衆議院

メインへスキップ



第10号 平成25年11月27日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十五年十一月二十七日(水曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    安藤  裕君

      石川 昭政君    今枝宗一郎君

      岩田 和親君    大串 正樹君

      大見  正君    金子 恵美君

      熊田 裕通君    小松  裕君

      古賀  篤君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高鳥 修一君

      高橋ひなこ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    中村 裕之君

      永山 文雄君    藤原  崇君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      松本  純君    三ッ林裕巳君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      大西 健介君    中根 康浩君

      長妻  昭君    柚木 道義君

      足立 康史君    浦野 靖人君

      河野 正美君    重徳 和彦君

      新原 秀人君    輿水 恵一君

      桝屋 敬悟君    柏倉 祐司君

      中島 克仁君    高橋千鶴子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   財務副大臣        古川 禎久君

   文部科学副大臣      櫻田 義孝君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 宮城 直樹君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         室城 信之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           中岡  司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           永山 賀久君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            今別府敏雄君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 唐澤  剛君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十七日

 辞任         補欠選任

  大久保三代君     穴見 陽一君

  金子 恵美君     岩田 和親君

  中川 俊直君     石川 昭政君

  新原 秀人君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     安藤  裕君

  石川 昭政君     藤原  崇君

  岩田 和親君     金子 恵美君

  河野 正美君     新原 秀人君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     中村 裕之君

  藤原  崇君     中川 俊直君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     秋本 真利君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     大見  正君

同日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     熊田 裕通君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     大久保三代君

    ―――――――――――――

十一月二十七日

 生活保護法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)(参議院送付)

 生活困窮者自立支援法案(内閣提出第六号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官宮城直樹君、刑事局組織犯罪対策部長室城信之君、文部科学省大臣官房審議官中岡司君、大臣官房審議官永山賀久君、厚生労働省医薬食品局長今別府敏雄君、保険局長木倉敬之君、政策統括官唐澤剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西健介君。

大西(健)委員 おはようございます。民主党の大西健介でございます。

 本日は、薬事法及び薬剤師法の改正案ということで、一般医薬品のインターネット販売の新ルールということでありますけれども、私は、率直に言って、この案というのはなかなかよくできているなというふうに感心をしております。

 というのも、一部限られた品目を除いて九九・八%インターネット販売が可能になる、これは厚労省も繰り返し説明されていることです。ただ、そういうことを繰り返し説明されて、もう九九・八%解禁なんですよ、それなのにまだ文句を言っている三木谷さんてどうなんでしょうねみたいな印象を国民の皆さんに与えながら、一方では、市場規模でいうと一般医薬品の十倍ある処方薬の方にはインターネット販売というのが及ばないようになっている。これを考えた人は頭がいいな、なかなか巧妙だなというふうに思っているんですけれども、現時点で、私は、これは一つのおさめ方というか解決策、決着のあり方じゃないかなというふうに評価をしております。

 ただ、この政策決定の過程において重大な瑕疵があるんじゃないかというような指摘があります。これについては、十一月二十日の内閣委員会で、我が党の同僚の玉木議員からそういう指摘がありました。

 きょうは、皆様のお手元に内閣委員会で配付をされた玉木事務所作成の資料をお配りしておりますので、それをごらんいただきながらお聞きいただきたいんです。

 この委員会でも既に何度か五感という言葉について議論がありました。その五感という言葉は、実は、そこにも書いてありますけれども、十月八日に出された厚労省の専門家会合の報告書には一切出てまいりません。また、その最終報告には、インターネット販売がだめだとか対面でなければいけないとか、そういうことも明確には書かれていないんです。

 その次に、その時系列を見ていただくと、十月二十九日の産業競争力会議医療・介護等分科会の場で、厚生労働省の局長から座長メッセージというものが読み上げられて、その中に初めて五感という言葉が出てまいります。

 資料の方を一ページめくっていただくと、その座長メッセージというのを配付させていただきましたけれども、これをごらんいただくとわかるように、日付も名前も何にも書いていません。その五感という部分については印をつけておきましたけれども、この件が政治的に問題になっていたこともあり、あえてネットとか対面という用語を使わずに作成したという、冒頭のところで言いわけというか、そういうことも書いてあるという文書なんです。

 まず、この何のクレジットもない文書がいきなりその分科会で局長の方から読み上げられた、その経緯について、これを読み上げられた今別府局長御自身から、何でこういうものが出てきたのか御説明をいただきたいというふうに思います。

今別府政府参考人 お答え申し上げます。

 スイッチ直後品目と劇薬の扱いにつきましては、医学、薬学の専門家の方六人を集めまして御議論をいただきました。その議論の過程では、例えば患者さんの顔を見る必要があるとか、あるいは対面販売の必要があるというような言葉で議論をされておりました。そういうことでありますし、それから、報告書の中でも、実際には、薬剤師が患者の状態等を直接判断する必要があるという表現がございます。

 我々は、こういうことで、六人が六人とも同様の御意見でございましたので、対面販売だという理解をしておりましたが、先ほど先生が引かれましたように、具体的にネット禁止とは書いていないじゃないかというような意見が聞こえてまいりました。

 そこで、座長も御心配をいただきましたので、座長と御相談をしまして、座長メッセージというものを準備いただきました。日付もクレジットもないというのは、これは必要なときに、この座長メッセージが必要であれば出してくださいという形で私が預かっておりまして、たまたま先ほどの産業競争力会議の分科会で三木谷さんと直接対面をしてやりとりするという場面がありました。この会議自体は非公開でありますけれども、議事録がきちんと残るという場でありましたし、当初、三分で意見を言えと言われましたので、私からくどくど申し上げるよりは、座長メッセージをこの場で披露するのがいいだろうという判断でその会議の場で読み上げさせていただいた、こういう経過でございます。

大西(健)委員 今の局長の御説明で、ある部分は私は理解できるところもあると思います。ただ、やはり正式なものは報告書ですよね。そういうつもりだったというんだったら、やはり本来はそこにしっかり書かれるべきであって、それを、報告書とは別の紙がぺろっと後から出てきて、そうすると、違う考え方の人からすれば、後出しじゃないか、何で報告書に書かないんだということにどうしてもなってしまう部分はあるんだというふうに思いますので、このやり方が本当によかったのかということについては、もう一度お考えいただきたいなというふうに思います。

 それからさらに、先ほどの資料に戻っていただくと、十一月五日の夜に、甘利経済再生相、田村厚労大臣、菅官房長官、稲田規制改革相の四大臣会合というのが行われております。この会合は、激論の末に、よくわからないですけれども、一旦休憩をして、そして再開をして、その最後で決着を見たということですけれども、休憩の間に厚労省が大慌てで専門家の意見を取りまとめて、スイッチ直後品目及び劇薬についてはインターネット販売は認められないという内容のペーパーを作成して、それを再開後に配付したということなんです。

 このてんまつについて、資料の三枚目ですけれども、東京・中日新聞の論説副主幹の長谷川氏がコラムでこんなふうに書いています。「スクープ! 薬のネット販売を覆した「厚労省秘密文書」」。これを見て私も驚いて、機密文書なんてあるんですかということを厚労省に聞いたんですけれども、厚労省の方からは、これは機密文書でも何でもありませんと。資料の四に「「代替案」について」というペーパーをつけておきましたけれども、これが、ここで長谷川さんが機密文書だと言っているものなのだそうなんです。

 これはどういうものかというと、四大臣会合の中で稲田大臣から代替案というのが示された、それに対する打ち返しとして、休憩中に専門家の意見を取りまとめてつくったのがこの「「代替案」について」というペーパーだということなんですね。それは、聞けばなるほどなというふうに思うところがあるんですけれども、ただ、ちなみに、このコラムを書いている長谷川さんというのは規制改革会議の委員なんです。

 また、規制改革会議の議長を務めている岡素之氏は十一月十九日の記者会見で、厚労省の今回の進め方についてはスマートではないという苦言を呈しておられるんです。

 そういう意味で、私は、先ほどの座長ペーパーもそうですし、これは捉え方ではありますけれども、ある意味後出しでこういう文書が出てきて、それによって結論が左右されるということで、政策決定のプロセスが非常にわかりにくくなっていて、そこに不透明感が出て、そこにまたさまざまな疑念が生じてしまっているのではないかというふうに思います。

 この機会にぜひ、四大臣会合に出席をされていた当事者の大臣の方から、いや、そういう疑念を招く話じゃないんだということをしっかり御説明いただいた方がいいと思いますので、御説明いただきたいと思います。

田村国務大臣 今も局長の方から説明がありましたけれども、医学、薬学の専門家の検討会の方から報告書が出ました。内容的には、薬剤師が患者の状態等を直接判断する必要があるというような文言であったわけであります。

 その議論の中の議事録を見ればこれがどういう意味かというのは明白なわけでありまして、今もお話がありましたように、顔色を見たりだとかいうような話なんですね。対面だ、そういうことを言っているんですが、報告書だけでは、我々が見ればこれは対面販売だとわかるんですけれども、そうじゃないと考えられる方々から見ればそうじゃないというふうにも見えるというような御指摘をいただきまして、先ほど来の座長の意見書のようなものを出させていただいたわけであります。

 その後、最終的に四大臣で議論をさせていただいて、方向性を示さなきゃいけないということで、今委員がおっしゃったように、十一月の五日、言われた四大臣でお会いをさせていただきまして、一回目にお会いしたときに、これは実は延長というか休憩というか、それぞれほかの用事があったものでありますから、一旦ここで休憩をして、またやろうではないかという話になりました。そのときに稲田大臣の方から、ここに書いてあります代替案というもの、要するに、薬剤師の方々に専門的な研修をしていただいた上でインターネットで売れるようになるのではないかというような提案等々をいただいたわけなんです。

 これについて、少なくともこの検討会の方々、専門家の方々に諮ってもらえないかというようなお話をいただいたものでありますから、では、きょうじゅうに間に合うかどうかわかりませんけれども声をかけてみましょうということで、それぞれ確認をさせていただいたんです。

 話を聞きますと、もとから五感でということでございますから、幾ら専門的な研修を薬剤師の方々がお受けいただいても、インターネットでやる限りは五感というものは確認できないということでございますので、やはり無理ですねということで、インターネット販売はだめだということをそれぞれ専門家の方々全員から文書として確認もしていただいたということでございまして、書面をもってして最終的にそのような確認書をいただいたということでございます。

 これが全ての真実でございますので、提案をいただいた代替案に対して、やはりこれは無理ですねというような形でこのような回答書をいただいたということであります。

大西(健)委員 今の説明を聞けば私も理解するんですけれども、そういう説明がない中で機密文書とかいって書かれてしまっているというのは、スマートではないという評価もありますけれども、やはり報告書そのものに、いや、私たちはそういうつもりだったんですよ、議事録を読んでもらえばと言うけれども、議事録じゃなくて報告書ですから、報告書にやはり明確に書かれるべきであったのではないかなというふうに私は思います。

 さて、次に行きたいと思いますけれども、ネット販売解禁の影響が業界にどのように及ぶのかということなんです。

 この点について、例えばマツモトキヨシホールディングスの松本南海雄社長は、ネットに移る客はそんなに多くないんじゃないか、マスコミが騒いでいるほど影響はないと思うと述べられています。また、我が党の議員でもあったヒグチ産業の樋口俊一社長は業界誌のインタビューで、ヒグチ産業はネットには参入しない、コンビニとの一体型店舗で町の薬箱としてお薬を二十四時間提供していくことを目指す、夜間に薬を求める需要というのはかなりあるけれども、ネットでは注文してから届くまでにタイムラグが生じると。ですから、それも私は一つの方向性だなというふうに思います。

 私は、インターネット販売が解禁されても、当たり前ですけれども、引き続き薬局、薬店にしか果たせない役割というのがあるというふうに思っています。

 この点は、これからの薬局、薬剤師の役割というのは、セルフメディケーションという概念がしっかりと定着をして、その中に薬局、薬剤師が位置づけられていくということにかかっているのではないかというふうに思っています。

 つまり、高齢化によってどんどん医療費がふえていきますけれども、そういう中で、医療費の適正化という観点からも、軽度の体調不良のような場合には、まず、かかりつけ医に診てもらう前に、それぞれかかりつけ薬剤師、薬局というのを持っていただいて、薬局で薬剤師に相談してみずから薬を買って、そして自分で治していただくということをやっていただきたいなというふうに私も思っています。

 ただ、その分、薬剤師や登録販売者の方でも、単に薬の知識があるだけじゃなくて、コミュニケーション能力というか、購入者の方から来店動機やあるいは症状などの情報をうまく聞き出して、その情報を分析、評価してトリアージをして、そして必要な場合には医療機関に行ってくださいと受診勧奨するというより高い能力が求められるんじゃないかというふうに思います。

 この点、厚生労働省として、セルフメディケーションというのを今後どのように推進していこうとされているのか、また、その中で薬剤師や薬局、薬店の位置づけをどのようにしていこうとしているのかについてお聞きをしたいと思います。

田村国務大臣 六月に閣議決定されました日本再興戦略の中にも、セルフメディケーションを進めていくということが入っております。もちろんその中において、薬局、薬剤師が中心的な役割を果たすということでございますから、その活躍を期待いたしておるわけであります。

 今言われましたとおり、それぞれある程度自分で自己管理をしていただきながら健康管理をしていただくということが大変重要でございまして、そのような意味からいたしましても、来年度予算の中に、薬局、薬剤師、こういう方々に対しまして、例えば健康情報の拠点ということで、そのような役割を担っていただくということ、さらには在宅医療のモデル事業、こういうもの等々の予算を計上させていただいております。

 今、かかりつけ薬局というお話が出ましたけれども、かかりつけ薬局としての大きな期待というものもあるわけでございます。あわせて、やはり在宅医療、チーム医療、こういうものにも取り組んでいただきたい。もちろん、チーム医療という意味からしますと、病院内のチーム医療もよく言われるわけでありますけれども、それだけではなくて、在宅におけるチーム医療という役割もあるわけでございます。そういうところにも取り組んでいただく中において、薬剤師、薬局へのこれからの、健康という意味に対しての我々の期待というものは大変大きいわけでありまして、健康寿命の延伸に向かってこれからも一定の役割というものをしっかり果たしていただきたい、このように思っております。

大西(健)委員 私もこのセルフメディケーションというのは重要だと思うんですけれども、そのためには、購入者側というか、薬を使う側にも知識をしっかり持っていただかなきゃいけない。

 その点においては、学習指導要領が改正されて、今、二〇一二年の四月からは中学校で、二〇一三年の四月からは高等学校で薬教育というのが始まっているというふうに伺っております。

 では、どういうことをこの薬教育の中で教えられているのか、またどれぐらいやっているのか、あるいはやり始めてみて浮かび上がった課題等があれば、きょうは文科省にも来ていただいていますので、ぜひ簡潔に御説明をいただきたいと思います。

永山政府参考人 学校における医薬品に関する教育につきましては、今御指摘いただきましたとおり、学習指導要領またその解説におきまして、主として中学校と高等学校の保健体育科において指導するということになってございます。内容としては、例えば医薬品の主作用、副作用ですとか、承認制度あるいは販売制限、そういったことも含まれてございます。

 その際、教える側、教員がこういった仕組み等を十分理解しているということが大前提でございますので、私ども文科省といたしましても、公益財団法人の日本学校保健会とともに、研修会の実施ですとか、あるいは指導参考資料の作成ですとか配付、こういったところに取り組んでございます。

 引き続きまして、学校薬剤師さん等の専門家とも連携をしながら、こういった学校における医薬品に関する指導の充実に努めてまいりたいと考えてございます。

大西(健)委員 専門家との連携、先ほどかかりつけ薬局という話が出ましたけれども、学校というのは生活の地域ですから、そういうことをぜひやっていただきたいなというふうに思っております。

 また、この薬教育というのがちゃんと進んで、セルフメディケーションの必要性とか医薬品の使い方に対する理解が深まっていけば、中学生なんていったら我々よりもずっと体力がありますよ。ですから、私は、少し風邪を引いたぐらいだったら、薬局に行って薬剤師さんに相談して薬を買って、それで自分で治してもらえばそれが一番いいと思っているんです。

 だけれども、私の地元もそうなんですけれども、有権者に受けがいい政策として、市町村で中学校卒業まで医療費無償化というのをよくやられます。うちの地元では、今度、高校まで無償化しようかみたいな、そんな話まで出ているんですけれども、そうすると、病院に行けば風邪薬をただでもらえるんです。だから、どうしても、軽症でもコンビニ診療につながってしまう。

 その分、自治体が負担する自己負担の窓口負担の部分だけじゃなくて、保険財政を使うわけですから、私は、やはりこれはいろいろ問題があるんじゃないか。例えば、幼児に限って言えば、これは必要な部分もあるかな。あるいは、夜間診療についても一部窓口負担、自己負担を設けるとか、モラルハザードを防ぐようなさまざまな仕組みもちょっと考えなきゃいけない時期に来ているんじゃないかなというふうに思っております。

 地域主権にかかわることですから、余りあれするな、これするなということを国から言うことはできないことはわかっていますけれども、この子供医療費の無償化政策ということについて大臣が政治家としてどのように思われるか、お考えをお聞きしたいというふうに思います。

赤石大臣政務官 大西委員にお答えいたします。

 実は、私も孫が、ゼロ歳から十五歳まで七人おりますけれども、私の子供を見ている感じでは余りそういう傾向はないなと思うんですが、私、先週、青森県の南部町というところに行って、薬剤師さんの意見と皆さんの意見を聞いたら、やはり中学校まで無料で、町の財政負担は結構大きいものだということがあって、無償化すると確かに医療保険を使うことが多くなるんだろうというのはあると思います。

 一方で、高齢化によってまた医療費も上がっていくということで、地方主権といいながらも、やはりどうしてもポピュリズムに流されてしまうというか、隣の町でやっているから自分もやらなきゃいけないというふうなことがあって、そういうことで結構負担になって、それが国保にはね返っているというのが実態だと思います。

 そういう意味で、もう少し公平性のある医療保険制度に変えていかなきゃいけないし、そういう指導もまたしていかなければいけないと思うんですけれども、地域主権とのかかわりの中では、なかなか国として一律に言えるということではないので、それぞれの地方の財政に応じてしっかりとした医療提供体制をやってほしいということを考える必要があると思います。

 以上です。

大西(健)委員 まさに地域主権との兼ね合いで悩ましいところでありますけれども、一方で、今、政務官からの御答弁の中にもあったように、本当に近いところで、隣町は中学校卒業までただなのにこっちは違うみたいなこともあって、これが本当に公平性の観点からいいのかということもありますので、ぜひまた政府の方でもお考えいただきたいというふうに思っています。

 薬剤師とともにセルフメディケーションの重要な核になるのが、薬局や薬店で健康相談できる登録販売者という方々です。この登録販売者の制度というのは、薬剤師から薬の販売業務を減らして、薬学部も六年制になったわけですから、より専門性を増した薬剤師には、調剤とか今の受診勧奨のような医療補完的な業務にどんどんシフトしてもらう、そういう狙いもあったんじゃないかなというふうに思っているんです。

 ところが、この登録販売者制度については、ちょうど一年ぐらい前に、実務経験などの受験資格を満たしていない不正受験というのが大手スーパーなどで横行しているということが報道されて、大きな問題になりました。

 不正受験の防止については、厚労省としても一定の対策というのをとっておられますけれども、専門家の間からは、罰則を設けなきゃいけないんじゃないかというような声もあります。

 一方で、二〇〇九年に施行された改正薬事法で創設されたこの登録販売者制度というのは、当初狙ったとおりの制度になっているのか、制度そのものの見直しが必要じゃないかという声もあります。

 そこで、今回、薬のインターネット販売という新たなルールができることも踏まえて、この登録販売者制度の抜本的な見直しを含めた将来像を厚労省としてどう考えているのかについてお聞きをしたいと思います。

赤石大臣政務官 今、委員指摘のように、登録販売者試験の受験資格における不正事案が大型店で発生しておりまして、特に、合同会社西友による不正等で、二十都道府県で延べ三百十一名の不正がありました。それから、株式会社カメガヤによる不正等で、十三都県、延べ四百九十二人に上る不正事案があったということです。

 これはやはり大きな問題だということで、平成二十四年度から、受験申請の際に、実務経験の証明資料として勤務簿の写し等の添付を求めることといたしました。それによって、平成二十四年度では一名が確認されるのみに至っておりまして、かなり不正防止の効果があったというふうに思っております。

 今後とも、不正防止の対策を徹底するとともに、都道府県等とも協力して、情報提供、相談応需、名札の着用を徹底させるなど、医薬品販売の適正な実施の確保に努めていきたい、このように考えております。

大西(健)委員 やっておられることはわかったんですけれども、再度お聞きしたいのは、タイムカードとか勤務簿を提出させても、実際に実務に携わっていたかどうかというのはわからない、その部署にいたということはわかるけれどもという指摘もありますし、あるいは罰則ですね。だから、そういうことをやっても、やったスーパーとかは何の罰則もない。あるいは、見つかった場合には、不正受験した人は一旦取り消されるけれども、では受験資格は、何年間か再度受験できませんよみたいなものもないわけですね。そうすると、やはり実効性がないんじゃないかというような話もあります。

 罰則の部分、それからあと将来像の部分、さっきちょっとお答えがなかったので、この登録販売者制度をどうしていきたいと思っておられるのかについて、政務官、再度お答えいただけますか。

赤石大臣政務官 失礼しました。

 罰則についてはなかなか難しい問題だというふうに考えておりまして、厚生労働省としては、登録販売者は医薬品の適正販売に欠かせない存在であると認識をしておりまして、今後も、セルフメディケーションを推進する上でも重要な役割を果たしていただきたいと考えておりますので、何らかの措置を講じていきたい、このように思っております。

大西(健)委員 最後に、今回の法案の中にはいわゆる脱法ドラッグの問題が含まれていますけれども、この脱法ドラッグをめぐっては、脱法ドラッグを吸引して車を運転したことによる交通死亡事故というのが多発をしています。私の地元の愛知県でも、春日井市で昨年の十月に、脱法ハーブを吸引して運転した車が女子高生をひき殺すという痛ましい事件がありました。この脱法ハーブについての規制強化や摘発の強化は急務だというふうに思っております。

 一方で、脱法ドラッグの販売の手口や業者の潜在化を指摘する声というのもあります。

 資料として新聞記事をおつけしましたけれども、一部の自治体、ここでは大阪の事例なんですけれども、既に先行して使用、所持の規制というのをやっています。昨年十二月に独自の条例を施行して、国の指定薬物よりも網を広げた知事指定薬物というのを定めて、所持、使用も罰則つきで禁じている。その効果やあるいは当局の取り締まり強化の効果があってか、大阪府内では、一年前と比べると脱法ドラッグの販売店数は半分以下に減っているということなんですね。これ自体はいいことだと思うんです。

 ただ、一方で、店頭販売じゃなくて、宅配をするとか、違うところに呼び出して、そこでまた連絡をとってとかいうふうに販売手口が巧妙化をしているとか、そのことによって潜在化して摘発がより困難になっているんじゃないかというようなことが指摘をされています。

 それからまた、もう一つの新聞記事、次のページですけれども、最後の方にありますけれども、摘発に至ったケースでも、販売業者や使用者に指定薬物に当たるとは知らなかったとしらを切られてしまうと立証が難しいと。ここの記事によればですけれども、ことし上半期に摘発をした容疑者で、起訴に至ったのは約三割にとどまるということが書かれております。

 そこで、きょうは警察庁にお越しをいただいていますので、脱法ドラッグ摘発の今の状況と、今私が指摘したような販売手口の巧妙化あるいは業者の潜在化というような課題、それから最後に申し上げた立件の難しさ、こういった状況と課題について、警察庁の方からお答えいただきたいと思います。

室城政府参考人 お尋ねのいわゆる脱法ドラッグの販売手口につきましては、店舗での対面販売やインターネット販売等のほか、資料の中の記事にございますようないわゆるデリバリー方式の販売、さらには密売人による路上等での非公然販売も見られるものと承知をしております。

 このような脱法ドラッグの販売について、警察では、関係機関とも連携を図りつつ、麻薬等の規制薬物や指定薬物を含有する物品を扱う者に対する厳正な取り締まりを行ってきたところであります。

 なお、今回の薬事法改正案が成立し、乱用者による指定薬物の単純所持等が規制されれば、乱用への抑止効果が期待できるほか、麻薬等と同様に、検挙した乱用者からのいわゆる突き上げ捜査によって販売者等の解明及び検挙が可能になることから、脱法ドラッグの販売の取り締まりを一層推進してまいりたいと考えております。

 また、お尋ねございました、平成二十五年上半期におけるいわゆる脱法ドラッグに係る検挙事件は六十六事件でありまして、このうち起訴されたものは約三割に当たる二十事件と承知をしております。これらは、脱法ドラッグに係る薬事法、道路交通法などの各種法令違反で検挙した事件の総数であるところ、検察官において、個別の事件の犯情や証拠関係に照らしまして公訴提起の可否、適否を判断しているものと認識をしております。

 なお、脱法ドラッグに係る薬物事件では、被疑者が当該物品について違法薬物であることの認識を否定したものなどについて、不起訴とされる事例も見られるところであります。

 警察としては、今後とも、関係省庁と連携しまして、脱法ドラッグの法的規制に関する周知に努めるとともに、被疑者における違法薬物であることの認識を裏づける立証方策を充実しまして、適正な科刑が得られるよう努めてまいりたいと考えております。

大西(健)委員 突き上げ捜査というのは、なるほどなと。店舗がなくても、どこから買ったんだ、誰から譲り受けたんだということをやっていけばそこはたどり着けるということですから。それから、立件の方もしっかりやっていくということですので、ぜひお願いしたいと思います。

 時間になりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 インターネット販売の法案でございますが、前回の質疑あるいはきょうの質疑等を通じて、質疑者あるいは委員の皆様方のほぼ共通した認識は、医薬品のネット販売というのはあくまでも売り方あるいは買い方の一つということであって、これを成長分野だということで位置づけようとすると無理が生ずる、あるいはゆがみが生ずる、安全性がないがしろにされかねないというところが多くの議員の共通した認識である、それは厚生労働省も同じ考え方であるということが明らかになってきていると思います。

 成長分野とあるいは利便性、安全性、こういったものに対して厚生労働行政の中でどう捉えていくかということは大変微妙なところがあるというふうには思いますけれども、社会保障、厚生労働省の扱う分野というものが経済成長の重荷になっているのではないかというような見方を、経済界から、ともすると、そういう見方をされかねないというようなところもあると思うんですね。

 その一方で、国民の大切な資産である年金資金というものは、そういう批判をする方から、ある意味食い物にされかねないような運用の仕方が今検討されている、こういうことであるわけであります。

 そういったことの中において、厚生労働大臣、田村大臣として、成長戦略、成長分野、こういったものと厚生労働行政というものについてどのようにお考えであるかということを改めてこの場で確認させていただきたいという思いで質問をするわけなんですけれども、厚労省の行政は、規制改革とかあるいは再三申し上げておる成長戦略とかということに対する抵抗勢力と位置づけられかねない、あるいはそういった発言が散見をされるということに対してどう思っていらっしゃるかということなんです。

 例えば、この薬のネット販売、あるいは、いわゆる混合診療と言われるもの、医療ツーリズム、保育所に株式会社が参入をするということ、また、日本式の医療システムやあるいは介護システムをアジア、中東などに町ごと、システムごと輸出して現地の人に活用してもらうというようなこと、こういったものはいずれも雇用を創出し、また周辺を含めて大いに成長力をつくっていくということになるんだろうと思っております。したがって、厚生労働省が扱う分野も、これは成長分野だ、自然体でいて成長分野になるんだということだと思うんですね。

 したがって、経済界の方に、厚生労働行政あるいは社会保障は成長のお荷物ではないんだということ、雇用が確保されて初めて、年金や医療やこういったものの保険料がきちんと確保されて、社会保障を支えて、雇用を創出し、そしてまたそのことがさまざまな成長分野に資する産業の振興にもつながるということでいえば、まさにこれからは厚生労働行政こそが成長分野、成長戦略を担っていくということであるわけでありますので、必要な規制というか必要なルールの中でここをうまく推し進めていきながら日本の成長力をつくっていくということでいえば、厚生労働省が決して抵抗勢力ではないということを、ぜひ経団連を初めとする財界の皆様方にしっかりと大臣からメッセージを発信してもらいたいというふうに思うんです。

 大臣としてこういう財界の方々と、どの程度、どういう意見交換、情報交換というものをしておられるのか、あるいはしておられないのかということについて、大臣のお考えといいますか、そういうものをお聞きしたいと思うんですが、いかがでしょう。

