衆議院

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第5号 平成23年3月25日(金曜日)

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平成二十三年三月二十五日(金曜日)

    午後一時五十分開議

 出席委員

   委員長 牧  義夫君

   理事 郡  和子君 理事 中根 康浩君

   理事 藤田 一枝君 理事 柚木 道義君

   理事 渡辺  周君 理事 加藤 勝信君

   理事 田村 憲久君 理事 古屋 範子君

      青木  愛君    石毛えい子君

      石森 久嗣君    大西 健介君

      岡本 充功君    奥野総一郎君

      工藤 仁美君    小宮山洋子君

      斉藤  進君    田中美絵子君

      竹田 光明君    玉木 朝子君

      長尾  敬君    初鹿 明博君

      樋口 俊一君    平山 泰朗君

      福田衣里子君    三宅 雪子君

      宮崎 岳志君    山口 和之君

      山崎 摩耶君    湯原 俊二君

      吉田 統彦君    あべ 俊子君

      鴨下 一郎君    菅原 一秀君

      棚橋 泰文君    谷畑  孝君

      長勢 甚遠君    西村 康稔君

      松浪 健太君    松本  純君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    山内 康一君

    …………………………………

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官付参事官)           永井 智哉君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            森山  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          小野  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  宮島 俊彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   中村幸一郎君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     湯原 俊二君

  仁木 博文君     奥野総一郎君

  江田 憲司君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     仁木 博文君

  湯原 俊二君     稲富 修二君

  山内 康一君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

三月十日

 大幅増員と夜勤改善で安全・安心の医療・介護の実現を目指すことに関する請願(吉井英勝君紹介)(第一七一号)

 同(中島隆利君紹介)(第一九〇号)

 同(石川知裕君紹介)(第一九六号)

 同(工藤仁美君紹介)(第一九七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一九八号)

 同(服部良一君紹介)(第二〇三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二一五号)

 後期高齢者医療制度の即時廃止、介護保険制度など社会保障の改善・拡充に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一七五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一七九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一八〇号)

 保育、子育てにかかわる費用の大幅な軽減を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八一号)

 同(笠井亮君紹介)(第一八二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一八三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一八四号)

 患者・利用者負担を大幅に軽減し、いつでも安心して受けられる医療・介護の実現に関する請願(宮本岳志君紹介)(第一八五号)

 患者・利用者負担を大幅に軽減し、いつでも安心して受けられる医療・介護の実現を求めることに関する請願(古本伸一郎君紹介)(第一八六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二七八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七九号)

 社会保障を充実させ、国民の暮らしを守ることに関する請願(田中康夫君紹介)(第二〇二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二五〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二八〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二八一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三〇三号)

 同(志位和夫君紹介)(第三〇四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三〇五号)

 介護保険制度の抜本的な改善を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第二二九号)

 保育を必要とする子供たちすべてに国からの補助を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第二三〇号)

 社会保障としての国保制度の確立を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第二三一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二五一号)

 医療崩壊を食いとめ、患者負担の軽減により安心して医療が受けられることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二七三号)

 患者負担大幅軽減、後期高齢者医療制度の廃止を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二七四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七五号)

 社会保障の充実を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第二七六号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二七七号)

 中小業者とその家族の健康を守る対策に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第三〇二号)

同月十七日

 医療崩壊を食いとめ、患者負担解消により安心して医療が受けられることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三三五号)

 国の財源で高過ぎる国民健康保険料の引き下げを求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三三六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四六五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四六六号)

 後期高齢者医療制度を即時廃止し、老人保健法に戻すことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三三七号)

 同(笠井亮君紹介)(第三三八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三三九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三四〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第三四一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三四二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三四三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三四四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三四五号)

 労働者派遣法の早期抜本改正に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三四六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四六七号)

 後期高齢者医療制度の速やかな廃止を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三四七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四二三号)

 同(笠井亮君紹介)(第四六一号)

 七十五歳以上の高齢者と子どもの医療費を無料にすることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三四八号)

 同(笠井亮君紹介)(第四六二号)

 後期高齢者医療制度即時廃止、安心の医療を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三四九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四六三号)

 社会保障を充実させ、国民の暮らしを守ることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第三五〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三五一号)

 後期高齢者医療制度を速やかに廃止し、高齢者・国民が望む医療制度を目指すことに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三五二号)

 社会保障としての国保制度の確立を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三五三号)

 大幅増員と夜勤改善で安全・安心の医療・介護の実現を目指すことに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三五四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三五五号)

 同(城内実君紹介)(第三六八号)

 同(木内孝胤君紹介)(第四二四号)

 同(滝実君紹介)(第四二五号)

 同(吉泉秀男君紹介)(第四四五号)

 患者・利用者負担を大幅に軽減し、いつでも安心して受けられる医療・介護の実現を求めることに関する請願(佐藤ゆうこ君紹介)(第三六七号)

 保育を必要とする子供たちすべてに国からの補助を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三六九号)

 同(笠井亮君紹介)(第三七〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三七一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三七二号)

 同(志位和夫君紹介)(第三七三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三七四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三七五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三七六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三七七号)

 医療費の窓口負担軽減と医療保険制度への国庫負担の増額を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四四二号)

 国民医療の拡充と建設国保組合の育成・強化を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四四三号)

 パーキンソン病患者・家族の治療療養生活の質的向上の総合対策に関する請願(藤田一枝君紹介)(第四四四号)

 介護サービスの質の向上を図るための東京における介護報酬の地域係数の是正に関する請願(小池百合子君紹介)(第四五七号)

 高齢者が安心して受けられる介護保障制度の実現を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第四五八号)

 最低保障年金制度の実現と無年金・低年金者に緊急措置を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第四五九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四六〇号)

 介護保険制度の抜本的な改善を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第四六四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

牧委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの東北地方太平洋沖地震とそれに伴う大津波により亡くなられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。また、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員御起立願います。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

牧委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

牧委員長 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官付参事官永井智哉君、厚生労働省医政局長大谷泰夫君、職業安定局長森山寛君、職業能力開発局長小野晃君、老健局長宮島俊彦君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官中村幸一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。郡和子さん。

郡委員 民主党の郡和子でございます。

 未曾有の大震災からちょうど二週間を迎えました。現在、警察庁のまとめによりますと、きのう現在ですけれども、わかっているだけで、亡くなられた方九千八百十一人、行方不明者一万七千五百四十一人ということです。

 ただいまこの委員会でも全委員で黙祷をささげたところでございますけれども、私からも哀悼の意を、そしてまた被災された方々への心からのお見舞いを申し上げたいと思います。また、この間、救援、救出に全力を挙げていただきました関係各位の方々の身を惜しまぬ御努力に心から感謝を申し上げます。

 被害の大きかった宮城県の議員として質問に立たせていただきました。

 救急救命対応から応急、そして復旧へとステージが移ってまいりました。今後の復興への道のりは長くつらいものになるだろうと想像しております。しかし、英知を集めて乗り切らなくてはなりません。

 きょうは、被災者の生活支援を中心に御質問をさせていただきます。

 まず、今回の震災では、避難所等で地元の医師初めDMATやJMATなどボランティアの医療関係者が診療に当たってくださいました。災害派遣医療チーム、通称DMATは、これまで宮城県内に八十九チームが入っていただき、また災害拠点病院などと連携して、急性期の患者の治療のために御尽力をいただきました。さらには、急性期の後を引き受ける形で日本医師会のJMATも二十チームほど宮城に入っていただき、避難所、救護所などで昼夜を問わず働いてくださっています。

 また、地元の医師も、初期の段階から寝ずの番で頑張ってくださっています。宮城県医師会によりますと、会員の医師、これまでに震災で亡くなられたことがわかっているだけで九人、このほか、みずからの診療所や家族、スタッフを亡くした医師も大勢おられます。その皆さん、現場の余りの惨状に崇高な気持ちで対応してくださっているわけです。

 この間、被災者の医療につきましては、厚労省もさまざまな要請に迅速に対応をとってくださいまして、さまざまな対応をしていただきました。しかし、被災地の医療の最前線で頑張っておられる医師らに対しては、すべて災害救助法のもとで派遣されると考えていいのかどうか、つまり、実費や補償は担保されるのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

岡本大臣政務官 御質問いただきましたように、今回の震災におきましては、日本赤十字社の救護班、また災害派遣医療チーム、DMAT、そして日本医師会による災害医療チーム、JMATなどに御活躍をいただいているところでございます。

 これらの医療チームが行った医療にかかる経費につきましては、薬剤そして治療材料等の実費、そして救助のための輸送費や日当、旅費等の実費などを災害救助法の補助対象としているところでございます。このことについてしっかりと周知をしていくことが重要だというふうに考えていますし、被災地の医療が適切に確保されるように今後とも支援を行ってまいりたいと思っております。

 なお、都道府県知事の要請なく自主的に実施された医療については、共助の精神において行われたものであると考えておりまして、補助の対象とならないところでございます。

郡委員 みずから立って医療に当たられた地元の地域の医師も大勢いらっしゃいます。医薬品等を提供されているものというふうに承知しておりますので、やはりこの辺についても御高察いただければというふうに、これは御要望でございます。

 また、特に津波被害に遭いました地域では、病院そのものの被害も甚大でございます。地域医療が壊れたと言ってもいいと思っています。また、行きどころをなくした患者は、今、被害のなかった病院に集中しておりまして、本来その病院でやるべき医療にも支障が出てきております。適切な医療を提供できない状況が生じております。これまで予想もできなかった影響が次々と生じていることに私も愕然といたしますが、地域医療体制そのものの再生のためにも、国としてもお取り組みをいただきたいというふうにお願いをいたします。

 次に、宮城県内、仙台市内では、来週から仮設住宅の建設が始まることになりました。完成までには着工からおおむね一カ月かかるというふうなことでございますが、窮屈で困難な生活から、少なくともプライバシーが保たれる仮設住宅というのは、多くの被災者の方々が待っているものでございます。

 私も避難所を訪ねましたけれども、生活というレベルではございませんでした。しかし、避難されている皆さんそうだったんですけれども、命があっただけで幸せだ、ありがたいというふうに話されておりました。寒さに耐えて、少ない食事を分け合って、トイレも不便きわまりない中で、我慢して過ごされておりました。決して、これが欲しいなどと要求はされません。要求などできない状況に置かれている人々が少なくないということを実感いたしました。車いすのお年寄りの方々など、特にそうだと思います。

 建設が始まる仮設住宅ですけれども、バリアフリーのものであってほしいと私は思っておりますが、バリアフリー対策をどのように行っていくのか、そしてまたこれは、これからもしばらく続く避難所でも、バリアフリーのトイレを初め、さまざまあるかと思うんですが、どのように対応されるのか、お尋ねいたします。

岡本大臣政務官 御質問にありました仮設住宅の供与というのは、都道府県において実施されることでありますけれども、入居者となる高齢者や障害者といった要援護者の特性を踏まえつつ、さまざまなタイプの応急仮設住宅を設置することとしているところでございまして、標準的な仕様の応急仮設住宅に例えばスロープや手すりを設けてバリアフリーにするというようなことのほか、障害者用のトイレの設置をするなどの配慮等、被災者の方々のニーズに応じて対応できるようになっています。そのための所要の費用につきましては、国庫負担とするところとなっております。

 また、避難所についてでありますけれども、要援護者のための避難所、いわゆる福祉避難所、こちらにつきましては、要援護者に配慮いたしましたポータブルトイレだとか、また手すり、そして仮設スロープなどの配置を行った場合にも、これを国庫で見ることとしております。

 こういったさまざまな取り組みを通じて、さまざまな皆様方にしっかりと国としても対応していきたいというふうに考えております。

郡委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 津波の到達しなかった地域でも、マグニチュードが九・〇、震度七という強い揺れでございました。被害は甚大です。あちらこちらに地割れができて、倒壊した家、傾いた家、いまだ宮城県では、住宅の全壊、半壊、一部損壊を含め、被害状況をつかんでおりません。土砂崩れ、道路の隆起や陥没、至るところ被害を受けております。ライフラインは懸命な復旧が続けられておりますが、いまだに水道もガスも出ないところも多うございます。命がつながれていても、ガソリンなどの燃料不足もあって、移動の手段もなく、自宅から動けなくなっている人たち、その方々ももちろん被災者でございます。

 災害弱者と言われる障害の方々は、あの日以降、自宅でじっとしているというケースが多うございました。障害の方々が通って活動していた施設では、たとえ施設に被害がなくても、利用者そして職員も通えず、この状態が続けば経営そのものができなくなってくると心配する施設経営者が数多くいらっしゃいました。

 施設の収入は、自立支援法による介護給付やまた訓練給付といった一人当たりの利用者への一日当たりの給付費、公費でございます。ゆえに、施設運営者は雇用調整助成金の対象にはならないと思っておられるので、確認をさせていただきたいと思います。対象になるのでしょうか。適用対象だとすれば、もう少しわかりやすく申請の方法も含めて周知徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小林大臣政務官 今、郡先生御指摘のように、今回の震災によって障害者の方が通所できない、したがって仕事が減る、そこで働いている人の雇用がどうなるのか、こういう御心配のときに雇用調整金が出るのかどうか、こういう御質問だと理解いたしました。

