衆議院

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第3号 平成25年3月19日(火曜日)

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平成二十五年三月十九日(火曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 松本  純君

   理事 上川 陽子君 理事 高鳥 修一君

   理事 棚橋 泰文君 理事 冨岡  勉君

   理事 西川 京子君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      大久保三代君    大串 正樹君

      金子 恵美君    小松  裕君

      古賀  篤君    白石  徹君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      高橋ひなこ君  とかしきなおみ君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      中谷 真一君    永山 文雄君

      丹羽 雄哉君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    三ッ林裕巳君

      宮崎 政久君    武藤 貴也君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      大西 健介君    長妻  昭君

      古川 元久君    柚木 道義君

      横路 孝弘君    足立 康史君

      伊東 信久君    新原 秀人君

      宮沢 隆仁君    伊佐 進一君

      輿水 恵一君    濱村  進君

      柏倉 祐司君    中島 克仁君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   厚生労働副大臣      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      北村 茂男君

   外務大臣政務官      あべ 俊子君

   文部科学大臣政務官    義家 弘介君

   厚生労働大臣政務官  とかしきなおみ君

   厚生労働大臣政務官    丸川 珠代君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 村中 健一君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   福田 淳一君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  矢島 鉄也君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  船橋 利実君     武藤 貴也君

  堀内 詔子君     中谷 真一君

  山下 貴司君     宮崎 政久君

  大西 健介君     長妻  昭君

  伊佐 進一君     濱村  進君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     堀内 詔子君

  宮崎 政久君     山下 貴司君

  武藤 貴也君     白石  徹君

  長妻  昭君     大西 健介君

  濱村  進君     伊佐 進一君

同日

 辞任         補欠選任

  白石  徹君     船橋 利実君

    ―――――――――――――

三月十九日

 戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予防接種法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

松本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、予防接種法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官村中健一君、財務省主計局次長福田淳一君、厚生労働省健康局長矢島鉄也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。白須賀貴樹君。

白須賀委員 自民党の白須賀貴樹でございます。

 まず、質問の場をいただき、心から感謝を申し上げます。

 私は、歯科医師として医療の現場で、また、保育園の福祉の現場、幼稚園の教育の現場で働いてまいりました。その経験をもとに少しお話をさせていただきます。

 まず最初に、国民の皆様方に理解していただきたいのが、医療というものは大変なコストと労力がかかる、このことを理解していただきたいんです。

 私も大学病院で、口の中のがん、いわゆる舌がんや歯肉がん、そちらの手術に携わってまいりました。

 皆さん、手術室というのは大変コストがかかるんです。滅菌や消毒、そして、全ての器材を滅菌パックに入れ、また、使い捨てになるものは全てディスポのものを使います。術着や患者さんをくるむ布、グローブ、注射針、さまざまなもの、それらを使い捨てにしますし、また、捨てるときにも、医療性の感染する廃棄物として処理にお金がかかります。

 また、術者も、医師や歯科医師、サポートする方は看護師さん、検査するには臨床検査技師さん、レントゲン技師さん、お薬を出すには薬剤師さんと、全てが有資格者の方々。そして、手術が終わった後も、二十四時間三百六十五日の体制でそれをサポートしなければいけない。医療というものは大変コストと労力のかかる現場である、そのように御認識をいただきたいと思います。

 そして、今回、予防接種法の改正の中で、いろいろなワクチンが導入されました。その中の一つ、例に挙げさせていただきますが、子宮頸がんのパピローマのワクチンでございます。これも大変なコストがかかるものでございます。このパピローマのワクチン、ワクチン代だけでも実費で三万六千円、これは三回接種でございますが、そのたびに注射針や注射器、そして技術料を含めますと、全体で約五万円ぐらいかかります。

 今回、このコスト九割を地方交付税とし、一割を実費の負担としてありますが、最近の風潮としまして、自治体ではワクチンの無料化が進んでおります。

 私は、この風潮は大変問題があると思っております。なぜならば、国民の方々が、この医療やワクチンに対してどれだけのコストがかかっているかがわからなくなるからです。

 今回、九割は国がしっかりと面倒を見る、一割分を、国民の皆さん、おたくのお嬢様のためにどうか実費負担をしてくれと強く訴えてもらいたいんです。

 そして、大変生意気でございますが、その一割分、五千円を集めたお金に対しての使い道を少し示唆させていただきますと、今回のパピローマのワクチンは、パピローマの16と18をターゲットにしております。子宮頸がんの原因、文献によって違いますが、五〇%から七〇%の原因にヒットします。つまり、最低でも子宮頸がんの半分の原因のリスクを軽減することができますが、逆を言えば、最高でも五〇%のほかの原因が残るわけです。

 つまり、子宮頸がんの検診をしなくていいわけではなく、また、ほかのSTD、いわゆる性行為によって感染する感染症、淋病とか梅毒とかエイズとかクラミジアとかC型肝炎等、さまざまあります。それらとはこのワクチンは全く関係ございません。つまり、このワクチンを接種したことによってそれらの病気が防げるという誤解を生んではいけないんです。従来どおり、やはりしっかりとした避妊具、コンドーム等の使用が一番効果的である、そういったことごとを子供たちにしっかりと説明をし、これから十年間でSTDを全て撲滅するんだ、それぐらいの思いで私は活動していきたい。

 そのための予算を新しく計上するのではなくて、今回いただく一割を、省令として、そういったものに全て使ってくれと。結果的に全て子供たちのために使えばいいんですから、ワクチンにかかるコスト、そういったものもしっかりと国民の方々に理解していただくためには、私は、今回一割分は必ず国民の方々に負担をしていただきたい、そのような思いがございます。

 それについて、とかしき政務官、お答えしていただけたらと思います。

とかしき大臣政務官 おはようございます。

 白須賀委員に御質問していただきまして、ありがとうございます。

 先生がおっしゃいますように、本当にそういった啓蒙活動がとても大切であります。ワクチンを打ったからといって全てこの病から解き放たれるわけではありませんし、日ごろの注意を怠ってしまうとやはり病にかかるリスクがあるということをきちっとお知らせしていくこと、それはとても重要だと思います。

 委員御指摘いただきましたけれども、費用負担の件に関しましては、今回の予防接種法で、個人負担、これは、経済的理由でその費用負担ができない方を除いて、実費を徴収することは今の法律上できることとされております。ただ、この徴収に関しては市区町村の判断に委ねられているというのが現状でございます。

 委員御指摘のこういった啓蒙活動に国としても積極的に取り組んでいきたいと思っておりますので、御意見を参考とさせていただきます。ありがとうございます。

白須賀委員 政務官、ありがとうございました。

 私は、前政権であります野田政権の野田総理を少し尊敬しております。やはり、国民の方々の一番耳に痛いところをしっかりとうたった、そのことに関しては、他党でございますが、私は心から敬意を表しておりますし、彼にできたことが私たちにできないはずがない。ですから、そういった国民の負担は絶対に求めていくべきだと思っております。

 最後になりますが、武力による侵攻、それを守ることだけが国防ではありません。未知のウイルスや未知の細菌から国民を守る医療も国防であることを強く訴えて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、予防接種法改正案について質問をしてまいります。

 私も、この六年間、予防接種法改正について取り組んでまいりました。多くの識者を国会にお呼びし、勉強会も重ねてまいりましたし、また、二十回にわたる国会での質疑も行ってまいりました。この改正案が、今国会に提出され、審議入りするということで、感慨深いものがございます。ワクチン後進国と言われてきた我が国のワクチン行政が、大きく前進をするものと高く評価をいたしております。

 まず初めに、風疹への対応についてお伺いをしたいと思っております。

 先月、二月の二十四日までに、全国の医療機関で風疹と診断をされた患者は千二十九人ということで、去年の同じ時期の二十三倍にも上っております。これは、予防接種の空白の時代があったということに起因をしているというふうに思います。ですので、今二十代後半から三十代前半の方々に、非常に発症が多くなってしまっているという現状でございます。

 都議会公明党がこの点を主張いたしまして、東京都では、区市町村に都が補助をしていくということを決めております。緊急対策として、都が予防ワクチンの接種を行う区市町村への支援を決めたということで、二分の一都が補助をするということを決めております。

 ぜひ、妊婦が風疹を発症すると非常にこれは影響が大きいということでもございますので、国としても適宜、通達などで周知されているとは思うんですが、さらに早急な対策をとるべきと思います。秋葉副大臣にお伺いをしたいと思います。

秋葉副大臣 古屋先生には、本当に長年にわたりましてこの問題に熱心に取り組んでいただきまして、まことにありがとうございます。

 質問の中でも御指摘がありましたとおり、大変ことしは風疹の流行が顕著でございます。特に、関東地方を中心に、大体、全体の五〇%が東京、そして八〇%が首都圏に集中している。そして、御指摘のとおり、患者の多くが二十代から四十代の男性。この方々を中心に、なお一層注意喚起を図っていかなければならないというふうに思っているところでございます。

 特に、御指摘がございましたとおり、先天性風疹症候群を予防する、特に妊婦の罹患をいかに抑えるかということが、中でもとりわけ重要になってまいると思っております。厚労省としても、ホームページやあるいは啓発ポスターの作成も、新しいものをつくりました。本当に、あらゆる手だてを講じながら、普及啓発に努めてまいりたいというふうに思っております。

古屋(範)委員 ぜひ、この大流行、風疹への対策に全力を挙げていただきますよう、よろしくお願いをいたします。

 それでは、本法案の質疑に入ってまいります。

 昨年五月でございました、予防接種部会の第二次提言で、子宮頸がんなど七ワクチンを予防接種法に基づく定期接種に追加すべきだという方針を決定いたしました。このうち、今回は、子宮頸がん、それから乳幼児の細菌性髄膜炎の原因になるHib、小児用肺炎球菌ワクチン、三ワクチンについて、来年度から定期接種化をしていくということになるわけです。四月一日からですので、もう目前でございます。

 この三ワクチンのみならず、今回は一類疾病全てのワクチンについて九割を交付税措置するということで、これは非常に画期的なことと評価をいたしております。

 予防接種部会の第二次提言で挙げられました、今、任意接種になっております、水痘、水ぼうそうと、おたふく、そしてB型肝炎、成人用の肺炎球菌ワクチン、この四ワクチンについても、早期に定期接種、A類疾病に定めるべきであるということを申し上げたいと思っております。

 成人用肺炎球菌ワクチン、これにつきまして、先日、我が党に長崎大学病院の河野茂病院長がおいでになりまして、現状をお伺いしたんですが、この接種率が低いということについて、高い接種費用に原因があるということでもございます。これをしっかりと接種していった場合に、費用対効果は五千百十億円という試算があるそうでございます。非常に大きな費用対効果があるというわけでございます。

 そこで、残された四ワクチン、この定期接種の実現に向けまして、ぜひ強力なお取り組みをお願いしたいと思っております。

 さらに、WHOが子供への定期接種を推奨しているロタワクチン、これに関しましても、定期接種に含める検討をぜひ早急にお願いしたいというふうに思っております。御見解をお伺いいたします。

田村国務大臣 今、古屋委員おっしゃられましたとおり、昨年五月の予防接種部会におきまして、第二次の提言をいただきました。広く、七ワクチンに関しまして、これを予防接種していく、定期接種化するのが望ましいというお話でございました。

 今回、そのうちの三ワクチンに関してはそれを実現したわけでございますが、残りの四ワクチンがまだ残っております。

 一つは、御承知のとおり財源の問題。これを全部という話になりますと、一千億円を超える総額の財源が必要になってくるわけでありますし、一方で、このワクチン定期接種化は、地方自治事務でございますから、当然、地方財源措置はするということが前提にあるにしても、やはり地方の負担というものが必要になってくるわけであります。そもそも、地方の自治事務ということもございますので、地方とのいろいろな議論もさせていただかなければならないと思いますが、大変重要な御指摘だというふうには思っておりますので、地方としっかりと検討しながら、また、財源をしっかりと確保するということを努力しながら、これから検討を進めてまいりたいというふうに思います。

 それから、ロタウイルスの方でございますが、これに関しましては、今現在、予防接種部会の作業班の中におきまして、この評価、検討をしておる最中でございまして、ちょっと進みがおくれておる点は申しわけないんですけれども、しっかりとここで議論をした結果を踏まえて、これからしっかりと対応をしてまいりたいというふうに思っております。

古屋(範)委員 全体で一千億ほど財源が必要ということですので、これは非常に大きな財源でございます。ぜひ大臣には今後頑張っていただきたいと思いますし、ロタウイルスの早急な検討もお願いをしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、ワクチンギャップの解消についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 これで大きく前進をするわけでございますが、やはり課題は残されております。ワクチン後進国からの脱却をしていくという意味におきまして、安定的な財源の確保、これは最も重要な観点であります。もう一つは、評価・検討委員会の組織の整備ということでございます。

 本法案の中でも、評価・検討組織について、予防接種部会を廃止して、厚生科学審議会のもとに新たに予防接種・ワクチン分科会を設置していくということになっております。これによって、今までよりも中長期的な視点に立った調査審議ができるということが期待されるわけなんですが、厚生科学審議会のもとの組織ということで、やはり厚生労働省のもとにある審議会という位置づけには変わりはないと思っております。

 ですので、これまでも主張してまいりました、米国のACIPのような独立をした、専門家、ワクチンを打つ側、また受ける側、ジャーナリストなども含めた、こうした中立的な機関をつくるべきではないか、日本版ACIPの創設について御検討をぜひお願いしたいと思っております。いかがでしょうか。

田村国務大臣 ACIPに対しても、いろいろとこれから我が省としても研究といいますか、どういうようなことをされておられるか、また、予算も持っておられるという話もお聞きをいたしておりますので、そういうことも含めていろいろと研究していかなきゃならぬのだと思いますが、今回は、今おっしゃられましたとおり、予防接種部会を、格上げをするような形で分科会という形にいたしました。

 そういう意味からいたしますと、今までよりもいろいろなことがしやすくなったことは確かでございますので、いろいろなことを決定する上において、時間をかけずに判断した上で決定していける、それを私ども、厚生労働大臣の方にお上げをいただけるというふうな形になるというふうに思います。

 あわせて、科学的ないろいろな知見に基づく審議をするために、国立感染症研究所、ここに関しまして、しっかりと協力を全面的に、今までも部分的に御協力をいただいておったんですが、今回は、この所長さんからも全面的に協力をしていただけるというようなお話もいただいております。

 こういうような全面的な協力も得ながら、ACIPを目指して、しっかりとした対応ができるような、そういう組織にしてまいりたいというふうに思っております。

古屋(範)委員 ぜひ、今後前向きな御検討をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 最後の質問になります。杉並区での子宮頸がんワクチンの副反応について、その事実確認、見解を問いただしたいと思います。

 先日、子宮頸がんワクチンで歩行困難などの重篤な副反応が報告をされました。三月十二日のテレビ報道でも取り上げられまして、御存じの方も多いのではないかと思います。この事実確認、そして厚生労働省の御見解をお伺いしたいと思っております。

 それから、もう一つ加えまして、これは、子宮頸がん征圧をめざす専門家会議、また日本産科婦人科学会等から要望をいただいております。昨日も、自治医科大学の今野先生を初め関係者がおいでになりまして、この件をお伺いいたしました。本法案の中で使われております子宮頸がん予防ワクチンの対象疾病名が、「ヒトパピローマウイルス感染症」と記載をされているということでございます。これを子宮頸がんという用語に変えるべきであるという強い御要望をいただいております。

 この二つに対して、厚生労働省の御見解をお伺いしたいと思います。

矢島政府参考人 御質問をいただきました杉並区の事例についてでございますが、医療機関から重篤な事例として報告を受けておりまして、全身が痛む症状の複合性局所疼痛症候群と担当の医師によって診断をされているというふうに聞いております。

 御指摘の事例も含め、子宮頸がん予防ワクチンの副反応につきましては、定期的に専門家による会議で評価をいただいておりまして、現在までのところ、これまでの発生状況を踏まえ、接種の中止等の措置は必要ないとされております。

 また、予防接種法上の対象疾病の名称についてでございますが、子宮頸がんは一般に感染症とは言わない扱いになっております。また、子宮頸がん自体は、転移によるものなど、ヒトパピローマウイルスを原因とするものだけではないということもございます。そういった事情を踏まえまして、子宮頸がんというよりも、ウイルスに起因する感染症を総称するヒトパピローマウイルス感染症というふうな名称が適当であるというふうに考えております。

古屋(範)委員 既に子宮頸がんワクチンはもう接種をしておりますし、これから定期接種化になっていくということでございまして、多くの方々がこのワクチンを接種することにより子宮頸がんを予防することができる、このことをしっかりと知らしめていただけるようにお願いしたいと思います。ヒトパピローマウイルスという名前ではなかなか理解ができない方々も多いかと思いますので、子宮頸がんワクチンを接種していく、それがまた定期接種化になるということをぜひ周知徹底、広報していただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 こうしたワクチンの副反応が大きく報道されまして、そうしたネガティブな面だけを強調するということは避けなければいけないと思っております。ワクチンから受ける健康被害があったとしても、必要なワクチンを受けないことによって生ずる健康被害というものも一方であるわけですので、こうしたメリットを私たちは重視していく必要があると考えております。

 被害の程度に応じて速やかにかつ十分な補償が行える制度の充実は、必要不可欠でございます。そうした意味でも、今回、この三ワクチンが定期接種化をされるということを非常に重要なことだと思っております。万々が一、こうした副反応があった場合、予防接種法による手厚い補償が受けられるということでございますので、この予防接種法改正案の一日も早い成立を期し、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 古屋先生、多分、持ち時間より若干早く終わられたんだと思います。ちょっとおくれまして済みません。

 きょうは、前回に引き続きまして、今度は予防接種法改正案ということで質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 前回は、超党派のイクメン議連の関連の質問で、大臣には非常に前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございました。きょうは、予防接種法改正、御答弁によってはちょっと厳し目のやりとりも申し上げることになるかもしれませんが、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 今般の予防接種法改正に当たりましては、御案内のとおり、民主党政権下でスタートいたしました子宮頸がん等のワクチン接種緊急促進事業が今年度末で終了する、そういった中で、本当に各党、先ほどの古屋先生もそうですが、それぞれの党の先生方が一生懸命取り組んでこられた中でのこの法改正ということでもございます。

 ただ、私どもも、党内で、私も座長を務めさせていただいてきたんですが、与党時代の医療・介護ワーキングチームというものが厚生労働部門会議の中にございまして、この中の予防接種法小委員会、ここで答申をまとめております。今の政府の提出法案とも近い部分が多々あるものではございます。

 ただ、やはり、この法改正の真のゴールというのは、ワクチン後進国と言われるこの日本、このワクチンギャップの真の解消であるはずでございます。そういったことから考えますと、もちろん、率直に申し上げて、私も、政権与党にいたころにできていれば最もよかったとは思っておりますが、しかし、じくじたる思いの中で、この段階での法改正である中で、一日も早い法案の成立については共有させていただいておるところでございます。

 ただ、率直に申し上げまして、今回の改正案、幾つかの点で、私は、もう少し田村大臣のリーダーシップで一歩二歩踏み込んだ内容になるのではないかと期待をしていた面もあるんですね。例えば、先ほど日本版ACIPの話もありました。評価、検討のあり方、あるいは国民の皆さんへの啓発あるいは教育などの視点、あるいはワクチン開発のビジョン、そしてまたワクチン価格の透明性、適正性の確保、このあたりなどは、もう一歩二歩踏み込んだ内容を正直期待しておりましただけに、私自身にも返ってくる言葉なのかもしれませんが、少し残念な感も正直あります。

 しかし、ポイントはきょうの質疑だと思うんですね。この予防接種法改正、確かに地方負担という点では、自治体の負担が大幅に改善されるスキームが今回導入されるということで、そういった意味では評価できる点もございますが、ぜひ、本当の意味でのワクチンギャップの解消に向けたやりとりをきょうはさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、法案の十三条、二十四条に規定がございます厚生科学審議会の権能について、先ほども少しやりとりがありましたが、私も関連した質問をさせていただきたいと思います。

 アメリカのACIPに倣って日本版ACIPを意図してということで、実は我々の最終提言にも、この予防接種部会を発展的に改組する、そういうまとめをしているんですね。まさに、その提言機能がどこまで自律性、実効性を持ち得るのか。

 そういった中で、我々としては、今回のこの法改正というのは、例えば、予防接種の適正な実施のために必要な措置について、この審議会が調査審議し、必要があると認めるときには、厚生労働大臣に意見を述べることができると法文に書いてあるんですね。ただ、ここで意見を述べることができるという意味です。審議会が意見したことを、大臣はそれをしっかりとやる、実施する、そういう意味で捉えてよろしいんでしょうか。

田村国務大臣 前回に引き続き、ありがとうございます。

 よく、政権交代というもので変わる政策と変わらない政策がありますよね。一番象徴的だったのが、自民党政権から民主党政権にかわったときに、児童手当が子ども手当に変わった。これは象徴的だったのかもわかりません。その後、また児童手当に戻りましたけれども。

 しかし一方で、思いが同じ中で変わらない政策というものもあるわけでございまして、今回のこの予防接種法の改正、これは、まさに民主党政権時代に法律のほとんどかなりの部分をおつくりいただいてきて、そして政権がかわった後に我々がそれを引き継いで、その思いというものを共有しながら、とにかくワクチンギャップを何とか解消しようという中において今国会に提出をさせていただいておるという意味では、非常に意義のある法律だというふうに私は思っております。

 そういう意味では、多分、理想を持ちながら、なかなかその現実の中で御苦労されてこられた与党時代の柚木先生の思いというものを、今吐露されたのであろうなというふうに受けとめさせていただくわけでございますが、なかなか、我々も、理想というものを持ちながら、現実の中で、大変じくじたる思いの中でこの法律を出しておるということは御理解をいただきたいというふうに思うんです。

 今のお話でございますが、当然、我々の方から意見を求める場合もあれば、審議会の方から、日々いろいろな情報を把握する中において、厚生労働省も事務局としてその中に関与しておるわけでございますから、自発的にいろいろな御意見というものを我々の方にいただくこともあろうと思います。

 そのときに、それを、全てそのまま厚生労働大臣が聞くのか聞かないのかという話なんだろうと思いますが、当然、いただいた御意見というものは大変重要なものでございますから、それをそのまま実施させていただくということもあるわけでありますけれども、一方で、諸般のいろいろな理由がございます。例えば、財政的な制約でありますとか、いろいろな問題があって、当然、そのまますぐに実行ができないというものもあるわけでございますから、そこは委員も御理解をいただく範囲の中において、いただいた御意見というものを私はお聞かせいただいて、実行してまいるということでございます。

柚木委員 ありがとうございます。

 まさに、しっかりとやるという場合と検討するという場合があるというお話がありました。

 その場合に、例えば、先ほどの古屋先生からもロタウイルスのお話もありましたが、今後、新たに接種化の対象になってくるべきものについてなど、新しいそういうワクチン承認プロセス、あるいは、先ほどの副作用、副反応等の話もあれば、正直、今回、定期接種化することによって、三種ですが、特に、地方自治体の中で交付税の不交付団体が、本当に本人負担が今と変わらない状況でしっかりと接種化を進めていただけるのか。つまり、一割もしくは無料という部分ですね。お金は出ないわけですから、そういうところには。

 東京都内、二十三区なんかではそういった意向だという調査もしていただいているようですが、全国的にどうなのかとか、いろいろな今後の課題が出てくるわけですね。

 そのときに、やはり、この審議会、そもそも開催の自律性、後ほど時間があれば伺いますが、そして、開催いただいたときに、ちゃんと大臣がそれを受けて、まさに、この後伺いたいのが、関係省庁との連携、関係行政機関との連携。つまり、財務省だったり総務省だったり、あるいは自治体だったり、そういうところとのやりとりが非常に重要、まさに実効性がどの程度担保されるのか、そこにかかってくるわけなんですね。

 したがいまして、私は、きょう、財務省、総務省の方にお越しいただいておりますので、お聞きしたいんですが、厚生労働大臣が、先ほどのように、しっかりと、例えば、対応する、やるんだ、そういう意思を持ってそれぞれの省庁との調整、自治体との調整に当たられる場合に、財務省、総務省、しっかり対応していただけるのかどうか、それぞれ簡潔に御答弁いただけますか。

村中政府参考人 総務省の村中でございます。

 先生御質問の点についてでございますけれども、今後、厚生労働省として予防接種法の対象となるワクチンの拡充を検討された場合、総務省としてどう対応するかというお話でございます。

 総務省といたしましては、その接種に要します費用の財源の確保でありますとか、あるいは、市町村におきます実施体制等について何らか整備が必要なのかどうかを含めまして、まずは、厚生労働省さんからよくお話をお伺いした上で、さらに、実施主体であります市町村の意見も踏まえながら検討させていただくということになるというふうに考えております。

福田政府参考人 ただいま御答弁がありましたとおり、新たな定期接種の追加といったようなことの検討につきましては、まず、厚生労働省において、関係府省や自治体関係者との間の調整を含め、よく検討していただく必要があると考えておりますが、そういったお話なり御相談があった場合には、関係府省含め、よく相談してまいりたいと思います。

柚木委員 それぞれ、厚生労働省、大臣を中心に、しっかりとした調整の上で、そういった働きがあったときには誠実な対応をしていきたいという御答弁だったと思うんですね。

 大臣、これを受けて、本当に大臣が、今回の三種だけではなくて、今後の四種、四種というのは、水痘、おたふく、成人用肺炎球菌、B型肝炎、そして、今検討されているロタウイルスなど、世界の国々で使えるワクチンが日本で使えない現状を埋めていく。

 もう三年、五年、もっとおくれているものはたくさんありますよね。そもそも、答申がもう何年も前に出ているものもある。WHOが推奨しているものもたくさんある。そういう中で、このギャップを埋めるというのは、ここは大臣がしっかりとリーダーシップを発揮して、単に、審議会を開いた、それは検討を聞きおくということではなくて、そのことに対しては、ギャップの解消はやるんだ、そういう決意が示されなければ、本当にこれは、権能を幾ら強化しても絵に描いた餅だと思うんですね。

 このギャップの解消のために、厚生科学審議会から上がってきた案件、本当にしっかりとリーダーシップを発揮して、関係省庁、自治体との調整をやるんだ、その決意をもう一回聞かせていただけますか。

田村国務大臣 このワクチンギャップという問題は、大変大きな問題だという認識はもちろん持っておるわけでありますし、今回、この法律で三つのワクチンが定期接種化をしますが、これ以外の、もう既に、既存の定期接種化されているものに関しても、総務省に大変御努力をいただく中で、九割の地方財政措置をとっていただいた。こういう意味からすれば、やはり、国を挙げて非常に強い思いを持っておるということは御理解をいただきたいというふうに思うんです。

 残りの四つ、それからロタ、これはどうするかという話でありますが、当然、これも御提言をいただいておりますから、それに向かって努力はしていかなきゃならないというふうに強く思っております。

 ただ、一方で、これはもう与党御経験のことでありますから、よく御理解されておられると思いますけれども、今言われたような地方自治体との調整も当然やらなきゃなりませんし、財源の確保ということも大きな課題であることは間違いないわけでありまして、そこにやはりめどをつけるということをしっかりとやらなきゃならぬわけでありまして、その大きな仕事に向かってこれから取り組んでまいりたいというふうに思っております。

柚木委員 ありがとうございます。

 決意のほどはお伺いできたわけですが、やはり、財源を含めた、そういう意味での壁というかハードルはあるということだと思うんですね。そこを踏まえて、ちょっと具体的に、今後の四ワクチンあるいはロタなど、さらに少し踏み込んでやりとりさせていただきたいと思うんですね。

 私どもの厚生労働部門会議の予防接種法小委員会での最終取りまとめには、実は、接種費用についてはかなり踏み込んだ提言をさせていただいております。

 例えば接種費用、今回、一、九というスキームが新たに導入されるわけですが、今後ふえていく三種以降の場合にも、現在よりも自己負担がふえないように地方自治体の財政を支援する。それで、今回については、年少扶養控除の廃止等に伴う地方増収分、そういったことも具体的に明記させていただきましたし、さらに言えば、社会保障と税の一体改革における消費税収の地方分、三分の一、もちろん、自治体の意思を尊重しつつとただし書きはしております。

 ただ、私も、実は、与党時代に総務大臣に直接質問をして、予防接種の、自治体側の、本人の負担を軽減すべく、地方消費税を充てるということに対しての質疑の中で、これは当然、自治体の判断の中で充当していただくことはできるんだという明確な答弁もいただいているんですね。

 ですから、財源については、そういった意味では、まさに地方消費税も含めて、これは本当に我々も応援しますので、しっかりと議論を深めていっていただきたいと思っておるんです。

 そういう中で、先ほど申し上げましたが、この四種についてなんですね、水痘、おたふく、成人用肺炎球菌、B型肝炎。これは既に予防接種部会でしっかり進めていくべきという提言がありながら、なかなか現段階では、接種化への道筋、スケジュールについて見えてこないところがあると思うんですね。

 大臣、私は、やはり消費税そのものが上げられるときが一つのタイミングだと思うんですね。そのタイミングに向けて、ぜひ、この四ワクチンについて定期接種化を目指すんだ、やるとまではおっしゃっていただくのは難しいかもしれませんが、目指すんだという決意ぐらいは言っていただかないと、本当にこの法改正は絵に描いた餅ですから。大臣、その決意をぜひお示しいただきたいと思います。

田村国務大臣 消費税の地方増収部分をどう使うかというのは、前政権のときにいろいろと各自治体と御議論をいただいて、基本的には、今委員おっしゃられたとおり、それぞれの地域、地方の自主性というものを尊重されるということであったのであろうというふうに思います。

 そういう意味からすると、国がこれに使いなさいとも言えないというのは、我々でいうと地方分権、皆様方の立場でいうと地域主権であろうと思いますけれども、その立場からいうと言えないということは御理解をいただけるんだというふうに思います。

 ただ、やはり、予防接種、これが大変重要だということは確かでございますので、御理解をいただくように努力はしていかなきゃならぬというふうに思っておりますから、御理解いただけるような努力というものは、これから我々真剣にやっていかなきゃならぬというふうに思います。

 その上で、御理解をいただけるというような共通認識を各地域がいただけるということ、これが前提でありますけれども、そうなるのであるならば、当然のごとく、もう一歩先へ進めるというふうに思っておりますので、そのような努力をしてまいりたいというふうに思います。

柚木委員 努力をいただきたい。それは本当に、今の御決意は伺ったわけですが、やはりポイントは、消費税が上がるときのタイミングなんですね。いつまでを目指すのかという点、努力はぜひいただきたいと思うんです。

 御承知のように、特にお子さんを対象とする水痘、おたふく風邪、もちろんほかもそうなんですが、世界の中では既にもう世界標準で使われているものが、まだ定期接種化されていないために、これは自費で、本当に大変なことですよね。ほかのロタや、あるいは、はっきり言えばポリオの不活化とか、これまでにもいろいろありました。

 一番の壁は、やはり自己負担なんですね。定期接種になるかどうか、任意のままかどうかなんですよ。この壁を越えていただかないと、本当に重い後遺症が残られて、私の地元にもおられます。お話も伺いましたよ。待っている方がいらっしゃるわけですね。そんな中で、では、いつになったらと。

