衆議院

メインへスキップ



第17号 平成23年6月1日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十三年六月一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 牧  義夫君

   理事 郡  和子君 理事 中根 康浩君

   理事 藤田 一枝君 理事 柚木 道義君

   理事 渡辺  周君 理事 加藤 勝信君

   理事 田村 憲久君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    青木  愛君

      石毛えい子君    石森 久嗣君

      稲富 修二君    大西 健介君

      岡本 充功君    工藤 仁美君

      小宮山洋子君    斉藤  進君

      田中美絵子君    竹田 光明君

      玉木 朝子君    長尾  敬君

      仁木 博文君    初鹿 明博君

      樋口 俊一君    平山 泰朗君

      福田衣里子君    水野 智彦君

      宮崎 岳志君    森山 浩行君

      山口 和之君    山崎 摩耶君

      吉田 統彦君    あべ 俊子君

      鴨下 一郎君    菅原 一秀君

      谷畑  孝君    永岡 桂子君

      西村 康稔君    松浪 健太君

      松本  純君    坂口  力君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  松尾 剛彦君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         栗本まさ子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房政策評価審議官)       田中  敏君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房技術総括審議官)       矢島 鉄也君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  外山 千也君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            間杉  純君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       梅田  勝君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       平野 良雄君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  生田 正之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 中沖  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          小野  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           雨宮 宏司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           井上 俊之君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月一日

 辞任         補欠選任

  初鹿 明博君     森山 浩行君

  三宅 雪子君     相原 史乃君

  棚橋 泰文君     永岡 桂子君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     水野 智彦君

  森山 浩行君     初鹿 明博君

  永岡 桂子君     棚橋 泰文君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  水野 智彦君     三宅 雪子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予防接種法及び新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(第百七十四回国会内閣提出第五四号、参議院送付)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

牧委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官松尾剛彦君、内閣府食品安全委員会事務局長栗本まさ子君、文部科学省大臣官房政策評価審議官田中敏君、厚生労働省大臣官房技術総括審議官矢島鉄也君、医政局長大谷泰夫君、健康局長外山千也君、医薬食品局長間杉純君、医薬食品局食品安全部長梅田勝君、労働基準局安全衛生部長平野良雄君、職業安定局派遣・有期労働対策部長生田正之君、職業安定局高齢・障害者雇用対策部長中沖剛君、職業能力開発局長小野晃君、雇用均等・児童家庭局長高井康行君、保険局長外口崇君、農林水産省大臣官房審議官雨宮宏司君、国土交通省大臣官房審議官井上俊之君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青木愛さん。

青木委員 おはようございます。民主党の青木愛でございます。本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私も、被災地、宮城県は東松島市大曲地区の甚大な被害を目の当たりにいたしまして、被災した方々の大変厳しい状況を一刻も早く打開しなければならないと強く感じてまいりました。被災された方々の安心した暮らしを取り戻せるよう全力を挙げて取り組んでいただきますよう、冒頭お願い申し上げます。

 本日は、これまで民主党が取り組んできました、暮らしに身近な課題を中心に質問させていただきます。

 民主党はこれまで、子供が主人公、チルドレンファーストという社会全体で子育てを支えるという、基本理念の転換を図って、子ども手当を初め、高校の授業料の無償化、また、児童扶養手当の父子家庭への拡大などの政策を進めてまいりました。

 こうした、民主党が推し進めてきたチルドレンファーストという理念、考え方、これは継続していると考えてよろしいのでしょうか。その点をまず確認させていただきまして、これまでの実績と今後の展望についてまずお伺いをさせていただきます。

小宮山副大臣 チルドレンファースト、子供第一というのは、民主党が掲げている大切な政策の大きな柱でございますので、もちろん、これは揺るがずに、しっかり進めていきたいと考えています。

 昨年一月には子ども・子育てビジョンを策定いたしまして、量的にも、これから五年かけてしっかりと拡充を、子供、子育てを支援できるようにしていきたいと考えておりますし、昨年十月には、総理のもとに特命チームで、待機児童のゼロ歳児から一歳児、二歳児という、今家庭にいらっしゃる皆様方の受け皿が少ないということで、待機児童解消「先取り」プロジェクトをつくりまして、これも新システム前倒しの形で取り組むようにしております。

 そして今、子ども・子育て新システムの中で、幼保一体化を中心にして、さまざまな状況の子供たちをしっかり支援できるような仕組みを、社会保障と税の一体改革の中でもこれまでの高齢者三経費に加えて子育て、子供ということを大きな柱といたしまして取り組んでおりますので、着実に進むようにしていきたいと思っています。

青木委員 ありがとうございます。

 チルドレンファーストという理念、考え方は揺るがないという、大変力強い小宮山副大臣からのお言葉をいただきました。

 その基本的な考え方に基づきまして、幾つかの細かな課題について質問させていただきます。

 まず、子ども手当についてでございますが、子ども手当は現在、いわゆるつなぎ法によって、平成二十二年度法で支給されています。つなぎ法は九月まででございますが、それまでに次の法律を制定しなければなりません。

 今後、子ども手当についてどのように考えていかれるのか。支給額や所得制限の有無についてももちろんのことでございますが、二十二年度法の問題点の解消策であります。例えば、施設に入所している子供にも支給できるようにすることですとか、保育料や給食費の天引きなどの扱いについても、今後どうなるのかをお伺いさせていただきたいと思います。

細川国務大臣 子ども手当につきましては、委員が御指摘のように、三月につなぎ法案が成立いたしまして、今は二十二年度の子ども手当と同じような形で、九月までそれが支給されるということになっております。

 そこで、その後の十月からどのようにしていくか、こういうことでありますけれども、まず支給額につきましては、三歳未満を中心に、児童手当のときと比べますと実質的な手取り額の差がいろいろある、それをどうするかというような問題、それから所得制限につきましては、高所得者は年少扶養控除の廃止によりまして増税になる、あるいは自治体の事務負担が増加をするというような論点がいろいろとございます。

 それから、細かい形で御指摘がありました、施設の子供に対しての支給をするとか、あるいは海外の子供に対しては支給をしない、あるいは保育料の天引きとか、いろいろ課題がありますけれども、これらについては、政府として子ども手当法案を提案していた、その法案にはそれらがすべて盛り込まれていたところでございます。

 そこで、今与野党で、子ども手当の制度のあり方につきまして早急に各党で検討する、こういうことになっておりますので、私どもとしたら、その各党の子ども手当の検討の中に、私どもが法案で織り込んでおりました先ほど申し上げたような点も多分検討をしていただけるだろう、こういうふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、三党で検討していただいておりますので、私どもとしては、それに対してできるだけの協力をいたしまして、できるだけ早く子ども手当法案をしっかりできるように協力をさせていただきたい、このように考えております。

青木委員 ありがとうございます。今後の議論ということだと思います。

 さまざまな事情があることも想像にかたくないのではありますが、私の思いといたしましては、民主党が一昨年の総選挙で、中学校三年生まで月額二万六千円、所得制限を設けない子ども手当の創設を国民の皆様にお約束いたしました。

 今、この日本には、子供に関する手当は三種類しかありません。この子ども手当と児童扶養手当と、あと、障害をお持ちのお子様に対する特別児童扶養手当、この三種類しかございません。民主党政権になって子ども手当を導入して、ようやく子育てに関する予算が対GDP比、それでも一%を超えたにすぎないと言われております。

 災害復旧のさなかではございますけれども、約束どおりの子ども手当の実現に対する最大限の御努力をお願いしておきたいというふうに思います。

 次に、保育サービスの制度についてお伺いをさせていただきます。

 現実に、早急に対処しなければならないのは、先ほど小宮山副大臣からもお話がございましたが、都市部での待機児童の解消に向けた保育サービスの提供だと思います。現在、保育所の待機児童数は、平成二十二年四月において二万六千二百七十五人と、三年連続して増加をしております。待機児童が多い地域は固定化され、中でも、ゼロ歳から二歳の低年齢児の待機児童の数が全体の約八割という特徴がございます。

 民主党政権として編成をいたしました平成二十二年度、また二十三年度の予算において、どのような待機児童対策を講じてきたのかをお伺いさせていただきます。

小宮山副大臣 政権を担いましてからの二十二年度、二十三年度の待機児童対策でございますけれども、昨年一月に策定した子ども・子育てビジョンに基づいて、潜在的な保育ニーズも含め、保育サービスを毎年およそ五万人分ふやしていく、それを目標にした予算を確保してきています。

 具体的な取り組みといたしましては、平成二十二年度は、保育所受け入れ児童数のおよそ五万人増の確保のため、一つは、保育所運営費をふやしまして保育サービスの量的拡充を行いました。また、安心こども基金に積み増しを行って、集中重点的に保育所の整備などを進めてまいりました。

 さらに、二十三年度も、保育所運営費をふやし、また、安心こども基金の積み増しや期間の延長による保育所の集中重点的な整備、そして、先ほどもちょっと申し上げました、待機児童ゼロ特命チームで取りまとめました国と自治体が一体的に取り組む待機児童解消「先取り」プロジェクトの推進に取り組んでいるところです。

 また、これから新しい子ども・子育てビジョンが実施できるようになりますと、特に、多様なさまざまな保育サービスによりまして、今家庭で見ていらっしゃるお子さんも可能な限り質の高い保育、教育が受けられるようにいたしまして、能力があり、そして働きたいと思っていらっしゃる女性の皆さんもしっかり働いていただけるように、子供の居場所をつくっていきたいと思っています。

青木委員 ありがとうございます。

 私の地元の東京北区におきましても、待機児童の解消に向けまして、保育園の分園や学校の空き教室を利用した保育園の開設などを進めておりますが、それでも、待機児童がゼロになることがありません。それを補うという意味からも、民主党が進めています保育ママの制度、これをさらに推進していくことが有効ではないかというふうに考えております。

 しかしながら、保育ママの数は全国で四百四十八人、利用児童数は一千五百三十五人と、まだまだ普及しておりません。

 なぜ普及が進まないのか、また、今後の待機児童の解消という観点から、この保育ママの制度の役割をどのようにお考えになっているか、改めてお伺いをしたいと思います。

小宮山副大臣 委員御指摘のように、やはり保育ママ、家庭的保育事業、これは多様な保育を充実していくという意味でも大切なことだというふうに考えております。

 平成二十二年四月から児童福祉法に位置づけまして、ガイドラインを策定し、そして資格要件についても、保育士以外に市町村が実施する一定の研修を終了した方に家庭的保育者、保育ママとするように資格要件の拡大を行うなど、家庭的保育が広がっていくよう推進に努めているところでございます。

 家庭的保育事業というのは、多様な保育サービスの一つであるとともに、都市部の待機児童解消の方策として非常に重要であるために、先ほどから申し上げている待機児解消「先取り」プロジェクトの具体策の一つとして、家庭的保育事業を自宅以外で実施する場合の賃貸料ですとか改修費などの補助率を引き上げたり、また、連携保育所経費の単価をふやすこと、家庭的保育補助者経費の加算、また、NPO法人などを事業主体に追加するなど、なるべくこの家庭的保育ママさんが広がるようにという対策を講じているところでございます。

 これからも、ぜひなりたいという方もいらっしゃるというふうには聞いておりますので、その養成の仕方を含めて、しっかり拡充に努めていきたいと思っています。

青木委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。

 保育ママの制度は、待機児童の解消という観点からも、また子育てを終えた女性の働き場としても、ぜひ生かしていきたい制度だと思います。今後のさらなる積極的なお取り組みを御期待申し上げます。

 もう一点、育児休業についてお伺いをさせていただきます。

 平成二十一年の育児・介護休業法の改正によりまして、父母がともに育児休業を取得する場合に、取得可能期間を一歳二カ月までに延長いたしました。また、配偶者が専業主婦であっても、男性の育児休業を取得できるようにいたしました。

 しかしながら、平成二十一年度は、男性の約三割が育児休業を取得したいと希望しつつも、実際の取得率は一・七二%にとどまっています。厚生労働省では、この取得率を二〇二〇年には一三%に上げることを目標にしていると伺っております。この目標を実現するための方策についてお伺いをいたします。

 また、あわせて、この育児・介護休業法の附帯決議には、不利益な取り扱いに対して厳正に対応するように明記をされております。育児休業の取得を理由とした不利益取り扱いの現状、五月末に公表されると伺っておりますが、その現状について、あわせてお伺いをさせていただきたいと思います。

高井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、育児休業、男性は三割が希望するという状況であるにもかかわらず、育児休業取得率は一・七二%にとどまっております。

 この取得促進策といたしまして、御指摘のありました改正育児休業法、昨年六月から施行いたしておりますけれども、この改正育児休業法の周知徹底、また、次世代育成支援対策推進法において、認定を受ける場合の要件といたしまして男性の育児休業取得者が一人以上いるというようなこと、あるいはイクメンプロジェクトの推進などの取り組みによって、この目標達成に努めているところでございます。

 次に、男性も含めました育児休業の取得を理由とした不利益取り扱いについてでございますけれども、都道府県労働局雇用均等室が扱った労働者からの相談件数は、平成二十二年度は千五百四十三件でございました。その相談を受けて事業主に対して指導等を行った件数は、二十二年度は十六件でございます。

 育児休業の申し出、取得をしたことを理由とする解雇等の不利益取り扱いは、育児・介護休業法違反でございまして、あってはならない、こういうことでございますので、法違反については、都道府県労働局長による助言、指導、勧告により厳正に対処しているところでございます。

青木委員 ありがとうございます。

 ちなみに、スウェーデンでは待機児童の問題がありません。それは、育児休業が充実をしているからです。育児休業を積極的に取得することにより、子供との触れ合いがふえ、より充実した生活環境が得られると考えます。ぜひ今後とも、民主党が掲げたチルドレンファーストという理念のもとで一歩一歩、また時には大胆な政策の推進をお願い申し上げたいと思います。

 時間が迫ってまいりましたので、ちょっと飛ばさせていただきまして、一点、地元の課題で御質問させていただきたいと思います。地元足立区における課題でございまして、計画停電の影響による二つの事象を質問させていただきたいというふうに思います。

 このたびの震災による被害の中で、首都圏の受けた被害の一つに計画停電がありました。東京二十三区のうち、荒川区と足立区がその対象になりました。

 その折に、人工透析を担う病院から聞き取りをいたしまして、重要な問題が内在することに担当者は悲鳴を上げておられました。それは、非常用バッテリーが正常に稼働したとしても、人工透析などは機械の作業の前後の洗浄ですとか分解、組み立てなどの対応が必要でありまして、前日の停電の連絡では間に合わなくなる、徹夜を強いられることもあったということでございます。また、患者の多くは高齢の方々で、送迎に家族の手伝いが必要になり、そのための時間変更の調整をしたりと、本来業務以外の作業に時間をとられてしまうということでした。

 もう一つ深刻なのは、ひとり住まいのお年寄りの孤独死でございます。計画停電により、明かりのない夜を過ごした後、急激に生きる気持ちがなくなり孤独死を迎えたというお話を、デイサービスを経営する方から伺いました。ひっそりと暮らす社会的弱者は、わずか三時間の停電でも生きる気力を失い、命を落としてしまうという大変悲しい現実でございます。

 今後、夏の電気需要が増す中で、節電や買電により計画停電がないと言われてはおりますけれども、まだまだ電力供給に不安がある中で、こうした、もしもの際の医療機関に対する備えと、また高齢者に向けた心のケアについてのお取り組みをお伺いさせていただきます。

大谷政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお話がありましたみたいに、不測の停電ということについての備えが必要であります。入院患者あるいは在宅患者の人命に重大な危険を及ぼすということで、避けなければならないと考えておりまして、これは医療機関も含めて、今、国全体で節電の取り組みを推進しているところでございます。

 一方で、万が一の停電に備えまして、東京電力、東北電力管内に所在しております救命救急センターとかあるいは総合周産期の母子医療センターについて、十分な電力を確保して診療機能の維持を図るために、自家発電設備を整備するための経費を今回の第一次補正予算にも計上したところであります。

 それから、在宅の患者さんの問題でありますが、その停電時の対応としましても、医療機関また医療機器メーカーに対しまして、在宅の患者さんとの緊急時の連絡体制の再確認をするように適切な対応をとるということについても、四月の時点で通知をし、協力を求めているわけであります。

