衆議院

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第3号 平成23年3月8日(火曜日)

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平成二十三年三月八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 牧  義夫君

   理事 郡  和子君 理事 中根 康浩君

   理事 藤田 一枝君 理事 柚木 道義君

   理事 渡辺  周君 理事 加藤 勝信君

   理事 田村 憲久君 理事 古屋 範子君

      青木  愛君    石毛えい子君

      石森 久嗣君    磯谷香代子君

      稲富 修二君    江端 貴子君

      大西 健介君    岡本 充功君

      工藤 仁美君    小宮山洋子君

      斉藤  進君    空本 誠喜君

      田中美絵子君    竹田 光明君

      玉木 朝子君    長尾  敬君

      橋本 博明君    初鹿 明博君

      樋口 俊一君    平山 泰朗君

      福田衣里子君    松岡 広隆君

      三宅 雪子君    水野 智彦君

      宮崎 岳志君    柳田 和己君

      山口 和之君    山崎 摩耶君

      吉田 統彦君    あべ 俊子君

      遠藤 利明君    鴨下 一郎君

      菅原 一秀君    棚橋 泰文君

      谷畑  孝君    長勢 甚遠君

      西村 康稔君    松浪 健太君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          有松 育子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       石井 信芳君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  榮畑  潤君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三日

 辞任         補欠選任

  阿部 知子君     服部 良一君

同日

 辞任         補欠選任

  服部 良一君     阿部 知子君

同月八日

 辞任         補欠選任

  石毛えい子君     江端 貴子君

  石森 久嗣君     水野 智彦君

  工藤 仁美君     磯谷香代子君

  仁木 博文君     松岡 広隆君

  松本  純君     遠藤 利明君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     工藤 仁美君

  江端 貴子君     石毛えい子君

  松岡 広隆君     柳田 和己君

  水野 智彦君     空本 誠喜君

  遠藤 利明君     松本  純君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  空本 誠喜君     石森 久嗣君

  柳田 和己君     橋本 博明君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本 博明君     仁木 博文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

牧委員長 これより会議を開きます。

 会議に先立ち、去る三月二日水曜日の委員会、大臣所信に対する質疑が行われましたが、慌ただしい日程の中で、必ずしも十分な調整が行われない中、与党のみの質疑という形になってしまったこと、委員長の力量不足の点も否めないと思います。皆様方に御迷惑をおかけしたことに謹んでおわびを申し上げ、本日は、皆様方の御協力によって円滑にこの会議が開催されましたことを皆様方に感謝を申し上げて、会議を開催させていただきたいと思います。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官有松育子君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官石井信芳君、年金局長榮畑潤君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。

田村(憲)委員 おはようございます。自民党の田村でございます。

 冒頭、委員長からお言葉がありましたけれども、先週水曜日、不正常な形で委員会がスタートいたしまして、いろいろと与野党間で話があったわけでありますけれども、このような形で円満に委員会がスタートしたということ、これは、委員長、いろいろと先ほどおわびがありましたけれども、評価をさせていただきたいと思いますし、また、我々は決して委員会審議を拒んでおるわけではございません。

 きょう、本来、火曜日、定例日ではございません。予備日であるにもかかわらず、前例としないという話ではありますけれども、いろいろな話し合いの中で、大臣の所信に対する質疑をきょうやるということは、これは、政府それから与党、委員長も含めて御理解をいただきながら、きょうの委員会というものをぜひとも進めていただければありがたいな、こんなふうに思っております。

 それでは、質問の方に入らせていただきたいというふうに思います。

 一昨日、例の規制仕分け、テレビなんかでもやっておりましたけれども、これがスタートしたということでございますが、この中で一つ心配なのが、薬のインターネット販売、これに対してもこの規制仕分けでいろいろな議論がなされたというふうにお聞きをいたしております。

 もともと、薬というのは当然安全性というものに非常に重きを置いて取り扱っていかなければならないわけでありまして、そういう意味で薬剤師という方々の資格があるわけでありますけれども、そんな中において、最近、ネットで薬を販売した方がいいかのような、そういう流れの方々がたくさん、いろいろな発言をされ、そんな中でのこの規制仕分けという位置づけであったのかなというふうにうがった見方を私はいたしております。非常に心配もいたしております。

 そこで、大臣にお聞きいたしますけれども、今回の規制仕分けの中におきまして、薬のインターネット販売、どのような議論がなされ、どのような結論といいますか、どのような報告になっておるのか、お聞きをいたしたいと思います。

細川国務大臣 三月六日に開催されました行政刷新会議規制仕分けでは、一定の安全性を確保しながらインターネット等で医薬品を販売するためのルールを制定すべきではないかという論点が示されまして、この規制の導入により国民に不便を強いている面があるというような指摘がされたところでございます。

 それに対して、厚生労働省といたしましては、医薬品を必要とする方々に安全、安心、円滑に届けられることが薬局等やあるいは薬事行政を担う厚生労働省の責務であるというような説明をしたりした。そういうことが刷新会議でいろいろと議論されたところでございます。

田村(憲)委員 ここにワーキンググループの評価の結果というのがあるんですが、わざわざこれ、「改革の方向性」と書いてあるんですけれども、「安全性を確保する具体的な要件の設定を前提に、第三類医薬品以外についても薬局・薬店による郵便等販売の可能性を検討する。」と。

 何かよくわからない言葉でして、最後、「検討する。」というのは、政府の検討するは検討しないなんて話が昔ありましたけれども、普通に読めば、「検討する。」と書いてあるんだから、一定の安全性、「安全性を確保する具体的な要件の設定」というのが書いてありますけれども、前提に。何か、改革して規制緩和をするような、そんなふうに受けとめられるんですが、私は、非常にこれは怖い話だというふうに思います。

 多分、議論の中でも出てきておるんだと思いますが、そもそも、にせ薬などというようなものも、ネット上というのは秘匿性というものがあるわけでありますから、これ、「薬局・薬店」と書いてありますけれども、本当に相手が薬局なのか薬店なのかわからない中で薬が売られる可能性もあるわけですよ。それで健康被害等々が発生する可能性もある。ましてやそのときに、お聞きしますと、ネット業者が責任をどうとるんだという話になったときに、そこはまだ完全に確定された議論になっていない。だから、だれが責任をとるんだ、だれが薬店や薬局だというふうに判断するんだというところまで問題が非常に広がっていくわけなんです。

 ですから、そういう意味では、大臣、これは大変慎重になっていただきたいというふうに私は要望いたしたいと思いますし、今のお話だと厚生労働省側はそのようなお考え方なんだろうなと、大臣のお言葉で受けとめさせていただきますけれども、そもそも、賛成派という方々はどういう方々なんですか。そして反対派、今、これは中でも反対をされている方々がおられると思いますけれども、どういう方々ですか。

大塚副大臣 御下問の件は、ここ数年、ずっと議論が行われておりますが、主に賛成派と言われる方々は、やはりインターネット事業者の方々が多いというふうに承っております。一方、反対のお立場の方々は、やはり薬業に携わっておられる方々並びに薬害に実際に遭われた被害者の方々が中心であるとは思います。

 その上で、田村議員にも御報告申し上げますが、この規制改革の前提となっております規制改革分科会というのが、私が前任の内閣府の副大臣の時代に立ち上げたものでありますが、あくまで、規制、制度のその目的に照らして、現状の内容が合理的であるかどうかということをぜひ客観的に議論してほしいということで立ち上がったものであります。

 したがって、この薬業に関する規制は、安心、安全で、そして円滑に医薬品を国民の皆さんにお届けするための規制や制度でありますので、万が一にもそのことがおろそかになるような、そういう対応は、厚生労働省としては大臣以下、私ども一切考えておりませんので、ぜひ御安心をいただきたいと思います。

田村(憲)委員 いただいた資料を見ていますと、やはり今副大臣おっしゃったとおり、消費者や薬害被害者の方々、例えば全国消費者団体連絡会でありますとか主婦連合会、全国消費者協会連合会等々、また一方で薬害の被害者の会、もうほとんど反対ですよね、反対。やはり非常に怖いと。薬というものは、もちろん病気に効きますけれども、一方で、化学成分を非常に多く濃く含んでおるものでありますから、体にいろいろな変調を来すおそれがあるわけでありますので、大体、そういう使う側の方々は反対。それから、当然、薬を取り扱う側の方々も反対。

 一方で、賛成されている方々は、一部は薬を取り扱っているところも賛成者はおりますけれども、ほとんどがインターネットを通じていろいろな商売をやられておられる方々だと。つまり、商売側の方々が賛成で、使う側、使用する側、これは反対だというのが鮮明に見てとれるんです。

 ですから、ここは、もちろん商売をやるというところを円滑にという気持ちもわかりますよ。しかし、少なくとも、民主党政権というのは生活者が第一であったはずですから、使う側に重きを置いていただくということは、我々は期待をしておるわけですよ。

 ですから、我々でも反対しているものを民主党が賛成なんということはあり得ないだろうというふうに思っておりますので、その点はぜひとも御理解をいただきながら、特に厚生労働省、これは党は関係ないわけでありまして、薬務全般を取り扱っているわけでありますから、政府の中においても皆様方の慎重な対応をお願いいたしたいというふうに要望いたしたいと思います。

 さて次に、非常に予算委員会で話題になりました、いわゆる運用三号の話の方に入らせていただきたいというふうに思いますが、だんだんだんだん国民の皆さん、運用三号という言葉が定着してきまして、大体問題はどういうところかというのがわかっているようでわかっていないような、そんな状況だろうと思います。

 年金の三号被保険者の方々の問題、しかも、本来は三号被保険者じゃないんですよね。サラリーマンの専業主婦を中心に、そういう方々の話なんですが、途中でだんなさんがサラリーマンをやめる、もしくは御本人がパート等々で働いておられて年収百三十万を超える、そういう部分になった方々が、要は、手続をちゃんとしていれば三号から外れて一号なり二号なりに移るんでしょうけれども、そのまま手続を、一義的には御本人が申請をしなければならない話でありますけれども、申請をせずに記録が三号に残ったまま、こういう問題だったんだと思います。

 しかも、裁定時に、本来はここでわかるわけですよね、年金の裁定をするときに。ですから、今回、百万人以上、まあ、一瞬切ったところで百万人という話ですが、これは本来はもっと多かったんでしょうね。それが、裁定のときにある程度そこで訂正されているから、既に年金をもらわれている方々は減って、ある程度少なくなっている。しかし、まだ裁定されていない方々は、自分が申請した方は別として、他の残っている方はこの中の数字に含まれている、こういう問題なんだろうと思うんです。

 この問題を長妻さんが、経緯を見ますと、おととしの十二月に、担当者にアンケート調査をとって、どんな問題があるか、こういうことを聞き取って、こういう問題がありますよというところ、これを気づいた、ここが判明した。私は、ここまでは長妻さんはよくやったと思うんですよ。さすがミスター年金だなと。どういう問題であるかということをあぶり出すという意味では評価しているんですよ。

 ただ、その後やったことというのは非常に解せないというか、今まで厚生労働省ってこんないいかげんなことをやってきた省かなと。いや、いいかげんなところもあるんですが。しかし、事こういう部分に関しては、かた過ぎるぐらいかたかった省だったんですよ。

 何を言いたいかというと、国民の権利義務に非常にかかわるところ、しかも、お金がたくさん動く可能性があるところ、こういう問題を法律改正なしに運用だけでやっちゃうというようなことを安易にやるような省じゃなかったんです。ところが、これを運用でやっちゃった。

 これを決めたのが去年の三月であったという話なんですけれども、そもそもだれが、改めて聞きますけれども、だれが運用で今回の制度の改正をやろうというふうにお決めになられたんですか。だれが決めたんですか。

 大臣、経過がわかればお願いします。

細川国務大臣 これは、先ほど委員が言われましたアンケート調査によりまして、こういう問題があるという指摘がございましたので、全国的というか、社保庁の方で、この問題について不整合があるかどうかを調査いたしましたら相当数の数が出てまいりましたので、これをどうするかということを、当時の大臣の年金回復委員会、この実務で中心的になっていた人たちとそれから年金局の方とでいろいろと実務的に検討をして、大臣の方にその話をされて、そして大臣が年金記録回復委員会というところにそれを提起いたしまして、そこで異議なし、こういうふうになったようであります。そこで、その経過を見ますと、やはり当時の大臣のもとで決めた、こういうことになると思います。

田村(憲)委員 大臣が、長妻大臣が運用でやろうとお決めになったということでいいんですね。

大塚副大臣 結論から申し上げれば、大臣の監督のもとで、厚生労働省の担当部局が年金記録回復委員会の助言も受けて決定をしたということであります。

 それと、運用で決めたというふうに御表現をいただいているんですけれども、これは今後の議論をぜひ建設的に進めさせていただくためにも、一点だけ簡単に補足をさせていただきたいんですが、従来も運用三号と同じ扱いが現場で行われていたというその現実に直面して、しからば、これからどのように是正をしていけばいいのかということを、担当省として行政権限の範囲内で、一定のプロセスを経て決定したということであると認識しております。

田村(憲)委員 現場で運用三号と同じような扱いを今までしていたと副大臣はおっしゃられましたけれども、現場のだれの権限で、運用三号と同じ扱いということは、違うとわかっていても、それをそのまま記録を変えずに、要するに、記録訂正なしに運用したわけですね。これはだれの権限でそんなことを現場がやったんですか。

大塚副大臣 そこが、いや、これはぜひ与野党の先生方双方に聞いていただきたいんですが。結局、この第三号被保険者という記録の状態の方々が、実際は例えばある期間御本人は第一号であるという記録をお持ちの方々が、例えば五年前、六年前、そういう時期にも社会保険事務所の窓口に裁定請求に来たときに、社会保険庁の窓口の職員の方々が、あなたが三号被保険者の記録になっているこの部分は、配偶者の記録と突合すると本当は一号ですねということを確認して、間違いがあればそれを訂正していかなくてはいけなかったわけです。

 ところが、それが現実にはきっちり行われていなかったために、現に既に年金を受給していらっしゃる方々の中にも、三号の記録が一号に訂正されないまま、言ってみれば、現実の年金受給額よりも高い額で受給をされている方々がたくさんいらっしゃる蓋然性があるということであります。

田村(憲)委員 発言違いますよ、副大臣。あなた、現場で運用がなされていたと。違うじゃない。それは見過ごしがあったということでしょう。見過ごしがあったということと現場で運用していたというのは全然違いますよ。

 今、あなたが初めに言ったことは、現場で今回の三号と同じような運用がなされていたとおっしゃいましたから、それは、本来違うとわかっていても、現場で、いや、あなたは突合したら主婦と違いますね、サラリーマンの専業主婦じゃないですね、だんなさん、サラリーマンから変わっちゃいましたねと。そうわかっていても、いや、でもすぐにあなたが申請出さなかったから、また、我々がちゃんとそれに対して宣伝しなかったから、我々にも落ち度があるからこれは運用三号として認めてあげますよというのを、先ほど副大臣が言った言葉だと許したという話になるんですよ。今の話だったら、見過ごしていたという話でしょう。どちらなんですか。

大塚副大臣 結論から申し上げれば、見過ごしていたということであります。

 したがって、先ほど、私も正確に表現させていただいたつもりでありますが、改めて正確に申し上げますと、今回、こうしていろいろ御指摘をいただいている運用三号と事実上同じような扱いが、見過ごし等によって多数行われていたということであります。

田村(憲)委員 もちろん、その問題があることは我々だって認識をしておりますよ。要するに、見過ごしがあったからこういう問題が起こってきているということは。だから、それをどう解決しなきゃいけないかという問題は、確かに全体としてあるんです。我々野党にも責任があると思います。特に、我々は与党もやっていましたから。

 ただ、そういう大きな権利義務、国民の権利義務にかかわる問題を運用でやっちゃおうということを、つまり、ここで言うところの課長通知ですよ。きのう確認したら、日本年金機構に通知を出す場合には課長通知、もし理事長に通知を出した場合には局長通知だったかもわからない、こうおっしゃられました、厚生労働省の方が。しかし、どちらにしても通知なんですよ、これは。法律改正じゃないんですよ。

 こんなことを、なぜ今回、厚生労働省が決めたのか。だれが決めたのか。先ほど副大臣は、記録回復委員会で決めたことを厚生労働省の役人と相談して大臣が最終決定した、こういう話でしたが、そもそも記録回復委員会は、これは大臣の言うなれば諮問機関じゃないですか、大臣伺い定め、よくわかりませんけれども。大臣の諮問機関で決めたことを大臣が追認したんでしょう。ということは、長妻大臣が決定したということでいいんでしょう。

大塚副大臣 正確に表現申し上げますが、先ほど私は、記録回復委員会が決定したというふうには申し上げておりませんので、記録回復委員会の助言を受けてというふうに申し上げました。

 これも結論から申し上げれば、もちろん最終的な監督責任は大臣にありますので、当時の長妻大臣が決定をしたということであります。

 ただし、正確に時系列を申し上げますと、三月二十九日の省内の会議において最終的に今回のような原案が決まり、その同日の夕刻に開催された年金記録回復委員会にその原案について助言を求め、助言としては、こういう考え方もこの問題に対する対処の仕方としてあり得るだろうという趣旨の助言を受けて、最終的に方針が決定されたという経緯でございます。

