衆議院

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第11号 平成25年11月29日(金曜日)

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平成二十五年十一月二十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      あかま二郎君    赤枝 恒雄君

      池田 道孝君    今枝宗一郎君

      大串 正樹君    金子 恵美君

      菅野さちこ君    小松  裕君

      古賀  篤君    佐々木 紀君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      高鳥 修一君    高橋ひなこ君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      永山 文雄君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      山下 貴司君    大西 健介君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    足立 康史君

      浦野 靖人君    重徳 和彦君

      新原 秀人君    輿水 恵一君

      桝屋 敬悟君    柏倉 祐司君

      中島 克仁君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   文部科学副大臣      櫻田 義孝君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   外務大臣政務官      木原 誠二君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   防衛大臣政務官      若宮 健嗣君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 岩尾 信行君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房技術総括審議官)       三浦 公嗣君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐藤 敏信君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            今別府敏雄君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大庭 靖彦君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           奈良平博史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       塚原 太郎君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十九日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     あかま二郎君

  大久保三代君     池田 道孝君

  田畑 裕明君     佐々木 紀君

  高橋ひなこ君     菅野さちこ君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     今枝宗一郎君

  池田 道孝君     大久保三代君

  菅野さちこ君     高橋ひなこ君

  佐々木 紀君     田畑 裕明君

    ―――――――――――――

十一月二十八日

 患者窓口負担の大幅軽減に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第一六二号)

 同(田嶋要君紹介)(第一九三号)

 国民の申請権を侵害し、餓死や孤立死を生み出す生活保護法改正案の廃案を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第一六三号)

 生活保護基準の引き下げを中止し、生活保護法の改悪をやめることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一六四号)

 二・五%の年金削減をやめ、安心の年金制度を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一六六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一六八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一七二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二八〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第二八一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二八二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二八三号)

 同(志位和夫君紹介)(第二八四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二八五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二八六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二八七号)

 脳脊髄液減少症の平成二十六年度保険適用に関する請願(泉健太君紹介)(第一七三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七六号)

 膵臓機能欠損症(1型糖尿病)の子供の総合対策に関する請願(大西健介君紹介)(第一七四号)

 同(門博文君紹介)(第二一〇号)

 同(上野ひろし君紹介)(第二七七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七八号)

 同(橋本岳君紹介)(第二七九号)

 じん肺とアスベスト被害根絶を求めることに関する請願(照屋寛徳君紹介)(第一九〇号)

 同(吉川元君紹介)(第一九一号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(大西健介君紹介)(第一九二号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二〇九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二四八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二七五号)

 中国残留孤児の配偶者の生活支援に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三九号)

 同(笠井亮君紹介)(第二四〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二四二号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二四五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二四六号)

 七十〜七十四歳の患者窓口負担一割の継続に関する請願(宮本岳志君紹介)(第二四七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二八八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二八九号)

同月二十九日

 アンジェルマン症候群などの遺伝子疾患に対する難病対策に関する請願(門博文君紹介)(第三二一号)

 同(岸本周平君紹介)(第三二二号)

 特定行為を診療の補助に拡大する法改正反対に関する請願(小林史明君紹介)(第三二三号)

 生活保護基準引き下げ反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第三二四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四一〇号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第三二五号)

 同(古川元久君紹介)(第三四八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三四九号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第四五八号)

 七十〜七十四歳の患者窓口負担一割の継続に関する請願(宮本岳志君紹介)(第三二六号)

 介護保険制度の改悪中止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三四七号)

 患者窓口負担の大幅軽減に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三五〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四一二号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第四五九号)

 アンジェルマン症候群等の遺伝子疾患に対する難病対策に関する請願(中田宏君紹介)(第三九九号)

 筋痛性脳脊髄炎患者の支援に関する請願(秋葉賢也君紹介)(第四〇〇号)

 同(金子恭之君紹介)(第四〇一号)

 同(小松裕君紹介)(第四〇二号)

 同(高木美智代君紹介)(第四〇三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四〇四号)

 同(とかしきなおみ君紹介)(第四〇五号)

 同(船田元君紹介)(第四〇六号)

 同(松本洋平君紹介)(第四〇七号)

 同(山井和則君紹介)(第四〇八号)

 同(金子一義君紹介)(第四六一号)

 障害者福祉についての新たな法制に関する請願(佐藤正夫君紹介)(第四〇九号)

 脳脊髄液減少症の平成二十六年度保険適用に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四一一号)

 二・五%の年金削減をやめ、安心の年金制度を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四一三号)

 じん肺とアスベスト被害根絶を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四一四号)

 同(笠井亮君紹介)(第四一五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四一六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四一七号)

 同(志位和夫君紹介)(第四一八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四一九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四二〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四二一号)

 憲法を生かし、安心の医療・介護を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第四五三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四五四号)

 七十〜七十四歳の患者窓口負担一割の継続を求めることに関する請願(小宮山泰子君紹介)(第四五五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四五六号)

 再び被爆者をつくらない決意を世界に現行法(原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律)改正に関する請願(志位和夫君紹介)(第四五七号)

 中国残留孤児の配偶者の生活支援に関する請願(志位和夫君紹介)(第四六〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 生活保護法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)(参議院送付)

 生活困窮者自立支援法案(内閣提出第六号)(参議院送付)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房審議官岩尾信行君、厚生労働省大臣官房技術総括審議官三浦公嗣君、医政局長原徳壽君、健康局長佐藤敏信君、医薬食品局長今別府敏雄君、保険局長木倉敬之君、国土交通省大臣官房審議官大庭靖彦君、総合政策局次長奈良平博史君、環境省総合環境政策局環境保健部長塚原太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。民主党の柚木道義でございます。

 本日は一般質疑ということで、まず冒頭、前回の質疑の最後のときに、ちょっと時間がなくて、通告なしで恐縮だったんですが、輸血によるHIV感染、これはおとといですか、新聞も全紙で非常に大きく取り上げられ、私も、かつての薬害エイズ問題以降のさまざまな、その前もあるわけですが、いろいろな当時のことをちょっと思い出すようなところも正直あります。

 もちろん、いろいろな意味で違うところもあるわけですが、厚生労働行政の中で、大臣が前回の最後の御答弁の中で、献血というのは善意に基づくもので、血液事業法の規定も私も拝見をしておりますし、その趣旨についてはよくよく承知をしておるつもりではございますが、他方で、やはり、献血を善意でしたことによって、逆に、何の瑕疵もない方々に感染をされるということであってもならないわけでございます。そのあたりの今後の対応について、前半、質疑をさせていただきたいと思っております。

 それで、まず、前回も少し御答弁の中にもお触れをいただいたんですが、今回のことが起こったことによって、今後の幾つかの対策について言及されましたが、改めて確認をさせていただきたいと思います。

 私も、昨日も担当の方からいろいろな形の対策、対応についてお伺いをさせていただきました。例えば、問診の実効性を高めていくことであったり、あるいは検査手法の精度の向上、これについても報道等も出ておりますが、そういった対策も考え得ると思います。また、こういった形で、報道なんかでは、「検査目的 虚偽申告の献血横行」などとも書かれておるところもありまして、そういうことにならないためには、保健所でしっかりと無料で検査を受けていただく。ただ、その保健所の体制についても、地域によってアクセスについてのさまざまな課題もあるというようなことも承知をしております。

 こういった今後の対策、対応について、ぜひしっかりと厚生労働省として行っていただきたいわけでございますが、その対応について、大臣、お考えをお聞かせいただけますか。

田村国務大臣 おはようございます。

 今、柚木委員から御指摘をいただいた点でございますけれども、今回の事案は、もう一人、HIVに感染されたというような方が、輸血からということでございまして、大変残念なことでございますし、お見舞いを申し上げたいというふうに思うわけであります。

 御本人といいますか、献血をした方でありますけれども、問診時に正直に申告をしていなかった。場合によっては、これは検査目的でやったということさえ疑われるような案件であるわけでございます。こういうことが横行しますと、そもそも献血という体制が信頼を失うわけでありまして、これは大変重大な問題だというふうに捉えております。

 今般のようなことが起こらないように、問診時に虚偽をした場合、どういう悪影響が及ぶのか、そういうことをしっかりと認識いただくために、パンフレット等にもさらに書き込みをしっかり入れていくということでありますとか、献血した血液の検査、これに関しても、今まで、核酸増幅検査に関して、二十人分を一つに、ロットで集めて核酸増幅をやっておったわけでありますが、これを一人一人やることによって、より精度を高めていくということもやりたいというふうに思っております。

 あわせて、保健所の体制なんですが、保健所でHIVの検査を、今も委員おっしゃられたとおり、無料で匿名でやっておるんですが、なかなか使い勝手が悪いというお話がございますので、これを使い勝手がよくなるように努力をしてまいりたいと思っております。

 場合によっては、夜、それから休日、まだまだやっておられるところが少ないものでありますから、夜や休日もやっていただけるような体制をお願いしていきたいと思っております。

 あわせて、人と会わずに保健所で検査ができるような体制を組んでいただいておるということでございますので、それもやはりPRをしていかないと、なかなか、誰かと会うんじゃないか、それは匿名だといったって、どこかからわかってしまうんじゃないかというような、そういう心配があると、検査をしていただけないということがございますので、そこもしっかりと体制整備しているということを確認した上で、PRをしていく必要もあろうな、このように思っております。

 いずれにいたしましても、ありとあらゆる対策を講じる中で、今回のようなことが起こらないように、我々もしっかり努力をしてまいりたいというふうに思っております。

柚木委員 今、問診の実効性を高めていく部分、私もフォーマットも拝見しておりますし、また、検査手法の精度の向上、さらには、保健所機能の強化、改善についても御答弁をいただきました。

 加えてお願いをしたいとするならば、保健所、確かに、今、HIVへの感染の件数は、横ばいというような報告も出ておりますが、他方で、地域によっては、ちょっと増加傾向というようなところもあるわけですから、そこはそれぞれの地域の特性といいますか、保健所へのアクセスについても同様の部分もあろうかと思いますので、場合によっては、支店機能と言うと変ですが、簡易な形でどこかでもし受けるようなことが、ほかにも、数としても可能な部分があれば、そこもあわせて、保健所機能の拡充については御検討いただきたいなと思います。

 今、検査手法の精度の向上についても御答弁をいただいたわけではございますが、他方で、ウインドーピリオドというんですか、空白期間の部分については、これは完全なる解消にはつながらないというふうにも承知をしております。

 そう考えますと、今それぞれ対策について御答弁をいただいた部分は、まさに早急に講じていただきたいわけではございますが、他方で、それで全てカバーをできるわけではないとするならば、これは今後どういった対応をとっていくのかというところも、論点としては残るということだと思っております。

 私、前回、少し御紹介をさせていただいたのは、海外においては、虚偽申告による献血者に対する罰則といいますか、これは二〇〇五年度の厚生労働科学研究にも、他国の事例が報告をされております。アメリカなどでは、感染の事実を知っていて献血すると刑事罰に問われる。オーストラリアなどでも、懲役あるいは罰金ないし両者が適用される。台湾についてもオーストラリアと同様であるとか、シンガポールなどでは一般刑法で傷害罪が適用されるとか、そういった国々も実際にあるわけでございます。

 もちろん、大臣の御懸念にもおありのように、単にこういったことを適用することで、逆に、今後、人口減少社会の中で、献血をしていただく方々が、要は、実際の需給に届かないような可能性もある中で、そこは両面考えていかなければいけないことも事実だと思っております。ですから、献血者の確保については、当然、さまざまな配慮を行いながらも、他方で、依然として感染の可能性が残る場合への対応、この両面から対応を進めていくことが重要かと思われます。

 そこで、きょう、法務省の方にもお越しをいただいているわけですが、今回、実際の献血をされて感染をされていた方は、今回については、日赤の方の御判断で御本人にももう既に伝わっていて、当然、伝わることというのは、私は、一般的に、そういうことを全部伝えますよとなると、まさに保健所の方での検査を受けていただけないことになってはいけませんから、そこはもちろん区別をするわけです。

 他方で、やはり二次的な感染の拡大、今回もお二方が感染をされていて、そのうちお一人はまだ調査中ということでもございますから、そういうような形で広がっていかない、そのことを抑止するという意味においては、やはり御本人にもそのことを知っていただくことも重要であると思っていまして、今回の日赤の現場の御判断というのは、私としてはうなずけるものであるわけです。

 ただ、どういう形で献血をされたのかについて、まだ詳細なところは私は承知しておりません。ですから、仮に、例えばいろいろなケースが考えられると思うんですね。つまり、自分が感染をしている可能性が、どこかで頭の片隅にありながらも、ひょっとしたら善意の部分もあって、両方があって例えば献血に来たとか、あるいはまた別の事情とか、いろいろなことが考え得ると思います。

 そうはいっても、未必の故意などという言葉もあるわけですから、どこまで御自覚をお持ちであったかどうかは別にしても、御自身が献血をされることで、四十代の方だということですから、そういうお考えは、ある程度想像はおできになられる御年齢かとも思います。

 そういった形で献血をされて、実際に二名の方が現状で感染をされている、そのうちまだお一人は調査中ということであれば、さらに拡大する可能性もないとは言えない。もちろん、輸血を受けて感染された方に何の瑕疵も、そういう意味ではないわけでございます。

 しかし、そうやって感染が拡大し得る可能性をどこまで予見できるのかということも含めて、場合によっては、今回献血をされた方が、例えば傷害行為に至る可能性のある行為という形で解釈をした場合に、刑事罰の適用というようなことも、御本人が訴える、訴えないというのはもちろんあるわけですが、可能かどうか、ちょっと法務省としての見解をお答えいただけますか。

岩尾政府参考人 お答えいたします。

 犯罪の成否につきましては、あくまで個別具体的な事案におきまして、収集された証拠に照らして判断されるべき事柄でございまして、一概にお答えすることは困難でございますが、あくまで一般論として申し上げれば、刑法には、過失または重大な過失によって人を傷害した行為については過失傷害罪または重過失傷害罪が、故意をもって人を傷害した行為については傷害罪が定められているところでございます。

柚木委員 一般論として、今、過失あるいは重過失傷害罪などの可能性に言及をいただいたわけですが、そういう部分について、実際には、その献血者の方に対しての、そういう意味では調査というか、場合によっては捜査というか、そういったことがなくしては、なかなか真相は見えてこないわけでございます。ですから、そこを私自身も、捜査すべきであるという予見を持って申し上げているわけではございません。

 ただ、そういう意味では、今回の方というのは、実は、私もいろいろ調べますと、速報値では、二〇一三年一月から九月の中で、献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数、五十五件で、毎年百件前後のそういった陽性件数があり、一から九月ですから、今回、十一月にわかっているわけですから、恐らく今後カウントされることになるんでしょう。

 二月に献血をして、その献血したものを輸血を受けた方が、今回二名感染をされている。実は十一月に再度献血に来られて、そのときの献血は検査で陽性ということがわかって、そして今回の方々が判明したというわけでありますので、見方を変えれば、十一月に来られていなければわかっていなかった可能性が、十分にあるわけですね。そうすると、ひょっとしたら、そういう潜在的な方がおられる可能性も否定できないわけです。

 そういうことまで考えますと、今回のような事例を今後未然に防いでいくための施策も、献血をしていただく方の確保と同様に、善意による献血であっても、こういった感染が広がることは、これは望ましくないわけでございますから。

 さらに、一定の予見をされているような方が、報道にあるような「検査目的 虚偽申告の献血横行」などというのは、実際このことが仮にあるとするならば、やはり、そういった罰則を行っている国々についても、我が国としても、実際に、では、ペナルティーを、そういった制度を設けることで、実際のこういういわゆる陽性件数がどこまで抑止されるのか、場合によっては、献血をされる方々の確保に影響を与えるのかどうなのか、こういったことも含めてしっかりと調査を行っていく中で、罰則の導入についても検討を進めることも必要ではないかと思うわけです。

 田村大臣、前回は、やはり、血液事業法などとの兼ね合いも含めて、善意による献血というものが大前提である、そういった御答弁であったわけです。

 他方で、血液事業法の中にも、「献血に関する国民の理解及び協力を得るための教育及び啓発、血液製剤の適正な使用の推進に関する施策の策定及び実施」云々ということが、地方公共団体、採血事業者、あるいは販売者、医療関係者等の責務としてあるわけですが、国民の皆様にも、これは当然、まさにこういった感染にならないための、そういう意味での自覚をいただくことも重要かと思っております。

 そういう流れの中で、今申し上げたような罰則についての議論も、私は、幾つかの調査なども含めて御検討いただくことも必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 まず、検査に使うという方は、もう言語道断でございまして、そもそも、献血でHIVに感染しているかどうか、それは、その血液がウイルスを持っているかどうかという検査はしていますが、その結果を、原則、献血者本人に伝えることはありませんから。ですから、検査がわりには使えない、使ったって意味がないということ、まず、これを周知徹底することが第一だと思います。

 その上で、そうはいっても、問診票に書いてある内容を、うそをつくだとか、十分に理解せずに書かれる方々もおられるわけでありまして、それに対して、やはり、一定のウインドーピリオドといいますか、潜伏期間といいますか、ウイルスが顕在化する前の期間というものがある限りは、絶対防げないということを考えれば、そのような方々に対して罰則を設けるべきだと。

 これは、今言われたように、オーストラリアや台湾やシンガポールやアメリカ、それぞれ、傷害罪でありますとか刑事罰でありますとか、いろいろな、一応これに対しての罰則を取り入れている国があるわけでありますが、それを日本で、どう、それに対して、採用するのかしないのかということを考えるべきだというような御意見であったというふうに思います。

 問診の中を見ましても、「不特定の異性または新たな異性との性的接触があった。」これは、「不特定の異性」というのはどこまでの範囲なのか、また、「新たな異性との性的接触」というのはどの時点が新たと言っていいのかというのは、なかなか難しいんですね。

 ですから、柚木委員が、どういう場合に刑事罰をつけた場合に影響があるのかというふうに先ほど言われましたけれども、これ自体をどう認識するのかという個人差もあるわけでありまして、なかなかこれは難しいところがあると思いますが、海外ではどのような場合に刑事罰を科しているのか等々、詳細を調査する必要があると思います。

 あわせて、それを導入したからどのような効果があったのか、逆に、それを導入してどのような心配点、デメリットも起こったのか、ちょっとこういうことを詳細に調査をさせていただいた上で、関係者の御意見も伺いながら、慎重に、どうすべきかということを検討させていただきたいというふうに思います。まずは、調査を詳細にさせていただきたいというふうに思います。

柚木委員 ぜひ、今おっしゃっていただいたことも含めてしっかり調査をいただいて、その調査結果についても御報告をいただいて、必要な対応、場合によっては罰則の導入も含めた御議論をいただきたいと思っております。

 それで、法務省にもう一度改めて伺いたいんですが、先ほど、過失罪、重過失傷害などの適用の、一般論だと思いますが、そういった可能性について御言及をいただきました。私の問題意識をるる申し上げているわけですが、このような事例を防ぐために、何らかの罰則、今、厚生労働大臣から、いろいろな調査を踏まえて検討したいということでしたが、仮に罰則を検討しようとした場合に、法務省の立場として、どういう方策が考えられるのか。

 私が考え得るのは、例えば、今御答弁いただいたような、そういった刑事罰といいますか、そういう適用を、言葉はちょっと違うかもしれませんけれども、柔軟にというか積極的にというのか、とにかく抑止をするための体制をとっていただくことも一案だと思うんですが、どういった方策があるとお考えになられますか。十分伝わっていなかったら、可能な範囲で結構です。

岩尾政府参考人 刑法上の一般的な規定につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、献血や輸血に関連する事柄につきましては、法務省が所管する立場にございませんため、お尋ねのような献血に伴う感染に関連する罰則のあり方につきましても、法務省当局といたしましては、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

柚木委員 恐らく、まさに今、厚生労働大臣が、今後の調査等を踏まえながら、必要があればそういったことも、罰則も含めて検討をなされるということを受けて、今後の対応を考えられるんだと思うんですね。

 そうすると、大臣、今の御答弁は私も認識を共有しますが、今、血液事業法というものがあって、これはまさに、個別の献血者に対する何かを制約するとか、ペナルティーを加えるとかいう体裁になっておりません。

 その場合に、今後の議論にもちろん委ねられるわけですが、私、一つちょっと考えたのは、例えば献血法というのか、まさに問診などの実効性を高めていくという意味において、そういったようなことも、今後の調査とか、その調査に基づくメリット、デメリットなどを踏まえながら、議論が仮に行われていくとしたときに、例えばそういう献血法というような枠組みの中で、国民の皆様にも、ぜひ献血への御協力はもとより、こういった感染、さらなるそういう部分の拡大も含めた、未然の抑止も含めた、そういった法体系なりを何らかの形で整備していくことも、議論としてはあり得るのかなと思うんです。

 十全に通告しているわけではありませんので、御所見で結構ですので、可能であれば御答弁をお願いできますか。

田村国務大臣 委員がどういう形態のものを意識しておっしゃっておられるのか、ちょっと私、理解できないところが今あるんですけれども。

 いずれにいたしましても、やはり委員の思いの中には、献血という一つの制度を、国民の皆様方に、それは献血する方も、また輸血を受ける方も信頼のあるものにするためには、どういうような枠組みがあるかというようなお話であろうというふうに思います。

 今回、こういうことが起こって、本当に皆さん心配だと思うんですね。ですから、それが払拭できるためにはどういう方策があるのか。これは、いろいろな方々から我々は意見を聞きながら、また、与党、野党の先生方からもいろいろな提案をいただきながら、採用できるものは積極的に採用してまいりたい、このように思っております。

