衆議院

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第5号 平成23年12月2日(金曜日)

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平成二十三年十二月二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 池田 元久君

   理事 岡本 充功君 理事 中根 康浩君

   理事 長妻  昭君 理事 柚木 道義君

   理事 和田 隆志君 理事 加藤 勝信君

   理事 田村 憲久君 理事 古屋 範子君

      石森 久嗣君    磯谷香代子君

      稲富 修二君    大西 健介君

      岡本 英子君    工藤 仁美君

      斉藤  進君    白石 洋一君

      田中美絵子君    竹田 光明君

      玉木 朝子君    長尾  敬君

      仁木 博文君    橋本  勉君

      初鹿 明博君    樋口 俊一君

      福田衣里子君    藤田 一枝君

      牧  義夫君    三宅 雪子君

      水野 智彦君    宮崎 岳志君

      山口 和之君    山崎 摩耶君

      吉田 統彦君    あべ 俊子君

      鴨下 一郎君    菅原 一秀君

      棚橋 泰文君    谷畑  孝君

      永岡 桂子君    長勢 甚遠君

      松浪 健太君    松本  純君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   厚生労働副大臣      牧  義夫君

   厚生労働副大臣      辻  泰弘君

   厚生労働大臣政務官    藤田 一枝君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  外山 千也君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            木倉 敬之君

   参考人

   (全国B型肝炎訴訟全国原告団代表)        谷口三枝子君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月二日

 辞任         補欠選任

  斉藤  進君     磯谷香代子君

  田中美絵子君     岡本 英子君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     斉藤  進君

  岡本 英子君     田中美絵子君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

十二月二日

 最低保障年金制度の実現と緊急の年金改善を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第三八〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三八一号)

 同(志位和夫君紹介)(第三八二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三八三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三八四号)

 社会保障としての国保制度の確立を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三八五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三八六号)

 同(志位和夫君紹介)(第三八七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三八八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三八九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三九〇号)

 労働者派遣法の早期抜本改正と雇用の安定に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三九一号)

 同(笠井亮君紹介)(第三九二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三九三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三九四号)

 同(志位和夫君紹介)(第三九五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三九六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三九七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三九八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三九九号)

 窓口負担を軽減し、保険のきく範囲を広げお金の心配がない保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第四〇〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四三九号)

 大幅増員と夜勤改善で安全・安心の医療・介護の実現に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第四三六号)

 無煙社会を目指したばこ病根絶のための対策に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第四三七号)

 同(阿部知子君紹介)(第五〇七号)

 患者・利用者負担を大幅に軽減し、いつでも安心して受けられる医療・介護の実現を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第四三八号)

 保育・幼児教育・子育て支援・学童保育施策の拡充に関する請願(宮本岳志君紹介)(第四四〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四八三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四八四号)

 同(馳浩君紹介)(第四八五号)

 安心して受けられる医療の実現を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第四四一号)

 改正介護保険の改善に関する請願(阿部知子君紹介)(第五〇五号)

 社会保障改悪を取りやめ、最低保障年金をつくることに関する請願(笠井亮君紹介)(第五〇六号)

 後期高齢者医療制度即時廃止、安心の医療を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第五三三号)

 後期高齢者医療制度の速やかな廃止を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第五三四号)

 現下の厳しい雇用失業情勢を踏まえた労働行政体制の拡充・強化を目指すことに関する請願(大西孝典君紹介)(第五五六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法案(内閣提出第五号)


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     ――――◇―――――

池田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として全国B型肝炎訴訟全国原告団代表谷口三枝子さんに御出席をいただいております。

 この際、谷口参考人に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、谷口参考人、お願いいたします。

谷口参考人 全国B型肝炎訴訟原告団代表の谷口三枝子です。

 私は、三十九歳のとき、B型肝炎を発症しました。胸を締めつけられるような独特の息苦しさがありました。立っているのもつらく、家の中をはって移動するような日々もありました。家事も十分にできず、ただ泣きながら、一日じゅうの大半を横になっている日々が続きました。また、B型肝炎患者であるため、さまざまな人からすさまじい差別、偏見を受けました。肉体的な苦しみ、差別、偏見の苦しみから逃れたいと、団地の四階のベランダから飛びおりようとしたこともあります。

 二人の子供がいますが、二人とも母子感染しています。息子は高校一年で発症し、娘も最近発症しました。息子が発症して入院したとき、お母さんのせいで僕はB型肝炎になったと言われました。あのときの息子の目が今も忘れられません。感染させてしまった自分を何度責めたかわかりません。子供たちの将来を思うと不安でなりません。

 訴訟に加わる中で、多くの被害者の悲惨な実情を知りました。私は、その悲惨さを世間に訴えたいと思い、実名を公表し、代表にも就任し、活動するようになりました。

 原告団は、除斥差別のない一律救済を求めてきました。

 私は、発症後十九年で提訴しました。提訴したのは、その直前に新聞でB型肝炎訴訟のことを知り、弁護団に連絡したことからです。発症がもっと早かったら、あるいは訴訟のことを知るのがもっと遅かったら、発症後二十年の提訴となっていました。除斥という門の外にほうり出されていたのです。

 残念ながら、基本合意では、発症後二十年以上が経過した慢性肝炎の被害者については四分の一以下の救済内容となりました。しかし、札幌地方裁判所の裁判長は、立法の際にはよりよい解決をしていただければと思いますとの所感を述べられました。こうした裁判長の思いを聞いて、国会では、除斥差別のない法律がつくられることを期待しました。新しく法律を制定する国会ならば、除斥に縛られることのない、道理にかなった法律をつくってもらえるはずだと思ったのです。

 ところが、今回提出されている法案では、慢性肝炎の除斥対象者については、基本合意と同じく差がつけられています。また、肝硬変、肝がん、死亡の除斥対象者については、給付金が一切支給されない内容となっています。

 より重い症状で、より長く苦しんできた被害者が、逆に、低い救済しか受けられない、あるいは救済を受けられないということは、どう考えても理不尽だと思います。これまで提訴ができなかったのは、国が何らの措置もとらず、放置してきたからではないでしょうか。にもかかわらず、提訴が遅かったとして救済に差がつけられるようなことがあってはならないと思います。

 どうか、これからの審議におかれましては、現在の法案を修正し、除斥差別のない、よりよい法律を制定していただきますようお願いいたします。

 患者の高齢化、重篤化が進んでいます。和解手続の進行を早めるために、厚労省の担当職員を大幅に増加することを求めます。また、すべての肝炎ウイルス感染者に対する恒久対策を急ぐこと、とりわけ、肝硬変及び肝がん患者に対する医療費助成の拡充を求めます。その実現のために、国会においてもできる限りの御尽力をお願いします。(拍手)

池田委員長 以上で谷口参考人の御意見の開陳は終わりました。

 この際、谷口参考人に一言ごあいさつを申し上げたいと思います。

 本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

    ―――――――――――――

池田委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省健康局長外山千也君、医薬食品局長木倉敬之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

池田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中根康浩君。

中根委員 おはようございます。民主党の中根康浩でございます。

 ただいまは、谷口さんから、語り尽くせない思いをわずかな限られた時間の中で悲痛な叫びとして語られ、私ども、しっかり受けとめさせていただかなくてはならない、そんな思いでございます。谷口さんを初めとする原告の皆様方の本当に長い間の苦しみ、悲しみ、怒り、あるいは命を削るような苦渋の判断の連続、大変御苦労をされてきたと思います。心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 B型肝炎訴訟につきましては、集団予防接種、その際の注射針の使い回し、だから特定という言葉が付されているわけでありますけれども、それによりB型肝炎に感染したとして、平成元年に訴訟が起こされ、平成十八年に最高裁判決で原告の方々が勝訴をされました。被害者には何の落ち度もないわけでありましたので、勝訴は当然のことと思います。その後、平成二十年に、先行訴訟と同様の状況にあるとして、全国で集団訴訟が起こりました。この訴訟につきましては、平成二十二年以降、一年以上にわたって和解協議が行われ、本年六月の二十八日に基本合意書が締結をされました。

 まず初めに、大臣にお伺いをしたいと思います。

 平成十八年最高裁判決で国の責任が認められたこと、基本合意を締結したことを踏まえ、B肝特措法案の審議に当たって、集団予防接種によってB型肝炎ウイルスに感染した方々に対する大臣の今のお気持ちをお聞かせいただきたい。また、今回、政府はB型肝炎訴訟の解決のためにこの法案を提出していますが、基本合意を締結しただけでは足りず、法案を成立させる意義は何なのか、あわせてお尋ねをいたします。

小宮山国務大臣 政府といたしましては、国の責任を認めた平成十八年の最高裁判決を重く受けとめています。そして、今、厚生労働大臣を務めさせていただいております私自身としましても、長年にわたって精神的、肉体的、そしてまた経済的に大きな御負担をおかけいたしました、苦しみを味わわせてしまった被害者の皆様には、心からおわびを申し上げたいと思っております。

 そして、今回の法案ですが、B型肝炎訴訟について、現在訴訟を提起されている方々だけではなくて、今後提訴される方々への対応も含めた迅速で全体的な解決を図るために提出をしたものです。

 今回の法案は、全国B型肝炎訴訟原告団、弁護団との間で締結した基本合意書の内容に基づき、給付の対象者や給付の内容を定めたものです。これによりまして、基本合意書の内容が同原告団以外の方々にも法的に適用されることになり、給付金の迅速で確実な支給に役立つものだと考えています。

 また、本来、患者の方の病状が進展したときにも裁判所に提訴をする必要がありますが、今回の立法措置によりまして、病状が進展したときの追加給付の際には提訴を不要にするなど、患者の皆さんの負担を軽減することができると考えています。

中根委員 次に、請求期間について質問をいたします。

 本案では、給付金の請求期間が五年間とされています。附則第二条に五年後の検討が書かれています。五年というのは、どのような趣旨で設けられているのか。場合によっては受給者の請求する権利を制限するものではないかなどとの疑念も言われておるわけでありますが、そういったことが抱かれないように、そういう不安を払拭するような御説明をいただきたいと思います。

藤田大臣政務官 請求期間についてのお尋ねでございます。

 本法案では、この五年というのは、早期の申請を促す趣旨で請求期限五年というふうに定めているものでございますけれども、しかしこれは、救済要件を満たす方の救済というものを制限する考えではございません。したがって、委員がお話しになりましたように、附則第二条において、施行後五年をめどに、請求状況を勘案して、請求期限についての検討をする旨の規定を設けているところでございます。

中根委員 五年ごとの見直しというものは、誠意を持って、ぜひ今からお願いを申し上げておきたいと思います。

 次に、法案が成立をしても、救済を受けるための手続を広く国民の皆様が知らなければ、救済措置を受けることができないということになります。今後、すべての被害者の方々がこの法案による救済措置を受けることが可能となるよう、手続の周知、広報が重要と考えますが、国としてどのようにお取り組みになるお考えか。

 また、ただいま谷口さんの御陳述にもございましたけれども、救済を受けるためには、裁判での和解手続を経る必要があります。提訴者がふえる中で和解手続を迅速に進めるためには、厚生労働省における事務処理体制をきちんと整備する必要もあると思います。厚生労働省としては体制整備にどのように取り組むお考えなのか、あわせてお尋ねをいたします。

藤田大臣政務官 手続の周知、広報、そしてまた厚生労働省の事務処理の体制整備ということについてお尋ねをいただきました。

 この周知、広報については、現在も「B型肝炎訴訟の手引き」というものを厚生労働省ホームページに掲載しておりますが、それに加えて、電話相談窓口も設置をしているところでございます。しかし、さらに徹底をしていくということも含めまして、政府広報というものも活用していく。これは具体的には、新聞の突き出し広告、それからインターネットテキスト広告、そしてまたラジオCM、こういったものを予定しているところでございまして、救済の要件を満たす方が給付を受けられないことがないように、引き続き周知、広報にしっかり取り組んでまいりたい、このように考えております。

 そして、体制整備、これは大変大事なことであると認識をいたしておりまして、現在も、担当職員の増加など、随時整備を進めているところでございますが、さらに、来年度の概算要求で体制整備の予算を計上しているところでございまして、和解手続を適正、迅速に進められるようにこれからも努めてまいりたいと思っております。

中根委員 この間の年金の審議でも見られるように、知らなかったからあなたのせいだ、そちらのせいだということがないように、この周知、広報については万遺漏なきように御努力を賜りますようにお願いをいたします。

 次に、財源のことについてお尋ねをいたします。

 本法案に基づく給付金の支給のための費用として、第三次の補正予算において四百八十億円が計上されています。二十四年から二十八年の当面の五年間で一・一兆円、将来的に最大三・二兆円が必要だとも見込まれております。

 確実に給付を行うためには財源の確保というものが非常に重要な課題であることは当然のことであり、財源確保にしっかり取り組むことが必要となってまいります。ただし、この財源を確保するためにほかの社会保障費を削減することがあったということになれば、これは被害者の方々の本意ではないし、被害者の方々を二重にも三重にも傷つけることにもなるわけであります。

 厚生労働省として財源の確保ということについてどのようにお考えか、大臣にお伺いをいたしたいと思います。

小宮山国務大臣 B型肝炎訴訟につきましては、対象の方が四十万人以上と推計されまして、これまでに例のない広がりを持つ問題であることから、感染した被害者に対する給付金の支給を万全なものにするためにも、委員御指摘のとおり、財源の確保が極めて重要だというふうに考えています。

