衆議院

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第23号 平成22年5月26日(水曜日)

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平成二十二年五月二十六日(水曜日)

    午後一時二分開議

 出席委員

   委員長 藤村  修君

   理事 青木  愛君 理事 石森 久嗣君

   理事 内山  晃君 理事 黒田  雄君

   理事 中根 康浩君 理事 大村 秀章君

   理事 加藤 勝信君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    大西 健介君

      大山 昌宏君    岡本 英子君

      菊田真紀子君   菊池長右ェ門君

      工藤 仁美君    小山 展弘君

      郡  和子君    斉藤  進君

      園田 康博君    田名部匡代君

      田中美絵子君    長尾  敬君

      仁木 博文君    初鹿 明博君

      樋口 俊一君    福田衣里子君

      藤田 一枝君    細川 律夫君

      三宅 雪子君    水野 智彦君

      宮崎 岳志君    室井 秀子君

      山崎 摩耶君    山井 和則君

      あべ 俊子君    秋葉 賢也君

      田中 和徳君    田村 憲久君

      武部  勤君    長勢 甚遠君

      西村 康稔君    松浪 健太君

      松本  純君    坂口  力君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   厚生労働副大臣      長浜 博行君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十六日

 辞任         補欠選任

  園田 康博君     小山 展弘君

  初鹿 明博君     大山 昌宏君

  藤田 一枝君     工藤 仁美君

  山口 和之君     菊池長右ェ門君

  菅原 一秀君     秋葉 賢也君

  棚橋 泰文君     田中 和徳君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  大山 昌宏君     初鹿 明博君

  菊池長右ェ門君    山口 和之君

  工藤 仁美君     藤田 一枝君

  小山 展弘君     園田 康博君

  秋葉 賢也君     菅原 一秀君

  田中 和徳君     棚橋 泰文君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

五月二十五日

 予防接種法及び新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 独立行政法人地域医療機能推進機構法案(内閣提出、第百七十三回国会閣法第八号)

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)


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     ――――◇―――――

藤村委員長 これより会議を開きます。

 第百七十三回国会、内閣提出、独立行政法人地域医療機能推進機構法案を議題といたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。あべ俊子君。

あべ委員 ありがとうございます。自由民主党、あべ俊子でございます。

 独立行政法人地域医療機能推進機構法案について質問させていただきます。

 平成十四年十二月二十五日、社会保険病院の見直しに関しまして、今後、病院の整備に保険料財源を投入しないなどの社会保険病院のあり方見直しについて、厚生労働省の決定がされました。その後、全社連所属の病院、福祉施設、社会保険庁から独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構、RFOに出資されまして、適切な譲渡先、受け皿を検討し、その確保を図ることといたしました。

 しかしながら、将来の方向性がはっきりと示されないままの状態でございまして、病院が売却されなくなるなどの風評から医師、看護師が退職していくために、その職員の確保に困難をきわめていたところでございます。

 皆様にお渡しいたしました資料をごらんください。確保だけではなく、いわゆる退職状況の部分も、離職が非常に加速をしたということが言われております。このところに関しまして、早くこれから先の方向性を定めてほしいということが病院側からも、また地域の方々からも言われているところでございます。

 また、保険料財源の投入をしないという理由から先の見通しがつかず、大型の改修工事はすべて凍結となりました。病院の維持管理においても深刻な状況になりまして、病院の安定的な運営に相当支障を来しているという切実な声が、病院職員のみならず地域住民や自治体からも寄せられているところでございます。

 大臣、この状況に関して、どのように受けとめていらっしゃいますか。

長妻国務大臣 あべ委員にお答えをいたします。

 そもそも、今回法案をお願いしておりますのは、この社会保険病院、厚生年金病院について、やはり住民の皆さん、地方自治体の関係者の皆さん、地域医療の機能をそのまま残してほしい、こういう強い御要望もございまして、今、法案審議をお願いしているところであります。

 その中で、今、新規の税金あるいは公金を投入しないということで大丈夫なのかというお尋ねでございますけれども、もともとというか、この社会保険病院、厚生年金病院は、固定資産税は基本的に払っていないということで、税金の優遇を受けている、これも理由があるわけでございますけれども、そういう病院でもございます。

 その中で、全体の病院でおおむね黒字に、赤字病院も黒字病院もありますけれども、社会保険病院、厚生年金病院、両方合わせたものについては、単年度だけ赤字、平成二十年度については、これは浜松病院の赤字が大変大きかったわけでございますが、浜松病院は売却いたしましたけれども、平成二十一年度も全体では黒字見込みになっておりますので、そういう意味では、効率化を高めて利益をきちっとトータルで出していって、そして安定感のある財源ということで基盤をつくっていくべく、我々も指導をしていきたいというふうに考えております。

あべ委員 いわゆる社会保険病院は、平成十五年前は、職員の給与、これは全社連共通の給与規程というのがございまして、ボーナスは国家公務員の人事院勧告に準拠して支払われたわけでございますが、平成十五年から十七年、経営改善三年計画というのが出されたときに、全社連本部がガイドラインを出しまして、それをもとに各病院が給与規程をつくりまして、経営状態に応じながら、丁寧に労働組合と折衝を続けまして、給与体系の抜本的な見直しを行ったところでもあります。

 実は、この全社連の中にも労働組合の方々がいらっしゃいまして、加入率が二一・七%、職員総数一万八千四百四十六名のうち、組合員数は四千八人ということでございますが、こういう方と折衝をしながら、やはり病院の存続が大切であるということで、柔軟性のある給与体系を続けてきたわけであります。この二年間の努力、また、平成十七年の四月には労働協約を一括しまして、新たな給与体系に移行することができたわけであります。

 新機構に移行した場合、医師や看護師を初めとして職員を確保することはもちろん大切な案件でございますが、現在の職員を一たん解雇して継続雇用をするのか、今の職員を解雇するのであれば退職金を一度払うおつもりなのか、さらに新規採用するおつもりなのか、その人事に関して、大臣、お答えください。

長妻国務大臣 今考えておりますのは、まず給与でございますけれども、これについては、全社連、厚生団、船保会、主に三つございますが、その職員の方々を、事務でいえば国家公務員のOBは受け入れない、天下りは受け入れずに、その三つの職員の方々、医療関係者あるいは事務で出身が非国家公務員の方々については、団体が変わるわけでありますので、この三つの団体から新しい機構に移るということで、これまでばらばらだったお給料の水準、あるいは就業規則、これを一本にしなければいけませんので、どういう水準にするのかというのは、この法案が通過後、検討をしていく必要があると思います。

 いずれにしても、民間から見て過度に給料が高過ぎるとかそういうことのないように、民間に準拠するような、そういうものについて我々としては取り組んでいきたいというふうに考えております。

あべ委員 一本にされるということになると、例えばその地方自治体、その地方において、給与の格差がかなりあるわけであります。そうしたときに、いわゆる民間といっても、大企業のある大都市の部分の民間と、いわゆる中小企業しかないところの民間と言ったときのその民間のベース、一本にされるというお話と、民間との格差がないようにというお話は、私は違う話が同時にされていると思うわけでありますが、大臣、そのあたりは、民間格差、一本化ということに対して、どういうふうにお考えでしょうか。

長妻国務大臣 そういう給与体系も含めて、今後、民間から見て、基本的に民間準拠という考え方のもとやってまいりますけれども、今おっしゃられましたように、民間といっても、これは地域によって給与水準が違うということもありますので、新機構の中で、例えば、地方、都市部で何か差をつけるような、そういう手当というか、そういうものが必要なのか否か、あるいは、ほかの独立行政法人はどういう給与体系なのか、あるいは、全国展開している企業についてどういう給与体系なのか、そういうものも勘案をして、民間よりも著しく高い高給をもらっていて批判を受けるようなことはないように決めていきたいと思います。

あべ委員 すなわち、おっしゃっている意味は、給与体系は一応あらあらとして標準はあるけれども、地域によってそれは差別化をしていくという意味でよろしいんでしょうか。

長妻国務大臣 これについては、民間の給与の体系あるいは手当の体系なども参考にして決めていくということでありますけれども、基本的に、お給料本体そのものは、もちろんこれは一本の考え方でやっていくということであります。

あべ委員 実は、これまで全社連の方では、いわゆる経営改善努力、労働組合の折衝のもとに、成果報酬というのを入れています。実は、この成果報酬は海外でも入れられているものでございまして、職員の納得と理解のもとにこの給与体系を構築した努力がこれまであるわけでございますが、これはすべてなくなるという理解でよろしいでしょうか。

長妻国務大臣 これらについては、先ほど申し上げましたように、主に三つの団体が一つになるわけでありますので、それぞれのいい、本人の意欲を引き出すようなそういう給与体系や就業規則、人事制度があれば、それは取り入れていくわけでありますけれども、それについては、どれをどう取り入れていくかというのは今後の検討課題になろうかと思いますが、その大原則は民間準拠ということであります。

あべ委員 法案を出されるときに、検討課題がちょっと多過ぎるかなという気もするわけでありますが、また、いわゆる再雇用する場合に、退職金を一度お支払いになるんでしょうか。そのときに、また、その退職金を支払った場合、その後の退職給付引当金に対しては新しい運営主体が通算していく形になるんでしょうか。これに関してお答えください。

長妻国務大臣 これも今確定をしているわけではありませんけれども、一つの考え方は、例えば、その三つの団体があるわけでございますけれども、その方々全員が新機構にもちろん行くわけではございません。その中で新機構に行かれない方に対して退職金がその団体から出るということは、これは一定程度容認されるのではないかというふうに思います。

 ただ、今回こういう、ある意味では組織を、受け皿を変えていくという議論の中で、そこで一たん退職金が出て、また新しい組織に行くということについて、国民の皆様方の御理解が得られるかどうかという観点もあると思いますので、それは、この三つの団体といいますのは公益法人でございますので、仕切りでいえば民間ということになりますので、その団体ともよく話して、国民の皆さんの批判を受けないような形で取り組んでいきたいと思います。

あべ委員 今大臣がおっしゃった、全員が行くとは限らないというのは、これは希望者のみ行くということでしょうか。それとも、いわゆる新しく移行するに当たって、この人は連れていけないという判断をどなたかがされるということなんでしょうか。

長妻国務大臣 これは、一義的にはやはり新機構の理事長が御判断されることだと思いますけれども、私としましては、この独立行政法人は、言葉のとおり独立をして、行政とは異なる風土で、効率性も取り入れて業務を行っていくという趣旨だというふうに思っておりますので、天下りというものはそこにはいない方がいいという判断をしております。

 その三つの団体で、国家公務員のOBの方もいらっしゃいます。ただ、国家公務員のOBの方で医療関係のOBの方、例えば、国立病院で働いていたお医者様で社会保険病院におられる、こういう方については天下り的なものではないということで、医療関係者については別でありますけれども、そうでない、事務で働いておられる方で国家公務員のOBの方については、そこに移行することはないように指導をしていきたい、こういうことであります。

あべ委員 すなわち、新しい運営主体になったときには、国家公務員の天下りの方はすべて新しいところには移動させないという意味だと思うんですが、特に、この医療関係者OBというのが非常に難しくて、例えば、国家公務員であったけれども国立病院に天下りしている方が実際いらっしゃいます。そういう方は医療関係者というのか。

 大臣がおっしゃる医療関係者というのは、医療に携わったことがあれば医療関係者と言われるのか、医療の資格を持っていれば医療関係者とおっしゃっているのか、ここを明確にしてください。

長妻国務大臣 基本的に、今申し上げました医療関係者といいますのは、まずは、外形的には資格を持っている方、お医者さんとか看護師さんとかコメディカルの方々などでありますけれども、恐らく今言われている質問は、医系技官という、お医者さんの資格を持って厚生労働省に入っていろいろ行政をやっていて、その方が再就職、いわゆる天下る。お医者さんの業務をやっていない、行政に携わっている方というのは、これは理事長の最終的な判断でありますけれども、私が申し上げる医療関係者には当たらないというふうに思います。

あべ委員 私は、医系技官がそこに行くことは、資格を持っているから余り問題はないと思っているのですが、申し上げているのは、すなわち一度でも国家公務員であった方々が国立病院に天下りをされていた、そういう方に対して、医療関係者というふうに大臣はお考えでしょうか。

長妻国務大臣 今の御質問というのは、ちょっと私もその意味がなかなか理解できないんですが、国立病院に天下っている人、そういう人が医療関係者かどうか。当然、事務、厚生労働省で行政職で入省されて業務をされて、そして国立病院機構に天下った方、この方は医療関係者じゃないと思います。

 ちょっと医療関係者というのが語弊があるとすれば、先ほどの話というのは天下り規制のお話でありますので、実際に診療等医療行為をなりわいとされておられるというような趣旨で申し上げたわけであります。

あべ委員 すなわち、医療機関に勤めていたから医療関係者ではない、いわゆる一度でも国家公務員であった方を、例えば医療機関にいたからといって医療関係者と呼ばないということでよろしいでしょうか。

長妻国務大臣 これは、呼ぶ、呼ばないという名称の議論を私はしておるのではありませんで、今、全社連とか厚生団というところで厚生年金病院や社会保険病院を運営されているわけでありますけれども、その中に天下りの方がおられるということで、そういう方々については、理事長の最終的な御判断でありますけれども、新機構では採用をいただかないように指導を申し上げていくということで、それで、ではどういう方なのかという議論の中で申し上げたわけであります。

 その中で、例えば、国立病院が独立行政法人になる前は、今も独法は公務員型の独法でありますけれども、ドクターとして実際に医療行為をしているお医者様についても厚生労働省の国家公務員なわけでありまして、そういう方について、厚生労働省の国家公務員だったからという理由で、そういう方まで新機構に受け入れないということではありませんよと。

 事務、医療行為等をされておられない、基本的には行政職の方については、受け入れというのは非常に困難であるというふうに考えておりますので、そういう御指導を申し上げる予定であるというふうに答弁をさせていただいております。

あべ委員 続きまして、まだ決めていないことと新理事長がどなたになられるかということで、かなりいろいろ柔軟性がある法案なんだと思っておりますが、内部留保金に関してお尋ねいたします。

 全社連の一部の病院では内部留保金がかなりある病院もございまして、独立行政法人になった際、その内部留保金というのは一体どうなるんでしょうか。

長妻国務大臣 今おっしゃっていただいたのは、三つの全社連、厚生団などの団体に内部留保金というのはございます、それがどういう形になるのかということでございますけれども、これについては、まずは、新機構にその内部留保金は移ります。そしてその後、中期目標というのを定めていきますけれども、その中期目標の期間後にそのお金が一定程度余ってくる場合については、そのお金について国庫に返納していく、こういうような仕組みになっております。

あべ委員 五年後に判断されるということだと思いますが、これまでの、例えば土地、建物、設備、財産、経営権、すべて独立行政法人に移行するという理解でよろしいんでしょうか。

長妻国務大臣 基本的には、病院の建物、土地、あるいは土地の使用権、検査機器などなど移行するということで、おっしゃるとおりであります。

あべ委員 また、今回、独立行政法人通則法、これも適用されるのだと思うのですが、病院経営をしていく上で不都合になる点は全くないと大臣はお考えでしょうか。

長妻国務大臣 この独法の通則法の改正案が成立をいたしたわけでございますけれども、これについて詳細な政令などなど、これから議論して決めていくわけでありますけれども、不要資産の扱いについて、どこにお金が戻るのかなどなど政令で定めるべき点というのはございますけれども、その点について今後我々としては交渉する、こういう課題が残っているんではないかと思います。

あべ委員 すなわち、まだまだ検討課題がある段階だというふうに理解をいたしました。

 また、運営の上で、今回機構に移ることによって本部管理が強化され過ぎるということはないのか。例えば、円滑な病院運営を行うための阻害要因となるようなことはないのか。例えば、その指導が強化されるということはないんでしょうか。それとも、指導をしなければいけないということなんでしょうか。大臣の御見解を教えてください。

長妻国務大臣 指導が強化されるかどうかということでありますけれども、その強化の意味にもよりますが、今回、厚生年金病院、社会保険病院、これを、六十以上の病院を一つの独立行政法人というもとに束ねるということで、もちろん、その一定のスケールメリットを生かして地域住民に貢献をしていくということになろうかと思いますし、例えば医薬品や検査材料、医療材料などについても、まとめて購入することでその単価を下げて効果的な購買をする。あるいはお医者さんの、これも就業規則や人事との絡みでありますけれども、ローテーションというのも全体の中で考えていくというのも、もちろん一案であります。

 そういう意味では、その一体となった経営ということに関して言えば、従来よりもある意味ではガバナンス、統治をきかせていくということになろうかと思いますけれども、何かその締めつけが強まるとか、そういう負の、マイナスのイメージ的な表現であるとすれば、そういうことにはならないのではないかと思います。

あべ委員 スケールメリットとしてのコストダウンがいわゆる今回の独法化によってされるということは理解をいたします。

 しかしながら、そのガバナンスといういわゆる本部機構が強化されることは、院長の権限また人事権、そういうことがどこまでそれぞれの各病院の裁量権に任せられるかというバランスだというふうに思いますが、そこは大臣、どうお考えでしょうか。

長妻国務大臣 これは、よくよくその新理事長が内部の方と話をして、議論を重ねて、どういう考え方にするのかということはよく議論しなきゃいけない。

 目的は、地域医療を守っていく、担い手として公的病院の役割を果たしていくということが目的でございますので、その目的の中で、例えば病院理事長が各病院を見て、非常によく頑張っておられる病院がある、地域医療にも貢献していて、しかも、効果的な、効率的な医療で非常に黒字を多く出されて努力をされている病院があるとします。一方では、効率、効果、地域医療、これを両立していこうと孤軍奮闘されている院長がおられるけれども、空回りをして、なかなか実績が数字的にも出てこない。

