衆議院

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第7号 平成26年4月2日(水曜日)

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平成二十六年四月二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    井林 辰憲君

      井上 貴博君    今枝宗一郎君

      小田原 潔君    大串 正樹君

      勝沼 栄明君    金子 恵美君

      小松  裕君    古賀  篤君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      高鳥 修一君    高橋ひなこ君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      永山 文雄君    藤原  崇君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      牧島かれん君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    宮崎 謙介君

      宮澤 博行君    村井 英樹君

      盛山 正仁君    山下 貴司君

      大西 健介君    玉木雄一郎君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    足立 康史君

      浦野 靖人君    清水鴻一郎君

      重徳 和彦君    西野 弘一君

      輿水 恵一君    桝屋 敬悟君

      中島 克仁君    井坂 信彦君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      赤石 浩一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         生田 正之君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐藤 敏信君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            岡崎 淳一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  宮川  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       内田 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          杉浦 信平君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           岡田 太造君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    蒲原 基道君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  原  勝則君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  香取 照幸君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大庭 靖彦君

   参考人

   (年金積立金管理運用独立行政法人理事長)     三谷 隆博君

   参考人

   (独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長)           小林 利治君

   参考人

   (中央職業能力開発協会理事長)          青木  豊君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二日

 辞任         補欠選任

  大久保三代君     牧島かれん君

  金子 恵美君     宮崎 謙介君

  田中 英之君     宮澤 博行君

  船橋 利実君     井上 貴博君

  大西 健介君     玉木雄一郎君

  浦野 靖人君     西野 弘一君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     船橋 利実君

  牧島かれん君     勝沼 栄明君

  宮崎 謙介君     井林 辰憲君

  宮澤 博行君     小田原 潔君

  玉木雄一郎君     大西 健介君

  西野 弘一君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     金子 恵美君

  小田原 潔君     田中 英之君

  勝沼 栄明君     藤原  崇君

同日

 辞任         補欠選任

  藤原  崇君     盛山 正仁君

同日

 辞任         補欠選任

  盛山 正仁君     大久保三代君

    ―――――――――――――

四月一日

 介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(中根康浩君外七名提出、衆法第一〇号)

 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第二三号)

三月二十七日

 地域の景気回復に向け、中小事業所とそこで働く労働者の社会保険料負担を引き下げること等に関する請願(宮本岳志君紹介)(第三五四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四〇二号)

 七十〜七十四歳の患者窓口負担一割の継続に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三五五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四一九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四三三号)

 医療・介護、年金、保育などの拡充を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第三五六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三五七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三五八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三五九号)

 障害者の生きる権利を保障するヘルパー派遣制度に関する請願(山井和則君紹介)(第三八一号)

 同(中根康浩君紹介)(第四二〇号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員に関する請願(菊田真紀子君紹介)(第三八四号)

 同(岸本周平君紹介)(第三八五号)

 同(柚木道義君紹介)(第三九五号)

 同(黄川田徹君紹介)(第四四〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四六三号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(馳浩君紹介)(第三九三号)

 同(佐々木紀君紹介)(第四六四号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(三ッ林裕巳君紹介)(第三九四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四〇三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四一八号)

 アンジェルマン症候群などの遺伝子疾患に対する難病対策に関する請願(泉健太君紹介)(第四二五号)

 パーキンソン病患者・家族の視点に立った療養生活と質的向上に関する請願(橋本岳君紹介)(第四二九号)

 憲法を生かし、安心の医療・介護を求めることに関する請願(小宮山泰子君紹介)(第四三四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四四一号)

 介護保険制度の改悪中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四五五号)

 同(笠井亮君紹介)(第四五六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四五七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四五八号)

 同(志位和夫君紹介)(第四五九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四六〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四六一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四六二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として年金積立金管理運用独立行政法人理事長三谷隆博君、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長小林利治君、中央職業能力開発協会理事長青木豊君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房日本経済再生総合事務局次長赤石浩一君、厚生労働省大臣官房総括審議官生田正之君、医政局長原徳壽君、健康局長佐藤敏信君、職業安定局長岡崎淳一君、職業安定局派遣・有期労働対策部長宮川晃君、職業安定局雇用開発部長内田俊彦君、職業能力開発局長杉浦信平君、雇用均等・児童家庭局長石井淳子君、社会・援護局長岡田太造君、社会・援護局障害保健福祉部長蒲原基道君、老健局長原勝則君、保険局長木倉敬之君、年金局長香取照幸君、国土交通省大臣官房審議官大庭靖彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。

 きょうは、三谷理事長にお出ましをいただいております。

 三谷理事長は、年金積立金管理運用独立行政法人の理事長でいらっしゃいまして、いわゆるGPIFといって、国民年金と厚生年金の保険料に基づいた積立金が百二十九兆円ございまして、これを本当に安全にきちっと運営するという、恐らく世界的に見ても、これだけの規模のお金を管理運用する、最大級の組織のトップでいらっしゃる。

 しかも、これは政府からの独立性というのが担保されております。それは、時の政府がこういうのに使え、ああいうのに使えと言って損を出してしまっては国民の皆さんに申しわけないので独立性が担保されているんですが、気になりますのが、ある意味では戦後初と言っていいと思うんですが、この積立金でインフラ投資をするということを意思決定された。

 新聞記事を入れておりますが、配付資料十六ページをごらんいただきますと、日経新聞ですけれども、「公的年金 インフラ投資」、これは初めてのことでありますが、「カナダ基金と、先進国で 五年で最大二千八百億円 電力や港湾対象」、こういうふうにあります。

 これは独立性ということが担保されているはずなんですが、時系列的に言うと、昨年の十一月に内閣府からインフラ投資をしたらどうかという答申が出て、そして安倍総理が一月にダボス会議で、GPIFというところにいっぱいお金がある、成長に資するようなという、フォワードルッキングという言葉も入れた趣旨の演説をされて、そして、非常に早わざと言ったら語弊があるかもしれませんが、ことしの二月に、早速、ではインフラ投資しましょう、こういうふうに決定したということです。

 懸念をされるのは、経済が成長してほしいという政府の思い、安倍総理の思いはわかりますけれども、その成長のために公的年金のお金を使う、あるいは株価を維持するため、PKO、プライス・キーピング・オペレーションで使うとすれば、私は別に断定しているわけではありませんが、さっと政府の意向どおり、成長戦略でぱっぱっと動くとすると、この独立性というのは何で担保されているのかという疑問が出てくるんです。

 理事長にお伺いしますけれども、このインフラ投資を、政府から言われて、やりますと、さっとやってしまうというイメージがあるんですが、これはやはり政府からの要請というのがあるわけですか。

三谷参考人 お答えいたします。

 私どもでは、これまでもインフラ投資等について調査を行ってまいりましたが、実は、平成二十四年度にはオルタナティブ投資スキームについての調査研究というものを外部に委託いたしまして、第一に、流動性の犠牲に伴うプレミアムの獲得であるとか分散投資による効率性の向上が期待できること、また、インフラ投資等を目的とする投資信託に直接投資する方法が考えられること、また、インフラ投資等の運用実績を蓄積した国内外の機関投資家との連携はその投資能力の活用や知見の吸収の観点から検討に値することといったことが報告され、運用委員会でも実施の必要性が議論されてきたところでございます。

 こうした状況を受けまして、複数の機関投資家と共同投資について交渉を進め、インフラ投資について豊富な実績を持つ日本政策投資銀行及びカナダ・オンタリオ州公務員年金基金と共同で、先進国の電力発送電、ガスパイプライン、鉄道などのインフラに投資する共同投資協定を締結し、インフラ共同投資を開始することとしたものでございます。

 昨年取りまとめられました有識者会議の報告書におきましては、運用対象の追加の例としてインフラ投資等が挙げられておりましたが、私どもとしては、有識者会議の以前からインフラ投資について検討を進めていたものでありまして、結果として、有識者会議の報告書の考え方に沿った形で、今回、インフラ投資を開始するということになったものでございます。(発言する者あり)

長妻委員 本当かという声が上がりましたけれども、私も疑うわけではありませんが、今の御答弁というのは、政府、内閣府から昨年の十一月に、インフラ投資したらどうか、あるいはコモディティーとかエクイティーまでしたらどうかということが出て、それは偶然そのタイミングなので、以前からGPIFは独自に検討して、たまたま、インフラ投資が政府とどんぴしゃり偶然合って、それでこう進んだということなんです。

 では、政府の意向というのは今回は全く関係なく、独自でやられた、純粋にそういうふうにおっしゃっていただいてよろしいのでございますか。

三谷参考人 もちろん、私どもといたしましては、有識者会議の報告書、さまざまな御提言をいただいておりまして、これについては当法人としても重く受けとめ、さまざまな観点から、提言された項目について検討は進めておりますが、本件インフラ投資につきましては、政府からの要請とかそういうことで考えたものでは全くございません。

長妻委員 重く受けとめたけれども今回のインフラ投資は全くその影響はない、非常にわかりにくいのでございますが。

 私が心配するのは何かというと、個々を挙げて全部だめだと言うつもりはありませんけれども、スキームは違いますけれども、過去の、グリーンピアとか、積立金が政府の圧力でめちゃくちゃやられた経験があるんですね、苦い経験が。

 つまり、政府の意思でこのGPIFを何か成長に資する、時の内閣の政策に沿った形でGPIFが経済浮揚のために利用されるというのは、これは厳に避けなきゃならない。つまり、内閣や時の政府の影響を極力排除する。

 これは私もお伺いすると、GPIF理事長には非常に強い権限が法律で担保されていて、GPIFの運用委員会というのがあって、そこの諮問を受けて理事長が独自に決定できる。別に政府にお伺いを立てる必要もない、厚労大臣にこういう運用をしていいですかとお伺いを立てる必要もなくて、三谷理事長が責任を持って、独立性を担保して決定できるということなんでございます。ぜひ、政府の指示とか指導とかアドバイスとかそういうのは受けずに、年金を本当に安全確実にという視点を貫いていただきたい。独立性が揺らぐと、これは私も大変心配になるわけであります。

 公的年金のインフラ投資、今回はカナダの基金、OMERSというところと共同でやるということでありますが、資料の二十四ページでありますけれども、ここに、企画競争で発注した調査会社に調査報告書をもらって、OMERSがいいんじゃないのかということで、OMERSに投資することにしたということなんです。

 これは、三つ候補が挙がっているんですが、OMERS以外の二つについても今後投資する予定というのはあるんでしょうか、ないんでしょうか。

三谷参考人 確かに、幾つかの共同投資先について候補を挙げてもらったのは事実でございます。

 ただ、私どもがそういうところと共同投資をしたいと思っても、先方がまたどう思うかということもございますので、その辺は、候補に挙げられたところなどと協議をしながら、話が調えば実施することもあり得るし、そうでなければ見送ることもあり得るということでございます。

長妻委員 そうすると、今回は五年で最大二千八百億円の投資ということですが、あと二つ候補があるようでありますけれども、これは、上限は例えば一兆円とか、どのくらいの規模を今後インフラ投資するとすれば考えておられるのか、教えていただければ。

三谷参考人 本件の場合は、今後五年程度の期間をかけて、一件当たり年間数十億から数百億円の投資を数件行うということを前提に、最大で二千八百億円の投資残高になるというふうに考えまして、これを上限額としております。

 ただ、その他の共同投資案件、今後どうなるかわかりませんけれども、まず、本件は最初のインフラ投資でありまして、本件の運用実績などを踏まえながら、投資規模については、予断を持たず、じっくりと考えていきたいというふうに思っております。

長妻委員 そうすると、今回のスキームは、十五ページにありますけれども、GPIFが投資信託、ニッセイアセット、助言がマーサーということですが、手数料というのはどのぐらいの金額を想定されておられるんですか。

三谷参考人 私どもでは、基本的に、国民の皆様の御理解が得られるよう積極的に情報開示を進めておりまして、その一環として、各運用受託機関、これは実際に運用してもらっているところでございますが、そういったところに支払った手数料につきましても当法人のホームページにおいて公開しております。

 しかしながら、今回のインフラ投資につきましては、私募の投資信託ということで守秘義務が課せられておるため、具体的な水準については公表することができないわけでございますけれども、一般的なインフラ投資と比べて低位な水準であると考えております。

長妻委員 手数料は公表できないということでありますけれども、利回り目標というのはどのぐらいを考えておられるんですか。

三谷参考人 これも、OMERSとの間ではそれなりの利回りがとれるものということで協定を結んでおりますが、内容については、OMERSとの関係で守秘義務がございまして、私どもとしては、これも公表いたしかねるということでございます。

 ただし、実際に投資が行われまして運用利回りが上がってきたときには、そういったものの内容につきましては、しかるべき機会に公表してまいりたいと思っております。

長妻委員 この運用利回りが、目標がわからなければ、後から利益だけが公表されるという趣旨であるとすると、その目標が達成されたか達成されていないか、国会で検証ができないということにもなるわけです。手数料も非公開。個々のプライベートのファンドであればそれはわかるんですけれども、これは国会でチェックして、国民の金でありますので、それが開示できないというような契約を結んでいるというのは、いろいろ議論のあるところではないかと思っております。

 国会図書館からも資料をいただきましたけれども、資料三十ページに、インフラファンドはもちろん破綻することもあるわけでありまして、二〇〇九年にオーストラリアのインフラファンドのバブコック&ブラウン社というのも破綻をしているわけです。もちろん、これは破綻をしても誰も責任をとらない、こういう仕組みになっているところが問題で、それがまだ改善されていないということも問題だと私は思っております。

 いずれにいたしましても、これは田村大臣にもお願いをしたいのは、三谷理事長は厚生労働大臣が任命をする仕組みになっているんですね。そういう意味では、三谷理事長が独立性ということで頑張っても、政府からやはり圧力がかかってしまうとなかなか抗し切れないということがあります。

 現に、こういう投資をしなさいとかこういうふうにしなさいとか、去年十一月に有識者会議からいろいろ出ましたけれども、安倍総理もスイス・ダボスで演説されましたけれども、厚生労働大臣としては、三谷理事長、GPIFに、趣旨に沿って、政府は、この項目、プライベートエクイティーとかコモディティーとかインフラファンドとか、ここにこういうふうにしなさいという細かいことはもう言わない、つまり自主性を重んじる、それを貫いていく、最後にこういうお覚悟をお述べいただければ。

田村国務大臣 年金の管理運用、これは被保険者の利益が重要であるわけでありまして、それにのっとって、安全性、効率性、こういうものをもって行うわけであります。

 今の御指摘の点でありますが、年金というのは、名目賃金上昇率以上に運用利回り、つまり実質運用利回りとでも申しましょうか、それを確保しなきゃならない。それは、年金の財政検証においてその実質運用利回りというものが示されてくるわけでありまして、それを確保するということ、リスクを最小化しながら確保するということでありまして、その中においては、分散投資という考え方は当然あるわけであります。国債ばかり持っていれば、当然のごとく、リスクは高まるわけであります。

 そう考えたときに、経済局面にもよりますけれども、今回のようなインフラ投資というものも一つの選択であるというようなお考えをGPIFにおいてお持ちになられ、そして、OMERS、今言われましたオンタリオ州の公務員年金基金、ここも安全性を確保しながらやっておられると思いますので、ここと組んでインフラ投資をやろうというような、そんな御判断をされたんだというふうに思います。

 いずれにいたしましても、これは受託者としてGPIFがみずからの責任を持ってやられることでありますが、何か不公正なことが起これば、これはやはりその中において責任を役職員がとっていただくということであると思いますし、何らか法違反等々も含めてあれば、そのときには、最終的には、年金全般は私の責任でございますから、私がそれに対して対応しなきゃならぬということであろうと思います。

 今委員がおっしゃられたように、まずは、被保険者の利益という部分が基本的な部分でございますから、それに即して、しっかりとリスクを最小化する、その中で分散投資をしていただく、このように理解をいたしております。

長妻委員 ぜひ、政府から、これに投資しろとか経済成長のためにこういうふうにやりなさいとか、そういう圧力がかかって、GPIFがそれに引っ張られるということがないように、それが最大の私の懸念ですので、この議事録は、多分、日本国がある限り永久に残ると思いますので、将来、何十年後かにこの杞憂が現実にならないように、私はちょっと心配なわけでありますので、よろしくお願いします。

 そして、次に、懸案の違法未加入の年金、健保の問題であります。

 三谷理事長はお帰りいただいて結構でございます。ありがとうございました。

 これは、田村大臣から、国保の差し押さえが年間二十四万件ありますが、これについて、ひょっとすると企業の健保に入れる方が入っていなくて差し押さえになっている、そういう危険性があるので、自治体と年金事務所と連携を密にしていく、こういう御答弁をいただいたんですが、その後、どんな検討をされておられるのでございましょうか。

田村国務大臣 先般の答えで、現状では、国保の担当者、これは自治体の現場の方々でありますけれども、なかなかこれに関してはすぐに対応できるような状況ではないというような、情報としてもしっかりと把握していただいていない、していただいていないというよりかは、する方法がないというふうなお答えをさせていただきました。

 その上で、来られた場合に丁寧に対応して、今言われたような懸念の部分がもし事前に対応できるとすれば、それは行政サービスとして一歩前に進むという話であろうというふうに思いますので、国といたしましても、各自治体に対して、いろいろな意味で助言等々をしていこうということであります。

 今、日本年金機構の方といろいろと調整をさせていただきながら、自治体からも意見を聞かなきゃいけないと思います。どういう情報が必要なのか、また、どのような形で窓口に来られた方に対して情報提供をするのか、いろいろな自治体の御意見もお聞かせをいただかなきゃならぬと思います。そういうことの手続を踏みながら、委員がおっしゃられたような、そのような方向性、我々としても対応をできるだけできるようにこれは対応してまいりたい、このように思っております。

長妻委員 そして、もう一つ、国民年金が払えなくて、国民年金の差し押さえが年間六千二百件、そして国民年金の最終催告状が年間六万九千件もあるということであります。

 これは、資料の二ページ目に、いただきましたけれども、国民年金であれば、仮に厚生年金に入れるという方が国民年金に追いやられている場合、例えば、会社で働いていて月給が十八万円以下の収入であれば、国民年金の固定の一万五千円よりも保険料が安くなる、自分の負担分は。そして、払いやすくなる。しかも、老後の年金も上乗せになる。本来入るべき厚生年金に入れば未納も激減するわけでありますので、この違法未加入年金の取り締まりというのは大変重要だということであります。

 六万九千件の最終催告状が国民年金で出ているわけでありますが、この国民年金も同じような問題があるので、この催告状が出ている人、差し押さえをしている国民年金の人たち、本来は会社の厚生年金に入れるはずの方がいらっしゃるかもしれませんので、これもぜひチェックしていただきたい、同じ年金事務所の中ですから。ぜひ、大臣、御答弁いただければ。

田村国務大臣 今、差し押さえ等々しておる方々に対しては、まず、いきなり差し押さえというわけではないわけでありまして、電話でありますとか戸別訪問をしながら納付の督励をやっておるわけであります。その後、督促状等々を送りながら、それでもなかなか対応いただけないという方に関しましては、差し押さえ予告通知を送付いたしまして、最終的には差し押さえに入るわけであります。

 こういう方々は、今委員がおっしゃられましたとおり、本来、国民年金ではなくて厚生年金であるというような場合もあるわけであります。これは、先ほどおっしゃられた、国保と同じような状況の中において、本来は厚生年金の適用対象者であるにもかかわらず、そうじゃないというような形で企業でいろいろな対応をしている。これは本来よくないわけでありますけれども、そういう方々に対して、我々といたしましても、どのような対応の仕方があるか。

 同じ年金事務所というような形もございますから、厚生年金であるということを確認する過程において、なかなかこれは難しい、最終的には事業主に行かないとわからないことであります。本来は、事業主の方を回って、悪いことといいますか、本来加入しなきゃならぬのに加入していない、そういう事業者に対してこちらが指導していく話でありますけれども、逆に、入る権利のある方という見方をすれば、その方に対する行政の一つのサービスという意味からすれば、そちらからのアプローチということも考えられるわけでございます。

 これは、いろいろと工夫をしながら、国民年金のいろいろな督促に向かっての動きの中において、厚生年金であるということの確認等々を含めて、対応を検討してまいりたいと思っております。

長妻委員 ぜひよろしくお願いします。至急お願いいたします。

 そして、資料の一ページ目でありますけれども、これは、本当は健保に入れる方が、国保とどれだけお金が違うのか。

 国保といっても市町村で違いますので、これは東京二十三区のある区を調べていただくと、例えば、年収が二百万円の御家庭があったとして、協会けんぽは、年間の保険料が、自己負担分ですけれども、十万円ぐらい。これは、協会けんぽ。健保の場合は、被扶養者が何人いても同じですから、お金が。御家族が四人いようが単身だろうが、基本的には同じ。ところが、国保の場合は、年収二百万円であると、年間の保険料が、単身でも十一万五千円、そして二人世帯だと十四万円、三人世帯だと十七万円、四人世帯だと十五万円ということで、協会けんぽより高くなって、本来、健保に入れる方が入っていない場合、やはり払いづらいというのは、これを見ても一目瞭然であります。

 ぜひ田村大臣に提言をしたいのは、今、三百十二の年金事務所が日本全国であるんです。ですから、例えば三百十二の年金事務所でそれぞれ十件ずつ国民年金の一号被保険者を抽出していただいて、その中で本来は厚生年金に入ることができる人が何人いるのか。これを調査していただくと、これは三千百二十サンプル集まるわけです。

 いろいろこれまでも、千サンプル、二千サンプルでかつての消えた年金問題などで調査していただいて実態が解明できたわけでありますので、一年金事務所十件だけ、十件だけ電話をするなりなんなりして、これはそんなに手間はかかりませんので、それをしていただいて、今、一号被保険者は一千八百六十四万人おられるので、仮に一割の方が本来は厚生年金に入れるということになれば、百八十六万人の方が実は違法未加入年金だということが推計できる可能性もあるわけであります。

 いろいろ手法はあると思いますけれども、一年金事務所十件のサンプル調査、そのぐらいしていただけないかと思うんですが、いかがでございますか。

田村国務大臣 まず、三百十二の年金事務所というお話がありましたが、それぞれによって事情はかなり変わってまいります。全てが同じ傾向でないということは御理解いただけると思います。その上で、十サンプルというのがどういう意味があるのか。

 結果的に十のサンプルでは偏った結果が出てくるわけでありまして、それをもってして、いや、それでも、全体、三百十二掛ける十、三千百二十というサンプルで、同じような三百十二の年金事務所の傾向があるのならば一定の何らかの傾向は出てくるのかもわかりませんが、それぞれによってかなり状況が違う。そこで十サンプルというものに対してどうなのかという問題が一つあると思います。

 それから、あわせて、個人情報なので、果たして個人情報に対して出していただけるかどうなのかという問題もあろうというふうに思います。

 あわせて、前から申し上げておりますけれども、稼働法人情報をいただける準備に入っております。稼働法人情報をいただきますと、それを突き合わせれば、各事業所が適用事業所か未適用事業所かがわかります。未適用事業所ならば、そこに入ってその上で調べればいい。

 しかも、四年に一回は適用事業所はワンサイクルで全てチェックが入って、適用事業所の中での適用漏れがあれば、つまり加入漏れがあれば、そういう人たちに対して指導して、加入していくわけであります。これができれば、四年サイクルで基本的にはほぼ対応できるところに関しましては、一回全て職員が入ってチェックできるということであります。サンプル調査しても、結果的に、出たものに対して毎回行かなきゃいけないわけですよね。

 さらに申し上げれば、年金問題のときには、一度記録が回復すれば、あとの問題というものは解消できたわけであります。ただ、この問題は、毎年新しい法人が出てくる。一度加入を指導したとしても、また誰かをその中で抜かして未加入にしてしまう可能性もある。でありますから、常に同じことをやり続けなきゃいけないという話になります。

 そう考えれば、四年に一回、適用事業所ということでチェックをして、そして全事業所を回る方がより効率的であろうというふうに考えるので、御理解をいただければありがたいと思います。

長妻委員 これは田村大臣もおわかりだと思うんですけれども、いろいろな情報、稼働法人情報とかいろいろ、多分、今後入手されるんだと思います。

 ただ、私が申し上げているのは、それはそれでやっていただいていいんですけれども、今の人、物、金で基本的にはずっと今後もやるわけですよ。そうすると、過去の例からいって、ちょぼちょぼとは違法未加入年金はできるけれども、もう過去の延長線上の適用なんですよ。だから、ほとんど追っつかないわけですよ。

 多分その違法未加入年金が今後ふえていく傾向にあると私は思うので、だから、サンプル調査をして、何百万人という方が仮にそういう状態に置かれているということになると、それは国会も世間も驚きますよ、こんな状況なのかと。それで、人、物、金をもっと入れて一気にこれはやらないとだめだ、こういう機運になるんですよ。田村大臣も御存じのように、政治の世界、世論の世界、そういう形で進むわけなので、私は申し上げているんです。

 配付資料の四ページでありますけれども、これは平成二十三年の調査で、国民年金の一号被保険者、主婦じゃなくて国民年金の一号被保険者のうち、会社で働いている人、被用者が、常用雇用と臨時・パートを入れると、パーセンテージで三六%もいらっしゃるんですよ。七・七パーの常用雇用と、臨時・パートの二八・三%を足すと。

 つまり、一号被保険者の三六%が被用者、これが明らかになっているわけですね。これが全部違法とは言えません。それは、働き方が週三十時間未満の人もいるし。ただ、違法の方もいる可能性はあると思いますよ。

 そうすると、今、最新の数字でいうと、一号被保険者が一千八百六十四万人だから、仮にその三六%だとすると、六百七十万人もの人が被用者だと。これは、同じように当てはめると、六百七十万人のうち違法状態の人が何人いるのか。かなりでかい数字だと私は思うので、十件程度ぜひ調査をしていただきたいということを本当に強く強く、一年金事務所十件だけ調査していただくということで全容解明にはまだ至りませんけれども、全体の相場観というか、どのぐらいあるのかというのがより正確になるので、別に対決する話ではありませんので、ぜひ与党の皆さんも部会等でおっしゃっていただければ大変ありがたいと思っております。

 ぜひ、これは継続して今後もやっていきたいと思いますので、大臣、御検討をいただきたいと思います。

 そして、ちょっと次に、西村副大臣もお呼びしておりますので、もう一つ日本の成長戦略に大きく資するのが、私は、実はこの厚生労働委員会で議論していることが日本の成長に非常に大きく影響してくるというふうに思っておりまして、日本は、労働生産性が低い、どんどん低下をしております。今、OECDでも二十位ぐらいに落ちているのではないかと思います。

 その中でも重要なのが全要素生産性ということだと思いますが、西村副大臣、この全要素生産性の意味と、そして日本の全要素生産性を含む労働生産性をどう評価されているか、お教え願えれば。

西村副大臣 お答えを申し上げます。

 まず、全要素生産性、TFPと言われますけれども、一般に、資本とか労働は投入量が測定できるわけでありますけれども、そうした投入量だけでは説明できない、計測することのできない全ての要因、それ以外の全ての要因による生産性の向上、これを全要素生産性というふうに呼んでおります。

 したがって、この全要素生産性の中には、資本の投入、労働の投入以外の全てが入りますので、それ以外の全てということで、例えば労働の質の向上とか、労働投入量は決まっていても、その中身が、質が向上すれば生産性は上がるということですし、資本の投入量は決まっていても、例えばIT投資をしても、そのITの装備をうまく活用して効率が上がるといったことをそれ以外のものとして測定するわけであります。

 日本の労働生産性全体は、労働生産性というのは、基本的に上昇率、伸びがどうかということで、絶対値でいうと為替の影響も受けますので伸びで見るわけでありますけれども、御指摘のとおり、全体として見るとアメリカ、ドイツと遜色はないんですけれども、ただ、製造業が横ばいの中で、非製造業、サービス業が非常に低下をして低い状況にあります。

 そうした視点からすると、労働生産性向上のために、そもそものIT投資をふやすということ、そのIT投資なんかを含めた資本をうまく活用して効率性を上げていくこと、それから、労働の投入はなかなかふえていかないわけですけれども、その労働投入に対して質を向上していくということをぜひ政府としても取り組んでいきたいというふうに考えております。

長妻委員 これは、御存じのように、GDPの成長率、経済成長率は三つに供給側から分かれる。

 おっしゃったように、資本投入の寄与度と労働投入の寄与度。ただ、金もないので、資本投入がこれからふえるのかどうか。労働投入の寄与度というのは、これは労働者の頭数をふやして、生産年齢人口をふやして、働く時間もふやす。ただ、これはもう限界がある、人口減少社会なので。ですから、やはり注目を浴びるのは、全要素生産性、それ以外の労働の質などなど。

 これは、内閣府にお伺いすると、例示で三つ挙げていただいて、生産手法の革新、労働者の能力向上、最先端のIT技術の導入等というのがあるわけであります。

 その中で、例えば、日大の法学部の稲葉教授などがおっしゃっているのは、全要素生産性の変化のうち、ソーシャルキャピタルで二八%の変化率を説明できる。社会関係資本、いわゆるきずなのようなものであります。やはり、格差を是正して、あるいは、社会あるいは家族を支援していく、この社会保障や格差是正策というのが大変重要になってくると思います。

 そこで、最後に田村大臣にお願いしたいのは、きのう本会議で例の法律、医療と介護の法律が審議入りいたしまして、その中で、要支援の介護の方を地方に移管する、これがあるんですけれども、我々はそれによって介護離職がふえるんじゃないのかというふうに考えておりますので、その法律によって要支援が地方に行くことでこの全要素生産性にどれだけの影響があるのかというのをぜひ採決までにお出しいただきたいということ。

 これは本当に労働生産性の問題につながるわけですよ。安倍総理がおっしゃる成長戦略につながる大きい指標ですので、全要素生産性にどれだけ負のダメージがあるのかどうか、ぜひ調査研究を採決までにしていただきたいんですが、最後にお願いします。

田村国務大臣 サンプル調査の件は、またゆっくりと委員会で議論をさせていただきたいと思います。

 今の件ですけれども、きのうも総理も答弁させていただいたと思いますが、その案件で決して介護離職がふえるというような前提のもとで我々はやっておるわけではございませんので、そういう意味では、どのような形で、出すと言ってもそれは出しようがないという形でございます。

 いずれにいたしましても、介護離職が今よりも、これを解決していかなきゃならぬわけでございまして、そちらの方向で我々としては介護政策というものを進めてまいりたいというふうに思っております。

長妻委員 では、いずれにしても、皆さんの立場で、あの法律が全要素生産性にどういう影響を及ぼすのか、ぜひ採決までに出していただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 きょうは一般質疑ということですが、大臣は後半の方は退席ということですので、ちょっと順番を変えて質問させていただきたいと思います。

 昨日は、医療介護総合確保推進法、本会議での質疑がございました。総理、厚生労働大臣の答弁に対して、私もまた質問をさせていただきたいことがたくさんあるなという印象を受けておりまして、来週以降また始まるということで、その件についてはまた御質問をさせていただきたいと思います。

 昨日の質疑の最後、先週の厚生労働委員会でも田村大臣に御質問をさせていただきましたが、子供貧困対策の問題ですね。総理からは、閣僚会議を四月の上旬、上旬というと恐らく四月の十日までの間にということでございまして、受けたわけですが、やはり、本来であれば、一月に施行されて、二月の上旬にも閣僚会議を開いてということだったと思います。

 これは、なぜおくれているのかという理由は正式にはいただいておりませんが、総理の御予定等もあるということなのかもしれませんが、やはり、先日、大臣からもしっかりやりますという力強い言葉をいただいておりますので、早く日程を決めていただいて、やっていただきたいと思います。

 きょうの東京新聞にもこれは取り上げていただいておりまして、四月の上旬にはやるということですが、日程はもう決まっているんでしょうか。聞いておられますか。まだですか。

田村国務大臣 調整中でございますけれども、きのう総理からも、四月の上旬というお話がありました。

 いずれにいたしましても、内閣府、文科省とこれは調整しながら、しっかりと、四月の上旬に、総理のお言葉どおり開催できるように努力してまいりたいと思います。

中島委員 あと一週間以内ということになると思いますので、これは、事務方も含めて、省庁をまたがることだということですが、ぜひ総理の日程調整をお願いしたいと思います。

 それで、きのうの総理の答弁の中にちょっと気になる部分がありまして、私の質問、八月までに、来年度の概算要求にしっかり盛り込んでいただきたい、確約していただきたいという質問に対して、検討しますというお答えだったんですね。きょうの東京新聞にも出ておるんですが、来年度の概算要求を視野に入れつつ大綱の策定に向けて検討と。

 これは、先ほど言った閣僚会議も含めて、大綱を反映させた来年度の概算要求をなし遂げるためというか、それをするために逆算したスケジュールを立てていただかないと、結果的に間に合わなかったということが絶対ないようにしていただかなければいけないと思うんですね。

 これは田村大臣だけの問題ではないんですが、先日も言ったように、この厚生労働委員会で、子供貧困対策、これは全党一致の中でやられたわけですから、検討するではなくて、確実に来年度の概算要求にしっかりと盛り込んでいただかなければならない。そのための逆算した閣僚会議をスタートさせて、大綱の作成、そして来年度の概算要求に盛り込む。

 ぜひ大臣にはしっかりと、後押しというか、やっていただきたいと思うわけですが、改めて決意をお願いいたします。

田村国務大臣 この委員会で御審議をいただいて成立した法律であります、議員立法であります。

 子供の貧困に対して総合的な対策を組むということで、対策の基本方針でありますとか、また教育の支援でありますとか、さらには親といいますか保護者の就労支援でありますとか、生活支援、さらには経済的な支援、こういうものを大綱にしっかりと書き込むわけでありまして、きのう総理からは、今言われた予算の中の話でございますけれども、これも視野に入れつつ検討して頑張るという話であったというふうに思います。

 今言われたとおり、私も一緒になってここで審議をさせていただいた、そういう法案でもございますので、しっかりと関係省庁と連携しながら、委員が今おっしゃられたそのような趣旨、それをしっかりと胸に持って対応してまいりたい、このように考えております。

中島委員 きのうから消費税はもう増税されております。子供たちを取り巻く環境は本当に日に日に悪化していく可能性もあるわけです。そういうことを踏まえまして、大臣からも今また力強いお言葉をいただきましたので、ぜひ、四月上旬、正確にはまだ決まっていないということですけれども、早急に日程を調整していただいて、確実に八月の概算要求には盛り込んでいただけること、よろしくお願いいたします。

 本日、私は、この後は障害者の関係の質問をさせていただきたいと思うんですが、昨年の臨時国会の一般質疑でも質問させていただきました障害者優先調達法について、その後の経過などについて質問させていただきたいと思います。

 この障害者優先調達法は、一昨年の通常国会で成立をして、昨年の四月から施行されました。法定雇用率の改定とも連動して、障害のある方々が自立した生活を送るため、就労によって経済的な基盤を確立することが重要であるとの趣旨のもとで、障害者の就労する施設の仕事を確保し、経営基盤を強化することを目的に、国や地方自治体が率先して障害者就労施設から物品等の調達を行う、そういうことになっておると思います。

 調達方針の策定について、昨年の十月の時点で、厚生労働省を含みます三省庁において策定されておった、自治体の方は三十三都道府県において策定済み、独立行政法人については調査中ということをお答えいただいたんですが、その後の策定状況についてお尋ねしたいと思います。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、各省庁を初め、都道府県、市町村等におきましては、調達の方針を策定するということになっているわけでございます。

 お話ございましたとおり、昨年の委員会での御説明との比較で数字を御説明いたします。

 まず、各省庁でございますけれども、前回、十月の時点では三省庁だったものが、現在では全ての省庁で調達方針を策定済みということでございます。また、各都道府県は、前回の答弁のときには三十三と申し上げましたが、こちらも全て、四十七の都道府県で策定済みということになってございます。また、市町村でございますが、現時点で約五割弱のところでこの調達方針を策定している、こんな状況。あと、ちなみに独立行政法人、これは約七割のところで調達方針を策定済み。

 こんな状況で、相当程度、策定状況が進んできている、こんなことに認識をいたしております。

中島委員 そうですね。

 では、全省庁ということで、昨年、厚生労働省の調達方針というのは見せていただいて、各省庁の策定された調達方針というのはどのようなものなんでしょうか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 この調達方針の策定に当たりましては、まず、法律上、厚生労働大臣が基本方針というのを定めまして、この基本方針に基づいて各省が調達方針を定めるということになってございます。

 基本方針で大きな方向性を書いてございますので、ちょっと各省庁の個別のところまでは今手元にないんですけれども、おおむね基本方針に沿った形で、前回、厚生労働省の調達方針については御説明いたしましたけれども、おおむねそれと似たような形で書かれているということであろうというふうに認識をいたしております。

中島委員 恐らく、この推進に関する基本方針というのをもとに昨年八月にできた厚生労働省の調達方針は、簡単に言うと、調達実績、前年度を上回ることが目標というふうになっていたと思います。恐らく、これをもとにしているということは、各省も前年度を上回るということを調達方針の目標というふうに定めているということになるのではないかと思います。

 そういうことを踏まえて、資料の一枚目ですが、「平成二十四年度 福祉施設等との契約実績」ですね。

 前回の臨時国会のときは二十三年度まで出ておったわけですが、二十四年度の契約実績を見ますと、トータルでは、契約金額は落ちているんですよね。これを見ますと、これは二十四年度ですから、昨年の四月施行でございまして、その前年度ということなので、調達方針をつくられておる後の二十五年度に関してはこれから実績が出るということで、間違いなくこの実績が伸びていないとおかしいということなんですが、先ほどの調達方針の目標からいきますと、人事院とか公正取引委員会とか衆議院、全体を見ても、二十四年度ゼロというところもあるわけですね。そうしますと、件数からいって一件でも、一円でも、それでも調達方針達成という結果になってしまうということなんです。

 これを見ますと、厚生労働省さんが、件数でいくと一千七十七件、一億五千万ですか、断トツの数字になっておるわけです。やはりこれは、前のときの質問でも言ったんです、明確なある程度の設定というのはしないと、先ほど言った調達方針からいきますと、ゼロのところは一件でもすればそれで目標達成。そういう感覚でいくと、少しずつやっていった方が、前年度、翌年度、さらにその次と、目標を設定しやすいということになってしまうので、なかなか実効性が上がらないんじゃないか。