 それからあと、高齢者の方を初め、さまざまな支援を要する方が孤立しないようにということで、民生委員あるいはNPO等による見守りの活動や在宅介護サービスについても支援を続けたいというふうに考えております。

 こういうさまざまな取り組みで、不測の停電に対して悪影響が出ないよう万全を期してまいりたいと思います。

青木委員 ありがとうございます。

 このたびの介護保険法の改正にも大変期待をするものでございますが、普通に暮らしている高齢者の方々がこうした停電で気力をなくしてしまうという現実を目の当たりにいたしまして、今お話がありましたとおり、あらかじめの対応を重ねてお願い申し上げておきたいと思います。

 ありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。

牧委員長 次に、長尾敬君。

長尾委員 民主党の長尾敬でございます。本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 東日本大震災、被災地の最前線では、まさに今この瞬間にも、自衛隊、警察、消防、市町村、県、国内外からのボランティアの皆さん、民間企業、関係各位が復旧復興に向けて日々格闘していただいておりますことに、心から感謝を申し上げたいと思います。

 きょうは、被災された方々が劣悪な避難所生活から一刻も早く解放されて、決して特別ではなくてもいい、ただただ、ごくごく普通の日常生活を取り戻していただきたいという思いで質問をさせていただきます。

 復旧復興への第一歩は、仮設住宅の確保と瓦れきの撤去と考えます。被災地の衛生状態、特に感染症対策、防疫についてお尋ねしたいと思います。

 現状では、今各市町村の瓦れきの一次仮置き場は満杯状態、しかも、後ほど触れますが、そこから先の処理の手だてが立ち往生状態であります。私もこれまで、たくさんの瓦れきの山をあちらこちらで被災地の中で見てまいりましたが、この衛生環境は尋常ではありません。においによる精神的なダメージも相当なものだと思っております。

 厚生労働省はこの現状に対してどのような対応をしてきたのでしょうか、お答えください。

外山政府参考人 議員御指摘のとおり、被災地におきましては、避難所における集団生活、あるいは瓦れきもございますけれども、感染症が発生、蔓延しやすく、衛生対策は大変重要であると認識しております。

 厚生労働省としては、こういった感染症対策につきまして、生活支援ニュースの発行などによる被災地への情報提供、それから、現地で保健指導等を行う保健師等の派遣のあっせん、医薬品やマスク等の衛生材料の確保など、あらゆる観点から取り組んでいるところでございます。

 特に、瓦れきの処理がおくれている被災地では、粉じん等が飛散している状況でございまして、また、直接の関連性は必ずしも明確ではないわけでございますけれども、肺炎などの呼吸器疾患が発生したり、慢性閉塞性肺疾患などの持病が急に悪化する方がいるというふうに承知しております。

 こうした粉じん等に伴う健康被害を防止するため、被災地の住民に対しましては、自治体や巡回する保健師等を通じまして、手洗いの励行やマスクの着用、それから作業時の散水等について周知しているところでございます。

 引き続き、他省庁とも連携を図りながら、避難所の衛生環境の確保に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

長尾委員 今の御答弁にもありましたように、瓦れきの処理がなかなか影響がある。肺炎やノロウイルス、破傷風、ツツガムシ、こういったことを心配する現地の声をたくさん聞いております。ハイチでコレラが大発生したようなアウトブレークは発生する可能性はないというようなお話を聞いておりますが、環境省にちょっとお尋ねしたいんですが、いわゆる害虫駆除についてどのような対応をしていただいていますか。

伊藤政府参考人 今般の震災の被災地では、被災した水産加工場の水産物など、腐敗性のある廃棄物も多く発生しております。これらの処理に伴う害虫の駆除対策、これも非常に重要な課題になっているというふうに認識しているところでございます。

 これらの瓦れき処理に伴う衛生害虫の駆除等は、環境省の災害廃棄物処理事業として実施でき、当然、国庫補助の対象としているところでございます。

 環境省では、衛生害虫の駆除対策も含め瓦れきの処理等について助言できるよう、専門家による支援体制を整えております。実際に被災地に衛生害虫対策の知見を提供しているところでもあり、また、専門家を現地に派遣もしているところでございます。こういったことの活用をさらに進めていきたい、こういうふうに考えております。

長尾委員 今まで御答弁いただいたことは、どうぞこれからも継続していただきたいと思いますが、大変失礼ながら、これはもう対症療法にしかすぎないと思っています。今後、被災地の方々の清潔な環境を確保するために、根本的な問題解決、これはもう瓦れきの撤去であると思っております。ところが、これがもう全く進んでいないという認識を持っています。瓦れきの撤去ができなければ、仮設住宅の建設もままなりませんし、復興への道も閉ざされたままであります。

 環境省にお尋ねします。この問題の瓦れきの二次仮置き場、その処理処分のスキームはどのようになっておりますか。

伊藤政府参考人 瓦れきの処理につきましては、仮置き場にまず持っていきます。場合によっては二次仮置き場まで持っていくものも多くあると思います。その上で、できるだけリサイクルできるものはリサイクルする。それから、焼却等で減量化ができるものは減量化するということで、最終処分をなるべく減らした上で、最後に残ったものは埋め立てる、こういったスキームで瓦れきの処理を進めているというところでございます。

長尾委員 その背景に、事務手続についても非常に面倒くさくて、県の方からは悲鳴が上がっていることはもう御認識いただいていると思いますが、先般、仙谷官房副長官が、こういった瓦れきの問題は国の責任で直轄で行うという発言がございまして、私も、地元被災者または県、光明を見たわけでありますが、その後、環境省が出したマニュアル、これは通達したと聞いておりますけれども、これが使い勝手が悪いというか、結局、あれしろこれしろ通達の領域を出ないと。宮城県知事が官邸や各省庁に訪問して、国直轄で対処してほしいというSOSを頻繁に発していらっしゃいます。この声にどうこたえてきたのでしょう。

伊藤政府参考人 今回の東日本大震災では、例えば、宮城県では年間のごみ発生量の約二十年分、それから岩手県では十年分以上といった、これまでにない膨大な量の瓦れきが発生しており、国としても瓦れきの処理に積極的な役割を果たしていく必要がある、こういうふうに考えている次第でございます。こういった中、各県の知事さん方からいろいろな要望が上がってきているのは事実でございます。

 私どもとしましては、国がより積極的に前に出て、いろいろな取り組みを目に見える格好で取り組んでいきたい、こういうことで、各県とも今相談をしているところでございます。具体的には、県に常駐者を置いておりますけれども、さらにそういった人数をふやすとか、あるいは、五月三十日から、チームを組んで、特に海岸べりの市町村に直接出向いて、いろいろな現地の状況を把握して必要なアドバイスをするとか、国が積極的に前に出ていく、こういった取り組みを進めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

長尾委員 国が積極的に前に出るという言葉が今二回出てきましたが、資料四をちょっとごらんいただきたいんですけれども、知事はそう受け取っていないですよ、全く。

 一番最後のくだり。「ベテラン政治家がトップにつき、大きな財源と権限をもって各省の上に立って我々の方を向いて仕事をしてくれる組織」を期待している。これは復興特別委員会で議論している復興庁、こういったイメージをされていると思うんですが、ちょっと私は御縁があって、この瓦れきのことをずっと、この二カ月近くやらせていただいているんですが、どうしても縦割りの壁を越えられないんですよ。市町村は、一般廃棄物のノウハウはある。県にはない。これを、県が市町村からの委託を行うということで国が指示を出しましたよね。国の指示は、指導を要請するだけで、県に押しつけている。その結果、困るのは被災者なんですよ。

 環境省、一刻も早く、国の直轄事業で瓦れき処理できませんか。

伊藤政府参考人 現在の廃棄物処理のスキームについて申し上げますと、基本的には瓦れき処理、一般廃棄物処理ということで、市町村の事務となっているところでございます。しかしながら、市町村はそういった能力がない、今回の震災を大きく受けたということで、そういった場合には、地方自治法に基づきまして都道府県にその事務を委託することができる、こういうスキームであるわけでございます。

 こういったスキームを前提として、今回、第一次補正予算でも環境省の補助金が認められた、こういうことでございまして、こういう制度の中で国として一体何ができるのかということをいろいろ県とも相談して、どうしたら国がより積極的な役割を果たすことができるか、これは事実上、各県の知事さんとも今十分相談をしてやっているところでございます。

長尾委員 全然理解をすることはできないんですけれども、どうもこの間、環境省のみならず内閣府、政務三役といろいろお話も直接させていただいたんですが、何か役所の方で、できない理由を、法律を盾にして政務三役を説得しているようにしか見えない、もうそう思わざるを得ないというような状況があります。

 きょうは質問しませんけれども、義援金の問題についても、マンパワーが足りないと。これ、答弁にならないですよ、全く。ならば、やるための努力をしてくださいよということであります。理由になりません。

 こういった無責任なボール投げが続いて、結局、あげくの果てにこんなことが起きています。

 資料の一をごらんください。何と、名勝松島に瓦れき処理施設建設、理由は、ほかに土地がないからというんですね。この話は、後に文化庁が正式に、松島に処理プラントをつくることを許可しています。これは何か高さ二十二メーターの煙突があるらしいんですけれども。

 資料二は、これはあくまでもマスコミの情報ですが、県民憩いの場である県立加瀬沼公園、これは宮城県です、活用するというもの。

 しかし、土地はほかにあるんですよ、民有地が。資料三の民有地は百万立米。環境省は、ここを含む民有地の提供があることを知っていますよね。この件は、環境省を通じて県にもお話ししています。

 時間がないのでお聞きしませんが、どの程度こういった民有地の提供の情報があるのかということを、市町村、県から数字が上がってくるだけじゃだめだと思うんです。あるいは、国が得た情報を、県、市町村に、ちゃんとこういうメニュー表があるということを見せているのかという、そういうキャッチボールが全くないんですよ。

 被災地の方々からは、この資料にあります利府の現地、早く瓦れき処理をどうにかしてくださいという悲鳴を二カ月聞いています、私。地主さんにも何度もお目にかかっています。無償で、今すぐにでも郷土のために使ってくださいという善意があるにもかかわらず、県は公有地にこだわっているんですよ。その公有地が名勝松島であっても、文化庁からの許可をもらっているから民有地よりましだと思っているんですかと。これはもう怒り心頭ですよ、現地は。それは県が判断することだからといって、国はそれを見過ごすのかという御指摘をさせていただきたいんです。

 私は、松島の現場にも行きました。津波で被害を受けておりまして、松並木も海岸のすぐそば、もう地盤沈下で、これは二次災害も予測できる。おまけに、道が狭くて、普通自動車がようやくすれ違える程度。処理施設の予定地の奥には集落がある。生活道路で、どうやって大型トラックで、何百台分のトラックが行き来できるのかと。

 資料三にある、利府町の民有地にも行きました。松島海岸インターから二分。国道四十五号線、百四十五号線へのアクセスもよくて、道路も広くて、石巻、東松島、塩釜からも近いんですよ。住民もいない。松島、加瀬沼の瓦れきを、仮に報道にあるように全部持っていっても、まだ倍余るほどの体積があるんです。

 この民有地を使って、民有地を使ってと環境省を通じて県に申し入れているんですけれども、何が原因でこれは進捗しないんですか。御答弁ください。

伊藤政府参考人 本件、先生御指摘の点につきましては、宮城県に確認をしておりますけれども、宮城県によりますれば、以下の理由により県有地である松島自然の家というところを利用するという方針だということなんですけれども、二つ理由を申し述べておりまして、一点目は、利府町の採石場跡地については、県有地である松島自然の家と同様、特別名勝松島の指定範囲内にあるということが一点目。

 それから二点目は、県は沿岸部の二次仮置き場について、気仙沼、石巻、宮城東部、亘理・名取の四ブロックに分けて考えており、各ブロック内の災害廃棄物を受け入れる仮置き場を各ブロック内につくる考えであると。

 こういうふうなことで今日に至っているというふうに聞いておるところでございます。

長尾委員 その理由、もう何度も聞きました。政務三役からも同じ理由を聞きました。私、これはあきらめませんから。(発言する者あり)今こちらからお話があるように、本当、政務三役におかれても指示、命令をしてほしいんです。要請とか周知徹底とか、どれだけ聞いてきていることか。もうがっくりです。命令すると責任をとらなきゃいけないからということで避けているようにしか思えません。

 時間がありませんので、次は、災害救助法に関する民有地の借り上げ。国交省の、仮設住宅の推進をしておられますけれども、その進捗状況について御答弁ください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の東日本大震災に際して、被災者の方々が一日も早く当面の住まいを確保できるということを目的として、仮設の供給に取り組んでおります。

 きのう時点で三万七千戸が着工され、二万五千四百戸が完全に完成、さらに建築工事が終了したものが二千、含めまして二万七千二百戸ということでございます。三万戸全体の建築工事の完成は、申しわけないんですけれども、およそ一週間ぐらいおくれる、外構工事はさらに数日を要するという見込みでございます。

 仮設以外に民間住宅の借り上げ等で二万五千戸、入居ないしは確保されております。

 総理からのお話のあったお盆までに希望される方すべてに供給するということは、こうした民間の借り上げも含めまして、一日も早く達成できるように努力してまいりたいというふうに考えております。用地の造成に時間がかかるケース等がございますので、こうしたことを前提にしっかり施工体制を組んでいただきたいというふうに団体には要請してまいりたいと思います。

長尾委員 一日も早くというお言葉がありましたが、現実にはなかなか、一生懸命現場もやっていただいているのはわかるんですが、主たる仮設住宅の形式というのは主にプレハブが中心だと思うんですけれども、スピードということで、ぜひちょっと、これはもう御答弁は結構ですので、プレハブだけではなくユニット形式とかコンテナですね、こういったこともぜひ御検討いただきたいと思います。造成という問題でいろいろ進まない理由をいろいろな委員会で耳にしておるんですが、どうか、コンテナ等々、スピーディーに御検討いただきたいと思っています。

 ただ、本当に現実の世界では、これはどの省庁もすべて理解していただきたいと思いますが、復興の前に復旧が優先だと思います。優先順位をつけるのはどうかと思いますが、結局、壮大な復興計画も大切ではありますけれども、被災者に一日も早く、冒頭申し上げたように、普通の日常生活を一刻も早く取り戻すことが我々の使命だというふうに思っております。

 ぜひ、先ほどもちょっと声を荒げましたが、命令をしてください。リーダーシップを持って。省庁の横断がなかなか難しいということであるならば、千年に一度のことでありますから、どうか、我々も、政治家も、政務三役も、あと霞が関で働く職員、役所の皆さんも、どうか千年に一度の仕事をしようじゃないですか。そういう思いで、私の決意も含め、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、松浪健太君。

松浪委員 自由民主党の松浪健太であります。

 冒頭、改めまして、今回の東日本大震災でお亡くなりになった方に御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。

 今回の東日本大震災において、製薬業界も大変な御協力をいただきました。ここに、厚生労働省保険局医療課が四月二十日に事務連絡を出されております。

 今回、それこそ業界の方から、十億円相当といいますか、何トンになるのか私わかりませんけれども、いわゆる三十トンとか二十トンとかそれぐらいだと思うんですけれども、トン単位の薬というのを私、見たことがないので、結構かさばるものですから、倉庫に入れてあるという話は伺うんですけれども、これだけの医薬品を倉庫に置くというのも大変なことで、私もかつて政務官時代に物流倉庫の見学に何軒か行かせていただきましたけれども、本当にシステマチックにいろいろな薬を仕分けしておいて、それがまたベルトコンベヤーに乗らないと薬の流通というのは成り立たないものなんですね。それが倉庫にどんと置かれたと。

 そして、この事務連絡においては想定問答がありますね。「今回の災害において、保険医療機関に無償で提供された医薬品については、保険請求上どのように取り扱うのか。」。これで厚生労働省はお答えになっております。「被災地にある保険医療機関に、無償で提供された医薬品については、震災の混乱等によりこれらと保険医療機関が購入した医薬品を区別することが困難であることから、薬剤料を請求することは差し支えない。」というふうになっております。つまり、皆さんの善意で集まって無償で提供されたその薬を原材料費なしで保険で請求できると。こういうことを聞くと、問題が起きるのではないかなと思わざるを得ないわけであります。