田村国務大臣 非常に難しい御質問です、前段が。

 といいますのは、社会保障制度、特に保険制度というものは、保険料と税が入っているのが多いです。医療や介護は自己負担もあるわけであります。

 年金という意味からすると、確かに、基礎年金国庫負担二分の一、これは税でありますし、あとは保険料というわけであります。一方で、給付という意味からすれば、老後の生活を支えているわけで、それは消費に回るわけでありますから、そこがしっかりしているからこそ、老後の生活が安定し、消費も活発化するわけですね。

 医療にしたところで、確かに、医療費はかかる、保険料はかかる。企業も保険料負担しなきゃいけないし、本人も保険料負担しなきゃならない。税も一定程度入ります。自己負担だってある。しかし、それがあるからこそ、安心して生活ができる、労働もできるという部分があります、消費ができるという部分もある。体が悪くなったときにも、治ってまた労働に参加できる。これも成長に影響があるわけであります。新しい医療技術が生まれれば、今まで治らなかった病気が治って、社会参加ができて、成長の一翼を担える。

 しかし一方で、それが高額であれば当然その分だけ負担がふえるわけでありまして、それはそれぞれの企業セクターや個人セクターで負担をしなきゃならない。そこは、逆に言うと、負担の増大になる。自己選択でやれる部分もありますが、自由な企業活動ではありませんから、そこは保険制度という中において一定の負担というものを国民に強いている部分でありますから、ここは両方がかかわる。

 どう分析するかはなかなか難しいところではありますが、ただ、健全な社会の成長といいますか国の成長ということを考えれば、やはり社会保障制度が安定していることが成長に大きな役割を果たすということは間違いないんだろう、このように思います。

 一方で、医療にしても、介護にしても、福祉にしてもでありますけれども、労働集約性が非常に高い、そういう分野でございますから、雇用という意味ではこれからますます、特に高齢化社会の中においては、これは雇用を吸収していく部分だというふうに思います。

 ただ、悲しいかな、福祉の分野、医療の分野というのは、一般の方々よりも実は賃金が余り高くない、低い分野でございますから、ここの職が雇用がふえても、賃金が伸びていかないと、消費という意味から見て、もしくは国民の生活の安定という意味から見て、やはり問題が出てくるわけであります。ここの所得をふやしていこうということをしようと思えば、一定の他の経済成長による果実、それは法人税もそうでありましょうし、所得の増大による保険料の増大ということもあるわけでありまして、こういうものをどううまくバランスとして考えていくかということが非常に大きいのであろうなというふうに思います。

 一方で、日本の国で生まれた医療技術、また新しい薬品、画期的な新薬、それから介護機器、こういうものも含めて海外にシステムとして輸出していければ、それは外貨を稼げる、成長という意味もありますし、あわせて、人も一緒にそちらの方で、高付加価値の中で労働ができれば、その分だけ国内の方に還元されてくるわけであります。そのような部分での、医療や介護の新しい技術の創出から外貨を稼ぐという意味の成長の分野もあろうと思います。

 こういう分野をいろいろ話し合っているのが、産業競争力会議でありますとか、また、昨今では、労働の分野からいえば政労使会合、こういうものもその分野でございますし、あとほかに、革新的医薬品・医療機器創出のための官民対話、こういうものもあるわけでございます。

 それぞれの場所で、私が出られるときも出られないときもございますけれども、出られるときにはいろいろと私の方から、実はこういう分野で経済には我々の厚生労働省の行政の範囲の中においても資するんですよ、こういうような側面もありますねというお話はさせていただきますし、逆に、各委員から、では、こういう分野に関しても成長に向かっていろいろと御協力いただけるのではないですかというようなお話をいただくわけでございまして、その中において、そうだなという部分に関してはしっかりと協力をさせていただいておるというような状況でございます。

中根(康)委員 ぜひ、厚生労働分野が成長に資する大きな可能性を持つ分野であるということを、財界の方々とも密接に連携して、あるいは大臣として発信をしていただいて、特区の関係なんかではとかく外されそうになっているということもあって心配しているんですけれども、外すな、俺にも物を言わせろ、必ず成長に資する提言ができるんだということを大臣として積極的に発信していただきたい、これはお願いをしておきたいと思います。

 それで、ネットのことを質問することも必要なんですが、用意をさせていただいているんですけれども、今週月曜日になって、大変重大な関心を引くニュースが入ってまいりました。

 月曜日、二十五日の朝刊、きょうは資料として読売とか朝日とかを配付させていただきましたけれども、田村大臣がソウルで、これは記者のぶら下がりに対して発言したということであろうと思いますけれども、この新聞記事以外に私たちはこの件に関しての情報を得ておりません、持っておりませんので、新聞記事を中心に質問させていただくということになってしまうわけなんです。

 まず、大臣がソウルで何をお話しされたか、難病患者の自己負担のあり方についての御発言でありますけれども何をお話しされたか、正確にといいますか、ここでぜひ御説明をいただければと思います。

田村国務大臣 正確にということでございますので、私がお話ししたことをそのまま速記で書いてあることを読みます。

 全体としてやはり難病患者の方々に対して今回対策の見直しをやってきたわけでありますけれども、いろいろと難病団体の皆様方の御意見をお伺いしたりでありますとか、それから与党の御意見をお聞かせをいただいておりますと、一つは非常に重くて長期間にわたってですね、負担をされる方々に対して厳しいと、重くなくてもやはり一定程度お金がかかって、長期間の方々に関してもやはりこれは厳しいところもあるということもございますし、何より全体として初めに出させていただいたたたき台、素案まで両方とも勘案してもですね、なかなか負担感が今までと比べるとふえるという方々が厳しいというお声をいただいておりますので、その点はですね、先般申し上げましたとおりですね、自立支援医療の上限額程度、ちょっと所得階層が違うので全く一緒というわけにはいきませんけれども、上限に関してはそちらの方で何とか対応できる形で最終案の取りまとめをお願いをしていきたいと思っております。

 何か、読んでみると、何を言っているかよくわからないというようなことになっちゃうんですけれども。山井先生はよくわかられておられないようでありますが、中根先生は御理解いただいたようでございます。このような発言をさせていただきました。

中根(康)委員 つまりは、自立支援医療並みの自己負担のあり方を検討する、これまでの高齢者医療制度を参考にしてというところから方針を転換して、自立支援医療を参考にした制度を検討していくという趣旨の御発言をされた。そのことによって、記事によると、難病患者の月負担が二万円になる。高齢者医療だと四万四千四百円が上限だけれども、自立支援医療の方だと二万円程度だということがこの記事になっているということであろうと思います。

 今大臣、正確なことを申し上げなければならないということで読み上げられたわけなんですけれども、その読み上げられたことを新聞記者が深読みして、かなり拡大といいますか拡張した記事になっているような感じがいたしますので、難病患者の方々が、ある意味、これまでの四万四千四百円と比べれば、二万円になったということに対して歓迎の気持ちを持っておられる方もあるのかもしれませんけれども、しかし、この記事ほどの深い発言をした、あるいは幅広い発言をしたわけではないということのように聞き取れたわけなんです。

 したがって、当初の素案あるいはたたき台というものよりも負担軽減を厚労省あるいは大臣が検討しているということが確かなことであるのかどうなのかということが今の答弁の中で十分確認できなかったんですけれども、私たちは、自立支援医療並みにということであっても、必ずしもそれで是とするものではないという考え方なんですが、大臣、最低でも自立支援医療並みにするということはもう間違いないことなんでしょうか。

田村国務大臣 まだ決まったわけではありません。これは難病対策委員会で御議論をいただかなきゃいけない話で、そこに我々がどのような案を出させていただくかという話ですね。この中の議論でございますから、難病対策委員会の中でしっかりと御議論いただきたいというふうに思います。

 高齢者医療制度を一つ土台にしたたたき台を出させていただいたのがスタート。その後、素案という形に負担軽減策をまたさらにお示しさせていただきました。しかし、それもまだまだ高いと。そもそも、所得階層に合わせてどのような負担にするか、それから長期間しっかりと治療といいますか対応していただかなきゃいけない、非常にお金がかかって長期間という方々に対しての対応をどうするか、それから低所得者はどうするかというような、そういうことを勘案して議論してきたわけであります。

 それで、まだきつい、こういう話でございますので、そこで、今般、難病対策委員会の方にお示しをさせていただく案といたしまして、自立支援医療というものに着目をさせていただいた、上限でありますけれども、そういうものを一つ出させていただく予定であるという中での私の発言であります。

 もちろん、所得層がちょっと違いますから、そこは若干違いが出てきます。全く一緒ではありませんけれども、上限という意味で一つそういうものをお出しさせていただきたい。これは、与党からも、本当に厳しい中において何とかしろというようなお叱りもいただいております。

 そういう中において、我々、今回そういうものを対策委員会の方にお出しさせていただいて、御議論をしていただきたいという中においての私の発言でございます。

中根(康)委員 今の二度目の御答弁で、次の難病対策委員会、いつ開かれるかもまたお尋ねしたいんですけれども、ここには間違いなく自立支援医療並みの負担上限額が記入された厚労省案というものが示されるということでよろしいわけですね。その難病対策委員会は、次はいつ予定をされておるんでしょうか。

田村国務大臣 これは、予算編成過程で、もう決定しなきゃいけないことでございますので、十二月の比較的早い時期に開かせていただいて、最終の取りまとめに向かっての御議論をいただきたいというふうに思っております。

中根(康)委員 改めて確認をいたしますけれども、自立支援医療というものを参考にするということであると、きょうは資料九として自立支援医療の仕組みを配付させていただいておりますけれども、この「重度かつ継続」というところでいえば上限が二万円ということになるわけですけれども、この二万円というものをまずは、きょうの段階では、厚労省は示すという考えであるということを確認させてもらってよろしいですか。

田村国務大臣 ですから、もちろんこれは所得の区切り方がちょっと違いますから一緒じゃないんですけれども、自立支援医療の今の上限負担表をお出しさせていただく中において、これを参考にそこで御議論をいただくということであります。

中根(康)委員 この資料九を使ってもう一つ質問をさせてもらいたいんですが、この自立支援医療の中には、重度、継続の方でいえば、生活保護がゼロ円から、一定所得以上が二万円という刻みになっているわけなんですが、これをもしそのまま援用するとすると、「更生医療・精神通院医療」のところをごらんいただくと、医療保険の高額療養費というものを利用する欄があるんですけれども、これは使わないで、重度、継続の方だけ見てたたき台というか厚労省案をつくるということでよろしいですか。

田村国務大臣 中間所得一、中間所得二、一定所得、年収的には、百六十万から二百五十万まで、二百五十万から七百五十万まで、七百五十万円以上というところの話ですよね。要するに、自立支援医療の。(中根(康)委員「ええ、そうです」と呼ぶ)全く同じ所得階層にはならないと思うんですけれども、大体似通ったところの難病の方の医療支援のことですよね。ここの対応がどうなるかということをお聞きされているんですか。(中根(康)委員「はい」と呼ぶ)

 そこはこれから検討をいただく話であろうと思いますが、今委員がおっしゃっておられる趣旨というものは、当然のごとく、いろいろな意識があられると思います、難病対策委員会の中においても。今まで示してきたいろいろな案もあるわけでございますので、そこも踏まえて、難病対策委員会の方で御議論をいただく話になるというふうに思います。

中根(康)委員 必ずしも自立支援医療を援用すれば難病患者の皆様方の生活実態に合った医療費助成になるとは私どもは考えておりませんが、それにしても、きょうお尋ねしているのは、自立支援医療を参照するということであるならば、この医療保険の高額療養費、ここの部分だけ使われてしまうと、やはり相当な、二万円以上の大きな負担が課せられるということになってしまうので、ここはぜひ厚労省としては使わないということを明言していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 今私が決めてしまうと難病対策委員会の意味がなくなってしまうので、私からは申し上げられませんが、今、委員がおっしゃっておられる懸念というものは、当然、難病対策委員会の中でもそれぞれ認識をいただいて、共有されている部分だというふうに思います。ですから、そういうような問題点があるということも踏まえて御議論をいただけるものというふうに思っております。

中根(康)委員 改めて申し上げますが、例えば読売新聞を見ると、「医療費上限を軽減」ということが書いてあるんですけれども、これは、当初、厚労省が高齢者の医療費を援用するということで四万四千四百円ということを示したものですから、そこから見れば軽減ということなんですけれども、自立支援医療であっても、重症の方が、これまで無料だったものが新たに最大二万円の自己負担が課せられるということであれば、それにしても、依然として相当な自己負担増になるということだけはしっかり押さえておかなくてはならないと思うんです。

 高齢者医療を参照するということなどはもうとんでもない話で、全く難病患者とは生活実態が違う。かといって、自立支援医療でいいかといえば、これも障害者の生活と難病患者の生活とは違う。

 例えば、障害者は障害年金がある、あるいはさまざまな手当がある。それに比べて、難病患者はそういったものがない。ない上に、大変高額な医療費がかかるし、原疾患以外に周辺の疾患、あるいはまたヘルパーさんだとか交通費だとか、こういったさまざまなものを含めれば、難病患者の方々の生活は大変厳しい、医療費に圧迫されているということが言えるわけで、これもまた、障害者の自立支援医療をそのまままねれば事足れりというわけではないということは指摘しておかなければなりません。

 私たちは、これまでも、難病患者の皆さんには難病患者の特性に合った医療費助成のあり方を厚労省として検討してもらわなくてはならない、そのためにぜひ生活の実態調査も必要だということをお訴えしてきたわけであります。

 しかも、ここは一番大切なところだと思うんですけれども、消費税を上げるという局面であるわけでありますので、これは、ぜひ厚労省として、最も苦しい状況にある方、難病といえば、やはり将来がなかなか見通せない、確かな治療方法も見つからない、薬も見つからない、こういった中において大変な不安感と日々闘っておられる方々であるわけでありますので、難病患者の方々に合った、その生活実態に合った独自の医療費助成制度を検討すべきだ。しかも、消費税を上げる局面であるわけであるから、ここは、自己負担を引き上げるということ、これは、ほかの制度との公平とかあるいは均衡とかということをとても言えるようなものではない、大変苦しい状況と闘っておられる方々であるわけでありますので、公平、均衡ということを安易に持ち出して自己負担の引き上げ、自己負担を課すという考え方ではなく、五兆円以上の消費税収を有効に活用する使い道として最も適切な分野であると私は確信をさせていただいておりますので、四万円のたたき台、素案から二万円になったからそれで医療費の上限が軽減されたということではなく、ぜひこの自己負担引き上げというものを改めてゼロから検討し直していただいて、ある意味、次の法案が出てくるときまでまだ時間があるということになるわけでありますので、一旦、この自己負担引き上げという考え方は撤回をしていただいて、難病患者の特性に合った独自の自己負担のあり方をもう一度ゼロベースで構築し直していただく。

 高齢者医療制度あるいは障害者の医療制度、こういった今あるものに安易に寄りかかるという考えではなく、ゼロベースで検討して見直してもらうというところから始めてもらわなくてはならないと思いますけれども、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 私の記憶が間違えておりましたらお許しをいただきたいんですが、以前、中根先生は、一定程度の負担というものがあることは仕方がないけれども、これはひど過ぎるじゃないかというふうにおっしゃっておられたような記憶がございます、この委員会でありますけれども。

 今回、所得階層に応じた負担がどうあるべきかということも、この難病対策委員会の中で御議論をいただいておる一つのテーマであります。もちろん、その中において治療が受けられないというようなことが起きては大変でございますから、そのようなことが起こらないようなしっかりとした制度にはしていかなければならないと我々思いますけれども、今苦しい状況の中で、一方で一定程度範囲も広げていくということがある中において、全ての方々が今の制度よりも、特に所得のある方々が今の制度よりも若干でも上がることは許されないという話になるとなかなか難しいというところがある中において、難病対策委員会で御議論いただいておるわけでございますので、そちらの方の御議論を見守らせていただきたいというふうに思います。

中根(康)委員 一定程度というのは、重症の方を指して申し上げたつもりはありません。

 もちろん、難病という病気におかかりになっていても、仕事を頑張っておられる方もあります、あるいは仕事ができるという状況の方もあるかもしれません。そういった可能な方に対してはそういうことをお願いするということも、これは必要といいますか、やむを得ないことかもしれません。しかし、重度の方、あるいは軽症であっても治療を続けているからこそ今の状態が保てるという方に対してまで自己負担の引き上げというものをお願いすることは、これは消費税引き上げの局面においてはとても許されることではないということであります。

 ですから、今の制度があるわけでありますので、まずはそこをしっかりと守って、そして、消費税を引き上げるという新たな税収の中でさらに充実をさせていくという方向で考えるべきであるわけでありますので、ぜひ、そういった方向で厚労省として検討し直していただきたいということを強く要望させていただくと同時に、ソウルでの大臣の御発言が必ずしも難病患者の方々に大きな夢や希望を与えるものではないということが明らかになったわけでありますので、次の難病対策委員会でどのようなものが示されるかということは引き続き注視をしていかなくてはならない、そんな思いをお伝え申し上げ、きょうの質問を終わらせていただきます。

後藤委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 前回に続きまして、薬事法改正、インターネット販売の件、そしてそれに関連しての質疑をさせていただきます。

 まず冒頭、前回もスイッチOTCの推進についてお伺いさせていただいたわけですが、この議論をさらにちょっと深めさせていただきたい。今回のネット販売の新たなカテゴリー化も含めてかかわる部分だとも思っております。

 田村大臣は、医療用医薬品から一般用医薬品への転用でありますスイッチOTCの推進について、改めてということにもなるかもしれませんが、どのようにお考えか、端的にお答えをいただければと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 先ほどもお答えさせていただいたんですけれども、日本再興戦略の中においても、セルフメディケーションというものが一つ立っております。そして、薬局、薬剤師の役割というもの、活躍というものに期待をいたしておるわけでありまして、セルフメディケーションということになれば、やはりこのOTCというものが非常に大きい役割を果たしてくるわけであります。

 その中において、スイッチOTCという概念は、今回、新しい要指導医薬品という話になるわけでありますけれども、ここに来ないと次に一般用医薬品としてOTCになっていかないということがございますから、ここがある程度安全性が確認された上で、専門的な知識を持っている方々がしっかりと情報を提供していただく、または服薬指導等々していただく中において、それぞれ個人が自身の健康管理をやっていただくということは広げていかなきゃならないと思っております。

 その点に関して申し上げれば、まず、医学、薬学の専門家の方々が、どの医療用医薬品をこの要指導医薬品にしていくべきかということを検討いただきます。これは、専門的な見地から安全性をしっかり見ていただきながら検討していただく。そして、その上で、薬事・食品衛生審議会というところで、ここは専門家以外にもいろいろな方が入ってこられますので、そういう方々に入っていただいてまた御議論をいただいて、そして最終的に要指導医薬品という形で一定程度の検証といいますか、安全性を確認していただく。そのときには対面で、薬局等で販売をしていただく。そこで安全性がある程度確認をされ、副作用に対してある程度の類型化ができてきたもの、そういうものに対して、これならば一般用医薬品として売ってもいいなというものに関しては、インターネット等の販売も含めてでき得る形になるわけであります。

 いずれにいたしましても、そこが厚くなってくれば、それだけセルフメディケーションを進めていく上においていろいろなものが選択できるということでございますから、それに関しましては、しっかり安全性というものを担保した上で進めてまいりたい、このように思っております。

柚木委員 今の御答弁でこの後の質問もある程度共有させていただけた部分もあるとは思っていますが、少しこの間の議論も整理をさせていただければと思っております。

 この委員会の中でも、長妻委員なんかも御指摘されていましたが、いわゆる医薬品産業というのを国内消費と絡めて成長産業とか成長分野という言い方をされることに対して、確かに、本当に製薬企業は税収の面も含めて非常な貢献はいただいているわけですが、逆に、国民の皆様が薬を消費する、つまり健康に問題がある、もちろんセルフメディケーションもありますが、そういった不健康になっていくことが成長産業という部分について、若干私は抵抗があることも事実なんですね。

 今御答弁の中には多少その問題認識の共有もいただけているとは思ったんですが、今おっしゃっていただいたように、医療用で使用されている医薬品で安全なものを、消費者の判断に委ね、専門家の適切な助言で購入できるようにすることによって医薬品産業の裾野が広がるとしても、本来は医療用医薬品として社会保険で賄われていたものが自費での購入になるということなんだと思うんですね。そうすると、医療費適正化という観点からすると、医療費における薬剤費の削減効果を期待することにはなるんですが、これをもって国内産業全体が成長するという部分とはちょっと違うという認識も持っております。

 ですから、どちらかというと、海外への事業展開とか、今いろいろな形で医療インフラの輸出等もされていますが、そういう意味での、例えば成長戦略の中でこの分野も捉えていただくとかも含めて、少し視点の整理は必要なのかなということは思っております。それについては今御答弁もいただいている部分に多少共有されているとは思いますが、改めて要望しておきたいと思っております。そうでないと、ちょっと誤解を生んでしまう部分もあるというふうにも思っております。

 その上で、スイッチOTCをもって、これもそういう意味では成長戦略、成長産業の一環というふうな御指摘があるとすれば、先ほども少し申し上げましたが、一般用医薬品を産業として捉えて、例えば国外進出を何らかの形で支援するという意味なのかというふうな、私もちょっと大臣の御認識を伺えればとも思いますし、あるいは、大臣が積極的に取り組まれている予防という観点、その予防に関係する周辺産業である健康増進等、そういった産業をいかに育成するのかという部分との関連も私は生まれると思っていまして、むしろ、セルフメディケーションを含めた予防というところに重点化した形でいろいろ情報を、お考えを発信していただくことも重要ではないかというふうに、私なりにいろいろ、ちょっと今整理しているところでございます。

 ですから、薬をどんどん国民の皆様に使っていただいて企業や国家が潤うというような国は、これはちょっとまた違うんではないかということでございます。

 セルフメディケーションという言葉、先ほどもあったわけですが、これは、医薬品を服用して、そして医薬品にとどまらないセルフケアという発想で、OTCだけでそういう部分に取り組んでいくということではなくて、予防や健康増進も含めて、薬剤師さんたちの職能教育など、そういった点も含めたパッケージでの取り組みが必要だというふうに思っております。

 今、そういうふうにるる申し上げさせていただきましたが、この医薬品産業をスイッチOTC化、これが成長産業なのか、あるいはセルフメディケーション、今御答弁いただいた部分、予防とかそういった部分にしっかりと関連づけてセルフケアの観点で推進をしていただくのか、そういった文脈について、大臣、やはり少し正確に情報発信をいただきたいと思いますので、もう一遍ちょっと整理をいただいてよろしいですか。

田村国務大臣 予防管理という観点からいきますと、セルフメディケーションというものが、薬局という意味で、かかりつけ薬局とよく言いますけれども、ただ単にOTCを使って風邪を治す等々だけではなくて、薬局自体がいろいろな健康情報の発信拠点であっていただきたい、また今あるわけでありまして、そういう役割を担っていただきたいと思います。

 そこには、食というものに関してもいろいろな相談もあるでありましょうし、薬の飲み合わせということもあるでありましょう。そういうことをいろいろと含めながら、やはり一つの薬局の役割というもの、健康管理、重症化予防、こういうものに大きな役割を果たしていただきたいと私は思っておりますし、今も果たしていただいておる薬局はあるわけであります。

 例えば、決して受診をするなというわけじゃないんです。御本人がやはり病院に行きたければ行っていただいて、風邪だと思ったら受けていただく。決して、セルフメディケーションで、それを全部市販の風邪薬で抑えろなんということを言っているわけではありません。

 ただ、一方で、なかなか忙しくて病院に行けない、でも、行けない中において薬も飲まずに重症化してしまうというようなこと、もしくは、アクセスせずに、実はもっと違う病気であって、結果的には大変なことになってしまうなんてことがあるわけであります。

 そういうときに、本当に相談ができる薬局に行っていただくということ、そして薬局で症状を言っていただいて必要な薬を飲む。でも、何回か行っていただくうちに、それでどうもおかしいということになれば、今度は薬局の薬剤師さんが、あなた、これはちょっとおかしいから絶対病院に行った方がいいですよ、時間をとって会社を休んで行きなさいよと。こういうことによって逆に早く病院にアクセスする、開業医にアクセスをしていただく中において、実はほかの問題があったということに気づいていただけることによって重症化を防げるという役割もあるわけであります。

 そういう意味では、比較的薬局というのは敷居が低いところがございますので、敷居が低いという言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、入りやすいというところがありますし、町に結構多いということもございますから、そういう意味で、かかりつけ薬局というものを自分の健康管理の中にしっかりと役立てていただきたいという思い、そしてそれが健康寿命の延伸につながって、経済の成長にもつながっていくという意味でございます。

 そのような意味合いから、日本再興戦略の中にも、「「健康寿命」の延伸」の中においても一つ大きく位置づけられておるわけでございまして、そのような意識の中で、我々としては、これからもこの薬局というものに対して期待をさせていただきたいというふうに思っております。

柚木委員 ありがとうございます。

 かかりつけ薬局機能、薬剤師さんたちのそういう職能活用というか、そこもしっかりと今お触れいただいたと思っておりますので、今後しっかりとした取り組みをお願いさせていただきたいと思います。

 今の御答弁も踏まえて、スイッチOTCの推進のお考えを私も共有させていただいたわけですが、現状でいろいろ厚生労働省のお話を伺うと、スイッチOTCへの省内での決定プロセスといいますか、多少私の中でも問題認識を持っております。

 そこは、実はきょう、文部科学省から冨岡大臣政務官にもお越しをいただいているわけですが、少し利益相反という観点から問題の整理をさせていただきたいと思っています。

 私もいろいろ専門紙の報道等を読んで調べたりしましたが、昨年の高脂血症治療剤エパデールというもののスイッチ化の際に、医師会さんの非常に強い反発、これまでのカテゴリーとは別の生活習慣病とかそういったことへのスイッチ化が進んでいくという、いろいろな観点からいろいろな御意見があったというふうなことは聞いております。

 確かに、スイッチ化というのは、今大臣が御答弁いただいたように、国民の側からすれば利便性が増すという見方もあるわけですが、他方で、不特定多数の皆さんが自己判断で使用する点について、薬局にいろいろ相談はするにしても、多少リスクといいますか、そういったものもあるのではないかというふうに思います。

 使用の安全性をいかに保つのかという観点から考えますと、これは当然、利便性だけではなくて、先ほどのお話にもありました、安全性というかリスクとのバランスを精査する必要があると思っております。

 スイッチ化の判断というのは、これは言い方が適当かどうかわかりませんが、職業的な利益というか、そういったものは排除して、そして安全性の観点から、利便性とのバランスも含めて、国民の利益をきちんと精査できるかどうかが鍵になってくるというふうに考えます。

 そこで、問題となってくるのが、先ほど薬剤師さんの機能の発揮についてお触れいただいたわけですが、薬剤師さんがきちんと薬の専門家として国民に正しく医薬品を販売できるかどうかということが一つあると思っております。

 ただ、今質問をしたいのは、薬剤師さんの的確な判断というような観点の前の段階で、例えば今エパデールのことを例示したわけですが、さまざまな議論の中でかなり、専門紙の報道などを見ると、苛烈な報道というか刺激的な表現というか、そういったような部分もあって、今後、このスイッチOTC化が適切に円滑に進んでいくのかどうかについては、私はやや不安な点もあると思っています。

 そこで、純粋な学術的な判断、つまりはリスクとベネフィットを公平に判断できる体制を整えることが必要かと思います。

 現状を私も伺いますと、学術団体である日本薬学会と日本医学会、先ほど薬食審のことをちょっと御答弁で触れておられましたが、この薬学会と医学会が、あくまで学術的な観点から、スイッチに適した成分等を厚生労働省の薬事・食品衛生審議会に示しているというふうに私も聞いております。

 それでよい点だと思うのは、この日本薬学会というのは、純粋な学術団体を大変に強く志向しておられて、日本薬剤師会さんとは直接的な関係がないというふうな整理だと聞いております。そういういわば科学性を追求する、薬学を求める団体さんであるという認識を私も持っておるところでございます。

 そうであるとすれば、これは、大学の研究者などが学術的な見地から中立的な視点で意見をされているということを、これまで以上にきっちりと前面に出していただくことも必要なのかなというふうに思うわけです。

 実際、薬学教育というのは、職業教育としての六年制薬学部と、科学を追求する四年制薬学部に分離をさせて、科学としての薬学を職業教育から切り離しているというふうなことも聞いております。

