衆議院

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第8号 平成26年4月4日(金曜日)

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平成二十六年四月四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 金子 恭之君 理事 北村 茂男君

   理事 とかしきなおみ君 理事 丹羽 雄哉君

   理事 松本  純君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      大串 正樹君    金子 恵美君

      小松  裕君    古賀  篤君

      今野 智博君    桜井  宏君

      清水 誠一君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    末吉 光徳君

      助田 重義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高鳥 修一君

      高橋ひなこ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    中谷 真一君

      永山 文雄君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    牧島かれん君

      三ッ林裕巳君    御法川信英君

      宮崎 謙介君    村井 英樹君

      山下 貴司君   山本ともひろ君

      吉川  赳君    大西 健介君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    足立 康史君

      伊東 信久君    浦野 靖人君

      清水鴻一郎君    重徳 和彦君

      輿水 恵一君    桝屋 敬悟君

      中島 克仁君    井坂 信彦君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局長)       宮島 守男君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中垣 英明君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      伊藤宗太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房技術総括審議官)       三浦 公嗣君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐藤 敏信君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  原  勝則君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     八木 哲也君

  大久保三代君     宮崎 政久君

  金子 恵美君     細田 健一君

同日

 辞任         補欠選任

  細田 健一君     金子 恵美君

  宮崎 政久君     大久保三代君

  八木 哲也君     神山 佐市君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     赤枝 恒雄君

同月四日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     助田 重義君

  大久保三代君     清水 誠一君

  新谷 正義君     吉川  赳君

  田中 英之君     山本ともひろ君

  田畑 裕明君     今野 智博君

  村井 英樹君     宮崎 謙介君

  足立 康史君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     中谷 真一君

  清水 誠一君     牧島かれん君

  助田 重義君     末吉 光徳君

  宮崎 謙介君     村井 英樹君

  山本ともひろ君    田中 英之君

  吉川  赳君     新谷 正義君

  伊東 信久君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  末吉 光徳君     御法川信英君

  中谷 真一君     田畑 裕明君

  牧島かれん君     桜井  宏君

同日

 辞任         補欠選任

  桜井  宏君     大久保三代君

  御法川信英君     あべ 俊子君

同日

 理事あべ俊子君同日理事辞任につき、その補欠として松本純君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事あべ俊子君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に松本純君を指名いたします。

     ――――◇―――――

後藤委員長 内閣提出、独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房行政改革推進本部事務局長宮島守男君、内閣審議官中垣英明君、文部科学省科学技術・学術政策局次長伊藤宗太郎君、厚生労働省大臣官房技術総括審議官三浦公嗣君、医政局長原徳壽君、健康局長佐藤敏信君、老健局長原勝則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。民主党の柚木道義でございます。

 きょうは、いわゆる日本版NIH法案、と言うには大分、予算、人員等も縮小されているわけですが、この法案審議、そしてそのため、関連して、お忙しい中、加藤内閣官房副長官、そしてまた冨岡文部科学大臣政務官とそれぞれお越しをいただいておりまして、ありがとうございます。とりわけ官房副長官、なるべく早目に質問して、途中、終わったら退席をしていただけるようにと思いますので、よろしくお願いします。

 あと、参考人、ちょっと入っていますけれども、答弁はお願いをしておりませんので、あくまでも参考人という形でお願いをいたします。

 今回、この独立行政法人医薬基盤研究所法の改正案の質疑をさせていただくわけですが、きょうは、あわせて、資料にもおつけをしておりますが、STAP細胞の件で、非常に今、理化研のというよりは、日本全体の臨床研究、研究の質のあり方そのものが問われているという事態にもなっております。

 また、けさの朝刊全紙に出ていたと思いますが、ノバルティスファーマ社が、製薬企業におけるやはりガバナンス、責任、そういった点も問われてまいりますし、今回の法案とそれぞれ共通する部分もあると思うので、関連して質問をさせていただくわけです。

 共通するという部分について言えば、やはり命にかかわる、健康にかかわる部分、そしてまた研究ということで言えば、まさに、病気、難病、人類の本当に未来への希望を生み出していく、そういった可能性がある一方で、こういった研究事業には公金、まさに税金も使われるということも含めて、きょうの質問の中では、製薬企業、あるいは研究教育機関である大学、大学病院、そしてまた研究者、それぞれの責務、責任、自律性、公正性などについて、これはそれぞれ、そういった視点の中から質問をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、資料の一枚目におつけをしておりますが、STAP細胞の、今の理化研における最終報告、研究所内の調査委員会による最終報告、私もきのう、ある意味、夜を徹して全部読みました。この問題というのは、理化研にかかわらず、本当に今後の日本の若手研究者の育成、そして臨床研究、あるいは研究全体の製品化に至るまでの未来にかかわる問題ですので、今回の改正案とも非常に私は関係すると思って、まず冒頭、質問をさせていただきます。

 この理研における成果、研究について、今後、再現のための実験等がどういう形で、これから一年かけて、そして、四カ月後には中間報告が出されるということでありますが、私自身も大変これは危惧をしております。

 同時に、今般の報道を見ると、小保方晴子さんがユニットリーダーで研究をされてきたわけですが、いささか個人攻撃といいますか、そういった点に過ぎる嫌いもあるのではないか、率直に言ってそういった印象も持っております。

 他方で、研究機関としての理化研が、ともすれば、私、この報告書を読んで率直な心証は、ある意味では個人に責任を負わせるといいますか、もちろん、研究者としての自律性、公平性は非常に重要ではありますが、個人にだけ責任を負わせることで、本当にこれで組織としての理化研の責務を全うすることになるのかどうなのか、疑問もあるわけでございます。

 今後の若手研究者、これはもちろん理化研の中だけではなくて、全国でそういった研究に邁進をしておられる研究者をどのようにして育成していくのか、そういった点についての方針を、まさに日本学術会議や、あるいは報告書の中に出てくる関係する学会からの提言にも出てきますが、今回の件への対応が、今後の逆に模範となるような対応をしていただくことが必要で、今回、成果として世界じゅうに発表している以上は、最後まで研究の中身についてもフォローアップをしていただきたいと思うわけでございます。

 したがいまして、単に改ざん、捏造、不正といったことで片づけるのではなくて、今後、ある意味では予算も理研の中で自前で確保いただいて、じっくりと時間をかけて、その再現性についても追求をしていただきたいと思うところでございます。

 仮に、その成果が十分でない研究だったとするならば、逆に、何が問題だったのかというものを明らかにした上で、しっかりとした結論を見出していただきたいと思うわけでございます。そうでなければ、本当の意味での責任を果たしたということになり得ないというふうに思うわけでございます。

 ここで、文部科学大臣政務官、きょうお越しをいただいておりまして、お伺いをしますが、今回、そういう意味では、理化研内における調査委員会の最終報告書が出ているわけでございますが、日本発の研究が高い自律性、精神性の中で守られていくことを示すためにも、理研においては、この研究のてんまつについて、科学的かつ精緻に結果を示すことで責任をとっていただきたいと思うわけでございますが、大臣政務官のお考えをお伺いしたいと思います。

冨岡大臣政務官 柚木委員の質問にお答え申し上げます。

 委員におかれましては、この研究不正について、以前より非常に取り組みをされておられます。ありがとうございます。

 今般のSTAP細胞の論文その他につきまして、本件の背景には、研究者個人の責任だけではなく、研究のチェック機構が機能しなかったことや、データ管理、研究の立案から実施、発表に至るプロセスが適切に管理されなかったことなど、複合的な要因が存在すると考えております。理化学研究所として、研究不正の再発防止策を策定し、積極的に推進することが必要と認識しております。

 また、理化学研究所においても、本件を重く受けとめ、野依理事長を本部長とする改革推進本部を立ち上げるとともに、外部有識者から成る第三者委員会を立ち上げ、研究不正や過失の防止に係る規程や運用の改善、若手研究者が最大限に能力を発揮できる体制の整備等、再発防止のための必要な対策を早急に取りまとめていると聞いております。

 文部科学省といたしましても、理化学研究所において可能な限り早期に、かつ厳正に再発防止のために必要な対策がとられるよう、求めてまいりたいと思っております。

柚木委員 ありがとうございます。

 今回、この理化研における研究論文の疑義に関する調査委員会の調査報告書でございますが、これは日本学術会議の会長名でもこういった声明が出されております。調査に当たっては、「特に調査の中立性の観点から、委員長は外部の方に依頼することが望ましい」と。一義的に内部の中で第三者も入れて調査報告書が策定されているわけですが、今後、この調査報告書自体のそういう意味での客観性についても、私は、検証、評価する必要があるということは申し上げておきたいと思います。

 その上で、田村大臣に、ごめんなさい、事前通告をちょっとしていなかったんですが、余りにもノバルティスの件、私も非常に危惧をしておりまして、答えていただける範囲で少し質問させていただきたいと思うんです。

 といいますのは、けさ、それぞれ、新聞全紙出ております。今回の問題はさまざまな問題をはらんでおりまして、薬事法違反であったり、個人情報保護法違反、あるいは公正競争規約への違反などなど、今回、日本法人の社長が辞任をして、そして、今後、製薬会社が大学や研究者に資金を直接拠出するのではなくて、第三者機関に集めて再分配する公的制度の創設を学術会議が提案したりしていて、これは後ほど官房副長官に関連してお尋ねします。

 私、田村大臣にお伺いをしたいのは、こういった事態が発生をしている中で、冒頭申し上げましたように、そういう意味では、製薬企業の責任、そして研究教育機関、研究者、それぞれの責任があるわけですが、まずは、製薬企業において今こういった状況が起こっている中で、業界でもなれ合い防止のための業界自主ルールを策定するというようなことも報道されております。厚生労働省として、この事態を受けて法規制の検討などもされているということでございますが、答えられる範囲で、今後、こういった事態を受けてどういった対応をお考えなのか、大臣、御答弁いただけますか。

田村国務大臣 今般のノバルティス社の問題、この前のディオバンの問題もあったわけでありますが、そのときに、深く反省をいただき、臨床研究には社員は直接タッチさせないというお話であったにもかかわらず、患者の方々のアンケートデータを、本来はファクスで研究機関に関係病院から送るという話だったのをみずからが運んでいった。その時点で患者情報がノバルティス社の方に知られる話になってしまったわけでありますね。個人情報保護の問題があると思います。

 それから、副反応があったにもかかわらず、それをちゃんと報告してこられない。これは薬事法の違反の疑いがあるわけであります。

 さらには、かかわらないと言ったのにかかわっておる。どうも事務局機能を代行しているようなことをやっておられる。本来は研究者が送るメールまで、内容をつくった上で研究者に確認をとってはおったようでありますが、そのメールをそのまま社員が送っておる。もう言語道断でありまして、さらに申し上げれば、それを隠蔽しようとした。もう話にならないわけであります。

 企業として、社長を初め日本法人の三名の方を入れかえるという話でありますが、そんなことだけで事済む話ではございません。非常に悪質だというふうに思います。

 この報告書は第三者が入っての報告書というふうにお聞きしておりますので、これは今我々も中身をいろいろと分析しておりますが、違反があるようなところがあれば、それは適切に、行政処分も含めて対応してまいりたいというふうに思います。

 これが今回のタシグナの件でありますけれども、ではどうするかということは、ちょうど、ノバルティスファーマ社、例のディオバンの件のときに、検討会を立ち上げて御提言をいただいております。もちろん、研究の質もありますが、被験者の保護という観点、それから、何よりもやはり透明性の問題というものは大変大きいわけでございまして、そういうことも含めて御提言をいただいております。

 これをもとに、今、倫理指針の方を見直しておりますが、それだけで足らない可能性もございますので、四月に、法整備を含めた検討会を立ち上げます。法整備をするのかしないのか、するのならば、どのような部分にどのような形の必要性があるのかということも含めて、これを秋までに結論を出させていただいて、その結論をもとに適切な対応をさせていただきたい、このように思っております。

柚木委員 済みません、通告をしないのに、かなり丁寧かつ詳細な御答弁をいただきまして、こういった報道が出た翌日にこういった形の答弁をいただいているというのは非常に誠実な対応だと思います。

 今ちょうど透明性の部分で御答弁もいただいたわけですが、きょう、加藤官房副長官、お忙しい中お越しをいただいておりまして、ありがとうございます。二問まとめて質問をさせていただいた上で、質問が終わりましたら退室をいただければと思います。

 資料の方におつけをしております三ページ目、今回の、いわゆる日本版NIH法案というふうに言われておるわけですが、これは資料を見ていただくと一目瞭然ですが、職員、予算規模等比較を、まあ、単純比較するのがどうかというのはありますが、アメリカのNIHの場合には約一万八千人の職員に対して今回の新独法が約三百人の予定、予算規模、三兆一千億円に対して千二百十五億円ということで三十分の一程度ということでございます。

 そういう意味では、この記事の中に、「関係省庁が抵抗」云々、「成長戦略目玉は不発」と書いてはありますが、実際、私もそういう面は否めないと思う一方で、やはりこういった第一歩を記すことによって、まさに、官房副長官あるいは田村大臣、一緒に勉強会もこの間、前の政権の時代からさせていただいてまいりまして、これが一つの形になるということでございますから、私も前向きなあり方で質疑をさせていただきたいと思います。

 そんな中で、今回、大規模臨床研究を遂行するに当たって、資金的な面はもちろんのこと、臨床研究の知識と経験という面からも、まさに今ノバルティスファーマのこういうものがあるわけですが、他方で、製薬企業からの一定の協力というものもなくしては、ドラッグラグの解消等、まさにこの間我が国が、いわゆるデバイスも含めて、ラグ、ギャップの解消に取り組んできた、そういった部分について、おくれを取り戻すことにもならないという現実もあると思います。

 したがいまして、企業からの支援が全てだめということなのか、そうではなくて、やはり創薬並びに臨床研究のさらなる推進を考えたときに、企業などが研究者を適正に支援できる仕組みを考えることも私は重要だと思います。当然、前提となるのは、研究者の質を高めていくということだとも思います。

 その上でお伺いいたしますが、例えば、研究が特定の製薬企業に偏らないように、大規模臨床研究の中立的運営を推進する公的組織の新設を、これは学術会議も二十七日、国に提言をされているわけですが、私は、こうした多数の企業からの支援金をプールできるようなファンドを今般のこの創薬支援機構内に新設するとか、あるいは何か別の受け皿をつくるとか、そういった方策をぜひ政府におかれましては御検討いただきたいと思いますが、まずこの点について、官房副長官、いかがでしょうか。

加藤内閣官房副長官 柚木委員にお答えさせていただきたいと思います。

 御指摘の点も、日本学術会議からもそういうお話が出ているのは十分承知をしております。

 今回、二十六年度予算においても、二十七年四月一日から日本医療研究開発機構は設立することになっておりますけれども、先立って約一千四百億円のお金を確保いたしまして、施策の充実強化にまず充てていくということでございます。

 また、研究開発、そしてそれをいかに実用化につなげていくか、そうしたことで、今回、健康戦略推進法、そして機構法を出させていただいておりまして、御理解を賜っておるのは心から感謝を申し上げたいと思います。

 その上で、今御指摘の点でありますけれども、創薬臨床研究を推進するために民間資金を大いに活用していくこと、適正に活用していくということは、大変重要な視点だというふうには思います。今御提案のあったように、例えば民間の資金を原資として機構に基金をつくって、機構がそれを配分するということについて、今回提案させていただいた法律上、決して不可能だということではないと思います。

 しかしながら、今そうしたコンセンサスが製薬会社を含めてできているのか。また、それをやろうとすれば、当然、人材、体制が必要になってまいります。今回は、そこまでの体制あるいは構想を持っているわけではございません。

柚木委員 丁寧な御答弁をいただいたと思います。ぜひ、法律上は不可能ではない、あるいは、人材、体制、コンセンサスの部分、そして、今回はというような、そういう意味では、非常に今後の議論の余地についても含む御答弁であると思うんですね。

 そういう意味では、まさに本家アメリカのNIHが臨床研究と創薬を一体に推進しているということを鑑みれば、我が国の今般の新独法において一体的な運用がなされるような、今後、受け皿、体制整備についてぜひ御検討いただきたいと私は思うわけですが、そういう意味では、ちょっと検討の可能性という部分についてもう一言、もし御答弁いただけるようであれば。どうですか、副長官。

加藤内閣官房副長官 いずれにいたしましても、今回の法律をお願いしておりまして、まずそれをしっかりやっていくところからやらせていただきたいというふうに思います。

柚木委員 ぜひ、この記事にあるような「司令塔構想尻すぼみ」ということにならずに、逆に、どんどん末広がりでこの組織が発展していく形で、ぜひ本家に少しでも追いついていくような、そういった組織の運営、運用をお願いしておきたいと思います。

 もう一点伺います。副長官にはこれが最後になります。

 今回の基盤研の創薬支援機能が移管される日本医療研究開発機構でございますが、この研究支援が結実をし、市場性のある新規物質が開発されたとして、その成果が例えば海外拠点に移転してしまったりすると、公金、巨額のまさに税金を投入して育んだ日本発の創薬による付加価値が、海外に流出をするというおそれもあるわけでございます。

 知的財産権ももちろんなわけでございますけれども、支援を受けてきた研究者自体の海外流出なども大きな問題となり得ると思っておりまして、こういったリスク、懸念を排除するための方策というものは、政府の中でお考えいただけているんでしょうか。副長官、いかがでしょうか。

加藤内閣官房副長官 御指摘のとおり、研究開発をする、実用化をする、そしてやはりその先に我が国の経済の成長をつなげていくというのが今回の目的でございます。

 そういう中で、御指摘の特許取得を含めた知的財産管理、これは大変重要な課題だと思っております。今回の日本医療研究開発機構では、研究プロジェクトごとに専門家による知的財産戦略というものを策定していく、あるいは、特許等の知的財産権の取得、管理、こういったことを支援することによって、基礎段階から実用化まで含めて一貫した体制をとっていきたいというふうに思っております。

 そういうことを通じて、先ほど申し上げましたように、医療分野における産業競争力の向上、強化にしっかり貢献していけるようにしていきたいと思っております。

柚木委員 ありがとうございます。

 この分野にかかわらず、そういう意味では、我が国の知財、人材の流出というのは、この間も報道等もあって懸念をされておるところですので、ぜひしっかりしたお取り組みをお願い申し上げまして、済みません、お忙しいところ官房副長官にお越しをいただき、また、きょうは同郷でもある加藤先生にこういった形で質問させていただいて、お礼を申し上げまして、副長官、ここで御退席いただいて結構です。ありがとうございました。

 質問の方を続けさせていただきます。

 文部科学大臣政務官にお越しをいただいておりまして、冒頭お伺いをしております今回のSTAP細胞の件。きょうは、聞くところによれば、内閣委員会の方でiPS細胞の山中先生も参考人でお越しをいただいているということで、このSTAPの件について何らかの見解を述べておられるのかもしれません。

 私、ぜひ今回伺いたいのは、当該教育機関といいますか、今回、当該大学といえば早稲田大学あるいは東京女子医科大学になるわけですが、個別の大学について殊さら非難をするというつもりは毛頭ないんですが、やはり個人の責務と同時に研究教育機関である大学の対応についても、私は今回しっかり検証することが必要だと思うんですね。

 例えば、今回非常に問題になっている、いわゆる学位論文のコピペ問題、コピー・アンド・ペースト、この問題でありますが、私の問題意識は、学位剥奪とか研究者個人の責任が問われるとする場合に、同時に、学位の授与プロセスに関与した大学、そしてまた指導教員、こういった方々の指導監督責任も問われることでないとフェアではないというふうに私は考えます。

 そもそも、大学院の博士後期課程というのは、私もいろいろ関係者に、関係者というのはそういうものを持っている人間に聞きました。そうすると、まさにそういった学位取得を目的に学生が入学をしてきて、そして教育機関である大学院あるいは指導教員は、学生に対して真摯に研究指導する、これは当たり前でございます。こうした研究指導に対して学生は対価として授業料を払っているということでございますので、まさに大学として、学生に学位を取得できるような研究環境と指導を享受できる環境を提供する義務があるということなんだと私は理解をします。

 ですから、今回、個別の事例で大変恐縮ではありますけれども、このいわゆるコピペ問題というものを考えるときに、少なくとも当該大学において、指導教官あるいは大学が、学生が執筆した博士論文のコピペ部分に関する点への指導が十分になされたのかどうなのかという点などについても、検証される必要があると思うんですね。

 私自身も、私は学部で四年間で卒論、心理学・社会心理学でして、統計とかまさにそういうことも指導を受けながら、引用論文についての記述の仕方だとか指導を受けながら卒論を書いた記憶があります。当然、そういうことは一定程度なされているんだと思いますが、しかし、本当にそういったことが今回きっちりと行われていたのかどうなのか、そういったところもやはり検証する必要があると思うんです。

 学位取得者に聞くところ、やはり通常は、指導教授より学位論文の執筆を許されるのを待ってから博士論文の執筆に取りかかるということでございまして、これは学生が提出した文章にばあっといっぱい赤ペンで添削が入るというようなことになるわけでございます。今回の事例では、いわゆるバックグラウンド部分にコピペされていたということでありますが、仮に指導教官がそこに十分な指導をしていないということであれば、これは指導教官あるいは指導体制というものが十分に果たされていなかったという側面もあるのではないかと思うわけでございます。

 ぜひ、これはそういう意味では、当時の学生個人の学位剥奪ということだけで済む問題ではないと思うわけでございまして、まさに当該大学、早稲田といえば私学の雄でもございます。こういったことを考えれば、なおさら、その出身の方がおられたら恐縮ですが、大学としての責任、これも十分に果たしていただくことについての検証も含めて、しっかりと考えていただくことが必要であると思います。

 そこで、大臣政務官、今般こういうような事案がある中で、これは当該大学だけに限らないんですよ、あるいは当該者だけではなくて、そういった研究論文を書いて博士号を取る全ての方々に対しても、私はしっかりと、とりわけ今回の当該大学において十全な指導がなされていたかどうかを検証する必要があるのではないかと思うんですが、こういった点について、今、大学内での調査も行われているようですから、今後、それを受けてどういった指導をされるお考えがあるのか。

 それからもう一点、少なくとも、こういった大学に国費の中から補助金、支援金が支払われているというのも事実でございまして、今般消費税も上がって、国民の皆さんからしてみれば負担が本当に増大をしていく中で、やはり当該教育機関における教育の質の向上、こういった点がしっかりと確認されるまで、場合によっては国費からの支援を再検討するぐらいの危機感を持って、所管の文部科学省としても臨んでいただくことが必要かと思いますが、政務官としての御答弁をお願いします。

冨岡大臣政務官 委員おっしゃられるように、これは個人の問題というよりも、大学の組織のあり方の問題も問われているかと思います。

 したがいまして、文部科学省としては、これまでも、不正により博士論文の取り消しが報告された場合には、当該大学に対して、厳正な研究指導及び学位審査体制等の確立や研究倫理教育の実施など、再発防止の徹底を指導してきたところであります。

 今回の早稲田大学からは、小保方氏の博士論文とともに、指導体制及び審査過程に関する問題点を検証するため、外部の有識者を委員長とする調査委員会を立ち上げ、問題の解明を進めているところであります。

 また、研究費の問題等につきましては、現行のガイドラインでは、競争的資金の配分を受けている研究活動において不正行為や研究費の不正使用を行ったと認定された研究者に対しては、平成十七年度に策定された競争的資金の適正な執行に関する指針に基づき、不正の程度等に応じて、競争的資金の返還や、その他の競争的資金も含めた応募制限等の措置を講じることとしているところであります。

 したがいまして、今回の調査結果を見て対応を考えていくことになるかと思います。

柚木委員 ありがとうございます。

 これは、当該大学にしても、あるいは理化学研究所にしても、その研究者や学生個人の責務への自覚等も当然必要ですし、他方で、組織として、しっかりとした検証なくして本当の意味での再発防止にもつながりませんし、今後の、まさに若手研究者、非常に厳しい現実、現状、それこそ、山中先生もそういったお話をこれまでにもされてこられています。そういったことも考えるときに、やはり、当該教育機関あるいは研究所そのもののガバナンス、責務、こういったものをしっかりと検証いただく中で、先ほどの倫理規程の見直し等々につなげていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 それで、田村大臣、先ほど法制度の点をちょっとお答えいただいたので、この法案の中での臨床研究の質の担保についてということで、続けて大臣政務官の方に、ディオバン問題に関連してお伺いをしたいと思います。

 今回の報道の中で、製薬企業の誇大広告というか、そういった点についての扱いが大きくなっているわけでございますが、私は、他方で、問題の本質というのは、研究者自体が、学問の自由というか自律というか、まさにプライド、尊厳、そういった部分まで含めて、本当の意味でその自律性が発揮をされていなかったことが、一つ問題点としてあると思うんですね。

 例えば、いろいろな支援、経済的な援助を受けたとしても、研究者や研究機関が学問に対して本当に真摯に、誠実に向き合う姿勢があるとするならば、こういった事態にならなかった面もあると思うんですね。ですから、今回の問題でいいますと、やはり、大学や研究者自体が研究に真摯に向き合う姿勢、そういったものをしっかりと持っていただくことが重要で、まさに倫理規程の見直し等も含めた対応が必要になってくると思うんです。

 今回、ディオバン問題に関して言いますと、当該大学が東京慈恵会医科大学、これは附属病院をたくさん持たれていて、大規模臨床研究を実施するに非常に環境も整っている、こういったところであるというふうに承知をしておりますが、厚生労働省の調査では、大学の教員は、研究、臨床、教育と忙しくて、生物統計の細かなことに気を配る余裕はない、こういった趣旨の発言をされているということであります。

 これは本当に、研究機関たる大学が、みずからの臨床研究の核心である統計的な解析、これを放棄しているような発言とも受け取れるわけでありまして、本当に真面目にやっている研究者からすれば、医師主導の臨床研究を愚弄していると言わざるを得ないような発言だとも私は認識をしております。

 研究機関である大学においてこういう風潮が蔓延するようなことであっては、それこそ医師主導の臨床研究よりも、ある意味では、厳密なプロトコルによって実施をされます企業主導臨床研究の方が、逆に公平性を保てるのではないか、研究者が主体となって臨床研究を続けていくことが難しくなりかねないのではないか、それぐらいの懸念を持つところでございます。

 あえてお尋ねをしますが、冨岡大臣政務官、けさの今回のノバルティスの報道もありますが、ディオバン問題に関連して、研究者や研究機関自体の責任を問うということをやはり考えることが私は必要だと思うんです。そして、研究者が研究の公正性を担保するために、その倫理観を持つための教育、倫理規程の見直しという御答弁があったんですが、そのそもそもの教育はどうなっているのか、大臣政務官、文科省としての見解をお示しいただけますか。

冨岡大臣政務官 委員おっしゃるように、やはり、私たちも今、研究不正、行為に対する不正と、資金をきちんと使う、そういった不正に対してガイドラインを発表し、また発表する予定にしております。

 その中で、研究活動の不正行為への対応のガイドラインの見直しに係る具体的な検討を進めているんですが、新たなガイドラインでは、不正行為への対応は、研究者みずからの規律や、研究機関、研究者コミュニティーの自律に基づく自浄作用に基づくものであるとの基本認識を踏襲しております。

 これまで個々の研究者の自己責任のみに委ねられている面が強かったことも踏まえ、今後は、研究機関、もちろん個人のそういった自浄能力も大事ですけれども、責任を持ってこの問題に取り組むよう求めていく方針であります。

 ありがとうございました。

柚木委員 時間で、最後の質問を短くさせてください。

 今回、こういう事例も起こっておりますから、非常に利益相反の部分があるんですが、やはり、臨床研究中核病院とか、早期、探索的なそういう機関とか、そういった研究機能を支援していくという意味においては、私は、臨床研究について、例えば企業等からのいわゆる単純な事務作業等の労務提供まで否定するということであれば、逆に事務局機能を運営する経費について評価をする必要があるというふうに思うんですね。

 田村大臣、例えば臨床研究中核病院等において、五年間で計画を出させて、毎年検証して、単年度ごとに予算をつけていくというようなプロセスも聞いておりまして、ぜひ、事務局機能を運営する経費についても、そういったプロセスの中で御評価をいただきたいと思うわけでございます。

 あわせて、最後に、冨岡大臣政務官も、こういった点について指定を受ける国立大学であっても、事務局の人員を確保するということが可能なのかどうなのか、それぞれ、済みません、最後に、短くでいいので御答弁をお願いできますか。

冨岡大臣政務官 そういう予算があれば、今まで民間が丸抱えで研究をしてきたわけなんですけれども、そこに問題があったというなら、個人的には、それを防ぐためにも、プールをしたり、予算づけをできる範囲内でやりたい、そのように考えております。

田村国務大臣 臨床研究中核病院でありますとか、早期、探索型の臨床試験拠点というところは、本来それぐらいのことをやってもらわないと困る話であって、だから指定しているんですよね。

 ただ、ほかの部分は、今、五年かけて臨床研究中核病院は整備していこうということで、これはいろいろな意味で我々も支援していきますが、少なくとも事務局的な役割ぐらいはやれなかったら、我々も指定しているんですから。ちゃんとやれるところを指定しているんですからね、やれないところを指定してやれるようにしようというんじゃないですよ。やれるだろうと思って、いいところを指定させていただいているので。

 いろいろな研究班はあると思いますよ、それは一つの病院の中においても、大学の中においても。だから、そこはやはりある程度、研究者も自覚を持っていただきたいというふうに思います。

 支援しなければいけないところはしっかりと支援してまいりたいと思います。

柚木委員 以上で終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 まず、この国会審議なんですけれども、例えば今からの三十分間のやりとり、これは、大臣と私との対談とかではないですよね。対談とかではない。もちろん、議員の質問、発言も責任あるものでなくてはならない、大臣の御答弁、御発言も責任あるものでなくてはならない。そこに、うそがあってはならないし、ごまかしがあってはならないし、虚偽があっては当然いけないということであります。