 現に厚生労働省はこれだけの契約を結べるわけですから、各省庁もしっかりとある程度の設定はしておかないと、せっかくつくった優先調達法ですけれども、なかなか実績が上がらないんじゃないかと思うんです。何か、厚生労働省の数字が基準になるかどうかわからないんですが、実際にこれだけのことは契約を結べるということであれば、ある程度の目標値、件数にしても数字にしても設定するべきだなというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 この法律は私が提案者になった法律でもございますので、思い入れが非常にある法律でございます。今言われました調達方針を策定した上で、調達目標と推進体制、これを定めるわけであります。

 調達目標の中で前年を上回るというところが多いわけでありますけれども、これは、厚生労働省がなぜ多いかというと、いきなり多くなったわけではなくて、昔からやはりそういうような努力をしてきたわけであります。それはまさに、どういうものが障害者施設等々に発注できるか、そういうような事例、ノウハウ、こういうものもあるわけでございまして、いきなり厚生労働省と同じというわけにはなかなかいかないんだというふうに思いますが、そういうノウハウ等々を我々も開示しながら、各機関に、各省庁にこれをお願いする。

 今言われた、ちょっとでもというか、なしから一歩でもと。それは一歩でも前進なんですけれども、調達目標等々を拝見させていただきながら、これは今年度からいよいよ始まる話になってまいるわけでございますので、これはちょっと低過ぎるなというようなところがあれば、また要請をしっかりとさせていただきたいと思いますが、意識を変えてもらうということが大変重要であります。とにかく、でき得るものは障害者の皆様方の就労をつくるという意味で発注をいただく、そういう意識転換も含めて、しっかりと我々は要請をさせていただきたい、このように思っております。

中島委員 大臣から今御答弁があったように、もともと厚生労働省はそのノウハウを知っている、これは大変重要なところで、では、各省庁はそのノウハウを知らないということになれば、やはりそれをしっかりと、指導力を持って。

 私は、共同受注の窓口が各県にありますけれども、その方たちと現場も見に行きました。私が昨年の臨時国会で質問するまで、実は、我が山梨県においても取り組みが非常におくれていたんですね。ただ、やはりこの場でこういう質問をしたことによって一気に進み始めた。要するに、その気になればある程度の実績を残せるんです。そのノウハウを知らないから、なかなかこういうものにつながらないということになっていくんですね。

 これは二枚目の資料ですが、各都道府県別ということなんです。

 これもかなり開きがあるんですね。福井県などでは策定割合は八八・二%、大分も高い数字、一方でかなり低い県もあったり。先ほど都道府県の策定状況は全てと言いましたが、市町村においては五割程度と。やはりこれも、その取り組みはノウハウのあり方で随分差が出るんですね。ですから、簡単に言うと、その気になれば絶対できることなんです。

 厚生労働省として、先ほど、各省庁に対してはそのノウハウを指導力を持ってやると。どのような指導をもって各市町村、各省庁に対してやられているか、もし取り組みがあれば教えていただきたいと思います。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の資料にもございますとおり、各市町村レベルになりますと、都道府県単位で相当ばらつきがあるという状況は事実でございます。

 これまで、全国会議等の場で、都道府県に対して、特に策定率が少ないところを中心に、管下の市町村にきちっとこういった調達方針を策定するように指導してほしいということをお願いしているところでございます。

 今後の取り組みですけれども、一つは、一定期間ごとに、こういう状況、各県の状況は取りまとめをしますので、こういう形で、どこどこの県はより高い、どこどこの県はより低いということをちゃんと示しつつ、都道府県から強力に働きかけをしてもらうというのが一つございますし、もう一つは、必要に応じて、各都道府県を通じて個別の市町村に、当該エリアで大きな市町村なんかには、きちっとつくってもらうようにお願いしたいと思います。

 もう一つは、いろいろな障害関係の団体がありますから、そういう団体から、各都道府県、各市町村にお願いしてもらう、こういうこともあわせてやってまいりたいというふうに考えております。

中島委員 やはり、さっきも言ったように、その気になればできることだということで、各市町村に対してはしっかりと指導力を持ってもらいたいということと同時に、資料三枚目を見ますと、その契約の内訳、委託と購入に分かれると思いますが、印刷物がやはり割合が非常に高いわけですね。

 これは、先ほど言った共同受注窓口のところにも行ったんですが、本当に、話からいくと、選挙になると非常に多くなる、例えば封筒とかあと印刷物とか、そういったことがあって、大きな選挙があったり選挙が続くと実はふえるんです、でも選挙が終わるとまたもとに戻っちゃう、そういうことを言われまして、私も、ああ、なるほどなと思いました。

 先ほどは厚生労働省さんから各自治体、各省庁にということなんですが、これは先ほど大臣も思い入れのあると言われました。私も、実は、名刺も含めて、国会議員の方みずから、そういった印刷物、支給のものはしようがないですが、名刺や事務所で使う、この国会内も印刷物がたくさんあります、そういったものをみずからしっかりと、そういう障害者施設、そういう共同受注窓口を通してもいいですけれども、やっていく。

 先日のくるみんマークじゃないですが、例えば、名刺の横にしっかりと、これは障害者施設が受注したものですと。そういったものがどんどん一般的に広まっていくような、そういったことも、私は、この国会の場でも、厚生労働省が各自治体、各省庁にやるのであれば、一般の方に対して、私たちでいえば有権者の方に対して、こういったやり方であるんだと。

 冒頭に言ったように、優先調達法は、障害を抱える方々の自立を促すための就労支援という意味合いですから、そうなっていくと、社会全体がそういう感覚にならないといけない。そういう思いであるわけですが、大臣、名刺は違いますね、そういうところでやっていないですね。そういう思いも込めて、国会議員の皆さんお一人お一人がそういう意識を高めていくということは必要かと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 自治体それから各省庁に関しましては、もちろん、法律の意思の徹底でありますとか、それからまた、逆に、共同受注窓口がやはりしっかりと情報発信していただくところは動いていくわけでありますので、共同受注窓口の設置をしっかりと、これも各都道府県ごとにでありますけれども、こちらの方からアプローチしていかなきゃならぬというふうに思っております。

 それから、先ほど言った事例集、こういうものは障害者の施設でいろいろな形で就労に貢献するんだというようなものに関しましても、もちろん、事例集を各省庁でありますとか市町村に示すというのも一つでありますが、広く社会全般にそういうことを啓発していくということも大変重要な観点でございます。

 もちろん、今回の優先調達法が広がっていくことによってそういうことも間接的に広がっていくんだというふうには思いますけれども、それだけではなくて、直接的にどのようなアプローチがあるかということも含めて検討させていただきたいというふうに思っております。それが広く民間ベースでも障害者の就労につながっていければ、これは幸いなことであろうというふうに思いますので、努力してまいりたいと思います。

中島委員 大臣、時間があれだと思いますので。

 先ほど言ったように、これは、社会全体がその動きに連動していって初めてそういう流れができてくることだと思います。我々国会議員一人一人も、そういう意識の中で、そういったものに、調達というか、受注できるものに関して、一般的には名刺とかふだんの作成物ということになるわけですが、そういったことも含めて取り組んでいくことも必要かなというふうに思います。

 大臣、どうぞ、もう大丈夫ですので。

 次に、これも関係あることですが、法定雇用率に関して少し質問させていただきます。

 昨年の四月から法定雇用率が改定をされました、民間企業が一・八から二%、国や地方公共団体が二・一から二・三%。国や地方公共団体はその目標をクリアはされておる、正確にはちょっと、二・五から二・六ぐらいだったと思いますけれども、しております。

 ただ、その割合は身体障害者が九二%。九割以上を、その法定雇用率の中で身体障害の方が大部分を占めているということでして、昨年から精神障害の方もそれに加わって、そうすると、やはり知的障害、精神障害の方々の雇用に対して、もっと割合をふやすために努力や工夫が必要だと思うんです。

 厚生労働省として、地方公共団体等、法定雇用率はクリアしているけれども、内訳のうち九割は身体障害だというふうに思うんですが、この知的障害の部分、精神障害の部分、法定雇用率にしっかりと反映させていくためにどのような取り組みをされておるのか、お尋ねいたします。

内田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、国や地方自治体における知的障害者あるいは精神障害者の雇用を進めること、これは非常に重要なことだと考えてございます。

 厚生労働省といたしましては、これまでも、各省庁に対しましては事務次官連絡会議等の場を通して、あるいは都道府県に対しましては通知を発出いたしまして、知的障害者や精神障害者の積極的な雇用を働きかけてきたところでございます。

 知的障害者の方々等を雇用する制度としてチャレンジ雇用制度というのがございますが、引き続き、障害者が一般雇用に向けた就労経験を積むチャレンジ雇用制度の積極的な活用などで、各府省等における知的障害者や精神障害者の雇用を促してまいりたいと考えてございます。

中島委員 民間企業で、法定雇用率をクリアするのはなかなか難しい中小企業もあると思います。

 一方で、地方公共団体は、身体障害の部分でいけば、設備、スロープをつくったりそういった部分で、そこには公共投資ということで設備投資しやすい。結果的にこういう数字になるんだろうなと思うわけです。やはりここは、知的障害や精神障害の場合はそういう施設整備だけではなかなかできない、そういう意味合いもあるんだと思うんですね。実際そうだと思うんです。

 ですから、やはり、これは率先して、全体の法定雇用率をクリアしているからいいではなくて、この割合をしっかりと、各省庁がその取り組みを先頭に立ってやっていただいて、民間の企業も含めて、それをもとに法定雇用率をしっかりクリアされていくという形にしていかないと、知的障害、精神障害の方々は、なかなか、今社会全体の雇用状況もいいとは言えない状況ですから、先ほどの優先調達も含めて、社会全体で見ていくという意味ではまだまだ課題が多いのではないかと思いますので、ぜひ今後もしっかりと課題については取り組んでいただきたいと思います。

 次に、重症心身障害児に対する医療ケア体制について御質問させていただきたいと思います。

 児童福祉法では、重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態を重症心身障害者といい、その状態にある子供を重症心身障害児というふうになっております。

 私も医師でございまして、在宅医でした。私の専門はもともと外科で、その後、在宅医療ということでやっておったんですが、私は、十年やっていく中で、ほとんどの方はがんの末期の方とか高齢者の方だったわけですが、NICUの整備も進んだ影響だとは思います、お子さんの在宅医療も依頼されることがやはり年々多くなったなという印象は持っておったんですね。

 そういう中で、やはり重心の子供たちを在宅ケアするに当たって医療的ケアは非常に重要だということの中で、重心障害児の子供たちの今の全体的な現状をどのように把握しているのかを厚生労働省に聞こうと思ったんですが、時間があれですので、資料の四枚目ですね。

 いろいろ調べたんですが、正確なデータというのはなかなか出すのが難しくて、これは岡田先生の資料ですが、全国でおよそ四万三千人ぐらい、うち施設入所されている方が一万四千人、在宅ケアをされている方が二万九千人、このような割合になっているようです。

 施設の概要を飛ばしまして、先ほどNICUと言いましたけれども、本来であれば命を救えなかった子たちが、そういう整備によって命を救えるようになった。その一方で、施設の整備もなかなか進んでいない。若い保護者の方を中心に、在宅志向が強いというふうに言われています。これは統計ですけれども、施設の入所の申し込みについては、今は考えられない、今後も申し込みすることは考えていない方たちだけで大部分を占める。

 やはりそうなってきますと、在宅ケア、重心障害児の子たちに対する医療ケアニーズが非常に高いということで、その整備が非常に重要になるというふうに思われているわけですが、厚生労働省として、この実態の把握、プラス取り組まれていることについてお尋ねしたいと思います。

高鳥大臣政務官 お答えをいたします。

 委員御指摘の点でございますが、特に在宅の方でお答えをしたいと思っております。

 在宅の重症心身障害児またその御家族が安心をして地域生活を送るための支援体制の整備充実というのは非常に重要だと考えております。

 特に、平成二十四年度からは重症心身障害児者の地域生活モデル事業を実施いたしておりまして、地域の中で安心して暮らせるよう、効果的なサービス利用や関係機関の連携のあり方等につきましての先進的な取り組みに対し助成を行っているところでございます。

 このモデル事業の成果も踏まえまして、引き続き、重症心身障害児の支援のさらなる拡充を図ってまいりたいと考えております。

中島委員 恐らく、この取り組みは、今政務官がお答えいただいたように、地域生活モデル事業ということでやられているんだと思います。

 これを見ますと、医療、保健、福祉、教育等、あと地方の公共機関ということになっておるわけですが、先ほど、私は在宅医で、この重心障害児の子を診るのは大変難しいということをお話ししましたが、これはやはりモデル事業としても大変課題が多いなと。

 一方で、きのうも質疑になりました医療と介護、税と社会保障の一体改革の中で、地域包括ケアシステムということがうたわれておるわけです。そもそも、やはり今回の消費税増税に関しても、障害の部分が組み込まれていない。この地域生活モデル事業は、地域包括ケアシステムと別枠でやっても、実現は非常に難しい。やはり、地域包括ケアシステムの中に、こういう障害の地域生活のあり方みたいなものをしっかりと盛り込んでいただきたいと思うんですね。

 これを単独でやっても、重心の子たちの在宅の環境というのはなかなか難しい。税と社会保障の一体改革、今回も消費税増税されております、障害の部分に対してしっかりと盛り込んでいただきたい。地域包括ケアシステムのあの枠の中に、障害を抱えた方々も安心して住みなれた地域で生活を送れるようにしっかりと組み込んでいく必要があると私は考えるわけです。

 大臣に最後に聞こうと思ったんですが、いらっしゃらないので、もしそれについて御答弁いただける方がいれば御答弁いただきたいと思います。

高鳥大臣政務官 お答えを申し上げます。

 一昨年に成立いたしました税制抜本改革法によりまして、消費税引き上げによります国の増収分は全額、年金、医療、介護、子育て等の社会保障四経費に充てることとされております。

 一方で、障害者福祉サービス等に要する経費につきましては、消費税増収分の対象経費となっておりませんけれども、近年大幅な伸びを確保しているところでありまして、平成十七年からしますと二倍以上に増加をしているところでございます。

 引き続き、毎年度の予算編成におきまして、しっかりと必要な財源を確保してまいりたいと考えております。

中島委員 今後、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、三ッ林裕巳君。

三ッ林委員 おはようございます。埼玉十四区、自由民主党の三ッ林裕巳です。

 今回、質問の機会をいただき、深く感謝申し上げます。

 今回、大きく分けて四つの質問をさせていただきます。まず、本年度の診療報酬改定についてであります。また、口腔ケアの必要性について、子ども・子育て支援新制度について、そして最後が睡眠時無呼吸症候群について質問させていただきます。

 まず、控除対象外消費税について質問させていただきます。

 四月に入り、新しい平成二十六年度診療報酬となりました。今回の改定で、消費税八%分補填率の算出で、従来の消費者物価への影響による不透明な減算が行われず、一・三六%という数値になったことは評価に値すると思います。

 しかしながら、平成二十六年度は医療費総額が四十兆円を超えるとされております。消費税五%のときの控除対象外消費税の割合を二・二%と試算いたしますと、消費税負担額は約九千億円でありました。消費税が八%に引き上げられ、消費税負担額は約一兆四千億円もの負担となります。

 病院団体の調査によりますと、一病院当たりの消費税負担額は、病院の規模や病床機能によって異なりますが、五%の段階で年平均三千万円から四億円となっております。診療所においても、数十万円から数百万円の消費税負担が生じております。調剤薬局におきましては、費用のうち医薬品仕入れ、課税取引部分が七〇%強ですから、医療機関よりも消費税負担の割合が大きく、経営に重くのしかかってきております。さらにこれから消費税が一〇%に引き上げられたときには、二倍の打撃を受けることは間違いありません。

 今後の控除対象外消費税に対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

土屋副大臣 三ッ林先生にお答えさせていただきます。

 先生はお医者さんということでございますので、消費税が非課税とされている社会保険診療においては、医療機関等が医薬品等を仕入れる際に支払う消費税分は診療報酬により手当てされてきているということはよく御存じだと思いますが、医療に係る消費税のあり方については、診療報酬等の医療保険制度における手当て、または課税化にするのか、また非課税還付制度の導入などをするのかと、いろいろな意見が出されていると承知しております。

 いずれにしましても、税制抜本改革法において、「医療に係る課税の在り方については、引き続き検討する。」こととされておりまして、引き続き、与党の議論の状況等を踏まえつつ検討していくことになると考えております。

三ッ林委員 土屋副大臣、ありがとうございます。地元でもいつもお世話になりまして、ありがとうございます。

 私は、この控除対象外消費税のことを考えるときに、日本の医療というのは民間医療が支えている、このことをしっかり頭に据えて考えていかなくてはいけない、そして税制の抜本的な解決が求められていると思いますので、この点、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 そして、今回の診療報酬改定におきまして、どうしても理解できないことがあります。それは、周産期医療における緊急帝王切開を初め、大幅に減点されたことであります。

 私はこれまで、医学部の教員として教育、診療に携わってまいりました。医学部六年生に希望科のアンケート調査をしたことがあります。周産期医療を希望される学生が三割に上ったのです。しかるに、現状はどうでしょうか。産科医は減り続け、私の選挙区でも、一つの市に一医院あるかないかという状況であります。何が問題なのか、今後、十分な検討が早急に必要であると思います。

 昨日の本会議におきましても、高橋千鶴子議員の質問に対して、産科医不足対策が必要との安倍総理の御答弁がありました。志を強く持ち続け、地域における周産期医療を守り続けている有床診療所の産科医院を支えていくのが国の務めではないでしょうか。

 少子化の中、産科医院に対するメッセージとなる今回の改定、今回の対応には理解に苦しみます。その根拠について、責任ある説明が必要であると考えます。また、今後の取り組みについて御答弁をお願いいたします。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の産科の関係でございますが、この四月からの診療報酬改定におきましては、この手術料の関係、中医協の中では、手術料は、外科系の学会の皆様の集まりであります外保連、社団法人の外科系学会社会保険委員会連合でございますが、こちらの方から、従来から手術に要する経費の調査というものを踏まえた提案をいただきながら審議をしておりますが、今回の審議におきましても、各分野の手術費用を試算いただいたものの提案をいただきまして、それに基づいて審議をいたしました。

 これは、手術ごとに、技術の程度であるとか医師や看護師の数であるとか、要する時間であるとか材料費であるとか、こういうものを総合的に調査いただき、提案をいただいたものでございますが、全体の手術が約一千ぐらいある中で、この中の二十件程度の手術は増加の点数になりましたけれども、八十件程度の手術は減点になったところでございます。その中にこの帝王切開のものも入っておりました。

 それで、帝王切開術につきましては、今回、手術の所要時間、効率的にやっていただけるということで、その辺が減ったということで、人件費部分がより小さくて済むというような提案にはなっておりましたけれども、それも、全部をそのまま引き下げるということはできませんので、従来の二万二千百六十点から二万百四十点に改定をさせていただいた。

 なお、二年ごとの改定におきましては、選択帝王切開と言われるものは、二十年のときに一万五千点、二十二年で一万九千三百四十点、二十四年に二万二千百六十点となっていましたものが、今回、二万百四十点になったという経緯でございます。これは、毎回の中医協の手術料の見直しの中でまた検証し、議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 また、御指摘をいただきました有床診療所は産科の面でもしっかりと支えていただいているわけでございますが、この有床診療所のあり方につきましては、地域で担っていただく機能を踏まえまして、例えば地域包括ケアの中では、病院から退院される方々を受け入れていただく、あるいは在宅の拠点になっていただく、緊急の対応をいただくとともに、産科、小児科等の専門医療も担っていただいている、こういう機能をお持ちでございますので、こういう複数の機能をお持ちの有床診療所につきましては、入院基本料を今回はしっかりと上げさせていただいているところでございます。

 それから、出産等に伴います看護職員の配置等も必要になりますので、看護職員の手厚い配置の対応をしていらっしゃる有床診療所につきましては、新たに加算の引き上げ、それから看護補助者を配置した場合の加算というものを新設させていただいたということでございます。

 地域の中で産科を担っていただいている、大変大事な役割をされています有床診療所におきましても、今後とも、その果たしていらっしゃる機能を見ながら、中医協においてしっかり審議をさせていただきたいというふうに思っております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 この周産期医療、これからの日本の本当に存亡をかける、そういうことを担っていただいている先生方に対して、診療報酬改定というのはやはり国のメッセージとなりますので、ぜひその点を踏まえたこれからの取り組み、また検討をお願いしたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 口腔ケアについての質問になりますけれども、私は、これまで医療に携わってまいりましたけれども、歯科医療につきましても、歯科大学病院等で二十年近く携わってまいりました。そういった中で、質問させていただきます。

 私は、高齢者が地域での医療生活を安心して送り、健康寿命を延伸するために、歯科は重要な役割を担うと思っております。

 資料を出しましたけれども、資料一の方で「健康自立の支援」とあります。これは、東京大学高齢社会総合研究機構の秋山弘子教授が、二十年間、五千七百名、約六千名の方を調査して、六十歳から九十歳までどのようにお年寄りの方が変化していくかというのを見たもので、かなり有名なものなんですけれども、介護の全く必要ない方が一一%おられるということであります。そして、重度の介護が必要な方が一九%おられる。この重度の介護というのは、食べる、かむ、こういった基本的な動作ができなくなって、死に至っているわけでございます。本当に、食べる、かむ、こういったことが、これからの健康寿命を延伸するのに非常に重要であると考えております。

 また、次の資料二を見ていただきたいのですが、これは、歯の本数が減ると認知症が増すということであります。歯がほとんどないのに義歯を使用していない人は、二十本以上歯がある人の一・九倍、認知症のリスクがある、こういう報告がされております。

 また、在宅療養中の高齢者に対しては、誤嚥性肺炎、低栄養の予防を初め、全身状態の維持にも継続的な口腔管理を進めることが必要であります。

 人口動態統計によりますと、死因の一位と二位は悪性新生物と心疾患でありますが、平成二十三年から、四位だった肺炎が三位となり、脳血管疾患を上回って、現在に至っております。肺炎による死亡がふえた最大の原因は、誤嚥性肺炎であります。衰弱した高齢者や進行した認知症患者は、嚥下がだんだんとうまくできなくなり、誤嚥から肺炎を起こしやすくなります。

 我が国におきまして、今後、地域包括ケアの中で重点課題として口腔ケアを進めていく方向ではありますが、今後の取り組みについて、厚労省の見解はいかがでしょうか。よろしくお願いします。

土屋副大臣 歯の健康というのは本当に長寿との関係があると、私自身も最近強く考えているところでございます。

 そこで、口腔と全身の健康づくりに関する知見を集積するために、平成二十六年度から歯科保健サービスの効果実証事業を実施し、要介護高齢者や糖尿病患者等について、どのような状態のときにどのような口腔ケアをどのぐらいの頻度で実施すると効果的なのか等について検証することとしております。

 内容といたしましては、歯科保健サービスの効果実証事業として、平成二十六年度予算で〇・六億円、要介護高齢者、糖尿病患者等に対して歯科健診、歯科保健指導を実施し、その効果を検証し、検証結果をもとに、要介護者、糖尿病患者等に対する歯科健診等の指針を策定し、歯科医療費が医療費に与える影響等についても分析してまいりたいと考えています。

 今後とも、歯科口腔保健に関する取り組みを総合的に推進することによって、国民の健康の維持向上に努めていきたいと考えております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 そして、歯科訪問診療のことについて質問させていただきます。歯科訪問診療の困難性についてお話しさせていただきます。

 一般的な歯科医師は、今まで診ていた患者が在宅療養になっても診てあげたいというのが本来の思いであると思います。

 この訪問診療をするときに、ポータブルユニットが必要となります。ポータブルユニットは約二百万円と高額で、月数回の歯科訪問診療のために購入するのは個人診療所では大変難しいといったことで、歯科医師会で購入いたしまして、それを貸し出しているのが現状であります。歯科医師会の規模にもよりますけれども、ポータブルユニットを一台しか所有していないところも多く、歯科訪問診療のニーズが高まる中、ポータブルユニットが借りられず、緊急の歯科訪問診療に対応できない、予約が一カ月先という事態も現場では起きております。

 地道に地元で地域医療を担っている歯科医師のほとんどの先生は、今まで診ていた患者さんが在宅療養になっても診てあげたいと思いますし、患者さんも、今まで診てくれていた先生に診てもらいたいというのが本来のあり方であると思います。

 在宅歯科診療を推進していくために、歯科訪問診療の困難性に対し、どのような取り組みを考えておられますか、御答弁をお願いいたします。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 要介護者などへの在宅歯科医療や口腔ケアの重要性とニーズは非常に高まってきておりますし、またその取り組みを進めることは大変重要と認識しております。

 このため、これまでも、在宅歯科医療や口腔ケアに対応できる歯科医師や歯科衛生士を養成するための講習会への助成、また、この講習会を受講した歯科医師を対象として、在宅歯科診療を実施する医療機関に対し、ポータブルユニット等の医療機器を整備するための補助事業、これは個々の医療機関に対する補助事業、また、歯科医療機関が病院や介護サービス事業者等との連携を図るための窓口となる在宅歯科医療連携室の設置を進める事業、例えば歯科医師会のところでやっておられる、そういうところに対する機器の整備の助成もございます。また、口腔ケア、ケアの方に必要な医療機器等の整備事業などをやってまいりました。

 今国会に提出しております医療介護総合確保推進法案において新たに創設することとしております基金におきましても、医療機関に対するポータブルユニットを含む医療機器の整備に対する補助、あるいは在宅歯科医療連携室の設置に対する補助について、都道府県が柔軟に実施できるように支援することとしております。

 今後とも、引き続き、歯、口腔の健康の重要性を踏まえまして、在宅歯科医療の推進を通じて国民の健康の維持増進に努めていきたいと考えております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 また診療報酬改定のことをお話ししますけれども、今回、訪問診療料が大幅に減点されております。

 訪問診療は、在宅診療と施設訪問診療とに分けられます。一施設で複数人を診る場合は減算もやむなしと考えますけれども、一人を診る在宅診療の点数は消費税分しか上がっておりません。また、在宅かかりつけ歯科診療所加算が設定されましたけれども、施設基準が厳しく、在宅が八割以上でないと算定されません。

 口腔ケアをこれから進めていくためには、在宅診療に対する手当てを考慮すること、また施設基準の現場に即した対応をお願いしたいと思います。ぜひとも施設基準につきましては再検討をお願いしたい、このように思う次第でございます。

 次の質問に移らせていただきます。子ども・子育て支援新制度についてであります。

 現在、子ども・子育て支援新制度の詳細な検討が子ども・子育て会議にて行われており、三月二十八日には、その第十四回会議、基準検討部会合同会議の取りまとめが行われました。しかし、その内容を見ると、今後我が国が直面していく超少子化社会、人口減少社会への歯どめとなるはずの施策であるにもかかわらず、その大きな目的が果たせない心配があります。

 新制度では、認定こども園、幼稚園、保育所を通じた施設型給付に加えて、小規模保育等への地域型保育給付が創設されております。加えて、地域子育て支援事業で、全ての子育て家庭への支援も充実し、保育の量的拡充、質的改善を行っていくことになっていますが、保育の現場では、その保育を担っていく保育士の確保が大変厳しい状況になっております。厚労省の待機児童解消加速化プランによりますと、今後四十万人分の保育整備を行っていく必要があります。約七・四万人の保育士が今後必要となります。

 平成二十四年賃金構造基本統計調査によりますと、保育士の給与平均月額は二十六万二千五百円、全職種の平均月額は三十九万三千九百円。このように、勤続年数の違いはありますが、約十万円以上の差があります。日本の未来を担う子供たちの命と育ちの保障をしながらも、多様な保護者に対応する、多元な職業に見合う賃金となっていないことが、離職率の高い状況につながっているとも言えます。

 今回の制度では、その保育士不足解消を含めて処遇改善が図られることになっておりましたが、一兆一千億円の試算から七千億円となったため、五%の処遇改善が三%に減額されております。その保育士の処遇改善三%には、保育士臨時特例事業の二・八五%相当も含まれており、現実には〇・一五%の処遇改善となってしまいます。このようなことでは、保育士不足は続き、新制度が始まり、保育の量が拡大すればするほど保育士が足りないことは明白であり、さらに深刻化すると予想されます。

 保育士確保とその処遇改善をどのようにお考えなのか、御所見をお聞かせください。

土屋副大臣 保育士の処遇改善については、平均二・八五%の改善をする保育士等処遇改善臨時特例事業を行っているところでありますけれども、先生のおっしゃるように、消費税増税分を活用したさらなる改善が求められているところでございます。

 一昨年の社会保障・税一体改革に関する自公民三党合意や、子ども・子育て関連三法に対する参議院の附帯決議において、幼児教育、保育、子育て支援の質、量の充実を図るためにはまさに一兆円超程度の財源が必要であり、政府は財源の確保に最大限努力するものとする旨が盛り込まれております。

 これを受けて、昨年六月に全閣僚で構成される少子化社会対策会議において決定した少子化危機突破のための緊急対策においても、このことについては、税制抜本改革法にのっとった消費税の引き上げにより二十九年度までに確保する予定の〇・七兆円程度を含め、一兆円超程度の確保に努めることとしているところでございます。

 政府としても、〇・三兆円超の財源を確保するため、今後も最大限財源確保に努めてまいりたいと思います。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 この制度により、少子化に歯どめをかけ、女性が子供を産み育てやすく、ワーク・ライフ・バランスも図られる社会を築こうとするならば、この保育士不足と保育士の処遇をきちんと改善しなければなりません。そのためにも一兆一千億円の財源確保はしっかりなされなければいけないと考えておりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 次に、放課後児童クラブについて質問させていただきます。

 新制度の中では、放課後児童クラブの充実も図られることとなっております。放課後児童クラブの基準に関する専門委員会でもその基準づくりが行われ、大きな一歩となりましたが、小一の壁の解消といった質の改善に対して十分な給付がつかないことには大きな不安を持っております。

 放課後児童クラブの問題は、本来、保育や子育て支援と並行して、大きく取り上げなければならない問題であります。なぜならば、女性の社会進出等により増加する保育量は、数年後にはその相当数をこの放課後児童クラブで受けなければならないからであります。

 我が国の未来を担う子供たちのために、量的拡大とともに質的改善を今後どのように考えておられるのか、また、指導員の処遇改善を含めて、保育士不足と同様の問題を引き起こさないようにしなければならないためにはどのような施策を考えておられるのか、御見解をお願いいたします。

石井政府参考人 委員御指摘のとおり、保育所の整備のみならず、放課後児童クラブも大変重要でございます。お子さんが小学校に進学した後もこのクラブを利用して仕事と子育てとの両立ができるようにしていくこと、これが極めて重要と思っております。保育所と同程度の開所時間と実施箇所数を確保して、今大変課題となっております小一の壁の解消をしていく必要があると思っております。

 このため、平成二十六年度の予算では、八%に引き上げる消費税財源を活用しました保育緊急確保事業により、保護者の利用意向を反映して開所時間の延長を行う放課後児童クラブに対して追加的な財政支援を行う内容を盛り込んでおりまして、こうしたことを通じて、保育所との開所時間の乖離を解消してまいりたいと考えております。

 この開所時間の延長のための追加的な財政支援の中身でございますが、これにつきましては、十八時半以降を超えて開所する場合におきまして、非常勤職員の処遇改善に必要な費用を支援するという形で、職員の処遇改善ということも内容として盛り込んでいるものでございます。

 放課後児童クラブの実施箇所数も、今、待機児童というのが放課後児童クラブについてもございますので、平成二十七年の四月に施行予定の子ども・子育て支援新制度のもとでは、市町村が住民の利用ニーズを把握した上で事業計画を策定して、事業の提供体制の計画的な整備により量的な拡充を進めていくこととしております。

 こうした対策をしっかり進めて、今後とも、小一の壁の解消に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

三ッ林委員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いいたします。

 最後の質問に入りますけれども、私は循環器科を専門に診療に携わってまいりました。生活習慣病と強く関連する疾患として、睡眠時無呼吸症候群があります。

 現在、睡眠時無呼吸症候群、SASと言いますけれども、潜在患者は二百万人から三百万人と言われております。心筋梗塞、脳卒中、心不全等、重大な疾患を引き起こし、突然死の原因ともなっております。現在、治療を受けている方は一〇%足らずであります。今後、国としての啓蒙が必要と考えております。

 現在の状況、今後の施策について、厚労省の取り組み、御答弁をお願いいたします。

佐藤政府参考人 今御質問をいただきました睡眠時無呼吸症候群ですが、幾つかの原因がありますけれども、議員がお示しになっております読売新聞の記事の右隅の方にもありますように、一言で言うと、睡眠時に空気の通り道が閉塞することが原因で引き起こされる病気の集団でございます。

 議員御指摘のとおり、国民一般には広く余り知られていない状況かもしれません。交通関係に従事する方の健康という点では、これまで何度か報道があったこともあるようです。

 いずれにしましても、厚生労働省としては、少なくとも過去十五年以上にわたりまして、厚生労働科学研究で研究をしております。具体的には、呼吸不全に関する調査研究ということでございまして、直近の研究では、生物学的な発症メカニズム、あるいはメタボリックシンドロームとの関係などの報告をいただいております。議員の御質問にもありましたように、心不全などの循環器疾患につながる可能性もあることから、正確な診断ということが重要ですし、必要に応じて生活習慣の改善指導などの対応も必要かと思います。

 一方で、診療報酬におきましても、睡眠時無呼吸症候群の診断を行うための検査、終夜睡眠ポリグラフィーと呼んでおりますけれども、こういったものとか、あるいは在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料などの点数をつけて、治療にも評価をしているところでございます。

 健康づくりという観点からも、健康づくりのための睡眠指針二〇一四というものを公表したばかりでございますけれども、この中でも睡眠時無呼吸症候群のことについて触れておりまして、一層の普及啓発に努めてまいる所存でございます。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 このSASですが、社会に与える影響も重大です。

 資料として提出しましたけれども、関越自動車道で乗客四十五名が死傷したツアーバス事故で、この運転手もSASに罹患しておりました。SASの影響は否定された判決でしたが、これがSASの影響で事故を起こし無罪となったら、御遺族はどんな思いになるでしょうか。そもそもSASに罹患している運転手がいること自体が問題であり、安全施策として簡易睡眠検査等を義務づけることが必要ではないでしょうか。

 最後の質問です。現在、どのような取り組みが行われているか、簡単で結構ですので、御答弁をお願いいたします。

大庭政府参考人 お答え申し上げます。

 SAS、睡眠時無呼吸症候群が交通事故を招きかねない疾病の一つであるということは認識しておるところでございます。

 国土交通省におきましては、道路運送法に基づき、自動車運送事業者に対し、運転者の健康診断の受診、健康状態の把握などを義務づけております。

 さらに、SASにつきましても、事業者向けマニュアルによりまして、SASスクリーニング検査受診の必要性を含むSASの正しい知識の普及、SASと診断された場合の専門医による治療等の実施について、バス事業者を含めまして、関係事業者に指導してきたところでございます。

 これを受けまして、関係団体においても、SASスクリーニング検査に要する費用の一部の助成が行われてまいりました。

 SASを含めました健康障害を伴う事故を未然防止する上では、あらゆる疾病のリスクを想定した合理的かつ総合的な対策が必要であり、御指摘の点につきましても、その一環として、必要性を検討することが重要であると考えております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、SASを含む健康障害を伴う交通事故の未然防止に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

三ッ林委員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いします。

 終わります。

後藤委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 一般質疑でありますから、私ども公明党が、あるいは私自身が抱えております厚生行政にかかわります課題について何点か、時間の許す限り議論をさせていただきたいと思います。

 一点目が、がんの巡回検診車におけるエックス線の撮影の問題についてであります。

 実は私、地元が山口でありますが、昨年の二月から四月ぐらいに地元で大変マスコミをにぎわせました。どういう記事かといいますと、がん検診車、運用がピンチだという報道であります。これは、山口から全国的にも、中国地方にも広がったわけであります。

 この検診車では、多くの場合、放射線技師が撮影している。しかしながら、医師の立ち会いがない場合については、放射線技師法に照らして違法となるということでありまして、山口県下の巡回検診車の活動がピンチになった、こういう報道でありました。

 現に、私の地元では、市長会からも陳情をいただいたわけであります。厚生労働省にも届いていると思うわけでありますが、具体的に、肺がんの移動検診車の活動を中止したという事例があったりいたしました。そうした現場の悩みに対応して、厚生労働省では、医師会等とも協議を重ねていただいているというふうに理解をしております。

 この国会で医療介護総合確保法案が提出されておりますけれども、この中でこの問題は解決をするというふうに私は理解しているところであります。きょうは、法案の審議はまだ始まっておりませんが、確認をさせていただきたいと思います。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点につきましては、現在、診療放射線技師法第二十六条の二項において定められております。その条文によりますと、「診療放射線技師は、病院又は診療所以外の場所においてその業務を行つてはならない。ただし、次に掲げる場合はこの限りでない。」ということで、いわゆる集団健診などの場合が規定されております。「多数の者の健康診断を一時に行う場合において、医師又は歯科医師の立会いの下に百万電子ボルト未満のエネルギーを有するエツクス線を照射する」こと。ですから、立ち会いのもとに許されるという形で現在の規定はなされているところでございます。

 今回、医療介護総合確保推進法案におけます診療放射線技師法の改正におきましては、事前に医師または歯科医師の指示を受けて、診療放射線技師が胸部エックス線検査のためにエックス線を照射するときに限り、医師または歯科医師の立ち会いを不要とすることとしております。

