衆議院

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第7号 平成25年11月15日(金曜日)

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平成二十五年十一月十五日(金曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      岩田 和親君    大串 正樹君

      門山 宏哲君    金子 恵美君

      小林 鷹之君    小松  裕君

      古賀  篤君    白須賀貴樹君

      新開 裕司君    新谷 正義君

      助田 重義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高鳥 修一君

      高橋ひなこ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    永山 文雄君

      福山  守君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    宮崎 謙介君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      大西 健介君    寺島 義幸君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    足立 康史君

      浦野 靖人君    重徳 和彦君

      新原 秀人君    西野 弘一君

      輿水 恵一君    桝屋 敬悟君

      柏倉 祐司君    中島 克仁君

      高橋千鶴子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    岡田 則之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐藤 敏信君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    蒲原 基道君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  香取 照幸君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 唐澤  剛君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十五日

 辞任         補欠選任

  大久保三代君     新開 裕司君

  金子 恵美君     小林 鷹之君

  村井 英樹君     宮崎 謙介君

  長妻  昭君     寺島 義幸君

  足立 康史君     西野 弘一君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     金子 恵美君

  新開 裕司君     門山 宏哲君

  宮崎 謙介君     福山  守君

  寺島 義幸君     長妻  昭君

  西野 弘一君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  門山 宏哲君     助田 重義君

  福山  守君     村井 英樹君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     岩田 和親君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     大久保三代君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案(内閣提出第二号)


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国税庁課税部長岡田則之君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官樽見英樹君、医政局長原徳壽君、健康局長佐藤敏信君、雇用均等・児童家庭局長石井淳子君、社会・援護局障害保健福祉部長蒲原基道君、年金局長香取照幸君、政策統括官唐澤剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西健介君。

大西(健)委員 おはようございます。民主党の大西健介でございます。

 さて、昨日、十一月十四日、あの解散を決めた党首討論の日でありました。消費税の引き上げの大前提というのは、社会保障の充実と議員定数の削減であったはずです。ところが、今、私は、国民とのその約束が、いずれもほごにされようとしているのではないかというふうに危惧をしております。

 けさの理事会でも、きょうにもこの法案の質疑を打ち切って採決をというようなお話があったというふうにお聞きをしましたけれども、とんでもないことだと私も思います。私は、この社会保障プログラム法案、審議が尽くされて賛否を決められる状態には、いまだ至っていないというふうに思っております。

 きょうは、今日までこの委員会でいろいろな論点が示されました、しかし、そのうち、政府の説明や御答弁によって十分に理解が得られてはいないのではないかという点について、改めて、もう一度お聞きをしていきたいというふうに思っております。

 一つ目の疑問、それは、そもそもこのプログラム法案というのは必要なのかということであります。

 審議を通して我が党の委員から、プログラム法案の個別の法案の中身について、繰り返し質問がありました。大臣は、それに対して、それはこれから検討するんだから、個別の法案が提出されたときに聞いてくれというようなことを、最後の方はもう逆切れするような感じでお答えをされていましたけれども、我々も詳細な制度設計まで示せなんて言っていないんです。

 でも、プログラム法案というのは、消費税引き上げによる増収分はこういう社会保障の充実に使いますよ、また、充実と同時に効率化や重点化としてこういう改革をやっていきますよというメニューをまずお示しして、そして、法案として国会にはこういう手順で示していきますよというのが、これがプログラム法案ですよね。

 だとしたら、少なくとも、充実の程度がどのぐらいなのか、あるいは負担の増や給付のカットの程度がどのぐらいなのか、最低限それぐらいはしっかりとお答えをいただかないと、賛成だとか反対だとか、そういう判断もしようがないというふうに思うんです。

 例えば難病対策についても、では、新たに対象に加える難病患者の数がどれぐらいなのか、反対に、大幅な負担増になる難病患者の方はどれぐらいいるのか、こういうお話がありました。しかし、それについても、そのボリューム感さえお示しをいただけない。それでは、一体、消費税を引き上げたけれども、難病対策の予算のパイそのものがふえるのか、ふえないのか、あるいは、ほとんどは難病患者の間の負担のツケ回しに終わってしまうのか、それさえよくわからないんです。それさえわからないと、判断のしようがない。

 そういう意味では、私は、ぜひそういうことをしっかりと示していただきたいと思うんです。

 もう一つ、反対に言いますと、このプログラム法案というのが、本当に中身がないものなんだ、これはあくまで改革の対象になる項目と法案の提出時期だけを示したものであって、内容がないんだというんだったら、そんな法案は要らないんです。そんな法案は、私は必要ないというふうに思います。だったら、もう個別の法案を順番に出してもらえばいいんです、我々としては。

 でも、改革の全体像を一応示しておきたい、決めておきたいというならば、それは、法案じゃなくて閣議決定でもいいじゃないですか。法案でこれを出してくる意味というのは何なんだというふうに思います。

 社会保障制度改革推進法にある法制上の措置、これも何度もこの審議の中で申し上げてきたことでありますけれども、この法制上の措置というのは、年金改革そして高齢者医療制度の改革、この法案を提出しようというのが、これがもともとの法制上の措置だったはずなんです。

 ところが、いつの間にかそれが変わってしまった。

 特に、十七回、実務者協議というのが行われました。この委員会の山井筆頭もその実務者協議に参加をされておりましたけれども、その実務者協議の中では、自民党、公明党さんは、年金や医療はもう現行の制度でいいんだ、これで十分なんだ、このままやっていけばうまくいくんだ、この一点張りで、改革の議論というのを拒否し続けた。その結果、結局、当初の法制上の措置が、いつの間にか変わってしまって、我々が当初想定していたものとは全く異なったものになってしまっているということだと思います。

 これは、言ってみれば、メーンディッシュが出せなくなってしまって、それでも、料理を出すことを約束していたので、とりあえず前菜を盛りつけてオードブルとして出した、こういうことになっているんじゃないかというふうに私は思います。

 この点について、いま一度、大臣、プログラム法というのは、そもそもこういう内容だったら必要なんでしょうかという点について、納得のいく御説明をいただきたいと思います。

田村国務大臣 まず、例えば難病対策でありますけれども、誰が対象になるかということ。大体三百疾患を目途に今御議論をいただいているということは、以前から申し上げております。もちろん、その中がどうなるかは、まだ御議論でありますから、それはわかりません。

 それと、負担に関しても、たたき台という形で出させていただいて、その後、素案という形になりました。まだこれも御議論をいただいております。

 ですから、今委員がおっしゃられたことでいえば、議論の最中でございますから、大まかなものはお出しさせていただいておりますけれども、詳細は決まっていないということは御理解をいただけるというふうに思います。

 それで、今委員、まあ、言いようもあるもんだなというふうに思いましたが、高齢者医療制度と年金を変えるための法律を出すのがこの法的措置だったと。そんな合意は、三党の合意では全くありません。

 しかも、あなた方のそれぞれ改革の中にも、難病も入っていれば、医療提供体制の見直しも、全部メニューに入っているんですね。(発言する者あり)入っていると。今は、何か、高齢者医療制度とそれから年金だけを変える法律を出すと言っておられましたが、違うんですよ。全部入っているんです。

 我々は、あなた方のメニューをほとんど活用させていただきながらやってきているわけでありまして、そういう意味では、あなた方と我々がやっていることは、全く違うわけじゃありません。

 その中で、高齢者とそれから年金に関しては、確かにいろいろな御議論がありました。それは、三党でその後も協議をしようということで、二十回ぐらい議論をしていただいたんだと思います。

 でも、それだけを法的措置だったというのは、ちょっと私理解できなくて、あらゆる、ここに書いてあります医療、介護、そういうものも含めて法的な措置を講ずるというはずだったのであって、それはやはり同じように、一定のプログラム法みたいな形でしか出せないという話でありますから、もともと想定していたことと同じであると思います。(発言する者あり)

 全く違うのならば、山井委員の質問のときに、またぜひとも中身をお聞かせいただければありがたいと思いますが、我々は、三党合意にのっとって、誠実にこのプログラム法を出させていただいておるということでございますので、御理解をいただければありがたいと思います。

大西(健)委員 料理はとりあえず出てきているんですよ。でも、メーンディッシュがないんですよ、メーンディッシュがないんです。そのことを申し上げたい。

 それから、やはり、対象は明らかになっている、また、こんなに負担がふえるんだよというのはあるけれども、では、どれぐらい負担がふえる人がいて、あるいはどれだけ対象が広がるのか、それがわからないと、難病患者の人たちも、一体自分たちは今度新たに対象に加えてもらえるのか、あるいは負担がふえるのか、それもわからないと、不安ばかりが高まるんじゃないですか。

 あるいは、消費税が上がって、難病予算のパイそのものがふえるのかどうなのかも本当にわからないんです、これじゃ。だから、これでは議論できないということを重ねて申し上げたいというふうに思っております。

 それから、もう一つ、私は、やはりこれは中身がないんだと思うんです、はっきり言って。

 社会保障と税の一体改革として進められてきた消費税率の引き上げですけれども、今申し上げたように、やはり私は、肝心の社会保障の改革の内容が見えてこない、国民の皆さんはそう思っていて、それが不信感を募らせているんだというふうに思います。

 三党の実務者協議は物別れに終わってしまって、そして社会保障国民会議の方も、これは私の質問でも言いましたけれども、官僚が議論をコントロールして、首相が姿を見せたのも初回の十分だけで、安倍政権として本当に社会保障改革をやろうという姿勢が見られなかったんじゃないか、こう皆さんは受けとめているんじゃないでしょうか。

 そして、国民が望んでいるのは、消費税は上がるけれども、そのかわりに年金や医療の不安が少しでもなくなる、それならば消費税も仕方がないな、これが皆さんが思っていることなんです。ところが、その肝心の高齢者医療や年金の話が抜け落ちている。これでは、国民が増税だけ食い逃げされたんだというふうに思ってしまうのも、私は、ある意味当然じゃないかというふうに思っております。

 加えて、国民が最も不信感を募らせているのは、消費税の引き上げの増収分が本当に社会保障に使われるんだろうか、この点であります。多くの国民は、消費税がまた公共事業とかあるいは経済対策で消えてしまうんじゃないかというふうに疑っているんです。

 この委員会でもこの点については何度も聞かれて、大臣も、いや、消費税は社会保障に充てるんです、法律にそう書いてあるんです、そうしないと法律違反ですということを言われています。それ自体は、私はうそじゃないと思うんです。

 でも、何回も言っているように、お金に色はついていないんです。お金に色はついていないので、もし消費税収が社会保障財源に充てられたら、今まで社会保障財源に充ててきた財源を社会保障以外の経費に使えることになるんです。それをそのままほかに流用しなければ、本来は財政赤字が圧縮しないと、私はうそだと思うんです。

 ところが、夏の概算要求は過去最大になっている。そして、中身を見ると、公共事業も一七%増になっている。さらに、来年度の増収額は五・一兆円というふうに見込まれていますけれども、同時に、経済対策で五兆円を投じるというふうに言っておられる。これを普通の国民の皆さんが見たら、右手で国民の皆さんから消費税を取り上げて、左手でばらまいているというふうに映るんじゃないでしょうか。

 しかも、この五兆円の経済対策の中には、九千億円の復興法人税の廃止とか、あるいは公共投資二兆円というのも含まれています。これでは、山井委員が先日この委員会で言われたように、もはや税と社会保障の一体改革ではなくて、税と公共事業の一体改革、こういうふうに受けとめられても、私は仕方がないんじゃないかというふうに思っております。

 ぜひ、今本当に一番国民が聞きたいこと、消費税はちゃんと社会保障に充てられるのか、そうじゃないんじゃないか、この部分について、改めて大臣から、国民の納得がいく説明をいただきたいと思います。

田村国務大臣 何か負担がふえることばかりおっしゃられるんですけれども、高齢者医療制度も、低所得者層に対しては軽減の幅を広げる、これも入っております。国民健康保険においても、やはり低所得者の方々の範囲を広げるということも入っております。これは軽減策であります。さらに高額療養費も、御承知のとおり、所得二百十万円から七百万強のところの八万百円プラスアルファというところでありますけれども、ここを段階的に区分して、低いところの方々は負担を減らそう、上限額を引き下げようというようなこともやっております。

 でありますから、負担能力に応じたということでありますので、何か全部負担がふえているというようなイメージを言われましたけれども、決してそうではないということは御理解をいただきたい。めり張りがしっかりついているということであります。

 その上で、消費税の一%部分は社会保障の充実に充てるということでございますので、これをやらなければ、そもそも何をやっていたかわからないという話でございますから、これはしっかり守るということはお約束をさせていただきます。

大西(健)委員 全部、全て負担がふえるなんて申し上げていないんです。

 だけれども、では、充実の部分、今、一%を充実に使いますということを言われましたけれども、充実の部分が果たして今の五千億というので十分なのか。この点についても、我々は何度も何度もこの委員会で質問をさせていただきました。八%に引き上げたときに五千億円を社会保障の充実に充てる。ただ、我々は、少なくとも一兆円以上を充てるべきじゃないかということを申し上げました。

 先週の八日に、自民、公明、民主三党による、消費税増税に伴う社会保障制度の充実策を議論する実務者会議の初会合というのが行われました。我が党からは、今どこかに行ってしまいましたけれども、山井委員がまさに代表として参加をされているわけですけれども、その席でも我々は、社会保障充実に一兆円を充てるべきだ、そして、さらなる五千億円の充実分の使途についても、例えば、中小企業の社会保険料の軽減だとか、介護職員の賃上げだとか、あるいは予防接種、こういうものに使ってはどうですか、こういう具体的な提案までさせていただいているんです。

 アベノミクスの成功の鍵というのは、給与が上がるかどうか、これにかかっていると思います。

 特に中小企業、日本の労働者のほとんどは中小企業に勤められています。中小企業が給与を上げられるように、社会保険料の軽減をしてあげればいいんじゃないですか。あるいは、安倍首相は給料を上げてくれと経団連にお願いしていますけれども、最終的に給料を上げるかどうかは、これは労使の交渉で決まることであります。だけれども、政府がその気になったら、賃金を、例えば介護職員の賃金を上げられるんです。消費税を使ってやればいいじゃないですか。

 あるいは、今年、予防接種法の改正案をこの委員会でやりました。そのときに、残された四ワクチンについても、財源を手当てして、早期に定期接種化したいとおっしゃっていましたけれども、消費税を上げたんですから、予防接種、特に子供に関する予防接種をやれば、これは子育て支援にもなるし、そして全世代型の社会保障を実現するというこの消費税の目的にもかなうというふうに思います。

 私は、いずれにしろ、先週金曜日にそういう実務者の協議がまだ始まったばかりなのに、この社会保障プログラム法案の審議をもうきょうにもやめようなどということは、これは全くおかしいというふうに思っております。

 最後に、徳洲会の問題についても御確認をさせていただきたいと思うんですけれども、前回の委員会で、大臣の答弁の中に、私、理解できない部分が幾つかありました。

 まず、大臣は、五月の赤坂の料亭での徳洲会幹部との会合について、そこに徳洲会の人たちがいるのを知らなかったんだということを言われております。

 しかし、大臣規範というのは、先日も確認させていただきましたけれども、関係者と酒席をともにして接待を受けることがそもそも国民の疑惑を招くから、そういうことはやめなさいということを言っているんです。大臣がそこに関係者がいると思っていたとか思っていなかったとか、そんなことは関係ないんです。現実としてそこに同席をして、そして向こうが払ったということであれば、これは完全に私は大臣規範に抵触するのではないかと思います。

 それから、もう一つは、大臣は、同僚議員から誘われて行ったんだ、そして、仲間内の楽しい飲み会だったんだというようなことを言われていますけれども、それもおかしいんじゃないか。

 では、その誘った同僚議員さんは、誰でもいいから暇なやつを連れてこいといってやったんじゃないんですよ、厚生労働大臣を連れてきたんですよ。これは、私は、その席というのは厚生労働大臣を連れてきてくれと頼まれてセッティングしたと考えるのが普通じゃないか。楽しく飲みましょうという席だったというのは、これは説明がおかしいんじゃないかというふうに思います。

 さらに、前回の答弁で、六月に、眼科医である徳田毅代議士のお姉さんと園田修光元代議士が田村大臣の部屋を訪れられたということが、新たな事実として明らかになりました。

 六月二十日の園田氏のフェイスブック、これを見ますと、園田氏とスターン美千代容疑者と見られる女性が田村大臣のお部屋で会談をしている、そういう写真が出ています。ただ、写真を見ると、見る限りですけれども、どうもこれは大臣室じゃなくて議員会館の部屋じゃないか、応接セットが議員会館の部屋なんですね。これはもう一度、ぜひ、本当に確認していただきたいんです。

 大臣、前回の答弁で、園田氏とスターン美千代容疑者が大臣室を見たいと言って立ち寄って、たわいのない話をして帰ったというような御説明をされました。しかし、私は、場所はまず大臣室ではないと思いますし、それから、選挙直前のめちゃくちゃ忙しい時期ですよ、六月。そんなときに、参議院の全国比例区の候補者が大臣室を見せてくれと言って雑談に来るなんて、そんなことがあるわけがないじゃないですか。そんなことをしている余裕なんかないんです。

 そこに一緒にいたのは、徳洲会の選挙を仕切っていて、今回逮捕された人ですよ。そのスターン美千代容疑者と、徳洲会が既にその時点で全面支援している候補者が、わざわざその時期に大臣のところに来たということは、当然そこで選挙の話があったはずだと考えるのが私は自然なことだというふうに思います。

 今、私が指摘した疑問に対して、もし何か大臣の方で、反論や納得のいく御説明をしていただけるなら、お願いをいたしたいと思います。

田村国務大臣 事実だけ申し上げます。

 まず、整理をしていただきたいんですが、私は、今般、この刑事事件になっております、検察が捜査をしております徳洲会の組織立った公職選挙法違反の選挙、一切かかわっておりません。断言をさせていただきます。

 その上で、徳洲会から一切の政治献金、パーティー券は買っていただいていないということ、これも事務所を調べさせていただきました。そういう事実がないというふうに報告を受けております。