 厚生労働省としましては、ことし七月二十九日の閣議決定にあるとおり、国民全体で広く分かち合うという基本方針を踏まえまして、税制上の措置や、厚生労働省での基金の返納や資産の売却等により必要な財源を確保する方針です。ですから、B型肝炎の財源を捻出するために社会保障給付の削減をすることは全く考えていません。

 平成二十四年度予算につきましては、予算編成過程で検討することになりますけれども、給付を確実に行えるように全力を挙げて努めていきたいというふうに考えています。

中根委員 ぜひ全力を挙げてお願いいたします。

 次に、恒久対策の必要性についてお尋ねをいたします。

 感染経路を問わず、肝炎対策全体の充実に取り組むことも非常に重要な課題です。政府としても、これまでも医療費助成や肝炎医療に係る研究の推進などに取り組んでこられたことと思いますが、特に研究費の増額については、原告の方々からも要望があったと聞いています。

 肝炎対策について、今後の取り組みをお伺いいたします。

藤田大臣政務官 恒久対策をしっかりと進めていくということは、これからも極めて重要なことであると認識をいたしているところでございます。

 そして、厚生労働省としては、平成二十年度から、肝炎総合対策ということで、インターフェロン治療等に対する医療費助成、そしてまた肝炎ウイルス検査の促進、研究の推進、こうしたことを柱に取り組んでまいりました。

 さらに、今回、原告団の皆様からも強い御要望がありましたB型肝炎治療の研究の推進については、平成二十年度から始まりました七カ年戦略を見直して、来年度を初年度とする肝炎研究十カ年戦略を策定し、その中でB型肝炎の創薬研究にも取り組むこととしているところでございます。そして、平成二十四年度、来年度の概算要求において、肝炎研究関係に必要な額を要求させていただいております。

 今後の肝炎対策全般の取り組みについては、肝炎対策基本指針をことし五月に策定しておりますので、これに基づいて施策を着実に推進してまいりたい、このように考えております。

中根委員 先ほど、谷口参考人の陳述にも、B型肝炎患者であるため、さまざまな人からすさまじい差別、偏見を受けましたというお言葉がありました。大変御苦労されたということでございます。ウイルス性肝炎に感染した方々が差別や偏見に遭うことがないよう、十分に配慮した政策を講ずるべきであります。

 この差別、偏見ということについて、厚労省のお考えを伺います。

藤田大臣政務官 ウイルス性肝炎に感染された方が差別や偏見に遭う、こういうことは絶対にあってはならないことでございます。

 肝炎対策基本法では、肝炎患者等の人権が尊重され、肝炎患者等であることを理由に差別されないよう配慮するものとすることとされているところでございます。

 また、本年五月に策定した肝炎対策基本指針においても、肝炎患者の皆さんが不当な差別を受けることなく、社会において安心して暮らせる環境づくりを目指し、普及啓発を推進する旨を記載しているところでございます。

 厚生労働省としても、現在、こうしたことを踏まえて、政府広報、そしてまた厚生労働省のホームページあるいはリーフレット等を活用して、普及啓発活動あるいは行政研究の実施や、各都道府県で実施する普及啓発活動への財政支援などに取り組んでおりまして、そうしたことを通して、差別や偏見の解消に向けて取り組みを進めているところでございます。

 今後も、不当な差別を招かないように、国民の皆さんに対して、肝炎に関する正しい知識を持っていただくよう働きかけていきたい、このように考えております。

中根委員 最後になりますが、集団予防接種によってB型肝炎ウイルスに感染した方々のうち、救済を受けていない方々、たくさんおられます。まずは法案を成立させ、迅速、確実に給付が行われるようにすること、さらには、今後とも肝炎に感染した方々への支援が推進されるように、重ねてお願いを申し上げます。

 また、除斥ということについても、参考人から大変強く御要望があったわけでございますけれども、除斥に係る権利については、被害者の方々が行使をしなかったわけではないということ、感染の原因すらわからなかった、それは患者の方も国もそうであります。政府が民法七百二十四条を理由として長く苦しんでいる人を救済の対象にしないということは、法的には理解をするとしても、どうしても不条理や不公平感をぬぐい切れないという思いを申し上げさせていただきながら、私の質問を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

池田委員長 次に、あべ俊子さん。

あべ委員 おはようございます。自由民主党、あべ俊子でございます。

 本日、谷口代表のお話も聞かせていただきました。B型肝炎訴訟の全国原告団代表になっている谷口さんは、自民党に何度もいらっしゃいまして、谷垣総裁にも会われて、我々厚生労働関係議員も本当にそのお話に涙をしながら聞かせていただきました。

 特に、平穏な暮らしが一転し、みずから肝炎を発症され、二人のお子様に母子感染、そのことがわかって地獄だった、生きてきょうが迎えられるとは思わなかったと述べていらっしゃいます。

 被害者のために、おつらい中、本当にこれまでおつらかった中でございますが、生きてくださって、谷口代表、ありがとうございました。

 そうした中にありまして、また、こういう状況の中でも、集団訴訟に参加し、重篤な患者さんと出会いながら、元気を与える役はできるとしてみずから代表になられたと聞いています。患者さんの皆様が胸を張れる社会を目指して頑張ってこられた、そのように新聞報道でも言われています。

 三月十一日、東日本大震災がありました。震災後、救済策を叫ぶ自分、谷口代表は自分を鬼とも思ったとも言っていらっしゃいます。それまで普通に暮らしておられた主婦の方がこれまで頑張ってこられたのは、大切な家族への思い、多くの仲間への思い、そして多くの方々の支援があったからだと思います。

 そのような谷口さんの思いを、小宮山大臣、どのように受けとめていらっしゃるか、お聞かせください。

小宮山国務大臣 先ほど、改めて谷口参考人のお話も伺わせていただきましたけれども、患者の皆様には、御自身には何の責任もないのに、長年にわたって肉体的にも精神的にも経済的にも多くの苦しみを味わわせてしまったことに、本当に心からおわびを申し上げたいというふうに思っております。

 また、特に母子感染でお子様にまで苦しみが続いてしまうということは本当に親として何とも耐えがたいことであるということは、私も母として本当に強く感じるところでございます。そうしたことに対しましても、本当に心から深くおわびを申し上げたいと思います。

 そうしたことがあるからこそ、この法案で少しでも早く皆様の苦しみを、わずかずつではあっても、取り除くことに最大限努力をしていきたい、そのように考えています。

あべ委員 大臣、ありがとうございます。

 本当に、今回の集団予防接種等によるB型肝炎ウイルスに感染した方々、長年にわたって肉体的、精神的苦痛を強いられ、時には感染による偏見や差別を受けていらした方も大勢いるということであります。

 長期にわたったB型肝炎訴訟が和解に至り、本案が国会に提出され、集団予防接種等によるB型肝炎ウイルスの感染被害の全体的な解決に向けて一歩進んだわけではありますが、B型肝炎患者の方々、医療にかかわる方々のお話を伺いますと、幾つかの疑問点もあるわけであります。

 特に、和解金等の支給を受けるための要件についてでございますが、今般のB型肝炎訴訟の基本合意によれば、集団予防接種等の際の注射器の連続使用によるB型肝炎ウイルスの感染被害を受けたことが認定され和解金等の支払いを受けるためには、一次感染者の場合、母子感染でないことを証明しなければならず、母親またはその御親戚の方々の血液検査の結果が求められているわけであります。

 そこで、既に母親が死亡している者、またそのきょうだい、長子や一人っ子、またその方々が死亡している者は血液検査ができません。給付金の支給は受けられないということになるのか、確認をさせてください。大臣、お願いします。

外山政府参考人 お答えいたします。

 和解金の支給を受けるための要件につきましては、先生御案内のとおり、国と原告の間で締結いたしました基本合意書に基づいて行われることになっておりまして、母子感染でないことも、証明するというか、それも一つの要件になっております。

 この場合、母親が死亡されているという場合があるわけでございますけれども、その場合には、年長のきょうだいのうち一人でも持続感染者でない方がいるということを言っていただく、示していただくということになっております。

あべ委員 今のお話ですと、例えば、支給の対象、すなわち、感染被害者数を四十五万人と推計しているわけでありますが、いわゆる先行の訴訟のところから基本合意までの二十三年の間に、母親もしくは年長きょうだい、兄姉が既にお亡くなりになってしまった感染被害者はどれだけになると推定しているんでしょうか、教えてください。

外山政府参考人 先生御指摘の数字については、持ち合わせておりません。

あべ委員 こうした方々の国の責任は、B型肝炎ウイルスの感染被害者を含む一般の肝炎患者に対する恒久対策の充実によって果たすほかないのではないかというふうに思うわけでありますが、実は、そういう方々が本当に必要としているのは、肝硬変、肝がん患者の医療費補助ではないか、医療費助成ではないかというふうに思うわけですが、このことに関してはどのように対応されるのか。また、本当にこれから先、進めようと考えていらっしゃるのか、進めようとするのであれば、いつごろ結論を出されるのか、教えてください。

小宮山国務大臣 除斥期間を経過した肝硬変、肝がんの患者の皆さんの取り扱いにつきましては、基本合意書を締結する過程でもこれは議論をされていなかったために、基本合意書に示されていません。そういうことから、基本合意書をもとにしたこの法案には規定をしていないということです。

 今後、除斥期間を経過した肝硬変、肝がんの患者の皆さんが提訴をされた場合には、基本合意書の趣旨に照らして、裁判所の仲介のもとで、誠実に協議をするように努めていきたいと考えています。

あべ委員 この除斥期間二十年を経過した方々に対して、特に、通常の訴訟であれば、その期間を経過した場合、損害賠償請求は認められない可能性が高いというふうに思いますが、これを真摯に対応していくというお答えの中で、例えばこの委員会の答弁など、そういう趣旨に照らして、誠実な協議をお約束くださるということで、大臣、よろしいでしょうか。

小宮山国務大臣 慢性肝炎発症後二十年以上経過した方の取り扱いにつきましては、一年以上にわたった和解協議の中で出された結果として締結した基本合意書で明確に示されていると考えています。

 したがいまして、立法措置に際しましては、この基本合意書の内容を尊重する必要がある、そうした対応をしていきたいというふうに考えています。

あべ委員 では、迅速な和解手続をしていくためには必要な人員確保と事務処理体制が必要でありますが、今の体制をどれだけの人数にふやすおつもりなのか、また、事務処理体制を早くするためにどのような対応を今計画されているのか、具体的に教えてください。

外山政府参考人 ただいま課長以下十一名の体制でやっております事務処理を、それを、来年度予算にもお願いしておりますけれども、一・九億円お願いしておりますが、さらに充実してスピードアップしていきたいと思っております。

あべ委員 一・九億円という予算は、何名に人員がふえるということでしょうか。

外山政府参考人 来年度、四月以降充当したいと思っておりますが、それまでにも必要に応じてふやしてまいりたいと思っております。既に、チェックする仕事量に応じて人を徐々にふやしてきております。

あべ委員 質問いたしましたのは、十一名から何人にするつもりでしょうかという予定を教えてください。

外山政府参考人 これは組織・定員の問題でありますので、確たることは申し上げられませんけれども、例えば一・九億円を使いますると、期間を限った職員といいますか、そういったものにつきましては最大で十九名ほど採用できます。そういうことも勘案しながら対応してまいりたいと思っております。

あべ委員 それは非常勤で対応するということでしょうか。

外山政府参考人 今申し上げたのは予算上の対応ですので非常勤でありますけれども、その他、今よりも組織体制そのものも充実したいというふうに考えております。

あべ委員 人数がふえたからといって事務処理体制が加速するとは保証ができないわけでありますが、それ以外の部分で事務処理体制を加速するためにはどういう計画をされていますか。

外山政府参考人 今、基本合意で定められた要件がございまして、裁判所に申請されますと、法務局を通じて我が方の方にこういう要件が合っているか来るわけでございます。その辺につきましては、できるだけスピードアップできるようにマニュアル化をしてやっておりまして、したがって、だんだんこういう例示といいますか、例数が重なれば重なるほど、事務処理体制といいますか、判断基準というものをビルドアップしてスムーズになっていくというふうに思っておりまして、そのように努力したいと思っております。

あべ委員 ありがとうございました。

 特にこの対応に関しましては、本当に必要な人員確保と事務処理体制ができるかどうかということが非常にかぎだと思っております。

 続きまして、ドラッグラグの短縮と医薬品の安全性の確保について関連して聞きたいというふうに思います。

 現代の医療においてさまざまな医薬品が出てきている中、我が国のドラッグラグは二年ぐらいと言われていて、その短縮が大きな課題となっているわけでありますが、政府においても、医薬品医療機器総合機構の人員体制の整備を進め、医薬品の承認審査期間の短縮を図っているというふうに聞いています。また、未承認、適用外の医薬品の早期承認に向けたさまざまな取り組みも行われているというふうに承知しています。

 他方で、薬害において健康被害を受けた方々からは、承認審査の期間の短縮に対して、医薬品の安全性が本当に確保できるのか疑問を投げかけるお話もあるところであります。

 これに関しまして、医薬品医療機器総合機構における審査期間の短縮、これは職員の長時間労働にもつながるおそれもあり、医薬品の安全性の確保が損なわれることも懸念することから、必要な人員確保及び職員の質の向上にまず取り組むべきだとされています。

