衆議院

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第2号 平成25年11月1日(金曜日)

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平成二十五年十一月一日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    石川 昭政君

      今枝宗一郎君    小田原 潔君

      大久保三代君    大串 正樹君

      金子 恵美君    小松  裕君

      古賀  篤君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    末吉 光徳君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      高鳥 修一君    高橋ひなこ君

      辻  清人君    豊田真由子君

      中川 俊直君    永山 文雄君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      牧島かれん君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    御法川信英君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      大西 健介君    中根 康浩君

      長妻  昭君    柚木 道義君

      足立 康史君    浦野 靖人君

      重徳 和彦君    新原 秀人君

      田沼 隆志君    輿水 恵一君

      桝屋 敬悟君    柏倉 祐司君

      中島 克仁君    三谷 英弘君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   文部科学副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            吉田 大輔君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐藤 敏信君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            今別府敏雄君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月一日

 辞任         補欠選任

  田中 英之君     石川 昭政君

  田畑 裕明君     末吉 光徳君

  高鳥 修一君     御法川信英君

  中川 俊直君     牧島かれん君

  山下 貴司君     辻  清人君

  浦野 靖人君     田沼 隆志君

  柏倉 祐司君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     田中 英之君

  末吉 光徳君     田畑 裕明君

  辻  清人君     小田原 潔君

  牧島かれん君     中川 俊直君

  御法川信英君     高鳥 修一君

  田沼 隆志君     浦野 靖人君

  三谷 英弘君     柏倉 祐司君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     山下 貴司君

    ―――――――――――――

十一月一日

 持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案(内閣提出第二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 薬事法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十三回国会閣法第七三号)

 再生医療等の安全性の確保等に関する法律案(内閣提出、第百八十三回国会閣法第七四号)

 持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案(内閣提出第二号)


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 第百八十三回国会、内閣提出、薬事法等の一部を改正する法律案及び再生医療等の安全性の確保等に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省研究振興局長吉田大輔君、厚生労働省医政局長原徳壽君、健康局長佐藤敏信君、医薬食品局長今別府敏雄君、保険局長木倉敬之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大串正樹君。

大串(正)委員 自由民主党の大串正樹でございます。

 本日は、お時間をいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、本日は、二つ大きな、薬事法とそれから再生医療の問題が議題に上がっているわけでございますが、私は、最初は、トップバッターということもありますので、特に再生医療に関して、全般的なお話、全般的な問題について御質問させていただきたいと存じております。

 お配りいたしました資料がございますけれども、再生医療といいますと、今、安倍政権の主要な政策、成長戦略の一つの大きな柱として、再生医療の実現化ハイウェイ構想など、さまざまな省庁がかかわっている政策の一つではないかなと思います。特に、ここにお示ししていますように、厚生労働省だけではなくて、文部科学省も研究分野でかかわっている政策でございますし、これをまた産業化していくという意味で、経済産業省にとっても大きな、重要な政策として位置づけられる、そういう重要なテーマでございます。

 ただ、その中で、いろいろな、こういう省庁横断であるとか、あるいは省庁が連携をしていくというタイプの政策、必ず、その言葉、連携という言葉がよく出てくると思います。ここで出てくる連携という意味、本当に、各省庁の力がそれぞれ発揮されて、力を合わせて一つの大きな再生医療というテーマに挑戦していくということが可能なのかどうか。

 まず最初にお伺いしたいことなんですけれども、さまざまな省庁が連携をしていくという点について、具体的には、では、どういうことなのか。連携という言葉は非常に美しい言葉でして、省庁が連携してやるというと反対する人はいないんですけれども、えてして、この連携という言葉を示してしまうと、それが結果的に本質をわかりにくくしてしまうということもございますので、改めて、非常によく使われる言葉ではありますが、連携とはどういうことなのか、御説明いただきたいと思います。

原政府参考人 再生医療の実現化ハイウェイ構想、先生の資料にお示しいただきましたけれども、厚生労働省、文部科学省、それから経済産業省、三省で協力をして再生医療の実現化を図っていこうという構想でございます。

 その中で、まず、基礎研究につきましては文部科学省、それから、その後の臨床研究については厚生労働省、また、それを支える基盤的な産業育成、この部分については経済産業省が担当することとしております。

 また、具体的に、その連携ということでございますが、来年度の予算要求におきましても、省庁の縦割りに陥ることのないよう、予算を一元的に要求、配分、調整する観点から、官房長官による各省からの予算要求のヒアリング、それを実施した上で、各省連携施策として、内閣官房健康・医療戦略室を中心に取りまとめたところでございます。

 このように、さまざまな、例えばiPS細胞の研究にしましても、現在、臨床研究段階に入ってまいりました研究につきましても、基礎研究の部分は文部科学省の研究の助成を得ておりますし、また、それに用いる細胞シートなどの技術については経済産業省が支援をしている、そういう中で、臨床研究部分について、私ども厚生労働省が厚生科学研究費で支援をしている、そういうような実態でございます。

大串(正)委員 ありがとうございました。

 今、いろいろな役割分担がそれぞれあって、その省庁の得意とするところ、あるいは、本来目的とするところというのが恐らく示されるんでしょうけれども、一つ、連携と一緒によく使われる言葉で、このお配りした資料のほぼ真ん中にあるんですけれども、三省協働で推進するという、いろいろな、病態解明とか毒性評価等、創薬の基盤技術開発・事業化というところも三省協働で。

 ここで、よく使われますこの協働という言葉がございますけれども、日本語でキョウドウといいますと、いろいろな言葉がございます。例えば、一緒に同じくしてやる、コンビネーションという意味の共同、ともにやるという意味の共同。そして、もうちょっと踏み込んで、協力し合ってやる、協同組合の協同という字。これは、コオペレーションという意味で、お互いにしっかりと役割分担をしながら物事を進めていく、そういうやり方でしょうけれども、ここで使われている協力して働くの協働というのは、一般的にはコラボレーションの意味の協働だと思うんです。

 こういう意味で使われる場合というのは、役割分担をしてそれぞれが力を発揮するだけではなくて、本来のそれぞれの力以上のことができる。例えば、一足す一が二になるのではなくて、それが三にも四にもなるような、お互いの力をそれぞれ発揮することによって、協力し合うことによって、それ以上の、本来持っている以上の力を発揮するような場合に使われるのが、本来のコラボレーションの意味でございます。

 そういう意味では、厚生労働省、文部科学省、経済産業省、三省が協働していくということはすごく重要なんですけれども、そういう言葉の違い。あえて、この協働という言葉もよく使われる言葉でございますが、本来、この場合、厚生労働省が取り組んでいく再生医療という分野、ほかの省庁と力を合わせることによって、厚生労働省だけではできない分野にもっともっと踏み込んで、これまでできなかったことができるようになる、そういう具体的な目標とかターゲットがあれば、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的にということでありますが、例えばiPS細胞の研究にしましても、iPS細胞をまずつくるという段階と、それから、iPS細胞を使った臨床の、具体的な疾患、目標があるわけであります。その際に欠かせないのは、例えば、毒性の評価などが必要になるわけですけれども、その毒性の評価の部分の一般的な評価体系、システムをつくっていくとか、そういう基盤的な部分について経済産業省に担当していただく。そういう部分を持つことによって、逆に、毒性の評価をスムーズにしながら臨床研究を進めていける。

 そういう形で、それぞれの基盤的な分野を例えば経済産業省に担当していただくことによって、文部科学省の基礎研究なり厚生労働省の臨床研究などがスムーズに進む、そういうような形等を考えております。

大串(正)委員 ありがとうございました。我々が想像する以上の大きな成果が出ることを楽しみにしております。

 それにあわせまして、三省が協働して推進していく事業でございますけれども、三省がそれぞれ同じ立場で本当にやっていいのかなというのをちょっと考えております。

 例えば、ここで示されているハイウェイ構想の中でも、やはり文科省がある程度上流、上工程で、そして下工程が厚生労働省。これは、もちろん、臨床現場が厚生労働省の管轄であるということもありますので。恐らく、それぞれの省庁の立場とか役割分担が、やはり微妙に違ってくる、一つの方向性に向かっていくにしても、微妙に違っていくのではないかなと思います。

 最終的に、再生医療というのがうまく成果を発揮して日本の基幹産業に育っていったときには、恐らく、文部科学省は、それなりの人材育成や研究開発を行ってきた成果であるというふうにおっしゃるでしょうし、経済産業省にしてみれば、産業をしっかりと育成してきた結果であるということが言えると思うんですけれども、厚生労働省に関しては、それだけを手放しで喜べない部分も多分あると思うんです。

 それは、例えば、最終的に産業化されたとしても、医療現場でのリスクはやはり厚生労働省が真剣に考えていかなければいけないことですし、それに伴ってこれが普及していけば、またそこで、医療費の問題等財政的な問題も含まれてくるという意味で、私としては、厚生労働委員にいる立場もありますけれども、ぜひとも、この再生医療に関しては、文科省や経済産業省と一緒になってやるにしても、やはり厚生労働省がリーダーシップをとって、しっかりと中心になって進めていっていただきたいなと。

 これは、最終的な責任を負うのが厚生労働省であるということも踏まえた上でのお願いというか、私の考えでもあるんですけれども、省庁連携の中における厚生労働省のリーダーシップのあり方について、ぜひとも田村大臣にお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 おはようございます。

 今委員おっしゃられましたとおり、再生医療実現化ハイウェイ構想に基づいて、三省が協力をしながら連携をして、再生医療等々、実現を今図っているわけであります。

 今も局長から説明がありましたとおり、文科省は基礎研究分野を担っていただく、それから、経産省は製品化に向かって産業基盤、こういうものを整えていくという大きな役割があるわけですね。厚生労働省としては、実際問題、臨床の部分で応用部分も含めて研究する、そういうものをしっかりと研究する、そこを担うわけであります。

 そのような意味からいたしますと、世界で初めてのiPS細胞を使った臨床研究がいよいよ始まったわけでありまして、七月に厚生労働大臣の承認を得た上で、八月からこれがスタートいたしております。具体的には、加齢黄斑変性、これに対しての再生医療であるわけでありまして、網膜色素上皮、これはiPS細胞由来のものでありますけれども、これを移植して、加齢黄斑変性に対する治療方法として今研究がなされております。

 来年の夏ごろをめどに、人に向かってということを今やっておるわけでありますけれども、安全性というもの、これは委員が言われますとおり、厚生労働省としては、何としてもここは担保していかなければならない部分でございます。

 もちろん、これによって、今まで治療方法がなかったいろいろな疾患、疾病等々に対して光が見えてくるわけでございますので、そのような意味から、しっかりと早期実現に向かって我々協力をしていくわけでありますけれども、安全性という意味からすれば、厚生労働省がしっかりそこは担保していく部分でございますので、その部分は我々としてもリーダーシップをとって、この技術というもの、これが国民の皆様方に安心と信頼を持って受け入れていただけるような、そんな役割を担ってまいりたい、このように思っております。

大串(正)委員 ありがとうございました。

 心強い答弁、ありがとうございます。本当にこれはいろいろな方々から期待をされている技術でもありますし、また日本の産業にとっても重要なものでございますので、これはしっかりと私も頑張っていきたいと思います。

 今、安全のお話が少し出てきましたので、今国会で提出されております再生医療等の安全性の確保等に関する法律案の中身、この文言にもありますけれども、「再生医療等の迅速かつ安全な提供及び普及の促進」というふうに書かれているわけなんです。

 今までの厚生労働行政と比べても、非常に安全性を高めて石橋をたたくような政策が多かったと思うんですけれども、今回の再生医療に関しては、かなりスピード感を意識して、迅速に、そして成長戦略の中で進めていくというところもありまして、若干、今までのやり方に比べると安全性とスピード感というのが非常に、えてしてトレードオフの関係にある場合もあるんですけれども、それをできるだけ、今大臣の答弁にもありましたように、高いレベルで、スピード感もあり、安全性も確保していくというのが、本当にこの再生医療の政策の肝になると思うんです。

 ただ、一方で、幹細胞の治療に関しては死亡例もあったりとか、いろいろな問題もありますし、そういう意味で、今回、手続で一種、二種、三種という形で分けて、それぞれの手続をしっかりと踏んで、そして安全性を確認するという手順は踏まれているんですけれども、本当にそれで安全性が担保されるのかどうか。

 そして、もう一つ、あわせまして、安全性と同時に、これは今まで何度も言われておりますけれども、インフォームド・コンセントという形で、提供する患者さんにもその安全性をしっかり伝えていかなければいけないということなんです。

 ただ、この再生医療に関しては、かなり高度な技術でありますので、完全に、リスクに関して患者さんの理解が得にくいのではないかなと。ですから、ひょっとしたらインフォームド・コンセントが成立しにくい、極端な場合、先生がそう言うんだったらこの治療をやってよというふうに、先生任せになってしまうような、そういう技術になりはしないかということはちょっと心配されますので、患者さんの理解とあわせてこの安全性の確保についても、改めて、最後、コメントをお願いいたします。

原政府参考人 まず、一点目の安全性の確保につきましては、先生御指摘のように、幹細胞を使った治療で、因果関係は別として、死亡例があったということもあります。そういう意味では、新しい、夢のある再生医療においてそのような事故が起これば、再生医療全体の実用化に向けた動きがとまってしまう、そのためにもしっかりとした安全性を確保したい、こういう願いがございます。

 そのため、一種から三種、リスクに応じてその制度をつくらせていただきたいと考えております。特に、リスクの高いiPS細胞などを使った第一種再生医療等につきましては、高度な審査能力を持った特定認定再生医療等委員会というものをつくって、そこで計画の審査をじっくりしていただいた上で、厚生科学審議会においてその安全性を再度審査するという体制をとることとしているところでございます。リスクの高い医療について、より安全性を確保するという体制をとりたいと考えております。

 また、インフォームド・コンセントの部分でございますけれども、確かに全部がわかっているわけではない部分もございます。

 ただ、そうはいえ、一定の情報を提供していただくということで、現在、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針、あるいは臨床研究に関する倫理指針がありますので、これらを参考に、例えば、提供予定の再生医療の予期される効果、それに対して危険性、そして、ほかの治療法の有無などについて、また、同意をした後でも撤回できるというような、そういう事項については少なくとも盛り込むような形で、説明と同意についての義務づけ規定などを考えていきたいと考えております。

大串(正)委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わらせていただきます。

後藤委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 私も、再生医療等の安全性の確保等に関する法律案、そして薬事法等の一部を改正する法律案について、再生医療を中心に聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 この再生医療、非常に回復が難しい、そういった難病の治療法として大変大きな期待を持たれているわけでございますが、この医療、人から取り出した細胞に、遺伝子の挿入、あるいは加工、培養等を加えながら、それを人の体に移植をして機能の回復を図っていく、そういったものでございます。現在、大臣の承認のもと、八十四件もの臨床研究が進められていると同時に、自由診療という形で、確認がされないまま、いろいろな形でそういった実施がされている、こういった現状がございます。

 今回、この現状に対しまして、全ての再生医療を一種、二種、三種、そういったものに分類して、一つ一つ適切な形でそれを評価、審査して、そして実施に向けていく、そういった改正がなされることになります。このことによって、自由診療等で余り効果が確認されないとか、そういったものに対して、むやみに人体に実行されることなく、管理がされるようになるというふうに考えております。

 ここで、この再生医療提供に際しての審査、今回は、認定再生医療等委員会、あるいは特定認定再生医療等委員会、そういったものを設置して、それを審査していくということになると思うんです。実際、具体的に、医療の現場におきましては、現在、臨床研究においては倫理審査委員会というものが各機関にあるんですけれども、今後は、そういった倫理審査委員会が、認定委員会とか特定認定再生医療等委員会、そういったものに発展していくと考えていいのか。そしてまた、その委員会の設置、どのような形で設置をされていくのかについてお聞かせ願えますでしょうか。

原政府参考人 御質問の再生医療等委員会につきましては、まず、第一種及び第二種再生医療等の医療についての審査をする特定認定再生医療等委員会と、それから第三種の再生医療について審査する認定再生等委員会がございます。

 この中で、どちらも第三者を入れるという点では共通でありますけれども、特に、リスクの高いと思われる一種、二種を審査する特定認定再生医療等委員会につきましては、外部委員を複数入れるとか、あるいは専門家についても、一種、二種の再生医療について十分な知見を有する方を入れるとか、そういう形で規定をしようと現在考えております。

 全体で、今、倫理委員会と言われているものが恐らく千余りあると思いますけれども、その中でも、特に、特定につきましては、全国で複数ができればいいかなというふうに考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 そして、一種というのは、iPS細胞等を使った、そういった再生医療になると、これは非常に先進的で事例が少ないということで、厚生科学審議会のそういった審査も二重に受けていく、そういうふうになるものと考えておりまして、これも非常に重要な体制を整えているというふうに感じております。

 そういった中で、今まで管理されていなかったものを、全て一種、二種、三種という形できちっと管理監督をしながら、具体的に再生医療が臨床研究の形で進められるようになる。そこから、では、実際、臨床研究というところなんですけれども、具体的には、医療機関で細胞を採取して、そしてさまざまな加工、培養を加えて、そして人体の方に移植をしていくということになると思います。

 ここで、問題は、医療機関においては、常に新しい再生医療等の研究とかそういったことも進めながらのことになりますので、細胞の加工だとか培養というものを、その機関内で、医療機関の中の機器等を使って進めるというのは、非常に不効率な場合があります。そんな中、臨床研究に入った段階で、その加工、培養をより効率的にというような視点もあるのかどうか。

 今回、外部の方に委託できる、企業に委託をできる、そういった体制をこの法案でとられるようになります。ここで重要なことは、その委託された企業が細胞の加工や培養を本当に安全に、正確にできるかどうか、そこが重要になってくると思いますが、その辺はどのように担保されるのかについてお聞かせ願えますでしょうか。

原政府参考人 御指摘のように、再生医療等に用います細胞につきまして、医療機関内だけではなく、外部の細胞培養加工施設に委託することができる規定を設けているところでございます。

 これにつきましては、医療機関内の培養をする設備、施設と、それから外部での加工施設、また、これは薬事法の中でも再生医療等製品がございますので、それらを製造する施設について、共通的な構造設備の問題でありますとか、そういうものを共有化していきたいとは考えております。

 具体的には、今後、どういうふうな程度の、例えば清掃や保守の問題であるとか、あるいは清潔を保つとか滅菌をするかとか、そのほかは、特に細胞を加工するに際しての微生物の汚染、これが一番大きな問題ですけれども、こういうようなものについての基準を具体的に今後考えていきたい。先ほど言いましたように、いろいろな施設に共有化できるような形で考えていきたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 今までの質疑の中で、計画を立てて、そして委員会でしっかりと審査をして、そして臨床研究、臨床研究の中で、きちっとした管理のもとでの、外部の企業等の協力を得ながらも、細胞の加工、培養をしながら一つ一つ研究が進められていくということになる、よくわかりました。

 そして、その上で、だんだん研究が進んでいきますと、非常に難病を抱えている患者さんなんかもこの再生医療に多くの期待を持っている、それがもっと広く適用されるときを待っている方のために、いよいよ治験という形から広く適用される方向に進むんだと思うんですけれども、何分、この治験というのは、安全性の確認と効果の確認があって初めてその先に進める、そういったものだと思うんです。

 再生医療の場合、その安全性と効果を確認する、特に効果の確認というのはなかなか難しい、でも、それを待っていたのでは、いつまでたっても広い範囲の皆さんにこの再生医療を具体的に実施することができない、こういった問題があると思います。

 また、そういった中で、今回、薬事法の改正の中で、この臨床研究、治験、そしてその次のステップという形で、いろいろな形で配慮されているというふうに聞いておりますが、その辺の具体的な内容についてお聞かせ願えますでしょうか。

今別府政府参考人 お答え申し上げます。

 再生医療等製品は、人の細胞を加工するというものでございますので、品質が不均一になってしまうという特徴がございます。このため、有効性の確認に時間がかかるということでございます。

 今回、私どもの提案は、安全性については従来どおり確認をいたしますけれども、有効性が推定をされた段階で、一定の条件、これは、使われる患者さんにリスクとベネフィットをきちんと説明して同意をとるというようなことをした上で、一定の期限をつけた承認をする、早く承認をするという制度を導入しようと考えております。これによりまして、安全性を確保しつつ、迅速な実用化が図られるものと期待をしております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 今回、そのような形で、安全性はまず確認するのは前提として、有効性というものが推定される、そういう段階での具体的な適用を進められるということで、この再生医療、具体的に現場の中で、これはいよいよここから適用が始まり、さらに推進されるんだな、そういった実感が非常に湧いてまいりました。

 そして、先ほどの質問にもあったんですけれども、この再生医療というのは、当然、難病患者の皆さんの期待に応えると同時に、日本の経済の新しい牽引力となっていく、期待される産業でもあります。そういった意味で、文科省も経産省も一体となって、再生医療についてのさまざまな投資をしていくと思います。

 そこで、注意しなければいけないこと、経産省は産業的、文科省は基礎研究という形でどんどんやっていきたい。しかし、この再生医療、せっかくここまで来て、体制が整ったのに、安全性の問題で、事故が起こってしまったら大変なことになるし、そこにブレーキがかかってしまう。そういった意味では、厚労省が、その事故をいかに防いで、安全をしっかり担保しながら、着実にこの再生医療の、そういった実行、実施に向けたプロセスを一歩一歩進めていくことが重要になってくるというふうに思います。

 そういった意味で、期待を裏切るような事故が起こらないように、一つ一つ、これから具体的な基準だとか中身、こういったものに入ると思うんですけれども、その辺の重要性に対する認識と、同時に、迅速な再生医療の実行によって、世界に先駆けた形でのこういった取り組み。日本発の再生医療が世界の皆さんに使っていただけるような取り組みとしては、どちらかというと、再生医療の安全基準を、特にiPS細胞は日本から生まれたもので、こういった再生医療に対しては、国際基準となるようなものを日本できちっとつくりながら、世界戦略として進めていく、そういった攻めの再生医療が大事だと思っております。

 そういった意味で、大臣の、まず、安全をどう守っていくのか、そして、世界基準となるような安全性基準をつくりながらどう攻めていくのか、そういった点についての考えと、また意気込みを聞かせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

田村国務大臣 今委員がおっしゃられましたとおり、再生医療というものは、今まで治療法がなかったような、そういう疾患に対して、非常に希望の光が入ってくるような、そういうすばらしい期待がかかった医療であります。しかし一方で、安全面、倫理面、こういうものをしっかりと我々認識をしながら、これを進めていかなければならないわけであります。

 今般提出をさせていただいたこの安全性確保法でありますけれども、これは、そのような意味からいたしますと、今まで基準がなかったところにしっかり基準をつくろうということで、例えば人員面でありますとか、また施設要件でありますとか、さらにはその細胞の入手方法、そして有害事象等々の報告、こういうような基準をつくって、安全面を担保していこうということであります。

 また、薬事法改正法案におきましては、製品の審査に当たって、例えば細菌感染でありますとか、また免疫の反応、こういうものも一つの審査の対象、評価の対象にしていこうということであります。

 あわせて、製品の市販後、これは全ての方々に登録をいただいて、その上で、治療効果等々、こういうものをしっかりとまず収集していき、そして評価をしていく必要があるということで、これも義務づけさせていただきます。そういう意味からいたしますと、使用した後の事後に対しても、しっかり安全性というものを我々評価していかなければならないというふうに思います。

 先ほど申し上げましたけれども、もし何かあったときには、そもそも、再生医療自体が国民の信頼というものを失うわけでございますし、世界に向けてという意味からすれば、そのような先進的な評価や安全を確保していく、こういうような方法を確立することによって、世界に向けて、日本の再生医療は冠たるものだというものを示していく、そういう道のりをこの二法を通じてしっかりと示してまいりたいな、このように思っております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 この二法の推進で、日本の再生医療が安全性をしっかり確保しながら一歩一歩また大きく前進されることを期待しまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 長妻昭でございます。おはようございます。

 端的にお答えをいただければ幸いであります。

 ノバルティスファーマ株式会社というところが出している高血圧の治療薬のディオバンという薬、これは日本で累積で一兆円以上売り上げておりまして、非常に大きなヒット商品。こんなに、当然ちっちゃい粒の薬が、すごい売り上げをされておられる。

 その中で、血圧を下げる効果は、薬を認可するときに認められているので、それはいいんですけれども、しかし、プラスアルファの、脳卒中の予防にも効く、あるいはそれ以外の予防にも効くんだ、こういう臨床研究の結果があって、それを手に持って営業の方がお医者さん等に情報提供をする。これは、お医者さんも言われておられますけれども、そういうようなことが処方効果、処方の選択に影響をしている可能性は大いにあるというようなことをおっしゃっている、非常にゆゆしき問題です。

 ありていに言えば、効かない効果が、あたかもあるような形で、お医者さんはそれを信じて患者さんに処方する、効かない効果を信じて高い自己負担の医薬品料を払い、そして、病気にならない方の保険料にもはねてくるということ、これがあるとすれば、これは大変な問題だと思っております。

 昨日も、滋賀医大が、学内の調査をして、研究論文は不適切だ、カルテと一〇%が不一致していた、こういうことを発表されておられて、まだ調査中の大学が、千葉大学と名古屋大学が残っている。という意味では、きのうの滋賀医科大学と、京都府立医科大学と慈恵医大は不適切というようなことになって、ノバルティスの元社員が集計にかかわっている、こういうような問題であります。

 この問題をぜひ徹底的に調査していただきたいということなんですが、いろいろな方と意見交換をしますと、これは氷山の一角なのではないか、こういうような声もございまして、そういう意味では、ほかの臨床研究は大丈夫か、これは誰でも思う疑問でございます。

 しかし、政府が不可解なのは、これは予算委員会でもお尋ねしたんですが、このノバルティスの臨床研究は、二〇〇二年から始まったんですね。二〇〇二年から臨床研究が開始されたにもかかわらず、厚生労働省がほかの臨床研究の調査をするということで調査したのは、二〇〇九年の四月以降に始まった臨床研究等に限定していまして、このノバルティスの問題が問題になったのに、それが二〇〇二年からの臨床研究なのに、何でそこをすっ飛ばして二〇〇九年の四月以降だけを、しかも一カ月の自己申告で、ちょちょっと検査をして終わってしまった、こんなような受けとめを私はしております。

 大臣は、予算委員会でこれを指摘しましたら、いやいや、さらに調査を検討したい、こういう多少前向きなこともおっしゃり、たった今、けさの閣議で決定された、私が出した質問主意書の答弁書でも、「更なる調査の必要性について検討する」、こういうふうにおっしゃっておられます。

 当然、私も、何でもかんでも全て、二〇〇〇年前後以降、あるいは二〇〇〇年の前も含めて全部チェックしろと言っているのではありません、これは膨大な数でありますから。ですから、例えば、治験で薬を認可した効果以外の効果を臨床研究等で確認して、それを、論文等を営業マンが持って営業に回った案件に限定するとか、あるいは科研費ということで税金が入っている臨床研究、これもあるわけですね。

 お手元のお配りした資料で、ちょっとサンプル的に厚生労働省に出していただいたんですが、一ページ、二ページにありますけれども、例えば、二〇〇七年から二〇一一年まで、税金が入っている、厚労省の科研費の研究課題で実施した医薬品の効果についての臨床研究。そうすると、こういうふうにかなり数も限定されるわけであります。

