衆議院

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第6号 平成26年3月26日(水曜日)

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平成二十六年三月二十六日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      大串 正樹君    金子 恵美君

      神山 佐市君    黄川田仁志君

      熊田 裕通君    小松  裕君

      古賀  篤君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑  毅君    田畑 裕明君

      高鳥 修一君    高橋ひなこ君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      中谷 真一君    永山 文雄君

      藤井比早之君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    牧島かれん君

      松本  純君    三ッ林裕巳君

      宮川 典子君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    村井 英樹君

      簗  和生君    山下 貴司君

      大西 健介君    玉木雄一郎君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    足立 康史君

      浦野 靖人君    小熊 慎司君

      清水鴻一郎君    重徳 和彦君

      輿水 恵一君    桝屋 敬悟君

      中島 克仁君    井坂 信彦君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   財務大臣政務官      葉梨 康弘君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            中野 雅之君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  香取 照幸君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         本東  信君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     吉田 光市君

   参考人

   (独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長)           小林 利治君

   参考人

   (中央職業能力開発協会理事長)          青木  豊君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十六日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     宮川 典子君

  大久保三代君     小田原 潔君

  金子 恵美君     田畑  毅君

  田畑 裕明君     簗  和生君

  村井 英樹君     宮崎 謙介君

  山下 貴司君     藤井比早之君

  大西 健介君     玉木雄一郎君

  浦野 靖人君     小熊 慎司君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     牧島かれん君

  田畑  毅君     金子 恵美君

  藤井比早之君     宮崎 政久君

  宮川 典子君     今枝宗一郎君

  宮崎 謙介君     小倉 將信君

  簗  和生君     中谷 真一君

  玉木雄一郎君     大西 健介君

  小熊 慎司君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     黄川田仁志君

  中谷 真一君     田畑 裕明君

  牧島かれん君     大久保三代君

  宮崎 政久君     神山 佐市君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     熊田 裕通君

  黄川田仁志君     村井 英樹君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     山下 貴司君

    ―――――――――――――

三月二十六日

 独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)

 独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律案及び短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長小林利治君、中央職業能力開発協会理事長青木豊君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として厚生労働省医政局長原徳壽君、労働基準局長中野雅之君、雇用均等・児童家庭局長石井淳子君、年金局長香取照幸君、国土交通省大臣官房総括審議官本東信君、大臣官房建設流通政策審議官吉田光市君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。豊田真由子君。

豊田委員 自由民主党の豊田真由子でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 法案に関してお伺いをします前に、今般の診療報酬改定などにつきましてお伺いをしたいと思います。

 今般の改定では、医療機関の機能分化、連携が重点課題とされまして、七対一要件の見直し、急性期後の受け皿となる病床の評価などが行われたところであります。今後の我が国のさらなる高齢化の進展を見据えますと、こうした慢性疾患を中心とした医療ニーズに対応した医療提供体制の構築の方向性というものは、基本的に妥当なものであると考えられます。

 ただし、そのためには、病院から退院した患者さんが、そして御家族が地域で安心して生活できるように、地域包括ケア、医療や介護が一体的に提供される安心なシステムの構築が不可欠であります。そのため、今回の改定におきましても、さまざまな職種の方に地域包括ケアへの参加を促す点数が設けられておると承知をしております。

 しかし一方で、地域の現場、私もよく歩きます。そうしますと、やはり在宅医療・介護にかかわる方はまだごく一部でありまして、医療と介護、また各職種間の連携も十分とは言えない状況にあるというふうに思います。医療面だけを見ましても、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、リハビリ職、栄養士などなど、多職種の方がそれぞれの専門性を発揮しながら連携して、患者と家族の方を支える仕組みを構築することが重要であります。

 こうした点を踏まえまして、医療や介護の人材不足、また処遇の改善にどのように対応し、そして、地域において、多職種連携をして地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいくように方策を講じていかれるおつもりか、今後の取り組みをお伺いしたいと思います。

土屋副大臣 医療・介護分野における人材確保については、医師確保対策として、平成二十年度から、文部科学省と連携して医学部入学定員の増員等を行っております。看護職員の確保については、病院内保育所への支援や勤務環境改善などの、定着促進等を行っております。そしてまた、介護人材確保については、キャリアパスの確立や介護職員の処遇改善等の施策を推進しているところでございます。

 さらに、先般提出しました医療介護総合確保推進法案による新たな財政支援制度において、平成二十六年度は、医療従事者等の確保、養成のための事業等を対象とすることとしておりまして、都道府県において地域の医療関係者等と十分に協議を行った上で、地域の実情に応じて活用することを考えております。

 多職種連携については、多職種が参加する研修会や地域ケア会議等を実施する中での実現を図っていきたいと考えておりますが、今後とも、医療、介護を取り巻くニーズの変化等を踏まえつつ、事業主や自治体と十分に連携しながら、必要な人材を確保するとともに、医療、介護等に従事する多職種がチームとして高齢者や家族を支援する体制を構築していきたいと考えております。

豊田委員 しっかりと現場で汗を流す皆様の御意見を伺いながら、私どもも頑張ってまいりたいと思います。

 お話の中にございました九百四億円の基金につきましては、この規模ではまだまだ足りないという御意見があることもごもっともではありますが、ともあれ、一つの前進であるということで、地域の関係者の御意見をしっかりと反映し、また、地域のそれぞれの実情に合わせて効果的かつバランスのとれた活用がなされるように、都道府県とも連携してしっかりと配慮をしていただきたいというふうに思います。

 こうした在宅医療・介護の推進におきましては、受け皿となる医科や介護はもちろんのこと、歯周病や糖尿病、誤嚥性肺炎の予防等のために、口腔ケアの重要性、また複数の薬の飲み合わせの問題など、健康寿命の延伸、QOLの向上のためには、地域における歯科保健医療の充実や、服薬指導等を通じました地域の薬局、薬剤師の方々の活用等も欠かせないと思います。

 こうしたことにこの基金でどのように御対応されるのか、お伺いをいたしたいと思います。

土屋副大臣 医療介護総合確保推進法案においては、都道府県が策定予定の計画に基づきまして、新たに設置する基金を活用しながら、今おっしゃいました歯科医療とか薬局を含む事業を行っていくこととしております。

 都道府県がこの計画を策定するに当たりましては、三つのテーマがあります。一つは、病床の機能分化、連携のために必要な事業、それから二つ目は、歯科、薬局を含む在宅医療を推進する事業、そして三つ目が、医療従事者等の確保、養成のための事業についてであります。地域の医療関係者や医療を受ける立場にある方々など、幅広い関係者からの意見を聞きながら事業を実施することが可能となっております。

 また、国と関係団体の協議を踏まえて整理しました地域包括ケア推進等のため特に必要と考えられる事業を、事業例として都道府県にお示ししております。

 例えば、御指摘のあった歯科保健医療や薬局、薬剤師の活用に関しましては、地域医療支援病院やがん診療連携拠点病院等の患者に対する歯科保健医療の推進、そして、在宅歯科医療連携室と在宅医療連携拠点や地域包括支援センター等の連携の推進、女性薬剤師等の復職や再就職の支援、訪問薬剤管理指導を行おうとする薬局に対する研修の支援といった事業をお示ししておるところでございます。

 各都道府県においては、お示しした事業例も踏まえ、地元の医師会、それから歯科医師会、薬剤師会などの関係者と十分に相談しつつ、地域包括ケアシステムの基盤の底上げに向けて、必要な事業の推進に努めていただきたいと考えているところでございます。

豊田委員 ぜひ、バランスのとれた、そして、包括的、地域のニーズに合った御活用をお願いしたいと思います。

 次に、医薬品についてお伺いをいたしたいと思います。

 御案内のとおり、我が国は、アメリカ、スイスに次ぐ世界第三位の創薬国であり、また、今のところ、アジアでは唯一の創薬国でございます。一方で、輸入超過や国際競争力の低下といった問題も指摘をされております。天然資源の乏しい我が国にとって、知識の集約型であり付加価値も高い医薬品産業は、今後、我が国のさらなる経済成長を目指していく中で、大いに活性化させていくべき分野の一つであるというふうに考えます。

 また、患者さん、御家族の立場からも、これまでの医薬品では十分な効果が得られない疾患に対して、できるだけ早く新薬が開発されることが望まれます。

 こうした中で、今回の薬価制度では、世界に先駆けて日本で薬事承認を受けた新薬を評価する加算、また、新薬の創出等を促進する加算の試行などが継続されたところであります。

 こうしたことを活用して、製薬企業また関係の方々みずからがより積極的に新薬開発に取り組んでいくことはもちろんでありますが、国としても、国民の生命、健康を守るためにも医薬品産業をより一層支援していくことが必要と考えますが、現在の取り組みと今後の方針についてお聞かせください。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、医薬品産業は、国民の保健医療水準の向上に資するとともに、高付加価値、知識集約型の産業でありまして、資源の乏しい我が国にとって、今後の経済成長を担う重要な産業と認識をしております。

 これまで、厚生労働省としましては、革新的な医薬品の実用化を推進するため、研究開発段階から実用化に至るまでの各段階で途切れることのない支援として、まず、研究開発に係る税制上の優遇措置、また、臨床研究、治験環境の整備、審査の迅速化のためのPMDAの体制強化などを行ってきております。

 また、今回の診療報酬改定におきましても、薬価制度として、革新的医薬品やイノベーションを評価するものとして、一つには、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の試行の継続をしたこと、また、新たに、世界に先駆けて新作用機序の新薬を評価する先駆導入加算の創設、さらに、類似薬がない新薬の薬価を決めるときの原価計算方式という方式において補正率の上限の引き上げを行っておりまして、これらを通じて、革新的な新しい薬の創出を支援しているところでございます。

 さらに、今後、日本発の医薬品の輸出を促進するために、我が国で承認された医薬品が新興国や途上国で迅速に認可を取得するための取り組みを行うこととしているところでございます。

豊田委員 次に、規制改革会議で議論されている保険外併用療養の拡大についてお伺いをしたいと思います。

 本年一月二十一日の会議資料では、一定の手続、ルールのもと、患者と医師が選択した治療については、個別に、保険診療との併用を認める仕組みを構築するとされています。

 患者さんの立場からしますと、一刻を争う疾患を治療するために、新たな治療法が開発された場合に、できるだけ迅速に保険外併用療養の制度を利用できるようにするということは、もちろん重要であります。平成十七年以降、国もさまざまな制度改善をしているようでありますが、さらなる工夫の余地がないか、よく御検討いただきたいというふうに思います。

 しかし一方で、規制改革会議が言うように、患者と医師が合意さえすれば保険外併用療養の対象とすることがいいかというと、私は決してそうではないと思います。

 重症の疾患を抱える患者さん、御家族の皆さんは、少しでも命が長らえるならば、この苦痛が取り除けるのであれば、そう思って、わらにもすがる思いであります。また、お医者様との関係でいえば非常に弱い立場にある、それも事実であります。

 そういった状況下で、患者と医師が合意さえすれば保険外併用療養ができるという仕組みは、第三者による客観的、合理的なチェックがないままに、安全性に問題のある医療や有効性に乏しい医療が、往々にして非常に高額な患者さんの負担のもとで行われるということを助長する可能性があります。

 こうした危険性につきましては、ちょうど私も委員をしております昨日の衆議院消費者問題特別委員会におきましても、これは自由診療においての話でございますが、実際に訴訟に発展したケース、患者さんが短期で亡くなられて、高額な治療費だけが残って、その効果についても非常に疑問のあるものであったということについて訴訟が起こっているという御指摘もあったところでございます。

 また、この仕組みによりまして、保険収載を目指さない医療がふえますと、結果的に、保険診療で受けられる医療の範囲が狭まります。これは国民皆保険を揺るがすことになりかねません。

 私は、米国と欧州に暮らしまして、実際に医療を受ける経験をして、改めて、我が国の国民皆保険、国民の誰もが保険証一枚で安心してきちんとした水準の医療を受けられる、これがどれほど希有な、そして意義あることであるかということを痛感いたしました。

 WHOが世界一というふうに認定しました我が国の医療や健康水準、これを維持できているのも、まさに、この理由の一つは間違いなく、国民皆保険制度が根づいているということにあると私は思います。

 この規制改革会議の保険外併用療養の拡大につきまして、どのようにお考えでいらっしゃるか、そして、国民の生命、安全、健康を守り、国民皆保険を守っていくために、今後どのように対応していかれるのか、ぜひ大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 我が国は、国民皆保険制度のもとで、必要かつ適切な医療は保険診療とするわけでありまして、これが基本であります。

 その上で、今言われた保険外というような医療に関してどう考えるかといいますと、これはやはり有効性それから安全性が一定程度認められないといけないわけでありますし、あわせて、保険収載を目指していただく、全ての国民に向かって、その医療技術を将来に向かっては恩恵をこうむっていただくというような方向性を示していただく、そういう医療に関しましては、保険外併用療養というような形で、保険外と保険と、それぞれ一緒にしながら対応しておるわけであります。

 混合診療という言葉は我々厚生労働省は使っておりませんが、今言われたような、医師と患者さんが合意をすればそれで全ていいかといいますと、やはりそこは安全性というもの、有効性というものがある程度確認できないと、合意があるといっても、何かその後起こっては困るわけでありますし、それから、余りそういうものがどんどん進んでいくと、患者さんの負担という部分も大変大きくなってくるわけであります。だから、そういうことも考えて、我々としては、やはり一定程度の制約というものはあるのであろうというふうに思っています。

 ただ、一方で、時間がかかり過ぎるということもございますので、最先端医療に関しましては、迅速評価制度ということで、先進医療ハイウェイ構想ということも動き出してきておるわけでありまして、なるべく早く、一定の基準に合致した、そういうような医療に関しましては、併用療養という形で認めていこうという方向でございます。

 これからも、やはり安全性というものはしっかり担保しながら、この併用療養の中でなるべく早く対応させていただくような努力、これは規制改革会議の方とも議論をしながら進めてまいりたい、このように考えております。

豊田委員 ありがとうございます。

 私は、決して守旧派でも岩盤規制堅持派でもなく、自由に、若い力で、この国をよくしていきたいと、皆様と思いをともにするところでございます。

 ただ、一方で、やはり国民の生命、安全、健康を守るというところには一定程度必ず介入しなくてはいけない、規制がなくてはいけない、そこの線引きをどこでするかという議論であって、規制は全て、何が何でも全部、これを守ろうとすると守旧派だということは、私は、国民の命と安全、健康をないがしろにする議論になってしまうというふうに非常に危惧を覚えます。よろしくお願いいたしたいと思います。

 では、次世代法についてお伺いをしたいと思います。

 これまでの十年のお取り組みの評価と、これをもとに、今後延長した上で、どのように、何に取り組んでいかれるのか、簡潔にお伺いをしたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 次世代法の十年間の取り組みによりまして、一般事業主行動計画の策定、届け出が義務になっている企業の約九八%が行動計画を策定するとともに、企業における両立支援制度の導入が進み、これらの制度の利用促進が図られております。また、この結果として、男女ともに育児休業取得率の上昇が見られているといったようなことに寄与しているというふうに考えております。

 また、特に、くるみん認定制度でございますが、認定企業は未認定企業に比べて女性の離職率が低いという結果もありまして、仕事と子育ての両立支援の環境整備が一定程度進んだというふうに思っております。

 他方でありますけれども、男性の育児休業取得率は、上昇はしておりますが、いまだ低水準ということがございます。また、所定外労働の削減や年次有給休暇取得率の向上が余り進んでいない、さらには、出産を機に離職する女性が依然として多いなどの問題が残っているわけでございます。

 今回の改正によりまして、次世代法をさらに十年間延長、強化し、地域、企業、社会全体で次世代育成支援対策に取り組んでいきたいと思います。とりわけ企業の取り組みを促進するため、くるみんマークの認知度の向上はもとより、高い水準の新たな認定制度をつくって、両立支援の取り組みの底上げを図ってまいりたいと思っております。

豊田委員 ありがとうございます。

 私も、役所におりましたときは、きっと皆様方がきょうの答弁のために準備をされたのと同じように、夜を徹して朝まで仕事をしまして、月の残業時間が二百五十時間とか三百時間とかということを当たり前のようにやっておりました。

 そうした中で、ヨーロッパに仕事で行きまして、ジュネーブだったんですけれども、夜七時、八時に職場にいる人がいないという状況、また、夏は二カ月ぐらい空っぽになってしまって、電話をすると、他国の外交官の人は、あら、真由子、今カリブ海よなんて言って、どうしてこれが可能なのかなということを非常に考えたんですね。

 やはり、七時には家に帰るんだ、家族そろって夕食を囲むんだということを、これは絶対にやるんだというふうに考える。かつ、仕事とともに、家族とそして自分の時間、人生というものが同じように、あるいはより一層重要なんだというふうな、根本的な価値観、人生観、社会の意識の違いというものがあると思いました。

 それは、やろうと思えば多分我が国でもできるのではないかというふうに思います。なるべく無駄を排しまして、本当に必要なことに注力をする。それは、民間の企業の方も役所の方も皆さん、そういうふうに働いても、ヨーロッパの国が我が国に比べて、あるいは組織として、ビジネスとしてだめだということは一切ないわけでございますから、何をどうやったら、いいところを吸収できるのかというところを一緒に考えて、本気で取り組んでいかなければいけないというふうに思っています。

 そうすることによって、今の少子化あるいは子育て、家族の問題も、私は大いにこれは解決をしていくというふうに考えております。

 さて、女性の働き方も多様化をしております。これに合わせまして、老後の所得を保障する年金制度についても、より柔軟な仕組みとしていくことを検討するということも一案かというふうに思っております。

 平成十四年に新たな上乗せ年金の仕組みとして設けられた確定拠出年金、これを多様な働き方に合わせたポータブルな上乗せ年金制度とするために、専業主婦の方、一定期間お仕事をされていてやめられた方などもいらっしゃいますので、こうした方も含めて活用できる仕組みとすればよいのではないかという御意見もあるところでありますが、この点につきまして、大臣の御所見をお伺いできたらと思います。

田村国務大臣 上乗せ年金の中で、確定拠出型年金という制度、上乗せ年金に関してはこれだけではないんですけれども、いろいろな公的年金の上乗せを組み合わせながら老後の生活保障といいますか設計を組んでいくという意味は、これは先進国共通の流れであるわけでありまして、そういう意味では、我々も重要であるというふうに考えております。

 ちょうど、社会保障審議会の年金部会において議論がまた始まってまいります。それに合わせて我々も、公的年金制度とそれから税制も絡んでくるわけでありますので、そういうところを含めて、今委員がおっしゃられたところも含めてこれからいろいろと検討をさせていただきたいというふうに思います。

豊田委員 ありがとうございます。

 制度も、社会状況の変化に合わせて柔軟に、変えるべきところは変えていく、私も御一緒にしっかり勉強してまいりたいと思います。

 子ども・子育て新支援制度についてお伺いをしたいと思います。

 来年四月から施行されますこの新制度でございますが、やはり、関係の事業者、幼稚園、保育園の皆様につきましては、新制度への参入、事業展開に当たっての判断ができるよう、できるだけ早い段階での具体的な準備と丁寧な説明をぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 公定価格に関しての詰めが今行われているというふうに思いますが、やはり皆様が一様におっしゃるのは、そもそもこの制度に入って自分たちがどうなるのか、子供たちが幸せになるのか。そういったところを具体的に安心を与えられるように、そして何よりも子供たちの笑顔のために、このシステムが円滑に施行、機能していくように御一緒に頑張ってまいりたいと思います。

 また、財源の確保につきまして、今般は消費税増収分から七千億円程度を充てることにしております。これは、現在、安心こども基金という補正予算で実施しているものが、きちんと当初予算化されるということでありますから、私は、これは一つの大きな成果であるというふうに考えます。

 さらに、一兆円超を目指した残りの財源確保に向けまして、もちろん、さまざまな政策を我が国は必要としております。また、財源の収支のバランスも考えなければなりません。そうした上で、やはり必要なところにきちっと予算をとっていく、このことについて、また私ども議員も一体となって努力をしてまいりたいと思います。

 そして、保育士また幼稚園教諭の皆様の処遇の改善と、その人材確保策についてお伺いをしたいと思います。

 保育士につきましては、安倍政権の発足後すぐに取り組みました補正予算におきまして、平均二・八五%の処遇の改善が行われております。新制度では、この取り組みを私立の幼稚園などにも広げました上で恒久化するとともに、特例措置を上回る処遇の改善、七千億円ではプラスの三%、一兆円超ではプラスの五%改善をするという案が提示をされたところであります。

 申し上げるまでもありませんが、保育所や幼稚園で働く保育士、幼稚園教諭、また職員の方々は、心身、本当に重労働であります。そうした中、給与水準も相対的に低いという状況にあり、離職防止や復職支援、試験を受けやすい工夫などによって、今働いていらっしゃる方がきっちりと続けていけるように、そしてまた、今離職をされている方なども、あるいはこれからそういった資格を目指す方も、それにきちんとなれるように、そういったことを制度として担保していくということが求められていると思います。

 子供たちの笑顔のために、大臣の御決意と、また具体的な方策についてお伺いできたらと思います。

田村国務大臣 待機児童をどう解消していくかということ、それから保育の質を上げていくこと、それぞれに関しまして、やはり保育士の皆様方の活躍というのが大変重要になってくるわけであります。

 なかなか保育士自体が、数としては、人数は、資格を持っている有資格者はおられるわけでありますが、六十万人からが、資格は持っているけれども、今現在でありますけれども、現場で御活躍いただけていない。

 いろいろな理由を調べていくと、もちろんさまざまなんですけれども、一つはやはり待遇の問題があるわけでありまして、安倍内閣発足後即座に、厚生労働省、補正予算で、これは民改費を使って、経験年数等々を踏まえて待遇改善に取り組んだわけであります。

 今言われたとおり、七千億円、一兆円というお話がございました。七千億円だと三%、一兆円を超えると五%というふうな数字も出てきておるわけでありますけれども、我々はもちろん一兆円を目指して頑張っておるわけでありますが、これに関して、やはりしっかりと我々は努力をしていかなければならぬわけであります。

 その上で、保育士・保育所支援センター等々で相談に乗りながら、またあっせんをしながら、一方で、職にはついたけれどもいろいろな悩みがあられるという方の相談に乗りながら離職防止もやっていかなきゃなりませんし、ハローワークを使いながらマッチングもやっていかなきゃいけない。また、幼稚園教諭の資格を持っている方々に対して、保育士の資格も取っていただきながら対応、こういうことも考えておるわけでありまして、ありとあらゆる対応をしながら、保育士の方々に現場で御活躍いただける、そういう環境整備をしていかなきゃならぬというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、保育士の方々が大変キーであることは間違いないので、それに向かって努力をしてまいりたいというふうに考えております。

豊田委員 ありがとうございます。

 保育士、幼稚園、小規模な保育、そしてまた医療・介護全般、看護師、リハビリ、いろいろな職種の方全て、私は、お世話をする側の方が幸せでなければ、笑顔でなければ、本当に心のこもったケアはなかなかできないのではないかというふうに思っています。医療や介護を受ける側の方が幸せになるためにも、ぜひこうした皆様の声に耳を傾け、処遇の改善、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思っております。

 私も実際、出産、子育てをいたしまして、産前産後、子育て期全般を通じました途切れのない女性の心身のケアのための取り組み、もちろん男性も重要でございますが、また、病児・病後児保育、栄養士による食育の推進、放課後児童クラブなどなど、きめ細やかに、それぞれの時代時代に応じたさまざまな子育てのニーズがございます。こうしたことにも、今回、非常に公定価格の上でも配慮をされているというふうに承知しておりますが、しっかりと目配りをして、気配りを続けていただきたいというふうに思っております。

 また、今回の制度の中でも、障害をお持ちのお子さん、御家族に対して、地域の中できちんと保育を受けられるようにする、あるいは、子育てのプロの方が地域できめ細やかに相談、助言をすることで御家族を支えていくということも盛り込まれておるというふうに承知をしております。私はこのことを高く評価したいと思っております。

 きょう、理事会で御許可をいただきまして持ってきたんですけれども、私の地元で、障害をお持ちの方がつくっていらっしゃるいろいろなグッズでございます。こちらの「どき土器クッキー」というクッキーは、今般の日本のコンクールで賞をとっております。

 私はよく地域でふだんからお伺いをするんですけれども、顔を覚えてくださって、豊田さんと言って走り寄ってくださったり、あるいは、ベッドに寝たままの方でも、音楽がお好きなんですよねと話しかけると、ちゃんと一緒に反応してくださって、私は、役所にいたときと今すごく違うのは、皆さんも一生懸命なんですけれども、やはり机の上で考えていることと現場の距離がすごくあったかなというふうに思います。

 御本人も御家族の方も、決して行政や政治に、あれやれ、これやれということではないんですね。私の地元の方は皆さん、自分たちも一生懸命頑張っているから応援してくださいというふうに、笑顔でおっしゃいます。決してセンチメンタルな意味ではなくて、本当にこういう方たちが、障害のある方も、ない方も、大人になっても、決して不安を覚えることなく地域の中で皆さんと一緒に笑顔で暮らしていける、そういう国に私はしたいというふうに思っております。そのために、ぜひ引き続きのお力添えをいただきたいというふうに思います。

 障害者施策につきまして、この充実について国の姿勢をお伺いしたいと思います。

高鳥大臣政務官 ありがとうございます。何だか私のためにサービスで一問いただいたような感じがいたしております。

 家族の心に寄り添うということがございますが、私はまさにその当事者でございまして、実は、きょう、障害のある長男が春休みで、たまたまこの傍聴席に来ております。ちょっと恥ずかしがっておりますね。きょう、豊田先生と全然打ち合わせしたわけではないんですが。

 障害があっても生きがいを持って生きてほしい、そのためには、社会の中で人格を尊重されて生活することが必要であると思います。

 それから、働きたい、働いて世の中の役に立ちたい、そして人に喜んでもらうことで、それを自分の喜び、生きがいとしたい、そういう人たちに対する就労支援をさらに積極的に進めていく必要があると思っております。

 そして最後に、この厚生労働委員会の委員の皆様、それから厚生労働省の皆様、皆様お一人お一人が、障害者のことを忘れていない、いつも障害者のことを考えていますよ、そういうメッセージが伝わるだけで、私は、当事者には大変心強い、心の支えになると思っております。

 今後とも、皆様とともに障害者福祉の充実に取り組んでまいりたいと強く決意をいたしております。

豊田委員 ありがとうございます。きょう高鳥先生の御子息にお目にかかれたこと、私はきょう質問に立ててよかったなと、一番うれしいことでございます。

 どうもありがとうございました。お世話になります。

後藤委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。古屋範子でございます。

 きょうは、法案の質疑に入る前に、今般発生をいたしましたベビーシッター問題についてお伺いをしたいと思っております。

 埼玉県富士見市のマンションの一室で、十七日、ベビーシッターに預けた二歳の男の子が遺体で見つかるという大変痛ましい事件が起きました。この事件が浮き彫りにしているものは、保育施設の不足を背景にしたシッターの需要の高まり、あるいは母親の孤立とか、子供の安全確保の手だてがそこに追いついていないのではないかというふうに感じられます。

 ベビーシッター業というのは、保育士のような公的資格、行政への届け出も必要としておりません。子供の自宅を訪ねて面倒を見るというのがいわゆるベビーシッターと言われているような仕事ですけれども、法令上は五人以下なら子供を自由に預かることができるとなっております。

 小規模とはいえ、なりわいとして子供を預かる限り、行政の目が届くよう、さらなる対策を考えていかなければならないのではないかと思っております。

 田村大臣、十八日に、ネット上のベビーシッター仲介サイトの実態調査を行うという方針を明らかにされました。そして、この事件を受けて、厚生労働省は、ベビーシッターなどを利用する際の留意点を十項目まとめて、十九日にホームページで公開されました。非常に速やかな対応をしてくださったと思います。行政の目が届かない中で生まれた悲劇。利用の仕組み、また質の確保について、ぜひとも早急に実態調査をお願いしたいと思っております。

 緊急の場合、公的な託児としては一時預かりというのがあります。宿泊を伴うショートステイ、夜間に預かるトワイライトステイといった事業を市区町村で行っているんですが、実際、利用実績というのは低い状況なんですね。また、厚生労働省の調査では、母子世帯のショートステイ利用経験者は一・二%、未利用者の五四・六%は制度を知らなかった。必要としているお母さんたちに、このサービス、システムがあるということが届いていない。

 このような公的制度を周知させるという努力も必要だと思います。また、病気の子供は対象外であったり、年齢制限があったり、預ける場所が遠かったりなどなど、使い勝手が悪いというようなこともネックになっているかと思っております。

 ベビーシッター業者と利用者の需要のマッチングの、非常に匿名性の高いネット。相手が本当にどういう人物なのか、どこで行っているのか、そこはどういう環境なのか、これがなかなか見えにくい、非常に危ないものとなっているにもかかわらず、リスクを背負いながら素性のわからない相手に頼らざるを得ない、こういう親もいるのが事実だろうと思います。

 子育て中の親にとって、安くて、急な依頼、夜の依頼など、せっぱ詰まった注文に応じてくれる、こうした利便性が需要を生んでいるのではないか。こうした親たちの苦境にも目配りをしたいところであります。

 こうした実態がどうなっているのか、これは早急に行っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

石井政府参考人 大変痛ましい事件でありまして、次なる事件を起こさないため、我々はできる限りのことをやらなきゃいけないと思っております。

 お尋ねの調査の件でございますが、現在、関係府省、地方自治体、関係団体、インターネット上の仲介サイトの運営事業者などの協力を得ながら、ベビーシッター事業の実態、業態とか利用方法、登録者数、苦情相談の状況など、そして、認可外保育施設や家庭的保育の実態、これは、国の制度上届け出対象とされていない認可外保育施設、国や地方自治体の事業以外の家庭的保育者などで地方自治体が把握しているものなどについて、把握を進めているところでございます。

 これらについて、現在のところ確定的な見込みは立てにくいわけでございますが、現時点では、四月半ばを一つの目途として回収を図った上で、結果を整理していきたいと考えております。

 いずれにせよ、今後の対応方針を検討する上で、必要な情報をできるだけ速やかに整理できるように努力をしていきたいと思っております。

古屋(範)委員 ただいま局長の方から、四月半ば目途というお答えをいただきました。子供の命がかかっている問題でありますので、まず現状がどうなっているのかということがわからなければ、その先の方針というものも決められないわけであります。今、子ども・子育ての新制度が本当に動いているその真っただ中でありますけれども、そこに、やはりこれも含めた形で検討ができるように、早急な調査を、また着実に行っていただきたいと思います。

 二〇一五年から、研修を受けたベビーシッターを市町村が認定をして、優良事業者を国が財政支援をするという制度がございます。多様な保育を支えるためにも、こうした社会的投資というのは必要です。必要性の高い病児保育など、利用をしやすく質を向上させる、そのためにも、やはり公費の投入というのは必要である、財源の確保は欠かせないと思います。

 そこで、この再発を防ぐためにも、ベビーシッター研修のあり方、それから安全確保のガイドライン、あるいは情報公開の仕組み、正しい情報をどうやって利用者に伝えていくのか、また、不正な業者をどうやって見分けていくのか。ネットを含めた既存の事業者を制度に導く、こうしたことも積極的に検討すべきではないかと思っております。

 確かに、実態調査が出なければ、その後の方針というのは見えてこないとは思うんですが、この事件に対して、これからの方針についてお考えがあればお伺いをしたいと思います。

石井政府参考人 現在の児童福祉法上、ベビーシッターなど子供を預かる小規模な事業については、届け出等の法制度はございませんで、また、法律に基づく資格制度が設けられていないところでございます。

 平成二十七年四月に施行予定の子ども・子育て支援新制度においては、保育所などにおける一般的な集団保育が困難な場合に、それを補完できるように、乳幼児の居宅で保育を行う事業を居宅訪問型保育事業と新たに規定をして、市町村が認可する事業として児童福祉法に位置づけた上で、地域型保育給付の、まさに公費の投入の対象とする仕組みになるわけでございます。

 また、新制度のもとでは、居宅訪問型保育事業に準じた形で、市町村事業であります一時預かりやあるいは延長保育につきましても、利用者の居宅に訪問して行う訪問型の創設を予定しているところでございます。

 公的な制度に基づいて行われる事業以外の、子供を一時的に預かる事業やサービスの利用についても、子供の安全、これが確保される必要がございまして、いずれにしましても、現在進めている調査を通じて可能な限り実態を把握して、関係府省とも協力し、また、先ほど御指摘いただいた点も踏まえつつ、実効性のある対応を検討していきたいと考えております。

古屋(範)委員 確かに、新制度の家庭的保育とか、それから居宅訪問型に入ってきてくだされば、これは何の問題もないとは思うんですが、どうしてもやはりそれ以外の事業者というものもあり、それを利用せざるを得ないという事情もあるでしょう。また、党内でも議論をしましたが、余りに規制を強めていった場合に、逆にアンダーグラウンドといいますか、そういう部分を、劣悪な業者を残してしまうというようなことが起きても、これは逆効果であるというふうにも思われます。

 やはり、実効性のある、また早急な対応がいかなるものか、これは私たちも今検討している最中でもございます。ぜひ、早急な実態調査の上に的確な対応をとっていただきますよう、よろしくお願いをいたします。

 ベビーシッター問題は以上にいたしまして、法案の質疑に入ってまいります。

 次世代育成支援法でございます。

 女性の活躍を推進する上で、子育てとの両立を初め、ワーク・ライフ・バランスの取り組みは非常に重要だということでございます。近年、これもかなり認知をされてきたと思います。

 総理が、成長戦略の柱の一つに女性の活躍ということを挙げてくださっています。役員に一人は女性の登用ということも提言をされておりまして、私も先日、予算委員会でも申し上げました。女性の活躍を成長戦略の中核と位置づけている、女性の活躍、ワーク・ライフ・バランスの取り組みが今進められております。

 前回審議をいたしました雇用保険法改正案が成立をいたしますと、育児休業給付が拡充をされます。これを起爆剤として、男性の育休取得が進むということが期待されるとともに、女性も男性も育休を取得しやすい環境づくりを進めていただきたいと思っております。

 日本生命が男性職員の育休取得一〇〇%を達成したというニュースが出ておりました。非常にすばらしい、こういう企業も出てきたという明るい兆しがございます。

 これまで、私たちも一貫して提案をしてまいりました、この次世代育成支援対策推進法を延長、拡充してほしいということを主張してまいりました。次世代育成支援対策の推進、強化が図られる、また、あわせて一人親家庭の支援策も充実が図られる、大いに評価ができると思っております。

 政府は、二〇二〇年、あらゆる分野で女性が指導的地位に占める割合を三割という目標を掲げています。女性の力を最大限引き出すために、どうしても両立支援は欠かせないと思っております。出産か仕事か、これを二者択一、選ばなければいけないというような、これはぜひ、もう終わりにしていかなければなりません。

 今回改正される特例認定の基準について、新たな基準を設ける、現行基準の引き上げが言われております。

 そこで、この基準の改定について、女性の就業継続、活躍する女性を支援する取り組み、また、前回も取り上げました、私が取り組んでおりますテレワークを推進する、このような取り組みへの新たな基準を設けたり、男性の育児休業取得の基準の引き上げ等が必要と考えます。この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 次世代法で、子育てサポート企業ということで認定をさせていただく認定制度、くるみんマークをつけていただくということで今までやってきたわけでありますが、さらに新しい認定制度、プラチナくるみんとよく言っておりますけれども、これを検討しておるわけであります。

 今現状も、まだまだ所定外労働時間が長かったりでありますとか、また、年次有給休暇の取得率が低いというような問題もございます。

 そういうことで、新制度の認定基準、これに関して今いろいろと検討を行っている最中でありまして、労働条件の整備等々も含めて、今言われましたテレワークというものも具体的にこの中に入れていってはどうか、このような検討もさせていただいておりますし、また、男性の育児休業取得、これもさらなる高い数値を考えていかなきゃならぬなと思っております。あわせて、女性の継続就労、そして子育てと活躍という部分、これが両立できるような、そういうような部分にも取り組んでおる、どのような形で指標を入れるのかというのはありますけれども。

 そういうものを新しい認定基準の中に盛り込みながら、さらなる次世代法延長、拡充の中において、企業に御努力いただきながら両立支援が進められるような、そんなことをこれから検討させていただきながら、プラチナくるみん、これは本当の名前になるかちょっとまだわかりませんけれども、これを推進してまいりたい、このように考えております。

古屋(範)委員 今大臣からも触れられましたプラチナくるみん、こういう名前になるかどうかまだ決まっていないそうでありますけれども、くるみん、プラチナくるみん、この認定を取得した企業への経済的インセンティブについてお伺いをしてまいります。

 ただいま大臣もおっしゃいましたように、くるみん認定がワーク・ライフ・バランスを引っ張っていく、象徴なのだというふうに思います。このくるみん認定を目指す企業をふやしていくために、やはり企業ですから、経済的なインセンティブが必要だと思います。

 次世代法に基づいて子育て支援に取り組む企業を認定するくるみん認定については、徐々に周知されつつあると思いますが、まだ十分とは言えないと思います。その一因として、インセンティブ効果が弱いのではないかという指摘がございます。

 今回の改正では、現在のくるみんよりもさらに高い基準のプラチナくるみんの認定が盛り込まれております。

 現在、くるみん認定を取得した企業については、税制上の優遇措置、一定の建物等について割り増し償却が可能となるということが利用できることになっております。このくるみん税制を利用した企業は五十三件にとどまっています。認定取得企業が八百十件ですので、非常に少ない利用率となっております。

 くるみん認定制度の効果について、二〇一三年九月の発表によれば、認定を受けている企業では男性の育児休業取得率が高いということが明らかになっていまして、一定の効果は出ているというふうに思われます。

 もっとも、現状では、マーク自体がなかなかまだ社会全体には周知されていない。また、マークの価値を引き上げるために、プラチナ化と同時に、くるみんマーク自体がもっと広がっていなければいけないというふうに思います。社会全体にくるみんマークが浸透してこそ、マーク取得のメリットが確実なものとなり、プラチナくるみんの意義というのもその上に出てくるものと思われます。

 そこで、現行のくるみん、またプラチナくるみん、この認定を目指す企業をふやすためにも、税制措置の拡充など企業へのインセンティブを強化すべきと考えます。いかがでございましょうか。

田村国務大臣 子育てサポート企業のあかしとして、くるみんマークがあるわけでございます。

 一つは、くるみんマーク自体を名刺だとかいろいろなものにつけていただくこと自体、企業として、非常にワーク・ライフ・バランスを考えた、両立支援を応援している、そういう企業だなということを御理解いただく中で、社会的な地位といいますか評価といいますか、そういうものを御理解いただけるような意味もあるわけでありまして、それが社会的に評価されてくること自体が我々としては望むところでありますが、しかし一方で、経済的なインセンティブも取得いただく一つの動機づけになるのは間違いないわけでございます。

 今、割り増し償却という話が出ました。なかなか、使い勝手が悪いのかもわかりません。何かしら、やはり税制優遇も含めて、検討していかなきゃならぬ。これは労働政策審議会の方でも、もっと知名度を上げろというのと同時に、インセンティブをというお声もいただいておりますので、税制優遇も含めて、しっかり検討させていただきたい、このように考えております。

古屋(範)委員 くるみんマークが企業のイメージアップにつながる、これは、大臣を先頭にその空気をぜひ醸成していただきたいと思います。

 また、現実の上で、企業に経済的なインセンティブが働くような税制措置を初め、ぜひとも前向きに御検討いただきたいと思います。

 次に、一人親家庭に対する施策についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 多様な働き方の確立という視点で、テレワークに着目をしてまいりました。働きたいという意欲を持った人に仕事が提供できる、それも在宅で、情報通信技術を利用して。今、クラウドコンピューティングが発達をし、テレワークはさらに使いやすいネット環境もつけられております。また、通勤時間が要らないということであります。長時間の通勤から解放されて、保育園の送り迎えなどもできる。また、キャリアアップのための学習機会ができる。あるいは介護も。

 こういうことをいろいろ考えますと、このテレワーク、非常に重要な働き方かと思っております。また、母子家庭のお母さんたち、また、高齢者、障害者、こういう方についても非常に有効な働き方であると思っております。

 せんだっても申し上げました、二〇〇五年、私も、総務大臣政務官を務めていたときに、テレワーク推進会議というものを設置いたしました。積極的に取り組んでまいりました。

 被災地で、福島のいわきというところで、いわきテレワークセンターという会社をつくっている、やはり女性の社長でありまして、これまでも非常に多くの雇用をつくってまいりました。震災以降も地域に貢献をいたしております。

 また、熊本のNTTネオメイトという会社があるんですが、ここは、母子家庭のお母さんあるいは障害者を中心に、非常にすばらしいテレワークの仕事を進めております。これは航空写真を地図に起こしていくという仕事、あるいは、コミックなども今携帯で見られるようになっておりますので、実際の、もともとの原画を携帯にレイアウトし直す、このような仕事を行って、障害者の方も一かどの収入を得て、自立をしているそうであります。

