衆議院

メインへスキップ



第10号 平成26年4月11日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十六年四月十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 松本  純君

   理事 山井 和則君 理事 上野ひろし君

   理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      大串 正樹君    金子 恵美君

      熊田 裕通君    小松  裕君

      古賀  篤君    清水 誠一君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      末吉 光徳君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高鳥 修一君

      高橋ひなこ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    永山 文雄君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      三ッ林裕巳君    宮川 典子君

      宮崎 謙介君    宮崎 政久君

      村井 英樹君    簗  和生君

      山下 貴司君    大西 健介君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    足立 康史君

      伊東 信久君    浦野 靖人君

      清水鴻一郎君    重徳 和彦君

      輿水 恵一君    桝屋 敬悟君

      中島 克仁君    井坂 信彦君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 青木 信之君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐藤 敏信君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       内田 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    蒲原 基道君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  原  勝則君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  大久保三代君     宮川 典子君

  金子 恵美君     清水 誠一君

  田畑 裕明君     簗  和生君

  三ッ林裕巳君     宮崎 政久君

  村井 英樹君     宮崎 謙介君

  重徳 和彦君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  清水 誠一君     金子 恵美君

  宮川 典子君     熊田 裕通君

  宮崎 謙介君     村井 英樹君

  宮崎 政久君     三ッ林裕巳君

  簗  和生君     末吉 光徳君

  伊東 信久君     重徳 和彦君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     大久保三代君

  末吉 光徳君     田畑 裕明君

同日

 理事松本純君同日理事辞任につき、その補欠としてあべ俊子君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 難病の患者に対する医療等に関する法律案(内閣提出第二四号)

 児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事松本純君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。それでは、理事にあべ俊子君を指名いたします。

     ――――◇―――――

後藤委員長 内閣提出、難病の患者に対する医療等に関する法律案及び児童福祉法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官青木信之君、厚生労働省健康局長佐藤敏信君、職業安定局雇用開発部長内田俊彦君、雇用均等・児童家庭局長石井淳子君、社会・援護局障害保健福祉部長蒲原基道君、老健局長原勝則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中根康浩君。

中根(康)委員 おはようございます。民主党の中根康浩でございます。

 消費税の使い道としての難病対策、きょうも大臣と実り多い議論を展開させていただきたいと思います。難病患者に対する福祉政策、福祉サービスの点からの議論をしていきたいと思います。

 資料一に、お配りをいたしましたが、改正された障害者基本法、この二条一項で、「心身の機能の障害がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」とありますが、ここで難病が含まれるというふうに考えてよろしいでしょうか。これは大臣に確認です。

赤石大臣政務官 おはようございます。

 中根委員にお答え申し上げます。

 難病法案におきましては、「発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるもの」を難病として定義し、調査研究や患者支援等の対象としております。

 障害者基本法におきましては、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」を障害者と定義しておるところでございます。

 難病法案における難病の患者と障害者基本法における障害者は、互いに重複することがあり得るものの、完全に一致するものではないというふうに整理しております。

 以上です。

中根(康)委員 完全に一致するものではないとおっしゃいましたけれども、私どもは、基本法のここで難病が含まれると読み取らせていただいています。ある意味、それが今、世間の、社会のコンセンサスだと思いますが、もう一度確認しないと、今の答弁では少し曖昧ですので、難病は障害者基本法の中に含まれますよね。

赤石大臣政務官 さまざまなケースがあるというふうに思います。

 例えば、難病の患者ではあるが障害者ではない者の例として、難病と診断されたが、症状が極めて軽く、心身機能の障害を有していない者。逆に、難病の患者ではないが障害者である者の例として、診断基準が確立していない疾病にかかっているとされるため難病の患者とは言えないが、痛みや倦怠感などの心身の機能の障害を有している者。こういう例があるというふうに思います。

中根(康)委員 余りここの議論に時間を費やしたくはないので、まとめさせていただきますと、つまりは、改正された障害者基本法やあるいは障害者総合支援法、ここの一番画期的なところは、今までの障害に対する捉え方を医療モデルから社会モデルに大きく転換して、生活のしづらさ、支援の必要性から必要な施策が打たれる、サービスが提供されるというところに転換をした。生活がしづらい、さまざまな社会的な障壁に直面をしているという方々は、この障害者基本法の範疇に含まれる、そこに難病患者で含まれる方もいらっしゃるというように受けとめていきたい、理解をしていきたいと思います。