桝屋委員 そういうことで、一歩、現場がまた安心をするかなと思います。

 きょうは幸いに大臣がいらっしゃいませんので話しやすいのでありますけれども。大臣は国会で、この点については、移動巡回車たりといえども、エックス線撮影は少なくとも医師の同行が必要だ、このように御答弁をなされた。その理由は、エックス線照射が人体に及ぼす影響を踏まえ、その安全性を確保するために医師の立ち会いが必要だ、こういうふうにたしか答弁をされたと思うわけでありますが、そうした考え方、ここはちゃんと整理できているのかどうか、重ねて御説明をいただきたいと思います。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、この改正案を出すに当たりまして、昨年、厚生労働特別研究事業によりまして、巡回検診車において医師または歯科医師の立ち会いなしに胸部エックス線撮影を行うことが安全かどうかという調査研究を実施いたしました。

 その結果といたしまして、従来に比べて大きな違いは、エックス線の撮影機器がデジタル化されていること、あるいは過剰な照射をとどめるような装置が普及していること、これらによって撮影についての安全性は格段に進歩しております。

 さらに、医師または歯科医師の立ち会いがなくても、例えば問診という形で本当は医師がやらなければいけないのですけれども、ただ、一定の基準でいろいろな検査をほかに加えるとか、そういうようなものをつけ加えることもできるのではないかというものを含めまして、撮影そのものについては安全だと。

 そのほかに、いろいろ機器の不備や何かがないかという点も調査されましたけれども、ふだんの点検等で問題はないということから安全性は十分に担保されるであろうということから、今回の法律改正に盛り込んだところでございます。

桝屋委員 よくわかりました。

 過去に、事故といいましょうか、そうしたこともほとんどなかったというふうに私も理解しておりますので、今回の法改正を一日も早く仕上げたいなと思っている次第であります。

 副大臣がきょうはおられますけれども、今回の医療介護総合確保法案が今のような内容も含めて成立をいたしますれば、現場もまた巡回検診車の活動ということが円滑に進むだろう、こう思っておりまして、その上は、がん検診の受診率の向上に向けてしっかり取り組んでいただきたいと思うわけでありますが、副大臣の思いを聞かせていただきたいと思います。

土屋副大臣 桝屋先生には、日ごろ大変いろいろな面で御指導いただきまして、ありがとうございます。

 先生が御心配しているように、やはり予防医学として、予防としてがんの検診は非常に大きな課題であるところでございますけれども、非常にパーセンテージもまだまだ低いという中で、これが成立しますと、やはりかなり効果があるのではないかと思います。

 しかし、やはり広報していくということが非常に重要なことだと思いますので、その点もしっかりと広報を、自治体等を通じて頑張っていきたいと思います。

 それと、安全性の確保も大変重要な課題になると思いますけれども、法案が成立した場合には、安全性の確保に必要な体制を十分に整備することも盛り込みますし、必要な指針の改正を行いまして、検診会場に医師がいない場合でも肺がん検診の実施を可能とする予定であります。

 厚生労働省としては、肺がん検診に限らず、がん検診の受診率向上のための取り組みを実施するなど、がん対策推進基本計画に基づき、総合的ながん対策を推進していきたいと考えております。

桝屋委員 それでは、次のテーマに移りたいと思います。

 もっと具体的な話になるわけであります。私ども公明党の現場から上がってきた問題でありますが、いまだに課題が解決されておりません。入院時の食事療養費の問題であります。

 大阪の岸和田市の議員から、私ども党中央に寄せられた声であります。既に厚生労働省にも届いていると思いますが、具体的には、低所得者の方が入院をされて、入院期間が九十日を超えると、患者の食事負担が一食二百十円から百六十円に五十円減額される仕組みがあるわけであります。一食ですから、患者にとっては非常に負担軽減につながっている、こういうことであります。

 ところが、入院中に七十五歳に達して後期高齢者医療制度に移行するとなりますと、それまでの入院日数のカウントがゼロになりまして、もう一回、その日から九十日たたないとこの減額が受けられない、こういう事態があるわけであります。

 先ほど申しましたように、既に昨年、現場の市会議員の声を受けて、我が党の参議院の石川議員が厚生労働省に改善の要望も行ったところでありますが、その後の検討の状況を伺わせていただきたいと思います。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今の入院時の食事療養費の患者負担の軽減の問題は、御指摘を承っております。

 仕組みは、今先生御指摘のとおりですが、在宅の方との、生活する上での食事ということの負担の公平という観点から、基本は一食二百六十円をいただく仕組みなのでございますが、低所得の方の場合には、それを軽減して一食二百十円、さらに長期の入院、直近の一年間で合算をしまして九十日を超えるような入院がありましたときには、さらにそれから五十円減額して一食百六十円、こういう仕組みでお願いをしております。

 この仕組みにつきまして、国保や健保の中では対応できていたものが、広域連合が発足したときに、後期高齢者の年代に達して広域連合に加入される、あるいは広域連合間で動かれるというときにこの合算がうまくできていないという御指摘がございました。

 この指摘に対しましては、やはり公平という観点から是正をしていくべきであろうと思っておりまして、改めて、その広域連合の、後期高齢者の年齢に達せられる前からの入院日数が算定できるようにという仕組みを考えていきたいということで、今、その実務的な検討もしております。

 広域連合の方での低所得者の認定の仕組みは年に一回ございますけれども、そういうものと合わせての軽減ということも検討したいということで、速やかな検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

桝屋委員 改善される方向で検討されていると。システムの改修等もありますでしょうから、できるだけ早く実現をしていただきますように。まさか、三年も四年も先ということではないんだろう。年度内に、次の医療制度の改革も横たわっておりますから、その前にこういう問題は解決しておくということが必要だろうと思っております。

 大体、次の改革の前に改善されるという理解で、うなずいておられますが、ちょっとそこで、そうだと言っていただければ。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げましたように、国保、健保の方でうまく対応できている、そういう仕組みがございますので、それを参考にしながら、なるべく早くということですから、所得の認定等も年に一回ございます、そういうタイミングを見ながら、そのタイミングに合わせて、早くの改善ということを図ってまいりたいというふうに思っております。

桝屋委員 それでは、次のテーマに移りたいと思います。

 お見かけをしますと、原局長と原局長がお座りでございまして、お二人には余り言ってほしくないテーマかもしれませんが、介護現場における人材の活用ということで議論をさせていただきたいと思います。

 二月十七日の予算委員会におきまして、私は、医療、介護、福祉の人材確保について議論をさせていただきました。その際、今後、介護人材は、百万人ぐらい足らない、養成しなきゃいかぬという田村厚生労働大臣のお話等を受けながら、それでは、せっかくマッサージ師までは何とかなっているのでありますが、鍼灸師の活用について、介護保険上の評価、いわゆる機能訓練指導員という位置づけについて御検討されたらいかがでしょうか、こういう御提案を行いました。

 大臣はその際、鍼灸師の介護予防の現場における取り組みの事例もあるというふうに理解をお示しになりまして、鍼灸師の持っておられる専門性を勘案して議論したいとおっしゃっていただいたわけであります。

 二月十七日でありますから、議論がどれぐらい進んだか。おまえ、そんなに早く聞くなというお顔をされておられますが、議論の動向を伺いたいと思います。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 地域包括ケアシステムを構築していく上で、医療、介護の専門職の方々の役割は大変重要だと思っております。

 先日の予算委員会の場で大臣の方からも御答弁がございましたけれども、介護予防における鍼灸師の方の役割についてということで、あのときは川崎市の事例もちょっとお話しになったようでございます。

 私どもとしても、この介護予防の推進に当たっては、高齢者が地域の中で生きがいや役割を持って生活できるような地域づくりが非常に重要であると。

 このような基本的な考え方から、厚生労働省におきましては、現在、住民に身近な市町村が中心となって、地域の実情に応じた効果的、効率的な介護予防の取り組みを推進できるように、先行的に取り組んでいる自治体の取り組みというものを全国から収集いたしまして、整理しているところでございます。

 この中で、鍼灸師の方々が参画している取り組み事例についても、関係者の方々と意見交換をしながら、今後、具体的な取り組み内容について確認をしてまいりたいと。

 ちょっとお叱りを受けるかもしれませんが、法案等いろいろ仕事もございまして、作業の進捗状況はまだはかばかしくございませんけれども、そういうことでこれから取り組んでまいりたいと思っておりますし、また鍼灸師の団体の方々からも、例えばこういう取り組みがあるんだ、あるいはこういう提案がしたいということであれば、私どもとしてもぜひお話を聞かせていただきたいと考えているところでございます。

桝屋委員 きょうは、大臣がいらっしゃいません。副大臣とお話をしたいと思うんですよ。副大臣、このテーマは、実は歴代の副大臣の課題であります。

 と申し上げますのは、土屋副大臣の前の前の前の副大臣ぐらいが実は議事録が残っていない場で要請をお受けになって、名前は言いませんけれども、これぐらい言いたいのでありますが、名前は出しません。民主党政権のときの副大臣でありますけれども、その団体の要望に対して、二十四年の二月ごろでありますけれども、それを機能訓練指導員へ位置づけることはそんなに難しいことではない、早速やろう、このように大変明確な回答をされた。

 残念ながら議事録はないのでありますが、そのときに理由まで言われて、これは鍼灸師会の団体が強く要望している、それから医師会等も反対はないということで、しかも鍼灸師だけをこの機能訓練指導員の評価から外すという合理的理由はない、ここまでおっしゃって、それはやりましょうと。残念ながら、すぐ選挙になっちゃって、実現していないわけであります。

 したがって、副大臣、我々、私はのけて、歴代副大臣のやはり大きな課題だと思っておりまして、ぜひ御検討いただきたい。

 もう少ししゃべりますと、厚生労働省は、事務方は、この問題については、必ず医療保険制度のリハビリテーション料、診療報酬上のこの体系のロジックからどうしても抜け出ずに、そこから引っ張ってきて議論をなさるから、なかなかいい結論にならないわけであります。

 原局長にもう一つ伺ってみたいんですが、通告しておりませんが、鍼灸師だけの資格を持っている方というのはどのぐらいいらっしゃるんでしょうかね。

 というのは、なかったらないでいいんですが、背景は、介護の人材が必要だ、これから二〇二五年に向けて百万人確保しなきゃいかぬというときに、柔道整復師も鍼灸師も、養成施設については、実は厚生労働省はコントロールしたかったけれども、これは規制をかけてはいけませんと裁判まであって、それで鍼灸師の養成施設がばんばんできた、こういう経緯がありまして、そういう方々は、マッサージ師と同じように勉強なさって社会に出られる、医療や介護の現場に出ていかれるわけであります。こうした方々を活用しないということはないでしょうというのが私の思いであります。

 そこで、両方の資格、マッサージ師の資格を持っていればいいんですが、鍼灸師だけの資格の方はどのぐらいの塊でいらっしゃるのか、もし数字が今手元にあれば。ないということは、一体どういう議論をしているんだ、こう言いたくなるのでありますが、あれば。なければ、ないと言ってください。

原(徳)政府参考人 残念ながら、手元にちょっと持っておりません。

桝屋委員 だから、原局長と原局長が並ぶと、私はごまかされるような気がしてならぬわけであります。

 議論をする以上は、そうしたデータをぜひともそろえながら、確かに現場でどういう機能を果たしているか。

 私も、実は現場へ行ってきました。昨年でありますが、東京・三鷹市で実際にデイサービスをやられている現場に行きまして、数人の鍼灸師が活躍している現場を見てまいりました。大変に喜んでおられる。原局長、そこは介護予防だけではありません。介護予防という点にだけ着目して議論していただきたくない、私はこういう思いでありまして、医療保険とは別に介護保険制度の中で、予防だけでなくて介護の分野でも、デイサービス等では役割を果たしているという事例を私は見てまいりました。

 ぜひ、そうした視点で、余り方向を決めずに、医療保険制度と介護保険制度は一体になってやっていかなきゃいかぬわけでありますが、介護は介護での特徴があると思っておりまして、そうした視点で前向きに検討いただきたいなと。

 土屋副大臣、ぜひ、私がそう叫んでいたというふうに後で大臣に報告していただきますように。副大臣のお気持ちを聞きたいと思います。

土屋副大臣 桝屋先生、代々の送られた大変な大きな課題であるということをお聞きしまして、私も大変重く受けとめております。

 鍼灸師の方たちは、私も地元で日ごろ大変おつき合いさせていただいておりまして、地域でいろいろな形で活躍されていると思います。

 まずは、やはり機能訓練指導員の資格ということになりますとなかなか、資格要件に当てはまるのかということの議論になってしまいます。今おっしゃったように、地域においてはいろいろ活躍をされている。今後、地域包括ケアという中では、いろいろな方に御協力いただかなきゃならない中で、私は、やはり鍼灸師の方たちが積み上げていただくことは重要であろうと考えています。特に、市町村との連携がどれだけできていけるのか。その積み上げによって、やはり実績が目に見える形でつくれるのかということなんだろうと思っております。

 今後、私も、地元に帰りまして鍼灸師の方たちともいろいろお話をさせていただきながら、応援をしていきたいと思います。また、地元の市町村に対しましても、この課題を市長さんともお話をさせていただきたいと考えております。

桝屋委員 ぜひ、そうした作業を続けていただきたいな、きょうの議論をまた大臣にもお伝えを願いたいと。

 ただ、先ほど申し上げた、歴代副大臣のキャッチングした課題の一つである。そのときは、いや、できる、鍼灸師だけを外す合理的理由がないというところまでお答えをされたわけでありまして、多くの団体の皆さんが多くの期待をされたということもあるわけであります。ついでに言いますと、この要望はそのときの大臣のところにも届いているようであります。

 しつこいようでありますが、今の副大臣の御答弁を聞きますと、しっかり事務方の指導が入っているな、こう思っておりまして、もちろん、介護予防あるいは今後の介護保険の展開の中でこの方々に活躍していただきたい、その検討はそれで結構ですが、さっき言いましたように、機能訓練指導員という介護保険上の評価で鍼灸師を外しているというその理屈はなかなか一般的には理解されないんではないか、私はそう思っている次第でありまして、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 それから、最後のテーマでありますが、特養待機者五十二万人問題。問題をつけちゃいけませんが、先般マスコミで報道されました。私も、初めて見てびっくりしたのであります。

 通告はしておりませんが、まず、この特養待機者というのは定期的にこうやってデータを集めて発表する、こういう流れになっているのかいないのか、御報告をいただきたいと思います。

原(勝)政府参考人 この調査は、私どもが全国の都道府県に対して、都道府県において特別養護老人ホームへの入所を希望されている方について聞き取り調査をしているというものでございまして、一回目が平成二十一年度、そして今回が二回目でございます。そういう意味で、定期的ではございません。

 ただ、特養の入所待機者が多いという課題がございますので、今後、我々、特養の整備をしていく上でやはり必要な資料だと思いますので、必要に応じて調査をしたということでございます。定期的ということではございません。

桝屋委員 この調査の目的というのが、私、まだ理解できておりません。二十一年にやって、今回四年ぶりにおやりになった。普通、こういうデータというのは五年ごとというのがよく行政的には言われていますが、四年。

 では、次は四年後におやりになる、こういうことでしょうか。二〇二五年に向けて介護保険事業計画が三回、四回続くわけでありますが、その中でこれをきちっと押さえられるのかどうか。この目的は一体何なのかということを、もう一回重ねてお答えください。

原(勝)政府参考人 目的は、地域包括ケアシステムの上で特別養護老人ホームというものも大事な役割を担っておりまして、これの基盤整備を今後していく上で、やはり特養への入所希望者がどのくらいいるのかというのは当然把握しておかなければいけないことでございます。

 基本的には、特別養護老人ホームの整備は各県がそれぞれ計画に基づいてやっておりますので、各県は当然のことながら常に把握はしているわけでございますけれども、全国としてやはり把握をしていく必要があるだろう。特に、これから第六期の介護保険事業計画が来年度から始まりますし、またいろいろな政策についての議論も今まさにやっておりますので、今回調査をしたということでございます。

 もちろん、今後、四年といわず、必要があれば速やかにやっていきたいと考えております。

桝屋委員 まだよく理解できないわけであります。来年から第六期の介護保険事業計画が始まるこのときに押さえておいた方がいい、こういう御判断は理解をいたしますが、しかし、発表して次の日には訂正とか数字の変更とか、これを見ると、どういうことだ、発表するときはスマートに発表していただきたいな、こう思う次第であります。

 もう時間もありませんから、今回発表された数字は、ある意味非常に衝撃的な数字と国民は見ているわけであります。ああ、やはり特養待機者がこんなにもふえたのかということで、時あたかも、今回の介護、医療の法案の中で特養入所者は重点化を図る、要介護三以上というような中で、要介護一、二の軽度の方についての受け皿はどうするんだろう、こういう問題意識が一つ国民の中にある。しかし、今回、待機者五十二万人と出ると、いやいや、要介護三以上の重度の方でも足らなくなるんじゃないのと。この二つを、ともに懸念として多くの国民が持ったのではないか。これをデータとして、これから第六期の介護保険事業計画、あるいは今回の法案を議論しなきゃならぬと思っております。

 この二点が大きなテーマになったというふうに私は思うのでありますが、いかがでしょうか。局長のお話を聞いて、終わりたいと思います。

原(勝)政府参考人 桝屋議員御指摘のことと同じ認識を私も持っておりまして、やはりこれから高齢化が進んで、特別養護老人ホームの入所にふさわしいような中重度の方がふえていくわけでございますから、そのための受け皿という意味では、この特養については、その機能を明確にして、優先的に入っていただく方はきちんと確保していく。

 一方で、それ以外の軽度の方を中心に、住まいも含めた確保ということをやはり考えていかなきゃいけないんじゃないかということで、これは基本的には在宅でサービス、二十四時間の定期巡回でございますとか、小規模多機能型居宅サービスみたいなものを充実させて、在宅を希望する方についてはできるだけ在宅サービスを提供する。

 しかし、在宅でも、なかなか住まいが確保できない、あるいは低所得で家がないというような方については、私ども、二十六年度からモデル事業を始めますけれども、空き家の活用というようなことも考えながら、あるいは養護老人ホームだとかケアハウス、こういったようなものもまだ十分に活用されていないといった問題もございます。それから、サービスつき高齢者住宅あるいは有料老人ホーム、これは自立した方から中重度の方まで幅広い対応ができる施設でございますので、こういったものもあわせてバランスよく整備をしていきたいと考えているところでございます。

桝屋委員 終わりますが、大臣がいないことをいいことにいっぱいしゃべりました。大臣、きょうの議論をまた後で聞いていただければと思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

後藤委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩です。

 高鳥政務官はきょうは青いネクタイをされておられますが、大臣は違いますね。きょうは、四月二日、自閉症啓発デー。夕方には、大臣も御出席の上でイベントが行われる、東京タワーが青くライトアップされるということでございます。これは紹介だけということでございます。

 その上でというわけじゃないんですが、質問に入らせていただきたいと思います。

 資料一、有効求人倍率。介護分野の有効求人倍率は一・七三%と非常に高くなっております。つまり、人手はこの分野で求められているということ。

 資料二、これを見ますと、介護労働安定センターの資料でございますけれども、不足感、大いに不足、不足、やや不足、合わせて五七・四%、あるいは「今の介護報酬では人材の確保・定着のために十分な賃金を払えない」が四六・四%、「仕事内容のわりに賃金が低い」が四三・三%。客観的に調査としてこういう結果が出ているわけであります。

 それから、続けて行きますと、資料四をごらんいただけるといいと思うんですけれども、産業全体に比べて離職率が介護職員あるいは施設介護職員は大変高くなっているということでございます。産業計が一一・三%、介護職員は一七・五%、施設介護職員は一九・一%と際立って離職率が高くなっているというわけであります。

 資料五を見ますと、これは介護福祉士の登録者数の推移ということであります。

 これを見ますと、毎年、八万人から十万人ずつぐらい、右肩上がりにふえているということであります。資格を取る人が多いということは、介護の分野での仕事が、やりがいのある、有意義で専門性を生かせる、社会貢献できるというような、多くの方がそういう認識のもとにこういう資格を取ろうというふうに思い立つわけであります。

 しかし、実際に働いてみると、仕事の大変さに比べて待遇が悪い、処遇が悪い、家族を支えられない、こういう現実があって、やめる人が多い。きのうも柚木委員が本会議で、寿退社と言えば介護の分野では男性をあらわすという御指摘があったわけなんですが、そういう現状であるということでございます。

 それから、引き続きまして、資料をずっと見ていきましょう。資料八、介護職員の賃金。

 決まって支給される現金給与は、ちょっとこれはコピーして見にくいんですが、全産業平均が三十二・五万円、これに比べて介護職員は、一番下の方、ホームヘルパーは二十万八千円、福祉施設介護員は二十一万八千円、これは十万円以上違うわけなんですね。こういう現状があるわけであります。

 では、今回、きのうから消費税が上がった、このことによって、厚労省はどういう対応をしているか。ちゃんと消費税アップ分ぐらいは、最低、賃金の引き上げを行って、実質賃下げというものを食いとめようとしているかどうかということであります。

 資料十、これは厚労省からいただいた資料なんですけれども、「平成二十六年度介護報酬改定の概要(介護保険サービスに関する消費税率八%への引き上げ時の対応)」ということであります。

 ここに「〇・六三%の介護報酬改定を行うものである。」と書いてありますが、どこを読んでも、人件費の引き上げに充てるということは書かれていない。私はどうしても見つけられないんですけれども、人件費に充てるということは、どこかにそういう内容のものはありますか、大臣。

田村国務大臣 おはようございます。

 ここに、しっかりと。きょうは世界自閉症啓発デーということでございまして、札幌の時計台でありますとか、横浜のマリンタワー、神戸のポートタワー、そして通天閣、東京タワーで、ブルーライト、癒やしと希望の色でありますけれども、これを点灯するということでございます。御宣伝いただきまして、ありがとうございます。

 さて、今のお話でございますけれども、今回の介護報酬の中には、人件費分として消費税にかかわるもの、これは当然のごとく入っていないわけであります。これは介護だけではございません、医療も同じでございます、診療報酬の中にも入っておりません。そういう意味では、同じ扱いをしておるわけであります。

 介護報酬、診療報酬というものは、もちろん、報酬時点でいろいろ見直していくわけでありまして、そこは、給料という意味では、民民に最終的にはなるわけであります。でありますから、介護報酬が上がったからといって必ずしも給料が上がるというわけではないわけでありますし、介護報酬が変わらなくても給料が上がるということは起こるわけであります。

 それは、労働市場の中において比較的介護は労働需給が逼迫しておるとはいえ、いっときから比べれば、ずっと有効求人倍率は、一は超えておるとはいえ、下がってきておったわけでありますし、最近また上がり出してきたわけでありますから、そういう諸々の条件を勘案して、企業と要するに求職者の間で決まってくる、もしくは自分のところの職員との間で決まってくるという部分であるわけでございます。

 今般の消費税の引き上げの部分に関しましては、人件費の消費税の部分というものは入っておりません。保育も同じでございます。

中根(康)委員 当然入っていないと言われても、それは戸惑うばかりであります。

 やはりこれは当然入れてもらわなければ、この一年間で介護離職がふえて、事業所が倒産をして介護の受け皿がなくなってしまったら、介護難民、孤立死、介護心中という深刻な事態が、厚労省の責任でそれを招いてしまうということになりかねません。

 給料は民民とおっしゃいますけれども、これは報酬の世界の話ですので、やはり厚労省なり政府がきちんと報酬を引き上げなければ、それは給料には反映させることはできないわけであります。この〇・六三%は物品の購入費ですよね。ここはきちんと厚労省が手当てをしてくれるからこそ、物品の購入に対して、必要なものはこれまでと同じように買うことができるということでありますが、人件費にそれが充てられないということであれば、今までと同じように人を雇うことはできないということになってしまうわけでありますし、消費税が上がった分だけは実質賃下げになってしまうということになります。

 何よりも、これは先ほど申し上げましたように全産業平均と介護分野が、先ほど長妻議員の質問で西村副大臣とのやりとりでもありましたように、安倍総理は日本再興戦略の中で介護分野を重要な分野として位置づけているにもかかわらず、この十万円の賃金の落差というものに対する厚労省の、大臣の危機感が少し足りないんじゃないでしょうか。いかがですか。

田村国務大臣 民間においても、今回の消費税分を国として何らか補填して民間の方々の賃金の引き上げ等々を行っているわけではございません。もちろん、低所得者の方々に関しましては給付金等々対応いたしておるわけでありますが。でありますから、そういうものに対して、消費税が上がったから賃金を補填するんだというものに関しては、民間を含めて、他のいろいろな分野に関してもやっていないわけであります。

 そこで、それぞれの企業の御努力において、賃金の引き上げ等々は今回の春闘の中においても御努力をいただいてまいりました。介護の場合は確かに公定価格と言われますが、建設産業等々を含めまして、入札等々に関しましてもいろいろなことはあるわけで、もちろん、その中において、逼迫してどうしても仕事がないという形に関しましては設計労務単価の見直し等々は行っておりますが、これは消費税というわけではないわけでありまして、労働需給の逼迫の中において行ってきたわけであります。

 ちなみに、介護報酬を平成二十四年に改定いたしました。平成二十四年度が給料が上がるというのはわかるんですが、二十四年度から二十五年度に関して見ましても、七千百八十円ほど上がっておるわけであります。それは、それぞれの介護現場で、運営者の方々の努力でありますとか、生産性を上げるいろいろな努力でありますとか、そのような民間がやられる努力の中において、介護職員の方々も所得といいますか待遇がよくなってきておるという部分があるわけでございますので、民間の企業の方々、運営者の方々がそれぞれ御努力いただく中において、それぞれの産業が今般の賃金引き上げという中においてお力添えをいただければありがたいというふうに思うわけです。

 ただし、次の介護報酬改定に向かっては、諸般いろいろと勘案しながら、処遇の改善等々、これは介護の場合は大変重要な課題だというふうに我々は認識いたしておりますので、そっちへ向かって努力はさせていただきたい、このように考えております。

中根(康)委員 民間企業に対して補填はしていないということでありますけれども、復興特別法人税を一年前倒しして廃止して、大企業に対しては、これで賃上げをしてくださいと安倍総理自身が要請しているではありませんか。これは実質上の補填だと言えると思いますよ。

 それと、どんな理由があったって、消費税を上げる、消費税は社会保障を充実するため、そしてその使い道は介護も入っているわけでありますので、この十万円の落差は確かに大き過ぎると思いますよ。

 大臣も公定価格だとおっしゃいましたように、政府がきちんと手当てをしなければ、この落差はとても埋め切れるものではありません。もちろん一度に埋められるものではありませんので、やはりこれは段階的に埋めていくべきだと思います。

 だからこそ、我々は、昨日、本会議でも、最低一万円の、介護、障害福祉の処遇改善の法案を提出させていただいたわけなんです。それで、きのうも総理は財源がないからというような御答弁をされておられますけれども、財源は消費税であるんですよ、あるんですよ。だから、そこをやはり有効に使うべきです。

 それから、介護には消費税は四十億円程度しか使われていないんですよね。だから、もっと、厚生労働大臣として、消費税の引き上げは社会保障の充実、介護の充実、介護離職を起こさない、介護難民を生まない、その決意を持って、財源はまさに優先順位の話です、政府の意思の話です、厚労省の意欲の話です。だから、ここに優先的に使うということの決意を持って総理とかけ合って財源は確保するということでなければ、国民に対して消費税引き上げの期待に応えることができないということであろうと思います。

 それで、また法案の審議で行わせていただきますが、資料十一、これは朝日新聞の記事でありますけれども、介護の担い手を外国人にお願いするという話です。

 もちろん、外国人にお願いするということ自体を否定するわけではありませんけれども、ここの一番下に厚労省幹部の発言として紹介されておりますけれども、「海外では他国の労働者を受け入れた結果、「外国人がする単純労働」とのイメージが定着した例が珍しくない」と厚労省幹部が指摘をされておられるわけであります。確かに、その指摘は的を得たものであると私は思います。引き続いて、「だが介護職のイメージが悪化し、低賃金が固定化すれば、かえって日本人の若者らが敬遠することになりかねない。」こういう石松記者のコメントも載せられているわけであります。

 確かに、私は、こういったことは的外れなものではないと思っております。

 実は、先ほどから申し上げておりますように、資格者はたくさんいる、働きたいと思っている人もたくさんいる。残念ながら、現場で働いた結果、処遇が悪くて離職をしてしまうという結果に多くなっているんですけれども、しかし、働きたいと思っている方は国内にたくさんいらっしゃるわけでありますので、まずそこを十分有効に活用する。そして、処遇の改善をすれば、働きたい、あるいは資格を取りたいという方はもっともっとふえてくるということで、外国人にお願いをしなくても、十分、国内で介護の担い手はお願いをしていくことができるというふうに思います。

 ここに書いてあるように、外国人を使うということで処遇の悪化が固定化するということであるとか、あるいはキャリアパス制度の確立に逆行するというようなこともあると思いますけれども、こういったことについて、大臣、どうお考えでしょうか。

田村国務大臣 まず、介護職の方々の処遇の改善、これは我々も当然必要だと思っている。でありますから、今までも、この処遇の改善のために、介護報酬改定でありますとか、それから処遇改善交付金でありますとか、そういうことをやりながら、皆様方がそれを受けていただいて、さらなる介護報酬改定、見ますと大体三万円近く上がったのではないかというような数字が出てきておるわけでありますよね。でありますから、それは我々もやってまいるつもりでございます。

 財源に関しては、今般は五兆円しかなかったわけでありまして、五兆円の消費税増収分に関しては、一方で、やはり三兆円近くが基礎年金の国庫負担二分の一引き上げ分で要るわけですね。そのほかにも、消費税が上がった部分の物品費やいろいろなものの対応があります、社会保障分野も。それから、言うなれば今まで赤字国債で対応してきた部分もあるわけであって、それに対する消費税部分としての対応もしていかなきゃならない。そんな中で、五千億円という対応で充実分をしたわけであります。

 今般は、もちろん介護も重要でありますけれども、子育てという部分が、これはちょうど御党と公明党と三党で法律を通して新制度をということでございますから、これに三千億円使わなきゃならないということでありますから、残り二千億円の中で対応するということで、医療の改革もある、いろいろなこともある、診療報酬改定もある、いろいろな中においてこのような形になってきたわけでございます。

 でありますから、皆様方が御要望されておられる、法案を出された内容はかなりのオーダーのお金がかかる話でございます。そういう意味では、これが、来年になればまた、満年度分の税収が入ってくるわけでございます、八%、そしてその後には一〇%という。その中においてしっかり介護分も確保をしながら、今言われたような処遇改善に対しても努力をしてまいりたいということを申し上げておるわけでございまして、決して思いが違うわけではないということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 その上で、今、介護職の方々を海外からというお話がございました。産業競争力会議の中において、介護も含めて技能実習制度の見直し、こういうことを御提言いただきました。また、法務省の中において出入国管理政策懇談会というのがございまして、介護福祉士等の一定の国家資格を持った方々に対しての在留資格をどう考えるのか、こういう議論をいただいております。

 御承知のとおり、EPAで、介護福祉士の資格を取っていただいて日本の中でお仕事をしていただく、これをやっております。この現状を見ていかなきゃなりませんが、私も実は産業競争力会議に向かって心配な点ということで申し上げたのは、今言われたような、例えば、今アベノミクスで所得が上がりかけているんですね、こういうときに供給量がふえてまいりますと、それが上がりにくくなる、こういうような問題があるのではないか、そして、今おっしゃられたような、日本人の仕事じゃなくなってしまうというのも問題であります。

 そういう意味からいたしますと、そういうところも勘案しなきゃなりません。あわせて、外国の方々が入ってこられても、日本人と同じ待遇ですからね、安くは使えませんから、これは内外無差別でありますので。そういうようなところも勘案しながら、どうあるべきかという議論をしていただかなきゃなりませんよというお話をしておるわけでございます。

 委員も、外国人自体が入ることは否定はしないという話でありましたが、入ってきた場合どのような影響があるか、そして日本の国の介護職の方々の待遇改善というものもしっかり勘案しながらそのようなことは検討していかなきゃならぬということで、今御議論をしていただいておるという状況であります。

中根(康)委員 産業競争力会議で出てきた考え方だと。ここをしっかり大臣は厚生労働大臣として闘うべきところは闘っていただかなくては、これはやはり現実問題として、外国人が入ってくれば、この新聞記事に指摘されているように、厚労省幹部が心配しているようなことになる可能性は高いわけなんですよ。そうすると、賃金は上がらない、そこに優秀な人材が集まってこない。何回も言うようですけれども、介護離職、介護難民、介護心中、孤立死という最悪の事態、負の連鎖ということになりかねないわけであります。

 平均で十万円というのは相当な落差だ。先ほどから申し上げておりますように、これは公定価格ですからね。それをつくってきたのは政府、政治の責任なわけですから、ここを埋めていく努力をやはり政府、政治が行っていかなければならないということは繰り返し申し上げておきたいと思います。

 資料の二十三というところ、一番後ろになりますけれども、ぜひごらんをいただきたいと思います。これは要支援の方々の状態がどうかという厚労省の資料なんです。

 表にあるように、要支援者といえば、何となく、余りケアが必要ではない、ボランティアでもできる、専門職でなくてもお世話ができるというようにお感じになっておられる方が多いかもしれませんけれども、要支援者の方の一五%が脳血管疾患、脳卒中が原因といいますか、併発しておられる。認知症の方もおられる。ずっと見ていけば、心臓病の方も六%おられる。パーキンソン病の方もおられる。がんの方もおられる。障害をお持ちの方もおられる。

 つまりは、これを見れば、やはり専門的なケアが必要で、善意であったとしても、ボランティアのように必ずしも専門性を兼ね備えていない方々が適切なケアを、サポートをできるとは限らないということをこの資料はあらわしているんだろうと思います。

 また、過日、千葉県で障害福祉施設における虐待殺人事件というものが起こりましたけれども、この虐待防止という意識というものも、やはりこれは素人ではなく、プロだからこそ虐待をしない働き方といいますか、サポートの仕方というものを自覚していただけるということであろうと思います。

 一番最初の資料で有効求人倍率が高いということも紹介をさせていただきましたけれども、大臣、脳卒中だとか、あるいは障害だとか、心臓病だとか、がんだとか、こういうさまざまなものをお持ちの要支援者、こういった方々が必要としておられるサポートというのは、ケアというものは、やはり専門性が必要じゃないでしょうか。ボランティアでもできるものなのか。専門家でなければできないサポートがあるんじゃないかということだと思いますけれども、この点、大臣、どうお考えでしょうか。

田村国務大臣 まず、介護職の方々の待遇はまだまだ一般の者と比べて低いというお声、それはそのとおりでありますので、その改善は我々も努力をしていかなきゃなりませんが、介護だけではなくて、保育も含めて福祉職全般でそのような傾向があるわけでございまして、それを改善していくためにも経済をよくしていかなきゃならないという部分もあるわけでございまして、それにも全力で取り組んでまいりたい、このように思っております。

 今のお話でございますが、要支援者の方々に対して、全てが全てに一律にサービスを提供するわけではございません。その状態像というものをしっかりと把握した上で、環境もありますから、そのようなものをいろいろ勘案しながらケアマネジメントを行うわけでございまして、その中において、今言われたような必要性があれば、当然、専門職の方々が対応をするわけであります。

 一方で、軽度な方々がおられるのも事実であります。そういう方々は、みずからの力を最大限使っていただきながら生活もいただかなければならない。さまざまな困り事もございますでしょうから、そういうものに対して多様なサービスの中で対応していくということ、これは御本人がお望みのことも多々あるわけでございますので、そのような多様なサービスを提供する。その中において、元気な高齢者の方々にはサービスの担い手になっていただく、こういうことも重要になってくるわけでございます。

 いずれにいたしましても、今言われたような方々に関しては、それは必要であるのでありますから、ちゃんとした専門職の方々が対応するということになろうというふうに思います。

中根(康)委員 要支援認定をされたということは、やはり支援が必要だということであろうと思うんですね。

 ボランティアの方々で対応できるような状態であれば、場合によっては、要支援認定といいますか、認定の問題として認定が不正確であるのかもしれないということで、認定が正確だとすれば、要支援として認定をされた限りは、これは、先ほどから申し上げておりますように、やはり専門的なケアやサポートが必要だということで基本的に捉えるべきだというふうに私は思うんです。

 文字どおり、要支援ですから、支援が必要な方、その支援というのはやはり専門性ある支援というものが必要。だから、そのために国民の皆さんは介護保険料を納めて、支援が必要であれば、いつでも適切、十分な専門的なケアを受けることができる、そのために保険料は納められているのであって、ボランティアの方々にやってもらうために保険料を納めているとは私は思えない。

 ボランティアの方々であれば、保険料を納めずに、隣近所の方に、善意でやってくれる人を探せばいいのかもしれないし、私は、保険料を納めているということは、専門的な支援を、サービスを、サポートを十分受けることができるという権利を買うというか、得るために保険料を納めているということであろうと思います。財政抑制とか介護給付抑制とか、そういうことのために無理やり、これはボランティアでもできるんじゃないかというように切り分けて、要支援切りというものを行い、自治体に丸投げをするというやり方は適切なやり方ではないと私は思っております。

 資料十二から十五ぐらいまでをごらんいただければ、介護福祉士とかホームヘルパーという方々は、これだけの勉強とかあるいは知識を身につけて試験に合格されておられるわけであります。これは、ボランティアの方々とは資質あるいはスキルにおいて相当違いがあるというふうに思います。

 したがって、ボランティアとそれから専門職が行うということには、やはりそこを安易にボランティアにお任せする、今まで専門職がやっていたものをボランティアにやってもらうという安易な考え方はそう簡単には採用されてはいけないやり方であると私は考えさせていただいております。

 やはり、これだけ勉強して介護福祉士になって、ホームヘルパーの資格を取って、それで専門的なケアを、サポートを要支援者の方々、要介護者の方々に行う、そういう事実があるわけでありますので、そこは重視をしていかなくてはならないというふうに思います。

 十六以降、十六、十七、十八、十九あたりの資料は、要支援サービスを自治体に移管することに、多くの自治体がこれは不可能だ、受け手である自治体自身が不可能だということを、三〇%以上の自治体が答えておられる調査結果を示したものでございます。ケアマネさんも同じように言っておられるわけであります。