 また、NTTデータにも参りましたけれども、ここでは、子育て中の方も学校の役員までできる、中にはPTA会長までやっている人もいる。テレワークと短時間勤務とか、休憩時間、さまざまなものを組み合わせて、役員を初め六千人以上の社員が活用しているということで、非常にうまく回しております。

 これも、震災対応などBCPということを考えても、非常に重要なことだと思っております。

 こうしたテレワークをさらに母子家庭、一人親家庭にも普及させたいと思っております。これは議員連盟で丹羽先生を中心に取り組んでいる課題でございます。家事や子育ての負担、仕事をたった一人で背負わなければいけない一人親、その事情を考えますと、テレワークというのは非常に重要な働き方と思っております。

 在宅就業に関する支援体制の整備、なかなか仕事がない、あるいは単価が安いなど、さまざまな問題がございます。一人親家庭のみならず、高齢者、障害者にとっても大きな効果が認められる働き方、テレワークの飛躍的な拡大に向けた環境整備、ぜひとも進めていただきたいと思っております。

 これについてのお取り組み、また、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

石井政府参考人 テレワークとは、実は、これは情報通信技術、ICTを活用した場所や時間にとらわれない働き方ということでございまして、雇用形態によるものと、それから雇用形態によらない在宅就業と呼ばれるものに分けられるわけでございますが、特に雇用形態によるものにつきましては、議員御指摘のように、育児や介護を行う男女の労働者にとって、通勤時間の削減によって生活時間の確保ができる、増加する、それから企業にとって、多様で優秀な人材の確保が可能になるといったようなさまざまなメリット、また可能性を有している働き方だろうと思っております。

 このため、厚生労働省としては、雇用される方のテレワークの普及のため、これまでも実施してきたテレワークセミナーやテレワーク相談センターに加えて、来年度から新たに、子育て、介護のためのテレワーク活用好事例の事例集を作成して、関心のある企業等に広く周知をすることとあわせまして、これまで普及が余り進んでいなかった中小企業やIT関連以外の分野で参考としていただけるようなテレワークモデルを構築する、さらには、自宅のパソコンから会社のネットワークに安全に接続する機器等の購入に対して一定の助成を行うといったような施策を推進することといたしております。

 また、雇用形態によるもの以外の在宅就業につきましても、一人親対策としてやってきたものもございますが、それがより効果的、効率的な形で在宅就業支援を進めることができるように、現在の仕組みについて成果の検証をしているところでございまして、その結果を踏まえて、二十七年度の概算要求に向け、今後の在宅就業支援のあり方、とりわけ一人親に対してですが、それを検討してまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 総務省では中央省庁で本格実施をしておりまして、これまで、私、何度もテレワークのことを厚生労働委員会で厚生労働省に質問してきて、消極的だなといつも思っておりまして、こういうことには後ろ向きなんだなとか、非常にそういう印象を今まで持ってきたんですが、初めてといいますか、大変積極的な方針を伺えて、うれしく思います。

 こうした好事例集をつくり、あるいは一定の助成もしていくということでございます。また、そうした検討も前向きに進めていってくださるということですので、ぜひとも、これを着実に進め、実現をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、児童扶養手当改正案についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 この児童扶養手当制度、母子家庭の生活の安定と自立の促進に寄与する制度として創設をされまして、今日まで、父と生計を同じくしていない児童の育成支援策として大きな役割を果たしてきた。しかし、現行制度は、所得保障を二重を避けるという理由で、養育者などが公的年金給付を受給できる場合には児童扶養手当を支給対象としない、併給調整を行っています。

 この併給調整について、子供の母が失踪してしまう、育児ができないというような場合には、祖父母がかわって孫を養育するということがあるわけです。当然、生活費が増大をしてくる。しかし、祖父母が老齢年金を受給している場合は児童扶養手当を受給できない、こういう状況を見直すべきだと主張をしてまいりました。

 二〇一〇年五月ですか、前回改正の際に、公明党はこの修正案を提出いたしました。児童を扶養している離婚係争中のDV被害者とか、あるいは年金受給者の祖父母等も支給対象とすべきだ、このような修正点を盛り込みました。

 それで、このうち、配偶者からの暴力被害者に対する支給については、二〇一二年七月に政令改正で、裁判所の保護命令が発令されていることを要件に支給対象という改正を行っていただきました。配偶者の暴力被害者、DV被害者は、一年以上父親から養育放棄をされているということを要件とせずに、裁判所の保護命令が発令されていることを要件として支給対象としていただきました。

 そして、今回の法改正で、併給制限が見直されて、年金額が手当額を下回るときは、その差額分が支給されることになった。これは一歩前進だと評価しています。さらに全額支給に向けて御努力をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

石井政府参考人 委員のお尋ねでございますが、児童扶養手当と公的年金は、稼得能力の低下に対する所得保障という同一の性格を有しているものでございます。児童扶養手当も老齢、障害年金も、何らかの事由に基づいて稼得能力が低下したことに対する所得保障という性格は共通しているものでございまして、この稼得能力の低下の程度が加重されるものではないことから、両者の完全併給は、重複した所得保障となって、適当ではないと考えているところでございます。

 しかしながら、老齢年金の関係でございますが、これは、実は、平成十四年度に、総務省の行政評価局からの指摘を受けた結果でございますが、老齢年金を受給する祖父母が孫を養育する場合には、親族里親制度、これを設けまして、それを活用すれば、今回導入する併給調整による給付よりも高額の給付が受けられることから、この制度の活用についてどんどん進めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 親族里親制度を活用していく、これが一つの方法であるということでございます。これを利用するということを知らない方々が非常に多いかと思います。これができたということもさらに周知徹底をしていただきたいと思っております。

 さらに、児童扶養手当一部支給停止措置の現状についてお伺いしたいと思います。

 現行制度で、母子家庭の自立を促進するという観点で、支給後五年を経過すると最大二分の一削減するということを定めています。二〇〇八年の四月から実施予定でしたけれども、これはいわば、現実、凍結をしているわけでございます。この結果、本人の意思に反して一部支給停止となる事例というのは基本的には見られないはずなんですが、現状についてお伺いをいたします。

 また、そうであるならば、この規定を撤廃するのは特段支障がないのではないかと思いますけれども、この点についての御見解を伺います。

石井政府参考人 御指摘の児童扶養手当の一部支給停止でございますが、障害、疾病等による就業困難な事情がない上に就業意欲も認められない人に限定をして適用しているものでございまして、児童扶養手当受給者に占める割合は〇・四%となっております。

 また、受給資格者の手続による負担、これが軽減されるように、平成二十四年六月に省令を改正いたしまして、一部支給停止の適用除外を受けるために必要な届け出を年一回行うわけでございますが、その年一回の八月の現況届と同時に提出すれば済むように、運用の改善を図ったところでございます。

 その上で、就業困難な事情がない上に手続もとらない人に対してまでこの一部支給停止を適用しないことはなかなか難しいと考えておりまして、御理解賜れれば幸いに存じます。

古屋(範)委員 時間ですので、以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。民主党の柚木道義でございます。

 本日もまた質問の機会を賜りまして、ありがとうございます。

 先ほど古屋委員からも、前半、ベビーシッター事件の今後の対応、再発防止についてのやりとりがございまして、私も、前半、その部分について、これは、今回、パート法、次世代法とも実は密接に絡む部分だとも思っておりまして、その点について、まず少しやりとりをさせていただきたいと思います。

 お手元の資料には、一枚目は私の地元の新聞の報道でございますが、ベビーシッターの事件について、「「安く便利」に落とし穴」というようなことで、それぞれ、届け出が不要であることとか、あるいは親御さんの責任ということについての言及であったり、そういった報道がなされておるわけでございますが、このたびの事件を受けまして、再発防止に向けて考えられる対策といたしまして、先ほどの古屋委員とのやりとりもございましたが、私も幾つかやりとりをさせていただきたいと思います。

 例えば、インターネットの仲介サイト規制によるシッターの安全性の確保であったり、あるいは、シッター事業者を届け出制にすることによって保育の質、安全性を確保するとか、さらには、そもそもインターネットを利用する保護者への安全性確認の周知徹底、今般も、厚生労働省として、そういった要請を団体さん等にも周知をなされている、そういった点もあるでしょうし、ベビーシッターも含む、質と量を伴う受け皿の整備、まさに新システムにつながる部分であろうかと思います。

 そしてまた、シッターの費用助成、補助であったり、さらには、せんだっても、東京都内、二十四時間といえば唯一とお聞きをしておりますエイビイシイ保育園、これは厚生労働省初め各省庁の皆さんも本当に利用されていて、私ももう行ったのが十時台でしたので、本当にちょうど最後のその日にお迎えに来られる方々の時間帯で、本当に、望む望まないにかかわらず、そういった夜勤も含めて、仕事の形態あるいは御家族の形態等によっては、そういった夜間保育等がなければ、そもそも仕事、生活が成り立たない、こういう方もおられる中で、そういった受け皿の整備の推進などなど、そして、先ほどの御質問もありましたが、一人親支援スキームの拡充など、重要だと思っております。

 今回、非常に痛ましい事件でございまして、私自身も三歳の娘と生後四カ月の男の子を持つ親として、親の責任というものについても非常に考えさせられる事件でございます。

 実際、私も、東京と地元の二重生活で、それぞれ保育園とシッターを利用させていただきながら、妻が、ちょうど上の娘が一歳のときに育休から職場復帰して、本当にそういうお世話にならなければ、なることができなければ、やはり一番考えたのは、仕事をどちらかがやめざるを得ないなとか、そもそも生活が成り立たないなとか、正直、お金のこともあって、なるべく安いところを探して、実はこの霞が関かいわいだと非常に高いんです、一時間二千円、三千円するんですね。

 ですから、安いところを探して、多少遠いところに、三十分から一時間かけて子供を預けてというようなことも経験しましたので、そういう現実がそこにあるんだということも、親の責任と同時に、そこにある現実に対してどのような対応をとっていくのか、そのことも、やはりこれは政治の、行政の責務として考えていかなければならないと思います。

 この容疑者の方は、偽名を使ったり、経歴も保育士七年などと偽ったり、間に別の人を介在させたり、非常に手の込んだやり方をしておられまして、被害に遭った母親、御家族からすれば、これは報道の部分ですが、一度虐待をされたかもしれない相手の方に、再び、まさか預けるようなことになってしまうとは、これは多分夢にも思っていなかった、悪夢以外の何物でもないと思うんです。

 先ほど来のお話にもありますが、ベビーシッターについては、民間の認定制度はあるものの、国としての資格認定のない、いわば誰でもできる、こういうような点、それからインターネットの匿名性の中で、今回のようなこうした悲惨な事件が起こってしまったということでありますので、やはり私は、先ほど、冒頭幾つかの施策を列挙し、これは少し具体的にやりとりをさせていただきたいと思いますが、まずは、この入り口規制といいますか、ここの資料一にも書いておりますが、仲介サイトの規制といいますか、何らかの形での対応を考えることが求められると思います。

 先ほど古屋委員とのやりとりの中で、実態調査を四月半ばまでに回収、結果を整理して対応を考えたいということがありました。あるいは、二十七年四月からは、このベビーシッターも含む居宅訪問保育事業、こういった形での、いろいろな形での対応がとられるということではありますが、しかし、まだ一年の間があるわけですね、そこまでに。この一年の間に、私は、やはり何もしないということには、正直、ならないのではないかと思います。

 ですから、その間の暫定的な何らかの規制なり、ガイドライン的なものであってもいいと思うんですが、ぜひ、今回調査結果が四月半ばに出てくるということでありますが、まずは入り口規制である、この仲介サイト、もう誰でも彼でもネット上にシッターの仲介サイト、実際、今回の容疑者は、シッターズネットという実在をしているサイトを、同じ名前を使って掲載していたということも含めて、これはやはり何らかの仲介サイト規制が必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 本当に痛ましい事件でありまして、報道の内容、これは逮捕という話になりますから、悪質性があるということでありますからもう許せない話でございますので、このようなことが二度と起こらないように、我々もいろいろな対応を考えていかなきゃならぬというふうに思います。

 今おっしゃられたとおり、ベビーシッターというのは、今何らかの資格を持っていないとできないわけではありません。あわせて、ニーズというものがやはり一定程度あるというのも事実であります。費用という部分もあるんでありましょう。いろいろな観点からこのニーズをマッチングさせるという意味で、インターネット上のサイトというものがあるということでございます。

 それは、先ほど来局長からも話がありますとおり、今調査をさせていただいて、類似のものもあろうと思います、その上で対応を考えているわけでありますけれども、とりあえず、まずは留意点という形で我々公表させていただいたということでありますし、サイトの方にはそのようなものを載せていただくように依頼もさせていただきました。

 幾つかの論点があるんだと思います。例えば、従事者の要件をどうするんだという部分、それから、サービスの内容を十分にお示しいただかなきゃなりませんし、それがどうかということをそれぞれ提供者と利用者の間に十分に理解が進むような、そういうことも必要であろうと思いますし、細かいところを言いますと、何かあったときのために保険をどうするのであるかとか、いろいろな部分があると思います。こういうところをいろいろと議論をしながら、今委員が言われたとおり、何らかの方向性を示していかなきゃならぬと思っております。

 もちろん、二十七年度からは新制度にのっとって、居宅訪問型保育事業という形の中において類似のサービスがあります。ただ、これも障害児の方々に対する個別の対応でありますとか、また、一人親の方々が夜間、宿直等々で勤務しなきゃならぬ場合に対応ということでありまして、一般的なベビーシッターという意味では、サービスの中には乗ってこないわけであります。地域子ども・子育て支援事業の中において、市町村が一時預かりでありますとかという中において、そういうような訪問型を提供いただくということ、これは選択でこれからいろいろなところで計画の中に入れていただくというふうには思います。

 しかしながら、すぐ預かっていただく、それから費用というようなことも含めて、やはりインターネットでいろいろなサイト等々の中においてマッチングというものがある。これからも、新制度ができても、そういうものに頼るという方々も出てこないとは限らないわけでございますので、届け出制というものも含めて、どうあるべきかということを調査の結果を踏まえた上で検討をさせていただきたいというふうに考えております。

柚木委員 今、仲介サイト規制という部分を検討するに当たっては、従事者要件、サービス内容、保険への加入の有無等のそういった基準、それから、他方で、確かにニーズが実際あって、あるいは正直お金のことも含めてそういうところに頼らざるを得ない、そこを余り厳しくし過ぎることは、子供の安全性を最優先としつつも、そのニーズとの両立を図らなければならないという意味で、そういうバランスをとられた答弁だと思うんです。

 一つ確認をしたいのは、やはり二十七年度まで何もしないということではなくて、今おっしゃられたような基準、そしてニーズの調査の結果、こういったものを踏まえて、届け出制も含めて、来年の四月までではなくて、この四月の調査結果を受けてなるべく早く暫定的な対応、ガイドラインでも結構です、一年何もしないということであって、まさに、先ほど局長も再発防止、同じことが起こってはならないということをおっしゃいましたよ。

 これは、本当にこの一年間、時間をかけて丁寧にやることも必要ですが、それによって、本当に今ネット上で、皆さん御存じのように、ネットを媒介していろいろな事件が起こっています。殺人、自殺、あるいはこの間何か車でひいてとか、いろいろ起こっていますよ。ですから、まずは、今回はこのベビーシッターの件、インターネットを媒介として起こってしまった。それに対して、一年後ではなくて、この四月の調査結果を受けて、なるべく早くやはり何らかの対応を打ち出す、そこについてもう一遍確認させてください。

田村国務大臣 届け出制というのは、ちょっと法令にかかわる話になってまいりますので、若干検討時間がかかると思いますが、調査の結果、やれることからやっていく必要があるわけでありまして、それは決して二十七年度末という話ではありません。

 ネットに関しましては、ネットを規制するというわけではないので、ネットでいろいろなことをやられておる方に対して、どのような形で信頼性、安全性というものを担保するかということは考えなければならぬというふうに思います。

 いずれにいたしましても、まず、実態の調査をやっておる最中でございますから、この中において、どのような問題点があるか、これを把握した上で、やれることから順次対応させていただきたいと考えています。

柚木委員 やれることから順次対応ということですから、まずは、まさに即応性のある部分でできる対応はしっかりとやっていただきたい。今、そういう答弁をいただいたと思いますので。

 この記事にもあるように、実際に利用していた方がもう怖くて利用できないと、これは二段目に書いてあるわけですね。だけれども、緊急時でもすぐ探せる、そういうことで頼らざるを得ないという、本当にこのはざまの中で、親御さんたちも葛藤の中でやられているわけですから、安心して預けていただけるような、そういうしっかりとした体制を整備いただく。四月の調査結果を受けて、今、できるところから早くやっていきたいということでありましたから、実体のある取り組みをお願いしたいと思います。

 今、御答弁の中にもありましたが、届け出制の部分でございます。

 確かに、児童福祉法における規定はありますね。これは、一日の保育が五人以下などの施設は対象外となっているとか、逆に、家庭的保育事業は市町村から都道府県に対して届け出をするとか、それぞれの施設形態ごとにそういうものがあるわけであります。

 今後、児福法の省令改正等の運用等でも対応可能だとも思いますので、これは一定の時間的な部分も必要かもしれませんが、いずれにしても、今、事実上、もちろん、ちゃんとしたシッターさん、事業者さんも多いわけですが、今回のような方もおられる中で、やはり届け出制についても、児福法の省令改正等の運用になるのか、その他のやり方があるのかも含めて、ぜひこれもしっかり御対応いただきたいと思いますが、大臣、改めていかがでしょうか。

赤石大臣政務官 お答えいたします。

 実は、私も二十ぐらいのころ、ベビーシッターのバイトをやったことがあります。実は私の姉はアメリカ人と結婚しておりまして、よくアメリカ人は、土日、パーティーに家族というか夫婦で行くんですけれども、そのときに子供を預かってほしいということで預かって、大変苦労しましたけれども、立派にやり遂げました。私のめいも今ベビーシッターのバイトをやっておりまして、それなりにやっているんだなと思います。

 その上で、来年の四月から施行予定の子ども・子育て支援制度においては、保育所、幼稚園、認定こども園を対象とする施設型給付に加え、小規模保育、家庭的保育、それから、今のベビーシッターであります居宅訪問型保育、事業所内保育を新たに市町村が認可する事業として児童福祉法上に位置づけた上で、地域型保育給付の対象とし、多様な施設や事業の中から利用者が選択できる仕組みとしているところであります。

 また、保育所での夜間保育を推進できるように、公定価格に所要の加算を設ける方向で検討しております。

 さらに、一時的な保育ニーズに対しては一時預かり事業、夕方から夜間に及ぶ保育ニーズに対しては延長保育事業……(柚木委員「政務官、聞いていることに答えて、聞いていることに」と呼ぶ)はい。それから、宿泊を伴う保育ニーズに対しては子育て短期事業等を含めて、地域子ども・子育て支援事業として位置づけ、消費税による財源も活用して、市町村が総合的、計画的に受け皿を準備することとしております。

 以上でございます。

柚木委員 ごめんなさい、結構です。多分、次の質問の御答弁をいただいたんだと思いますので。

 大臣、改めて、届け出制、ぜひしっかり、明確に御答弁ください、大事なところなので。

田村国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、届け出制も含めて、これは検討をさせていただきたいというふうに思っております。

 まずは、実態の調査、結果を見て、どこに問題点があるかということも含めて我々は把握した上で、届け出制も含めて必要かどうか検討して、必要があるのであるならば対応していきたい、このように考えております。

柚木委員 重要な答弁ですね。確かに利便性と安全性の両立、インターネットというと、何か薬のことも思い出したりしますが、これは本当に命にかかわる部分ですよ。

 私は、自分が実際、三歳、ゼロ歳の子供がお世話になっていますから、まさにこのベビーシッターの協会に登録している事業者さんに地元でもお世話になっていますよ。本当に、ないと暮らしていけません。

 ただ、やはり、そのことでもしものことがあったら、私、あるいは全ての親御さんがそうでしょう、これはもう一生後悔する、取り返しがつきません。ですから、そこは、多少利便性の部分がどうかというのはあっても、やはり安全性なんだと思うんですね。

 ぜひ、届け出制についてしっかりとした仕組みをつくっていただきたいと思います。ありがとうございます、そういう答弁をいただきまして。

 次の質問、もう政務官にお答えいただきましたので、私は、これに加えて、それこそベビーシッターを含む受け皿の整備、先ほどお答えをいただいた家庭的保育、居宅訪問保育、小規模保育とか、それからシッターの費用の助成。やはり値段が倍ぐらい違うとなれば、どうしても安い方にということになってしまう。こういったことも含めて、安かろう悪かろうではいけませんので、先ほどの御答弁のとおり、しっかりとした費用助成についても、来年度以降で取り組んでいただくという御答弁が先ほど既にありました。

 それから、私、夜間保育については、東京都内一カ所というのも少ないと思いますけれども、全国的にもっと体制整備を考えていく必要があると思うんです。それはもちろん、親御さんが見られればそれにこしたことはありません。でも、夜勤、本当にもうやらざるを得ない方々、近くにおじいちゃん、おばあちゃんがお住まいじゃない方、いろいろな事情の中で、やはりそういったものがあることで、何とかやっていけるということがあることが事実なんですね。先ほどそういったことについては答弁をいただきました。

 田村大臣、財源の話、先ほど来ありますよ。一兆円が本当に確保されれば、もっといろいろなことができる。

 もっと言うと、例えばファミリー・サポート・センター事業とか、ショートステイとか、トワイライトステイ事業とか、一時預かり事業、利用者支援事業、こういったものというのは、それぞれ数億円とか、多くても百億円単位の事業なんですね。こういったものも含めて、本当に予算が確保され、あるいは体制が既に整備されていれば、今回の事件だって起こらなかったかもしれないんですよ、正直。

 これは、まさに、政府はもとより立法府全体の責任だと私は思います。我々がこういった子育ての体制整備を、ある意味、後手に回っていることによって起きた事件という見方もできるかもしれないんですね。

 そう考えたときに、大臣、ぜひ財源の確保については、努力をいたしますと言われますが、例えば、申しわけありませんが、国土強靱化であれだけの、数千億、数兆円の予算がつく。この厚生労働委員会のメンバーの皆さんは、こういう子育て支援とか命にかかわるこういったところの予算をしっかりと充実させることの必要性、党派を超えて共有いただけていると思うんですよ。基金事業だって、たくさん使い切れずに残っているじゃないですか、公共事業関係も。私、決算委員会の中でもやりますけれども、そういうお金を本当にかき集めれば、この一兆円、残りの三千億、四千億、出てきますよ、大臣。

 これはぜひ、こういう事件が起こったわけですよ、防げたかもしれないんですよ。政治主導で予算の組み替え、我々もお叱りをいただきながら、ある意味、コンクリートから人へというフレーズも含めて、でもやったんですね、予算の組み替え。そして、出生率の、徐々ではありますが改善とか、自殺者の減少とか、高校中退者の半減とかやってきたんですよ。

 予算の確保、本当に大変だと思いますが、本気でこの一兆円を確保する気持ちが、大臣、本当にあるのかどうなのか。ここで明確に御答弁いただけませんか。

田村国務大臣 公共事業がだめだと、私は所管外でありますから、言うつもりもありませんが、何か災害が起こったときに、なぜあれができていなかったんだ、あれだけ要望していたのに。例えば、砂防堰堤、そういうものもあるわけでありまして、事実、そういう事例もあるんですね。

 ですから、それは、命を守るための公共事業、インフラ整備、それから老朽化、劣化したものに対する更新、こういうものも、何かあったら、なぜやっていなかったんだ、そういうお声が出るわけでありまして、それに関しては対応していかなきゃならぬのだと思います。

 その上で、補正の事業は、御承知のとおり補正で終わる話でございますから、継続的に続いていくものとはこれは違うということは御理解をいただいた上で、我々は、皆様方といろいろな御議論をした中において、また参議院の附帯決議の中で、必要なものとして、必要なものはしっかりと確保していくというように言ってきているわけでありますし、政府の中においても、全閣僚出席の会議の中で、これの確保に努めるというふうに言っておるわけでございます。

 でありますから、必要なものは必要として、我々は確保に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

柚木委員 必要な公共事業はもちろんあると思いますよ。しかし、そういうことを言っていると、どこにでももっとしっかりしたものをつくらなきゃいけないということにもなりかねません。

 防災・減災も必要ですよ。でも、それは事業予算の中の本当に半分とか三分の一とかであって、それ以外のものもたくさん含まれている中で、その優先順位をつけるのが政治ですから、目の前にある、こうやって子供が困っている、あるいは亡くなっている、そういうことへの対応なのか。それは、あるかもしれません、いろいろなことが起こるかもしれません。しかし、それを言い出したら切りがない中で、どう優先順位をつけてやっていくのか、これが問われているんだと思いますよ。

 これについては、私は決算委員会でもやりとりをさせていただきたいと思いますので、次世代法の部分、資料七ページをごらんください、時間がありませんので。

 まず、非正規女性の育休の取得、就業継続に関して議論をさせていただきたいと思います。

 七ページ目の〇五から〇九年を見ていただくと、パートや派遣といった非正規の女性の就業率、実際に、これは一八%ですから二割を切っていて、かつ、育休を利用して就業継続している労働者の割合は四%ということなんですね、これは「パート等」のところですが。こういうような状況がまずあります。

 ですから、私は、今後派遣法の議論もあるわけですが、非正規雇用の形態で働かれている女性の方であっても就業継続が可能な社会にならなければ、今これだけ、三人に一人の方がそういう形態で働いていて、しかも賃金が、なかなか雇用も不安定という中で、育休もとれない、継続もできない、こういうことで少子化問題が改善するとは思えないんですね。

 育介法の中にはそういうような規定がないわけですが、正社員だけではなくて非正規の方々、その中での女性がしっかりと育休取得そして就業継続できるような受け皿の整備、これについて、ぜひ今回の法改正の中で、一般事業主の行動計画の策定などについても、非正規雇用で働く女性の育休取得や就業継続をしっかりと前に進めていただくことをお示しいただき、そしてまた、事業者に対しても、相談、支援、あるいは指導などに努めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

赤石大臣政務官 お答え申し上げます。

 二十四年度の育児休業取得率は、女性全体では八三・六%であるのに対し、いわゆる非正規雇用である期間雇用者の育児休業取得率は七一・四%と、確かに、先生指摘のとおり、低くなっております。

 期間雇用者に対しての育休取得促進は重要な課題であると我々も認識しておりまして、期間雇用者向けの育児休業取得等のマニュアルの配布等による周知、そして好事例の提供や期間雇用者の育児休業取得に係る助成金の支給により、育児休業の取得を促進しております。助成金としては、中小企業両立支援助成金等を使っております。

 また、育児休業制度は、要件を満たした労働者が請求した場合、規定がなくても育児休業を取得させる義務が事業主にはあるものであるが、就業規則等に育児休業の規定が整備され、取得しやすい雰囲気である場合は、育児休業を取得して継続就業する割合が高くなっていることから、規定の整備の徹底を図りつつ、取得しやすい雰囲気を整えていくことが極めて重要だというふうに考えております。

 このため、規定の整備についての指導強化を図るとともに、期間雇用者について両立支援の取り組みが重要であるとの認識のもと、育児休業をとりやすい職場の雰囲気づくりに資する次世代育成支援対策推進法の改正案による取り組みをしっかり進めていきたいと思っております。

 これらの施策を推進することによって、育児休業の取得を希望する期間雇用者が育児休業を取得しやすい職場環境の整備をしてまいりたい、このように考えております。

柚木委員 ありがとうございます。しっかりお願いします。

 もう一点、これはぜひ大臣に、この間やりとりさせていただいているのでお答えをお願いします。

 先ほど、日生の男性育休一〇〇%という紹介もいただきまして、私も資料の九ページ目につけさせていただいております。男性社員が育休を取得できない理由、それはまさに、先ほどの御答弁もありましたが、男性は、そういう意味ではさらに制度を取得しにくい雰囲気である部分が、これは八ページ目に資料をつけていますが、あるわけでございます。

 そこで、こういった男性の育休取得を推進することは、まさに女性支援の、私は大きな施策の一つだとも考えます。

 ちょっと通告していなかったので、ひとつ、大臣、御決意をいただければありがたいんですが、厚生労働省で、二〇二〇・三〇ということで前向きな御答弁をいただいて、これから活動計画も立てて、来年度やっていくということだったんですね。これは政府の目標についても掲げられていて、二〇二〇年に一三%ということで掲げられております。

 私、今回の日生の事例を見て思うんですね。それまで一%だったのが一気に一〇〇パーでしょう。これはやはり、厚生労働省、隗より始めよで、ぜひ、対象の職員の方が全部とる。もちろん、かわりの要員とか残される職場の方の環境がありますから、よく考えなきゃいけません。でも、ぜひ、この一〇〇%、厚生労働省がまずやってみよう、こういうことを、まず前段、どうですか、御決意を。

田村国務大臣 男性の育児休業取得は大変重要な課題だと我々も思っておりますが、あわせて短時間勤務も進めなきゃなりませんし、そもそも、平素の所定外労働、これも減らさなきゃいけないわけですね。そのときに、これは私は立法府の一人として申し上げれば、立法のあり方も考えていかないと、今、厚生労働省は大変忙しい。これは厚生労働省だけじゃありません。霞が関は国会との対応でも非常に厳しい状況。

 何を言いたいかというと、こういうものを進めるためには、その組織だけじゃなくて、関連するそれぞれの企業、かかわるところも全てやはり意識の転換をしていかないと、企業がいろいろな事業を運営する中にも、どうしても対応しなきゃならぬ部分がありますから。だから、なかなかそこだけではやれないこともあるわけでありまして、そういう意味では、この次世代法というのは、そこの意識を社会的に変えていただきたいという思いもあるわけでございます。

 一〇〇%というのは、今の厚生労働省の仕事の現状を考えると、なかなか、挙げるのは簡単でありますけれども、実現が難しい。三割という数字も、かなり厳しい中で、私は、野心的な挑戦として、就任以来挙げさせていただきました。国会だけじゃありません、いろいろなところも含めて御協力をいただいて、達成できるようにお力添えをいただければありがたいというふうに思います。

柚木委員 時間が来ましたので終わりますが、最後に一つだけお願いを申し上げます。

 きょうは質問できませんでしたが、一人親支援のところで、新たないろいろな支援スキームをお考えいただいております。ただ、今回の事件などを考えると、やはり急なときとか夜間とか、そういうときにワンストップで対応いただけるところが必要なんですね。

 これは、たまたま、私、ちょっと持ってきましたが、実は、我々のときからもうやっている社会的包摂の中で、例えばこれは厚労省の支援事業で、〇一二〇―二七九(つなぐ)―三三八(ささえる)、これは本当に一人親支援とかの受け皿もやっているんですね。

 いろいろなことを活用して、こういうときにここに頼めば大丈夫だという受け皿をしっかりつくっていただくこともお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 今、同僚、柚木委員から、次世代法について質問がありました。私は、パートタイム法を中心に質問していきたいというふうに思っております。

 今回の法改正のもとになった労政審の建議が出てから、もう既に一年半以上がたっております。私は、パート労働者の処遇改善、そして均衡・均等待遇を一歩でも前に進めるために、早期にこの法律案は成立をさせていくべきだと考えておりますけれども、きょうは、労政審の建議と法律の違いの部分を中心に質問していきたいと思います。

 まず一点目は、通勤手当であります。

 通勤手当について、これが均衡処遇の対象になるかどうかという点についてでありますけれども、今回、労政審の建議では、「多様な性格を有していることから、」「一律に均衡確保の努力義務の対象外とすることは適当ではない」としています。

 そこで、まず、この性格、通勤手当の多様な性格というのはどういうことを指しているのか、簡潔に御説明いただきたいと思います。

赤石大臣政務官 大西委員にお答えいたします。

 今御指摘の通勤手当の多様な性格については、例えば、通勤手当という名称で支給されている場合であっても、実際に通勤に要する経費とは無関係に一律に支給しているような場合には、その性格は一般的な意味における通勤手当とは異なり、職務関連賃金の一部となっている可能性があります。

 また、労働政策審議会においては、こうした場合についてまで、通勤手当という名称で支給されていることのみをもって、職務関連賃金についての均衡確保努力義務である改正法案第十条、現行法でいうと九条でありますが、その対象から除外することは適当とは言えないことから、建議において、その旨を明らかにすることとされたものであります。

 なお、賃金については、基本給等の職務の内容に密接に関連して支払われるものもあれば、家族手当等のようにその性格を有さないものもあり、そもそもその種類によって多様な性格があるものであるという認識でございます。

大西(健)委員 その部分についてもさらに議論を深めていきたいと思います。

 多様な性格があるんだけれども、実態ですけれども、例えば、就労条件総合調査によれば、三十人以上の企業の九割以上で通勤手当というのは支給をされている。もちろん、今政務官の御答弁にあったように、通勤手当という名称であってもいろいろなものがあるということですけれども、これはもう、そういう意味では、労働の対償としての一部として、本来の意味での通勤手当というのは位置づけられている。

 特に、パートタイム労働者は時給で働いています。通勤に要する費用の部分が自己負担になるかどうかによってもらえる賃金が全然変わってくるわけですから、そういう意味では、実態としては、できるだけ通常の労働者同様の通勤手当というのをパート労働者にも支給していくことがパート労働者の処遇改善につながっていくことは、これは間違いないというふうに思うんですけれども、この部分、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 通常の職員の方々と同一視されるパートタイム労働者に関しては、もちろん差別的取り扱いはだめなわけでありますから、そういう場合は通勤手当が対象になるわけでありますが、均衡を確保するという意味からパートタイム労働者と正規の労働者の方々を見比べた場合、通勤手当というのが職務に関連する手当なのか、ここが問題になるわけでありまして、今、赤石政務官からは、そこに関しては一律にそうとは言えないという御返答であったわけであります。

 これ自体さまざまな性格がありますので、委員がおっしゃられたような、中身をよく精査しなければならぬわけでありますが、指針においては、そこのところをしっかりと勘案しながら対応するようにというような中身の文言があるわけでございます。

 でありますから、現場においては、それぞれ判断をされる中においてどのような扱いをされるかということは、それぞれの内容においてあるんであろうというふうに思います。

大西(健)委員 もう一つ、先ほど政務官の答弁の中で、職務に関連する云々というのがありました。

 現行の九条一項というのは、賃金についての均衡確保を定めている条文ですけれども、その中で、「賃金」の括弧書きの部分で、「通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。」というふうに書いてあるんですね。この部分が、一般に、政務官が言われたように、これは職務関連と非関連という区分を示した条文だというふうに言われていますけれども、条文上はどこにも職務関連だとかという言葉は出てこないわけです。

 今申し上げたように、この条文というのは、職務関連、非関連ということの考え方を示したものという考え方でいいのかどうなのか、そして、今回、通勤手当の中にも、これは均衡確保の対象になるものがあり得るということになった場合に、この職務関連、非関連という今までの区分に何らかの考え方の変化が生じるのか生じないのか、この部分について確認したいと思います。

赤石大臣政務官 今指摘ありましたように、この改正法第十条では、賃金の決定に当たり、働きや貢献と関係ない理由によらず、職務の遂行に関連して評価されることを推進しようとする規定であります。このため、法律上では、職務関連という用語は用いられておりませんが、その規定の趣旨から、対象となる賃金から職務に密接に関連しないものは除外されているところであります。

 この基本的な考え方については現行法と変わるものではありませんけれども、通勤手当については、パートタイム労働法の見直しについて議論を行った労政審において、多様な性格を有するものであり、一律に均衡確保の努力義務の対象外とすることは適当でない旨を明らかにすべきとされたことを踏まえ、これを省令もしくは指針等で明らかにすることを考えております。

大西(健)委員 私が答えてほしかったのは、職務関連、非関連という考え方がどうなんだと。一応、基本的には変わらないと今御答弁がありましたけれども。

 ただ、分科会の議事録を見ますと、四月二十日の分科会ですけれども、吉永課長が、今の議論の部分について、通勤手当が均衡の対象となり得る考え方をとった場合には、それが職務関連かというと、若干性格づけは変わってくるのかなと思いますとか、あるいは、通常大ざっぱな職務関連、非関連という整理で説明している部分がありますが、そこはおのずから変わってくるだろうと思っておりますと言われているんです。

 ということは、私は、やはりこれは、実質的には今までの職務関連、非関連という考え方が、今回、通勤手当の中に均衡確保の対象になってくるものが出てきた場合には、変わってくるということではないかなというふうに思っておりますので、ここはぜひ精査をしていただきたいなというふうに思います。

 その上で、今お話があったような形で今回やるということなんですけれども、私は、やはりそれはちょっと、率直に言って、建議を素直に受けとめれば、まず、この改正法十条の「賃金」の括弧書きの中から通勤手当を削除すべきじゃないか。一旦削除した上で、ただ、おっしゃるように、削除したからといって、全てが均衡確保の対象になるわけじゃなくて、いろいろな性格のものがありますから、人材活用の仕組み等を考慮した上で、均衡を考慮すべきものと必要ないものを区別していくというのが、これが率直なやり方だと思うんですね。

 ところが、今回は、今政務官が言われたように、法律には手をつけずに省令以下で対応する。法律本文で一旦通勤手当を除外しておいて、その中で均衡確保の対象になるものを省令ですくい上げるというのは、これはちょっと、何か法体系上非常に変な感じがして、わざわざ何でこんなことをするのか、素直に通勤手当を削除しておけばいいんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

赤石大臣政務官 私も会社の経営者をずっとやっていた関係で申しますと、全く大西委員の指摘に近い、個人的にはそう思っておりますけれども、今の法律のたてつけ上では、改正法第十条の対象となる賃金については、職務の内容に密接に関連して支払われる賃金としており、通勤手当についてはその対象外としているところであります。

 通勤手当については、実際に通勤に要する経費とは無関係に一律に支給しており、一般的な意味における通勤手当と異なるもの等、企業の事情によって位置づけが異なることがあるものでありますけれども、一般的には、職務の内容と密接な関連を有する賃金以外の賃金であると考えられます。

 このため、改正法第十条から例示を削除し、均衡確保の対象となる賃金に明示的に加えることはせず、省令または指針等において、一律に均衡確保努力義務の対象外とすることは適当でない旨を明確にすることとしております。

 なお、パートタイム労働法において、通勤手当等については法律上特段の定義をせず用いており、規定の趣旨からは、均衡確保の対象から職務に関連しないものを除くことが明らかであります。また、現実にも、通勤手当等の名称でどのような趣旨の手当を支払っているかはさまざまであります。

 このため、省令において、名称に加えてその性質も規定する等により、法律の規定の趣旨を踏まえ、均衡確保の対象となる賃金を明確化することは可能であるというふうに考えております。

 以上です。

大西(健)委員 今、政務官から率直な御意見もありましたけれども、これは、審議会でも、労働側、使用者側、いろいろな議論があった末のこういうことだということは理解しておりますので、実質的に、ぜひ処遇改善につながるようにしていただきたいと思います。

 次に、今回、労働契約法二十条横並びで、八条に待遇の原則というのが新たに入っているんです。これは非常に大きな前進だと思うんですが、ただ、この条文を読んだだけでは、何が不合理か不合理じゃないかというのは全くよくわからない。

 今後、先ほどの通勤手当についても指針の話がありましたけれども、指針だとか通達だとかガイドラインで、できるだけこういうものが不均衡ですよということを示していく必要があると思いますけれども、この点、いかがでしょうか。

田村国務大臣 さまざまな働く実態があるわけで、様態は全て違うわけであります。

 それぞれ均衡ということでありますから、それは職務の内容でありますとか人材活用の仕組み等々、その他もありますが、それを合理的にどのように比較するかという中において均衡確保をするわけでありますので、一律に何か形を描いてそれを指針に載せるというのは、事実上はこれは困難な話であろうというふうに考えます。

大西(健)委員 例えば、今度、特区の中で、外資系企業についてはどういうものが解雇に当たるのかどうなのか、これはガイドラインでつくると言っているんですから、同じ話じゃないですか。これだけ聞いていたらわからないわけですから、裁判例とかを積み重ねていく必要はあると思いますけれども、ある程度、こういうものは不合理ですよ、こういうものは不合理じゃないですよというのは、私は示していくべきだというふうに思いますね。今のゼロ回答的な答弁は、ちょっと納得がいかないんですけれども。

 次に、具体的に、今言ったように、通常の労働者と比較するということですけれども、では、通常の労働者というのは何なんだ。例えば、男性総合職と比べるのか、女性一般職と比べるのか、そういう一つのグループと比べるのか、あるいは個人で、通常の労働者と思われる個人と、同じような仕事をしている人と比べるのか。この通常の労働者と比較して不合理なということですけれども、通常の労働者というのは、具体的にはどういうものを指すのでしょうか。