 このあたりのところは通告をしておりませんけれども、裁判でいえば確定判決あるいは過去の判例、こういったものを参考にしながらいろいろと社会のあり方がつくられていくということで、この国会の委員会の答弁も、大臣の答弁も、その後の政府あるいは厚労省の行政を方向づけていく、あるいは大臣の答弁によって制約を受けていく、拘束されていくというようなことがあろうかと思います。

 そういった意味のあるものでなければ、お互いに責任を持ったものでなければ、この質疑はやっている意味がそれこそないということになってしまいますが、大臣、もし、大臣が御答弁でうそをついたということになったら、大臣はどういう責任をとるということになるわけですか、うそをつかれたら。

田村国務大臣 言ったことが結果的に違っていくというのは、それぞれいろいろな状況がありますから、それはそういうこともあるんだろうと思います。少なくとも、確信的に人をだまそうというようなうそをつくというのは、これは行政の長としては無責任だというふうに認識いたします。

中根(康)委員 この委員会質疑を意味のあるものにしていくための前提の確認なんですけれども、やはり、うそを言ったら、それはもう最低限、意図的なうそであれば大臣の職をやめなければならないし、結果的にそのようになっていくかどうかわからないけれども、しかし、かなりそういうおそれがあるということの中において、質疑者側が指摘をしたことに対して、そんなことないでしょうというようなことを言ったりするということも、結果的なうそというか、誠意ある答弁ではないということになってしまうわけなんですが。

 つまりは、後で山井議員から詳しく具体的なことについては質問があると思いますけれども、私も、けさの朝日新聞を見てびっくりして、慌てて、配付資料にはできなかったものですから、もちろん通告もできなかったものですから、切り抜いてこんな形で持ってきて、きょう仲間の、先輩の議員といろいろ見解を交わそうと思っていたところなんですけれども、そこへちょうど、この後、山井議員が取り上げて質問をされるということでありますので、詳細はそちらにお任せをいたしますけれども、生活保護をめぐることについては、かなりうそに近いものがあるような気がいたしております。

 そもそも、生活扶助の基準を切り下げるために、厚労省は、ふだん、普通は総務省が使っている消費者物価指数、CPIを使うのに、あえてそこで厚労省版の生活保護CPIみたいなものを編み出して、六百七十億円でしたか、三年間で生活保護の水準を切り下げていくというようなことを無理やりやろうとしているというところから始まって、この間も、生活保護の申請についての省令のことについてパブコメをとった、そのときに示されていたものは国会答弁を全く反映していない、無視した内容になっていて、各方面からの指摘によってやっとそれを修正するということになるようでありますけれども。

 申請については、書類を同時に提出しなければいけないということなのかどうなのかという議論の中で、口頭でもいいというように、国会審議の中でそういう御答弁をいただいておったわけでありますので、その御答弁が反映された省令案が示されなければならなかったのに、全くそれが反映されていなかった、これが二つ目。

 そして、けさの新聞が三つ目です。就学援助や保育料に生活保護水準の切り下げがはね返ってしまうんじゃないか、あるいは、住民税非課税基準にはね返って、そのことがさまざまな支援対象者を減らすということにつながってしまうんじゃないかということを、もう我々は一年前から指摘をしていたにもかかわらず、そのときから大臣は、いや、絶対にそんなことはさせませんというような趣旨の御発言や御答弁をされていたはずではありませんか。

 ですから、そういったことが、今言った、少なくとも三つありますよね。怪しげなCPIをつくり出したこと。それから二つ目は、省令に全くこの国会での質疑、やりとりが反映されなかったということ。三つ目が、就学援助、保育料の基準にやはりはね返ってしまったのではないかということ。

 これは、この一年間の国会質疑は何の意味があったのかということになりますので、大臣の答弁はやはり責任あるものであるということを改めて約束してもらわなければ、この後の質問はできないということになってしまいますので、大臣、大臣の御答弁の意味合い、大臣の御発言の意味合いというものをここで確認させてください。(発言する者あり)

田村国務大臣 山井委員のひとり言は、ここに座っておってもよく聞こえてまいりますが。

 CPIに関して不誠実というのは、ちょっとそれは我々とは認識が違いますから。あのCPIはあのCPIで、我々はこれを使うべきであるという中において使ったわけでありますから、決して、だまそうと思ってあのCPIを使ったわけではございません。

 それから、二番目の件に関しましては、省令に関しましては、委員会の基本的な御趣旨はあの中に入れてあるという認識のもとでもございますが、ただ、あれは案でございまして、そういうこともありますから、もっと、これではだめだという御意見もあるであろうというのでパブコメをさせていただいて、パブコメをいただいた上で、それを分析させていただいて省令をつくるわけであります。

 今、そのパブコメをいただいて、今委員が言われたような御懸念の件もたくさんいただいておりますので、その意見も反映させていただいたような省令をこれからつくって出させていただくということでございますので、これは決して不誠実という問題ではない。不誠実ならばパブコメもしないでしょうから。パブコメをやるんですから、やった上でそれを集計させていただいて、中身をどうするかということは、これからつくるわけでございますので、そこは御理解をいただきたいというふうに思います。

 三番目でありますけれども、私は、下村大臣がおっしゃった後、こう申し上げたんだというふうに認識いたしております。

 同じ就学援助でも、国がちゃんとお金を出している部分、これに関しましては変えないということで、文科省の方でその基準はしっかりと示していただいておる。ただ、地方単独事業に関しては、我々としてはお願いをするけれども、たしか山井先生でしたか、そのときに詰められたんだと思うんですね、地方がこれは最終的に決めるんだろう、国がこうやって命令してそれで決められるのかとおっしゃられたので、それはそのとおりですと。地方がいろいろな諸事情を勘案して御判断をいただくものだとは思いますけれども、ただ、我々としては、丁寧に御説明をさせていただいてお願いをしてまいりますというような、ここに一言一句あるわけではございませんので正確かどうかは別にいたしまして、そのような趣旨の御答弁を私はさせていただいたというふうに思います。

 初めから、だまそうというふうな思いで、そんなことを私は申し上げたつもりはございません。結果的に違うということは、それはあるかもわかりません。私が今まで申し上げてきた中においても、いろいろなものがあるかもわかりません。もしくは、間違えて言ったということはあるかもわかりません、勘違いで。その場合には訂正を、その後の議事録の訂正なんかでさせていただいている部分はあると思いますが、もとから、山井先生でありますとか中根先生をだまそうなどとして申し上げたというのは、今まで中根先生とも長いおつき合いでございますので、御理解いただけるというふうに思います。

中根(康)委員 就学援助や保育料にはね返るんじゃないかということは、再三ここで指摘をさせていただいておったわけで、相当心配があったわけで、これは厚労省としても受けとめていただいておったとするならば、このことは恐れていたわけでありますので、恐れていること、起こり得るのではないかという危機に対して、未然に対策を打っていくということも行政の重要な役割であって、私どもがきちんと、こういうことが起こり得るんじゃないかということを指摘していたわけでありますので、その指摘を全く放置していたということにやはりなってしまうわけです。

 そのときも、確かに、お願いをするというような御発言があったと思います。そのとき我々は、やはりお願いベースじゃだめだよということも言っていたはずでありまして、生活保護基準を切り下げればこういう事態が起こり得る、起こり得るという心配を再三にわたって指摘していて、それを全く放置していて、結果的にこうなってしまったということは、厚労省として罪なきこととは言えないと私は思うんです。

 この後のことは山井議員にお任せいたしますけれども、改めて確認いたしますけれども、大臣のここでの答弁というものは、行政のいろいろなあり方を拘束する、制約するということで考えてよろしいですか。

田村国務大臣 これも議事録がここにないので、正確な表現かどうかはわかりませんが、趣旨として私が申し上げたのは、これは自治事務でありますから、各自治体が御判断をされることであると。

 その中において、それは、もともと各自治体で基準が違うんですよね。全国一律の基準で就学援助の基準があるわけではありません。それぞれの自治体の状況、それは財政状況もあるでありましょうし、その地域の生活水準もあるでありましょうし、いろいろなことを勘案して、各自治体でおつくりになられているわけであります。でありますから、自治体がそれぞれ地方自治の中においてやられる。

 我々が、国がああせいこうせいと言える話ではないわけでありますから、その点は理解をしながら、ただし、今般のことでこういう基準が変わらないようにというお願いは、ちゃんと我々もさせていっていただいたわけであります。

 しかし最後は、自治行為でございますから、最終的に、それぞれいろいろな状況を判断されて、自治体がそのような御決定をされる。我々は、なるべくなるべく変わらないように努力します、私はそういうような答弁をしたというような記憶があります。

 ですから、今般のことは、それぞれの自治体で御判断をなされたことだというふうに思いますが、さらに、我々としては、各自治体に御理解いただけるようにお願いはさせていただきたいというふうに思います。

中根(康)委員 厚労省が自治体にああせいこうせいと命令ができるわけではない。もちろん、その上でここで議論していたわけで、ああせいこうせいと言えないからこそ、こういう生活保護水準の切り下げをしたら、それはおのずとはねてしまいますよということを申し上げていたわけで、そこは、厚労省の動きが一番最初にあって、これは自治体を責めているわけじゃないんです、我々は。

 自治体はやむを得ないんですよ。もう厚労省がそういうことをしてしまえば、自治体はそうせざるを得ないということになってしまうわけでありますので。だから、厚労省が生活保護水準の切り下げを行うということの責任の、事の重大さと、いろいろなところ、それは生活保護分野だけではなく、ほかのいろいろな分野にも影響がありますよという議論をしていたわけであります。

 したがって、当時、生活保護水準の切り下げというものも、本当に切り下げなきゃいけなかったのか、単に自民党さんが選挙の公約で、一割でしたか、何か削減をするということを公約していたから、それを実現するために無理やり生活保護CPIみたいなものを編み出して、六百七十億円削減をするということありきではなかったのか。そのことが、自民党の公約を守ることが、結果的に、自治体にいろいろな影響を及ぼしますよ、あるいは低所得者の方々の生活にいろいろな影響を及ぼしますよというようなことを申し上げていたわけであります。

 やはり震源地は厚労省なわけでありますので、厚労省の責任は重いわけでありまして、自治体が勝手にやっているとか、自治体にお任せしていることだから私たちは知りませんよということでは初めからなかったはずでありまして、これは相当、今回、けさの朝日新聞の朝刊のこの記事については、大臣だってびっくりしたんじゃないですか、これをもし読まれたとしたら。ああ、しまったと思われたんじゃないですか。そういうふうに思います。

 今私は、このことについては後で山井さんにお任せしますが、要するに、大臣の御答弁の重みというものをしっかり確認しなければこの委員会質疑というものが形骸化してしまうので、そのことを確認させていただいておるので、最後に、大臣、改めて御発言があれば。

田村国務大臣 お願いをさせていただく中において、これはどれぐらいというのは文科省が最終的には調査されると思いますけれども、変えられていない自治体も多くあるわけですよね。その中で、変えられたというところに関しては、それぞれの自治体の御判断があられたんだと思います。ですから、機械的に全てが変わったという話ではない。こちらのいろいろな依頼、お願いをお聞きいただいて、それを、そのまま我々の意図を御理解いただいた、そういうような自治体もあるということであります。

 それから、生活保護に関しては、民主党政権時代に基準部会を動かして、議論をされて、これをどうするんだということでございます。下げ幅に対してはいろいろな御意見があるのかもわかりませんが、基準が変われば当然いろいろなものにはねるということで、同じようなことは皆様方もされたのであろうなというふうには思います、そうなればですよ。結果がどうなったかというのはわかりませんが。

 しかし、基準部会を動かして、そもそも議論をされておられたのは民主党時代からでございますから、我々はそれを引き継いで、もちろん、我々の政権のもとで最終的には決定した数字でございますから、そこは我々に責任があるわけであります。しかし、生活保護の基準を見直そうというのは、それは民主党時代からのお話でございましたから、そういう意味では、そのころからの一連の連動はあるんだというふうに認識いたしております。

 いずれにいたしましても、我々といたしましては、なるべく影響を与えないということで今までもやってきたわけでございまして、これからもその方針のもとで各自治体にはお願いをさせていただくということであります。

中根(康)委員 民主党の生活保護の議論、今全てを思い起こすことはできませんけれども、基準の切り下げ、生活扶助水準の切り下げというようなことまで議論していたかどうか、はっきり覚えていないんです。していなかったような気がする。医療費の適正化とか、そういったものは確かに議論はしていた覚えはありますけれども。

 それと、今、大臣、自治体が機械的にやっているわけではないとおっしゃったんですが、これは機械的にやっているんですよ。厚労省が水準を切り下げたから、これは機械的にやっているんですよ。だから、やれば、機械的にこうなっちゃうんですよ。やはり、わかっていたことなんですよね。わかっていて、当時、いや、それは自治体のことだからということで、責任ある対応を今まで一年の間しなかったというのは、やはり不作為だと思うんですね。

 これはここまでにいたしまして、通告していたものがもうほとんど多分できなくなりますので、ちょっと飛ばして、資料の十から入りたいと思います。

 資料の十は、これはもう全ての議員の皆さんがよくごらんになったことのある資料なんですけれども、医療費助成の対象疾患五十六のリストであります。

 現在、この五十六が難病新法によって三百程度に拡大をされていくということではありますけれども、資料の十一を見ると、潰瘍性大腸炎とかパーキンソン病とか、あるいは、ここには書いてありませんけれども線維筋痛症であるとか、こういう患者数が多い難病、これは、厚労省の今の方針だと、人口の〇・一%以上の患者数がある場合は医療費助成の対象から外すというようなことも検討されていると聞きますけれども、よく言われるように、希少性であるということと難治性であるということがイコールであるということでもない、患者数が多ければ難治性が低いということでもないということでもありますので、〇・一%という線引きが果たして妥当なのかどうなのか。

 あるいはまた、〇・一%以上患者数がいらっしゃれば、製薬会社などにおいて新薬の開発が明らかに進んでいる、あるいは、これから進んでいくというような可能性が高いという確かな証拠というか検証がなされているかということについて、大臣、〇・一%で切り捨てられるというか対象外になる病気があるということに対しての難病患者さんの心配に対して、今の時点でどのようにお答えになられるでしょうか。

赤石大臣政務官 中根委員にお答えいたします。

 難病の医療費助成の対象疾病につきましては、現在国会に提出されております難病の患者に対する医療等に関する法律案において、厚生科学審議会の意見を聞いて決定することとしております。本法案が成立すれば、速やかに厚生科学審議会のもとに審議の場を立ち上げ、難病医療について見識を有する方々に御議論をいただくものと考えております。

 御指摘の疾病が対象になるかどうかについては現時点でまだお答えできませんけれども、平成二十六年度予算の積算根拠には、パーキンソン病及び潰瘍性大腸炎が医療費助成の対象疾患と指定された場合の患者数を含めているところでございます。

 以上です。

中根(康)委員 今の赤石政務官の御答弁は、確認しますと、潰瘍性大腸炎とパーキンソン病は三百の中に入るということでよろしいですか。

赤石大臣政務官 今の私の答えは、これから検討に入るということでございまして、具体的にはまだ、どういうふうになるかはわかっておりません。これから厚生科学審議会のもとに審議の場を立ち上げて、そこで議論させていただく、こういうことでございます。

中根(康)委員 では、改めてちょっと確認しますが、何かの予算の中にはパーキンソン病と潰瘍性大腸炎が含まれた予算を組んでいるということをおっしゃいましたよね。もう一度、済みません、御答弁お願いします。

赤石大臣政務官 これは、二十六年度の予算の積算根拠の中には、パーキンソン病及び潰瘍性大腸炎が医療費助成の対象疾患と指定された場合の患者数を含めているということでございます。予算の範囲の中に含めているということです。

中根(康)委員 改めて確認しますけれども、人口の〇・一%という線引きというものは、これからも維持されるというか、〇・一%という基準は、今現在、厚労省の中であるわけですか、ないんですか。あるんですか、ないんですか。

赤石大臣政務官 現在は〇・一%という根拠があるわけですけれども、この根拠も含めて議論させていただくという御答弁でございます。

中根(康)委員 ということであるならば、先ほども申し上げたように、大変心配をされておられる、外されてしまうのではないかと心配をされておられる、あるいは、これから三百に拡充をされていく中で、当然入ってしかるべきであろうという難病患者の方々が、たまたま人口の〇・一%以上患者数がいらっしゃるということだけをもって対象から外されてしまうという心配は、ないということでよろしいですか。

赤石大臣政務官 それも含めてこれから検討することでございまして、それぞれ疾患別にいろいろな専門家の先生方が御議論して、どういうレンジにするかということを決めることになると思います。

中根(康)委員 それを含めてこれから検討するということは、来週から始まるかもしれない難病新法法案の審議、ここにはそういったものが示されるんですか、示されないんですか。

赤石大臣政務官 これは、法の中にはそういうことは含まれません。法案が通ってから審議会で御議論していただく、このようになっております。

中根(康)委員 ぜひ、大臣のところにも、あるいは副大臣、政務官のところにも、今私が申し述べたような御要望は数多く寄せられておるというふうに思いますので、これは最大限尊重していただく、別に、尊重すると言ったからうそだというようなことは言いませんので、最大限尊重するというような御答弁をここでいただけませんでしょうか。

田村国務大臣 そういう御意見があるということは、我々も十分に把握をいたしております。その上で、今言いましたとおり、一つの中、決められた場合には、予算としては組み込まれているということ、事実はあるわけでありますが、いずれにいたしましても、専門家の方々に御判断をいただかなければならぬことでございますので、公平公正な御判断を厚生科学審議会の中でいただくという中において決定をしてまいりたい、このように考えております。

中根(康)委員 やはり、〇・一%という基準は余り根拠があるとも思えないんですね。一つの目安なのかもしれないけれども、根拠があるとも思えない。

 もう一つだけ、このことについて聞きますが、〇・一%以上あると、製薬会社は、それが一つの利益の目安になって、新薬を開発するメリットがあるというようなことを厚労省さんの御説明で聞いておりますが、やはりこれは、〇・一%以上と〇・一%未満では、実態として、現状として、製薬会社の研究開発は全然違うものなんですか、大臣。

田村国務大臣 それは、物によっても違うでしょうし、なかなか、そうですね、そうじゃないですねとは言いづらい部分があります。

 いずれにいたしましても、何らかの基準という中において〇・一というような基準を今まで設けてきたわけでありまして、それも含めて検討をさせていただくということであります。

中根(康)委員 次の議論に入っていきたいと思いますが、資料十三で、これは読売新聞の記事なんですけれども、前回のこの委員会の質疑でも取り上げましたが、六十五歳以上の介護保険利用者の約八割が認知症の判定を受けていた、これが厚労省の集計で明らかになったというふうに書いてあるんですね。要支援一の方では四三%、要支援二の方では五四%ということになっているわけであります。

 やはり、この認知症対策というものが、介護の分野においてもそうなんですけれども、医療の分野においても、相当これは我が国の課題であって、認知症に対して有効な治療であるとかあるいは薬であるとかが開発をされれば、かなりいろいろな問題が解決をしていくということになるんだろうと思います。

 今回新しくできるいわゆる日本版NIHであるとか、こういったところにおいて、認知症というものがどれぐらい重点を置いて研究開発される対象になるのかどうか。そのことに対して、例えば、厚生労働大臣として田村大臣は、認知症というものを重点分野にしてくれ、ここに研究開発予算をたくさんつけてくれということを言うつもりがあるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

田村国務大臣 二十六年度予算でも、この日本医療研究開発機構にそのまま受け継いでいかれるような九つのプロジェクトを立てておりまして、この中で、脳とこころの健康大国実現プロジェクトというのがあるんですよ。それに入っておるわけでございますので、その中において、それが今度は新しい機構の中に引き継がれる中で、しっかり予算を確保していきたい、このように思っております。

中根(康)委員 次に、資料十四をごらんいただきたいと思いますが、介護者が働く上での主な悩み、不安、不満ということで、介護労働安定センターの調査によるアンケート調査の結果なんですけれども、楕円形の丸が打ってあるところ、左の方の、「人手が足りない」「仕事内容のわりに賃金が低い」、これは、私どもも提案をさせていただいております介護あるいは障害福祉従事者の処遇の改善、つまりは給料の引き上げということで解決をしていく悩みであろう、御不満であろうというふうに思います。

 それから、右の方にある、これはまた介護の法案のときに審議を改めてさせていただきますけれども、丸が打ってある、「利用者に適切なケアができているか不安」あるいは「介護事故で利用者に怪我をさせないか不安」、こういったところは、やはり介護の分野は、専門職が、専門性が必要である、専門的なスキルや知識を持った方が責任を持って行うことが大切であって、必ずしもボランティアの方々がこういった御不満やこういった不安を解消できるわけではないということだろうと思います。

 そして、真ん中あたりにあるのがもう一つの重要な課題であって、「身体的負担が大きい」、腰痛や、体力に不安がある、ここなんですね。ここは、一つの解決方法としては、これは大臣のお好きなテーマだと思うんですけれども、介護ロボット、福祉ロボットというようなところをどんどん開発して、そしてどんどん福祉用具として保険適用していくというようなことにおいて、介護者も、あるいは要介護者も、これは相当な負担の軽減になるんだろうというふうに思います。

 腰痛が職業病だというようにも言われているような中で、やはり腰痛というのは、言葉にすると簡単なんですが、それこそ重要な、本当に腰が痛くなると何もできなくなってしまいますので、ですから、腰痛を防ぐということは相当大切な問題であって、それをロボットで解消できるのであれば、人に優しいロボットを開発することによって解消できるのであれば、これは相当な負担軽減ということになります。

 ですから、この介護ロボットなどの開発というようなことも、いわゆる日本版NIHというようなところで研究していってくださるのかどうかということなんですが、これは、今大臣おっしゃられた九つの対象分野の中にこのロボットは入っていますか、どうですか。

田村国務大臣 九つには入っておりませんが、言われるとおり、介護現場は今、労災が多いんですね。その主な理由はやはり腰痛ということでありまして、そういう意味では、これは介護ロボット、アシストスーツ等々も含めて、この開発というものは必要な分野だというふうに思っております。

 その上で、これは経済産業省がロボット介護機器の開発、そして導入促進ということで事業をやっておりまして、二十六年度も予算を組んでおられます。そして、それは、まさにこの機構の関連予算ということでございますので、二十七年度以降、この日本医療研究開発機構ができれば、この中にしっかりと組み込まれていくということであります。

 なお、この分野に関しましては、やはり経済産業省を中心に、その安全性等々の国際基準、これも日本の基準を大幅に取り入れたものができ上がりつつあるわけでありまして、このようなものも含めて、我が国として情報発信、世界に向けてもしっかりやっていかなければならない、このように思っております。

中根(康)委員 ロボットというと何か冷たいような感じがしますけれども、介護機械、介護機器全般で、やはり日本は世界のトップランナーとして、しっかり日本版の安全基準が国際標準になるようなトップランナーとして、大いに研究開発を進めていただきたいと思いますので、これは期待を申し上げて、あとは山井議員にお譲りをしたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、山井和則君。

山井委員 これから三十五分質問をさせていただきます。

 きょうは医療独法統合法案について質問の準備もしてまいりましたが、非常に残念なことに、きょうの朝刊を見て、先ほどの中根議員の質問にもありましたが、私は大変ショックを受けました。

 配付資料三ページ目にございます。「就学援助 縮小続出」「生活保護に連動 基準下げ九市区」と、「経済的に苦しい家庭の小中学生に学用品費や給食費を補助する「就学援助」を縮小する自治体が相次いでいる。」「横浜市や東京都中野区など少なくとも九市区で、四月から就学援助の対象者を決める所得基準を引き下げ、対象となる子どもが減る見込みであることがわかった。」「来年度には援助を縮小する自治体がさらに増える可能性が高い。」例えば、中野区の場合には、現在三千二百人の利用者が二百人減ると見込むということも出ております。

 中根議員の質問にもありましたけれども、これは大臣、話が違うんじゃないですか。私たち、昨年一年間の厚生労働委員会で、一番心配をしたことの一つがこのことなんです。

 生活保護基準をカットすると、生活保護だけにとどまらない。配付資料のラストにもありますが、長妻議員が、去年の予算委員会、二月七日から指摘をされているわけです。影響を受ける可能性のある制度、就学援助からたくさん並んでおります。幾つはねるかわからない。日本の低所得者支援施策の基準が、この生活保護の基準だったわけですね。そこをさわると、いろいろなところにはねてしまう、だから私たちは反対だということを強く言った。

 それに対して、田村大臣は、例えば私との議事録、次のように答弁されています。ここに議事録がございます。線を引いておきました。「就学援助に対しましては、国としての財政措置は今の基準でしているということでありますから、地方自治体は今の基準の中で対応いただける」「我々の今のこの思いというもの、そして、閣僚懇談会で、そういうところに影響させるべきではないよねというような申し合わせをした」と。

 そして、田村大臣の二月五日の発言、3、「最後に、地方自治体で独自に実施している事業については、地方自治体に対して国の取組を説明の上、その趣旨を理解した上で各自治体において判断していただくよう依頼すること。」

 私たちは、こういうことを言っても、市町村は今までから生活保護と就学援助の基準は連動させている自治体が多いから、下がっちゃいますよ、そういうことはちゃんととめられるんですか、とめられないかもしれないんだったら、こんな不用意なことはやるべきではないと。生活保護を受けずに貧困家庭で頑張っておられる、そういう家庭、その家庭を直撃しているんですよ。

 何回も何回も言ったけれども、田村大臣は、市町村にちゃんと言います、閣僚会議でも申し合わせていますと言ったじゃないですか。

 私が本当に怒っているのは、直撃を受けるのは貧困層、かつ貧困な子供を直撃しているんです。おまけに、四月一日から消費税も上がっているんですよ。さらに、生活保護というのは三年間段階的に下げていくから、ことしだけじゃない、来年、再来年もさらに下がる可能性がある。

 おまけに、長妻議員の資料にもありますように、就学援助は序の口なんです。まだまだ、さまざまな貧困対策、低所得者の支援がどんどんどんどんこれから切られていくんです。

 生活保護のカットと連動して、消費税がアップされるのに、大臣、どうするんですか、この問題。答弁をお願いします、田村大臣。

田村国務大臣 これは、議事録をまず読んでいただきたいですね。「就学援助に対しましては、国としての財政措置は今の基準でしているということでありますから、地方自治体は今の基準の中で対応いただけるであろうということをおっしゃられたというふうに私は思っております。」これは、下村大臣がおっしゃったことに対して私がこうやって言っているんですね。

 では、下村大臣がうそをついたかというと、そうではありませんでして、就学援助というのは二つ種類がありまして、一つは、国庫の補助が入っている事業であります。それに関しては基準は変わっていないわけでありますから、このとおり、言っているとおりなんですね。ですから、ここは、うそをついているわけではありません。

 そして、我々の今のこの思いというものは、そして、閣僚懇談会で、そういうところに影響させるべきではないよねということを申し合わせた、こういう思いを伝える中において、与党の税制調査会や云々、地方に伝えていったということでございますから、地方にお伝えをさせていただいて、多くの自治体がその思いというものを受けとめていただいて、基準は変えておられないというところがあるわけであります。

 ただ、中においては、それぞれの自治体の判断で、先ほども申し上げましたけれども、生活扶助の基準がそのまま全国一律で就学援助の基準になっているわけでありません。それぞれの自治体が生活扶助の基準というものを加工されて使われているわけでありまして、それはばらつきがあります。全国一律ではございません。

 それは、それぞれの自治体が、その地域の生活水準でありますとか、財政状況もあるのかもわかりません、いろいろなものを勘案されて、そういう数値をお決めになられておられる。ここは地方自治でありますから、地方の判断というものはあるわけでありまして、国が何らかの命令を出せない部分が地方単独事業でございますので。

 ですから、我々としては、丁寧に丁寧にお願いをさせていただいたわけでありますし、これからも、文科省と協力をさせていただいて、お願いをしてまいるということでございます。

山井委員 だから、私たちは言ったじゃないですか。閣僚会議で申し合わせたって、厚生労働大臣が言ったって、効力はないからどうするんだと。でも、去年の答弁では、頑張ります、頑張ります、市町村にも趣旨を理解してもらいますと言っていたじゃないですか。

 これは先ほどの中根議員の質問もあったけれども、私たち、単に対談をやっているんじゃないんですよ。貧困家庭を救おうと、党派を超えて今頑張っているんじゃないですか。

 だから、まさか連動することがあってはなりませんよねと言ったら、頑張ります、閣僚懇談会でも申し合わせをしました、そういう話をしましたと。しっかりやってくれるとこっちは期待するじゃないですか。

 田村大臣、これは今からでも遅くはないですよ。改めて、消費税も先日アップしたんだから、何とかやめてください、こういうことはと。去年から閣僚懇談会、閣僚会議でも申し合わせをしているんだから、市区町村の気持ちはわかるけれども、やめてくださいと今からでも言うべきじゃないですか。大臣、いかがですか。

田村国務大臣 各自治体で、子供の貧困対策はそれぞれまたやられておられます。その内容はそれぞれまた違っておると思います。

 それから、きょう、会議を官邸でやりました、総理出席のもとで。これから、この子供の貧困対策、来年度に向かってしっかりと動いていくわけでございますので、こういうことを一つ一つ丁寧に、三省協力しながら動かしてまいりたいというふうに思います。

 そして、今のお話は、先ほど来申し上げておりますとおり、この新聞で拝見させていただく限り、今わかっているのは九市区と書いてありますけれども、多くの自治体では、我々の思いというものを御理解いただいて、協力をいただいておるのであろうというふうに思います。でありますから、我々の思いというものは、それは多くの自治体には伝わったというふうに思います。

 いずれにいたしましても、このような形で、それぞれの事情があるんだとは思いますけれども、地方自治事務の中において、まさに地域主権、皆様方がおっしゃられる地域主権の部分でございます、これは地方単独事業でありますから。

 先ほど言いました基準は、国が補助を出しておるものの就学支援は、これは基準として全国一律でございますので、その対応をしていただいておりますが、地方単独でやられておられるのは、それぞれ自治体によって基準が違うんです。全国一律の基準じゃないんです。その中において御判断をされることでありますが、さらに、我々の思いというものはしっかりとお願いをさせていただきたいというふうに思っております。