 仮にそういう非常に極端なことがあるとすれば、それは、理事長としてその院長の人事権というのを基本的には持っておられるわけでありますので、それを活用して適切な人事を、当然、了解のもと行うということは考えられると思います。

あべ委員 それもこれからの検討課題だということであります。

 今、総務省で、従来の独立行政法人を、ゼロベースで、廃止を視野に入れて見直す法案というのがいわゆる独立行政法人通則法ということでございますが、民間でできることは民間でやっていただく、それが行政改革の原点だと思います。

 このたび、独立行政法人通則法を提案しながら、同時に、厚生労働省で独立行政法人地域医療機能推進機構法案を提出したということは、恒久的な独立行政法人をつくる。これは政策として余りに矛盾しているのではないかと思いますが、大臣、これに関してはいかがですか。

長妻国務大臣 これについては、我々も選挙前に、民主党の政策集というところで、厚生年金病院及び社会保険病院は公的に存続させることを前提に、新たに地域医療推進機構を設置して両病院の管理運営に当たらせます、こういうことを、これは選挙前の、ある意味では国民の皆さんへの御提示ということでさせていただいておりますので、そういう意味では、天下りを排除し、効果的、そして効率的、かつ地域医療をきちっと担っていく、こういうことを目指す一つの受け皿ということで、我々としては今回法案をお願いさせていただいております。

あべ委員 マニフェストと今回出されている法案は整合性が大変とれていると思います。しかしながら、マニフェスト全体が整合性がとれていないという問題がありまして、すなわち、通則法は独立行政法人をゼロベースで廃止を視野に入れて見直す法案なのに、なぜ新たにこの独立行政法人の法案を出すのか。

 マニフェストとの整合性はいいんですが、マニフェストの中における整合性をお考えになったことがあるのか。なぜ、独立行政法人を新たにつくるという法案をあえてつくられたのか。マニフェストとの整合性ではなくて、いわゆる通則法との整合性において、大臣、御説明をいただきたい。

長妻国務大臣 これについては本当に我々も、厚生労働省は四月一日に厚生労働省事業仕分け室という組織を新たにつくりまして、厚生労働省所管の独立行政法人を省内事業仕分けということで徹底的に見直していく。ことしの四月には厚生労働省所管の独立行政法人の役員を公募いたしましたけれども、その際には、十二ポストあった役所の役員のポストを全部民間にかえるということもいたしまして、徹底的に、国民の皆さんに申し上げている、独立行政法人を効率的にしていく、天下りあるいは税金の浪費、こういうものにメスを入れていくということには取り組んでいるところであります。

 その中で、RFOという組織が間もなく消滅するという中で、そこの中に今あります社会保険病院、厚生年金病院も宙に浮いてしまっていいのか、法的根拠がなくなって地域医療を担えるのかという御心配の声も、地域あるいは自治体からいただいておりますので、その意味で、今回、RFOは独立行政法人でありますが、それはなくなるわけでありますが、病院という意味で特化した形の受け皿ということで、必要最小限の独立行政法人、そこで天下りを排除して効率性を高めていくということで、今回法案をお願いしているところであります。

あべ委員 大臣は、天下りがなくなれば行政改革をやったと思われているのでしょうか。すなわち、公的病院として残すということを皆さん方がマニフェストでお約束したのはわかりました。しかしながら、官から民と言われている中、民から官にして効率がよくなるというふうに大臣は思っていらっしゃるのか。

 すなわち、このRFOに関して、どうせ延長しなければいけないんだったら、売却がすべて済むまで延長するということをお考えにはならなかったのでしょうか。マニフェストに書いてしまったから、仕方がないから今回は法案を通すのでしょうか。

長妻国務大臣 今のお尋ねというのは、RFOについて、それをずっと延長して、その中で売却努力をずっと続けていけば宙に浮かないのではないか、こういう御趣旨だと思いますけれども、RFOといいますのは、御存じのとおり、売却をするという専門の組織でありまして、その中で、これまでも前政権も含めて売却努力をされてきておられると思います。

 それは私どもも、地域医療を担うという前提で、全員が合意するというのはなかなか難しいのでしょうけれども、住民の方も一定程度の住民が合意して、かつ自治体の首長さん、議会なども合意をするということであれば、これは民間でもあるいは自治体でもその病院をお任せしたい、こういうふうに思っておりますが、残念ながら、そういう相手というのはなかなか、努力はしているものの、今の時点でおられない。

 では、そのときに、売るためにつくられた組織にその病院をぶら下げていったときに、本当に、さっき申し上げたスケールメリットとかガバナンスをきかすとか、医療に資する運営をするというようなことができるのか否かということを考えたときに、そうであれば、そのRFOで残った病院については、新たな独立行政法人をお願いして、その中で医療をきちっとやってまいりましょう、こういう枠組みをまず確保することが重要だということで法案を出しております。

 社会保険病院や厚生年金病院で働いておられる方も、その行き先が定まらないと腰を落ちつけて医療をなかなかできにくい、こういうような環境があるというのも聞いておりますので、そういう意味でも、今回法案をお願いさせていただいてるということであります。

あべ委員 さらには、独法化が実現した後に各病院の経営が赤字となった場合の対応につきましてお伺いしてまいりましたが、赤字にならないように努力しますという形で、はっきり、どうやったら赤字にならないのかというような明確な方針が出されていない。

 これに対しまして長妻大臣、先日の委員会の答弁で、税や保険料を投入することはないというふうに断言をされましたが、独法通則法の条文四十六条には、「政府は、予算の範囲内において、独立行政法人に対し、その業務の財源に充てるために必要な金額の全部又は一部に相当する金額を交付することができる。」というふうに書いてあります。

 大臣が税や保険料を投入することはないとおっしゃいましたが、独法通則法には四十六条の中に入っている。これは、法律上、予算の範囲内で国費を投入することが可能だという解釈ができるわけですが、本当に大臣は税や保険料を投入することはないと言い切ることができますか。

長妻国務大臣 これは、御指摘いただきましたように、法律的には今おっしゃられたような枠組みで、予算措置をして運営費交付金等が投入できるということになると思いますけれども、この新機構の一つの姿勢として、そこで運営している厚生年金病院、社会保険病院、今でも足し算をすれば、平成二十一年度は辛うじて黒字が出ております。

 赤字病院、黒字病院ありますけれども、その赤字、黒字の金額を足すと黒字になっておりますので、独立行政法人になったからには今以上に経営は悪化をしないというのが、独立行政法人にした一つの意味でもありますので、そういう意味では、税金や保険料を投入しないで運営をしていただくということが基本であるということを申し上げております。

あべ委員 大臣、立法府にいる我々が、法律には書いていないけれども、姿勢でいけるんだという言い方をされたら、世の中、姿勢だけでこの立法府は要らないということになるじゃないですか。

 ですから、例えば、長妻大臣が大臣の職に未来永劫おつきになっていることができるのか。今大臣がおっしゃったことが、本当に姿勢がよければ守られるのか。本当に病院の赤字に対して国民負担を求めないということが、大臣がおっしゃって確約されれば安心できるわけでありますが、これまでの委員会を見ても、政権交代後、非常に私たちは、本当に大丈夫なのかと。

 長妻大臣が言ったことをほかの内閣の大臣方が否定したりとか訂正したり、いろいろなことが起きている中で、貴重な税財源、保険料を本当に投入されないということを、大臣がおやめになった後でも確約できるということがお約束できますか。

長妻国務大臣 まず、今申し上げたような、今以上に効果そして地域医療の任務を果たすような独立行政法人を、きちっとまず詳細な制度設計も私どもも責任を持ってして、そしていろいろな人事もして、そういう形で法案を成立いただければ、その後、新しい法人をスタートさせていくということであります。

 今でも足し算をすれば黒字なところがそれよりもさらに赤字になるということは、これはもうあってはならないことでありますので、それについて、私は、この国会の場でも今申し上げた投入しないということを申し上げ、そういう投入しないで済むような仕組みをつくる責任がありますので、それをきちっとつくり、当然、後々までそれが守られるような仕組みというのも考えていくという責任があるというふうに思います。

あべ委員 大臣の心意気と姿勢は、確かによくわかりました。しかしながら、参議院選挙の後、同じ内閣のメンバーでそろっているかどうかもよくわからない中、責任をおとりになるというのであれば、大臣をおやめになった後も、その政治責任をかけて、長妻大臣は、税を、国民負担を強いないということをお約束いただけますか。

長妻国務大臣 ですから、まさに社会保険病院、厚生年金病院にとっては、新しい独立行政法人というのは、非常に伝統ある病院が多いわけでありますので、歴史のある病院が多いわけでありますので、大きな歴史的転換になる新独立行政法人だと思います。その意味では、そういうことにならないような制度設計と仕組み、そして、新理事長がどなたになるかわかりませんけれども、そういう方が着任をされるときには、それを大前提としてお約束できる方を任命する、こういうことで我々としては取り組んでいくということです。

あべ委員 では、政治責任としては余りお考えになっていなくて、何となく心意気として頑張ろうというふうに理解をいたしました。

 さらには、この病院の譲渡に関しまして、売却ができなかったということがずっとあるわけでありますが、現政権になりまして、もう九カ月たっています。本当に売却が進まなくて、RFOのいわゆる時限つきの部分で何かしなきゃいけないというお気持ちはよくわかるわけでございますが、皆様のお手元の資料の二ページ目、いわゆる「地域医療機能推進機構における社会保険病院等の売却に関する基本的な流れ」というものを厚生労働省がつくってチャートにしてくれました。

 ここのところでよくわからないのは、「売却すると当該地域の医療体制が損なわれる場合」「売却は認められない」、このいわゆる「売却すると当該地域の医療体制が損なわれる」という定義を一体どのようにしているのか、大臣の認識をお聞かせください。

長妻国務大臣 これについては、この法案審議の中でも御答弁申し上げておりますけれども、売却といっても基本的には前提がある。地域住民の御理解、そして自治体の御理解、地域医療を担う、こういう前提があれば、これは新しい機構においても売却を拒むものではないということを申し上げておりますので、今申し上げたような要件ということでありますので、絶対に何も売却しないという意味でこれが書いてあるわけではありません。

あべ委員 新機構に移行したら、中期目標で、最終的に売却を目指そうと大臣は思っていらっしゃるんでしょうか。

長妻国務大臣 これは、中期目標というのを大臣が立てて新機構に御提示する、こういう仕組みになっております。その意味で、中期目標には、この国会で御答弁した、そういうような中身を書き込んでいこうというふうに思います。

あべ委員 そういう内容というのは、売却を目指すという内容でよろしいでしょうか。

長妻国務大臣 これについては、先ほど来申し上げておりますけれども、地域住民が御理解いただいて、あるいは地域の自治体も御理解をいただいて、地域医療を担うという前提、病院は買ったけれども何か別の職業、商売をされるということではなくて、地域医療を担っていくという前提があり、自治体や民間からそういう申し出もある場合については、それについては売却をしていくということであります。

あべ委員 いわゆるこの売却が認められない、当該地域の医療体制が損なわれないということを明確にしない限り、折衝をした中でたった一人でも反対したら当該地域の医療体制が損なわれると思うのか、ここのところを明確にしない限り、五年後の目標を幾ら立てても、売却する気が全くないというふうにしか私には見えないわけでございまして、ここのところは、さらに言えば、地域医療を推進するということが私は非常に重要であると思います。

 であれば、公的施設として、公的医療機関として残すのであるということを考えたときに、すなわち、公的機関でなければ、やらないといけないこと、民間ができる診療科はすべて外すというおつもりがあるのかどうか。地域の医療の、いわゆる地域医療を推進していくということを、どういう役割を推進している、例えば一人でも反対しているからというだけではなくて、地域医療の推進というこの役割はどこにあるというふうに大臣はお考えですか。

長妻国務大臣 今おっしゃられた点は、まず、一人でも反対をしたらそれは損なわれるということではありませんで、先ほども申し上げましたけれども、全員が賛成ということはなかなかありませんので、一定以上の方が、地域住民の方が御理解をいただくということであります。

 そして、病院につきましては、今回お願いしている法案の社会保険病院、厚生年金病院というのは、税の優遇がある公的な病院でありますので、これはおのずから民間病院とは違う役割があってしかるべきであります。この地域医療を担う、今御審議いただいている病院については、四疾病五事業やリハビリテーション医療など地域において必要とされる医療を担っていただこうというふうに考えております。

 厚生年金病院は、そもそも、障害年金の受給者、年金ですので、受給者が、その障害年金を受給しながらリハビリをして、少しでもそれを治していこうという趣旨で、伝統的に厚生年金病院はリハビリが得意分野の病院が多いわけでございます。四疾病五事業といいますのは、がん、糖尿病、急性心筋梗塞、脳卒中、五事業は、救急医療、災害医療、僻地医療、周産期医療、小児医療ということで、当然民間も担っているものもございますけれども、なかなか利益が出なくて民間が担いにくい部分も、今申し上げたことをより積極的に取り組んでいただく。そして、法案にもございますけれども、一定の要件があれば、国の方から指示をして、それに従って動いていただく、災害等でありますけれども。そういう公的な役割を担うということもつけ加えさせていただいているところであります。

あべ委員 私は、ここのところは一番重要な部分でございまして、すなわち、公的な性格を持って残すのであれば、単なるいわゆる地域医療機構として、この三グループは歴史的な使命や経過が全く異なるわけです。社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院、これを統合していくこと、一つの理念に絞ることは非常に難しいというふうに内部から声が上がっているところでありますが、地域医療を推進していくことを目指すのであれば、民の圧迫にならない、さらには民間ができないことをしっかり義務づけていくということも私は重要であるというふうに思うわけであります。

 さらに、地域医療の推進をキーワードにするのであれば、診療科を本当に限定するべきだと思っておりまして、その地域に足りない診療科が何であるかということが今の二次医療圏の中で明確になっているわけではないということを考えたときに、総合診療医をちゃんと配置していくのか、そういうことも含めた地域医療ということを改めてしっかりと法案の中に、民の圧迫にならない公的施設としての役割を義務づけていくということもこの中に入れるべきではないでしょうか。大臣、お答えください。

長妻国務大臣 今おっしゃられましたように、では民間の病院でやっているものは除外をしてやるとなると、これは本当に経営という意味では成り立たないということになりかねないと思っておりますので、やはり、地域のニーズがあって住民の要求もあるものについてはその役割も果たしていくということで、そこで一定の利益が出るとすれば、それを公的部門に使っていただくということもあり得るわけであります。

 そういう考え方でありますし、それと、おっしゃられるように、病院は全部一律ではございませんで、地域地域、それぞれ特有の、あるいは非常に歴史が長い病院も過去の設立の経緯からしてあるわけでございますので、そういう病院の、地域でずっと根づいた得意分野、地域住民から期待されている分野、それぞれ役割を果たしていただくということになると思います。

 それについて、事細かに法律の条文で、こういう役割を、この病院はこうです、こうですというのは、なかなか書き込むということはできませんけれども、これについては、言うまでもなく、税の優遇等を受ける、しかも、独立行政法人という束ねの中で運営いたしますので、公的な役割を担っていただくということは、この国会答弁等でも議事録が残るわけでございますので、あるいは中期目標でも指示をいたしますし、理事長の任命権者は私であるわけでありますので、その任命の前提として、そういうお話を御理解いただく方に任命をするというようなことで、そういう役割が担えるような形に持っていきたいと思います。

あべ委員 この法案に関しましては、いわゆる公的病院として存続させるというふうに大臣が発言していらっしゃる。そういう中におきまして、公的病院として地域の医療の促進を進めていく団体とする、しかしながら、地域によって違うからよくわからない、さらには、税負担を求めない、保険料は入れないと言うけれども、しかしながら、グループで残していくという中で、非常にあいまいな部分が多過ぎる。これは、法案として出すには余りにも拙速で、議論が少な過ぎると思います。

 これは、今働いていらっしゃる方々は、本当に将来不安があって、地域の方々は不安であります。しかしながら、ここで結論を出すのは余りにも早過ぎると思いますので、ぜひとも、これから先も審議を進めていただきたいと思います。

 私の質問時間は終わりましたので、これで終わります。

藤村委員長 次に、長尾敬君。

長尾委員 民主党の長尾敬でございます。

 そもそも、旧社会保険庁の時代に私たちの保険料を流用してやりたい放題のことをやってきたという事実の中で、RFO、つまりサンピアであるとかサンヒルであるとか、こういったところを整理するということを前提でつくられた。その中に厚生年金病院、社会保険病院がなぜ入ってきたのかということは、多少の疑問点は残るんですが、今回、この法案が提出されるということになりまして、少なくとも、保険料でつくられた病院が、今回の独法という形で、地域医療を推進するという目的が変わった。しかし、そもそも売却益が年金勘定に戻るべき、あるいは元勘定に戻るべきというような、RFOから今回の法案に変わる中で、やはり政府としての大きな方向転換があったというふうに理解をいたしております。

 ただ、どうしても押さえておきたいのは、年金保険料、この分について返却されないという部分については、大臣、御説明をいただければと思います。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

長妻国務大臣 今おっしゃっていただいたように、もともとこの社会保険病院、厚生年金病院というのは、政管健保の保険料もありましょうし、年金の保険料もありましょうが、保険料財源でつくられているものであります。

 その中で、私どもが野党時代も申し上げたのは、何しろ、リゾート施設も含めて保険料財源でつくって、そして、赤字を垂れ流して経営努力が見られない、そういうものについては売却をする必要がある。サンピア、まあグリーンピアはまた別の仕組みでありますけれども、そういうことを申し上げまして、時の政府としても、RFOというところで売却努力をしていくと。

 ただ、そこの中で、病院というものについて、地方やあるいは民間で引き受け手がなかなかない、病院じゃなくてそこにマンションを建てるとなると、地域住民あるいは自治体も容認がなかなかされないわけでございますので、その中でその病院に関しては、地域医療を守る、担うという役割を続ける必要があると判断をしまして、今回こういう形です。