 そういう意味では、何ら関係していないんですね、この部分で。

 そうなれば、酒席で所管の団体の方と食事をしたのが大臣規範に触れるのではないかという御質問、これは徳洲会とかそういう問題ではなくて、他のいろいろな医療法人やいろいろな方々と食事をしておること自体が、大臣規範に違反しているのではないか、こういう御指摘の質問だというふうに、まず一点は御確認をさせていただきます。

 その上で、先ほど来申し上げておりますとおり、仲間内の会合に行った、そこに徳洲会の方がおられた。しかし、いろいろな関係で来られたんだと思いますよ、人間関係もあって。そこで私は、それはプライベートですから、仲間内ですから、席を立って帰っちゃうというような大人げないようなことはしなかったわけでありますけれども、そもそも徳洲会に呼ばれていないので、徳洲会の方々にお金を払っていただいたというような認識はないということを申し上げます。

 そしてまた、そのお姉さんの話でありますが、何なら大臣室へお越しください。その写真をお持ちならば、写真と比べていただければ、大臣室だということがよくおわかりになられると思います。

 このお姉さんは、前回も言いましたけれども、私の住んでいる近くで眼科医をやられておられます。私は、コンタクトをそこで買って、六カ月に一回、そこの眼科医で検査をいただいておる。そういう関係でありまして、以前も言いましたが、もともとは知らずにそこに入ったんです。

 結果として、その話を、たまたまそこで徳洲会のビデオがソファーで流れていた、ソファーといいますか、ロビーで流れているんですね、いつも。それで、何だろうと思って、徳田さんに、実は、近くの眼科医、多分、私だけじゃなくて議員の方々は結構行かれているかもわかりません、こういうのが流れていたけれども、あれは一体何なんだろうねと聞いたら、いや、うちのお姉さんがやっている眼科医ですと言うので、今度、また一遍、挨拶させに行きますよみたいな話があったんですよ。

 ですから、その一環として来られたというふうに私は理解いたしておりますので、そこで公職選挙法に触れるような、そういう選挙の打ち合わせ、今般のいろいろな捜査にかかわっているような、そんな内容のことを話したこともありませんし、そもそもそのような関係は、私は、徳洲会とは全くありませんから、それだけは断言をさせていただきます。

大西(健)委員 今の説明は、私はよくわからないんですけれども。

 というのは、お姉さんがという話ですけれども、さっきも私が申し上げたように、これは六月ですよ、参議院の候補者はめちゃくちゃ忙しいんですよ。しかも、それが法律に違反するかどうかではなくて、道義的に、今回逮捕された人ですよ。徳洲会の選挙を仕切っていた人が、徳洲会が全面支援している園田さんと一緒に大臣のところに来られた。そして、大臣は、そういうことをわかっている、お会いになっている。このこと自体が、私は道義的にも問題があるんじゃないかというふうに思います。

 それから、最初の大臣規範の話も、これは一般の病院であっても当然でありますが、二月に私が予算委員会で指摘をしているんです。そして、その対象になっている病院なんです。ですから、その人たちと一緒にいるというのは、やはりこれは、大臣規範の趣旨である国民の疑惑を招く行為だというふうに私は思います。

 この件についても、私はまだまだわからないことがあると思いますし、社会保障プログラム法案についても、先ほどの説明では、私は国民は納得していないというふうに思います。まだまだ、この審議を続けるべきだというふうに思います。そのことを申し上げて、次のバッターである中根委員にバトンタッチをしたいと思います。

 ありがとうございます。

後藤委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 大西議員に引き続いて議論させていただきたいと思います。

 先ほどの理事会、きょうにも強行採決がほのめかされた、審議が無理やり打ち切られようとしていると聞いております。安倍内閣が掲げる決める政治というのは、強行採決のことなんですか。

 まだまだ議論が尽くされていない。私たち国会議員だけではなく、まさに法律の対象となる、当事者の方々の納得が得られていない。当事者の方々が、負担増であったとしても、納得できる形でそれを受け入れる、そこまで議論を尽くさなければならないというのが、この国会の使命であるのではないですか。

 衆参の国会のねじれが解消されたとはいっても、逆に、あるいは、むしろ、国民の意識とのねじれがどんどん生まれて、それが増幅しているのではないでしょうか。

 社会保障が成長戦略の重荷になっている、政府が、あるいは厚生労働省が、まさかそんなことを考えているわけではないでしょうけれども、安倍内閣が考えているのではないかと言えるような状況が今露呈をされているような気がいたします。

 特に、最も厳しい状況に置かれている難病患者の皆様方が見捨てられて、それで世界一ビジネスのしやすい国がつくられる、そんなまやかしが行われていいはずがないと思っています。

 強行採決は絶対にあってはならない。まだ十二月の六日までこの国会はありますし、必要ならば延長もできるわけでありますので、ぜひ、自民党の金子筆頭、強行採決はやらないでいただきたい。よろしくお願いをいたします。(発言する者あり)まだ一カ月あります。延長もできるんです。

後藤委員長 どうぞ質問を続行してください。

中根(康)委員 厚生労働省内で負担増が具体的に検討されているにもかかわらず、難病患者の皆様方の、あるいは介護保険制度を利用しておられる当事者の方々の最新の生活実態調査もしない。赤石政務官は、前回、二十二年に行ったと言いましたけれども、新しいデータを集めるべきときではないでしょうか。

 負担増がどれぐらいになるか、その人数や金額の規模感も示されていない。先ほど大臣は、大まかなものは示していますよとおっしゃいましたけれども、私は、これまでの議論の中で、何人の方が負担増になって、あるいは何人の方が負担減になって、その金額はどれぐらいであるか、充実分はどれぐらいであるか、効率化分、重点化分はどれぐらいであるか、ここはまだ具体的な数字として示されていないと思っています。

 あるいは介護保険制度でもそうです。自治体が、果たして、地域支援事業を受け入れたときに、マンパワーが十分受け皿としてあるかどうかということも、私は、十分な調査やあるいは具体像は示されていないと思っています。

 民主党は、反対のための反対をしているのではありません。先ほど大西議員も指摘をされましたけれども、自公民で成立をさせた社会保障制度改革推進法が想定をしていた法制上の措置というものに十分値していない、あるいは全く値していない、肝心の年金制度や高齢者医療制度の改革が盛り込まれていない。

 あるいは、今回、繰り返しになりますけれども、難病患者の皆様方に対する負担増、介護保険利用者に対する負担増、こういった具体的なデータが示されていない。こういったデータをきちんとテーブルの上にのせて、十分審議を尽くしましょう。きょうの昼で審議を打ち切って強行採決をするには、審議はまだ不十分だということを申し上げているわけであります。

 大臣、少し見方を変えて、このプログラム法案がもし成立しなかったら、どういう弊害が生じますか。具体的にお示しください。

田村国務大臣 まず一つは、国民の皆様方に、消費税という財源でどのようなことをするのかというようなその中身、あらあらの中身をやはり示せないということがあろうと思います。あわせて、それを、どのような手順、実施時期、大まかなものでありますけれども、プロセスでやっていこうかということもお示しをさせていただけないと思います。

 そもそも、この法案を与党が、これは民主党も含めてなんだろうと思いますが、三党が成立をさせることを協力して実現しなければ、法律違反になろう、このように思っております。

中根(康)委員 あらあらの中身を示すのに、この法律が必要不可欠なのでしょうか。それこそ閣議決定でもいい、場合によっては、総理大臣あるいは田村厚生労働大臣が記者会見で大筋をお示しすることでいいのではないでしょうか。

 既に、政府内で、厚生労働省内で、具体的に負担増も含めて議論が進められているわけで、例えば、繰り返しになりますけれども、難病患者の方々で、重症患者の方々で、世帯収入が、今回これが世帯収入になるというところがまた大変な問題であるわけでありますけれども、世帯収入で五百七十万円以上の方々に対して、これまで無料だったものが、最大一月四万四千四百円、年間で五十三万円、こういう数字が示されているじゃないですか。

 こういうものが示されて、不安ばかりを患者さんにかき立てるような状況を厚生労働省みずからつくっておいて、それで、この法案審議においては、難病新法ができるまで待ってください、まだ具体的なものはお示しできません、一部分だけ示しておいて、そして全体像は示さない。患者さんの生活に、将来に、不安ばかりをかき立てるようなものが今回のプログラム法案の本質ということになってしまいませんか。

 今の大臣の御答弁でも、繰り返しになりますけれども、閣議決定やあるいは大臣の記者会見で十分なところを、無理やりこのプログラム法案で決めようとして、恐らく、個別法案の審議になったときには、民主党だって、民主党というか賛成した政党に対しては、あのとき賛成したじゃないですか、もう議論は終わっているんじゃないですかということを言いかねないのではないかと私たちは心配しているから、だからこの法案には賛成できない。賛成か反対かしかないわけだから、賛成できないとなったら反対という意思表示しかない、そういう状況に今なっているんだろうと思います。

 法案本体から質問をさせていただきます。

 この法案の四条の十項に、「公平」とか「安定的な」とか、あるいは「均衡」という文言が示されております。

 恐らく、安定化というのは、法制化をして義務的経費化をするということだろうと思います。これは、消費税を引き上げるわけですから、当然やらなければならない。

 では、公平というのは一体何との公平ですか、均衡というのは何との均衡ですか。難病患者に負担増を強いて、限られたパイの中で、また新たな難病患者さんにそのお金を回す。難病患者が難病患者を支えるというやり方が、果たして公平なのでしょうか、均衡なのでしょうか。大臣、見解をお示しいただきたいと思います。

赤石大臣政務官 中根委員にお答えいたします。

 難病や小児慢性特定疾患の医療費助成については、医療費助成の対象となる疾患と対象とならない疾患との間に不公平感があることや、難病については、現在、予算面でも都道府県の超過負担が生じているといった課題があります。

 このため、プログラム法案では「公平かつ安定的な医療費助成の制度を確立する」こととされています。対象疾患の拡大をすることにより、疾患間の不公平を解消することが公平の意味に含まれると考えております。

 また、医療費助成を制度として確立された医療の社会保障給付として位置づけ、消費税財源を充てることにより財源を確保することが安定的の意味に含まれるものと考えております。

 以上です。

中根(康)委員 消費税を引き上げるんですから、この「安定的な」という法制化をして義務的経費化をする、これは当然行われるべき当たり前の話です。そこに公平だとか均衡だとかいう言葉がついてくるから、私たちは不信感、不安感を抱かざるを得ないということであります。

 これは、強行採決をしようとしている局面でありますので、大臣、お答えください。

田村国務大臣 難病患者間の公平性というのもあります。ですから、対象疾病、疾患の拡大、これを図ることによって、今まで難病等であって医療費助成が受けられなかった、そういうような方々に対しても、一定程度の、それは診断基準というものは必要でありますけれども、そういうような中においてそういうものを拡大していこう、他の制度との公平性というものも一定程度考慮に入れていかなければならない、このように思っております。

中根(康)委員 今の大臣の御答弁で、やはりこの制度は、難病患者が難病患者を支えるという、大変厳しい制度であるということが明らかになりました。

 それと、他の制度との均衡ということでいえば、高齢者医療制度を参考にしてまねて、新たな支援制度をつくるということでありますけれども、これまでも指摘をさせていただきましたように、高齢者の生活実態と、あるいは難病の皆様方の、あるいはまた小児慢性特定疾患、小児がんや小児心臓病の方々の生活実態とは、大きく異なるところがあるわけであります。だから、実態調査をした上で法案審議をしましょうということを言っておるわけであります。

 もう一度、大臣、高齢者とこの難病あるいは小慢の方々の生活実態が大きく異なって、だから、高齢者医療制度をそのままここに準用するようなやり方はおかしいと思いますが、いかがですか。

田村国務大臣 いや、ですから、高齢者の医療制度と同じにはしません。

中根(康)委員 もちろん、全く同じだと言っているわけではなくて、参考にしているということを、今までも、例えば土屋副大臣は御答弁をされたわけであります。医療費の需要が多いという点では共通している部分があるから、だから参考にさせていただいたということを副大臣は答弁されておられます。

 もちろん、そのときに大臣は、全く同じであるというわけではないけれどもということも御答弁をされておられますけれども、しかし、土屋副大臣の言っていることもまた間違いではないということだろうと思いますので、ここは、やはりおかしい、難病患者には難病患者の特性に合った新たな支援制度、負担のあり方というものをつくる、考えるということであるべきだと私は考えさせていただいておりますので、ぜひ、大臣、再考をお願いしておきたいと思います。

 特に、病気治療が子供のころから長期にわたって、教育の面あるいは兄弟に対する配慮、親が若くて経済力が小さい、所得が少ない、さまざまな特性のある小児がんとか小児心臓病など小慢患者に、新たに入院食の自己負担もお願いをするということ、これもまた、高齢者医療制度をまねてやっている。

 この入院食ということ一つとっても、全く合理的な理由がない。高齢者医療制度をまねてとか、あるいは公平とか均衡とかいうことで、この方々からも自己負担を取ってもいいんじゃないかということなんでしょうけれども、今申し上げましたように、小慢で、小児がんで、小児心臓病を患っておられる御家庭の生活実態の厳しさからすれば、あるいは、入院食というものが治療の一環であるということからすれば、ここに自己負担を押しつけるということは、やはり私は合理的な理由が見つからないと思っております。

 また、厚生労働省は、この辺の入院日数を九十八日ぐらいだということで計算をしているようでありますけれども、実際には、私どもが部会で当事者の方々からお聞きをすると、二百六十日程度に入院日数は及ぶということを聞いております。

 厚生労働省が考えているよりもはるかに重い負担を強いられているわけで、生活の圧迫になっているわけでありますので、ここに、まさに消費税を充てることは国民の理解が得られることだと思いますが、大臣、この入院食についてはいかがですか。

田村国務大臣 まず、今言われたように、難病患者の方々の特性に応じてどのような制度にするか、今御議論をいただいているわけですね。

 ですから、議論の中において、例えば、高額医療を長期にわたって受けられる方はどうすべきなのか、それから、低所得者の方々はどうするんだ、こういうようなところに配慮をすべきではないか。

 一方で、所得のある方々に関して、どのような所得階層でどのような負担をするのか、こういうことも含めて御議論をいただいておりますから、高齢者医療制度をそのまま入れるわけではなくて、その中において、難病の特性に応じた、そういうような体系をつくらなければならないということで今御議論をいただいておりますから、そこは委員のおっしゃるとおり、その特性に応じたいろいろな議論をこれからも最終報告に向かってしていただいておるということであります。

 それから、今の食事なんですが、これは御承知だと思いますけれども、障害者のいろいろな施策、自立支援医療、これも食事代はいただいておりますので、そういう意味では、これは高齢者というところに着目してやっているわけではございませんので、そこは御理解をいただければありがたいと思います。

 もっとも、まだ議論の最中でございますから、最終的に決まったわけではございませんので、これも含めて今議論をいただいておるということであります。

中根(康)委員 今大臣が御答弁いただいたように、議論を進めていけば、少しずつ御説明をいただけるところも出てくるわけですよ。だから、もっと十分時間をとって審議を進めていきましょう、議論を尽くしていきましょうということを言っているんです。

 だから、時間があれば、例えば、先ほど申し上げましたように、負担増になる方がどれぐらいで、負担減になる方がどれぐらいで、そこに消費税がどういうふうに投入されるかということがだんだんわかってくるわけであります。だから、もう少し議論を尽くしましょう、きょう、午前中だけの審議で審議打ち切り、強行採決ということは不適切ではないかということを私たちは今申し上げているわけであります。

 小慢のことについて、もう一つお伺いいたします。

 小慢の方々で大変問題意識を持っておられるのが、二十歳で医療費助成が打ち切られてしまうのではないか、いわゆるトランジション問題ですけれども、二十歳以降の医療費支援はどのようになっていくかということでありますけれども、これは大臣、今どのような議論が、検討が行われているか、お示しをいただきたいと思います。

田村国務大臣 今、小児慢性特定疾患を抱える皆様方に関して、今言われた、切れ目のないところ、どのような形で対応できるかという話であります。

 一つは、もうこれも何度も申し上げておりますけれども、難病の対策の方でその対象疾患を拡大しようということでございますから、それに向かって、一定程度はそちらの方で、新しい枠を広げた中において医療費の助成というものを受けられる可能性があろうと思います。これも今御議論をいただいております。

 それから、自立支援医療等々、いろいろな医療がございますから、そういうものも含めて、今、支援を行っていける、そういうような方々もおられると思います。医療助成だけではなくて、自立支援ということを考えれば、この小児慢性特定疾患の方が難病に行かれる。

 ただ、難病に入れるか入れないかは別にして、例えば自立支援の強化ということでありまして、これは、地方自治体、また医療関係者、教育関係者等々、さらには患者の親の団体でありますとか、いろいろな方々に入っていただいた中において、ピアサポートでありますとか、家族相談でありますとか、もちろん本人の自立支援でありますとか、いろいろなことをやっていこうということを来年度に向かって概算要求をさせていただいておりまして、そのような中において、切れ目のない支援というものをしっかりとやっていくための今準備をさせていただいております。

中根(康)委員 やはり、厚生労働省はこの法案の説明として私どもに資料をいろいろ御提供いただけるんですけれども、そういったところに書いてないことが、書いてあるのかもしれませんけれども、こうやってお尋ねをすれば、大臣が委員会という公式な場で御答弁をいただいて、少しでも安心材料が得られていくわけであります。

 ですから、繰り返しになりますけれども、審議をもっと十分時間をかけてやりましょうと申し上げているわけであります。

 もう余り時間がありませんので、改めてお伺いいたしますけれども、今さらお聞きすることではないかもしれませんけれども、いわゆる難病と言われている例えばALS、誰がかかるんですか。いつ、この病気にかかってしまうんですか。大臣、どう思われますか。

田村国務大臣 先ほどの御答弁も、もう前回の委員会で何度となく御答弁させていただいておりますので、大体、問題点は御理解をいただいてきて、それに対するいろいろな……(発言する者あり)それは山井委員がおられなかったからでありますから、おられるときにちゃんと聞いてください。