 まさにこうした善意の医薬品が、私ちょっと現場で話を伺ったんですけれども、当初はこうした無償の医薬品については余りニーズがなかった、この事務連絡が出てからちょっとこのニーズが高まってきたというような話を伺うわけでありまして、これは善意の話で、今回も大変な災害ですから、私も細々と追及する気はありません。ただ、この善意がモラルハザードになってはいけない。そしてまた、今後同じようなことが起きた場合に何らかの対処をしないといけない。それがどういう形かわかりませんよ。薬ですから薬のクーポンにしておくとか、災害クーポンとか、いろいろな考え方ができると思うんですけれども、これについて、厚生労働省、いかが今お考えですか。

外口政府参考人 今回の震災に伴いまして、先ほど御紹介ありました製薬協も含め、各方面から被災地に無償で提供された医薬品は、基本的には避難所等の患者さんに処方、提供されているものと考えております。

 しかしながら、これらの医薬品については、被災地の医療機関に無償で提供されたものもあります。これらは、震災の混乱等により、医療機関が購入した医薬品と区別をすることが困難でありますことから、当面の間は薬剤料を請求することは差し支えないこととしたところであります。

 今回の特例措置につきましては、あくまでも現場の負担を少なくするための臨時の措置と考えているところでありまして、引き続き、被災地の状況を踏まえ、御指摘の点にも留意して適切に対応してまいりたいと考えております。

松浪委員 今、局長が当面の間はとおっしゃいましたけれども、当面の間が過ぎても、それの混乱を、これはどっちで使われたんだということを確認するのは恐らく不可能だと思いますので、私は優しいのでこれ以上は追及をいたしませんけれども、その辺はやはり矛盾があるということであります。

 そして、私さっき申し上げたように、倉庫に集めると、普通の物流というのは本当にすさまじい技術があってあれだけの薬がジェネリックも含めて流通をするわけでありますけれども、これは通告しておりますが、余った医薬品、これはかなり余ることが予想をされると私は思うんですが、余った医薬品は今後どう扱われるんでしょうか。

大谷政府参考人 三月に日本製薬工業協会から無償提供いただいた医療用の医薬品でありますが、これは今お話がありましたとおり、避難所等を巡回する医師等が避難所に避難している方に処方するということを当初の目的としておったものであります。

 現状におきましては、避難所等に巡回する医師等を派遣する医療機関等の要請に応じまして集積所から払い出しをしているわけでありますが、現在保管している集積所もそろそろ明け渡さなければならないという事情も生じております。

 こういうことで、今、県の医師会等の協力によりまして避難所等に巡回する医師等を派遣する医療機関に分散して保管するということにしておりまして、引き続き、これはまだ、余るということではなかろう、非常に大きな被災地の問題でありますから、基本的にはそういった形で避難所に避難している方に処方するなど、災害医療の一環として使用していきたいというふうに考えております。

松浪委員 今、余るということはなかろうというお話でしたけれども、先ほど申し上げましたみたいになかなか流通というのは複雑なものですから、割と、私の知り合いの現場の社長さんなんかに聞くと、これは余るだろうなということはおっしゃられていますので、それこそ期限が切れるとやはりメーカーの引き取りになる、処分もメーカー、製薬協にしていただくというようなことになりかねないわけでありまして、できるだけ有効活用をお願いいたしたいというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 今回の震災を受けて、診療報酬、介護報酬についてもさまざまに、同時改定を見送って、でも薬価だけは改定しろとか、いろいろな意見があって、中医協でもさまざまな御議論が出ているようであります。

 同時に、新薬価制度、新薬創出・適応外薬解消等促進加算、これも私、今まで質問をしてまいりましたけれども、厚生労働省はこれは今の状況では試行的導入だというスタンスだというふうにとらえておりますけれども、今後、民主党政権の皆さんも、後で触れますけれども、内閣官房に医療イノベーション推進室を設置されまして、ここ数日の報道では、創薬支援機構なんというものまで構想を打ち出しておられるやに聞いておりまして、それから考えれば、当然この新薬価制度というものは継続をしなければならないというふうに私は思っております。

 また、これについては未承認・適応外薬の解消についての取り組みというのを、私はこれは別にするべきだと個人的には考えておりますけれども、これをセットにして進めてこられたわけでありますけれども、この現状について、未承認・適応外薬の解消というものをどういうふうに現状とらえておられるのか、伺います。

外口政府参考人 新薬創出・適応外薬解消等促進加算は、革新的新薬の創出と適応外薬等の問題の解消を目的に、平成二十二年度の薬価改定において試行的に導入されたものであります。

 この加算を引き続き実施するかどうかについては、次回の薬価制度の見直し等に当たりまして、中医協において適応外薬等の開発・上市状況、当該加算の財政影響などを検証した上で判断されることとなっております。

 未承認薬・適応外薬開発の取り組み状況につきましては、厚生労働省に設置された医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において平成二十二年度に医療上の必要性が高いとされた全百八十二件のうち、開発要請を行ったもの百六十四件については、製薬企業から開発工程表が提出され、その開発工程表から、適切な取り組みがなされているとこの会議において評価されております。また、開発企業の募集を行ったもの十八件についても、すべて開発意思の申し出があったものと承知をしております。

 この制度の恒久化につきましては、このような開発の取り組み状況も含めた検証事項に関する中医協の議論も踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。

松浪委員 今の百八十数件中百六十数件がこれだけの成果を上げてきた、これは私はかなり評価できることではないかというふうに思います。

 先ほども触れましたけれども、民主党の方では、特に医療についてもイノベーションで、そして、省を超えて内閣官房にもこうした姿勢を示している、縦割りを超えていくんだという意思を。これも、私どもがずっと主張してきた、まさに医療産業というのは経産省も文科省も厚労省も、そして税制まで入って、財務省も入って、本当に総合的にやらねばならぬものだというふうに私は思っておりまして、その姿勢は評価をいたしたいというふうに思っております。

 大臣、端的に、こういう政府の現状でありますので、新薬価制度に対して一言、今回もどういうふうにやっていくべきかという御所見を、端的でよろしいので、伺います。

細川国務大臣 今委員が御指摘になりましたように、政府を挙げてこの医療イノベーションを進めていく、こういうことで取り組んでおります。これをさらに加速させて頑張っていきたいと思います。

松浪委員 ありがとうございます。大変前向きに言葉をいただきました。これは、我々与野党ともに継続できる政策であるというふうに私も思います。

 続きまして、先ほど触れました創薬支援機構等、今政府の方で、るる報道もございます、創薬支援機構構想とか、また先端的医薬品医療機器評価技術開発センターなんというのまで創設をするということを言われているわけであります。こういうのをつくっていただくのは結構なんですけれども、民主党政権になってから会議とか組織とかがやたらたくさんできて、ある程度やはり、本当にこれが機能するために、やるならば徹底的にやっていただきたいというふうに思うわけであります。

 そもそも、この創薬支援機構とか、今回一連の報道にありますこうしたものについて、予算要求もされると聞きますけれども、まだ予算を出していないのであれだと思うんですけれども、どれぐらいの規模を想定しているのか、またこれは一体どういうものなのかということを伺いたいと思います。

松尾政府参考人 医療イノベーションの推進につきましては、これは我が国の成長戦略の中でも重要な課題の一つということで、今お話もございました、昨年十一月には政府の中に医療イノベーション会議を発足いたしまして、本年一月に内閣官房に医療イノベーション推進室を発足いたしまして、具体的な取り組みについて検討を行っているところでございます。

 この中で、特に日本発の革新的な医薬品の開発を進めるということにつきましては、大学や研究機関が有します創薬シーズがうまく製薬企業の開発につながっていかない、いわゆる死の谷が大きな障壁になっているということが指摘をされております。この死の谷を克服するためには、大学や研究機関が開発をいたしました医薬品の候補の物質につきまして、まず第一に効果的な絞り込みを行いました上に、創薬に必要な化学合成を行うということによって、その成果を製薬企業の開発につなげていく、こうした機能が必要だというふうに考えております。

 現在、先生今お話しいただきました創薬支援機構とでも呼ぶべき組織の設置も含めまして、こうした機能が確保できるような仕組みづくりについて検討を行っているところでございます。この仕組みづくりに当たりましては、関係する学界、あるいは産業界、さらには金融界がどういう形でその役割を果たしていただけるのかということをまず検討することが必要だというふうに思っております。

 現在、具体的に予算要求の検討を行っているわけではございませんけれども、こうしたいろいろな議論をしていく中で、今後、国としての関与のあり方を含めまして、具体的な取り組みについて関係省庁とともにさらに検討を進めていきたいというふうに考えております。

松浪委員 余りまだ形も予算規模もイメージがわかないんですけれども、やるのであれば、本当にしっかりとやっていただきたい。

 内閣官房の方であれば、予算請求権というのは、結局、縦割りに各省に振ってそれを戻すということになりかねないわけでありまして、厚生労働省も各省ともしっかりと連携をしてこれをやっていただかなければならないというふうに思います。

 特に、文科省なんかは割と大学とかの関係で課長レベルでやりとりをしていると思うんですけれども、経産省についても、私が政務官のときに一回だけ人事交流をやらせていただいたんですけれども、それも十数年ぶりということでやって、結局、一年でぷつっとその後消えているというふうに伺っておりますので、やはりこれから、これもお聞きいただくだけで構いませんけれども、医療産業という点では医療機器もありますので、その点、経産省とも本当に密に人事交流などを大臣のリーダーシップで、今ごろ遅きに失した感はありますけれども、始めていただきたいという思いであります。

 次の質問に移りますけれども、今回、新しい薬価制度、これを導入した副作用というのが私はいろいろなところで出ていると思います。

 これについて、特に今回の大震災で卸の皆さんというのは非常に活躍をしていただいた。私も現地で避難所を回りますと、私が行ったときはもう一カ月近くになっていましたけれども、避難所の中にそれぞれお医者様がいらっしゃって、仮設病院みたいな、仮設診療所みたいになっているけれども、薬はもう早いうちから、私は大槌町でそれを伺いましたけれども、早くから薬は足りている、流通がすごく頑張ってもらっていると。

 確かにそうですね。クロネコヤマトとか宅配便が一カ月たってやっと復旧、一カ月もうちょっとたっても復旧しないというようなときに、薬だけはちゃんと早いうちから回っていた。これは大きく評価をしなければならないというふうに思うんです。

 一方で、今、卸というのは、一万円の仕事をして利益が七円とか十四円とか、非常に薄利になっている。この原因は、やはり今回の新薬価制度導入に従って仕切り値が非常に上へ上がってしまったという現状がある。その中身をやはりしっかりと精査しておかなければならないというふうに私は思います。

 当然、未妥結・仮納入とか総価取引といった問題、流改懇でずっと問題になってきた問題はしっかりとやらないといけないと思いますけれども、しかし、それにしても薄利過ぎるという現状は、私は今回ちょっと行き過ぎている面があろうかと思います。

 インフルエンザでも、皆さん御承知のとおり、厚生労働省から買い取りで各業界に大変不評を買った。だから、インフルでふらふら、震災でふらふら、決算ふらふらは当たり前ですよね。

 こうした現状についてどういう認識を持たれているか、伺います。

大谷政府参考人 卸の方々に対する経営についての御質問でありますが、まず、今回の震災に当たりまして、現地で、みずからも被災されながら大変御尽力いただいたということで、この場をかりて心から感謝申し上げたいというふうに考えております。

 今お話のありました新薬創出加算制度等、こういった状況を踏まえてどういうふうに経営を考えていくかということで、平成十九年に医療用医薬品の流通改善に関する懇談会、今、流改懇とおっしゃいましたが、これが出した緊急提言を踏まえて、これまでも未妥結・仮納入、あるいは総価契約の解消とか、あるいは一次売差のマイナス改善、こういった解消に取り組んできているところでありますが、今御指摘がありましたみたいに、平成二十二年度の大手卸売業者四社の決算を見ましても、昨年度に比べて厳しい決算となっているということは明らかでございます。

 こうした状況にかんがみまして、御指摘の新薬創出加算制度が流通にもたらした影響も含めて、例年六、七月にこの懇談会が開催されておりますが、本年も近くこれを開催して検証していきたいと考えております。

松浪委員 毎年六、七月の検証でありますけれども、まさに国会で今行われているこうしたやりとりを踏まえて、しっかりと評価をしていただきたいというふうに思います。

 次に、予防接種法の改正が次にありますけれども、それとは別に、ワクチンについてちょっと提案をしたいというふうに思います。

 我々自民党も、私どもはワクチンPTというのを立ち上げて、自民党のプロジェクトチームでワクチンの製造現場に視察に行ったりとか、また私も、個人的にこういう視察に行かせていただいております。

 ワクチンというのは、国家検定というのは海外にはありませんけれども、我が国では国家検定をしている。それによってある程度高い質が確保されるというのであれば、その国家検定も意味があるというふうに思いますけれども、きょう私の方が、薬事法施行規則の資料を提出させていただきました。

 ワクチンの製造現場で、皆さん想像がつくかどうかわかりませんけれども、現場へ行って聞く声、何が一番のネックになりますかというふうに伺いますと、実は、この国家検定の紙を張るのが大変だと。この施行規則を見ると、これはいつごろできたのかちょっと知りませんけれども、非常にレトロないい雰囲気の紙に見えるんですけれども、実際、これはどういうふうに現場でやっているか、どうボトルネックになっているかということであります。

 これはただの紙であります。さっき許可をもらって、これが現物でありますけれども、これは二番ですね、感染研が張っている二番の紙をこうやって、これはもう期限が切れたものをお借りしてまいりました。これはおたふく風邪と日本脳炎のワクチン、ここに張っているんです。

 この紙が、最初、十万個出すというんだったら十万枚支給されるわけですね。まず、切るのが大変。札束だったら、上から切ったら皆さん、お金はずれませんよね。これはどうやらずれるらしいですよ。次に、のりを張る。最初からシールになっていない。のりを張らないかぬから、またこれ大変。次、張る。張ったときに、例えば一万個のロットで張る。やはりこういう粗悪な、ちょっとこれは許可をいただいているので、委員長、大臣にお渡ししてよろしいですか。

牧委員長 どうぞ。

松浪委員 またこれ、張るのが大変なんですよね。張るとこれ、張り損なったり、のりを張っていますからね、皆さん、最初からシールじゃないから、だから二重に張られたりする。二重に張られたときに、一枚足らぬ、一枚余ったというときにどうなるか。結局、そのロット一万とめて、どれあらへんかな、わあ、これ二枚張ってるわというのを探さないかぬという気の遠くなるような作業があるわけであります。大臣、今お手元に持っていらっしゃいますけれども、しかも端っこが結構、箱はきれいなんですけれども、その証紙だけはぺろぺろで、横もはがれているというような現状であります。

 これが、インフルエンザでパンデミックだという危機のときに、ああ、出荷できない、なぜだ、国家検定用紙が一枚ずれていますとか、これは私、今の紙でこれからもやっていくのであれば、パンデミックのときは緊急避難用に、パンデミック時は非常時なのでこの国家検定用紙については省略する。海外では実際、ない国が多いわけですから、ふだんからこれだけの質を担保しておけば実害はないと思うんですよ。

 それか、日本のワクチンの質をこれからも国家検定でしっかりやっていくんだというのであれば、例えば瓶とかにやるロールタイプの巻紙とかだったら、ぷるるるるっとついていくというのは結構可能らしいんですよね。あれは多分ロールタイプと現場だったら言っていたと思いますけれども、実際、瓶とかにもシールを張っていますよね。ああいう技術でちゃんとこの紙をつくればいいというふうに私は実際問題思うんです。

 これについて、もう役所に聞くのもなんなので、大臣、これをちょっと改善していただけませんか。施行規則なのですぐできると思うんですけれども、できるだけ早く、危機管理の問題もありますので、いかがですか。

間杉政府参考人 今御指摘いただいたとおりでございます。ワクチンあるいは血液製剤につきまして、国立感染症研究所が行う検査を受けまして、これに合格したものでなければ販売してはならないという国家検定制度が設けられてございます。先生も御指摘ありました、品質の安定というふうなことでございます。