 御決意はわかりました。しかし、消費税が引き上がるタイミング、これは一つのタイミングですよ。つまりは、二十五年度末を目指して努力をいただく。

 いつまでの部分に、ぜひ御決意をもう一言いただけませんか。

田村国務大臣 いつまでにというよりかは、不断の努力をしていかなきゃならぬというふうに思っています。

 もちろん、消費税というものの地方増収分だけに焦点を当ててこれを議論するのか、それとも別途国が財源を確保してやるのか、これも含めて議論をしなきゃならぬところでありますし、それぞれ地方にも国にも言い分があるというわけでございますから、それも含めて不断の努力を続けてまいるということで御理解をいただきたいと思います。

柚木委員 この後のロタウイルスの話も含め、もう一遍伺いますから、大臣、もう少しやりとりの中で、さらに本当に御認識を深めていただければありがたいんですよ。

 ロタウイルスも、先ほどの古屋先生のやりとりにありましたが、これは、御案内のとおり、ほとんどの乳幼児が五歳までに感染する。そして、これは本当に、脳症、脳炎の後遺症で半身不随。先ほどの私の地元のお話もそうなんです。このロタであったんです。

 私の娘の話で恐縮ですが、私の娘の場合は幸いそういう感染はしませんでしたが、私も受けさせたかったんですよ。ずっと待っていた。承認されたんですけれども、ちょうど、半年までに打たなきゃいけないということで、ぎりぎり間に合わなかったんですね。

 せっかく薬事承認された、しかしまだ、値段のこと、御存じですよね、このロタの部分。ちょっと失敗したら一万円ぐらいしてという話ですよね。ですから、やはり今後、定期接種化が重要なんですね。

 やはり、見通し、スケジュール。もう既にこれだけワクチン後進国としてのギャップがある。世界で使えるワクチンが日本で使えない。なぜなのか。そういう中で、今回の法改正なわけです。

 財源のお話があったわけですね。実は、ロタウイルスもそうですよ。導入コストが百億円程度。しかし、これは、定期接種化すれば、ほぼ一〇〇%に近い九〇%台後半、確実に防げるということがわかっている。そして、例えば成人用肺炎球菌などは、一定のスパンが、五年累積、費用対効果が五千億ありますね。そこも当然、私、費用対効果があると思いますが、例えばこのロタについてはその年から効果が出るわけですね。しかも、投入コストよりも高い医療費適正化効果が見込める。

 そういう中で、まさに財源、目先の財源が必要ですよ。しかし、その導入の年から投入コスト以上に効果が見込める、そういう中で、これはぜひ、先ほどの四ワクチンも同様ですよ。はっきり言えば、四ワクチンやこのロタも含めて、先ほど一千億円という話がありましたが、ちょっと余り例えがよくないかもしれませんが、例えば国土強靱化に事業費ベースで十年間二百兆、そういう話がありますね。しかし、一千億円、二千分の一のコストで子供や大人の健康や命を守れる、それをいつやるのか。まさに消費増税のタイミング、このときにやらずして、いつやるんですか。あるいは、それより前ならいいですよ、それより後になっちゃうんですか。

 亡くなっているお子さんもいらっしゃるわけですから、ほかの国では定期接種化されている、救えたかもしれない命があるわけですから、防げたかもしれない重い後遺症があるわけですから、これは、私どものじくじたる思いも含めて、確かにまた政権交代しましたよ、我々の力不足がありましたよ、でも我々はやりたかった、でもできなかった、だからこそ託して、こうして質問をさせていただいているわけですから、ぜひ、いつまでにやるんだ、二十五年度末を一つの目安に頑張るんだ、そういう御答弁をいただけませんか、大臣。

田村国務大臣 まず、ロタに関しましては、もう御承知だと思いますけれども、本来、二十四年中に評価、検討して一定の方向性をという話だったんですが、ちょっと延びておることは申しわけなく思っております。やがて、これに関しましても結論が出てまいると思います。

 それも踏まえて、それ以外の四ワクチンに関しては、定期接種化の方も予防接種部会の方からお話をいただいておるということでございまして、こちらが優先されていくんだろうというふうには今のところ思っております。

 いずれにいたしましても、今、国土強靱化の話が出ました。ちょっとこれとはまた違う話でありまして、二百兆円というお話も、正式な場で言っておる話でもございませんから、幾らなのかということも含めて、これはこれでまた政府の中でいろいろな検討があるのでありましょう。ある意味、きょうも新聞発表されておられましたけれども、東南海・南海・東海地震が起これば二百二、三十兆円ですか、被害が予想されるというような話の中で、そちらはそちらで必要があれば、ある程度防いでおれば被害が少なくて済むというような話でありますから、必要なものは必要なものであるんだと思います。

 それから、厚生労働行政に関しましても、一方で、障害者予算も伸びています。これはこれで必要な部分であります。それから、これから議論する中で、例えば難病に関しましても、しっかりとしたこれから法改正を進めていかなきゃいけないという準備の中で、当然、これに関してはお金がかかってくる、財源を確保していかなきゃいけないという問題もあります。

 でありますから、それぞれの分野で必要なもの、必要な財源というのはあるわけでありまして、そういう中において、この予防接種行政に関しましても、必要だということを皆様方に御認識いただく中で財源をしっかり確保していかなきゃならぬという話でございますから、いろいろなものがある中で、特に厚生労働行政の場合は私の担当でございますから、それぞれ進めていきたいんですね。

 ただ、一方で、財源という制約があるというのは御承知のとおりでありまして、これが一番で、これが二番というのはなかなか言いづらい部分があります。その中において、国民の皆様方のニーズがどこにあるのか、どれに優先順位をつけなきゃいけないのか、予防接種の中でもどの優先があるのか、こういうことを一つ一つ考えながら進めていくということが必要でありますから、今委員からいただいた御発言といいますか御意見、その趣旨も十分に踏まえながら、これからこの予防接種行政の方を進めてまいりたいということでございます。

柚木委員 大臣のお気持ちもお考えもよくわかります。ただ、私も、あえて費用対効果のところにも言及をさせていただいているわけですね。

 今、ロタの例を申し上げましたが、きょうはちょっと資料を配付いただけていないんでしょうか。

 一枚目の資料を見ていただくと、ロタにかかわらず、今回適用になる三種以外のものについての追加の接種費用、それから、まさに回避される社会生産性損失。先ほどのロタでいえば、御家族も感染され、それこそ保育園、幼稚園などが閉鎖される、親御さんも仕事を休まれる、大変な労働、社会損失なんですよ。成人用肺炎球菌についても、五千億円を超える適正化効果。

 まさに、財源は必要ですが、それ以上の費用対効果が見込めるという中で、お金はかかるけれどもその先どうなるかわかりませんよという話じゃないわけですから、これは、ちょうど財務省と総務省もおられますが、私も財務政務官を末期政権でやらせてもらいました。それは大分やりましたよ、主計局と。大臣、診療報酬改定、介護報酬改定も、当時、党内責任者をやらせてもらいました。本当に財務省と、主計局の皆さんとその後一緒に仕事をするとは思いませんでしたが、戦いましたよ、党内でも。正直、賛成派ばかりじゃなかった。でも、やはり誰かがそこをやらないと、そして、やることによって進む話。報酬改定もマイナス改定と直前まで言われていましたよ。

 やはり、思いのある、志のある、厚生労働委員の皆さんみんなそうですよ。ほかの部門の方は御存じない方もおられるかもしれない。でも、このメンバーが中心になって、そして大臣の背中を後押しして、この間も超党派の予防接種の勉強会を開かせていただいた。全党から御参加いただきましたよ。そういうこの厚生労働委員会で、大臣が戦わずして誰が戦うんですか。

 財源の壁、一緒に乗り越えていきましょうよ。そして、消費増税のときが一つのタイミング、その認識は、大臣、ここでお示しいただかないと、本当にワクチンギャップは解消できませんよ。その決意をもう一言、消費増税のタイミングというのは一つのタイミングだという認識を本当にお持ちですか。ぜひそこをコメントいただけませんか。

田村国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、このワクチン行政、予防接種行政を進めていかなきゃならないという強い思いは私も持っております。財源もしっかりと確保していかなきゃならないという思いは持っております。

 ただ、一方で、費用対効果というものを、本当に今言われたような経済活動だけで捉えていいのか。厚生労働行政の中にはほかにもいろいろなものがあります。経済的な評価だけで出ない、そういう効果もあるんですね、ほかのいろいろな分野において。

 だから、それを差しおいて、犠牲にするということもできない。それぞれのものがある中において、これも進めていかなきゃならぬわけでございまして、そこのバランスは考えながらも、しかし一方で、今、喫緊の課題として、この予防接種行政というものが大変重要な位置づけにあるということは十分に認識をいたしております。

 消費税増税というお話がございましたが、消費税増税の使い道は、もう御承知のとおりでありまして、いろいろなものに使われるということは、もう御党の政権運営の中で大体決まっておられるわけであります。それをそのまま引き継ぐわけじゃありませんよ、我々は。そのまま引き継ぐわけではありませんけれども、あれも必要だ、これも必要だ、それも必要だというのは、ある程度目鼻が立っているわけであります。その中において、これを必ず入れていくということが本当にできるかどうかというのは、ここでなかなか申し上げづらいということは御理解をいただきたい。

 しかし、それも一つの大きな大きな機会であるという認識は持っておりますので、その上で努力をしてまいりたいということでございます。

柚木委員 今、一つの機会だ、そういう御認識をおっしゃっていただきました。

 本当に大きな機会だと思うんですね。これを逃しては、この間の積み上げてきた議論、そして政権がかわった、大臣が先頭に立ってやるというこのタイミングで、やはりその機会を逃したら次はない、それぐらいの認識で、我々も後押しをしますから、大臣、ぜひそこは先頭に立って取り組んでいただきたいと思うんですね。

 そのための一つのツールを次の質問で申し上げたいと思うんですね。これは、ワクチン価格の透明化、適正化のための調査についてであります。

 今回、国費として、この一、九という、三割から九割、ドラスチックに引き上げられるわけですね、国費の負担分が。そういった中で、御案内のように、これまでは自治体ごとに、価格交渉に本当に努力をされて、ワクチンの製剤納入価格、手技料などに差があるのも事実ですね。もちろん自治体の努力というものもあるわけですが、しかし、国費を九割投入するという段になって、やはりそこまで自治体ごとのいろいろな違い、ギャップがあるのはどうなのかという議論もあるわけです。

 そこで、我々党内の小委員会でも、このワクチン価格の適正化、あるいは問診料なども含めて、これはしっかりと明記させていただきました、問題認識を。厚労省の予防接種部会でも、このワクチン価格などの実態を把握する措置を講じ、価格調査や委託契約価格などの実態調査をするよう提言しているわけですね。

 大臣、この調査は今どうなっているのか。そして、では、その調査結果がいつまでに出てくるのか。その結果として、ワクチン価格、委託契約価格などの水準のあり方、公平性、公正性の観点からどのようなものを考えているのか。ぜひ、調査の期限も含めて、お答えいただきたいと思います。

とかしき大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 ワクチン価格の実態調査の必要性につきましては、昨年五月の予防接種部会の第二次提言で御指摘いただいております。そのために、平成二十五年度の予算案で約一千六百万円を計上させていただいております。そして、七月から八月をめどに調査が実施できるように、今準備を進めているということでございます。

 以上です。

柚木委員 七月から八月とありました。まさにこれは微妙な答弁ですね、七月から八月。これは七月ぐらいまでには終了しないと、まさに今大臣の熱い思いをお聞きして、四ワクチンあるいはロタ、今後、きょう財務も総務もいらっしゃっているわけですね、省庁間の調整も必要ですね。財源の調整が必要になってくる。そういう中で、この価格調査とかが、しっかりとベースがなければ議論できないじゃないですか。七月か八月、微妙なんですよ、本当に。

 ちゃんと、来年度の予算、概算要求を含めて、そこに反映をされる、間に合う、そういう調査の集約という意味で、ちょっと待ってくださいよ、きょう、矢島局長、おられますね。我が部門会議で、これはしっかりやると明言されましたよね、法案審査の前に。その言葉に偽りがないかどうか、ぜひ御答弁いただけますか。

矢島政府参考人 今御指摘をいただきました調査につきましては、今御審議をお願いしているところでございますが、二十五年度の予算案におきまして約一千六百万円を計上しております。予算が通りましたら、なるべく早く我々も調査を実施したいというふうに思っていまして、今、七月から八月をめどに調査が実施できるようにということでございますが、調査が開始できましたら、なるべく早く調査結果が出るように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

柚木委員 なるべく早く出るようにでは私の質問に答えたことにならないので、これはもう大臣にやはりどうしても……(発言する者あり)ちゃんと議論を踏まえて、ちゃんとしますから、採決は。委員長、ちょっと静かにしていただくようにお願いできませんか。このやりとりが重要なわけです、判断の。

 ぜひ、来年度の予算に間に合うスケジューリングで、大臣、御指示いただけませんか。

田村国務大臣 なるべく早くというふうには言いますが、まだ予算も通っていないわけでございまして、予算が成立しない限りは、調査が実質的に動いていかないわけですね。そこの物理的な部分もどうか御理解をいただく中において、予算をなるべく早くお通しいただきますようにお願いいたしたいと思います。

柚木委員 予算が成立した暁には、ぜひ、本当に来年度に間に合うスケジューリングも想定していただく中でこれをやっていただく、そういうことでもう一遍確認をお願いします。

田村国務大臣 いいかげんな調査はできないですよね、やるからには。やるからにはちゃんとした調査をやらなきゃならぬと思います。それにどれぐらいの時間がかかるかというのは、ちょっと私も事務方とよく相談してみなきゃわかりませんが、なるべく早くやるようには、これは指示はいたしたいというふうに思います。

柚木委員 なるべく早くやるように指示ということでありますので、ぜひそこは、本当に見据えた形でやっていただきたいと思います。

 あと、先ほどの質疑にも少しあったんですが、適正な情報提供のあり方、これも本当に重要だと思います。HPVワクチンのあの杉並区のお話も含めて、私からも具体的に少し提言申し上げたいんですが、まさにその子宮頸がんのワクチン、CMがずっと、特に震災の直後、流れていたと思うんですよね。皆さんも、一日に本当に、多分何十回となくごらんになったと思うんですよ。

 ただ、あの記憶の中で、私の記憶違いでなければ、やはり、その後の婦人科検診の必要性などについて十分に訴求されていたかどうか。私は、正直、ごめんなさい、自分が本当にもう少ししっかり真剣に見ていたらそういうメッセージがあったのかもしれませんが、そこを十分に認識、記憶ができていないんですね。

 ですから、今回、杉並区のああいう例が起こってしまっているわけですね。この政府広報、CMのあり方などについても、ぜひ、例えば子宮頸がんワクチンについても、これを受けることでウイルス感染への効果があったとしても、子宮頸がんそのものへの効果となると、いろいろなまだ議論もあって、この後に質問があるかもしれません、その後の婦人科検診なども含めてしっかりと防いでいくというような、やはり政府広報の内容、その部分についても精査をいただく。そして、その精査をいただくことを、省内でしっかり、関係部門で協議をいただく。

 特に、HPVワクチンの場合は婦人科の受診率三〇%前後という状況ですから、これは、ぜひ国民の皆さんへの啓蒙だけではなくて、関係の職種、自治体、あるいは医療職などなど、しっかりと、特に婦人科検診の重要性について御認識をいただくべく、さっきのCMはちょっと私の主観かもしれませんが、一つの例として申し上げましたが、この受診率向上の具体策を御検討いただきたいと思うんですよ、大臣。

 具体策、中身はこれから検討いただいて、それをぜひ検討するということのお考えをお示しいただけませんか。

田村国務大臣 まさに委員おっしゃられますとおり、特に子宮頸がんワクチンに関しましてもそうなんですけれども、十分に伝わっていない部分はあろうと思います。

 そもそも、もうヒトパピローマウイルスに感染をされておられれば、これは効き目がないわけでございます。決して、これを接種すれば子宮頸がんが全て防げるというわけではないというのは、もう御承知のとおりでありますから、そういうことも含めて御説明はしていかなきゃならぬと思います。あわせて、予防接種のときの予診のときに、保護者の方々に、どういう効用があって、一方でどういうような危険性があるか、それは副反応ですね、こういうふうなことの情報もしっかりと伝えていかなきゃならぬと思います。

 あわせて、言われますとおり、どうやって検診を受けていくか。これを広めていくために、何をどのような形で進めていけば検診率が上がるかということも含めて研究をさせていただきながら、普及ができるように努力をしてまいりたいというふうに思います。

柚木委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 最後にいたします。

 先ほど、定期接種化というお話を何度も申し上げました。国費が九割に上がりました。

 最後に、ぜひ伺いたいんですね。

 きょう、別に変な意味ではないんです、資料をちゃんとおつけしたのは、自民党さんの女性局の中でも、政策の中でちゃんと明記されているんですね。「いざという時を守る「医療」」「子宮頸がんや子供を守るためのワクチンを国の負担で。」と、「国の負担で。」と書かれているわけですね。もう揚げ足取りはいたしません。「バラマキよりも子供たちによい環境を作ります。」と書いているわけですね。

 ぜひ、国費でしっかりと今後の定期接種化のスキームを進めていただくということの確認と、そして、その際のツールとして、さっき幾つか申し上げましたが、これは予防接種法ですが、例えば予防接種を医療保険の中で位置づけるようなもう少し大きな視野の中で、健保法、医療法ですね、本当にこの予防医療、予防接種、どう位置づけるのかも含めた議論を、この検討会も含めて、大臣の中でお考えをお述べいただいて、最後の質問にしたいと思います。

田村国務大臣 まず、この自民党のリーフレットといいますかパンフレットなんですけれども、これは多分、それまで定期接種化されていない中で全く財政的な根拠がないということで、まずは国がしっかりと国庫負担をして、ちゃんとした予防接種というものの位置づけをつくっていこうという中で、その後、民主党政権の中において基金事業という形で実現をされたという意味で、一応、我々が目指したところというのは、第一段階はクリアできたのであろうという認識だと思います。

 その上で、次へ、要定期接種であったわけでありますから、さらにここから一歩進んで定期接種化を果たしたという意味では、これは過渡期の国の負担という意味でのことであろうというふうに私は認識をいたしております。

 定期接種化した上で、国庫負担という話になりますと、これはちょっと、自治事務でありますから、地方自治事務という枠組みを変えなきゃいけないという議論になってこようかと思います。果たしてそこまで大きな話をどうするかという議論は、ちょっと私は、今この時点ではまだコメントができる状況ではございません。

 あわせて、健康保険に位置づけるかという話は、これは多分、厚生科学審議会だけの話ではなくなってくると思います。今までの健康保険というものの概念を変えなきゃいけないという話、言うなれば保険者の負担もかかってくるわけでございますから、国だけの負担ではないということも踏まえて、大きな議論になりますので、これはまだまだ国民的な議論には、そこまでいっていないのではないのかなというふうに私は認識をいたしております。

 いずれにいたしましても、財政的にどういう措置をするかということも含めて、これから幅広に議論はさせていただきたいというふうに思います。

柚木委員 終わります。ありがとうございました。

松本委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 前回の所信に対する質疑に続きまして、質問の機会を賜り、ありがとうございます。

 本日のこの予防接種法の改正案、言うまでもなく、大変重要な法律案でございます。私は、本来であれば参考人質疑等も行うぐらいの法律案ではないかなというふうに思っておりますが、日切れ扱いということで窮屈な審議日程になっておりますが、しっかりと質問してまいりたいというふうに思っております。

 ただ、今、古屋委員あるいは柚木委員から質問があって、重なっている部分もありますので、その部分は整理をしながら質問を進めてまいりたいというふうに思っております。

 まず、今回の法改正、私も、正直に申しますと、中身を見て少々がっかりいたしました。

 思い返せば、平成二十一年の十二月、予防接種部会の初会合の場で、当時の上田健康局長はこのように言われております。不退転の決意で大改正に取り組んでいく。

 また、この委員会でも、古屋委員が繰り返しこの予防接種の問題を取り上げておられましたけれども、民主党政権においても、当時の大臣はそのたびに、抜本的な改正ができるように最大限の努力をしてまいりたいという答弁を行ってまいりました。

 そういう意味で、私は、今回の法改正というのは、予防接種部会の二次提言の一部しか盛り込まれていない、抜本改正というにはちょっと寂しい内容になっているんじゃないかなというふうに正直思っております。

 ただ、この点については、先ほど柚木委員から大臣にも質問されました。大臣も、理想と現実のギャップという御答弁をいただきましたので、改めて答弁を求めることはいたしませんけれども、私の正直な感想として、これは抜本改正というにはちょっと寂しい内容じゃないかなということは、再度申し上げておきたいというふうに思います。

 その中で、これも重なる部分でありますけれども、二次提言の中で七つのワクチンについて定期接種化を求めていた、ところが、今回は三ワクチンの定期接種化にとどまっている。そういう中で、ワクチンギャップは今なおまだ解消されないというところが、やはり一番大きな問題だというふうに思っております。

 この点についても、先ほど柚木委員から、消費税率引き上げの時期、これが一つのタイミングになるんじゃないか、大臣から思い切って前向きな答弁をいただきたいということを繰り返し問われておりますけれども、先日、金曜日のこの委員会でも、たしか自民党の豊田委員から質問があって、秋葉副大臣が御答弁をされています。そのことは新聞等にも記事になっていました。

 新聞等の記事ではどう書いてあるかというと、残りの四ワクチンを定期接種化すると一千百億円の予算がかかるけれども、この財源の問題を何とかクリアして、そして四ワクチンの定期接種化を前向きに検討していきたいと副大臣が答弁したということがニュースになっているわけです。

 そういう意味では、前向きに検討するというのはいつまでかということは、私も、これはある程度めどというのを、絶対に、そう言ったから、できなかったじゃないかと我々言うつもりはありません。やはり、いつまでにはやりたいという思いを述べていただきたいなというふうに思っております。

 これも柚木委員と重なるところですけれども、我々も反省をしている部分があります。例えば、先ほど来申し上げている予防接種部会の初会合、当時の足立政務官は、ワクチンギャップに二十年のおくれがあるけれども、一気に厚生労働行政を推進して、予防医療を主眼とする医療に移行したいと私自身は思っている、こういう強い決意を語られたわけです。ところが、今回も四つのワクチンが残ってしまっている。

 秋葉副大臣から、これについては前向きに検討すると言っていただいていて、それが報道にも上がっているわけですから、いつまでにやりたいということを、柚木委員と重なる部分でありますけれども、改めて御答弁をいただきたいと思います。

秋葉副大臣 きょう、田村大臣からもたびたび答弁をさせていただいておりますとおり、気持ちの上では、そういうめどがつけば、早目に実現をしたいということであろうと思います。

 ただ、自治体の負担の分ももちろんございますし、関係自治体との協議、また関係省庁との協議を十分踏まえた上でということになりますけれども、財源措置の見通しができれば、我々としてもしっかりと早期に実現をしたいということで答弁をさせていただきました。

 私、ちょっとその新聞報道はまだ拝見しておりませんけれども、今回も九割、交付税措置が実現したというのは大きな前進であろうと思っておりますので、今後とも、関係省庁、各自治体としっかり協議をしながら、必要な財源措置のめどがつき次第実現をするということが理想だろうというふうに思っております。

大西(健)委員 まさに早期にということで報道でも上がっていますし、今も早期にということで言っていただきました。早期というのは、やはり私は、普通に常識的に考えれば、三年も四年も先ということではないというふうに思いますので、ぜひとも、そこは我々も協力をしたいというふうに思いますので、前向きに御検討をお願いしたいというふうに思います。

 それから、先ほどもお話が副大臣からもあったように、やはりネックになるのは財源なんですね。財源についても、きょうの委員会でも繰り返し質問が行われておりますけれども、今お話のあったこの九割負担、いろいろな考え方があるというふうに思いますけれども、今まで、この基金事業については九割負担になっていた。ただ、一方で、一類疾病の定期接種については、費用を市町村が支弁をして、そして、被接種者から実費徴収することができない部分に相当する、全費用の大体二割ぐらい、これを地方交付税で措置をしていた。

 しかし、実際には、ほとんどの市町村は、一類疾病の定期接種についても実費徴収を行わず無料化してきたのが実態であった。ですから、その実態に合わせたというところがあるんだというふうに思います。

 本来は、市町村の財政的な基盤のいかんにかかわらず、また被接種者の経済状況のいかんにかかわらず、誰もが予防接種を受けられるというのが、これが理想の姿だというふうに思います。

 そういう意味では、今回、地方交付税で費用の九割が措置をされるということは、自治体の財政負担を軽減するということで、一見望ましい、一見と言うとちょっと語弊がありますけれども、望ましいことだというふうには思います。

 しかし、そうすることによって、今後、先ほど来お話が出ている四ワクチン、あるいは、さらにそれに追加して定期接種化をしていくために、私は、財源のハードルがかえって上がってしまっているんじゃないかというふうに危惧をしております。

 さらに言えば、今回、財源としては、三大臣合意に基づいて、年少扶養控除の廃止による地方の増収分をこれに充てているわけです。ところが、自民党の政権公約のJ―ファイル二〇一二には、年少扶養控除は復活させる、こうはっきり書いてあります。一体、今後どうやって財源を確保しようとされているのか。

 先ほど申し上げたように、秋葉副大臣も、財源を確保して、四ワクチンは早期に定期接種化をしたいというふうに言われましたけれども、年少扶養控除の復活というのは、持続的な財源確保とは矛盾している部分があるんじゃないかというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。

秋葉副大臣 私たちは、確かに、御指摘のとおり、J―ファイルには年少扶養控除の復活ということを書いておりますけれども、これを実現するとなりますと、やはり地方自治体との協議というものも出てまいります。

 ワクチン行政というのは、第一義的には基礎自治体が中心になってやるということが前提でございますので、私どもがそこに明記したからそのままそれが実現するということではないと思っております。実施主体者である市町村の御意見を十分承りながら、これから進めていくということが大事なんだろうと思います。地方財政への影響というものも十分に考慮して、総合的な見地から判断されていくものだというふうに認識しているところでございます。

大西(健)委員 もちろん、年少扶養控除を復活できるかどうかというのは、これは今わかった話ではないわけですけれども、やはり財源の確保という部分で、その部分というのは矛盾するところがあるというふうに私は思いますので、しっかり今後も頭に入れておいていただきたいなというふうに思います。

 それから、費用負担の問題に関してもう一つ聞いておきたいことがあるんですけれども、これも柚木委員が少し御指摘されましたけれども、不交付団体の問題です。

 三ワクチンが基金事業で行われていたときにも、東京都は不交付団体ということで、東京都内の自治体の中には被接種者から実費徴収を行っていた自治体がありました。例えば、東京でも杉並区とか港区は、三ワクチンについて実費徴収を行わずに無料化をしていた。しかし、例えば、小児用の肺炎球菌ワクチンを例にとれば、足立区は五千五百円、江戸川区は五千円、墨田区が六千円の自己負担を求めておりました。

 皆様のお手元に資料をお配りさせていただいているんですけれども、これは、三つのワクチンについて、二〇一一年度の東京都と全国の接種率を比較したものなんです。これをごらんいただくと、東京都内、三ワクチンの接種率が全国平均を下回っているんです。もちろん、一つだけの要因ではないというふうに思いますけれども、私は、これは実費徴収を行っていることがある程度影響していると言わざるを得ないんじゃないかというふうに思います。

 そういう意味で、不交付団体で生じるこのような問題について、厚生労働省としてどのように対応されようとしているのか、秋葉副大臣に御答弁をお願いいたしたいと思います。

秋葉副大臣 今委員御指摘のとおり、不交付団体の問題というのは現実にあろうかと思います。

 不交付団体を含めた全ての自治体において、地方税等を含めた地方財源を確保して対応するものでございまして、三ワクチンの接種を安定的、継続的に実施する上で、支障が生じることはないようにしていかなければならないわけでございまして、厚生労働省として東京二十三区に確認をさせていただきましたところ、定期接種後の三ワクチンにつきましては、費用徴収は行わない方向で検討しているというふうに伺っているところでございます。

大西(健)委員 今、二十三区にそれぞれ調査をしたということですけれども、先ほど申し上げましたように、今までは小児の肺炎球菌については実費徴収を行っていた区があるわけですから、ここはしっかりと今後もフォローしていただきたいなというふうに思っておりますし、そういう不交付団体については、相変わらずそれは持ち出しになるわけですから、その部分についても、やはり何らかのきめ細やかな対応というのが必要ではないかなというふうに私は思っております。

 財源問題についてですけれども、先ほど、これも柚木委員の方から指摘がありましたし、同じ資料を私も配らせていただいているんですけれども、目の前の接種費用だけにとらわれることなく、やはり医療経済効果ということをしっかり加味して政策判断を行うべきではないかというふうに思っております。

 ここに記されている数字というのは、表題の下にも書いてありますけれども、各種の前提を置いて試算をしているものでありますから、前提の置き方によって数字が大きく変動しますので、あくまで参考ということでありますけれども、ただ、私は大変興味深い試算になっているんじゃないかというふうに思います。

 例えば、今回、七ワクチンの中で先行して定期接種化されるHibワクチンと子宮頸がんワクチン、ごらんをいただくと、これは必ずしも費用効果が大きくない。大きくないどころか、費用効果が少ないということがわかります。

 一方で、費用対効果で見た場合、最も効果が大きいのは成人の肺炎球菌ワクチン。平成二十三年の厚生労働省の調査によると、肺炎というのは脳血管疾患を抜いて第三位の死因になっている。全死亡原因の大体九・九%が肺炎ということになっています。アメリカでは、この成人用の肺炎球菌ワクチンを接種したことによって、肺炎球菌性の肺炎の発症率を六割ぐらい低下させることができた、そういうデータもございます。

 ここで、先ほども御指摘がほかの委員からもありましたけれども、五千百二十億円。さっき柚木委員は国土強靱化の予算と比較をされましたけれども、大体、この五千百二十億円というのがどういうオーダーの数字かと申し上げますと、平成二十五年度の厚生労働省予算、この予算の中の主要事項、子育て支援の充実、この項目の予算が大体四千九百二十七億円なんです。ですから、それに相当するオーダーの数字だということであります。

 そういう意味では、秋葉副大臣は財源がネックだとおっしゃっていますけれども、私は、これだけ費用対効果が大きいこの成人用の肺炎球菌ワクチンこそ、財源、費用という意味でいえば、優先して定期接種化されるべきだというふうに思いますけれども、この考え方について御答弁をお願いいたします。

秋葉副大臣 今委員御指摘のとおり、平成二十二年に予防接種部会に報告されました成人用肺炎球菌ワクチンについての医療経済効果の推計によりますと、期待できる医療費削減分が接種費用を五千百二十億円程度上回るというリポートで、先ほど来、きょうは多くの委員が提出をした資料のとおりでございます。

 ただし、この医療費削減分の推計は、あくまでもこのワクチンによって予防できる疾病分に係る医療費への影響のみを推計したものでございまして、肺炎以外の別の疾病等による新たな追加費用などの分は考慮していないなどの、数字をそのまま丸ごと受けとめることによる限界というのもございます。