柚木委員 この案件で、もう一つだけ最後に伺います。

 前回の答弁でも、お二人に感染されたうちのもう一方は調査中ということで、早急にそこは対応したいということがあったんですが、私も今回、そのお二方について現状をお尋ねしたら、お一人、既にわかられている方、六十代男性でしたか、輸血を受けた後、検査を受けられていることによって、これは別に強制でも義務でも何でもないですが、一応、まさに今回のようなことも含めて、何らかのそごがあってはいけないということで検査を受けるような部分もあるようで、それによって判明したということなんですね。

 他方で、残念ながら、もう一人、わかっていない方というのは、二月に輸血を受けて、そのまま、今回の献血者の方の輸血を受けて感染されているわけですが、その後の検査を受けられていないということなんですね。場合によっては、そういったことを受けられていれば、現状が判明をして、そして、それに対しての対応がとられていたかもしれないわけですね。

 ですから、そういう意味では、こういうようなケースが、未然に防ぐことも同様ですが、逆に、拡大をしていかないということも考えた場合に、そういう輸血を受けた後の検査についても、もちろん、一定期間をあけてということですから、御負担もあるわけで、そういうことも考えなきゃいけません。しかし、やはり、まさか自分が輸血を受けてそういうことになるとは、基本的には思っていない中で、そういう輸血後の検査もしっかりと受けていただくような、そういった点についての視点も私は必要ではないかと思うんです。

 一定の通告はしているんですが、可能であれば御答弁をいただきたいんですが。

田村国務大臣 輸血をされた方に強制的に検査をしていただくというわけにはなかなかいかないわけでありますけれども、今、ガイドラインで一定の方向を示させていただいておるわけでございまして、そのガイドラインにのっとって、そういう方々の御心配、そういうものが払拭できるような対応の仕方というものは考えてまいりたいというふうに思います。

柚木委員 ぜひ、今後そういったことも含めて対応を御検討いただければと思います。

 済みません、残りの時間ですが、ずっと飛ばし飛ばしで細切れになっている、介護事業者の皆さんの処遇改善、この間ずっと提言をしてまいりました。

 きょうも、五兆円の経済対策ということで、もう補正についての報道が大きく取り上げられております。その中には、若者、女性、高齢者ですか、そういった方々への対策に三千億円が計上を予定されるみたいな報道もあるんですね。

 ぜひ、田村大臣、診療報酬改定も、まさに年末に向けて、いろいろな報道もされていて時間があれば聞きたいんですが、介護報酬の部分についても、再来年の改定を待つということではなくて、保育士さんの処遇改善も同様に私も重要だと思います、それは二十四年度補正で一定の手当てがされた。やはり、育児も介護も同様に、それによって離職をせざるを得ない方々、そして介護離職については年間十万人、仕事をしながら介護をされている方が二百九十万人、その方々が、ある意味では離職予備軍と言ってもいいかもしれません。

 そういうような中で、やはりそういった受け皿がなければ、預けようにも預けられない。そこにマンパワーが確保できなければ、資料にもおつけをしておりますように、介護の離職率一七パー、これは一般より高い。そして、二ページ目をごらんいただきますと、賃金についても、これは介護福祉士さんについても、いわゆる産業平均よりも年間八十四万円ぐらい低い。さらに言えば、ヘルパーさんなどになると百万以上の開きがあるというような部分も含めて、どう考えていくのか。

 さらには、需給ギャップですね。二〇二〇年、厚生労働省は六十万人の増員が必要という数については示しているけれども、どうやって確保するのかについての対策が現場ではないじゃないかという声もある。

 次を見ていただいても、これは皮肉なことに、仮にアベノミクスによって景気がよくなっていくと、景気がよくなると介護現場は人手不足になるんですね。こういうパラドックスもある。そして、養成学校の定員の充足率、今や五五%というような状況にもなってきている。

 こういう中で、まさに介護に従事される家族介護、そしてそれによっての離職、働きながらの介護、女性の方々の方が割合が多いということであれば、まさにアベノミクスが進める女性支援とも関係してくる。男性の方も、四割ぐらいの方がそうしながらやっている。

 そういうことも含めて、まさに経済対策という側面。その離職によって、あるシンクタンクが調査すると、九千八百億円ぐらいの経済損失効果がある、全体でですよ。

 そういうことも考えたときに、それを抑止するという意味においても、ぜひ処遇改善について、今回、補正、五兆円の経済対策を議論されるのであれば、まさに、若者、女性、高齢者という項目も含めて、ここでも、与党の皆さんにもぜひこれを応援いただいて、診療報酬だけではなくて介護の部分も応援をいただいて、ぜひ厚生労働省として補正の中で考えたい、あるいは検討したい、そのお気持ちだけでも、ぜひ大臣、御答弁いただけませんか。

赤石大臣政務官 柚木委員のおっしゃるとおり、実は私、先週、青森に行ってきたんですけれども、そのお父さんが私のところに来まして、先生、相談がある、実は自分の息子は介護士をしていると。給料が十四万円だそうです。四十歳になる、これで本当に自分で生活、自立できるのか、とてもじゃないけれどもできない、そういう話を聞きました。

 我々としても、そういう現場の声を聞きながら、次回の介護報酬の改定でしっかりとそういうことも含めて担保していきたい、このように考えております。

柚木委員 ちょっと時間がないので、最後、大臣にお尋ねします。

 ぜひ、次回と言わずに、これはもう本当に切実ですよ。ともすれば、本当に無理心中、殺してしまう、そういう事例も、過去に私の地元岡山県でも起こっています。真面目な方ほどそうなる。男性の方は特にそうなっちゃうんですね、真面目に仕事のように考える。そういう悲劇を起こさないためにも、やはり現場、受け皿がないとそういうことにもなりかねないわけですから、そこはぜひ、私は、次回の改定と言わずに御対応いただきたい。

 それで、最後、大臣にも伺いますが、ちょっと時間がないので、お願いをした上で、一項目質問をしたいんです。

 お願いというのは、この間のやりとりの中で、一番介護の休業を取得できない理由は、かわりの人がやはりいないんじゃないかという懸念、それに対して、ニーズを、短時間勤務とか在宅勤務とか調べた上で対応したいというような御答弁をいただいています。それはそれで結構なんですが、ぜひ早く調査をして、対応を、来年の施策につながるぐらいのスケジュール感、スピード感で考えていただきたいというお願い。

 それから、介護給付金の引き上げについても、これはやはり、お金のことがあるからなかなか休業もとれない、やめるにやめられない、そのはざまの中で苦しんでおられる方も多い。

 そういう意味では、現行四割の給付率についても、せっかく、大臣、私は本当に、引き上げること自体はすばらしいと思っているんですから、育休給付金の引き上げ、三分の二へ、これはすばらしいことですよ。財源についてはちょっと議論をさせていただきたい部分もあるんですが、それはすばらしいことですよ。しかし、育休が三分の二、八割、これはまさに取得率との関係でそういう水準をお考えいただいている、これは介護についてもぜひお考えいただきたいんですね。

 今の二つはお願いです。

 最後、具体的に答弁いただきたいのは、まさにイクメンの取り組みの中で、働く女性の一番のニーズは、保育園、お金以上に、夫の理解、協力という点がアンケート結果で一番多くて、そういったことを推進していくためにも、企業側の理解、支援も重要だということで、イクメン企業アワードというのを創設いただいて、大臣、これは本当に私の提案についても迅速に御対応いただいて、今年度、父さん育児の日の十月十九日、イクメンの日に、第一回企業を選定いただきました。

 それに倣って、これは介護の分野も同様なんですね。問題は企業の理解、支援。丸紅さんとか花王さんとか、いろいろな取り組みがあります。ですから、そういう事例をふやしていくという意味においては、例えばケアサポート先進企業とでもいうんでしょうか、そういったところへの表彰制度というものを、これはお金は多分そんなにかかりません。

 しかも、十一月十一日が、いい日いい日で介護の日、これも私が提言させていただいて、当時、舛添厚生労働大臣時代に制定いただきました。例えば、そういう日に表彰するとかいうことで相乗効果も高めていくようなことも含めて、ぜひケアサポート先進企業表彰のような仕組みを、イクメン企業アワードをつくっていただいた田村大臣だからこそ、私は前向きにお考えいただけると思うんです。

 一兆円の経済損失なども含めて、ぜひケアサポート先進企業アワードのようなものの仕組みを考えていただければと思いますが、大臣、最後、まとめて御答弁をお願いします。

田村国務大臣 ちょっと多過ぎて、全部私が覚えているかどうかわかりませんので、抜けたところはまた次の機会に御答弁させていただきます。

 まず、介護休業に対する給付でありますが、育児休業の方の給付がまだ議論をいただいている中で、まだ決まっているわけじゃないわけであります。まず着実にそちらの方から進めさせていただきたいというような思いでございますので、いろいろな思いはあると思いますが、応援のほど、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 それから、アンケートの方は、以前一回やりました。さらに詳細なというようなお話もございました。どのような部分が必要なのかということも含めて、これは検討していきたいというふうに思います。同じようなことをやっても意味がないわけでありますので、そこも含めて検討させていただきたいと思います。

 さらに、今、両立支援のモデル事業をやっています。これの検証事業を来年度概算要求しておりまして、ここで、どういうニーズがあるのか、企業に対してもしっかり聞いていきたい、このように調査をしてまいりたい、検証していきたいというふうに思います。

 それから、イクメンアワードのようなものをという話でありますが、今、均等・両立推進企業表彰の中の両立支援の取り組みについての表彰をするファミリー・フレンドリー企業部門というのがあって、ここで評価、表彰をしているようであります。今般も、JR東日本さんでありますとか、いろいろな、介護ハンドブックの作成等々、いい事業に対しては周知徹底して表彰しておるということで、ほかにも、再雇用制度でありますとか、休業中の情報提供、また復帰前のいろいろな面談の実施なんかをやっている企業等々も表彰しておるようであります。

 ただ、これ以外に何か抜き出してというようなことがどうなのかということも含めて、これも、そういうことが効果があるということであるならば、一考の価値があると思いますし、それほどお金のかかる話でもないと思います。

 ただ、こちらでもやっておりますから、余り新しいものをつくると、こちらの方がどうだというようなこともありますので、そこは関係者の方々とも相談しながら、検討させていただきたいというふうに思います。

柚木委員 以上で終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、大砲かバターかという議論、大臣、どんな議論か御存じでございましょうか。

田村国務大臣 済みません。大砲かバター、ちょっと私は知りません。教えていただければありがたいと思います。

長妻委員 私もうろ覚えであったので改めて調べてみますと、いろいろな論争が過去あるわけですけれども、例えば、有名なのがイギリスの論争で、大砲かバターか。

 これは、アトリー内閣で、NHS、イギリスのオリンピックでもありました国民保健サービス、これを実施した責任者であるベバンという大臣がいらっしゃったんですが、その後、朝鮮戦争が勃発しまして、イギリスは国力を拡大しなきゃいけないということで、やはり軍備をどんどん拡大する、これが重要なんだということで、そういう予算案をつくって、当時の大蔵大臣のゲイツケルという方が社会保障をかなり削減した、こういうことに抗議をして、このNHSの創設の責任者だったベバンが大臣を辞任したということです。

 つまり、大砲かバターか、軍備、軍事力、これも重要ですけれども、それをどんどんふやしていくのが国力を強くするのか、あるいは、社会保障のような福利厚生、民生を強くする方がいいのか、こんなような論争だったと思います。

 私自身、今の日本でも、こういう論争に近いことが民主党と自民党で起きつつあるんじゃないのかな。自民党政権は、公共事業とかあるいは企業減税、経済戦争に勝つためには企業にどんどん減税をして、公共事業をふやして、超金融緩和をする、こういうような発想で突き進んで、そして、社会保障は経済成長のお荷物だと言わんばかりの政策が続く懸念を持っております。

 柚木議員の質問にもあるように、適切な社会保障、ほころびを正すことは、例えば介護離職を減らすとか、出産、育児離職を減らすとか、GDP、経済成長の基盤をつくるということも大変重要であるというふうに思っているところであります。

 その中で、やはり我々はよく考えなきゃいけないのは、当然、日本の財政というのは大変厳しいわけでありまして、これほど世界に類を見ないGDP比の借金、これは日本しかありません。この中で、野方図に社会保障を伸ばすわけにはまいりません。

 ただ、それを乱暴に抑えると、一見、目先は財政が助かったと思いきや、その後にツケが回ってきて、重篤化になったり、あるいは仕事をやめざるを得ない人がふえたり、家族の負担がふえたりして、結果として経済成長や財政にもマイナスになる、これを注意しなきゃいけないと思います。

 その中で、やはり一つ予防というのが大変重要で、これは大臣もおっしゃっておられるわけですね。

 五兆円、予防で削減をするというプランを出されておられるわけで、例えば、十六ページを見ますと、これは、長野県の医療が非常に参考にすべきところがあるということで、長野県の医療と全国の医療の費用を比較していただいて、全国が長野県並みになったらという試算を出していただいたんですが、大臣、これを御説明いただければと思うんですが。

田村国務大臣 済みません、きのう通告をいただいていなかったものでありますから、ばたばたいたしました。

 まず、冒頭の、大砲かバターかという話なんですが、大砲というものが今の時代何にかわっているかわかりませんけれども、それはもう、大砲ばかりつくれば大問題ですよね、無駄に大砲をつくって。それは、一定程度、国を守るための軍備というのは必要だとは思います。しかし、それをつくり過ぎちゃったら、それは問題があるのは当たり前。かといって、バターばかり食べ過ぎても、これはやはり成人病になっちゃうわけですよね。つまり、適度なんじゃないですか、それは。

 我々はそのバランスを考えながらやっているので、そこは、何か大砲かバターか、どちらかみたいな話ではなくて、国を成り立たせるためにどのようなバランスが必要かという話なんだろうと私は思います。

 それから、今のお話でありますが、長野県の人口一人当たりの国民医療費は二十八万七千円です。それから、総人口一億二千八百万人を掛けることで三十六・七兆円ということでございまして、足元の国民医療費三十八・六兆円との差額は一・九兆円ということであります。

長妻委員 今おっしゃっていただいたように、仮に、長野県の一人当たりの医療費と、長野県の一人当たりの医療費は安いと言われているんですけれども、全国民が同じにすると、約一・九兆円、つまり年間の医療費が二兆円減るという試算で、十七ページですけれども、長野県は決して高齢化率が低いわけではありませんで、全国平均よりも高齢化率が高いにもかかわらず、一人当たりの医療費が安い。

 これはなぜか、どう分析されておられますか。

田村国務大臣 幾つかこの長野の件は調査をしてまいりまして、いろいろな方々がいろいろな評価をされている部分はあるんですけれども、一つは、やはり地域ぐるみで健康づくり、これにしっかりと取り組まれておられる。以前は、漬物等々辛い物、塩分をとり過ぎておったのを、それを減らしていくだとか、いろいろな取り組みをされてこられたということ。

 それから、高齢者の方々の就業率が高いということでありまして、これはやはり、高齢者の方々が生きがいを持って生活されておられる。公民館活動なんかも非常に活発のようであります。

 それから、野菜摂取量等々が非常に多いということでございまして、食生活、先ほど塩分の話もいたしましたけれども、食生活にも大変気をつけておられる。これは健康づくりという意味の部分もあるんだというふうに思います。

 そのような点が、長野県が非常に医療費がかからない、当然、それでありますから平均在院日数も少ないということでございまして、ほかにもいろいろと挙げればあろうかと思いますけれども、主な点はこういうふうなところが挙げられているというふうに考えております。

長妻委員 これは、我々も、政府と一緒に、やはり今おっしゃったようなことはよく言われているんですが、それを数値的に精緻に分析をして全国にも広げていく、これを本当に、やはり今まで怠っていたのではないかという反省がございますので、ここが日本の社会保障の本丸の一つだと思います。

 財政の面での取り組み、あるいは、国民の皆さんの健康寿命を延ばすという意味でも、ぜひここは一緒に進めていきたい。ぜひ、大臣も、ここを本当に時間をかけて注力して、田村大臣の功績として、歴史に残るかどうかわかりませんが、それぐらいのつもりでやっていただきたいと思います。

 そして、もう一つ、前回の質問から懸案でございますけれども、この近畿厚生局がちょっと不可解な対応をしているんではないのかという問題でございます。

 結局、不正と認定されて、病院が保険でいただいたお金を返したいと言ったら、いやいや、三年たっちゃったからもう返さないでいいんですよ、こんな太っ腹な御回答が基金からあったという御報告を近畿厚生局にしたら、ああ、そうですかということで、指導も何もなかったという案件だと思いますが、これは一体どういうことでございますか。

田村国務大臣 どういうことというと、ちょっと意味がわからない。我々の対応がということですか。

 そういうような報告を受けたわけですね。その後、三年の言うなれば債権債務の権利というもの、これに対して、本来、不当利得の請求権というものが十年という形でございますから、返していただく権利が保険者にはある。

 つまり、基金は三年でその請求権というものが消えるわけでありますけれども、しかし一方で、保険者の方は、不当利得ですから、不当利得に対しては返還権があるわけでありまして、そこのところを十分に病院の方にお伝えできていなかったということに関しては、これは確かに、我々、この部分に対しては問題があるという認識はございますから、こういうことがないように徹底をしてまいりたいというふうに思っております。

長妻委員 ちょっとその説明も不可解なんですね。

 三ページでございますけれども、近畿厚生局に調べていただいたものです。平成二十四年度一年間に不正と認定されて返した案件について、どんな返し方をしたんですかと言ったら、この二つしかありませんと言うんですね、返し方が。ですから、その二番目の控除返還、これは基金に返すんですが、これは時効がないということなんですね。これは本当でございますか。

 ちょっと時計をとめてください。

後藤委員長 とめてください。

    〔速記中止〕

後藤委員長 では、時計を動かしてください。

 田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 この、今言われているのは、返還金、直接返還、控除返還というものですか。(長妻委員「はい」と呼ぶ)

 これは、自主的に医療機関が基金の方に返すという形でありまして、基金がそれを受け取れば、それはこのような形で控除返還という形になるわけでありますが、今般はそれは受け取らなかったということであるわけでございます。

 重ねて申し上げれば、基金は確かに債権債務がなくなりますから、そういう意味では、新たに請求をできないわけでありますから、そのような意味からしたら、今回、基金は受け取らなかったわけでありますが、先般から言っておりますとおり、保険者が受け取ることはできるわけでありますので、基金に、それを保険者の方にやはり伝えるようにということを我々といたしましてはこれからはしっかりと指導をしてまいりたい、このように思っております。

長妻委員 ですから、控除返還は、時効はないんですか、あるんですか。

田村国務大臣 便宜上、その後、次の支払いから差っ引くような形でやっておるようでございまして、これは時効がないということであります。

長妻委員 これは非常に不可解なんですよね。ですから、基金に返すときに時効はないんですよ。三年の時効というのは、基金に、差っ引くんじゃなくて、新たにもう一回請求をしてもらって、請求書を新たにするときは三年の時効なんですが、そうやって返した事例というのは過去にあるんですか。

 ちょっと時計をとめてください。

後藤委員長 時計をとめてください。

    〔速記中止〕

後藤委員長 では、時計を動かしてください。

 田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 委員、これは非常に技術的な話なので、私も十分に事務方から説明を受けないとわからないわけでありまして、直前に通告をいただいても、即座に私もお答えができないということでありまして、ちょっとここで具体的な手続を、説明を聞かないとわかりません。できれば次回にしていただければ詳細にはお答えできますが、さすがに、直前の通告では、私もこういう手続論までは御説明を十分にできません。

長妻委員 それはおかしいですね。前回、私はこれを質問して、そして、整理して統一見解を出してほしい、こういうふうに大臣に言っているわけですよ。それはだめですよ。ちゃんと前回の質問で言っているじゃないですか、統一見解を出してくれと。これは時効がないということでしょう。ないのに、何で三年なんですか。

 過去にそういうケースがあるんですか、どうですか。それを聞いているんですよ。

 では、時計をとめて、ちょっと議論してください。

後藤委員長 時計をとめてください。

    〔速記中止〕

後藤委員長 動かしてください。

 田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 非常に手続的なことでありますが、今回のような自主的に返還しようとする場合にはこういった方法を使うことも可能であるということで、本来は、レセプトの払い戻しによる方法は、請求の誤り、これは過誤調整ですね、修正のために使われているわけなんです。これを今回のような場合に準用をしているという事例はある。

 ただ、先ほど来言っておりますが、民法の規定ですから、民法の規定の中においては三年間が時効というふうになっておりますので、民法の規定においてそのようになっておる。ただ、便宜上、このような形で差っ引いているということをやっておる事例があるということであります。

長妻委員 いや、今のは違うんじゃないですか。二十四年度を見ると、便宜上、例外的みたいな話がありましたけれども、それと直接以外はないんですよ。つまり、差っ引く控除返還と保険者に直接返還する直接返還、その二つしかないじゃないですか。ですから、三年の時効にひっかかる返還なんて、二十四年度は一件もなされていないんですよ。これは不思議なんですね。

 私も、基金にもお話を聞きましたら、これは一般論としては、やはり三年を過ぎると請求し直すのはなかなか難しいんだ、そして、基金にそういう問い合わせがあったときに、保険者には直接返せるよ、こんなようなアドバイスはしていないというようなことでありまして、これは厚生局も、多分基金も、病院も、混乱しているんだと思うんですね。

 一体、どうやってお金を返すのか、それの統一見解がなかなかないんじゃないのかと思いますので、大臣、これはぜひ整理をしていただいて、通知を出していただきたいんですね。全国の地方の厚生局あるいは医療機関等に通知を出して、こうこうこういうことだから徹底をしてくれということと、あとは近畿厚生局長に厳重注意をしていただくということと、ほかにも勘違いして、では返却できないからということで金が滞留しているのがどれぐらいあるのかどうか、これも調査をしていただきたいという、三点をお願いいたします。