赤石大臣政務官 お答えいたします。

 パートタイム労働法では、通常の労働者は個々の労働者でありますけれども、その対象とする待遇については、通常、労働者の雇用管理はグループで行われ、制度設計がされていることから、グループで比較することと大きな相違は生じない、このように思っております。

大西(健)委員 あともう一つ、先ほど大臣が言われたように、それは全部個別に事細かく決めるというのは無理だと思いますけれども、例えば具体的な話を聞いても、恐らくそれはケース・バイ・ケースですよというふうになってしまうと思うんです。そういう意味では、待遇格差が合理的と言えるかどうかというのは、立証責任は事業者側がしっかりやっていただくということが私は重要じゃないかというふうに思うんです。

 この点について、今回、法案の中で、十四条で、事業主が講ずる措置の内容等について、事業主に説明義務というのがかかっています。私は、このこととの整合性から考えても、何が不合理か合理的かというのは、これは事業主が立証責任を負うべきだと思いますが、この点について、いかがでしょうか。

田村国務大臣 改正法案第八条に基づいた民事訴訟が提起された場合、立証責任というのはどちらにかかるのかという話であります。

 パートタイム労働者がその待遇について不合理なものであることを基礎づける事実を主張、立証するというのは、やはり、不合理なものであることの事実を立証する、これはパートタイム労働者側にあるわけであります。他方、事業主はそれが合理的なものであるということを立証するということでありまして、双方にその立証責任がかかるわけでありますから、片方がどうだという話ではないわけでありまして、そこは、こちらから見る側とこちらから見る側、それぞれが立証責任を負うという形になります。

大西(健)委員 それは、裁判とかになったら、それぞれ言い分があるから、それは当然だと思いますけれども、普通は不合理な取り扱いを受けたといって訴えるのは労働者の側ですから、それが不合理じゃないんだ、合理的なんだというのは、これをしっかり事業主が説明するべきだと私は思います。そのことを申し上げておきたいと思います。

 それから、今、説明義務の話を申し上げましたけれども、今回、労政審の建議では、待遇の決定に当たって考慮した事項の説明を求めたことを理由とした不利益取り扱いの禁止を、これまでは指針で定めていましたけれども、これをちゃんと法律に書くべきだと書いてあるんです。ところが、今回出てきた法律には明記をされていません。

 これはなぜ明記されていないのか。また、明記ができなかったということですけれども、では、明記はしないけれども、ちゃんと建議の趣旨はこういう形で担保するんだということについて、御答弁をいただきたいと思います。

田村国務大臣 説明を求めたことに対する不利益取り扱いの禁止に関しては、今まで実例としてそういうものがないわけでありまして、他の法律にも規定している例がないということ。それから、今言われましたけれども、指針に規定があるということでございまして、事実上これにてしっかり対応はできるということでございます。

 ただ、建議でもそのような御主張をいただいておりますので、この指針にのっとってしっかり対応できるよう、周知徹底には努めてまいりたい、このように考えております。

大西(健)委員 労政審の建議は、まさに、今までも指針に書いてあるけれども、指針に書いているだけでは不十分だから法律に書きなさいと言ったということですから、今までの指針をしっかりやっていきますというのでは、これは全然、私は話にならないんじゃないかと思います。

 いろいろ前例があったり、法制局の審査の話もあったのかもしれませんけれども、少なくとも法律に書けないならば、その分、今まで指針に書いていたのと違ってこういう形で具体的に実効性を確保しますよというのは、ぜひ言っていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

 今、一応指針のとおりしっかりやっていくということですけれども、わざわざ建議は、指針じゃだめなんだ、法律に書けと言っているわけですから、私は、今の御答弁では、その部分は踏み込んだものではなかったと思いますけれども。

 では、大臣、もう一度お願いしたいと思います。

田村国務大臣 委員も今おっしゃられましたけれども、立法するにおいて、今までそういう問題、実例がほとんどないという問題と、それからもう一つは、他の法律でこのような実例がないというようなことがあったわけでありまして、そういう意味では今般入れなかったわけであります。

 ただ、指針に基づいて対応をできるということではありますけれども、法律が成立いたしましたら、またこれは労働政策審議会の中において、この指針の中でどのような形、より実効性のあるものにできるかという部分に関しては、いろいろな御議論をいただいて、対応をさせていただきたい、このように考えております。

大西(健)委員 次に、フルタイムパートということを聞きたいと思うんです。

 パートというのは短時間という意味ですから、フルタイムというのとはもう全く相矛盾する言葉だというふうに思うんです。ただ、実際に、ではフルタイムパートって何なんだというと、正式な定義というのはないわけですけれども、所定労働時間が通常の労働者と同一であるけれども、待遇においては短時間労働者に近い、そういう労働者が実際にはたくさんいることは事実だと思うんです。

 実際にそういう人はどれぐらいいるのかとか、実態を厚労省としてどのように把握をされているかについてお聞きをしたいと思います。

赤石大臣政務官 私の会社にも八千五百人ぐらい従業員がいましたけれども、約三千人ぐらいはフルタイムで働いている、パートとは呼ばないんですけれども、スタッフ社員と呼ぶんですけれども、そういう人はかなりの数いるんだろうというふうに私は思います。私の業界で、少なくても数万人の規模で多分いるんだろうと思います。

 いわゆるフルタイムパートについては、法律上の定義がなくて不明確な概念であることから、正確な数字は把握できておりません、そういう意味で。なお、平成二十五年の総務省の労働力調査によれば、勤め先での呼称がパート、アルバイトで、月末一週間の就業時間が三十五時間以上の者は三百四十五万人。パート、アルバイト総数が千三百二十万人ですから、かなりの数、このフルタイムで働いている従業員がいるということになるだろうと思います。

大西(健)委員 今、一つのカテゴリーとして三百四十五万人という数字が出ましたけれども、政務官おっしゃるように、相当な数いるということなんです。ということになれば、これは、法律のはざまで保護が受けられないということで、放っておいちゃいけない問題だというふうに思っています。

 そういう意味では、現在のパート法の指針の中でも、所定労働時間が通常の労働者と同一の有期契約労働者については、パート法の短時間労働者には該当しないが、パート法の趣旨が考慮されるべきと書いてあるんですね。ただ、これは有期契約なんです。

 では、所定労働時間が通常の労働者と同一で、かつ無期契約の場合はどうなるのか。それで、待遇実態としてはパートの人と同じぐらいの待遇しかないという。

 この点について、お手元に資料をお配りしてありますけれども、これは、厚生労働省の研究会報告の中でも問題意識は持っているんですね。この中で、フルタイム無期契約労働者という言葉を研究会でも使っています。フルタイム無期契約労働者については、パート法でも保護の対象から外れるものであるため、今後、その実態を踏まえて、何らかの保護が図られるよう検討すべきであるというふうに書いてあるんです。ですから、ちゃんと問題意識は持っておられるということです。

 そういう中で、今後、労働契約法の無期転換条項の適用が進んでいくと、有期から無期になったけれども、所定労働時間は通常の労働者と同一で、そして待遇は短時間労働者並みという人がもっとふえてくる可能性というのが私はあると思うんです。そういう人が、最初に申し上げたように、法のはざまに落ちてしまって、保護の対象から漏れてしまうというのは、これは私は問題だと思います。これは研究会報告でも指摘をしていることですけれども、今後どのように対応していかれるおつもりなのか、お聞きしたいと思います。

赤石大臣政務官 今委員の指摘のように、多分そういうことも検討していかなきゃいけないというふうに考えておりまして、正社員ではない、無期労働契約を締結しているフルタイム労働者については、パートタイム労働法と労働契約法のいずれの対象にもなりませんが、労働契約法の無期転換ルールの施行状況等も見きわめつつ、必要な対応が検討されることになるというふうに考えております。

大西(健)委員 具体的な、どうするかというのはなかったわけですけれども、必要な検討をするということです。

 今の、この私がお配りしたものの中にもちゃんと問題意識として上がっているわけですから、実態を把握した上で、これは対応する必要があると言っていることでありますから、具体的に、ぜひ必要な検討をしていただきたいと思います。

 次に、パートタイム労働者の七割は女性の方々であります。そのため、このパートタイム労働法で、今回、例えば均等待遇の対象になる人がふえますといっても、十万人ふえるだけなんです。だから、パートタイム法の話だけしていても、女性の働き方が改善するということは私はないと思います。

 そういう意味では、例えば関連する諸制度、男女雇用機会均等法もそうですし、それから配偶者控除の見直しだとか第三号被保険者の問題とか、そういう関連する諸制度も一緒になって改善していかないと、これは女性の働き方の改善ということにはつながっていかないのではないかというふうに思っております。

 この点について、先週、政府の経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議で、安倍首相みずから、女性の就労拡大を抑制する効果をもたらす税、社会保障制度の見直しや働き方に中立な制度について検討を行ってもらいたいというふうに述べて、配偶者控除の縮小、廃止を検討するように指示したということが報道されています。それは、先ほどお配りした研究会報告のところにもたまたま下に載っていますけれども、やはり働き方に中立な税、社会保障制度というのをつくっていかなきゃいけないんだと。

 ただ、先ほどの資料の裏面を見ていただきたいんですけれども、これは二〇一二年の自民党の衆議院選のJ―ファイル、この中では、家族の助け合いの役割を正しく評価するという観点から「配偶者控除は維持」と、これは明確に書いてあるわけです。

 ですから、首相が指示したように見直しするということになれば、これは公約を見直すということになるんでしょうか。所管ではありませんけれども、田村大臣にお聞きしたいと思います。

田村国務大臣 配偶者控除は財務大臣が所管ということになられると思いますので。公約との整合性というのは、私がここでどう申し上げるかという立場ではないというふうに思いますが、このときに我々が指示を受けたというふうに私自身が認識いたしておりますのは、例の社会保険の適用上限、百三十万という所得の、これをどうするんだという御議論であったというふうに感じております。

 三党で協力をする中において、百六万、それから二十時間というところ、ただし、五百一人以上というような、そういう条件がついたわけでありますけれども、二十五万の穴をあけました。これを二十五万人からさらにどこまで広げていくのかということも含めて、これはしっかりと、三党でスタートしたことでございますから、これからも検討を進めて、総理の方からいただいた指示というもの、これに対して対応していかなきゃならぬというふうに考えております。

大西(健)委員 税のことは当然財務省でありますけれども、先ほど私が申し上げたように、これは本当にパートの人が働く働き方と密接に関連している話ですから、ぜひ厚労省としてもしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、ベビーシッターの問題について少しだけお聞きしたいんです。

 先ほど来、複数の委員から質問が出ていますけれども、この問題の背景には、保育におけるショートサービスというニーズがあるにもかかわらず、公的な保育サービスの部分ではそれが脆弱だ、だから民間のサービスに頼らざるを得ない。ただ、民間のサービスの中で、企業が提供しているベビーシッターサービスであれば、ある程度、情報の登録とか研修とかもやっているところはあるんでしょうけれども、なかなかそれだと高いので、安いところを使いたいということで個人のサービスを使う、そのためにマッチングサイトを使うということに流れていっているんだというふうに思うんですね。

 そういう意味では、やはり、先ほど来話が出ているように、ベビーシッターサービスに公的な支援を入れていくということだと思うんです。

 フランスでは、例えば、ベビーシッターを使った場合には、税金からその部分の費用が控除されると聞いています。我が国でも、実は、厚労省から説明を受けると、こども未来財団を通じて、ベビーシッターサービスの利用料を千七百円割引する割引券、これを配っている、こういう制度があるそうです。

 私も、説明を聞くまで、そんなものがあるのを知りませんでした。恐らく多くの人が知らないんじゃないかと思いますし、こども未来財団がやっているこの割引券を交付する制度というのは、登録した事業主のところじゃないと使えないんですね。そういう意味では、登録している事業主というのは、多分大きな会社が多いんじゃないかと思うんですけれども、今回の事件もそうですけれども、本当に困っている低所得者の方とか一人親世帯とかというのは、現行制度というのは対象になっていないんです。

 そういう意味では、先ほど来お話が出ているように、子ども・子育て新制度の中で居宅訪問型の保育も含めて検討していくということですけれども、私は、やはりある程度こういうクーポン券とかを低所得者とかに配付して、そのかわり、それが使えるのは、情報開示だとか届け出とかをちゃんとしている業者のサービスですよというようなことにしていくのが一つの方向じゃないかと考えていますけれども、その部分で、こういうことをやっていくためにはやはりお金が要るんです。

 先ほど来お話が出ているように、消費税財源をちゃんと子ども・子育てに充てていただくということが一つですし、もう一つは、今、配偶者控除の見直しをやる、やらないという話がありますけれども、配偶者控除を仮に廃止したら三千八百億円財源が出てくるわけです。間違っても、これをほかに召し上げられるんじゃなくて、ちゃんと女性の働き方とか子育てに私は回すべきだというふうに思いますけれども、その部分について、最後、大臣から御意見をいただきたいと思います。

田村国務大臣 この保育というものは施設型給付というものが基本にあることは間違いない、これは圧倒的に人数が多いわけでありますから。しかし、それでは十分にニーズというものを酌み上げられない中において、地域型の保育給付というのがあるわけでありまして、その中の一環で、二十七年度から居宅訪問型の保育というもの、ベビーシッターに近いような形を提供するわけであります。

 それ以外に、先ほども申し上げたんですけれども、地域子ども・子育て支援事業、これは市町村が中心になりますけれども、これに財源としては三分の一、たしか三分の一であったと思いますが、国費が入ると思います。これの中において、一時預かりでありますとか、延長的な部分に関して、訪問型というものを類型化いたしておるわけでありまして、これはマストではありませんが、各自治体が多分いろいろなニーズを調査して、必要があればそういうものをサービスとして提供される、計画の中に入れられるという対応になるんだと思います。

 そこに関して財源という意味からすれば、それは我々は、先ほど来申し上げておりますとおり、一兆円というものを目指してしっかりと今努力をさせていただいておるわけでありますし、これは思いは同じであろうというふうに思います。

 いろいろな財政上の制約はあるわけでありますし、消費税自体、まだ一〇%まで上がると決まったわけではないわけでありますけれども、我々としては必要な財源はしっかりと確保する努力をしてまいるということであります。

大西(健)委員 時間になりました。

 四月から消費税が上がります。消費税は上がったけれども、子育てサービスはよくなったと皆さんに言っていただけるようにしっかり財源確保していただきたい、最後にそのことをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、清水鴻一郎君。

清水(鴻)委員 日本維新の会の清水鴻一郎でございます。

 きょうは、今国会、厚生労働委員会では三回目の質問になりますけれども、いつも田村大臣には大変真摯に前向きな答弁をいただいて、心から感謝をしているところでございます。また、前回には資料請求をさせていただきましたけれども、後藤委員長の御配慮、また理事の皆様の御協力で、速やかに資料も提供していただきました。大変感謝を申し上げます。

 きょうは、次世代法あるいは短時間労働者の方々の法案の審議でありますけれども、先日来お尋ねをしましたJEEDの問題というのはやはり喫緊の課題でありますし、まずこのことから、というのは、次世代法あるいは短時間労働者のことにつきましては、私の質問したいことも前の委員の方々がたくさん質問していただきましたので、まず最初に、JEEDの問題から質問をさせていただきたいと思います。

 資料を最初おつけいたしましたけれども、まず新聞報道にも、大変疑惑を持っているという報道があります。資料の一ページ目でございますけれども、これは三月十九日の朝日新聞の記事であります。「不正入札 三つの疑惑 厚労省の職業訓練事業 担当課長ら更迭」という見出しであります。

 ここに書かれていることでございますけれども、「職業訓練事業をめぐる厚生労働省の不正入札問題で、同省は十九日付で、担当の課長らを更迭する人事異動を発令する。安倍晋三首相や田村憲久厚労相は外部の有識者を加え、「官製談合」の疑いも視野に入れた調査を続ける方針。」というふうなことでございます。

 経時的にといいますか順番に追えば、まず不正入札をめぐる動きとして、新聞報道をおかりしますけれども、三月の六日に不正入札疑惑の報道があった、田村大臣が入札のやり直しを表明された、大変速やかな対応であります。七日、入札前日に厚労省幹部がJEEDに資料を渡していたことが判明、前日です。さらに十三日、田村厚労大臣が、第三者を入れた再調査をすることを表明されました。そして十四日、厚労省が昨年十二月の時点で、十二月です、去年です、JEEDに事業受託を依頼していた疑惑が発覚、大臣は、中間報告は正しいかどうかわからない、安倍総理も、調査は徹底し厳正に対処するというふうに述べられています。

 この記事の中でも、ちょうど真ん中の上段のところです、「ではなぜ、修正手続きをせずに秘密裏に再掲載したのか。中間報告では「初めの公示は局長決裁がなかった」とした。公示の修正は、決裁済みの「正式なもの」だけを想定しているという。そんなことがありうるのか」という話であります。十二日の厚労委員会でも、生田厚労省総括審議官が、決裁せずに事務処理をした例は過去には一例も承知していませんという答弁もございました。

 そして、公示前日の動きでありますけれども、その記事の真ん中の後半でありますけれども、厚労省は当初、公示資料は渡していない、説明もしていません、そういうふうに言っておられたわけです。だけれども、厚労委員会で玉木委員の質問に対しまして、厚労省幹部が公示前日に資料を渡して、できないことがあれば対応すると便宜を図る意思を伝えていたことが記されていた、そのような文書も、メモもあった。その夜、ホームページに掲げる前日ですね、十七日に、同省とJEEDの担当者が二次会まで、一次会はもちろん飯を食っているわけですね、二次会まで飲食をしていたことも判明した。田村大臣は委員会で、期限を切らずに納得できるまで調査をするというふうに答弁していただきました。

 最後、この記事の中では、そんな中で、厚労省幹部が昨年の十二月の時点でJEEDに事業の受託を頼んでいたことを示す内部文書が新たに露見、田村大臣は十四日の会見で、中間報告は胸を張って真実ですと言えるものではないと述べられました。同省は、十九日、二度目の中間報告を衆議院厚労委員会に出すということでありまして、それが出てきました。今回、資料を提供しておりますけれども。

 実は、JEEDというのはどういう組織なのかなというふうに私も思いまして、ちょっと調べてみました。JEEDというのは、もともとは昭和四十六年の五月に社団法人障害者雇用促進協会ということで発足された。それが名前を何回か変えられて、名称変更をされて、JEEDになられたのは平成十五年十月一日ということですから、既に十年以上の歴史がJEEDとしてもあるということであります。そういうことで、目的とかいろいろ書いてあるわけですけれども、高年齢者等を雇用する事業主等に対する給付金の支給でありますとか、もろもろ、そういう職業訓練等をする、そういうことが目的にも書かれているところであります。

 では、どういう人たちがこの組織を運営されているのかなというふうに少し見てみますと、理事長を初めとして理事の方が六人いらっしゃって、監事の方が二人いらっしゃる、そういう組織でございます。理事長は民間の出身で、きょうもおいでいただいております小林理事長ということでありますけれども、理事長代理、この方は厚労省の出身ということでございます。平成二十五年の七月に厚労省を退職されて役員として行かれたということでありますから、二十五年ですから、まだ行かれて一年たっていないということになるのかな。

 さらに、理事の方を見ますと、もう一人、理事の方で、同じく二十五年七月に行かれている理事がいらっしゃる。あとは、理事長を入れて六人の理事がいらっしゃるようでありますけれども、そのうち三人は民間の出身ということであります。お二人が厚労省の出身。お一人は、その前身、今のJEEDの前身である雇用促進事業団から、ずっと、恐らく生え抜きという形でなられた理事がお一人。

 監事の方も、同じ独法からの出身の方が一人と、民間出身の方が一人。

 こういう組織で、かなり厚労省のOBの方がいらっしゃる組織であるということでありました。

 それで、今回、資料の三ページ。二ページは、当日のことであります。当日のことは、もう御案内のように、一度掲載したけれども、結局、省庁統一資格が入っていた、それではJEEDが入れないということで、それを、午後にそういうものをなくする。その間にも、では、その統一資格を取るのにどれぐらいかかるんだろうというようなやりとりがあったということでありますけれども、どうしてもやはり一月ぐらいかかる。そうすると、とてもこれに対しては応募できないということもあって、これはまずいということで、ホームページの方を昼から差しかえたということになった。そういうことが、それはもう十二日の玉木委員の質疑でも明らかになったところです。

 今回、資料の三ページ目におつけしましたけれども、「公示前の機構訪問関係」ということ。

 前日ももちろん大変でありますけれども、前はどうなっていたのかというと、もう既に、十一月の下旬から十二月の上旬に、職業安定局派遣・有期労働対策部企画課求職者支援室長がJEEDの企画部次長に、経済対策の中の職業訓練について説明したいとアポを入れられていたということであります。これは、厚労省の方から提供していただいた調査の資料であります。

 十二月の九日、十四時から十五時ごろまで一時間、職業安定局派遣・有期労働対策部企画課長、支援室長、職業能力開発局能力開発課長、企画官が、機構、JEEDを訪問された。そして、JEEDの方の理事長代理等に対し、補正予算で検討している事業の概要についての説明を実施。理事長代理でございます。これは恐らく厚労省のOBの方のことではないのかなというふうに、後ほど小林理事長にお尋ねしたいと思います。

 このときに、資料は、短期集中特別訓練事業の実施、これはもちろん未定稿ではありますけれども、そういう資料を、ポンチ絵つきで御説明をされたということであります。そういう議事メモも残っている。

 そして、十二日から十四日には、委員のスケジュールを考慮して、十七日を公示日と想定して入札の準備作業をした。

 十四日には、二月十七日の訪問について、もう既に二月十四日に、二月十七日の、公示の前日の訪問について、能開課長補佐よりアポ入れがされている。そういうことですよね。

 そして、十七日に、十六時半ごろから約一時間、四時半ごろから一時間、事務の打ち合わせをされて、企画官、能開課長補佐、管理係長が機構を訪問された。そして、機構の方の求職者支援訓練部次長等に対し、短期集中特別訓練事業の概要等について説明を行われた。企画官はスケジュール及び事業概要を説明し、能開課長補佐が仕様書案について説明。資料は、短期集中特別訓練事業実施スケジュール、短期集中特別訓練事業実施案等の事業概要のポンチ絵、短期集中特別訓練事業における企画書作成のための仕様書、こういうものをつけて説明をされた。その趣旨も議事メモに残っているということであります。

 そして、二月十七日、その日ですけれども、十九時ごろから二十三時半、夜の十一時半ごろまで懇親会。居酒屋で一次会を、カラオケボックスで二次会を実施。一次会には、厚生労働省から企画官、能開課長補佐、管理係長、行かれた全員の三名が、機構からは求職者雇用支援訓練部長ほか十一名、合計十四名の大宴会。二次会は、厚生労働省から企画官、能開課長補佐、管理係長、厚労省の方は全員二次会参加です。機構の方は、十一名が、五名帰られたようでありますけれども、次の日仕事もあるのに十一時半まではちょっとしんどいですから、六名出席ということで二次会が行われたということであります。

 そして、二月二十一日に、機構調査役が仕様書を受け取りに来庁された、計画認定係長から受け取った、こういうふうに調査メモでございます。

 理事長にちょっとお伺いしたいんですけれども、対応された先ほどの理事長代理というのは、厚労省出身の理事長代理が一番最初の事前の十二月のときの説明に対して対応されたのかどうか、お聞きしたいと思います。いかがですか。

小林参考人 厚生労働省から現役出向で来ている者でございます。間違いございません。

清水(鴻)委員 現役出向の理事長代理が説明をしてもらったということでありますね。

 では、その後、いろいろ今経過は説明しましたけれども、まだ十八日が公募の開示日でありますけれども、もう十七日、ほぼ仕事は終わったねみたいな感じですよね、大臣。飲んで二次会まで行って、もうこれで上がったね、大体仕事は終わりだねという感じに受け取れますよね、一般的には。まだ、これから、あしたからだったら、ちょっと飲んだり、とても二次会には行けないし。普通そうでしょう、常識的にはそう思います。

 それから、そんなに親しくなかったら、たまに、これはある程度済んだし、食事会をしましょうということはあるけれども、二次会まで行って騒ぐというのは相当親しいと思いますよね。初めて食事をして、二次会に行かないことはないかもしれませんけれども、十一時半まで、どんちゃん騒ぎかどうかわかりませんけれども、二次会まで行く、相当親しいなという印象を私はいたします。本当にこれは、一度だけでこんなに二次会まで盛り上がれるのかなというのが、普通、一般的な疑問だと思うんですね。

 理事長、一次会、二次会、主に人数的には機構の方がたくさんいらっしゃるんですけれども、この支払いはどういうふうにされたとお聞きになっていますか。

小林参考人 本件につきましては、御承知のように、監察本部で弁護士も入れた調査を今行っている真っ最中ということでございますので、詳細につきましては控えさせていただきたいと思います。

清水(鴻)委員 すると、それまで入れてというと、普通だと、例えば我々は選挙もしますし、有権者の方々と食事をしても割り勘をきちっとして、その場できちっと割って、そして、そこでお互いに、例えば九千円だったら、三人だったら三千円ずつの領収書をもらって、きちっとその場で個人で払ってと。これは恐らく、もし、いわゆる機構と厚労省の方が個人的に飲みに行かれた、あるいは御飯をされたということだと、当然、割り勘が普通だと思うし、普通だったら、疑われても困るから、ちゃんとそうされたと思うんですけれども、そういうふうなことではなさそうだということですか。

 それから、帰りのタクシーとかは、例えば、機構の方からタクシーのチケットを出されたとか、そういう事実はあるかどうか、ちょっとお伺いします。

小林参考人 監察本部の調査中ということではありますが、私の理解では、一次会、二次会とも、いわゆる割り勘で処理されているというふうに聞いております。

 それから、帰りのタクシーチケットの手配等は一切ございません。そのように理解しております。

清水(鴻)委員 では、個人の領収書は確認されているんですね。皆さん割り勘して、ちゃんと領収書を確認した上で今発言されたんですね、割り勘というのは。領収書がなかったら、そんなの何とでも言えますからね。

 大臣は、その点について何かお聞きですか。

田村国務大臣 調査中ですので、事実かどうかは、確認をまだしている最中です。

 ただ、今まで本人らからの報告という意味で、現時点で報告、それは正しいかどうかまだ調査中ですからわかりませんよ、報告の中においては、早く帰った者とアルコールが飲めない者は、それは割り勘負けしているというか、安くなっておる、こういう話でございます。

清水(鴻)委員 ありがとうございます。

 割り勘負けしているのは、厚労省の人が割り勘負けしているんですかね、酒が弱いとかいって。そういうわけではなくて、厚労省の人は千円で、ともかく一応会費千円ですよということで、酒が弱いしとかいう感じで、JEEDの人はちょっと酒が強いからたくさん出そうという感じですかね。

田村国務大臣 あくまで事実関係は今調査中ですから、これが本当かどうかわかりませんが、現時点で報告を受けている中においては、厚生労働省の職員でも、ちゃんと割り勘代分払っている方もおられます。

 ただ、先ほども言いましたように、早く帰った方と、それからアルコールを飲めない方は、若干安くなっておるということであります。そういう報告でございまして、それが事実かどうかは今現在調査中ということであります。

清水(鴻)委員 そこまでわかっていたら、それぞれに皆さんが個人的に領収書はきちっととっておられる、そういうふうに理解していいわけですね。

田村国務大臣 これも調査中でございますから、実態はまだ把握しておりませんが、そもそも、これは領収書で落ちるようなものではございませんので、個人の娯楽の中でお支払いいただいておるということでございますが、領収書が出ているという類いのものではございません。

清水(鴻)委員 もちろん、領収書は、何かに使うために必ずしもとるんじゃないんですよ、大臣。我々も、例えば有権者の方々と飲食をして、その領収書をどこかに持っていくんじゃないけれども、ちゃんと割り勘をしたという証拠、疑われないために、それはとるんですよ。

 必ずしも、領収書というのは経費で落とすためにとる、そういう認識だけではないんですよ。それをちょっと御認識いただきたいと思います。領収書というのは、必ず、何か経費で落とすために、あるいは何かの証拠のためにとるだけでなしに、自分の身を守るためにも、ちゃんと割り勘をしたという証拠も残しておかないとということもあるので、我々選挙をする人間もそうですけれども、そういうことであります。

 それと、ただ、一回だけかなということで、きょう、ちょっとこれは通告もできない、大臣もお持ちですよね、朝、理事会の方に出たという、JEEDの職員との飲食に関するアンケート調査の結果というものです。

 これは、私、今さっきもらったばかりなのであれなんですけれども、調査対象は、職員の方四百八十一人、そして、大臣官房の室長クラス以上の職員の方六十二人を対象にとられたアンケートの、現時点での調査結果です。

 平成二十五年の十二月一日から二十六年の三月十四日まで、三カ月半ですね。十二月、一月、二月、三月の十四日ですから、三カ月半。三カ月半なんですけれども、ちょっとびっくりしましたけれども、調査結果で、飲食をしたもの、総件数七十四件、出席した職員が延べ百九十九人。これは余り親しくないとか一回きり、もちろん、このことに関してかどうかというのはわかりませんけれども、常日ごろ、常道的に、JEEDの方々と厚労省の担当といいますかそういう方々とは飲み食いをしていた、結構親しい関係にあったということは、もう事実ですよね。これはここに調査結果として出てきていますよね。大臣、いかがですか。

田村国務大臣 もともと高障求機構は、その前身は高齢・障害者機構と能開機構であったわけで、能開機構、特殊法人という形で、実際問題、能開局等々がいろいろと企画立案しても、実動する部隊という意味では、職業訓練、能力開発を含めて、ないので、そういうものが、言うなれば、行政のかわりに仕事をやってきておったという歴史があるのは御承知だというふうに思います。

 でありますから、現役出向が非常に多い。現役出向自体も七十名しておるわけでありますけれども、このうち障害者のいろいろな雇用にかかわっている方々が四十六名。これは、障害者というお立場の中において雇用ということになると、かなり専門的ないろいろな知識というものが必要だということで、この出向もいたしておるわけであります。

 御承知のとおり、求職者支援制度に関しましては、これはまさに、国が法律にのっとって事業をこの高障求機構に出しておるわけでありまして、そういう意味では、常時、厚生労働省の役人自体は高障求機構の方々とおつき合いはあるわけでありますから、顔なじみという意味からすると、昔から顔なじみでもあるわけであります。

 さらに、この中、飲食が多いとおっしゃられますが、類型化して見ていただきますと、かなりの部分は、例えば、自分が出向していたときの同期の仲間内であったりスタッフの仲間内であったり、そういう者と、会費を払って、仕事関係なしに、要は旧交を温める、そういうようなものも報告としては上がってきておりますし、あとは、昼御飯を仕事の間で食べておるというものもこの中にあるわけであります。そういう意味では、多いというのはそのような理由があるのであろうというふうに思われます。

 ある意味、非常に能開局の仕事をお手伝いいただく、そういう力強い独立行政法人であるということは間違いがないわけでございます。

 ただ、そうはいっても、公務員法でいけば、割り勘ならば問題ないとはいえ、公示の前の日に飲んでおるということ自体、私は、これは不謹慎だ、自覚が足らないと思っておりますので、そういうことに関しましては改めていかなきゃなりませんし、今般の調査の結果、当然、いろいろな問題が出てくると思います。出てきた場合には適切な処分をしなければならない、このように考えております。

 国民の皆様方に大変御不信を抱かれた、これに関しましては、厚生労働大臣としておわびを申し上げたいというふうに思います。

清水(鴻)委員 大臣のお気持ちはよくわかります。

 小林理事長も、こういう日常茶飯事に、厚労省出身の方を中心だと思うんですけれども、厚労省の方々とJEEDの方々が飲食をともにしたりして、あるいは、そういう中で必要に応じて経費が出ていったとか、そういうようなことについては御存じでしょうか。

小林参考人 今回のことがあるまでは、それは知りませんでした。ただ、今回の現在の経過報告を聞いて、ああ、そういうことなのかということでございます。

 ただ、基本的にはコミュニケーションの一環であり、しかも費用は割り勘ということであれば、だからすぐどうのこうのという話ではないというふうに理解しております。

清水(鴻)委員 でも、小林理事長としては、そこまで厚労省出身の方がほとんど取り仕切っておられて、理事長でございますけれども、いろいろな打ち合わせとかそういうところに、いろいろなことがたくさん、そういう飲み食いがあったということは今初めて知った、そういう御認識なんですよね。

 ただ、実際ここでも、業務上関係のある部署のJEED職員の方との懇親目的の飲食をしたものも六件あるということも、これは事実であります。

 だから、大臣がおっしゃるように、いろいろあるので、そういう情報交換等も必要だということもよくわかりますけれども、やはりこれは明らかに、今回にしても、競争入札をするという中で、いわば、二十億とかそういう単位のお金をつぎ込んだ事業をそこがとるかどうかという話のところに、情報交換も大事だし、過去はどうあれ、今は独法でされていて、やはり仕切りというか、そのことをきっちりしなければいけないわけですけれども、三カ月半しか調査していないんですよ。それでも件数が六件あって、出席した職員が延べ二十八人いる。

 やはりこれは、大臣はおっしゃいますけれども、いろいろ情報交換も大事だし、旧何とかだということはあれですけれども、旧何とかだというのはもう今さら、やはり独法になってきちっとそういう仕事を受けて競争入札にも参加されるということになれば、きちっとした仕切りがないと、このことがたまたま起こりましたけれども、こういうふうに見ると、今回はたまたま氷山の一角で、過去にもJEEDがとられた仕事がもしあったとしたら、こういう、何か、あらかじめ情報が行っていたというふうに自然な感情として何となく疑ってしまう、私はごくごく普通に考えたら疑ってしまうと思うんですけれども、大臣の感想はどうですか。

田村国務大臣 襟を正すところは襟を正さなきゃならぬと思います。

 一方で、今申し上げました、昔はこうだからというんじゃなくて、今現在も、求職者支援制度、これは法律で、高障求機構しかできないわけであります。そこに国が法律にのっとって仕事を出して、その打ち合わせはしょっちゅうやっているわけでありますし、それ以外にも、実際問題、職業能力開発は、ここがなければ基本的に公の部分に関してはなかなか進んでいかない、ここが総本山みたいなところがあるのも事実であります。でありますから、そこにおいて平素の政策的ないろいろな打ち合わせ等々はやる必要はあるのであろうと思います。

 ただ、そこと、今般のような入札で出すというような形態のもののときと、同じように情報交換をしてもらっては困るわけでありまして、そこはけじめをつけなきゃならない。そこがけじめをつけられていなかったところに今回の大きな問題があると私も認識いたしておりますので、調査をしっかりとやった上で、適切な対応をしてまいりたいと考えております。

清水(鴻)委員 関係ある、今、六件あると言いましたけれども、ちょうど十二月の四日、まさに、職業能力開発局の総務課長さん以下担当の方々と、そして機構の方々、十二月四日の有楽町付近の居酒屋さんは、厚労省の方が十一名ですよ、機構の方が三名。さらに、これは出張先のことは抜きにしても、あとも、職業能力開発局総務課監理係長ほか、二名の方、また七名で、海浜幕張駅付近の居酒屋で飲食。さらに、さっき言いましたように、十七日には、海浜幕張付近の居酒屋さんに行って、その付近のカラオケ屋さんということになっています。

 大臣、打ち合わせするのに居酒屋さんとかカラオケ屋さんは必要ですかね。僕はそれは、職業能力機構という、もともとそういうこともあって、やはり厚労省のいろいろなことと情報交換も、またノウハウも持っておられることで、いろいろ会議をされたり打ち合わせをされることはいいんですけれども、その後、この三カ月間だけでも六回というようなこと、そういうことについてはやはりちょっと異常だというふうに思います。

 答弁してもらっても、大臣もそれは、襟を正していくということしかないと思うので。

 ともかく、領収書の有無とかはしっかり確認していただきたいと思います。それで、万が一やはりそれがJEEDの方に回っているというようなことが、過去、今回だけではなくて、こういういろいろな打ち合わせを六回していますから、昼御飯を一緒に食べても、どちらが持つかということももちろんありますね。昼御飯を食べたから、昼御飯だからいいというわけではなくて、やはりそういうことも含めて、きちっと領収書を添えて、しっかりした調査をしていただきたいな、ないならないで、そのときの実態をしっかり調査していただきたいなと思います。

 それで、この間、私が資料請求させていただいて、ちょっとこれもびっくりしたんですけれども、資料の六ページですね。

 大臣が、十二日の玉木委員の質問に対して、一連の流れの中で、随契というのはやめようということで、企画競争型でもいいから入札にかけようという流れがありました、それをやろうとしたんですけれども、一者入札は今も幾つかありますという答弁をされているんですよ。大臣、幾つかありますという答弁をされているんですね。これは速記録ですけれども。

 幾つかあるんだったら、どれぐらいかな、十個に一個ぐらいとか十個に二個ぐらいあるのかなと思って、どんな感じなのかなというふうにお聞きして、資料をいただきました。ちょっとびっくりしました。二十二年度、七百十七件中四百十五件が一者応札、五七・九%。二十三年度、七百六十件中の五百十二件、六七・四%。二十四年度、七百四十一件の件数で一者応札が五百十件、六八・八%。

 ここで、この資料の中に、「一者応札に対する厚生労働省の考え方」というのがありまして、「一般競争や企画競争など競争性のある契約の一者応札については、関係法令、財務省通達に基づく調達手続きを進め、入札公告等により、広く参加者を募集した結果、結果的に一者応札となったものです。 厚生労働省においては、財務省通達等に基づく入札及び契約の適正化の取組に加え、外部有識者を含めた公共調達委員会による事前審査等を通じ、公告期間の延長、仕様の見直し等を調達部局に指示する等、一者応札等の改善、より競争性・透明性の高い契約への移行等に努めております。」と書いているんですよ。

 だけれども、パーセントを見たら、五七、六七、六八。全然改善していないですよ。ふえているんですよ。これは何か、頑張っているけれどもふえている。

 大臣も、たまにはとはおっしゃいませんでしたけれども、時にはあるという返事ですけれども、時にはではなくて、しばしばある。ベリーオーフンという感じですよね。

田村国務大臣 私も、確認して、改めて多いなということを感じたわけであります。

 ここに書いてありますとおり、一般競争入札、これは、随意契約によらないものは一般競争入札にするという流れがあったわけでありますが、その後、民主党政権下において、さらに随意契約においてもなるべく公平にといいますか公正にしようという流れがあって、これを企画競争入札という形でかじを大きく切られたという部分があります。

 結果、こうなっているんですが、それは、民主党が、随意契約でもよりわかりやすくしよう、オープンにしようという思いの中でやられたことだと思いますので、このような形で、随意契約が企画競争入札という形になって、結果的に受けるところがやはり一者しかない、一団体しかないということで、もともと随意契約というのはそういうものでありますから、それを競争入札にしたけれどもやはり受けるところは一つしかなかったという結果がこの数字です。

 二十二、二十三、二十四年度は大方が民主党政権のときであったと思うわけでありますが、それを私どうのこうの言うわけじゃなくて、努力をしたけれども結果的にはそうであったという、そのような結論がこれを見て分析できるのかなというふうに感じます。

清水(鴻)委員 大臣、私思いますけれども、そうすると、無理に短期間の公募期間で競争入札をする方が、むしろ事前から、あるいは、この仕事をやり切るためにはある程度受け皿がないとだめだとなると、担当者も受け皿をあらかじめある程度想定するということは当然あり得るわけですね。この仕事を受けてもらえる可能性のあるところはどこかなということをある程度考えないでやったとしても、誰も受け皿がなければ事業は進みませんから。

 ということは、はっきり言って、これはなかなか難しいな、そこしかないなというようなことは、むしろ透明性を高めながら、その経過がわかるようにして、公募の期間で短い間だから、しようがなくあらかじめ打ち合わせをして、いわば不正まがいのことをやらざるを得ないというような環境はかえってよろしくないんじゃないかな。それならば、しっかりと、このことは準備も長く必要だし、やれるところはここしかない、そのかわり経過も含めて透明性を高めて、随契にするとかです。

 やはりこれは、このままやると同じことが繰り返されますよ。そう思われませんか。

田村国務大臣 私は企画競争入札というものが悪いというふうに思っているわけではありませんでして、そこに一旦かじを切ったのは、これは一つのチャレンジであったというふうに思うんです。ですから、それによって他の入札参加者が入って、しっかりと質の担保できる事業をやっていただけるのであるならば、それはその方がより透明性が高いというふうに思います。しかし、どこも受けられないというものがもしあるのであれば、それは精査して、どうすべきか検討をしなければならぬ話でございます。

 いずれにいたしましても、今般の調査をすればいろいろなことがわかってくる部分もあろうと思います。それも踏まえながら、それぞれの事業をどういう形で進めていくかということは、今回の反省も含めて、いろいろと検討はさせていただきたいというふうに思います。