 そもそも、保険の対象外にして専門職のケアから外すということは、さらに要支援、要介護度を重度化させてしまう。結局、介護財政を守るためにやろうとしていたことが、将来の介護費がふえてしまうことになって、厚労省が将来の保険給付の伸びを抑えようとしてやったことであっても、実は、要支援切りを行うということによって介護度がふえて、財政はさらに圧迫をされてしまうという結果になるのではないか。

 予防を重視するということであるならば、重度化を防ぐということが大事なわけでありますので、まさに急がば回れ、あるいは損して得とれというような言葉もあるように、ある意味、要支援者の方々に対してこそ手厚いサービスを、専門的なケアを十分施すということがこれからの介護サービスにおいては必要なことであると私は考えさせていただいております。

 それで、資料の二十一、これはいつも使う資料なんですけれども、これは厚労省の資料ですね。そのいつも使うところなんですが、その右端の方に「認定に至らない高齢者の増加」ということが「費用の効率化」というところに書き込まれているわけであります。

 あわせてごらんをいただきたいのは、その裏にある資料の二十二。先ほどまでいらっしゃった原老健局長の御発言を紹介しておきたいと思いますけれども、一月の二十一日に全国の厚労関係の部局長会議というものがあって、線が引いてあるところの後ろの方なんですけれども、原老健局長は、「そうしたことで、全体の要介護・要支援認定者を減らし、事業を効率化・効果的に実施していく体制にもっていきたい。」という御発言をされておられるわけでありますね。

 したがって、これはよく大臣も、必要な方には必要なサービスをとか、ふさわしいサービスをとか、ふさわしい専門的なケアをということを言っておられるわけなんですけれども、その担当の局長さんがもう初めから要支援者、要介護者を減らしていくということが大前提にあるということを示唆するような御発言をされておられるわけであります。まさにこういう発言が厚労省の幹部からなされるということであれば、自治体はこれは萎縮をしてしまいます。

 要介護認定をしないでチェックリストで新しい総合事業の方に移管をしていくということなんですけれども、それは要介護認定せずに、これは余り要介護認定者をふやしてしまうと老健局長に叱られてしまうというおそれが出てきてしまうわけでありますので、ひいては大臣に叱られてしまう、あの自治体は何をやっているんだ、厚労省の考え方に反することをしているじゃないかということになってしまいかねないわけでありますので、まさにこれは水際作戦を原老健局長は暗に示唆しておられるということであろうと思いますけれども、こういう発言を担当の局長がしておられるということについて、大臣はどうお思いになられますか。

田村国務大臣 内容が盛りだくさんでございまして、何をどう答えていいのかよくわからないんですが、まず要支援一、二、これは要介護とはやはり違うわけでありまして、ですから明確に要支援になっております。これは、ADLは比較的自立度が高いわけであります。ただ、生活行為、これに関しましては一定程度の低下が見られるということでございますので、そこはやはり違うんだと思います。

 その上で、とはいいながら、脳血管疾患等々あっていろいろな問題があられる方々に対しては、先ほど言いましたように、ちゃんとそれぞれの状態像を見るわけでありますから、そういう方々に対しては専門的な知識を持った方々のサービス。

 しかし一方で、軽度な方々も当然おられるわけで、その方々に対してはいろいろな多様なサービスを提供する。できないじゃないかという話もございます。ただ、それもありますから、現行のサービスもこれはやめなくてもいいということになっておりますし、一方で経過期間も見ておる、移行期間も見ておるわけであります。

 あわせて、生活支援サービスの基盤整備のための財政支援もしておりますし、それからお金は介護保険から出てまいりますし、あわせて財源構成は一緒でありますし、さらに言えば、所得の基準、いろいろとありますから、そういうものに合わせて財政調整も同じようにやるわけであります。ガイドラインも出しますし、事例集も出しますし、こちらもいろいろな問題、各自治体に丁寧に対応をしていきたいと思います。

 今言われました、その上で、では、要支援者、要介護者を減らす、これは減った方がいいのは当たり前であります。我々は、予防というものでなるべく要支援にならない、もしくは要支援の方も要支援からまた自立していただく、こういうような努力をしていくために、今回の要支援のサービス、今まで閉じこもりぎみだった、そういう高齢者の方々に出てきていただいて社会参加していただきながら、自立に向かって、機能等々もう一度健全な形になっていただければ、それで自立されるわけですから、そういうようなことをやること自体は、何ら私は不健全な話じゃないと思うんです。健全な話だと思っておりますので、そのような形で要支援者や要介護者が減っていくというのは我々が目指すべき方向性であろうというふうに認識いたしております。

中根(康)委員 時間がなくなりましたけれども、しかし、この原老健局長の「全体の要介護・要支援認定者を減らし、事業を効率化・効果的に実施していく体制にもっていきたい。」ということは、明らかに要介護者、要介護認定を減らすという誘導的な御発言だと思いますよ。

 必要な方は、減らすとかふやすとかではなくて、結果的にふえたって、それは、皆さん、国民が保険料を払っているわけですからね。必要なときにはケアを受けるために、サポートを受けるために、サービスを受けるために保険料を払っているにもかかわらず、その保険料を否定するような、老健局長が減らすという方向に政策的に誘導しようという考え方、これは明らかに、給付抑制、自治体に対するプレッシャー、認定者をふやしたらその自治体にはペナルティーを与えるというようなことを暗に示唆している、自治体の方々はそういうふうに受けとめますよ。

 そういう御発言ではないかということをきょうは改めて御指摘させていただき、終わらせていただきます。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 昨日、十七年ぶりに消費税が引き上がりました。私は、改めて、この消費税引き上げの原点というのを我々は確認しなければならないというふうに思っております。それは、この厚生労働委員会の所管事項である社会保障を維持して充実させていく、そのためであったはずであります。

 しかし、きのうの本会議、我が党の厚労委員会のメンバーがそろって申し上げましたけれども、国民の中にはその約束が本当に守られているのかなという疑問があるというふうに私は思っております。その疑問に対して、我々がこの国会審議を通してしっかりと答えていく必要があるというふうに思っております。そのことをまず申し上げて、質問に入っていきたいというふうに思います。

 消費税引き上げに関して、各省庁で転嫁対策の窓口というのが設けられています。皆さんのお手元に、厚労省の窓口、これは事務方に聞くと一部であって、これ以外にもあるんですという話でしたけれども、窓口の一覧というのを載せさせていただいています。

 これまでにこの厚労省の転嫁窓口に対してあった相談はどの程度か、正確な数は難しいかもしれませんけれども、百件なのか千件なのか、どれぐらいの数があったのか、そして、その主な内容、特に特徴、そういうものがあれば教えていただきたいと思います。

赤石大臣政務官 お答え申し上げます。

 今般の消費税率の引き上げに伴いまして、現在、政府全体で消費税の転嫁対策に取り組んでいるところでございます。

 厚生労働省としても、消費税転嫁対策相談窓口、先生の御資料にもあったとおりでありますけれども、これを設置するとともに、所管業界の団体や当事者に対し、円滑かつ適正な転嫁について要請、指導するなどの取り組みを行っております。

 この相談窓口に、これまで五件の相談が寄せられております。例えば、病院と医療機器販売会社の取引での適正な転嫁のあり方、また、四月をまたぐ医療機器リースの税率等の相談がありました。

 今後とも、関係省庁と連携しつつ、万全の転嫁対策を講じてまいりたい、このように思っております。

大西(健)委員 リースの話というのは、私もよく地元で耳にする話です。ただ、ちょっと件数が少なくて驚いたんですけれども、行っていないけれども、やはりたくさんの埋もれた声があるというふうに思いますので、それをいろいろな形で吸い上げていただきたいというふうに思います。

 新年度が始まって、消費税だけではなくて、さまざまなものの値段が上がっています。資料として新聞記事をお配りしていますけれども、この見出し、「上がる物価 届かぬ賃金」、私は、現実というのはこの見出しのとおりなんじゃないかというふうに思っています。

 昨日、連合が、三月末時点での春闘の第三回の回答集計というのを発表しましたけれども、その数字は、定期昇給を含めた賃上げ率が二・二%。今後、中小の交渉が妥結してくると、この二・二%という数字はもっと下がってくるだろうということであります。

 一方で、消費税増税後の物価の上昇、この新聞記事の中にもありますけれども、前年比でおよそ三%ぐらいになるだろうと。これは、バブル期以降、国内では体験したことがない、そういう物価に家計は直面することになるということであります。つまり、この記事によれば、仮に定期昇給を含め二%賃金が上がったとしても、物価は三%上がるんです。

 賃金が二%上がっても物価は三%上がる、つまり実質賃金はマイナスになっているということだと思いますけれども、大臣、そういう理解でよろしいんでしょうか。

田村国務大臣 この件に関しましては、消費税というのは、要は、当然、税金が上がる、増税になるわけでありまして、消費税が上がった分、即座にその分だけ賃金が上昇するということは、これは機械的には起こらないわけでありまして、経済の状況等々、それが好転する中において起こるわけですね。

 今般、春闘で、二・二〇%、六千四百九十五円、平均賃金が上がった、これは私は率直に評価をいただいていいことだと思います。

 私は、みんなの党さんや、維新さんはどうだったかちょっと私は記憶がないんですけれども、共産党もそうでしょう、消費税を上げるな、こうやっておっしゃっているところがこれを言われるのならば、それは一定程度、立場は違いますけれども、理解できます。

 御党とは、ともに上げようと。もっと言うと、御党が提案された話です。御党も物価を上げなければならないと言ってこられたんです。御党のときには、賃金は我々のときのような上がり方はしなかったんです。御党ならばどうされておられたのかな、もし政権を今御党が持っておられたら、どういうような方策で、今いろいろとおっしゃっておられた、今までもおっしゃってこられた、こういう課題に解決策を出されておられたのかというのが、なかなか私も想像がつかない。

 でありますが、ここは同じように協力しながら賃金を上げるということをやっていくというのが、私は、消費税をともに上げたそういう意味でのお互いの立場であろうというふうに思いますので、そこは御協力いただければありがたいと思います。

大西(健)委員 我々もそれは協力をしていきます。

 私が今申し上げたのは、この委員会でも、今までも賃金が上がっているのか上がっていないのか、こういう議論があったわけです。実際、まさに今の現実をどう捉えているのかということを今質問したわけです。まさに現実は、これから後追いで賃金が上がってくるのかもしれませんけれども、物価が先に上がって、賃金はそれに届かない、これが現実なんです。

 そして、賃金が上がっている人はまだいいけれども、賃上げの蚊帳の外にいる人、中小企業で働いている人、非正規の人、それから年金生活者ですよ。これも以前この委員会で我々は議論させていただきました。年金生活者は賃上げの外なんです。ですから、その人たちの生活が苦しくなる。

 そして、その中で特に、きのう我々が本会議で議論させていただいたのは、介護、障害福祉で働く人たちの給料、先ほどもお話がありましたけれども、全産業よりも十万円程度低くなっている。それは次の介護報酬改定でやるといったら、一年先だ。一年待てないわけです。生活があるわけです。それを我々は申し上げているんです。

 そして、きのうの本会議の会議録の速報版が私の手元にありますけれども、共産党の高橋委員の質問に対する大臣の答弁は、厚生労働省といたしましては、介護職員の処遇改善は人材確保の上で重要な課題であると認識しておりますが、今回提出された法案は、財源の確保策が明らかになっていないなどの点で問題があると考えております、報酬の改定で行うのが適当であり、平成二十七年度の介護報酬改定に向けて云々という答弁になっているんですね。

 先ほども中根委員との間で財源の話がありました。しかし、我々は、まず、先ほど中根委員からもありましたけれども、消費税引き上げ分のうち五千億というのは、充実に五千億というのは少な過ぎる、一兆円だということを言ってきたわけです。

 それから、もう一つは、消費税以外の財源でも、私たちは、必要な財源というのは確保できるんじゃないかと。実際、我々は、予算の組み替え動議というのを提出させていただきました。その中では、今年度の予算の公共事業予算の縮減であったり、水膨れした無駄な予算を適正化すれば、その分で得られた財源で、我々は組み替えの中で、介護職の賃上げを含む人への投資を拡充するというものを実際に提案させていただいているんです。

 ですから、そういうことをぜひこれからも建設的に議論させていただきたいというふうに思っています。

 次に、子育て世帯臨時特例給付金についてお聞きをしていきたいというふうに思います。

 私は、この質問をしようと思って、きょう朝たまたまテレビを見ていたら、番組で取り上げられていました。取り上げられていましたけれども、先日、私は、いつも髪を切ってもらう床屋に行ったら、いつも切ってくれる理容師さん、同じぐらいの子育て世代なんですけれども、その理容師さんが、消費税が上がるけれども、子育て世帯は何か子供一人一万円もらえるらしいですね、僕知らなかったんですと。それをフェイスブックに書いたら、友達たちからすごい反応があったということなんですね。結構知られていない。私も、最近よくそういうことを耳にするんです。

 きょう、お手元にネットニュースの記事をお配りさせていただいているんですけれども、このネットニュースの記事ですけれども、見出しが「急に出てきた「子育て給付金」 なぜあまり報道されない?」という記事なんですけれども、記事によれば、臨時福祉給付金の方はある程度知られているけれども、それに比べて認知度が低いと。一つには、支給時期とか申請手続がまだ決まっていないので、メディアの方も報道のしようがないというような話がこの記事の中に書かれています。

 それから、これは厚労省のコメントが引用されているんですけれども、線を引いてありますけれども、「臨時福祉給付金は最初から盛り込まれていたので準備もできましたが、子育てに関しては急に出てきた話でしたので、省内でもまだ担当部局が設置されてないのです。そのため消費税が一〇%になった時に同じような対応があるかどうかは、未定です」というようなことが書いてあります。

 厚生労働省として、この記事にあるように、子育て給付金というのは後に急に出てきた話だから、準備不足かつ周知が足りていないというような認識なのかどうなのか。それから、臨時福祉給付金と子育て世帯給付金は両方同時には受け取れないということですけれども、そういうことも含めて、これからしっかり広報をしていく必要があるというふうに思っていますけれども、今後の広報のあり方について、どのような方針で臨まれるのか、お答えをいただきたいと思います。

田村国務大臣 もう担当部局はちゃんとありますので、かなり昔の、それは多分、話が上がった当時ですから、今から数カ月前の話なんだろうと思います。

 これは、一緒に進めてきておるわけでございまして、そういう意味では、臨時福祉給付金と臨時特例給付金に関しましては、セットで広報もさせていただいております。臨時福祉給付金の方は知っているけれども、まだ臨時特例給付金の方は、子育ての方は知られていないというのは、どういうアンケートなのか、ちょっと私は理解しておりませんけれども、同時に周知啓発をさせていただいております。

 そのような意味では、これからも一層の周知広報はさせていただきたいと思っておりますし、厚生労働省特設のホームページを開設し、またコールセンターを設置し、さらには新聞での広報でありますとかテレビCM、こういうものも順次やっていきたいと思っております。

 あわせて、自治体で周知広報をやっていただくのに、これは全額国費で対応していくということでございますから、全額補助の中でそれもちゃんとやっていただきながら、適切に、本来給付を受けられる方々が申請をいただけるように努力をしてまいりたいというふうに思います。

大西(健)委員 このネット記事の左側の下線の下あたりだと思いますけれども、均等・家庭局の総務課子育て世帯に対する臨時特例給付措置支給業務室というのが多分担当だというふうに思うんですけれども、ここにもコメントが書いてありますけれども、実際に支給されるのが六月とかぐらいになるので、告知は申告の手続が始まる直前の五月ごろだろう、だから、そのときに合わせて集中的に広報もやっていきたいというのをきのう担当の方も言っておられましたから、これはしっかりぜひやっていただきたいというふうに思っています。

 きょうは、一般質疑ということなので、がらりと話題をかえて、ノロウイルスについてお聞きをしたいと思うんです。

 去る三月三日、参議院の議員会館の食堂でノロウイルスの食中毒が起きました。このことはメディアでも大きく取り上げられたので、皆さんも御存じかと思いますけれども、実は私も弁当を食べた一人なんです。ただ、私は症状が軽くて、実は、連絡を受けるまでは軽い胃腸風邪でも引いたのかなというふうに思っていて、ノロウイルスだと思わなかったんですね。ただ、やはり検査したら、ちゃんとウイルスが検出されました。

 同じ弁当を食べた同僚議員の中には症状の重い方もいらっしゃるので、こういうことを言うとちょっと申しわけないんですけれども、ただ、私は、今回、大きく報道もされて、担当の方とかも謝りに来られていましたけれども、ちょっと事業者もかわいそうなところがあるなと正直思っているんです。というのは、今回の検査でも、調査の結果、弁当をつくった調理人の便からノロウイルスが検出されました。ただ、その方は自覚症状がなくて、全く体調は悪くなかったということなんですね。

 実は、ノロウイルスというのは、不顕性感染といって、ウイルスにかかっても症状が出ないという方が結構いらっしゃるそうなんです。東京都の食中毒事例における検査では、非発症者の二〇%から、症状が出ていない人の二〇%からノロウイルスが検出されたというデータもあるんです。

 ただ一方で、ノロウイルスはすごく感染力が強い。十個から百個ぐらいのウイルスが口に入るだけで感染をしてしまう。また、長期間、環境中に感染力を維持する。また、エタノールの消毒というのは効かないということであります。そういう意味で、一度環境が汚染されてしまうと、なかなか除去するのも難しいということであります。

 そうした中で、給食サービスとかを行っている事業者からは、非常に彼らも気をつけています、当たり前ですけれども、これは営業停止とかになったら大変な損害ですから気をつけているんですけれども、その中で、汚染食品が不明な場合でも食中毒にされることがある、これは理不尽で納得がいかないという声が上がっているんです。

 そこで、まずお聞きしたいと思うんですけれども、ノロウイルス食中毒という判断が下ったけれども最終的に汚染食品の特定ができていないという事例は全体のうちどれぐらいあるのか、お答えいただきたいと思います。

赤石大臣政務官 大変専門的な御意見、ありがとうございました。

 現在厚労省で把握しておりますノロウイルス食中毒と断定された事例は、平成二十四年では四百十六件、二十五年では三百二十八件でありました。そのうち、今委員指摘の原因食品または食事が不明とされた事例は、平成二十四年は三十二件、平成二十五年は二十件ございました。

 以上です。

大西(健)委員 私が関係者の方から聞いた数字は実はもうちょっと多いですけれども、ただ、今のお答えを受けとめても、大体一割弱ぐらいですか、それぐらいのものについて、汚染経路とか食品が特定されていないけれども食中毒だという判断になっているものがあるんですね。

 資料をちょっとごらんいただきたいんですけれども、これは余りうまくできていないんですけれども、広島県広島市でことしの一月に起こった事例、それから富山県射水市でことしの二月に起こった事例、それを比較したものであります。

 広島のこの事例なんですけれども、給食サービスを行っている会社が、従業員が三十五人だということなんですけれども、陽性反応が出たのはたった一人なんですね。その方は自覚症状もないし、それから、その従業員というのは弁当に直接さわる人じゃない、弁当を調理するような人ではないそうです。拭き取り調査も全部陰性。それから、弁当のサンプルとか食材も全て陰性。ここにも書いてありますけれども、二十二日に出されたものが感染源じゃないかと推定して、その食品も検査したけれども、これも陰性。だけれども、ここに書いてありますけれども、恐らく食品等への二次汚染が原因じゃないかと推定をして、食中毒になっているんです。

 でも、この囲みのところに書いてありますけれども、広島大学大学院の坂口教授のコメントとしても、この陽性だった人は配送の人なんですけれども、配送容器をさわること自体は明らかな落ち度じゃないし、これぐらいで感染するかなということを言われているんですよ。でも、これは食中毒になっているんです。

 もう一方の富山県射水市の事例では、これも従事者の中からはウイルスが陽性で出ています。出ていますけれども、結局は、汚染食品が不明ですし、汚染経路も不明ということで、これは食中毒じゃなくて感染症と。

 広島の事例では、食中毒になって、営業停止にもなっています。この二つの違いというのが私は正直よくわからない。

 そういう中で、一回営業停止になる、そして、あそこは食中毒を出して営業停止になっているといったら、風評被害も大変なものがあります。もちろん食品の安全は大切ですけれども、中小零細の給食サービス事業者にとっては死活問題というふうに言えると思います。

 そういう意味で、汚染食品が不明な場合、汚染経路が不明な場合、それでも食中毒というのは、ケースによっては酷なものがあるんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

赤石大臣政務官 今委員指摘のように、原因食品または食事が不明と分類される中には、喫食調査等の結果、特定の施設を利用したことは確認されたが、原因となった食品または食事を特定するに至らなかった場合等が含まれます。

 このように、都道府県において個別の事案に応じた判断を行っているものでありまして、国としても、食中毒処理要領や食中毒調査マニュアルを示すなど、必要な助言を行っているところであります。

 今回の広島市の事例につきましては、発生が学校数で十校あったということ、それから、調理従事者からノロウイルスが検出されましたが、当該従事者は原因食品を食べていなかったことなどから、調理従事者が感染源と疑われ、食中毒と判断されたものと思われます。

 一方、富山県射水市の事例については、一校のみの発生であったこと、それから、調理従事者からノロウイルスが検出されたものの、この従事者自身がこの食事を食べていたということから、従事者からのウイルス検出は給食を食べたことによる可能性を否定できなかった、このように原因をきちっと追求できなかったということで、この方は感染ということにした、このような事案として報告を受けております。

 以上です。

大西(健)委員 今御説明がありましたけれども、私は、やはり非常に境界事例みたいなものがあるなというふうに思っています。それから、先ほども申し上げましたように、不顕性感染ということで症状があらわれない、これでは業者が幾ら気をつけても発見できないわけですよね。それから、感染力が強い。

 ですから、いろいろなところに給食サービスを行っておられますけれども、給食が原因なのか、それともそこに来られた利用者が原因なのか、ちょっとよくわからない部分というのがやはりあると思うんですよね。そして、感染力が強いので。

 ですから、ここは、もちろん、ちゃんと原因を特定していただくということはあれですけれども、聞いていると、学校給食とかにありがちなそうですけれども、とにかく何か出たら、一人でも陽性が出たら、全部給食サービス業者に責任を押しつけるみたいな傾向があるというようなことも聞いておりますので、ぜひ、これからもこれはしっかりと、各保健所間で判断がばらばらになるようなことがないようにお願いをしたいというふうに思います。

 次に、国家戦略特区についてお聞きをしたいと思うんです。

 昨年の臨時国会でこの法案審議があったときに、私も内閣委員会に何度か出かけていって、質問に立たせていただきました。その際には、雇用特区については、巷間言われるような解雇特区のようなものではないですよねということを何度も質問を通して確認させていただいて、我々も、それを確認できたというふうに判断しましたし、それから我々自身も特区というものはずっと進めてきましたから、法案にも賛成をさせていただきました。

 きょう、お手元にそのときの会議録をお配りさせていただいているんですけれども、このときにも私は申し上げたのは、田村大臣はよくわかっていると。さまざまな機会を通じて、雇用や労働に関する権利というのは憲法上の生存的基本権に当たるものなので、特区の中と外で適用が異なるなんてことはなかなか難しいですよということを繰り返し言っておられて、よくわかっておられるんです。

 だけれども、その田村大臣が特区諮問会議から外されて、この会議録で私は、竹中さんが入るんだったら、具体的な制度設計はこれからですよということですけれども、そのときに、具体的な制度設計を決めるところに田村大臣が入れないで竹中さんが入るというんじゃ、これはちょっと不安ですねということを言っているんです。そうしたら、新藤大臣はここで何と答えられているか。委員は先ほどから個別のお名前をずっと連呼されておりますけれども、そもそも、どなたが諮問会議のメンバーになるかは、全くもって決まっておりませんと。

 でも、その直後に、ここに名簿をつけておきましたけれども、ちゃんと竹中さんが入っているわけです。田村大臣は議員には入っていません。

 そういう中で、やはり今後私はしっかり見ていかなきゃいけないと思っているんですが、今回、戦略特区内で活用する雇用指針というのが公表されました。

 この雇用指針の方は、これは厚生労働省を中心につくられたと聞いていますけれども、では、この雇用指針の原案を厚生労働省内でまとめられて、当然、特区諮問会議とかにもお示しをしていると思うんですけれども、逆に、では、特区諮問会議とかからは、これじゃだめだ、もっと踏み込んで書けとか、何かそういう注文がついたのか、そういう具体的なやりとりがあったのかどうか、このことについてお聞きしたいと思います。

 あわせて、二十八日の日に、六地域が特区に指定をされた。その中で、福岡市が雇用に関する雇用改革特区ということで指定を受けたということでありますけれども、今後も、田村大臣には、新藤大臣も関係大臣には必要なときには入ってもらいますよということを言っていますけれども、ぜひこれからもしっかりと、間違っても解雇特区がゾンビのように復活したみたいなことが言われないように、ちゃんと物申していただきたいと思うんですけれども、その部分もあわせてお答えをいただければと思います。

田村国務大臣 委員も御承知のとおり、この特区は、ベンチャーというような、新しくできるような企業でありますとか海外から来られる企業、そもそも、日本の労働慣行でありますとか解雇権の濫用法理というものをなかなか御理解いただいていない方々に、労働紛争を未然に防ぐという意味で、一定の日本の雇用慣行、また判例で確立されたこの法理の中身を事前にわかっていただくというような、そういうような形でつくろうということで、このガイドライン、今、指針と言っておりますけれども、これをつくったわけであります。

 そのような意味からいたしますと、判例を分析、類型化したものでございますので、ちゃんと解雇権濫用法理は守られている中において、今回のものをお示しさせていただいたということであります。

 その上で、評価でありますが、初めのころはいろいろな御意見を、初めのころというのはこの議論が始まったころですよ、いただきましたが、先般御議論をいただいた、方針をお示しさせていただいた後の皆さんの御意見は、まず、日本の雇用関係が透明化する第一歩だというような御意見をいただくとともに、日本的な、人を長期に雇って企業の中でいろいろと育てていきながら、言うなれば、より高い能力というものを開発する、こういうようなやり方はすばらしいなというような御意見も実際ありました。その上で、海外に、こういうような働き方があるんだということも含めて発信するということは意義があるねというような、そういう御意見もあったわけでございます。

 そのような意味では、非常に歓迎をいただいて、そこで甘利大臣から、田村さん、久々に褒められたねというような、そういうような発言もあったわけでございます。

 そのような意味では、我々が主張してきたことは御理解をいただいておるんであろうな、そのように思っております。

 その上ででありますけれども、これからいよいよ実態として動いていくわけでありますが、当然我々も関与して基本的な指針を出しておるわけでありますので、そういう意味では、この雇用指針というものがちゃんとその後運用されていくように、当然のごとく我々も、この解雇特区というものに対して、一定の関与はさせていただけるということでございまして、チェックしてまいりたいというふうに考えております。

大西(健)委員 特区諮問会議から、もっと踏み込めとかそういう話がなかったのかなというのをちょっと聞きたかったんですけれども、今の話でいうと、おおむねよい評価だったという話ですね。

 では、その評価、外部の評価ですけれども、お手元に新聞記事をお配りさせていただきました。

 これは朝日新聞の記事ですけれども、この記事の中では、指針は、外資などは一般的な日本企業より、解雇しても広く合法と認められる場合があることを紹介している、また、人員削減やポスト廃止で解雇もあり得るというようなことを契約で定めておくことも促しているというふうなことが書かれています。

 実際に、厚生労働省のこの指針に関する説明資料を見ても、内部労働市場型の人事労務管理と、外資系企業に見られるような外部市場型人事労務管理の違いというのを非常に強調されていて、そしてその上で、外部労働市場型の人事労務管理を行う企業の場合には、解雇回避努力を求められる程度は少ないというようなことが書かれています。

 また、指針そのものの中にも、「紛争を未然に防止するために」という囲み記事が出てきまして、その中で、例えば、今言ったような外部労働市場型の人事労務管理を行う企業では、事前に労働契約書や就業規制にこういうことを書いておきなさいというアドバイスをしているんです。こういうふうに書いておけば、後で首にしても問題にならないですよというようなことが書いてあるんですね。

 先ほども大臣の御答弁にありましたけれども、特区法案の審議のときに何度も確認したのは、判例はあくまで整理をしてわかりやすくお示しするものであって、首にしやすい、こうやったら首にできますよ、首にしても問題になりませんよみたいなことを指南するようなものではないということだったというふうに思いますけれども、ちょっとこの記事を見ると、そういうふうなものになっているんじゃないかというようなことを思わせるような評価もあるというふうに思うんですが、この点、いかがでしょうか。

高鳥大臣政務官 大西委員にお答えをいたします。

 御指摘の記載につきましては、裁判例の分析に当たる総論といたしまして、裁判所が個々の判断に際し、解雇権濫用法理など共通に適用される解雇ルールにつきまして、内部労働市場型とそれから外部労働市場型の労務管理の相違を考慮することがあるということを記載したものでございます。

 同時に、雇用指針におきましては、こうした個別判断の傾向はあくまで一般論でありまして、個々の事案ごとに使用者の経営状況や労務管理の状況等を考慮して判断がされることにも言及をいたしております。

 こうした記述全体につきましては、労使が参加している労政審でも了解をされているということで、理解をされていると考えております。

大西(健)委員 先ほど大臣の御答弁の中で、日本型の、長期に人を育てるような仕組みもいいよねみたいな話があったというお話がありましたけれども、実は、この間、アメリカの大きな製薬企業の会長さんと意見交換をする機会がありました。

 その場に、今いらっしゃいませんけれども井坂委員もいらっしゃって、井坂さんがその場で、そのアメリカの大手製薬業界の会長さんに、日本の雇用や労働法制で、外国企業として人を雇うに当たって何か障害に感じていること、ここを改善してほしいということがありますかということをお聞きになったんですね。

 そのときのその会長の答えというのが私にとって非常に興味深かったんですけれども、会長はこんなふうにおっしゃっていました。基本的に問題は何も感じていない。ここ数年、リーマン・ショック以降、非常に会社にとっても厳しいときで、全世界ではリストラもやったけれども、日本では人を千人雇った、余計に雇った。また、日本型のそういう長期の雇用、終身雇用的な長期の雇用というのも非常にいいところがある、それに合わせた雇い方というのをこれからもやっていきたいみたいなことを答えられたんです。

 ですから、それを聞いていると、確かに在日米国商工会議所の要望書云々とかというのはあるのかもしれませんが、しかし、私は、本当に解雇しにくいから外国企業が日本で人を雇わないのか、あるいは解雇しやすくすれば外国企業が人を雇うのかというと、そういう声がないとは言わないですけれども、殊さらにそれが何か強調されているんじゃないかというような感じがしております。この点について、大臣、いかがでしょうか。

高鳥大臣政務官 委員御指摘の点でございますが、雇用しやすくすれば外国企業が人を雇うという主張があることは認識をいたしておりますが、そのような見解の具体的な根拠については把握をいたしておりません。

 一方で、ジェトロが公表いたしております日本における投資阻害要因につきましての外資系企業の声を見ますと、厳格な労働規制を挙げる企業よりも、給与ですとか用地費等のビジネスコストの高さ、また外国語によるコミュニケーションの難しさ等を挙げる企業が多くなっておりまして、対日直接投資の拡大のためには総合的な取り組みが必要であると考えております。

 一方で、国家戦略特区に係る検討の過程では、海外からの進出企業にとって我が国の雇用ルールがわかりにくいという声もございました。このため、特区に雇用労働センターを設置いたしまして、雇用指針も用いまして、相談、助言を行うこととしております。これは、個別労働関係紛争を未然に防止するために行うものでございまして、解雇しやすくするというような考えではございません。

大西(健)委員 今、政務官もそうおっしゃっていただいたので、私も全くそうだと思うんですが、そういう声がないことはないけれども、それが一番の理由じゃないと思うんですね。そのときも、やはりその会長もおっしゃっていました。それよりも、子供の教育のこととか、そういうことを改善してくれると非常に優秀な人間を連れてくることもできるし、そういうところをもっとやってほしいみたいな話をされていました。

 ですから、まさに厚労省が、首を切りやすくすることが外国企業が人を雇うことの一番の原因ではないというふうに認識されていることが確認できたというふうに思います。

 それでは、最後に、資料の最後につけておきましたけれども、新聞記事、ハローワークの求人票についてお聞きをしたいというふうに思います。

 最近、ブラック企業というのが社会問題化していますけれども、そういう中で、賃金とか就業時間などがハローワークに出されている求人票に書いてあるのと実際が異なっている、こういうことのトラブルが非常に多い。求人票に関する苦情相談が全国で年間七千件以上もあるということなんですね。これはやはり、七千件以上もこういう苦情があるということは、何かやらなきゃいけないんじゃないか。

 今は記載内容が実際と違っていても罰則とかはないというふうにこの新聞記事には書いてありますけれども、求人票の書式を変更するとか罰則を設けるとか、やはり何らかの改善が必要ではないかというふうに思いますが、この点、いかがでしょうか。

田村国務大臣 これは、求人受理の段階で、面接でそこのところは求人条件の点検をしっかりやっておるわけでありますが、それでも、今のような案件がないわけではございません。相談等々がございますれば、すぐに指導をさせていただくわけでありますし、場合によっては、職業紹介の一時保留でありますとか、さらには取り消しといった、そういう措置も講じておるわけであります。

 いずれにいたしましても、こういうものが多数寄せられるような事業主に関しましては、再発防止のための指導もしっかりやってまいりたい、このように考えております。

大西(健)委員 時間が参りました。

 子ども・子育ての予算を確保することもそうですし、特区に対してしっかりと言うべきことを言っていただくこともそうですし、ぜひこれからも田村大臣には、この厚生労働委員会あるいは厚生労働行政の代表としてしっかり言うべきことは言っていただきたい、このことをお願いして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。

 内閣委員会において審査中の内閣提出、健康・医療戦略推進法案及び独立行政法人日本医療研究開発機構法案について、内閣委員会に連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、内閣委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

     ――――◇―――――

後藤委員長 午前に引き続き、厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 質疑を続行いたします。重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦でございます。

 きょうは、私は、認知症について質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、認知症の要介護認定について御質問をさせていただきます。

 まず、認知症の要介護度の判定においては、一般論として、心身の状況調査や主治医意見書に基づいて介護の必要量や時間が判断されるということになっておりますが、認知症の場合は、実際の介護現場では四六時中様子を見なきゃいけない、そういう方もいらっしゃって、どうも介護に要する労力だとかコストに介護報酬が見合わないんじゃないか、こういうケースが多発しているというふうに多くの関係者から声が聞こえてまいります。利用者や家族側から見れば、要介護度の低い認知症の方を施設がなかなか受け入れてくれないということですね。事業者側からすると、そのコスト、労力に見合わないということになると思うんです。

 この認知症に係る介護のコストをもっと適切に要介護度の判定に加味するべきではないかと考えますが、認知症について、要介護度の判定は適切に今行われているとお考えかどうか、大臣に質問したいと思います。

田村国務大臣 委員もおっしゃられましたとおり、一次判定においては、七十四項目の基本調査それから主治医の意見書、こういうもので機械的にコンピューターで判定をしますが、二次審査は、判定審査会において、主治医の意見書や特記事項、こういうものを踏まえて判定するわけでありまして、そのような意味では、申請者の状態といいますか、そのようなものも勘案しながらと。

 以前からこの議論はずっとあったわけでありまして、前回、この審査方法を見直すときにも、認知症に対してどのような形でしっかりとした審査ができるかということも踏まえてやってきておるわけでございまして、そのような意味では、認知症に対しても一定の、要介護という意味からいたしますと、判定においての対応といいますか、それはしてきておるわけであります。

 一方で、それぞれ審査を受けるためには当然のごとく認定調査員が調査をするわけでありまして、そこの能力というものをある程度そろえなきゃいけないわけであります。これは、しっかり研修をやりながら、全国一定のレベルでしっかりと調査ができるようにということも引き続きやってまいってきておるわけであります。

重徳委員 今大臣から認定調査員の能力向上について言及がございましたけれども、やはり認知症の判定というのはなかなか難しいと言われておりまして、その時々によって調子がよかったり悪かったりもちろんしますし、それは見た目にもわからないというようなこともありまして、それが軽目に判定されてしまった場合に、先ほど私が申し上げたような問題が出てきてしまうということであります。ですから、おっしゃるように、重要なのは、認定調査員が、きちんと調査をする、把握をする能力と経験を備えることができるかどうかだと思います。

 認定調査員は、ケアマネの方なんかがやっておられますけれども、バックグラウンドが医療系の看護師さんだったりする場合もありますし、また介護施設での一定期間の経験を持っておられる方の場合もあります。いろいろなバックグラウンドがあるものですから、それぞれもちろん強みもあると思いますし、そこがうまく強みが発揮できない場合に、いろいろな問題が出てくるということだと思います。

 それで、ちょっと一つ、先ほど大臣から一次判定、二次判定というお話がありましたので、一次判定でコンピューター、機械的に見抜けなかった部分を、二次判定においてどの程度それを補正して適切な判定ができているかどうか。この点について、数字的に把握ができていれば、一次判定の結果どれだけの判定があったものが二次でどのぐらい変わったものがあるかというようなことも含めまして、二次判定が一体何のためにあるのか、このあたりを御答弁いただければと思います。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 要介護認定審査の二次判定におきましては、先ほど大臣の方からも御答弁がございましたように、認知症の方を含む申請者の固有の介護の手間、こういったことも審査会で十分に加味しながら判定をさせていただいているわけでございます。

 実際どのくらい一次判定と二次判定で変更があったかという御質問でございますけれども、これは平成二十四年度の保険者からの報告を単純に集計したものでございますけれども、要介護認定データをもとに集計したものでございますが、要介護認定の一次調査の結果は、要介護認定審査の二次判定において全体で一三・五%変更されているという数字が一つございます。

重徳委員 全体で一三・五%という数値で、これを多いと見るか少ないと見るのか。多ければいいという話でもまたないとは思っておりますけれども、現場の方の感覚ですと、一次で通ったものがそのまま二次で通っちゃって、ただの二度手間じゃないかという感覚をお持ちの方もやはりいらっしゃるわけですね。