田村国務大臣 これは近畿厚生局では把握できなかった案件で、要は、今の話を整理しますと、医療機関の方が、以前、言うなれば、自分のところで新しい医療機械を入れて、今までと同じような診療をしておった、ところが、それ自体が、機械自体が承認されていないものでありますから、保険診療として使われなかった、ところが、それを保険診療で使ってしまったということでありますよね。

 その上で、その請求を気づいて、これは本来保険請求じゃなかったということを基金に伝えた上で返還するという話であったのが、それがこのような形で三年たったから、結果的には、返してもらっても、もらえませんでしたよという、そこの判断になったわけでありまして、厚生局の方ではここは把握ができなかったという案件でありますので、厚生局だけがわかっていてもだめな話でありますから、これはやはり何らかの形でそこを周知できるようにしていかなければならないというふうに思います。

 あわせて、こういうような案件、三年を超えるような案件はどれぐらいあるかというようなことを調査しろというお話がございました。これに関して、どれぐらい手間がかかるかということも含めて、前向きに検討させていただきたいと思います。

長妻委員 周知ということをおっしゃいましたから、これは多分混乱していると思うんですね、基金も、聞くと、非常に曖昧な答えで、医療機関も知らない、今回も厚生局もちゃんとした指導がないということで。

 ですから、ぜひ周知をして、調査をしていただきたいのは、三年でだめと言われて、せっかく返す金が滞留して、私も、この病院の方ときのうお話ししました。そうしたら、本当に不安だったとおっしゃっていますよ、その金を返せないからどうしよう、どうしようと。相談しても、厚生局から後で連絡すると。でも、連絡は全然ない。

 こういう事例が全国にいっぱいあるとすれば、これだけ医療財政が大変だと言っているときに、せっかく返すと言っているのを要りませんという形で宙に浮いているというのは、職務怠慢というふうに厚生局はそしりを受けても仕方がない状況になると思いますので、ちょっと大臣、やはりめり張りをつけて、優しくするところは職員に当然ねぎらいをすると同時に、厳しくするところもちゃんとやっていただかないと、国民の金であります。

 もう一つは、今、特定秘密保護法案が議論されておりますけれども、私も大臣をさせていただいたときに、大臣室に来る資料は、マル秘という印鑑というか、右上に赤いのがいっぱい押してある資料ばかりが来た記憶がございますが、ちょっと厚生労働省に聞いてみたんですね。では、厚生労働省で省秘というのは何件あるんですかと聞きましたら、十五ページに出てきまして、一件だけしかありませんと。一件しかない。

 でも、大臣室に上がってくるのは、マル秘という判こがばんばん押してあるのが大量に上がってくるので、何で一件なんだろうというふうに考えておりましたら、十二ページ、資料をいただきましたけれども、この印鑑というのは実物がここに押してありますけれども、秘というものでございます。厚労省の回答としては、「秘密文書として指定された文書以外で、文書を作成する部局の判断で、秘密である旨を表示した行政文書を作成している例はあります」、こういうことなんです。「現時点では厚生労働省全体の数は把握していません。」ということなんです。

 これは、ほかの省庁との対比という意味で、ちょっと防衛省にお伺いするんですが、防衛省は、省秘、特防、あるいは防秘、いろいろ秘密があると思います。多分、厚労省は、カウンターインテリジェンスの特定管理秘密と省秘、二つしかないと思うんですが、例えば、防衛省では、訓令等で規定されている、今法律で規定されている秘密以外を、秘密文書、こういうふうに指定あるいは扱うということは、あるわけですか、ないわけですか。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 防衛省におきましては、秘密と表示されます文書、これは、防衛大臣が定めます秘密保全に関する訓令に基づき指定を行う、先生おっしゃられました、いわゆる省秘という扱いの文書となります。

 いわゆる省秘につきましては、この訓令に基づきまして秘密指定等の手続を行うこととなってございます。この際、特に秘密指定に当たりましては、国の安全または利益にかかわる事項であって、関係の職員以外に知らせてはならないものを秘密の管理者が指定を行うということとなってございます。

 このように、防衛省におきましては、いわゆる先生がおっしゃるところの省秘の指定につきましては、規定に基づいて行われておりますため、規則に基づかずにいわゆる省秘の指定を行い、秘密と表示するということはございません。

長妻委員 そういうことなんですが、厚労省は、秘密文書として指定された文書以外で、部局の判断でどんどん判こを押していると思うんですが、いいんですか、こういう何でもかんでも秘密にするような扱いというのは。

田村国務大臣 訓令に基づき秘密文書と指定されているのは、今、一件であるということであります。

 そのような御指摘はいろいろなところからいただいております。現在、取扱注意というような形にこれを変えさせていただいておる最中でありまして、言われるとおり、マル秘などというようなものはもう減らしていこうという方針であります。

長妻委員 これは、特定秘密保護法ができた後も省秘というのは残るわけで、意外に省秘というのがむしろ乱用される現状があるんじゃないか、今後もあるのではないのか。廃棄の基準も明確でないので、確かに文書管理法に適用はありますけれども、捨てられている部分もかなりあるということです。

 何でもかんでもマル秘の判こを書類に押して、それで、結局、我々国会議員が請求しても、それは出ません、では、それは何の根拠なんだと言うと、いやいや、それは出ないんです、こんな話が非常に多いわけでございまして、これは、ぜひ、全省庁にわたって、これについての改善をしていただきたいと思います。

 そして、懸案のノバルティスの問題であります。

 七ページでございますが、例の臨床研究で問題が見つかったノバルティスの血圧を下げる薬でございますが、滋賀医科大学でも問題があったわけで、そこにかかわっていた研究者三人の方々、国立大学でありますけれども、研究者、お医者さんでございますが、ノバルティスファーマ社から幾らぐらい受け取っていたのか、おわかりになりましたか。

櫻田副大臣 平成十二年以降で現在把握している数値では、受託研究費として、所属講座に対して合計二千百万円。寄附金として、所属講座に対して合計七千四百万円。講演・監修料等として、三名の研究者に対し合計五十三件五百五十八万円の提供を受けております。

 なお、研究に必要な費用を考慮して、双方の合意で決まる受託研究費や、先方の意向に基づき受け入れる寄附金などについて、これらについての見解を一概に申し上げることは適当でないと考えております。

 文部科学省としては、国民の疑惑や不信を招かないよう、国立大学法人に対して、規定等の見直し、整備について要請を行う方向で検討しているところでございます。

長妻委員 これは私が要請して調べていただいたんですが、今言った数字というのは、通常は報告義務はない数字でございますか。

櫻田副大臣 ありません。

長妻委員 これは、国立病院については国家公務員ですから報告義務はあるんですけれども、大学はないので、全くわからないんですね。

 臨床研究でも問題がありますから、ぜひ、副大臣のリーダーシップで文科省、そして、田村大臣も人ごとではありませんので、これは、研究については厚労省の管轄ですから、ぜひ協力をしてお願いをいたします。

 そして、年金につきましては、会社に勤めているのに厚生年金に入っていない、しかも、ルール上入らないでいいという方のみならず、ルール上入らなきゃいけないのに厚生年金に入ることができない、違法状態とでもいうべき方が何人いるのか。当初、三百五十万人という話が出ましたけれども、それはちょっと、何というんですか、腰だめの数字というのか、余り当てにならない数字なんだ、大臣御自身がそういうふうにおっしゃるというのも変な話であります。

 ここに、八ページでございますけれども、今、厚生年金の適用事業所が百七十六万事業所なんですね。ところが、全部の事業所はどのぐらいあるんですかと聞くと、平成二十四年経済センサス活動調査によると、五百七十七万事業所。単純に割り算すると、その全事業所の三割しか厚生年金を適用されていない。

 ただ、これは、注意書きがここの資料にもあって、これはカウントが違う、基準が違うからこうなっているんだということなんですが、それにしても多いんじゃないのかと思いますので、ぜひ、これについて、サンプル調査等も多用して、あとは、国民年金被保険者実態調査というのも今やっている最中ですので、ここで何とか実態を把握することを検討していただきたいと思います。

 時間も参りましたので、これは要請だけにしておきますが、最後に、この配付資料の十八ページから二十五ページに、この間、今国会で、厚生労働委員会で、私が質問させていただいたもので検討する事項をおっしゃっていただいた主なものをお役所からまとめていただいたわけでございまして、この十八ページから二十五ページ、ぜひこれは、各役所におかれましても、備忘録として、忘れることなく、紙も配付していますので、ぜひ確実にやっていただきたい。

 この私の質疑も、この委員会も、税金で賄われております。言うまでもなく、私のお給料も皆さんのお給料も、ここの開催費も電気代も、全部税金でありますので、ここの質問が言いっ放しに終わると貴重な税金がもったいないわけでありますので、ぜひ実行をしていただきたいということをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 おはようございます。中根康浩でございます。

 引き続き、またかと思われるかもしれませんが、難病対策について大臣と議論を進めてまいりたいと思います。

 昨日、民主党の厚労部会として、改めて当事者の方、患者の方、御家族の方、団体の方にお越しをいただいて、ヒアリングをさせていただき、御意見をさまざま承りました。

 そこで御指摘をされたのが、十月十五日、安倍総理の衆議院本会議における所信演説でございます。配付をいたしておりますので、皆さん、ぜひお目通しをいただきたいと思います。

 総理の所信表明でありますので、ある意味、全国民に対してメッセージを発信された、全ての衆議院議員がこれを聞いていたということになりますが、改めて難病に関するところを読ませていただきますと、「難病から回復して再び総理大臣となった私にとって、難病対策はライフワークとも呼ぶべき仕事です。」とおっしゃっておられるわけでございます。

 これを聞いて、難病患者の方、小慢患者の方、御家族の方、安倍総理に対して大きな期待をお寄せになられたと思います。期待を寄せておられた方々が、まさか今、自己負担増の厚生労働省案が示されようということは、全くこの演説を聞かれたときに予想だにしなかった。負担が軽くなることはあっても、あるいは現状維持されることはあっても、負担増になることを予想された方は誰一人いなかったと思います。

 ライフワークということで御自身で位置づけておられるということは、難病患者の方、あるいは小慢患者の方、御家族の方々の立場に立って政策、制度をつくっていくということをここで決意表明されたということに違いないと思います。にもかかわらず、今、厚労省は、消費税を上げる一方、自己負担増の素案、たたき台を難病対策委員会にお示しになられようとしておるわけであります。

 まず、お聞きしたいのは、ライフワークと難病患者の方々に大きな期待を与えた総理が、今、厚労省案をきちんと把握しておられるか、御存じであるかどうか。大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 これはまだ難病対策委員会で議論の最中でございますから、決定いたしておりませんので、そこのところを詳細には御理解いただいていないと思います。

 しかし、方向性は、これは報告に行っておりますので、どういう議論がなされていて、今どういうような、提案といいますか、たたき台でありますとか素案が出されておって、その中において、どういうところに問題があって、どのような議論がなされているか、こういうことは御理解をいただいておると思います。

 あわせて申し上げれば、三百万人規模に、この医療助成の方々、これは難病の方々ですよね、これを広げようということ、さらには、今まで三割医療費自己負担だったのを二割にしようというようなこと、まさに難病対策、これは小慢もそうであります、かなり枠を広げながら、一方で、負担も減る部分もあるわけであります。

 さらに申し上げれば、その難病対策にかなりの額のお金を、これは消費税の中からという形でありますけれども、ふやしていく、こういうことも議論をしているわけでございますから、全体で申し上げれば、それは、難病対策や小慢対策に対してしっかりと対応していくという方向があることは間違いがないわけでありまして、予算を切って、今まで以上にこの難病対策等に対して厳しい状況を強いるというような状況にはないということを前提に、御理解をいただいて、御質問いただければありがたいと思います。

中根(康)委員 国政が抱える課題は、国民からの要望は数限りなくある中で、限られた時間の中で、安倍総理があえてここに、難病対策は御自身のライフワークであるという文言を加えて所信表明をなされたという事実は、大変重いものがあると思います。

 私たちは、これまでも、消費税を引き上げるわけだから、充実、今も大臣もおっしゃられた、五十六から三百であるとか、三割から二割であるとか、義務的経費化するとか、あるいは、就労支援だとか、ネットワークだとか、データベース化するとか、こういったことは当然行うべきであるけれども、消費税負担は難病患者の方々に対しても当然一律にかかる。それに加えて負担増は、これはやめるべきだということを再三にわたってお訴え申し上げているわけであります。

 総理大臣も厚労省案に対しては一定の把握をしておられると、今、大臣が御答弁をされたわけでありますが、これは、総理に対してどなたが御報告をされておられるわけですか。大臣ですか。

田村国務大臣 済みません、三百万人と申し上げましたが、三百疾病でございました。これは訂正させていただきたいと思います。

 これは、厚生労働省がたたき台を出して、その後、素案、そして今、さらにそこから、難病対策委員会で、これでもまだ厳し過ぎるというようなお声をたくさんいただく中において、さらなる負担軽減策、軽減策というとまた怒られますから、我々が示したもの、もしくは素案よりも、そこからの軽減策でありますけれども、そういうものを御議論いただいて検討いただいているわけですね。

 その方向性は、これは総理にお伝えを、いろいろなルートを通じてさせていただいております。

中根(康)委員 私は、別に大臣や厚生労働省を責めているわけではなくて、むしろ、所信表明で取り上げて演説をされたわけだから、これは予算確保の重大な、重要な後ろ盾になるわけでありますので、今までもこれも申し上げておりますが、難病患者が難病患者を支えるというような仕組みではなくて、難病対策予算をきちんと確保して、負担増を強いない難病対策に仕上げていただきたいと、ある意味、応援をしているわけであります。

 むしろ、これは、改めて大臣からも、総理、所信表明で御自身でライフワークと力強く宣言をされたわけですよね、だから難病対策予算を政治的な判断も含めてきちんと確保しましょうということを、大臣あるいは厚労省が力強く働きかける、総理に要望する一つの重要な材料だと思います。

 ぜひ、大臣、改めて、今御答弁がなかったわけなんですが、総理に対してどなたがこの難病対策、ライフワークと位置づけておられるわけですから、常にやはり、もちろんお忙しいですからいつもこのことにかかわっているわけにはいかないでしょうけれども、しかし、報告ぐらい上げてきてもらいたいと思っておられると思います。

 誰が難病対策についての経過報告をされておられますか。大臣ですか、それとも局長ですか。

田村国務大臣 いろいろなルートを通じて総理にはお伝えをさせていただいております。いろいろな機会を通じて、私からお伝えしたこともございます。

 今の方向性、それは、詳細に中身を、まだ決まっていないわけでありますから、こういう議論の中でこういうような案を提出させていただいて、その中において、今それでもこういう議論が起こっていて、その中において難病対策委員会で御議論をさらに詳細に詰めていただいておりますというようなお話でございます。まだ決まっておりませんので、中身まで、これが決まったものですというようなことは、当然、お伝えはさせていただいておりません。

 総理に、これは難病対策だから予算をしっかりとるようにというようなお話をしたのかということでございますが、折につけ、やはり、難病対策も含めて二・八兆円という、消費税増税分の中でしっかりとやっていかなければならない部分でございますから、その中で、何をバランスをとってやっていくか。そこから診療報酬の改定もやらなきゃいけない部分があるわけですよね。

 ですから、そこは、ある程度、どの金額の中において、中の充実はどのような形でバランスをとっていくのかということはいろいろな検討をしなければならないわけでありますから。無尽蔵に厚生労働予算がふえていけば、それは、民主党がおっしゃるとおり、あれも、これも、それも、どれも、何もかもということができるわけでありますけれども、なかなかそうはいかないという状況の中で、それぞれ厳しい財政状況でありますけれども、その中においても、しっかり予算をつけながら、関係者の方々とも御議論をさせていただきながら、最終的な詰めを今、難病対策委員会の方で御議論をいただくということであります。

中根(康)委員 繰り返しになりますけれども、各省から、あるいは自民党、公明党の与党の先生方からも、ぜひ所信表明にこのことを盛り込んでいただきたい、総理として取り組んでいただきたいということは星の数ほど出てくる中で、総理が、この難病のことについて、重要な、限られた時間、限られた文字数の中で盛り込んだということの意味合いの重大さ、責任の重さということを、今私は指摘させていただいているわけです。

 「難病から回復して」と、まさか、自分は回復して克服したから、もう後は知らないという意味でおっしゃったはずはありません。

 自分自身が苦しい、つらい体験をしたから、そのことは一番よくわかっている、だから、そこには限られた予算を、ほかのところには我慢してもらってでも、ここに優先順位を高くつけていくという宣言であった、あるはずだと私は思いますし、これは私が思ったわけではなくて、私も思いますけれども、きのう、先ほど申し上げましたように、民主党の厚労部会で、当事者の方々に改めてお越しをいただいて御意見を承った中で、総理がライフワークという言葉で所信表明されましたよね、だから私たちも大きく期待していたんだけれども、しかし、ここで出されているのは自己負担増の素案であるということで、大変落胆をされた御意見の中で御指摘をされたということでございます。

 きょうは、このことばかり申し上げていてもあれですけれども、ぜひ、改めて総理に、ライフワークとおっしゃっておられるわけでありますので、今の厚労省の、決めた後ではなくて、ぜひ決める前に総理に御報告をいただいて、これで決めようと思っているんですけれども、総理はいかがお考えですかということを、大臣として、厚労省として確認をしていただきたいと思いますけれども、お約束いただけないでしょうか。

田村国務大臣 随時、総理には状況は御説明をさせていただきたいと思いますが、それぞれ所掌があるわけでありまして、これは厚生労働大臣の責任で最終的には決めさせていただくものでございますから、厚生労働大臣として、責任を持って最終的には判断をさせていただきます。

中根(康)委員 もちろん、厚労大臣が責任を持つこともよくわかりますが、しかし、これは所信表明で盛り込まれているわけですので、私は、このことについては総理の責任だと思います。違いますか。

田村国務大臣 先ほども言いましたとおり、総理に経過等々は御説明を随時させていただきます、非常に御関心の強い分野でございますので。

 しかし、最終的にこれを判断するのは私でございますから、総理が判断をするというものではございません。ですから、私の責任のもとにおいて、私が最終的に判断をさせていただきます。

中根(康)委員 総理のお考えと大臣のお考えが、もしかしたら食い違っているかもしれません。

 ぜひ、総理に今この段階で御報告をいただいて、もちろん、最終的に自分の責任でお決めになるということであれば、それは一つの敬意に値する御覚悟であろうとは思いますけれども、しかし、総理が所信表明で演説をされ、全国民、全衆議院議員がこれを聞いているという内容でありますので、これは、大臣が強い決意、勇ましい覚悟をお示しになるのはわかります。しかし、やはり今の議論の途中経過というもの、方向性というものを、改めて総理大臣に、安倍総理にお伝えいただくということは、私は必要なことであろうと思います。

 紙一枚でも投げ込んでおいて、それをごらんになるかならないか。ならなければ、ライフワークだと言ったことがうその演説だということになってしまって、これは、難病患者だけではなく、全国民を欺いたということになってしまうわけでありますので、ここは、ぜひ大臣、強い決意をお示しになればなるほど、やはり総理のお考えを途中経過でお聞きになるということは、私は決して無駄なことではないというか、必要なことだというふうに考えさせていただいております。

 ぜひ、次の機会には、総理がこのことについてどうお考えになっておられるか、できればお聞かせをいただければというふうに思います。

 それで、引き続き、大臣のソウルにおける御発言のことについて、改めて確認をしてまいりたいと思います。

 自立支援医療の上限額程度で最終取りまとめを願いたいと。つまりは、高齢者医療の上限四万四千四百円、これはきつい、与党からも何とかしろと叱られたということを、大臣ははっきりと御答弁をされておられるわけであります。その結果として、自立支援医療に合わせる形で二万円程度に軽減を、軽減というか額の設定を考えているということでございます。

 改めて確認をしたいと思いますが、難病患者の生活実態は高齢者とも障害者とも違うということの中において、なぜ自立支援医療並みということになるのか、もう一度、明確な御答弁をお願いしたいと思います。

田村国務大臣 いろいろな議論を難病対策委員会でもやっていただいてきたわけでございまして、やはり、一つは、高額で長期間医療費がかかるという、そのような特性があられるわけであります。そして一方で、仮に、軽いという言い方がいいのかちょっとわかりませんけれども、軽度であったといたしましても、やはり長期間治療が続くという方々もおられるわけでございますので、こういう方々に対して、やはり何らかの、負担感というもの、これを削減できるようなことを考えなければならない。これは、与党からも強く、そのような御意見をいただきました。

 それで、自立支援医療水準に、二万と私は言っておりませんけれども、そういうような水準を一つ参考にさせていただいて、見直しを図るべく難病対策委員会の方に御提案をさせていただきたい、こういうような話をさせていただいたわけであります。

 なぜ自立支援医療なんだという話からすれば、確かに、難病の患者の方々と自立支援医療を受けられている障害者の方々では、長期にわたって医療費がかかるという部分では同じなんですけれども、違うところもございます。

 症状が比較的変動がある難病の方々と、安定しておるというか、一定のところで症状が安定しておる、それは重い軽いというのは別ですけれども、そういうような障害者の方々と違いますし、そういう違いはあるんですけれども、しかし、長期にわたって医療負担がかかるという側面では、そこは同じ部分もあるわけでございますので、そういうような形の中において、自立支援医療の水準というようなことを一つ参考にさせていただきたいというような考えに至っておるわけであります。