清水(鴻)委員 この過去三年間のデータをもらいましたけれども、この中で、JEEDが受けられている件数というのはどれぐらいあるんですか。過去三年間出ていますけれども、ことしも、二十五年度も含めて。理事長、御存じなら教えてください。一者入札の分です。

小林参考人 三年間でございますけれども、当機構、JEEDといたしまして、厚労省の企画競争に応札し受託をした件数は一件もございません。(清水(鴻)委員「初めてですか」と呼ぶ)JEEDとしては初めてでございます。

 ただ、私どもは、二十三年の十月に、旧能開機構から能開業務の移管を受けております。その旧能開機構といたしましてどうかということを調べましたところ、平成二十二年度に二件、二十三年度に一件の受託がございました。ただ、それが一者であったかどうかについては、私どもとしては承知しておりません。

清水(鴻)委員 今、旧能開機構のところで三件あったということについては、ちょっとこれは精査していただけますか。一者かどうかわかりませんけれども。どうでしょうか。

田村国務大臣 詳しく、正確な情報は後ほどまた調べてお知らせさせていただきたいと思いますが、今現状では、一者応札というような報告を受けました。

清水(鴻)委員 済みません、委員長、これはまた、その三件につきましては、そのときの、どういう経過かということも含めて、報告をいただくということで理事の方にもお願いしたいと思いますけれども、よろしいですか。

後藤委員長 ただいまの件については、理事会で協議いたします。

清水(鴻)委員 はい。

 いずれにしても、やはり、大臣は企画競争入札が悪いものでないと。確かにそうなんですけれども、時間的にも、ここで初めて本当に知ってその事業ができるかといったら、公平性が担保できるかどうかというのは極めてやはり疑問だと思うので、もしそうならば、かなり長い、この事業をやるのに、これを出してから初めて考えても企画書を出せて、この事業を自分のところが受けられるかどうかしっかり検討できるよねというような期間とか、そういうものも含めてやらないと、とても難しいと思います。

 その点について、今のこの応札の期間とか、そういうものも含めて一度検討していただいて、また我々に示していただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 では、これにつきましては、今申し上げましたように領収書の件とか、ぜひ調査をしていただいて御報告をいただきたいと思います。

 次に、もう先ほどからいろいろ質問がありましたのであれですけれども、やはり私も、ベビーシッターの事件ですね。

 大変悲惨な事件で、まず、亡くなったお子様に対して心から御冥福をお祈りするとともに、お母さんを初め御家族には心からお悔やみ申し上げたいと思います。

 一部の御意見では、お母さんが知らない人に預けて、それは無責任だとか、お母さんが悪いみたいな報道がありますけれども、私は、そうではないと思うんですよ。これは、いろいろな事情の中で、知らない人に預けようと思ったわけでなくて、顔を見てから預けようと思ったけれども違う人が来たとか、いろいろな事情があって、このことの実態調査もするということを大臣もおっしゃっていました。先ほどから質問もありました。

 その次のページ、資料の八ページですけれども、野田自民党総務会長、大臣経験者の野田代議士も、「働く母の窮状訴え」ということで、私でもサイトで探した、つまり、いわば人脈もあるだろうし、いろいろなことがあるだろう人でもサイトで探さなければいけない事情があった、実際にそのことを利用されたわけではないようでありますけれども、そのことで探した経緯もあったということを言われていますよね。

 だから、必ずしもサイトで探した人がどうだというよりは、いろいろな多様な働き方がある中で、そういうことでお母さんを責めるとかいうのは、僕は、極めて無責任な発言で、本当に差し迫って、事情があればだと思うんですよ。本当の貧困とか知らない人なんです。

 僕も、小学校六年まではお風呂もありませんでしたよ。僕は、お風呂好きな母親が、冬場、お風呂に何で行かないのかなと思って、いや、ちょっと、風邪を引いていそうにないのに行かない。やはり、後で聞いたら、お風呂代も厳しい。次の日の食べ物を考えたら、お風呂に行かない。自分だけ我慢する。父親と私は行かせる。夏は行水ですよ。大臣は御存じかどうかわかりませんけれども、大きなたらいで、お風呂にも行かないで、そこで風呂がわりに入る。

 そういう状況になれば、お金がないということはどんなに厳しくて、どんなに工夫をして食べるためにやっていくのかということは、簡単に、何か預けた人が悪いとかなんとかではなしに、根本的に、やはりベビーシッターの問題は。

 僕は留学したときに、アメリカでも、ベビーシッターは割とアメリカでは簡単でした。大学に、学生さんがやりますよというふうに書いてくれている。自分たちがどうしても出ていくときは、まあ、アメリカの場合は、例えば結婚記念日とかに御飯に行かないと離婚されるとかいろいろあるので、みんな気を使って、きょうは食事に行くのに、ベビーシッター・アベイラブルと書いてある学生さんに頼んだらいいよと。家に来てもらって、そこで二時間なり三時間見てもらう。アメリカとかでは割と、そういうふうに顔の見える形でベビーシッターがありました。

 だけれども、日本の場合はなかなかそういう風土もありませんし、やはりこれは制度としてそういう人たちのために、手厚いところは手厚くしていっていいですけれども、今、いろいろな法案で、守られている人たちはどんどん守られるけれども、その中に入っていっていない人たちというのはやはりまだまだ阻害されていると思うんですよね。

 だから、このベビーシッターの問題は、ここにいろいろありますけれども、本当に離婚も、離婚した人が悪いと。いや、それは、子供さんに対して虐待をお父さんがするから、子供を守るために離婚する人もいるんですよ。いろいろな事情の中でシングルマザーになる、そういうことですから。

 このことについては、あとベビーシッター規制とか、規制するのもいいんですけれども、規制してますます狭くなると、また裏で頼まなきゃいけない。だから、やはり需要と供給をしっかり考えた上で、規制するのもいいけれども、規制すれば、またそれにアクセスできない人が、仕方がないからもっと闇のサイトで頼まなきゃいけない、そういうことにならないように対応をお願いしたいなと思います。

 大臣、そういう厳しい環境の中で、このお母さんのことに対する非難とかあるんですけれども、どうですか、大臣のお気持ちとしては。

田村国務大臣 本当に痛ましい事件でございました。もう許せないような事件であります。

 一方で、利用されたお母様もやむにやまれない事情があられる。それは、夜間なかなか、どこかに預けようと思っても預かってもらえないという中において、今までも利用されてこられたんだというふうに思います。その中において、何か報道では、同じ方から、虐待かどうかわかりませんけれども、あざをつくったというようなこともありまして、その人には預けたくなかったと。それを確認した、名前で確認したけれども偽名を使っていたなんていうような報道もあります。

 いずれにいたしましても、やはり費用の問題もあるわけでありますし、時間帯の問題もあるわけでございますので、そういう意味からいたしますれば、今現状でいえば、そのようなものに頼らざるを得なかったという事実があることは確かなわけでありまして、そういうことに対して、質を担保しながら、安心できるサービスがどのように提供されるかということを我々はしっかりと対応していかなきゃならぬのだというふうに思います。

 ただ、一方で、どこまでやるかというのは、これはある意味、地域それぞれでニーズを把握していただかなきゃならぬという部分もございますから、それぞれの地域の中においての主体性というものもやはり我々としては期待をさせていただくわけでございまして、そのような中において、それぞれの地域において、一定の質を担保する。

 ただ、担保を余りし過ぎるとまた費用が高くなるという、相矛盾する中で、そこにどう公費を入れるかという話が出てくるわけでございまして、今、調査等々をやって、いろいろな問題点、そういうものを把握させていただきながら、どのような対応の仕方があるのかということも含めて、これから検討させていただきたい。なるべく早く、でき得ることから我々としては手をつけさせていただきたい、このように考えております。

清水(鴻)委員 この間、私が十四日に質問したときも、ちょっとJEEDの問題に戻りますけれども、大臣が、

  今回のこの問題、たまたまばれたから、だから問題化したというよりかは、いつかはこういうことが起こったのであろうと思います。それがたまたま今回であったのかもわかりません。ならば、この機会を、このような形の発注形態を変えていく、そのような契機にしなければならないというふうに思っております。

  この問題の真相究明はしっかりとやらせていただき、わかったことに対しては適切な対処をさせていただきたいと思いますが、あわせて、このような事業に対しての見直しも含めてしっかりと対応させていただきたい、このように考えております。

と答弁していただいているんですよ。

 ちょっとびっくりしたというか、今回の同じ事業に対して、この真相究明もまだ道半ばでありますけれども、既に一昨日、厚労省ウエブで企画競争の公示がされた。四月八日が企画書の提示期間で、これまた短いですよね。二十四日から四月八日までで、厚労省のウエブを見て、またそれに、これだけの間で出てくる。仕組みも相当変えられたのかどうか、その辺も含めてわかりませんけれども、四月中旬には選定委員会をやる。

 これはまた拙速なんじゃないですか。大臣が、根本的に、この前答弁いただいたことからいえば、これはどうなんですか。

後藤委員長 清水君に申し上げますが、申し合わせの時間は既に経過しておりますので、まとめていただいてよろしいでしょうか。

清水(鴻)委員 はい。

 では、さっき答弁いただいたことに対して、もう一回、決意だけお願いします。(田村国務大臣「どの答弁ですか」と呼ぶ)いろいろなことを変えていくことも含めてという答弁を前回いただきましたよね、大臣の答弁を。

田村国務大臣 それはベビーシッターの件ですか。

清水(鴻)委員 いやいや、JEEDの問題に戻りますけれどもと申し上げました。

田村国務大臣 ああ、そちらの話ですか。

 とりあえずといいますか、今お話ししたことに関しましては、一度公示した内容でございまして、その内容で以前からもう一度入札はさせていただくという話でございましたので、それはそれでさせていただきますが、このような一者応札も含めて、現状をいろいろと認識しながら、変えるべき点は変えていかなきゃならぬというふうに思っておりますから、対応させていただきたいと思います。

清水(鴻)委員 よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 長妻でございます。よろしくお願いをいたします。

 まず初め、全体の話で御質問させていただきたいんですが、やはり我々が考えなければいけないのは、社会保障がピークのときに日本が破綻をしない、こういうことが大変重要だと思っておりますけれども、これは田村大臣の個人的なお考えでも結構なんですが、社会保障がピークになるというのは大体いつごろだと思われますか。

田村国務大臣 急な質問でございますので、精緻な分析はこちらもしておりませんが、ピークになるというのは何をもってピークなのかというのが、ちょっと私も今委員の御質問で理解できませんでした。

 ただ、以前から言っておりますとおり、団塊の世代という非常に大きなマスが、これが七十五歳、いわゆる後期高齢者という言い方がいいのか悪いかはわかりませんけれども、一定の医療費がかかる、それから、介護という意味でも、身体能力に一定の障害等々が生じやすくなってこられて、介護等々に対してのいろいろなサービスをお受けになられやすくなる、そのような年齢に達するのが二〇二五年ということでございます。

 そういう意味では、大きな人数が七十五歳という一つの節目の年齢になられる、その二〇二五年は一つの大きなピークを迎える年であるというふうに認識いたしております。

長妻委員 今、残念ながら、政府の推計というのは二〇二五年以降はないんですね、この社会保障について。

 私自身は、この社会保障がピークになるというのは、社会保障給付費がピークと考えるのか、ただ、社会保障給付費の中には、国民の皆さんの社会保障の自己負担は入っていないんですね。ですから、社会保障給付費を小さくしようとしたら、自己負担を上げれば小さくできるので、やはり全体の社会保障の供給量、これがピークになるときに財政も破綻しないし国民生活も破綻しない、こういうことが重要だと思うんです。

 そうすると、今の答弁は、不明確だったんですが、二〇二五年にはかなり大きくなるという趣旨だと思うんですが、私は、その後にピークが来るんじゃないかと。

 六十五歳以上の絶対人口が最大になるのが二〇四二年でありますので、七十五歳以上の人口が最大になるのが二〇五〇年ぐらいですので、二〇四〇年から二〇五〇年の間に社会保障の供給量がピークになるんじゃないか。そのときに日本がきちっと乗り越えられれば、その後、持続可能な社会保障ができるので、そこからさかのぼって今の社会保障をどういうふうに手当てするのか、こういう発想が大変重要だと思うんです。

 これらの、本当に社会保障の給付費あるいは供給量がピーク、最大になるときは大体いつごろで、どのくらいの供給量、金額になるのか、幅はあるんでしょうけれども、いろいろな前提条件を置いてぜひ試算をしていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

田村国務大臣 どういう前提を置くかによって変わってくるんだと思います。

 二〇二五年までは、一定の制度というものを我々は見越して、今、社会保障と税の一体改革の中において、国民会議でいろいろな御議論をいただいて、そして法制化をしようということで、今国会にも法案を提出させていただいておるわけであります。

 それから、例えば、その中において我々が今考えておりますのは、やはり健康管理でありますとか予防、ここにも力を入れていこうということでございますので、これが一定程度たつと、成果があらわれてくれば、それからの特に医療費、介護、こういうものに対しての推計は当然変わってくるわけでございますので、なかなか、数字を出せと言われても、その数字は一定の仮定を置けば出せないことはないとは思いますが、その仮定の置き方自体がまた、これはどうだという御議論にもなるんだということであろうと思います。

 まずは、二〇二五年という大きな転換点、これは、その先に高齢化がピークという話でありますけれども、この二〇二五年は大変大きな転換点であることは間違いないわけでありまして、これに向かって体制を組ませていただきたいというふうに考えております。

長妻委員 ぜひ、これはもう与野党を超えて、こちらにも与党の議員の先生方が多くいらっしゃるので、やはり、ピークのときは大体どういう状況になっているのかと。

 厚労省は、過去三回か四回、将来の医療費推計とか社会保障給付費の推計を出しているんですが、名目でいうと、全部べらぼうにでかいんですね。こんなにでかくなるから、もう何でもかんでも削らなきゃいかぬと。結局、ふたをあけてみると、そんなに大きくなっていない。

 ですから、そういう冷静な、下限と上限をある程度幅を持たせたピーク時の推計というのをこの委員会で出して、与野党問わず議論をして、そして、さかのぼって、どれだけこれは抑制すればいいのか。いろいろな指標はあると思うんですね。現在でも、GDPに占める社会保障給付費は、日本は二割。フランスとかスウェーデンとか、三割ぐらいの国もある。だから、現在ある世界の中で最大の国が、耐えられる上限と考えるのか。消費税にしても二〇%以上の国もある。

 ただ、注意しなきゃいけないのは、国民負担率とか社会保障給付費だけを見ていると、これは別に全体をあらわしていないので。国民負担率を下げるには、あしたから国民の医療の窓口負担を五割に仮にばあんと上げれば国民負担率は下がるわけで、それでめでたしめでたしかというと全然、それだけの指標を見ていると、国民の皆さんの自己負担がふえて、家族の負担もふえて、それは疲弊をするので、そういう全体の青写真を、この委員会で堂々と与野党で議論をして、そろそろ社会保障の、どこまで、どういう形で将来ビジョンを考えるのかということを出していただきたい。

 我々もいろいろな試算の試みをするんですが、これは、世界の国ではピーク時の議論というのはもう始まっているんですね。やはり一番大きいのが社会保障の費用であります。日本は二〇二五年で打ちどめになっているので、それについて、二〇二五年以降も研究してみたい、そのぐらいの答弁をぜひいただきたいんですが、いかがですか。

田村国務大臣 以前もそういうのを出して、実際問題は考えられないような数字になったわけです。あれはどういう出し方をしたかというと、過去何年間の伸びに合わせて、それをずっと伸ばしたわけですね、延長で。そうしたら、もうびっくりするような金額に、医療費だけで百兆円を超えたというような金額だったというふうに認識しております。

 ですから、仮定をどう置くかによって全然変わってくるので、本当にそれが正しいものかどうか。それが間違った仮定を出しちゃいますと、それこそ間違った方向に、今委員が言われたように、進んでいくわけであります。

 あわせて、社会保障費だけ出しても、そのときの言うなれば産業構造がどうであるかだとか、つまり、どれだけ稼ぐ力があるかによって、当然のごとく、所得が低ければ、その分だけかかる費用というものは、医療の負担はふえるわけですよね、社会保障の負担費がふえるわけでありますから。

 それはいろいろなものを置かなきゃいけないので、なかなか厚生労働省だけでできる話でもございませんし、おっしゃられる意味はわかりますけれども、誤った推計を出して、結果として間違った方向にミスリードするわけにはいきませんので、いろいろな部分で御議論はさせていただきますけれども、数字を出せと言われると、なかなか自信を持てる数字が出せないということが今の現状であります。

長妻委員 厚生労働省一省だけでできないというのはよくわかりますので、ぜひ大臣が、閣議やあるいは政府の中で、そういう研究を、ピーク時に、社会保障が特に大きいわけですから、それ以外の財政もどういうふうになって、耐えられる社会保障というのはさかのぼって考えるとどういう形になるのか、そういう研究ぐらいはしましょうという、政府の中でそういう提言をどんどん出してリードする、こういうおつもりはないですか。ぜひお願いしたいんですが。

田村国務大臣 なぜこういう話をするかといいますと、それは仮定を置けばどっちにでも出せるわけです。これから所得がどんどんふえていくという仮定を置けば、それなりに所得によって保険料というのは賄えるわけでありますし、税収もふえれば、その分公費をふやそうかという話になるわけでありまして、出したもの自体が、受けとめられる側も、恣意的な数字を入れているんじゃないか、こう受けとめられれば、そもそも出したもの自体が意味がないわけであります。

 それぞれ受けとめ方がいろいろありますから、恣意的に出したつもりでなくても、そうじゃないお考えの方々はそれを恣意的だとおっしゃられるわけなので、そういう意味では、誰が見てもこれならば正しいだろうというものをなかなかお出ししづらいという意味で、公に出すのは難しいということを申し上げておるわけであります。

長妻委員 非常に消極的なんですね。

 日本の一番大きな問題の一つで、年金とはまた社会保障全体は違いますけれども、財政再検証だって年金はあって、いろいろな前提条件を入れてそれで推計するわけで、ですから、一つの推計じゃなくて下限と上限を、こういう前提でこうだと、技術的進歩や高齢化の進展などもいろいろありましょうけれども、幅を持たせた形でピーク時を出して、それで逆算して今の社会保障はどうあるべきという議論をそろそろ我々はしないと、先がどうなるか全くわかりませんとやみくもに削れ削れ、削らないと日本が滅びるみたいな議論も一部ある中で、やはりそういう責任をある程度持った、幅を持たせた議論というのが必要だと思うんです。

 これは別に追及しているわけじゃないので、お互いに本当にやり遂げる議論の端緒を、田村大臣が政府の中で問題提起をしていただくということはよろしいんじゃないですか。どうですか。

田村国務大臣 また数字を出すと追及されますのでね。それは、厚生労働省というクレジットを入れてはなかなか責任を持った数字は出せない。私個人的な数字は幾らでも自分で仮定を置いてやることはできますから、やってみて、自分自身でこういうような数字はなかなかどうだということは参考にはできますけれども、厚生労働省として、政府としてクレジットを入れて、これはほぼ確かだろう、大体こうだろうという数字があれば、それは出せるわけでありますが、今からいろいろな変数があってわからないわけでありますし、政策によっても変わってきます。

 先ほど言いましたが、予防だとか健康管理だとか、こういう施策、データ変数も使ってやっていこうとしておりますが、これがうまく回れば医療費はかなり伸びを圧縮できるということもあるわけであります。それがうまくいくかどうかも含めて、これからそれをいろいろと考えていくわけでありますので、今の時点でというのはなかなか難しい。その中において、ある程度見越こせるのが二〇二五年ということでございますから、まずはそこを中心に政策を進めさせていただきます。

 いずれにいたしましても、年金の場合はそういう仕組みをつくっておって五年ごとに見直すという制度でございますので、それはそれとして議論をしておるわけでありますけれども、なかなか社会保障全般という話、しかも、それは経済もかなりそこに影響してくるということになってまいりますと、誤解を招くようなそういう試算はなるべく出さない方がいいのではないか、ミスリードになるのは我々としてはよろしくないというふうな思いがございますので、御勘弁をいただければありがたいと申し上げておるわけであります。

長妻委員 いや、ほかの国は、ピーク時を考えて、ピーク時を幅を持たせて試算して、それで今の社会保障をどうするかと。日本は苦手なんですね。そういう超長期を考えて、過去をさかのぼって日本は今どうするかということで、ぜひそういう問題意識も持っていただきたい。これは、与党の議員の皆さんもぜひいろいろ御検討いただければと思います。

 今回のパート労働法でありますけれども、これは今回、差別的取り扱いが禁止される要件、今まで三つ要件があったのが二つになるということで幅が広がるわけでございますが、この要件に当てはまる短時間労働者は差別しちゃいけないということですよね。差別しちゃいけないんですが、社会保険も差別しちゃいけないということでよろしいんですか。

田村国務大臣 パートタイムで働く方々は、時間的な部分がございます。ここで言っておるのは、要は、待遇という意味では賃金でありますとかいろいろな部分があると思うんですけれども、そういうものに関してという話でありますが、そもそも、制度上、社会保険に適用する基準以下の労働条件のもとにおいて、労働契約のもとにおいて働かれている方々は、社会保険に入れないわけでありますから、そこは当然、そちらの法律にのっとって適用の対象外という形になるんだというふうに認識しております。

長妻委員 やはりこれは縦割りの発想なんじゃないかと思うんですね。確かに、この法律は、部局は年金局とは違いますけれども、差別的取り扱いを禁止する、これは当然、使用者、雇用主に対する一つの義務を課しているわけでありましょうけれども、そうであれば、こういう対象の短時間労働者については、年金の方の法律も変えて、やはりそれは厚生年金や健保に適用するというようなことで平仄を合わせていく、こういう発想もあっていいのではないかというふうに思うわけであります。

 その意味で、前回も質問させていただきましたが、我々が違法未加入年金、違法未加入というふうに申し上げている、会社で働いているけれども、ルール上、厚生年金や健保に入れなきゃいけないのに入っていない人が大量にいらっしゃる、この問題についてお伺いします。

 きょう国交省も来られておられるので、例えば建設労働者の中で、厚生年金とか企業健保に入っていない方はどのくらいいらっしゃるんですか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、公共事業労務費調査におきます厚生年金保険の加入状況につきましては、委員御指摘のとおり、未加入率四〇%ということになっているわけでございます。建設就業者数全体、五百万ございます。ただ、この調査は、この五百万のうち、事務従事者ですとか技術者等を除きました三百三十五万人を対象にいたしてございます。この三百三十五万人の技能労働者のうち約十六万人に対して行ったサンプル調査の結果ということでございます。

 したがいまして、この四割の未加入といったようなことをもちまして、建設就業者数全体の厚生年金の未加入状況の推計を行うことはなかなか難しいわけでございますけれども、例えば、この三百三十五万人、これに四〇%を乗じますと、百三十万人というような数字が出てくるわけでございます。

 なお、これらの厚生年金保険に入っていない者の中には、常時使用される者が五人未満の個人事業主なども含まれているわけでございます。したがいまして、厚生年金保険の加入義務がない方々も、この数字のうちには相当数入っているというふうに考えているところでございます。

長妻委員 百三十万人というお話がありましたけれども、前提条件がありましたが、この百三十万人の中で、会社で勤めている人というのはどのぐらい、推計でいらっしゃるのでございますか。

吉田政府参考人 済みません、手元にそういう数字は現在持ち合わせてございません。

長妻委員 同じ国交省の調査では、一次下請の場合は四三%も厚生年金保険に加入されていない、こういうような調査もあるわけでありまして、建設業だけとっても、全てが違法とは言えないわけでありますけれども、大変多くの方が日本の国の中で、当然、一人親方とか自営の方はいらっしゃるわけで、それは除外しなければいけませんけれども、それにしても非常に多い数がいらっしゃる。

 厚労省にちょっと調べていただきまして、前回も質問させていただいた、国保の差し押さえが非常に伸びて、多くいらっしゃる。五年で倍になって、十年前の四倍になって、今、平成二十四年度が最新の調査ですが、年間二十四万件も国保の差し押さえをされているということなんです。

 一つの市について調査をしていただいたんですが、ちょっとこの報告をいただければと思うんですが。厚労省に。

田村国務大臣 A市というものですかね。

 平成二十五年十一月から平成二十六年一月までの滞納処分の件数が六件。このうち、世帯主が被用者である件数が二件ということであります。

長妻委員 調査を要請しても、こういう非常に少ない調査しかなかなかやっていただけなかったんですが、これは、初めてというか、ある市を調査していただいて、国保の差し押さえが六件あった、二十五年の十一月から平成二十六年一月まで。そのうち、世帯主が被用者である件数が二件あった。

 仮にこの被用者が、本来は企業健保、厚生年金に入るべき人が入れなくて、事業主負担もないので国保の方がおおむね保険料は高くなると思いますが、それで差し押さえをされておられたら、これは非常に問題であります。

 国保全体でいうと、世帯主の三二%が被用者なんですね。会社、どこかで雇われて働いているのに国保に入られている。国保全体の世帯主の三二%もが被用者であるということで、ぜひこれは、田村大臣、本来企業健保に入れる方がやむを得ず国保に追いやられて、それで差し押さえを受けてしまうという方、本当に踏んだり蹴ったりの方がどれだけ日本全国にいらっしゃるか調査をしていただいて、是正をしていただきたいと思うんですが、この調査はしていただけますか。

田村国務大臣 国保でありますから自治体でありまして、自治体の対応の中でそのようなことはやられておられないわけでありますから、実態がわからないわけであります。

 でございますので、これから、そのようなことに関して、一定の注意喚起という意味では、自治体に、このようなことがございますよということは我々はやれるわけでありますけれども、過去、今までにどうだというのは、なかなか自治体自体も実態がつかめていないわけでございます。

 そのような意味で、我々といたしましては、これから、財務省の方から稼働法人の情報をいただく準備にもう入っておりますので、これはシステムをしっかりとつくらなきゃなりませんから、稼働までにはまだ若干時間がかかりますけれども、そういう状況になればかなりのものがつかめてくるわけでございますので、その中において適正に対応して、今言われたようなことが起こらないように努力をしてまいりたいと考えております。

長妻委員 六件というのは、サンプル調査の件数としても全然少ないわけでありますし、配付資料の四ページ目にもございますように、二十四万件も毎年差し押さえをされているわけですね、国保。

 自治体が自治体がとおっしゃいましたけれども、適用するのは日本年金機構で、厚労省の直属の団体がやるわけですから、自治体から情報をもらって、差し押さえをした方の中に、本来企業の健保に入るべき方がそうでない形に追いやられて差し押さえされているという方がどれだけいるのか、全然さっぱりわからない、しかも、もしそういう方がいらっしゃる場合は、過去二年さかのぼって企業から事業主負担をいただいて、保険料を企業にも払わせるという措置ができるんですが、その過去二年さかのぼってそういう措置をした件数もさっぱりわからないということで、わからない尽くしなわけでありますので、ぜひこれは調査をしていただきたいと思うんですが、再度御答弁いただきたいと思うんです。

田村国務大臣 調査のしようがないわけでありまして、これからの対応としては、そのような形で、そもそもが国保ではないという方々に対しては、そうではないという形の中で、そこは周知していきながら、ちゃんと適用の方を進めていくというような形にしてまいりたいというふうに思っておりますので、今言われたような問題がこれから先継続しないように対応してまいりたい、このように努力をしてまいりたいと思います。

長妻委員 いやいや、調査のしようはありますよ。地方自治体が二十四万件差し押さえをされているので、そのデータを日本年金機構にいただいて、日本年金機構が調査をしていく。その中で、何人が会社で本当は勤めていて、適用されるべき方がどれだけいたと。本当にお気の毒だと思うんですね、そういう方がいらっしゃるとすれば。

 田村大臣御自身も、これはまた概要の数字だ数字だとおっしゃいますが、四百万人いらっしゃると。違法で未加入の年金や健保になっておられる方が、推計の推計だということなんですが、四百万人もいらっしゃるというふうに答弁をされておられて、しかし、その答弁を、非常に曖昧な形で、実は、三桁、数百万人なのか数十万人なのか、それもわかりません、こういうふうに答弁が後退しているわけですよね。どれだけいるのか、さっぱりわからないという形になっている。

 であれば、国民年金や国保に、会社で働いているのにそこに追いやられている、しかも違法状態だという方の調査を、サンプル調査、どれだけの人数いらっしゃるのかをぜひしていただきたいということを再三再四申し上げているわけでありますが、いかがでございますか。

田村国務大臣 四百万人の話は以前申し上げましたが、厚生労働省が胸を張ってという話ではなくて、一定の試算を置かれた数字をお出しいただいたので、それに対比する形の中においてというので出させていただきました。

 先ほど来、いろいろなものを推計を出せという話もありますが、出すとやはりこうやって使われちゃいますものですから、ですから、我々はなかなか確証を持った数字は出せないということで、社会保障費の将来推計というのはなかなか難しいということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 その上で、サンプル調査をやれという話、委員は何かにつけてサンプル調査、サンプル調査と言われるわけでありますけれども、実態、財務省から稼働法人情報をいただけることは決まっているわけでありまして、これに対して、あとは、それをどう接続していくかという準備をこれからしていかなきゃならぬわけであります。そんなに遠い話ではないと思います。

 サンプル調査するのにも一定の期間かかって、それからそれを分析した上で、しかも、それは全体として数字がこれぐらいありますよということしか、それも正しいかどうかわからないわけであります。そういう数字であるわけでありますが、稼働法人情報をもらえれば、これはぶつければ、当然、どこがということがわかってくるわけでありまして、どこががわかれば、そこに行って、おたくはどうなんですかという確認ができる。加入勧奨もできれば指導もできるわけでありまして、場合によっては、それこそ職権適用もできるわけでありますから。

 ですから、まずはそれに早く取りかからせていただきたいということを、我々、以前から申し上げさせていただいておるわけであります。

長妻委員 いや、そういうやり方をやっていては、十年たっても二十年たっても、本当に微々たる歩みですよ。そんなに変わらないと思いますよ。

 これは現状を見ると、未適用の事業所を調査するということで、適用調査対象事業所、怪しい事業所を三十八万七千八百四十事業所ピックアップした、ちょっと年度のずれはありますけれども、適用したのは八千の事業所だと。たった二%なわけですよね、皆さんが怪しいとピックアップした事業所の中でも適用しているのは。

 ですから、世の中、やはり人、物、金をつけないと、今みたいな非常に小ぢんまりとそういう作業をしていても、十年、二十年、三十年たってもこの問題は解決せずに、結局、低年金、無年金の方がふえて、非常に問題が発生をする。お気の毒だし、生活保護に流れる方がふえるということで、サンプル調査をして、実態が数百万人とか、そういう形がほぼ正確な形で表に出れば、それは予算もつくし、人も手当てできるし、世間の皆さんもそれで意識が変わるし、物事が進むわけなんですよ。

 ですから、今の巡航速度でやって、過去十年、二十年、全然進まなかったわけでありますので、ここでかじをやはり切っていただくということが必要だということで申し上げているので、別にこれは対決して何か言っている話でもないので、そのぐらいは、大臣、やるということで、与党の皆さんも異論はないんじゃないでしょうか。その実態を明らかにして、数百万人いるとすれば、これは大変なことでありますから、予算も何倍か何十倍かふやして、人、物、金で一気に片づけるということが必要になってくるんじゃないのかというふうに思うわけであります。

 そして、大臣、例えば消えた年金問題というのがありましたが、それは皆さんから言ってこられるんですね。自分の記録が消えているということで、年金事務所にもいろいろ問い合わせがあるんですが、非正規労働センターというのがあるんですよ、非正規雇用の方の相談を受ける窓口が。そこでも、ことしの三月二十五日までの相談というのがいっぱい来ているわけですね。

 例えば、三年半勤務した中で、社会保険は加入資格があるのにもかかわらず入れてもらっていない。もう一件の方は、パートとして八時から十七時まで週五日勤務しているが、社会保険、雇用保険に加入させてくれない、以前加入を要求したパートが退職させられており、怖くて言えないと。

 つまり、この話というのは、余りわあっと、自分は入っていないということが声高に叫ばれない事情があるんですね。それを言うと会社から首になったり冷遇されたりするので、皆さん我慢して、言いたくても言えない。本当は年金事務所に言っていただきたいんです、年金事務所は個人情報を守るわけですからね。ただ、それでも、調査が入ると、誰が言ったんだという話になって言えない。

 非常に表に出にくい事情がある話でありますので、これは自民党、公明党の皆さんもサンプル調査をして、実態が何百万人、ほぼこれは正しい数字ですよということを表に出して、それで、みんなで解決策を考えていく、今以上に進める。こういう手順が進むわけなので、そういう調査を前向きに検討する、そのぐらいの答弁をぜひいただきたいと思います。

田村国務大臣 今まで進まなかったというのは、なかなか、どこが適用されていない法人なのかということがわからなかったというのがあるわけでありますが、稼働法人の情報が入ってくれば、ぶつければそこは明確にわかるわけであります。

 その上で、年金の場合は、年金記録という預かったものを、当時の社会保険庁、国の機関でありますけれども、これがずさんな管理をしたわけでありますから、それぞれの年金受給者の方々が、それに対して、やはりみずからの期待権みたいなものが失われるというような大変な問題が起こったわけでありまして、そこは大英断の中において、これはもう全ての部分、国の方でしっかりと、税金を使わせていただいてでも記録回復しようということをやってきたわけであります。

 今般は、入らない事業主が基本的には悪いわけでありまして、それをサンプル調査して見つかったとしても、見つかったものは、個々が見つかるわけじゃありませんから、どれぐらいだとわかるだけで、いずれにしても、全部ローラーするしかないわけであります。となると、これはすごい費用がかかってくるわけであります。

 それでも全部やるというのは確かに理想かもわかりませんが、そこは一定程度、税金でございますので、効率的に使っていかなければならぬわけでございますから、せっかくそういう情報があるので、これを利用させていただいて、より効率的にそれぞれ適用をしていくということをさせていただきたいということを申し上げております。

 我々が今やろうとしておることでかなり進むというふうに認識いたしておりますので、どうかそこはぜひとも御協力をいただければありがたいというふうに思います。

長妻委員 何でサンプル調査を拒むんですかね。私は理由がわからないんですよ。

 今のお話は日常業務の中で巡航速度でやるという話で、それはそれで当たり前なんですが、優先順位をつけて、本当に問題であれば、何百万人ということが表に出れば、それは世間の皆さんも、あるいは役所の皆さんも国会も、予算、人、物、金をちゃんとつけてやろうというふうになるわけでありまして、今、消えた年金問題よりも何か大したことないような趣旨の答弁だと私は聞こえましたが、これは大したことなんですよ。

 差し押さえされている方がいらっしゃるとすれば、本当は、会社の年金やあるいは健保に入っていれば、事業主負担、半額が出るわけですから、それで差し押さえがなかった方もいらっしゃるかもしれない。そういう、財産の問題も含めて、非常にこれは大きな問題だ。そして、実態が明らかになれば物事が進むということがあるんですよ、日本の社会では。

 ですから、サンプル調査ぐらい、それをやらない、やらない。それで何か、大きな公共事業、あるいは、さっき防災とかいろいろ話がありましたけれども、無駄な事業がいろいろある中で、サンプル調査するぐらい、これは国民の皆さん、本当に心配されている方が多いと思うんです。

 ぜひ、これは私も諦めずにいろいろ役所の方とも議論したいと思うんですけれども、与党の皆さんからも、サンプル調査をして、こういう実態を前に進めていくということをしていただきたいと思うわけでありますし、あるいは、この委員会、ネットでも中継されていると思うんですけれども、自分が企業に勤めていて、健康保険とか厚生年金に入っていない、時間数でおおむね正社員の四分の三以上勤務している、そういう方は年金事務所にやはり言っていただく、年金事務所は個人情報を守るとおっしゃっておられますので。

 しかし、そういう巡航速度、これまでの日常的業務のやり方で進める、これは重要ですよ、当たり前ですが、もっと大幅に前に進めるというやり方をしないと、この問題は、十年たっても二十年たっても、ちょぼちょぼと解決していくということで、前には進まないわけです。

 さっき、稼働法人をもらえば何か一気に進むような話がありましたけれども、もう法務省から既に法人の登記の情報をもらっているわけですよね、二百四十万事業所を五年かけてやるということで。これもちょっとずつやるわけでありますから、そういうやり方では絶対だめだということを申し上げて、大臣にぜひ再考をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。よろしくお願いいたします。

後藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 きょうはパート労働法等の審議でございますけれども、理事会の先生方の御理解をいただきまして、きょうも、この間やってまいりました厚生労働省の短期集中特別訓練事業の入札の問題について取り上げさせていただきたいと思います。

 まず、大臣にお伺いしたいと思います。

 私、三月二十四日、再び入札の公示が行われたということをホームページを見て知りまして、ちょっと驚いたのであります。先般、調査結果の二回目の報告を、三月十九日に分厚い資料を厚生労働省からいただきました。その中を見ると、いろいろとこの間JEEDさんから出していただいた議事録等も含めて、関係者に確認中であるというような記述がむしろふえております。つまり調査中だということだと思いますけれども、そういった調査中にもかかわらず、そのただ中にある中で、今回再び入札公示が行われたわけであります。

 私は、これはまだ事実はわからないという調査結果でありますが、黒でもないけれども白でもないというのが現時点だと思います。るる指摘をさせていただきましたように、場合によっては重大な法令違反がある可能性があるわけですね。例えば刑法の違反であるとか、いわゆる官製談合防止法違反、こういった余地も残されているわけでありまして、そういった中で、今回、再入札の公示を決められた。

 これは大臣の御判断だったと思いますけれども、どういう理由で今回再び入札公示をすることをお決めになったのか、その背景について教えていただけますか。

田村国務大臣 何をもって黒か白かとおっしゃっているのかよくわかりませんが、そもそも黒でございまして、これは、ちゃんとした手続を踏まずに、このような形で公示を行った案件でございます。しかも、初めに出した公示内容を取り下げて、その後すぐに変えたわけですね。非常に不透明な中において企画競争入札をやったわけでありますので、これは我々としては、白ではない、黒、こういうやり方はよろしくないということであります。

 官製談合かどうかというのはそれはまた別の話でありますけれども、その上で、以前から申し上げておりますとおり、この事業は非常に重要な事業である。担当者が不適切な対応をやったということは、これは本当に申しわけない話でありまして、この方々にそのまま同じ業務をやっていただくわけにはいきませんので、担当者はかわっていただいて、その上で、早くやらなきゃいけないこの事業に関して、公平性を考えれば、初めの公示内容で入札をやるというのがやはり透明性という意味からすれば当たり前の話だ、私はそのように認識いたしておりますので、まずはそれをさせていただくということで公示をさせていただいた。

 つまり、まずは事業の必要性、それから早急性、これもありますので、なるべく早い対応ということを以前からも申し上げておったわけでございますが、以前から申し上げておったとおり、以前の、一番初めの公示内容で、なるべく早くこれをさせていただいたということであります。

玉木委員 資料二をちょっとごらんいただきたいと思うんですが、今、大臣からもこの間の一連のお話が少し出ましたけれども、私もこれは整理をいたしました。

 もともと、三月六日に某新聞に記事が出て、同日の参議院予算委員会で初めてこの件について田村大臣が聞かれ、御答弁をされておられます。このときからある種終始一貫しているのは、もう一度、前の要件でやり直すとおっしゃって、そのまま今回も来ています。

 私が初めてこの件を当委員会で質問させていただいたときも、大臣は、事務的なミスだと。例のあのホームページの書きかえの問題がありました。ですから、最初にそれを見た人の利益を守らなければいけないので初めの条件で行う、これもずっと同じ答弁を繰り返しておられますし、一貫していると思います。

 ただ、私は、確かに、事務ミスであれば前の要件でもう一回やり直すということでいいと思うんですけれども、十二日そして十四日と、この後の当委員会でのやりとりで、単なる事務ミスから事態の前提が大きく変わったと思っているんですね。

 というのは、まずこの十二日ですけれども、きょうもお越しをいただいておりますけれども、小林理事長からもお答えをいただいたんですが、公示の前日の打ち合わせの議事録が明らかになりまして、仕様書の案を公示前日に見せているということを、これは調査が今進んでおりますけれども、理事長はこの点については国会でお認めになっています。そしてまた、大臣の口から、同日夜に飲食、二次会まで行っていたということが明らかになったわけであります。

 加えて、前回の十四日の当委員会で明らかになったのは、さらにさかのぼること予算編成時の十二月九日に、これも打ち合わせの議事録で明らかになったわけでありますが、厚労省の職員が機構に対して、業務の一部を受託していただきたいという発言もあったということであります。

