衆議院

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第9号 平成22年3月17日(水曜日)

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平成二十二年三月十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 藤村  修君

   理事 青木  愛君 理事 石森 久嗣君

   理事 内山  晃君 理事 黒田  雄君

   理事 中根 康浩君 理事 大村 秀章君

   理事 加藤 勝信君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    大西 健介君

      岡本 英子君    菊田真紀子君

      郡  和子君    斉藤  進君

      園田 康博君    田名部匡代君

      田中美絵子君    長尾  敬君

      仁木 博文君    初鹿 明博君

      樋口 俊一君    福田衣里子君

      藤田 一枝君    細川 律夫君

      三宅 雪子君    水野 智彦君

      宮崎 岳志君    室井 秀子君

      山口 和之君    山崎 摩耶君

      山井 和則君    あべ 俊子君

      菅原 一秀君    田村 憲久君

      武部  勤君    徳田  毅君

      長勢 甚遠君    西村 康稔君

      松浪 健太君    松本  純君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十七日

 辞任         補欠選任

  棚橋 泰文君     徳田  毅君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  徳田  毅君     棚橋 泰文君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

藤村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。長妻厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 雇用保険法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

長妻国務大臣 おはようございます。

 ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 現在、我が国では、雇用失業情勢は依然として厳しい状況にあり、特に、非正規労働者の雇用の安定や雇用保険財政の安定的な運営に大きな影響を与えているところであります。

 このような状況に対応し、非正規労働者に対するセーフティーネット機能の強化、雇用保険の財政基盤の強化等を図るために所要の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一は、雇用保険法の一部改正であります。

 まず、非正規労働者に対するセーフティーネット機能の強化を図るため、一般被保険者の適用範囲を拡大することとし、週の所定労働時間が二十時間以上であって三十一日以上雇用見込みの方については、雇用保険の適用対象にすることとしております。

 また、事業主が被保険者資格取得の届け出を行わなかったことにより雇用保険に未加入とされた方について、二年以上前の時期に、賃金から雇用保険料を控除されていたことが確認された場合には、事業主が届け出を行わなかったことにより所定給付日数が短くなる不利益が生じないようにするため、現行制度において遡及可能な二年を超えて遡及して適用できることとしております。

 第二は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正であります。

 二年を超える遡及適用の対象となった方を雇用していた事業主が、事業開始時に必要な保険関係成立の届け出を行っていなかった場合には、保険料の徴収時効である二年経過後においても保険料を納付できることとし、厚生労働大臣はその納付を勧奨することとしております。

 また、現下の雇用失業情勢に対応した雇用対策の実施に必要な財源を確保するため、平成二十二年度における雇用保険二事業の保険料率については、弾力変更の規定は適用せず、原則の千分の三・五とすることとしております。

 第三は、特別会計に関する法律の一部改正であります。

 雇用保険二事業の安定的な運営を確保するために、雇用調整助成金等のために必要な額について、失業等給付に係る積立金を使用することができる暫定措置を講じることとしております。

 なお、この法律は、平成二十二年四月一日から施行することとしておりますが、遡及適用に関する部分は、公布の日から起算して九カ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 この法律によって、新たに非正規雇用の方、最大で二百五十五万人が雇用保険に入ることができるというものであります。

 これからもセーフティーネットの拡充に努めてまいりますので、よろしくお願いをいたします。

藤村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 初めてトップバッターをやらせていただきます。よろしくお願いいたします。

 政権が発足してから六カ月、各メディアも含めて、この新政権の評価について多々論じられるところであります。

 しかし、先ほど長妻厚生労働大臣もお話しになったように、この新政権は、とりわけ、雇用という働く者の安心、そして、この社会がそれによって安定していくということに向かって全力を挙げて努力してきたところと思います。九月の九日、三党の連立合意の時点に始まって、年末の三党の重点要望でも、常に、この雇用のセーフティーネットを広げ、またその網の目を細やかにして、働く者すべてが、失業等々何かの事態があればそこによって救われる、安心できるという状況をつくり出そうと、長妻大臣以下、皆さんの御尽力があったことと思います。

 その意味で、今回のこの法案、これまで六カ月であったところを三十一日以上とすることで、すべての働く人へのセーフティーネットとなったという意味では、前向きに大変評価しております。そして、その評価のもとに、今度は網の目を細かくしていくということも同時に行わねばならないということで、いわゆる日雇い保険と言われる、日雇い労働者の皆さんのための問題を少しきょうは質疑させていただきます。

 そもそも、今回の法改正は三十一日以上となりましたが、その裏側には、三十日以内の者は日雇い保険でカバーされるというふうな法の仕切りがあってのことと思います。

 まず冒頭、大臣には、現在、日雇い労働者はどれくらいいるというふうに厚生労働省では把握しておられるのか。そうした方が、日雇いといっても、やはり仕事がなくて生活が立ち行かなくなること、実態としてあると思いますが、そうしたときの日雇い保険の対象者、世で言う白手帳、これはどのくらいいるのかということについて、現状の認識をお示しいただけますでしょうか。