田村(憲)委員 何か、大臣が決めたんじゃないみたいな、そういう言い方をされたいようですけれども、これは流れを見たら、どう考えても、大臣の諮問機関で一定の結論を出したことを追認して決定したわけだから、これは大臣が決めた以外には考えられない。そこがわからないから、この問題は、一体だれがこれを決定したんだと。非常に大きなことですよ。本来は法律改正でやらなきゃいけないようなことだと私は思いますよ。それを一大臣が、一大臣と言っては失礼だけれども、国会に諮らずに決めたというところに私は問題があると思っていますので、これは長妻前大臣を委員会の方に参考人としてお招きをしたいと思いますけれども、委員長、よろしくお願いします。

牧委員長 理事会において協議をしていただきたいと思います。

田村(憲)委員 つまり、年金記録回復委員会という閉ざされた密室で決めたというところに私は大問題があるんだと思うんですけれども、大臣、これは、密室の委員会でこれをお決めになったというふうな私の発言に対して何か反論はありますか。

細川国務大臣 密室というような表現をされましたけれども、しかし、この年金回復委員会というのは公開でございまして、公開の場で委員の皆さんが議論をされる、こういうふうに聞いておりますから、これは密室ではないというふうに私は思います。

田村(憲)委員 密室じゃないということは国民の皆さんがわかっている、そういう話ですね、開かれたところでやったと。

 大臣、あなたはいつ、こういう事実があったとお知りになられたんですか。いつ、課長通知で、運用でこういうような行為がなされたということをあなたは知ったんですか。

細川国務大臣 私自身は、昨日の予算委員会の方でもお答えをいたしましたけれども、私がこの運用三号のことについて事務方から説明を受けたのは、ことしになって一月の末ごろ、下旬だと思います。

田村(憲)委員 大臣、先ほども密室じゃないとおっしゃられた。この委員会、三月の二十九日ですよ、去年の。この三月二十九日の年金記録回復委員会で決定したわけですよ。これを密室じゃなくて公開されている、これは開かれた議論の中でやったのだと。にもかかわらず、その一番のトップ、いや、そのときもナンバーツーだったんだ、あなたは副大臣として。そのあなたがずっと一年近く知らなくて、ことしの一月の末にやっと役所の役人から話を聞いてわかったと。これは密室じゃないですか。あなたがわからなかったことが国民がわかるはずないでしょう。違いますか。密室でやったと認めてくださいよ。

細川国務大臣 田村委員から質問のありましたのは、年金回復委員会で密室で行われたからこれはみんなわからなかったのではないかという趣旨で聞かれたと思ったから、私は、年金回復委員会は公開をされていましたよ、こういう答弁をしたわけでございます。

 それは、私は、こういう問題については国民的な論議もしなければいけないと思いましたし、また、私としては、この問題については国会の皆さんにも御議論もいただかなければならない、こういうことも考えまして、法的な改正も視野に入れまして抜本的な改革をしていく、こういうことを今申し上げているところでございます。

田村(憲)委員 手をたたいている場合じゃないんですよね。内山政務官、苦笑いされていますけれども、これだけ国民の皆さんの、先ほども言いました権利義務、大変な金額が動く話なんですよ。これを、ちょっと公開されていたからもう国民の皆さんには開かれた、そういう話だったんだとは私は言えないと思うんです。

 確かに、何とか見ようと思えば公開で見られたかもわからない。しかし、本来はもっと国民的な議論がなされて初めて改正されるような大きな課題なんですよ。ましてや、大臣さえ、当時副大臣の大臣さえわからなかったようなこと、そんなことが国民的に開かれた場で議論をされたとは絶対言えない。

 ですから、胸を張ってこれは密室じゃなかったんだとおっしゃれませんよ。もうほぼ密室に近かった。つまり、隠して、できればこのまま進んでいければいいというふうに思ってやった、そんな可能性が私は強いと思うんですよ。だから私は言っているんですよ。

 内山政務官、きょうお越しいただきまして、ありがとうございます。

 政務官が、総務省の年金業務監視委員会の中で、これは二月十六日の委員会において、運用三号は、法治国家の建前から見ても法令違反であり、年金記録を正さないという不作為になるのではないか、きちんと法律改正すべきではないか、こういうことをおっしゃられたというふうに伝わっているんですけれども、これで正しいのか、そして今もそのように思っておられるのか、さらに言えば、厚生労働省、この運用三号でやったことに対してどのような評価をされておられるのか、お聞かせください。

内山大臣政務官 田村委員に質問をいただきまして、ありがとうございます。古巣のこの厚生労働委員会で答弁できますこと、大変感無量でございます。感激に浸っておりますと時間がなくなりますので、早速お答えをしたいと思います。

 まず、私自身、この運用三号というのを知りましたのが一月中でございます。多くの現役の社会保険労務士の皆様から、何かとんでもない仕組みができたぞということで、調べてみますと、年金業務監視委員会が、私が実は担当させていただいておりますので、早速この委員会で議論を、厚生労働省、そして年金機構の担当者からヒアリングをさせていただきました。

 二月十六日、委員がおっしゃったとおり、運用三号の取り扱いは、現場で確認を怠った行政の怠慢を隠す行為ではないか、組織ぐるみの社会保険庁のミスである、だから、この運用三号というのは非常にやはりおかしいということは申し上げた次第でございます。

 さらに、二月の二十八日に、これはもうこのままでは、救わなければなりませんので、対案というのもやはり平成の特例納付をやるべきじゃないかということも一緒に申し上げております。そして、委員会ですから、自由活発な議論という場で、いろいろな各委員からの意見をいただきました。

 いまだかつて私もよくわからないのは、年金記録回復委員会には年金業務にすぐれた委員の皆さんがたくさんいらっしゃるわけですね。そういう委員がいらっしゃる中でなぜこのような結論に達したのかというのが非常に私、今でも疑問に思っているところでありまして、ここは、きょう年金記録回復委員会も行われるようでありますし、また、年金業務監視委員会から意見もこれから出されるという予定になっておりますので、さらにこの辺を詰めて、よりよいものにしていかなければならないと思います。

 それから、余談ですけれども、私も現場で年金裁定請求書を恐らくもう数千枚つくっています。このときに、必ず請求者と配偶者の記録というのを突合するんですね。そのとき、一号の配偶者に三号の配偶者がいるということはその場ですぐわかるんですよ。ですから、なぜそんな既裁定受給者が三号の間違った期間で年金を受給しているのかというのは、非常に疑問に思っているところであります。

 そういったところも含めて、さらに議論を深め、回復するべきところはさかのぼって回復をするべきだろうと思います。

田村(憲)委員 私は、今の政府の中にもこういう良心的な方がおられるということを非常にうれしく思います。

 この年金業務監視委員会というのは、ちょうど私が総務省の副大臣をやっているときにつくるのにかかわった、そういう機関でありますから、そういう意味では、真っ当な御意見が出て、そして、今回のこの運用、これを正そうというような方向に動いてきているということは評価をいたしますが、結局、今内山政務官がおっしゃられたとおり、本来これはやっちゃいけないことを厚生労働省は決定した。

 しかも、それを、副大臣であられた今の大臣、細川大臣が聞かされていなかったということも問題ですけれども、しかし、当時の大臣が決定し、ほかの政務官、それから副大臣も知っておられたわけですね。知っておられてこれは動いたわけですから。当時担当じゃなかったという大臣のお言葉が委員会でもありましたので、私は知らなかったというような話なんですけれども、その時点でも問題なんですけれども、大臣がかわった後あなたが知らなかったということもまた問題なんですよ。

 だって、十二月の十五日に、通知で各現場にこれが伝わっていったわけですよね。それで、結果的に、その前の十四日に年金記録回復委員会があったはずですよ。ここで大臣は出席をされておられるというふうにお聞きをいたしているんですけれども、この会議で、本来ならば、この議題、いよいよ通知しますよということが話し合いがなされたはずだと思いますのに、そこに大臣は出席されていたにもかかわらず、なぜこれを知らなかったんですか。

細川国務大臣 その十二月十四日の年金回復委員会には私は出席をいたしました。

 ただ、出席したのは、冒頭の私のあいさつをいたしまして、すぐに退出をいたしました。したがって、本来ならば、その年金回復委員会で議論をされるということについてのいろいろな議題について、私のところに事前の説明が事務方からあるべきであったというふうに思いますけれども、そのときには、議題そのものには入っていたんですけれども、大きな議題は紙台帳とコンピューター記録の突合の開始があって、そこでサンプル調査も出た、そのことが議題だということを口頭で私の秘書官から受けておりまして、きょうはそういう大きな議題があるなということで、そこで行きまして、私としては冒頭にあいさつをして退出をいたしまして、したがって、そのときは本当にこのことについては知らなかったということでございます。

田村(憲)委員 普通は、こういう会議は事前に担当が説明に来て、こういう議題で会議をします、大臣、冒頭、あいさつをしてください、時間があったら出席してくださいという話だと思いますよ。お忙しかったのはわかる。だから、冒頭であいさつだけで抜けられたのもわかる。しかし、何か今の話だと、これはちっちゃい話で、大きい方が年金記録の突合の話ですか、そちらの話であったと。全くおかしいですよね。こちらの方が大きいぐらいの話ですよ。

 これはやはり大臣、政治主導といいながら、全くもって、あいさつだけするんであって中身の議事は関係ないから私は中身を知らなくてもいいんだというような、そんな姿勢が見えて仕方がないんですよ。あなた方が言われた政治主導というのは一体何だったんですか。ここが最後のチャンスだったんですよね。もし、ここの事前説明で大臣がこれはまずいぞと初めて知って、やるべきでないとお決めになられればとまったかもわからない。それをあなたはみずから放棄してしまったんです。

 この会議に出ているというのは、たとえあいさつだけだったにしても非常に重い話ですよ。あなた自身が本来知らなければいけなかった事実を、ここでみずから耳をふさいで聞かなかったのと同じなんです。責任、どう感じるんですか。

細川国務大臣 確かにそのときに説明を受けて内容について私が熟知したならば、そこで私も当然、これはもう一度考えなければ、こういうことを当時考えたんだろうというふうに思います。私がことしの一月の下旬になって事務方から説明を受けたときに、私もだからその事務方について相当強い口調で、なぜこれを私のところに説明しなかったんだということで叱責もいたしたところでございます。

 そういう事実関係でございまして、それは委員が言われるように、十四日の年金記録回復委員会の場で私がしっかりそのことを知っておくべきだった、それはもう、今となっては当然そう思っております。

田村(憲)委員 もしそのときに知っていれば、課長通知を出さずにこの運用をとめておられたということでいいんですか、今の話は。

細川国務大臣 私が事務方から最初にこの問題について説明を受けましたときに、先ほど言いましたように、こんな大事なことをなぜ説明しなかったのか、こういうことと、もう一つは、もう既にずっとやっているということで、これはすぐにストップできないか、とめられないのか、こういうこともお話もしたりいたしまして、最初に私がこの問題について知ったときにそういうことを思いましたので、十四日の回復委員会で、その場で私が知ったということ、あるいは、事前にその会議の内容を聞いていたならば私なりの考えをそこで話をしたというふうに思っております。

田村(憲)委員 その後の大臣の御行動が、もしそこで知っておれば当然それをとめて留保したというような流れになるんだろうというふうなお話だと今受けとめをさせていただきましたが、大臣、一月の末にこれを知られて、その後留保されるまでの間、時間がかなりかかっているんです。しかも、これは衆議院の予算委員会で、当時、鴨下委員でしたか、総務大臣と大臣の間で意見のそごが生じて、どうするんですか、どうするんですかという中において、これを留保いたします、こういう発言なんですよ。

 だから、あなたが、一月三十何日か知りませんよ、一月末と先ほどお話がありましたけれども、知った時点でとめたわけじゃないんですよ。予算委員会でつつかれて、まあ異例ですよね、委員会の中で留保しますと。普通は、それからずっと検討してきていて留保しますというのはわかりますけれども、委員会の中であらをつつかれて留保しますというような話だったので、非常に異例なんですけれども、私は疑わしく感じて仕方がないですね、今の大臣の御発言を。

 そして、もう一方で、その委員会の中で大臣が留保しますと言ったものだから、余計に変な政治主導で混乱が生じた。それはなぜか。先般の参議院の予算委員会からの発言で、それが幾つかわかってまいりました。

 一つは、そもそも一月から手続が始まったという話だったんですが、十二月十五日に通知してから既にもう手続に入っている人たちがいるかもわからない、こういう大臣の発言がありましたよね。それからもう一点は、留保するという話の中において、年金の支給、つまり新たに裁定をして年金記録を確定した、この方々に対しては、新たに裁定した人に対しては支給しない、これも留保する、こういう話であった。ところが、三月の十五日に年金を支給される方々が出てくるということもわかってまいりました。

 そこで、お聞きしますけれども、まずは、何人が記録訂正の申し出をしてきており、何人が裁定をされ、そのうち何人が三月十五日に年金を支給される予定なんですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 運用三号の適用を申し出られた方、この方の数、一月三十日までの受け付けということで把握をいたしております。受け付け数二千三百三十一人でございます。そのうち既に裁定が終わっておられる方が九百四十二人、そのうち三月随時払いでお支払いをさせていただく方が四百九十三人でございます。

田村(憲)委員 大臣、なぜ、留保すると言っておられて、四百九十三人に三月十五日、間違った記録のまま年金を支給されるんですか。

細川国務大臣 その裁定をしたときには、運用三号、これを適用して決めたわけでありまして、行政手続的には、これは法にのっとった形でいっている、こういうことでございます。したがって、裁定者は受給権者となるわけでございます。

 したがって、まずはそういう、年金をもらえる受給権者であるということと、もう一つは、三月十五日というか三月の随時払いについて、二十四日でその年金の支払いをストップ、こういうことを私の方から言いましたら、既にもう裁定者については処理をしている、ほかの皆と一緒に随時払いの方の手続に入っているので、その裁定者だけ抜きにして支払いをとめるということは不可能だ、こういうことでございましたから、やむなく、それでは支払う、こういうことにしたところでございます。

田村(憲)委員 石井さん、これは手作業でも無理ですか、四百九十三人。手作業でもできないという話ですか。今、大臣は、何か技術的にできないというお話のように承りましたけれども、手作業でも絶対不可能ですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣が留保の決定をなさいました日付、二月二十四日でございます。日本年金機構におきましては、もうこの二月二十四日までに三月随時支払いのデータのテープを完成させておりました。これは、先ほど大臣から御答弁がありましたように、今回の運用三号の適用対象者の方、それからそれ以外の大勢の方、それらの方が一体となった支払いデータでございます。これを適用対象者の方だけ抜き出して、再度、支払いのデータをつくり直すということが難しかった。まず、この点を申し上げたいと思います。

 それから、手作業でというお尋ねがございました。これは年金、国庫金の支払いでございますので、例えば、ゆうちょ銀行さんにおかれましては手作業での支払いは仕組み上できないといったような制約もございますので、手作業による検討というのも難しいという判断をいたした次第でございます。

田村(憲)委員 本当に不可能だったか。本当にやるつもりなら、私はできたと思いますよ。

 私は内山政務官に、これは質問じゃないので通告していないので申しわけないんですけれども、お聞きをしたいんですけれども、本来ならばこれは裁定のときに、今まで、運用三号が発動されるまで、要は、裁定のときに気づいて訂正をされる案件ですよね、今回、気づかなかったわけじゃないんですから。

 それで、まずいということがわかっていたとして、もう国民の、要するに年金というものが裁定されて、それでその人に権利が生まれたからのような発言が今大臣にありましたけれども、実際、裁定をして、まずいということは気づいているわけですよ。これを今訂正せずに、もう既裁定者と同じようにお金を払っちゃう、つまり受給者と同じようにお金を払っちゃうという行為が正当だというふうに今内山政務官はお感じになられますか。

内山大臣政務官 今までも、どのくらいの方が間違って、本来、一号の未納であった期間として払われているか、これがわからないんですね。秋ごろにコンピューターのすり合わせをして出てくるということですから、それも含めて今回、銀行口座の振り込みのデータが物理的に間に合わないケースもたくさんありますから、これも含めてお返しをいただくということになるんだろうと思います。

 それからもう一点、先ほど、追加なんですけれども、厚労省と総務省の意見が違うということではなくて、総務省は年金業務監視委員会というものを持ってチェックをしておりますので、チェック機能が正しく働いた、自浄作用が働いたというふうに御理解をぜひいただきたいなと思います。

田村(憲)委員 今、内山政務官からいい提案がありましたよ。だれが間違っているかというのはわかっているわけですから、どうしても支給が、システム的に間に合わない、とめることができないというのならば、通知を送っていただいて、それこそ郵送で送っていただいて、これぐらいは間違って送りますので返していただきたいということで後から返還をいただくということ、今多分、内山政務官はそれを言われたんだと思うんですが、この内山政務官の提案というものを重く受けとめていただきたいと思うんですが、大臣、どうぞ。