山井委員 新たに通知か通達、出すんですか、改めて伝えるということは。こういう実態を踏まえて、新たな通知、通達、出すんですね。答弁してください。

田村国務大臣 一義的には文科省になりますけれども、文科省と話し合いしながら、検討させていただいて、対応させていただきたいと思います。

山井委員 それと、私、ちょっと今の答弁で心配になったのは、多くの自治体は趣旨を理解してくれているということですが、幾つ中幾つは連動させていないんですか。教えてください。

田村国務大臣 ですから、朝日新聞の記事ではと申し上げたんですけれども。

 これは文科省の方でお調べになられるということでございますので、協力して、その情報をもとに、我々としては対応してまいりたいと思います。

山井委員 余りにも無責任ですよ。連動させないようにすると答弁したのはあなたじゃないですか。記事をもとにじゃないでしょう。どういう実態かを一番最初に把握する責任があるのは田村大臣じゃないですか。

 田村大臣、来週水曜日、また理事会があります。それまでに、就学援助、そして、このほかのどれだけの制度に現時点で連動しつつあるのか、早急に調査して、報告してください。大臣。

田村国務大臣 あなたも政務官をやられたからわかると思いますが、それぞれ役所には所掌というのがございます。これは文科省の所掌でございます。この答弁に関しても、文科大臣、文科政務官、副大臣等々が厚労に来たときにも御答弁をされておられるわけでございます。

 ですから、私は、やらないと言っているわけじゃありません。文科省と話し合いをさせていただいて、検討させていただいた上で、これは毎年やっていると思いますので、なるべく早くやっていただくようにはお願いいたしますけれども、その上で出てきた数字をもってして、我々としては対応させていただきたいというふうに申し上げておるわけであります。

山井委員 来週水曜日の理事会に、今の資料要求、就学援助、そして、その他、全国の自治体でどれだけ今回のことで連動しているかの結果を出していただきたいと思います。

後藤委員長 それぞれ、委員会、役所には、調査をする権限というのがあると思います。しかし、理事会で、御要請があったことについてはお話をしたいと思います。

山井委員 なぜ私がこれを言うか。それは市町村の権限だ、文科省の権限だ、わかっていますよ、そのことは。ところが、中根議員からの指摘もあったように、そもそも、この問題の発端は生活保護基準の引き下げなんですよ。だから、私たちが昨年言ったのは、このことをやっちゃうと、厚生労働省で責任の範囲が及ばない自治体や文科省にも飛び火しちゃいますよ、だからそんな無責任なことを厚労省でやっていいんですか、そのことを言ったじゃないですか、あれほど。

 これは、きょうの朝、子ども貧困対策閣僚会議が初めて開かれた。昨年の春に、子ども貧困対策法を超党派で通しました、委員長提案で。そして、一月十七日に子ども貧困対策法が施行されて、やっと、きょうの朝八時から、安倍総理出席のもと、子ども貧困対策閣僚会議が初めて開かれました。私、うれしくて、きょうの夜中、十二時九分、きょうになってからツイッターで流しましたよ。やっとここまで来た、子ども貧困対策法を超党派で通して、これから頑張りますと流しましたよ、私、うれしくて。

 子ども貧困対策法を超党派で、子供貧困をなくそう、子供貧困対策元年だと言って、ここで法案を通したじゃないですか、去年、一年前に。

 私、これは個人的に言っているんじゃないんですよ。子ども貧困対策法案を通したのは、委員長提案ですから。衆議院の厚生労働委員会ですから。その子ども貧困対策法案を衆議院の厚労委員会で一年前に通して、きょう初めて閣僚会議が開かれて、一方では、今後、次々と子供の貧困対策がカットされているということになったら、これはどうなるのか。つまり、厚生労働委員会というのは全く効力がないんですね、もっと言えば、子供貧困対策をやるという法案を通しておいて、政府は子供貧困対策を後退させていっている、国会というのは言ったこととやったことが逆なんですかと。

 この厚生労働委員会、私たちは、貧困な子供を応援しようという思いを党派を超えて持っているんですよ。それで、仲よく超党派で法律を通したわけですから、やはり、通して、子供の貧困対策、進んだねということでないと困るんです。

 田村大臣、これは本当に私、聞きづらい。聞きづらいけれども、今回のこういう件は、就学援助がカットされるとかは、子ども貧困対策法の趣旨に反していると思われませんか。

田村国務大臣 我々としては、なるべく影響が出ないようにお願いをさせていただいておる立場でございまして、そういうような通知等々、お願いをさせていただいておるということは、我々の、政府としての思いがどこにあるかということは御理解をいただけるものであろうと思います。ただ、最終的には、地方の自治事務であります、これは業務でございますから、そのような意味で、地方の御判断というものを我々が無理やり変えるわけにはいかないというのは御理解いただけるところだと思います。

 あわせて、だからこそ、いろいろな部分から子供の貧困対策はやらなきゃならないということでございまして、皆様方がおつくりになられた議員立法、この法律をもとに、きょう閣僚会議をやらせていただきました。それをもとに、これからこれをしっかりと進めてまいる。中心は内閣府ということになりますが、我々厚生労働省も、しっかりとその中で主体的に協力をさせていただきながら対応をさせていただきたいという思いでございまして、子供の貧困対策を進めてまいるということは、これは我々も同じ思いでございます。

山井委員 いや、それは答弁はいいんですけれども、子供の貧困対策を進めてまいりますという答弁と、子供の貧困対策の就学援助をカットするということと、言っていることとやっていることが真逆なんですよ。よくしていく、これはよくなったらいいですよ。今すぐよくしろ、予算をつけろと言っているわけじゃないんですよ。私が問題にしているのは、今より後退しているじゃないですか、おまけに、来年も再来年も、ほかの制度も後退するじゃないですか。となると、子ども貧困対策法を成立させた意味というのは何なんですかということになってくるわけです。

 田村大臣、ここに長妻議員の提出資料がありますが、これはたくさんの制度に連動する危険性があるんです。そして、来年も再来年も段階的に生活保護を下げますから、連動する可能性があります。これは、前のページによると、閣僚申し合わせによると、こう書いてあるんですね。「できる限りその影響が及ばないよう対応することを基本的考え方とする。」できる限り影響が及ばないよう対応、括弧して、就学援助、保育料の免除、児童養護施設等の運営費。

 これは、保育料の免除とか児童養護施設等の運営費等なんかにもまた連動したら、子供の貧困対策にもう真逆ですよ、真逆。私がもたないんじゃなくて、厚生労働委員会が笑われますからね、こんなことになったら。

 こういう保育料の免除とか児童養護施設等への運営費にも連動してカットされる可能性はあるんですか。

田村国務大臣 何度も申し上げておりますけれども、国が決められる基準に関しては、これは変えないということで、変わっていないのであります。

 いろいろなところが、国のいろいろな基準を使っていろいろなことをやられているわけであります、それは独自に。その中で、今言った就学援助等々が、国の基準を使って、生活保護という基準を使ってやられておられるということでありまして、これは各地方が独自に基準をつくられるわけでありますから、国の同じ基準を使っていたとしても同じ基準にならないんです。各自治体によって違うんです、その基準というものは。

 だから、もとの国の基準、何かの指標を使っていたとしても、最終的には各自治体で違う数字になるんですよね。これは御理解いただいていると思います。それが要するに自治事務、つまり、地方の分権といいますか、地方が持っている権限でありますから、その中において決められることでございますので、我々としては、前から申し上げておりますとおり、今回の趣旨を含めてお願いをさせてきていただいたわけでございます。

 そして、多くの自治体がそれを御理解いただいているのであろうというふうに、まだ数字は出てきておりませんから、文科省の方からこの就学援助に関しましてはやがて数字が出てくると思いますけれども、そのとおりしていただかないからといって、この自治体を、我々として何らかの罰則をかけるわけにもいきませんし、それぞれの自治行為として、それは我々としては認めざるを得ないわけであります。

 ですから、お願いをさせていただいておるわけでありまして、再度、また生活扶助の水準は変わってまいりますので、これから変わる場合に、お願いをさらにさせていただいて、影響をさせていただかないようにぜひともお願いをいたしますという我々の思いは伝えさせていただきたい、そして、なるべく御理解をいただけるような努力はしてまいりたい、このように思っております。

山井委員 これは本当に、子供の貧困で、心中事件とかいろいろ、時々非常に痛ましい事件が起こってしまったりするわけですよ。生活保護は受けていないけれども非常に厳しい世帯がこの就学援助を受けておられて、貧困子育て世帯の命綱なんですよね。だから、そこは、文科省の担当だとか何の担当だじゃなくて、厚労省の担当の保育料の免除のこととかもあるわけですから、ここは深刻に受けとめていただかないと、本当に人命にかかわることだと思います。

 とにかく、そのためには一刻も早く実態を把握しないとだめです。

 独法のパネルも用意しましたが、ちょっとそれを後回しにしまして、関連して保育、これも子供のことと関連しているんですが、これは通告しておりますので一気に読み上げます。

 ベビーシッターによる二歳児の死亡事件という痛ましい事件も起こりました。保育の量をふやすことと同時に、質の改善も急務であると考えます。保育に関しては、規制を緩和するのではなく、しっかり質を担保するための規制をしっかり維持する必要があると思うが、大臣の見解はいかがでしょうか。

 この質問に加えて、保育に関して、子ども・子育て会議では、財源として年七千億円しか確保できない場合の案、つまり、深刻な保育士不足にあるにもかかわらず、保育士や幼稚園の教員の二十八年度以降の賃上げ率を、五%だったものを三%に圧縮したり、零歳、一歳、二歳、三歳、四歳、五歳と、職員の人員配置基準の引き上げの予定だったものを、三歳児のみの引き上げに縮小する案も提示されております。しっかり民自公の三党合意に基づいて年一兆円強を確保し、当初の予定どおり五%の賃金アップ、そして、ゼロ、一、二、三、四、五歳児全ての人員配置基準を引き上げるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 御党と我が党と公明党と、三党で議論をしてまいりました。これは一昨年の夏の話でございます。その中で、七千億円、これは消費税を上げたときに七千億円は確保しましょう、あわせて、これは参議院の附帯決議にも入っておりますが、一兆円強何とか努力したいということであったわけであります。

 私も実務者でございましたから、御党の議員の方々とも議論をいたしました。その中に、メニューはもういろいろなものが入っているんです。三歳に関しては、これは議論として入っておりました。四歳、五歳は入っておりませんでした。さらに申し上げれば、保育士の、言うなれば処遇改善、これは御党からは出ておりませんでした。私の方から、それじゃだめですよね、人員も確保しなきゃいけません、これもやりましょうという中において、いろいろな御議論の中で入ってきた。入ってきたというか、これは実は三千億円の中に入っておったわけなんですけれども、それを緊急時対応で早くやらなきゃいけないねというような議論もさせていただく中において、今般、若干ながらではありますけれども、二・八五%引き上げということで、来年度予算の中に盛り込ませていただいております。

 でありますから、これは三党での議論でやってきたわけでありまして、もちろん我々もさらなる質の改善はやっていきたいと思いますけれども、財源がなければできない話でございまして、財源を確保する中で、できるところからしっかり対応をさせていただきたい、このように考えております。

山井委員 非常に後退している心配がありますので、ぜひしっかりこれをやっていただきたい。思いは一緒ですので、質の改善、保育士、幼稚園の教員の方々の賃金引き上げ、ここはぜひ一緒にやりたい。

 また、それに関連して、学童保育も同じ話なんですね。消費税アップが子供たちに本当に還元されるのかと、学童保育の現場の指導員の方々は心配をされておられます。学童保育の指導員さんについても、学校の教員以上に子供と接する時間が多く、その指導員の質の確保、改善のためには、より安定した雇用が欠かせません。一年契約が多く、何年勤務しても賃金が上がらず、学童保育に情熱を持つすばらしい指導員さんも、待遇の悪さが原因で転職せざるを得ないケースも少なくありません。

 そこでお伺いしますが、より安定した高賃金の雇用形態であるべきと田村大臣はお考えになりませんか。また、同時に、学童保育の指導員の質をアップするためにも、賃金は今年度は保育緊急確保事業によりアップしておりますが、来年度も賃金を引き上げるべきと考えるが、いかがでしょうか。賃金が上がる方向であるならば何%ぐらいの引き上げを目指しておられますか。

田村国務大臣 放課後児童クラブでありますけれども、二十六年度予算で、開所時間を延長する、そういうようなところに対しましては、上乗せということでこの賃金上昇分というものを見ておるわけでありまして、これは百五十万円、一人当たりでありますけれども、八時間という中において、これの要するに上乗せ分を見ております。

 その後でありますが、平成二十七年度から消費税導入分があるわけでありまして、〇・七兆円という中において、これはそれぞれの放課後児童クラブの状況によって違いますけれども、例えば常勤職員一名分プラスというようなものを出す、そういう、言うなれば放課後児童クラブ。さらには、先ほど言いましたような、非常勤の方々の処遇改善をするという部分。これは、その状況に応じて、そのような形で引き続き分といたしまして見込んでおるわけでございます。

 一兆円という話になると、それぞれ常勤というような形で今のところ検討をさせていただいておるということでございます。もちろん、勤続年数に応じての加算の実施にまで拡充する方向性も含めて、一兆円の場合は検討させていただきたい、このように考えております。

山井委員 次に、これも子供の貧困についてでありますが、平成二十二年度以降、児童養護施設に入所する両親のいない子供や虐待などの理由で親の監護を受けていない子供にも、それまでは出ていませんでしたが、新たに児童手当などが同額で出ることになりました。

 丸三年が経過しましたが、児童養護施設に入所するこれらの子供たちへの児童手当は、多くの児童養護施設では貯金をされているとも聞いておりますが、どのような使い道になっているでしょうか。厚生労働省の現状把握をお教えください。

 さらに、例えば、十八歳で児童養護施設を退所するときに、積み立てた貯金を子供に渡して、大学や専門学校の進学や就職の支援に活用しているケースも多いと聞いておりますが、サンプル調査でも構わないので、その児童手当や貯金の使い道を調査していただけませんか。そのことにより、この児童手当が児童養護施設の子供の自立にいかに役立っているのか、あるいは、どうすればもっと役立つのかなど、参考になると考えます。いかがでしょうか。

田村国務大臣 この児童養護施設の児童手当の問題でありますが、御党が子ども手当を実施されておったころにいろいろな議論になって、これはその前の児童扶養手当もそうであったわけでありますけれども、親がおられる方は親のところに行ってしまうというような問題があって、それは子ども手当を配るという話の中において、本来子供に行くべきであるのにおかしいよねということでございまして、その後、いろいろな話し合いの中で、では、親がおられても児童養護施設の方に渡そうじゃないかというふうに制度を変えたところでございます。

 これに関して、どう使われているか。銀行等の口座で管理をいただいておるようでございます。今言われたように、退所するときにまとめてお渡しをされたりでありますとか、あと、使い方として我々聞いておりますのは、例えば、自転車を買うでありますとか、入学式、卒業式のブレザーを買うでありますとか、そういうときにまとめて使われたりされておられるようでもございます。

 いずれにいたしましても、我々、退所後のそれぞれの皆さんに対してのいろいろな支援もしなければならないというふうに考えておりますので、これは児童養護施設等と関係団体と御議論をさせていただく中において、どのような使われ方をしておるのか、それも、どのような管理をされておられるか、こういうことも含めて調査をさせていただきたいというふうに考えております。

山井委員 ぜひ調査をお願いします。

 なぜ私がこんなことを言うかというと、先日も児童養護施設に行きました。それで、子供たちの話を聞きました。将来どうするんですかと聞いたら、高校二年生、三年生の子供がどう言うか、将来になかなか夢が持てないと言うんですね。なぜかというとお金がない。自立支援準備金は二十万円ぐらいしかないんです。それだと、専門学校や大学へ行こうと思っても行けないわけですよ。かつ、就職したいと思っても、手持ち二十万円しかなかったら、住むところがないから、寮つきの仕事しか行けないんですよ。職業選択ができないんですよ。

 そういう意味では、この児童手当を、月一万円、十二カ月だったら十二万円、五年間だったら六十万円、それが積み上がったら、専門学校に行けたり大学に行けたり、あるいは、寮つきじゃない、行きたい仕事につける可能性があって、本当に子供の人生にこれはかかわるんです。だから、ぜひ調査をお願いしたいと思っております。

 それで、あともう少ししか時間がないのでちょっと話は戻りますが、田村大臣、率直にお聞きしたいんです。

 私は、田村大臣も、生活保護基準が下がっても就学援助がカットされないように、純粋な思いで真摯に、就学援助のみならずですけれども、厚生労働省関係のことについても地方自治体に省を挙げて働きかけてくださったんだと信じています。でも、頑張ったけれども、残念ながら、市町村は独自の判断で就学援助を切り下げちゃったという現実がきょう明らかになったんですね。田村大臣の率直な感想をお聞かせください。

田村国務大臣 我々はお願いをさせてきていただいたので、結果このような形になったことに対して、それはそれぞれの地方自治体の御判断でございますので、それに対して、我々がいいとか悪いとか口を挟むようなものではないと思います。

 ただ、これからも、我々の趣旨を御理解いただくように、丁寧に御説明、お願いをさせていただきたい、このように思っております。

山井委員 厚生労働大臣として、私は冷たい答弁だなと思います。やはり、子供の貧困というものを解消していく、それは厚生労働省の最大の任務の一つだと思います。消費税も上がっているんですよ。子ども貧困対策法もできて、きょうから閣僚会議をされたんですよ。

 特に、貧困問題で一番深刻なのは、子供には罪はないんですから、貧困に。それに対して、ダブルパンチで就学援助もカットされている。それはあんまりだと思いませんか。かわいそうだと思いませんか。おかしいと思いませんか。こういう記事を見たら、横浜市だってカットしているんだ、うちもカットしようと思う自治体が逆に出てくるかもしれませんよ。

 大臣、一言、やはり厚生労働省の思いとしてはこういう連動はさせてほしくないんだということを言ってください。

田村国務大臣 山井委員、そういう思いをずっと申し上げて、各自治体にお願いをさせてきていただいたわけであります。ですから、思いはまさに同じでございますから、その思いを、さらに丁寧に各自治体にお願いをさせていただき、御理解をいただくように努力をしてまいりたい、このように考えております。

山井委員 一般人なら思いでもいいですが、やはり政治家たるもの、結果責任ですし、何よりも田村大臣は厚生労働行政の責任者なわけです。

 そういう意味では、はっきり言いまして、これは私たちも連帯責任かもしれません。子ども貧困対策法を通したのは私たち厚生労働委員会の議員なわけですから。そういう意味では、これから本当に党派を超えて、今こういう事態に残念ながらなってしまっているわけですから、どうすればこれをもう一回こうでないようにできるのか、さらに広がらないようにできるのか、この厚生労働委員会でもしっかり議論をしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会、伊東信久でございます。私は、研究の話をさせていただいていいですかね。

 厚生労働委員会、久々の質疑でございまして、大変楽しみにしてまいりました。昨日もシミュレーションをしてみましたけれども、二時間半ぐらいになってしまいましたので、きょうはまとめて三十五分でやらせていただきたいと思います。

 私自身、開業医なんですけれども、現在も大阪大学の方で、臨床の医工学融合研究教育センターというところで招聘准教授をやっております。外部から招聘されてその研究機関に身を置いているということと、医工学と言いましたけれども、医学部と工学部が連携した組織でございます。

 私のような民間の人間を招いてもらっているというところに意味がございまして、これはまさに今回の、新しい医薬基盤研究所に関すること、そして、そのベースとなる日本版NIH、もっとさかのぼりますと、アベノミクスの三本目の矢である成長戦略の中に医療のことを入れていこうということで、それを実現させるために、現場では、実際の場ではどうしたらいいのかということを中心に、我々研究者の立場でも質問をさせていただきます。

 質問の方を始めさせていただきたいと思います。

 さて、今回の本法案で講ずる措置の中に、医薬基盤研究所と国立健康・栄養研究所の二つの独立行政法人の経営合理化もありまして、スクラップ・アンド・ビルドの原則でありますけれども、どうしても、残念ながら、数合わせの組織改善ではないかというような、そういった疑念なり批判も出てくるかもしれません。

 でないのであるならば、統合後の政策推進力の強化について、つまり内容に関して、もっと言いますと、きょうのテーマの一つにしたいんですけれども、オーガナイザーはどなたがなるのか、具体的内容をお聞かせください。

赤石大臣政務官 伊東委員にお答えいたします。

 御指摘の、医薬基盤研究所と国立健康・栄養研究所の統合と日本医療研究開発機構の設立につきましては、独立法人改革におけるスクラップ・アンド・ビルドの関係があります。

 一方で、今回の統合については、医薬品と食品の相互作用の研究の促進など相乗効果が期待できること、また、過去の独立行政法人改革における両法人の統合に関する議論の経緯、これは平成十九年の閣議で決定しております、こういうことも踏まえて、両法人を組み合わせるものであります。

 統合後の研究所では、医薬品等の基盤的技術研究と、栄養、食品の研究の企画立案をできる限り合同で取り組むこととともに、共同研究の実施、さらには共同研究発表会の開催、さらには基礎研究成果の相互利用などを行うことを検討しております。

 これらにより、医薬基盤研究所の医薬品に関する専門性と、国立健康・栄養研究所の栄養、食品に関する専門性が融合されまして、生活習慣病対策への応用、さらには医薬品と食品の相互作用の研究の推進などの相乗効果を期待しているところでございます。

伊東(信)委員 やられる内容としてはごもっともなお話なんですけれども、理化学研究所もそうですし、各大学の研究機関もそうなんですが、もちろん研究者としては、雇用の面でいうと、こういった研究機関がたくさんできるというのは非常にいいとは思うんですけれども、では、これらの研究機関を束ねるオーガナイザーというのは果たしてどうなのかということです。

 いろいろ資料を渡していただきまして、一体何なんだ、この資料はというような資料から始まっているわけなんですけれども、これは私が常々、大学で講義をしたり市民講座で講義をするときに使わせていただいていることなんですけれども、オリジナルは山中教授です。山中教授がノーベル賞をとられる前、ラスカー賞をとられたときに、ちょうどこの例えをされていました。山中先生のものはもっと団体競技でやられている写真を出すんですけれども、私はわざとわかりにくく、個人の写真を載っけたわけなんです。

 左側の、片手で球を持っている方、この方はアメリカンフットボールをやっています。右側の、長髪で空を飛んでいる方はラグビーをやっています。

 どちらも楕円形のボールなんですね。楕円形のボールなんですけれども、全く興味のない方というか、このスポーツを全然知らない方というか、やられる方というのは少ないと思うんですけれども、見たことのない方にとっては、どっちも楕円形のボールだから同じものじゃないかと思われるかもしれませんけれども、発祥がアメリカであったりイギリスであったりという地域的なところはともかくとして、アメリカンフットボールはどちらかというと野球みたいな要素がありまして、ラグビーはどちらかというとサッカー、バスケットみたいな要素がございまして、ボールは一緒ですけれども、似て異なるものです。

 山中教授が常々言いたいのは、山中先生の言葉ですよ、私はiPS細胞研究所の所長である、研究者であるんだ、研究者である私が、これを創薬にしたりとか、これを製品化する、もしくは臨床応用するための段取りであるとか、知的財産に関しての手続をしたりとか、いろいろなことのマネジメントをしなければいけない、だけれども、私はあくまでも研究者であって所長であるんだから全然業務が違うと。そのときに、似て異なるもので、同じような、iPSを使っているのにもかかわらず、やっている内容が全然違う、ラグビーとアメリカンフットボールみたいな違いがあるということで、この写真をよくお出しになるわけですね。

 それで、各研究所にCEOが欲しい、オーガナイザーが欲しいということなんですね。オーガナイザーが不足しているということは、今までの日本の研究機関における最大の問題点でもございまして、今回のSTAP細胞の話なんかは特にそういったことを思います、理化学研究所のこと。

 私は個人攻撃をする気は全くございません。どちらかというと、こういったすばらしい研究は、日本で、オール・ジャパンで、みんなで支えていかなければいけない。相手は日本国内じゃないんですね、海外なんですね。海外において日本の力を示していく、そのためのアベノミクス三本目の矢だったはずなんです。それを、残念ながら、ジェラシーであるとか足を引っ張ることがあったりとか、そういうようなことも多々見受けられます、今回の問題では。

 でも、例えば、今、内閣委員会の方で参考人質疑をやられています。東北大学の大学院の大隅典子教授がおっしゃっていますけれども、法、倫理、社会問題への対応が必須だと。つまり、マスコミ対策、そういったものを研究者ができるわけがないんですね、研究所ができるわけがないんです。それを全体的にオーガナイズする人間がいなければいけないということなんです。

 さて、今回のいろいろな法案がございますけれども、こういったオーガナイズすることのビジョンが見えてこないんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

三浦政府参考人 御指摘のように、研究を効率的に、効果的に進めていくということにつきましては、的確なリーダーシップというのが非常に重要であるということは御指摘のとおりだと思います。

 そういう意味で、二つの研究所の統合ということが今回の法案の趣旨になりますけれども、それぞれの研究所が担当している研究分野について非常に深い知見や経験を持っておられる、そしてまた、言われるような、研究のリーダーシップをとれるかどうか、そういうことについての経験を持っておられる、こういうような方が非常に重要になってくるというふうに考えています。

 また、研究所それぞれの中でさまざまな研究が行われているわけでございますけれども、それぞれの研究について、これはプログラムディレクターあるいはプログラムオフィサーというような名前がつけられている、いわばそのプログラムについてのリーダーを置いているわけでございまして、そういう全体のオーガナイザー、そしてまた個々の研究プロジェクトのオーガナイザー、こういうものが組み合わされて研究が進められるというのが私どもが願っている仕組みでございます。

 そのためには的確な人材の確保というのが必要になりますので、現在のこの分野の研究者の皆様、あるいはそのリーダーシップをとっておられる方々の中で、やはり的確な人選をしていくということが重要だというふうに考えております。

伊東(信)委員 おっしゃることはわかるんですけれども。

 まあ、PD、プロジェクトディレクターであったり、PM、プロジェクトマネジャー、プロジェクトオフィサー、PO、ございますけれども、それがプロジェクトリーダーという名前であったりユニットリーダーであったり、名前が変わっていくわけなんですけれども、それはあくまでも個々のプロジェクトのリーディングなわけですね。

 もちろん、医学の中でも、内科分野、泌尿器科分野、眼科分野とかありますし、基礎の分野でありましたらもっともっと細かい遺伝子の分野、もしくは、形態学といいまして顕微鏡とか使われる分野とか、いろいろ本当に分かれてくるわけで、それのPD、PMをつくるというこの案は理解をしております。ただ、それを束ねたり、先ほどから申し上げますように、例えばマスコミ対策であるとか倫理対策であるとか政治家等の対策であるとか、こういったことも大事だと思うんですね。

 私は招聘准教授でございますけれども、私どものところの、例えば、工学部であるところの粟津教授という教授がおられたり、臨床の方だったら心臓外科の澤教授とかいうのがおられたりするんですが、研究も大事なんですけれども、やはりこちらの東京の方に来られて、文科省の方々、厚生労働省の方々とこういった折衝とかもしなければいけないわけですね。

 そうなると、研究機関の場合、所長がそのことをすると、どうしても研究全体がおろそかになる。では、それをまとめるオーガナイザーが必要なんじゃないかな、そういったことをお聞きしたいわけです。いや、これからつくります、いや、それぞれのユニットがありますというのはわかるんですけれども、日本版NIHの構想の中で、総理大臣がトップに立って、政府で、内閣で見ていくということですね。

 さて、このオーガナイザーの働きというのは、山中先生からのお話ばかりをそのままするわけじゃないので、山中先生は、例えば、政府、官僚じゃなくて研究者以外の人をオーガナイザーに置いてくれ、CEOとして置いてくれという話もありますけれども、逆に、理化学研究所の野依教授とかは、いやいや、そうなると研究自体がおろそかになるから、研究者がやはりトップに立ってオーガナイズしなければいけないということで、山中先生は研究者以外、野依先生は研究者と言われます。

 今回のNIHの法案を見ますと、政府が主導でやっていこうということですけれども、日本の政府としては、厚生労働大臣としては、厚生労働省としては、政府主導でどんどんやっていきますよ、そういうような御決意と理解してよろしいのでしょうか。

三浦政府参考人 今回、今御指摘ございました、内閣委員会で審議されている日本医療研究開発機構のあり方につきましては、これはやはり政府全体で医療分野の研究開発を進めていくという大きな目標を持っているというふうに理解しておりまして、厚生労働省も、国民の皆様の健康や命を守るというような立場から、その構想に積極的に参加していくべきだということで今まで議論を重ねてきたところでございます。

伊東(信)委員 とりあえず、しっかりやっていただかなければいけないということなんですけれども、逆に、これは研究機関からしたら本当に切なるお願いでもあるわけなんですね。

 新組織の医薬基盤・健康・栄養研究所は、先ほどからおっしゃられるように、国民の公衆衛生の向上及び増進、国民保健の向上を目的としまして、その中で、医薬品及び医療機器とかの技術に関する開発に資する研究が入っていると書いておりますが、実際、日本の医療の現場におきまして、残念ながら、ペースメーカーでさえメード・イン・ジャパンがないわけですね。何でこんなことになっているかということなんですよ。

 日本の治療機器に関する研究開発がおくれているんですけれども、これは国の方針の問題なのか、それぞれの会社の問題なのか、それとも研究機関の問題なのか、人の問題なのか、そういったことはどのように捉えておられますでしょうか。

赤石大臣政務官 伊東委員にお答えいたします。

 私も、医療関係の会社で四十年ほどマネジメントをやってきまして、やはり研究開発というのは、特に、戦略的に何を選択するのか、それが国内でどういうポジションなのか、あるいは国外でグローバルにどういうポジションなのか、まず、そのことをきちっと選択できるマネジャーがいないとだめだということが言えると思います。