長妻国務大臣 日雇い労働者の推移でありますけれども、現在、最新の数字、平成二十年度は百八万人でございますが、平成六年度は百二十万人でありまして、若干減っております。

 そして、日雇労働被保険者手帳の交付件数は、最新の数字、平成二十年度においては二万四千九百七件でありますが、平成六年度には六万八百九十五件でありましたので、かなり減っているということであります。

阿部委員 今大臣がお示しいただいた数字、昨夜、深夜にいただきましたけれども、平成六年段階の百二十万から現在百八万と、徐々に減ってきてはおりますが、現在でも、これは総務省調べだと思いますが、百万人以上の方が日々雇いという就労形態をとっておられる。一方、さてさて仕事がない、あるいはなかったようなことも含めて、ないときも含めて持つはずである白手帳というものの交付は、六万から二万四千と、半分以下に減ってきておるわけです。

 そう考えると、実態においては、日々雇いの方々のセーフティーネットはむしろ緩んでしまっているのかもしれないというふうに考えられもしようかと思います。

 これは大臣に、ちょっと恐縮ですが、日雇い労働というとどんなものをイメージされますでしょうか。そして、日雇い保険等々が受給者が少ないということはどのようにお考えでしょうか。

長妻国務大臣 まず、日雇い労働者というとどういうイメージかということでありますけれども、これは、労働力調査によると、建設作業とか港湾等における運搬労務作業などが多いというふうに考えております。この日雇いの百八万人という中に、ちょっと調べてみますと、大学生の日々のアルバイトというのもこの人数に入っているということで、必ずしもそういう方が日雇労働被保険者手帳を持っておられるというわけでもありませんので。

 ただ、今御指摘あったように、日雇いの労働者の実数の減少に比べると、手帳の交付が三分の一ぐらいに減っているということで、この減りぐあいはどう考えればいいのかと思いますので、早速けさ、役所の方に、この減った理由の実態調査をきちっとしてほしいという指示をいたしているところであります。

阿部委員 大変明確な御答弁、ありがとうございます。

 やはり、港湾の荷揚げ等々、あるいは建設現場で働く皆さん以外にも、この日々雇いという労働形態がふえておって、それは大臣がおっしゃったような学生のアルバイトも含むでしょうが、まず実態を把握していただくということが重要になってくるかと思います。もちろん、学生の皆さんの場合は失業保険等々の給付がないということは、もうこれが了解事項でありますけれども、しかし、そのほかでも、いろいろな勤務形態で日々雇いとなっておられる方があると思います。多様な働き方になってきておりますので、ここはぜひお調べをお願いしたい。

 さて、昨年の三月十八日の衆議院厚生労働委員会では、この雇用保険法の改正の採決時に、以下のような附帯決議が採択されております。「雇用情勢の急激な悪化に伴い、」云々、「日雇労働求職者給付金の受給要件の見直しを含め制度が活用されるよう一層の周知徹底を図ること。」

 何を言っているかというと、今まで、日雇い保険の場合、二カ月間で二十六日間の勤務日があれば、その白手帳にシールを張る形で失業保険がおりていたわけですが、実際には、非常に仕事量が減る、そしてなかなか二カ月で二十六枚というところに到達しない方が出てきておるということを昨年指摘させていただきました。その指摘を委員会で受けとめていただいて、このような、日雇い労働者給付金の受給要件の見直しを含め制度が活用されるようという附帯決議がついたわけです。

 では、果たしてどのような見直し、現状把握等、要は、やはり雇用情勢が悪ければ、必ずしも二カ月で二十六日働けないということもあると思いますが、この点についての見直しの現状について御答弁をお願いいたします。

長妻国務大臣 今おっしゃられたのは、まさにこの委員会で、昨年の三月十八日の附帯決議を読み上げていただいたわけであります。まず、今おっしゃられたように、二カ月で二十六日働くというのが要件でありますけれども、非常に日雇いの人数に比べてこの被保険者資格の手帳を交付されている方が少ないという実態と、減少幅が大きいということで、そこの実態を詳細に把握した上で、同時並行的に、この手帳がこういう役割をしているというのを御存じない方が最近もかなり多いという感触を持っておりますので、そういう方に対して、広報をきちっと適切な場所でしていくということを検討していきたいというふうに考えております。

 まずは実態把握をした上で、いろいろ改善すべき点があれば改善させていただくということについても考えております。

 私も、実は野党時代に、附帯決議というのをどれだけ役所は重みを持って受けとめているのかという問題意識も持っておりますので、今後とも、附帯決議についても対応をするという前提で行政についても指導していきたいと思います。

阿部委員 ぜひそのようなお取り組みをお願いしたいと思います。

 本当に、総体的に仕事が少なくなっている。そしてそこで、働きたいけれどもなかなか仕事にありつけないという状況はこの間広がっています。しかし、それだからといって、収入がなければ、当然いろいろな、極論すれば生活保護等々に頼らなくてはならなくなる事態もあるわけで、なるべくセーフティーネットを広くしていただけるよう、実は、これは昨年の附帯決議で、一年たったわけですから、今大臣が、新たに大臣として担当された中で調査をしていただけるということを前向きに受けとめ、また、各自治体では、そうした方に対しても、二十日しかないというときに、自治体ごとにいろいろ工夫をしているところもあるやに聞いております。そういう実態も含めてお調べをいただきたいと思います。