中根(康)委員 納得できる御説明ではなかったような気がいたします。

 つまりは、やはり、難病の方は、高齢者の方とも障害者の方とも生活実態が違うわけなんです。ですから、改めて、これまでも要求してまいりましたけれども、発症年齢、つまりは人生の中で治療年数がどれぐらいかということとか、あるいは、障害年金の有無であるとか、福祉サービス、介護サービスの利用の有無であるとか、就労状況であるとか、こういったものをきちんと把握した上で、難病の特性に合った独自のものを、何かの制度をまねるという安直な考え方ではなくて、難病の方独自のものを、ここは時間をかけてでも、つくり直していくというか新たにつくっていくという姿勢をぜひ厚労省に求めたいと思います。

 いずれにしても、今回出されているのは、二万円であろうと四万円であろうと、これは負担増ということになるわけで、繰り返しになりますけれども、日常生活に消費税負担がかかる上に、この負担増ということになるわけでありますので、相当生活を圧迫するということは間違いありません。

 そして、重症患者の無料制度の廃止ということの中においては、受診抑制というものが大変心配をされるわけであります。また、世帯単位という考え方を導入することによって、世帯分離を余儀なくされたり、あるいはまた離婚を余儀なくされたりということのおそれがやはり払拭できないわけであります。最悪の場合は、自殺ということにもつながりかねない。

 こういったことは、障害者自立支援法をめぐる一連の動きの中でも、私たちは苦い教訓を得ているわけであります。

 これはけさの新聞でございますので配付をいたしておりませんけれども、けさの朝日新聞の記事として、「首相「自殺者減へ尽力」」

 安倍晋三首相は二十八日、超党派の自殺対策を推進する議員の会の尾辻秀久会長らと首相官邸で会って、来春の消費税率引き上げ後に自殺者がふえないよう予算確保を申し入れた尾辻氏に対して、首相は、自殺は残された家族にとっても悲劇だ、自殺者が一人でも減っていくように力を尽くしたいと応じておられるという記事が掲載をされておるわけであります。

 尾辻先生は、消費税が上がるだけでも自殺者がふえるのではないか、だからその対策、予算確保が必要だ、そして、それを安倍総理はお認めになって、力を尽くしたいと回答しておられるわけであります。

 消費税が上がるだけで自殺者がふえるということになれば、ただでさえ病気で苦しんでおられる方々が、その治療費の自己負担がふえればなお一層自殺のおそれが高まるということは、これは、尾辻先生だけではない、安倍総理も認めておられるわけでありますので、厚生労働大臣としても、これは認めざるを得ない、否定できない、心配、おそれがあるということだろうと思います。

 やはりここは、大臣の、これはある意味政治的な御判断で、消費税を上げて難病対策の充実をする、これはぜひやっていただくということで、それとセットで、何やらの公平だとか均衡だとか、あるいは自助努力だとか、こういったものを持ち出して余り合理的な理由の見当たらない負担増というものは、この際撤回をしていただく。

 きょうたまたま、安倍総理の所信表明演説、そして、尾辻先生に対する、自殺者対策をしっかりやっていくということを総理がはっきりおっしゃられたという報道、こういったことをあわせ考えれば、これは、負担増というものは撤回せざるを得ないというか、大臣ももし負担増をしたくないということを内心思っておられれば、これは大変いい状況がつくられているのではないか、厚労省にとっても予算確保の環境が整っているのではないかというふうに思います。

 尾辻先生そして安倍総理の、この自殺者対策に対しておっしゃっておられることに対して、大臣、どのようにお感じになられますか。

田村国務大臣 委員からも、前段はありましたけれども、自立支援医療を参考にすべきではないかというような御意見を以前いただきました。そういう意味合いも含めて与党からもいろいろな御意見をいただいて、今般、自立支援医療を参考にさらに検討いただきたいということを、難病対策委員会の方に我々として提案をさせていただこうというふうに思っております。

 その上で、自殺の問題がございました。

 これはこれで、今般の制度改正のみならず、やっていかなければならないことでございます。相談支援でありますとか、それでセンター等々もございますので、あらゆる、今ある事業、そして、これからやろうとしている事業、こういうものを含めて、難病の方々、小児慢性特定疾患の方々、こういう方々が自殺なさらないように、我々としても制度整備、これはしっかり努めてまいりたい、このように思っております。

中根(康)委員 自殺をされないようにということは、つまりは負担増しないということだと思います。やってみて、自殺者が出たからやはり考え直します、だから負担軽減をいたしますということでは、取り返しがつかないわけであります。

 ここは、まだ時間はあると思います。来年の法案提出ということが予定されているわけでありますので、まさに、今が正念場。難病や小慢の御家族の方々にとっては、まさに生きるか死ぬかの死活問題が今決められようとして、しかし、決められていない。今、厚労省は、まだまだ検討の余地があるという段階であるわけでありますので、ここは、ぜひ、大臣の政治的な指導力を発揮していただく場面であろうと思います。

 言いわけをするわけではありませんが、せめて自立支援医療ということを申し上げたわけで、自立支援医療でも、よく考えてみるとふさわしくないということを私は申し上げたと思いますので、そこはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 大臣、ぜひ、これは自殺者が出たら考え直すということですか。自殺者が出ないように全力で考えるというのが、厚生労働省としての、財務省が何と言ったって、どの、ほかの役所が何と言ったって、厚生労働省は、ここは国民の命を守るんだ、一人たりとも置き去りにしない、犠牲にしないんだという御決意はいただけないでしょうか。

田村国務大臣 安倍内閣は、財務省であろうと何省であろうと、自殺というものが起こってはならぬというふうに考えております。ですから、安倍内閣を挙げて、自殺対策の方はしっかりとやってまいりたいというふうに思っております。

中根(康)委員 自殺対策はしっかりとやっていくということでございますので、ここは負担増の議論をもう一度その観点から考え直していただく、このことをお願いして、きょうの質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、新原秀人君。

新原委員 日本維新の会の新原でございます。

 きょうは、一般的に全体の質問ということで、タイムリーなことで、先ほど柚木先生も御質問されましたけれども、HIVについてちょっとお聞きしたいと思いますので、まず、資料の九から始めたいと思います。先日から報道されていまして、輸血で男性が感染されたということですね。

 私の生まれたというか、私の小学校の校区内で、初めてのHIVの感染者が、神戸の板宿というところで、女の方が亡くなられたんです。その当時は、僕は小学校ではなかったですけれども、もうかれこれ三十年前ですか、亡くなられたのが神戸ということで、その家も結局は住めなくなって、いまだに空き地の、駐車場のままになっているということで、その当時はHIVということはかなり、そういった、差別じゃないですけれども、大変な目に遭われたと思うんです。

 そういった意味で、まず、HIVについて、今、日本の国においてHIVというと、まず、感染するということと発症するということは別なんですね。今は、発症しないように薬でどんどん抑えて、なかなか発症しないので、結局は亡くならない。つまり、逆に言ったら、ウイルスを持ったまま元気に生きられている方がどんどん多くなっている。そういった懸念もかなりあるわけですね。

 そういった中で、HIVに対して、現在の日本における傾向なりについて、ちょっと簡単にお教えいただけたらと思うんです。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま御質問がありましたように、HIVあるいはエイズの発症までした方ということですが、これは、一言で申しますと、長い長いスパンで見ますと、やはり増加の傾向にあるということが言えると思います。まず、それが一つ。

 それから、二つ目は、性的接触による感染原因が主流を占めているということ。それから、比較的若い世代、三十代、四十代、あるいは二十代、こういったところで感染される方が多い。こういう傾向であると思います。

新原委員 人数的にはどのようなレベルで上がってきているんですか。その辺、簡単に、この十年、二十年の経過をいただけましたらありがたいんですけれども。

佐藤政府参考人 きょう、資料を持ってきておりますので、少し調べさせていただきたいと思います。ちょっとお持ちくださいませ。

 感染者というのは、大体、年に四回ぐらいの感じで報告をいただいて、それを公表するということにしております。例えば、平成七年ぐらいですと、感染経路別等々も分析をしているんですけれども、毎回、百とか、そのレベルで推移をしておりましたけれども、最近は、例えば平成二十五年ぐらいになってきますと、千を超えるベースで推移をしております。

 済みません、資料はたくさん持ってきているんですけれども、御通告をいただいていたのと順番が違ったので急にちょっとお答えできなくて、いずれにしましても、このところ、漸増傾向にある。他の質問の間にすぐ調べます。

新原委員 ありがとうございます。ちょっと僕の聞き方が悪かったと思います。

 資料の十に添付しておりますけれども、二十五年九月二十九日現在のエイズ患者、HIV感染者ということで、これは今のことで載っていますけれども、今お答えいただきましたように、どんどんふえてくる傾向。

 やはり、感染者がふえてくると、それなりの接触なり、いわゆる可能性が大きくなっていきますから、どんどん感染する可能性がふえてくるということなんです。僕自身思うんですけれども、今、この資料の十を見ますと、同性間の性的接触、これは男性間が多いと思うんですけれども、こういった数が一番、極端に多くなっているということですよね。

 そういった意味での、対策なり、今後広がっていかない、もちろん、輸血というのはまた別の話で、後でしますけれども、HIV対策に対して、力を入れていくなり、今後どのような形なり、今、特にこういうことに力を入れているということはないんですか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 先ほどもお話をいたしましたように、若い世代、そしてまた、感染の理由として性的接触が多いということですから、若い世代に働きかけるということが一番重要だと考えておりまして、もう既に、十二月一日のワールドエイズデーを待たずに、先週の日曜日にもキャンペーン、言ってみれば、レッドリボンライブという形で、笑いや、歌や、あるいは普及啓発をするコントのようなものを入れたりしながら、シンポジウムというかライブをやりましたし、また、その情報は、ユーストリームだとかニコニコ動画のような形で配信をいたしました。

 こういう若い世代に対する対策が重要だと思いますし、また、あわせまして、その場でも申し上げましたけれども、無料による保健所における匿名検査、こうしたものが受けやすい環境、受けていただく普及啓発というのが重要だと思います。

 それから、先ほど、お答えの中でちょっとうろたえてしまいましたけれども、新規のHIV感染者の年次推移、平成二十年から二十四年ぐらいを見てみますと、千百二十六、千二十一、千七十五、千五十六、千二という形で推移をしております。実際に発症される方、感染者ということでいいますと、二〇〇八年が四百三十一でしたが、以下、四百三十一、四百六十九、四百七十三、二〇一二年は少し減っていますけれども、四百四十七という形で推移をしております。

新原委員 ありがとうございます。

 そういった形で、今回、献血のいわゆる感染によって、HIVというのはまた国民の方々にちょっと危機感を与えるといいますか、チャンスだと思うんですね。こういったことで実はHIVもどんどんふえて、エイズ患者さんもふえているということを、やはりこのチャンスにもっともっと言っていかないと、年間千人以上の方が感染してきているということですから。

 そういった意味で、もちろん、検査も必要ですけれども、HIVについては、もうどんどん広がってきているんだよということも、このチャンスに、活用といいますか、輸血をするときには気をつけないとだめだということと一緒に、HIVについては非常にそういったことで危険な状態になってきているということも、あわせて周知していただきたいと思います。

 その中で、保健所で検査が無料でできると一応言われていますけれども、それは、例えば地元の保健所に行って、やってくださいと言うこと自体が、患者さんといいますか検査者はなかなか言えないですよね。それとか、名前がわかったりとか。

 その点は、どこの地域の、住んでいるところとか、行きやすい環境がやはり要ると思うんですよ。自分の住んでいるところの保健所には、エイズの検査をしてくださいというのはなかなか行けないと思うんですけれども、その点の広報なり周知というのはどのように工夫されているんですか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 HIV検査というのは、もう長年にわたって実施をしておりまして、その際、先ほどの答えの中でも申し上げましたように、無料で、匿名でということでございますから、実態で、数値として把握しているわけではありませんけれども、実際のところ、御地元の保健所でなくて、自分の顔が知られていないような遠くに行って、比較的遠い場所に行って検査を行っている方がいらっしゃるようです。

 いずれにしましても、無料、匿名であるということ、それから、地元でないといけないということはありませんし、先ほど申しましたようなキャンペーンの中ででもそういうことを丁寧に、徹底的にお伝えしているという状況でございます。

新原委員 その点、よろしくお願いいたします。

 資料の十一を見ていただきましたら、今度は献血との関連から見ますと、献血というのは、人口はふえているのに、どんどん減ってきているんですよね。献血自体が減ってきているということもありますけれども、その中においてのHIV陽性になった方が十万件当たりの数もどんどんある程度の数でふえてきている。十万人に一人ないし二人ぐらいは陽性患者がいるということですよね、これは。

 だから、こういったことをやはりもっと周知してもらって、先ほどそういった罰則はないのかということで、いろいろちょっと古い資料とか見てみますと、例えばオーストラリアは懲役刑または罰金、両者です。ただ、海外は、無料献血じゃなくて、売血といいますか、お金で売っているというところがありますので、そういった意味ではそういったことを科しやすいんですけれども、ヨーロッパ等では、無料で献血している方にはそこまで言えないんじゃないかという考え方もあるんです。

 だから、そういう形も含めて、今後、どういった形が検査献血ということを防いでいけるかということですね。一応、問診票に間違ったこと、間違ったというか虚偽のことを書くことは罰則にできる可能性はあると思いますので、問診票にきっちり書くようにという形と、それに対して何らかの制裁といいますか、罰則なりをつくるのはいけると法律的には思います。

 そういった意味で、今回の男性の方は問診票には性的接触等のことは正しく書かれていなかったということですので、そういったことのないような政策なりをやっていただきたいと思いますので、今後、検討していただきたいと思います。結局、海外でもそういった問題が問題になっていますので、各国の状況を見ながらやってもらいたいと思います。

 HIVに関してはそこまでにさせていただきたいと思います。

 次に、資料一に戻っていただきまして、厚生労働省ということで労働関係。「広がる賃上げムード」ということで、安倍総理のといいますかアベノミクスの効果が出てきているのか、賃上げムードが、大きな企業が中心なんですけれども、上がってきているというところもあるんですね。

 そうしたところで、先ほど柚木先生は介護の方で質問されましたけれども、資料二で、これは何度も見ていただいていますけれども、働く人の中の人数、産業別雇用者数というのは、医療、福祉が、介護、医療の分野がどんどん伸びてきています。つまり、消費なり景気を下支えする力といいますか、そういった力が医療、福祉の労働者にかなり、どんどんそういった影響が出てきていると思うんですね。

 そういった中、医療関係者といいますか、特にきょうは、介護は先ほど柚木先生が言われましたので、医療について。

 医療関係で食べている人というのは、いわゆる診療報酬というのがかかわってくるわけですけれども、資料の八を見ていただきますと、八行目から、医師から始まりまして、ずっと、十三ほど、これは大体載せていますけれども、そういった関係者が、獣医師はちょっと違いますけれども、診療報酬にかかわって生活をしているということになります。

 医療実態調査を行われて診療報酬というものは決められていくわけですけれども、そういった中で、まず、先日の質問のときには、医療実態調査はちょっと上向きになっているということなんですけれども、それについては、医科と、特に歯科はちょっと特殊なんですけれども、医科と歯科は分けられて調査されているんですか、それとも医療全体で調査されているんですか。その辺はいかがですか。

田村国務大臣 医科、歯科、分けて、それぞれ、調剤も含めて分かれております。

新原委員 そういった中、そこの中で雇われといいますか従事している、医科でいいましたら看護師さん、それから理学療法士、放射線技師、歯科でいったら歯科衛生士、歯科技工士ということですけれども、そういったそれぞれの職種に応じた実態調査も含めて行っているんですか。それはどのような状況になっているのか、調査も含めて教えていただけますか。

田村国務大臣 ここで今書かれているものを申し上げますと、例えば医者ですと、院長、医師、また歯科医師もありますし、薬剤師、看護職員。医療法人、国立、公立というふうに分かれております。さらに、一般病院と一般診療所というような分け方も、同じようなカテゴリーでやっております。

 保険薬局も、法人、個人というような形で分かれておりまして、歯科の場合で申し上げれば、院長、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士というような職種ごとに調査が出されております。

新原委員 ありがとうございます。

 そういった中で、看護師さんなり、衛生士さん、技工士さんとか、いろいろおられるんですけれども、この十年、二十年の状況的に、診療報酬は結局ほとんど変わっていない。診療報酬を上げることがいいとか、下げるのは悪いとか、そういうことを言っているんじゃないんですよ。診療報酬の影響が、彼らの給料にどれだけ影響が出ているかということなんですけれども、診療報酬はほとんど変わっていないですよね、この十年ぐらいは。

 その中で、医療関係者、この辺の給料の推移は、実態はどうなっているんですか。

田村国務大臣 今般の医療経済実態調査で申し上げれば、非常にばらつきがございます。

 例えば、病院系の薬剤師で見ますと、医療法人、国立、公立とありますが、国立、公立等々、それぞれ、医療法人を比べますと、全て、若干なりともマイナスになっております。看護師を見ますと、医療法人、国立はプラスでありますけれども、公立はマイナスであります。

 それから、歯科の方で見ましたら、歯科の方は、歯科衛生士、歯科技工士は、医療法人、個人とも歯科衛生士は若干プラスでありますが、歯科技工士を見ますと、医療法人はマイナス、個人は若干プラスというようなことがございます。

 総じて見ますと、コメディカルの方々は、プラスのところもあればマイナスのところもあって、それぞれ形態によって違っている。もちろん、この形態も、調査した中においてですから、それぞれ病院ごとにかなりばらつきがあるわけでありまして、その中の平均をとっておるんだと思いますけれども、特段、ずっと上がり続けているという傾向もなければ、ずっと下がり続けているという傾向もなくて、ばらつきがあるというような状況であると思います。

新原委員 ありがとうございます。

 実際、民間のそういったコメディカルの方というのは、なかなかベースアップというのはどんどんしていかないですよね。ただ、公立病院は、決められたように、事務系と同じように、給料表がありますから、それでどんどん上がっていくという形になります。

 だから、特に公立病院等では、結局それが足かせになって、民間に委託するなり、法人系にかえて、結局、公務員給与と分けて考えないと、なぜなら、例えば五十五ぐらいの看護師さんは、経験はありますけれども、体力的には、やはり三十とか三十五ぐらいの若い女の人の方がどんどん動けるし、夜間も、そういったしんどいことをされています。

 つまり、給与体系が、どちらかというと民間というのは、ある程度上がってからずっと横ばいになって、そういったことはないんですけれども、公立的な病院は、結局、ある程度、五十五ぐらいまでは上がっていきますから。もちろん、経験があって、そういった五十五歳の看護師さんの方の方が、それは経験があって知識もあると思う。しかし、実際、現場で働いて一番しんどい目をしているのは、僕は、三十代、四十代ぐらいまでがどんどんしんどい目をしている。

 だから、その辺がやはり民間と公立の差がありまして、公立の病院では補助金を出さなければなかなか黒字になっていかない。民間は、そういった形では苦労されていると思うんですね。だから、その辺については、今後、診療報酬、それから、コメディカルの方々の給与ということをやはり考えてやっていかなければならないと思います。

 資料四を見てみますと、実際に、財政制度等審議会では、医療費の抑制を求めて、上げは不要という形で出ています。それから、経済財政諮問会議でも、どうするのということで、どちらかというと上げるなとも言っています。次のページは同じことですね。

 だから、そういった意味で、経済界なりは、やはり負担が大きくなる、つまり、患者さんとしても負担も大きくなる、社会保険の掛金も大きくなるということで、その辺のバランスというのが非常に難しい昨今のこの診療報酬の状況だと思いますけれども、現在の状況では、お話しできる程度でいいんですけれども、中医協の話ではどのような話になってというのは、まだちょっとそこまでオープンにできない状況なんですか。

赤石大臣政務官 今、盛んに中医協で議論しているところでありまして、コメディカルについては、チーム医療の団体が入っておりますので、そこでそれぞれの立場の要望を話しているところであります。これから議論がまさに真っ最中になっていくところでありまして、最終的には、全体のボリュームをどうするかというのは政治判断で決まることになるだろうと思います。

 私も、臨床検査技師として検査の現場で働いていた人間から見ますと、やはりコメディカルの方で一番低いところにあるのは、歯科衛生士さんが多分一番低いんだろうと思います。一番高い位置にあるのは、多分、看護師さんが一番高い位置にあるのかなという感じがします。

 ただ、この給与というのは、どちらかというと、診療報酬で決まるというよりも、やはりマネジメントの問題が一番大きいんだろうと思います。ですから、診療報酬で従業員の給与を誘導するというのはなかなか難しい話でありまして、先ほどの、公立病院とか私立病院といってもそれぞれ違いますので、そういう点を踏まえれば、診療報酬で大きな枠は決めますけれども、それぞれの従業員の給料のベースについては、それぞれの経営体でしっかり判断してマネジメントをやっていただきたい、このように思います。

新原委員 ありがとうございます。

 そういった意味で、診療報酬について検討して、厚労省としては頑張って戦っていっていただきたいと思います。

 その中で、実際に、診療報酬の中で、一時期、薬価を減らして診療報酬にかえたという時期がありまして、それが薬価加算という形でずっと行われていたんですけれども、それがほとんど医科という形に振り分けられました。そういった中、歯科と医科との差がどんどん開いてしまいまして、現在の歯科界の状況では、そういった意味で非常に苦労されているということであります。

 その診療報酬の計算の仕方なんですけれども、やはり技術料の方といいますか、例えば、難しい診療ならば技術料は上がりますし、ある程度、これぐらい時間がかかるという意味でも、技術料も上がると思うんですね。

 だから、そういったこともやはり加味していただいて、例えば、歯科におきますと、根っこの治療といいますか、神経の治療とかしますけれども、それについては海外の十分の一から十五分の一になっているというような調査もあります。だから、そういった意味も含めて、今後は検討を中医協でしていただきたいと思います。

 一応、診療報酬についてはそれだけにさせていただいて、先日、最後にお話しした地域包括支援センターについて、これは通告はしていないんですけれども、診療報酬と地域包括支援センターとのかかわりということで、やはりチーム医療、チーム介護ということが、非常に重要な、医療費、介護費の適正化につながっていくと思われるんですね。