細川国務大臣 私どもも、この随時払いでやむなく支払うというその当人に対しては、今回はそういう支払いをするけれども、しかし、私どもが考えております抜本的な対策が決定して、その方策が決まった場合に年金額が減額をされる場合もあり得るということの通知は、私どもの方でもするというふうなことを考えております。

田村(憲)委員 いや、減額をするんじゃなくて留保をするとおっしゃられたんですよ、大臣は。三月の十五日には払わないとおっしゃられたんですよ、予算委員会で。それがどうしても間に合わずに支払われるのならば、その方々からは、その分だけは、本来、記録訂正したその金額まではお返しをいただくというのが当たり前じゃないですか。

 その後、法律が通って、まあ認められることはないと思いますけれども、認められればまた、その返していただいたのをお戻しになられればいい話であって、とりあえずは留保されると言われたんだから、それがどうしてもシステムで間に合わなくて支払われるとすれば、それをお返しいただくのが当たり前じゃないですか。

大塚副大臣 この点も重要な点ですので、ぜひ正確に説明をさせていただきたいんですが、今、田村委員が御指摘になった点は、二月二十四日、大臣が、即日、国会での御指摘を受けて決定をされた内容の中に、既に裁定を受けた方々に対する支払いも留保するという表現があったわけであります。この留保ということについては、大臣が再三答弁をさせていただいておりますが、国権の最高機関で御指摘をいただいたことでもあり、まず立ちどまって考えさせていただきたいという意味であります。

 その上で、私どもは、既に裁定をされた方々の法的位置づけを考えると、これはもう受給権が確定をしているわけでございますので、これを今直ちに減額が当然であるということを申し述べ得る立場には我々はありません。この運用三号の取り決めそのものも本来は国会でやるべきだったのではないかと、今まさしくその御指摘をいただいているわけでありますので、既裁定者については、これはその方々に法的に受給権が確立をしているわけでありますので、仮に、この運用三号が当不当の観点から不当であるという最終的な検討結果になって、遡及してこれを減額返還していただくかどうかということも、これは国会で与野党の皆様方の御意見も聞いて最終的に決定をさせていただくことだと思います。

 今大臣が御答弁させていただきましたとおり、そういうこともあり得るという通知は、暫定払い、随時払いの方々にさせていただくという予定で今事務作業を進めさせていただいております。

田村(憲)委員 今、副大臣がおっしゃったぐらいに、これは本当に大きな問題なんですよ。運用三号という運用でやったこと自体、どういう問題が起こるか。

 今まで、もう既に年金の受給者で、事実上、運用三号の方々、これは御本人も申告をされなかったという問題もある。しかし、現場の、昔の社会保険庁ですね、ここも見過ごしちゃったという罪があるんですね。

 しかし、今回は、それをオーソライズしちゃうんですよ。つまり、現場で気づいているんですね。気づいているんですよ。あなた方は本来は三号じゃないですよと気づいた人たちまで、いや、運用でこれは三号として認めます、こういう話になるんです。だから、オーソライズしちゃうという話になっちゃうんですよ、これは。

 だから、そういう人たちを、勝手に、法律も通さずに、皆さんの裁量でつくっちゃうという問題。そして、三月十五日に少なくとも支給されるということは、それはその人たちが完全に今の受給者と同じ立場に立っちゃうという問題、こういうのを発生させているんですよ。だから、その責任を、法律を介さずにこういうことをやったという責任を、やはり重く受けとめていただかなきゃならぬというふうに思います。

 私は、なぜこんなことをしたのか、いまだにわからないんです。百万人ぐらいで、百万人なのか百万件なのかよくわからないんですが、調査である一定時期をぱっと切ったらこういう方々がおられるということがわかったと。しかし、百万人といったって、最後はどこまでになるかわかりませんよね。最後裁定して、これはかなり減るわけですから。

 そこでお聞きしますけれども、百万人のうち、受給者はどれぐらいおられるんですか。百万人のうちの受給者。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の約百万件という数字、これは、平成二十一年度に、当時の社会保険庁が、社会保険庁の保有しておるコンピューターの中のデータを使いまして、第三号被保険者の方の三号期間と、その配偶者でいらっしゃる方の二号被保険者期間、これについて整合性に欠ける、そごがある方、そういう方の件数を調査した結果でございます。

 その調査の過程では、そのうち受給権者の方が何人かという把握はいたしておりませんので、現状では、御質問にはお答えできる数字がございません。

田村(憲)委員 百万件、百万人、どっちですか。

石井政府参考人 ある一時点での調査ということで申し上げておりますので、約百万件ということで申し上げたいと思います。

田村(憲)委員 百万件が何万人かというのは、かなり近い数字なのか、さっぱりわからないのか。つまり、百万件が百万人に近いのか、それとも、そうじゃなくてかなり違いがあるのかというのは、どうなんですか。

石井政府参考人 おおむね近いというふうに理解をしております。

田村(憲)委員 きのう、ちょっとお聞きしたら、正確な話ではないんだろうけれども、二十万人ぐらいが受給者じゃないのかなというようなお話をお聞きしましたよ。

 私は何でこんな質問をするかというと、これから裁定を、残りの八十万人と仮定すれば、その方からされていくわけです。最終的に記録が不整合なまま残る方々は、八十万人のうちの何人かに、何万人か、何十万人か、余り何十万人もいては困るんですけれども、なるわけですよね。その間の方々は、裁定をされるから、ちゃんとした記録になる。

 問題は、そのときに裁定された方々が、要はたくさん未納期間が発生すると、これは年金をもらえなくなる可能性がありますよね。すると、その方々の老後の生活に大変だというような、そういう問題意識があったから今回のようなことを運用でなされたのかということを実はお聞きをしたいんですけれども、そういう理由なんですか。

大塚副大臣 三月二十九日に至る議論の過程、私もつぶさに報告を受けました。今、田村議員が御指摘になった点も考慮すべき点として検討されたというふうに理解しております。

田村(憲)委員 ならば、もうちょっと記録を確認して、今言ったような、裁定によって減額といいますか、本来の記録に戻って、年金の言うなれば未納期間、それによって受給する年金額、これが少なくなる方々、かなり少なくなるという話でしょうね。例えば、三カ月や四カ月ぐらいの話ならば許容範囲かもわかりません。五年も十年もという話なら、致命的な老後の生活に対しての年金の受給額になるかもわからない。そこまでちゃんと調査をされた上で、その上でどういう対応をすべきかということを立ちどまって考えるべきだったんじゃないのか。

 じゃないと、余りにも、今までさんざんぱらそういうことは起こっているわけですよ。その方々の救済策が、本来ならばまず第一であったんじゃないんですか。これからの人たちは、これから裁定していくわけですから、まだ年金の受給に結びつく方々は随時は来ますけれども、百万人というのは、すべて出てくるわけじゃないわけですね。

 今まで既に起こった方々で、低年金の方々、無年金の方々がおられるわけですよ。そちらへの対応がまず第一であって、第二義的にこちらの話だったんじゃないんですかという話を私はさせていただきたいんですけれども、そちらも含めて、では、この議論に入っていけば当然今までの、低年金はどうするんだという議論になってくるわけなんですけれども、そこを含めて今、厚生労働省、どうお考えですか、大臣。

細川国務大臣 だから、委員が今言われたようなことを過去にさかのぼって訂正すれば、当然、低年金そしてまた無年金になるような方も出てこられる、そういうことも配慮して、運用で今回のようなことを決めたんだろうというふうに思います。

 しかし、それは委員が言われるように、低年金あるいは無年金ということを避けるためにどうしたらいいのか、こういう点も、これはもう十分考えなければいけないというふうに思いますので、それは、これから私どもが考えていく法的な改正も視野に入れて、抜本的な解決をするときにはそういうことも考慮もしなければというふうには思っております。

 しかし、この問題は本当に難しくて、公正ということを考えて、あくまでも正しい記録に基づいて年金額を決めていく、あるいは引き続き年金額を決めていく、あるいは減額していくとかいう、その公正さの問題。それから一方で、自分は三号被保険者ということを、社保庁からもそれが真実のように扱われてきたということを信じていた人たちも、そういうことをどのようにして保護するかという観点、どちらも大変重要なことでありまして、これから抜本的な解決に向けて、その二つの観点を考慮しながらいろいろと決めていく、こういうことになると思います。

田村(憲)委員 もう時間ですからやめますけれども、本年の秋に一斉抽出を行って、この記録の一斉訂正みたいな話がありますが、この被保険者、つまり、だんなさんがサラリーマンをやめた方々はある程度わかってくるんだと思うんですけれどもね。百三十万という奥さんの所得の問題というのは、これはそう簡単じゃないんです。

 ですから、あなた方が、我々が与党であなた方が野党のときに、年金問題、何か一刀両断に、自分たちが政権を握ったらきれいさっぱりできますよというような雰囲気でいろいろなことをおっしゃられましたけれども、本当に難しい問題を、まあ、技術の進歩とともにいろいろなものが解決できるようになってきていますけれども、歴史の中ではいろいろな難しい問題を抱えながら走ってきておるという認識を持っていただいて、とにかく早く問題点を解決して、この運用三号のような問題がなくなるようにこれからも努力していただきたいということをお願いして、私の質問は終了いたします。

牧委員長 次に、坂口力君。

坂口(力)委員 細川大臣、お疲れさまでございます。

 また年金の問題をここで聞かなきゃならないというのはまことにつらい話でございまして、厚生労働大臣というのは、次から次と問題が起こってきて、なかなか休む暇もない、責められることばかり、本当にお気の毒だと私も率直に思っております。

 先に断りを言うておかなきゃならないんですが、きのう、きょう質問ということをお聞きしまして、きのう一日スケジュールがあったものですから、ゆうべ帰りましてから質問をつくったものですから、皆さんの方にこの質問の通告をするのがけさになってしまった。ちゃんと大臣のところに届いているかどうかもよくわからないような状況でありまして、まずおわびを申し上げておきたいというふうに思います。

 私、四十分いただいているんですけれども、したがいまして、問題は二つしかありません。四十分もつかどうかわからないので、早く終わりましたらもう早く終わらせていただきますので、お許しをいただきたいというふうに思います。

 それで、今も田村議員からお話がございましたが、いわゆる運用三号について私もお聞きをしなきゃいけないだろうというふうに思います。予算委員会やら、あるいはまたこの委員会でも今も出ましたし、もういろいろの角度からお話が出ていますから、お話は出尽くしているというふうに思います。思いますが、一、二だけ、ひとつ御確認をさせていただきたいことがございますので、させていただきたいというふうに思います。

 一つは、大臣が交代されますときに、厚生労働大臣事務手続書というのがございますね。前の大臣から分厚いのをもらって、そして署名するという儀式がございまして、その厚いのをもらって、ちゃんとそれはお読みになったかどうかはわからぬし、私も全部読んだ記憶があるとは言い切れないわけでありますけれども、でも、大事なところは、各局が来まして、今こういう問題があります、ああいう問題がありますということを各局がいろいろと教えてくれまして、一週間ぐらい聞き続けた記憶がございます。それはもう幅広いですから、聞いても右から左へ抜けていくような気もしますけれども、たくさんのことを聞いた記憶があります。

 それで、この事務手続書の中にこの年金の運用三号の問題が書いてあったかどうかです。後ろを見ておみえになるところを見ると、余りお読みになっていないんだろうと思いますけれども、これだけ重要な問題でありますから、きちっと書いてあったかどうかです。書いてなかったとしたら、年金の長妻と言われた長妻前大臣はもってのほかだと思うんです。しかし、もしちゃんと書いてあったとしたら、大臣が私は知りませんでしたと言うのは通用しなくなる。

 だから、これはなかなか大事な話で、全部それをごらんになったかどうかは別にして、引き継ぎ書としてもらった以上は、それはもらったということですから、大臣がそれをごらんになるという前提の上でもらわれたわけでありますから、そこをひとつ、大事なところですのでお聞きをしたい。御答弁いただけますか。

細川国務大臣 先生言われるように、あの引き継ぎというのは量がたくさんありまして、私としては、どうだったかとちょっと記憶はありませんけれども、今御指摘されましたから、確認をしてお答えをしたいというふうに思います。

坂口(力)委員 けさ出すのが遅かったということもありますが、これは多分、厚生労働省にその引き継ぎ書なるものは置かれているんだろうというふうに思いますから、大臣がごらんにならなくても、厚生労働省のお役人がぱっと行って、そして、この運用三号のことを書いてあるかどうかというのはすぐにわかる話でありますから、これは、私の答弁をしておる最中にひとつぜひその御答弁をお願いしたい、こう思います。ひとつお役人に、早く調べてこちらへ知らせということを言っていただきたいと思います。

細川国務大臣 まことに申しわけありません。今調べさせて、報告を受けてからまた御報告します。

坂口(力)委員 この問題がこれで終わりますと、さらに僕の時間は短くなってしまうんですが。

 もう一つ、皆さん方のお手元に一枚配らせていただきました文書がございます。これは、厚生労働省からいただきました文書の一部を抜粋したものでございます。

 ちょっと上の方、活字が切れまして読みにくくなっておりますが、内容を読ませていただきますと、「現実の問題として、国民の生活実態と整合しない年金記録が多数存在する。そのような場合に、両者を完全に一致させるべく徹底的に整合性を追求することも一つの対処方法であるが、他方、そのような不整合が生じたことについて行政側の責任がある場合には、あえて国民に大きな負担を強いることなく、これまでの届出の結果を尊重し、整合性の追求を一定範囲にとどめることも一つの対処方法である。これは年金制度を運用していく上での裁量の範囲で許されるものであり、通知により今回の対応を行うこととしたもの。」こういう文章がいただいたものにございました。

 これはなかなか難しい文章でありまして、今まさしく大学の試験が行われておりますけれども、試験に出したら答弁に困るような難しい文章でございます。

 それで、これを一読させていただいただけでは私はなかなか理解ができなくて、二回、三回と読み直しをいたしました。読み直しをいたしました結果、真ん中辺に「他方、そのような不整合が生じたことについて行政側の責任がある場合には、」というのがあって、その下に「これまでの届出の結果を尊重し、整合性の追求を一定範囲にとどめることも一つの対処方法である。」

 そうしますと、今回、一定範囲にとどめられたわけですね、今回の結論は、厚労省として。それは、行政側の責任があるというふうに認められた結果、そういうふうになったと理解させていただいてよろしゅうございますか。

大塚副大臣 大変重要な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 まさしく行政側の責任とは何であるのかということがポイントになるんですが、一点は、先ほど田村議員の御質問の中でお答えしました、現場においてきっちりすり合わせをしていたかどうか、その記録の突合ですね、この問題があります。

 もう一つは、実は、平成十九年、二十年に、ねんきん特別便という形で、国民の皆さんに社会保険庁、厚生労働省から記録をお届けしているわけですね。あなたの記録はこれでよろしいですかということを平成十九年、二十年にお届けしているわけです。

 ところが、そのときの記録は、本来は一号の方でも、不整合なまま三号の記録として行政側が国民の皆さんにお届けをしているわけであります。そうすると、受け取った被保険者の方々は、厚生労働省、社会保険庁から送ってきた記録にこう書いてあるから私はそうなんだろうなと思って、その記録をそのまま信頼している、あるいは、信頼をするのは当然のことだと思います。

 したがって、平成十九年、二十年のねんきん特別便の中においても不整合な記録が行政側から届けられたということも行政側の責任の一つであるというふうに考えております。

坂口(力)委員 ねんきん特別便というのは、私も送られてきました。それは、これで合っていますかどうですかということを問うているわけですね。だから、それは、違っていたら、いや、これは私は違いますということを言うためのものなんです。

 だから、いわゆる特別便を出したから、そこにこれでよろしいかというふうに書いた、国側の当時社会保険庁が書いた文書がそう書いてあったからといって、受け取った人はこのとおりだというふうにすぐには思わないんですね。皆が疑いの目を持って見ておるわけです。あの当時のことですから、違っている、違っているということが言われておるときですから、みんな疑いの目を持って見ている。

 ですから、あれを出したということが行政側の責任であるというふうに言い切るのはどうかと私は思いますが。(発言する者あり)

大塚副大臣 大変大切な点でありますので、きっちりお答えをさせていただきたいと思います。

 今、何人かの委員の方々から、それは届け出の正しいか間違っているかを御自身に確認をしてくださいという通知なのでというお声が聞こえました。それはそのとおりだと思います。

 難しいのは、国民の皆さんが全員この年金制度についてお詳しいわけじゃないものですから、専業主婦の方が、例えば、配偶者の方がたまたま二年間ぐらい失業期間があった、その失業期間は、本来その方は、奥様は三号から一号に届け出を変えなきゃいけないんですが、そのことを御存じないまま、たまたま二年後にまた配偶者が再就職をすると、配偶者は二号になって、御本人は三号でいいわけですね。

 そうすると、この二年間、制度をよく御存じであれば、送られてきた特別便を見て、私、この期間は自分の配偶者が失業していたのにどうして三号になっているのかしら、これは一号のはずだわというふうに気がつくんですけれども、そういう制度も御存じない方々は、気がつかないまま行政から送られてきた記録を正しいものとして認識をしてしまっている蓋然性が高いというわけであります。