 そういう中で、とはいえ、保険料で建てられた病院がここにまさにあって、ただそれは役割をきちっと果たすということが重要ですが、それについて、先ほど申し上げましたように、不要資産はどんどん売るような努力をさせます。そして、その不要資産を売ったときに出たお金については国庫に戻していくということで、それを一般会計に戻すのか年金積立金に戻すのかというのは政令で決めるということになっていますので、これは総務省との話し合いあるいは関係省庁との話し合いになります。そのときに、私としては、もちろん年金の特別会計に戻すというのが当然だということをきちっと主張をしていきたいと思います。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

長尾委員 私は、多くの国民、有権者の皆様は、年金保険料でつくられた病院が地域医療に貢献するんだ、生まれ変わるんだというようなことを堂々と政府としてお話しいただければ、マニフェストの基本方針、いわゆる保険料は年金以外には流用しないというものについては、私は矛盾は生じないものというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 もう既に保険料で土地が購入され建物が建てられた、そしてそれが箱物でけしからぬという住民の声ではなくて、むしろそれを残してほしいという病院について、ニーズがあるとすれば、それをお役に立てるように、しかも効果を高めていくということは当然でありますが、売却して買っていただけるところがあれば、先ほどの地域住民の合意、自治体の合意、地域医療を担うという前提でそれはお任せすることはやぶさかではないということであります。

長尾委員 ありがとうございます。

 次は、国立病院機構という独立行政法人が既にある中で、今回の病院もそちらに合流させたらいいんじゃないかというような論点がございます。これができない結果、今回の独立行政法人を新たにというか、一たん廃止したものを別の目的のものをつくるということについてはどのような理由なのでしょうか。足立政務官、よろしくお願いします。

足立大臣政務官 順を追ってお話をいたしますと、先週の参議院の総務委員会で、独法通則法の答弁に立たれている枝野大臣がおっしゃっていたことは、例えば、国立病院機構であるとか労災病院の関連する機構であるとか、こういった病院を全廃するなんということはあり得ない話だと。当然そこには、行政の機関ですから、国がやるより、そしてまた、民間がやるには大き過ぎるあるいは使命が難しいというようなことは、独立した行政機関として当然あるであろうということが前提でございます。

 そんな中で、では、独立行政法人の違いはどこにあるかというと、私はやはりミッションだ、その目的にある、そういうふうに思います。

 では、具体的に、国立病院機構と今回の機構の目的のどこが違うかということでございますが、国立病院機構は、国民の健康に重大な影響のある疾病に関する医療その他の医療で、国の医療政策として機構が担うべきもの、これは十九疾病が例として挙げられております。例えば、わかりやすく申しますと、進行性筋ジストロフィーとか重症心身障害とかエイズとか、国際協力、そして四疾病も入ってきます。しかし、今回の機構法では、先ほど大臣から答弁のありました五事業、これが中心になり、そしてリハビリテーションに関するネットワーク、こういったことが、目的として違いがあるわけでございます。

 そして、さらにつけ加えさせていただきますと、国立病院機構は、ことしの三月に一つ統合されまして百四十四病院、職員は約五万人おります。ここに六十五病院を加えて七万人を超えるような機構というものが、果たしてそれでガバナンスが保てるのであろうか、独立性は担保いたしますけれども、余りに大き過ぎるのではなかろうか。そして、目的が違う、ミッションが違う、この二点が今回の機構法を提出した大きな理由でございます。

長尾委員 ありがとうございます。

 いわゆる政策医療と地域医療、ここで目的が違うという理解をしておく必要があると思っております。

 ただ、答弁は結構でございますので、これは、政府の側あるいは病院の側から見れば、そういう理解で国立病院機構に合流できない、ガバナンスの問題、焼け太り、これは正論ではあるんですが、患者側、病院にお世話になっている地域住民の側から見れば、どの病院も、お医者さんで自分の病気を治してくれれば病院には変わりがありませんので、であればなおかつ、それがあるがゆえに、さらにさらに、地域医療ということで先ほど来話が出ておりますように、地域に根差した病院経営そのもの、地域にきっちりとわかっていただけるような責任が問われるのではないかなというふうに思っております。

 続きまして、運営委託の問題でございます。

 とりわけ、天下りで非常に有名になりました全社連や厚生年金事業振興団等々、現在、こちらに剰余金というものはどの程度あるのでしょうか。よろしくお願いします。

長妻国務大臣 この累積の剰余金については、全社連が一千百七億円、厚生団が約三百三十億円、船保会だけは二十九億円のマイナスであります。

長尾委員 そして、法案の中では、こういった委託事業についてはいずれ終了するということになっております。終了の段階でこの剰余金というのはどのような処理をなされる予定なのでしょうか。大臣、よろしくお願いします。

長妻国務大臣 これについては、建前というか原則としては、これらの団体は公益法人でありますので、それぞれ民間で、それぞれ権限と社員総会というのもございますので、それぞれの判断になろうかと思います。

 船員保険会については、病院事業以外もいろいろな事業をされておられるので、これは存続になると思うんですけれども、全社連と厚生団については基本的には廃止の方向になるというふうに思いますので、我々も解散する方向で検討することを社員総会において判断するように指導していきたいと思います。

長尾委員 例えば、全社連においては一千百七億円という金額でありますが、この剰余金の存在意味というのはどういったところにあるのでしょうか、よろしくお願いします。

長妻国務大臣 これは、全社連も社会保険病院を運営し、その中で剰余金を積み立て、いろいろ病院の補修費や経費に充てていくということで積み上げられているというふうに思います。

 これについては、新たな新機構に移ったときには、この一部を活用して、例えば耐震性が非常に脆弱な病院というのが厚生年金あるいは社会保険病院にございます。これについて、早急に補修する必要がある等々の経費に充てていく、あるいは必要な検査機器などの購入などにも充てていくなども考えられるのではないかと思いますけれども、その後に、余ったものについては、中期計画の後、国庫に返してもらうというふうに考えております。

長尾委員 そもそもこの剰余金も、冒頭申し上げましたように、保険料でつくられた病院が委託をしてつくられた剰余金ということになりますので、今後、この剰余金の処理については、そういった部分も踏まえながら処理をしていただけるようお願いをしたいと思います。

 雑感なんですが、例えば耐震補強工事等々でも、今ここで剰余金が一千百七億円近くある、果たしてその金額が妥当なのかと。例えば、早目に国庫に、あるいは元勘定に返金できるものはしていくという方向性も多少なりともお示しをいただければ、今回の法案に多くの国民、有権者の皆様は御納得をいただけるのではないかなと思います。

 最後に大臣、通告にはありませんが、いわゆる地域医療にかける大臣の決意を最後にお聞かせください。

長妻国務大臣 私自身は、社会保障というのは、もう一つの見方をすると、機会の平等を後押しするということもあろうかと思います。

 やはり、御病気になられてなかなか働けなくなった方あるいは自由に体が動かなくなった方々、そういう方々を本当に手厚く地域の医療が下支えをして、また、その病気を治療していただいていろいろなことにチャレンジしていただく。こういうことが本当に必要であり、医療崩壊と言われている中、診療報酬も一定程度、十年ぶりに先月から上がりましたので、これについて、我々としては、地域で、救急車のたらい回しなどが起こらないような、適切な医療が受けられるような、そういう形を実現していきたいというふうに考えております。

 特に、小児科、産科ということが、非常にお医者さん不足や医療の脆弱さが言われておりますので、救急医療も含めて漏れのないように整備をするという必要性を感じております。

長尾委員 以上です。終わります。

 どうもありがとうございました。

藤村委員長 次に、山崎摩耶君。

山崎(摩)委員 民主党の山崎摩耶でございます。

 まず、法案の質問に入ります前に一つ、訪問看護ステーションについて緊急の質問を大臣にさせていただきたく思います。

 大臣も御承知のように、訪問看護ステーション、実は看護師の人員確保が大変困難でございます。小規模で、課題を多く抱えておるわけですが、中でも、看護職員の急な退職によりまして一時的に人員基準の二・五人を満たさなくなった場合、都道府県の御指導は、即座に事業所を廃止、休止、そんなことにつながる状況が全国でまだ起きております。

 ステーションが閉鎖することで一番お困りになるのは在宅療養していらっしゃる国民でございますので、一時的に人員基準二・五人を割った事業所が即閉鎖、休止ということではなくて、再び人員確保ができるまでの間、例えば六カ月間の経過措置を設けるなど、基準の弾力的な運用が図れるようにしていただけないか、都道府県に対して通知をしていただけないかというようなことでございます。

 これについては、昨年の十一月に、訪問看護推進の三団体、日本看護協会、全国訪問看護事業協会、日本訪問看護振興財団からも厚労省に要望書が出ておりますが、一向に改善をされておらず、現場は大変お困りになっておりますので、このことについて大臣に、通知等何らか緊急の措置をしていただけないか、いかがでございましょうか。

長妻国務大臣 山崎委員におかれましては、看護行政あるいは医療行政に日ごろ非常に見識の高い御指導をいただきまして、ありがとうございます。

 今御指摘いただいた点でありますけれども、訪問看護ステーションが人員基準を満たせなくなって、即座に事業所が閉鎖というようなお話がございました。

 この質問をいただくということで、調べてみますと、平成十一年に各都道府県の担当あてに厚生労働省から通知が出ておりまして、そういうふうに満たさない場合にも、まず、一として、相当の期間を定めて基準を遵守するように勧告を行う、すぐに停止というのではなくて。二番目として、相当の期間内に勧告に従わなかったときは、事業者名、勧告に至った経緯、当該勧告に対する対応等を公表する。三番目には、正当な理由がなく当該勧告に係る措置をとらなかったときは、相当の期限を定めて当該勧告に係る措置をとるよう命令することができるものであるということで、ぱっぱっぱっと非常に早く、一気にやるということではございませんで、こういう三つの段取りをとるということが、平成十一年九月十七日に通知がございます。

 これは、今御指摘いただきましたので、実態を把握した上で、そういうことがあるとすれば、再度同じような趣旨の通知を出すことも検討していきたいと思います。

山崎(摩)委員 ありがとうございます。

 平成十一年ということであれば、県の担当者も二、三年でころころかわるわけですので、ぜひまた新たに通知をお出しいただいて、訪問看護ステーションが活力あるものになるように、どうぞお願いしたいと思います。

 それでは、今回の機構法案についてお尋ねしてまいります。

 前政権下では大変社会保障費を削減してまいりましたので、そういった財政議論の中から、社会保険病院、厚年病院、船員保険病院等売却というようなことで出てきたものでございますが、私は、やはりこれまでの地域の医療を担ってきた病院として、今回の法案は、継続とか存続を図り、医師や看護師等の働く職場を守り、地域医療も守る、そのために新しい受け皿を整備するものというふうに受けとめておりますが、それでよろしいのですね。大臣、御確認をお願いいたします。

長妻国務大臣 売却組織のRFOで売却努力をして、なかなかそれがならなかった病院については、RFOがなくなると、法的根拠がなくなって宙に浮いてしまうということでありますので、地域医療を担っていただく、この役割に非常に期待が大きいわけでございますので、それについては、今回お願いしている枠組みの中で、スケールメリットも生かして地域に貢献をしていくということであります。

山崎(摩)委員 病院を売るというのは大変難しい問題でございますので、これまでの地域医療政策に私は大きな問題があったんじゃないかと前政権のことは総括しております。

 そこで今回、新しい独法をつくるのか、国立病院機構ではだめなのかなどなど、既に皆さんから御質問がありましたので私は重ねませんけれども、売却のための組織、RFOではなく、新たな機構で束ねて運営する、そのことでスケールメリットも働くわけですので、効率化とか費用の削減、人材の育成とか研修、人事交流も可能になり、本当に医療の質もこれで上がっていくんじゃないか、そういう期待もしております。

 しかし、一方では、メリットだけではなく、やはり独法のガバナンスが問題になってくるんだろうと。その意味では、今までの独法のあり方ではやはり困る。ですから、新政権らしい運営をしていただきたいというふうに思うわけですが、そのあたりの御所見を大臣からよろしくお願いします。

長妻国務大臣 今ガバナンスの話もありまして、長尾委員からは剰余金のお話もございました。

 それについて、本当に注意、きちっとしなければいけない点というのは、地域医療を担う、これは当然でありますけれども、そういう剰余金、貴重な貴重なお金を有効に使ってこそ、新たな税投入や保険料投入がなされないということになるわけでありますが、耐震性を確保する、例えばIs値が〇・六未満の病院については改修するというのはもちろん必要だと思いますが、それ以外の、まあ老朽化という言葉も注意しなきゃいけないのは、老朽化という名のもと、どんどんまだ使える病院を壊して新しい建物を建てていって、結局赤字になってしまう、こういう病院も地方で散見されるわけであります。

 それについては、理事長を含めガバナンスをきちっときかせて、やはり適切に運営をして、すぐに箱物をつくるというマインドを持っておられる方もいらっしゃいますけれども、そうではなくて、実質的に中身を拡充していくということをきちっとチェックできる体制が重要だと思います。

山崎(摩)委員 運営について具体の質問でございますので、ここから先は足立政務官に幾つかお尋ねをしたいというふうに思います。

 現在、社会保険病院は独立採算で、それぞれの病院が努力をしてやっていらっしゃるというふうに聞いております。経営の責任者として、病院長に人事ですとか給与面で大幅な裁量をゆだねているというふうに伺っているわけですが、機構になった場合の運営の基本的な考え方はどうなっていくのか。

 また、医療というのはそもそも地域性がありますので、機構本部で全国一律の運営というふうにはいかないだろう。ですから、事業運営のスキームを各病院が決めて、自立した運営ができるようにすべきだというふうに考えますが、いかがでございますか。

足立大臣政務官 おっしゃるとおりだと思います。

 これは、スケールメリットを生かすべき分野と、地域地域の特性、独立性を尊重すべき分野、当然あることだと思います。ですから、病院長の権限の範囲をどうするかというのは非常に大きな課題だというふうに我々も認識しています。

 そんな中で、先ほど来例が出ております公益法人三団体の職員が、同じ条件下、あるいは地域特性はあるかもしれませんけれども、ほぼ統一された条件下になるというようなことを決めていく過程の中で、全国的な展開の分野と、それから病院長への権限をどのように持っていくか、まさにこれが、機構法が成立した先、機構が設立されるまでの間、その議論が最も大切なことだと私は思っています。

山崎(摩)委員 ありがとうございます。

 RFOに行きましてから、売却ということで、病院はそれぞれに、スタッフも集まらない、やめていく、本当に職員が不安な中で働いておられましたけれども、職員の採用、雇用についてちょっとお尋ねをしたいと思います。

 これまでの質問の中で、御本人が希望すれば原則継続雇用するということでお答えになっておられますけれども、今までの団体の職員は一たんやめて、改めて採用するのか。そのときの退職金の取り扱いはどうなるのか。また、原資は新独法に継承して通算されていくのか。それから、三団体それぞれに厚生年金基金ですとか健保組合ですとかあるわけですけれども、こういった職員の待遇に関しては継承されていくのか。このあたり、大変現場が御不安があるものですから、ちょっとお答えくださるとうれしいです。

足立大臣政務官 先ほどの議員の御指摘は、機構が設立されるまでに非常に重要な点、今の問題は、特に、先ほどの三法人が運営委託されている、そして委託がなくなるまでの間に非常に大きな問題だと思います。

 具体的に言いますと、先ほど退職金の話も出ておりましたが、これは、全社連それから船保会、厚生団では、現時点では計算式も違います。それから、厚生年金は、全社連、船保会は厚生年金基金、そして厚生団は企業年金基金というふうになっています。健康保険についても、全社連、厚生団は健康保険組合、船保会は協会けんぽ、そういうふうにばらばらなことになっておるわけですから、これこそ機構のもとでその法人の方々としっかりした議論をして決めていくべき問題である、まさにその点が設立後の大きな問題だ、そういうふうに考えておりまして、今のところ、こういう方針で臨むと言うことは差し控える問題だ、そのように思います。

山崎(摩)委員 スケジュール観は理解いたしましたので、くれぐれも、雇用されている従事者ですとか周辺の住民のお声を聞いて、よりよい方向で進めていっていただきたいというふうに思います。

 また、全社連では、看護研修センターを長らく運営していらっしゃったり、看護師の養成専門学校をお持ちであったりと、そういったところで大変お取り組みもあって、マグネットホスピタル的に、看護職員の中でも大変評判のいい病院も幾つかあるわけです。また、病院長のトップセミナーですとか各職種のスキルアップですとか、こういった研修などもきちんとやっておられましたけれども、こういったこともきちんと継続されていくような運営を望みたいと思いますが、いかがですか。

足立大臣政務官 先週の質疑でもありましたように、この研修機能というものも、実は今回の機構に属する病院にとっては非常に大きな機能を果たしている。特に、今議員が挙げられました看護教育ということについてですけれども、三年課程の看護学校は、全社連の中では七校、厚生団は二校だったと思いますが、かなりの数の方がいらっしゃって、当然、質の高い地域医療を提供していくためには看護師の役割というのは極めて高いものでありますので、この分野については機構においてもしっかり果たしていきたい、そのように思っております。

山崎(摩)委員 もっと質問したいのですが、私は若干十五分しか持ち時間がございませんので、最後に一問大臣にお願いして、終わりたいと思います。

 売却という話も先ほど来御議論にありましたが、私はやはり今後も機構で束ねて、特別な場合を除いて売却をせずに、地域医療推進機能をしっかり発揮していっていただきたいなというふうに思っているわけでございます。