 前半の、ホームページの書きかえがどうだ、削除がいつだ、確かにこれはある種の事務ミスかもしれません。これも調査を待たなければわかりませんが、ただ、後段の話ですね。入札公示の前日に、仕様書の中身を厚生労働省から、後に受託することになるJEEDさんに出かけていって説明する、また、予算編成過程の段階で、閣議決定の前に、入札がある、そしてまた、事業の一部については受託してくれというようなやりとりが明らかになった以上、これは単なる事務ミスを超えて、やはり競争の公正性を害するような行為が行われた蓋然性が極めて高まっていると私は言えると思うんです。

 当初は、確かに、事務ミスであればもう一回やり直すということでよかったかもしれません。補正予算ですから、もちろん急ぐという理由もわかります。ただ、事が、こういった受注者と発注者の間の特別な関係あるいは不適切な関係が明らかになった以上、ここは担当大臣としては、入札を急ぐのではなく、まず最初にやるべきなのは真相究明。徹底した事実の解明を行ってから、信頼回復をしてから入札を行うのが私は順番ではないかなと思うんですけれども、この点についてもう一度、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 真相究明は今もやらせていただいております。なるべく早く、ただ、そうはいっても中途半端なものは出せませんから、しっかりとした調査をさせていただきたいと思います。

 その上で、高障求機構は、これに関してもう入札はしないとおっしゃっておられるわけであります。ですから、次の公示、入札に関しましても、そうおっしゃられた一方の当事者、これは真相をちゃんと究明して、どういう状況か調べなきゃなりませんから、今言われたところに関してどうなのかというのはまだよくわからないわけでありますが、ただ、一方の当事者は入札に参加されないわけでありまして、そういう中において、他の方々に今回は応札をいただきたいということで公示を始めたわけでありますから、その点は担保されておるんだというふうに思います。

 あわせて、やはり初めに出した内容を変えてしまうということになると、見ておられる方々がおられるわけでありまして、そこの公平性というものは、こちらの事務ミスであったのかどうかということも含めて今真相究明中でありますが、そこはやはり一定の厚生労働省としての公平性というものは担保しなければならないというふうに私は思っておりますので、初めから一貫してそのようなことを主張させていただき、今般、実行をさせていただいたということであります。

玉木委員 大臣、私は、順番として、これだけいろいろなことが明らかになってきたわけでありますから、この事実をしっかりと調査して、確定させた上で次に進んでいくということがやはり順番として正しいと思うんです。

 なぜ心配になったかというと、三月十九日にいただいた調査結果だと、先ほど申し上げたように、むしろ、少し真実から遠くなっていっているような気がするんです。つまり、調査中なので答えられない。きょうもありました。午前中の先生方からの質問に対しても、前は比較的答えていただいていたのに、ちょっとこれは調査中なので答えられませんと。弁護士さんを入れるということをおっしゃっていますけれども、じゃ、弁護士を入れたらより真実に迫れるのかというと、弁護士さんに別に捜査権限も調査権限もあるわけではありませんから、そこは私は変わらないなと思いますし、時間だけがたっていくのではないか、そういう心配をしております。

 その意味では、もう内部調査の段階は超えて、私は、専門の捜査、調査機関である公正取引委員会であるとか、場合によっては検察、警察、こういったところにしっかりとした捜査を委ねていくような段階なのではないのかというふうに思っております。

 ですから、繰り返しになりますが、調査がしっかりと出てこないのに国民の税金を使っていくことがどんどんどんどん進んでいくことは、私は、理解がやはり得られないと思います。しかも、もう来週から消費税が上がります。そういう中で、税金の使われ方、流れ方について少しでも疑念がありますと、やはり国民から増税についての理解が得られなくなるし、社会保障がこれからもっともっとふえていく、場合によってはさらなる増税も必要になってくると私は思っています。そういう中にこういうことが繰り返されると、やはり増税しても変なところに使われるんだなということを思わせないためにも、今非常に大事な時期だと思っておりますので、ぜひ、まずは徹底調査ということをお願いしたいと思います。

 ちょっとまたこの話は戻ってきたいと思いますが、きょうは青木理事長にもお越しをいただいておりますので、幾つか御質問をさせていただきたいと思います。

 資料の一をごらんいただきたいんですが、これは何度も出していますけれども、今回の事案に絡む全てのプレーヤーを書いております。厚生労働省、そして、そもそも基金造成を中央職業能力開発協会に積んで、そこから今回、委託事業が二十億円出るというような、こういう関係であります。

 今までは、この一番上の厚生労働省と、一つ挟んだJEEDさんが何かやっているという話がずっと来ましたけれども、原点に返ってよく見ると、そもそも厚生労働省が一番最初のこの予算を出しているのは、中央職業能力開発協会、以下協会と呼びますけれども、JAVADAさんなんですね。このJAVADAから委託事業を入札して行っているというのが根本の絵姿であります。

 そこで、青木理事長にお伺いしたいと思うんですけれども、そもそも、この短期集中特別訓練事業、この間ずっと話題になっていますけれども、この事業の実施主体は、協会なんですか、厚生労働省なんですか、どちらですか。

青木参考人 お答えする前に、まず、こうやって私の発言の機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。

 お尋ねの件ですけれども、私どもは、国の予算で基金造成を決められて、私どもに交付を受けて基金が造成されて、その基金を使って仕事をしろということでありますので、その仕事自身は私どもの事業だというふうに認識しております。

玉木委員 これまで余り明確に意識されなかったんですけれども、この間ずっと話題にしてきました本件事業は、これは実は協会の事業なんです。

 そこで、ちょっとお伺いしたいんです。

 この間、今回の三月二十四日もそうなんですが、協会の事業を一部、この一番下に書いていますけれども、訓練実施機関を認定するような業務を委託するということで入札にかけているわけでありますけれども、この入札の諸業務を、ずっと答弁いただいていますが、厚生労働省がやっているんですよね。

 今、青木理事長にお答えいただきましたけれども、これはあくまで協会の事業です。協会が、厚生労働省から予算をつけてもらって基金を造成して、その中で一部の事業を委託して、誰かさんにやってもらいましょうということで今回の一連の入札があるわけであります。

 しかし、その入札手続に、厚生労働省が入札も公示するし、入札の要件も仕様書も決めるし、問題になっているJEEDに説明に事前に行っているとなっているんですが、なぜ、協会の事業なのに入札を厚生労働省が何か請け負ったような形でやるんでしょうか。その根拠はどこにあるんでしょうか。

青木参考人 これは、基金事業、二十一年度に始まりましたけれども、その際に、ほぼ似たようなスキームで人材育成の支援事業というのを始めました。この際は当協会がみんな、どんとお金を造成して事業をやるということでありました。

 しかし、今もそうですが、今度の事業でもそうですが、私どもは職員が百人足らずで、地方組織を持っておりません。そういうことで、全国に何万という人たちが恐らく訓練を受けられることになるでしょうし、そういった訓練施設も全国に点在するでしょう。そういうところで、そういったものを適正に監督したりすることはなかなか難しいということで、当初から、そういうことができる団体に委託をするというスキームがあったわけです。それを踏襲したということなのではないかというふうに思います。

 これはもともと、お国がいろいろな基準を定めるのも、当協会として実力に見合った協力といいますか仕事をすることによって、適正に基金事業として仕事をしていきたい、こういうことでありますし、また、そもそも基金の造成をするというのは、お国の政策として、緊急経済対策、緊急雇用対策としてやりましたので、狙いでありますとかそういったものはお国の方でお考えになったわけでありますので、そういった基準でありますとかそういったものも、要件とか基準というものもお国で決めていただくのが適切だったということだというふうに私の方は理解しております。

玉木委員 今、全くお答えをいただいていません。

 私の質問はシンプルです。事業の実施主体は協会なのに、そして、その実施主体たる協会が一部の事業をやってほしいということで入札にかけるわけですけれども、なぜその業務を厚生労働省がやるのか、このことについてはわからないんですね。

 それともう一つ、今理事長がお答えになった中で気になったのは、わずか百人足らずの人数です、全国組織を持っていない。では、なぜそういう組織に百五十億ものお金を、しかも緊急に行わなければいけない補正予算を厚生労働省はつけるんですか。

 まさに、ちょっと一のところにちっちゃく書いたんですが、おっしゃった基金訓練時代に、暴力団に一部のお金が流れたり。これは、おっしゃったとおり、しっかりとした審査組織が持てなかった、できなかったので、そういったような不正受給も実際あったということで、平成二十一年から二十四年度の間で一千二百七十六万円、基金訓練時代には不正があったということで少し書いておりますけれども、こういうことがあるのに、また今回、百五十億補正でつけている。

 それをまた一部委託をしようということなんですが、その際に、なぜか、この三月二十四日の再公示のものも見ると、厚生労働省のマークの入ったクレジットで、厚生労働省職業能力開発局長、杉浦局長の名前で出しているんですね。私は、この仕組みがどうもよくわからない。これは一体どういう仕組みなんでしょうか。

 これに関してちょっと理事長に質問したいんですけれども、資料三を見ていただけますか。これは、今調査中ということになっておりますけれども、前回の厚生労働委員会で私も指摘をしたものなんですけれども、十二月九日、補正予算の閣議決定の数日前に、厚生労働省がまたJEEDに行って打ち合わせをしたときのやりとりの一部であります。

 一番最後に出てきましたけれども、JEED側から、本事業の実施については、能開協会との調整はできているのか、この問いに対して厚生労働省は、了解はいただいているというふうに答えているんです。

 厚生労働省から出していただいた資料にも出てきますけれども、この十二月九日のやりとりというのは、前回を思い出していただくとわかるんですが、一部の事業を受けてくださいとか、実際に、できレースのような入札だということがやりとりの中でわかるような中身ですよ。

 こういうことも含めて、事業実施主体の協会も、十二月九日の時点で、JEEDにこの事業は落とすんだろう、そういったことを、この議事録のとおり、当時、了解、認識をしていたのか。この点について、理事長、お答えいただけますか。

青木参考人 お尋ねになりました十二月九日時点におきましては、認定審査業務の受託先については、当協会としては全く承知しておりません。

 私も、今お触れになった、能開協会の了解という文書をきょう初めて拝見させていただいたんですが、これは、本事業の実施について調整はできているのかということでありまして、これはやはり、特定認定審査業務、特定の業務ではなくて、この事業全体を言っているんじゃないかな、そう考えるのが素直ではないかなというふうに思っています。

 先ほどお示しになった一の資料でも、まさに委員は業務と事業を書き分けていらっしゃいますが、そういうことではないかな、そういうふうに読むのが素直ではないかなというふうに思います。

玉木委員 読み方は、これは調査の対象ですから、ここでそれを確定的に、それがどうだと言う気は私もないんですけれども、ただ、本事業の実施について、能開協会との調整はできているのか、会長の了解はいただいているという厚生労働省側の答えであります。

 この前をごらんいただくと、読んでいただくと、事細かくやりとりが出てくるわけです。そして、その最後に、能開協会としても了解しているのかと言ったら、しているというふうに厚生労働省は答えているわけですね。

 私は、これが、認識があったかなかったか決めつけることはいたしません。ただ、大臣にここで聞きたいのは、仮に、本来のとあえて言いましょう、本来の事業実施主体である協会が、この議事録にあるように、もう予算編成の時点で、将来入札をやったらJEEDに落ちるんだ、あるいは、そのための要件を、むしろ落とせるような要件でやりましょうというようなことも含めて、仮に協会が認識していたとすれば、これは発注者であります。競争の公正性を確保することが、刑法なり、あるいは官製談合防止法に求められる保護法益であります。そのことを知りながら、この後の事業をやっていたとしたら、これは協会も、ある意味、言葉は悪いけれども共犯なわけであります、その可能性があるということです。決めつけはしません。

 そのときに、大臣としてぜひお考えいただきたいのは、今回、三月二十四日で入札の再公示をされましたけれども、資料の四を見てください。これは、本件事業も含む緊急人材育成・就職支援基金事業実施要領というものであります。

 この中に、幾つか、全部で六つぐらいの事業が協会の事業として定義をされておりまして、そのうちの一つに、第三のところに書いていますが、短期集中特別訓練事業、今回の補正の事業が出てくるわけであります。

 そして、第七のところの(2)をごらんいただきたいんですが、厚生労働大臣は、略しますけれども、基金事業の実施について終了または方法の変更を命ずることができる。これは、次に掲げる場合ということになっておりますけれども、そのアとして、協会が、基金事業に関して不正、怠慢その他不適切な行為をした場合については、厚生労働大臣は、協会に対して事業の終了または方法の変更を命ずるとなっています。

 加えて、(3)でありますけれども、この終了、変更を命じた場合には、厚生労働大臣は、期限を付して、基金から支出した金額を国庫に返還することを命ずることができると書いています。

 これはどういうことかというと、もう一回資料一を眺めていただきたいんですが、決めつけはいたしません。事業実施主体、実は、先ほどの実施要領の中にも、第二に、基金事業の事業主体は協会とするというふうに明確に書かれていますけれども、この事業の主体、そして今回の入札の発注主体である協会が、仮に、今回問題になっているような、できレース的な入札についての認識が当初からあり、競争の公正性を害するようなことに何らかの形で加担している可能性があるとすれば、まず、そういったことがないことをしっかりと確かめた上で初めて事業の入札なり執行に踏み出していけるのではないかと私は思うんです。

 というのも、仮におかしなことが協会にあった場合には、この実施要領に規定するように、大臣は、事業の停止あるいは国庫返納を求めなければいけないんです。もちろん、できる規定ですけれども、当然それは所管大臣としてやっていかなければいけないことが、実施要領の中に書かれているわけです。

 大臣、いかがでしょうか。調査中というのは重々承知しておりますけれども、十二月九日の議事録の一番最後に出てくる、協会についても、了解をしている、一定の認識があるということが示唆されている中で、法令違反とまでは言えないかもしれませんが、ここは、怠慢その他不適切な行為が少なくともないことを確定した上でなければ事業実施はすべきではないと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 怠慢、不適切、これは書いてあるように怠慢、不適切であればという話でありますが、ちょっと私は今委員のお話の中でよく理解できなかった部分があるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、短期集中特別訓練は、職業能力開発局長が認定した団体に委託して実施するということが同要領に書いてあるわけでありまして、そういう意味で、適切な対応を我々としては次に向かって行うわけでございます。

 今般のことに関しては、まだ執行もいたしておりませんが、事前にこのような形でございましたので、それは適切に調査した上で処分をするわけでありますけれども、事業自体が悪いわけではございません。我々は、このJAVADAの方に出資契約をさせていただいて、基金をおつくりいただいて、その中に対してお金を入れてこの事業を行うわけでありますから、それ自体が問題があるわけではありませんので、早くこの事業を進めさせていただきたい、必要な事業であるということでございまして、次回に向かっての公示をさせていただいたということであります。

玉木委員 大臣、私は事業の必要性は否定したことはありませんし、加えて、誰か個人を処分したから全て人心一新して前に進めるようになるというものでもないと思うんです。

 私が今問題にしているのは、この事業実施要領であります。つまり、お金の使い方のルールについて定めた実施要領に関して、これは今大臣の話になっています、厚生労働大臣はとなって、繰り返しますけれども、次に掲げる場合については、事業の実施の終了または方法の変更を命ずることができる。次に掲げる場合とは、協会が、基金事業に関して不正、怠慢その他不適切な行為をした場合ということであります。

 真偽のほどについては調査中だということは重々わかっています。しかし、十二月九日の議事録の一番最後の時点で、協会も本件事業については了解いただいていると厚生労働省が発言する議事録は残っています。この点に関しては少なくとも、私はこれは決めつけていません、そういう疑義があるのであれば、少なくともそこについてはクリアしてからでないと、事業実施要領に基づいてこの事業を進めることができないと思うんですけれども、改めて、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 これは本事業の実施についてという話ですよね。(玉木委員「いや、それはまだわかりませんよね、調べないと」と呼ぶ)だから、何がJAVADA会長が問題のある行為をしているのかというのが、私はこれを見てわからない。いろいろわからないんだから、もしかしたら田村さん、あなたも絡んでいるんじゃないかとか、金子さん、あなたも絡んでいるんじゃないかと、それは幾らでも言えますよね。

 そうじゃなくて、この文章を見て、今回の件に関してどのようなかかわりをされているかというふうに明確に読み取れないわけですよ。だから、どこに問題があるのかがこれでは私はわからないということなので。今言ったスキームの中に入っている疑義があると言うのならば、それは言われている意味はわかりますよ。でも、疑義があるということもここでは書いてあるわけじゃないですよね、この言っている中では。だからこそ、私は、なぜそういうふうなお話になるのかわかりません。

 それと、個人を責めたくないという話があられましたが、当然、もしおっしゃられるような官製談合であれば、これは悪質性が問われるわけであって、形だけというよりか、そこに悪質性がなければ告発というものはなかなかできないというのはもうよく御承知の話だというふうに思います。それはやはり、そこまでおっしゃられるのならば、個人を責めたくないという話じゃないと思います。

 それも含めて今調査をしておるわけでありまして、そちらはそちらでちゃんと調査して真相を我々も究明しますけれども、一方でこちらは、ちょっとこの文章から、なぜJAVADAに問題があるのかというのが私は理解ができないものでありますから、そのように申し上げているんです。

玉木委員 大臣、私も決めつけていません。ただ、こういう記述が出てきた以上、疑義があるということです。疑義があるときに、気にせずそれで執行に突き進むのか、疑義があるときに、では一応これは明確にそうじゃないということを確認してから入札するか、それは大臣の御判断ですよ。今大臣は、疑義があるんだったらそれは進みましょうというのが大臣の判断。でも我々は、この間、一連のいろいろなやりとりをさせていただく中で、やはりそこはきちんと一度調査をして、その結果を確定してから事業を進めるのが私は正しいと信じるわけであります。

 それで、何度もこれは水かけ論になってしまいます。内部調査には限界があるので、もうそろそろ、公正取引委員会やあるいは検察、警察の捜査、調査に委ねるべき時期が来ていると私は思います。我が党としては、告発状、刑事告発の用意をしております。告発状をもうつくっておりますので、こういったことも含めて、もちろん、ちゃんと出してくれれば、速やかに事実を明らかにしてくれればこういうことはしたくありませんけれども、ただ、事実を明らかにしていく上では、そろそろプロの捜査機関、調査機関に委ねるべき時期に来ているのではないかと思っておりますので、刑事告発の可能性も含めて検討をしていきたいというふうに思っております。

 時間がないので、最後、きょうは、お忙しい中、葉梨政務官にお越しをいただいておりますけれども、私は、きょういろいろ初めてお聞きになったと思いますが、こういったやりとりの一つは、根本原因はやはり基金という仕組みにあるのではないのかなというふうに実は思っているんですね。

 先ほどの実施要領の中に実は出てくるんですけれども、資料の四の、第七の(1)のところを見てください。この実施要領の中に「基金事業は、平成二十六年度末をもって終了する。」というふうに書いてあるわけですね。さらっと書いています。

 単年度主義が我が国の会計原則の大原則であります。でも、この実施要領にさらっと、これは二十五年度補正予算です、軽々と年度をまたがって、二十六年度末まで執行できるということをこの実施要領の中にさらりと書いて、いわば、資料の五にありますけれども、財政法、あるいは場合によったら憲法が要求する、単年度でしっかりとまずは会計を管理していこうという原則をひらりと飛び越えているんですね、軽々しく。

 私は、この点について、ここにもありますけれども、予算の単年度主義との関係からいうと、基金というのは、極めてそれを形骸化させるというような仕組みになっているのではないかと思うんです。

 これは、憲法にまで、単年度できちんとやると。財政法、特に四十二条です、繰越明許を除けば基本的に翌年度において使用することはできないというのが法律の決めです。にもかかわらず、法律よりも当然下位にある実施要領の中で、来年度末まで使えますよと書いたら平気でできるというのは、私はこれは問題だと思うんですが、今回の実施要領にあるように、基金事業において簡単に年度を越えてできる、この法的根拠はどこにありますか。

葉梨大臣政務官 お答えいたします。

 まず、基金以外の一般的なことについて御説明を申し上げたいと思います。

 今年度の補正予算は、御案内のとおり、消費税の増税による下振れ対策、これに対応するということで、ほかの、基金以外の予算においても繰り越しを議決して認めていただいておりまして、ほとんどの予算は二十六年度の執行ということになります。

 下振れ対策の対策ですから、一般会計の予算、基金以外のものであっても、できるだけ四月―六月の期に使っていただきたいということで、ほかの予算も二十六年度の執行になるということをまず御理解いただいた上で、憲法、財政法との関係ですけれども、これは毎年度国会で議決をしていただかなければいけないわけですけれども、この規定にのっとりまして、まず基金を造成するということで、それで執行したということになっております。したがって、憲法、財政法上の問題はないわけです。

 ただ、基金自体について、今も御指摘がございましたが、これ自体は、本件については私もその調査結果をしっかり待ってじゃないとなかなか判断できないところはあるわけですけれども、この件だけではなくていろいろな問題が指摘されているということも私も重々承知をしておりまして、やはりその執行の問題を適切にやっていくことが必要だと思います。

 平成二十五年度から、行政事業レビューの一環として基金シートというのをつくりまして、行政改革推進本部の事務局とも連携をとりながら、その執行をしっかり適切に行うということも進めておるわけでございます。

 この執行については、もとより、各所管大臣の責任のもとできちんと行っていただきたいというふうに考えておりまして、今ほど申し上げましたように、行革事務局とも協力しながら、我々としても基金の適切な執行に努めていきたいと考えています。

玉木委員 時間が来たので終わりますけれども、基金に関しては、やはり私は問題が多いと思うんですね。例外的に認められた時代から比べて、もう随分基金を多用するようになっていますし、ガバナンスがどうしても落ちますので、補助金適正化法というのがありますけれども、適化法ですね、基金適正化法みたいなものをつくって、基金のきちんとした管理をしていく基本法的なものをぜひつくっていってはどうかというふうに思います。我々も議員立法で考えていきたいと思いますけれども、財務省におかれても検討をいただきたいなと思います。

 最後に、ぜひ田村大臣、徹底した調査をして、その結果が明らかになった上で本件事業を堂々と進めていくという、この順番だけはしっかり守っていただきたい。中途半端に、まだ調査中なのに、執行を急ぐ余り、どんどんこの事業を、国民の税金を使うということがないようにぜひお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦でございます。

 きょうは、二つの法案がありますが、私は、短時間労働者の雇用管理、いわゆるパートタイム労働者に関する法案について質問をさせていただきたいと思います。

 このパートタイムというのは、これはもう直観的にやはり女性が多いなということが、数字上のことを知ろうと知るまいと、女性の働き方だというイメージが世の中にも定着しているのではないかと考えております。

 そういう中で、今、安倍総理、本当に熱心に女性の活躍する社会ということを訴えておられます。これは、別に安倍総理に言われるまでもなく、これまでも今の日本社会において極めて重要なテーマであったことは皆さんの総意だと思いますし、そのための環境が、そうは言ってもなかなか整ってこないという歴史を数十年にわたりまして続けているのが今の日本でありまして、女性にとっての環境というのはまだまだよくなっていない。

 それから、私は、女性が活躍する社会というのは、もっともっと根本的な、本質的な労働市場の改革を行わない限り、これはいつになっても実現できないんじゃないかな、このように、決して悲観的というよりは、もっと大胆な改革が必要ではないか、こういう観点を持っております。

 実際の人材としては、例えば新卒の大学や高校を出た若い子たちを見ると、これはもう人事の採用担当者だって、最近は女性の方が優秀だとかいうことを、半分冗談ぽく言っていますが、ほとんど本気じゃないかと思う、そういう言い方でされています。

 にもかかわらず、実際には、きょうお手元に皆さんには資料をお配りしておりますが、一枚目にありますとおり、女性労働の質的変化ということで、これはちょっと書き足りないんですけれども、緑色の部分は管理職の方の数、右側の目盛りではかっていただけるんですけれども、この資料のような現状にあります。二〇〇一年から二〇一一年までの十年間において、女性の正規社員というのはそんなにふえてもいない、それから、非正規社員はふえている、そして、管理職に至ってはほとんど変わらないという状況でございます。

 実際の女性の能力として人事担当者が感じている感覚とやはり実際の現場というのは、その認識と実態の間にこのような差があるのではないかと思いますが、政府としての認識をまずお尋ねしたいと思います。

赤石大臣政務官 お答えいたします。

 私も、会社で人事の採用を毎年百人以上やって決めて、大体六割ぐらい女性の採用をしてきたんですけれども、やはり、女性がまずやめるのは、結婚による退職で大半の人がやめてしまう。それで、残ってキャリアアップするというのはかなり難しいということだろう、それが第一義的に一番大きな要因ではないかなというふうに思っております。

 そのまま、子育てが一段落した時点で、パート等の非正規雇用として再就職する女性は多くあります。このため、女性の雇用者数はふえているものの、正規の雇用者数は必ずしもふえていないということで、私の会社でも、一旦退職して、もう一回リカバーできるんですけれども、やはり働き方は、以前のような総合職でなくていい、現場の働き方でいいということで、なかなかキャリアアップにはつながっていないというのが現状だと思います。

 一方でまた、女性の継続就業が困難であることもありまして、民間企業の課長級以上に占める女性割合は現在七・五%となっておりまして、長期的には増加してきているものの、改善のペースは緩やかとなっております。

 女性の登用が進まない要因としては、もちろん、知識、経験、判断力の不足、こういったものとか、勤続年数が短いこと等が指摘されておりますけれども、女性の登用を初めとする女性の活躍を推進していくためには、まず、女性の継続就業に向け、働き方の見直しを含めた両立支援策を着実に推進するとともに、企業のポジティブアクションの取り組みをより一層推進し、女性の意欲と能力を育てていくことが必要であるというふうに思います。

 私も、自分の経験から思いますと、やはり、女性のキャリアアップをするために、就業時間等の工夫も考えるとか、そういうことに対して国が助成するとか、そういう何かやはり政府としてもある程度の施策を講じないと、企業任せで全てそれを登用しろというのはなかなか難しいのではないかなというふうな印象を持っております。

重徳委員 ありがとうございます。

 恐らく、女性を大別すると、本当に男性と同じように、男並みに、場合によっては夜中まで働くとか朝方まで働くとか、体力の限りばりばりとやる、こういう方と、今おっしゃったように、どこかで、自分はもう限界というか、パートで働けばいい、男性と女性はやはり違うんだというようなところで割り切って働く。これは、いずれもどこかに問題はあるなというふうに思っております。

 特に、今、赤石政務官、就業時間のこと、あるいは両立支援策といったことをおっしゃいましたけれども、やはり、これまでの日本の長時間労働という雇用慣行といいましょうか、そういったものが非常に大きいと思っております。

 それで、日本人男子は何でそんなに長く働くのか、ちょっと考えてみましたけれども、やはり、会社のためであれば、どんな仕事だろうと、どれだけの長時間だろうと、あるいは、場合によってはどこに転勤させられようと、とにかく会社のために一生懸命やるんだ、それが正社員というものなんだ、自分が昇進するためにもそういう働き方をするしかないんだ、こういうマインドがあって、効率よくきょうもぱっぱと仕事を終えて、実績をちゃんと出してさっさと帰ろう、こういうマインドになかなか至っていない、こういうことだと思っております。

 そうなると、女性は、いいか悪いかは別として、やはり家事があったり、夕方になると保育所に子供を迎えに行くのも女性の方がいまだに多いと思いますし、そういう意味で、ちゃっちゃかちゃっちゃか昼間に仕事をして、ある意味効率よく仕事もできて、でも、そのかわり五時になるとさっと帰ります、こういう女性が目の前にいたとしたら、やはり夜中まで一緒に働く男仲間の方が何か戦友のような感じがして、男の社会の仲間意識みたいなものもそういう中で自然に醸成されていってしまうのではないか。

 まして、育児休業で何年間も職場を離れ、その間は男たちはみんな戦ってきたんだ。女も本当は戦いなんですけれども、育児も戦いの部分はあると思う、本当に大変なことでありますが、そういうことは会社の中ではなかなか理解されない。

 こういう、なかなか、男性からすると受け入れづらいというような環境にさらされているのではないかというようなことを思うんです。

 きょう、この後、職能給という言葉も少し定義した上で議論させていただきますが、要は、終身雇用の正社員を中心とする職場では、会社のために、とにかく忠誠心を尽くして一生懸命働く。一生懸命働くことはいいことなんですが、そうしているうちに、内輪意識というか男性同士の仲間意識が育って、その結果、女性の進出、活躍を阻害しているという面があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

赤石大臣政務官 委員御指摘のように、やはり、ある程度の年齢までいって結婚して子供を産んで、その次にまた職場復帰できる環境のよさを、これはイクメンも含めてこれからやっていくわけでありますけれども、そこがまず一つのポイントであるということ。それから、管理職に登用するためには、それなりの本人の、やはりキャリアアップする努力が必要なわけでありまして、そういうことに対する意欲をどのようにして持たせるか。

 それでまた、会社でそういう能力給の仕組みを、今ほとんど、男女雇用均等法になってから、男も女も全部同じ条件にしているというところがありまして、それは、例えば管理職に登用するときに、男性は十年で係長になる、十五年で課長になるといったら、女性はそこのスタンスをもう少し弱くして、十五年で係長で、二十年で課長になるとか、そういう人事のマネジメントシステムを変えていくというのが会社にとっては必要なことで、また、それを支援するような施策を、政府としてやはりある程度援助していく。

 そういうことでもない限り、なかなか、口では言えますけれども、私も会社の経営者をやっていて、実際につくった管理職は三人しかいませんでした、千人ぐらいのうちに。それでも、三人で、部長までいったのは一人しかおりませんでした。そのぐらい、やはり今の普通の企業の環境は厳しいものだろうと思うんです。

 そういうことを企業だけに任せるのではなくて、政府として、これからもいろいろな施策を講じて、働きやすい環境、そして女性がキャリアアップできる環境を支援してまいりたい、このように思っております。

重徳委員 少しかみ合っていないんですけれども。

 つまり、組織を中心として働く、会社のために働く。これは役所でも一緒です。役所のために一生懸命働く。これは、これ自体を否定するものではないんですが、その結果として排他性のようなものが生まれがちなのが日本の職場ではないかということなんです。

 私も総務省という役所で働いておりましたので、霞が関での経験からいうと、私は、前の民主党政権のときに、かなり外部から、例えば内閣府参与とかいろいろな形で登用された、その民主党政権に対して非常に期待もいたしましたし、なかなかうまくいっている部分といかなかった部分はありますけれども、やはり日本は、役所であろうと何だろうと、外からの人材に対する寛容性というか受け入れというものをもっとしていかなければ、組織としての強さがなくなってくるんじゃないかなと思っております。

 官僚には官僚で、すごく組織立った強さもあるんですけれども、それでも、私の見る限りでは、内閣府参与の方何人かと仲よくさせていただいておりましたけれども、やはり全然役所の人間が言うことを聞かないんだということで、これは言うことを聞かせられなかった方も問題だったかもしれませんが、しかし、やはりそれを受け入れがたい、排他的である、これは間違いなくあると思うんですよ。これは、仕事の仕方が違うとか常識が違うとか。

 だけれども、常識が違うとか言い始めたら、自分のところの会社で一生やっている人だけが同じ常識なのであって、やはり、いろいろなものをどんどんと受け入れながら、組織は、会社は変わっていかなければならない、役所も変わっていかなければならないと思っております。

 そういう意味で、多様性とか、女性の場合でいうと、女性の視点をもっと企業にも導入するべきだとか、いろいろな言われ方をされますが、そういったところに対する寛容な姿勢が必要ではないかと思います。

 さて、職能給と職務給という話題に行きたいと思うんです。

 今申し上げましたような、終身雇用とか、一つの組織、会社に対する忠誠心を持ってずっと働くというのは、よく、職務に対する給料という言葉に対して、職能、能力を磨いていく、長期間にわたって一つの職場で磨くという意味で職能給と言われることがあるんですけれども、日本の仕組み、二十世紀、高度成長期の成功システムだと思いますが、職能給という形で、終身雇用を前提とした、正規社員が仕事をするというこの仕組み。

 私がちょうどバブル崩壊のころに就職をした人間ですので、今四十代半ばより上の人たちは、もう当然の前提として、終身雇用だとか右肩上がりだとか、そして職能給を前提として仕事をし、今でもそういう前提で仕事をされていると思うんです。その一方で、四十代半ば以下の人たちは、前回の雇用保険法の改正でも問題提起がなされていた、いわゆる若者ということで、非正規雇用を長らくさまよっている方が多いということであります。

 非正規社員は、言うまでもなく、今回の法改正によりまして少しでもその処遇をよくしていこうということではあると思いますが、一般的に言って、どれだけ年数を重ねてもなかなか賃金も上がっていかないとか、福利厚生とか教育訓練でも、いわゆるフリンジベネフィットというものは、総じて正規社員よりも劣るということですね。

 最近、日本総研の山田久さんはこうおっしゃっています。問題は職能システムと職務システムの分離である、こうした日本型雇用システムの二重構造が賃金デフレの背景にあるとともに、ミスマッチを初めとした雇用問題を生み出すことになっていると言っております。

 つまり、簡単に二分法で言ってしまうと、正社員というのは職能給。すなわち、主に男性が中心で、長期継続雇用、年功能力賃金、昇進昇給もある、ただし、仕事内容、労働時間、勤務地というのは選べない、これが職能給。それに対して、非正規社員は職務給と言われ、女性のパート、高齢者の再雇用、若者のアルバイトが中心で、有期雇用であり、昇進昇給は余りない、そのかわり、仕事内容、労働時間、勤務地を自分で決めることができるということであります。

 これは明らかに、本当に古きよき、男性は仕事、女性は家事といったような、こういう家族モデルを想定していまして、完全に真っ二つですから、非常にイメージもしやすいと思うんですね。ですが、こういうシステムというのは、日本でも、もはやむしろ問題になっているわけでありまして、二十世紀の成功モデルなのであって、このシステム自体、そもそも世界の主流ではないのではないかと思います。

 日本の場合は、今申し上げました、正社員は職能給、パート労働者は職務給という形なんですが、EU諸国では、どちらについても、正規も非正規も職務給と言われる。つまり、ずっと同じところで働いてステップアップをしていくんじゃなくて、自分でもっと仕事を選んで、その仕事に対する労働であり、その対価である賃金という仕組みが一般だと言われるんですが、そういうことだとして、その歴史的あるいは制度的な違い、日本とEU諸国の違いというものはどのように認識されていますでしょうか。

石井政府参考人 大変大きな問題提起をいただいていると思います。

 欧州諸国でございますが、職務概念が非常に明確でございまして、産業別労働協約がほぼ全ての労働者を網羅していて、職務と格付を媒介として賃金を企業横断的に比較することが容易という社会的な基盤ができていることから、そういう構造、基盤を背景として職務給が一般的になっているというふうに考えております。

 それに対して、我が国でございますが、相対的に見て、やはり職務概念が希薄というのが一つ特徴だと思います。比較的限られた職務に従事することが多いパートさんにつきましては、職務給的な賃金決定が行われることが多い。その一方で、長期的な人材育成を前提として、職務を限定しない働き方、これはいろいろな変動に対して強い、強さを発揮する面があるわけでございますけれども、そうした正社員については、能力、責任や配置転換の範囲などさまざまな要素が考慮されて、賃金が決定されていることが多くなっているというふうに考えております。

重徳委員 そもそも歴史といいましょうか、さまざまな積み重ねの上に今の労働市場があると思いますので、今の時点で比較をするとそういう違いがあるということだと思います。

 一方で、今、日本におけますパート労働と通常の労働者といいましょうか、その比較をした場合に、やはり、職務給、職務に着目した仕事をしている人は、イメージどおりで、終身ではないし、仕事も比較的軽い方の仕事をしていることが多いとかいうこともあります。

 一般的に言えば、そんなパートの労働者の方に対して、正社員と同等の教育訓練、教育投資を施すなどということは、なかなか会社の側としても考えられないというふうに考えますと、女性がなかなか正規社員として働けずにいるままの状態で、女性が活躍してほしい、活躍してほしいと言っても、企業がそれだけの期待をし、教育的な投資を行わないという状態で、活躍、活躍と言っても、これは夢のまた夢なのではないかと思います。

 そこで、今回の法案にもあることをちょっと確認したいんです。

 いわゆる正社員は、終身雇用だからこそ正社員なのでありまして、今回の法案で、通常の労働者と同視すべきパート労働者との間での差別的な取り扱いをしちゃいけないというふうにうたわれております。

 これは、有期か無期かということの区別なくパート労働者を扱うという建前ではありますけれども、やはり、終身雇用でない以上、例えば年功的な賃金とか、あるいは昇進とか、そういうところで明らかに違うわけですから、同一労働同一賃金ということは、田村大臣はそういう言葉を大臣の言葉として言われたことがあるかどうかわかりませんけれども、そういう同一労働同一賃金を目指す法案ではあるものの、そこの差というものはどうしても出てきちゃうんじゃないか。

 出てほしいわけじゃないんですけれども、今回の改正によってどこまでそれを封じることができるのか、差別的な取り扱いを。してはならないといったって、出てくるんじゃないかと思うんですが、どのように認識をされていますでしょうか。

田村国務大臣 職務それから人材活用の仕組みが同じでないというか、それに均衡をしなきゃいけない、つまり、合理的に認められなければならないというような場合においては、これは、今言われたとおり、経験年数でありますとか、言うなれば年功的な部分の賃金の決め方等々を含めてでありますけれども、こういうものは、当然、職務給、職能給という言い方をすれば職務給でありますから、違ってくるわけであります。よく、ジョブ型、メンバーシップ型なんという言い方をしますけれども。

 一方で、要は、職務それから人材活用の仕組み、これが同じであるということである場合のパートタイム労働者、もちろん時間はパートタイムでありますから、そういう部分はあるのでありましょうけれども、そういうものに関しては、当然これは均等ということになりますから、今言われたような経験年数等々に合わせた年功的な部分も同じように扱わなければならないというのがこの法律の原則であります。

 ただ、さっき言いました人材活用の仕組みというものは、なかなか、いろいろな見方があるわけでありまして、パートタイム労働者の方々は、ある意味ワーク・ライフ・バランスというものを考えながら働かれるというものがあります。一方で、それこそ正規雇用的に、自分自身が会社に入っていろいろな使われ方を許容する方々にしてみれば、残業を突然言われても、それに対して、ある程度それに理解を示して働くということになれば、当然、そこは人材活用の仕組み等々の中において違いも出てくる部分もあるわけであります。

 そういういろいろなところを勘案しながら、全く同じであるならば、今言われたように、もちろん時間は違いますよ、時間はフルタイムと短時間というところはありますけれども、しかし、時間に見合った中において同じように均等に扱っていかなければならないというのがこの法律の趣旨でございます。

重徳委員 なかなか理解しづらい御答弁なんですけれども、職能と職務という概念が、前提が違っちゃっているものですから、幾ら同じような、均衡を考慮するとか差別的取り扱いをしてはならないといったって、前提がやはり違うものだから、何かお題目になってしまうような気がするんですよ。根本的に職能と職務で違うわけだから、どこかで違いますよね。違えば、それは不合理ではないよとか差別ではないよと幾らでも言えてしまうように思うんです。

 通告では終わりの方で質問しようと思っていたんですが、今回の改正後の八条から十条のところ、なかなか難しいんですよ、読み方が。それから、言葉も少しずつ違っているんですよね。

 八条は、パート労働者と通常の労働者の待遇について、「待遇の相違は、」云々かんぬん、「不合理と認められるものであってはならない。」といって、全体的に、パート労働者と通常の労働者の待遇について不合理と認められるものであってはならない、このように規定した上で、九条と十条で書き分けていますね。

 九条は、通常の労働者と同視すべきパート労働者、これについては、「待遇について、差別的取扱いをしてはならない。」差別的取り扱いという言葉になっていますね。

 それから、十条は、通常の労働者と同視すべきとは言えないパート労働者、つまり九条以外のパート労働者については、「通常の労働者との均衡を考慮しつつ、」何々を勘案し、賃金についてですけれども、「賃金を決定するように努めるものとする。」

 努力義務になっている上に、先ほどからの不合理とか差別的という言葉に対しては、均衡を考慮しつつという言葉になっていて、この不合理という言葉と差別的取り扱いという言葉と均衡を考慮しなきゃならぬと、何か違いがよくわからないですよね。わからないというか、ぱっと見わからないんですけれども、政府の方では、役所の方ではどのようにこの条文を理解して説明をされるのでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、議員がまず最初にお取り上げになった新八条でございますが、これは短時間労働者の待遇の原則を示すものでございまして、全てのパートタイム労働者を対象としてお考えいただくものでございます。通常の労働者の待遇との相違については、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない、不合理のようなそういう決め方をしてはならないという考え方のもとで処遇などを決めてくださいという、まず、行為原則というんでしょうか、そういうものを定めているものでございます。

 その原則を具体化して書き下しているのが新九条、十条でございまして、まず、新九条におきましては、通常の労働者と同視すべき短時間労働者、具体的には、職務の内容が同じ、人材活用の仕組みや運用が同じ、そういう短時間労働者については、その待遇について通常の労働者との間で違いを持たせてはならない、差別的取り扱いをしてはならない、一切の違いを持たせてはいけない、もちろん労働時間の長さに応じたものはあるわけでございますが、違いを持たせてはならないという意味での差別的取り扱いの禁止規定でございます。