 引き続いて、もう一問お願い申し上げます。

 一九八六年に労働者派遣法が施行されました。近くまた、労働者保護の観点から、法を業法から労働者保護にと転換していく改正が予定されております。

 実は、この労働者派遣という形態が我が社会に取り入れられてから、むしろその裏側で、今までは、労働組合が行うある種の労働者供給事業というものが認められてきた。いわゆる労働者供給事業というものがございましたが、派遣の労働者数はわあっとふえたのですが、この労働者供給事業という方は、なかなか派遣の伸びの裏でふえませんでした。

 これは、労働者みずからが労働組合という形をもって、そこでの無料の職業紹介ですので、ある意味で、労働者保護という観点ではすぐれた働き方の一つになるのではないかと思います。

 細川厚生労働副大臣に伺いますが、現在、この労働者供給事業を実施している組合は、全国で七十九しかないとある意味では言えますが、これの実態、実数、どのくらいの方がそういう働き方をしていて、二問続けて恐縮ですが、今後、厚生労働省としては、労働者保護の観点から、こういう、組合が紹介して、ある意味で安定性のある働き方というものについてどのように評価し、また、行政の中でのサポートをしていくかということについてお伺いをいたします。

細川副大臣 阿部委員にお答えいたします。

 労働者供給事業というのは、職業安定法四十四条で原則禁止をされております。それはなぜかといいますと、賃金の中間搾取とかあるいは強制労働が起こり得るということでこれは禁止をいたしておりますけれども、しかし、例外として、そういうおそれがない場合には、厚生労働省の大臣の許可ということで、労働組合などがその供給事業を行うことができる、こういうことになっております。

 平成二十年度におきましては、七十九の組合が許可を得ておりまして、四万七千人の労働者を年間延べ約百四十三万件、労働者供給をいたしておるところでございます。

 この労働者供給事業というのは、労働者の立場に立って労働組合などが無料で労働者供給を行うというものでありますから、労働者の立場に立って供給事業を行うということで、これは推進をしていくべきだというような強い意見もございます。

 さらに、昨年の労政審の答申では、日雇い派遣とかそういうものが禁止をされていくことになりますので、そういう意味では、派遣労働者の雇用の安定とかあるいは企業の人材確保を支援するという意味では必要な措置を講ずるのが適当だ、そういう答申の内容になっておりますので、厚生労働省としても、さらに検討を進めていきたいというふうに思っているところでございます。

阿部委員 憲法二十七条に、労働は権利であり義務であるという一文がございます。本当に働く権利ということが担保され、そして社会がより発展しますように、これからもお取り組みをよろしくお願いいたします。

 終わらせていただきます。

藤村委員長 次に、室井秀子君。

室井委員 おはようございます。民主党の室井秀子でございます。

 政権交代後、長妻大臣初め政務三役の皆様方の御活躍を期待しておりました。本日は、政治家の妻として、さらには中小企業の経営者として、地方議員を経験した者として、一番大事なのは、主婦の目線で政治活動をしてきた者として、さらなる改革を期待いたしまして、質問をさせていただきます。

 本当に雇用が、働きたくても働けない、そういう方がたくさんいらっしゃいます。このような状況の中で、雇用保険二事業の果たすべき役割は重要で、今回の雇用保険法の改正で、非正規労働者に対するセーフネット機能の強化、雇用保険の財政基盤の強化等は図ることができるものと私は確信しております。

 さて、このような雇用保険二事業ですが、本年一月二十二日、総務省による行政評価が出されました。二〇〇八年度、百二事業、当初予算千三百七十一億円に対し約六割、五十八事業、当初予算九百三十七億円が、その運営方法などに問題があると勧告されました。

 お手元の資料一、勧告の事例です。例えば、財団法人女性労働協会が運営する女性と仕事の未来館、三億二千万円の年間予算のうち七割が人件費と管理費に充てられ、廃止を含めた見直しを勧告されました。そしてまた、厚生労働省所管の東京外国人雇用サービスセンターにおける在日外国人の求職者向けの案内パンフレット、外国人にですよ、日本語で書いてあるんです。半年以内に見直し策を回答するよう求められましたけれども。

 そこで、厚生労働大臣にお伺いいたしますが、省内でどのような改善作業が進んでいるか、教えてください。

長妻国務大臣 まず、雇用二事業というのは、もう言うまでもなく、事業主の皆さんの貴重なお金を使った事業であります。私も含めて本当に反省しなければいけない、非常に恥ずかしいという気持ちを持たなければならないというふうに思います。

 この勧告の中には一定の説明ができるものもありますけれども、やはり説明がなかなかできない、本当にこの勧告がいい指摘もありますので、省内で、全項目について、これを見直すべきところはきちっと見直してほしいということを指示いたしまして、私も、きょう御指摘の未来館とかパンフレットの件も、まあ、外国人に日本語で読めと言っても、これはどういう感覚でこういうことをされておられるのかということで、非常に私を含めて反省をしなければならないということで、こういう勧告を受けること自体が非常に不名誉なことだという意識を役所全体で共有していきたいと思います。