 そうすると、今回この議論をしているタイミングというのは一つのタイミング、非常によい機会だと思っておりますので、この日本薬学会には科学の部分をしっかりと追求していただき、まさに世界に冠たる新薬開発とか遺伝子技術の追求とか、そういった分野でしっかり活動をいただきまして、職能教育との分離というか、整理をするべきではないかと私は思っております。

 一方で、職能教育に一定程度助言をする必要もあるのだとは思いますが、これは、職能教育である薬学六年制教育について、一定の整理をした形で意見を述べるということが私としては望ましいのではないかと考えるところでございます。

 そこで、きょう、冨岡文部科学大臣政務官にお越しをいただいておりますが、四年制と六年制に分けたということでありますので、職能教育としての薬剤師養成教育である六年制薬学部のカリキュラム策定の委員会には、職能団体である薬剤師会さんなどを現場経験のある有識者として、そして日本薬学会からは、純粋に学術的な立場から助言を与える有識者として関与していただくというような形で整理をしていただけたらと思うのでございます。

 医学部教育とは異なりまして、薬学部というのは既に六年制、四年制と明確に教育目的が分かれているわけでございまして、学術は学術、そして職能教育は職能教育と明確に区分するのが正論だと思われますが、文部科学大臣政務官のお考えをお示しいただけますでしょうか。

冨岡大臣政務官 いつも柚木委員には質問をいただきまして、ありがとうございます。

 今委員から質問のありました、六年制そして四年制の薬学部のコースがある。これをつくるときにいろいろな意見が出たということは、私自身も承知しているところであります。

 したがいまして、今御質問のありました六年制薬学部における薬剤師養成においては、薬剤師としての実践的能力を初め基礎的な科学力や研究能力等も含めた総合的な能力を養成する必要があることから、薬学教育モデル・コアカリキュラムの検討会、こういう検討会があるんですけれども、そこにおいて、大学における薬学教育に関して幅広い知見を有する者が主体的に取り扱ったと聞いております。

 このような観点から、薬学教育について検討する委員会の委員を委嘱したところ、結果的に、学術団体である日本薬学会の関係者も多く含まれることになったものと考えております。実際、私も委員会のメンバーを見させていただきましたけれども、やはり大学関係の方が若干多いかなという印象は持ちました。また、職能団体である日本薬剤師会や日本病院薬剤師会の関係者も委員として委嘱しております。薬剤師としての専門的な見地から意見をこの方からもいただいているところでありまして、バランスをとりながらこういった問題に対応していると認識しているところであります。

柚木委員 政務官、答弁ありがとうございます。バランスをとっていただくところと、それから、今私が申し上げた趣旨で、そこはしっかり整理をいただくところと、両方ぜひお考えをいただき、今後、文部科学省としてもしっかりと体制について整理を進めていただければというふうにお願いをしておきたいと思います。

 政務官、答弁ありがとうございました。結構でございます。

 次に、在宅における残薬確認と調剤定義の整理についてお伺いをさせていただきます。

 今おられませんが、みんなの党の中島委員の前回の質疑に対しまして、在宅における残薬確認をより現実に合わせた形にするという御答弁をされたというふうに記憶しております。これは、薬剤師さんが、通常は薬局でしか調剤できないとされているものを、患者さんの居宅である在宅でも、指定された範囲で調剤ができるものと解するという規制緩和策であると私自身理解をしております。

 ただ、品質と安全性などといった観点から、この後少し、きょうも理事会で御了解いただいて私も実際の薬を持ってきましたので、これをちょっと例示しながら説明をさせていただきたいと思います。詳細について、幾つか確認をさせていただきたいと思っております。

 私も厚生労働省から説明を受けますと、これまでは居宅で残薬があることを確認して、それでお医者さんに照会、問い合わせた上で薬を減らす、減薬する場合に、居宅では調剤ができないので、わざわざ一旦薬局に戻って数を減らしてから持ってくるという、ちょっと非効率というか現実離れした対応がとられていたということで、これを居宅でも減薬できるようにするとの説明でございました。

 ただ、減薬といっても、調剤の現場にはいろいろあるというふうに承知をしております。それをちゃんと踏まえた上で、減薬についても、進める部分と留意する部分をしっかりと御判断いただかないと、患者さんの健康をともすれば害することになるというふうに考えております。

 実は、今私が手元にお示しをしているこの薬というのは、今ここには三種類の錠剤が入っていますけれども、普通、これを皆さんが飲まれるときは、私なんかも今飲んでいる薬があるんですが、多分、別々の薬を一つの袋にまとめてくれるんですね。たまたま今飲んでいるものがちょっとあるので、こういったものを、各種類を一つの袋にまとめてくれる。こういう一包薬という形がよくとられるというふうに聞いているわけです。在宅で残薬の確認を受ける患者さんというのは、一般的には、皆さん、私もそうですが、普通に薬局や診療所などで薬をいただいて飲むのとはちょっと違うこういう形で飲んでいらっしゃる、そういう形で薬を管理されていることも多いというふうに聞いております。

 一包化包装というんだそうですけれども、これは、朝食後だったり昼食後だったり、夕食後だったり寝る前だったり、服用する時点ごとに薬が分けられているので、例えばここに朝昼晩とかもマジックで書いておいたりすれば非常に便利だと思うんですね。

 ところが、さっきちらっとお示しした、こういうような別々に包装されている、ヒート包装というそうですが、こういったヒート包装には例えば使用期限やロット番号が表示されているわけですが、こういったものにはそういったものが書いていないわけです。今、実際に私のサンプルをいただいたものには書いていないわけですね。

 そうすると、品質が本当に保たれているのかどうなのか。これは一旦外に出して入れるわけで、その作業を行う際に当然外気とも触れたり、包装の状態というものも、機械の精度というか、そういったものによっていろいろな影響を受けて、私もいろいろ伺うと驚いたりするのですが、こういうものはかなりもつのかと思ったら、やはり二週間程度でちょっと品質に変化もというようなことも聞くわけですね。

 そうすると、在宅に薬剤師さんが行かれて、これらの一包化包装の残薬を例えば発見する、大量にわあっとあると。私も正直、家にいただいた薬がいろいろあって、もったいなくて捨てられなくてたくさんあって、しかしどうしたものかなというような状況があったりするわけです。こういったものの残薬を発見して、たくさんあるよ、ではこれは減薬しましょうということであっては、そこに残っているものの品質などが確認をされていなくてただ単に減薬をするということであっては、そういう意味では、患者さんの健康、安全の視点にやや欠ける部分があるのではないかというふうに思っております。

 ちょっと御提案を申し上げたいのは、いろいろお聞きしますと、こういった包装ごとに、患者さんのお名前や処方したお医者さん、調剤日、医薬品名、ロット、使用期限などを印字させるような、これはそれぞれの薬局さんの、いわばどういう機材を導入して、やれる体制、やれない体制、あるいはそういったお考えがある、ないとか、いろいろなことも当然あると思いますが、やはりそういったことのルールを御検討いただけないかと思うわけですね。こういったものが逆にできない、そういったルールのようなことを仮にできないような薬局だと、どの薬局で調剤していただくかによって、そういう意味での品質管理、安全性に非常に差が出てくるところがあるのではないかと思っております。

 残薬確認をして減薬するということであれば、こういった一包化包装は非常に多く使われるという例だと聞いておりますので、このいわゆるラベリングルールといいますか、こういったことについてもぜひ御検討いただきたいと思いますが、その点について伺います。

 その御答弁をいただく前に、その上でちょっと申し上げておきたいんですが、一包化包装の残薬確認の場合には、例えばどういった形で残っているのか。お昼御飯を食べた後に飲み忘れる傾向が強いのか、あるいは、寝る前に、例えば夕食との間隔が短くて飲み忘れる傾向が強いのかとか、患者さんによって特性とか癖というか、そういったものもあると思うんですね。

 ですから、単純に残っていますねという確認にとどまるのではなくて、どうしてそれが服用されていないのか、やはりそういったことについても、ぜひ、薬剤師さんが専門的な御判断もしていただいた上で、お医者さんにも説明できるような形をとっていただきたいと思っております。

 今、二点申し上げました。ルールの策定を御検討いただきたいという点と、単に残っているということじゃなくて、その原因なども含めて薬剤師さんがしっかりと専門性を発揮していただく、こういう二点について、大臣、御答弁をいただけますか。

田村国務大臣 薬を飲むということは、飲まなきゃ症状がよくならないわけで、決められた時間にちゃんと回数飲む。これは薬剤師の方々の本来の業務であって、ちゃんとした服薬指導をしていく。そのときに、薬が余っているときには、どのようなときに飲んでいないかということも御本人にいろいろ確認しながら、飲んでくださいねということをやるのは本来業務でございますから、これはしっかりとやっていただきたいというふうに思っておりますし、やはり日本薬剤師会等々とお話をさせていただきましても、そういうことはしっかりやっていきたいという話でございます。

 あわせて、残剤について、今、一包化されているものが結構あります。そういうふうになっている方がわかりやすいですし、飲み忘れがなくなるということで非常に便利なわけでありますけれども、もちろん、いつ調剤したかということはちゃんと確認しないと、やはり薬効成分が残っているかどうか、また変質していないかどうかという問題がございますから、ここはしっかりそれを確認してからやるものだというふうに思います。

 印字するかどうかというのはなかなか、印字する機械の問題もあるわけでありますが、正直申し上げて、やはりちゃんとそこの薬剤師さんがずっとその方に対して対応していれば、前の薬はいつ調剤したかということもわかるわけでございまして、そういうことも含めて、いろいろな記録を確認しながら多分残剤を御利用されるんであろうなと。

 一包化に関して、破いた後、衛生面の問題もあるからどうだという議論もいろいろあるようであります。いや、ちゃんと管理すれば使えるというような御意見もそれぞれあるようでございます。これは日本薬剤師会の方としっかりと、今委員がおっしゃられたような観点も含めて検討させていただきながら、もともと残剤をちゃんと管理してやりたいというのは日本薬剤師会からの御提案でもございますので、ちゃんと話し合った上で、これからもちゃんとした方向で進めてまいりたい、このように思っております。

柚木委員 ありがとうございます。

 次に、以前もちょっとお伺いをさせていただいたことがあるんですが、いわゆる調剤薬局のチェーン店問題といいますか、こういった点について端的にお伺いをしたいと思います。

 これまでも、私も申し上げてまいりましたが、医療費総額がどんどん膨らんでいく中で、一定のいろいろな適正化を進めていく中でこの問題も捉えられていると聞きますが、ただ、チェーン店か個店かというような、二十店舗以上とか、そういうことだけで本当に、いい、悪いといった視点で論ずることが適当なのかどうなのか。

 むしろ、いろいろお話を聞くと、そういったチェーン店の中には、社員教育とか、いろいろな福利厚生とか、患者さんに対しての設備投資とか、いろいろな形での利便性向上などなど、しっかりと図られているというような視点を考えれば、利益がそういう意味では患者さんや消費者さんに還元されているという視点もあるんだと思いますし、逆に、個店であってもそういったところが不十分ということであれば、それは、必ずしもチェーン店がよくなくて個店はいいということにもならないんだというふうに私は理解しております。

 一度質問させていただいたこともあるんですが、改めてちょっと伺いますが、医療経済実態調査で定義づけをしたような、二十店舗以上をもってチェーン店というような一義的な定義づけだけで評価をされるのはどうなのかなというふうに正直思います。大臣、改めて御見解をお述べいただけますでしょうか。

田村国務大臣 今般の医療経済実態調査の中で、そういう類型分けをいたしました。確かに店舗数の多いところは利益率が高いというような結果が出ておりますが、一方で、地域完結型を進めていく中において薬局がどういうような役割を果たしていくかということも、そういう観点も踏まえて診療報酬改定で議論をしてまいりたいと思います。

 当然のごとく、在宅薬剤管理指導の観点は大変重要でございます。そういうような観点も踏まえて、今般の診療報酬改定の中で御議論をさせていただくという話になろうと思います。

柚木委員 もう最後、質疑時間が来たので終わります。

 通告していないですが、一点だけ。きょう、輸血のHIVの感染についてたくさん報道されています。通告していませんので、短くで結構です。

 私、この報道を読んで、不安がすごく大きくなりました。ちゃんと対応していただけるのであれば、きょうお聞きするつもりはなかったんです。

 ここの「献血血液でHIV感染」で私が幾つか非常に心配なのは、献血というのは国民の善意に委ねている。しかし、それで今回のような形が起こってしまったときに、これをこのまま善意に任せておくと、海外では、問診のときに虚偽の報告をしたら罰則があるような国もあるわけですね。ですから、善意に任せていて、今後、被害の拡大を防ぐことが本当に大丈夫なのか。

 そういう意味では、感染を、今回献血をされた方にもなぜそのことを伝えていないのか。これは早期の診断、治療にもつながるし、もっと言うと、被害拡大を防ぐために必要な視点だと私は思いますし、もう一人わかっていない方もおられるということで、こういった方への早い形での調査でそのことを伝えることも含めて、今後の対応を、答えられる範囲でいいので、大臣、お答えいただけませんか。

田村国務大臣 もう一方は、今調査をいたしております。

 いずれにいたしましても、善意の献血でこのような問題が起こったというのは大変ゆゆしき事態だというふうに我々思っております。なるべくこのようなことが避けられるように努力してまいりますが、あくまでも御本人、献血される方のモラルの問題であります。

 正直、検査をするつもりで来られても、陽性が出ても御本人に報告を必ずしもしません。ですから、検査で使っても意味がないという部分もございます。検査に関しては、保健所でしっかりと無料、匿名でやっておりますので、それを使っていただくということを周知徹底してまいりたいというふうに思います。

柚木委員 以上で終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻でございます。

 端的にお答えいただきますよう、お願い申し上げます。

 まず、配付資料の件なんですけれども、昨今、多くの議員が質問するときに、配付資料に基づいて質問するケースも多いわけでございますが、今現在、衆議院では、この配付資料というのは、国会図書館に速やかに届けられて、国会図書館東京で閲覧が可能となっているということでございますので、議場の皆さんやインターネット中継を見ておられる国民の皆さん、あるいは後から議事録をごらんになる国民の皆さんにお知らせをしておきます。

 本題に入りますと、ネット販売、法案が今審議中でございますけれども、広く多くの方が市販薬を買う利便性と裏腹に、やはりその副作用情報がさらに重要になってくる、その告知、あるいはその検索の仕組みなどなどでございます。

 今現在、御存じのように、厚生労働省が発表をしているもので、市販薬の副作用、平成十九年度から二十三年度でいえば、風邪薬で十二人お亡くなりになっておられる、解熱鎮痛消炎剤で四人お亡くなりになっておられる、漢方製剤で二人お亡くなりになっておられる等々、合計二十四人の方がお亡くなりになっておられるというようなことであります。お亡くなりになった方も含めた副作用という意味では、平成二十三年度、一般医薬品、市販薬で二百五十二件ということでございます。

 これは、非常に私も難儀しましたのは、ホームページに出ているということで、ホームページを検索してもさっぱりわからない、こういう状況でございます。死亡についても、副作用がダイレクトで死亡したものしか死亡という形で検索にひっかかってこない、そういう方は一件ということでございます。副作用が悪化して結果としてお亡くなりになった形、帰結が、転帰が死亡ということだそうでありますけれども、こういう方々は検索がなかなかできない。

 あるいは、医薬品名を入れて検索をしようとすると、市販薬で副作用はどういうのがあるのかなと、PMDAという独立行政法人のホームページで検索できるようになっているんですが、お医者さんが使う医療用の薬については、医薬品名を入れると副作用がぱっと出てくるんですね。ところが、市販薬については、その販売名を入れても、これは出てこない仕組みになっている。

 こんなばかな話はあるのかというふうに思いますので、ぜひ、この実態の感想と、これをどう改善するのか、田村大臣から答弁いただきたいと思います。

赤石大臣政務官 長妻委員にお答えいたします。

 現在は、企業及び医療機関からPMDAに報告された個別の症例については、因果関係が否定された場合も含み、因果関係が不明なものも含めて、品目をホームページに、議員がおっしゃるように、載せているところであります。

 そういう意味では、海外に比べて特に日本が劣っているということではないだろうというふうに思いますが、議員の指摘がありますように、今後さらに改善を進めていきたい、このように思っております。

長妻委員 これは簡単な話ですので、もう公表をされて、データはあるんですよ。政府に我々が言えばそれは紙で出てくるわけで、ホームページは日々更新されておられるので、これをネットで見ている国民の皆さんにも、議事録を読んでおられる方にも、利便性を高く、PMDAの独立行政法人のホームページに行けば、一般医薬品でも、その販売名を入れて検索すれば副作用情報がぱっと出てくる、こういう形で改善するということをぜひ明言いただきたいんですが。

赤石大臣政務官 先ほど、ちょっと失礼いたしました、因果関係が否定された場合を含むと言いましたが、除きということが正しいことであります。

 今議員から指摘がありましたことについては、省内でもう少し検討して前向きに進めたい、このように思っています。

長妻委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 そして、もう一つは、診療報酬の件でございますけれども、これは、先日、毎日新聞の報道がございまして、こういう見出しなんですが、「診療報酬不正三年放置 近畿厚生局 大阪の病院一千五百万円受給」。こういう報道があったのでございますが、これは事実なのかどうかということと、事実であるとしたら、何で三年間もほったらかしにしてしまったのかということをお尋ねいたします。

田村国務大臣 この案件でございますけれども、平成十七年から平成十九年の間、医師が個人輸入して購入した治療機器が、実際問題、診療報酬の適用になっていなかったにもかかわらず保険請求をしていたということでございまして、それに気づかれた病院側が、平成二十二年十月二十八日に病院側の方から御連絡をいただいた案件であります。

 それぞれ対応をずっとしてきておるわけでございまして、その後も、二十二年の十一月四日に来局をしていただいたりでありますとか、二十四年一月十六日に電話でいろいろと進捗状況の確認をしていただいたりだとか、いろいろずっとやってきているんです。

 最終的に、二十四年の十一月二十日に、支払基金の方に返したいと病院が言ったんですけれども、実は、これはもう、先ほど言いました、十七年から十九年のものでございますので、そういう意味からいたしますと、三年以上たっておるということで、三年以上たっておりますと、支払ったものを自主的に返納することができないということになっているらしいんです。それで、もうこれは返納してもらう必要がありませんので、ですから返納いただかなくて結構ですということを基金がおっしゃられたということでございます。

 我が方として、その情報を確認した上で、先般、いや、そうはいっても、これは、十年間は不当利益に関しては返還をいただく、そういうような民法上の規定がございますので、確かに自主返納というものは許されるわけでありますけれども、これは不当利益、決して悪質ではない、病院の方は気づかずにやっておられて、病院の方から自主的におっしゃられてきた案件でございます。悪質ではないんですが、不当な利益であることは間違いないものでありますから、十年以内でございますので、これは御返納いただくということで私どもの方から指導をさせていただき、保険者の方から、多分、返還請求のような形で返還を請求していただいて、病院側の方も払うというふうにおっしゃっていただいておるということでございますので、御返納いただくということになろうというふうに思っております。

長妻委員 随分、医療機関に優しい対応だなと。

 三年たてば、病院は不正に請求したから保険者に返したいと言っても、いやいや、三年たっちゃったからもういいですよ、とっておいてくださいと。こんな話がまかり通っているのかと思うと非常に解せないんですが、こういう、三年たって、返したいと思っても、返したいという申し出があったのに断ったというのは、大体、何件、金額でいうと幾らぐらいあるんですか。

田村国務大臣 ちょっときょうの新聞の報道でまた、私も読んでいなかったんですけれども、基金の方は、返していただく必要はないとは言っていないという話なんですが、我が方は、病院の方からそう聞いているということのようであります。

 これは、民法の百七十条で、次に挙げる債権は三年間行使しないときは消滅するというようなものの中に、医師、助産師、薬剤師の診療、助産または調剤に関する債権というものが規定されているんです。これにのっとってそのような形になっておるということでありますが、しかし一方、民法の方で、不当利益の返還権というのがございまして、これは十年でございますから、それで、返していただくようにというふうにこちらの方から指導をさせていただいたということでございます。

 ですから、基金がそうおっしゃったかどうかに関しては、ちょっと今のところ、情報は定かになっておりません。

 いずれにいたしましても、全体で千七百万円ぐらいの債権が発生しておるということのようであります。

長妻委員 その三年条項について、その是非を検討して、それが本当に、不当、不正についてもその三年が適用されるのかどうかも含めて、ぜひ、きちっとした政府統一見解を出していただきたい。

 一方で、不当利得は十年とおっしゃいましたよね、大臣は。ですから、これはどっちが整合で、どういう見解なのか、医療機関についての統一見解をぜひ出していただきたい。

田村国務大臣 悪質じゃなくてもこれは不当利益でありますから、本来返していただかなければならないものでございますので、そこはちょっと徹底をそれぞれの関係機関にしていきたいと思います。

長妻委員 そして、例えば、調べてみますと、近畿厚生局にお伺いしますと、情報提供が医師や医療機関からあったにもかかわらず、そしてまだ結論が出ていないもので、三年間そのままになっているのが四件ある、二年間そのままになっているのが二十八件もあるということでございます。

 こういうものは、我々も責任ある立場で政権を担った政党でありますので、我々にも責任の一端はもちろんございますので、これについて、ちょっとほったらかし過ぎているんじゃないのかということを、全体も含めて、大臣として、一回ちょっと整理していただいた方がいいんじゃないのかと思います。

 この返還金額をお伺いしますと、日本全体で、平成二十三年度は年間八十三億円。例えば、分母が、医療費が年間三十八兆円でありますから、単純に割り算すると、年間〇・〇二%が返還されている。

 ちょっとほかの不正を調べてみますと、例えば雇用保険の不正受給というのは、全体の金額の〇・〇九%なんですね。ですから、今回、医療については〇・〇二%で、雇用保険の不正よりもちょっと比率が低いし、例えば生活保護、これは不正が多いと言われていて、不正は犯罪ですから取り締まらなきゃいけないんですが、生活保護は〇・三九%が不正ということでございますので、余りにもその比率が少ないということもありまして、しかも、三年以上ほったらかしのものも結構ある。

 一厚生局だけ調べてこれだけあるので、これはぜひ、三年以上ほったらかしのものをオール・ジャパンでちょっと調べていただいて、何らかの対策をもう一回大がかりに再検討すべきだと思うんですが、いかがでございますか。

田村国務大臣 委員も大臣をやっておられましたので御承知だと思いますが、厚生局は結構人がきついんですね、事実上。きつい中で結構いろいろな案件を抱えておりまして、これは、とまっておるのは比較的複雑な案件であろうというふうに思います。

 二年、三年以上滞っておるものに対して調べろというようなお話でございますが、調べてみるように検討はしますが、調べるに対しても結構時間が、今の業務をやりながらほかの業務をやらなきゃならぬということになりますので、今やっておる業務も滞る可能性はありますし、すぐには出てこないというふうに思いますけれども、そういう三年以上のものがあることを調べることは検討してみたいというふうに思います。

長妻委員 非常に優しいというか、大臣が役所と同じマインドで答弁していたらどうするのでしょう。

 これは、近畿厚生局に私が件数だけ聞いたら、一日で出てきたわけですね、この二ページ目の資料は。三年ほったらかしのものが四件あります、それぞれ、二十八件、九十四件ということで。

 ですから、これは帳簿を調べればいいわけですから、それは日本全国だってすぐ出てくる話でありまして、余りお役所に配慮し過ぎて、余り調査もしないし口も出さない、そういう大臣だったら余り意味がないんですよね、大臣の。

 ですから、ぜひ、こういうのぐらいやってくださいよ。何にも、お役所のペースになってしまうと、いろいろ問題がなかなか改善できないんじゃないのか。

 確かに、人数が大変だというのはありますけれども、これは、五ページ目ですけれども、大体、十年間かけると全医療機関のどのぐらいを訪問しているのかというのを単純に延べで割ると、二割ぐらい。十年かけて二割ぐらいの医療機関は立入検査ができているということなんですが、もうちょっと何か効果的な、あるいは人員をある程度ふやすとか、つまり、費用、コストというか、人員をふやして、それで不正がもっと見つかっていけば、保険財政も今苦しい中、人件費以上の不正が私は見つかる可能性があると思いますので、そういうことで、いろいろ工夫もしていただきたいというふうにも思っておりますので、ぜひ、今御検討とおっしゃいましたから、よろしくお願いをいたします。

 そしてもう一点は、例のノバルティスの不適切な臨床研究の論文の問題でございますけれども、滋賀医科大学については、ノバルティスの臨床研究に携わったお医者さん三人について、国立大学でございますけれども、接待を受けた者も含めて、全く報告義務がないんですね。これもおかしな話で、改善を文科省にも要求しているんですが、せめて、この三人のお医者さんがノバルティスからどれだけ資金提供を受けていたか、このぐらいはぜひ調べていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

櫻田副大臣 お答えさせていただきます。

 滋賀医科大学のノバルティスの臨床研究に絡んだ三人の医師に対する資金提供を報告せよということでございますが、文部科学省としては、滋賀医科大学に対して対応を促していきたいと思います。

長妻委員 資料八ページでございますけれども、アメリカは、おくればせながら、オバマ・ケア法という法律の中に、これは二〇一〇年三月に成立したんですが、非常にいい情報公開の条文を入れております。これは、サンシャイン条項と通称呼ばれているんですが、お医者さんや医療機関に医薬品メーカーなどが提供した資金を全て公表しなきゃいけないということであります。

 コンサルタント料、あるいはコンサルタント以外のサービスへの報酬、謝礼、物品提供、娯楽、食事、旅費、教育に対する拠出、研究に対する拠出、慈善的寄附、特許料またはライセンス料、所有権または投資による利益、医学教育プログラムの教員または講師に対する報酬、助成金、その他あらゆる性質の支払いまたは価値の移転が挙げられている。医師またはその近親者による製薬企業等の株式等の所有権または投資による利益についても報告しなければならないということで、総額が年間百ドルを超えなければ報告の対象から除外される。罰金は、一件当たり一万ドル以上十万ドル以下ということで、最高で一千万円でございますね。最高でいえば、上限が一億円ということで大変厳しいもので、インターネット上で内容を公表する。

 これは始まったばかりなんですが、ことしの八月から始まりまして、そこから集計をして、まず第一回目は来年の三月三十一日までにこれを報告する。こういう形になっていて、私は、アメリカは見習わなきゃいけない部分と見習ってはいけない部分、二つあると思うんですが、これは見習っていい部分だと思うんです。

 文科副大臣、先日、いろいろ検討すると透明化についておっしゃいましたけれども、ぜひこういう条項並みの透明性の確保、いかがでございますか、検討項目に入っていますか。

櫻田副大臣 一義的には、厚生労働省の対応を受けて検討してみたいと思っております。

長妻委員 大臣、どうでございますか。

田村国務大臣 これは、以前も申し上げましたけれども、自主的にそれを公表する、今までその公表の仕方がいろいろと問題があるというようなお話もございました、それも含めて自主的に製薬メーカーの方がこれを公表していくということでございますから、まずはそれを見守らせていただきたいと思います。

長妻委員 櫻田副大臣、これは前回検討するというふうにおっしゃったはずなんですけれども、ちょっと答弁が後退しているようにお見受けするんですが、どういう検討をこれからされるんでしょうか。お役所からはある程度検討項目を聞いているんですけれども、いかがでございますか。

櫻田副大臣 お答えさせていただきます。

 文部科学省としては、国立大学法人に対して、規程の見直し、整備について要請を行う方向で検討しております。

長妻委員 ちょっと心もとないんですけれども。

 それでは、副大臣にお伺いするのは、東大、千葉大、滋賀医科大、名古屋大、国立大学でありますが、そこの医学部の常勤医師のうち、利害関係者から接待を受けちゃいかぬというこの禁止規定の適用がなく、またはこの報告義務もないお医者さん、これは何人いらっしゃって、その比率は何%か、それぞれお答えいただければと思います。

櫻田副大臣 お答えさせていただきます。

 医学部、医学部附属病院の常勤医師のうちに、製薬会社等との利害関係のない者、または贈与等報告提出の対象となっていない者は、東京大学は五百二十八人中五百二十五人、九九%でございます。千葉大学は、三百三人中三百一人、九九%でございます。滋賀医科大学は、二百三十五人中二百二十人、九三%でございます。名古屋大学は、三百二十九人中二百九十五人、九〇%でございます。