 さらに、通常の労働者、そこまで要件を絞った、対象がある程度限定をされたパートタイム労働者以外にも、それで終わりではなくて、通常の労働者と同視すべき短時間労働者以外の短時間労働者につきましても、これは通常の労働者と同視すべきというほどではないけれども、働きとか貢献を一定程度考慮して賃金を決定することが望ましいことから、これを努力義務として、新十条で規定をしているわけでございます。

 この十条の対象とするケース、そういう意味では、対象を広げていますから相当さまざまであります。これは、事業主に対して行政指導にも入る、そういう規定でございますので、一律に賃金の決定をどのようにすべきと決めつけはなかなか難しいということもございまして、努力義務にとどめているものでございます。

 これは、審議会での議論の中でそういうものが適当であるというふうにコンセンサスが得られて、そういう内容にさせていただいているものでございます。これは前回の改正のときに規定されているものでございます。

重徳委員 ちょっと、必ずしもわかりやすくなかったんですが。

 十条はまず努力義務なんですね。だから、言ってしまえば、守らなくてもいいと言ったらなんですけれども、守れなくても違法ではないという状況ですね。つまり、均衡を考慮したものとなっていなくても、努力義務だからいいだろうというところなんです。

 しかし、そこに対しては、八条という全体の、不合理であってはならないという規定がかかっていまして、ここは努力義務じゃありませんから、だから、各論というか、非常にケース・バイ・ケースかもしれませんが、読み方としては、均衡を考慮したものになっていなくても、少なくとも不合理と認められるものであってはならないというふうに、そこで最低限制約がかかる、こういう読み方でよろしいですか。

石井政府参考人 処遇の決定をしていただくときに、まさに職務の内容とか人材活用の仕組みとか、そういうものを一つ一つ勘案して定めていただく、そういう形でまず設定をしてくださいというのが八条でございます。

 その上で、設定していただいたものに対して、バランスというものを加味して、ちゃんとその決定がなされているか、そこについて私ども行政指導には入る、その規定として置いているのが新十条になるわけでございます。

 先ほど先生は、努力義務規定だから何もしなくてもよろしいとおっしゃったわけですが、実際そういうものではございませんで、やはりきちっと、どういう根拠でやっているのか、努力をして、それができない事情があるのかどうか、そこも、私ども、実際指導に入る際には見させていただくということになるものでございます。

重徳委員 これをやっていてもなかなからちが明かないので、では、次に、やはり日本の場合は、ちょっとこれは言いにくいんですけれども、つまり、どこまでいっても正規労働者と非正規労働者は差が出てきてしまうんですね。

 さっき大臣の御答弁の中でも、いや絶対一緒だということではなくて、やはりいろいろな違いが出てくることを容認するようなケースもあり得ると聞こえるような答弁をいただきましたが、だとすると、今、若者も女性も非正規の働き方をしている。その待遇が正規労働者よりも悪くても、それが不合理でさえなければ一応オーケーだというようなことだとすれば、やはり、翻って、非正規の方々は正規にしていくというのが本来の道であろうというふうに思うんです。

 ところが、これはいろいろなところで指摘もあるんですが、ミドルクラスというか、もうちょっと言うと四十代半ば以上の方々ですね。その世代、昔のいい時代のシステムで採用されてきた、そして会社で活躍されている方々なんですけれども、やはり問題は、会社の経営状況だとか、あるいはその分野が少し変化していったとしても、その労働者を、当たり前ですけれども簡単に首は切れないわけですし、そもそもその会社が存続している限り永久にそこで働き続ける、その会社の質的な変化がどうなろうと。

 そういう働き方を前提としているわけですから、どうしても、潰しのきく仕事に恵まれてきた人は、ではよその会社に転職しますというふうに、手に職を持っている人はいいかもしれないんですが、なかなかそういう方ばかりではありませんので。

 ですから、会社としても、もちろんありがたいんですけれどもね。会社にとっては、忠誠心を持って、一生懸命、先ほど言いましたように、長時間労働だって何だってしてくれる、こういう労働者なわけですから、当然ながら大事にしなきゃいけない。だけれども、よその会社に転職するとかいうことは当然想定だにしないわけですから、キャリアチェンジのための機会だって与えられていないわけですし、そういう意味では、会社がどうなろうと、よっぽどのことがない限り、そういう中高年の労働者の方々を会社の中で抱えざるを得ない。しかも、給料は、一般的には非常に高い方々ですよね。そういう状況があります。

 それがきょうお配りした二枚目の資料なんですけれども、国際比較をいたしますと、イギリスやドイツと比べますと、四十代、五十代の男性労働者の賃金は、相対的に高い水準になっております。それでも企業はこういう方々を、よくも悪くもですけれども、抱えていなければならないし、社員の方は当然それを期待する。よもや途中で首になったり、よそに行ってくれなんということは言われるはずがない、これだけ一生懸命やっているんだからというようなことだと思うんです。

 このあたりの中高年の方々が、これは場合によってはですけれども、会社にとっては、経営に関して言えば余剰人員、言いたくはないですけれども余剰人員的な人材になってしまったり、あるいはミスマッチが生じていたり、こういうような状況、そういうケースもあると思いますが、大臣の問題意識をお願いいたします。

田村国務大臣 その前に、先ほどのをもう一度だけ説明させてください、短目に。

 要するに、職務が同じで人材活用の方法が同じならば、均等になるわけであります。パートタイム労働者で、仮に有期だといたしますけれども、そういう方々が人材活用の仕組みまで一緒ならば、それは同じように、年功がもし正規社員にあるならば、年功をつけなきゃいけないわけですね。全く一緒ではありません、違うのは時間だけですから。

 ただ、先ほど言ったみたいに、こちらは残業を受けるのをある程度容認している。一方、パートタイム労働者は、私は、パートタイム労働というのは本来ワーク・ライフ・バランスを大切にしたいからやっているので、残業は勘弁してくださいというのは、これは人材活用の仕組みが、さっき言った二つ目が違うわけですから、均等待遇にならないわけでございますので、そこで違ってくることはあるということをお話しさせていただいたので、その場合は、パートタイム労働者と正規労働者が全く一緒じゃないという認識のもとで御理解をいただければありがたい、均等ではないということで御理解いただければありがたいということであります。

 今のお話でございますが、確かに日本の国は、今まで長期雇用、そして、その間に人材育成、社内で人材育成する中において、雇用を守りながら会社でスキルアップして、そして職能を上げていって、ある程度の年齢になって退職される、こういうような状況であったわけであります。

 今もそうかというと、なかなかそうではございませんでして、なかなか厳しい経済状況、また産業においても、いろいろな産業の中で、成熟産業、斜陽産業、いろいろなものがあります。すると、当然のごとくリストラということが起こるわけでございますから、必ずいられるわけではないわけであります。

 ただ、その中においても、今もなお、例えば認定職業訓練、これは社内で働きながら受けるものでありますし、それから、キャリアアップ助成金でありますとかキャリア形成促進制度、こういうものを使いながら、社内でスキルアップをしていただいて働くということはあるわけであります。

 一方で、もうそうではなくなってきたために、労働移動支援というようなことを昨今我々も力を入れてきているわけでありまして、失業後、失業期間が短い中において、次の産業、つまり成長産業の方にスキルを身につけていただきながら労働移動していただく、こういうことも含めて、現在いろいろと施策を講じてきておるという状況でございます。

重徳委員 なかなかストレートにはお答えが来ないんですけれども。

 やはり正規労働者の方々は、終身雇用は当然の前提ないし権利だという意識が非常に強いですので、それは別に悪いことではないんですけれども、でも、例えば労働組合も、これまでデフレ下において、賃金アップよりも、やはり何よりも雇用を守るんだということを最優先にしてきたわけであります。

 それから、企業側だって、先ほど言いましたように、大切にしなきゃいけないことになっている、そういう位置づけの労働者ですから、どうしてもその人たちを全く働けない状態にはするわけにいかないという意味で、これはいろいろな見方があると思いますが、部門の統廃合とか、あるいは全く新しい分野に進出するとか、産業の再編、こういったことに対しても、消極的というか最小限にならざるを得ない。思い切った構造改革というものが、なかなか民間においても進まない。

 政府においても、今、労働力の流動化に対して少しずつ踏み出してはいるとおっしゃいましたけれども、そうはいっても既存産業も大事だということで、政府は守りに入りがちだ。

 しかし、そういうことをやっているから、やはり若者たちが非正規のままで、若者たちにしわ寄せが行き、また女性の活躍の場というものもふえてこない。やはり守るべきものを守るというのは、言い方としては大事なことなんですけれども、ただ、そうはいっても、新陳代謝といいましょうか、世の中全体がもっとアクティブに次の社会を目指して動いていかなきゃいけないときに、どうしてもそこは守りに入ってしまう、こういうことだと思います。

 かといって、私は、流動性を高めて、何か時々浮かんでは消える首が切りやすくなる制度の提案みたいなものが出るたびに、やはりちょっと過激に、こんなの企業の論理じゃないかということにすぐ根負けして、労働者にとっても本来はハッピーなはずの話も、なかなか世の中が受け入れられないことがよくあるかと思います。

 その意味で、私は、雇用保険制度の中でだけやる仕組みというようなことに対して、前回の法案のときにも批判をさせていただきましたけれども、やはり、もっと社会全体をキャリアアップ、そして流動化というものに労働者自身が前向きに考えられるような仕組みを、政府を挙げて、国を挙げて取り組むべきだと考えております。

 ちょっと雇用保険の基金が何兆円あるから使っちゃえとかそういう話ではなくて、あるいは少子化対策にしたって、前回申し上げましたとおり、小出し小出しの話じゃなくて、非正規労働者の問題は若者の結婚を阻む要因にもなっておりますし、また、子供をたくさん産み育てることを阻むことにもなっておりますので、非常に重要なことだと思います。

 その意味で、日本の産業構造の転換、そして非正規労働者がもっと夢を持って社会で仕事ができるようにするためにも、政府はもっともっと巨大なセーフティーネットといいましょうか、転職を促進するとか、企業の再編というものがしやすくするとか、こういう後押しをもっと国を挙げてやっていくんだ、こういうメッセージを出していかないと。

 小出しでやるものだから、そんなんじゃ労働者が首を切られるだけでおしまいじゃないかと言われるのであって、そういうところを見るんじゃなくて、誰もがもっといい仕事の仕方ができるんだ、こういう大きな構想を持つべきではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。これまでこういうことをやっていましたということよりも、むしろ、こういう社会をつくるんだというような、大臣の大きな思いをお聞かせ願いたいんです。

田村国務大臣 厚生労働大臣なものですから、産業再生とか再編だとかというのはなかなか言いづらい、それは担当の大臣にお聞きをいただいた方がいいのかもわかりませんが。

 非正規がふえてきているという理由の一つには、委員が言われたみたいに、日本の終身雇用、年功制度みたいなものがあるのと同時に、やはりこの十数年間、もう二十年近くデフレーションという状況の中で、賃金が上がらない、いや上げられない、こういう環境があったことは事実であります。

 転職する方々も、次に自分の待遇が悪くなったら、それは何とかこの会社でとしがみつくのは当たり前で、しかし、次に行ったところが今よりもいい待遇であるということがある程度予測できれば、それはそちらの方に移ろうかという気持ちにもなるわけであります。少なくとも、全ての企業、全ての産業とは言いませんけれども、全般的に見て、やはりここ十数年間、そういう環境ではなかったというのが実態であろうと思います。

 そのために我々は、今現在、デフレをとにかく是正して、アベノミクスというもとにおいて、経済の活性化、もう一度成長を取り戻そう、賃金が上がる社会を取り戻そうということをいろいろと政策として打っておるわけでありまして、その中において、労働の移動を支援するというような施策を組んでいきたいと。

 ですから、先ほど職能給という話と職務給という話が出ました。

 例えば、柔軟に、社員という形態も多様な社員というようなものになってくれば、そこはまさに職務に着目した、そういう部分での評価を受ける社員が出てくる可能性もあるわけでありまして、そうすると、少しずつ今の職能という考え方から、同じ社員でも職務というものもふえてくるわけであります。

 あわせて、評価の物差しをつくらなきゃいけませんから、そのような物差しづくり、職業能力評価制度みたいなものもしっかりつくっていく中において、それがあって初めて、職務給というものがある程度しっかりとした土台ができ上がってくるわけでありますから、厚生労働省という立場から、今言われた大きな流れの中で、資するような施策もしっかりと充実をさせてまいりたい、このように考えております。

重徳委員 最後に、資料三枚目を皆様にお配りしておりますので、少しだけ御紹介させていただきたいと思うんです。

 各国の社会保障構造の比較なんですが、ここで今の話の中に関連して言いますと、積極的労働政策という紫色の歳出が、やはり、右からスウェーデン、フランス、ドイツという国は、それなりの金額というか割合で、対GDP比で支出されているわけですね。こういうことによって、労働力が移動することがあってもちゃんと保障されるという、現役世代に対するセーフティーネットができているということだと思っております。

 ついでに言いますと、一番上のグレーのところ、教育というところも日本は薄いですし、それから、黄色い、子育てというところもかなり薄いですね。

 だから、現役世代や若い世代に対する投資というか支出、社会保障というものが、まだまだ欠けているんだと思っております。こういうところにもっと光を当てていかなければ、ひいては国の活力が損なわれて、お年寄りの年金とか社会保障に対しても影響が出てくるわけですから、そういった長期的視点、バランスを持って、これからの日本のデザインをぜひ田村大臣にリードしていっていただきたいというふうに私は思っておりますし、いろいろな提案をこれからもさせていただきますので、ぜひ真摯な御答弁をこれからもよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 日本維新の会の小熊慎司です。

 まず初めに、次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律案について、読み上げるだけで大変なんですが、質疑をさせていただきます。

 これは今まで、くるみん認定制度、マークを使っていました。新たにプラチナくるみんというのが出てきましたけれども、必ずしも、くるみんが国民の中で認知度が高かったかというと、なかなかこれは厳しい状況であったというふうに思いますし、このマークをもらうことで企業のイメージがアップする、また優秀な人材が集まるという、その効果もなかなか、あらわれている部分もありますけれども、大きく波及はしていないというところがあります。

 今回、プラチナくるみんを導入するに当たって、この機会をしっかりと捉えて、国民に大々的にキャンペーンをしていかなきゃいけないんじゃないか、しっかりと認知度を上げていくための事業をやっていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思うんですが、まず、その点についてお伺いいたします。

田村国務大臣 企業の部門でも、人事だとか一部の部門では認知度は高かったわけでありますが、確かに、言われるとおり、全体としてどこまで認知度があったかというと、少なくとも国民の皆さんほとんどが知っているというような認知度はないわけでございまして、そんな中において、新しい認定制度、仮称プラチナくるみんというものを今度また考えていくわけでございますから、これを機にしっかりPRしていかなきゃならぬわけであります。

 例えば、認定式を大々的にやるでありますとか、それから、一般紙でありますとかいろいろな情報発信誌、そういうものに掲載いただくようにお願いをしていくでありますとか、有名キャラクター、ゆるキャラかどうかわかりませんけれども、そういうものとタイアップしながら、しっかりPRできるようなことをぜひともさせていただいて、少しでも新しいくるみんマークの認知度を上げていくように努力をさせていただきたい、このように思っております。

小熊委員 ちょうど大臣からゆるキャラの話が出ましたけれども、これはゆるキャラという位置づけなんですか、どうなんですか。そのカテゴリーに入れるんですか、入れないんですか。

田村国務大臣 私はゆるキャラだと思っておりますが、着ぐるみがないものでありますから、ゆるキャラのマークはあるけれども、着ぐるみがないということでございます。

小熊委員 金子恭之委員の御地元のくまモン並みに有名になるためには、ゆるキャラのコンテストみたいなものもある中でいうと、これは入ってきていません、今のところは。そういうところでやっていくという意味であれば、いわゆるおかたい感じではなくて、やはりソフトな感じでどうキャンペーンを張っていくか。今言った、ゆるキャラのカテゴリーの中でまた認知度を上げていく。非公認のキャラクターの、ふなっしーの方が全然有名になっているという状況でありますから。

 これは、制度の内容もしっかり伝えるということもありながら、マークというのはイメージの部分ですから、こういった部分を入り口として有効活用するという意味では、本当にしっかり取り組まないといけないなというふうに思っていますので、有効的な、国民に広く知れ渡るようなアイデアを実行に移していただきたいというふうに思います。

 また、中身の方に入っていきますけれども、これは、実際、認定されることが企業にとっていいんだ、まさに企業のステータスが上がるんだ、ぜひとりたいんだというインセンティブが働くような仕組みをもっと入れなきゃいけない。今、税制の優遇というのもあるんですけれども、もっと優遇政策をしていかないと、やる企業だけがやって、あと、ほかの大多数の企業は、まあまあ、いいんじゃないのというふうになってしまいます。

 取得促進のためにもっと優遇政策を考えなきゃいけないと思うんですが、今回はこれで終わりですけれども、この先またさらに拡大をしていくべきだと思うんですけれども、それに対する見解をお願いします。

土屋副大臣 くるみんの認知度が大変低いというお話でございましたけれども、実際、企業の人事担当者においては八割を超えているんですけれども、一般の人に聞いてみると本当にほとんど知らない状況でございますので、周知徹底は重要でございます。

 そのためには、好事例などをいろいろなところで見られるようにするということも大事だと思います。この辺は積極的に広報していきたいと思っています。

 メリットとして、今のところ、くるみんマークを広報で使えるということでございますけれども、これを本当に有効活用できているのかというと疑問もありますので、もっともっと、いろいろな使い方の事例なども示していく必要があるのかなと思っています。

 それから、税制上の優遇措置、くるみん税制などがありますが、さらに、いつも大臣がおっしゃっていますけれども、プラチナくるみん、これをとったらその上がありますよ、その上をまたとれれば、さらに税制の優遇がありますよぐらいのインセンティブをつけていくことも大事ではないかと思っています。

 今後、いろいろ検討をして頑張っていきたいと思います。

小熊委員 打ち合わせをしたわけではないですけれども、希望どおりの答弁なんですが。

 逆に言うと、いきなりプラチナなんですよね。副大臣の御地元の埼玉県は、ウーマノミクスプロジェクト事業、同じような子育て支援の部分ですけれども、これは、シルバー、ゴールド、プラチナとなっているんですよ。プラチナの上というのは何ですかね、ゴールドプラチナかな、何か考えなきゃいけないんでしょうけれども、やはり多様な形態を持っておかなきゃいけないというふうに思っています。

 これは、この法律自体の導入のときも、いろいろ過去の議事録を見ると議論されていましたけれども、中小企業も、三百人で切っちゃっているんですけれども、法律上は、業種によっては二百人とか百人とかですよね。まして、いわゆる小規模企業、零細企業というのが日本においては八七%も占めている。就労者は零細企業では二十数%ですけれども、これも大きい比率ですよ。そして、小規模企業といえば二十人以下、業種によっては五人以下です。

 やはり、人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろと言った総理大臣もいらっしゃいましたけれども、まさにそのとおりで、多様な企業形態また雇用形態に合わせた形で制度を入れていかないと、今のままだと、体力のある大企業とかそういうところはいいんですけれども、中小零細企業においてはなかなか敷居の高い制度になっています。ですから、今言われた、優遇の中で段階をつけて、どんどんインセンティブを引き上げていくという副大臣の御答弁のとおり進めていってもらいたい。

 また、一方で、企業形態に合わせたメニュー、スポーツだって体重別にいろいろあるわけですよ。企業規模に応じた、これは全体を底上げしていかなきゃいけないわけですから、やる企業だけやって、あと中小零細が追いついてこないというわけにはいかないので、今言われた段階づけ、企業によったメニューというものを考えるべきだと思いますけれども、そうした方向性についてはどうでしょうか。

石井政府参考人 ただいま現在のくるみんの認定基準におきましても、中小に配慮した特例的なものは設けております。

 例えば、男性の育休取得一人以上となっておりますが、やはり中小では、たまたまそういう年代の従業員がいなかったりすることもあるわけですから、看護休暇でもいいとか、若干その幅を広げていまして、今後もそういう形、さらに少し工夫をして、例えばイクジイという言葉も出てきていますが、おじいさんが子供のために何かする、そういうものも加味していくというアイデアも実は審議会で出ておりましたので、おっしゃるような方向でいろいろ検討したいと思います。

小熊委員 今、段階的にやっている、中小企業に配慮しているというのはもちろんわかっていて言っているんですよ。それではまだきめ細かくないということで言っているので。さらに、そうした小規模企業者ですよ。

 これは過日の予算委員会の分科会で大臣とも議論をさせてもらいましたけれども、やはり地方に行ったら、そういう小規模企業においては、代替要員でも、人で仕事をしているというところがあって、スキルではなくて、その人だからというので企業が回っていたり、他の企業の営業とのつき合いとかがあったりするので、なかなか小規模企業というのは、代替要員を用意すればいい、そういう優遇制度を用意すればいいというだけの話ではないんだということも議論させていただきました。

 だから、そういう意味でも、この育児支援ということに関しても、やはりそういった企業文化、地域文化というものを背景に考えて制度を導入していかないと効果が得られない、そういう視点で質問していますから、ぜひ、これはいい制度ですよ、でもまだ緒についたばかりです、どんどんどんどん育てていかなければならないというふうに思っています。

 子供というのは、どんな経済状況の家庭の子供でも、お父さん、お母さんがどういう状況でも、子供をしっかりと育てていくということは社会の責務です。そういう意味では、やはり多様な状況に合わせられる制度にしていくことが重要でありますから、ぜひ、今言った、いろいろな段階をつくっていく、企業に応じた段階をつくっていく、そして、やる意識のある企業だけということにしない、そういう方向性で今後充実化を図っていただきたいと思います。

 そのためにも、最初に立ち戻りますけれども、これをとってよかったなという認知度を上げる。人事担当者だけが知っている、本当は、働く人が知っている、社会の人が知っているということじゃなきゃいけないんですよね。まずは認知度を上げる努力をする。そして、制度の中身を知っていただく、そのメリットを知っていただく。それで、みんな本当に努力をして、競争して、争うようにこのマークをとろうと。社員章の横にくるみんをくっつけているのがステータスで、格好いいよねというぐらいにならないとだめなんですよ、はっきり言って。そのためのマークでしょう。中身だけであれば、これは制度の充実だけでいいんですよ。

 マークをつくったということは、これにステータスというか、それを与えなきゃいけないんです。その割には認知度が低いので、金子委員の地元のくまモンに負けない、くるみんの認知度にしていくように、大臣も、この委員の中のメンバーにもたくさんいますが、イクメン議連としても、この次世代の支援というのは一つのテーマですから、これの認知度を上げる、制度を充実させていくという方向を、ぜひもう一度、大臣、御所見をお願いします。

田村国務大臣 名刺交換をして、くるみんマークがついていますと本当にうれしいんですよね。まだまだ名刺を交換する人のうちの、くるみんマークがついている割合は低いものでありますから、そういう意味では知名度を上げていかなきゃならないなと思います。

 零細企業、例えば五人という話になりますと、どういう基準を設けられるのか、なかなかこれは難しいところがありますが、そこはちょっといろいろと知恵を出しながら、何かうまく、その企業の中だけじゃなくて、外向きに何かいろいろな努力をされておられるところも含めて評価するだとか、いろいろな評価方法はあるんだというふうに思います。いろいろな知恵を出しながら、その評価基準といいますか、そこのところに関しまして柔軟性を持ってまいりたいと思います。

 あわせて、着ぐるみをつくるというのは、つくるとまた無駄な税金を使ってと怒られる部分もございますから、ふなっしーの場合は、あれは中に入っている方の身体能力が非常に高いという部分も人気のうちの一つなのかもわかりませんが。

 とにかく、このくるみんの認知度が上がって、ああ、おたくのお父さん、くるみんマークの会社に勤めているの、すごいじゃないのと言っていただけるような、そんな環境がつくれるように努力をしてまいりたいというふうに思います。

小熊委員 本当にそのとおりですよ。マークをつけても、受け取った人にこれは何ですかと言われたらだめなんですよね。すごいと言わせないとだめなので、それはしっかり努力をしていただきたいと思っています。

 また、一方で、これも過日の予算委員会でもやりましたけれども、男性の育児休暇の取得率が話題になります。イクメン議連でも、取得率を上げていこうというのが運動の一つの目的になっています。

 予算委員会でも質疑した中で、厚生労働省はすごくいいデータをとっていますよね、二十一世紀成年者縦断調査。どういう家庭が多産化になっているかという状況、いろいろな要因があります。でも、その中に、収入とかもありますけれども、これはデータの解析で常に厚生労働省が発表しています、一番大きな要因は、男性の育児参加の高い家庭ほど第二子を産んでいるということなんです。

 であるならば、育休取得はもちろんやっていかなきゃいけないんですけれども、一方で、育児参加をどうさせていくか、ここがやはり肝になってくるんですよ。ここがなかなか出てこない。

 先ほど同僚委員もやっていた、時短をしていくとか、そういうこともあるんですけれども、育児参加を促進させていく。育休取得のところばかりよく議題になるんですが、育休取得だけではなくて、子育てというのは乳幼児の期間だけではないですからね、という意味では、長い時間、育児にどう男性が参加していくか。

 そういう意味では、育児参加の促進について、まずお伺いをいたします。

土屋副大臣 いろいろデータは出ていますけれども、なかなか難しい問題でもあると思います。

 私が考えるところでは、厚生労働省の役所の方たちにも聞いたんですけれども、当初はなかなかとりにくい雰囲気だったけれども、厚労省の中の風土が変わってきて、最近は比較的とりやすくなってきたという声を聞いております。最初にとる方が非常に勇気が要ると思いますけれども、そういう風土づくりも非常に大事だと思います。

 あとは、企業の時短ですよね。やはり、残業が多いというのは、家に帰って、くたくたですから、子供の顔だけ見て寝ちゃうとか、お風呂に入って寝ちゃうとかいう方が多いと思うんですね。

 それと、実際どうなのかわからないんですけれども、自分だけ何か、帰りにどこかへ寄っていこうよと酒を飲みに誘われたりして、いや、子供がいるので帰りますというのが言いにくい環境がまだ日本の中にあるのかなという気もいたしまして、やはり、子供が生まれたんだから早く帰りなさいよみたいな、そういう雰囲気も必要なのかなと思います。

 それから、中小企業はやはり、先ほどからお話が出ていますけれども、大変とりにくい状況で、先ほど大臣がおっしゃったように、五名以下だと本当に、その方が欠けたらもう会社が立ち行かないみたいな状況のところをどうするか。これは本当に今後の課題だと思いますけれども、ある程度の人数であれば、代替のための助成金制度というのをもっときちっととりやすいようにしていくとか、こういうことが大事なのかと思っています。

小熊委員 育休取得以外の努力をしなきゃいけないという話をさせていただいて、あとは、業種によっては違いますけれども、平日の労働時間が長くても、土日はあるわけですよ。我々、土日がないんですけれども。土日があるということを考えれば、では、お父さんたちは何しているのと。疲れて寝ていて、あとゴルフに行くか、一人で何かやっているのかということになっちゃうので、まさにそういうことの促進をどうしていくかということです。

 やはり平日はなかなかすぐには難しいと思います。ましてや、都会にいれば通勤時間も長い、帰ったら子供は寝ている。ちゃんと帰っても、一時間、二時間かかればそうなっちゃう。では、休日どうするんだという、そこすらも育児に参加していない男性がいるというのは大変問題でありますし、だからこそ、我々イクメン議連も頑張っていかなければいけないんですけれども、ここをどう刺激していくかなんです。

 企業のあり方を変えるのも重要です。この土日というのは企業は関係ないですよね。まさに個人の選択になってくるんです。そこでの育児参加はどうですか、どういうふうに取り組んでいくべきですか。個人の生活の部分に立ち入ってくるんですけれども。

田村国務大臣 経験から余り語れないというつらい立場でございまして、土日、地元に帰っても、後援会活動等々があるというのが政治家の常でありますが、それでも、私の場合は、昼御飯を食べに帰って子供の面倒を見たりだとか、できる限りの時間ではやってまいりました。

 最近の若い方は、比較的、土日は子育てに時間を費やす方はふえていると思います。我々から上ぐらいは、なかなか、言われたとおり、ゴルフに行ったりだとかという世代であったのかもわかりませんが。

 それと、土日はもちろんそれぞれ個人の選択はあるわけであります。それでもかなりふえてきておりますが、やはり平日ですね。これをどう変えるか。先ほども申し上げたんですが、一企業だけ変わっても、これはできないですよ。そこと取引している企業だとか、みんながやはり協力をしてそういう雰囲気になっていかないと、それでビジネスは回っているものでありますから、だから、そこの雰囲気をどうつくっていくかということが最大の我々の課題であります。

 ということで、先ほど申し上げたんですが、我が厚生労働省も国会が始まると大変忙しくなるということでございまして、決して皆様方に御無理をお願いするわけではないわけでありますけれども、いろいろその点では、厚生労働省、今、男性の育児休業取得を平成三十一年に三〇%ということを目指しておりますので、ぜひともそういう意味で御理解をいただきながら、まずは隗より始めよでやっております。

 そういう風潮がいろいろなところに広がっていくことによって、実際問題は、育児休業もそうでありますし、短時間勤務もそうでありますし、とれるようになってくるということでございますので、どう雰囲気をつくっていくか、これからもしっかりと、いろいろな活動をする中において、そのような雰囲気の醸成を図ってまいりたいというふうに考えます。

小熊委員 そういう雰囲気づくりというのは非常に重要だとは思います。ただ、企業はやはり営利を求めるわけですから、そこに優遇政策がなければ取り組まないと思います。精神論としてはわかる、それは誰だって否定しませんよ。だけれども、それでは会社が回らないよということになれば、これは進んでいきませんから、こういう意味でもいろいろな優遇制度をしっかりつくって、会社としても得するんだということにしていかなければならないというふうに思いますので、そういう検討もぜひ。

 大きい企業はそれなりにできると思います。小さい規模の企業がどう取り組みやすいかという姿勢でやはりこれから考えていかなければなりませんし、あと、大臣が言った雰囲気づくりという意味では、ある意味、これは教育もあると思うんですね。教育の現場からやっていかなければいけない。

 私も地元で、商工会議所の青年部のメンバーでキャリア教育のプロジェクトに携わっているんですけれども、これは海外を見ると結構やっているんですが、日本は経産省だ文科省だと結構ばらばらで、また、小学校なりのキャリア教育、中学校なりのキャリア教育、高校なりのキャリア教育、大学なりのキャリア教育がなければならないんですけれども、ここもしっかり整理をされていないのが今の日本の現状です。

 このキャリア教育といった分野に関しても、男女のあり方、育児のあり方といったものを織り込んでいくということが今後必要だというふうに思います。そういう観点に対しては、大臣、どうですか。これは長期的な話ですけれども、教育の中にしっかり子育てのあり方の啓蒙をしていくというか、考え方をしっかり広めていくということは必要だと思いますよ。

田村国務大臣 厚生労働大臣として物を言うというのはなかなか難しい、教育という分野へ入っていきますと所管が違うんですけれども、以前、我々もいろいろな議論をしているときに、例えば、若いころから子供と接するような機会をつくっていって、子育てに対する意識だとかそういうものを持っていくということは、一つ大きな、子供というものを身近に感じる、今、兄弟が少ない時代になってきておりますから、そういう触れ合う時間をつくるというのは一つであろう。

 同時に、あわせて、今委員がおっしゃられたのは、多分、働き方も含めてという話をしていかなきゃならないだろうというふうに思います。それが学校プログラムの中にどう入っていくかというのはなかなか難しい話でありますけれども、いろいろな機会を通じてそういうこともいろいろと啓蒙していかなきゃいけないと思いますが、まずは大企業からでもいいんですよ。大企業からでも働き方をどんどん変えていただければ、当然、そこの協力関係にある中小零細は、大企業がもう夜の何時まで、いないんだったら、そこから電話がかかってきて仕事はないわけでありますから。

 まず、やはりそういうところがどんどん、一つでも二つでもふえていく、それが大きな流れをつくっていくわけでございまして、とにかく、少しでもまず前を向いて、いろいろな企業がくるみんマーク、プラチナくるみんをつけていただいて、一歩をまず歩み出していただきたいというのが私の思いでもございます。

小熊委員 私、大企業がやってもすぐ中小企業にはなかなか波及しない、うちのおやじも中小企業の会社にいましたから、これは難しい、だからこそこの中小企業対策、零細企業対策をやらなきゃいけないと思っています。これは今後また議論していきますけれども。

 一方で、昨年、ハーグ条約を日本が批准しました。そのときにも議論があったんですけれども、子供というのは、両親が別れようと別れまいと、子供の利益としては、二親にかかわってもらうというのが子供の権利利益だという観点からこのハーグ条約というのができました。御承知のとおりです。

 しかし、これは日本の国と海外との関係の中でのやりとりになりますけれども、逆に、そのときにも法務委員会や外務委員会でも議論になりましたけれども、では、国内を見たらどうなんだと。国内の連れ去りがそのまま放置されている。これは国内法もしっかり整備をしていかなければいけない。まさに、子供に対して親がしっかりかかわるという哲学ですよ。子育て支援と同じ哲学です。

 であるならば、不幸にして両親が別れてしまったとしても、子供が選択して片方だけでいいというなら別なんですが、一応、選択制としては、両方とかかわれることにしておかなきゃいけないんですね、建前、入り口としては。であれば、国内の連れ去り事案に対応する法律を整備しなきゃいけないと思うんです。

 これは指摘されているんです。連れ去り事案がハーグ条約で解消されましたね、国同士では。でも、国内にはないんですよ。今それでいろいろな問題になっていますよね。その点についての対策をつくっていかなければいけない、子供をしっかり親がかかわって育てるという意味では。

 その点についてはどうでしょう。今後、そういった国内法整備の取り組みはどうなっていくでしょうか。

田村国務大臣 今の問題に関しては、関係省庁で御議論をいただいてお決めいただく。私の方からは、厚生労働省の所管ではないので、回答を差し控えさせていただきます。

 ただ、面会というものの機会をしっかり確保する、これは大変重要でございますので、現在、厚生労働省でも、養育費相談支援センター、こういうところでいろいろと面会の相談に乗っておったりですとか、あと、ナカポツセンターといいまして、母子家庭等就業・自立支援センター、こういうのがございます。各県に一つぐらいありますけれども、こういうところでも相談を受けながら、そういう面会交流というものがしっかり確保できるようにやっております。

 あわせて、NPOでもそういうことをやられておられるところがあられます。そういうところと、また関連省庁とも我々協力しながら、しっかりと面会の機会の確保というものができるような、そんな環境整備はしてまいらなければならないというふうに考えております。

小熊委員 今あるもので対応ができていないから問題になっているんですよ。これは、実際連れ去られた親御さんからすれば、ハーグで海外とはやって、国内が放置されている問題でしょうということが盛んに議論されているから、いろいろな委員会、いろいろな機会でこれまでも議論がされてきた案件です。

 確かに、所管が違うというのもあるんですけれども、子供から見たら、厚労省も文科省も何省も関係ないんですよ。それはわかるんですよ。それはそうです、所管は大事なんです。だからこそ、逆に、子供をしっかりどう育てていくかという意味では、厚労省が先頭に立って、関係省庁にしっかりやるように言っていく。いいんですよ、それで。大まかなことはいいんですよ。だって、子供のことを考えれば全てやらなきゃいけないんですよ。

 そういう意味では、今、既存の仕組み、NPOとかが頑張っていますけれども、それで越えられない事案があるから。例えばアメリカと日本の間では整理したんですよ、子供のこれは。日本人同士のが整理されていないというのはおかしくないですか、連れ去り事案が。

 これはやはり法律をしっかりと整備すべきなんですよ、子供の権利の確保のためには。そういう認識はないですか、大臣。要らないですか。

田村国務大臣 ですから、重要性は十分にわかっておりますので、そのような環境整備を厚生労働省の立場からはしていくということでございます。

 法律に関しましては、それは委員も御承知のとおり、これはオンで入っていますからね。個人的な話ならばいろいろな話をさせていただきますけれども、オンで入っているところで、なかなか所管でない話というのはしづらいというのは御理解いただけると思います。

 重要性に関しては、十分に我々も認識をさせていただいております。

小熊委員 了解しました。

 では、これは、ぜひその方向性で厚労大臣として関係省庁の所管の大臣と議論を深めていただきたいというふうに思いますし、イクメン議連でこのテーマで大臣を呼んでオフで議論もさせていただこうかなとちょっと今思っていますので、そのときはぜひ前向きな議論をしていきたいなというふうに思っています。

 次に、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案についてに移ります。

 これも結局は子供の話にちょっと行くんですけれども、先ほど言った二十一世紀の縦断調査の中でも、女性がパートさんだったり何だったりすると第一子が生まれにくいというデータもここに出ています。

 では、正規雇用をふやしていけばそれで全て済むのかといえば、全員が正規雇用に行くわけでもないので、そういう意味では、短期労働者がどうあるかということは、まさに出生率にもかかわってくる課題になっているわけであります。ですから、今回の法整備、方向性としては非常にいいところがあるというふうには思います。

 今回の法律をいろいろ見てみると、よかったなという一つの肝が、処遇改善のために、雇い入れ時点に処遇改善の意識改革を求めていく、入り口の部分でそれをしっかり整理するという点は、大きく前進した部分だなというふうに思いますが、この点についてまずお伺いをいたします。

田村国務大臣 雇い入れ時に、雇用管理の改善等についてちゃんと説明をすることとなったわけでありまして、そういう意味では、雇い入れ時にちゃんと、どのような形の雇用契約なのかということも含めてお話をいただく話であります。さらに、説明を求めれば、これは説明をしっかりしなきゃならぬという話でもあります。

 ちなみに、いろいろな、虚偽報告も含めて過料がかかったりでありますとか、場合によっては公表という罰則もあるわけでございますから、そういう意味では、非常に、今委員がおっしゃられたようなことも含めて、パート労働者の方々にも意識を持ってもらう、相談窓口もつくっていただくということでありますから、そのような法律の内容になっておるということであります。

小熊委員 これは非常にいい仕組みだというふうに私は思います。あとは、これは、今言ったように罰則規定もしっかりありますけれども、さはさりながら、なかなかいきなり、用意ドンできれいにスタートできるというものでもありませんから、しっかりとこれが周知徹底、そして各現場現場において実行していくということ、しっかりそれを監督官庁として、取り組みが実際行われていくようにしていくことがこれから求められていくというふうに思います。

 しかしながら、企業の数もいろいろな現場も膨大でありますから、これは、ある意味では人員体制とかもいじらなきゃいけない。でも、今の時代、なかなか省庁の人間をふやすわけにもいかないというところもあるのも事実ですけれども、これを推進していく、そしてしっかり雇用者側の実態を把握していくという意味では、人員体制というのは強化されていますか。大丈夫ですかね。私、していくべきだと思うんですけれども。

石井政府参考人 パートタイム労働対策は、各都道府県に労働局というのがございまして、そこを通じて、現在、周知啓発から、あるいは指導まで行っているところでございます。

 なかなか厳しい定員事情の中ではございますが、やはり今回の法改正というのを機に、また体制整備に向けては、定員の関係について増員要求をしていきたいというふうに考えております。

小熊委員 これは本当にいい仕組みですから、しっかりとこれが運用されていくということが重要ですから、しっかり今後の努力を求めたいなというふうに思います。

 また、一方で、これはパートの話ですけれども、少し話が膨らみますが、いわゆる生産人口ですね。推計でいうと減ってきます、この日本の国というのは。

 過日、経済財政諮問会議の下に「選択する未来」委員会というのができて、これが、今までの議論の中では大変エポックメーキングなことがあったのは、このまま少子化対策が効力がなければここまで減りますよ、効力があればこのぐらいです、さらに、移民を二十万人毎年入れたらこうなりますと、移民という選択肢を、これは別に政府がとるとらないじゃなくて、議論の選択肢としてお示しをしたところでもあります。

 私も、これは、議論していくにはかなり深い議論をしなきゃいけないですし、安直に取り組むわけにもいかないし、さはさりながら、人口が減っていくということに対して、残念ながら、爆発的な少子化対策というのは難しいと思います。また、働き手をふやすという意味では、定年制の延長でありますとか、女性の就労も本当に頑張っているので、大分就業者がふえてはいますけれども、もちろん、女性の社会進出はこれからも応援していかなければいけないんですが、これも、劇的に労働人口が改善されるということはやはり難しいというところです。

 これは本当に、我々、真剣に、党派関係なく、この労働人口、また日本全体の人口をどうしていくかということを考えていかなければならない。がむしゃらに少子化対策もやりながらも、それでも減っていくんですよね、残念ながら。まして、今の団塊ジュニアが、これがまた引退世代に入ってくる二〇四〇年ぐらい、それ以降というのはもうあっという間に多分来ます。これを見据えて、やはりいろいろな制度設計、いろいろな議論を本当に真剣にやっていかなきゃならない。