 現在、チーム医療、チーム介護という意味で、適正化という意味で、地域包括支援センターのことが前面に出てきて、それを中心にやっていこうというふうな考えなんですけれども、そういったことを考えると、介護報酬と診療報酬ということで、結局重なってくるといいますか、ミックスしていくようなところが将来的には出ていかなければ、医療と介護の区別といいますか、連携していかなければ、地域包括支援センターの運営なりといったことがスムーズに、そちらの方がスムーズにいくと思うんですよね。

 だから、今後検討されていく面で、もちろん維新は、医療保険の一元化ということで、できる限り医療保険を一元化していこうという形ですけれども、介護、高齢者医療制度、それからいわゆる医療保険という中で、もちろん掛金といいますか、そういうことは別になっていますけれども、今後、そういった連携をしていく必要があるのではないか。掛金は違うんですけれども。

 例えば、往診をしても、こっち側は介護保険で取りなさい、こっち側は医療で取りなさいといって、言ってみたら、報酬をこっちで取ったり、こっちで取ったりということで重なったり。結局、ここまでが介護のサービス、ここからが医療の治療ということで、請求するところが介護で取ったり医療で取ったりということで非常にややこしい、そういったことになっております。

 そういったところを、例えば在宅で寝ておられる方の歯科衛生状態をよくしようとすると、歯科衛生士さんが行くときには、指導するときには介護で取る、指導は介護で取る。しかし、治療では、歯医者さんが行くと今度は診療報酬で取るという形でしているので、どちらかというと包括といいますか、全体で、患者さんの指導なり在宅の介護の方の報酬をある程度一元化していく方が、医療費なり介護費の適正化といいますか。

 同じようなことをやっているんですけれども、重なっている部分があると思いますので、今後、医療と介護の、結局、地域包括支援センターでミックスになってきますので、そういった意味で、ある程度、報酬自体も一つのくくりでしていく方が、重なっているところがなくなりますので、医療費、介護費の適正化といいますか、削減にはつながっていくと思うんです。

 だから、やはり今後、厚労省として、介護と医療が重なっているところを何とか削減といいますか、その辺をもっと簡略化といいますか、一括で見てしまうという形にされた方がいいのですけれども、そういった意味で、地域包括支援センターについて、今後どのような行いをと思うんですけれども。

田村国務大臣 地域包括ケアシステムというもの自体、中学校区、大体一万人から二万人ぐらいの人口のところで、今言われた医療と介護、さらには予防、住まい、そして生活支援というようなものを一定提供できるような形で、地域包括支援センターというものが大きな役割を果たしてくるわけでありますけれども、サービスを充実していこうという考え方であるわけであります。

 その中で、医療と介護を一つの保険にした方がいいのではないか、そういう御意見があることも認識いたしております。事実、そういう御意見はあります。

 しかし一方で、やはり制度が違うものでありますから。介護保険は要介護認定をします。しかも、それは身体の機能というものを中心にやるわけで、もちろん認知症ということも、最近は非常にその中において評価をしなきゃいけないという流れではありますが。一方で、医療というものは、もちろん慢性的なものもあれば、急性的なものがある。これは高齢者になればなるほど、慢性と急性が行ったり来たりする可能性があるわけでありまして、それを一つの保険の中で、今委員が言われたような、一つの状態を見て、それで上限を決めてマルメでやるみたいな話が果たしてできるのかどうか。

 医療は、事実上、今、在宅等々に関しまして、また外来でのいろいろな治療というものは、これは出来高でありますから。介護という、要介護認定で上限を決めた中においてケアマネジメントをして、サービスをその上限の中でどう使っていくかというものと、医療という出来高でやっているものをミックスさせるということ自体が、本当に介護、医療を受ける方々にとって適切なサービスが受けられるのかどうなのか。また、事業の運営者等にとって、それがちゃんと運営を継続的にできるのかどうか。非常にこれは難しい問題なんだろうというふうに思いまして、私自身は頭の中で整理がついておりません。もちろん、そういうことを言われる方がおられるということも認識いたしております。

 ただ、医療と介護というものが、適切にサービスが、今言われたように、無駄なく、重複なく、しかも、それでいて適切なサービスが受けられるようにすること自体は大変重要でありまして、この連携というものはしっかりとっていかなければなりませんので、これから、地域医療計画や介護保険事業計画等々、これは三年、五年でありますけれども、これがうまくリンクするような期間に持っていきながら、できれば三年、三年で、前期、後期ではありませんが、中間と最終みたいな形でうまく融合できるような、そのような計画づくりをしていく必要はあろうというふうに思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 医療費、介護費の適正化という意味では、そういった地域包括支援センターのシステム自体が非常に有効だと僕は思っていますので、その辺をうまく使って、そういった適正化、いわゆる医療費の高騰を抑制していただきたいと思いますので、その点はよろしくお願いします。

 適正化という意味で、もう一点。やはり一番気になるのが、生活保護をもらっている方のいわゆる医療なり、重なっている部分なり、無駄がないかということなんです。

 先日お話しさせてもらったように、民間の保険者については、データを見て、後でどういったことが有効なのかということを調べるようなシステムが今開発されて、来年から動きます。そういった意味で、生活保護の方々というのは、非常に、医療を受けるところ、別に生活保護に限ったわけじゃないんですけれども、そういったシステムといいますか、一応請求は国保組合になるんですけれども、生活保護の方々の診療といったことについてもやはり無駄のないような形を、それぞれの組合なり、生活保護の方々の実態調査という意味でも、診療報酬なりのシステムはどういった形になっているのかということ。

 無駄なり不正なりを見つけるという意味でも、そういったシステムを生活保護についても先立ってやっていくべきですし、ジェネリックという意味での薬をもっと生活保護の方々も含めて推奨していかなければならないと思いますので、そういった意味で、生活保護に対する診療報酬のチェックなり、そういったシステムについては、今後はどのように考えていくんですか。

 どうしても、不正があったりとか、結構無駄が多いと言われている分野ですので、生活保護についての医療費適正化ということで、どのようにチェックなりシステムを今後開発というか、考えられているのか。

田村国務大臣 生活保護法の改正法案、参議院の方では可決をいただきまして、これから衆議院の方にまた返ってくるといいますか、前国会で衆議院の方では御可決をいただいて参議院に行ったんですが、廃案になりましたので、もう一度返ってくるということでございます。

 この中でも、いろいろと御議論をいただいて法案の中に書かせていただいたわけでありますけれども、例えば、一つはジェネリックの話からすれば、原則はジェネリックを使っていただくようにしていただこうということの中において、どうしても御本人がジェネリックは嫌だという場合には、やはりそこはしっかりと御説明をさせていただく中において御理解をいただくようにしていこう。

 ですから、ジェネリックをどんどん生活保護、医療扶助の中においても御使用いただくようにしていこうというのが一つあります。

 それから、今言われた、レセプトデータというものをしっかりと検証できるシステムをつくって、頻回受診、何回も何回も必要もないのに受診をされておられるような可能性がある場合には、それを是正していく。また、一方で、大量に薬を渡しているような場合もわかるわけでありまして、必要以上な場合に関しては、これもちゃんとそれに対して是正をしていくというようなことをやっていかなきゃならぬと思います。

 指定医療機関に関しましても、指定の資格の更新制のようなものを導入させていただく。指定基準等々、それから取り消しも含めて、明確な基準をつくって厳格に対応していくということ。さらには、地方厚生局が直接いろいろな意味で調査に入れるというようなことも含めて盛り込まさせていただいたわけでございまして、これを早く成立をいただいて、しっかりと医療扶助、無駄な部分に関しては対応させていただければありがたいというふうに思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 まさにそういったことをお願いしたいということと、かかりつけ医といいますか、重病になってこの専門医が診ないとだめだという場合は仕方がないと思いますけれども、やはり地域の近くの、あそこに行きたいからといって、かなりタクシー代を使って遠いお医者さんに行っている方とかおられますので。

 だから、そういったこともきっちり気をつけて、やはり総合医といいますか、かかりつけ医という制度を生活保護の方々については推奨をしていくということも適正化に合いますので、かかりつけ医ということによって診療費の適正化もできますので、そういった意味でのことも、かかりつけ医と生活保護の関連性も今後重要視をしていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、一般質疑ということで貴重なお時間を頂戴しましたので、実は、きのう、きょう何を御質問するかなということで吟味をしておりまして、最初は、雇用制度をやりたいなと。何度かやらせていただいていますが、報道等でもいろいろな報道もありますので、かつ、従前から私の地元大阪でも、特区を含めて、雇用特区ということでさまざまな議論をさせていただいていますので、ぜひ、改めて、きょう四十五分いただいて、労働法制をやりたいなと思いました。

 まず、ちょっと勉強レクをしてくれということで、厚生労働省の労働条件政策課の、名前を出したら迷惑かもしれませんが、角園太一さんという課長補佐の方に、御存じかもしれませんが、おいでをいただいて、別に悪いことを言うわけじゃありません、一時間を超すぐらい、お忙しかったと思うんですが、お時間を頂戴してお話をさせていただきまして、ほとんど納得をしてしまいました。

 私も一年間、厚生労働委員会に所属をさせていただいていますけれども、多くの分野で、官僚の方、役人の方とお話をさせていただいたり、あるいはここで大臣初め皆様方と討論させていただいて、納得をする部分というか、価値観の違いというか、結局、今の政権はこっちを選ぶ、自分は本当はこっちを選ぶと思うんだけれども、理はこっちにもある、でも、政治の選択として我々はこっちをやはり選ぶぞというのは、いろいろあります。

 ありますが、現政権がこっちを選んでいることについて理屈がそもそもわからないというケースは、さすがに日本の霞が関ですから、あるいは田村大臣率いる田村チームでありますから、それはないんだなということで、改めて、お名前を出したのは、雇用は非常に難しいテーマですので、本当によく走り回って勉強され、政策を立案されていることに敬意を表してのことでございます。

 きょうは、だから、そういう意味では雇用はちょっとまたの機会にしまして、いただいたお時間で二つをやりたいと思いました。

 一つは、十一月十五日の経済財政諮問会議で、麻生財務大臣と田村大臣が診療報酬をめぐってやりとりをされています。そういう診療報酬をめぐる諮問会議を舞台にしたさまざまな議論、これを、だから、きょうお配りしている資料も、基本的にはその場で配られた資料であります。諮問会議の話が一つ。

 もう一つは、従前から取り上げていますが、ちょっと徳洲会も背景にあって、医療機関の経営というのは何なんだということで、きょうまた原医政局長にも、毎度恐縮でございます、ありがとうございます。

 順番は、今、診療報酬というか諮問会議、医療機関の経営という順番になっていますが、諮問会議の話は、端的に言うと、ここでその議論をするということは、麻生大臣と田村大臣のやりとりを私が麻生大臣に成りかわってここでやるということになりますので、若干僣越だなという思いもありまして、ちょっと後に回します。だから、通告の問いでいいますと最後の三つ、こっちをまず先にやりますので、ちょっと心の準備をしておいていただきたいんです。

 二十五年度、ことし公表されています医療経済実態調査、これをつぶさに拝見しております。非常に興味深いと思っているんですが、私は、田村大臣、これは本当に不思議だなと最近思っていて、何度か、さっき申し上げた官僚の方々に、これはどう思うと聞いても、実は答えが返ってきていないテーマがあるんですね。これが通告の九番目であります。

 先ほども、政務官の方からマネジメントというお言葉をいただきました。診療報酬というのは公定価格ですね。だから、医療機関の入りは公定価格で決まっているわけです。ところが、日本の医療制度においては医療機関は民間ですから、経営力に差があるわけですね。当たり前ですね。その差は何で生まれるかというと、マネジメントで生まれるんですよ。まさに先ほどおっしゃったとおりであります。

 すると、公定価格のマーケットにおいて、経営力のあるところと、ないところがあるわけですね。余りあるところに合わせると、ばたばたと倒れます、医療機関は。わかりますね。

 例えば、私は経産省におりましたので、省エネ政策でトップランナー制度というのがあります。例えば、エアコン等の家電等でも性能に差があるけれども、イノベーションを起こすために、エネルギー庁はトップに合わせるんですね。何年以内にこのトップの性能にみんな追いつきなさいという制度で、省エネを推進しているわけです。

 ところが、倒産をしちゃいかぬので、医療の公定価格というのは、多分そこそこのところに落ちつかせていると思うんですね。すると、マネジメント力のある、収益力のある医療機関は収益が上がります、必ず上がります。それは、内部留保され、再投資をされていくということが、多分、大臣のお答えなんですけれども、そういうことでしょうか。

田村国務大臣 上がった収益は内部留保をされるわけであります、これは配当を禁じられておりますから。

 そういう意味からいたしますと、これは例えば、病院の建てかえ、もしくは増築でありますとか、医療機器、MRIでありますとかPETでありますとか、いろいろなものを御購入いただいて、さらに医療の充実を果たしていただくということになろうと思います。

足立委員 まさに今の枠組みというのはそうですね。

 だからこそ、徳洲会はあれだけの勢いで病院をふやしていったわけだと私は思っています、勝手に思っています。

 しかし、経営力のあるところは際限なく内部留保がふえていくと思うんですね。どこまで大きくなっていくんでしょうか、これは。

田村国務大臣 医療法人は、営利目的ではないわけでありまして、一定の社会的な責任といいますか、使命においてやられるわけであります。

 今、公定価格、もちろんこれは地域によって若干違うのはあるんですけれども、公定価格というもので決まっておる。当然のごとく、地域によっても、利益の出る地域もありますし、僻地、僻地という言い方がいいのかどうかわかりませんが、離島、こういうところでは、なかなか採算ベースに乗らないというような医療があるわけであります。

 これを基本的には公定価格でやっておりますから、今言われるように、人が集まるところでやっていれば、それは利益を生みやすい、収益が上がりやすいという話。

 それから、大きくなればなるほど、物品を購入するときに、たたけるという言い方はよくないですね、量のメリット、規模のメリットが働きますから安く仕入れられるということ、共同購入というようなグループでやる場合もあろうと思います。すると、その分だけ公定価格との間で収益が生まれやすい。

 では、延々と大きくなるかといいますと、基本的に、先ほども言いましたとおり、一定の使命感を持って医療法人等々は医療を提供されておられますから、徳洲会もそのような思いがあられたかどうかというのは私は存じておりませんが、ただ、テレビ等々でいろいろと報道されているところにおいては、そのような中において離島等々に病院をつくって、そこで、医療を受けられない方々に対して一定の役割を果たしておられるというような報道がございました。

 でありますから、今般のことはよろしくないことであろうというふうに思いますけれども、医療法人というのは、そのような一定の使命感を持って、もうかったところというか収益が上がるところで上がったら、一方で上がらないところにも医療を提供しながら役割を果たしていく、地域医療を担っていただくというようなことをやられておられるというところが、比較的、比較的という言い方がいいかどうかわかりませんけれども、そういう使命感に燃えておられるところがあるのではないのかなというふうに認識いたしております。

足立委員 田村大臣のお考えは、多分一貫されていて、これまでも非営利であるとか、あるいはきょうも使命感ということでおっしゃっていただいているのは、私は一つの御見識だと思うんです。しかし、民間の、もともと営利事業体から始まったこの医療界が、そんなに使命感だけで貫かれている産業かというふうに私は疑念を持っています。

 もちろん、私の周りにもさまざまな、お医者さんも含めて、党内にもいるし、地域にもいらっしゃるので、尊敬する名士の方々ばかりでありますが、しかし、徳洲会の例を挙げるまでもなく、その内部留保というものは、要は、本当に経営としてそこにがちっと枠があれば、内部留保がたまっていく、再投資をして、さらに余れば、先ほど従業員の話がありましたが、働いている方に回すこともできる。

 しかし、先日も医政局長から伺ったように、例えば、徳洲会という医療法人の周りにどういう有限会社や株式会社が取り巻いているかということについて、やはり厚生省は管理していないんですね。すると、お医者さんの方はわかると思いますけれども、医療法人はいかようにもできるんです。

 医療法人の仕事と、医療法人を取り巻く、いわゆる昔言うところのメディカルサービス法人との仕分けは、いかようにもできますね。これはどうですか。いかようにもできる、経営の裁量でできますね。

田村国務大臣 今委員、MSのお話をされました。MS法人がどういうような形態をやっているか、十分に我々もそれを把握し切れていない部分があることも事実であります。

 ただ、一般論で申し上げれば、医療法人が剰余金を出した。剰余金は使えません。それは、要するに、設備投資等々に使っていただくわけでありますが、その剰余金とは別に、MS法人を通してそこに利益を上げさせるということ。そこは、株式会社であれば、当然、利益は自由に処分ができるわけでありますよね。それが正当なものであるならば、それは当然、何ら問題がないんだと思います。

 ただ、他のところと比べて、不当に、例えば高い価格でそこから物品等々を購入している、不当にそこに利益が上がるような価格で何らかの取引をしておるということになれば、これは先ほど言いました医療法五十四条違反になるわけでありまして、それ自体は、我々としては、実態としては許されない行為であるというような、そういう認識を持って対応するということになろうと思います。

 ただ、そこまで全てのMS法人を詳しく我々も調べられていないという実態があるのは事実であります。

足立委員 大臣、私が今ここで討論させていただいているのは、不当なケースについて、徳洲会の名前を出すからちょっと誤解を受けるかもしれませんが、何かよこしまなことをやっている人たちのことを取り上げたいわけじゃないんですね。極めて正当な営業行為として、事業行為としてやっている方々の規律あるいは規範、彼らを取り巻く厚生行政の規範について議論しているわけです。

 すると、これは実は、先ほどのこの医療経済実態調査なんかも、非常にわかりやすく整理されているので拝見していますが、個人経営では非常に収益がばらつくんです、個人事業では。ところが、医療法人、法人成りした途端にばあっと張りつくんですね。だから、そこで利益の調整が、医療法人と医療法人以外の関連会社との間で、収益の調整ができるんです。これはできますね。

原政府参考人 医療法人が関連のところと商業上の取引をされるということは、真っ当なことだと思います。

 ただ、関連会社などで契約内容等の報告をいただくとか、あるいは、医療法人の事業規模や一般的な水準に照らして明らかに高額な契約があるとか、そういうようなことについては、医療法人に対する報告を求める、あるいは調査に入るという形ができますので、その中で適切な対応をしていただきたいと思っております。

足立委員 医政局長、おわかりいただいた上で御答弁していただいていると思いますが、私、繰り返し申し上げます。

 不当な話をしているんじゃないんです。不当なケースの話じゃないんです。不当を取り締まってくれと言っているんじゃないんです。正当に、そのマネジメント力の結果上がってきた収益を、医療法人の、要は、非営利法人の外に流出させることは正当にできますねと言っているんです。

田村国務大臣 これは、正当な取引の中において、そちらの中で対応される中で、医療法人と取引されている法人が利益を上げられるということは、それは一般的にある話でありますので、それは、他のいろいろな企業等々との取引の中でも、同じように他の企業は利益を上げておるということでありますから、それと変わらない話であろうというふうに思います。

足立委員 ぜひ、きょう委員の方々にも御理解をいただきたいのは、公定価格で支払われている収益が、非営利法人の中に閉じていないということを理解してほしいんですね。

 厳密に申し上げると、例えば徳洲会も相当激しくそれをやっていました。別に悪いことじゃないんです。普通に経営を知っている人間からすれば、当たり前のことです。

 例えば、徳洲会は、病院を流動化していました。流動化とはどういうことかというと、病院を人に譲っちゃうんです。要は、債券市場で売っちゃうんです。でも、それを改めてリースバックして使うわけですね。だから、外から見ていると何も変わりませんが、本来、医療法人が所有しているとみんなが思っている病院は、実は人様のもので、賃貸料を払っているわけですね。

 そういうふうにして、医療というのは、医者が医業を営む、すなわち医療行為をする以外のことは、ほとんど外へ全部出せるんです。医政局長、そうですね。

原政府参考人 例えば、建物をリースで借りるということは、それは当然あることだろうと思いますし、そのほか、例えばいろいろな物品を購入する、これも商業行為ですけれども、それも当然できるわけです。

 御質問の点がちょっとよくわからないところもございましたけれども、そういう答弁でよろしゅうございますでしょうか。

足立委員 そういうことで、細かいことはいいですよ。

 申し上げたいことは、大変な巨額の保険料、自己負担もありますが、保険料と税で賄われているこの医療界において、特に大きな医療グループは、私もいろいろなところを見に行ったことがありますけれども、巨大な、地域全体が当該医療グループなんですね。医療法人のビルから眺めると、いや、あそこはうちの何とか何とかだ、あそこはうちの何とかだと。もう全てこの地域は、その医療コングロマリットが支配をして、支配という、いいことですよ。経営なんだから、僕はいいことだと思います。

 しかし、そのほとんどは、平均すると八十数%は、公的なお金がそこに流れ込んでいる。

 大臣は、よく私に、いやいや、株式会社というのはこういうもので、非営利法人というのはこういうもので、非営利法人というのは収益を目指すものではない、使命感でやっていることだからいいことだということなんだけれども、申し上げたように、今の医療制度は、幾らでも公費が、税金を初めとする公的なお金が、関係の会社に正当な行為として行って、それが関係者のポケットに幾らでも入る仕組みになっている。

 これをまず、そうだと僕は確信をしているんですけれども、そうですねということで、お願いします。

田村国務大臣 先ほど、私も、局長も申し上げましたが、不当に高い価格で購入したら、これはだめですよね。ですから、一般に取引しているような価格で購入していただくわけでありますよね。もしくは、安いというのはいいのかもわかりませんけれども。他のところと取引しておっても、同じ価格でこれは購入をされるわけですよね。