 これは、ほかに、もしこういうことがあったら、国民の皆さんはたまったものじゃないので、さらなる調査をぜひしていただきたい。その手法などもお示しいただければと思います。

田村国務大臣 予算委員会でも御答弁をさせていただきましたが、百十七機関に関して自主的な調査をしていただいた。それだけでも、二万四千件を超える研究に対して調査をいただいたわけであります。

 今委員がおっしゃられましたとおり、全てをやれというのは、もうこれは無理だと思います。委員が主導的におっしゃられて、大臣のときにも進められた、社会保険庁、この年金記録の問題。これは、政府の機関でありましたから、何千億かかってでも信頼を回復するということでやれるわけでありますけれども、それぞれ民間で、しかも研究機関でやられておられる話でございますから、ましてや、データは、それぞれの個人個人の健康にかかわる、非常にセンシティブな、ナイーブな、そういうデータですね。ですから、それを全て何もかもやれというのは、これはまず不可能だというふうに思います。

 しかし一方で、委員がおっしゃられたとおり、限定してやれないかということに関しましては、それも含めて、これは専門家の方々に、どういうようなものが対象か、またどういう方法か、お金もかかる、費用もかかる、人員もかかる、そんな中において、もう既にその研究を実質上終わった、そういう機関、人々もおられるわけでございます。そこに対して、どうやってそのときの資料等々をもう一度開示いただくかということも含めて、いろいろなことをこれから検討しなければならぬわけでございます。

 このノバルティスの件に関しましても、まだ名古屋大学と千葉大学のこの調査結果は、終わっていないわけでございまして、報告いただいておりません。こういうものをいただきながら、今言ったような、どのような対象、どのような手法ということも含めて御検討いただきたい、このように思っております。

 いずれにいたしましても、今般のこの事案は、大変我々、臨床研究にとって、国民の皆様方から、不安といいますか、不信を抱くような、そのような案件であるというふうに思っておりますので、これに対しましては、厳しく調査をして、しかるべき対応をしてまいりたい、このように思っております。

長妻委員 これは、この種の問題では、私は戦後最大の問題だと思っておりまして、気になるのは、担当の課長さんとお話しすると、非常に、いや、個人的には調査する必要がないんだというふうに私におっしゃっておりまして、現場はもう幕引きムードになっておりますので、これは政治主導でぜひきちっとやっていただきたい。これは、関係者も心配しています、これでふたをされるんじゃないかと。

 そもそも、製薬会社の社員が今回集計作業にかかわったわけなのに、製薬会社の社員が集計作業にかかわった研究は過去あるんですか、こんな調査もしていないわけですよね。

 ぜひ、例えば、製薬会社の社員が集計作業にかかわったかどうか、そういう臨床研究や、あるいはほかの研究があるかどうか、こういう切り口で聞いてみる、こういうことはやっていただきたいんですが、いかがですか。

田村国務大臣 何か、幕引きをしたがっている課長がいるんですか。名前をぜひとも言っていただきたいですね。

 この件に関しては、我々はそんな甘いような対応をしませんよ。厳しく調査して、そして、事実が判明次第、厳しい対応をさせていただきたいと思っておりますから、こんなことで幕引きしようなんというふうなことは一切思っておりませんから、その点は御認識をお変えをいただきたいと思います。

 それから、今のお話でございますけれども、他の研究に関してでありますが、いろいろな手法はあると思います。ですから、それも含めて、どれが一番効率的で実質的かということも含めて、専門家の方々に御検討いただきたいということでございます。

 これは、それぞれ民間の研究機関でございますから、ですから、他の研究に関しては、なかなかそう簡単にはいかないし、既にもうそれ自体が終わっているというような研究もいっぱいあるわけでございますので、どういう手法が一番効率的で、そして実質的か、そういうことも含めて検討をいただきたい、このように思っております。

長妻委員 製薬会社の社員がかかわった研究はどういう研究があるんだ、そのぐらいは聞いてくださいよ。そして、現場からは、カルテの保存期間があるからできないというんですが、それは確かにカルテは保存期間がありますけれども、今は電子カルテ等があって、かなり保存しているところもあるわけですね。ぜひ、現場はかなり消極的でありますので、大臣のリーダーシップで本当にやってください、大変な問題ですから。たまったものじゃないですよ、もし、ほかの薬でも、効果がないのに、あるということで高い薬を飲まされて、自己負担も高くて、保険料も上がるとすれば。

 そして、もう一つ不可解なのが、このノバルティスの元社員の方の証言とお医者さんの証言が、真っ向から反しているんですね。

 これは大きい問題なんですが、というのは、この五ページの配付資料にもありますけれども、このノバルティス元社員のヒアリングの議事録を厚労省につくっていただいているわけです。

 そこに、こんなことを言っているんですね、ノバルティスの元社員の方が。東京慈恵医科大学では、私が終了時点で作成し研究者に示したカプランマイヤー曲線とは計算方法の違うものが論文になっていたことなどから、私以外に研究者を含めた解析施行者が存在すると。

 つまり、おっしゃっているのは、いわゆる間違えていた、捏造疑惑のある論文は、そこのデータは、この元社員の人がつくったデータそのものじゃなくて、その間にワンクッション入って、また変わって出ているということを元社員はおっしゃっているんです。

 大学側はそんなことはないと言っていますので、仮に、私も疑うわけじゃありませんが、今は、何かノバルティスの元社員の方がいろいろ問題がある、こういうふうに報道もありますけれども、それのみならず、お医者さんの側、研究者の側も何かあったとすれば、これはかなりいろいろ広がりのある、従来の捉え方ではおさまらない大きな問題ですので、その点も徹底的に、ちょっと消極的に見えますので、これは徹底的にその部分も解明していただきたいと思うんですが、いかがですか。

田村国務大臣 ヒアリングをいろいろな方からさせていただいております。

 今言われた慈恵医大のヒアリングに関して言えば、確かにノバルティスファーマの社員の方は、自分が統計解析をやったもの、これと、実際問題、論文に載っているデータは違う、こうやっておっしゃられる。一方で、慈恵医大の研究者の皆様方は、我々は統計解析する能力がないからできるわけがないと、能力がないこと自体いかがなものかという気もしますけれども、こういうふうにおっしゃられておる。

 ところが、一方で、滋賀医大の場合はまた違っているんですね。こちらの方は、研究者の方々は、要は、このノバルティスの社員が改ざんしたということはないだろう、これは単純な入力ミスだ、こうやっておっしゃっておられる。

 ところが、その入力ミスされたものが、全てこのディオバンに有利な方向に間違えられているんですね。本当にそんなことが起こるのか。非常にこれは我々も不信感を持っております。

 こちらの滋賀医大では、意見は一致しているんですね、その社員の方とその研究者側の方が。これは大変な問題。

 ですから、今我々いろいろな調査をさせていただいておりますが、なかなか、こうやって同じ研究をしている中においてでも、要は、研究者側とノバルティス社員の側と、意見がそれぞれ違っているんですよ。つまり、意見が対立しているのもあれば、対立していないのもある。これは、私、非常に不可思議だなというふうに思っております。

 委員は、非常に消極的だ、消極的だと言われますが、一切消極的ではございません。これはもう徹底的に我々としては調査をして、しかるべき対応をさせていただかなければならない。その事実をしっかり今調査中でございますので、どうかそこは御理解をいただきたいというふうに思います。

長妻委員 おっしゃるように、不可解なのは滋賀医大。きのう滋賀医大の調査委員会がありましたが、そこでは、ノバルティスの元社員の参加は問題があったけれども、データ操作への関与は否定的な見方なんだということで、では、誰がデータをいじったんだ、おっしゃるように、そういう疑問もあるわけです。

 検討委員会の次の日程がないわけですね。本当に、ちゃんと開いてください。日程がいつになるかわからないというようなことで、言っちゃ悪いんですけれども、いろいろなせめぎ合いがあると思いますから、なるべく余り大ごとにしたくないという人たちもいるんですよ、世の中に。ぜひ、これは負けないで頑張っていただきたいと思います。

 そして、もう一つ不可解なのが、ノバルティスに天下った厚労省の職員が、事件後、厚労省にいろいろ訪れておられるんですね。

 それを質問主意書の答弁書で聞きましたら、いやいや、厚労省に来たのは、本案件に関する行政指導とか事情聴取、このために厚労省が呼んだから来たんだというふうにここには書いてあるんですが、私がお伺いすると、いや、そうじゃなくて、この検討会の事務局である課長のところとかあるいは治験室長のところとか、中まで入れちゃって、机が、煩雑に書類とかがいっぱい入っているわけですね。そこの中まで、天下ったノバルティスの社員を部屋に入れちゃって、それでいろいろお話をしているというようなこともあるとお伺いをいたしましたので、この答弁書をちょっと訂正していただけませんか。

土屋副大臣 お答えいたします。

 委員がおっしゃっているのは、答弁書の中の「事情聴取等を行った」ということの意味だと思いますけれども、「等」というのは、含まれないということで、挨拶、資料提出のための来訪が含まれるということで御理解いただきたいと思います。

長妻委員 ちょっと何かひどいですね。

 この答弁書の、今のお話は、ここに書いてあるのは、そのノバルティスの天下り社員と接したのは、厚労省が「本事案に関する行政指導、」とか「事情聴取等」と書いてあるんですね、「を行った際」、つまり、厚労省が呼んだときに来ただけだよと書いてあるので、その「等」の中に、では、挨拶とか情報交換が「等」に入っているということですか。

 これはひどいですね。気づかなかったら気づかないじゃないですか。

土屋副大臣 失礼しました。

 「等」は挨拶ということでございまして、事情聴取は含まれておりません。意見交換はしておりません。

長妻委員 そうすると、「行政指導、事情聴取等」の「等」に挨拶が、実は「等」は挨拶だということで、事件後、何の挨拶に来ているんですか。

土屋副大臣 厚労省の職員の異動があったということで、面識がないため、その挨拶に来たということでございます。

長妻委員 だって、これは、七月に事件が発覚した後にその方が厚労省に来て、そして、厚労省の、普通は会議室で会うんですよね、お客さんは。まさにその検討会事務局である課長の席とか、治験室長のその仕事をしている自分の席のところまで来て、お話をされているということで、どんなお話をされたんでしょうか。

田村国務大臣 我が方が、厚生労働省からノバルティスに移られた方を呼んだわけではありません。要は、ここに書かれているような「行政指導、」や「事情聴取等」、「等」というのは向こうが挨拶する話なんでしょうけれども、そういうもので来いというふうに言ったら、その方が来られた。

 その後、さすがに我が省も、これはOBが来たんじゃ、それは何か疑われちゃうと。だから、もうこういう人は来ないようにということでノバルティス社に言いまして、その後は来ていないということでございますから、我が方がそのOB職員を呼んだわけではない。

 これからいろいろと事情聴取、行政指導したいから来なさいと言ったら、その人をノバルティスがよこした、これに対して我が省は、もう来ないでくれ、疑念が生じるからということでそのようなお願いをさせていただいて、結果的にはそれ以来来ていないという話でございますから、決して……(長妻委員「それはわかっています。今は質問に答えてください」と呼ぶ)

 だから、それは挨拶に来られたり、それから、こちらから呼んだわけでありますから、行政指導、事情聴取、こういう部分でもともとはお呼びをさせていただいたということであります。

長妻委員 何で、七月の事件発覚後、事務の執務室というか、事務局の課長のところまで挨拶に来るんですか。

 それで、では、どんな話をしたんですか、そこで。挨拶以外では。

田村国務大臣 ノバルティス社だけじゃなくて、他の製薬メーカーの方が来られてもそういう対応をしてきたということでございますが、それ自体が疑念を招くというような話であれば、これは直していかなきゃならぬと思いますけれども、ノバルティス社だけ特別にこういう対応をしたということではないということであります。

長妻委員 これは不可解ですよね。

 厚労省も、だから慌てて、この答弁書にも書いてありますけれども、八月二十八日には対応者から外すように、まずいと判断したわけで、その間にどんなやりとりがあったのか。

 これは、ぜひ理事会で協議して、挨拶といっても、いろいろな話をされたと聞いておりますので、そのいろいろな話は、挨拶以外でどういう話があるのか。当然、調査のことにも話が及んでいると思いますので、その資料提出を理事会で検討いただければと思います。

後藤委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

長妻委員 それと、この答弁書で回答がありましたのは、ノバルティスから贈与等があった厚生労働省の職員は延べ九十三人で、総額二百九十五万円、平成二十年から平成二十五年度ということなんです、これは届け出があったものだけですけれども。

 ただ、国立大学法人、つまり国立大学のお医者さんも含め、あるいは独立行政法人、国立病院も含めて、そこの役職員については把握していないと言われるんですが、これはノバルティスからどれぐらい講演料も含めてお金をもらったか。これは政府関係者ですから、これはぜひ調査していただきたいんですが、いかがですか。

土屋副大臣 お答えいたします。

 個別の医薬品の販売量についての調査はしておりませんが、ノバルティス社の公表資料では、直近の二〇一二年のディオバンの売上高は、国内で約千八十三億円、全世界で約三千五百三十四億円と承知しております。

 そして、今……(長妻委員「聞いていない。ちょっと時計をとめてください」と呼ぶ)申しわけありません。

 厚生労働省の職員については、ノバルティス社から延べ九十三人が総額二百九十五万二千六百七十九円の贈与等を受けておりました。(長妻委員「それは知っています。ちょっと時計を一旦とめてください」と呼ぶ)

後藤委員長 では、時計をとめてください。

    〔速記中止〕

後藤委員長 それでは、速記を起こしてください。

 土屋厚生労働副大臣。

土屋副大臣 失礼しました。

 今、贈与等の報告義務が課されていないということの質問でございましたと思いますが、この問いに対しては、義務がないことになっておりまして、義務の制限がないということですので、報告義務がないということから、把握しておりません。

長妻委員 調査をしてほしいと言ったんですね、国立大学のお医者さんとか国立病院のお医者さんとか、ノバルティスからどのぐらいの接待。

 接待は自由だと思うんですが、準公務員というか、公的な方々に対するものは、これはもう野方図に、では、認めるというような見解であるのですか。

土屋副大臣 報告の義務がないので、義務がないということでございますけれども、厚生労働省の省内の職員に対しましては、規程がつくられております。(長妻委員「聞いていない。これはいいか、悪いかと聞いているんです」と呼ぶ)

後藤委員長 ちょっと、では、また時間をとめてください。

    〔速記中止〕

後藤委員長 速記を起こしてください。

 田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 済みません。法律によって義務は課せられていないという話でございます。

 ただ、任意に聞くことができるかどうかということも含めて検討して、前向きにこれは対応してまいりたいというふうに思います。(長妻委員「いいことか、悪いことか」と呼ぶ)いいことか、悪いことか。何がですか。(長妻委員「接待、贈与」と呼ぶ)それは、それぞれの状況に応じる話だというふうには思いますけれども。

長妻委員 私は、国立大学とか国立病院のお医者さんについては、ある程度の規定がないと、講演料から接待からゴルフから、何でもかんでもいいと。私は、民民はなかなか難しいところはあると思いますが、ちょっとこういう公的なところが、何にも、野方図に、ないというのは、それで大臣も問題意識がないというのは、ちょっとこれは心配なので、ぜひ御検討をいただきたいと思います。

 そして、では、ぜひ、この問題は大変大きい問題ですので、今後とも取り組みますので、本当によろしくお願いします。ほかでないかどうかというのは、最大の関心事でございますので。

 次に参りますが、ちょっと年金の問題なんです。

 きょう、文部科学副大臣もお越しでございますが、年金の中でも、保険料を払わないで一生死ぬまで年金がもらえる、そういう年金がございます。これは、私は一概にそれ自体が悪いとは申しておりません。二十ページでありますけれども、例えば日本芸術院会員等々、そういう功労者の方々は、死ぬまで年金が払われる。

 日本芸術院会員でいうと、一年間、院長は二百七十万円、部長が二百六十万円、会員が二百五十万円ということで、合計で百四人の方が払われている。これ自体は、本当に功労していただいた方で、いいんですけれども、問題なのが、今、報道がございまして、調査にも乗り出している日展の入選の問題なんですね。

 結局、日本芸術院会員のうち、二十一ページでありますけれども、やはり日展での入選というのが、芸術院会員になるための条件ではないけれども、常識的な一つのステップになるということも言われております。事実、書の部分で会員が三人で受賞者が三人、工芸では会員八人で受賞者八人とか、彫刻では会員が十人で受賞者九人とか、日展で受賞するということが一つのこういう分野の登竜門なのではないかと思うんです。

 そういう意味で、ぜひ調査をしていただきたいのは、今、日展の分野と日本芸術院会員の分野で同じような分野があるのが、三十四人の日本芸術院会員の方々が所属する分野だと思っておりますので、この書の部分も含めて、仮に、日本芸術院会員の方々が日展を受賞したときに、今報道されているような割り当てがあって、そこでそれを受賞されたということがあるとすれば、これはいろいろ議論があるところだと思いますので、そういうような調査をぜひしていただきたい。

 問題意識としては、日展というのは、参加料一万円を払えば誰でも参加できるんですね。本当に努力して自分の芸術を磨いて、書を磨いたり、いろいろな分野を磨いて、真面目に一万円払って応募している人が、報道のとおりであれば、ばかを見るような、何かグループに所属していないとそこが入賞できないというようなことがあるとすると、これは本当にお気の毒な話で、真面目に応募した人、どうしてくれるんだという話にもなりかねないので、そこら辺も含めてぜひ調査いただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

西川副大臣 長妻委員には、御質問ありがとうございます。

 実は、私も、個人的にですが油絵を描きますので、この日展というのは大変興味のある展覧会で、何度も今まで見に行ったこともありますし、そういう意味で、今回の新聞報道は、ちょっと、えっという思いがあります。

 その中で、今回のあれを受けまして、文科省としても、大体これは、公益社団法人に日展はなっておりまして、今は実は内閣府の管轄になっておりますけれども、文科省としても、文部大臣賞その他を出している、後援もしているということで、この問題を大変大きく受けとめております。

 その中で、早急に外部委員も含めた調査委員会を立ち上げたということで、ただ、その中には役員等も入っておりますので、実際に作業する、その下につくります作業チーム、これは全部弁護士などを含んだ外部の方々で調査していただく、そういうことになっております。

 私どもも、今月中、十一月中には早急に調査結果を出してくれということで、今、長妻委員の御要求に応えるべく、その内容、三十四人の方々とのいろいろな問題その他、そういう問題についてもしっかりと調査していただくように要望したいと思っております。

長妻委員 ぜひ、派閥とかグループは政治の世界だけでもう懲り懲りでありまして、ほかの分野は余りそういう、公明正大にやるのが重要だと思っておりますので。

 最後に、これは田村大臣にもエールを送りたいところなんですが、予防について非常に熱心に取り組まれておられる。二〇二五年に五兆円、予防によって医療、介護を圧縮するという、いわゆる田村プランというんですか、それを出されて、共感する部分も多いところでありまして、やはり日本は予防が非常に弱いと思います。

 いろいろなことがあるんだと思いますけれども、やはり予防を徹底的にやっていかないと、国民負担率をやみくもに下げても、結局、自己負担が上がったり、家族の負担にしわ寄せが来る。つまり、社会保障の全体供給量を下げるには、やはり予防というのが大変重要だと思っております。

 そこで、予防の最大のツールであります健康21という仕組みが国にはありまして、十七ページですけれども、これは、五年置きに数値目標を決めて予防をきちっと前に進めていく、こういう仕組みなんですね。

 これについて、言っちゃ悪いんですけれども、ある程度きちっと取り組んでいる分野とそうでない分野というのがかなりまだらになっておるところで、全然達成できていない、もっと悪くなっている部分というのがいろいろあるんです、九項目、バツの部分。カルシウムに富む食品の摂取量の増加とか、朝食を欠食する人を減少させるとか、日常生活における歩数の増加とか、いろいろきめ細かな部分、これがむしろ悪化してしまっている。できている部分もあるんですけれども。

 これは、二〇二五年、五兆円削減という意気込みと、この健康21のツールをさらに、はっきり言っていいかげんなところもかなりありますので、そうじゃないということで、もう一度見直して前に進めるんだという意気込みをぜひお聞かせいただきたいと思います。

田村国務大臣 応援をいただきまして、まことにありがとうございます。

 これは、私、何としてもやらなきゃいけない、まさに委員と同じ思いでありまして、省内に健康づくり推進本部というのをつくりまして、私、本部長で、それこそ、何としても実現するためにということで、体制を組んで、現在実行中であります。

 健康日本21、第一次、うまくいったものとちょっと悪化したものと、それぞれございました。今、第二次の健康日本21をいよいよスタートさせているわけでありますけれども、これに対して、今言われたとおり、実行できなかったものはより実行できる方策を考えつつ、新たに、五十三の項目を追加させていただきまして、目標達成をしていこうと。

 今まで、どちらかというと、メタボリックなどというのを国民に認識いただくだとか、そういう数値目標を置いてきたんですが、もうちょっと具体的に、重症化予防、例えば、透析等々の患者の数を具体的にどれぐらい減らしていこうだとか、それから、企業等々がしっかりと健康づくりをやっていただけるような、そんな意味で、やはり社会環境の改善、こういう目標もしっかり持っていこうと。

 企業によっては、例えば、なかなか運動しないような、そういう方が多いようなところでは、昼休みに一生懸命会社ぐるみで歩くようなことをしてメタボを避けるだとか、いろいろな取り組みをしておられる企業があります。そういうものも参考にさせていただきながら、社会全体の環境意識というものも変えていこう。そういうことをやることによって、健康づくりを進めていく。

 もちろん、健診、それからそれに応じた保健指導、こういうものも進めていかなきゃなりませんし、データをしっかりとっていくということもやらなきゃいけません。

 ありとあらゆる方策を使って、今、五兆円強と言っておりますけれども、思いは、もっとこれを削減できれば、これは、まさに国民の皆様方も健康になって、または重症化せずに、喜ばしい話でありますし、国全体といたしましても、財政的にも余力ができるということでございますから、これは実現に向かって頑張ってまいりたいと思いますので、また、委員からも適切なアドバイスをいただければありがたいというふうに思っております。

長妻委員 これで質問を終わりますけれども、冒頭の薬の問題、効果がないのに、あるということで高い薬を飲まされて、自己負担、高いのを払わされて、保険料にもはねるという問題がほかにもあるとしたら、これは徹底的にうみを今回出しておいた方がいいと思いますので、ぜひ、全容の調査を徹底してしていただきたいということをお願いしまして、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 薬事法改正について、きょうは幾つか項目を伺いますが、全体のメニューといたしましては、医薬品、医薬部外品、化粧品の使用の安全確保にかかわる問題について。

 それから、二項目めとしては、長妻委員も御質問されておりましたが、ディオバン問題。これは、まさに医師主導、臨床研究の質の担保について、これは本当に重要な問題でありますから、大きな二項目めで伺いたいと思います。

 また、医薬分業ということがずっと掲げられて行われてきた中で、今回、新潟大学の事例を取り上げさせていただきますが、いわゆる門内薬局というか、第二薬局のような状況が、今、全国で実は静かに広がっている。こういう点についても、きょう、ちょっとお伺いしたいと思っております。

 それから、最後、四点目に、この薬事法を審議するに当たりまして、まさにラグやギャップの解消はもちろんのことながら、安全性の確保、このための第三者機関設置、この本当に重要な取り組み。きょうは、実は、薬害C型肝炎の原告代表であった山口美智子さんも傍聴に来られていますし、ぜひ、最後にこの問題も伺いたいと思います。

 大臣と、それからきょうは文部科学省から冨岡政務官、ありがとうございます、お越しいただいておりまして、参考人の登録をいただいているようですが、政務の方で御答弁をお願いしたいということを、まず冒頭申し上げたいと思います。

 まず、医薬品、医薬部外品、化粧品の使用にかかわる安全確保の問題ですが、最近の報道等でもまだ記憶に新しい、カネボウという化粧品会社の白斑問題ですね。

 これは本当に、きょうは多くの女性議員の方々もおられるんですが、美しくありたいと思って使ったはずの化粧品で、わかっているだけで全国で一万人にも上る方々が、その副反応、そして後遺症に苦しんでおられる。

 これは、症状は二年前に把握、カネボウ調査報告、対応おくれ認定と。しかも、二年前に把握といいながら、同社の事なかれ主義が被害を拡大させたとか、そしてまた、その症状を訴える顧客や社員の声を何度も見逃した結果、被害者は国内だけで一万人。

 報道ベースでずっというと、これは、当然、PMDAの審査を経て承認されています。二〇〇八年一月ですね。事前に危険性がわからなかったのか、検証が必要だと。これは、カネボウの会社のガバナンスが非常に問われていると同時に、やはり、政府のこの間の対応あるいは今後の対応が非常に重要かと思います。

 さらには、少し前ですが、茶のしずく石けんという、これも、延べ四百六十万人に四千六百万個販売され、救急搬送で入院が必要な重症の方は六十六人、意識不明に陥った方もおられた。

 こういうような事例が最近頻発しているという中で、伺わなければいけないのは、医薬部外品並びに化粧品について。

 医薬品については、そういう意味では、当然のことながら非常に厳しい対応が行われてきているわけですが、部外品や化粧品につきましては、例えば、人体への作用が緩和であると定義されながらも、今回のように、白斑問題、茶のしずく問題などが起こってきている。

 こういったことが、実は、大臣は御存じかもしれませんが、医薬品の副作用並びに有害事象の報告というのは個別の症例報告が基本になっておりますが、この部外品、化粧品の有害事象報告については、薬事法並びに施行規則によれば研究報告のみを求めているだけで、この研究報告というのは一体何なのかについても、これは非常に検証が必要だということになっております。

 これは、現在の解釈では、お医者さんが因果関係を否定できないと判断した場合には報告義務が生じることになりますが、医師が、当該成分との因果関係が不明、不明というのは、別に、関係ないというよりも、不明という、その不明と判断した場合には報告の必要がないということになるとお聞きしているわけですね。

 こういうようなことであっては、今後もこの白斑問題とか茶のしずく問題のようなことが、私は残念ながらまた起こるのではないかと危惧せざるを得ないと思っております。

 ぜひ、これだけ被害が続いている以上は、医薬部外品あるいは化粧品、これらについても、医薬品の副作用報告の基準を準用するか、少なくとも、因果関係不明事例についても研究報告対象として分類する判断をすべきかと考えるわけであります。

 大臣に伺いたいのは、このように、お医者さんが因果関係を不明としたものであっても、これは関係ないということを判断したのじゃなしに、わからないという状況であっても、これだけ既に事例が起こってきている中で、これはぜひ、部外品や化粧品についても医薬品並みにPMDAに報告をさせて情報収集をさせるべきであると考えますし、そういったことをぜひ文書発出、通知などで私は明確化すべきと思っておりまして、ぜひ、大臣、御所見をいただきたいと思います。