 そのために、医療経済効果の推計につきましては、定期接種化を検討する際には参考となる資料と考えられますけれども、その限界も一方で考慮する必要があると考えておりまして、定期接種化に当たっては、その有効性、安全性など、ほかの要素とも十分あわせて、総合的な見地から検討していかなければならないというふうに認識しているところでございます。

大西(健)委員 前提の置き方等が変わってくると、その数字というのも変わってくるというのは私からも申し上げました。ただ、やはりこれは考慮をして政策判断すべきことだというふうに私は思っておりますので、引き続き、ぜひお願いをしたいと思います。

 私からもロタウイルスについてもお話をさせていただきたいというふうに思います。

 改めて申し上げますと、二次提言においても、ロタウイルスワクチンについては、二種類のワクチンが薬事法の製造販売承認を受けたことを踏まえて、二十四年内を目途に、専門家による医学的、科学的観点からの評価を行っているところであるとされています。

 これは先ほど大臣からもお話がありましたし、小宮山大臣のときも、たしかこの委員会でも、二十四年内に評価をやるんだということを答弁されていたんですけれども、これはおくれてしまっているんですね。一月の終わりにやっと何か評価委員が決まったという状況ということで、これについてもちょっと私もがっかりしているところではあるんですけれども。

 ロタウイルス、非常に感染力が高いです。年間の外来患者が約七十九万人、入院患者が約七万八千人に上るという数字もあります。そして、小児の夜間の外来患者のうち約八割がロタウイルスによるものだ、こういうデータもあります。ロタウイルスワクチンが接種されることによって、下痢や嘔吐で夜間救急で運ばれてくる、その小児の医療現場の負担というのを大幅に軽減することができるのではないかというふうに私は思っております。

 また、先ほど柚木委員からも話がありましたけれども、うちにも三歳の息子がいますけれども、ロタウイルスの胃腸炎というのは、それぐらいの非常に目が離せない時期にかかることが多い。家族の負担も大きいです。そして、下痢や嘔吐がおさまっても、すぐには保育園に預かってもらえません。さらには、仕事を休まなければならない。そうした子育て支援という観点でも、このロタウイルスのワクチンというのは、定期接種化をすることの効果が非常に大きいんじゃないかというふうに思っております。

 これも先ほど来質問は出ていますので、改めてこれ単独では答弁は求めませんけれども、あわせて、このロタウイルスのワクチンについて、皆さんに御紹介したい事例というのがあるんです。

 きょうはお手元に資料をお配りさせていただいているんですけれども、これは全国の小児科医の皆さんによる、ふくしまこどもワクチン基金事業、この一環で、福島県の津波被災の方、避難区域の方はもちろん、自主的避難をされている方も含めて、全国どこでもこのロタウイルスワクチンを無料で接種することができる、そういうプログラムなんです。

 田村大臣、この小児科医の皆さんの、先生方のこの自主的な取り組み、またそこに込められた思い、これを酌んでいただいて、この取り組みというのをまさに全国に広めて、ロタウイルスワクチンを早期に定期接種化していただきたいということをお願いするとともに、あわせて、せめて被災地だけでも、こうやって今行われているような取り組みを継続して行われるように、何か政府として支援できないか、そのことについて大臣から御答弁をお願いいたします。

田村国務大臣 その前に、まず先ほどの不交付団体のお話がございました。これに関しましても、年少扶養控除、これの廃止分の増収がありますので、これで九割分は、全くその部分と一致しているかどうかというのはありますが、ただ、基本的に子供たちへの、やはり今回、予防接種ですから、子供たちが多いことは事実でありますので、これは比例しているものだというふうに考えれば、一応手当てされている、税収はふえているというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。

 その上で、今のロタウイルスのワクチンの話でございますが、福島でそういう取り組みをされておられるということは我々も承知をいたしております。本当に先進的な取り組みをやられておられるなというふうには理解をさせていただいているわけでありますけれども、もう委員も御承知のとおり、今現状、ちょっとおくれているんですね、この予防接種部会での評価、検討が。

 これは早急に進めなきゃならぬというふうに思っております。二十四年めどでしたけれども、もう二十五年に入っちゃいましたから。その上で、やはり一定のデータ等々の収集をまだやらなきゃいけない部分がございまして、とりあえずここはクリアしないことには次の一歩が進めないということは委員もよく御理解をいただいておると思いますので、早急にこれを進めた上で、ただ、福島だけ先行してというのが、どういう方法があるのかというのは、ちょっと私も今のところまだ知恵がない部分でありますけれども、思いというものはしっかりとかみしめながら、このロタウイルスに関しましても、ワクチンをしっかりと進めていくということはこれから努力してまいりたいというふうに思います。

大西(健)委員 二十三区内の話は、まさに年少扶養控除の増収分があるじゃないかということが出ると思ったので、先ほども申し上げたように、でもJ―ファイルには、年少扶養控除というのは復活させるんだよということが書いてあるということも申し上げました。

 それから、もう一つ、ロタウイルスワクチンについては、もう大臣おっしゃるとおりだと私も思うんです。小宮山大臣も二十四年内を目途にと言ってきたのに、それがおくれてしまっている。これがまず最大の大きな問題だと思いますので、これは、大臣からも、ぜひ急いでもらうように御指示を賜りたいなというふうに思います。

 次に、少し別のお話をさせていただきたいと思うんですけれども、それはポリオのワクチンについてお話をさせていただきたいと思います。

 昨年九月から、単独の不活化ポリオワクチンが、そして十一月からは四種混合の不活化ポリオワクチンが、やっとの思いで導入をされました。この委員会でもこの問題は何回も取り上げられて、そして、それまで我が国では生ワクチンが使われておりました。そのために、百万人に二人から四人という確率ではありますけれども、ワクチン接種によって小児麻痺になってしまう、そういうリスクがありました。

 生ワクチンというのは、もう先進国では日本ぐらいしか使っていないんだと。十年以上前から政府でも不活化ワクチンの導入を検討していたにもかかわらず、導入まで結果的には大変長い年月がかかってしまった。しかも、導入直前には、もう少しすれば不活化ワクチンが導入されるんじゃないかということで接種控えというのが広がってしまって、接種率が地域によっては約二割ぐらい下がってしまう。あるいは、国の遅い対応にしびれを切らした神奈川県が、集団接種に輸入した不活化ワクチンを使う。こういう、ある意味の混乱というのも来してしまいました。

 私は、もう不活化ワクチンは導入されたんだから、もう終わったからいいんだという話ではなくて、これは大いに教訓にすべきだというふうに思っております。

 そういう意味で、このポリオの不活化ワクチン導入に至る一連の経緯を厚生労働省としてどのように総括されているのか、これはぜひ大臣からお答えをいただきたいと思います。

田村国務大臣 ポリオの不活化ワクチンに関しましては、超党派でとにかく導入を進めようということで議論をして、これが進んだというような経緯があります。私もその中で、メンバーでございましたし、委員もメンバーであられたんだろうと思います。

 そのような意味で、このポリオの不活化ワクチンに対しての評価という話からいたしますと、まず、このワクチンの開発が非常に遅きに失した。

 といいますのは、開発をしようとして、平成十三年にワクチンメーカー一社がこれを発表してスタートしたわけでありますけれども、結果的に、十七年に承認申請が取り消されるというような事態が起きました。その間、平成十四年に後を引き継いで、四種混合ワクチンに関して開発が開始されましたけれども、これに十年ほど時間を費やした。

 結果的に、単独の不活化ポリオワクチンを海外のメーカーにお願いして導入をしたというのが、去年のたしか九月ぐらいの話であったというふうに思います。その後、十一月に四種混合、これを国内メーカーがスタートさせて今に至っておる。

 単独の方も、もう三種を打たれている方々に関しては、単独を打って、言うなればうまく調整をされておられるという方々がおられますから、これはこれで意味があったというふうには思っておりますけれども、やはり、ワクチンを開発する、そういう企業の力というものもつけていっていただかなければならないというふうに認識をいたしておりますので、そのような企業をやはり育成していくという意味も大変重要な意味があるというふうにも思っております。

 いずれにいたしましても、先ほど、今回の法改正が抜本改革には物足らないというお話がございましたが、この三つのワクチンを定期接種化しただけではございませんでして、例えば、基本計画をしっかりつくるでありますとか、それから、副作用等々があった場合にこれをしっかりと審議会の方に報告するでありますとか、幾つかの内容を盛り込んでおるわけでございまして、この基本計画の中に、これからのワクチン行政の総合的また計画的な方向性を示していくということになっておりますので、それも含めて、このワクチン等々に対する、企業に対する支援というものも進めてまいりたいというふうに思っております。

大西(健)委員 時間がなくなってきたので、本当は外務省にお聞きをしたいんですが、政務官はいらっしゃっておられますか。

 それでは、時間もありませんので、最後に、世界からポリオを撲滅する取り組みについて質問したいというふうに思います。

 我が国では、一九八〇年を最後に、ポリオの自然感染というのは例がありません。しかし、世界では今なお、ポリオによって小児麻痺になって、そして将来の夢を絶たれるというたくさんの子供たちがおります。

 長年の熱心で粘り強い取り組みによりまして、ポリオ常在国は今、パキスタン、アフガニスタン、ナイジェリアの三カ国のみを残すところになりました。あと一押しで世界からポリオを根絶することができるという段階であります。

 国際ロータリーでの取り組みを初め、我が国は、この分野でこれまでも重要な役割を果たしてまいりました。また、残されたポリオ常在国というのはイスラム圏が多く、欧米への潜在的な嫌悪感等もあるというふうに言われております。

 そういう中で、日本に期待する声というのが非常に強まっております。最近では、日本政府がパキスタンに円借款による資金供与を行って、その元本及び利息分をビル・メリンダ・ゲイツ財団が肩がわりをするという、ローンコンバージョンという方式での新たな支援というのも始められているというふうに伺っております。

 本日は、外務省からあべ政務官に、この古巣の厚生労働委員会にお越しをいただいておりますので、ぜひ最後に、いつものように元気よく力強く、ポリオ根絶に向けた政府の強い決意を賜って、私の質問を終わりたいというふうに思います。

あべ大臣政務官 質問いただきましてありがとうございます。特に、外交官として御活躍をされた経験のございます大西委員からの御質問でございます。

 特に、私ども、ミレニアム開発目標、この達成の観点から保健分野で貢献に取り組んできているところでございますし、ポリオ撲滅、人類共通の地球規模の課題として重視しているところでございます。

 先般も、超党派で、大西委員も御出席になられて、ポリオ根絶の議員連盟の方に御参加いただきました。今、委員から御発言がありましたゲイツ財団とのローンコンバージョン、この仕組みにおきまして、私ども、革新的な官民パートナーシップとして注目されているところでございます。

 その他、二国間支援、国際機関を活用いたしました支援を効果的に行いまして、最終段階にあるポリオ撲滅、これに向けて引き続き主導的な役割を果たしていく所存でございます。

 ぜひ、大西委員からの御支援もいただきたく、また、先般、WHO事務局長補佐、また、ユニセフのポリオプログラムの責任者とも意見交換いたしまして、我が国の決意を伝達したところでございます。大西委員から、これからも御支援いただきますよう、よろしくお願いします。

大西(健)委員 終わります。

松本委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会、伊東信久です。

 私に与えられた時間は三十五分ということなので、きょうもさくさくと質問していきたいと思います。

 さて、私は、椎間板ヘルニアのレーザー治療をやっている開業医なんですけれども、博士号の方をウイルス学で取っておりますので、ちょっと細かい質問にならないように気をつけて質問いたしますので、よろしくお願いいたします。

 さて、そのため、質疑がスムーズにいきますように事前通告させていただいたんですけれども、まことに申しわけないことに、きのうの夜の十時に仕入れた情報があったので、それを一個だけ、ちょっと感想みたいなものをお聞きできればと思います。

 イギリスのサイエンティフィック・リポーツで、きょう発表の論文の中にありまして、時事通信が述べているんですけれども、長崎大学と理化学研究所でアルツハイマー病のマウスの血管に、点滴治療なり注射だと思ってください、ベクター、遺伝子を入れたウイルスを、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβたんぱくを分解する遺伝子を脳内で働かせることができたと。ネズミの血管内にそのウイルスを入れて、そのまま脳まで行かせて、アルツハイマー病の予防となったと。

 このことによって、アルツハイマー病のワクチンと予防接種につながるという発表が本日されたそうなんですけれども、非常に喜ばしいというか、さすが日本の医療ということで、ぜひともこれをお伝えして、ちょっとその感想をお聞きしたいと思いますので、田村大臣、いいですか。

田村国務大臣 すばらしい研究の成果が出つつあられるんだと思います。それが一般化されていくことを望むわけでありますが、本当に日本の国は、すばらしいいろいろな医療技術等々、研究開発等々なされているわけでありまして、何か、九大でも、がんの幹細胞を活性化させて、それ自体をたたくというようなそういう治療が、どうもやられているか研究がなされておるというようなことで発表があったというふうに記憶にあるわけであります。

 いずれにいたしましても、そういう部分も含めて、国民の健康の増進と、ある意味で、またこれは日本の富の創出にもつながっていく部分だというふうに思いますので、さらにそれを進めていただいて、大きくお育てをいただければいいなというふうに思っております。

伊東(信)委員 大臣、ありがとうございます。

 私自身、これを見たときに、血液に入れて脳に行ったということで、ちょっと一つ、いい材料であるとともに、一つ危惧されたところがあって、今回のワクチンの改正の中で、三つ入っているHibワクチンの方なんですけれども、これは御存じのように、小児の髄膜炎予防ということなんですけれども、私自身が、実験動物を使ってウイルスを注入するときに脳内に直接入れたんですよね。つまり、動物の血管に入れても脳には行かなかったんですよ。それは人間の体を守る防御機能なんですけれども。

 このことによって、Hibワクチンのいわゆる科学的根拠というのがますます推進されるとともに、実際は、脳にウイルスとかが行ったりするんだ、私の十五年前の実験では行けなかったのに、行くということもわかったというのが、ちょっと恐ろしい事実だなと思ったところで、いわゆる感染経路の話からこのワクチンの話をさせていただきたいと思うんです。

 ワクチンというのは、予防接種というのは、もちろんのこと予防でありますね。検診があって治療というのがあるんですけれども、今、その予防の後の検診、ヒトパピローマウイルス、HPVの話に移らせていただきますと、子宮頸がんの検診の中にHPVの検査が入っていないんですね。実はちょっとこれは片手落ちではないかなと思っているんですけれども、これはPCRとかにお金がかかるからなのでしょうか、そのことも含め、お願いします。

矢島政府参考人 今の御指摘は、子宮頸がんの要するに予防という意味で、がん検診というんでしょうか、子宮頸がんの検診で予防のためにウイルスの検査をすべきではないかということなんですが、これも今、実は、二十五年度予算におきまして、検証事業という形で、幾つかの自治体の御協力をいただいて、子宮頸がんのいろいろな検診をしているときに同時にヒトパピローマウイルスについても調べるような検証事業をさせていただきたいということで、これは二十五年度予算で今お願いをしているところでございますので、予算が通りましたら、具体的なその辺のところについて少し詰めさせていただけることになるのではないかというふうに考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 それで、先ほどから各党の議員が質問されている、いわゆる国から地方自治体への財政によってこの予防接種というのがなされているというわけなんですけれども、日本産科婦人科学会、現場の先生とかに聞きますと、これは多分、インフルエンザワクチンのときでも同じようなことになると思うんですけれども、現場にとっては、患者さんに説明するのに、インフルエンザなんかは特にわかりやすいと思いますね、自己負担で実際に患者さんが払う値段に差異があるというのを説明しにくいと。

 それはもう、私としては、この間の所信表明に対する基本的質疑にありますように、競争原理でいいんじゃないかなと思うんですけれども、それが、予防接種自体は治療ではない、一割負担ということで、この値段の差異というのを現場としては説明しづらいと言っているんですけれども、その辺に関しては、どのように。

    〔委員長退席、上川委員長代理着席〕

矢島政府参考人 今御指摘いただいたのは、実際にワクチンを受けるときに市町村によって、要するに、実際に同じワクチンを受けるのに、費用負担、医療保険のように例えば一割負担とか、そういうふうに全国一律ではなくて、市町村によって差異が出てしまうということについての御指摘というふうに理解しますけれども、実は、今先生もお話ありましたように、社会保険、治療というんでしょうか、治療とは違いまして、これは予防ということでございまして、この予防接種は市町村の自治事務という形になっております。

 ですので、今度の法律で、一類とそれから今度新しく入れる三つのワクチンについては九割を要するに交付税措置というんでしょうか、九割を見るということなんですが、その残りの部分については、要するに、それぞれの市町村さんの自治事務という考え方の中で、どういうふうに負担をしていただくのかということは、それぞれの市町村というんですか、地域でお考えいただくことができるような仕組みになっているものですから、御指摘のように、それぞれの地域によってどうしても差が出てしまうというふうな制度上の仕組みになっております。

伊東(信)委員 それでは、せっかく予防接種法の一部を改正することとして、九割の公費の負担ということにしているわけなんですけれども、そのあたりの、いわゆる公正性という意味では、自治体によって、地方間格差どころか、本当に市町村間格差にまでなっているんですけれども、そのあたりの改善の余地というか、改善のお考えというのはどうでしょうか。

田村国務大臣 実態、どういうような金額で流通しているかということを調査することは、これは必要だというふうには思います。一定価格を示していくということは必要だと思いますが、やはりこれは今言いました地方自治事務なんですね。ですから、国が、例えば一定価格に決めて買い上げて配るという話になると、国がこれをやらなきゃいけなくなっちゃう話でありまして、そうすると、地方厚生局をもっとふやして、それをやらなきゃいけないというような話になってくるわけですね。

 御承知のように、委員はもう専門ですからよくおわかりだと思いますが、やはりこれも含めて、日本の卸を含めて流通機構というのがあるわけでありまして、そういうものを通じて価格が決まっていくわけでありますから、そうなってくると、もともとのワクチンの価格が決まっていく中で、最終的に幾らで接種をするかということになるわけでありまして、なかなかこれを一律にということは、その配送網等々を国が全部整備して配るという話になれば別なのかもわかりませんけれども、自由な競争の原理の中では、なかなかそういうふうに一律の価格というものを決めるというわけにはいかないというふうに認識をいたしております。

伊東(信)委員 このあたりは地方自治の話になりますし、予防接種といわゆる経済効果に関しては、この後、我が党の上野議員がもっと突っ込んだ話もされますので、私の方は、今回はHPVについて、もうちょっと突っ込んだ質疑をさせていただきたいと思うんです。

 お手元に資料を配らせていただいたと思うんですけれども、主要国におけるワクチンの製造販売希望小売価格ということで、HPVワクチン、子宮頸がんワクチンという名前になっておりますが、各国、サーバリックスとガーダシルという二つの種類のワクチンがございまして、このシェアが、ここには値段しか書いていないんですけれども、同じ値段なんですけれども、シェアが日本と他の先進国と逆転しているんですけれども、このあたりは何か我が国では、何かしら悪い想像をしてしまうんですけれども、何か事情があるのでしょうか。

田村国務大臣 サーバリックスとガーダシルの、どれぐらい世界じゅうでシェアを持っているかというのはちょっと、販売業者から我々資料がないものですから、把握はしてはいないわけでありますけれども、日本の国だけ申し上げれば、サーバリックスが、これは二十四年の十二月三十一日までの出荷数量でありますけれども、六百八十四万本、ガーダシルが約百四十五万本ということで、おっしゃられるとおり、サーバリックスの方がよく使われておるということでございますが、一方で、直近の三カ月だけ見ますと、サーバリックスが二十一万本、ガーダシルが四十一万本ということで、逆転をいたしております。

 ですから、これは、今言われたような何か悪いことがあるというわけではなくて、自由な競争の中でたまたまそういう結果になっておるのであろうというふうに推測をいたしております。

伊東(信)委員 実際、この薬剤の違いといいますのは、片方が、いわゆる子宮頸がんに有用な、先ほどから御指摘ありますけれども、16型と18型に効くわけでして、もう片方が、6、11、つまりSTDである、セクシャル・トランスファー・ディジーズである尖圭コンジローマにも効くわけなんですね、6型、11型にも。

 では、広く効く方がいいじゃないかというような発想でいくのか、いやいや、子宮頸がんワクチンなんだから、頸がんワクチンに特化した方がいいんじゃないかということで、国としての戦略も変わってくるんですね、ワクチンという、予防という意味では。その辺のところはどのようにお考えなのでしょうか。

とかしき大臣政務官 御質問ありがとうございます。お答えさせていただきます。

 現在の子宮頸がん等ワクチンの接種促進事業では、ヒトパピローマウイルスの16型と18型、こちらの方の予防効果を期待しておりますので、サーバリックスとガーダシル、どちらを使用しても差し支えないということになっております。

 そして、昨年五月の予防接種部会の第二次提言におきまして、恒常的に評価、検討を今後も行っていきたいということで、これからは、複数のワクチンがある場合には、有効性の高いワクチンのみを予防接種の対象とすることもあり得ると考えております。

 以上です。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 では、子宮頸がんに絞っていくという、まずそういうストラテジーということで理解させていただいたんですけれども、実際、中学校一年から高校三年生の女子を対象にしているわけなんですけれども、まず、いきなり進行がんになるわけじゃなくて、前がん病変になるわけですね。

 前がんから進行がんに移行していくパーセンテージ、つまり、前がん病変をそのままほうっておけば、どれだけ進行がんになるんだというような統計というのは把握されておりますでしょうか。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 国内外の研究によりますと、八八%から九六%の子宮頸がんの患者からヒトパピローマウイルスが検出されております。

 このヒトパピローマウイルスに感染している多くの場合は自然に消滅する、こういうふうに考えられておりますけれども、特に、感染症に至ったうちのどの程度の割合が子宮頸がんの前段階の病変をもたらすかは、今のところは明らかではございません。ですが、子宮頸がんの前段階の病変のうち高度に至った場合は、十年間で上皮内がん以上に進展する割合は約二〇%と今されております。

 以上でございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。きちっと把握されているという理解はいたしました。

 それでは、では実際に進行がんの方からのヒトパピローマウイルスの罹患率というのは何%ぐらいありますか。

矢島政府参考人 今先生の御指摘いただきましたものについては、ちょっとまだ我々の方では把握ができておりません。

伊東(信)委員 私の方からお答えさせていただきますと、ほぼ一〇〇パーに近いらしいです。ほぼ一〇〇パーと言っても過言じゃないほどの確率なんですね。そこに、この子宮頸がんワクチンの説得力こそあると私は理解していますので、今回の法律改正に関しては、政治家としては別として、やはりウイルスを専門とする立場としては喜ばしい話だと理解はしております。

 ただ、では実際に、先ほど、とかしき政務官が自然に消滅される話をされましたけれども、そのあたりの突っ込んだ話はまた上野委員からの質問の中にはあるかもしれないんですけれども、逆に、では、HPVウイルスを罹患している患者さんの何%ぐらいが進行がんになるというような把握はされていますでしょうか。

矢島政府参考人 ちょっと私どもも混乱をして申しわけないんですけれども、子宮頸がんの前段階というんでしょうか、感染からどれだけいくかというところについては明らかではございませんが、先ほど御答弁をさせていただきましたけれども、前段階の病変から高度に至るということであれば、その十年以内に上皮内がん以上に進展するというのは二割以上だということなものですから。

 先生の御指摘のところの、その全てのデータが整っているわけではないんですが、少なくとも、前がん病変だというところまでが明らかになれば、要するに、前がん病変から上皮内がんに移行するというのは十年以内に二〇%いくというふうな統計のデータは、我々把握しております。

伊東(信)委員 済みません、細かくならないようにと言いながら細かいような印象も与えているようですけれども、実際、罹患した患者さんの、HPVを保有している患者さんががんになる確率というのは千分の三なんですね。〇・三%なんですよ。でも、にもかかわらずこのワクチンを推奨する理解というのは、私自身はあるんですけれども、それを政府としてはどのように捉えていますか。

矢島政府参考人 先生御指摘のように、細かいところの医学的なエビデンスについてはまだ十分でないところもあるわけですが、先ほど申しましたが、少なくとも、ウイルスによって前がん病変になる。どの程度なるかというデータが、ちょっと我々も十分、そこのところは医学的にまだ、先生は御専門であれでしょうけれども、医学的に明確に何%というのは出ないんですが、少なくとも、ウイルスが原因で前がん病変になる。

 前がん病変までなれば、前がん病変になったもののうち、十年間で上皮内がんにまで、要するにそれ以上に進行するというものの割合が二〇%という意味ですから、そういう意味では、がんの予防、子宮頸がんの予防ということに関しては、我々は、重要な要素というんでしょうか、これはすごく意味がある、有効であるというふうに考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 実は、ここで、やはり我々は政治家ですから、法律的なことでおっしゃっていただきたかったわけなんですね。もちろん、基礎知識としては、私が申し上げていることというのは、例えば、こういったワクチンに反対する市民団体レベルで私のところに陳情書なりがファクスで来るんですね、その中に書いてあるところから御質問させていただいたわけなんです。

 だから、市民団体は、このワクチンに対する有効率というのを明確に、やはり厚生労働委員であればお答えいただきたいということで、質問させていただきまして、実際、予防接種法の疾病区分の七疾病の分類案の中の一類疾病の要件一は、集団予防で、この中にはHibなり水痘、おたふく風邪とか入っているんですけれども、要件二の方で、「致命率が高いこと等による重大な社会的損失の防止を図る目的」として、B型肝炎ウイルスと子宮頸がんウイルスが一類の要件二というところに入っているということで、理解はさせていただいているわけなんですね。

 これは、平成二十四年の五月二十三日の厚生科学審議会から出された予防接種制度の見直し第二次提言の概要、いただいた資料の中にあるわけなんですけれども、ではそこで、次、ここに同じページにある十一番の、感染症サーベイランスがあるんですね。

 まさしく、私が今申し上げさせていただいたとおり、この十一、感染症サーベイランスに、「予防接種が有効か、新たに導入すべきワクチンはあるか等を随時評価。」と書いてありまして、予防接種が有効かというところに私のさっきの質問の意味があると思うんですけれども、この予防接種が有効かの判定というのは、では、ほかのワクチンに関してはどのようにされているんでしょうか。

矢島政府参考人 今御指摘のように、ワクチンの有効性というものを適切に評価するためには、ワクチンにより予防可能な、今、サーベイランスという御指摘がありましたけれども、感染症の発生動向、それを的確に把握することが重要だというふうに考えております。

 そのような観点から、平成二十五年四月一日より、Hibワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチンの定期接種化を踏まえ、新たな、例えばそういうふうな感染症法上のいろいろな全数届け出対象疾病、そういうふうなものの改正を行うことによりまして、その予防接種に関連する感染症の発生動向の調査、これを充実していきたいというふうに考えております。

 要するに、サーベイランスの項目の中に今回の法律で定められたものも入れることによって、先生御指摘のように、サーベイランスの中で、実際に感染症がどれだけ減ってきたのか、ふえたのか減ってきたのかというその動向を見ながら、ワクチンの効果というものも見ていきたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 今の御回答に関して、ちょっと素直に田村大臣の感想を聞かせていただきたいんですけれども、その場合に、やはり子宮頸がんワクチンだったら長年の疫学になるわけじゃないですか。そのあたり、今の回答に関して、田村大臣はどのようにお考えですか。

田村国務大臣 サーベイランスの中で、その実効性といいますか、どれだけ確認できるかということを調査してまいるということでございますから、それはそれで検証しなきゃいけない部分だというふうに思いますけれども。

矢島政府参考人 今、先生の御指摘は、いわゆるヒトパピローマウイルスの成果というものは、要するに、子宮頸がんの患者さんがどれだけ減ったのかということまでちゃんと見なければ、その評価はできないんじゃないだろうかという御指摘だというふうに思います。

 そういう意味では、我々は今後、そういうことも含めて、これからも、その成果というものがちゃんと見られるような形で、ちゃんと評価ができるような形で、導入したワクチンの成果というんでしょうか、それが評価できるような形でやっていかなければいけないと思うんですが、先生御存じのように、がんは長いものですから、すごく、そういう意味では、長いスパンで評価をしなければいけないというのが、今回の、このほかの感染症とはちょっと違うところだということは我々認識をしておりますので、そういう観点で、我々はこれからも、そのワクチンの効果というんでしょうか、そういうものを見ていかなければいけないという思いは同じであります。

伊東(信)委員 世の中にはHIVとかのスローウイルス感染症もございまして、HIVというのは、実際、御存じのように、まだ有効なワクチンとかもございません。

 実際、罹患率といいまして、かかりやすいウイルスというのはそんなに毒性が強いわけじゃなくて、かかりにくいウイルス、例えば血液感染をするとか、今回のSTDからのパーセンテージとかも問題になるわけですけれども、そういったウイルスは、いわゆる重症化することによって社会的損失があるということになれば、長いスパンでこのサーベイランスもやっていくべきだということなんですね。

 だから、今の僕の質問の中に、やはり、事業を、土台をきっちり固めてほしいわけなんですよ。でしたら、長いスパンのサーベイランス計画を法律としてやはり御提言したいなと思いますので。まずは、効果のほどの検証の質問はこのあたりにさせていただきたいと思うんです。

 先般、報道でございますし、今回の質疑でもございますように、HPVにこだわるわけじゃないんですけれども、杉並区の、いわゆる副反応に関して、ちょっと私の方から、一つ気になる情報がございますので、その点に関して御質問したいと思うんです。

 医療機関からは、重篤な副反応が出ましたよという報告はされているんですね。その後、調査を重ねます。重ねまして、今もなおこのワクチンの方を推奨していこうということなんですけれども、その際に、これはサーバリックスを使われているわけなんですけれども、サーバリックスのGSKからは重篤な副反応ではないという報告になっているんですよ。

 大臣でも政務官でもどなたでもいいんですけれども、このあたりの報告はまず聞かれているかどうか。次は、どのように思われますかということなんです。どちらが本当なんでしょうか。

矢島政府参考人 サーバリックスの子宮頸がん予防ワクチンの副反応についての御指摘でございました。

 今御指摘がありましたように、どこから報告があったかということに関しましては、我々、医療機関からいただく場合もございますし、それからメーカーから、製造販売業者からも報告をいただく仕組みになっております。

 どちらから来たかということに関しましては、いろいろなものがございまして、私どもは、厚生労働省にいただいた副反応報告状況がどちらから来たかということは、まだそこまではちょっと把握はしていないんですが、少なくとも、いただいた情報を今精査させていただく中で、杉並の事例も含めまして、そういうふうなサーバリックスの副反応につきましては、医療機関から、それから販売業者からいただきました資料をもとにして、専門家の先生方の中で要するに評価をいただいているところでございます。

伊東(信)委員 この神経症状に関して、複合性局所疼痛症候群という病名がつきまして、これは、実際は、原因がわからないときにこの病名がつくわけなんですね。昔は、これは副交感神経の反応ではないかという病名になっていたわけなんですよ。