 だから、もちろん、中には制度をよく御存じの方が、私はこの期間は三号じゃない、でも三号のままの方がいいかなという御判断で行政側に修正を申し出なかった方々もいらっしゃるかもしれません。しかし、一体だれがそういうことであったのかということは、今となってはお一人お一人に確認するすべもなかなかないということは、これは与野党関係なく、先生方に客観的な事実として御理解をいただきたいというふうに思います。

坂口(力)委員 それは、いわゆる便をこちらから出す場合に、出す方も、もう御主人がやめておみえになるのに三号になっているということが一見してわかるものもありますね、御夫婦のを出すんですから。それらは具体的に、これは間違っているなとかなんとかということもチェックすることなしに、今まで書いてあったものをそのまま出しておる、こういうことになるんでしょうかね。副大臣にここを責めても仕方がないかもわかりませんけれども、そういうことですよ、今言っておみえになるのは。

 もうこれは余り、何遍かやったって意味がありませんので。

 それで、ここは、一応これは行政側の責任を認めた。一応認めたから、整合性の追求を一定範囲にとどめるということにしたわけですね。そこはそれでよろしいですね。間違っていたら間違っていると、簡単に。

大塚副大臣 昨年三月二十九日に至る議論を調査した限りにおいては、行政側にも一定の責任があるということを認めた上での今回の決定だったというふうに認識しております。

坂口(力)委員 今回の場合は、消えた年金と違いまして、御主人が会社を変わられた、あるいはまた、自分がアルバイトをしてたくさん取っていた、取らなくなった、そうしたことがあったときに、年金をきちっと届け直しをしなければならないんですけれども、それは届け出を忘れたわけですね。忘れた年金ですよ。消えた年金じゃなくて、これは忘れた年金です。

 そうすると、この忘れた年金を行政側の責任というふうに認めるのであれば、消えた年金は行政側の責任として認めないんですか。消えた年金こそ行政側の責任であって、これは忘れたんですから、行政側の責任もあるかもわかりませんが、個人の責任もありますわね。そうでしょう。

 ここのところは行政側の責任というふうに認めて、消えた年金の方は、これはなかなか前へ進まないところがあるんですよ。各都道府県に委員会をつくってもらって、そしてそこで見てもらっていますけれども、けられて、なかなか受け付けない。本人の届け出、それは、いかにこうだったということを傍証もつけて届け出をしましても、なかなかうんと言ってもらえないことが多い。消えた年金の場合には、そういうケースがたくさん地域で起こっている。

 行政側の責任を認めるというんだったら、私は、この消えた年金こそ行政側の責任が大きかったと思うんですが、それだったら全部、みんな同じようにしなきゃならないし、そこはどう振り分けるんですか。行政側の責任というのは何を基準にして行政側の責任ということを決めておみえになるんですかということをお聞きしたい。

細川国務大臣 先生がおっしゃるように、この問題については、本来ならば届け出をしなければいけない当人のいわば責任でありますけれども、しかし、その本人が忘れていたのではないか、だからこれはむしろ本人の方にそういう責任があるのではないか、こういう御趣旨だと思いますが、ただしかし、忘れておられる人に対しては、あなたは一号被保険者として届け出をしなければいけないんですよというようなことを、本来社保庁の方からもしっかり本人に届け出の勧奨をすべきだったと私は思うんです。

 ところが、平成十年までは、本当に一般的に書類などで勧奨をしただけであって、御本人の方にそういうようなことをしていなかったということも、これはやはり社保庁として私は落ち度があったのではないかというふうに思っております。

 それから、平成十年から十七年ぐらいまでの間は、個別に勧奨をしたこともありましたけれども、勧奨のしっ放しというようなことです。

 そして、十七年からは、ここは届け出をするようにという勧奨をして、そして届け出をしなければ、一定期間の後これを強制的に一号に変える、こういうこともやっているわけなんですけれども、先ほど、忘れていた人も責任があるのではないかということに対しては、私は、社保庁の方も、しっかり届けるようにということで、法律どおりのやり方をやるべきであったのではないかというふうに思っております。

 それから、今、厚労省の方から連絡がございまして、先ほどの私の引き継ぎの件でございますけれども、前大臣からの私への引き継ぎ書の中にはこのいわゆる運用三号の件についてはなかった、存在しないということでございます。

坂口(力)委員 では、最初の問題を先に決着をつけたいというふうに思います。

 大臣おっしゃるように、それは丁寧にそういうふうにやっているにこしたことはないわけですよ。だけれども、今までそこまで丁寧にみんなやってこなかった。これだけの問題じゃないわけですね。それで、払った人もそれがまた違うところへ行ったりして、いわゆるちぎれちぎれになって、そして消えたといったふうに言われたりもした、そういうこともあるわけですね。これこそ、本当はちゃんとしてこなきゃいけなかった問題ですね。

 だけれども、年金というのが、それぞれの企業を中心にしてできたり、だんだんそれが合併されてきて一つにまとまってきたものですから、その過程においてはその辺のところがしっかりとしていなかった。ただ名前だけしか書いていなかった、住所も書いていなかったといったようなものもあったりしたというようなことでありますから、それはそのときそのときの時代的背景というものもありますので一概には言えませんが、大臣が今おっしゃるように、それはきちっとやっておくべきものであった。

 そういうことができていなかったからこれは行政側の責任というものを認める、こういうふうに言っていただく、それはそれで決断として私は結構なことだと思うんです。それだったら、先ほど申しましたように、消えた年金の方も、これは行政側の責任はもっと重かった。もっと重かった方は本人の届け出等はなかなか認められないという状況に置いておいて、ここだけを届け出を尊重して処理をしていくというふうにするのは、全体的に見て、少しそれは公平を欠くのではないかというふうに私は思います。

 それにひとつお答えをいただいて、あと、その書いてなかったという話に移りたいと思います。

細川国務大臣 その消えた記録の問題、実際は保険料を納めていたけれどもそれが本人の記録に載っていないというようなことについては、これは行政の責任でございますから、今、記録の回復に向けて最大の努力をいたしているところでございます。

 今やっておりますのは、大きいところでは、紙台帳とコンピューターの記録の突合をいたしておりまして、その突合によってどのような形で突合していないかということがわかりましたならば、それを回復させて、御本人に納めた年金どおりの年金が支払われるような、そういう作業も今やっております。

 年金記録、特に先生の言われる社保庁の、行政の責任によって、せっかく払った保険料が本人の基礎年金番号の記録の方に記録されていない、それは今一生懸命、それを回復するために努力もさせていただいているということも御理解いただきたいと思います。

坂口(力)委員 御努力されていることは敬意を表したいというふうに思いますが、行政側の責任、これは行政側の責任だ、責任でないんだという判断は一体何によって行うのか。それは行政マンが自分たちで行うべきことなのか。

 こういうときには行政側の責任として処理をすべきだというようなことはきちっと法律で定めておいて、そして、それに従って行政マンが動くというふうにするのが筋ではないかというふうに思いますけれども、その辺のところは、ここに書いてある文章は、裁量の範囲で許されるものだというふうに書いてある。そうしますと、これはもう、これから、法律をつくらずに、この辺のところは行政の裁量で行うべきことだ、これは行政の責任であるかどうかという判断は行政マンに決めさせると。

 どうしましても行政マンは、自分たちのやったことですから、それはできたら責任はないようにしたいとか、いろいろ、これはこの程度でおさめたいとか、それは思いますよ。行政マンの責任のあるなし、あるいはまた程度、そこのところはやはりきちっと決めておかないと、この年金制度というものをこれからやっていくために、非常にいろいろ弊害になってくるのではないか。これは一つ指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 さて、最初の問題に戻りますが、長妻大臣から引き継がれた引き継ぎ書の中にはこの問題は書いてなかった、これはやはり問題ですね。これだけ大きな問題を次の大臣に引き継ぐのに、引き継ぎ書に書いてないというのは、これは私は問題だと思いますね。

 細川大臣は言わなくてもみんなよく御存じだから書かなくてもいいというふうに思ったのかどうかは知りませんけれども、でも、大臣がよく御存じである、御存じでないは別にして、現在一番問題になっていること、これから先、それをさらに継ぎ足してやってもらわなければならないことは、あの中に書くんですよね。それがその中に書いてなかったというのは、ミスター年金と言われた人にしては甚だ落ち度があったということでしょうかね。

 だから、ここは、厚生労働省の中の引き継ぎ、次から次にかわるわけですから、継続しておる問題がたくさんあって、大事な問題がある。大事な問題はきちっと引き継ぎもし、そしてちゃんと言ってもらわないと、大臣もわからないですよね。ですから、そこのところはひとつこれから改革をしてもらいたい。

 大臣に何を報告するのか。全部報告されたらたまったものじゃないですね。多分、今、厚労省のお役人、数万人はお見えになると思います。私のときには国立病院がありましたから十万人だったんですけれども、国立病院はちょっと独法で横に抜きましたから、でもまだ数万人はお見えになるというふうに思います。だから、一々一々全部報告してもらったら、厚生労働大臣はパンクしてしまいますね。だけれども、大事な問題は大臣にきちっと報告をしてもらわなければならないし、ましてや、引き継ぐときにはちゃんとそれは書いておいてもらわないといけないと僕は思うんです。

 そうしますと、大臣としては、その引き継ぎ書をよく見られたかどうかは別にして、書いてなかった、そして、その後、各局からいろいろの現状の報告を受けられた、その現状の報告を受けられた中にもこの三号問題というのは含まれていなかった、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。

細川国務大臣 大臣に就任をいたしまして、各局からいろいろなレクチャーがございまして、当面の課題についていろいろとお聞きをいたしました。

 その中で、いわゆる運用三号の件については、事務方からの説明はございませんでした。

坂口(力)委員 それともう一つは、これは大臣にも今後のこととして正していただかなければならないわけでありますが、局長通達、課長通達、一体全体どれぐらいたくさんあるのかよくわかりません。だけれども、中には、この局長通達なんというのは、法律よりも地方は、それはもう真剣に考えて、守らなければならないものという、法律以上に考えているところがありますね。

 一例を挙げますと、かつて原爆被害者の中で、在外被爆者の皆さん方に対しては手当を出さないことになっていた。これは法律ではなくて局長通達だったわけですね。一片の局長通達で、この人たちはずっともらえずに来た。だけれども、それはおかしいと私は思いましたね。法律に書いていないんですから、そんなもの決まっていないんですから、それを局長通達だけでもらえないということになっているのはおかしい。

 その局長通達をひとつ直してほしいということを私は申しました。それで、これは変えてもらいました。そして、外国人被爆者にも手当が出るようにしてもらった。まだ十分とは言えませんけれども、でも、随分前進したというふうに思っています。

 この辺のところ、局長通達を出したら、その出した局長通達は、こういう通達を出しましたということがきちっと大臣のところに来るようにする、あるいは、課長の場合には局長がきちっと把握するということでしょうか。その辺のところもきちっと整理をしていただかないと、今回のようなことが起こってしまうという可能性がありますので、そこはひとつ大臣のもとで整理をしていただきたいというふうに思います。

 あと四分ぐらい残しておりますけれども、後の方は古屋さんですか。それでは、あとはもう古屋議員にゆだねまして、私の質問はこれだけにさせていただきます。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、予防接種の問題についてお伺いをしてまいりたいと思っております。

 先週でございますが、小児用肺炎球菌ワクチン及びHibワクチンを含む同時接種後の死亡事例が報告をされました。聞いておりますのは、昨日までに五例というふうには伺っておりますけれども、その経緯、そしてきょう、現時点までの厚生労働省の対応についてまずお伺いをしたいと思います。

大塚副大臣 今御下問の点につきましては、正確に申し上げますと、小児用肺炎球菌ワクチン及びHibワクチンを含むワクチンの同時接種が昨秋来始まっておりますが、その接種後の死亡例が三月二日から三月四日までに四例、厚生労働省に報告をされました。そして、昨日五例目が報告をされました。

 経緯としては以上でございますが、ワクチン接種と死亡例との因果関係については、報告医師によれば、いずれも現時点では評価不能または不明とされておりますものの、死亡事例が相次ぐという状況はこれまで見られなかったこと、また、治療薬とは異なり、接種を一時見合わせても直ちに健康上の問題とならないため、因果関係の評価を実施するまでの間、先週の金曜日付で念のため接種を一時的に見合わせ、きょうこの時点に至っております。

古屋(範)委員 昨日も西宮市長、また宝塚市長がいらっしゃいまして、大塚副大臣に安全性の確保について要望があったところでもございます。

 西宮市からは、こちらと宝塚におきましてはロット番号が同じであったということで、自治体の方で先にワクチンの使用を差し控えていたということでもございました。その要望の中にも、国において迅速に小児用肺炎球菌ワクチン及びHibワクチンの接種を一時的に見合わせることを決定してくださったという上で、その通知をしっかりとしたところである、今後、今回の予防接種後の死亡事例の詳細な検討を早急に実施していただき、今後の方針を速やかに決定していただけますようという要望が出されております。

 この事例、副大臣から御紹介がありましたけれども、小児用肺炎球菌ワクチンとHibを同時接種した、この例につきましては、基礎疾患が宝塚市の方の場合にはあった。また、西宮市の方は小児用肺炎球菌ワクチンとDPT、基礎疾患はなかった。それぞれなんですね。基礎疾患がある方あるいはない方ということで、Hibワクチンとの同時接種あるいはDPTとの接種、また、昨日の宮崎はHibワクチンプラスBCGというふうに伺っております。こうした、それぞれ接種の内容、また状況は違うようなんでありますけれども、米国で、Hibワクチンの方は約二十年前に接種を開始された、小児用肺炎球菌ワクチンの方は約十年前に開始をされたということでございます。

 これは、米国の医師会のJAMAという雑誌、二〇〇四年十月号にこのような報告がございます。

 肺炎球菌ワクチン、導入二年間で百十七例の死亡報告があった。この百十七例のうち、SIDS、乳幼児突然死症候群、これが五十一例であった。それから、ポシブルSIDSということで、SIDSの疑いがある、これが八例だった。足して五十九例。それから、四十四例は死因がわかっている。十三例は出生時の先天異常、それから二十二例は感染、八例はけいれんであったということで、中で、不明、アンノーンコーズ、これが十四例であったという報告がこの中にございます。

 こうしたワクチン接種後二年間の報告もございますが、日本よりも早く接種が始まった外国の検証例、あるいは、先ほど申しましたように、接種を受けて後の死亡報告の中には、基礎疾患があった方がいらっしゃる、また、なかった方がいらっしゃる。それから、同時接種という問題、Hibワクチンとの同時接種、あるいはDPTとの同時接種。こうしたことに関する厚生労働省としての御見解というものをお伺いしたいと思います。

岡本大臣政務官 今先生の方から御紹介がありました海外での報告というのは、現在、さらにないのかということについて調べさせています。今回、こういった事例が相次いでいること、その評価に資するように、いわゆる同時接種の安全性に関する情報についても収集をしなきゃいけないだろうと思っています。

 一般的には、基礎疾患を有する方に対するワクチン接種については、有用性が期待できる一方、安全性の確保においては慎重に接種の可否を判断しなければならないという面もありまして、本日、医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会の合同会議を専門家の会議として開催させていただいて、詳細に検討して、そして、今後の対応を含めて少し御議論をいただいていきたいなというふうには考えております。

 いずれにしましても、そういったさまざまな海外の情報というものを、またメーカーが把握している情報を含めてしっかり得て検討しなければいけないと考えています。

古屋(範)委員 岡本政務官からは、基礎疾患があった場合には、有用性、感染しては非常に危ないという場合もあるでしょう、また、その安全性の可否については判断が必要だというお答えでございました。

 私の方にも、同時接種については、本当にそれは大丈夫なのかという問い合わせもございまして、親たちにとっては、これからどういう形式で予防接種をさせていったらいいのか、どういうスケジュールで子供に予防接種をさせていったらいいのか、これは、補正予算で三ワクチンの支援の事業が始まりまして、非常に関心が高まっているところでもございます。ぜひ、こうした基礎疾患があった場合、あるいは同時接種はどうなのか、これに関しましても、きちんとした、わかりやすい見解をお出しいただきたい、このように思っております。

 きょう、専門家会議が開かれるということでございます。今回、お亡くなりになった因果関係はこれから調査をしていくということでもございます。その因果関係を、ともかく早急に徹底解明をしていただきたい、このように思っております。そして、こうした亡くなられた方々の命というものは、確かにしっかりと重く受けとめていかなければならないと考えております。

 また、昨日お伺いいたしましたけれども、Hibによる感染は年間三百九十三人から七百三十五人である、髄膜炎で死亡する方は〇・四%から四・六%、十万人に対して七・一から十三・三人である。また、肺炎球菌の感染が年間百四十二人から百五十五人で、髄膜炎で死亡する人が二%、このような御報告を伺いました。