 その意味では、今回の議論を通して明らかになっておりますのは、公的医療、公的病院の役割、これらのことも、やはり大きな、これから私たちがきちんと詰めていかなければいけないところではないかなというふうに思っておるわけです。医療法改正ですとか、地域の拠点病院ですとか、民ができるものは民にとか、いろいろありますが、私はやはり、それぞれの地域で公的医療、公的病院はきちっと役割を果たすべきだというふうに思っております。

 そのあたりで大臣の御所見を一つお伺いして終わりたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

長妻国務大臣 大きく、例えば民間病院、自治体病院、今回の社会保険病院、国立病院、あるいはナショナルセンターと言われるがんセンターなど、今言ったような種類、いろいろな経営形態があると思うんですが、やはり公的病院というのは優遇されている面がありますので、それぞれきちっとした役割分担がなされないと、税の優遇など、国民の理解が得られないと思います。

 その中で、今回お願いしている法案は、四疾病五事業やリハビリあるいは地域で必要とされている医療ということについてはきちっと取り組む、その上で、民間がやっているような、地域からニーズのある医療も取り組んでいく、こういう姿勢が重要ではないかというふうに思いますし、それがきちっと説明できなければ、公的病院としてのメリットを受けるのはなぜなんだという問いを国民の皆さんから受けることになると思います。これはそれぞれの病院あるいは新独法の理事長に課せられた責務だと思っておりますので、我々もきちっと指導をしてまいります。

山崎(摩)委員 ありがとうございました。一日も早くこの法案を通しまして、やはり六十六病院の安定的な運営をお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、加藤勝信君。

加藤(勝)委員 自由民主党の加藤勝信でございます。

 まず、大臣の基本的なお考えをちょっと教えていただきたいと思うんです。

 現在、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構、いわゆるRFOに社会保険あるいは厚生年金病院が承継されるというか移されて譲渡をするということになっているわけでありますけれども、その状況、そうしたあり方というものをまず大臣自身はどういうふうに御認識されておられますか。

長妻国務大臣 RFOからこの新独法に譲渡をする、これについてどう考えるかということですか。

加藤(勝)委員 失礼いたしました。

 新機構ではなくて、RFOというところに社会保険病院等が移管されて譲渡されるという今の仕組み、これについて大臣はどう評価しておられますか。

長妻国務大臣 まず、RFOにはいろいろな、年金あるいは保険料財源で建てられた箱物があって、それを売却するというスキームで集められた施設だと思います。

 その中で、病院以外、例えばリゾート施設などについては、売却して、買ったところが更地にして、それは一定のルールの中でマンションを建ててもいいわけでしょうし、別の目的に使ってもいいわけでありましょうが、事病院においては、これは前政権でもそういう取り決めをしていただいているように、売って、それを更地にして、いろいろな別の施設を建てるということについては、やはりほかのリゾート施設とは異なるルールがあってしかるべきではないかということで、これまでも、地域住民の合意や自治体の合意、地域医療を担う等々の一つの制約の中で売却努力をされておられるというふうに聞いております。

 そういう、地域の住民の方も一定程度御理解いただくという前提で売却をどんどん進めていくということについては、これは必要なことだというふうに思っております。

加藤(勝)委員 今私が一番聞きたかったのは、どんどん売却を進めていくと。もちろん前提条件はありましたけれども、そういう姿勢でおられる。

 これは参議院の方の厚生労働委員会で、私どもの衛藤委員に対しての御答弁でも、今度は新独法でありますけれども、新独法がずっと抱えているということではありません、それは売却先あるいは地方自治体の引受先があればそこにお願いをしていきたい、こういうような趣旨の御答弁もされております。

 したがいまして、大臣の今のお話あるいはこれまでの御答弁をお聞きしておりますと、今お話があった地域自治体を含めた理解、そして、端的に言えば、病院の機能としてはしっかり残してもらう、しかし経営形態が今からは変わって、例えば民間になるのか公立病院になるのかはともかくとしてという形のものにやはりどんどんしていくべきである、こういうふうにお考えだということでよろしいですか。

長妻国務大臣 これについては、一つは、やはり地域住民の方あるいは自治体の方、あるいは地域医療を担うというニーズがまずあるわけでありますので、それを前提として担っていただくのであれば、それは主体がどこにかわろうとも構わないと思っております。

 ただ、今、自治体、民間というお話がありましたけれども、例えば病院が自治体に移行する場合と民間に移行する場合、これはやはり公的病院と民間とおのずから役割が違うので、それは売却をするにしても、民間であれば、こういう病院の形態は維持するけれども、例えば診療科とか、医療に対する姿勢とか、あるいはこれまでリハビリの得意だった病院があるとすればそれを継続するのか否か、つまり、公的病院じゃなくなるわけでありますので、それについてのきちっとしたプランを出して住民の方の御理解を求める、こういうことが前提になって、納得いただいた後にそれをお任せしていく。

 こういうプロセスを経てお任せするということは、これはもう住民も御納得をいただいて、公的病院というのはある意味では税収が入ってきませんので、固定資産でいえば、優遇というか、基本的にはただということでありますので、一定の御理解をいただいて税収が出る病院になるということについては、それは我々としても拒むものではないということであります。

加藤(勝)委員 民間でもさまざまな税の優遇措置もございますから、それがどういう形になるのかというのはあると思います。

 ただ、私が確認しておきたかったのは、そういういろいろな前提条件、今大臣がおっしゃいましたけれども、そういうものが整うのであれば、基本的にはどんどんそういう形に経営形態が転換していく、そして、もしそこから譲渡益が生じてくれば、それはもともと年金や健康保険等の保険料でつくられていたわけでありますから、そこへ戻していく、これは今基本でもあり、これからもそれが基本だ、こういうお考えだ、そこを確認させていただきたいんですが、それでよろしいですか。

長妻国務大臣 病院を売却するということになりますと、その譲渡益が、不要資産ということになれば、これは独法通則法の改正案に付随する政令でこれから決めなければいけないんですけれども、そこにおいて、私としては、そのお金というのは保険料財源ですので、特別会計に戻していくというのは当然ではないかという主張を関係各省庁として、そして調整をして最終的に閣議決定になるわけでありますので、一般会計に戻せという主張があるかもしれませんけれども、そこについては私としてはそういう形で交渉していきたい、検討していきたいと思います。

加藤(勝)委員 いや、今そのことを申し上げているのではなくて、全体としての考え方。

 ですから、大臣のおっしゃっているようなお考え方でいきますと、今度の新機構に行くというふうにはぽんと私の頭の中に入ってこないんです。むしろ、大臣のおっしゃるようなことでいえば、引き続き今のような仕組みを延長していくか、今のRFOみたいな形、あるいは、少しそれに改善、見直しを加えていく、そしてさらに数年努力をしていくというのが自然なように思うんですけれども、そういう譲渡、売却に対する努力とか、あるいはそれに対する規定が一切ない、今回の法案にはないですね。何でそういうことになるんですか。

 もし大臣のおっしゃっている趣旨であるならば、それは一部は残るところはあるかもしれません、それは私も否定はいたしませんが、基本的には、今おっしゃるように、地域の住民の方への努力とか、そういったものをしっかり理解を求めながら、民間に行く場合には、場合によってはこれこれこういう形で引き続き運営をしてくれという条件を付すとか、いろいろなやり方があると思いますが、そういう形でしっかり努力を引き続きしていく、そして、今の形態からではなくて、できる限り自治体等へ移管していく、これが今大臣がおっしゃった趣旨じゃないかと思うんです。となると、今回の法律と大臣のおっしゃっていること、全然方向が違うように思うんですけれども、いかがですか。

長妻国務大臣 RFO自体は、これはもう御存じのように、売却をする専門の組織でありまして、この売却をするという前提の組織の中に、ある意味では更地にしてマンションを建ててもいいリゾート施設と病院を一緒にそこで措置するということについても、前政権の御判断でありましたけれども、どうだったのか。

 実際に分類を従来もされているわけで、病院については、売るときにいろいろな前提前提を置いて売るというような通知も前大臣がRFOに出されているわけでありますので、そういう意味では扱いが従来も違っている。そして、そういう努力をしても、なかなか地方自治体や民間の引き受け手がない。浜松の病院は売却できましたけれども、多くの病院は、そういう一定の努力はしているけれども、なかなか引き受け手がない。

 こういう中で、では、売る専門の独立行政法人ではなくて、やはり、病院があって、一定の期間なかなか売れないということになったわけでありますので、そうであれば、そこで地域医療を担う医療ということについて特化した法人運営をしていくべきであるということで、法案にもそういう趣旨を書かせていただいているわけでありますけれども、だからといって、それについてもう売却はしないんだ、こういうことではないということであります。何しろ、地域医療を担うという形で、それを十分に発揮できるような法人に衣がえをしたということであります。

加藤(勝)委員 いや、先ほど大臣がおっしゃったのは、条件が整えばどんどんやっていきたい、こうおっしゃった。したがって、そちらがメーンであって、しかし、その間の運営とか、あるいは若干残るものがあるかもしれません、それはそれとして手当てをしていく。

 確かに、今のRFO自体、最初には病院の譲渡ということは含まれずにスタートして、後から病院が入ってきました。したがって、譲渡の方針等々についていろいろと手直しをする必要は私も確かにあると思いますけれども、そうした段階から一気に、譲渡という文言は全部なくして経営をしていく主体に切りかえていく。大臣が最初にお話しになられたのとは全然違う方向に行っている、あるいはかなり違う方向に行っているというふうに私は思うんですが、その前に一つお伺いをしたいと思います。

 たしか、RFOに社会保険病院等が移管されてから約二年ぐらいたっていると思いますけれども、この間の努力、これは厚生労働省あるいはRFOの譲渡に対する努力というもの、それを大臣はどう評価されていますか。

長妻国務大臣 これは、我々が調査して、お求めに応じて自民党にも出した資料に、具体的な事例ということで、わかる範囲で十三事例ほどお示しをして、いろいろ自治体も含めて調整をしたり売却の打診をしたりということをしているところであります。

 ただ、その中でも、病院というのは、さっき申し上げましたように、更地にして別の用途に使うということについては、リゾート施設と異なって、やはり一定の住民の理解、自治体の理解、地域医療を担うという前提、こういう一つの制約がある、直ちに要らない箱物という位置づけではないということもございますので、なかなか難しい面があったんだろう。あるいは、政権がかわってからも我々もそういう形で努力をしたつもりでありますけれども、そういう制約条件の中で時間切れが迫ってきたということで、今回、この法案をお願いさせていただいているということであります。

加藤(勝)委員 別に私は、病院、まさにそこに入院されている方がおられる、そういったものを更地にして、単なる資産として売却しろということを申し上げているのではなくて、基本的に地域に必要な病院機能は残す、そういう中での譲渡のお話を前提にもちろん議論させていただいております。

 そういう意味で大臣は、この二年間、まあ前政権のころも一年ぐらい入りますが、厚生労働省またRFOはそういう意味でしっかり努力をしてきた、こういうふうに認識をされていますか、いかがですか。

長妻国務大臣 これは、前政権から、そして新しい政権から、RFOは、病院については一定の制約がある中で売却あるいは交渉の努力はしてきたのではないか、一定の努力はしてきたのではないかと思います。

加藤(勝)委員 いや、大臣になったら随分優しくなられたんですね。

 ここは大事なところだと私は思うんですよ。要するに、我々から見ると、これは我々の政権のときも含めて、必ずしもきちんとやれていないんじゃないかと私は思っています。そこを大臣に確認したいんです。

 大臣から見て、多分、どうなっていたかといろいろお聞きになられたと思いますよ。そして、今のような判断をされたんだと思います。したがって、その前段階として、これまでの努力というものがどれだけしっかりやられてきて、そして、今の結果から見るとこれ以上なかなか難しいという判断がないと、多分こういう法案に私は行き着かないと思うんですね。そうすると、その前段階として、しっかり努力をしてきたかどうか、その認識が大変重要だと思うんです。

 もう一度お伺いしますが、大臣はどう評価されていますか。しっかりとやってきた、こういうふうに認識されているんですか。

長妻国務大臣 これは、制約条件の中では努力をしてきたのではないかというふうに思っています。

 その制約条件というのが、非常にある意味では難しいところがある。例えば、住民の方々、私も首長さんにも何人かの方にお会いして、いろいろな御要望もいただいて、首長さんだけじゃなくて、確認をすると地元の方も、やはり病院についてはこういう機能を残してほしいというような御要望もございますし、お渡しした資料にも、自治体に譲渡、売却を打診しても、財政面の制約でそれがなかなか受けられない等々、病院という性格上いろいろな制約があった中では、基本的な取り組みというのはなされていましたが、結果としては一病院しか売れないというのが事実であります。

加藤(勝)委員 そうすると、大臣は、厚生労働省そしてRFOはそうした環境をしっかりつくって、売却あるいは譲渡する努力をしっかりしてきた、しかし、現時点で一病院、浜松病院ですか、まだ二、三、若干調整中が残っているというお話でありますが、これがもう精いっぱいだ、大臣から見てもこれが限界だ、こういうふうにお考えなんですね。

長妻国務大臣 それは、精いっぱいで、もうこれで一つの病院も売れないということではなくて、当然、その期限を、来年の四月までRFOは、短いといえば短いんですけれども、あるわけでありますので、その中で私どもも厳しく指示をして、さらに売却できるところは、制約条件はあるけれどもきちっとやるように再三申し上げているところであります。

 そして、新しい独立行政法人に移行した後にも、それは、いろいろな環境の変化等々で、民間病院が、民間がそれを引き受けてもいいというような環境になるかもしれないし、自治体がなるかもしれない、住民の方もそういう意向を持たれる、了解をいただく環境ができてくるかもしれないというようなこともありますので、我々は、新しい独立行政法人になっても売却というものは必要に応じてしていくということを申し上げております。

加藤(勝)委員 いや、ですから、最初にお伺いした、大臣は、条件がそろえばどんどん売却をしていくべきだ、譲渡をしていくべきだという基本認識がまずあり、現状について、しかし、もちろん現実というものがありますから、この間しっかり努力をしてきて、もうこれ以上、もちろん、これから何年間、一つの病院も譲渡する可能性があるとかないとかということを言うつもりはありませんけれども、総じて見れば、もうこれ以上、今の状況では譲渡が進むことはほぼない、こういう判断なんでしょう。

 そうでなければ、まだ大臣が今もおっしゃる、厳しく指示をしてというのは、もしこれからもっといけるというふうに判断するならば、こういう法案にならないと思うんですね。むしろ、大臣は、厳しく指示をすると口では言うけれども、この法案を出してきたということは、実質的にはもうこれ以上現実的には譲渡や売却は進まない、こういう判断でこれを出してこられたんでしょう。

 にもかかわらず、まだ売却する。それは、法文上、物理的な可能性を否定するものではありませんけれども、現実判断としては、もうこれ以上売却は進まない、こういう判断なんじゃないんですか。

長妻国務大臣 これは加藤委員もおわかりになっておられると思いますけれども、本当に、さっき申し上げた制約条件があるときに、それは一、二、三とか、そのぐらいの数を努力して云々ということは可能性としてありましょうが、例えば、今抱える六十以上の病院のうち、半分ぐらいがこれからかなり見込みがあるとかいう状況というのはなかなか想定しにくい。あるいは、三分の一、数十の病院について、これから努力をすれば直ちにめどがついていくということについても想定しにくい。こういうような判断が背景にあったわけであります。

加藤(勝)委員 そうすると、もう一回確認しますが、これまでしっかりやってきた、その結果として、今おっしゃるように、一、二、三ぐらいはともかくとして、十を超える病院を売却、譲渡するという現実的な可能性はほとんどない、これが大臣の認識、こういうことでよろしいですか。

長妻国務大臣 これは本当に一〇〇%しっかりやってきたかというと、その都度、さかのぼってみれば、改善の余地がある部分はあったかもしれませんけれども、それにしても、先ほど申し上げましたボリュームのものを引き受けていただくようなそういう相手先が、さかのぼってもう一回、もっとまじめに頑張って、さらにやればたくさんの病院が売れたはずだというようなことはなかなか難しいのではないのかということを感じているところであります。

加藤(勝)委員 そこで、基本的に譲渡ということを余り想定しない、具体的に想定しない新しい機構に移行する、こういうことになるわけでしょうけれども、先ほどの民主党の委員の御指摘も多分そうだったと思うんですけれども、この法案、要するにRFOから今回の新しい機構へ移行される、こういう中で、結果的に、新機構においては運営が目的となっているわけであります。そして、前のRFOのときには、簡単に言えば、年金財政、保険財政、こういったものに資する、譲渡して資金を戻すということをメーンにしていた、その可能性を常に頭に置いていた。しかし、今回、そのことは何にも法文上書いてません。

 したがって、今回の法律によって、これまで社会保険あるいは厚生年金に属してきている、そして売却すればもとに戻ってきた、このつながりがあった病院が、今お話があったように、それがほとんど譲渡する可能性もない、そこはいわば遮断されて、むしろ別個の財産として、資産としてこの機構に移されていった。形式的には、私は少なくとも、再び年金あるいは健康保険の財政に資するような目的、そういったものからは随分ずれてしまった、乖離してきた、こういうふうに思うわけであります。

 例えば、今私が出させていただいた資料の中に、いわゆる旧RFOの法がございます。この第十四条には区分経理の規定がございます。当然ですね。今、いろいろなところから出てきた、これには福祉施設等があるから三つの勘定になるのでありましょうけれども、当然、別々に運営しておかなければ、将来戻さなきゃいけないから、区分経理をする。これは当たり前なんですが、今回の機構にはこういう規定は全くなくて、一本になっているというふうに思うわけであります。

 そういった点からして、先ほど申し上げた、もうこれは年金とか健康保険とかからは切り離してしまって、病院として見て、ここへ運営を任せてしまおう、いわば年金、保険に戻そうとする努力というのはもはや積極的には行わないんだ、こういうことがこの法文で示されている、こういうふうに思うんですけれども、違いありませんか。