田村国務大臣 今委員が申されました、カネボウのロドデノールという成分を使った化粧品、これによっての白斑問題。被害を受けられた皆様方には、心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 今の点なんですけれども、確かに、医薬部外品、化粧品等々でいろいろな事象が起こった、有害な事象が起こった場合のPMDAへの報告、これはどういうものが対象になるかが非常に曖昧だというふうに受けとめられているという認識は、我々も持っております。

 今委員がおっしゃられましたとおり、例えば、健康被害が出て、それに対して医師が因果関係が不明だというふうに判断した場合、また、消費者からの苦情があって企業が調査を行った結果、保健衛生上の注意を要する有害な作用と判断したもので、しかしながら因果関係が否定されたもの以外、つまり、わからないというものですね、不明というものについては、これはやはり、本来、報告の対象であるはずなのでありまして、それが、ちょっと誤解が通知の中で招かれているとすれば、それは我々としては本意でないわけであります。

 でありますから、再度、そこがわかりやすいように、つまり、因果関係はないと判断されればそれは確かに報告事例ではないわけでありますが、因果関係が不明というものは、これは報告をしていただかなければならないということを改めて周知できるように、通知等々を通じて対応してまいりたいというふうに考えております。

柚木委員 今の答弁は、非常にこれまでの流れの中では一歩踏み出した、明確な御答弁をいただいていると思いますので、これは評価をさせていただきたいと思うんですね。

 この文書、通知も含めて、しっかりと現場で対応いただく体制を整備していただくわけですが、まさに通知というのが、不明、不明というのはつまり関係がないということがわからなかったものについては、通知などで、まさに医師への受診勧奨などもしっかりと、それぞれの、薬事法に定められている医療機関や、あるいはお医者さん以外にも薬剤師さんなど、現場の方々に対応いただくことをこういった形で明確化していただく御答弁であったわけです。

 実は、どういう形で実際にその現場において、では、私もいろいろ調べさせていただきましたけれども、例えば、一万人のカネボウの化粧品を使われた方が、全国の薬局さんに、もし、わあっとそういうことを問い合わせたときに、どういうことが起こるか。実際に現場で対応が本当にできるような体制を、通知等で周知していただくことは重要なんですが、現場で実際に対応いただけるような体制を整備していくこともあわせて重要だと考えるんですね。

 それで、私、ちょっとドイツなどの事例も調べてみましたらば、御承知かもしれませんが、例えばドイツなど、連邦薬剤会が医薬品コミッションという機関を設立して、ここで全国の薬局からの副作用やふぐあい情報を収集しておられる。報告様式はネットで簡単に確認でき、また、ホームページ上で入力することもできる。こういったシステムがあることを全国の薬局は周知されているので、患者や消費者から報告があった場合には、必ず医薬品コミッションに報告している。

 日本では、今、徹底をいただくという御答弁をいただけたのは非常に重要なんですが、実際、現場で、全てとは言いませんが、薬事法上、薬局開設者、病院、診療所もしくは云々、または医師や歯科医師、薬剤師、登録販売者、獣医師その他医薬関係者は云々かんぬんとあって、今回のようなことが起こったときには、その旨を厚生大臣に報告しなければならないとあるんですが、例えば、薬剤師さんに相談したら、それはお医者さんに行ってください、そういう対応になってしまうというようなこともお聞きするわけですね。

 ぜひ、今、ドイツの事例をちょっと御紹介させていただいたわけですが、日本では、そういった意味では、そこまで現場に周知徹底されているとは言いがたいわけでありまして、これをきちんと機能させるためにも、例えば薬局と薬剤師に報告義務の認識をしっかりしていただいて、その報告フォーマットというか、そういう実際の体制整備、こういったこともぜひお考えをいただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 現行法では、薬事法でですけれども、薬局を含む医療機関は、医薬品や医療機器の副作用等々を知った場合には、国に報告しなければならないということになっております。

 あわせて、医薬品と同様に、医薬部外品でありますとかまた化粧品についても、副作用、これがわかったときには国にそれを報告するようにというふうに関係団体には通知をさせていただいておるところであります。

 今のお話で、薬局に行ったら、それは医療機関、病院等々に行った方がいいのではないか、こういうこともあると言われたわけでありますが、多分、それは、診断が必要だというものに関しては、やはりしっかりと診断を受けていただかなきゃならないので、これは薬局では診断できませんので、多分、専門的な知見の上で、そのような受診勧奨をされたんだというふうに思います。

 いずれにいたしましても、薬局、薬剤師の方々も専門的な知識をお持ちであります。そういうところに来られた方々、どうもこれは副反応のおそれがあるなというような方々に対しては、しっかりとその窓口、薬局も大きな窓口でありますから、そこで対応いただいて、報告等々、国の方にいただければありがたいわけでございまして、薬局もその大きな一翼を担っていただけるものと期待をいたしておるような次第であります。

柚木委員 ありがとうございます。

 大臣おっしゃられたとおりで、そこはまさに、しっかりと受診に行っていただくということはもちろん必要なんですが、まさに使用安全の窓口として、今回、医薬品以外の部外品、化粧品などについても、薬局のそういう機能、これはチーム医療とか在宅における薬局さんの機能とか、非常に重要視されてきている中で、ぜひそこは、今大きくうなずいていただいておりますので、体制整備をお願いしたいと思っています。

 それで、その安全対策に係る部分で、医薬品医療機器総合機構、PMDAというのがあるわけですが、ここの安全対策部門の人員の現状と今後の増員計画についてお伺いしたいんです。

 ちょっといろいろ調べたところによれば、大体、副作用の精査にどれぐらいの人員が必要かということを部内で検証されていらっしゃるようで、今後また計画を新たに、二十六年度以降、策定されるようですが、現在、年間約四万件の企業からの医薬品の副作用報告、感染症報告などを、安全第二部の職員が六十一人で評価している。これは嘱託の方とか除くとありますが、六十一人ですね、四万件。一人当たり何百件かというような話ですよね。

 そして、二十五年十月一日現在、安全部門の職員百四十三人。二十一年度から安全部門の職員を百人増員計画がある、そして、現在、これまで九十二人増員したとあるわけですが、百人の増員が達成するよう採用活動を進めていると。

 これは、しかし、きょう質問させていただいているような事象に対する対応が今後求められてくる中で、こういう状況では、私は非常に不十分であるというふうに認識をしております。これは、副作用の報告件数、それから内容の評価に要する時間、こういったものを踏まえまして、今改正で新たに加わります副作用報告の精査など、安全対策業務の強化にぜひ人員を拡充いただきたいと思っておりまして、どれぐらい拡大、拡充が必要なのか、あるいは、そもそもそういった認識を大臣がしっかりお持ちなのか、これを御答弁いただけますか。

赤石大臣政務官 柚木委員にお答え申し上げます。

 今御質問ありましたように、私も政務官になってちょうど一カ月になるわけですけれども、その間、PMDAの職員の人たちといろいろ議論してきました。多分、アメリカのFDAに比べても、圧倒的に対応の人数が少ないということを私も感じておりまして、今後、これは改善していかなければならないと思っています。

 現状は、PMDAの人員は、十月現在で七百十四名でありまして、そのうち、安全対策部門の人員数は百四十三名であります。

 今後、この安全対策部門を含め、今回の法改正も踏まえたPMDAの体制強化を、今後五年間で可能な限り増員して強化していきたい。具体的には、約千名程度の体制まで引き上げていきたい、このように考えております。

 以上です。

柚木委員 千名程度ということで今御答弁をいただいたということで、これは非常に重要な御答弁だと思います。しっかりこれは概算要求も含めて御対応いただくということでないと、言葉だけが走って実態が追いつかない。

 今回、子宮頸がんワクチン、こういう対応になっていますね。予防接種法改正がされるとわかっていながら、現場の体制整備が追いついていない。そのことによって、杉並区のああいった本当にお気の毒な事例も含めて、対応が後手後手に回り、そして、今や、予防接種全体が何か悪いことのような風潮が出てきている。

 こういう状況も含めてしっかり御対応いただかないと、大臣、予防が大事だとさっき答弁があったわけですよ。そういうことも含めて、PMDAの体制、これは概算要求も含めてちゃんと対応いただく。

 大臣、その御決意を一言お願いできますか。

田村国務大臣 これは、委員も政府におられたわけでありまして、そういう意味では、今、非常に厳しい財政状況、それから定員管理、こういうものがある中において、いろいろな部分で、それに対して、安全性等々、そういう部分に関して強化するために、どう人員をふやしていくか。

 これは、民主党政権のときからも大きな課題であったと思いますし、今も同じであります。我々は我々といたしまして、強い思いを持って、体制強化を何とか図っていきたい、それぞれ関係省庁との協議をしてまいりたいというふうに思っております。

 また、いろいろと、野党の立場からではあられますけれども、御支援をいただければありがたいというふうに思います。

柚木委員 我々も、この間、まさにこの五カ年の中で、そういった体制整備、十全とまでは申しませんが、ラグやギャップの解消等にもつながってきておりますから、ラグやギャップの解消はもとより、やはり安全対策を含めた対応が同時に重要なわけでありまして、今般の薬事法改正とあわせて、来年の施行に対応できる形での、概算要求を含む、今難しいのは言われましたが、制度が変わっても現場の実態が追いつかなければ、まさにそういった副反応、ふぐあいが出てくるわけですから、来年の施行までに間に合うような形でしっかりと対応いただくということでお願いをしておきたいと思います。

 それで、安全対策という面におきましては、今回の法改正で、添付文書の届け出の義務化ということになっております。

 ただ、これも、非常に専門的な最新の知見、こういったものを添付文書を作成して厚労大臣に届け出る際に、PMDAの方々がこれをしっかりと読み込んだ上で、そして必要な対応を今度は医療の現場の方に打ち返していただかなければ、幾ら届け出を義務化しても、医療の現場で実際に医療職の方々がその文書を見なければ、意味がないわけですね。この間も、まさに、抗インフルエンザのタミフルとか、いろいろな形で、異常行動等で問題が起こってきていますよね。

 ですから、ちゃんと、まさにチーム医療をこれからどんどん推進していくという中で、お医者さん、あるいはまさに薬剤師さんとか、そういう方々がしっかりとその文書も見ていただいて、そして対応を現場がしっかりととっていける、こういった形を考えていかなければ、幾ら添付文書届け出を義務化しても、絵に描いた餅ということになりかねませんので、こういった仕組みづくりについても、ぜひ大臣、御所見をお述べいただけませんでしょうか。

赤石大臣政務官 大臣の前に、具体的にちょっとお答えさせていただきたいと思います。

 現在、PMDAでは、企業から届け出のあった添付文書の記載事項の確認の業務を、副作用情報の分析、評価等とあわせて行っております。

 このため、今回の改正に対応して、添付文書の確認業務だけを独立して増員や養成するのではなく、安全対策の業務全体の強化に取り組む中で、職員の増員や養成を行うこととしております。

 具体的には、今年度内に定めるPMDAの中期計画、二十六年度から三十年度の中で、安全対策の部分についても体制強化を図っていきたいと思っております。また、大学研究機関や医療機関等との人事交流を行い、技術の習得による職員の質の向上を図っていっております。

 さらに、先ほどの情報の問題でありますけれども、PMDAでは、ホームページやメールの配信等により、最新の安全情報の提供を実施しております。二十四年度の調査では、三二%の病院、一二%の薬局が、まだまだ少ないですけれども、メールの配信サービスを利用しております。

 医療関係者の利用がまだ少ないことから、引き続き、記載情報の充実と、学会等を通じた広報などの周知を徹底していきたいというふうに思っております。このようなことで、順次、周知の徹底を図っております。

 現在は、どちらかというと、製薬メーカーのMRからの情報が一番多い状況になっておりますので、これはやはりさまざまな意味で客観性を欠くことになると思いますので、政府からの発信情報に基づいて、しっかりと情報が行き届くようにしてまいりたい、このように思っております。

柚木委員 今、二十六年度からの五カ年という話がありましたが、これは、薬事法の法改正、施行のときにちゃんと体制がとれるように、五年でやればいいということではなくて、そこをしっかりと、先ほどと同様に念押しさせていただきたいと思います。

 それで、ちょっとディオバン問題の方に、私もお尋ねをさせていただきたいと思っております。先ほど来、長妻委員からの御質問も続いておりますので、重複は避けます。

 私も、今回、きょうも毎日新聞の一面に滋賀医大の報道がされていますが、この問題というのは本当に誰が被害者なのかということを改めて考えてみますと、もちろん、補助金、助成金を出している国だって、場合によっては刑事告発も検討しているとか報道も出ていましたが、それはそういう面もあるかもしれない。

 あるいは、現場で、本当に国民の皆さんの命や健康を救う、守るために日夜研究を真面目にされておられる、そういう研究者の皆さんですよ。

 さらに言えば、その元手になっている助成金などのお金は、まさに国民の皆さんの血税なんですね。それが、不当利得一兆円というお話もありましたけれども、精査されると思いますが、そういった形で使われて、効果があると信じて、すがるような思いでそういった薬を投与されている国民の皆さんこそが一番の被害者だ、そう改めて認識をすることが、まずは出発点だと思うんですね。

 そのときに、では、今後どういった対応、あるいは、今回のことにおいて、大臣も厳しく対応すると先ほどから答弁を繰り返されています。そうであるならばこそ、私も、今回の五大学、それぞれ多少トーンが違うわけです。

 私もちょっと驚いているのは、あえてこれは名前を出しますけれども、東京の慈恵医科大ですね。私もちょっと発言を疑ったんですが、大学病院の教員は教育、臨床、研究と多忙であり、臨床研究の細かな部分までケアするのは難しいという趣旨の発言をされているんですね。

 だったらもう研究をやめろ、そういう話ですよ。教育とかそういうところだけやっていただいて、どれも重要ですが、国民の血税を使って、しかも、効果があると信じて投与を受けて、こういう発言をする大学に対して、貴重な国の助成金を支給する必要があるのか。

 あるどころか、私もちょっと聞いてみましたらば、科学研究費、文部科学省に聞くと、この東京慈恵医科大分ですよ、二十年から二十四年度の五カ年分で、合計六百六十六件、十一億九千五百万円。厚生労働省についても、二十四件で八億六千八百三十一万円。こういった国からの研究費を受け取る資格があるのかということなんだと思うんですね。

 もちろん、その他の、今回は五大学ということになっていますが、それぞれ、まだ報告が上がっていない大学もあるということでありますが、その後、これは大分以前の事例で、まさに臨床研究中核病院などに選定されていく中で、非常に倫理委員会の機能を強化して、今般も厚生労働省は八千万の概算要求を出して、認定制ということまで考えて、形骸化しないようにしていく。そういうプロセスの中で、こんな発言をするような研究者、大学に、国の貴重な助成金を科学研究費という形で支出する必要は私はないと言わざるを得ない。

 もっと言うと、大臣、厳しい対応ということを言われましたよ。検証結果、調査結果が明らかになった段階で、私はぜひ提案したいのは、こういった助成金については、当該年度分については返還をさせて、そしてそのお金を、それこそ、真面目に国民の命や健康のために臨床研究を行っている、例えば臨床研究中核病院、今、十五病院選ばれています、こういったところの拡大強化に充てる。あるいは、先ほど申し上げた認定制、厚労省が治療研究の審査の質向上のために来年度概算要求八千万円を盛り込んでいる、この大学や病院倫理委員会の認定制のさらなる拡充に充てるなどした方が、私は、はるかに国民の皆様の税金の使われ方としては妥当かつ有効だと考えるんですね。

 厳しい対応をとるということを言われているわけで、そういったことも含めて対応していただかなければ、アメリカなどでは、一件でもこういうチームの中で不祥事があったら全額助成金はストップがかかる、こういうような対応をとられている中で非常にガバナンスが機能しているわけですから、ぜひ大臣、今私が申し上げたような対応を含めて、厳しく御検討いただけませんか。

冨岡大臣政務官 柚木委員の質問に答えたいと思います。

 委員は、常日ごろから、厚生労働行政、研究会を通じて、私も参加させていただいておりますけれども、非常に研さんを積まれておることは、本官も承知しているところであります。

 今、厳しい御指摘がありました。一般的には、大学の医学部の臨床系の教員は、先ほども述べられたように、教育研究そして診療と、大変忙しい日々を送っています。経験から申しますと、一日十三時間、十四時間というのはざらに勤務時間が延びたような、いろいろな教官がおるということでございます。

 しかしながら、大学全体で適切な人材や資源の配分を行うことが求められており、そのために、人を対象とした臨床研究を安全かつ効率的に行うために、大学としても、例えば、先ほども出ておりましたけれども、倫理審査に関する体制の確保、各種指針についての教員や学生への周知徹底、研究支援、人材の配置等、組織として必要な環境整備を行うことが重要だと考えております。

 したがいまして、文部科学省としては、臨床研究に関するガイドラインを所管する田村厚生労働大臣初め厚生労働省と連携して、これらについて適切に指導してまいりたいと思っております。

田村国務大臣 先ほど申し上げましたが、今般の案件の中に、委員がおっしゃられたとおり、統計解析ができないというような研究者がいる、それをノバルティスの元社員に任せた、能力がないからだ、我々ができるわけがないなんという話は、もうとんでもない話であります。

 ただ、一方で、大学というよりかは、それはその研究者のグループの話でありますから、そのようなところには、当然、ちゃんとしたような研究はできないわけでありますから、国からお金が行くなんというようなことがあってはならないんだというふうに思っております。そこはチェックをしっかりやっていく必要があると思います。

 あわせて、倫理審査委員会に関しては、これは大体、今、千ぐらいあるんですね。そこで、これは単純計算ですから、そうとは限りませんが、一倫理審査委員会十人と考えれば、一万人もそんなことをやれる人たちがいるのかということを考えると、どうもこの倫理審査委員会も、全てがとは言いませんけれども、おざなりになっている可能性があるのではないかということでございます。

 これは認定制にしていこう、そして、数をある程度絞って、ちゃんと審査できる方々にやっていただくというようなことを考えておるわけでありまして、そのための予算の計上もしておるわけでございますから、それはしっかりと対応をしてまいりたい、このように思っております。

 いずれにいたしましても、これから臨床研究をちゃんとやっていただくということで、中核病院、これも進めていかなきゃなりませんし、早期・探索臨床試験拠点というものも、これまた進めていかなきゃならぬわけでありますから、その点、このような、国民の皆様方に不信感を持たれないような、そんな対応を我々も進めてまいりたいというふうに思っております。

柚木委員 今、御答弁いただいたように、これまでは、慈恵医科大の部分で、それぞれ文科、厚労、十一億九千五百万、八億六千八百三十一万ありましたが、今、少なくとも厚生労働大臣の御答弁の中では、今後、そういったところにはお金が行かないようにするということも含めて、御答弁いただいたと思うんですね、今回の結果を含めて。

 ですから、まさに、私はもうその返還を求めたいぐらいですが、返還と同時に、今後、ではそういうところへの助成金、研究費をストップするとか、そういう厳しい対応も含めて、今大臣は、そういったことを含む御答弁、これはぜひ、今回の調査結果を踏まえて、この返還も含めた厳しい対応をとっていただきたいというふうに私は思っております。

 ちょっと時間がありませんので、門内薬局というか、第二薬局問題、これは新潟大学の事例を少し私もお聞きしておりますので、その事例を踏まえながら、お尋ねをしたいと思っております。

 これは地元にはいろいろ大きく報道されているんですね。医薬分業に反する、これは県の薬剤師会さんのコメントですね。利便性向上との兼ね合いがあるけれども、しかし、医薬分業の部分が担保されることと同時に利便性が担保されることが初めて患者さんのメリットであってというような、こういう報道であったり、いろいろなされておりまして、地元では非常に大きな問題になっているということでもあります。

 それで、先ほどディオバンの問題でも天下りのお話もあったわけですが、実際に、新潟大学附属病院の中に新たな薬局、この敷地内に、いろいろな工夫はするんですけれども、事実上敷地内に薬局ができる。それを運営しているのが、協和会という一般財団法人。そして、その役員の中には新潟大学の関係者が再就職をされているということもお聞きをしておる中で、さらに、この協和会の財務報告書には、年間五千万近い寄附金がこの財団から大学に流れているということであります。

 これだけ利益相反関係のある団体が、これはそもそも競争入札で受注しているわけですが、応募すること自体に適正性が本当にあるのかどうなのか。

 こういったことも含めて、今回、この大学の敷地内に、一定の、何か公道と面してとかいろいろな条件をつけてではあるんですけれども、その外にたくさんの薬局があるにもかかわらず、このような、いわば経済的な利益相反関係があるような団体、逆に言うと、経済的なインセンティブを診療報酬制度から得て、これを還元させていると言わざるを得ないような、こういった仕組みというのは、国立大学の公益性を考えたときにも、幾ら違法ではないといっても、こういったことが今後広がっていくことに対して、私は、国としてはこれは重々留意すべきだというふうに考えております。

 これは、所管がそれぞれ厚生労働省、文部科学省とあるわけですが、こういったことが全国で広がっていくようなことであってはならないと私は思っておりまして、そのことに対し、それぞれ御所見をお述べいただければと思いますが、大臣、いかがですか。

冨岡大臣政務官 柚木委員御指摘のように、実際に、ここの理事長は新潟大学の職員であったことは事実でございます。

 したがいまして、新潟大学において、アメニティーモール整備運営事業の選定に当たっては、競争性、透明性を確保するため、実際は公募型プロポーザル方式を採用した、これも事実でございました。したがいまして、企画競争による、公正に優先交渉決定権者を選定していると承知しております。

 しかしながら、委員が今御指摘のように、ある意味で公平性が担保されていなかったんじゃないかという投書等がございまして、今後は、議員の御指摘を踏まえて、さらなる透明性を確保し、いろいろな工夫の余地がないかを検討して、大学の意識の向上を促してまいりたいと思っております。

柚木委員 済みません、文科の所管でしたね。

 最後、時間がもうありませんので、これは最後の答弁にあわせて触れていただいても結構ですが、きょう、先ほど冒頭申し上げましたように、安全確保のための第三者機関の設置、このことにつきましては、私も二〇〇五年に国会に出させていただいて、最初に本当に重い役職だなと思ったのが、肝炎対策議連の事務局長を仰せつかりました。

 山口美智子さん初め多くの方々から、たくさんの本当に、その後、和解、そして肝炎対策基本法、いろいろな形で、この間、国の対応を進めてきたわけですが、まさに、そういった薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための委員会の最終提言の中で、薬害の発生及び拡大を未然に防ぐために、医薬品行政にかかわる行政機関、そしてその活動に対しての監視、評価、そして適切な措置をとれるような提言などを行う第三者組織を設置することが必要というふうにされているわけでございます。

 ですから、ぜひ大臣、この薬事法改正に際しまして、改めて、この関係の団体の皆様の意見を重く受けとめて、独立性が確保される第三者組織の設置について、どのように大臣が具体的に検討を進めていただくお考えがおありか、ぜひ明確にお述べいただきたいと思います。

田村国務大臣 もう経緯の話は十分に委員御承知なのでお話しいたしませんが、私といたしましても、議員連盟のメンバーであり、とにかく何とか閣法で、そういう思いを、原告団の皆様方の思いを実現したいと思って、大臣就任以来、努力してまいりました。議員連盟でいろいろな案を出していただきながら、あと一歩というところまで来たんですけれども、かないませんでした。正直申し上げて、独立性の問題だとか、いろいろな、大きな、乗り越えなければならない山、壁があります。

 ただ、先般、八月だったと思いますが、C型肝炎原告団の皆様方と大臣協議をさせていただく中において、どうもその一連のいろいろな議論というものが誤解もあったということもございまして、この第三者機関、これを閣法で何とかつくれることに関して前向きにまたいろいろな話し合いをしていこうじゃないかというようなことになったわけでございます。

 確かに、乗り越えなきゃいけない壁はありますけれども、何とかそれを乗り越えて、この機関を閣法でつくれればうれしいなというような思いのもとで、これからも協議をさせていっていただきたいというふうに思っております。

冨岡大臣政務官 先ほどのディオバン問題等、先生からいろいろ御指摘いただきましたけれども、幕引きを図るんじゃないかという先ほどの質問に、田村大臣が、決してそうではないというようなお答えをされましたけれども、文科省としても、そういう幕引きを図るような気持ちはございませんので、お伝えしておきます。

柚木委員 以上で終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 再生医療安全確保法、あるいは薬事法の改正、こういったもので、これまで治らなかった、あるいは治せなかった病気が治るようになる、新薬が開発されるということについては、大いに期待をしてまいりたいと思います。特に期待しておられるのは、難病患者や御家族の方々だと思っております。

 しかし、その期待以上に、難病患者の皆さんを不安に陥れている状況があらわれてまいりました。厚労省の難病対策委員会で検討されている難病患者の自己負担の大幅引き上げ。検討されているのは、現行、重症患者さんの場合、医療費は無料でありますが、これを、所得に応じた自己負担が課せられることになり、最大一月四万四千四百円、年間で五十三万円にも上る負担増ということになっているようでございます。

 きょうは、傍聴席にも難病患者の方々も大勢お越しになっておられます。私は、当事者の皆様方の悲鳴にも似た思いをぜひ代弁したいという思いで、大臣と議論をしてまいりたいと思います。

 難病患者や御家族にとっては、まさに命にかかわる大変重要な改定ではございますが、今提案をされているような内容の改定案を当事者の方々が聞いたのは、ここ数週間ということであるようでございます。そして、今回、十一月の中旬までに、もうあと二週間ほどでこれを決めて、次の通常国会には法案を出すというような腹づもりということも聞いております。

 余りにも拙速ではないでしょうか。もっと十分、当事者の方々の声を聞くべきではないでしょうか。このような拙速な法案が入ってくるようなプログラム法案ということであっては、当然、これまでの介護とか、あるいは医療とか、こういった議論に加えて、賛成できないということになってしまいます。当事者の意見が十分反映されない法案というものは、この難病の法案にしても、プログラム法案にしても、賛成することはできないということになってしまいます。

 今から、患者さんや御家族の方々の具体的なお声を、大臣に、厚労省にお伝え申し上げたいと思います。

 資料を配付させていただきましたが、半分より少し後ろになりますが、五というところをぜひごらんいただきたいと思います。

 これは皮膚筋炎という難病患者さんについての資料でございますけれども、一つ一つは申し上げませんけれども、これだけ多くの薬を服用されておられるわけでございます。この中には、皮膚筋炎というもとの病気のための薬が副作用を起こすということで、その副作用を抑えるための薬も含まれているということでございます。

 この方については、身障手帳というものは取得をされておられませんので、生活を送る上での各種軽減とか、あるいは免除とか割引、手当、こういったものは一切ありません。つまりは、難病でない方と同じ生活コストを負担しておられるわけでありまして、その上、大変長期にわたって、これは長期どころか、ある意味、死ぬまでと言っては語弊があるかもしれませんが、続く可能性のある治療でありますが、この治療費や薬代が課せられる、上乗せをされるということでございます。ですから、せめて、もとの病気のための薬代だけは無料にしてほしいというような御要望も承っているところでございます。

 このたび、この方の子供さんが就職をされるということのようでございますが、今回、もし改定案のとおりになってしまった場合、生計中心者の所得から世帯単位の負担方法になりますと、大変負担が大きくなるし、そもそも子供さんの収入は子供さん自身の収入であるということで、日常的に頼りにしておられる子供さんに迷惑をおかけしたくないということで、世帯分離を考えざるを得ないのではないかという深刻なお気持ちになっておられるということ、まずこれをお伝え申し上げます。