 今回の震災に伴う経済上の理由により事業活動が縮小した場合には本助成金の対象になり得る、このことをお話しいたします。

 したがって、今回の御指摘のケースについても、震災の影響で利用者が来られないといった事情は経済上の理由に該当するため、休業についての手当などが支払われ、雇用保険の適用事業所であるなどのほかの要件を満たせば雇用調整助成金が利用できる、このようになっております。

 また、被災した事業主の皆様を速やかに支援できるように、当面、青森、岩手、宮城、そして福島、茨城の災害救助法適用地域に所在する事業所について、要件緩和をしたところでございます。事業活動縮小の確認期間の短縮ということで、三カ月を一カ月、災害後一カ月間の生産量等の減少の見込みでも申請可能とすること、そして、事前に提出すべき休業計画の届け出の事後提出を特例的に認める、こういう緩和措置を図ったところでございます。

郡委員 休業という状況になければ雇用調整助成金が支払われないということになろうかと思います。障害者と施設職員でクッキーやパンなどをつくって提供していたちっちゃな作業所で、出勤できるようになった施設職員が細々とクッキーなどを焼いているところがございましたけれども、残念ながらこれは難しいんだろうというふうに思われます。経営上、困難に陥ってしまうわけでして、こういった作業所、事業所が存続して復興に寄与できるように何らかの手だてを講じられないものなのか、これも御検討を要望したいと思います。

 次に、東電福島第一原子力発電所の避難状況で御質問をさせていただきます。

 地震や津波災害は応急から復旧に向けた段階に入ったのかもしれませんけれども、原発は深刻な事態が続いておりまして、現在進行形でございます。日々緊張が続いていると言ってもいいわけでございまして、このうち、二十キロから三十キロ圏、屋内退避地区でございますけれども、この状態がいつまで続くのか展望が開けない中、その地区に住まわれる方々、食料の問題もございますけれども、お医者様にも行けず、お薬が欲しくても買いに行けないという状態になっております。この方々に対する医療及び薬剤の供給について支援することはできないものでしょうか、お尋ねします。

岡本大臣政務官 今回、福島第一原子力発電所の二十キロから三十キロ圏内、いわゆる屋内退避地域でありますけれども、こちらの医療機能ということでありますと、現時点、三月二十四日現在、南相馬市立総合病院が外来患者への対応を行っているというふうに承知はしております。

 そういった医療機関に医薬品等をお届けするということにつきましては、この地域を担当する卸業者が県を介し、具体的には自衛隊によって医薬品を搬入しております。

 厚生労働省としても、引き続き福島県と十分に連携し、必要な物資があれば被災者生活支援特別対策本部に提供を申請するなど、必要な医療の確保に努めてまいりたいと考えております。

郡委員 昨日、官房長官は、生活的な面で考えてもいいというような御発言もございましたけれども、ある方から私のところにメールが幾つか寄せられておりまして、原発の状況が悪化しない限り、避難指示を出すのはどうなんだろうという思いで書かれたものでございますが、二十キロから三十キロ地域に物資が届かないという理由で避難指示を出すのではなく、物資が届くような状況をまずつくるべきだと考えているという、実際にその地域の御自宅で生活をされている方からのメールでございましたので、御紹介をさせていただきます。

 ところで、原発から放出された放射能で汚染された食料について、これまでのところ、暫定基準で水また野菜が摂取制限あるいは出荷制限がされているところでございます。直ちに健康被害は出るレベルではないが、念には念を入れての措置だと説明がされております。そして、これも次々と地域の広がり、あるいは食物の種類の広がりなどがあるわけでございます。

 とても難しい判断だと思いますけれども、現在の数値がどのようなものであって、健康にどのような影響があるのかどうか、国民一人一人が安心できるような、より専門的なしっかりとした情報を提供していただき、御説明をなさるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

岡本大臣政務官 現時点で皆様方にお伝えをしております、いわゆる飲食物摂取制限に関する食品衛生法上の暫定規制値につきましては、三月十七日に、原子力安全委員会より示された飲食物摂取制限に関する指標値を食品衛生法上の暫定規制値としたところでございまして、それを上回る食品が食用に供されることがないように必要な措置をとるよう、都道府県に通知をしたところでございます。

 また、この数値の適正さについての評価をしていただくことがやはり適当だろうということで、科学的評価を受けるために、三月二十日に食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼したところでございまして、現在、議論していただいているところであります。こういったデータをもとに、厚生労働省としても、食品安全委員会の評価に基づいて、その結果が示されれば速やかに規制値の再検討を進めていくということが必要だろうと思っています。

 御指摘のように、そういった指標値自体も、いわゆる単位も大変わかりづらい、日ごろ聞きなれない単位であったり、また、放射能というのが目に見えないとかにおいもないし、そういった中で、多くの皆さんがその見えないものにおびえているというようなことがないように、委員からの御指摘もありましたので、適切な情報提供をやはりしていかなければならないというふうに改めて認識をしたところでございます。

郡委員 政府は、前例のない大震災で、緊急対策を講じつつ必死の取り組みを展開しているわけでございますけれども、同時に、今後の復旧、そして中長期の展望を持った復興への取り組みにも今から目配りをすることが必要だと思います。生活支援から自立へと。自立への基盤となるのは雇用だろうというふうに思っているところです。

 茨城県の常総市は、被災者の長期間の避難を想定した生活滞在型の支援を開始するというふうに報じられました。市が避難施設を用意して、あわせて、三つの企業が雇用の場を提供するということです。希望する人には雇用の継続や就職支援をするということです。

 行政と民間企業が連携して自立生活を支援するような取り組み、これは大変重要だと思うんですけれども、厚生労働省は、被災者の雇用という課題について、一方では内定を取り消されたという声も上がっておりますけれども、どういう努力をなさっているのか、お尋ねします。

小林大臣政務官 先生御指摘のように、雇用を確保していく、これが今後の大きな課題だと思います。現在、全国各地の被災者の受け入れが進んでいることから、今後は、全国のハローワークにおいて、住宅あるいは寮がついている、こういう求人など、被災者向けの求人の確保を行っていきたいと思います。そして、被災者の方々へ支援を全力的に進めていく、このような行動をとっていきます。

 さらに、内定取り消しのお話がございました。これも、内定取り消しを防止するために、震災の影響を受けた新卒者の皆様が就職できるように、三月二十二日の日に細川厚生労働大臣と高木文部大臣の連名で、主要経済団体等に対して、震災によりやむを得ず休業させる場合でも雇用調整助成金の対象となるため、助成金の積極的な活用を検討いただくなど、採用内定取り消しなどへの対応を要請するとともに、被災地の学生生徒を積極的に採用することを要請したところでございます。

 この要請を受けて、既に震災により採用内定取り消しに遭った学生生徒を十数名採用しよう、そういう企業も出てきていると聞いております。このように、震災の影響を受けた新卒者を積極的に支援しようという企業の動きがさらに広がることを期待しており、さらにそういう要請を続けていきたいと思います。

 また、震災により採用内定取り消しを受けた学生生徒等を対象に、全国の新卒応援ハローワークに特別の相談窓口、今五十六カ所を予定しておりますけれども、これを設置して、採用内定取り消しの回避に政府としても全力で取り組んでいきたい、このように考えております。

郡委員 今回の大震災が、東北の太平洋側の地域のみならず、広く広く、日本の各地にさまざまな被害を広げております。ちょうど二週間前の、間もなくの時間に始まった、悔しい、悲しい、そしてつらい出来事は、当たり前だった以前の日常を瞬時に壊し、のみ込み、そして廃墟にいたしました。どれほど、当たり前と思っていた暮らしが実はとうとくて、そしてぜいたくなものだったかと、私自身も改めて気づかされもいたします。しかし、困難な中、被災者は皆連帯し、生き抜く知恵と力をつなぎ合わせて、それを紡いでいるところでございます。

 被災地の地元から東京に戻ってきた私、夜だったんですけれども、暗い東京を初めて見させていただきました。何とも言われぬ思いもいたしました。各地から寄せられる善意の物資、また、義援金、また、ボランティアをしたいというたくさんの声、多少不便であってもともに困難を乗り越えようという人々の気持ちが、本当に本当にありがたいというふうに思っております。この国の再生の希望の芽も感じるところです。政治もなおしっかりしていかねばならないと思っております。復興までには時間を要すると思いますけれども、私自身も全力を尽くしたいと思います。

 質問を終わります。

牧委員長 次に、菅原一秀君。

菅原委員 自民党の菅原一秀でございます。

 まず冒頭、このたびの東日本大地震並びに大津波災害におきまして、きょう現在、既に死者が一万人を超えております。不明者がそれに倍以上の数、そうした被害に遭われた方々に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、その遺族に哀悼の意を表する次第でございます。また、現在、全国で千九百カ所、避難所がございます。避難をしている方々、また自宅で避難を余儀なくされている方々、すべての被災者に対しまして、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 私は、去る三月の二十日、自民党の緊急災害対策本部の一員として、とりわけ物資を担当する責任者として現地に行ってまいりました。二トントラックをみずから運転し、仙台市内に入り、そこで見た光景は、都市部でもこれほどの甚大な被害であるのか、そういう驚きとともに、四十五号線を、海岸線をみずから運転しながら、そこで見た光景はまさに地獄絵でありました。

 仙台から塩竈、そして松島、さらには石巻とハンドルをとるわけでございますが、発災からちょうど九日目であったわけでございますが、町中の時計はすべて二時四十六分、七分でとまっておりました。そのことがまさに現場の甚大な被害というものを痛切に物語っているなと。そして、信号はすべてとまっております。また、瓦れきの中を何とか車を走らせるわけでございますが、道はほとんど決壊、陥没、こういう状況でありましたが、ましてや、その両サイドには、廃車センターが火事になったとも思わせるような、もう何百台、何千台という車が県道の両サイドにひっくり返って、車の上にまた車がある、こういう状況を目の当たりにしてまいりました。

 そして、物資を二トン車に積んで運んでいったわけでございますが、松島のボランティアをしている方々のところに物を届け、その後、石巻に入りました。本当に駅、中心市街地がすべて焼けただれ、そしてまた瓦れきとヘドロの状況の中で、やや高台にある市役所機能だけは何とか守られていた状況であり、市長さん、現地の国会議員ともじかに会って話を聞いて、そしてまた、ささやかながら、自民党対策本部から党で集めた物資をそれぞれ搬送してきたところでございます。

 改めて、その現場で市の職員から言われたことは、こういう状況なのに、災害救助法、都道府県、いわゆる県レベルではいまだに書類申請主義という現実があるんです、この状況だからスピーディーに、例えば仮設住宅にしても、避難所の設置にしても、水、食料の供給にしても、一々書類なんか必要ないはずじゃないか、しかも、電話、ファクス、携帯電話は全部不能という状況の中で、それでも書類を申請するかのごとくの救助法の現実がある。これはやはり改めるべきだということをつくづく私も感じてきました。

 あわせて、被災をされた方々の、例えば私はその後、南三陸町に行ってきました。そこは、災害対策本部と町の役場機能と病院機能と介護機能と避難生活をする方々、全部同じ場所、六百坪、七百坪ある、そうした施設に一遍に入っている状況。町長も、九日目でありましたから、顔は真っ黒で、もう疲労こんぱい。そしてまた、さまざまな衛生上の問題もあるんでしょう、本当に大変な状況を目の当たりにして、この最先端の現状というものを、国の災対本部は本当に情報が適宜細かに入ってきているんだろうか、都道府県レベルでとまっているのではないか、そういう思いを私は目の当たりにしたわけであります。

 大臣初め三役は、現場に赴いたんでしょうか。そしてまた、今現在の、ようやくここに来てやや落ちつきを取り戻しているかもしれませんが、一番最先端の現場の情報というものは本当に国の災害対策本部に上がってきているのかどうか、そのスキームについてお示しをいただきたいと思います。

岡本大臣政務官 現場に行ってきたかという御質問でありますので、私、三月十四日に仙台に行ってまいりました。津波の被害に遭った若林区の荒浜地区というところに参りまして、実際に小学校のところまで徒歩で歩いてまいりまして、今委員が御質問になられましたような状況、足元、靴がもうどろどろになって、そして目の前で御遺体が見つかるというような状況、そして、たくさんの御遺体がまだ収容し切れずにあるという現状もそのまま見てまいったところでありまして、当然、東京に戻りまして、大臣初め政務三役とその情報を共有したところでございます。

菅原委員 聞きましたら、総理は翌日、原発現場に行って、逆に無駄な時間を要してしまったという経過もある。大臣はといえば、三人ぐらいしか行っていないという話がある。やはりこれは、この状況ですから、本部の中で責任を持って、さまざまな指示、情報収集をやらなければいけない。しかし、いっときでもいいから現場に行ってみて、寝泊まりするまではいかないまでも、町長、市長とともにその情報を共有してこないと、幾ら机上の議論をしたって本当の痛みはわからないと思いますよ。