長妻国務大臣 まず、今、一連の御質問がございましたけれども、おっしゃっていただいたように、RFOは売却するのが目的の独立行政法人。今回法案をお願いしているのは、売却が主たる目的ではない、地域医療を担うというのが主たる目的であって、ただし売却についてもしていくということであります。

 それについて、具体的には、新法人の法案が通過をさせていただければ、中期目標というのを新法人に対して大臣が立てるわけでありまして、それは一定の年限の目標を定めるわけであります。その中で、私としては、売却をしていく、今前提条件をるる申し上げましたけれども、そういうものも書き込んでいくというふうに考えているところであります。

 そして、今、区分経理の規定がないから、売却はもうしないというような趣旨なのかというお尋ねであるとすれば、新機構の経理区分については、今後、RFOのような形にするのがいいのか、あるいは別の考え方にするのがいいのかも含めて、検討課題であるとは認識をしております。

加藤(勝)委員 いや、ですから、そんなところが検討課題だということは、売却、譲渡した場合、あるいはこの病院等が大変な収益を生んだ場合、これはできればもとの勘定に返したいですよね。私はそう思うし、大臣が保険料を流用してはいかぬと言う基本理念というのはそこにあると思うんですが、区分経理しなかったらそんなこともできないじゃないですか、まとめて一個に入っていれば。

 ということは、逆に、区分経理という条項をあえて条文上、しかもRFOのときにはあった、この機構法ではつくらないということは、いわば年金の財産とか健康保険の財産であるというところから切り分けて、病院は病院なんだ、こういうふうに考え方を変えた、私はそう思うんですけれども、違いますか。

長妻国務大臣 そういうわけではありませんで、先ほども、売却した売却益がどういうスキームで特別会計に戻っていくのか、あるいは不要資産の場合は国庫に戻る、今後、政令でどこに戻るのかを、これは政府の中での検討事項であるというようなことで、そういう意味では、お金が戻る、そういう仕分けはあります。ただ、おっしゃっていただいたように、ではそれが政管健保の勘定に戻るのか、あるいは保険の勘定に戻るのか、そういう仕分けについては検討していくということです。

加藤(勝)委員 いやいや、検討するんじゃなくて、戻さないんですか。大臣、もうそのことはあきらめてしまった、そういうことですか。

 だって、区分経理してこなかったらできないじゃないですか。後から推計というやり方はないことはないかもしれませんが、基本的には、それぞれ、年金の病院はここ、そういうふうに分けて勘定区分をしてきているわけですね、これまでずっと。それを、何でここできちんとそういうことを定めないんですか。基本的には、もうこれ以上、譲渡益とかあるいは日々の稼いだ経常利益をそれぞれの年金やそういうものに戻す考えがないんだと言っているのと同じじゃないですか。だから、大臣は保険料を流用させないというのはもう放棄した、そういうことじゃないんですか。

長妻国務大臣 加藤委員がお配りしていただいた資料のちょうど四ページ目に、年金局がつくらせていただいた、売却益がどういうスキームで国庫に戻るかということでありますけれども、この真ん中のスキームについて、残余があるとき、「厚生労働大臣の承認を受けた金額を次の中期目標期間における業務の財源に充てることができる」とありますが、これは、先ほど来申し上げておりますように、過大な建物に使うとか、金を節約するわけでありますので、残余が出た場合は国庫に納付、その場合は年金特別会計に納付をするというのは、これは今回の法案の関係で規定をされているわけであります。

 この右側の不要資産の場合は、先ほど申し上げましたように、通則法が成立しまして、特会か一般会計か、これは政令となるわけでございますが、そういう仕組みになっておりまして、決して売却益がそのままどこかに行ってしまうというような仕組みではありません。

加藤(勝)委員 いやいや、それも区分経理があるからそういうことができるんですよ。

 要するに、一本になってしまったら、全くできないとは申し上げませんけれども、基本的に、大臣がおっしゃっているように、もともと、この機構が貴重な厚生年金保険料や健康保険料によってできた資産をしっかり預かっているんだ、こういう認識だとすれば、別々に勘定を設けるのは当たり前じゃないですか。それを一本化するということは、もはやそこは遮断をしてしまって、これは単に病院としての資産なんだ、こうやって運営していこうと考え方を変えた、これにほかならないと私は思いますよ。

 だって、区分経理しなかったらどうやって分けるんですか。売却もそうです、それから日々の、経常的に大変収益が上がった、そして、その病院がもともと厚生年金でできているならば、病院の維持管理に必要なものはともかくとして、それを超えた譲渡益があれば厚生年金の勘定に戻さなきゃいけないじゃないですか。それを一緒くたに経理してしまえば区分できないじゃないですか。

 だから、大臣は保険料はもうここで流用するということに決めてしまった、戻そうという意欲を失った、まさにこの法案を出すことによってそのことを明示している、私はこう指摘をさせていただきたいと思いますが、何かありますか。

長妻国務大臣 これについては、我々としては、六十以上の病院は原則として一病院ずつ区分経理をしていこうというふうに考えておりまして、その中で、我々が出させていただいた資料にあるように、「納付先は、年金特別会計」というふうに書いているところであります。

加藤(勝)委員 では、特別会計のどの勘定に入れるんですか。

長妻国務大臣 特別会計の中には、健康保険の特別会計もありましょうし、年金の特別会計もありますので、それぞれ仕分けをして、その特別会計の勘定のもとに入るような、そういう仕組みを考えていきたいと思います。

加藤(勝)委員 いやいや、仕分けをしてじゃなくて、もともと返すという頭があれば別々に管理するのが当たり前じゃないですか、大臣。だから、もうそういう考え方を放棄したんでしょう。認めてくださいよ。

長妻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、病院ごとに区分経理をしていくところでありますので、それぞれそのお金がどういう保険料で生み出されたのかということは我々としては把握ができる、そういうことになっておりますので、それぞれ適切な勘定に、年金特別会計に戻していく、こういう仕組みとなります。

加藤(勝)委員 今だって、各委託先では病院ごとにしてもらっているんです。にもかかわらず、本体としてまず区分経理していく、そしてそれで押さえる。大臣、これは当たり前のことなんですよ、言っておくけれども。勘定ごとにもし物が別々だったら、大臣が人からお借りして何か使うときに、Aさんの分、Bさんの分、Cさんの分を分けて管理するのは当たり前じゃないですか。それを一緒くたにするということは、もう返すつもりもなくて一緒くたにしていますよ、そういうことになりませんか。

長妻国務大臣 ですから、申し上げておりますように、一定の要件があれば、残余があるときに年金特別会計に戻す、こういうふうに我々はやっていくつもりでありまして、その中で、健康保険料勘定あるいは年金の勘定、勘定ごとに適切に戻るように、我々としては区分経理も含めて取り組んでいくということであります。

加藤(勝)委員 さっきは、区分経理するかどうかもわからないとおっしゃった。

 きちんと区分経理があるから、みんながわかるわけじゃないですか。年金の分どうなっているね、健康保険の分どうなっているねとフォローができるでしょう。区分経理しなかったらフォローできないじゃないですか。

 だから、さっきから申し上げているように、大臣は、きちんと保険料を回収して、それぞれのもとの勘定に戻すということを、もはやこの法律を出すことによって断念した、放棄した、こうとしか言えないんですよ、こういう法律を出してくるということは。

 だから、政令でといったって、RFOでは法律で書いてあるじゃないですか。しかも、一番大事なことじゃないですか、それは。それを法律に書かずに政令で、しかもさっきの答弁は、どうするかはこれから検討すると言ったんですよ、大臣。こんないいかげんなことを大臣がされる、いわばその原点には、もはやそれぞれどこから出てきたかは関係なく、もう病院機能として切り離してしまおう、そういうお考えなんじゃないんですか。むしろそう認められた方が法律としてはすっきり私は理解できますが、違いますか。

長妻国務大臣 これは再三再四申し上げているんですけれども、残余があるときは年金特別会計に戻すんですよ。不要資産の場合は、さっき申し上げたように、改正独法通則法が成立しましたので、それは政府全体の政令で特別会計か一般会計かは決まるわけでありますけれども、ある病院の機能の維持向上を直接的な目的として当該病院を売却する場合については、それに残余があるときは年金特別会計に戻す、こういう仕組みになっているところでありまして、その戻すときにそれぞれ適切な勘定にそれが入るような、そういう仕組みをつくって、もちろん戻すわけですから、そういうふうに戻していくというふうに我々は考えているということであります。

加藤(勝)委員 いや、実にいいかげんですよ、大臣。

 特別会計というのは、もともと別々の会計を一本化して、今、勘定ごとに分かれているわけでしょう。もともとルーツが違うわけですよ。そして、その財産を預かっている以上は、特別会計に関してはどの勘定に返すかが大事で、書いてあるじゃないですか、今のRFOにはそういうことをきちっと。そういう意味で、余りにもこの機構法というものは、もともとの年金とか健康保険財政に戻していこう、そういう考え方はないんだ、こういう法案になっているというふうに思います。

 そしてもう一つ、先ほどから、売却益はどこへ行くかわからない、これはこれから議論する、こういうことでありますけれども、この二ページ目の第十五条第三項には、いわゆる納付金については、年金特別会計の厚生年金勘定に納付する場合には特別会計に関する法律の規定によるほか当該納付金は当該勘定の歳入とする、こういうふうに書いてあるんですね。ということは、この法律からすれば、こういう形がない限りは勘定の歳入としては受けられないから、わざわざ法律にこう書いてあるんですよ、大臣。

 したがって、今、政令から先で云々かんぬんと言うけれども、本当に戻していこうとするならば、こういう条文を書かなくて歳入として勘定が受けられるんですか。

長妻国務大臣 これは先ほど来申し上げておりますけれども、条文の附則第十条、「特別会計に関する法律の一部を次のように改正する。」ということで「第百十一条第三項第一号」云々があって、独立行政法人地域医療機能推進機構法の規定による納付金ということで、附則第十条で残余があるときに納付金を納めるということがあるわけでありますので、それについてどの勘定に戻すかを適切に処理していくことを措置するということを我々は申し上げているところであります。

加藤(勝)委員 大臣、予算というのは、出すことと受け手が両方合わなきゃできないんですよ。今おっしゃるのは、出す話をされている。今私が申し上げたのは、勘定で受け入れる歳入として立つためにこの三項があるんですよ。

 では、今の法律の中にあるんですか。もしそこまであるんだったら、売却収入は必然的にここに入るということになるんじゃないんですか。

長妻国務大臣 これにつきましては、今回お願いをしております機構法の附則第十条による改正後の特別会計に関する法律第百十一条ということで、そこの三項めについて、「厚生年金勘定における歳入及び歳出は、次のとおりとする。」ということで、歳入についての規定の中で、独立行政法人地域医療機能推進機構法の規定による納付金ということで書かせていただいております。

加藤(勝)委員 そうすると、先ほど大臣がおっしゃったように、これからの売却は違うというのと、この納付金、今おっしゃった納付金というのは譲渡益の話じゃないんですか。不要財産を売却した場合、それについてどうするかということははっきりしない、こういうお話だったと思うんですけれども、違いますか。

長妻国務大臣 ですから、今議論しておりますのは、委員がお示しをいただいたこのチャート図の真ん中のライン、一番下に「納付先は、年金特別会計」というふうに書いてあるものについての歳入の規定がここにあるということを申し上げたところであります。

加藤(勝)委員 そうすると、その歳入、そこにおいて受け入れる、そこはもう明確に今おっしゃる趣旨で書いてある、にもかかわらず、どうなるかはこれからだ、こういうお話なんですね。

 要するに、受け入れはそこにしますよ、しかし、どういう形でそこに持っていくかはこれから議論する、こういう話なんですか。

長妻国務大臣 これから議論するというのではなくて、今申し上げましたように、残余があるときに国庫に納付、納付先は年金特別会計ということでありますけれども、それぞれ、おっしゃられたように、健康保険の勘定と年金の勘定はきちっと区分けをしてそれぞれの金を戻す必要がある、こういうことについて、我々はそういうふうにやってまいります。

 では、それについて、詳細はどういう仕組みで、どういうルールでそれを運営していくのか、区分経理は、詳細制度設計はどうあるべきかについては検討するということで、これをやるということはここにも書かせていただいているところであります。

加藤(勝)委員 いずれにしましても、最初に申し上げた、しっかりと区分経理、要するに、区分経理するということは何が大事かといったら、大臣がいつもおっしゃっているように、外からわかるということなんですね。ですから、この新しい機構において、それぞれ委託された財産がどういう形で運営されているかきちんと外からわかる、こういう仕組みを持っておかなきゃならない、このことを強く指摘させていただきたいと思います。

 時間がなくなってまいりましたが、最後の質問に入りたいと思います。

 私どもが心配するのは、この新しい機構というものの運営が一体どうなっていくのか。

 特に、平成十六年あるいは十五年まで、これは保険料によって設備投資がされていました。しかし、それ以後、ストップしているわけであります。それまで、平均にいたしますと年間約四百億円の、平成元年から十六年まで、お聞きすると、社会保険病院においては約五千億、厚生年金病院においては一千六百億、トータルで六千六百億円の設備投資が行われていた。それを年限で割れば四百億円以上の投資が行われていたわけでありますけれども、その後はそうした措置がとられていない。

 したがって、これからだんだん、耐震化あるいは老朽化等々、いろいろな設備が必要になってくるでしょう。そういった設備投資も含めて、これから新機構の経営がどうなっていくのか。大臣は、先ほどのあべ委員に対して、保険料、税金は納めないと。言うのは結構ですけれども、具体的にどういう見通しを持って納めないと言えるんですか。具体的な見通しをお示しいただきたいと思います。

長妻国務大臣 まず、これまでの病院の経営状況というのを見ますと、六十二病院について集計を、新機構が経営しない見込みである自治体等委託の四病院を除いた六十二病院ですけれども、これは赤字、黒字、それぞれの病院がありますが、それぞれを足し算して全体で赤字、黒字がどうかということを見ますと、平成十四年度から、二十年度を除くと二十一年度まで、全部黒字になっております。二十一年度は二十八・二億円の黒字。二十年度は四・一億円の赤字でございますが、これは浜松の病院がかなり赤字が出ていたわけで、これは売却をいたしました。そういうことも影響しているんでしょう、二十一年度は二十八・二億円ということで、これまでの病院についてもいろいろな効率化の計画がありまして、トータルで一定の黒字が出ている。

 そして、独立行政法人にする意味といいますのは、さらにスケールメリット、共同購入計画をきちっと立てさせる、新しい人事評価基準を立ててもらう、コスト意識を持ってもらう、地域医療に貢献するというのは当然のことでございますけれども、そういう努力をすれば今よりも当然改善する、改善があってしかるべきであるというためにも、この新しい独立行政法人を我々はつくって運営するわけでございますので、トータルで黒字が出る、そういう運営をしようと。

 そして、注意しなければいけないのは、黒字が出た病院から黒字の部分を赤字の病院にそのままスライドすると、経営努力をした病院がインセンティブがなくなるということもありましょうから、それについてはいろいろな一定のインセンティブを与えるような工夫、あるいは、今度はトータルの人事権を理事長が持つわけでありますので、適切な人員配置、こういうことを含めて、いいふうにそれが動き始めるような、そういう独立行政法人にしていくということであります。

加藤(勝)委員 今のは何か、信ずれば通ずるみたいな話でありまして、特に設備投資、施設等の減価償却ですね、これは全然積んでいないと思います、現状において。今、国有財産というか、それぞれの特別会計の財産になっているわけですから。ただ、これは独立してやっていこうとすれば、そういったものも積み上げながら、将来のそういったものに対応していく。

 その辺を含めて、やはりきちっとした見通しを持たなければ、幾ら大臣が、独法になるからだ、こういうことをするからだといって、はい、わかりましたととても言えないんですね。結果的に、累積赤字がたまっていき、処理をしなければならない、また国民の負担、こういうことになる。だからこそ、むしろ、できる売却は、民間にあるいはほかの自治体に任せていくと最初に申し上げた、やはりそれが私は原則であるべきだというふうに思います。

 それから、今の大臣の答弁で気になりましたのは、いただいた資料を見ていますと、黒字がずっと続いている、非常に良好と言えるような病院が一方であります。ここ三年間ずっと赤字で、さらに累積赤字を持っている病院もあります。では、安易にはやらないとおっしゃいましたけれども、例えばある病院の黒字を累積赤字の病院に回す、こういうこともあり得るということですか。

長妻国務大臣 これは、新たな税投入、保険料投入をしないという方針を掲げている以上、極端に赤字の病院があって立ち行かなくなったときに、黒字の病院があるということであれば、そのお金をそちらに回していくこともあり得るというふうに思います。

 ただ、それを単純に平準化してしまうとなると、これは黒字病院の経営努力のインセンティブが損なわれる、赤字病院は安易に埋められるという慢心が生まれる危険性があるなどなど、それについては一定のインセンティブが生まれるような、そういう仕組みをとっていくということが必要だというふうに考えております。

加藤(勝)委員 ある病院が地域医療に一生懸命努力をされてきた。そして、その結果として生まれてきたさまざまな収益。地域医療をしっかりやろうというのであれば、生まれてきた収益は地域に戻して、そしてその地域の医療機能を高めていく、これが地域医療を一生懸命やるということなんじゃないんですか。それを持ってきて、違うところへぼこんと。これはちょっと趣旨とは違うんじゃないかと私は思います。

 赤字の累積病院について、具体的な立て直し、幾つかもう既に、八つですか、浜松を除けば七つですか、最近三年間赤字が続いて累積、こういったものに対して、大臣はどういうふうに対処していく、あるいは対処するように指示をしていく考えですか。