 そこで、資料二をごらんください。

 ここに、上の囲みの二つ目の丸でございますけれども、総合支援法では、当面の措置として、難病患者等居宅生活支援事業の対象疾病と同じ範囲、百三十疾患が対象とされたわけであります。その一覧表が、資料三として添付をさせていただいております。

 そして、この資料二には、さらに、これは下の方の黒い矢印のところでございますけれども、手帳の取得はできないが、一定の障害がある人は障害福祉サービスが利用できるとあるわけであります。つまりは、百三十疾患の患者さんは、手帳はなくても、障害程度区分が出れば、障害福祉サービスが利用できるということであります。この考え方は、極めて妥当なものであると考えさせていただいております。

 そして、資料四に添付をさせていただきましたけれども、難病患者さんの障害福祉サービスの利用状況がこのようになっておりまして、居宅介護の利用者が多い、あるいは、生活介護であるとか、就労移行支援であるとか、就労継続のA型も結構多い、就労継続のB型。つまりは、日中活動に資するサービスが多く使われている、あるいは、就労、地域生活の支えになるサービスが多く利用されているということで、難病患者さんがこういった障害福祉サービスを利用できることになったということは、とても大きな前進であるというふうなことが、ここからもわかるということであります。

 そして、また資料二というところに戻っていただきたいと思いますけれども、その上で、医療費助成の対象疾患の範囲の検討を踏まえ、見直していくということも、ここに書き込まれているわけであります。そこが問題なんですけれども、先ほどの上の囲みの中の二つ目の白丸の後段の方、対象範囲は、「新たな難病対策における医療費助成の対象疾患の範囲等に係る検討を踏まえ、見直しを行う」ということになっているわけであります。

 しかし、私はここで問題だと思うのは、医療費助成の対象と障害福祉サービスの対象は連動していいのか悪いのかということだと思います。私は、連動すべきものではないというふうに思います。

 そもそも、新たに発見されて診断基準の確立をされていない難病や、患者数が多く、原因不明の難病が医療費助成の対象とならないというのが、もともとおかしいというわけであります。そのおかしい上に、ここが、医療費助成の対象となるものと福祉サービスの対象となるものが、連動して範囲が決められていくということになると、患者数が多かったり、診断基準が確立されていないため、医療費助成の対象にならない、すなわち、連動していると、そこで障害者総合支援法の対象にもならなくなってしまうというわけであります。

 難病患者さんの医療費助成は、例えば、研究の対象ということにもなって、そういった研究に資するというような意味合いもあって、医療費助成の対象になっているという側面もあるわけであります。

 一方、福祉サービスというものは、先ほど、医療モデルから社会モデルへの転換が極めて大きな前進だと申し上げたように、社会参加や地域生活を支援するという観点から決められているわけであります。

 つまりは、難病自体への医療の支援と福祉サービスとは別物であって、同時に、車の両輪としてそれぞれ重要な役割を果たして、難病患者さんの生活を支えていくということにならなければならないというふうに思っております。したがって、むしろ、医療費助成の範囲以上に広い範囲で福祉サービスが提供されるべきであるということにもなると思います。

 繰り返しになりますけれども、福祉サービスの対象となるかどうかは、病気の希少性であるとか、あるいは原因であるとか、治療法の未確立といった要件は、これは関係ないことだと私は考えさせていただいております。障害福祉サービスの提供というのは、病名ではなく、生活のしづらさ、生活の困難さ、支援の必要性で幅広く決められていかなくてはいけないというふうに思います。

 難病患者さんが使える障害福祉サービスは、これから、まさに生活のしづらさ、支援の必要性で決められていくということ、つまりは、医療費助成とは連動しないという考え方を厚労省としてはとっていただきたいと思いますけれども、大臣、この点、御見解はいかがでしょうか。

田村国務大臣 まず、指定難病、難病指定されているものと、今福祉サービスを受けられる範囲というものは、連動しているわけではありません。ただ、その検討の過程において、指定難病が決まれば、それを検討した上で福祉サービスの多寡、多寡といいますか必要性、これに応じて受けられる範囲を決めていくわけでありますから、自動的に連動しているわけではないわけであります。

 その上ででありますが、なぜ傷病名、疾病名で福祉サービスを受けられる範囲を決めるかというと、それは、一定の公平性でありますとか、市町村のやはりいろいろな意味での混乱を避けるために範囲を明確化しなきゃならないということで、疾病名というものをやはり決めるわけであります。