 政務官は行ったと言うけれども、ぜひ大臣、私は行くべきだと思いますが、どうですか。

細川国務大臣 菅原委員が早速現場に駆けつけられまして、今回のまさに未曾有の大災害の現状をつぶさに御視察もされ、そしてまた救援物資などもお持ちをいただいた。そういう今回の被災民に対する委員のその行動については、本当に心から私は敬意を表するものでございます。

 本当に今回の災害については、たくさんの方が亡くなられ、そしてまた被災されました。私も、多くの亡くなられた皆さんには哀悼の意を表して、そしてまた今避難をされている皆さん方にも心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 厚生労働省といたしましても、あの震災が起こったちょうど二週間前、その直後に災害対策本部を設置いたしまして、そして翌日十二日には、現地の岩手、宮城、そして福島、この三県に現地の対策本部も設置をいたしまして、本省の職員も派遣をいたしまして、現場で現地の状況あるいは被災状況を、どのようになっているかをよく調査もさせ、そしてそれぞれの県庁、市町村などとの連絡をとらせる、そういう体制もとったところでございます。

 また、先ほど岡本政務官からお話がありましたように、政務官を現地に派遣したというところでございまして、そういう体制をとってきたところ、私もやはり現地も見たいという気持ちもございます。ただ、今現地ではいわゆる救難救助活動、そういうことになっておりますので、私としては今は本省で総指揮をとるということにしておりますけれども、私もやはり現場を視察して、そしてどのようなニーズに的確にこたえてしっかりやっていかなければならないか、これも今考えているところでございます。

菅原委員 大臣、やはり人の命を扱う、健康を扱う役所のトップでありますから、今おっしゃったことは理解できなくはないけれども、いち早くやはり現地を見て、どういう凄惨な状況なのかということを肌身で感じないと、これはやはり指揮命令系統、私は万般にならないのではないかなと思います。

 と申しますのも、岩手県の釜石の病院で、先般九人の方が、入院している方が亡くなっている。避難所を含めると、発災後、避難所と病院だけで四十名近い方がお亡くなりになっているわけです。ということは、医療体制、確かに、医師会、病院団体関係等々を含めて、厚労省と提携して御努力されているのはわかります。

 しかしながら、医師、看護師がいてもマスクがない。医薬品はあっても水がない。医薬品は手前まで来たけれども、ガソリンがなくて届かなかった。こんないろいろな状況というものがさまざまにコンプレックスしている状況の中で、やはり、災対本部はあるけれども、結局は広域自治体の県の対策本部が所管をし、実際には被災を受けた市や町の災害対策本部、混乱状況の中で何から手をつけたらいいのかわからない。飛んでくるボールは受けとめなければいけない、返さなければいけない。それについて、もう本当に混乱のきわみであるということを考えますときに、改めてこの問題、入院患者がこれ以上、生かせる命を生かせない、この状況に対して厚労省としてどう対策をとるのか。

 特に今、感染症が大変懸念をされます。物資はようやく行き届くようになったけれども、医師、看護師が常駐している避難所あるいは対策本部であればいいんですが、昼はいるけれども夜はいない、こういうようないわゆる避難所格差というものが今まざまざと起きているわけです。それは、どこがいわばガバメント機能を持ってガバナンスをして、そして避難所格差というものをいかに埋めていくかということを国がやはりかじ取りして、トップダウンでおろしていかないとならないなと、改めて現場を見て思いました。

 この点、政府として、この医療供給体制、特に病院あるいは介護施設、療養施設、そして避難所で看護を受けている、治療しているそうした方々の体制についてどう考えているのか、どういう今直近の状況であるのか、これを教えてください。

大塚副大臣 まず、菅原委員御指摘の点は、全く我々も問題意識は共有をしておりまして、二次災害とも言える、避難所や搬送先の病院でお亡くなりになった方々がいらっしゃることには、まことにつらい気持ちと同時に申しわけないという気持ちでいっぱいでございます。

 さりながら、ぜひ現状は御理解いただきたいのは、先ほど、大臣がなぜ今日まで現地に入っていないのかという御質問に対する答えとも若干重なりますけれども、岩手には内閣府の平野副大臣、宮城は同じく防災担当の東副大臣、そして福島は松下経産副大臣がそれぞれ現地本部長となって、現地対策本部が回っております。

 現在、原発対策とあわせて、極めてふくそう的な災害が起き、そして広域でありますので、今御指摘の医療や避難所対策も万全とは言い切れない面があることは真摯に私ども反省もし、そして今後の対応をしっかり尽くさなければいけないと思っております。

 そういう中で、まず、かなり多くの患者、病院にいらっしゃった患者さんたち、病院機能が喪失した先については、既に他の病院等へ搬送を終えております。原発の事故の問題と宮城や岩手の被災の問題とやや混乱をしておりますので、両方を総じて申し上げれば、今の医療機関にいらっしゃって十分な医療が受けられない方々は、かなりの部分は既に搬送を終えております。そして、避難所にいらっしゃって介護が必要な方々、あるいは介護施設が機能停止したために他の介護施設に移送が必要な方々、この皆さんも、既にかなりの部分は搬送を終えております。

 しかし、それでもなお、避難所や今後の仮設住宅等での対応が長引く可能性も勘案して、現在、全国で高齢者の関係施設に受け入れ可能人員を調査しておりまして、三万四千八十六人受け入れ可能だというふうに言っていただいております。病院についても調査をし、今後随時受け入れをしていただく等々の対策を講じることによって、先生御指摘のような事態がさらに悪化をしないように全力を尽くさせていただきたいと思っております。

菅原委員 それと、やはり現地に行って気づいたのは、例えば岩手、宮城、福島、被災県の県の対策本部の物資の受け入れの場所に行きますと、物流センターのごとくの、ある意味では物がかなりそろってきている。ところが、何でそこから先の避難所に行かないのか、ここの機能が全く停滞しているのではないかということを感じています。

 やはりこの点は、先ほどの避難所格差ということが必ず生じておりますので、特に医療、命にかかわる部分、治療にかかわる部分、健康にかかわる部分については万全を期してほしい、このことを申し上げます。

 きょうは時間がないので、ちょっと原発のことに触れます。

 当然これは経産省の所管、内閣府の所管等々でやると思います。しかし、厚労にかかわる部分でお話を申し上げますと、まず、大震災の翌日に福島第一原発の一号機が爆発をした。そこで、夕方、二十キロ圏内の避難指示が出たわけですね。その後、十四日の三号機の水素爆発、十五日になって放射線量が大変高い数値を示したということで、二十キロから三十キロ圏内は屋内避難指示、つまり、おうちの中で待機をせよ、こういう指示が今なお出されているわけですね。あれからもう二週間ですよ。

 御案内のとおり、南相馬市の一部、それからいわき市の一部、その他、各町においては、例えば南相馬市においては七万人の方がお住まいであった。五万人は自主退避ということで、県外あるいは県内を含めて、県内、県外にお出になった。しかし、今なおやはり二万人の方がいらっしゃる。市長からすれば、この退避指示が、避難指示が、きちっと国から出してもらえれば、もうあしたにでもという気持ちはあるんだと思います。しかし、ここで生まれ住んだ、ここで長い人生を送ってきた、そしてまた遺族の立場からすれば、もしかしたら不明者の中に生きているかもしれない、そういう一縷の思いを持って暮らしている方もこの二十キロ、三十キロ圏内にいらっしゃる。

 私は、そういうことを考えたときに、そこで、ではトラックが届くのか、水は行くのか、ガソリンは行くのか。きょうも、自民党の方からトラック三台、南相馬に出しました。ですけれども、本当に行っていませんよ。では、南相馬の物資をどこに届けるかといったら、三十キロ、二十キロ圏内に入れないからということで、相馬市の物資受け入れセンターに持っていき、そこからピストン輸送をしている状況ですよ。

 でも、そこはやっぱり人間が行くわけですよね。私、それを思うときに、早く二十キロ、三十キロ圏内の規制というものを取っ払うべきじゃないか。これは一刻一刻、遅くなればなるほど、万が一放射線による被害が出たときは政府の責任になってしまいますよ。チェルノブイリの例を見ますれば、あのとき、三十キロゾーンであれば、放射線のいわば被害、住民の間には急性放射線障害をもたらすほどの障害、いわゆるそういう者はいなかったというデータが出ております。

 数日前の保安院のお話ですと、この二十キロ、三十キロ圏内というのは、あくまでも、科学的なデータに基づくものではなくて、政治判断だと言っているわけですよ。政治判断するんだったら、三十キロ圏外に早く避難指示を出すべきではないでしょうか。何でこれ、この期に及んでこんなことをやっているのか。本当に現実をわかっていない。この点、だれか答えられる人はいますか。

大塚副大臣 避難地域をどうするかということについては、これは原子力災害対策本部が判断をさせていただくことになると思います。

 事実関係だけ申し上げれば、二十キロから三十キロ圏内の方々のうち、例えば、病院の入院患者の皆さんは、三月二十一日に六病院、七百人すべて県外に搬送を終えておりまして、介護施設入所者は、三月二十二日に十八施設、九百八十人、搬送を終えております。そして、そういういわゆる災害弱者ではない方々、一般の住民の方々も、かなり大勢の方が自主的に県外に退去して、あとどのくらいの方々がこの中に残っているかということは、必ずしも今完全には把握をしていないというのが現状だと思います。

 さりながら、今先生御指摘のような御意見があることも災害対策本部も承知をしておると思いますので、科学的知見も踏まえて最終的に判断されるものと思っております。

菅原委員 今説明があったように、災害弱者は先に避難をさせる、健康な方はまだそこに避難指示を出さない。被曝するのは同じですよ、もし、放射量の高さによっては。これは弱者も健康な人も同じじゃないですか。これはやはりきちっと総理の判断、早急にすべきだ。もう遅きに失するぐらいだと私は思いますよ。だって、しかも、そこに生活支援といったって、物が来ない、水は大分ふえてきた、食料がない、マスクが足りない、下着がない、こういう切々なる声が南相馬やいわきから聞こえてきている。

 この現状を考えれば、私は、一日も早く、この三十キロ以遠に避難指示を出すべきである、改めてこのことを強く申し入れをしたい。自民党は当初からこれを言ってきたわけでありますので、本当に、なぜここにこだわるのか、自民党以外の各党もその点は同じ見解であります。政府だけがいまだに、この二十キロ、三十キロについて避難指示を出さないというこの状況、やっぱりおかしいと思います。

 あわせまして、私の友人でアメリカの高エネルギー原子核物理学実験という研究にかかわってきた者がいるんですが、これはあえてきょうはお名前を出しませんけれども、アメリカ・エネルギー省で出している、妊婦に対する放射線の許容値というのが妊娠期間全体で五ミリシーベルトと言われているんですね。これは、現在、原発から三十キロ以遠でも、最も高い放射線値は百マイクロシーベルト毎時を示しているんですよ。これは計算すると、三十キロよりも遠いところであっても、この区域にいればたった二日間で許容量の五ミリシーベルトに達してしまう。こういうデータが今出ているんです。この三十キロよりも遠いところでも、こういう妊婦の方々、妊産婦にはそういう状況が生じかねない。

 この点、何か検討、対策、なされているんでしょうか。

岡本大臣政務官 放射能の影響というのは、今委員が御指摘になられましたように、いろいろな指標をもって上限をつくっているというのは事実であります。そういったさまざまな影響が出る中でも確定的な影響と確率的な影響がありまして、今委員が御指摘になられましたような確定的影響とそれから確率的影響というものがあるという中で、先ほどから副大臣も御答弁いただいておりますけれども、いわゆる避難に際しての指示というのが出ている、科学的な根拠に基づいて出ていると私は承知をしています。

 今の妊婦の方に対する指標についても、その数値を超えたから直ちに何かの影響が出るというようなぎりぎりの値を設定しているということではなくて、いわゆる風向きだとかさまざまな要因で変わり得る放射能という実態を踏まえてその評価をしていく必要があるのではないかというふうに考えておりまして、今の委員の御指摘というのも我々はしっかりと聞かせていただいて、今後も参考としていきたいというふうには考えております。

菅原委員 最後にしますが、このアメリカのエネルギー省で出しているデータでは、妊婦においては、この妊娠期間全体で五ミリシーベルトという、ここがもういっぱいいっぱいなんです。これが許容範囲ですよ。なのに、たった二日間で五ミリシーベルトに達してしまうところが三十キロよりも遠いところにある、この現実に対して、確定的根拠に基づくというお話がありました。でも、この点、確定的、確率的という言葉を使われましたが、これは人の命、子供の命にかかわることでありますから、これはやはりそういう懸念があるとするならば、早急な検討、そしてまた対策を講じてほしい、このことを最後に申し上げ、もうきょうは二十五分ですから、今後また、次にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

牧委員長 次に、あべ俊子さん。

あべ委員 自由民主党、あべ俊子でございます。

 今回の東日本巨大地震災害に関しまして、心よりお見舞いを申し上げまして、また、命、本当に、残された命を支えてあげようと頑張っていらっしゃる支援者の皆様に心より敬意を表します。