室井委員 ぜひ頑張ってほしいと思います。

 実は、その中で、お手元の資料二をごらんください。厚生労働省の「平成二十年度の雇用保険二事業による事業の評価について」によりますと、この女性と仕事総合支援事業はA、施策継続。他方、資料三、総務省の雇用保険二事業に関する行政評価・監視結果報告書の勧告では、「女性と仕事総合支援事業については、事業の効果的な実施方策を検討すること。また、「女性と仕事の未来館」については、事業費に比して管理費、人件費の割合が過大となっていることから、適正な水準を目指し、速やかに管理費、人件費を縮減するとともに、存廃を含めた在り方について検討すること。」と、まるで正反対。Aですよ、厚生労働省は。しかし、総務省は、「存廃を含めた在り方について検討すること。」となっています。

 実際、この女性と仕事の未来館のセミナーなんですけれども、参加者が四十一名。Aということは、目標が達成されているということなんですけれども、その目標自体に問題があるのではないかと思いますが、大臣、どのようにお考えになりますでしょうか。よろしくお願いいたします。

長妻国務大臣 この厚生労働省の評価がAだということでありますけれども、これについては、そのAの評価の中には、よく言うBバイC、ベネフィット・パー・コスト、コストとの見合いの関係での成果の評価という視点が抜けているということだと思います。

 このA評価とされたのは、平成二十年度の目標ということで、能力発揮セミナーの受講者のうち、受講により職業生活の方針を立てることができた方の割合が八〇%以上だったということで、Aであったということでありますけれども、これはもう言うまでもなく、どんなにすばらしい事業でも、すごくお金をかけて、そして効果が一定のものが上がるというものについても、費用対効果をきちっと見きわめていく、さらに、コストを下げてサービスを上げるという民間では当たり前の発想を取り入れる、そういう姿勢が求められるべきでありますので、この評価についても、私としては、今後見直す必要があるというふうに考えております。

室井委員 ぜひ目標設定を高く持って、有効に雇用保険を使ってほしいものだと思います。

 それから、この団体を含む雇用保険二事業による事業は、まだ多くの無駄遣いがあるし、改善する余地もあると思います。かつて、雇用保険三事業というものがありました。雇用福祉事業、例えば中野サンプラザやスパウザ小田原なんですけれども、無駄遣いと言われるような建物をつくりましたが、今回の総務省の勧告にありますように、雇用保険の不透明な支出は厳に慎み、無駄をなくして透明性を高める努力をさらに行うべきだと思います。また、雇用保険二事業というのは、雇用調整助成金のためとはいえ、今回、四千四百億円、積立金から借り入れするわけですから、徹底的に無駄は省いてほしいものだと思います。

 時間がだんだん押し迫りましたので、次の質問に入らせていただきます。

 さて、労働保険特別会計の雇用勘定に関する独立行政法人、公益法人を含む団体が十一団体あります。その中に、社団法人ですが、全国労働保険事務組合連合会というものがありますが、これは厚生労働省が所管する団体ですけれども、細川副大臣、御存じでしょうか。

細川副大臣 知っております。

 御説明いたしますが、雇用保険なりあるいは労災の労働保険というのは、事業主が一人でも従業員を雇っておれば加入をしなければいけない、こういうことでありまして、小さい中小零細の事業主にとっては事務が面倒なところもあるわけです。したがって、そういうことを代理して行うことができるようにしているのが、その労働保険事務組合というのがございまして、その手続をすることとなっております。その労働保険事務組合が集まって全国的な組織をつくっているのが、社団法人の全国労働保険事務組合連合会ということでございます。

室井委員 そうなんですよ。私は中小企業をしておりますけれども、こういういいものがあることを知らなかったんです。実は、年に一回、六月に全納、一年分を支払うんです。私は、自分でしておりましたのでよくわかるんです。ただ、雇用主は入れないんですよ。しかし、この組合に入りますと入れるんですって。びっくりしました。労災保険に加入することができない事業主や家族、従業員なども、労働保険、労災保険に特別加入することができるそうです。いいですね。知っていれば私は入りました。

 それはさておきまして、全国に一万三百八十七の認可労働保険事務組合というのがあるそうです。雇用保険、労災保険を納付すれば、ここに入っていれば、労働保険事務組合の保険料徴収率が九五%であれば、報奨金として保険料の約二・五%が戻され、毎年約百二十億円の保険料が還付されております。

 生活者として申しますね。地方自治体には昔、私たちが固定資産税を払ったり市県民税を全納しますと報奨金がありました。要するに、少し割安になるわけです。そういうふうに、地方自治体はもう報奨金という制度をやめているわけです。しかし、この団体には百二十億円還付されております。このことについて、細川副大臣、お答え願います。

細川副大臣 この報奨金につきましては、労働保険の事務組合がその事務をしていただく、その労に報いるために、法律に基づいて交付しているものでございます。委員が御指摘されましたように、収納率が九五%以上であるというような要件を満たした場合に限って交付をいたしておりまして、この交付金があるということによって労働保険の収納率が高くなっているというふうに考えております。