 そういうことでございますので、大体、問題点というのはある程度集約できてきたかなというふうに思いますが、今の御質問にお答えをさせていただければ、それはもちろん、誰だって、いつだって、なる可能性があるわけでございまして、人ごとでないというようなものが難病であるというふうに我々は認識いたしております。

中根(康)委員 まさに、大臣がおっしゃるとおりなんですよ。

 誰がかかってもおかしくない、いつかかるかわからない、だから人ごとではない、まさに国民全体の問題である。難病患者さんたちが自分たちのことだけを言っておられるわけじゃないんです。

 私たちも、難病患者の方々だけのことを申し上げているわけじゃないんです。国民全体が、いつこういった病気にかかるかわからない、いつ誰がかかるかわからない。だから、広く国民の皆様方に消費税という御負担をお願いして、この難病問題を充実させていきましょうということを申し上げておるわけであります。

 これは、例えば認知症でも同じです。生老病死、生きること、病、あるいは老いることというのは、国民全体の共通の問題であるわけであります。だから消費税を投入していくことにふさわしい分野であるということを申し上げておるわけであります。それを、あたかも、老いも病もみんな自己責任だと言わんばかりで、自助努力で解決していけと言わんばかりの安倍内閣の考え方に対して、私たちは強く違和感を持っているわけであります。

 恐らく、私たちの考え方、思いと、田村厚生労働大臣はそんなに違わないはずであります。だから、もっと議論をして、建設的な成果を上げていきましょうということを申し上げているわけでありまして、きょう強行採決が行われるなどということは決して容認できない、まさに国民に対する背信であるということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 質問の機会をいただき、本当にありがとうございます。

 冒頭、私ごとで大変恐縮なんですが、昨日、二人目の子供が生まれました。トンボ返りで昨日病院に駆けつけて、無事、二人目が生まれてまいりました。

 私、分娩室の外でずっと待っている中で、あるいは生まれてきて、実は、喜びと同時に、まさにこの社会保障制度改革プログラム法案、きょう質疑に立たせていただくということで、分娩室の外にいる間も山井筆頭からいろいろなメールが来る。

 そういう状態の中で私が思っていたのは、ありがたいことに生まれてまいりました、ただ、いろいろなことがあって、手術をして生まれてくるという形になりました。生まれてきた我が子を初めて見たときに、後頭部に、ちょっと最初はよくわからなかったんですが、大量の血痕というか血の塊がついておりまして、思わず主治医の先生に、これはどういうことなんでしょうかということも伺いました。

 分娩室の外にいる間もそうだったんですが、先ほど、中根委員が難病対策等の御質問もされました。生まれてくる子供が元気で生まれてきてくれれば、もちろんそれはそれで大変ありがたいです。しかし、何かの形で仮に障害を持って生まれてきたとしても、同じ重要な我が子でございます。

 そんなときに、障害がもしあったとき、それが例えば難病の疾患の対象になるのか、あるいはならないのか。そしてまた、新たにその対象になるのか、ならないのか。しかし、そのことで既に対象の方々に新たな負担を強いるようなことがあったとしたときに、果たして、親として、あるいはその子供として、どんな思いになるか、どんな思いをさせてしまうのか。そんなことを実は私、きのう、分娩室の外で、あるいは生まれてきてその後、そんなことを思いをめぐらせながら、きょうの質疑に臨むに当たってのいろいろなことも考えておりました。

 大臣、この議論、昨日大西委員も言われていましたように、アベノミクス、一年になって、今後の状況、当然、消費税を引き上げること、そしてまた、それをどう社会保障の充実、安定化に使っていくこと、密接に関係があります。

 数字上は一定の数字が出ていますが、個人消費については失速、減速という見方もありますし、アベノミクスでよくしようと思っているんですが、その副作用、円安等による物価高で、なかなか、生活者の方々の中で大変な状況も生まれてきている。中小企業者さんについても、そういった状況もある。サラリーマンの基本給は十四カ月連続で減少傾向にもある、賞与は別ですよ。

 そういうようなことも含めて、こういう状況の中で、今、このプログラム法の議論によって負担増が先行するという形になってしまうのかどうなのか、場合によっては、充実は先送りということになってしまいかねないのではないのか。こういうタイミングで、来年の四月以降、本当にこのプログラム法の議論によって、我が国の社会保障あるいは経済財政はどうなるのか、それがまさに今この議論にかかっているわけでありまして、だからこそ、十分な質疑の後でという議論が今なされているんだろうと思っています。

 質問に参ります。

 実は、先ほど、我々の同僚委員の質疑のやりとりの中で、私もちょっと、大丈夫かというやりとりがありました。

 大臣、このプログラム法、その先に、しっかりとこのプログラム法に掲げている、特に私は充実のことだと思います、これが実現できなければ、民主党も含めて法律違反だと答弁されたんですね。

 冗談じゃないですよ。しっかりと我々は、充実なくして効率化なし、負担増を国民の皆さんにお願いするのであれば、それは社会保障がよくなるから、充実をするからということで、これまで議論をしてきたわけであります。それができずして、実現できなければ法律違反だという片棒を担がされるわけにはまいりません。

 そこで伺いますが、きょう付、十五日付の資料で、「社会保障・税一体改革による社会保障の「充実」と「重点化・効率化」について」、文書をいただいているんですね。こう書いてあるんですよ。

 「一体改革の枠組みの中にあるかどうかが一義的に明らかでない事項については、できる限り一体改革の枠組みの中になるように、」また、その枠組みの外になる事項についても、「重点化・効率化により削減された財源についてはできる限り社会保障の充実に向けることができるよう」「財政当局に対して主張していきたい」。

 これは、できる限りなんて言われて、それができなければ法律違反だという片棒を担がされるわけにはいかないわけですよ。

 大臣、もう一遍、これは重要なので、確認します。

 充実分が三・八、効率化が一・二、トータルで二・八兆の充実ということが今回の一体改革、そしてこのプログラム法に掲げられているわけですが、先ほど来のアベノミクスの今後の動向も含めて、これは景気動向、国の税収、確かにありますよ、しかし、そういったことによらず、充実の二・八兆。つまり、三・八兆充実しないと二・八兆とれませんからね、一・二効率化すれば。三・八兆の充実、そして効率化をしたら二・八兆。少なくともグロスの充実、これは、景気動向や国の税収によらず、この充実分は必ずやるという理解でよろしいですか。

田村国務大臣 まずは、第二子御出産おめでとうございます。元気に、すくすくとお育ちになられますことを心からお祈り申し上げたいというふうに思います。ずっとイクメン議連で頑張ってきた柚木委員でございますから、さらにイクメンとして御活躍をいただけるもの、そのように期待いたすわけであります。

 今のお話でありますけれども、先ほど、充実しなかったらそれは法律違反になるというようなお話をしたと。

 そうじゃないんです。要は、先ほど、この法律を成立させなかったらどういうことになるんだという話でございましたので、この法律は、要は、推進法に書かれておりますので、一年以内に法的な所要の措置を講ずると書いてありますから、これはやらなかったらその法律に違反するという意味を申し上げたわけでございまして、充実していなかったら我々は片棒を担いだことになるじゃないかと言われる話でありますが、そういう話ではございません。

 あわせて申し上げれば、このプログラム法に御賛成をいただいたからといって、それぞれ出てくる法律に、これは反対だといって反対されることも、それはあろうと思います。このプログラム法に賛成したら書かれているもの全部賛成だというのなら、それはもうあとは審議する必要がない話になるわけでありまして、そんなことを申しているつもりはございません。

 ただ、こういう手順で進める中において、いろいろな議論をさせていただければありがたいということでございますから、それぞれの制度、法律をそのときに、そのときまでにはいろいろな資料をまた用意させていただきますので、そのときにきっちりと御議論をいただいて、いい法律にしていただければありがたいというふうに思います。

 前置きが長くなりましたが、今の御質問ですけれども、整理をさせていただきますと、言うなれば、充実分と、重点化、効率化分、これはそれぞれメニューが書いてあります。メニューに書いてあるものは、重点化、効率化したものは、それは充実の方に回すということであります。

 メニューに書いてないものというものが我々は想定ができないものでありますから、逆に、どういうものがあるか、もし御提案があれば、それに対して検討させていただきたいと思いますが、我々はこのメニューで大体全て読めると思っておりますので、逆に、どういうものが今言われた対象になられるのかということを教えていただければありがたいというふうに思います。

柚木委員 今回、消費税が八パー、一〇パーで、充実、安定化、あるいは財政再建分に充当する。それ以外の、既存の社会保障予算の中で施策を講じてきている三十兆円、そういった部分は一体改革の枠組みの外だという認識であるとしたときに、そういったことも含めて、この一体改革の外のメニューであっても、効率化の中で、一・二兆、あるいはひょっとしてそれ以上、大臣が言われる予防の五兆、そういったことも含めて効率化できた部分は、当然、全体の社会保障予算の中でパイをしっかりと確保していく。

 こういうことをしていただかないと、その部分はひょっとしたら国土強靱化の方に行っちゃいますよとか、そんなことをしたら、何のための効率化、重点化だということになるわけですから、そういう意味で、一体改革の枠組みの外であっても、今回、重点化、効率化、まさにこの一・二兆、あるいは大臣の掲げる予防推進の五兆、そういったことも含めて、できたものについては、当然、社会保障の充実に充てていただける、こういう理解だということで、大臣、これはよろしいですか。

田村国務大臣 予防で医療費が削減されたというもの、二〇二五年の時点でそれが見込めるものに関しては、当然、予防も入っておりますから、この中に。

 だから、私は、逆に、四経費以外でほかに何が想定されるのかがわからないんです。四経費以外は別ですよね、これはもともと。そういう仕切りでしたからね。もともと消費税は四経費でございますから。四経費以外でここのメニューの中に想定されていないものがあったら、逆に教えていただければ、それは検討させていただきたいという話であります。

柚木委員 これは本当に、実はきょうの通告の中にも含まれるので、この時間ではちょっと無理なんですが、例えば、私は本当は、若年者雇用とか、まさに積極的な就労支援策とか、こういったものは、世代間格差の是正も含めて、あるいは少子化とかの対策も含めて、四経費、あるいは場合によってはそれ以上に重要な取り組みだとも思うんですよ。

 ただ、この議論だけしていると時間がないので、それはちょっと改めて、私は、この外の部分について今提案があればと言われましたが、今後提案しますから、しっかりと重点化、効率化できた部分についてはそういうところに充てていただきたい。今後、具体的に提案します。

 私は、さらに伺いたいんですけれども、今回、社会保障の充実、我々は、充実分が少な過ぎるじゃないかということで、最低一兆円、これを実務者協議の中でも六項目具体的に挙げて、充実分五千億ではなくて、少なくとも一兆円確保をして、そして、まさに負担増先行というようなことにならないように、充実なくして効率化なし、こういう視点を我々は提言をしているわけです。

 例えば、この間も議論をさせていただきました、診療報酬引き上げ、あるいは保育士さんたちの処遇の改善も、これは大変重要です。私も、今この瞬間も上の娘を二十四時間保育に預かってもらって、そして、きょう、この質疑が終わったら、入院している妻にかわって迎えに行くんです。人手が足りないから、保育士さんたちの充実も必要です。

 しかし、同時に、介護士さん、介護職員の皆さんの賃金アップ、同じです。これまでも申し上げました。介護だろうが育児だろうが、それによって離職をしなければならない、そして、そういうことが大変だから、それこそ、もう子供も産めない、あるいは老後が不安、そういうことも含めて、介護職員の皆さんの賃金アップ。

 さらには、きょうも議論がある、小児がん、難病患者の皆さん。新たな対象を拡大するのはいいんです、しかし、今、難病の方々がなぜそこで自己負担増になるのか。この自己負担アップについては中止をして、財源をそのために充てるんだ。

 さらには、今申し上げましたが、保育士さん、これはまだまだ、人員の配置基準などの引き上げによって、特に、小さなお子さんたちに対する保育の質の向上の部分についての配置基準の引き上げ、こういった部分、保育の質の向上に充てていただきたい。

 そしてまた、非正規雇用の問題。先ほど積極的な就労支援と申し上げたのはこういう意味でもあるんです。そういった方々に対しての年金あるいは医療保険の適用拡大。さらに言えば、ここの質疑でも私は申し上げました、例えば、育児休業給付金、こういったものの対象にもしっかりと入ってくるような、こういったことで一兆円以上を充実に充ててほしいといったことを申し上げてきたわけであります。

 ぜひこのプログラム法案、負担増先行、充実先送りということにならないために、負担増は、充実があるから皆様に御無理をお願いするのであって、そういった意味において、この六項目についても、ぜひこのプログラム法案、盛り込んでいただきたいんですよ、大臣。その上で採決していただきたいんですよ。大臣、いかがですか。

田村国務大臣 ちょっと議論を整理いたしましょう。

 充実のために消費税を上げるか。これは充実のためだけじゃありません。安定化ということに非常な危機感をお持ちになられたから、私は、菅総理があのときに、突然、消費税を上げようと言われたんだと思いますよ。

 あのときに、社会保障の充実の話は余りされなかったと思います、私の記憶では。しかし、それだけ、民主党も、政権を握られて、今の財政状況、社会保障費の伸び、こういうものを勘案したときに、もう消費税を上げないと社会保障の安定性というものが保てない、そういう責任感から私は菅総理があのような御判断をされた、そして、それがその後、野田総理へとつながっていった、こういう話だったというふうに思うんです。

 ですから、そこは、充実は充実でやらなきゃいけないところはあります、しかし、社会保障の安定性が壊れたときには、充実どころじゃなくなっちゃうんですよ。だから、そこはめり張りが必要です。

 そして、難病の話も、負担がふえる、だからだめだ、こういう議論じゃないと思います。それは、やはり一定の財政的な制約がある中で、言うなれば、枠を広げる、仲間がふえる、そのときには一定の負担も仕方がない。ただ、それが余りにもふえ過ぎたら生活ができないから、そこが、どれぐらいの負担がいいのかという御議論を今対策委員会でやっているわけであります。(発言する者あり)

 そこは、ついこの間までは民主党の委員もそうやっておっしゃっておられましたから、今、山井議員は違う意見に変わられたようでありますけれども、共有されていると思うので、そこのところはちゃんと共有をさせていただきたいというふうに思います。

柚木委員 大臣が、財政の安定性、もちろんそうですよ、そのために使う部分の方が本当は多いわけです。でも、国民の皆さんは、安定性ももちろんですけれども、社会保障がよくなると。少なくとも、消費税が上がって負担ばかりがふえるとは思っていないわけですよ。

 ですから、これは当然、充実も安定化もセットで、仮に大臣の言葉を組み入れて言えば、充実、安定化なくして負担増なしなんですよ。

 そして、私、その後のことが問題ですよ。その財政の安定性が壊れたら充実どころじゃなくなると言われますが、我々が何で今回、この法案に問題があるのか。まさに、消費税の引き上げとセットで、景気対策五兆円、国土強靱化二兆円、復興法人税の廃止は前倒し。事実上、そのお金が社会保障の負担増に、影響を受けてしまうということを心配して、入ってくるお金は一つの財布の中ですよ、消費税もその他の税収も。出ていくときに、もともとの社会保障全体の財源が影響を受けてしまうということを我々は心配して、この間、大西委員もああいう指摘をしたわけですよ。

 そんな中で、財政の安定性が壊れたら充実どころじゃないなんて言われても、財政の専門家たちは、今のこの国土強靱化がどんどん進んでいくような方向感でいけば、これはこの間、小黒先生もここで参考人でお話しされていましたけれども、財政的な児童虐待という言葉まで今出てきているような、そういう危機感の中でやっているのに、財政の安定性がそれで壊れたら充実どころじゃないなんて言われて、そんなことあっていいわけないじゃないですか。

 だったら、社会保障の財源を確保するために、見込みの税収が減ったら、国土強靱化の予算をカットしてでも充実分の二・八兆は絶対確保すると言えばいいじゃないですか、大臣。どうなんですか。

田村国務大臣 今般のいろいろな景気対策は、経済を、とにかく回復基調を維持するためのものです。そして、それは税収を確保するためであって、財政再建のためにやるんですよ、これは。

 だから、そこは御理解をいただかないと、あなた方も経済財政政策は私は失敗したんだと思います。我々も失敗した、それ以前。だから、今、新しい方法で何とか成長する経済に持っていって、社会保障は経済がマイナスであっても伸びますからね、だから、そこはちゃんと、社会保障の費用がふえるのならば、それに合わせて経済も成長し、税収もふえていく、そういうような経済環境をつくらなかったらもう社会保障は持続可能ではないという中において、今般、消費税を上げても経済が回復基調を続けられるようにというものでございますので、延々とこんなことをやり続けるわけではございませんから。

 そこは御理解をいただきながら、何もかも財政再建のためにやっているわけでございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

柚木委員 この間、一千兆円を超える借金が積み重なって、そして、どれだけ公共事業でその借金が積み重なってきたんですか。だったら、なぜ、生まれてきた子供たちが、生まれた瞬間に八百万円も借金を背負って生まれてこなきゃいけないんですか。結果がこういう形で出ている中で、財政をよくするんだと言われても、では、この歴史をどうやって評価するんですか。

 私たちは、だから、いろいろな批判がありましたよ、でも、コンクリートから人へと、そしてその結果、出生率は我々の三年間で上がりましたよ。高校をお金のことが理由で途中でやめる方は半分まで減りましたよ。自殺者だって三年連続減って、十五年ぶりに三万人を切るところまで来ましたよ。そこは我々は、あれもこれもはできないんですよ、皆さん。あれかこれかで、選択と集中でやらなきゃいけないんですよ。そういう中で我々は、命を守りたい、だからこそ、戦後初めて文部科学省の予算が国交省の予算を上回って、社会保障の予算も確保して、そして、我々だってここまでやってきたわけですよ。

 だからこそ、今ここで、社会保障のプログラム法案、私は、もう時間がありませんから、最後のこれは重要な質疑、未来の世代へ向けて、世代間不均衡の是正、次世代支援、これが本当にこれから進んでいくのかどうなのか、資料に書かせていただきました。