 また、より効果が高い医薬品の早期開発、国の早期承認は病気に苦しむ多くの患者さんたちの願いでもある一方で、医薬品の安全性の確保、このことは欠かすことができません。さまざまな薬害が出ている中、医薬行政の見直しが検討されていると思っておりますが、今後の見通しについてお尋ねいたします。

 医薬品の承認期間短縮さらには薬害全般の救済策、これをもっと制度としてしていかなければいけないのではないかと考えますが、大臣、お願いいたします。

小宮山国務大臣 ドラッグラグを解消する問題につきましては、今委員御指摘のように、それを短縮するということと安全性の確保、両方を図っていくということが非常に重要だというふうに考えています。

 ドラッグラグがあると、これは日本の医療現場で患者の皆さんが有効で安全性のあるものを早く使用できるということを妨げることになっていますので、ここを解消するということは必要だと思います。

 そのため、今委員が御指摘いただいたように、審査人員を増員する、PMDA、医薬品医療機器総合機構の人員体制をふやしているということ、その中で、御指摘のように、質の向上ということも大変重要だと思っています。また、審査ガイドラインの策定など、審査基準の明確化、こういうことに取り組んでまいりました。

 このように、専門的な審査人員の増員、審査のポイントを明確にする、こうしたことによりまして、審査の過程での審査期間の短縮を図りながらも、一方で安全性をしっかり確保していくということは大変重要だと思っています。そのためには、市販後も副作用の発現状況を丁寧に確認するなど、安全対策を充実強化することが大切だと思っています。

 そのために、具体的には、PMDAの人員体制の中で安全部門の人員を増員するということ、また、安全性に関する情報提供を充実するということで、PMDAのホームページで皆さんに対してその情報提供をするような取り組みを今年度から開始しています。また、副作用情報の収集に活用するための電子カルテ等の医療情報のデータベースを構築いたしまして、これは、電子カルテ等のデータから一千万人程度の大規模な医療情報データベースを構築する事業を、これも今年度から開始しているところです。

 このように、市販をした後も安全対策の強化を進めていきたいと思っています。

 これからも、医薬品の審査に当たりましては、安全性に十分配慮をしながら、何とかドラッグラグが解消できるように全力を挙げていきたいと考えています。

あべ委員 薬剤の副作用がわかるには最低三年かかると言われています。そうした中で、このドラッグラグの問題と薬害の問題はいつでもセットでありまして、そうすると、私は、薬害等の救済制度に関して、もっともっと整備化するべきではないかと思うわけであります。

 今般の予防接種等におけるB型肝炎ウイルスの感染被害に関連して、これまで社会的注目を浴びましたさまざまな健康被害があるわけであります。古くは、サリドマイド、スモン、HIV、ヤコブ、そして薬害C型肝炎などがありました。

 サリドマイド、スモンという医薬品の副作用被害を経まして、昭和五十四年に救済制度が創設され、さらには予防接種の副反応における健康被害に対する救済制度、さらに、平成十六年以降につきましては、生物製剤における感染被害についても救済制度が創設されたわけであります。

 しかし、薬害C型肝炎という、過去の医療行為で使用された血液製剤のウイルス混入による健康被害については、訴訟によって解決が図られ、それに続いて、今般のB型肝炎でも訴訟で解決が図られてまいりました。

 このように、甚大な被害が判明するケースについて個別に薬害の方々が訴訟を起こしていくということは、患者さんたちにとっても、また行政にとっても、双方にとって大きな負担となってまいります。これを、今後に備えて救済制度を整えていくべきではないかというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。

藤田大臣政務官 今あべ委員御指摘のように、被害者の皆様に大変な、多大な負担をおかけする訴訟ということ、これをやはり、できるだけそうしたことをなくしていく対策というのはとても大事なことだというふうに思っております。

 今回の基本合意書においても、第三者機関による検証の場を設置して、感染被害の真相究明、そして検証を行うこととなっておりまして、この検証結果に基づいて、再発防止策を含めた行政の責任、恒久対策というものをしっかりと進めてまいりたい、そういうものをつくっていかなければならない、このように思っているところでございます。

あべ委員 その全般的な恒久対策というのは薬害全般をカバーするものでしょうか。

藤田大臣政務官 今回の基本合意書ということにおいては、このB型肝炎ウイルスの感染被害者の皆様との問題でございます。

あべ委員 薬害が生じるたびに、患者さんが一度ごとに本当に大変な思いをして訴訟を繰り返していくということに関して、全般的な薬害の制度、これを検討するおつもりはあるのでしょうか。

木倉政府参考人 先生御指摘のように、これまでの副作用被害、薬害被害ということに対しまして、私どもとしても救済制度の充実を図ってきたところではございます。さらに、今回の私どもの肝炎の問題、それからイレッサの問題等も含めまして、きちんとした副作用被害制度の充実ということをさらに検討すべきじゃないかという御指摘もいただいております。

 その中で、特に抗がん剤等が副作用被害救済制度の対象になっていないというような問題も含めまして、今、副作用被害救済制度全般のあり方について、特に抗がん剤に着目した救済のあり方について、検討会を設けての議論もいただいております。

 その中では、まだ検討会を続けていただいている最中ではございますが、抗がん剤というような、お医者さんが患者さんにきちんと説明をした上でもなおかつ起こってしまうような副作用についてどのように考えればいいのか、救済ということの中でその切り分けができるのか、副作用ということを避けるための安全対策とともに、そのような議論をさらに尽くしていくということで、まだ議論途中ではございますが、さらに検討を続けていただきたいというふうに思っております。

あべ委員 本当に、薬害は、医学が進んでいくにつれ、私はなくなることがないと思っております。

 特に今、自民党内の有志で、ワクチンにおける国賠、一回ごとの問題に対して国賠をやっていくのではなく、救済制度をつくるべきではないかということで、実は米国において使われておりますコンペンセーションプログラムという救済制度、一ワクチン当たり七十五セントを徴収し、そのワクチンに対するアナフィラキシー、さまざまな反応レベルによってそのプログラムの中から賠償していくという制度でもあります。

 いい薬を使いたいという疾病をお持ちの方々の思いと、しかしながら、その命を救っていくために、また疾病を治していくために使った薬による薬害、これは本当に大きなジレンマであると思っています。しかしながら、ここの部分は、両者ともに、厚生労働省また国としては、政府としてはやっていかなければいけない部分だと思いますので、患者さんたちが薬害によって苦しみながら一回ごとに訴訟を行うということは、私はもうやめていかなければいけないと思っています。

 大臣、ぜひ御決意を聞かせていただきたい。この薬害制度に関して、恒久的な制度をしっかり取り組んでいただけますでしょうか。

小宮山国務大臣 委員がおっしゃるとおりだと私自身も思います。

 それはやはり、恒久的な、どの薬害であっても対応できるような第三者機関、ただ、この国の中で第三者機関をどのようにつくるかということは、いろいろなテーマの中でずっと議論をされてきたことだと思っていますので、今御党の中で御検討中の考え方も参考にさせていただいて、それは国会の方の皆さんと厚生労働省の方と力を合わせて、そうしたものをつくっていく努力をしたいというふうに思います。

あべ委員 ありがとうございます。

 この制度をつくらない限り、本当に薬害に苦しむ方が、一度ごとに、これは何なんだろう、これはだれの責任だろうということを考えながら、では薬を使わないで生活ができるのか、疾病をお持ちの方はそこのところが本当に厳しいところでございますので、国全体として取り組んでいきたいというふうに思います。

 また、B型肝炎ウイルスの感染被害者の差別についてでございますが、先ほどの代表も本当におつらかったと言われています。そうした中で、正しい知識の普及に取り組んではいますけれども、まだまだ不十分だと言われています。また、差別を受けた方々は一人で悩みを抱えている場合もあると思います。

 この感染被害に含む、肝炎患者さんたちが不当な差別や偏見を受けることがなく生活できるように情報提供や正しい知識の普及をしていくことが大切ですが、これからどのような形で進めていくのか、具体的に教えてください。

外山政府参考人 ちょっと先ほどの答弁を訂正いたしますけれども、国の事務処理体制の整備につきまして、十九名、期間業務職員をふやすと言いましたけれども、理論上は三十名までふえますので、よろしくお願いいたします。

 それで、差別や偏見に対する政策でございますけれども、先生御案内のように、肝炎対策基本法におきまして、肝炎対策基本理念として、肝炎患者等の人権が尊重され、肝炎患者等であることを理由に差別されないよう配慮するものとされております。

 これを受けまして、ことしの五月に策定いたしました肝炎対策基本指針におきましても、肝炎患者等が、不当な差別を受けることなく、社会において安心して暮らせる環境づくりを目指し、普及啓発を推進する旨、記載してございます。

 これらを踏まえまして、現在、厚生労働省におきましては、政府広報、それから厚生労働省のホームページ及びリーフレット等を活用した普及啓発活動や、行政研究の実施、さらには、各都道府県で実施する普及啓発活動への財政支援などによりまして、差別や偏見の解消に向けた取り組みを行っているところでございます。

 今後とも、不当な差別を招かないよう、国民に対して肝炎に関する正しい知識を持っていただくよう働きかけたいというふうに思っております。

あべ委員 このような差別に関しては、リーフレット、さらにはさまざまな広報だけでは私は不足だと思っておりまして、特に子供たちの基礎教育においてどのように教えていくかということも重要だと思いますが、ここの部分は文部科学省と共同して行っていくおつもりでしょうか。

外山政府参考人 先生御指摘のように、教育というのは非常に重要なものだと思っておりまして、文科省とも連携してやってまいりたいと思っております。

あべ委員 文部科学省とやっていくのであれば、学習指導要領が平成二十年に書きかえられたばかりでありますが、通常は平成三十年まで書きかえないそうでございます。このような差別、またその正確な知識を教えるためには、私は、年度途中であっても、通達レベルであっても、しっかりと学校に通達すべきだと思いますが、これはいかがでしょうか。

外山政府参考人 具体的にどういう手段、行政ツールを使ってできるか検討してまいります。

あべ委員 検討してくださって、本当におやりになってくださるということでよろしいでしょうか。

小宮山国務大臣 それは本当に、おっしゃるように、子供たちへの教育を早期にするということは大事だと思っておりますので、私の方でそのようにできるように指示をして取り組んでいきたいと思っています。

あべ委員 大臣、ありがとうございます。

 今年度末までしっかりやってくださるということでよろしいでしょうか。

小宮山国務大臣 それは、なるべく早期にとは思っておりますけれども、これから文科省と協議をさせていただきますので、可能な限り速やかにという答弁にさせていただきたいと思います。

あべ委員 可能な限り速やかに今年度中にお願いしないと、解散もありますので、ぜひよろしくお願いします。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

池田委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、B型肝炎ウイルス特措法、また、その周辺にあります肝炎対策について質問してまいりたいと思います。

 きょう、冒頭、短時間ではございましたけれども、B型肝炎訴訟原告団谷口三枝子代表から意見陳述をいただきました。これまでの、肝炎に罹患されてからの苦労、あるいは母子感染、お二人のお子さんが感染をされたこと、みずからも感染するということも大変ですけれども、やはり、お子さんたちに感染をさせた、これに関しては、私も母親の一人として察するに余りあるものがございます。これまで活動を続けてこられた関係の皆様に心から敬意を表したいと思っております。

 それも踏まえて質問をしてまいりたいと思います。

 B型及びC型肝炎、このウイルス性肝炎の感染者、我が国で三百万を超えると言われております。予防接種あるいは薬害を原因とする一部の感染をめぐっては、国、製薬会社に対する訴訟が今までも行われてまいりました。私も、この肝炎対策には、C型薬害肝炎からかかわってきた一人でもございます。

 C型肝炎では、薬害肝炎救済法が成立をしたわけなんですが、救済の対象外となった、例えば、カルテのないC型肝炎患者等への支援が今課題にもなってきております。

 また、一方で、乳幼児期の集団予防接種で注射器を連続使用したことが原因でB型肝炎ウイルスに感染したこと、この患者、遺族の方々、今回のB型肝炎訴訟で、六月二十八日に、原告団と国の間で和解をすることで合意に至ったわけであります。

 私たち公明党も、原告団の方々とは綿密に連携をとりながら、訴訟の解決へ協力要請も受けたり、患者の立場に立った解決を一貫して政府に求めてまいりました。超党派の議員の皆さんとともに早期解決も訴えてきたわけであります。

 このB型肝炎をめぐる最初の提訴から二十二年たちました。注射器の使い回しを放置した国の責任を認定した最高裁判決から五年がたっております。ようやく終結に向かう見通しがついてきました。しかし、提訴後、合意の日を迎えることなく亡くなった方々も数多くいらっしゃいます。合意に至ったことは歓迎できるわけですが、政府の対応は非常に遅かったと言わざるを得ません。

 この最後の仕上げとなるのが、今回の、和解合意を実行するための特別措置法案でございます。B型肝炎ウイルスの感染被害の迅速かつ全体的な解決を図ることを目的とした今回の特措法、実効性あるものとしていかなければ意味がないと思っております。そして、患者救済のため、一日も早い成立が望まれます。

 全国で七百二十七人が提訴した集団訴訟は解決に向かうわけですが、この原告は感染者のほんの一部にすぎません。B型肝炎ウイルスの感染被害の実態は不明であります。肝硬変を発症してから二十年以上生存する場合など、基本合意書では想定されていなかったケースがあるとも言われております。こうしたことからも、今回の特措法案でB型肝炎ウイルスの感染被害の全体的な解決が図られるかどうか、ここは注視をしていかなければなりません。