 すると、他のところが得た利益、これは、例えば、何十、何百という企業があるでありましょう。これを病院の、医療法人の経営者に近い方が、みずから一手に引き受けて、自分で仮に会社をつくって、全部物品はうちでやるんだと。これが市場で一般にやられている価格でちゃんと取引するとするならば、その方は、それだけのリスクを抱えて、要は企業経営をなされるわけであります。あるときは利益が出るかもわかりませんし、あるときは利益が出なくて破綻をするかもわからない。そこはマネジメントもあるのでありましょう。

 だから、そこは一般の商行為でありますから、不当に高い金額で、要するに診療報酬を食い物にすれば、それはだめでありますけれども、正当な商行為であるならば、それは、他の企業が得ておった利益を、リスクを抱えてその方がそれを売られて、利益を得るか、利益を得ないか、破綻するかわかりませんが、やられる行為でありますから、それはそれぞれの商行為としては成り立つのであろうというふうに思います。

足立委員 日本の医療は、よく準市場と言われますけれども、公的なお金で民間の主体がサービスを提供している。こういう仕組みの中で、今大臣がおっしゃった、正当にやっていればいいじゃないかということですが、申し上げたいことは、経営力に差があるから、仮に公定価格をボトムの人たちに合わせているとすれば、そんなことはないかもしれませんが、その経営力の差の分だけが、わかりますね。

 経営力の分布があります、こちらがいい、こちらが悪い。もし、公定価格をボトムに合わせていれば、この人たちは必ず収益が上がります。それは正当な収益です。しかし、申し上げたいことは、その大宗は公的なお金ですよね、それをポケットに入れることは正当ですねと言っているんです。

 だから、私は、不当なことを管理してくれと言っているんじゃないんです。今の制度で正当にそうなっていますねということなんですよ。ちょっと大臣、お願いします。しっかりと答えてください。

田村国務大臣 今の話は、多分、仮定を置いて、医療で本来上がるべき剰余金を、全く、地域等々に貢献するために利益の出ないようなところで医療経営等々をせずに、もうかるところだけでやられて、極端な話ですよ、自分がリスクを抱えて一手にその納入を自分のところでやって、適正価格でちゃんと利益を得た場合には、残ったお金はその人の懐に入るということはあるんですねという話でございますので、そういうこともあれば、そうならずに破綻することもあるという話だと思います。

足立委員 私、そういう観点でこの医療経済実態調査を拝見しました。非常に興味深いんですね。端的に言うと、法人については、損益率がプラス少しのところに張りつくんです、少なくとも個人に比べれば。

 申し上げたいことは、これはもちろん、日本の医療制度そのものをゼロからまた構想する、要は国によって違うわけですね。例えば、公的な主体がサービスをしている国も多い。日本はそれを民間でやっていただいているわけですから。それによるメリットもデメリットもあるわけです。

 だから、私は、今の日本の制度はあかんと言っているのではなくて、日本の制度を正確に理解しましょうねと。正確に理解すると、徳洲会もなるほどと理解が深まりますよと言っているんですね。まあ、徳洲会の名前を出すのはもうやめますが。

 医政局長、そういうことでいいですよね。よくわからない。大臣はもうおわかりですね。

 では、徳洲会はやめましょう。徳洲会はやめるけれども、申し上げたいことは、経営力のある人が、使命感が余りない、僕は徳洲会は使命感の塊だったと思いますが。大臣がおっしゃる使命感が余り十分ではなく、その使命感に対して、実は経営力がむちゃくちゃある人が医療グループを率いれば、関連会社を通じてその利益がプライベートな、医療法人という枠の外へ、すなわち経営者の懐に入るということは、正当な行為として認められますねということなので、これは、大臣、もうイエスと言ってください。

田村国務大臣 非常に面倒くさい仕組みをつくって、その中でリスクをとりながらやった場合には、うまくいけばそういう形が、まあ仮定、あるわけでありますけれども、逆に言えば、だからこそ、医療法人を株式会社化すると、もっと簡単にいろいろな方々が入ってこられるということでございますので、非営利ということにしておくという必要性があるのであろうというふうに思います。

 あわせて申し上げれば、やはりそうはいいながらも、医療というリスクを抱えながら、リスクというのは訴えられるリスクでありますけれども、医療行為というものに従事をされる、そういう方々というのは、私はやはり使命感をお持ちだというふうに思いますので、決してもうかることばかり考えている人たちというのは、これは特異なのではないのかなというふうに思います。

足立委員 こだわりますので、もうちょっとやらせてください。ほかの問いもあるので来ていただいている方、申しわけないんですけれども、これはここで引くわけにいかないですよね。

 大臣、私は、だから、経営力の話をしているんですよ、経営力の話を。別に、その人がいい人か、悪い人かという話をしているんじゃないんです。経営力には差があるでしょう、民間なんだから。すると、その経営力の差の分はもうかるが、非営利法人ではそれの行き場がないから、普通は必ず隣に会社をつくってやらないと、だって、どうするんですか。経営力のある人はその利益をどこに持っていくんですか、行き場がないでしょうと言っているんですよ、大臣。

田村国務大臣 ですから、医療法人の方々は、そういう剰余金が出てくれば、次はまた違うところに、地域医療のために病院をつくられたりでありますとか、病院以外にも、いろいろな医療行為をするような場をつくって、事業を広げられて、国民の医療に資する努力をされるんだと思います。ただ、一定程度そういうものがないとは私も言いませんから、そこは、正直言ってバランスみたいなものもあるのでありましょう。

 ただ、おっしゃられるとおり、もうかったものを全部俺の懐に入れなきゃいけないんだというような、そんな方は、私は、やはり医療をされる中においては特異なのではないのかなということで申し上げておるわけであります。

足立委員 大臣、申しわけないですが、これは私は本当に大きなテーマだと思っているんです、医療経営の。

 だから、原局長にはもう何度も来ていただいていて、これまでもいろいろな角度からこの問題を取り上げましたが、実は、きのう、シャワーを浴びていまして、今までいろいろな質問をしたけれども、結局、この話はこの話に尽きるなということに行き着いてしまいました。それで、ちょっと何人かの人に、これはどう思うと言ったら、ええと言ってみんな口を濁すわけですね。だから、きっと、これはどうも本質的なテーマのようであると。

 私も、自分の生活もありますし、後援会もありますので、丁寧にやらないかぬと思っていますが。

 これは、少なくとも医療法人は見ている。それはどう見ているかというと、非営利だからそこは仕切られているということで見ている。

 でも、医療機関、医療法人がどういうふうに経営組織を構築し、あるいはその周りに営利事業体を張りめぐらして、大臣は難しいこととおっしゃるけれども、そんなことは簡単にできます。誰でもできます。普通の会社の人はそれをみんなやっているんですから、普通にできます。普通にできることで、幾らでも公費が経営力の結果として流れ出しているという実態が、多分、医療界にあるんだろうな。その中で、ざっくざっくと、経営力のある人は。その経営力がゆえにもうかるわけですから、何千万、何億円という政治資金が生まれることも、徳洲会の場合にはあってもおかしくないよなと、ちょっと角が立ってきていますけれども、私は思うわけですね。どうですかと委員の方に聞いたらいけませんね。まあ、これはこれぐらいにしておいた方がいいですかね。

 大臣、あるいは局長、私は、このテーマをちゃんとやってほしいんですよ、厚生省に。ちゃんと検討してくれますか。

田村国務大臣 それ自体がだめだという話じゃありませんが、さっきから言っておりますとおり、本来の金額でないような形で収益を生ませておるというような形があれば、それはやはり我々としてはしっかりと対応していかなきゃならぬという案件だと思います。

 もちろん、それぞれ、地方厚生局も含めて人数が限られておりますから、なかなか一斉に全てというわけにいかないのでありましょうけれども、そういう疑いのあるところに関しましては、しっかり調査しなきゃならぬと思います。

 もとの話に戻しますと、つまり、そういうものがあるのは、事実あるんだと思います。そこで一定の利益を得られている方々はおられるんだと思います。

 しかし、そこはやはり、それぞれ医療に従事される方々にとっては、医療というものにかかわるからには、それなりの使命感があるのは間違いがない。

 例えば、では、委員がいつもおっしゃっておられるように、株式会社がやればいいじゃないかという話になったときに、外にMS法人をつくって、そこで仮に一定の収益を上げられて、それを生活の安定に使われておられるというような方と、株式会社にして、株式の配当として得られる利益というものをしっかりと継続して出していかなきゃならないために、利益を最大化するという言い方は、委員は、そんなことはない、株式会社だってそうではないんですよと言われるかもわかりません。

 もちろん株式会社だって使命感はありますが、しかし、特に公開されている株式会社にしてみれば、それは株主の圧力というのは常に受ける。これは会社経営をされておられる方ならば確実にわかる話でありまして、そんな中において、やはり利益をどう上げるんだ、株主の声にどう応えるんだというような、それは株主もいろいろな株主がおられますから、それに応えていくという株式会社形態を医療経営に取り入れるのとは、若干、私は、やはりそこは違う観点があるのではないのかなというふうな感想を持たせていただきました。

足立委員 大臣、私は、きょうは、株式会社に参入させてくれという質問じゃないんです。今の現状について、それをどう評価するかという議論だけをしているんですね。だから、そこは、まあ、かつてそういう質問を申し上げたこともあるので。

 では、ちょっと局長にお聞きしたいんですが、これは大臣でもいいんですが、今あったMS法人の役員報酬等、これは何か規範、規律はあるんでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 医療法やその関係通知には、いわゆるMS法人の役員報酬に関する規定はございません。

 ただ、先ほどからお話ししていますが、医療法人が当該MS法人に対して、例えば、取引価格が一般的な価格よりも非常に高額な形で取引をしているとか、あるいはそういうことになりますと、配当ではないけれども事実上の利益分配ということになりますので、この場合には五十四条に違反するとして、必要な改善措置をとるよう指導することになっております。

足立委員 局長、今おっしゃった点、どういう監督体制にあって、結果はどうかと今お答えできますか。雰囲気で結構ですよ。

原政府参考人 具体的に把握しているわけじゃございませんけれども、そのような疑いがあって、あるいは、例えばそういうような報道があった場合には、その当該法人に立ち入って調査をすることも可能だと思っております。

足立委員 余り監督をされていないと思うんですが。今あったように、医療法人を取り巻く会社についての規範は多分ないんです、ないんでしょう。

 だからこそ、また徳洲会に戻って申しわけないが、今般ああいうことに至って、彼らは何をしたかというと、関連会社の社長に親族を張りつけてやったわけでしょう。徳洲会だからマスコミがチェックしていますけれども、日本じゅうの医療界の現実について、いや、私は、大臣、私も周りの医療界の方を見たら立派な方ばかりです。

 そうだけれども、システムとして、要は、性善説で考えてもいいですが、今の仕組みに、要すれば医療法人が非営利だということに安住をし、ところが、一方で、経営技術はどんどん上がっているわけです、先ほどあったように。それは、会社の経営技術が上がっているからなんですよ。流動化手法も発達をして、それを担うさまざまな支援サービスもふえています。それを医療機関に売り込みに来る人もたくさんいます。

 だから、私は、この問題、すなわち、医療法人が非営利であるということに安住をするのではなくて、先般から申し上げている会計基準しかりです。会計基準をつくったらいいということではなくて、その周りにある会社についても、共同事業性があるようなグループについてはしっかりと管理をする。もしそれを管理しないんだったら、あほなことだと思われるかもしれませんが、究極的には、医療法人が外に発注するものは全部一般競争入札ですよ。そうでしょう、局長。

 だから、私は、現在の厚生省の医療経営の管理はなっていない、改善の必要があると指摘しているんですが、どうですか。

原政府参考人 御指摘の点も含めて、先ほどから御指摘ありました会計基準の話にしても、改善すべきは改善していきたいと考えております。

足立委員 改善すべきは改善するじゃなくて、改善することがきょうはっきりしたんだから、きょう足立が指摘したことについては改善すると言ってくださいよ。

原政府参考人 現在、医療法人についての検討会をやっております。その中で、先生からの御指摘については一度検討していただくように考えていきたいと思います。

足立委員 私の周りにも、医療界の方もいらっしゃいますが、介護とか福祉の関係の方もいらっしゃいます。

 これは出自が違うんですよ、釈迦に説法ですけれども。何度も申し上げていますが、医療はもともと民間産業なんです。介護とか福祉はもともと措置でやっていた公的な世界、そこをいかに効率化するかということで保険制度を導入し、社会化をしてきたという流れがあるわけでしょう。全く違う世界です。現時点だけを見ると介護保険と医療保険は同じ体裁をとっていますが、出自が違うんです。だから、私は徹底的に医療の議論をしているんです。

 局長おっしゃったように、会計基準の検討は進んでいるということですが、私が会計基準の議論を持ち出している理由はこういう理由なんです。結局、税金と保険料で、今、日本は大変な事態に直面しようとしている。そういう中で、医療制度、医療サービスの効率的な、かつ、質の高いサービスを提供するための政策を厚生省は一生懸命やっている。それは理解をしています。その各論についても本当は議論しようと思って、きょうもあるわけですが。

 でも、実は根本のところで、きょう申し上げたような、正当な経営力の差で生まれている収益は、厚生省が、非営利法人ということのテーゼというか、非営利だということに安住した結果、医療界、医療という世界は、きょう私が申し上げたような世界に今なっていますね。その収益が、大臣もおっしゃった、局長もおっしゃったように、例えば困難な離島の医療とかに投資をされたり、あるいは慈善事業に投資をされたり、そういうことであればいいですよ。でも、氷山の一角だと思うが、徳洲会という極めて経営力のある医療グループはこういうことになっているわけです。

 検討すべきことがあるかないか、局長。きょう私が指摘したことは、おおむね、おおむねですよ、細かいことはいいですよ。きょう私が指摘したことを、ちょっと大臣、待ってください。局長、大体理解できましたね。

原政府参考人 先日からもいろいろと、逆に、質問のたびに、私も勉強させていただいております。

 きょう御指摘のこと、例えば、普通の医療法人が普通に薬を買う、いろいろな物品を買う。それは、普通の会社から買う場合もあれば、例えば、それがグループのMS法人という形で、そういう株式会社から買う。そうすると、そこに利益が当然たまってくる。そういうような仕組みがあるということは十分理解しておりますし、それをどのような形で規制していくか、そこはいろいろな検討課題があろうかと思いますので、十分理解させていただきました。

田村国務大臣 話がちょっと錯綜しているんですね、私の頭の中で。いや、私の頭の中でですよ。

 要は、適正な価格で商取引を行えば、それでも利益が出る場合は当然ありますよね、他の企業でもそれを売って利益を上げているわけですから。だから、そのときに、正当な商行為で何ら問題がない場合に関して、この医療法人会計の中において、それが悪いわけではないわけであります。

 ただ、そこで、何らかの不当な値段で物が売られる、そこで利益が蓄積する、そういうことがやはり防げるように、どうそれをしていくかというのは一つの大きな課題であろうというふうに思いますので、その点に関しては今議論をいただいておるようでございますから、局長もまた課題として上げるという話でございますので、しっかりと御議論をいただいて、防げるような方策をお考えいただくようにしていきたいと思います。

足立委員 前向きな御答弁をいただいたと思っておきます。

 一つの示唆というか、繰り返し申し上げれば、個人経営と法人というのはやはり大変おもしろいんですね。

 先日、医政局長とも、経産委だったかな、御討議させていただいたように、例えば、中小企業政策というのがあります。経産省がやっています。個人は何でもいいんですね。ところが、その個人が法人成りをします。途端に営利と非営利に分かれるわけですね。途端に経産省は手を引くわけです。これはもう、医療、介護については厚生労働省の世界になって、経産省は手も足も出ない世界になる。

 でも、個人の場合はみんな一緒なんです、個人だから。だって、営利も非営利もない。全てポケットに入るわけです。だから、この統計を見ても、経営者の報酬と利益は峻別ができないわけです。だから、まぜこぜで統計をとっているんです。

 でも、仮にそれを踏まえても、例えば、この統計を、後でゆっくり見てください。こういうグラフを見ると、個人の診療所は経営力がすごくばらつきます。その収益がすごくばらつきます。ところが、法人成りした途端に、低い利益のところにばあっと張りつきます。これを普通に考えれば、それは、きょう私が指摘したような仕組みの中で張りついているとしか思えないわけであります。

 そういうことを含めて、先ほど申し上げた、労働基準局には角園太一さんという立派な課長補佐の方がいらっしゃって、私におつき合いをくださいました。ぜひ、医政局におかれましても、またこの質問の機会を通じて、あるいは通じても通じなくても結構なので、一体どれだけのそういう構造があるのかということについての例えば推計とか、規制という言葉がきついかもしれませんが、どうやってそれを規律づけしていくのか。それは規律づけしていくべきなのか、べきでないのか。

 メリットとデメリットがあります。メリットの方が大きいんだったら今のままでいいし、でも、もし、メリットを維持したままデメリットを潰す政策の余地があるんだったら、それは講じるべきですね、この財政難の中で。

 私、厚生労働委員会にいる限り、このテーマを追い続けてまいりたいと思っておりますので、ぜひ、御協力のほどお願いを申し上げます。

 最後に、たくさんおいでいただいて、質問をはしょりましたところについては、本当に御迷惑をおかけした点、御容赦をいただきますようお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 お昼後でちょっと眠くなる時間かもしれませんが、少々おつき合いをしていただきたいと思います。

 本日は、一般質疑ということで、前回の一般質疑のときにちょっと時間がなくて御質問できなかった件から御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、特定行為にかかわる看護師の研修制度について御質問をさせていただきます。

 この委員会でもたびたび言っておりますが、私、もともと消化器外科の医者でございます。それで、十年前に外科をやめまして、ふるさとの山梨県の北杜市というところで、在宅医療というところで今も続けておりますが、そういった中で、今、地域包括ケアシステム、地域完結型医療・福祉、その実現のためのチーム医療ということも、社会保障プログラム法のときにもたびたび出てきた話題だと思います。

 その在宅医療も含めて、特に私の分野であります在宅医療はそうなんですが、医療を円滑に進め、充実させていくためには、訪問看護師さんの重要性、そんなことも以前からずっと訴えさせていただきました。

 私は、一人からの訪問看護ステーションということはずっと訴えていたわけですが、要は、看護師さんたちの職域を広げる。実際に医療現場に行っても、在宅医療にいても、そのかなめとなるのは、私自身は、やはり看護師さんだ、そのような認識を持っております。その拡充が、先ほども申し上げましたように、在宅医療やチーム医療、地域包括ケアシステムの構築に不可欠だ、そういう認識のもとでおります。

 また、一般の医療現場においても、医師偏在で医師不足の地域は、医者の負担の軽減とか医療の質の向上にもつながると考えられますし、アメリカなどでは、ナースプラクティショナー、NPと呼ばれておりまして、もう一九六〇年代に、そういった領域をカバーするためにそういった制度もできている。

 医師の具体的な指示なしで気管挿管など高度な知識や技能が必要な医療行為ができる、いわゆる特定看護師、実際には特定看護師という名前ではないとは思いますが、それに関して、まず厚生労働省の検討会、チーム医療推進会議で議論がされていたようですが、どのような議論がなされ、どのような結果になっているのか、まずお尋ねいたします。

原政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回の特定行為に係る研修制度の案ができるまでには、平成二十二年三月に、チーム医療の推進に関する検討会報告書がまず取りまとめられたところでございます。

 これがスタート地点になるわけですけれども、その中では、医師の指示を受けずに診療行為を行うNP、ナースプラクティショナーについては、医師の指示を受けて診療の補助行為を行う看護師、現在の看護師とは異なる性格を有しており、その導入の必要性を含め、基本的な論点について慎重な検討が必要であるとして、新たな国家資格の創設は行わないと。一方で、看護師について、一定の医学的教育、実務経験を前提に、専門的な臨床実践能力を有する看護師が従来よりも幅広い医行為を実施できる新たな枠組みを構築する必要があるとされたところでございます。

 これを受けまして、看護業務のあり方について、平成二十二年五月から、医師、看護師等の医療関係職や教育関係者、市民、法学者等のさまざまな立場の有識者によって構成されますチーム医療推進会議において、議論を重ねてきたところでございます。

 議論の結果、診療の補助のうち、実践的な理解力、思考力及び判断力を要し、かつ高度な専門知識及び技能をもって行う必要のある行為、これを特定行為と決めるわけですが、これを法令上明確化するということと、並びに、この特定行為について、医師または歯科医師の指示のもと、一定の手順書に基づいてこれを実施する看護師について研修制度を創設する、このような形で、今回、本年の三月に取りまとめられたところでございます。

 この内容につきましては、十一月八日の社会保障審議会医療部会に御報告して、おおむね了承をいただいたところでございまして、これを、最終的に医療部会の取りまとめをいただいた後に、来年の通常国会に法案として提出したいと考えております。

中島委員 先ほど申し上げたNPのスタートラインと、今挙げた特定看護師、違いは、医師の指示のもとでなくてもNPの場合は初期治療、プライマリーケア等で判断できる、国家資格のものとしての議論は、最初から、今は難しいだろうということで議論されていない。特定看護師については、チーム医療推進会議で議論が、約三年半にわたる議論ということでございました。

 作業部会が報告した特定看護師の制度案が了承され、来年の通常国会でその改正案も出されるということも聞いておりますが、本来、当初は、NPとは別ですが、国の資格として検討されていた。ただ、それが、能力を国が認証する制度に変わり、特定看護師の名前も消され、その後、認証さえも変更し、研修制度になったということでよろしいですね。