 それから、引き続きまして、資料六、七にあります、これはALSの患者さんのものでございます。

 医療費助成で何とか将来への望みをつないでいたが、今回の自己負担引き上げで、あたかもはしごを外されたような気になってしまうと承りました。負担が重くなるのであれば家族に迷惑がかかるから、気管に呼吸器をつけるかどうか迷っておられるとのことでございました。つまりは、生きるか死ぬかの選択を、この難病対策委員会が示した案が突きつけているということになるわけでございます。

 病気以外にも、七番の表にありますように、毎月さまざまな経費がかかっているわけでございます。この上、一月四万四千四百円の負担は、余りにも重過ぎる。難病治療は、一生続く、これは先ほども申し上げましたけれども、いつ終わるともわからない闘いが続くわけであります。

 このALSの方も、御家族に迷惑をかけたくない、特に、働いて頑張って仕事と家庭を、また介護、介助というものを必死になって両立してくれている御主人に迷惑をかけたくないということで、今回、世帯単位になるということで、離婚も考えざるを得ないという深刻な思いになっておられるわけであります。しかし、今お伝えを申し上げましたように、御主人に日常介護も頼っておられるわけでありますので、離婚をするということになれば、まさにこの御本人の方にとっては、死にもつながるような状況を招いてしまうということになるわけであります。

 大臣、最も厳しい状況にある方々に一筋でも希望の光を与えるというのが政治の役割ではないでしょうか。それが、この難病の方々の場合、医療費助成であるというわけであります。もちろん、きょうの法案の再生医療というものも希望の光につながるわけでありますけれども、再生医療で治療法が見つかり、新薬が開発されても、負担が重過ぎると使えないということになってしまうのではないでしょうか。希望を与えるべき政治が希望を奪うというのはおかしな話であります。

 資料の四をごらんいただきたいと思います。

 これは、十月二十七日に、難病対策に関する意見交換会で日本ALS協会の方々が厚生労働省に提出をされた提出意見書でございますが、ここにありますように、難病患者に余りにも重い自己負担、愛する人との別れを余儀なくさせられる世帯単位の考え方の導入については、ALS協会の方々からも強い反対の意見書が出されておるわけであります。

 大臣もよくこれは御認識のことと思いますが、もちろん、この厚労省の難病対策委員会の提言に対して反対している人ばかりではないということも、恐らく後で大臣がお話しになられると思いますけれども、しかし、法律によって生活が苦しくなる方々の声を、より慎重に、より十分酌み取っていくというのが、まさに行政の、あるいは政治の責務ではないでしょうか。

 また、難病患者の方々の団体を分断するような今回のやり方、こそくなものであると感じざるを得ません。

 大臣、これまでの当事者の方々の生活あるいは思い、こういったものをお伝え申し上げましたけれども、御見解を承りたいと思います。

田村国務大臣 本当に難病患者の皆様方、長期にわたって、まだ治療方法も当然のごとく確立していないわけでございますから、なかなか出口のない中において、大変な御苦労をいただいておるというふうに思っております。

 現在、難病対策、政策において、医療の助成費、補助金を受けている、助成を受けている方々、五十六疾患とこの間まで言われておりましたけれども、これに対して、さらなる医療助成を望む方々もおられるということで、対象を広げていかなければならない。一方で、生活支援サービス、今は総合支援法の中で、福祉サービスという形でこれを対応するようになっておりますが、これも現在は百三十という疾患であります。研究事業全体でも三百。

 しかし、さらに多くの難病の疾患の方々、疾病の方々が、いろいろなサービスを受けたいというような強い要望を受けて、これはもう我々が政権に復帰する以前、民主党政権のときからであろうと思いますけれども、それに対していろいろな御議論をいただいてきたわけであります。

 そんな中で、所得の一定程度ある方に対しては一定程度の御負担をというような御議論の中で、今、四万四千四百円というお話が出ました。これは多分、十月二十九日に提出された資料であろうというふうに思いますけれども、二人世帯で五百七十万以上の収入がある方々には、このような負担を一月お願いできないであろうかというような提案がなされた。

 ただ、一方で、難病の皆様方は、長期にわたってこの難病を抱えられて生活をされていかなければならないわけでございまして、普通の疾病とは違うわけであります。多数該当という制度は、それぞれの制度の中にはありますけれども、そもそも難病の皆様方は、多数該当どころか、ずっとその疾病を抱えながら治療をしていかなきゃいけない、そういうことも念頭に入れていかなきゃならぬわけであります。

 そういうことも踏まえた上で、これからなおも、この検討の中において御議論をいただくというふうに思っております。しっかりとした報告をいただけるように、これからも議論がさらに充実をするように、我々も努力をしてまいりたいというふうに思っております。

中根(康)委員 一定の収入があるといっても、先ほどから申し上げておりますように、今大臣もおっしゃられた、長期にわたる、いつ終わるともわからない治療生活、療養生活が続く。治療費だけではない、薬代だけではない、さまざまな、周辺の生活コストも治療コストもかかるということであります。

 そして、今、質問もはっきりしなかったかもしれませんが、御答弁がなかった部分、世帯単位で世帯分離を余儀なくさせるような案が、今厚労省によって検討されているということについては、大臣、いかがお考えでしょうか。

土屋副大臣 今、難病対策の見直しについては、難病対策委員会において検討が行われているところでございます、委員も御承知と思いますが。

 難病対策委員会では、生計中心者の収入に基づいて医療費助成の所得区分を決定することは……(中根(康)委員「世帯単位のことだけ、世帯分離のことだけ」と呼ぶ)

 世帯単位につきましては、今までは世帯単位でない形を世帯単位に変えさせていただくということは、社会の変化に伴って、生計中心者を客観的に判断することが非常に難しいという中で、世帯単位ということに移行していこうということでございます。

中根(康)委員 その答弁では、先ほどから御紹介申し上げておりますように、難病患者の方々の生活をまともにというか真面目に受けとめて検討しているということは全く言えないという答弁になってしまいますよ。

 世帯単位では、先ほど御紹介したように、お子さんのお給料もその計算の中に含まれてしまう。お子さんに介護をしてもらっている、そういった中で、さらにお子さんの給料から自分の治療費を、介護費を出してもらうということは忍びない、だから、愛する人と、本来一緒に暮らすべき人と別れざるを得ないということを考える、御主人と離婚さえ考える。このことについて、まさに、これはもう役所というよりも、例えば土屋副大臣であれば、政治家としてどう考えるかということ。

 これは大臣に本来聞きたいんですけれども、どう考えるかということを、改めてちょっとお答えいただけないでしょうか。

土屋副大臣 済みません、大臣でなくて申しわけありませんが。

 今の現状ですけれども、生計中心者の判定に当たって、加入している医療保険、健康保険組合の場合、被保険者本人が生計中心者ということでいただいておりますけれども、所得税の控除対象か否か、これもなかなか、対象の場合、控除を申告した者が生計中心者かどうかというのがわかりにくいということと、これに基づいて一定の判定が行われるんですが、最終的には本人の申し出ということになりまして、なかなか難しい問題があります。

 それによって、今回、今議論をしていただいているところでございまして、年内には取りまとめをして、結果を報告させていただきたいと思っております。

中根(康)委員 年内に取りまとめるということありきで進めているから、当事者の方々の生活の実態を反映できないものができてしまうんですよ。これはじっくりと、年内なんというゴールを決めないで、十分実情を検証して、把握して制度を決めていくという姿勢がなければ、大変不十分なものになって、後で後悔することになってしまいます。

 そして、今副大臣の御答弁にあったように、ほかの制度との横並びでこの制度も考えようとするから、おかしなものになって、生活実態に合わないものになってしまうということを、改めて御指摘申し上げておきたいと思います。

 それと同じようなことがあります。

 今回検討されているものの中に、高齢者の高額療養費制度を参考にしているということでございます。難病患者と高齢者ではまさに生活の質が全く違うにもかかわらず、高齢者の医療費負担のあり方を参考にするやり方、こういう考え方は、今の副大臣の御答弁も含めて、やめた方がいいということにはなりませんか。

 これについては、先ほどの資料でございますけれども、資料四にあるように、これもまた日本ALS協会の方々から意見書が提出されております。

 ですから、大臣、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。(発言する者あり)

後藤委員長 まず、それでは土屋厚生労働副大臣から。

土屋副大臣 私の後に大臣ということで、よろしくお願いいたします。(中根(康)委員「そんなの意味ないよ、だめだめ」と呼ぶ)

後藤委員長 どうぞ、早く答弁してください。

土屋副大臣 一般に、高齢者は病気がちでありまして、慢性的な疾患を抱えることが多く、医療需要が高いなどのため、医療保険の高額療養費制度などにおいて配慮がなされています。一方で、難病患者についても医療需要が非常に高いということで、これを踏まえて、医療保険における高齢者の患者負担を参考にしたものであります。

 しかし、高齢者の患者負担を参考にした案は、あくまでもたたき台でありまして、現在、委員会でお示ししている案は、新たな所得区分を設けるなど、さらに難病の特性に配慮をしているところでございます。

 引き続き、当該委員会での御議論を踏まえ、新たな医療費助成の制度についてもさらに検討を進めてまいりたいと思います。

中根(康)委員 今の副大臣の御答弁だと、高齢者の方も難病の方も、ともに医療需要が高いから、同じような制度にされると。

 だから、さっき指摘したじゃないですか。質が違うんだから、違う仕組み、違う制度にしなきゃだめじゃないですかということを言ったにもかかわらず、全くそんなこと、聞いたのか聞かなかったのかわからないような答弁を、両方とも医療需要が高いから同じような制度にしましたと。これが実態を反映しない制度づくりにつながっているということを改めて御指摘申し上げたいと思います。

 大臣、何かありましたら。

田村国務大臣 今副大臣も申し上げたと思いますが、たたき台の案として出させていただきました。

 もちろん、それは全く同じ制度になるわけがないわけでありまして、そこは難病の方々の特性に応じたものにこれから議論の中で変わっていくわけでございますから、決して高齢者の制度をそのまま使うというわけではございません。

 ただ、委員、先ほど、ずっとずっと議論をし続ければいいというようなお話でございましたが、一方で、早く法律を出さないと、待っておられる方々もたくさんおられるわけでございます。早く法案を出していただきたい、そういう方々もおられます。

 ですから、日にちはありませんけれども、十分に御意見をお伺いさせていただいて、それぞれの方々の御意見のもとで、ある程度納得、全てが全て納得とは言えないかもわかりませんが、ある程度納得をいただけるような、そんな案を見出してまいりたい、このように思っております。

中根(康)委員 たたき台だから、これから変わっていく可能性があるからということはわかりますけれども、たたき台が示されるだけで当事者の方々はどれぐらい不安になるかということを、これもまた、今後の厚労行政の中で心しておいていただきたいと思います。

 ずっとずっと議論していくというような、それは当然、エンドレスで、ゴールをつくらなくてもいいということを言っているわけではなくて、十分ヒアリングなり実情調査をして決めてくださいということを申し上げているわけであります。(田村国務大臣「一言だけ」と呼ぶ)では、一言だけ。

田村国務大臣 十月の二十九日、先ほど申し上げたものも、もう既にそれから変わっております。さらに変わり得る可能性というのはあるわけでございますので、御議論をいただく中において、それぞれある程度納得のいただけるような、そのような制度にしてまいりたいというふうに思っております。

中根(康)委員 変わっているということではありますけれども、今、私自身が把握しておるもので申し上げますと、新制度案では、医療費助成の対象疾患を、先ほども大臣がお話しされたように、現在の五十六から約三百に拡大をするということが検討されております。拡大すると同時に、今まで無料だった重症患者の負担を課すということは、いわば難病患者が難病患者を支えるという構造になってしまうわけで、これは余りにも酷なやり方だと思います。

 これは、限られた予算の中だけで考えるとこういうことになってしまうのであって、社会保障を充実させるというために国民の皆様に御理解をいただいている、消費税を引き上げるわけでありますので、まさに、この消費税の増収分をここにこそ使わせてもらうべきではないでしょうか。難病患者が難病患者を支えるということではなくて、消費税で、国民全体で、難病患者の方々の暮らしや医療、命というものを支えるべきではないでしょうか。

 大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 消費税を使って難病対策の充実をという思いの中で、これは、我々自民党政権のみならず、それ以前の民主党政権から、そういうお考えのもとで、今、案を考えております。

 確かに、消費税が際限なく税収がふえれば、それは何もかもという話になるのでありましょうが、問題は、委員も与党でいろいろとお仕事をしていただいておりましたから御理解がありますとおり、以前の民主党案の中においても、やはり消費税の使い道というものは非常に限られておって、二兆八千億円しか医療の充実には使えない。

 その中において、民主党政権でも、さまざまな医療の充実策にお金を使う、一方で、一・二兆円は削減するということをお示しなされておられるわけであります。(発言する者あり)充実は三・八ですが、全体、ネットで二・八です、財源的には。だから、三・八から一・二を引くから、二・八になるわけであります。

 そういう意味からすると、言うなれば、そこは民主党政権も事細かなものはなかなか出せなかった。なぜかというと、それはいろいろなニーズは多い。削減するのは誰だって嫌なんですよ。でも、政権をとれば、そこに責任が生じる。しかし一方で、難病の方々がこれでは生活できないという形になってしまっては、これはまた何をやっていたかわからないという中において、ぎりぎりの、今いろいろな検討をいただいておるんです。

 これは、私は、委員は与党で三年間汗をかかれたからこそ、そのいろいろな悩みというもの、いろいろなものを進めていく上において大変な苦しみがあるということは御理解をいただけると思います。

 その中において、とにかく、それぞれ難病ではあってもいろいろな立場の方々がおられますから、その中において、ある程度、ここまでならばというような、そういう取りまとめをいただくべく、今御努力をいただいておるということであります。

中根(康)委員 プログラム法案の中でも、難病対策というものは位置づけられております。まずは三百億円使うということになっているようでありますが、これは、小泉政治以来、社会保障費が一律一〇%カットされて、本来、国と県が半分ずつ負担をすべき医療費助成を、ある意味、もとに戻すためだけに費やされるのであって、決して充実とは言えないということだと思います。例えば、平成二十五年度で千三百四十二億円の事業費に対して、国の予算は四百四十億円でしかありません。この穴埋めをするということにまず使われるわけであります。そうではなくて、純粋に充実をすべきだと思います。

 政権を担えばさまざまな難しさがわかるだろうということであろうと思いますけれども、しかし、例えば、現在無料の重症難病患者の人、約八万人だと示されておりますが、この方々が全て一月四万四千四百円負担をすると仮定をした場合、これは大臣、計算をすれば、八万人掛ける四万四千四百円掛ける十二カ月で、これを掛け算すると四百二十六億二千四百万円という数字が出てまいります。実際には、全ての人が四万四千四百円ということではありません。実際には、大体この半分ぐらいになるはずであります。約二百億円あるいは二百数十億円ということでございます。

 これは、消費税を充てずとも、二百数十億円ぐらいのことであればと言っては、二百数十億円だってなかなかの額ではありますけれども、消費税が使い道がいろいろあるということであれば、厚労省のさまざまな予算をかき集めてでも捻出できる金額ということになるのではないでしょうか。

 消費税ということでいえば、もともと、五兆円のうちの五千億円しか充実分に充てないからこういうことになってしまうのであって、消費税を、もっと充実分に充てる額の割合をふやす、あるいは、消費税でないとしても、厚労省のさまざまな予算を無駄を省いてここに充てていく。二百数十億円と仮にすれば、それは不可能な数字ではない。それをやれば、難病患者の方々に苦しい思いをさせないで済むということになりませんか。

田村国務大臣 まず、八万人とおっしゃられましたけれども、それは現状の対象の八十万人の一割という話でございます。これからどこまでこれを範囲を広げていくかということを念頭に入れなければならないということでございますから、かかってくる費用というものがどうなるかというのは、ちょっと今はまだ出せません、これから、対象が決まっておりませんので。

 それから、〇・五兆円が少な過ぎるじゃないかとおっしゃられますが、前も説明しましたが、もともと本来、八兆円強、三%消費税を上げれば税収が来ますが、今回は、税収を上げた期間と入ってくる収入の期間がずれておりますので、五兆円強しか入ってきません。

 そのうちで、基礎年金国庫負担二分の一分、これはもう充てるというふうになっておりますから、約三兆円、これはないわけでありまして、残すところ二兆円。

 二兆円を、もともと一〇%に上げたとき、つまり、五%上げて十四兆円強税収があったときの、それぞれ、医療の充実、社会保障の充実と、それから後世に負担をツケ回さないための安定化の部分との、その案分をすると、まさに今回の〇・五兆円で、もしこれをやめれば、その分借金がふえる、赤字国債がふえるだけの話でございます。

 それはまさに、民主党におかれましても、それをやるべきではないという話でございますので、まさに、完成形のスキームをそのまま入れますと〇・五兆円となってくる。もしこれをやめれば、赤字国債にあとが置きかわるという話でございます。

 今回の五千億円というのは、そういう中においての一応理屈があった上での数字だということは、多分、十分に御了解をいただきながら御質問をされているんだと思いますけれども、御理解をいただければありがたいというふうに思います。

中根(康)委員 復興増税を一年前倒しして撤廃して、九千億円を公共事業に使う、その九千億円分はどこかの国債で調達をする。これは消費税云々の話ではなくて、財政全体で見ても大変ゆがんだものになっていて、本来充てられるべきところに充てられていない。ここが、今までずっと議論してきた問題点だということであります。

 医療費助成の対象疾患は人口の〇・一%未満を基準とするようでありますけれども、では、例えばパーキンソン病など、〇・一%以上患者がいらっしゃる方々は対象から外れてしまうということになるのですか。大臣。

土屋副大臣 済みません、また出てまいりました。

 難病の新たな医療費助成の対象疾患の考え方については、現在、厚生科学審議会難病対策委員会で御議論いただいております。

 この委員会の御議論においては、対象疾患の満たすべき要素の一つに希少性があること、対象疾患を医療の専門家等によって医学的、客観的な視点から選定することが意見として出されております。おおむね五万人未満とされてきましたが、難病対策委員会では、海外の基準を参考に、人口の〇・一%程度以下という基準で議論をしているところでございます。

 厚生労働省としましては、この委員会での御議論を踏まえて、新たな医療費助成の対象疾患について検討してまいりたいと思います。

 現在五十六ある疾患から、約三百ぐらいまで広げていくということでございます。

中根(康)委員 ほかの制度だとかあるいは海外の事例だとか、もちろんそれも参考にすればいいとは思いますけれども、一番大切なのは、我が国国民の難病患者の方々の生活実態、どんなにつらい、苦しい思いをされておられるかということを厚生労働省がどこまで受けとめるか、そこに自分のこととして政策に反映をするかということが今問われているわけでありますので、今の副大臣の機械的な御答弁では、とても納得するわけにはまいりません。

 そもそも、五十六から三百にするということを言っておられますけれども、では、ちょっと見方を変えて質問をいたしますけれども、いろいろと、政権側になれば、あるいは与党になれば、難しいことがたくさんあって思うようにいかないというお話がありましたけれども、では、五十六から三百にする予算は間違いなく確保するということでいいですか。

田村国務大臣 三百にするかどうかというのは、今現状、検討いただいておりますので、明確に私がここで申し上げるわけにはいかぬわけでありますけれども、大幅に広げる方向性のもとで御議論をいただいてきております。

 その上で、予算の制約もあります。その予算の制約の中で対象を大幅に広げるということにおいて、いろいろな工夫をしなければならないということで、今いろいろと委員会の方で御議論をいただいて、御苦労をいただいておるわけでございますので、それも含めてこれから、我々も、活発な御議論をいただいて、実のある成果というものを期待させていただいておるということであります。

中根(康)委員 やはり今の大臣の御答弁からいっても、三百にすることすら、実は確定できていないということになってしまうじゃないですか。

 法案が提出されたときには、ぜひ三百以上の拡大というものを含めた、明確に疾病、病名をここまで広げるんだということを示した上でなければ、審議はできないということになってしまいますので、そこまで用意された上での通常国会以降の法案提出、もちろん、通常国会にこだわりません、我々は。もっとじっくりと、先ほどから申し上げておりますように、実情を把握してから法案をつくってもらいたいと思っておりますので、そのことも含めて要望して、質問を終わりたいと思います。

田村国務大臣 私の口からはまだ申し上げられないわけでありますけれども、少なくとも候補として三百疾患挙がっておるということで、今御議論いただいておるということであります。

中根(康)委員 以上です。終わります。

後藤委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。

 今国会から厚生労働委員会のメンバーとして加えていただきました。今後の日本の課題を最も重くしょい込んでいる委員会だと思っておりますので、ぜひとも、私自身も、田村大臣を初めとした政府の皆さん方、そして先輩議員、同僚議員の皆様方とともにしっかりと取り組んでまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 さて、早速質問なんですけれども、今回、再生医療というのが大変大きなテーマでございまして、実は、先般の通常国会におきましては、既に議員立法で再生医療推進法が成立をいたしました。その中では、「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるように」と国の基本的な責務として書かれておりますし、基本理念の中では、「世界に先駆けて利用する機会が国民に提供されるように施策を進めるべきこと。」といったようなことが書かれております。

 今回の二法案も、まさに、この法律に基づく法整備という色合い、意味合いも非常に大きいと思います。

 また、この法案、再生医療推進法の第六条には、国は、再生医療の迅速かつ安全な研究開発及び提供並びに普及の促進に関する基本方針を定めなければならないということで、基本方針、これは厚生労働省だけではないと思いますが、恐らく、省庁横断の基本方針を策定する、まだ準備段階だと思いますが、こういった再生医療推進法に基づく現在の取り組み状況について、まず大臣にお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 委員おっしゃられましたとおり、再生医療推進法、前国会で議員立法で成立をした法律でございます。

 基本的には、この法律は、再生医療に関する理念でありますとか、それから基本的な施策、こういう方針にのっとって書かれておるわけでありますけれども、これにのっとってといいますか、この法律に従って、今般、一つは薬事法改正、そしてもう一つは再生医療安全性確保法案というものを提出させていただいておる。

 薬事法の方は、承認審査でありますとか、それから、言うなれば、市販後の安全確認みたいな部分に関して、これを規定させていただいておるわけであります。

 一方で、安全性確保法の方は、例えばリスクに応じた分類を分けまして、それに応じた対応の仕方、こういうこと。さらに申し上げれば、細胞培養する製品、こういうものの、言うなれば、民間への、外に出してそちらの方でつくるというようなことに関しまして、新たな規制緩和というようなものを入れさせていただいておるわけでございまして、安全性の確保とともに、この再生医療というものが速やかに実行できるような、そのような法律を今般提出させていただいておるような次第であります。

 基本方針にのっとっては、これはまさに、今言われましたとおり、これから各省庁ともしっかりと連携をとりながらつくっていくわけでございますので、これからもどうか、委員にもいろいろな分野で御協力をいただきますように、よろしくお願いをいたします。

重徳委員 ありがとうございます。

 この基本方針にしろ何にしろ、再生医療、中心となるのはやはり厚生労働省だとは思いますが、この再生医療推進法にも書かれておりますように、迅速かつ安全という、なかなかこれは、矛盾とまでは言いませんけれども、いろいろなところでジレンマを包含するようなこと。

 つまり、安全といったらもうとにかく安全第一でありまして、安全の方が何よりも優先だということになるんですが、それと同時に、迅速にやらなきゃいけないということでありますから、これはやはり迅速にやらなければ、確かに、再生医療としての製品の安全性、これはもちろん安全性は安全性なんですが、早く開発そして普及されることによって、より多くの人たちが助かるということになるわけですから、広い意味での安全、つまり人々が再生医療によって助かる、こちらの安全性も、いわば確保しなきゃいけない。

 こういうところを進めていかなきゃいけないんですが、やはり、厚生労働省の、これは体質という、別に悪い意味でのではないですけれども、マインドとして、安全第一というふうにこれまで傾いてきがちだったんじゃないかなというふうに思います。

 そういう意味では、できるだけ早くたくさんの人が助かるためには、一体、今回の制度においても、何が迅速化に向けたネックになり得るのか、こういう検証をきょうはあえてやってみたい。つまり、安全はもちろん大事なんです、それはもうわかっておりますが、しかし、これを迅速にやるために何が大事か、こういった視点から本日は質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、再生医療安全性確保法案についてなんですが、大ざっぱに言えば、これまで、自由診療だったり、あるいは、法律に基づかない仕組みのもとで再生医療というものが進められてきたところを、これからは、この法律に基づいてきちっとやっていくということだと思います。

 例えば、京都市のクリニックで、幹細胞の点滴を受けていた韓国人の男性の方が死亡する、こういう事例がニュースなんかで騒がれておりましたけれども、これは、もちろん重大な事故、事件だったと思いますけれども、しかしながら、現に外国、海外から、日本における再生医療を受けたい、そして実際受けて、そして助かる、こういうたくさんの方々が実際にはいるわけなんですよね。

 だから、何かそういう、悪いニュースを聞くと、こんな制度が野方図で、何にもルールがなくて、こんなことでいいのかという問題点ばかり見えてしまうんですが、実際に助かっている人たちもそれ以上に何百人も何千人もいるわけですから、自由診療であったこれまでの状態というのが、一体、あえてお伺いしたいんですが、自由診療あるいは制度のない状況で何が問題だったのか、これをお尋ねしたいと思います。

原政府参考人 まず、自由診療におきますいわゆる再生医療の状況でございますけれども、先ほど委員御指摘のように、京都のクリニックで、幹細胞治療を受けた後、死亡された方が出た。ただ、これは因果関係までは直接わかってはいないわけですけれども、そういう例があった。

 それからまた、最近の報道では、福岡県のクリニックで、もともと韓国ではこの幹細胞治療は認められておりませんので、韓国から幹細胞を持ってきて国内で投与を受ける、そういうような形での治療を受けておられる例も多数出ているというようなことは承知はしております。

 しかし、現在のところ、国内で、全体で、どのような再生医療がどのような形で、また安全性が確保されているのかどうかも含めて、行われている状況が把握できない状況でございます。これは、まさしく自由診療の部分でやっておられるからでございます。

 また、このような中で、予期せぬ事故が起こった場合には、再生医療全体の実用化への動きをとめることになりかねないということから、今般、その安全性についてしっかりと確保しつつ実用化を進めていく、そういう仕組みを構築するための法律案を出させていただいた次第でございます。

重徳委員 これもあえてお伺いしたいと思うんですが、そういう自由診療で行ってきた、因果関係は定かではありませんが、そういう死亡の事例が出てきている、これは、やはり一見して問題だなという感じはするんですけれども。

 えてして、この医療分野に限らず、社会の事象を政府がきちっと把握して、管理して、そしてコントロールするんだということになると、社会に対する負荷ばかりがかかって、本当は、それは世の中、誰が見ても安全、安心な治療を受けられる状態にするというのはとても大事なことではあるんです。