 まず最初の質問でございますが、私、自由民主党の災害対策本部医療班として、週末もずっと詰めさせていただきました。メーリングリストで医療者関係の友人たちからさまざまな悲鳴が上がってまいりました。しかしながら、日々一刻と状況は変わってまいりまして、最初のころは、とにかく停電が大変、ライフラインがないというところから、薬剤が届かない、患者さんたちの食料がない、避難している方々がいらっしゃるが、個室に布団を敷いて三人も四人も入れているが食べていただくものがないという状況から、どんどんどんどん日々変わってまいりました。

 そうした中にありまして、特に連携病院を持っているところは非常に強かった。そうした中、連携の医療機関を持たないところは、薬剤の調達、さらには食料の調達、水がない、それよりも何よりもガソリンがないということの悲鳴がどんどん上がってまいりました。そうした中にありまして、本当に自民党の中でも、できることは精いっぱいやっていこう、今はとにかく一つの命でも救っていくことが重要であるということを行ってまいりました。

 そうした中にありまして、災害の被害者でいらっしゃる方々、さらには、地震、津波だけではない、風評被害ということも大きくあった中、私は、これからそういう被害を受けられた方々の生活支援をどうしていくかということが本当に重要ではないかと思っています。

 特に、避難所にいらっしゃる方々、温かいものを食べることができているんだろうか。また、自民党の議員が被災地を回ったときに、一番多く出てきたのが下着でありました。十日間も着がえることができない。また、慢性疾患をお持ちで病院へ行くことができない、薬剤も手に入らないという声がさまざま出てまいりました。

 大臣、温かい食事はどれだけの方が今食べられているのか、薬剤は避難所にどこまで届いたのか、おふろに入ることができるのか、それを、わかっていることでいいから、ぜひ教えてください。

細川国務大臣 あべ委員にお答えいたします。

 まずお礼を申し上げなければなりませんけれども、自民党の中で災害対策本部が設置をされて医療支援班がつくられ、そこでいろいろな御支援をされておる、その中で、そちらの方に入りましたいろいろな情報、それを私ども厚生労働省の対策本部の方にお寄せをいただきました。それをもって私どももいろいろな対応策をとらせていただくことができまして、その点について本当に心から御礼を申し上げたいというふうに思っております。

 それで、今委員からいろいろお話がありましたように、多くの方が避難生活を強いられております。いろいろな苦しみの中で耐えておられるというふうに思います。そういう方にどのような御支援をするかということで、私ども厚生労働省としても、その点について今しっかりやっているところでありますけれども、当初の応急的な医療から、今度は慢性的ないろいろな医療に対しての対応という形に進んできております。

 感染症の問題、例えばインフルエンザが流行というような話も聞いておりまして、それに対しては新型インフルエンザの備蓄のタミフルなどを使うようにというような指示もさせていただいたり、いろいろな対策もとっておりますけれども、まだまだ十分なところに行っていない、行き届かないところもまだまだあるかと思っております。そういうところに対しては、本当にできる限り、総力を挙げて頑張っていきたいと思っておりますけれども、どうぞ、あべ委員の方にも、また他の野党の皆様方にも御協力をよろしくお願いしたいというふうに思います。

あべ委員 ありがとうございます。

 今、さまざまな方々が、頑張れ、特に被災地の方々は、頑張れと言われてもこれ以上頑張れない、一体何を頑張れと言うのかと、本当におつらい思いをされている。そういう中にありまして、私どもも、災害対策本部、自民党で持っている情報は、皆様方にぜひお願いをしたい。今、残された命を一つでも救っていかなければいけないときだと思っておりますので、ぜひお願いしたいと思います。

 ただいま十四時四十六分、災害がありましたときから二週間がたちました。二週間、本当に、うちに帰ることもできず、温かい食べ物も食べられず、下着もかえられない。そういう中で、自分の家族は連絡がとれなくて、生きているんだろうか、そう思っている中で、私どもが国会でやらなきゃいけないことは本当にたくさんあるんだと思っております。

 そうした中にありまして、大臣に質問させていただきます。災害救助法でございます。

 これは、都道府県が、救助の要請があって、その費用負担をするものでございますが、これに関しまして、特に都道府県の負担は現段階ではとても限界があるのではないかと私は思っております。特に、三十六条に記載されております、収入見込み額の百分の四、その額の百分の九十ということになりますと、今の岩手県、宮城県、福島県が本当に負担できるんだろうかと私は不安に思っておりますが、大臣、これに関して御意見を下さい。

細川国務大臣 今回の被害の救済につきましては、災害救助法を適用して最大限の支援をしていきたいというふうに思っております。

 今委員の方からお話がありましたような、いろいろな、まずは県が負担をするということもありますけれども、国としては、この災害救助法を適用いたしまして、まず国の方がかかった費用の五割から九割について支援をいたします。そして、まだ負担が残った分については、これは地方財政の措置というようなことでこれもまた国の方で支援をしていきたいというようなことで、実質的には、大部分、ほとんど国の方で支援をするということにいたしておりますので、県としては、そういうことをしっかり認識もしていただいて、存分に救助活動に邁進をしていただきたい、頑張っていただきたいというふうに思っております。

あべ委員 このことに関して、特に災害救助法の三十六条の、百分の四を超える部分の九割。私は、ここの部分は、特に百分の百をどこでするかということを早目に政府が出すことが重要だと思っております。

 大臣、これはいつごろまでに結論をお出しになりますか。

細川国務大臣 先ほども申し上げましたように、災害救助法を適用いたしまして、かかった費用につきましては国が責任を持って国庫支出をしていくということで御理解をいただきたいというふうに思います。

あべ委員 さらには、特に避難された方々がほかの県に移る場合、その避難所にいらっしゃる方々の費用がどうなるかということが、受け入れ側も、また送る側も、非常に懸念されているところでございますが、これは阪神・淡路大震災のときには五千円という金額が出ていたかと思いますが、今回もその横並びになるのでしょうか、それとも違う形になるのか。大臣、今わかる範囲でお答えいただきたいと思います。

細川国務大臣 今、災害地以外のところで避難をする場合に、ホテルとかあるいは旅館、そういうところに避難をしてかかる費用についてはどういうふうな負担になるか、こういうことであろうかと思いますが、今委員が例に出されました一人五千円、これは新潟の方の地震のときに適用したというか払ったお金でございます。したがって、それも参考にしながら最大限の支援をする、国庫支出をしていく、こういうことでございますから、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

 このことについてまだまだ周知徹底がされていないということもあろうかと思いますので、このことについては、他の都道府県の人たちにもよく知っていただいて、ぜひ被災地の皆さん方が避難できるように、あるいは旅館とかホテルとか、そういう御用意もぜひしていただきたいと心から願うものでございます。

あべ委員 ありがとうございます。やはり、受け入れ側でどういう補償が受けられるのかという、財政面のバックアップがどれだけあるかということは、私は非常に重要な部分であると思っております。

 また、さらに、全国社会福祉協議会の方々がさまざま災害の場面で頑張ってくださっている中、本当に対応が、職員が足りない中で動いてくださっているわけでございますが、このことに関してもぜひ後押しをしていただけたらというふうに思うわけでございます。

 また、さらには、食品安全の問題で質問をさせていただきます。

 この食品の安全に関しましては、特に農産物の食品安全、その検査方法と発表の仕方が、私は、やや厚生労働省としてのサイドの食品安全の観点からの発表に偏り過ぎている。すなわち、やはり農産物に関しての放射性物質の検査の方法が、例えばサンプル数が幾つだったのか、どの地域だったのか、どういうふうに計画的にやったのか、その基準の意味するところが余りにもわかりにくい気がいたします。

 そういう中にありまして、特に厚生労働省の災害対策本部の方でも、さまざまなネットのサイトを引用いたしまして、例えば、ある学会でこういう言い方をしている、日本核医学会ではこうだ、日本産婦人科学会ではこう言っているという、情報が錯交しておりまして、一体どの情報が自分たちの生活に影響するのかということが本当にわかりにくいということを考えたときに、特に、そのデータの出し方、さらには数値の出し方が、いわゆる放射線力とさらには身体の影響力ということが余りにも混在しているのかと思いますが、大臣、このことに関して御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。

大塚副大臣 恐縮ですが、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 まず、できるだけわかりやすく、しかも統一的な解釈のできる発表や基準づくりをするようにというこの御指摘に対しては、鋭意努力をさせていただきたいというふうに思っております。

 まことに恐縮ながら、長い間、我が国でこれだけの原発の事故があるということをだれも想定していなかったために、食品衛生法上の放射線についての基準が今までございませんでした。したがって、現時点では、原子力安全委員会の基準に基づいた暫定的規制値を三月十七日に公表させていただきました。

 そして、食品、野菜あるいは水についても、各自治体も、どのような体制で放射性物質の検査を行うかということについてこれまで体制が未整備な中で、現在は、食品衛生法の枠組みに基づいてあるいは水道法の枠組みに基づいて各自治体が自主的に検査した結果を発表させていただき、そしてその検査された数値が暫定的規制値と比べてどうであるかということによって対応を決めさせていただいているという状況でございます。

 しかし、この状況で今後もいいかどうかということを含めて、現在、規制値の評価については食品安全委員会にお願いをしておりまして、また、全体的な枠組みのあり方については原子力災害対策本部の中で検討をしているところでございますので、先生方にもいろいろと御指導いただきながら、できるだけ早く納得のいただける枠組みに近づけてまいりたいというふうに思っております。

あべ委員 いわゆるその発表の仕方によって身体面への影響があるのではないかというふうに思われることが農産物に非常に大きな風評被害になっておりまして、出荷制限までする必要があったのか。確かに、その研究者に言わせると、確率的影響ということをいつも言うわけでございまして、本当に避けるのが合理的かどうかということはしっかりと省庁連携の中でやっていただきたいと思います。

 いずれにしても、海外メディアは、その情報の発表の仕方に関しては日本の対応に関していろいろ意見が出ているところでありますが、日本人は、これだけの災害を受けたのに、すばらしい国民であるという称賛は受けております。その被災地の方々に希望を持っていただけるということが本当に大切であると思っておりまして、日本は必ず復興をいたします。ぜひとも、これは与野党を超えて、手をとり合って頑張っていかなければいけないと思います。

 特に被災地に関しての手当てに関しては、私は国を挙げてやっていくべきだと思っておりますが、子ども手当はやめてその災害に充てるべきだと思いますので、最後、意見を申し述べさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 東北地方太平洋沖地震の発生から二週間がたちました。死者・行方不明者は一万人をはるかに超えております。今なお安否がわからない方々がたくさんいらっしゃいます。被災地の方たちは大きな困難と闘っていらっしゃいます。被害に遭われた方に心からのお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられた方の御冥福をお祈り申し上げます。そして、今、命がけで救助また復旧作業に徹しておられる警察、消防、自衛隊、また自治体関係者、また民間機関の方々に心から感謝をしたいと思っております。

 公明党も、いち早く仙台在住の井上幹事長が現地に参りまして、みずからも被災をしておりますけれども、党としても対策本部を立ち上げまして、政府にはさまざまな現場からの提案をさせていただきました。

 当初は、現地はガソリンがないにもかかわらず、許可証がなかったので東北自動車道にタンクローリーが入れなかったというような現実もございまして、もうタンクローリーは全部通せということ、あるいは政府の備蓄を取り崩すように申し上げて、さまざま、現地の地方議員も、みずから被災しながらも今、懸命に活動を続けております。私たちも、現地と連携をとりつつ、また政府にさまざま提案をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 今回の大震災は、地震、津波に続く原子力発電所の事故など、まさに国難とも言える状況でありますので、与党、野党を超えて、総力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。国民も今、家庭であるとか地域、学校で、節電、節水、また物資の支援、ボランティア等、一つ一つはささやかでありますけれども、みずからできることをしっかりと取り組んでいらっしゃると思います。政府も、与野党ともに、国民の命と財産を守るというまさに政治の原点に立ち返りまして、力強く震災対策を進めるべきと考えております。

 そして、今回の未曾有の大災害に与党も野党も力を合わせて取り組んでまいりたいと思っておりますけれども、公明党も、この対策本部の体制強化を図りまして、さらに被災の最前線で復旧の支援に当たってまいりたいと思っております。

 今こそ政治のリーダーシップで、すべての被災者と国民にその覚悟を具体的な形であらわしていただきたいと思っております。大臣、復旧復興へ、避難生活の長期化を見据えた対応、また、生活再建支援対策を政治のリーダーシップで行っていただきたいと思いますが、その御決意をまずお伺いします。

細川国務大臣 まず、お礼から申し上げなければと思います。

 公明党の皆さん方には、この震災の被害の状況につきましていろいろな情報あるいはまた御提言などいただきまして、ありがとうございました。公明党の皆さん方の献身的なお働き、そしてこの災害を与野党一致で克服をしていくというそのお気持ちも、本当に心から感謝申し上げておきたいと思います。

 先ほども申し上げましたけれども、この震災、まさに未曾有の大災害でございまして、単なる地震だけではなくて、津波、さらには原子力発電のあの事故の放射能の問題、本当にこの三つの大きな事態が重なりまして、大変な大きな広がりとなっております。