 例えば、子供の貧困問題。ここに書いておりますように、所得再分配後の子供の貧困率が日本は最悪なんです。むしろ、ほかの国々に比べると二倍、三倍と貧困率が高くなっているんです。そして、一般世帯と生活保護世帯の子供の高校進学率は、半分なんです。

 こういう状況があって、子どもの貧困対策法が成立をして、これから専門家の皆さんの議論、そして大臣も入ってのこの会合の中でこういった状況への対応を決められていきますが、一点伺いたいのは、私は、まさにこういった貧困対策についても具体的な数値目標を掲げて、例えば、この再分配後の貧困率についてはどれぐらいの目標をいつまでに達成する、高校進学率についてもいつまでに何%ぐらいまでを目指すとか、そういったことを掲げていただきたいと思います。

 もう一つ、時間がないので言いますが、二枚目に書いてありますように、所得格差、男女間格差、あるいは社会的つながり、包摂の取り組みもあります、こういったことが、非常に今、日本の課題です。

 そして、次のページ、未来の世代への予算の拠出。

 二〇〇七年、下のを見ていただくと、日本は、大体OECDの平均が二ポイント弱ですから、その半分、三分の一強ぐらいしかこれまでの間は家族関係支出にウエートが割かれていなくて、我々の政権になって子ども手当、もちろん十全ではなかったですが、そういった取り組みもやったことで多少改善傾向にありますが、それでもまだ半分程度です。

 ぜひこの家族関係支出についても、例えばOECDの水準を目指す、こういう目標を掲げて例えばこのプログラム法の議論をするならまだしも、残念ながら、八%段階で三千億、満年度でも七千億から一兆円、こういう状況の中では、まだまだ次世代支援、維新の会の皆さんもおっしゃっていますよね、改革が不十分。こういった側面もこういう点にあらわれている中で、そのことがプログラム法の中にしっかりと掲げられて議論をされているならまだしも、そうなっていないんですよ。

 ぜひ大臣、今申し上げた子どもの貧困率、あるいは次世代支援、目標を設定して、そして全世代型次世代支援、未来の子供たちに、本当に夢や希望を持てる、そういった絵姿を掲げていただきたいと思いますが、いかがですか。

田村国務大臣 事実誤認がございます。

 建設国債がふえているものと、赤字国債のふえ方、赤字国債の方が圧倒的に多いです、調べてみてください。赤字国債は社会保障です、ほとんど。公共事業は建設国債です。財政悪化した一番の理由は社会保障だったんです。だからこそ、消費税を上げなければ持続可能できない。調べてみてください。数字を見てください。

 そして、今の部分も、ずっとお話をさせてきていただいたと思います。

 これは、子供の貧困対策で法律をつくられたときに、数値目標じゃなくて指標にしようと。子供の貧困率に関して、これを目標にすると、そもそも、今回の七千億円、一兆円、今いみじくもおっしゃられました、これを幾らやっても貧困率は上がりません、現物でありますから。そうなれば、現物サービスの充実がインセンティブがなくなっていく可能性がある。

 だから、そう考えると、やはりここは、子供の貧困率は指標というような形で、いろいろな指標がこれからありますから、子どもの貧困対策会議の方でこれからこれをまとめていくわけでございます。これはまさに委員も入られてこの法律をつくられたわけでありますから、この法律の趣旨にのっとって、子供の貧困率というのはその指標のうちの一つということでこれから貧困対策に取り組んでいただければありがたいと思いますし、我々もしっかりと対応してまいりたいというふうに思います。

柚木委員 終わりますが、今、これからまとめていくということをおっしゃったわけですよ。

 まさに、これからまとめていくことをしっかりと、充実についてちゃんと議論ができた上でこのプログラム法も成立をした上でというならわかりますが、それはこれからやる。充実の方はまだこれからやる、しかし、負担増の方はここでしっかり決める、こういうことであっては、やはり国民の皆さんは何かだまされてしまったというような感じに私はなりかねないと思いますよ、本当にこれは。

 未来永劫、消費税が、では一〇%から上がるか上がらないかは一つの議論でしょう、しかし、それが社会保障の充実にちゃんと回る。例えばスウェーデンとかでも、消費税は高いけれども、その分ちゃんと還元される、あるいはそれが現役世代に充実をされる、だからこそ理解もされているということです。

 我が国は政治行政への信頼が低い、だからこそなかなか理解が進まないという状況の中で、充実は先送り、負担増先行、そしてもっと言えば、議員定数の先送り、削減が先送り、天下りは解禁、もっと言うと、世代間格差の是正はまだまだ不十分、そして、難病患者の皆さんにとっては、これがひょっとしたら命の切り捨て法案にならないかと心配されている、こんな状況の中で、ここでまさか採決ということが私はあってはならない、そのことを国民の皆さんの立場に立って申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今、民主党さんの質問をまた聞かせていただいて、私はやはり大臣の側に立ちたいなというふうに思います。

 何がこの今の議論に足りないかというと、大臣は再三おっしゃっているわけですけれども、やはりマクロ経済に関する理解だと思うんですね。

 もちろん、私も、厚生労働委員会で仕事をさせていただいていますから、医療、介護、福祉、この充実の大切さ、充実の必要性、これは誰よりも訴えてきているつもりであるし、それは理解をしています。しかし、経済全体が落ち込んだら、医療、介護、福祉の支えでやっておられる方も含めて、国民全体が塗炭の苦しみにあえぐ、こういう経済とか社会に関する基本的な理解がないと、なかなか今のアベノミクスというのは理解ができないと思います。

 だから、私は、今、民主党さんがおっしゃられたような議論をここで大臣とするつもりはありません。もちろん、改革が足りないかなということはあって、その思いは十一月一日の本会議でももう既に申し上げておりますので、それについてもここで繰り返すつもりはありません。

 社会保障プログラム法案については言いたいことはいろいろある、それについては本会議で申し上げた。だから、私は、言いたいことはあるが、社会保障プログラム法案については賛成の立場でありますが、党としてはいろいろ議論があって、反対だということだそうであります。なぜ私が社会保障制度プログラム法案に賛成かというと、これはやはり一歩前進だと思います。田村厚生労働大臣のリーダーシップでよくここまで持ってこられた、さまざまな改革の弾が入っていると思います。

 ただ、財政の問題とか、あるいは社会保障の今後、少子高齢化の現実、そういうことを踏まえると、私は、改革のスピードはやはりもっと上げた方がいい、こう思っていますが、ここまでやるのも大変だと思うし、これから自民党内の、与党内のいろいろな議論もあるので、私は一歩前進だと思っていますが、日本維新の会として反対の理由は、また後で、別の委員から申し上げることになると思います。

 きょうは、私は徳洲会の話をします。

 自民党、与党の委員の方々は、もう徳洲会の話はいいかげんにしろということだと思いますが、私、これも民主党さんのように、大臣室がどうとか議員会館でどうとかいうことに関心はありません。それは、適宜また民主党さんとやっていただいて、ただ、今回の徳洲会の問題は徳洲会の問題にとどまらないと私は思っているんです。(発言する者あり)そうですよね。大西先生とはいろいろ仲よくやらせていただいていますので、民主党にも……(発言する者あり)時間ないですね。急ぎます。

 徳洲会の問題は、私は、医療界全体の問題としてしっかりと厚生労働省は受けとめる必要があると思います。なぜこんなことが起こったか、私は再三申し上げている。

 本会議でも、ミクロの改革として必要な二大テーマは情報化と会計基準だと言った。医療法人は会計基準がないんです。きょうマスコミの方もいらっしゃっていますから改めて申し上げるが、日本に数ある法人制度の中で、会計基準をいまだに整備していないのは医療法人だけ。

 平成十七年に、今原発ゼロをおっしゃっていますが、私は原発ゼロについては反対ですが、小泉総理の時代に医療制度改革大綱というのをまとめられた、閣議決定をした。この中に、医療法人に必要な会計のあり方については検討すると書いてあるのに、何年もたったいまだにそれができていないことは再三ここでも指摘をしてきた。この問題と徳洲会の問題は、私は関係があると思っているんですよ。大臣、その点どうですか。

田村国務大臣 今般の、病院のお金がいろいろな選挙に流れたという報道があります。真相はちょっと私も、捜査中でわかりません。あくまでも報道ベースの話でありますけれども。

 そういうお金の使い方というものが、会計基準がないという中において、チェックがなかなか入らないという中でいろいろな使い方がされたとするならば、委員のおっしゃっていることは、私は、一つの考え方、一理あるというふうに思います。

足立委員 まさに、いわゆる会社の世界ですね。

 私、経産省におりましたのでそればかりやっていたんですけれども、会社の世界には会計というと三つあるわけです。要すれば、金商法の世界、金融庁がいろいろやっています、それから法務省がつくっている会社法の商法会計というもの、それから国税庁、きょうも国税庁においでをいただいておりますが、いわゆる税務会計。

 医療法人は法人税をお支払いいただいていますから、当然、国税庁は税務会計の観点から税務調査もしておられるはずでありますし、さまざまな医療グループにかかわられている公認会計士あるいは税理士の皆さん方は、それにかかわられて書類をつくっているわけです。しかし、私が承知している限り、医療界は最低限の税務会計をやっているだけ、これが現実だと思っています。

 ちょっとこれは前後がひっくり返りますが、例えば、医療界はさまざまな医療機器を使いますね、リースで運用したりいろいろしています。会社の場合は、そういうリースあるいは退職給付、こういったものはオンバランスさせるのが常識なんです。なぜ常識か。それをオンバランスさせ財務諸表に載せておかなければ、銀行がお金を貸すときに、倒れそうなところに貸しちゃうということになって債権者保護ができない。当たり前のことが、今、医療界ではどうなっていますか。

原政府参考人 お答えいたします。

 医療法人、病院等一般と考えていただいたらいいと思いますが、高額な医療機器などについてはリースの手法を活用されております。ただ、会計上の取り扱いについては、御指摘のとおり、そのリース会計を別建てにしているところもあればそうでないところもあるという状況でございます。

足立委員 具体的な数字をお持ちですか。ない。

 私も、厚生労働省に聞いても何も出てこないので、ちょっといろいろ調べてみました。いろいろなものがあるんですけれども、一番興味深かったのは、日本公認会計士協会が医療法人の財務分析に関する報告書というのを、これは、ごめんなさい、事前にお渡ししていませんので、もうこっちでしゃべりますが、いろいろな分析をしています。

 この報告書は、医療法人会計基準を早くつくりましょうという報告でございますが、例えば、退職給付について引当金を積んでいる、これは大病院を調べたんです。大病院を調べて、選定した特定医療法人、大きなところから上位二十医療グループを取り上げていまして、その中には、当然、徳洲会も含まれております。

 その中で、病院が幾つかある中で、退職給付引当金をそもそも計上しているのは、ここの数字でいうと、計上しているのが十、計上がないのが二十三と出ています。この報告書は、その数字を見て、引当金の計上が不必要な法人が、まあ、それは不必要な法人もあるでしょう、不必要な法人がこれほど多数に上るのかどうかは疑問である、おかしいじゃないかと言っているんです、日本公認会計士協会が。

 こういったことも、政府の中で一体誰がこれを監督しているんですか。

原政府参考人 医療法人の会計については、当然ながら、厚生労働省が担当することになりますけれども、御指摘のように、会計基準そのものが医療法人全般についてはございませんので、これについては、国民にその財産等も含めて情報を明らかにしていくという意味でも、会計基準を早急につくりたいというふうに考えております。

足立委員 なぜ、平成十七年に検討を始めたのに今までかかっているんですか。

原政府参考人 昨日もお答えをいたしましたけれども、小泉政権時代に、つくろうということで、その検討会を、いわゆる四病協、四病院団体協議会の方でつくっていただきまして、検討を進められておりました。

 ただ、その当時、同時に医療法人全体の改革の議論が進んでまいりまして、例えば特定医療法人などの制度がちょうどできたころでございました。その関係もございまして、その議論が一旦とまったというふうに聞いております。その後、再開されまして、今現在、鋭意作業を進めていただいているという状況でございます。

足立委員 今、医政局長の方からも、きのうという話がありました。実は、この同じテーマ、きのう経済産業委員会でもやらせていただきました。これは、いわゆる成長戦略の関係ですね。

 ヘルスケアの分野は、これから日本の成長を担う大変重要な分野だと皆様方も認識をされていると思います。私は、本会議で、成長戦略の観点から、これをしっかりした方がいいよ、こう申し上げたわけであります。だから、徳洲会みたいなネガティブな話を取り上げるつもりはもともとないんです。これからは、この世界が、医療、介護、福祉の世界が、大きく豊かに、実りある形で、国民の皆様に奉仕をしていく世界として広がっていくためには、こういうおかしなことはもう早く直した方がいいんじゃないですか、これは成長の前提ではないですかということを申し上げたわけでありまして、きのうもその点を取り上げたわけであります。

 検討します、検討しますというところについて、大臣からも、先日、年内にはということでおっしゃっていただいていますので、今度こそは年内に取りまとめられると承知をしていますが、ぜひ、これは厚生労働省として、しっかりとヘルスケア分野の適正化に向けて御努力をいただきたいと思います。

 ちなみに、社会福祉法人については会計基準があります。医療法人だけが踏ん張っているんですよ。恐らく、まあいろいろあるでしょう、計上していないものが表に出ると銀行がお金を引き揚げてしまうとか、いろいろな議論があります、経営は。それはそれで開示をして、不良債権のときと同じです。

 医療界にもし問題があるのであれば、医療界は、ちょっとこれは私見ですけれども、診療報酬の世界でしょう。基本的には、同じ枠組みで日銭が入ってくるわけです。すると、経営力に差がある。経営力には必ず差があります、釈迦に説法ですけれども、医療というのは民間産業なんです。社会福祉法人はもともと措置の世界から来ているので、もともと公的世界です。

 医療はもともと、きのうもやったんですよ、中小企業庁長官にお越しをいただいて。なぜ、中小企業政策の中でも信用保証制度は医業を対象にしているのかといえば、これは歴史的経緯があって、昔、医業は純粋民間産業だったんです。そこに皆保険制度がつくられたという経緯があるから、もともと民間なんです、純粋に。

 ところが、会社の世界がどんどんどんどんイノベーションを繰り返し、グローバル経済の中で、どんどんどんどん政策もイノベーションしていった。法務省と経済産業省が累次、会社法の改正を繰り返し、国税庁、財務省も税法をイノベーションしていった中で、この世界だけはもうずっと五十年前、六十年前のまま、零細企業と同じような取り組み、管理を、世界進出も果たしつつある徳洲会はずっとやってきた。それを見てきたのは国税庁だけで、今伺っていると、どうも厚生省はほとんど何も見ていないんじゃないですか。

 例えば、徳洲会グループについて、この全体像を把握していらっしゃいますか。よく新聞でも、何法人、何施設とあります。いわゆるMS法人まで含めて、全部把握していますか。

赤石大臣政務官 お答えいたします。

 徳洲会グループにおいて、病院、診療所または介護老人保健施設を運営している法人は、医療法人が十六法人、そのうち社会医療法人が二法人、特定医療法人が一法人。そして、社会福祉法人が二法人。そして、消費生活協同組合が二法人というふうに承知をしております。

 また、徳洲会グループの営利法人は十法人と承知しております。

 以上です。

足立委員 この関連会社十法人、これはどういう基準で選んでいるんですか。

原政府参考人 お答えします。

 これにつきましては、徳洲会の方から任意に、関係法人ということで御報告をいただいているということでございます。

足立委員 それは、基準がないということですか。

原政府参考人 御指摘のとおり、基準を持って報告いただいているわけではございません。

足立委員 これも、会社の世界ではあり得ないですね、あり得ない。

 これは、申しわけない、田村大臣はずっとこの世界を仕切ってきていただいているので、何度も申し上げて……(発言する者あり)ごめんなさい、ずっとお詳しいプロでございますが、かつ、この委員会でも何度も田村厚労大臣には尊敬申し上げていると申し上げてきましたが、この点だけは田村大臣も余り十分注視をしてこられなかったかもしれないけれども、今回の徳洲会の事件、私はその事件自体に余り関心はないんです。これから医療法人の世界をどうしていったらいいんだろうかということを、本当に私も考えています、悩んでいます。

 今おっしゃった十の関連会社、基準がないんです。徳洲会グループがこれはうちのグループですと言った会社が関連会社なんです。それでいいんですか。

原政府参考人 御指摘のとおり、徳洲会本部から報告いただいただけの情報しか持っていないというのは現実でございます。

 ただ、資本的に株式会社を支配するとかそういう関係については、そういうことは、医療法人が支配するということはあり得ないと思っておりますので、そのための基準というものはつくっているわけじゃないということです。

足立委員 これは本当に大事なことで、実は私、この委員会で、非営利法人と営利法人は、非営利法人だから健全だという厚生労働省の基本認識は間違っているということを何度も言ってきました。もちろん、小さな会社で、営利法人でも非営利法人でもいろいろなところがある。でも、ぜひ厚生労働委員の皆様も認識を新たにしていただきたいのは、営利の方が健全な場合もあるんです。

 なぜ健全か。資本関係を通じて全部開示されているんですよ。持ち分、要は、関係を持つときには出資をする、そして、その連結の財務諸表を全て開示することが、金商法、会社法、そして税法の中できっちりと規定されていて、細目までも、大変なルールの固まり、何十年にもわたって積み重ねられてきた規範があるんです、会社の世界には。その規範の上に営業している会社は、何かポケットに物を入れるから、それは悪いことをする可能性がある、だから非営利法人なんだ、そういう認識は私は間違っているとずっと申し上げてきました。

 実際、この徳洲会においても、もう報道をここで一々読み上げませんが、関連会社の役員報酬という形で親族に大金が還流をしているんです。医療法人は莫大な、今この徳洲会グループについても、医療法人徳洲会だけで二〇一三年の売り上げは千八百五十三億円、利益が九十四億円。その利益はどこに行っているんですか。もちろん、営利の世界と同じで、再投資に回されます。