 それは何でそうかというと、適切な結果が出ていればいいんだけれども、一次でちょっとおかしいなと思われる判定が二次でそのままするっと行っちゃっているんだったら、何の意味もないじゃないかというふうな厳しい声も上がっております。

 この点、ぜひとも、保険者からの報告を受け取って集計したらそういう結果だったという今の御答弁だと思いますけれども、ずっと大臣もこれまで言われ続けてきたことだという御認識もあるわけですから、ここは、現場がどう受けとめているのか。これは事業者側もそうですし家族側もそうですし、なかなか受け入れてくれないんだという家族の声も聞きますので、そういった実態をきちんと把握して適切な運用、場合によっては、認知症の場合のもうちょっと特例的な要介護度の判定の仕方というもの、もう少し改善する必要があるんじゃないかと思うんですが、そのあたり、今の話を受けて、いかがでしょうか、大臣。

原(勝)政府参考人 公平公正な要介護度認定調査というのが必要だと思いますので、一次判定における認定調査員の研修の充実によって技術を上げるとか、あるいは、御案内ございましたように、やはり私たちも、各都道府県で具体的にどういうような認定の状況にあるのかの情報も十分収集しながら、きちんとした認定調査ができるように努力をしてまいりたいと考えております。

重徳委員 情報も収集してきちんと対応されるということでしたので、これは期待しております。ぜひよろしくお願いいたします。要望いたします。

 それでは次に、認知症への医療と介護のかかわりについて質疑をしてみたいと思います。

 認知症というのは、基本的には、手術をして治すとか薬でぱっと治るとか、そういうことではないものだと考えられます。したがって、基本的には、介護でしっかりとケアをし、サポートしていくというのが認知症だと思うんですが、その一方で、その時々の症状によっては、投薬、医療的な措置が効果があるという場合もあると思うんです。

 そこで、まず確認なんですけれども、認知症への対応におきまして、どういう場面で医療行為、医療的な処置というものが必要になってくるんでしょうか。

原(勝)政府参考人 まず、認知症というのは実は介護保険法で一応定義がございまして、「脳血管疾患、アルツハイマー病その他の要因に基づく脳の器質的な変化により日常生活に支障が生じる程度にまで記憶機能及びその他の認知機能が低下した状態」である、これが法律上の定義でございます。

 このように、実は認知症というのは、そういう状態を言っているので、いろいろな原因であったり、さまざまでございます。

 したがって、その医療というものも一律にこうだということはなかなか申し上げにくいんですが、大きく認知症と医療との関係で申し上げますと、一つは、やはり何といっても早期に認知症という鑑別診断をしていただく必要がありますから、そういった意味での適切な診断という面で医療がかかわってくる。

 それから、次に出てくるのは、そういう認知症の診断ができたときに、認知症の行動、心理症状といいまして、いわゆる記憶の認知機能低下といったような中核症状に加えまして、例えば抑うつですとか興奮ですとか、徘回とかあるいは妄想でございますとか、そういう行動、心理症状というのが出てくるのが認知症の特徴でございます。

 したがって、そういった認知症の行動、心理症状を低減するための薬物療法、あるいは、残念ながら、認知症というものについては、これを完全に治すという薬もまだございませんけれども、そういった進行をおくらせるといったような効果のある医薬品も出ておりますので、そういった認知機能の維持向上というんでしょうか、こういうもののために薬物療法をするということがあろうかと思います。

 さらには、認知症そのものではございませんが、糖尿病だとかいろいろな病気を持っておられる高齢者の方で、あわせて認知症も患っておられるというような場合に対しては、当然、認知症のことを十分踏まえた上での本来のふさわしい医療の提供、糖尿病等の合併症の治療ということが必要になってくるというふうに考えております。

重徳委員 ですから、介護に加えて、さまざまな場面で医療の出番もあるというようなことだと思うんです。

 こうした認知症の方々というのが今、日本国内全体で、いろいろな数字はあると思うんですが、厚生労働省としては、何人いて、その方々は、御自宅にいらっしゃる方が多いのか、病院なのか介護施設なのか、一体どこに実際いらっしゃるか、このあたりを把握しておりましたらお願いします。

原(勝)政府参考人 認知症の方の数につきましては、いろいろな捉え方がございまして、昨年度末には、いわゆる有病率に基づいた推計というものもございまして、これだと四百四十万人いるというような推計、六十五歳以上人口の一三%というような数字もございます。

 私ども、一応、確実に把握するという意味で、平成二十二年、二〇一〇年の時点で、要介護認定申請をした方で、認知症高齢者の日常生活自立度という判定基準がございますけれども、この二、二といいますのはどういう基準かと申し上げますと、日常生活に支障を来すような症状、行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる、こういった基準以上の重い方について、要介護で認定された方について調査をしたところ、二百八十万人という数字がございます。

 また、居場所でございますが、その同じ調査の中で、認定を受けた方がどこに居場所があるかということもあわせて調査をして推計しておりまして、これによりますと、二百八十万人の中で、居宅で百四十万人、半分でございます。それから、介護老人保健施設で四十一万人、医療機関で三十八万人といったような状況になっております。

重徳委員 ありがとうございます。

 在宅の方が半分ということでございますし、それはそれで御家族もいろいろな御苦労があったり、御心配されている方も多いと思いますが、一方で、介護施設、さらには医療機関に入院、入所されている方が四十万人ぐらいいるということなんです。

 ここで、ひとつ話題を介護療養病床に転じてみたいと思うんです。

 もちろん、介護療養病床にいらっしゃる方も、認知症の方はそれなりに大勢いらっしゃると思うんです。この介護療養病床ですが、廃止するという方針になりまして、平成十八年には十二万病床あったのが、今は七万というところまで来ている。これは、減ったといえば減っているんですけれども、もっと減らす予定だったところ、なかなか減っていないということで、目標の年次を六年間延長して、今またこの取り組みを続けておられるわけなんです。

 認知症の方、すなわち介護も必要、医療も必要というような方に対しまして、介護療養病床の機能というのが、現場の方々の感覚的なものも含めて、本当にこれは必要ないのか、廃止しちゃって本当にいいのかという思いを持っておられる方が医療関係者でもいらっしゃいますね。要は、ほかにきちんとした居場所がない方がいて、やはり介護療養病床が居場所として一番ふさわしいのではないかというようなことを感覚としてお持ちだというのがあるわけなんですね。

 この介護療養病床について、後ほどまた老健施設との関係について取り上げたいと思いますので、このあたりは後ほど少しお話をします。

 介護療養病床において、これもちょっと中途半端といえば中途半端なものですから、本来、医師と看護師はそれぞれの役割があるはずなんだけれども、医療行為に携わるために置かれているはずの看護師さんが、例えば患者さんの下の世話ばかりせざるを得ない状況になったりとか、もう少し介護職員の配置をふやすべきではないかという指摘があるんです。

 この点について、つまり介護職員の配置の基準をもっと上げるべきじゃないかという指摘があるんですが、厚労省としてはいかがお考えでしょうか。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 答弁に入る前に一点、私、先ほどの答弁で、認知症の方がどこにいらっしゃるかということで、介護老人福祉施設四十一万人というところを、介護老人保健施設と申し上げてしまいまして、申しわけございません。特別養護老人ホーム等の介護老人福祉施設が、全部合わせたものが四十一万人ということでございます。失礼しました。

 御質問でございますけれども、認知症を有する者の介護に当たりましては、特有の行動、心理症状等に対応する必要がございます。このために、介護療養型医療施設におきましては、日常生活に支障を来すおそれのある症状もしくは行動が認められる認知症の者が一定割合以上を占めているなどの場合におきまして、専門的なケアを適切に評価する観点から、認知症専門ケア加算というようなもので評価してやっております。

 もともと介護医療施設につきましては、配置基準上も、百床当たり看護師で十八人、介護職で十八人というような配置基準になってございますので、さらに介護の対応が必要な場合は、今申し上げました認知症専門ケア加算、こういうようなものを活用していただいて配置を厚くしていただくという対応をお願いしたいと考えているところでございます。(重徳委員「どのぐらいの加算ですか」と呼ぶ)

 これにつきましては一定の要件がございまして、先ほど言いました認知症の日常生活自立度ランク三以上の方が入所者、入院患者の総数のうち二分の一以上いるような場合とか、あるいは認知症の専門的な研修を修了しているような方がちゃんと指導するとかいったような要件がございますが、それを満たした場合には、認知症専門ケア加算一として、一日につき三単位でございます。さらに、施設全体の認知症ケアの指導をその専門の研修を受けた方が指導して実施しているとか、あるいは研修計画をつくっているというような場合には、この三単位が四単位ということで、一単位高い単位にしてございます。

重徳委員 介護療養病床にはがん患者の方もお見えになりますし認知症の方もいらっしゃるということで、医療と介護というものを完全に切り分けようとすることにやはり違和感を感じている現場というものを感じます。このあたりも、後ほどまた議論させていただきたいと思います。

 ところで、認知症施策につきましては、厚労省は、平成二十四年の九月に認知症施策推進五か年計画というものを定めまして、これまでの認知症ケアの流れを変えて、状態に応じた適切なサービス提供の流れを構築するんだ、こういう方針を打ち出されました。

 これは、特に、危機が発生してからの事後的な対応から、危機の発生を防ぐ早期、事前的な対応に基本を置くということで、認知症初期集中支援チームだとか認知症地域支援推進員といったものを配置する、こういうことが進められているということでありますが、やはりなかなか現場ではうまく連携ができていないということもたくさんございます。

 端的に、一例として、例えば、本当は統合失調症である高齢者の方が、精神科医の方に診ていただければよかったんでしょうけれども、必ずしも専門ではない内科の方とか、そういう他の診療科の先生に認知症だというふうに診断をされて、認知症だから介護サービス、デイサービスを受けに来ましたというケースがしばしばあるということでございます。

 医療と介護との連携というものがもっとうまく図られないと、つまり、この方は認知症じゃないということを介護の方から言っていく、権限を持って決めることはできないわけなので、ですから、やはり医療機関の方でできるだけ適切な、最初から専門医の正確な診断を受けられるような、そういう体制が必要だと思うんですけれども、このあたりはいかがお考えでしょうか。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 認知症の方を支えるためには、御指摘のように、まず、可能な限り早期の段階から専門医による認知症の鑑別診断を受けていただいて、その状況に応じた適切なサービスを受けるということが大変大事だろうと思っております。

 そのためには、高齢者にとって地域で身近な医療機関であるかかりつけ医や、介護等の相談の窓口である地域包括支援センター等において、まず、専門的な鑑別診断を行う医療機関である認知症疾患医療センターに適切につなげていただくということが重要でございます。

 この認知症疾患医療センターでございますけれども、私どもが今年度から進めております認知症施策推進五か年計画におきまして、現在は全国二百五十カ所ほど配置されています。これは、例えば基幹型といって、MRIのようなものを置いたりあるいは空床を確保しておくといったような大きな医療機関から、地域型というようなもの、幾つか種類がございますけれども、こういうものが今全国で二百五十カ所整備されていますが、オレンジプラン、認知症施策推進五か年計画では、これを五百カ所、一応目標という形で整備していきたいというふうに考えているところでございます。

 いずれにしましても、こうした取り組みを進めるためには、地域での医療と介護の連携、先ほど言いましたように、やはり地域包括支援センターであったり、あるいは私どもが今年度から取り組もうとしています認知症初期集中支援チームの設置であったり、こういう介護のところからうまく早く医療の方につなげて早期に認知症の鑑別診断をしていただく、そして適切な医療を受けていただくということが大変大事だろうと。

 医療と介護の連携につきまして、これからも努力してまいりたいと考えております。

重徳委員 これから本当に認知症の方が急激にふえてくるという見通しもありますので、このあたり、スピード感を持ってやらないと、やはり地域包括支援センターの実情も、今、地元でいろいろ話を聞きますと、何ともまだまだ未成熟というか、一応そういう名のものはあるんだけれども、きちんと機能しているか、地域にきちんと根差して連携をとるかなめになっているかというと、非常に心もとない状況もまだまだあります。これは本当に力を入れてやらないと、医療、介護がばらばらのまま、それぞれが空回りするような、こういう状況も十分に想定される、既にそうなっている、そういう状況だと思いますので、ぜひとも危機感を持って取り組んでいただきたいと思っております。

 それから、早期に鑑別診断を行って対応していく必要性について今局長から話がございましたが、認知症については、認知症を専門にやっているデイサービス、認デイなんというふうに言われるようなんですけれども、ここにスペシャリストがいらっしゃることがあって、認知症の早期対応から重度に至るまでずっとその施設で、施設をかえずに進行に合わせて継続的に対応する、こういう非常に重要な存在だと思うんです。

 この認デイというものについて、例えばこのたび提出された地域の医療介護法案の厚労省のいろいろな説明資料を見ても全然登場してこないんですけれども、厚労省として、認知症デイサービスについて、その重要性や意義についてどのように認識をされているか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 認知症デイ、認知症対応型通所介護でありますけれども、認知症の進行を緩和させる目標設定なんかをしていただきまして、例えば地域住民の方々と交流をしたりでありますとか地域活動に参加していただきながら、少人数でサービス提供をいただくわけであります。精神、身体、いろいろなプレッシャーを緩和していくという意味では、家族に対しても一定程度の対応ができるわけであります。

 基本的に、新聞なんかでも、余り利用されていなくて途中で閉めちゃったなんというような報道もあったような、そんな記憶がありますが、軽い認知症ですと通所デイの方に行くわけですよね。デイサービスの方に行かれるということでありまして、そういう意味では、軽い方も対応できるわけでありますが、重い方々に本来は来ていただいて、一般のデイサービスでは対応できない方々がこの認知症対応型通所介護にお越しをいただいて認知症の重度化というものをある程度緩和していくということ、これは大変重要なことであります。こういうようなサービスがあるから地域包括ケアシステムが成り立つわけでありますので、かなめであることは間違いないわけであります。

 まだ十分に周知されていないということがあるのかもわかりません。そのような意味では、我々、ケアマネ協会等々にもこれからもいろいろな形で促していきながら、やはり認知症というものはこれから大きな、日本の介護の中での一つのポイントといいますか重要な問題にもなるわけでございまして、しっかり地域で生活をいただく中においてこれがしっかりと機能していくように努力をしてまいりたいというふうに考えております。

重徳委員 今大臣が言われたように、軽度ならどこの施設も、喜んでというか、受け入れるわけですよね。ですが、やはり重度になると普通のところでは受け入れがたいという問題があり、重度でも対応できる体制をとっているのが認知症デイだと思うんです。しかし、これは矛盾しているんですよね。軽度のうちに、早期のうちに対応するのが一番いいといいながら、やはり重度専門みたいな形に認知症デイがなってしまっている。

 本来は、やはり軽度のうちからどうすれば認知症の進行を少しでもおくらせることができるかということのプロフェッショナルが認知症デイにいらっしゃるわけですから、軽度のうちからそこに入るというか、そこでサービスを受けることが一つの理想だと私は思うんです。

 やはり認知症デイは単価が高いということで、ケアマネの方がよくよく理解してくださらないとそちらにつないでもらえないとか、もちろん利用者、御家族の方は、どうせなら高いよりも安い方がいいということで安い方に流れていくこともあると思います。

 だけれども、一方で、グループホームを活用した場合の認知症デイ、これは共用型というんですね。共用型の場合は通常のデイよりも基本部分が安い設定になっておりますので、これは利用者にとってもメリットがあるはずということで、いろいろな形でこの認知症デイの意義とか価値というものを、もっともっと理解を浸透させることができれば、みんなにとって幸せな状況がもっと生まれてくると思うんです。

 今、大臣としても、これは一つのかなめであることは間違いないということもおっしゃってくださいましたけれども、現場においてもっと浸透させるために国としてももっと周知徹底を図っていくべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

原(勝)政府参考人 大事な御指摘だと思います。

 私どもとしては、利用者や自治体のほか、サービスの選択において重要な役割を担っておりますケアマネジャー、介護支援専門員の団体などに対しても、認知症対応型通所介護サービスにより認知症の症状が緩和した事例を紹介するなど、その有効性や役割について周知をしてまいりたいと考えております。

重徳委員 これも要望なんですけれども、ぜひともしっかりと厚労省として取り組んでいただきたいと思います。

 次に、老健の話をしてみたいとも思います。介護老人保健施設ですね。

 この老健の本来の姿は、介護保険法にきちんと「入所者の心身の諸機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるため、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを計画的に行わなければならない。」と書いてありまして、「その者の居宅における生活への復帰を目指すものでなければならない。」このように明記されています。

 しかしながら、実態は、これは厚労省の担当の方からきのう教えていただいた数字ですが、復帰率五〇%以上の施設は極めて少ない、五%ぐらいしかない。それから、三〇%未満という施設が大半、七五%を占めているということでありまして、本当に、老健が一時的に入所してリハビリを受けて復帰する施設であるという定義とは大きく乖離している実態があるようです。

 また、一人当たりの介護報酬の枠、制約があるということもありまして、薬が必要な場合に適切な薬が提供されないとか、いろいろな制約もありまして、一説には、薬が必要になったら老健を一回出されて、病院から薬を大量にもらって、それでもう一回老健に戻ってくるとか、いろいろなことが指摘をされております。

 このような老健の姿というのは、本来の姿と違うんじゃないかと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

田村国務大臣 おっしゃられますとおり、老人保健施設は、在宅復帰を目指すということが本来の機能であるわけであります。

 しかしながら、今委員がおっしゃられたような課題が以前から言われておるわけでございまして、平成二十四年度の介護報酬改定の中において、これは民主党政権の中で行われたことでありますけれども、在宅復帰支援機能に着目しまして評価をするということで改定をしたわけであります。結果、一定程度、在宅復帰率は上がっておりますし、在所日数も短くなっている部分もあるわけであります。

 ただ一方で、実態として、言われるように、長期に施設の方に入所されている方々というのは今もおられるわけでありまして、これをいきなり追い出すというわけにもなかなかいかないという部分もあります。

 いずれにいたしましても、審議会の方でこれからも御議論いただきながら、老健施設のあるべき姿といいますか役割というものをいろいろと御議論いただいてまいりたい、このように考えております。

重徳委員 しっかりと機能分化に取り組んでいくというのが今の国のスタンスだと思うんですが、そういう意味では、本来の姿と全然違う姿に今なっていて四苦八苦している、こういう状況を解消していかないと、何が何だかよくわからなくなると思うんですね。

 ですから、老健は、ずっと当直のお医者さんがいるわけじゃないので、通常はみとりはしないということになっているので、最期、亡くなるときには、基本的に病院の方に移された形で、病院でみとられるということがそういう意味では本来だと思うんですけれども、最近ではみとりを行う老健施設もふえてきているということですので、これまたやはりおかしいというか、個々人の方には全く何の罪もないんですが、やはりあるべき姿からは離れてしまっている。

 一方で、先ほど指摘をしました介護療養病床なんですけれども、こちらは、お医者さんがずっといるわけですから、みとりができる医療機関というか、介護もやっている医療機関なわけですよね。そういう意味で、先ほどの、介護療養病床をこれから廃止するんだということで、これまで七万床まで減ってきているというところなんですが、やはり今みたいに、老健なのか介護療養病床なのか、その役割も実態も本来と違う、そういう姿がある中で、本当にこれから介護療養病床をきれいに、机上の絵としてはきれいかもしれませんけれども、実態はちょっと違和感があるなと思っております。

 平成二十年の改正によりまして、老健も、介護療養型老健というものができて、看護師さんも夜間に対応できるようにするとか、みとりもできるようにするとか、さらには特例ができて、本来八平米の床面積のところを六・四でもいいよとか、ベッドの数も減らさない、そういうことを前提にしているので、何でそんなに無理やり介護療養病床から老健に移行させるのか、意味がよくわからないという状況になっているんじゃないかと思っております。

 このような意味で、みとりというのは一つの象徴的なことだと思うんです。みとりを老健がするようになったというのは、介護療養病床から転換する、そういう受け皿としての機能をするようになったという意味では前進だと思うんですが、先ほど大臣がおっしゃったように、本来の老健の姿とはまた違うわけでありまして、本当に矛盾だらけだと思うんです。

 このみとりをやっている老健の姿について、国としてはどのように評価しておられるんでしょうか。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 介護老人保健施設は、御指摘のように、本来は入所者の居宅における生活への復帰を目指すというものでございますが、入所者の経過には個人差があり、結果的に、入所期間が長期化し、みとりに至る場合があるというのも事実でございます。

 このように、施設が目指す短期での退所と相入れない事態が生じることもやむを得ない場合があるわけでございますので、このような状況から、介護老人保健施設の中には、多くのみとりを実際に行っている施設も一部にございます。このため、平成二十四年度の介護報酬改定におきまして、介護老人保健施設のみとりの機能も評価するといった報酬上の評価もしてございます。

 今後の介護老人保健施設のあり方については、このような地域でのみとりの機能の一部を介護老人保健施設が担っている現状を踏まえまして、関連する審議会等において引き続き検討してまいりたいと考えております。

重徳委員 今の段階ではそういう御答弁だと思いますが、現場も何だかわけがわからない状況になっていますので、ぜひともこれは真剣に御検討いただきたいと思います。

 あと五分ということですので、二問いきたいと思いますが、ちょっと認知症とは別の話になります。

 これから在宅医療、在宅介護というものを推進していく上で、胃瘻というものについては、胃瘻に流動食を注入するというのは今、医療行為というふうに位置づけられていますので、在宅介護を行う中で、その部分だけはお医者さんなり看護師さんにお願いしなきゃいけない、つまり介護職員では手に負えないということに法律上なっているわけなんです。

 この部分、やはりこれから在宅を進めれば進めるほど、もちろん一定のルールというか基準は決めなきゃいけないと思いますが、できるだけ、介護の現場で一部だけ医療行為という場合には、介護職員もそういうことについてはできるようにルールを見直すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

岡田政府参考人 御指摘のように、胃瘻からの経管栄養などにつきましては、医行為だということで、従来、介護職員が行う場合には、当面やむを得ず必要な措置という法律上の解釈として取り扱われてきたところでございますが、介護職員などが事故を起こした場合の責任の所在をどう考えるのか、それから介護職員にとっても法的に不安定であるということで不安だというような御指摘もあったことから、平成二十三年の法改正におきまして、介護職員が業務として行うことを可能とさせていただいたところでございます。この法改正におきましては、経管栄養のほか、たんの吸引もその対象にして、介護職員が業務としてできるような形にしております。

 その際、こういった行為は、安全の確保というのが非常に重要でございますので、医療的なコントロールのもとで行われるというようなことで、教育研修をしっかりと受けていただいた介護職員が行うこと、それから医師、看護師などの医療関係者との連携をしっかりするといった安全確保措置を講じた上でこういうことをやっていただくというような形で整理させていただいているところでございます。

 介護職員の業務として経管栄養などの医療行為が行われておりまして、安全確保というのは最重要の課題でございますので、今後とも、ちゃんとした研修が行われて、医療関係者との連携がしっかり行われるように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

重徳委員 現場にどんどん浸透させていって、あるべき、在宅のみならず、介護現場をつくっていっていただきたいと思います。

 最後に、これから在宅介護、在宅医療を推進していくということになっていくわけなんですけれども、これは私も必要なことだと思いますが、相当な社会通念の転換が必要じゃないか、そのぐらい覚悟を決めてやらないと、いろいろな問題が出てくると思います。

 もちろん、在宅ということは、おうちで誰かが介護サービスを受けながらも、でも、やはり家族の方がその方を面倒見なきゃいけないということになって、いろいろな負担が増すということは当然想定されることなんです。

 これに加えて、昔は、お医者さんが家に来て、御臨終ですというふうに最期を迎える方が比較的多かったように思うんですが、最近は本当に、病院で最期を迎える方の方が圧倒的に多いんじゃないかなと思います、感覚的にですけれども。しかも、病院でも延命のための処置をいろいろとされることも昔よりも当然多いわけですから、なおさらだと思うんです。

 そういう中で、家で人が死ぬということに対して非常に、それを敬遠するというか、それは怖いことだ、恐ろしいことだという感覚を最近は社会全体で、若い方々なんかはお持ちなんじゃないかなと思います。

 このような意味で、在宅で家族が亡くなり、それをみとるということについてのふなれさ、あるいは抵抗感というものも克服していかなければいけない、克服という言葉がいいかどうかわかりませんが、それも一つの課題ではないのかなというふうに感じているところなんですが、大臣はいかがお考えでしょうか。

田村国務大臣 みとりも出産も以前は自宅だったんですが、今や割合が逆転をしておるわけであります。

 そういう意味で、人が亡くなるということを家族が経験することは、悲しいことではありますけれども、ある意味、人間として、生きるとはどういうことであるか、死ぬとはどういうことであるか、こういうことを理解する意味においては、一定の人生経験だというふうに思います。

 急変時でありますとかみとり、こういうときに対応がなかなかできないというのが、家族にとってみれば、やはり在宅でいろいろな医療や介護を受けるということに対しての心配であるわけであります。

 これは今般の法案もそうでありますが、都道府県、市町村が中心になって事業の実施計画をつくっていただくということでございまして、そのような意味では、一番近い市町村においてそれこそこの計画等々をつくっていく中において、当然のごとく在宅医療と在宅介護の連携推進というのが重要でありますから、この連携推進事業を地域支援事業に位置づけておりますので、各市町村でしっかりと体制整備を計画にのっとってしていただく。そのときには、やはり地域の医師会等々が大変な大きな役割を果たしていただくというふうに思います。

 いずれにいたしましても、今法案の中において位置づけておりますので、どうか御理解をいただきながら、これからこの法案の御審議をいただければありがたいというふうに思います。

重徳委員 ありがとうございます。

 人のやることですから、とにかく現場が一番大事ということで、私自身、これからもいろいろと国の方にしっかりと伝えてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうも、厚生労働省の皆様方に加えて、小泉政務官、御足労ありがとうございます。

 きょうも、前回に引き続いて、非営利だとかあるいは非営利ホールディングカンパニーとか、産業競争力会議で議論されているテーマをちょっと扱わせていただくのでお越しいただいていますので、先生方、御理解のほどよろしくお願い申し上げます。お時間は大丈夫ですよね、順番でいくと後半になるんですけれども。済みません。

 きのうの本会議で、私どもの同僚である清水委員の方から、登壇させていただいて、今回の通常国会に上程されている地域の医療介護の法案は本当に大切で、二〇二五年に向けて、今回、この国会で議論されるこの医療、介護の制度が、言えば、制度改革のラストチャンスなんだ、最後のチャンスだ、そういう思いで、もうあと十年しかないんだ、したがって、また行ったり戻ったりすることがないように、しっかりと制度改革をやり切っていこう、こういう話を申し上げました。

 私も全く同意でありまして、そういう意味で、当該法案についても、日本維新の会として、さまざまな修正等の提案をまた申し上げることもあろうかと思いますので、きょうは、その前振りということで質問させていただきたいと思います。

 前回もこのテーマをやりましたが、ざっと表面をなでた感じになりましたので、きょうはちょっと深く入っていきたいと思いますが、その前に、ちょうど昨年からずっとマスコミ等でも取り上げられている猪瀬前東京都知事の関係で、もうこのテーマを追いかけるわけではありませんが、猪瀬前知事の方は略式起訴という形で、報じられているとおりかと思います。

 徳洲会の側、徳洲会グループの側は、厚生省として、いろいろ監督をされておられると思いますが、どういう監督状況にありますか、教えていただければと思います。

田村国務大臣 徳洲会グループが今言われた公職選挙法等々にかかわったということでありますので、これに対しては、大変遺憾であるというふうに思っております。

 その上で、今、徳洲会グループに対して、医療法に基づいてどのような指導監督という立場なのかというお話でございましたが、本事件に関しまして、医療法上でございますから、医療法人が、不適切なお金の流れがある中において、そのような形で公職選挙法にかかわっておったということの報告があるかどうか、これを求めておるわけでありまして、この報告において不適切な事案であるということであれば、我々としては必要な対応をしてまいるということであると思います。

足立委員 今、報告を求めているということでありますが、具体的にはいつごろその報告を受け、また厚労省として、御判断というのも変ですけれども、当面の見通しがもしあれば教えてください。

原(徳)政府参考人 現在、医療法人徳洲会に対しましては、徳洲会グループの関係について報告を求めております。二月の二十八日に報告の文書を出しまして、四月の七日までに報告をするようにというふうに求めているところでございます。

足立委員 今、グループについてと医政局長はおっしゃいましたが、私もちょっと複雑でよくわかっていないんですが、厚生労働省は、今回のような事件があったときに、どういう法令に基づいて何ができるんですかね。すなわち、医療法に基づいて医療法人の監督、医療法人の取り扱いについて議論があるのか、あるいは、もうちょっと広く、今医政局長がおっしゃった徳洲会グループ全体について一定の監督権限があるのか、ちょっと確認させてください。

原(徳)政府参考人 法律的な権限に基づくものとしては医療法に規定がありまして、その部分については医療法人を対象にするということになります。

 ただ、医療法人も、いろいろな医療活動をする中、あるいはいろいろな活動の中で、関係の、先生が従来から御指摘のMS法人等との取引もございます。そういう中で、どういう関係にあるかということを、医療法人に対して詳細な報告を求める形で対応するということでございます。

足立委員 委員の先生方、もう同じことを繰り返すなよということになるかもしれませんが、私はどうしても大事なのでこれをもうしばらくやらせてほしいんですが、原局長、今おっしゃった医療法人の例えば取引ということで外延が広がるわけですけれども、どこまで広がりますか。

原(徳)政府参考人 先ほど申し上げましたように、その法人あるいは医療機関、そこが取引をしている先までというふうに考えております。

足立委員 小さな取引でもですか。

原(徳)政府参考人 お答えいたします。

 小さなというふうな、これはどういう形で出てくるかちょっとまだわかりませんので、実際に出てきた報告書を見た上で、さらに必要ならば再調査といいますか、追加の調査を考えていきたいと思います。

足立委員 私、これは大変課題がある分野だと思っていまして、毎度指摘をしていますので恐縮なんですが、厚生労働省として、こういう医療法人がまず真ん中にあります、その医療法人がこれだけの割合の取引をしているところとか一定の基準が普通はあると思うんですが、ないということは、どうやって調査するんですかね。それは、医療法人がここまでの情報を提供するよと言えばそこまで出てくるわけですけれども、それは先方、すなわち徳洲会グループが出してきたものだけですよね。それで大丈夫ですか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、今回の事案、事件に関連するということで、徳洲会グループに任意の形でお願いしているという形の調査をしているわけであります。医療法に基づく正確な監督権限の及ぶ範囲ということでありますならば、医療法人に限定されるというふうに考えております。

 今回の調査は、今回の事案に基づきまして、徳洲会グループ全体に対して、どのような形で今後運営していくのかということも含めて、対応について報告を求めているという状況でございます。

足立委員 ありがとうございます。

 今、局長の方から任意でというお話がありました。

 ちょっと複雑かもしれないんですが、原局長であればわかりやすくお答えいただけると思うんですが、まさに報告等を徴収する手段、根拠ですね。法令に根拠のあるものもあれば、あるいは通達等で何か決まっているものもあるでしょう。あるいは、今任意とおっしゃった。そういう法令等の規定の外で取り扱われることもある。

 まず、その手段については相当幅がありますね。

 法令については、場合によっては罰則、その後の展開ですね。医療法に基づく医療法人の監督をしていらっしゃるわけですから、それは、出口としてはどういう可能性がある法体系になっていますかね。すなわち、どういうことを法律は想定して監督の体系があるんですかね。申し上げていることはわかりますか。

原(徳)政府参考人 医療法人は、医療の提供を地域で直接やっていくという重要なことをやっていただくということに基づきまして、毎年、事業報告等も知事に出すということになっている。さらに、こういう医療法人の業務や会計などが法令等に違反している疑いなどがあるときは、医療法の六十三条に基づいて、医療法人に対して立入検査等を行うことができる規定になっております。この結果などを踏まえまして、必要に応じて当該法人に対して改善の措置命令を出す、あるいは場合によっては業務の停止等を命ずることができるということになっております。

 ただ、先ほどからもお話ししておりますように、医療法人グループと関連のある営利法人にこれが及ぶものではございません。

足立委員 聞いていただいている方も大体御理解をいただけたと思いますが、今はそういうことになっている。

 私は、何度も申し上げていますが、これは報告を見てみないとわかりませんが、少なくとも一般的に想像できるのは、徳洲会グループは医療法人が十六法人、社会福祉法人が十三法人、営利法人が十一法人あるということでありまして、その数ある法人が、特に株式会社、営利法人が、全国に散らばっている病院あるいは医療法人、社会福祉法人を束ねて一括購入をしたりしていわゆる規模の経済を働かせてきているというのが当然、グループの実態であります。

 したがって、お金の流れは、いわゆる国民の税金と診療報酬、社会保険、医療保険で、公的な保険のお金、大体八十数%、医療全体で流れているお金の八割以上が公的なお金なわけですが、それは当然、医療法、医療法人の中に閉じていないということはこの場で何回も申し上げてきました。ところが、今の監督体制は医療法人しか縛っていなくて、リーチできないわけですね。一方で、社会福祉法人と違って医療法人は、さまざまな業務を外にアウトソーシングできる。

 医政局長は、今の法体系でそれは十分監督ができるんだとお考えですか。私は、今申し上げた観点から、不十分、要すれば、医療グループ全体を厚生労働省が監督していくに当たっては手段が十分じゃないんじゃないかという問題意識を持っていますが、医政局長、いかがですか。

原(徳)政府参考人 これは前にもお答えしたことがございますが、医療法人あるいは病院が例えば薬を購入する、これは、グループの企業から購入しようと、普通の卸さんから購入しようと、薬を購入することは必要なわけであります。その購入先がたまたま関係のあるグループの法人、企業、そういうところから購入されたときに、一般的な取引価格が第三者間の取引より不当に高いというような場合は利益が移されるというふうにも考えられますので、その場合には、医療法の五十四条に基づく剰余金の配当の禁止に当たるものとしての必要な改善措置をとることができるというふうに考えております。

足立委員 当然、今回の徳洲会グループにおいても、今おっしゃった観点も含めてチェックをされる、これでいいですね。

原(徳)政府参考人 おっしゃるとおりの観点で、しっかりと見ていきたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 七日に報告が来るということでございますので、ちょっときょうは数日早いわけでありますが、ぜひまた、報告が来ましたら、きょう確認させていただいた観点も含めてこの委員会の場でも報告をいただきたいと思うし、我々もしっかりと質問等をさせていただきたいと思います。

 後半のテーマに移りますが、今まさに原局長がおっしゃった剰余金、要すれば、外との取引が通常の価格と違えば、通常の世間の相場よりも高い価格で取引をしていれば、言えば、それは剰余金が事実上流れ出していると判断ができるというようなことをおっしゃいました。まさにこれがずっと私が申し上げている営利、非営利の話であって、本当にそれは閉じているんですか、こういう話をしてきたわけであります。

 このテーマは、とにかく厚生労働省の皆さんとやっていても、これは厚生行政の背骨みたいなもので、非常に根本の議論ですということで、ちゅうちょされるというか慎重になられるわけであります。

 一方で、小泉政務官においでいただいていますが、産業競争力会議では、そこに若干踏み込んで、持ち分についてもある程度言及しながら、あるいは議決権にも言及しながら、非営利ホールディングということを提案されておられる、こういうことであります。

 ちょっと細かいことになるので政府参考人からでも結構なんですが、まず、復習という意味で、非営利ホールディングカンパニーの基本的な御提案の内容を政務官の方からちょっと御紹介を、簡潔で結構ですので、お願いします。

小泉大臣政務官 毎度毎度という大臣からのつぶやきがありましたけれども、毎度御指名をいただきまして、ありがとうございます。

 御指摘のありました非営利ホールディングカンパニー型法人制度は、昨年の社会保障制度改革国民会議の場でも言及をされておりまして、そして昨年末の産業競争力会議の医療・介護等分科会の中間整理でも取りまとめの中に書いてあり、そしてこれがベースとなって、ことしの一月、検討方針の中にその創設が盛り込まれたというのが一つの流れです。

 そして、この検討方針の中でこの仕組みというのがどう書いてあるかというと、「制度設計に当たっては、当該非営利ホールディングカンパニー型法人における意思決定方式に係る高い自由度の確保、グループ全体での円滑な資金調達や余裕資金の効率的活用、当該グループと医療介護事業等を行う営利法人との緊密な連携等を可能とするため、医療法人等の現行規制を緩和するべく検討する。」こういうふうに書いてあります。

 そして、総理からは、この検討方針で示された課題について、実現に向けて政策の具体化に取り組むよう田村大臣初め関係閣僚に指示があったところですので、今、競争力会議でも、関係省庁と連携をして、議論を深めて、本年中ごろの成長戦略の改定に向けて、具体化に向けて検討を深めている段階であります。

足立委員 ありがとうございます。

 六月ごろだと伺っていますが、成長戦略の取りまとめに向けて、本当に大切なテーマだと思いますし、加えて、冒頭申し上げたように、二〇二五年に向けた、この国会のことしの我々の議論の意義は本当に大きいと私どもは思っているんですね。

 したがって、この議論、ぜひこの国会で六月に向けて深めさせていただいて、この国会で上げる予定で、政府として、閣法として出されているわけですから、この地域医療介護の法案の枠組みの中で処理をいただきたい、私どもはこういう希望を持っているわけでございます。

 今、小泉政務官から御紹介をいただいたこの枠組みですが、御提案の中に、持ち分とかあるいは営利法人への出資、こういうことも出てきますが、一定の持ち分あるいは一定の出資ということがこの仕組みの中には含まれているということで間違いありませんか。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 この非営利型ホールディングカンパニー制度につきましては、非営利型ホールディングカンパニーからいろいろなところに出資するというのは想定しているところでございますけれども、ホールディングカンパニーをつくる際にお金をもって出資して、それを意思決定の幅とかに反映させるとか、そういったところは今のところ想定してございません。

