在、必要な調査、推計の方法を検討しているところでございます。

 細部にわたりましては、厚生労働省と相談しながら現在詰めているところでございますが、基本的には、児童手当の所得制限が外れることによりまして新たに手当の対象となる子供の数等につきまして、地方自治体ごとに調査し、あるいは一部の数値につきましてはどうしても推計を入れざるを得ませんけれども、そうした作業によりまして各地方自治体への交付額を算出する方向で検討を進めております。

 現行の児童手当特例交付金は、年度が始まります前の二月末時点の対象児童数を基礎として交付額を算出しております。このような前例も参考としながら、実態に即した数値の捕捉と、他方で事務負担の軽減も考える必要がございますので、そうしたもののバランスを考慮しながら検討してまいりたいと考えております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 要は、最初はすべて国費でされるということであったわけですが、児童手当の分の負担を求めなければいけなくなった、その中からそういった新たな形での問題がまた生じてくるわけであります。かといって、それを全数調査もしていればまた市町村の負担が大きくなるということで、推計をしなければいけない。そうすると、本当はぎりぎり詰めますと、全く同額ということにはならない部分があるということかと思います。しかし、できるだけそこはしっかりとやっていただきたい、このように思うわけであります。

 そこで、今審議官さんからの答弁にもありましたが、新しい受給者がふえてくるわけであります。所得制限を外すということ、中学校三年生、いわゆる十五歳までのお子さんに支給されるということ。そこで、これはいわゆる認定請求を受給者が行って、それを認定して六月までに支給をしていく、そういうスキームになってくるわけですが、これは市町村の立場でいいますと、新たに認定請求をされてくるお子さんといいますか、対象者さんの数はどれくらいふえるのかということについて、ここでお答えをお願いいたします。

山井大臣政務官 お答え申し上げます。

 新たに支給対象となる子供は約五百万人、そして受給者数では三百六十万人程度と見込んでおります。

橘(慶)委員 対象五百万人、受給者三百六十万人ということは、受給者というのはその家庭というか、そういう意味ですよね。はい、わかりました。

 いずれにしましても、それだけの方が新たに手続をとられなければいけないということであります。当然、今この法案の審議をしておるということですから、言ってみれば年度末、年度初め、保育所の入所の申し込みがあったり、いわゆる住民票の異動があったり、いろいろなことで混雑をする中で、こういった形でそれだけの方に周知をし、認定請求をしていただき、そしてまた、児童手当と同じ考え方で認定をしていくということではありましょうけれども、先ほど郡議員さんからお話があったように、さまざまな限界事例もあるわけであります。そういったことについて、すべて市町村でいろいろな形で対応しなければいけない、こういうことで、やはり影響というものはないとは言えないと思っております。

 そして、やはり地方としては、負担がないと言われたものを負担させられたというようなこと、六団体としてはそういう意見であったかと思います。そういった中で、ある意味で、地方に国としてお願いをしていくということになるわけですが、この自治体と窓口に与える影響をどのように国として配慮されるのか、ここでお伺いをいたします。

 大臣からお願いいたします。

長妻国務大臣 六月からの支給に向けて、制度の円滑な実施を図ることができるように、これは本当に今まで以上に密に連絡をとるということで、ことしの一月十五日や一月十八日、二月二十五日、本省の方に地方から担当の部局長や課長の方に御足労いただいて、時間をかけていろいろな御説明や御意見を直接お伺いするということで、今後もそういう取り組みをしてまいります。

 そしてもう一つは、第二次補正で御了解をいただいて、このシステム開発の経費につきましても、それを事前に確保させていただいたというようなことで、でき得る限り、我々は、地方自治体がスムーズにできるような形で、情報提供やあるいはおしかりも含めた御意見も真摯に受けとめていきたいというふうに考えております。

橘(慶)委員 そんな意味では、いろいろ国と地方が打ち合わせをされながら、この事務を遂行していくわけですね。

 その中で、これはなかなか、どうお答えいただけるかわかりませんが、この附属の話ですけれども、要は、六月、八月、十月ですか、二カ月おきですか、支給をしていくわけですね。ですから、必ずしも六月ということについて、これは難しいことを言いますけれども、絶対全部頑張れという、頑張れ、頑張れと言われるとつらくなるわけですね。かといって、頑張るなということは言えないと思うんですが、しかし、その辺、ある程度やはり配慮いただくということについて、一応答弁をいただいておいてもよろしいでしょうか。意味はわかりますか。

長妻国務大臣 これは、支払いのスキームは児童手当と同じ形を使って、事務の軽減ということで年に三回支給ということでございますけれども、これについて、我々も、先ほど申し上げましたようなことで、コミュニケーションをよくしていくということで、地方自治体の皆様方にも御負担をかけますけれども御努力をいただきたい、我々厚生労働省としても、最大限、いろいろな手順や、あるいはそういう措置というのをしていきたいというふうに考えております。

橘(慶)委員 ぜひ、一〇〇%ということのないように、よろしくお願いをしたいと思います。最大限ということは、その外があるということでありますので。

 それでは、この六月末支給ということが第一回目ということになります。これはいつから用意ドンということになっていくかわかりませんけれども、当然、市町村なんか、私の地元を見ておりましても、まだ法案ということになっていませんから、これからいろいろな広報なんかをして、もちろん、マスコミ等ではかなり話題になっていることでありますが、周知をされたり、それぞれの対象者の方に窓口へ来ていただいたり、そしてまた準備をして振り込みということになるんだと思いますが、そういったことの市町村の事務処理のスケジュールというのを、国としてある程度想定されておりますでしょうか。それから、ソフトウエア開発とか、こういったこともありますので、その辺の大体の段取り、どのようにお考えになっているかということをここで教えていただきたいと思います。

山井大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、子ども手当の支払い時期については、現行の児童手当が六月、十月、二月となっておりますので、最初の支給は六月にしたいと考えております。

 そして、市町村におきましては、法案成立後、こちらから施行通知、交付要綱を発出する予定にしておりまして、四点ございますが、第一に、まずは新規対象者への申請の案内、申請書の送付及び広報の実施、第二に、新規対象者からの申請の受け付け、第三に、支給要件の審査、第四に、手当の支給、つまり、口座への振り込みといった流れになるものと想定しております。

 この子ども手当の実施に当たっては、地方自治体の協力が不可欠でありまして、これまで全国厚生労働関係部局長会議等を活用して情報提供を行ってまいりましたが、また、平成二十一年度内に市町村においてシステム開発等が行われるよう、子ども手当に係るシステム経費として百二十三億円を平成二十一年度第二次補正予算に計上いたしました。

 六月からの円滑な実施に向けて、引き続き、まさに橘先生のような市町村の首長さんの方々、元そうであった方々の声をよくお聞きしながら、情報提供などの取り組みで最大限の支援をしてまいりたいと考えております。

橘(慶)委員 システム開発は第二次補正予算で措置されているわけですけれども、大体今どの程度進んでいるかというのを把握されていますか。これは通告していませんが、いかがでしょう。

山井大臣政務官 お答え申し上げます。

 これについてはまだ把握しておりませんが、これから把握しながら、さらに支援をしていきたいと考えております。

橘(慶)委員 やはり、システムをつくって、そのシステムが間違いがないということが大事でありますし、また、現実、振り込みというのを、簡単に言えば、六月末支給と言われるんですが、現実は、市町村は当然金融機関に、例えば一週間とかある程度前もって振り込み先を全部電磁的な記録のものにして渡さないとなかなかできない。また、金融機関においても、実際、やはり金融機関の、今度は振り込みのシステムの容量というものがあるので、どこまでにということになりますと、実際、これはかなり緻密にスケジュール的には組んでいかないと、なかなか六月末一斉にというのは問題が出てくるわけですね。それで、最初に、最大限という外側にある程度アローアンスというものも残していただかないとなかなか大変じゃないか、こういうことを思うわけです。

 要は、もし、ある程度助走期間が長い、例えば二次補正ぐらいで組まれて進めていくというようなことをされたり、臨時国会で法案の審議をされたりすれば、ある程度時間があるわけですけれども、今の場合、非常に時間的には詰まっておるということであります。

 スケジュールの妥当性ということについて、ぜひ配慮しながら頑張っていただきたいということを、もう一度、政務官、一応頑張りますという御答弁をいただきたいと思います。

山井大臣政務官 お答え申し上げます。

 確かに、政権交代後、私たち厚生労働省が一番頭を悩ませ、心を使いましたのが、この子ども手当の支給というのは市町村がやっていただくわけですから、ただでさえ市町村というのは今非常に事務が多くて、御苦労をされているわけであります。

 そういう意味では、やはり、今回のシステム経費を第二次補正で支援したことも含めてですけれども、市町村の声を聞きながら、最大限の支援をこれからもしていきたいというふうに考えております。

橘(慶)委員 実は、第二次補正でやられますと、市町村でいいますと三月議会に、要するに補正予算として上程していくわけであります。そして、議会で議決されないとそれが執行できないということになると、執行、いわゆる契約ができるのは実は三月末になるという問題なわけですね。確かに国会では一月の終わりに通っているわけですけれども、それでは、実はタイムラグとしてはそれだけどうしても、議会と議会ですから、それぞれ議会でやっていかなきゃいけないので、要は時間が過ぎていくということであります。

 そういったことをお考えいただきながら、鳩山政権の一丁目一番地は地域主権でありますので、もちろん子ども手当、子供の育ちということもマニフェスト上大事ではありますが、その辺の調整ということについては厚生労働省さんと総務省さんでよく考えていただいて、余り地方に負担のないように、スマートな形でやっていただきたいと思うわけであります。

 そこで、最初の、大臣にお伺いした趣旨に戻るわけですが、このガラス細工のような児童手当法と子ども手当の関係であります。

 子ども手当法の附則第二条で、二十三年度以降の制度については、検討の上、必要な措置を講ずる、このようにされたわけであります。それは、「二十二年度における」と書いてありますから、当然、二十二年度しか適用されない法律だと思います。しかし、ここで問題は、児童手当との関係を本当はどこかで整理しなきゃいけない。

 ですから、これは立法論みたいな話をいたしますが、もし、確実に児童手当というものから子ども手当に乗りかえられるという自信があれば、児童手当法の中にも、二十二年度で児童手当法をやめますよ、そういう条文だって書こうと思えば書けるんじゃないか。これは立法技術の問題ですが、この辺について、なぜ児童手当法の方にそういう同種の規定を置かなかったのか、そしてまた、また確認でしつこいですけれども、児童手当というものはもしかしたら二十三年度も残る可能性があるのかどうかということについて、大臣の御答弁をお願いいたします。

長妻国務大臣 これは二十三年度に向けて本格的な制度を実施するというようなことでございまして、そのときにはもちろん、児童手当法との関係について調整が必要になるというのは、そうなるというふうに思うところでありまして、その詳細な制度設計の中で、児童手当法についても、どこの部分をどうする、あるいはそれに完全にかわるような形にすると。

 ただ、事務のスキームについては、先ほど来申し上げておりますけれども、従来とどこまで変更するのかというような大きな課題がありますけれども、あくまで平成二十三年度は子ども手当というような形で法律の構成を考えていくということであります。

橘(慶)委員 ちょっと歯切れが悪かった部分もあったように聞こえたんですけれども、本当は、児童手当のスキームをそのまま使いながらやられるということであれば、児童手当法を変えて、目的を変えて、そして児童手当をそのまま子ども手当に乗せかえながら所得制限を外せばいいはずなんですね。その辺、やはりできれば、法体系というものが連綿と続いていくということからすれば、もう少しすっきりしたものを、特に内閣でありますので、すっきりしたものをおつくりになっていった方がいいと私は思います。

 これに関連して、今度は地方の立場で最後にどうしてもここは確認しなきゃいけないんですが、年末の四大臣合意であります。

 児童手当の地方負担分の国、地方間の調整を図る必要は認められたわけであります。しかし、ここも歯切れが悪い。やはりマニフェストどおり国が全額負担するんですということでもなければ、あるいは地方六団体からもそういう要望が出ているんですけれども、どうもお答えとしてそれは、原口大臣も入った四大臣合意ではありますけれども、もう一つ歯切れが悪い。何か違ったことになるのかな、そういう何か、いわゆる霧が晴れていないという印象をどうしても持つんです。

 ここはやはり地方六団体の声を聞かれて、あるいは、当初のもくろみどおりということであれば、子ども手当全体の設計を変えなきゃいけないかもしれませんけれども、やはり国が負担をするという当初の考え方を貫かれた方がいいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。大臣の御答弁をお願いいたします。

長妻国務大臣 まず、これは昨年十二月、四大臣合意ということで、合意書というのもございますけれども、基本的には、その財源については平成二十三年度の予算編成の過程で検討していくということになります。

 ただ、そのときに、子ども手当だけではなくて大きな改革も俎上に上るということでございまして、幼稚園と保育園の一体化ということも一定の決着を図るというようなことの議論の中で、では、そちらの方の運営費をどういうふうにするのかというのも大きな焦点になると思いますので、それとあわせた議論の中で、我々は、地方の御理解もいただいた上で、財源、財政構成というのを確定していきたいと考えております。

橘(慶)委員 これで前半の部分が終わるわけですが、全体として申し上げたいのは、やはりこういう一つの政策目的は理解できるんですが、これを実現していくための手段なり立法ということについてはもう少し工夫があっていいんじゃないか、あるいはもう少し慎重であっていいんじゃないか、こういうことを私どもの会派も申し上げていると思いますが、そこがあるということ。

 後段の方へ移らせていただく中で、今ほどおっしゃった、例えばこれからいろいろな制度、システムを変えていく際に、いわゆる交付税の問題、あるいは交付金の問題、補助金の問題、いろいろありますが、必ずしも、今よく言われている全部一括交付金にすればいいとか、そういうことにはならないということも少し指摘をさせていただきながら、そしてまた、現物給付に係る財源としてはかなりの財源が必要であることを指摘させていただくという意味におきまして、後半二十五分間、今度は真に求められる少子化対策ということで、幾つかの論点について議論をさせていただきたいと思います。

 最初は、冒頭でございますが、ここは特に、何かを責め立てるとか、そういうことではございません。大臣からは、少子化対策について、現金給付、現物給付、ワーク・ライフ・バランス、三要素を適切に組み合わせた形でやっていかなきゃいけないという基本的な認識を示されているわけであります。

 そこで、大臣、現物給付について、大臣なりに、どういうことが重点課題であるか、ここは自由答弁で結構でございます、お答えをいただきたいと思います。

長妻国務大臣 やはり現物給付といったときに、保育サービスということと、もう一つは、医療のサービスも、今ほころびが見えているものを拡充するということが大きな柱だと思っております。

 その中で、御存じのように、少子化対策のビジョンを五カ年計画で発表させていただき、保育サービスについては、毎年五万人分定員をふやしていく。あるいは、病児・病後児保育とか延長保育サービスとか、あとは放課後児童クラブについても拡充すると同時に、小児科については、非常に医療崩壊の象徴としても言われておりますので、その部分について診療報酬改定で手厚くする。あるいは、新生児の集中治療に、NICUですけれども、これも診療報酬をつけて、あるいは後方支援のベッドについても新たに診療報酬を創設するなどなど、手厚い仕組みをとっていきたい。

 そして、もう一つは、不妊専門相談センターということで、お子さんが欲しいけれども、そういう医学的な理由で妊娠がままならないという方に対する相談、対応ということも拡充をしていきたいと考えております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 保育所の待機児童問題というのは、実は私は、これは自分の恥ずかしい話ですが、私の地域ではなかったものですから、なかなか実感としてわからなかった。東京であるところへ行って、ようやく、どういうことかということがよくわかってまいりました。何せ保育所を統合しなきゃいけないような地域なものですから、つくるということがなかなかイメージとしてわかなかったということであります。

 しかし、地方では、今大臣御指摘のように、小児科医、例えば私のいた市などでは、全然新しい開業がないんですよということを医師会の方から言われたり、やはり非常に、お医者さんどこにいるのというのは深刻な問題であります。

 この医師不足の問題ですけれども、平成十六年度に新臨床研修制度というものが導入をされて、それで一気にこの問題が顕在化したなという印象を私なりに持っております。

 自治体病院というものを任せられておりましたので、ハードの問題よりむしろソフトの、お医者さんがいればもっといろいろできるんですよという声を院長先生からよく聞かされて私も仕事をさせていただいたわけですが、新臨床研修制度自体は、いろいろな経緯で、これはよかれということで大改革をされたことは理解しております。しかし、大改革の関係のための副作用として、余り認識されていなかった副作用がここへ出ているように思うわけであります。

 この一連の流れについて、大臣の御見解といいますか、省としての御見解をいただきたいと思います。

足立大臣政務官 お答えいたします。

 先ほど、大臣から診療報酬のことについてもお答えがありましたけれども、私、一つつけ加えるとすれば、子供あるいは思春期の心のケアについてもかなり評価をしたということを一点つけ加えさせていただきたいと思います。

 今の委員御指摘の点ですが、新臨床研修制度、これ一つが原因であるとは考えておりません。いろいろ複合的な要素があるんだろうと。私どもなりに整理しますと、大きく五点はあるであろうと思います。

 一つは、議員がおっしゃるように、この制度によって大学の医師派遣機能が大分低下してしまった。具体的に言いますと、平成十五年度は大学に約七二%がいたのが、二十一年度では四七%になってしまった。これが一点目。

 それから、産科、小児科というお話が今ありましたけれども、多分、それに周産期や新生児ということも加えていただきたいと思いますが、それらの科の先生方の過重労働の状況がある。

 それから、今申し上げました科に関しては、女性医師の比率が非常に高い。この方々が、M字カーブと言われますけれども、結婚、妊娠、出産を機に職場から離れられるということが大きな要素であろう。

 そして、医療に係る紛争の増加、訴訟を初めとする紛争の増加が、これも拍車をかけている。

 そして、もう一つ挙げさせていただきますと、国立大学が独立行政法人化になったこと。同時になりました。これについて、労働条件等、さまざまな改善が進んだことが、また大学に人がさらに必要になったということがそれに拍車を加えて、地方の方、地域の方の医師が不足していった、そのようにとらえております。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

橘(慶)委員 いろいろな要因とは言われるわけですが、やはり、きっかけとして新臨床研修制度導入ということが引き金であったということは否めないかと思います。

 きょうは、この委員会に一つ資料を配付させていただきました。これは実は、私はお礼を申し上げなきゃいけないんですが、医事課さんと随分やりとりをして、こういうふうにまとめていただいた資料であります。

 これは、医師の国家試験の合格者数、いわゆる大学周りというのは大学の学生さんと思ってください、その人たちが、合格した方々と、その都道府県でどこにいわゆる研修医として採用されていったかというものをまとめていただいた資料であります。

 もちろん、行き来した部分もあるかもしれませんが、ここで見てとれるのは、やはり大都市圏あるいはその周辺部に非常にお医者さんが集中をしているということであります。そして、どちらかというと地方圏、特に日本の西部、南部といった方ですかね、こういうところでは、大学の定員に比べて若いお医者さんの残る割合はやはり非常に少ないなという感じがあるわけであります。

 厚生労働省さんにこの資料をつくっていただいたことのお礼を申し上げながら、であれば、やはりこういったことからして、都道府県募集定員に新基準を適用されるという二十二年度からの取り組みは私は妥当だと思うのですが、これからどのようにそのあたりを動かしていかれるかということをお伺いしたいと思います。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

足立大臣政務官 資料の点について、ありがとうございます。

 この資料は、都道府県にある大学の卒業生がその都道府県にとどまったかどうかという比率でございますので、一概に、自分の研修先を選ぶという自由選択の中で、その都道府県にとどまるということが最も重要なことかどうかというと、多少語弊があるかと思います、職業選択ということに関して。

 それで、言わせていただきますと、議員御指摘の件は、二十二年度、つまり今もう既にマッチングした件と、それから今後、来年度の話が二つあると思います。どちらも医道審議会の臨床研修部会というところで議論をいたしまして、まず二十二年度、つまり今もうマッチングが終わったところについては、地方の都道府県別に定員の上限を設けましたけれども、激変緩和措置ということで、前年度の研修内定者数を下回らないように、こういう制度を設けました。

 そして、二十三年度の募集についても、もうそろそろ決めなければいけない時期にございますので、今実はパブコメをしている最中ですが、二十三年度についても、その中では激変緩和措置をそのまま継続するという形で、都道府県の募集定員がかなり下回ることのないようにというふうに考えております。

橘(慶)委員 今大事なポイントをおっしゃったわけで、やはり一人一人のお医者さんにとっては、当然、職業選択の自由があるわけですね。しかしまた一面、あまねく全国のどこにいても医療が受けられるというのは、ある意味で、後で議論していきますが、ナショナルミニマムということでもあるわけです。つまり、そこに一人一人の自由はあっても、やはりまたお願いしなきゃいけない、特に地方あたりではむしろ、今の政務官さんの意見とは異なって、もっと残れ、強制的に残れとまで言う意見も地方六団体にあるわけですね。

 そんな中で、私は、私の好きな言葉ですが、地域主権の対極にある国家主権といいますか、国としてこの国をどうしていくかというところの基本線というものを幾つかはやはり持っていなきゃいけない、すべて地方の自由あるいは個人の自由ということでは、これはまたいけないんじゃないかという思いがするわけであります。

 それはそれとして、厚生労働省さんの政務官から今お話のあった、少しずつ切りかえていく、私は、それは非常に賛成なんです。私は、カーブはゆっくり切った方がいいという論者でございますから。むしろ子ども手当もそういうふうに、児童手当の拡充のようにゆっくり切っていかれれば問題はないのにと。

 だから、この臨床研修医制度については上手に今進められている。なぜなら、一回、十六年度にビッグバンをやった。そのことについての今手当てをする際に、急にまたカーブを切りますと、また変な副作用が出る、都会で問題が起きる。だから、ゆるゆるやられるのは大変大事だと思います。ただ、PDCAサイクルということでありますから、実態把握ということもまた大事だと思います。

 この後どう取り組まれるかということをお願いいたします。

足立大臣政務官 医師数のことにつきましては、看護師さんもそうですが、私どもは、養成と確保ということが大事だろう、そして活用していくということが大事だろうというふうに考えております。

 そのような中で、養成数は、来年度の募集は八千八百四十六名、史上最多になるわけでございます。と同時に進めていることは、先ほどちょっと申し上げませんでしたが、地域枠というものがかなりふやされております。この地域枠というのは、卒業後もそこにとどまっていただいて、働いていただく。そのことにつきましては、これから協議会を設けて、どういう割り振りにしていったらいいのだろうか、それは各都道府県ごとにしっかりした協議会が必要であろうというふうに私は考えております。

 そんな中で、今、医師全般についての実態調査のことがございました。これは今までの答弁でも何度もお答えいたしましたが、新年度早々、各地域ごとに、どのような科の医師が今実際どれだけいるか、そしてその必要数はどれほどであるのか、これを正確に調べたい。その中には、週一回の方、あるいは短時間労働の方、あるいは男女比、いろいろな働き方の医師の方がいらっしゃるので、それを正確に把握する。夏ごろにはそれを出して、これは多分、非常に大きな調査になると思いますので、まずはその実態を把握していくというのが来年度前半の大切な仕事だ、そのようにとらえております。

橘(慶)委員 ぜひ、これは実態をよく見ていただきたいと思います。最初は二年間の研修期間が終われば戻ってくるさという話だったのが、戻ってこない。どこかにお医者さんがたまっている。それがたまったままに、今度は医学部の定員をどんどんふやしていきますと、もともとの話としてお医者さんがある日過剰になるかもしれない、いろいろな問題をはらんでいると思います。ぜひここはしっかり実態把握をお願いしたいと思います。

 次に、妊婦健康診査の方へ移らせていただきます。

 十四回すべてを無料化するということに際しまして、二十一年度の補正予算において、国が暫定的に基金と地方交付税で措置したわけであります。二十一年度の補正予算で基金の対応をいたしましたので、二十二年度については、その基金を取り崩していけば、地方としてはそれで賄えるということであります。

 しかし、今まで五回地方交付税で措置されておったものを、一気に十四回に拡充をしておるわけでありまして、もちろん、これは大変現場では喜ばれる、妊産婦さんにとっては朗報であったということであれば、二十二年度までの暫定措置ということにはなかなかならない。二十三年度になったらまた払ってくださいというのは非常に難しいと思います。

 そういった意味におきまして、この現物給付、大変金額もかかると思うのですけれども、引き続き、続けていただかなければいけないと思うわけであります。そのお考え、二十三年度以降どうであるかということ。

 そしてまた、交付税措置ということはあるんですけれども、後でまた申し上げますが、交付税だと、やはりどこからどこへお金が措置されているかというのは、市町村の立場でいうと、わかるようでわからない問題があります。交付金化してはっきりと厚生労働省さんの予算で対応されるべきではないかと思うわけですが、二十三年度以降の対応をお伺いいたします。

長妻国務大臣 今おっしゃっていただきましたように、基金でやらせていただいているわけでございますけれども、やはりまず大原則は、妊婦さんが健診費用の心配をしないで必要な回数、十四回程度の妊婦健診を受けられるようにするということがまず重要だというのは、私もそのとおりだと思います。

 では、それを二十三年度以降どういうところの考え方で財源負担ということに関しましては、これは、事業主体である市区町村における妊婦健診の実施の状況を、我々がもう一回、どうその後基金が使われ、運用されたのかというのを把握していった上で、今後財源のあり方を含めて検討するということで、今のところは検討課題となっておりますが、その十四回の妊婦健診ということの重要性というのは、これはもう地方、国、共有していると思います。

橘(慶)委員 これを続けていくためには、やはり数百億円はかかることでありますので、そういった予算圧力というものは来年またあるということを理解いただきたいなと思うわけです。

 そこで、交付税の方に一応措置されているわけですが、算定に具体的にどう反映されているのか、技術的ですけれども、確認をさせていただきたいと思います。お願いします。

金澤政府参考人 妊婦健診の助成に係る経費につきまして、地方単独事業として地方財政措置をされておりました五回分に追加した九回分につきましては、国二分の一、市町村二分の一という費用負担割合でございますが、保健衛生費の単位費用に算入をしているところでございます。

 具体的な金額で申し上げますと、交付税の標準団体、人口十万人規模の団体を標準団体としておりますが、その団体で六千七百万円、このうち二十一年度に拡充された分については二千五百万円という措置額になります。平成二十二年度におきましても、同様の措置を行うことを予定しております。