 しかし、そんなに政府がかかわらなくてもいいのに、余り管理しようとして手続ばかり、コストばかりかけて、だから、官僚支配という言い方がいいかわかりませんが、何でもコントロールしようとする、そういう国家に今なっていることも、実際、医療の分野に限らず、一般論として言ってあるわけですし、やはり役所が管理しようとすると、それは責任というものがある、責任というものを盾にとって、なかなか物事が進まない。だから、迅速かつ安全と言いながら、迅速という部分がどんどん失われていく、損なわれていくという可能性だってあります。

 まして、制度ができると、余り表では言えないことかもしれませんが、そこに利権が絡んだり政治力が絡んだり、いろいろなことが起こり得るんじゃないかな、こういうこともあえて指摘をさせていただきたいと思うんです。

 そういう意味で、今局長の御答弁では、把握しないことによって、あるいは事故が起こることによって、再生医療全体の信頼を失う、ダメージを受ける、そういうようなことがあってはならない、だからこの制度をやる、メリットがあるんだということをおっしゃいましたが、逆に、デメリットというか、枠をはめることによる弊害とか、そういうもので気にしなきゃいけないこと、こういうことで何か思っておられることがあれば御答弁願います。

原政府参考人 デメリットがあるのではないかということでありますが、確かに、現在、自由診療で行われている医療の分野につきましては、公的な部分とのかかわりは全くないわけであります。どういう患者さんにどういう治療をするかは、患者さんと医者の間で決められた形で進められている。

 それに対しまして、今回の法案が成立しますと、自由診療でやられることにしましても、まずは、その治療内容が安全か、それから効果がどうか、リスクと効果の比較をしていただく、倫理的に問題がないかということも検討していただく、そういうような、認定再生医療等委員会というものに諮っていただいた上で、届け出はしていただく。そこは少し手間がふえるところではないかと思いますけれども、その部分は、やはり全体を把握するという意味で、また安全性を確保する上でも、適切な規制ではないかというふうに考えております。

重徳委員 このぐらいの御答弁だと予期はしておりましたけれども、あえて。

 基本的にはいいことなんですよ、もちろん。そして、国全体で推進しようということは、もちろんいいことなんです。

 ただ、それに伴うコストだとか、あるいは、迅速にと言いつつ、建前は迅速、迅速と言いながら、これまでだって迅速にという考え方がなかったわけじゃないわけですから。だけれども、日本では、医薬品も医療機器もなかなか認められない、時間ばかりかかっちゃう。こういう状態がこれまでも続いてきて、法律が一本通ったら、法律が二本通ったら、ぱっと物すごい勢いで迅速化されるかというと、そこも、今回の法律では捉え切れていない、いろいろな部分があるんじゃないかなということを思うわけであります。これについては、後ほどさらに議論を深めたいと思います。

 ちょっと議論を、これは、ES細胞、iPS細胞、いわゆる今回の法律で言うところの第一種から第三種までの再生医療のジャンルが分けられているわけですが、人にまだ未実施で最も高リスクと言われます第一種、とりわけその中で、代表的な例としてES細胞、そしてiPS細胞というのが挙げられているわけなんです。

 ES細胞とiPS細胞は、もちろん専門の方は言うまでもないんですが、素人的にいっても似て非なるものでありまして、iPS細胞は、この夏にまさに臨床研究に向けて第一歩を踏み出すという状態に至っているわけですけれども、ES細胞というのは、やはりいろいろと課題が残されているというか、解決可能な課題かどうかすらわからないんですけれども、倫理的な問題がありまして、そういうあたりの、技術とか安全以前の倫理的なものも含めて、実用に向けた課題を今お考えのものを、状況を教えていただければと思います。

吉田政府参考人 ES細胞は、委員御承知のとおり、ヒトの受精胚から細胞を作成していく、そういう過程をたどりますので、その過程で受精胚が滅失するということが伴ってくるわけでございます。そこで、やはり倫理上の課題といったものが指摘をされておりまして、この点に留意しながら研究を進めていく必要がございます。

 それに対しまして、iPS細胞の場合には、これは、例えば皮膚細胞ですとか、そういった体細胞から細胞をつくっていくということが可能でございますので、先ほどのES細胞のような倫理上の問題は少ないというふうな状況でございます。

 したがいまして、今現在の研究動向からいたしますと、やはりiPS細胞といったものを活用いたしまして研究を進めているという研究者が多くなってきている、こういう状況ではございます。

 ただ、ES細胞に関しましても、やはりこの分野におきまして長年の蓄積がございまして、また、細胞自体が比較的安定をしているということで、研究に活用できるということもございますから、それについても、大学や研究機関において取り組みが続けられているという実情がございます。

 文部科学省の方では、再生医療実現拠点ネットワークというプログラムを持っておりまして、その中で、iPS細胞がその研究動向からしても今は主力ではございますけれども、その中にもES細胞の部分も入ってございまして、そのプログラム以外の、例えば文科省が持っておりますいわゆる科学研究費助成事業、いわゆる科研費、そういった資金も用いながら、研究に対する支援を行っているところでございます。

 文部科学省としては、この革新的な再生医療の実現に向けた取り組みを推進いたしまして、いち早くその成果が医療現場に届けられるよう、取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。

重徳委員 今の御答弁をお聞きしますと、ES細胞についても、iPS細胞と同じように、国としても支援をしているというふうに伺えるんです。

 しかし、局長言われたように、実際には、多くの研究者はiPS細胞の方に流れていっているという実態があるということで、ここは役所として、ES細胞にはもう目を向けないとも言えないでしょうし、先ほど言われた、細胞が安定しているんですか、そういう強い部分もあるということですから、引き続きという御答弁になるんでしょうけれども、やはり倫理上の課題というのは、私の感覚からしても、なかなかこれは難しいんじゃないかなということも思います。

 このぐらいの指摘にとどめておきますけれども、今現に、iPS細胞の方にぐっとかじを切る段階に至っていると思うんですが、そういう意味で、先ほどからこだわっている、迅速にということについて、専らiPS細胞に力を入れていくということになると思います。

 ですが、iPS細胞は、今回、臨床研究の段階にまで至っているので、iPS細胞についてというわけじゃないんですが、これまでと同様に、第一種だというふうにとられれば、これは、高度な審査能力を持った特定認定再生医療等委員会というところの非常に厳しい審査を受けて、そしてさらに、第一種であれば、厚生労働大臣に計画を出して、大臣からは変更命令などもかけられた上で、そして、ようやく提供開始という段階に至る。その二段階ぐらいにしか説明されていませんが、実際には物すごく時間もかかる、労力もかかることではないかと思います。

 二段階目の、厚生労働大臣による計画の変更命令までの期間は九十日以内に行うこととされていますが、その前段の、申請から特定認定再生医療等委員会の審査、これはやはり、物によると思いますが、相当時間がかかると思います。

 ちょっとこれは通告しておりませんが、ちなみに参考までに、今回のiPS細胞が、この夏に至るまで、審査期間としては実際どのぐらいかかったというふうに見たらよろしいんでしょうか。何年とか何カ月とか、どう見るとよろしいんでしょうか。もしわかれば、お願いします。

原政府参考人 今般のiPS細胞を用いた加齢黄斑変性に対する臨床研究につきましては、厚生労働省に平成二十五年二月、本年の二月に実施計画が出されまして、審査委員会で三月、五月、六月の三回審査をした後、七月十二日に審議会での了承を得られたということで、ざくっと言いまして約五カ月余りということになっております。

重徳委員 それは、これからの制度に照らしていえば、一番最初の医療機関からの申請、そして、特定認定再生医療等委員会の審査を経て、厚生労働大臣に計画を提出し、厚生労働大臣が認める、その期間のことですか。ではなくて、今度、九十日に相当する部分が、今回は五カ月、百五十日ぐらい、そういうことですね。わかりました。

 そういう意味では、今回、百五十日かかった部分が九十日という縛りになるということで、そこの部分は短縮できるということだと理解をいたしました。この部分は非常に評価できる部分じゃないかなというふうに思います。

 その前段は、非常に、物によっていろいろ違うと思うので、何でもいいから早く早くということまで申し上げるつもりはありませんが、それにしても、いろいろな運用の改善というものは、これまで変わらず、これまではどうでもよかったわけではないと思います、これまでも取り組んでこられたんでしょうが、そこが今回、制度改正によってだけでは、なかなか変わらない部分があると思うんです。だから、そこはぜひともしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 とりあえず、九十日ルールの意義は、今の御答弁で一定の確認ができました。

 さて、次に、いわゆる細胞を外部に、企業に加工、保存してもらえるような、外部委託できる仕組み、このことについてお尋ねしたいと思います。

 先ほど、大臣は規制緩和という言われ方をして、私も先日、新聞を見ておりましたら、このような外部委託をできることを制度化したのは欧米に先駆けて日本が最初なんだというふうに書いてありまして、おお、これはすごいな、日本、ついにトップランナーに躍り出るだけの制度ができてきたのかというふうに、一読者としても感じたわけなんです。

 しかし、これは確認なんですが、少し厚生労働省の事務方の方と話をしていたときに、これは日本が一番最先端なんだということなのかどうか、ちょっと疑問に感じる面がありまして、つまり、これは、先ほどから言っているように、制度化するというのは、逆に言うと規制をかけるということでもあるわけで、外部委託できる企業を政府が許可するわけですから、許可しなければ委託できないという意味では、規制をかけていることにもなるんですよね。

 今回の制度化は規制緩和なんでしょうか、それとも規制強化なんでしょうか。ここを改めて問いたいと思うんですが、いかがでしょうか。

原政府参考人 実態として、現在のいわゆるこういう再生医療といいますか等に使われています細胞の培養加工については、医療機関内で普通は行われていたというふうに考えております。それは、医療機関以外の施設で細胞の培養加工をしてもよいというような明確な規定がなかったからでございます。そのために、結果的に医療機関内で調製をしている。培養製品となっているものについては、培養ができる製造施設というのは一部認められておりましたけれども、現在のところ、多くのものは医療機関の中でやっている。

 これに対して、今回は、医療機関でやるためには専門的な人員や施設の確保を医療機関個々にやっていかなければいけませんので、それを外へ出すということによって医療機関の負担が減るだろう、そういう意味では、規制緩和でもありますし、迅速化にもつながるだろうというふうに思っております。

 ただ、今の御質問の視点での、規制の面について言えばどうかというと、規制を明確化して、曖昧さをなくしたというような形で考えていただけるとありがたいと思います。

重徳委員 今局長が言われたように、ルールの明確化、これは間違いない話だと思うんです。ただ、この規制を緩和したのか強化したのかというと、これはどっちなのか、ちょっとよくわからない部分があると思うんです。

 ちなみに、海外では、欧米では、これはやはり許可したところにしか医療機関は委託をできないという制度になって、というか、そういう仕組みがないがゆえに外部委託ができない、外国では外部委託できない、だけれども日本ならできるんだよ、こういうことなんでしょうか。そうであれば規制緩和ということになると思うんですが、何か、外国は自由にやっているんだよ、これを日本はわざわざ許可したところにしか出せないようにしたといったら、規制強化のようにも見えてしまうんですが、本当の意味で最先端なんでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 国によって状況は違うようですので、一概にちょっと言えませんけれども、例えば、アメリカでは、許可なしに、いわゆる公的な許可を得ないでやっている、自主的な基準で多分やっておられるんだと思いますけれども、そういうような形で調製をしておられるというふうには聞いています。

重徳委員 アメリカを一例だけ挙げられましたが、アメリカは自由にやっているんだということだとすると、何か、日本が、制度化したのは世界で初めてだ、だけれども、それは、日本はむしろ自由に今までやれなかったところをやれるようにした、そのかわりちゃんと許可をしたところ、これは安全という意味でわかりますよ、わかりますけれども、許可をした企業に外部委託できる。日本の国内では規制緩和なんだけれども、この制度化をもってアメリカよりもさらに一歩進んでいるというふうには、ちょっと、必ずしも評価できないのかなというふうに感じました。

 だから悪いという意味じゃないですよ。もちろん進歩なんですよ。だけれども、我々日本国に暮らす日本国民として、どこまで胸を張れる話なのかということがいま一つよくわからなかったので。どう見たらいいんでしょうか、アメリカと比べて。(田村国務大臣「アメリカと比べて」と呼ぶ)今のは、自由にやっているアメリカに比べてという意味です。

田村国務大臣 アメリカの実情を私も詳しく知っているわけじゃないんですけれども、少なくとも、今委員が言われたとおり、国内では、それぞれの医療機関、研究機関が、自分たちは今の状況では外に外部委託できないということで、やらなかったわけであります。

 そこに、明確に、このような形で制度をつくるということは、それだけ外部に委託できるからということでございまして、その分だけ、再生医療製品、つまり細胞培養等々の加工ですよね、こういうものをやりやすくなることだけは確かでございますので、それを、チャレンジしない日本の医療機関や研究者が悪かったんだと言われると、それは困ってしまうわけであります。

 だけれども、それはやはり、それだけ安全性というものに対して非常にセンシティブになっていた。それから、社会的な信頼性といいますか、制度がない中で下手にやって何か起こったときに、その後の再生医療というものに対する信頼性を失うことに対して、非常に医療機関や研究者が慎重になっておられたということでございますから、そこを一歩を踏み出せるような制度をつくったという意味では、再生医療を進めていく上において非常にしやすくなったという意味で、私、規制緩和と言いましたけれども、よりしやすくなるような制度をつくったと言う方が確かなのかなというふうに思います。

重徳委員 今、図らずも大臣言われたように、研究者や医療機関が、あるいは企業が、チャレンジ精神を持っていなかったということでもなくて、この日本社会全体がなかなかベンチャー精神あふれる国に今なっていないというところは、一体何が根本的な原因なんだろうかということを見たときに、やはり、よしあしは別として、日本人は何かお上意識があって、国が認めていないことを本当にやっていいんだろうか、こういう部分があるんですよね。

 だから、今回の制度化は、外部委託を制度化したことは、私、もちろん前進だと思っておりますけれども、何か歯がゆさもちょっと残ってしまうんですよね。日本はやはり制度化をして、政府が許可をしなければ、安心して研究活動、開発というものがなかなかできないんだ、そういうふうに見えてしまって。

 医療分野ですから、非常に微妙な問題はあると思います。何でも自由にやった方がいいんだ、こういうことではない、そこはわかっているんです。もうそれは最初から、安全というものは極めて重要なことだということはわかった上できょう議論しておりますので、その中で、やはり迅速さを考えたときに、こういった、政府としてのチャレンジでもありますね、こういう規制を見直していく、ルールを明確化していくということを、政府自体がどんどん迅速に今後もやっていく必要がある、このように指摘をさせていただきたいと思います。

 そして、次に、これは薬事法の方になると思いますが、同じ再生医療についても、今回の薬事法改正では、臨床研究後の治験、承認、市販に向けて、新しい制度ができます。条件、期限つき承認制度というものができますね。

 これまでのような、最終的な承認に至るまでは承認されない、全く承認されないという仕組みから、条件つき、期限つきで、これは、事務方の説明をいただいたときには、仮免許みたいなものですよというふうにお聞きしました。そう聞くと、何となく、iPS細胞もどんどん世の中に広まっていくのかなという期待感も出てくるわけですね。

 それから、いただいた資料の図だけ見ると、治験の有効性、安全性の確認が今までと比べて四分の一ぐらいの幅になっていて、これまで一年かかっていたものが三カ月で済んじゃうんだ、すごくこれは効果的な制度なんだというふうに見えるような資料をいただいたわけなんですが、あえて皮肉を言わせていただけば、仮免許というものも、自動車教習所でやった、ほとんどクリアした最後の方で、本免許のちょっと手前にようやく仮免許になるのであって、だから、ずっと手前で本当に仮免許になるのか、こういうことでございます。

 一体、今回、この図によると期間が四分の一ぐらいで済むように見えるんですが、実際、どのぐらいの期間、短縮効果があると、これは一例を挙げていただく形でも構いませんし、感覚的なことでも構わないんですが、四分の一ぐらいに圧縮されるというイメージを持っていてよろしいんでしょうか。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 先生お示しの図が四分の一だったかどうか、ちょっと私も記憶にありませんが、もともと、これは有効性と安全性と二つあって、安全性の方はきちんと従来どおり確認をするということでございます。

 有効性の方について、従来、確認をするということで非常に長い期間かかっておりましたので、これを推測という段階で、先ほど先生もおっしゃいましたように、相手の同意をきちんととって、リスク、ベネフィットを説明した上で同意をとった上で、いわば仮免許という形で使うということでございます。

 もともと、既に認可をした、承認をした再生医療製品が余りございませんが、通常、何年もかかっておったものが半分ぐらいにはなるんではないかというふうに期待をしております。

重徳委員 では、次の質問に移りたいんですけれども、今回の再生医療推進に当たりましては、医療機関と、それから研究者を含みます企業、民間部門の共同研究開発というものが大いに期待されるものであります。

 医療機関といったときに、まずは、ぱっと思い浮かぶのは、やはり大学病院かなという感じがいたします。大学病院における臨床研究や治験、こういうものが想定されると思うんですが、ここで一つ、私なりの提案をさせていただきたいと思うんです。

 例えば、地方の自治体病院がありますね。いろいろな病院がありますので、どこでもというわけじゃありませんけれども、やはり自治体病院でも、既に民間病院では扱えないような、高度なあるいは先端的な医療を扱っている病院も多いです。そういう意味で、自治体病院という場を活用して、再生医療の実用化に向けた取り組みを進めることができないものかなというふうに思います。

 大学病院は、もちろん、先ほどから話題になっている難病とか非常に高度な医療に取り組んでおられるわけですが、どちらかというと、それに比べると、自治体病院は、より日常的な患者さんと接すること、患者さんが利用されることも多いわけですから、例えば、膝が痛いんだとか目が何か見えにくくなってきたんだ、そういう高齢者の方がいる。そういう意味で、誰にでも起こり得るような身近な疾患を扱っていることも多いと思います。

 そういう意味で、再生医療で典型的な、例えば軟骨とかあるいは角膜とか、そういったものが適応する症例というのはすごく多いんじゃないか。逆に言うと、患者さんからすれば、再生医療のありがたみというものを感じやすい、そういう方が多いんじゃないかというふうに思います。

 企業も、地域にはいろいろな企業があります。だから、細胞を培養する装置を研究開発したり、あるいは移植をした後の経過観察を行う、このための装置を開発して導入するとか、そういった企業の取り組みを活用することにもなりますし、それから、さらに言えば、話を広げれば、温泉地とか観光地であればいわゆる医療ツーリズム、地域活性化にもつながってくるということであります。

 再生医療は、これからどういう展開になってくるかわかりませんけれども、やはり過度な商業主義みたいなものもちょっと懸念される面もあったりしますので、そういう意味でも、公立病院がかかわれば、一定のそういったバランス感覚も持って取り組むことができるんじゃないか。

 そういう意味で、地域丸ごと、世界最先端の再生医療を推進する、今国会に法案も提出されております国家戦略特区、こういうものもでき上がっていくんじゃないかなと思います。

 先ほど申し上げました議員立法によります再生医療推進法にも、「世界に先駆けて利用する機会が国民に提供されるように施策を進めるべき」だというふうにありまして、世界一の再生医療特区をつくるというのは法の趣旨にも合致するのではないかなと思うわけですが、こういった取り組み、仮に、どこか地方からこういったような提案があったとしたら、ぜひ前向きに取り組んでいただければ。国家戦略特区という形でも前向きに取り組んでいただけるテーマじゃないかなと思うんですが、大臣の御所感をお願いします。

田村国務大臣 自治体病院のお話がありました。

 自治体病院は、非常に多くの医療に関するニーズにお応えをいただいておるわけでありまして、例えば、地域で不足している医療ニーズに応える、また住民のニーズにしっかりと応えていく、僻地医療でありますとか高度な医療に関しましても、一定程度の役割を果たしていただいておるわけであります。

 こういう自治体病院が、今言われたような例えば再生医療等々の中心で研究をしながら、国家戦略特区の中で役割を担っていくということ自体、これはあり得る話であろうと思います。

 ただ、今、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針というもので、これに基づいて研究を行っているそういう研究機関等々、医療機関が八十四件あるんですけれども、自治体病院は残念ながらこの中では二程度ということでございまして、大学病院が中心でありますけれども、他の医療機関と比べると担っておられる役割というのはまだまだ少ないようであります。

 ただ、一方で、力を持っているそういう自治体病院もございますので、今般、この法律の中で再生医療を行うに関しての安全の基準でありますとか、そういうような整備をしておるわけでございまして、ぜひとも、法律にのっとってそのような役割を果たしていただく中において、地域の活性化のみならず、世界への貢献というものを含めて頑張っていただくような自治体病院があれば、大変ありがたいなというふうに思います。

重徳委員 御答弁ありがとうございます。

 まさに地域の活性化と世界貢献という、非常に、グローバルとローカルを合わせてグローカルという言葉がありますけれども、そういう言葉を想起するような御答弁をありがとうございました。

 さて、次に、薬事法の改正につきまして、デバイスラグと言われる、医療機器が使えるようになるまで、実用化までの期間が日本は海外と比べてむちゃくちゃ長い、二年ぐらい余計にかかるという数字も出ているわけなんですが、先ほどから一貫して言っております、安全性はもちろん当然の前提とした上での迅速化、今回の制度改正によりまして、迅速化がどのぐらい図られるのかということについてお伺いしたいと思います。

 例えば、医療機器の製造業につきましての、これまでは許可、認定と言われる仕組みが、今度、これからは登録に変わるという制度改正がこの法案の中に盛り込まれております。それから、QMSと言われる製造・品質管理の調査、これが、これまでは個別の製品ごとに行われていたのが、これからは製品群単位、どのぐらいの大くくりかわかりませんが製品群単位で行われるというような、そういう一見して何となく効率的になるような気がすると思えるような内容なんです。

 逆に、今までは、許可、認定で物すごく時間がかかっていたということでしょうから、そこに今までどのぐらい、何日ぐらいかかっていたのが、登録にすることでどのぐらい短縮できるのかとか、個別製品じゃなくて製品群単位にすることで、どのぐらい手間が省けて、どのぐらい日にちが圧縮されるのか、こういうあたりについて、少し具体的な御説明をいただければと思うんですが、いかがでしょうか。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 今、先生御紹介をされましたいろいろな改正、改善を行おうというのが今回の御提案でございます。

 そのほかにも、もともとPMDAは、例えば医療機器の審査の人員もこの十年で五倍にふえるということでありますが、さらに、先ほど来出ていますように、今後の五年間で全体で一千人へふやしていくという中で、また拡充を考えております。それから、今御紹介がありましたように、第三者機関での認証、これは、裏返しますと、PMDAの審査で新医療機器の重点審査ができる。

 それぞれの要素でどれぐらい縮まるんだという御質問でありますが、なかなか、そういう考え方といいますか、そういう要素で捉えて因数分解しておりませんが、そもそもデバイスラグ・ゼロを目指して、従来よりPMDAの目標としてやっておりますので、引き続き、その目標に向けて努力をしてまいりたいと考えております。

重徳委員 結局、私が言いたいのは、それは許可よりは登録の方が早かろうという感じはするんですが、本当にそこで困っていたのかなというところなんですよね、恐らくそうなんだとは思いますが。しかも、許可、認定まではそもそも必要ないことだったんじゃないか。もちろん、どこかで改正するわけなので、今回がそのきっかけなんでしょうけれども、許可を登録に変えるとか、個別製品を製品群単位に変えるとか、もともとそれでよかったんじゃないのというような疑問は恐らく呈されていたんじゃないかと思います。

 依然として、やはり審査というものは結局は人が行うわけですから、そうすると、審査官というんですか、審査する方が一定の裁量権を持って判断するわけですので、そうすると、その審査官が、物すごく、リスクゼロになるまで、安全も完璧になるまで絶対認めないというような方であるか、いや、これである程度の合理性があるというふうに、リーズナブルに通すことのできる、いわば力のある方かどうかということによっても非常に大きな違いが出てくると思います。

 ですから、今の御答弁の中で、PMDAの人員を、これまで十年間で五倍ですか。でも、まだ数十人。済みません、何人が何人になったか、その辺もちょっと教えていただきたいんですが。もちろん、マンパワーは大事ですので、一人一人の能力もさることながら、ちょっとお願いします。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 一の位までの数字が今確認をできませんが、恐らく、二十二人が百四人であったかと思います。おおむね五倍でございます。

重徳委員 ですから、そもそもマンパワーが足りなさ過ぎたというのはあるわけですよね。それは、当然ふやさなきゃいけないということで、百人で足りるのかどうかもわかりませんが、二十二人よりは百人の方がいいでしょう。それから、もっと、何百人になった方がもちろんいいでしょうということなんですが、これは、頭数だけ多ければいいのかというとそういう問題でもないわけでして、先ほど申し上げましたような、審査する人の質というんですか、姿勢というんでしょうか、こういうことも改善していく必要があると思っております。

 それから、もう一つ、今回の改正の比較的重要なところじゃないかなと思うんですが、医療機器をリスク別に分けて、クラス1から4まで分けて、それで、これまでは、クラス4が一番リスクが高いということなんですが、クラス4とクラス3はPMDAを経て大臣が承認をする、そして、クラス2は第三者の民間の機関が認証する。このクラス2の第三者認証を、今回の改正でクラス3、よりリスクが高い方まで広げるということなんです。

 PMDAの方は、まだまだ不十分ながらも、体制は充実しているということなんですが、一方で、第三者認証がやることがふえる。第三者認証の方は、民間のこの機関というものは、今、十三機関あるということですが、この機関の数とか人員というものはどうなんでしょうか。何か、少ないままなのにやることばかりふえたら、逆に遅くなってしまうとか、そういうことはないんでしょうか。

今別府政府参考人 お答えします。

 十三機関、これは、かなり規模もまちまちで、現在取り扱っている数もまちまちでございますので、直ちにこれが満杯になって立ち行かなくなるということではございませんが、引き続き、むしろ、職員の質の向上、それから認証機関の方々の質の向上に、研修等を通じて引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えております。

重徳委員 当然、そういう御答弁になるわけですが、でも、人の育成とかそういうことも、これまでだって課題だったわけですから、今回の制度改正をもって初めて人材育成をするわけではないでしょうから。

 そういう意味では、今の御答弁では、本当にこの十三機関で、規模がまちまちというのがどういう意味なのかよくわかりませんが、だから大丈夫なのか、だからどうなのかわかりませんが、そこはやはりしっかりと充実させていくという方向にあるんでしょうか。それとも、民間のことだから民間の判断だということになるのか。どうなんでしょうか。もう少しお答えいただきたいと思います。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 十三機関、さっき規模がまちまちと言いましたのは、取り扱っている件数が、まだできたばかりのところもありますのでまちまちであって、まだ余裕はあるだろうという趣旨で申し上げました。

 それで、今後とも、もちろん、どんどん新しいものについて基準をつくって認証の対象に移してまいりますので、それに応じて、また必要な数がふえてくるんだろうというふうには考えております。

重徳委員 余裕があるだろうということなら、最初からそういうふうに御答弁いただければと思います。まちまちでは全然わかりません。ちゃんと御答弁いただきたいと思います。真剣にお聞きしているんですから、よろしくお願いします。