 徳洲会の事業規模、この数年の推移はどうなっていますか。

原政府参考人 徳洲会グループ全体の事業規模の推移については把握しておりませんけれども、厚生労働大臣所管の医療法人徳洲会、それから特定医療法人沖縄徳洲会の二つにつきましては、事業収益の過去三年間の推移は、合わせまして、平成二十二年度で二千五百四十七億円、平成二十三年度が二千七百四億円、平成二十四年度は二千八百四十七億円となっております。(足立委員「もうちょっとさかのぼって」と呼ぶ)

 今、手元に持っているのは、二十二年度からのものだけでございます。

足立委員 報道等にも出ていますが、今、大変拡大を続けてきて、海外にもさまざまな投資をしてきている。

 きょう申し上げたような管理しか、要は誰も監督をしていない。そうですよね。厚生労働省が知らないんだったら、誰も知りませんよ。国税庁が税務の観点から、税務会計の観点からやっているだけ。

 徳洲会グループの銀行等からの借り入れは幾らありますか。

原政府参考人 お答えいたします。

 徳洲会グループの銀行等からの借り入れでございますが、今ほど申し上げました、全体は把握していないということで、今、大臣所管の二法人につきましては、借入金、過去三年間、平成二十二年度千五百八十六億円、平成二十三年度千三百十四億円、平成二十四年度千三百五十三億円となっております。

足立委員 本当に、今おっしゃった数字は一部ですよ、一部。厚生労働省が直接うちが所管をしていると思っている範囲です。

 ところが、さっき申し上げたように、関連会社十社、その十社も含まない数字ですよね、多分。そうです。だから、関連十社さえ管理をしていない。加えて、関連十社を選ぶ基準も持っていない。すると、徳洲会が自己申告でうちの関係会社ですよと言ったところだけを見て、存在は知っている、その中身は知らない。

 大臣、申しわけないですけれども、これはいかがですか。

田村国務大臣 おっしゃるとおり、多分、グループという基準がないんだと思います。

 そもそも、持ち分があればある程度はわかるんでしょうけれども、持ち分のないところは、理事会の構成であるとか、そういうところ、また、人的な支配力みたいな、それは何かというと、医療法人をつくり上げていく中での活躍度といいますか、汗をかき、お金を出したみたいな、そういうような中において、人的支配力で言うなればグループなるものの存在みたいなものがあるわけであって、資本があるわけではございませんので。

 そもそもグループという定義自体がしっかりしていないという中でございますから、それは、委員がおっしゃられている意味も一理はあるというふうに思います。

足立委員 大臣は一理とおっしゃいますが、十理ぐらいあると思います。

 これも、ちょっともう時間が余りありませんから、指摘しておきたいのは、私はいい人間だと思っているんですけれども、私が悪い人間だったら、これはいろいろなことができますよ。

 要は、医業というのは、例えば病院がありますね。病院の建物、これは医療法人が持っているところも多いですが、徳洲会はこれを流動化しようとしていました。もう、しているのかもしれませんが。

 流動化するということは、その建物の所有は外の会社に任せるということです。だから、徳洲会は建物管理の会社も持っています。わかりますか、言っていること。要すれば、医者が医療行為をするところだけが医業なんです。あとの、いろいろな資材の供給とか、あるいは建物、食事、さまざまな医療サービス、そして関連事業、全て外に出すと、医政局長の知らない世界になるんですよ。いいですか。

 そして、今大臣がおっしゃったように、では、グループをつなげるきずなは何か。二つしかないんです。人間関係と取引関係の二つだけ。いいですか。

 だから、どうも何か、徳田理事長が退任をされた後、関連会社の役員に親族を全部つけた等の報道がありますけれども、わかりますか、徳田理事長が医療法人の理事長を退いたその後に、報道で見る限り、親族を関係会社の社長にばあっと張りつけたわけですよ。これが非営利法人の支配形態なんです。悪いと言いませんよ、非営利法人はそれしかないんだから。

 だから、私は、必ずしも非営利法人というガバナンスが健全性を意味するのではないんだ、トヨタ記念病院の方がよっぽど健全だ、こう申し上げているわけでございます。

 余り後ろ向きのことばかりやっていても悲しくなりますので、もう一つだけ関連のことで取り上げたいと思います。

 その前に、国税庁にきょうは来ていただいています。

 国税庁は、今も大変お忙しいと思いますが、今申し上げたように、私が仄聞するところによると、特に税務調査を受ける側の体制は、医療グループの体制もしかり、それを監督している役所の体制もしかり、非常に心もとない状況にあるわけですが、こういう税務会計の現状において、これは本当に法人税等の課税の公平は保たれているのか、国税庁のお立場で御答弁をお願いします。

岡田政府参考人 お答えをいたします。

 特定の医療法人ということになりますと、ちょっと守秘義務の関係がございますので、一般論ということで申し上げます。

 国税当局におきましては、納税者の適正公平な課税を実現するという観点から、法定調書のほかに、税務職員が独自に課税上有効な各種資料情報の収集に努めております。

 法人の方から申告書が出てまいりますと、申告書及び申告書附属書類だけではなくて、こういった資料情報とあわせて分析をいたしまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正公平な課税の実現に努めているところでございます。

足立委員 今御答弁いただいたように、国税庁は独自の調査をして、実際に報道を見ても、国税庁の指摘でとまった案件、国税庁の指摘で修正された案件、この徳洲会についても幾つかあるようであります。

 しかし、それは税務調査なんです。私が厚生労働省にこの厚生労働委員会で申し上げているのは、厚生労働省としてちゃんとルールを、規範をつくってくださいということを平成十七年から言い続けてきたわけです。さっき申し上げた商法会計に相当するものが、会社法が会社に求めている規範が、この医療法人の世界にはまずゼロである、全くない。積み上がる規範が、何十年にもわたってつくられてきた規範が、この世界にはゼロだということです。

 最後に、これが、こういう状況だと何が困るかというと、私は別に徳洲会をとっちめたいとか、何か厚生労働省をとっちめたいとかいうことは全くありません。関心がないです。それはつかさつかさでやってください。

 私が関心があるのは、冒頭申し上げたように、また、田村大臣も民主党の質問に対してお答えになったように、大事なのは成長なんです。そして、医療のヘルスケア産業の、産業と言うと怒られるんですね、ヘルスケア分野の健全で適正で、そういう公正かつ適正な医療のあり方なんです。そして、その世界が広がっていく。

 そのためには、これだけ膨大な産業、膨大な大きくなった世界、私は、当然、いわゆる会社の世界における分割、合併等の再編だってあるだろう。

 さまざまな医療の機能がこれから分化をして、それがまた、医療の機能分化の中で、あるいは医療と介護の連携、介護と福祉の連携、地域において地域包括ケアシステムというものをつくっていく、それを市町村あるいは都道府県でまとめていく、そして、都道府県単位での保険者がそれを情報化を通じて管理していく、そういう壮大な絵を、田村大臣筆頭にこれからつくっていっていただく必要があるわけであります。

 例えば、会計基準がないことがそれにどう影響するのかといえば、例えばあの病院の、例えば徳洲会のあそこは非常にいい、徳洲会の経営はずさんだったけれども、徳洲会の持っている離島のケア、この機能は不可欠だから、別の法人がそれを引き受けるとか、いや、知りませんよ、そういうことがあるかどうかは知りませんが。

 あるいは、先進医療の、先進的な機能を持っている医療機能を統合して、A病院とB病院とC病院の先進機能を合わせて一大先進病院をつくるとかいうときに、必ず組織再編が必要になります。

 これも前回も申し上げたかもしれませんが、会社法の世界では、大変精緻な制度、それは組織再編の規定であったり、あるいはそれにまつわる税法が整備をされている。ところが、医療法の世界は、やっと今回、社会保障プログラム法案に、医療法人間の合併だけは何とかしようと書いてある。しかし、再三申し上げているように、病院を持っている法人は医療法人だけではない。社会福祉法人立の病院もあれば、学校法人立の病院もあるから、あるいは営利と非営利を超えて、さまざまな医療法人間の異種合併あるいは分割、そういった組織再編規定を早期に整備をし、その関係の税制も整備をしていく必要があると思います。

 一応、せっかく国税庁にもおいでいただいたので。

 今、この非営利法人の世界における、まず、合併規定は少なくとも法律には規定がないということは承知をしていますが、税制上どうなっているか、御教示をください。

岡田政府参考人 お答えをいたします。

 合併に際して税法上問題になりますのは、吸収合併される法人の資産の譲渡損益がその時点で時価で認識され、計上され、課税関係が生じるかどうかということになるかと思います。この点につきましては、税法上に規定がございます。

 一般論ということで申し上げますけれども、出資のない法人同士が合併した場合に、税法上に定められた特定の適格要件を満たしているときには、合併によって移転する資産については、その時点で認識することなく、税法上の課税関係は生じないということになっております。

 具体的にどういうようなことが税法上の適格要件になるかというのは、いささか長くございますので、簡単に申し上げますと、例えばということで申し上げますけれども、合併法人と被合併法人との間に事業関連性があること、あるいは、被合併法人の事業が合併後も継続して営まれることなど、幾つかの要件がございまして、これを満たすことができれば課税関係は生じないというような形で税法上に規定がございます。

足立委員 今おっしゃられた規定は、これは非営利法人のためにつくられた規定ですか。

 それから、そのいわゆる共同事業要件等は、これは営利の世界と同じですね。改めて。

岡田政府参考人 合併関係の規定は、合併する側と吸収合併される側との間の資本関係がどの程度あるのかによって基準が分かれておりますので、営利法人であるとか一般法人であるとかということではなくて、一般的な規定として置いてあります。

 その中で、出資のない法人に関しましては、これは資本関係がございませんので、全く資本関係がないということでどういう要件が課されているかという規定のされ方になっておりますので、いずれの法人に対しても共通に課されていくということになります。

足立委員 今おっしゃられたように、これは共通の基準で、いわゆる共同事業要件、会社の世界では、これは大変重要な要件なんです。この要件によって適格、不適格が決まり、それによって合併時の課税が決まるんです。課税がされるかされないかが決まるんです。

 この共同事業要件をよく勉強していただいて、しっかりこういうものを勉強していただいて、これが共同事業性の一つの規範の例ですよ。これは税法の世界でありますが、税法、会社法、そして金商法の世界もしっかり勉強していただいて、制度イノベーションをお願いしたいと思います。

 私は、きょう、いただいた時間を使わせていただいて、徳洲会グループの問題は、徳洲会グループの問題にとどまらない、これは厚生労働省の問題だ、そして、ネガティブな話だけではなくて、これは日本の成長にかかわる重要なことなので、厚生労働省が自分の問題として正面から取り組む必要がある、こう指摘を申し上げました。

 最後に、大臣から、きょうの一連の質疑をお聞きいただいて、御見解をお願いします。

田村国務大臣 なかなか講義が難しかったものでありますから、理解できていない部分もありますが、合併の規定はあるようでございます。ただ、分割の規定がないようでありますけれども。

 今のお話をお聞きいたしておりまして、やはり医療の会計基準というものを早急につくっていかなきゃならぬなと改めて感じました。

 一点だけ、ちょっとここは委員とは意見が合わないんですが、我々は、株式会社が悪いことをする、そう言っているわけじゃありません。徳洲会を言うわけではありませんけれども、それは医療法人だって悪いことをするところは出てくるわけでありまして、問題は、やはり株式会社は利益を上げることが一番の目的であるわけであって、それを株主にしっかりと還元する。そのためには、合法的に稼がなきゃならないという使命があるわけであります。なるべく利潤を最大化しようと。

 医療法人等々、言うなれば、非営利法人はそういうところがないわけでありまして、その部分で、合法的に利益を最大化する中において、本来必要じゃないような医療というものも提供されていく、そのような可能性はあるのではないかということで、なかなか株式会社に参入を認めるわけにはいかないという考え方があるということでございます。

足立委員 もう時間が来ていますが、合併に関する規定は、恐らく通達で行われているだけで、法律では……(発言する者あり)法律にもある、では、ちょっと後で確認しますが、いずれにせよ、プログラム法案でそれはやるということになっている。

 それから、会社についての理解は、まさに違います。会社についてそういう理解は、私に言わせれば一面的でありまして、会社というものはそんなに薄っぺらなものではないというふうに私は思います。

 いずれにせよ、この会計の分野での厚生労働省の取り組み、速やかで、かつ包括的な取り組みをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、新原秀人君。

新原委員 日本維新の会といたしましては、このプログラム法案に対して非常に、意見が二分しております。

 一歩でも前進することはすばらしいことじゃないか、期限を切って、やることも決めるということ自体は全然悪くないことでありますしという考え、同じこと、同じ面で言っているんですけれども、もう一方の反対側は、いや、これでは、我々の言っている例えば年金の積立方式なり、一年先、二年先に延ばすような法案でいいのかというふうな、いわゆるスケジュール的な問題、まだまだ医療についても改革していかなければならない、このままでは賛成するわけにもいかないという、そういった二つの意見が出て、けんけんがくがくとしております。

 そういった中で、私の立場からちょっと質問をさせていただきたいんですけれども、まず、社会保障給付費ということで、社会保障関係費は約三十兆円と言われておりますけれども、特別会計、地方会計を合わせて二〇一三年度予算ベースでは百十・六兆円ということで、国のGDPの四分の一に膨れ上がっているという状況なんです。

 また、社会保障給付費自体は年間三兆円から四兆円のペースで拡大、自然増をしており、消費税をたとえ上げたとしても、ほんまにこれは八%、一〇%でもつのか、上げたところでこれは焼け石に水と違うのかというようなイメージも受けるんですね。

 だから、自然増をどういった形で財務省は処理していくのかということも明らかではないですし、そういった中で、このプログラム法案によって、一年、二年先にそういったことを、引き延ばしという言い方は悪いかもしれませんけれども、結局、一、二年でまた考える。考えている暇といいますか、もっともっと、走りながら、やりながら考えて、タイムリーに出していかないとだめではないかなというふうに思います。

 その中で、結局、社会保障費をうまいこと回していこうと思えば、出ていく給付費を減らすか、それとも、皆さんから集める負担を引き上げるか、このことしかないわけですけれども、その辺についてのお考え方は、どのように考えていますか。

唐澤政府参考人 先生御指摘のように、社会保障給付費は、毎年三兆円くらい増加をしているというのが現在の傾向でございます。そのうちの三分の一が国費という構成でございますので、一兆円くらいふえていくという構成になるわけでございます。

 私どもは、今回の社会保障制度の一体改革におきましては、消費税の引き上げと関連をする主要な視野としては、おおむね五年くらいの間を大きな視野に持ちまして、充実と重点化、効率化を進めていくということを考えているわけでございますが、もちろん、その先の問題というものもあるわけでございます。

 高齢化は、二〇二五年が団塊の世代が七十五歳になるという点ではございますが、その後も進んでまいりますので、そういう中長期的な展望という観点からは、今回の推進法の中に、新しく、社会保障制度改革推進会議、こういうものを設けて、先生の御指摘のようなものは検討していくことになるのではないか、こんなふうに考えているところでございます。

新原委員 御答弁ありがとうございます。

 つまり、五年以内というか、五年間の計画プログラム法案であって、それ以後はその会議で将来また決めていくという法案なんですね。

 つまり、ほんまに消費税一〇%で終わるかどうか決まっていないという今の御答弁でありましたら、私にはそのように、これは財務省の問題にはなってくるかもしれないんですけれども、もし、年間三兆円、四兆円、この増加を減らす方法が見つからなければ、消費税はまだいじりますよというような、その会議で出たら、そうなるということですか。

田村国務大臣 会議では、これからの社会保障制度をどうしていくかということの議論を、今、このプログラム法で書かれているようなもの以外ですね、こういうものを見ながら、多分、プログラム法で進んでいくものに対しても、一定程度の検証もされるんだろうというふうに思います。財政もそこには一定程度かかわってくると思います。

 財政的な問題は、これからの経済状況によっても変わってくるわけであります。

 今委員がおっしゃられたのは社会保障給付ですから、税以外にも、社会保険料も入っている部分でございますので、言うなれば、国から国庫負担として出るもの、もちろん地方政府から出るものもあると思います、それから、それぞれの個人から、企業から出ていくような社会保険料、これ全体を考えたときに、医療費の適正化というものは不断にやっていかなきゃならぬと思います、無駄なものがあれば、これはあれしていかなきゃならない。

 一方で、この中において大きいのは、経済の成長というものをどうするか、ここがやはり一番大きな部分であろうと思いますし、消費税に関して、一〇%からさらに上げるかどうかという議論は、これはまだ我々はしておりません。

 状況を見ながら、国民の皆様方とも対話をしながら、そのときの社会保障給付費それから税収、いろいろなものを勘案して、国民的な議論はしていかなければならぬというふうに思いますけれども、今のところは、二〇一五年にプライマリーバランスの半減化といいますか、ここで今までの率を半分にしよう、二〇二〇年にはこれを均衡化しようという財政的なルールにのっとって、これに努力をしていくというような形でございますから、これに合わせて中期の財政的な計算をしていくというような話になると思います。

新原委員 ありがとうございます。

 それは本当に、将来の我々の子供そして孫の世代に先送りしないようには、もちろん我々も努力するものはしていかなあかんと思うんですけれども。

 お渡しした資料一を見ていただきますと、先ほど言いました、今、社会保障費は百十兆円に及んでいるということで、その中で、次に資料二を見てみましたら、その中の保険料収入は六十二・二兆円しかありません。残りの四十一兆円が、いわゆる税金で投入しているという状況です。その次に、三番、国の公債発行額を見ますと、平成二十五年度予算案で大体四十二・九兆円。つまり、この額は、社会保障費の赤字額、税の投入と同じ額なんですね。先ほど大臣も答弁でお話しされたと思うんですけれども、つまり、社会保障の赤字がそのまま国の公債発行につながっているということなんです。

 だから、ここを、言ってみたら、社会保険料収入と実際の社会保障費の間をできるだけ狭めていくといいますか、そのために今後、こういったプログラム法案でそういう適正化をしていかなあかんということなんですけれども、その点について、将来的にも、一年、二年によってまたこれがどんどんふえていくわけなので、スピードを上げて、話し合いももちろん必要ですけれども、話し合っている状況ではないと僕自身は思っているんですよ。