足立委員 非営利ホールディングカンパニーが出資をすることは想定していると。その出資先は営利法人だけですか、あるいは持ち分ありの医療法人も想定されていますか。

赤石政府参考人 制度の詳細につきましては、まだ議論をしているところでございまして、決まっておりませんが、営利法人に対する出資を排除するというものではございません。医療法人との関係につきましては、医療法人の制度、そちらの側の制度もございますので、そういった制度の趣旨、中身等も見ながら、どういう連携ができるか議論しているところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 まさに医療法人側の制度に依存するわけでありますが、その医療法人側の制度については、累次ここでも確認させていただいたように、厚生労働省は、持ち分なしを原則とするというふうに、平成十八年にそういうふうに軌道をつくられているわけであります。

 そういう持ち分なしの医療法人は非営利ホールディングの傘下に入ることは想定していない、あるいはいる、いずれか。お願いします。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 制度設計はいずれにせよ議論中でございますけれども、持ち分を持っている法人であれ持っていない法人であれ、さまざまな形で連携することが医療全体の質の向上につながるという観点から、いずれも排除するものではないという形で議論が進められております。

足立委員 ありがとうございます。

 ちょっとテクニカルになってきていて、皆さん、恐縮なんですけれども、ちょっと続けさせてくださいね。

 非営利ホールディングカンパニーの傘下に、持ち分のない社会福祉法人や、社会福祉法人はないわけです、あるいは持ち分のない医療法人が入ったときに、それを傘下におさめ、非営利ホールディングのもとに持ち分のない法人が入ったときに、非営利ホールディングの意思をその傘下の持ち分のない法人に伝える方法は、どういう方法がありますか。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 中ではまださまざまな議論がなされておりますけれども、いろいろなやり方が考えられると思っておりまして、一つには、病院の現物出資をいただいて、その非営利ホールディングカンパニー全体の資産の中に現物出資をいただいて事実上支配をしていくやり方もあるかもしれませんし、あるいは定款というものをつくる中で参加する法人との間でどういう権利義務関係を持たせるかというやり方もございますし、あるいはいろいろな形で連携する上でいろいろな契約みたいなものをつくっていく、あるいは協定みたいなものをつくっていくということもありますし、いろいろなやり方が考えられると思っております。

 いずれにせよ、きちんとしたガバナンスをつけていくということが極めて重要だと思っておりますので、そういった方向で検討しているところです。

足立委員 今、赤石次長の方からガバナンスという言葉もいただきましたが、現物出資であれ定款であれ、要すれば、傘下の医療法人にAとBがあって、ホールディングカンパニーがあるとしましょう。AとBは非営利ホールディングのメンバーになって、非営利ホールディング全体の意思決定をしていくわけですね。その非営利ホールディングの意思を傘下の医療法人Aに伝えようと思ったら、医療法人Aの少なくとも、ボートというか、意思決定の過半を非営利ホールディングで押さえなあきませんよね。例えば、社員総会であれば、社員総会の過半を押さえないといけない。これはそういう理解でいいですね。

 私は、赤石次長、そうやって考えていくと、これは合併することと一緒だと思うんですね。すなわち、当該医療法人Aが、非営利ホールディングの意思が医療法人Aに貫徹されるとすれば、それはもう事実上傘下に入っているわけですから、同じ意思決定のもとの内部組織になる、こう考えざるを得ないんですけれども、違いますか。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 今先生がおっしゃったような合併をするというのも、一つのやり方として十分に考えられると思います。

 ただ、それ以外にも、例えばAという医療法人から非営利ホールディングカンパニーに現物出資をしていただいて、実際の運営管理はこの医療法人の方に委託し、契約内容でガバナンスをきかせていくというやり方もございますし、いろいろなやり方があると思うんですが、御指摘のように、合併というやり方も一つの考え方だというふうに思っております。

足立委員 これから検討する部分が多いということだと思いますが、協定とおっしゃったり、あるいは現物出資とおっしゃったりしているわけですけれども、組織たるもの、基本的には、現物出資というのは、現物出資をしたら非営利ホールディングの議決権に影響を与える場合もあれば、それも設計次第ですか。多分、全て設計次第ですね。

 要すれば、一つの法人に合併して、一つの法人として組織することというのが一つの選択肢としてあって、それ以外に別法人で取引をするという選択肢、大きく二つに分けたときに、この非営利ホールディングというのは基本的には一つの組織だと思うんですよ。一つの組織だとすれば、選択肢は持ち分をとって議決権を支配する以外にない、後のバリエーションは取引関係だ、こう思うんですけれども、赤石次長、それ以外のバリエーションをここでつくるということではないですよね。

 要すれば、非営利ホールディングの支配、非営利ホールディングの意思決定に服する組織体ができる、その中に子会社として、ホールディングに支配されているところの子法人として、グループとして組織化される道と、それからグループの外の主体として取引関係にあるか、この二種類だと思うんです。

 この非営利ホールディングで想定されている傘下というのは、非営利ホールディングの意思決定に服するということで間違いないと思うんですけれども、違いますか。

赤石政府参考人 お答えします。

 いずれにしろ、検討中でございますので、まだ民間議員の意見もございますので、私の方でこうだというふうには言いにくいところがございますが、先生が御指摘のような、非営利ホールディングの傘下に全部入って、非営利ホールディングの社員総会で決めたことにそのまま従うというやり方もあるでしょうし、定款の定め方次第では、ここは従うけれどもここは自由度を残すというのもありますでしょうし、いろいろな形のものが考えられると思います。

 最終的な究極的な形として、先生がおっしゃるように、非営利ホールディングの社員総会で決めたことに傘下の法人も全部従うというのも、一つあり得るというふうに考えております。

足立委員 もう一回、御提案の原点にちょっと戻りますが、産業競争力会議で御提案をされている非営利ホールディングカンパニーは、傘下に置く医療法人について、持ち分ありの医療法人を、厚生省は持ち分ありの医療法人は原則認めないとしているわけですが、そこを特例で抜くということは想定されていますか、されていませんか。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 今議論しておりますのは、非営利ホールディングカンパニーをどうつくるかということでございまして、現行の医療法人制度をどうつくるかということにつきましては、基本的には厚生労働省の方でいろいろと検討いただいているというふうに理解しております。

足立委員 大臣に御答弁いただいてもいいですけれども、厚生省は今、持ち分ありの医療法人は認めない、こう言っています。そうすると、産業競争力会議もその枠内で議論をするということでいいですか。

赤石政府参考人 田村大臣もおっしゃっておりますが、今ある持ち分あり法人と、それから持ち分なし法人と、現に持ち分あり法人がございますので、そういったものを非営利ホールディングカンパニーから排除するものではなくて、当然、そういった方々の連携も得ながら非営利ホールディングカンパニーをつくっていく、それも当然一つの選択肢として視野に入ってございます。

足立委員 大臣もあわせてお願いできればと思います。

田村国務大臣 委員にも以前申し上げましたけれども、厚生労働省といたしまして、持ち分なしの方向で今いっておるわけでありますが、ただ、今、非営利ホールディングカンパニー型の法人というのは、要は、そうはいったって、今持ち分があるのもあるわけでありますから、それも含めて、今あるものをどのような形でこの新しい法人の中に入れていくかという議論でありますから、それはそれで御議論をする中においてこういうものをつくれというような話でございますので、我が省といたしましても協力をさせていただくわけであります。

足立委員 今手元に、これは、厚生省が産業競争力会議の提案を受けて検討会をされていますね。そこで、恐らくこれは医師会だと思いますが、やはり日本医師会というのは立派な団体でありまして、ある種、政府から出てきたいろいろな提案に対して医師会から、これは意味がわからぬというようなことを、「「非営利ホールディングカンパニー型医療法人」に関してお聞きしたい事項等について」、こういう紙が検討会に出ております。これは今村委員です。今村委員というのは、たしか日本医師会の常任理事でいらっしゃると思います。大変よくできた紙でありまして、私も実は同じ頭、同じ議論を思っているわけであります。

 そのときに、医師会が、今村委員が厚生省の検討会で提案をしている中身の柱が幾つかあるわけですが、例えば地域完結型医療。厚生労働省は地域完結型医療、こう言っているけれども、その地域完結というのは、多様な関係者が連携し合って地域全体を包含して進めていくべきものである、決して一つの大きな組織やグループの中で完結するものではないと思いますと。これがいわゆる厚生省と医師会が共有している典型的な考え方だと思います。

 一方で、産業競争力会議が提案している非営利ホールディングというのは、多様な関係者が連携するという姿よりは、非営利ホールディングという傘で大きくそれを組織化していくことを想定したイメージだと私は承知していますが、その地域医療のあり方についての二つのビジョン、要すれば、地域における別々の多様な関係者が連携し合って地域全体の医療・介護サービスを提供していくという地域連携の姿と、一定のその地域内で大きな非営利ホールディングがそれを傘下におさめていくというイメージがあって、この今村委員は、どっちなんだ、こう質問していますが、大臣、どっちですか。

田村国務大臣 どっちというのはなかなかお答えしづらいんですが、その地域の地域包括ケアシステムエリアの医療、介護にかかわる人たち、法人、法人以外も含めて、個人も含めて、全てをこのホールディングカンパニーに包含しようなどというようなことはまず現実的にあり得ないわけでありますし、それぞれの地域の中において、ここは連携をした方がいいねというところがこのような形で法人を組むのでありましょう。それが、オール・オア・ナッシングではなくて、プレーヤーの一つにもなるでありましょうし、それが、地域包括ケアシステムのみならず、もう少し違う役割を担う場合もあるでありましょうし、多様な役割を果たしていただくんだというふうに思います。決して、全て、何もかもそのエリアをやるというような発想ではないんであろうというふうに思います。

足立委員 もちろん、極端に、その非営利ホールディングが各地域をおさめていくなんということを想定されているとは思っていません。しかし、そういう地域もあるということでいいですか。

田村国務大臣 現実的には多分ないんだろうというふうに思います。

 そこだけ、例えば一万から二万の住民の中で、いろいろな医療や介護やニーズがあるわけですよね。住まいも含めて、予防も含めてであります。そういうもの全てを一つのホールディングカンパニーで対応するというようなことはまず現実的にはあり得ない話であって、その中の一つのプレーヤーとして、一つの法人であった方がいろいろな意味で、サービスが提供できる、効率化もできるということがあれば、それは一つのプレーヤーにはなるのかもわかりませんし、それだけではなくて、もっと違う役割を果たすということもあろうと思います。

 でありますから、これは形態でありますから、その形態が、今度、こちらの地域包括ケアシステムというサービスを提供する一つの考え方、ここと同じ土俵でという話ではなくて、それぞれ機能が違っている中において、役割として、一つのプレーヤーとしてそこで力を発揮するということはあるんであろうというふうに思います。

足立委員 今村委員が、まさに大臣がおっしゃったように、そういうことはないし、仮に地域にそういういろいろな法人を傘下におさめる非営利ホールディングなんかがあったら、地域のある種のコミュニティーというか、その非営利法人がもし大宗を支配するようなことになったら大変ですよ、こう問題提起をされているわけです。

 産業競争力会議が一方で提案をしている非営利ホールディングというのはそういうものなんですね。少なくとも、書いているものを読むとそうです。小泉政務官、それは違いますか。どうですか。

小泉大臣政務官 恐らく、足立委員の頭にあるのは、オープン型もしくはクローズ型みたいな、そういう認識もあるのかもしれませんが、これは、クローズ型とかそういうわけではありません。

 昨年の社会保障制度改革国民会議の場でもこのホールディング型カンパニーの制度が議論されていまして、例えば権丈委員なんかが提出された資料の中でも、この非営利ホールディングカンパニーのことを新型医療法人という形で書いてありますが、あくまでも共存が前提である、そういった書きぶりにもなっています。

 恐らく、さまざまな懸念だとか不安だとか、新しいものができるときというのは必ず出てくると思いますが、まさにそれは、これから非営利ホールディングカンパニー型の法人を、どのような制度設計をして、そして取り組みがよければ、最初に不安を持っていた方々も、だったらその中に入って参加をしてみよう、そして連携をしよう、そういった思いになっていくと思いますし、それを見て、自分たちはその傘下に入らず、地域の中で医療そして介護また福祉、こういった連携をやっていこう、そういったこともあると思いますので、まさにこの具体化、制度設計が非常に大きな鍵を握ると思っていますから、年央に向けて、しっかりと形にできるように関係省庁と取り組んでいきたいと思っています。

足立委員 再三ここで議論させていただきましたが、私が申し上げているのは、非営利ホールディングというものが、先ほど政務官あるいは次長からおっしゃっていただいたように、少なくとも既存の持ち分ありの医療法人を想定して、その持ち分を絡めたガバナンスということも排除はしていないことは、先ほどおっしゃったとおりであります。

 そういう中で、一方で厚生労働省は、とにかく新設はだめよということできれいにかじを平成十八年から切られているわけです。

 ところが、既存不適格というか、既存の持ち分ありの法人がほとんど、想定をどうされているかわかりませんが、持ち分返上。持ち分を返上するのは相続が起こったときぐらいなんですね、実際には。

 そういうふうに医療政策全体が持ち分の返上を原則とし、ところが、現実には不適格なものが大宗で、競争力会議は、その不適格なもの、既存不適格なもの、持ち分ありの法人を想定した非営利ホールディングの設計をしている。

 私は、厚生省の政策と医療界の現実と内閣官房の競争力会議の提案というのが、非常にちぐはぐに見えているわけです。

 大臣は首をかしげられるかもしれないけれども、少なくとも、厚生省の政策と医療法人の現実と競争力会議の提案、この三つは大臣の中ではきれいに整頓されている。ちょっとその三つを、厚生省の持ち分なしという政策と、現実の医療法人はほとんどが持ち分があるという現実と、それからその持ち分ありの法人を傘下におさめた非営利ホールディングについて競争力会議が、これが地域医療を担うプレーヤーの一つとしてこれから期待されるんだということで目玉商品として提案されている、厚生労働行政の大臣として、このビジョンというか、ちょっと整理して、お願いします。

田村国務大臣 持ち分ありなしは、現実として、今、持ち分があるわけでありまして、それが個人に帰属している場合が多い。個人に帰属いたしておりますから、例えば相続が起こったときに、実態としてどうにも動きがとれないという現状がある。そこで、持ち分なしにする中において、そのような支障を何とか排除していこうということでありますから、これはこれで、一つの考え方として我々は打ち出してきておるわけであります。

 それから、今の産業競争力会議との兼ね合いでいえば、多分、支配権の問題をどう考えるんだという話なんだと思うんですけれども、実態として持ち分というものがあれば、それを押さえれば全体として意思決定の支配権は持てるという話でありましょうけれども、どういう制度設計にするかはこれからだと思います。

 例えば、現物出資というやり方もあるでありましょうし、それぞれ病院が、また社会福祉法人が参画するときに、多分、社団なら社員総会をやるのでありましょうし、理事会が事実上運営するのでありましょうから、理事としてその中に参画する中において意思決定権を持つということになれば、その理事の一人として入ることによって、例えば自分の傘下に入った自分のところの法人といいますか病院がどのような運営方針をするか、それも定款の書き方でどこまで縛るのかということもありますし、また理事会の決定がどうやって反映されるかということもその中に書かれるのであろうと思います。

 いずれにいたしましても、理事会での一定の発言権があれば、それをもってして持ち分のかわりのような形態もあるので、これはどういうような制度設計になるかわかりませんが、ですから、そこは整理されているんだと思います。

 地域の医療をどう担うかというのは、先ほど来話しておりますとおり、これはちょっと別個の中において役割を果たすことは十分に可能であるんだろう、私はこのように頭の中で整理をいたしております。

足立委員 今の大臣のお話がこの議場、委員の方々はすとんと落ちているかどうかわかりませんが、少なくとも私はよくわかりません。

 結局、持ち分に関しては、十八年の医療法で持ち分と議決権は基本的にはもう切り離されているわけでありまして、議決権というのは基本的には社員総会で決まるということになっているわけです。したがって、持ち分がなくなれば、再三申し上げているように、それはもう人間関係の世界になっていくわけです。

 そういう人間関係、すなわち持ち分なしという厚生労働省の医療政策の方針と、いわゆる組織をつくって、少なくともホールディングカンパニーという仕組みをつくって一定の組織化を図っていこうという方針とは、私は、理念的にも必ずそれは、方向としては別のベクトルだと思っています。大臣は、その二つのベクトルを両方とものみ込んでやっていけるんだとおっしゃったと思いますが、私は腑に落ちません。

 したがって、私は、繰り返しになりますが、産業競争力会議がこういう提案をしている今の平成二十六年の地域医療、介護の仕組みをこれからつくっていこう、二〇二五年に向けて、最後、ラストチャンスとして制度設計をしていこうというときに、相反するある種の規律というか規範が若干混乱をしているんじゃないかという問題提起をさせていただいて、質問を終わりますが、最後に小泉政務官にお願いします。

小泉大臣政務官 先週もこの分科会を開催しましたが、関係省庁、文科省、厚労省に御出席いただきました。文科省からも非常に前向きなお答えがあり、厚労省も、文科省と比べてどうかと言われればあれですけれども、比較的前向きな答えがありました。

 いずれにしましても、今月、どこかのタイミングで、総理御出席のもとの会議で各省から御報告をしていただくような流れになると思いますので、それがどういった中身になるか。こちらとしてもしっかりと協力して、連携をして、これから形にできるように取り組んでいきたいと思っております。

足立委員 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、西野弘一君。

西野委員 日本維新の会の西野弘一でございます。

 実は、きょう、朝から地元に帰っておりまして、朝一の飛行機で帰って、地元の東大阪市というところのグラウンドゴルフ大会に行ってまいりました。狭い公園なんですけれども、六百人ぐらいの参加があって、そこで先輩方からいろいろと叱咤激励を頂戴して、この委員会に臨んでいるんです。

 私、西野弘一ですから、大体、弘ちゃん、弘ちゃんと地元で言われているんですが、弘ちゃん、あんた、髪の毛ちゃんとしっかり切りいなとか、そういうことを怒られたのから始まり、やはり年金のことをいろいろと怒られたりもしました。そう思いながら、ふと大臣の顔が浮かびましたので、そういえば、大臣の髪型というのはたしかニューウエーブという髪型でしたよね。ニューウエーブといっていたと思うんですけれども、そういう髪型やなと思っていました。

 ですから、この消費税の上がったタイミングで、これから社会保障についてもいろいろと議論が始まるわけでありますので、ぜひ新しい波を送り込んでいただけたらというふうに期待しながら、きょうは質問をさせていただきたいなと思っています。

 地元に帰ると、これは僕だけではないと思うんですが、いろいろな御意見を頂戴する年代の層というのが、やはりどうしても先輩方に偏り過ぎているのかなと。私だけじゃないとは思うんですけれども、そういう中で、どうしても、先輩方のことももちろん年金も含めて一生懸命やらぬといけませんが、ついつい、いわゆる子育て世代であったりとか若者のことであったりということが少しおろそかになってきたのではないかなと思っておりますので、特にその点についてきょうは質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、今回の子ども・子育て支援制度において、量的拡充と質の改善について二十九年度までに〇・七兆円を確保したというふうに言われておりますが、いろいろと仄聞をしておりますところ、やはり、全ての政策を実現していくためには、目標としている政策を実現するためには一・一兆円ほど要るというふうに聞いております。しっかりとこの点について大臣にも頑張っていただきたいと思っておりますが、その点について、まず所感をいただきたいと思います。

田村国務大臣 ニューウエーブというんですか、私は全然知りませんでして、もともとツーブロックだったんですけれども、大臣になって忙しいので伸ばし出したらこういうような頭になったということでございまして、ただ単に切りに行けなくてこういう頭でございますので、お許しをいただきますようにお願いいたしたいと思います。

 この七千億円、一兆円の話なんですけれども、もちろん消費税の部分は基本的に七千億円というような基本的な認識のもとで、当時、民主、自民、公明というこの三党で、子ども・子育て三法を議論するときに、参議院の附帯決議の中で、そうは言いながらも、あと三千億円強、一兆円強を目指してこれは頑張らなきゃならないということで御決議もいただいたわけであります。

 現内閣におきましても、昨年六月、少子化社会対策会議だったと思いますけれども、その中において、これは全閣僚出席でございまして、ここで、〇・七兆円を含む一兆円を目指して努力するということでございます。このときに、緊急対策というものも発表させていただいたわけでございます。

 やはり、七千億円と一兆円強では、いろいろな部分でさらに強化できる部分というのがあるわけでございまして、我々といたしましては、内閣の中で一兆円強を目指して努力をしてまいるということでございます。厚生労働省は、その中心的な役割の省であることは間違いないということであります。

西野委員 ぜひ頑張っていただきたいと思っております。

 その中に当然含まれているんですが、きょうは、児童養護の問題について、これは予算委員会でも一度お尋ねさせていただきましたけれども、その後の経過も含めてぜひお答えいただきたいと思うんです。

 まず冒頭、予算委員会でも私も申し上げましたし、また我が党の中田委員からも質問させていただきました、例の「明日、ママがいない」というあの最低なドラマですね。ドラマやから何でもやってもええというものではないと僕は思うんです。実際の児童養護施設の実像というか、もう全く描かれていないですし、あのことによって、施設の子供たちがもしあのドラマを見てしまっていたら、大変心に傷を負ったんじゃないかなと僕は思っています。

 そういう中で、予算委員会で中田委員からも、ぜひそういった子供たちの実態を調査してくれということで質問をされました。大臣は調査するということで御答弁をいただいたんですが、漏れ伝わってくるところによると、中身はあえて申し上げませんが、いろいろな影響があったということも聞いております。私は申し上げますが、その中身については、大臣、また省内でその調査の結果を受けていろいろと検討していただいて、あえて公表をしないでいただきたいとこの場で要望をさせていただきたいと思います。

 もう大臣の御答弁は結構でございます。公表することでむしろまた子供たちにいろいろな影響が出るな、僕はそのように思っておりますので、僕の意見として、要望として、公表をしないで、中でその情報を共有していただきながら検討いただいて、いろいろな施策を展開していただけたらと思っております。

 児童養護施設なんですが、これは予算委員会でも質問させていただきましたが、二十四年度に三十五年ぶりに人員の配置の基準が引き上げられて、これはいいことだなと思っているんですが、児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会で配置基準の目標というものが定められていますが、まだまだその水準には届いていないというのが現状だと思います。

 消費税増税分でまた充実させるということでしたけれども、ぜひこの点についてもしっかりと頑張っていただきたいと思っておりますが、その後、いかがでしょうか。

田村国務大臣 冒頭の「明日、ママがいない」という番組でございますが、予算委員会のときに中田委員から御質問されて、私は、調査をするということをお答えいたしました。

 二月十日に事例の報告をいただきました。内容は申し上げませんし、公表するつもりもございません。

 ただ、その後は落ちついておられるようでございまして、三月十五日、ドラマが終了した後に、また事務方の方から協議会の方に御確認をしたわけでありますけれども、その時点では、問題はその後はないと。ただ、これからも、どういうことが起こるかわかりませんので、何かあったときには御連絡をいただくようにということでお願いをさせていただきました。

 それから、児童養護施設の状況でありますけれども、今言われましたとおり、平成二十四年度に、それまでの人員配置基準六対一から五・五対一ということで、これは民主党政権のときでございましたけれども改善をさせていただいたわけであります。同時に、やはり受け入れ児童の数をふやしていかなきゃなりませんし、今、小規模のグループケアというような形で進めさせていただいておりますので、地域児童養護施設ということで小規模な地域の児童養護施設もふやしておりまして、こちらも二十六年度予算で、小規模のグループケアが七百四十三カ所から千五十九カ所、それから地域小規模児童養護施設が二百四十カ所から二百九十三カ所ということで、予算で対応をさせていただいておるということでございます。

 あわせて、〇・七兆円が実現できますれば、これは今の五・五対一から四対一というような形で人員配置が目指せるわけでございまして、先ほど申し上げました小規模グループケアでありますとか地域小規模児童養護施設等々の加配をつければ、ある程度、一定程度のレベルの対応をやっていただけるのではないかというふうに期待をさせていただいております。

西野委員 ぜひ頑張っていただきたいんですが、今、地域小規模児童養護施設の拡充のお話も出ましたけれども、ここの配置の基準を見ますと、子供の定員が六人ですね、この児童六人に対して、職員、これは常勤の職員さんが二人、非常勤の方が一人、宿直の方が一人の合わせて四人で賄っていくということなんです。一日二十四時間で、掛ける一週間で百六十八時間ですが、一人当たり四十時間しか働けないということであれば、四人でいくと百六十時間なんですね。

 これを、答弁調整というか先にやっていましたら、役所の方からは、いや、宿直はずっと見ているわけではないのでというか、要するに、その間は子供さんたちも寝ていることが多いでしょうということだったんですけれども、実際は、子供というのは、普通の御家庭でもそうですけれども、急に熱が出たりとか夜に体調を崩したりとかいうことで、もう本当に、その時間帯を一人で見るというのもかなりこれは、それでなくてもきついわけで、ましてや百六十八時間に対して、四人ですから百六十時間しか働けないということであれば、そもそも時間的にも足りていないと思うんですね。

 こういうことをいろいろとお話ししていましたら、また役所の方からは、いやいや、本体の施設があって、そこからうまく都合をつけて人を、何か問題が起こったときだけ本体の施設からうまく来てもらったりとかいうことで何とか回していけるんです、回していってもらうしかないんですというような苦しい説明を受けたんです。確かに今はそういう状況かもわかりませんが、そもそもこれは足りないんですよね。

 常勤の職員さんの人件費は、平均したら大体五百万ほどというふうに伺っております。非常勤の職員さんが二百万から四百万で、二十六年度目標で全国に三百カ所つくるということですから、すごく粗い計算で申しわけないんですが、二百万掛ける三百カ所で大体年間六億あれば、〇・七兆円ですから、〇・七〇〇六ぐらいになればこの分を一人また加配できるわけですよね。

 その六億という、財政にとってそれが大きいのか小さいのかというのは別として、とにかくそういう現状だということを当然もう大臣も御認識いただいていると思うんですけれども、児童養護施設というのは、そもそも人が足りない、本体施設も足りない中で新たにこういった小規模化を図っていく、家庭的な養護の環境を整えていこうという方向はそれはそれでわかるんですが、そもそも人が足りないということを踏まえて、繰り返しになりますけれども、しっかりと〇・七から一・一兆を目指して取り組んでいただきたいと思いますが、もう一度、御答弁いただけますでしょうか。

田村国務大臣 この小規模化を進めていくということは、今委員がおっしゃられましたとおり、子供たちにとってみれば決して悪いことではないんだろうと思います。

 ただ一方で、実際問題、対応する中において職員の方々が大変厳しい状況であるのも事実であって、そこは、五・五対一を四対一という形で、〇・七兆円の中で対応する。これは加配を入れれば多分三対一だとか二対一ぐらいにはなるんだと思うんですけれども、それで対応していただく。

 さらに、三千億円、これがどういう使われ方をするかということはこの間示させていただいたとおりでございますので、直接それが配置基準にそのままはね返ってくるというわけではないにいたしましても、この〇・三兆円強があることによって、さらに養護の方も含めて子供たちに対してしっかりとした対応ができるということでございますので、全力を傾けてこれを確保するために努力をしてまいりたいというふうに考えます。

西野委員 ぜひ頑張っていただきたいと思っています。

 大阪で、私が大阪府議をしているときに問題になっていたんですが、いわゆる虐待なんかを受けた子供さんたちを一時保護するところがあって、そこでいろいろな精神的なケアとかをした後に通常はいわゆる児童養護施設の方に送られるんですけれども、その一時保護所が大変定員がいっぱいいっぱいの状況で、大阪の例だけで申し上げますと、去年の四月からことしの二月までの保護児童の延べ人数が、大阪の場合は二つ一時保護所があるんですけれども、第一の方の保護所で一万四千四百十人、第二で五千九百二十二人。これを一日に直すと、大体、第一の方が四十三・一人、第二が十七・七人。これに対してそれぞれの定員が五十名と三十六名というところですから、ぎりぎりのところで運営ということになっています。

 さらに、これは、あくまでも一時保護所にそのときに入れたというか一時保護所で保護を受けた数でありまして、実は、そのときに定員がいっぱいになっているというようなケースがたくさんあります。その場合には民間の児童養護施設に委託するというかそのかわりをやってもらうわけですけれども、その人数が、同じ時期で延べにしますと、二万二千四百五十一人なんですね。ですので、とてもじゃないですけれども、一時保護施設の定員が確保されているかといったら、もう全然足りない状況なんです。

 あわせて、当然、定員がいっぱいですと、民間の施設に保護を委託するわけですけれども、これは申し上げにくいんですけれども、例えばネグレクトとかの子供さんたちであると、そのケアというのはすごく注意深くしなければいけないですし、職員さんの負担というのもそれだけ大きいわけであります。

 ですから、先ほどから繰り返し、大臣も、これはいろいろと人の部分も確保するとお話をいただいておりましたけれども、こういった点もぜひ考慮いただいて取り組みをいただきたいということを、これは通告もいたしておりませんので要望とさせていただきますが、あわせてお願いをさせていただいて、次の質問に移らせていただきたいと思っております。

 質問の通告の順番がちょっと変わってしまうかもわからないんですが、次に、子宮頸がんワクチンについて、現状を教えていただきたいんです。

 そもそも、子宮頸がんというのはどういう病気だと。いわゆる何によって感染して、日本で今どれぐらい発症していて、その感染のルートであったりとか、感染の頻度であったりとか、そういったことを、数字を教えていただけますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 子宮頸がんは、子宮の頸部といいまして、図がないとなかなか説明できにくいんですけれども、子宮頸部という場所に発生するがんでございまして、その発症については、ヒトパピローマウイルス、HPVといっていますが、その感染によるものだとされております。

 HPVの感染経路ですけれども、性行為による場合が多いということで、海外のデータなどを見ますと、性行為を行う女性の五〇%以上が生涯に一度はこういうウイルスに感染するということになっております。この感染が持続して、何かのきっかけで、発がんといいますか、子宮頸がんになると言われております。

 今も申し上げましたけれども、性行為以外にも、まれではございますけれども、口や手や指、こういったところからとか、あるいは、お母さんから産道、つまり出産するときの産道を通じて感染することがあると言われております。

 それから、頻度ということでしたけれども、我が国においては、年間で大体一万人ぐらいの方が子宮頸がんに罹患されます。そして、実際に、二千七百人程度が毎年死亡されているということでございます。

 これは、特徴でいいますと、肺がんなんかに比べまして比較的若い世代に多いがんですので、四十歳未満で限ってみますと、死亡率は、乳がん、胃がんに次いで三位というような状態でございます。

西野委員 今御説明をいただいたそのとおりなんですが、僕は、実はきょうこのことを質問させていただこうと思ったのは、先日、地元の事務所に、このワクチンを打たれてから体調が激変された患者さんのお母さんが見えまして、今の苦しみをいろいろと訴えておられたので、ぜひこの問題について質問させていただきたいと思いました。私自身が、大変恥ずかしいですが、この頸がんについての知識もまだまだ乏しいですし、またワクチンについても知識もまだまだ、私は専門家でもないですし、どうだと言い切れるものも今ありません。

 ただ、いろいろと資料とかを見ますと、一つこれだけは正しておかないといけないなと思うのは、まず、子宮頸がんにかかった患者さんは、いわゆる性行為によって感染する確率が高いということだけが前に出てしまって、何か奔放な生活をされた方だというようなイメージ、レッテルを張られているケースもあるというふうに聞いています。これはまず違うということだけは、やはり発信をしないとだめだと思っています。

 それと、ワクチンの有用性についても、これは頸がんワクチンだけでなくてインフルエンザでもそうだと思いますが、全てのワクチンにはいろいろなリスクがついて回るんだということも、これはあわせて発信をしないといけないと思います。その点について、これまでどのような形で発信というかアナウンスされてきたのかということと、また、今後も、ワクチンの有効性とあわせて、そのリスクというものもしっかりと発信していかないといけないと思いますが、いかがですか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 がん対策という側面からは、検診も含めまして、女性にとっての健康というときの子宮がんの意味合いということはこれまで伝えてきたつもりですし、また一方、今般はどちらかというと感染症という視点からワクチンが導入されまして、これまでも、ワクチン接種の際にリーフレットや読み物等を見ていただいて、子宮がんというものはどういうものなのか、また、このがんとウイルスがどういう関係にあるのか、ウイルスをワクチンによってどう防ぐことができるのかということについても知っていただくような機会を設けております。

 ただし、今いろいろ御指摘がありましたように、なかなか難しい、しかも、感染の経路がなかなか大っぴらには普通に話ができない部分もありましょうし、また、そもそも、がんに関する教育というようなものも必ずしも十分ではございませんので、おわかりづらい点はあろうかと思いますので、今後、引き続き、がんの教育、ないしは感染と発がん、こういったことについても十分知っていただいて、そしてワクチンを接種していただく、こういうふうにいろいろな方面から考えていきたいと思います。

西野委員 ぜひその辺はしっかりとお願いしたいと思います。

 あわせて、現に私のところにもお見えになりましたけれども、専門家の皆さんの中でも意見が分かれているところですので、あえて私が原因がこうだということは言い切ることはできませんが、そのワクチンが原因なのかどうかはわからないにしても、ワクチンの接種がきっかけになっていろいろな副反応が出ているということはもう事実だと思いますので、その点について、今、政府としてどのような認識をされておられるのでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 このワクチンに関して、副反応ではないかということで取り組みを始めましてから、昨年の六月でございますので、これまでこの国会の中でもいろいろ御審議をいただいたのでもう余り繰り返しはいたしませんが、昨年六月以来、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の副反応検討部会において議論をしていただいて、積極的な接種勧奨というのは差し控えているという状況です。

 この間に、ワクチン発売から平成二十五年九月末までに、因果関係を問わず患者さんの情報を集めるということで、副反応報告という名称ではございますけれども、因果関係を問わず何らかの健康に及ぼす影響があったと思われる方、二千三百二十例の方から情報をお寄せいただきまして、この中を検討していくわけです。

 この検討の過程では、局所、打ったところが痛いとか、あるいは典型的なワクチン接種後の広い意味での副反応だろうなというものもありますし、そうやってずっといろいろ理由を分類、分析しながら、除外診断といっていますけれども、除外しながら、問題があるものないもの、それから、あるにしても典型的な副反応と思われると、ずっとこう分けていくわけです。

 新聞を含めてマスコミで話題になっているのは広範な疼痛とかあるいは運動障害を来した症例が百三十例ということでございまして、この中には、心身の反応によると考えられるものが多く含まれているんじゃないかということになります。そして、今御指摘にありましたように、接種後の局所の疼痛あるいは接種の前の不安みたいなことがこうした反応を惹起したきっかけになったこともあるんじゃないかというふうに考えます。

 いずれにしましても、そうしたことも踏まえまして、現在、副反応検討部会において検討していただいておりますし、また、先ほど申し上げました百三十例に相当する方につきましては、カルテも取り寄せたり、あるいは、必要に応じて、患者と申しますかその方を診察したお医者さんなどの参考人から発表いただくなど、今、十分な時間をかけて御議論をいただいている、こういう状況にございます。

西野委員 多くの方の実情というか状況をいろいろ調査されているということなんですが、これは答弁は結構ですけれども、接種された方の中には、これぐらいだったら別に問題なかったということで、あえて、そういった副反応らしきものが出ていても、報告されなかった方もいらっしゃるかもわかりません。また、親御さんなんかでは、自分がその知識がないばかりにこのワクチンを打たせて子供にそういう苦しみを与えてしまったというような自責の念で悩んでおられたりとかして、そういう結果、なかなか、ワクチンを勧めていた政府というか打った病院であったりというところにそもそも信頼が置けないので、そういった報告をしないとかいうこともあると思います。

 ですので、できれば、受け身で調査するのではなくて、むしろそういった報告が上がっていないところにもいろいろな事例があるんじゃないかということで、そこをぜひまた調査もいただけたらなと、これは要望にしておきますけれども。

 一部のメディアの報道では、去年の六月に勧奨をとりあえず一旦ストップしているんですが、今後すぐにでもまたこの勧奨を始めるというような報道もあったと思うんですが、今こういう状況ですから、これはもう少し慎重に、専門家の最終的な結論を待たなければいけないと思うんですが、この点についてどういった方向性を持っておられますでしょうか。

佐藤政府参考人 ただいまもお答えしたことと一部重複をいたしますが、二千三百を超える症例を集め、また、その中で必要に応じてカルテなども見ながら、そして患者の診察の結果なども見ながらということで、極めて慎重に進めております。

 また、並行しまして、諸外国の状況、とりわけ先進国で既に実施している国で、この副反応と思われるような症状についてどういうふうに分析し、理解をしているのか、判断しているのかということもしましたし、実際、私どもの局の職員をそういうイギリスやアメリカの当局に派遣しまして、聞き取りなどもしました。そういうことで、相当程度議論はしたつもりではございます。

 そういう中で、今後、副反応検討部会の先生方にこれまでの経緯等々をさまざまな観点から御検討していただいて、取りまとめていただくという作業が今残っているという感じかと思います。

西野委員 すぐにまた勧奨を始めるということではなくて、ぜひその結論を慎重に待っていただけたらなというふうに思っています。

 次の質問に移らせていただきます。

 産業競争力会議において、総理が、配偶者控除の見直しであったりとか、また、移民の受け入れについても検討を始めるようなことをおっしゃっていましたけれども、その根底にあるのは、要するに、労働力が足りないという中で、女性に働いていただいて、女性を労働力としてしっかりと活用していきたいということだと思うんです。

 私の記憶しているところによれば、民主党政権のときに、民主党政権が子供は社会で育てるといったことをたしか自民党は批判されていたというふうに思いますし、去年の参議院選挙の公約である政策集には、配偶者控除を堅持するというふうにも明記されていたというふうに思うんです。この点について御答弁は結構ですけれども、もともと、基礎的人的控除というのは、最低生活費の控除という意味合いがあって、要するに、憲法二十五条の生存権からきているのではないかなと思っていますので、これは財金でまたやればいいと思っていますけれども、僕は、主婦だけその控除を外せとこの段階で検討するというのはいかがなものかなとは思っています。