長妻国務大臣 この赤字病院については、これまでも、平成十八年から平成二十年度において、三年連続で当期剰余が赤字である病院の数は全部で十二病院であります。

 こうした病院について、例えば、一定の効果があるものについては、今後は赤字病院のみならず全体の病院でやる必要があると思っておりますけれども、医薬品を共同購入する、医療材料も共同購入する。病棟整備の一括発注による工事期間の短縮や設計の標準化をしていく。一々、それぞれ設計事務所に頼んで設計図をかいてもらうのではなくて、それぞれ建物は同じような、建てかえのときには建物の標準化に取り組み、設計料等の、あるいは工期の短縮を図る。あるいは適切な職員配置の実施というようなことに努めて、その体質を変えていくということであります。

 そして、先ほど加藤委員が言われた、黒字の病院、努力をした病院の黒字は地元に還元するという発想、それはもうまさにそのとおりだと思いますけれども、その一方で、やはり公的責任を担う病院は、どうしても経営努力、例えば過疎地等々、患者さんが非常に、なかなか来る方は少ないけれども、そこは重要な医療の拠点であるというものについて、それは赤字だからといってそこを閉鎖するということが公的病院としていいのかどうか。努力をしても黒字にならないというところがあるとすれば、それは一定の黒字の原資をそちらに回して地域のニーズにこたえていくという取り組みも一概に否定されるべきものではないと思います。

加藤(勝)委員 でも、地域医療とうたっている以上、やはり地域でできたものは地域に還元していく。これが基本になければ、では、何でせっかく出てきたものをほかのところへ回していくのか、そこで出た赤字というものはどうして黒字を生み出してきた地域が負担をしなきゃいけないのか、たまたま同じ傘の中で運営されているからということには単純にはならない、こういうふうに私は思います。

 時間が参りましたので、いずれにいたしましても、今回の法律につきまして、大臣がおっしゃるように、基本的には、条件さえ整えばやはり譲渡を進めていくべきであるし、この間の努力が必ずしも十分行われていたとは私には思えません。これは我々の反省も含めて、そうであります。

 したがって、まずその努力をしっかりしていく、これに傾注すべきだと思いますし、その上で、今申し上げたように、経営の見通しもほとんどない、これは、将来における国民負担の増大、また、地域の医療を守るといいながら、そこで生まれてきた収益というものをほかの地域に回していく。まさにこれまで私どもが取り組んできた、やはり行政改革を何のために進めてきたのか、全く合致していかないのではないか。さらには、新たに独立行政法人を設けていく、そういう意味からも大変問題が多い法案だということを指摘させていただきたいと思いますし、あの保険料を流用してはいけないと言う大臣がこういう法案を出されたということは大変残念であるということを申し上げて、質問を終わらせたいと思います。

藤村委員長 次に、大村秀章君。

大村委員 自由民主党の大村秀章でございます。

 短い時間でございますが、この独法の地域医療機能推進機構法案について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、通告に従って、独立行政法人につきまして、きょうは、この間に引き続いて泉政務官に来ていただいております。

 先日、質問をしたときには質問主意書に対するお答えがいただけていなかったので、きのういただきましたが、残念ながら、何というか、もう木で鼻をくくったようなものしか来なかったというのは極めて残念でございます。独法については、私の質問主意書で、民主党が全廃の方針を示す一方で、新たに独法をつくろうということは、内閣の方針として明らかに整合性がとれていない、この独法の存廃に関する政府としての統一見解を示されたいということを質問したのでありますけれども、もう一度お聞きをいたします。

 この独法についての考え、これは、民主党は全面的に見直して、ゼロベースで見直して廃止をするんだということではなかったのでありましょうか。であるのに、今回、まさに安易という言葉が一番ふさわしいのではないかと思いますが、まさに十把一からげに、我々が行政改革の流れの中で合理化努力をしようということをやってきたのに、十把一からげにこれをすべて独法で親方日の丸でやっていく、これが民主党のやり方なのかどうかということについて、独法の存廃についての統一見解、内閣府の見解といいますか、政府全体の見解をお聞かせいただきたいと思います。

泉大臣政務官 前回に引き続きまして、どうもありがとうございます。

 独法については、独法の抜本的な見直しについてということで、昨年の十二月二十五日に閣議決定をさせていただいていますので、そこでの表現というのは、繰り返しになりますが、すべての独立行政法人のすべての事務事業について抜本的な見直しを行い、そして廃止、民営化、移管等を行うべきものについては必要な措置を講じるとともに、独立行政法人制度自体を根本的に見直すことを含め、制度のあり方を刷新するということになっているわけです。

 改めて、もう御認識だと思いますけれども、それを一日でやるという話では当然ありません。政権をいただいて、そしてその任期中に一つ一つの改革を完了させるということでありまして、枝野大臣もそれは国会答弁でお話をしていますけれども、任期中にやはりこの独法制度そのものは完全に見直した形で取り組んでいくということを言っているわけです。

 そういう中で、今回の厚生労働省における独立行政法人の新たな設立というものは、いろいろと独立行政法人の個々の見直しをしていく中で、恐らく委員も、病院をそのまますべて、独法の期限が来たから廃止をすればよいということには立たないんだというふうに理解をしております。

 そういう意味で、その病院をどのように維持していくかというふうに考えたときの独法の設立ということに至ったのかなと。しかし、それは何ら制度改革そのものの日時をおくらせるものではないというふうに私は理解をしております。

大村委員 それはちょっと、病院云々の話とは違うと思うんですね。病院をどういうふうに位置づけていくのか、これについてはいろいろな考えがあるし、私は、後ほど申し上げますが、やはり行政改革の流れの中で、民間でできるものは民間でやっていく。そして病院機能であっても、日本の場合は公的医療機関がすべてやっているなんということではなくて、むしろ民間の医療機関が中心となって、日本の医療、地域医療を支えてきているというのが実態でございます。

 したがって、私は、内閣府に病院云々の話を聞いているのではなくて、独法のあり方ということを聞いているのでありまして、残念ながら、一方で独法は、こんなものはやめてしまうんだと言いながら、一方で今回、まさに新設ですから、そのことを十分な説明もなく、こういう形で、今後検討していきますという程度のことしか言えないということは極めて残念でなりません。

 そういう意味で、私は、今回、この独法の新設ということをとらまえて言えば、まさに今まで言ってきたことと今の内閣の整合性はとれていないというふうに言わざるを得ない、政策の一貫性がないということをこれは言わざるを得ないというふうに思います。

 もしそうでなければ、独法について、こういう形で取り組んでいくから、これはこうなんだという形でのものがないといけないと思うんですが、これから検討していきますという答弁書しかいただけなかったということは残念だということを申し上げ、独法のあり方を見直し、廃止まで含めてやるんだというのであれば、できるだけ早くこの方針は出していただかないと議論にならない、そのことを強く申し上げておきたいと思います。

 泉政務官、結構でございます。ありがとうございました。

 それで、この法案について申し上げたいと思います。

 先般も質問をさせていただきました。ですから、ポイントを絞って、もう同僚議員の方からずっと質問させていただきました、その延長といいますか方向性の中での質問ということになろうかと思いますが、私は、今回、社会保険病院、厚生年金病院の見直し、この議論、整理合理化の原点というのは、今までの経緯で御案内のとおり、健康保険とか年金の保険料の使い方、本来の目的に沿って使うべきだということがあったのは事実でありますが、要は、行政改革だということに尽きるというふうに思います。原点は、行政改革に照らしてそれはどうなんだということだと思います。

 国が何でもかんでも手を出していろいろなことをやっていくということで、仮に失敗した場合には税金で穴埋めをして、結局国民負担として戻ってくる、そういうことがないように、やはり、民でできるものは民でやって、国、行政、公共がやるべきものは、できるだけこれは本来あるべきものにしていくということ、できるだけ小さくするというのが原点だったというふうに思います。

 そういう観点からいたしますと、地域の医療を支えているのは、先ほど申し上げました、多くの民間病院、診療所、まさに民間の医療機関が地域の医療を支えてきているというのが実態でございます。例えば、病院数の七割が民間病院、ベッド数の六割が民間病院、それから救急の施設の六割近くも民間であって、公的なものの倍近くの割合を占めているというのも実態でございます。

 そこで、これは長妻大臣に確認をしたいと思いますが、地域医療を支えているのは民間の医療機関、数字からもそうでありますけれども、という実態、地域を支えているのは民間の医療機関だという認識、これは共有できますか。

長妻国務大臣 もちろん、民間病院も支えていただいていると考えております。

大村委員 であれば、これは長妻さんがずっとこれまでも言ってきたことの流れだと思いますが、民間でできるものは民間でやる、民間の医療機関でやれるものは民間の医療機関でやってもらうということについての考え方、これも共有いたしますか。

長妻国務大臣 これについては、今回お願いしている法案で新しい独法に入る病院というのは、固定資産税はただなわけでありますので、それはやはり公的な役割を担っていただくということで、先ほど来申し上げているような四疾病五事業の取り組み、リハビリの取り組み、そして地域医療の取り組み、こういうものをやっていただくということでありますので、そういう取り組みについて非常に不十分である、民間と同じような、民間でもできるような取り組みしかしていないということになれば、それは地域の方も含め、あるいは民間の売却条件も整えば民間にお任せをしていく、こういうことになっていくと思います。

大村委員 ちょっとそこは認識が違うんじゃないかと思います。というのは、民間の医療機関で高度医療から、救急医療から、そういったいろいろなリハビリから何から、正直言って、今社保病院とか厚生年金病院がやっている医療はすべて民間でやれるものです。全部やっております。だから、今大臣が言われた公的な役割を担ってもらう取り組みというのは、民間でもやれる取り組みしかやっていないところは指導するんだというような言い方をされましたが、それは認識が違うと思いますよ。

 地域の医療を支えている中心はやはり民間の医療機関というのが日本の実態ですし、民間の医療機関が一生懸命それぞれの、その分野分野でもしっかりやってきていただいているというのが実態でございます。だから、今大臣が言われた、それぞれの医療機関ごとに、もしこれが民間でやれることぐらいしかやっていないんだったら、それはもうやめてもらうんだというような感じのことを言われましたけれども、私はそうではないというふうに思います。

 もう一度聞きますよ。民間の医療機関でやれるものはやはり民間でやってもらうんだという基本的な認識に立ちますか。そのことだけ、まず端的にお答えください。

長妻国務大臣 それは、地域のニーズに応じ、そして採算がなかなか難しい分野もニーズがあればきちっとやっていただいて、地域住民あるいは自治体の御理解、あるいは地域医療を利益という観点以外の要素も含めて担っていただくということをやっていただける民間病院があれば、それはそういうところにお任せするのが適当であるというふうに考えています。

大村委員 要は、これはここでちょっと確認をしたいんですが、今大臣が、民間でやれるところがあれば民間にやっていただくということが適当だと言われた。であれば、この五十三プラス十プラス三、この病院の取り組みについて、先ほど、それぞれ公的な役割を担ってもらうからこれは独法なんだ、税金もまかっているからと。民間病院がやっているような取り組みと同じことしかやっていないものは、それはやはり改めてもらうんだという言い方をされた。そして、民間でやれるものだったら民間に任せたいと言われた。

 今回独法に移されるという病院一つ一つ、もう一度その取り組みを含めて洗った上で、それを、これは公的なものでといいますか、どうしてもこれはやむを得ない、その受け皿に残そう、やはりこれは民間である程度担ってもらえるだろうということで民間にお任せしよう。一つ一つ見ていけば、それは民間の医療機関が引き受けたいというところが出てくると思います。

 そういう意味で、この五十三プラス十プラス三、これについて、一つずつもう一回洗って、いわゆる精査をして、その事務事業、医療機関の守備範囲等々も含めて、そういったものをきちっと、いわゆる言葉で言うと、こういうふうに仕分けしましたということをやって、一定の基準で仕分けをして、これに残すもの、それから民間にお任せするもの、そういう仕分けをする。そういうことをぜひやるということをここでお約束いただきたいと思います。

長妻国務大臣 仕分けをするといいますか、民間に引き受けていただく、先ほど来申し上げている条件に合致をすれば、それはもう引き受けていただくということになるわけでありますが、もう一つの要素として重要なのは、では、こちらが例えばこの病院を民間にお任せしたい、そういうふうに考えても、今もRFOでそれについての売却努力というのはしているわけでありますけれども、考えたとしても、引き受ける民間がない。

 この地域でこの病院をやるという条件が当然あるわけでありますので、更地にして全く違う場所のこういう病院をやるということで地域の住民の理解が得られなければ、それを民間で引き受ける相手との話でありますので、相手先がなければ、ではそういう病院は消滅させていいのかというふうに、極論を言うつもりはありませんけれども、ではその病院はどうすればいいのか。

 民間で引き受け手がないものは、ではなくしていいのかというと、地域住民や自治体の方々もそれは問題であると言う、よく見ても確かに問題点があるといった場合、それは公的な部門が引き受けてやらざるを得ない。こういう要素というのもあるというふうに思います。

大村委員 であれば、今言われた一つ一つの病院について、公的でどうしてもやらざるを得ないもの、立地から考えても十分民間でやれるもの、これはこういうふうにやったらいいもの、そういうものを一つ一つ精査して、そのあり方を洗って、仕分けというのは、一遍に全部ABCをつけて、これは売っちゃうものとかなんとかというんじゃなくて、その前段階として精査をして、これはこういうふうな形でいくべきだ、これは先々、立地もいいし、ひとり立ちできるということで民間に担ってもらおうというようなものをあらあら精査する。

 一遍に売りに出すとかそういうことじゃなくて、その前段階で一たん、そういう意味で仕分けと言ったのでありますけれども、一遍に売りに出すということじゃなくて、その前段階の整理、精査、これをやって、この六十幾つの病院のありようを示していただく、我々に、国会のこの場に示していただく、これはお約束いただけますね。

長妻国務大臣 これは、もう一つは、精査といいますか、公的な役割というのは、民間でもそういうふうにお約束をいただいて、なかなかこの部分は利益は出にくいけれども民間でもやる、ほかの部分の利益をそこに回してでもやるということがあれば、当然、民間も公的役割を担っているわけでありますので、そういうような病院があって、民間だけれども公的な一定の役割を担ってもやっていけますよ、経営も継続的にその地域で病院としてやり、地域医療も担って、住民の方、自治体の御了解も得られるということであれば、民間でその公的医療の一翼を担っていただくということもあり得るわけであります。

 そういう意味では、あらゆる病院について、自治体あるいは民間、そういうような御要望があり、先ほどの要件があれば、それはお任せをするということはあり得ることであります。

大村委員 いや、今私が申し上げているのは、一つ一つの病院の経営のあり方を精査して仕分けをする。要は、立地的にも経営的にもなかなか厳しいけれどもどうしても必要だというもの、それから、立地的にそこそこだし、これは何とかひとり立ちできる、それはわかるわけですよ。そういったものをある程度仕分けをしておかないと、先ほど同僚の加藤議員の質問の中にあったように、そうすると、赤字のものはずっと赤字になっていく、でもそれは要るから、じゃ、よその黒字で埋めようねということにもつながっていくんですね。

 私は、それは一年や二年といいますか、すぐそれをやめろとは言いませんが、それが根雪のようになって積み上がっていくと、先ほども大臣言われたように、そうすると、赤字体質のところが合理化努力を、黒字の方も一生懸命やるインセンティブがなくなってしまうということにつながるんですね。そういったことにならないようにしたい、そういう体質を変えていくようにしたいというふうにさっき言われました。だから聞いているんですが、それは裏腹なんですよ。

 とにかく、赤字、黒字の体質もある程度、それは大体わかると思うんです。立地とかいろいろな病院の機能とか年数とかそういったことで。それをそういうふうにしないというためには、まずは一つ一つ洗っていく。そしてそれを、これはこういうものだ、こういうものだ、今こういう状況にあるということを、やはり我々にしっかり示していただかなきゃいけない、ある意味で公表していただく必要があるということを言っているんですが、その点はやっていただけますね。

長妻国務大臣 その趣旨、重要性はわかります。それについては、やはり新しい独法の理事長、あるいはそこの仕組みの中で、そういう病院を一つ一つ特色も含めて見ていって、どういう対応、どういう指導をするかという中で検討していくべき課題であるというふうに考えております。

 そこで、地域の医療、あるいは公的な病院にもかかわらず、利益の出るところだけをやって、そして、地域にニーズがあるにもかかわらず、採算がとれない、とりにくいということで、そこはやらないで利益だけをやっているような、今のは極端な例ですけれども、そういうような公的病院があるとすれば、それについてはどういう措置をするのがいいのか、もちろん一つ一つ着目をして、その病院をどういうふうに対処していくのかというのがまさにガバナンスの問題だと思います。

大村委員 ですから、私は、もうこれで締めますけれども、要は、六十六の病院ですから、それは一つ一つ、もう特徴は大体、別に一年や二年でできたわけではないのでわかっているわけですから、それを精査しながら、それでもって、これはずっと残さざるを得ないなというもの、これはやはり民間で担ってもらってもいいなというふうなものをある程度仕分けをしてもらいながら、そういう中で、あわせて、それが結局、個々の赤字、黒字の管理といいますか、経営上の管理、そういったことにつながってくると思います。

 例えば、ずっと赤字が三年も五年も十年も続いて、しかし、よそからの繰り入れがあるから何とかなるねというのでは、それはさすがに黒字で補てんする方が怒ってしまうと思いますし、それはやはりその病院がある地域でも御努力をいただかなきゃいけないし、その病院はもっと努力をしていただかなきゃいけないと思う。

 ですから、赤字が例えば三年、五年続いたら、それはもうある程度、本当に大なたを振るうというような基準だとかそういったことも含めて、これは厚生労働大臣がたしか中期目標というのをつくるんですよね。今言った個々の病院の特徴、特性、それから立地、経営の内容等々を見て、例えば五年じゃ長過ぎると思うので、二年なり三年ぐらいで一たん見直してみて、そういったものをもう一回洗ってみる、そういうような基準をつくる。この厚生労働大臣がつくる中期目標というところの中でそういう基準をつくる、その点についてはぜひやっていただきたい。