長妻委員 全く何の規制も何にもない。製薬会社から、私は全てのお医者さんをそういうふうに言うつもりはありませんけれども、もう幾らでも、何があったって、これは何にも報告もしないでもいいし、制限も何にもない。これをざると言わずして何と言うかということで、日本は、こういうことでは本当に恥ずかしいんですね。先進国からおくれをとっておりまして、企業優先社会、安倍総理も企業が世界一活躍しやすい国と。

 それはそれで一つの考え方でしょうけれども、ただ、報告をしていただくことはきちっとしていただくということで、製薬会社ですら、自主的に資金提供の公表を始めたんですね。ところが、受け手側は相変わらず先進国最下位レベルの透明性の低さ。こういうことで、いろいろな臨床研究の問題も起こる素地があるんじゃないのかということでございます。

 この臨床研究についてはいろいろな情報が寄せられておりまして、まだここで質問する段階ではありませんけれども、そういうことを我々も詰めておりますので、ぜひこれについても前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。

 その中で、これは厚労大臣も予算委員会等でもおっしゃっていただいた、ほかの臨床研究、ノバルティス以外の臨床研究について問題があるのかないのか、これを調査していただく。

 実は、二〇〇九年以降に始まった研究については、ちょちょっと一カ月程度やっつけ仕事で調査をして、公表以外は問題ないというような趣旨の発表があって、ふたをされたんですが、これは、ノバルティスの問題の臨床研究は二〇〇二年からですから、何で、二〇〇二年から始まった研究が問題視されて大騒ぎして第三者委員会を始めたのに、ほかの研究は二〇〇九年以降から始まったものしか見ない。どう考えたって、子供が見たって、これはおかしいわけでありまして、ぜひ二〇〇〇年前後以降調べていただく、ほかの臨床研究も。

 これについて、有識者の話を聞きながら調査の詳細制度設計をするというお話ですけれども、もう有識者の話を聞かれたのでございますか。

田村国務大臣 まず、ディオバンの事例のように、疑わしいということが公になってきた、こういうものは、これはやります、間違いなく。そういうものに対してやらなかったら、これは意味がありませんから。

 その上で、今委員がおっしゃられたのは、問題のないものも含めて二〇〇〇年代初めからやれというようなお話でございますが、これは膨大な数があるというのはもう御承知のとおりだというふうに思います。負担も非常にかかるという話でありますし、どこが主体になってやっていくのか、もう既に研究班が解散しているものもあるわけでありまして、では、誰が主体になってやるのかというような問題もあります。範囲がどこまでなのか、大学なのか、他の研究機関まで含めるのか、いろいろな問題があります。調査方法もありますよね。そういうことも含めて、ちょっと議論をしなければなりませんので、専門家の方々に今諮っておるところでございます。

 でございますから、もう少しばかりこれに対しての回答の方をお待ちいただければありがたいと思います。

長妻委員 専門家の方に諮っているというふうにおっしゃいましたけれども、私も第三者委員会の先生とか専門家の方に何人かお伺いしましたが、いや、さっぱり、そんなのを諮られたことはないよと。これは本当に諮っているんですか。

田村国務大臣 それは、諮っておるというのは、会議をまだやっておりませんから、その準備も含めて、次、諮る会に向かって進めておるということであります。

長妻委員 確かに膨大ですから、無理難題を言うつもりはありませんが、ただ、ピックアップの仕方はいろいろな委員会で私も田村大臣に提言をしていますので、その提言も参考にしながら、これは大変大きい話だと思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 そして、懸案で、これまでも質問させていただきましたGPIF初め年金の積立金の運用の問題でございます。

 この十ページの日経新聞の記事でございますが、メンバーの中の、まさに座長を務めておられる先生がテレビの番組で、具体的なパーセンテージも言及されたということでございます。これは、国民年金、厚生年金の年金積立金管理運用独立行政法人のみならず、国家公務員の共済の積立金、地方公務員の共済の積立金、こういうのを全部合わせて、今、国内債券、安全運用が六〇%のものを三五%に下げましょう、国内株式が一二パー、外国債券一一パー、外国株式一二パーをそれぞれ二〇%に高めましょう、こんなようなお話をテレビでされたという報道がございます。

 これは内閣府が御担当でしょうけれども、会議の中で、これはなぜか会議は非公開なんですね、議事録はないんですけれども、決定はないんでしょうけれども、こういう話題というか、何%ぐらいというのも議論として出たんでしょうか。

小泉大臣政務官 御質問にお答えさせていただきます。

 今御指摘をいただいた点ですが、おっしゃるように、議論の詳細については公表を差し控えさせていただきますが、具体的な数値について有識者会議において議論をされたという事実は、私は承知をしておりません。

長妻委員 そうすると、この数字というのは、何にも根拠のない、議論が何にもない数字を思いつきで言われておられるということですか。

小泉大臣政務官 長妻委員が御提出の資料の方でもありますとおり、これは座長をお務めの有識者の方の私案というふうにも書いてありますので、あくまでもその座長の私案として出されたものだと承知をしております。

 ちなみに、テレビ番組でそういった発言をされたというふうに伺っておりますが、そのテレビの中でもこの座長がお話をしているとおり、世界の中でのこれが平均的な姿だというふうなコメントもされていますので、あくまでもそういった世界の情勢も踏まえ、座長が私案としてお話をされた内容だと私としても承知をしております。

長妻委員 それでは、お尋ねしますが、アメリカの公的年金について、運用はこういう比率なんですか。

小泉大臣政務官 アメリカの具体的な運用状況というのは私はわかりませんが、このGPIFの運用の多様化のあり方等におきましては、大変専門的な分野でありますので、さまざまな有識者の皆さんに御議論をいただいて、日本としてどういう運用のあり方がよりよいのか、これからも適切に議論をいただいて、今回報告書が出ましたので、その報告書を踏まえて、資金を担当する省庁において検討を進めていただけるものだと思っております。

長妻委員 政務官、平均的な海外の姿だというふうに偉い人が言ったから、まあそうなんでしょうみたいな発言はやめていただきたいと思うんですね。アメリカの公的年金については、これは全部国債ですよ、市場じゃないんですよ。世界の潮流というのは違うんですよ。

 大臣、どうぞ。

田村国務大臣 公的年金というものに着目すれば、アメリカは一〇〇%国債で運用しています。

 ただ、問題は、国債で運用していれば安心かというと、今アメリカでも、国債で運用しているから逆に年金の原資が枯渇するというような問題点も言われておるわけでありまして、そこは、目標の利回りに対してどういうようなポートフォリオを組めば、要するに最小限の、最低のリスクといいますか、危険度を一番低く抑えられるか、プロがそれを判断するわけでございます。例えば、極端な話、一〇%の運用利回りを目指しているときに国債の運用利回りが三%しかなければ、それは将来的には年金の原資は枯渇するわけでありますから、そこを専門家の方々がいろいろと御議論をいただくという話であります。

長妻委員 これは、資本主義の権化であるアメリカですら、公的年金はおっしゃったように一〇〇%国債なわけですね。余り、どの国のことなのか、確かにこういう国もあるのかもしれませんけれども、厚労大臣が率先して、それは悪いことじゃないんだと言うのは、私はいかがなものかと思いますよ。

 最後、誰かがこれを守らないと、仮に今申し上げたパーセントの投資があったら、みんな大喜びですよ、市場関係者は。万々歳ですよ。でも、これを払った国民の皆さんは本当にどういう思いなのかということでございます。

 これはもう一点お伺いしますが、この報告書の中に、ベンチャーキャピタルへの投資もこれから考えていきましょう、こんなような言及があるんですが、例えば産業革新機構というものがございますが、ベンチャーキャピタルにここも含まれるという理解でございますか。

小泉大臣政務官 先ほども申し上げましたとおり、具体的なポートフォリオのあり方につきましては、この資金を担当する省庁において判断をされることだと承知をしております。

長妻委員 そうしますと、当然そうだと思いますが、産業革新機構というのも選択肢の一つとして否定はしないということでございますか。

小泉大臣政務官 そういった具体的なあり方について、担当する省庁が判断することだと思っております。

長妻委員 そうすると、担当する省庁というと田村大臣ですけれども、例えば産業革新機構、これはベンチャーキャピタルですよね、ここへの投資というのも、当然、選択肢として今から除外するということじゃないわけですか。

田村国務大臣 繰り返し申し上げますけれども、財政再計算、財政検証をやります。ここで、常識的な運用利回り、要するに、賃金の名目上昇率を勘案した必要な運用利回りを設定します。その運用利回りを稼ぐために、要するに、その目標を達成するために一番リスクの低い方法はどうなんだということをそれぞれポートフォリオの中で比率を決める。その中において、いろいろなメニューを今回提案いただきました。

 しかし、そのメニューの中から何を選ぶかというのは、GPIFの中において、やはり安全性というもの、リスクをしっかりと確認できるということ、これを前提に専門的な見地からチョイスしていただくわけであります。そのような意味において、専門的なGPIFの中において、ちゃんとリスクを最小化する中において選択をするものというふうに考えております。

長妻委員 だから、今、あらかじめこれは選択肢から除外されていないということですよね、産業革新機構は。

田村国務大臣 ですから、選ぶか選ばないかは別でありますけれども、いろいろな選択の中には入っておるということでございます。

長妻委員 これは、背景を見ると、このベンチャーキャピタルという文言を入れたのは、経産省がリードして入れて、最終報告書にも入っちゃったわけなんですね。

 非常にリスクが高い上級者のハイリスク・ハイリターン投資についても問題なんですが、例えば産業革新機構、これは経産省が、株式会社ですけれども国の株が入っている非常に国策の会社で、ここに入っていく圧力が加わってくる可能性が出てくると私は思うんですね。ですから、そもそも、コモディティー、商品先物とかベンチャーキャピタルとかこういうことについては、大臣として即座に否定的な答弁を本当はしていただきたいと思うんですよね。

 これは私は第四の矢じゃないかと。三本の矢というのがアベノミクスですけれども、第四の矢は、このGPIFを使って、国民の積立金を使って、産業革新機構や株や商品先物に投資して株価を維持していこうというような思いがどうも透けて見える。

 メンバー構成についても、これは十一ページでございますけれども、こういうメンバーでこの最終答申が出たわけですね。拝見しますと、七人中三人の方が証券会社関係の方でいらっしゃいまして、当然、シンクタンクですから証券会社そのものじゃない方もいらっしゃるんですけれども、証券会社の委員が入ったら、それはもっとやりましょうと言いますよ。

 ただ、この方々が別に悪いと言っているんじゃないですよ。それは当たり前ですよ。市場のために、それを活性化するためにということで御意見を言う、全くそれは問題ないんです。ただ、そういう方々を七人中三人も入れたところで議論して答えを出すというのは、ちょっと余りに余りなんじゃないかと思うんです。

 きょうは財務省も来られておられますけれども、これは再三再四私は申し上げておりますけれども、であれば、財務省の管轄というか、KKRですけれども、国家公務員の積立金、そこからまず、もしどうしてもやるのであればですよ、私はやるべきじゃないと思っている立場なんですが、どうしても政府がやりたいやりたいということで国民のお金をハイリスクにさらすのであれば、そうであれば、国家公務員の積立金、七兆七千億円ありますから、まずそこから今のものをパイロット的にやっていただいて、それで何年後かにGPIFも検討する。こういう手順を確立していただかないと、反対しないのであれば、そのぐらい、財務省、いかがでございますか。

古川副大臣 KKRがいかなる積立金の運用をするかということについては、これはKKRにおいて検討し、判断し、実行していくということでございます。

長妻委員 何か余り、中立というか、否定的というか、御意見がないような御答弁でありますけれども。

 これは恐らく、このままの政権が続いていくと、来年から始まるわけで、KKRは、恐らくコモディティーとかベンチャーキャピタルというのは絶対だめだと強固な姿勢を貫くと思います。では、GPIF、国民の厚生年金、国民年金でやってみましょう、こういう話に流れるんですよ、今までのあれで。

 グリーンピアだって、国家公務員の保険料は全然グリーンピアとかに使っていないじゃないですか、全部国民の金。年金記録だって、国民の年金記録はいいかげんだけれども、公務員の年金記録はかなりきちっと管理されていますよ。全部そういうことは国民の積立金で、それで、官僚の皆さんのところはかちっと守られていく。

 これは絶対あってはならないので、もう断固として申し上げたいのは、そういう危ない商品で、ハイリスク・ハイリターン商品でやるとすれば、それは初めは公務員の皆さんからやっていただきたい、ただ、私はやるという立場じゃないですけれども、もうどうしてもやりたいんだったらということを申し上げて、質問を終わります。よろしくお願いします。

後藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 GPIFも重要でございますが、法案の審議でございますので、ぜひ、いただいた時間を有効に使わせていただいて、薬品のインターネット販売の問題をしっかり御討議させていただきたいと存じます。

 ちょっと昼に食い込んで、かつ、私の質問が分割をされて午後にも食い込んでおりますが、恐縮でございます。強行採決をされた与党の責任か、うちの段取りの問題か、ちょっとよくわかりませんが、委員の皆様には御不便をおかけしますので、御容赦をいただきたいと存じます。

 さて、このインターネットの医薬品の販売の問題は、私はとても奥の深いテーマだと思っています。ケンコーコムがさらにまた十一月に入って提訴をしているということもありますが、先週の審議で局長の方から、これは大丈夫だという御答弁があったかと存じます。私は、この話はそう簡単に収束をしないのではないかなというふうに感じております。そのケンコーコムに係る提訴の内容等については、また午後、お時間を頂戴して御議論をさせていただきたいと思いますが、この後、十九分いただいています午前中は、医薬分業の話をちょっとさせていただきます。

 なぜこのテーマを取り上げるかというと、端的に言うと、医薬分業というものが始まった、医薬分業が推進をされていたその延長線上に今回のインターネットの問題があると思っているからなんですね。今話題の徳洲会、徳洲会なんかをばっと調べますと、今でも院内薬局でほとんどやっていらっしゃいます。これは徳洲会のポリシーもあってということだと思いますが、いずれにせよ、この医薬分業の話はインターネットの利活用につながってきている問題だという観点から、医薬分業の現状等についてお伺いをしたいと思います。

 まず、ちょっと順番がひっくり返りますが、従前から田村大臣は、私と御討議いただく中で、株式会社というのはけしからぬという話がありましたが、薬局はどういう形態で営業されていますか。

田村国務大臣 別に、株式会社が全て一般にけしからぬと言っているわけではありませんでして、私の身内にも株式会社をやっている者がおりますから、株式会社は株式会社で立派に経済活動をやっていただければいいというふうに思います。

 薬局はいろいろな形態がございます。株式会社の形態もございます。

足立委員 それは、大臣の御見識では、構わないということですか。

田村国務大臣 構わないと思っております。

足立委員 従前、大臣から、営利事業体というのは利潤が目的だから、いわゆる医業などでは適当ではないんだという御答弁がありましたが、調剤、薬局は構わないということですか。理由は。

田村国務大臣 いろいろな形態の薬局があります。今、調剤を主にという話の中の御質問だというふうに思います。

 薬局では、処方権がないものですから、どういう薬をどれだけ出すかというような権限がないわけですね。来た処方箋にのっとって、ジェネリックを選ぶか先発薬を選ぶかというのはあるのかもわかりません、ジェネリックのどれを選ぶかというのがあるかもわかりませんが、しかし、決まったものを公定価格の中でチョイスするだけの話でございます。そこで、株式会社で合理的にもうけるために、利益を出すためにいろいろなことをやる選択権が少ないということでございますので、そういう意味で、薬局の場合は株式会社でもそれほど問題はないのではないかという認識であります。

足立委員 まさに、今大臣がおっしゃったように、権限がないという整理で今なされていると思います。

 ちなみに、私、従前から、経営形態あるいは組織のあり方ということで議論してきましたが、薬局と処方するところの医療機関は、私はよく合併、分割という話をしましたね。あのときに、共同事業性という言葉が財務省、国税庁から出たかと思います。あれは、MアンドAするときに、要は、共同事業性がある人たちが合併しても、それは同じことだから税金はかからないというような線引きをするためにあるんですね。

 私は、処方箋を医療機関が処方し、それを調剤する薬局は共同事業性が高いと思っていまして、したがって、権限がないということで、ぱんと、これは大丈夫だと言い切れないと思っていますが、どうですか。ちょっとややこしいですけれども。

 すなわち、ちょっとわかりにくいと思うので丁寧に申し上げますが、例えば薬局を経営している会社の役員が、医療機関の役員と同じ、あるいは親族であったりすることがあり得ると思いますが、それを排除できていますかということですね。大臣、質問の趣旨を御理解できますか。

田村国務大臣 医療機関が薬局を経営すること自体は、薬担規則の方で禁止をしております。

 確かに関連性はありますが、基本的には、医薬分業の精神は、それぞれの患者の方々がそれぞれの利便性にのっとって近くのかかりつけ薬局等々へ自分の処方箋をお持ちいただいて、そこで調剤していただく。それによって、いろいろな病院、いろいろな開業医等々で処方される処方箋に関して、飲み合わせ等々も含めてチェックをいただくというようなことでございますから、それが医薬分業の前提でございますので、よほど悪質なものがもしかしたらあるのかもわかりませんけれども、基本的には、同じ経営体では薬局をやってはだめだということになっておりますから、そういうところで担保をしてまいりたいというふうに思います。

足立委員 医薬分業の精神ということですから、大臣の、あるいは厚生労働省のお気持ちはお察しをするわけでありますが、では具体的に、かつて、院内調剤ということで問題にされた薬漬け医療みたいな問題、こういう問題が今どうなっているんだろうかということで、私は事前にデータ等を持ち合わせておりませんので、ちょっと厚生省から教えていただきたいんです。

 いわゆる医療保険の保険金額の総額は、言うまでもなく、高齢化の中で年々拡大をしております。その中で、保険調剤に支払われている保険金額の推移はどうなっていますか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 国民医療費の中に占めます薬剤費の割合は、日本は高いという指摘がずっとあったわけでございます。

 これに対しましては、私どもも、医薬分業でのそういう適正な投薬を促す努力もですが、もともとの後発品の使用促進、あるいはDPCによる包括化を進めることによって、薬剤よりも技術できちんと診療していただきたいということを促しているようなことがありまして、昔は、平成の初期の時代をとってみますと、三〇%近くが医療費の中の薬剤費の比率でございました。今は二一%前後で推移しているということで、全体、いろいろな効果が相まってでしょうが、低い水準になってきておるというように承知しております。

足立委員 今、局長の方から三〇%、二一%という数字が出ましたが、これをもうちょっと丁寧に教えていただきたいんですけれども、医薬分業をした後はどうなっていますか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 医薬分業による効果ということだけでこれはちょっと見られませんので、今申し上げましたように、分業の割合というのはもう六割にもなってきておるのでございますけれども、それだけの効果でどこがどうなっているというのはなかなか申し上げられない、全体の効果として、重複投与とかいうものも少なくなってきておるということだろうというふうに思っております。

足立委員 ごめんなさい。三〇%とおっしゃったのがいつの数字で、それは継続的に、一貫して低減をしてきているという理解でいいですか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今、手元の資料ですと、一番古いので平成五年度、これが、二十四兆の国民医療費の中で薬剤費が六・九四兆円ですので、二八・五%という薬剤比率でございました。

 それが、毎年、その後の平成六年、平成七年で、パーセンテージで申し上げますと、二六・一%、二七・〇%、二四・五%、二三・三%というようなことで、平成十年代から二〇%前後で推移をしてきております。

足立委員 足元はどうなっていますか。

木倉政府参考人 直近で、ここの手元の資料で申しわけありませんが……(足立委員「いや、医薬分業した後」と呼ぶ)

後藤委員長 医薬分業の前後を聞いている、傾向。(足立委員「医薬分業が進みつつあるのに伴って」と呼ぶ)

木倉政府参考人 分業自体は、これは昭和四十年代、五十年代からずっと進めてきておりまして、その中ででありますが、分業の比率は、平成の十年ごろから、三〇%、四〇%、五〇%、今六〇%、こういうふうに伸びてきておるということであります。

足立委員 わかりました。質問が悪かったですね。医薬分業はもちろん、おっしゃるようにずっとある話ですから、どこでという質問が悪うございました。

 事前に事務方とも議論した際にも、なかなか分析はできていないということですが、薬剤の保険調剤の費用については、薬漬けという議論があったわけですから、それがどういう要因で改善をしてきているのか、あるいは改善をしていないのか、これは厚生省としてぜひ、しっかりと御答弁いただけるように、分析をしていただきたいと存じます。

 いずれにせよ、私がこの場で申し上げているのは、医薬分業をずっと進めてきている、結局、分業を進めてきたから、例えばケンコーコムのように、実際、医療機関と別の場所で調剤をしているわけだから、それがインターネットを介して行われても構わないじゃないかというある種自然な発想のもとに行われていると思います。

 そういう観点から、午後も引き続きやりますが、ケンコーコムが十一月、今月に入って東京地裁に提訴した地位確認請求のポイントは何ですか。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 先ほど議員が、前回、私が裁判に勝ちそうだという答弁をしたというお話でありましたが、これは、この法律が通れば、この新しい改正法に対して訴えられたらということでございます。

 今御指摘の十一月のケンコーコムの提訴は現行法に対する提訴でありまして、現行、医療用の医薬品についてはネット販売を禁止しておりますが、これは、一般用と同じように省令で禁止をしております。一般用と同じ法的な構造でありますので、一般用で最高裁まで行って勝訴という結果をおさめたケンコーコムが、同じ論法で、医療用の医薬品についても、医療用の医薬品を自分たちが売れるという地位の確認を求めてきた、こういう訴訟でございます。

 したがって、法的な構造が同じでありますので予断は許さないと思いますが、一般用と医療用の薬物の強さ、効き目、危険性の違いもありますので、そこは違う結果になるかもしれませんが、いずれにしても、法的な構造が同じで、現行法に対して訴えてきた、こういうことでございます。

足立委員 大臣、何か補足があれば。いいですか。

 今おっしゃったように、現行法に対する提訴であるということでありますが、現行、実際に処方箋は紙で交付をされています。彼らがというか、ケンコーコムさんを初めとするモール業者が描いている将来像というのは、処方箋は電子的に飛ばすということを想定されているように伺っております。

 今、電子処方箋あるいは処方情報の薬局へのシェアリング、これはどういう現状にありますか。

唐澤政府参考人 お答え申し上げます。

 処方箋の電子的交付につきましては、現在は、処方箋は医師または歯科医師が書面により交付をするということにされております。したがって、現時点では、処方箋を電子的に交付することは認められておりません。

 私どもとしては、現在、モデル事業等、実証事業等を実施して検討しているという状況でございます。

足立委員 ごめんなさい。今おっしゃったのは処方箋ですね。処方情報についてはどうですか。

唐澤政府参考人 処方の内容、これは医療情報全体と広くお考えいただいていいと思いますけれども、こうしたものにつきましては、例えば私どもは別府市で実証事業をしておりまして、これは、電子的な情報として医療関係者で共有するというようなことの取り組みが行われておりますし、それから、全国のほかの医療情報ネットワークを地域的に組んでいるようなところではこうした情報を、処方箋は先ほど申し上げたようなことなんですけれども、医療情報として共有されているという実例が既にございます。

足立委員 数字でわかりますか、どれぐらいの割合があるか。それがわかればあわせてお答えいただきたいんです。

 将来的には、今まさに医療の情報化ということで、医療の情報化についてはこれまでも御質問申し上げていますが、私は、医療制度改革のセンターピンだと位置づけているわけでございます。当然、カルテ等に加えて電子処方箋というものが普及をしていけば、それが薬局に電子的に送信されるということが期待をされていると思いますが、これは厚生省としてはどういうふうな見通しをお持ちですか。

唐澤政府参考人 まず、実際に処方箋の内容、電子情報を正確にどのくらい持っているかというところを数的には把握しておりませんけれども、私どもが確実に把握をしておりますのは、一つは、厚生労働省で実施をしております別府のモデル事業、それからもう一つ、総務省で実施いたしました高松でのモデル事業、この二つがございます。ただ、ネットワークそのものにつきましては全国に百八くらいございますので、薬局も加盟しているものはかなりあるのではないかと思っておりますが、数字では把握しておりません。

 それから、電子処方箋の今後の方向でございますけれども、私どもは、この実証事業を踏まえましてガイドラインを作成してまいりまして、具体的には、情報の保護でございますとか、患者、医療従事者の認証でありますとか、そういう環境整備を整えまして、この電子処方箋の実現に向けて、関係者の意見を伺いつつ、検討を進めてまいりたいと考えております。

足立委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので午後に譲りますが、この問題は本当に大切な論点だと思っていまして、午後の河野委員も含めて、引き続き御討議をさせていただきたいと思います。

 最後に一言。こういうふうにやっていますと、何か政府提出の法案に反対かのような印象を与えるかもしれませんが、我々は賛成でございますので、一応申し上げておきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。足立康史君。

足立委員 ありがとうございます。日本維新の会の足立康史でございます。

 午前に引き続いて質問させていただきたいと思います。

 先ほど午前中に質問させていただいた後、ちょっと昼の休憩がありましたので、その間に私の質疑について党の方から二点ちょっと注意がありました。一点は、賛否はまだ決めていないということでありまして、これは結構大事な話ですので、丁寧に丁寧に引き続き委員含めて今議論していますので、これはちょっと訂正をさせていただきたいと存じます。それからもう一つは、法案の審議の中で法案以外のことについて質問をしないかのような言い方を私はしましたが、野党の側から、みずからを縛ることはないということで、ぜひその点も、若干個人的な前つんのめりの質問であった旨、訂正をしておきたいと存じます。

 さて、本題ですが、きょう私が取り上げさせていただいたケンコーコムの話、これは、みんなの党も今回修正案がもう出ていると思いますが、みんなの党もそうですが、きのう付で緊急提言というものが有識者の方々から出ています。恐らく、みんなの党の修正案はそれに沿ったものであるかなというふうに思っておりますが、改めてケンコーコムが十一月に入って追加の提訴に踏み込んできたということ、あるいは、こういう有識者の方々が一年以内に見直しをするようにということで、特にその緊急提言の焦点は処方薬にあるわけですね。

 彼らというか、そういうおっしゃっている方々の議論のポイントは、処方薬というのは医師が処方しているわけだから、そこは一定の責任がとれているということでこういう議論になっていると思いますが、こういう緊急提言をごらんになっているかわかりませんが、処方調剤に関する提訴、あるいは緊急提言、あるいはみんなの党のそういう修正案、いずれも共通するものがありますが、処方薬についてのそういう見解について、ちょっと通告できれいに入っていなかったかもしれませんが、御見識があればお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 これは、処方薬に関しても実はこの医学、薬学の専門家の方々の御議論の中でも触れていただいておりまして、要指導薬以上に薬効成分の高い薬を扱っているので、やはり対面でなければならないというようなお考え方をお示しいただいております。

 一つは今そういうふうにおっしゃられる部分があるんですが、これはダブルチェックの意味合いがございまして、処方をする医者が診断をします、診療した後に今度は薬剤師の方が調剤して対面で渡すときに、例えば分量の間違い等々もあるわけでありまして、その場合には疑義照会を医師にする。例えば、どう見てもこれは子供なのに大人用の分量が出ている、その場合には疑義照会をして確認をする。体重によって大体薬の量は決まってまいりますから、そういう部分も確認をする。あと、緊急性という意味からすれば、すぐに飲んでもらわなきゃいけないような薬は、ネットなんかでやっておりますとやはり時間がかかりますので、対応できないという問題もあります。

 もう一つ、薬剤師の観点からチェックを、五感で確認するという意味合いもございますので、やはり処方薬に関しましても、ここは対面ということが前提であるというふうに我々は考えております。

足立委員 大変これは難しいというか、本質的なテーマだと思っていまして、したがって、先ほど例に挙げました幾つかの動きというものについては、一定の本質的なテーマを含んでいるなということが私の趣旨であるし、また、きょう午前中に医薬分業というものにあえて私が言及したのは、まさにその医薬分業を厚生労働省が加速をさせる、それは二重チェックというものがどれぐらい評価できるかはまたわかりませんが、少なくとも、ずっと喧伝されてきた薬漬け医療に対して、これは医薬分業ということで対処をすると決めた時点で、医業とそして調剤についてはまさに別の組織形態で行う、その延長線上に今のような議論が起こっているということは、私は、何か小手先の議論で乗り越えられる話ではないというふうに思っています。そうした意味で、きょう議論をさせていただいているわけであります。

 そういう観点から、もう何回か出ているかもしれませんが、もう一度ちょっと確認したいのが、今回の規制体系、インターネットに係る規制、これはインターネットのどういう側面に着目した規制なのか、端的にお答えをいただけますか。