 そのためには、当然、一定程度の客観的な診断基準がなければ、それはその疾病ということにやはり決められないわけでありますから、そういうものが必要であるということで、客観的な診断基準というものが確立しているものの中において、そのような福祉サービスを受けられるものを決めていった。これは、二十四年度の、皆様方が政権のときに、総合支援法という形の中でこのような新たな取り組みを、我々も含めて賛成させていただきながら、これをやられたということであります。

 今のところからいけば、市町村などの現場に混乱を生じさせることがなく確実に実施してもらうため給付対象を明確にする必要があることからというような内容でございまして、これはまさに皆様方が、当時同じような質問に対する御答弁でお答えになられた内容そのものであるわけでございまして、十分にこれに関しては御理解をいただけるのではないかというふうに思っております。

中根(康)委員 今大臣の御答弁の中に、自動的に連動をしていくわけではないという御答弁を明確にいただきました。

 この厚労省がおつくりになった資料では、繰り返しになりますけれども、当面の措置として、難病ヘルパーの対象疾病と同じ範囲で百三十疾患を決めた、当面の措置ということでございます。そして、「平成二十五年四月から制度を施行した上で、新たな難病対策における医療費助成の対象疾患の範囲等に係る検討を踏まえ、見直しを行う」と。

 ここに、「新たな難病対策における医療費助成の対象疾患の範囲等に係る検討を踏まえ、」というふうに書いてあるものですから、私は連動しているのではないかという疑念を抱いたわけでありますけれども、ここの解説として、大臣は、自動的に連動はしないということを明確に御答弁いただいたわけでございます。

 これは何か、大臣、今の答弁を修正されますか。

田村国務大臣 自動的に連動するということは、こっちが決まったら、もうそれにそのまま連動して何らそこは裁量はないということですから、そんなことがあるわけはないので、だって、今時点で、では、五十六疾病の中で百三十の疾病に対して、福祉サービスと五十六というのは、自動的に何ら連動はしていないわけですよね。

 ただ、五十六疾患、これを今回三百ぐらいに広げるわけですね、医療支援という意味からすると。これが決まることがまず前提です。やはり決まったものを見て、そこから、どれぐらいのところなのかなということを検討するということでありまして、先ほど委員がおっしゃられた、こう書いてあったから心配なんですと言われた、その書いてある内容そのものであります。

中根(康)委員 心配なところを大臣に今、明確に御解説いただいたということで、この資料の読み取り方は、自動的に連動するものではないということを繰り返し念を押していただいたわけでありますので、ここはありがたい御答弁だと思いますので、この御答弁は、今後の見直しに当たってはぜひ貫いていただきたいというふうに思います。

 もちろん、さっき赤石政務官が御答弁されましたように、難病患者さんであっても、この福祉サービスについては必要な方と必要でない方があるかもしれない、それはそのとおりだと思います。

 つまりは、障害者総合支援法の認定作業の手続の中において程度区分が出れば、その程度区分に合わせた必要なサービスが提供されるということであって、これは医療費助成の対象疾患とは別物であって、医療費助成の対象にならない病気をお持ちの方であったとしても、生活の困難さ、支援の必要性が程度区分としてきちんと出れば、そこには福祉サービスが提供されるということでよろしいですね。

 大臣、先ほどから手を挙げておられますので、加えてまたいいことを言っていただけるんですか。

田村国務大臣 先ほど来言っておりますとおり、まず大前提は、客観的な診断基準が確立されていませんと、そもそも難病という中において範囲を決められませんから、そこは絶対外せないわけであります。

 ただ、今回は、医療費助成を受けられる範囲の方々が変わるわけですよね、五十六から三百近くに。それが変わったら、福祉サービスを受けられるのはその方だけというわけではないですよね、当然。もしかしたら、その中においても受けられない方がいるかもわかりません、それはわかりません。

 もちろん、だからといって皆さんに心配をさせるわけではありませんが、理屈上そういう話でありまして、それを参考にしながら、福祉サービスを受けられる方々はどういうような範疇の方々かというものを、必要性も含めて判断させていただくわけであります。