原政府参考人 これは、三年以上にわたる検討の中で、さまざまな御意見があったところでございます。

 今回は、今考えております法律の組み立て方からいいまして、やる行為は、特定行為とはいえ、診療の補助の中の行為であります。したがって、看護師に別途の資格を与える必要はないのではないかということもございまして、今回は、法律上、それを医師の直接的な監修といいますか立ち会いのもとでやらずに、そうでない、一定の手順を決めておいて、その手順にのっとって判断をしながら進めていく、そういうようなところをつくるという意味で研修はしっかりとやっていただく、そういう意味で、研修制度という形に取りまとまったところでございます。

中島委員 一般的には、この議事録は私も見せていただいたんですが、当初は特定看護師と、強い名称ですよね。それがだんだん、今のような経過を経ながら、結果的には研修制度。

 今、認定看護師は、緩和ケアとかそういったものについては認められておると思いますが、その中のさまざまな、先ほど申し上げました、医師会を初め有識者、そういう方々の意見を聞いた結果ということなんですが、結果的に、特定行為にかかわる看護師の研修制度。

 ちょっときょうは、私、時間がなくて資料をお配りできなかったんですが、その報告書みたいなものを見ますと、チーム医療の推進を図り、医療安全の確保にも資するという考え方のもと、非常にこれは進めていくのは妥当だという意見が取りまとめられる。

 一方で、これは日本医師会の意見ですね、一番目の項目を見ますと、前文は流しますが、チーム医療を阻害するおそれがあるというような意見も出されておるわけです。これは相反するわけですね。

 一方で、医師会のこの見解が、では現場の意見かどうかということになりますと、日本外科学会、冒頭言いました、私ももともと外科の医者で、まだ外科学会にも籍がありますが、外科学会の労働環境の改善のためのアンケート調査、その結果を受けて、厚生労働省の方に要望書が出されていると思います。その中には、医師と看護師の中間職、アメリカでいうNP、そういったものが今後医療現場で必要だ、そのような要望が出されておるわけです。

 そうなってきますと、先ほど申し上げた有識者、さまざまな議論の中でという話になりますと、今回、そういう特定看護師から研修制度に、私は格下げだと思いますね、そのような議論が本当になされたのかどうかということは非常に疑問なわけです。

 冒頭にも申し上げましたように、私は、チーム医療は地域包括ケアシステムも含めて重要だと言いましたが、実は、NPも含めた看護師さんの領域を広げていかないと、成り立たない。

 きょうの新聞でも出ておりましたが、東北において医学部の増設を特例で認める。もちろん、それは被災地という特例だとは思うんですが、実質、今足りない部分はやはりプライマリーケア、そういったものを担う存在。

 これは、医学部をふやすことを否定はしませんが、今、地域枠の学生さんたちもふえてきて、これからそういったものが、そういう足りない部分にちゃんと補填される地域医療支援センターみたいなものも来年から義務化になるようですが、やはり現実的には、例えば医学部を増設しても六年、一人前の医者になるまでに十年近くかかるわけですね。

 そういったところ、地域医療も含めて、医療現場の部分を含めてカバーしていくためには、やはり、私はあえて特定看護師制度と言いますが、そういったもの。現場の意見といっても、相反する意見が出ているわけですよね。本当にそのような議論がなされたのか、もう一度ちょっとお聞きしたいと思います。

原政府参考人 アメリカやカナダではこのNPという制度がございますけれども、医療職種全体の形といいますか、その中でチームでやっていくわけですけれども、例えば、先生少しおっしゃいましたけれども、フィジシャンアシスタント、例えば手術の後、縫うだけの方とか、そういうフィジシャンアシスタントみたいな制度もアメリカにはあるわけですけれども、これが日本になじむのかという問題もあります、全体の構成の中で。

 今回の特定行為の問題につきましても、いわゆる外科の場面とかあるいは救急の場面、さらに、やはり在宅医療のことについても、特に、医師が同行しない、当然ながら訪問看護というのは多くの場合そうですので、そこでいろいろな処置等をやっていただく。そのために、事項的にはそういうものも含まれていて、全体として、現場で必要な行為はできるような形を考えているということでございます。

中島委員 恐らく、はっきり申し上げますと、医師会は反対なんだと思うんですね。要するに、自分たちのやっていた行為を移していくことに対して、この報告書を見ても、全く理屈づけではないですよね。ただ安全性が確保できないからという理由と、チーム医療を阻害するおそれがあると。何を根拠にこういうことになっているのか、非常に疑問です。

 そして、例えば、今回の薬事法、薬剤師法のところで、私は田村大臣にもお聞きしました。要指導医薬品、これはある意味、薬剤師さんたちへの権限移譲ですかというお話をしましたが、これはまさに、これからの地域医療、チーム医療、その連携を図るためには、ある程度やはり医師から看護師へ、もっと先を行けば、田村大臣からもこれから高齢化に向かって介護従事者が必要なんだとたびたびお聞きしておりますが、今度は逆に、看護師から介護士へ、やれる範囲を広げて権限移譲を進めていかないと、これは成り立っていかないんじゃないかと思うんです。

 これは一方でいえば、医療側から、医師側からいけば、山中先生のiPS細胞、再生医療、そういった、本来医師の役割と言ったら変ですが、そういったところに専念できる、そういう環境をつくり出すことにもつながることだと思うんです。

 先ほども申し上げましたように、そういう意味で、医学部を増設しても、今の医師偏在や医療格差、そこにはどうも、改善のためには直接つながらないのではないかな、そのようにも思っております。

 また、一方で、医療現場において、医師と看護師との業務のはざま、俗にグレーゾーンというものがある。例えば静脈注射、血管の確保、在宅医療ではもっと広がります。これが現実だと思います。

 そのグレーゾーン、以前からそのようなことは言われていたと思いますが、これは厚生労働省として、このグレーゾーン、医師の業務なのか看護師の業務なのか、その辺、実際にグレーゾーンが存在することの意味すら認識しているのか、お尋ねいたします。

原政府参考人 いわゆるグレーゾーンといいますか、これを看護師なりがやっていいのかどうかという疑問点は種々ございます。

 その中で、平成十四年には、看護師が静脈注射を行うことができることを明示的に示した。あるいは、薬剤師や診療放射線技師についても、チーム医療を推進する観点から、それぞれの職務の拡大といいますか、それを明確化してきたところでございます。

 ただ、一方、例えば静脈注射という場面をとりましても、先生当然ながら御承知でしょうけれども、新生児や乳児などに対して、本当に、では、それはもう全部看護師にやらせるんだというわけにはなかなかいかない。できるという行為と、実際にやってもらうかどうかというのは、また別の部分がございます。そのお問い合わせもたくさんありますけれども、その場面、どういう状況でそういうことが起こっているのかも含めて考える必要がある。その行為だけを取り上げてやることはなかなか難しいかと思います。

 ただ、さまざまなところでいろいろなことが言われておりますので、全般的に明示的に示す必要がある場合は、しっかりと関係者ともお話をしながら明確化に努めていきたいと思います。

中島委員 これは、もう大分前からそうだと思うんですね。

 私、実際にいろいろな病院へ行きます。市中病院、大学病院、全部病院でルールが違うんです。一般的には、市中病院に行けば看護師さんが点滴も全部やってくれる、もしくは胃管、そういったものまでもやってくれる。でも、一方で、大学病院に行きますと、そんなことはやってくれない、採血さえも医師がやる、そういう現状なんです。

 このルール、まさにグレーゾーンだと思うんですね。ですから、そういうことの中で問題意識を持っていらっしゃるのかどうか。田村大臣、どうでしょう。

田村国務大臣 今委員がおっしゃっておられたことの中で、例えば、医師の指示を受けずに看護師が医療行為を行うという場合、ナースプラクティショナーというのをあえておっしゃられましたけれども、現行はそれは日本ではできないですから、今回、医療行為に関して、包括的な指示もしくは具体的な指示を含めて特定行為というものを定めて、その特定行為を行うための研修、これは努力義務をかけたわけでありますね。

 だから、ナースプラクティショナーのような方々が日本において今現状必要かどうかというと、今の現状ではそのような体系になっておりませんし、これをやろうとすれば、かなりの研修を受けなきゃいけない、もしくは、いろいろな知識を学んで試験を受けていただかなきゃいけないんだろうと思います。

 一方で、日本は、医師も足りませんが看護師も足りないわけでありまして、そう考えたときに、現実的に今、ナースプラクティショナーというものが動くのか動かないのか、そこまで考えると、なかなか私は難しいんであろうなと思います。

 しからば、では、グレーゾーンも含めて、これから、医師が少ない、看護師も限られている中において、薬剤師、それから今言われた介護福祉士、こういう方々をどのように、職際といいますか、それぞれやれる権限の範囲というものを調整をつけていくかというのは、これは確かに大きな課題であるわけでございまして、チーム医療の観点からどこまでやるべきなのか、やっていいのかということを御議論いただいてきているわけであります。

 もちろん、それぞれの職種によって考え方が違うというものをすり合わせしながら、例えば介護福祉士にとっても、経管栄養でありますとか喀たん吸引等々がやれるように、これは一定の知識と能力をつけていただいて、さらには一定の条件のもとでありますけれども、やれるようにしてきているわけでありまして、これからも、このような部分、必要な部分はどうなのか、安全確保できるのか、こういうことをしっかりと検討しながら、チーム医療が進んでいくように努力してまいりたいと思います。

中島委員 これは診療報酬とかにもかかわるんですね。

 実際に、一人しかいない医師がいた場合、例えば、当然ですがレントゲン、私も一人でやっていますけれども、ちゃんと自分でやります。ただ、忙しさに忙殺されて、では、本当にそのようにやっているのか。本来であれば診療報酬が医師がやったことに対して発生するものが、先ほど言った、市中病院と大学病院では随分やることに差がある。そういう観点からいきますと、本当にその病院において、医師の役割、それに適正した診療報酬なのかどうかということすら、そこまでも行き着いてしまうわけですね。

 私が言いたいのは、要は、先ほども言いましたように、実際に現場で働いているお医者さんの意見は真っ二つなわけですよ。外科の医療の現場では、外科医の人たち、私もやっていたと言いましたが、NPさんの話、私も、実際行って見たわけではありませんが、報告等、ビデオ等で見させていただきますと、おなかをあけて閉じる、その作業については専門のNPさんがやります。これまで行けということではないんですが、やはり現場の意見を聞く。そして、時代はそのような時代にあると思います。

 先ほども申し上げたわけですが、その先に来る、これから二十数年後、一年間に亡くなる人の数は、今は百二十万人ですが、多く見積もれば二百万人ぐらいになってしまう。

 そういった中で、特養の待機者の数、老人保健施設、そういうものの体制づくりのためにも、きょう冒頭に柚木議員、いらっしゃいませんが、介護従事者の処遇改善というところも、これはやはり、医師から看護師へ、看護師から介護士へと権限を移譲することで、例えば、介護士さんはかなり幅が広いわけですね。今、専門学校もあって、専門の教育を受けて介護福祉士となっていく人もいれば、ある程度の年齢を経て、ヘルパーの資格を取って入っていく人もいる。全ての方に満遍なく処遇改善というのは非常に難しいと思うんですね。

 これはやはり、看護師さんから介護士さんへ、人の命の最期に携わるのは、今まで恐らく医師と看護師ということになっておったと思うんですが、これに、特養で亡くなる人の数もどんどんふえている、そういったことになると、人の最期にかかわる、医療にもかかわる、そこに介護士さんが入っていく。

 そういった意味では、やはりこの権限移譲は、現場の意見といってもこれだけ真っ二つに分かれている以上、チーム医療推進、地域包括ケアシステムの構築のためには、どこかで指導力を発揮しなきゃいけないと思うんです。いかがでしょうか、権限移譲に関して。

田村国務大臣 もちろん、これからいろいろと多様化していく医療ニーズに対して、現在のマンパワー、これからも養成してまいりますけれども、医療行為を受ける対象者もふえてくるわけですね。そのマンパワーをしっかり養成していかなきゃならぬという大前提がありますし、その中において、どう効率的にそれぞれの役割分担をしていくかということも大切であるというふうに思います。

 ただ、一方で、やはりそれぞれの、それこそ専門職種の方々の御理解がそれぞれ得られなくしてこれをやってしまえば、今度は医療行為自体が動かなくなる可能性もあるわけでございまして、同じ医者でも、賛成の方もあれば反対の方もおられるという話もございました。

 いろいろな御意見を集約しながら、より効率的で実効性の上がるような、そのようなチーム医療というものができるように、これからも不断の努力はしてまいりたいというふうに思います。

中島委員 そこは非常に難しいところなのは私も認識しております。

 だからこそ、しっかりとした、要は、この後に質問しようと思ったんですが、実際に非常に思うことは、そんなことは当たり前だろうと言われるかもしれませんが、私は、病院の院長が医者でなきゃいけない理由は全くないと思います。

 何の法律で決められているんですか。

原政府参考人 条文は忘れましたが、医療法の中で規定されております。

中島委員 済みません、きのう時間がなくて通告が、ちょっと私、医療法を調べてみたんですが、正確には、この文言自体をどう捉えるかというのもあるんですが、病院長は医者ではなくてもいいというふうに捉えられるんですね。

 例えば、理事の中には入っていなければいけないですが、「医療法人は、その開設するすべての病院、診療所又は介護老人保健施設の管理者を理事に加えなければならない。」ということになっておりまして、例えば自治体病院、市立病院とか県立病院の場合は、その管理者、例えば県であれば県知事、市であれば市長、これが院長に当たるんだと思うんです。

 それは、業務的なトップは院長、医者ということになるわけですが、例えば私立の病院でいけば、私は、実際に病院長は看護師さんが望ましい。理由は、実際にベッドコントロールしているのは看護師さんですし、他職種との連携をとるのも看護師さん。やはり、非常にこれもグレーな部分なのかなと。私、自分の診療所は、今こうやって国会の場へ来ていますので、ここがはっきりすれば、私の診療所の院長は看護師さんにしよう、そのぐらい思っているわけですね。

 きょう、これは通告していないので、済みません、私が調べた結果、医療法では、医師が病院の院長をしなければならないということは、私が見る限り、これははっきり文言としては書いていないんです。これはまた調べていただいて、何となく常識になっているようですが。

 そういったことも含めて、例えば、老人保健施設の理事長は医師でなければならない、そして、一応、老健の場合は常勤で医師が毎日来なきゃいけない。でも、実際には来ていません。恐らくこれは大っぴらにはそうですとは言えないのかもしれませんが、それはそうです、例えば、老人保健施設、うちの地元もそうですが、高齢化率が高いところで、医師偏在のあおりを受けた医師不足の地域です。内科医もいない病院がたくさんある中で、老人保健施設に毎日毎日来る医者を確保するなんということはできないですよ。

 そういった現状も含めて、そういう管理をするのは、今後、やはり、看護師さんや、そういう他職種の権限を移譲していかなければ、恐らくこのまま、高齢化社会のピークがこれから二十数年後なわけです。もちろん専門性というところもありますが、先ほど申し上げたように、チーム医療、多職種連携というのは、例えば在宅医療でいえば、在宅の特性の中で、それぞれの立場を乗り越えて連携をとるということですから、それぞれの言い分ばかり聞いていたら、チーム医療なんて成り立ちません。

 そのことは、私、現場にいても強く思いますし、以前から大変思っていたことですので、今後も、やはり、チーム医療のための権限移譲、決して、私、医師会がだめだとか、看護協会がいいとか悪いとか、そういう意味で言っているわけではなくて、そういう垣根を越えて、これから地域包括ケアシステムの構築が不可欠だと思うので、ぜひ進めていただきたい。

 先ほど申し上げましたように、特定看護師さんもそうです。もっと言えば、私は、NPさん、NPの制度自体をはっきりと示して、アメリカでは一九六〇年代です、それがなぜ、今のこれだけ高齢化が進んだ、医師不足だと言われている日本でできないのか。そのことは、問題意識として、これからも進めていきたいし、私も訴えていきたいというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 ちょっと時間もあれなので、今国会、国家安全保障ということで熱い議論がされておりました。決して、ここで蒸し返すとか、そういったことではないんですが、私、以前から思っておりまして、この国家安全保障政策の観点で、もちろん、テロとか、他国からの攻撃とか、それに対して防衛費、そういったものを補充していくのは必要なことだとは思いますが、その一方で、その結果、人の命が守られなければいけない、そのような認識です。

 テロや攻撃の安全保障対策における医療体制の整備の重要性、また現在の整備状況をお尋ねしたいと思います。

原政府参考人 テロや有事における医療につきましては、爆発物に限らず、生物剤、化学剤、あるいは放射性物質を用いるテロ事案など、さまざまな事態を想定して対応することが重要であると考えております。

 このため、いわゆるNBC、核・生物・化学といった兵器による災害やテロが発生した場合に適切な対応ができる医師等を養成する必要があると思います。このために、救命救急センターなどの医療従事者を対象として、専門知識や技術等の習得を目的とした研修を実施しているところでございます。

 また、NBCテロ等の事案への対応につきましては、厚生労働省の国民保護計画で、救急医療チームの派遣、事案発生地への医薬品の供給といった内容を定めておりまして、内閣官房主催の国民保護訓練がございますが、こういうところに参加することなど、計画を医療体制の視点から検証しているところでございます。

 今般成立いたしました国家安全保障会議設置法におきましても、NBC・爆弾テロ等が発生した場合には、緊急事態大臣会合に厚生労働大臣も参画することとなっておりまして、厚生労働省としても、医療提供体制の確保のために必要な役割を果たしていきたいと考えております。

中島委員 やっておられるということで、ただ、予算的なことも含めて、これはある文献で見たんですが、やはり我が国の医療は、安全保障にかかわる事案によって発生する健康障害に対して脆弱で、対応能力を欠いているとも諸外国から言われているということもあります。

 もちろん、国家安全というところで、最終的には日本国民の命を守るということですから、この観点で、ぜひさらに充実させるように努力をしていただきたいと思います。

 時間になってしまったんですが、もう一点だけ、ちょっと私から、以前もお話ししましたが、福島における原発事故、その後の小児甲状腺がんの問題。

 十月十七日の本会議、生活の党の鈴木代表から、福島の甲状腺がんがふえていると。それに対し、私も議場におりましたが、いや、そんなことないとか、風評につながるとか、そういう、やじとも言えることがたくさん広がりました。それに対して、議事録も削除じゃないかというような議論がされておるようですが、これはむしろ逆だと思います。

 福島以外に避難した方は、まだ一次検査も終わっていない。三・一一の後の福島原発後に、放射性核種の種類、それはある程度想定はされているようですが、ただ、その後の子供たちの行動動態が全くわかっていない段階で、チェルノブイリの事例を見ていけば、あと一年半後には甲状腺がんの子供はたくさんふえる可能性は否定できないわけです。

 ですから、むしろ、そういったことを啓発して受診率を高めてもらう、そのように私は考えておりますので、その件について質問しようと思いましたが、時間になりましたので、これで終了いたします。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 二〇〇六年に国連総会で採択、〇七年に日本も署名した国連障害者の権利条約の批准が、いよいよ今国会で決定される見通しであります。国会ですから、何が起こるかわからないということがあるわけですが、期待をしているわけであります。

 昨日の参議院の外交防衛委員会で参考人質疑が行われまして、日本障害フォーラムの藤井克徳さんは、今国会で何としても批准を実現してほしいという訴えとともに、権利条約に恥をかかせないで、こう訴えました。非常に重い言葉ではないかと思います。ナッシング・アバウト・アス・ウイズアウト・アスのスローガンに象徴されるように、制定過程から参加をしてきた団体の代表としての言葉、本当に受けとめて頑張っていきたいなと思っております。

 それで、きょうは外務省の木原政務官においでをいただいております。ありがとうございます。

 今国会で批准が決定された場合、その後の公布までのスケジュール感と、それから実効ある促進体制、周知活動なども含めてどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。

木原(誠)大臣政務官 お答えを申し上げます。

 本条約につきましては、本院におきまして議決をいただいたということでございます。

 今後、国会で締結について承認が得られました後には、批准、公布のための閣議にまずかけられます。そして、この閣議決定がなされた後、批准書が国連事務総長へ寄託をされるということになってございます。本条約は、この寄託の後、三十日目の日に我が国について発効をする、こういうことになってございます。

 委員を初めとして厚生労働委員会の皆様の御努力によりまして、国内法の整備は十分進んでいる、こういう状況でございますので、できる限り速やかに私どもとしては批准に向けた手続をしていきたい、このように思ってございます。

 また、本条約の締結後は、条約につきまして、できる限り積極的に広報を進めてまいりたいというふうに思っております。また、障害者権利委員会に対する国別報告の作成、あるいはまた同委員会からの提案、勧告に対して関係省庁間で密接に連携して対応する、こういった実際の活動を通じて、本条約を効果的に実施してまいりたい、このように考えております。

 また、その過程では、引き続き障害者の方々の御意見も賜ってまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 制度や法律をつくるときに、定義とか範囲というものが非常にいつも問題になるわけでありますが、この権利条約というのは本当に幅が広いものだと思っています。

 特に、障害の定義については、障害はどういうものをいうのかという明確なものがございません。そのかわりに、前文の中に次のような規定があります。

 「障害が発展する概念であることを認め、また、障害が、機能障害を有する者とこれらの者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用であって、これらの者が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものによって生ずる」。

 このように書かれていることは非常に重要だと思っていますけれども、改めてその趣旨についてお聞かせください。

木原(誠)大臣政務官 お答え申し上げます。

 高橋委員御指摘のとおり、本条約には必ずしも、障害者を明確に定義する、そういう規定は置かれてございません。

 今、前文の(e)のところを御紹介いただいたわけでございますが、もう一条、第一条に次のような規定がございます。

 「障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害であって、様々な障壁との相互作用により他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げ得る」者を含む、こういう概念規定が置かれているところでございます。