 これに対応するために、厚生労働省といたしましては、この事件、事故発生直後に、その日に災害対策本部を設置いたしまして、翌日には現地の三県に地域の対策本部も設置をいたしまして、これまで取り組んできたところでございます。災害救助法の円滑な適用、医療と保健の対応、応急給水や水道復旧への対応など、省を挙げて総力で頑張ってまいりました。

 これに加えて、医療に関する計画停電への対応、原発に関する食品や水の安全問題など、一日一日、本当に刻々として変わってまいります状況に対して、私ども、本当にできる限りの力を出し合って頑張っているところでございます。

 この大きな国難とも言える問題に対して、私どもしっかり頑張ってまいりますので、どうぞ御党の御協力、古屋先生の御支援もひとつよろしくお願いをしたいというふうに思っております。

古屋(範)委員 大臣以下、皆さん、本当に献身的に災害対策に当たっていらっしゃることと思います。特に、災害対策の中でも、命を守るという観点で厚生労働省には非常に大きな役割があると思います。ぜひ今こそ政治のリーダーシップで全力を挙げていただきたい、このように思います。

 次に、福島原発から放出をしたと見られます放射性物質が広がっているということについてお伺いをしてまいります。

 福島県に続きまして、東京都、千葉、また、埼玉、新たに茨城、栃木等、水道水からも放射性物質が検出をされております。これについては、乳児に水道水などを与えないように求め、国も福島県などで生産される原乳や野菜の一部の出荷を停止したり、また、食べないよう呼びかけていらっしゃいます。これからもさまざまな場所で放射性物質が見つかっても不思議ではないと思っております。

 不安に思う人も少なくないことも確かであります。私のところへも、本当に東京に暮らしていて大丈夫なのかというような連絡も入ってまいります。特に、放射線の影響を一番受けやすい乳幼児や妊婦などは、今回の発表に大変困惑をし、不安を持っていらっしゃいます。私たち影響の少ないと言われる大人は、こうした放射線から守るべき人たちを最優先にしていかなければいけない、こう考えております。

 そのためには、政府のメッセージが非常に重要になっております。皆かたずをのんで記者会見の模様を見守っております。直ちに健康に影響はない、念のため飲んだり食べたりしないでほしい、この政府のメッセージは一見矛盾をしているようにも見えますし、これをどう受けとめればよいのか、国民は非常に戸惑っております。

 食品や飲料水への放射能汚染の影響について、国民にわかりやすく御説明をいただきたいと思います。

大塚副大臣 多くの方から同様の御指摘をいただく中で、改めて、古屋委員にも委員会の先生方にも御理解をいただきたいと思います。

 先ほども申し上げましたが、原子力安全委員会の基準に基づいて公表をさせていただきました暫定規制値という数字は、安全の上にも安全な観点からかなり厳しい基準になっているというふうに私どもは理解をしております。特に、原子力安全委員会の基準では乳児に対する特別な数値は設けていなかったところを、私どもは、原子力安全委員会の基準のみならず、同様に国際的に信頼性の高いコーデックス委員会の基準の中に乳児に対する基準があることも勘案いたしまして、特に水については乳児についての規制もつけ加えて、そして発表させていただきました。

 そういう意味では、安全の上にも安全を勘案した基準でありますので、この基準を若干超えた食品や飲料水を食用や飲用に供しても、そのことが健康に害を及ぼすということはないというふうに思っております。

 ただ、そういう中で、食品については代替品がございますので、そういう観点から、やはり、幾つもの検体の検査結果が暫定とはいえ暫定規制値の上限を超えたものについては摂取制限をさせていただかざるを得ないという、やむを得ない措置だというふうに思っております。

 一方、飲料水については、残念ながら、食品と違いまして、水を飲まないと生活していけませんので、代替品があればできれば規制値を超えたものは飲用に供していただきたくない。しかし、これも直ちに健康に害が及ぶというものではないので、万が一代替品がないのならばそれは飲用に供していただいても構わないという、一応論理的に御説明をさせていただいている内容だと思っております。

 ただ、残念ながら、例えば、大人と子供の三百ベクレル、百ベクレルのこの規制について、一昨日の大手新聞の一面には、このように御説明をさせていただいているにもかかわらず、大人の絵が載っていまして、三百を超えるとそこに大きくバッテンがつけられておりまして、そして、お子さんの絵がかいてありまして、そこには百を超えるとバッテンというふうに書いてありました。

 新聞の影響力も大変大きいわけでありますので、メディアの皆さんにもできるだけ正確に御理解いただけるように私ども努力はいたしますが、先生方にも、メディアの皆さんに対して正確な報道をしていただけるようにいろいろとアドバイスなり御意見を言っていただきまして、何とか国民の皆さんに少しでも正確な情報をお届けできるように努めさせていただきたいというふうに思っております。

古屋(範)委員 大塚副大臣から御丁寧な説明をいただきました。

 農産物などの食品は代替品があろうというお答えでありましたけれども、飲料水は欠かせないものであります。正確な汚染情報を把握して発信するということは当然なんですが、それだけでは人々の不安はかえって増してしまうということもあるわけです。飲料水の汚染について発表したその直後、スーパー、コンビニの棚からはペットボトルが消えたというのが現実です。

 官房長官の記者会見、あのときに、発表されて、一体、こういう現象が起きるということを想像されなかったのか。普通であれば、このことを発表したら皆買いに走る、これはもうだれしも想像ができることであります。中には、乳児を持たない方でも買いに走ったと思われます。

 それで、その記者会見をするときに、これは乳児だけです、乳児の方への水は確保します、このことを事前に、では一体どういう対策を講じられてあの記者会見に臨まれたのか。

 私は夜の九時からのニュースを見ておりまして、そこに女性のキャスターに原稿が入ってきて、今東京都では乳児にペットボトルを配付しますということを発表したと。夜になって、東京都、これはもう公明党の都議会議員も奔走しまして、備蓄のものをすぐ出させるということを決定したわけです。

 ですから、官房長官が記者会見でそこまでおっしゃるのであれば、その前に省庁間の連携あるいは自治体との折衝、その対策というものがあって初めて会見に臨まれるのが当然の姿勢じゃないですか。それもなしに、ただ発表すればいい、当初からやはりそういう傾向が非常に私は多かったのではないかというふうに思っております。屋内退避を発表する、では、屋内退避をした方々の生活はどうするのか、そこまで考えて発表されているのか、このことには非常に大きな疑問が残ります。

 さらに、食品や水だけでなく、空気中の放射線量など、そこで暮らしている人々がどれくらいの放射線を浴びているのか、これは長期的に見ていかなければいけない非常に重要な問題でもありますし、また、具体的にはどれくらいの期間をいうのか、どんな影響があるのか。国民に本当に安心をしていただきたいというのであれば、やはり具体的に明確に語っていただかなければいけないと思います。

 あのときは、大人はペットボトルを買いに走らないようにというようなことだって言ってもよかったのではないかと私は思っております。あのときに、乳児を持ちながら買いそびれた人はどれほど不安に陥ったか、これはもう想像にかたくないわけであります。

 被災地では、今も食料や物資が大変不足しています。政府は、被災地の状況を考慮すべきであり、リスク管理またリスクコミュニケーションを図るべきだと思っております。食品や飲料水への放射能汚染の影響をアナウンスし、摂取制限をするならば、官房長官からの記者会見の前に被災地にかわりの水や食料を届ける体制を整えてからにすべきであったと思います。汚染されていない水を求めて国民が振り回されないよう、情報発信は考慮し行うべきだと思います。

 細川大臣、この件についてどう思われますでしょうか。

細川国務大臣 古屋委員のお話を聞いておりまして、私もあの官房長官の発表の後、乳児を抱えるお母さん方、御家族の方、大変御心配になったということで、それに対する対応というものもやはり考えておくべきだったというふうに思います。

 また、こういうときには、私もあの直後に記者会見で申し上げましたけれども、大人はこれは関係ないんだから、大人は大丈夫なんですから、大人はここで冷静に、ペットボトルを買うような、そういうことには走らないでくださいと私は記者会見で申し上げました。しかし、残念ながらそうではなかったような事象もたくさんあったので、本当に残念に思いますけれども、今後、こういうことを発表するときには、いろいろな点に配慮しながらやっていかなければというふうに反省もいたしているところでございます。

古屋(範)委員 官房長官の発表というのは非常に重いものがあります。ですので、発表する前に必ず省庁間の連携、自治体との連携あるいは企業との連携、そういうものがあって初めて国民に向かって正確な、わかりやすい、安心できるような情報発信をしていただきたい。細川大臣はそれがおありだと思いますので、ぜひ官邸に申し上げていただきたいと思っております。

 次に、被災者への心のケアについてお伺いしてまいります。

 被災地の、特に高齢者また子供の心のケアが心配でございます。被災者の方々は、災害に伴う恐怖、また、家族に犠牲者が出たその喪失感にさいなまれている、また、避難所でのストレス、今後の生活の不安など、精神的負担を多く感じていらっしゃることと思います。こうした不安や負担を我慢している方々が多いと考えられ、これが解消されなければストレスが悪化する場合もございます。私だけが生き残ってしまったとか、あるいは不安で眠れない、不眠を訴える方も多いと聞いております。津波を思い出して苦しいなど、避難所では、家族また家を失ったショック、避難所生活のストレスで心身の不調を訴える人がふえてきているということでもございます。

 厚生労働省も、子供たちに対するケアについて、保育士とか児童指導員など、避難所や児童相談所等への児童福祉機関職員の派遣について呼びかけていらっしゃいます。被災者への心のケア対策についての現状をお伺いいたします。

 また、全国のメンタルケア協会のメンバーがボランティアに行く用意があるので、現地での受け入れ態勢が整えばすぐにでも出動、派遣できるので、協会に要請をいただきたいとの申し出もいただいております。被災者の方々の心に寄り添い、また、声をかけ、話し相手になれる心の専門職の派遣が重要と感じておりますけれども、こうした専門職の方々の派遣についてどのように今取り組んでいらっしゃるのか、この点について伺います。

    〔委員長退席、郡委員長代理着席〕

岡本大臣政務官 今御指摘がありました心のケア全般につきましては、委員から御質問がありましたように、大変に大きな心の傷を負ってしまった方もいらっしゃると思いますし、そういった思いの中でさいなまれている皆さんがいらっしゃるということも想像にかたくありません。

 そういった中で、自治体からの要請を受けて、各都道府県の協力を得まして、精神科医、看護師等から構成される心のケアチームを今三十四チーム確保したところです。そして、各都道府県からのこの三十四チームを、三月二十四日現在で、岩手県で七チーム、宮城県で十二チーム、仙台市で三チーム、そして福島県で一チーム、今活動をしているところでございます。

 また、子供の皆さんへの対応につきましては、私自身も、先ほど菅原委員からの御質問があってお答えしました、現地に行って聞いてきた話としまして、震災孤児になったという話を聞いたわけでありまして、そういった情報を戻りまして上げながら、実際どのくらいそういった孤児の方が見えるのか、厚生労働省としても把握をしようということで今努めています。

 子供の皆さん、子供たちに対するケアなどを行うためには、専門職としましては、子供の保育に当たる保育士、また児童指導員、そして子供の家庭の社会調査等のための児童福祉司、児童心理司などが必要と考えております。被災自治体からの要請に応じて避難所や児童相談所等への児童福祉関係職員の派遣ができるように調整をしておりまして、本日から岩手県への派遣を行うこととしております。

 こうした取り組みの後には、里親等による受け入れなども必要となってくることも考えられますが、被災地だけでなく、広域的な受け入れを行うことも視野に、調査を並行して行っていきたい、このように考えております。

    〔郡委員長代理退席、委員長着席〕

古屋(範)委員 ありがとうございました。私のところへも里親ファミリーホームをやっている方々から、もう少し何人か受け入れられますというような申し出もございます。ぜひ、広域でのそうした取り組みを展開していただきたいと思っております。

 命が助かっても不自由な生活を強いられている、あるいは身内を失い、また将来の見通しも立たない、こういう方々に心のケア、また心の健康、そして、震災から復興とともに心の復興もさせていかなければいけないと思っております。ましてや、絶対に自殺者が出ないよう、しっかり取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、計画停電における各病院への対応についてお伺いをしてまいります。

 ここで改めて、みずからの家族より患者への対応を優先する、被災地で働く医療従事者の皆様に心からの敬意を表したいと思います。

 宮城県石巻市の病院では、重症患者が次々とヘリで搬送されてくる光景を入院患者らが真剣に見詰めておりましたし、日がたつにつれて、慢性疾患を抱える患者への対応など、日常的な医療の提供が課題となってきております。また、多くの遺体の検案といった仕事も膨大となってきていると聞いております。避難所が多いために、まだ医療が十分に届いていないところも多くある。避難所で亡くなる人をこれ以上出してはならないとの思いで頑張っている方々を私たちは最大限応援していかなければいけないと思っております。