 ということは、ワクチンそのものの例えば培地であるとか抗原であるとか、そういうものには問題がないという判断は医療的に正しいと思うんですけれども、では実際、このHPVワクチンの現場での問題点として指摘されているのは、他のワクチンに比べて接種方法、つまり注射がすごく痛いらしいんですよ。特に、例えば採血しただけで倒れるような女子中学生もいらっしゃるわけです。

 では、そのときに、痛かったときの対策というのを、結局、医療というのは、特に予防に関してはサービスではないと捉えている医療機関も多いので、ここに関する検証なり指導がなければ、また繰り返すことになると思うので、それで、ちょっとどういうふうな報告かということをお聞きしたかったわけなんです。

 予防接種というのは子供たちじゃないですか。お母さんが無理やり連れていって、泣きながら予防接種を受けている現場を見ていくわけなんですけれども、要するに、子供たちへのそのあたりの配慮みたいなものを優しい田村大臣にお聞かせいただいて、配慮の問題ですけれども、何かないですか。

    〔上川委員長代理退席、委員長着席〕

矢島政府参考人 済みません、その前に、ちょっと事実関係だけ。

 委員御指摘のように、今、サーバリックスに関しましては、副反応報告で、例えば異常感ですとか注射部位の疼痛、それから発熱とか、確かに、先生御指摘のように、副反応としての数については多いというふうな御指摘もあるというふうに認識しています。

 ただ、専門家の先生方の中では、ではそれで特段すぐ接種をやめる必要があるかということに関しては、専門家の先生方はそういうのは必要はないという御判断ですが、御指摘のような疼痛部位だとかそういうことに関して、そういうふうなものが報告をされているということと、それにつきましてはちゃんと医療機関の方にもその結果を御報告させていただいていますので、なるべく現場の先生方も、実際に接種をするときにどういうことが副反応で起こるのかということが説明しやすいような形で、ちゃんと現場の方にそういうふうな情報が伝わるようなことはさせていただいております。

 ちょっと事実関係だけです。

田村国務大臣 因果関係が完全に解明されているわけではないので、なぜこのような副反応が出るのかというのはわからないわけでありますけれども、一つには、肉体、精神ともに一番変わりやすい年齢の女性に針を刺すわけですよね、それによるやはり影響というものが、他の予防接種よりも数が多く副反応の数字が出ているのではないかと言われる方もおられます。これは私は専門ではないので何とも言えませんが。

 そこで、今委員がおっしゃられるように、痛くない方法があるのかどうか、ちょっと私はわかりませんけれども、何かそういう方法があるのであるならば、いろいろな知恵を授けていただきながら、そういうことを医療現場に伝えられるのであるならば、それは一つの方法だと思いますが、今、直接私は知恵があるわけではございませんので、いいお知恵があったら教えてください。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 知恵はあるんですけれども、時間となりましたので。

 本当にたくさん聞きたいこともあるんですけれども、きょうも細々としたところで、その辺は御容赦お願い申し上げますけれども、じっくりと、何が本当で、何が真実じゃないかというのを、いわゆる識者だけに任せないで検証していただけるというのが、やはり田村厚労大臣を中心としたこの新しい厚生労働委員会の方向性だと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

松本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。上野ひろし君。

上野委員 上野ひろしでございます。よろしくお願いいたします。

 時間が限られておりますので、予防接種法の一部改正法案について質問をさせていただきたいと思います。

 午前中のほかの委員の質問と重なるところもありますけれども、この法案の改正の内容の大事な部分については、繰り返し、私の方からも確認をさせていただく点があるかと思います。

 まず最初に、大臣に、今回の法改正の理念についてお伺いをしたいと思います。

 今回の法改正、改正法案は、予防接種法に新たなワクチンを追加する、新たな疾病を追加するということであります。

 今回の疾病の追加でありますけれども、これだけ大幅な追加というのは、さかのぼれば平成六年以来、ほぼ二十年ぶりであるということだと思います。まさに抜本的な改革を行って、ワクチンギャップを解消していく、また、我が国が予防接種先進国としてその制度をきちんと整備していく、そういう絶好のタイミングであるのではないかなというふうに思います。

 そういった中で、副反応を極力なくしていく、可能な限りなくしていくということは、これは当然の前提でありますけれども、その上で、ワクチンで予防できる病気についてはしっかりと防いでいくといったことが必要なのではないかと思っています。

 その上で、今回の改正に際しての改正の理念、それから大臣の予防接種に対する考え方、思いについて、まず最初にお伺いをしたいと思います。

田村国務大臣 どうもありがとうございます。

 今委員おっしゃられましたとおり、予防接種は、感染症という本当に人類に対しての脅威から、健康といいますか、守ってもらえる、そういう意味では大きな手段であることは間違いないわけであります。

 ただ、一方で、我が国は、この予防接種行政、ワクチン行政がやはりおくれてまいってきておるという現状がございます。ワクチンギャップ等々言われる中において、何とか、まずは世界の標準までこれを持っていきたいということで、今回、まだ一歩でありますけれども、三つのワクチンの定期接種化を決定させていただく法案を提出させていただいたわけでございます。

 あわせて、法律の中で、基本計画等々をしっかりつくるということでありますとか、それから、副反応、これに対してしっかりとした報告義務を課すでありますとか、さらには、厚生科学審議会の中に評価・検討組織をつくって、その中においていろいろな御意見をいただいていくでありますとか、いろいろな改正の内容を盛り込んでおります。

 いずれにいたしましても、大変重要な部分だというふうに思っておりますが、まだ、予防接種部会から言われております残りの四ワクチン、これが残っておるわけでございまして、財源をしっかりと確保することが前提でございますけれども、地方自治体とも協議をした上で、これも定期接種化に向かって努力をしてまいりたいというふうに思っております。

上野委員 ありがとうございました。

 大臣からも、まさに今回の改正は第一歩であるという話がありました。残された四ワクチン、また、先ほど来、ロタウイルスについても指摘がされておりますけれども、しっかり検討していくということだと思うんですけれども、まず、その議論に先立ちまして、今回、追加するワクチンを限定した理由というのを改めてお伺いしたいというふうに思います。

 厚生科学審議会では、七ワクチンについて追加をすべきだ、進めていくべきだという話がありました。また、WHOからも、今の日本のワクチンギャップを踏まえて、幾つものワクチンがまだ、WHOの推奨するワクチンから比べるとまだまだ足りないところが日本にある。そういったことも踏まえて、特に、この厚生労働委員会においても、従来から、ワクチンギャップについては議論が行われておりました。先ほども大西委員からもお話がありました。かつて、そういった議論がこの厚生労働委員会であったときには、政府側からは、近いうちに抜本的な予防接種法の見直しをするんだ、その中でしっかりと手当てをしていくんだという話があったかと思います。

 そういった中で、にもかかわらず、今回、その七ワクチンのうち三ワクチンしか手当てをされない、七のうち三に絞った、その理由をまずお聞かせいただきたいというふうに思います。

秋葉副大臣 午前中も同様の質問が続いたわけでございますけれども、Hibワクチン等のこの三ワクチンにつきましては、これまでも基金事業としてずっと続けてきたわけでございまして、これが二十四年度末で終了することから、二十五年度以降も切れ目なく円滑に予防接種を実施する体制を整備する必要があるということで、まずは、これまで続けてきた三ワクチンをこれからも継続するということの判断が優先したわけでございます。

 午前中も答弁させていただきましたとおり、地方自治体あるいは関係省庁との協議を十分調えながら、本当にできるだけ早く、財源のめどがつけば、答申いただいたとおり、全て残る四ワクチンにも広げていく、これが理想だというふうに考えております。

上野委員 ありがとうございます。

 先ほど、予防接種法の対象疾病の見直し、平成六年以来だという話を申し上げたかと思うんですが、さらにさかのぼると、その前に大幅な見直しがされたというのは昭和五十一年だったということであります。

 まさに数十年間に一回しかこれまでは見直しをされてこなかったというわけでありまして、先ほど大臣からも、今回の改正はまず第一歩だという話がありましたけれども、第二歩、第三歩が数十年後になるというのでは、これは全くこれまでの議論とは整合しないということであると思います。第二歩、先ほど平成二十五年という話もありましたけれども、ぜひ速やかに歩んでいただきたい、そういう思いであります。

 それで、今副大臣からもちょっとお話がありましたけれども、今回、さまざまな経緯があって、この三ワクチン、Hib、それから小児用肺炎球菌、子宮頸がんワクチン、三ワクチンを定期接種化するという判断をされた、法改正をするということであると思います。

 一方で、なぜ七ワクチンの中でこの三ワクチンなのかという議論は、当然、これまで予算措置をしてきたという経緯はあるとは思うんですけれども、法制上の措置をする、法律上に位置づけるということであれば、どのような医学的な、科学的な根拠があってこの三ワクチンを選んだのかということは、これは明確に説明をできなければいけないんだと思うんですけれども、この三ワクチンを今回先行して、まさに第一歩として法律上に位置づけた、その理由についてお伺いをいたします。

秋葉副大臣 委員御指摘のとおり、本当に七ワクチンをパッケージでやれれば理想だとは思いますけれども、今回、まずこの三ワクチンが優先した理由につきましては、予防接種部会におきまして、特に有効性及び安全性が高いということが確認をされた、そして、その接種促進に対する国民の要請も引き続きやはり高いものがあるということで、まず先行して実施をするということになりました。

 財源につきましても、安定的な財源確保ということで、初めて九割国費負担ということも実現をしたわけでございまして、残る四ワクチンにつきましても、財源の確保ができ次第、つけば早急に取り組んでいくということで、平成二十五年度以降もこの三ワクチンの接種をまず優先して、切れ目なく円滑に実施をしてまいりたいというふうに考えております。

上野委員 ありがとうございます。

 三ワクチンがまさに優先すべきワクチンかどうかという点については、実際には随分議論があるんじゃないかなというふうにも思います。安全性という話もありました。そういう中では、では、本当に子宮頸がんワクチンの安全性がほかのワクチンに比べてどうなのかという議論、これはあり得るんじゃないかというふうに思います。

 また、例えば水痘それからおたふく風邪のワクチン、これは大変強い要望も出てきている。また、次に質問させていただきますけれども、費用対効果という意味では、成人用の肺炎球菌ワクチン、これは大変大きな効果があるというふうにも聞いております。ぜひしっかりと検討していただいた上で、残りの四ワクチン、ロタも含めて、今追加をされた三ワクチンに決して必要性については劣るものではないんだと思います。ぜひしっかりと対応をお願いしたいと思います。

 これは先ほど大西委員からも質問がありましたが、改めて確認をさせていただきたいと思います。

 今副大臣からも財政上の手当てをしてという話をいただきました。財政上の手当てということであれば、成人用の肺炎球菌、これは先ほど来御指摘もあります、また、水痘それからおたふく風邪ワクチンについては、大変大きな経済的な効果があるんじゃないか、そういう報告がまさに厚生科学審議会でも出されている、資料として報告をされているところだと思います。

 成人用肺炎球菌については五千百二十億円、水痘で三百六十億円、おたふく風邪ワクチンで二百九十億円のプラスの効果があるということであります。もちろん、これも、先ほど来お話がありましたさまざまな前提を置いている、まさにそのワクチンの直接的な効果だけを切り取って数字を計算したものだという話も確かに伺ってもおります。

 一方で、医療費の抑制という観点からは、ワクチンというのは大変大きな効果があるというのも事実なのではないかというふうに思います。

 こういったことも踏まえて、あえて先ほど来、財政上の手当てということをおっしゃられておりますので、それであればこそ、残りの四ワクチン、まさに今こそ手当てをすべきなのではないかと思うんですけれども、改めて見解をお伺いいたします。

秋葉副大臣 先ほど、委員の御指摘の中にもございましたとおり、平成二十四年の五月の予防接種部会の提言では、費用対効果のみならず、ワクチンの有効性、安全性など、さまざまな観点から評価をした上で、今回、定期接種化をすることといたしております三ワクチンのほか、水痘、おたふく風邪、それから成人用肺炎球菌、B型肝炎の四ワクチンについて、広く接種を促進すべきとされているところでございます。

 残りの四ワクチンにつきましても、今後、財源確保の方策を含めまして、十分に関係省庁、そして自治事務の中で事業実施主体者になります市町村の御意見も十分に拝聴しながら、できるだけ速やかにこうしたことが実現できるように取り組んでまいりたいと考えております。

上野委員 ありがとうございました。

 繰り返しになりますけれども、ぜひ早急な検討をお願いしたいというふうに思います。

 続いて、費用負担の問題についてお伺いをしたいと思います。

 定期接種のワクチンについては、基本的には受ける側の自己負担というのはない。一方で、任意接種については、地方自治体の方で、さまざま御判断があると思いますけれども、自己負担を求めているケースが多いというふうに聞いております。また、同じワクチンの間であっても、地方自治体によって求めている金額にばらつきがあるということでもあります。

 これは午前中の質疑でもありましたけれども、我々、ワクチンによって防げる病気を防いでいくという観点から、少しでも接種率を上げていくということが必要なんだと思いますし、そのときには、では、自己負担をどうしていくのか、これは大変大きな問題なのではないかと思います。

 地域間、地域ごと、地方自治体ごとに予防接種の接種にかかる費用が異なるということがあっては本来いけないのではないかというふうに思いますし、ワクチン行政については、しっかりこれは国が一元的に、一律に手当てをすべきものではないかというふうに思います。また、例えばお子さんがどの地域に生まれたのか、また御家庭の経済状況によって、ワクチンを受けられる、受けられない、受けさせてもらえる、受けさせてもらえないといった、ワクチンの効果を受ける、その恩恵を受ける中で不平等が生じるということがあっては、これはならないのではないかなというふうに思います。

 ぜひ、地域間のワクチン接種にかかる費用の格差をなくしていく、また、これは、国が一元的に費用を支弁するということも含めて、無料で接種をできるように、ワクチンは効果がある、接種を進めていくべきだという審議会の報告もあるわけですので、例えば無料化も含めて検討していくべきではないかなというふうに思います。

 以前、この厚生労働委員会において、田村大臣も、ワクチンの無料化について言及をされたことがあったのではないかなというふうに思います。これは特殊なケースだったというふうに認識をしておりますけれども、諸外国ではワクチンは無料化が潮流であるということにも触れながら、無料化という観点からの質問もされたというふうに承知をしております。

 ぜひ、田村大臣のワクチンの費用負担に関する考え方、地域間の格差をなくしていくべきだということも含めて、どういうお考えなのか、お伺いをしたいと思います。

    〔委員長退席、上川委員長代理着席〕

田村国務大臣 歴史的な経緯がありまして、平成十二年にこれは地方の自治事務になったということはもう御理解をいただいていると思います。

 地方の自治事務というような大前提から考えますと、まさに今、地方分権の流れの中において、これは地方がやられる、判断されることでありますので、それに対して国が一律にというのがいいのかどうか。

 もしくは、これを、もう地方自治事務をやめるというようなまた新たな判断があれば別ですけれども、今はそういうような判断ではございませんので、地方がそれぞれ主体性を持ってやっていただくということを前提に、一方で、そうはいいましても、財政力の強弱がございますので、九割に関しましては地方財政措置をしておるというのが、特に今回のこの法案からの一応の流れであるわけでございます。

 そう考えたときに、無料、一割負担、それぞれ、各自治体によって判断が若干なりとも違うわけでありますから、そこをどうしろとまでなかなか国としては言えないということは御理解をいただきたいと思います。

 そういう状況の中におきまして、一括でどうだというお話もあるんですけれども、例えば国が全部買っちゃって、それを支弁して、その上で配ればどうだという話もあるんですが、最終的には医療機関がこれは予防接種をやっていただくわけでありまして、医療機関までこれを流通させなきゃならぬわけであります。

 なぜそれぞれによって金額が違うかということは、結果的にはその流通も含めての価格というものが決まってきておるわけでございまして、それはそれぞれの、やはり卸等々の介在の中においてそういう価格が決まってくる。それと、やはり場所によっては、当然それにかかる費用が違ってまいりますから、全般的な金額も変わってくるということもあるわけであります。

 もし国がやるとなると、一番早いのは、これは国の仕事にしまして、地方厚生局をもうちょっと強化してみたいな話になるのでありましょうが、それはそれで、多分委員のお考え方は、地方の出先機関はもっと縮減すべきだというようなお考え方が根底にあられるということでございまして、ここはなかなか難しいんですね、そう考えると。

 でありますから、実勢価格がどれぐらいなのかということも含めて、いろいろな調査はしながらお示ししていくということは可能であろうというふうに思いますけれども、国が一律に金額を決めて、無料でやるというのは、なかなか今の制度の中では難しいということは御理解をいただきたいというふうに思います。

上野委員 ありがとうございます。

 大事なことは、接種率をしっかりと上げていく、その上で、ワクチンで防げる病気はしっかりと予防していくということだと思います。引き続き、しっかりと対応をお願いしたいというふうに思います。

 次に、補償の問題について何点かお伺いをしたいと思います。

 副反応により事故が生じるケース、これは当然避けられないわけであります。もちろん、できる限り少なくしていくべきだということは前提でありますけれども、どうしてもワクチン接種に伴う事故というのは発生をしてしまうということであります。

 その際の、事故が生じたときの補償でありますけれども、例えば死亡された場合の補償は、一類に分類をされる疾病であれば四千二百五十万円、二類それから任意接種の場合には七百八万円ということで、大変格差があるというのが現在の状況ではないかと思います。

 一方で、先ほど来指摘をしておりますとおり、審議会の方では、今定期接種化をされているワクチン、それからそうでない、いわゆる任意接種のワクチンについても、同様にこれは効果があるんだ、推奨していくべきだとされているにもかかわらず、仮に事故が起きたときの補償については、随分、本当に何倍もの格差がある。こういった状況というのはどう考えられるのか、ぜひお伺いをしたいと思います。

 格差があれば、これは補償があれば受けるというものでも必ずしもないとはもちろん思うんですけれども、ただ、一方で、安心をして受けられるのかどうなのか、仮に事故が起きた場合に対応がとられるのか、とられないのか、これも、場合によっては接種率に大きな影響を与えてくる可能性があるのではないかというふうに思います。

 少なくとも、二類に位置づけられた疾病、また任意接種のものについて、一類に位置づけられたものと同等程度の手厚い補償をしていく。これは、金銭的に、そんなに事故が起きているわけではないので、まさに財政的な負担という意味では、それほどの大きな財政的な支出が必要なものでもないんだと思います。

 こういったところについて、どう今後やっていくつもりなのか、やっていくべきなのか、お考えをお伺いしたいと思います。

秋葉副大臣 今委員から御指摘いただいたとおり、現状では、定期接種と、またそれ以外での差があることは事実でございます。

 また、予防接種部会の方からも、七ワクチンのうち、特に基金事業で接種を促進している子宮頸がん等の三ワクチンについては、平成二十五年度以降も円滑な接種を行うことが必要とされる提言がまとめられたところでございまして、まずは、この提言を受けて、三ワクチンを予防接種法のA類疾病に位置づけまして、接種を受ける努力義務を国民に課すとともに、市町村が接種勧奨を行うこととしておるところでございます。

 その健康被害救済給付につきましては、公的関与の度合いが大きいことを踏まえまして、ほかの予防接種よりも給付金額が一段と高く設定をされてきているところでございます。

 一方、御指摘のとおり、残り四ワクチンについては、今後、財源確保の方策を含め、地方自治体等の関係者と十分に協議をしながら、定期接種化することを検討していくことといたしておりますので、この定期接種化が実現すれば、法に基づいて健康被害救済給付の同じ水準になってくるということでございますので、しっかりと進めてまいりたいと思います。

上野委員 法律の措置がされれば水準が同じになるのは、これは当然だと思うんですけれども、財源、先ほど申し上げたように、そんなに多くの事故が起きているわけではないですので、二類、任意接種のものについて、一類と仮に同等程度にするとした場合に、そんなにこれは財政上の支出が必要なものでもないんだと思うんですね。

 一方で、審議会で、繰り返しですけれども、七ワクチンについては進めるべきだというふうに、同じく進めるべきだという提言がされている。そういう中で、接種率に、これは受ける側にしてみると、本当に大きな意識の違いが生じてくる問題でもあるというふうに思いますので、ぜひ御検討をいただきたいと思います。

 補償の問題について、もう一点お伺いをしたいと思います。

 副反応による事故が生じたときに、補償の申請をするということだと思うんですけれども、因果関係の立証というのが大変困難なんだという話を聞くことがあります。

 結果的に、ワクチン接種との直接的な因果関係がないんだということにされてしまうおそれが仮にあるとすれば、これも接種率に大きな影響を与える可能性がある、そういった問題、要因の一つなのではないかというふうに思います。

 安心をして予防接種を受けられるように、全体として予防接種の接種率を上げていく、これは社会的に大変意義があるということだと思いますので、ぜひ、その補償対象、これを過度に限定することなく、また、手続についても、過剰にいろいろな手続を求めることなく、しっかりと、事故が起きたときにはカバーをしていくんだ、国でそういった場合は守っていくんだといった体制にぜひこれはしていくべきだと思うんですけれども、この点、お考えをお伺いしたいと思います。

秋葉副大臣 ただいま委員から御指摘いただいた点、大変重要な点だと思います。やはり手続の簡素化、そしてわかりやすさということも大変重要だと思っております。

 予防接種の健康被害の救済の申請に当たりましては、予防接種を受けたことの証明である母子手帳の写しでありますとか、あるいは健康被害の内容やいきさつのわかる診療記録等の提出などを求めておるところでございますが、それらの取り寄せ等については、市町村と申請者が相談をしながら進めてきているのが実態でございます。

 こうした資料は、厚生労働大臣が因果関係を認定するために必要な資料ではありますけれども、申請者の負担を少しでも軽減できるように、これからも必要最小限の書類のみに努めてまいりたいと考えております。

上野委員 ありがとうございます。ぜひ対応いただければありがたいというふうに思います。

 次に、疾病の分類のあり方についてお伺いをしたいと思います。

 今、新しい改正法案では、A類、B類、それからそこに位置づけられない任意のもの。任意のものであっても、予算上の支援があるもの、ないもの、また、そもそも日本では受けられないワクチン、いろいろなカテゴリーがあるんだと思うんですけれども、そもそも、こういった分類、A類、B類のところも含めて、非常にわかりにくい、また、この分類について合理的な理由がなかなか見出せない、そういう点があるのではないかと思います。

 また、受ける側、保護者の方々から見ても、なかなか、A類、B類、任意接種の違いというのが見えてこないというところがあるのではないかと思います。

 また、特に任意接種というところについてでありますけれども、当然、接種をするかしないかの判断は、保護者の方々、受ける方々がいろいろな情報を踏まえて判断をするということだと思うんですけれども、そもそも、保護者の方々は、医学的な知識を持っている方もいらっしゃれば、そうじゃない方もいらっしゃる。そういった中で、当然、情報の提供はしっかりとやっていかなければいけないし、最後は、それは受けないという判断もあり得るんだとは思うんですけれども、一方で、医学的に素人も含まれる保護者の方々に受けるか受けないかの判断を委ねる、義務を委ねる、責任も委ねる、そういったことでは、なかなかこれはうまく回っていかないんじゃないかなというふうに思います。

 そもそも、任意接種といったような分類、位置づけが本当に適当なのかどうかということも含めて、また、今のA類、B類、こういった分類が本当に合理的なのかどうかということも含めて、ワクチンの区分のあり方というのは結構議論があるんじゃないかなというふうに思います。

 そもそも、医学的、科学的に根拠があるものであれば、しっかり国としてこれは推奨していく、また、それが明らかじゃないものについては、これはそういうものだというふうにして、複雑な分類をつくるのではなくて、もっと明確に保護者の方々に見えるような形で国が判断をしていく。保護者に委ねるのではなくて、これは受けるべきものなんだということを国がしっかりと判断をして、明確に見せていくことが本来必要なのではないかなというふうに思うんですけれども、この点、見解をお伺いしたいと思います。

矢島政府参考人 今、疾病分類についての御指摘をいただきました。

 御指摘のようなこともいろいろとあったものですから、私たちなりには、法律の中では、一類疾病、今度、改正後はA類疾病になりますが、A類疾病については、その発生及びその蔓延を予防するために、特に予防接種を行う必要がある。要するに、発生とその蔓延というものを一類、要するに改正後はA類疾病。

 今度、新しくB類疾病になるわけですが、B類の方は、個人の発病またはその重症化を防止し、あわせてこれによりその蔓延の予防に資する。要するに、個人がその予防接種をすることによってその蔓延の予防に資するということを目的とするという形、一応、法律には。

 でも、先生御指摘のように、ちょっとわかりづらいというような御指摘があるのかもしれません。それはまたいろいろと工夫をさせていただきまして、実際に周知徹底するときには、いろいろとその辺のところをもっとわかりやすくする必要があるかと思いますが、今度の新しい法律の中では、一応、我々、前よりはわかりやすく定義を、今回の法律改正の中ではそれを明確にさせていただいて、そのB類疾病とA類疾病の違いを法律上明記させていただいたというふうに思っています。

 今後は、これによりまして、各疾病を客観的な基準で分類することが可能だというふうに考えております。

上野委員 ありがとうございました。

 もう少し申し上げたいことがあるんですけれども、ちょっと時間がないので、次に行きたいと思います。

 次に、効果の周知徹底ということでお伺いをしたいと思います。

 審議会の中で、七ワクチンについては進めていくべきだというふうにされたということだと思うんですけれども、一方で、世の中、一般の方々にとっては、予防接種の効果というのがなかなかまだ周知をされていない、理解をされていない点があるのではないかなというふうに思います。

 そもそも平成六年に、努力義務、義務ではなくて努力義務になったということをもってして、義務接種ではないので受けなくていいんじゃないかというふうに思っておられる方もいらっしゃると聞いておりますし、また、ワクチンは副反応による事故があり得るので、自然感染の方がいいというふうにおっしゃられる方もいらっしゃる。また、自然感染の方がしっかりと免疫がつくから、むしろ感染をした方がいいんだというふうにおっしゃっている方もいらっしゃる。お医者さんでもいらっしゃったり、こういった情報が随分インターネットでも流通をしているといったような状況があるのではないかというふうに思います。

 こういった状況についてどのように考えるのか、またどのように対応していくのか、お伺いをしたいと思います。

    〔上川委員長代理退席、委員長着席〕

とかしき大臣政務官 ありがとうございます。

 いろいろな御意見を頂戴して、ありがとうございました。

 ワクチンに関してはいろいろな考え方があるかと思いますし、実際にそうやって病気にかかって、それで免疫性を高めていった方が効果があるのではないか、そういった御意見があるのも承知しております。

 ただ、今回の予防接種法では、やはり法律に定めたワクチンはしっかり接種をしていただいて、その方が予防効果が上がるということで、今回、法整備化させていただいております。

 特に、この予防接種におきましては、一類の定期接種につきましては、なるべく広く、多くの方にこれを受けていただきたいと思っておりまして、対象者の方はなるべく接種を受けていただけるよう努めなければならない、こういうふうに法律の方で規定させていただいております。

 接種に関してはいろいろな御意見がございますけれども、正確な知識をしっかり得ていただいて、普及啓発に努めていく、このように心がけております。

 ありがとうございます。

上野委員 ありがとうございます。

 今、とかしき政務官にお答えいただいたんですが、改めてちょっと確認をしたいんですけれども、任意接種の部分、例えばおたふくとか水ぼうそうについても、これは予防接種ではなくて自然感染の方がいいというような情報がインターネット上であったりもするわけですけれども、私は、おたふく、水ぼうそう、まあ、水ぼうそうなんかは特にそうだと思うんですけれども、しっかりと予防接種を受けて防いだ方がいい。

 特に水ぼうそうについては、自然感染の方がいいんじゃないかというような情報も随分あると思うんですけれども、これは、自然感染ではなくて予防接種をして防いでいく、接種率を上げていく方がいい、そういう情報をしっかりと伝えていくことが望ましい、そういう御答弁だったという理解でよろしいですか。

とかしき大臣政務官 それで結構でございます。

上野委員 ありがとうございました。

 では、任意接種のものも含めて、しっかりと厚生労働省として、政府として、接種率を上げていく、誤った情報はしっかりと否定をしていって、予防接種の効果についてしっかりと周知をしていく、普及啓発をしていく、そのことを改めてお願いしたいと思います。

 時間になりましたので、最後の質問にさせていただきたいと思います。

 一番最初の質問で、大臣にもお答えをいただきました。まさに、今回の改正は第一歩ということなんだと思います。私どももそういう思いでありまして、今回の法改正の内容を見ていると、そもそも、審議会でこうあるべきと言われた内容についても、しっかりとやっているとはなかなか言いがたい、不十分な、まさに第二歩、第三歩が必要な改正であるんだと思います。

 先ほど申し上げましたけれども、何十年に一回の予防接種法の改正ということになって、これで疾病の整理が一段落して次の改正が何十年後になる、そういったことが決してないように、継続的に作業を進められて、ぜひ近いうちに、予防接種法の抜本的な、それこそ本当に抜本的な見直しをやっていただきたい。疾病の類型の見直し、費用負担のあり方、また、ワクチンの追加、それも含めて、ぜひしっかりと早急に検討をいただきたいと思うんですけれども、大臣の御決意、考え方をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 予防接種部会の第二次の提言の中で、いただいた御意見の中で、七ワクチンに対し、まだ三ワクチンしか定期接種化ができていない、この法案ででありますけれども、その部分も含めてこれから努力はしていかなきゃならぬと思います。

 その中で、御意見をいただいて、法案には書いていないんですけれども、しかし一方で、実際問題これからやっていこうというのは、例えば、ワクチンの価格の実勢調査でありますとか、それから、先ほど言われた予防接種の記録の方法、どうやって記録を管理していくかという方法でありますとか、さらには、リスク情報をちゃんと流していく、もちろん、有効性も伝えていかなきゃならぬわけでありますけれども、そういうことをちゃんとやっていくということでありますとか、そういう部分は、法案には書いてあろうが書いてなかろうが、しっかりやっていかなきゃいけない部分でありますが、これをやってまいりたいと思います。

 それを踏まえた上で、今委員がおっしゃられましたとおり、これからどうあるべきかということも含めて、一応、基本計画をこれからつくりますけれども、それ以外にも、このワクチン行政、予防接種行政はそもそもどうあるべきか、それも含めて、またこの分科会の方でもいろいろな御議論をいただければありがたいというふうに思っておりますので、そんなお願いもさせていただきたいというふうに思います。

上野委員 ありがとうございました。

 法令上の措置、また法令の外の措置、いろいろあるんだと思います。ぜひしっかりと議論をさせていただきまして、また、大臣御自身も、この予防接種法に対してはさまざまな思いがあるのではないかなというふうに思います。

 ぜひまた、ともにこの場で議論をさせていただきまして、日本がこれまでのようなワクチン後進国というのではなくて、しっかりとお子さん方の命は我々が守っていけるような、そういった予防接種の枠組みをつくっていく、そして、必要があればしっかりと法制上の手当てもしていくということをぜひまたこの場で御議論させていただきたい、そういう思いを申し上げさせていただきまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 本日は、このような機会を賜りまして、まことにありがとうございます。