 ただ、病態だけといいますか状態だけで判断はできない。つまり、まずは客観的診断基準がないと、そもそも難病という中においての定義の中に入ってこれないという部分がありますので、そこは外せない。何かちょっとよくわからない、診断基準もない、しかし、どうも状態は不安定だ、これはサービスを受けざるを得ないというようなものは、さすがにこの範囲には入ってこられないということでございまして、まずは客観的な診断基準というものをしっかり確立いただいたものが対象になるということであります。

中根(康)委員 私どもは、医療費助成の対象となる難病も、病名だけで決めるべきではないという考え方も持たせていただいておりますが、福祉サービスについては、それ以上に、病名で制約をされてはいけないというふうに思っております。ですから、そういった意味では、先ほどから大臣が御答弁をいただいていることは、私どもの考え方とほぼ同じ方向性といいますか、十分私どもの考え方を御理解いただいている御答弁だというふうに受けとめさせていただいておりますが、違いますか。これは、後で活字になった議事録を見て、改めて精査をさせていただきたいと思います。

 それで、難病患者が使える障害福祉サービスというものは、それでは、今の大臣の御答弁が一番重要な根拠ということになろうかと思いますけれども、その上で、どこで誰が決めていくということになりますか。

田村国務大臣 まず、病名だけで決まるわけではなくて、病名がなきゃ決まらない、そこは外せないわけでありまして、病名がなきゃ決まりませんが、その病名で決まった人の中でも、入る人と入らない人がいる、福祉サービス。そういうことですよ。

 病名がないのに状態だけで入るということはまずあり得ないということでありまして、病名があった上で、その状態を見させていただいて、福祉サービスの範囲に入る、入らないということはあると思いますけれども。要は、いろいろな客観的診断基準で病名がありますよね、その中で、当然のごとく、入るもの、入らないものが出てくるわけでございまして、そこは、病名がないのに入るということはまずない。

 それはまさに皆様方も、二十四年の政府にあられたときの御答弁で、皆様方の政府の高官がおっしゃっておられる内容でございますから、それを私はそのまま復唱を、今答弁とさせていただいたということであります。

 どこで誰が決めるかという話でありますけれども、それは、いつ決めるかという意味からすると、まず、先ほど来言っておる医療費助成を受ける範囲、これが決まった後に、その後、これをいろいろと検討させていただきながら、自動的には連動しませんけれども検討させていただきながら、なるべく早い時期に決めさせていただくということでございます。

 これは、誰かといえば、厚生科学研究において第三者委員会が決めるというような話になると思います。

中根(康)委員 その前段の御答弁が少し、後ろの方からのささやきで、この数分の間にも後退しつつあるのではないかという危惧をいたしておりますけれども。

 つまりは、私どもが言っているのは、五千も六千もあると言われている難病患者の皆さんのうち、今回例えば三百まで広がったとして、福祉サービスが受けられるのはこの三百の方々だけに限定されてはいけないのではないか、三百一番目の方も四百番目の方も、生活の困難さ、支援の必要性が、障害者総合支援法の障害程度区分がきちんと出て、必要だということになれば、福祉サービスの利用の対象とすべきではないかということを申し上げているということでございます。

 そして、どこで誰が決めるかということで、第三者の厚生科学委員会が決めるということであるとするならば、そこにきちんと当事者の方々の意見が反映される仕組みになっているかどうかということが一番大切なところだと思いますので、改めて御答弁いただけますか。

田村国務大臣 済みません。第三者委員会は難病の方でございまして、今言われているのは総合支援法の方の福祉サービスですから、専門家の方々の委員会でお決めをいただくということでございまして、ちょっとそこは訂正をさせていただきたいと思います。

 その上で、指定難病に関しては四つの要件があるわけですよね。例えば、発症機構が未解明であるとか、治療法がないであるとか、それから、長期にわたって療養が必要である、要するに費用がかかるということですね。それプラス、さらに、先ほど来言っております客観的な診断基準が要るという意味であるわけでありまして、この四つであるわけでありますね。

 福祉サービスに関しては、この四つではないわけです。しかし、この中で、やはり客観的な診断基準がないと、まず、その疾病名が確認されないわけでありますし、難病でありますから、ある意味、治療等々も確立されていないということも入ってくるんだと思います。

 ただ、ある意味、基準は指定難病とは当然違うわけでありますが、しかし、難病という範疇の中で、やはり診断基準というものがないといけないということであるわけであります。そして、その上で、福祉サービスというものが必要であるかどうかというような、そのところも勘案されてくるわけであります。