 その次に、どこまで資金を投入するかということを考えなきゃいけない。これもやはり、その資金の投入の仕方が中途半端であれば物にならない。

 そうしたら、その次に、どういう人材を集めるかということになってくると思います。その人材も、社内における人材だけではやはり本当にイノベーションはできないわけで、では外部からどういう人材を探してくるか、それは日本だけでいいのか、あるいはグローバルで誰かコミットする人を探してくるか。

 こういうことをさまざま考えながらマネジメントしないと、このことはうまく機能しないだろう。

 私は、自分で経営してきた立場からいうと、本当にそのことが大事だなというふうに思っておりまして、今回の新しくできる研究所も、そういった発想で、本当の意味でCEOを誰が担うのかということが一番重要なポジションだというふうに思っております。

 その上で、今までの医薬品及び医療機器等の技術に関する研究としては、遺伝子レベルでの薬物の毒性予測を行う研究、トキシコゲノミクス研究を製薬企業十三社と連携して行い、世界最大規模、これは八億件のデータベースを今整備しているところであります。また、薬用植物、カンゾウですけれども、これに関する研究を企業、大学と連携して行い、カンゾウの水耕栽培システムの開発に今成功しているところであります。また、今先生が絡んでおりました、ヒトiPS細胞からの肝臓細胞への分化効率を飛躍的に高める技術を企業、大学と連携して開発し、ヒトiPS細胞から分化誘導した肝臓細胞の製品化に成功したことなど、研究を行ってきたところであります。

 この統合後の医薬基盤・健康・栄養研究所においても、引き続き、医薬品、医療機器の開発に資する研究を行ってまいりたいと思っておりますし、いわゆる日本版NIHにおいても、そういうリーダーシップをとれるような組織にぜひなっていただきたい、このように思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 政務官、同じ問題意識を持っていただけていると理解しております。もちろん、まだ答弁をいただいていないんですけれども、同じ年齢の田村厚生労働大臣はもう既に同じ問題意識を持っていると私は認識していますので、後半、楽しみにしております。

 それで、実は、質疑の中で、現在行われている再生医療とかゲノム医療とかがんに関する分野に関しては、どのように推進されるのかという質問をしようと思っていたんですけれども、今お答えになられた分で十分だと思います。

 では、逆に、次世代のための基礎研究として種になることをいわゆるシーズというんですけれども、このシーズはどこから発信されるのかということです。

 こちらは厚生労働委員会なので、実際、シーズとなる研究というのは、文部科学省、文科委員会、まあ各研究機関から発せられるということなんですけれども、その場合、科学研究費というところからそのシーズを発掘するんですけれども、発掘するための目ききとなる、レフェリーというか審査員というのが今度は必要になってくるんですね。

 だから、オーガナイザーがいて各研究を見ていく、だけれども、それとは別に、それを発掘する、野球でいうとスカウトみたいな人が必要になってくるんですけれども、そういったシーズを発掘する目ききの人物に関しての戦略というのはございますでしょうか。

三浦政府参考人 御指摘のように、創薬というような分野におきましては、アカデミア、大学などがつくりました基礎研究の成果というものを的確に察知しまして、それを実用化に結びつけていく、まさに目ききの機能というのが重要だということで、私どもも同じ認識を持っております。

 そういう点では、現在、医薬基盤研究所に創薬支援戦略室という部門を置きまして、そこに、製薬業界で今まで研究開発を担ってきた方々、そういう目ききの能力を持っておられる方に集まっていただきまして、アカデミアで現在行われている研究の中からいわば将来のシーズを探していく、そういうような取り組みを始めているところでございます。

 これから、そういうような事業を通じて、今まで、いわゆる死の谷というような形で、基礎研究から応用研究、そして実用化になかなかつながらないというようなものをどうやってつないでいくかということで考えますれば、そういう目きき機能の役割はますます重要になってくるという認識を持っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 死の谷のお話もしていただいたんですけれども、そのお話、後半にさせていただこうと思っていたんですが、今させていただきますと、資料の最後の二枚なんですけれども、最初の方は、基礎研究というのがございまして、これは文部科学省がやられている。これをいわゆる医療の方に向けるのに、これは厚生労働省。つまり、基礎研究で試験管の中であったり動物実験だったことを、次に実際に人間の臨床に応用していくのが厚生労働省の役割。

 ここから成長産業となろうとすれば、例えば再生医療に関しては、今の再生医療製品は日本製の製品はまだ二品目しかございません。経済産業委員会とかでも常々言っているんですけれども、商業、製品というのは経済産業省のところなんですが、普通、死の谷というのは、基礎研究からその応用までの、そこのギャップのことを死の谷というんですけれども、この資料は私の講演会用のオリジナルで、もう一つの死の谷があるんじゃないかと。三つの山があって、申しわけないですけれども、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、この三つの中にも死の谷があるということです。

 最後にございますこのハイウエー構想。そもそもは、シーズからニーズまで、マーケットというのは、皆さん、御商売をされている方もおられるとは思うんですけれども、普通、商業の場であると、どのようなニーズがあるかということを見るのは当然のことだと思うんですね。医療に関しては、やはり社会保障でありますから、国民の健康が第一ということはわかるんですけれども、いわゆるプロジェクトとして、成長産業としてのプロジェクトで戦略としてやるのであるんだったら、このハイウエー構想、シーズからニーズまでのことをまず考えなければいけないんです。

 そこで、もう一つの用語とされるのが橋渡しなわけですね。ハイウエーと私は使っています、このハイウエーの、橋渡しの役目を果たすのがまさしく厚生労働省ですし、この厚生労働委員会なんです。だから、厚生労働省の、厚生労働委員会のこの死の谷を克服するための責務というのは非常に重要だと思うんですね。このシーズからニーズまでを何とかつなげていただきたいんですけれども、そのあたりの御決意とかはございますでしょうか。

田村国務大臣 これは、今般の我が方の法律、それとあわせて、今、内閣委員会の方で、健康・医療戦略推進法それから日本医療研究開発機構法をやっております。この日本医療研究開発機構でありますが、ここが大きな役割を一つ果たしていくというふうに思います。

 オール・ジャパンの創薬支援体制、創薬支援というものをどうネットワークしていくか、これは大変大きな日本の課題でございました。この本部機能をこの機構の中に置く。

 今言われたとおり、文科省の所管なのでありましょう基礎研究分野、それを応用研究、非臨床研究、さらにそこから臨床研究、治験に結びつけていって、さらにこれを審査して薬事承認、そして、医療機器、医薬品の場合でありますけれども、保険に入って、そして企業、一般の方々のところに行くという流れの中で、当然、今言われた目ききというもの、これも、理化学研究所、それから基盤研、さらには産総研、ここが協力しながらネットワークを組んで、目ききのところにも協力していかなきゃなりませんし、その後、出口戦略もすぐに考えていかなきゃならない。そして、知財管理の支援、助言もやっていかなきゃならぬわけであります。そして、治験のころには、当然のごとく、企業連携の支援というものもしっかりやっていく。

 それをつないでいくことによって今のデスバレーというものをどう乗り越えていくかということが重要でありますし、PMDAはPMDAでまた薬事戦略等々のいろいろな助言をしていくわけであります。

 そういうものが相まってシーズがニーズになっていく。もう既にこの三機関が連携して、一案件、シーズをいろいろと支援していこうということでやっておるわけでございます。

 今委員が言われた点、大変重要な点でございます。厚生労働省はその橋渡し役という役割を持っておるわけでございますから、しっかりと今の問題意識を持ちながら、これからも、この新しい機構がしっかりと機能するように我々も努力してまいりたい、このように考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 省庁間も大事ですけれども、大臣間も大事なので、しっかりと下村大臣と茂木大臣と二人の仲を、仲が悪いとかそんなんじゃないですよ、知りませんけれども、田村大臣であればしっかりとつないでいただけると思います。

 今、人材の話もしていただいたんですけれども、であるならば、人材自体を育てるプログラムというか、シーズからニーズまで含めたプログラミングが大事だということで、大阪の方ではSAMRAIプロジェクトというのがございまして、それが二枚目の紙でございます。

 モデルケースはアメリカのスタンフォード大学がやっているプログラムでございまして、先ほど医学・工学連携ということで、医学部と工学部が連携して研究をやっていくわけなんですけれども、そこで企業とかを絡めて、単発で終わらない人材の育成をしようということです。ターゲットはもう絞られています。医療機器をつくる、そういった専門の人間を育てるプロジェクトがされています。よく見ると、これは大阪大学臨床医工学研究所の資料でございまして、単なるうちの研究機関の宣伝でございますので。こういったこともやっているということです。

 その中で、こういったプロジェクトをする上で非常に懸念されているというか問題となっているのは、いわゆる研究の予算措置というのは、単年度予算であることが多いです。iPS細胞のように、プロジェクトとしていただけるものもあるわけなんですよ、私がいただけるわけじゃないんですけれども。そういう予算措置もあるんですけれども。いわゆるFIRSTというプロジェクトがあったときは非常に盛り上がったんですけれども、FIRSTが終わるときになると、非常にまた今度は研究機関というのは意気消沈するということですね。

 だから、十分な予算の確保について、この単年度予算じゃないけれども、思い切って複数予算というのは、こういった法案ができて研究機関ができるのであれば、NIHも含めて何とかならないかということ。

 あと、人材の方も、先ほど内閣委員会で山中先生が参考人質疑でおっしゃったことは、やはり研究者の雇用の問題でございまして、五年契約、それが契約が切れて研究が延びるのであれば、それを終身雇用にしなければいけないと。それだったら研究とのそごが生じるということで、五年の延長を昨年の年末にしていただきました。そのことは喜んでおられるんですけれども、しかしながら、例えばNIHを含めても、今回の基盤研究所に関しても、プロパーの確保に関して、思い切ってプロパーの数をふやす、そういったような措置。

 予算の措置と人材の措置について、何かもっとさらなるプランというのはございませんでしょうか。

三浦政府参考人 イノベーションにすぐれた人材が不可欠である、特に若い研究者をどうやって確保していくのかということは非常に重要な課題だと私どもも考えております。

 御指摘のように、研究費ということになりますと、一定の期間を置いて必ず見直しを行って、そして、その成果が上がっているかどうかということを見ていくことになるわけでございますけれども、その中でどのように継続的な研究ができるかというのは、一つ大きな課題といいましょうか、宿題だというふうに思っております。

 安易に長い期間の研究を認めるということになれば、これが競争的な環境になるのかどうかという指摘もあると思いますし、また、短くすれば、研究者自身が非常に落ちつかないといいましょうか、そこに十分没頭できないというようなこともあろうかと思います。

 いろいろな方法を試しながら、私どもも人材の確保というものをこれからも進めていきたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 これからの課題になってくると思います。おっしゃるように、安易に何でもかんでもプロパーにしたり、単年度以外の予算をつけるというと、無駄な予算というのもやはり出てくるかもしれない、その御指摘はよくわかります。その上で、やはり大事なのは目ききではないかなと思っているわけなんですね。

 ただ、その辺の目ききに関して、研究者はやはり研究者の、自分のしたい研究を言います。シーズのところからニーズまでになると、どうしても長いんですね。すごく長いわけです、間隔も研究の内容も。そうなると、やはり、実際、国民の健康とかを扱う厚生労働委員会の役割、厚生労働省の役割というのは大きいので、先ほど橋渡しと言いましたけれども、単なる橋というかパスになるんじゃなくて、そこの目ききの役目をやってほしい、そういった願いでございます。

 もう時間もないので、最後にSTAP細胞の話をさせていただきます。

 STAP細胞というのを簡単にまとめると、このようなイラストになります。万能細胞、受精卵と同じような、いろいろな臓器になり得る、そういった細胞をつくるのに四つの遺伝子を発見したのが、山中先生の奈良先端大学での研究成果でございます。

 それに対して、STAP細胞というのは、細胞を弱酸性の溶液に長いこと浸すことによって、いわゆる細胞の初期化が起こるということなんですけれども、このイラストで見ておわかりのように、まだ実験動物の段階なんですね。実験動物の段階でございまして、それ自体、単なる細胞なんです。まあ、言うたら、自動車でいうとハンドルの部分とかギアの部分とか、まだそういった部品の部分の議論なんですよ。

 実際、消費者の皆さん、国民の皆さんが受け取るのは製品となってからの話で、この部品の部分でごちゃごちゃやっている場合ではないんですね。ですので、そのための、オートメーション化じゃないけれども、レールで、厚生労働大臣の、田村大臣のお役目は高いということなんです。

 なかなかコメントしづらいと思うんですけれども、私の思いは、こういったすばらしい研究はオール・ジャパンで見ていこうと。コピペの話は学位論文の話で、今回の話に関係ないんですね。この場をかりてもっと言いたいのは、マスコミの報道が余りにひどい。こういったところの対策というのは、やはり研究所では無理です。日本が、政府がオール・ジャパンで、こういったところは、そこはそれ、これはこれとして守っていかなければいけないというのが私の思いでございます。

 最後に、田村大臣、なかなかSTAP細胞に関してはコメントしづらいと思いますけれども、こういったことも含めて、いわゆる日本の医薬の発展のためにオール・ジャパンで頑張っていきたいというお気持ちを、私の期待にお応えいただけるように述べていただければ、ちょうど時間も締まると思いますので。

田村国務大臣 とにかく、創薬も含めて、日本の科学技術は大変期待をいただいている部分が特に基礎研究では多いわけであります。

 今回の件に関しては、ちょっとなかなかコメントしづらいわけでありまして、まだ真実がどこにあるかよくわからない部分もございますが、とにかく、そういうような強い基礎研究をどうやって実用化していくか、これが最大の課題だというふうに思っております。

 今言われた種々の問題、これに関しても、これはいい機構が動き出したなと言っていただけるような、そんな努力をこれからもしてまいりたい、このように考えております。

伊東(信)委員 サイエンスでありますので、科学でありますので、真実がどこにあるのか、今この場ではコメントできない、それは大正解のコメントでございます。ありがとうございます。

 終わります。

後藤委員長 次に、上野ひろし君。

上野委員 上野ひろしです。よろしくお願いいたします。

 私の方からは、法案の内容について順次質問をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、厚生労働省のこれまでの独法改革の取り組みについてお伺いしたいと思います。

 今回、二つの法人が統合されるということであります。独立行政法人国立健康・栄養研究所、それから独立行政法人医薬基盤研究所。独立行政法人は、そもそも制度ができたときから、できるものは合理化をしていこう、効率化をしていく、必要がなくなれば統合したり、また民間でできるものができたときには民間に任せていくといったものが独立行政法人制度の趣旨ではないかなというふうに思います。

 そういった観点から、この二つの独立行政法人について、これまでどういう改革といいますか見直しの取り組みをしてきたのか、まずお伺いいたします。

三浦政府参考人 医薬基盤研究所と国立健康・栄養研究所につきましては、無駄や非効率を排した業務運営を行うということや、より効率的な研究業務を行うということなどの観点から、随時の見直しを行ってきたところでございます。

 両法人ともに、例えば、中期計画に基づきまして、人件費、一般管理費、業務経費の削減を実施してまいりました。また、閣議決定を踏まえて、無駄が生じていた、あるいはそういうふうに指摘を受けた事業、不必要になったと判断された事業、これらを廃止してまいりました。さらに、独法改革に関する有識者委員会の指摘を踏まえまして、不必要となった資産の売却などを行ってきたところでございます。

 このように、効率的な運営が行われるように努めてきたというところでございます。

上野委員 ありがとうございます。

 両法人についてさまざま見直しをされてきたということだと思うんですけれども、では、そもそも、今回二つの法人を統合されるということでありますけれども、なぜこれまでは統合という議論がなかったのか、どういう経緯、どういう考え方で今回統合するということになったのかというのをお伺いしたいと思うんです。

 まず、国立健康・栄養研究所、これは平成十三年四月に設立をされました。また、医薬基盤研究所、これは平成十七年の四月に設立をされました。

 公的部門の肥大化を行わない、これは独法制度ができたときからの理念だと思います。また、医薬品と食品の相互作用で研究の促進等の相乗効果が期待をされる、これは今回の統合の考え方だと思うんですけれども、こういった考え方については、平成十七年、二つ目の法人ができたときから当然そういったことというのは考えられていたわけで、にもかかわらず、厚生労働省としては、二つの法人、これは別につくった方がいいという判断をされて、二つ目の法人を平成十七年につくられたんだと思うんですね。

 行政の中でいろいろ閣議決定もあって、統合するといったような、行政上の手続は別といたしまして、組織論として、厚生労働省は二つの法人が必要だということで、これまで十数年の間二つの法人が併存をしていたわけであります。今般あえてこのタイミングで統合する、もちろん統合しない方がいいというわけでは全くないんですけれども、なぜ、これまで二つの法人が必要だということで併存させてきたのに、今回、どういう環境の変化というか、事情の変更があって統合するということにされたのか、考え方をお伺いいたします。

田村国務大臣 医薬基盤研究所に関しましては、平成十七年に、国立医薬品食品衛生研究所や、独立行政法人でありますけれども医薬品医療機器総合機構、ここの担っていた医薬品等の研究また開発振興の業務、こういうものを抜き出して、要するに新たに実施する法人として設立をしたわけであります。

 今般なぜ統合するんだという話なんですが、平成十九年それから平成二十四年にもそういう議論がございまして、閣議決定において両法人を統合ということを一応議論して決めておるわけであります。

 そういう意味で、今般、一方で、先ほど来お話させていただいております日本医療研究開発機構というもの、これが大きな役割を果たすということで、我々これを立ち上げるわけでありまして、スクラップ・アンド・ビルドという考え方があるわけでありますから、では、以前から持ち上がってきたこの議論というものをもう一度見直して、確かに、医薬品というもの、それから栄養というもの、食品というもの、これを融合させることにどういう意味合いがあるんであろうと。

 それは、当然一つは、食品と医薬品、それぞれ口から入るものでありまして、それぞれ、成分があって、化学物質でありますから、そこで相互作用を起こすわけでありますが、以前から比べるとかなり食品もいろいろな食品がふえてきております。医薬品も毎年毎年いろいろな医薬品が出てきておるわけでありますから、そこで、予期せぬ未知の反応、作用というものもあるわけでありますから、安全性やいろいろな部分を勘案する、そのような機能というものは確かに必要であろうということで、そのような相互作用を研究するということは重要であろう。

 それから、生活習慣病等々に対しましても、この二つの機構が協力し合うことにおいて大きな意味合いがあるであろう、そのような意味を我々も感じまして、今般このような形で統合させていただこうということになったわけであります。

上野委員 ありがとうございます。

 統合のメリット、これはもちろん否定するものではなくて、統合してぜひいい成果を出していただきたいというふうに思うんですけれども、まさに今大臣から御答弁あったとおり、平成十七年に二つ目の独法が設立をされて、もう平成十九年の時点では、これは二つ必要ないんじゃないかという話が、まさに行政の内部で、閣議決定をされていたというわけであります。

 独立行政法人、繰り返しですけれども、設立当初からの理念、行政の肥大化をしていかない、また適宜見直しをして合理化をしていくという観点から、これまで十数年間二つの法人があったわけでありますけれども、本当に必要だったのか、今回まさに御指摘をされたようなメリットを考えれば、もっと違う形があったんじゃないかなという思いもあります。

 また後で、別の質問でも触れさせていただきますけれども、独法のあり方ということについてはまた行政の中でしっかり御議論いただければというふうに思います。

 大臣の方からもスクラップ・アンド・ビルドという話がありましたので、関連で一点お伺いをさせていただきます。

 今回、二つの法人を統合する。一方で、いわゆる日本版NIH、新たな独法を新設するということであります。これは、安倍内閣の、独立行政法人の設置は、スクラップ・アンド・ビルド原則に基づいて行うことにし、公的部門の肥大化を行わないという考え方に沿ったものであるというふうに思います。

 一方で、これは単なる数合わせであってはいけないんじゃないかなというふうに思います。スクラップ・アンド・ビルドといったときに、単に独立行政法人の数だけを合わせて、一つもふえなかった、一つふえるときには一つ統合したんだということだけではなくて、例えば、統合の前後、新設をする分も含めて、では役員の数はどうなのか、管理部門の規模はどうなのか、人件費の額はどうなのか、そういったことも含めて、実質的にその行政の肥大化が起きない、独法の、法人の数だけではなくて、しっかり中身を見た上でスクラップ・アンド・ビルドが本当に達成をされているのか、しっかり検証していかないと、まさに安倍総理がおっしゃられている行政の肥大化は行わないということが、見かけ上達成をされても、実質上肥大化をしていくというのでは、これは意味がないんじゃないかなというふうに思います。

 今回の統合、それからいわゆる日本版NIHの創設に伴って、例えば今申し上げたような管理部門または人件費、役員の数、こういったところについてはどのように手当てをされるのか、お伺いいたします。

三浦政府参考人 今回の統合によりまして、役員といたしまして、理事長一名、理事一名、監事二名、合わせて四名を削減するということにしております。

 管理業務に従事する職員の効率化につきましては、統合予定の平成二十七年度に向けて今後調整していくということにしております。

 また、二つの法人それぞれ、医薬品などの基盤的技術の研究開発、また、健康や栄養、食品に係る重要な研究を担っているということでございますので、研究に携わる職員につきましては維持していきたいと考えているところでございます。

上野委員 確認なんですけれども、今、二つの法人が統合される部分についてお答えいただいたんじゃないかなというふうに思います。新設をされるいわゆる日本版NIH、こちらも含めて、例えば役員の数とか管理部門、人件費、これらの合理化が行われているのかどうか、確認で質問いたします。

中垣政府参考人 ただいま御質問ございました、新しくつくります日本医療研究開発機構でございますけれども、法律上、役員につきましては、理事長及び理事一名、そして監事二名ということになっておりますので、今回、二法人の統合に対しましては、プラス・マイナス・ゼロという形になっております。

 また、職員につきましても、現在、今度機構で行いますいわゆる研究費の支給等、それぞれ、文部科学省、厚生労働省、経済産業省及びそれぞれ所管の独立行政法人で行っておるわけでございますけれども、その部分の人数については、いずれにしてもふえないという形で措置するという形で、スクラップ・アンド・ビルドというふうに理解しております。

上野委員 ありがとうございます。

 特に新しく設立をされる日本版NIHにつきましては、これは単に数を減らせばいいということではなくて、日本の医療に係る研究開発がしっかり成長していく、いい研究ができるということが目的なんだと思います。

 一方で、独立行政法人という形態である以上は無駄な組織をつくるということがあってならないわけで、そこをしっかりバランスをさせていただいて、意味がある独立行政法人の運営に努めていただきたいというふうに思います。

 次に、基盤研の方につきまして、統合後の運営についてお伺いをいたします。

 独立行政法人、いろいろな性格の独法があるというふうに思いますけれども、基盤研はいわゆる研究開発型の独立行政法人ということだと思います。研究開発を行う法人が、独法という形態にそもそもなじむのかどうか、これは大きな議論があるところじゃないかなというふうに思います。

 私も、もともと役所で働いていたときに、独立行政法人の産業技術総合研究所を担当していたことがあって、例えば、四年、五年ごとの中期目標、計画を定めて、それに従って事業を進めていく、またその四年後、五年後に、ではどういう成果が出てくるのか、研究開発というのはやはりやってみないとわからないところもあるので、そういった計画をつくって実施をしていくということになかなかなじまないという点があったり、あとは、研究開発の財源になるのが運営費交付金であるわけですけれども、例えば、毎年これは一%ぐらい効率化係数を掛けていくといったことになっていて、もちろん、運営費交付金だけではなくて、いろいろな競争的な資金をとっていって研究開発をしていくというのが研究開発機関のありようだとは思うんですけれども、ただ、一方で、効率化を毎年毎年強いられていく、こういった状況が本当に研究開発を行う組織に適しているのかどうか、これは大きな議論もあるところじゃないかなというふうに思います。

 そういった中で、統合後の新たな法人、引き続き独法、研究開発型ということであると思いますけれども、独法という形態で業務を進めていくというわけでありますけれども、では、どういった今後の運営、そういった独立行政法人という組織形態の中で、どう効果的な事業を行っていくのか、この点について考え方をお伺いしたいと思います。

三浦政府参考人 統合後の法人におきましては、研究開発型独法といたしまして、研究開発成果の最大化を図っていくということが何よりも重要であると認識しております。

 このため、運営費交付金による研究のみならず、競争的資金の獲得などによる外部資金の活用も図りつつ、必要な研究が着実に行われるように取り組んでまいりたいと考えております。

 また、研究成果につきましても、外部専門家による評価の充実など、PDCAサイクルの強化を図っていくこととしておりまして、より効率的、効果的な研究の実施に努めていきたいと考えております。

 なお、昨年末の独法改革に関する閣議決定では、研究開発型の独立行政法人につきましては、長期性、不確実性、専門性といった研究開発業務の特性を踏まえ、法人の目標期間の長期化や評価のあり方の見直しなどを行うとされておりまして、政府部内において必要な法案の準備をしていると承知しているところでございます。

 統合後の法人におきましても、こうした制度改正を踏まえて、研究開発成果の最大化を図っていきたいと考えておるところでございます。

上野委員 ありがとうございます。

 独法制度自体もいろいろ検討はあると思いますけれども、私自身、間近で見てきた中でも、独立行政法人という制度の中で、研究活動を効率的に行っていく、効果的に行っていく、これはなかなか難しいマネジメントというか、かじ取りが必要なんじゃないかなというふうに思います。

 ぜひしっかり御議論をいただいて、独法改革の議論にもあわせてまた御検討もいただきたいというふうに思います。

 その上で、細かい点も含めて、統合の実務についてお伺いをいたします。

 これまで十数年、この二つの法人は別の法人として運営をされてきたわけであります。人事制度も別、給与体系も別、そしてまた、まさに組織がある場所も、大阪と東京、つくばにあったりもするということでありますけれども、基本的には組織も別々のところにあるということだと思うんですね。

 その上で、統合した効果を上げていくという観点から、また、統合した組織が円滑に運営をしていくという観点から、例えば人事制度もこれは統合していかなければいけないんだと思いますし、給与体系も統合していくということも必要なんじゃないかなというふうに思います。

 また、立地が大阪と東京、ばらばらなままでは、これは本当にもう単にくっつけただけということになりますので、では、これも人事体系になりますでしょうか、しっかり人的な交流もしていかなきゃいけないということだと思います。

 どういう形で、実際に、統合のメリット、実を上げていくのかということをぜひお伺いしたいというふうに思います。

 特に、例えば給与水準なんかは、これは私も法人の統合に携わったことがあるんですが、なかなか難しいんだと思うんですね。給与体系、これまで全く別の体系でやってきた二つの法人で、では、二つの給与制度を一つの法人の中に併存させるのか、これも非常に難しいですし、では、高い方に合わせるのか、焼け太りをするわけにもいかない、では、これまで予定されてきた給与、それを低い方に下げるのか、これも大変難しい問題だと思います。

 もちろん給与体系だけではなくて、人事制度、それから先ほど申し上げた、そもそも法人の立地が違うということも含めて、どう円滑にこれから組織運営、まさに統合したメリットを実質的に上げていくのかといったところについてのお考えをお伺いいたします。

    〔委員長退席、北村(茂)委員長代理着席〕

三浦政府参考人 法人の給与体系や人事体系につきましては、これは一義的には法人の理事長が決めるということになっておるわけでございますけれども、その際に、統合に当たって、組織や給与体系等についても一定の合理化、効率化を図る必要があるというようなこともございます。

 一方で、研究者や職員のモチベーションを維持していく、あるいは高めていくという観点からは、給与面も含めて魅力ある処遇あるいは人事体系とする必要があるなど、そういう事柄を総合的に考慮いたしまして決定されることになるというふうに考えております。

 また、二つの研究所が今回統合されるということで、拠点が二カ所、東京と大阪というところになるわけでございますが、これは、二つの統合効果を上げるというような観点からも、両者の交流を濃密にしていくことは非常に重要だろうというふうに思っております。

 御指摘ございましたような人事交流というのも一つの方法だと思いますし、距離を縮める、それこそICTもあるわけでございますので、さまざまなカンファレンスを例えば電子上で行うなど、工夫を凝らしまして、両者の統合が円滑かつ効果を上げるように努めてまいりたいと考えております。

上野委員 ありがとうございます。

 先ほど来、効率化という話をずっとさせていただきました。一方で、繰り返しですけれども、今回のこの統合後の法人は研究開発を行う法人であります。しっかりその研究開発が進んでいくような、そういった運営をしていかなければいけない、これはもう一つの、当然ですけれども、この法人の役割かなというふうに思います。

 そういった上で、先ほど来、効率化という話をさせていただきました。一方で、しっかりとした、研究者を含めた人材の確保というのが大事になってくるんじゃないかなというふうに思います。

 効率化、効率化というふうに先ほどから申し上げていますけれども、では、一方で、優秀な研究者を集めていくためにはそれなりの報酬を用意しなければいけないということだと思います。民間企業だったり、他の研究機関、また大学等々、いろいろな組織があるわけですけれども、そういったところと比較をしていって、遜色のない待遇であったり報酬というのをしっかりと提示しなければ、いい研究者というのは集まってこないということだと思いますし、あと、独立行政法人、これは、研究をまさにする方だけではなくて、例えばトップにどういう人材を据えるのか、これは大変大事な話じゃないかなというふうに思います。

 独立行政法人の特性として、トップ、理事長さんに大変大きな権限があって、そのトップのいろいろな判断で大きなかじ取りをしていく、独法の向かう大きな方向性を決めていける、それが独立行政法人制度の一つの大きなメリットではないかなというふうに思うわけでありますけれども、まさにそういったことを適切にやっていくためにも、これはトップにもしっかりとした人材を据える必要があるということだと思います。

 これについても、では、例えばどういう人に来ていただくのか。民間企業、まさにその民間企業でばりばりトップクラスで働いている方々にしっかり来てもらって、そういった観点から例えばやってもらったり、またはトップクラスの研究者の方々、まさに研究に対する判断であったり目ききであったり、そういったことができる人たちに来ていただくという観点から、では、トップの報酬、待遇というのをどうしていくのかというのも大事な話なんじゃないかなというふうに思います。