田村国務大臣 規制といいますか、一つは規制緩和のところがございます。一般用医薬品一類、二類、これに関して、今までは売れなかったわけでありますけれども、これに対して一定のルールを決めて、安全性をしっかりと確保しながら、売ってもいいですよという部分。

 そしてもう一方で、そうはいいながらも、要指導薬という部分に関しましては、インターネットというのは利便性がいろいろあって、すぐれている部分もありますよね。例えば、履歴管理等々、それから、再度説明する反復性といいますか、口で説明するだけではなくて文章で残るということを考えれば、記録に残りますから、そういう部分では確認もしやすいというのはあると思います。

 しかし一方で、今ほど来ずっと言っておりますとおり、売るときに五感で感じる部分というのは、どうしてもインターネットの技術で今はできません、将来はわかりませんが、今はできないわけでありまして、そういう部分に着目して、売る場合にそこが必要だということでありますから、その部分に関しては対面でなければ売れない、つまり、インターネットでは売れないということになったわけであります。

 一方で、医療用医薬品は、今まで省令で売っちゃいけませんというふうに決めておりましたが、今般の改正の一つの流れというものを勘案して、これも明記をさせていただいたわけであります。

 ちなみに、私は、週末、韓国に行っておりまして、三保健大臣会議というのに出ておったんですが、びっくりしたのは、韓国はすごく電子化が進んでいるじゃないですか。話していたら、実は、一般用医薬品のインターネット販売は認めていないんですね。もちろん、処方薬も認めていない。日本は非常にすごいですね、日本のそのすごさにびっくりしましたというような話を受けまして、韓国のように非常に電子化が進んでいるところからしてみても、やはり薬のインターネット販売というものに対して非常にセンシティブに捉えておられるんだなということを改めて認識をしてまいりました。

足立委員 今の大臣の御答弁を伺っていると、まさに今回の御出張の大きな成果の一つが、韓国は進んでいないということがわかったということ……(田村国務大臣「そんなことはない、ほかの部分では進んでいますよ」と呼ぶ)かもしれませんが、諸外国いろいろあるかと思いますので、諸外国の比較もしっかりしていきたいと思います。

 それから、きょう私が申し上げたインターネットの特徴、これは引き続き浦野委員から深掘りをしていただけるかもしれませんし、また処方箋の問題、これは河野委員から恐らく深掘りをしていただけるかもしれませんので、ちょっともう時間も限られてきましたので最後の質問にしたいと思うんですが、いずれにせよ、こういうインターネットの特徴あるいは処方箋に関する議論、いろいろあることは御理解はいただけると思います。

 そもそも、きょう私が冒頭申し上げた医薬分業の目的は、こちらから勝手なことを申し上げると、大きく二つあるのかなと理解しています。一つは、分業することによってのメリット、例えばダブルチェックがきくよなというようなメリットを追求した観点。もう一つは、当時大きく問題になっていた医薬品の使用の適正化、薬漬け医療みたいなものに対する対処。

 もし仮に大きくこの二つがあったとすれば、後者については、先ほどあったように、厚生省がその効果についてはしっかり分析をして、効果があったのかなかったのか、ちまたでは、ちまたと言ったら怒られますね、いろいろな方に御意見をお聞きすると、分業によって、そこにやはり過大な利益というか、ものが行っているんじゃないかということを、薬局の数なんかを物理的に見ておっしゃる方もいらっしゃいますから、しっかりとそこは分析をして説明をいただきたいと思います。

 それから、もう一つのダブルチェックの話は、まさに大臣がおっしゃったように、これは技術が解決する可能性があると私は見ていまして、五感、四感という話がございますが、例えば体温みたいなものもその場ではかれるようになるかもしれないし、だから私は、インターネットの問題というのは究極的には技術の問題かなというふうに思っています。

 そういう私の観点からいえば、やはり、この薬局のあり方というのは改めてしっかりと御検討をいただく必要があると思います。

 先ほどからも民主党の委員の方々の間でセルフメディケーションという話がありましたが、これは、いわゆるセルフメディケーションに係る薬局の役割というのは、薬代に乗っているわけではないし、調剤代に乗っているわけでもないと思いますが、そこはどうなっているかですね。

 私の思いとしては、もし本当に厚生省がセルフメディケーションとおっしゃるような未来が大きく広がっていくのであれば、薬局は少なくとも、保険外のサービスを拡大していくべきだと思うんですね。実際に薬局の事業において保険外のサービスは今どうなっていて、今後どういう見通しか、お願いします。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 現在の薬局のセルフメディケーションの実態でございますけれども、例えばお薬相談でありますとか健康栄養相談というような形で行われておりますが、ここでも何回か御紹介をさせていただいておりますけれども、二十六年度の概算要求で、薬局、薬剤師を活用した健康情報の拠点の推進や在宅医療に関するモデル事業の予算というのも盛り込んで、一層の推進を図ってまいりたいと考えております。

足立委員 具体的な現在の薬局の事業の実態について、数字をお持ちですか。

今別府政府参考人 薬局の数字的な経営実態で申しますと、実際の薬局の調剤の収益が九七%で、それ以外の、保険外の部分でありますけれども、三%ということでございます。

足立委員 しっかりこの点について具体的なイメージをやはりつくっていかないと、少なくとも、先ほどのこの緊急提言にもあるように、実は、規制を緩和したと今大臣がおっしゃいましたが、まさに処方薬は全部規制されているわけですから、今、医薬品の世界は、日本は皆保険ですから、保険調剤がほとんど大宗を占めているわけですから、その点を十分に議論せずに、薬局のあり方、あるいはインターネットの医薬品の販売のあり方については議論が深まらない、こう思います。

 さて、もう時間が来ましたので終わりますが、私は、先ほどの賛否はまた改めてあれしますが、ただ、この薬事法改正に関する緊急提言に見られるような問題提起は一〇〇%賛成です。この議論をしっかりと、もちろん、今のような無秩序な形がいいかというといかがなものかということで、私個人は速やかにこの法案は成立させるべきだと思っています。しかしながら、それは応急処置であって、少なくとも、一年、三年、五年という当面の御検討の中で、この緊急提言が指摘をしているインターネットの問題、処方薬の問題については厚生労働省として検討をしっかりとしていただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

後藤委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 足立先生の後に、さらに、質問時間が若干変わりまして、非常に難しい質問を迫られておりますが、早速入っていきたいと思います。

 まずもって確認させていただきますが、薬剤といいますのは、先生方も御承知のように、直接我々の体の中に入ってくるというものでございます。ですから、時として重篤な副作用を生じる、場合によっては命を失うこともあるという非常に重大な製品であります。やはり薬剤の販売というのに関しましては、医師が処方する場合も同じですけれども、専門性を有した者がしっかりと介在し、極めて慎重に行われなければならないというふうに思っております。

 ただ、一方で、身近に医療機関がない、あるいは薬局がない地域というのも、日本全体を見ればあると思っております。そういった地域に住む方々が、診療時間や営業時間中にどうしても都合がつかない、そういったさまざまな事情によって買いに行くことができないという場合を考えますと、インターネットで薬が手に入るというのは非常に有用なことであるのではないかなと思っております。

 ただ、私、二十年以上医療の現場におりますけれども、そんな中で身近に見た大変不幸な出来事をちょっとお話しさせていただきたいと思います。

 私なんかは、医師ですので、薬が欲しいときに、自分では処方しませんけれども、同僚であるとか、あるいは、今僕は病院を経営する立場なので部下の医師に、こういう薬が欲しいということを言ったら、大体僕の言ったとおり処方してもらえるというような立場におります。まあ、逆の立場で、部下から、先生、これを処方してよと言われたら、大体処方するんですけれども。

 そういう中で、もう随分昔の話なんですが、ある医療機関の職員の方で、この方は医療資格を持っておられない方だったんですが、高血圧で、自分の勤務する病院でずっと処方されていました。担当の内科のベテランの先生なんですけれども、これは非常に厳しい高血圧でなかなかコントロールができていないということで、専門医に行ってきちんとした検査を受けた方がいいよ、大きい病院に行きなさいと言っていたんですが、やはり自分の身近で、勤務しているところでお昼休みとかに処方してもらえるという利便性から、なかなか行かれなかったということで、実は、この方は四十代だったと記憶しておりますけれども、高血圧性の脳出血を起こされまして、お亡くなりになった。その処方していたお医者さんも非常に悔やんでおられたというのをちょっと経験しております。

 そういった意味から、本当に対面による販売ということは極めて重要なことだと思います。医師の処方があっていてもこういうことは起こるわけですから、対面販売というのは非常に重要な問題だと思いますが、この辺、御見解はいかがでしょうか。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 今先生がおっしゃいましたような例も含めて、対面でやりますと、専門家の会合でもありましたが、臨機応変なやりとりができるということ、それから、使用者の状態を、御本人がわかっておられないような状態もきちんと把握ができる、あるいは御本人が症状をうまく訴えられないようなことも対応ができるというようなことで、対面で販売するときには、そういう観点からインターネット等で販売をするときよりもすぐれている面があるというふうに考えております。

 逆にまた、インターネットは、従来から出ておりますように、事跡の管理にすぐれているとか、あるいは夜間でも注文ができるとかというような面もあると思いますけれども、この局面では対面の販売の方がすぐれているということでございます。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 では、インターネット販売の仕組みとして、一応メールでやりとりをして、事前にどういう症状があるのか、いろいろ注意を喚起した上で購入ということになるんだと思いますけれども、それで本当に対面販売にかわるだけの安全性をきちんと担保できるのかどうか、この辺のシステムについてお聞かせいただきたいと思います。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 今回のインターネット販売は、まず、薬局という店舗を実際に持っておるところで、薬剤師等の資格を持った人が管理をして販売をするという前提になっております。

 それから、実際の売買のときのやりとりも、まず、申し込みがあったものを、きちんと病状等を確認した上で、必要な注意を相手側に知らせて、相手側から、それを理解して、わかりましたという返事が来て、そこで初めて販売、発送に移るというようなことでルールを決めさせていただきました。

 そのほかにも幾つかありますけれども、関係者の方で時間をかけてルールを決めたということでありますので、実質的に、一類、二類、三類という大衆薬の販売につきましては、先ほど申しましたような、対面とほぼ同じような効果といいますか、慎重な販売、安全性に配慮をした販売ができるものと考えております。

河野(正)委員 質問通告ということではなかったんですが、先ほどからずっとるる聞いておりますと、五感を使ってということなんですが、五感をインターネットは使えないと思いますけれども、その辺も大丈夫というふうに理解してよろしいんでしょうか。

今別府政府参考人 これは、先ほどから五感の議論が出ておりますのは、医療用の医薬品と、それからスイッチ直後の医薬品でございます。これについては、やはりインターネットではなくて、まさに五感を使った対面の販売が求められるという結論でございますが、今私が申しましたのは、それ以外の一類、二類、三類の大衆薬でございますので、先ほど申しましたようなことで、対面とインターネットで差がないような安全性の配慮ができるものと考えております。

河野(正)委員 ただ、そういうふうに今おっしゃいましたけれども、いわゆるOTCの中にもかなり重篤な副作用を出す商品というのはあると思いますので、その辺はきちんと考えていただきたいと思います。

 また、先ほどから言っておりますように、薬剤というのは体内に直接入るものである以上、非常に大切な、今のような手続を経てもらわなきゃいけないということなんですが、では、二度目以降、同じ薬を注文した場合、どういうふうに考えていくのか、履歴を残していくのか、お願いします。

今別府政府参考人 これは、二度目以降でありましても、基本的には同じように、薬局で薬剤師が患者の状態をきちんと把握して販売をするということでございますので、特段、二度目だから対面でなくてもいいというようなことでは考えておりません。

河野(正)委員 ということは、確認ですけれども、例えばインターネットで、あるサイトから買ったという履歴のある方で、ほかのサイト、また別の会社から買う場合も、やはり改めて同じような手続をしていくということになりますよね。

今別府政府参考人 御指摘のとおり、また先ほど申しましたような、いわば一往復半の手続を踏んで、必要な情報提供をして販売をするということで考えております。

河野(正)委員 その辺は、インターネットの利便性から考えると、何度も同じようなことを毎回毎回繰り返すというのはいかがかなと思いますが、またこれはちょっと後でお聞かせ願いたいと思います。

 また、インターネット販売になりますと、どうしても販売目的あるいは転売目的に大量に購入するやからというのが出てこないとは限らないと思っております。

 ところで、どなたかが頭が痛いとかいった場合に、持っている鎮痛薬を上げるなどという行為が一般的には善意の行為として行われているのかなと思います。ところが、これを意図的に商行為として行う、医療機関でも、ドクターショッピングなどといいまして、短期間に近くの病院をずっと回っていけば同じような睡眠薬を処方されてしまうとかいうこともありまして、なかなかそういうチェック機構が働かないかと思います。同様に、さまざまなサイトにアクセスすれば、同じ銘柄の薬を大量仕入れすることができるんじゃないかと思います。

 この点に対する対策というのをしっかり考えておられるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

今別府政府参考人 これは、お話しのように、現在でも複数の店舗で買うというようなことは可能でありますが、例えばコデインなど、そういう乱用のおそれがある医薬品につきましては、販売個数を制限するというようなことを今でもやっております。

 今回のインターネット販売に対して、こういう乱用のおそれがある医薬品の大量購入を防止するために、販売個数の制限に加えまして、これは今でもやっておりますけれども、大量に買うとか、あるいは短期間で何度も買うというような場合にはきちんと購入理由を確認する、それから、若年者、中学生、高校生みたいな方が買いに来られるときにはその氏名、年齢を確認する、それから、ほかの店で買っているかどうか、これはどれだけ正直に申告をしてくれるかという問題がありますけれども、他店での購入履歴も確認をするというようなことを考えておりまして、これらをきちんとルール化するということで考えております。

河野(正)委員 店舗ごとには制限されていくんだと思いますけれども、複数いろいろな業者にどんどんアクセスしていくということであると、本当に、先ほどから言われていますように、大量に買うことができると思います。これについて、きちんとしたシステムというのは考えられていないんでしょうか。

今別府政府参考人 これは、逆にインターネットの強みを生かしてシステム対応ができないかということで検討をしておりますが、なかなか、今の技術的な水準では、すぐに答えが出るという話ではなさそうであります。それからもう一つ、個人情報の取り扱いをどう考えるのか、そういう法的な問題もあります。

 いずれにしても、法の施行に向けて、できるだけそういう形で対応ができないかと検討は続けてまいりたいと思います。

河野(正)委員 例えば、医療機関を複数受診されて同じような薬を欲しがる患者さんというのがおられます。そして、やはり薬局でも、そういうふうなたくさん買っていく、さっきコデインの問題がありましたけれども、そういう方はいらっしゃると思います。

 そういった場合、やはり医師会とか薬剤師会とかで、個人情報の問題はありますけれども、内々で連絡をとり合っていたり、こういう患者さんがいるよとかいうことがあったり、そういったある程度のシステムがきくかと思いますけれども、こういうインターネットになりますと、短期間に、夜中にずっとクリックしていけば買えてしまうわけですし、その辺のシステムというのはしっかり考えないと、転売という問題で厳しいのかなと思っています。

 後ほど、にせ薬のこと、模造品のことについてお聞かせ願いたいと思っているんですけれども、インターネットで適正な業者から何度もクリックして買っていけば、これは純正品が買えるわけですから、そういった意味でも、この辺のシステムをきちんとしなければならないと思っております。

 また、ところで、今回は検討されていない事項かと思いますけれども、将来、医師処方薬、医師の処方箋がある薬のインターネット販売はどうされるのかということについて、可能性についてちょっとお伺いしたいと思います。

 医師が処方箋を発行して、患者さんにどのような薬をどういった目的で処方したかを明らかに説明しておけば、薬自体は、私は、医師の立場でありますけれども、郵送しても問題はないのではないかなというふうに考えております。

 例えば、私、専門は精神科の医者なんですが、我が国の精神科医療というのは、田村大臣とかはお詳しいかと思うんですが、カクテル処方といいまして、かなり多剤併用療法、いろいろな薬を組み合わせていくということで、カクテル処方をやっているといって、やゆされることもございます。

 さまざまな向精神薬を組み合わせて処方していくということになりますと、いわゆる門前薬局というようなものであれば、そこのお医者さんの処方傾向というのをわかっていますから、大体どんな薬でもあるんですけれども、患者さんが、いざ、家に帰って、家の近所の調剤薬局で買おうとすると、かなりお医者さんの処方がマニアックであったりすると、全部の薬がそろわないということもあるわけです。そういった面では、医師の処方薬もネット販売することは、患者さんサイドの立場に立てば利点があるんじゃないのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

今別府政府参考人 薬局における品ぞろえの問題はおくとしまして、今のお話でも、やはり、先ほども大臣から答弁がありましたように、ダブルチェックというのが必要だと考えております。飲み合わせの話でもありますし、それから誤った処方のケースもあります。数字で申しますと、大体三%程度は疑義照会という形で処方箋に関して医師に問い合わせるという実態もございますので、そういうことが必要なんだろうというふうに考えております。

 それから、先ほど足立先生のところで議論になりましたが、今は電子処方箋という基盤が整備をされておりませんので、そういうことも含めて、すぐに医療用の医薬品についてネット販売という議論は余り実益がないのではないかというふうに考えております。

河野(正)委員 一点確認させていただきたいんですけれども、今、我々医師が処方箋を発行しまして、患者さんがその処方箋を持って調剤薬局に行かれるというふうになっています。この際に、後発医薬品への変更不可などの特段の記載がなければ、患者さんの合意を得た上でジェネリック医薬品に変更することができるようになっていると思いますけれども、それはいかがでしょうか。できますかどうか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、先発の医薬品が処方された場合におきまして、処方箋の様式を定めていますが、そこに処方変更不可ですかどうですかという欄がありまして、変更不可というところに印がつけられていない限り、薬剤師さんが後発の医薬品に変更して調剤することが認められております。

 こういう処方箋を受け付けた場合におきまして、薬剤師さんの方では、患者さんに対してきちんとその後発品についての御説明をいただきまして、よく理解をしていただいて処方をするというふうな努力をしていただくような規定も置いております。

河野(正)委員 その場合、調剤薬局の方々は、ジェネリックの販売数というのをある一定以上ふやすことによって経済的なインセンティブが生じるんじゃないかと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今、後発品の使用促進をしようということで政府でも取り組んでおりますので、薬局におきます後発医薬品の数量の割合に応じて評価を変えるということをとっております。

 具体的には、直近の実績といたしまして、後発品の数量の割合が二二%以上の場合に五点を加算する、三〇%以上の場合に十五点を加算する、三五%以上の場合に十九点を加算するという三段階の加算、これを調剤の基本料に加算制度としてとっておるところでございます。

河野(正)委員 ということですので、やはり、調剤薬局さんの方では、ジェネリックをどんどん使っていくと、インセンティブがあって、収入につながっていくということを御理解いただけたのかなと思います。

 実は、私は、我が国のジェネリックの安全性というのに非常に疑問を持っておりまして、海外と比べて、製品の同一性に関する試験が甘いんじゃないかなと常々思っております。

 前にほかの委員会でも伺いましたけれども、ジェネリック医薬品の認可までの仕組み、生物学的同等性についてしっかりとされているのかどうか、お答えいただきたいと思います。

今別府政府参考人 ジェネリック医薬品の審査の仕組みについての御質問でございます。

 後発品は、先発品と有効成分それからその分量が同一である医薬品ということでございますが、審査に当たりましては、品質、有効性それから安全性を厳正に審査しております。

 有効性と安全性のデータにつきましては、これは今先生御紹介の生物学的同等性の試験で得られたデータで審査をしております。

 具体的に言いますと、先発品と後発品をそれぞれ人に投与いたしまして、時間の経過とともに有効成分が血液中にどの程度含まれているかというデータを比較しまして、これらの有効性及び安全性が同等であるというふうに判断をして、承認をするという過程でございます。

 生物学的同等性試験のデータにつきましては、あらかじめガイドラインをつくっておりまして、科学的に同等と判断できる条件それからデータの幅を示しておりますので、申請者がそのガイドラインに基づいて生物学的同等性試験を適正に実施しておるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、引き続き、後発品の審査につきましては、薬事法に基づいて厳正に行ってまいりたいと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 ジェネリック医薬品を、診療報酬、社会保障費がどんどんふえていく中で使っていかなければいけないというふうには理解はしているんですけれども、副作用の問題とか、同等性がちゃんと担保されているのかなと疑問に思う例をたくさん見てまいりましたので、そういった意味で質問させていただきました。

 もう一点確認ですけれども、今、ある一定の幅と、幅を言われていましたけれども、この幅が、実は許容される幅が日本は広過ぎるんじゃないかなという疑念もあるんですけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 私も大臣になってから、この部分が素人なりに疑問でございまして、いろいろと役所の人間をつかまえて確認しているんですが、時間とともに血中濃度がどれぐらいに上がるかという幅というものを、これだけあるではないかということを確認したら、それは先発薬でもこの幅でやっていますと。つまり、先発薬と同等の幅の中で薬効成分がどのような血中濃度に上がっていくかということを時間の経過とともに見ているので、そこは同等ですというようなお答えをいただきまして、それならば同等なんだなというふうに私自身が確認をいたしました。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 実は、僕は、ジェネリックとブランド品でどれぐらい副作用に差があるのかというのをお聞きしたくて、いろいろ探したし、自分でも調べましたし、いろいろな製薬会社の人に聞いたりとかやったんですけれども、これは全部製品名で丸めて副作用報告を受けているということで、どれがブランド品の副作用なのかジェネリックなのかというのは、実は出てこないんですね。

 なかなかそういうデータを出してもらえないということであれですけれども、実は、大学病院とかに勤めていましたときに、かなり大きな副作用を来している方とかが大学病院に集中して、近隣の病院から集まってくるんですけれども、そのときにずっと見ていたところが、ジェネリックが多かった。当時、もう二十何年も前ですからあれですけれども、そういう印象がありましたので、やはりジェネリックがしっかりと同等性を担保しているということにならないと、なかなか我が国は処方が進んでいかない。

 それともう一点は、やはり、ジェネリックだからといって、余り薬価差がない。ブランド品と比べて、海外であればかなり安くなっているのが、日本の場合そんなに安くないということで、なっていかないのかなと思っております。しっかりその辺はただしていきたいと思います。

 今、若干質問の趣旨からずれてきてしまっているんですが、元に戻しまして、例えば、今言いましたように、お医者さんが副作用を心配していわゆるブランド薬を処方した、変更しちゃだめだよというチェックをしなかったことにしましょう。ブランド薬を処方した、しかし、調剤薬局で、先ほど言われましたようにチェックがなかったために薬剤師さんがジェネリックを勧めた。そして、患者さんもそれに応じて、安くなるならいいですよというような感じで、薬剤師さんが言われるならとオーケーしました。

 これで副作用が生じてしまった場合、責任は処方した医師になるんでしょうか、あるいは変更した薬剤師さんになるんでしょうか。

今別府政府参考人 今の先生の御指摘が、まさに、適正に処方した処方箋に基づいて、薬剤師の方も適正に先発品から後発品に切りかえたというようなケースでありましたら、その責任について、医師、薬剤師が責任を負うということではなくて、むしろ医薬品副作用被害救済制度の対象になるのではないかというふうに考えます。

河野(正)委員 やはり現実に患者さんから非難を浴びるのは処方した医者じゃないかなと思っております。

 薬に関しては、今のだと被害救済制度はあるけれども責任の範囲がどこにあるのかなということになっちゃうんですが、やはり責任というものを医師がとるのか、薬剤師がとるのかきちんと決めておかなければならないと思いますので、そういった意味であれば、私は、医師が責任を持って処方して出した処方箋であれば、インターネットで買ってもいいんじゃないのかなというふうに考えております。

 次に、例えば、今度はまたOTCの方に戻りますけれども、夜間などにお薬が必要になってスーパーなどに買いに行った場合、目の前に薬があるのに、たまたま薬剤師さんや登録販売者というのが不在だったために買えなかったという話をよく伺っております。

 そのお薬を飲んだことがない人であれば、こういったのは売れませんよということで仕方がないのかもしれません。しかし、例えば、既に購入、使用経験のある消費者の場合で、いつも飲んでいるお薬がたまたま手元にない、この薬がどうしても欲しい、そこの目の前にある、だけれども販売の責任者がいないから買えないというのは非常に不幸なことじゃないかなと思います。

 こういった方に対して、証明書などを出して免責をしていくとかいう方法を考えられたりはしないのかなと思っております。たばこでありますと、いわゆるタスポなどというカードで認証してやっていくシステムがありますが、先ほどから言っていますように、初めて買う薬じゃなくて、既に服用中の方であれば、こういった手続を省略化していくシステムというのがあれば便利なんじゃないかなと思いますが、この辺は検討されていますでしょうか。

今別府政府参考人 先ほどもお答えしましたけれども、時間の経過でまたもう一度来られたときには、その時点でやはり把握をする必要があるんだろうと思いますし、もし万一、不幸にも事故が起こるようなことがあってはならないというふうに考えております。

 ただ、これは比較考量の問題だと思いますので、ほかの薬局が近隣にあるか、あるいは、ほかの薬剤で薬剤師じゃなくても売れるような薬剤が使えるのかというようなことも、現実的にはそういう処理もするのだろうとは思いますけれども、先ほどの先生の、免責といいますか、そういうのも一つのアイデアだとは思いますけれども、現時点では、やはりきちんとその都度その都度、薬剤師が指導する必要のあるものはそういうふうにして売っていくべきだというふうに考えております。

河野(正)委員 そうですね、その都度症状が変わると言われてしまうと、そのとおりなんですけれども。やはり日ごろの常備薬がたまたまなかった場合とか、そういったちょっとしたシステムがあれば、仲間内とか家族とかで融通し合ったりということは実際の生活の現場では行われているわけですから、そういった意味も含めれば、そういう購入経験のある方については考慮するシステムというのはあってもいいんじゃないのかなというふうに思っております。

 次に、医薬品のにせものについて伺いたいと思います。

 調剤薬局やスーパー等でにせものを販売するということは考えにくいことだと思います。インターネット販売になりますと、薬に限らず、にせものが送られてきた、注文したものではないものが送られてきたというような詐欺行為の事例をお聞きいたしております。

 繰り返しになりますけれども、薬というのは、直接体内に入ってくるものであります、極めて危険と背中合わせの商品となります。

 例えば、勃起不全、ED治療薬であるシルデナフィル、いわゆるバイアグラという有名なお薬がありますけれども、もともと狭心症のお薬として開発されてきたものでございますから、やはり極めて慎重に投与が必要なんだと思っております。残念ながら、このバイアグラ等の模造品や粗悪品という例が報告されているかと思います。現在、不良品、粗悪品あるいは模造品によって被害に遭った方がおられるのかどうか、厚生労働省として把握されている点について伺いたいと思います。

今別府政府参考人 先生が今おっしゃった薬物でありますけれども、偽造の医薬品で健康被害が発生をして、服薬と健康被害の因果関係が否定できない事例ということで、平成二十三年に奈良県で、シアリス錠を服用した男性がけいれん、意識低下を生じて、その後回復して退院したという例がございます。これは、シアリス錠ということで売っておりましたけれども、実際には、今先生がおっしゃったバイアグラの有効成分が入っていた、しかも通常の医療用で想定をしておる量の倍以上の量が入っておった、そういう医薬品でございました。

河野(正)委員 では、次に警察庁の方にお尋ねしたいんですけれども、こういった薬事法違反で摘発された例というのは今どれぐらいあるんでしょうか。

宮城政府参考人 御質問の、いわゆるにせ薬の販売を含みます薬事法違反の事件でありますが、最近においては、平成二十二年に百五十件、百八十二名、平成二十三年に百五十六件、百九十名、平成二十四年になりますと百五十七件、百六十五名と、ここ三年間でまとめますと四百六十三件、五百三十七名、これを検挙いたしまして送致したところでございます。

 以上でございます。

河野(正)委員 実は、なぜこのような質問をしたかといいますと、私の父親も衆議院議員をやっておったんですけれども、昭和六十一年の衆議院の社会労働委員会で同じような質問をしておりまして、たまたまその記憶があったものですから、議事録を、今インターネットで全部父親の業績が出てくるというので、見ておりました。

 そこでやはりにせ薬ということを質問していまして、実は、昭和六十年に薬事法違反で検挙された方は八百二十九名、七百二十件だそうです。また、製造、販売に関し無承認、無許可医薬品、すなわちにせ薬事犯というのが二百五十件、三百六人ということで、当時の警察庁の方の答弁では、年々増加傾向にあって、五年で倍になっているというふうに答えられています。