 これは、連合会とは関係なく、保険組合には報奨金を出すということになっておりまして、私どもとしては、これについては収納率を維持するために貢献しているので、この制度そのものはいいことだというふうに思っております。

室井委員 労災保険や雇用保険に報奨金がなじむかどうか、私は疑問に思っております。と申しますのは、雇用保険に入らなくてもいいのかな、労災に入らなくてもいいのかなと思うと、やはり罰則というのがあるわけですから、法律的に担保されているわけですから、この報奨金というのは見直していくべきではないかなと私個人としては思っております。

 それから、全国労働保険事務組合連合会というのは厚生労働省の天下り団体になっていると思いますが、国からの委託収入が、平成二十一年度収支予算書によりますと、十八億二千四百五十二万円、労働保険特別会計から支払われております。また、二十年度の決算書によると、キャッシュフローが九億九百三十万九百六十八円にも上っております。廃止される独立行政法人雇用・能力開発機構のキャッシュフローを見ますと、四百十九億九千十二万円もあるんですよね。

 労働保険特別会計に関係する独立行政法人、公益法人等の団体への補助金、交付金の削減、委託事業の見直しが必要だと思いますけれども、細川副大臣、御見解をお伺いいたします。

細川副大臣 御指摘の独立行政法人とかあるいは公益の関連の予算については、平成二十二年度予算編成におきましても、長妻大臣からの強い御指示もありまして、いわゆる天下り法人に対する支出の見直しや、あるいは優先順位の低い事業の廃止あるいは削減等を図り、大幅な削減を行ったというところでございます。

 具体的には、独立行政法人関連予算を平成二十一年度予算比で三百二十一億円削減をいたしておりまして、そのほか、公益法人関連予算についても、徹底した見直しを図って大幅な予算削減を行ったところでございます。しかし、まだまだこれからも徹底して見直しもしてまいりたいというふうに考えております。

室井委員 財源は雇用保険なんですから、見直しをよろしくお願いいたしまして、時間の都合がありますので、次に入らせていただきます。

 昨年の事業仕分けでも問題になりました独立行政法人雇用・能力開発機構ですが、廃止後、職業能力開発業務は独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構に移管し、その他の事業は独立行政法人勤労者退職金共済機構等に移管するとされ、二〇一〇年、平成二十二年度末までに必要な法制上の措置を講ずるものと、平成二十年十二月二十四日、閣議決定されています。

 廃止され、移管されるのはいいんですよ。しかし、私は古い人間だからかもしれませんが、日本は資源のない国だ、人だ、人づくりが日本の一番大事なことだと言われて育った人間ですから申しますが、この人材戦略、これからこの人材戦略が、特に職業訓練の面に対しては、技術的な指導もさることながら、訓練生の長期的なキャリア形成、ここが必要だと思っております。

 外国のことを申したらいけないかもしれませんが、二〇〇七年、オーストラリアは政権交代をいたしました。そのときに、知識経済に参加していくために、高度な技術、技能、能力を有する労働力確保の観点で、大学と職業教育訓練との境界をなくし、教育資金給付による人材育成の改革を進めてきました。

 これは文科省のことだからとおっしゃるかもしれませんが、縦割りではなく、本当に人材を育成するんだという観点から私は質問させていただきますけれども、かつて吉田松陰の門下生の山尾庸三、皆さん御存じだと思いますが、明治政府の工部省の設立に尽力しまして、工業教育の専門学校設立を建議しました。当時、工業が微々たる中での工業学校創設への反対はたくさんありましたけれども、山尾庸三は、たとえ当時なすの工業なくも人をつくればその人工業を見出すべしと訴えて、学校をつくりました。そして、日本銀行、東京駅を設計した辰野金吾、迎賓館を設計した片山東熊、消化剤やアドレナリンを発見した高峰譲吉、そうそうたる人材を発掘いたしました。

 長妻大臣、我が国の人材戦略について、どうぞお聞かせください。

長妻国務大臣 今おっしゃられたように、職業訓練というのは鳩山内閣において非常に重要な位置づけであるということで、今厚生労働省の中で、職業訓練どうあるべきという哲学も含めた考え方を確立するために、文部科学省も呼んでその検討会というのをスタートさせていただきました。

 今いろいろお話をいただきましたけれども、今の、本当に職業訓練が求められているこういう失業時代においては、企業において、景気が悪いから人を採用するのは控えようと思っている企業が、目の前にすばらしい人材がいるのを見て、採用を控えようと思っていたけれども採用して人件費を払うけれども、それにあり余る付加価値を企業にもたらして、企業をよみがえらせる原動力になる、こういう人材が多く輩出するということが重要だと思います。

 今、独立行政法人の合併の話がありましたけれども、リストラの話がありましたが、我々は、機能を絞るものの、やはり国の役割として、全国の職業訓練のレベルを上げる、そして最先端の職業訓練のノウハウを身につけた指導員が全国で活躍できる、こういうことに的を絞った職業訓練というのを、国の役割を果たしていきたいと考えております。