 それから、では、話題を移しますが、PMDAについては、以前から大阪府がPMDA―WEST構想というものを提案されていました。関西イノベーション国際戦略総合特区の一環として提案をされていたところ、先月、十月一日にPMDA関西支部というものが開設をされました。政府の皆様方の御理解に感謝を申し上げます。

 もう既に薬事戦略相談というものが始まっておりまして、来年の四月からは、GMP実地調査という、医薬品の原料の受け入れから最終製品の出荷に至る製造管理、品質管理、これを実地で調査する、こういうようなことも行われていくということです。

 ですが、資料を拝見しますと、来年四月になってまだ十三人ということで、まだまだ、人員が十分かというと、どうなんだろうかという感じもいたしますし、これにつきましては、せっかく関西、西日本のイノベーションの拠点が開設されたわけですから、その役割を果たせるように、このあたりのバックアップもお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

赤石大臣政務官 重徳委員にお答えしたいと思います。

 私も医療関係で四十年間仕事をしてまいりまして、大阪は医薬品のまさに発祥の地でありまして、江戸の時代から今の大手の医薬品が存在し、そして、北陸もその発祥の地であったわけでありまして、私が業界にいたときから、何で大阪にこのPMDAの機関がないんだろうというのをずっと疑問に思っていました。

 やっと、この十月からPMDA―WESTということでスタートをしました。ただ、今おっしゃいましたように、まだ、十三名というスタッフで、あとは神戸に出向いて相談をするというレベルでございますけれども、これから、この事業をゆっくりある程度の期間見た上で、どのように機能強化をするかということを判断していきたいというふうに思っています。

 ただ、審査に関しましては、やはり能力の分散も含めて、集中する必要がありますので、相談窓口については強化しますけれども、審査という面ではもっと集約化するということも考えていかなきゃいけないなと。

 いずれにしても、しばらくこのWESTで様子を見させていただいて検討していきたい、このように思っております。

重徳委員 ありがとうございます。さらなる充実、ニーズにマッチした体制の整備をよろしくお願いいたします。

 それでは、最後に、日本版NIHというものがこれから整備されていくという方向だと伺っております。アメリカの国立衛生研究所の日本版だということでございます。

 医療分野の研究開発予算、これまでは厚労省だけじゃなくて、文科省、経産省、それぞれそれなりにあったわけですが、これを一元化しますと大体二千億円ぐらいの規模になるということで、若干、かき集めただけのふうにしか今のところ見えないんですけれども、少なくとも、きょうの審議にかかっております薬事法改正だとかによりまして、あるいは再生医療の新法案によりまして、例えば、日本で使われているペースメーカーはほとんど外国製、一〇〇%外国製だというような状況をやはりどんどんひっくり返して、日本で、よりよい、品質の高い医療機器を開発する、再生医療を提供できる。

 こういう意味でも、本当に戦略的に、どうしても縦割りなんですよね、日本の役所は。だから、もともとどこの役所の持ち分の予算なんだとか、そういうところにどうしてもこだわりが出てきてしまいます。本当の意味で、日本版NIHというものが司令塔としての機能を本当に果たしてもらいたいと思いますが、ともすると屋上屋だとか調整ばかり大変だとか、こういうことはもう、私自身も本当にそんな経験ばかりしてきました。

 最初から一貫して申し上げておりますように、迅速かつ安全な医療提供体制が求められているわけで、一日でも早く、たくさんの人が助かるような日本の医療環境をつくっていただきたい。こういう意味から、本日のこの質疑のやりとりを大臣に総括していただいて、その意気込み、抱負を語っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

田村国務大臣 日本再興戦略でありますとか健康・医療戦略に基づいて、日本版NIHをつくろう。これはまさに、日本でシーズはあるんだけれどもなかなか製品にならなかった、海外でというような悔しい思いの薬が幾つかございます。

 そういうことを考えて、今言われた基礎研究、文科省の範囲から経産省の範囲まで、その間に我が厚生労働省が臨床研究を含め、そういう研究を担当しておるわけでありますけれども、そのためには、推進本部というものをつくった上で、総合戦略をしっかり組む。重点分野は何なんだとか目標はどうなんだとか、そういうものを組む。

 それから、それだけじゃなくて、進捗の管理もしなきゃいけませんし、事後評価もしなきゃなりません。そのための独立行政法人もつくる。

 そういう形の中において、予算を一元化して、アメリカの、本場のNIHの予算は、十分の一にも至りませんけれども、中身も若干違いますからそれが全てだとは言いませんが、とにかくこの分野を強化していく。

 その中において、厚生労働省は、より治療、診断、こういうところに近い研究を担うわけでありますから、その分しっかりと意識を持って担当させていただいて、決して縦割りじゃない、一本びゅっと筋の通った、そのような日本版NIHというものをつくり上げてまいりたい、このように思っております。

重徳委員 質問を終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時二十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時三十八分開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。新原秀人君。

新原委員 皆さん、本会議、お疲れさまでした。

 日本維新の会の新原秀人でございます。

 私からは、薬事法等の一部を改正する法律案、再生医療等の安全性の確保等に関する法律案について質問させていただきます。

 今回の薬事法改正については、三つの意味で極めて大きな意味があると私は考えております。

 まず一つ目に、薬事法という医療、製薬業界では古くから浸透している法律の名称、これすら変わるような、名称が変わるという大きな改正が行われようとしているところです。

 今回の改正は、以下の三つの柱で説明されております。まず一つ目が、医薬品、医療機器等にかかわる安全対策の強化。二つ目が、医療機器の特性を踏まえた規制の構築。三つ目が、再生医療等製品の特性を踏まえた規制の構築でございます。

 このうち、私から、二番目の医療機器と三番目の再生医療等製品に重点を置いて質問をさせていただきたいと思います。

 次に、二つ目の大きな意味というのが、今回、明確に分類されている医療機器と新しい技術である再生医療というものについて、法規制が整備されるということでございます。

 医療機器については、日本が世界と戦える分野の一つであり、国際競争力向上に大きく寄与することが期待されております。再生医療についても、昨年、京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞の開発でノーベル医学・生理学賞を受賞したことからわかるように、日本が世界の最先端を走っている分野でございます。日本が持つ世界一の分野をしっかりと支援し、研究開発や実用化を促進していくことが我々政治家の使命であると考えております。

 最後に、三つ目に、この再生医療について、四月に可決、成立した議員立法がもとになっているということです。まさに政治主導で実現されつつある分野であり、新しいことを取り扱っているがゆえに、誰もが手探り状態で前に進みつつあります。だからこそ、ここはしっかりと政治がリーダーシップを示し、企業や研究者、役所や大学と協力し、前に進めていきたいと考えております。

 そういった意味で、今回の法改正に対しておおむね賛成であり、ぜひ早急に成立させなければならないと考えております。

 今回の質問では、さらに深めてほしい論点を幾つか指摘させていただきますが、基本的には応援していきたいという姿勢ですので、よろしくお願いしたいと思います。

 まずは、デバイスラグ短縮ということで、先ほども我が党からも御質問させていただきましたけれども、その中で、平成二十五年度までにゼロにするという目標がありました。果たしてこれは達成できそうかどうかについて、お伺いしたいと思います。

 そもそも、未承認薬、適応外薬等の問題については、新しい医薬品や新しい医療機器が、世界で初めて市場に出回ってから日本で市場に出回るまでの時間差を、ドラッグラグ、そしてデバイスラグという言葉で表現しております。具体的には、アメリカと比較した場合、医薬品については、平成十六年度では三十カ月、医療機器については、平成十七年度で十九カ月の時間差がありました。そして、二十五年度までにゼロとする目標を立てておられます。

 この問題を解決するために、経済成長に貢献するイノベーションの創造に向け、医薬、工学、情報技術などの分野ごとの長期戦略指針であるイノベーション25を取りまとめ、医療や介護における政策の重点を予防へと移し、健康寿命を延ばす新健康フロンティア戦略を推進する方針を示されたのは、第一次安倍晋三内閣でした。

 そして、第一次安倍晋三内閣で、革新的医薬品・医療機器創出のための五カ年戦略が取りまとめられ、ドラッグラグについては平成二十三年度に、デバイスラグについては平成二十五年度に、アメリカとの比較でゼロカ月にするという目標を掲げ、医薬品及び医療機器の審査の迅速化、質の向上等に向けた取り組みを進められました。

 資料一をごらんください。

 確かに、ドラッグラグについては、目標を掲げてから明らかに短縮している様子を見てとることができます。特に、審査ラグについては、大幅な短縮が確認されております。しかし、デバイスラグについては、さほど目立った改善が見られていないような感じを受けます。

 今回の薬事法改正の一つの目的に、デバイスラグの短縮というものがあると認識しておりますが、このままでは、平成二十五年度末まで、あと半年でゼロと掲げた短縮目標を達成できるとは思えません。なぜ改善できなかったのか、その原因について御教示いただけましたらと思います。

 また、今後、このデバイスラグをさらに短縮させるため、具体的にどのような施策を講じることを考えておられるのか、御答弁いただきたいと思います。

田村国務大臣 デバイスラグの御質問をいただきました。

 今おっしゃられましたとおり、二十五年度に向けてデバイスラグをなくしていくという話であったわけでありますが、結果、内容を見ておりますと、審査ラグはもう二カ月となっておりますので、かなり審査に関しましては、人員をふやして、体制を整備して進んできておるわけであります。

 問題は開発ラグの方でございまして、実は、ドラッグラグも、やはりこの開発ラグがずっと問題であったわけであります。つまり、薬事申請を出していただかないことには、これは実際問題、承認されないわけでありますよね。出すまでの間、開発期間でやはり時間がかかる。これは、逆に、実は延びてきておるわけであります。

 延びてきている理由は何なんだと考えますと、実は、これは医療ニーズの高い医療機器というものをとにかく取り込んでいかなきゃならないということでありまして、早期導入に関する検討会というものを設置いたしまして、新たにそういう新しいものをとにかく取り込んでいこうとする部分、言うなれば対象品目がふえてまいりまして、結果的に見た目が、開発ラグが延びておるということにつながってきておるわけでございます。

 しかし、そうはいっても、開発ラグがあることは確かでございますので、その点に関しましては、やはり、一つは、開発ラグ短縮のための企業への開発要請、これをやっていくことが大変重要であります。

 あわせて、審査ラグも含めて解消しなきゃなりませんから、今般の法律改正、出させていただきましたとおり、認証基準を定めておるものに関しましては、第三者機関等々で認証というような形でスムーズにこれを進めていくことによって、余裕ができたPMDAの人員で、新しいものに対してしっかりと審査を進める中において、デバイスラグを解消してまいるというような方向で進めてまいりたいというふうに考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 その関連について、次の質問でまた改めてさせていただきたいと思います。

 次に、医療機器の分類と規制について質問させていただきたいと思います。

 資料二をごらんいただきましたらと思います。

 上の図では、医療機器をリスクの高低によって分類しております。一番左のクラス1が、上の図では最もリスクが低いと考えられるもの、そして一番右のクラス4が、最もリスクが高いと考えられるものです。

 クラス1は、一般医療機器に分類され、届け出だけで大丈夫となっております。クラス2は、管理医療機器に分類され、現在十三機関ある第三者認証機関によって認証されることとなっております。クラス3とクラス4は、高度管理医療機器に分類され、PMDAで審査された上で厚生労働大臣の承認が必要とされております。

 つまり、今回の法改正で大きく変わるのは、クラス3に分類される医療機器の一部について、PMDAが審査するだけでなく、物によっては第三者機関が審査することができるようにするという点でございます。

 しかし、その際の基準といいますか、選ぶ基準というのは何でしょうか。例えば、歯科のインプラントなどは第三者認証へ切りかえるものの一例として認識しておりますが、それは既に多くの方が使用しており、リスクが低いとみなせられるから第三者認証に切りかえられるという意味であって、いわばクラス3からクラス2へ分類が変わったということなのではないでしょうか。人体へのリスク以外に、第三者機関認証にするのか、PMDAでの審査にするのかを決める基準はあるのでしょうか。よろしくお願いします。

今別府政府参考人 地元神戸の新原先生から応援の立場で御質問ということで、ありがとうございます。

 今の、クラス3からクラス2に分類を変えただけではないのかというお話でありますけれども、リスク評価を変えるわけではございません。これはいわば審査のアウトソーシングでありまして、きちんと第三者機関で認証できるだけの認証の基準、これをつくる必要がありますが、内外の基準が既に存在しておりますというようなことで、技術的評価の作成が比較的可能なもの、こういうものから第三者機関の認証に移してまいりたいと考えております。

 御指摘のインプラントにつきましては、既に内外の基準が存在しておりますので、対象になりやすいのではないかと考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 神戸は、医療産業都市構想ということを掲げ、もう二十年、三十年ぐらいやられていると思います。私も市会議員、県会議員をしておりましたので、できる限り今回のことについては、神戸のために頑張っていきたいとは思っております。

 そういった意味で、次に、医療機器メーカーの参入規制緩和について質問させていただきます。

 よりよい医療機器が世の中に出回るためには、医療機器を通じて経済成長を実現するためには、多くの民間企業に医療機器業界へ参入してもらうことが大事と考えております。そのための規制緩和の一環として、今回の法改正により、医療機器の製造業について、許可制、認定制から登録制に改めることになっておりますが、新規参入事業者に対する支援策はあるのでしょうか。

 もちろん、これは厚生労働省だけでできることではありません。ベンチャー支援、事業化支援であれば経済産業省、研究開発支援であれば文部科学省の協力が必要不可欠であり、政府として縦割りにとらわれない施策を講じることが極めて重要だと思います。これは午前中の自民党さんの質問でもあったと思います。

 つまり、医療機関及び再生医療産業の競争力を高めるために、研究開発、産業育成、規制緩和の具体的施策について、厚生労働省としてどのようなことを考えておられるのか、お答えください。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 各省と連携して進めていくことは当然でございますが、私どもの立場といたしましても、例えば、今御紹介いただきました許可制、認定制から登録制に改めること以外に、新規参入の支援策として、PMDAにおきまして薬事戦略相談を実施しております。

 それから、中小企業対策といたしましては、手数料の減免措置をいたしております。これは、承認申請、相談に対しては五割引きでやっておりますし、あるいは、一定のベンチャー企業に対しましては、相談手数料を九割引きというようなことで支援をしております。

 それから、企業で薬事申請の資料等の作成を担う人材を養成するための研修プログラムの実施などというようなこともやっておりまして、引き続き、このような取り組みを通じまして、新規参入を支援してまいりたいと考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 三省が手を取り合って、今回の日本の誇れる再生医療、そしてこの医療機器、医薬品の開発に頑張って、世界に負けない国にしてまいりたいと思っております。

 そういった中、次に、QMS調査の合理化について質問をさせていただきます。

 資料三をごらんください。

 QMSとはクオリティー・マネジメント・システムの略であり、企業がシステムを確立し、製造にかかわる組織全体で品質を保証することと定義されております。

 今、QMS調査は品目ごとに調査されておりますが、今回の法改正後には製品群ごとに実施するとされております。しかし、この図におきますと、厚生労働省さんに提示していただいた説明資料なのですが、少し、ちょっとわかりにくいというか、粗いという感じを受けるんです。

 御認識のとおり、医療機器というものは、材質が少し異なっただけでも効果が大きく変化することもあり得るのであり、例えば人工心肺機器というくくりで、一つの製品が基準に適合しているからといって、そのほかの調査を全て免除するというのは、安全面も含めると少し粗いというような気が、私は受けているのです。

 このあたりの調査の単位について、より詳しく教えていただけましたらと思います。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 医療機器は、同じ製造プロセスで製造される類似品が多うございまして、製造管理、品質管理の方法が重複する部分も多うございます。このために、同じ製品群に属する医療機器であれば、同程度の基準が求められるという考え方に基づきまして、今回、品目単位にかえて製品群ごとのQMS調査を行うことにしております。

 例えば、ヨーロッパにおきましても同様の調査が行われておりまして、国際的にも整合性がとれたものとなっており、医療機器の品質、安全確保対策が後退することはないというふうに考えております。

 今般の改正によりまして、適切な製造・品質管理が可能となりますように、今後とも、具体的な製品群の設定を進めるなど、努力してまいりたいと考えております。

新原委員 こういったことはTPP導入のときにも必要だと思いますけれども、今、ヨーロッパ、欧州ではと言われましたけれども、アメリカ等の関係はどのようになっているんですか、TPP関連国等。

今別府政府参考人 アメリカにおきまして、詳細を必ずしも把握しておりませんけれども、マネジメントシステムは共通をしておるというふうに考えております。

新原委員 そういった意味では、TPP導入に向けて、やはり、海外のシステムにできるだけ負けないという、迅速さなり安全性を負けないような形で構築していることが非常に大切だと思いますので、その点を御留意いただいて考えていただきたいと思います。

 それでは、次は、再生医療の方に移らせていただきます。

 まず、再生医療等製品の定義についてお聞かせいただきたいと思うんです。

 改正案では、再生医療等製品とは、人の細胞に培養等の加工を施したものであって、身体の構造、機能の再建、修復、形成や、疾病の治療、予防を目的として使用するもの、または遺伝子治療を目的として人の細胞に導入して使用するもののうち、政令で定めるものとなっています。

 恐らく、再生医療というものは新しい技術であり、今後どのような変化をするかが予想困難な中での定義だと考えております。再生医療は、これまで工業製品である医薬品、医療機器等のようなものとは異なる特性を持っていると思いますので、このように分類すること自体は妥当だと考えておりますけれども、定義が曖昧なまま規制や承認のプロセスを考えるのは難しいと感じます。

 この法律上の定義について、今後どのような方針で政令で定めていくつもりなのか、現在わかる範囲でお答えいただけましたらと思います。

赤石大臣政務官 新原委員にお答えしたいと思います。

 私も、幹細胞の培養は、実は二十年ぐらい前にスタートをして、やっていました。その当時は、やはり、細胞を医療機関から移動させるということはかなり難しいことで、法律上はできないということで諦めた経緯があります。今、やっとこれで法律になって、民間企業もこの幹細胞の培養ができるようになるということで、私としては非常に喜んでいるわけです。

 再生医療製品、法律上の定義では、今先生がおっしゃられましたように、人の細胞に培養等の加工を施したものであって、身体の構造、機能の再建、修復、形成、または疾病の治療、予防を目的として使用するもの等としている。この等は、今先生がおっしゃいましたように、遺伝子治療を目的として人の細胞に導入するもの、いわゆる遺伝子治療用製品を含むということになっています。

 今、具体的に検討していますのは、ヒトの体細胞の加工製品、そして、ヒトの体性幹細胞加工製品、ヒト胚性幹細胞加工製品、それからヒトの人工多能性細胞加工製品等でありまして、まだまだこれらについては、全部で相当数研究されておりますので、もう少し精査をして、法律上、省令でどこに書き込むかということについては、今後検討させていただきたいと思っています。

 以上です。

新原委員 ありがとうございます。

 本当に、いわゆる院内といいますか、細胞が出せなかったところが出せるということは、非常に画期的な法改正だということはわかっているんです。そういった意味で、いわゆる工場といいますか、製造過程が曖昧とは言いませんけれども、やはり医療業界との、いわゆる個人情報なり、それから、言ってみたら間違えてはならないという、そういう緻密な管理が非常に必要だと思うんですよね。

 だから、今までは、医院からといいますか、扱っている者から出さない。つまり、そんなに多くをつくっていくことを目的とされていないことですからね。だから出せないということだったのに、それを出すということになると、そういった管理が非常に大切と思いますが、取り決めなり、そういったこともやはり必要だと思いますので、その点はどのように考えられるんですか。

赤石大臣政務官 お答えいたします。

 先生おっしゃられますように、再生医療等の製品というのは、ヒトの由来の生きた細胞等を加工して製造するということがありますので、品質が安定して担保されるかどうかというのが一番の問題である、こういう特性がありますので、これまでの承認審査の方法では、有効性の確認には時間を要するケースが今まで想定されております。

 このため、再生医療等製品の有効性の評価に当たっては、ある治療効果について、統計的な比較により有意な差を確認するのではなくて、臨床的なデータの中に有効性が見出されることなどにより、有効性を推定することにしております。

 そういうことで、最初に治験をやっていただいて、それは薬事・食品衛生審議会等でしっかり判断をしてもらって、それから本当の意味での有効性を確認して、最終的な認証をするというふうな仕組みで考えていこうということになっております。

 以上です。

新原委員 いや、そうではないでしょう。

 それはいわゆる有効性といいますか、効果の安全性なりなんですけれども、そうじゃなくて、今まで医院の中で管理して、言ってみたら、患者さんに対して、少ない中で管理しながら、一生懸命、いわゆる培養するなりしていたわけですよね。その管理は、もちろん、医院の中で少なくなれば、医療機関というのはそういうことを非常に、個人情報なりされておりますけれども、間違いがないとか。それを製造業者に一遍送ってしまうわけなので。

 だから、それを大量生産的なことで考えて、間違いが起こったりとか、つまり、政令なり、そういったことも考えていただかないと、そういった意味の、いわゆる製造過程での安全性ということをどのように担保されるんですかという意味での安全性です。済みません、申しわけない。

赤石大臣政務官 失礼いたしました。私の経験がちょっと足らなかったものですから。

 一応、今、そういう意味での基準をしっかりと作成するように、今までも血液製剤等はそういうことでやってきているわけですけれども、特に、臍帯血の培養とかそういうことでもやってきているわけですけれども、そういう安全性をいかに担保するかということも、しっかりとこれから政省令で定めていくということになっております。

新原委員 よろしくお願いしたいと思います。

 本当に、患者さんのオペをしていても間違えたりとか、薬を間違えたりということはありますので。そういった意味で、再生医療等製品については患者さんオリジナルの製品をしているので、間違えた方に入れると大変なことになりますので。そういったことを、やはり二重、三重の間違えないシステムというものを構築していくことが大切かなと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、再生医療の承認制度について質問させていただきたいと思います。

 資料五になります。

 先ほども質問を我が党からもさせていただいたんですけれども、上のプロセスが従来、下のプロセスが今回の法改正により新しいプロセスとなります。

 従来は、臨床研究の後、治験によって有効性、安全性の確認がなされた後、承認がおりております。新しくできる再生医療等製品の承認制度では、二段階で有効性と安全性が検証されることとなっております。まず、治験によって、限定された治験数と短い期間で有効性を推定される、治験といいますか臨床研究数ですね、短い期間で推定されると考えております。

 しかし、再生医療等製品については、患者オリジナルでつくられていることが多いために、iPSはまた違いますけれども、品質がいわゆる薬と違って不均一で、それぞれについて症例がまちまち。だから、つまり、少ない症例の中で、しかも、いわゆる治験の期間が短くなるということで、有効性の予測はある程度困難であると考えております。

 その中で、有効性をどのように推定して安全性を担保するのか。そういう意味での、後ほどの、期限、条件等を付与して、いわゆる見直し規定があるのだと思います。

 そういった意味で、承認するのが非常に難しいといいますか、なかなか慎重にしなければならないと思うんですけれども、その辺の判断はどうされるんですか。有効性ですね。つまり、有効性及び安全性といいますか、いわゆる承認の基準なり、その辺が、症例は少ないし、しかも症例がそれぞれによって違うということで、非常に、普通の薬とはまた違うと思いますので。

田村国務大臣 今も委員がおっしゃられましたとおり、再生医療製品というものは、品質自体が不均一なものが多い。それは、薬とは違う特質、特性を持っているわけであります。

 でありますから、その有効性というものをある程度評価できるようになるまでには、時間がかかり過ぎるわけであります。そこで、先ほど来委員がおっしゃっているとおり、一定の有効性が推定できる場合、この場合には、承認といいますか、午前中の議論の中で仮免許なんという話もございましたけれども、とりあえず使えるように承認しようと。

 ただし、一方で、安全性は、これはしっかり確保をしなきゃなりませんから、安全性は見なきゃならない。ただ、その中において、安全性に関しても、それならば全ての安全性がわかるかというと、それは薬でもそうでありますけれども、例えば局所的なアレルギー、短期的な評価でわかるものに関しては、評価をして安全性を確保できますけれども、長期的な評価でなければわからない、例えば発がん性、こういうものは、薬においてもその側面においては、長期的なリスクというものは、その後のいろいろな副反応等々の報告等も含めていろいろなものを見ていくわけであります。

 でありますから、この場合、有効性が推定でき、短期的な安全性というものが確認できれば、その部分で一応承認はしますけれども、しかし、その後、有効性は評価をしていかなきゃならないわけでありますし、あわせて安全性というものもしっかりと事後評価をしていかなきゃならない。

 そのときに重要なことは、やはり、非常に品質が不均一なものでありますから、そのようなことも含めてよく患者に説明をすること、それから、同意を得ておくことというのが大変重要でございますから、丁寧な接し方をする中において、その後の事後の評価というものもしっかりやっていくというようなふうに考えております。

新原委員 御丁寧な御答弁、ありがとうございます。

 そうなんですよね。推定で安全性なり効果がされるということは、もちろん、患者さんは治してもらいたい。つまり、重たい病気なり、それでないと治らないという病気なので、患者さんは治してもらいたいですけれども、いや、治らなかったじゃないか、病気が重くなったじゃないかという話になったときに、やはり患者さんに説明してもらって、大きな手術をするのと同じで、いわゆるインフォームド・コンセントといいますか、患者さんのサインといいますか、そういったことをとって、説明責任をする。

 今後そういったことを進めていかなければ、推定と言われたときに、どうやねんということが、つまり、認証機関に対して厚労省の責任が起きてくるという可能性もありますので、そういった意味での患者さんに対する責任は丁寧にしていただいて、そういった部分の法整備もちゃんとしていただきたいと思います。

 その中で、推定で行われているということなので、もしも何か事故がある可能性なり、ないとは言えないですよね。つまり、余り効かなかったりとか、別の副作用が出たりという可能性がないとは限らないので、それに対する保険制度とか、もしものときの事故のための保険制度等をつくっておけば、非常に患者さんも受け入れやすいですし、それからドクターの方も使いやすいのかなと思うんですね。

 だから、その辺は何か考えられているんですか。

今別府政府参考人 これは、現行の医薬品副作用被害救済制度の対象にするということで考えております。

新原委員 ということは、医薬品の中に入って、つまり、再生医療の材料もそういうふうに入るということですね。わかりました。ありがとうございます。

 次に、それでは、再生医療の提供を開始するための手続について質問させていただきます。

 資料の六ですね。

 ここでは、再生医療とは、三種類に分類されております。人に対して未実施でリスクの高い医療を第一種再生医療、現在実施中などリスクが中程度のものを第二種再生医療、そして、体細胞を加工するようなリスクが低いものを第三種再生医療と定義して、それぞれの審査のプロセスが異なっております。

 まず、リスクの低い第三種再生医療については、認定再生医療等委員会が審査し、提供がなされることとなっております。この認定再生医療等委員会というものは、各医療機関がメンバーを集めるという認識でよいのでしょうか。

 また、第一種、第二種については、特定認定再生医療等委員会が審査することとされております。特定認定再生医療等委員会とは、認定再生医療等委員会のうち、特に高度な審査能力、第三者性を有するものと定義されております。誰がどういった基準で判断し、そういった委員会をつくられるのでしょうか。よろしくお願いします。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、再生医療等委員会につきましては、法律上、その設置主体は、「病院若しくは診療所の開設者又は医学医術に関する学術団体その他の厚生労働省令で定める団体」に限定をしております。こういう中で、お示しの資料にもございますように、法律の専門家や、あるいは外部の方を入れるという形の中で、一定の基準を満たしたものについて、厚生労働大臣の認定を受けていただくということになります。