 その点からすると、今は非常に摘発が少なくなって、これはいいことなのかなというふうに解釈させていただきます。

 そのとき、私の父親は、薬剤というのはやはり生命関連商品、命に関連する商品だ、医療ミスはミスしようと思ってやったのではない、しかし、にせ薬は、とにかくもうけよう、ただ利潤だけを考えて、国民に対して非常に大きな迷惑をかけているということを指摘しまして、強力な行政指導が必要であろうということを指摘しております。

 当時の今井勇厚生大臣が、今後とも監視指導の強化を十分に図ってまいりたいと考えておりますという答弁をうちの父親に対してはしているんですけれども、現在、田村厚生労働大臣、この辺の御見解はいかがでしょうか。

田村国務大臣 今般のインターネットでの一般用医薬品の販売、この検討会の議論の中でも、やはり偽造医薬品、にせ薬、こういうものに対して、特にインターネットの場合は秘匿性があるといいますか、言うなれば、なかなか、どこで誰が売っているかということがわかりづらいわけでありまして、にせサイトをつくって売っていることもよくあるわけであります。

 実際問題、今売れない状況の中で現状もやっておるわけでありますが、これが、一般用医薬品が解禁になりますと、当然成り済ましのような形が起こるわけでありますので、これに対して、例えば厚生労働省の方で、これが正しい、適法なサイトかどうかといいますか、販売業者かどうかということを確認できるような、そんな仕組みを今考えております。

 あわせて、インターネット販売を指導監督する中において、これはもうどう見てもおかしいなというものに関しましては、プロバイダーに情報削除をしていただく。さらに、どうも言うことを聞かないなというようなところに関しては、そういうものを改めて公表していって、これはにせものですよということを我々としても公表していきたいと思っています。

 にせものの薬、偽造医薬品等々に関しては、いろいろな情報を集めさせていただきたいと思っておりまして、あやしいヤクブツ連絡ネットという専用のホームページを立ち上げて、ここにいろいろな情報をいただいて載せていきたいと思っておりますし、また一方で、偽造サイトに関しましては、専用のメールアドレスを設置しまして、情報を収集して、これに関しても注意喚起していくということを考えております。

 いずれにいたしましても、本当に偽造の医薬品は危ないので、これを本物と思って飲んで健康被害が起こっておったのでは、インターネットでの一般用医薬品販売を解禁したといって、そんなことが続々出てしまったら、そもそも今回解禁すること自体が本当に国民の皆様方にとって健康被害のそれこそ糸口みたいな話になっちゃうと、これは何のためにやったかわからなくなるわけでありまして、そんなことが起こらないように、徹底してこういうものに対しては対処してまいりたい、このように思っております。

河野(正)委員 ありがとうございました、いろいろと明快にお答えいただきまして。

 私は、父親と所属政党も全く異なっておりますし、考え方も同じというより、病院運営においては対立していたことの方が多かったんじゃないかなと思いますけれども、この点は一致しておりまして、やはり国民の不利益にならないように、薬害事件などということが起きないことを願っております。利便性を追求するがためにとうとい命が脅かされてしまうというようなことがないように、しっかりとした制度としていただきたいと考えております。

 また、そういった面がしっかりと担保できるのであれば、先ほど冒頭にお話ししましたように、ぜひ患者サイドの利便性も考えていただいて、医師の処方箋があれば郵便等で薬は送ってもいいんじゃないのかなということは私も思っておりますので、すぐには難しいと思いますけれども、そういったことも検討課題としていただければなと思います。

 また、最後に、国民の医療費が増大していく中で、重複処方とか、同じ検査を近隣の病院、複数の病院で何度も、CTを何回も撮るとかいうことの問題も医療費増大にはかかわってくるのかなと思います。今回の医薬品の販売に関しましても、同一人物が大量に購入することで、自殺などの自傷行為に用いる危険性もありますし、あるいは二次販売ということも考えられます。

 そういった意味からしますと、やはり私は、実は将来的に、制度上、すごく膨大な投資も必要ですし難しいと思いますけれども、マイナンバーなどをリンクさせて一元管理していくのが大切なんじゃないかなと思いますが、現時点でそういったマイナンバーと医療、もちろん個人情報の問題もあって厳しいと思いますが、お伺いできますでしょうか。

唐澤政府参考人 御指摘いただきましたように、医療の情報化の推進によりまして、医療サービスの質の向上や御指摘のような効率的な医療の実現を図っていくことは大変重要なことであると考えております。

 マイナンバーにつきましては、二十八年の一月からこの新しい制度を施行してまいりますので、その定着を図ることが必要でございます。

 私どもといたしましては、医療情報について番号制度を導入いたしまして、患者の診療情報をひもづけていくということにつきましては、まず、御指摘のような、全国への普及、展開など活用できる環境の整備、それから、医療情報の機微性や特性を踏まえた、保護と利活用に必要な措置、そして、国民の皆様に対して御理解をいただくということが必要であると考えております。

 このような医療情報の番号制度の導入に向けた環境づくりのための具体的な方策につきまして、IT総合戦略本部における議論、あるいは総務省など関係省庁とも連携しつつ、検討を進めてまいりたいと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 よろしくお願いいたします。日本維新の会の浦野靖人です。

 そもそも、この法案の出てきたいきさつというか経緯というのは、最高裁判決の結果を受けて対応するということで出てきていると思うんですけれども、いただいているペーパーの中の概要の最後の一部分、ちょっと書いてあるんですけれども、省令のうち、第一類、第二類医薬品について、郵便等販売をしてはならない等とする規定は、これらの各医薬品に係る郵便等販売を一律に禁止することになる限度において、新薬事法の趣旨に適合するものでなく、新薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効である。

 読んだだけだったらちょっと難しいですけれども、要は、省令が持っている法的拘束力が及ばない、したがって、これは法律的に縛られるものではないという解釈だと思います。それで合っているでしょうか。確認です。

田村国務大臣 薬事法で書かれている内容、要するに、省令に委任していることがあるわけですね、その中に。ところが、今回の場合、一般用医薬品一類、二類を全て一律に、要はインターネット、郵便等販売を禁止するということを省令で書くことが、法律の中に書かれている委任の範囲を超えているということ、それはやり過ぎですよということを今回の最高裁の判決でいただいたわけであります。

 でありますから、それならば、法律の中にどこまで書くのかということを今回改正法の中において明記をさせていただいておる。その中において、医療用医薬品も同じようなたてつけになっておりますので、これも今回法律の中に明文化をさせていただいたということでございます。

 要は、やり過ぎだ、そういう判決であったというふうに受けとめております。

浦野委員 いつも私は、質問に立たせていただくと、保育のことばかり質問をしますけれども、今回もちょっと、質問じゃないですけれども一例を挙げさせていただくんですけれども、保育園、保育所の開設の要件に十一時間開所というのがありますね。これは、法律上はどこにも定めが実はないものなんです。しかし、この十一時間開所ということをしないと、まず認可保育園として認めてもらえない。さらに、認可保育園として認めてもらえないということは、イコール、補助金、運営費ですね、運営費も受け取ることができないという、一番最初の当然越えておかなければいけないハードルの一つなんですね。

 では、この十一時間開所は、そこまで保育園の運営を縛っているものなのに、何が根拠になってそういうふうな立場に保育園が置かれているかというと、ちょっと調べさせていただいたら、僕は省令ぐらいでやっているのかなと思ったら、そうでもない。調べていけば、すぐわかったんですけれども、局長通達ということなんですね。

 では、例えば、こんなことは余り考えられないですけれども、もしかしたら起こり得ることもあるんですけれども、日本全国の保育園団体がこの局長通達にそれだけの法的拘束力はないという提訴をした場合に、裁判はどうなるんだろうかというふうに思いました。

 政省令、局長通達、あと課長通知とかもあるんですか、省の中にはいろいろあると思うんですけれども、この省令、局長通達等々の位置づけについて、今大臣はどのようにお考えですか。

田村国務大臣 御通告いただいていないので、この保育の場合、どういういきさつで……(浦野委員「保育のことじゃなくて、省の、全体の」と呼ぶ)ああ、全体の。

 それは、法律に書かれていない中において、それぞれその時代、時代というか、その状況状況と言った方がいいでありましょうか、行政を行う上で必要なものに関して何らかの基準を設けることが求められることがあろうと思います。その中において、局長通達という形、いろいろな形があるんですけれども、そういう中において、一つの方向性を示すという中において、そのようなことをそのときそのときにおいて必要に応じて対応しておるものだというふうに考えております。

浦野委員 十一時間開所のことは、また折を見て、いろいろと大臣にお聞きしたいこととかもたくさんありますので、保育関係のときに質問をまたさせていただきたいと思っているんですけれども。

 各省で省令の数だけちょっと調べました。厚生労働省はどっちかというと多い方かなと思っていたんですけれども、一番多かったのは、省令は、外務省、五百二十五でした。次が農水の三百二十七、次が経済産業の三百二十三、内閣府の二百六十八。厚労省は二百八十六で、上から数えて四番目ということで、多いといえば多い省庁のうちの一つなんです。ちょっと外務省は突出して多いんですけれども。

 確かに、今大臣がおっしゃったように、そのときそのとき、柔軟に対応していっている中で省令で定めていくものというのももちろんあるとは私も思います。ただ、よく批判される中で、要はお役所の御都合で、勝手に自分たちで絵が描けるじゃないかという部分も否定はできないと思うんですね。

 私は、今回はこういった形で法案として出して対応されるということなんですけれども、これから、どれぐらいあるかわからないですけれども、こういったことというのは起こり得る可能性はあると思うんですね。だから、厚生労働省として、省令に限らず、そういう通知、通達、そういうものも含めて、午前中の大臣の答弁の中にも厚生労働省は大変忙しいということもおっしゃっていたんですけれども、将来的なリスクも考えて、一度やはり整理をして、これはもう今の時代、法案に切りかえた方がいいんじゃないかとか、そういうものを処理していくということを少し厚生労働省として考えていった方がいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 今般の改正法案に関しましては、そのような最高裁の御判決をいただきましたので、省令等々を設ける場合も、ちゃんとその委任の範囲というか根拠、これを法律に書くようにしております。

 他の、薬事法以外の部分に関しましても、委員が言われているような部分があるかないか、全ての省令を確認しているわけではありませんけれども、やはり適切にこれからは対応していかなければならないなというふうに思います。

 法令というのをどこまで入れるかなかなか難しいんですが、普通は法律、政令、省令ぐらいまでなんでしょうか。そこに関しては、やはり法令でありますから、一定程度法律の中に根拠になるものをもってして、それにおいて委任をされているというような形をとるのがきれいであることは間違いないわけでありまして、なるべく、これから法律をつくるときには、そのようなことにも心がけてまいりたいというふうに思います。

浦野委員 当初、省令の数を厚生労働省の方にお聞きすると、ちょっと把握できていないということをおっしゃっていました。さっき言った数字は、省庁再編後、今までの数字なんですね。その前のときの省令とかは、数が多過ぎて把握できていないというのは確かにわからなくもないんですけれども、省令の数も省自体が答えられなかったというのはちょっと驚いたんです。調べたら、国会図書館にちゃんと出ていましたのでこの数がわかったんですけれども、そういったところも省としてはきっちりと把握をしていただいておいたらいいんじゃないかなというふうに思いましたので、よろしくお願いいたします。

 どちらにしても、どこかでこの作業をしないといけない時期が来るんじゃないかな。時代はどんどん変わっていっていますので、そのときそのときに対応はできているんでしょうけれども、どんどんその省令自体も変えていく。まあ、だからこそ省令にしてあるんだと言われたらそのとおりなんですけれども、そういったところを含めてまた御検討いただけたらと思います。

 次の質問なんですけれども、先日のみんなの党の中島先生の質問の中に、在宅医療との関連の質問があったかと思うんですけれども、私、在宅医療ももちろんですけれども、在宅介護の現場でこのインターネットの解禁という薬事法の効果はより高いと思っているんですね。

 例えば、先ほど河野先生もおっしゃっていましたけれども、同じ薬を何度も何度もやるという手間は確かに大変だと思うんですね。ネットというのは、普通は売買の履歴もちゃんと残っていて、前回と同じ商品を注文するというボタンもある、つくろうと思えばつくれる、そういうところがあるんですね。だから、特段変える必要もないようなものとかは、それですんなりすぐ手続がとれる。

 在宅介護の現場で、在宅介護は、お医者さんと、福祉のケアマネジャーの方だとか、みんなが地域を回って患者さん一人一人を見ていくわけですね。

 今、東北が震災で病院機能がほとんどなくなってしまった地域がたくさんあって、もう巡回するしか助けることができないというので、ちょっと前ですけれども、NHKで番組をやっていました。陸前高田の高田病院の、もう今は院長先生じゃなかったと思うんですけれども、その方が中心になって独自にそういうネットワークをつくり上げて、訪問介護で全てを賄える、福祉も医療も全て賄えるように、システムが自然と、それは苦肉の策で皆さんが努力されてでき上がったシステムですけれども、実はそれが今非常に機能しておりまして、大変評価が高くなっているという番組だったんですね。

 その中で、お医者さんが家に行って、その人たちの様子を見て、処方箋を、この薬が要るなとなったら、インターネットを介して薬の発注をすぐその場でできる。そして、今の日本の物流は非常に有能ですから、大体の商品は一日以内で届いてしまいます。そういうスピーディーな薬の手配だとか、そういうのも非常にできることになると思うんですね。

 さらに、私、お薬手帳のIT化というのは何年か前からありますけれども、訪問介護の中で、お薬手帳がちゃんとIT化されていれば、情報が端末で全て、回っているお医者さんも見られる、もちろん患者さんの了解をとって確認することができる、そういうふうなシステムも組めるはずだと思うんですね。

 そういった部分は、厚生労働省はどうお考えですか。

今別府政府参考人 先ほど来出ていましたが、医薬分業の究極の姿として、かかりつけ薬局というのがございます。かかりつけ薬局の一つのツールとしてお薬手帳というのがあって、それが電子化をされていればなおいいということでございます。

 これは、先生の御地元の大阪で今実証研究がされておりますが、全体としまして、平成二十七年度までに全国の薬局の三〇%以上でお薬手帳の電子的情報を提供可能とする、一応、こういう目標値を持って推進していこうということで進めてまいる所存でございます。

浦野委員 それは、いけそうですか、今の段階で。できれば、もっと上げてもらいたいんですけれども。

今別府政府参考人 今申しましたように、現在やっておりますのが大阪の実証試験だけでございますので、三〇%というのは、二十七年度ですから、かなり高い目標だと思っております。

浦野委員 ぜひ、厚生労働省としてバックアップできるところがあったらやっていただきたいと思うんですけれども、これはお薬手帳だけじゃなくて、先ほども足立委員の質問にありました、電子処方箋とか電子カルテとか、医療に関するいろいろなデータをIT化していくというのは非常に有意義なことだと思うんですね。

 というのは、IT化することによってビッグデータとして活用ができるようになるというのがやはり一番大きな特徴だと私は思うんですね。そういうデータを隅々まで集めることによって、いろいろな数値がやはり出てくるわけですから。政府としても、そういったビッグデータの活用というのをたしか推進するという立場をとっていたと思います。

 ですから、厚生労働省としても、今大阪で実証実験で手帳はやっていますけれども、恐らく、ほかの部分に関してはかなりハードルが高そうなイメージなんですね、厚生労働省の姿勢というのが。その辺はどうなんですか、厚生労働省は前向きなのかどうか、ちょっと通告には入っていないかもしれないですけれども。

今別府政府参考人 医薬食品局長の立場で物を言える部分は限られていますが、少なくとも、私は昔保険課長というのをやっておりましたが、電子レセプトを当時から一生懸命やっておりましたが、そういうものがもう十年近くたってかなり進んできておりますし、先ほどの統括官の答弁にもありましたように、いろいろな分野でのIT化、ビッグデータの処理については、前向きに進めておるのではないかと考えております。

浦野委員 これこそがまさに成長戦略になると私は思っているんですね。だから、頑張っていただきたいなと思うんです。

 次の質問なんですけれども、対面販売という言葉が、今回、この委員会の質問の中でもよく出てきます。

 今現在、対面販売ができないとこれはだめですよということで一部規制をかけるわけですけれども、ネットの技術というのは日進月歩で、恐らく、遠くない日に対面販売に近いような状態を技術革新でできるようになると私は思っているんですね。もちろん、IT産業の皆さん方はそれはビジネスチャンスだという捉え方で恐らくチャレンジをされていくでしょうし、先ほど言っていたみたいに、手を置いたら体温もわかる、脈や血圧も全部ぱっと読み取れる、そういった機械というのができると思うんですね。顔は、実はフェース・ツー・フェースは、遠隔地医療とかでもう既に医療の現場では導入しているところはたくさんあるんですね。顔をお互い見ながら話ができる。

 フェース・ツー・フェースというのは、対面販売の大事さというのは重々理解できている一人だと僕は思っているんですけれども、フェース・ツー・フェースがどれだけ有効かというのは、図らずも三木谷さんが証明をしたわけですよね。委員をやめると言ってあれだけ息巻いていたのに、安倍さんとフェース・ツー・フェースで顔を合わせて話をした途端、撤回をされた。それだけ、お互いが顔を見ていろいろな話をするというのはやはり大事なことなんだなというふうに、僕は、三木谷さんがみずから証明をしてしまったんじゃないかなというふうに思っているんですね。こんなことを言ったら、誰かに怒られるかもしれないですけれども。

 ただ、でもやはり、お互いの顔を見て話す。ネットの世界では、お互いの顔を見ないがために、非常に先鋭的になったりだとか、誹謗中傷がふえたりだとか、そういうことも実際、事実あります。ツイッターなんかは特に、顔も見えない、誰かもわからない、匿名性が高くて、だからこそ、言ったら誹謗中傷の嵐に巻き込まれることが多いわけですね。

 私は、だから、フェース・ツー・フェースを否定するつもりもありませんし、できれば顔と顔を合わせていろいろなことをしゃべる、これが一番重要なことだ、それはもちろん思います。

 厚生労働委員会でも、今いらっしゃらないですけれども、金子理事の顔を見ると、どうしても、わかりましたと言ってしまいそうになるような非常に温和な感じの、実際温和な方ですので、ついつい、恐らく野党の理事の皆さん方も金子さんに押し込まれることもあるんじゃないかな、顔に免じてやむを得ないというところも多分あると思うんですね。それは、フェース・ツー・フェースで、お互いがやはり面と向き合ってやっているからこそ、そういうことができるんだと思うんですね。

 ちょっと話がそれちゃいましたけれども、IT技術が追いつけば、恐らくそういう今言っているような対面販売の壁というのはかなり低くなると思うんですけれども、そうなったときは、またこの法案というのもちょっと変えたらいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

今別府政府参考人 今先生おっしゃったように、先ほど来申し上げておりますような、現時点では対面とインターネットで差があるというところが、これからの技術で補うような時代になりましたら、またそのときの御判断だと思います。

 そういう意味で、それに限らずでありますけれども、今回の法律には五年後に見直すという規定も入れておりますので、またそのときそのときの最新の知見で見直すべきであろうと思います。

浦野委員 次の質問は、これにちょっと相反することかもしれないんですけれども、私は規制緩和はいいことだと思っているんですね、ところが、やはり、規制緩和をすることによって影響を少なからず受ける部分はもちろん出てきます。

 例えば、町の商店街にあるような小さな小さな、おじいちゃん、おばあちゃんが今細々とやっているような薬局ですね。現在でも、大手のドラッグチェーンがそういう地域に進出をしてきて、そういう薬局というのは風前のともしびになっているようなところもたくさんあります。処方箋もちゃんとやってくれる町の小さな薬局も、さらにこういう規制緩和で自分たちの商機がどんどん失われていくんじゃないか。

 これは利便性を追求した結果やと僕は思うんですけれども、大店法によって、商店街の八百屋さんとかそういったところがどんどんなくなっていった。それでシャッター街になって、どうすんねんという問題が起きたように、私は、これは同じような問題になってしまうんじゃないかなとちょっと危惧をしているんですね。

 厚生労働省は、そういったところは何か対策というか、どうお考えになっているのか、ありますか。

土屋副大臣 委員が今おっしゃった心配というか、小さな商店街にある薬局さん等がこれからどうなるのかという問題については、さまざまなところで皆様から声が出ている問題だと思います。

 実際、平成二十五年の医療経済実態調査によると、個人薬局の収益の九七%程度が保険調剤等による収益となっていまして、一般用医薬品のインターネット販売が個人薬局に与える影響は必ずしも大きくないのではないかとも言われています。

 ただ、私は、今回のインターネット販売の法律を通して、いろいろな議論の中で、薬剤師さんの役割、かかりつけ薬剤師の話も出てまいりましたけれども、地域における薬局の再構築のいいチャンスではないかと思っています。

 また、地域格差はありますよね。都会の中の薬局さん、または本当に田舎の小さな商店街の薬局さんによっては、どういうふうな形で今後再構築していくかというのは、また、いろいろな皆様の意見、それから知恵を絞っていかなければならないと思います。

 私は、今、高齢化社会の中で、孤独な老人もふえている中で、薬剤師さんが、病気になって薬を買いに来る方、特に保険調剤の薬をもらいに来る方なんかにやはり対面で温かくいろいろケアしてあげる、これが物すごく大事なことだと思っています。

 日本再興戦略の中では、薬局、薬剤師を活用したセルフメディケーションの推進が盛り込まれているんですけれども、平成二十六年度概算要求では、薬局、薬剤師を活用した健康情報の拠点の推進や在宅医療に関するモデル事業の予算を盛り込んでいます。

 こういう中で、今私がお話ししたような、本当に温かいそういう薬局、それから地域の医療ケアの中での役割というのをつくっていただいて、活躍していただければと思っております。

浦野委員 ありがとうございます。

 薬剤師の皆さん方も、恐らくその時代その時代で、さまざまに自分たちのやるべきことというのは変わっていくだろうし、それは、薬剤師に限らず、仕事というのはそういうものだなというふうに思うんです。

 一つ確認しておきたいんですけれども、規制改革会議から、十月三十一日に「一般用医薬品のうちスイッチ直後品目等の取扱いについて」というものが出ているんですけれども、この中に書かれていることはもう既に法案の中には織り込んであるという考えでよかったんですか。確認です。

今別府政府参考人 ちょっと、今、どの資料でどういう具体的な内容かというのが確認ができておりませんけれども、恐らく、今四年で再評価をしていますが、それを期間を短くするという話は一つあったような気がしております。これは、法律といいますよりも、法律の施行の過程でそういうことを検討していきたいということで考えております。

浦野委員 これは十月三十一日付なのでそんなに古くはないんですけれども、その後、規制改革会議からは、この法案に関する意見というのは特に出ていないということでよろしいですか。

今別府政府参考人 事務的には常にやりとりをしておりますが、正式な御意見ということではその後は承っておりません。

浦野委員 ありがとうございます。

 それでは、違法ドラッグの取り締まりについてお伺いしたいと思います。

 皆さん御存じのとおり、東京都と大阪府は過去に、大阪は去年だったと思いますけれども、独自のルールをつくって、違法ドラッグの取り締まりを積極的に行ってまいりました。

 この法案の今回の中身と、東京都と大阪府の独自でやってきたことの関連というか、その影響というか、そういうのをちょっとお教えいただけますか。

今別府政府参考人 まず東京都でございますが、東京都では、法律の規定のある薬物以外に、条例で知事指定薬物というものを設けておられまして、独自の規制をしておられます。

 具体的には、知事指定薬物に指定された薬物に対して、製造、販売のほかに、販売目的の所持等について罰則つきで禁止をしている。それから、いわゆる単純所持、使用につきましては、罰則はございませんけれども、警告の対象としているということでございます。

 それから大阪府でありますが、大阪府も、東京都と同様に知事指定薬物というジャンルを設けております。

 具体的に言いますと、知事指定薬物に指定をされますと、製造、販売に加えまして、販売目的での所持、それからいわゆる単純所持、使用につきましても、これは罰則つきで禁止をしているということでございます。それから、大阪府の条例では、薬事法に規定する指定薬物の単純所持、使用も禁止をしておりまして、違反の罰則はございませんけれども、警告の対象になっているということでございます。

 今回、御提案をさせていただきましたこの法案でございますが、そういう意味で、単純所持、使用について罰則つきで禁止をするということで、これは東京、大阪以外にも幾つかの自治体でこういう事例があるようでございますが、そういう先行する自治体の規制にいわば追いついた形、あるいは追い越した部分もあると思いますが、そういう関係になると思います。

 それから、個別の薬物の指定状況でございますが、今申しました知事指定薬物ということで指定をされたものでこちらで指定薬物にしていないものにつきましては、これは速やかに指定薬物として指定をするという運用をしております。

浦野委員 大阪府でこの議論をしたときにやはり問題になったのは、要は、指定薬物かそうじゃないのかという、結局はイタチごっこで、必ず、これがだめになったらこれというふうに手をかえ品をかえやってくる。その手をかえ品をかえやられたときに、こちら側としては、規制する側としては、その成分がだめだというふうに確定させるためにかなりの時間を要する。科学的ないろいろなことを立証していかないといけない、そういう分析に時間がかかって、なかなか前に進まないんだということがありました。

 この点についても、今回の法案で状況は変わるんですか。

今別府政府参考人 イタチごっこの解消という意味では、むしろ、この法案の前に議員立法で出して成立をしております法律で包括指定という仕組みができておりますので、実際にもうそういう運用を始めておりますので、それによるところでかなり解消していくのではないかと考えております。

浦野委員 うちの地元の町でも、ついこの間までハーブ販売所みたいなのがありました。最近そういえば見なくなったなと思ったんですけれども、やはりボディーブローでそういうのがかなりきいてきているんじゃないかなというふうに思いますけれども、これはさらに、今はもっともっと販売ルートが巧妙になって、表では全くわからなくなって、裏のルート、郵便とか、そういう個別でしか販売しないだとか、携帯電話でやりとりして売買している。これはもう完全に覚醒剤とかとほぼ同じような販売形態に今なりつつあるということも聞いています。

 この部分、恐らくイタチごっこで仕方がないのかなとは思うんですけれども、こういう販売網というのをからめ捕れるようなことをまた省庁としてもいろいろとやっていただけたらいいなと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次の質問が先ほどの河野先生とほぼかぶってしまいましたので、また同じ質問をしても仕方がありませんので、あれなんですけれども、一つだけ。

 私は、国会議員になってもうすぐ一年たちますけれども、ついこの間まで、一年前まではいつもテレビの向こう側で国会の質疑を見させていただいていた一人です。せっかくの法案の質問時間をこういうのに使わせていただくのはちょっと申しわけないんですけれども、例えば、徳洲会病院の問題だとか田村大臣の個人的ないろいろなことをこういう質疑時間の中でやるというのは、私は、一年前までテレビの向こう側で国会審議を見ていた人間としては非常に腹立たしいことなんですね。なぜ、本来の目的の法案審議にもっと時間を使ってくれないのかということを常々思っていたんですね。

 ただ、本当に問題なのであれば、別の機会をちゃんと設けて、そういうことをやるという場も実は政権与党はつくっていただかないと、こういった本当に大事な審議時間が無駄になってしまうというふうに私は思うんです。政権与党としてそういった時間もちゃんとほかに確保するから、ちゃんと法案の審議は国民のためにきちっとやってくれよというようなことをなぜ政府はしないんだというふうに常々思っていたんですね。

 このことについて、ちょっとお答えしにくいかもしれないですけれども、大臣は個人的にはどう思われますか。

田村国務大臣 本当にこれはかなり怪しいというか、やばいというか、そういう話があった場合には、よく、政治倫理審査会でありますとか、場合によっては参考人、証人喚問、いろいろなものがあるわけでありまして、そういうところで対応していくというのは今までもあったことではあると思います。一般的には、予算委員会でありますとか、各委員会、余り各委員会でそんなにしつこくやるということはないんでしょうけれども、そういうところでやるということは、一定程度は委員の質問権という中には入っておるんだろうなと。

 ただ、それをずっとやり続けるという話になると、法案の時間という話もございますので、一般でやるとか、いろいろなやり方はあると思います。まあ、程度問題であるのかなというふうに私は思っております。