 まず初めに、大臣に、この全面解決へ向けての御決意を伺いたいと思います。

小宮山国務大臣 やはり、被害に遭われた方が本当に長年のさまざまな面での苦しみを抱えていらしたこと、委員御指摘のとおり、国の対応が遅かったことも含めて、心からおわびを申し上げなければというふうに思っております。

 国の責任を認めました平成十八年の最高裁判決、これは非常に重いものだと思っておりますので、これをしっかりと受けとめて、被害者の方々にこれまでのおわびの気持ちも込めまして、原告の皆様と締結をさせていただいた基本合意書、この内容につきましては、誠実にこれから実施をしていくことだというふうに思っています。

 とにかく、この法案をまず早期に成立させていただいて、一刻も早く全面解決へ向けての一歩を踏み出したい、そういうふうに考えております。

古屋(範)委員 今、小宮山大臣からは、おわびと、全面解決へ向けての御決意を伺うことができました。

 今までも、委員の皆様からも質問がございました。また、谷口代表からも意見陳述でございました。今回、原告団の皆様から再三求められております、除斥期間を経過した肝がん、肝硬変、死亡の被害に対して、この対応についてお伺いをしてまいりたいと思っております。

 本法案では、追加給付金について、新たな訴訟を提起することなく、医師の診断書の提出ということで、認定手続が簡素化をされております。さらに、無症候キャリアの定期検査費、あるいは母子感染防止医療費に係るこうした現物給付なども、基本合意書の内容を超え、ウイルス感染者の事務的負担の軽減の措置がとられていて、これは評価ができると思っております。

 一方で、原告団の皆様から、本法案について、さまざまな御意見をいただきました。

 中でも、肝硬変、肝がん、死亡の被害が生じてから二十年を経過した被害者に対して、特措法案では何ら救済策が示されていないということでございます。肝硬変以上の被害者で除斥対象に係る人数はごく少数と思われる、長年にわたり被害に苦しんできたことを考え、一律救済を認めることを再検討してもらいたいと、強い御要請を受けたわけです。

 私もこれは何度も厚労省に確認をさせていただいたのですが、和解協議の最中は、こういう件は一切触れられていなかったということであります。また、原告の方々と協議した結果としての基本合意書の内容に基づいて今回の給付内容を決めた、除斥期間を経過した肝がん、肝硬変、死亡の取り扱いについては、当然、その結果として法案には示されていないのだ、こういう見解をいただいております。

 しかし、原告団のお考えでは、基本合意では触れられていないことについて、これは救済の道を残したものであると考えていらっしゃるわけなんです。

 そこで、改めてこの除斥期間についてお伺いをしたいと思います。

 除斥期間を経過した肝硬変、肝がん等への対応について、民主党は野党時代、一律救済をここで本当に泣きわめいたりしながら強力に訴えてこられたわけでございます。基本合意書に記載がなくても、B型肝炎ウイルスの感染被害に対する国の責任を重く受けとめて、真摯に丁寧に対応していただきたいと思います。いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 委員もおっしゃったとおり、今回、基本合意書を締結する段階ではこうしたことが表に出ていなかったということもあって議論をされなかった、ですから基本合意書には示されていない。

 私がまず第一歩を踏み出したいと先ほど申し上げたのは、今まで締結された基本合意書に基づいてまず一歩を踏み出して、その上で、除斥期間を経過された肝硬変、肝がんの患者の皆さんが提訴された場合には、基本合意書の趣旨に照らして、裁判所の仲介のもとで、さらに、二歩目と言っていいのかわかりませんが、誠実に丁寧に対応していくことをお約束したいというふうに思います。

古屋(範)委員 大臣に明確に御答弁いただきましたように、ここはまず第一歩だ、それで、これからそういうケースがあった場合には誠実に丁寧に対応する、この御答弁どおりしっかり確実に実施をしていただきたい、このように思います。よろしくお願いいたします。

 次に、早期発見のための検査体制の強化等、また恒久対策の現状についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 基本合意書では、恒久対策として、肝炎ウイルス検査の一層の推進、あるいは肝炎医療提供体制の整備、研究の推進、医療費助成等について努める、こういう項目が入っております。

 キャリアの方々は、自分自身が感染しているということに気づかない、こういう方々が多いわけです。こうした方々は自覚症状がないわけですので、早期発見のために検査体制を強化していくことで発症を食いとめることができるかもしれないわけです。そして、肝炎対策の充実は、和解金の総額を抑えるという意味でも、本人のためにも当然でありますけれども、これは国にとっても非常に重要な施策でございます。

 肝炎対策基本法では、基本的施策として、予防、早期発見の推進、研究の推進、肝炎医療の均てん化促進等、肝炎対策を総合的に進める、このことを盛り込んでおります。

 本年の五月十六日なんですが、ようやく肝炎対策の推進に関する基本的な指針、基本指針が発表されましたね。それに基づいて各都道府県では今年度の肝炎対策が進んでいくと思います。

 しかし、残念ながら、この基本指針の真意がなかなか地方にまで徹底をされていない、各都道府県の動きは余りよくないということも伺っております。今年度から肝炎対策に係る特別要望枠として国の予算が計上されておりますけれども、結局、各都道府県が半分は負担しなければいけないということですので、各都道府県でも、その地域の姿勢、熱意によってこれもさまざまで、実行は危ぶまれております。

 そこで、厚労省として、まず施策の実施状況をきちんと把握をしていただきたい、そして、それに基づいて対応をとっていただきたいと思っております。

 また、自覚のない肝炎ウイルス感染者が多数存在するということから、現在の肝炎ウイルス検査受診率についてお伺いしたいと思います。

 この受診率、国民の検査が終わるのは一体どれくらいかかるのか。また、現在、肝がんなどによる死亡者がピークと言われているんですが、毎日百二十人もの肝炎患者が亡くなっていらっしゃるという現状を考えますと、ウイルス検査の勧奨をもっと積極的に行っていただきたいと考えます。

 早期発見のための検査体制の強化、推進についてお伺いをいたします。

    〔委員長退席、長妻委員長代理着席〕

外山政府参考人 肝炎ウイルスの感染経路はさまざまでございまして、個々人が肝炎ウイルスに感染した可能性があるか否かを一概に判断することは困難でありますことから、すべての国民が少なくとも一回は肝炎ウイルス検査を受検することが必要でございまして、本年五月に策定いたしました肝炎対策基本指針において、その旨を記載しているところでございます。

 このため、厚生労働省では、保健所や市町村による検査事業によりまして、希望者が検査を受けられる体制の整備を推進しておりまして、平成二十一年度におきましては、これらの事業でB型肝炎それからC型肝炎の検査をそれぞれ約百万人が受検したところでございます。

 このほか、職場検診や人間ドック等の機会におきましても肝炎ウイルス検査が行われておりまして、ことし実施いたします肝炎検査受検状況実態把握事業によりまして、これらを含めた全体の受診率というものを調査したいと考えております。

 それから、受検体制の強化につきましては、今年度から個別勧奨や出張型検診を新たに実施できるようにするなど検査の利便性の向上に努めているところでございまして、今後も検査体制の整備それから検査受診の呼びかけに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 基本指針を定められて、今努力の途上にあるということだと思うんですが、まず、受診率がどれくらいか、この調査を実施されている途中だということでありますので、この調査を終えられ、それに基づいてさらなる検査体制の充実を図っていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、C型肝炎関連なんですが、カルテのないC型肝炎患者の救済への対応について、一問お伺いしたいと思います。

 私たちも、C型肝炎に関しましては、薬害肝炎特措法を成立させ、これは国が責任を認めて、救済が実現をしたわけであります。しかし、これが実際の手続に入って、なかなかカルテの存在が確認できない、あるいは当時治療をした医師がもう亡くなっている、また病院もなくなっている等々、証言等がないために、なかなか給付金の対象にならない、そういう悩みを抱えた方々が数多くいらっしゃいます。

 私のもとにも、こうしたカルテのないC型肝炎訴訟の現状、患者の思い、一刻も早い救済をという相談が参っております。結局は、なかなか証明ができない、訴訟を起こすしか方法がないんですけれども、裁判そのものも非常に困難であるということであります。カルテの存在が確認できないまま、確実に病状が進んでしまって、心身ともに非常に大きな悩みを抱えていらっしゃる、こういう方々であります。

 血液製剤の投与でC型肝炎に感染したのに、カルテ等がないために薬害肝炎救済法に基づく救済が受けられないということで、北海道内の患者四十五人が十一月十日、国に十億四千六百万円の支払いを求めて札幌地裁に提訴したという記事がございます。今後、こうした方々もふえてくるのではないかということが予想されます。

 こうした方々、C型肝炎患者の救済をどのようにお考えになるか、まず大臣にお伺いしたいと思っております。

 また、認定されるための救済手段としての提訴などは、多くの困難を乗り越えなければいけない、扱ってくれる弁護士も非常に少ないと聞いております。県に一人いるかいないかというところもあるそうであります。患者が相談できる体制づくりが必要なのではないか、このように感じます。

 具体的に、医療に関する相談から、生活面、さらに、具体的な救済手続等への相談など、この相談体制、今後の取り組みについてあわせてお伺いしたいと思います。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃったとおり、C型肝炎救済特別措置法、これは議員立法で制定をされたものですけれども、それは、C型肝炎訴訟で企業や国が責任を負うべき期間等に対しまして五つの地方裁判所の判断が分かれたことや、当時の法制のもとで法的責任の存否を問う訴訟による解決を図ろうとするとさらに長期間を要することが見込まれた、こうしたことから、感染被害者の方々を製剤投与の時期を問わずに一律に救済するとの要請にこたえるためには司法上も行政上も限界があるということから、当時の政治判断によって立法による解決が図られたものだ、そういうふうに承知をしております。

 そして、この法律に基づく給付を受けるためには、訴訟手続の中で、製剤投与の事実、製剤投与と感染の因果関係、また、感染者の症状に関する事実関係が確認される必要がある、そうしたことから、裁判所で原告が提訴した証拠をもとに事実認定をしていただく、そういう仕組みになっています。

 この仕組みでは、カルテ、診療録がない場合でも、製剤投与にかかわった医療従事者による証明や証言、また、カルテ以外の医療記録や母子手帳、患者本人や家族による記録や証言など、製剤の投与を受けた事実を確認できる証拠を可能な限り提出していただいています。その上で、そうしたさまざまな証拠を総合して裁判所で判断が行われております。

 厚生労働省では、カルテなどのない方々が訴訟を提起しやすくなるように、製剤投与の事実を裁判所に認定してもらうためのカルテ以外の書類の例ですとか、カルテがない場合の証明の方法などを盛り込みました給付金支給等に関するQアンドAを作成しています。これを厚生労働省のホームページなどで周知するとともに、PMDAのフリーダイヤルでも相談を受け付けさせていただいています。

 これからも、C型肝炎ウイルスの感染被害を受けた方々が訴訟を提起しやすくなるように、QアンドAは何回も改訂をしてきているんですけれども、よりわかりやすくなるようにQアンドAを作成し、また厚生労働省やPMDAで訴訟手続などに関する個別のお問い合わせに対しましても丁寧に説明をしていくなど、さらにきめ細かく対応していくようにしたいというふうに考えています。

古屋(範)委員 実際には、カルテがなくても、客観的な蓋然性が認められる場合には提訴ができるということでございます。ぜひ、それがさらに進むよう、相談体制を確立していただきますよう、要望しておきたいと思っております。

 次に、先ほどあべ俊子議員からも質問のあったもので、私からも、同じ趣旨なんですが、質問させていただきたいと思います。薬害の検証、また再発防止のための独立した第三者評価組織というものの創設についてお伺いをしたいと思っております。

 B型肝炎の原告団と国との基本合意書の中でも、恒久対策として、集団予防接種によるB型肝炎ウイルスへの被害の真相究明及び検証を第三者機関において行う、このように示されております。また、私たちも、当時のC型肝炎全国原告団の方々からも、医薬行政の監視評価組織としての第三者組織について御要望をいただきました。

 この第三者組織、既存の審議会とは別の、独立性が担保された組織としてぜひ創設をしていただきたい。法律上、一定の調査、意見具申、勧告などの権限を与える、そうした組織ができていくことが再発防止に非常に重要だと考えております。

 これについてのお考え、端的にいただければと思います。

辻副大臣 委員既に十分御承知のことでございますけれども、御指摘いただきました薬害肝炎検証・検討委員会の最終提言におきましては、薬害の発生及び拡大を未然に防止するため、医薬品行政機関とその活動に対して監視及び評価を行う第三者組織の設置が求められているところでございます。

 また、最終提言におきましては、第三者組織は厚生労働省から独立した組織であることが望ましいと考えられるとの指摘がなされておるところでございます。同時に、一刻も早く監視評価組織を実現するという観点から、第三者組織を当面、同省、厚生労働省に設置することを強く提言するとの指摘もいただいているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、現在、医薬品等制度改正検討部会におきまして、最終提言で指摘されました第三者組織のあり方を含め、必要な制度改正について議論をさせていただいているところでございますけれども、その中で、第三者組織については、平成十一年に閣議決定されております「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」、この中で「審議会等は、原則として新設しないこととする」と示されているわけでございまして、それらを踏まえて、確実に第三者組織をつくることを優先するという立場から、既存の厚生科学審議会に新たな部会を設置することが望ましいのではないかという提案をさせていただいたところでございます。