 それで、御指摘のとおりでございまして、誤った流通をしないようにということで、国家検定に合格したものにつきましては、最終包装単位の包装箱に検定合格証紙で封をするということにされてございます。

 ただ、その一方で、議員御指摘のように、特に緊急時におきましては、円滑な供給を妨げない、こういう観点も大事だというふうに考えてございますので、大臣からの御答弁を待つまでもなく、例えば、今まさにおっしゃるように、これはのりがついていませんから、シール化をするとか、あるいはより大きな包装単位で検定証紙を貼付するとか、より簡潔な方法というふうなものをぜひ工夫させていただきたいと考えてございます。

松浪委員 品質の安定のためと役所の方もおっしゃっていますので、まずは、この検定用紙の品質の安定を求めてまいりたいということで、私も、答弁で大臣の答弁を待つまでもなくと言われたのは初めてでありますけれども、それについて、大臣、やはりここはがつっと一言。インフルエンザで非常に国民の関心が高い、そして、我々これをこれからの国家戦略に据えようというところが、ボトルネックがこの紙だというのでは、ちょっとお笑いにもならないので、一言、力強くお願いします。

細川国務大臣 紙の品質はもとより、簡潔な方法で、早急に検討させてやらせるようにいたします。

松浪委員 大変建設的な議論をさせていただきまして、本当にありがたく思います。

 では、次の質問に移りたいと思います。

 先ほども申し上げましたように、予防接種法でかかる部分は次からの議論に譲りたいというふうに思うわけでありますけれども、昨年から、子宮頸がん、Hib、小児用肺炎球菌のワクチンの基金事業が行われておりまして、市町村はどれぐらいやるのかなということで進められて、かなりの成果を上げていると思いますけれども、現在の市町村の実施状況はどのようになっているか、伺います。

外山政府参考人 お尋ねの事業の実施状況につきましては、平成二十三年度中には、今回の震災の被災地の状況も踏まえる必要があると思いますけれども、計画上はすべての市町村において、少なくとも、子宮頸がん予防ワクチン、Hibワクチン、それから小児用肺炎球菌ワクチンのいずれかのワクチンの接種が実施される予定でございます。

松浪委員 すべてのということでありますけれども、この三つのワクチンの基金の期間というのは、平成二十三年度末までになっているわけであります。この負担割合も、国二分の一、市町村二分の一で、おっしゃるように、もうほとんどの市町村でこの事業が行われているんですけれども、これは平成二十三年度末で基金の期間が終わるわけであります。

 その後は、これはどういうふうに対応されるんでしょうか、伺います。

外山政府参考人 先生御指摘のとおり、本事業は平成二十三年度末までとなっておりますけれども、定期接種化を含めました予防接種のあり方につきましては、現在、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会におきまして議論が進められているところでございます。

 平成二十四年度以降のこれらのワクチン接種のあり方につきましては、この予防接種部会の議論の状況でありますとか、事業の実施状況等も踏まえつつ、円滑に実施できるよう検討してまいりたいと考えております。

松浪委員 今、検討してまいりたいとおっしゃったんですが、これは平成二十三年度末で終わるわけでありまして、予算要求等の関係から考えれば、もうかなりの道筋をつけておかなければならないと思いますけれども、そういうふうにいろいろな検討会の意見を待っていて、来年度の予算要求には間に合うんですか。

外山政府参考人 既に大臣が衆議院予算委員会で御答弁をしておりますけれども、この三種のワクチンについてはぜひ継続したいというふうに考えております。

松浪委員 では、その答弁どおりにしっかりと、早急に継続をしていただきたいというふうに思います。

 あと、行政刷新会議、厚生労働省の担当ではありませんけれども、薬剤師さんの調剤基本料というものは、御承知のとおり、門前薬局では特例として二十四点、通常の薬局では四十点ということで、特例としてこれが門前薬局では二十四点に下げられているという現状があります。

 私、びっくりしたんですけれども、行政刷新会議では、これを統一しようと。前から統一しようという動きはありましたし、これまでの診療報酬の改定等に伴って、この幅がだんだん狭まってきているというところも現実としてあるんですけれども、何と、これを二十四点という特例の方に統一しようという御意見が出されているわけであります。

 私も、厚労省と内閣府と両方政務官をさせていただいて、そのギャップというのは非常に実感としてわかるわけで、特に大塚副大臣なんかは、それと同じ、逆の政務におられるわけですから、大変感じておられるというふうに思うんですけれども、この二十四点に統一するということについて、厚生労働省として、政務三役として、御意見があればちょっと伺いたいと思います。

岡本大臣政務官 御指摘の処方せんに関する診療報酬につきましては、処方せんの受け付け回数が多くて、特定の医療機関から集中的に受け付けている保険薬局につきましては、通常の調剤基本料に比べて低い点数を設定している、御指摘のとおりであります。

 これは、保険薬局の中でも、類似の処方せんの受け付けが多くなる等経営効率が高いことを勘案して設定をしたものでありますが、この例外的な点数が適用される保険薬局は全体の約一%でありまして、この薬局に残りの九九%をそろえるということは、経営を維持する観点からどうかというようなところもありますので、委員御指摘のように大きな課題があるものというふうには考えております。

松浪委員 政府の中で、この行政刷新会議においても、厚生労働省として、では今後どのように対応されるのか、重ねて伺いたいと思います。

岡本大臣政務官 もちろん、調剤基本料を含む診療報酬については、中医協においての議論を踏まえて設定をされるということでありまして、この中医協で、今の大きな課題があるとお話をした課題についても御議論いただいて、来年度の診療報酬改定の中で決まっていくものだと承知をしております。

松浪委員 ありがとうございました。

 厚労省としても、しっかりとこうしたことについては、一般委員はさまざまな御意見があるので、確かに内閣府等で広い意見を聞くというのは大変大事なことでありますけれども、時にそれが現場に大きな混乱と衝撃を与えるということは、ここ数年、往々にしてあることですので、重々に対応していただきたい。

 大塚副大臣、重ねて伺います。

大塚副大臣 御指名ありがとうございます。

 この規制改革の分科会の方の立場で去年は仕事をさせていただいておりましたので、ただ、その分科会の担当だったときにも一番留意していたのは、この分科会で意見を言ってくださる方々が、個人的な利害得失で物をおっしゃるのではなく、社会全体の観点から見て、規制改革のその御主張が合理的であれば受け入れるべきであると。そのときには、その所管の役所の側では、先ほど長尾委員の御質問のときに、役所はできない理由ばかり考えるというお話がありましたが、合理的であるにもかかわらず、できない理由を並べて改革をしないということは、今度は所管官庁の側ではあってはならない。

 今度は、今、その立場で徹底をしておりますので、その両者の観点からしっかり対応させていただきますが、この点については、二十四点という全体の一%の薬局に全体を合わせるということは合理的ではないと思っております。

松浪委員 ありがとうございました。

 時間も迫ってまいりました。一問、さっき提案をするところで、私、自分の質問で忘れておりましたので、これはきょうは自分でメーンで聞こうと思っていたのに忘れているという、済みません、ちょっと戻らせていただいて、平成二十一年の十一月に、私、この場で、ワクチンについての国際貢献型ワクチン安全保障政策というのを質問して、そのときは民主党の皆さんからも大変拍手をいただいたことがありました。

 それはどういうものかといいますと、今回でも、新型インフルエンザの増産体制というのを五カ年計画で進めていただいているというところであります。その場合に、これは細胞培養によって半年で全国民分のワクチンを国産で賄うということで、その体制をつくるということですけれども、パンデミックのときというのは大変な施設と人員が必要になるというのは皆さん御理解をいただけると思います。

 その体制をつくったときに、では、パンデミックが起きないときに、その生産ライン、人員をどういうふうに維持していくのかというのが問題になると思うんですけれども、まず、こうしたことについて、今回、五カ年計画でどのようにお考えか、伺います。

細川国務大臣 今の御指摘の点でございますけれども、パンデミックのときに対応する、そういう生産能力をとっていただくということになれば、それでは、パンデミックが起こらない、ふだんはなかなか経営が難しいのではないか、こういうことになります。

 そういう意味で、今度、国内で生産ができるように、この体制をとる事業を進めておるわけですけれども、その事業を募集するときに、募集要件として、その他のワクチンの開発とか、あるいは海外に展開するとか、そういうような計画なども含めてきちっと評価をして、そこで本事業に参加する事業者に対しての評価をしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

松浪委員 今大臣おっしゃった海外展開というのは、これは王道だと思うんですけれども、御承知のとおり、日本のワクチン行政は、戦後の予防接種法のもとで大変公的な分野に限られてきた。国際競争力という面でも、ワクチンについては、質はいいんですけれども、先端的なものについてはおくれをとっていると言わざるを得ない。海外で展開する能力がそうすぐつくわけではないわけであります。

 そこで、私が前回、一昨年提案しましたのは、ODAで世界に貢献するのならば、日本はワクチンで、ODAで世界に貢献をするんだと。ワクチンで貢献をすれば、その分、生産ラインも動くし、人員も動くのではないかということを私は申し上げたわけであります。

 その後、実は、個別に外務省とやりとりをいたしました。WHOのもとでは、ワクチンをWHOで使っていただくためには入札が要る。これは、入札は決めていただくことができない。我が国がある国とバイラテラルでやるのであれば、それは話はいくけれども、入札があるので、それを安定的に入札が通るようにするというのは難しいという話でありました。

 それであれば、ただ、入札の値段というのは確かに低いんですよね。ペイしない。ペイしない分を政府で補てんしてでも入札して、生産ラインを動かして、そして日本のワクチンの競争力がつくまでのつなぎをするとか、そういった柔軟な思想というのが必要ではないか。

 これが、私の申し上げる、勝手に名前をつけていますけれども、国際貢献型ワクチン安全保障政策でありまして、こうしたアイデアをぜひとも柔軟に政府には取り上げていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

大塚副大臣 前向きな御提案、ありがとうございます。

 国際的なワクチン政策の枠組みは、先回のWHOの総会で新しい合意がなされました。その中で日本も行っていきますが、それとはまた別に、今先生御指摘のような我が国のワクチンの競争力を高めるという観点は非常に重要な点であり、私も過去いろいろ見ていると、どうも海外のワクチンに依存をするというモメンタムが働いているのではないかという気はいたしておりますので、先生の御提案をそのとおりできるかどうかは大臣にも御相談して考えさせていただきますが、方向としては御趣旨の方向で頑張りたいと思います。

松浪委員 大変前向きな御意見、ありがとうございました。

 本当に、省庁を超えてやることがまさに民主党の皆さんもおっしゃっている政治主導だと思いますので、志高い医療政策を行っていただきますことをお願いいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、坂口力君。

坂口(力)委員 先日の質問で、東電の福島原発の中で働いておみえになる皆さん方の放射線量が非常に強いということを申し上げて、そして、適切にそこで労働が行われているのかどうかということを指摘させていただいたわけでございますが、新聞を拝見いたしますと、早速指導に入っていただいて、御努力をいただいているということを拝見いたしました。早々に手を打っていただいて、感謝を申し上げたいと思います。

 それからもう一つ、これはきょう通告していないんですけれども、かなり避難生活が長くなってきましたね。学校の講堂なんかにお入りになっておみえになります皆さん方のテレビ、写真を見ますと、かなり高齢の人もお見えになる。高齢の、しかも動きにくい人たちに対して、あそこで集団で生活することが非常に大変だなという気がするんですが、さりとて、急に入れる老健施設だとか特養だとかというのがあるわけでもない。

 仮設住宅というのがつくられておりますけれども、特別に仮設老健みたいなのができないのかなと。きちっとしたのができればいいですよ、だけれども早急にできるわけではありませんから、仮設住宅と同じように仮設老健みたいなのをつくっていただいて、たとえ五十人でも八十人でもそこで動きにくい人は入っていただいて、そしてやっていただくということができれば、その人たちも助かりますし、共同でそこで生活しておみえになるそのほかの皆さん方も、夜中に何回かおトイレに連れていかなきゃならないとかなんとかというようなことで迷惑をかけるということもなくなる。

 一遍御検討いただけないかというのが提案でございますので、ひとつ大臣、御検討だけいただけませんか。難しければ御答弁は結構ですけれども、検討してみるということだけ。

大塚副大臣 ありがとうございます。

 そういった方々への御対応としては、これまで、先生よく御承知のとおり、仮設住宅に併設する支援センター、サポートセンター、そして仮設住宅にはそういう方々用の配慮をしたものもつくる、これが一つの考え方でありまして、もう一つは、グリーンプラザのようなところを、今そこに入っていらっしゃる避難の方々がやがてどこかほかに移られた後に、そういうものを利用できないかというアイデアもやっております。

 あわせて、今先生御指摘の仮設老健的なものも、御提案がほかの先生方からもありますので、これも大臣とよく御相談してしっかり対応したいと思います。

 私もきのう、飯舘村のお年寄りの皆さんが、最後のデイサポートに集まられて、皆さんがいよいよばらばらになっていくというニュースを見て、大変心も痛みました。しっかり対応させていただきたいと思います。

坂口(力)委員 ぜひひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 さて、きょうの本論に入らせていただきますが、今度、社会保障制度改革の方向性と具体策を厚生労働省でお出しになりまして、そして、各般にわたって御議論をなさっている。トータルでこれだけ多くのものを議論して、そして方向性を出していくというのは大変な作業だろうというふうに思いまして、中身はともかくとして、これだけまとめておやりになったということに対しては非常に敬意を表したいと思っております。

 さて、問題は中身でございますが、一つは年金制度でございます。年金制度に関しましては、この中身を見せていただきますのと、それから新聞報道と両方を拝見すると、新聞報道の方がかなり具体的で、この厚生労働省からいただきましたものは、大局的な立場では書いてはいただいていますけれども、そんなに具体的なことが書いてあるわけではありません。

 それで、新聞報道によりますと、年金の支給開始年齢を六十七歳から七十歳に引き上げるということが検討されているということが出ております。それは、そういうことも検討されることは当然だと私は思うんですが、そうしますと、引き上げるということになりますと、今度は六十七歳まで働くことができるかという問題がついて回ってくるわけですね。だから、定年を六十七歳までできるかどうかという話になってくる。

 その辺のところの議論が、その前に、六十七歳ないし七十歳まで延長するという話、これが本当に議論の俎上にのっているのかどうかということをお聞きするのと、そして、もしものっているとすれば、それは働く場所との関係でどんなことが議論されているのかということの御紹介をいただきたい、こう思います。

細川国務大臣 年金の支給開始年齢は、現在は、厚生年金では六十歳、それから基礎年金の方では六十五歳、こういうことになっているわけなんですけれども、これの引き上げの問題というのは、今度の社会保障制度の改革についての集中検討会議でもいろいろと議論はされております。ただ、先生御指摘のような、六十七歳から七十歳まで引き上げるというような、別にそういう結論が出たわけではございません。ただ、引き上げすべきという議論そのものがなされたことは事実でございます。

 それは、日本の年齢そのものが大変長寿になってきたというようなこと、あるいはまた、世界的には支給年齢が高くされている、こういうようなことで、議論はされましたけれども、決まったわけではありません。今、日本では、六十歳から六十五歳に引き上げということで、これを徐々に進めていっているところでございまして、むしろ、これをきちんと、雇用との連続性をしっかりつけながら、まずは六十五まで上げるということにしっかり取り組んでいかなければ、これが会議での大体中心的なところでございました。

 そこで、それでは仕事との関係をどのような形で進めていくかということにつきましては、これは厚生労働省の中にもきちんとした研究会を今つくっておりまして、慶応の清家先生が座長をしていただいておりますが、この研究会で支給開始年齢についていろいろな検討をしていただいております。その中で雇用との関係もいろいろと研究をしていただいておりまして、もう来月にも結論がいただける、そんな状況になっているところでございます。

 そこで、今研究会でやっておりますのが、現行の年金制度における雇用と年金の接続を図るために、希望される方は全員六十五歳までの雇用を確保する、そういう政策をどうするのか。そして、中長期的な課題といたしましては、六十五歳を超えて、年齢にかかわりなく働ける生涯現役社会の実現に向けた環境整備のあり方というテーマで検討をしていただいているところでございます。