 それでもって、今、ガバナンスと言われましたが、ガバナンスというのはトータルのガバナンスももちろんでしょうけれども、一つ一つのガバナンスが大事だと思いますから、そういった私が今言った一つ一つの病院の精査、そして、できるだけ民間に任せられるものは民間に任せていく、赤字体質のものはきちっと改めていく、そういったものを含めて中期目標でしっかり盛り込むということを、最後にお答えをいただきたいと思います。

長妻国務大臣 まず、赤字病院と一口に言っても、その中身もよく見る必要がもちろんあると思います。

 それは、経営努力が非常に足りずにコストが高まって、必要の低い物品、あるいは高コストの体質が続いていって赤字になっているのか、あるいは、先ほど申し上げましたように、採算がとれない、しかし地域住民のニーズはある、そういうところを非常に注力してやっていただいて、結果として赤字になっているのか、これは一つ一つ見る必要があると思います。

 いずれにしましても、一つ一つの病院の特性に着目をして経営改善を促していくということについては中期目標にも書き込みますし、一定の要件の前提がありますけれども、地域住民の合意や地方自治体、そして地域医療を担っていただく、こういうような前提があれば売却をしていくというようなことも中期目標に書き込んでいきたいと考えております。

大村委員 最後に一言。

 冒頭申し上げましたが、やはり行政改革の観点からこの取り組みが始まり、地域の医療を支えていく、これはしっかりやっていかなきゃいけないと思いますが、それは民間で条件さえ合えば十分できるというふうに思います。ですから、引き続き、この点については、今最後に大臣が言われましたが、そういった点も含めてしっかりフォローをしていきたいというふうに思っております。

 以上です。

藤村委員長 次に、坂口力君。

坂口(力)委員 きょうは、前回に続きまして質問させていただきたいというふうに思います。

 先ほどから皆さん方のお話を聞いていて、だんだんわかりにくくなってきていますね。どうも頭の中が混乱をしてきておりますが、前回もお聞きをいたしましたのは、地域医療だということをおっしゃる。地域医療は当然だというふうに思うんですけれども、その前に、これは公的病院ですね。だから、まず公的病院である、公的病院である限りは、政策医療というものはある程度行わなければならない、こう思うんですね。政策医療を行いますけれども、しかし、一般会計からは何も入らない、あるいはまた保険料からも入らない、外部からは何も入ってこない。独立独歩、自分たちでやっていかなければならない。

 独立独歩でどこまで一体やっていけるのか。政策医療をやらなきゃならないし、政策医療をやったらお金がかかるし、そうすると、できる範囲のことでやるしかないか、こういうことになってくるのではないかということを先ほどから思いながら聞いていたわけです。

 加藤先生が先ほどからおっしゃったように、売却したようなときに、そのお金が国庫の方に入っていくのか、あるいは年金の特別会計の方に入っていくのか。それは、売却したときはいいと思うんですが、そうではなくて、日々の病院経営の中で、その病院が赤字を出さずにやっていけるようになるということが、僕は大変なことだと思うんですね。

 独立行政法人にしたんですから、交付金は、ほかの独立行政法人は多少なりとも入ってきておるわけですね。だけれども、それも入れないというふうに、そこまで言ってしまって、社会保険病院あるいは厚生年金病院だった今までの病院が果たして本当にやっていけるかどうか、少し心配になりつつ、実は聞いていたわけです。

 それで、公的な病院ですから、職員の賃金もそんなに低くすることはできない。公務員並みに、あるいはそれに近い状況にしていかなきゃならないと思うんです。そういたしますと、年々歳々、人件費も要るようになる。その中で、どこからの支援もなくて、そして公的病院としての責任を果たしていくというのは、かなり難しい経営だと私は思うんですね。

 それだけ経営能力のある院長がおればいいですよ。だけれども、院長なんというのは、そんな経営能力のある人ばかりいないんですから。そんなことを言ったらしかられますけれども、経営能力の乏しいような医者が多いことだけは間違いない。それだけに、私は、事務長さんがよほどしっかりしておってくれてやってくれるんだったらいいですけれども、本当にこれでやっていけるのかなと。

 初めに、その後どこからも支援はいただきませんと言い切ることは簡単ですけれども、余り初めに頑張り過ぎたがゆえに、先々行き詰まってしまったというのでは困りますから、大臣、多少なりとも風穴は今のうちにあけておいた方がいいんじゃないですか。僕はそんな気がしますね。

 少し、適当にお答えいただけますか。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

長妻国務大臣 いつも貴重な励ましか御指摘かをいただきまして、本当にありがとうございます。

 ただ、今回申し上げますのは、全社連あるいは厚生団の剰余金というのが一千億円以上ございます。これについては、一たん新独立行政法人に入りますので、やはり適切に、きちっとそのお金を使っていく。そして余ったものは、中期計画が終わった後、国庫に戻していただくということであります。

 その一番初めのスタートの段階で経営計画を立てて、まずトータルで黒字に今もなっておりますので、それをさらに進めていくと同時に、耐震とか、一時的に設備投資を必要とされるものについては、そういう剰余のお金を適切に使って初期の投資をしていただく、それで一定期間のめどを立てていただくということで、初め一千億円以上の剰余というものがございますので、私は、決して不可能な話ではない。

 民間は、ある意味では初めはゼロからスタートをして、立派に公的な使命を担っていただいている病院もあるわけでございますので、ある意味では恵まれた環境からスタートするということも言えなくもないわけであります。であるからこそ、期待にこたえるように、きちっとした経営見通しをつくって、新規のお金を入れないでやっていくということを肝に銘じていくべきであるというふうに考えております。

坂口(力)委員 一千億円あるということで、それはよそへは出さずにこの独法の中にためておく。それはそれでいいというふうに思うんですが、しかし、病院の数も六十五あるわけですから、そんなに大きな額でもない。先日も申し上げましたように、建てかえをしなきゃならないようなところもかなりたくさんある。この四、五年、全然やっていませんから。耐震改修もやらなきゃならぬというようなこともありますので、一千億ぐらいはあっという間になくなってしまう可能性もあります。

 それよりも、公的医療である限り、政策医療はある程度は行わなきゃならぬと思うんです。政策医療を行った場合には、多少は交付金なりなんなりを受けるということがあっても、別にそれは不思議なことではない、特別なことではない。ほかの公的な病院というのは多かれ少なかれそれは受けているわけですから、国民のために公的な病院として政策医療を果たしていくという以上は、多少のことはあってもいいのではないかというふうに私は思っています。

 これはこれから決めていただくことでありますから、ひとつぜひ検討していただきたいと思うし、初めから、何も要りません、何も入れません、自分たちで独立独歩でやっていきます、余り力み過ぎると、これは先が行き詰まってくることになりはしないかという心配をしている。これは心配でございますから、もうこれだけにしておきたいというふうに思います。

 さて、もう一つは、国立病院の独立行政法人をつくりましたときに、賃金職員といいましたか、正式の職員ではないんですけれども、かなりな人数の人を、看護師さんにしましても、それからその他の職員の人にしましても雇っていた。それは、何人というふうに枠がはめられているものですから、正式には雇えない。それぞれの病院が自分のところの病院として、契約社員のような形なのかどうかよくわかりませんけれども、賃金職員と呼ばれる人たちをつくってきた。今度独法化されていきますときに、その人たちをどうするかというので大問題になったことがございます。

 看護師さんの場合には、正規の職員になられる人は全員行かれたというふうに思いますが、しかし、中には夜は困るというような人もあったりして、その人はもうやめていただくようなことになったと記憶をしておりますけれども、今回の場合にそういう職種の人たちはいるのかいないのか、いるとしたら何人ぐらいおみえになるのか。これはわかりますか。

足立大臣政務官 平成十六年ですか、国立病院機構ができたとき、先ほどおっしゃいました非正規職員、この対応に対して、当時の大臣、坂口元大臣といたしましては、大変御苦労をされたということは仄聞しております。

 今現在、社会保険病院等で勤務している職員は約二万三千人、このうち非正規職員は約三千二百人でございます。勤務実態そのものの詳細については、そこまでは把握しておりません。

 そこで、では、機構が成立した後どういうふうになるのか。これは、基本的には正規職員の場合と同様です。機構での勤務を希望する者については機構において選考する。

 ですから、やるべきことは、まずは機構において非正規職員の労働条件に係る内部規則を定める必要がある、そのように思います。そして、その後、今現に働いている非正規職員の方々に対して、勤務を希望するかどうか、意向確認調査を行った上で機構が選考する、そういう順序を踏まなければいけないのではないか、そのように思います。

 その際、先ほど来出ておりますように、三法人のそれぞれの職務規定等がありますから、よく話し合いを持ちながら、機構としての非正規職員そして職員の規定というものをまず内部規則で定めるということが第一歩だろう、そのように思っております。

坂口(力)委員 三千二百人というのはかなり多いですね。これは大変な話だというふうに思いますが、これから関係者とお話し合いをいただいて、早急に決めていただかなければならない問題だというふうに思っております。

 この独法の話、これはまだ切りがありませんけれども、きょうはこのお話はこれぐらいにさせていただいて、インフルエンザの話を少しプラスアルファでお聞きをしておきたいというふうに思っています。あと十分ぐらいしかありませんけれども。

 幸いにして、前回のインフルエンザ、新型のインフルエンザは余り毒性が強くなくて、心配したほどではなかったということで、私たちもほっとしているわけです。しかし、今回、牛の口蹄疫の話が出まして、これだけ騒がれておりますし、大変なことに宮崎県はなっております。この状況を見ると、新型のまた新しいインフルエンザがもしも起こったとしたら、それは、初動態勢と申しますか、一番最初にどう手を打つかということがいかに大事かということをこの口蹄疫の問題は示しているように思います。

 そう思いますと、ワクチンの問題になるわけですが、ワクチンも、新しい病型と申しますか、新しい病原体がはっきりしないと、それに合わせたワクチンができない。日本はワクチンの生産体制も非常に弱いですから、そんなにも早くできてこない。少なくとも半年はかかる。半年ならばいい方で、一年近くかかるといったようなことになってくる。

 ワクチンの体制を早くしていただかなきゃならないのが一つですが、それだけではいかなくて、どうしてもおくれますから、そうすると、内服薬ないし注射薬、そうした治療薬をしっかりさせておくということが大事になってまいります。

 前回のときにも、タミフルとリレンザでしたか、この二つをかなり大量に蓄えたということで事なきを得たわけでありますけれども、しかし、最近は耐性を持ったウイルスもふえてきているというふうに聞いておりますし、この次に流行してくる、何型かわかりませんけれども、その新型インフルエンザがタミフルで間に合うかどうかということもわからない。

 そういうことを考えますと、タミフル、リレンザあたりのところもしっかり準備をまたしていただかなければなりませんが、メカニズムの違った医薬品などもできるだけ準備をして、そして、どんなことが起こっても対応できるようにしておいてもらう必要があるのではないか。

 多分、起こってくるとすればことしの秋ごろだろうというふうに思いますから、その秋ごろに間に合うように、あるいは、はやり始めたらそれにすぐ対応できるようにしていかなきゃいけないというふうに思いますが、そういう状況を踏まえて今省内でどんな議論がされているのか、そしてどんな手が打たれているのか、少し聞かせていただけますか。

足立大臣政務官 ワクチンとそれから治療薬という二点に分けて説明した方がよろしいかと思います。

 今、坂口委員の御懸念でありますけれども、これは強毒型のH5と仮に想定した場合は、鶏卵培養ですから、国内で全国民分のワクチンを生産するのにやはり一年半から二年はかかる、こういうような状況です。ですから、強毒型を想定した場合には、今国内では、プレパンデミックワクチンを三千万人分は用意しておこうと。

 それから、今後審議していただけると思います予防接種法の改正に出ておりますような、今シーズンございましたH1N1のような程度のもの、これについては、この秋から季節性のインフルエンザワクチンとして、H1の部分は今回のものを利用した三価のワクチンということになります。ですから、それまでが今国内に保管されているものを使うという形になるんだろうと思います。

 ワクチンは、御案内のように、もう再三答弁しておりますが、今後五年以内に細胞培養の方法を使って全国民半年以内というのを目標に生産体制を確保していきたい、そのようなことでございますけれども、当然、それまでの間必要なものについては、これは委員御指摘のように、まず原因のウイルスを同定して、そして株をまた取り入れて、精製して、培養してとなかなか時間がかかるわけでございますから、その間、海外からの輸入の形もやはり確保しておかなければいけない、そのように思います。

 そして、治療薬でございますけれども、いろいろな種類のものが必要であろうということはもう御指摘のとおりだと思います。

 タミフル、リレンザについては、かなりの量の備蓄をしております。そして、ことしの一月には、経口あるいは吸入ができない方にとっては非常に朗報だったと思います、注射薬が承認されましたし、今開発段階であるというものにつきましては、一回投与すれば済むというような吸入薬、これはもう承認申請されておりますので、これの承認の審査を今やっている最中。

 それからもう一つは、耐性のもの、そしてあらゆるタイプのものに効くと思われる、これは今現在、治験段階のものではございますけれども、これにつきましては、私どももかなりの、ワクチンを待っている間と申しますか、すべてのタイプのインフルエンザに効く可能性が高いということも考えますと、これについては、事前相談評価システムを活用しながら、申請前の段階からもある程度関与し、しかしながら公正さということは保ちながら、これを積極的に進めていただきたいという要請はしておるところでございます。

 以上が、ワクチンと治療薬についての説明でございます。

坂口(力)委員 ありがとうございました。大略理解をさせていただきました。

 それで、新しい薬品が出ましたときの、申請が出て、それから承認するまでの期間が長い長いといっていつもしかられるものですから、多分、大臣もいろいろなところへ行かれて、もっと早くしろということをいつもおしかりを受けておみえになるんではないかというふうに思いますが、我々もそういうことを経験してまいりました。

 できるだけ早くというふうに言っておりますけれども、なかなかこれも、そう思ったほどは進んでいかない。しかし、インフルエンザなんかで緊急を要するときには、半年と言いたいですけれども、三カ月か四カ月ぐらいに短縮をして、そして早く対応できるようにしてもらいたいというふうに思っております。

 また、今少し触れていただきましたが、完璧に承認するまでは何もしてはいけないというのではなくて、大略これならゴーサインが出せるなというような状況になったものにつきましては、生産体制を少々早目に始めることを認めるぐらいの柔軟性を持った対応を私はお願いしたい、こんなふうに思っている次第でございます。

 以上でございますが、もしも何か聞かせていただくことがあれば聞かせていただいて、そして、なければこれで終わりとしたい。

足立大臣政務官 それでは、簡潔に。

 ドラッグラグと言われておりますが、承認申請までが十八カ月ラグがあって、承認の期間が十二カ月ラグがある、このどちらも早めなければいけないと思っております。

 承認審査につきましては、PMDAの人員を増員してしっかり早くやるようにするべきだ、そのようにまた動いております。

 それから、申請前の段階をいかに早くするか。これが先ほど申し上げました事前相談評価の制度でございまして、昨年度からスタートしたことでございますが、この部分も人員配置をしっかりして、これは有効性が非常に高い、あるいは日本の世界に誇る治療薬になり得るというようなものについては、この部分から積極的に関与するという方向性を私は考えております。

坂口(力)委員 終わります。ありがとうございました。

中根委員長代理 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、先ほど来伺っていますと、何かどんどん売却するといったような話が随分出てきて、ようやっと公的病院として受け皿が決まったのかなと思って運動してきた皆さんが本当に喜んでいるときに、何か売却ありきみたいな議論になるというのは非常に不安に思っております。

 それで、まず伺いたいんですけれども、大臣は、機構発足後も引き受け手があれば民間などに売却するという旨を繰り返し述べているわけですけれども、それができる根拠がまずどこにあるのか。それから、現在五十二の社会保険病院と十の厚生年金病院、そのうち、実際に買いたいなどという形で手を挙げている、そういうところが幾つくらいあるでしょうか。

長妻国務大臣 これについては、一つは、中期目標というのを大臣が立てて新機構にお示しするということになろうかと思います。その中で、そういう売却についても書き込んでいこうと思っておりますが、当然、先ほど来申し上げておりますように、地域医療を担う、そして、住民の同意、自治体の同意等々、そういう前提条件はございますけれども、そういうような中期目標というのが一つの根拠になるのではないかと思います。

 そして、今現在どれだけということでありますけれども、これについて、浜松の病院が一つ売却できたということでありますが、それ以外の病院につきまして今交渉をいろいろしておりまして、自治体と交渉している、あるいは首長さんが厚生労働省を何度か訪れてぎりぎりの調整中、あるいは厚生労働省から地元自治体に打診をして、面会も数回厚生労働省事務局が行っている等々十例以上、進んでいるわけではないんですけれども、多少、そういう交渉が進展しつつあるものはございますが、まだ確定的なものはございません。

高橋(千)委員 まず、根拠法、法の条文のところでありますかということを聞いたつもりだったんですけれども、今、中期目標に書き込むということで、これは事前に原課に伺ったときも、十三条の中に売却できないとは書いていない、その程度の説得力の話なわけですね。そういうレベルの話で進めていいのかということがあるのと、今十例とおっしゃいました。ただ実際に、まだまだ煮詰まっているというほどではないし、五本の指に入るかどうかという程度の話ではなかったのかなと思うんですね。

 だから、何か全体としてそこに向かっているのではないということは、まずよろしいのかなと確認をさせていただきたいと思うんです。違えばまた、答弁の中でお答えいただきたいと思うんです。

 それで、仮に売却するという場合に、地域医療を守るという理念をどう担保するのでしょうか。よくある話は、例えば、何年間他の用途に転換してはならないという条件をつけるですとか、現在の診療科、入院の可否などの機能が移転されているかどうかというのが問題になると思いますけれども、どのように考えておりますか。