 またこれは土屋副大臣に伺いたいんですが、土屋副大臣の活動の中で夫婦別姓とかの活動を推進されているようでありまして、僕は夫婦別姓大反対の方でありますので、恐らく政治信条は副大臣と僕は正反対なのかなと思いますが、それはさておき、私は、今の子育ての、保育所のいろいろな制度であったりしてもそうですけれども、何か、女性は社会に出るべきだというか、家で子育てをすることよりも社会に出て働くことの方がすばらしいんだというように、女性の生き方を国が押しつけているような気さえするんです。

 私は、共働きしなければ、女性が社会で働かなければいけない社会をつくっていくんじゃなくて、女性も働きたければ当然働き、だけれども家で子育てをしたいということであれば家で子育てをしていく、そういう、女性が生き方を選択できるような社会をつくっていくべきなのではないかなと思っているんですが、その点について、副大臣の御見解を伺いたいと思います。

土屋副大臣 私は、西野委員とは同じ考えであるということをまず言わせていただきたいと思います。

 というのは、今、別に、働きたくないというか、主婦としてしっかり家を守り子育てをしっかりしていくんだという方は、私はそれは自分の選択だと思うし、また、働いていたんだけれども、子供ができて、結婚したから家に入った、だけれども本当は働きたかった、そっちの人たちに対して働きやすい環境をつくってあげるということの政策の中で、今、自分自身は一生懸命やっていくということであります。

 私は、やはり地元で女性の応援者が大分いますし、いろいろな話をしていると、主婦でずっといたいという方がかなり多いのもこの国の実情だと思っています。ですから、みんな引っ張り出して働けということではなくて、本当に選択が自由にできる社会をつくっていく、これが本当に望まれるのではないかと考えています。

 それから、最初に夫婦別姓の問題をお話しいただきましたけれども、私は推進派の強硬派ではありません。私は、夫婦別姓は、別に、日本の伝統的な、歴史的な経緯から、そのままそれを望む方はそのままでいいと考えているんです。

 私がなぜ推進し出したかといいますと、今、女性が、日本だけではなくて世界的に、学者とか研究者で活躍している方が多くなりました。そういう方からの御要望が非常に多くて、というのは、結婚する前に自分でいろいろな論文を書いて発表していたものが、ネット社会ですので、昔の、結婚する前の名前で全部その論文が発表されている。結婚した後は、要するに、戸籍上の名前に変えることによって、今まで自分が使っていた名前じゃなくなったことによって、過去の自分の研究者としての歴史的なそういう論文があたかも違う人が書いたように誤解される率が多くて、特にアメリカなんかはそうなんですけれども、そういう研究者の方々から非常に強い御要望があって、私は、やはり女性が活躍できるのに少しでもマイナスの部分があれば何とかしてあげたいということで、本当に一握りの人のために何か特例でもできればなという思いで夫婦別姓を賛成した次第でございます。

 そこのところは西野委員と別にたがわないかと思いますが、そういう思いで活動しているということをお伝えしたいと思います。

西野委員 多分、夫婦別姓の話になってしまうと尽きなくなってしまいます。それはそれで、私は、フェイスブックなんかでも、今、結婚されても旧姓のままでずっと名前を上げたりされているのと同じレベルだと思うんですよね。

 そもそも、夫婦別姓を入れることによって家族という価値観が壊れるということを僕は一番恐れるのであって、その何人かの方が論文を発表したときに、旧姓で発表されたんだったら、結婚される前に発表されたんだったら、便宜的に別に旧姓のままで学者としての活動を続ければいいわけであって、家族制度の崩壊までつながるところまでやってしまうというのは僕はどうかなということなんですが、これはまた別の機会にぜひ議論させていただきたいと思います。

 要は、国、地方があって、そういう公があって、その公が一旦家族というものを通してそれぞれの個に対していろいろなつながりを持っていたところの、今、その家族というものがどんどんなくなってしまう、国から直、個人ということになってしまうということが、僕は、一番いけない、危険や、いろいろな部分でと。

 これは、社会保障をこれから考えていく上で、絶対、その価値観というものがなくなってしまうというのは大変問題があるというふうに思っておりますので、そういうことをちらっと触れさせていただいたわけであります。またぜひ別の機会にでもこの点については議論させていただきたいと思っております。

 続いて、今の質問にも関連するんですけれども、いわゆる三号被保険者年金の見直しについていろいろ議論がなされているようですが、現状、どのような推移をなされているのか、御答弁いただけますでしょうか。

佐藤副大臣 西野委員の御質問にお答えいたします。

 今御指摘の第三号被保険者制度も、先ほど来の議論でいいますと、多くの女性の生涯設計に影響を持つ制度だと認識をしております。

 そもそも、この制度が導入されたのが一九八六年なんですけれども、それまで任意加入だったのを強制加入にいたしまして、サラリーマン世帯の専業主婦を年金制度に加入させまして、個人を単位として基礎年金を給付することでその年金権を保障する仕組みとしてスタートしたものでございます。

 こういうスタート、導入経緯を踏まえれば、この第三号被保険者制度について議論するに当たっては、二つやはり大事なポイントがあるというように我々認識しております。被扶養配偶者の年金権の保障のあり方、これをどう議論するのかということが一つ。もう一つは、その負担のあり方ですね。今まで御主人が、奥さんであれば御主人が負担していたものを、第三号被保険者でなくなって第一号被保険者になれば負担がふえる、こういう問題もありますから、そこをどう考えるのかという問題が大事だと考えております。

 この第三号被保険者制度については、直近でいいますと、本人の年収が百三十万円を超えた場合には第三号被保険者ではなくなり、保険料負担が生じるために、女性の働き方にゆがみを与えているのではないか、そういう指摘がございました。

 この点について、一昨年の、これは民主党政権の時代でございましたけれども、有名な、社会保障と税の一体改革の中で成立した年金機能強化法によりまして、平成二十八年から、一定の短時間労働者に対して被用者保険の適用拡大が実施されるということになりました。その中で、一定条件のもとで、月額賃金が八・八万円以上、これは年収に換算すると百六万円以上でございますが、そういう方々が新たに被用者保険に適用されるということで、百三十万円の壁に一部穴があく、そういうことになると認識しております。

 もう一つは、第三号被保険者関連では、本年実施する年金の財政検証におきましてオプション試算を行う、そういう予定をしております。それは、被用者保険のさらなる適用拡大を行った場合の影響や、その際に第三号被保険者の人数や平均的な第三号被保険者期間の推移などがどう影響を受けるかということについて、一定の制度改正を仮定したオプション試算を行うということにしております。

 今は試算中でございますけれども、こうした財政検証の結果も材料としながら、先ほど言いましたように女性の生涯設計にも関係することですから、国民の間にあるそういう多様な意見というものにも耳を傾けながら、制度改正の検討を行ってまいりたいと考えております。

西野委員 僕は、これは何も専業主婦だけを守らなければいけないということでもないんですけれども、ちょっと保育の話をする時間がなくなってきたんですが、保育の制度にしても、そういったこと全般を考えながら、女性が当然社会で働くのもこれはすばらしいこと、ただし、家で子育てをすることもすばらしいことという価値観が壊れないように、ぜひ制度の見直しというか検討を進めていただきたいということ、これはお願いをしておきたいと思っております。

 最後になりますが、これは予算委員会でも総理に伺った話なんですが、今、保育所をどんどん新しくつくって待機児童を減らしていこうということなんですが、僕は、待機児童というのは永久になくならへんのじゃないかなと思っています。

 僕は、早く言えば、今、公費から、民間の保育所には大体九千億円、公立の保育所には四千八百億円、安心こども基金に千三百億円、保育緊急確保事業に六百八十一億円、児童手当に二兆円、幼稚園に三千七百億円で、大体四兆円ぐらい、これらの財源として使われているんですが、物すごく粗い計算ですが、ゼロ歳から五歳まで六百万人としましたら、大ざっぱにすれば、これをこのままバウチャーのような形でお渡しすれば、大体年間六十六万円、月五万五千円お渡しできるという計算になる。

 これはぜひこういったこともあるということも考えていただきたいんですが、今、ゼロ歳児、一歳児を保育所に預けると、大体十五万円ぐらいかかるということでございます。それは所得によって親御さんの負担は別としまして、十五万円かかる。

 であれば、そもそも、五万円ぐらいお渡しできるぐらいの財源があるのであれば、そういう施設側、いわゆるサービスの供給側ではなくて、サービスを受ける側に直接お金を入れれば、サービスを受ける側で、例えば五万円のバウチャーをお渡しすることができたとしたら、その五万円を使って、プラス幾らか自分の負担をして保育所に預けるということも選択ができますし、また、その五万円で、家庭で子育てもできるというふうに思うんです。

 こういう、親御さんにやはり選択肢を、親御さんというかサービスを受ける側、保育園に預ける側、子育てをする側、子育てのいろいろな支援を受ける側に直接税を投入するというふうな方向に持っていけば、いろいろなまた新しい選択肢が生まれて、そこで当然新しいお仕事も生まれるでしょうし、新しいいろいろな需要も出てくるというふうに思うんです。

 今やっていることは、逆にサービスをする側、サービスを供給する側ばかりをふやしていこうという施策でありますので、これでは、結局は、つまりは親御さんの究極的な選択肢がなくなっていって、子供は、お金持ちじゃない限りみんな保育所に預けて、回り回ってみんな保育所に預けなければならない、お母さんは家で子育てするんじゃなくて社会に出て働かなければならないという、選択肢の幅がどんどん減っていくのではないかなと僕は思っているんです。

 こういったことをやっていかないと、先ほどの年金の話でもそうですけれども、女性の生き方とかも含めて選択の幅が狭くなってくるというふうに思っておりますので、こういった点について、大臣、もし感想があればおっしゃっていただけますでしょうか。

田村国務大臣 生産労働人口が減っていく我が国においてどうやって労働力を確保するか。これは、高齢者、女性に活躍いただかなきゃならぬという側面はこっちにあるとして、しかし、それはそれぞれの選択でありますから、無理に働かせるというわけではございません。

 その上で、選択の幅というのは、今いろいろな選択、子ども・子育て支援制度の中においても、保育所だけじゃなくて、家庭的保育でありますとか、小規模保育でありますとか、また認定こども園でありますとか、もういろいろなメニューがありますので、選択はできると思うんです。

 バウチャーでお金を一律に払うというのは、そもそも、必要な方々は必要な金額が違うので、もっとかかる方々は困っちゃいますし、そもそもそんなにかからない方は、その人たちは使わなきゃ損だという話になれば、本当は使わなくて済むのに無理に使っちゃうという無駄が生まれるわけであります。資源といいますか、最適配分ができないといいますか。

 では、金券どおりにそれをどこかで売れるようにすればいいじゃないかという話であれば、そもそもバウチャーじゃなくてお金を配るのと変わらないわけでありまして、なかなか、ちょっとやはりバウチャーという考え方は、今まで我々が進めてまいりました政策にはなじまないのかなということでございます。

 今般、新制度、いよいよスタートが間近になってきております。これでしっかりと対応させていただきたいというのが今の思いでございます。

西野委員 バウチャーは、細かい制度設計は別として、一言で言えば、僕が地元に帰って、保育所に預けられているお母さん方に、実はお母さんの子供さんに税金で月十五万円かかっているんですと言うと、みんな驚かれるんですよ。それはなぜかということを考えると、今みたいな話につながっていくというふうに僕は思いますので、そういった点も踏まえていかなければいけないということを申し上げたかったわけです。またぜひこれからも議論させてください。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 きょうも、短期集中特別訓練事業について質問をさせていただきたいと思います。

 きのうから消費税が八%に上がりました。今年度だけで五兆円の新たな税収が入ってくるということでありますけれども、この五兆円を超える規模の補正予算が組まれ、そしてその一部として今回の事業が行われるわけでありますので、より正しいお金の使い方がされているのかどうか、そういう観点からきょうは質問させていただきたいというふうに思います。

 前回の委員会の際に、再入札の公示が三月二十四日に行われたということを伺いましたけれども、その後の進展状況を教えていただきたいなと思っております。四月の一日、きのうですか、この説明会が行われたやに聞いておりますけれども、この説明会に何者来たのか、教えていただければと思います。

杉浦政府参考人 お答えいたします。

 四月一日に開催予定でありました企画競争に関する説明会、相談会については、参加希望登録がなかったことから中止になっております。

玉木委員 前回のときはたしか四者ですか、四者か二者が説明会に来て、結果としてJEEDさんが落札をしたという経緯だったと思います。大臣、今回はもうJEEDさんは、きょう理事長がお越しになっていますけれども、いろいろあったのでそもそも応募しないということだったし、大臣もそういう意向だったやに伺っております。

 実際に説明会には今回どこも来ていないということは、これは、ホームページに最初の入札公示を載せてそれが差しかえられたという話もありましたけれども、一番最初の条件で提示をしたということだったと思いますが、一者も来ていない。これは、大臣、やはり、まあ最終的に入札をやってみないとわかりませんけれども、どこも結局入札しない可能性が高いんじゃないですかね。

 予断を持って言えませんけれども、仮にどこも受けなかった場合は、大臣、これはどうされるおつもりですか。

田村国務大臣 公平性に鑑みて、ここに関しては前回の内容で公示をさせていただいたわけであります。公示期間内にもし仮にないということになれば、早急に公示内容を見直して、どの点がどのような形で応募いただけなかったのかということを分析した上で再公示をさせていただいて、入札をさせていただきたい、こう考えております。

玉木委員 大臣、私は前回も申し上げましたけれども、今回は、いろいろなことがあったので、仮になかったときには、急いで公示内容を少し見直して再度やるよりも、一旦これは立ちどまって、事業をきちんとした、少なくとも調査が明らかになって、一連のいろいろな疑惑が言われていますけれども明らかになってから再スタートをする。入札がなかったら、一度これは入札手続を停止して、まずは調査をしっかり行う、このことが私は筋ではないかなと思っておりますけれども、もう一度、いかがでしょうか、大臣。それでも急いでやりますか。

田村国務大臣 今般の調査は調査で今やっておる最中で、これは、どのような事実があるのかということも含めてしっかりやった上で、問題があれば対応していきたいと思いますが、事業は事業で、以前も委員もこの事業に関しては御理解もいただいておったというふうに思いますけれども、これは必要な事業だというふうに我々は認識いたしておりますので、できる限り早くこの事業ができるような努力はしていかなければならないと考えております。

玉木委員 私は、やはり見直しをした方がいいというか、一旦入札手続は停止をされた方がいいというふうに思いますが、今大臣の答弁の中で少し気になったことがあるので質問をしたいと思うんです。

 大臣が、もしどこも受けなかった場合には入札内容を見直すというふうにおっしゃいました。これは大臣が見直されるんですよね。つまり、今度新しく入札公示を、今はたしか局長名で入札公示は一回目も二回目も出しておられますので、当然、見直すことも厚生労働省がするし、それを再度、再々度ですか、出すのも能力開発局がやるとは思うんです。

 これは前回十分に質問できなかったので、もう一度改めて聞くんですが、資料の一を改めて見ていただきたいんです。

 今回、補正予算として約百五十億のお金がついて、これを中央職業能力開発協会、JAVADAさんに基金事業として積みますね。このお金を受けた中の一部を事務委託するということで今回入札が行われているわけでありますけれども、この入札手続をJAVADAさんではなくて厚生労働省さん自身がやっているというところが私はよくわからないというふうに前回申し上げました。

 それで、番号を打っていませんが、資料の裏を見ていただくと、これは、前回、私と青木理事長のやりとりなんですけれども、何でやるんですかということを私が問うたところ、青木理事長は、まず、この仕事自身は私どもの事業だということで、事業の主体性はお認めになっておられます。ただ、ではなぜ自分でそれをやらないのかと聞いたら、中段の一番最後にありますが、私どもは職員が百人足らずで、地方組織も持っておりません、次、下の段ですが、適切に監督することもなかなか難しい、当協会として実力に見合った協力をするというようなことですね。繰り返しになりますけれども、あくまでこの事業の事業主体は中央職業能力開発協会でございます。

 改めて伺いますが、なぜ、事業主体のJAVADAではなくて、最初も二回目も、そして、もしこれがうまくいかなければその次も、厚生労働省が入札公示を行って、なぜJAVADAさん自身が、事業主体であるJAVADAがやらないのか。この点について、もう一度、これは大臣からお答えいただけますか。

田村国務大臣 今般の事業でありますけれども、これは御承知のとおり、予算書の中で、中央職業能力開発協会が基金の造成元になるということで書かれておる、そういう事業であります。

 この中央職業能力開発協会は、法律に根拠を有した特別民間法人、以前は認可法人でございました。要は、公益的な目的を実行する、そのような組織であります。でありますから、厚生労働大臣の直接の処分権限もございます。こういう役割を担っています。

 そもそも、今般の事業では、基金の適正管理、そして支給の決定と、主に支払い業務、こういうことをやるわけでありまして、そもそも企画立案というものは担っておらないということであります。ですから、入札も含めて厚生労働省でやっておるわけであります。

 ちなみに、ここは、民主党政権時代も、新卒助成金の事業を同じような形でやっております。このときも企画立案は厚生労働省がやったわけでありまして、同じような業務をそのときもこのJAVADAがやっておるということであります。

玉木委員 私、そこのところがちょっとよくわからないのは、青木理事長が、うちは百人ぐらいで、全国組織がない、かつ審査能力もないということですね。

 今回、実際の職業訓練を、実施機関がいっぱい、多分全国で予定されているんでしょう。さまざまな不正もあったので、そういったことをきちんと管理監督する者として、ある種JAVADAを選んで、まずお金をそこに積んだ。予算上、そういうふうにちゃんとなっているということだと思うんです。ただ、そもそも、全国的にやる能力がない、マンパワー的にも能力的にも、実力というふうにおっしゃっていましたけれども、そういうところになぜお金を積むのかと思うんですね。

 というのは、もし厚生労働省がこういうことをやってもらいたいというのであれば、直接そういうところを、厚生労働省がまさに今回のように入札をして事業をやっていただく方を選べばいいのであって、最初から、全国組織はないですよというところになぜまずお金を積んで、そこが一部事業を入札手続で出すときにまた厚生労働省が出てきて、何か入札を代行しているようなことをしているのか。

 大臣、必ずしも本件事業の執行能力がないと思われるJAVADAになぜお金を出しているんですか。

田村国務大臣 これはもう委員も御承知であると思います、民主党政権時代も同じであったわけでございますから。

 ここは要するに基金というものの受け皿になっておるわけでありまして、要は、基金事業がここに出資のような形で契約されてお金が入るわけであります。そして、支払い業務を主な業務として基金管理をしていただく。

 これは先ほども言いました、民主党時代も新卒助成金のときに同じような利用の仕方をされておられました。企画立案は厚生労働省が担って、そして基金の管理、支払い業務等々をやっておられたということでありますから、これはもう委員も御理解をいただいておることだというふうに思います。

玉木委員 そこは、では、JAVADAがやっているのはお金の管理だけなんですか。

田村国務大臣 支給決定の最終的な役割というのはJAVADAであります。それから、支払い業務は実際にここが中心になってやっておる。そして、全体の基金の管理もやっていただいておるということであります。

玉木委員 結局、お金の管理だけですね。

 前回の青木理事長の答弁の中に、下の真ん中のところに、お国の政策として、緊急経済対策、緊急雇用対策としてやりましたので云々かんぬんと書いてあって、要件とか基準というものもお国で決めていただくということになっていると。

 どういう交付要件なのか、どういうときに出すのかというのも全部厚生労働省で決めて、あとはお金を預かっているだけということなんですか。大臣、お金の管理だけがJAVADAの仕事ということでよろしいんでしょうか。

田村国務大臣 支給決定の最終的な決定権はJAVADAにあるわけでありますから、これもございます。支払い業務に関しましてはJAVADAしかできないわけでございますので、これをやっていただいておる。それから、基金の適正な管理ということであります。先ほど来言っております、企画立案は厚生労働省が担っておる。

 これは、何度も恐縮でございますけれども、民主党政権時代も同じような扱いであられたから、御理解をいただいておるというふうに思っております。

玉木委員 ちょっと見ていただきたいんですが、資料の三なんです。

 これは、いつもよく似た資料を並べて私は出すんですが、一時問題になりました、十二月九日に厚生労働省の皆さんがJEEDに行って、十二月九日は例の議事録のある日ですけれども、示した資料の中に入っている資料が上であります。下側は、例のともに飲食してカラオケに行ったというあの日の前の夕方の、これも厚生労働省がJEEDに行って説明したときの資料なんです。

 上と下、よく似ているんですけれども、一カ所だけ違っていて、この下側の、厚生労働省が委託先を選定するというこのウのところ、これが十二月九日の時点には入っていないんですけれども、二月十七日になると突如と出てくるんですね。

 私は、前の、この上の方が非常に素直で、まず基金造成を職業能力開発協会、JAVADAにする、それを受けたJAVADAが実施主体として審査業務ですね、委託先を選定するということにもかかわるということなんです。十二月九日にはなかったんですけれども、二月十七日になったら、選定業務は厚生労働省が行うように明確に矢印がにょきっと延びているわけであります。

 これは、想像ですけれども、厚生労働省と、今度はJEEDではありません、JAVADAが相談をして、いや、うちはこの選定業務をなかなかできないので厚生労働省さんがやってくれませんかねというような話の中で、ではその仕事はうちが受けましょうと言って、こういうふうにウの「選定」が入ってきたということではないんでしょうか。

 このことについて、何か事前の厚生労働省とJAVADAさんの打ち合わせがあったのかどうか、この点についてお答えください。

杉浦政府参考人 上の方の、十二月九日に安定局が提示したという資料でございますが、このときは、安定局と書いてありますが、安定局と能開局の両方の職員が機構に行って説明をしておるものでございます。

 そこの上の資料の、小さい字で米印がございますように、この時点ではまだスキーム全体として検討中のものであって、関係者との調整により変更があり得るという前提で説明をするときに用いたものであるというふうに思っております。

 ですから、この段階ではまだまだ不完全な部分もあったのではなかろうかと思いますが、私どもとしては、やはりさっき大臣が答弁されましたように、制度設計から厚生労働省として企画を担ってきたということもあります。それから、基金訓練や求職者支援訓練のスキームと類似な点もあるものですから、それについては趣旨に沿った委託先が選定できるのではないかということで国が行ったというふうに理解をしておるところでございます。

玉木委員 ちょっと繰り返しになりますけれども、事業の実施主体はあくまでJAVADAさんですよね。その一部の業務を委託することができるということになっていて、ではそれを委託しましょうかと。では、どなたに委託しようかなということで、入札という手続を踏んで、それをやろうとした。ただ、そこに今いろいろな疑惑が渦巻いているということなんです。

 これは、ちょっと確認をしたいんですけれども、そもそも、国から百五十億ももらっていて、本来なら自分がやらなきゃいけないですよ、原則。だって、それをできるから受けているはずだし、できるからお金を出しているはずですから。ただ、もちろん全部が全部できないという事情もあるでしょう。そのときに、一部の仕事を他者に委託、これはまさにしていますけれども、今その手続の中にありますけれども、一部の事業を他者に委託できる根拠はどこにありますか。

杉浦政府参考人 委員が提出されました資料の二の実施要領にも書いてあるところでございますけれども、協会は、基金事業の一部を、職業安定局長または能力開発局長が定めるところにより、民間企業その他の法人であって、事業を的確に遂行できる能力を有するものに委託することができるというふうになっておりまして、この規定に基づきまして委託をしたものでございます。

玉木委員 ここが、ある種、委託規定が明確に書かれているわけですね。まさにここに基づいて一部事業を今回委託しようとしている。

 では、お聞きしますけれども、この第四の「基金事業の運営」のところの5であります。

 一部を委託できるんですけれども、厚生労働省職業安定局長または職業能力開発局長が定めるところにより委託することができるということになっていますけれども、これは告示か何かで、どのようなルール、取り決めに基づいて今委託しているのか、その点をお答えください。

杉浦政府参考人 この資料には入っておりませんけれども、同じ実施要領の中の第八に「短期集中特別訓練事業」という事業の説明のところがございまして、その中に、業務の一部を職業能力開発局長が認定した団体に委託して実施するというような規定がございます。

玉木委員 同じ実施要領の中の記述を引いてきているということですか。

杉浦政府参考人 短期特別訓練事業の部分につきまして委託をして実施するという部分については、ここの部分を引いております。

 ただ、能力開発局長が定めるところによりということで、これ以上の細かいものを記したものはございません。

玉木委員 ちょっとそれは問題じゃないですか。

 原則、実施主体はJAVADAで、この実施要領に基づいて委託することができるということで明確な授権規定がありますけれども、それは条件があって、局長が定めるところによって委託できるんですね。

 つまり、他者に委託するわけですから、こういう条件、こういうスペック、あるいはこういう人に出してください、これを満たした限りにおいては委託できるということの規定になっているんですが、では、この局長が定めるところというのは空振りになっているんですか。

杉浦政府参考人 明文で定められているものはございませんけれども、当初からのスキームの中で、こういった能力を持った団体ということは委託のときから考えておるものでございます。

玉木委員 それは答弁になっていませんよ。トートロジーですよ。能力があるところに出すから入札をやっていますじゃなくて、どういうことを満たした者には委託ができる。

 繰り返し言います。本来はJAVADAの事業です。百五十億もの税金を預かって、それを適正に使っていこうということを求められているわけです。ただ、一定の基準を満たした場合にはそれを委託できるということがここに書かれてあるわけです。

 では、その基準は何かというと、きちんとまさに厚生労働省として、局長がこういうことを定めたら、この条件の中では委託できます。ただ、今あったように、明文でその委託できる規定が全く定められていない。

 大臣、そもそもこの資料一の、JAVADAにお金が行くのはきちんと予算書に書いている。そのとおりでしょう。予算も通りました。ただ、このJAVADAから、今まさに入札が行われていますけれども、そもそも委託できる根拠がないんじゃないですか。大臣、どうですか。

田村国務大臣 今局長が申したとおりであろうというふうに思います。

玉木委員 いや、大臣、今局長の答弁を聞いていて、もう一回言いますよ、協会は、基金事業の一部を、厚生労働省職業安定局長または職業能力開発局長が定めるところにより委託することができるんですね。定めている文書がないんですよ。何で委託できるんですか。

 では、これは能力開発局長が定めていないんだったら、安定局長は定めていますか。

岡崎政府参考人 先生御指摘の今の部分は、職業能力開発局の所管でありますので、私の方で定めているということではありません。

玉木委員 ということは、これはぜひ先生方にも理解していただきたいのは、今、入札の手続が進んでいっております、我々はこれをとめた方がいいと言っていますけれども。そもそも、今、入札、委託先を選んでいるんですけれども、委託の根拠自体を欠いているということじゃないですか。

 百五十億の予算がJAVADAにつき、そのうち二十億強のお金を委託するための手続が今進んでいるわけでありますけれども、この委託ができる唯一の根拠である実施要領の第四の5、ここの委託することができる根拠の局長が定めるところによりということが全く定まっていないということは、税金の使い方として、明らかに大きな手続の瑕疵があるのではないですか。

杉浦政府参考人 この実施要領の5にありますように、厚生労働省の職業能力開発局長が、要は、民間企業その他の法人であって、事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものということで委託するわけでございまして、そのために、仕様書等をつくりまして、公募をかけて入札をするといった手続をとったということでございますので、何も全く根拠がないということではございません。

玉木委員 いや、局長、それはちょっと違うと思いますよ。

 そもそも、委託ができるということを、まず局長は定めなければいけないんですよ。それができるとなったときに、では、どういう条件で今回の入札をしますかということを定めていくのが仕様書等々でありますよ。そもそも、委託ができるかどうか。つまり、あえてこういう規定が5にあるということは、原則はやはり実施主体であるJAVADAがこれをやらなければいけないということが前提でこういう仕組みがつくられているわけであります。それを例外的に、他者に委託する際には局長が定めたそのルールに基づいて委託ができるということです。

 それで、その委託できる根拠について、明文の規定がないとおっしゃいましたよね。明文の規定がないとおっしゃった。私は、今、再入札が行われているその最中にありますけれども、そもそも、この入札の前提にあるJAVADAの事業を他者に委託するという、この委託ができる根拠自体が満たしていないんじゃないのか、これは手続的な瑕疵があると思っております。今の答弁で明らかになったと思います。

 大臣、これはどうぞ、こういう問題もあるわけですから、しかも調査も今途上であります、こういうことを明らかにしてからもう一度入札をする、それまでは、一度やはりこれは停止をして、少なくともこの補正予算の事業については執行を停止して国庫に返納すべきではないですか。大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 これは、5、「基金事業の委託」というところで、今言われたように、委託することができるものとするというところから、第八の1の(8)で、その他、事業を円滑に実施するために必要な業務、また、(5)、(6)、これは上に書いてありますが、を除いた業務の一部を職業能力開発局長が認定した団体に委託して実施するものとすると書いてありますので、この規定をもってして委託をするということであります。

玉木委員 もう時間なのでこれ以上質問はできませんけれども、普通、私も役人をやっていましたからわかりますけれども、こういう規定があれば、それを定める局長の告示なり何か文書をつくって、その基準のもとに委託をしていくわけですよ。それが全く今ないということでありますから、そもそもこの入札の前提になっているこの事業が委託できないということに私はなっていると思いますので、大臣、ぜひこれは……(発言する者あり)いや、これは本当です。大事な問題ですよ。

 繰り返しになりますけれども、きのうから消費税が上がって、お金の使われ方については、どこからも後ろ指を指されないようにやっていかなきゃいけない。特に、年金、医療、介護を預かっている厚生労働省のお金の使い方は特にそれが求められるということでありますので、徹底調査と、そして、こういったことが解消されない限り本件事業の執行停止を求めて、私の質問を終わりたいと思います。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 本日は、フリップですが、JEEDではありません、就活サイトの問題について、一点目にお伺いをしたいというふうに思います。

 大臣のころの就職活動は、いかがでしたでしょうか。私のころは、ぎりぎり、まだインターネットが就活には使われていない時代でしたので、冊子が送られてきて、はがきを切り取って、ちゃんと一社一社、はがきでエントリーをしていた。おのずから、エントリーの数には、時間的、体力的に上限があったなというふうに思うわけであります。

 今、ネットで、誰でも、どんな会社でもエントリーをできるようになった。私、自由主義の立場からいえばとてもいいことだなというふうには思っていたのですが、しかし、今、いわゆる就活サイト、リクナビとかマイナビとか日経とか、大きなところが幾つかありますけれども、就活サイトの実態を大臣は御存じでしょうか。

 きょう、持ってきました。お手元にもちっちゃくして配っておりますけれども、資料一というところをごらんいただきたいというふうに思います。

 これは先輩や同期とエントリー競争をあおっているんじゃないか、こういう表示がされているわけであります。この緑色の下段の部分をごらんください。誰々さんのエントリー状況。これは、実はうちに来ているインターン生がちょうど就活の年ですので、実物、画面をとってまいりました。百八十一社エントリー、相当多い方です。相当多い方なんですけれども、下の緑のところの真ん中に「あなた」と、緑の人形マークが描いてあって、さらにそのはるか先に青い人が二人走っている。あなたと似た同期がここにいるわけであります。「あなたと似た同期に追いつく」というオレンジ色の目立つボタンまで御丁寧に張ってある。こういう形で、エントリー件数、あなたはここまでエントリーを何社しましたけれども、でもライバルはもっとしているんですよ、こういうことがいきなり冒頭に表示をされてくる、こういう仕組みになっております。

 資料二をごらんください。

 サイトでは、あらゆる切り口で、とにかくエントリーをするようにということで勧めてまいります。

 左側の黄緑色の部分を見ていただきたいんですけれども、一番上、誰々さんがエントリーしていない企業で締め切り間近の企業だけをピックアップ、お急ぎください、本日更新、こういうふうに書いてあるわけであります。あるいは、誰々さんのこれまでのエントリー履歴から、今予約できる説明会をピックアップ、あなたとフィット感が高そうな企業だけをセレクトしています、本日更新と、とにかく、きょうじゅうに予約しないと、エントリーしないと後がないぞ、ひたすらあらゆる切り口でこうしてエントリーを迫ってくる。

 左側の黄緑色の下の方をごらんください。中央大学法学・政策系の学生が直近エントリーした企業とか、中央大学の先輩が内定した企業であるとか、あるいは中央大学学生の注目企業ランキング。本当に、いろいろな属性、とにかくちょっとでも似ている属性があれば、仲間はこんなところへエントリーしていますよと、あらゆる切り口でやってくる。

 そして、ここをクリックするとどうなるかということで、資料三をごらんください。

 たくさんの企業にエントリーするのはさぞかし大変かなと思いきや、ワンクリックです。ワンクリックの「まとめてエントリー」というボタンが、どこの画面を開いても出てきます。左の赤いちっちゃな文字を見てください。全百社、百社まとめてワンクリックでエントリーをできる。どこの画面を開いてもこういう形で、何十社、あるいは場合によっては百社、こういう規模でエントリー、正確に言うとプレエントリーという形になりますが、これが送れる。こういうサイトが、今ほとんどの就活生が使っている就活サイトの現状であります。

 大臣、今、率直に、この三枚のまさに現場の画像をごらんになって、就活サイトの問題点についてどのように認識をされたか、お答えいただきたいというふうに思います。

田村国務大臣 私のときの就活は、私は井坂委員よりも十近く上でございますから、委員とほぼ同じようなやり方でありました。インターネットなんてなかった時代でありますから、おのずと、限られた中において、いろいろな先輩の情報を得ながら活動した覚えがあります。

 これを見て、実は自民党の中でもこの議論は以前からしておりました。いろいろな問題点も確かにあるわけであります。企業にしてみれば確かにエントリーがいっぱい来るんでしょうけれども、ただ一方で、企業側も大変でございます、そのエントリーをどのようにさばいていくか、そしてエントリーシートが出てきたらいよいよ対応していかなきゃならぬわけでありますから。

 一方で、就活生も、当然のごとくたくさんのところにエントリーを出して、さらにエントリーシートも出して、それで、どのような形でその後採用に向かっていくかという話なんでしょうけれども、落ちる方々も多くおられる。すると、これが自信喪失につながっていくわけでありまして、何か自己否定をされたような、そんな気持ちになってモチベーションが落ちていくというようなこともあるのであろうと思います。

 一人当たりを見てみますと、それこそマイナビ調べでありますが、二〇一四年卒の方で見ますと、平均エントリー数七十九・一社、またエントリーシートの提出社数が十八・一社というような形でございますので、本当にかなりのエントリー、エントリーシートを出されているんだなというふうに思います。

 ただ一方で、アクセスしやすいというメリットはあるのも事実でございまして、全てを否定するつもりはございませんが、このような中においてどのような問題点があるのか、もう少し分析をしていってみなければならないな、このように感じております。

井坂委員 私も、今大臣がおっしゃったような問題意識を持っております。

 学生さんにとっても、果たして、これだけたくさん、しかも最後に見ていただいたようにワンクリックで百社に送れるとなったら、自分がどこに送ったかすらほとんどわからないんですね、全部見て取捨選択して送っている場合とは限らないですから。

 もちろん企業の方も、こういう仕組みですから、気軽に何十、何百と一人が送ってくる。当然、昔に比べたら一社に来る学生さんのエントリーの数が物すごくふえて、審査は本当に形骸的に、ぱっぱぱっぱと足切り的にやっていく。

 その結果、おっしゃるように、学生の自信喪失。昔は多分、三十社出して、二、三社受かって、一社に入る。これが、例えば百社出して、やはり受かるのは二、三社で、一社に入る、結局こういうことになっていて、いわゆる就活が一歩前に進む率、打率のようなものはどんどん今は下がっているのではないかな、こういう問題意識を持っているわけであります。

 ここで、今度は厚労省の参考人の方にお伺いをいたします。

 厚労省は、就活生に対する事業として、全国五十七カ所に新卒向けのハローワークを置いて、主に就活サイトからこぼれ落ちた学生さん、あるいは秋になっても就職の決まらない学生さん、こういったところを集中的に支援しているということであります。

 しかし、今申し上げたような状況で、私は、まず、この就活サイトを使っている学生にも厚労省として目を向け、何らかの政策の光を当てるべきではないかと考えますが、参考人のお考えをお伺いいたします。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省におきましては、新卒応援ハローワークを中心にいたしまして広く学生等の就職支援を行っておりますが、今先生御指摘のとおり、支援対象の大学生就職決定者数で見ますと、年度前半は未就職卒業生が多くて、年度後半は現役の未内定学生が多い、増加するという形で、いわば就職支援サイトを初めとした民間の事業者の方々との事実上の一種の役割分担という形がなされております。ただ、いずれにしましても、就職支援サイトを活用するか否かを問わず、必要なときに必要な支援を行っていくことは非常に重要だと考えております。

 具体的には、学校とハローワークが連携いたしまして、ジョブサポーターを活用して学校へ求人情報の提供や出張相談を行うとともに、あわせまして、未内定就活生あるいは全ての学生に対しまして新卒応援ハローワークへの誘導ということに力を入れまして、担当者による個別指導、セミナーなどに参加していただく。また、民間の主要な就職支援サイトにもある意味御協力いただきまして、こういう新卒応援ハローワークの周知にも努めているところでございます。

 今後とも、民間の就職支援サイトとの役割分担をある程度意識しつつも、我が国の将来を担う若者を安定した職業につけることができますよう努力してまいりたいと思っております。

井坂委員 今のようなお答えなんですけれども、私は、やはり大臣ときょう議論させていただきたいなと思ったのは、これは一定、価値観の問題だと思うんです。自由でいいという側面も、私もよくわかります。ただ、特に一番最初に見ていただいた資料一の駆けっこをしているような、ああいう見せ方というのが、何か就活を根本からだめにしているようなものにも私は見えるわけであります。

 こうしたエントリーの提出を過度にあおる就活支援企業ということに対して、私は、そろそろ一定の歯どめないし指針を設けるときではないかな、以前党内でも議論をされたというふうに伺いましたが、これは本当にエスカレートしてきているんじゃないかなと思うんです。