 その研究成果も踏まえまして、労働と支給開始年齢との接続というのをしっかりやっていきたい、こういうふうに考えております。

坂口(力)委員 ありがとうございました。

 決定されたことではないけれども、しかし、かなり議論は進んでいるというふうに理解をさせていただきました。これから先、さまざまな議論もあるだろうというふうに思いますけれども、新聞に出ておりますのが先走った記事で何の内容も伴わないものではない、ちゃんとそれなりのことは厚労省の中でも今行われているということがよくわかった次第でございます。そのことはわかりました。

 それで、もう一つ、この年金のところの内容を見せていただきますと、マクロ経済スライドがなかなか機能していないという話がございまして、これは、デフレでマクロ経済スライドが機能していないので、デフレ経済下における年金財政安定化対策を検討するというふうに書かれておりますけれども、これは話が少し逆で、デフレ経済を克服する政策こそ大事ではないか、こう私は思っております。これは指摘だけにさせていただきますので、どうぞひとつ参考にしていただきたいというふうに思います。

 それから、時間も余りありませんから、きょうは小宮山副大臣にお見えいただいておりますので、子ども手当をひとつお聞きをしたいと思います。

 今回、社会保障制度改革の方向性と具体策というこの中身を見せていただきましても、「子ども・子育て支援の強化」という項目はあるんですけれども、この中に子ども手当の話は一言も出てこないんですね。先ほど青木議員の質問に対しまして、これは大変重要な民主党の政策で、これからもしっかりやっていくんだというお話がございましたけれども、内容を見ますと、子ども手当の文字が見つからない。

 それで、この大きいのでどこかに書いていないかと思って一生懸命探したんですけれども、そうしましたら、ここに「すべての子どもへの良質な成育環境を保障し、社会全体で子ども・子育てを支援」という項目がありまして、その中に「すべての子ども・子育て家庭への支援」という項目があって、その中に「(子ども手当)」というのが一つ書いてある。どうも、子ども手当に対する記述が今回の社会保障の改革の中で非常に少なくなっている。

 ある省のお役人が私のところへ参りまして、坂口さん、消費税が導入をされてそこで財源ができたときに、この書き方では子ども手当には回りませんよ、これ、よろしいですかねと。私に聞かれても私は答えようがないわけですけれども、わかりました、一遍これは厚生労働省の三役の皆さん方に申し上げておきます、こういうふうに私は申し上げたんです。

 どうも、今までの民主党の政策の一丁目一番地か二番地か知りませんけれども、その辺の政策である割には、今回子ども手当という言葉が欠落している。これはこれでいいのかどうか、私は若干心配しておるわけです。

 それで、中身はともかくとして、中身がなかなかまとまりにくいというのは、これはいろいろ意見のあることですから、それはあると思うんです。せめて現在行われている制度ぐらいは書いておいて、これについて今検討中というふうにしておいてもらったら、それはまあやっておるなということになるわけですけれども、それすらもない、現在の制度すらも書いていないというのは、片手落ちという言葉はよくありませんから片手落ちという言葉は使いませんけれども、少し抜け落ちたところがあるのではないかという気がしますが、小宮山副大臣のひとつしっかりとした御答弁をお願い申し上げます。

小宮山副大臣 坂口大先輩に御心配をいただきまして、本当にありがとうございます。申しわけございません。

 ここにちょっと「(子ども手当)」とかなり控え目に書いてございますのは、現状から申しますと、よく御承知の上での御質問だと思いますけれども、現在、私どもは子ども手当は、総合的にパッケージとして、まず子供を、そして子育てを応援しようということの一つ目が、とにかく持ちたい子供が持てない最大の原因が経済的負担ということで子ども手当を出しました。

 そして今、子ども・子育て新システムの中で、幼保一体化を含めた次の柱である子供の居場所づくり、それからワーク・ライフ・バランスとか小児医療ですとか虐待の問題とかいろいろなものを総合的にやろうとしているのが民主党の子ども・子育て政策で、もちろん、その一番目の柱の子ども手当をもっと大きく書くべきだという御指摘はそのとおりかと存じます。

 ただ、子ども手当は、現在、三月末につなぎ法が成立をいたしまして、今つないでいただいている。その間に、四月の末に民主、自民、公明の三党合意で、子供に対する手当の制度的なあり方、これを各党で早急に検討を進めるという合意がなされまして、今各党で御議論をいただいていると思っております。

 政府としましては、この三党での御議論を、円滑に進むように協力もさせていただいておりますが、その御議論をしっかり踏まえて、どういう形でということを決定するというふうに考えておりますので、具体的な姿として今ここに書き込むということは、政府として僣越ですと言うとちょっと言葉の選び方が悪いかと思いますけれども、ぜひいい形で御議論をいただきたいというふうに思っているところでございます。

 それで、これは全体の社会保障と税の一体改革の中で、税制改正でどういうふうなことをしていくかというようなことを中心に書かれているかと思うんですが、御承知のように、子ども手当の場合は、年少扶養控除と、まだそこには至っておりませんが配偶者控除と、控除から手当にということで、そこの部分の財源は一応手当てをしてあるというふうに考えております。

 それで、ここの新たな一元的なシステムという新システムの中にも、給付の設計として、現金で子ども手当と、それも一行しか書いてございませんで、中身がないということかと思うんですけれども、それは各党の御議論をしっかり踏まえまして、ぜひ御党が推進をされてまいりました子供への現金給付ということもさらに充実をするような御結論をいただきまして、それをこの中にしっかり当てはめていきたいというふうに思っております。

 軽視をしているわけではございませんが、今、形を私どもが書き込むことができないということで、「(子ども手当)」とこの表の中ではなっておりまして、ただ、この新たな一元的システムの中には、ここに子ども手当を現金給付として制度設計としては盛り込んでいる。

 余りすっきりしない説明で申しわけございませんが、そういうことで、決して子ども手当の旗をおろしたわけではございませんが、御議論をいただきまして、具体的な形をこの中に当てはめていきたい、そのように考えております。

坂口(力)委員 わかりました。現在の状況というのはよくわかりました。

 それで、厚労省からいただきましたのは、年金とか医療・介護、貧困・格差、低所得、こうあるんですね、参考材料や何かは。だけれども、子ども手当というのはなくて、子ども・子育て新システムという、これは内閣府が出したのはあるんですけれども、厚労省のはないんですね。ちょっと寂しいなというふうに思っています。ですから、議論をすべきところは我々も議論をさせていただいて、前進するようにしたいというふうに思っておりますが、それはそれとして、政府の姿勢もきちっと書いておいていただくべきだというふうに私は思いました。

 もう時間がなくなってきまして、あと一問でございますが、社会保障制度改革の基本的方向性というのが書いてあるわけでございますが、その中に全世代対応型という言葉が出てくるんですね。これは非常にわかりにくいんですね。全世代対応型というのはどういう意味かなと思って見たんですけれども、これは私の解釈が間違っていたら間違っているというふうに言ってもらえばいいんですが、時間がありませんから私の方が先に言いますけれども、将来にツケを回さないということを言っているんですか、この全世代対応型というのは。現役世代の社会保障だけではなくて次世代の社会保障も考えて、将来にツケを回さないようにするのだ、それが全世代対応型という意味かなというふうにとりましたけれども、それでよろしいですか。

細川国務大臣 確かに、将来、子供たちにツケを回さない、そういう観点ももちろんございます。端的に申し上げれば、今まで、ややもすると社会保障というのは高齢者を中心にいろいろな仕組みがつくられてきていた。そのことについて、現在では社会の構造も変わり、社会保障に対する若い世代からの大変批判もあり、不信感も出てきているというようなことから、端的に言えば、全世代対応型というのは、若者の自立支援の強化とか子ども・子育て支援の強化、こういうことを重視した政策体系を実現していく、これが全世代対応型というふうに理解していただければというふうに思います。

坂口(力)委員 ありがとうございました。

 わかりましたが、将来に対してツケを残さないということも大事な柱の一つというふうに理解をさせていただいております。そういう意味で、子ども手当も、二万六千円というのはうまくいくのかどうかという心配もしているわけでありまして、そこはしっかり議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 応援をしたのやら質問したのやら、よくわかりませんでしたけれども、これで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

牧委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子です。

 初めに、不活化ポリオワクチン、単独ワクチンの早期承認についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 二十日の当委員会で、不活化ポリオワクチンの単独ワクチンの必要性を申し上げたところでございます。緊急輸入の必要性を主張いたしました。二十六日、予防接種部会で、患者会を中心に不活化ワクチンを求める声が拡大していることにこたえる形で、不活化ポリオワクチンについての議論が行われたということでございます。そこで生ワクチンから切りかえる移行期に発生する過剰接種等の問題についても議論され、不活化ポリオ単独ワクチンの国内開発が提案をされ、了承されたわけであります。

 昨日、ポリオ単独不活化ワクチンの開発、製薬企業が日本導入に向け開発に入ることを決めたという報道がございました。この企業では、現在開発中の四種混合ワクチンにも共同開発に取り組んでいる。さらに親会社では、不活化ワクチンを一九八二年に発売しています。現在九十一カ国で承認を受けて、これまで二億三千万本を供給しているということでございます。

 そこで、不活化ポリオワクチンへの円滑な移行、迅速かつ円滑に導入することに向けて、四種混合また単独ワクチンともに最速のスピードでぜひ承認をしていただきたい、このように思いますけれども、これについて御見解をお伺いしたいと思います。

細川国務大臣 不活化ポリオワクチンについては、委員がずっと以前からこの委員会でも取り上げられてこられた問題でございます。

 五月の二十六日に開催されました厚生科学審議会の感染症分科会予防接種部会におきまして、四種混合ワクチンの円滑な導入のため、できるだけ早く単独不活化ポリオワクチンについて開発を進める、こういう方針が了承をされたところでございます。

 そこで、これからでございますけれども、この方針を踏まえまして、単独不活化ポリオワクチンの開発というのを私どもとしては事業者に対して積極的に促してまいります。そして、できる限り迅速に審査もしていきたい、このように考えております。

古屋(範)委員 ぜひ、不活化ポリオワクチン、四種、単独、どちらも早期の承認を行っていただきたいと思います。これを強く要望しておきたいと思います。

 次に、南足柄市産の足柄茶の問題に入ってまいります。

 十一日、足柄茶の生葉から暫定基準値を上回る放射性セシウムが検出をされまして、今年度の出荷自粛、自主回収が呼びかけられました。

 御存じのとおり、足柄茶は県西部の主要農産物でございます。非常に良質なお茶でございます。甘みと渋みのバランスがとてもよくて、香りのよいお茶、日本古来の伝統的なせん茶であります。非常に人気が高いブランドでもございます。

 この足柄茶は、大正十二年に関東大震災の後の復興政策として栽培が始まりました。昭和三十八年、第十七回全国茶品評会で一等賞入賞しており、その後、全国の茶の品評会でも上位入賞している、非常に人気のあるブランドであります。

 こうした中で、足柄茶の生葉から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出をされた。新茶シーズンを迎えて、生産者のみならず、このブランドに誇りを持っていた神奈川県民に大きな衝撃が広がっております。なぜ今、原発から三百キロも離れた足柄でこのような検査結果が出るのか。ショックのみならず、足柄茶というだけで敬遠されてしまう、昨年の生産したお茶さえも返品されてくるということでございます。風評被害も出始めている、暫定基準値を下回った十市町村の農家からも、さらに不安の声が寄せられております。

 初めに、大臣に、このような事態について、数々の風評被害が叫ばれておりますけれども、今回の事実を通して、風評被害という考え方について、御所見をお伺いいたします。

雨宮政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、足柄茶につきましては、神奈川県が生葉で暫定規制値の五百ベクレル・パー・キログラムを超えるものについて出荷自粛を行っているところでございます。

 農林水産省としましては、食品の安全と国民の健康の確保が最重要と考えておりまして、それを前提に正確な情報が消費者に伝わるよう努めているところでございます。

 お茶農家の風評被害の影響もさまざまなものが予想されると認識をしておりますので、原子力損害賠償紛争審査会に対しまして、今後、状況などを説明してまいりたいと思ってございます。

古屋(範)委員 私も、この問題が発生をしてから、公明党の市会議員とも連携をとってまいりました。

 農家の方は、一番茶が出荷自粛となって、しかし一番茶を刈らなければ二番茶は出てこない。二番茶の検査をする、その結果はもちろんどうなるかわからないわけであります。残りの茶を刈らなければいけないんだけれども、刈った葉は出荷はできない。

 一番茶の収入が全体の八割を占めると言われております。収入のすべてと言ってもいいくらいであります。今までいいお茶という定評があったにもかかわらず、そういう風評被害も出ている、今すぐ補償してほしい、このような切実な声が出ております。公明党の神奈川県議団も、県知事に対しまして緊急要望をしたところでもございます。

 きょうの各紙にもこの件が取り上げられております。特に、読売新聞の社説でも、「被害状況に応じて、対象地域の拡大も検討すべきだ。神奈川県では、五月に茶葉から規制値を超える放射性物質が検出されたが、今回は対象外とされた。」このような記事がございます。

 一番茶の出荷は六日に始まったばかりなんですが、この回収、出荷自粛、これから摘み取る分も含めると、損害は数億円規模とも言われています。県によると、新芽を使った一番茶の値段が最も高いわけなんですが、六市町村でことしの出荷は難しいとの見通しもありまして、六月以降に刈った二番茶での出荷再開に望みをつないでいます。再開には、三週間に三回の検査をして、いずれも基準値を下回ることが条件になっている。育ったまま三週間放置すると出荷できなくなるために、県は、六月中旬に基準値を下回れば、一回の検査で出荷できるよう国に要望したいということでございます。

 昨日三十一日に、原発事故に伴う損害賠償の範囲や目安を定める第二次指針が決定しました。この中では、福島、茨城、栃木、群馬の四県の全域と千葉の二市一町の農産物について、四月までに政府で何らかの農産物の出荷制限、停止の指示をされた区域は全品目を風評被害の賠償対象として認定をするということでございます。

 今回の二次指針、五月以降の出荷自粛を伴う損害、風評被害は盛り込まれておりませんでしたけれども、足柄茶の出荷自粛についても条件は全く同じです。そこで、足柄茶の生産農家についても迅速かつ十分な補償が行われるよう、国としても即刻賠償の対象と認定をしていただきたい、このように思います。御見解をお伺いします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力損害賠償紛争審査会が策定する原子力損害の範囲の判定の指針につきましては、相当因果関係が明らかなものから順次策定をしていくということで、四月の第一次指針、そして昨日の第二次指針ということになってございます。

 第二次指針では、農林産業の風評被害について、平成二十三年四月までに政府等による出荷制限指示等が出されたことがある区域において産出されたすべての農林産物について相当因果関係が認められ、賠償すべきものとされたということでございます。

 御指摘の足柄茶でございますけれども、県による出荷自粛要請が出たものにつきましては、既に第一次指針の対象として、政府等による出荷制限の指示がございますものですからそれは損害として、第一次指針の対象内でございます。それ以外のものにつきましてはいわゆる風評被害に当たると考えられてございまして、本年四月までの出荷制限指示に関する風評被害を対象とした昨日の第二次指針の対象にはなってございません。

 しかしながら、これらの指針の対象となっていない被害につきましては、今後、被害の実態あるいは事故との関連性ということを詳細に調査、検討するということにしてございまして、七月ごろには原子力損害の範囲の全体像を中間指針として取りまとめていただきたいというふうに考えているところでございます。

古屋(範)委員 農家では、今後一体私たちはお茶農家としてやっていけるのかどうか、そのような不安が広がっております。ぜひ迅速な賠償、これを強く求めておきたいと思っております。

 最近、二転三転した情報の混乱など、昨日の委員会でもございましたけれども、政府の発表が一体どこまで信用ができるのか、こういう声が広がっております。原発事故が収束していない今、汚染が長期化をするおそれもございます。放射性セシウムが検出されたということは、明らかに、これほど離れていても福島第一原発の事故によるものである、こう言わざるを得ません。