 こういったことも含めまして、新たな独法において、研究者、それから特にトップ、マネジメントを行う方々も含めて、いい人材を確保していくという観点からどういう対応をしていくのか、お伺いをしたいと思います。

赤石大臣政務官 上野委員にお答えいたします。

 この統合後の法人は、医薬品開発の基盤整備や国民の健康の保持増進に関する研究などの重要な業務を行うことになっております。先生御指摘のように、そういう意味で優秀な人材が必要であるということは全くそのとおりだと、私も、先ほどの委員の方にもお答えしましたように、非常に重要なことだと思っております。

 このため、法人の組織や研究体制などについて、研究者がより研究しやすい環境をまず整備すること、そして研究成果を着実に生み出し、若手の研究者にとっても魅力ある研究所とすること、こういうことによって優秀な人材の確保を図ることが必要であるというふうに考えております。具体的には、処遇も含めて、ある程度今までと違った対策をとらなきゃいけないんだろうなというふうに思っております。

 また、この法人のマネジメントを担う理事長も非常に重要なポストでありまして、どのような人を選択して連れてくるのか、この辺も慎重に検討しながらまいりたいというふうに思っております。

上野委員 ありがとうございます。

 組織の統合だけではなくて、どういう研究者の方々、またトップにどういう方に来ていただくのか、そういったことが、まさにこの法人がどういう成果を上げていけるのか、そういったことにもつながっていくんだと思います。ぜひしっかりと御検討いただきたいと思います。

 その上で、先ほども、引き続き独法制度のあり方についてはぜひ検討いただきたいというふうに申し上げました。関連で、一つお聞かせをいただきたいというふうに思います。

 今回の統合後の法人、法律を見ると、業務として、医薬品及び医療機器等並びに薬用植物その他の生物資源の開発に資することとなる共通的な研究を行うということであります。先ほど来、大臣からもお話がありました。統合することによってメリットがあるんだ、相乗的な効果が出てくるんだということでありました。それであれば、ほかにも実は類似の研究を行っている法人というのは幾つかございます。

 先ほど来話も出ておりますけれども、理化学研究所、理研の例えばライフサイエンス技術基盤研究センターというところの業務を見ると、創薬、医療を革新する基盤技術研究の推進と、次世代のライフサイエンスを確立する研究開発を行いますと。それからもう一つ、独立行政法人産業技術総合研究所、これは私も昔担当していたところでありますけれども、ライフサイエンス分野というところがあって、新たな健康評価技術や創薬推進技術の開発、あるいは個人の状態に合わせて健康維持、増進、回復を推進する技術を開発するということであります。

 また、どういう研究をやっているのかというのを幾つか見てみると、例えば産総研では薬用植物の研究というのもやっておりまして、まさに統合後の法人と本当に重なる研究というのを理研であったり産総研というところでやっているんだろうなというふうに思います。

 今回、二つの法人が統合されるということでありまして、まさに厚生労働省が所管をする二つの類似の研究を行う法人を統合するということで、これはこれで理解ができるわけでありますけれども、例えば、理研でありますとか産総研、文科省とか経産省所管でありますけれども、本当に研究の成果を上げていく、これまで複数の研究機関でやっていたものを統合して相乗的な効果を上げていくということであれば、今回の二つの統合にとどまらず、実はまだまだ、一緒にやっていくことによって効果が出る可能性があるところというのは、まさにその論理であれば、あり得るのかなというふうに思うんですけれども、このあたり、どうお考えなのか、お伺いをいたします。

赤石大臣政務官 先生の御指摘のとおりだと私も思っております。これをどうやって連携させるかということだろうというふうに思っています。

 現在、理化学研究所は、科学技術の水準の向上を図ること、産業技術総合研究所は、産業技術の向上を図ることをそれぞれ目的にしております。医薬基盤研究所は、医薬品技術及び医療機器等技術の向上のための基盤を整備することを図り、国民の健康の向上に資することを目的としている。こういうことから、創薬支援に関する業務については、それぞれの法人の特徴を生かして連携していくことが必要であるというふうに考えております。

 例えば、医薬基盤研究所が本部機能を担う創薬支援ネットワークでは、理化学研究所等とも連携の上、大学等における研究開発の実用化を図るための支援も行っておるところであります。

 今後ともこの連携の強化充実を図り、革新的な医薬品の実用化に向けて取り組んでまいりたい、このように思っております。

上野委員 ありがとうございます。

 研究開発を行う法人のあり方というのは、まだまだ議論があるんじゃないかなというふうに思います。

 また後で時間があれば聞かせていただきますけれども、アメリカのNIHということで申し上げると、三兆円のまさにファンディング機能を持ちながら六千人の研究者を抱えている、ファンディングをやりながら研究開発を自前でやる組織であります。では、そういったところに、いわゆる日本版NIHが目指すところが仮にあるのだとすれば、例えば、そういったところに医薬関係、食品も含めて、研究をするところを統合していく方がメリットがあるということであれば、そういった方向性もあり得るのかなというふうに思います。また後であわせてその方向性についてはお伺いをしたいというふうに思います。

 次に、そもそもこういった研究、今は独立行政法人という中で今後もやっていかれるという法案なわけでありますけれども、これを独法という制度の中でやっていく必要性ということについてお伺いをしたいというふうに思います。

 統合後の法人の研究内容について、お話をお伺いしたり、資料を見させていただくと、例えば、アジュバントを含めたワクチンの研究、それから幹細胞、再生医療の研究、それから薬用植物の研究ということであります。

 独立行政法人制度は、民間に任せておくとなかなか進まない研究を、では、公的部門でやっていこうというのが独法制度の本来のあり方なんだと思うんですけれども、例えば、ワクチンの研究ですとか、あとは再生医療の研究、それから薬用植物も含めて、これは、民間企業であったり、または大学であったり、またはほかの研究機関であったり、幾らでもほかのところでやっている研究なんじゃないかなというふうに思います。

 また、仮にこういった研究について何らか公的部門で措置をしないと研究が進まないということであるのであれば、例えば、いわゆる日本版NIHにファンドの機能があるわけですから、そういったところに予算の配分をするという委託の制度をつくれば、これはこれで事足りるんじゃないかなという気もいたします。

 まさにこの独立行政法人、統合後の法人を維持して、公的部門の中で、独立行政法人制度という中でこういった研究、ワクチンだったり再生医療といった研究をやっていく意味、必要性についてお伺いをいたします。

三浦政府参考人 医薬品の開発につきましては、長期的な取り組みを要しますし、開発リスクが非常に高いという商品開発の特性がございます。

 もとより、民間における研究開発を進めるということは非常に重要なことでございますし、公的にそれを支援していくという役割もあるだろうと考えております。そういう観点からは、医薬品の開発に資するということではあって、かつ、個々の医薬品の開発にはなかなか直結しにくい技術の開発、そういうような分野に関する共通的な研究につきましては、民間でそれぞれ行うというよりも、医薬基盤研究所が実施することがむしろ効果的、効率的ではないかと考えております。

 御指摘がございましたような、例えばiPS細胞を使って肝臓細胞をつくり出す。その肝臓細胞を使えば、わざわざさまざまな組織を使った研究をやるよりも、効率的に、肝臓に対する毒性だとか、あるいは効果というものが評価できる。

 そういうような意味で、いろいろな医薬品の候補物があったときに、その候補となる化合物の評価を行うという観点からは、従来よりもはるかに効率化が進むのではないか。例えば、そういうようなやり方で研究開発の推進を図っていくということが、公的部門で基盤的な分野の研究を行っていくということの重要性ではないかと考えているところでございます。

    〔北村(茂)委員長代理退席、委員長着席〕

上野委員 今お伺いをした、例えばiPS細胞を使って肝臓をつくっていくという研究、これは幾つかの大学でもやられているんだと思います。また、例えば、先ほど申し上げました、薬用植物に関する研究であれば産総研でもやっていたり、恐らく民間企業でもやられているんだと思うんですね。今回、いわゆる日本版NIHができるわけでありますけれども、では、ファンディング機能と、まさに自前でどういう研究をしていくのか、そういったことも含めて、ぜひしっかり見直しをしていっていただけたらいいんじゃないかなというふうに思います。

 その関連で、今度は日本版NIHについてお伺いをしたいと思います。

 これはもう随分、何人もの委員の方々から、また、連合審査だったり、内閣委員会の中でも指摘をされていますけれども、ずっと日本版NIHというふうに言われていた割には、やはり、本家、アメリカのNIH、三兆円の予算があって六千人の研究者を抱えている、そのまさにNIHに比べると、大変、少なくとも規模でいうと見劣りがする形での立ち上げになったということだと思います。これは、事実であるし、そういう答弁をいただいているということでもあるというふうに思います。

 では、これは将来的にどういう姿を描いているのかというのをぜひお伺いしたいというふうに思います。

 例えば、立ち上げの時点では予算も千四百億円、三兆円の本家NIHに比べると大変少ない予算だけれども、将来的にはそういった規模、アメリカと同じ規模にまでなるかどうかちょっとわからないですけれども、より大きな予算の配分の機能を担っていくという方向性なのか。

 また、今回はいわゆるファンディング機能だけを統合した形での法人の新設でありますけれども、先ほども申し上げました、アメリカのNIHは六千人の研究者を抱えて、まさに自前で研究もやっているという機関であります。

 これは、ファンディング機能と、まさにそういった自前の研究機能、これをあわせ持つことが、恐らくメリットがあるんだという判断でそういう組織形態にしているんだと思うんですけれども、では、いわゆる日本版NIHは今後どういう方向性を志向していくのか。今のまさに立ち上げのこの形態が、最終形態というのか、目指すところなのか、それとも、今後、より違った形で日本の研究開発を進めていく、そういった姿、また別の姿、将来的に目指す姿があるのかどうか、その点についてお伺いをいたします。

中垣政府参考人 ただいまの御質問でございますが、御指摘のとおり、アメリカの国立衛生研究所につきましては、二十七の独立した研究所で構成されておりまして、各研究所がみずから研究を行うとともに、研究費の配分を行っておるというものでございます。

 一方、我が国の研究開発推進体制を考えるに当たりましては、我が国の実情も十分に勘案したものとする必要があるというふうに考えまして、新しくつくります日本医療研究開発機構につきましては、アメリカと異なり、医療の研究領域間の連携を十分に図ることで一体的な運営を行う組織として、また、自前の研究所を持たず、研究費の配分でございますとか、研究管理・支援等に特化した法人としたものでございます。

 この形にいたしましたのは、我が国におきまして、これまで大学でありますとか、それからいろいろな研究所等において医療分野のすぐれた研究が行われてきたという実績がございますので、これに鑑みまして、こうした既存機関の能力、機能というものを最大限に活用させていただきまして、機構が一体的に研究管理・支援等を実施することが最も効率的かつ効果的な方法と考えたところでございます。

 したがいまして、そういった趣旨で、私ども今回、この形で法案を提出させていただいておるところでございますので、現時点におきまして、今提案させていただいております方式が最も効率的かつ効果的ではないかというふうに考えておるところでございます。

上野委員 ありがとうございます。

 今回、いわゆる日本版NIHが立ち上がるわけでありますけれども、立ち上がって、その状況というか、成果をしっかり把握していただいて、適宜、どういう形が日本の科学技術、医療に関する研究を推進していくのに適切なのか、ぜひ引き続き検討、また必要に応じて見直しを行っていただければというふうに思います。

 今回、基盤研について言うと、これまで自前の研究をやっていた、また、あわせてファンディングの機能も持っていた、そのうち、今、ファンディング機能を切り離して、いわゆる日本版NIHにファンディングの機能も一元化をするというふうにしたわけであります。自前で両方やっていたのをあえて切り離して、自前の研究とファンディングを切り離した方がある種適切だという判断をされたんだと思うんです。

 一方で、では、それを実行していくに当たって、まさにその法人が立ち上がって、それは本当に適切なのかどうか。アメリカのまさにNIHの例、ファンディングと研究開発を自前で行うといった方が恐らく効率的だ、効果的だという判断でそうしているんだと思うんですけれども、ぜひ、そういったところも含めて、いわゆる日本版NIH、立ち上げからの状況も踏まえて、適宜、日本の研究開発体制の見直しを行っていただければというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時二十二分開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。浦野靖人君。

浦野委員 朝から委員会と本会議とお疲れさまです。もうあと二時間少しですけれども、皆さん、委員会頑張りましょう。何か自分に言い聞かせているみたいですけれども。

 きょうは四月四日ですけれども、何の日かといいますと、おかまの日ではないです。自分から言ってなんですけれども、実は私の誕生日であります。

 私は、四月四日というのは非常にいろいろな縁、もちろん自分の誕生日という縁があるんですけれども、うちの父親が現職の議員で病気で亡くなりまして、実は父親のお葬式をしたのも四月四日でした。私が、父親が亡くなって初めて府議会議員選挙に出たときの初日が実は四月四日でした。四月四日という日は、私、非常にいろいろと縁があるんだなというふうに勝手に思っているんですけれども、そんな日にまたこうやって質問させていただく機会をいただいたというのも、これも何かの縁なのかなというふうに思っています。

 前置きはこれぐらいで質問をしていきたいと思いますけれども、今回の法案、私は本会議場で党を代表して質問させていただきました。その答弁の中に、いろいろと、ちょっと聞きたいことというのが出てきておりましたので、それを中心に聞かせていただこうと思っているんです。

 まず一つ目。

 この日本版NIHという言い方が適当でないというのは、アメリカのNIHと全然違うということで、それを日本版、日本版と言うのもどうかと思うんですけれども、わかりやすくするために日本版NIHというふうに皆さんおっしゃっています。

 私自身は、イメージとして、機構自体が、予算があって、その予算をどういう分野に振り分けて、その振り分けた分野の中でこの部分に予算をつけましょうという、全部を機構が差配するんだというふうにちょっと思っていたんですね。

 ところが、いろいろとお話を聞いていると、どうもちょっとニュアンスが違うような感じだったんですけれども、その点について、予算の決定権というか、機構と健康・医療戦略推進本部との兼ね合い、そこら辺をもう一度整理したいと思っているんですけれども、答弁をお願いします。

中垣政府参考人 今御指摘のございました予算との関係でございますが、今御指摘のような健康・医療戦略推進本部、これは全閣僚を構成員といたしまして、総理を本部長とするという本部でございますけれども、これは内閣に設置いたしまして、健康・医療戦略及び医療分野研究開発推進計画という二つのものを定めまして、これに基づいて戦略的、総合的な予算配分を行うということで、要するに、予算配分の大枠と申しましょうか、どういうところに重点化するかといったようなものは、こちらの本部で決めていただくことになります。

 一方、日本医療研究開発機構におきましては、この本部の方針を受けまして、医療分野の研究開発予算を集約する。これは、従来、文部科学省、厚生労働省、経済産業省それぞれに分かれておりましたそういった予算を集約いたしまして、研究のための研究課題の公募でありますとか採択、それから研究費の配分、研究の進捗に応じた評価等を一体的に行う独立行政法人として同本部のもとに設立して、医療分野の研究開発を基礎から切れ目なく実用化までつなげていこうというものでございます。

 したがいまして、大枠が決まった中で個別の研究費の支給といったものをこちらでやるということになります。

浦野委員 そうなると、確認ですけれども、実際に大きな、例えば難病の分野にこれだけの予算をつける、再生医療の分野にこれだけの予算をつけるということ自体は、推進本部の方でお決めになるということですよね。

中垣政府参考人 そのとおりでございます。

浦野委員 当初、機構の理事長というか、機構の執行部がそういったところまでも決めてやっていくのかなというふうにちょっと私は思っていたので、せっかくつくった、予算も一元化した組織ですので、そこまでの権限があった方がいいのかどうかというのは少し議論が出てくるところだとは思います。

 となれば、やはり推進本部の方、これは全閣僚が参加されているということですけれども、推進本部のメンバーが私は非常に気になりまして、今現在も、推進本部の会議、これはもう立ち上がっているものですよね。その中の人たちがそれを決めていくということになれば、機構のトップの方々の権限というのは実は余りなくなっちゃうのかなというふうに思ったんですけれども、その点はどうですか。

 僕は、どちらかというと、機構の方が権限を持っていた方がいいんじゃないか、そのために、機構のトップ、理事長とかの人事というのは非常に大事になるんじゃないかというふうに思っていたわけですけれども、そこはどうですか。

中垣政府参考人 今話題に出ました本部につきましては、実は、昨年の八月に閣議決定で同じ名前の健康・医療戦略推進本部というのをつくっております。この法律を通していただければ、今度は法定の本部になるという形になります。

 それで、八月につくっております閣議決定の本部でございますけれども、そのもとに医療分野の研究開発のための専門調査会というものを設けて、そこで専門の先生方に集まっていただきまして、実はことしの一月に報告書も出しておるんですけれども、これから、ある程度中期にわたって、どういったところに重点を置いて医療分野の研究開発をやっていくべきかといったものも検討していただいております。

 そういったものも踏まえて、本部の方で大枠をつくっていただく。その中で、それを進めるために、どの課題につきましてどの応募がいいかとか、そういったものを機構の方で決めていただくといったことを考えておるところでございます。

浦野委員 いずれにしても、推進本部の今のメンバーの方々、参与の方々とかもその各分野を代表するような方々でしょうし、恐らく、今度誰が機構のトップになるのか、これも大体、政府の中ではいろいろと、誰がいいんじゃないかという話はもう出ているとは思うんですけれども、そこら辺も私はちょっと気になっていたところです。

 いずれにいたしましても、この機構が目指すものがやはりスムーズに前に行くように推進本部をしっかりと、思っていたよりも推進本部の方が結構手綱を握っているんじゃないかというふうに今思っていますので、またよろしくお願いをいたしたいと思います。

 この推進本部の中の議論で、いろいろとたくさん、本当に多岐にわたって議論がされている、資料をいろいろ見させていただいたんですけれども。この委員会はiPadとかを使っても大丈夫なんですかね。大丈夫ですよね。いや、この間、本会議場で小松長官がそういうのを使ってえらい問題になっていたので。委員会では別に大丈夫なんですかね。今、ちょっと資料をこれで見ているものですから、済みません。

 その中に、いろいろな資料の端々に、ICTの利用という言葉が入ってくるわけですね。私は、医療分野は、ICT、あとはビッグデータという言葉、この二つの言葉が、いろいろなところで、政策をやっていく中で必ずついてくる言葉になってしまったなというふうに思っているんですけれども、もちろん、この機構においても、いろいろな、医療のありとあらゆるデータが集約されていくと思うんですね。

 その中で、やはりこのデータというのをデジタルデータで集積していく、その集積していく中でいろいろ活用を見出すという作業も、恐らく、これから機構が果たしていく役割の大きな一つになると思うんですけれども、その部分について、今どれぐらい、何か進捗しているとか、どういうところになっているかというのをちょっとお聞かせください。

中垣政府参考人 御指摘の医療のICT化というものにつきましては、安全で高度な医療サービスを効率よく提供するためには、非常に重要であるというふうに考えております。同時に、ICT化により得られますデジタルデータの適切な利活用を図ることで質の高い臨床研究の実施が可能となるなど、こういった国際競争力のある研究とか技術創出の環境整備につながるというふうに認識しておるところでございます。

 このため、医療、介護、健康のデジタル基盤の構築に向けまして、本年三月、先月でございますけれども、健康・医療戦略推進本部のもとに、有識者、関係府省から成る次世代医療ICTタスクフォースというものを設置いたしまして、医療現場の適切なICT化、そのデータ収集、分析するためのルール、あるいはその運営のあり方等について検討を開始したところでございます。

 医療、介護、健康のデジタル基盤の構築につきましては、本タスクフォースで六月ごろを目途に一定の結論を出しまして、その具体化に向けまして本格的に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。

浦野委員 ビッグデータの活用というのは非常に注目されて、特に、私は、医療分野なんかは本当にこれが重要だと思っているんです。

 というのは、アメリカのグーグルがよく話に出てくるわけですけれども、グーグルの情報というのはそういうふうに、全く意味をなさないようなデータも全て蓄積されていっているわけですね、そういうのをビッグデータと言うわけですけれども。その中で、アメリカのWHOより早くインフルエンザの流行をそのデータの中から読み取ったというのがグーグルです。

 これはまさに、ビッグデータを活用して、アメリカじゅうでつぶやく、いろいろな、ありとあらゆるところで出てくる言葉の端々に、そのインフルエンザに関する情報が上がってきている、そのことに気づいてそれをデータ化すると、実は流行するところと全く一致していた。WHOより数週間前にインフルエンザの流行を予言していたというのがグーグルなんですね。

 そういうことを、日本はそういう分野は強いようなイメージがありますけれども、実は全くおくれている状況で、個別の名前は言いませんけれども、超有名な、日本を代表するIT企業なんかは、ビッグデータは自前でやるのはもう諦めよう、今から投資してももう間に合わないということで、誰もが知っている会社ですけれども、諦めたりとかしているんですね、実は。

 さらに一つ問題になるのは、これも質問をつくる中でいろいろと話をさせていただくと、さまざまな分野でさまざまなコンピューターのプラットホームを日本は特に立ち上げておりまして、情報の統合がなかなか進まないという非常に大きなネックがある。これは医療のデータだけじゃないんですけれども。

 特に、三十一日に行われた参与会議、推進本部の参与の方からの資料の中でも、例えば、臨床試験データとかそういったものも全部デジタルで出してもらう、ドラッグラグとかそういうのをなるべくなくすために、電子化をしてそういうデータの共有とか、そういったことに少しでも早く手をつけられるようにしていこうという提案をされている資料が入っているわけですけれども、その中でもやはり、デジタル化していくというのは重要なことだというふうに書いてあるわけですね。

 私は、これは、何が問題かというのはもうわかっているんですね。要は、プラットホームを早く統一しないといけないという部分で、省庁も実は、たしか、プラットホームはみんなばらばらなんですね。厚生労働省のプラットホームはSAPというドイツの会社がたしかやっていたと思うんですけれども、これも省庁によってばらばらなんですね。

 こういうところをやはり一つのプラットホームに統合してしまわないと、情報の速いやりとりというのはなかなかできないというのがネックになりますので、ここは、これは厚生労働省の仕事では多分なくなっちゃうんですけれども、総務省になってしまうんですけれども、その辺のところをどうやってクリアしていくかというのが僕は国としては非常に大きな作業になると思うんです。その部分については、問題点はもうわかっているので、ちょっと馬力を出して頑張っていただきたいなと思っています。

 この点については、誰か答弁はされなくていいですか。何か僕、答弁してくださいとか言っていましたか。それは言っていなかったですね。だんだんわからなくなってきているんですよ、いろいろなことを言っているから。済みません。それでは、頑張ってください。

 次の質問です。

 本会議の答弁の中で、優秀な研究者の確保について、国際的な頭脳循環ネットワークを形成するために、優秀な外国人研究者の受け入れ推進などによって、世界じゅうから超一流の研究者を獲得するための取り組みにしっかりと対応してまいりますという答弁をいただいているんですね。

 これは、流出することも心配なんですけれども、世界じゅうから日本に来てもらうという取り組みも重要ですので、その点について、もうちょっと具体的に、どういう取り組みを考えているのか、お聞かせください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、すぐれた人材の国際的な獲得の競争が大変に激化しております。こういう中におきまして、第一線級の研究者におきましては、国や機関を越えて日常的に移動いたしております。

 このような状況の中で、我が国といたしまして、独創的な研究成果を生み出していくためには、日本人に限定せずに、世界第一級の人材を確保していくということ、これが極めて重要でございます。

 このため、文部科学省におきましては、戦略的国際研究ネットワーク推進事業、これを通じまして、国際的な頭脳循環を加速するための取り組みを行ってございます。

 また、これに加えまして、優秀な研究者が集います魅力的な研究環境を整備するための、例えば、世界トップレベル研究拠点プログラム、WPIといってございますけれども、これによります国際的な拠点の形成、また、新たな研究開発法人制度の創設によります研究者の処遇改善など、世界最高の研究環境の整備、さらには、外国人特別研究員事業を通じまして、優秀な外国人研究者の受け入れの促進、これらによりまして、世界じゅうから超一流の研究者を獲得するための取り組みを進めているところでございます。

 今後とも、我が国を世界で最もイノベーションに適した国とするための、これらの取り組みを強力に推進してまいりたいというふうに考えてございます。

浦野委員 日本の優秀なお医者さんとかそういう研究者が海外に流れていく話は、割とよく耳にするわけですね。その人たちをまずつなぎとめることももちろん必要ですけれども、やはり、世界の優秀な人に何とか日本に来てもらって、そういう人らが日本に来ることによって、優秀な日本の人たちが海外に行かずに日本にとどまるということも恐らく考えられると思いますので、この部分についてはもうちょっと頑張っていただけたらなと思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 それから、これは、朝から何人かの委員の先生方も触れられているんですけれども、理研の件です。

 これは、もちろん、新しい機構の予算配分を想定している中に、この理研も含まれているわけですね。

 ただ、今回のSTAP細胞をめぐるいろいろなこと、これは、STAP細胞が本当にあるのかないのかとかそういう部分は、午前中に我が党の伊東委員もおっしゃっていましたけれども、科学的な裏づけがこれからされるだろうし、そこで決着はすぐ科学的につくと思うんですけれども、では、何でこういうことが起こったかというのはやはりきっちりと検証をする。

 これは、理研の内部で発表して、ネイチャーまで載せて、では今度、これがどうだったかということを、また内部で今検証をやっているわけですよね。その内部の検証も確かに必要だとは思うんですけれども、ここはやはり、理研に対して第三者、外部のそういった、今回の件はどうだったのかという検証をしてもらうような部分というのを早急にやってもらわないといけないと思うんですけれども、これは大臣、きのうか何かそういうお話をしてはりますか。そういう話は今あるんですかね、理研の方では。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 理研の問題につきましては、先生御案内のように、去る一日に、理研の野依理事長の方から、STAP細胞に係る論文につきまして、調査により、二件の不正やその他の事実が認定されたという報告を文部科学省の方にいただいております。

 理研におきまして、今後さらに、御指摘の、外部有識者による委員会を設置して、再発防止策を検討し、早急に取りまとめるということにしているというふうに聞いてございます。

 文部科学省といたしましては、この調査結果を精査いたしまして、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

浦野委員 これは理研は理研でしっかりとやってもらいたいと思うんですけれども、私は、この機構も、いざこれから予算をつけていく中で、何かこういった重大な疑義を起こすような、そういうものが出たときに、機構としてもやはりそういう仕組みというのを考えておかないといけないんじゃないかと思っているんですけれども、その点はいかがですか。

中垣政府参考人 ただいまの御指摘でございますけれども、この機構というのは、あくまで、いわゆる医療分野の研究開発の競争的資金を配分するという組織でございますので、私どもといたしましては、この機構がみずから配分した研究費につきましては、専門の部署を置いて、その公正かつ適正な実施の確保というのを図っていきたいというふうに考えております。

 それで、私ども、こういう取り組みをすることによっていろいろなノウハウとかが蓄積されれば、政府全体の不正防止策にも活用できるのではないかなというふうに思っておるところでございます。

 いずれにいたしましても、革新的な医療技術の実用化等に向けた取り組みというものを進めていくためにも、御指摘のように、研究不正みたいなことによりまして我が国の研究の信頼性が低下するというような事態は看過できないというふうに考えておりますので、このことにつきましても、各省と連携してしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っておるところでございます。

浦野委員 こういう問題が起こると、必ずいろいろな内部のそういう調査をする部署とかができたりするわけですけれども、やはり内部の関係者だけで完結させるというのはいろいろと問題が起こると思うんですね。これは理研もそうですし、私は、この新しくつくられる独法にも、そういった第三者が公平に、公正に判断できる、そういう部署というか、有識者会議みたいなものをつくるべきだと思います。

 また、冒頭に推進本部と機構の権限の話をしましたけれども、推進本部の方でも実はそういった仕組みというのはもしかしたら必要なんじゃないかなというふうにも思ったりはするんですけれども、何かが起こったときだから、何も起こらなければ要らないんですけれども、何かあったときに、ばたばたとそういった第三者の会議をまた取ってつけたようにつくるというのでは話にならないので、やはりそういうチェック機関は最初から想定をしておくべきだと思うんですけれども、いかがですか。

中垣政府参考人 研究の不正が発生した場合には、一義的には、その研究不正を行ったとされる研究者の所属する研究機関が調査を実施するということがまず基本であるというふうに考えております。

 一つ、先ほども御答弁させていただきましたけれども、私どもが今回創設しようとしております日本医療研究開発機構におきましては、みずから配分する研究費によって実施された研究でそういった行為があった場合には、機構からもそういった研究機関に遅滞なく速やかな調査の実施を求めて、また、そういった研究機関の調査活動をチェックするということになるというふうに思います。

 その際にどうするかというのはあるわけでございますけれども、機構におきましては、当該研究機関にそういった外部有識者を含めた委員会を設置させる等、その調査の適正性でありますとか公正性の確保に努めていくべきだというふうに考えておるところでございます。

浦野委員 今回のSTAP細胞のような、我々はこういう科学的な分野に関しても全くの素人ですから、今いろいろマスコミが書いている情報しか入ってこないわけですね。

 ただ、今回の件に関して、なぜSTAP細胞がこういう形で世界に発信をされて、それが実はどうかわからなくなってしまっているということに関しては、やはり携わった全員の方がもうちょっときっちりと、いろいろなことをしっかりと議論してやっていただけたらよかったかなというふうに思っています。

 ただ、STAP細胞というのが現実にあるとするならば、それはすばらしいことだなと思うので、私は、どっちかといえば、あってくれたらいいなというふうには思っております。

 最後に一つだけ、これはニュースとかでたまに出てきますけれども、街頭でみんなで募金を一生懸命して、何億というお金を集めて、海外に治療に行く、こういった取り組みといいますか、やむを得ずこれをやるわけですけれども、今回の法案、これをやることによって、少しでもそういうのが少なくなっていくのかどうかというのをちょっとお聞かせいただけたらと思うんです。