橘(慶)委員 十万人の自治体で、二十一年度で二千五百万円という数字をいただきました。

 ただ、地方交付税の場合は、そういった積み上げとは別にまた地方財政計画で総額が決まるということがありまして、これだけ地方交付税措置したからといって、その金額がずばり市町村にそのまま一対一対応で流れてくるわけではないということなんですね。ですから、本当なら、地方の立場でいえば、やはり交付金化などして、厚生労働省さんの意思としてはっきりやっていただくとすっきりする、ただ、そうなると、また財源としてはそこへよかしていかなきゃいけないものがある、そういう意味であります。

 次に、乳幼児等医療費の公的負担の問題に移ります。

 これは、子ども手当という話もあるけれども、例えば医療費の無料化とか、こういうところを一律にした方がいいんじゃないかという代替的な提案も会派によってはあるわけであります。

 ここは、一度ぜひ皆さんに御認識をいただきたいのは、きょう、資料を持ってまいりました。乳幼児等医療費に係る公費負担事業実施状況ということで、これは児童家庭局母子保健課調べの非常に細かいデータですが、これを持ってまいりました。

 私がここで申し上げたいのは、ナショナルミニマムは何か、こういう問題になるわけであります。

 都道府県におきまして、通院において、三歳未満までの措置のところから、東京都のように、済みません、裕福なと言っては失礼ですが、団体では、中学生まで、十五歳末まで全部無料だとか、このように、同じ日本の中で極めてばらついた状況にあります。これは実は、都道府県として右に書いてあるんですが、これをまた受けて市町村で独自に上乗せなどもされるものですから、この左側に、市区町村でもこのように、就学前のところ、あるいは小学校三年生まで、小学校六年生まで、あるいは中三までということで、非常にばらついておるということであります。

 世の中、マニフェスト選挙ということがやはり自治体などにも波及するわけで、よく首長選なんか見ておりますと、ここの部分で、いや、今度は私がなったらこうします、ああします、こういう議論が花盛りなわけですが、私は、これがナショナルミニマムでないということが果たしていいことなのかどうなのか。基本的な今までの御答弁では、地方の自主性、地方単独事業でどうぞとおっしゃるんですが、それが本当に妥当なのか。同じ日本の中で、お医者さんにかかってお金を払う人と払わない人、それが三歳未満から十五歳まで、そういうことにばらついていいのかどうか。

 大臣は、ナショナルミニマム研究会ということもされるとお伺いしておりますが、このあたり、御感想も含めて、ここでお答えをいただきたいと思います。

長妻国務大臣 まず、前提といたしましては、御存じのように、平成二十年度からは、これは国として、全国一律で小学校入学前のすべてのお子さんの医療費については自己負担が二割ということにさせていただいております。これが国一律の、ある意味では最低限度の基準である。

 やはり、地方自治体がいろいろな財源を使って住民サービスをしていただくという中には、もちろん、それに上乗せをしていくということが住民サービス、独自性ということでありますので、私はそれを全部否定するものではございません。上乗せにつく住民サービス、そして、それが非常にいいサービスであればほかの自治体もそれを取り入れていくということで、自治体間の視察というのも今も頻繁に行われているところでありますので、そういう意味では、最低限度を上回るいろいろなサービスを自治体ごとにされていくということについては、私はもちろんとめるものでもございませんし、参考になるものは国が取り入れるということもあってしかるべきだと思います。

橘(慶)委員 基本的なお考えとしてはそれでもいいんですが、物にはやはり程度問題というのがあると思います。ある程度、それは当然、皆さんがさまざまに個性を出す、努力される、これはいいことかと思いますが、これで見ていきますと、例えば多摩川を渡って多摩川の東と西で違う、江戸川を渡って江戸川の西と東で違う。そういうことが果たして、それは住民の人のせいでもありませんし、しかも二割とゼロということですから、これもかなり違うわけですね。

 そういったものにある程度統一的な、例えばみんな全国一律で一割にしちゃいますよとか、いろいろな方法があってもいいんじゃないか。特に、入院ということになれば大きく違ってくるわけですから、こういったものにある程度、全国的な基準というのを持たれてもいい、それはナショナルミニマムにされてもいいんじゃないか。それもまた、命を守る、あるいは子供の育ちを応援するという意味では大変大事なことではないか。要は、よりお困りの方により手を差し伸べていくということは、例えば入院なんということを考えたら、非常に大事なことではないかと思うわけであります。

 これをぜひ指摘させていただくわけですが、もう一問、ここで、今度は逆の意味から申し上げます。

 実は、いろいろな行政サービスあるいは医療サービスを受ける際に、ただということは必ずしもいいことではないんですね。やはり負担というものはある程度していただかないと、それは、ただということになれば何でも、よく言われるコンビニ受診という言葉もありますが、本当は家庭配置薬でも治るような病気でも、ぱっとお医者さんにかかってしまう。それは今度、いわゆる保険制度全体を運営されている厚生労働省さんとしては余りうれしくない現象ではないかと思っております。ここには本当は、所得制限とか一部自己負担という議論は当然あり得べきことだ。

 この辺についての、例えば医療費適正化という観点からはどのようにお考えなのか、ここでお伺いをしたいと思います。

長妻国務大臣 これは非常に難しい問題で、ある意味では永遠の課題とも言える話だと思います。

 例えば、乳幼児の医療費を全額無料にした場合、不要不急の小児科受診が増加するのではないかという御指摘があるのも事実でありますし、その一方で、負担をできる限り軽減してほしいと。

 では、患者さん自体が、これは大したことのない病気なのか、かなり重大なのかというのをなかなか判断できないという現実もあって、診療側から見ると、ああ、このぐらいは御自宅で休めば治るのにと思っても、患者さん自身はやはり重大な病気だと思われておられるということもありますので、これはなかなか、軽々に決めつけるのは危険ではあるものの、やはり物には限度というのがございますので、実際にどういう状況になるのかというのも実態把握をした上で、全国最低基準を二割に二十年度からいたしましたので、その後、ほかの自治体がされておられる施策ももう一度検証しながら、その間合いというのもとっていく必要があるというのは私も同感です。

橘(慶)委員 何というか、一般論でのお答えに終わってしまったんですが、やはりここについてぜひこれから考えていただいて、自治体が幾ら個性を生かすといっても、地産地消とか産物とかそんなものならよろしいでしょうけれども、医療費の無償化みたいなことで全国を競わせていくということが本当に厚生労働行政としていいことかどうかということは、私は疑問を持っております。ぜひまたよくお考えいただいて、お考えの結果についてはまた別にお聞かせいただきたいと思います。

 もうちょっとのお時間であと二つ、ぜひお聞かせください。

 まず、保育所の耐震化。小学校、中学校の耐震化はよく言われていますが、保育所の耐震化が大事だと思います。お取り組みをひとつお伺いします。

細川副大臣 保育所の耐震化というのは、子供の安心、安全のためには大変重要なことでございます。

 そこで、厚生省としましては、毎年四月に調査をいたしておりまして、現在のところ、耐震化率は六三%、公立が六一%で、私立が約六五%という状況でございます。

 そこで、全国の児童福祉主管課長会議などを招集したときに、この耐震化率について、未整備のところについては十分に整備をするように、こういうお願いもいたしているところでございます。

 そして、私立の保育所につきましては、この耐震化の、例のこども安心基金というのがございまして、そこから財政支援の方もいたしているところでございます。

 今後、未整備のところにつきましては、政府としては、しっかり整備をするように、調査とそしてお願いもしてまいりたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 何とか、紙が来る前に最後の一問、できました。ありがとうございました。ああ、来ましたか。ちょっと早かったですね。

 日本脳炎の予防接種、今、中止されておりますけれども、これは再開の見通しのようであります。これについてどうするのか、そして、市町村への負担がかなり大きくなるわけですが、その手当てをどうお考えになっているか、最後にお聞かせください。

足立大臣政務官 簡潔にお答えいたします。

 先生の質問主意書には、余り内容に触れた答弁はできませんでした。それはなぜかといいますと、中間取りまとめをしているところで、三月十五日にその案に基づいて議論をするということでございますので、まだ書き記すことはなかなかできない。

 今、大体何を検討しているかというところだけ申し上げますと、ワクチンが、新たな細胞培養のものが認可されて、これを勧奨するのをどこにするか、その年齢で、議員御存じのように、第一期のところにやるべきだということなんですが、ワクチンにはやはり量に限りがあるから、どこに勧奨して接種するか限定しなければいけない、それが定まっていない、ということは、その後の財政支援についてもまず定められないということで、そういう議論を今やっている途中であるということでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 要は、いろいろな現物給付にいろいろなお金がかかる。日本脳炎だって、今から打っていない人を打てばまたお金がかかる。ですから、今、子ども手当だけということではなくて、いろいろなことにやはり財源を上手にお使いになった方がいい、そしてまた、そうしないとみんなが困るということをぜひお考えいただいて、ことし、あるいは来年、もう少しいろいろなことを検討いただきたいということをきょうは申し上げたかったわけであります。

 質問を終えるに当たりまして、私、一言。この質問をつくる上では厚生労働省さんに随分いろいろなことを聞かせていただきましたが、大臣、大臣のスタッフは大変優秀でございます。そのことを最後に申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございます。

藤村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先ほどの総理質問に関連をしまして、資料を、同じものの続きを使いまして、保育問題に絞って質問を行いたいと思います。

 先ほどは、総理に対して、十二月七日の厚労省の数字を伺いました。すなわち、認可保育所で十九件、認可外保育所で三十件という死亡事例が、平成十六年から二十一年までの五年間のデータであったということであります。

 資料の四を見ていただきたいと思います。これは昨日厚労省からいただいたものですが、ここには平成八年度からの数字がございました。十三年間で見ますと、認可保育所で三十五件、認可外が七十七件もの死亡事故があったことがわかります。

 最初に山井政務官に伺いますが、このデータの意味を教えてください。

山井大臣政務官 高橋委員にお答え申し上げます。

 この四ページ目のデータの意味でありますか。これは、認可外保育施設の方が二倍以上死亡事例が多いということであります。

高橋(千)委員 そういうことではなくて、十二月七日にデータを受けた時点では、なぜ五年間のものしか出ないのか、これでは全然、経年変化と、先ほど私が指摘した規制緩和との関係ですとか、そういうものがほとんど見えてこないのではないか、厚労省はそういうデータがないのかという指摘がこもごもされてあったと思うんですね。

 ですから、実は平成八年度からの数字はあったのだ、では、本当はもっとあったんだけれども、もう処分をされていたのかどうか、具体的にお伺いします。

山井大臣政務官 お答え申し上げます。

 お子さんがお亡くなりになられた方々にも直接私も要望でお目にかからせていただきまして、ぜひ真相を究明していただきたい、さらなる調査をしてほしいという切なる要望を聞きまして、過去五年間にさかのぼって調査を初めてさせていただきまして、それを十二月七日に発表させていただいたところでありますが、その際には、市町村の書類の保存年限の関係などもありまして、それより古いことになりますと、市町村の保存年限を超えているところもありますので十分なデータがないとか、それに、どういう書類の形式によって報告するというのが、長妻大臣の指示でことしの一月からは統一書式を決めましたが、それまでは決まっておりませんでしたので、そういう体系的な調査ができないということで、過去五年にさせていただきました。

高橋(千)委員 それにしても、やはりある数字は出すべきではなかったのか、このことはまず指摘をしておきたいと思います。

 そして、先ほど紹介をしたように、五の赤ちゃんの急死を考える会の調査の意味をやはり本当に考えるべきだ。要するに、行政というルートがない中で、みずから新聞の報道記事や漏れ伝え聞いたことを頼りに、現地に行ったりして調査を集めたものである。ですから、もしやこの数字というのは、もっともっとその周りにあるだろうということが当然言えるわけです。しかも、死亡事故に限っておりますので、死亡には至っていないけれども、逆に、植物状態という形で後遺症と闘っている、そういうお子さんもいらっしゃるわけです。そうした実態を本当に見るべきだ。

 今、いかにも認可外だけが大きいということが問題のように言われますけれども、七〇年代に百七件も、三けたの事故があった、そういうことを考えれば、なぜここからもっと調査がえぐられてこなかったのか。また、二〇〇〇年代に入って既に二十二件、これは全体の三割を超すまでに認可保育所の中で事件が起きている。これを本当にどう受けとめるのか、対応が問われると思うんです。そういう角度からきちんとした調査をするつもりがあるのかどうか、もう一度伺います。

山井大臣政務官 高橋議員御指摘のように、本当に、私も当事者の方にお目にかかりましたが、やはりこういう過去の反省をもとに、どう改善していくのかということが非常に重要なことであります。子供の安心を信じて預けた保育所で、子供の命が失われたり、また、病気やけがが悪化するということがあっては決してならないと思っております。

 そういう趣旨も踏まえて、先ほども答弁しましたように、一月十九日の、今回長妻大臣の指示で出しました課長通知におきましては、ここにも書いてありますけれども、事故の報告様式というものをきっちり定めまして、今後は、そのような事故があったときにはきっちりとこういう報告が上がってくるようにして、再発防止に努めたいというふうに思っております。

 さらに、これを見てみましても、認可外を利用している方が十分の一ぐらいであるにもかかわらず、十倍以上の方々がお亡くなりになったという死亡事故が起こっているということは、本当にけた違いに認可外の方が死亡の危険性が高かった、これはそういうふうな非常にショッキングなデータであったと思っております。

高橋(千)委員 そこで、資料の六に、今紹介いただいた事故報告様式、一月十九日に厚労省が通知をしたものである。もっと早くこうしたことができればなと思いますけれども、しかし、保育の実態ですとか症状などを詳しく書く、また、そのときの発生状況などを詳しく書くようになったということは、やはり会の提言を受けてそういう調査に乗り出したんだろうということで、多としたいと思います。

 問題は、赤ちゃんには、自分の身に起こったこと、何が起こったかを証言することができません。顔に傷がある、唇を本当に傷がつくほどかんだ跡があり、もがき苦しんだことがわかる。我が子の変わり果てた姿を見て、親たちは、何が起こったのか、真実を知りたいと思います。しかし、経営者は、頻繁に様子を見ていましたと平気でうそをつき、SIDS、突然死です、だから園にも市役所にも責任はないと言ってのけることが多かったのであります。

 大臣の問題意識を伺いたいと思います。まず、事実を隠すということを何としても防ぐ、このことをまずどうやっていくのか、それから、きちんと原因も調べずに、すぐに突然死だという都合のいい理由で片づけるということはきっぱりやめるべきだと思いますが、伺います。

長妻国務大臣 ことしの一月から詳細な調査票に書いていただくということでありますけれども、今おっしゃられたように、その調査票に本当に誠実に書いていただけないということがある場合は、我々としてはどう把握するのかということにもつながると思います。

 基本的には、やはりまずはその調査票、上がってきたものを分析して、そして不明な点があればこちらからも積極的にお問い合わせをする、そして、こちらからも実際にお話を聞く必要があるときは聞くというような積極的な姿勢がまず一つだと思います。

 そして、もう一つは、保育所長などに、管理者に対する研修の中でそれを徹底するような研修もしていただきたいというようなこともお願いをしていく。あるいは、事故が起こった場合、親御さんにどういうふうな説明をすべきで、どう対処すべきなのかというようなことも、ほかの保育所の事例も含めて、研修の中で徹底させていただくというような取り組みをしていきたいと考えております。

高橋(千)委員 今、研修ですとか直接見ていきたいというふうなことをおっしゃったと思いますけれども、やはり、また紙が来たとか、また調査がふえたというような受けとめで終わらないような、本当に政府の姿勢というものが大きく打ち出されることが必要だと思います。また、そのための、先ほど来認可外の問題もありますけれども、監督権限の強化の問題ですとかもやはり検討しなければならないのではないかと思います。

 資料の三番目に、一番新しい、ことしの一月に起こった事故ですけれども、郡山市の無認可保育園で、やはりうつ伏せ寝で一歳児が死亡したという事件、刑事告訴を両親がされたという記事を載せております。実は、ここに、この園で働いていた保育士の陳述書がございます。全部は読めないので、一部紹介します。

 この亡くなった赤ちゃんを担当していた保育士が、赤ちゃんを後ろから抱きかかえ、うつ伏せ寝にし、その上からバスタオルをかけ、さらに厚手の毛布で頭の上から足の先まですっぽり隠していたこと、とんとんと背中をたたいて泣いていた赤ちゃんが静かになると、さらに円柱形の、これは一メートルくらいあるんですが、重いまくらを背中の上に二つ並べたということを証言しています。赤ちゃんがその後ぐったりし、食事の途中だったので、離乳食が口と布団の間にへばりついて呼吸をふさいでいた、そういう様子が後でわかるんですね。

 ところが、この保育士は副園長から、五分に一回は赤ちゃんの様子を確認したと言いなさい、まくらは乗っけていない、顔は横を向いていたと言いなさいと迫られます。夜の緊急職員会議では、きょう起こったことは口には出さず、自分の心の中にだけしまっておきなさいと全職員に述べたそうです。証言では、この赤ちゃんが亡くなってしまったこと、副園長からうそをつくように指示されたことがショックで、その日の夜は涙と吐き気と偏頭痛がとまらず、一晩じゅう泣いたり吐いたりしていましたと述べています。

 この方の勇気は本当にすごいと思う、しかし、退職しなければ証言もできなかったわけです。証言は、事故の状況だけではなく、この園が人手が足りなく思ったということ、食事の途中でも泣き出すと無理やり寝かせつけるとか、保育のやり方にも問題があったこと、保護者と保育者が直接会わないようにさせていたことなど、問題点をるる指摘しています。

 大臣に伺います。事故を検証するということは非常に難しいことです。また、このような証言を得られるということは非常にまれだとも思います。しかし、通報者を本当に守ること、そういう中でこうした透明性を図るということが、どうしても向かっていかなければならないと思いますが、見解を伺います。

長妻国務大臣 これは、事故が一〇〇%起こらないようにするというのが基本でありますけれども、万が一事故が起こったときにはきちっとその状況を包み隠さず公表して、そして、再発防止に努めて二度と事故が起こらないようにするというのは、これはもう当然のことであります。

 その前段として、これは国にも基準というのが保育所運営でもございますし、地方自治体の指導もありますし、それについて適正にしていくということと、あとは、先ほども申し上げました、やはり意識を持っていただくということで、保育に携わる管理者の方の研修等を通じて、何しろ、安全第一、事故が起こらないようにする、そして、親御さんにも十分に保育の中身をガラス張りにしていく、いつでも親御さんが気づいた点を指摘できるような体制にするなどなど、透明性の確保というようなことを研修を通じても徹底するというようなさまざまな取り組みの中で、事故が起こらない体制をつくるということが必要だというふうに考えます。

高橋(千)委員 例えば、認可外保育所の、今おっしゃった基準でいいましても、六割以上が基準に合致していないというふうなデータがあるわけであります。この中身が、基準に合致していないといっても、さまざまあるわけですよね。例えば、窓ですとか換気ですとか、そういうのが足りないということから、本当に子供の安全にかかわるものまで、さまざまあるわけです。

 そういう実態をきちんと検証していく、明らかにしていく、そしてその上で、もっと必要な権限を強めていくということもやらなければならないと思います。と同時に、それでもやはり不十分なことを補わなければならないことがあるのではないか。

 公立保育所でも、もはや例外ではなくなっています。赤ちゃんの急死を考える会が〇八年六月にまとめた公立保育園や認可園の死亡事例集を見ても、例えば、鳥取県の町立保育所で、一歳四カ月の男児が押し入れの中にあったいすに挟まって窒息死をしている。このいすというのは牛乳パックでつくったいすで、そのいすの角と押し入れの天井に頭を挟めて窒息死をしたということが認められた事件であります。また、同じ牛乳パックのいすから転落して死亡したという事故は、土佐市の市立保育園でも一歳男児でございます。溺死など、さまざまあります。

 こうしたものを見ていきますと、この中には、保育士がちょっと目を離したすきに事故が起こっている場面も非常に多いと言えるのではないか。あるいは、経験もない若い保育士が、引き継ぎも満足にされない、そういう立場の中で、ゼロ歳児、一歳児に食事を与え、目の前でリンゴのスティックを詰まらせて子供が死んでしまう、そういう事件も起こっております。

 もっと人手があれば防げたのではないか、ゆとりがあって互いに連携し合えるという環境にあれば防げたのではないか、そういう事故もあるのではないかと思いますが、人員確保の点について伺います。

山井大臣政務官 お答え申し上げます。

 介護においても、医療においても、教育においても、保育においても、まさに現場のサービスの質を決めるのは人であります。人の数と専門性だと思っております。

 そういう意味では、今回の子ども・子育てビジョンの中でも専門性の拡充というものをうたっておりますし、また、何よりも、今回の地域主権改革推進整備法案、高橋委員が一番気にされているのはこの点ではないかと思いますが、この中でも、厚生労働省としては、この人員配置、数の部分に関しては、遵守すべき基準として最低基準を守っていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 今、先取りして政務官がお話をされましたけれども、地方分権改革推進委員会の第三次勧告で、施設等基準について、原則すべて条例委任と。そういう中で、今おっしゃったように、居室面積、面積といってもいろいろ種類がありますが、居室面積の基準と人員配置基準などは義務として残したのだと。でも、全体で見ると、九割はまず取っ払われたということが問題なわけですね。しかも、範囲内だ、人員は守られていると言いますけれども、その最低基準は、昭和二十三年に作成されて以来、何ら改善もされておりません。

 実際のところ、例えば、乳児の基準でいうと、はいはいする前は一・六五平方メートル。はいはいし始めると三・三平方メートル、畳二畳。ですから、足して二で割って一・五畳あればいいんだと。いわゆる丸めでカウントしているというのが実態なわけですね。これは横浜市でもあった。あるいは、北九州市でも一つの布団に、さっきベビーベッドに二人の話をしましたけれども、一つの布団に三人の子供を寝かせて、大人用のタオルケットを一枚かけている。でも、最低基準はちゃんと守っているんですよ、丸めだから。こういう告発が現場からあるんです。

 これまでも、こうした丸めで基準オーケーを認めてきたのではありませんか。

山井大臣政務官 高橋委員にお答え申し上げます。

 この人員配置基準というのは一番重要なところでありますので、ここに関してはこれからもきっちり現場に守っていただくようにしていきたいと思っておりますし、あくまでも基準は最低基準でありますので、それより上を目指していただくよう現場に努力を求めていきたいと思っております。

 さらに、今後行います次世代育成の検討会の中でも、今の人員配置基準で十分なのか、不十分なのか、そしてこの保育の質を上げるためにはどうすればいいかということを議論していきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 今政務官から、最低基準である、それより上を目指すのだという答弁がございました。

 それを大臣にもきちんとお答えいただいて、総務省に対して、厚労省は最低基準は撤廃しないのだと言ってもらわなければなりません。要件を緩和したり、定数の上限を取り払って子供を詰め込んで、そういうことをやって、それに見合う人員配置ができるでしょうか。そもそも、最低基準がなくなりますと、運営費交付金の根拠がなくなっちゃうわけですよね。

 総務省がこの間言っているのは、先日もこの委員会で答弁がございました、民間保育所の一般財源化を、子ども手当の財源としてやっていくんだと。要するに、国が出す分を地方に移して、地方負担とバーターでやる、こういうことを言っているわけですよね。これを絶対にやるべきではない、また、最低基準は絶対に取っ払うつもりはないということを、大臣、お答えください。

長妻国務大臣 国の役割というのはどういうものなのかということでありますけれども、憲法二十五条には最低限度の生活があるし、ナショナルミニマムという考え方もあるということで、すべて、最低基準も含めて地方に自由にやっていただくということだと国の役割が果たせなくなるということは、私も考えております。

 ただ、その最低基準が、先ほども指摘をいただきましたように、昭和二十何年から検証がされているのかいないのか、なかなか不明確な点があるというのも御指摘を受けておりますので、私としては、今ナショナルミニマム研究会をつくって、そういう最低基準を見直す、あるいは新たな指標をつくっていくという取り組みもきちっとした上で、やはり最低限度、これは全国どこに住んでも保障されるというような基準があって、そしてその上にプラスのオプションとして、プラスのサービスとして、いろいろ地方自治体ごとに展開をしていただくということが基本だというふうに考えております。

高橋(千)委員 最低限度は拡充こそすれ、それを取り払うものではないということ、これを上乗せしていくものだという確認がとれたかと思います。その立場で絶対にぶれることなく頑張っていただきたいということを重ねて指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

藤村委員長 内閣総理大臣が到着するまで、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

藤村委員長 速記を起こしてください。

 引き続き内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。田村憲久君。

田村(憲)委員 田村憲久でございます。

 総理、お忙しいところ、質疑のお時間をいただきまして、ありがとうございます。今、参議院の本会議が終わったばかりということで、息を切らしてこちらの方にお越しをいただきました。

 きょうは、二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案、これの審議でございますけれども、名前のとおり、二十二年度ですから、言うなれば来年度一年間の法律である。恒久法ではなくて、時限を区切った法律である。それはなぜかといえば、いろいろな理由があるんだと思うんですけれども、一万三千円、満額支給ではございませんでして、それに向けての第一歩という法律なんだろうというふうに思います。

 これは、鳩山内閣の金看板といいますか、一丁目一番地だというふうにお聞きもいたしております。もちろん、一丁目一番地が非常に多くて、どれが二番地で三番地なのかよくわからないんですけれども、我々は、一丁目一番地であろうなというふうに認識をさせていただいております。

 当然、これは二十二年度ですから、その後、満額支給の二十三年度からスタートの法律を来年度通さなきゃいけないという話になると思います。すると、鳩山内閣の金看板ですから、鳩山内閣の継続性というものが問われる。

 そこで、まず初めに、直接子ども手当とは関係ないんですが、この鳩山内閣が継続するかどうかということで、非常に大きな問題、普天間の基地の移設問題で、総理が記者からの質問に対して、五月末までに普天間基地の移設先が決まらなければ退陣するのかという問いに、一つ一つの政策の実現に向けて覚悟を持って臨む、当たり前の話だと言われたと。この覚悟とは何かというので、ここ数日間いろいろな議論がありますが、これは、当然、退陣を含めてというふうに認識をさせていただいていいのでありましょうか。