 そして、過日は、田村厚生労働大臣、予算委員会で真摯な答弁を頂戴しまして、まことにありがとうございました。本日は、そして、これからもよろしくお願いいたします。

 予防注射ということでございますが、医療現場の声を集めますと、やっとこの三種類、Hibワクチン、小児の肺炎球菌、そして子宮頸がん、やっとここまで来てくれたかというような声が非常に多いのが事実でございます。待ちに待ったと言っても過言ではないかもしれません。

 ところが、若干ながら、やはり、常にワクチンにはついて回る副作用の問題、効果の問題、これに関して、医師も看護師も、そして御本人、御父兄も持っていらっしゃるのは事実でございます。

 そして、きょうは、特にこの子宮頸がんのワクチンに絞って質問をさせていただきたいと思います。

 まず、ワクチンであれば、ほぼ、ごく少数といえども必ず発症してしまう可能性のある病気、しかしながら、非常に命にかかわる、慢性化する可能性もある疾患として、ギラン・バレー症候群というものと、急性散在性脳脊髄炎、ADEMというものがございます。

 厚生労働省の方が出されているこの副反応報告で、きょう提示しております資料のようなものをいただいております。こちらに、報告事象、ギラン・バレー、ADEMの可能性のある症例、十二例ということが載っています。そして、こちらの左側の方には、専門家の評価に基づき否定できない例ということで、各々二例載っておるわけですが、こちらでは十二例なのに、なぜこちらでは二例ずつ計四例なのかというところをまず御説明いただきたいと思います。

矢島政府参考人 子宮頸がん予防ワクチンの接種後の副反応につきましては、医療機関等から厚生労働省に対しまして報告を求めておりまして、その報告に基づき、定期的に開催される専門家会議において、公開の場で御議論をいただいております。

 御指摘の、まずサーバリックスにつきましては、平成二十一年十二月の発売開始から、約六百八十四万回の接種がございました。そのうち、ギラン・バレーにつきましては六件、それからADEMにつきましては二件の症例が報告をされております。

 そういう意味では、ここにお示しさせていただいたのは、そこのところの部分のギラン・バレーにつきましては、症例数のところで、可能性のあるということでトータル六件報告されておるわけですが、実際に否定できない、検討会の中で副反応として否定できないのが二例であるということでございます。

 ADEMにつきましては二例、これが否定できないというふうな関係づけでございまして、なお、これまでのところ、その安全性に重大な懸念はないという結論をいただいておる、そういうところで、報告をいただいた数と、その中で実際に否定できないというところでの数の違いがこの形で出てきているというものでございます。

柏倉委員 もう一度、済みません、違った表現でお伺いいたしますけれども、確定診断がついたのが各々二例ということですか。

矢島政府参考人 いただいた報告にもさまざまではあるんですが、いただいた資料の中で、専門家の先生方で御議論いただいた中で、要するに、その御議論の中で評価をさせていただいた。いろいろな事情で、症例でも、カルテの資料が十分集められるものですとか、いろいろなものがございます。そういう中で、いただいた報告の中でいろいろと検証させていただきまして、その中で、詳しく調べて、必要があればちゃんと詳しく調べる中で、やはりこれは副反応として否定できないぞということになりましたものがここに示されている数だということでございます。

柏倉委員 ここのところの数字が、私、個人的には非常に大切だと思っております。先ほどおっしゃられました接種回数六百八十四万回、接種人口二百七十三万人ということですね。

 ギラン・バレーの発症が比較的高いと言われているインフルエンザでは、百万人に大体一・六から二人というふうに言われていると思います。もしこれが二人であれば許容範囲内かなというような実感もあるんですが、もしこれがさらにふえて六人ということになれば、このインフルエンザよりも高いということになるわけでございます。

 そうした場合、やはり、これは人工呼吸器も必要になってくるような症例でございますので、ギラン・バレーの実際の発症頻度、これはきっちりと検証して、後ろ向きですが追跡をしていただいて、実数をしっかり出していただきたいと思います。

 そして、今、私、手元にサーバリックスの添付文書を持参しているんですが、二〇一二年七月改定のものです、第五版。これの副反応には、ギラン・バレー、あとADEMという記載は一切ないようなんですが、ここのところの御確認をお願いいたします。

矢島政府参考人 先生が御指摘のサーバリックスの添付文書でございますが、添付文書の中に、副反応ですとか重大な副反応という形で、いろいろな記述というものが載せられているわけでございますが、あくまでも、これは薬事法上の承認の審査のときのデータになったものでございます。

 私どもは、実際に、先ほど申しましたが、ギラン・バレー症候群ですとかADEMにつきましても、一応そういうふうな報告がありましたものは全て集計をさせていただくという形で評価をさせていただいているところでございます。

柏倉委員 とすれば、将来的に指導してここにきっちりと記載をさせていくようなお考えはございますでしょうか。

矢島政府参考人 このところの添付文書のあり方につきましては、これはまた私どもの医薬局の方がその所管にはなるんですけれども、そこのところとも評価委員会は合同でさせていただいていますので、評価委員会の先生方の御指摘も踏まえまして、議論も踏まえまして、そのところは連携をさせていただきながら、必要な場合にはそういうふうなこともメーカーの方にお伝えをさせていただくということも考えていきたいというふうに思っています。

柏倉委員 ありがとうございます。

 ぜひこの二疾患、この二疾患だけが重要だというわけではありませんが、この二疾患は常にワクチンの副反応、副作用として世界でも評価されるスタンダードだと思いますので、ぜひしっかりと追跡をしてデータを蓄積、そして情報開示に努めていただきたいと思います。

 次は、午前中、維新の会の伊東委員からも指摘がありましたこのサーバリックスの効果、前がん病変に対してはあるというところの質問です。ここは大臣にも御答弁を賜れればと思っておるんですが、まず厚労省の方に聞かせていただきたいと思います。

 私はがんの専門家じゃありませんけれども、がんの専門家に聞きますと、あらゆるがんは、いわゆる前がん病変をたどってがんになるものと、そうでないものがある、このように考えるのが通例と聞いております。

 この前がん病変、海外、そして国内でも、二重盲検できっちりと前がん病変の検出率が落ちているというこのサーバリックスの前がん病変抑制に対する効果、これはもう医学的に、科学的に実証されているかとは思うんですが、もう一つのがんのなり方である、前がん病変をバイパスしてがんになってしまう、そういったがんに対しては、これは現実的には評価は非常に難しいんだと思うんです。

 そこのところが実際の子宮頸がんにおいて何%ぐらいあるのか。これは非常に評価は難しいと思いますが、もし御存じでしたら、まず教えていただきたいと思います。

矢島政府参考人 先ほどから議論になっていますサーバリックスですとか、そういうふうなワクチンが、今回、16型と18型によって、どれだけそのウイルスのカバーができるかという御議論もあるわけでございます。

 これが、ワクチンによってそのウイルスの対応を、これから新しいワクチンが開発されることによってどれだけカバーできるかという問題もありますので、一概には言えないんですけれども、そこのところについては、我々、正直言って、先生が御指摘いただいたところの詳しいデータを持っていないんですけれども、今回のサーバリックスですとかそういうもので、子宮頸がんワクチンでカバーできるウイルスの幅は、大体六割とか七割とか、それぐらいの幅のところをカバーできるのではないだろうかというふうなことは承っております。

    〔委員長退席、冨岡委員長代理着席〕

柏倉委員 そういった前がん病変を経由しないがんに関しても効くんだろうというふうには期待はしておるわけでございますが、実際、科学的に、医学的に実証されているのは、前がん病変を経由した子宮頸がんが抑制し得るという類推効果であるわけでございます。これをもってこのワクチンの効果に疑義を申し立てるとか、このワクチンは子宮頸がんに即していないとかいうことではなくて、これしかないわけですから、これを使っていくことを前提に、では、どうやってこの子宮頸がんのいわゆる限界というものをきっちり周知していくのか。

 これはもう先ほど、午前中も議論されていると思いますが、医学的に実証されているところと、我々が、そして御本人、父兄さんが期待するところに乖離ができているわけですね。そこの乖離をいかに埋めていくか、しかも、いかにわかりやすく埋めていくかというのが、私、ワクチン行政の本質だと思っております。

 その辺に関して、ぜひ田村大臣に御所見をお聞かせいただければと思います。

田村国務大臣 専門的にまだわかっていないところがあるという話を、今うちの役所の局長の方からあったわけでありますが、しかし一方で、委員御承知のとおり、大体年間八千人ぐらい罹患をされて、二千五百人ぐらいがお亡くなりになっておられる。もちろん、八千人罹患して二千五百人と、そのまま数字が動くわけではなくて、今まで罹患された中で、そういうふうに年間二千五百人ぐらいがお亡くなりになられておるというような実態はあるわけですね。

 唯一予防できるがんであるという意味での今回の子宮頸がんワクチンという話であるわけでありますから、そこの認識というものは国民の皆様に持っていただくことは前提であります。

 ただ、言われるとおり、例えばHPV16型、18型を経由して、今、そのままがん化する場合と、それから前がん病変を経由してがん化する場合と、前がん病変の場合には効果があるとある程度は実証できているけれども、直接がん化したものに対してはそれはまだ認められていないという意味からすれば、全てが全て防げるわけではないというのは当たり前であります。ましてや、HPVに感染されている方は、もうこれは後からは効かないわけでありますから、そこのところもちゃんと説明をしていく必要があるのであろう。

 でありますから、これによって絶対にもう子宮頸がんにかからないという話ではないわけでありますし、今、有効期間がどれぐらいなんだというようなお話もいろいろなところであります。まだこれは使われてから年数がたっておりませんから、どこまで効くのかということ自体も実証されていないという現実があるのも事実であります。

 でありますから、これからいろいろと検証していく上において、サーベイランス等々でいろいろな議論をしていく中においてわかってくれば、それをまた新たにそれぞれの皆様方、国民の皆様方に情報発信をしていって、新たな啓蒙はしていく必要があろうと思います。

 いずれにいたしましても、今現状、どういうような状況の中でこれが有効であるかということをしっかりとお伝えさせていただく中で、それでもやはり予防ができるがんのうちの、大きな一つといいますか、たった一つのワクチンでございますので、子宮頸がんの発生に向けてこれを防いでいくという意味からしますと大変大きな意味合いがあるというような認識のもとで、国民の皆様方に情報発信をしてまいりたいというふうに思っております。

    〔冨岡委員長代理退席、委員長着席〕

柏倉委員 どうもありがとうございます。

 しっかりと、その限界といいますか、万能ではないというところを、大臣おっしゃるように、国が責任を持って啓蒙活動に努めていただきたいと思います。現場の医師がきっちりと問診の際に事細かく説明する、これが道理かと思いますが、実際には、現場ではできていない、時間がないのが実情でございます。その辺の啓蒙活動、広報活動にぜひぜひ邁進をしていただきたいと思います。

 それでは、時間のあれで最後の質問になろうかと思うんですが、日本脳炎のワクチンで、直接因果関係はないが死亡事故が出たということで、ワクチンの中止の手順書案というものがつくられたと思います。ワクチン、副作用のないワクチンはないわけでございまして、退路をしっかりと確保しておくということも大切かと思います。

 このワクチンの中止手順書案というのは、日本脳炎のところでつくられたわけですけれども、今後、子宮頸がんワクチンに限らず、ほかのワクチンにも適用をしていくのかどうか、それに関してよろしくお願いします。

矢島政府参考人 予防接種中止の基準に関してでございますが、子宮頸がん予防ワクチンに限らず、定期接種後の副反応につきましては、同一地域や同一ロットでの発生がないかどうかを確認し、万が一異常な副反応の発生を把握した場合には、緊急に専門家による検討会を行うこととしております。

 御指摘の予防接種を中止する具体的な基準の設定につきましては、ワクチンごと、疾病ごとに適切に設定できるかどうか、今後、検討課題であると認識しております。

 なお、今後の副反応の評価のあり方につきましては、新たに設置される評価・検討組織において検討をしていきたいというふうに考えております。

柏倉委員 ありがとうございます。

 ぜひ、ワクチンごと、あらゆるワクチンでも結構です、常に、これはまずいと思ったらすぐに中止ができるような体制を国として整えていただきたいと思います。

 まだ時間があるようですので、申しわけないんですが、追加、最後のところを通告で書かせていただきました。

 夢のワクチンというのはなかなかつくれないというのが現場の話だそうでございまして、子宮頸がんも十何種類のパピローマウイルスのサブタイプが原因となってできる。ワクチンも、本来なら、その十何個のサブタイプに全部効くような成分、十何価のワクチンがつくれるのが一番いいんだという理屈を私も友達から聞いたことがございます。

 そこで、九価ワクチン、九個のターゲットを絞ったワクチンが今開発中だという話を伺ったんですが、その現状と将来の展望をお聞かせ願えればと思います。

矢島政府参考人 お尋ねの九価の子宮頸がん予防ワクチンにつきましては、現時点で世界で承認されているものはないものというふうに認識しておりますが、現在、日本国内において、海外のワクチンメーカー一社が臨床研究を行っているというふうに聞いております。

 詳しくは、メーカーから公表していないことから、お答えすることは困難でありますが、先日、これはちょっと古い、二〇一〇年のものでございますけれども、財団法人ヒューマンサイエンス振興財団が発表した国内のメーカーのものとして、高リスクHPV十五種類全てに有効なものについて臨床研究を始めたということが、二〇一〇年の十月十三日、ヒューマンサイエンス財団からも出ております。

 そういうふうなことで、今後、こういうふうなワクチンの開発については、我々も注目をしていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

柏倉委員 どうもありがとうございます。

 ぜひ、人の命を守る行政、ワクチン行政、まず一番やりとして田村大臣に取り組んでいただきますことを切にお願い申し上げまして、本日の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

松本委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、先ほど来ずっと、ドクターである委員の皆さんが専門的な議論を展開されておりまして、大変気おくれをしておりますけれども、私自身は、専門家ではありませんが、予防接種法を初め、法案のたび重なる改正の議論に参加をしてきた、そういう立場で議論をしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 先ほど来、まず、そもそも、この法案が非常にこれまでにない大きな改正であるという人と、いや、そうではない、小さな改正であると、さまざまな議論がありました。私は、やはり、目的規定が変わっているということ、そのこと自体が非常に大きな意味があるのではないか、このように思っております。

 予防接種法第一条の目的規定が、「公衆衛生の向上及び増進に寄与するとともに、」という表現だったものが、「国民の健康の保持に寄与するとともに、」という表現に変わりました。私は大変大きな変化だと思いますが、その趣旨は何でしょうか。

田村国務大臣 今、予防接種に関しまして、法律におきまして、公衆衛生の向上及び増進という部分が抜けたというところが大きな今回の改正の意味がある部分ではないかというようなお話でございました。

 もちろん、感染症に対する発生でありますとか蔓延、そういうものを防ぎながら公衆衛生の向上、増進を図っていくということが全く抜けておるわけではないんですけれども、ただ、公衆衛生という意味からすれば、戦後、これは制定当時、二十三年だったと思うんですが、そのころから比べれば、かなり公衆衛生は向上してきておることは確かでございまして、他の法律も含めて、公衆衛生の向上という部分も必要ではありますけれども、それのみならず、他の目的というものが強くなってきておることは事実であります。

 この法律に関しましても、今回、もちろん、ここに書いてありますとおり、「公衆衛生の見地から」という言葉が入っておりますから、公衆衛生が全く意味のないという意味ではないんです。もちろん必要なんですけれども、同時に、国民のそれぞれの皆様方の健康というもの、こういうところにも重きを置くような時代になってきておりますので、そのような意味のところもこの目的規定の中に入れさせていただいたということであります。

 ちなみに、そんな中におきまして、今回、B類というものをつくりながら、そこでそれぞれの個人の健康を鑑みながらの政令での追加というようなことを法律の中に盛り込ませていただいておるわけでございますので、御理解をいただければというふうに思います。

高橋(千)委員 御理解をと、別に批判しているわけじゃないんです、大臣。抜けたのが問題だと言っているんじゃなくて、健康の保持というのが加わったのが大きな意義でしょうということが私は聞きたかったのであって、何かそれが問題であるかのように受けとめられると、ちょっと困っちゃうんですね。

 これは、一類、二類というのがA類、B類という表現になったんですけれども、蔓延のおそれがある、そういう範囲だけではなくて、やはり重篤化を防ぐという、だって、それこそ、先ほど来議論されている子宮頸がんワクチンでいうと、蔓延するという話じゃないわけですからね、一対一の感染であるんですから。だけれども、やはり予防効果があるということに着目をして、健康の保持ということが出てきたんだろう、そこで分類が変わって、目的も変わった、そこが言ってほしかったのであって、批判をしているのではなくて、ちょっと……。

田村国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、公衆衛生上も大事でございますけれども、それぞれ国民お一人お一人の健康というものが大変重要でございまして、感染症を中心として、その重篤化というものを防ぐためにも、この予防接種というものに新たな目的を加えさせていただいたということでございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 やはり、認識の発展だと思うんですね。おっしゃったように、当時の時代背景からは大きく変わる中で、しかし、細菌性髄膜炎のお子さんを亡くしたお母さんたちや、あるいは子宮頸がんの当事者の運動が、本当に切実な訴えが全国に広がって、自治体からも声が上がって、やはりワクチンの必要性が求められた。もちろん、世界的に見たら日本は非常におくれているという客観的なデータもあるわけですけれども、それとあわせて、国民の訴えがあって、こうした改正が迫られていたんだろうと思っております。

 その上で、七ワクチンと言われているじゃないかとか、ロタウイルスが必要じゃないかということは、この間、先ほど来ずっと議論されていましたので、ここはぜひ、そういう立場に立って、早期に入れていくということで頑張っていただきたい。これは要望にとどめたいと思っています。

 そこで、今回の三ワクチンの予算については、五百二十二億円。年少扶養控除などの見直しによる地方財政の追加増収分の取り扱いについて三大臣合意が一月にされまして、そこで取り決めをされたわけであります。

 しかし、この年少扶養控除の廃止は、子ども手当の財源にするためにやられたものでございます。言うまでもありません。その後、子ども手当が粉砕されまして、児童手当に戻り、このままでは、むしろ子育て世代に増税になってしまうということを私自身も何度も指摘をいたしました。

 ですから、先ほど少し指摘があったようですけれども、総選挙の際の自民党の公約集であるJ―ファイルには、年少扶養控除を復活させますときっぱり書いていらっしゃいます。また、児童手当法の改正におきましては、自公民三党修正によって、附則に年少扶養控除のあり方を含め検討するということが書かれてありました。

 ですから、復活させますという公約との関係、あるいは、少なくとも、控除そのものを検討すると言ったんですから、どうされるのか、伺います。

田村国務大臣 まず、事実関係として御説明させていただきますが、年少扶養控除等々の廃止に伴う地方増収部分に関して、現行の児童手当の地方負担部分、これに使っていないというわけではございませんでして、これに使った上でまだ余りある部分を、今回、こちらの予防接種の方に使わせていただいたということでございますから、そこは御理解いただいているというふうに思います。

 その上で、年少扶養控除を復活するということを自民党の公約の中に入れておるではないか、そのとおりでございます。

 ただ、一方で、一度変わった制度をもとへ戻すとなると、財源の問題が一つございます。

 財源を中立化してもとへ戻そうと思うと、支給金額をいじらなきゃいけないという話になってまいります。そうすると、現行と比べて支給金額が減った方、ふえた方、それは減税も含めてでありますけれども、そういうようなそごが生じてくるわけでありまして、かなり制度がくるくると変わっておる中で、さらなる変化がありますと、これは本当に、子育てに一生懸命取り組んでおられます御家庭の皆様方にとってみれば、予測不能の中で、一体どのように子育てのためのお金を使っていったらいいかわからないというようなお叱りもいただくわけでございます。

 現行、自民党の税制調査会の方でも、これに関しては検討課題ということになっておるわけでございまして、現状、足元に関しましてはそのような状況でございますが、いざ、将来的にこれが年少扶養控除復活ということに相なれば、当然、財源に穴があいてくるわけでありますから、そのときには違った財源措置をしなければならないということであろうと思います。

高橋(千)委員 検討課題ということになって、もしそうなればとおっしゃったんですけれども、やはり、そうしようということを言うのは大臣しかいないと思うんですね。それぞれの省庁の責任者の方は、ほかの財源をどうとるかということに必死なわけですよね。

 ですから、先ほど、確かに、児童手当に使っていないわけではないとおっしゃいました。しかし、全体としては足りていない中で、今回、地方財政の増収分があったから、それをどう使いますかというので、子育てと関係ないものもいっぱいありましたよね、昨年も。例えば国保の関係ですとか、自動車取得税ですとか、そういうのまで出てきました。今回は、若干、小児用のワクチンですよということで、子育てに関係はしますよね、だけれども、ちっちゃいパイのとり合いにしかなっていなくて、プラス、プラスにはなっていないわけですよ。

 だったら、やはり振り出しに戻って、子育て世代に手当でやりますと言ったのに、それは自民党はばらまきだと批判しましたよ、だけれども、それにかわるものと言っていたと思うんです。だから、扶養控除の復活も含めて検討しますと言った以上は、やはり、新たな財源を見つけて、ちゃんと子育て世代は手厚くしますよということを大臣から発信しないと、多分、発信する人はいないと思うんです。いかがですか。

田村国務大臣 もう一度、正確に私は発言申し上げますけれども、年少扶養控除を復活するというのは党の考え方で、党の税調等々で御議論いただいてお決めをいただくことになろうと思います。

 今言ったのは、そうなったならばというのは、そういうふうに党が決定したならば、そのときには財源はしっかりと確保しなければならないということを申し上げたのでありますので、そこは御理解をいただきながら、他の部分も含めてどうなのかというお話だったというふうに思うんです。

 この年少扶養控除等の部分で子育ての財源を確保するのか。これは、委員は消費税の増税をお認めになられていない、そういうお考えの立場に立たれますから、そうは言えないのだろうと思いますけれども、消費税を上げると同時に、七千億円ほどは子供に使おう、さらに三千億円どこかから探してこなきゃいけないねという議論を我々も一生懸命今やっておるわけでございますので、子供たちに使うお金をふやしていくという意味では、しっかり財源を確保してまいるということでございます。

高橋(千)委員 まず、二つ、整理をしましょう。

 一つは、とにかくどうなっても財源は確保するということは、今、お話がありました。私は、当然、増税には反対をしていますし、また、プラス三千億はどこかからというレベルで、まだ決まってもいないというお話を、改めて大臣が確認をされました。

 やはり、税と社会保障の一体改革の中で、財源がないのだということを繰り返し言われたわけですけれども、一方では、赤字国債は今、年度の期限をとったという対比の中で、本当に社会保障の財源というものがないのだろうかという立場できょうは指摘をさせていただきましたので、これ以上はお話をいたしません。続けてやる問題ですので。

 そこで、ワクチン行政には副反応の可能性が避けられないということ、また、HPVワクチンの重篤症例が出ているという問題なども議論がされました。

 ただ、四月からということで、しかも副反応の報告が義務づけられたということでは、かなり急ぐ問題ですよね。要するに、医療現場の皆さんに周知徹底、あるいは患者の皆さんにそのリスクも含めて情報提供するということでは、かなり徹底が必要だと思いますが、その点について伺います。

秋葉副大臣 先生今御質問の趣旨は、いわゆるワクチンの実施に伴うサーベイランスを強化しろという……(高橋(千)委員「リスクの問題とか、ちゃんと制度の周知を医師の皆さんに」と呼ぶ)

 厚生労働省のホームページや、あるいは、一部ワクチンについては新たなポスターも作成をしながら、普及啓発の充実強化に努めてきているところでございます。

高橋(千)委員 この問題は、やはり四月からということでは、義務づけですので、かなり厳しいことでもありますし、罰則はないけれども義務づけということなので、本当に効果的にいくように、もう一声、ちょっとお願いしたかったということです。

 では、次のところに重ねて答弁いただければと思います。

 実は私、二〇一一年の七月に、この問題、予防接種法のときに質問をしているんですけれども、感染症が、どういうものが、どういう地域で、どのように起こっているかということで、やはりサーベイランスが、今もされているんですけれども、全数把握が必要ではないか、そうでなければ本当に実態はわからないのではないかという指摘をしております。

 それについて、今後、ちょっと前進があるのかないのか、いかがでしょうか。

秋葉副大臣 普及啓発については、先ほども申しましたように、さらに充実強化に努めてまいりたいと考えております。

 その上で、先生御指摘の、ワクチンの有効性を適切に評価するためにも、ワクチンにより予防可能な感染症の発生動向を的確に把握することは、厚生労働省としても大変重要なことだというふうに認識しております。

 そのような観点から、平成二十五年四月一日より、Hibワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンの定期接種化を見据えて、新たに侵襲性インフルエンザ菌感染症及び侵襲性肺炎球菌感染症を感染症法上の全数届け出対象疾病とする、感染症法施行規則の改正を行って、強化をしてきているところでございます。

 今後とも、必要に応じて、予防接種に関連する感染症の発生動向調査の充実を図ってまいりたいと思っております。

 なお、定期接種化が検討されております水痘やおたふく風邪につきましては、現状ではやはり患者数が大変多うございまして、医師に過剰な負担をかける等々の問題も一方でございまして、引き続き、定点報告での発生の推移を見守ってまいりたい、このように考えているところでございます。

高橋(千)委員 予防接種部会の第二次提言でも、新たなワクチンの導入策に応じて、サーベイランスに係る疾病や定点の設定を見直すべきであると指摘をしていまして、多分、今のお答えは、それで強化をしたという答弁だったと思うんですね。

 ですから、本当に今思い切ってやるんだという、新たなワクチンを追加したこのタイミングで強化をしていくこと、できれば全数把握を目指していくということをぜひお願いしたい。これは要望にとどめたいと思います。

 それで、副反応報告を薬事法の副作用報告と同じように一元化をするということで、ルートが一元化するということは簡素化であるけれども、範囲は広がるわけですよね、副反応ということで。

 そこで、それ自体はいいんですけれども、今、薬事法の改正を検討している検討部会の中で、副作用の報告先をPMDAに一元化することを議論されていると聞いております。そうなると、厚労省が一旦集めてというところが仮になくなってしまうと、ちょっと関与が弱まることにならないかという心配をしていますが、考えを伺いたいと思います。

秋葉副大臣 医薬品の副作用情報につきましては、薬事法に基づいて、製薬企業及び医療関係者に対しまして、厚生労働大臣に報告することを義務づけているところでございます。

 製薬企業からの報告につきましては、その整理をPMDAにさせることとして、既に報告先をPMDAとしてきているところでございますけれども、厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会におきまして、医師や歯科医師、薬剤師等の医療関係者からの報告につきましても、より迅速な対応を図る観点から、報告先をPMDAに一元化すべきだとの御提言をいただいたところでございまして、先生御指摘のとおりでございます。

 このPMDAに報告された副作用情報につきましては、速やかに厚生労働省にも報告をいただくということになっておりまして、PMDAといわば共有化されるわけでございまして、PMDAが情報の整理、また、調査を実施して、その結果につきましても必ず厚生労働大臣に通知される、そういう仕組みになっております。

 医療関係者からの副作用情報の報告先がPMDAとなりましても、厚生労働省の関与が弱まるということにはならないというふうに考えております。

 引き続き、これまでにも増してPMDAとの連携を強化しながら、医薬品の安全対策に万全を期してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 私がなぜこういう質問をしたかといいますと、やはり、薬害肝炎の議論をこの委員会で何度もしたときに、副反応報告の活用について、厚労省が、本当はあったじゃないかということが随分議論されて、それが一つの突破口になったということがあったわけですから、共有するということは大事なんだけれども、厚労省の関与がなくなるとうまくないよねということを指摘したかったんです。

 それで、最後に大臣に伺いたいと思うんですが、言うまでもなく、二〇〇八年一月十五日の薬害肝炎訴訟の基本合意文書にある第三者委員会について、田村大臣も議員連盟の呼びかけ人の一人として、我々とともに実現を目指していたわけでございますが、ぜひ、大臣として、これを閣法で提出していただければありがたいと思いますが、決意を伺いたいと思います。

田村国務大臣 昨日、C型薬害肝炎の原告団の皆様方、それから弁護団の皆様方とお話しする機会がございまして、議員立法で御努力をいただくというような動きもあったようでございますが、なかなか、やはり当事者の皆様方は、この第三者委員会に関しては閣法で、内閣でつくってほしいというような御要望が強いようでございます。

 もちろん、平成十一年の閣議決定で、審議会等々の新設は原則しないということがございまして、やる場合にはスクラップ・アンド・ビルド等々の手法を用いなければだめだということでございますから、非常にハードルが高いことは事実でございますので、そんな中において、厚生労働省として、当事者の皆様方のお気持ちをどのように反映をしていくのか、しっかりと前向きに模索をしながら、何らかの対応をできればというような思いを込めて、努力はしてまいりたいというふうに思います。

高橋(千)委員 ハードルを乗り越える資料を原告団も随分積み上げてきて議論してきたというのは承知された上での答弁だと思いますので、ぜひ前向きな解決が得られるように期待を申し上げて、終わりたいと思います。

松本委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

     ――――◇―――――

松本委員長 次に、厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医政局長原徳壽君、健康局長矢島鉄也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻委員 三年数カ月ぶりの質問でございます。長妻昭でございます。

 本日は、質問の機会をいただいて、ありがとうございます。

 生活保護の基準が戦後最大の下げ幅というふうに、今回の八月から三年間かけて下がる。トータルで六・五%、毎年二・二%ずつ下がるというふうに聞いております。

 その中で、実は、生活保護の世帯二百十五万人の方々のみならず、生活保護受給者じゃない低所得者の方々もその手当や補助が削減をされて、あるいは負担増になる。なぜならば、生活保護の水準というのは、生活保護の方のみならず、国家の最低生活ライン、こういうような位置づけでもあるからであります。

 それがどれだけ広がっているのか。政府が以前お出しいただいた資料は、生活保護以外の方の低所得者対策で影響を受ける可能性のあるもの、三十八制度出していただきました。うち、子供関係で十五制度ありましたけれども、きょう、配付資料一ページ目にございますけれども、これは、各自治体も心配になって、調べております。

 連動する可能性のある低所得者対策ということ。生活保護基準を一つの水準、低所得の定義と使っている、そういう制度は影響を受ける可能性がある。あるいは、地方税非課税ラインも生活保護の水準に連動をする、それを勘案して決めるということでございますので、これを見ますと、六十七制度にもなる。つまり、国がやっている制度のみならず、地方自治体が単独でやっている制度、これだけ広がりがある、影響がある。

 私は、今の政府は、生活保護を下げるときに、これほど受給者以外の低所得者対策に大きな影響があるというのは余り考えずに、非常に拙速に決断をしてしまった、こういう大変な疑いを持っているところでありますが、田村大臣、例えば、こういう具体的市の六十七制度、ほかの市ではまた単独でやっている制度がいろいろあると思いますけれども、これらについてはどういうふうにされるおつもりですか。

田村国務大臣 予算委員会でもこの議論はいただきました。

 大きく分けて、生活保護の標準世帯といいますかモデル世帯みたいなものを基準に使っているような制度と、それから、住民税の非課税限度額というものを一つ基準に置きながらそれを加工して使っている制度と、幾つかに分かれるんだと思います。