田村国務大臣 いろいろな状態の中でそういう活動が行われるわけでありまして、よくテレビ、新聞で耳にさせていただくのが、臓器移植の問題は、よくこういう、募金を募って海外に行かれて、なかなか国内では、特にお子さんの場合はドナーの方々が見つからないということもございまして、海外に行かれるということがある。昨今では、国内のことは、日本のことは日本でやっていただきたいというような風潮もございますので、なかなか海外に行くのも難しくなってきておるわけでありますけれども。

 そういうものは、なかなか、今回のこれでどこまで動くかというのはまた別なことなんだろうというふうに思いますが、一般的に、例えば海外で認められているにもかかわらず国内では承認されていない薬でありますとか、こういうものに関して申し上げれば、ドラッグラグ、デバイスラグというものを解消するということで、かなり審査ラグの方は縮まってきているんですが、開発ラグというものがまだ若干残っております。

 こういうものをいろいろと解消していくために、御承知のとおり、昨年、薬事法を改正いたしまして、第三者機関による認証制度をやることによってPMDAでの医療機器の審査を早めようというようなこともやってきておるわけでありますし、それから、国際共同治験なんていう形で、海外と共同で治験をやって、日本の国内でも早く開発そして審査をしていける、そういうようなことをやったりでありますとか、いろいろな形は組んできております。

 PMDAの中で、薬事戦略相談というものの強化も今図っておるわけでありますし、PMDA自体も、人数も含めて機能強化をやっております。大阪ではPMDA―WESTというような形で、非常に、製薬関係は大阪、関西の中心でもございます。そういう意味からいたしますと、そういうところでいろいろな機能を発揮していただく。

 そういうことをやる中において、一方で、今回の機構は、画期的な、言うなれば新薬も含めて、新しいもの、基礎研究では強い日本のいろいろな研究、これを実用化までつなげるという意味では、先ほど来お話がありましたけれども、上に推進本部があります、ここが、各省庁から来た予算の内容を精査しながら、そして縦割りじゃないような形でこの予算をしっかりと確保して、この日本医療研究開発機構、ここが手足になって、創薬を支援しながら、一方で、研究機関、この事業に関してはどこにこの研究を任せれば一番効率的にしっかりやってもらうかというようなことを判断いただいて、その上で、PDCAサイクルを回しながら効果を検証していくということでございます。

 そういう意味からいたしますと、新しいもの、もっといい、こういう技術があれば、こういう薬があれば助かるのにという意味では、大きな役割を果たしていっていただけるのではないか、こんな期待もしながら我々もしっかりと協力をさせてまいりたい、このように思っております。

浦野委員 海外でできる治療方法が日本国内でできないというのは非常に残念ですし、やはり、時間がかかったがために、残念ながら、手術を受けられずに、治療を受けられずに亡くなってしまうということもよくあるというふうに耳にしていますし、これはもちろん、今回の法案で、そういったところが特別に前に行くとか、そういうのではないですけれども、やはり全体として全ての部分を、日本がおくれていると言われているような部分に関して、この法案も含めて、前に前にどんどん進んでいけるように、今回の法案を機にやっていただけたらなと思います。

 私も、今回、この法案をいろいろと調べる中で、基礎研究にかかわる若手の研究者が実は日本は減ってきているんじゃないかというふうなことを、いろいろと見るんですね。その部分も、これから、もしかしたら将来、ちょっと大きな問題になるのかもしれないというふうな危機感も持っていますし、基礎研究があって初めてその後のいろいろなものがあるんだというのを利根川先生がおっしゃっていると新聞にも載っていましたけれども、そういった部分も含めて、やはりこれからも、ありとあらゆる部分で医療の推進をしていただければなと。

 ただ、それをすることによって医療費の負担がふえますので、混合診療も考えていただけたらと思いますけれども、それを言わせていただいて、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 本日も時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まず冒頭、先週の厚生労働委員会から、子供貧困対策、その閣僚会議の日程を、厚生労働委員会だけではなくて本会議でも、そして、一昨日は内閣委員会でも、その日程を早くということを要請させていただきました。

 けさ方開かれたということで、ようやくスタートを切れたということで少し安心をしたところではあるんですが、午前中から、きょうの朝日新聞、山井議員は、またいないですけれども、顔を真っ赤にして、血圧が高くなって脳溢血になっちゃうんじゃないかぐらいの、それぐらいの思いの中で、私もけさ、この新聞を見て大変ショックだったわけです。本当にこの実態が広がって、それが当たり前ということになってしまうと、やはり何のために子供貧困対策を全党一致でやったのかということになってしまうんじゃないか。

 きょうスタートをしたということですけれども、やはり八月の概算要求までに、これは間に合うか間に合わないかではなくて、逆算して、来年度の概算要求、その前に大綱をつくるわけですが、必ず具体的な内容を盛り込んでいただかなければいけない。そのためには児童扶養手当の拡充などなど、具体的な内容をしっかりと詰めていただきたい。やっただけ、検討するだけということに絶対ならないように、先ほどもお答えいただいていますが、大臣にはもう一度、ちょっと御決意をいただきたいと思います。

田村国務大臣 本年七月を目途に大綱をつくらなきゃならぬということでございまして、そういうもとで、森内閣府担当大臣のもとにおいて、それぞれ関係省庁が協力して進めてまいりたいというふうに思います。

 あわせて、大綱のもとでいろいろな予算、これは概算要求の中で求めてまいるわけでありますが、当然、子供の貧困はいろいろな部分があるわけで、我が省で担当している部分はあるわけであります。

 多分、大綱の中にも、今やっているもの、そしてそれを強化するもの、こういうものは当然盛り込んでいくわけでございますので、大綱は大綱でつくっていきますけれども、当然、子供のいろいろな支援に向かっての予算要求というものは、我が省は我が省でこれは強化をしていかなきゃならぬというふうに思っておりますから、並行しながらでありますけれども、子供の貧困対策をしっかりと進めてまいりたい、このように考えております。

中島委員 先日もそういう御決意も聞きましたし、火曜日の本会議でも、私、この次にある医療介護確保推進法ですか、そういったことも、かなりの分野が盛り込まれておる。そして、ことしの一月に施行されても、ようやく四月に入ってと。

 もちろん、大臣のおっしゃるのもわかるんですが、私はどうしても、安倍総理、医療や介護、まさに四月一日から消費税が増税されておる。我々はもともと、増税の前にやることがあると、きょうは独立行政法人の話でもありますけれども、私たち、もちろん、成長分野とか規制改革といったことは訴えているわけですが、やはり厚生行政は、日の当たらないところをしっかり取り上げて、それを具体的に施策を練っていく、そして、自分たちでつくった法律、それに対してはしっかりとフォローをしていって、具体性のある、実効性のあるものにしなければ何の意味もない、そのように、きょうも聞いておって、非常に思うところもありました。

 ぜひ先ほど言ったことを具体的にやっていただくと同時に、きょうの就学援助の問題、もちろん所管はまたがるんだと思います。ただ、それは子供たちには何の関係もありませんから。子供たちにしてみれば、厚生労働省だろうが文科省だろうが、まさに今、消費税が増税されて、貧困の連鎖が日々悪化していく可能性も否定できないわけですから、一日も早くしっかりとした具体策をまた見出していただけるようにお願いをしたいと思います。

 本日は、独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律案ということであります。

 私は、内閣委員会、今回、日本版NIHということで、そちらの方も担当させていただきまして、きのうの連合審査も菅官房長官に何度かお話をさせていただきました。

 これはもともと、日本再興戦略に基づく新たな医療分野の研究開発体制を踏まえて、こちらの厚生労働省所管では、医薬基盤研究所と国立健康・栄養研究所を統合し、医薬品及び健康、栄養に関する研究を実施する独法とされておる。また、基盤研究所の業務のうち、研究開発にかかわる研究費の配分、評価等々、創薬支援については、新たにできる日本医療研究開発機構が担うとされておる。新たな独立行政法人は、内閣にできる健康・医療戦略推進本部の指令を受けて、基礎から実用化まで、研究開発支援の実務を担うという目的で新たにつくられるということになっておるわけですね。

 きのうもおとといも、何度も同じような、堂々めぐりみたいになってしまうんですが、今回、JEEDの問題も含めて、独立行政法人のあり方そのものが問われておる。

 そして、資料の三枚目、これは昨年六月の日本再興戦略の閣議決定、医療分野の研究開発の司令塔の創設。先進医療の推進を図る、その旨については私自身も大変期待をするところであるわけですが、一方で、黄色の枠で囲ってあるところ、「一元的な研究管理の実務を担う独立行政法人を創設する。」そういう前提の中で、もう入っているわけですよね。

 私は、これはそもそも論になってしまうんですが、今回、厚生労働省所管の二つが、スクラップ・アンド・ビルドの原則に基づいてということなんですが、一方で、そもそも、この国家プロジェクトの中に、だから独立行政法人をつくるのは当たり前なんだという感覚自体が、どうもやはりしっくりいかないんです。

 その件はまた後ほど聞きたいと思うんですが、今回、改めてちょっと確認をしておきたいところですけれども、厚生労働省所管の独法、基盤研究所と健康・栄養研究所の統合について、新しくできる日本医療研究開発機構との、先ほども言いましたスクラップ・アンド・ビルドの原則に従ってという認識でよろしいのかどうか、まずお尋ねいたします。

田村国務大臣 国立健康・栄養研究所、それから医薬基盤研究所、この二つは、先ほどもお話し申し上げましたけれども、平成十九年と二十四年、これは福田内閣と野田内閣でありますけれども、この時点で、閣議決定で統合の方向が打ち出されておりました。

 なかなか、そうはいっても統合していなかったわけでありまして、そこにちょうど今般の日本医療研究開発機構というものをつくるという方向性でありますので、そこはスクラップ・アンド・ビルド、これは大変重要でありますし、もともと、統合は統合で効率化を図ろうという意味と同時に、機能強化、つまり、薬とそれから食品、こういうものをあわせて、いろいろな意味で、効率的な部分もありますが、それ以上に、いろいろな有効な研究もできるのではないかというような議論もございましたので、ちょうどいい機会でございますから、前から閣議決定もしておりますので、今般、法改正をさせていただいて、一本にさせていただこうということでございます。

 そういう意味では、幾つかの統合する理由はありますけれども、今言われたように、今般の新しい機構ができる中においてのスクラップ・アンド・ビルド、これもそのうちの理由の一つであるということであります。

中島委員 今大臣おっしゃっていただいたように、この統合の話は、第一次安倍内閣、平成十九年のとき、合理化計画ですか、そのときにもですし、一昨年一月の見直しの基本方針の中でも検討されておった。ただ、七年間検討されていたけれども統合できなかった、その理由は何なんでしょうか、逆に言うと。

三浦政府参考人 両研究所の統合につきましては、今大臣からお答えさせていただいたように、長い経過をとって今回の統合ということになったわけでございますが、もちろん、その間に、どのような形で統合を進めるかということについて具体の検討も行ってまいりました。

 しかし、最終的に法案を提出させていただいて、それを審議いただくというところまで機は熟さなかったということでございまして、今回、こういう新しい法人をつくるというようなこともあって、いわばそういう動きが顕在化してきたということでございます。

中島委員 やはり、七年前から検討されておって、そして、先ほど大臣も言いました、今回、NIHの下の方に新しい独法が、これはいいチャンスだというふうに聞こえてしまうんですよね。だって、七年前から検討されておって、統合した方がメリットがあると言われておったにもかかわらず、そのタイミングがなかった、七年間そのままになっちゃったというふうに聞こえるんです。

 スクラップ・アンド・ビルド、それにものっとったということでございますけれども、先ほども大臣おっしゃっていただきました、統合されることで医薬品等に関する専門性と食品、栄養等に関する専門性の融合が図られ、生活習慣病対策への応用、医薬品と食品の相互作用による研究の促進の相乗効果が期待されるということなんだと思うんですが、それだけいいなら、何でもっと早くやらないのか。

 まためぐっちゃうかもしれませんが、やはり今回、NIHの大きな、昨年の再興戦略で打ち立てて、先ほども申し上げましたように、私も大変期待をする。恐らく、これで日本の健康長寿社会に資する、そういったものが成長戦略とともに伸びていくんだ、そういった本場のNIHを想像させるような、そういう中で、その一方で新しい独法をつくる。そこに、ありきみたいなところがあるんじゃないか。

 まさに今回、厚生労働省の二つも、七年間検討されていなかったけれども、これはちょうどいい機会だというふうに見えてしまうのは私だけなのかなというふうに思うんです。

 やはり法人を合理化するのであれば、最低限、その効果として管理部門の人員や予算の合理化減が伴うべきであって、法案化すればすぐ、この夏には、これらにかかわる概算要求等も待っておるわけです。

 政府として、今から合理化減の規模について見通しを本来持っておるべきだと思うんですが、管理部門の人員や予算の合理化の規模感について、具体的に今決まっているようなことがあれば教えていただきたいと思います。

三浦政府参考人 今回の統合によりまして、まず、役員につきましては、理事長一名、理事一名、監事二名、合計四名を削減するということにしております。

 また、職員につきましては、今回、別途法案が審議されております日本医療研究開発機構、ここへの業務移管というのがこの医薬基盤研究所からございますので、その移管に伴いまして、常勤職員としておよそ二十八名程度、これらが統合後の法人から削減になるというふうに考えております。また、管理業務に関する効率化ということでございますが、管理業務に従事する職員につきましては、統合予定の平成二十七年に向けまして、関係府省と調整をしていくことになると考えております。

 予算でございますけれども、平成二十七年度の予算に向けまして、これら役員あるいは管理部門の人員の削減、さらに事務の効率化、これらを反映させた要求を行っていくことになると考えております。

中島委員 役員に関しては、健康・栄養研究所ですか、そちらの方が減るということで、ただ、一方で、新しくできるところにふえるということですよね。職員に関しては、機能を移管するところ、創薬部門とか予算配分機能ですか、そこに関する職員は削減というふうなことですけれども、合理化の観点からすると、統合されて新しくできる法人が、もともとの東京と大阪にそのまま分かれている。事務の効率化は図れないわけですよね。

 他の研究機関とのコラボレーションとか、先ほど言ったいい面、食品と医薬品、くっついていいんだというのであれば、具体的にコラボレーションするような、これがそのまま東京と大阪に残ってしまって、うたい文句はいいんですが、本当にそうなるのかと疑わざるを得なくなるんですが、その辺はいかがでしょうか。

三浦政府参考人 二つの研究所は、当然その中で研究をしておりますので、研究にかかわる設備あるいは実験のための装置などが設置されております。そういう大型な施設設備も含めまして、実験の施設を維持するということが、基本的には最も効率的な状況ではないかと考えておりまして、現在の施設で引き続き研究を実施していくということにしているところでございます。

 一方で、遠隔地にある研究所が協力して共同研究を行うという例は、例えば全く違うところにある二つの大学による共同研究など、既に先例はあるというふうに認識しております。

 さはさりながら、両研究所が統合後に効果的、効率的に研究を進めていくということは非常に重要なことでございますので、例えば、研究の企画立案にできる限り共同で取り組むというようなこと、また、先ほど申し上げたような共同研究を実施すること、研究発表もできれば合同で行う、あるいは基礎研究の成果などをお互いに利用するなど、共同研究の基盤といいましょうか、そういう環境を整えていくということは非常に重要だというふうに思っております。

 また、研究を実施するということになりますと、遠隔地にあるということがハンディキャップにならないように、例えばテレビ会議、インターネット等の電子的な手段を活用する、また、研究員を人事交流させるなどによりまして、両分野の連携を推進したいと考えているところでございます。

中島委員 東京と大阪に分かれていても問題はないんだ、遠隔地にあってもお互いできるということですけれども、そう聞くと、なおさら、何で今までやらなかったのかなというふうにも、またもとどおりになってしまうんです。

 そうなってくると、例えば、統合していくことで、先ほど予算については二十七年度以降はということでしたけれども、統合されてその分がまた新しくできるということになってくるわけですから、この辺、統合するに当たって、具体的な研究プロジェクトとかプランとか、しっかりとしたビジョンを持っていないと、ただ、健康・栄養研究所は歴史は非常にありますけれども大変規模が小さい、実際、取っつきやすいところとつけて、それよりもちょっと大きいのをつくっちゃえ、そんなふうに思われても、今回のJEEDの件を踏まえていきますと、やはり独立行政法人のあり方そのものが、皆さんから、なれ合いだとか、そのように思われている。

 そういう中で、新しい独立行政法人を、当然なんだというような感覚で、先ほどの再興戦略の閣議決定の内容を見ていても、これはあたかも当たり前のようにつくってしまうということ。ちゃんとしたロジックがあって、これはスクラップ・アンド・ビルドなんだと言えるような明確なものがないと、ちょっとやはり、本当に相乗効果としてあらわれるのかなというふうにも思うんですよ。

 先ほど言ったように、小さいもの、とりあえず検討を七年間もされておったわけですから、それがそのまま統合できずにいて、今回新しくできる、これはいい機会だというふうなことにならないように、しっかりビジョンを持って、結果的に効率化される。

 少なくとも事務系、今、離れておって、遠隔でとおっしゃいましたけれども、最終的には一つにするような、そんなことは今予定はないんでしょうか。

三浦政府参考人 両施設ともかなり大型の研究施設を持っているということもございまして、仮に移転するといたしますと、それなりに多額の移転費用あるいは再整備の費用等がかかるというふうに考えておりまして、現時点では、両者の現在の研究環境を維持するというのが最も効率的だというふうに考えております。

中島委員 私、この体制自体、本当に、スクラップ・アンド・ビルドというよりはメンテナンス・アンド・ビルドのような、要するに、一つは統合して減らしたんだけれども、一つはやや大き目のをつくっちゃった、そう見えてしようがないんですね。

 これは、一昨日、昨日も提出したNIHの方の資料です。政府案というのは、今回、文科省のJST、厚労省の基盤研、経産省のNEDO、この部分を集約して、資料の二枚目にありますそれぞれが持っている、JSTは環境化学、再生医療、イノベーション、基盤研は薬学、創薬化学、NEDOがエネルギー、環境、ITとか、そういったものを駆使して、研究開発から出口戦略まで一括してというふうに言うわけですけれども、下にある独法合併案というのは、内閣の方で、我々修正案を出そうというふうに思っている案です。

 とにかく、本当に国家プロジェクトとしてしっかりとやっていくのであれば、先ほど言ったように、それぞれ、縦割りを排除してとおっしゃいましたけれども、どこからどこまでが医薬分野なのか。これは推進本部が決定をして、機構にいるPOとかPDとかが大きな役割を果たすということですけれども、本気でしっかりやっていく。

 なおかつ、独立行政法人、一括していくという観点からいくと、やはり、統合した独立行政法人にして取り組んでいく、そういう姿が、今回、もう日本版NIHという言い方はしないのかもしれないですけれども、本当の医療や健康分野、そういったものの発展に資する、そういう本場のNIHを目指すような、そういった機関になるんじゃないかな。

 ただ、今回、本場のアメリカとは随分規模も違うということはたびたび指摘をされておりますけれども、菅官房長官のお言葉をかりれば、小さく産んで大きく育てる。そして、まずは申請の一元化とか、そういった縦割りの弊害をなくすんだということであれば、内閣の中に組み込んで、それこそ内閣の中で部署をつくって、各省庁から集まって、大事な予算配分も含めて一元化してやっていく。

 私たち、どうしても、新しく一つの独立行政法人を簡単につくってしまうということに大変違和感を感じるんですね。大臣、いかがでしょうか、そういうものについて。

田村国務大臣 まず、健康・栄養研究所でありますけれども、こちらとそれから医薬基盤研究所に関して申し上げれば、なぜ、平成十九年から上がっておって、これまでかかってきたか。

 いろいろな政治の事情はあると思います。政治が安定せずに、内閣が一年ごとに交代をしていった。そして、政権交代が起こって、民主党の先生方は、独立行政法人をどういうふうに考えるかというところから、多分いろいろな御議論をされたんだと思います。今のままの独立行政法人でいいのか、名称はどうだと、独立行政法人に対して、かなりいろいろな研究もされたんだと思います。ですから、二十四年、野田さんになって、もう一回、そのような形で閣議決定をされた。

 その直後にまた政権交代が起こって、我々の政権になったわけであります。そして、安倍内閣が比較的安定をする中において、もう一年数カ月でありますけれども、いろいろなことを腰を落ちつけて考えられる中で、今言いました日本医療研究開発機構、これもやろうと。そういう中において、では、こういうものもあったよねと。これは、前の自公政権のときにやろうという話であったけれども、やらなきゃいけないよねという流れの中で、今回、政権交代の中でもう一回機会を得た、そういうことなんだろうというふうに思います。

 あわせて、それでは、日本医療研究開発機構、独法、これをつくるのはどうなんだろうという御意見ですが、そもそも各省の予算を、各省の方から今も予算要求をやっているわけですね。その基本的なものを健康・医療推進本部の方に集約して、ここがまず頭であります。ここでいろいろと、縦割りでいろいろやってきたものでありますから、これを一連でやるとすれば、文科省の予算、それから経産省の予算、厚労省の予算、ここはある程度縦割りを排した形で、概算要求も含めてやれるのではないか。

 ここがヘッドになって、それぞれの研究分野の予算を概算要求していく、そして最終的に予算編成をして、おりてきたものを、推進本部はまさに内閣のメンバーでございます、閣僚です。ですから、ここがやるわけにはいかない。かといって各役所に戻したのでは、また縦割りに戻るわけでございますので、そういう意味で、ここに独立行政法人をつくる。これは独立行政法人じゃなくて役所でやるという話になると、また役所の肥大化と。

 そもそも、何で独立行政法人というような話になってきたかというと、役所にあったものを出して、そして、いろいろと独立させてやった方が効率性が上がるではないかと。役所のやり方というのは非常に硬直性があって、物事に無駄が多いということもありますし、もっとうまくやれば効率的にできるというような発想のもとで、独立行政法人というものをつくってきておるわけであります。

 役所が肥大化するよりかは独立行政法人という形でやった方が、いろいろな意味で、公平性、公正性も担保できるのかもわかりません。いろいろな方々の目、民間の方々の力、こういうものも入ってくるわけでありまして、そこでやろうという形でございます。

 これを役所でやるという話になると、また一つ大きな役所の機関ができて、そこに人がふえるなんという話になったら、本末転倒ということでございますから、今般、独立行政法人というような選択をしていったのであろうというふうに思っております。

中島委員 大臣の言うことはよくわかります。我々も、官の肥大化はだめだと言っておるわけです。大きな政府から小さな政府へ、そういう観点は共有しておると思います。

 ただ、今言われているのは、独立行政法人、JEEDの問題もそうですが、やはり天下りの温床、それに対しては政府は対策をしておると思います。

 ただ、現役出向ですね。そういった中で、先日、私はJEEDにちょっと行ってきたんです。今調査中ですから今回の件を聞くわけではなく、プロパーの人も含めてお話を聞いてきました。そういう中で、現役出向の人は、そうやって、では、もう一切飲み会はしませんとか言っていましたが、同じ仕事をしていれば、それは人間づき合いの中でやってもいいんです。だけれども、要は今回のようなことがあると、蜜月関係の中で官製談合みたいなことになっているんじゃないかとか、やはり体質そのものが疑われている。もしかしたら氷山の一角かもしれないと言われておるわけです。

 これも内閣委員会でも言ったんですが、新しくできる日本医療研究開発機構の概要、資料の三枚目ですが、通則法というのがあって、これは独立行政法人に限ったことになってしまいますが、やはり、予算規模もこれからの事業計画も、全てまだ今後の進捗状況ということになっておるわけです。細かく見ていきませんが、全ては法案成立後と。

 私たちが危惧しているのは、資料の四枚目ですか、これは厚生労働省からの現役出向の数です。国立健康・栄養研究所も、四十人の職員ですが、十一人が現役出向。そして、医薬基盤研究所、九十四人のうち二十八人が現役出向。トータルでいきますと、特殊法人日本年金機構を合わせて、合計で三百八十六人。厚生労働省所管だけでも、現役出向の方はこれだけいるんです。

 では、これが多くなったのか少なくなったのかと問い合わせるんですが、定点ではなかなか判断し切れないということで、やはり、こういう体質の中で、独立行政法人、JEEDも含め、今の問題も含めてですけれども、改善していかないといけない。そういう問題がしっかりとクリアにならないうちに、当たり前のように、今回こういう国家プロジェクトをやりますと。

 おっしゃるとおりで、官の肥大化は防がなければいけないんですが、だからといって、その枠から外れて、天下りや現役出向の新しいポストづくりのための機関を一個ふやすだけというようなことにならないかどうか、そういったことを懸念していて、そうであれば、まあ通則法はわかります。わかるんですが、しっかりと今後の日本医療研究開発機構、事業計画、理事長の選任も含めてですけれども、全ては法案成立後ということではなくて、しっかりと今後のビジョンを示してつくるべきではないかなと思うわけですが、大臣、最後に一言。

田村国務大臣 まず、先ほどのJEEDの話でありますが、あれに関しては、入札に向かう一連の手続で我が省に不適切なことがあったことはそのとおりでございまして、申しわけなく思っておりますし、改善をしなければならない。事実関係もしっかりと確認をさせていただきます。それから、JEEDは、入札はあの一件だけで、JEEDになってからは入札はありませんので、そういうことは以前にはないと思います。

 それから、これを見ますと、国立というのは非常に多いと思います。もともと国がやっていた。国がやっているものを、官をちっちゃくしようというので、外に出した方が効率的にやるだろうというのが一連の流れなんです。その流れの中で、出したけれども、人は育っていないですから、そこに現役出向という形。本来ならば、我々、役所に戻ってきていただいて、厚生労働省もこんなに仕事がありますから、やってもらいたいところはあるんですが、しかし、向こうも動かない。

 事実、高障求機構は、私はそれなりに、機構としては無駄な仕事をやっているわけではなくて、労使ともこれはしっかりとした役割を担っているというふうに御評価いただいていると思います。

 そういうところにある程度、ぎりぎりの人の中で、どうしても役所から出向せざるを得ないというようなこともあるわけでありまして、それが常態化しているのがいいというわけではありませんが、そういう事情がある中において、より効率的な独立行政法人をつくっていかなきゃならぬ。それから、OBの再就職に関しては、国民の皆様方にちゃんと説明がつくような形でなければならない、このように考えております。

中島委員 時間ですので、終わります。独立行政法人の件は、また機会を見つけて御質問させていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 昨日に引き続きまして、日本版NIH、それから、それと半ばセットであるところの今回の両独法の合併について議論をさせていただきます。

 まず冒頭に、昨日三日の内閣委員会の連合審査で、私と官房長官で議論をさせていただきました、総合科学技術会議と、そしてこのいわゆる日本版NIHの役割が重複しているのではないか、上下関係はどうなのか、屋上屋なのか、中二階なのか、あるいは新築の新しい家なのかとお尋ねをいたしましたら、官房長官のお答えがなかなかおもしろかったんですが、同じ敷地の中にもう一軒家が建ったんだ、こういうお答えでありました。

 一連の議論をずっと隣で大臣も聞いていてくださったわけでありますが、厚労大臣としての本件に関するコメントをまずいただきたいと思います。

田村国務大臣 あくまでも私は一メンバーでございますので、私の所管というわけではないわけでありまして、そこは所管の方にお聞きをいただければいいんですが、私の理解というお話をさせていただければ、日本版NIHというのは、今、我々は使いませんが、日本医療研究開発機構だけではなくて、その上にあります健康・医療戦略推進本部、これと一体でございます。

 この健康・医療戦略推進本部というのは、トップは総理です。そして、こちらの総合科学技術会議、これは要は総理がトップです。両方とも総理がトップで、総合科学技術会議の方は、今までいろいろなことをやってこられて、その中において決めることに対して内閣の方に上げることもあった。

 ただ、今般、この内閣の思いの中で、国際戦略も含めて、医療というものは一つターゲットでありまして、これを成長分野で大きくターゲットとして捉えているわけでありまして、この医療というものに特化したものを内閣と同じ構成メンバーで、健康・医療戦略推進本部という形で立ち上げたわけであります。

 これと総合科学技術会議との関係というのは、総合科学技術会議は、他の分野に関しましては閣議に向かってのいろいろな発信をされるんだと思いますが、医療の部分に関しては、あそこは、関係大臣とそれから専門家、まさに日本の頭脳のような方々が入っておられるわけでありまして、アドバイザーのような形で、医療に関してはですよ、健康・医療戦略推進本部の方に意見をいただく。健康・医療戦略推進本部の中でそれをいろいろと勘案して、閣議決定に向かって上げていくということでありまして、この部分に関してはアドバイザー的な役割を果たしていただいておる。

 それはなぜかというと、全く閣議と同じメンバーでつくった本部の方で、やはりターゲットを絞った医療というものに対してはしっかりやろうということでございます。

 そして、そこで決まった予算等々に対して執行するのに、日本版NIHの下部の部分であります機構がその役割を果たされて、創薬支援のアドバイスもやるでありましょうし、それからいろいろな目ききも入れるでありましょうし、さらに申し上げれば、各研究に対してどう予算を配分していくか、研究機関に対してでありますけれども、そのような判断もされるということでございますから、私の頭の中の整理はそういうふうな形になっておるということでありまして、官房長官と大体同じように、同じ部屋にいるけれども、役割が医療に関しては違っているというような認識であります。

井坂委員 厚労大臣となので、余りこの件は突っ込んで議論は本日はいたしませんが、やはり総合科学技術会議も、もともと、まさに日本版NIHと全くうり二つの同じ目的を持って、しかも組織構造も本当にそっくりで、確かに、全大臣いるのか、一部の大臣しかいないのかという違いはあるんですが、ただ、PDを置くところのあたりまで含めて、本当にそっくりなんですね。