 こうした、もしワクチンを接種していたならば守れたかもしれない命というものも一方ではある。そして、治ったとしても、重い後遺症、麻痺ですとか難聴とかそういったもので悩んでいかなければならない方もいらっしゃる、その御家族もまた一方でいる。これは両方思いをいたしていかなければいけないんだろうというふうに思っております。

 今後の今回の事例に対する方向性また予防接種に関して、大臣に御見解をお伺いしておきたいと思います。

細川国務大臣 今回の件につきましては、世の御家族、ワクチンの接種を受ける対象の御家族の皆さんも本当に御心配をされているというふうに思いますので、これはしっかりした対応をしなければというふうに思っております。

 そこで、本日、専門家会議が開催をされます。今回のこの二つのワクチンの接種との因果関係について検討が行われますけれども、今先生の方からいろいろ御指摘のありました点についても、いろいろと検討をしていかなければというふうに思っております。

 厚生労働省といたしましては、専門家会議の評価結果も踏まえまして対応を検討して、まずはしっかり安全確保に万全を尽くしていきたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 これは、三月五日の朝日新聞でございますけれども、防衛医大の野々山恵章教授はこのようにおっしゃっています。「米国ではヒブワクチンは約二十年前、肺炎球菌ワクチンも約十年前から打っており、同時接種もしていて問題は起きていない。今回、死亡した子どもの死因について検証は必要だが、不用意にワクチンを怖がって、やっと日本に導入されたワクチンが打たれなくならないようにして欲しい」というコメントを寄せられています。

 また、これは同じく三月五日、毎日新聞でありますけれども、国立感染症研究所感染症情報センターの岡部信彦センター長は、「今の段階でものを言うには資料が不足している。心配になるのは分かるが、慌ててワクチンを打つ必要はないし、危ないから一生やらない、というのも考えすぎだ。厚生労働省で専門家による会合が開かれるので、その結果が報告されるのを待って冷静に対応してほしい。」というコメントを寄せられています。

 きょう専門家会議が開かれ、そこで一定の結論が出されると思います。不安に思っている方々がたくさんいらっしゃいますので、ぜひ、正確な情報をいち早く、国民にわかるように発信をしていただきたいと思っております。

 また、子供を持つ親たちがこれから予防接種に関して不安に陥らないよう、また医療の現場も混乱がないよう、多くの問い合わせが来ているようでありますので、こうしたことに配慮しながら万全の体制をとっていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。そして、一日も早いこうした今回の事例の原因解明を求めておきたいと思います。

 特に何か、よろしゅうございますか。

 では、もう一つ、子宮頸がんワクチンに関して質問してまいります。

 私たちも、子宮頸がんワクチンの公費助成を求めてまいりました。それで、補正予算でこれの助成が始まり、接種がスタートしていたわけなんですが、やはり、非常に関心が高く、接種をしたいという希望の方が多かったということもありますでしょう、子宮頸がんワクチンが非常に不足をしているということでございます。これも非常に、全国から問い合わせ等、私のもとにも来ております。

 昨日、グラクソ・スミスクライン社から「子宮頸がん予防ワクチン供給問題に関するお詫び」というものが発表されております。社としては、一部地域に対して、接種事業を行っている国及び地方公共団体との協議を行っていない段階で、弊社の判断により接種開始時期の遅延依頼を行ったこと等により、関係者の皆様に大変混乱を来したということも言っております。生産能力を増強しているけれども、今後、可能な限り早急に現在の供給状況を改善すべく努力をするというようなコメントがきのう出ました。

 厚生労働省として、今回、この子宮頸がんワクチンが不足をしているという事態に対してどのように対処されていくのか、それについてお伺いします。

岡本大臣政務官 先生御指摘のように、当初は、製造販売の方の会社から十分な供給量を確保できているというふうに聞いておりましたけれども、需要の急増に対応できずに供給不足となっているということが明らかになりまして、昨日、製薬企業から接種希望者や医療機関等に対して、先ほどお話がありましたように文書でおわびがなされたところであります。

 厚生労働省といたしましては、供給量確保を求めてまいりましたけれども、こうした事態になったことを大変残念に考えておりますし、また、製薬企業に対してもしっかりと安定供給をしてもらうよう要請をしてまいりたいというふうに考えています。

 このワクチン、今、供給量が不足しているということに対してどういう対応ができるかということを考えておりまして、当分の間、ワクチンの供給状況を踏まえつつ、既に接種を開始した方への二回目、三回目の接種を優先するということを一つ目の柱、二つ目は、本事業の対象は高校一年生までということになっていますから、来月になると高校二年生になってしまう方が見えます。三月中に接種を受け始めなければ事業の対象とならないというのがこれまでの見解でありましたけれども、こうした事態を受けて、四月以降に、つまり高校二年生になった方についても、初めて接種を受けた場合においても対象とできることとして、昨日、都道府県に対してお示しをしたところであります。

 引き続き、こういった事態をしっかり見守りつつ、万全の対策をとっていきたいというふうに考えています。

古屋(範)委員 やはり、全国で高校一年生の方々の問い合わせが非常に多かったところでございます。今、供給量が追いつかないということでございますので、当然高校二年生になってもこの対象と含めてくださるということで確認をさせていただきました。ありがとうございました。

 それからもう一つ、不活性ポリオワクチンの治験状況、導入の見通し等についてお伺いをしてまいりたいと思っております。

 現在、経口生ポリオワクチン、これは予防接種法による一類疾病として定期接種に組み入れられていまして、国内では自然感染によるポリオ患者は、一九八一年以降一人も発症報告はございません。しかし、予防接種による発症、生ワクチンが原因のポリオ患者は、年に数人程度続いております。

 国内では、ウイルスを毒性を弱めてつくる生ワクチンによるポリオの予防接種を行っておりますが、弱毒化をさせてもウイルスそのものはワクチン内に存在しているため、まれに麻痺症状などの副反応が出るということであります。

 二〇〇四年九月のWHOのレポートによりますと、ポリオの生ワクチンは、新生児百万人当たり二人から四人のワクチン由来の麻痺が発生すると報告をされております。生ワクチン投与を続ける限り、百万人に二人から四人、ポリオ患者が発生するとWHOも報告をしております。このために、先進各国では、ウイルスから毒性を取り除いてつくる、安全性が高い不活化ワクチンへの切りかえが進んでおりまして、日本だけが取り残されている状況になっております。

 昨年四月、厚生労働省が国内ワクチン開発メーカー四社に対し、不活化ポリオワクチンの開発促進を要請して、本年末にも承認申請される見通しだとの報道もございます。さきのファクトシートでは、ワクチンメーカー数社による臨床開発が進められており、今後、各メーカーにより製造承認申請が行われることになるが、製造承認まではスムーズに進んでもあと数年を要するとありまして、承認され販売されるまで少なくとも二年以上かかるのではないかというふうに思っております。

 こうした不活化ポリオワクチンの治験の進捗状況、また導入の見通し、そして、数年、あるいはもっとこれがかかるとすれば、それまでの間、こうした生ワクチンによる感染を防ぐために輸入をすべきではないか、このように考えております。

 昨年十二月、患者団体のポリオの会は、ポリオ不活化ワクチン製造と不活化への切りかえを急ぎ、国産実現までの間は緊急輸入して対処してほしいとの内容の、約三万五千人の署名を厚生労働省に提出しております。一刻も早く不安解消をと輸入を求めております。

 こうした観点に関して、厚生労働省の御見解をお伺いいたします。

岡本大臣政務官 今先生から御指摘がありました生ワクチンと不活化ワクチンの問題でありますけれども、御指摘のとおり、昭和五十六年に日本では最後の野生株が確認されて以降、患者の報告がなく、また、WHOも、西太平洋地域においては平成十二年にポリオの根絶を宣言しているところであります。しかしながら、ワクチン由来のポリオの発生というのが国内でも散発をしている。生ワクチンではなくて不活化ワクチンにすると、いわゆるワクチン自体を打つわけではありませんから、いわゆるワクチン由来のポリオが発生しないという事実は事実として我々も承知をしております。

 御指摘のように、国内においてワクチンの開発が遅いのではないかという声はいただいておりまして、単抗原の承認審査については、これまで開発は行われてきたんですけれども、二〇〇四年三月に抗原量の変更に関する検討が行われて、二〇〇五年六月に追加治験計画届を提出するも七月に治験中止届、そして十月には製造承認申請の取り下げが行われており、現在、単抗原ワクチンの開発計画がないという状況でもあります。

 一方で、先ほどお話がありました四価のワクチンについては、現在開発が進められておりまして、DPT―IPVの四種混合での開発が二〇〇二年ごろからスタートをしているところであります。こちらについては、本年末ごろより順次薬事承認申請がなされる予定と聞いておりまして、申請がなされた場合には、安全性、有効性に十分配慮しつつ迅速に審査を行うなど適切に対応して、可能な限り早く導入をしたいというふうに考えております。

 私としても、二年とか三年というようなことではなく、できるだけ早くということを、この質問通告がある前も、きのうも関係各局を集めて話をしたところでありまして、先生の御質問を受けるまでもなく、私自身も問題意識を持って取り組んでいるところです。

古屋(範)委員 先ほど申しましたけれども、先進国の中で不活化ワクチンへの切りかえが行われていない国は日本だけだと思います。もう既に五十年前に、ノルウェーやスウェーデンでは不活化ワクチンを採用しております。一刻も早く、数年と言わず、政務官もできるだけ早くとおっしゃったんですが、その言葉どおり、できるだけ早く不活化ワクチンへの切りかえを求めておきたいというふうに思います。

 最後に、アレルギー関連で二問、質問してまいります。

 私たちはアレルギー対策を進めてまいりまして、平成二十年の四月に、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインというものができました。非常によくできているというふうに思っております。緊急の対応ですとか、給食について、運動のときの発作についてですとか、宿泊、プールで泳ぐとき、動物との接触など、まさに、子供が学校に登校してから下校するまで、あるいは一年間の行事に即して、学校生活に具体的な示唆を与えてくれるすばらしいガイドラインであると私は思っております。

 これは、配付をされて三年がたつわけなんですが、全国の幼稚園、小中学校、教育委員会などで配付をされているはずでございます。文部科学省は、ガイドライン本体だけではなくて、その効果的な活用方法を周知することが大事だということで、学校の職員等を対象としたアレルギー対策の講習会を通じてさらなる周知徹底を図っていただいているというふうに思っております。

 しかし、実際に隅々までこれが浸透しているかどうか、三年たった今、どのように活用されているのか把握をされていらっしゃるのか、ぜひその現状について調査をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

有松政府参考人 お答えいたします。

 ただいまお示しいただきました学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインでございますが、平成二十二年の四月に、私ども文部科学省が各都道府県の教育委員会等に対しましてその配付、活用状況を調査いたしましたところ、すべての国公私立の学校等にガイドラインが配付をされ、全都道府県でガイドラインを踏まえた研修会を実施または実施予定との回答がございました。これにつきましては、昨日までに、すべての都道府県で実施されたということを確認いたしたところでございます。

 文部科学省といたしましては、このガイドラインが有効に活用されて適切な対応が行われるように、平成二十年の六月に各都道府県教育委員会等に対して指導通知を発出いたしますとともに、毎年、都道府県教育委員会等の学校保健担当者が参加する会議におきまして、その趣旨の徹底を図っております。

 また、今年度におきましては、教職員等を対象としました講習会を全国の六ブロックで開催いたしまして、来年度についても同様に、全国六カ所で実施することを予定しております。

 さらに、平成二十二年には、このガイドラインそのものを日本学校保健会のホームページからダウンロードできるようにいたしまして、これには、文部科学省のホームページからもリンクができるようになっております。

 今後とも、学校におけるアレルギー疾患への取り組みが充実されるように努めてまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 さらなるこのガイドラインの活用、また周知徹底、研修等をお願いしておきたいと思います。

 これをつくりますときに、保育園でこれもぜひ使えるようにと言ったんですが、そこは縦割りで、これは保育園では使わない、厚生労働省は独自のものをつくると主張されて今日に至りました。

 それで、厚生労働省も、アレルギー疾患に対する取り組みを含め、保育所における保健衛生面の対応の強化を図るために、保育所における保育の質の向上のためのアクションプログラムに基づき、保育所における保健衛生面の対応に関するガイドラインを作成する。そして、保育所における保健衛生面の対応に関するガイドラインの策定に当たり、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン、そして管理指導表を十分に参考にし、精力的に検討を進めてまいりたい。私の質問にも、以前このように答弁をいただいております。

 そこで、保育所におけるアレルギー対応ガイドラインを本年度中に策定すべく検討が進められると思います。その策定状況、そして、それはいつからどの範囲で配付されるのか、どのように周知徹底をされていくのか、研修等も含めてお伺いしておきたいと思います。

小宮山副大臣 古屋委員には、いつも子供の健康の問題の政策でお力をいただいて、ありがとうございます。

 御指摘の保育所におけるアレルギー対応ガイドラインにつきましては、以前にも答弁させていただいたとおり、今年度中ですから、今月中に策定をいたしまして発出をすることにしております。

 このガイドラインにつきましては、速やかに各都道府県や関係団体に向けて配付をし、また、厚生労働省のホームページでも公表いたします。そして、QアンドAを作成いたしましたり、また、各保育団体が行う研修会でもしっかりと研修をするようにいたしまして、このガイドラインの活用を通じて、保育所でのアレルギー対策の普及向上にしっかり努めてまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 待ちに待った保育所のガイドラインですので、今年度中にでき上がるということですので、ぜひ、周知徹底、また研修等をよろしくお願いします。

 以上で質問を終わります。

牧委員長 次に、あべ俊子さん。

あべ委員 自由民主党、あべ俊子でございます。

 きょうは三つ質問をさせていただきたいと思っておりまして、一つは年金問題に関して、さらには社会保障番号、社会保障の世代間格差に関して質問をしたいというふうに思っております。

 まず初めに年金の方から参りたいと思いますが、けさ、新聞報道で、年金基金の積み立て不足について報道がございました。この年金基金の積み立て不足に関しまして、今回、全国に六百ぐらいある基金のうち、給付に必要な積立金が三年連続で基準の九割を下回ったのが五十一基金、この金額が非常に高いというふうに新聞報道では出ているところでございますが、これに対して何かコメントはございますか。

大塚副大臣 御指摘の記事は恐縮ですが拝見はしておりませんけれども、厚生年金基金の運用状況が現在の株価の状況等から大変厳しい実態になっている先が幾つかあるというのは事実でございます。

 過去においては代行返上等の動きも随分ございましたけれども、現状、その新聞報道のような状況はおおむね事実であると認識しておりますので、行政として、年金制度全体の中で御指摘の問題にどう対応していくべきかということは、重要な検討課題だと思っております。

    〔委員長退席、郡委員長代理着席〕

あべ委員 三月七日の共同通信の配信では、厚生年金基金の六割に当たる三百六十四基金が積み立て不足であって、不足総額が一兆一千二百億というふうに出ておりますが、それは正確な数字でしょうか。

大塚副大臣 今、その問題に関して一部の国会議員の方から御質問等をいただいておりますので、その質問に対する厚生労働省からの情報提供等がベースになっているかと思います。

 今、手元に詳細な数字はございませんけれども、かなりの基金が御指摘のような状況になっているのは事実でございます。

 もっとも、一つ御理解いただきたいのは、楽観的なことを申し上げるわけにはいきませんけれども、その評価状況というのは、株価等のマーケットの状況によって大きく変わり得るものでありますので、今先生が御指摘くださった事実だけをもって全体を評価するのはなかなか難しいことだと思います。

あべ委員 さらに、読売新聞で二月二十八日の配信のところに、厚生年金基金の財政が特に悪化したのは五十一基金、昨年三月末現在で総額三千七百億と出ているわけでありますが、何でこんなに数値がずれているのか教えてください。

大塚副大臣 後ほど正確に御報告を申し上げますけれども、今、最後に御指摘のあった五十一基金というのは、最も状況の悪いものから順次リストアップしていった数字でございますので、その前に御指摘いただいた三百六十四基金のうちの内数であるというふうに理解をしております。

あべ委員 副大臣が、現時点で評価をすることは難しいというふうにおっしゃっておりますが、リーマン・ショックで非常にその運用部分に影響があったということはあると思っております。しかしながら、私は、現政権の下で景気回復ができるとは全く思えない状況でございまして、そうすると、この状況が悪化していくのではないかというふうに考えたときに、副大臣、どういうふうに次の対策をお立てになりますか。

大塚副大臣 仮定の質問にはお答えできませんが、少なくとも株価に関して申し上げれば、政権交代後、回復をして、今、ここ数日ちょっと厳しい状況にありますけれども、一万円台に定着していることもありますので、私どもとして申し上げられるのは、先生が御指摘の御懸念のようなことにならないように、今後も経済政策運営に万全を期すということだと思っております。

あべ委員 厚生労働の副大臣とちょっとかけ離れたお答えで、私は、そういうことではなくて、厚生労働にいらっしゃる方として、この運用に対しての問題点を、どう対策をお立てになるかというふうに質問させていただきました。お答えください。