 住民税非課税限度額の水準を使う場合には、これは御承知のとおり、来年度は影響しない、これが変わるのは再来年度という話でありますから、来年度は関係しないという話になると思いますし、一方で、それも、以前から申し上げていますとおり、閣僚間の合意の中におきまして、なるべく影響が出ないように努力しよう。

 これは税の話でありますから、これは非常に与党が強いというのが今の政権与党の中での流れでありますので、例えば、私は自民党の税制調査会の幹部の方々にこの部分をお伝えさせていただいて、趣旨はよく理解しました、まだ、今すぐの話ではないですけれども、その趣旨を理解した上でこれから税制を考えてまいりますというような御返事もいただいておりますので、そちらの方はそちらの方で一定の手当てをさせていただけるのではないのかなというふうに推測をいたしております。

 一方で、生活保護のそもそもの数字を使っておられるのも幾つかあるのかもわかりません。そういうところに関しましては、なるべく影響のないようにということで地方にはお願いをいたしておりますし、地方単独事業の中でも国から財源が一定程度入っておるものがあります。そういうような財政措置されておるものに関しましては、来年度に向かって十分に今までの基準で財源を確保しておりますので、そういう意味では、影響は出ないのであろうというふうに思います。

 でありますから、そういう意味からいたしますと、影響を極力防ぐ。

 ただ、一方で、これは地方がおやりになられる事業でありますから、地方がどういうお考えを示されるかという部分というのは、確かにおっしゃられるとおり、国が強制はできない。

 それは地方分権、皆様方からいえば地域主権の流れの中での話でありますので、それぞれ最低ラインというものがどういうラインであるかということをお考えになられるというのはあるんだとは思いますけれども、そこまでは強制できませんが、しかし、今の我々の考え方を一定程度御理解をいただいて対応していただけるものというふうに我々としては存じておるような次第であります。

長妻委員 市の単独事業などなど、地方自治だからそれは保障できないというお話、これは当然だと思います。

 ただ、そういう影響を本当にわかっていながら、生活保護の水準を今回これだけ切り下げたのか。しかも、最大一〇%という非常に一律的な、きめ細やかさがない形というのが大変気になるところでありまして、この市の、例えば単独事業、全部読み上げるわけにいきませんけれども、例えば、いろいろあるんですね。墓地管理料の減免制度、これも生活保護に連動する可能性がある。三世代同居等支援事業、あるいは母子家庭等医療費助成、子育て短期支援事業、例えば子どもルーム、エンゼルヘルパー派遣事業、木造住宅耐震改修費補助事業とか、こういう地方独特の事業が、低所得者向けには非常に補助が出るというものが、低所得者の定義が変わることで変更になる可能性がある、削減される可能性があるという大きい問題です。

 これは非常に皮肉な話でして、政府がお考えになっていたのは、生活保護を受けていない低所得者の方々が生活保護を横目で見ると、非常にもらい過ぎなんじゃないのか、こういうことで生活保護の水準を下げる、こういうような発想があったやに聞いておりますけれども、皮肉なことに、生活保護を受けていない低所得者の方の補助も同じように沈んで削られていく。こういう目配り、気配りというのが非常に私は不足をしていて、自民党の公約に生活保護一〇%カットを書いてあったから、そのままそれを拙速にやってしまった。

 我々も、ゆがみを正す等々、生活保護の見直しは必要だ、こういう立場で議論してまいりましたけれども、突然出てきたこのデフレという発想で一〇%削減のつじつまを合わせてきたのではないのか、そういう強い疑いを持たざるを得ないわけです。

 二十ページ、配付資料の一番最後のページですけれども、いろいろなものがあるんですが、対象人数の大きいところで申し上げますと、例えば介護保険料というのが、これは六十五歳以上の一号の保険料でございますけれども、これは一つの国の基準でありますが、介護保険料も住民税非課税世帯は軽減されます。これが、軽減されると、一カ月三千七百二十九円。この軽減対象の方が一千七百二十七万人いらっしゃる、非課税の方でありますけれども。住民税非課税から外れると、例えば介護保険料は六千二百十五円ということで、倍近く上がっていく。

 あるいは、特定入所者介護サービス費というのもあるんですが、これは特養とか老健に入る費用、一カ月三万円が非課税の方々の自己負担ですが、それが五万二千円に、非課税ラインでなくなると高くなるなどなど、こういうものを一つ一つ言っていくと切りがないぐらい多いんです。

 例えば、この一千七百万人という、非常にボリュームの大きい、優遇策を受けている方々、こういう方々には影響させないと、これは厚労省の政策ですから、大臣、言えるんですか。

田村国務大臣 これは千七百二十七万人全員が対象にならないんだとは思うんですけれどもね。これは住民税非課税の方々がこれだけおられるという話だと思うんですが、少なくとも来年度は影響ありませんので、これに対しては何ら変わるものではないということをはっきりと申し上げたいというふうに思います。

 あわせて、それも含めて、やはり住民税の非課税限度額ラインというのが非常に影響が大きいというのは、いろいろなものに使われておりますので、我々も認識いたしております。ですからこそ、先般からそのような形で閣僚間において合意を出すとともに、党に対しても、このラインに関してはしっかりと御配慮いただきたいというお願いをさせていただいておるわけでございます。

 あわせて申し上げれば、一〇%一律という話が出ましたが、一〇%一律ではございませんので、そこの御勘違いは改めて御訂正をいただきたいと思います。一〇%は最大ラインでありまして、今回、物価の下落分を見ておるのは四・七八%であります。

 ちなみに、一〇%というのは、民主党政権時代からやってこられましたゆがみの是正のところで五・数%出てくる世帯が出てくるわけでありまして、それによって一〇%までいくわけです。

 もっと言いますと、それ以上に開くんです。しかし、一〇%以上はさすがにひどいじゃないかということで、一〇%を上限に我々は置いたわけでございまして、それは、御党が政権を握っておるときからの一連の流れの中の作業の中で結論を我々がいただきまして、結果としてこのような適正化を図ったという話であります。

長妻委員 ちょっと大臣も混同されているのではないかと思います。二点。

 一点は、いつも前政権が政権がと言うんですが、我々のときは、ゆがみの対策などなど調査はしていましたけれども、デフレ理論というのは、生活保護基準部会でも出ていない話が突如上がってきたのは、これは自民党政権。

 そしてもう一つ、配慮という話がありましたけれども、今、配慮というのは地方税の非課税ラインのところで使われましたけれども、では、地方税の非課税のラインを引くときに、低所得者対策に配慮する、今回の生活保護と連動させないようにしてください、こういう閣議や閣僚懇の申し合わせというのはあったんですか。

田村国務大臣 影響を極力なくすようにという閣僚間での合意をさせていただいたということであります。(発言する者あり)

 それから、もう一つ申し上げれば、いや、それは、税制がないとおっしゃられますけれども、総務大臣に対して、影響をなるべくなくしてくださいというお願いはさせていただきました。

 それともう一点、事実関係を申し上げますけれども、もう一度申し上げます、物価の話は全くなかったわけではございません。全くなかったわけではございません。そこは御理解をください。

 それから、物価の部分は四・七八%ですよね、それは御理解していただいていると思います。ゆがみの是正を含めて最大一〇%。

 というのは、今、長妻委員が、一律に一〇%も下げてと。まず、一律ではないんですが、一〇%下がる部分は、一〇から四・七八を引いた五・二二ですか、この部分はゆがみの是正なんです。

 ですから、一番きいている、一〇%削減、引き下げになるという世帯は、これは実はゆがみの是正によって半分以上の影響を受けておるということでございまして、これは、御党が政権を担っておられるときから実はいろいろと検討されてこられた内容でありまして、もっと言いますと、もっと差はあるんですが、さすがにそれ以上ということはひどいじゃないかという議論の中で、一〇%を上限にさせていただいたということでございますので、一〇%一律にしておる意味ではないので、そこは御理解をください。

長妻委員 いつも前政権が前政権がというのが、田村大臣、ちょっと言い過ぎるんではないかと思いますけれども。

 これは、そうすると、今、新しい答弁だと私は認識いたしました。地方税の非課税ラインについては影響を極力なくす、こういうことが閣僚懇談会でも申し合わされ、大臣からもお願いをされた。これは初耳でありますので、それは念頭に置いておきます。

 きょう、総務省も来ておられると思いますけれども、総務省にお伺いをいたします。

 この配付資料の二ページ目にあるんですね。これは総務省に、あるいは厚労省につくっていただいた資料なんですが、今現在、住民税非課税の方が六千七百八十九万人いらっしゃる。この人数の中の幾ばくかの方が連動すれば、今度は課税ラインに上がっていって、税金を払う、かつ保険料やいろいろな優遇策が受けられなくなる。厚労省は、この六千七百八十九万人の中で、世帯の中で全員が非課税の方々、それを足し算すると三千百万人になると。

 これも相当な数字でありますけれども、過去の事例をちょっとお伺いしたいんですね。

 今回、ことしの八月に生活保護を下げるとすれば、八月で戦後三回目なんです。しかも、戦後最大の下げ幅なんですが、過去二回下げた中の一番大きいのが、〇・九%というのがあります。この〇・九%下げたのが、平成十五年の四月から下げたんですが、これを受けてどのような地方税の非課税ラインになったのか、教えていただきたいと思います。

北村大臣政務官 お答えいたします。

 平成十五年に生活保護基準の見直しが行われたときは、翌平成十六年度の税制改正において、平成十六年度分の個人住民税から、均等割、一級地については、加算額を二十四万円から二十二万円に、二万円、引き下げました。所得割については、加算額を三十六万円から三十五万円に、一万円、引き下げが行われているところでございます。

長妻委員 連動して下がっているわけですね。

 ちょっと、収入ベースでいうとどのぐらいの感じなのかを聞きたいんですが、その生活保護基準が〇・九%下がったときに、では、非課税になる、ならないの収入のベースでいうと、ひとり暮らしから、二人家族、三人家族、四人家族、五人家族と、どのくらい、何%収入の金額が下がったのか、教えていただければと思います。

北村大臣政務官 平成十六年度の税制改正における個人住民税の非課税限度額の見直しにより、均等割に係る非課税限度額は、今お話しのように給与所得者の収入ベースでは、家族一人の場合、変更がありません。家族二人の場合には約一・三%の減少、家族三人の場合には約一・四%の減少、家族四人の場合、約一・一%の減少、家族五人の場合においては〇・九%の減少となっているところでございます。

長妻委員 こういう前例があって、前例と全く今回同じになるかどうかというのは、これはわからないところも確かにあるかもしれませんが、前例と同じであれば、生活保護の下がる水準よりも、二人家族から五人家族でいえば、それよりも高い比率で収入の非課税ラインが下がるということが前例であります。

 田村大臣が今おっしゃったように、これは総務省にもお伺いしたいんですが、これは、極力影響を出さない、つまり、生活保護が下がったとしても、地方税は下げるな、極力影響を出してくれるな、こういうことというのはあり得るんですか。生活保護がこれだけ、戦後最大下がっているのに、地方税を下げないということも、これもあり得るわけですか、可能性としては。あるいは、可能性としてはどちらが高いんでしょうか。

北村大臣政務官 御指摘の個人住民税の非課税限度額については、これまで、生活保護基準額の改正を踏まえ、翌年度の税制改正において所要の見直しをしているところであります。

 今回の生活保護基準の見直しに係る非課税限度額のあり方についても、厚生労働省の考え方も十分伺った上で、平成二十六年度以降の税制改正において、与党の税制調査会の議論も踏まえ、検討することといたしているところでございます。

長妻委員 これは、お役所の方に聞いても、専門家の方に聞いても、生活保護の水準というのが最大の要素だということを言っておりますので、政治の力で税制を変えていくというのは非常に難しいというふうに思いますので、そのときになって実はできませんでしたという話にならないように、生活保護そのものの水準の問題点も見直す必要があると私は思っております。

 その観点でもう一点質問しますと、デフレ要素で生活保護が、つまり、物価が下がっているから貨幣の価値が上がる、それによって実質的に名目を下げても実質生活レベルは同じだということで、四・七八%切り下がっているところであります。

 これを例えば部分部分で見てみますと、冬季加算という、冬、生活保護の方々にお渡しするお金についてでありますけれども、これは十一月からお渡しするということであります。

 例えば、1区である一番寒いところ、北海道、青森県、秋田県では、例えば二人の生活保護の方では一カ月二万八千六百九十円が冬にお渡しされるということでありますが、これをデフレで下げるということでありますけれども、ここにも添付しておりますが、灯油価格は二〇一二年の一月から見ると一〇%以上値上がりしているんですね、今、円安もあるし、インフレということも若干あるのかもしれませんけれども。

 これは、非常に不可思議なのが、デフレで下げるといっても、今、円安でインフレ傾向にあるときに、例えばこの冬季加算でいうと、逆行しているのではないのかと思うんですが、なぜ、灯油が上がっているのに、デフレだから物の値段が安くなるということで冬季加算を下げるんでしょうか。

田村国務大臣 まず、住民税の問題ですけれども、一つ御理解として、必ず生活保護と連動しているわけではないということは御理解ください。今までもそうでございました。連動はしていないときもあるということは御理解をいただきたいと思います。生活保護の基準を勘案して、総務省がお決めになられているということでございます。

 それから、今のお話なんですが、冬季加算というお話でありましたけれども、ほかの生活扶助費もそうなんですが、これというもの一つに限定して基準を決めているわけではないので、加重平均して、その上で全体の基準を決めておるということであります。

 冬季加算に関しましても、例えば今言われた燃料費もあれば、飲食費もあるでありましょう、温かいお鍋だとかそういうものも入ってくるでありましょうし、それから布団、衣服、こういうものも入ってまいります。さらには、家具用の什器、場合によってはエアコンでありますとか、ストーブでありますとか、いろいろなものが入ってくると思います。

 そういうものも全て含めてという話でございますので、全体として、パッケージとして加重平均した上で、このような数字を出してきておるということでございますから、上がったものもあれば下がったものもあるということであります。

 また、あえて申し上げれば、今、インフレではございませんので、まだ物価は決してインフレではございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。

長妻委員 そうすると、八月に下げるときにインフレだったときは、八月のデフレ分の下げというのは中止するんですか。

田村国務大臣 まず御理解いただきたいのは、激変緩和で、三年間にわたって適正化を進めるということでありまして、初年度、八月からはその三分の一の部分であります。

 そういう意味からいたしますれば、それは、極端に物価が上がれば、当然、途中でも見直すということはあろうと思います。狂乱物価のようなときが起これば、実際問題、見直した事例はございます。しかし、許容範囲であるならば、それは激変緩和の部分等含めて、見直すことはしないということであろうと思います。

長妻委員 先ほど地方税の話を、田村大臣、今もされましたけれども、もう一回、ちょっと、では総務省にお伺いするんですが。

 地方税の非課税ラインというのは、生活保護を勘案するということが文書でも明記されておりますけれども、地方税の非課税ラインを考えるときに、いろいろな要素があるというようなことも聞いておりますが、生活保護の基準というのが最大の要素だということは、これは間違いないことでございますか。

北村大臣政務官 個人住民税の非課税限度額制度は、個人住民税の地域社会の会費という性格を踏まえつつも、低所得者層の負担を考慮し、所得金額が一定水準以下である者について非課税とするものであります。

 個人住民税の非課税限度額の基準は、均等割については前年の生活扶助基準額を、所得割については前年の生活保護基準額を勘案して設定してきたところであります。

 いずれにしても、今回の生活保護基準の見直しに係る非課税限度額のあり方については、厚生労働省の考え方も十分に伺った上で、平成二十六年度以降の税制改正において、与党の税制調査会の議論も踏まえ、検討することといたしているところでございます。

長妻委員 ちょっと総務省に更問いをしたいんですけれども。

 そうすると、今の私の質問は、住民税非課税のライン、それを決める要素の中で最大のものは生活保護の基準だと。それだけじゃないんでしょうけれども、最大のものは生活保護の基準だ、これはそういうことでよろしいんですか。

北村大臣政務官 お答えいたします。

 基本的には、先ほどお答えしたと同じであります。個人住民税の非課税限度額の基準は、均等割について前年の生活扶助基準額を、所得割については前年度の生活保護基準額を勘案して設定してきたところであります。(長妻委員「最大のもの」と呼ぶ)

松本委員長 長妻君。(長妻委員「もう一回答弁。ちょっと時計をとめてください」と呼ぶ)

 北村総務大臣政務官。

北村大臣政務官 今ほども申し上げましたけれども、個人住民税の非課税限度額の基準は……(長妻委員「いや、これは違いますよ。打ち合わせしてください。では、時計をとめてください、委員長」と呼び、その他発言する者あり)

松本委員長 速記をとめます。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こしてください。

 北村総務大臣政務官。

北村大臣政務官 非課税限度額につきましては、夫婦、子供二人の標準世帯におきまして、均等割にあっては前年の生活扶助額の水準、所得割にありましては前年の生活保護基準額の水準をそれぞれ上回るよう設定してきたところであります。(長妻委員「いや、だから、最大かどうかと聞いているんです。ちょっととめてください」と呼ぶ)

松本委員長 田村大臣。(発言する者あり)

田村国務大臣 委員長から御指名がありました。(長妻委員「ちょっと委員長、これは運営がおかしいですよ。総務省に聞いている」と呼ぶ)

 ということも含めて、今、基準世帯という話が出ました。それも含めて、今回の生活保護制度の改正において、今までのような、基準になる、モデルの標準世帯というのがなくなるんです。

 なくなりますからこそ、新たにどうするかということも踏まえて、これから総務省の方で議論もいただかなければならないということでございます。

松本委員長 総務省、いかがですか。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こしてください。

 北村総務大臣政務官。

北村大臣政務官 何度もお答えいたしておりますが、先ほど来申し上げておりますように、非課税限度額の基準は、均等割については前年の生活扶助基準額を、所得割については前年の生活保護基準額を勘案して設定してきたところであります。

 ただし、今後のことについては、ですから、与党の税制改正の手続を踏んで、与党の意見を尊重しながら決めていきたいということであります。

松本委員長 長妻君。(長妻委員「最大の要素かどうか」と呼び、その他発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こしてください。

 北村総務大臣政務官。

北村大臣政務官 これまでも、生活保護基準を上回る……(長妻委員「最大かどうか」と呼ぶ)いや、上回るということで、前提で決めてきたということは間違いありませんので。

 しかし、今後のことについては、与党の税制改正で協議をした上で、手続を踏んで決めてまいりたい。だから……(長妻委員「最大の要素かどうか。最大でしょう」と呼ぶ)優先するかどうかについては、ここで明言をすることはできません。

松本委員長 長妻君。(長妻委員「では、最大かどうか、もう一回聞いてください」と呼ぶ)

 北村総務大臣政務官。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こしてください。

 北村総務大臣政務官。

北村大臣政務官 最大であるとかないとかということはここで明言できませんが、したがって、生活保護基準額を勘案して設定してきたというこれまでの経過を申し上げているわけであります。

長妻委員 それだったら、いや、私もいろいろ事務方と話していると、いや、生活保護の基準が最大の要素の一つだと事務方の方は言われているんですよ。

 つまり、では、生活保護の基準を勘案というのはちょっと曖昧な言い方なんですが、当然、生活保護の基準イコールではないと思いますよ、それは私も理解しています、生活保護の基準も、私は最大だと思っているのですが、では、それ以外の要素ですね、例えば物価のCPIとか、何か生活保護の基準よりも重視する指標というのはあるのか、ないのか。事務方は、ない、生活保護基準が優先されて、最大の要素だと明言しているんですが、何でここで言われないのかが不思議なんです。

 生活保護の基準以上に重視する基準というのはないはずなんですね。あるんだったら、言っていただきたい。ないんだったら、生活保護が最も大きな要素だということを明言いただきたいんです。

北村大臣政務官 同じことを答えているわけでありますが、個人住民税の非課税限度額制度は、個人住民税の地域社会の会費という性格を持っているということを前提にして、低所得者層の負担を考慮して、所得金額が一定水準以下である者については非課税とするという制度なのでありまして、したがって、個人住民税の均等割については生活扶助基準額を、あるいは、所得割については前年の生活保護基準額を勘案して設定してきたということであります。(長妻委員「事務方は言っているんですから」と呼ぶ)

松本委員長 長妻君。(長妻委員「いや、だって答えていない。最大の要素かどうか。では、もう一回聞いてください」と呼び、その他発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こしてください。

 北村総務大臣政務官。

北村大臣政務官 お答えいたします。

 個人住民税の非課税限度額制度は、できるだけ多くの住民がその能力に応じて広く負担を分かち合うという、いわゆる個人住民税の地域社会の会費的な性格を踏まえて決めているということが一点。(発言する者あり)はい。

 いま一点は、非課税限度額の基準は、均等割については前年の生活扶助基準額を、所得割については前年の生活保護基準額を勘案して……(発言する者あり)ですから、必ず上回るということではなくて、その辺を、ですから、税制調査会で勘案してこれまでも決めてきたし、これからもそういうふうな方策をとっていくということを申し上げているわけであります。

松本委員長 長妻君。(長妻委員「同じじゃないですか。では、最後、最大かどうかでいいですよ。ほかに何があるんですか」と呼ぶ)

 北村総務大臣政務官。

北村大臣政務官 そのほかには、この二つを要素として勘案して決めているということでありまして、それ以外のものはありません。

長妻委員 ある程度、今のは踏み込んだ答弁だとも思います。つまり、生活保護の基準以外はないというような、勘案する要素としてですね。

 実際、私も、専門家の学者の先生、つまり、いろいろ、税調を務められた方々などなど、いろいろ聞きましたところ、やはり、生活保護の基準が下がるとそれは基本的には下がるということになる、それを政治の力で、税には理屈があるから、違う方向には行きにくいということを聞いております。

 私がこれだけこだわっているのは、これは相手は生身の人間なんですね。一回、いろいろ田村大臣言われましたけれども、それは努力がちょっとできませんでした、やはり下がっちゃいましたということで、やはりこの答弁は努力はしたけれどもだめですということでは、多くの方が予期せぬ負担増になって、政府も予期しない負担増なんですね。政府が計画した負担増じゃないわけで、補助金の削減も政府が予期していない形で、生身の人間ですから、これは取り返しがつかないということで申し上げているところです。

 そして、もう一歩進んで言うと、田村大臣にお伺いしたいんですが、では、仮に、地方税の課税最低ラインが生活保護の下げを受けて過去の前例ぐらい下がった、仮に下がったとしましょう。下げない努力はされるんでしょうけれども、その努力もなかなか難しく、下がった場合は、それに連動する制度は、その下がった課税ラインの基準によって削減される、これはとめられないということでいいわけなんですか。

田村国務大臣 何によるか、個別具体的なお話ではないのでお答えできづらいんですが、地方がそれぞれでやられているものに関しては、地方がその目的や趣旨、実態を踏まえて政策をやっているわけですね。

 本来、住民税の課税最低限度額を使わなければならないなどというような制度はどこにもないわけでありまして、そこは各自治体が御判断をいただくということになろうというふうに思います。

長妻委員 ちょっとおかしな答弁なんですね。

 十九ページに保育料の月額がありますよね。これは国の標準モデル金額でありますが、非課税世帯は一カ月九千円なんです。それが非課税から外れると一万九千五百円になる。三歳以上児の場合は六千円から一万六千五百円。一カ月一万円以上の負担になるんですね、保育を受ける方々が。

 例えば、では、非課税ラインは下がって、受けられないという状況に今のままだったら自然体であればなるんだけれども、非課税ラインが下がったとしても、厚生労働省としては優遇策は続けていく、一部の世帯は課税世帯になっても続けていく、そういうことも考えているんですか。

田村国務大臣 先ほどそうお答えしましたのは、要は、具体的なものがわかりませんから、連動するもの、連動しないものがあるんですよね、これは。だからそうおっしゃったのであって、今回具体的なお話をいただきましたのでお答えしますけれども、まず、実際問題、非課税世帯になるのか、課税世帯になるのかという実態がある中で、仮に課税世帯になった場合にはどういうふうになるかというような御質問の趣旨でよろしいんですね。

 いろいろな方法があると思います。例えば社会福祉法人減免というのがございますから、そういうものを適用していただければ、今までどおり非課税のときと同じ扱いになると思いますが、そもそも、まずそうならないように、住民税のお話をずっとさせていただいてきておるわけでございます。

 あわせて、先ほど来ずっとお話がございましたが、私が申し上げたのは、生活保護の上限があろうとも、要は、住民税非課税の限度額がそれに比例して常に動いておったというわけではない、連動していなかったときもあるということを申し上げたわけでございまして、あくまでも勘案した上で御決定をいただいておるわけでございますから、ですから、自動的に、生活保護基準が上がったから住民税非課税限度額が上がっているわけでもないしというお話をさせていただいたわけであります。

松本委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

長妻委員 これで質問を終わりますけれども、我々も生活保護の見直しというのは、不正受給を含めて取り組んでまいりましたけれども、これほど戦後最大の下げ幅をいとも簡単に、ほかの制度への波及も気配りせずに決めてしまうというのは、これは非常に大きい問題で、生身の人間ですから、これからもこの問題について質疑を続けていきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

松本委員長 次に、宮沢隆仁君。

宮沢(隆)委員 よろしくお願いします。

 本日は、児童虐待の話を中心に質問させていただきたいと思います。

 まず、ちょっと余談ですが、織田裕二演じる「踊る大捜査線」というのは皆さん御存じだと思うんですが、その中で青島刑事の名せりふに、事件は会議室で起こっているんじゃない、現場で起こっているんだという言葉は御存じだと思います。三カ月前まで普通の医者であった私の役目は、永田町に現場の厳しさをお伝えするのも一つの役目だと思いまして、私が脳外科医として経験した虐待事件のお話を先に少しさせていただきます。

 私が救急外来にいますと、ぐったりとした二歳児を抱えた女性が入院してきました。それで、検査等で、男児の頭蓋内には急性硬膜下血腫という、血がたまっているわけですね。それで、急いで手術室に入って、メスを入れて頭蓋骨をあけて、硬膜という膜を切ると、一メーターぐらい血液と髄液のまじった液体が噴出してきまして、研修医が腰を抜かしそうになったということもありました。

 そこへ、結局、警察も来まして、母親の話をよく聞いて、母親はほとんどの場合認めないんですが、徐々に、覚悟をして、少しずつ、たたいたとか揺さぶったとかというのを話し始める。これが一般的経過で、多くの小児科医、脳外科医は経験している現場であります。

 今、マスコミ等で有名になっている揺さぶりっ子症候群というのがありまして、英語で言うとシェークン・ベビー・シンドロームというんですが、あやしているつもりで頭部を振って、それだけで頭の中で血管が切れて出血するんですね。そういうのを一般の方もほとんど知らない。恐らく昔はそれで脳性小児麻痺のような状態になって、あるいは亡くなったという子供がたくさんいたんじゃないかと思うんですが、今はそういう病態があるということは少しずつ認知されてきましたので、減ってはきているだろうと思います。

 虐待をめぐる社会的な問題として、虐待している親は、まず、ほとんど認めようとしないということが一つ。しらを切るんですね。それから、意外とインテリの親の世帯に、多いかどうかわからないんですが、私が接している限りでは、結構しっかりとした親のように見えるんですが、でも、家庭内ではストレス等でそういうことをやってしまうという現実があります。

 それで、先にちょっと現状をお知らせしたいと思いまして、資料の一を見ていただきたいんですが、ここにグラフがあります。

 上の方です。最後に、六万というところへ印がしてある。平成二十三年。これは報告をしてくる件数ですね、児童相談所に問い合わせがある。これがどんどんふえている原因は、絶対数と、それから一般の方の意識がふえている、両方の要素があると思うんですが、そういうことで、とにかく、ふえていることは間違いない。

 それから、下の表は、児童虐待によって子供が死亡した件数を並べてあります。第一次報告は平成十五年、一番左端から、第八次、右端まで。この丸で囲ったのは死亡した人数です。そうすると、少なくとも、どんどんふえているというのがわかります。第四次、五次については、これは十五カ月分の資料ですので、若干飛び抜けて高くなっています。

 まず、こういう現実があるということを認識していただきたいと思います。

 そして、資料の二は、右下の星印のついたのをごらんいただきたいんですが、虐待の相談がどういうルートで来るかということを示しているんですが、意外とばらけていて、右上から見ると、家族、近隣・知人、福祉事務所、警察、学校、その他となっていますね。十数%ずつです。左下に医療機関があるんですが、意外と少ないんですね。これは私自身もちょっと意外だったんですが、医者がどんなに頑張って通報しても、この程度しかない。逆に言うと、それほど多いということですね。

 それで、資料三は、この三、四、五は厚労省からいただいた資料なんですが、この辺については厚労省の方から説明していただいた方がいいだろうと思うんですけれども、三、四、五を通じて、今の児童虐待防止の概略について、とかしき政務官ですか、よろしいですか、お話しいただいて。

とかしき大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 地域の児童虐待防止システムというのは、市区町村を中心に、児童相談所、警察とも連携しながら今行っているところであります。

 子どもを守る地域ネットワークというものをつくられておりまして、いろいろな角度から子供の虐待をしっかりと、先ほどの資料でもございましたけれども、家族とか地域とか周りにいる人たちがしっかり連携をしながら見守っていくという体制を整えております。

宮沢(隆)委員 どうもありがとうございました。これを全て口頭で説明するというのは、なかなか大変なことだと思うんですけれども。

 私がレクを受けて理解したのは、平成十六年の児童虐待防止法で、市町村と児童相談所が二重構造で対応する。資料三の上の方に書いてありますね。市町村虐待相談件数が七万件、地域ネットワーク等で対処する。

 このシェーマ、絵の特徴は、真ん中に市町村が入って、非常に対応が従来よりはスムーズになったということです。児童相談所というのは、この右端に、縦の欄に二百七カ所と書いてあります。

 この児童相談所というのは、我々医者も、それから市町村、県、それぞれの虐待にかかわる組織が関係する、かなめの組織なんですね。この児童相談所の実態というのが、私自身も認識していませんでしたし、恐らく厚労省の方々も、最終的には都道府県管理ですので、余り現場のことは御存じないかなと思いまして、実は、昨日、都内の某児童相談所の方へ行ってヒアリングをしてきました。

 そこで、簡単にサマライズしますと、年間五百人の相談を受けて、二割は虐待に該当しない。逆に言うと、八割は虐待に該当しているわけですね。

 対応としては、まず、数が足りない。それは資料四の左の方にも書いてありますが、相談員の数が足りない。それから、専門職が足りない。それから、人材育成もしたいんだけれどもできない。親の見立て、子供よりも、親がまともかどうかというのを判断するのが非常に難しいそうで、その辺で非常に困惑している。あと、職員がメンタルにやられて、年一人ぐらいはやめているそうです。物すごい親が中にはいますので、すごい攻撃を受けるそうです。

 都内に、その保護した子供、親のもとにとても帰せないというような子供を保護する施設が、三千人というのがあるらしいんですが、もうここは既にいっぱいで、次から次へと虐待されて来る子供を預ける場所がなくて困っている。最終的には、里親とか、そういう保護してくれるところへ回すんでしょうけれども、それが手いっぱいになっているということですね。