室井委員 長妻大臣のお考えに、本当にありがたく思っております。

 廃止後、この大学校、短大、職業能力開発促進センター、地域職業訓練センターで実施される職業能力開発業務に関しては民間に大分委託されると思いますけれども、このとき質の保証をどのように担保されるのか、お伺いしたいと思います。長妻大臣、質の担保のことで、よろしくお願いいたします。

長妻国務大臣 まず、当面の仕分けというか考え方としては、介護分野とかITなどの訓練はできるだけ民間に委託して実施しよう、物づくりの分野などの訓練は当面は国が実施する。なぜならば、物づくりの職業訓練というのは、非常に高い機器が、工作機器などを購入しなければならないということもありますが、民間に委託している訓練についても、国が定めた基準というのをつくって、それに従って訓練を実施していただこうということで、質の担保。そして、先ほど申し上げましたけれども、その指導員等についても国が一定の役割、指導員の育成に一定の役割を国が果たすということで、その質を担保していきたいと思います。

室井委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 私も子供が三人おりますので、これからこの日本の国においてどう生きていくのか、しっかり見詰めながら子供を教育していきたいと思っております。

 鳩山総理も、高等教育の段階的な無償化条項についても、その留保撤回を具体的な目標とし、教育の格差をなくすための検討を進めますと施政方針演説で述べられました。アメリカの高等教育機関であるコミュニティーカレッジが職業訓練を通し社会のセーフティーネットとなっておりますように、我が国においても、短期大学や専門士の称号を付与している専門学校を、恒常的な職業訓練を目的とするコミュニティーカレッジへの転換が必要だと私は思っております。政権交代をした今、省庁の枠を超えての人材育成、教育を通してのセーフティーネットの構築をお願いしたいと思います。

 最後になりますが、私は、この雇用・能力開発機構の廃止・解体による民業活性化案、行革断行評議会が出しました、この中にあります言葉、「雇用保険はその正当な持主である失業者へと全額返還されるべきであり、機構にこれ以上の中間搾取を許すべきではない。」という言葉を残しまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、樋口俊一君。

樋口委員 民主党の樋口俊一でございます。

 六年前に参議院議員を拝命しまして、六年ぶりに国会で質問をさせていただきます。参議院議員のときは、片道方式ということで、ある程度質問時間が担保されておりましたけれども、衆議院は、頭のいい人が多いせいか往復方式ということでございますので、早速質問をさせていただきたいと思います。

 今、日本は大変な不況、デフレ不況に入っている、こういうふうに言っても過言ではないと思います。私は、このグローバル経済の中で、日本の物価や賃金がまさに世界のスタンダードレベルに今修正されようとしているのではないかな、こういうふうに思っております。

 失業対策として、今回、雇用保険法の法案が政府の方から出されました。失業保険給付ですとかあるいは雇用調整助成金ですとか、そういったものが果たす役割というのは大変重要な、あるいは大きな役割を持っていると思います。

 しかし、失業者を出さない、こういう根本的な政策も一方では必要だというふうにも思っている一人でもございます。政府としても、そういう意味では、経済対策であるとか、あるいは日本の経済を牽引していくような産業を育成していく成長戦略とか、こういったものがやはり一方で重要ではないかというふうに思うものでございます。

 昨年末、鳩山政権が成長戦略を訴えられました。環境、観光、健康、この三つの柱でございますけれども、その一つとしての健康産業、いわゆる厚生労働行政における健康産業、これをどのようにとらえているか、厚生労働省としてのお考えをまずお聞かせいただければと思います。

足立大臣政務官 まず、内閣としての成長戦略の中、これは健康、医療、介護、それからアジア戦略、科学技術、そういった多くの部門が厚生労働に関係する部門です。

 ということを前提にお答え申し上げますと、まず、考え方。今までは、とかく、これは大臣の答弁でもありますように、コストと見られていた部分を、成長のコアの部分、核の部分と位置づける、これは未来への投資なんだということで今とらえているところです。

 具体的には、厚生労働省としては、昨年の秋に医療・介護・保育「未来への投資」プロジェクトチームというものを立ち上げまして、これは七つの部門に分かれて検討しております。ちょっと具体的に申しますと、一番目に地域医療、介護の基盤整備、二番目に次世代育成事業、育成対策です、それから三番目に創薬、医療機器のイノベーション、四番目に介護機器、五番目に水戦略、水技術ですね、六番目に観光医療、医療と健康を結びつけた観光、そして七番目に雇用人材戦略というような形で検討を続けておりまして、近々まとめに入る予定でございます。

樋口委員 今、足立政務官から観光医療という話をちょうだいしました。医療といいますと、どうも福祉という切り口からとらえられがちでありますけれども、このいわゆるメディカルツーリズムという考え方について、ちょっと触れたいというふうに思います。

 今日、東南アジア、特にタイとかシンガポールにおいては、このメディカルツーリズムというものを国策としてとらえています。高度な医療を提供することによって諸外国から患者さんを集めて外貨を稼ぐということで、その結果、雇用も維持される、また自国の医療サービスについても恩恵をこうむる、今、こういうふうな好循環を来しております。