 しかしながら、この案に対しましては、最終提言で第三者組織に求められている独立性等が担保されていないのではないかという観点から、既存の審議会とは別個の、独立した審議会を新たに設置することを求める意見も出されているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、最終提言に示されたような、独立性が担保された、医薬品行政を監視、評価する第三者組織を設置することが国民の薬事行政への信頼回復のためにも重要な課題であると認識しておりまして、このような経緯を踏まえまして、薬害の再発防止という観点に立ちまして、第三者組織のあり方について引き続き検討を進めていきたいと考えております。

古屋(範)委員 抗がん剤を初めとする新薬の開発とか承認とこうした第三者の監視評価組織というものは、やはり表裏一体であると思います。どちらも推進するためにもこうした第三者組織が必要だと考えますので、ぜひ前向きな御検討をお願いしたいと思っております。

 最後に、B型肝炎ワクチンについて、ぜひ定期接種化をしていただきたい、このことを申し上げたいと思っております。

 昨年の十一月なんですが、B型肝炎について参考人質疑を行いました。この中でも、戸田剛太郎参考人から、最も効果的な予防法はワクチン接種である、このような意見陳述をいただいております。また、溝上参考人からも、ワクチンの効能書きには、家族内にB型肝炎ウイルスキャリアのある方は家族内の人に全部ワクチンを打て、勧めろというふうに書いてございます、それが徹底されていない、このような意見陳述もちょうだいしております。戸田参考人から、ぜひ進めていただきたいのは、ユニバーサルワクチネーション、すべての人にB型ワクチンを接種する、このような質疑がございました。

 これも踏まえまして、このB型肝炎ワクチンの定期接種化をぜひ求めたい、このように思っております。

 近年なんですが、母子感染だけではなく、父子感染、あるいは感染経路が不明で乳幼児がB型肝炎ウイルスに感染をする、こういう例がふえているそうでございます。母子感染予防だけでは対策が不十分であります。

 WHOは、平成四年に、世界じゅうの子供たちに対して、生まれてからすぐにこのワクチンを国の定期接種として接種をするよう指示をしていまして、ほとんどの国で定期接種になっているわけです。

 ユニバーサルワクチネーション、この母子感染、父子などからの乳児期の水平感染、性交渉での成人の水平感染を予防して、感染源の撲滅、肝硬変あるいは肝がんによる死亡をなくすという意味で、このワクチン接種は非常に大事になってくると思っております。

 厚生科学審議会でも、ワクチン評価に関する小委員会が三月十一日に出した報告書の中でも、B型肝炎ワクチンを、接種を促進していくことが望ましいワクチン、このように位置づけていますね。母子感染予防事業が確実に効果を上げている中で、B型ワクチンについても、WHOは既にすべての乳幼児への接種を推奨している。ぜひ日本においても定期接種化をしていただきたい、このように思っております。

 いつも申し上げているんですが、このB型肝炎ワクチンだけではなく、Hib、あるいは小児用肺炎球菌ワクチン、ロタウイルスワクチン、この四種類は、WHOで、どんなに貧しい国でも国の定期接種に入れて、無料で接種して、国民を守るよう指示をしております。

 ぜひ、子宮頸がんも含めまして、こうしたB型、Hib、小児用肺炎球菌ワクチン、また水痘、流行性耳下腺炎、インフルエンザ、ヒトパピローマウイルス、そして成人用肺炎球菌ワクチン、こうしたものを一刻も早く定期接種化していただきたいと思いますが、お考えをお伺いいたします。

    〔長妻委員長代理退席、委員長着席〕

藤田大臣政務官 今、B型肝炎ワクチンの定期接種化ということで、委員の方からお話をいただきました。

 委員御指摘のように、このB型肝炎ワクチンの効果については、ワクチン評価に関する小委員会報告でも、接種を促進することが望ましいと考えられる、このように記載をされているところでございまして、今、これももう委員の方からお話がございましたけれども、予防接種部会の方で鋭意議論を進めさせていただいているところでございます。

 そして、B型肝炎ワクチンだけではなくて、それも含めた七つのワクチンについても一緒に検討をしているところでございますので、こうした議論を踏まえて、今後の取り扱いについてはしっかりと検討してまいりたいと思っておりますので、ぜひ御理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

古屋(範)委員 B型肝炎患者の救済、そして総合的な肝炎対策の充実を求めまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

池田委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、きょう意見陳述していただいた原告団長の谷口三枝子さんに心からお礼を申し上げます。

 前回の参考人質疑のときは、後ろの席に座って、発言が許されず、どんなにか悔しい思いをしたことでしょうか。きょうの委員会も日程が大変十分なものではありませんけれども、法案がたとえ成立しても、それでよしとしないで、さらに力を尽くしていきたい、このことをお約束したいと思います。ありがとうございました。

 早速質問に入ります。

 基本合意が調印されたのは六月二十八日です。合意した原告は今七百七名と聞いておりますが、五カ月過ぎて、訴状を提出した件数、和解成立数は幾らでしょうか。

外山政府参考人 十二月一日時点では、訴状が国に送達された原告数は約千四百名でございます。それから、和解が成立した原告数は四十名でございます。

高橋(千)委員 今、千四百名訴状を受け取った中で四十名が和解成立したというお話でありました。間の資料も、数字もいただいたんですが、そのうち、資料がついている方が四百八十名ということだったかと思います。ですから、五カ月たって和解にたどり着いた方は四十名ということでは、本当に長い道のりだと言わなければなりません。

 昨年の今ごろ、この委員会で質問していたときは、五百十一名の原告団と私言っていましたけれども、既に一千名を超えているわけです。しかも、政府は、四十五万人を救うと言ってきました。これでは遅過ぎないでしょうか。資料の煩雑さ、人手不足等要因があると思いますが、どのようにお考えですか。

外山政府参考人 B型肝炎訴訟につきましては、裁判所の仲介のもと、一年以上にわたる和解協議を経た結果といたしまして、本年六月末に原告と基本合意書を締結し、提出すべき資料の内容や和解の手続、それから内容等につきまして、国、原告双方が合意に達したところでございます。

 現在、原告から提出された資料をこの基本合意書に沿って確認いたしまして、所定の要件を満たすと認められる者については、和解手続を鋭意進めているところでございます。

 今後とも、適正、迅速に和解手続が進むよう、引き続き誠実に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、厚生労働省における和解手続のための事務処理体制につきましては、担当職員の増加など、随時整備を進めているところでございます。

高橋(千)委員 昨年のそのときの質問で、政府が、B型肝炎訴訟の解決には二兆円かかる、そして原告の要求を全部入れたら八兆円かかる、こういうことを言っていたわけですね。それで私は、過大過ぎないかと質問をしました。そのときに外山局長は、「原告以外の方にも同様の救済を図るため、最大限どの程度の方が救済対象となり得るかという観点から推計したものであり、過大推計との批判は当たらない」、このように答えたわけです。また、「仮に今回の和解の内容を一般化した場合には、制度の周知等によって自覚が高まり、申請のインセンティブが働くものと考えられることから、申請率は高くなるものと考えております」と言い切りました。

 今でも、その認識は変わらないですか。

外山政府参考人 変わっておりません。

高橋(千)委員 そうすると、それに見合うことを本当にやれるかということを確認しなければならないわけです。

 基本合意に当たっての政府見解は、「かつて例のない大変大きな広がりを持つものであり、長期にわたって責任のある対応をとることが必要である」としました。私たちは、過大な数字をひとり歩きさせて、それが増税だと言っているのは許せない、このように指摘をしてきたわけです。しかし、言いかえれば、政府はそれだけ責任を持って四十五万人の救済に当たると約束したということではないですか。確認いたします。

外山政府参考人 そのとおりでございます。

高橋(千)委員 では、大臣に質問します。

 札幌地裁の基本合意に当たっての所感では、「可能な限り、原告が生きているうちに、和解を成立させてもらいたい」「あらためて、国も時節柄大変だと思いますが、原告から資料を受け取ったあと、迅速に検討頂き、速やかに和解を進めて頂きたい」と述べています。大臣はどのように思うでしょうか。

 例えば、東京原告の一人は、予防接種を受けた保健所の名称や住所を明らかにするよう言われ、他の要件は整っていたにもかかわらず、その一点のみで見送りになったといいます。基本合意までに長い時間が過ぎ、調印までに命を落とした原告もいたことを考えれば、迅速な処理をすべきという点では認識を共有できるでしょうか。そして、資料の要件を厳しくし過ぎて和解をおくらせるようなことがあってはならないと思いますが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 基本的には、委員がおっしゃるとおりだと思っています。

 委員がこういう御指摘があるということで、このケースを調べたんですけれども、このケースの場合は、可能な範囲を広げるために、いろいろ書類が整わないときに何をしたらいいかという、関係者作成の陳述書という形で提出をされたと思います。

 母子手帳の提出ができない理由の陳述書として、最初は、母子手帳が火事で焼失をしたという届けがありました。ではどこで受けたのかと聞いたところ、次には、保健所ですということが返ってきましたので、どこの保健所かということを問い合わせて、三回目に戻ってきたところでこれは受けとめたということなんですけれども、二カ月ごとの期日の最初の期日に間に合わなかったということで、その次の期日のところではこれをちゃんと受けとめてやっているということでございますので、そのあたりのやりとりがもうちょっと迅速にできないかとか、そういうことは検討する余地があるというふうに考えますが、なるべく誠実に対応をするようにしていきたいというふうに思っています。

高橋(千)委員 事前にきょうの東京原告のお話を通告しておりましたので、調べていただいて、ありがとうございます。ただ、それを、一人一人の分を言って、これはどうですか、これはどうですかという時間はないわけです。今言った対応を本当にやっていただきたいと思います。

 それで、具体的に提案をいたしますが、医療機関に対するカルテの開示の手続を迅速に進むように協力をお願いしていただきたいと思います。

 原告からカルテ開示を医療機関に請求したところ、弁護士紹介でなければ開示に応じない、本人がとりに来ないならば取り寄せに応じない、カルテがないという証明には応じないなどと回答をされています。これは、せっかく迅速に誠実にと言っておきながら、その先で閉ざされてしまうということがないように、やはり厚労省としてきちんとお願いをしていただく必要があるのではないか。

 また、母子手帳がない人は、居住歴の立証のために住民票や戸籍の付票などが求められるわけですけれども、五年の保存期間ということもございますので、なかなか手に入らない。そういうときに、日本で出生したことがわかる戸籍とか、通信簿ですとか、手元にある資料で代替できればよいとか、こういうことはいろいろ考えられると思うんです。いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 医療機関にカルテ開示の手続、迅速に進むようということは非常に重要なことだと思っておりますので、医療機関に対しましては、救済を受けるために必要になるカルテなどの証拠資料の要件がわかるように、B型肝炎訴訟の手続、これは厚生労働省のホームページに掲載をし、また、都道府県や日本医師会を通じましてこの手引を配布するなど、広くその周知をして、なるべく早く医療機関が提出に協力をするようにということを今やっているところでございます。

 また、後半の、満七歳になるまでに集団予防接種を受けたことを確認するために、基本合意書では、母子健康手帳や予防接種台帳を提出することになっていますが、こうした資料を提出できない場合には、予防接種の跡があることを証明する医師の意見書に加えて、満七歳になるまでの居住歴を確認することができる住民票または戸籍の付票の写し、これを提出することになっています。

 そして、今委員から御指摘のあったように、住民票や戸籍の付票の写しが提出できない、こうした場合には、満七歳になるまでの居住歴を確認する資料としてどのようなものがあれば足りるかにつきまして、これは個々のケースによっていろいろあるかと思いますので、そうしたことを、なるべく可能なように、総合的に判断ができるような、そんな方法がとれるようにしていきたい、そういうふうに思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 私もちょっと厚労省のホームページを見てみたんですけれども、B型肝炎という窓が表紙にありますので、それをクリックしていくと手引が出てくる、あるいは、これまでの訴訟の資料が全部一覧に載っている。これは大変親切だと思うんです。

 ただ、ぜひ提訴してみたいと思う方がそれを開いたときに、なかなか、今おっしゃったような、こういう代替もできますよというところにたどり着く前にあきらめちゃうかなということを率直に思いました。例えば、他の原因による感染ではないことを証明する書類が必要ですと、ばあんと書いてある。そんなこと、どうやってできるのということで、ちょっとひるんでしまうということがあるんです。

 だったら、せっかく誠実に対応するということが前に来るように、いろいろな、年数がもともとたっていることですから、十分な対応をしますよということが伝わるような改善をぜひしていただきたいということを、これはぜひ要望にしたいと思います。

 先ほど来議論がされているところなんですけれども、除斥の問題、やはり、もう一言言っておきたいと思うんですね。

 まず、和解文書については、もともと、肝硬変以上の発症した除斥期間対象者について触れられていませんでした。そして、先ほど谷口さんの陳述書の資料の中にも書き込まれていたように、裁判所の中で、「立法措置の際には、あらためて国会その他の場で御討議頂いて、よりよい解決をして頂ければと思います」、そういうふうに書かれていて、言ってみれば、立法機関にゆだねられたわけであります。基本合意のときに骨子が出されて、私、それ自体不満なんですが、そのときにさえ書いてなかった。それなのに、いきなり法案に「除く」という言葉が出てきた。