大塚副大臣 厚生労働省の立場としては、厚生年金基金が適切に運用されることを望んでいるわけでありますし、そのような方向に持っていかなくてはならないというふうに思っております。

 しかし、先ほど代行返上のことを申し上げましたけれども、過去においても、実際に運用できるというふうに思っておられた基金の中でも、うまく運用できない先が返上をされたという経緯を考えますと、この厚生年金基金の自主運用というものをどのような基準でお願いする、あるいは認めていくかというようなことについては、今後の一つの大きな検討課題だと思っております。

 それと同時に、先ほど五十一基金という数字を御披露いただきましたけれども、かなり赤字が出ているような先で、これがなかなか改善できないということになりますと、代行返上で返納するときにも、政府に対していわば一括返納できないケース等が出てまいりますと、これはその厚生年金に加入している加入者の皆さんの年金給付額にも響いてまいりますので、そういった事態が万が一に発生した場合にどうするかということも、次の検討課題だというふうに思っております。

    〔郡委員長代理退席、委員長着席〕

あべ委員 おっしゃるとおりでございますが、そうした中で、私、厚生労働省の今回の運用に関しての年金基金の積み立て不足の発表の順番がちょっとおかしいのじゃないかと思うんですね。いわゆる最悪の部分のシチュエーションとして幾ら足りないかという、一兆を超えた額をまず最初に出すべきではなかったか。最初の二十八日の発表の段階でまるで余り悪くなかったかのような感じが見られて、それでその後に、結局一兆を超えるんだという話を段階的に出している。この理由は何でしょうか。

大塚副大臣 事実関係を申し上げれば、これは発表ではございません。

 先ほど申し上げましたように、私どもは、国会議員の皆様方あるいは国民の皆様方から一定のルールのもとで情報開示を求められた場合には、開示をしなければならない情報は開示をすることになります。一部国会議員の方から厚生年金基金の運用状況について情報提供要請がございましたので、その情報を提供させていただいたわけでございますが、恐らく、それらの情報がこの記事のニュースソースになっているものというふうに推量いたします。

あべ委員 情報提供の要請がなければ情報が集められていないというところに大きな問題があると私は思っておりまして、いわゆる情報管理に関して厚生労働省はちょっと余りにもずさんじゃないかと思いますが、いかがお考えですか。

大塚副大臣 ずさんだとは全く思っておりません。

 厚生年金基金については、厚生年金法によって、これは公的な法人という位置づけになっておりますので、これの運用状況については、それぞれの基金自身も開示をしておりますし、所管する厚生労働省としても、要請があれば御提供申し上げるというルールのもとで、しっかりと情報収集及び開示をさせていただいております。

あべ委員 社保庁の後に日本年金機構、これは今どこの所管になっていますか。

大塚副大臣 厚生労働省でございます。

あべ委員 これは年金業務監視委員会というところになりますが、それは厚生労働省ですか。

大塚副大臣 総務省でございます。

あべ委員 ここのところの所管の部分がちょっとあいまいになっているんでしょうか。連携はしっかりとられていますか。

大塚副大臣 連携はしっかりとられております。

 経緯を申し上げますと、今先生御下問の年金業務監視委員会は、先ほど田村議員が御説明してくださいましたように、田村議員が総務省の副大臣であった時代につくりました監視委員会の後継組織として、名前を変えて、現在も総務省のもとで活動させていただいております。

あべ委員 余り聞いていないことをお答えにならないようにお願いいたします。私の質問にしっかり答えていただきたいというふうに思います。

 さらに年金問題を続けさせていただきますが、リーマン・ショック以来、非常にこの運用が悪化したことに関して、株価はそんなに影響していないというふうに副大臣はおっしゃいましたが、私は、株価の動きを見ているにおきまして、どうも政治をあきらめた動きをしているんじゃないかというふうに思っております。例えば、今、内閣が非常に混乱しているのに株価が連動しないのは、経済の部分がもう既にあきらめ切った形で独立して動いているんじゃないかという御意見を書かれている評論家の方もいらっしゃいました。

 いずれにいたしましても、年金は、非常に私たちの、国民の生活に影響がある部分でございます。これに関してもっと質問させていただきますが、民主党のマニフェスト、もうあきらめたかどうかわかりませんが、一応書いてあったことを読ませていただきますと、「年金制度の一元化、月額七万円の最低保障年金を実現するためにも、税制の抜本改革を実施します。」と書いてありますが、あきらめましたか、やりますか。

大塚副大臣 あきらめておりません。

あべ委員 いつまでできるのか検討されていますか。まだ検討中で、いつまでできるかも検討している最中ですか。教えてください。

大塚副大臣 現在、厚生労働大臣のもとで、四月までに社会保障制度改革の原案を厚生労働省として総理に御提出することになっております。その社会保障制度改革の原案をいかなる税制のもとで実現をしていくか、あるいは、その原案そのものを税制との一体改革の中で調整が必要かどうかということは、六月に政府・与党全体として結論を出すことになっております。

あべ委員 何か検討中が多くて、六月まで間に合うかどうか、とても心配なところでありますが。

 ちなみに、ちょっと副大臣にお聞きしますが、厚生年金の保険料率というのは今どれぐらいですか。

大塚副大臣 毎年〇・三六五だったかと思いますが、若干間違いがあれば後で修正をさせていただきますが、その刻みで年々上がっておりまして、現在は約一七%程度だというふうに思っております。

あべ委員 では、共済年金に関しての保険料率はどれぐらいだと思いますか。

大塚副大臣 共済年金につきましては若干低くなっておりまして、平成二十二年九月からは、国と地方の公務員の皆さんは一五・五〇八というふうになっております。

あべ委員 この保険料率が、非常に厚生年金が高目で、さらには共済年金が低目に設定してある。しかしながら、受給するときには、共済年金が高く、厚生年金が低目というところが問題でありますが、この引き上げに関して、副大臣、平成十六年、我々が与党であったときに出しました法案で改正をいたしました。そのとき、現政権の民主党は大反対をしたわけでございますが、このことについてコメントをお願いいたします。

大塚副大臣 一つ確認ですが、今、厚生年金の方が低いというふうにおっしゃったような気がするんですが……(あべ委員「ああ、高い、高い。ごめんなさい」と呼ぶ)厚生年金の方が高いんですよね、そうですね。

 それで、今先生御指摘の論争は、二〇〇四年から数年間続いた論争を指して言っておられると思いますが、私も、そのころ、野党側の議員としては、マクロ経済スライドのあり方等についてはいろいろ考え方があるのではないかということで、自分自身も委員会でかなり質問をさせていただいた記憶がございます。

 また、年金制度全体が、百年安心という当時の政府・与党の御説明であったわけでございますが、年金数理計算等の観点から、数理計算の前提となっている人口推計あるいは賃金上昇率等、いろいろな前提を考えると、かなり議論をしなければならない点が多いという観点から、いろいろな意見を言わせていただいたというふうに記憶をしております。

あべ委員 副大臣がいろいろ質問されたということで、ミスター年金ジュニアとお呼びしていいのかどうか私はわかりませんが、いずれにいたしましても、年金のいわゆる負担率の部分の格差を今から解消していくということが平成十六年の年金改正法で出たわけでございますが、それに関しては、やはりこれはしっかりやっていかなきゃいけない部分だろう、特に国民の公平性ということを考えたときに問題となると思っております。

 そうした中でちょっと問題になるのが追加費用でございますが、追加費用について、副大臣、これはどういうものですか。

大塚副大臣 御下問の点は、共済年金の追加費用ということでございますか。(あべ委員「追加費用は厚生年金にはございません」と呼ぶ)したがって、共済年金の追加費用の御質問であるという前提でお答えをさせていただきます。

 共済年金の追加費用というのは、もともと、公務員共済発足前の恩給制度に相当する、制度下にある受給者の皆様方を対象に、事業主としての政府あるいは地方公共団体の負担分を賄う費用だというふうに認識をしております。

あべ委員 この費用はどこから出されていますか。

大塚副大臣 国庫でございます。

あべ委員 税金だという理解でよろしいですか。

大塚副大臣 そうだと思います。

あべ委員 一番直近の追加費用は、一年間お幾らでしたか、副大臣。

大塚副大臣 私の手元にございます数字では、平成二十二年度は、国と地方を合わせて一兆二千八百億円、内訳としては、国が約三千億円、地方公共団体が九千八百億円でございます。

あべ委員 先ほど共済年金の追加費用かどうかという質問を副大臣はされましたが、厚生年金にこの追加費用は入っていますか。

大塚副大臣 先ほど御説明しましたとおり、この追加費用は過去の恩給制度に起因をするものでございますので、厚生年金には同様の制度はございません。

あべ委員 この部分がいわゆる共済年金と厚生年金の違い、格差を生み出すものだと思いますが、この追加費用は、皆様がおっしゃっていたマニフェストの一元化のときに、続けますか、おやめになりますか。

大塚副大臣 これは、先生にも御理解いただきたいのは、一元化というものの今後の進め方と大きなかかわりがあります。

 世の中では、一元化とか年金制度の改革という言葉から、ある期日をもっていきなり現在の制度がすべてなくなって、すべて新しい制度に移るというふうに受けとめられる向きが多いわけでございますが、実際には、新しい制度が古い制度に徐々に入れかわっていく。完全にこれを、受給資格を得るための年数が仮に四十年とすると、四十年かかるわけであります。

 今の制度でも、例えば国民皆年金になる昭和三十年代以前の制度下で計算をされている部分が一部混在されている方々もいらっしゃいますので、年金制度の改革とはそういうものだということを前提にお答えをさせていただきますと、現行制度が併存する限りにおいては、この制度をどうするか、今御指摘いただいた共済の追加費用をどうするかというのは、現行制度の改革の中で議論をされるべき問題だというふうに思っております。

 新しい制度の中では先生御指摘のようなことを想定しておりません。それはなぜならば、すべての方々が同じ年金制度に加入をするという前提で今考えておりますので、職業によって違いがないということでございます。

あべ委員 現行制度に関しては続けなければいけない、新しい制度であればそれはやめなきゃいけない、でも四十年かかるからどこからどうかよくわからないというお答えだったと思うんです。

 私は四十年後には生きていないというふうに思いますが、これは次世代のためにはしっかりやっておかなきゃいけないわけでありまして、現行制度であれば追加費用を続けるかどうかを改めて検討しなきゃいけないということであるとすれば、この続けるかどうかの不公平感というところに関してはどのようなバランスをとりますか。

大塚副大臣 それは重要な御指摘だと思います。

 やはり、現行制度の厚生年金と共済年金、その間の受給者の皆様あるいは加入者の皆様の公平の観点からどうするかというのは、まさしく今後の議論で決めていく問題だと思います。

 現時点において、厚生労働省として、その問題について一定の何か考え方をお示ししているわけではございません。

あべ委員 現政権が自治労に支えられているときにこの追加費用に関して議論ができるとは私には余り思えないんですが、ぜひともやっていただけたらというふうに思うわけであります。

 さらには、この公平性の大切な部分の中で、年金扶養率というのがございます。すなわち、自分たちの年金の中で一人のOBを何人の現役で支えるかということでございますが、副大臣、これに関して、厚生年金さらには共済年金の年金扶養率、新しいデータをお持ちでしたら教えてください。

大塚副大臣 今、手元にある数字では、年金扶養率は、厚生年金では二・六人でございます。それから、国家公務員共済は一・五八人、地方公務員共済は一・六九人、私立学校教職員共済が四・四九人。今申し上げました四つをすべて平均といいますか合算して計算をすると二・四七人でございます。

あべ委員 副大臣、国民年金は。

大塚副大臣 国民年金は、一号、二号、三号の被保険者全体を合算して二・五五人でございます。

あべ委員 今のデータは何年のデータですか。

大塚副大臣 これは直近のデータだと思いますが、資料の出典が平成二十二年四月二十七日になっておりますので、恐らく平成二十一年または二十年のデータだと思います。

 失礼いたしました。記載がございまして、平成二十年度のデータでございます。

あべ委員 これを見る限り、私が比べますと、平成十五年から二十年に対して本当に悪化をしている状況が見てとれるわけでありますが、これをならしていくことが本当に国民のいわゆる公平性につながると副大臣は思っていらっしゃいますか。平均をとることが国民の公平性と連動しますか。

大塚副大臣 私の個人の見解ということでよろしゅうございますか。(あべ委員「どうぞ」と呼ぶ)

 私個人の見解としては、法のもとの平等ということが憲法に規定されている以上、この年金扶養比率というのが制度によって異なるというのは、決して好ましい状況ではないというふうに思っております。

あべ委員 本当に好ましくないと私も思っているわけでございまして、特にこの年金扶養率の部分に関してでは、現役世代が何人の高齢者を支えていくのか、何人の現役世代が一人の高齢者を支えなきゃいけないのかということは、人口減少社会に突入している中で、本当にここは悪化していく部分でありまして、特に今まで、これから先の人口動態を読んでいたときに、その読みが余りにも甘かったということも大きな問題であるというふうに思っておりますが、副大臣、これに対して何か御意見はございますか。

大塚副大臣 同感でございます。これまでの年金の制度設計、あるいは年金財政計算というもの、あるいはその前提となっているさまざまな人口推計を含めた指標についての読みが甘かったという面はあると思います。

あべ委員 特に若い方々が、二十代、三十代が、年金をもらえないんじゃないかと非常に心配をしておりまして、今七十代の方も、また特に団塊の世代の方も結構逃げ切っちゃうんではないかと私は思っておりますが、逃げ切れない、特に今、各世代で一番税金を払っている世代は何歳ぐらいだと副大臣はお考えですか。

大塚副大臣 世代のくくりによって異なるわけでございますが、例えば十歳刻みでくくっていけば、恐らく税金を最も払っていらっしゃるのは、五十代あるいは四十代の世代ではないかというふうに思っております。

あべ委員 おっしゃるとおりでございまして、一番高い税を払っているのが四十代、五十代。特に、住宅ローンも大変、子供の進学も大変という、お金のかかる時期に一番税を払っているわけでございます。

 そうした中におきまして、世代会計という言葉がございますが、副大臣、これに関して御存じでしょうか。

大塚副大臣 九〇年代にコトリコフとかオーエルバッハという学者が中心になって、アカデミアの世界でかなり普及をさせたと理解しております。大変拙稿でございますが、私もそれについての論文を書いたことがございます。

あべ委員 副大臣、論文を書いたということでございますので、その論文内容を一分ぐらいで教えてください。

大塚副大臣 これは、今どこの世代が一番負担しているか、あるいは、若い世代が一体年金がこれからもつのかという御懸念を持っているという、先生の御指摘と大いに関係をしておりますけれども、世代会計で世代間の負担と受益を比較すると、大体四十歳ぐらいを境に、それより若い世代は、生涯の世代会計計算をすると、受益よりも負担の方が大きいという形の傾向が顕著に出ております。

あべ委員 私は五十一歳でございますが、副大臣は今お幾つですか。

大塚副大臣 幸いなことに同い年でございまして。ちなみに、先ほど年金ジュニアと呼んでくださいましたが、長妻さんより私の方が一つ上でございます。

あべ委員 同い年かどうかわかりませんが。なぜかというと、生まれた年度が違うかもしれませんし、早生まれか遅生まれかとか、いろいろございますから。

 実は私、いのしし年でございますが、余論になりますが、いのしし年は政治家に多いようでございまして、我が党でも非常に、肉食系女子がいのしし年でございます。

 いずれにいたしましても、この世代間格差を解消するには、方法が幾つかあると思っております。そうした中で、副大臣、一番早い解決方法は何だとお考えですか。もしくは、この世代間格差に関して、私は、世代間闘争になってはならない、すなわち、三十代が七十代にいわゆる闘争をしかけるとか、そういうことはあってはならないと思っておりますが、やはり二十代、三十代がしっかりと将来の希望を持っていくためには、この世代間格差、何とかしていかなければいけない。これに対して、副大臣、解決方法が幾つあるか、さらにはどれが一番とりやすいか、教えてください。

大塚副大臣 解決方法は複数あると思いますが、ミクロとマクロという観点で申し上げれば、ミクロ的には、個々人にとっては受益と負担のどちらかしかないわけでございますので、これをバランスさせるためには、受益超になっている世代の受益を減らすかあるいは負担をふやす、あるいは負担超になっている世代の負担を減らすか受益をふやすという解決であります。

 一方、マクロで見ますと、現在、高齢者の世代が資産をかなり持っていらっしゃるということを考えると、事の是非は別にいたしまして、例えばインフレ傾向が出てまいりますと、これは実質的な世代間調整が行われるということになります。ただし、その場合でも、インフレ傾向のもとで若い世代の名目賃金が上がっていかなければマクロの傾向の受益を甘受できないわけでありますので、必ずしもそれだけで先生の御指摘のような調整が可能とは申し上げません。

 そのほか幾つかの切り口があろうかと思いますが、基本的には、ミクロでどうするかということとマクロでどうするかという二つのアプローチで考えていくべき問題だと思っております。