 例えばタイでは、二〇〇七年に一千四百五十万人の外国人が訪れました。そのうち、百四十万人以上の方がタイで医療サービスを受けておられるというふうに聞いております。

 こうした、医療を産業としてとらえたということでもって、かつて通貨不安に基づく経済危機がございましたけれども、そこから立ち直り、また雇用も拡大して、そして医療サービスも大幅に改善されたというふうに報告を聞いております。そして、二〇〇一年には一律の定額制度の医療制度が導入され、二〇〇六年以降は基本的に医療サービスも無料化されているというのがタイの実情でもございます。

 一方、先進医療国家でありますアメリカですけれども、我々は学校で、五大湖周辺は重工業地帯だというふうに学んだのでありますけれども、一九七〇年代から、日本の鉄鋼あるいは自動車産業がアメリカの工業の衰退化に結びついていったということで、オハイオ州のクリーブランドでは、都市再開発で、クリーブランド・クリニック、こういう医療施設を中心とした新たな地域の産業に取り組んでおられます。このクリーブランド・クリニックでは、二万七千人の雇用があり、また年間三百三十万人の患者さんが国内外から訪れているということでありますし、また、ミネソタ州のメイヨー・クリニックというところも、年間百六十万人の患者を受け入れて、一万六千人の雇用を実現しているということであります。

 また、日本は、医療技術は世界的にも高度で、特に心臓カテーテル手術なんかは、アメリカですと約八百万ぐらい医療費がかかるんですが、日本は二百万以下でできる。あるいは、重粒子線というがん治療、これも我が国唯一の治療技術である。そういう大変すばらしい医療技術を日本は持っているわけでありますから、こういった得意分野も生かして、日本でも医療産業都市構想をつくり出して、雇用を生み出し、また外貨を稼いで、医療政策としてこれを推進していただくという意味で、具体的にこういった制度設計を今後どのような形で展開していただくか、足立政務官の御答弁があればお伺いできればと思います。

足立大臣政務官 今のお話は、外需をどう獲得していくかというお話だと思います。

 私は、日本を訪れる方々がふえる要素として、やはり三つ大きなものがあると思っています。一つは、まずアクセスがいいこと、それから、セキュリティーが確保されているということ、そして、何よりもブランド力があるということだと思います。

 このブランド力ということに関しましては、やはり、二〇〇一年、WHOが日本の医療システムは世界一であると。この評価は続いているわけですから、今こそ、それが崩壊する前にこのブランド力を生かすことが必要である、そのように私はとらえております。

 そんな中で、問題点として考えられるのは、今、日本で問題にされている医療人材の不足、この不足した状態で、海外から人が訪れて一体対応できるのであろうかという問題、それから言葉の問題、そしてまた、海外で利用できる、その国で利用されている保険が日本で使われるようなシステムがつくれるかどうかといったような問題点があるんだと私はとらえております。

 それを一つ一つ解決していくためにはどうしたらいいか。これは、休日の利用や、あるいは言葉に関しては大学等ほかの教育機関との連携、それから保険の問題は、これは他省庁にまたがる話で、海外との交渉も含めて、そういったことをクリアしていきながら、これは何といっても、委員御指摘のように、雇用誘発効果もそれから経済波及効果も非常に高い分野でございます。外需を拡大していくためには、今私が申し上げたようなさまざまな点をクリアしていく、それを今検討しているところでございます。

樋口委員 足立政務官のおっしゃるとおり、いろいろな問題がこれは山積しているとは思います。ただ、方向性として、ぜひこういう考え方を厚生労働省の中でも位置づけていただいて、また、人材の問題あるいは保険制度の問題、さまざまな問題を私もこれから一緒に議論しながら解決させていただければありがたいなというふうにも思っております。

 実は私、薬屋さんを経営しておるのでありますけれども、東京都心のお店には、海外、特に中国や台湾、香港、韓国の観光客の方が大衆薬を大量にお買い求めいただいてお土産に持って帰られる、こういう現象が起きております。

 日本のOTC薬というのは大変優秀な製品が多いわけでございまして、こういうOTC薬を、ぜひ、今、鳩山政権としては東アジア共同体構想というのもございますので、こういう国々に対してこういう優秀なOTC医薬品を提供できるような整備といいますか体制を厚生労働省としてもとっていただきたいな、こういうふうに思っておるんですけれども、この件について御質問させていただきます。

足立大臣政務官 今、特に樋口さんのもともとのお仕事であった部門を絡めてOTC薬のことを中心に述べられましたけれども、これは医薬品産業全体という形でとらえた場合に、委員御指摘のように、日本としては非常に評価が高かった部門でございます。しかしながら、世界に占める医薬品のシェアを見ますと、一九九八年は一六%であったのが今は一〇%まで、それだけ落ち込んでいるという事実もまたあるわけでございます。