 さて、この東日本の大地震の影響で電力が供給不足だと計画停電がスタートをしたわけなんですが、これも非常に、厚生労働省への連絡が我々とほぼ同じであったということも聞いております。医療の現場で混乱が広がったと思います。その対応に追われるほか、自家発電用の燃料補充のめども立っていないということで、多くの病院が混乱をしているわけです。約三時間の停電で、医師から薬剤師に薬をパソコン上で依頼するシステムがとまったとか、あるいは大きな手術や検査ができなくなった、またさらに、人工透析のスケジュール変更を調整できない、外来の診療の制限、患者の移送など、さまざまな問題が出始めております。

 小規模な医療機関ではさらに対応が困難となっていまして、予備電力がないということで、東京都では、地震発生以降、都内の全病院を対象に発電装置の有無と最大稼働時間に関する緊急調査を行ったそうです。回答した五百三十五病院のうち、二十四時間以上稼働できる機器や燃料を備えている病院は一五%にとどまったと聞いております。

 これから夏の冷房を使う時期には、さらに計画停電の強化が予想されます。この中で、医療機関に対して自家発電用の燃料の確保、これが喫緊の課題だと思うんですが、この点に関してお尋ねします。

岡本大臣政務官 御指摘のとおり、計画停電の実施につきましては、厚生労働省として、自家発電装置の点検それから燃料の確保等を医療機関に求めるとともに、医療機関だけではなくて、在宅で治療を続けてみえる皆さん方、訪問看護ステーション等に直接注意を喚起するなど、さまざまな措置を講じたところであります。

 現時点では、具体的な被害の報告は入ってきてはおりませんけれども、医療機関からは、委員から御指摘のとおり、自家発電用の燃料の入手は困難という声も上がっておりまして、厚生労働省といたしまして、既に、資源エネルギー庁に対しまして、自家発電用の燃料が必要な医療機関についての情報に基づき、燃料や電源車の確保等について対応を求めているところでございます。

古屋(範)委員 ぜひ、計画停電下の医療機関の燃料の確保、これは最優先で行っていただけるよう、よろしくお願いいたします。

 次に、雇用対策について伺ってまいります。

 今回の大震災は、企業の生産活動に大きな影響を与えております。ライフラインを初め資源の調達、また流通経路の支障が出ている中、電力不足が重なり、深刻さが増しております。

 厚生労働省は三月十三日、職業安定局長通知で、激甚災害と指定されたことに伴い、事業所が直接的な被害を受け、賃金が支払われない場合、実際に離職をしていなくても雇用保険の失業手当を支給できる、この雇用保険の失業手当の特例措置を決定されました。スピーディーな対応だったと思っております。

 この措置につきまして、十六日、岩手県で派遣の仕事をしていた被災者が岩手県労働局に相談に行ったところ、この特例措置は派遣や請負などには適用されない、こういう声をいただきました。すぐにこれも厚生労働省にお伝えをいたしました。そうしたところ、十八日には通知が出されまして、請負、派遣労働者も対象となることが決定をいたしました。非常に感謝をいたしております。派遣、請負で働いている皆様は、これにより安心すると思われます。ありがたく思っております。

 ぜひとも、この対象の皆様にこの雇用保険の特例措置、また、これが派遣、請負にも適用されるということを周知徹底していただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

細川国務大臣 委員が今お話しになりましたように、今回の震災によります被災地域の事業所の労働者であった方が、震災により休業を余儀なくされた場合、また、震災によって一時的に離職を余儀なくされ再雇用が予定されている場合、こういう場合に特例的に失業給付が受給できるような措置を講じました。また、御指摘の派遣労働者や請負労働者につきましても、現に就業している場所が災害を受けた場合には対象となる、これを明確にしたところでございます。したがって、災害を受けた方が職を失ったり休業している場合、雇用保険の適用によって生活が支えられるというふうに思っております。

 ただ、先生が言われるように、この周知徹底ということが大事だというふうに思っておりますから、あらゆる方法を講じましてその周知徹底に努めてまいりたい、このように考えております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、被災地の雇用対策に今後も全力を挙げていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

牧委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 このたびの東日本大震災で犠牲になられた皆さんに心から哀悼の意を表するとともに、家族や大切な方を亡くされた皆さん、被災された皆さんに心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 今なお、約二万人もの方が行方不明となり、身元のわからない御遺体も多く残されております。余りにも大きな災害であり、私たち政治家が果たすべき役割も本当に問われていると思います。私は、日本共産党の現地対策本部長として、各被災地を歩き、被災者と行政の声を国政に届け、救援と復興のために微力ながら力を尽くしているところであります。

 今回の災害は、広範な地域である上、小さな集落が点在していること、また、大規模な停電や通信が途絶えていること、また、津波想定区域による予定していた避難所を乗り越えてしまったために、さらに高台に逃れなければならなかった。そうしたさまざまな事情があって、お寺ですとか個人宅など自発的につくられた避難所も数多くあります。原発事故による他県への避難も余儀なくされるなど、これまでにない特徴があると思います。

 最初に、大臣に、通告していませんが、一言伺います。

 災害救助法は、救助を必要とする人を救助する、これが大原則であります。所管する厚労省として、こうした実態の把握と、情報や救援が得られない地域がないように全力を尽くすべきだと思いますが、どうでしょうか。

細川国務大臣 災害救助法につきましては、災害を受けた人たちを救済する、これが本来の趣旨でございますから、この災害救助法の趣旨にのっとり、今回の震災での被害を受けた皆さん方を、この法律によって、柔軟かつ幅広に適用いたしまして、生活の支援をしっかりやっていきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 町全体が壊れた中、復興には特別立法や財源も必要で、時間がかかります。しかし、それができなければ何もできないというわけにはいかないわけです。急がれるのは、住む場所の確保と仕事起こしだと思います。

 宮城県女川町では、家ごと津波に流され、早く仮設住宅をと願っているのに、一年かかると言われたそうです。陸前高田では、いち早く始まった工事現場を見てきましたが、最初は二百戸、しかし、目標は四千戸必要であります。宮城県だけで一万戸、三県で三万三千戸というオーダーにはすぐには対応できません。しかも、それは現時点であり、もっとふえるのは確実だと思います。

 公営住宅、公務員住宅、雇用促進住宅など、あらゆるストックの活用とともに、民間アパートも災害救助法に基づく応急仮設住宅として借り上げることができるはずであります。また、同じように、原発災害で埼玉など県外へ避難している方にも対応できると思いますが、ただ、それはだれが責任を持ってやるのか。国が相当力を入れなければならないと思いますので、取り組み方を伺いたいと思います。

岡本大臣政務官 今御指摘がありました民間の賃貸住宅の借り上げについてでありますけれども、応急の仮設住宅の建設はもちろん急がれるわけでありますが、地方自治体が民間の賃貸住宅を借り上げて被災者への住居を提供する場合には、これは先ほど委員から御指摘の災害救助法に基づき、その費用は国庫負担の対象となるところであります。

 また、全国の都道府県においての、例えば旅館やホテルのいわゆる使用についても国庫の負担となるところでありますけれども、こういったさまざまな形態で被害を受けている皆様方がその住む場所を確保できるようにしていくということは大変重要でありますので、被災地でない都道府県を含め、全都道府県に対して改めて周知をして、積極的な被災者の救助を要請しているところでありまして、早期の民間賃貸住宅の借り上げにより、被災者の住居の確保にこれからも努めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 早期の借り上げに力を尽くしていきたいというお話がありました。これは、要請をしても、やはり現場はなかなか、他県の避難者を受け入れているわけですから、どういうところがあるかということを調べて、そしてまた、提供していく、また結びつけていくということをだれがやるのかということをさっき指摘したわけであります。

 その点で、やはり国が思い切った支援をするべきではないか。これは、ふだんでも、できると言いながら、なかなか、被災した自治体でも手がとられてやられてこなかったということがございます。でも、住宅が建つのを待つよりは早く、しかも仮設ではない住まいが得られるわけですから、有効な手だてとして、さらに努力をしていただきたいと思います。

 あわせて、大臣にもう一度伺いますけれども、阪神・淡路大震災や雲仙の噴火災害のときは、被害の大きさや深刻さを勘案し、所得や資産などの資力要件についての厳格な運用は行わなかった、必要と考えられる希望者にはできる限り供与できるようにしたと思います。今回も当然そうあるべきだと思いますが、確認をいたします。

細川国務大臣 災害で家を失い、住むところが失われた方に対して、国としては当然、その人たちに対して住居を提供させていただくということ、これを何としてもしなきゃいけない、これは私どもも委員の思いを共有いたしているところでございます。

 そこで、災害救助法に基づく応急の仮設住宅、これは原則としては、住む家が全壊やあるいは流出などに遭って、みずからの資力では住宅を得ることができない方に対して提供する、こういうふうに災害救助法ではなっているわけなんです。しかし、これは原則でございます。私は、今回のような未曾有の災害に対しては、これは例外をちゃんと認めていくべきだというふうに考えております。

 したがって、所得や資産等の資力要件については、これは阪神・淡路のときも厳格に適用しなかったところでございます。そういうことで、私としては、住む家を確保することができない方については、仮設住宅の提供の対象にするという方向でしっかり検討していきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 例外として扱うということに明確な約束がいただけたと思います。

 本当に、数の上で阪神を超えてしまったというだけではなくて、町が丸ごと失われてしまったという、本当に、時間があればもっともっとお話をしたいんですけれども、今まで見たことのない光景と、たくさんの命が失われた、そういう立場に立って、今の言葉を生かしていただきたいと思います。

 次に、先ほど二つのことを言いましたけれども、仕事の確保について、この問題についてお話ししたいと思います。

 多くの事業所が壊れ、加工業を含む水産業や農業など、町の基幹産業も壊滅的打撃を受けました。就職内定を辞退せざるを得ない学生もたくさんいます。雇用保険や労災、雇用調整助成金など、あらゆる制度の活用は当然でありますが、しかし、圧倒的な仕事起こしが求められると思います。

 例えば、昨年のチリ津波などでも、被害のあった養殖施設の処理、選別などに緊急雇用対策を活用する、塩竈など、そうした取り組みが広がりました。しかし、瓦れきの撤去は危険で、だれでもできるわけではありません。

 しかし、一つは、自分の道具や機械は壊れたけれども、それぞれ技術を持っている人、重機は動かせる、危険物の取り扱いができる、そういう人を活用していくべきです。ついこの間まで、岩手県宮古市では住宅リフォーム助成制度が大好評で、十万円の補助で十倍の経済効果だと、事業の継続が決まったばかりでした。そういう人たちに活躍をさせるべきなんです。

 緊急雇用対策の拡充などで被災者自身を復興の担い手にしていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

細川国務大臣 この大災害でございまして、仕事を失った方、たくさんおられます。そういう方に対して、生活支援のためにも緊急雇用創出事業を最大限利用していただいて、雇用の創出、仕事ができるように、ぜひ私からもお願いをしたいというふうに思っております。

 そういう意味で、緊急雇用創出事業は、建設土木事業は対象となっておりませんで、専門的な技能を持つ方による重機を使った大規模な瓦れきの撤去作業というのは、まずは公共事業の中で実施をしていただく、こういうことになっております。

 そこで、今委員がおっしゃられた、そういうことじゃなくて、いろいろな専門的な技術を生かせる場があるんじゃないか、私は、ぜひそういうのを利用していただいて緊急雇用創出事業をやっていただきたいというふうに思っております。被災者の皆さんが緊急雇用創出事業という中で仕事をしていただいて、生活を支えていただくということは、この事業を利用していただければ本当にいいのではないかというふうに思っておりまして、私の方からも、むしろこの事業を積極的に利用していただきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。積極的に活用したいという決意が寄せられたと思います。

 次に、もう一つ仕事に関して質問を用意しておりましたけれども、時間の関係で要望だけにしたいと思います。

 公共事業だけではなく、マンパワーも絶対的に不足をしております。八十人もの職員が犠牲になった陸前高田市や、市の職員も、医療、介護、保育、学校など、多くの担い手が犠牲になりました。今は、救援のために全国から医師、看護師、保健師、薬剤師、あらゆる専門家が、国からの派遣要請にこたえ、あるいは市民団体が自主的に組織をして被災地に入り、献身的な奮闘をしています。また、みずからも被災しながら診療に当たっているドクター、教員、仮保育所を避難所に開設して子供たちを支えている園長さんなどもいらっしゃいます。

 一方、私どものところには、自分にも何かできないか、基金訓練で介護ヘルパーの訓練をしているけれども、その訓練が被災地でできればいいのに、そういう声が寄せられました。

 全国的に、応援要請にこたえて頑張っている団体に委託するとか、被災地で役に立ちたいという気持ちと仕事の確保を結びつけていく手法が何かできないか、これを、求職者支援制度の前倒しですとか、そういうこともあわせて、枠を超えたことが考えられるのではないかということをきょうは提案をしておきたいと思います。次にもう一つ質問したいことがございますので。

 そこで、介護の問題です。要介護者が避難所や移送先の施設で亡くなるという痛ましい事例が後を絶ちません。陸前高田市の老健施設から避難した入所者十五名が避難先の施設で亡くなったというショッキングなニュースがありました。そのちょっと前、二十日に、私、現地に行って、もうだれもいないその施設の前を通ったんですけれども、地元の議員さんによりますと、寝たきりのお年寄りが、行くところがないから、管がついたまま被災した自宅に帰された、そういう事例があったそうです。