 小児精神科医とか、そういう専門職が本当はいてくれるといいんですが、県に数人いる程度らしいです。そんな現状を聞いてきました。

 それで、この辺から本格的な質問に入ります。平成二十四年四月から改正児童福祉法が施行されているようですが、資料にもありますけれども、これの効果というのは上がっているのでしょうか。お願いします。政務官ですね。

とかしき大臣政務官 質問ありがとうございます。

 児童相談所の方に、昨日、御視察いただきまして、本当にありがとうございます。自治体が中心に、今、この児童虐待の方は対応していただいておりまして、現場を見ていただいて、一番、その生の声を届けていただきますことを、本当に心からお礼を申し上げたいと思います。

 今、法律、昨年の四月に、児童相談所と警察の連携を今後強化していこうということで、都道府県に対して指示が出されたということでございます。

 これからその効果がどれほど上がってくるかというのが多分出てくるかと思いますけれども、平成十九年の児童虐待法の改正で児童相談所と警察との連携も強化されていまして、従来と違って、家庭の中に入っていって安全の確認等、そして、例えば家の中に入れないような場合の臨検・捜索制度、こういった権限も児童相談所はどんどん強化されてきております。それに伴いまして、援助要請の件数の方も少しずつふえてきているという傾向もございます。

 ということで、今、そういった新しい法整備が整ってまいりましたので、推移を見ているというところでございます。

宮沢(隆)委員 どうもありがとうございました。

 今、市町村、都道府県にある程度お任せ、あるいは指示するというような答弁が多かったと思うんですけれども、各都道府県、市町村での実態がどうなっているかというのは厚生労働省として把握しているのか、あるいは、なければ、これから把握しようとするのでしょうか。その辺、ちょっと伺いたいと思います。

とかしき大臣政務官 質問いただきまして、ありがとうございます。

 現場では、都道府県、市区町村が担当しておりますけれども、もちろん、この状況については、厚労省の方には報告は全部、件数が上がってきておりまして、今の相談対応件数が、各都道府県がどういった相談が出ているのかとか、その数値の推移とか、こちらの方で把握をさせていただいております。

宮沢(隆)委員 そうですか、私の方へは、余りそういうデータがなかったものですから。では、厚労省の方、後ほど回してください。お願いします。

 あと、今回、予算のことなんですが、虐待防止の予算措置ということで、それだけにということはないだろうと思うんですけれども、どのくらいの予算を想定していて、それが足りているのか、足りていないのか、その辺のコメントをいただけますでしょうか。

とかしき大臣政務官 二十五年度の予算では、関連予算としまして、前年度比二十六億円増の九百六十八億円を計上させていただいております。

 具体的にはどんなところにこの費用を使っているかと申しますと、相談機能を強化していくということと、児童の安全確認のための体制の強化をしていこう。これは、具体的に、例えば、児童相談所の窓口で働いていたOBの方々もこの中に入っていただいたりということで体制を強化していこうというふうに考えております。

 あと、虐待を受けた子供などの、福祉施設等へ一時退避なさいますけれども、これをなるべく小規模化していこうということと、地域を分散化していこう、こういったところに予算を割かせていただいております。

 また、平成二十四年度の補正予算では、安心こども基金の積み増し、延長を行いまして、乳児家庭全戸訪問事業、それから養育支援訪問事業などの取り組みが実施できるように措置をさせていただいております。

 以上です。

宮沢(隆)委員 これは私の私見なんですけれども、今の児童相談所の現状を見ていると、もっとふやしてあげてもいいんじゃないかなという気はしています。

 これは、厚労省内でも同じように起こっている、この間質問した、高齢者の一割負担を二割に戻そうじゃないかという話、あれで毎年二千億円使っているのであれば、こちらへ一千億円ぐらい入れるとか、そういう方法もあるんじゃないかなと思うんですね。それはもう、高齢者は恐らく文句は言いませんよね。だから、そういう言い方でうまく予算を動かしていったらいいんじゃないかなとちょっと思いました。

 それから、厚労省でも政府広報として努力しているということは聞いているんですが、先ほどのシェークン・ベビー・シンドロームとか、そういう医学的知見を一般の人にももっと知識として持ってもらってもいいんじゃないかと思うんですけれども、その辺は何か努力をされているんでしょうか。お願いします。

とかしき大臣政務官 ありがとうございます。

 先ほど宮沢委員にも御指摘いただきました乳幼児の揺さぶられ症候群、これを防ぐために、赤ちゃんが泣きやまない場合の対処方法を啓発しようということでDVDを作成いたしまして、今、全国に配布をする予定でございます。

 親にこういった必要な知識をきちっと提供させていただいて、こういった事件にならないように支援に努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

宮沢(隆)委員 非常に結構だと思います。その辺の広報は、もうちょっとお金をかけて、もっとやってもいいんじゃないかと思うんですね。それは最終的に都道府県、市町村の助けになりますので。同時に、絶対数も減ってくるだろうと思います。

 もう一つは、昨日の現場の児童相談員もこぼしていたんですが、いわゆる児童相談所の強制力というんですか、その辺をもうちょっと強化できるとありがたいということも言っていましたし、あとは、強制力を持っていても、なかなかそれを行使するというのは、結構、所長の判断で意外と左右されるということらしいんですね。

 だから、結局、そこが際どくて、例えば、二回訪問して子供を親が玄関まで出してこなければ、もう三回目は鍵をあけさせて強制的に入るとか、それが強制力らしいんですが、その辺は、そこを逃すと一週間後に子供はもう死体になっていたとかというのが、今ニュースでぼんぼん出ているわけですね。

 そこをもうちょっと、水際で大事な子供を守る方向に、強制力を強い方向に持っていってもいいんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

とかしき大臣政務官 先ほどもちょっとお答えさせていただきましたけれども、平成十九年の児童虐待法の改正で、児童相談所の権限は強化をされております。先ほどお答えしましたけれども、安全性確認のために解錠を伴う立ち入りとか、そういったことが強化されて、導入されております。

 ということで、権限を強化され、さらにもう一つ大切なのは、警察との連携、これをどうとっていくかというのも結構重要でございます。ということで、今後も、児童相談所と警察、これがいかに密に連絡をとりながら子供の虐待を少しでも少なくしていくか、この辺に取り組んでいきたいというふうに考えております。

宮沢(隆)委員 資料一を先ほど見ていただきましたけれども、平成十九年の法律改正で、では減ってきたかというと、決してうんと減っているというわけでもないんですね。

 平成十九年だから、もう随分たっているわけですので、もうそろそろ再検討して、今のそういう強制力のレベルでいいのかどうかとか、そこはちょっと考え直していただいた方がいいんじゃないかと思います。これは私の提言です。よろしくお願いします。

 では、児童虐待の話はここで終わりにします。

 では、がらっと話の内容は変わります。

 これまたちょっとお医者さんの世界の話で申しわけないんですが、今、専門医制度というのが、どういう専門医制度のあり方がいいかというのが議論がずっと続いております。

 それで、もちろんお医者さんの方が議論しているんですが、日本専門医評価・認定機構が、今やっと結論を少し出して、第三者機関をつくろうという段階になっているようなんですが、私の知り合いの某医学部長からも問い合わせがあったんですけれども、この第三者機関の運営費用とか運営メンバーとかをどのように決めていくのかという、私自身もちょっとお聞きしたいと思うんです。これは大臣になりますか。

原政府参考人 お答えいたします。

 医師の専門医制度については、多くの学会がそれぞれ独自の制度を設けて、独自の基準で専門医を決めてきたという経緯があります。その中では、必ずしも専門性がどうかという、あるいは比較ができないような形のものもございます。

 そういう中で、専門医について、多くの学会が統一した基準をつくって決めていこうというような動きがあり、そういう形で社団法人日本専門医制評価・認定機構というものが設立されております。

 今お尋ねの検討の部分でございますけれども、これは、私どもの方で、一昨年の十月に専門医の在り方に関する検討会というのを設けて、ことしの三月まで、計十七回、議論を重ねてまいりました。先日の三月七日に十七回目を開きまして、最終的な報告書の案を取りまとめていただいたところでございます。最終的には、若干の字句の修正等がございまして、今現在、今年度中に何とか委員の先生方の合意を得たいと考えているところでございます。

 専門医制度の認定機構の方でございますけれども、先ほど申し上げましたように、これは、社団法人でございますので、関係する多くの学会を社員として成り立っている社団でございます。その中で、社員からの会費により運営が行われているという状況でございます。

 これに対しまして、新たに考えている、第三者機関として専門医を認定していこう、こういう仕組みにつきましては、この検討会の中でも、それぞれ学会から独立した中立的な機関でやっていくべきだということで合意ができているところでございまして、その運営に当たりましては、現在あります社団法人の機構とは別につくっていくものと考えておりまして、そのために、準備の組織を来年度には立ち上げていきたいというふうに考えております。

    〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕

宮沢(隆)委員 おおむね私の理解と同じです。

 そこで、私はもう一回お聞きしたいのは、今の制度評価機構では、学会が供出金を出しているということでしたね。それを第三者機関でも踏襲して、やはり学会からお金を取るのかということ。

 もし独立云々というのであれば、お金は取ってはいけないんじゃないかと思うんですよね、やはり左右されるということもありますし。また、学会もお金持ちじゃありませんので、学会側にとっても、お金は取られない方がいい。その辺はいかがお考えでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 現在は第三者機関を設立する前段階でございますので、具体的に、どこからの拠出を求めるかとか、そういうことについて決まっているわけではございません。

 そのために、中立性というのは先ほど申し上げましたように重要でございますので、それを保つために、その準備組織をつくろうということが今回の検討会でも提言されておりまして、その中には当然ながら医療関係者も入っていただきますけれども、その他一般の国民の方々の代表になられるような方々の意見なども含めながら、国民の目から見てもわかりやすい専門医制度をつくるために、そういうような組織をつくった上で、第三者機関に対する拠出をどこに求めるかということも、その中で検討していただくことになろうと思います。

宮沢(隆)委員 よくわかりました。

 それからもう一つ。

 第三者機関の構成メンバー、いわゆる、多分理事長がいて理事が何人かいるというような形になるんだろうと思うんですけれども、そのときに、一般に、こういうお医者さんが絡む組織というのは、お医者さんの中でも教授だとか院長だとかという、そうそうたる地位の方々が並ぶというのが普通だったと思うんですけれども、私は、ちょっとそれでは片手落ちだろうと思うんですね。

 まずは、やはりお医者さんでない人を入れるとか、同じ有識者といっても、うんと若い人、三十前後の方で有識者という方を入れるとか、そういう工夫をしていかないと、こういう新しい組織というのはなかなか斬新なアイデアも出てこないだろうし、進まないんじゃないかと思っていますので、ちょっと意見として取り入れていただきたいと思います。

 では、この問題はこのぐらいで結構です。

 最後の問題、これもちょっと衝撃的なデータなんですが、私がある精神科のドクターと雑談をしているときに言われたんですけれども、医者が毎年九十人自殺しているという話を聞いたんです。

 僕はびっくりしまして、そのドクターもびっくりしていましたけれども、医学部の卒業生のほぼ一学年分、毎年ドクターが自殺している。看護婦さんとか女医さんの自殺も結構多いようなんですね。データによると、一般の自殺の一・三倍とか一・四倍とか、アメリカ、イギリスなんかではもっと多いらしいです。

 結局、それの原因となっているのが過労ですね、労働環境が劣悪過ぎるということです。

 それで、これについては、厚生労働省として何か解決策を考えているのでしょうか。これはどなたにお聞きしたらいいですか。よろしくお願いします。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 医師の自殺が多いということで、私もたまたま近くで、そういう事例が幾つか、耳に挟んだことがございまして、命を預かる大変重たい仕事でありますので、多分、過度に精神的にストレスがかかる大変な仕事で、その分、そういった形で、自殺という最悪の選択をせざるを得ないような状況に追い込まれてしまったのではないかなというふうに思います。

 そこで、厚生労働省としましては、やはり働きやすい環境をつくっていくことが非常に大切である、このように考えておりまして、今、医療機関の勤務環境改善のための総合的な対策を取りまとめたところでございます。

 例えば、勤務環境改善活動を促進する仕組み、システムづくりをしたりとか、あと、マンパワーの確保、先ほど委員もおっしゃっておりましたけれども、ハローワークやナースセンターの事業の連携や、短時間での正職員の活用など、こういったことを使いながらマンパワーをなるべく確保していこうということと、あとは労務管理、医療分野でのさまざまな外部の専門家チームによる医療機関の支援体制、こういったものも整えていこうというふうに考えております。

 これは、医療の政策、医療機関の皆さんのこういった労働環境をよくしていかないと、やはりこれも全部患者さんにも響いてくることでありますので、厚労省としても積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。

宮沢(隆)委員 昨年の十月からということで、現場にいた者としては、もっと早く、十年か二十年前からやっていてほしかったなと思ったんですが、とにかく始めていただいただけでもよかったなという思いではあります。

 現実を言いますと、私も三年前まで大学病院にいたんですが、大学病院は医者がごろごろいて、いわゆる産業医という医者もごろごろいるんですね。いるんですが、医者は、お互いに自分のことを診てもらうということは絶対しません。ほとんどしません。だから、意外と、病院の中の医者とか看護婦の勤務環境というのはブラックボックスですね。医者の不養生とよく言いますけれども、かなりそのとおりの人が多いと私は思っています。

 だから、労働環境をよくして解決すれば、医師の不足だとか偏在というのもかなり解決する方向に行くんじゃないかと思っていますので、このプロジェクトはぜひどんどん進めてください、応援しますので。よろしくお願いします。

 では、ちょっと早いようですけれども、終わります。どうもありがとうございました。

西川(京)委員長代理 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 よろしくお願いします。

 まず、がん検診の話をさせていただきたいと思います。特に、職域健保のがん検診の話を中心にさせていただきたいと思います。

 今、がん検診、五〇%台を目標に関係者の方が御腐心なされているというのは重々承知しておりますが、現実には、三〇%に満たないのが現状のがん検診受診率であります。

 そこで、日本の経済を引っ張っていってもらう生産労働人口、若い働き盛りの方のがん検診というものを考えたときに、国保だけではなくて、やはり会社、企業が負うその責任、役割は非常に大きいものというふうに認識しております。

 働き盛りの方の亡くなられる原因の四割はがんであるというふうに言われております。その逸失損益六兆五千億円、これはもう十年前の推計ですけれども、非常に大きいものであるというふうに断じていいと思います。

 そこで、どなたでも結構です、お伺いしますけれども、今、がん検診、特に働き盛りの方のがん検診、その事業主体は市町村国保といろいろな事業主体、特に企業体が関与しているかと思うんですが、市町村国保が約何割で、企業の健保、いわゆる職域健保が関与しているのが何割ぐらいなのか、概数で結構ですので、教えていただきたいと思います。

田村国務大臣 今の御質問ですが、二十歳から六十四歳のがん検診受診率は大体二割から四割ぐらいだということでございますが、そのうちの四割から五割程度が職域で受けておられるということでございます。

柏倉委員 ありがとうございます。

 四割から五割、職域健保が担う働き盛りの方のがん検診というのは非常に大きいというふうに思います。

 きょう、手元に資料を一枚用意させていただきましたが、もう一枚、毎日新聞の平成二十四年十二月七日の新聞、済みません、ちょっと手元には用意していないんですが、そこにこういう記事が載っています。

 人材派遣会社の無料の乳がん・子宮がん検診というものを同健保が推進していたけれども、高齢者医療への拠出金負担増で収支が悪化し、一〇年度から約二千円の自己負担を導入したという記事が載っています。これは子宮がん、子宮頸がんに関するものですね。

 それで、お手元の記事を見ていただきますと、下の下線、これは、がん検診を受けない理由、「未受診理由はほかに、「費用がかかり経済的にも負担になる」」ということが載っています。

 つまり、自己負担をしなければいけないがん検診に、あえてお金を払って受けようという方が減っていく可能性が十分に予測されるということでございます。

 ワクチンの話を午前中やったわけなんですけれども、やはりワクチンと検診というのはセットで推進していかなければいけないものであるというふうに考えております。

 そこで、何とか、後期高齢者への拠出金、これは問題になって国の方でも対処していただいておりますけれども、ぜひ、職域健保ががん検診に積極的になれるような財政的な支援というのを、省庁横断的に考えていただけないでしょうか。よろしくお願いします。

田村国務大臣 今のは職域の健保の話でございましたけれども、それ以外にも、国保も担っているわけでございまして、もともと、老健制度等々から制度を変えていく中で、受診率が国保の場合には落ちてきておる、そういう経過もあります。

 こちらの方は、今、いろいろな努力をしていただいておりまして、自治体のがん検診と特定健診を抱き合わせしながら、なるべく受診率が上がるような努力をされておられるようであります。大体自治体の七十数%、そういう努力をいただいておるようであります。

 そもそも、大きな担い手であります職域健保に関して、どういう対応があるんだというお話でございますが、確かに重要な点であろうと思います。

 それぞれの保険者が、それぞれの健康というもの、保健というものをしっかりと進める上において、それぞれの御活動をいただくということは大変重要であろうと思いますが、一方で、後期高齢者医療制度への負担金というもの、これもこの制度を守るために重要な部分でございますので、今、三分の一に関して、総報酬割というような形でお願いを今回もさせていただく法律を出させていただいておるわけでございます。

 いろいろとバランスを考えながら諸施策を考えていかなければならぬわけでございまして、今すぐに委員のおっしゃられる要望をかなえられるような状況ではございませんが、いろいろと勘案しながら、いい方法等々を検討してまいりたいというふうに思います。

柏倉委員 前向きに御検討いただけるということで、どうもありがとうございます。ぜひぜひ、働き盛りの方にさらに元気に働いていただくような方策をお考えになっていただければと思います。

 続きまして、予算委員会で田村大臣には質問をさせていただきました、老人介護施設の問題を質問させていただきたいと思います。

 この質問の趣旨は、老健待機者、六・七万人から四十万人という幅のある推測がなされてはいるんですが、この方を一人でも減らす、これをどのように現行ある施設を有効利用してやっていくかというところを考えなければいけないんじゃないかなというふうに、私、現場の人間としては考えておる次第でございます。

 そこで、お手元の資料を見ていただきますと、元来、老健に入られる方というのは、リハビリをしておうちに帰られる方、そのための施設であって、いろいろな違う病態の方の加算はありますけれども、基本となる介護保険点数というのは、リハビリ、居宅復帰というものを主眼にしてつくられているというふうに認識しております。

 そこで、平成二十二年なんですが、老健からどこに退所される方が一番多いのかを示した統計がございます。

 真ん中の「(老健)介護老人保健施設」と書いてあるところでございますが、家庭に帰られる方、二三・八%、医療機関に行かれる方、四八・九%でございます。居宅復帰という目標を達して御自宅に帰られる方は、実際、四分の一なわけです。悪くなって病院に行かれる方は半分、特別養護老人ホーム、特養に行かれる方は一〇%弱、お亡くなりになる方は六%というデータになっております。

 このデータを見ますと、居宅復帰という場でもありますけれども、それ以上に、やはり、医療機関から医療機関への中継地点、これはお年寄りですから仕方ないんですが、こういった性格の方が色濃いのかなというような感じがいたします。

 しかるに、先ほども前段で申し上げました、今の保険点数は、在宅復帰率、ベッド回転数で基本サービス料及びこの加算に差が出るようになっております。さらには、リハビリテーション加算ということで、早期復帰を施設側にも間接的に促す仕組みになっているのではないかなと思います。

 居宅復帰を望めない、望まない方が半分以上、六割、七割いらっしゃるこの老人介護施設で、居宅復帰に重きを置いた介護保険点数算定を続けていくというのは、私は、このあおりを食って、強制的に出なきゃいけない、出されてしまう方も大勢いらっしゃるんじゃないかなと思います。そして、それが現場の実感でもございます。

 そこで、大臣にお願いといいますか提案なんですが、老健を、利用者のニーズにきめ細かく対応するための改革というものができませんでしょうか。例えば、老健施設のベッドの何割かを待機所、中継地点としての新しい介護保険点数の仕組み、点数を設けて適用していく、こういうようなことができないかどうか。

 現在、特養は四十四万床ということを聞いております。老健は三十二万床。先日、大臣が予算委員会で、おうちにいて介護度の高い方、特養に適しているだろうと言われる方、六万七千人、六・七万人とおっしゃいました。この六万七千人の方を老健を特養化して入れる場合は、老健の二割のベッドを特養化すれば、理論的には待機解消できるわけです。

 設立要件等が違うわけですから、そんな簡単にはいかないのはわかりますけれども、現存する施設を有効利用して何とか待機者をゼロに近づける努力というのをしていく場合、この老健の活用の仕方、今私が申し上げた提案も含めて、大臣、どのようにお考えになられるか、お聞かせ願えますか。

田村国務大臣 今、六万七千人という話がございましたが、老健にそれだけのベッドがあいているのかどうかというのは、ちょっとよくわかりません。今埋まっておれば、そこにはどなたかがおられるわけでありまして、その方を追い出してそこに待機者を入れるというわけにはいかないということは御理解をいただけるんだというふうに思います。

 老健に関して、これを見ますと、二三・八%家庭に帰っておられる。この数字をまずどう見るかというのが一つあると思います。それから、医療機関に行った後、どういう状況になっておられるのか、これも一度よく調査しなきゃいけないのかなと、今この数字を見て感じております。

 いずれにいたしましても、いっときショートステイが枠があいていて、どうしようもない、どうするんだ、特養にならないかというので、病床転換できないかというようなお話もございまして、そういうことをやった経過もございましたけれども、本当に老健がどういう使われ方をしておるのかということをしっかりと調査をしておく必要があるのかな。

 といいますのは、要は、本当にリハビリで御家庭に戻りたいという思いをお持ちの方々がおられるにもかかわらず、そういう方々が多いにもかかわらず、それを枠を転換するという話になったら、これはまた本末転倒な話になると思いますので、ちょっと一度調査をさせていただきたいなというふうに思いますので、御理解ください。

柏倉委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 きょうは出していませんけれども、家庭に帰りたいというお年寄りが七割近いと思います。ただ、実際は、家族に面倒をかけるので帰らなくてもいいという方も、やはり七割近くいるというふうに記憶しています。ぜひ詳細な調査をしていただいて、わずかばかりの提案でございますが、老健の有効活用を検討していただきたいと思います。

 最後になりますけれども、本当にピンポイントの質問でございます。

 リハビリテーションの老健における加算なんですが、これは入所後九十日ということになっております。ただ、実際は、平均的に、大体今、一年近く皆さん老健にいらっしゃるんですね。そうすると、最初の九十日にリハビリ加算をつけても、その後の方が長くいるわけで、これは理論的に言えば、退所直前の九十日につける方がいいんじゃないか。ないし、いつ退所するかわからないんですから、これは退所の数日間に加重の加算をつけて、よりリハビリを合理的にプッシュするというような政策等は考えられないでしょうか。

    〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕

秋葉副大臣 老健施設におけるリハビリテーションにつきましては、在宅復帰、そして在宅療養支援の観点から、適切なアセスメントに基づいて利用者ごとに策定された計画に基づいて、漫然とした提供がされることがないように配慮しつつ実施されておるところでございます。また、必要に応じて随時計画を見直すことも可能とされているところでございます。

 早期の在宅復帰を目指した短期集中リハビリテーションは、おおむね三カ月程度で実施することが有効だと考えておりまして、そのような観点から、短期集中リハビリテーション実施加算は、入所してから三カ月以内の者に対して算定できることとされているところでございます。

 また、脳梗塞や骨折等で状態が変化し、入院して再度老健施設に入所した場合には、再度算定できる等の配慮がなされているところでございまして、さらに三カ月以上の入所が必要な場合に、当該加算は算定できないものの、入所の継続は可能なところでございまして、三カ月間という算定期間が設定されていることが強制的な退所につながるものではないと考えているところでございます。

 今後とも、適切な在宅復帰、在宅療養支援が行われるように、必要な施策に取り組んでまいりたいと思っております。

柏倉委員 どうもありがとうございました。機能的、合理的なリハビリ制度を後押しするような保険点数であってほしいというふうに考えております。

 本当に、きょうは真摯な答弁をいただきまして、どうもありがとうございました。

松本委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 田村大臣、あと十五分、よろしくお願いいたします。

 きょうの質問は、十五日の本委員会で民主党の大西委員の質問に対し、TPPの問題であります。

 大臣はTPP反対ではなかったのか、請願署名にも紹介議員となっているという質問に対して、反対でした、それは民主党政権だからだった、今は安倍政権だから、私も閣内だからという趣旨の答弁をしております。これは議事録できちんと読みました。

 正直、驚きました。自民党の政権奪取がかなり濃厚だった中での公約でありましたので、だったら、政権をとったらTPPは推進しますと書けばよかったのではないかと思いました。

 大臣の話は、結局、民主党に交渉をやらせると心配でたまらないが、自民党だったら大丈夫という意味なんですよね、きっと。そうすると、もともとTPPには反対ではなくて、交渉力だけだ、そういうことですね。

田村国務大臣 正確に申し上げますと、今委員おっしゃったとおり、もともと、TPPといっても、これは自由貿易の協定、投資協定ですので、TPPが何か特別のものじゃないということは御理解いただく方は御理解いただくと思います、FTAやEPAや。

 ただ、それが、複数の国家の中でそういうような協定を結んでいくというものでございますので、当然、今までも日本は、自由貿易協定、EPAやFTAをやってまいりましたけれども、その中において、とるべきものはとって、それから守るものは守ってという、国益を守ったいろいろな協定を結んできたわけであります。

 そもそも、選挙、私もそのときの記憶が、いつであったのかというのが正確には理解していない部分があるんですが、まだたしか解散前であった、解散ならおりませんからというふうに思いますが。

 自民党の政権公約は、もう見ていただいたらわかりますとおり、あのような形になっておるわけでございまして、聖域のないような形で関税撤廃というのは反対である。ですから、私も選挙期間中はそう申し上げてまいりましたし、その中で具体的に、特にうちの方はお米というものが中心でございますから、お米が守れないのならばTPPは交渉できないよねというようなお話をしてきたわけでございます。

 お米も含めて、幾つかの項目に関して、安倍総理がしっかりと、聖域なき関税撤廃ということではないというようなことをオバマさんと御議論をしていただく中において、実感としてお持ちをいただいたという中で、御判断をされたわけでありますから、何ら矛盾するところではございません。

 要は、国益にかなうような形で貿易または投資協定を結んでいって、日本の国が潤うような形で進めていきたいということでございます。

高橋(千)委員 私は、もともと自民党は賛成だと思っていました。だって、日豪、日米のFTA、EPAを進めてきたそういう立場からいって、何か当面は反対であるとか、今入るのは拙速だとかいうことは言っていたんですけれども、何か反対のようなふうに言っている、あるいは、絶対反対というポスターをつくっている、ここが非常に国民を惑わしたのではないか、こう言わなければならないわけですね。

 二日くらい前の毎日新聞の一面に、今大臣がおっしゃった公約は、聖域なき関税撤廃を、守れるなら賛成、要するに、守れないなら反対ではなく、守れるなら賛成というのが原案であったということが書かれてありました。私、まさしくそういうことなのではないかなと思うんです。

 だけれども、いずれにしても、そういう立場が国民に対してちゃんと説明されていなかった。自民党はもともと賛成なんだ、交渉に自分たちが入っていってやるんだという立場を鮮明にしていれば、同じ結果があったかどうかはわかりません、今。それは一言言っておくだけですけれども。

 そこで、きのうの予算委員会も開催されて、安倍総理は、国益ですか党益ですかみたいな質問に対して、国益にかなわないなら党を解散するとまでおっしゃっております。きょうの新聞各紙の見出しは、農業を守るために全力ということで、何か農業だけがまた争点のように動いているんですけれども、決してそうではないわけですよね。皆保険などを含める五つの項目についても、交渉でしっかりかち取ることが課せられた使命である、こういう答弁をしているわけであります。

 そこで、いろいろありますけれども、厚労省所管のテーマというのは本当はいっぱいあるんですが、特に皆保険というのはまさに田村厚労大臣の領域であります。ですから、大臣自身が十五日の委員会で、私も大臣だからと述べたわけですから、自民党の交渉力を発揮するために、大臣自身が皆保険を守るために何をするのか、あるいは何をしているのか、お答えください。

田村国務大臣 まず、先ほどの話なんですけれども、我々が政権をとっていたら、野党のときに確かにああいう話にはなっていなかったんだと思います。

 というのは、我々が交渉するわけでありますから、当然そこは、こういうような方針で交渉参加に向かって、事前的な協議の中である程度の感触をつかんでこいという話だったんだと思うんですが、当時は我々は野党でありまして、申しわけないんですが、このTPPに関しても、菅さんが突然、今まで全く議論になっていなかったものをおっしゃり出したということでございまして、そのときからのいろいろな不信感、情報が出てこない中でのもどかしさ、そういうものが延々と数年間続いた中においてのあのような形であったということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 それから、社会保障の問題、特に公的医療保険の問題であります。

 まず、これは何度も、もう委員も予算委員会等々で御理解いただいておると思いますが、日本も含めて他の国の医療保険制度に対して、アメリカの、特にカトラーさん、USTRの代表補でありますけれども、責任者でありますが、この方が、日本の友人やマスコミに言いたいということで、たしか昨年の米アジア・ビジネスサミットにおいておっしゃっておられるんですが、民間開放なんて一切求めないよということをおっしゃっておられると同時に、いわゆる混合診療も含めて、医療のサービス提供者、これを民間に開放しろなどということを言うつもりはないとおっしゃっておられるということが、まず前提。

 それから、今までも、この医療保険制度のことに関しては、私らの知る限りにおいてはTPPで議論をされた話はないということ。若干、薬に関してはいろいろな御議論があるようでございます。

 これは、もうちょっと薬価ルール等々に関して情報開示をした方がいいんじゃないか、透明性を担保した方がいいんじゃないかという国がおられる一方で、いやいや、それは貿易交渉と関係ない話だから、一切そんなことはするべきじゃないというような議論も各国でなされておるというような話は聞いておりますが、そもそも日本の薬価ルールは非常に透明性の高いルールでございます。

 実際問題、製薬企業も含めて御意見をお聞きいたしておりますし、特に新薬を薬価収載するときには、より詳しく、異議申し立ても含めて御議論いただけるような制度になっておりますので、非常に透明性は担保されていると思っておりますから、そういう部分も含めて、心配はいたしておりません。

 しかし、これは国際交渉の問題でありますから、憂いのないように、私の方から交渉担当者の方に対しては、しっかりと日本の守るべきものはこういう部分であるから守っていくようにということで申し添えさせていただきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 USTRのカトラー代表補がそのように述べていたということは、先日の予算委員会で民主党の山口さんがわざわざ御紹介していて、私が交渉の窓口でしたのでとおっしゃっていました。

 ただ、これは議題に上っていないということは、これまでも委員会で何度も言われているんです。そんなことはわかっている。

 というのは、二十一の分野に、そもそも医療保険という分野はないわけです。でも、それは外務省がちゃんと説明しています、金融やサービスや労働や、いろいろな分野の中で医療にかかわることが議論をされるんだと。もう御承知のように、公的保険制度というのは各国によって違うので、皆保険をどうするかという議題にならないだけだという意味なんですね。それは十分承知の上で質問しています。