 特定認定再生医療等委員会につきましては、今の再生医療等委員会の中でさらに第三者性を高めるという意味で、例えば外部の委員は複数入れていただくとか、それから、専門性を高めるという意味では、第一種再生医療や第二種再生医療等についての学識を持っている方をメンバーに入れていただくとか、そういうような要件をまた改めて定めることとして、その中で厚生労働大臣が認定をしていくという形を考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 そういった意味で、始めるときにはそういった手続をしていただきたいと思います。

 次に、再生医療等について、金額が、治療費がどうなるか、いわゆる値段が高くなったり低くなったりするか、わからない。つまり、受けたくても受けられるか、金額が高かったら受けられないということもありますし、非常に問題が多いのは、混合診療という定義のもとでできるのかどうかということですね。

 例えば新薬などでは、保険適用されていない新薬を使えば、入院費なり、いわゆる再診費用とかいうのはおりないわけですね。全部自費になってしまうんですね。

 そういった中で、この再生医療が、つまり保険と切り離してするということになれば、非常に、その治療費自体がぐんとはね上がるということは、そういった治療の拡大にもつながらないという懸念があるんですよね。

 だから、高度療養といいますか、そういった保険制度もあるんですけれども、再生医療についても、特に有効で、しかも信頼性があるものについては、将来的に保険診療に進めていくべきだと思いますし、保険診療に含まれる前に、併用療養といいますか、併用ということも認めていかなければ、こういった金額が、いわゆる培養して特に慎重にやらなければならない製品、大量生産ができないから金額が高くなる、いわゆる再生に使われるその製品自体が高くなる可能性が大きいわけですよね。

 薬は、開発にはお金がかかりますけれども、つくるのには大量生産できます。つまり、この再生医療の材料については、大量生産できないので高くなる。

 だから、そういった意味で、今後、厚生労働省としては、保険承認もしていくお考えなのか、併用療養についても、そういった意味でもお考えなのかの御意見をお聞かせ願いたいと思います。

土屋副大臣 お答えします。

 我が国の医療保険制度においては、治験等により安全性、有効性等が確認された医療については、中央社会保険医療協議会で審議を行った上で保険適用しております。改正薬事法に基づく再生医療等製品についても、同様の取り扱いとなると考えております。

 また、まだ保険診療の対象ではないが、将来的な保険適用のための評価を行う医療技術については、一定の条件のもと、保険診療との併用を認める保険外併用療養費の仕組みがあります。改正薬事法に基づく再生医療等製品が、将来的な保険適用のための評価を行う場合についても、こうした仕組みを活用することになると考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 非常にそれは重要なことでありまして、この再生医療というものを進めていくために、患者さんにできるだけ使っていただくためには、そういったことを前向きに考えていくべきです。僕は歯科医師会ですけれども、医師会という方々は、いわゆる混合診療の拡大といいますか、非常にそういったことが広がっていくこと自体を心配されるといいますか、反対されている方も多いので。

 その辺は、医師会、特に神戸の医師会とかは、もう思い切り、先端医療センターなり、つまり、医療産業都市という名前自体がおかしいというふうに言われていますので、医師会等にもちゃんとお話しして、やはり、日本の難病で困っている患者さんのために、できるだけ受けやすくする制度でございますので、厚生労働省も、そういった意味では、できる限り併用療養をふやしていただきたいと思います。

 日本維新の会としても、そういったことは非常に大切だということでの混合診療の拡大ということを我々は言っておりますので、そういったことも御理解いただきたいと思います。

 最後に、再生医療について、非常に新しい技術がどんどん出てくると思うんですね、これから。いろいろな、半年や三カ月ごとに、肝臓ができたとか腎臓ができたとか、細胞が、幹細胞ができたとかいうようなことが新聞で出てくるということは、今からどんどん新しい技術ができて、それについては、日本がやはり世界では一番進んでいると今言われております。

 だから、そういった意味で、そういった研究をいわゆる臨床に生かしていくというスピード、つまりタイムラグが生じないように、つまり、日本で開発されてもほかのところで先に認証されてしまうということのないようなことが、今回の制度の目的だと思いますし、非常に大切だと思うんですよね。

 だから、新薬開発についてはまだまだちょっとおくれていますけれども、再生医療については日本は世界では絶対負けていない、一番と思っていますので、そういった意味での、その審査、安全性の確認と有効性の推定、そういったことを厚生労働省としては、非常に前向きに、日本の将来の、背負っていける産業の一つだ、産業と言ったら神戸では怒られるんですけれども、産業の一つだと思っておるので、その点はどのように前向きで考えておられるのか、最後に大臣にお聞きしたいと思います。

田村国務大臣 委員がおっしゃられますとおり、特にiPS細胞を使った再生医療というものは、日本が今トップランナーで走りつつあるわけでございまして、加齢黄斑変性の臨床研究がいよいよ始まったということで、大変期待をしておるわけであります。

 あわせて、多分、このような形で臨床研究が進んでいくという話であれば、これは治験というような形の中において保険外併用療養も可能になってくるんであろうなと思いますし、先ほどのお話でいけば、まあ、医師会が必ずしも保険外併用療養を反対しているわけでもありませんし、歯科医師会も混合診療は反対であります。それは、保険外併用療養という中において、一般的に保険収載を目指すのであるならば、それはそれで、一定期間併用するのはいいのではないかというお考えの方々が多いと思いますので、そこは私の方からあえて申し上げさせていただいておきますけれども。

 今回のスキーム一つ見ていただいても、薬事法改正で、とにかく、今ほど来お話が出ておりますとおり、期限を切って、条件をつけて承認をする。そのためには、特性上、品質が不均一でありますから、安全性は一定程度しっかり見ますけれども、有効性は推定する。こういうようなやり方で、なるべく早く世の中に出回るようにしよう。その後、事後、いろいろな意味で検証、評価をしていこうということでございます。

 こういうふうにやってまいりますと、先ほど来もお話が出たんですが、どれぐらい早くなるんだという話がございます。

 今のところ、まだ比べるものが余りないものでありますから、端的に比べられないんですが、唯一比べるもの、あえて言いますと培養軟骨製品、ジャックというんですかね、私はよくわかりませんけれども。それでいきますと、治験に三年、審査に三年かかったということでありますが、今回のスキームでいけば、これの大体半分ぐらいの期間でうまく承認できるのではないかということでございます。

 そのような形で、とにかく日本の国がこの再生医療というものの先端を引っ張っていくんだ、そのような気概を持って、厚生労働省といたしましても、安全性には配慮しつつ、しっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 すばらしい答弁であったと思うので、ちょっと最後に、ふと、質問が一つ。

 これはもしかしたら文科省かもしれないんですけれども、こういった再生医療のいわゆる製品をつくるということを広めていくということは、つまり、学生を指導していかないとだめですよね。

 これは農学部なんですかね。薬学部、医学部、いや、農学部だったような気が僕はするんですけれども。だから、薬学部は、言ってみたら、今、いわゆる新薬の製造も含めて、六年制に変わってきたので、そういった意味で、この再生医療に関する学部も、六年制なり、そういったことも含めて何か協力を文科省がしていただければ、もっともっとこういった製造部門、研究部門も伸びていくのではないかと思います。

 これは、最後に意見として、できる限り文科省とも協力して、そういったいわゆる学生なり研究者をふやしていく活動も一緒にやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

後藤委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。

 通常国会に引き続きまして、この臨時国会でも厚生労働委員をやらせていただきますので、ぜひ諸先輩方には御指導いただければと思います。

 我々、まず冒頭に、この二法に関しては賛成でございます。それを前提に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、医療機器の内外価格差について質問させていただきます。

 もうたびたび国会で議論をしていただいている内容かもしれません。我が党も、四年前に江田議員が、この厚生労働委員会で議論をさせていただいておりました。党内的には四年ぶりということで、午前中の質問と重なる部分もあるかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。

 私も循環器内科の医者でございまして、この一枚目の資料にあります内外価格差のカテーテル、ステント、ペースメーカー、こういったものは、日常茶飯事、治療行為で用いておりました。それに加えて、近年は、除細動器ですとか人工心臓に至るまで、多岐にわたる最新鋭の医療機器というものが臨床応用されております。

 しかし、御案内のように、こうした医療器材の内外価格差、これは、依然として十分には縮まっていないというふうに臨床医としてもやはり痛感するところがございます。

 こちらの方でいいますと、一枚目の資料では、カテーテルというのは、日本の価格は、内外価格比でいいますと、海外平均より一・八倍高い。ステントは一・九倍、ペースメーカーは一・三倍高いというふうな資料でございます。

 次の資料なんですけれども、この資料は、これはサンプル調査で、しっかりとした平均ではありませんが、実勢価格のサンプル調査としてしていただいたものでございます。先ほどの価格差よりもさらに広がっております。ペースメーカーでいえば二から二・五倍ですね。カテーテルだと五倍近い。冠動脈ステントですと二から三倍。

 なぜこんなに、実勢価格で比較すると、日本の保険償還価格は差があるのか。なぜでしょうか。それを御説明いただければと思います。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、医療保険で使っております保険材料、医療機器の価格でございます。

 この内外価格差の問題は、私どもも従来から課題であると認識をいたしまして、この是正に努めておるところでございますが、今御指摘のようなもの、これは、医療機器の内外の産業界からも中医協の場にもお越しをいただきまして、その価格差が生じる原因についても実態をヒアリングもしております。

 この中で指摘をされておりますのは、日本の場合には、医療機関の集約化というものがなかなか進んでおらずに、たくさんの医療機関で、手術数も少ない中で医療機器を供給していかなきゃいけない、そういうときの流通コストがやはりかかり増しがあるんだというようなこと。それから、大分改善されてきたところでありますけれども、今回の薬事法でもその課題で取り組もうとしておりますが、薬事の承認に係ります手続面とか資料面とかのコストの違いもあるというふうなこと、その辺が指摘をされております。

 その中で、私どもとしては、診療報酬改定時に、国内の実勢価格の調査をしてそれに合った引き下げも行いますが、外国の価格も調査をいたしまして、比較をして、一定割合以上に国内の方が高いという場合には一定の幅の中におさめようということで、毎回見直しをしております。

 その見直しの中で、より縮小する仕組み、今御指摘をいただきました二枚目の資料の方の実勢価格も、この取り組みの中でアメリカの実際の実勢価格を調べたものでございますけれども、やはり、リストプライスと言われる企業の設定価格より低い価格での販売もなされておる実態も見られます。

 こういう中で、やはり我々としては、外国の、日本に比べてより高いものについては、比較するときにも外す、比較するときの平均価格から外して比較をするというようなことも含めて、今、中医協に提案をして、御議論をいただいているところでございます。

柏倉委員 ありがとうございます。

 今指摘をしていただいた流通コスト、手続等々ということは、後段で質問させていただきます。

 こういった価格比というのを試算していただくと、これを縮めると八十億円コスト削減、節約できるということですので、ぜひ、これはサンプル調査ですので、しっかりと大規模な統計をとっていただいて、しかるべき手を打っていただきたいと思います。現在ある原価計算方式というものがこの分野では残念ながら機能していないのかなという印象も受けますので、そういった根本的な改革といいますか改正も、分野分野で検討していただきたいというふうに思います。

 続きまして、今、海外の実勢価格ということで比較をしました。

 もう少し突っ込んで言いますと、この分野において、冠動脈のステント、カテーテル、ペースメーカー、これは、ほとんどが、我々の使っているものは海外品なんですね。いわゆる国産がない。なぜ国産がないのかという点で、私は、日本の技術は世界一だと思っていますので、つくれないんじゃないんだと思うんです。やはり、つくらないんだと思います。

 やはり、これは、リスクをとるというところ、直接、血行動態に影響がある医療機器ですから、何かあれば、当然、訴訟沙汰になることもある。海外の企業というのは、そのリスクをとってでもチャレンジをする、そして大きなチャンスを得て、経済成長につながるような成長をしていくというところの構図があると思うんです。

 実際に、今、二兆円と言われているこの医療機器、日本での市場で貿易収支が六千億赤字になっている、そういうことを考えますと、やはり国産の、こういうリスクをとれる企業を育てていくというのもしっかりと国は考えなきゃいけないと思うんですが、その辺に関してはどのように考えていらっしゃいますか。

原政府参考人 御指摘のとおり、リスクの高い医療機器について日本がおくれているというのは、そのとおりでございます。先ほどの貿易の話でいきますと、いわゆる検査用の医療機器については逆に輸出の方が多い、ただ、一方で、治療用の器具については、当然ながら輸入が多いという実態でございます。

 これは、いろいろと、原因は歴史的なこともあろうかと思います。あるいは、日本のメーカーのいわゆる体質なのかもわかりません。ただ、そうはいっても、日本として技術力を持っている分野でしっかりとその産業を育てていくということが非常に重要だと思っておりまして、そのためにも、すぐれた医療機器の開発、どの分野にいくかということを含めまして、医療機器の国産化の推進について、医療上の必要性からも、安定的に国内供給ができるという体制も必要だと思っておりますので、厚生労働省としましても、経産省等他府省とも連携しながら、育成を図っていきたいというふうに考えております。

柏倉委員 患者さんからすれば、国産でも外国産でもどちらでも、物がよければいいということでございます。ただ、やはり経済成長、医療の分野ですね。安倍政権は、経済成長、医療の分野を目玉にしているわけですから、この分野は避けては通れない、避けてほしくない、これはもう政治家としても医療人としてもそう思いますので、ぜひ、その思いを真摯に受けとめていただきたいと思います。

 それで、先ほど、流通コストがかなりかかってしまうんだと。病院が分散化している。例えば、ペースメーカーの植え込み治療を行っている病院というのは、人口比でいうと、日本はアメリカの四倍。どんなところでもペースメーカーの入れ込みをやっている。アメリカというのは集約型、日本は中小分散型というわけですよね。

 そこで、いろいろな流通経費、中間でマージンを取ってされる、そういった方々がいらっしゃるわけです。結局、そこが五千六百億円、これは〇五年ですからかなり前の試算ですけれども、余りここのところは変わっていないと思うんですね。

 我々医療の現場でも、メーカーさんと我々の間に入って、仲買さん、卸さんという方々がいらっしゃる。いろいろなバッファーになって、潤滑油になって医療が進んでいるのは、これはそのとおりです。急にいなくなったらやはり困るのは、これは本音です。

 しかし、この五千六百億円と言われている大きなマージン、これを考えますと、やはりこの流通コストをどうやって下げていくのかというところの大きな方針、まず、下げるのか下げないか、下げるのであれば、どういうふうに下げていくのかというようなビジョンを伺いたいと思います。

原政府参考人 流通コストの削減に向けた取り組みでございますけれども、医療機器につきましても、平成二十年、医政局に、医療機器の流通改善に関する懇談会、医療機器の流改懇と言っておりますが、これを設置しまして、医療機器の製造販売業者、流通関係者、医療関係者を含めて、医療機器の取引実態の把握と問題点の是正などの検討を行ってきております。

 検討の結果、平成二十三年六月に取りまとめを行いまして、まずは医療機器へのバーコードの表示の徹底による流通の効率化、医療機器は非常に多種多様でございますので品目数が多うございますので、このバーコードによる管理というのは非常に効率的である、それに取り組むこと。

 現在は、その表示状況についてフォローアップを行っているところでございまして、医療機器の個別包装のものにつきましては、最近では八割強のところにバーコードがつけられている。これによる流通の簡素化といいますか、管理がうまくいくということになってきております。

 さらに、いろいろな点で、流通をしている方からも医療機関側からもいろいろと要請が出てきておりますので、この医療機器関係団体とも意見交換を行いながら、効率化に取り組んでいきたいと考えております。

柏倉委員 ありがとうございます。ぜひぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 次は、医療機器の過密化について。

 簡単に言えば、小さな診療所にもなぜCTやMRIがそんなにいっぱいあるのか、これもたびたび議論をしている内容です。あべ先生が平成二十二年に当時の長妻大臣と議論されているもの、会議録を資料で添付させていただいております。

 実際に、このCT、MRIの設置台数の国際比較というのをまず見ていただきたいんですが、これは、MRIではアメリカの一・六五倍、CTはアメリカの二・八五倍と、どちらも対人口比でいえば断トツのトップなんですね。

 なぜこんなに多いのかということを考えた場合、私も、医療機関に従事していた者から言わせると、やはり、本当に必要かといえば、必要なときは必ずあります。しかし、本当にそのスペックのものが必要かと言われると、そうでない場合もある。

 どういうときかといいますと、それがないと、高度医療機器がないと、患者さんが来てくれない。隣の病院にも入ったから、うちにも入れないと患者さんが流れてしまう。こういった、悪いとは言いませんが、やはり営利的な動機でかなりCT、MRIを設置されている方もいらっしゃると私は思います。

 また、先ほどの議論の中でもおっしゃったように、MRI、CT、とにかく、日本の場合は国産が非常に技術が高くて、国産のものが売れている。メーカーさんも、競争が物すごく激しい。売り込み合戦をする。場合によっては、半値の八掛けなんというのが相場だったりするというところもあるようです。

 そういった医療機関側の理由、そして、メーカーさんといいますか、国産にしっかりとなっているという理由、さまざまな理由で、やはりこれだけ設置台数がふえている。私は、非常に多いな、その医療的合理性は何なのかなと首をかしげざるを得ない、これが本音でございます。

 そういった内容のところを、先ほど申し上げた平成二十二年の厚生労働委員会、あべ委員と長妻大臣の議論、添付をさせていただきました。

 長妻大臣はこの中で、あべ委員の、今の私の問いかけに対しまして、「今後、中医協あるいは厚生労働省としてもさらに分析をする必要があると思います。」と。多い、少ないかについては言及をされておりませんでした。「中医協やあるいは厚生労働省の中で分析、議論をして、次回の、二年後にあります診療報酬の議論の中でも論点として議論をしていただきたいと思います。」中医協、厚生労働省さんで分析をされているのかどうか。

 ここのところで申し上げたいのは、やはり、私は、直観的に多いんだと思います。経験的にも、何でこんな小さな診療所にMRIがあるのかなというときもたびたびありました。ただ、この平成二十二年の段階で、多いというような認識はまだなかったのかなということを思うんですが、多い、少ない、多いか多くないかという答えだと思いますけれども、現状の厚生労働省さんの認識としては、やはり多いのかなというふうに思っていらっしゃるんでしょうか。

原政府参考人 御指摘のとおり、例えば、人口比でいきますと多いという事実は明らかでございます。

 ただ、その医療機器につきましても、実は、先生が後で資料をお示しになると思いますけれども、新しい医療機器と、同じCTといいましても随分と差がございます。そういう意味で、一定程度のレベルでどうなのかとか、分析はもう少ししていく必要があるかと思いますけれども、絶対数として多いことは間違いないと承知しております。

柏倉委員 ありがとうございます。

 それで、前の、先ほどの資料に戻りますけれども、一番最後の傍線のところ、果たして、日本がほかの国に比べて、本当に多いのかどうか、それが有効に使われていない事例があるのかどうか、そして、あるいは、逆に、医療機器が多いことで日本の早期発見が一部達成されているのかどうか、一概に、ほかの国と比べて医療機器が多いことが、即座に問題というより、むしろそれがメリットに働いているということがないのかどうか、そういうことを一度総合的に検討をしていきたいというふうに、このときに当時の大臣はおっしゃっております。

 これは、検討されたんでしょうか。

原政府参考人 その当時の答弁のとおりに検討しているわけではございませんけれども、例えば、CTの普及割合と、それから平均寿命の延びとか、それから脳卒中の死亡率の減少等については、相関的には大いにあると思いますけれども、それが直接的な原因かどうかというところまでの分析はしておりません。

柏倉委員 多いことによるメリットは確実に、多ければ多いほど患者さんにとってはいいに決まっているんですね。医療経済学的に、費用対効果でどれぐらい合理性を持っているのかというところを伺いたかったんですが。

 多いメリット、少ないメリット、いろいろ、少ないメリットというか、多いメリットはあるとは思うんですけれども、次の資料なんですが、人口当たりの医療機器設置台数、これは都道府県別に出ている資料がございます。CT、MRI、やはり、かなり都道府県ごとに差があるなという印象を受けます。場合によっては、CTでいえば三倍ぐらい多い、これは差があるなというのがわかるわけですけれども。

 もし適正な値、対人口比でこれぐらいはあった方がいいだろうというような適正な値があれば、やはりボトムアップというものを図らなきゃいけないところは図っていかなきゃいけないし、多過ぎればやはり何らかの指導をしていかなきゃいけないのかなというふうに思いますけれども、この都道府県格差、医療計画というのは都道府県別にやりますので、医療圏としても都道府県でひとまず考えたときに、やはりこの格差というのが医療のクオリティーにつながっていくのであれば、これは非常に問題だと思うんですね。そこに対する政府の考えはどうでしょうか。

原政府参考人 いわゆる高度あるいは高額な医療機器の利用についてですけれども、社会保障制度改革国民会議においても、「過剰投資が指摘される高額医療機器の適正配置も視野に入れる必要がある。」と指摘されております。

 そのため、厚生労働省としても、医療機関の機能分化や連携を推進していく中で、高額医療機器などの使い方などについても検討していきたいというふうに考えております。

柏倉委員 いろいろと診療報酬等で、現状を何とか望むべく方向に導くというところで苦心されているのはよくわかります。ただ、やはり、先ほど医療サイドの意見といいますか感覚で申し上げたとおり、隣にもあるから、ないと患者さんが来てくれないから入れてしまうというところ、この循環を断ち切るには、診療報酬だけで誘導するというのは私は限界があるように思うんですね。

 そういったことで、診療報酬、いろいろと見直しをされたし、次の資料のコンピューター断層撮影診断料の見直し、これは二十四年の診療報酬改定でこうなりました。

 それで、六十四列以上のマルチスライスCT、あと三テスラ以上のMRIの装置に関しては、要件を設けて簡単に入れられないようにしたということですね。しかも、常勤の、いわゆる放射線の専門家に近い医師も常備するということも要件にしている。

 非常に合理的であるとは思うんですけれども、六十四列以上のマルチスライスCT、三テスラ以上のMRIというのが入る病院というのは、これはもう中核病院ですよね。やはり問題になっているのは、診療所、小さな診療所、しかも、その地域にそこしかないというような有床診療所もあります。そうじゃなくて、さっき言った動機で入ってしまう、そういったCT、MRIをどうやって減らしていくかといったときに、やはり診療所というのはハイスペックなものは買いません。

 次の資料を見ていただけるとわかるんですが、括弧でかかっていますその他のCT、MRI一・五テスラ未満、こういったところをやはり購入されるわけですね。こういったところを購入される、つまり、診療報酬で苦心されて点数をいろいろとさじかげんされたんでしょうけれども、この状況ではなかなか、この診療報酬改定では、やはり診療所がMRI、CTを安易に買ってしまうという、これはなくならないのではないのかなと思うんですが、そこに関する見解をお願いします。

木倉政府参考人 お答えをいたします。

 今の資料で先生お示しいただいた昨年春の改定で、六十四列以上のものあるいは三テスラ以上のもの、これを、より評価を高めた。新しく技術が進歩して、そういう機能もそのまま高めた。

 そのときに、一緒に御指摘いただきましたが、やはり、こういうことを本当に活用いただいて、より高度の医療をやっていただく医療機関というのはどういうものかということも同時に議論していただいて、施設基準というものをより厳しく、こういうものが診療報酬請求できる医療機関というものを厳しく設定して、ふさわしいところで医療機能を果たしていただく、そのものとして使っていただきたいということでやっております。

 しかしながら、一方で、その次の資料にありますように、一般の診療所、そこまでの機能のものがなくても、CT、MRI等を導入されながらやっていらっしゃるところ、この機能分化がまだまだきちんと診療報酬だけではできていないのは事実だろうと思っております。

 やはり今の、地域地域、県ごとにこういう差もありますので、医療計画で、その地域のニーズに合った、患者像に合った医療提供体制、そのもとで病院の機能分化も進めていただく、その中で医療機器も活用いただくように、さらに、その医療計画なんかをあわせた形で診療報酬の工夫も繰り返し行っていかなければいけないというふうに認識しております。

柏倉委員 やはり診療報酬なり規制、こういった配置基準で誘導するというのはなかなか難しいのかなと結論として思うんですね。かなり苦心されているなと。医者の目から、この診療報酬を、二十二年から二十四年と見ましたけれども、苦心はされているけれども、やはり、さっきの動機というのは、医療関係者というのはどうしても拭えない。

 そこで、本当に、先ほどの都道府県別のものがありました。面積が広い都道府県で、やはり救急対応等で、人口密度比、人口が少なくても入れざるを得ないという理由、山岳地帯があって、そういったもの、わかります。しかし、見ますと、そういった合理性を伴っていないデータになっていますので、なぜこの県がこんなに多いのかわからない。これは、やはり医療合理性に基づいた配置というのを徹底的に私は進めていくべきだと思うんです。

 フランスなんかでは、地域で認可制にしています。地域の認可制。やはりこの地域は、CT、MRIはこれだけあるからもう十分でしょうと。医療圏がしっかりとしていますから、その中で議論をして、これぐらいでいいでしょうという適正値、それ以上のものは認可をしない。

 当然、難しい問題はあります。スペックの古いものだけでいいのか、最新のいわゆる高磁場のMRIの方が、低磁場よりもいいに決まっていますから。そういった問題はあるにしても、やはり設置台数というものは、ある程度、地域的に検討して、合理性を持った配置をしていくということが私は必要なんじゃないかと思います。

 地域による規制、こういったものについてはどのように考えますか。

原政府参考人 例えば、今、フランスの認可制のお話もございました。その制度そのものは承知しておりますし、例えば高額機器だけではなしに、例えば医師の配置も含めて規制をかけている国もございます。

 そういう意味で、我が国のやり方としては、今までは、ある意味、自由な形で、必要に応じて、任せてやってきたわけでありますけれども、その中で、やはり計画的に、必要な医療を効率的に提供していく必要があるだろうということで、それぞれの医療圏域の中で、必要な医療機能がどういうものかというものをじっくり考えていただいて、これから進んでいきます高齢化社会に対応できるような形で、将来のビジョンも描きながら、適切な医療の提供体制がどうかということをそれぞれの地域で考えていっていただくということを今検討しております。

 そういう中で、医療機器等の配置についても、共同利用なども含めながら考えていただけたらと思っております。

柏倉委員 果たして検査でどれぐらいもうかっているのかと聞くと、もうかっていないという診療所さんがほとんどなんですね。入れざるを得ないんだ、生き残るためには入れざるを得ない。これもまた一つの現実です。そういった苦しい立場にある。だから入れてしまう。ですけれども、これは大きな、マクロな目で見ますと、やはり医療費がふえる一因と言わざるを得ないと思います。

 確かに、日本は、OECDの平均でいいますと医療費は少ない方だということで、多過ぎるという指摘に対してそういう反駁もあり得ますけれども、やはり適正化していく、多い、少ないというよりも適正化していくというこの姿勢は、常に忘れてはいけないんだと私は思います。