 私は、施設ばかりを責められないと思うんです。もともと、受け皿が足りない中、介護が深刻な実態だからです。厚労省は、介護保険の弾力的運用や負担の減免、移送の際の注意事項など、通達は矢継ぎ早に発出していますが、現場は追いつかない状況であります。

 そこで、福祉避難所を各地に置くべきではないかと思います。宮城県厚生協会の仙台市にある老健施設は、福祉避難所を届け出て、三十ベッドをフロアに用意をいたしました。大変な決意をしてくれたと、私はありがたいと思っています。国では社協に要請をしています。それは知っていますけれども、どれほどできたのかは把握をしていないと言います。実態をつかんで、もっとつくるための支援をするべきではないか。

 そしてあわせて、そういう場合でも、あるいはやむなく在宅のままでも、あるいは避難所の場合でも、介護サービスを受けているとなると、結局その介護の仕組みが維持されているんですね。だから、そうではなくて、被災者であるということを踏まえて、要介護度に基づく利用の上限を取り払い、家事援助の規制を問わないとか、思い切った対応をするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

岡本大臣政務官 今御指摘になられました福祉避難所につきましては、先ほどちょっと御紹介をしたとおりでありますけれども、国庫負担でポータブルトイレや手すり、仮設スロープ等を配置して、要援護者に配慮した避難所であります。こちらにつきましては、現在、毎年、災害救助担当者全国会議等を通じて都道府県に周知をしているところでございますが、要援護者に対してこの福祉避難所の活用を図るよう、今回、災害救助法適用都道府県に対して改めてお願いをしたところでもございます。

 今、そういった福祉避難所がどのくらいあるかということについては、避難所全体の確認がまだできていない状況でありますけれども、あることは確認をしておりますけれども、何カ所あるかということをここでお答えするのはちょっと難しいという状況であります。

 また、介護保険におきます生活援助サービスについては、今委員からお話がありましたけれども、例えば、同居の家族がいることのみをもって提供を拒否される場合があるとの指摘もなされてきましたけれども、個々の利用者の状況に応じて判断するべきものでありまして、これまでも、同居の家族がいることをもって一律機械的に拒否することがないよう、累次、各自治体に周知を図っているところでもあります。

 上限の撤廃について御提案もありましたけれども、施設に入所をしていた方がやむを得ず自宅等で介護を受けるような場合であっても、必要なサービスが確保されるようにしていきたい。指摘を受けて、検討していきたいとは思いますけれども、まずは必要なサービスが確保できるように努めてまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 時間が来たので終わりますが、ぜひ続きをまたやりたいと思います。終わります。

牧委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 本日は、さきの三月十一日の東北地方太平洋沖地震とそれに相次ぐ福島原発の事故等で我が国にとっても未曾有の事態、そして、御出席の各委員も、それから厚生労働省の担当の皆さんも、大変貴重なお時間をきょうはここの審議の時間にいただきましたので、私としても、骨格的なことをまずお尋ね申し上げたいと思います。

 震災の方は、大変な、もう本当に経験したことのない状況でありますが、少しずついろいろな救援の手だても、遅々たるものではあれ進みつつあると思います。

 一方、原発事故の方は、収束と言うにはちょっとまだというところで、なかなか明かりが見えてこない中で、必死の作業をされておられる作業員の方二名のこの間の病院への搬送という事態を受けまして、私は、放射線を大量に浴びる現場でのいわゆる労働安全衛生管理、もっとこれは厚生労働省に頑張ってもらわないと、今一番厳しいところをやっている方にも申しわけがないと思いますので、そういう観点での御質問でございます。

 先ほど申し上げました二名の方は、このたび、水が下から十五センチくらいあって、そこにくるぶしまでしかない靴で入ったために、水の中からも入っている放射性物質に汚染されてしまったと言われております。

 この間、一体何人くらいの作業員がこの原発の事故のために作業に従事し、そして、ある線量を超えたりあるいは異常値を示されたような作業員というのは何人くらいおられましょうか。これは、作業員の方は個人管理をされている放射線量の機械をつけておりますので、そこからお答えいただきます。お願いします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力によりますと、放射線管理区域におけます復旧作業に従事している者でございますけれども、これにつきましては、今議員の方からもお話がございましたけれども、全員、線量モニターによります管理が行われてございます。

 現在、福島第一原子力発電所におけますこれまでの延べ従事者数でございますけれども、三月二十五日ゼロ時現在までで、約百八十名の方が従事しておられるということでございます。

 その方々の中につきまして、これまでの従業者の一人当たりの被曝線量でございますけれども、被曝線量の最大の方が百九十八ミリシーベルトでございます。急性被曝症状を呈しておられる方は、現時点では確認されておりません。そして、百ミリシーベルトを超える線量を浴びられた方は、合計で十七名というふうに伺っております。

 その中で、先ほど議員の方からございました二名の方々につきましては、これは昨日でございますけれども、発電所の中でケーブルの設置工事をやっているということで被曝をされた方でございまして、その方々については、今現在、放医研の方に搬送されているというところでございます。

 現状は、以上のとおりでございます。

阿部委員 この二名の方の今回の被曝、三名被曝なさったんだと思いますけれども、その方々が作業する現場には放射線の線量管理士の方は置いておらず、これだけ厳しい作業であるにもかかわらず、当然守られるべき現場のルールが実施されていない。これを一つ東電だけの問題、あるいは、これは東電から下請をされた作業員の方だと思いますが、そこの問題にするのでは、やはりこれからもまた起こり得るんだと思います。

 先ほどのお答えで、百ミリシーベルトを超えた方が十七名ということでしたが、きょう、皆さんのお手元に、三枚の私の資料の二枚目をあけていただきますと、放射線量とリスクの関係という図がございます。

 ここで見ていただきますと、この間、規制値になっております百から二百五十ミリに上げられたところの基準は、ここは、個人差もございますが、例えばリンパ球とか白血球が一時減少したりする値でもございます。

 この百ミリシーベルトを超えた方々は、この十七名は一体どのようなチェックを受けておられて、また、もう一点あわせてお願いいたします。いわゆる沃素剤の投与はどうなっておるのかという二点、お願いいたします。

中村政府参考人 被曝をされた方々につきましては、まず、管理区域から出るときに内部の放射線量を測定いたしまして、具体的な線量値を把握いたしております。また、外部線量については、線量モニターによりまして把握をしているところでございます。

 その上で、発電所の中におきまして除染のための措置を実施しておりまして、必要に応じまして福島県の病院、それからさらに第二次病院としての放医研の方に行っていただいて、さらに綿密な確認、被曝がないかどうか、あるいは被曝の程度について確認をしているという状況でございます。

 それから、そういったことにつきましてどのような形での管理、具体的には沃素剤等の投与はしているのかどうかということになろうかと思いますけれども、東京電力の方から聞いておるところでは、放射線管理区域において復旧作業に従事している方、これは関係会社の方をも含めてでございますけれども、四十歳未満の方々については全員、それから四十歳以上の希望者の方については飲んでおられるというふうにお伺いをしております。

阿部委員 私が伺ったのは、御答弁が無理な範疇なのかもしれませんが、白血球が減ったりリンパ球が減ったり、個人差ですけれども、必ず反応が出る方がおられます。それがどうフォローされているかということを伺いたかった。

 それから、沃素剤は、恐らくこの状態だと連日のように飲んでおられるんだと思うんですね。本来は一回投与と言われていますけれども、やはり甲状腺に集積するものがあるということと、外部被曝、内部被曝、外部で被曝すれば甲状腺機能低下症になりますし、内部被曝は当然ながら将来の甲状腺がんになります。そういう状況ももう少し詳しく教えていただきたかったですが、私は、ここで厚生労働省にお願いがございます。

 こうした観点からも、やはり私は、積極的に厚労省が関与していただきまして、この被曝という現実を、一つは、一人の人間の一生の線量管理をきちんとしていただきたいんですね。今、働き方もさまざまで、先ほど申しましたように、ここで被曝された方は、東電の社員よりは、下請、孫請のケースが多いわけです。そうすると、今のこの線量とその方が生涯受ける線量と、これが本当に個人単位で管理されているかどうかが実は大きな問題であります。

 そして、例えば学術会議が昨年の七月に、「放射線作業者の被ばくの一元管理について」というレコメンデーションというか勧告を出しております。この学術会議が心配、懸念されるほど、日本の放射線作業者の一元管理はなされておらないのです。ここでどれだけ受けた、そして次の職場でどれくらい受けた。しかし、その人はトータル線量で、ある危険値に達するということが間々起こっております。

 このケースをきっかけに、今般の事案をきっかけに、細川大臣にお願いいたします。もう少し積極的に、そして、今言った白血球はどうなんだ、そういうことも、何をチェックされているのかほとんど伝わってまいりません。沃素剤は毎日飲んでいるのか。一方で沃素は毎日やってはいけないと言いながら、しかし、飲んでいただかざるを得ないんですね。

 そういう中で、個人に集積されていく負担を一体だれが責任を持つのかという点で、細川大臣に御決意のほどを伺いたい。一元管理をきちんと個人単位でやっていただく。職場の労働安全衛生行政、これは、線量計をはからないところにそういう作業者を置かないということであります。危ない、危ないと言いながら、なぜはかられない中に行かせるのかと思いますので、この二点、お願いいたします。

細川国務大臣 今の阿部委員からの御指摘は、原子力発電所のような、そういうところで作業をされている労働者の人たちがどういうように放射能を受けて、そして、それがどういう影響を受けるか、それをしっかり計算ができるような、そういういろいろな形で労働安全衛生法の中でそれらについての管理監督をしっかりやるような検討を、こういうことだというふうに思います。

 私も、この点、今回のこういう事故を踏まえまして、こういう点については検討をやっていかなければならない、そういうふうに考えております。

阿部委員 もちろん被曝の問題は急性期の問題で、今回被曝された二人の方も、さまざまな医者のコメントがありますけれども、重く見る人は皮膚の移植まで必要ではないか、軽く見る人は一週間くらいでいいのではないか、一カ月とか、そうおっしゃいます。だけれども、それは医学管理がどうなっているのかがきちんと伝えられていない。

 やはり万全を期して、国民のためにやっていただくわけですから、ぜひお願いしたいのと、さっきのチャート図ですと、例えば一年間で五十ミリシーベルトで五年間で百ミリと書いてありますが、今回ここで受けた分と、それから、その方がこれから年余で受ける分で、また、今問題になっていない方々も必ずや問題になりかねないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 引き続いて、皆様のお手元に、一昨日になりますかしら、夕方出されましたSPEEDIという文部科学省で試算しておられます今回の原発事故の内部被曝の資料データがございます。

 ちなみに、被曝には外部、皮膚などに外界から寄せてくるものと、それが呼吸あるいは摂水、水を飲むとか体の中に取り込まれて、中で放射性物質が放射能を発出し続ける、両方がございますが、ここで問題にされておりますのは、いわゆる先ほどお話ししました、甲状腺にたくさんの放射性を持った沃素が集まってしまって、これが将来、甲状腺がんの危険になるのではないか。チェルノブイリの経験などから、日本でも平成十四年にさまざまな指標を設けてやってきたものとの関連で、私はちょっときょうこれをお示しいたしました。

 ここを見ていただくと、百ミリシーベルトという線がここの黄色の一番拡大した部分でありまして、それ以下の部分はもっと濃度は濃いわけですが、いずれにしろ、百ミリシーベルトという、現場で働く方も以前は百ミリであったわけですから、逆に言うと、ふだんの市民が受ける量としたらかなりの線量をこの三月十二から二十四日に受けられたわけです。本当はこれはスピーディーに、もっと早く、事故の当初に出されねばならなかったものなのですが、いろいろな計測モニターが動かないとかで指標が足りないということで今日になっております。

 このデータを見ますと、やはり二十キロから三十キロ圏、言われております部分の南相馬市などはそこに入りますが、今は屋内退避ということになっておりまして、これから放射線量が引いていくならいいのですが、まだその予見がされません。そして、屋内といっても日本の家屋は、コンクリートではなく、多くがやはり木造などで、すき間も多いものでございます。私は、これを見たときに、対策は今や二つしかないんだと思います。

 一つは、沃素の予防投与ですが、もう予防になりません、正直言って。十二日以上過ぎちゃったからです。そうなるとあとは、積み上がっていく線量に対して、これはやはり医学的見地からも、原子力保安院として、ここからの退避という判断をなさるが妥当だと思います。

 例えば、ここの圏外の飯舘村というところも、高い濃度が毎回毎回示されております。ここの判断で、昨日でしたか、官房長官のお話も大変わかりづらかったです。今後は避難勧告が必要になるかもしれないけれども、今は屋内退避だと言われているんですね。でも、二週間も屋内に退避したら軟禁状態になりかねません。