 なぜか医療分野だけが日本版NIHに移って、しかし、総合科学技術会議も相変わらず予算に対して、最重点アクションプランとか影響を持ち得る仕組みを残したままですので、まさに司令塔が二つある状況に、医療分野に関してはなってしまうのではないか、こういう懸念をしているわけであります。ツートップは下が大変苦労するというのは、私も大変身につまされる部分があるわけでありますけれども、ちょっとそこは昨日議論をしたところでありますので、本日はそのあたりにいたします。

 日本版NIH、文科省の基礎研究がファンディングやあるいはマネジメントの対象になっていない、昨日こういう議論もありました。ここで、基礎研究とそして臨床研究の橋渡しについて、これまで厚労省では十分にできなかったというふうにされるわけでありますが、どのような難しさがあったのかということについて伺います。

田村国務大臣 なかなかシーズからニーズにうまく結びついていかない、デスバレーが生じる、いい研究が、日本でやっていったものが海外に持っていかれる。よくお話をお聞きする中においては、ハーセプチンでありますとか、グリベックもそうであるというようなお話もお聞きしますし、そういうような薬が、本来、日本がしっかりとそういうことができていれば、日本の国内からということもあったのかもわかりません。

 いずれにいたしましても、そういう中において、どこが弱かったのか。一つは目きき。先ほど来お話が出てもおりますけれども、目きき、これをうまくできなかったというところがありますから、今般のこの日本医療研究開発機構の中においても、目ききという役割をやはりしっかりとつくっていかなきゃならぬというふうに思います。

 それから、あと、大規模な臨床研究ができる、こういうような場もなかなかなかったわけでありまして、そういう意味では、そういうものもしっかりつくっていかなければならないということでありますから、今、臨床研究中核病院、それからその前は、早期、探索型の臨床試験拠点というような形で、こういうものを育てていこうということでいろいろな支援をしていくわけであります。

 ただ、一方で、臨床研究となれば、被験者の方々という問題が出てきます。そういうときに、日本は、医療によってはある程度偏りはあるにしても、各地域でいろいろな医療がさまざま受けられるということがございます。各地域に病院もあります。そういう意味では、なかなか患者、被験者の方々が集まらないということ、それから、保険制度が非常に便利でございますので、そういう被験者として受けずに、保険の中で治療を受けるというようなこともあるのかもわかりません。

 これはよく分析してみなければなりませんけれども、そういうような、被験者を探しても、被験者の方々がなかなか見つからないということもあったのでありましょう。

 そういうことも含めて、ある程度の症例を集められるような、大きい、そういう臨床研究の場というものをつくっていく、こういうことも必要であろうというふうに思います。

 いずれにいたしましても、うまく創薬に向かっての支援ができるようにネットワークをつくることが大事でございますので、今般のこの新しい機構の中においても、創薬支援ネットワークというもの、これをしっかりとつくり上げて、創薬、これが、日本の国が世界に先駆けて、すごいねという薬が次から次へと誕生できるような、我々、そんな努力をしてまいりたいというふうに考えております。

井坂委員 今お伺いをいたしました、例えば目ききの話であるとか、あるいは治験の話、これは確かにずっと課題としてあったと思うんですが、ただ、それは、実は、省庁の壁を越えるといういわば今回の日本版NIHの話と、本当にどこまでリンクしているのかなというふうに思うんですね。

 厚労省単体でも、目ききの話とか、あるいは治験のコーディネート、そういうことはもともとできたのではないかなと思う一方で、先ほど申し上げましたように、文科省の基礎研究は結局切り離されたままである。いわゆる予算の配分、分配の方向づけからどうも切り離されたままであるようなので、文科、それから厚労、経産、三つの省庁の間に二つの死の谷がある、こういう話からすると、本当にここを埋める適切な規模のものになっているのかなというふうに思うわけです。

 結局、文科と厚労がつながっているのか、また、さっきおっしゃった課題というのは、そもそも厚労単体で解決可能な問題だったのではないのか、ちょっとその点だけお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 この機関は、予算の配分という意味からすると、基礎研究の部分は入っておりませんが、文科省から来ている予算が一番大きいわけでありまして、決して、これによって文科は全く離れているというわけでもないわけであります。

 ただ、そういう意味からいたしますと、目ききというものが大変有効であるわけでありまして、その役割は強化したいというのと、基礎研究、それから応用研究、非臨床研究でありますとか臨床研究、そういうような流れ、最後は薬事承認を受けて、保険に載ってというような流れがあるわけでありますが、それぞれのステージでやはり目ききの支援も必要ですし、それから出口戦略も時期において必要ですし、あわせて知財管理の支援も必要ですし、もちろん民間企業との連携支援というのも必要でありまして、それを一連としてこの機構でやろうというわけでございます。

 そういう意味からいたしますと、厚生労働省ですとなかなかできなかったことが、ここにおいて、それぞれ、産総研とも協力しながら、理研とも協力しながらやれる、もちろん、基盤研の一部がここに入るわけでありますから、協力しながらやれるという意味では、やはり三省庁が連携しながら対応するという意味では、大きな意味があるのではないか、このように考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 本題の、本日の議題となっております、独立行政法人医薬基盤研究所、それから健康・栄養研究所、この二つをいわば合併、併合する件についてお伺いをいたします。

 まず、前半はリストラ効果についてお伺いをいたします。

 医薬基盤研究所の職員さんは九十四名、そして健康・栄養研究所は四十名ということでありますが、いわゆる合併後の新法人と呼びますが、合併後の新法人の職員数はどうなる見通しでしょうか。

三浦政府参考人 今御指摘いただいたように、医薬基盤研究所の職員九十四名、健康・栄養研究所の職員四十名、合わせて百三十四名ということが二十六年一月現在の職員数ということでございます。

 先ほど大臣からもお話がございましたように、今回の日本医療研究開発機構への業務移管というものが見込まれるわけでございまして、それらの担当者を含めて二十八名程度が新法人に行く、新しい日本医療研究開発機構に行くということになりますので、この数が統合後の法人の数から減ってくるということになります。また、あわせて、管理業務の効率化を図っていくということがございます。

 この法人の発足は、御案内のとおり、二十七年四月を予定しているわけでございまして、二十七年に向けて、両法人初め関係府省と今後必要な人員体制について検討していくということになろうと考えております。

井坂委員 九十四足す四十で、移っていく二十八を引いて、基本的にはそこなんだけれども、あとどこまでリストラ効果が出るかはこれからである、こういうことであります。

 ちょっと追加でお伺いしたいんですが、資料を昨晩調べていましたら、昨年の四月一日現在は医薬基盤研究所の職員八十名、どの資料にもそう書いてあるわけです。

 八十名からいきなり今九十四名にふえているのは、それはなぜなんですか。

三浦政府参考人 昨年の五月に創薬支援戦略室が発足しております。その定員といいましょうか人数がございまして、その結果、ことしの一月現在では九十四名ということになっております。

井坂委員 ちょっともう一点追加でお伺いするんですが、食品表示法ですか、栄養表示に関するいわゆる収去試験、これは、昨年の六月に法律が通って、二年以内に施行ということでありますから、来年の春ぐらいにはこれが実際進んで、こういった試験は今後民間の登録検査機関に任せていく、こういう方針が出ていて、現場に、きのう消費者庁にも確認しましたけれども、そのとおりであるということでありました。

 この分はもう純粋に業務縮小するのではないかと思うんですが、この点の見通しはいかがでしょうか。

三浦政府参考人 これらの業務につきましては、実態に合わせて検討していきたいと考えております。

井坂委員 何をお伺いしても、今後検討という話になってしまうわけでありますが。

 通告に従って、両法人の役員のことをお伺いするつもりでありましたが、これはもう前の方々で、それぞれ、両法人に役員さんが四人ずつおられて、合併後は四人になるけれども、一方で、NIHの下にぶら下がる独法にまさに新しく四人ポストができるということで、差し引きプラス・マイナス・ゼロだということであります。

 今度は、保有する、あるいは賃借する土地建物についてお伺いをいたします。

 両法人の土地建物、賃借も含めてですが、東は東京で、西は大阪・茨木、両方、離れていて機材もあるので、基本的にはもうそこで、これまでどおりの人数でこれまでどおりの研究をやるんだ、こういう前者へのお答えでありました。

 保有する土地建物を全てそのまま残して、合併後の新法人が使うことになるのかどうか、お伺いいたします。

三浦政府参考人 基本的には、御指摘いただきましたように、両法人の統合後も、現在使用している土地建物は引き続き使用するということを原則としております。

 ただ、創薬支援戦略室は、日本医療研究開発機構に移管するというふうにお話を申し上げております。

 事務所でございますが、その事務所をどのような形で使用するか、これらにつきましては、関係機関と調整していくということになろうと考えております。

井坂委員 昨晩、まさにその創薬支援戦略室東日本統括部というところで、本部は大阪・茨木ですけれども、東京の虎ノ門にオフィスがあるわけです。その機能は丸ごと日本版NIH下部の独法に移るわけですから、全くもって不要なオフィスになろうということでお伺いしたところ、いや、これは内閣府の仕事ですとか、これは厚労省の仕事ですとか、本当に昨晩の間押しつけ合って、結局、どちらから答弁をいただけるかも決まらなかったという出来事があったわけです。

 きょう、どういうお答えになるかなと思いましたら、これは残る可能性もあるということですか、今のお答えですと。

三浦政府参考人 これは、いずれも借り物といいましょうか、オフィスを借りている状況でございまして、そういう意味では、より条件がいいところがあれば移っていく可能性もあるという意味では、どこでも動けるといえば動けるということになります。

 そういう意味で、必ずしもそのオフィス、そんなに広い部屋ではないわけでございますけれども、その部屋をどうするかということについては、また関係機関と相談させていただきたいと考えているところでございます。

井坂委員 よりよい条件の物件があれば移るとかそういうことではなくて、そもそもそこで仕事をしていた人は、NIHにぶら下がる新しい独法に行くわけですよね。だから、物件を移るも何も、その部屋自体がこれは完全廃止以外にないんじゃないですかと思って昨晩お聞きしたら、どうもそうではなさそうなのでお伺いしたんですが、よりよい物件どうこうじゃなくて、どういうことなんですか。

三浦政府参考人 大変失礼いたしました。

 今、創薬支援戦略室には、御指摘がありましたように、オフィスとして、虎ノ門とそれから大阪市内に二つのオフィスを持っているわけでございまして、これらの機能というのは、やはり現時点では非常に重要な役割を果たしているというのが私どもの認識でございます。

 したがって、仮に創薬支援戦略室が日本医療研究開発機構に移ったとしても、東日本、西日本のそれぞれのオフィスというのは、私どもとしては必要なのではないかというふうに思いますが、ここは、最終的にはよく調整を図っていく必要があるということでございます。

 決して自動的に廃止になるというような性格のものではないと考えております。

井坂委員 昔、サントリーのピュアモルト山崎のコマーシャルで、「なにも足さない。なにも引かない。」という有名なキャッチコピーがあったと思うんですけれども、私は、今回、この二法人の合併の話は、本当に細かく聞けば聞くほど、何か変わるのかなと率直に思うんですよ。

 本当に何も変わらないなというふうに思いますし、まさに、ただ法人数、いわゆる登記上の法人数は一個減るというだけで、職員の数は変わらない、役員の数も変わらない、持っている物件の数も変わらない。しかも、移っていって空き部屋になるはずの創薬支援の仕事の東日本出先オフィスですら、何か残るかもしれないなんてなってきたら、これは一体何のための合併なのかなというふうに思うわけであります。

 予算のこともお伺いをしたいわけでありますが、運営費交付金、医薬基盤が七十五億円、健康・栄養研究所が六億円ということでありますが、合併後の新法人は、もちろん、先の話でありますが、運営費交付金というのは大体どういう規模になる見通しなのか、お伺いをしたいと思います。

三浦政府参考人 先ほどの御質問に対するお答えが不十分で、まことに申しわけございません。

 決して、オフィスが引き続き、空き部屋になっても、医薬基盤研究所の借り物としても、オフィスとして残るという趣旨ではございません。それは、今現に入っている方々が創薬支援戦略室のメンバーでございますので、それが日本医療研究開発機構に動くわけでございますので、いわばその部屋ごと名義が変わるといいましょうか、そういうことが想定されるというふうに考えております。

 それから、運営費交付金の話でございますけれども、先ほど来申し上げていますように、創薬支援戦略室の機能というものが新しくできる日本医療研究開発機構に移る、それからまた、ほかに移る業務といたしまして、医療分野の研究開発に関する研究費の配分というものも医薬基盤研究所では行っておりますので、その業務が移るということになりますので、現在の二つの法人に対する運営費交付金というのがあった上で、それを足し込んだ上で、さらに、単純に考えれば、移管される業務に係る運営費交付金が差し引きされるということになります。

 さらに、効率化がどこまで図れるかということもございますので、そういう中で、研究目的が果たされる必要な予算を要求していくということになろうと考えております。

井坂委員 大臣にお伺いをしたいと思いますが、二つの法人を合併する、意味合いはいろいろあると思います。

 ただ、一つは、私が前段に申し上げた、やはり独法改革といって、その文脈でこの話が出てきた以上、いわゆる狭い意味でのリストラ効果というものが明確に出てこなければ意味がないというふうに思います。後段は、また私今から議論をしますが、業務統合によるいわゆる相乗効果、一足す一が三になる、こういうことがあってしかるべきだと思うわけであります。

 前段のリストラという意味で、もうこれは本当に最低限のリストラだと思いますが、総務部門、あと私、両方の組織図を見ておりましたら、両方とも産学連携の部門を持っております。この総務部門と産学連携部門の統合は、これはもう両法人合併するからには即座に行うべきではないかと思いますが、大臣、お考えはいかがですか。

田村国務大臣 本来業務がそれによって支障を来すということがあってはならぬわけでありまして、その中で効率化は進めていかなきゃならぬというふうに思います。

 いずれにいたしましても、すぐといいますか、やはり、両法人と関係機関、いろいろと話を聞いて、どこが合理化できるか、どこが効率化できるか、こういうことをしっかり検討させていただいて対応させていただきたいと思います。

井坂委員 本当におかしな議論になっているなと思うのが、統合して、当たり前じゃないですか、総務部門とか重複している部門を一緒にするというのは。それをやったら本来業務に支障が出るんだったら、そもそも統合すべきじゃないと私は思うんです。統合の、少なくともリストラ効果はないということでありますから。ただ、今後何ができるのかを今から考えていく、どこまで削れるのかを今から考えていく、こういう話でありますから、本当に議論の順番が、本件に関してはおかしいのではないかなというふうに私は思うんです。

 まず二法人を一法人にする合併ありきで、それが一体何になるのかということは今から考えます、今から考えます、空き部屋だって使うかもしれないから残します、こういう話でありますよ、本当に。

 もう一つの大事な、業務統合による相乗効果について伺いたいと思います。

 一つ飛ばしまして、別法人ではできなかったが、今回二つを一つに統合することによって新たにできることは何かということを大臣にお伺いいたします。

田村国務大臣 二つが一つになってどういうことができるか。どういうことができるかというよりかは、今までそれぞれ研究をやってきた成果もあります。それから、ある意味、基盤的なものを研究してきておるというその成果自体の共有といいますか利用、これもできるわけであります。

 共同研究というのは一つだと思います。例えば、先ほども申し上げたんですが、非常に今、食品なんかもさまざまなものが出てきております。それぞれが成分がある、化学物質がある。一方で、薬も次から次へと新しいものが生まれてきております。この化学成分が、それぞれどういう相互作用を働かせるのか。もしかしたら、我々が想像だにしていないようなものが起こっているかもわからない。それが健康に被害を起こしているかもわかりません。そういうものも含めて研究ができます。

 あわせて、この健康・栄養研究所が医薬基盤研究所と一緒になることによって、一つのターゲットで、生活習慣病みたいなものに対しても非常に有効な研究をしていただける、こういうことも想定できるわけであります。

 合理化する意味では合理化をしていく必要はあると思いますが、一方で、新しいものを生み出すということは、我々としても、それが国民の皆様方のためになるものであるならば、しっかり進めていかなければならぬというふうに思っておりますので、このシナジー効果というものをしっかりと出させていただきたい、このように思っております。

井坂委員 その生活習慣病の薬を、栄養研の方のデータやいろいろな知見を使ってつくっていく。確かにいいプロジェクトになるだろうなと私は思いますが、ただ、これも冷静に考えてみると、別に法人統合しなくたって、共同研究で、もうできていたはずのことではないかなと一方で思うわけですね。まさに、共同研究テーマとして、どっちも厚労省傘下の団体ですから、あなたとあなたでこういうテーマでやってくださいと言えば、法人統合は必要なくできたことではないかと思うんです。

 このシナジー効果、テーマ、それはまさにそうなんですが、ここに本当に法人統合が、何か一ミリでも意味があったのか。きのう当局の方の御説明を受けましたけれども、どうもそういう感じがしないんですが、法人統合しなきゃできなかったことというのは何があるんですか。

田村国務大臣 これはまさに、こちらと別の、例の健康・医療戦略推進本部、名前が長いんですが、これと同じような話であります。規模は違いますが、厚生労働省の中で、二つの、それぞれの所管の独立行政法人がある。こういうものも縦割りなんですよね。ですから、これが一つになることによって、要は指揮系統が一つになりますから、これをやれという話になったらなるわけです。ところが、二つあって、幾ら上から厚生労働省が言ったって、独立行政法人ですから、いや、我々には我々の今やっていることがある。なかなかそこはうまくいかないわけであります。

 同じように、我々厚生労働省、文科省、そして経産省、協力すればこんなものをつくらなくてもいいという話でありますが、なかなかそこがうまくいかないという中で、強力に、内閣と同じ構成メンバーの本部をつくって、手足をつくって、それを進めていこうということでございますから、両方ともしっかりと効果を出すように頑張ってまいりたいというふうに思っております。

井坂委員 時間がまだ少しありますので、大臣に追加でお伺いしたいんですが、昨年十二月二十四日の閣議決定で、独立行政法人改革の基本的な方針、冊子があります。それで、その一ページ目に、まさに、「数合わせのための組織いじりではなく、真に政策実施機能の強化に資する統廃合のみを実施するとともに、きめ細やかに事務・事業を見直す」、こういうふうに書いてあるわけです。

 どうも私、きょう、わずか三十分でありましたけれども、この方針に沿って質問をさせていただきましたが、大臣、本当にこの基本方針どおり、この本合併ですよ、NIHのことはいいんです、この本合併が、本当にこの独法改革の基本方針に沿っていると思われますか。

田村国務大臣 平成十九年に閣議決定しながら、我々政権下においていろいろな問題があって、内閣がかわっていく中で実現できなかったものであります。

 先ほども言いました、民主党政権に移った後、民主党は、独立行政法人というものはどうあるべきか、いろいろとお考えになられて、名前がどうだ、中身がどうだ、その上で、二十四年に、しかし独立行政法人としてこれは合併すべきであるといって、野田総理のもとにこれを閣議決定し直していただいた。

 そういうものでありますから、今まで、十九年から、いろいろな歴史がありますけれども、まさにそのころからやれなかったことを今回やれるということでございますので、意味のある合併である、このように考えております。

井坂委員 もともと、私ども結いの党、行革は大事だという政党ですから、最初この法案を見たときは、みんな、もうこんなのは賛成賛成となったんです。ところが、説明を受けて、さらに質疑しているたびに、これなんかはどうなのかなというふうにだんだん今はなっている、こういう状況であります。

 時間が参りましたので、また。本当に、きょうはどうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 最初に、法案について、これまでも議論されてきたわけですが、立場が違う方たちの議論でありましたので、直球で質問させていただきます。

 独立行政法人日本医療研究開発機構設立に伴いますスクラップ・アンド・ビルドが必要だとして、二つの独法を統合するわけでありますけれども、片や大正九年にできた国立健康・栄養研究所、片や平成十七年、若い医薬基盤研究所、全く歴史が違います。単なる数合わせにすぎず、やるべきではないと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、今般急にやろうという話ではございませんでして、そういう意味では、平成十九年に閣議決定をしてきたものでございます。

 でありますから、我々、積み残した宿題、政権がまた戻った後にこれをやらせていただくということでございますから、新しくできる機構との数合わせではなくて、やり残してきた宿題を今回しっかりとさせていただくという意味で、しっかりやらせていただきたいと思っております。

高橋(千)委員 やり残してきたとおっしゃいますけれども、厚労省として、やはり必要だから残してきたという意義があるはずです。そのことを確認したいということと、あわせて、少なくとも職員の雇用が引き継がれるのか、確認をいたします。

三浦政府参考人 それぞれの研究所は、それぞれの研究所の目的に従いまして、非常に重要な仕事を今まで遂行してきていただいているというふうに考えております。その中で、統合に伴いまして、さらに進められるものは進めていくというのが基本的な考え方でございます。

 さらに、雇用の関係について御質問がございましたけれども、基本的には、この統合後の職員というのは引き継がれるというふうに考えております。また、両法人の統合に伴って、事務の効率化を行える部分については行うということで考えておりますけれども、それによって生じる人員については、雇用に支障が生じないように当然配慮していくものだと考えております。

高橋(千)委員 今、基本的に引き継がれるというお話をしていただきました。ただ、それはこの先までの保証がないわけですから、やはり、そこが統合したら、では、これまでの意義をどう果たしていくのかということが整理されないと、なかなか難しいのではないのかと思うんです。

 これまでの意義があったという話を伺いたかったんですけれども、結局、一旦決まってしまってからではなかなか言いにくいだろうということで、今の答弁だったのかなと思っております。

 それで、具体の話を伺いたいと思うんですが、特に国民健康・栄養調査、例えば戦後の貧困状態にあった一九四五年、これは何とGHQの指示から始まったということでありますけれども、やはりデータというのは一度やめてしまえば、本当に国の施策にとって、過去の検証でもあり、将来に向けての重大な施策に対しての損失になるわけです。

 ですから、改めて、やってきたことの一番の特徴を今聞きますので、この国民健康・栄養調査の意義や役割について伺いたい。また、統合されても確実に引き継がれるということを大臣に伺います。

土屋副大臣 大臣にかわりまして答弁させていただきます。

 国立健康・栄養研究所においては、国民健康・栄養調査に係るデータの処理、集計業務を担っており、その結果が国の健康政策の基本データとなっているなど、大変重要な役割を担っていると考えております。

 統合後の法人において、現在、国立健康・栄養研究所が担っている役割を引き続き実施していくこととしているため、国民健康・栄養調査に係る事業を確実に実施できると考えております。

高橋(千)委員 確実に実施ということで、これは本当にお願いをしたいと思っております。

 それで、昨年十二月二十四日の閣議決定、独立行政法人改革等に関する基本的な方針を受けて、独法通則法が今後改正されると聞いています。それで、今話題に上がっている理研が結局候補に挙がっていて、早く特定になりたいがためにいきなり収束を図ったのかなみたいなことが話題になっているわけです。理研と産総研が候補に挙がっていた。

 しかし、どうしてこうなっちゃったんだろうなと思うんです。つまり、特定国立研究開発法人を指定するということは、同じ独法の中に予算や権限に対して激しく差をつけるということですよね。これは、ほかの残った独法との研究や活動に格差を設けて影響があるのではないかと心配をしていますけれども、どのようにお考えでしょうか。

田村国務大臣 御指摘の閣議決定を踏まえて、研究開発型の法人、これは独法通則法にのっとったものであります、あわせて、世界的な研究開発、こういうものができるというような、その成果を目指すという法人で、特定国立研究開発法人、これは仮称でありますけれども、こういうものを別に法律で位置づけることについて、法案提出に向けた準備が進められているということは私も聞いております。

 具体的には、どういう制度設計かに関しましては現在検討されておられるということでございますので、私、そこまで検討の中に入っておりませんので、どういうものであるかというのはまだ私もよくわかりません。

高橋(千)委員 本当は、どういうものかを聞いたのではなくて、考え方を聞いたんですね。

 つまり、さっき大臣が答弁されたように、独法というのは、もともと国立の、国の仕事だったわけです。それを要するに見せかけの数字減らしのために外に出して、それで天下りが悪いとか、現役出向がどうだと言われる。だから、本当であれば、必要な仕事であれば国立であればよかったんですよ。さっきいみじくもおっしゃったように、引き揚げて国でやってくださればということをちらっとおっしゃった。

 だから、そうしてやっていく中で、逆に民間の手法で完全にいいなというものは完全に独立させればよろしいのでありますし、非常に癒着があってうまくないですよ、ふさわしくないですよというものはもう統合されていったり縮小されていったり、それはいいんですよ。だけれども、必要なものはきちんと残していくというのが我々の立場ですので、そういう意味で、独法が今いろいろ問題があってこういう見直しになったんじゃないのかなということを指摘しておきたいと思っております。

 世界で競争できる最先端の研究をやると言っているそばから、今ずっこけている事態があるわけですから、逆にこれは本当に急ぐべきではないですよ。改めて独法のあり方というのをしっかり正していくべきだということを指摘して、次に行きたいと思っております。

 次に、健康・医療戦略の中で、質の高い臨床研究の実施体制の整備、臨床研究の適正な実施ということがうたわれて、どのようにやっていくのかということで、拠点病院の問題とか、指針の見直し、あるいは法制化、これについては午前から随分議論がありました。これは時間の節約で、問いをつくっておりましたけれども飛ばします。具体の質問に入りたいと思います。

 それで、資料を配っております。J―ADNI、長期縦断観察研究、この資料に書いてありますけれども、これは何かといいますと、日本人の六十五歳以上の高齢者のうち一五%に当たる四百六十万人が認知症と言われ、その七割がアルツハイマー病と言われています。世界の患者は四千四百万人とか、これがまだふえるであろうと言われているわけですけれども、このアルツハイマー病発症前後の臨床上の特徴を探求するために、患者の追跡調査、どのくらいの患者が対象になっているかというのはこの右下の方に書いていて、早期アルツハイマー病は目標例数が百五十件、こういうふうな形で追跡調査をやるということをやっているわけです。

 これによって新薬開発などにつなげるプロジェクトで、国内三十八機関が参加をし、米国NIHの統一基準を用いて、三省、特に経産省のNEDOが二十億八千万円と一番大きいお金を出しているわけですけれども、三省が支援をしながら取り組んできて、これから始まるいわゆる日本版NIHの中核事業、先ほどからずっと言われている一元化だとか死の谷がどうのとか、そういう、まさにどういう形でやっていくかということのモデルケースというふうに位置づけられるのかなと思っております。

 それが、二枚目の資料ですけれども、これは一月十日付の朝日新聞であります、「臨床データ改ざんか」と大見出しで報じられました。この研究にかかわっている研究者の一人が実名入りの内部告発メールを厚労省に送ったところ、調査対象の主任研究者、事もあろうにその当事者に厚労省の専門官が丸ごと転送してしまった。大変お粗末な話でありますけれども。

 この問題は、衆議院の予算委員会では、みんなの党の三谷議員が公益通報保護という角度から取り上げていらっしゃいますし、参議院では川田龍平議員が、質問主意書と、それから三十一日の決算委員会でも、臨床研究の法制化を求める立場から質問されています。ですので、大臣もお答えになっていらっしゃるわけです。

 そこで、厚労省の調査がどうなったのか、また、この厚労省の対応は決定的にまずいと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 これは、事実関係から申し上げますと、今言われたJ―ADNIという中での研究者の方、これは研究を中心にやられておられる方とそれに協力をされておられる方々がおられるわけでありますけれども、中心にやられている主任といいますか研究者の方に対して、どうも研究の方法がおかしいのではないかということも含めて、我が省にメールという形で、一つは研究班の構成、これに関して要するにお聞きをしたいというような、そういう質問がありました。それからもう一つは、その中において、データ自体が改ざんされているのではないかというような御指摘もありました。

 ただ、主な内容は、この研究班の構成、これに関しての御質問でございましたので、そのような意味では、我々は、まず一義的に、調査といいますか聞き取りをさせていただいたんです。

 その過程におきまして、決定的に悪かったと今委員がおっしゃられましたが、決定的に悪かったんです。それは、御本人に確認せずに、この人のやり方がおかしいんじゃないかというその本人に、こういう意見があるけれどもどうだという聞き取りをしたものでありますから、これは、当然のごとく、本人に確認もせずにそんなことをやること自体は公務員の守秘義務違反になってくるわけでございますので、これに関しましては我々としても処分をするということでございます。これは本当に我々が悪い話でありまして、そのメールを送られた研究者の方には、我が省の方からおわびを申し上げに行きました。

 その上で、内容的には、聞き取りをさせていただきますと、どうも、一つは改ざんというお話なんですが、データを丸ごと変えたというよりかは、訂正がされているわけでありまして、その訂正の仕方は、研究の中において一般的にやられる訂正の仕方でございます。そういうことをいろいろとこちらの方も確認したんですが、どうも研究者同士の意見の相違のようなものがある。

 これは、科学的合理性、つまり、改ざんがあるであろうということが疑わしいというところまではいかない、そこまでは言えない、ただし本当にあるかどうかはわからないということでございまして、一義的に、中心的にやられておられるその主任研究者の方の、担当しております東京大学、こちらの方に今調査をお願いして、外部の方々も入っていただきながら第三者的な調査をいただいておるということでございまして、我々、調査が終わった後にそれをいただいて、いろいろなこれからの判断をさせていただきたい、このように考えております。

高橋(千)委員 一月十八日の朝日新聞では、厚労省が国家プロジェクトを守るために疑惑をもみ消した疑い、ここまで書いているわけなんですね。

 残念なのは、やはり厚労省自体に国家的研究の不正を見抜く力がないということを内外に示してしまったと思うんです。つまり、調査をした結果が、それはささいなミスだったかもしれない、意見の相違だったかもしれない。結果がわかる前に、それを受け付けていないわけですから。そうでしょう。内部告発として受理していないわけですよ。そこが問題だと言っているんです。

 ちょっと今、事務的に聞きますからね。昨年の十一月十八日に、厚労省認知症・虐待防止対策推進室の担当専門官、名前もわかっていますけれども、メールが届いたわけです。翌日に、研究チーム内で対処することと判断して、代表研究者の岩坪東大教授にそのままの文面と添付文書まで転送しています。