あべ委員 特にマクロの観点からいうと、これから賃金が本当に上がっていくかということはかなり不安な部分があるというふうに考えたときに、厚生労働の方でやっていかなきゃいけないところは、このミクロの部分の受益と負担の関係だというふうに私は思っておりますが、この受益と負担の部分に関して副大臣のお考えをもっと具体的に教えてください。

大塚副大臣 例えば、最近私が具体的に申し上げていることの一つとして、負担の部分を消費税で賄うということの意味についてでございます。

 これまで長い間、消費税の議論をいたしますと、消費税の逆進性というところにスポットが当たりまして、そのことに議論が集中するわけでございますが、先ほど先生が御指摘くださった世代会計の観点から見ると、高齢者の世代の人口割合がふえるということは、世代ごとに見た消費税の負担割合が高齢者ほどふえるということになります。ということは、社会保障の受益を相対的に多く受ける高齢者の世代が、事実上、もし消費税で社会保障を賄ったときには、自分たちで自分たちの受益を賄うという傾向が強くなるわけであります。

 したがって、消費税の問題は、実はミクロ、つまり、どういう形態で負担をしていただくかというミクロの問題でもあり、マクロの税制とも大いに関係をしておりますので、私の個人的意見としては、最近具体的に提案をしているのは、そういう観点から、つまり世代間公平の観点から消費税の議論をすることも一つの重要なポイントだというふうにお示しをさせていただいております。

あべ委員 副大臣がおっしゃるように、私は、消費税が低所得者に対しての逆進性に必ずしもなるわけではないという論文もかなり読んでおりまして、ここのところはかなり間違った神話になっている部分があるのではないかと思っています。

 しかしながら、特に高齢者になったときは、実は余り、物は欲しくない。私も五十代に突入しまして、デパートに行く気なんか全くしなくなっておりまして、物が欲しい世代というのは、やはり二十代、三十代、四十代ぐらいじゃないかと私は思っております。そうしたときに、逆に、低所得者の方に対する配慮はある程度しなければいけないだろうというふうには思っておりますが、それが検討されてきましたいわゆる給付つき納税方式ではないかと思っております。

 この給付つき納税方式に関して、副大臣、お考えはいかがでしょうか。

大塚副大臣 非常に有意義な御質問を幾つもいただいていると思いますが、おっしゃるとおり、ミクロの制度として消費税で負担をしていただくというのは、ある一定の合理性がある上に、マクロで見た世代会計においても合理性があります。

 ところが、実際の消費行動というアプローチから消費税を見ると、先生御指摘のとおり、もう十分物を持っていらっしゃる方々はあえて買いたい物がないということになりますと、個人個人の消費行動においては、今私が前段で御説明したこととはちょっと違う傾向になります。

 したがって、そういう傾向のもとで、もし消費税を中心にした例えば社会保障制度をつくるとなると、先生御指摘の給付つき税額控除というものもあわせて導入をしてバランスをとる必要があるというふうに思っております。

あべ委員 しかしながら、高齢者がお金を出してでも確保したいものというのは私は確実にあると思っておりまして、それは介護部分、さらには医療部分ではないかと思っているわけでございますが、ここの部分は、社会全体の公平性を重視する余り、上乗せ、横出しを、あえて負担したいと思う方をはじいてしまっているのではないかという議論もあるところでありますが、これに対しての副大臣のお考えをお聞かせください。

大塚副大臣 これも社会保障制度改革において非常に重要な御指摘をいただいているというふうに思います。

 医療や介護において、全国民が共通の制度下の公的社会保障制度に限るのか、あるいは若干の自己負担によって付加的なサービスを受け得る制度とするのか。もし後者を選択した場合には、先生御指摘のように、非常に資産や所得をお持ちの高齢者の方々がそのことによって医療や介護の付加的なサービスを受けるという、それを消費と言うかどうかは別にして、行動につながる面があるということだと思っております。

あべ委員 そうすると、金持ちだけが優遇されるのかという議論が必ず出てまいりますが、いわゆるここの社会保障制度に関してのミニマムスタンダードが明確になっていないというところが私は一番大きな問題だと思いますが、これに対して、副大臣、お考えを聞かせてください。

大塚副大臣 これも重要な御指摘でございまして、ミニマムスタンダードというのは、一九四一年のイギリスのベバレッジ報告以降、先進国の間で共通した一つの追求目標になってきたわけでございます。

 ミニマムスタンダードあるいはナショナルミニマムというものの考え方や設定の仕方によっては、大変過大な財政負担になることもあります。しかし、その一方で、不適切に非常に低い水準にこのナショナルミニマムが設定をされますと、それはそれでまた別の問題も抱えますので、社会保障制度の今後のあり方を考える上で非常に重要なポイントだというふうに理解しております。

あべ委員 ここのところは、本当にナショナルミニマムの部分がどんどん引き上げられてきたときに国がそれでもつのかという持続可能性の部分に言及していかないといけないというふうに思うわけであります。

 いずれにしても、社会保障全般に関して、年金は寿命の不確実性がある、何歳まで生きるかわからない、医療は疾病のリスクがある、介護は要介護のリスクがあるという中にあって、世代間格差、この格差を縮めていくために何が必要かという中の副大臣のお答えに私はもっと強調していただきたいと思う部分が、保険者機能の強化でございます。

 この保険者機能の強化に関してお考えがございましたら、お答えいただきたいと思います。

大塚副大臣 これも重要な御指摘をいただいております。

 今、例えば医療保険であれば、組合健保と市町村国保がございますが、例えば一人当たりの医療費というものも、保険者機能を発揮している団体ほど一人当たりの医療費が低いという傾向が出ております。一方、市町村国保ですと、これはもちろん市町村単位でも努力をしておられる先はありますけれども、保険者機能が相対的に発揮されていると言われている組合健保と比べると、国保全体の医療費の効率が必ずしもいいとは言えないデータがあるわけでございます。

 したがって、保険者機能をどう発揮させていくかというのも、今後の社会保障制度改革、特に医療においては非常に重要なポイントだというふうに認識しております。

あべ委員 保険者機能を強化していくということは本当に課題でありますが、具体的に、副大臣、どういう方法があるとお考えですか。

大塚副大臣 これは、例えば、先日も組合健保の連合会の総会にあいさつにお伺いをしたんですけれども、連合会の皆様方の御意見は、やはり、組合健保は非常に財政効率もいいので、自分たちに高齢者の医療費の負担が過大に回ってこないように、つまり、高齢者の負担をもう少しふやしてほしいと。高齢者の方々は最後は国保に行くわけですから、あるいは高齢者の医療制度の方に行くわけですから。そういうことをおっしゃったんですが、私の方から御指摘申し上げたのは、組合健保連合会三千万人という御表現を使われましたので、三千万人だけで国民皆保険が維持できるわけではなくて、残りの九千万人の問題もありますと。加えまして、その連合会の皆様方もやがては高齢者になるということを考えると、三千万人の観点からだけ議論をしていては実は解は見つからないということを申し上げました。

 今の脈絡から御想像いただければ幸いでございますが、例えば、これは一つの例でございますが、組合健保がリタイアされたOBまで最後まで面倒を見るというような形に仮になった場合、それは、個々の保険者ごとに、高齢者の医療費について、今とは違う傾向が出てくる可能性はあると思いますので、例えばそういうことも検討しなければならないことかもしれないというふうに思っております。

あべ委員 ここは難しいところでございまして、高齢者はどうしても医療費を多く使う可能性が高くなる中で、それをみんなで押しつけ合っている状態が問題を大きくしているというふうに私は思っています。

 ですが、いわゆる世代間格差に関して言えば、弱者は高齢者だけなのか、若者は弱者じゃないのか。大学を卒業しても正社員になれなくて、国民年金を払うこともできない。そうした中において、この世代間格差に関しては、もっともっと対応を強化していかなきゃいけないというふうに思うところであります。

 特に、年金すべてに関しまして、社会保障の世代間格差、七十代は納めた額の八倍、二十代は納めた額の二倍もらえるかどうかと言われている中で、若者が本当に希望を持ってこの国で生きていけるかということは、この問題を解消しなくては次はないと思っておりまして、私は、ここの保険者機能の部分も含めた世代間格差をもっと全面的にやらなきゃいけないと思っておりますし、これは本当に政府挙げて取り組んでいかなければいけない部分だと思いますので、ぜひこれは御尽力をお願いしたいというふうに思います。

 逃げ切ってしまうかもしれない五十代の私が言っても余り説得力がありませんが、若い世代が国会議員に余りいらっしゃいませんので、それを代弁して言わせていただきたいというふうに思っております。政治の世界で五十代は若いと言っておりますが、世間一般には若くないわけでございまして、そこのところは明確に分けた方がいいと思っております。

 最後の問題に移らせていただきますが、社会保障番号であります。

 この保障番号の導入について検討が行われているところでございますし、一月三十一日付の社会保障改革検討本部の資料も入手させていただいているところでございますが、この番号制度の検討はなぜ必要かを改めて教えてください。

大塚副大臣 私もその実務検討会のメンバーでございますので、今、他のメンバーと一緒に議論をさせていただいております。

 この社会保障制度番号、あるいはほかの呼び方でおっしゃる方もいらっしゃいますけれども、つまり、一人の国民の皆さんが一体どの程度の医療や介護等のサービスを受けているか、あるいは、どの程度の税や社会保険料における負担をしていただいているかということを総合的に把握するために、やはりこういうインフラはあった方がいいということが基本的な前提になっているというふうに思います。

 とりわけ、私どもといたしましては、実は、きょう田村先生から御質問があった運用三号の問題なども関係しているんですけれども、社会保険料と税金、これを今は日本年金機構とそして国税当局が徴収をしているということが、その負担をしていただく上での業務の煩雑さや、あるいは正確な情報入手、あるいは両方を総合した情報を入手する上で大きな障害になっておりますので、とりわけ税と社会保険料の合理的で効率的な制度をつくる上で、この社会保障番号は極めて重要な役割を果たすというふうに認識をしております。

あべ委員 そこのところは私は重要だと思っておりますが、特に、国民からの視点でいいますと、ここの給付と負担というのは上から目線でございまして、大切なのは行政の縦割りの部分だと私は思っております。この行政の縦割りの部分をもっと取り払って、国民視点ですべての制度を見直していくという観点からいうと、私はこのデータベースのつくり込みの仕方が本当に大きく影響しておると思いますが、これは、各省庁の縦割りでデータベースがばらばらになるということは、副大臣、ございませんか。

大塚副大臣 それも極めて重要な御指摘で、そういうことにならないように、政府全体、つまり行政府全体で共有して使える番号制度をつくっていかなければならないと思っておりますので、もうこのことは、それこそ党派の関係のない共通の重要課題だと思っておりますので、御協力をいただきたいと思います。

 一つ、数字だけ訂正させていただきますが、先ほど厚生年金保険料率を約一七と申し上げましたが、正確には一六・〇五八でございましたので、その点だけ訂正させていただきます。

あべ委員 その縦割りの部分でデータが横断的に使われるかどうかということは非常に大きな部分でございまして、特に、社会保障関係に関しましては地方自治体も絡むことでございますので、これは総務省絡みの、地方自治体のデータベースをどう連動させるかということにつながりますので、副大臣、これはクラウドを使用していくという理解でよろしいでしょうか。

大塚副大臣 これは実はなかなか難しい問題で、クラウドはちょっと前の言葉で言えば分散型コンピューティングということでございますが、システムは、ITの世界は日進月歩でございまして、どのような業務、つまり業務要件に対してどのようなシステム要件が合理的であるかというのは、これは物によって大きく変わってくるわけでございます。

 したがって、もし、この社会保障制度の今後のあり方とかその基盤となる番号制度の業務要件がクラウド型、分散型コンピューティングに適したものとなるのであればそうするべきだと思いますし、逆に、メーンフレームで、集中型で処理した方がいい場合もありますので、そこは今後の議論だと思います。

 ただ、一点重要なのは、どうも我が国では、何かをシステム化しようとするときに、システムであれば何でもできるという発想で、物すごく複雑な業務要件をシステムサイドに課すことによって、システム自身が制御できなくなります。今の日本年金機構、旧社会保険庁のシステムも、そういうことで大変困っているわけでございます。

 したがって、先生御指摘の点については、クラウドがいいかどうかは別にして、今後の社会保障制度改革においては、業務オリエンテッドなアプローチとシステムオリエンテッドなアプローチ、両方をイーブンで検討を加えていくことによって、本当にハンドリングが可能で、サステーナビリティーの高いものをつくらなければならないというふうに理解しております。

あべ委員 私は、このデータベースの管理の仕方が、社会保障制度の、特にその行政の縦割りの中の穴に落ち込んだ方々をどう救済できるかということが非常に重要な部分であって、給付と負担の部分は国がどう考えるかの話であります。

 ですから、横断的に、引っ越しをしても困らない、新たなところに行ってすべてをゼロからやり直さなきゃいけない、電子政府の観点と、さらには、先ほどおっしゃった国の給付と負担の部分と、国民目線で、今障害者の方々が、また病気をされた方々が、本当に、この病気になったら得、この病気になったら損、この障害だったら優遇で、この障害を持っていたら全く冷遇されてしまうということがあってはならないと思っております。

 ですから、この社会保障番号をクラウドで管理していくといったときに、一番反対したのはいわゆる行政の方々でありました。これは省庁の再々編成につながるからでありまして、皆様方、政治主導とおっしゃってくださるのなら、官僚を無視し過ぎた変な政治主導ではなくて、官僚の方々と手をとり合った形の、しかしながら、国民目線で、何をやっていくかということをもっと前面に出してやっていただけたらと思います。

 時間になりましたので、質問を終わります。

牧委員長 次に、加藤勝信君。

加藤(勝)委員 自由民主党の加藤勝信でございます。

 私の場合は、きょうとあした、三十分ずつということで質疑をさせていただきます。

 まず、第三号被保険者の記録不整合問題について取り上げさせていただきたいと思います。

 先ほど、我が党の田村委員からも御質問させていただきました。大臣の課長通知の発出あるいは課長通知そのものの認識についてはございましたが、ほかの政務三役の方は、十二月十五日に発出されたことをいつ御存じだったんですか。担当の副大臣、政務官にお伺いいたします。

岡本大臣政務官 大塚副大臣は、十二月時点では御就任されておりませんでした。

 私は、十二月十五日のこの発出の前に、年金局からこういった通知を出したいという旨の話を聞いておりました。

 もう少し説明をさせていただきますと、当時、他の案件で協議をすることがあり、話をする中で、年金局の方から、運用三号というものが、既に大臣決裁がおり、そして実施をするための手続をとって実施をするという状況になっており、これについてはもう私の決裁は要らず、既に決裁が済んでいるからこれは粛々と進めるという旨の御説明、内容についてももちろん伺いました。その時点で若干違和感を感じたのは事実としてありましたけれども、組織としての継続性というものもあり、それについての、発出について聞いたということでございます。

加藤(勝)委員 当時の副大臣は御存じだった、あるいは引き継ぎは大塚副大臣は受けておられるんですか。

大塚副大臣 私自身は、一月の十八日に認証を受けまして、その日に引き継ぎ式をやりました。先ほど、大臣にも坂口先生から御下問がありましたが、私の資料の中にそれが入っていたかどうかは、今現在は確認をしてみないとわかりません。

 ただ、翌十九日から各局のレクが始まりまして、年金局の最初のレクのときにこの運用三号の問題は報告を受けたというふうに記憶をしております。

加藤(勝)委員 そうすると、すなわち、十五日の課長通知、きょうの新聞を見ておりますと、決裁、要するに、役所の中で決裁がありますけれども、決裁は大臣のところまでは当然行ってなかった、あるいは政務三役のところには行かずに発出した、そういう形の記事があったと思いますけれども、そういう認識でよろしいんですか。

岡本大臣政務官 先ほどお話をしましたように、話として十五日より前に私は聞いておりましたし、事務方がすべて手続として独断で行ったというようなことではなくて、相談としては受けていたということは事実関係としてあるということは御理解いただきたいと思います。

加藤(勝)委員 いずれにしても、いわゆる、皆さんは政務三役というお言葉が好きでありますが、政務三役は知っておられたということ、個々という意味じゃなくて、政務三役のグループとしては知っておられた、こういう認識だということですね。

 それで、この運用三号、我が党の世耕委員が予算委員会の質疑の中で取り上げておりますが、この運用三号の対象者がよくわからないんですね。先ほど二千何百人ということをおっしゃっていますが、たしか公明党の方の質問主意書によると、十二月十五日以降一月末までが二千三百三十一人という数字。そうすると、一体いつ申請をされた、いつ持ってこられた方からが対象になっているのか。課長通知を見ると一月一日のようにも思えますし、そういう議論を聞くと十二月十五日のように思えるんですね。

 何が今私申し上げたいかというと、本件の場合には、この運用通知以前からいろいろな問題があったというのが一つあります。それから、運用通知に係るものをどうするかという二つの問題があると思うんですね。そうすると、この二つ目の問題というのを限定して考えなきゃいけないというか具体的に切り出して考えたときに、その対象者が一体どうなっているかというその事実関係を確認したい、こういう趣旨からの質問でございますので、いつから始まっているのかというのが一つと、それから、先ほど、一月三十一日、一月三十一日と言っていますけれども、きょうは三月の八日ですか、二月末までの数字というのはないんですか。