 農産物の安全性の問題は、本来であれば、政府として基準があるものはそれに準じ、ないものはそれこそ暫定的な基準として、国民が安全、安心に、食べても問題はないという数値までは出荷可能、これ以上は基本的に出荷停止として、出荷できないものについては補償する、こういう対策措置が即刻とられるべきであります。少なくとも、出荷基準を定めるなどの具体的な取り組みが必要で、ただただ安全ですと言われても、なかなか国民は信用できず、買い控えが起きてしまうわけであります。

 現在のままであれば、今後とも時間の経過とともに放射能汚染地域は拡大していくと思われます。国民の不安を取り除くために、いいかげんな暫定基準値ではなく、しっかりとした基準を定めて、基準値を超えたものは出荷をしない、出荷できないものについては損害賠償、政府が責任を持って主導すべきであります。そして、スピーディーに、安全なら安全と国が率先をしてアピールすることで風評被害を食いとめていただきたいと思います。

 政府の責任として、正確な情報の開示で国民の不安を取り除き、食品の安全の確保をすべきであると思います。この点について大臣の御見解をお伺いいたします。

大塚副大臣 基本的に、すべて委員のおっしゃった認識と全く一緒でございます。

 一点だけ御理解いただきたいのは、いいかげんな暫定規制値という御表現もございましたが、決して暫定規制値そのものはいいかげんではありませんで、これはもう既に関係組織に御了解をいただいて、先日WHOでも国際的にも報告をさせていただきましたが、その基準自体は科学的根拠に基づいて行われております。

 なお、お茶のように特殊な生産、加工、そして流通、飲用、こういう形態のものについての基準については、実態に合う形で、今、最終的な調整をさせていただいているところでございます。

古屋(範)委員 ぜひとも迅速な対応を政府としてもしっかりととっていただきたい。国民のためによろしくお願いしたいと思います。

 お茶のように、木があり、それを摘み取って加工する。一番茶はだめだった、では、二番茶の葉は大丈夫なのか、木は大丈夫なのか、一体土壌はどうなのか、こうした調査をこれから徹底して行って、安心して農家もお茶の生産ができるようにしていただきたいと思います。

 以上、終わります。

牧委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨日の復興特に続きましての質問をさせていただきたいと思います。時間の関係で昨日質問できなかったところがございましたので、ぜひ御答弁をいただきたいなと思います。ただ、きょうも時間との闘いですので、答弁は簡潔にお願いをしたいと思います。

 福島第一原発事故の、東電社員二名が被曝した件でございます。

 厚労省は、三十日に指示を出し、三月末までに福島第一原発で緊急作業に従事したすべての労働者の内部被曝測定、評価を実施するように求めたといいます。この対象人数や進捗状況がわかれば、まずお答えいただきたいと思います。

 この二人の方たちは中央制御室に従事していた社員ということですので、我々だって普通に調査のときに入りますので、比較的前線ではない、しかも正社員であるということから考えれば、今回の二百五十ミリ超えはまず二名にとどまらないだろう、もっと前線で活動している労働者ほど被曝のおそれが高く、もっと影響が広がっているのではないかということを心配しますが、いかがですか。

小宮山副大臣 福島第一原発で緊急作業に従事していたその東電の社員二名の方が、内部被曝を含めた被曝線量が上限である二百五十ミリシーベルトを超えるおそれがあるということを、五月三十日に東電より報告を受けました。

 緊急作業に従事する労働者の内部被曝測定につきましては、これまでも再三にわたって指導を行ってきたところですが、これまで緊急作業に従事した労働者七千八百二十九名のうち、測定を受けた方が千八百名余りにとどまりまして、いまだに測定されていない方が多いことは大変遺憾に思っておりまして、さらに指導をしたいと思います。

 こうしたことを踏まえまして、厚生労働省では、五月三十日に東京電力本社を呼びまして、これまでに緊急作業に従事した労働者に対する内部被曝線量の測定、評価を速やかに行うよう強く指導いたしました。

 また、おっしゃるように、この東電の社員二名と同じように中央操作室で作業をしていたほかの労働者につきましても、同様に内部被曝の可能性が否定できませんので、これらの方々については、内部被曝線量が確認できるまでの間、福島第一原発での緊急作業につかせないよう、あわせて指導いたしました。

 今後、つくりました福島第一原発作業員健康管理等対策推進室を中心にしまして、第一原発での線量管理の状況ですとか、内部被曝線量の測定、評価の結果を的確に把握いたしまして、緊急作業に従事している労働者の健康管理には万全を尽くしていきたいと考えております。

    〔委員長退席、郡委員長代理着席〕

高橋(千)委員 福島第一原発の復旧作業にかかわる対策推進室をつくったということで、しっかりとお取り組みをいただきたいと思います。

 そこで、昨日の質問の中で数字を出していただいたものを、きょうは資料に配ってあります。「放射線被ばくの労災認定について」ということでありまして、最初にこの資料をいただいたときに、被曝の労災の資料を下さいということでもらったわけですけれども、いろいろ気がつくことがございます。

 まず、「原子力発電所で業務に従事した労働者のがんに関する労災認定状況」ということで、そもそもがんしかないのだということでございます。それから、よく言われるのが、百ミリシーベルト以上は影響がはっきりしているけれども、それ以下は明確でないということがよく言われます。ただ、これを見ますと、十人の中、百ミリシーベルトを超えている人は一人しかいないわけであります。そして、きのうも言いましたように、五・二ミリシーベルトでも白血病になっている、こういう実態がわかるわけですね。

 これは、実は説明書きが後でついているわけですけれども、百ミリシーベルト以下の被曝であっても、発病したがんが労災として認定されることはあり得る、労働者の側に立って、ほかに要因が考えられなければ認めると書いてあります。ただし、あくまでも白血病はということで、白血病しか認定基準がないわけであります。

 そこで、さまざまな影響があるにもかかわらず、こうしたことしかこれまでされてこなかった、認定されてこなかったし、考慮されてこなかったということを踏まえまして、もっと見直しをするべきではないか。一つは、緊急時だからといって、危険な作業だということをわかっていて二百五十ミリシーベルトという上限でよいのか、高過ぎるということ。そして、労災認定基準についても見直しをすべきではないか。大臣、いかがですか。

細川国務大臣 二百五十ミリシーベルトに引き上げた、これについては緊急時でありますから引き上げたわけでありますけれども、この引き上げに当たりましては、ICRPの勧告では、重大事故には人命救助を例外として五百ミリシーベルトを超えないようにすべきであるということ、それから、被曝線量が二百五十ミリシーベルト以下では急性期の臨床症状が明らかな知見が認められないということを踏まえまして、急性期の健康影響がない境目の水準として設定をしたところでございます。この引き上げにつきましては、文部科学省の放射線審議会からも、妥当であるという答申をいただいております。

 しかしながら、被曝線量がふえますと中長期的な影響が生じますリスクが増加する、こういうことは確かであると思います。そのため、五月十七日に公表されました政府の工程表、これでも、被曝線量の管理、臨時の健康診断の徹底、作業届の提出による労働者の被曝管理等の確認、そしてまた、データベースの構築による長期的な健康管理を行うことといたしているところでございます。これらを確実に実施していくためには、先ほどお話がありました対策推進室も設置をいたしまして、この推進室を中心に作業員の健康確保に万全を期していきたいというふうに考えております。

 それから、労災の基準についての見直しというようなこともお話がありましたけれども、これについてはいろいろと関連もありますので、これも検討はしていかなければというふうに思いますけれども、ただ、直ちに今のこの規定を改めるということにはならないと思います。この規定というのは、本当に労災の患者のため、そういう観点からこの基準が設定をされているというふうに私どもは考えておりまして、その点については妥当な基準ではないかというふうに思っております。

高橋(千)委員 今、検討という言葉がありましたので、重ねて検討をお願いしたいと思います。

 やはり、放射線の影響というのはずっと後になって出てくるということは皆さんおわかりなわけですから、今直ちに影響がないということでは済まされないということを言わなければならないと思うんです。

 この基準のバックになっている一つのあれとして、例えば財団法人放射線影響協会の疫学調査というものがございます。慢性リンパ性白血病を除く白血病の死亡率は、全日本人男性死亡率との有意差は認められなかったということで、ここだけを基準にしているというふうなことが書いてあるんですけれども、実はその下に、それ以外のがんについては、一般の男性と比べて高いのだということが書いてあるんですね。「有意に高かった」とちゃんと書いてある。ところが、これは生活習慣病とかいろいろな条件が考えられるからいいんじゃないかという程度に済まされているということをやはり見なければ、そこにはアンダーラインを引いていないということなんです。そういうこともちゃんと見ていただきたいということを指摘しておきたい。

 それで、三つ目の質問なんですけれども、私は、そうはいっても、内部被曝の結果が出るまで何もしないというわけにはいかないわけです。そのために線量計をつけているわけだし、そのためのアラームというものがあるわけですよね。

 例えば、ジェー・シー・オーが本当に短期間で収束をしたのは、もう決死の覚悟で社員の皆さんが冷却水抜きに志願をして行動したわけです。そのときに、怖くなかったと言ったらうそになるが、アラームが鳴ったら戻ればいいと自分に言い聞かせたということを社員の方がおっしゃっています。会社は、一分以上作業するな、アラームが鳴ったら帰ってこいという指示をしたそうです。私は、やはり時間で、とにかく長く作業しないということ、そして、やはり最後はアラームで担保をするということ、ここが本当に大事なのではないかと思うんです。

 そこで、昨日、先ほど紹介された対策室の方が福島第一原発の復旧現場に行ったということで、どのくらいになったらアラームが鳴りますかと聞いたところ、それは場所によってまちまちで、一ミリシーベルト、五ミリシーベルト、大きくて四十ミリシーベルトのところがあるということでありました。四十ミリシーベルトになるまで鳴らないということがもし事実であれば、これはいいのだろうかということ、まずそこをちょっと調査して是正する必要があると思いますが、いかがですか。

    〔郡委員長代理退席、委員長着席〕

小宮山副大臣 御指摘の点はしっかりと調査をしたいと思います。

 外部被曝につきましては、あらかじめその作業で被曝が見込まれる線量を可能な限り低く抑えられるように努力した上で、各作業員の累積外部被曝線量に応じて作業を割り振るなど、よりきめ細かな管理を行うこと、これが必要だと考えています。

 また、こうした取り組みの実施状況をしっかりと確認して、的確に指導を行うために、福島第一原発での緊急作業のうち、一日の被曝線量が一ミリシーベルトを超えるおそれがある作業につきましては、事前に放射線作業届を富岡労働基準監督署に提出するように五月二十三日に指示をいたしました。届け出受理の際には、被曝線量の管理、被曝線量の低減について指導を行うこととしております。

 ですから、外部被曝線量そして内部被曝、合計を限度内に抑えられるように、しっかりとその管理を徹底させていきたいと考えています。

高橋(千)委員 お願いします。この点は、引き続いて、調査の結果も待ってまたお願いをしたいなと思います。

 きょうは農水省にも田名部政務官においでをいただいていますけれども、四月十四日の災害対策特別委員会で水産物の風評被害の問題を取り上げまして、水産庁がつくってくれた調査実施状況を資料につけておきました。白いポツが暫定規制値以下であり、黒のところが基準値を超えているという絵でございます。市場で出回っているものは安心だという体制を、県や漁業者任せにしないで、人も金も出してやるべきだと質問をしたところであります。

 五月二日に基本方針を出してモニタリングを行っていると思いますけれども、その内容と取り組み方針について、済みませんが、簡潔にお願いします。

田名部大臣政務官 まず一点、風評被害についてもしっかりと取り組みをしていかなければならないと思っています。諸外国に農水省の職員が直接出向いて、規制緩和をしていただけるように、しっかりとした情報公開を行っているところであります。

 さらには、検査の件でありますけれども、水産物の検査は三月二十四日から行っていますが、その後、五月二日付で水産物の放射性物質検査に関する基本方針を策定いたしました。

 調査対象でありますが、沿岸性の魚種、例えばスズキとかカレイ、こういったものから、広域回遊性の魚種、例えばカツオやイワシ、こういったものに広げまして、週一回調査を実施するということを決めました。

 もう少し申し上げますと、対象魚種でありますが、地域の実情に応じて漁期ごとの主要漁獲物を選ぶ、そして、海の上の方、表層、中層、そして底層、こういったところを泳ぐそれぞれの魚を検査する体制を整えたところであります。

 今後とも、また県や関係機関ともしっかり連携をとって検査を強化してまいりたいと思っておりますし、大臣からも、とにかく検査だ、しっかり検査できる体制をつくれという御指示をいただいておりますので、今後、機器の導入も含めてしっかりと検討し、消費者の安全、また漁業者の皆さんの安心につなげてまいりたいと考えています。

高橋(千)委員 続けて要望したいことがあるんですが、食品安全委員会の方が来ていただいていますので、先に質問したいと思います。

 今お話があったモニタリングをやるにしても、その基準というものが実はなかったわけでございます。そこで、今回の原発事故を受けて、厚労省が食品安全委員会に評価の要請を行って、三月二十九日に暫定基準値についての緊急取りまとめがされたところであります。

 ただ、まさに緊急でしたので、そのときはデータがほとんどなかったということがございました。きのうもさんざん問題になっていたわけですけれども、放射性の核種そのものがデータがほとんどなかったりとか、汚染状況が明確にされていなかったということなどの制限の中でやらざるを得なかった評価ではなかったのか。その中で、内部被曝のリスクですとか、乳幼児、子供、妊産婦の健康影響評価ですとか、もっと課題があるのではないかということも審議の中で出ていますし、また主婦連などの団体からも要望が出ていたと思います。

 その点で、安全委員会としてのその後の取り組みについて伺いたいと思います。

栗本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、緊急取りまとめは三月二十九日に、事故直後の事態の緊迫性にかんがみまして、一週間で取りまとめられたものでございます。そのため、発がん性や胎児への影響、ウラン、プルトニウムなどについての検討などが今後の課題とされたところでございます。

 このため、食品安全委員会のもとに放射性物質の食品健康影響評価に関するワーキンググループを設置いたしまして、既に四回のワーキンググループの会合を開催いたしまして、詳細な審議を行っております。

 緊急を要する案件でありますことから、今後とも専門家による審議を精力的に行い、七月ごろには何らかの取りまとめを行うことを予定いたしております。

高橋(千)委員 この点で、厚労省は初期の評価要請だけをしたわけですけれども、当然、今、ワーキンググループを行っているということでありましたので、厚労省としても、そういう視点で基準を見直さなければならない、あるいは詳細なものをつくっていかなければならないと思いますが、大臣、一言お願いいたします。

細川国務大臣 これまでの規制というのは、あくまでも暫定の規制値でございます。これについては、しっかりとした規制値をつくるために、今答弁のありました食品安全委員会の方でも評価もいただいているところでありまして、それを踏まえて、厚生労働省としてもしっかりとした基準値を決めてまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 終わります。また続きをお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は一般質疑ですので、私が、昨年の七月に新たに施行されることになりました改正臓器移植法も含めて、日ごろ大変心にかかっておりました臓器移植問題について、まとめて御質疑をさせていただきます。

 いわゆる脳死下の臓器提供事例ということで、お手元にグラフがございます。臓器移植法案、当初、一九九七年に成立いたしまして、本人同意、ドナーカードなどによって、御本人の意思にのっとって提供されるということで進んでまいりましたが、昨年には、御家族の同意ということも可能になりました。ごらんいただくように、家族の承諾による同意は、昨年とことしで約四十四例となっております。

 そもそも、臓器移植の法律が成立いたしましたときに、社会に定着していくためには、ドナーにとって人権侵害がなかったか、あるいはレシピエントにとっても適正な医療かということをきちんと検証いたしましょうということで、検証会議と申しますか、検証作業が行われてまいりました。

 これまで、全例、本人同意が九十一例、家族同意四十四例、百三十五例が臓器移植されたわけで、脳死となって判定されてもされなかった一例も含めれば百三十六例となりますが、実は、検証が済んでいる事例というのは、臓器提供に至った例は六十四、至らなかった一例も含めて、全体で六十五例でございます。右側にグラフがかいてございます。検証済みが六十五例で、検証がまだというのが七十一例。すなわち、これまで臓器移植されたものの半分も検証がされていないということであります。