長妻国務大臣 まず、一つの事例を申し上げますと、この浜松の病院の件ですけれども、これは主体がRFOですから、一概に新法人と同じとは言えませんけれども、その場合どうしたかというと、売却の譲渡条件というものを交わしまして、こういう一定の機能を持った病院を運営していただくということで、その譲渡条件に違反した場合は違約金をいただく、こういう契約書を作成いたしたわけであります。

 今おっしゃっていただいた件については、それぞれの特色、特質、あるいは地域住民のニーズなどもありますので、やはり、この例のようにきちっと譲渡条件を文書で交わして、そして、それに反する場合は例えば違約金とかあるいはペナルティーとか、そういうものを交わして、住民、自治体に透明性を高めた譲渡ということが望ましいのではないかというふうに考えております。

高橋(千)委員 大変具体的じゃないんですね。

 違約金と書き込んだら、お金を払えば済むのかと。地域の病院が守られる、民間病院に移ったけれども機能は維持されるんだという約束だったけれども、全然そうじゃなかったというときに、金を払えば済むんですかということが問われてくるわけです。

 今議論されているのは、もらった利益をどうするのかという議論が随分されていますけれども、そんな単純なものじゃないということをしっかり見ていただきたいと思うんですね。

 例えば、先行事例として、労災病院の問題があると思います。労災病院は、一の主体に独占して行わせることが必要であるものを効率的、効果的に行わせることを目的として設立されるという独立行政法人通則法第二条に基づきまして、独立行政法人労働者健康福祉機構に変わっているわけですけれども、労災病院の再編計画に基づいて廃止また委託などということをやったところがございます。

 その一つが岩手労災病院ですけれども、二〇〇六年の九月に、機構と花巻市が覚書を結びました。そして、翌二〇〇七年四月に、医療法人杏林会というところと基本協定を結んだわけです。その条件は、岩手労災病院の移譲に係る医療の基本構想にちゃんと即した医療を適切に提供するという中身をどちらにも盛り込んでおります。

 これは、機構が市に贈与をした、そして、市はその贈与された病院を杏林会に無償譲渡という形になっている。トライアングルの関係になったわけです。こうした場合、機能の維持にだれが最終的に責任を持ちますか。政務官。

足立大臣政務官 委員がこの問題を何度か御指摘されているということは伺っております。

 そして、どこが最終的に責任かということになりますが、この協定を結んだ上で市に移譲して、市は委託をしたという流れの中で、やはり当事者である花巻市、そして運営している医療法人が取り組むことが基本だ、そのように思いますが、今のおっしゃられた流れ等、やはり機構を通じてこういうことが起きているわけでございますから、私どもとしては、医師確保の取り組みを労働者健康福祉機構を通じて市と医療法人に対して要請する、そういう立場であろうかと思います。

高橋(千)委員 これもまた、ちょっと具体的じゃないと思うんです。

 当事者と法人とおっしゃいました。例えば、この花巻の場合、贈与条件、「贈与物件に係る無償譲渡契約に定める義務を本市が履行しないときは、当該契約を解除することができる」と書いています。つまり、先ほど大臣は違約金の話をしましたけれども、契約を解除ということなんですよ。

 そうすると、病院がなくなればそれでいいのか、病院が開設できなくなればそれでいいのかとなると、犠牲になるのは住民なわけですよね。そういうことを結んだわけで、契約解除でそれで済みましたということにならない、機能の維持はできない。どうしますか。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

足立大臣政務官 御指摘の件は非常によく理解できます。

 ですから、今は、労働者健康福祉機構を通じて花巻市に対して直接的に必要な働きかけをするということ以上に言える部分はないのでございますけれども、結局は、譲渡、売却はよほど慎重に取り組まないとこういう事態が生じる可能性があるということは常に念頭に置きながら対処しなければいけない、そのように思っております。

高橋(千)委員 政務官は、多分私が言いたいことを先取りして答弁をされたと思うんですけれどもね。

 労災病院ですので、主要な任務というものがございます。その中でも、覚書で結んだ「医療の基本構想」の中で一番の大事なところは、やはり脊髄損傷の患者の受け入れを条件としていたわけですね。労災病院がもうそこしかないわけです。

 ところが、新病院はそれをやってくれません。約束がほごにされています。交渉したときには、県立病院がやってくれるんじゃないかというふうな話をしていたわけですが、県立病院には何の責任もないわけで、それは受け入れていただけないという状況であります。

 今、実際、この杏林会がどういう状態になっているかといいますと、百五十の老健のベッドと、入院のベッドが五十ございます。そのうち、老健のベッドの中で、ほとんど見てもらえないということで、大きな褥瘡ができちゃっている人がたくさんいる。家族が、何でここまでほっておいたんだ、もうにおいがして大変だというくらい深刻になって、それが悪化して、そこから菌が入って亡くなった方さえいるという状態なんです。

 でも、もう御存じのように、介護の施設というのは、現状、どこもあきがありませんから、ほかに受け手がないということでここにお世話になっている方がいるし、また病院に入っている方がいらっしゃる。外来は毎日十二人から三人程度、そういう実態である。もちろん、約束の脊損はやられていません。

 しかし、重大なのは、さっきから市に責任をとらせるというお話をしていますけれども、お話ししたように、市が機構から贈与されて、市が無償譲渡という形で、トライアングルでしょう。一応、市にとっての公的病院になるわけですよ、民間病院がやっているんだけれども。そのために、花巻市が二億五千万円のお金を出している。これをもっと出さなきゃいけなくなる、病院が維持できないから。

 おかしいじゃないかと。やっていることは、大臣がよく言うように、民間病院と同じか、それ以下なんですよ。ニーズを満たしていない、約束も果たしていない、だけれども公的病院だから、そこにだけ何で税金を払うんだということになりませんか。こういう実態が起こるんですよ。それに対して、やはりだれが責任をとるのかということになる。もう一度伺います。

足立大臣政務官 だれが責任をとるのか、最後のお言葉はそうでしたが、先ほどから、本来は民間へ売却ではないかという議論もございますが、私は、やはりこれはばらばらにとらえていてはなかなか難しい問題なのではなかろうか、そのような観点が一つ大きいと思います。

 それは、リハビリテーションのネットワークであり、また、地域の中で四疾病五事業をしっかりやっていく、中心的に担っていくグループというような位置づけで、そのスケールメリットを生かすということになると思いますけれども、やはりそこが担うべきだと思います。

 前政権下でも、当初、宙ぶらりんな状態でどうすればいいのか、風評被害等も含めて非常に地域の住民の方々に不安を与えました。当初はやはり、日赤や国立病院機構や済生会等公的なところにどうか引き受けてもらえないかという話が進んでいたんだと思います。その後、RFOに出資されて、さらに地域住民の方々が不安になった。そんな中で、地方自治体をまず考えて、やっていただきたいという話になりましたが、今議員の方から、地方自治体でもそれはなかなか大変だよという話がございまして、実際のところはなかなか進んでいないという状況の中で、私は、スケールメリットを生かして、全体として、グループとして責任を持ってやっていくということが必要なのではなかろうか、そのように思っています。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 市立病院との統合に失敗した美唄労災病院や、三井三池三川鉱の一酸化炭素中毒患者らが入院、通院していた大牟田労災病院、四年前に廃止され、引き継いだ病院でも約束が履行されていない、こうした問題が起こっています。実際には機能は維持されないというのが、もうこの先行事例で明らかだ。

 でも、先ほど政務官がおっしゃってくださったように、私は、せっかく公的病院として全国一本のスケールメリットを生かした機構にしようというところに来たんだから、まず、前へ前へと、地域医療を守るために機構がどういう役割を果たしていくかということに力を注ぐべきであって、できれば売れればいいみたいなことを言うべきではないということを重ねて指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、先日のこの法案の質疑で、長妻大臣が私に対して、全国社会保険協会連合会、全社連と、厚生年金事業振興団、厚生団、いわゆる社会保険病院と厚生年金病院の運営委託を受けている天下り法人でございますが、この二つの法人について、二〇一三年の運営委託の廃止をもって法人として廃止をするということを明言されました。これは非常に大きな御発言だと思います。基本的にはそういう方向にあったということは事実だと思いますが、廃止をするということを明言された。しかしながら、この二つの法人には、今、二万人の職員がいて、大変大きなものであるわけでございます。

 この廃止に向けて、いつまでに、どのような形で廃止を実現し、恐らく、地域医療機能推進機構という新しい独立行政法人に移管というかスライドをしていくことになるんだと思いますけれども、この基本的な道筋についてお伺いをしたいというふうに思います。

長妻国務大臣 二つの団体のお尋ねでありますが、まず、財団法人厚生年金事業振興団については、既に年金福祉施設に係る職員や会計の整理を進めておりまして、病院事業が全面的に機構に移管するときは法人としての事業がもうなくなるということになりますので、これは解散するように私としても指導をいたします。

 そして、社団法人全国社会保険協会連合会、全社連については、これも病院事業が大半であって、出版事業が若干ございますけれども、機構に引き継いだ後は、これは社員総会というのが手続上ございますので、この社員総会において解散する方向で判断をしていただくように私の方から指導をするということであります。

柿澤委員 そうすると、その時期は、二〇一三年中というか、二〇一三年ということでよろしいのでしょうか。

長妻国務大臣 これは、スケジュールで、今おっしゃっていただいたように、二〇一三年の四月から委託をやめますので、その段階でそういう措置をとるように指導するということです。

柿澤委員 今回、法案審議に当たっていろいろ調べ物をしたんですけれども、全社連の労働組合で全社労という労働組合があるんですが、ここは本当に、この地域医療機能推進機構法案について、物すごい言葉遣いで、反対というか、要は、これは全社連つぶしの陰謀であるというような主張をされておられます。新機構法案は、六十六院二万人首切り法案である、RFO廃止、全社連委託廃止法案であって、六十六院の選別廃院と統廃合法案であり、独法廃止公約に逆行する新独法づくりである、こういうことを言って、とにかく、こうしたものを粉砕しなきゃいけない、こういうことを繰り返し主張されておられるようであります。

 二万人の雇用を一たんばらして、必要な方は新たな独法で再雇用していくということになるんだというふうには思うんですけれども、この二万人の雇用の問題について、基本的に政府としてはどういうスタンスで臨もうとしているのか、お伺いをしたいというふうに思います。

長妻国務大臣 これは、新しい独立行政法人の理事長、あるいは我々も、いろいろ御指導、あるいは判断というのがあると思いますけれども、これについては、まず、この天下りという問題では、国家公務員のOBは、事務職については行っていただかないことになるということでありまして、当然、それは、御本人の希望でそちらに移りたくないという方もいらっしゃいましょうから、御本人の希望もよく聞いて判断をしていくということです。

柿澤委員 この交渉は非常に厳しいものが予想されるのではないかという気がいたしております。

 そういう意味で、ここまでも、全社連と、職員の例えば待遇、賃金その他の問題について相当厳しい労使交渉をして、経営合理化努力をされてきたという歩みも見てとれるわけですけれども、それをはるかに超えた、ある意味では非常に厳しい交渉になるんだろうなというふうに拝察をいたします。そういう中で、ある種経営合理化というか、この社会保険病院、また厚生年金病院等のある種経営の健全化というものを果たしていかなければいけないということだと思います。

 先日来、足立政務官からは、この社会保険病院を初めとしたこれらの病院について、本当にかなりの経営努力をしてきたんだ、こういうお話がありますし、実際、黒字化した病院も多々あるわけでありますけれども、皆さんが今回独法をつくるに至ったベースになっているだろうと思われます社会保険病院等に関する専門家会議、平成二十一年の報告などを見ると、固定資産税であるとか減価償却費であるとか、こうした部分について今優遇されているものが仮になくなったとすれば、粗い試算結果として、平成十八年度決算ベースで見ると、黒字病院は十一しかなくて、赤字病院が五十二という結果になってしまう。そういう意味では、やはり、民間病院、あるいはどこかに譲渡、売却をするという場合に、この経営実態では、幾ら今の守られた状態の中で黒字化をしたといっても、これはなかなか先に進まないのではないかというふうに思います。

 きょうは、売却にかかわる議論がいろいろ出てまいりましたので、その点について、今後、もし本当に売却を進めていくというような方針が生き続けていくとすれば、どうしていくのかということについて、お伺いをしたいと思います。

長妻国務大臣 今おっしゃっていただいたように、これは固定資産税はゼロ、ただということになるわけで、大変な税の優遇を受けることになるわけであります。

 であるからこそ、やはり地域医療を担って、一定の公的役割を果たしていただくということが求められますが、ただ、その役割を民間も担っていただける、そして地域住民、地方自治体、あるいは地域医療を担っていただけるという前提がある場合、これは民間とお話をして民間にそれを譲渡していくということで、そうすればその民間は、これは当然、病院ですから優遇はされておりますけれども、一定の税金というのもお支払いをいただくことになるわけでございますので、そういう取り組みをしていくということであります。

柿澤委員 国有財産ただ借り状態の今の社会保険病院等のこの状況が、民間に移譲、売却をした場合に続けられるはずはないわけですので、この状態だと、それこそ引き受け手がないとずっとおっしゃっていますけれども、この状況、これがもし経営合理化のかなりやり切った姿だとすれば、もはやこれ以上は進まないということになるのではないかというふうに思うんですけれども、この点、どうなんですか。もう進まないんじゃないですか。

足立大臣政務官 先ほど来、質問の中で、公的な機能をしっかりやっていただくからには交付金等をむしろ考えた方がいいのではないかという議論もある中で、ここで、今の状態であれば固定資産税等の優遇措置をやめてもいいのではないかという議論もまた出て、そこは考え方は相当な開きがあるなと思いますが、大事なことは、先週も申し上げた、三年間にわたって経営努力、効率化を図ってきて赤字のところがゼロになった、しかし、診療報酬のマイナス三・一六という改定があったら一遍に十四病院が赤字になってきたというように、これは診療報酬、とりわけ、中でも地域医療、四疾病五事業、リハビリに対する評価がどうなっていくかということは極めて大きな要素だ、そのようにまた思います。

 ですから、現状でそのまま推移する、あるいは変化する要因というのが、実は一番大きなところは、私は、報酬がどうなっていくかということが大きな要素なのではなかろうか、そういうふうに思っております。

柿澤委員 時間が終わっておりますのであれですけれども、赤字の病院が一たんはゼロになったといいますけれども、先ほど申し上げたような、そうしたさまざまな優遇を考慮したというか、ある上での黒字化ということでしかないわけでありまして、そういう点で考えると、やはりこの社会保険病院や厚生年金病院が本当の意味で国等の持参金なしにこれから売却が進むということは、とても非現実的ではないかというふうに感じられてならないわけであります。そのことだけ指摘をさせていただいて、時間も超過をいたしました、終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

藤村委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

     ――――◇―――――

藤村委員長 内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。長妻厚生労働大臣。

長妻国務大臣 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案について、御説明を申し上げます。

 労働者派遣制度につきましては、労働力の需給調整を図るための制度として創設されましたが、雇用の規制緩和という大義名分のもとに行き過ぎた規制緩和が行われた結果、日雇い派遣など社会的に問題のある形態が生じてしまいました。

 また、一昨年来の我が国の雇用情勢の急激な悪化に伴って社会問題化したいわゆる派遣切りにおいて、常時雇用する労働者でない方の労働者派遣についてはその雇用の不安定さが、製造業務派遣についてはさらに技能の継承の問題が指摘されており、これらの問題に的確に対応した措置を講ずる必要があります。

 このため、常時雇用する労働者でない方の労働者派遣及び製造業務派遣を原則として禁止する等、労働者派遣事業に係る制度の整備等の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、派遣労働者の雇用の安定や保護を図るため、常時雇用する労働者でない方について、雇用の安定等の観点から問題が少ないいわゆる専門二十六業務への労働者派遣などの場合を除き、労働者派遣を行ってはならないこととしております。また、一昨年来のいわゆる派遣切りにおいて、製造業務における派遣労働者の雇用の不安定さが問題となったことから、製造業務については、雇用の安定性が比較的高い常時雇用する労働者を派遣する場合を除き、労働者派遣を行ってはならないこととしております。

 第二に、雇用管理上問題のある派遣形態を禁止し、派遣労働者の雇用の安定や保護を図るため、日々または二カ月以内の期間を定めて雇用する労働者について、その適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務以外の業務については、労働者派遣を行ってはならないこととしております。

 第三に、派遣労働者の賃金等の待遇の確保を図るため、派遣元事業主は、派遣労働者の賃金等について、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡に配慮しなければならないこととするとともに、労働者派遣に関する料金の平均額と派遣労働者の賃金の平均額の差額が労働者派遣に関する料金の平均額に占める割合等の情報を提供することを義務化することとしております。

 第四に、違法派遣の是正に当たって、派遣労働者の希望を踏まえつつ雇用の安定が図られるようにするため、禁止業務に従事させた場合、無許可事業主等から派遣労働者を受け入れた場合、派遣可能期間の制限に違反した場合、常時雇用する労働者でない者を派遣労働者として受け入れた場合またはいわゆる偽装請負の場合については、当該行為を行った時点において、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申し込みをしたものとみなすこととしております。

 このほか、法律の題名を労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律に改めるとともに、所要の規定の整備を行うこととしております。

 最後に、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六カ月を超えない範囲内において政令で定める日としておりますが、常時雇用する労働者でない方についての労働者派遣や製造業務への労働者派遣の禁止については、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、常時雇用する労働者でない方についての労働者派遣のうち、雇用の安定に大きな支障がない等の一部業務については、その労働者派遣の禁止を、さらに二年を超えない範囲内において政令で定める日まで猶予することとしております。

 以上が、この法律案の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

藤村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十八分散会


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