 田村大臣がここに、山井さんの席に座っていたときに、私、二〇一一年十月二十六日の委員会で、小宮山大臣に対して、この医療等、TPPの問題を取り上げて、なぜ厚労省として情報収集をしないのかというふうに迫ったら、同じような答弁であった。これはやはり、要するに議題に上っていないという答弁なわけですね。

 私が言いたいのは、そういうことではなくて、結局、交渉力だとおっしゃっているのに、何をするんですかということなんですよ。

 総理は、結局、オバマさんの前でペーパーを読み上げただけでしょう。六つの公約を一つ一つ読み上げたと言っているけれども、それは交渉と言わないわけですよね。

 だから、現実に、どんな議論がされているのかということを言うばかりではなくて、例えばステークホルダーがどう言っているかとか、議会の人がどう言っているか、二国間の協議で何をやられているか、そういうことも含めて、大臣はきちんと交渉力を発揮するのですかと言っています。

田村国務大臣 私が直接交渉するわけではないと思いますが、総理が、もう御承知のとおり、国民皆保険制度は、これはしっかりと根幹を堅持して守るんだ、揺るぎのないものにするんだとおっしゃっておられるわけでありまして、その総理の命を受けて、これから交渉参加をしていくわけであります。

 ここまで総理がはっきりと申し上げているというのは、まあ幾つかありますけれども、民間企業に、調子のいいところは給料上げてくださいなんという話もございましたけれども、ここまで総理が国民に向かってもおっしゃっておられるということは、最大限の担保だと私は思いますよ、これは。それにのっとって、私もしっかりと補佐をさせていただきたいというふうに思っておるわけであります。

高橋(千)委員 ここまで総理がはっきり言っているのだから、皆保険を守るという立場で変わらないんだということをまず確認いたしました。

 では、そこで、六月にもまとめを出すと言われている政府の規制改革会議は、混合診療解禁に向けた議論をしていると思います。先進的な医療技術全般にまで範囲を拡大すべきではないか、こうしたことが言われているわけですよね。

 そうすると、結局、これは公的医療保険の範囲が狭められて、自由診療が拡大するということになりますので、公的医療ではない自由診療の分野というのは、TPPの世界でいうと単なる投資の世界になってしまうわけですよね、ISD条項とか、そういう世界になっていくわけですよ。

 だから、そこの問題で、いいですか、アメリカに向かって皆保険を守ると言うだけではなくて、まず国内でお約束をしていただけますか。

田村国務大臣 まず、混合診療という言葉は我々使わないですね。だから、いわゆる混合診療という言い方しかしないんですけれども、よく整理をする必要があるんだと思います。

 今も、保険外併用療養で、評価療養という分野の中で、特に高度なものは先進医療というような枠があって、もちろん一般化することが前提であります。一般の国民の皆様方にその医療の技術を提供することが目的でありますから、一部の方々だけが高い金額でずっとやり続けるということは前提ではありませんが、そういうものの中で、これが保険外で併用で使えるというふうになっているわけであります。

 そういう意味では、その枠の中にこれからいろいろな新しい医療技術というものが入ってくるということは十分に考えられると思いますが、少なくとも、今の保険が狭められるなんということはあり得ないわけでございます。国民皆保険制度の精神というものは、やはり全ての国民の皆様方が一定程度の医療というものを、ちゃんと皆さん恩恵をこうむるという中においてあるわけでございますから、委員がおっしゃられるような心配が起こるような、保険外での併用されるような制度というものは我々は考えていないということであります。

高橋(千)委員 既に先進医療は百を超えています。

 この先進医療は、前に私は脳脊髄液のブラッドパッチ療法のことをここでやりました。生活保護を持っている人たちは、本当は先進医療というのは保険の部分もあるんだけれども、生活保護の人は先進医療は受けちゃいけませんということで、保険でカバーしている部分さえも受けられない、こういう矛盾を何とかしてくれということを言ってきたわけです。ですから、保険になることを望んで望んで要望してきて、やっとその一歩を踏み出したと思ったら、自分たちははじかれる、こういう現実がございます。

 ですから、先進医療が保険でできる、みんなに開かれた医療だということでの一歩であれば、それはよしとするんですけれども、これが拡大したことによって、もともとの公的医療を縮めようという話になっては困るわけです。

 大臣は、三月一日の記者会見で、iPS細胞の話もあるけれども、医療の高度化による給付費の伸びについてどのように対応しますかということを記者団に聞かれて、高齢化による伸びよりも医療の高度化による伸びの方が高いと述べた上で、費用対効果を見ながら、どうやって保険に載せていくかということを議論することを考えていかなければならない、難しい問題ですということを言っているんですけれども、これをよく読むと、やはり、私がさっきから言っているように、保険でカバーする部分が縮まるということになりかねないなということを思うから、何度も聞いているわけです。

 やはり、交渉とは、譲るものととるものがある、とるだけではありません。そういうときに、内側から譲るのは本末転倒であって、大臣がまずやるべきことは、国内で皆保険を守る、公的医療保険の範囲を狭めないんだということでやるのがまず大臣の仕事ではないか。いかがでしょうか。

田村国務大臣 いろいろな医療の高度化で技術が生まれてまいります。当然、当初は高いということになりますよね、それは。しかし、一方で、それがだんだん、技術開発や、物によっては量産できるものだとか、利用者がふえるだとかという中において、その技術であり製品が下がってきますよね、値段が。そうなってくれば、当然のごとく、医療保険の中に入ってくる。高い中において爆発的にみんなが使うということになると、今度は、今言われた、大切な国民皆保険制度自体がパンクをしちゃうというおそれもありますから、基本は一般化するということが前提でございます。

 その中において、そのような価格が下がってくるということも含めて、その中でしっかりと費用対効果を評価しながら、その後、保険に収載をしていくというような、そのようなスタイルといいますか方向の中においてこの制度があるわけでございまして、それはもう委員十分に御承知のことであろうというふうに思いますので、その精神をしっかりと守りながら、国民皆保険制度を堅持してまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 公的医療の枠を狭めるのではないのだということをまず確認させていただいて、また次の機会に譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、赤枝恒雄君。

赤枝委員 過労な医師が自殺するという嫌なことを聞いて、私は人ごとじゃないんじゃないかと思っております。

 ことし、我々は、自民党は、百十九人の新人議員が当選をさせていただいて、私が最年長なんですね、六十九歳で。きょうは、肉食系の最年少の大臣に草食系の私が、いや、松阪牛を相当食べて育ったんだろうなと思うんですが、私はほとんど雑炊で育った世代なので、どんな対決になるのか、お楽しみにしていただければと思います。

 実は、私は、三十五年前に六本木のアマンドのところで開業いたしまして、産婦人科をもう三十五年やっております。十四年前から子供の相談室というのを夜中のカフェの中でやってきまして、そこで子供たちの話を聞いていると、非常に、不特定多数とコンドームをつけないのがいけているということで、女性が物すごく被害に遭っている現実を見て、そこから、私は、女の子を守ろうというガールズガード運動というのを始めました。

 これは、やはり性行為については男性が主導権を持っていますし、女性の場合は、今はもう見かけが一番いい時代ですから、イケメンであれば女の子みずからが逆ナンパする、ついていって携帯の番号を聞く。こんなことはよくあることで、イケメンであれば誰でもついていくという非常に何か変な時代になって、好きな男の子がやろうとかしようと言って、断ると嫌われるんじゃないかという意思が働いて、結局応じてしまって、最終的には、知識がないのにそういう性行為をして、いろいろな被害に遭ってしまう。

 私は、そういうところを見ると、知識がない女の子が性行為をするとそういう被害に遭うということは、これは隠れた暴力じゃないか。何も知らない子に対して、中で出すとか、それからアナルでとか、いろいろ今アダルトビデオで見たような怪しい知識を持って試すという。女の子はまさに被害者であって、これはもう暴力だというふうに考えております。

 私が街角相談室を始めたころ、一九九九年の四月というときは、物すごい事件があったわけですね。つまり、それまで反対していたピルが解禁された。思えば、一九九九年ですね。

 それからもう一つ、これもすごいですよ。日本人の治験がないのに、バイアグラという薬がそのまま認可された。少子化のためのバイアグラのはずが、今はおじさんが表で使っているという、全く少子化とは関係ない使われ方をしている。僕の顔を見ると、先生のところでバイアグラないのという、大体そういう、議員の先生も多いですが、そういう議員の先生も中にはいますけれども、街角でもそういう人はいるんですね。バイアグラが正しく使われていない。

 もう一つ、第二次援交ブームというのが一九九九年に起こるわけです。それは、今までテレクラに女の子が電話して援助交際の相手を求めていたのが、一九九九年からはネットにつながっちゃったんですね、子供の携帯が。つまり、自分で相手を見つけられる、私は何歳ですと。そのころは年齢書き込みができましたから、十四歳で、お小遣いくれる人いませんか、秋葉原のどこそこでという書き込みをして、ネットでつながっちゃう。そこから第二次援交ブームが始まるんです。

 しかし、皮肉なことに、そのとき、日本はバブルが崩壊して景気が最悪のときに、その援助交際した子供たちによって日本経済は救われたというあれがあるんですよ。ブランド物を買いあさったんです、少女たちが。銀座のいろいろなショップに行って、ブランド物を買いあさった。出どころはおじさんの財布ですけれども、それで日本の経済を救ったという話もあるぐらい。

 そこから、性の低年齢化も起こりましたし、性行為そのものも、挨拶がわりの性行為に変わっていくわけですね。見かけがいい、見かけがよければいいから、お金で何かをする。プチ整形をする、きれいな洋服を買う、それで、見かけでもってまた違う人にプレゼントするとか、どんどんどんどんそれが性の低年齢化につながっていったあげくが、性行為そのものがいろいろな被害を及ぼしたわけです、今度は。望まない妊娠、それから性感染症、これが激増してくるわけですね、低年齢に。

 それで、私のところでも、中学生、小学生の、援助交際をして性病を繰り返す女の子がいます。まさに小学生です。小学生でズックを履いてきても、自分の好きなタレントの追っかけをやるためにお金が欲しくて、援助交際をする。それで、病気にかかる。まさか大人はこんな子供が病気を持っていると思わないから、そのまま生でしてしまう。そういうことでうつされる、繰り返しですね。そういう悪い状況がどんどんどんどん起こっている。

 それで、あの当時の言葉も悪かったですね、今もそうですけれども。ワンナイトラブとか、チャラ打ちとか、セフレ。セックスをしていても彼氏じゃないよ、友達だと。セフレとか、そういう言葉でもって、子供たちは、こういう性の低年齢化は当たり前のことのようになってきちゃった。風潮ですね、これも一つの。

 そこで、性感染症の中で一番怖いと言われているエイズについて、一番目のHIVは、ウイルスが非常に中でいろいろ変わるわけですね。それに対する研究が大変なために薬剤が高いという問題があります。HIVに感染して、薬代が大体毎月二十五万円、年間で三百万かかるわけですね。それが、今は薬がよくなったために、発病しない。八十、八十五、生きられるということになると、HIVに感染した人が一人出ると一億円かかると言われています。一人感染すると一億円。しかし、これは毎年千五百人ずつふえているわけです。この現実。

 そうすると、僕は何を言いたいか。性感染症は、相手をきちんと選んで、性の知識を持って、しかもコンドームをつければ、予防できるものだよと。だから、エイズになって一億円というときになったら、初めて、そろそろ、もうこれは自己責任だろうという意見が出てもいいんじゃないか。

 その辺のところで、エイズ、性感染症、これは自分自身が悪いんだろう、自己責任という考え方は持ち込めないのかなというのを大臣にお聞きしたいと思います。

田村国務大臣 大胆なお話だというふうに思うんですけれども、性感染のみならず、いろいろな理由からHIVに感染される方々はおられるわけでありまして、それをそれぞれ特定することはまた大変難しいということがあるのでありましょう。あわせて、性交渉といったって、それがまた、本当に今委員がおっしゃられたような大変乱れた中において感染したのか、それともそうじゃない中で感染したのかというのを、なかなか証明することも難しいのでありましょう。

 そもそも、乱れた性交渉自体でHIVに感染した人たちを、全く自己責任だというふうに切り捨てることが本当にできるのかどうか。それよりかは、そういうことが起こらないようにこれは啓蒙をしていくというのが、なかなかそう簡単じゃないよと、多分今までの御経験で委員はおっしゃられるんだと思いますが、しかし、常道、本道は、やはりそういう形で、なるべく、乱れた性交渉の中においてこのようなHIVという感染症を広めないような、そんな努力をしていくことがまず第一に重要なのではないかというふうに思います。

赤枝委員 ありがとうございました。

 それで、一般に言われている学者が出したデータは、性感染症はふえていないというんですが、実際は、我々の仲間が、ある程度、研究班がやったちまたの検査では、すごく多いわけですね。パピローマウイルスももう四〇%ぐらいの高校生は持っている。クラミジアももう一六%ぐらいの女の子は持っている。世界の常識では一%以下なのに、それぐらいふえている。

 この定点調査というものの現実との乖離はどうして起こっていると思われますか。これをちょっと御説明をお願いします。

矢島政府参考人 定点調査とそれから現実の問題でございます。

 委員の御指摘は、厚生労働省が発表している数が少ないのではないだろうかというふうな御指摘だというふうに思いますけれども、私どもの方では、一応研究班の方で出している調査によりまして、そこのところはある程度、その七県、研究班で見たものでは、大体実態と実数が同じであるというものは持っているんです。

 ただ、先生御指摘のように、専門家の中では、やはり特定の機関に集まる傾向があるのではないだろうかということがあるものですから、婦人科の、例えばそういうふうな、集まりそうな機関の人口に対する比率ですとか、そういうふうなものをあわせて、それでちゃんと調査をするように各都道府県の方に、昨年ですけれどもお願いしたところであります。

 まだちょっとその報告が出てきていないのですが、これからは少し、先生御指摘のような形で調査の仕方を見直しをしていますので、もう少し実態に合った形に持っていけるのではないだろうかというふうに考えております。

赤枝委員 ありがとうございました。

 性行為は、非常に気持ちいい反面、非常にリスクがあるのであって、この辺を知らない子供たちに、できるだけ知識、教育をお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。

松本委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 この質疑終了後、再生医療推進基本法案、委員長提案をされ、採決される運びとなっております。

 再生医療について質問してまいります。

 私たち公明党は、自公政権下で、科学技術振興予算の大幅増額を実現いたしました。iPS細胞研究など、後押しをしてきたわけでございます。

 極めて重要な分野である再生医療にふさわしい制度を実現しようということで、昨年の九月に、私は公明党内にプロジェクトチームを設置いたしました。かつて、二〇〇八年になりますけれども、五年前に、東京女子医大、早稲田との医工連携で行われております先端生命医学研究施設でありますTWInsを訪問いたしまして、岡野光夫教授のすばらしい研究に触れ、その後、再生医療の推進に努めてまいりました。

 札幌医科大学も行ってまいりました。幹細胞を培養し、静脈から注入をすると、脳梗塞の麻痺が回復をするという画期的な治療でございます。

 また、名古屋大学で行われておりますのは、細胞そのものではなく細胞の培養液、上澄みをフリーズドライして、そして、例えば手術跡あるいは糖尿病で重篤な潰瘍に塗ると、これは見事に回復をしております。また、脳梗塞の患者に対して、六十日間にわたって鼻から再生因子を投与した結果、社会復帰ができるまでに回復したなど、そのような再生医療もございます。

 この再生因子というのは、薬剤でもない、もちろん医療機器でもない、新たな法的枠組みが必要だ、このような御意見を上田実教授からもいただいております。一刻も早く法律をつくらねばならないと、そのとき痛感をいたしました。

 また、昨年十月には、ノーベル医学・生理学賞を受賞された山中教授を公明党にお呼びいたしまして、講演会も行ったところでございます。臍帯血をiPS細胞研究に使わせてほしいと。また、研究スタッフが、九割が非正規であり、単年度の雇用契約になっていて、上限が五年、非常に不安定な身分で研究を支えておられる、何とかしてもらいたいということで、私たちもiPS研究所に参りまして、直接、知財研究など専門のドクターからも御意見をお伺いしてきたところでもございます。

 iPS細胞を使った再生医療の実用化へ意義ある一歩が踏み出されたというところまでは私も感じております。今回、補正予算、また本予算で、十年間で一千百億円の研究予算を確保していただきまして、大変ありがたいと思っております。また、こうした若手の研究家に対する研究支援ということも新たに創設をされたところでございます。

 経産省によりますと、再生医療の世界的市場規模、二〇一一年では六百五十億程度なんですが、十年後の二〇二〇年には約八千七百億円に急拡大をするということも見込まれております。

 iPS細胞という日本発の画期的な技術が日本再建の大きな原動力になっていくことは間違いないと思っております。産官学が一体となって、この推進に取り組むべきと考えます。世界に先駆けて、iPS細胞による再生医療の実用化、また新産業の育成、夢の医療の前進に、国を挙げた支援体制を構築すべきと思います。

 大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 東京女子医科大学と早稲田大学のコラボレーション、TWIns、私も行ってまいりました。本当にびっくりしまして、今までラボで細胞培養して、要するに、細胞をつくっていたものを、シート状のものですよね、幾つもラボをつくらないとなかなか立体的なものにならない、そういうものを機械で、本当に限られたスペースで正確につくっていくということでありまして、これが本当に商品化できるようになったら、多分世界じゅうにこの機械が行って、世界の方々の健康というものを守ってくれるんだろうな、こんな期待を持ったような、すばらしい研究を拝見させていただきました。

 再生医療というものは、安全面と倫理面という問題があります。iPS細胞は、そういう意味では、倫理面は比較的、他のものに関しては、クリアしやすいものなのかもわかりません。

 ただ一方で、安全面を考えますと、つい最近でございますけれども、韓国で細胞培養したものを日本の国内に持ち込んで、それを体内に入れて、お亡くなりになられたというような、そういう悲しい出来事もあったわけでございまして、やはり、しっかりと安全面は対応していかなきゃいけない。

 特に、医療行為としての再生医療に関してはしっかりと安全確保をしながら、一方で、今まで医療機関で細胞加工をしてきたわけでありますけれども、そういうものは外部委託を、しっかり安全は確保しながら、できるような制度にしていくために、再生医療法律、この法律を通していかなきゃいけない。これは、今国会にできれば提出をさせていただきたいと思っております。

 一方で、再生医療製品というものは、その特性から、一般の製品と違ってばらつきがあるということでございますから、そういう意味からいたしますと、安全面が確保、ある程度わかった中で、それぞれの効果というものを完全に検証できるまで待っておったのでは時間がかかるということもございます。

 そういう意味では、製品化をする中において、もちろん、製品化した後、市販化後の安全面も事後チェックしなきゃなりませんが、その後に、その有効性というものをもう一度再検証しながら進めていくというような、条件つきであり期限つきの、そういうような、早期承認制度というものも、薬事法を改正する中で進めていかなきゃならぬということでありまして、これも今国会に何とか提出をさせていただきたいなというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、補正予算等々で、細胞培養、再生医療をするためのトレーニングセンター等々で、やはり人を育てなきゃなりませんから、そういうこともしっかりと対応しながら、一方で、働き方、これは労働契約法で、五年を超える労働契約に関しましては、短期契約であっても無期契約になるというような法律がございまして、これは研究者にとってみれば、なかなかこういう働き方というのはそぐわないよというような御意見を、山中教授や研究者の方々からいただいております。

 こういう問題に関してもしっかりと対応して、こういうすばらしい研究がより早く世に出ていくようなお手伝いをしてまいりたいというふうに思っております。

古屋(範)委員 ありがとうございます。

 目の難病であります、加齢黄斑変性の臨床研究を行うという計画が、神戸の理化学研究所から厚生労働省に申請が出されております。

 先週、この神戸の理化学研究所にも行ってまいりました。網膜再生医療研究開発プロジェクト、高橋政代先生から、網膜細胞治療の開発、産業化についての御意見を伺ってまいりました。これもすばらしい研究でございまして、実際に細胞シートも拝見をしてまいりました。

 先生は、このところ、国の再生医療に対するさまざまな法整備などのスピードは非常に速くなっているということを評価していらっしゃいました。ぜひ、これをとどめることなく、推し進めてもらいたい、このような御意見を頂戴してまいりました。

 私たち、きょう起草される再生医療推進基本法、坂口私案としてつくり、その後、自民公の有志でこの法律を協議し、作成をしてまいりました。

 この表題にあります「国民が」という、この「国民」というところに、国民が再生医療を受けられるように、立法者の意思もここに込められております。それから、「迅速かつ安全」という言葉が出てまいります。これは、安全かつ迅速ではなくて「迅速かつ安全」、ここにも立法者の意思が込められております。

 そして、第二条にも、「世界に先駆けて」、これは法文になじまないということを言われたんですが、あえて、おくれている我が国が世界に先駆けて研究開発から実用化まで促進をしていくのだ、立法者の意思としてこれを込めました。

 この再生医療推進基本法、きょうこれから起草になるわけでございますけれども、国、また医師、研究者らの責務を明らかにし、また、国民が再生医療を迅速、安全に受けられることを目的として掲げました本法案、一刻も早く成立をさせたい、こんなふうに思います。

 大臣の御所見をお伺いします。

秋葉副大臣 古屋委員におかれましては、まさに、与野党で進めてまいりました議連を初め勉強会の中心メンバーの一人として、今日まで本当に御努力をいただいてまいりました。本当にありがとうございます。

 きょう、この後、委員長提案によりまして起草されるものだというふうに伺っておりますけれども、この法案は、再生医療の実用化の推進のための理念や基本的施策等の大きな方針や枠組みについて、きょう御指摘もございましたとおり、迅速化を図る、スピード感を持って示すものだというふうに考えております。

 この法案には、安全面や倫理面への配慮も含まれておりまして、再生医療の推進において大きな意義があるものと、厚生労働省としても早期に成立をしていただきたいものだと考えております。

 この議員立法を踏まえて、今後、厚生労働省といたしましても、早期の国会提出に向けて、先ほど大臣から答弁もございましたけれども、関連法案の準備を急ぎ進めてまいりますほか、iPS細胞等を用いた創薬など研究の支援など、再生医療の実用化への取り組みをさらに積極的に推進してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 では、以上で質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

松本委員長 この際、再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。

 本案は、再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするために、その研究開発及び提供並びに普及の促進に関し、基本理念を定め、国、医師等、研究者及び事業者の責務を明らかにするとともに、再生医療の研究開発から実用化までの施策の総合的な推進を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするために、その研究開発及び提供並びに普及の促進に関する施策の基本理念を定めること。

 第二に、国の責務、医師等及び研究者の責務並びに再生医療に用いる細胞の培養等の加工を行う事業者の責務を明らかにすること。

 第三に、国は、再生医療の迅速かつ安全な研究開発及び提供並びに普及の促進に関する基本方針を定め、公表し、少なくとも三年ごとに検討すること。

 第四に、国は、国民が再生医療を迅速かつ安全に受けられるようにするために、必要な法制上、財政上または税制上の措置等を講ずるものとするほか、先進的な再生医療の研究開発の促進、再生医療を行う環境の整備、臨床研究環境の整備等に関し、必要な施策等を講ずるものとすること。

 第五に、国は、再生医療の施策の策定及び実施に当たっては、安全性を確保し、生命倫理に配慮しなければならないこと。

 あわせて、国等は、再生医療の実施に係る情報の収集を図るとともに、当該情報を用いて適切な対応が図られるよう努めること。

 なお、この法律は公布の日から施行すること。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本委員長 本件について発言を求められておりますので、これを許します。高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法案について、一言意見を申し述べます。

 山中伸弥京都大学教授の人工多能性幹細胞、いわゆるiPS細胞のノーベル賞受賞は、医療に大きな可能性を開き、患者、関係者の皆さんは、再生医療や新薬、治療方法の開発を一刻も早くと熱い期待を寄せています。我が国の基礎研究の水準の高さを示したものとも言えると思います。

 本法案は、再生医療の定義は定めていませんが、実質的にはiPS細胞による再生医療の研究、実用化を促進するための理念法であり、安全性、有効性の確保と倫理的な課題に関する規制が整備されるならば、それ自体は否定すべきものではなく、賛成とします。

 しかし、再生医療を成長戦略として位置づけ、二〇三〇年には一兆六千億円の市場規模などと前のめりに実用化、産業化を急がせようとする政府・与党の姿勢には強い懸念があります。

 ヒトへの応用には、安全性、有効性の確認などについて課題は多く残っており、いまだ未解明なiPSの本質を解明する基礎研究を重視すべきとの指摘もあります。

 日本難病・疾病団体協議会代表理事の伊藤たてお氏も、iPS細胞の発見が患者にとって生きる希望にもなっているとしつつも、強い権限を持った監視、規制のシステムを早く構築すべきと求めております。

 産業化のために薬事法等による厳格審査が障壁となっているとして規制緩和を求める動きもありますが、安全がないがしろにされることは絶対にあってはなりません。

 また、規制改革会議等では混合診療拡大の議論が行われ、医療の高度化による医療給付費増大が公的保険の範囲をどうするかという議論を惹起しています。

 iPS細胞が切り開いた難治性の病を治すという希望が、お金のある人でなければ手が届かない医療になり、それが固定化されて、混合診療の全面解禁と命の格差につながることのないように強く要望したいと思います。

 最後に、再生医療実用化研究への予算の集中が、ただでさえ研究資金確保が厳しい他の分野、特に基礎研究の予算削減につながらないようにすべきであります。

 以上、意見表明といたします。

松本委員長 以上で発言は終わりました。

 お諮りいたします。

 お手元に配付しております草案を再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

松本委員長 次に、内閣提出、予防接種法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、先ほど終局いたしております。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。大久保三代さん。

大久保委員 石巻の大久保三代でございます。

 私は、自由民主党を代表して、内閣提出の予防接種法の一部を改正する法律案に対して、賛成の立場で討論を行います。

 賛成の第一の理由として、現行法では、予防接種の目的を「公衆衛生の向上及び増進に寄与する」と規定していますが、本改正法案では、「国民の健康の保持に寄与する」と改めていることであります。従来、予防接種は社会防衛と個人予防の観点から実施されてきましたが、近年では、個人予防の比重が相対的に増してきた実態を的確に反映させているからであります。

 しかし、個人予防の比重が増すということは、予防接種の機会や判断を国民に委ねることとなり、予防接種の必要性や効能への理解、スケジュールの周知が十分でなければ、予防接種の低下につながりかねません。

 改正後の予防接種法に基づく予防接種基本計画の策定の際には、ぜひ、国民みずからが予防接種スケジュール管理を行いやすくなるような仕組みを検討し、盛り込むことをお願いいたします。

 また、医療、職業、住居、いわゆる医職住のライフスタイルの多様化や里帰り出産など、居住地以外の自治体において予防接種を受けるケースも増加しておりますが、受け入れ側の自治体で拒否されるケースがあると聞いております。ぜひとも、全国の自治体、関係機関に対して、柔軟に対応していただけるような通知や通達をもって周知徹底していただけるようお願いいたします。

 賛成の第二の理由でありますが、ワクチン接種の結果、図らずも生じてしまった副反応について全数報告を求め、二度と同じ被害を起こさないという取り組みが本案で盛り込まれていることであります。

 一方で、副反応が一つでも生じると、関係者を厳しく批判する風潮が見られますが、最大多数の国民に健康をもたらすことが公衆衛生の本質であることに鑑みて、関係各位におかれましては、不用意に国民の不安をあおるのではなく、国民が適切に判断できるよう、科学的視点に立った情報発信をお願いしたいと存じます。

 賛成の第三の理由でありますが、子宮頸がん予防、インフルエンザ菌b型(Hib)、小児用肺炎球菌の三種類のワクチンが定期接種の対象となることであります。

 まさに、諸外国とのワクチンラグ、ワクチンギャップの改善に向けた第一歩であり、今後、専門家集団の能力が遺憾なく発揮され、日本版ACIPのように、行政や国民に対して十分に責任を果たすことを強く希望いたします。

 最後になりますが、改めて、予防接種法の一部を改正する法律案に賛成することを表明して、私の討論といたします。(拍手)

松本委員長 理事の皆さんは前へお願いします。

 この際、御報告いたします。

 予防接種法の一部を改正する法律案に関しまして、民主党の党内手続の終了を待つため、しばらく皆様にはそのままお持ちいただくことになります。よろしくお願いいたします。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こしてください。

 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、予防接種法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 この際、本案に対し、冨岡勉君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び日本共産党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。柚木道義君。

柚木委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び日本共産党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    予防接種法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会が七ワクチンについて医学的・科学的観点から広く接種を促進していくことが望ましいと提言したことを踏まえ、七ワクチンのうち本法で追加される三疾病に係るワクチンを除く水痘、おたふくかぜ、成人用肺炎球菌及びB型肝炎の四ワクチンについて、安定的なワクチン供給体制や継続的な接種に要する財源を確保した上で、平成二十五年度末までに定期接種化の結論を得るように努めること。

 二 他の新規ワクチンが薬事法上の手続を経て承認された際には、速やかに当該ワクチンを予防接種法上に位置付けることが適当であるかどうかの検討を行い、その結果に基づいて必要な法制上、財政上の措置を講ずるよう努めること。

 三 公衆衛生の見地から予防接種を実施することで国民の健康の保持に寄与するという目的を達成するために、接種率の向上、安全性情報の収集、副反応による健康被害の救済を図ること。また、予防接種の意義やリスクに関して分かりやすい情報を提供することにより、国民一人ひとりが予防接種についての正しい知識を持ち、予防接種が円滑かつ適正に実施される体制を整備すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

松本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、田村厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。

    ―――――――――――――

松本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

松本委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案及び駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。田村厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案

 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田村国務大臣 ただいま議題となりました戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案及び駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を説明いたします。

 まず、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 戦没者の妻及び父母等に対しましては、これまで特別給付金として国債を継続して支給してきたところですが、これが最終償還を終えるため、今回、これらの方々に対し改めて特別給付金を支給することとし、関係の法律を改正するものであります。

 以下、この法律案の内容について、その概要を説明いたします。

 第一に、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正です。これは、国債の最終償還を終えた戦没者等の妻に対し、特別給付金として、二百万円、十年償還の無利子の国債を改めて支給すること等の措置を講ずるものです。

 第二に、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部改正です。これは、国債の最終償還を終えた戦没者の父母等に対し、特別給付金として、百万円、五年償還の無利子の国債を改めて支給すること等の措置を講ずるものです。

 次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 駐留軍関係離職者等臨時措置法については本年五月十六日限りで、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法については本年六月三十日限りで失効することとなっております。

 しかしながら、駐留軍関係離職者及び漁業離職者につきましては、今後も、国際情勢の変化等に伴い、なおその発生が予想されることから、これらの法の有効期限を延長することとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容について、その概要を説明いたします。

 第一に、駐留軍関係離職者等臨時措置法について、法の有効期限を五年間延長し、平成三十年五月十六日までとすることとしております。

 第二に、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法について、法の有効期限を五年間延長し、平成三十年六月三十日までとすることとしております。

 最後に、この法律案の施行期日については、公布の日としております。

 以上が、二法案の提案理由及びその内容の概要です。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

松本委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十三分散会


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