 これは原告に対しても説明がなかったと聞いておりますけれども、なぜこういうことになっちゃったんですか。

辻副大臣 御指摘をいただきました除斥期間を経過した肝硬変、肝がんの患者の方々の取り扱いにつきましては、基本合意書を締結する過程でも議論がされず、また、基本合意書に示されておりませんために、この法案には規定をさせていただいていないところでございます。

 同時に、法律の条文上、「除く」と規定いたしませんと、除斥期間を経過した肝硬変、肝がんの患者等の方々に対しましても、除斥期間を経過していない方と同額の給付金が支払われるということになりますために、条文上、「除く」と規定をしているところでございます。

 今後、除斥期間を経過した肝硬変、肝がんの患者等が提訴なさいました場合には、基本合意書の趣旨に照らし、裁判所の仲介のもとで、誠実に協議するよう努めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 全く答えになっていないと思うんですね。なかったから法案に書いたと。ということは、要するに、そういう方がわずかだという指摘があるわけですけれども、出てこられては困る、払いたくないということになるわけです。

 でも、その除斥期間を超えた慢性肝炎の皆さん、無症候キャリアの皆さん、こうした方たちに対しても、大変不十分な額ではありますけれども、国会の議論を通して乗り越えてきたということがありました。そういう点では、この議論はこれからやらなきゃいけないことなんですよ。それを最初から書いてしまうということは、やはりあってはならないと思います。

 先ほど、誠実な対応をするんだとおっしゃいました。固定的に物を見ないで、これからさらに詳細な和解の協議などが始まっていきますので、その中で対応していくということで、もう一言確認をいたします。

辻副大臣 今後、新たな提訴がありました場合には、除斥期間を経過した患者さんの方々の提訴がなされた場合には、申しましたように、誠実に協議するよう努めていきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。

高橋(千)委員 引き続いて、その後の対応について、国会としても報告をいただいて議論をしていきたい、このように思います。

 もう一つ、財源の問題なんですけれども、これもずっと議論してきたことなんですけれども、なぜ今回の法案にこの財源の問題を明記することになったのか。これまでもいろいろな国賠訴訟というものはあったわけですけれども、あえてB型肝炎訴訟の和解に伴う給付金だけが財源を明記しなければならなかったのか。

 しかも、当初の案は、成年扶養控除の廃止による財源確保ということで、障害のある方の家族など、最も弱い立場の人に重い増税であり、あってはならないことであるわけです。自分は被害者だと思っていたけれども、いつの間にか加害者にさせられたと、原告の一人は悔しい声を上げていました。

 財源は特出しする必要はないと思いますが、いかがですか。

小宮山国務大臣 B型肝炎訴訟の特徴としては、対象の方が四十万人以上と、大変多くなると推計をされています。これは、これまでに例のない広がりを持つ問題でございますので、感染された被害者に対する給付金の支給が万全なものになるようにということで、財源の確保が重要だということで、このような形をとっています。

 先ほどもお話ししたように、ことしの七月二十九日の閣議決定で、給付と財源の一体的な法案の成立を目指す、そのようにしています。こうした経緯を踏まえまして、財源確保規定を置き、給付金の財源を法律上明らかにすることによりまして、感染された被害者の方に対する給付金の支給を万全なものにしたい、そういう趣旨でございます。

高橋(千)委員 万全なものにしたいということは、それは大事だと思うんです。財源がなくて、約束したことができなかったよと言われたら困るんです。でも、それが、今言ったような弱い人にかかる増税ということはあってはならない。

 では、このことは、認識、一致できますか。

小宮山国務大臣 委員がおっしゃりたいことは、理解をしているつもりでございます。

高橋(千)委員 理解という表現でありまして、ちょっと残念に思いますけれども、まあ精いっぱいのお答えだったかと思います。

 最後になりますけれども、特別措置法は、給付にかかわることしか書いていないわけです。しかし、基本合意の中では、ウイルス検査の一層の推進や、医療の提供体制の整備、研究の推進や医療費助成などの必要な施策をとること、またB型肝炎ウイルスの感染被害の真相究明及び検証を第三者機関において行う等、恒久対策が盛り込まれております。

 これについて、本来ならちゃんと書き込まれてほしかったなと思うんですが、政府としてしっかり受けとめてやっていくという決意を伺いたいと思います。

小宮山国務大臣 肝炎の恒久対策につきましては、インターフェロン治療等に対する医療費の助成、肝炎ウイルス検査の促進、研究の推進などを柱といたします肝炎総合対策を平成二十年度から実施をしています。

 また、肝炎対策基本法に基づいて、今後の中長期的な肝炎対策の方向性を定めた肝炎対策基本指針をことしの五月に策定をしまして、これに基づく施策を積極的に今展開をしているところです。

 恒久対策の検討に当たりましては、B型肝炎患者の原告も含めた患者や御遺族の御意見も踏まえながら、これは誠実に取り組んでいきたいと考えています。

 また、基本合意書に基づきまして、第三者機関による検証の場を設置して、B型肝炎ウイルスへの感染被害の真相究明や検証を行うこととしておりまして、その検証結果に基づいて、行政としての責任をしっかりと果たしていきたい、そのように考えています。

高橋(千)委員 あと、これは指摘にとどめますけれども、先ほど副大臣の答弁も聞いておりましたけれども、第三者機関に対しては、薬害肝炎の方たちも、検証・検討委員会が最終提言をしたにもかかわらず社保審の中の部会という形でやられてしまうと、これは、全く監視機能がない、意味の違うものなんだということを指摘しているわけなんです。これに関しては、第三者評価組織の創設に関する意見書ということで、十一月八日に、ワーキングチームに参加のほとんどの委員の皆さんなどが、大臣と改正部会の委員長に対して上げているわけですね。

 それをまた繰り返しては、せっかく、長い闘いをやり、基本合意を結び、国会で法律をつくったけれども、そこがほごにされるということは、やはりあってはならない。これは、肝炎の薬害の対策も含めて、しっかりとやっていただきたいということを強く要望して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

池田委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。私にいただきました二十分の中で、適宜御質問をさせていただきます。

 冒頭ですが、きょうの肝炎の訴訟団の団長の谷口さんのお話を聞いて、改めて、除斥期間というものの問題を強く私どもに提起されたように思います。たまたま三十九歳で発症されて、十九年目であったと。あと一年遅かったら、この法律から漏れる、ないし差別的な扱いを受けることになったということで、この点については、まだまだ今回の立法では、むしろこたえられていないものなんだと思います。

 冒頭、小宮山大臣に二つお伺いをいたしますが、七月二十九日に閣議決定がなされましたときには、この除斥期間ということについてはどんな論議がございましたでしょうか。

 また、私は、やはり除斥というのは裁判の論理であって、これまでの特措法、ハンセン病でもC型肝炎でも、立法はそれを乗り越える、一つの裁判の判断が法的な制約の中であるわけですが、実際に救済並びに特措法となれば、そこを超えて本当の救済に向かうべきである。これが立法府にいる者の役割であると思います。法文を見てもとても不自然で、除斥期間だけ括弧でくくられた法文の形をとっております。

 この二点についてお答えいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 先ほどの答弁でも申し上げましたように、まずその第一歩として、基本合意に盛り込まれたことを今回スタートさせていただきたい。そして、さらに除斥期間を超えた皆様が訴訟を起こされて、裁判所が仲介をすることによりまして、そちらも誠実に対応していきたい、そういう考え方のもとで、もう本当にここまでおくれてきているものを、まず第一歩を踏み出すという意味での閣議決定だったというふうに認識をしております。

阿部委員 後半の御質問はどうでしょうか。

 第一歩ではあると。それはそうでしょう。しかし、これまでの繰り返しの中で、要するに、立法府の意思として、裁判で定められた除斥というものを超えていかないと本当の救済にならないということですから、大臣並びに今政府におられる方はそのような意思を持ち続けておられるのか、それに向けて充実を図っていかれるのか、そこについてお伺いをいたしました。

小宮山国務大臣 それにつきましては、そうした御指摘も踏まえて、少しでも改善ができるように、前進ができるように努めていきたいというふうに思っています。

阿部委員 再度のだめ押しですが、この裁判にかかわった裁判長の異例の所感として、とりわけ最後に除斥期間の問題が争点となりましたが、立法措置の際には、改めて国会その他の場で討議していただいて、よりよい解決ということであります。

 今大臣がおっしゃったのは、閣議全体の意思と思っていいですか。この除斥期間を超えていかねばならない。だって、例えば、これは今、法制審などでも除斥期間そのものについて見直しということもあるわけで、今のままでは、今回の法律というのは、これまでの肝炎対策、C型も、あるいはあれだけ問題になったハンセン病の特措法をもはるかに下回るものになってしまいますが、政権の、政府の意思として、また閣議の場でそうした意思は確認されたということでしょうか。

小宮山国務大臣 前段の部分は、閣議決定したことについて、そういう認識だったと申し上げました。

 今改めて御質問いただいた部分につきましては、先ほどは私としての考え方を申し上げましたけれども、政権全体としてこの点についても今後協議をしていかなければいけないと思っておりまして、後段の部分は、内閣として、全体としての意思ということではございません、今のところはまだ。

阿部委員 大変残念なことであります。

 きょうせっかく参考人にお越しいただいて、血のにじむようなというか、非常に振り絞るようなお話で、聞いている者も切ない思いでありますから、せっかく政権交代して、国民の期待も高い政権であると思いますから、せめて期待にこたえるよう皆さんで御尽力いただきたいと思います。

 次の私の質問ですが、この法律は、肝炎ウイルスを集団予防接種によって体の中に持ち、その後さまざまな問題を抱えてこられた方に、なるべく、少しなりとも報いるためのものと理解いたしますが、この法律が本当に、全国民に対して、起こってしまった集団予防接種による被害をより救済に向けるために最も重要なのは検診の仕組みだと私は思います。早く見つけて早くフォローし、治療が必要な方は治療に向けることで、次の肝炎になるのを、進行をとめたり、あるいは肝がん、そして亡くなっていくということをとめられる、ここは一に検診にかかっていると思います。

 先ほど公明党の古屋さんの御質問でもありましたが、一体、果たして我が国の検診体制はどうなっているのかということで、手元に資料を配らせていただきました。

 「肝炎ウイルス検査・検診の推移」ということで、先ほど局長から御答弁がございましたが、二十一年度については、B型、C型肝炎ともに百万人単位で受診をされている。それは、百万人と誇っていい数値なのか、それとも、この検診の経過を見ると、実は検診の受診率は下がっていると思わねばならない、その認識がありや否やということを伺いたいんですね。

 この左端の方には特定感染症検査等、B型で約三十五万、C型で三十五万。そして、右に参りますと、これまで老人保健法や健康増進事業で検診を受けておられた方の数、B型、切り上げて約六十五万、C型六十四万として、このB型、C型おのおの足された数値を局長は御答弁でありました。

 しかし、よく見ていただきますと、これは前回も取り上げましたが、例えば平成十八年度は、これは専ら、今の後期高齢者ができ上がる前ですが、B型、C型とも約百七十万人の方が検診を受けておられました、ウイルスチェックを。今、局長の御答弁の百万人は、はるかにそれを下回る数であります。

 今の左側の特定感染症の検査事業でやっているものプラス今の健康増進法でやっているものを合わせても、従来の老人保健法あるいはその他の検診でやっていたものよりもはるかに少ないという実態がございますが、先ほど局長には御答弁いただきましたので、大臣は、これはどうごらんになりますでしょうか。

小宮山国務大臣 御指摘のように、やはり検診をしっかり受けていただくということが大事だというふうに私も思います。

 ただ、十八年のときにこれだけ多かった、それが減ってきているということなんですが、検診、これは一度受けて、そこで陽性でなければその後は受けないでいいというような仕組みになっているということもあるかとは思っています。

 ただ、御指摘のように、検診は必要な方にはしっかりと受けていただけるように、そしてまた、各自治体からも、検査結果を速やかに、陽性の場合は医療機関に受診するように呼びかけるなど、いろいろな対応を組み合わせてやっていく必要があるか、そのように思っています。

阿部委員 今の大臣の一点目の御答弁は、ある程度検診が普及して、ほとんどの人が受ければそれは減ってくるんですね。果たして我が国の検診状況はそのピークに達しているかどうかが認識の基本なんです。半減とは申しませんが、余りにも少なくなる。すなわち、今の国民にとって、検診総体の体制は従来よりもレベルダウンしているというのが実態であります。その中で、一刻も早く見つけるべき肝炎がなかなか見つかっていないのではないか。だって、本当に早く見つけてさしあげるということ以外にこれからできることはないわけです、既に感染でウイルスをお持ちであれば。

 そして、実は、この体制については、かつての老人保健法、そして今は健康増進事業に引き継がれたものにあっては、一応、感染率を表示してございます。すなわち、受診された方のどのくらいが陽性に出ているかということですね。これが、出していただきました数値で、一%から、高いとき、昔の方が高いと思いますけれども、一・六%くらいであります。

 私は、きのう役所の方に伺って、今の特定感染症検査等事業では一体どのくらいの陽性率ですかと伺いましたが、統計をとっておらないという御答弁でありましたが、局長、それでいいですか。

外山政府参考人 御指摘のとおり、この肝炎ウイルス検査のうち、保健所で実施しているものにつきましては国で陽性者の数の把握をしておりませんでした。ただ、各受検者に対しましては、保健所から検査結果を速やかに通知するとともに、陽性の場合には医療機関を受診するよう呼びかけるなど、適切に対応してきております。