 この判断をもう一度保安院に伺います。お願いします。

中村政府参考人 恐縮でございます。こちらの方の内部被曝の臓器等の等価線量による被曝の評価でございますけれども、こちらの方は内閣府の原子力安全委員会の方でやっているものでございます。我々の方は、直接これについて分析をしたり評価をしたり、また意見をしたりするものではございません。

 この評価を活用させていただいているという立場でございますけれども、私どもが安全委員会の方から聞いているところによりますと、ここの評価の紙にも書いてございますけれども、この試算については、第一原子力発電所の事故発生後、連続して一日じゅう屋外で過ごすという保守的な条件で試算をしたものということでございます。

 そして、私どもが安全委員会の方から承っているところでは、屋内では、屋外と比べて四分の一から十分の一に放射線の影響を低減させることができるということでございますので、そういったことも含めて考えますと、まずはこういった試算も踏まえながら、この試算の精度を高めるということと同時に、今、関係機関で環境のモニタリングが行われておりますので、そういったモニタリングの体制あるいは実施というものを充実させていくということがまずは大切ではないかなというふうに思っております。

阿部委員 済みません、安全委員会のお話は、当然ながら、ある被曝が起きたときの短期的なものを考えておられるんだと思います、屋内退避ということも。先ほど言った、じっと二週間も屋内退避していられません。本当にこれは苦痛に近いというか、もう人権無視の状態であります。

 もちろんお尋ねは、第一に原子力安全委員会、内閣府の担当であることはよく承知しておりますが、しかし、現状、こうした事態が生じていて、各省庁ばらばらに、文科省ははかり、内閣府の安全委員会はそうした指導を出し、保安院は私のところではないと言って、健康被害だけが、あるいはストレスが増悪してまいります。ぜひトータルに人間の健康、安心、安全を守っていただけるよう、これは細川大臣にもお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 最初に、被災された方々の雇用対策についてお尋ねしたいと思います。

 今回の大震災は本当に前例のない規模ですので、やはり前例にとらわれないやり方、まさに非常事態と言ってもいいような状況ですから、日常業務の延長のように、既存のスキームをちょっと修正したりとか、既存の枠組みをちょっと拡大したりといったような形ではなくて、やはり政治主導で、思い切ってこれまでにないような新しいやり方をどんどん迅速に進めていっていただきたいと思っております。

 そういった意味で、例えば、今回、被災地で仕事を失った方々、これまでやっていた仕事をとてもじゃないけれども続けられない、そういう人たちがよその土地に行って新しい仕事を探す、そういうときに、被災者の中で失業されている人を雇ってくれたらそこの企業にインセンティブを出す、そういうスキームをつくる必要があるのではないかなと思っております。

 例えば、フリーターの方を雇った企業には、厚労省のスキームで若年者等正規雇用化特別奨励金というスキームがあります。フリーターの人を雇うと、大企業だと五十万、中小企業だと百万円もらえる、こういうスキームがあるわけですけれども、これに倣って、被災地の失業された方を雇ってくれた企業にはインセンティブを出す、そういう仕組みをつくってもいいんじゃないかなというふうに思いますが、厚労省の御見解をお尋ねします。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の震災で離職されました方々の再就職を促進する、これは極めて重要なことだと認識をしております。

 今先生からお話がありましたように、厚生労働省では、若年者等正規雇用化特別奨励金、あるいはまた特定求職者雇用開発助成金などなど、さまざまな雇い入れに関する助成金というものを今支給しているところでございます。これも先生御案内のように、これらの助成金につきましては、これまでも、雇用情勢が厳しい中で要件の緩和などを行いまして、対象となる労働者の拡充を行ってきたところでございます。

 そしてまた、これも今までお話がございましたけれども、今回の震災の特例といたしまして、既に雇用保険の特例支給、それからまた雇用調整助成金につきましても支給要件の緩和、こういうものを行って、広く活用していただくように措置をしたところでございます。

 私どもといたしましては、まさにこれらの助成金を広く活用していただきまして雇用につなげていただきたい、そして私どももしっかりと周知をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

山内委員 ぜひもっと広げていただきたいと思っておりますが、それも、ただ単に前年比何%増しとかいうレベルではなくて、今回のような非常時ですから、思い切って、補正予算を次に組まれるときにはそこにがっちり組み込んでもらうということが必要ではないかと思います。

 先ほど共産党の高橋委員からも質問がありましたが、緊急雇用創出事業についてお尋ねをしたいと思います。

 この緊急雇用創出事業、例えば、被災地でもありますが、宮城県で地震の津波のときの廃棄物の分別事業みたいなものをやられています。このときは、十一名雇用したというふうにホームページに書いてありました。こういう災害の後ですと、やはり瓦れきの撤去などは重機なども必要になるかもしれませんが、例えばごみの分別とか、その他、人手を使った方がいいような処理というのもたくさんあるんだと思うんですね。

 そういう、重機を使わなくてもできるような、コミュニティーの再建のための事業にこういう緊急雇用創出事業的なものを使っていく。既存のものを使うのはもちろんですけれども、今回の大震災ですから、新たにこれに似たようなスキームをもっと大きな規模で、例えば一つの自治体、何百人、何千人規模でやっていくということが必要ではないかなというふうに思います。

 例えば松島みたいな観光業で成り立っているような土地というのは、恐らく、また観光客が来るようになるまで何カ月間も仕事ができない状況が続くと思うんですが、そういう意味では、つなぎの意味で、数カ月間とりあえずの現金収入をつなぐという意味で、緊急雇用創出事業、こういうものを既存のスキームにとらわれず、もっと今回だけ特別扱いした特例措置、そういうものをつくっていく必要があるのではないかと思いますが、厚労省の御見解をお尋ねします。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のこの緊急雇用創出事業でございますけれども、これは、国からの交付金により造成いたしました基金によりまして、都道府県あるいはまた市町村等の地方公共団体において、失業者のための一時的な雇用の場をつくっていくものでございます。

 この事業を活用いたしまして、今先生も御指摘ございましたけれども、いろいろな事業というものが可能でございます。例えば、避難所において高齢者への相談、支援を行う事業、あるいはまた被災地域での安全確保のためのパトロールを行う事業等々、こういういろいろな事業ができるというふうになっております。

 地方団体におきましては、例えば青森、岩手、宮城、福島、茨城には既に四百六十億の交付金を交付しているところでございまして、もちろんこれは一部使われているわけでございますけれども、こういう既に交付をいたしました基金によりまして、さまざまな事業というものをこの基金を使って積極的に活用していただきたいというふうに思っておるところでございます。

山内委員 ぜひ、自治体だけじゃなくて、例えば今、被災地で活動をやっているNPOが現地で人を雇うときにこういう事業のお金で人件費を出せるようにする、そういう点、いろいろ考えられると思いますので、柔軟に、そして、今回の緊急雇用創出事業、別の名前の事業にしてもいいと思うんですね、被災地だけの特別のやり方で。

 そういう新しい枠組みをつくるようなことをぜひ政治の力でやっていただきたいと思いますので、ちょっと通告していませんが、ぜひ、大臣なり副大臣なり、政務三役のどなたかに御意見を伺いたいと思います。

細川国務大臣 被災地の皆さん、今回の震災によって仕事を失ったという人たちが本当にたくさんおられます。そういう人に対してできるだけ仕事の場を与える、そのためにはどういうことができるのか、こういうことでございます。

 委員からは本当に新しい提案もしていただきましたので、これは検討をさせていただきたいというふうに思います。

山内委員 ぜひお願いしたいと思います。

 阪神大震災のときは、たしか瓦れきの撤去だけで一千数百億、二千億ぐらい使っていると思うんですけれども、ゼネコンに頼むだけが瓦れき撤去、後処理ではないと思うんですね。地域の人たちやコミュニティー単位で人手を使ってやれるようなこともたくさんあると思います。千数百億のほんの一%でも二%でも雇用の方に回るようにしていただいたら、非常に効果があるのではないかなというふうに思います。

 次に、要介護者あるいは慢性期の患者さんの他の地域への移送についてお尋ねをしたいと思います。

 今回、被災地の病院、老人ホーム、そういったところで、ほとんど機能しなくなってしまったそういう施設の患者さん、あるいは老人ホームの方々がよその地域に移っているという事例、もう報道もされているようですけれども、そういう事例がこれからもふえていくと思いますし、既に、例えば神奈川あたりで老人ホームで受け入れているようなところもあると聞いております。

 そういうときに、受け入れ先の自治体の財政的な負担が生じる、あるいは好意で受け入れてくれたよその県の施設に金銭的な負担がかかるということでは余りにも気の毒ですし、国がきっちりとそういった予算を担保するということを約束してくれれば、もっといろいろなところから受け入れの申し出があるのではないかと思うんですけれども、そういった取り組みについて厚労省にお尋ねします。

宮島政府参考人 お答えいたします。

 介護保険でいいますと、被災された方がよその県に避難して、その避難先で受け入れてもらって介護サービスを受けたということでも、その介護にかかる費用は、もとの住所地の被保険者として扱われて、避難先の受け入れた方が介護費用を負担するということにはなっておりません。

 ただ、この場合、被災市町村の方では、利用者負担が払えないから減免したり、保険料を徴収するのも困難だということで、負担の増加になるので、そこは、国の特別調整交付金の活用なども含めて財政措置は検討していかなければならないというふうなことで、今検討しているところでございます。

山内委員 直接的な介護保険の費用だけじゃなくて、新たに受け入れると、例えば施設をちょっと拡充しなきゃいけないとか、それにかかるいろいろなコストとかもありますので、そういった点も含めて、ぜひ、せっかく受け入れてくれた施設や自治体に迷惑がかからないような支援をお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、きのう質問通告の段階では通告していないので、ぜひ大臣、副大臣、政務三役の皆さんに要望ということだけ申し上げたいと思います。

 実は、外務省に聞いたところ、世界各国から大量に援助物資が届いていて、援助物資というアイテムのリストを見ると、ミネラルウオーターが大量に含まれております。そういうミネラルウオーターも、相手国からすると、せっかく日本政府に迅速に送ったのに倉庫で眠っているというと相手国にも失礼ですし、これだけ水に対する危機感があるわけですから、早目にどこかに配った方がそれは困っている人も喜ぶでしょうし、外務省も、倉庫の保管料を相当払っているはずなんですね。

 私もJICAにおりましたが、倉庫代って結構高いんです。たかがというと失礼ですけれども、ミネラルウオーターを大量に保管していると相当な税金が出ていっているはずですから、一刻も早く届けた方がコストもかからないし、せっかく日本に送ってくれた相手国政府に対しても失礼にならない。

 それから、今はもうミネラルウオーターが買い占められている状況ですから、すぐにでも対処すべきだと思いますが、なかなか外務省にはそういうキャパというか、そういう意思がないのかなというふうに思いますので、ぜひそこは、省庁の壁を越えて、政治の決断で、各国から届いているミネラルウオーターを必要な人にすぐに送れるような体制をつくっていただきたいと思います。その点について、一言コメントをお願いします。

細川国務大臣 山内委員の方から、いい御提案をいただきました。

 これは、政府の方の対策本部の下に被災者生活支援特別対策本部というのもできておりますから、そこでも検討をさせていただいて、外国からの本当に心温まる支援を無にしないように、活用させていただくようなことを私の方からも提案させていただきたいと思います。

山内委員 ありがとうございます。

 それと、これも事前通告しなかったので、あくまで要望というか提案ということで申し上げたいと思うんです。

 被災者の皆さんの中には、よその都道府県に避難されている方がたくさんいらっしゃいます。阪神のときでも十万人ぐらいは県外に避難されたということがあるんですけれども、そういう県外に出ている、あるいは住んでいる地域じゃないところに行っている人たちで、いろいろ相談したいことがある人はたくさんいると思うんですね。年金手帳がなくなっちゃったとか、福祉の窓口はどうすればいいとか、そういう被災者の方々の中でよその都道府県に避難している人たちが相談する窓口というのをしっかりつくる必要があるのかなと。

 厚労省でも、分野によっては既に窓口をつくられているようです。子供関係はこっちとか年金関係はこっちとか、それぞれあると思うんですけれども、やはりワンストップで、例えば各県庁の協力を得ながら、被災者の人が県外で避難しているときに不安に思ったことを相談できるような窓口、〇一二〇みたいな番号をつくって、ワンストップで何でも聞けるような窓口をつくっておくと、不安が多少は解消されると思います。

 そういう今県外にいる人というのは、フォローが非常にしにくいと思うんですね。自治体としても、どこに何人行っているかなかなかつかめないという状況があると思うので、せめて避難している先で相談する。そういうサービスを厚労省として、特に厚労省が一番、被災者の方の生活に密着したサービスが多いと思いますので、必要ではないかと思います。

 もし御意見をいただけるのであれば、一言お願いします。

細川国務大臣 これも本当にいい提案をしていただいたというふうに思います。

 厚労省としては、例えばハローワークだとか基準監督署とか、いろいろな形での相談というのはさせていただいておりますけれども、やはりワンストップで被災者の皆さん方の相談に乗るということ、これは本当に大事なことだというふうに思いますので、これも積極的に検討させていただきたいというふうに思います。

山内委員 以上で質問を終わりますが、大変前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

牧委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十六分散会


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