 ですから、三百というものが、今、指定難病としてこれぐらいかなと。いや、それに限ったわけではありませんよ。これからも、要件を満たせば次から次へと入ってこられるわけでありますけれども、その三百というものに、そのままではないわけでありまして、当然、それより数が大きくなる可能性もあれば、小さくなる可能性は余り我々は考えたくないわけでありますけれども、大きくなる可能性というものはあるわけでございます。

 ただ、先ほど来言っておりますとおり、皆様方もおっしゃられたとおり、ということは、そこは外せないということでございます。そこを御理解いただきたいというふうに思います。

中根(康)委員 専門家ということでおっしゃいましたけれども、そこに当事者の方々の意見が反映される仕組みは、きちんと約束していただけますか。

田村国務大臣 当事者というと、難病の方ですね。難病の方で、福祉サービスを受けられるか、受けられないかという方ですよね。(中根(康)委員「難病患者の方、もしくは家族の方とかですね」と呼ぶ)それは、やはりその方々の御意見というものが反映されなきゃいけないので、反映されるような、そういう仕組みにはしてまいりたいと思います。

中根(康)委員 これもまた前向きな御答弁をいただいたということでございます。

 先ほどの答弁の中で、客観的な診断基準というのはどうしても外せないんだというような御答弁でございましたけれども、客観的な診断基準が確立されていなくても、これは難病だと。そして、生活をしていく、地域生活をしていく上で、福祉サービスがなければ生活できない、あるいは、あれば支えになって地域生活ができる。

 先ほど資料で御提示をいたしましたように、福祉サービスが利用できれば就労継続のA型でもやっていくことができるわけでありますので、ここは客観的な診断基準ということにこだわらず、程度区分が出れば、客観的な認定作業の結果、必要だということになれば、福祉サービスが利用できるというように、ここでお約束をしていただくことはできませんか。

田村国務大臣 先ほど、難病の四要件、一つ間違えておりまして、これは希少疾病であるということでございまして、客観的診断基準というものはその上にかかっておるといいますか、全体として判断をするための基準であるということでありますが、何らかの疾病であるということは明確にしないと、つまり、難病の疾病であるということは明確にしないと、対象にはなかなか入れない。

 何かよくわからないけれども、まだ難病なのかどうなのかわからないけれども、状態としてこれは大変だからというのは、お気持ちはわかりますが、しかし、事実上そういうものを対象にするということは、先ほど来申し上げたとおり、やはり市町村のいろいろな混乱等々を生じる可能性があるわけでありますから、そこはある程度確立したものでないと対象になれないということでございます。

 この点は、何でも全てというわけにはいかないというところは、御理解をいただきますようにお願いいたしたいと思います。

中根(康)委員 何でも全てということではなくて、難病と闘っておられる方々の中で、程度区分が出れば、福祉サービスを利用させてあげてもいいのではないかということを申し上げているわけで、それがまさに、改正障害者基本法であるとか障害者総合支援法の中心的な理念の、医療モデルから社会モデルへの転換、ここは大臣も、この総合支援法や基本法の改正は一緒に取り組んできた、同じ思いを持ってやってきたはずであるわけでありますので、ぜひ厚労省も、その考え方、その理念を堅持していただきたいと思います。

 資料五の議論に行きたいと思います。

 障害福祉サービス、これをごらんいただければ、低所得者世帯、市町村民税非課税世帯までの方、生活保護と低所得一、低所得二の方々は、利用者負担はゼロということになっているわけであります。上の囲みの中にもありますように、平成二十二年の四月から、評判の悪かった、悪名高き応益負担から応能負担へと転換をしたことによって、低所得者の方々に対する障害福祉サービスは、利用者負担はゼロということになっているわけであります。

 資料六なんですが、これが今回の難病新法の自己負担限度額をあらわしたものでございますけれども、障害福祉サービスが利用者負担ゼロということになっていることに対して、難病患者さんの自己負担は、最重度のALSで人工呼吸器などを装着している方々であっても千円の自己負担があるということでございます。

 厚労省、今までの議論の中で、障害者医療を参考にして難病の自己負担限度額を決めたということになっておりますが、この千円というのはどういう意味合いなんでしょうか。

赤石大臣政務官 お答え申し上げます。

 新たな難病の医療費助成制度における患者の負担限度額につきましては、患者団体等の意見を踏まえまして、障害者の医療制度、自立支援医療並びに設定することにいたしました。負担限度額は、所得区分に応じて月額二千五百円から三万円としているところでございます。