鳩山内閣総理大臣 田村委員にお答えをいたします。

 政治家はすべて政策の実現に向けて、特に、政権与党であれば覚悟を持って臨まなければならないことは言うまでもない話だと思います。

 野党の先生方はしばしば、できないとすぐに、それは退陣か、やめるのかという話でございます。私は、そのような申し方をしているわけではありません。

 しかし、政策というものは、やはり実現をされなければならない。特に、普天間の移設問題に関しては、私が五月の末までに必ず結論を見出すと。特に、沖縄の県民の皆様方の御負担の軽減、さらには安全保障の立場からのアメリカの理解、こういったものを求めて、政府として案を決めて、それの理解を求めるということを申し上げているわけでありますから、そのことは必ず実現をしなければならない、そのような強い意識を持って臨んでまいるということでございまして、決意のほどだと御理解を願いたいと存じます。

田村(憲)委員 私の質問に対してはノーだというお答えというふうに受けとめさせていただきました。退陣をするとまでは言っていない、こういうことであったんだろうと思います。

 今まで、皆さんが野党のときに、我々が与党であったときに、同じような案件で、やはり、退陣するのかしないのか、そこの覚悟はどうなんだという質問はよくいただきました。今、それをそのまま私はお返しをしただけであります。

 これは、やはりそれぐらいの覚悟を持っていただかないと、実は子ども手当も、言われているようなマニフェストを本当に実現していただけるのか、こういうふうに疑問を持つ国民の皆様方がたくさんおられると思うんです。

 なぜこんな話をお聞きするかといいますと、やはり満額支給となると、言うなれば五兆四千億円という巨額な財源が必要になってくる。今年度は、地方それから事業主の負担、これは児童手当の枠組みの中で残して、そして他のマニフェスト、幾つかありましたが、全部やらずに、中にはやらなかったものもあります、そんな中で財源を何とか捻出して、それでも四十四兆円強の公債発行をするわけですよね。税収は三十七兆円強ですから、昭和二十一年ぶり、終戦当時の大変厳しい予算になっておる。かなり御苦労されてこれをつくられたんだろうと私は思っているんです。

 そして、では、二十三年度から本当に満額になるのかという中で、総理がリアル鳩カフェなる総理の懇談会みたいなところで、私は菅さんにリアルサギカフェなんて失礼なことを申しましたけれども、このリアル鳩カフェの中で聞かれた中で、財源に応じて子ども手当の金額を考えるなどというようなことを言われたという報道が流れました。後で否定もされておられたというふうにも記憶をいたしておりますが、満額、仮に財源が、恒久財源が見つからなくてもやられるというふうに認識してもよろしいのでありましょうか。いかがですか。

鳩山内閣総理大臣 リアル鳩カフェの話は、ある意味で、政治家同士の議論ではありませんで、お子さんをお持ちのお母さん方、お父さんも含めてでありますが、その座談会の中で、むしろ、私の方から丁寧に説明をしたわけでございます。

 すなわち、今回、二十二年度の財源の部分も含めて申し上げたつもりでございます。今回、本来ならば二万六千円というのが満額である。しかし、政権をとって間がないということもあり、一生懸命財源の工面をいたしました。三兆三千億円という額を、歳出削減の中で基本的には見出してきた。その中で、最優先でこれは子ども手当に使わせていただこうという判断になったわけでありますが、それでも全額ということにはならなかった。財源というものに見合うような形でしっかりと子ども手当を支給していきたいということを申し上げました。

 そこで、その先の話を、田村委員としては御関心をお持ちだと思います。

 二十三年度以降に関しては、当然、恒久的な財源が必要だということも言うまでもない話でございます。私どもとしては、これは、行政刷新の担当の枝野大臣も登場する中で、徹底的に歳出の削減、今回は独立行政法人なども含めて行ってまいりたいと思っておりまして、そのような中で、予算の全面的な組み替えなども含めて、これからも財源を見出してまいりたい。

 国債を発行して、結果として、国債というのは子供たちの将来に負担になるわけでありますから、子供たちに対する手当を子供たちの将来の負担で賄うみたいな話というものは私どもは極力避けたいと思っております。そのような中で、しかし、できる限りそういう思いのもとで満額確保できるように努力をしてまいりたい、そのように思っているところでございます。

田村(憲)委員 来年度は税収がかなり減るという見込みの中で、言うなれば四十四兆円、我々が政権を担っていたときは当初予算で三十三兆円の公債発行費だったんですが、それを四十四兆円、十一兆円伸ばされました。

 いろいろな理屈はつけられるんだと思うんですが、それならば、四十四兆円を二十三年度は公債発行でこれ以上ふやさない、もしふえるのならば子ども手当は満額支給をしないという話なのか、それとも、いや、四十四兆円からはふやすよ、それは子ども手当を満額支給しなきゃいけないからなんだという話なのか。

 要は、今、安定的な財源をいろいろな事業仕分けで見出されると言われましたけれども、見出せなかった場合には子ども手当は満額給付はしないというような御答弁と認識をさせていただいていいのでありましょうか。

鳩山内閣総理大臣 二十三年度以降の話に関して、私たちはまだ結論を出しているわけではありません。

 満額、すなわち二万六千円を支給できるように最大限の努力をしたいということも、私どもとしては、これはマニフェストにうたっておりますものですから、お約束を果たしていきたい、その決意でございます。そして、それに対して、やはり我々とすれば、安易な国債の発行というものによらないで結論を見出してまいりたい、そのためには歳出削減というものをさらに徹底する必要があるねということでございます。

 まだ結論が出ておらないところでありますので、私の方から先走ったことを申し上げるべきではないと思っておりますので、この程度で御勘弁をいただきたいと思っておりますが、私どもとすれば、まずは二万六千円満額支給できるようにしたい、そして、それも国債発行などの安易な形によらないで結論を見出していきたいということでございまして、どうぞ御理解を願いたい。

田村(憲)委員 中期財政フレームを六月にはつくられるという話ですから、当然、これとかかわってくる話なんですね。三年後の日本の財政状況がどうかということは、当然、この子ども手当ぐらいの大きさがあれば、入れるか入れないかによってかなり結果が変わってくる。でありますから、六月までには当然結論を出さなきゃならない、そういうことでよろしゅうございますね。

鳩山内閣総理大臣 私どもは、中期財政フレームを本年前半、でき得ればというか、まず、六月までにはつくり上げたいと思っております。当然、そのころに、いわゆるマニフェストの実現に向けた道筋というものも議論をする必要があろうかと思っておりますので、歳出の部分とあわせた中期財政フレームになると思っておりまして、そのころまでにはめどをつけてまいりたいと考えます。

田村(憲)委員 六月までには、この中期財政フレームの中に入れるためにめどをつける、決定をするというふうに受けとめさせていただきました。

 ただ、この資料を見ていただきますと、もうこれ、総理は言わずもがなだと思いますが、建設国債。コンクリートから人へというお話を、菅財務大臣、得意で、よくやられます。コンクリ、公共事業が日本の国の借金をふやしてきた、これが一番悪いんだと言われるんですけれども、建設国債と赤字国債を見ていただきますと、建設国債は平成十年あたりからほぼフラットなんですね。赤字国債がずっとふえ続けてきておる。十年前、平成十二年と比べますと、建設国債は三十六兆円しか累積額ふえておりません。赤字国債は二百三十四兆円ふえているんです。

 このふえている要因の主なものは、やはり社会保障費の伸びであります。そう考えれば、子ども手当は当然その社会保障費の範疇に入ってまいるでありましょうから、ここでさらに財政圧力がかかればどうなるか。公共事業を減らすといったって、もう公共事業は五兆数千億しかないという状況でありますから、事業の組みかえ等々でこれだけのお金を捻出するというのは難しい。となれば、社会保障の中でやりくりせざるを得なくなってくるんですよ。医療にもお金がかかる、年金にもお金がかかる、介護にもお金がかかる、もちろん障害者福祉にも、いろいろなものにかかる中で、果たして社会保障費の中を組みかえしてこのような巨額な予算が出てくるかは、私は非常に疑問であります。

 そういうことを指摘させていただき、次の質問に移らせていただきます。

 総理は以前、子ども手当を配るに当たって、今、給食費なんかの未納の問題がある、こういうものに関しては、天引きといいますか差っ引くというやり方はやらなきゃいけないよねというような、そんな御発言をされたと思います。

 この子ども手当、来年度、二十二年度に関してはとりあえずそういう法律にはなっておりませんが、二十三年度以降はこの給食費、さらに言えばほかにも、民主党の皆さんとやりました例の国民健康保険の未納問題、お子さん方に対して特別立法をつくりました。今度、高校生までなんということを政府は言われておられるようでありますが、本来、子供のことを考えれば、こういうような国民健康保険の保険料も差っ引いてもいいはずなんですよね。子供のことを考えるんですから。だから、そういうものも含めて、いろいろなものを天引きされるというふうな制度設計をお考えであるのでありましょうか。いかがですか。

鳩山内閣総理大臣 これは、これから長妻大臣ともよく相談をしなければならないと思っておりますが、御案内のとおり、この平成二十二年度については、子ども手当の受給者の方々に、次世代を担ってくださる子供一人一人の育ちを応援するという子ども手当の趣旨にのっとって使用していただきたい、その趣旨をまず周知徹底していただきたいということを、例えば給食費の問題も含めて市町村方から伺ったときに、厚生労働大臣に検討の指示をいたしたところでございます。そして今、この問題に関しては、そのような周知徹底を図っていただいているところでございます。

 平成二十三年度以降、今、田村委員からお話がありましたように天引きをするかどうかというようなことは、まだ決定をしているわけではありません。ただ、これはよく言われていますように、子ども手当でお父さん、お母さんがパチンコをしているみたいなことは本来あってはならない。子ども手当ですから、子供さんのために使われるべきであることは言うまでもありません。

 したがいまして、平成二十三年度以降ということになれば、本格的な実施ということであります。そのような、いわゆるおかしな面に使われることがあってはならないと思っておりますので、制度面あるいは運用面を含めた対応ができないか、この検討をするように厚生労働大臣に対して指示したところでございまして、今後検討をされなければならない大きなテーマの一つだ、そのように認識しております。

田村(憲)委員 この点は、総理の思いはあのときの発言であられたんだと思うので、その思いをちゃんと実現してくださいよ。

 手続上のいろいろな問題はあると思いますよ。法制度上のいろいろな問題もあると思う。しかし、やはり私は、子供たちのためにこの子ども手当、配るのならですよ、ちょっと二万六千円は多過ぎるんじゃないのかなという気もしますが、ぜひとも子供たちのために使われるような、そんな仕組みを入れていただきたい。これは総理の思いであろうと私は思っていますから、それを実現しなかったら、何のための内閣かは意味がわかりません。お願いいたしたいと思います。

 ただ、今も申し上げた二万六千円という満額支給になると、総額で五・四兆円ぐらいの規模になる。これだけの金額を現金で給付するというやり方がいいのか悪いのか。

 もちろん、日本の国はGDP比に占める家族支援策というのは、世界に比べると、先進国に比べると低いというお話はきのうの参考人の皆様方からのお話にもありました。〇・八一ぐらいだと思います。うまく少子化対策、成功した国は大体三%ぐらいまで行っているという話でありますので、それを引き上げるという意味では、今回、この五兆円という、財源さえ見つかればですけれども、それなりのインパクトはあるんだと思うんですよ。

 ただ、今も総理みずから言われたように、幾ら周知徹底をしようとしても、そうじゃない親もあります。当然、二万六千円渡って、全部子供に行くかどうかは疑問な点もたくさんあります。現物サービスをふやすのであるならば、これはすべて子供たちに行くんですね。

 この資料の二枚目を見ていただくと、世界のといいますか、幾つか例を挙げております。ドイツ、フランス、スウェーデン、日本。現物給付と現金給付の比率を見ています。

 スウェーデン、フランス、子供の数がふえている国というのは、バランスが非常にいい。どちらかというと現物給付の方が多いという状況です。日本も今はそうなんですが、もともとGDP比で家族支援策、金額が低いですから子育て対策はまだうまくいっていませんが、もし子ども手当だけ、この二万六千円満額出しますと、何と七三・五対二六・五というようないびつな状況になります。横にありますドイツは、これよりは低いですが現金給付の方が多かった、なかなか少子化対策のうまくいかなかった国であります。バランスよくやるのが一番重要だ。

 そして、きのうも参考人の方々からいろいろとお話をお聞きしますと、子ども手当、反対じゃないけれども、やはり全部これを現金で渡すとなると、このオーダーだと、ううんと言われる方がほとんどでありました。これだけお金があるのならば、ほかに、じかに子供たちに使えるような現物のサービス、それをぜひとも充実してほしいな、それがほとんどの参考人の皆様方の意見でありました。

 我々自民党は、こどもHAPPYプロジェクト特別委員会というのをつくりまして、いろいろと、子供の医療費の無料化でありますとか、育児休暇の取得でありますとか、多子傾斜分を強めた児童手当の拡充、幼児教育の無償化、また保育士の待遇の向上でありますとか、さらには大学の給付型の奨学金、こういうものも含めてメニューを組んでおります。

 そして、何よりも、こういうメニューをできれば交付金で地方に渡したい。地方によって違いますよね、ニーズが。待機児童がいっぱいいるところもあれば、そうじゃないところもある。できれば延長保育をふやしたいところもある。そういうところに交付金として渡して、使い勝手のいい、最低の保育というものは国でやらなきゃいけないと我々は思っていますが、しかし、保育ママでありますとかそういうものは地方に渡そうというような、こんなことを実は今考えておるんです。

 総理、これを見て、もうほとんど世の中の識者は、子ども手当、こんなに配るのはやはり問題あるねというふうに言われているんですよ。総理、どうか、一万三千円はもうほぼ強行採決で金曜日いっちゃうんだと思うんですけれども我々は反対しますよ、二万六千円満額に関しては考え直していただきたいんですよ。考え直していただきたい。そして、もっと現物サービス、このニーズは多いですから、これの拡充の方にお金を回していただきたい。

 今、いろいろと厚生労働省でプランを考えていただいていますが、財源の裏づけがないんです。これを回していただければ、ほとんどすべてできちゃいますよ。総額でも一兆数千億ですよ、最大限やったって。今度のプラン、そうですよね。ですから、そちらの方に回していただきたいと思うんですが、いかがですか。

長妻国務大臣 まず、この表でございますけれども、こういう傾向があると思いますが、そもそも現物支給の絶対レベルが低いということで、初めに現金支給が始まったことでこういう形になるのではないかと思います。

 これは、現金支給、現物支給ともども、アメリカを除くと先進国で最も低いということで、現物支給についても、五カ年計画の中でこの整備の数値目標を出させていただいていますので、これについても、この比率が現物の方も上がるような、そういう政策に今後取り組むということであります。

田村(憲)委員 だから、先ほど来言っていますとおり、赤字国債をふやしてきたのは社会保障なんですよね。それが悪いとは言いませんよ。消費税を上げなかった、いろいろな財源も確保できなかったから、そういうことになっているんですが。

 その中で、子ども手当は配る、今の現物サービスもまた新しいプランでやる。財源の裏づけはどうなるんだ。中期財政フレームの中にこれも入れてもらわなければ、財源の裏づけがない。本当に配るんですかという話なんですよ。だから、こんな夢のような話、本当に国民の皆様方が信じるのかなと、私は今甚だ疑問に感じているんです。

 そして、二万六千円の根拠なるものが一体何であるのか、これも非常にわからない。二万六千円、これは一体何だったのか。

 これは産経新聞の記事ですけれども、ここに、全国遊説で、女性は子供や孫の話をすると目の色が変わるんだ、やっぱり子ども手当を参議院選のマニフェストの目玉にしよう、これは小沢さんが言われたという話でございます。まあ、これはちょっと以前の話なんですけれどもね。当時、小沢さんが代表だったときの話らしいんですけれども。

 ここで、では幾らにするんだというので、もともと一万六千円と言っていたあなた方のプランが、六兆円規模の子ども手当を創設しよう、割り返したら大体二万六千円になったというふうな、これはあくまでも記事ですから、事の真相はわかりませんよ。しかし、産経新聞もここまで書いているんですから、それなりの裏づけがあるんだと思います。文句があるのなら新聞社に言っていただきたいと思いますけれども、選挙目当てじゃないんですかという話になるんですよ。

 私はお聞きしたいのは、これだけの巨額な財源を使うんです、財政のこともしっかりやっていただかなきゃいけない。しかし同時に、これの効果というものをどう検証するんだ。

 この間も長妻大臣に質問をしました。大臣は何か、国民の皆さんから貴重な税金を預かって、それを使うときにはしっかりと予備的な調査をやって、効果をしっかりとそこでねらいをつけて、それができたかどうかということを今度は検証して、そしてそれを改善していく、これを必ずやらなきゃならないと言ってきたのはあなたですよ。あなたですよね。

 なのに、今回は五兆四千億というような巨額のお金を使おうとしていて、今、何の目標もないという話なんです。子供がどれぐらいふえていくのか、子供の貧困をどうなくしていくのか、そして子供の教育は、育ちは、そういうことの何の目標もない。これをまず出してください。出していただかなければ、我々は、こんな巨額な税金を使う、その第一次的な二十二年度の子ども手当法案、これに関してはやはり賛成はできないし、さらなる皆様方との議論をしなきゃならないというふうに思っております。

 総理、今の私の意見に対して、必ずこれの効果というもの、予想というものはどういうものがあるのか、計画を出していただけますか。いや、総理ですよ、総理。これは総理。

鳩山内閣総理大臣 今、田村委員からお尋ねがありました、この効果というものをしっかりと検証する必要がある、私はそのとおりだと思います。

 まず、児童手当の効果というものも検証する必要があろうかと思いますが、それをさらに拡充してさまざま制度を変えていくわけでありますから、まず初年度、半額ではありますけれども、一万三千円支給させていただくということの効果はしっかりと検証する必要がある。そして、それに基づいて、さらに我々とすれば満額というものを考えていくと、そのときの効果がどのようになるかということも、ある程度の予測はこれからはかなり正確にできるのではないか、私はそのように考えております。

 せっかく国民の皆様方の税金を使わせていただくわけですから、それを、ある意味で、必ずしも効果はなかったじゃないかと言われたくはありません。したがいまして、この二十二年度、皆様方が予算を上げていただいた後、この子ども手当というものを支給させていただく効果というものは、やはりそれなりにしっかりと私どもとすれば検証する義務がある、そのように考えております。

田村(憲)委員 計画としっかりとした検証をやっていただくということでありますから、よろしくお願いします。

 まあ、鳩山総理もいつまでも総理大臣が続くわけじゃありません。未来永劫ではありません。やがて任期も来ますし、それまでに退陣ということもあるかもわかりません。どうか、これだけの税金を使う、後に負担を残す、飛ぶハトが跡を濁さないようにしっかりとお願いいたしたいと思います。

藤村委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、子ども手当法案につきまして、鳩山総理に基本的な論点についてお伺いをしてまいります。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、私たち公明党が拡充をしてまいりました児童手当の改正における民主党の対応と本法案の関係性についてお伺いをいたします。

 現行の児童手当制度、議論が始まりましてから十年以上の年月を経まして法案提出に至って、施行に当たっては、三年間、段階的に支給対象を広げてきた、そういう経緯がございます。

 また、その後も、御存じのとおり、公明党は平成十一年十月以降、連立政権に参画する中で、一貫してこの児童手当拡充に取り組み、五回にわたって改正をしてまいりました。

 平成十二年には、支給対象が義務教育就学前までに拡大。翌年の十三年には、支給率を支給対象年齢の児童の七二・五%から八五%に引き上げる、この所得制限も緩和をし、十六年には支給対象を小学三年修了前まで、さらに十八年には、小学校修了前までに拡大をするとともに、支給率を九〇%に引き上げる、こうした所得制限の緩和。そして十九年には、三歳児未満への支給額を一万円に引き上げる、このような改正を行ってまいりました。

 この児童手当の拡充をばらまきと批判し、法改正に伴う四回のこの拡充案すべてに民主党は反対をしてこられました。このパネルにあるとおりでございます。

 総理、限られた財源の中でだれもが納得できる形で児童手当を拡充する、こうしたやり方が、現実の財源を考えれば責任ある現実的な政策の進め方ではないか、このように思います。

 そして、問題点は、本法案の内容が、公明党が拡充し、民主党がことごとく反対をしてきた現行の児童手当制度の上に成り立っているということであります。ここで私が指摘したいのは、本法案の内容が、公明党が拡充をして、そして民主党がこれほど、四回も反対をした児童手当、その上にそのまま乗っかっている形になっているこの子ども手当の制度設計そのものであります。

 質問のたびに何度も申し上げている点でございますが、児童手当法の規定に基づく給付に上乗せして支給されているこの子ども手当法案、これは、手当の名称は違いますけれども、実態としては児童手当の拡充にほかならない、こう言わざるを得ないわけであります。公明党が主導してきた児童手当制度の拡充がなければ、現政権でこの二十二年度だけでもさらに大きな財源が必要となっていたはずであります。

 現行の児童手当の枠組みを活用する本法案を提出されたわけであります。これまでの児童手当に反対をしてきた民主党の対応、これが誤りであった、このことを率直にお認めいただきたいと思います。いかがでございましょうか。

鳩山内閣総理大臣 古屋委員にお答えを申し上げたいと思います。

 私ども、野党という立場の中で、公明党さんが児童手当、それを時代的に徐々に拡充をされてきた、そのたびに、まだこれでは不十分だということで反対をしてまいりました。今、そのことに関しては、反対をしてきたということの御指摘、そのとおりでございまして、そのことを否定する何物も持ち合わせておりません。

 むしろ私は、具体的に、平成十二年から十九年の改正において、支給対象者の範囲の拡大とか、あるいは手当額の拡充、所得制限の緩和といった拡充が図られてきたということは、いわゆる子供の健全育成の面から見れば、それなりに大きな役割を児童手当は果たしてきた、そのように理解をすべきだと思っております。

 その児童手当の上に、平成二十二年度の私どもの法案はある意味でそれをさらに大幅に、所得制限を外す、額をふやす、中学まで含むという形で拡充をさせていただいたということでございまして、ある意味での健全育成の、子供の発育の意味においては思いを同じくする立場だ、そのことはやはり申し上げるべきだと思っております。

 公明党さんが努力されてこられたこういった児童手当制度の拡充の歴史というものを基礎にしながら、私どもとしては新たな子ども手当という制度を構築いたしたと思っております。ただ、平成二十三年度以降の制度設計ということになると、まだそのことに対してはこれからの議論に任す必要があるということでございますが、平成二十二年度の私どもの子ども手当に関しては、今申し上げたとおりでございます。

古屋(範)委員 総理御自身、児童手当の拡充があったからこそ今回の子ども手当法案の提出がある、こう御回答になったというふうに受けとめております。言い直せば、今回の子ども手当制度はやはり児童手当の拡充にほかならない、このことを再度指摘しておきたいと思います。

 そこで、この二十三年度以降の子ども手当についてお伺いをしてまいります。

 本法案の附則第二条には、「子ども手当の平成二十三年度以降の制度の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とあります。

 要するに、これは、二十三年度以降の子ども手当については、今総理もおっしゃいましたように、支給額や費用負担のあり方等について全く方向性が示されていないということではないか、こう私は本会議で質問いたしました。長妻大臣からは、昨年の十二月の四大臣合意を踏まえつつ、平成二十三年度予算編成過程において、財源のあり方も含めて改めて検討することとなっている、また、政府全体で本格的な制度設計に向けて検討し、改めて法律案を提出したいとの御見解を示されました。

 しかし、民主党のマニフェストでは、二十三年度以降は満額の一人二万六千円を支給する、これが国民との約束でありました。これにつきましては、ことしに入って、政府内でも財務副大臣の否定的な発言が飛び出す、総理御自身の発言にもぶれが見られます。

 満額支給するためには、五・三兆とも五兆五千億とも言われる巨額な財源が必要であります。これをどのように手当てされるんでしょうか。

 鳩山総理は、二月八日の衆議院予算委員会におきまして、事業仕分け等による無駄の排除による歳出削減努力を徹底する、このように答弁をされております。果たして、この無駄の排除によってのみ、子ども手当に係る巨額の財源を賄うことができるのか。子ども手当制度を恒久な制度として継続していくとするなら、確かな安定財源を示す必要があります。二十三年度以降において子ども手当制度を恒久的な制度とするのであれば、子ども手当の趣旨、目的に相応した制度設計を早急に示すべき、このように考えます。

 そこで、鳩山総理に改めて、この子ども手当、二十三年度以降、満額の二万六千円支給できるのか。地方負担、また事業主負担、このあり方も含めた制度設計、そして財源についてお伺いをいたします。

鳩山内閣総理大臣 古屋委員から、二十三年度以降の子ども手当に関してのお尋ねがございました。

 私ども、平成二十三年度以降、当然これは恒久的な財源を見出す必要があるということで、満額、すなわち二万六千円、国民の皆さんにお約束をした満額を支給したい、そのような思いを今持っておりまして、すなわち、マニフェストどおりに実施することを考えているところでございます。

 言うまでもありません、そのためには財源をどのように確保しなきゃならないかということでございます。

 先ほど、中期財政フレームの話もあったわけでございますが、この財源の確保に関しては、行政刷新の担当大臣の努力のもとで、独立行政法人あるいは公益法人などに対して抜本的な見直しを図っていきながら、歳出というものの削減を徹底していくというのがまず一点ございます。それとあわせて、予算の見直しも徹底して行わなければなりません。

 制度設計に関して、今ここですべてが、結論が出ているというわけではありません。むしろ、平成二十三年度の予算編成過程の中で、財源のあり方を含めて、関係方面の皆様方の御意見などもしっかりと承りながら結論を得たいと考えているところでございます。

古屋(範)委員 満額を支給したい、そういう御希望、そして、そのために歳出削減の努力を行い、あるいは制度設計についても今後の検討である、そのような御答弁でありました。

 経済的に非常に厳しい子育て家庭におきまして、では、二十三年度以降、我が家の生活設計は一体どうなっていくのか、こうした将来予測が立たない、このようなことがあってはならないと思います。

 こうしたこと、子供の生活環境、養育環境に直接影響が及ぶわけであります。早急に二十三年度以降の財源、制度設計を明らかにしていただきたい。これは国民のために明らかにしていただきたい、このことを再度申し上げておきたいと思います。

 次に、児童養護施設等に入所している子供についてお伺いをしてまいります。

 本法案では、子ども手当は子供を監護する親に支給をされる。最も援助を必要としている子供に手当が支給されない、このようなケースが問題となっております。例えば、両親がいなくて児童養護施設等に入所をしている子供、また虐待により措置入所をしている子供、あるいは里親のもとで育てられている子供、このような子供たちであります。