浦野委員 同じようなことを我が党の先輩議員の方々にも聞いたら、同じようなお答えだったんですね。ただ、やはり、予算委員会なんかは特に我々はよく見ていましたから、予算委員会は本当に無駄な時間をそういうのに使って、使いやがってというふうに、僕らは、私だけじゃなくテレビの向こうの国民の皆さんは、ほとんどみんな思っていたと思うんですね。

 やはり、自分たちのために、ためになる議論をしていただける場が国会だというふうにみんな思っていると思うので、私としては、できれば、そういった時間はそういった別の枠をつくっていただいて、議論をしっかりとしていただけたらと思っておりますので、この厚生労働委員会では法案に関する質問以外はこれからは恐らくしないと私は、私はですね、しませんので、よろしくお願いをいたします。

 どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。

 皆様、お疲れさまでございます。閣法審議も二日目になりまして、そして、この時間になりますと、ほぼ質問のメーンディッシュは皆様おなかいっぱい食べられているかとは思います。ただ、いま一度、この法案は我々みんなの党も熱を入れて審議をしたいと思っておりますので、フルコースをぜひ味わっていただきたいと思います。

 まず、ネット販売の成長戦略に関してなんですが、成長戦略、三本の矢、これは安倍政権の大本命、大根幹でございます。そして、薬のインターネット販売は、経済成長何%ということ以上に、私は、非常にメッセージ性の高い政策である、経済成長、規制緩和のマイルストーンになる政策であるというふうに確信をしております。

 今回、この法案で九九・八%の一般医薬品がネット販売オーケーになるということなんですが、残り〇・二%はやはり要指導医薬品の中に入れられて、対面販売が義務づけられてしまうということでございます。一兆円規模と言われているこの市販薬の市場、そして試算ですけれども、ネット解禁で最大二千四百億円の経済効果が期待できるというような試算もございます。

 我々は、安倍政権のこの薬のネット全面解禁、ぜひこれはやっていただきたいと思うんです。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、このインターネットによる薬の販売の経済効果について、試算でも結構です、大臣のお考え、所見をお聞かせいただければと思います。

田村国務大臣 インターネット販売と関係なしに、例えばセルフメディケーションという話が先ほどから出ておりますが、OTCの方に医療用医薬品からスイッチしていくというものの中において、それぞれが健康管理をする中において、自分自身、ある程度OTCを用いて病気を防いでいく、また病気になっても軽症で防いでいくというようなものに対しては、一定の市場が医療用医薬品から一般用医薬品の中へ広がっていくという意味からすれば、そこは新しい市場が広がってくるということはあるのかもわかりません。

 ただ、この二千四百億円は何を根拠に出されているのか、ちょっと私はわからないんですけれども、インターネットで一般用医薬品を売ったからといって、薬が売れるということは余りないんだと思います。

 なぜならば、薬というものは必要な方が必要量を飲むというものであって、例えばおいしい食べ物ができたから、それを店頭へ買いに行くのは大変だけれども、インターネット販売ならば産地直送で届くからそれをどんどん頼もうというので、今まで粗食だったのが美食に変わって、そこに市場が広がるというのならそれはたくさん売れるという話なんでしょうけれども、薬というものはそういう類いのものではありません。インターネットであろうが対面であろうが、必要なものを必要な量だけ必要なときに購入されるというのが基本だろうというふうに思いますので、これによって一般用医薬品が爆発的に売れるなんということはまずないんだろうなと。

 ただ、あえて申し上げれば、IT化というのは、非常に効率化いたします。ですから、例えば買う側にしてみれば時間の節約等々があるであろう。時間の節約において、その分を例えば生産活動に回せるでありましょうとか、他の余暇等々に回す中において消費が伸びるであろう、こういう考え方が一つあろうと思います。

 売る側にしてみれば、今までそれぞれの薬局で薬剤師さんがそれぞれのお客さんに対して対応しておったよりかは、どこかで集中的にやった方がやはり効率が上がる。ということは、対薬剤師当たりの販売量というものは伸びるであろう。これは、生産性が上がるという話だと思います。

 すると、残ったといいますか、他の薬剤師さん、つまり時間の余った薬剤師さんも含めて、そういう方々が他の業務に従事できる。例えば、在宅医療の中に従事できるでありましょうとか、また他の調剤業務に従事できるでありましょうとか、いろいろなことがあると思うんですね。そこで、新たな生産活動といいますか、新しい仕事がやれるわけでありまして、そこに新しい経済の成長があるというようなことが、薬のインターネット販売において考えられる一つの経済成長のプロセスなのかなというふうに思います。

柏倉委員 大臣の御所見ですと、間接的な影響はあるだろう、直接的な影響はないだろうということなんです。

 資料に、お配りしています一枚物なんですが、下から二番目の線で、最高裁の判決以降、医薬品の売り上げが五倍ぐらい上がったというふうな統計もあるようでございます。(田村国務大臣「インターネットですよね」と呼ぶ)インターネットですね。(田村国務大臣「それは向こうを食っちゃっているからですよ」と呼ぶ)

 そこは、インターネットで買うから処方薬は買わないというところがどれだけ……(田村国務大臣「処方薬じゃなくて、店頭のものが減っているんですね」と呼ぶ)店頭のものですね。ただ、これに伴う流通網の発達ですとか、やはり潜在的なニーズを引きずり出すという意味は私はあると思うんです。

 おっしゃるとおりに、空気枕で、こっちを押すとこっちが引っ込む、これは現象としては確かにあるんだと思います。しかし、それ以上にバルク、全体としてもやはり膨らんでいるんじゃないかなというふうに私は思います。両方、店頭販売もネットもやっていらっしゃる方にお話を聞くと、最高裁判決後、やはりトータルで売れ行きは上がっているというふうに私は伺っています。

 その辺、大臣のおっしゃることもよくわかるんですが、ぜひ、統計をとっていただいて、本当にどれぐらいバルクで、全体で売り上げが上がっているのか、お示しいただくことがありますれば幸いと思います。

田村国務大臣 統計をとれればとっていきたいなというふうに思いますが、ただ、一方で、必要以上に仮に買い置きとか、また必要以上な使用の仕方をして、それが本当に患者にとって、国民にとっていいのかどうなのかという議論もしなきゃいけないと思うんですね。

 他の商品と違うところは、本来、薬効成分があるということは副反応のおそれもありますし、そもそも、必要もないのにとっていいものでないことは間違いない話でございます。仮に、今までネット販売ではなかったから、必要なのに購入できなかった方々がこれによって購入できて使用量がふえるというのであるならば、それはいい傾向だというふうに私は思いますけれども、本来必要な使用量以上にそれによって使用してしまうというようなことが起これば、これは国民の健康にとって余りよくない話であろうというふうに思いますので、そこはちょっと慎重に調査してみなければならないなというふうに思います。

柏倉委員 慎重に調査していただくということで、試算等々がございましたらぜひお示しいただければと思います。

 我々、全面解禁すべきだという立場の人間にとってみますと、やはりこれは、実際的にどれぐらい本当に国民の幸福に寄与する政策なのかというところを数字でぜひぜひ目の当たりにして議論をしていかないと我々としても納得できない部分がございますので、ぜひ大臣には積極的にその辺をお願いしたいと思います。

 次は、要指導医薬品というものが新たに設けられたわけでございます。二十八品目に関する専門家の検討会で、これらの医薬品は相対的にリスクが高いので丁寧かつ慎重な販売が求められていると指摘され、対面販売が必要ということになりました。

 対面販売に関しては後ほどまた質問させていただくんですが、そもそもこのスイッチOTCというお薬は、用量、用法を守って内服すれば一定の安全性が保たれているというふうに判断されているからスイッチOTCという形になったわけです。非常識な飲み方をする方、体調が悪いのに誤って飲む方、それは処方薬でも一定の確率でいらっしゃると思います。安全性を見きわめながらこれを売っていくということであれば、私は、ネットの販売も、これは全面解禁でも許されるのかなというふうに考えております。

 ケンコーコムさん、この裁判を起こされた方ですけれども、もともとネット販売、これは要指導医薬品に分類されてきたものも売ってきた。裁判で一旦中断したけれども、最高裁の判決が出てからまた売り始めた。

 最高裁の判決が出てからの統計を出しておりますけれども、これは一類、二類の医薬品でございますが、十カ月で約七十五万個の一般用医薬品の注文があった、そして現在までは副作用の報告はない、副作用の報告は極めて少ないと。これは、どれをどれだけ売っているかという、一類の医薬品がどれだけというデータは出していませんけれども、副作用の報告はないというふうに言っております。

 しかも、トレーサビリティーもしっかりやっていて、薬剤師さんが電話相談を二千六百五十二件受けている、メール相談も二千八百八十五件受けている。そして、薬剤師から顧客に対して、こちら側から連絡をしたのが六百四十八件、そのうち百八十七件に関しては、確認の結果、販売を断っていると。

 正直、副作用も余り報告されていないという部分もありますし、トレーサビリティーのスキームもしっかりしていて、これは、私も医療従事者の立場からして、しっかりされているんじゃないかなという印象がございます。

 そこで、まず現状も、この法律ができる前は第一類全て、全面解禁状態。これが脱法状態になっているかどうかというのは意見が分かれますが、そういう状況をやはり追認する形で、例えば、経過措置期間三年間、症例を蓄積して、必要があれば規制をしていくという考え方はできないんでしょうか。

今別府政府参考人 これは、まず、最高裁の判決が出て、ケンコーコムが原告ですから、それで売りましたけれども、そのほかのところもいっぱい売っています。先生が今御紹介をされましたケンコーコムというのは比較的きちんとやっている業者なんだろうと思いますが、そうでないところも多々あろうかと思います。

 そういう状況でございますので、まず、きちんとルールづくりをしなくちゃいかぬということで、ケンコーコムも入れてルールを決めて、ルールを決めた上できちんとした適正な販売にしようということが一つ。

 それから、今おっしゃいましたけれども、今、余り副作用の報告がないではないかというのも、これはいつも話題になりますが、医療用はきちんと医師が管理をしていますので副作用の報告も上がってきますけれども、一般用になりますとなかなか、副作用の報告をどれだけとれているかというのが、数字自体も少のうございます。

 それから、何よりも、専門家の先生方の御意見はやはり、六人の先生方ですけれども、スイッチをした直後の品目につきましては、どういう使い方をされるかわからないということもあり、きちんと対面で販売をするということで、副作用の状況等をよく調査して、その上で大丈夫ということになってからネットで売るようにもしたらどうかという御意見でございましたので、その方向で検討してきたということでございます。

柏倉委員 専門委員会のあり方、情報公開の部分も含めて、やはり不満を持っていらっしゃる方も多いわけでございます。

 そういった中で、やはりこれは力強く推し進めていく形で、〇・二%、二十八品目というものをつくらずにどうやってやっていけるのかということを考えていく、これも一つのやり方なのではないかなというふうに思います。

 次なんですが、前回、中島委員から質問がありました、対面販売のとき、五感をもって判断をする。薬剤師さんがむくみや黄疸、貧血等々を見て要指導医薬品の販売を判断するということが、やはり安心かつ丁寧な販売であるというふうにおっしゃっておりました。

 これは、冷静に考えると、医学的な診断に一歩踏み込むわけでございます。確かに、眼瞼結膜の黄疸はわかるかもしれません。しかし、例えばむくみのお薬も今回スイッチOTCの中に入っています。むくみはいろいろなバリエーションがあります。心臓が悪くてむくんでいる場合もありますし、甲状腺が悪くてむくんでいる場合もある。要は、むくみといっても、一概には判断しづらいむくみもあるわけです。

 しかし、そういったものも薬剤師さんが判断をされるということになると、私は、やはり薬剤師さんにも何らかの診断学的なトレーニングは必要になってくるんじゃないか。ましてや、スイッチOTCが今度ところてん式にどんどんふえていく可能性もあるわけです。

 となれば、六年制大学になったということもございます。先般から、先ほどもずっと、薬剤師さんの専門性を深めていくという議論もありました。私は、第一類、要指導医薬品の販売においても薬剤師さんの対面販売というものにこだわるのであれば、薬剤師さんに何らかの診断学的なトレーニング、実習が必要なのではないかというふうに思うんですが、その辺の政府のお考えはいかがでしょうか。

田村国務大臣 薬剤師の皆さんが診療できるわけではないので、それは受診勧奨、例えば今むくみの話がありましたけれども、見ておって、これはむくみがひどい、この場合は要指導医薬品を出すよりも病院に行った方がいいですよということも実際問題行われているわけですね。

 ですから、そういうふうな形の中において、薬剤師さんがそれに対してしっかりと、どうするかということ、受診勧奨も含めて助言をしていくことはあるのであろうというふうに私は思います。

 あわせて、先ほど来からお話ししておりますのは、今委員もおっしゃられましたとおり、これから出てくる要指導医薬品というのは新しいものですよね。新しいものですから、当然のごとく、今までの一般用医薬品として売ったときの副反応は不明なわけでありまして、今、三千例ぐらい後追いで調査しておりますけれども、それをある程度類型化しながら、これならばこういうところに留意しながら売れるよねということがわかったものから一般用医薬品に移していくわけであります。

 それも含めて、これは医学、薬学の専門家の方々が検討を行った上で、その後、その検討された品目を今度は薬事・食品衛生審議会の方で御議論いただいて一般用医薬品の方に移していくというルールでありますから、そこの方々が、やはりこれは対面で、ちゃんと五感である程度確認していただかないとなかなか一般用には出せないねという御判定をされれば、一般用医薬品がふえない話にもなってくるわけでございます。

 ですから、そこは専門的な見地から御判断を今回いただいたわけでございますので、そのような意味から、私どもは、今般の法律改正というものは一定の正当性があるというふうに認識いたしております。

柏倉委員 受診勧奨の点がございました。おっしゃるとおり、今でも薬剤師さんに受診勧奨をしていただいているという現実がございます。

 さらに、薬の分野が多岐にわたって、一定程度評価はされたにしても、やはり副作用はどういうものが出るかわからないというものがあるからこそスイッチOTCなわけです。とすれば、どういう副作用が出てきても、ある程度の専門的な知識を持って前さばきといいますか、ハンドリングができるようになる、私は、そういうトレーニングはやはり薬剤師の方にも、これはこの間、中島委員も言っていました、ある意味権限移譲という形でも私はやむを得ないのかなと。特に僻地医療に関して言いますと、薬剤師さんは正直言ってコアスタッフですよ。そういった方にしっかり地域の医療の最前線に立っていただくという意味も含めて、ぜひぜひ、私は、薬剤師さんに診断的な部分を担っていただいてもいいのかなという思いはございます。

田村国務大臣 私が申し上げたのは、診断というとちょっとやはり問題が出てきますので、ただ、これから出てくる要指導医薬品というのは、今までのスイッチOTCよりもやはり薬効成分の強いものが出てくる可能性が大きいわけであります。今までは比較的安全なものを出してきましたけれども、どんどんさらに、強いものも含めて、ある程度安全性が確立したものが出てくる可能性が高い。やはりそういうものをお売りいただくわけでありますから、診断はできませんが、研修等々を含めて、一定程度の専門的な知識をより高めていただくという意味では、必要性があるというふうに思います。

柏倉委員 前向きな御答弁、どうもありがとうございました。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次は脱法ドラッグに関してなんですが、これも先般から質問がございました。ちょっとはしょってやらせていただきたいと思います。

 これは販売ルートの解明というものが、実際、突き上げができていないというふうに警視庁の方から伺いました。突き上げ捜査とは何ですかと聞いたら、要は、どういう現場で何をつくっていて、どれぐらい組織的な犯罪なのかというのを探るのがそうだと言われたんですが、ただ、現状、どれぐらい把握されているのか、ちょっと教えていただけますか。

室城政府参考人 現在、いわゆる脱法ドラッグの販売業者、卸売業者等に対しましては、指定薬物の授与、麻薬の営利目的譲渡などで検挙している一方で、当該物品の入手先、背後にある犯罪組織等の実態を十分に把握できていないものもありますことから、脱法ドラッグの製造、販売ルートの解明には必ずしも至っていないものと承知をいたしております。

 今回の薬事法改正案が成立し、指定薬物の単純所持等が規制されることとなれば、麻薬等の規制薬物と同様に、検挙した乱用者からのいわゆる突き上げ捜査によって、販売業者、卸売業者等の解明及び検挙が可能になることから、脱法ドラッグに関与している暴力団等の犯罪組織の実態を明らかにするとともに、脱法ドラッグの製造、販売ルートの全容解明にも努めてまいりたいと考えております。

柏倉委員 いい大人がやるならまだしもという表現は適切じゃありませんが、やはり青少年がこういったものに手を染めるというのが一番よくないと思うんですね。徹底的に根元から絶てるような捜査、鋭意努力をお願いしたいと思います。

 次に、資料としてはお配りしていませんけれども、誤認逮捕の問題を取り上げたいと思います。

 十月二十八日の読売新聞の朝刊に「「コカイン所持」誤認逮捕 葛飾署」というのがございました。これを読みますと、コカインと誤認し、四十代の男性を捕まえた。ところが、「同庁科学捜査研究所の鑑定で、脱法ドラッグの一種と判明したという。同署は逮捕の約四時間後に男性を釈放し、謝罪した。」と書いてあるんです。脱法ドラッグは今のところ違法にはなっていないということで、謝罪までしたと。ちょっと変な話だと思うんです。グーで殴ったらだめで、パーで殴ったらいいのかというレベルの問題なのかなと思うんです。

 ここで私が言いたいのは、これは簡易試験ですね。開発が進んでいるのかと聞いたら、いや、これからですというふうに伺いました。コカインの試薬はかなり偽陽性が多いということで、さらに今、化学の基本構造が違う脱法ドラッグがいっぱい出ている状況の中で、どういうふうに、どれぐらいの時間感覚を持って脱法ドラッグ簡易試験のシステムをつくっていくのか、その意気込みというか、現状の計画を聞かせてください。

今別府政府参考人 先ほども申しましたが、例えば包括指定のようなこともありますので、鑑定をきちんとするということは非常に重要でございます。

 先ほど、議員立法の関係で包括指定と申し上げましたが、ちょっと時期的なことで勘違いをしておりまして、議員立法とは関係なく、政省令でそういう指定をするようになったということでございます。訂正をさせていただきます。

 それから、簡易試験、簡易検査方法の開発についてでございます。もちろん非常に重要なことでありまして、取り組んでおりますけれども、現時点で、具体的にいつまでというような時期が示せるような段階にはまだ至っておりません。

柏倉委員 やはり現行犯逮捕というのが基本になるかと思いますので、逮捕して連れていって、時間をかけてやっと陽性に出ました、陰性に出ましたということになりますと、効率の面からも大変悪いと思います。脱法ドラッグは、我々が考えている以上に若年層では浸透してしまっているという現実もございます。ぜひぜひ一日も早い簡易試験のシステムをつくっていただければと思います。

 次に、セルフメディケーションについてでございます。

 セルフメディケーションも、先般来からずっとお話が出ております。いろいろな試算がありますけれども、これは、予防医学という一点をとってみても、随分とお金の節約になるわけです。がん、心臓病、脳梗塞、メタボ、認知症、うつ病といった、ありとあらゆるものが運動である程度抑えられるというような医療的なデータもあるようでございます。

 セルフメディケーションとは何だろうと思ってウィキペディアで調べてみますと、まず最初に、まあ真ん中ぐらいですけれども、徳川家康の事例が載っておりまして、もう皆さんも知っていると思うんですが、徳川家康は七十六歳まで生きていた。子供もかなり多くつくった。みずからの健康に留意して、平時はタカ狩りに行く等の適度な運動をとっていた。しかも、漢方薬、薬草にも造詣が深く、医者にむやみに頼らず、みずから調合した薬を服用していた。そして、当時としては七十六歳という長命を得たということでございます。

 徳川といえば御三家、御三家といえば紀州もそうでございます。大臣の御地元ということで、徳川に近しいという点で、ぜひ、このセルフメディケーションの今後の重要性、国としての位置づけをお教えいただければと思います。

田村国務大臣 よく知っていただいておりまして、ありがとうございます。

 私、紀州藩ではなくて、もともとは松阪でございます、蒲生氏郷が会津に移る前であったわけでありますが。ただ、その後は紀州藩の直轄領になりまして、そういう意味では、本当に紀州藩は近いところにあるわけでございます。まあどうでもいい話なんですけれども。

 今言われたセルフメディケーションという概念は、我々も日本再興戦略の中に入れさせていただいて、やはり健康寿命の延伸ということを考えた場合、みずから健康管理を責任を持ってやっていくということは大変重要でありまして、それだけ健康意識を持っておるということは、当然、食生活や運動やいろいろなものにもこれは波及していくわけであります。でありますから、そのようなことを常に意識しながら、しかし一方で、専門的な知識を持った方々に一定程度のアドバイスを求めていかなければなりません。

 ですから、そのような意味で、例えばかかりつけ薬局というのは一つの考え方であるわけであります。もちろん、かかりつけ医を持つということも重要なことでありますし、それぞれいろいろなやり方があろうと思いますけれども、かかりつけ薬局は、前も言いましたけれども、非常に敷居が低いといいますか、いろいろな形で手軽に相談できる。そして、お医者さんですとなかなか、待たされるということもあるわけでありますけれども、薬局ならば気軽に入れるというところもあります。

 ましてや、町内会で顔なじみのおじさんやおばさんというのがおられるわけでありますが、薬剤師さんでもあるわけでございますから、そういう方々に、例えば栄養等々も含めて、いろいろな健康管理、相談もできるわけでありますし、あわせて、今、日本人は何かしらの薬を飲んでいる方々は多いわけでありまして、そこの飲み合わせでありますとか、そういうこともいろいろと相談ができるわけであります。

 そのような形で、今般、来年度予算の中において薬剤師、薬局というものを、一つ、健康情報の発信拠点にしていこうというような形で予算要求をしたりでありますとか、また在宅医療の担い手として、モデル事業等々の予算要求もいたしておるわけであります。

 いずれにいたしましても、それぞれの専門分野の方々が医療分野にいろいろとおられます。適宜いろいろな相談をさせていただく中において、一つ、薬局というものが大きな役割も担っていただけるものというふうに期待をいたしております。

柏倉委員 どうもありがとうございます。

 健康日本21というところでも、薬局、薬剤師さんの役割というのが、やはり今後の地域医療でますますフォーカスされてくるというふうに読み取れるわけでございます。

 そこで、セルフメディケーション学会のホームページを見ますと、薬剤師さん、薬局に対するいろいろなお願いといいますか提言がありました。その中でもおもしろかったのが、町の健康交番として、薬局に、保健師さんや看護師さん、栄養士さん、運動指導員などの方々が集えるような健康サロンとしての機能を認めていただいて、そこに人が気軽に入ってこられる、そして日常会話として自分の予防医学、健康相談をいろいろな専門職の方に相談できる、こういう機能を充実させるような国の試みがあったらいいんじゃないかと。

 もうやられているかもしれませんが、その辺の御見解をいただければと思います。

今別府政府参考人 現在も、健康相談でありますとかあるいは栄養相談という形で、いろいろな職種の方と連携をしながら、先進的な事例はあると思います。

 まさに、何度も出ていますが、来年度の予算要求で入れております事業の中でも、今先生がおっしゃったようなアイデアも含めていろいろなアイデアが出てきて、それをまた取捨して先進事例として広めていくというような形で応援をしていきたいというふうに考えております。

柏倉委員 どうもありがとうございました。

 済みません。もう時間がないので、最後に、HIV輸血の問題をちょっとお願いします。

 残念ながら、今回、スクリーニングをすり抜けて、輸血からHIVに感染してしまわれたという方がいらっしゃるようです。非常に残念なことでございます。

 今後これをどうやってなくしていくのか、この議論をもう今されているんだとは思いますが、その中で、二つほどお伺いします。

 まず、問診票をお使いになられているようですが、その中で、こういう方は献血を御遠慮いただきますという、過去六カ月の間に不特定の異性または新たな異性との性的接触があった、男性同士の性的接触があった、麻薬、覚醒剤を使用した、HIVの結果が陽性だったという方、そして一番最後に、上記に該当する人と性的接触を持ったと。最後の上記に該当する人と性的接触を持ったかどうかは、誰にもわからないわけですね。自分のパートナーがこの上四つに入るかどうかわからない方は多いと思うんです。

 とすれば、これは、ウインドー期、要は感染初期、スクリーニングにひっかからない時期に血を提供するから問題になるわけでございますので、このウインドー期、HIVは十五日だというふうに聞きました、これを、難しい話は抜きにして、例えば四週間以内に性的接触がない人と限ったら、問診でかなりの潜在的に陽性の方をオミットできるんじゃないかと思いますが、専門のお立場から教えていただければと思います。

今別府政府参考人 現在の問診票は、今先生御紹介をされたとおりであります。

 実は、きのうから、専門家の先生方を入れてこの議論をしておりまして、今の時点ではこの問診票の書き方でかなり排除できるということでやっておりますけれども、さらに、先生がおっしゃるような、きめ細かく、もうちょっとストレートな形で、期間も変えて記載をするというような工夫ができないかということも含めて検討を始めたところでございます。

柏倉委員 一人一人、核酸増幅の検査、PCRをやるというような議論も出ているようでございます。とにかく、こういった問題、我が党としても川田龍平先生がいらっしゃいます、ぜひ再発がないように努めていただければと思います。

 補償の方も質問をさせていただこうと思ったんですが、もう時間がないので、HIV感染者の調査研究事業というところでやっていただけるということですので、こちらの方もぜひネット等々でしっかりと流していただきたいと思います。

 きょうは、どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょう、朝からの議論を、私がちょうどこれまでの議論と逆の立場で議論をすることになるのかなというような印象を受けて聞いておりました。

 初めに大臣に伺いたいと思うんですが、安倍総理が、六月五日、成長戦略第三弾のスピーチにおいて、インターネットによる一般用医薬品の販売について、消費者の安全性を確保しつつ、しっかりしたルールのもとで全ての一般用医薬品の販売を解禁すると表明をした。これが六月五日なわけですね。でも、厚労省の一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会のこれまでの議論の取りまとめが出されたのは六月十三日であったこと、しかもその内容は、全てではなかったこと、つまり、検討会の議論の取りまとめがまだ出されてもいなかったうちに総理が全て解禁するというふうにおっしゃったことは、やはりこれは官邸の勇み足と言わなければならないと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

田村国務大臣 一月の最高裁の判決を受けて検討に入ったわけでありまして、検討会は、五月三十一日の最終回の会合で意見を集約することができなかったということでございまして、構成員の意見調整を踏まえ、六月十三日に公表されたわけであります。

 総理が、消費者の安全性を確保しつつ、しっかりしたルールのもとで全ての一般用医薬品の販売を解禁する、こうおっしゃられました。結果は、今般の法律を見ていただければわかりますように、全ての一般用医薬品を一定のルールのもとで解禁したわけでございますので、総理がおっしゃられたとおりの結果になったということでございます。

高橋(千)委員 全てと総理は言ったけれども、今回の法律は九九・八%かなと思っているわけで、三木谷氏などから、それでさえも不服である、なぜ全てではないんだということで議論がされているわけですよね。だけれども、今大臣の受けとめは、総理の言ったとおりだ、これで全てだということなんですか。

田村国務大臣 総理がおっしゃったのは、まず、消費者の安全性を確保しつつ、これは大変重要なところであります、しっかりとしたルールのもとで全ての一般用医薬品の販売を解禁すると。でありますから、現行一般用医薬品はしっかりしたルールのもとで全てこれを解禁したわけであります。

 ただし、消費者の安全性を確保する中において、一定の二十八品目、劇薬も入れてでありますが、これはインターネットでは売れないという専門家の方々のそういう御判断がありましたので、一般用医薬品とはいたしませんで、これに関しては要指導医薬品という形にいたしております。

 そのような意味からいたしまして、総理がおっしゃったとおり、消費者の安全性を確保しつつ、しっかりしたルールのもとで全ての一般用医薬品の販売を解禁するという、そのとおりの結果になっておるということでございます。

高橋(千)委員 要指導医薬品という形で呼び方を変えたので、一般用医薬品というカテゴリーの中においては全てであると。しかし、ということは、検討されていた、まだ結論が出る前にもう方向は官邸によって決められたということをお認めになったということですよね。

田村国務大臣 いや、ですから、やはり安全性をしっかりと確保しなきゃいけないわけですね。

 要するに、当時、スイッチOTCというものが、当時といいますか今もあるわけでありますけれども、これも含めて一般用医薬品という形になっておるわけでありますけれども、そこの安全性をしっかりと確認したわけであります。誰が確保するかというと、これはやはり医学、薬学の専門家の方々。そして、この方々が実は、医療用医薬品からスイッチOTC等々に、一般用医薬品に向かって安全性をいろいろと調査する、そういうものを選ぶ役割の中にも入っておられる方々が何人かおられるということでありますから、言うなれば、本当に専門家の方々に純粋に、科学的な、医学的な、薬学的な知見から御判断をいただいたわけであります。