 そういった意味で、現在のこの状況を続けていくと、世代間格差、先ほどからもずっと言いますけれども、財政的幼児虐待になっているわけなので、国民に、こういった内容といいますか、こういった状況なんですよということをもっと説明していって、実際に給付費を減らすのか、負担金を上げていくのか、ある程度国民の方々にも選んでいただくような形にしていかなければ、結局はもたないですよということもやはり開示していくべきじゃないかなと思うんですけれども、その点はいかがなんですか。

    〔委員長退席、北村(茂)委員長代理着席〕

田村国務大臣 今委員がおっしゃられたことは非常に重要なことであろうと思います。

 これを拝見させていただいて、四十一兆円、まさに言われたとおり、公債の発行額とほぼリンクしているわけでありまして、ここが仮に全部保険料で賄えれば、もうプライマリーバランス、均衡化どころの話ではなくて、元利返しまで全てなくなるわけでございますから、六十年たったら借金は全部返済されるというような、そういう話になるんだろうというふうに、これは精緻な議論ではありませんけれども、方向性はそういう話になるんだろうというふうに思います。

 一方で、これは、そのまま保険料にすると国民の負担は大変なものになるわけであって、それを税でやるか、保険料でやるか。

 税でやるよりは保険料の方が受益と負担ははっきりするわけでありますが、しかし、それにしても、ちょっと国民が負担に耐えられない。一方で、これを、さらに税をどんどんふやしていって、結果的に公債の発行がふえていくと、これまた持続的に財政が維持できないということでございますので、そこを今我々も悩みながら、いろいろな議論をし、とりあえず今回は七・三兆円、これは言うなれば、一〇%になった、満額分のときでありますけれども、七・三兆円は今までの公債を発行していた部分に充当して、何とか財政再建にも資していこうというような、そういう計画を立てさせていただいたわけでございます。

 方向性は同じなんですが、スピードという意味ではなかなか、負担というものをどこまで国民の皆様方にお願いできるかというところで、今般はこのようなスキームの税と社会保障の一体改革を示させていただいたということであります。

新原委員 ありがとうございます。

 バランスといいますか、もちろん、どれぐらい負担していただいてどれぐらい給付するかということのバランスも含めて、やはり本当に、国民自身がどのように思っておられるのかをもっと聞いていただく。

 保険料も上げられる限界もありますし、給付費を下げるなり適正化するなりという方法もあるんですけれども、それにも限界がありますので、その点のバランスを非常に考えていただいて、厚労省自身に頑張っていただきたいと思っております。これは応援という意味で、将来の子供たち、将来世代のためにはそういったことはもう必要不可欠なので、頑張っていただきたいと思います。

 そういった中で、今度は、出口の給付費の適正化といいますか、医療に対してもそうなんですけれども、給付費の適正化という意味で質問をさせていただきたいんです。

 もちろん、保険料を上げるのは、それは国民の方々と話し合っていただいたらいいことなんですけれども、給付費については、厚労省が頑張れば、適正化すれば、削減できたりすることができますので、その点についてお聞きしたいんですけれども、この間の十三日の厚労委員会で、長妻議員の御質問に対して財務省がお答えになった言葉が、僕はすごく気になったんです。

 あれは厚生労働省として黙っておっていいのかなと思ったんですけれども、このプログラム法案のメニューにあるものはアドオンできると。つまり、例えば、こういったことも適正化できるのと違うかということで一生懸命工夫して厚労省が考えたことについては、アドオンできるかどうか話し合いで決めるというふうなことを財務省は言われていたんですよ。これは怒るところでしょう。

 つまり、言ってみたら、一生懸命頑張って、これ以外のメニューも考えて、適正化できた、下げられた、だけれども、その部分については一度財務省に戻していただいて、厚労省に行くかどうかわからぬような答弁でしたよね。

 あれというのは、厚労省が一生懸命頑張って適正化してメニューを考えていくというインセンティブといいますか、それをまた別のところに使っていけるんだということだったら厚労省自身も頑張っていくと思いますけれども、あのような答弁で納得されているんですかね。

田村国務大臣 難しい議論で、適正化したものを上乗せしたら財政再建にはならないですよね、これは。だから、そこは先ほど委員がおっしゃられたところと実は相反するところなんですが。

 ただ、我々は、今般、消費税を一〇%に上げるときに、二・八兆円は、これは充実分といいますか、ネットという言い方をされる方もおられますけれども、充実分に使うということでございますので、メニューに書いてある中において、大体、消費税の対象になる社会保障四経費、これは入っているだろうという認識なんです。

 ですから、努力をして削減させていただいた部分はいただきますよというところは、共通認識が財務省とあるんです。これ以外のものに関しては、それは相談ですねという仕切りでございますから、我々は、四経費でメニューに書いてないものというのは余り想定ができないものでありますから、そう申し上げたわけでございます。

 もちろん、四経費以外となると、これはまた議論は別でありまして、財務省といろいろな折衝をして、我々は、いろいろな政策をやりたいですから、欲しいと言いますけれども、一方で、財務省は、今委員がおっしゃられたとおり、財政再建をやらなきゃいけませんから、よこせという話にもなられるのかもわかりません。

 だから、ここはなかなか我々も難しいんです。充実はしたいからお金もたくさん欲しいんですが、でも、社会保障が、財政的に破綻すれば、そもそも持続不可能になってしまいますから、実は、そこの板挟みで我々厚生労働省自体も苦しんでおるところはあるわけでありますけれども、少なくとも、先ほどの話、メニューに載っておるもの、つまり四経費の部分は、我々としては、重点化、効率化をしたものは充実に、消費税導入時点ではちゃんとお返しをいただきたいということで、いただきたいというよりは、いただきますということで、これは財務省とも認識は一致しておるということであります。

    〔北村(茂)委員長代理退席、委員長着席〕

新原委員 僕は、充実化にこだわっているわけじゃないので、別に、それを公債、つまり、いわゆる赤字分に持っていけばいいので。そういった分も厚労省でちゃんと確保できて、厚労省が努力した部分については厚労省の今後の年金なりそういう部分に使ってほしいということの意味でお話ししていますので、充実化ということには僕はこだわっていないんです。その辺はちょっと、民主党さんの言っていることは正しいと思いますので、僕はその辺は余りこだわりはないんです。

 ただ、厚労省の中で、結局、負担はどこで出てくるかの話なので、将来的な負担を減らしていくという意味でも、努力した部分については使っていただきたい、必ずとっていただきたいという意味での質問なので、そういったお約束なり覚悟があるのでしたら、それで頑張っていただきたいと思います。

 その中で、医療費の中でも適正化ということで、やはり一番気になるのが終末期医療なんですね。

 終末期における延命治療が医療費全体の給付費を一番上げているということなんです。そういった意味では、地域包括センターをつくって、いわゆる病院のベッドで亡くなるよりも家で亡くなっていただこうということは、そういった方向は非常にすばらしい方向だと思っているんですけれども。

 資料の四を見ていただきますと、例えば胃瘻ですね。回復の可能性が見込めない人にも胃瘻が行われて、六割。もちろん、治療という意味の胃瘻もありますけれども、本当に、口から味も受けずに、かむこともできずに延命するとか生きていくということ自身は、人によって価値観が違うと思うんですね。だから、例えば、認知症になってその人の御希望が聞かれない場合は別としまして、やはり、いや、もう私は胃瘻は要らないとか、そういうような本人の希望を聞いていかなければならないと思うんです。

 資料五で、麻生副総理が、さっさと死ねるようにしてもらうという、言い方は非常に誤解を招くといいますか、言い方自身はよくないと思うんですけれども。

 ただ、本当に自分自身がそうなったときに、もっと選べる、いや、もう私、延命治療よろしいわという、人間、亡くなるときというのは一番自分の価値観が出るときですから。例えば小児慢性疾患の子供にだったら、一日でも、何とかしてでも長生きさせてやりたい。そこに延命治療はないわけです。だけれども、八十歳、平均寿命を超えて九十歳になった方に本当に必要なのかなと思っているんですね。

 だから、そういった意味で、麻生副総理の、今は財務大臣、麻生さんの発言の後、終末期に対して、そういう話し合うことは悪だというふうな風潮が出ていますので、厚生労働省としましても、終末期の医療をもっと選べて、それで家で亡くなれるような対策を講じていかなければ、それこそ先ほどの三兆円、四兆円は減っていかないと思いますけれども、その点についてどのように、前向きで考えられているのかなと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 まず、終末期の医療費は、個々の患者さんそれぞれの状況によって医療費そのものは変わるわけでありますが、全体としてどれぐらいかかるかという推計はちょっと行っておりませんので、医療費総額は、全体は不明である。ただ、終末期の医療を考えるときに、医療費の面からというわけではなくて、もう少しやはり御本人の意思を尊重した医療を行うという観点から取り組んでおります。

 そのために、過去からも、国民のいろいろな声を聞くということで五年ごとに調査をしたり、あるいはガイドラインをつくりまして、終末期を迎えられる方々に対してどのような医療が適切かを決めるプロセスについて検討してきたところでございます。

 いずれにしても、多くの希望は、やはりできるなら家で亡くなりたいという方が多うございますし、そのためにも在宅医療というのは、その面では当然ながら必要になってくると思います。

 この中で、例えば医療計画の中でも、平成二十五年度から、在宅医療について達成すべき目標あるいは連携体制などを書いていただくとか、あるいは、在宅医療をやるためにはやはり人材も必要になりますので、医師や看護師やその他の職種も含めて、在宅医療を担う人材の育成事業などを実施してきております。また、平成二十四年度の診療報酬、介護報酬の改定におきましても、在宅医療や介護を重点的に評価して取り組んできたところでございます。

 このような施策も活用しながら、今後とも、在宅医療がより一層進むような形で取り組んでまいりたいと考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 家で亡くなりたいと希望されている方が大体六〇%ぐらいなのに、自宅で亡くなられている方が大体一〇%から一五%ぐらいというふうになっています。

 それと、例えば、診療報酬的にいいますと、ICUに在室期間が十四日以内だった患者さんは、大体一人百十万円ぐらい。これは二〇〇九年当時の話なので、今はもうちょっとふえていると思うんですけれども。十五日以上だったら、一人六百六十万円、一人一日当たり二十二万円、そして、十五日以上入院して結局亡くなった人を見ると、一人平均千三十万円かかっているという、これは群馬大学のICUの結果が出ています。

 これは、必要な人もいるんですけれども、こういった、一カ月だけで一千万飛んでいくというようなことが、本当に非常に必要なことなのかということですよね。必要な場合もありますし、必要でない場合もある。

 そういった中で、今、意識がなくなったり、いわゆる認知症になったりしたらあれなので、病院では、事前指示書といいまして、心臓マッサージはやめてほしいとか、延命のための人工呼吸はしてほしくない、そういったことを、事前指示書をあらかじめ作成しましょうという話になっているんですね。それで、それはいいことだと、国民の方の六割、七割は賛成されているというふうなアンケートなんですけれども、実際につくられているのは三%なんですよ。

 だから、そういうことも非常に大事であって、やはり、意識のない方に、どうしますか、延命治療しますか、しませんかと聞けませんし、家族もさすがに、いやいや、もうそれはやめてくださいというのも、なかなか急では言えないので。ICUに入ったらこれだけのお金がかかってしまうということですから、そういったことをやはり国民的に本当に理解を求めて、医療費を削減するためには、そういった終末期医療の皆さんの事前指示書、もう延命治療は要らないといういわゆる指示書なりが非常に役立つんですよということをもっとアピールする。

 それこそ移植医療では、ああいう形でどんどんいろいろな改定があって、私の臓器を移植してもいいというものがどんどんふえて、アピールできるような形にふえてきているわけなので、そういった意味で、事前指示書というのを、それこそケアマネジャーさんとかいろいろを活用して、そういったものをもっと、入院する前からつくっていただくということは非常に重要なことだと思うんですけれども、その点についてはどのようにお考えですか。

原政府参考人 お尋ねの事前指示書につきましては、余命がある程度わかってきた段階で、どういう治療を望むかということを、多分、医療機関の方でもつくられるんだろうと思います。

 例えば、余り死ぬ場面が想定されない時期に、事前指示書といいますか、意思を、治療が要らないということを書きますと、実はその場面になると気持ちが変わるというのは多くの場合でございます。

 だから、そういう意味で、恐らく取り組みとしては、医療機関の中で取り組んでいただけるのが一番いいのではないかなというふうに考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 やはり、その辺は国民の方々に理解いただいて、事前に、遺言じゃないけれども、何かそういう形をどんどんして、その場で変わるのは全然、意識があれば変わったらいいので。だから、それはいいと思いますけれども、そういった運動もやはり御協力いただいて、それが結局、国民の方々の保険料を下げることにもなることになりますから、全体を減らすということは。そういうことを、やはりもっと検討していただきたいと思います。

 最後に、民主党さんが難病難病ということで言われていますけれども、いわゆる小児慢性。

 ちょっと厚生労働省から渡された資料自体が、難病のことについてばんとあそこに大きく書いているから、何かそれを全面的に、もちろん厚生労働省としては、いろいろな方々に難病を広げて、いいように変えようという気持ちはわかるんです。ただ、負担やどうのこうのという意味からも心配なので、こちら側から見たら、それは心配だということもわかるんですよね。だから、厚生労働省さんが言っていることも民主党さんが言っていることも、僕は両方とも理解できることなんですよ。

 その中で、僕自身がすごく気になるんですけれども、難病の方とか、特に小児の疾患の方とかは、余りその人方に責任がないといいますか、ふと気がついたらなってしまっているというか、何か人生といいますか、そういう形でかかったりとか、生まれながらにかかったりとかいう方々には、本当にかわいそうなんですけれども、余り責任がないですよね。それは非常にわかるんですよ。だから、そういった中で、そういった方々の負担をどうするかということの民主党さんの意見は、言っている意味は僕は理解できます。

 ただ、僕自身が、厚労省に対して質問というか、これは質問になるのか要望になるのかわかりませんけれども、それよりも、その裏に書いてある、例えば生活習慣病ですね。生活習慣病というのは、その患者の方々に責任なり、予防といいますか、あるわけですよね、ある程度は。もちろん、遺伝子の関係でそういうふうになりやすいとかいうのは、将来的に、調べてくれば、なるかもしれないけれども。

 だから、やはりそういったところの、いわゆる予防なり、生活習慣病を生活習慣を直して治すんだということも並行して言っていって、これだけ削減した、これだけ頑張っている、だけれども、ちょっと足らぬから、難病の人もこれだけ負担がふえますけれどもという説明の仕方をしないと、何か全面的に、一番最初の、改革の中の一番大きな項目で難病というふうに出てきているので、まずそこからやるのかというふうな印象を受ける資料なんですね、これは。いや、そうじゃないでしょう、その一環の中でやっていくということは、僕は理解できるんですよ。だから、そこのところをがんと突っ込まれるわけであって。

 だから、そういった意味で、生活習慣病に対して、今後、医療費適正化という意味でそこをもっと切り込んでいくことが重要で、重篤化させない、予防で発症させない、そういうことをもっとこのプログラム法案とかにも書いてほしかったし、我々維新としては、そういうことを非常に、重篤化を予防して医療費を削減したいということが我々の中にありますので、そういった意味で頑張っていただきたいと思います。

 その点についてどう思われますか。

土屋副大臣 先生の熱い思いを伺って、まさにおっしゃるとおりだと思って、大変うれしく思います。

 まさに、生活習慣病などの予防、健康管理に係る取り組みは極めて重要でありまして、団塊の世代の全てが七十五歳以上になります二〇二五年に向けて、今、国民の健康寿命が延伸する社会の構築を目指し、ことしが予防元年であるという意気込みで、厚生労働省を挙げて推進しているところでございます。

 厚生労働省としましては、八月末に、国民の健康寿命が延伸する社会に向けた予防、健康管理に係る取り組みを発表し、現役世代から、生活習慣病予防対策として、一つは、レセプト、健診情報等を活用した保健事業の推進、それから、特定健診等の受診率向上、これはまだまだ低いので、向上に向けてしっかりと取り組んでいきたいと思います。また、日本人の長寿を支える健康な食事、これは非常に重要だと思っています。私も栄養士として、予防医学の中での食というのを考えてまいりましたけれども、これもしっかりと取り組んでいきたいと思います。

 そのほかにも、高齢者への介護予防や、後発医薬品の使用促進、重複受診の防止といった医療資源の有効活用に向けた取り組みの推進など、省内連携して一体的に進めておりますが、これらの取り組みを通じて、さらに医療費適正化につなげていきたいと考えております。

新原委員 最後に一点だけ。これは要望でおいておきますけれども。

 地域包括ケアシステムを進めていこうということなんですけれども、地域のケアマネジャーさん、お医者さん、歯医者さん、薬剤師、ここがやはり連携を組まぬとだめなんですね。だから、それを組むことによってということで、例えば診療報酬だったら、今、そういうふうな加点みたいなものもありますから、そういう制度をもっともっと使う。

 つまり、自宅で亡くなるというのは、自宅で治療したり診療することの方が地域の診療所にとってはメリットがあるといいますか、メリットがあるというのはちょっと言い方が悪いですけれども、そういった意味の何かインセンティブみたいなのをつくってすると、一生懸命、何ぼ言うても聞かないけれども、加点とかによって、微々たる加点で全然構わないので、加点が出ることによって、絶対にすぐにそういったシステムを皆さんつくるようになると思いますので。

 だから、そういった意味の、ふだんの治療段階からそういった何かシステムを考えていただいて、自然に地域包括ケアシステムがずっと広がるような努力をしていただきたいと思います。これは要望です。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉祐司でございます。

 冒頭、柚木議員に赤ちゃんがお生まれになったということで、おめでとうございます。議員としては大先輩なんですが、私の大学の後輩ということで、まずエールを送らせていただきます。

 私には十九歳になる娘がいまして、今はもうなかなか難しい年ごろで、なかなか口もきいてもらえないという寂しい現状もございまして、寂しいおやじ議連というのがあったらぜひ入りたいな、自分でつくるしかないのかなと思っている次第でございます。

 幾ら思っても、どう扱われても、我が子というのはかわいいものでございます。弱冠四十四にしてそう思うわけでございますから、世の親は、やはり自分の子供は何歳になってもかわいいのかなと、我が親のことも思うわけでございます。