 その一方で、今大変問題になっております虐待、また育児放棄、このような問題を抱えた親は、給付を受け取ったにもかかわらず、それを子供のために使わない、このようなケースが予測されるわけであります。さらに、配偶者からの暴力を受けている被害者が子供を連れて別居している場合、こうしたときにも手当が子供のために使われるためには、確実にその被害者側に支給をしていく必要があります。

 次代の社会を担う子供の健やかな育ちを支援する本法案において、最も援助を必要としている子供に対して手当が支給されない、このようなことがあってはならないと思います。

 厚生労働大臣は、法案提出後、各委員会で、安心こども基金を活用して子ども手当を支給するという意向を示されております。この場合、安心こども基金による措置がどのようなものか、またDV被害者へ支給する仕組みをどのようにお考えか、二十三年度以降における手当についてどのような制度を盛り込むのか、改めて総理から御答弁をいただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 これは長妻大臣が先般話されたとおりだと理解をしておりますが、いわゆる児童養護施設などに入所しているお子さん方こそ、本来子ども手当が支給されるべきである方々だと思います。そういった、苦しい、あるいは困った、かわいそうな立場の子供たちに対する配慮というものが必要であることは、論をまたないことだと思っております。

 こういった、いわゆる施設内の親がいないお子さん方については、子ども手当、この平成二十二年度においては支給されないということになりましたけれども、安心こども基金の中の地域子育て創生事業というものを活用して、実質、施設に対してではありますけれども補助をすることによって、子ども手当相当分が支給されることにいたしたいということでございます。

 そのようなことを二十二年度は行わせていただきますが、平成二十三年度以降の制度設計の中でも、こういったことはしっかりと考えていかなきゃならないと思っています。まずは、二十二年度はこのようなやり方にすることになりましたが、時間がありますので、その間に、平成二十三年度以降のあり方に対して、子ども手当をどのようにしてそういった方々に支給できるのか、真剣に考えて答えを出す必要があるのではないか、私はそのように考えております。

古屋(範)委員 ただいまの御答弁、今回、私が先ほど申し上げたことを法律案に盛り込むべき、このように思いますが、この点はいかがでしょうか。今回の法律案に盛り込むべきと思いますが、いかがでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 恐縮ですが、今回の法律案には盛り込まずに、今申し上げたような形でしっかりと手当てをするようにいたしたいと考えております。

古屋(範)委員 最後に、二十三年度以降の総合的な子育て支援策についてお伺いをしてまいります。

 公明党では、四年前にこうした少子社会トータルプラン、坂口元大臣を本部長といたしまして、約二百ページにわたる総合的な子育て支援を提示いたしております。

 そして、今回、政府では、子ども・子育てビジョンというようなものを発表されました。これに関しましては一定の評価をするところでありますが、問題は、やはりその財源であります。

 二十三年度以降、子ども手当の満額支給だけでも、五・三兆あるいは五・五兆とも言われる財源が必要であります。この財源そのものが見通しが立たない中で、その他のこうした子ども・子育てビジョンについてどれだけの財源を充てることができるのか、この点、非常にこれは不明確であるというふうに思います。子育て支援のバランスを欠いているとの指摘を受けても仕方がない、このように思います。

 フランスにおきましても、V字形に出生率が回復している、それは、現金給付だけではなく、一九九〇年代から現物支給というものにシフトしてきた、その効果が上がっているわけであります。現金給付だけではなく、しっかりとこうした総合的な子育て支援が必要だというふうに思いますが、これについていかがお考えでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 今、古屋委員がおっしゃいましたように、総合的な子育てのビジョン、子供ビジョンというものが必要だということは、私も同意でございます。その思いのもとでビジョンをつくらせていただいている、そのようにも理解していただきたいと思っています。

 私どもは、数値目標という言い方がいいかどうかわかりませんが、子育て支援に関しても、いわゆる待機児童の解消のために、毎年五万人ずつというような形で保育サービスを強化できるようにしたい。そのためには、しかし財源が要るぞというお話もございました。

 財源の手当ても含めて、私ども、やはり少子高齢化、高齢化対策も充実しなければなりませんが、やはりこれからの日本というものを考えていく上で、子供に対するビジョンをしっかりと総合的につくり上げるということは大変重要であります。そのための財源というものの手当ても生み出していきながらビジョンを示してまいってきているとも思っておりますが、さらに総合的なものに仕立て上げるための工夫もこれから考えてまいりたいと思っておりまして、ぜひ公明党さんのさまざまな御協力も願えればと思います。

古屋(範)委員 総合的な子育て支援策、これを強く求めまして、質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 五分間しかありませんので、駆け足で伺います。

 子ども手当と定額給付金との違いについて伺います。

 麻生内閣の定額給付金は、給付対象者一人につき一万二千円、六十五歳以上また十八歳以下については二万円支給されました。

 現金給付として行われること、しかも十八歳以下に二万円と手厚くしていること、コンセプトは今回の子ども手当と似通っているものがあるように思います。しかも、支給されたら貯蓄するという人が多いのも、今の時点では意向としては似ているようにも思われます。現金給付ということで、お金に色はついていませんので、本当に子供たちのために使われるのか、いささかの疑問も残るわけであります。

 この定額給付金について、鳩山総理は、野党時代の去年一月二十九日、衆議院本会議で、究極の大愚策、悪質な選挙買収、税金の無駄遣いというふうに強烈に批判をしていました。

 私たちも定額給付金には反対です、渡辺喜美代表はそれがきっかけで離党したぐらいでありますから。しかし、現金給付を、何にでも使えるお金を六月支給に向けて地方自治体に相当な無理をかけながら強行する、七月の参議院選挙前の支給を何が何でもというと、これは悪質な選挙買収という言葉がそのまま返ってきてしまうのではないかというふうに思います。

 効果という点でも非常に似通っている定額給付金と子ども手当、一体どう違うのか、お伺いをしたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 定額給付金と子育ての私どもの子ども手当との最大の違いは、やはり私どもの子ども手当は、子供さんの育ちを社会全体で支え合うという発想があるということでございます。

 定額給付金は、すべての御家庭に一律にお配りをするというものでありますだけに、これでは一時的な、しかも、一時的な効果はあったとしても、国民の皆様方のお暮らしを究極的に支えるものにはならない。それに対して子ども手当は、やはりこれからの日本の社会を担っていく子供たちに視点を当てた施策であるわけでありまして、そこに根本的な思想の違いがあると思っております。

 定額給付金は、やはりその意味では、すべての御家庭に配るという意味ではばらまきというそしりを免れなかったのではないか、そのように考えておりますが、子ども手当は、子供さんのおられない御家庭には何らメリットがない、むしろ、その方々が社会の一員として子供さんを育てるために協力をするというものでございまして、そういう意味での哲学的な意味がまるで違うのではないか、そのように私は考えております。

柿澤委員 哲学的な意味がまるで違う。これは、支給のなされ方、現金給付であるとかいう、こうした性格的な部分については似通っているけれども、その目的が違う。よくラベリング効果と言われますけれども、ある意味ではそうした点で違うというにすぎないということになってしまうのではないかというふうに思います。

 私は、こうした現金給付の子ども手当でなく、供給者本位の今の保育サービスを利用者本位のものに変えていくために、これをバウチャーの形で支給して、利用者が保育サービスを選ぶ形で、競い合いの中で子育てサービスの供給量の拡大と質の向上を図っていく、こういう形で活用すべきであるというふうに考えております。

 官がサービス供給量をコントロールして、認可保育所を中心に手厚い補助を行う。その外側には、入りたくても入れない大量の待機児童が生まれている。認可園には一施設当たり年間一千三百万円の補助が入り、しかし、それ以外の、認可外施設にはそのような補助がなされない。しかも、認可施設中心でやっていることで、こっちに山のように待機児童がいると思えば、こちらでは定員割れの地域もあるというような、時代の変化に即応できないミスマッチも生まれているわけであります。

 こうした官主導の保育社会主義を転換するためのツールとして、子ども手当の財源を活用すべきであるというふうに考えております。民間やNPOも含めて多様な主体が保育サービスの提供者として参入をして、イコールフッティングの中で競い合いをする、その中で利用者がバウチャーを使って自分に合ったサービスを選ぶ、こういう形にならなければいけないのではないかと私は考えております。

 これは、鳩山総理が常日ごろからおっしゃっている新しい公共という考え方にも合致をするのではないかと思います。現金給付の場合、子育て以外のことにも使われる可能性がありますので、こうした多様な保育サービスの担い手による新しい公共空間をつくり出すことに必ずしもつながらないおそれがあります。

 さらに加えて、バウチャーなら確実に使ってもらえるわけです。きのうの参考人質疑でも、東レ経営研究所の渥美由喜さんが、自分の試算では現金給付よりバウチャーの方が十倍の経済効果が出るということを、みずからの試算としておっしゃっておりました。

 先ほど鳩山総理も、パチンコに使われるとか、こういうおかしな使われ方はあってはならないというふうにいみじくもおっしゃったとおりであります。

 これからの子ども手当相当分の財源の支給の仕方として、バウチャーというような考え方を将来的に考えていく可能性がないかどうか、お伺いをいたします。

鳩山内閣総理大臣 柿澤委員から、バウチャー制度の導入を考えてみるべきだという強い御指摘がありました。私も、そのバウチャー制度には大変関心を持っている一人でございます。

 今お話がありましたように、子ども手当でありますから、お子さんの育ちというもの以外に使われるのは極力避けなければならないことは言うまでもありません。そのための一つの策として、バウチャーというやり方があるということは認識をしております。

 こういったものも幅広く二十三年度以降検討することは、大変意味がある話だと私は承らせていただきました。

柿澤委員 二十三年度以降こういうバウチャーという形も含めて検討していくこと、意味があるというふうに思っている、大変いい御答弁をいただいたというふうに思っております。

 そういう意味では、二万六千円の現金支給というのをフィックスする形ではなく、これから二十三年度以降の制度設計を考えていただきたい。二万六千円を満額支給したい、思いは理解をいたしましたけれども、しかし、四大臣合意には二万六千円の二十三年度からの支給という明確な文言は入っていないわけですので、そういう意味ではゼロベースの検討が許されるというふうに思います。

 そうした意味で、今申し上げたような、真に子供の育ちのために有効にこの財源が使われる、そうした制度設計を強く御期待、またお願いを申し上げまして、五分は短いですね、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

藤村委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

藤村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 自由民主党の加藤勝信でございます。

 きょうは、お手元の資料も使いながら、大臣を中心に御質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、一ページ目。これはきのうも参考人の方が引用されていた資料であります。また、先ほど、たしか高橋委員からも同じような趣旨の質問があったと思いますが、まず、ここに書いてある子ども手当についてのイメージ図、このイメージは大臣の持っているイメージとは全く違う、こういうふうに認識してよろしいですか。

長妻国務大臣 これについては、平成二十三年度、「今後検討」というのが上にも書いてございますけれども、まだ確定的ではなくて、先ほど来申し上げておりますように、幼稚園、保育園の一体化の議論と並行して、ちょうど同時期に行われますので、その中で、その財源の比率や、あるいは考え方というのを決めていこうということで、今後の検討事項ということであります。

加藤(勝)委員 私が確認したかったのは実は二点ありまして、一つは、この右側の子育て政策を地方の負担でやるということの問題点と、もう一つは、いわゆる今の児童手当、そしてこれからある子ども手当の中のいわゆる児童手当とみなす部分の地方負担分は、いずれにしても地方の自由じゃないよ、もう国の財源として一種確保してこれから考える、その二点を確認したかったんですが、そういう意味では、もう一ページめくっていただいて、四大臣合意の三番目というところがあります。

 資料の右の上にありますけれども、ちょっと読みますが、「子ども手当については、国負担を基本として施行するが、所得税・住民税の扶養控除の廃止及び特定扶養控除の縮減に伴う地方財政の増収分については、最終的には子ども手当の財源として活用する」、それから、飛びますが、「また、児童手当の地方負担分についても、国、地方の負担調整を図る必要がある。」

 ここに書いてある意味を私なりに解釈しますと、いわゆる住民税の分、所得税の分はちょっとあれでしょうが、住民税の扶養控除の廃止や特定控除の廃止に伴ってプラスになる地方税増収分、そして、現在の児童手当の手当てにおける地方の負担分は、これはいずれにしても地方にお渡しするわけではなくて、いわば国の管理下で子ども手当の財源にするか、「最終的」とここに書いてありますから、見た目は全額国庫負担でも、その分は今国が負担している分を同額減らして、そしてその国の負担分をこっちに回してくると。いずれにしても、そういう形で処理をしますというふうに書かれているように思われるんですが、その真意を御説明いただきたいと思います。

長妻国務大臣 詳細については、二十三年度予算編成の中、幼保一体化の中で議論するということでありますけれども、今も御紹介いただきましたように、「最終的には」という文言がございまして、この増収分について、現物サービスに使われるところもありましょう、そういうようなもろもろの考え方の後、その財源があるかないかも含めて議論していく、そういうような意味で書いているものと理解をしております。

加藤(勝)委員 理解していると、大臣、署名されているんですから、大臣自体が解釈権者であるんですね。だから、これは他人が書いたら理解でいいですけれども、大臣は解釈権者でしょう。だから、ちょっとその説明の仕方は適切ではないというふうに思いますし、もう少し限定的に言えば、「最終的には子ども手当の財源として活用する」と明確に書いてありますから、少なくともその分は地方に負担をお願いしますよ、こういう趣旨ですか。

長妻国務大臣 これも先ほど御提示いただいたこの総務省のホームページからの資料で、平成二十三年度というのは、子育て政策、地方と、ある意味では現物支給が地方という趣旨が書いてございます。

 その意味では、この増収分について仮にどういうような配分になるかというのは、これは検討事項でありますけれども、そこである程度のボリュームを見るということになると、その増収分のボリュームがそこに使われるということになれば、この子ども手当の財源としては活用できなくなるわけでありますので、そういうようなことも含めて予算編成の中で議論をしていくというのを、昨年十二月に四大臣の合意ということでなされたわけであります。

加藤(勝)委員 いやいや、これは方針を書かれているわけですよね。これについては検討するというわけではなくて、こういう考え方でやっていくという方針でありますから、それは今ちょっと大臣おっしゃっている、非常にあいまいにごまかしたような御説明をされたと思いますけれども、むしろここははっきり言われた方がいいんじゃないんですか。すなわち、児童手当の地方負担分、あるいは地方税分がふえた分は、これは引き続き地方に子ども手当、あるいは玉突きの形で使ってもらいますと。ただ、それを超える分、これについては地方の負担を求めませんというのが全額国庫負担の趣旨だ、こういうふうに明確に言われた方が、私は、地方に対して混乱を与えない。

 すなわち、今回の当初の話から、全額国庫負担が地方負担になった。それは、地方から見れば、児童手当分だけだから基本的にそんなに変わらないだろう、こういう印象も、私も最初持ちました。しかし、地方は、この負担がなくなるということを前提に、それなら保育所をつくろうとか、いろいろな議論をし始めていた。それでまた話が戻ってしまった。

 こういうことですから、やはり地方に対しては正確な、少なくとも政権としてのイメージをはっきりお伝えしておかないと、何か全額国庫負担で、今地方が持っている児童手当の地方負担分も、これも地方の自由にお戻ししますよというかのような印象を地方に与えることは、私は正確ではない、政権の皆さん方の思っている趣旨にはない、こういうふうに思うんですけれども、確認をしたいと思います。

長妻国務大臣 これは、大きく言うと、地方が負担をしていただいているものについては、現在、児童手当のような現金支給と、あるいは保育サービスの現物支給、二つあるわけでありまして、今回は、平成二十三年度予算編成の中で現金支給だけの比率配分を考えるということではなくて、先ほど来申し上げておりますような幼保一体化も含めた現物支給の地方と国のあり方、現金支給の地方と国のあり方、全体の中での議論をしていくというようなことでありますので、そういう中で、この地方財政の増収分については、そういう両方の議論の中で適切に判断をしていく、そういうような趣旨であります。

加藤(勝)委員 いや、何かちょっと違うと私は思います。

 いずれにしても、地方からして、やはり途中で話が変わるということは非常に混乱するわけです。予算というのは、国でいえば、春から始めて年末にかけてつくり上げ、そしてそれをそれぞれの議会で審議をしていく、そういう長いプロセスの話でありますから、例えば、もう二十三年度の話がこれから始まるわけですね。これは国が始まるのと同時に地方でも始まるわけですから、やはりそこのメッセージ、地方公共団体に、誤解と私は申し上げておきますけれども、そういうことがないようにはっきりしたメッセージをお出しになる。

 今のは、割合をどうするかという問題をおっしゃいましたけれども、それでは、結果的に地方にもっともっと負担を求めることがあるのかないのか、やはりそういう問題が当然出てくるわけでありますから、その辺は、はっきりとしたメッセージ、ごまかしのないメッセージを出していただかなければならないというふうに思います。

 続いて、「子ども手当の支給と扶養控除廃止の家計への影響」というのを三枚目に用意させていただきました。予算委員会でも若干申し上げて、その後、これは厚生労働省、財務省、総務省が予算委員会に提出をされたそうした資料をベースに、私の方でつくらせていただいたものであります。

 まず、一点確認しておきたいんですけれども、これは「前提」に書いておりますが、片働きで子供一人という場合で、支給増加額は、子ども手当の支給額を一万三千円のままという前提であります。負担の増加額は、所得税、住民税のここでは扶養控除の廃止分しか書いてございません。もちろん、対象になるのが、特定扶養控除の対象の人たちはここに入ってきませんから、当然それは除いております。

 それについて、まず、三歳未満のところを見ていただきたいんですけれども、結果的に、今回の子ども手当一万三千円のままであるとすればですけれども、要するに八百六十万、今児童手当をもらっている皆さん方は、三歳未満の子供さんについては基本的には負担がふえているということがこの図から見てとれると思います。さらに、小学生の段階でも、七百万。

 そして、仮にこれからこの制度がずっと恒常的につながるとして、来年生まれた、二十三年からですか、二十二年からですか、生まれた子供さんがずっと中学生まで行く間、現在の所得控除、扶養控除と児童手当という制度と、新しい今回の子ども手当と扶養控除を廃止した、その場合、一体どれだけ違うんだろうか、こうやって計算したのが中学生までの累計になりますけれども、これでもわかるのは二点あります。

 例えば、ここでは、七百万円の方は残念ながら、一万三千円であれば結果的に負担がふえるということになります。これは七百万だけをとったんじゃなくて、多分六百五十万から八百六十万ぐらいですかね、二百万ぐらいの年収の人たちは負担がふえるということがここから見てとれるというのが一点あります。

 それからさらに、九百万、一千二百万の方と五百万、三百万の方を比べても、年収の多い方の方が結果的に増加額は多い、こういうこともここから見てとれるわけでありますけれども、この実態を見て、大臣のコメントをいただきたいと思います。

長妻国務大臣 まず、若年者扶養控除、年少者扶養控除ともいいますけれども、それが廃止になるのは、所得税は来年の一月からでございます。そして、地方税については平成二十四年度からであります。

 そして、今お示しいただいた表は、これは予算委員会でも申し上げたかもしれませんけれども、現在児童手当を支給している者との差額を取り出してここにお示しをしていただいておりまして、差額についてはこういうことが言えるのではないかと思います。

 ただ、我々は、控除から手当へということで、全体の根っこの部分から見ていただきますと、控除というのは年収の高い方に有利になる、絶対金額はその部分が優遇されるわけでありますので、税の累進度合いに比例をして、控除から手当になりますと、実質の根っこからの手取りについては年収が高い方ほど減っていくということで、控除から手当への考え方というのは本当に手当が必要なところに手厚く措置できる、こういうような考え方というふうに我々は申し上げておるところです。

加藤(勝)委員 今、実施時期が違うというお話がありました。実施時期が違うと。二十二年度だけでいえば、この間の予算委員会でも申し上げた、もっとその差、いわゆる負担の増加額というのはきいてきませんから、もっともっと年収が高い方が有利になるということはもう既に明らかになっているわけでありますから、それをおっしゃるともっとその傾向は強くなるし、少なくとも、今おっしゃいましたけれども、確かに、白紙でゼロから入れればというような、いろいろな議論があると思いますが、制度というのは、やはり制度を変える前と後との違いが大事ですから、ということは、少なくとも、今の一万三千円であれば、七百万を中心とした世帯は負担増になるんだ、このことは大臣はお認めいただいていいですね。

長妻国務大臣 先ほど、地方税について、年少者扶養控除の廃止は平成二十四年度からということでございますけれども、これも繰り返しになりますけれども、差額だけを見て言えばそういうことも言える。つまり、今まで児童手当を全くもらっていない方については、その差額だけでいえば今御指摘のようなことが言えると思いますけれども、我々が申し上げておりますのは、全体の実額、この全体の額が、これは税金でお支払いしているわけでありますので、それについて、年収が高い方ほど、控除の廃止とセットになっておりますので実質的な手取りが減るというようなことであります。差額だけであれば、御指摘のとおりだと思います。

加藤(勝)委員 少なくとも、今大臣のお話があったように、七百万を中心とした、一万三千円のままであれば、我々はどう考えても二万六千円というのは大変難しいと思いますけれども、であれば、逆に、子育て世帯の支援ではなくて、子育て世帯の負担ということが今回の一連の税制改正を含めて行われているということがここからしっかり読み取ることができるということを、まず御指摘したいと思います。

 それから、前回、所得制限、この所得制限とも絡む議論になりますけれども、昨年の十一月に、今財務大臣をされている菅大臣が、納税者番号制度が導入されて所得把握ができるようになれば所得制限についても議論があり得る、そのような趣旨の御発言をされておりますけれども、例えば、大臣として、今確かに所得把握というのはなかなか難しいというのが実際あります。そのことと、それから具体的に入れたときの技術的問題もいろいろあると思います。そういうのがなければむしろ所得制限ということも議論の中に入れてもいい、こういうふうにお考えですか。

 特に、先ほど来から子供世帯の貧困ということがあります。では、貧困を、例えば相対的貧困率を使うのがお好きなようですけれども、それを使えば、全世帯にばらまくよりは、下の、所得の低い方により支給を厚くした方が貧困率は改善される、これはだれが考えても当然であります。そういう意味からも考えて、所得制限というのは、限られた財源の中で、仮に経済的支援という観点から考えれば、私はより合理的な判断ではないか、こういうふうに思いますけれども、その辺の大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。

長妻国務大臣 マニフェストの中でも申し上げていることなんですけれども、控除から手当へというような流れを我々は考えていくというのが大前提です。

 仮に、おっしゃられた質問の観点で申し上げますと、もし控除の廃止を一切しなくて、例えば、手当だけを所得制限なしで配るということがあるとすれば、それはいろいろな議論が、私も申し上げたと思いますけれども、これは本当に、控除を廃止するのとセットで所得制限をかけない、こういうような考え方に基づいているところでありますので、私は、この手当の考え方というのは所得制限をかける必要がない。

 そして、これは諸外国の例を別に日本がまねする必要はないんですけれども、諸外国においても、調べてみると、こういう子ども手当的なものを出しているところは所得制限がかかっていない、こういうようなこともありますので、あくまでもセットとして議論をいただければありがたいというふうに考えております。

加藤(勝)委員 こういう話になるとセット、さっきの話は実施時期が違う、こういうことでありますけれども、今答弁がございましたけれども、諸外国でも、これはまた後で二万六千円のところでもやりたいと思うんですけれども、例えば税額控除については、税額控除という制度をとっている国では、すべてが同じ金額の定額ではなくて、所得が高い人ほどその金額は減らしていくとか、いろいろな仕組みを実は入れているんです。だから、理念としてはあるかもしれないけれども、しかし、現実の厳しい財政事情の中での答えとして、私は、そういう意味では所得制限というのは十分とり得る制度ではないか、また、とるべき制度ではないかというふうに思っております。

 それで、その関係で、条文の二十三条に例の寄附の規定があります。所得制限の議論をしている中で、高所得者の人は寄附の規定がある、こういう話にたしかつながっていたというふうに記憶をしているんですけれども、これは、何でわざわざ寄附の規定を入れたんですか。

 いわゆる通常でも市町村に対して寄附ができます。そして今、市町村ではそれぞれ、こういう寄附であればこういうふうに使いますといろいろな手続をとられております。そして、児童手当と違うのは、児童手当は子供を養育している家族、いわば保護者に注目している、これは、子ども手当は子供に注目している、たしかこういうふうに答弁が、総理大臣か長妻大臣かちょっと忘れましたが、されておりました。

 では、子供に着目された、まさに子供に対して本来なら直接渡してもいいものをいわば親に渡している、その子ども手当を、どうしてこういう形で、親の判断で勝手に寄附をするという、よりしやすい仕組みをつくるのか。もともと寄附はできるんですよ。できないんじゃない、できるものを何でそんなことをするんですか。おかしいじゃないですか。御説明してください。

長妻国務大臣 これは、この法案の二十三条にあるわけでございますけれども、寄附でありますが、「市町村は、」この「受けた寄附を、次代の社会を担う子どもの健やかな育ちを支援するために使用しなければならない。」ということで、市町村は何に使ってもいいというわけではございませんで、これはいろいろ、親御さんのお考えで、いや、自分の家では子ども手当は、人様の、社会全体のお子さんの健やかな育ちを支援するために使用してほしいと思われた方がおられれば、寄附をできる仕組みが必要なのではないか。

 つまり、一般の寄附でありますと、一たん市町村もお金をお支払いして、現金を受け取って、そして寄附をするということで、事務もあるいは寄附される方の手間もかかるというようなことで、これは申請をしていただければ、その方に現金が渡る前に市町村がそのお金をそちらの方に寄附できる、こういうような寄附が促進されるような仕組みも埋め込んでいるということであります。

加藤(勝)委員 寄附をするために子ども手当をまくわけではないので、これは明らかに矛盾しているんですよ。

 だから、本当は所得制限を入れるという方が正しくて、寄附ができるような人にまで何で支給しなきゃいけないのか。やはりそこに根本的な問題がありますし、これはちょっと私の観念的なことを申し上げましたけれども、まさに、子ども手当としてもらって自分の給与と一緒になってしまえば、その後、寄附した分が子ども手当分なのか自分が稼いだ分なのか、これはなかなか判別できません。しかし、この場合は、明らかに子ども手当でもらったものがそのまま寄附されますね。そうすると、寄附金控除というのがあるんですね。もしこの金額について、寄附金控除、当然適用されます。しかし、もともと税金がかかっていないお金です。