 特に、厚生労働省では、御家族の同意になりましてからのものは、いろいろなことがあるでしょうから先に検証も進めましょうということでやっていただいておるとは承知しているのですが、いかに何でも、古いものも含めれば、三年前のものも検証されていないということが現実にこのグラフから読み取れるわけです。

 そして、そうした中で、ことし二月には、こういう検証作業もおくれているから、これまで検証には、その提供となった病院に出向いていろいろヒアリングをして、そして情報をまとめていくという作業を、書面によって、簡略化というと変ですが、出していただいて検証しようかということに変わったようです。

 しかし、私は、これは、例えば第三者的な検証というのは、御本人が出してこられた、提供側が出してこられた書面を見てというよりは、やはり、ここにかかわる陣容をふやしてでも、現場にヒアリングをなさるということを続けていただきたいと思いますが、まずこの一点、細川大臣にお願いします。

細川国務大臣 この検証作業につきましては、今委員が御指摘のように、件数的にも大変おくれているという状況にございます。これについては私も反省もいたしておりまして、この検証作業を早くするということは大事なことだというふうに思っております。

 そこで、委員が御指摘の書面審査についてでありますけれども、これにつきましては、まず家族承諾と本人承諾について区別をいたしまして、家族承諾の件につきましては、これまでどおり現場に行きましてやっているということでございます。

 ただ、本人同意の場合にだけ、最初に書面をいただいて、そして、そこで問題があるようだとなれば、当然現場の方に行って検証をしっかりやるということで、そういう区別をさせていただいて、検証の迅速化ということを促進させていただいているということでございます。

阿部委員 昨日担当者に伺ったところ、そうはいっても、現実にはまだ書面審査でやっているものはないということでありました。

 実は、この検証にかかわる人員がほとんどふやされていないのですね、厚労省内部で。ですから、命にかかわることは簡略化していいことはやはりないと私は思います。予算が苦しい、いろいろおありなのはわかりますけれども、臓器移植というのは見えない意思と言われていて、グレーゾーンの部分がやはりいつもいつも、御本人がドナーカードを持っていらしても、では脳死をどう理解されてチェックしているか等々もまだまだ課題でありますから、現実には、私のお願いは、もっと検証にかかわる陣容を充実させていただきたい。これはお願い申し上げて、細川大臣には検討していただきたいと思います。

 かく私が申し上げますのも、例えば現場に出向いている検証でも、問題が実は十分拾えているかどうかが懸念を持たれるところであります。

 お手元、資料の二枚目をめくっていただきますと、臓器移植提供の八十八例目、実は、家族承諾の一例目の検証であります。

 この事案は、私も前にちょっとこの委員会で取り上げましたが、バイクの事故で大腿骨の骨折と下腿の開放骨折、骨が飛び出るような骨折をされた二十代の男性が救急病院に運ばれて、そのときは意識もはっきりしていて痛いなりなんなりを表示できましたが、そこから大腿と下腿の手術に入り、その手術が終わって一度は呼吸器を抜いたけれども、意識が混濁していって、脳の出血が確認されて脳死になったと言われる事案であります。

 この検証を見ておりますと、私は、大きく言っても三つくらい問題があるかなと思います。

 実は、この件は、交通事故ですから、警察でも対応しているわけです。過失致死としてこの加害者は扱われておりますが、さっき言ったように、交通事故で起きたものはけがだけかもしれません。その後起きております脂肪塞栓、脂肪が肺や脳に詰まってということは、これは不可避であったかどうかは、ここが難しいですが、医療行為の中でも起こってきた。どこでそれを発見し、どう治療したかということも含めて検証はなされるべきだと思いますし、そうした事案が起こり得るということを手術のときに御家族にはそもそも説明していただろうか。これから手術に入りますから、でも、大腿と下腿をけがしておられて、この手術にはこういう危険が伴いますよというようなことも話されていたかなども、実は医療現場におけるインフォームド・コンセントの一つになろうかと思います。

 あわせて、これは岡本政務官に御答弁いただきたいのですが、実は、この方は救急の入院のところで臓器提供の意思がありや否やのチェックをされたのではないか。これは言われておるところで、検証されていませんのでわかりませんが、私は、救急病院というのは必死で駆け込みますので、それがどんなことであれ、そのときにチェックというのはちょっといかがなものかと思います。なるべくそうした状態でないときに、助けてと言っているときにどうですかと聞かれるのもやはり尋常な判断でもないでしょうし、そのあたり、そうした救急現場がそういう入院に際してチェックしているかどうか。そして、これは脂肪塞栓として正しく治療されたかどうかなどの検証はどうなっていたか。この点をお願いします。

岡本大臣政務官 医学的な話ですから先生も御承知おきのとおり、脂肪塞栓、大きな整形領域の整復術ではリスクとしてあるわけですから、当然インフォームド・コンセントがなされるべき疾患だろうと思います。どういうようなインフォームド・コンセントがなされていたかということはちょっと確認ができておりませんけれども、先生の御懸念は当然理解はできますし、ましてや、救急外来に来た段階で臓器移植のカードを持っているかどうかをまず聞くという話は、現実的にはあり得ない話だろうと思います。特に、こういう、意識が一定程度あるような方に対してそういう話からスタートするということはないと信じておりますが。

 いずれにしましても、今回、私も問題点だと思って事務方にけさ話をしましたけれども、プレスリリース、当初、交通外傷が原疾患だと言われておりましたが、これは交通外傷に起因をする脳塞栓というよりは、その術中の問題があったと。それが不可避かどうかというところは先生御指摘のとおりですけれども。そういう意味で、公表の仕方として、原疾患を交通外傷としたということについての、やはり公表のあり方については少し考える必要があるだろうということは指示をしたところです。

阿部委員 私は、御家族へのインフォームド・コンセントのとり方も問題なのではないかと思って、先ほど、例えば手術に入るときにこういうリスクがありますよということが伝えられたかとか、そういうことを検証するための検証会議なんだと思うのですね。余りに安易に流れて。

 そして、実は、この患者さんは、いわゆる脳幹反射を見るときに、よく私どもは、大半いたしますが、聴性脳幹反応といって、音を聞かせて生理学的な反応をとるのも実施されていません。やれないような、頭部外傷がひどい事案とかではやらないですけれども、大半、やはり確実に判定をしていくために、必須事項ではありませんが、精度を高めるためにやっておると思います。

 この方の御家族に、そもそも臓器提供のお話は、臨床的脳死判断の前になされております。見ていただきますと、八月の五日、これが医学的に言う臨床的脳死判断と私どもが言うもので、臓器移植のお話は八月の三日に先立って行われております。このあたりも、やはり、少なくとも臨床的脳死判断を待って、でないと、どんどん前倒し、先倒しになっていく懸念があると思います。私は、検証会議とはそういうところを検証するためのものだと思いますので、岡本政務官にはあの状況をよく御理解いただいていると思いますので、検証会議のあり方、その質を高めていただければと思います。

 引き続いて、実は子供の事案が、四月の十二日、十歳代の男の子だということで報道がされております。十五歳未満からは初めてということで、ただしプライバシーの問題等々あって公表されている部分はごく少なくて、私どもが社会として子供からの臓器提供をどう考えていくかに足るだけの情報が出ていないんじゃないかと私は懸念いたします。

 一番問題と思いますのは、この男の子が、ホームから飛び込んだ、自殺ではないかと。これは、報道上は出ておりませんのでわかりませんが、ちょうど四月六日のある地方紙に、若い男性がホームから飛び込み、警察等々のその後の調査でこの事案に結びついていくということで、伝えられております。自殺やもしれないということは、これはいまだにやぶの中ですし、また、どこまで出すかということも私は問題があると思いますが、では、今のところ国民にはそれはわかっていないことだとしても、検証のあり方としてはその点も含めて考えていかないと、子供にとっての自死、自殺はいろいろなところで今大変に問題になっており、追い詰められたその先の選択かもしれないということで、私は、これは社会的な問題だと思うわけです。

 これも岡本政務官にお伺いいたしますが、お手元の資料の三枚目を見ていただきますと、子供の事案で脳死が生じた場合に、院内ではマニュアルをつくっていて、虐待防止委員会というのがない病院では臓器提供ができない仕組みだと言われていて、この十五歳以下の男児についても、一応その病院はそうした委員会があったと言われています。しかし、この一番下、「考え方」の最後を見ていただくと、虐待を受けた児童への対応ということで、一応、虐待の存否の確定や、その死への関与の程度について、医療機関が判断することは困難であるから、いろいろなところにお声をかけなさいということが書かれております。

 私は、ここから、二つの問題があると思うんです。

 実は、この自死や自殺、これからも残念ながら、防ぎたいけれども、ゼロにはならないかもしれない。では、子供が死ぬ、みずから死を選ぶということは、虐待という言葉の中に含まれた概念になっているのかどうかです。このマニュアルを見る限り、親が殴ったとか、親が何かしたとか、そういうことは含まれていますが、実は、いじめも虐待の一つでありますし、いじめの結果の死を選ぶことも、私はある意味で虐待なんだと思うんです。ところが、このマニュアル、何度読み返しても、そういうケースは想定外になっております。そして、もし子供がいじめ等々の結果の自殺であれば、学校機関にも聞かなきゃいけないでしょうし、相談すべきところ、検証すべきところが広がってまいります。

 岡本政務官には、ここで言う虐待概念はいじめ自殺なども含んでいるのかどうか、含んでいないとしたら充実させていくべきではないか、この点についてお願いします。

岡本大臣政務官 当初御指摘になられました、十五歳未満からの臓器提供の事例につきましては、その事案は交通事故による頭部外傷というふうに承知をしておりまして、警察からの情報を含めて、自殺であるという情報は一切承知をしておりませんが、一般論としまして、今委員から御指摘がありました、自殺に至るさまざまな要因がある中で、それが親からの虐待なのか、同級生等、友人等からのいじめなのか、さまざまな要因があるとは思いますが、今回のこの中で示しておりますように、虐待の存否という意味でいいますと、こういった、いじめがイコール虐待と必ずしも言えないものだろうというふうには考えております。

阿部委員 そう考えますと、虐待の概念が非常に狭くなってくると私は思うんですね。もちろん、いじめだけではなくて、精神的にいろいろ、その子供が疎外を感じた場合も含めて、やはり子供の心のありようということをもう少し社会がきちんと守ってあげられないと、私は、この社会というのはとんでもない、世で言う子供のいじめ自殺がこんなに多い国はないわけであります。また、十五歳以下でドナーとなられる子供の今後のケースも、それはあり得ると私は思うのです。

 今の岡本政務官のお答えは私からそうお返ししまして、最後に小宮山副大臣に伺います。

 実は、そうした子供トータルをどう社会が支えていくかというときに、お手元にお示ししました、子どもの人権オンブズパーソンという取り組みがあります。これは、学校でいじめが起きたり、あるいは家庭でもとても息苦しい、生きづらいと感じている子供が、学校や家庭以外のところに相談をして、チャイルドラインのようなもののもっと組織として受け皿のしっかりしたもので、ここには兵庫県の川西市でつくっているものを事案として挙げました。

 私は、これからの取り組みとして、子供に生きてほしい、本当にあなたは大事ということを伝えるためにも、こうした試みをエンパワー、厚労省にしていただきたい。今、予算が足りなくて大変です。非常勤でみんな頑張っています。小宮山副大臣の決意のほどを伺います。

小宮山副大臣 子供のいじめや自殺の問題は本当に、議員の中でも超党派でいろいろ検討してもなかなか出口が見つからない。その中で、子供のオンブズパーソンというのは一つの解決方法として有効なものであると思っておりますし、そのエンパワーという意味がどういう意味かあれなんですけれども、支援もできるところはしっかりしていきたいと思っています。

 厚生労働省としてもさまざまな取り組みをしていますけれども、役所の側からの取り組み以外に、先ほどチャイルドラインのお話もありましたが、子供が、やはり居場所、きちんと訴えていける場所ということを国としてちゃんと整備をする、その応援をするということは必要なことだと考えております。

阿部委員 地方自治法にのっとってやっているものですが、ぜひ財政的な支援、国としてもこうしたことを本当に進めていく、随所にあるというような状態をつくって初めて子供には出口が見えてくると思います。よろしくお願いいたします。

 終わります。

牧委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 震災被災地の岩手県、宮城県、福島県、ハローワークで失業保険の手続に入った失業・休業者が、震災後の三月十二日から五月二十二日までの累計で十一万人を超えたということであります。これを見ても、被災地の雇用状況が極めて深刻であるということがわかります。

 そこで、きょうは、質問というよりも提案をしたいというふうに思っております。それは、被災地における基金訓練の活用ということであります。

 基金訓練というのは、今さら言うまでもないですけれども、雇用保険を受給できない離職者、受給終了者も含むわけですけれども、これに対して、専門学校や教育訓練企業、NPOや事業主等が訓練実施計画の認定を受けて行う職業訓練であります。受講者の負担はなく、無料。さらに、受講期間中は、訓練・生活支援給付金として月額十万から十二万円が支給をされる、こういうことになっているわけです。

 私はかねてから、被災地におけるキャッシュ・フォー・ワークということで、被災者に単に現金を配るわけではなくて、被災者自身が復旧復興のために働き、汗を流し、その対価としてお金を手にするというのが大事だ、こういうことを申し上げてまいりました。

 この基金訓練を活用して被災地のキャッシュ・フォー・ワークを実現しよう、そういう動きがあります。具体的には、基金訓練の実施機関を被災地の現地で立ち上げて、例えば重機の運転免許とかヘルパーの資格取得等につながる職業訓練を行っていこうというものであります。

 要するに、被災地の方々は、基金訓練を受講して訓練・生活支援給付金を受け取ることで当面の生活費を手にすることができるわけです。そして、受講者は、職業訓練を通じて、重機の操縦や介護のスキルといった被災地でまさに必要な職業能力を身につけることができる。結果として、被災地において、被災者は生活の糧を得る。そして、瓦れきの撤去や自宅生活者の介護の問題、こういう仕事につく人を大きくふやすことができる。いわば一石二鳥のことになるのではないかと思います。

 私は、このような基金訓練については、職業訓練を受ければ生活費が支給されますよということで、生活費目当てで受講生を集めておざなりな訓練を行うというモラルハザードの可能性がある、また事実上第二の生活保護にもなりかねないということで、こうしたことについては、かねてから多少批判的な立場をとってきました。その考えは全く変わりません。全く変わりませんが、しかし、今回の震災被災地においては、当面の生活の糧を必要とし、自分の働ける場を求める人が数多く存在をする。そして、重機の操縦や介護といった必要なスキルを持った働き手を被災地はまさに今必要としている。まさに、この基金訓練の目的に最も合致する状況がこの被災地で生まれているというふうに思うんです。

 その被災地における基金訓練の活用について、まず御答弁をお願いしたいと思います。

細川国務大臣 委員が今御提案をいただきました基金訓練事業、これは、被災地で職を失った方に対しての職業訓練とそれから就職ということで、非常に、使いようによって大変生きてくる事業だというように思っておりまして、私どもの方でも、今御提案があったような、同じようなことを今進めているところでございます。現地で瓦れきの処理をするためのパワーショベルというんですか、いろいろな重機を運転するコースとか、そういうコースも具体的に設置いたしましてやっておりまして、ぜひ、これをさらに進めて、多くの方にこの訓練を受けていただいて、生活も支えて、そして就職への道をより多くの人にたどっていただきたい。

 これからも、委員の言われるように鋭意進めていきたいというふうに思っております。

柿澤委員 御答弁いただきましたが、しかし、この基金訓練というのが、求職者支援制度の新設により、九月には基本的に申請が終了するということにもなっているわけで、今ちょうど、いわば移行の端境期になっているんですね。そういうこともあって、基金訓練の場というのは、どちらかといえばもうこれ以上ふやさない、こういう形で全国的には縮小されつつあるのが今の状況だというふうに思うんです。それに伴って、先ほど来私が申し上げてきたような提案がかえって実現しにくくなるような、そういう状況が生まれつつあるのではないかというふうに感じています。