大塚副大臣 数字については事務方からお答えさせていただきますが、いつから適用ということは、一月一日からこの運用三号を実施するという通知が出ていることはもう先生御承知のとおりでございまして、日本年金機構の事務手続を見ると、十二月の十五日に通知が届き、その段階で、機構内のいわば事務処理の手順書みたいなものが整備をされているわけでございますが、十二月十五日の通知が発出されて以降は、いわば受益者あるいは裁定申請者の皆さんの不利益にならないよう、運用三号の趣旨を踏まえて適切に対応するようにという指示が出ておりますので、その結果、裁定申請者というのは窓口にお持ち込みになってその日のうちにすぐ裁定されるわけではなく、何日間か日数がかかるために、結果的に、十二月十五日以降に持ち込まれたものが、一月一日以降のこの制度の実施に当たって対象となっているものというふうに思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 一月三十日までの受け付けの数字以降の数字ということで、現在、私ども、年金機構から報告を受けております数字といたしましては、二月二十三日までの受け付け、累計といたしまして五千八百五十四件、いわゆる運用三号の適用の申し出を受け付けておる件数でございます。

加藤(勝)委員 要するに、二月の二十三日間で約三千五百人ぐらいふえた、こういう認識でよろしいですね。

 それで、今の、大塚副大臣、思うという議論ではなくて、どうなっているかということを聞いているのでありますから、そこはしっかりと説明をしていただきたいんですけれども。事務方でも結構ですが、どうなっているのか。要するに、運用三号の現場での取り扱いをどういうふうに切り分けているのか。十二月十五日から来たものについて、二週間ぐらい事務処理がかかるから、それが一月一日に回るから一日ということなのかわかりませんが、いずれにしても、いつ申請を受けたものからこれを適用するということに、機構に対して指導し、対応されていたのか。

 だって、これは非常に重要でしょう。いつからによっても際で全然変わるわけですから、そこは多分明確に伝えていると思うんですが、そこはどう伝えておられたんですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、昨年の十二月十五日付で、日本年金機構に対しまして、いわゆる運用三号の取り扱いを平成二十三年一月一日から実施するようにという実施時期の連絡をいたしました。十二月十五日にその旨の連絡をいたしましたので、実際、その運用三号による取り扱いを始めます二十三年一月一日と、それから、通知を出しました平成二十二年十二月十五日までの間の約二週間の取り扱いというのが問題になるわけでございます。

 そこで、私どもといたしましては、この十二月十五日の受け付け以降のものにつきまして、いわゆる運用三号の取り扱いをするということで年金機構に話をいたしました経緯がございます。

加藤(勝)委員 そうすると、通知はまだ一月一日になって、さらにその連絡で十二月十五日に適用時期をさかのぼっていたということですか。その文章はありますか。出していただけますか。

石井政府参考人 私が今申し上げましたのは、実際、いわゆる運用三号の取り扱いにのっとりまして、三号の不整合期間について訂正をしたり、あるいはそれに基づいて裁定をする、そういう実施時期は平成二十三年一月一日以降ということを申し上げたつもりでございます。

 その申請の受け付けの日付といたしまして、十二月十五日以降受け付けたものについて、二十三年一月一日以降の事務処理をするということを今申し上げたわけでございます。

加藤(勝)委員 いや、だから、それを文章にしたものはあるわけでしょう。それを出していただけませんかと申し上げているんです。

石井政府参考人 私どもから日本年金機構に対しましてその旨の文章を出したということはございません。日常の、私どもと日本年金機構の間の仕事を進める上での連絡の中でいたした次第でございます。

加藤(勝)委員 これは、非常に国民の権利義務にかかわるものが文章でもなくて日常のやりとりの中で行われている、ずっとそうだったのかもしれませんけれども、ちょっと何とも申し上げられないという問題だ。そのことは確認をさせていただいたということで、次に行かせていただきたいと思います。

 この運用三号の適用なんですけれども、この課長通知を見ると「記」の中に「受給権者 既に裁定が行われていることから、現状を変更しないものとすること。」こういうふうに記載されているわけであります。その前に、下記の取り扱いを平成二十三年一月一日より実施されたい、ただし、同日までに本人が当該期間の年金記録を確認し、既に記録の訂正がなされているものについては、対象とならないことについて留意願いたいと。こういう文章の後に「第三号被保険者期間として記録管理されていた期間が、実際には第一号被保険者期間であったことが事後的に判明した場合の取扱いは次のとおりとする。」ということで、受給権者は既に裁定が行われていることから現状を変更しないものとするということになるわけです。

 ということで、ちょっと一つ教えていただきたいのは、既に年金をもらっている受給権者で、そして機構の方で、その方には不整合記録があったから受給されている事態の記録がいわば間違っていた、不整合があったという場合には、本来はそれは本来の記録に戻して受給額を減額する、こういう措置をとることになると思うんですが、そういう取り扱いが本来の取り扱いですか。

石井政府参考人 受給権者の方の加入記録が、今委員おっしゃったように、実際には一号被保険者期間であるにもかかわらず、三号被保険者期間として記録管理されていたということが事後的に判明した場合の取り扱いにつきましては、これまで統一的な取り扱いというものが旧社会保険庁時代以来示されておりません。したがいまして、実際の取り扱いについては、統一がとれた形でのものではなかったのではないかと考えております。

 ただ、本来の考え方といたしましては、その期間につきまして、第一号被保険者期間ということで訂正をするというのが考え方になろうかと考えております。

加藤(勝)委員 そうすると、今のお話のように、本来であればそこは訂正をして減額をしていくということ、しかし、実態としてはなかなかそういうことになっていなかったのではないか、こういう御発言ですよね。

 そうすると、今、多分、年金機構に十二月三十一日段階で既に支給されている中に不整合記録がありながらしかも訂正もされていない、そういう方が十万人なのか二十万人なのかわかりませんけれども、そこに明確にいる、これは年金機構ではわかっているわけですね。逆に、わかっている人以外はわからないという言い方が正解だ。だから、わかっている。

 例えば、そういう方が十万人おられたとします。たまたま、これまでの本来の措置であれば訂正をしていなければならないけれども、統一的な指導も十分でなかったということで、記録としておかしいねということも機構側がわかっておりながらもずっと支給されている、訂正されない記録のまま支給されている方がおられた。

 その方々がこの運用通知によって、一月一日によって、今言った訂正されていない記録というものが、本来なら訂正しなきゃいけないものを訂正しなくていいということになるわけですね。そうすると、一月一日によって、今、受給権者という人たちは不整合記録がありながらも、もうそれは本来の記録ですよと自動的にみなされたというのがこの通知になるんじゃないんですか。そこを教えていただきたい。

 要するに、今問題になっているのは、裁定した約千人弱とかいうお話をされているけれども、しかし、この通知によって、今言った、受給をされておりながら、不整合記録の事実は機構が把握している、しかし、そのことはもうよしにしましょう、一月一日でよしにしましょうというのが課長通知の効果になるんじゃないんですか。

石井政府参考人 この運用三号の取り扱い、ここに至る背景といたしまして、旧社会保険庁時代に、平成二十一年の十二月でございますけれども、当時の社会保険庁の職員それからOB職員に対しまして、まだ顕在化していないいわゆる記録問題、そういうものがあれば回答してほしいといったアンケートをいたしました。そのアンケートの回答の中で、第三号被保険者として記録管理されているその期間が実は不整合ではないかという記録が見られることがある、そういうアンケート結果がございました。

 一方、先ほどの御答弁でも触れましたけれども、平成二十一年度に社会保険庁が、ある一時点ではございますけれども、三号期間と二号期間に不整合がある、そういう期間を持っておる件数が幾らかということが、調査いたしましたところ、約百三万件ということがわかったわけでございます。

 そこで、こういう方々が多数おられるということで、日本年金機構の方では今システム開発を進めております。これは、システム開発ができました……(加藤(勝)委員「委員長、趣旨が全然違うから、ちょっともうとめてください。そんな話をしているんじゃないでしょう、通知の効果の話を聞いているんですから」と呼ぶ)

 いや、今申し上げようと思いましたのは、委員の方の御指摘の中で、日本年金機構が不整合を把握しておるという御指摘がございましたが、今、その個々の方、受給権者を含めまして、被保険者を含めましてでございますけれども、個々の方の記録を、不整合期間がある場合にはそれを把握するためのシステム開発を今進めつつある段階だということを申し上げようと思ったわけでございます。

加藤(勝)委員 そうすると、不整合記録は判明していないということですか、その方々は。

大塚副大臣 その方々という御下問になるのか、日本年金機構はという御下問になるかによって少し答えが違うんですけれども、ちょっと再整理をさせていただきますが、先ほどの先生の御下問のこの記書きの「一 受給権者」、この記書きによると、現状を追認するということになるんだなという御下問、それはそういう効果があります。

 そして、その上で、日本年金機構側は、では、だれが年金記録に不整合があるかというのを知っているかというと、今審議官が申し上げましたように、これは今、年金機構ではわかりません。そして、個々人の方がわかっているかどうかということについては、制度をよく御存じで、御自分の記録が実は違うという自覚症状のある方は、それは御存じだということなります。

加藤(勝)委員 私がこだわったのは、この記の中に、事後的に判明した場合の取り扱いはこうだということなんですね。

 だから、要するに、この事後的な判明ということ、すなわち、今、蓋然性としては不整合記録があるという、例えばここに集団が明らかにおられる。しかし、それは今おっしゃるように、機構としては、まだこの人に対してきちんとした不整合記録かどうか判明していないから、当然この一月一日の時点では判明していないからそのままになっている、こういう解釈、こういうことでいいんですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの私の答弁の中で触れましたシステム開発をすることで把握されたケース、これはここで言います事後的に判明したということに該当いたします。

加藤(勝)委員 そうすると、認識をしたということで、データとしては当然持っておられるわけですよね。だけれども、それは判明しているとは言わないんですね。そういう解釈ですね、ここは。うなずいているからそういうことでよろしいですか。

 では、そうすると、対象の数は、判明している人がだれもいないということでありますから、今の受給権者ということではなくて、むしろこの間に裁定をしてきた人たち、裁定済みの方々ということが、とりあえず今回の運用三号によって出てきている問題ということに限定して議論していけばいい、こういうふうに思うんです。

 その中で、これはちょっと大臣に申し上げたいんですけれども、これも世耕委員からお話がありましたけれども、二月二十四日の大臣談話というか、大臣ペーパーでは、「裁定に向けた事務処理や年金の支給は留保する」というふうに明確に書いておられるんですね。

 私ども、きょうは鴨下委員もいらっしゃいますけれども、二十四日、鴨下委員の指摘で、留保すると。しかし、二十八日も議論をしているんです。何で二十八日にこのことを言わなかったんですか。三月十五日に支給者がありますということを何で予算委員会で言わないんですか。

細川国務大臣 三月の中旬に支払わなければいけない人がいないとか、そういうことを私は言っていないと思いますけれども、いつの段階でのことでしょうか。

加藤(勝)委員 いや、だって、大臣の談話の中には、「年金の支給は留保する」と書いてあるんでしょう、大臣。それが留保する意味でしょう。

 留保のことについて見解だ何だかんだ話して、一連の、例えばこのときにもう一つありました。年金業務監視委員会、前倒しにするという話も、たしか鴨下委員のときにありました。いや、残念ながらそれはできませんという報告は総務大臣からはありました。それはそごがあることは、多少、ばたばたですから、我々もわかりますよ。

 しかし、二十八日の段階になれば、事務方から、いや、それは実はできませんという話はもう既に上がっていたと私は思う。にもかかわらず、年金の支給自体、国民の皆さんは、ああこれで支給はとまるんだ、だからとりあえず問題はとまっているんだと認識したんですよ。ところが、実態は、もう着々と三月十五日の支給に向けて走っているじゃないですか。やはりそういうことはきちんと説明される、聞かれないというわけじゃなくて、もう留保と大臣がおっしゃったから我々は留保の意味はそうだと思って議論をしているわけですから、前提が違うんですね。何でそこをはっきりおっしゃっていただけなかったのか。それとも、大臣が聞かれたのはもっと後の話なんですか。

細川国務大臣 その件については、三月中旬に暫定払いの支給がある、こういうことで、それについて最初は私の方は、委員会で申し上げたように留保するということで、その留保は、手続の方も進めない、それから年金の方も支払わない。要するに、とめる、ストップする、こういうことであったわけですけれども、その後で暫定払いというのがあるということを知りまして、そしてその暫定払いがどうなるのか、それをとめられるのかどうかということも検討もいたしました。

 その検討の過程の中で、既裁定者については、法律上、一応、運用三号でやったのだから、既に権利は発生しているという点の考え方と、それからもう一つは、暫定払いの支払いについてはもう既にとめられない状況になっているのではないかということで、そこをとめられるかどうかということも含めていろいろ検討をしましたけれども、なかなか最後の方までそれがわからなかったというところもありまして、最終的にもうやむを得ないということの結論を出したのは二十八日よりももっと後のことだったと思います。

加藤(勝)委員 そうすると、大臣は、もう既に支給払いの手続が始まっているということは、二十八日、予算委員会の前に御存じだった、そういうことでよろしいですね。

細川国務大臣 いや、暫定払いが行われるのが三月の中旬だということで、それがとめられるかどうかということについては、これはいろいろ検討した結果、とめられないというふうに最後にわかったのは、もっともっと後のことだったというふうに言っております。

加藤(勝)委員 いや、違いますよ。三月十五日の暫定払いに向けて事務処理はもう既に進んでいるということは、事務方は当然言いますよ、そんなことは。私から言ってみれば、こんな大臣ペーパーを出すこと自体が事務方がおかしい、こういうふうに思いますよ。もっときちんと書かなければ。

 しかし、そうである以上は、大臣に対して、実はこういう問題があります、もう支給手続が始まって、一月二十日段階、あるいは、三月十五日ですから、二月の二十日段階ではもう既に事務処理に回っているわけじゃないですか。何でそういうのをきちっと言わない。そうすれば全然違う議論になっていくんですよ。要するに、委員会の審議というのはそういうものだと思うんです。事実に基づかなければ議論できないんですよ。そこにそごがあったら、政府側と我々がそごがあったら、かみ合わないじゃないですか。そういうことをきちんとしていただかなきゃならない。

 私は、この問題は非常に、大臣がいつ知られて、その結論、難しいということをいつされたのか、これはまた別途、参議院でも議論されると思いますから、ここではこれ以上聞きませんけれども、しかし、非常にこれは私としては、特に委員で質問した立場としては、余りにも誠実な対応ではない。

 普通、そういうことがあれば、事務方から、いや、申しわけないけれどもあの話はこうだとか、そういうふうに来ますよ。我々のときはやっていましたよ。やはりそういうことをきちんとしていただかなければ議論はできないということを明確に申し上げておきたいと思います。

 あと、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、最後に一言申し上げておきたいのは、先ほど何か議員立法云々というお話があったんですけれども、先ほど申し上げた本件の問題は、運用三号の前までにあったこの状況をどう解決するかというのが一つあります。しかしもう一つは、運用三号によって行われたこの事態をどう解消するかという二番目が含まれるんですね。さっき大臣も答弁で、抜本的対策の決定後、年金額は減額されることはあり得るとの通知文を送ることを考えているというお話もあった。

 であれば、閣法で出すのが当たり前じゃないですか。政府が失敗をしているわけですよ。この前であれば、それは、自民党さんあるいは公明党さんもそういう時代があったから一緒に考えましょうと言われれば、そうだなと我々も思いますけれども、もっと大きい、裁定をしてしまった、受給権が発生している、こういう問題をどうにかしなきゃならない。それをつくったのは皆さんの政権なんだから、閣法で出すのがまず筋じゃないんですか。

細川国務大臣 抜本的な解決に向けてやっていくのは、これは法改正を視野に入れてやろうと思っております。その際、どういう形でこの抜本的な解決をしていくのかということは、今後、私どもの方でも考えてまいります。

加藤(勝)委員 私どもの方でもじゃなくて、まず私の方からお出しをいただきたい。そこから先は、委員会という場所がありますから、それはいろいろな議論があると思いますが、まずは政府においてしっかりした案を出していただきたいと思います。

 いずれにしても、委員長、この問題はまだまだ尽きない部分がございます。先ほど田村委員から長妻前大臣の参考人の話もありましたけれども、その前提として、やはりこれだけ国民の多くの方が高い関心を持っている。私のところにもメールで、NHKで「ニュース深読み」という番組があって三月五日に放映されたら、三百近いコメントが番組のサイトに送られている。加藤さん、それを見てくれと言うから、私もきのうざっと見させていただきました。

 それだけ関心の高い問題でありますし、それから、もう四月十五日の支給というのも近づいてきているわけですね。そして、今あった五千人を超える方々の裁定をどうするかという問題、目の前に来ているわけでありますから、これは徹底的にこの委員会で、しかも早期に集中審議をしていただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

牧委員長 理事会において前向きに協議をしたいと思います。

 次回は、明九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十九分散会


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