 そういうような、非常におかしなことがいっぱい起きているんですよ。これは絶対に趣旨と、もともと所得制限をつけるかどうかという議論の中から、多分、思いつきでこういうことになったと思いますけれども、これは本質的に矛盾している。このことを一つ指摘をしておきたいと思います。

 次に、これからの二万六千円の議論が先ほどありました。総理からは、次の中期財政の見通し、六月まででこの二万六千円問題は決着する、このような趣旨の答弁が先ほどあったというふうに認識をしておりますが、そもそも、何で二万六千円なのか。

 大臣は、子ども手当の額については、第一に、子供の育ちに必要な基礎的費用の相当部分をカバーする、第二に、諸外国の手当制度と比較して遜色ない水準とするといった点を総合的に勘案し、民主党において総合的な判断のもとマニフェストに盛り込まれ、国民にお約束した額云々、こういう答弁を本会議でされておりました。

 まず、第一に、子供の育ちに必要な基礎的費用の相当部分ということでありますけれども、その関係で出していただいた資料が四枚目の資料であります。これは、財団法人のこども未来財団の子育て家庭の経済状況に関する調査研究等を使って算出をされたということでここに出てきておりまして、まあ、うまいことに、最後、平均月額二万五千四百三十三円。新聞によると、いろいろデータを駆使してその数字に当てはめたなどという党関係者の発言があるというのが毎日新聞に載っておりました。

 この資料の中で、さらには、もう一枚めくっていただきたいと思うんですけれども、これは、実は、こども財団の費用の一部を出してきた費用なんですね。各学年ごとに若干支出項目が違いますが、小学校の低学年のところを取り出してみました。

 この中で、めくっていただいて最初の資料と比較をしてみますと、「食費」の二十四万百八十二円というのが、左に丸がありますが、下から二番目の数字がそのまま適用されています。それから、被服費等は、その下にあります「被服及び履物」の十万一千八十八円。そして、基礎的学費というのが、「学校教育費」と「学校給食費」、これがちょうど二十六万八千百三十一円、この合計額というふうな形で各年齢を区切って計算をされているわけですが、私がそこで不思議に思ったのは、何で家庭教育費というのを入れられないのか。

 そして、別途厚労省から出ている資料というのがありまして、その中で、これはお手元につけてありませんが、年収別に見ると、食費、被服、教育等々で見ると、一番差があるのは、実は、教育にかけるコストなんですね。これが教育格差を生み、そして、それぞれの子供さんの将来に大きな差異を生じさせかねない。何でこの議論のときに家庭教育費というものを入れて議論をしていないんですか。

長妻国務大臣 これはまずは、いろいろ今試算を出して、民主党の試算も出していただいておりますけれども、これで何かセレクトして決めたというものではございませんで、ずっと答弁をしておりますように、基本的な経費の相当部分をカバーできるような形と同時に、諸外国の子育て支援にかける予算、そういう規模も勘案して判断をしてこの数字を出した。当然、マニフェストを作成するときには、財源の制約というのもありますから、それも見た上でこの数字をお出し申し上げているということでありまして、何か一つ一つを積み上げて、それで決めたということではありません。

加藤(勝)委員 それでは、基礎的な費用というのを出してください。

長妻国務大臣 この基礎的な費用というのは、項目で言うと、食費や被服費、基礎的学費などなどを基礎的な経費だというふうに理解しておりますけれども、当然、この積み上げで二万六千円という数字を決めたということではありませんで、先ほど申し上げているような、さまざまな海外との比較や財政的な制約なども見て決めているところでありまして、いろいろな経費を入れれば、それは一個ずつ積み上げていくと二万六千円よりも大きな金額になるということもあると思いますけれども、我々は、そういうような考え方でこの数字を提示しているというところであります。

加藤(勝)委員 いやいや、これはちょっと申しわけないけれども、その答弁では先に進めません。だって、大臣は基礎的な費用の相当部分とおっしゃっているんだから、どこが基礎的で、そして相当がどのぐらいかというのを示す責任は大臣にあります。示してください。

長妻国務大臣 ですから、申し上げましたように、食費や被服費、あるいは基礎的な学費ということであります。

加藤(勝)委員 それだったら全額じゃないですか。相当部分じゃないじゃないですか、違いますか。

長妻国務大臣 いや、そういう基本的な経費ということで、今のこども財団の試算でも、二万六千円からはそう遠くない経費になっていると思いますけれども、この試算だけで決めたということではありませんで、これは、先ほど来申し上げておるように、他国のGDP比も含めた考え方、そして財政の制約等で決定をさせていただいて、皆さんに御提示をしているということであります。

加藤(勝)委員 いや、外国の話は次にやります。

 大臣の判断が大事なんですね。どこが必要な、そして相当だ。だって、二万六千円というのは一番大きいポイントじゃないですか。だから、このこども財団の資料だけじゃないと言うのなら、ほかの資料も出してください。そして、その上で大臣が、どのぐらいの部分が、それは物によって違うと思いますよ、でも、これとこれとこれとこれを見通したところで、大体このぐらいの金額で、それでこうなんだ、そういう判断をされていると私は思いますよ。そうじゃなかったら、二万六千円、二万六千円、二万六千円なんて言えるはずもない。それを出してください。

長妻国務大臣 これは、まさに加藤委員もお示しをいただいています、五ページにありますこの資料も、これも当然一つの参考として、我々、マニフェストをつくるときにも拝見をした資料でありまして、これだけではなくて、財源の問題、あるいは海外との比較の問題で決定をさせていただいたということで、先ほど来申し上げておりますけれども、一つ一つの積み上げでそれを決めたということではありません。

加藤(勝)委員 いや、今一つ一つの答弁、全部ずれていますよ。変わっていますよ。これではできません、質問が。きちんと答弁してください。

 さっきおっしゃったのは、この基礎的な相当部分については、これも一つだ、こうおっしゃったんですから、ほかにあるはずですから、出してください。

長妻国務大臣 いや、ですから、その基礎的な費用の相当部分をカバーするというようなことで二万六千円ということを提示しておりまして、それは、今示していただいたような項目の中で、我々が言っているのは、食費とか被服費とか基礎的な学費などということを申し上げて、これを決定させていただいているところです。

加藤(勝)委員 いやいや、だから、さっきから同じことを何回も繰り返しているのであれですけれども、大臣の答弁は、基礎的な費用というまず概念があって、それの相当部分という価値が入っているわけですね。だから、ここで出しているのは全額じゃないですか、これは。だから二万六千円だ、こういうお話でしょう。

 そうじゃないんだと最初は御答弁をされたんですから、だから、これ以外にもいろいろな資料があって、そして大体このぐらいだろうな、だから、その何割、五割かもしれない、三割かもしれない、こういうお考えを示されておられるんですから、そこをきちっと、資料を出してください。

長妻国務大臣 ですから、お示ししていただいている四ページの資料、この資料でありますと、ほぼ二万六千円というような経費になりますけれども、そして、五ページ目にございますけれども、では、その基礎的な学習の教育費というのをどこまで含めるのか、これは人によって違うでしょう。この資料では、基礎的な学費をかなり限定的に絞ってここに提示していると思いますけれども、それ以外のものが基礎的と考える方もいるかもしれません。

 そういうようなことも含めて、我々は、海外の事例も見てこの水準を決めさせていただいたということであります。

加藤(勝)委員 要するに、二万六千円という数字がまず出てくるわけですから。そうすると、今お話があった、では、これで決めたんですか、お出しになった数字で決めたんですか。そこをはっきりしていただきたいと思います。

 それから、やはり必要な基礎的費用、ほかにもいろいろあるかもしれないと。だから、皆さん、いろいろな話を聞いて、大体このぐらいが子供にかかる費用だよね、だから、そのうちの何割かは負担しましょうね、こういう考え方が、私は余り賛成しませんが、あり得ると思いますけれども、まさに、今私どもいただいているのはこれしかないんですよ。だから、これで二万六千円を決めたんですか、私どもはそうしか思えない。

長妻国務大臣 先ほど来申し上げているように、これだけで決めたわけではないというのは、先ほど来申し上げておりまして、例えば、この資料だけで言うと、四ページには基礎的学費と書いてありますけれども、この五ページの示していただいたこの資料については、当然、この中に基礎的学費という文言はないわけでありますけれども、その中から基礎的だと思われるものを一定の価値観で選ぶと、こういう四ページの数字になるというふうに考えております。

 では、基礎的な教育費を、もっと、例えば、最低限の書籍代とか、あるいは塾に行く最低限のお金も基礎的な教育費だと思われる方も、これはいらっしゃる。だから、我々は、相当部分をカバーするというような表現で、この積み上げだけでなくて、海外の事情、あるいは財源、こういうのも含めて決定をさせていただいているということです。

加藤(勝)委員 それでは、基礎的な費用というところをしっかり出してください。二万六千円というのは大変大きな問題ですから。皆さんはマニフェストで言っただけですけれども、我々からいったら、本当にどれが適切なのかというのを判断できないんですよ、これでは。今の一万三千円も、二万六千円の半分で一万三千円でしょう。この問題は、本当にまだまだ、いいかげんな答弁では、これはだめですよ。皆さんが決めたからやるんですって、そういうわけにはいかないんですね。

 やはり、どういう基準でもって出してきたか。だから、少なくとも、だれだれが考えているじゃないんです、政府として、大臣として、子供の育ちに必要な基礎的費用はどのぐらいか出してください。

長妻国務大臣 これは、委員の求めがあって、四ページの資料も出させていただいているというふうに考えておりまして、先ほど来申し上げていますけれども、この四ページの資料ですべて決定したというわけではありませんけれども、もちろん参考にはなっているわけでありまして、これで十分、我々は御理解を何とかいただきたいというふうに考えておりますが、GDPの海外の比率の中で、日本国の子供にかける予算が少ない、あるいは、どういうような現物支給と現金支給の比率になっているのか、こういうものも含めて決めさせていただいているところであります。

 繰り返しになりますけれども、一つ一つの金額を積み上げて、それで決定したというわけではありません。

山井大臣政務官 今御質問されておりますが、例えば、加藤委員、御理解いただきたいんですけれども、児童手当も五千円から一万円に上がっていったわけで、なぜ五千円だったのか、なぜ一万円だったのかということに関しましても、やはりそれは、子育てにとって必要なお金が五千円である、一万円であるということと同時に、財政的な政策や諸外国との比較や、総合的な判断で決めていかれたと思っております。

 ですから、私たちは、今回、児童手当から子ども手当にしていくという段階で、こども未来財団のこの資料の中でも、トータル五万六千円かかっているわけでありますね。加藤委員、聞いてください。質問されているから答えているんですから。こども未来財団の資料で、五万六千円かかっている、その中で選択的な費用がかなりある、それを差し引いた部分を基礎的な学費というふうに私たちは考えているわけでありますので、児童手当が五千円、一万円と上がっていった、それも財政的な制約等総合的な判断であったと思います。

 そのようなことを考えていただいたら、ぜひとも御理解はいただけると思っております。(発言する者あり)

藤村委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

藤村委員長 速記を起こしてください。

 加藤委員の質問の趣旨について理解する部分が、基礎的費用等ということでございまして、後刻理事会を開いて、政府の見解を出す等、理事会で協議をさせていただきます。

 加藤君。

加藤(勝)委員 それから、今山井議員の答弁を聞いていたら、では財政見通しも出してくださいという話になります。そうしたらもう審議できなくなりますから、そういういいかげんな答弁はしないでいただきたい。

 余り時間がなくなってしまったので、二点だけ申し上げておきたいと思います。

 長浜副大臣、家族手当、企業においても、要するに子供に対する手当が払われております。長浜副大臣、これは多分税制調査会か何かにお出しになられた資料だと思うのですが、これを見ると、七割、八割の企業、これはいろいろな統計がありますが、この数字、何割ぐらいの企業が幾らぐらいの費用を出しているかというのは、これは毎年そういう資料はとれますか。

長浜副大臣 今税調の関係で御指名をいただきましたので、答弁をお許しいただきたいと思っております。

 十一月十七日に私が税調で説明をした部分だというふうに思っておりますが、家族手当を支給する企業の割合は八〇・九%ということで、これは人事院が毎年調査をしておりますので、毎年拾うことは可能でございます。

加藤(勝)委員 金額の方はどうですか。

長浜副大臣 平均支給額は一万八千五百十五円となっております。

加藤(勝)委員 いやいや、そうじゃなくて、その統計は毎年とれますか。

長浜副大臣 人事院が行っているところはとれるんですが、今の平均支給額等の調査頻度は不定期でありまして、毎年とれるかということのダイレクトなお答えについては、毎年とれないということです。

加藤(勝)委員 私、何で聞いたかというと、要するに、子ども手当が出るでしょう、では家族手当は減らしていこうか、間々、こういう制度を入れたときには、経済活動はそういうふうに動くんですね。

 したがって、これは大臣にお願いをしたいんですが、大臣は調査するのがお好きなようなんですけれども、ぜひこれはいずれにしても定期的にフォローしていただきたい。お約束していただけますか。

長妻国務大臣 今の委員の問題意識というのは、子ども手当を実施すると企業の家族手当というのが縮減されるおそれはないのかあるのかというようなことだと思いますけれども、先ほど長浜副大臣も、人事院がこれは年に一回調査をしているということでもありますし、あとは、これは企業のある意味では自由度に任せる、国がやめるのはけしからぬとかいろいろなことを言う権限がどの程度あるのか、基本的には企業の自由であるということでありますけれども、これについて、人事院の定期的な調査の中で、必要があればそれをさらに深掘りする調査をしてみたいと考えております。

加藤(勝)委員 いや、不思議なのは、まさにそれで政策効果が出るか出ないかなんですよ。それは数があっても一万円なのが五千円になってしまった、そうしたら子ども手当を五千円ふやしたって消えちゃうじゃないですか。やはりそういうのをきちんとフォローして初めて政策効果が生まれるということなんですよね。一番大事なところを言っているので、ぜひやっていただきたいと思います。

 それから、一点、児童養護施設の話があります。児童養護施設に入っている子供さんは、全員が子ども手当がもらえないんですか。

長妻国務大臣 施設に入って御両親がおられないお子様については、今回の子ども手当の法案の中での手当の支給というのはできません。

 そのため、私どもとしては、平成二十二年度においては、こども安心基金というものを活用して、そこから子ども手当と同額を施設にお支払いするということであります。

 ただ、施設に入っておられるお子さん方でも、親が監護する、監護する親がいらっしゃる方については、その親御さんに子ども手当が支給されるということであります。

加藤(勝)委員 そうすると、今、安心こども基金を使います、使いますと言われてもう一カ月たちますから、具体的にどういうふうに使われるのか、御説明をお願いします。

長妻国務大臣 当然、基金でありますから、その使用目的というのがルールで決まっております。その使用目的のところに、今回、施設という先ほど私が申し上げた趣旨を書き加えて、それで措置をしていただく、こういうことになろうかと思います。

加藤(勝)委員 いや、具体的にお聞きをしているので、今でも児童養護施設を対象にいろいろな安心こども基金の事業は使えます。したがって、具体的にどういう事業をやってくれということになるのか、具体的に説明していただけますか。

長妻国務大臣 具体的にというのは、先ほども説明しましたけれども、その施設の中におられるお子さん、そして御両親がおられない、こういう方について、その施設に基金から子ども手当と同額のお金をお支払いする、そして、お子さんのためにお使いください、こういうような趣旨、子ども手当の本法で規定されている目的もきちっとお伝えをして、その範囲内でお使いをいただきたいということであります。

加藤(勝)委員 今の、非常に問題があると思うのは、そうすると、施設に入っている子供さんで、これは安心こども基金でサービスを、何の事業かわかりませんが、する方とそうでない方がおられる。では、そうでない方の子ども手当というのはきちんと親がその施設に持ってきているかと児童手当のときのを聞いても、ほとんど持ってこられていませんから、同じ施設の中でありながら取り扱いにおいて区別がある、違いがある、こんなことは絶対養護施設はできませんと、私が行ったところも言っておりました。

 大臣、こんなことをおやりになるんですか。

長妻国務大臣 児童手当のときは、その施設に入っておられるお子さんで親御さんのいらっしゃらないお子さんには払われていなかったというふうに考えております。

 では、それを踏襲して、差が出るということで、逆に、親御さんのおられない方、施設に入っている方は、それに見合うようなお金を出さない、こういうようなことはやはり批判を受けるということで、今回の法律の中には盛り込むということはしませんでしたけれども、基金を使ってそういうお子さん方にも施設にお金を出すということを我々は申し上げているところであります。

藤村委員長 加藤君、時間が過ぎていますので、取りまとめてください。

加藤(勝)委員 時間が来ておりますけれども、ちょっと申し上げておきますが、児童手当のときの問題点、確かに、それは我々も十分対応できていなかった部分があると思います。

 ただ、大臣、この安心こども基金でおっしゃるようなやり方をしたら、これは絶対やめていただきたい。児童養護施設の中はむちゃくちゃになりますよ。だって、恩恵に当たっている子と与えられない子がいるなんて、そんなやり方はとれません。そうすると、どうしなきゃいけないかというと、もしそれを厳密にやろうとすれば、恩恵のない子供さん方に、ただでさえ厳しい財政事情の中からお金を捻出して対処をやるしかなくなるんですよ。ますますますます養護施設の運営や対応する人は厳しくなっていく。こういう実態をぜひ聞いていただいて、これは、やはり最大の問題は、施設に入っている子供さんの分は全部抜くとか、そういう形にしないと、どっちからやってもうまくいかないと私は思いますので、そのことはしっかりと指摘をさせていただきたいと思います。

 それから、最後に一言申し上げておきたいと思うんです。

 子供さんが生まれて、月末に生まれたら、これは申請の時期、その後から支給されるんですね。三月三十一日だとすれば、三月三十一日までに申請しないと四月一日からもらえない、こういう仕組みになっています。今、何か十五日間のことがあるので、十五日間はおくれてもいいようになっているんですが、これをもう少し長くしていただきたい。

 というのは、今回、一時的な措置があって、三月三十一日段階で新たに対応になる方は、九月までに申請すれば四月分からもらえるようにこれはなっているんですね。したがって、では、三月に生まれた子供さんは、申請が九月であっても翌月の四月からもらえる、しかし、四月に生まれた子供さんは、四月中に申請しないと五月からもらえない。

 子供さんが生まれたときに、いろいろな出産があります。中には、なかなかそこまで頭が回らないこともあります。ぜひここは、これは運用でもできる話だと思いますから、これは児童手当でも一緒なんです。そんな厳しいことを言わずに、一カ月、二カ月、このぐらいのアローアンスの中で申請を募り、そして受給をしていただく、こういう対応をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、棚橋泰文君。

棚橋委員 自由民主党の棚橋泰文です。

 長妻さん、今お話がありました、養護施設に入っているお子さんたちは、この六月から必ず一万三千円の子ども手当をもらえるのでしょうか。簡潔にお答えください。

長妻国務大臣 施設に入っているお子さんについて、親御さんが監護をしている方についてはその親御さんに出ますし、あるいは、お子さんの中で親御さんがいらっしゃらない方には施設にお支払いをするということであります。

棚橋委員 私が質問しましたのは、必ずもらえますかと聞いているんです。施設に入っていらっしゃって親御さんがいらっしゃらない、一番この国で応援しなければいけない子供たちは必ず全員もらえるんですか。お答えください。

長妻国務大臣 今、お子さんの手元にその現金がもらえるのか、そういう趣旨でありましょうか。

棚橋委員 もらえるか、もらえないかということです。手元であろうと別の形であろうと結構です。どちらでも結構ですが、もらえるか、もらえないか。すべての、親御さんが不幸にしていらっしゃらなくて養護施設に入っている子供には、この子ども手当が六月から支給されるのか、この点を簡潔に明確にお答えください。

長妻国務大臣 実質的にもらえるということです。

棚橋委員 国立の養護施設に入っているお子さんにはどのようにしてお渡しするんですか。実質的にもらえるということですから、教えてください。

長妻国務大臣 突然のお尋ねでございますけれども、それについても、子ども手当そのものではございませんが、同じ金額が基金から施設に支給をされるというふうに考えております。

棚橋委員 まず、突然のお尋ねではございません。事前に通告しております。

 それから、国立の養護施設でも、こども安心基金から一万三千円もらえるんですね。今、そうおっしゃいましたね、間違いございませんね。その点をお答えください。長妻大臣、お願いいたします。

長妻国務大臣 ちょっと今確認をいたしますと、国立のそのような施設はないというようなことであります。

棚橋委員 国立の養護施設はないということでよろしいですか。私は、先日、厚生労働省の方からレクを受けたときに二カ所あると聞きましたが、そうすると、私が受けたレクが間違っておるんですね。

長妻国務大臣 国立の児童自立支援施設というのはあるということであります。

棚橋委員 つまり、親御さんを亡くされて、この国が一番応援をしなければいけない十五歳未満、中学生以下のお年の子供たちが入っている養護施設あるいはそれに類似するものは、国立ではないということですか。

 私が聞きたいのは、こども安心基金からお金を出すということですが、それは、すべてそうやって親御さんを亡くされて苦労されている子供たちに行くのか行かないのかということです。もう一度、その点をお答えください。

長妻国務大臣 これについては、児童自立支援施設におかれましても、親御さんがおられないお子さんがいらっしゃるということでありますので、この方々に対しては内部の予算でそれに見合うお金を支給する、こういうことにさせていただこうと考えております。

棚橋委員 内部の予算というのはどういう予算ですか。こども安心基金は地方自治体に基本的に出すものですよね。内部の予算というのは、どういう予算措置を今参議院で審議中の予算でされているか、教えてください。

長妻国務大臣 これは、今確認をいたしますと、国の施設にある予算で措置をするということです。

棚橋委員 私が先日厚生労働省の担当者からレクを受けた限り、国立の養護施設ないしそれに類似する施設に入っていらっしゃる方に関しては子ども手当はもらえないと聞きましたが、そうすると、私は厚生労働省の担当者からだまされたわけですか。

長妻国務大臣 私がお願いしたいのは、事前に前提を教えていただければ、詳細にスムーズにお答えできるわけでありますけれども、先ほど申し上げたとおり、内部の予算で見合うお金を支給するということにしております。

棚橋委員 まず、この点については、何度も申し上げておりますように、厚生労働省の担当者の方に来ていただいて、詳細に質問させていただいております。それが大臣のお耳に届いていないかどうかは、私の問題ではなくて、あなたと厚生労働官僚の問題ではありませんか。

 今の点、もう一度。そうすると、私が受けたレクは間違っていたのか。要は、野党の議員はだまされていたのか。この点、調査していただきますことを、委員長、大臣に促してください。

長妻国務大臣 私も、棚橋委員にどういう説明を役所がしたのか、確認をさせていただきたいと思いますけれども、我々の見解といたしましては、そういうお子さん方には内部の予算でそれと同額のお金を施設に支給する、こういうような形で取り組むということであります。

棚橋委員 次回の委員会までに、今の件について御報告をください。

 委員長から厳しく言っていただきたいんですが、委員長、いかがでしょうか。

藤村委員長 理事会で協議いたしましょう。

棚橋委員 それでは、先般質問をさせていただきました給食費の問題について、質問をさせていただきます。

 子ども手当、この法案が成立して六月から一万三千円出るときに、給食費を支払うべきであるにもかかわらず支払わない御家庭は、子ども手当から天引きさせないんでしょうか。そのおつもりはございますか。それとも、一万三千円もらうだけもらって、給食費も払わないでいいということになっているのか。大臣、お答えください。

長妻国務大臣 これについては、先日来、棚橋委員からも御指摘をいただきまして、学校現場では給食費の回収というのに大変先生方も御苦労されておられる、こういう現状も承知をしております。

 平成二十二年度におきましては、この支給するお金はお子さんのために使ってほしいということをきちっと自治体の窓口などで広報、周知するということに取り組んでいって、払えるのに給食費を払わないということでは、これはあってはならないというふうに考えております。

 そして、平成二十三年度の本格実施の制度設計の中で、現行の法案というか考え方でありますと、こういうものについては、差し押さえ禁止債権として、給食費と相殺することができないというような法的構成もあると聞いておりますので、そういう問題も、どう克服できるのかできないのかも含めて、平成二十三年度の本格実施に向けた検討の中で一つの論点であるという認識をしております。

棚橋委員 残念なことに、お答えが全くございません。

 給食費を支払うべきなのに、支払う人が支払うのは当たり前で、そう促したから支払われるものなら、このような事態は起きていないんです。

 この六月、子ども手当、給食費を払えるのに払わない御家庭から天引きするようにこの法案を修正するべきだと思いますが、大臣はそう思われるか思われないか。短くお願いいたします。

長妻国務大臣 先ほども答弁申し上げましたけれども、いろいろ検討する課題があるというふうに考えております。

 それは、棚橋委員のお気持ちもよくわかるわけであります。やはり、お金を持って、払えるのに給食費を払わない、そして先生方もその資金の回収に大変な御苦労をされておられるというようなことでありますので、平成二十二年度は、実態把握もして、広報をきちっとして、そして二十三年度以降、差し押さえ禁止債権の問題も含めてこれは検討課題であるということで、二十三年度の制度設計の中で検討、議論をしていくということです。

棚橋委員 つまり、やる気はないんですね、この法案、六月の子ども手当の支給に関しては。残念です。

 もう少し、この法案の問題点について掘り下げていきたいと思っております。

 日本に住む方が、その方が日本人であろうと外国籍の方であろうと、短期の在留は除いてですが国内、海外に外国籍の子供がいる場合も子ども手当は支給されますか。大臣、お願いします。

長妻国務大臣 これも午前中にもお答えを申し上げたところでありますけれども、外国籍の御両親、親御さんが国内におられる、そして外国籍のそのお子さんが海外の母国に住んでおられる、そしてその外国籍の親御さんはそのお子さんと生計を一にして、かつ法律で言う監護ということをしている、こういうことがあればお支払いをするということは、これは児童手当と同じでございますけれども、これについても平成二十三年度の制度設計の中の一つの論点であるというふうに理解しております。

棚橋委員 ということは、外国籍の方でもお払いになるということですね。

 では、もう少しお話を伺いますが、これは事前に質問通告してありますので、調べてあるはずですので教えてください。

 子ども手当の対象、子ども手当がもらえる外国籍のお子さんは、国籍別にそれぞれどれだけいらっしゃって、幾らのお金がもらえるんですか。また、その方々は、国内にどれだけ住んでいらっしゃって、幾らもらえ、海外にどれだけ住んでいて、幾らもらえるのですか。事前に通告してありますので、大臣、お答えください。国民の税金がどのように使われるか、知りとうございます。