 この前文の(e)、そしてまた第一条の規定の考え方というのは二点あるのかな、このように考えております。

 一つは、障害ということについて、固定された概念ではなくて、環境や社会の変化等により今後も発展し、時代によって異なる、そういうさまざまな解釈がされ得るんだということを示しているということ。もう一つは、単に機能障害という面だけにとどまらず、さまざまな周辺の環境、また社会への参加の度合い、こういったものを総合的に判断して考えていくべきである。こういった考え方が反映されているものと承知をしております。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 非常に大事なことではないかなと思っているんです。固定的なものではない、また、周りのいろいろな環境や条件が変わることによって、また障害ということの考え方も変わるのではないかということでありました。

 木原政務官、どうもありがとうございました。御退席いただいてよろしいです。

 そこで、今のところを聞いていただいて、田村大臣に伺いたいと思うわけですが、改めまして、国連障害者の権利条約の意義について、大臣としての認識と、また厚労省として、所管分野も多いわけですから、今後の取り組みの決意を伺いたいと思います。

田村国務大臣 障害者権利条約は、障害者の方々の権利の実現に向かって、大変重要な条約であるというふうに私は思っておりますし、一層、これによって、障害者の方々が地域で生活をされる中においてより暮らしやすい、そのような環境が整備されていく、そのために、なお一層我々は取り組んでいかなければならないと思っております。

 障害者総合支援法の制定もございました。そして、障害者雇用促進法の中において、一つは、差別の禁止ということを明記いたしました。そしてまた、合理的配慮の提供義務、これもこの中に書いてあるわけでありまして、このような形の中で、やはり、障害者の方々がその権利というものを実現する中において、よりよい環境というものを整備していく、それが、我々厚生労働省のみならず、各省庁、協力しながらやっていかなければならないことであろうと思いまして、そのような意味からいたしましても、この条約に加盟するということは大変大きな意義があろうというふうに思っております。

高橋(千)委員 ことし六月の障害者雇用促進法の質疑のときにも、権利条約と照らして大臣に認識を伺ったんですが、そのときに、障害者基本法の改正、総合支援法、差別解消法、雇用促進法、これで、国内法の整備によって批准のための環境は整ったというふうにおっしゃったわけですね。

 私たちは、もちろん、それぞれ個別の法案に対していろいろな意見があるわけですけれども、さっきちょっと議論を聞いていただいたと思うように、条約というのはやはり懐深いものでありましたので、法律ができた、あるいは批准したということで終わりではなくて、これからがさまざまな面で試されていくということだと思いますので、ぜひ、その立場でまた一つ一つ議論をしていきたいと思いますので、お願いをしたいと思います。

 そこで、きょうは、残されている差別の問題で幾つか議論をしていきたいなと思っているんです。

 〇八年の六月四日に、私、この委員会で精神障害者の交通運賃の割引問題を質問いたしました。そのときは、障害者自立支援法によって三障害、身体、知的、精神が既に一元化されたんだ、なのに、実際には精神障害者だけが割引制度がおくれているねということを指摘したものであります。

 それで、今せっかく権利条約をやりましたので、資料の一枚目につけました。

 アンダーラインを引いたところを見ていただきたいと思うんですが、第二十条に、「個人の移動を容易にすること」、このような条文がございます。「締約国は、障害者自身ができる限り自立して移動することを容易にすることを確保するための効果的な措置をとる。」それで、(a)の中に、「自ら選択する方法で、自ら選択する時に、かつ、負担しやすい費用で移動することを容易にする」、こういうふうに書かれているんですね。

 ですから、福祉の分野でいいますと、移動のために、同行支援ですとか、あるいは補助犬ですとか、いろいろな仕組みがあるんですよね。だけれども、やはり交通費補助というのもその一つと言えるのではないかと思います。

 障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会、障全協は、七万筆の署名を集めています。全国の当事者の強い要望もあります。

 今お話ししてきたように、障害者基本法や権利条約批准など、背景としても整ってきたと思いますが、改めて、国土交通省に、障害者の運賃割引の必要性について、認識と、現状どのようになっているか、伺います。

奈良平政府参考人 お答え申し上げます。

 先生ただいま障害者権利条約の二十条について言及なさいました。

 国土交通省といたしましても、障害者等の円滑な移動の確保を図ることが重要であるという認識を持っております。

 このため、いわゆるバリアフリー法に基づきまして、公共交通機関におけるバリアフリー化を推進しているところでございます。

 一方、障害者に対する運賃割引につきましては、各事業者の自主的な判断に基づき実施されているものでございます。

 精神障害者に対する運賃割引につきましては、平成十八年十月の精神障害者保健福祉手帳に本人の写真を貼付するという制度改正の機会などにおきまして、各事業者や事業団体等の関係者に対し、理解と協力を求めてきたところでございます。

 精神障害者に対する割引を実施している交通事業者は、全体としては増加傾向にあり、平成二十五年四月現在では、鉄軌道事業者で五十五者、乗り合いバス事業者で六百六十五者、法人タクシーで千九百五十六社、個人タクシーで二万六百九十七者、旅客船事業で三十八者、合計二万三千三百九十三者となっているところでございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今お答えいただいた全体の状況を、資料の二枚目につけておきました。

 これは、平成十三年が下にありまして、それと比べて、例えば鉄道はどうかといったら二十だったのが五十五、乗り合いバスは八十三だったのが六百六十五、旅客船はゼロだったのが三十八という形で、確かに伸びているというのがわかると思います。私、毎年、このような分厚い資料を、全国の各自治体から国交省が調査をしていただいて、まとめていただいています。その点については本当に感謝をしたいと思います。

 全体との関係でどうなのか、要するに、全事業者の中の割合でどうなのかということで、また資料をいただいて、まとめたものが三枚目であります。

 そうすると、非常にこれはよくわかるんですね。鉄道は、公営ですと一〇〇%なんですが、民鉄になりますと二六・七%。バスも、公営だと九〇・三%なんですが、民営だと三二・五%ということで、やはりまだかなり低いというのがわかります。

 ただ、これは右側のタクシーを見ていただきますと、法人のタクシーは一三・二%にとどまっているんですが、個人タクシーは五〇・九%と、逆に個人タクシーが頑張っているというのが見てとれるかなというふうに思っております。

 そこで、この問題に十年来取り組んでいる障全協の北海道の皆さんは、毎年、大通公園で署名に取り組んでいらっしゃって、また、二〇一〇年の六月には北海道議会で意見書が採択をされました。生活保護やわずかな障害年金、高齢な親の庇護のもとで暮らし、通院や通所の交通費にも事欠く全国の精神障害者を救済してほしいと訴えております。ですから、伸びてきたといってもまだまだ差がある。ここに、さらに、何とか飛躍をしたいと思っているわけですね。

 そうした中で、やはり運動を反映したと思うんですが、昨年の七月三十一日、一般乗合旅客自動車運送事業標準運送約款の一部改正がされまして、二十四条の運賃の割引について、「精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者」というふうに明記をされました。これは、資料の四枚目に、その趣旨について国交省が出した通知をつけておきました。

 標準約款の性格ということもあると思うんですが、明記をしたことによってさらに広がるということを期待するわけですけれども、その経緯と趣旨についてお願いいたします。

大庭政府参考人 御指摘のとおり、乗り合いバス事業におきましては、昨年の七月三十一日付で、一般乗合旅客自動車運送事業標準運送約款、これの一部改正を行いまして、運賃割引の対象として、身体障害者及び知的障害者に加え、精神障害者を追加したところでございます。

 これは、平成十八年に精神障害者保健福祉手帳の様式が改正されまして、写真が貼付され、本人確認ができるようになったことにより、運賃の割引が可能になったこと、さらには、輸送人員ベースで全体の約七割を占める事業者において精神障害者に対する運賃割引を導入している状況にあったことを踏まえ、実施したものでございます。

 私どもといたしましては、精神障害者に対する運賃割引を行う乗り合いバス事業者がさらに増加いたしますよう、引き続き、運賃割引の実施について、乗り合いバス事業者に対して理解と協力を求めていきたいと考えております。

高橋(千)委員 二〇一〇年に岩手県盛岡市で、精神保健福祉家族大会、みんなねっと岩手大会というのが開催されて、この交通運賃割引問題が、全国で取り組んでいらっしゃる方たちが集まって、深められたわけなんですけれども、そのときの、岩手県のてんかん協会支部のメッセージを紹介したいなと思うんです。

 車社会という言葉が使い古されている時代においても、私たちてんかんを持っている者にとって、運転免許取得は遠い存在のような気がします。そんな私たちの足はバスや列車です。仲間と話したい、年に一回のキャンプに出たい、全国の仲間と話し合いたい、そう願いを抱いても、立ちどまらせます。仲間たちは作業所で安い工賃に甘んじて黙々と働いています。しかし、その給料からはとても足代の出る余裕などありません。

 私がなぜこれを紹介したか、よくわかっていただけると思うんですけれども、先般の道交法の改正で、てんかん患者の免許取得というのはさらに厳しくなりました。また、社会の偏見も強まっています。しかし同時に、その足も奪われている。そういう中での訴えだと思います。

 また、もう一人、三十代の男性です。

 私は、自宅から離れた場所にある作業所にバイクで通っています。冬、寒くなると、親に送ってもらわないと通えません。でも、私はまだ恵まれています。親が元気でどうにか時間をやりくりして送ってもらえるからです。仲間の一人は、作業所の賃金が一日六百円、かかるバス代は二千円以上です。通うほど出費が増します。せめて行動しやすい環境をと願います。

 こういう本当に社会に出て頑張りたいという思いが報われないということに対して運動を続けてきた中で、やっとここまで来たと思うんですけれども、もう一息頑張ってほしいと思うんです。

 私は、きょう訴えたいのは、こうして当事者が頑張って、今紹介したように、一定の前進はしてきています。だけれども、実は、一番大手のJRあるいは航空会社は、全くやっていません。これは、経営力や公益性の大きさから見ても、国としてちゃんと強く求めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

奈良平政府参考人 お答え申し上げます。

 この割引制度でございますけれども、その減収を他の利用者の負担で賄うというものでございまして、割引対象にするかどうかということにつきましては、基本的には各事業者の自主的な判断に係る問題であると考えております。

 国土交通省といたしましては、これまで、さまざまな機会を捉えまして、各事業者や事業者団体などの関係者に対して理解と協力を求めてきたところでございます。

 今後とも、先生御指摘のありますJR、航空会社を含めまして各事業者に対しまして、引き続き、理解と協力を求めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 前回もそういう答弁だったわけですね。事業者が割引をすることによってほかの利用者に影響があるから、民間だから限界があるということをおっしゃった。

 だけれども、そういう中でも、今紹介したように、個人のタクシーも含めて頑張っているわけですよね。そうすると、一番力がある、JR三社は今経営が、純増しているということを言われている中、一番力があるところが率先してやるのが本来ではないかと思うんです。

 奈良県のJR・大手民鉄の精神障害者運賃割引を実現する会、この皆さんは、国土交通大臣並びにJR各社と大手民鉄、全国に質問状を送って、割引を迫っているんです。

 そうすると、答えぶりが同じなんですよ、JRは特に。誰かが見本をつくったかわからないんですけれども、現在の身体障害者割引などいわゆる公共割引は国鉄時代の制度を引き継いだものだ、国鉄のときにやっていたから、今は民間だから違うんだということを言っているんですね。これらは基本的に、本来、国の社会福祉施策で、国の負担でお願いすべきものだと。

 もちろん、それは私はお願いしたいと思いますよ、それはそうだけれども、やはり、全体が頑張っているときに、なぜ大手がやれないのか。また、三障害なのに、なぜ精神だけが、後から来たからといって置いてきぼりを食うのか。これは絶対おかしな話なわけですね。

 そこで、後ろ二枚、四枚目の資料を見ていただきたいと思います。

 これは、総務省の九州管区行政評価局の出したプレスリリースであります。行政苦情救済推進会議のところに、精神障害者もバスの割引が受けられるようにしてほしいという意見がありました。

 相談の要旨は書いてありますけれども、簡単に読みますと、娘が精神障害で手帳の二級を保有している、自動車の運転ができないため、外出する際にはバスを利用しているが、身体障害者や知的障害者と異なり、精神障害者には運賃割引が適用されていないという趣旨のものであります。

 これに対して、二枚ありますが、行政評価局として、身体と知的は全部、一〇〇%やっているのに精神のところだけ全然おくれているということを調査した上で、あっせんをしているわけですよね。「このような状況を踏まえると、精神障害者のみ割引の対象から除外している現在の状況は、他の障害者との公平性に欠けると考えられる。」と認定して、あっせんを行ったわけであります。

 まさか、九州だけの問題にしてはならないと思いますが、これを受けて国交省がどのように取り組んできたか、お願いいたします。

大庭政府参考人 御指摘の平成二十四年十月十六日の九州管区行政評価局からのあっせんは、身体障害者及び知的障害者を対象として実施しております割引制度の適用につきまして、精神障害者についても適用の対象とすることについて、九州運輸局から管内のバス事業者に対して引き続き理解と協力を求めるべきとする内容となっております。

 このあっせんを受けまして、国土交通省の取り組みについてでございますけれども、まず、九州運輸局におきまして、同年の十一月一日に、管内の乗り合いバス事業者六十一社、このうち精神障害者割引を実施しておりません三十一社及び九州バス協会会長宛てに、精神障害者に対する運賃割引の適用拡大の協力要請文書を発出しております。

 また、九州以外の各地方運輸局につきましても、管内で精神障害者割引を実施していない乗り合いバス事業者及びバス協会に対して文書による協力要請を直ちに行うよう、国土交通本省自動車局から指示を行い、各地方運輸局から、乗り合いバス事業者及びバス協会に対して文書により協力要請を行っておるところでございます。

高橋(千)委員 やはり、一般論でなく、具体的に、やっているところとそうじゃないところがあるわけですから、個別に指導してくださったということだったと思います。

 それで、ここまでのやりとりを田村大臣にも聞いていただいたわけなんですが、ぜひ認識を伺いたいと思います。

 今紹介した行政評価局の文書を見ますと、あっせんをする前提として何を見ているかということです。さっき言ったように、約款の改正ということもあるんですけれども、最初に議論してきましたように、精神障害者の就職件数が増加をしている。まだまだ不十分とはいえ、雇用促進法の中に精神障害者の義務づけも行ったわけでありますね。

 そうしたことを踏まえて、「障害者の自立及び社会参加の支援等を目的とする障害者基本法では、精神障害者と身体障害者又は知的障害者との間で位置付けは異なるものとはなっていない。」また、就職件数が伸びていて云々という形で、「社会参加が進んでいる状況がうかがえる。」というふうに書いているんです。

 だから、大変だから、もちろん大変なんですよ、大変だから何とかせいというだけの話ではなくて、せっかく権利条約にあるような自立と社会参加が進んでいる環境をやっと整えてきた、だったら、何でここに、精神障害者だけ別なんですか、公平性に欠けるでしょうという指摘は、私はすごく重要だと思うんですね。やはりそういう視点に立って、これは一気に解決をせざるを得ないんじゃないかと思うんです。

 ですから、三障害一元化といいながら精神障害者だけがおくれているという現状は、やはり変えなければならないと思うんです。それを、もう一声、乗り越えるために何かの措置が必要だとすれば、例えば零細の事業者に対する税制の減免措置の問題ですとか、あるいは自治体の取り組みが非常に進んでおります、それに対して交付税措置なども必要だと思うんです。

 そういう意味では、例えば国交省とか総務省、財務省、いろいろなところと連携して、やはりここはやろうよ、ここに差をつけちゃいけないんだというところではリーダーシップを果たしていただきたいなと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 委員おっしゃられますとおり、身体障害者手帳、療育手帳等々をお持ちの方は公共交通機関の割引等々をお受けになっておられる、ほとんどそうなっておるわけでありますけれども、精神障害者保健福祉手帳に関しては、まだ、全てというか一部というか、そうじゃないという交通機関が、今も名前を例示して挙げられましたけれども、あられるということでありまして、三障害は同じじゃないかという中において、非常に不公平だという御意見があることは我々も賜っております。

 平成十八年十月に、手帳に写真等々をくっつけられるようにして、本人確認ができるようにしたわけでありまして、それも、その意味では、ぜひともこのような公共交通機関で割引をしていただくための、一つ前進するための方策でもあったわけであります。

 これは、それぞれ事業者が独自にやっておられるということは、今も国交省から話がございました。ですから、公共交通機関を運営しておられる事業者並びに自治体、こういうところの御理解をいただかなければならないわけでございますので、私どもから、厚生労働省として何か物を要請するよりかは、やはりいろいろな許認可を持っておられる国土交通大臣からしていただいた方が、それはきくのは間違いがないわけでございまして、我々も何度も国土交通大臣には要請をさせていただいてきたわけであります。

 しかし、いろいろなところで、それを実現するための環境整備というものがあるのではないかというような、今、委員からの御提案もいただいておるわけでございます。

 各省庁といろいろと相談をしながら、何ができるのかということも含めて、おっしゃられるとおり、精神障害者の方々がもう今どんどんと社会の中で、それこそ職について頑張っておられるというような、そんな現実になってまいりました。そのためには、やはり移動するための手段、これを使うわけでありますから、そのような意味合いというのは我々も大変大きいものがあるというふうに思っておりますので、いろいろとこれから検討をしてまいりたいというふうに思います。

高橋(千)委員 事業者にはいろいろ言えないと言いつつも、二障害については一〇〇%やっている。そういうことを考えれば、やはり国の決意次第なのではないか。もちろん、国土交通大臣には先頭に立っていただきたいんですが、そのための環境づくりということでは、やはり厚労大臣にイニシアを発揮していただきたいということを強く求めまして、本当は制度の谷間の問題、さまざまありましたが、きょうはここで、要望して終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

後藤委員長 次に、内閣提出、参議院送付、生活保護法の一部を改正する法律案及び生活困窮者自立支援法案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。田村厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 生活保護法の一部を改正する法律案

 生活困窮者自立支援法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田村国務大臣 ただいま議題となりました生活保護法の一部を改正する法律案及び生活困窮者自立支援法案について、その提案の理由及び内容の概要を説明いたします。

 まず、生活保護法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 生活保護制度は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基づき生活に困窮する全ての国民の最低限度の生活を保障するとともに、その自立の助長を図るものとして重要な役割を担ってまいりました。しかしながら、法の制定から六十年以上の間、抜本的な見直しが行われておらず、近年の生活保護受給者の急増や、不正事案が発生する状況の中で、幅広い観点からの見直しを行う必要があります。

 こうした課題に対し、最後のセーフティーネットとして必要な人には確実に保護を実施するという生活保護制度の基本的な考え方を維持しつつ、今後とも制度が国民の信頼に応えられるよう、生活保護受給者それぞれの状態や段階に応じた自立の促進、不正受給対策の強化、医療扶助の適正化等を行うための所要の措置を講ずるため、生活保護法の一部を改正する法律案を第百八十三回国会に提出いたしました。同法案は、審議未了、廃案となり、成立を見るに至りませんでしたが、一刻も早くその実現を図るために、所要の修正を加えた上で、ここにこの法律案を提案し、御審議を願うこととした次第であります。

 以下、この法律案の内容について、その概要を説明いたします。

 第一に、就労による自立の促進を図るため、安定した職業につき、保護から脱却することを促すための給付金を創設することとしております。

 第二に、不正・不適正受給対策の強化のため、福祉事務所の調査権限を強化し、就労活動等に関する事項を調査可能とするとともに、官公署に対しては回答義務を創設することとしております。また、罰則の引き上げや不正受給に係る返還金の上乗せ等を行うことといたしております。

 第三に、医療扶助の適正化のため、指定医療機関制度について、指定や取り消しに係る要件を明確化するとともに、指定の更新制を導入することとしております。また、医師が後発医薬品の使用を認めている場合には、生活保護受給者に対し後発医薬品の使用を促すことといたしております。

 最後に、この法律案の施行期日については、一部の規定を除き、平成二十六年七月一日としております。

 次に、生活困窮者自立支援法案について申し上げます。

 近年、生活困窮者が増加する中で、早期にその支援を行い、自立の促進を図ることが重要な課題となっております。

 このため、生活困窮者に対する就労の支援を含む自立の支援に関する相談等を実施するとともに、住宅の確保に関する給付金の支給等を通じ、その自立を支援することを目的として、生活困窮者自立支援法案を第百八十三回国会に提出いたしました。同法案は、審議未了、廃案となり、成立を見るに至りませんでしたが、一刻も早くその実現を図るために、ここにこの法律案を提案し、御審議を願うこととした次第であります。

 以下、この法律案の内容について、その概要を説明いたします。

 第一に、都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村は、就労の支援を含む自立の支援に関して、生活困窮者からの相談に応じる等の生活困窮者自立相談支援事業を行うことといたしております。

 第二に、都道府県等は、離職等により経済的に困窮し、居住する住宅を失った者や賃貸住宅の家賃の支払いが困難となった者であって、就職を容易にするために住居を確保する必要があると認められるものに対し、生活困窮者住居確保給付金を支給することといたしております。

 第三に、都道府県等は、地域の実情に応じて、生活困窮者就労準備支援事業、生活困窮者一時生活支援事業、生活困窮者家計相談支援事業及び生活困窮者である子供に対する学習の援助を行う事業等を行うことができることとしております。

 第四に、国は、生活困窮者自立相談支援事業及び生活困窮者住居確保給付金に要する費用の四分の三を負担するとともに、その他の事業に要する費用の一定割合を補助することができることといたしております。

 第五に、雇用による就業を継続して行うことが困難である生活困窮者に対し、就労の機会を提供するとともに、就労に必要な訓練等の事業を行う者は、当該事業が一定の基準に適合していることについて、都道府県知事の認定を受けることができることといたしております。

 最後に、この法律案の施行期日については、一部の規定を除き、平成二十七年四月一日としております。

 以上が、二法案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

 以上でございます。

後藤委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十二月四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時八分散会


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