 でありますから、その結果、スイッチOTC二十八品目、劇薬も含めてというものに関しては、これはなかなか、インターネットで売るところまでまだ完全に安全性というものが確認できないという御判断の中で、その場合においては、やはり店頭という形において五感で、いろいろと専門的な知識を持っておられる薬剤師の方々が、売る、売らない、受診勧奨することも含めて御判断をいただく話であろうということでございますので、そのような形のものであるならば、これは要指導医薬品というような形にした方がいいのではないかというのが今般の法律でございます。

 総理がおっしゃったことでもうあらかじめ決まっておったかというよりかは、総理がおっしゃったことをもとに、その後、専門的な方々に御検討いただいた結果がこのような形になった。違う結果もあったかもわかりません。しかし、このような結果になったということであります。

高橋(千)委員 総理がおっしゃった後に専門家がやったのはスイッチOTCの扱いについてであって、私がさっきから言っているのは、一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会は六月に取りまとめをしたわけであって、ですから、総理がしゃべるずっと前から検討していたわけですよね。それと、後から出てきた総理の言っていることとゴールが同じだったということはちょっと違うでしょうということを言っているんです。

 もう時間がないので、次に行きます。

 そういう意味で、話をごっちゃにしてはだめなんです。この検討会の出発点は何であったかということをやはりちゃんと議論しなくちゃいけない。

 そもそも、この「はじめに」の最初からけちをつけられているわけですよね。

 この「はじめに」の中で「本検討会の検討の範囲は、インターネット等による一般用医薬品の販売に関するものとした。」、こういうふうに書いています。ところが、五月三十一日の最終日の事務局の提案は、「薬局又は店舗販売業の許可を取得した店舗が行う、インターネット等による一般用医薬品の販売」というふうに案が出されています。ところが、これに対して新経済連盟、楽天の副社長とオンラインドラッグ協会、ケンコーコムの社長が、そんなはずではなかっただろう、もっと広く全般にやるんだろうということを何度も何度も何度も意見を言うので、でもこれを取っちゃったら、そもそも店舗、薬局の許可があってのインターネットの解禁だと思っていたその根拠が崩れるじゃないかという議論まであって、その上で、いや、本文で読めるから取っちゃってもいいんじゃないかというので、こういう狭い範囲になったと思うんですね。

 だけれども、十一回重ねた検討会の中心は、基本はやはり店舗による一般用医薬品販売の補完としてのインターネット販売という位置づけだったのではなかったでしょうか。

今別府政府参考人 十一回の方の議論は私も、着任前でありますので、その議事録を丁寧に読ませていただきましたが、必ずしも今先生がおっしゃったような主従というようなことではなくて、インターネット販売の適否のような議論で、かなりかんかんがくがく、熱のこもった議論をされておったと思っております。

 それから、その後の検討会、ルールづくりの検討会でございますが、これは、終始一貫、店舗を前提としたインターネットの販売ということで議論はされておったと思っております。

高橋(千)委員 今、最初にお話をしたお二人が何度も何度も同じ発言をされて、そして、さっき午前の部で大西委員から、厚労省が専門家会合に文書を出したんだとか、後出しじゃんけんだとかということをおっしゃったけれども、それ以前に、検討会の議論が、訴訟をこれからやろうとする原告ですよね、当事者が盛んに意見を言って、これの立法過程にこういう意見があったんだということを書け、そういう議論をやられているんです。議論自体がゆがめられているということを指摘しなければならないと思うんです。だから、私は、堂々とそうではないんだということを主張してくださればいいんだなというふうに思っているから、このことからまず始めました。

 それで、〇六年に基づく三分類、一類は医療用から一般用にスイッチ直後のものが多いんだ、ですからこれはリスクが高いですよとか、あるいはコミュニケーションが必要ですよとかそういう議論を、いわゆるネットだからとかいう議論ではなくて、一般用医薬品はどうあるべきかという議論を重ねていく中で、では同じ環境を、つまりコミュニケーションをちゃんととるとか、そういうことをネットでもつくれるかという形で議論は整理されてきたというふうに思うんですが、事実関係はどうでしょうか。

今別府政府参考人 御指摘のとおりでございます。

高橋(千)委員 そこがまず大事なんですね。

 それから、結果としては、今言ったように激論が交わされたものですから両論併記になったんですけれども、一類と指定二類については今までどおり対面でという意見もあったと思いますが、いかがでしょうか。

今別府政府参考人 十一回の検討会の方では、今先生が御指摘になったような記述がございます。

高橋(千)委員 そこを確認いたしまして、私は、やはりそうであってほしいということを改めて意見を言いたいなと思っております。

 それで、少し具体の話に入っていきたいと思うんですけれども、一般用医薬品の販売ルール策定作業グループの報告書が出されて、インターネットを使う際にどんな対策をとるべきかということが詳細に書かれております。それがどう具体化されたかということで伺っていきたいと思いますので、ぜひ端的にお答えをいただきたいと思います。

 まず、販売は、薬局、薬店の許可を取得した店舗が行うこととして、店舗の定義を、実体があり、外部から見ても明確にそれとわかるものでなければならないと明記されているんですけれども、具体的に、どのように実体があるということを確かめるんでしょうか。

今別府政府参考人 薬局の開設の許可のときには当然現場を確認いたしますし、それからネット上では、店舗の写真を掲示していただいて確認をするというようなルールにしてございます。

高橋(千)委員 端的におっしゃったので、もう少し具体的なことを言っていただいた方がいいかなと思うんです。

 要するに、写真があれば、しかも店舗を届けていればそれでいいという話ではなくて、誰でも気軽に入れる状況ではない、そういう店舗構えではだめなのだ、見てわかる、そういう店舗でなければだめなのだということを指摘しているはずですよね。それは、要するにペーパーカンパニーであったりとか、そうであってはならないということの趣旨だと思うんですが、確認をしたいと思います。

今別府政府参考人 今おっしゃいましたように、実際にそこで販売をするということが想定される店舗である前提でございます。

高橋(千)委員 私が言ったとおりだということでよろしいですね。

 次に、そこまで実体を求めて当たり前なんですが、確認をしているんだけれども、しかし、複数サイトへの出店は制限をしていないわけです。ですから、例えば本店が一店あれば、ケンコーコムという薬局が一店あれば、届け出をしていれば、楽天市場支店、アマゾン支店、ヤフー支店というように複数の支店を持つことができるわけです。そうすると、店舗自体は確かに実体はある、でも一つだ、サイトはいっぱいある、こういうことになるわけですよね。これはおかしくないでしょうか。

今別府政府参考人 今、ケンコーコムという例を引かれましたので、それに沿って答えますけれども、ケンコーコムがそれぞれのサイト上に支店を出した場合でも、必ず、例えば楽天支店と書く店名のほかに、ケンコーコムというのをきちんと明記してもらい、かつ、どの店舗から買ったかということで、ケンコーコムの実際のリアルの店舗から買ったというのをさっき申しましたような手段によって確認するということで、購入者が実際にどの薬局から買っているというのがわかるようにということで徹底をしております。

高橋(千)委員 ですから、リアルの店舗は一つしかないんですよ。でも、支店は、架空の支店が幾つでもできるということなんですよ。今私が言ったのは三つですけれども、通販サイトというのは幾らでもあるじゃないですか。そういうふうに、一つの店舗なんだけれども、いっぱいサイトが持てる、支店が持てるわけですよ。

 これは検討会の中でも議論されていますよね。リアルな店舗には薬剤師一人しかいない、それで、親密な相談もちゃんと受けてくださいよ、必要に応じて受診勧奨もしてくださいよと言ったって、現実的じゃないですよねという議論を確かにされていますよね。どうですか。

今別府政府参考人 リアルな店舗に薬剤師が一人しかいませんよねというところが多分前提が違っているんだと思いますが、実際に、当然、先ほどからお答えをしましたように、一往復半で販売をしますし、それぞれ相談にも応じますので、それに必要な薬剤師を確保していただくということですし、それから、そういう状況、実際に薬剤師が応対しているかどうかというのを確認するためのテレビ電話の設置というようなことも手段としては設けてございます。

高橋(千)委員 ですから、テレビ電話の設置をしても、結局、リアルな店舗に全部集中するわけでしょう。入り口はいっぱいあるんだけれども、中身は一つなわけですよ。それでどれだけの対応ができますかということを問題提起しているわけですね。必要に応じて受診勧奨というのが本当に現実に可能なんでしょうか、ネットの世界で。

今別府政府参考人 もちろん、必要な受診勧奨はやっていただかなくてはいけません。それで、実際にきちんと薬剤師の量を確保した上で、もちろん質も含めてですが、きちんと業務を行っているかどうかというのは、監視等できちんと確認をしていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 お願いします。

 検討会に楽天の副社長が出した修正案の中では、受診勧奨とまでは薬事法には書いていないんだということまで指摘をしているんですよ。そうやって、皆さんが解禁をしようとすればいろいろな規制をやろうとする、その規制が行き過ぎじゃないかということを何度も何度も議論された上でこうしたことが起きていますので、言ったとおりのことをやってもらわなければならないと思うんです。

 それで、モールでの販売が圧倒的に多いということが想像できると思うんですね。前回もモールのお話をしたんですけれども、少し具体の話をしますと、例えば今ですとまだ、これから法律ができるわけですから、規制がちゃんとできておりません。ですので、楽天市場を開くと、ガスター10、一類ですけれども、何種類も出てまいります。そのときに、例えば買えるのは三個以内というふうな制限をしているんですけれども、ただ、三個以内といいますと、十八日間分くらいになるのかな。口コミの欄を見ますと、常備薬にしたい、町の薬局で買えなかったからとても助かっているというのがどんどん出てくるわけですね。

 でも、用法も書いていまして、用法は、二週間以上続けて飲んではいけないと書いているわけですよ。だから、二週間以上続けて飲んではいけないけれども、三個以内ですから、三個まとめて買っちゃおうとなって、それが飲み過ぎになるおそれがある。こういうことが当然起きてくるわけですよね。まして、そのサイトを見ますと、五千円以上まとめて買いますとポイント十倍です、こういうふうになっているわけですから、当然、そう何度も何度も小分けするよりはまとめて買った方がいいよなという、不必要なまとめ買いをあおる仕組みにもなっているわけであります。ふさわしくないと思いますが、いかがでしょうか。

今別府政府参考人 まず、関係者で議論いただきましたルール検討会の結論として、口コミは禁止をするつもりでございます。それから、同様に、レコメンド機能も医薬品に関してはやらないというように決めております。

 それで、ガスターを三箱、あるいはまとめ買いでポイントがという話でありましたが、これは先ほども出ましたけれども、必要以上の量を買わないというのは当然でございますので、必要な量以上の購入希望のときにはいろいろな確認をしますし、また場合によっては販売個数の制限、これは乱用のおそれがある医薬品については現在もやっておりますし、続けるつもりでありますけれども、場合によったら販売個数の制限等も含めてルールを決めていくということで考えております。

高橋(千)委員 少なくとも店頭で薬剤師の指導のもとでガスター10を買うのであれば、三個まとめて買うということはないですよね。だから、やはりそこははっきりさせていただきたいと思うんです。それから、モールのサイトですと、今、口コミとレコメンドは禁止するとなったんですが、たくさんの広告が張りついていますけれども、それについては。二つ聞きました。

今別府政府参考人 いわゆるポップアップという機能かと思いますけれども、医薬品に関してはそういうことはやらないようにということでございます。

高橋(千)委員 モールの管理者は、特に薬剤師でも専門家でもないわけですよね、いわゆる普通のショッピングのサイトであるわけですから。こうした中で悪質な業者を排除するための責任をどう果たしていくのか。管理責任とかあるいは連帯責任。本当に、もちろんあってはならないと思うんですけれども、トラブルが起こったときに、その売った会社がどこへ行っちゃったかわからないとか、そういうふうなことがあってはならないと思うので、連帯責任というのも非常に大事だと思うんですが、その点はどのようにお考えでしょうか。

今別府政府参考人 例えば、無許可の販売でありますとか、あるいはにせの医薬品を売ったりというようなことを知っておってモールにそういう業者を載せるということであれば、当然共犯的な責任が問えると思います。

高橋(千)委員 今、共犯的な責任が問えると思うという答弁をされました。とても大事だと思います。それを具体的にイメージできるように、今後整理していただきたいと思うんです。

 前回の質問のときには、期待されるというふうな表現を局長はされました。つまり、ネットの管理者によって適切な運営をしてくれるでしょうと期待するだけで、何も拘束力はないわけですよね。でも、やはりそれじゃだめなんだと思うんです。それぞれの事業者の責任ですよと言ってはならないし、自主的にちゃんと頑張ってくれているはずだというのでもやはり、だって、これから解禁をしていくと、今よく名前が挙がるようなサイトの範囲では済まない世界になっていくわけですから、その点はしっかりとお願いしたいと思います。

 そこで、今、ポイントセールの話をしたわけですけれども、やはり行き過ぎたポイントとか値下げ競争というのは、ネットの世界で広がっていくことによって、町の薬局というものに対しても、とても値下げ競争では勝てないというふうなことがだんだん起こっていくおそれがないのか。一般の薬局が淘汰されるようなことになってはやはり逆さまではないかというふうに思うんですが、大臣に伺いたい。

田村国務大臣 今も、チェーンドラッグストア等々ではポイントをやっておられたり、値段もまちまちだと思います。インターネットでやるとそれをさらに助長するんじゃないかというようなことはあろうかというふうに思いますが、基本的に、今も起こっていることであるわけであります。

 町の薬局というのが、委員がどういう薬局を対象にお考えになられているのかちょっと私はわかりづらいんですけれども、いわゆる昔の基準薬局みたいな、そういう薬局に関しては、調剤が売り上げの中の大体九五%以上を占めておりますし、一つは、一般用医薬品も、もとから町中で顔なじみで、いろいろなことを相談しながら買っておられる方々が多うございますので、もう既に、チェーンドラッグストアがふえてくる中で、一般のそれこそ郊外型のところで買われるような方々はそちらで買っておられるということもございますので、ある一定の役割というものは、やはりそういう昔の基準薬局の中には今も役割が見出されておるというふうに私は思っております。

 どれだけの影響があるかというと、明確なことはなかなか試算できませんけれども、そこはそこで、先ほど来言っておりますセルフメディケーションでありますとか健康情報の発信拠点でありますとか、場合によっては在宅医療、チーム医療、こういうものにかかわっていく中において、いろいろと活躍の場はあるのではないのかなというふうには思います。

 いずれにいたしましても、今現状、地域によっても違うでありましょうし、まだ試算ができておるような状況ではございませんので、どのような影響が出るかということはなかなか明確には申し上げられないような状況であります。

高橋(千)委員 どんな薬局をイメージされていますかと大臣が言われたので、ケロちゃんがいるような身近な薬局が本当はたくさんあったんですけれども、さっきおっしゃったように、チェーンドラッグストア、量販店が進出する中でかなり淘汰されてきたのではないか、そもそもそのこと自体がどうだったのかという議論をやはりしていかなければならないのではないかなと私は思っております。よく聞く例えばマツキヨなんかでも、結局登録販売者がわあっとあらわれたりしたわけですけれども、一類の医薬品を赤坂では置いておりません。そういう事態も起こっているわけで、それで、身近にないからネットが便利よというふうなことにもなって、逆さまなことになっております。

 それから、先ほど来議論の中に出てきているセルフメディケーションも、大臣がおっしゃった健康寿命延伸、競争力会議の議論の中で出てきますよね。その中で出てきている議論というのは、セルフメディケーションを高めるためにもっと役割を果たしていきましょうということで、さっき土屋副大臣もおっしゃいましたけれども、薬局、ドラッグストア、チェーンストア、その次に出てくるのはコンビニであります。結局、このネットの次はコンビニの全面解禁とか、そういうことにもなっていくのかなと。それは便利かもしれないけれども、だったら便利だけでいいんですかというこの間の議論をやってきたことの中で今こういう議論をしておりますので、そこは一言言っておきたいかなと思っています。

 それで、資料の、やっと資料を出すわけですけれども、一般用医薬品のリスク区分の成分数というのを出していただきました。平成二十一年度から二十五年度ということです。九九・八%はもう解禁をして、あと〇・二%が名前を変えて今残っているわけですけれども、そもそも、一類、二類、三類という分類も固定的なものではないわけですよね。つまり、医療用からどんどんスイッチをしていく。そしてまた、一類も、一定の期間が過ぎれば二類になったり、あるいは三類に飛び越えたり、そういうことをずっと繰り返してきて、結局、どんどんオープンになってきているわけですよね。

 二枚目を見ますと、最近の主なスイッチOTC薬の承認についてということで、毎年、九品目、五品目、五品目、七品目、六品目という形でスイッチがされていて、基本は、医療用からオープンな一般用の世界に来ているというふうなことが言えるのかなと思うんです。

 そこで、評価の変更というのがどの程度の期間でやられていて、どの程度の割合、要するに評価が変わっていくんでしょうか。

今別府政府参考人 現在は、医療用から一般用に移したときに、三年間でデータを集めて一年かけて評価をしますから、合計四年間かけまして全体の評価をする。その四年間の間は暫定的に一類ということでスイッチをされますが、その後、四年間たったその時点で、場合によったら二類に変わっていくということでございます。

 具体的な数字で申しますと、平成二十一年以降で医療用から一般用に移行した品目のうち、評価が終了したものが十九成分ございますが、そのうち一類から二類へ変更されたものが十三成分、およそ三分の二が一類から二類へというふうに評価がえになっております。

高橋(千)委員 三分の二が既に評価がえをされているということです。どんどん医療用の管理された世界から一般用に移されてきて、かつ、それから三分の二がもう既に二類というふうな形の分類に変わっていっているというのが現実だ。だとすれば、何もそんなに、三年待つのは嫌だというふうに言う必要はないのではないかということがあえて言いたかったわけであります。

 その上で、三枚目の資料につけているように、評価期間というのは、三年のデータを蓄積する期間プラス十一カ月とか十二カ月とか、それを検討する期間というので、それで今、最初におっしゃったように四年ということなんですけれども、スイッチ直後品目について、それを三年にするというのが今度の案であります。

 そうすると、データを収集する期間が二年で評価をする期間が一年となって一年の短縮と単純に言えないんですね。というのは、三年はあくまで上限であるということで、三年でなくてもいい、もっと短くてもいいということになって、これで十分だと言えるでしょうか。

今別府政府参考人 現在は三年プラス一年の四年の評価期間を三年にということでございますが、それは、三年、一年を、二年、一年にするということでは必ずしもございませんで、評価の期間も十分にとりながら、現在は一年間かけて評価をしておりますこちらのサイドのといいますか、そちらの作業を短くできないかということで考えております。

 具体的には、いずれにしましても審議会に御相談をして決めることになりますけれども、いろいろ季節性の変動もありますし、時間をかけて出てくる副作用等もありますので、三年というデータを集める期間は基本的には維持をしながら、暫定的な評価を途中で入れるような工夫によって期間を短くすることができないか、あるいは、個別の新しくスイッチされてくる医薬品について、それぞれの特性に応じて短くすることができないかというような問題意識で御相談を専門家の方々にしていこうというふうに考えております。

高橋(千)委員 ということは、今のは、がっちり三年を上限ということではなくて、要するに、模索はするけれども、品目によってはそうならない場合もあるということでよろしいですか。

今別府政府参考人 これは、一つ一つ品目ごとに審議会で議論をしていただくということで考えております。

高橋(千)委員 聞いたことにちゃんとそのまま答えていただければいいんですが、要するに、上限ということで、がっちり三年で切るということではないということでよろしいですね。

田村国務大臣 今も、四年と言っておりますけれども、物によっては四年以上のものもありますから、何もかもという話ではないわけでありますけれども、一般的に、今、四年というようなものが多いわけでありまして、それに関しては三年に短縮するためのあらゆる工夫をさせていただくということであります。

 それは、専門家の方々が専門的な見地から、これは薬効成分が比較的弱いから、だからもうちょっと短くても検証できるよというようなものがあればそれ以内ということもあろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、一般的なものは三年というものを上限にしながら、それ以下というものに関しては、専門家がこれは安全だというものに関しては、そういうものもあり得るという話であります。

高橋(千)委員 例えば、季節にとらわれないとか、データが短時間でたくさん集まる、そういうもので短くなることもあり得るだろうと。ただ、場合によっては三年で切らないんだよね、柔軟にというのは、上限というから、そこで終わらせるということではないよねということを聞いたわけでありますから、何度も聞いたのはそれだけで、今大臣はそういう意味でおっしゃったということですね。何で首をかしげるんですか。

田村国務大臣 今も四年以上のものがまずあるというのは、それは物によってそれぞれあるわけでございます。ただ、一般的に四年というものが多いわけで、その四年というものに関しては一般的に上限を三年ということにするわけでありますが、ただ、それも、もちろん検証期間の間で安全性がどうも不確実なものに関しては、場合によっては戻るものもありますし、場合によってはもうちょっと検証期間を持たなければならないというものもあるわけでございますから、一般的に今四年と言っているものを三年を上限にするという話でございます。

高橋(千)委員 柔軟にということで、一般的にという意味だったと思います。

 あと、もう時間ですので、質問はしません。

 私は、やはり最初に紹介したように、検討会の中の議論が、推進側の意見として、相対的にリスクが高いことだけを理由にネットを禁止して消費者の選択の幅を狭めるのではなくとか、ネット販売の安全性が対面販売より低いとする合理的理由はないなどの御意見をぜひ入れてほしい、そういうことが非常に繰り返して言われました。

 しかし、総理だって安全性を確認しつつということをおっしゃるので、それは当たり前なんですけれども、ただ、例えば副作用がないとは言い切れない、それはどれだけ実態が把握できているかというところに起因するわけですから。

 まず、それを前提として、ネットと対面販売と違いがないんだというふうな結論はやはりできるものではないと思うし、また、たとえ消費者が便利だ、ぜひやってほしいと言ったとしても、しかし、それは安全性にはまだ疑問があるんだよということに対してはきちっと言っていかなければならない、消費者が求めているからといって、いいんだということにはならないということをやはり言っておきたいし、そういう立場で厚労省は頑張っていただきたいということを指摘して、終わりたいと思います。

後藤委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 この際、本案に対し、中島克仁君外一名から、みんなの党提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。中島克仁君。

    ―――――――――――――

 薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 ただいま議題となりました薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、みんなの党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 政府は、本年六月に、日本再興戦略、規制改革実施計画を閣議決定し、「一般用医薬品についてはインターネット販売を認めることとする。」としておりました。

 しかるに、その後、本院に提出された本法律案では、スイッチ直後品目及び劇薬等は、一般用医薬品とは異なるとして、新たに要指導医薬品の区分を設け、インターネット販売を認めないこととしております。

 対面診療を原則とする医療の世界でも、今や、病院等にいる医師と自宅にいる患者との間でインターネットを活用したテレビ電話等での遠隔診療が、一定条件のもとで認められております。医療用医薬品のインターネット販売を認めない旨を規定するとともに、新たに医療用に準じた医薬品の区分を設け、インターネット販売を認めない範囲をさらに広げることは、僻地医療の確保や在宅医療の推進の方向性に反するばかりでなく、医療全体の質の向上に寄与しているセルフメディケーションの否定をすることにもなりかねません。

 言うまでもなく、医療そして医薬品に関しては、患者、国民の生命、身体の安全を第一に考えることは大前提であります。しかし、安全面で医薬品のインターネット販売が店舗での対面販売に劣ると考える客観的な理由が一体どこにあるのでしょうか。医学、薬学の専門家が関与することで適切な使用と安全性の確保は十分に可能であり、医薬品のインターネット販売だけを差別的に扱う科学的、合理的理由はありません。

 みんなの党は、今後のあるべき医療の姿を見据え、安全性を確保した上で、医薬品を使用する方々の利便性の向上を図ることが必要であると考え、今回、新たに区分の設けられる要指導医薬品、また医療用医薬品の販売方法に関する規制のあり方については、関係者から成る合議制の組織の意見を踏まえ検討すべしとして、本修正案を提出することといたしました。

 修正の要旨は、この法律の施行後一年をめどとして、一般用医薬品以外の医薬品の販売等の実施方法に関する規制のあり方等について、関係事業者などの関係者により構成される合議制の組織の意見等を踏まえつつ検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる旨の規定を検討条項に加えることであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 以上です。(拍手)

後藤委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 本法案は、一般用医薬品のインターネット販売をほぼ全面解禁するものです。ことし一月の最高裁判決を契機に、事実上ネット販売が野放し状態となっている現状から、早く適切な規制のもとに置くのは必要なことです。しかし、最高裁が下した判決は、国会での審議抜きに一般用医薬品のインターネット販売を薬事法施行規則で規制しようとしたことは行政の権限を越えているというものでした。したがって、施行規則の内容を法制化すれば足りるはずであります。

 ところが、六月の日本再興戦略に一般用医薬品のインターネット販売が位置づけられ、とりわけ総理自身が、厚労省の検討会の報告を待たずに全ての医薬品を解禁すると表明したことが、わずか〇・二%のスイッチ直後薬品や劇薬などを例外とし、全面解禁へかじを切ることになったのでありました。

 反対の第一の理由は、医薬品の対面での販売という原則を崩すことによって、専門家による情報提供、相談や受診勧奨などが十分行えず、過剰投与や飲み合わせなど、安全性のリスクが高まると考えられるからです。

 第二に、インターネットでは、無届けやにせ薬の販売など、悪質な業者を排除する仕組みに限界があるからです。薬事監査の体制を強化、確保することはもちろんのこと、一気に対象品目を広げず現行のままにとどめ、あくまでネットは対面販売の補完的役割に限定すべきです。

 第三に、医薬品がインターネットのショッピングモールで他の商品と同列に売られることによる弊害が危惧されるからです。リコメンド機能、口コミも、誇大広告につながるからと、禁止することは当然であります。しかし、モールでは、ポイントアップセールなど、まとめ買いを誘発する仕組みがもともとあること、お得意様番号の利用によって服薬履歴などの個人情報が名寄せされるおそれがあること、モール運営者の責任が曖昧で、問題があったときの管理責任が問われないことなど課題も多く、薬局による単独のサイトに限定すべきだと考えます。

 なお、みんなの党提案の修正案は、成長戦略に基づく規制緩和を早めよという趣旨であり、反対であります。

 終わりに、厚労省の前庭には、一九九九年に建立された薬害根絶「誓いの碑」があります。「命の尊さを心に刻みサリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する」。

 薬事法改正の歴史は、薬害被害者、遺族らの闘いの歴史でもあります。たとえ消費者のニーズがあるからといっても、薬事行政は、利便性や効率性のために安全性をないがしろにしてはならないことを強く指摘し、反対討論といたします。(拍手)

後藤委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、中島克仁君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 この際、本案に対し、とかしきなおみ君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。柚木道義君。

柚木委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 医師又は歯科医師から交付された処方箋により調剤された薬剤については、その効能・効果等において人体に対する作用が著しく、重篤な副作用が生じるおそれがあることから、その適正な使用を通じて国民の生命及び健康を確保するため、調剤された薬剤を患者又は看護に当たっている者に販売又は授与する際に、その場所で薬剤師が対面により患者等に対して必要な情報提供、薬学的知見に基づく指導等を行うことを義務付ける仕組みを今後とも堅持すること。

 二 国民の生命、健康及び安心を確保する観点から、一般用医薬品のインターネット販売に関する広告、販売、配送等において厚生労働大臣が定める遵守事項が確保され、また、違法なインターネット販売が行われることがないよう、これまで以上に薬事監視員による監視指導を徹底するとともに、国民に対する周知の徹底や注意喚起に努めること。

 三 一般用医薬品がインターネットモールを通じて売買される現状に鑑み、医療に関わる個人情報が厳格に守られること、また、過剰な購入を誘発させないための措置等について実効性が確保できるようモール運営者に協力を求めること。

 四 これまでの薬害被害を深く反省し、国民の健康被害の発生及び拡大を未然に防止する観点から、医薬品による副作用又はその疑いがある症例については、研究開発から市販後の各段階における情報の収集に万遺漏なきを期すとともに、情報の整理、分析及び評価を迅速に行い、医薬品の安全性及び適正な使用が十分に確保されるよう取り組むこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

後藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、田村厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。

    ―――――――――――――

後藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

後藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.