長妻国務大臣 これは通告をいただいておりまして、午前中にもお答えを申し上げたのでございますが、国籍別、あるいは外国籍の方に何人、現行の児童手当で支給されているのかというのは、地方からそういう情報を上げる仕組みがないということで、その実数というのは把握をしていないということです。

棚橋委員 ちょっと待ってくださいよ。日本国民の税金を使うんですよ。今、もう予算が参議院に行っているんでしょう。子ども手当を幾ら出すかというのは、五兆四千億円の中でどれだけ外国の方に出すかというのは当然試算しているはずじゃないですか。

 だったら、せめて、外国に住む外国籍のお子さんには幾ら出すのか、それだけでもお答えをください。それがわからないのに、この法案の審議なんかできるわけないじゃないですか。お願いいたします。

長妻国務大臣 これについても午前中もお話し申し上げましたが、例えばお伺いした東京の荒川区では、荒川区の人口は十九万人でございまして、外国人登録が約一・六万人、外国人登録が多い地域だと聞いておりますけれども、海外に居住する児童を監護する外国人の受給者は百余人というようなことを聞いております。

 これは、平成二十三年度の制度設計の中でも、外国籍の今のお話については一つの論点として我々も議論をしていくということにしているところであります。

棚橋委員 済みませんが、委員会をとめてください。これでは審議できません。

 外国籍のお子さんたちが海外にいるのに、どれだけの金額の税金を子ども手当に使うのか、これすら答えがなくて、荒川区の話だけして、全体の話が全然把握されていない。そんないいかげんな制度設計なんですか。その金額すらわからずに、この法案の審議ができますか。

 委員長、ちょっと注意をしてください。一度、まず速記をとめてください。

 大臣に聞いておりますから、山井さんには聞いておりません。

 理事、お願いいたします。

山井大臣政務官 御存じのように、今の児童手当がそのような分類をして報告するという形にはなっておりません。

 ただ、午前中、もうこの件に関しては鳩山総理が大村委員の質問に対して答弁をいたしまして、再来年度の本格実施のときに向かってさまざまな現状把握をするということはおっしゃっておられます。

棚橋委員 まず、委員長にお願いいたします。私は大臣をお願いしているのに、山井さんにするのはやめてください。

 それから、今、山井さんが、鳩山さんがそうおっしゃったと言いますが、あなただってわかるでしょう、鳩山さんの言うことなんて信用できないことは。今まで、過去の発言とどれだけ変わっているんですか。給食費の天引きだって、やるようなことを言いながらやらなかったじゃないですか。これはだめですよ。

 委員長、もう一度お願いいたします。

 総額として、外国籍のお子さん、特に海外にいる外国籍のお子さんに国民の税金から子ども手当は幾ら出るのか、これがわかるまで審議はできません。

 理事の方、ぜひ、ちょっとここは理事で協議してください。

長妻国務大臣 児童手当とその支払いスキームについてはそれを踏襲させていただいておりまして、その児童手当においても、地方からそれを報告を受けるという仕組みにはなっておりません。その中で、平成二十三年度の制度設計に向けた議論の中でこういう問題も一つの論点になるということは再三再四申し上げているところであります。

棚橋委員 私は、児童手当の話を聞いているわけではありません。それが悪かったというなら、子ども手当のときで直せばいいじゃないですか。そのスキームを子ども手当法案がそのまま踏襲しているということは、逆に、それがいいと言っているということじゃないですか。

 まず、委員長にお願いします。これがわからなければ、審議できないですよ。日本人の税金で、海外にいる外国籍のお子さんにどれだけの税金をつぎ込むのか、この点、数字を必ず出してください。委員長、お返事をお願いいたします。

 委員長、速記をとめてもらえますか。委員長、速記をとめてください。

藤村委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

藤村委員長 速記を起こしてください。

 棚橋君。

棚橋委員 予算に必ずこれは積算されているはずですから、子ども手当は、国内、日本人のお子さんにお幾ら、外国籍のお子さんにお幾ら、こういう形でどのような積算になっているか、お話しください。大臣、お願いします。

長妻国務大臣 予算の積算については、これは、児童手当で現行払っている、この人数はもちろんわかるわけでありまして、その中で予算の選定、予算の査定というのはなされているというふうに考えております。ただ、先ほど来申し上げておりますけれども、総人数は予算の段階でも把握しているということでありますけれども、それを外国籍と仕分けする仕組みになっていないということであります。

棚橋委員 済みません、日本人のお子さんに幾ら子ども手当が出て、外国籍のお子さんに幾ら子ども手当が出て、それがわからないでどうやって積算できるんですか。私にはできないんですが、その天才的な方法を教えてください。

長妻国務大臣 今、予算の積算のお話をされましたのでそういうふうに申し上げたんですけれども、つまり、予算の積算ということに関しては、実際として支払っておられる総数にその金額を掛けて予算の積算というのはされるものだと承知をしておりまして、そういう計算の中で予算を策定しているというところでありまして、その中で外国籍と日本国とを分けているというわけではありません。

棚橋委員 全くいいかげんなんですね、本当に。

 では、もうちょっと質問の角度を変えましょう。

 もし、日本人が生計監護要件を満たす形で海外に居留する外国人の子供たちを二十人養子にした場合、生計監護要件さえ満たせば、民法上の養子にすれば子ども手当は出ますか、出ませんか。

長妻国務大臣 今のお話は、日本国民の方が海外で養子を何十人もつくって海外に住まわせているというような話だと思います。

 まず、御存じのように、養子にするということについては、これは厳格に、日本国においては家庭裁判所の認定が必要となる手続があります。その上で、仮に、その養子の方が海外に住んでいるということがあった場合、それにしても、日本国民の方が、本当に生計を一にして、本当に法律で言う監護ということをきちっとしている、こういうような要件が満たされれば、それは支給されるということになりますけれども、その間にはいろいろ、養子にするしないも含めたチェック体制があるということであります。

棚橋委員 家庭裁判所でも、養子にするという両者の意思が基本的に明確になれば、なるんですよ。

 だから、なぜここを聞いているかというと、それだったら、日本国籍を持つ方、あるいは、短期を除いて、日本に合法的に居留する外国人が養子を二十人、三十人とって生計監護要件さえ満たしたら、全部日本人の税金でこれは出るんですよ、子ども手当が海外の子供たちに。それはいいんですね。それが友愛なんですね。お答えください。

山井大臣政務官 これは生計監護要件のことなので、私からちょっと説明させていただきたいんです。

 ここに規定されておりますように、生計を一にするとはどういうことかといいますと、児童と養育者との間に生活の一体性があるということであり、必ずしも同居を必要とするものではないこととし、したがって、勤務、修学、療養等の事情により別居し、日常の起居をともにしていないが、別居の事由が消滅したときには再び起居をともにすると認められ、かつ、児童と養育者との間で生活費、学資金、療養費等の送金が継続的に行われている場合は、生計を同じくするに該当するものであると。

 つまり、原則は同居です。しかし、必ずしも同居でなくてもいいけれども、同居できない理由がなくなったときには同居をするということでありまして、こういうことを偽ってやったときには、今回の法案の三十三条の中で罰金あるいは懲役ということになっております。

棚橋委員 だから、生計監護要件を満たせば出るんじゃないですか。

 要は、例えば、合法的にフィリピンから出稼ぎに来ていて、七人子供がいたり、あるいは七人養子にして、ちゃんと一部は仕送りをする、あるいは連絡をとって子供の養育状態を確認する、そうすれば出るんでしょう。七人だったら、二万六千円の、民主党のマニフェストどおり満額であれば二百十八万四千円ですよ。そのお金が日本国民の税金から出るわけですよ。今まさにあなたが言ったとおり、そういうことになっているわけじゃないですか。

 しかも、一人当たりのGNPが全然違うんですから。例えばフィリピンですと、一人当たり大体、二〇〇八年の外務省のホームページからドル換算すると、十七万ですよ。そこにも、日本国民の税金というよりも、今いる日本人の子供の将来背負う借金をふやしながら、海外の子供たちを養育するのが鳩山政権の友愛なんですね。大臣、お願いいたします。

長妻国務大臣 先ほども答弁申し上げておりますけれども、まず、海外のお話でありますけれども、児童が海外に住んでいる場合、居住する海外の国における官公庁またはこれに準ずるものが発行した証明書、あるいはその証明書等がとれない場合は、当該児童の居住国等において一般的に通用している親子関係を示すような証明書が必要となります。当然、不正を働いて受給した場合は罰則規定があるわけでございます。

 そして、実際の運用を今地方自治体に聞いてみましたところ、自治体によって若干異なるわけでありますけれども、例えばある自治体では、海外にいる子供の在学証明書や親子関係がわかる書類、出生証明書等、海外の民生委員のようなものによる居住証明書、パスポートの出入国記録、児童と同居している者の申し立て書、そして、ちゃんと生計を一にしているということを証明するために、その海外の子供に金銭や物を送った際の領収書等々を、その翻訳についてもその方の責任で日本語に訳していただいて、それを添付して出していただく、こういうような形をとっていると聞いております。

 これもるる答弁しているところでありますが、この法律が成立した後速やかに、さらに地方自治体に、きちっとそういう事実関係を確認して、要件確認というのを再度徹底させるような通知も出していきたいというふうに考えております。

棚橋委員 海外の一部において、居住証明書等の証明が残念なことに不適切、不正にしばしばなされていることは、これぐらいの常識は大臣は持っていただきたい。

 まして、今度は、その翻訳は本人の責任でやるというふうに今御答弁がありましたが、こんなもの、本人が好き勝手にやっちゃうじゃないですか。まず、そういう意味で、不正の温床になりますよ、これは。

 その上で、さらに、仮に不正でなくても、今申し上げたように、民法上養子にすれば二十人でもお金が海外に居住する外国籍の子供に出るような政策が、この国にお金があり余っているならともかく、正しいんですかと聞いているんです。それが友愛なんですか。長妻大臣、お答えください。

長妻国務大臣 二十人の養子という御指摘がありましたけれども、理屈、理論上は、今申し上げたようなすべての手続、すべての要件をクリアするということでありますけれども、通知もきちっと出して、本当に実態があって、例えばお金目当て、それが先にありきの話で実態が伴っていない話なのかどうか、これは先ほど来申し上げておりますけれども、当然、不正で受給すると罰則規定があり、これはもう犯罪でございますので、そういう点も厳しくチェックをする体制を、地方に一方的に任せるのではなくて、我々も、地方ともよく意見交換をしながら、さらに有効な対策をとる必要があれば通知の中でそれを盛り込んでいきたいと考えております。

棚橋委員 まず、不正の話は大変問題な話だと思います。今の長妻大臣のお話では、罰則があるから不正が起きないみたいな言い方ですが、世の中そうなっていないからこそ、警察や検察がいるんですよ。いろいろな総理大臣もいますけれども。

 その上で、私が聞いた質問は、政策的に見て、これだけ借金があるこの国で、海外に居住する外国籍の子供にまで子ども手当を出して、その借金のツケを今いる日本人の子供たちが将来負うような政策は正しいと思っているのか思っていないのか、この部分は撤回されないかというふうに聞いているんです。短くお答えください。

長妻国務大臣 平成二十三年度の本格実施の中で検討する一つの論点であるというふうに考えております。

棚橋委員 違います。今の法案について聞いているんです。

 この六月から出る一万三千円に関しては、海外に居住する外国籍のお子さんにまでは出さないというふうに変えるおつもりはありませんか、それともお出しになるんですか。イエス、ノーでお答えください。

長妻国務大臣 この二十二年度においては、先ほど申し上げましたように、そういう要件をきちっと見ていただくというようなことを徹底した上でスタートさせていただきたい。そして、平成二十三年度においては、それについて、海外の事例も、ほかの国の事例も見ながら検討していくということであります。

棚橋委員 つまり、出すんですね。

 では、もう少し具体的な例を挙げてお聞きします。

 脱北者の方が、北朝鮮に子供や孫がいる。生計監護要件さえ満たせば、その方にも子ども手当は出ますか。大臣、お答えください。

長妻国務大臣 これは、先ほど申し上げている外国籍というのは、別にどの国ということを限定して言っているわけではございませんで、基本的にはすべての国にこれは適用される話だというふうに考えております。

棚橋委員 北朝鮮からの脱北者の方が、生計監護要件を満たすために、子ども手当をもらって北朝鮮の子供や孫に仕送りをするということは、当然これはいいんですね。大臣、お願いいたします。

長妻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、ただ御自身が子供がいるからということだけでもちろん支給されるわけではございませんで、先ほど来申し上げているようなさまざまな書類をその国からも含めていただくということになっているところであります。

 そして、そういう書類についてどこまで確認するのかというお話でありますけれども、そういうものも含めて地方と国と協議をして、それで国として協力すべきところがあれば、それも通知の中にも盛り込むと同時に、地方とも協議をして実効性のあるような体制をつくっていくということであります。

棚橋委員 では、大臣の今の御答弁では、北朝鮮からの書類は信用するんですね。それとも、どうやってこれは確認するんですか。

長妻国務大臣 特定の国ということではなくて、一般論として申し上げると、それは、その国の書類だと言われて、本当にその国が国の証明として出した書類なのか、あるいはその方がある意味では私的につくった書類なのかというのは、もちろんそれは確認しなければならないということでありまして、それはきちっとした実態をあらわす書類なのかどうかというのは確認をした上で認定をする、認定要件となるということであります。

棚橋委員 一般論として聞いているのではなくて、北朝鮮からの書類だったら、確認するのにどうやって信用するんですかと聞いているんです。

 だって、脱北者のお子さんやお孫さんだって子ども手当は出るんでしょう。全部これは出るわけでしょう、外国籍で外国居住でありながら。それも、日本人の子供たちが将来、借金を背負ったこの国の債務を税金で払うことを前提に。

 もう一度、北朝鮮を前提にお答えください。大臣でお願いします。

 なお、委員長、大臣にお願いしていますので、大臣でお願いいたします。

長妻国務大臣 これは、二十二年度においては今の児童手当と同じ支払いのスキームでありますけれども、これも一般論として申し上げると、それは、本当に実態をあらわした書類が、きちっとその機関が実態をあらわした形でその国が発行をしたということをきちっと認定をする、こういうことが前提になるというふうに考えております。

棚橋委員 この法案の問題点、具体的な事例を挙げながらこうやって明確にしておりますが、それでは、脱北者の方が子ども手当をもらって、それを北朝鮮の子供や孫に送金したときに、そのお金が日本に向けられる核やミサイルに使われないという保証はどうやって担保するんですか。大臣、お答えください。

 大臣でこれまたお願いいたします、委員長。

長妻国務大臣 いろいろな仮定を置いてお話がありましたけれども、これは、先ほど来申し上げておりますように、平成二十三年度の本格実施に向けた論点の一つである。いろいろな御指摘をいただいたものも我々も参考にしながら、あるいはほかの委員会でも御指摘をいただいているところもありますので、そういうものも参考にして、平成二十三年度の本格実施の制度設計の中で議論をしていくということであります。

棚橋委員 つまり、この六月からは出すということじゃないですか、この法案を通すのならね。

 もう少し、では、別の角度でさらにお伺いします。

 例えば、海外にいる女性と日本人の男性が海外で内縁関係になったときに、その女性のもとに、外国人の前夫、配偶者との間に七人の子供がいたら、そして、生計監護要件を満たした場合、この場合は子ども手当の支給対象となるのかならないのか。通知してありますので、お願いいたします。

山井大臣政務官 一番重要なことは、二十二年度の子ども手当法案においては、今までの児童手当よりも緩くするということはあり得ない、より厳しくするということであります。

 ですから、先ほどおっしゃっていた、脱北者の話であれ、今の何か内縁のお子さんの話であれ、もし二十二年度、認められるのであれば、今も認められているんです。今回、そういう問題が児童手当で起こっているのかというのを私たちも聞いておりますが、それほど大きな問題が起こっているということは、今はそれほどは聞いておりません。

 ただ、私は、棚橋委員が御指摘される、二万六千円までなったら大事な財源が海外にもっとたくさん流出するじゃないかという問題意識は、その意味では共有しております。

 だからこそ、二十二年度においてはこのまま児童手当で、今それほど問題が顕在化していないからやっていきますが、ただ、一万三千円、二万六千円となっていったら、棚橋議員御指摘のようなことが、さらに、それを目当てに日本に来られる方が確かにあるかもしれないし、今までは不正で摘発された例はありません、聞いておりませんが、これからは出てくる可能性も確かにあります。今回の国会審議を聞いて、逆に、ああそうか、日本に行こうかと思われる方がもし出てきてもそれは困るわけですから、そういう意味では、再来年度の論点として、鳩山総理が答弁されたように、しっかりここは本格実施に向けて議論していきたいと思っております。

棚橋委員 まさに今認めたじゃないですか。そういう人もいるじゃないかと認めたじゃないですか。それなのに、実験的に一年間やるんですか。年度分で、一万三千円であっても二兆七千億円の財源ですよ。消費税一%以上ですよ。現にそうなりますよ。

 大臣、もう一回お答えください。今のケースで、もらえるケースもあるんですか。

長妻国務大臣 これは、一九八一年までは、児童手当においては国籍条項があったというふうに聞いておりまして、今のような外国人の方には支払いがないということだったということであります。

 ただ、一九八一年に難民の国際条約を結ぶ過程で、いろいろな国際情勢を勘案して、国籍条項を一九八一年に撤廃して今のような形になったということを聞いておりますので、そのときの状況や世界の条約の関係性、あるいは世界との関係も含めて、平成二十三年度の本格実施の中で一つの論点として議論をするということであります。

 現時点では、今御指摘いただいておりますけれども、日本国内に外国籍の方が住んでいる、あるいは、当然、日本人が日本国内におられて、そのお子さんが海外に行っていても、それはもちろん支払われるわけでありますけれども、外国籍の方も、日本国内におられて、そして海外にお子さんがおられて、生計を一にする、そして監護ということがあるということが、単なる口で言うのではなくて証明書等で証明される、そういう要件のもと支払われるというのは今の現状だというふうに考えております。

棚橋委員 おかしくありませんか、この法案。それは、人気取りで七月の参議院選挙前に、六月に一万三千円ばらまきたいというあなた方の思惑は見え見えですけれども、一万三千円、年ベースで二兆七千億円、二万六千円、五兆四千億円、このお金は、最後、日本人の子供たちが国の借金として増税で返していくわけですよ。それを、友愛の精神かどうか知りませんが、外国籍の、海外に住む外国人のお子さんたちにまでばらまきをする。この政策の整合性あるいは思想のなさというよりも、何にも考えずにつくったということが明確だと私は思います。

 この法律自体を取り下げることを強く要望して、私の質疑を終わらせていただきます。

藤村委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 午前中に引き続き、子ども手当法案について質問をしてまいります。

 まず初めに、この法律案の名称そのものについてお伺いをいたします。

 これまでの委員会質疑の中で、本法案の内容が、公明党が拡充してまいりました現行の児童手当制度の上に成り立っている、このことは指摘をしてまいりました。児童手当法の規定に基づく給付に上乗せして支給をされる本法案は、手当の名称は違いますが、実態としてはやはり児童手当制度の拡充にすぎないと言えると思います。これは、もうだれもが認めることでございます。

 私は、本法案の内容に沿った名称であるとすれば、平成二十二年度における児童手当制度の拡充による子ども手当の支給に関する法律案、名称をこう変えるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 公明党の御尽力もあり、この児童手当制度というのが一歩一歩拡充をしてきたということは、我々もよく理解をしております。

 そして、今回、児童手当の事務的な支払いのスキーム、年に三回、あるいは児童手当の現行部分についての負担の割合、これについて踏襲をさせていただいているということでございまして、全体の考え方は、これは子ども手当ということで、まずは初年度半額で二十三年度は全額、こういうような形の中での法案であるというふうに考えております。

 当然、児童手当のこれまでの積み重ねというのがあって、この子ども手当というのも発想が出て、法律もでき上がったと考えておりますけれども、あくまでも子ども手当であるというふうに考えております。

古屋(範)委員 児童手当の歴史についてお認めにはなっているわけでありますが、法律の名称というものはやはり内容を象徴するものでなければならない、このように考えます。であるとすれば、この子ども手当法案、この名称そのものを変更すべきだ、私は強くそのことを主張しておきたいと思います。

 次に、本法案に基づく子ども手当でありますけれども、児童手当法の規定に基づく給付に上乗せをして支給される形になっている、これが第十九条に色濃くあらわれております。その十九条には、第二十一条に規定する児童手当等受給資格者に対する子ども手当に関しては、児童手当法の規定により支給する児童手当その他給付であるという基本的認識のもとにと規定をされているわけであります。すなわち、児童手当等受給資格者に対する子ども手当に関しては、児童手当の給付であるという基本認識のもとに給付をされるとしているのが十九条であります。この規定は、児童手当法による給付なのか、あるいは本法案によるものなのか、明確ではないというふうに思います。

 そして、これは第二十一条の平成二十二年四月から平成二十三年三月までの月分の児童手当等の支給に係る特例に矛盾した規定というふうに思われます。すなわち、二十一条では、平成二十二年四月から平成二十三年三月までの月分の児童手当等については、「当該児童手当等受給資格者は、児童手当又は特例給付等の支給要件に該当しないものとみなす。」と規定をされております。

 十九条では、児童手当分は児童手当法による支給という認識なのに、片や、二十一条では、児童手当の支給要件に該当しないものとみなすというのは明らかに矛盾していると思われます。本法案による子ども手当は児童手当とどのように異なるのか、これらの規定について矛盾はないのか、御説明をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

長妻国務大臣 まさに今おっしゃっていただいたところが児童手当と子ども手当の違うところでありまして、今の規定というのは、一つは、子ども手当は所得制限が入っていないというところから起因する要件もあるわけであります。つまり、児童手当の支払いの事務のスキームを活用させていただいて地方自治体の御負担を軽くするということでありますけれども、所得制限をかけないにもかかわらず、児童手当のスキームを利用すると所得制限がかかってしまって、そしてかかっていない方にもまた払う、こういう二重の話にもなりかねないということで、そうではなくて、児童手当のスキームでありますけれども所得制限をかけないというようなところから、こういうような条文の書きぶりにさせていただいているということでございます。

古屋(範)委員 やはり不明確、そういう印象はぬぐえない、そのように思います。やはりぎりぎりの法律案と言わざるを得ないというふうに思います。

 さらに、第一条の趣旨についてお伺いをしてまいります。

 本法案の趣旨、第一条の「次代の社会を担う子どもの健やかな育ちを支援する」という一節に集約をされておりますけれども、これが具体的に何を意味しているのか、特段の説明はなされておりません。非常に短く記されております。この漠然とした表現では、何をどうするのかということが理解できかねます。

 さらに、児童手当法の「児童の健全な育成」とどう違うのか。事業主拠出で賄う児童育成事業は児童手当法の規定どおりであることからも、「資質の向上」という目的は残すべきではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 今、児童手当の第一条の目的のところ、趣旨を見ていただいて御質問をいただきましたけれども、やはり、社会全体で子供の育ち、子育てを応援する、支援するということが前提であります。

 児童手当の文言ともかぶる部分もあるとは思いますが、一つは、所得制限が入る生活の安定というところについては、趣旨として所得制限を入れておりませんので、それは第一条には書いていないということでありまして、全体として、先ほど来の議論で、基礎的な経費の相当部分を社会全体で担うということで子育て、子育ちを応援していく、こういうような趣旨であります。

古屋(範)委員 児童手当を残しているということは事業主の拠出が入っているわけでありまして、それでありながらも、資質の向上、これを除いてしまうということであります。これは残すべきではないか、私はこのように考えております。再度指摘をしておきたいというふうに思います。

 次に、支給方法の改善についてお伺いをしたいと思います。

 これは、今までもさまざま多くの方から声をいただいた点でございます。現行では、二月、六月、十月に、それぞれの前月までの分、四カ月分を支給するということになっております。それが、今回、手当額が月額一万三千円ということで大幅にふえることとなりました。四カ月分では五万二千円という非常に大きな額になります。これまでも、受け取っていらっしゃる親御さんから、なぜ毎月支給されないのかというお声もいただいておりましたし、四カ月でなくてせめて二カ月おきにしてもらえないか、このような要望がございました。

 確かに、市町村の支給事務が煩雑になってしまう、それに対する配慮というものは必要だと思いますが、その他の手当もあわせて子ども手当の支給を二カ月ごとにするなど、支給方法の改善を図るべきではないか、このように考えますが、いかがでしょうか。

山井大臣政務官 古屋委員にお答え申し上げます。

 確かに、額もふえることですから、もう少し小まめに支給してほしいという声、私も聞いております。ただ、申しわけございませんが、来年度におきましては、支払い月、支払い回数を変更することについては、市町村において、第一に、システム改修が必要なこと、また第二に、支払い回数が増加することによる事務負担が増加することから、現時点においては困難であると考えております。

 しかしながら、本格実施に向けて、この支払い回数の問題や支払い方法の問題、ここは現場の市町村とも議論しながら、また検討していきたいと考えております。

古屋(範)委員 確かに市町村の事務負担というものは配慮をしなければいけないんですが、ぜひ、二カ月ごとの支給というものを検討していただきたい、このように要望しておきます。

 次に、午前中にも質問した観点なんですが、児童養護施設等に入所している子供への対応でございます。

 長妻大臣は、こうした子供たちに対して、安心こども基金を活用して手当を支給する、こういう意向を表明されております。その支給の仕組み等については、検討はこれからだということであります。さらに、二十三年度以降における子ども手当における制度設計についても、いまだ明確にはなっておりません。

 さらに、配偶者から暴力を受けているDV被害者が子供を連れて別居をしている場合、手当が子供のために使われるためにも、確実に被害者側に支給をしていく必要がございます。

 このような取り扱いについて、本法案提出後に明らかにされたものでありますので、また、先週の五日、本委員会において、長妻大臣は、二十三年度の本格実施では、これらの考え方が法案の中に盛り込まれることができるかできないかも含めて検討課題としたいと答弁をされております。

 この点、午前中にも総理にお伺いいたしましたけれども、安心こども基金による措置がどのようになるのか、受給者はだれなのか。あるいは、支給の仕組みや考え方を今後明確にするために、子ども手当の支給対象とならない子供に対する支援について、私は、この二十二年度の、今回の子ども手当法案に盛り込むべきだというふうに考えておりますけれども、改めてこれを大臣にお伺いしたいと思います。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