 そこで、今回、我が子を託す、そして政治家としてしっかりやっていかなければいけないこの社会保障プログラム法、これは、我が党としては、中島議員が再三訴えを申し上げておりますとおり、増税ありきの法案には反対でございます。増税の前にやるべきことがあるだろう、これは我が党の党是でもございます。

 また、さらに、民主党さん中心に議論をされています受益と負担、この試算が不明瞭である、こういったところも、議論を拝聴していますと、やはり痛切に感じざるを得ません。

 前の二回の討論で中島議員が議論をした保険料徴収漏れの問題、これは、我が党が常々訴えております歳入庁の設置とかかわる問題でございます。我々は、これを中心に医療、社会保障を計画していくというところでございますので、今回もこの保険料徴収漏れの問題を中心に議論をさせていただきたいと思います。

 まず、十一月六日に中島議員がただしたことについてなんですが、我々、厚生年金徴収漏れが一千万人、十兆円と試算をしておる。大臣は、議論のすり合わせのために、あえて我が党の試算方法に政府がお持ちの数字を入れた、そうすると三百五十万人の徴収漏れにしかならないというふうにおっしゃった。

 そして、長妻先生が、三百五十万人でも多いではないかというような御指摘をした。それに対して、これは正式に認めた数字ではないよということもおっしゃっております。

 また、同様に、長妻先生が、総務省で平成十八年にやった厚生年金の行政評価・監視で、厚生年金加入漏れのおそれがある人は二百六十万人と上川総務副大臣は答弁をしております。

 なぜ、その試算方法でもよいから、この徴収漏れに関する政府の試算が出てこないのか。それに関して、我々、非常に不信感を抱いております。

 どういった数字をもって議論するのか。この試算は違う、この試算の方法は違うと押し問答をしていても、試算は試算ですから、実数をもって議論をする以外にないと思うんです。

 そこで、やはり中島議員が何回もこれは聞いています。法人登記簿と厚生年金の適用事業所の突合、これをいつまでにやっていただけるのか。佐藤副大臣は、かなり複雑な作業だからいつになるかはわからないというふうにおっしゃっていました。

 もう一度お伺いします。

 法人登記簿と厚生年金適用事業所の突合、いつまでにやるんですか。

田村国務大臣 法務省から提供いただきました法人登記簿情報と、日本年金機構にあります適用事業所の情報とを突き合わせるということでありまして、突き合わせること自体は十一月中に終了する、そういうスケジュールでございます。これは十一月の十八日から、もうやがてスタートして、一、二週間で、機械、ぶつけるだけですから、それほど難しい話ではないんです。

 問題は、情報自体がそれぞれちょっと違ったものでありまして、法人登記簿情報というのは、例えば、一番初めに会社を置いたところ、こういうのが法人登記簿情報の中では所在地になることが多いわけですね。ところが、年金の場合は記録が事業所ごとでございますので、事業所ごとになると、当然入ってこないものもあるわけでございまして、名前が一緒でも場所が違うというようなこともある。それから一方で、そもそも同じ名前だけれども違う会社ということもあります。

 ですから、突合したからといって全てが明らかになるわけではないわけでありまして、そういう意味からいたしますと、突合した中において、分析できるものは分析をいたしたいと思いますが、なかなか、正確な突き合わせができること自体は非常に困難であるというふうに認識いたしております。

 あわせて、新しいシステムが稼働した十一月以降でありますけれども、毎月、新設法人情報と厚生年金の適用事業所データとをシステム上突き合わせいたしまして、把握をするということには、活用をしっかりとさせていただきたいというふうに思っております。

柏倉委員 我々が求めているのは、全てのデータをしっかり突合していただきたいということでございます。

 技術的には非常にイージーな部分と難しい部分とがある、今大臣の御説明でしたが、例えば、全データの何%までは一致をしている、ただ、何%はトラブルケースで、これは目視等が必要だというような、これはパーセンテージでもお聞かせいただければ、この試算に、非常に実数に近い試算が我々はできるんですよ。

 そこのところ、全部の、一〇〇%コンプリートしたデータがいつ出てくるかという問題も大事ですが、やはり、試算に資するそういった数字、パーセンテージで結構です、これを出していただけませんか。

田村国務大臣 突き合わせて一致したもの、これは実数がわかりますから、実数が出ると思います。

 合わないものがどれなのかというのは、これは、合わないものは出ますよね、数は。合わないんだから。だけれども、合わないものがどこかで本当は合っているのかということを知ろうと思うと、要するに全件訪問をするしかないわけですよね、これは。訪問しないとわかりません、ここはデータがないんですから。

 つまり、事業所の名前が一緒で住所が違うというものはかなりあると思います。先ほども言いましたとおり、年金は、事業所ごとですから、住所が。一方で、法人登記簿情報の方は、これは要するに登記したところの場所ですから。つまり、もとから違うんですよ、データが。

 だから、どうしても、名前が一緒でも住所が違うから、これが合っているかどうかわからない。ましてや、名前が一緒の会社なんて世の中いっぱいありますから。だから、そこを確かめようと思うと、行かなきゃわからないという話なわけですよね、これは。(発言する者あり)それが徴収漏れになっているかどうかという話は、それは行ってみての話でありますから。

 我々、要は、とにかくこの徴収漏れのところに行ってみて一つずつ解決していかないと、結果的にわかるかわからないか、幾らデータが出ても、行ってみてどうか。ここで指導するわけでありますから、ちゃんと行って指導していく中において、徴収漏れ、もしくは適用漏れを訂正させていくというようなことをさせていただきたいわけであります。

柏倉委員 今の大臣の答弁をお聞きしていますと、二十二世紀になってしまうような気もいたします。

 我々が求めているのは、実数をどうやって正確に潰していくかということもそうですが、この試算に資する数字をどうやってはじき出していくか。それはいろいろな統計学的な処理もあるでしょう、ただ、それは今まで総務省さんもやられているわけですから、厚生労働省さんができないということは絶対ないわけですよ。

 それをやはりできるだけ早くやっていただいて、我々は、おおよそ幾ら、そのおおよその額で議論をしっかり進めたいんですね。そこのところを曖昧にされたままでは、我が党も、これは不信感が議論のたびに増長するというところでございます。しっかりとやっていただきたいと思います。

 次に、大臣は、十一月六日、御答弁で、この徴収漏れをなくすことによって、厚生年金に入っていない人が厚生年金に加入できる、国保に入っている人が協会けんぽに入れるメリットはあるが、税収に関してはふえるわけではないとおっしゃいました。それはそのとおりだと思います。

 しかし、財政健全化という視点で捉えたときには、この問題はどうでしょうか。

高鳥大臣政務官 柏倉委員にお答えいたします。

 御指摘の厚生年金の適用漏れでございますが、社会保険料の負担を免れたいという理由、あるいは単に加入義務の知識が不十分であるなどの理由によりまして、事業主から適正な届け出が行われていないことによって生じているものでございまして、本来、あるべきものではございません。

 したがいまして、今後とも、適用漏れの解消に努めてまいりたいと存じます。

 なお、御指摘の厚生年金の適用対策、これを徹底することによりまして、将来の年金保障が手厚くなり、結果的に老後に生活保護を受給する人が減る可能性があるといったメリットがあると考えております。

柏倉委員 しっかりと厚生年金の徴収漏れをなくしていけば、特別会計への政府の支出も減っていくし、これは直接的にだと思うんですよ、間接的には、例えば生保になってしまう人の数を減らすことができる。福利厚生をしっかり受けられる、収入がふえるわけですから、年金生活中に。そういった直接的、間接的な財政支出の抑制ということでも、私は、これは財政健全化に大いに資する調査だと思うんですよ。

 消費増税をやられるのも、増税のためにやっているわけじゃありませんよね、財政健全化のためにやられているわけです。この徴収漏れを直すことも、財政健全化のためにやる。同じベクトルを向いている政策を、ぜひ、大臣、先頭に立ってやっていただきたいんです。よろしくお願いします。

 次は、時間もありませんので、急ぎます。歳入庁の問題なんです。

 我々は、歳入庁を設置すべし、歳入庁、歳入庁と呪文のように唱えておりますが、その本質は、税と社会保険料の徴収の一体化ということがございます。それをやってほしいということですね。そのためにも、しっかりとした、国税庁を中心にした、社会保険料、税の徴収体制をつくる、これが我々は一番合理的だというふうに訴えているわけでございます。

 徴収漏れを防ぐだけじゃなくて、所得捕捉ということ、これは、いつ、どういう政策を打つにしても、一番大切なことだと思うんです。特に所得再分配の政策を打つときに、ベースのこの所得捕捉というものがいいかげんなら、ベースの数字がいいかげんであれば、幾ら優秀な人間が政策をつくっても、所得再分配の政策は失敗するわけです。そして、ジニ係数は悪化していく。現に起きているじゃないですか。

 我々は、まずこのベースの所得捕捉をしっかりやることが、あらゆる、所得再分配の政策もそうです、あとは、今回、高校無償化、難病、小慢の疾患も、所得を階層化するということで給付を段差をつけております。こういう政策全てにかかわるのが、やはり所得捕捉だと思うんですね。それがしっかりできないということになれば、どんないい政策をその後たてつけても、やはり画竜点睛を欠くということになると思います。

 そこで、この所得捕捉、歳入庁の前に、我々は、所得捕捉をしっかりやる、そのための、国税庁と国民年金機構のデータベースをまず連携、そして一元化していくべきだと言っているんですよ。

 この間の議論では、これはできないよと、なかなか前向きな答えをいただくことができませんでした。国税庁と年金機構を統合してしまうと、そもそも集めている額が違う、向いている方向が違う、規模が違う、専門性も違うというようなことで、これはできないということをおっしゃられた。ただ、私は、これは根本的にこれができない理由だというふうには思えないんです。

 我々はすぐに一緒になれと言っているわけじゃないんです。もちろん、査察部に社会保険料を取ってこいと言っているわけでもないし、年金記録の入力を国税庁の職員にやらせろと言っているわけじゃないんです。まず国税庁の調査能力を生かしてくれ、法人捕捉の調査能力が物すごく高い、この国税庁の調査能力を生かして、年金機構の法人捕捉、保険料徴収に役立ててほしいと言っているんです。いきなり一緒になるということになるから、いろいろな問題が出てしまうんですよ。

 まずデータベースでしっかりと、例えて言うなら、これはお見合いですよ。世帯を持つ前にデータベース上でしっかりお見合いをしてもらう、きっちり共有をする、そういうことがやはりまず第一歩だというふうに我々は訴えているんです。

 データベースの連携そして共有化、これに向けた政府の御見解、意気込みを聞かせてください。

高鳥大臣政務官 お答えいたします。

 これは一般論でございますが、各機関の情報というのは、それぞれが所管する制度を運用することを目的として保有いたしているものでございまして、その共有化には、個人情報保護の観点から、一定の限界があるものと認識をいたしております。

 厚生年金の適用促進業務に関しましては、平成二十四年十二月から、法務省の法人登記簿情報を入手し、活用し始めたところでございます。しかしながら、法人登記簿情報には、厚生年金が適用とならない休業中の法人やペーパーカンパニーなどが多く含まれるため、適用すべき事業所であるかどうかの個別の調査に労力を要しており、より効率的に行っていく必要があると考えているところでございます。

 このため、稼働中の法人に関する情報の提供を国税庁に求めることについて、現在、社会保障審議会に設置いたしました専門委員会において検討しているところでございます。

柏倉委員 丁寧な御説明、ありがとうございます。

 ただ、やはり聞いておりますと、連携はやるけれども共有化まではいかないというようなニュアンスで伝わってまいります。

 前回、中島議員が質問したときに、政府参考人は、これは世界標準のやり方じゃないとは直接言いませんでしたけれども、やっている国とやっていない国がありますということで、アメリカ、イギリス、カナダは歳入庁がある、しかしフランス、イタリア、ドイツはありませんと、あたかも半分はやっていて半分はやっていないような政府参考人の発言がありましたが、税と社会保険料の同時徴収というのはイタリアでもフランスでもやっております。やはり、これは世界標準のやり方なんですよ。

 一橋大学の高山先生が出している論文、一行だけですけれども、引用します。「一体徴収をしている国々で、一体徴収そのものを疑問視する声は皆無に近い。」というふうに書いております。

 やはり、できない理由は見つければあると思います。難しいのもわかっております。しかし、国家百年の大計ですから、そこをクリアしてやっていただく。今、自民党の前向きな姿勢を我々も評価しております。ぜひこれはやっていただきたいんですよ。

 それで、最後に、公務員にするしないの問題もありました。

 前回、大臣だけじゃない、小泉政務官もおっしゃっていましたけれども、社会保険庁と国税庁を一緒にすると、一回民間になった国民年金機構の人を公務員にしなきゃいけない、それは難しい、できないということをおっしゃっていた。

 我々は、国民年金機構の人を全員公務員に戻せということを言っているんじゃないんです。これは仕事もふえるでしょう、ですから、国民年金機構の人、その何%かは、必要最小限はですよ、やはりこれは国税庁の方に再雇用していただく。それは必要最低限ですよ。こういったことはできるんじゃないですか。全員じゃないんですから。しようがない、退職していただく方にはしかるべき処遇をする、そういうことで現実的に対応できるレベルの問題だと私は思っております。

 国家百年の大計と、非公務員にした者を公務員にするという議論、これは私は時間軸が全く違うレベルでの議論だと思うんです。ぜひ、この再公務員化の問題、これはこれで議論をしていただくことは結構です、ただ、国家百年の大計、税と社会保険料の同時徴収、これを混同していただきたくない。その問題は必ずクリアできる、していただきたいと思います。一言お願いします。

田村国務大臣 もう何度もお答えいたしておりますので、詳細を述べるつもりはありませんけれども、いろいろと、内閣官房副長官のもとで担当政務官を入れて議論をしていただきました。今言われたような点も、歳入庁を実現するのに難しい理由の一つであります。ほかにもあります。

 問題は、方向性は一緒なんだと思うんですよ、要するに、情報を共有して、同じような成果を上げればいいという話であって、ちゃんと取れるような体制が組めるかどうかであります。制度を変えようと思って、例えばこのような歳入庁ということになれば、すごい労力と時間とがかかると思います。それに割く時間、労力を考えるならば、今の体制のもとで、情報を共有化しながら、同じような成果を上げられるというようなことができればいいわけでございます。

 先般の内閣官房副長官の検討会の中においては、そのような方向の中において議論が進められたということでございますから、目指す方向は一緒だと思いますので、それぞれ、アプローチもそれほど変わらないんだと思いますけれども、御理解いただければありがたいというふうに思います。

柏倉委員 時間も参りました。

 我々、このプログラム法はまだまだ議論が十分でないというふうに思います。よって、きょうの強行採決には断固反対を表明して、質問を終わります。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、まず、採決が提案をされておりますけれども、私は、断じてやるべきではない、このように思っております。

 そもそも、昨年の三党合意が間違っているんです。野田元総理が恨み節を言ったことがありましたけれども、民主党に言わせれば、三党協議の約束違反そのものです。しかし、我々に言わせれば、国会を抜きに三党で決めたことが国民会議の議論とその後の法制化を縛る、これは国会の自殺行為であり、絶対に許せるものではありません。

 やるべきは徹底した国会の審議です。そのためにこの法案が廃案になったとしても、中身のないプログラム法案でありますから、それは構いません。徹底した審議を行うべきことを重ねて指摘をしたいと思います。

 きょうは、その中でもまだ全く議論が尽くされていない年金問題、その中で、低年金、無年金問題に絞って質問したいと思います。

 無年金者については、平成十九年の資料で、四十二万人、六十五歳未満で納付期間を満たさない者を合計しますと百十八万人という資料が今手元にありますけれども、それからどうなっているでしょうか。二〇一五年十月からは、受給資格、十年納付ということで、改善されるところがあるかとは思いますけれども、それを分けてお答えいただきたい。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 無年金者の推計ということでございますけれども、先生御指摘の、平成十九年に当時の社会保険庁が一定の条件で推計をしたものというのが、直近の数字でございます。その時点で、御指摘のように、六十五歳以上の無年金者数は、四十二万人というふうに推計をされているわけでございます。

 昨年八月に成立いたしました年金機能強化法によりまして、平成二十七年の十月から基礎年金の受給資格期間が十年に短縮されるということになったわけでありますけれども、これが施行されますと、平成十九年に無年金者と推計した四十二万人の中で、約四割の方々が受給資格期間を満たして、無年金ではなくなるものというふうに考えられます。

 以上でございます。

高橋(千)委員 六年前の数字が直近の数字だ、そのこと自体が問題じゃないでしょうか。全く実態をつかんでいないということではないでしょうか。このことを含めて大臣に答弁いただきたいんです。

 ことし五月十七日に、国連社会権規約委員会の最終見解が出されました。日本の年金に関して、「委員会は、締約国における、特に無年金又は低年金の高齢者の間での貧困の発生に懸念を表明する。」ちょっと飛びますけれども、「委員会は更に、国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律により導入された変化によっても多くの高齢者が年金を得られないままとなってしまうことに懸念を表明する。」と指摘をしています。

 ここで指摘をされている無年金、低年金の状況について、六年前の数字しかないということ自体も含めて、大臣の認識と取り組み方について伺います。

田村国務大臣 今、国連の経済、社会及び文化的権利に関する委員会の最終見解のお話をいただきました。

 そういうこともございますので、我々は何もやってこなかったわけではございませんでして、そもそも、後納制度等々を利用しながら、年金の受給資格期間を二十五年から十年という形に短縮するということを、昨年、三党での合意において法制化をしてきたわけであります。

 納付せずに、最低保障みたいな話ということになりますと、御承知のとおり日本の年金は社会保険制度でありまして、保険料を納めるという意欲を失うわけでございますから、そこはやはり考え方が、ちょっと我々とは違う考え方であるわけであります。

 そうはいいながら、低年金者の方々がおられるとこれは大きな問題でありますから、厚生年金の適用拡大、これも進めてきておるわけであります。一方、昨年の三党合意に基づいて、低年金者の低所得者の方々に対して、福祉的給付という形で、年金の上積みといいますか、所得の上積みというものを図らせてきていただいているわけでありまして、このようなことをしながら、しっかりと低年金対策等々を進めてまいりたい、このように思っております。