 市町村で実施している事業の方はちゃんと陽性率を把握しておりますので、改めまして、保健所で実施する検査につきましても、国としての陽性者数及び陽性率について把握するように直したいと思っております。

阿部委員 ぜひ、そうお願いしたいと思います。各自治体任せでは、国の大きな政策ということが本質的な解決に結びつかないと思います。

 あわせてもう一点、検診体制についてですが、今、局長は、保健所でやっているものについてという御答弁でありましたが、個別に医療機関にお願いして、来たときに御希望されれば無料で検査ができる体制というのが二十一年度からたしか始まっていたと思います。これはC型肝炎のフィブリノゲン製剤のことに端を発して、よりよい検診体制をということでありましたが、この関係の予算は、実は、毎年毎年延長という形で、毎年毎年とっていくしかない形になっております。

 今回の立法で、五年間という期間を特に重要視して対策を打つわけですから、医療機関に個別に委託している無料の検査体制もこの法案の成立と伴って五年継続になさるとか、計画性を持ってやられたらどうでしょう。それをやっていてもなお、かつての検診数よりは少ないのですから、せめてそれくらいやっていただきたいが、大臣、いかがですか。

外山政府参考人 先生御指摘のように、断続的にやるというのはよろしくないと思っておりまして、ことし五月に定めました肝炎対策基本指針におきまして、このように重点的に市町村でやる検診につきましては、きちっと五年間という経過期間の中でやるというふうに記載してございまして、そのように努めたいと思っております。

阿部委員 確認です、大臣。

 そうおっしゃるのであれば、その検査事業自身も予算措置と計画性がなければできません、毎年、来年は予算どうかなとか心配しながらやるのでは。実は、今度のこの法律によって救済される、もともとの方が最も発見されやすい手段であります。その最も早く発見、発掘ですね、見つけて対処するための検診事業が、年度年度のどうなるかわからないものではやれない。

 ここは、大臣が政治家としての強い意思を持って、きちんと連続的な計画的な予算の獲得ということで、来年度は単年度ではない予算をかち取られるということの覚悟をお願いいたします。

小宮山国務大臣 厚生労働省は予算折衝をしなければいけない案件が残念ながらたくさんございますけれども、事の重要性というのは私もしっかり認識をしておりますので、最大限予算折衝の中でとっていけるように努力をしたいというふうに思います。

阿部委員 せめて、こういうことこそ閣議でしっかり主張していただきたいですね。この法律は、私は最初の一歩であると思います。まだまだ道は遠いけれども、本当の救済に結びつけるために、まず早期に発見なさるということです。

 あわせて、発見された後のフォロー体制ですね。例えば医療機関でわかる、それから保健所でわかるなどの後ですよ。

 先ほど来聞いておりますと、周知徹底には、例えばホームページがありますとか相談窓口がありますとかおっしゃいますが、発見されたウイルス陽性であった方、もちろん、それは予防接種によるものでないかもしれませんが、可能性がある一番有力な群ですね。この方たちに個別に積極的にこの情報を提示なさる、その仕組みの確立をお願いしたいと思います。

 今だと、データも集積していない、個人には教えました、そこで閉じてしまうわけです。たまたまその個人が新聞を見たとかなんとかで、谷口さんのように見つかればいいですけれども、そうでない、今こういう救済方法があるということにたどり着かない方がたくさんおいでです。局長、この点、どうでしょう。

外山政府参考人 私ども、先生と同じ問題意識を持っておりまして、そういうところを、潤滑油といいますか、きちっと橋渡しをしたり、あるいは啓発したりする中心人物のような者が地域で必要だと思っておりまして、そういったコーディネーターの養成を今年度から行っているところでございます。

阿部委員 大臣、ちょっと確認したいんですけれども、コーディネーターの養成は大変いいことです。でも、本当に、行政として、検診で上がってきたものをどう政策に結びつけるかということが一番欠けているんですね。やりっ放し検診では意味がないんです、その方の健康のためにも。

 これは、大臣としても、この点もなお力を入れて、陽性になった方に必ずこの救済法の情報が届く、そこまでは行政の責任であると明確にしていただきたいが、いかがでしょう。

小宮山国務大臣 御指摘のようなことがしっかりと実現できるように最大限努力をしてまいりたいと思います。

阿部委員 では、先ほどこれも古屋委員がお尋ねいただきましたので、B型肝炎ワクチンの接種については、やはり、百万とも百四十万とも言われるB型肝炎を抱えた我が国にとっては、国のいわゆる肝炎対策の根幹になるものだと思います。この点については、先ほど前向きな御答弁はいただきましたが、ただ、全体の予防接種の分科会等の作業を見ておりますと、まだまだ後回しでございます。すなわち、順番が。

 いろいろなものがあるからとは思いますが、その国の肝炎患者さんの発生率、そしてこれが我が国の場合は行政によって起こったことなどを考えると、この件は優先してユニバーサルワクチンに持っていく。すなわち、今までは母子感染を防ぐためとか、あるいは医療者とか、特に患者さんに、ありがちな方と濃厚に接触するような、私どもはみずから打っておりましたけれども、そういうのをセレクティブと申しますが、これは全体に打って、そして国民の抗体価を高めて、逆に、もし私がキャリアだとして、だれかにうつしてしまうのではないかという私自身が持つ不安を、それを、やはり全体の抗体価があれば、より軽減されると思います。

 このたびのこの患者さんたちあるいは原告団の皆さんは、なりたくてなったわけではない、でも、たくさんの負荷を抱えて生きていく、そのことにこたえる国の施策の大事な柱ですので、順番を上げるべく、大臣の意思でというか、ここをもう一押ししていただきたいが、いかがでしょう。

小宮山国務大臣 今、予防接種部会で、このB型肝炎ウイルスも含めて七つの予防接種をどう位置づけるか、その優先順位も含めて御議論いただいているところですけれども、そこの優先順位については私の方としても目配りをしていきたいというふうに思います。

阿部委員 あくまでも国策の一環として起こったこと、集団ですから、そのことにきちんと報いる体制をしいていただきたいと思います。

 以上で終わります。

池田委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうの委員会冒頭に、谷口三枝子さんの冒頭の陳述がありました。

 より重い症状で、より長く苦しんできた被害者が、逆に、低い救済しか受けられない、あるいは救済が受けられないということは、どう考えても理不尽だと思います。これまで提訴ができなかったのは、国が何らの措置もとらずに放置してきたからではないでしょうか。にもかかわらず、提訴が遅かったとして救済に差がつけられるようなことがあってはならないと思います。

 これに、いや違う、それは違うんじゃないか、こういうふうに言える人はいないのではないかと思います。国が何らの措置もとらずに放置をしてきたと谷口さんがおっしゃったその間に一体何がもたらされてきたのか、こういう話であります。

 本年七月二十九日の閣議決定では、除斥期間を経過した慢性患者を含む現在の患者数を四万五千人としておりますけれども、ここには内訳がありません。死亡、肝がん、肝硬変の重度、軽度、慢性肝炎、こうしたものの内訳についてはどうなっているのか、まずお伺いをしたいと思います。

外山政府参考人 現在の患者、死亡者につきましては、患者調査等をもとに医学的知見を踏まえて統計学的に算定したものでございまして、その内訳につきましては、死亡者は約五千人、それから肝がん、肝硬変の重度の方ですけれども、これは約二千人、肝硬変の軽度は約二千人、慢性肝炎は約三万七千人と算定しております。

柿澤委員 御答弁のとおり、死亡五千人、肝がん、肝硬変の重度、合わせて二千人、肝硬変の軽度二千人、慢性肝炎三万七千人ということであります。

 慢性肝炎三万七千人、こういう御答弁をいただきました。慢性肝炎患者は、発症時から除斥期間を経過した人は給付金額が四分の一以下の給付金額、一千二百五十万円に対して三百万円ないし百五十万円ということになっているわけです。

 厚生労働省は、昨年十月の原告、弁護団との交渉時には、予防接種による感染被害者である現在の慢性肝炎患者の数は二万一千人という試算を出していたということであります。そうすると、七月の閣議決定で、除斥を過ぎた慢性肝炎を含めて三万七千人と試算をしているわけですから、昨年十月現在の慢性肝炎患者として二万一千人、その差である一万六千人が発症から除斥期間を経過した慢性肝炎患者である、こういうことでよろしいか、お伺いします。

外山政府参考人 除斥期間を経過するか否かは、慢性肝炎発症時と提訴時との関係によることとなるため、あくまで一定の仮定を置いた値ではございますけれども、除斥期間を経過した慢性肝炎患者は約一万九千人と推計しております。また、具体的にどれだけの数が提訴をするかは不明でございます。そういうことでございます。

柿澤委員 今、お答えとしては、試算の数字としては一万九千人だ、こういうお話がありました。まさにこの一万九千人というのが、今回の法案で、本人の落ち度もないのに差別をされるということになるわけです。この一万九千人に対して政府は大きな責任を負っていると思います。

 小宮山大臣、先ほど来御答弁をいただいていますけれども、改めてこの点について御答弁いただければと思います。

小宮山国務大臣 再三答弁させていただいているとおり、今回は、まず第一歩として、その基本合意書に含まれているものの法案を提出させていただいた。その後また仮に裁判に提訴が行われた場合には、裁判所の仲介をもって、誠意を持って対応していくということで臨みたいというふうに思っております。

柿澤委員 平成十八年の最高裁判決に至る北海道の先行訴訟は、提訴から最高裁判決まで何年かかっていますか。まずお伺いしたいと思います。

外山政府参考人 B型肝炎訴訟の先行訴訟につきましては、平成元年六月三十日の札幌地裁への提訴から平成十八年六月十六日の最高裁判決まで、約十七年かかっております。

柿澤委員 約十七年ということであります。

 国の責任を認めた平成十八年の最高裁判決が出たわけですけれども、今回の全国裁判が提訴されるまでのその後の三年間の間、政府は予防接種の注射器連続使用の被害者につき調査や救済措置の検討というのを具体的に行ったのかどうか、確認したいと思います。

外山政府参考人 平成十八年最高裁判決におきまして、集団予防接種により感染したとするための要件が示されたわけでございますけれども、具体的にどのような証拠があればその要件に該当するかということは、この平成十八年最高裁判決の五人の原告の方のケースだけでは一般化できなかったわけでございます。

 このため、今回の和解協議におきまして対象者の要件が争点となっていたものでございまして、今回の和解協議により、初めてその決着がついたものと考えております。

 したがいまして、本年、国と原告との間で基本合意書を締結するまでは、感染被害者やその遺族の方々を認定するための要件が明らかではなく、被害者の調査や救済措置を講ずることは困難であったと考えております。

柿澤委員 今の御答弁は、要するに、国の責任を認めた最高裁判決が出てからこれまでの間、注射器連続使用の被害者について、調査や救済措置の検討というものは国としては行ってこなかったんだ、こういうことを言っていたということだと思います。

 結局、全国裁判の提訴から基本合意までのさらに三年もの間、政府は、国の責任が及ぶ範囲というのをできるだけ狭めよう狭めようとして裁判で争って、また、和解の話し合いでも、なかなか和解提案の全体像を出してこなかったわけです。

 結局、国の責任を問う平成元年の北海道訴訟が提起されてから本法案による被害者救済の道筋が曲がりなりにもつくまで、今まで、責任を認めようとしない政府の姿勢によって、約二十三年の歳月が流れてしまったわけです。それによって生まれたのが、先ほどの一万九千人の除斥期間を過ぎた慢性肝炎患者だったのではありませんか。

 この間、仮に先行訴訟が提起された時点で国の責任で救済制度をつくっていれば除斥の適用を受けずに済んだ、こういう患者が果たしてどれだけいると推計しているのか、お伺いをしたいと思います。

外山政府参考人 そもそも、B型肝炎に感染している方につきましては、母子感染や家族内感染などさまざまな感染経路があることや、感染しても自覚症状のないまま長期間経過する方が多いことから、個々の感染経路を医学的、疫学的に特定することは非常に困難でございます。

 また、平成十八年最高裁判決におきまして、集団予防接種により感染したとするための要件が示されましたけれども、先ほど申し上げましたように、具体的にどのような証拠があればその要件に該当するのかということは、平成十八年最高裁判決の五人の原告のケースだけでは一般化できなかったわけでございます。

 このようなことを踏まえまして、先行訴訟の最高裁判決や、後続訴訟における今回の基本合意書締結に相当の時間を要したところでございます。

 したがいまして、今回の基本合意書締結に当たりましては、所要額の算定が必要であったことから、現時点での患者数で見た推計は行っておりますけれども、御指摘のような条件設定をした仮定に基づく推計は行っておりません。

柿澤委員 外山局長、今、るる同じ御答弁を繰り返されているんですけれども、この間、これだけの期間が経過をして、その中で大量の除斥期間を経過した患者が生まれた、このことについて外山局長はどういうふうにお考えになられているんですか。そのことを私はお伺いしたいと思います。

外山政府参考人 肝炎になられた方をできるだけ早く救うべきだったと思っておりますけれども、今までの経緯を見ますと、平成十八年の最高裁判決までは、平成元年から国も争っていたわけでございまして、その前に手を打ってということはなかなかできなかったというふうに思っております。先ほどの一定の五人の方々だけでは具体的なルールが決められなかった。