長妻国務大臣 これについては、今御説明をいただきましたけれども、平成二十二年度においては、この基金を活用して実質的には同じ金額を施設にお支払いをする、こういうような形を着実に実施して、そしてその中で、これはいろいろな御意見があります。厚生労働省にもそういう施設の関係者の方も来られて、さまざまな御意見がございますので、その御意見も聞きながら、平成二十三年度において、そういう制度が中心に位置づけられるような考え方というのはどういう考え方がとれるのかというようなことも議論をするということで、これも一つの論点として、制度設計の中で検討課題であるというふうに考えております。

古屋(範)委員 今、関係者の意見を聞きながら検討されているようでありますけれども、ぜひこの二十二年度から、こうした児童養護施設、あるいは里親のもとにいる子供たちへも確実に届くように、地方自治体がそれを実行していただくためにも、私は法律で担保することが必要だと考えております。そのことを再度申し上げておきたいというふうに思います。

 また、昨日参考人質疑がございまして、それぞれの参考人から大変貴重な御意見をいただきました。その中で、現政権はワーク・ライフ・バランスに余り熱心ではないのではないかという趣旨の御意見がございました。私自身はこれまで、仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスに一貫して取り組んでまいりまして、このワーク・ライフ・バランスについて大臣に何点かお伺いしてまいりたいと思っております。

 御承知のように、我が国の平成十七年の合計特殊出生率は一・二六と、過去最低を更新するとともに、人口も平成十六年をピークとして減少に転じまして、人口減少社会、これが現実のものとなりました。平成二十年の合計特殊出生率は、前年を〇・〇三ポイント上回る一・三七と、三年連続で上昇したとはいうものの、実質的には横ばいということであります。

 また、平成十八年末に発表されました国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口によりますと、現在の傾向が続けば、五十年後に我が国の人口が九千万人を割り込むということであります。一年間に生まれる子供の数が現在の半分以下、五十万人を割り、高齢化率が四〇%を超えるという厳しい見通しが示されております。急速に進む日本の少子高齢社会への対応策、これは待ったなしであるというわけであります。

 先ほども紹介をいたしましたけれども、公明党が平成十七年、少子社会総合対策本部を発足させまして、数十回にわたり、労働界、経済界あるいはマスコミ、医学界等々、意見聴取をし、また、少子社会タウンミーティングなども開催をして、少子社会トータルプラン、十八年四月に発表をいたしました。これは二つの柱がありまして、一つには、生活を犠牲にしない働き方への転換、働き方改革、もう一つが、子育ての負担を過重にしないという考え方、総合的な子育て支援、この二つが柱となっております。

 また、少子社会総合対策本部のもとで、仕事と生活の調和推進基本法検討ワーキングチームというのをつくりまして、これまでのみずからの働き方を見直し、安心、納得できる環境整備をしていこうと、これも識者から多くの意見を聴取いたしまして、また、先進的な企業の多くの現場を回り、取り組んでまいりました。

 内閣府が平成二十一年十月に発表いたしました男女共同参画社会に関する世論調査を見ますと、仕事、それから家庭生活、地域・個人生活のかかわり方の希望優先度、いずれの年齢層においても、仕事と家庭生活をともにとする割合が比較的高いことがうかがえます。また、男性全般では、やはり仕事とする割合が非常に高いことは高いんですが、男性の中でも二十歳から五十九歳の間では、仕事や家庭生活というよりも、仕事と家庭生活をともにと希望している割合が高いわけであります。こうした調査からも、仕事と生活の調和が今求められているというふうに見てとれます。

 政府も、平成十九年十二月に、子どもと家族を応援する日本重点戦略会議におきまして、働き方の改革による仕事と生活の調和の実現を大きく打ち出されました。そして、仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランス憲章、また、仕事と生活の調和推進のための行動指針が策定をされたわけでありますけれども、今、官民一体となって取り組んでいる真っ最中ということが言えるかと思います。

 本年一月に、新政権におきましては、子ども・子育てビジョン、この中に、「男性も女性も仕事と生活が調和する社会へ」という項目がございます。ワーク・ライフ・バランスの実現が掲げられております。大臣も、さきの本会議の際に、子育てに係る環境整備について、子育てには、子ども手当のような現金支給、そして保育サービスの充実のような現物支給、そしてもう一つ、ワーク・ライフ・バランス、仕事と生活の調和、この三つが適切に整備されなければならないと答弁をされております。少子化が進む我が国において、だれもが仕事と生活の調和がとれた働き方ができる社会、これを実現することが重要な課題であろうと思っております。

 非正規から正規雇用への転換支援、あるいは女性の再就職支援、また、フリーターや派遣労働者などの安定的な雇用への転換、長時間労働の是正など、非常に課題は多いというふうに思います。決して、現金給付あるいは現物給付、これだけではなくて、ワーク・ライフ・バランス、こちらの方も非常に重要なわけであります。この重要課題であります少子化対策、子育て支援、働き方の見直し等、ワーク・ライフ・バランスの重要性について、大臣のお考えをお伺いいたします。

長妻国務大臣 今、るる御紹介いただきましたけれども、二〇五五年の推計というのは、本当に私にとってもショッキングなんですね。今のまま推移していくと、六十五歳以上の人一人を現役一・二人が支えるということで、今は三人が一人のお年を召した方を支えていますから、劇的に社会環境が変わりつつある。そのスピードは先進国で最も速いということで、やはり少子化の流れを変えるというのも、一つ大きな日本国のポイントだと思います。

 その中で、ワーク・ライフ・バランスというのも欠かせない一つの柱であって、今や、一九九〇年代中盤から、全世帯を見ますと、専業主婦の世帯よりも共働きの世帯の方が多いというような状況になりまして、共働きの世帯が普通というような実態になります。その中で子育ての時間を確保するというのは、これは非常に重要なことであります。

 統計を見て、私もこれもショックを受けたわけでありますが、六歳未満の子供がいる夫の家事の時間ということで、日本国は一日平均一時間、これは土日も入れてですけれども。ところが、アメリカは三時間、イギリス、フランス、ノルウェーも三時間前後ということなんですね、男性が家事を手伝う。労働時間が影響しているのかなと思って、アメリカの米国労働統計局の調査も見ましたし、日本の勤労統計調査も見ましたが、アメリカと日本を比べると、統計上は、働く時間はそれほど変わらないわけでありまして、やはり、一つは意識の問題も背景にあるのかどうか。若い方は意識が変わって、家事とか育児を積極的にするという価値観が高まっているようにも思います。

 そして、ことしの六月末からは、男性の育休をとりやすくする制度も始めさせていただいたり、あるいは、三歳未満のお子さんを持つ親御さんが働いている企業については、ことしの六月末から短時間勤務制度を就業規則の中にルールとして入れなきゃいけない、こういう義務を課すということも始まります。

 いずれにいたしましても、このワーク・ライフ・バランスというのは、意識の面のみならず、やはり社会全体の働き方を変えていくということ。私もよく言っているのは、イクメンというのは、育児をする男性は非常に格好いいんだというような価値観も共有できればありがたいと思いますが、当然、そういう気持ちの持ち方だけではなくて、社会全体の労働環境も大きく変えなければならないというふうに考えております。

古屋(範)委員 大臣の問題意識はよくわかりました。確かに今まで、女性は家庭で育児を、家事をという時代がございましたが、共働きがふえまして、今度は、女性は育児も家事も仕事もしなければいけない。非常にそちらの側に大きな荷重がかかってくるとなると、やはり子供を持つこと、これも考えてしまう。ある調査によりますと、現金給付があったとしても、我が家は子供は持たない、あるいは持てない、こういう層が一定程度あります。それは、仕事が忙し過ぎて、子供を持とう、育児をしようというゆとりが全くない、そういう理由からだそうであります。

 私も、今大臣がおっしゃった育休法の改正に関しましては非常に力を入れて取り組んでまいりまして、国会でも、当委員会でも八回質問させていただいて、それで前政権において改正が成立をしたわけであります。これにつきましても、ぜひ実効性を伴う運用というものを、これからも男性の育児休業取得率、この推移もしっかり見ていただいて、現実の上でワーク・ライフ・バランスが進んでいくようにお願いしたいというふうに思っております。

 そのワーク・ライフ・バランスの実現をしていく上で、私が非常に力を入れておりますのがテレワークの普及という点でございます。多様な働き方としても、テレワークという就労形態は非常に有効であると考えております。

 このテレワークは、在宅勤務など、情報技術、ITを活用して、場所、また時間にとらわれない柔軟な働き方であります。テレワークのような働き方の推進といいますのは、個人個人の置かれた状況に応じた多様な働き方ができる。例えば、育児中の女性でありますとか、あるいは高齢者になって、九時―五時は無理だけれども、生活に合わせた働き方。

 あるいは、これは障害者の方々でもITを使ったさまざまな仕事がありまして、例えば、熊本にあるNTT関連の特例子会社なんですが、そこでは航空写真を地図におろすというのをテレワークでやっております。あるいは、漫画が携帯で見られるように、これも、デザインをかいていくのはテレワークでやっていらっしゃいます。これは、母子家庭の母親ですとか、あるいは障害を持った方々、こういう方々も、リハビリに行く時間があって、それ以外の時間でテレワークができる。収入も、きちっと自立できるくらいのものを得ていらっしゃる。そういう例もございます。

 通勤時間を子供と過ごすといった意味合いからも、通勤時間がないわけですので、テレワークという働き方は、育児中の親あるいは障害者の雇用、または母子家庭の母親の雇用、さまざまな観点からも非常にこれは期待をされているというふうに思っております。

 私は、以前内閣で総務大臣政務官を務めておりましたときにも、このテレワークを推進しようと取り組んでまいりました。平成十八年五月にテレワーク推進会議というのを総務省に設置いたしまして、少子高齢社会対策の一環として、また仕事と生活の両立を可能にするテレワークの導入ということを積極的に進めてまいりました。

 既に政府では、平成十八年一月のIT戦略会議で、テレワーカーは二〇一〇年までに就業人口の二割とすることを目標としております。翌年の五月にテレワーク人口倍増アクションプランというものを策定し、取り組んでおりました。新政権においても、子ども・子育てビジョンの中にテレワークと書いていらっしゃいます。

 長妻大臣、このテレワークという新しい働き方についてどう思われるか。ワーク・ライフ・バランスの実現へ、テレワークという働き方は非常に重要だと思うんですが、この一層の普及を図っていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 これは、今回質問をいただくということで、厚生労働省の中でこのテレワークという働き方をしている人はいるのかを聞きましたら、政府全体の計画があって、非常に少ないんですが、二人が厚生労働省の人事課でそのテレワークという働き方を試行的にしている。一定の時間は自宅で、セキュリティーが保てるような回線を通じて厚生労働省と結んで、パソコン等で仕事をするというようなことであります。

 こういう働き方は、これは前から再三再四言われておりますけれども、なかなか広まっていかないということでありまして、一つは、やはり目の前にその職員がいないと、労働管理をどうするのか、あるいは就業規則等々でありますが、今でもこれはみなし労働時間制というのもありますし、あるいは、今、政府としても在宅勤務ガイドラインというのをつくってこれを周知していたり、あるいはテレワーク相談センターを設置したり、テレワークセミナーというのも開催したりしております。

 そして、これは国土交通省のテレワーク人口実態調査でありますけれども、平成二十年度において、自宅でテレワークを少しでも行っている人が三百三十万人おられるということで、私も、この数字はこんなに本当におられるのかなと思うような数字であります。

 私どもとしても、具体的にちょっと実態を見て、どういうところがネックになっているのか。これから共働き世帯がさらにふえるということで、これは育児との関係も含めて非常に重要なポイントだと思うわけであります。通勤時間がその分要らなくなるわけでありますので。こういう働き方の普及というのにも、今申し上げた施策以上のものが打てないかどうかも検討していきたいと思います。

古屋(範)委員 今、大臣から厚労省でお二人がテレワークをしていらっしゃるというお答えがございました。私も、当委員会で何度かこのテレワークの普及を求めてまいりましたが、厚生労働省の姿勢は非常に後ろ向きでありまして、労働をつかさどる省であるわけなんですが、テレワークについては踏み出すのが非常に遅かったというのが現状であります。

 平成二十年の通信利用動向調査によりますと、平成二十年末でテレワークを導入している企業は前年から四・九ポイント増加をして一五・七%となっております。また、具体的導入予定がある企業も前年と比べますと一・七ポイントの増加で五・二%となっております。

 テレワーク人口につきましては、先ほど触れられました国土交通省のテレワーク人口実態調査、この調査結果によりますと、就業者に占めるテレワーカーの比率は平成二十年で一五・二%となっております。平成二十年に一五・二%ですので、十七年の一〇・四%から四・八ポイント増加をしていると見ることができます。

 このように、最新の調査結果でもテレワークは増加傾向にあるが、既に普通の働き方となりつつある、そういうことが当たり前となっております欧米先進諸国と比べますと、まだまだであると思います。さらに取り組みを進めていく必要がある、このように思っております。

 また、中には、本人がテレワークを行っているという認識がない人もあるのではないかというふうに思います。本人の自覚があれば、居住地などに関する志向にもう少し変化が起きてもいいはずであります。特に首都圏においては、通勤時間が非常に長いわけであります。

 政府は、個人に対しても企業に対しても、それぞれにおけるテレワークのメリットを強調した啓蒙普及を推し進めていただきたい、このように思います。また、テレワークの本来の意図でありますワーク・ライフ・バランスの実現に向けても、今後もぜひ産学官が協力をして研究し、連携しながら推進していただきたいというふうに思っております。

 そこで、テレワークの所管省庁である総務省、ここが中央省庁では一番初めに導入をして、今、かなりの数の方がテレワークを行っております。厚生労働省は今二人ということなんですが、ぜひ率先してこのテレワークの導入の推進をしていただきたい、このように思います。重ねて、もう一度大臣の御決意を伺いたいと思います。

長妻国務大臣 まさに、労働を所管する厚生労働省でありますので、二人と言わず、もう少しふやしていきたいと思います。

 その中で、なぜそれがふやせないのかというような理由もあると思いますので、それも一つ一つ実体験に基づいて、国民の皆様にホームページなどでも御意見を伺いながら、そういう働き方も拡大をしていきたいというふうに思います。

 ただ、注意しなきゃいけないのは、テレワークと称して、ただ家に仕事を持ち帰ってお給料が出ない、こういうようなものであってはいけないわけで、きちっと労働として位置づけられて、ちゃんと自宅で仕事をして、それがお給料の換算になる、こういう自宅での勤務ということでありますので、その点も注意しながら、省内でもさらに拡大をしていきたいと考えております。

古屋(範)委員 ITを使った新しい働き方でもありますので、さまざまな課題があろうかとは思っております。逆に、働き過ぎになってしまうという懸念もありますので、こうしたテレワークという新しい働き方に対する全体的な制度設計、こういうふうなものも省内での推進をもとにつくっていっていただきたい、このように思います。よろしくお願いいたします。

 最後の質問になります。

 今、テレワークの普及に関して質問いたしましたけれども、仕事と生活のバランスをどうとっていくのか、これは非常に重い課題であるというふうに思います。単に女性の社会進出を進めるためであるとか、あるいは子育て支援、少子化対策のためというだけではない、もっと大きなものを含んでいると思っております。

 しかし、仕事と生活の調和を目指すという重要性はわかっていても、働き方の改革が企業の生産性を低下させ、競争力をそぎかねない、こういう企業も中にはあるわけであります。しかし、優秀な人材を引きつけ、生産性を向上させるためには、仕事と生活のバランスがとれる勤務形態が必要、こう発想を転換する企業も出てきております。企業にとってのメリットも、昨日、渥美参考人からもるる御意見がございました。そうした企業では、柔軟で多様な勤務形態が導入をされて、社員が生き生きと働いているという実態もございます。

 そうした意味で、ワーク・ライフ・バランスは、人材を確保、定着させ、やる気を高める、効果的な能力発揮を可能にして生産性を向上させ、企業業績を上げる人的資源管理の重要な手段であります。雇用主と働く人双方にとって利益がある政策であると考えます。

 ワーク・ライフ・バランスを進めるためには、憲章、行動指針は既に前政権で策定をされておりますけれども、今ある個別のさまざまな法律や制度、施策を充実させるために、これをバックアップする基本法が必要だというふうに考えております。

 そこで、公明党として、仕事と生活の調和推進基本法、この制定を目指しまして、現在、その法案づくりに取り組み、温めております。国を挙げて働き方改革を推進して、仕事と生活、子育て等が両立できる環境整備を進めていくことが重要であると考えます。大臣、この仕事と生活の調和推進基本法を制定すべきと思いますけれども、これに関して御所見があればお伺いしたいと思います。

長妻国務大臣 今、前段で言われた視点は重要だと思います。ワーク・ライフ・バランスというと、勤務時間が短くなる、企業にとっては損だという視点ではなくて、一定の仕事と生活の調和をとることで実は仕事の生産性も単位時間当たりかなり上がっていく、あるいは人材の獲得にも優位に働く、こういう考え方もあるわけでありまして、まずは労使、特に使の方も、その御理解をきちっといただくということが大前提であります。

 そして、基本法については、今、古屋委員初め取り組んでおられるということは聞いておりまして、これは国会でよく御議論をいただければと考えております。少子化の流れをやはりとめないと、今後本当に日本は大変な状況になってしまうという危機感を私は持っております。現金支給、現物支給、そして三本柱の三本目であるワーク・ライフ・バランスということでありますので、この重要性は私も共有しているところであります。

古屋(範)委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

藤村委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 午前中の本委員会で、鳩山総理に対する私の質問でバウチャーのことを聞かせていただきました。真に子供の育ちに役に立つ、そうした使い方を実現していく上では、バウチャーという形で子ども手当の財源を活用して親御さんに支給をする、こうした選択肢も考えられるのではないか。こうした御提言をいたしましたところ、鳩山総理から、平成二十三年度に向けた議論の中でそれを含めて検討したいという注目すべき御答弁がございました。

 バウチャーについて、平成二十三年度の本格的な制度設計の中で御検討くださる、こういう趣旨だというふうに思いますけれども、この点、もしできたら、長妻大臣にも御確認を申し上げたいと思います。

長妻国務大臣 私も柿澤委員に対する総理の答弁を聞いておりましたので、そういうことも検討の対象になるのではないかというふうに考えておりまして、バウチャー給付ということについては、具体的に検討するとすると、やはりその範囲をどうするかということや、あるいは事務負担、こういうことも留意をして検討していくということであります。

柿澤委員 御検討をこれから進められるということになりますが、きのうの渥美参考人の参考人質疑でも、まだ日本は、教育バウチャー等々も含めて、バウチャーという方式でこのような支給を行うということを試したことがない。そういう意味で、ひとつ、先ほど鳩山総理もおっしゃられたように、まさに子供の育ちを支援する、こういう目的に支給をしたものが使われるような形で、なおかつ経済効果も高い、こういう試算を渥美さんはされているようでありますので、こうした面も含めて多角的な検討を行っていただきたいというふうに思っております。

 続いて、子ども・子育てビジョンの数値目標とその達成にかかわる追加費用についてお伺いをいたします。

 先日も、病児保育のことを取り上げました。現状三十一万人を平成二十六年度二百万人ということで数値目標を立て、延長、休日保育等を合わせて総額二百億円の追加費用で達成をする。しかし、私がひもといた駒崎さんのペーパーによれば、これでは百万人以上も足りない、これは先日の質問でやりました。

 これに対して、山井政務官の御答弁によれば、試算の前提が違うんだと。この二百万人という数値目標の中には駒崎さんのやっているフローレンスのような非施設型の訪問サービスも入っている、稼働率も、あのペーパーは平成十八年度の三六%ということで試算をされていたんですけれども、最近では五〇%に稼働率は上がっていますよ、こういうお話でありました。

 それならということで、厚生労働省に試算のもとになるデータを出してもらいました。そうすると、これは病児保育の公費負担が一人当たり六千円だということで試算をされているそうであります。平成二十六年度の数値目標二百万人ということで、六千円掛ける二百万人で百二十億円、これが全体の費用で、今の現状の公費負担額が七十億円ほどになっていて、百二十億円マイナス七十億円で五十億円の追加費用、こういう計算になっております。つまり、プラス五十億円でこの病児保育二百万人が達成できるという計算になっているという説明でありました。

 病児保育、施設定員を大体四名として、稼働率五〇%、山井政務官の御答弁で計算をすると、一日当たり二名を預かる、こういう想定になります。年間の稼働日数を二百六十日とすると、まあこれはちょっと高い想定ですけれども、二百六十掛ける二で五百二十人、年間一施設当たり預かる。五百二十人分ですから、一人当たり公費負担を六千円とすると、その施設に入る補助金は、五百二十掛ける六千円で三百十二万ということになります。

 さらに今、基礎補助ということで、施設ごとの補助が百五十万円入っていますので、三百十二プラス百五十で四百六十二万円。これは、来年度から基礎補助は二百四十万にアップするということなので、三百十二プラス二百四十で五百五十二万円。ペーパーをつくればよかったなと思うんですけれども、厚生労働省の先ほどの試算の前提に沿って計算をすると、一施設が年間に受け取れる補助金は、二百四十万円に基礎補助をアップしても、五百五十二万円ということになるわけです。

 平成二十年度予算での施設の年間補助金は、病児対応型で八百四十八万円。五百五十二万円ということですと、これはやはり全然足りないんですね。しかも、この平成二十年度の八百四十八万円という補助でも赤字施設が続出をして、基礎補助を二百四十万円にアップする。さまざまな施策をこれから、二〇一〇年度、予算を積み増して病児保育に補助をしていく、こうしたことが示されたばかりです。この八百四十万すら大幅に下回るような五百五十二万円、こんなのでは施設はやっていけないというふうに思うんです。

 逆に、八百四十八万のラインを少なくとも死守するとすれば、予算規模は一・五倍ぐらいにしなければいけないということになります。そうなると、平成二十六年度までに病児保育二百万人を、延長、休日合わせて二百億円で達成するという試算そのものがやはり極めて怪しいということになってしまうのではないかと思いますが、いかがですか。

山井大臣政務官 柿澤委員にお答えをいたします。

 先週に引き続き、病児保育の問題を、一番大事なことを御指摘いただき、ありがとうございます。

 今御指摘いただきましたように、まだまだ安いのではないかという御指摘は、先日初鹿委員が御指摘いただいたように、本当に今年度も病児保育が非常に経営が難航しておりまして、私たちも問題点は共有をしております。

 ですから、今柿澤委員がおっしゃいましたように、まだまだ現場が立ち行かないということになれば、この子育て関係に関しましては、来年度も子ども・子育ての新システムの検討会を開きますので、その中でこの五年間の子ども・子育てビジョンの財源ということについて、また進捗状況を踏まえながら検討していきたいというふうに思っております。

柿澤委員 このことについて、くだくだ数字のことを言ってというふうにも思われるかもしれませんけれども、これにこだわっているのは、先日も申し上げたように、この子ども・子育てビジョン、大変いいことがたくさん書いてありますけれども、子ども手当の二・三兆円とか五・四兆円とかいう現金給付に偏って、現物給付に予算が回らなくなるんじゃないか、それでは困る、こういう批判にこたえて公表したという経過があるのではないかというふうに思われます。

 制度改善を伴う場合でなければ、この全体の数値目標を、平成二十六年度、〇・九兆円の追加費用で達成できるということになっています。しかし、現金給付、現物給付、車の両輪だ、両方やっていくんだというお話を何度も何度も聞かせていただいていますけれども、この病児保育一つをとっても、今の予算二百億円ということで達成できるかどうか非常に怪しい。となると、ビジョン全体の追加費用、〇・九兆円でとどまるのかどうかということも非常に怪しくなってくる。この子ども・子育てビジョン全体の計画としての信用性にかかわる問題になってしまうのではないかというふうに思います。

 先日の質問に続いてはっきり再度申し上げれば、この子ども・子育てビジョン達成のための追加費用〇・九兆円というのは、子ども手当のこの膨大な財政支出と両立が、現物給付もあたかも可能であるかのように意図的に額を低く見積もってきたようにも感じられます。今申し上げたような、既にこういうある種の穴が見つかっている。

 もう一度、ビジョン全体の追加費用の所要額を精査してみた方がいいのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 これについては、平成二十六年度の目標値というので、今の御指摘の点以外でも、NICUとか里親委託の率を上げるとか、いろいろな数字がございまして、それについて一定の試算の前提を置いて予算を算出しているというようなことであります。

 いずれにしましても、それぞれ予算編成の中で正確に予算を見積もって、毎年毎年その目標を達成するような予算を策定していくということでありますので、基本はその予算の策定、毎年の中で厳格に査定をして、そして積み上げていくということがまずは基本だと思います。

柿澤委員 今申し上げたように、これは、現金給付と現物給付が車の両輪だと、両輪の側の一つなわけで、これをこの財源というか財政支出によって達成するというのは極めて大事な目標だというふうに思います。これを財政的な事情で達成できない、あるいは逆に、達成をするために必要な財政負担はこんなになってしまう、こういうことが後から明らかになったのでは、あのとき、やはり子ども手当を通すために両立可能だという数字をメークアップして出してきたんだというそしりを免れ得なくなってしまうというふうに懸念をいたしております。

 その点で、私はむしろ、ある意味ではエールのつもりで、この所要額は精査をした方がいい、そして、それを出した上で、子育て支援には子ども手当と合わせてこれだけかかるんだということを、真っ正面から物を問うていった方がいいということを前回も申し上げたつもりです。

 もう一度、この件に関して御答弁をいただいて終わらせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 これについては、一定の前提を置いて、五年間ということでありますので、試算をして出させていただいたということでございまして、今の段階でその試算を変えるというつもりはございません。ただ、やはり子供にかける予算が今まで後回しになってきたというようなことを鳩山内閣全体で考えていく、こういう一つの流れの中で出させていただいている目標でありますので、その目標を達成して、現物、現金、これがバランスよく整備をされるということに努めていきたいと考えております。

柿澤委員 計画をこれだけで出したけれども、やってみたらこんなにかかりました、こんなにかかりますということでは、皆さんが批判をしていた旧政権下の公共事業の予算の膨らみと同じようなことになってしまうじゃないですか。計画の段階で正しい予算の見積もりを行って、それをもってやはり真っ正面から子育て支援の必要性を問うということでなければならないということを最後に申し上げさせていただいて、終わりとさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、黒田雄君。

黒田委員 民主党の黒田雄でございます。

 初めて質問をさせていただきます。少々緊張しておりますが、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 子ども手当についてであります。