高橋(千)委員 さっきの六年前の数字しかないじゃないかということに関しては、お答えがありませんでしたよね。

 必ずおっしゃるのが、納付せずにというものです。それは去年からずっと議論してきた問題ですね。結局、このプログラム法案に盛り込まれている精神なんですよ。負担がなければ見返りがないというこの精神。

 だけれども、私たちはずっと言っている、それが社会保障じゃないかと。要するに、それがというのは、悪意があって払わない人も含めてという意味ではなくて、本当に支える社会保障というところが欠落しているということをずっと指摘してきたわけなんです。だから、私たちは、国が少なくとも基礎年金に出している国庫負担の分を全ての方たちに保障して、そこから納付実績に応じて積み上げていくべきだということを言っています。

 今、ちょっと制度の話をするつもりはないので、次に行きます。

 貯金を崩して、一円玉をためて暮らしている方がいる、十円玉をためてデイサービスの料金をためている方がいる、あるいはテレビの明かりで、つまり電気を節約して御飯を食べている方がいる、そういうのが今の年金者の実態なわけなんですね。

 それで、ことしの十月から、特例水準の解消ということで、一%引き下げになりました。十万人が不服審査をしようということで、今、全日本年金者組合が立ち上がっているわけですけれども、そういう中で、本当に無年金、低年金の問題に取り組むつもりがあるのかということを改めて聞かなきゃいけないと思うんです。

 さっき言った社会権規約委員会では、ことし一月に、質問事項で、規約の遵守ということをちゃんとやっているのか、確保するための国内法とか、やっているのかという質問をしているんです、そのときに、政府としては、憲法九十八条の第二項で、当然、条約遵守の義務がある、そのことを説明した上で、国内法で担保するということを言っているわけなんです。

 だとすれば、民主党政権のときは、最低保障年金制度を含めて、制度を今、連立政権でやっていきますということを社会権規約委員会に答弁しているんですよ。自民党政権になったからといって、国際公約を撤回するとか下げることはできないわけですよ。その立場は基本的に、最低保障年金制度という言葉を使うかどうかは別として、目指している方向を曲げるわけにはいかない、政権がかわったからといって。それはいいですよね。

田村国務大臣 今、民主党がお考えになっておられる制度も含めてという話がありましたが、民主党の制度も、未加入者は年金が出ない、最低保障年金が出ないという話でございますから、その部分では同じだということでございますので、やはり、ちゃんと加入していただいておるということが前提。

 もちろん、我々は我々で、低所得者の方々には免除制度がございます。そういうものを使って、しっかり対応してまいるということでございます。

高橋(千)委員 そうすると、さっき大臣がおっしゃった、さまざまやってきた法律、法律も民主党政権下でやられたわけですよね。昨年十月一日から実施された国民年金確保法案、納付期間を、追納の方ですね、二年から十年に延長しました。それによって年金給付に結びついた人はどのくらいいますか。

樽見政府参考人 国民年金保険料の後納制度を利用されたことによって、年金の受給資格期間を満たして年金を裁定された方というのは、本年の九月二十六日現在の数字でございますけれども、一万八十四人でございます。

高橋(千)委員 つまり、何が言いたいかというと、最低でも、まず、納付した人が前提だと言っている、それ自体が一致しないわけですけれども。しかし、その機会をどれだけ頑張っているかという話なんですよ。

 追納については、三年という期限を区切ったじゃないですか。我々は、区切るなと言いましたよね。そのときに、六十五歳未満の方で、本制度によって年金額をふやせる方は、最大一千六百万人とはじいていたわけなんです。これは最大ですからね。もちろんそれは、キャパの話ですから、そう甘くはなかったわけです。

 ただ、八十九万三千七百二十一件申し込みがあったそうです。それで、基礎年金が裁定された者のうち利用している方、つまり年金がふえた方が二万人以上いるんですね。うち受給資格を満たした方は一万人、今お話あった一万八十四人なんです。でも、そのときは、政府が言っていた、六十五歳以上の方で年金を受給できる人は、最大で二千人くらいだろうとはじいていた、それを上回ったんですよ。ただし、六十五歳未満の人は全然届かないんですけれども。

 でも、二千万件のお知らせをした、私はその努力は認めますよ。だったら、それを頑張ってもっと続ければいいじゃないですか。そう思いませんか。三年で終わりにしないで、一万人芽が出た、もっと頑張る、結びつける、チャンスがあれば。どうですか。

田村国務大臣 今までも何度か、特例納付を含めてやってきておりますが、そういう御議論が実際自民党の中でもあったことも事実であります。

 ただ、問題は、余り延ばすと、そもそも後で払えばいいということで、保険料を納めないという方々が出てこられる、そして結果的に無年金者になってしまうというようなおそれもあるということでございますので、当時、期限を切るというような議論であったというふうに承知いたしております。

高橋(千)委員 だから、できることを全部やっているのかという議論をしているんです。それは、うんとお金があって後で払えばいいという一部の不心得者がいたとしても、そのためにチャンスを逃す、今はとても苦しくて払えない、そういう人たちをみすみす切り捨てるんですかということを言っている、チャンスを広げればいいじゃないかと言っているんですよ。

 もう一つ、政府がやったやったと言っている、いわゆる福祉給付金ですよね。

 民主党時代は、これは六千円、老齢基礎年金と足すと七万円ということで、民主党の最低保障年金に近くなるということがあって、田村大臣が一番追及をいたしました。逆転現象があるということを言ったので、修正されて五千円になったわけですよね。千円下がっただけで何が違うかというのと、逆転現象を生じさせないための補足的給付金という、言っちゃ悪いが格好悪い、そういう制度になったわけです。

 ただし、これは一応恒久法なわけですよね、福祉給付金というのは。年金のフレームの外でしょう。民主党がこの六千円を提案したときは、今すぐ最低保障年金制度はできないけれども、必ずこの後そういう制度ができていくであろう、その中に、ごめんなさい、民主党の肩を持つわけじゃないけれども、ここはいいところなんですよ、結局、新しい制度の中でその外枠のものが解消されていくであろうというイメージがあったと思うんです。

 だけれども、自民党さんは一切この新しいスキームを出していません。そうですよね、百年安心でいいと思っているわけですから。だったら、外枠の福祉給付金、格好悪いものがいつまでも残るということなんでしょうか。外出ししていくということなんでしょうか。

田村国務大臣 当時、民主党さんがどういう意図でこういうことを思いつかれたのかはちょっとわかりません。ただ、民主党の最低保障年金とは違っていまして、民主党の最低保障年金は、保険料を掛けているときに、保険料不足の方々、終わられる方々に最低保障年金を支給しようという発想。

 これは、もらい出したときの所得に注目して払うという話でありますから、考え方がちょっと違っておりますので、そこはやはり、今のような形。それは、民主党がもし政権をとられて最低保障年金という話になれば、これは全く消えちゃって、新しい制度に行くんだろうと思いますけれども、ちょっとそれとはまた違った種類のものでございますから、このような形で続けさせていただくということが基本でございます。

高橋(千)委員 だから、民主党の案がいいと言っているんじゃないんですよ。だけれども、自民党さんの案は百年安心のままなんでしょう。それで、その外出しをずっと続けていくんですかと言っているんです。

田村国務大臣 そのときの所得に応じて給付をする形でございますので、福祉給付という形でございますから、今の形の中においてこれを続けていくという基本的な考え方でございます。

高橋(千)委員 ですから、さっきから言っている、本気で低年金を解決していく、あるいは無年金を解決していくという立場に立っていないということなんですよ。国連規約委員会の勧告に真っすぐに応えて、やはり私は、最低保障年金制度をつくるべきだと思っているんです。

 その一歩として、出口はまだ議論をこれからもしていかなくちゃいけないんですけれども、例えば、基礎年金の国庫負担の二分の一を恒久化するということは、プログラム法案に書いているじゃないですか。書いています。だけれども、なぜそのための財源を、二〇一七年になると三兆円を超しますよね、いつまでも外枠なんでしょうか。つまり、恒久化したんだから、全体として年金制度としてなればいいのに、わざわざ外枠にして、その分は消費税で見ますと言っているんですよ、説明している。

 そして、さらに、今言った福祉給付金を、年金制度として上乗せというふうな考え方ではなくて外枠で見ているから、それも消費税で取るわけでしょう、五千六百億円でしょう。足すと三兆五千六百億円を超えるわけですよ。それがいつまでも外枠。

 年金のほかに、社会保障のほかにこれだけのお金が要るんだ、消費税なんだとやって、外枠にしていくから、財政当局の標的にされるんじゃないですか。そうじゃないですか。

 年金というのはこれだけ必要なんだと、最初からきちんと入れてしまえばいいんですよ。そうじゃなくて、基礎年金という、恒久化するものさえも外枠にし、かつ、低所得者対策も外枠にし、そうしたら消費税がもっともっとふえるよねということを、あえて厚労省が言っているわけですよ。ここは最低必要なんだとなぜ言い切れないのかということなんです。

田村国務大臣 高橋委員の言われている意味が、ちょっと私、理解できないところがあるんですが。

 要は財源が必要ですということで、まあ、もとが、共産党は消費税を上げるという方針ではございませんので、そこが全く、初めの入り口がボタンのかけ違いなんだと思いますけれども、まさに絶対必要だから、だから消費税の中でこれを確保していくということを今般させていただくわけでございまして、絶対必要なものだということでございます。

高橋(千)委員 書かれているのは二分の一の部分だけなわけですから、そこはとりあえず消費税で見るということは確保されていますよね。幾ら何でも、これを後に戻ることはできません。

 でも、五千六百億円もプラスされるわけですよ。そうすると、そこが標的にされると言っている。つまり、前回の質疑でも言ったじゃないですか。財政等審議会も言われている。結局、社会保障をフリーライダーとしてはならないんだ、そうやって、なぜこれ以上充実するんだ、増税するのに充実するのかということが責められているわけじゃないですか。それに、また、年金を充実させるために、低所得者対策のために、今の制度のほかにこれもこれも要りますというふうなことをあえて厚労省がやるから、標的にされるんです。その分を増税するか削るしかないんだという議論にされるんですよ。

 そうじゃなくて、もともと必要なものだということを言わなければならないということを、重ねて私は指摘したいと思う。大臣、首をかしげているけれども、だって、ずっとそういう議論はされてきたじゃないですか、社会保障に対して。社会保障がふえるから消費税をもっと上げなきゃいけないといって、社会保障だけが悪者にされているんです。それが今回の議論なんですよ。充実させることが悪いことのように言われている。そこが議論なんですよ。

 だから、国際公約だった低年金、無年金対策の最低限のレベルさえも、本当にやるという立場に立てるのかということを何度も何度も聞いているわけです。このプログラム法案の中では、デフレ下でのマクロ経済スライドの導入ですとか、これは基礎年金を割り込むでしょうが。そういうことまでやるわけですよね。

 あるいは、年金支給開始年齢の先送りですよね。これだって、幾ら何でも、六十五歳までは再雇用制度があります。これは単純に、再雇用制度をさらに上げましょう、六十八歳までも、企業の皆さん、義務づけでやってくださいと。国の責任で年金を先送りして、企業に負担を押しつけるのかと、それは企業が言っても当たり前ですよ。

 そうじゃないでしょう。本当に働きたい人がいることと、誰でも六十八歳まで働け、あるいは七十歳まで働け、年金はそれまで出しませんよということは、それは言っちゃいけないですよ。そうじゃないですか。一言。

田村国務大臣 デフレ下のマクロ経済スライドも、まだ決まったわけではありません。やれと言って怒られ、やるなと言って怒られ、この委員会でもいろいろな御意見があるな、やはり国民の御意見は非常に幅広いなということを感じました。

 ちなみに、支給開始年齢の引き上げの話でありますが、働ける環境がなければ引き上がらないわけでありますし、引き上げるというのも、今言われたみたいに、もらえないという話じゃなくて、選択制という議論もその中には含まれておるわけでございます。国民の皆様方が、やはり年金がもらえなかったら困るというような状況のもとで強制的に引き上げるということは、なかなか理解を得られないことでございますので、議論をしながら、国民の皆様方が御理解いただけるような、そんな年金改革を進めてまいりたいというふうに思います。

高橋(千)委員 一言だけ言って終わりますから。

 本当に、基礎年金を割るようなことは絶対やってはならないんです。一月の、社会権規約委員会の質問に対して政府答弁は、本当に、年金を受け取る資格がない高齢者とか、年金を受け取っても十分な生活水準を確保できない、そういう方が困窮する場合は、生活保護があると答えているんですよ。これは語るに落ちているでしょう。だって、結局、税金じゃないですか。

 だったら、低年金者対策をちゃんとやることで、減らさないことで、生活保護を受けなくてもいいという人たちがたくさんいるんじゃないですか。いや、暮らせなかったら生活保護がある、それは全然、今まで言ってきた財政健全化とかと、言うことの筋が違いますよ。

 だから、やはりこういうやり方ではだめなんだということを繰り返し指摘して、終わりたいと思います。

後藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

後藤委員長 速記を起こしてください。

 とかしきなおみ君。

とかしき委員 動議を提出いたします。

 本案に対する……(発言する者、離席する者多く、聴取不能)望みます。

後藤委員長 とかしきなおみ君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 賛成多数。

 討論を行います。重徳和彦君。(発言する者あり)どうぞ、いってください。

重徳委員 私は、日本維新の会を代表いたしまして、ただいま議題となりました持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案について、反対の立場から討論を行います。

 ただし、日本維新の会は、本法案に負担増の項目が含まれているとか、負担ばかりふえて充実がないという理由で反対するわけではありません。自立した個人、自立した地域があって初めて公助が持続可能となるという基本を忘れて、抜本改革には及び腰、肝心な問題は先送りする、極めて不十分な小手先の手直しをいつまでも続けていては、国民が真に安心、信頼できる社会保障制度を構築することは到底できないから、反対するのです。

 我が国の社会保障制度が持続可能かどうかは、負担と給付の世代間格差の拡大をいかに食いとめ、是正するかに尽きると言っても過言ではありません。

 これまでの社会保障制度は、右肩上がりの経済を背景に、負担は低目に、給付は高目にという設定を漫然と続けてきた結果、世代間格差は一世帯当たり一億円にまで広がっているとの試算もあるほどです。問題を先送りにすればするほど、これから生まれてくる将来世代も含め、さらに絶望的な状況となります。

 私たち政治家は、国民の皆さんにこうした事態を明確かつ丁寧に粘り強く説明しながら、将来世代に対して責任ある改革を、先送りすることなく断行することこそが必要なのです。

 しかしながら、この法案は、消費税の段階的な引き上げを前提とした当面の対応に終始するのみであり、負担と給付の関係の見直しを含む抜本改革に全く踏み込んでいません。

 例えば、公的年金制度を定める本法案第六条は、中身のない論点の羅列であるばかりか、世代間格差の抜本的な是正につながる仕組みとして、我が党が法案提出の準備をしている年金の積立方式への移行については、検討の可能性にも踏み込んでいません。

 また、平成十六年改正で導入したはずなのに、十年近くの間一度も発動したことのないマクロ経済スライドを実施するのか。個人の人生設計にも大きく影響する支給開始年齢の引き上げは、平成三十七年以降どうするのか。いずれも、条文上、方向性が全く読み取れず、田村大臣にお尋ねしても明確な答弁が返ってきません。

 大臣は、一年という短い期間で全て条文に書き込めないという趣旨のことを言っておられます。

 しかし、本来実施すべき改革の多くは、国民会議報告書を初め、長年の議論の中で、既に選択肢は明らかなはずであって、求められるのはまさに政治決断なのです。(発言する者あり)政治決断なのです。

 社会保障制度改革の道筋を示すはずのこの法案は、改革に向かう覚悟も感じられない、問題先送り法案としか言いようがなく、断じて賛成できません。

 この程度のプログラム法案では、今後進められる改革には期待することができず、巨額の赤字国債が積み上がり、消費税率を上げても上げても追いつかないという絶望的なスパイラルから抜け出せません。

 消費税増税にあわせて行われる社会保障制度改革がこの程度のものでは、社会保障と税の一体改革の名に値せず、構造改革なき消費増税は、パッケージとして容認しがたいと言わざるを得ません。もっと先を見据えた、将来世代への責任ある抜本的な社会保障制度改革こそが何よりも必要であることを申し上げて、私の反対討論を終わります。(拍手、発言する者あり)

後藤委員長 次に、中島克仁君。(発言する者あり)中島克仁君。(発言する者あり)

 中島克仁君はやられないですか。(発言する者あり)

 それでは、次に、高橋千鶴子君。(発言する者あり)ともかく座ってください。(発言する者あり)席へ行ってください。その後また出てきてください。

 高橋千鶴子君。(発言する者あり)ちょっと待って。共産党は、席に座ったらやりたいって言っているんだ。(発言する者あり)ともかく席に戻ってください。静かになったら反対討論をしたい政党があるんですから、席へ戻ってください。(発言する者あり)反対討論をする政党が、反対討論をすると言っている政党があるので……(発言する者あり)終局しています。終局しています。筆頭、ともかく席にお戻りください。(発言する者あり)終局しました。ともかく席に戻ってください。(発言する者あり)

 残念ながら、議場が正常でないと、反対討論を予定されていた政党はできないとおっしゃるので、どうしても山井理事が壇をおりていただけないので、壇に人がいる限りは反対討論をやれないというふうに反対討論を予定しているところがおっしゃっておられますから、反対討論は、これは、これで終わりにいたします。

 それでは、採決をいたします。本……(発言する者あり)自分の席に帰ってください。持続可能な社会保障制度の確立を推進する法律案について採決をいたします。賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 賛成多数。よって、可決いたしました。(発言する者あり)

 次に、委員会への報告につきましては、委員長に御一任いただくことでよろしいですね。(発言する者あり)賛成の皆さんの御起立を願います。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 それでは、これで、多数で可決されました。

 これで本日の会議を終了いたします。

    午後零時三十六分散会


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