 そしてまた、東南アジアから訪れた方々がOTC薬を多くお買いになるということがありましたが、もう一つ幅を広げると、鳩山総理が目指しておられます統合医療の検討の推進ということの中で、これはさまざまな分野、サプリメントを含めていろいろなものがあるわけですね。これが、この分野についてはいかにエビデンスをしっかりつくり上げるかということでございますし、何といっても、医薬品産業全体としてはどう考えるか。これはもう、内閣の新成長戦略の中でも、日本発の革新的な医薬品の研究開発を推進するというふうに位置づけておりまして、研究資金の集中投入、臨床研究・治験環境の整備、審査の迅速化・質の向上、イノベーションの適切な評価ということを項目として挙げながら検討しているところでございます。

樋口委員 どうしても、お薬というのは生命にかかわるということで、安全性というものを重視していかなきゃならないということで、いろいろな制約があります。各諸外国においても、輸入の問題についてもいろいろなレギュレーションがあるやに聞いておるわけでございますけれども、そういった中で、お互いが協力していける部分で日本がなす役割というものも多くあると思いますので、ぜひこの辺についても御検討をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 さて、雇用保険二事業の、特に雇用調整助成金について何点か御質問をさせていただきます。

 土日祭日千円の高速道路によって、フェリー業者ですとかあるいは高速バスの各業界団体が大変厳しい環境下に置かれている。あるいは、身近な話で恐縮でございますけれども、私どものドラッグストア業界も、昨年の六月、業法が改正されまして、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、あるいは家電量販店さんでもOTC薬が置かれるようになったということで、国の制度によって大きく影響を受ける事業主あるいは業種というものが多々あるわけでございます。そういった中で、それまでずっと企業で培ってきた能力というものをやはり生かしていくためにも、失業に対して、雇用調整助成金の役割というものが大変重要になってくるのではないかというふうに思っております。

 ただ、雇用調整助成金については、来年度、二事業の積立金が枯渇する状態になっているというふうに聞いております。今回の改正によって、財源確保を図るために、失業等給付の積立金から借り入れるような制度が設けられるようになりましたけれども、これは緊急的な措置としてやむを得ないというふうに考えられるわけでありますが、政府として、今回の不況期におけるこういった雇用調整助成金の果たしている役割、これについてどういうふうにお考えか、お聞かせいただければと思います。

細川副大臣 雇調金につきましては、御承知のように、不況などで経営を縮小しなければいけないというときに、従業員を解雇せざるを得ないようなそういうときにも、雇用を守るために休業にしたり、あるいは教育訓練をするというときに、それにかかった費用に助成をする、これが雇調金なわけでございます。

 それで、今回のリーマン・ショック以来のこの大不況におきましても、そういう事業縮小せざるを得ないような状況に置かれた人たちが雇調金を利用する、こういうことで、できるだけ雇調金を利用しやすいように、この制度の拡張などをずっとやってきたところでございます。

 特に、昨年の十二月八日、緊急経済対策のもとで要件の緩和なども行いまして、そこで、本来ならば適用されなかったような方でも、約八十万人の方々が引き続き助成金の対象者となる見込みだということで、全体では二百万人を超える人たちが雇調金の対象となるようになったところでございます。

 ことし一月でも、対象事業所が八万三千事業所、そして対象者が百七十三万人ということで、そういう意味では、雇用の維持ということについては、この雇調金制度は大きく役立っているものと思います。さらにこれについてはしっかりやっていきたいというふうに思っております。

樋口委員 さて、その雇用調整助成金ですけれども、平成二十一年度予算では六千六百七十億円、二十二年度予算では七千四百五十二億円、過去の最高でも七百億円程度であったものが十倍近く上がっているわけであります。

 そういうことで、なぜこのような過去の実績と大きな違いをもたらしたのか、政府としてどのように分析されているのか、お聞かせください。

 さらに、今回の景気が回復した後も、景気循環等の要因で雇用情勢が悪化し、失業率が五%を上回るということも否定できないと考えております。その場合、助成金の支出額は従来のように数百億円程度なのか、あるいは、今回ほどではないにしても数千億円程度の支出の規模になる可能性があるとお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

細川副大臣 今回、この大変なお金を使って雇調金の制度を利用していったところでありますけれども、これは、リーマン・ショック以来の大変な不況の中で、雇調金を使いやすいような形で、その制度の拡張とか要件の緩和とかそういうことを適宜行ってきたということで、そういう意味では、使い勝手のいいような形の雇調金にしたということで、この不況と相まってたくさんの事業主が利用されたということで、五千七百億円というような大変大きな数字になっております。

 これは、不況の中で、使い勝手のいいような形での雇調金を、制度拡張あるいは要件緩和などをいたしましてこういうふうになりましたけれども、では、将来どうするかということになりますと、それはその時々の景気の状況とかいうこともあろうかと思いますけれども、少なくとも今の景気の状況では、今のような雇調金の使い方、お金の使い方が続いていくものだというふうに思っております。

 しかし、これを恒久的な制度でずっとやるかどうかというようなことについては、これはまた、そのときそのときいろいろな形で考えていかなければいけないところではないかというふうに考えております。

樋口委員 雇調金にしろ失業保険にしろ、セーフティーネットというのをしっかりと国が定めていただくということと、冒頭に申し上げましたように、失業者を出さないための成長戦略、これも両輪としてお考えいただくようお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次回は、来る十九日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時五分散会


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