 その後、C型肝炎訴訟もございましたけれども、多くのこういった地裁で集団訴訟がなされまして、そういった中で、初めてルール化が基本合意書で明示化されたということでございますので、我が方といたしましては、精いっぱい、そういった方々を早期に全体解決を図るために全力を尽くしてきたつもりでございますけれども、もっと早くできなかったかと言われれば、完全にそういうことではなかったと言い切れる自信はございませんけれども、精いっぱいやってきたつもりでございます。

柿澤委員 今の御答弁で、先ほど来小宮山大臣が御答弁をされてきたような、ある種の、患者の皆さん、原告団の皆さんに対する誠意というのが一部台なしになってしまった、私はこういうふうにも思います。国は争ってきたから、その間措置をとることはできなかったんだ、そういうスタンスでこの訴訟に臨んだということ自体がどうだったのか、今から見てどう総括されるべきなのか、このことをどう御答弁するか、これを恐らく傍聴席にいらっしゃる方々も聞きたかったのではないかというふうに思うんですけれども、ある意味では非常に残念な御答弁だったというふうに思います。

 今回、原告団の皆さんは、一律救済が約束されないままの和解の受け入れという苦渋の決断をした結果、今度は、今回の特措法を受け入れるか受け入れないかで二度目の苦渋の決断を迫られていると思うんです。原告団の中にも、患者さんの中にもいろいろな意見が出て、ある種分断をされかかっている。政府案がこうした患者間の分断をもたらしてしまっているということについて、大臣はどのようにお感じになられるでしょうか。

小宮山国務大臣 これまで、政府といたしまして、裁判所の仲介のもとで、一年以上にわたって誠実に和解協議を行ってきたと思っています。ことし一月と四月に札幌地裁から示された所見を原告と国の双方が受諾をして、この所見に基づいてことしの六月に原告の皆様と基本合意書を締結し、この問題の全体解決を図るために、今回、基本合意書の内容に沿った法案を提出いたしました。

 再三申し上げているように、これで一歩を踏み出すと。それ以外の方を全部排除するということではないと私は考えておりますので、また、今の除斥期間の問題でも、新たに提訴をされた場合には、裁判所の仲介のもとで、誠意を持ってそうした皆様にも対応させていただきたい、そのように思っています。

 先ほどの答弁にもありましたけれども、ここまで本当に長い間かかってしまったこと、その間、本当に患者の皆様には苦しみを与えてしまったことは改めておわびを申し上げて、今後可能な限り誠意を持って対応したい、そのように考えております。

柿澤委員 私は、せっかく法律に位置づけて被害者救済を行っていこうというんですから、除斥期間を経過した患者さんについても、大臣が、これが第一歩だから、この先があるからという答弁をしたからいいとか、附帯決議でくぎを刺したからいいとかいうことではなくて、差別的な取り扱いはしないということを法律的に明示をすべきだ、それが札幌地裁の裁判長所感の趣旨にもこたえることになるんだというふうに思います。

 その観点から、私たち、後ほど、本法律案の修正案をお出しさせていただくことを申し添えておきたいというふうに思っております。

 もう一つ、確認をしておきたいことがあります。

 今回の法案における症状別の給付金についてですけれども、和解の基本合意書では、症状の程度をどう判断するかということが非常に細かく書かれております。しかし、これを法律的に定めるのは、法律そのものではなく省令で定められる、こういうことになっているわけです。逆に言うと、省令の書きぶりによってこれが動き得るということになるわけでありますけれども、省令でこの基本合意書に書かれている症状別の基準というものがきちんと守られるのかどうか、ここは大事なところだと思いますので、その点、確認をお願い申し上げたいと思います。

小宮山国務大臣 政府としましては、一年以上にわたる和解協議の結果、原告の皆様と締結をしたこの基本合意書、これを誠実に実施するということをお約束しています。

 ですから、厚生労働省令では、病態等の基準について、この基本合意書の内容に従ってしっかりと規定をすることをお約束いたします。

柿澤委員 予定の質問は終わらせていただきましたので、質問は終わりたいと思いますが、今、傍聴席でさまざまな思いをめぐらせながら、この質疑を見ている方がいらっしゃるわけです。その後ろには、先ほど外山局長がおっしゃったような、本当に膨大な数の患者さんがいて、そしてその家族がいる、こういうことでありますので、これからの動きをさらに注視し、そして、患者さんの一日も早い、そして全面的な救済が進むよう、私たちも努力を続けてまいりたいというふうに思っております。

 質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。

池田委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

池田委員長 この際、本案に対し、岡本充功君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による修正案及び柿澤未途君から、みんなの党提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者より順次趣旨の説明を聴取いたします。岡本充功君。

    ―――――――――――――

 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岡本(充)委員 ただいま議題となりました特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法案に対する修正案につきまして、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の要旨は、政府は、平成二十四年度から平成二十八年度までの各年度において社会保険診療報酬支払基金に対して交付する資金については、平成二十四年度において必要な財政上及び税制上の措置を講じて、確保するものとすることであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

池田委員長 次に、柿澤未途君。

    ―――――――――――――

 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柿澤委員 ただいま議題となりました特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法案に対する修正案につきまして、みんなの党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 政府は、集団予防接種等の注射器の連続使用によるB型肝炎ウイルスの感染被害の迅速かつ全体的な解決を図るため、本特別措置法案を提出しました。

 その内容は、本年六月、国側と原告側が調印した基本合意書に即したものになっており、裁判上の手続によって認定された感染被害者に給付金等を支給する制度を創設するとともに、その財源措置を講ずるものとなっております。

 しかし、国がB型肝炎ウイルスの感染被害の拡大を防止し得なかったことの責任を認めたとしても、本法案には、除斥期間に関して看過できない問題点があります。たとえ、政府は基本合意書の内容を重く受けとめ、法制化したのだとこれを金科玉条のごとく言い募っても、発症後二十年を経過した被害者の救済に差をつけることは、国みずからB型肝炎患者に対して命の線引きをしたことにほかなりません。立法府においてこれを修正せずして何の意味がありましょうか。みんなの党は、このような観点から本修正案を提出することといたしました。

 修正の要旨は、お亡くなりになったときから二十年を経過した特定B型肝炎ウイルス感染者の相続人または肝がん、肝硬変もしくは慢性B型肝炎を発症してから二十年を経過した特定B型肝炎ウイルス感染者に対し、それぞれ二十年を経過していない者と同じ額の特定B型肝炎ウイルス感染者給付金を支給することに改めることであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

池田委員長 以上で両修正案の趣旨の説明は終わりました。

 この際、柿澤未途君提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。小宮山厚生労働大臣。

小宮山国務大臣 衆議院議員柿澤未途さん提出の特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法案に対する修正案につきましては、政府としては反対でございます。

    ―――――――――――――

池田委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法案、民主、自民、公明提出の修正案及びみんなの党提出の修正案に対して討論を行います。いずれも賛成しますが、政府原案に対しては、全面賛成とは言えません。

 B型肝炎訴訟は、国の加害責任を認めた二〇〇六年の最高裁判決で解決されているはずでした。原因がわからぬまま長く苦しんでいた原告らは、これで救済されると希望を持ったのでした。しかし国は、補償対象は札幌の元原告五人のみにとどめ、何も行ってきませんでした。そのために、新たな訴訟が立ち上がり、今日までさらに五年の月日を要しました。避けられるはずの死亡や重症化が進んだのです。合意内容は、給付額も値引きされ、除斥期間による線引きなど、本来なら受け入れがたい内容ではありましたが、重症患者が多い中、早期の解決を願い、苦渋の選択で合意に至ったものでした。

 しかしながら、出口の全く見えなかった昨年末からこうして立法までこぎつけたことは大きな成果であり、法案は全面救済への第一歩として成立させるべきと思います。

 その上で、六月二十八日の基本合意から既に五カ月、和解にこぎつけた方はわずかに四十名です。政府は、迅速な和解成立へ力を尽くすべきです。

 また、裁判長が立法措置の際にはよりよい解決をと期待していたにもかかわらず、基本合意から一歩も出ないばかりか、発症後二十年の除斥期間を経過した重症患者を給付の対象から外す規定が入れられたことは許しがたいことです。長く苦しんだ人ほど救済されないということがないよう、政府は真摯に対応すべきです。

 和解直後から、政府は増税が必要だと言い始めました。被害者のためと称して増税を持ち出すことは、今でも差別と偏見に苦しんでいる被害者と国民をさらに分断させるものです。原案は、根拠法となる所得税法の改定では財源の手当てができなくなり、修正を余儀なくされましたが、救済のためには増税やむなしという議論は、今後も絶対に行うべきではありません。

 最後に、被害者救済はまさに緒についたばかりです。肝炎医療の研究、体制整備や第三者機関による検証など、合意文書に盛られた恒久対策等の確立に向けて国の誠意ある対応を求めて、討論といたします。

池田委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法案、そして、民主党、自民党、公明党提出の修正案、みんなの党提出の修正案、三案につき、おのおの賛成の立場から討論をいたします。

 今日、日本におけるB型肝炎の患者数は約七万人、キャリアは百十万から百四十万人、うち数十万人が集団予防接種等の際の注射器の連続使用が原因であると推測されています。ウイルス性肝炎は潜伏期間が長いため、多くの持続感染者は感染を知らされないまま放置されているのが現状です。重度化を防げずに慢性肝炎が肝硬変や肝がんに進行した患者は、十分な治療体制や生活保障がない中で、過酷な闘病生活と高額な医療費の負担、社会的な差別、偏見に苦しんでいます。

 こうした中、血液製剤等が原因であるC型肝炎被害者の方々には、二〇〇八年一月から、特定C型肝炎ウイルス感染者救済特別措置法が施行されました。しかしながら、同じように医療行為を原因とする肝炎であるにもかかわらず、B型肝炎被害者の方々については、二〇〇六年六月に、最高裁が集団予防接種によるB型肝炎訴訟について、感染防止義務を怠った国の責任を全面的に認め、損害賠償の支払いを命じ、原告被害者全員の勝訴が確定したにもかかわらず、国は救済の立法措置に取り組んできませんでした。

 症状が悪化する感染者への救済は、一刻の猶予も許されません。本年六月、国がその感染被害の拡大を防止しなかったことの責任を認めること等を内容とする基本合意書が国と全国B型肝炎訴訟原告、弁護団との間で締結され、本法案に至ったことは大きな前進です。

 しかしながら、本法案は、発症後二十年を経過した被害者に対して大きな差を設ける内容となっています。より重い状態で長く苦しんできた肝硬変、肝がん、死亡した被害者も含めて、一律救済をすべきです。ハンセン病入所者や薬害C型肝炎被害者の救済のための特別措置法では、除斥を問題としていない、一律救済という内容です。除斥規定を適用せず一律救済を求めるみんなの党の修正案はこれに倣ったものであり、賛意を表します。

 B型肝炎訴訟は、集団防衛を優先する余り個人の健康が犠牲となった予防接種行政の積年の問題を明らかにしました。国は、みずからの過失を真摯に反省し、今後のワクチン行政、肝炎対策を大きく転換すべきです。加えて、検診体制の強化、医療・生活支援、原因究明と再発の防止、患者への差別、偏見をなくすための施策の充実を求めて、私の賛成討論といたします。

池田委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

池田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、柿澤未途君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、岡本充功君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

池田委員長 この際、本案に対し、和田隆志君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及びみんなの党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 私は、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及びみんなの党を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 不法行為の損害賠償請求権は、不法行為の時から二十年を経過すると消滅するが、そのような除斥期間を経過した集団予防接種等によるB型肝炎ウイルス感染被害者に対しても、真摯に対応すること。また、今後、除斥期間を経過した肝硬変、肝がんの患者等の感染被害者が提訴した場合には、基本合意書の趣旨、本委員会における厚生労働大臣の答弁等に照らし、裁判所の仲介の下で、誠実に協議するよう努めること。

 二 適正かつ迅速な和解の実現のため、厚生労働省における和解手続が迅速に行われるように、必要な人員の確保をはじめ、事務処理体制の整備に努めること。また、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給関係業務が迅速かつ円滑に行われるように、社会保険診療報酬支払基金の事務処理体制の整備を図ること。

 三 感染被害者を含む肝炎患者等が、不当な偏見・差別を受けることなく安心して暮らせるように、集団予防接種等によるB型肝炎ウイルス感染被害者が相当数に及んでいることを含む情報の提供、ウイルス性肝炎に関する正しい知識の普及など、国民に対する広報・啓発に努めること。

 四 集団予防接種等によるB型肝炎ウイルス感染被害者の救済手続に関する国民への周知、集団予防接種等の際の注射器の連続使用を含む様々な感染可能性を明示した上での肝炎ウイルス検査の勧奨、肝炎医療の提供体制の整備、肝炎医療に係る研究の推進、医療費助成等、全ての肝炎ウイルス感染者に対し、必要な恒久対策を引き続き講ずるよう努めるとともに、とりわけ肝硬変及び肝がんの患者に対する医療費助成を含む支援の在り方について検討を進めること。

 五 給付金等の支給を円滑かつ確実に行うため、必要な安定的な財源を確保し、毎年度、所要の予算を計上すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

池田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池田委員長 起立総員。本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 小宮山厚生労働大臣から発言を求められておりますので、許します。小宮山厚生労働大臣。

小宮山国務大臣 ただいま御決議いただいた附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重して努力いたします。

    ―――――――――――――

池田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

池田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十五分散会


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