 そういう意味では、いい意味で大変冒険的な、挑戦的な議論をしたと思います、「選択する未来」委員会は。でも、私は、現実論、賛成とか反対とかという自分の意見は今明確には持っていませんが、移民というのは、やはり日本においてはそう簡単に進む政策選択肢ではないなというふうには思っています。

 そういう中では、できる限り生産性を上げてGDPを保っていかなければ、これは税収にも反映してきますから。ただ、今後の生産労働人口を確保していくというのは、女性の社会進出、定年の延長、既存ではそのぐらいしかないのかもしれませんけれども、改めて、この問題について、今後どう方向性として、今までどおりなのか、まさに「選択する未来」委員会のような、そのぐらいのことまで本当に検討していくのか。その辺の、なかなか言えないと思いますけれども、ちょっと御見解を。

田村国務大臣 なかなか言いづらい御質問が多いものでありますから、どう答えていいのか難しいんですが、外国人という選択からすれば、今も、専門的、技術的な分野、高度な能力を持っておる方々に関しては積極的に国内で御活躍いただこう、そういう方針ではあるわけであります。

 一方で、単純労働に関しては、これは基本的には入れない。ただ、一方で、技能実習制度という、三年間に限って、学んだ技術を自国で将来的に生かしていただくというような形態のものにおいて、外国人の方々にも一定の職種に関しては働いてというか、事実上、労働のような形で、雇用保険にも入っていただいておるわけでありますから、働いていただいておるわけであります。

 そういうような状況の中で、言われたとおり、女性、高齢者、それぞれ就労率を上げるということをすれば、一定程度の年代までは労働人口をある程度保てる。しかし、そこから先はやはり減っていくわけでありますので、外国人をどう考えるかというのは、移民という政策も一つ選択にはあるのかもわかりませんが、教育でありますとか、社会保障もそうでありますし、あと治安的な部分も含めて、なかなかこれは難しい部分があるわけであります。それならば、一定期間、期限を切って、お帰りをいただくというような方策もとり得るのか。

 いろいろなことがありますが、いずれにしても、かなりの数ですからね。今の技能実習制度だとかそういうレベルじゃないぐらいの数が入ってこられないと、日本の労働力として、また、人口減少分を補えない。多分、毎年何十万人というような話だと思うんですが、そう考えると、これはよほど国民的な議論をしないと決定できないことでございます。

 そういう意味では、先般、そのような案が出たというのは、一つ問題提起をしたという意味なんだろうと思いますが、いろいろなことをこれから政府として、今どれだと決めているわけではありませんけれども、国の一定規模の国力というものを維持するためにどのような方策を選択していくのかということは、これから大きな課題として、議論はしていく課題であろうというふうには認識いたしております。

小熊委員 これはやはり政治家の責務として、推計としては、目の前にそういう状況が来るというのは明らかなんですね。少子化だって、本当はもう何十年も前からわかっていた話がこうなってしまっている。年金の破綻や何かにしても、わかっていた話なんですね。でも、ちょいちょい、十年、二十年、三十年先のことだから、真剣に取り組んでいたんでしょうけれども、やはりそれは本当に取り組んでいたかといえば、取り組んでいないし、結果が出ていない。

 人口問題、労働人口問題も、これは今の現時点の数字ではもうわかっている話です。業種によっては、例えば介護士の世界でいえば、もう足りていない。

 あと、ほかに、これは海外のデータですけれども、たしか二〇五〇年ぐらいまでには、世界じゅうで六割の方が都市生活者になるというわけです。そうなると、日本総体の人口もありながら、地方と都市の差が出てくる、人口においても。これももう推計されていることです。

 安直に、えいやと政策をつくるわけにもいかない。時間もかかるし、今大臣言ったとおり、国民的な議論をしなきゃいけない。そういう意味では、今から始めないと間に合わないと思います、しっかりとこういう案件を。国民的議論をして、制度だって、こんな大きな問題ですから、簡単な制度設計でそれが大きく回復するなんてこともないんですよね。

 という意味では、今から始めても、労働人口問題、人口問題というのはもう非常におくれてしまっているんじゃないかな。これは、田村大臣が総理大臣になるころ考えたって間に合わないんですよ。今からもうしっかりやっていかなければいけない。

 そういう意味では、雇用のあり方、先ほどの少子化のあり方を含め、また、大きな観点で人口をどうしていくかということは、大臣言われたとおり、国民的議論をもう始めなきゃいけないんです。その上で、少子化はこうしなきゃいけないですよね、働く形態はこうしなきゃいけないですよねということで国民に語りかけていくことが、さまざまなそういう各論の制度についても認識が深まり、理解が深まっていくことになっていくというふうに思います。

 今後、これは大臣、労働人口問題、また人口問題といったものをしっかりと国民的議論に深めていく、そして、まさに長期の計画にしっかり織り込んでいくことを本気でやらないと、ずるずるずるずると、気づいたらやはり一億人切っていたというのが関の山です。今までも結局は、努力はしたけれども結果が出ていませんから。ここは本気で考えなければ、負のスパイラルに日本はもう陥ってしまっているのかもしれません。

 これは非常に重要な課題です、長期にわたる取り組みにもなりますし。ですから、今からまさに本腰を入れてぜひこの人口問題というのは考えて、対策を打っていくように提言をいたしますけれども、最後に大臣、お願いします。

田村国務大臣 大変重要な問題だと思います。

 これも厚生労働大臣だけの話ではなくて、本当に国を挙げてどうするかということを、厚生労働省を大きく離れた、離れたといっても離れるわけではありませんけれども、さらに大きなところで、これはちょっといろいろな、各省庁連携して議論をしなきゃいけない話なんだろうというふうに思いますが、ここでそれをつくりますと私が言ったところで、私にそんな権限もございませんし。ただ、そういう問題意識があるということは認識をいたしながら、内閣の一員として頑張ってまいりたいというふうに思います。

小熊委員 大臣も選挙区は都会ではなくて地方の方ですけれども、地方では、限界集落とか、山奥のちっちゃい町や村ではもう既にその危機が起きているわけですよ、じわじわじわじわと。将来起きる話じゃなくて、もう今起きている地域もあるわけです。だから、本当にこれは危機として、国家の危機として取り組んでいく。

 そういう意味では、先ほど言った「選択する未来」委員会というのは、もっと早くできていたらよかったんでしょうけれども、それが案を出したことは私も賛否は言いません、今言える立場にないし、自分でもわかりませんけれども、そういう議論を始められたということは非常に重要です。ただ、議論をずっと繰り返していて何にも実行に移さないというのもまずいですし、今言ったとおり、地方においては人口問題というのはもう既に起きている危機ですから、ぜひともこれは政府を挙げてやらなければ、本当に国家の危機ですよ。

 その認識が、残念ながら今、日本全体としてまだ一億人以上いますから、私も含め、国民全体を含め、気づいていないのかもしれません。でも、気づいたらゆでガエルになっていたというわけにはいかないので、これはぜひ、大臣、リーダーシップを発揮して、全政府の取り組みとして今後議論を深め、政策を打ち出していっていただきたいことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 朝からの御審議で大変お疲れだと思いますけれども、少々おつき合いをいただきたいと思います。

 各党からJEEDの問題についてはまた質問もございました。何回もこの委員会でも感想というか述べさせていただいておるわけですが、やはり体質の問題ですね。

 私は医者でございます。医師でございまして、今の社会保障の問題、少子高齢化に伴う医療費の問題を、やはり時代に合った形で医療現場も変わっていかなきゃいけない、そのためには医師会も変わらなきゃいけない、医師会改革は大変重要だなという中で、やはり医師みずからが襟を正していかなきゃいけない、そういう思いで、私は一人の医師から政治の道へ来た。

 国家公務員改革もしかり、独法改革もしかりですが、やはりそういう志を持った人は、恐らく、厚生労働省の中にも、独法の中にもいると思うんですね。そういう方々が排除されるのではなくて、むしろそうやって変わっていくんだと。

 要するに、長らく続いた規制を取っ払って変えていくというのは大変勇気が要ることだとは思うんですが、今現状で言われている岩盤と呼ばれるものは、やはりそういったものを守ろうという意識が働いた結果、なかなか体質が変わらない。要するに、そういったことが続く限り、このような問題は続いていくのかもしれないなというような感想を持っております。

 今国会においても、この後、独立行政法人にかかわる法案や、医療、介護にかかわる法案も出ておりますので、またそのときに質問させていただきたいと思います。

 本日は、次世代育成支援推進法、そして短時間労働者の雇用管理の改善ということの法案でございまして、まず、短時間労働法の改正、そちらの件について御質問させていただきたいと思います。

 現行では、パート労働法は、社員と仕事内容が同じ、社員と同じように転勤や配置がえがある、また契約期間に定めがない、この三要件が当てはまるパートについて、正社員との差別を禁止しております。

 今回の法律案で、三番目の、契約期間に定めがないを削除して、期間に定めがある有期雇用のパートにも対象を広げることとなっております。

 現在、パート職員は二〇一二年で一千四百万人、現行の対象者はそのうち二十万人程度でありますが、今回の改正で約三十万人になり、十万人の待遇が改善される見通しということになっております。

 具体的には、パートを雇う際に、福利厚生施設の使用方法や正社員への転換制度などを説明することや、相談窓口の設置を義務化することなどが新たに盛り込まれております。

 質問が重複するかもしれませんが、今回の差別的取り扱い禁止の対象となるパートタイム労働者が十万人ふえるということですが、労働者総合実態調査によりますと、適用対象となるパートタイム労働者が一・三%から二・一%にふえるにすぎない。改正法の効果は限定的だと思うんですが、それに対する御見解をまずいただきたいと思います。

石井政府参考人 今回の改正によりまして、差別的取り扱いの対象範囲の拡大により、新たに十万人程度のパートタイム労働者について、通常の労働者と同等の待遇が受けられることになると見込んでおります。

 このほか、今回の改正におきましては、雇用管理の措置について労働者が求めずとも雇い入れ時などに説明をするようになることから、事業主は、説明できる合理的な雇用管理を行うこととなります。また、労働者は、これをもとにさらなる説明を求めたり、あるいは交渉を行うことによって、その雇用管理につきましてより納得性が高まるものと思っております。

 さらに、広く短時間労働者の待遇の原則を規定することとしておりますので、こうした考え方の周知を図る、あるいは労使の対話を促進すること等によりまして、より一層パートタイム労働者の均等・均衡待遇が進むことを期待しているところでございます。

中島委員 時代背景によって、パートタイマーのあり方というのは変わってくると思います。

 パートタイム労働法が制定されたのは平成五年、その当時、パートタイム労働者の方々は、子育てが一段落した主婦の方々であったりとか、学生のアルバイト、男性の高齢者などが中心でありましたけれども、その後、日本経済を支える労働力として重要性が高まる一方で、課題も非常に変わってきまして、平成十五年と十九年、その課題に対して改正も行われてきておるということだと思います。

 労働者側から見ますと、自分の都合のいい時間というか、働ける時間に短時間で働くことができて、柔軟で多様な働き方ができるというメリットがある反面で、正社員への就職、転職機会が減少して、やむなくパートタイム労働者としての働き方を選ぶ方もふえているということだと思います。

 柔軟で多様な働き方の一つという面と、正社員になりたいんだけれども、パートタイムにおさまってしまってなかなかそこから抜け出せない、そのような課題だということですが、パートタイム労働関係の相談件数というのがございまして、平成二十四年度は七千四百八十五件、そのうち、労働者側からの相談は一千四百十九件、一方、事業所からは三千六百八十五件と、相談は事業主からの方が倍以上多くなっている。これは、パートタイム労働者の雇用管理について不安を感じている事業所が多いことを示しているんだということだと思います。

 現在、女性の働く環境整備の推進のため、与党内でも、配偶者控除の廃止縮小なども言われていると思います。私も事業主の一人であるので、例えば、働き手の方からやはり百三万円の壁ということで、そのような希望に沿って労働環境を整えて雇用していくという実情もあるわけです。

 このような実態を踏まえていきますと、事業者側への十分な配慮や説明とか、事業主の不安を解消するための、厚生労働省として、各事業所にどのような取り組みというか説明、十分な説明が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のパートタイム労働法の改正案におきましては、まず、差別的取り扱いの禁止の対象となる短時間労働者について、有期契約である場合にも対象を拡大する。それから、パートタイム労働者と通常の労働者の待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないという、全てのパートタイム労働者を対象とした均等・均衡待遇の原則を明記し、さらに、雇い入れ時におきまして、賃金の決定方法などの雇用管理の内容について説明する義務の創設といったような内容を盛り込んでいるものでございます。

 これについて、事業主がきっちり適切に対応していただくことが大変重要でありまして、このため、事業主に対して丁寧な説明そして周知が必要というのはおっしゃるとおりだと思っております。

 法案を成立させていただきました暁には、改正法の施行までに、改正法案の円滑な施行に向けて、その内容をわかりやすく解説したパンフレットの作成や、あるいは、通常、法改正を行いますと、事業主の方を集めまして説明会を開催する、セミナーを開催するといったようなことを行っておりますが、今回も、そういった説明会の開催などによって十分な周知に努めるとともに、事業主や労働者からの相談についても都道府県労働局において丁寧に対応してまいりたいと思っております。

中島委員 配偶者控除の廃止縮小についてここで議論するつもりは全くないんですけれども、今のように、事業主に対して説明、働き手、お互いにということだと思うんですけれども、やはり介護従事者も含めてパートの方が非常に多いわけです。百三万円の壁の中で何とかおさまりたい、では職員会議にも出なくていいとか、いろいろ事業主としては配慮をしているつもりなんですが、後になって、いや、それは差別だったんじゃないかと言われること、そういった不安、抱えていないというより、私自身、実際、今回の改正法で、そうなのかなというふうに思うところもあるわけです。その辺、しっかり誤解がないようにやって、今後、施行後とおっしゃっていましたが、こういうふうになっていく以上、やはり同時進行で進めていただくということをお願いしたいと思います。

 今回の改正案で、パートタイム労働者に対する差別的取り扱い禁止の対象を拡大することには特に異論はございません。今後、少子高齢化が進む中にあって、我が国経済そして地域社会の活力を維持していくために国民各層の幅広い労働参加が不可欠であるという認識は、与野党問わず皆さん思っていることではないかというふうに思います。

 今回の改正案がパートタイム労働市場の整備に十分な効果が期待できるものとなっているのか、今後さらにどのような取り組みを講じるのか、大変重要なことだというふうに思います。大臣の御所見をいただきたいと思います。

田村国務大臣 まずは、この法律、改正案が成立させていただければ、円滑にこれを実施していくということは大変重要であろうというふうに思います。

 その上で、二十六年度、パートタイム労働者の雇用管理の改善等にこの法律の改正において取り組む、そういう企業等々に対して表彰等々をする中において、制度等々の周知も図っていくということもやってまいりたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、今般、取り組みとしては、野心的な取り組み、そこまで言うあれかわかりませんが、はっきりと明記をさせていただいておる部分もございますので、これでかなりパート労働の現場が変わっていただくことを私は期待いたしております。

 確かに、十万人だというようなお話もございましたけれども、これは全く同じ待遇といいますか処遇をされる方々でございますので、言うなれば差別的取り扱いをされない方々。しかし、それ以外にも、やはり均衡待遇という意味では、多くのパートタイム労働者が、その制度の意義も含めて、雇い入れ時に関しましては、雇用管理の改善、こういうものに対しての説明も企業はしなきゃならぬわけでありますから、改めて、パート労働者がみずからの足元をしっかりと認識といいますか、確認できるような、そういうような各企業での取り組みというもの、これをぜひとも我々も期待をさせていただくわけでありますし、それによって、諸般のいろいろな処遇改善も含めて取り組んでいただければありがたいな、このように期待もいたすところであります。

中島委員 施行状況、政策効果をしっかりフォローして、今後の社会情勢、雇用情勢も変わってくることと思います、今後の課題を特定して、必要な制度見直しにまた今後もつなげていただきたいなというふうに思います。

 できるだけ質問が重複しないようにということで、次に、一人親家庭に対する支援策の拡充について御質問させていただきたいと思います。

 母子家庭の母親の多くは就業しておりますが、正規の職員、従業員が約四割、パート、アルバイト、派遣社員が約五割と、非正規の割合が高い現状です。最近では、父子家庭の父親においても非正規の割合が一割と、増加傾向にある。

 これは、ここ最近離婚率は若干下がっているようですが、一人親の問題、そして雇用状況の問題、就業が不安定な一人親家庭がふえている理由、今言ったようなことだと思うんですが、就業が不安定な一人親家庭がふえている要因、大臣はどう分析いたしますか。

田村国務大臣 まず、そもそも非正規雇用というところがふえてきておるということも全体としてあるわけでありますが、あわせて、男性であろうと女性であろうと、当然、一人親でありますから、一人親家庭においては、育児を一人でやりながら、一方で、生活の糧という意味で就労もしていただかなきゃならぬというところでございまして、そうなった場合に、どうしても残業等々もしづらいという環境もあるわけでありまして、そのような意味では、パートというような仕事もしくは残業がないような非正規というような労働をとらざるを得ない、選択せざるを得ないという環境があると思います。

 それからもう一つは、離婚等々で一人親家庭になる、女性の場合はそうなんですけれども、もともと就労されておられなかったという方々もおられますので、そうなりますと、当然のごとく、一定の年齢になられて新しく働く、手に職でもあられればまた別のところもあるんでしょうけれども、どうしても非正規の雇用というものにならざるを得ない、そういう環境もあるわけでございまして、そのような状況のもとで、どうしても非正規が多いというふうな認識を私は持っております。

中島委員 おっしゃるとおりで、一人親の方、子育てをしながら働くというのは大変なことだと思います。残業ができなかったり、安定した職につけない。そういう意味からいきますと、一人親の就業、自立を促進するのであれば、働き方の改革を含めた労働環境の改善が不可欠ということになるのではないかというふうに思います。

 ちょっと時間もございませんので、きょう一番聞きたかったことなんですが、一人親世帯の増加、また雇用状況の悪化などで、子供の貧困率が一五・七%に達して、六人に一人の子が貧困家庭で育っている。そのような背景をもとに、昨年の六月、まさにこの厚生労働委員会で子ども貧困対策法が成立をした。私も国会議員になって一年余りですが、昨年のプログラム法の強行採決よりも、最も印象に残っているのが、その子供貧困対策。ここで全党の方が賛成をして、山井先生いなくなってしまいましたが、その趣旨説明、本当に胸が熱くなる思いで、私も、そのことがあってから、地元の乳児院や養護施設等を外来をしながら、そういう目で見ていくというふうなことで、大変今後の状況を注目しておるわけです。

 実は二月中には閣僚会議を開くというふうに言われておったわけですが、いまだ開かれていない。現在の進捗状況、また今後の予定について、どのようになっているのかお尋ねいたします。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年六月に成立をいたしました子どもの貧困対策の推進に関する法律は、本年一月十七日に施行されたところでございます。

 子供の貧困対策として、厚生労働省では、一人親家庭への支援や生活困窮家庭への支援などを行っているところでございまして、特に平成二十六年度におきましては、一人親家庭の子供への学習支援、一人親への就業支援などの事業の拡充を図るとともに、これらの支援を適切に組み合わせ、総合的な支援を行うための相談窓口の整備を図ることとしております。

 また、生活保護の手前の段階にある生活困窮家庭については、昨年十二月に成立をしました生活困窮者自立支援法の平成二十七年度の法施行に向け、モデル事業を実施しているところでございます。

 子どもの貧困対策の推進に関する法律でございますが、貧困対策を総合的に推進するため、基本的な方針、あるいは教育の支援、生活の支援、保護者に対する就労の支援、経済的支援等について、政府が大綱を策定することとされております。今後、内閣府、文部科学省とも連携をして、この大綱の策定に取り組んでいきたいというところでございます。

中島委員 その大綱の策定、ことし八月の来年度の概算要求には必ず盛り込んでもらわないといけないことだと思うんです。なぜなら、そのために全党が一致して子ども貧困対策法をつくったわけです。

 言うまでもございません。今、少子化対策とか言われておりますが、現時点で、貧困家庭で育つ子供たちの状況が日々悪化していく可能性もあるわけです。一人親となった原因はともかく、子供には何の罪もない。このことは、昨年六月、多くの皆さんと共有したことだと思います。次世代を担う子供たちを守るために、貧困の連鎖は何があっても断ち切らなきゃいけない。きめ細かい、迅速な対策が必要だと思うんです。

 これは、やはりこの厚生労働委員会で成立したものですから、今、内閣府ということになっておるのかもしれませんが、厚生行政のトップとして、田村大臣には何としても指導力を持って取り組んでいただかなければいけないことだと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

田村国務大臣 これは大変重要な問題、課題であります。大綱ができれば、都道府県で貧困対策の計画をつくっていただく、これは努力義務であったと思いますけれども、そのようなこともあるわけでありまして、それぞれの地域でしっかりとした貧困対策、これもやっていただかなきゃならぬわけであります。

 今、一人親という観点からすれば、やはり就労というものが、今も言われました非正規という形の中で働かれて、どうしても収入がふえない。これは非常に大きな貧困の要因にもなるわけであります。そういう意味では、高等職業訓練促進給付金というものがございます。これは非常にいい制度でありまして、例えば、資格を取るのに二年間、場合によっては生活支援給付金を受けながらこれを学んで、そして就労につなげられるというようなものでございます。

 あと、子供の相談支援それから学習支援、これも、一人親に関しましては、ピアサポート方式というような形で、このようなものも対応を考えておるわけであります。

 いずれにいたしましても、都道府県のお力もおかりをしなきゃならぬわけでありまして、総合的な対応、体制整備、こういうものもしっかりやっていただかなきゃならぬという中において、国もしっかりとサポートさせていただきながら、子供の貧困対策、これに進んでまいりたい、このように考えております。

中島委員 時間ですので終わりますけれども、要するに、今の言葉だけではなくて、実際に閣僚会議は開かれていないわけです。早期に、もう三月も終わりです、八月の概算要求には何としてもその大綱を反映させたものでなければいけないんです。ぜひ、大臣、お約束していただきたいと思います。早急に大綱を作成して、来年度の概算要求に必ず盛り込むとお約束していただきたいと思います。

田村国務大臣 これは、やらなければならないことでありますので、やります。今現在、日程の調整中でございます。

中島委員 やりますといただきましたので、これで質問を終わります。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 本日は、次世代育成支援対策推進法初め、数々の法律が審議の対象となっておりますので、一つ一つ順番に質疑をさせていただきます。

 まず、申し上げました、この次世代育成支援対策推進法であります。

 従業員百一名以上の企業は、子育て世代が働きやすい職場環境に変えるための行動計画の提出が求められ、そして、その行動計画の策定と目標達成など、一定以上の基準を満たした企業にはくるみんマークというものの表示が許される、こういう仕組みであります。

 私は、大変いい仕組みだな、これを十年間延長するという法律であれば賛成したいなというふうには思っておりますが、であるからこそ、少し怒っていることがあるわけです。

 一点目なんですけれども、そもそも、このくるみんマーク、先ほど来ほかの党の議員さんの質疑にもありましたけれども、余りにも認知度が低過ぎるのではないか。よく十年間もこの認知度のレベルで放っておいたな、これは笑い事でなくて、私は本当に怒っているんです。やる気があるのかなというふうに思うわけでありますが、まずお答えをいただきたいと思います。

田村国務大臣 先ほど来もお答えしておるんですが、人事担当者は八割知っているんですけれども、三菱リサーチ&コンサルティングの調査なんか見ますと、普通の従業員対象調査では、くるみんを知っている、男性正社員六・三%、女性正社員一一・七%。さらに大学生、専門学校生へのアンケートでは、男性九%、女性は三四%ということでありまして、言われるとおり、十年やってきてこれぐらいの認知度なのかということは、我々も反省しなければならぬというふうに思います。

 先ほど来もお答えいたしておりますけれども、どうすれば認知度が上がるのか、これはちょっと検討しなきゃなりませんが、今般、新しいくるみん制度、新しい認定制度、こういうものをつくるに当たっては、大々的に、認定式でありますとか、またPR、いろいろなキャラクター、ゆるキャラとコラボというのがあるのかどうかわかりませんが、何か話題になるような、そういう仕掛けをしながら、少しでも知名度が上げられるように努力してまいりたい、このように思っております。

井坂委員 反省しているというふうにおっしゃるわけですが、大臣の今の御答弁でも、私、やはりおかしいなと思うのは、企業の人事部では認知度が高かった、こういうことを最初におっしゃるわけです。でも、普通の政策だったらそういう認知度もいいと思うんですが、この政策の本当のスキームというか、これがどう世の中に働きかけていくのかということを真面目に考えれば考えるほど、企業の人事部がこのマークを知っていたって、政策のためにほとんど役に立たないと思うわけです。

 最後の方におっしゃった、例えば学生さんがこのマークの意味を知っていて、このマークを掲げている会社だったらいい学生さんがたくさん集まってくるであるとか、あるいは、一般企業の正社員に限らず、むしろ消費者の方々がこのマークを知っていて、このマークの会社の製品だったら、マークのついていない会社の製品よりも応援したいからこっちを買おうとか、ここまでなってきて初めて、このマークを掲げる企業側の意味が出てくるというふうに思うんですね。

 具体的にどうやって認知度を上げていくか。キャンペーンとか、いろいろ大事だと思いますが、私は、このくるみんマークの本当に認知度を上げる最大の方法は、やはり、一社でも多くの企業がこのマークを率先してとっていただき、そして誇らしげに掲げていただく、それで、その企業自身が、このマークはこういう意味なんですよ、うちの会社はこういういいことをやってこのマークをもらえたんですよということを各会社が宣伝していただくのが、もう本当に百倍、千倍早いというふうに思うわけであります。

 ですから、企業にいかにこのマークをとるメリットを感じていただくかということがまず死活的に大事。それで、企業も含めて、もちろん厚労省も含めて、このマークを本当に一般消費者にまで周知徹底をして、それがちゃんとその企業の利益につながるという状況をつくっていく、認知度を上げていく、ここが本当に大事だというふうに思うわけであります。

 企業のニーズということでお伺いをいたしますが、いわゆるくるみん税制ということで、メリットがあるんだよというふうに説明をされておられますが、実際、本当に企業がこれにメリットを感じているのか、企業のニーズ調査をされたのか、二十三年度と二十四年度で、いわゆるくるみん税制のメリットの適用を受けた企業数はどのぐらいなのか、お伺いをいたします。

石井政府参考人 まず、くるみん税制でございますが、これは平成二十三年度から創設されたものでございます。このくるみん税制について直接的なニーズ調査は行っておりませんが、事業主団体、これは日本商工会議所でございますが、からの税制改正要望や、また、私ども、企業に対してアンケートを実施いたしておりまして、その中で、現行のくるみん税制の拡充を求める声が上がってきております。

 くるみん税制の適用を受けた企業でございますが、平成二十三年度では、初年度でございますが、十八件でとどまっておりましたが、二十四年度では三十五件でございます。これは、適用を受ける要件として、その年度でくるみんマークをとったということでありまして、実際、その適用割合という観点で見たときに、二十三年度は約五%、それが二十四年度が約八%でございますので、若干は広がっているかなというふうに思っております。ただ、まだ十分ではないと思っております。

井坂委員 十八件、それから三十五件ですか。実際、マークをとったうちの、本当に五%とか八%という数であります。これはやはりメリットになっていないと率直に思うんですね。そのメリットが欲しくてマークをとるんだったら五や八で終わるはずがなくて、むしろ、何か、マークをとったら、ついでにこういう税制の適用も受けた企業が五や八いたぐらいの低い数字ではないかというふうに思うわけであります。

 税制の拡充の要望もあるというふうに聞いております。もちろん、本当に企業のニーズに合った税制メリットを提示することはとても大事だというふうに思います。

 また、税制の話に限らず、ちょっと一問順番を変えますけれども、このくるみんマーク取得のメリットを高めるという観点から、例えば、マーク取得企業を補助金の受給要件に入れるような補助金も幾つか用意してみるであるとか、あるいは、地方自治体の入札要件なんかでよくある話でありますが、公共入札の要件に、一定ランク以上の入札をしようと思ったら、くるみんマークもとっていることというような要件を入れる、いろいろやり方はあると思うわけでありますが、こういったことを考えられないかどうか、お伺いをいたします。

田村国務大臣 くるみんマークをつけていただいた、それをつけたこと自体が世の中で評価されるというのが本質的な、我々としては望むべき姿でありますが、そうはいっても、やはりインセンティブというものを一つ掲げながら、なるべく多くの企業にこのくるみんマーク認定制度を、認定をいただきたいという思いでありまして、そこで今回、税制の拡充も含めていろいろと議論をさせていただいているわけであります。

 あわせて、今言われた入札制度の参加でありますとか、あとは補助金等々、助成、こういうものに関しても、全ては多分無理なんだろうと思いますけれども、これとかかわるものに関してそういうものが導入できないかということも含めて、検討をさせていただきたいというふうに思います。

井坂委員 例えば入札要件なんかは、環境基準を満たしているとか、そういった要件が入っていることは本当に珍しくないと思うんです。同じように、子育て世代の労働環境に大変気を使っている企業であるということもやはり要件に入れる。全然おかしくないと思いますので、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 また、本質的には、世の中に認知されて、別にそういう経済的メリットがなくてもマークを掲げることが会社の発展につながるんだ、そういうサイクルに行くのがもちろん望ましいと思うわけでありますが、しかし、私から見れば、残念ながら、そういういわゆる好循環、いいサイクルには全くこの十年間入ってこなかったのがくるみんの制度だと思っているんですね。

 お伺いいたしますが、このくるみんマークを取得している企業が、現在で約千七百社、そして、目標数として来年までに二千程度というふうに事前には伺ってまいりました。これまた余りにも低い目標設定ではないかと思うわけでありますが、いかがでしょうか。

土屋副大臣 おっしゃるとおり、二千社というのは私が考えても非常に少ないかなと思いますが、当初、次世代法が企業において一般事業主行動計画策定の義務づけとあわせて認定制度を設けたときでありまして、初めての取り組みということで、実現可能性のある数値として設定した、非常に消極的であったかなと思うところでございます。

 さらに、これから十年、このくるみんを推進していくわけですけれども、今後は、両立支援を目指すくるみん認定企業や、さらに高い水準の両立支援の取り組みを行う企業を飛躍的に増加させていくことがミッションだと考えておりますので、いろいろな施策とあわせて徹底的に推進するとともに、目標設定もある程度高いものにしていきたいと考えております。

井坂委員 目標設定はある程度高い水準にというお答えでありますが、もう少し具体的に、本気でやるならどれぐらいの目標にしなければいけないのかということについて議論をしたいというふうに思います。

 現在、この計画策定済みの、いわゆる百一人以上従業員がいる企業というのが四万二千社あるというふうに伺っておりますので、そのうちの千七百社というのは四%。つまり、計画は、これは義務ですから、もうほとんどの企業は出しておられる。ただ、計画を出して、さらにくるみんマークをもらえるぐらい頑張っている、くるみんマーク欲しいといって頑張った企業は、現状四%しかいないということであります。

 ここでお伺いをするわけでありますが、一方で、政府は成長戦略の中で、二〇二〇年には男性の育児休業取得率を一三%にするという目標を掲げておられます。これを真面目に考えると、仮に、大企業に限りますけれども、それでも、企業の中の一三%の企業がくるみんマークをとったとして、そこの男性社員さん全員がきちんと育児休業をとって、そこまでやって初めて、世の中の男性の一三%が育休をとりました、大ざっぱに言うとこういうことになると思うんですね。

 実際は、くるみんマークをとっている企業の男性社員が、子育てのときはきちんと全員育児休業をとるなんてあり得ないですから、実際のことを考えると、恐らく、三〇%とか四〇%の企業がくるみんマークをとって、その中の男性社員の半分近くは育休をちゃんととる、こういう世の中になって初めて、二〇二〇年、育休をとる男性が一三%ということが実現をされるわけであります。

 くるみんマークをとるのが三割、四割当たり前、そこまでなれば、そこらの大手企業の皆さんが、うちはとっていますよとそこらじゅうでアピールしてくれるわけですから、経済メリットがなくたって掲げていることがまさにメリットなんだ、こういう好循環に入るわけでありますが、現状四%しかとっていない、では、もう少し高く設定しますとおっしゃいますが、この二〇二〇年の一三%、ここに真面目に照らせば、二〇二〇年ごろには、くるみんマーク、三割、四割とっているのが当たり前ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

石井政府参考人 議員の御指摘、かなりロジカルで、私も本当に、一三%目標、これを実現できるということから、演繹的な形で目標を設定していくことが必要だろうと思っております。

 これはまた、法案を成立させていただきました暁には、どういう形でやっていったらいいのか、特に男性の育児休業取得というのは、本委員会を通じましても皆様から、もっとやれ、しっかりやれというふうに御指摘いただいておりますので、具体的な計画のようなものをつくって取り組んでいくことが必要かなというふうに思っております。

井坂委員 十年延長、いいと思うんです。

 本当に、申し上げたように、三割、四割の企業がとって、マークは目的じゃないですから、各企業の中でちゃんとそういう職場環境をつくってくださって、育休をとりたければとれる、こういう環境になればなと本気で思うわけでありますが、やはり今回、いいなと思っている政策だからこそ苦言を呈すわけですが、本当にこの政策をつくって、狙っている効果が出ているのか出ていないのか、気にならないのかなと思うんですよ。

 厚生労働省の職員さん、大臣も含めて、政策というのは、これはやはり大事な大事な新商品だと思います。この政策が世に出て、本当に広まって機能したら世の中がこれだけよくなるんだ、だからやるんだと思って、一生懸命政策をつくって世に出されているというふうに思います。我々議員も、そこを、だから一生懸命、出された原案の政策がさらによくなるように、この国会で議論をするわけであります。

 ところが、政策をつくったらつくりっ放しで、もう十年間、私から見ればですよ、いろいろされたとおっしゃるかもしれないけれども、ほったらかしで、効果も出たのか出ないのか、測定すらまともにされていないのではないか。この効果測定、実際どのようにされているのか、お伺いをしたいと思います。

石井政府参考人 次世代育成支援対策は、この法律単独というよりも、育児・介護休業法や育児休業給付の充実などの制度改正とか、あるいは待機児童の解消、子育て支援の充実など、複数の側面を持つものだと思っております。

 次世代法は、これら複数の側面について、国、自治体、企業のおのおのが計画的、集中的に体制を整備して進めていくという性質のものでございまして、この次世代法単独での効果を示すのが、なかなか、私ども、効果検証研究会も開きましたが、難しさを伴っていたということでございます。他の政策と相まって一定の効果が進む、そういう形で評価をしていくことになるのかなというふうに思っております。

 次世代法の計画策定、届け出の義務なんですが、これは現在、ここは胸を張って言いたいと思うんですが、義務づけの対象の企業の九八%の企業が、この次世代のための計画を策定して都道府県労働局に届けてくださっている。これは、実は、当初想定した以上の提出率だろうと思っております。これだけ日本の企業におきましても次世代対策の重要性について一定の理解をする、そういう形になった、これは私は評価をできる点だと思っております。

 その上で、具体的な成果というところも問われてくるわけでございますが、やはり企業における両立支援制度、これまで国の義務づけの制度しかないものをもっと上乗せの制度をするとか、そういう動きが非常に見られまして、その利用の促進も図られております。やはり次世代計画の中に位置づけて、周知という項目がよく挙がっておりまして、それによって利用の促進が進んだということだろうと思います。

 それから、その結果だと思いますが、低いと言われながらも、男性の育児休業取得率、この法律の制定前はわずか〇・五%でございました。希少生物並みの少なさだったわけでございますが、それが一応、数字として単数が立つ程度にはなってきた。女性の育休取得率も、実は当時はまだ七割だったのが今は八割になっているというふうな、実際の数字はあらわれているというふうに思っております。

 効果検証研究会での成果といいますかアンケートの中で、これはいろいろアンケートを行ったわけでございますが、やはり一般事業主行動計画の策定を契機として、制度整備の促進、従業員についても制度の認知度が向上したということ、それから社会全体に対する意識が向上した、そういうアンケート結果が出ております。

 さらには、認定取得企業とそれから取得していない企業、これを比較いたしました。

 比較いたしますと、当然でございますが、男性の育児休業取得の促進が図られている。特に、認定をとった企業は、二人目、三人目と男性の育児休業取得につながっている。それから、計画の策定回数がかさむにつれ、その数字もよくなってきている。それから、出産、育児を理由とした退職者の減少も出てきている。女性の勤続年数が伸びている、あるいは、男性、女性従業員の制度の利用促進、学生、顧客、社会全般に対するイメージアップに効果があったと評価する声が出てきております。

 さらには、具体的な数値として、これは数量経済で分析をしてもらいましたが、認定取得企業と未認定企業と比較しまして、女性の離職率は二・七%低いという成果が出てきているところでございます。

 今後とも、その辺の効果検証について、よくよく念頭に置きながら政策を推進してまいりたいと考えております。

井坂委員 一番最後のを除くと、やはり定性的なお話になってしまうのかな、なかなか定量的な検証というのは確かに難しいんだろうというふうには思うんです。ただ、私も、いろいろ長年行政評価のこととかをやってきておりまして、いろいろな複合的な要素が絡むことであっても、やはり工夫をすれば定量的な評価は可能だというふうに思っております。

 特に、計画を提出している企業の率が本当に九十何%だ、それはいいことだと思うんですけれども、ただ、やはり今後、くるみんからさらにプラチナくるみんという二段階上のランクをつくるに当たって、計画提出というのはいわば義務なので、これはもう、言うならば、むしろ一〇〇%が当たり前に近いような話でも一方であるわけですよね。そうじゃなくて、計画提出だけじゃなくて、ちゃんとくるみんの方にいってくれる企業をどうやって目標を掲げてふやしていくのか、さらには、プラチナくるみんまでやってくれる企業を、どうやって目標を掲げて達成していくのか。

 これは、効果測定のやり方も、いわゆるアウトカム指標みたいなやり方だけじゃなくて、まさに目標管理のやり方で、みずからちゃんと成長戦略と整合性のある目標を掲げて、それが本当に達成できているのか、できていないのかということを測定していく、こういうやり方もあるというふうに思います。

 この法律に関しては、私は十年継続に賛成ですから、逆に、きょう大分細かいこと、厳しいことも申し上げましたけれども、次の十年は本当に効果の出る、あと六年たったら、おっしゃった希少生物が一三%、その辺にうろうろいるようなものにするとおっしゃっているんですから、ぜひそこを目指してやっていただきたいというふうに思います。

 あと、時間の限り、母子及び寡婦福祉法、それからパート労働者の雇用管理改善法について伺ってまいります。

 まず、母子及び寡婦福祉法についてであります。

 端的にお伺いいたしますが、不正受給がちゃんと摘発できているのかという問題であります。この仕組み自体は私はいいと思いますが、当然、いい仕組みだからこそ、不正受給などあってはならない、こういう話であります。

 そこで、悪意か善意かを問わず、再婚だったり、事実婚、同棲だったり、こういった理由で不正受給になって停止及び返還を求めた事例というのは、ここ数年で何件ずつあるのか、まず事実からお伺いいたします。

土屋副大臣 平成二十四年度に国が指導監査を行った百十自治体の実績によると、父母の婚姻や事実婚による過払い件数の受給者全体に占める割合は、平成二十三年度実績で〇・一%となっております。

井坂委員 〇・一%ということですが、実際の件数を見ますと、これは、たまたま生活保護の不正受給が問題になった時期に合わせて母子寡婦のこともお調べになったんだというふうに伺っておりますが、百十の自治体で調べた結果、私が申し上げたようなタイプの不正受給は九十件だったということであります。

 百十の自治体で九十件不正受給があったということは、一自治体、一つの市で一人いるかいないかだったということでありますが、これは、私の生活実感からして、にわかには信じがたいぐらい少ない摘発の件数ではないかと思います。

 この、摘発できている件数が少な過ぎるのではないかという私の捉え方に対して、大臣、いかがですか。百十の自治体で九十件しか実際摘発できていないわけでありますが、少ないと思いませんか。

田村国務大臣 地域によってもいろいろあるのであろうというふうに思いますので、この数字自体をもって多い少ないという判断を下すわけではありませんが、地域によっては多いというようなお話をお聞きすることもあるわけであります。

 いずれにいたしましても、不適正な中で受給いただいておったのでは困るわけでありまして、しっかりとこれからも対応させていただかなきゃならぬというふうに思います。

井坂委員 実際、不正受給をどのような方法でチェックしておられるのか、お伺いをいたします。

石井政府参考人 児童扶養手当の適正受給につきましては、支給認定を行う都道府県、市などに請求があったときのみならず、その後も定期的に、毎年八月が現況届を提出いただく時期でございますから、その際に、例えば、戸籍謄本や住民票など必要な書類の提出を求めるとともに、全員に現況に関する聞き取り調査を実施し、さらに、必要に応じて現地調査を実施するなどにより、受給資格の有無について確認を行っているところでございます。