 厚労省の説明では、朝日新聞の記事が出るのが一月十日、その前に、六日に朝日新聞から取材された、それでびっくりして調べた、関係者に聞き取りをしたということになっているんですけれども、メールが来たのは十一月十八日、去年の話なわけですよね。その前に、改ざんじゃないか、これはいいのかなということが研究者の中で取り沙汰されたのは、昨年の八月だと言っているんですね。では、厚労省は本当に一月六日までに何も知らなかったんですか。

原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。

 十一月に分担研究者の方からメールが来まして、その内容につきましては、先ほど大臣が申し上げられたとおり、私どもとしては、データの改ざんということを疑うほどまでの科学的、合理的な理由がないのではないか、それからもう一つは、研究班の組織の問題であるというふうな認識もございましたので、一応、私どもの指針に基づきまして、これを告発というふうには受けとめなかったということでございます。

高橋(千)委員 これは、今お話ししたように、朝日新聞が親切に、十日に記事を書く前に六日に言っているわけですよね。ですから、世の中に知らしめる前に、調べられるはずの教授、主任研究者には話はもう行っているわけですよ。告発があったことも昨年のうちに知っている。誰がということも知っている。新聞が出ることも知っている。だから、先生は、四日間、準備する心づもりがあるわけです。ですから、改ざんではなくて、こう説明すればいい、つまり単なるミスであると。二重線で調整しただけなんだと言えば済むわけです。

 そして、今、組織的な問題だ云々とおっしゃったけれども、人間関係の問題にしちゃった。この人が、告発した人が、ちょっと中でのことがうまくいっていないから、そういうことなんだというふうな、極めて個人的な話にされちゃったわけですよ。中の関係がうまくいかなくて、それで何か言ってやったんじゃないかと。だから、名誉毀損だということで、耐えられずに本人が実名で公表したわけじゃないですか。記者会見もやった。

 そういう準備する時間を与えてしまったこと自体が、やはり、本当に何が問題だったのかということがわかる調査をするという点での、厚労省の決定的なミスだったということを改めて言わなければならないんですよ。

 それで、大臣は、実際にこの中身をごらんになったんでしょうか。二月三日付で御本人が、大臣と経産大臣、文科大臣、それから東京大学の総長に宛て、要請書を出しております。それから、三月にもう一回、これは二十六日、公開質問状という形で主任研究者に対して要請書を出しています。

 そうすると、添付文書、これはほんの一部でしかないと思うんですけれども、クリーニングメモ印刷画面などがあるわけですよ。そして確かに、大臣がおっしゃった、二重線で消しているものがあります。一二三三と書いている数字を、二重線をやって、その上に数字を書いて、また線を引いて、二度チェックしているんですよね。これを、本当にこれでいいのかなというふうに思うじゃないですか。

 このクリーニング画面というのを見ますと、単なる二重線じゃないんです。こういう指示があって時間が、要するに、アルツハイマーの病態ですから、記憶をたどる物語をお聞かせして、そして三十分後に、どうでしたかと、お話の記憶がちゃんとどれだけ残っているか、そういうデータをとるわけじゃないですか。そのときに、国際的な統一基準、その基準の時間を守っていない、そういうことを一つ一つ指摘されて訂正しましたというふうなくだりが全部書いてあるわけですよ。だから、単なるミスではないということは明らかなわけなんですね。

 だから、本人がもう身分を明らかにして告発している、そういうことに対して結局丸投げしてしまう、これはどう考えても対応がよくない。ですから、告発としてきちんと受理をして、内部調査、そして外部調査という形でやるべきじゃないですか。

田村国務大臣 ですから、まず一義的に、これは、研究を中心にやられておる東京大学で内部調査、しかも外部の目を入れての内部調査を行ってくださいということをお願いして、東京大学も、それはしっかりやりましょうということでスタートをいただいておる。あわせて、各研究機関にかかわる問題でありますので、そこは我が省からも協力をしていただくようにお願いをさせていただきながら、この調査というものがしっかり行われるように我々もお手伝いをさせていただいておるわけであります。

 あわせて、その調査の結果を見て、当然のごとく、その内容によっては我々も対応しなければならぬ、そのような事態が起こり得ることもあり得るわけでありますから、その点はしっかりと、そのようなことが起これば対応させていただきたいと思いますが、まずは中心的な東京大学で御調査を、しかも第三者的な目を入れていただきながらしていただいておるということでございますから、この結果をお待ちさせていただいておるということであります。

高橋(千)委員 責任がないと思います。東大に返してしまって、返してしまったから、そこで第三者を入れてやりなさいと言ったって、当事者がどうやって調査をしたらいいか困っていると報道されているじゃないですか。そういうことはやはり責任逃れなんですよ。

 この人が書いている要請書の中では、一月十七日、J―ADNI事務局、データセンターに製薬会社から出向している社員が、国立精神・神経医療研究センター病院二階の杉下教授の研究室で、十六日、スタッフが退出した午後八時以降、翌朝まで、これは時間は特定できませんよ、誰も見ていませんから。だけれども、その退出した後になくなったのははっきりしているわけです。合い鍵を使って入り、関係資料を持ち出した。今もこれは返ってきていません、資料が。だから、調査をするといったときに、当事者はもう自分の手に、やったもとの資料を持ち出されちゃったんですよ。

 このときに、これは製薬会社から出向している社員ですよ、この人が何と言っているか。この持ち出した理由は、メールを受けた厚労省の専門官、それと認知症・虐待防止対策推進室長及び主任の指示により資料持ち出しを行ったと説明しているんです。厚労省の指示によってやったと言っているんですよ。これはこのままでいいんですか。

原(勝)政府参考人 データについてきちんと管理をしてくださいというようなことは、そういった趣旨のことを伝えたようでございますが、具体的に、資料を持ち出せとか、そういったようなことは指示はしていないというふうに聞いております。

高橋(千)委員 それは、ここに来ていきなり、指示しましたと言うわけないですよ。

 大臣、調査していただけますか。室長が指示したと答えているんです、当人が。

田村国務大臣 これに関しては、要は、持ち出されたりするといけませんから、いじるなというふうな指示をしたらしいです。それは、そのデータ自体がちゃんと保全されるために。

 これに関しても、両研究者側の方々で意見が違っているものでありますから、お互い主張されていることが違います。でありますから、それも含めて今東京大学で調査をいただいております。我々も何もしていないわけではないので、そのようなお話がございましたので、とにかく調査をしなければならない。しかし、一義的に、現在、まずは東京大学。

 これは、いろいろな調査がありますけれども、まずはやはりそこの機関でやっていただくというのが大体それぞれの調査のスタートであり、その結果、何かがあれば、それに関して今度は我々厚生労働省も新しく何かの組織をつくったりでありますとかして調査をいたしますが、そもそもデータはそこにあるわけでございますから、そこの研究機関、主な研究機関に調査をやっていただくというのが、一義的には一番ちゃんとした調査ができるということでございますので、第三者の目も入れていただきながら調査をしていただいておるということであります。

高橋(千)委員 いじるなと指示をして、本人に断りもなくですよ、そうでしょう、帰った後、知らない間に合い鍵で入ったんですよ。それを持ち出しておいて、それを、いじるなという説明がありますか。

 だったら、それが第三者の手にきちんと確保されている、それを確認していただけますか。お答えいただけますか。

原(勝)政府参考人 御指摘の点も含めて、厳正中立な立場から確認をしていただきたいと思っております。

高橋(千)委員 必ずお答えをいただきたいと思います。

 私は、二〇一一年の二月二十四日の予算委員会で、薬害イレッサ訴訟にかかわっての下書き事件を追及したことがあります。これは、東京、大阪地裁が和解勧告を出したんですね。その後、一斉に、関係団体、学会などから見解が出た。和解をのむと、要するに、せっかくがん患者の皆さんが新薬を待っているのにということで、これはうまくないということの見解が出たんですが、その下書きを厚労省が書いていたじゃないかということを指摘したことがあります。

 このときに厚労省は調査をその場で約束をして、五月に検証チームの報告書が出ておりました。もちろん、指摘した下書きというのは確かにあったと認めました。認めた上で、全体に影響がないからという判断だったんですね。

 それで、結論は何かというと、やる必要のない過剰なサービスという表現だった。下書きしてあげたのは過剰なサービス。私は、これは民主党政権ですけれども、こういう調査でいいんですかと。これから世界に打って出ようというときに、この程度の、過剰なサービスとかしか言えないような、いじるなというふうに言いましたと、そんな程度でやれますかということを指摘しておきたい。

 同じような問題が繰り返し起こっているんですよ。だからこそ言わなければならないということであります。大臣、いいですか。調査を約束してくださいね、きちっと受けとめて。

田村国務大臣 今確認をしておったんですけれども、我が省の方から、保管をちゃんとするようにと、つまり、いろいろな人にいじられないようにというような指示をしたらしいです。それで、データセンターの担当の方が、さわらせないために、誰もが見られる場所に、つまり、誰もが目につく場所に、要するにテープでぐるぐる巻きにして、それでそこに保管をして、それを持ち去られないように誰もが見える場所に保管をしたというようなお話をされておられるようであります。

高橋(千)委員 ぐるぐる巻きのことは知っております。ですから、そこの、やはり経過が本人がわかっていないということがおかしいじゃないですか。だったら、目の前でやればいい話だったわけですからね。重ねて指摘をしたいと思います。

 それで、もう一つどうしても指摘をしなきゃいけないのは、この記事の後に、この調査そのものが、患者の同意を得ず検査を行ったという疑いを報じているわけですね。ここも改めて調査をしていただきたいと思うんです。

 これは、資料の三枚目につけておきましたけれども、九七年です、奈良県の奈良県立医科大学精神科の教授が、アルツハイマー病の新薬の治験のために、自分の親族が経営する特養ホームの入所者を治験の対象者にした。本人と家族の同意をとるというのが決まりだったにもかかわらず、同意をとっていなかったという事件があったんです。なので、「おばあちゃんを“人体実験”」と、長男が、ネズミと同じじゃないかと指摘をしたことがセンセーショナルに取り上げられているわけでありますね。

 やはりこれは、新しい薬を初めて人に服用させる、未知の副作用がある、そういう意味で、本人と家族の同意をとること、そして、要するに何が起きるかわからないので医療施設でやらなきゃいけない。なのに、この人は、自分が出ていくんだからいいんだとか、あるいは、親族の経営しているホームだからいいんだという、非常に甘い認識でこうした事件を起こしたわけであります。

 ですから、今回のADNIと治験は全然違いますけれども、共通しているのはアルツハイマーだということなんです。

 つまり、私がきょうなぜこの問題を取り上げたかといいますと、この九七年の被害者の縁者の方から、このADNIの問題を追及してほしい、明らかにしてほしいと言われたからなんです。なぜかというと、対象者が認知症だから、よくわからないからいいと思っているのかということが言いたいわけなんですよ。だからこそ、もっともっと気をつけなければならないということがあるわけでしょう。どうせ記憶が途中で途切れるだろうなんということになってはいけないわけですよ。だから、細心の注意を払わなければならない、そのように思いますが、大臣、最後に一言お願いします。

田村国務大臣 これは認知症の方であろうとなかろうと、御本人にしっかり確認し、自由意思のもとにおいて、そのような形で研究に御参加をいただくという形になるわけでございます。

 このJ―ADNIの件に関しましては、それも含めて今東京大学で調査をいただいておりますので、その内容、結果を見て、もし同様なことがあるようであればそれは対応しなきゃなりませんし、その結果を見て対応を適切にさせていただきたい、このように考えております。

高橋(千)委員 残念ながら、また時間が来ましたので、終わります。

後藤委員長 次に、赤枝恒雄君。

赤枝委員 お待たせをいたしました。自由民主党の赤枝恒雄でございます。

 時間がないので、私も直球で十球ばかりいきますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 まず、この二つの独法の問題の前に、今問題になっている子宮頸がんワクチンの副反応について、当初から、導入時から今も熟知されている局長にきょうおいでいただいておりますので、お聞きしたいと思います。

 まず、この導入がされて、問題になっている副反応がいろいろ複雑な形で出ていますけれども、この原因を考えてみますと、私は、このワクチンについての周知が十分でなかったと思うんですね。

 つまり、連れてこられる子供が何も知らない。父兄も、このワクチンがどういうものか何も知らない。子供は連れてこられて、私のところでも、お母さんが、あんた、五万円のワクチンがただだからやりなさいと言って、子供は泣きながらやっているわけですよ。五万円のワクチンがただだからやりなさい、こういう感覚で今やっている現実を見て、その後に、副反応がどうだこうだという問題ですごく混乱しているわけです。

 結論からいいますと、これも自己負担が千円でも五百円でもあれば、父兄がこれを払って打つのであれば、どれだけのものか、どういう効果があるのか、副作用はどうか、父兄は必ず興味を持ってこれを調べるはずですよ。しかしながら、これがどういうものか全然周知されていない。

 このことについて、まず、周知が足りなかった、導入が早かったんじゃないかという点で、局長にひとつお答えをいただければと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 子宮頸がんワクチンは、ほかのワクチンに比べますと、年齢層がやや高目と申しますか、思春期のお子さんに実施をするということになります。そういう意味で、自我といいますか、一定程度、医学的なこととか健康のこととかについてある程度わかるような時期にあるんだろうと思います。それが一点です。

 それから二つ目は、このワクチンがほかのワクチンと違うのは、筋肉に注射をする、いわゆる筋肉注射であるということが一つ違っておりまして、聞いてみますと、やはり痛みが大変あるんだそうです。そういったことになりますと、通常のインフルエンザなどのワクチンのつもりで打ちますと、大変痛いということもあるんだろうと思います。

 そうしたこともいろいろ踏まえますと、今般、痛かったとか、あるいは余りの痛さに倒れて頭を打ったという方もいらっしゃるようですし、そもそも、子宮頸がんというものがどういうものなのか、頸がんの発症にウイルスというものがどう関与しているのか、そして、そのためにワクチンがどう関与するのかというようなことを、やはり十分、直前にでも知らしめてから接種をするべきだったろうと思います。

 それから、スピードの点については、恐らく、効果評価、とりわけ医学的な効果と、それから、医学的な効果とあわせて経済的な評価がどうだったかということであろうかと思います。

 ワクチンそのものの効果については、医薬品という形で申請をされ、承認をされる過程で十分な評価はされていると思いますし、また、このことは日本に限らず欧米でも評価をされているので、この点についてはいいかと思います。

 それから、私ども厚生労働省でも、厚生労働科学研究の中で、子宮頸がん予防ワクチン、HPVのワクチンも含めまして、各種のワクチンの費用対効果というようなものを推計しておりまして、抜群の効果というほどではありませんが、一定程度の、費用に見合うだけの効果があるという研究報告もいただいてきたところであります。

赤枝委員 このワクチンの注射の痛みは筋注によるものだというところはちょっと違うので、婦人科の注射もほとんどデポ剤で、あれよりももっと量が多くて、もっと粘っこくて、デポになっていても全然痛くないです。それは全然違う。筋注だから痛いという常識は、それは当たらないと思います。

 それから、基本的なことを幾つか確認したいので、ちょっと私、読み上げていきますが、佐藤局長がそれは違うというところは、すぐ手を挙げていただいてストップと言ってください。

 つまり、パピローマウイルスは性感染症の一つである。これは性感染症の教科書にも出てきます。これはもう間違いなく、パピローマウイルスは性感染症だ、性感染症の一つですとここにも書かれています。ここのところは問題ないと思います。

 では、性感染症の一つであれば、その子宮頸がんの原因ウイルスであるパピローマウイルスを予防するのは、性感染症の予防法と同じ考え方でいいんじゃないでしょうか。つまり、特定のパートナーを決めて結婚するまではコンドームをしなさいと。それでこの子宮頸がんは予防できるんじゃないかと私は思います。異議があったら言ってくださいね。

 そもそも、このワクチンが子宮頸がんの発生を予防することは確認されていないんですよ。がんの予防にはならないんですよ。パピローマウイルスの感染を予防することはできても、発がんを予防できないんですよ、このワクチンは。そこのところも知られていないということですね。

 これは、ほとんどの皆さんが知らないのは、ワクチンを打つと効果が一生物だと思っている。ここのところは全然違う。今言われているのは、長くなって九年、十年ですね。一生じゃない。一応十三歳ぐらいで注射を打った子供が、セックスデビューをする二十ぐらいになってまた打たなければいけない、その人が三十になったときにまた打たなければいけない、四十歳になってまた打つという、五万円のワクチンをこんなふうに、無駄じゃないんですか。予防の方法があるんだから、もっとそこを強調してほしい。

 それから、このワクチンを打つと、何となく性感染症までも予防できるがごとく、つまりコンドームが要らない的なイメージになるために、ほかの感染症がふえてくるんじゃないかという心配もないことはない。その辺の周知もしていただかないといけない。

 費用対効果の面は、ある程度の効果はあるというのは、余りにもちょっと乱暴な言い方かもしれないです。

 例えば、これだけ問題になっている、我々が一生懸命ストップエイズのために、エイズ予防のためにやっているその費用は、何と四十八億円ですよ。しかし、予防方法があって、みんなが検診を受けてくれればですよ。それで、また打ったとしても期限がある。しかも、一生物じゃない。パピローマウイルスは二年で消えることがほとんどだ。このワクチン対策に三百億円必要なんですか、三百億円。これは費用対効果というんじゃないですか。そこを、少しの効果はあるというのはちょっと乱暴じゃないかと僕は今思いました。

 時間もないので、だから、ぜひここで、ワクチンについて父兄の負担を、本当に五百円でも僕はいいと思うんです、千円でもいいと思うんです、将来考えていないですか。場所によっては、何か地方の自治体が補填をして、その補填の額によって無料のところとちょっと有料のところがあるみたいですけれども、つまり、無料で提供するというのはやめて、必ず負担を、父兄の負担を千円でもつけるということは考えられませんか。

佐藤政府参考人 たくさんの御質問をいただきましたので、さっさっとお答えをいたします。

 まず一つ目は、性感染症じゃないかということでしたので、そのとおりでございますが、ごくごくまれに手の指からの感染や出産時の母親からの感染があると言われております。

 それから二つ目は、HPVの対策としては通常の性感染症の対策でいいのではないかということでしたので、それはそのとおりでございますので、私ども、それはそれとして充実を図っていきたいと考えております。

 それから三つ目は、このワクチンが、発がんの抑制効果が確認されていないのではないかということでした。正確に申しますとそのとおりかもしれません。ただし、がんの前の段階、前がん状態とでもいいましょうか、その前の段階を予防することはどうもあらかじめわかっておりますし、また、その前の感染そのものを防ぐこともわかっているようでございます。また、これ以外にも、最近イギリスやオーストラリアなどで、確かに前がん状態を防ぐということがわかってきているようでございます。

 それから、コンドームが要らないのじゃないかとか、あるいは他の性感染症の蔓延にかえって悪い影響を及ぼすのではないかというお話がありましたので、これは通常の性感染症対策ともどもやっていきたいと思います。

 それから、父兄の負担ということでございました。御存じのように、HPVワクチンは現在定期の予防接種ということになっておりまして、予防接種法上、経済的理由によりその費用を負担することができない者を除き、実費を徴収することができる、こういうことになっておりまして、実際、データをとってみますと、一五%ぐらいのところで自己負担を取っているようでございます。

 ただ、いずれにしましても、定期の予防接種について、市町村の自治事務ということで、主体的に市町村がやるということでございますから、取るか取らないかも含めて市町村において御判断いただくことになるだろうと思います。

赤枝委員 ぜひ、指導というかそういう形で、地方自治体にも、個人負担を少しでも取りなさいというふうなことを通達を出していただくとありがたいと思います。

 それでは、時間の関係で、二つの独法の統合についてお聞きしたいと思います。

 私が議員になる前から本当に尊敬を申し上げていた三浦審議官が、きょう、お願いをして来ていただいております。もうずっと以前から私は彼の言動を本当に尊敬して、目標にしてきたところもあるので、きょうは感激をしております。ありがとうございます。

 それで、これは当初、私も、スクラップ・アンド・ビルド、何か数合わせでやったのかなと。もうそれしか私もわからなくて、よく中を見てもわからなかったんですが、ぜひ三浦審議官には、小学生にもわかるように、この統合によるメリットを四百字詰めの原稿用紙一枚で、簡単に、メリットを三つお示しいただけますか。

三浦政府参考人 いただいたお言葉は汗顔の至りでございます。顔がなかなか上げられないのでございますが、まず、三つかどうかはともかくといたしまして、先ほど来大臣からも何度も御説明がございましたように、シナジー効果、つまり、二つの専門性、健康や栄養にかかわる専門性とそれから医薬品に関する専門性、これを融合させるというようなことでございます。

 これは単に口から入るものだからということだけではなくて、先生も医師のお一人として、医薬品と食品の相互作用、例えば薬の効きがよくなったり悪くなったりという例が多々あるということは御案内のとおりでございまして、これらについては、どちらかからの専門性で今までは研究が主になされてきたのではないかと思います。

 それからもう一つは、代表的に言うならば、健康づくりと医薬品との関係というような問題。つまり、今まででいうと、どこまでが例えば食事による治療あるいは運動による治療、どこからが医薬品かというようなことについて、それぞれ、医薬品の側から見れば、例えばこの段階から薬を飲んだ方がいい、あるいはこの段階から食事にした方がいいというようなことがあったかもしれませんが、それは、こういう新しい専門性の中で何とか道を開いていっていただきたい。

 そして、三つ目でございますけれども、やはり大きいのは、どこまで効率化できるか。これは、こういう時代でございますので、国民の皆様方の税金で動いているそういう施設として、できるだけの効率化を図っていくというのは当然のことだと認識しておりまして、そういう点でも、今回の統合というのはメリットがあると考えております。

赤枝委員 四百字を随分過ぎたんですが、よくわかりました。誠実な御答弁を本当にありがとうございました。

 それから、一点、ここにも、中のあれにも出てくるんですが、世界最先端の医療の実現に向けたというのがよく出てくるんですよ。新しい大学の設置のときにも出てくる言葉なんです。世界的な、世界最先端の医療を我々はやっているわけですよ。世界最先端の医療を開業医もやっているわけですよ。ここの言葉は、アメリカに負けているとすると、世界最先端の医療機器ですよ、医療機器では負けていますよ。その点を少し考えていただいて、この言葉がよく出てくるので、もう一回再考をお願いいたします。

 これにて質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 早速でありますが、質問に入らせていただきたいと思います。

 昨日より、健康・医療戦略推進本部、また日本医療研究開発機構についての議論がなされてまいりました。

 日本は世界に誇る長寿の国、その中にあって、健康は非常に重要な課題であると思います。そして、それを支えていく上で、食と薬、これはまたそこに重要な要素があるのだろうと私は考えております。

 そんな中で、例えば創薬という分野におきますと、当然、基礎研究から治験、また実用化という流れの中で、基礎研究の部分では、理化学研究所等の、文科省のそういった部分の役割がある。そして、産業化については、先ほど来ありましたが、産業技術総合研究所、そういった役割のものがある。その間にあって非常に重要な役割を果たしているのが、まさに医薬基盤研究所であると私は考えております。

 この医薬基盤研究所、きのうの議論の中で、機構からトップダウンでいろいろなテーマがおりてくる、それを受けて仕事をしていくと同時に、やはり研究所であるからには、ボトムアップ、自由な発想の中で、将来必要だと思うこともしっかりと自分自身の考えの中で進めていく、こういったことも大事であると私は考えております。そして、この研究所は、先ほどあったワクチンの基盤の研究、感染の制御、あるいは幹細胞等の制御、また難病等の研究もなされている、このように伺っております。

 まず初めに、この医薬基盤研究所、今日まで、医薬品及び医療機器等の開発を行い、その研究の成果を普及する、そういった役割を果たしてきた、また、基礎的研究を他に委託して成果を普及していく、こういった業務の役割の中で、具体的に、どのような目標で業務が進められ、どのような成果をどのように普及されたのか、簡単に御説明していただけますでしょうか。

三浦政府参考人 医薬基盤研究所で行っております研究につきましては、民間における研究開発を支援するという役割がございまして、その観点から、個々の医薬品の開発に直結しにくい共通的な創薬に関する共通的な研究を実施する、その成果を普及することによって新しい革新的な医薬品等を創出する、こういうようなことが目的でございます。

 これにつきましては、幾つものプロジェクトがこの研究所では動いておりまして、どれ一つとっても、大変輝かしい結果がもたらされているものが多いわけでございますけれども、基本的に、まず、今御指摘がございましたような例えば幹細胞の点で申し上げますと、医薬品のもととなる化合物というのがありますが、その化合物の毒性を評価するという技術は大変難しくて、今までいろいろな仕掛けをつくってやってきたわけですが、iPS細胞を使った肝臓の細胞を使うということによって、迅速にその毒性が評価されるようになる。

 それは、もちろん、医薬基盤研究所がそういう肝臓の細胞をつくるという、製品化に世界で初めて成功したということもございますが、その一方で、山中教授のiPS細胞の研究開発に対して世界で初めて研究費を提供するという形で、長らくその研究を支えてきたというのもこの医薬基盤研究所でございます。

 医薬基盤研究所が資金を提供してできたiPS細胞、そして、そのiPS細胞をさらに医薬基盤研がみずから使って新しい毒性評価のためのシステムをつくった、そういう意味では、これを一つの例といたしますけれども、まさに基礎研究からそれを応用していく技術まで、大変強い力を持っているというふうに考えております。

輿水委員 ありがとうございます。

 まさに、日本は、製薬の部分でも、同じ金額をかけて新しい薬を開発する、その数というのは諸外国に負けていない、そういうデータも私も見させていただいておりまして、こういった取り組みが一つ一つそういった成果につながっているんだなということは、本当にすばらしいことだと思っております。

 その上で、こういった研究所と、もう一つ、国立健康・栄養研究所、ここが今度統合されるんですけれども、一方、この国立健康・栄養研究所は、国民の栄養の調査研究、あるいは、メタボ対策の研究といったらいいんですかね、運動と健康や、身体の活動評価研究みたいなものもされたり、エネルギー代謝の研究、また食の安全情報というか、そういったこともなされていると思うんです。

 この研究所につきましても、その業務の範囲として、国民の健康の保持及び増進に関する調査研究を進めていくというふうにうたわれているんですけれども、具体的なその取り組みの成果、どのような目標のもとで、どのようにそういったものを達成されてきたのか、伺いたいと思います。

三浦政府参考人 国立健康・栄養研究所の目標でございますが、厚生労働省また地方自治体などにおける健康づくり施策に必要不可欠な科学的知見を集積し、発信するというのが目標でございます。

 具体的な例といたしましては、生活習慣病対策、いわゆるメタボのことも含めまして、運動と食事の併用効果に関する研究というものを実施いたしまして、厚生省が策定いたしました、健康づくりのための身体活動基準・指針二〇一三などのさまざまなガイドラインなどに、その知見あるいは研究成果が活用されているということでございます。

輿水委員 ありがとうございます。

 そして、今回、先ほどの医薬基盤研究所と国立健康・栄養研究所、これが統合されて新しい組織になるわけでございますが、先ほど、この統合のメリットとか、いろいろな話題があったと思いますが、この日本、高齢化また長寿国家として、やはり健康というものがそのベースになるべきであって、今まで医薬基盤研究所が果たしてきたそういった世界最先端の技術と、そして、国立健康・栄養研究所の、現場の一人一人の体調管理というか健康管理、そういった視点、これがうまく融合してくることによってすばらしい成果が生まれると私は確信をしております。

 技術者の世界では、薬をつくる技術者というか研究者だけが集まって議論をしてもなかなか突破できないことに対して、栄養だとか食とかそういった視点を持った研究者が、同じ問題を悩み、考えることによって、新しい視点での新しい技術が生まれるケースもあるわけで、今回の統合というものを契機に、そういった、違った分野かもしれませんけれども、問題点を共有しながら新しい解決策を生み出すような、そんな取り組みに私は非常に期待をしているところでございます。

 そして、特に、今まで薬が、病気を治すというふうなイメージ、そういったものであったかと思いますけれども、病気を治すと同時に、病気にならない薬というか、新しい視点で、健康である長寿を確立するために予防をしていく、そういった知見での取り組みというのが、私は、ここの統合によって、大きく新しい日本の健康長寿の社会を開く上で期待をしているところでございます。

 このように、今回、業務統合された上で、国民の健康の保持や向上に役立つためにどのような統合の意味を考えているのか、また今後、どのように具体的に、国民の健康増進のためにこの統合の効果を出していこうとしているのか、具体的な考えと意気込みについてお聞かせ願えますでしょうか。

 では、副大臣の方でよろしくお願いします。

土屋副大臣 先生の今のお話を聞いていて、まさに私も意見は同じでございます。この統合によりまして、本当に限りなくいろいろな可能性が広がっていくのではないかと考えています。

 特に、共同研究の実施でも、新しいプロジェクトをつくって、いろいろなことが可能性が広がるのではないかと思います。それからまた、合同で研究発表会の開催などもしていく企画もありますし、また、基礎研究成果の相互利用などを行うことも検討していますので、今まで以上に、本当にいろいろな情報が共有できていくのではないかと考えています。

 そして、医薬基盤研究所の医薬品に関する専門性と、国立健康・栄養研究所の栄養、食品に関する専門性が融合されていきますと、おっしゃるように、予防的な食、それから生活習慣病の対策への応用とか、医薬品と食品の相互作用の研究をさらに促進することでの相乗効果で、何か新しいもの、新しい意味が生まれるのではないかと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに健康の三つの要素ということで、食事と運動と休養というふうに言われているんですけれども、薬においても、病気を治すというよりも、どう予防していくか、また、そのための研究というものもあわせて、薬の研究から、病気を予防するための食のあり方とか、そういったものもさらに進むのではないかなというふうに期待をしているわけでございます。

 世界一の長寿の国が世界一の健康をかち取る、そんな国を開くためのすばらしい統合であったと言っていただけるように最大の努力をお願いしまして、また、将来へのそういった開発を期待しまして、私の質問を終わらせていただきます。

 大変にありがとうございました。

後藤委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る九日水曜日午前九時理事会、午前九時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十九分散会


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