 その上で、ALS患者等の人工呼吸器等の装着者につきましては、行動や意思疎通に著しい制限があること、また介護者の負担も著しく重いことという状況に鑑みまして、軽減策を講じることとして、その負担限度額を千円に設定したところであります。

 難病の医療費助成については、治療研究としてスタートした経緯もあり、これまでは低所得者や重症者については医療費の負担をいただいておりませんでした。しかし、患者負担については、医療サービスの対価としての性格もあり、今般、消費税収入を充て、公平かつ安定的な制度確立に当たっては、他の法定化された医療制度、例えば障害者、高齢者等と同様、全ての対象者の方に負担能力に応じた一定の御負担をお願いしたいと考えておるところでございます。

中根(康)委員 今、政務官は、患者団体の皆様方からの御意見を踏まえて、それでるる御説明をされて、千円にしたという御説明だったんですが、千円取ってくれという団体からの御意見なんてあったんですか。

赤石大臣政務官 さまざまの団体からの意見は伺っているというふうに聞いております。その中で、例えば医療費以外のさまざまなかかる費用がありますけれども、そういうことも負担しているということもありまして、そういう公平性も含めて、千円程度の負担はやむを得ないのかなということで判断をしたということでございます。

中根(康)委員 そういう事実はあったんですか。つまりは、今までの議論の中で、高齢者医療の制度を参考にした自己負担限度額のあり方では、これはおかしいのではないか、重過ぎるのではないかということで、今、自立支援医療を参考とした限度額の案が提示をされているわけで、その中で、患者団体の皆さんからは、自立支援医療を参考にしてくれというような御意見は確かにあったと思います。

 しかし、その中で、最重度の患者さんから、千円取ってくれ、取ってもいいというような、確かな事実として、そういうことはあったんですか。

田村国務大臣 委員は、自立支援医療を参考にさせていただいたという中において、なぜこの千円だというような御質問でございました。

 御承知のとおり、自立支援医療は無料というものはないわけであります。本来ならば、この千円のところも、この横の高額かつ長期、重度かつ継続というのが自立支援医療でありますが、そこに合わせてというような金額設定になっているわけですね、自己負担が。

 ところが、ALSの方々は、やはりその病態等々を勘案しなきゃならない。もともと各団体も、自立支援医療並みのというような御要望はいただいておりました。しかしながら、その中においてもALSはちょっとやはり重たいということもあられるので、そこは何とかもう少し負担をという話でございましたので、そういう意味で、本来ならば、この横の高額かつ長期と同じなんでありますけれども、さらに、御要望をお聞かせいただいてこの自己負担を下げさせていただいて、一律千円というような形、もちろん生活保護はゼロでありますけれども、こういう形に、御要望をお聞かせいただいて、さらに自立支援医療の基準よりも下げさせていただいたということが事の経緯でございます。

中根(康)委員 やはり、当事者の方々から千円にしてほしいというような御要望はなかったんですよね。それを、あたかもあったというような言い方で、当事者の方々の御意見を踏まえて、反映して千円とさせていただきましたというようなごまかしは、これはやめた方がいいと思います。

 当然、赤石政務官も先ほど御答弁されましたように、病気そのもの以外に、さまざまな経済的な生活上の御負担が重度の難病患者さんの周辺には生じているわけでありますので、したがって、千円といっても、これは決して軽い数字であるわけではない。

 むしろ、今大臣が御答弁されたのは、本来ならば、この二千五百円なり五千円なりというようなところにはまるんだけれども、しかし、ゼロでもだめだし、その中間あたりをとって千円ということであれば、これは何とかこの法案が通るのではないかというようなことであった、そういう御答弁であったのかもしれませんけれども、千円という数字に客観的な根拠はないんですよね、今の御答弁では。あるなら、それをお示しいただけますか。

田村国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、根拠があるとすれば、それは、自立支援医療並みにという御要望をいただいて、自立支援医療並みの二千五百円、五千円、一万円、二万円、これは一定程度の根拠はありますよね。この人工呼吸器、ALSの方々もこの金額なわけです。

 ところが、やはり団体の方々にお聞かせをいただき、これはもう少し下げてほしい、そういう御要望をいただきました、これではちょっと大変だと。それで、我々としては、それならば引き下げるということで、今般、千円というようなことを御提示させていただいたわけであります。