 以前議論をされたとき、こういう駆けっこのようなあおり方が当時あったのかどうかわかりませんが、こういうことは、あおり過ぎではないかな、そろそろ何らかの歯どめ、指針が要るのではないかなと思いますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 当時、党内で議論をしたのは、こういう就活サイトが何社かで、ほとんどそれを利用して大学を卒業される予定の方々が就活をやられる。一方で、なかなか新卒者が就職できないんですが、中小企業では結構ニーズがある。なかなかその中小企業等々、一部大手に幾らでもエントリーできちゃいますから、そういうところに目が行かない。だけれども、すばらしい中小企業は日本にいっぱいあるわけでありまして、そういうところで自己実現をできる、そういう若者もいるわけでありますから、そこをどう中小企業とマッチングさせていくかなんというような視点から、この議論をさせていただきました。

 規制となると、なかなかこれは難しいと思います。いろいろな知恵を絞って、別にこれは法律に違反するようなことをやられているわけじゃないわけでありまして、だからひっかからないわけでありますから、新たな規制といっても、どういうような根拠に基づいて規制をかけるのかというのは難しい問題だと思います。

 ただ、先ほども申し上げましたが、問題点を整理して、その問題点はどこにあるのか、それを解消するためにはどうするべきであるのかということを検討する必要はあろうというふうに思いますので、問題意識を持ちながらいろいろと検討させていただきたいというふうに思います。

井坂委員 確かに、規制となると、当然法的な根拠、何の法律に触れているのかということが問題になるわけです。

 ここで、ことしの春の就活でもう一つにぎわせた話があって、ニコニコ動画とかをやっているネットサービスで有名なドワンゴという会社が、昨年十二月から、首都圏の就活生のみ、就職試験の受験料二千五百二十五円、ニコニコをやっている会社ですから、二千五百二十五円を集めますよ、こういうことを発表して大いに注目を集め、厚労省は、これに対してはすぐさま、一月にヒアリングをして、二月には職業安定法四十八条に基づく行政指導として、来年から自主的にやめるようにという助言をしたということなんですね。

 厚労省の言い分というのは、現時点で違反性、違法性は認められないが、お金がある人しか採用試験を受けられなくなることを危惧する、ドワンゴ社の考え方は理解するが、社会的影響の広がりによっては法改正や規制強化するかもしれない、こういうことをドワンゴ社に対しては言ったということなんです。

 先ほど大臣の御答弁で、このリクナビ、リクナビだけじゃないですよ、今回たまたまリクナビの画面を持ってきたわけですが、いわゆる大手の就活サイトが過剰にエントリー提出をあおっていると。大臣の問題意識も私の問題意識も、恐らくドワンゴ社さんの問題意識も一緒なんですね。ところが、ドワンゴ社さんのこういう新しい一石を投じる動きに対しては、物すごく迅速に行政指導、違法性は認められないが助言という形で言っておられる。

 私は、むしろ逆に、もうそろそろ、こういう現状を鑑みて、別に違法性は認められないが、こういった大手就活サイトへ助言に行くべきなんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 難しいんですが、これに規制をかけるというのとドワンゴさんの方に助言をしたのとは真逆でありまして、こちらは、要するに自由な中で対応していただいておるわけでありますね。ドワンゴさんは、お金を払わないと要するに受けられないというふうになりますと、お金がない人は受けられない。もっと言うと、一社だけならいいんでしょうが、みんなまねをし出したらお金持ちしか受けられないというような問題もあるわけでありまして、それは適正な就活を阻害する可能性が将来に向かってあるということで、早いうちに助言というような形でこちらの方からお願いをさせていただいたというような形であります。

 ですから、ちょっと真逆なものですから、自由なものをどう規制するかというのは、よほどそこに、問題点を整理して、何らかの公平性といいますか公正性といいますか、それがないことにはなかなか規制というものはかけられないのは御承知のとおりでございますので、とりあえず、やはり問題点を整理させていただくということがまず第一であるのではないのかなというふうに思っております。

井坂委員 ちょっとしつこく言って申しわけないんですが、規制とは言っていないんですよ。

 別に、このドワンゴがやったことだって、何も法には触れていない。ただ、後々影響があるかもしれないから、自主的に来年からはこういうことはやめていただけたらありがたいですと助言をされている。

 同じレベルで、大臣が最初の答弁でおっしゃったように、やはり問題があると思われますよね。やはりちょっと節度を超えつつあるのではないかなと思ってくださっているというふうに感じたんですね。であれば、ドワンゴさんにやったのと同じぐらいの重みづけでも結構ですから、一方のこういう、自由だからといって何でもかんでもやっていい、特に就活生と大手のこういったサイト運営会社ではビジネスの実力が段違いで、本当にいいようにあおられて、ぽんぽんぽんぽん出さないと不安をあおられているような運営ですから、これはやはり助言ぐらいはできるんじゃないかな。また、ドワンゴに助言をするんだったら、一方で、何でもかんでも自由ではあれだというふうな、こっちの行き過ぎだってそろそろ助言の範疇じゃないですかということ、これは政治の判断ですから、法の問題ではないですから、だから大臣に最後、お聞きしたいと思います。

宮川政府参考人 技術的な事項で一言だけ。

 ドワンゴの場合ですと、あれは募集の関係という形になりますので、いわばある意味職業安定法上に基づく規制の対象となりますが、職業紹介情報提供業者という形でございますので、先ほど大臣が申しましたように、そういう意味で、自由な世界という形になっている点は御理解いただきたいと思います。

田村国務大臣 いずれにしましても、まず、現状の問題認識をしなきゃならないですね。これは、変な話、では、利用されている方々が本当にどう思っているか。利用されているのは就活生ですよ。そういうことも確認しなきゃなりませんし、今ここでこの二人で話をしているだけで、実態がどうなのか、どのように皆さんが思っておられるのかということも、我々としては確認もしなきゃなりません。

 ですから、まずは、現状はどういう問題があるのかということを整理させていただく、その中で何ができるのかということで、検討させていただきたいということであります。

井坂委員 まず現状認識からということですから、そのために奮発してフリップもつくってきたわけであります。見ていただければこれは問題があると思っていただけるかなと思ったんですが、ちょっとそこにはまだきょうは至らなかったということですから、ぜひ問題認識からよろしくお願いをいたします。

 二つ目に、厚生労働省改革について伺います。

 厚生労働省改革ということで、最近どういうことをやっておられるのかなということで調べ、また事前に当局の方にも来ていただいたんですが、つくっていただいた資料というのは、実はこれは、民主党、長妻大臣時代にやった厚生労働省改革の一覧と、それが今どうなっているか、こういう資料を結局のところいただくことになってしまいました。いろいろ当時始まった改革で、二つぐらいやめたものもあるんですが、おおむね今も続けていますよ、こういう御説明を受けたわけであります。

 大臣にお伺いいたしますのは、政権交代が起こって、大臣がもう既にカラーを省内で存分に発揮しておられるころだというふうに思いますが、自民党政権になって新たに始めた厚生労働省改革というものにどういうものがあるのか、お伺いをしたいというふうに思います。

田村国務大臣 今、意識の改革はやっております。単純ミスが多いものでありますから、そういうような基礎的なところをまず見直す。それから、もう少し感受性を持ってもらわないと、この事業をやったらどういうような反応が起こるか、そういうことも含めて、今、各局、私の方からいろいろと注文をつけておるわけであります。

 あわせて、これはずっと進めてきた話でありますけれども、男性の育児休業に関しましても、目標値を新たに持って、さらに野心的に、三十一年度には三〇%を目指すということで、例えば育児休業をとった男性が事例集をつくって、それをさらに各局等々にしっかりと周知して、さらにとりやすいような環境をつくるように、そういうこともやっております。

 それから、人材育成やワーク・ライフ・バランス、ワーク・ライフ・バランスはこれに当たるんですが、人材育成でありますとか、あと業務効率化、こういう三本柱で、現在、省内の組織活性化の方針を各部局でつくってもらいまして、その中で省内改革を今進めております。

井坂委員 昨晩、担当の方にお聞きした段階では、実はまだそんなに新たに取り組んでいくことはというようなお答えだったんですが、さすがに一晩でいろいろと答弁を盛り込んでこられたなというふうに思います。

 もちろん、ワーク・ライフ・バランスとかは持論でいらっしゃいますし、やっていらっしゃるんだな、あるいは意識改革、スピリット、闘魂注入というようなことも、これも大臣の属人的な改革としてやっておられるんだろうなというふうには受け取らせていただきました。

 ただ、そうはいっても、いわゆる省内の改革といったくくりで、今、私から見ると、どうも随分下火になってしまっているなというふうに見えたものですから、今回お尋ねをした次第です。

 あわせてお伺いをいたしますが、厚生労働省以外のほかの省庁の省庁改革の先進事例を集めて、そういういい改革はどんどん横展開をしていく、こういった仕組みが今政府にあるかどうかについて、これは参考人にお伺いをいたします。

生田政府参考人 お答えいたします。

 各省庁で行われております改革の取り組みの先進事例につきましては、例えば事務次官等連絡会議を初めとする各省庁の情報交換の場ですとか、あるいは有志の勉強会など、フォーマル、インフォーマルの場を通じまして情報交換が行われておりまして、参考となるものにつきましては、当省でも取り組みを進めております。

 今後とも、さまざまな機会を通じまして、他省庁の改革の動きにつきまして情報交換に努めて、有用な事例は積極的に取り入れていくということで臨みたいと考えてございます。

井坂委員 仕組みとして、本当に各省庁の組織改革、マネジメント改革のいい取り組みが横展開されるように、これは政府全体の話ですけれども、ぜひやっていっていただきたいなというふうに思います。

 加えて、事前にいただいた資料の中で、今回の政権交代前からいろいろと続けておられることが多いんですけれども、公共調達委員会という仕組みも前政権でつくられて、今も月二回開催をしておられるというふうに伺っております。

 今回、ちょうど前の質問者もまた問題にしておりましたJEEDの問題、あれはまさに公共調達、入札の問題でありますが、今回のJEEDの件というのは、公共調達委員会ではどのように取り扱われ、議論をされたのかということについて、これも参考人にお伺いいたします。

生田政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省独自の取り組みとしまして、委員御指摘のように、平成二十一年の十二月に、外部有識者が参画いたします公共調達委員会で、公共調達について議論をいたしております。調達金額が一定額以上のものは必ず事前にかけるということでございまして、この承認が得られなければ調達手続に入らないという仕組みになってございます。

 しかしながら、今回の案件につきましては、国が公告するなど、受託者の選定にかかわってはおるのですけれども、厚生労働省がみずから調達をしないという事業でございまして、現在の仕組みでは、審査の対象となっておりませんし、審査をされておりません。

井坂委員 ここでも、JEEDの件で、どこが事業の実施主体なのか。入札、調達の実務、公告などをやったのは厚労省なわけでありますけれども、そもそも厚労省の事業じゃないのでこういった公共調達委員会の審査の対象ではないんだ、こういうことになってしまっているわけであります。

 この辺は、そもそも事業実施主体がどこなのかという大変曖昧になっている問題と、あと、こっちの改革ルールはあるのに、こういったいわゆる曖昧、はざまの事例がひっかかってこないということは一つ検討課題かなというふうに思っております。

 厚労省改革で、あと公益法人の問題も大きなテーマとしてこの間続いているわけでありますけれども、これは厚労省に限らずでありますが、この公益法人における天下りのことについて、残りの時間いっぱい伺ってまいります。

 平成二十年の十二月時点では、厚労省所管の公益法人というのは実に一千六十一法人あった。これが、ちょっと前の数字ですけれども、公益法人三百七十七法人、一般法人四百五十九法人にどんどん移行していって、解散をしたものも百五十三法人ある。いまだに厚労省所管の公益法人となっているものは、ちょっと前の数字では七十四である、こういう数字をいただいております。

 そこで、お伺いをいたしますが、現存する厚労省所管の公益法人の最新の数と、そしてその法人への天下りの現状はいかがでしょうか。大臣にお願いいたします。

田村国務大臣 新公益法人制度でありますが、五年間でこれをやっていくということでありまして、もともと平成二十年十二月一日時点で千六十八あった我が省所管の社団法人、財団法人、公益法人でありますけれども、これが平成二十六年三月三十一日、直近でありますが、七十四という数字になりました。

 その中で、七法人に厚生労働省のOBが、これは役員としてでありますけれども、在籍をいたしておるということであります。

井坂委員 今は七法人ということでありますが、もともと厚労省の所管だった、五年前に一千六十一あった公益法人の多くは、現在は内閣府の所管に移っているわけであります。

 そこで、お伺いいたしますが、元厚労省所管の公益法人、今は内閣府が所管しているそういった法人への厚労省OBの天下りの現状はいかがでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 公益法人改革によりまして、各府省に付与されておりました公益法人の設立認可ですとかあるいは指導監督権限は、新制度の法人につきましては認められていないということでございます。そのために、新制度に移行させた法人におけます厚生労働省OBの在籍状況を把握することはなかなか難しいというふうに考えてございます。

井坂委員 把握は難しいということで、さらにお伺いをしたいのが、公益法人じゃなくて、今回、移行期間を経て一般法人に移行したところも四百五十九あるわけであります。

 総務省が把握している、管理職だった職員の再就職状況、こういった資料において、もともと厚労省所管の公益法人だった、今は一般法人に移行してしまっているところへのOBの天下りの現状、概数でも何でもつかんでおられますでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員の再就職状況につきましては、管理職職員、これは七級相当で企画官級以上でございますけれども、こういう方が離職後二年以内に再就職した場合につきましては、その再就職情報を届け出るということになってございます。その情報を取りまとめて総務省の人事・恩給局が公表しているということでございます。

 この情報に基づきまして、厚生労働省を退職した者のうち、厚生労働省が所管していた従来の社団法人、財団法人であった一般法人に、在籍はわからないわけですけれども、再就職した者の数を調べたところ、平成二十年の十二月三十一日以降平成二十五年の十二月三十一日まで、五年間で六十名が再就職しているということでございます。

井坂委員 もともと一千六十一あった公益法人、天下りに対して目が厳しくなって、ところが、全然別の理由で公益法人改革があって、内閣府の所管にほとんどがなる、あるいは半分ぐらいは一般法人になる。一般法人の方は今数字をいただきましたけれども、内閣府の方にも三百七十七法人、既に所管が移っているということでありますから、ぜひ、もともと厚労省所管だった法人という目線で引き続き追跡を、そして定時的に把握をすべきだと私は思う次第であります。

 最後に一言、大臣、そう思われるのかどうか。そこはもう無理なんだ、そこまで把握する必要はないんだということなのか。このやりとりを聞いて、コメントをいただければというふうに思います。

田村国務大臣 国民の皆さんの目線で何か疑わしい、そのような形であってはいけないというふうには認識いたしております。

 ただ、所管じゃなくなったということは一体どういうことなのかということはよくよく我々も分析といいますか把握をしなきゃいけない、理解をしなきゃいけない、こういうふうに思います。

井坂委員 終わります。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、前回、本来なら次世代法の中で通告をしていたんですけれども、ちょっと時間切れでできなかった問題について質問させていただきます。公的年金と児童扶養手当の併給問題についてであります。

 二〇一〇年の児童扶養手当法の一部改正案の審議の際に、附帯決議でこの検討が盛り込まれました。当時、私は宮城県のシングルマザーのことを紹介して、離婚した後に亡くなった夫さんの遺族厚生年金わずか八千円、この八千円が出るために四万二千円の児童扶養手当がもらえない、もらえないどころか返せと言われている、本当にこれは不条理じゃないかということを指摘したことがあったわけであります。

 その後、二〇一二年、総務省の行政評価局の通知とか、二〇一三年以降、社保審の児童部会による検討がまとめられまして、先般可決した法案においては、公的年金と児童扶養手当の差額が支給されるようになりました。これ自体は、不十分ではありますけれども、一歩前進だと考えております。

 それで、まず伺いたいのは、併給ではなく差額支給という形で決着したのはなぜでしょうか。

石井政府参考人 児童扶養手当と公的年金は、稼得能力の低下に対する所得保障という同一の性格を有していることから、完全に併給することは適当でないと考えた次第でございます。

 このため、今般の見直しにおきましては、同一の性格を有する給付を二重に行うことを避けつつ、全く併給が行われないことに伴う不合理を改善することとして、児童扶養手当より低額の年金を受給する場合には、その差分について児童扶養手当を支給することとしたものでございます。

高橋(千)委員 児童扶養手当は、もともとは母子福祉年金を補完する形で発展してきたものだと思うんですね。あるいは、母または子供の遺族基礎年金の受給権があるから、基本は所得保障ができている、だから二重にやる必要はない、そういう考え方だったのではないかと思うんですね。

 それは、母子だけで見れば、児童扶養手当よりも少ない上乗せ部分、遺族厚生年金しかもらっていないさっき私が紹介したようなケースというのはレアケースだったのかもしれません。しかし、父子家庭の場合は、もともと遺族基礎年金の対象ではありませんでした。四年前、二〇一〇年の八月以前までは児童扶養手当も対象ではありませんでした。

 私が相談をいただいた五十代の男性は、小学校四年生と五年生の子供を残して妻に先立たれました。当時、会社が倒産し、失業中だったんですね。年齢的にもう正社員の仕事を見つけることができず、アルバイトで暮らしてきたと言っております。

 ですから、遺族が男性だからといって、女性は家庭にいて男性は正社員できちんと所得があるという昔からの考え方というのはもうとっくに古くなっていたというのは自明のことだったと思うんですね。ですから、余りにも遅かったなと思うんです。

 この方の場合は、子供さん二人合わせて二万円の遺族厚生年金のみなわけですね。父子家庭なので、遺族基礎年金は支給停止になっておりました。それで、四年前に長妻厚労大臣宛ての審査請求を行って、遺族基礎年金の支給停止を解除すること、そして、せめて児童扶養手当の差額分は支給してほしい、このように訴えてきたわけであります。

 そこで、伺いたいのは、この遺族基礎年金が、ことし四月以降、妻を亡くした父子にも支給されるようになります。ただ、それが四月以降、つまり、これから妻を亡くした場合だけなんですね。今紹介したような既存の父子家庭には支給されないのはなぜなのか。

 児童扶養手当が支給される父子家庭というのは、昨年三月の数字で六万五千四十一人いらっしゃいます。そうすると、生き別れというのもありますから、そのうち、今のようなケース、遺族基礎年金の対象にならない既存の父子家庭はどのくらいいるでしょうか。

香取政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと答弁が前後いたしますが、先に死別の父子家庭の数ということでございます。死別の父子家庭の数は、二十三年度の母子世帯調査等から約三万七千世帯と推計されますが、このうち、今の新しい制度との関係で、仮に遺族基礎年金が支給されるかどうかというのは、それぞれ所得要件ですとか納付要件がありますので、その数字は把握をしておりません。これはちょっとわからないということになります。

 遺族基礎年金の制度改正のお話ですが、御案内のように、制度改正いたしまして支給範囲を拡大したわけでございますが、年金制度は社会保険の仕組みでございますので、基本的には、それぞれ支給事由が発生したときの法律関係に基づいて給付を行うというのが原則になります。事後的にさかのぼって給付をするというのは原則的にはないということでございますし、法律改正の効果は基本的には将来効ということで、そこから先に向かって効力が生じるということになりますので、法律の今の仕組みの考え方からしますと、法律改正した後、既にもう事由が発生したものについて、さかのぼって支給をするということはなかなか困難であるということでございます。

高橋(千)委員 今、原則的にはないという表現でおっしゃいました。つまり、絶対ないということではないわけです。

 もちろん消えた年金の整理の場合は、裁定をやり直さなくちゃいけないし、今、追納という仕組みがありますからね。追納で、結局、裁定した年金がふえるわけじゃないですか。そういうことをやっているわけです。だから、不利益は遡及しちゃいけないけれども、利益は遡及すべきだ。

 しかも、今言った三万七千人のうち、もっと絞られてくるわけですよね。前の人に広げたからといって、うんと広がるわけじゃないわけです。これからの人に手当てするということが決まっているんですから、これまでの人を広げたからといって、見境なく広がるわけじゃないわけです。そういう観点に立って、利益は遡及すべきだということを指摘したいと思うんですね。

 このことを含めてまた大臣に質問したいんですが、今、この方のような遺族厚生年金のみの場合は、要するに基礎年金をもらっていない方の場合は、事業主との折半なわけですよね。つまり、国庫は入っていないわけですよ。だから、最初に局長が答弁された、同じ所得保障だからという意味でいうと、国が払っているお金でもないのに、それをもらっているからだめでしょうという話はやはり違うんじゃないか、これは、差額ではなくて、本来は併給を認めるべきじゃないかと思うんですが、大臣、どうですか。

田村国務大臣 先ほども話がありましたが、稼得能力の低下というものに対する所得保障と同一の性格であります。

 児童扶養手当はそもそも、遺族基礎年金の場合、死別した場合に対する子供に対しての一定の保障、そのような考え方であったわけでありますが、死別だけではなくて生別というような場合に対して児童扶養手当というようなことが、昭和三十年代に始まりとしてスタートしてきたというわけであります。

 そういうような観点から考えまして、公的年金というものと児童扶養手当、同じような類いのものであるということでございますので、これを全く併給するというわけにはなかなかいかないわけでありまして、そこは、差額に対してはしっかりとお支払いをさせていただこうということで、今般、改正をさせていただくということであります。

高橋(千)委員 同じ類いとはやはり違う。さっき私が説明したように、やはり年金の補完的なものから出てきたものとは、もう今はもらう対象も大分変わってきていますし、考え方が発展してきているわけですよね。その点においてどうかということをやはりもっと議論しなければならないと思うんです。

 昨年十一月二十五日に大阪地裁は、地方公務員災害補償法に基づく遺族補償年金について、地方公務員であった妻が公務災害により死亡した事案で、遺族である夫が申し出た遺族補償年金等不支給決定処分取り消し請求を認めた。つまり、不支給はおかしい、そういう判決が下ったわけであります。

 女性の社会進出が進み、男性と比べればまだ不利とはいえ、相応の就業機会を得ることができるようになった結果、もう共働き世帯の方が専業主婦世帯よりも多い、そういう事態になっているわけですね。それを踏まえて、配偶者の性別において受給権の有無を分けるような差別的取り扱いはもはや立法目的との間に合理的関連性を有しないと言うべきである、このように断じて、遺族の男女差による区別する諸規定は、法のもとの平等を定める憲法十四条に違反する不合理な差別的取り扱いとして違憲、無効といたしました。

 週刊社会保障の三月三日号で、早稲田大学の菊池馨実教授がこの案件を解説しておりますけれども、この判決の前に厚労省が児童扶養手当を父子家庭にも支給する改正を行ったこと、これが裏づけの一つになった、つまりこういう判決をやるのに大きな力になったということを説明しているんですね。その上で、財源の制約を理由に国民の平等権が侵害される事態を放置することは許されないと指摘しているのは、私、大変重要だと思うんですね。

 公務員の年金の話をしましたけれども、これは当然ほかの年金制度にも及ぶということは必至でありますし、だからこそ、ことしの四月から父子にも遺族基礎年金が支給されるようになった。大変遅くなったと思いますけれども、政府も男女格差の解消に向けて問題意識を共有しているんだということを確認したいし、さらに前に向かって頑張っていただきたいと思いますが、大臣の見解を伺います。

田村国務大臣 男女の要件の違いが法のもとの平等に反するという認識は持っておりません。

 といいますのは、要は、昔は男性が家計を支えるということが前提で制度をつくってきたわけでありますけれども、今や男女ともが働く中において家計を支えておる。こういう考え方のもとに、遺族基礎年金の場合は、片方がお亡くなりになられるわけでありますから、そのような形の中において、両方ともが支えておるという前提のもとで、今般、父子に対しても支給を決定させていただいたわけでありまして、その基本的な考え方は、男女で家計を支えておるということが前提であるということであります。

高橋(千)委員 ですから、私が言ったことは、持っておりませんと最初に大臣が言っちゃうと、誤解されちゃうんですよね。つまり、男女ともに働いているんだから、男性が亡くなったときでも女性が亡くなったときでも、基礎年金をもらえるのは同じだということで今回整理したわけでしょう。今までは同じじゃなかったんですから。女性が亡くなったときは、家計の支え手であろうがなかろうが、男性が遺族であれば払わないという制度、それを是正したんでしょう。だから、それを差別だと思っておりませんと言っちゃうとおかしいんですよ。そうですよね。

田村国務大臣 遺族基礎年金にしても児童扶養手当にしても、これは母子、父子、子供に対して、そういう色合いが濃いわけであります。

 でありますから、今、男女で生計を支えておるというような時代になってまいりましたので、そういう観点から、片方の親がお亡くなりになられる、一人親になられるという観点を指して、子供に対して遺族基礎年金また児童扶養手当という形で、父子に対しても支給をするというのが今般の流れであるということであります。

高橋(千)委員 だから、その問題意識を共有していますかと聞いているんですから、そうだでいいんじゃないですか。だから改正したんでしょう。持っておりませんと言ったら、改正する必要はないんですよ。そこを確認しているだけなんですが。(田村国務大臣「ちょっと違う」と呼ぶ)ちょっと違うって、どうして。ちょっと先に進めなくなっちゃったんですが、どうしましょうかね。

 でも、そういうことで、今回、遺族基礎年金を父子にも払うということにしたわけですよね。今までは、子供さんにといいながら、五十五歳以上の男性が六十歳にならなければという、非常に制限をされていたわけですからね。そこを取っ払ったということでよろしいんですよね。いいですかね。ちょっと違うって首をかしげていて、ちょっと困ったなと思っているんですが。

 次の質問がしたいので、ここをもう一回整理してまた聞きたいなと思っています。大臣、せっかくそこまで踏み切ったのに、認識は違うとおっしゃるので非常に困っているんですけれども、後の答弁の中でもし答えていただけるのであれば、お願いをしたいと思うんです。

 それで、きょうは、放課後児童クラブについて質問したいと思っています。

 放課後児童クラブは、九七年、児童福祉法に法定されて以降ふえておりまして、現在二万一千四百八十二カ所、登録児童数は八十八万九千二百五人。単純に言うと、全国の小学校三年生まで、三百二十五万人いるそうですが、四人に一人が通っていることになります。全国学童保育連絡協議会などが、小学校低学年の児童が学校で過ごす時間よりも放課後児童クラブで過ごす時間の方が上回っている、そういう統計をとりまして、放課後児童クラブの重要性、その条件整備について国が基準をつくるべきだということを求めてきたわけであります。

 資料を配っておりますけれども、昨年十二月に放課後児童クラブの基準に関する専門委員会報告書が出されて、初めての基準案が示されたところであります。

 放課後児童クラブの役割について大臣の認識を伺うとともに、子ども・子育て新制度においては放課後児童クラブがどのように位置づけられるのか。お願いいたします。

田村国務大臣 共働き家庭のお子さんに対して、遊びの場であったりでありますとかまた生活の場として、安心、安全を確保しながらということで、大変大きな役割を担っていただいておるわけであります。

 これに関しましては、今般、子ども・子育て新制度を議論する中におきまして、まずは、市町村がニーズをしっかり把握するということが大変重要であります。そして、事業計画をつくっていただいてそれを実行していただくということになってくるわけでありますが、そのいろいろな議論の中において、やはり今言われたみたいに、人員の基準をつくる必要がある、それから施設の基準をつくる、設備の基準をつくるということをいろいろ議論いただきまして、これを定めて実行していくということでございます。

 いずれにいたしましても、量も必要でありますけれども、質というものも重要でございますので、この両面をしっかりと我々勘案しながら、新しい制度をしっかりと動かしてまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 資料の二枚目に、放課後児童クラブの主な改正事項ということで、現行制度がどうかというのと、新制度移行後どうなるのかということが書いてあるんですけれども、対象児童が、今は十歳未満の留守家庭の小学生ということに大体なっていたわけですが、留守家庭の小学生というだけになりましたので、小学校六年生までにも広がっているとか、あるいは基準をつくるというふうなことが整理されていると思うんですね。

 今、最後に大臣が強調された、量だけではなく質もということを言った中身なんですが、それがこの下の絵の点々のところですね。この質の改善にかかる費用については、税制抜本改革による財源確保を前提としていると。公費とは書いているんですけれども、ここが加わった。ただ、これについては、結局、この間の保育の議論と同じで、質の改善にかかる三千億円、まだ見通しはないけれども頑張ると大臣がおっしゃった、その中のお金、一部を使うという整理でいいですよね。局長にお伺いします。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣からも、あるいはこの委員会でもたびたび、一兆円超の、プラス〇・七兆円を超えるところについては財源確保がないじゃないかというお話があるわけでございますけれども、少なくとも、その〇・七兆円ベースの中でも、放課後児童クラブの質の改善に充てるものは予定されているところでございます。

高橋(千)委員 ですから、保育と並びの予算の確保をしなくちゃいけないということだったと思います。ただ、保育に比べても非常に条件がまだまだおくれているという点で、やっと初めて基準をつくるわけですから、そこを頑張っていただきたいということで質問を続けていきたいと思うんです。

 私は、〇四年の六月に質問主意書で、学童保育の設置基準をつくるべきではないかという立場で、全国の実態調査をお願いしたことがございました。厚労省が一カ月かけて全国調査を行っていただいて、その結果は非常に驚くものでありました。埼玉と東京の二と、四十三市区町村しか独自の基準を持っていない。つまり、国は基準がないわけですから、市町村が持っているのはそれしかないということがまずわかったわけです。

 その基準といっても、詳細にわたって書いているわけではなくて、ロッカーが設けられていることとか、男女のトイレが分けられてあることとか、当たり前のようなこと、ランドセルをしょってくるわけですから、それを置く場所はありますよね、その程度のものしか実際はなかった。児童一人当たり一・六五平方メートル、畳一畳しかないということも大変驚いたわけであります。

 ただ、いずれにしても、そういう実態調査を行って、その後ガイドラインが示され、今回、基準をつくるということはやはり前進でありますので、現場の声に応えるものであってほしいと思っているんです。

 そこで、伺いますけれども、面積については、これは参酌すべき基準とされました。専用区画の面積は児童一人につきおおむね一・六五平方メートル、これは畳一畳であることに変わりがなかったということなんですが、ただ、この専用区画に含むものは何か。あくまでこれは専用スペースであるべきだと私たちは考えているんですけれども、トイレだとか洗面所だとか事務机とかを含むものになっちゃうとかなり狭い話になっちゃうんですが、いかがでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブの基準については、現在、専門委員会の報告書をもとに、厚生労働省で省令の案文を検討している最中でございます。

 専門委員会の報告書では、専用スペースは、現行の放課後児童クラブガイドラインと同様に、児童一人当たりおおむね一・六五平米以上とすることが適当とされているところでございます。

 御指摘の点でございますが、専用区画というのは、児童の生活の場としての機能が十分に確保される場所を想定しているものでございまして、少なくともトイレといったようなものは含まない方向で検討したいと考えておりますが、ただ、いろいろ詳細はありますので、これは省令の案文の策定とあわせて整理をしていきたいと考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 これは、説明を受けたときはトイレを含むという答弁だったものですから、こうなっちゃうと、本当に畳一畳どころの話ではなくなるわけですよ。狭過ぎるじゃないかと言ったら、いや、外で遊ぶから大丈夫とか、雨が降っても大丈夫とか、そこまで言っちゃうと、本当に、最初に大臣がおっしゃった、安全、安心な子供の遊びの場ですなんてとても言えない状態になるわけであります。

 ここは確認したいと思うし、やはりこの専用スペースというのを厳格に見るべきだということは、指摘にしたいと思います。

 ちょっと時間の関係で、次に進みます。

 それで、支援の単位をおよそ四十人としたわけですが、二〇〇七年のガイドラインは、おおむね四十人が望ましいとする一方で、最大七十人というふうにしたわけですね。実際には、七十一人以上のクラブが千三百七十一カ所ある、かなりまだまだ課題があるわけです。

 三月十八日付読売新聞で、都内の待機児童が、千七百五十三人で、全国最多なんだという記事を書いておりました。そのうち最も多い練馬区は百七十八人いる。練馬区の会社員である母親の声を紹介しています。大変皮肉なことに、この方は、会社の持ち場はワーク・ライフ・バランスを推進する人事部であるということまで書いていらっしゃったんですけれども、一年生から長男を学童保育に通わせていたけれども、三年生になって定員オーバーだから断られた、こういうことを書いているんですね。結局、こういうことが起こるんですね。

 小学校六年生まで対象を広げたとしても、実際には受け入れできないということにならないか、あるいは参酌標準だから達成できなくてもよいとする立場に立つのか、伺います。

石井政府参考人 まず、放課後児童クラブにつきましては、現時点において待機児童があるわけでございまして、この量の整備を加速化していくことがまず前提と考えております。

 専門委員会の報告書におきましては、児童の集団の規模はおおむね四十人までとすることが適当とされております。これは、児童の安全面等々を考えますと、このくらいの規模が適切だ、目配りができる規模でもあるということであります。

 おおむね四十人を超えるクラブにつきましては、複数のクラブに分割して運営すること、あるいは分割して運営する方法によりがたい場合においては、児童の安全を確保できる体制のもとで、地域の実情に応じて、一つのクラブの中で複数の児童の集団に分けて対応するよう努めることとされております。

 国としては、おおむね四十人規模のクラブへの移行を支援していくことが必要とされたところでございます。現状におきましても、登録児童数が六十一人以上の施設では、複数集団に分けているところが多いという実態もあるわけでございます。

 現在でございますが、放課後児童クラブの運営費に係る国庫補助基準額の設定において四十人規模クラブを手厚くしまして、四十人規模クラブへの移行を促しているところでございますけれども、小学校の余裕教室の活用を一層進めるなどによりまして、高学年を含めて、支援の必要な小学生が事業を利用できるよう、引き続き整備を進めていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 時間がかなりなくなってきてしまいまして、実は資格のところをやりたいなと思ったんですけれども、時間がないので一つ飛ばしたいと思います。

 児童福祉法三十四条の八の二で「その基準は、児童の身体的、精神的及び社会的な発達のために必要な水準を確保するものでなければならない。」と定めています。ですから、実態が追いつかないからと、低い水準に合わせる、あるいは自治体に任せるということだけはやるべきではない、そこに間に合うように支援をしていくというのが必要だと思うんですね。

 それで、今回の基準案では、支援単位四十人ごとに指導員が二人以上というふうに書きました。ただし、ただしと書いているんですね、利用者の支援に支障がない場合はこの限りでないと書いた理由は何か。また、その基準案のもとになっている専門委員会報告書では、併設する施設の職員等が兼務可能な場合には一人でも可とある。この併設する施設の職員が兼務可能な場合とは、どういう意味ですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 専門委員会の報告書では、職員は二人以上配置することを原則とするけれども、小規模のクラブについては、全てのクラブに専任の職員の複数配置を求めることはなかなか困難を伴うということで、併設する施設の職員等が兼務可能な場合に一人でも可能とすることが適当とされております。

 要は、目配りする人間がほかで近接にあればそれで何とか安全の確保が対応可能ではないか、過疎地などの対応もございまして、そういうふうなこととされたわけでございます。

 そうした内容などを踏まえて現在所要の案文を検討しているところでございまして、いずれにしましても、小規模のところを念頭に置いた対応で特例というものを考えてはどうかということで、現在検討しているところでございます。

高橋(千)委員 ここはちょっと具体的に言ってもらわないとだめなんですね。目配りする人間が近くにいるというのはどういうことでしょう。例えば、学童保育が小学校の校庭にプレハブで建っている、走っていけばすぐ職員室があって先生がいるからいいじゃないの、そういう考え方なのか。それから、児童館では全児童の事業をやっている、その中の一部に児童クラブの開設もしている、そうしたら、全児童の場合は基準が全然違いますけれども、とりあえず指導員がいるわよ、児童館の職員がいるでしょう、だからいいじゃないか、そういう考え方ですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今議員いみじくもおっしゃったように、児童館での対応、そういったようなケースは十分あり得ると思います。

 また、特に子ども・子育ての制度を議論した中で、全体で出てきたのが、やはり人口規模が小さい町村などでは複合的な施設で対応していくところが適当だというケースがある、この点も指摘を受けたわけでございまして、それをあらかじめどの施設というふうに特定する用意は現在ございませんけれども、要は、そういう子供絡みでカバーができ得る、そういうケースに応じて対応するアローアンスを設けてはどうかということでございます。

高橋(千)委員 十分あり得るとお認めになったと思うんです。

 例え話をするときは僻地の話をするんですよね。小さい地域というのは、それは児童館であったり老人施設でも何でもいいんですけれども、そういう形で逆に目がいっぱいある。そういうこともあるじゃないですか。でも、今起こっているのは大都市なんですよ。大都市で、結局、もう放課後児童クラブじゃなくて全児童でいいやという動きが起こっている、そういうことを踏まえて言っているのは当然承知の上だと思うんですね。

 三月二十四日の朝日新聞、「消える学童クラブ」。二十三区内で、いわゆる全ての児童を対象とする全児童事業のみで、学童クラブの定員がないか、なくす方向になっているのが品川、世田谷、渋谷、豊島、板橋、江戸川だ、こういうことを言っているわけなんですね。

 これはどんどん広がっていく。なぜかというと、料金がなくて、友達がいるからいいじゃないかと。要するに、さっき言ったニーズ調査の中でも、片や無料です、片やお金を取りますなんて言われると、学童クラブに通ったことがない親は、そっちの方がいいのかな、そうなっちゃうわけですよ。予算が足りないから、自治体もそれでいいかなというふうになっちゃう。でも、それじゃだめでしょうということを言いたかったわけなんですね。

 残念ながら時間が来ちゃったのでここで言い切りにしますけれども、二〇〇六年三月十五日に北井局長の答弁があるんです。放課後児童クラブと全児童はやはり簡単に一緒にしちゃいけないんだ、出欠をちゃんととって、一人一人の子供との結びつきというのが大事なんだということをちゃんと言っていた。私、それはとても大事な答弁だったなと、大変心にも残りました。そういう立場をやはり譲っちゃいけない。全児童を全否定しているわけじゃないですよ。だけれども、放課後クラブの位置をやはり譲っちゃいけないということを指摘して、また問いを残してしまいましたので、また次の機会をお願いして、終わりたいと思います。

後藤委員長 この際、御報告いたします。

 内閣委員会との連合審査会は、明三日木曜日午前九時から開会することとなりましたので、御了承願います。

 次回は、来る四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十一分散会


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