 長妻厚生労働大臣は、次代を担う子供の健やかな育ちを社会全体で支援することを目的とし、その結果として、少子化の流れを変え、子供の貧困率の削減などにつなげたいと所信を明らかにしておられます。

 子供の数と質は、その子供が属する社会のあり方を反映したものであります。いかなる子供も、家族や地域など社会からの影響を受けて生まれ、誕生とともに社会に影響を与える、そんな存在であります。その意味で、子ども手当法案の政策バックボーンとして問題提起された、社会全体で子供を育てる、この考え方は正しい方向を示しているものと確信をするものであります。

 それは、これまでも数々の少子化対策あるいは子育て支援を講じてまいりましたが、なかなか結果として、有効な政策としてその成果を得ることができなかったということを受けとめなければいけないのではないでしょうか。だからこそ、この子ども手当の現金支給と、そして保育サービスなどの現物支給、まさに車の両輪としてしっかり取り組むことによって、社会の流れを変えていくという大きな意義があるのだと思います。

 しかし、一部の声ではありますけれども、この法案審議の中でも、選挙目当てのばらまきではないかというような極めて残念な指摘があるところであります。この点について、私どもは、全くそういう視点とは違う。そしてまた、この子ども手当は従来からの児童手当制度に上乗せをした拡大版ではないか、このような指摘もあります。私どもは、考え方を全く異にしているというところ。

 このような点について、この子ども手当の意義がどこにあり、大きな違いが何なのか、そして、この社会を子ども手当によってどのように変えていこうとしておられるのか、御所見をお伺いいたします。

長妻国務大臣 黒田委員におかれましては、早くにお父様を亡くされ、経済的にも大変な時期があり、その後、グループホームや子供の福祉に取り組まれたというふうに聞いておりまして、今後とも御指導を賜りたいと思います。

 今お話がございましたけれども、午前中の郡委員でございましょうか、貧困率の、所得の再配分の後と前の数字で、日本の場合は再配分をした後に格差が広がってしまうというような図も示していただきまして、私は、これはきちっと分析するように今省内にも言っておりまして、どういうことで起こっているのか、人生前半の社会保障が不足しているのではないのかというような一つの問題意識の観点からも、大変興味深く拝見させていただきました。

 今申し上げましたように、人生前半の社会保障という意味で、子供に対する予算というのが、これまで残念ながら国会でもいろいろな議論の中で後回しにされてきて、結果として少子化が先進国で最も速いスピードで進んでしまった。そして、GDPの比率でも子供に対する予算が非常に少ないというようなことについて、やはりその流れを変えていこう。

 子供を産みたいという方がその御希望どおりの人数を産んでいただく、こういうような形に変えられないかということを考え、現物支給、現金給付、ワーク・ライフ・バランスの三つの施策を適切にということでありまして、今御議論いただいている法律は、その中の現金給付ということで、これはばらまきではございませんで、控除から手当へという流れの中で、適切に手当が必要な方に重点的に配分する手法の中で、子供の育ちを社会全体で応援していこう。

 お子さんは、将来、社会保障の担い手にもなっていただくわけでありますので、お子さんのおられない方も、その方がお年を召したときには、そういう現役の方の社会保険料等で支えられるという側面もございますので、そういう方の御理解も得て、非常に重要な政策であるということを私もいろいろな場面で強調していきたいというふうに考えております。

黒田委員 ありがとうございました。

 まさに、この子ども手当の大きな意義は今御説明をいただいたとおりでありますけれども、この手当が支給され、本当に子供たちのために使われるのかというような指摘がきょうの議論の中にも出ておりました。午前中、鳩山総理の答弁でも、この手当の使われ方について工夫をするように指示もしている、こうお話をいただいたところであります。

 まさに、何のための政策なのか、そのことを考えたときに、国民の皆さん、そして子を持つ親御さんに対して、この子ども手当のそもそものねらいについてしっかり周知徹底を図っていく、また働きかけていくことが大切だというふうに思いますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。

山井大臣政務官 黒田委員にお答えを申し上げます。

 黒田委員は、本当に児童福祉に今までから取り組んでこられまして、子供は投票権を持たないわけですから、やはり子供の声は大人が代弁するしかない。おまけに、その子供たちの中でも、ある意味で最も家庭環境に恵まれない子供たちを今までからずっと応援してこられた黒田議員には、本当にこの子ども手当を通じて、社会的な養護を必要とする人たち、子供たちが暮らしやすい社会をともにつくっていきたいと思っております。

 そして、子ども手当がちゃんと子供のために使われるかということでありますが、これは、法律的には二条におきまして、子ども手当の受給者である親等は、子ども手当の支給の趣旨に従って子ども手当を使用しなければならないという責務規定を規定しておりますが、それ以外にも、さまざまな媒体を通じて積極的な広報を実施していくとともに、地方自治体に対しても、例えば申請書類等においても、子ども手当の趣旨や受給者の責務を盛り込むなど、広報していきたいというふうに思っております。

 ただ、こういう児童手当、子ども手当というのは諸外国においても当然同じ問題があるわけです、子供のために本当に使われるかと。そこで、こういう手当に関しては、私は、基本的には、保護者性善説ということも言われておりますけれども、やはり親は自分のことを後にしても子供のためにお金を使うんだ、そういう社会にしようじゃないかということを皆さんとともに訴えていきたいと思っております。

黒田委員 ありがとうございます。

 まさに、みんなでそのような社会に変えていかなければいけないというふうに思っております。

 この子ども手当に込められた思いについては私どもも賛同するところでありますが、来年度、そして二十三年度からは本格的に実施をしていく、その実施に向けて、財源の問題等も不安視をされているところであろうと思います。

 この現金給付、そして、子ども・子育てビジョンで示された待機児童の解消や放課後児童クラブの拡充など現物給付を同時に進めながら、完全実施に向けて万全の体制でしっかり取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。先ほど来の話にも、児童養護施設で生活をする子供たち、安心こども基金によるとりあえずの措置が来年度は行われるということでありますけれども、すべての子供がひとしく子ども手当の恩恵を受けられるような万全の体制が早期に確立することを望むものであります。

 そこで、お伺いしますけれども、その体制整備が急がれる、そしてまた財源がどうなのかというところが問われておりますが、この鳩山政権をかけた一丁目一番地の取り組みということを、しっかり危機感を持ちながら、決意を持ってお取り組みいただきたいと思うところでありますけれども、お考えをお聞かせください。

山井大臣政務官 お答え申し上げます。

 確かに、現金給付と現物給付、つまり、子ども手当と、そして保育所、放課後学童クラブのような現物サービスというのは、車の両輪であります。先ほども答弁しましたように、今回の子ども手当の法案とセットで、一月二十九日には子ども・子育てビジョンを発表したところであります。

 そして、この子ども・子育てビジョンに関しては、幼保一体化を含む新たな次世代育成の支援のためのシステムの構築について、ことしの前半までに基本的な方向性をまとめ、来年の通常国会に法案を提出することとされておりますし、また、平成二十三年度以降の子ども手当を含む政策に関しては、昨年十二月の四大臣合意を踏まえ、平成二十三年度の予算編成過程において、財源のあり方も含め、改めて検討することとなっております。

 財源なくして政策はあり得ませんので、しっかり財源の確保に取り組んでまいりたいと思います。

黒田委員 ありがとうございました。

 この子ども手当法案に込められた思いというもの、そして、これから子供の育ち行く環境をしっかり変えていきたいというところでありますけれども、今同時に、子供を取り巻く問題の中で、児童虐待の問題も大きな課題になっています。

 鳩山総理は、今国会の冒頭、施政方針演説の中で、命を守りたい、生まれ来る命、そして、育ち行く命を守りたいと国民に訴えられました。また、平成二十二年度予算を「いのちを守る予算」と名づけ、日本の新しいあり方への第一歩と位置づけられておられます。しかし、現実の社会はどうでしょうか。悲惨な事件として表面化する児童虐待です。小さな命が奪われています。

 奈良県桜井市の五歳の男の子は、親から十分に食事を与えられず、衰弱死しました。体重六・二キロは、五歳児の標準体重の三分の一しかありませんでした。埼玉県蕨市でも、二年前に四歳の男の子が親からの虐待で亡くなっていたことが発覚しました。同じように、十分な食事が与えられなかったり、入浴させられなかったり、衰弱しているのにもかかわらず医師の診察を受けることもなかったという事件であります。この一月には、江戸川区で、小学校一年生の男の子が両親から暴行を受けた後、死亡しました。江戸川区は、直ちにこの事件を独自に検証し、報告書を発表したところであります。このように、育ち行くはずであったとうとい幼い命が悲惨にも失われている現実を受けとめなければなりません。

 そこで、お伺いをいたしますが、虐待情報がもたらされた際に、まず子供の安全確認を、児童相談所等の担当者が自分の目で確認すること、そして追跡をすることが絶対に必要だと考えております。しかし、現実には、虐待情報を受けた児童相談所や市町村担当職員が、現場で両親などに断られ、子供の安否確認すらできないという実態があります。また、その後の追跡、状況把握も困難なケースが多いのではないかと心配をしているところであります。そこで、子供の安全確認の徹底や状況把握の体制、取り組みについて、どのように把握をしておられるか、御答弁をお願い申し上げます。

山井大臣政務官 黒田委員にお答え申し上げます。

 虐待の通報を受けた場合には、児童相談所の指針におきまして、まずは子供を直接目視する、目で見て安全確認をするということが基本のその一、そしてもう一つは、通告を受けてから四十八時間以内に安全確認を行うのが望ましいということを周知を図っております。

 さらに、その後も、福祉、医療、学校、警察、保健などの関係機関の連携が必要でありますので、子どもを守る地域ネットワーク、要保護児童対策地域協議会の設置を進めておりまして、現在は九二・五%の市町村で設置をしております。

 さらに、虐待が疑われるにもかかわらず、どの機関も安否確認が子供のためにできないという場合には、まず、立入調査等の権限を持つ児童相談所に適切に通知するとともに、さらに、児童相談所においては、平成二十年度に導入された、裁判官の許可状を得て、かぎをあけて部屋に入っていくことを可能とする臨検、捜索も視野に入れた対応が行われるよう、全国の市町村、児童相談所に求めてまいりたいと思っております。

黒田委員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げましたさまざまな事件化したケースも、その意味では安全確認ができていなかった。これが、もし担当の方が子供の安否を確認できていれば、もう少し違った結果が得られたような気もいたします。

 そしてまた、子供の虐待相談件数は年々増加しております。平成二十年度の全国の児童相談所で対応した件数は四万二千六百六十二件と、過去最悪でありました。このように、児童虐待の現状は深刻さを増しており、その子供たちの最後のセーフティーネットになっている社会養護体制についても、これが若干問題があるような気がいたしております。

 現在、社会養護のもとにある子供は四万七千人を超えております。また、潜在的に課題を抱えた子供たちがふえ続けているのも現状であり、緊急的に社会的養護を必要とする子供たちの養育と自立をはぐくむ体制の拡充が必要になっております。

 その社会的養護の受け皿になっている児童養護施設についてであります。

 児童養護施設は、御案内のように、昭和二十二年、児童福祉法を制定し、二十三年の施行とともに、孤児院から養護施設という名称に改められました。当時、戦災児童を受け入れ、最低限生活に必要な衣食住を提供し、養育をするといった体制のもとに、職員の配置基準や施設設備基準が定められておるのは御案内のとおりであります。

 そして、当時の子供たちの取り巻かれている環境と、今社会的養護を必要としている子供たちの取り巻かれている環境は、実は大きく違っていると言わざるを得ません。現に、児童養護施設へ入所している子供たちの虐待を受けた経験を見てみますと、約六割が虐待経験がある子供たちです。そしてまた、二割を超える子供たちの中には、発達障害や知的障害、さまざまな情緒障害、問題を抱えている子供たちがそれだけ児童養護施設で生活をしています。つまり、虐待や障害によって、子供の心理面や精神面でのケアがより重要になっているということが言えるのであります。

 しかし、現在は、施設の七割以上が大舎制という大きな生活単位の中で養育をされている。職員によるきめ細かな対応がなかなか困難な中での養育をされている現実を受けとめなければいけないんだろうというふうに思います。

 今、子供たちに必要なのは、家庭的雰囲気の中、きめ細かな対応を図るための施設の小規模化や、あるいは職員の配置基準をここで大胆に改善していくという取り組みがどうしても必要なのではないかというふうに思っております。

 問題を抱えている子供たちの生活のあり方について、どのようにお考えになっておられるか、御答弁をお願い申し上げます。

山井大臣政務官 答弁申し上げます。

 黒田委員のおっしゃるとおりだと思います。虐待を受けた子供たちは、普通の家庭のお子さん以上に、大人からの愛情、周りからの愛情が必要であります。にもかかわらず、大きな施設、そして大きな部屋であると、なかなかそういう愛情を十分に受けることができない。そういう意味で、黒田委員がおっしゃるように、やはり小規模化、グループケアというのは非常に重要だと思っております。先日も長妻大臣と一緒に子供たちのグループホームに行ってまいりまして、やはり非常に快適にお子さんたちが暮らしておられました。

 具体的に言いますと、二十六年度までに、小規模グループケアは平成二十年度の四百四十六カ所から八百カ所にふやしていきたい。そしてまた、地域小規模児童養護施設の目標値は、今の平成二十年の百七十一カ所から三百カ所にふやしていきたい。

 こういうふうに、社会的養護というものを大幅に数値目標を入れて拡充した、これが今回の子ども・子育てビジョンの大きなポイントでありまして、同時に、幾ら箱をつくっても、やはり人をふやして専門性の高い職員をふやすことが必要であります。こういうことについてもさまざまな方法で何とかできないか、努力をしてまいりたいと思っております。

黒田委員 どうもありがとうございます。

 まさに今施設で生活をする子供たちにとって、いかにその心に寄り添って対応してやれるかというところが問われておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、貧困の問題についてお話をさせていただきたいと思います。

 長妻厚生労働大臣の御指示で、日本の貧困率について調査をし、先ごろ発表されたことであります。今、相対的貧困率は、全体で一五・七%、子供の貧困率は一四・二%ということであります。

 そして、先ほど申し上げました虐待児の家庭を調査してみると、やはりこの貧困の問題とかなりリンクしている部分がございます。これから未来を担う子供たちの環境を考えたときに、貧困問題にどう光を当てていくか、この貧困をどう解消していくかということが、まさに国の、私たちの将来に対する投資なのではないかというふうに思っております。

 その意味で、子供たちを取り巻く貧困の問題を解消するためには、さまざまな問題を浮き彫りにしていく、これまで以上に細かな調査を、そして実態把握をしていく必要があるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。

長妻国務大臣 今、貧困の連鎖というお話もございましたけれども、これを断ち切るというのは大変重要なことだと思います。

 今、将来への投資というお話がありましたけれども、私も全く同感であります。

 これまで、どちらかというと、貧困対策、格差対策というのは、一つの社会保障政策だけれども経済成長のお荷物になるということで、トレードオフの関係にあると考えられておりましたけれども、これは今の時点で、各国の政策も調査をいたしまして、やはり経済成長の基盤をつくるのは、貧困の連鎖を断ち切ること、あるいは格差を一定程度縮小することだというふうに考えているところであります。

 これは、何よりも国民の皆様方にその重要性を理解いただくということで、今、厚生労働省の中で、有識者の皆さんと一緒に、例えば、貧困というのが具体的に経済的にどのくらいの損失なのか、あるいは格差というのが一定程度開くと経済的にもこれだけ損失になるんだというような具体的な数字を出せないか検討して、その数字を国民の皆様に御提示して、ああ、だからこの損失の数字を縮小するためにこれだけ税金で対策を打たなければならない、こういうようなコンセンサスを得たいというふうに考えております。

 社会保障は、経済成長のお荷物ではなくて、経済成長の基盤をつくる一つの大きな施策であるということも十分に認識をして、貧困の連鎖を断ち切っていくことが大変重要であるということで、これからも取り組んでまいります。

黒田委員 どうもありがとうございました。

 今御答弁をいただきました貧困の問題についても、あるいは虐待の問題についても、こういった子供たちを取り巻く環境をしっかり変えていくためにも、子ども手当、そしてまた子供を取り巻く保育サービス等の現物そして現金、それぞれの立場からしっかりと推進をしていっていただきたいというふうに思います。

 時間でございますので、これをもちまして質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

藤村委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。初質問の後は、久しぶりのラストレディーになりました阿部知子です。

 私は、この子ども手当の問題は、実は、政党同士の対立を超えて、本当の大事な点は国民の納得にあると日ごろ申しております。先ほどの自民党の加藤議員の御質疑の中で、後ほど理事会マターとなりました、そもそも何で二万六千円なんだというこの根拠をやはり明確にしていかないと、私は事が進まないと思います。そして、この審議に入ります一回目の私の質問はそれを取り上げさせていただきましたが、要点のみ繰り返させていただきます。

 民主党では、従来、一万六千円の子ども手当をおっしゃっていたところ、この間、これを大幅に拡大なさいました。そして、その根拠は何かというと、御党のインデックス、例えば二〇〇九、七月二十三日から抜粋させていただきますと、「子どもが育つための基礎的な費用(被服費、教育費など)を保障するため、」というふうに書かれております。

 また、少し前ですが、平成十九年の三月二十日、「「子ども手当」政策について」の中間報告では、手当額の水準について議論を深めた結果、子育て費用として月額の平均二万六千円程度かかるというデータが示されている点や、これは先ほどの被服費と教育費だと思います、日本と同様、少子化問題に直面する欧州諸国の水準が二万円強である点などを考慮して、二・六万円と置いておられます。

 長妻大臣に確認いたします。教育費も含めた基礎的経費と御党のインデックスには書かれております。そのような理解でよろしいでしょうか。

長妻国務大臣 教育費というお話でありますけれども、きょう、先ほどの質問でも、民主党がかつて参考にした表をいただいて議論がございましたけれども、その中にも、教育費でも、塾の費用あるいは義務教育での学校の教材などなど、いろいろな性格があると思います。その意味では、教育費の相当の部分、我々が申し上げているのは、先ほども申し上げましたが、基礎的な教育費という意味では、学校の教材費などということで申し上げたわけですけれども、そういうような考え方です。

阿部委員 そうなりますと、加藤議員のお示しいただいた資料の五ページ目の、この表の中の上段の学校教育費と、真ん中に学校給食費と書いてあって、以下、家庭教育費と分けてございます。この学校教育費と学校給食費、これらを合わせたものが、恐らく基礎的教育費の中身だと思います。

 実は、大臣、ここですごく重要なことがあるのですが、教育費とか修学旅行代とか、その他、この上段に入ります学校教育費並びに学校給食費、合わせて二十六万八千百三十一、小学校低学年の場合というこれらは、今の現行制度の中では、御家庭が大変困窮する場合は就学援助費などで補われております。すなわち、現在の私どもの子育ての支援策は、この部分については、全員に出すのではなくて、御家庭の窮状等々を考慮して出しております。

 ここがやはり大きな選択の道なんだと思います。予算がたくさんあれば全員に行くことも、本当は全部、給食だって無償化がいいと私も思います。しかし、この段、ここにかかわります費用までも入れますと五・四兆円になってまいります。就学援助等々の方向を当面充実させるのか、それとも全体に薄く広くここを給付するのかが、実は、問われている中身なのであります。

 私は、これは重要な政策論争だし、この間、子ども手当のことで御意見をちまたで伺えば、やっぱり困っている人の学校のこと、給食のこと、そういうことにまずやってあげたいよね、これが国民の声であります。

 大臣には、ぜひ、与野党の対立だと思わずに、国民に向かって説明するときの政策の優先順位と思っていただいて、ここは、いみじくも御党の、この基礎的学費のところを計算いたしますと二・六、被服と食費は一・三万円であるということは、初回の私の質問で申しました。ぜひ、きょう御答弁が成るものであればお願いしたいし、そういう観点からこの問題を見直していただけまいか。すなわち、現物給付にかかわる部分の応能負担ということであります。

 本来は、子供ですから、私は、親御さんではなくて、子供そのものですから、医療費も教育も無償であるべきと思います。当面の間、今までの施策ではそうした軽重をつけておりました。それの延長でいくのか、それとも普遍主義でいくのか、ここを明確にせねばならないと思います。いかがでしょう。

長妻国務大臣 先ほども、別の委員の質問でも申し上げたんですけれども、この試算に基づいて積み上げでその金額を決めたわけではないということでございます。

 例えば、ゼロ歳の赤ちゃんが、それは学校教育費というのは必要がないわけでございますけれども、その一方で、保育所に預ける場合は、その経費が発生する場合は、当然その経費に充てていただいても結構なわけでございます。

 そういう意味で、我々としては、平成二十三年度の詳細な制度設計の中で、今御指摘をいただいたことについても明らかにできるような、そういう制度設計と予算編成という中で検討をしていくということでございますけれども、初年度についてはその半額分を支給して、これも、先ほども総理も申し上げまして、私も前より申し上げておりますけれども、半額の支給の後に、その実態の調査もして、それが具体的にどういうふうに使われたのかというようなことも見きわめていくということであります。

阿部委員 その発想は、申しわけないが間違っていると思います。最初に二・六万円ありきでその半額という、その二・六万円の根拠が問われているわけです。それで、明らかに諸外国よりも多いんです。でも、日本はほかの施策がおくれているから、それで諸外国より多くしましたという論があったって私はいいと思いますが、その二・六万円がどうしてよと聞かれているときなので、今の大臣の御答弁は、思いはわかりますけれども、国民の側から見たときの答えにならないと私は思います。

 保育でも、お金のある親御さんは保育料を自己負担されていいし、大変困窮していれば、保育をほぼ、月五万円とか八万円とか、私は、国が出してもいいし、もっとお金があれば全額国が出してもいいしと思うのです。

 その意味で、ぜひ大臣には、ここは繰り返し皆さんに聞かれるところですし、また折があらば次回、きょう、私の予定外の質問ですので、でも、先ほどから大変紛糾していて、物の仕切りがずっとこれは初回から今に至るまで見えてこないので、ちょっと私の理解を披瀝させていただきまして、またお考えの参考にしていただいて、次の論議に移らせていただきます。

 次に、先ほど何人かの委員がお取り上げいただきました養護施設に暮らす子供たちの問題を私なりにまとめてみました。

 お手元に、ここには「両親ともいない・不明の子どもの数」というタイトルになってございますが、実はこのグラフは、児童養護施設やあるいは自立支援施設やさまざまな里親のもと等々で、親元で養育されていないお子さんたちの総計数を書きました。これは、先ほど黒田委員が御指摘のように、四万人余りおられます。最も多いのは、ケースとしては、養護施設にお入りのお子さん方が総計で三万一千五百九十三人です。

 これは、よく見ていただきたいんですが、実はこの子たちには親御さんが、ここ、「両親ともいない」というタイトルですが、実は両親はいるんですね。両親または一人親というケースが一番多いわけです。その昔、孤児院と呼ばれた施設は、今は養護施設と言いますが、親御さんがいなかったケースが多かったけれども、今は、親御さんはおられても手元で養育していない子供たちが大変多くなっている、不幸なことだと、私は小児科医師としてずっと思ってまいりました。

 今度の子ども手当の支給に当たって、実は、例えば養護施設で、両親または一人親がおられる御家庭では、子供さんは養護施設にいながら、子ども手当は親御さんに行きます。これは児童手当も一緒のスキームです。

 もちろん、さまざまな親御さんがおられますが、実は、この親御さんの中に、定期的に子供さんとコンタクトをとっておられるのは約半数。これはいろいろな調査がございます。半数も定期的。定期的というのは、盆暮れも定期的に入ってしまうんです。子供は日々親に会いたいけれども、親御さんと過ごせるのは年に二週間くらい。それでも定期的な交流とみなされて、そして、おまけに生計を一にするというふうにも理解されて、全部子ども手当は親御さんに行きます。

 私は、いかに何でも、今の児童手当もそうですが、今度の私どもの制度では、子供そのものを主体とする、受給者としたいという思いがありますから、これも、大臣、親御さんになぜ行くのか。もちろん、手元に置いて養育しておられればまだしもです。でも、いろいろなケースがあって、実際には、子供さんは施設でお暮らしか、里親さんでお暮らしであります。

 こういうものについても、この次の二十三年度の制度設計、子供自身を受給者とするというふうに制度を抜本的に考えられないか、この点についてお願いいたします。

山井大臣政務官 この点について、先日も私は里親の会の方や養護施設の施設長さんから要望を受けましたので、お答えをさせていただきます。

 これは、阿部委員がおっしゃること、ある意味でもっともだと思っております。要は、大切な子ども手当や同額のお金を出す、出す以上は一〇〇%子供のために使ってほしい、これは当たり前のことでありまして、これは児童手当であっても子ども手当であっても一緒なんですね。

 ところが、法的には監護する親となっていながら、子供にお金を使わない親が残念ながらいるわけなんですね。やはりそのことに関して、実際に一緒に住んで子供を世話している里親の方々や施設の先生方が、親ではなくて自分たちにお金を欲しいとおっしゃるのも、もっともなことだと思っております。

 そして、これはまさに、この子ども手当、そしてまた児童手当の重要な論点だと思っておりますので、一万三千円のときには今のような児童手当の流れとしてやっていきますが、本格実施のときにはさらに検討していきたいと思いますし、また、逆に、これを子供に直接出すというと、それだったら、虐待しているけれども、金づるとして子供は施設に入れないという、またもう一方、別の問題も出てまいりまして、そのあたり、とにかく子供にとって一番よい方法を検討していきたいと思っております。

阿部委員 山井議員の後段おっしゃったのは、申しわけないけれども、現実でそういう声があることは知っていますが、それは本当に本質のごく一部でしかありません。そういうケースがあることも、親御さんがお金を欲しいがために子供を手放さないというのもありますから、それは理解しますが、本質をつかまえてやっていただきたい。

 お手元の二枚目の資料に、諸外国ではちなみにどうしておるかというので、一番下、「支給対象者」のところに、施設に入所した場合は手当の支給は停止となっております。私は、停止がいいとは思いません。でも、ここで一つの考え方です。

 私は、もっと積極的に、子供を受給権者にして、例えばイギリスのトラストファンドみたいにお金をためていく、そして、十五なり十八で施設を出なきゃいけないときに、きちんと未成年後見人をつけて、その子の旅立ちの応援にする。だって、十五や十八で施設を出た後、本当に一人ほうり出されるのがこの子たちであります。

 きょうは御答弁をいただく時間がありませんでしたけれども、次回、また引き続いてこの件について質問をさせていただきます。

 ありがとうございます。

藤村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十分散会


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