 今後ともこれらの取り組みを徹底してまいりたい、かように考えております。

井坂委員 書類や聞き取りでは、これは本人の話ですから、やはり現地調査ということに尽きるんだというふうに思います。

 私も、本当に近所で、あそこは不正受給なんじゃないかとか、やはり時々聞きますから、少なくとも、一自治体に一人しかいないなんという、こんな件数ではおさまらないというふうに私は思っております。

 いろいろ大変だとは思いますけれども、やはりこういった制度は、生活保護のときもそうでしたけれども、不正受給が一たび問題になったら、制度そのものの信頼性が問われ、本当に必要として法律にのっとって受け取っている方までが肩身の狭い思いをする話でありますから、不正受給対策、現地調査をもっと本気でやるということをよろしくお願いいたします。

 最後に、パート労働者の雇用管理改善法についてお伺いをいたします。

 これまでは、通常の労働者と仕事の内容が一緒で、それから人材活用の仕組みが一緒で、さらに無期労働契約を結んでいる、この三点がそろったパートの方は、いわゆる通常の社員の方と同一労働同一賃金がされる。ここで一つ今回は要件が緩和されて、無期労働契約を結んでいなくても適用しますよという話であります。

 一歩前進かなというふうに思うわけでありますが、では、実際の対象者はどれぐらいふえたのかなということでお尋ねをいたしますと、対象者はもともとわずか一・三%だった、それが今回の緩和によって二・一%にふえた、こういう話であります。

 一歩前進と言うには大変物足りない、〇・八%前進ということでありますが、当然、ここで終わりの政策ではないでしょうから、今後、こういうパートと通常の社員の方の不当な賃金格差をなくすという取り組み、では、次は五%、一〇%、二〇%、対象者を目指していくんでしょうから、次なる一手についてどう考えておられるか、お伺いをいたします。

田村国務大臣 評価といいますか、まず、職務というものがあります。職務が同じであるということとあわせて、今言われました人材活用の仕組み、これは先ほど来もお話しさせていただいておったんですけれども、例えば、御自身のワーク・ライフ・バランスを考えられる方は、この時間できちきちとという方もおられれば、一定の残業を許容されて働かれるような雇用形態の方々もおられるわけでありまして、そこはおのずと評価が違ってくるわけであります。

 ですから、今般、人材活用の仕組みまで一緒で、さらに、今までは無期でなければならなかった、ただ時間だけが通常の方よりも短い、こういうような方は同じ扱いだ、不利益取り扱いはだめだという話であったのを、有期もというのは、これは一歩前進だというふうに思います。

 ただ、人材活用の仕組みの違う方々に関しては、これは不利益取り扱いが同じようにというわけにはなかなかいかないわけでありまして、そこは、やはり一定程度、均衡、多様な働き方との均衡という、通常の働き方と均衡、こういう部分であります。

 そこも、もう一歩踏み込む中において、多様な働き方ではありますけれども、通常の労働の方と、要は、今言った職務でありますとか人材活用の仕組みでありますとか、こういうものを鑑みて、要するに不合理な理由で、差をつけないというような、そこを勘案しながら扱わなきゃならぬわけでありまして、そういう意味では、均等と均衡待遇という意味では、これを確保するのにやはり一歩前進であったというふうに、我々はこの内容を思っております。

 あわせて、雇い入れ時に雇用管理の改善に関して説明を義務づけたわけでありますし、さらには過料というような、これは報告義務違反に対しては過料、さらには大臣の……(井坂委員「二・一%で打ちどめなんですかということ」と呼ぶ)とりあえず今はそういうことでありまして、その部分はもう、要するに均衡でありますから、次は、均等のところをちゃんと、均等の比率といいますか、パート労働者と通常労働者の間の均等がとれているような、それがちゃんと実現できるように、我々も、周知徹底を初め、企業等々にしっかり指導をしていくということであります。

井坂委員 時間が参りました。一言だけ。

 一歩前進はそうなんですが、ただ、全体の二・一%が今回その対象になるというのは、これはもう余りにも少ない。全員が全員そうなるべきとは全く思わないですが、ただ、もっとここの適用の範囲が広がって、パートから通常雇用、通常雇用からパート、こういう行き来もよりしやすくなってということを私はやはり願っておりますので、また一般質疑等々も含めて、引き続きさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございます。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 まず最初に、午前から大分取り上げられておりましたけれども、ベビーシッターのマッチングサイトを利用した事件について質問したいと思います。

 そもそも、この事件をベビーシッターの事件と呼ぶのがふさわしいのかどうかということもありますよね。そもそも利用者の居宅訪問型ではないということでありますし、自分の部屋を保育室と呼んでいた、そういうこともあるわけであります。

 実際に、規制がないとはいえ、人の命を預かるわけですから、ベビーシッターをやっている方たちは、いわゆるネットでうたっているように、急に頼まれたら急に受けられますよなんてことはあり得ないんだ、前日に頼まれても無理ですと。あるいは、親とちゃんと面接をして、シッターとも面談の上仕事を受けているんだ、そういうことをやっているのに、何か一概にベビーシッターという形になっているということでは非常に迷惑している、そういう声もあるわけであります。

 ですから、まず実態把握というのが非常に大事になってくるわけですが、このマッチングサイトというのは、ここ数年、単に今始まったものではなくて、非常に話題となっておりました。厚労省として把握をしているか、また、どのような対策を考えているか、まず、大臣にお願いします。

田村国務大臣 今回の痛ましい事件でありますが、ベビーシッターというのは、多分、委員おっしゃられるのは、家に行ってシッターをやるというイメージだと思いますが、家庭的保育という、家庭的じゃないのでその名前を使うのも嫌なんですけれども、どちらかというと、形態としては、保育室のようなものをみずから借りて、そこで保育まがいのことをやられたということでありますから、言われている意味、ちゃんと言葉の定義を使いながら、今回のものをどう評価するのかといいますか、どのように調査をしていくのかということをやらなきゃならぬと思います。

 まずは、実態調査もそうなんですけれども、ちゃんと注意喚起もやっていかなきゃならぬということでございまして、これは利用者への注意喚起、それからインターネットの仲介者に対しての対応ということでございまして、あわせて、類似の業態というものも調査をしなきゃならぬということでありまして、この三点セットをまず今やらせていただいております。

 あわせて、自治体でありますとか、それから、もちろんその関連の業種の方々でありますとか、インターネットを使っているサイト、こういうところもしっかりと協力をいただきながら、全体、どのような利用実態があるのか、どういう問題があるのか、こういうところも含めて、早急に調査をさせていただきたい。あわせて、できるところからしっかり対応をさせていただきたい、このように考えております。

高橋(千)委員 先ほど来の議論の中で、四月の半ばに調査の結果が出てくるみたいな議論があったと思うんですが、まず、そこは違うと思うんですね。

 これは二十四日に厚労省が自治体に向けて発出した調査ですけれども、認可外保育施設その他の子供を預かる施設、事業に関する調査、これを依頼しております。これについては、どういう中身かといいますと、二十四日に発出して、三十一日までに返事をよこせと。それは、把握する仕組みがまずあるかどうか。児童福祉法施行規則第四十九条の二において定めている届け出対象外の認可外施設を、自治体として、届け出義務はないけれども届け出をしているか、あるいは、そういう施設を把握しているとすればどのような方法で。

 ですから、まず、実際、実態を少しでもつかんでいるかどうかということがわかるだけの話であって、四月になったらかなりわかってくるということではないということをまず一つ指摘しておかなければならないと思うんですね。

 そうした中で、そうはいっても、預け先がなく、せっぱ詰まった利用者がたくさんいらっしゃるわけです。けさの朝日新聞でも、「危険を承知で使わざるを得ない状況を知ってほしい」とか「マッチングサイトはなくてはならない存在」という声を紹介しています。

 先ほど大臣が答弁の中でおっしゃいましたけれども、十九日に、「ベビーシッターなどを利用するときの留意点」という広報を発表しましたね。これは多分ネットに上げるんだと思うんですが、利用者に対して、まずは情報収集をということで、協会、団体がありますから、そこのサイトを紹介したりとか、事前に面接しなさいとか、連絡先は確認しておきなさい、誰か名前も知らない人に預けちゃだめよと。言われると、当たり前だよね、わかっているよねという声が聞こえてきそうな気がするわけなんですね。

 わかっているけれどもやっているということを言っているわけですから、真っ先に、まずネットを開いたら、そういうところにつながらない、その前に、自治体や保育関係者による相談窓口がまず開かれている、そこにちゃんと結びつけられる体制を、ネットワークを早急につくる必要があると思うんですが、いかがでしょうか。

赤石大臣政務官 お答え申し上げます。

 先日公表しました「ベビーシッターなどを利用するときの留意点」につきましては、厚生労働省ホームページに掲載するだけではなくて、厚生労働省ツイッターによる呼びかけ、地方自治体への通知、消費者庁と連携したメールによる情報発信、インターネット仲介サイト運営者に対する掲載要請、また、全国保育サービス協会のホームページとのリンク等、さまざまな方法で広報しているところであります。

 留意点の中で、利用者に向けて、一時預かりが必要な場合や一人親へのさまざまな支援が必要となる場合は、ベビーシッターの利用に限らず市町村に相談するよう呼びかけ、地方自治体に対しても、留意点について広く地域住民の方への周知を依頼するとともに、窓口における必要な支援を要請しているところであります。

 なお、二十五年度補正予算の中で利用者支援事業を創設し、二十七年度から施行予定の子ども・子育て支援制度においても、地域子ども・子育て支援事業の一つとして、その普及を図ることとしております。

 以上です。

高橋(千)委員 聞いたことに答えていないと思うんですが。

 周知方法をネットにやるんでしょうということを言っているんですから、詳しくそこを説明してくださる必要はないわけであります。ただ、そういう関係者との窓口についてはやってくださるということだと思って、続けていきたいと思うんです。

 大臣が、記者会見の中で、新制度になれば、一定の基準を満たせば、認可を受ければ補助金が出るという対象になるわけですよね、居宅訪問型保育というのは。ベビーシッターの場合はですよ。ただ、それでは届け出しないところがあるじゃないか、そういう議論がまず一つあります。

 ただ、そういう人たちが参入して、本当に受け皿となり得るのかということをまず考えてみたい。要するに、必要な人たち、せっぱ詰まった人たちに対して受け皿としてできるのかということでまず考えてみたいんですけれども、ベビーシッターの場合のいわゆる認可を受ける場合の要件、補助基準、単価、どのような内容になるんでしょうか。簡潔にお願いします。

石井政府参考人 まず、子ども・子育て支援新制度では、御指摘のとおり、一定の基準を満たした上で、居宅訪問型保育事業として市町村の認可を得たベビーシッターについて、地域型保育給付の対象にすることとしております。

 居宅訪問型保育事業の保育者でございますが、保育士または保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村が認める者であることとし、それぞれ必要な研修の修了を求めることとしております。

 具体的な研修内容につきましては、現在、全国保育サービス協会が実施している認定研修の内容などを踏まえながら、事業の特性に応じて求められる専門性を習得するのに必要と考えられる内容について、今後、検討していくこととしております。

 また、新制度における地域型保育給付の公定価格については、現在、子ども・子育て会議において議論をしているところでございますけれども、居宅訪問型保育事業については、保育者の人件費、そして、保育者と保護者をつなぐコーディネート経費などの管理経費などを中心とする方向で検討されているところでございます。

高橋(千)委員 まず、次の質問の前に、一言今の関連で聞きますけれども、保育士または同等といった場合に、単純に研修を一定受けたからいいよということではなくて、例えば看護師さんですとか福祉士ですとか、さまざまな関係の資格というものがあるんですけれども、そういうことを意味しているのかということをまず一つ確認したい。

 それで、居宅型の場合の配置基準というのは一対一と言われているわけなんです。当然なんですね、訪問するから一対一だ。これをどう見るかということでは、一人でも開業が可能になる。それでは、一体どれだけお金を出すんですかと考えたら、一番高いですよ、コスト的には。それをまずどう見るかということと、だからといって、それが手厚いという意味ではないわけです。

 それはなぜかというと、集団の中でいろいろな目があって、見落としがちなところをみんなで補い合っている環境と違って、密室ですから、そういう意味では、安全性の確保ということでは非常に心配があるわけです。そこをどういうふうに補填するのか伺います。

石井政府参考人 まず第一点目でございますが、議員御指摘の、例えば看護師あるいは幼稚園の教師の免許を持っている人に限るものではございません。これは研修という形で、基礎とそれからもう一つの専門という形でレベルをとった研修システムを今とっておりますので、それを念頭に置いているところでございます。

 それから、二つ目の配置基準の一対一ということの関係でございますけれども、新制度における居宅訪問型保育事業は、適切な事業運営を進めていくために、一対一を基本とする事業であります。この特性に鑑みまして、まず一点目としまして、障害児や小児慢性特定疾患児で個別ケアが必要な場合、一人親家庭で夜間の宿直勤務がある場合、そして、離島、僻地などで他に利用できる保育が存在しない場合など、保育所等における一般的な集団保育が困難な場合に、それを補完できるような役割を担ってもらうことを考えているところでございます。

 そのため、先ほどお答えしたとおり、保育者に対しては必要な研修の修了を求めることとしておりますが、特に障害児などの個別ケアを行う場合を中心に、こうした対応に必要な専門性の習得に必要な研修内容にするとともに、密室性でございますから、保育者をバックアップするための連携施設を設置することといたしております。

 また、子育て支援の専門資格である保育士が従事する場合、公定価格上加算を行うことで、保育士資格の取得のインセンティブを設けることとしております。

 これらの措置を中心に、保護者とか子供が安心して利用していただくことができる事業となるように、さらなる安全性、専門性の確保、向上について必要な措置を検討していきたいと考えております。

高橋(千)委員 限るものではありませんと言われちゃうと、逆に、資格はないけれどもやってもらうのに当たって、どう質を担保するのかという問題が出てくるわけですよね。

 また、今おっしゃったのは、誰でも受けられるという意味ではないのだ、障害とか一人親の夜間の対応とか、どうしても一般の保育所ではない対応にするんだ、そこに対してのバックアップの姿勢があるということでありましたので、何でも対象になるという意味ではないというふうに理解をさせていただきたいと思います。ただ、そこから先についてはまだほとんど決まっていませんので、引き続いて注視をしていきたい、このように思っているんです。

 それで、私は、きょう言いたいのは、今回、さっきから言っているように、シッターと呼ぶべきか家庭的保育と呼ぶべきかというような、よくわからない異質な事件が起きた、ただそこにだけ目が行ってしまうと、またそれも誤りなんですよね。

 つまり、今度の子供の犠牲というのは、あってはならないことでありますけれども、しかし、保育施設の死亡事故というのはこれまでもあったわけです。昨年でいうと十九件もありました。これは、統計をとって過去最多であります。このこと自体があってはならないという立場に立たなければならないと思うんですね。十九件中認可外保育施設は十五件で、保育ママやファミリー・サポート・センターなど、多様な主体で起こっているという事実もあります。また、だからといって、認可施設でも起こっている、そのことをちゃんと見ないといけないと思うんですね。

 平成二十二年に、赤ちゃんの急死を考える会が申し入れをして、厚労省でも調査を始めました。ただ、私は、その調査報告書を見ると、ほとんど黒塗りなんですね。そういう中で、情報公開して、中を見ると、物すごい、みんなパターンが一緒なんですよ。十五分刻みできちっと見ていますと。何これ、ひな形があるんでしょうという感じで、逆に、後からつじつまを合わせたのかな、そういうふうにしか思えないんです。つまり、うつ伏せ寝にならないように十五分置きに見ていましたと。では、何でそういうことが起こったんですかということになっちゃうわけですね。

 ですから、同じことを繰り返しているだけではだめなんですね。マニュアル的な事故報告書では実態がつかめないです。再発防止策にもつながらない。どのようにするんでしょうか。大臣に伺います。

赤石大臣政務官 お答え申し上げます。

 先生の御指摘のように、昨年事故が十九件ございまして、そのうち認可外で十五件。平成十六年からトータルで見ますと、認可保育所で四十五件、そして認可外保育施設で九十八件という事故が起こっております。

 この事故報告を取りまとめ、公表するとともに、事故防止のためのポイントをまとめ、自治体に事故防止の指導を徹底するよう通知しているところであります。

 また、子ども・子育て支援制度における事故防止や発生時の対応等については、昨年末の子ども・子育て会議において、施設の運営基準として、施設において、事故防止のための指針を整備すること、事故が発生した際には施設は市町村等への報告をすること等の義務を課すことを取りまとめており、今後、運営基準として省令等の整備を進めていきたい、このように考えております。

高橋(千)委員 二月二十八日の読売新聞の「論点」という欄に、元国立保健医療科学院生涯保健部長の田中哲郎氏が登場して、このようなことを述べておられました。

 横浜方式と呼ばれる待機児童解消策に触れて、「こうした取り組みを進めるにあたっては、子どもの安全や保育の質について専門的見地から慎重に検討することが欠かせない。」その上で、保育所の事故報告は、園児十万人当たり、認可施設は、ゼロ歳児、〇・六九人、認可外は三十八・五九人なんですね。この保育士の数とか面積など、やはり運営体制の違いとの関連を分析するべきだというふうに提言をしています。「子どもの命を危険にさらす規制緩和は論外」と指摘していることは、大変重要だと思っています。

 この田中哲郎氏自身が、SIDS、乳幼児突然死症候群の研究班のメンバーであります。つまり、これは、赤ちゃんの死亡事故が繰り返し起こったときに、みんなSIDSだ、突然死だというふうに片づけられて、誰も責任をとらない。そういう中で、保護者の皆さんが、何度も何度も事故の原因究明を求めて、単に突然死で片づけないでほしいと訴えて、今のような調査の体系ができてきた、そういう歴史があるわけです。

 その渦中にいた方が、規制緩和は命を危険にさらすという形で提言をしているということは、非常に重く見るべきではないかということを指摘したい。ですから、本当にせっぱ詰まった方たちの対応をとることと同時に、だからといって、単に規制緩和では命を守れないんだということを改めて指摘したいと思います。

 その上でですけれども、朝から何度も指摘をされている、予算の確保と拡充策をどう整合性をとっていくかという問題ですけれども、質の拡充のために使うと言われていた三千億円については、いまだに財源も、確保の見通しも示されておりません。

 二十四日の子ども・子育て会議に出された量的拡充と質の改善について、これは一兆円ベース、つまり予定額がとれた場合と、七千億円ベース、三千億円が足らなかった場合のシミュレーションというんでしょうか、対応施策を明記しています。それが三段階あって、要するに、七千億円のときは一部だけやるというものもあるわけですよね。そういう形で三段階。

 例えば、三歳児の職員配置改善は、七百億円あるんだけれども、すぐにやる。

 私立幼稚園、保育所等、認定こども園の職員給与の改善は、五%アップを目指すんだけれども、当面、七千億円のベースであると三%アップでとどまる。逆に言うと、満額得られなければ三%にとどまるという意味であります。

 それどころか、一歳児の職員配置を改善するために六百七十億円程度必要なんですけれども、これは予算が七千億円にとどまるとゼロ回答、改善はされない。こういうふうな三分類になっている。

 よく分けたなと思う反面、現場はもう戦々恐々、本当にシビアに見ていると思うんですね。大臣、これをどう確保していくのか、伺います。

田村国務大臣 一昨年の子ども・子育て三法、この参議院の附帯決議にも、しっかりと、質、量の確保のために財源を確保するということが言われておるわけであります。

 昨年六月に、少子化社会対策会議というものを、これは全閣僚参加のもとで開催いたしました。この中においても、少子化危機突破のための緊急対策ということでございまして、平成二十九年、消費税がいよいよ上がるわけでありますけれども、一〇%に向かって、財源を確保することは大前提であります。ですから、消費税が一〇%に上がるということが一つ目途でありますが、〇・七兆円も含めて一兆円程度、これは財源を確保することに努めるというふうに、全閣僚のもとでこのような緊急対策を発表いたしております。

 いずれにいたしましても、やはりしっかりと質も量も確保しなきゃいけないということでございますので、我々、最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 私は、きょうはあとは意見にとどめますけれども、そもそもこの仕組みが、増税を財源にすると決めてしまったこと、そこが非常に窮屈な原因なわけですよね。まして、今議題にしている三千億円というのは、法律をつくった時点で財源を決めてこなかった。その弱さが今あって、大臣は、一生懸命、全力でという答弁をされたわけですけれども、逆に言うと、増税を決めた当時の与党の民主党にしてみると、増税する以上は何とかやってくれ、そういう議論になるわけですね。

 それがだめなんですよ。本当に必要なものだったら、増税しようがしまいがやらなきゃいけない、そのくらいの立場に立ってほしいということが言いたいわけなのであります。

 今回、四月からの消費税増税に伴い、子育て世帯臨時特例給付金が子供さん一人一万円出ますよね。児童手当支給対象者があるわけですけれども、これは一月一日以降生まれた方は対象にならないんですよね。なので、これを決めたときにはもう決着がついている話で、ひどいなと思うんですが、そのたった一回の支給に千二百七十一億円、事務費は二百二億円です。こういうお金の使い方こそ改めるべきではないでしょうか。

 私は、改めるべきといえば、いろいろな例えがありますけれども、同じ子育ての分野で、こういう使い方をするのではなくて、その分があったら、やはりこども基金の積み増しをやって、量も質も拡充するとか、そういう方向に持っていってほしい、このことを指摘して、次に行きたいと思います。

 そこで、パート法の問題に入りたいと思うんです。

 パートタイム労働者は、前回改正時の千四百七万人から、二〇一三年度で千五百六十八万人へと増加をしています。非正規労働者が四割ということで、ふえているということはこれまでも指摘をされていたわけですが、その中でも主力部分がパートタイム労働者というわけでありますよね。そうすると、やはり、雇用者報酬が引き下がっているその要因として非正規雇用がふえているということは、政府自身が認めているわけでありますから、その主力部分であるパートタイム労働者が本当に実効ある法改正によって処遇改善されていくということが、本当に重要だと思っております。

 そこで、まず、第八条の「短時間労働者の待遇の原則」、これは新設されました。現行法では、通常の労働者と同視すべき短時間労働者、いわゆる均等待遇と説明しているものと、そうではない短時間労働者は均衡処遇ということで別々に書いていたわけですが、まず最初にこの八条で原則を書いた。これは、一握りの同視すべき短時間労働者だけが図られればいいということよりも、全体として均等待遇に近づける意思ということでよろしいでしょうか。

赤石大臣政務官 今御指摘がありましたように、改正法案第八条は、広く全ての短時間労働者を対象として、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、通常の労働者との不合理な相違は認められないこととする考え方を明確に規定するものであります。

 すなわち、広くパートタイム労働者について、その就業の実態に応じて、均衡待遇の確保を一層促進していくとともに、均等待遇を目指していくものと考えております。

 以上です。

高橋(千)委員 八条にまずこの原則が、広く全ての短時間労働者が、しかも、今政務官がおっしゃられたように、均等待遇を目指していく、ここが明記されたということは非常に重要だと思います。いろいろ不十分なものが後にあったとしても、まずここに原則をうたっているんだよということで頑張っていただきたいということをまず指摘したい。

 それで、七年たったわけですけれども、前回の法改正による効果をどのように見ていらっしゃいますか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 前回、平成十九年改正では、通常の労働者と同視すべきパートタイム労働者についての差別的取り扱い禁止規定の創設や、正社員への転換推進措置の義務化などを行ったところでございます。

 こうした法改正を踏まえて、約半数の事業所において改正法の施行を機に雇用管理の見直しが行われるなど、パートタイム労働者の雇用管理の改善について一定の成果があったものと考えております。

 とりわけ賃金、パートタイム労働者の賃金をどう決定するか、その際に考慮している要素として、法施行前は、同じ地域、職種のパート賃金相場が多くを占めておりましたが、法改正後におきましては、パートタイム労働者の能力、経験とか、あるいは職務の内容、そういったものを重視するというところがふえているところでございます。

 しかしながら、依然として、パートタイム労働者の待遇は必ずしも働き、貢献に見合ったものとはなっておらず、半数を超えるパートタイム労働者が、働きに見合っていない、正社員になれないなどの仕事に対する不満、不安を持っている状況にあります。

 このため、より一層パートタイム労働者の均等・均衡待遇を確保して、その納得性の向上を図るため、今回の改正法案を提出したものでございます。

高橋(千)委員 約半数が改善をしたということで、一定の成果。最初に法律をつくったときは六割を超えていましたので、そのときの衝撃に比べると微々たるものではあるけれども、一定の成果。

 ただ、今おっしゃった、同じパートタイム労働者総合実態調査によれば、パートと職務などが同じ正社員側の賃金等処遇を見直した、三%。これは五割くらいの見直したうちの三%、多くはないですけれども。つまり、正社員の待遇をパートに合わせたという例があった。それから、正社員とパートの職務内容の区分を明確にした、一一・四%ございました。

 つまり、均衡処遇を図っていこう、均等待遇を目指していこうと言っているけれども、なるべくそうならないように、正社員をパートの方に合わせたというふうに読み取れるわけですよね。それだとちょっと問題だと思いますが、いかがでしょうか。

石井政府参考人 個別のどのような実態でこういう見直しを行ったかまでは、つぶさに知ることはできないわけでございますが、これまでかなりざくっとした雇用管理を行っていたところが、パートタイム労働法を機に、どういう働き方であればどういう処遇をすべきかということをいろいろ検討した結果、企業でとられた措置、あるいは労使で話し合って決められた措置なのではないかと思っております。

高橋(千)委員 ですから、最初に言ったように、正社員の賃金をパートに合わせた、そういうこともあるわけですよ。やはりそれは、数字として一定のパーセントがあるほどの実態がある、そこは現実にちゃんと認めていただきたいと思っております。

 その上で、やはり雇用均等分科会の中でも労働者側の委員から、企業側のネガティブチェックリストにならないようにという指摘がございました。だから、もう三要件は廃止すべきだという意見が出ている。私は当然だと思うんですね。

 今言ったような話なんですよ。区分を明確にして、紛らわしいことをなくしましょう、そういうことになっちゃったらだめでしょうという話なんですね。

 これは、その前段階である今後のパートタイム労働対策に関する研究会の報告書の中でも、「単に企業のネガティブ・チェックリストとして機能しているのではないか、」「事業主はパートタイム労働者であることを理由として、合理的な理由なく不利益な取扱いをしてはならない」、こういうふうにするべきではないかというふうな意見を明記して、「その在り方について検討する必要がある」と報告の中には盛られていると思います。

 そういう意味では、今回の見直しは、労働契約法改正に合わせて無期というところは取った。言ってみればそれだけなんですね。ですから、十万人ふえると言われていますけれども、均等待遇について新たに踏み込んだとはとても言えない。いかがでしょうか。

田村国務大臣 そこは、今まで無期という条件があったところを、有期に関しましても同じように、職務が同じで、言うなれば働き方に関しても同じであれば、人材活用の仕組みが同じであるならば、それは均等であるということでありますから。

 そうはおっしゃられますけれども、やはりそれを有期に広げたというのは、これは大きな前進であろうというふうに我々としては認識をいたしております。

高橋(千)委員 そうすると、九条の同視すべき短時間労働者について、「当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、」この一文が残ったのはなぜでしょうか。一方では無期を消しておいて、一方では全期間という。

 そうすると、当時の議論は、いっときを切り分けて比較をすると、簡単に同じだとなっちゃうかもしれないけれども、そうではないでしょうという議論をされたわけ。だからといって、全期間となると、余りにもハードルが高過ぎる。これは要らない規定じゃないかと思います。

石井政府参考人 全期間と残っておりますけれども、これはやはり有期というその範囲内においての判断ということになるものというふうに理解しております。

高橋(千)委員 ですから、範囲内、それは当たり前なんですよ。有期の範囲内だけれども、全期間でしょう、雇用が終了するまでと。それだとかなりハードルが高いと言っているんですよ。

 前回の平成十九年四月にここで私が質問したときに、全期間がやはりありました、当時の法案にも。そのときに、大谷局長が、例えば、採用時点で補助的な仕事でスタートされた方が、その経験を積んで、もう正社員と同視すべき職務内容あるいは人材の活用レベルになったということであれば、そこからカウントしていくという答弁をされています。つまり、全期間といったとき、スタートからといったら、それは最初の時間は一緒じゃないでしょうという話。そこをちゃんと含んでいますよという答弁をされているわけですよ。

 これは、始まりもそうだし、ずっと先までもやはり考慮してというと厳しいよねということで、全期間の意味をやわらかに考えないと、全部、最初から最後までだよといったらだめなんですよということを指摘したいんですが、いかがですか。そのとおりでいいですか。

石井政府参考人 要は、ここで申し上げたかったのは、更新されることが未定の段階でありましても、仮に更新をした場合には、人材活用の仕組みについて同じ取り扱いを予定しているのであれば、雇用関係が終了するまでの全期間において人材活用の仕組みが同じであるというふうな考え方に立っているものでございます。

高橋(千)委員 わかりました。未定であってもね。ですから、結局、一定の、今の実態を見てということになると思うんです、今の答弁は。

 それで、パートタイム労働者の七割が有期だということで、前回、私たちは、有期契約労働者も規定すべきだという修正案を出しました。ただ、その後、労働契約法が改正をされたわけであります。

 それで、改正労働契約法によって、有期パート労働者が五年以上の反復契約であれば無期転換をされることになるわけですけれども、ただ、その際も、労働条件は従前どおりなんですよね。そうすると、パート労働者が有期から無期になっただけでは、実態は変わらないでしょう。だって、そもそも反復契約、今までも反復契約だったわけで、それが短時間労働者だった処遇と変わらないというだけではだめだと思うんですが、いかがですか。

田村国務大臣 これは、無期転換になるわけなので、雇いどめの心配はまずなくなるということが大前提であると思います。

 言われるとおり、特段の定めがない場合には、従前の内容での契約ということになるわけであります。無期転換だけするという話になるわけでありますが、いろいろと調査してみますと、何らかの形で無期転換を考えておる企業の四割ぐらいは、確かに従前の内容で契約というような話でありますけれども、四割弱は正規区分も含めて新しい区分の中で契約を考えておるというようなお考えであるようでございますので、その中においていろいろな形態が、実際問題は出てくるのではないかというふうに考えております。

高橋(千)委員 処遇が改善されるように期待をしたいとか言っていただければと思いますが、全然そうではないですよね。

 雇いどめの心配がないというところはそうですけれども、結果として、同視すべき労働者として、賃金だけではなく全体が均等待遇になればいいということを今目指してやってきたのに、有期契約の方で、無期転換はしたけれども、肝心の待遇の方は全然ついてこないというんだったら、何かちょっと違うなということなんですよ。最初に期待をしていた均等待遇に近づけるという点で、単に無期転換というだけではやはり違いますよねということで、そこを確認したかったんです。

田村国務大臣 これは、パートタイム労働者に限らず、無期転換というのは、特段の定めがなかった場合には従前の内容という話でございますから、ここは事立ててパートタイム労働者だからそうなんだという話ではないと思います。

 いずれにいたしましても、今般の改正の中で、先ほど来、不利益取り扱いはだめだという部分もあるわけでございますので、そうであれば、そこは均等でありますから、均等の中において、無期転換になればほぼ、ほぼというか、形上同じという形になるんだと思いますけれども、そうでない限りは、従前の内容と同じ契約という話になるわけであります。

高橋(千)委員 そうなんですよ、つまり、均等待遇がやはり働いてこそと思うんですよ。

 つまり、この間の裁判例だって、逆に、実際の働き方は、労働時間は大して、十分ぐらいしか違わない労働者を正社員ということで見ましたよとか、そういうだけの話になっていたりして、実態は全然変わっていないということも現実にはあるわけですから、そこは近づけていきたいと思うんですね。

 その上で考えると、やはり、均等待遇原則というのは非常にハードルが高い。人材活用の仕組みというのが残ったわけですね。これは、もともと比較する労働者がいないとか、配置転換とかそういうのが困難でしょう、それを要件とするからなかなか対等にならないんですよねということが議論されてきたわけですけれども、それについて、やはりもう思い切って取った方がいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

石井政府参考人 現在の我が国の雇用システムにおきましては、ある程度長期的な雇用、人材活用を想定して労働者の待遇が決定されていることが多いわけでして、職務の内容のみを基準として待遇を決定すべきことを社会的な規範にしていくのは、実態から見て困難と考えております。

高橋(千)委員 いっぱい質問が本当はあって、年金もあったんですけれども、時間がなくなってしまって、ここだけはどうしても言っておかないといけないので、ここで終わりたいと思うんですが、大臣は、きょうの答弁もそうですし、今の局長の答弁もそうですし、これまでも何度も言ってきたんですよね。やはり、職務給と職能給の違いがあるから、ヨーロッパと違って、要するに均等待遇の物差しが違うんだということをおっしゃっていた。でも、それは、何年も同じことを言い続けるんですかということをまず言わなければならない。

 二点言いたいと思うんですが、雇用に対する考え方がそもそも違うわけですよね。やはりヨーロッパは、短時間労働者もフルタイム労働者の基本賃金を下回ってはならない、それが原則ですよ。そして、フルタイムか短時間かは本人が決める、自由な選択だ、そういう立場に立っている。日本は全然違うでしょう。いろいろな条件をクリアして初めて均等待遇になっていく。そこが全く違うということを言わなければならない。

 この七年の間でも、いろいろな議論を積み重ねてきました。ヨーロッパの中だって、自動車会社とかさまざまな有名な会社が、経験とか資格などを考慮して基本給にプラスアルファしていく、そういうことをやっているじゃないか。そこをちゃんと参考にすれば、均等待遇という考え方も、職務給と職能給だと言っていないで、広く拾えるんじゃないか。つまり、賃金は一緒なんだ、そこから、あとは必要なものはプラスしていけばいい、そういうことが議論をされてきたわけですね。同じ仕事なら同じ待遇という基本があって、あとはプラスアルファすればいい、こういうことを指摘したいと思います。

 その基本的な考え方をやはり変えていくべきだ。ILOの条約をまだ批准もしていないところで、いつまでも同じ答弁をしないで、この間の議論の中で発展をしてきているわけですから、しっかりと受けとめていただきたいと思います。

 残りは、また次の機会にしたいと思います。終わります。

後藤委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 この際、内閣提出、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、高橋千鶴子君から、日本共産党提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。高橋千鶴子君。

    ―――――――――――――

 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高橋(千)委員 ただいま議題となりました日本共産党提出の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案について、趣旨を説明いたします。

 パートタイム労働者は、改正法が施行された二〇〇八年の千四百七万人から、二〇一三年では千五百六十八万人へと増加し続けています。正社員と同じ仕事をしながら、六割から八割の賃金、賞与や退職金がないなど、正社員とパートタイム労働者の賃金や待遇における格差の解消は切実に求められています。ところが、政府は、パートタイム労働者に通常の労働者と同じ権利を保障したILOのパートタイム労働に関する条約をいまだに批准していません。

 二〇〇七年改正では、通常の労働者とパートタイム労働者との均等待遇を図るための差別的取り扱い禁止規定が創設されましたが、要件が厳しいことから、その対象が限られ、改正法施行後の厚生労働省の調査でも、通常の労働者と同視すべき短時間労働者はわずか一・三%にすぎません。

 政府提出法案は、差別的取り扱い禁止の対象を拡大するとしており、それ自体否定するものではありません。しかし、政府案で均等待遇の対象となるパートタイム労働者は、一・三%から二・一%へと十万人程度拡大するにすぎません。

 差別的取り扱い禁止の対象を拡大するのであれば、かねてから我が党が主張してきたように、パートタイム労働者であることを理由とした差別的取り扱いを禁止する均等待遇原則を確立することこそ必要です。政府提出法案をその立場に近づけるため、修正案を提出するものです。

 以下、修正案の骨子を説明します。

 第一に、差別的取り扱い禁止の対象となる短時間労働者の範囲を拡大するため、「当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの」との要件を削除します。

 第二に、賃金の決定における事業主の努力義務規定について、通勤手当等をその対象に含めるため、「通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。」との規定を削除します。

 第三に、事業主は、通常の労働者に対し、葬儀その他特別な事情に配慮して与えられる休暇について、短時間労働者にも付与するよう努めるものとする規定を追加します。

 第四に、事業主は、短時間労働者が、事業主が短時間労働者の待遇を決定するに当たって考慮した事項の説明を求めたことを理由とする不利益取り扱いをしてはならないものとする規定を追加します。

 第五に、改正される短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の趣旨を踏まえ、国または地方公共団体の短時間労働者に対する処遇のあり方について必要な措置を講ずるものとする規定を検討条項として追加します。

 以上です。

 委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。

後藤委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 この際、本案に対し、とかしきなおみ君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。柚木道義君。

柚木委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 非正規雇用で働く女性の就業継続を促進するため、一般事業主行動計画策定において非正規労働者も取組の対象であることを明確にするとともに、事業主に対し相談・指導・支援に努めること。

 二 男性の育児休業取得率を上げるため、数値目標の達成に向けた取組を促進するなど、事業主に対し相談・指導・支援に努めること。また、育児休業を取得しやすい職場環境の整備に有効な措置を講ずること。

 三 男女ともに仕事と育児の両立を図ることができるよう、労働時間短縮対策のために有効な措置を講ずること。

 四 女性の活躍促進にかかる取組を促すため、キャリアアップ支援やポジティブ・アクション等の施策の導入など、実効ある措置を講ずること。

 五 ILO第百五十六号条約の定める趣旨を踏まえ、家族的責任を有する男女労働者が差別を受けることなく、機会及び待遇の均等を図ることができるようにするとともに、できる限り家族的責任と職業上の責任の両立に必要な措置を講ずることと併せ、事業主に対する相談・指導・支援に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

後藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 次に、内閣提出、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、高橋千鶴子君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 この際、本案に対し、とかしきなおみ君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。大西健介君。

大西(健)委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 通勤手当に関し、短時間労働者であることを理由に通常の労働者との間の待遇に相違が生じる場合には、第八条及び関連法制の動向を踏まえ、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理なものとならないよう必要な措置を講ずること。

 二 短時間労働者の約七割を占める女性の活躍を推進するため、男女雇用機会均等法についても、女性が活躍しやすい環境をつくっていく方向で引き続き改善を検討すること。

 三 いわゆる無期フルタイムパートについては、労働契約法による無期転換の状況等を踏まえ、必要に応じた検討を行うこと。

 四 待遇等の説明を求めたことに対する不利益取扱いの禁止については、労働政策審議会の建議の趣旨を十分に踏まえ、事業主への指導を強化する措置を講ずること。

 五 第八条につき、どのような場合に不合理と認められるかについて裁判例の動向を踏まえて適切な周知を行うこと。

 六 公務の臨時・非常勤職員の任用に当たっては、本法の趣旨を踏まえた対応がなされるよう、必要な助言や情報の提供等を行うこと。

 七 税制上の配偶者控除や被用者保険の被扶養基準や適用基準等との関係で短時間労働者の就業調整が広く行われている状況に鑑み、働き方に中立的な税・社会保険制度の構築について検討を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

後藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました両附帯決議につきまして、田村厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。

    ―――――――――――――

後藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

後藤委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。田村厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田村国務大臣 ただいま議題となりました独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を説明いたします。

 政府としては、昨年十二月に独立行政法人改革等に関する基本的な方針を閣議決定し、独立行政法人について、組織や業務の見直しを順次進めることとしていますが、その見直しの一つとして、医薬品と食品等の専門性の融合による総合的な研究を推進する観点から、独立行政法人医薬基盤研究所と独立行政法人国立健康・栄養研究所を統合することとしています。また、既に今国会に提出されている独立行政法人日本医療研究開発機構法案による日本医療研究開発機構の設立に当たっては、スクラップ・アンド・ビルド原則に基づき行うこととしています。

 この法律案は、こうした政府の方針を踏まえ、独立行政法人医薬基盤研究所と独立行政法人国立健康・栄養研究所を統合するための所要の措置を講ずるものであります。

 以下、この法律案の内容について、その概要を説明いたします。

 第一に、独立行政法人国立健康・栄養研究所の業務を独立行政法人医薬基盤研究所に承継させることとしております。

 第二に、統合後の独立行政法人の名称を独立行政法人医薬基盤・健康・栄養研究所とすることといたしております。

 第三に、独立行政法人医薬基盤・健康・栄養研究所では、医薬品技術及び医療機器等技術の向上のための基盤の整備に資する研究、国民の健康の保持及び増進並びに国民の栄養に関する研究等を行うことといたしております。

 最後に、この法律案の施行期日は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内で政令で定める日としています。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

 以上でございます。

後藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る四月二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十八分散会


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