 例えば、私の知人で、岩手県の陸前高田市で重機の免許取得のための教習所みたいなものを立ち上げたい、そういう方がいるんですけれども、今、こうした基金訓練実施機関、専門学校でも人材企業でも何でもいいんですけれども、では、これは被災地の現地にあるかというと、ないんです。例えば、陸前高田市では津波で市街地が全滅しているわけですから、現状において、基金訓練実施機関はやはり内陸部にあって、被災地の方々は、わざわざそっちに行って訓練を受けなきゃならない。これではどうしようもないと思うんですね。

 被災地の現地における基金訓練の実施機関の設置が必要であるというふうに私は考えます。というか、それがないと、県外の既存のスクールが被災地にどんどんどんどんやってきて、人を集めて職業訓練を大々的にやろう、こういうことになってしまって、被災地の現地で被災者のためにこうした職業訓練の事業をやろうという芽を摘んでしまいかねないというふうに思うんです。

 被災地の現地における基金訓練実施機関の設置ということをやはり認めていく必要があるというふうに思いますが、見解をお伺いいたします。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員、量的に移行の端境期なので少なくなっていくんじゃないかというお話をされまして、その点は全く御懸念はないと思います。基金訓練については、九月までで十二万人分の枠を予算的にも確保しておりますし、それから、先般成立をさせていただきました求職者支援制度、後半期においても、十月から十二万人ということで枠をとっています。

 それから、今御質問の、被災地で訓練機関、大臣も申し上げましたけれども、車両系の運転機械のコース。具体的に、これは基金訓練ではないんですが、民間の機関を使った公共訓練の委託訓練で、例えば宮古で総合オペレーション科というのが五月十七日から既にスタートしております。これはパワーショベル、それからフォークリフトなど、車両系の運転機械の複数の免許が取れるというものでございます。

 それから、六月にはさらに釜石ですとか大船渡で岩手ではスタートをする、さらに宮城でも六月、福島でも七月の開講コース等々も設定をしておりますので、基金訓練につきましても現地のニーズに応じたそういうコースが認定できるように努力してまいりたいと思います。

柿澤委員 大変期待をしたいというふうに思いますが、現地から届いている声を聞くと、こうした新しくコースを設置するとか、訓練実施機関を立ち上げるとか、こういうときに当たって、基金訓練実施機関への新規訓練設定奨励金の廃止を見直してほしいという声があります。

 新規訓練設定奨励金というのは、基金訓練実施機関が新しい職業訓練のコースをつくった場合、奨励金を出すものです。例えば、社会的事業者等訓練コースでは施設や設備の整備にかかった費用の八割を、四百万円を限度に支給するということになっています。これはさまざまな職種の訓練コースを整備するために誘導措置として支給をされてきたものですけれども、事業開始以来、一万六千のコースが認定をされ、もう役割を終えたということで、平成二十三年四月一日以降の申請分から奨励金が廃止をされてしまっているんですね。

 ですが、これがあるとないとでは、被災地における基金訓練のコースを新たに立ち上げようという場合に、やはりインセンティブにおいてかなり違いが出る、こういうことが言われています。

 その点、基金訓練実施機関への新規訓練設定奨励金の廃止について、私は被災地だけでも見直しをすべきだというふうに思いますけれども、御見解はいかがでしょうか。

小宮山副大臣 今委員がおっしゃいましたように、基金訓練の新規訓練設定奨励金、これは基金訓練制度ができたとき、創設時から、新たな訓練機関を開拓して一定規模の訓練コースを確保するための奨励措置として支給をしてきましたが、その後、多くの訓練機関が既に参入をしていまして、役割を終えたということで、二十二年度末までに終了することにいたしました。

 被災地でも本当にそういう訓練コースが足りないのであればまた考える必要もあるかと思いますけれども、五月三十日現在、公共職業訓練関連施設の被災したところでも三十四カ所中三十三カ所、これは宮城県のポリテクセンター以外は動いておりますし、あと、民間の委託訓練につきましても委託訓練コース数でいうと百二十四、それから基金訓練コースでも、多くのコースがもう既に二月の時点と同じように復旧をしておりますので、そういう意味では現状では足りているのではないかという認識を持っています。

 ただ、具体的にこういうところが足りないという御指摘があれば、また検討はさせていただきたいと思います。

柿澤委員 次に、訓練・生活支援給付金についてお伺いをいたします。

 この訓練・生活支援給付金、まさに、この職業訓練を受けている最中に生活の糧として十万円から十二万円を現行の制度では支給されるものですけれども、年収見込みが二百万円、世帯全体で三百万円、そして世帯の金融資産で八百万円、これ以上の方は受給をできないという制限がかかっています。これは平時においては当然のことだと思います。お金のある人に給付金を払うことはやはり正当化されないと思いますので。

 ですけれども、被災地については、この制限を当てはめるとちょっとまずいことが起きてしまうというように思うんです。それは、こうした年収や資産について前年度の実績というもので見ているからです。今、津波によって家をなくし、すべてをなくしてしまった被災者が、去年二百万円以上の年収があったからだめですよということになってしまうと、こうしたものをすべて受けられなくなるということになってしまうわけで、訓練・生活支援給付金の受給条件については被災地において緩和が必要だというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

小宮山副大臣 それは委員がおっしゃるとおりだと思います。訓練・生活支援給付、これは就職に結びつけるために必要な給付ですので、おっしゃるように、被災した方々については要件を緩和する。

 一点は、土地や建物の要件について、現住所以外に土地や建物を所有している場合でも、被災者の個別事情も踏まえまして柔軟に運用する。それから、今おっしゃいました年収要件につきましても、過去の収入があっても、被災によって今後の収入の見込みがない場合には受給可能とするといったような要件緩和を、五月二十七日付で関係機関に発出いたしました。

 こうした取り組みによりまして、被災をした方々が訓練を受けやすいような状況をしっかりつくっていきたいと思っています。

柿澤委員 ところで、避難所から二次避難がなかなか進まない、こういう話があるのは皆さん御承知のとおりだと思います。仮設住宅の設置がおくれているという状況の中、学校、体育館での、避難所での避難生活も限界に来ている。梅雨も来て夏も来れば、これはさらに状況が悪化するわけで、当面二次避難先に移動してもらって生活を送っていただくということは非常に有効なことだというふうに思いますが、それに職業訓練をセットにするということが、その後、被災地に帰ってから、手に職をつけた被災者が働く場を得るに当たって非常に有効ではないかというふうに思うんです。

 ただ避難生活を二次避難先で送るのではなくて、そこで何か資格や職業能力を身につけて、帰ってから、被災地の復旧復興にその職業能力を生かしてもらう。こういうことで二次避難が活用できれば、被災者のためにもなるし、そういうことがあるのであれば二次避難に行ってみようか、そういう方々も生まれてくるのではないかというふうに思います。

 そういう意味で、二次避難と職業訓練をセットで提供するパッケージみたいなものを構築して被災者の方々にお示しをするというのが有効ではないかと思いますが、御見解をお伺いいたします。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御提案は非常に重要なことだというふうに思っております。仮設住宅等に入られた方につきましても、当然、将来の就職に向けて、職業訓練の受講機会をしっかり確保していくということが必要だと思っております。

 今、基金訓練につきましては、岩手、宮城、福島、三県で、二十三年度に開講する訓練として、介護福祉分野、情報分野などで五千五百六十五人分の訓練枠を確保しておりますので、ハローワークあるいは雇用・能力開発機構等々、関係機関がそういう方々のニーズをよく酌み取って、避難先での生活とそれから将来の就職に向けた訓練というものを有機的に結びつける形で訓練を受けられるように、しっかり対応していきたいと思います。

柿澤委員 細川大臣からも手を挙げていただいたんですが、次の項目に進まなければいけないので、大変申しわけありません。大変中身のある御答弁をいただいたというふうに思いますので。

 しかし、基金訓練にしろ、求職者支援制度にせよ、私は、非常にモラルハザードにつながりやすい制度だというふうには、かねてから指摘をしましたし、今もそう思っています。

 これは、やはり被災地において非常に役に立つ制度だというふうに思いますので、人によっては、もうこの求職者支援制度、基金訓練の予算なんか全部やめて被災地の復旧復興に充てたらどうだ、こんなことを言う人もいるんですけれども、そういう意味では、私は、今持っている予算をさらに積み増して、被災地のそうした職業訓練に特化して、そのすそ野を大幅に広げる、こういうことが必要だというふうに思っておりますので、この質問の最後にそのことを申し上げておきたいと思います。

 最後に、私がかねてから質問をしてきたことについて、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。

 五月十六日の衆議院の予算委員会、私の質問に対して、寺坂原子力安全・保安院長の答弁で、福島県内に立ち寄った原発作業員のホール・ボディー・カウンターでの測定数値について明らかにされました。

 寺坂院長の答弁によると、三月十一日以降、原発等の放射線管理区域への入域登録のため、ホール・ボディー・カウンターによる内部被曝検査をした作業員、これは福島第一原発を除きますが、その作業員のうち、精密検査が必要なスクリーニングレベル、千五百cpm以上の値を示した人が四千九百五十六件、そのうち、福島県に立ち寄ったのが判明分だけで四千七百六十六件、一万cpmを超えたのが千百九十三件。専門家も驚くような数値が出てきました。

 この測定データを厚生労働省は入手しているんでしょうか。入手をしているとすれば、この数値をどう見ているのかということをお伺いしたいというふうに思うんです。

 今申し上げた測定データというのは、福島第一原発周辺の住民の事故後の内部被曝の状況を示唆するデータとして、極めて重要な意味を持っていると思います。原発作業員ではなく、その周辺で数日生活をした、そうした中で経口で摂取をした放射性物質がこれだけになっているということを示すものなわけですから、そういう意味で、今回出てきたこうしたデータについては、個々の測定事例が男性か女性か、何歳か、そして福島県のどこに、いつからいつまで何日間いて、その間何をしていたのか、こういった点について詳細な検証をすべきではないかというふうにも思っております。

 この件についてあわせて、まとめて御答弁をいただければと思います。

矢島政府参考人 御指摘をいただきました原発作業員のホール・ボディー・カウンターを活用いたしました測定結果につきましては、電気事業者がそれぞれ独自に設定をしておりますスクリーニングレベルと対比をした結果を、原子力安全・保安院において聴取した結果であると承知をしておりますが、あくまで各事業者が把握をしている測定数値でありまして、原子力安全・保安院長の答弁以上のデータを厚生労働省として把握しておりません。

 被測定者の福島県内外におきます原発作業従事状況など不明なところがございまして、御指摘の数値を取り上げて、厚生労働省として評価をすることは難しく、原子力安全・保安院において状況の把握をしていただくようお願いをしてみたいと考えております。

岡本大臣政務官 今委員から御指摘がありました、もう少し詳しく調べられないかということは、原子力安全・保安院にお願いをしたいと、今技術総括審議官から御答弁させていただいたところでありますが、少なくとも性別ぐらいは把握できないかということを再度確認はしたいと思っております。

柿澤委員 これは、厚生労働省としては、原子力安全・保安院に物を言うだけで、こうした数値について自分たちで把握をして、どういう状況でこのような内部被曝が起きたのかということについて調べる気がないということを御答弁されたのと同じですよ。

 では、御答弁お願いします。

大塚副大臣 重要な御指摘でありますし、我々もこのデータは把握しなければならないと思っております。

 今、先日、大臣の指示でつくられました、原発作業員の皆さんの作業状況、そして被曝状況をしっかり管理するチームを含めて、どのように対応するかということをしっかり検討させていただきたいと思います。

柿澤委員 大塚副大臣の御答弁は大変前進だとも思うんですけれども、私が申し上げているのは、実は、原発作業員が原発で作業をして被曝した、こういうことについて指摘をさせていただいているのではないんです。

 周辺住民の皆さんがそれと同じような生活状況の中で内部被曝をしてしまった、こうした数値が明らかになって、その生活状況が明らかになることによって、結果として、福島県内に生活をしている一般の住民の皆さんがどれだけの内部被曝をしてしまったかという、こうしたことが間接的に状況を推定することができるようになる、だからこそこのデータは私は重要だと思っているわけです。

 内部被曝については、いろいろと、本当に心配の声が私の質問をきっかけに上がっていて、ホール・ボディー・カウンターで私も調べてくれ、こういう声も周辺住民から上がっているようでもありますので、こうしたことも含めて、対応の余地がないのか、御答弁をお願いして、質問を終わりたいと思います。

細川国務大臣 委員から重要な指摘をいただきましたので、原子力安全・保安院の方にまずはデータをしっかり私どもの方に見せていただくということから検討を始めてまいりたいというふうに思います。

大塚副大臣 今後の対応については、今大臣の御発言のとおりしっかり進めさせていただきますが、私から申し上げようとしたことは、このcpmという単位、これがシーベルトに換算するとどうなるか、またその関係がどうかということについては、しっかり委員にもまた改めて御報告をさせていただきたいと思います。何千とかあるいは一万とかという数字がひとり歩きをしますと、シーベルトのときとけたが違いますので、大変住民の方も驚かれると思いますので。

 今回、三月十一日以降、本当に難しいなと思いますのは、この放射線の影響については、科学者でも考え方が随分分かれている中で、政治、国会の場でこれらの情報をどのように議論しているのか、そしてそれをどのように表現するかということ自体が国民の皆さんに対する重要なメッセージでありますので、そのことも含めてしっかり委員にも御報告をさせていただきたいと思います。

柿澤委員 済みません、時間は超過しているんですが、住民のホール・ボディー・カウンターを使った内部被曝の調査について求める声が上がっているけれどもどうかということについて、御答弁がいただけていないので、お願いします。

大塚副大臣 住民の皆さんに対する対応については、五月の二十七日に、福島県を主体とした住民の皆さんの健康状況をどうフォローするのかという動きが始まっております。その中で、ホール・ボディー・カウンターについて、どういう方々を対象にホール・ボディー・カウンターによる内部被曝の調査をさせていただくかということも議論をさせていただいている最中でございます。

柿澤委員 時間がたてばたつほど実情はわからなくなるというこの実態を踏まえて、早急に対処をお願いしたいとお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

牧委員長 次に、第百七十四回国会、内閣提出、参議院送付、予防接種法及び新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。細川厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 予防接種法及び新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

細川国務大臣 ただいま議題となりました予防接種法及び新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 一昨年春に発生いたしました新型インフルエンザは、感染力は強いものの、病状の程度がそれほど重くならないものでありました。

 こうした性質を踏まえ、予防接種を受ける努力義務を国民に対して一律に課すことは適切ではないと判断し、予防接種法に基づく予防接種としてではなく、厚生労働大臣が実施主体となり臨時応急的に接種を実施したところであります。

 また、この接種による健康被害の救済等については、一昨年秋の第百七十三回臨時国会で成立した新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法に基づき実施することとしたところであります。

 しかしながら、公的予防接種は、健康被害が生じた場合の救済措置等も含め、本来は、予防接種法に基づき行うべきものであります。

 今後、先般の新型インフルエンザと同程度の感染力や症状を呈する新型インフルエンザ等感染症が発生した場合の対応に万全を期するため、予防接種法において新たな臨時の予防接種の類型を創設する等所要の規定を整備することとし、この法律案を提案した次第であります。

 以下、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、先般の新型インフルエンザと同程度の感染力や病状を呈する新型インフルエンザ等感染症が発生した場合に対応するため、新たな臨時の予防接種の類型を創設することとしております。

 また、健康被害の救済については、具体的な給付水準は政令に委任しておりますが、臨時の予防接種及び一類疾病に係る定期の予防接種における給付水準と二類疾病に係る定期の予防接種における給付水準との間の水準を定めることを予定しております。

 第二に、新型インフルエンザ等感染症が新たに発生した際に、国として必要なワクチンを円滑に確保するため、特例承認を受けたワクチンの製造販売業者を相手方として、損失等を国が補償することを約する契約を締結することができることとしております。

 第三に、新型インフルエンザ等感染症のうち臨時の予防接種の対象としたもの等について、高齢者以外の方も定期の予防接種の対象とできるよう措置することとしております。

 第四に、感染症の発生及び蔓延の状況、改正法の施行状況等を勘案して、予防接種のあり方等について総合的に検討を加えること等、所要の検討規定を設けることとしております。

 この法律の施行期日は、新たな臨時の予防接種の類型の創設等に関する事項については公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から、その他の事項については公布の日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

牧委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.