 そういうことを政府にお願いして、ちょっと早いですが、きょうは終わりにさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 大臣、きょう一日、御苦労さまでございました。

 最初に、薬事法の関連で、何といっても一番期待をされていた問題でありますけれども、薬害肝炎検証再発防止委員会最終提言により、独立性のある第三者監視・評価組織が本法案に盛り込まれることが期待をされていたわけですけれども、なぜ盛り込まれなかったのか。

 また、議員連盟の一員としても積極的に発言をされてきた大臣でありますから、質問をしたこともありますけれども、改めて、その必要性について、大臣の認識を伺いたいと思います。

田村国務大臣 午前中にも質問のあった案件でございます。

 今も委員からお話がありましたとおり、この第三者組織というものをつくった上で、薬事行政をやはりしっかりと評価、監視するということが必要ではないか。

 一方で、今回、薬事法改正、また、再生医療安全性確保法案、これを出すに当たって、どちらかというと、もちろん安全性をしっかり確保する法律にもなっているんですが、一方で、実用化を進めていこうというような分野の法改正も入っております。また法律でもございます。

 ですから、一方で、今までの薬害等々を反省する中において、第三者組織をつくって、薬事行政に対する一定のチェックを果たしていただく、そういうような意味合いは大きいのではないか、そんな思いを持って、私も議員連盟の一員として、閣法でこれを実現する。

 途中は議員立法という話もありましたけれども、やはり原告団の皆様方が、これは政府が出してもらいたいんだという、そのような強い思いを我々も受けて、実現に向かって動いてきたわけでありますが、立場が変わりまして、我々が与党になり、私がこうやって大臣を担当するに当たって、本年の早々にC型肝炎の原告団の皆様方がお越しをいただいたときに、これを何とか閣法で実現したい、大臣、協力をというお話の中で、問題点も幾つか挙げました。

 しかし、それを何とか乗り越える方法をお互いに考えていきましょうということで、その後、また議員連盟にお力をおかしいただいて、話し合いをしておったわけでありますけれども、残念ながら、幾つかの点で折り合いがつかずということで、閣法を断念せざるを得ない。

 大きな問題点は、やはり独立性という問題でありまして、厚生労働省からの独立性という話になりますと、厚生労働省内にはつくれないという話になれば、これは厚生労働省担当で、外れるわけでございますから、また違ったいろいろな議論をしなければならない、こういう苦しい思いもあったわけであります。

 それで、断念ということであって、非常に残念であったわけでありまして、先般の通常国会、皆様方、議員連盟の方々にも大変御迷惑もおかけをしたわけでありますが、その後、大臣協議で、C型肝炎の原告団、弁護団の皆様方とお話をする中において、幾つか今回断念をせざるを得なかった理由を述べさせていただきましたら、それはそれとして、幾つかの誤解点、お互いにあったねというようなお話の中で、さらにまた、再び閣法に向かってチャレンジをする、そんな努力をしようということに至ったわけでございます。

 そのような意味からいたしますと、確かに、まだ乗り越えなければいけないハードルはあろうと思いますけれども、私もできる限りの努力はしてまいりたい、このような思いでございます。

高橋(千)委員 ちょっと答弁が長過ぎです、最終的には、チャレンジするということだったと思うんですが。

 今回の薬事法で、そもそも名前も変わるわけですけれども、その中で、国や都道府県や、あるいは医薬品関連業者、国民というところもあるんですけれども、それぞれの責務が新設された、その趣旨を改めてお話しいただきたい。

赤石大臣政務官 質問、ありがとうございました。同じふるさとの人間として、いつも頼もしく思っております。

 私も、肝炎については、最初にオーストラリア抗原という検査だったんですね。まだHBとかHCとかHEとか、そういうことがない時代から検査をしていまして、本当に、そういう意味では大変な思いがあるわけでありまして、こういうことが起こったということも大変残念なことだと思っています。

 その上で、今質問ありました、関係者の責務の問題については、国、地方自治体、事業者の責務というものを現在明らかにしてあるわけですけれども、国の役割としては、保健衛生上の危害の発生及び防止等に関する施策の策定、実施。地方自治体としては、地域の状況に応じた施策を策定、実施する。それから、関連事業者においては、相互間の情報交換その他の必要な措置を講ずる。また、医療関係者は、特に医薬品等の適正な使用に関する知識と理解を深めるとともに、患者等に対して正確かつ適切な情報提供に努める。国民の役割としては、医薬品の適正な使用、有効性及び安全性に関する知識と理解を求めるように努力をする。このような責務になっております。

 以上です。

高橋(千)委員 政務官、ありがとうございます。

 ただ、今おっしゃったのは読めばわかることで、責務が新設された趣旨を聞いております。そういうことなんです。

 なぜ、わざわざあえてこういう責務を書いたのか。長い長い薬事法の歴史の中で、あえて今回、国の責務に踏み込んだんだ、そういう立場で、今回変わるべきものがあったんじゃないかということで、確認をさせていただきました。

 ちょっと時間がないので、次のところでもう一回このことで触れたいと思うんです。

 スモン、サリドマイド、肝炎、HIVなど、それぞれ私も質問してきたことがあるんですけれども、薬害の発生が薬事法の改正につながり、まさに闘いの中で規制が強化される、そういう歴史をずっと歩んできたわけですよね。だけれども、今回は、ある意味、規制緩和のものを持っている。医療機器の外部委託ですとか、再生医療加工品の外部委託ですとか、そういう規制緩和に踏み切るものなわけです。

 だからこそ、一層、第三者機関、単に薬害肝炎の報告があったからという、それ自体が大きなものですけれども、改めて、歴史をまた前に戻して、規制緩和に踏み切るという点でも、第三者の監視・評価組織の必要性が増すと思うんですね。

 その認識はよろしいですよね。大臣、もう一回。簡潔に。

田村国務大臣 第三者機関というものを何とか実現したいという思いも、先ほど委員がおっしゃったとおり、今般の薬事法改正、また再生医療新法は実用化という部分で内容的に盛り込んでいる部分もございますから、そういう意味では、やはりしっかりと、我々が今まで薬害というものをいろいろと引き起こしてきたことの反省に立って、バランスをしっかりとるためにも、そのような方向というものが必要であるのではないのかということで議論をしてきたという流れがあるわけでございます。

高橋(千)委員 よろしくお願いいたします。

 そこで、本法案では、医薬品、医療機器及び再生医療等製品の添付文書案の届け出を求めております。

 これも、実は、先ほど紹介した薬害肝炎の検証再発防止委員会の最終提言にもありますし、これを踏まえて取りまとめた、厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会の薬事法等制度改正についてのとりまとめの中で、添付文書の中身についてまとめているわけですよね。

 だけれども、そこからいうと、大分足りない。欧米並みに承認制度にしてもよかったのではないか。また、そこで期待をされていた国の是正権限、これが強化されるのか。いかがでしょうか。

今別府政府参考人 今先生御紹介をされました審議会の議論の中で、添付文書を承認制度の対象にしてはどうかという議論がございました。

 ただ、その中では、承認審査の対象にしてしまいますと、やはり承認審査に一定の時間がかかりますので、リスクに柔軟かつ臨機応変に対応ができないおそれがあるのではないかとか、あるいは、現場の医師は使用上の注意以外の使用方法では使用しないというような萎縮が起こってしまうのではないかというような議論が出たというふうに聞いております。

 一方、届け出制であっても、今御紹介のありました、国が改善命令を出す権限が明確であれば、国の責任という意味では承認と大きな違いがないのではないかという観点から、届け出制ということにさせていただいております。

 今申しましたように、国の改善命令、これは、実は今でも改善命令はかけられるわけであります。したがって、現行の規定で必要な改善命令はかけられるということで、今回、特にこの規定について強化というような措置はとっておりません。

高橋(千)委員 やはり、これを聞いた趣旨が、さっき聞いたように、薬事法の中にあえて国や関連業者の責務を書いた、そこの立場に立って、もっと踏み込むべきではなかったかなということを指摘させていただいたわけです。

 この問題は、もう多分ずっと議論をされてきた問題であって、一九七九年五月九日、当時は社会労働委員会の質疑の中で、こんなやりとりがございました。添付文書の記載事項の承認についてなんですが、当時社会党の川本敏美委員の質問なんですけれども、中野薬務局長がこう言っているんですね。

 添付文書の記載事項が非常に重大なものであることは、そのとおり、認めると言っている。だけれども、記載事項が、極めて時々刻々に変化するものだ、だから、承認によって固定化しては、むしろ適さないというふうに言っているんですね。

 だから、それで済む話じゃなくて、続けて、このとおり刻々変化する情勢に応じて、国が迅速にモニタリングをして、記載事項の変更を求めるのだということを言っているわけですよ。つまり、一旦固定化しちゃったら、実際にはそぐわないことが出てくるから、それを国が追っかけていくんだと言っている。

 追っかけていくんだったら、とてもいいことなんですよ。そういう立場にもなっていないからこそ、いろいろな事件があったじゃないかということを言いたいんですよね。

 だから、さっき言うように、時間がかかるんだとか萎縮するんだということで終わるわけにはいかないんですね。政府のこれまでの歴史的な答弁から見ても、きちんと認めるべきだと思いますが、もう一度お願いします。

今別府政府参考人 今回の改正も、もちろん、添付文書を改定するたびに、実質的にはPMDAを通じてでありますけれども、把握をするということになっておりますので、当時の、時々刻々変化する状況をきちんと把握をしていくという姿勢には変わりはございません。

高橋(千)委員 変わりがありませんという答弁でありました。

 しかし、この一九七九年から、もうずっと長い間いろいろなことがあって、ソリブジンとかイレッサとか薬害肝炎とか、やはり添付文書の評価が問われる事件が続いたわけです。そうしたことの教訓に立って指摘をしておりますので、だったら臨機応変にやってよ、モニタリングをきちっとやってよということを重ねて指摘したいと思います。

 次に、再生医療安全確保法案並びに薬事法の再生医療製品等に関する規定について質問していきたいと思うんです。

 再生医療については、通常国会で議員立法により基本法が成立した。その際に、私たちは、患者や関係者の熱い期待があるということ、また同時に、理念を明確にして、現在、自由診療で特に法規制がない状態、これを早く改善すべきだ、そういう立場から、賛成をいたしました。言ってみれば、本法案はその具体化でもありますから、必要な法案だと認識をしております。

 そこで、伺いますけれども、まず、きょうの午前最初の大串委員の質問で、資料も出されていたわけですけれども、ただ、この再生医療が、日本再興戦略の中に位置づけられて、再生医療の実現化ハイウェイ構想に位置づけられているわけですよね。この中身について、まず、その狙いとかスキームですね、端的に御報告をお願いします。

原政府参考人 再生医療の実現化ハイウェイ構想についてお答えいたします。

 先ほど委員御指摘のように、再生医療の実現を待ち望んでおられる患者さんもたくさんおられる。このために、再生医療の迅速な実現をしていく必要があると考えております。そのためには、基礎から臨床段階まで、切れ目なく、一貫した支援を行うことが重要であると認識しております。

 このため、厚生労働省初め文部科学省、経済産業省と連携いたしまして、この再生医療の実現化ハイウェイ構想を打ち出しております。

 具体的には、文部科学省では、再生医療のいち早い実現を目指した強力な基礎研究の推進、厚生労働省では、その基礎研究の成果を受けて臨床研究に移行するための支援、また、経済産業省では、再生医療の実用化や幹細胞による創薬支援の実用化を支える産業基盤の構築を担当することとしておりまして、それぞれの取り組みを進めているところでございます。

高橋(千)委員 それぞれの取り組みといっても、それぞれの思惑でやるわけにはいかないですよね。当たり前じゃないですか。

 このハイウェイ構想には、概算要求額、来年度百六十四億円なんですけれども、指標として、二〇二〇年、ちょうどオリンピックの年でありますけれども、一千九百億円。これは、医療の世界では九百五十億円、そして、培養装置ですとかいろいろな周辺産業が九百五十億円、合わせて一千九百億円の市場を見込んでいらっしゃいます。そして、二〇三〇年には一兆五千五百億円の市場を目指す。まさしくハイウェイというか、リニアの世界に近いのかなと思うわけです。

 経産省は、国内外の再生医療の将来市場規模予測を、二〇二〇年は九百五十億円なんですが、二〇三〇年は一兆円、二〇五〇年は二兆五千億円と描いております。細胞シートなどやインキュベーターなどの、培養、解析にかかわる周辺機器での成長を期待している。

 そして、当然のことながら、こういう環境が整ってくることによって、例えば、三十日の日経、大日本住友製薬が再生医療の実用化研究に乗り出すというふうな報道がありました。つまり、今まではベンチャー企業の細々とした市場があったのが、本法案の成立、あるいは政府が位置づけたということで、一気に大手企業の参入が進むという環境がある、それは国内だけではないという状況が生まれているわけです。

 そこで、大臣の認識を伺いたいなと思うんですが、再生医療はまだ未知の分野であります。私も、この八月に、委員会の視察の一員としてデンマーク、イギリス、フランスを訪問して、セルバンクなども見せていただいたわけですけれども、ここでの主役はまだES細胞だったわけですよね。

 ですから、臨床の症例などというのはまだまだ世界でもわずかであります。そこを一気に日本が躍り出よう、そういう計画になっているわけですから、そこにひずみがないはずはないと思うんですが、率直に大臣に認識を伺いたいということ。

 それと、それぞれが一番重点化したいところは別なのよというわけにはいかないわけですよ。ですから、重点化をして一点突破、例えば、山中教授がおっしゃっている脊損、頑張りたい、そういう、実用化に一番近いところにうんと重点化をしていくのか、あるいは、それぞれの病院でいろいろ認定委員会を設けます、広く浅く、うんとあちこちから可能性を目指すようなふうになっていくのか、そこの狙いですか、進め方、どのように考えていらっしゃいますか。

赤石大臣政務官 今委員の御指摘のように、再生医療については、iPS細胞だけではなくて、さまざまな、多様な細胞が用いられているわけであります。

 したがいまして、厚生労働省としては、文部科学省や経済産業省としっかり連携して、個別の技術の有用性やリスクに応じて、今ある基礎研究のシーズを適時適切に臨床研究へ円滑に移行させ、再生医療の実用化を図ることが重要と考えております。

 まだまだ、その意味では、今回の薬事法の改正によって、それが一歩進むということになるだろうというふうに思っております。

 以上です。

高橋(千)委員 これは大臣に通告をしていたんですけれども、今政務官がおっしゃったように、再生医療と一口に言っても非常に広い分野である。その中で、こんな目標を決めて、一兆五千五百億円とか、市場を決めてやるのにそぐわないのではないかという立場で私は質問しているんです。

 そういう中で、それぞれが、経産省はとにかくシードをつくるよとか、文科省は基礎研究ですよと、自然発生的ではないでしょう。どこに力を入れるんですか。当然ながら、基礎研究の分野は大事ですよねということもあるわけですよね。それは、厚労省としては出てきたものを粛々とやりますというだけでは済まないと思うんです。どういうふうにお考えになっていますか。

田村国務大臣 再生医療に対して非常に期待がかかっている。それは、特にiPSですよね。

 今までのヒト胚性幹細胞というものは、なかなか倫理面でクリアできない問題がいろいろある。体性幹細胞に関しては、全てのものに変化でき得るとはなかなかいかない。そこで、iPS細胞であれば、倫理性もクリアできて、いろいろなものに再生といいますか変われるということでありますから、いろいろなものに対してiPS細胞というものは、言うなれば、きくといいますか、そういうような可能性があるわけであって、ニーズの方としても、難病の方々、脊損の方々、いろいろな方々を含めていろいろなニーズもある。

 ですから、今委員は、何か狙い撃ちしてどうだというようなことを答えろというような話でありますけれども、厚生労働省としては、やはり臨床研究のところを中心に進んでいく。それは、まさに治療だとか診断だとか、そういうところに近いところを我が省は受け持つわけであります。そこに対するニーズはいろいろとあります。

 そして、シーズはシーズで、またいろいろなものをシーズとして見つけてこなければならないわけでありまして、そこをうまく融合させていくということ自体が重要であるわけでございまして、そのための、このハイウェイ構想であるというふうに認識いたしております。

高橋(千)委員 スピードアップの圧力がかかると、当然、承認も早く、そういう話になってくるわけですよね。審査、確認、いろいろな手続を早くしてくれと。

 しかし、それでは、安全の問題や、単純な話ではないんだよという立場に当然厚労省としては立たなくちゃいけないわけですから、それで一兆幾らというお金が、まず目標が先にあって、そこに一路進むんだというわけにはいかないでしょうという立場で指摘をしているわけなんです。そこがちょっと、なかなかお答えづらいことかもしれませんけれども。

 薬事法に位置づけるのに、再生医療等製品のみ、承認のプロセスが違う。これも、ですから、言ってみれば、そのスピードアップの圧力の中で起きてきたことではないかと思いますけれども、それはやはりおかしくないでしょうか。

赤石大臣政務官 再生医療というのは、今委員がおっしゃるように、非常に難しいテクノロジーだと思います。そのために非常に慎重にならざるを得ないというところがあって、今まで、とにかく薬事法の中ではこの再生医療という治療が、あるいは研究がなかなかできにくい環境だったわけであります。

 そういう意味では、今回新しい薬事法をつくることによって、この再生医療というのは一歩前進するのではないか。そういう意味でも、安全性を担保しながら有効性を獲得していく、そういうことが必要だろうということで、今回、この薬事法の中に条件、期限つきの承認の仕組みを導入したということでございます。

高橋(千)委員 ちょっと答えにはなっていないんですよね。

 結局、諸外国でもやっていないことを日本はやる。だから、日本にアメリカの企業も来て、進めたいという。それで、さっきの成長戦略になっていくわけですよね。でも、それでいいんですか。確かに難しい、不均一です。でも、それをほかの国はやっているわけじゃないですか。EUも規制をしている。そういう中で、日本だけがそこまで進むんですかということを指摘しているんです。

 「再生・細胞医療に関する臨床研究から実用化への切れ目ない移行を可能とする制度的枠組みについて」、これは平成二十三年三月に検討会の報告が出ていますけれども、その中でも、やはり、他の薬事法の枠内とは独立した新たなカテゴリーを創設して、第一相臨床試験において数例で安全性確認ができたら速やかに製造販売承認を行うべきだというふうな意見があったと書いているんですよね。

 だから、さっき、九十日なのかとか何カ月なのかという議論がありましたけれども、数例でいいんだよ、それはもともと少ないんだから仕方ないんだよという、そう単純な話ではないでしょうということを重ねて言っているんですけれども、何か、そうじゃないんだというお答えがありますか。

田村国務大臣 今回、薬事法の中で期限つき、条件つきで承認するということに関しては、確かに、先ほど来もいろいろと御質問いただいている中において、その有効性というものは、なかなか、長期的な評価において確認するということが非常に難しい。それは、特性上、製品の均一性というものがなかなか担保できないわけであります。

 しかし一方で、安全性に関しては、これはちゃんと確認をした上で、その上で条件つき、期限つきの承認をするということでございますから、この安全性というものに関しては、やはり我々はしっかり確認をしていかなければならないというスキームの中で、今般の法律を出させていただいておるということであります。

高橋(千)委員 これも、ですから、数例でいいんですかというのに対して答えていないんですよね。

 それこそ、欧米の中で、ああ、なるほどなと思ったんですけれども、病院の中で自己完結の治療の場合は、ホスピタルエグゼンプションということで、薬事法とは切り離した規定になっているので、それが一番わかりやすいなと思ったんです。

 だから、そういうふうにきちんと切り分けていけば、短くしても市場に出すしかないんだというふうな議論にはならないので、やはりそこは、薬事法の世界は、きちんと、ほかの薬事と同じ、そして、病院の現場ではちゃんとやるというふうに整理をしていけばいいだけの話ではないかということを指摘していきたいと思います。

 それで、もう一つ、細胞加工の外部委託についてなんですけれども、これもやはり産業界からの期待もあると思うんですが、これについての安全確保はどのように担保するのでしょうか。

田村国務大臣 委員、数例と言われましたけれども、疾病に応じて、数十例のものもあるわけでございまして、全てが数例というわけではないということは御理解いただいておるというふうに思います。

 今のお話の方は、安全性確保法の話であったというふうに思うわけでありますけれども、細胞培養加工に関しまして、これはどうやって安全性を確保するんだ、その上で外部委託をするのかというお話であったというふうに思います。

 もちろん、今まで、医療機関の中で、専門的な技術を持った方、また、いろいろな意味で専門的な安全性の知識のある方々がやってきたわけであります。これを外部、民間に委託するわけでありますから、そこは、施設基準等々、しっかりと厳格なものをクリアしていただかなければならないわけでございまして、そのようなところでしっかり安全性を担保しながら、一方で、これはどうも不適切だな、基準を満たさなくなったなという場合には許可を取り消すということをしてまいる中において、安全性を確保していきたい、このように考えております。

高橋(千)委員 その施設基準、再生医療提供基準を作成することになっているわけですけれども、それの中身について、やはり、さっきから言っている有効性についてということが書かれていないんですよね。

 ヒト幹指針においては、基本原則の中に、「適切な実験により得られた科学的知見に基づき、安全性及び有効性が予測されるものに限る。」ということが書かれていて、まさか、今の指針を下回るということはないですよね。確認です。

原政府参考人 今のは安全確保法の方の話だと思いますけれども、提供基準について、現在の指針等を参考にしながら決めてまいりますので、現在の安全基準を下回るということはないと考えております。

高橋(千)委員 安全基準という言い方に変えてしまっているのが、ちょっと違うんですよね。

 そこは、何か、私があえて二つのことを指針に書いているじゃないのと言っているのに、安全基準、安全基準と言いかえているということを、あえて指摘をしたい。でも、下回らないと言っているんですから、ここは確認していきたいと思います。

 やはり、成果を焦って、安全性、有効性確認のプロセスを省略してはならないということを重ねて言いたいと思うんですね。先端を走る研究者や学会などが繰り返し発言しているのは、やはり国民の過度の期待ということであります。この過度の期待があり過ぎて、一度の失敗がせっかく積み上げてきた成果を台なしにしてはならないという立場であるからこそ言っているわけであって、何もかもだめだと言っているわけではないんですよね。

 さっき大臣が言った倫理の問題も、山中教授自身が言っています、発表した一週間後にネイチャーに書いています、たった一人でも子供を産めるのよと。そういう世界に本当に踏み込むことがどうなのかということなども問われていて、まだまだ課題が多い問題ですので、引き続き議論していきたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、薬事法等の一部改正案に反対、再生医療等の安全性の確保等に関する法律案に賛成の討論を行います。

 薬事法の改正案は、薬害肝炎事件の教訓を今後の薬事行政に生かし、二度と薬害を起こさないという決意のもとに改定が図られることが期待されていました。国との和解の基本合意に基づき設置された肝炎検証検討委員会が取りまとめた最終提言、さらに、最終提言を踏まえて厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会の薬事法等制度改正についてのとりまとめが生かされたものになるべきでした。

 中でも、薬害の再発を防止し、医薬品行政に対する国民の信頼を回復するための、医薬品・医療機器行政を評価する独立した第三者組織の設置については、今回の改定に当たって全く触れられておらず、許されません。

 医薬品等制度改正検討部会のとりまとめで提起されていた添付文書の位置づけが届け出にとどめられてしまっていることは、欧米で承認制とされていることと比べても不十分であります。国の責任をより明確にするという今回の改定の趣旨から見ても、行政の添付文書是正権限を明示することは不可欠であります。

 第三に、医療機器の民間の第三者機関による認証制度を高度管理医療機器にも拡大すること、医療機器の製造・品質管理方式の基準適合性調査について合理化を図る問題です。これらは医療機器業界の要望を取り入れたものでありますが、命と健康にかかわる問題は、経済と切り離して考えるべきです。いわゆるドラッグラグ、デバイスラグの解消も急がれますが、PMDAの体制の強化にこそ、思い切って取り組むべきであります。

 また、再生医療等製品のみ承認のプロセスを短縮するという改定は、諸外国にも例がありません。その実施には強い懸念を表明せざるを得ません。

 なお、再生医療等の安全性の確保等に関する法律案については、今まで法規制がなかった臨床研究等について規制、監視等の法整備を行うもので、賛成とします。

 しかし、生命及び健康に影響を与えるおそれのある第一種、第二種再生医療までが届け出にとどまっていること、認定再生医療委員会の独立性、実効性の担保が不十分であること、細胞加工の外部委託についても安全性、有効性の確保について問題なしとはしません。

 今回の改定は、安倍内閣の成長戦略の一つの柱です。日本再興戦略の中で、戦略市場創造プラン、再生医療の実現、創薬などを市場とした成長産業と位置づけて、再生医療の実現化ハイウェイ構想などが公表されています。経済優先のために一気に再生医療の実現を図るようなことがあってはなりません。そのための規制緩和が行われることには重大な懸念を表明せざるを得ないこと。

 以上、両案に対する態度を表明して、討論を終わります。

後藤委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより採決に入ります。

 まず、第百八十三回国会、内閣提出、薬事法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 この際、本案に対し、とかしきなおみ君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び日本共産党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。柚木道義君。

柚木委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び日本共産党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    薬事法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  厚生労働省に設置された薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方を検討してきた委員会の最終提言において、薬害の発生及び拡大を未然に防止するため、医薬品行政に関わる行政機関とその活動に対して監視及び評価を行い、適切な措置を取るよう提言等を行う第三者組織を設置することが必要とされている。

  政府は、各薬害被害者団体の意見を重く受け止め、独立性が確保される第三者組織の設置について、速やかに検討を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

後藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、田村厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。

    ―――――――――――――

後藤委員長 次に、百八十三回国会、内閣提出、再生医療等の安全性の確保等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

後藤委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。田村厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田村国務大臣 ただいま議題となりました持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を説明いたします。

 社会保障・税一体改革に関しては、昨年、消費税率の引き上げ等を規定する法律が成立するとともに、社会保障制度改革についても、少子化対策及び公的年金制度改革に関し既に関連法が成立し、加えて、社会保障制度改革の基本的な考え方や社会保障制度改革国民会議の設置等を定めた社会保障制度改革推進法が成立したところであります。

 その後、社会保障制度改革国民会議におけるたび重なる審議を経て本年八月に報告書が取りまとめられたことを踏まえ、社会保障制度改革推進法第四条の規定に基づく法制上の措置として、社会保障制度改革の全体像及び進め方を明らかにするため、この法律案を提出した次第です。

 以下、この法律案の内容について、その概要を説明いたします。

 第一に、少子化対策、医療サービスの提供体制や医療保険制度等に係る医療制度、介護保険制度及び公的年金制度の各分野に関し、検討すべき事項、措置を講ずる時期等を定めるとともに、医療制度や介護保険制度については、法律案の提出を目指す時期についても規定するものであります。

 第二に、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るため、内閣に、関係閣僚により構成する社会保障制度改革推進本部を置くとともに、内閣総理大臣が指名する者をもって組織する社会保障制度改革推進会議を置くこととし、その所掌事務、組織等について、それぞれ所要の規定を設けることといたしております。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要です。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

 以上です。

後藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十五分散会


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