 でありますから、この千円の根拠は何かと言われれば、横にある二千五百円、五千円、一万円、二万円という自立支援医療の金額よりも低いというところに根拠があるわけでありまして、その金額として千円を設定させていただいた。それはまさに、団体の皆様方の御要望という中において我々は御提案をさせていただいたということであります。(発言する者あり)

中根(康)委員 今、誰かがわかりやすいと言いましたが、わかりやすいですか。わかりやすいとすれば、ゼロではない、二千五百円ではない、その中間の数字だということでいえば、それはわかりやすいかもしれませんが。つまりは、客観的な根拠はない。根拠があるとすれば、今大臣がまさに御答弁されたんですが、団体の方々が、二千五百円でも重い、つらい、だからさらに下げてほしいという御意見はあった、これは事実だと思います。

 ですから、下げてほしいという御要望に誠実に応えるとするならば、最重度の方々の生活や医療の状況を考えた場合に、千円という数字に客観的な根拠はないとするならば、これは無料にすべきだと私は考えますけれども、大臣、無料にするお考えはなぜだめなんですか。

田村国務大臣 自立支援医療も無料はないんですよね。そういうところをやはり客観的に鑑みますと、無料というのは、幾つかの制度はありますけれども、ないわけでありまして、その中において、ALSの方々を初めとする人工呼吸器を装着されている方々、こういう方々は、要は非常に病態が重たいということで、それで金額を低く設定させていただいた。(発言する者あり)

 数字は、ここに書いてある二千五百円だとか五千円というのは、確かに、それは自立支援医療からの根拠はありますが、それならば、自立支援医療のそれぞれの金額の根拠は何なんだというと、なかなかこれも、いろいろな御議論の中で今まで設定をしてきておるわけであります。

 でありますから、そういう意味では、今般の千円というのも、いろいろな話し合いの中で、団体との話し合いの中で決めさせていただいたというような数字でございまして、そこにはそれぞれの御意見の反映があったんだというふうに私は考えております。

中根(康)委員 今も山井議員が御指摘をされましたように、今まで、難病患者、重症患者は無料だったんですよ。だから、無料というものはないわけではないんです。難病患者団体の方々との話し合いの中でということではありますけれども、しかし、最初に重たいものをばんと掲げておいて、それで低い数字が後で出てくれば、これはやむを得ないかなということで、渋々折り合ったという状況があると思います。

 千円というものに客観的な根拠がなければ、この社会で最も苦しんでおられる、つらい状況にあられる方々を無料にしても、決してそれは、消費税の使い道として国民に対して説明ができないことではないというふうに思いますので、ぜひこの審議が終わるまでの間に、政府から無料に修正をするという御提示がなされることを期待させていただきたいというふうに思います。

 そこで、ここをあくまでも無料にしない、最重度の方々から千円いただくということは、ほかにもいろいろな懸念を生ずることになるわけなんですよね。

 それはまた後で申し上げますけれども、資料七というところに行きたいと思います。

 資料七は、今使おうと思っていたものなんですが、これは赤石政務官がさっきおっしゃったんですけれども、この新聞記事にも書いてありますように、ALSの患者、私たちは、「生命維持のために多額の介護料、医療備品代、衛生用品代などを、すでに所得にかかわらず自己負担しています」「二十四時間の介護が必要だ。」「不自由な生活の中で、」「医療費以外にも毎月二十万円程度の出費がある。」そして、最後に、「今もカツカツの生活なのに、」「これからさらに値上げされないとも限らない」。ここですよね、ここ。

 ゼロはそれは幾ら掛けてもゼロですけれども、千円という数字が出てきたということは、これは将来、二千五百円の範囲の中かもしれませんけれども、千円が千二百円になり、千五百円になり、二千円になりと。

 二千五百円のところがもし将来値上がっていけば、上限はさらに上がって、三千円なり四千円なりということで、公平性だとか権利性だとかいろいろな理屈をつけて、最もつらい立場にある方々から自己負担をさらに引き上げていくということの突破口になってしまうのではないかという、患者団体の皆様方、ALS患者の当事者の皆様方からの御心配、御懸念に対して、例えば、今回千円という数字にした、しかし、もうこれ以上は上げない、無料にすることは検討するけれども、千円以上には、上げることは決してあり得ないということを、大臣、お約束いただけませんでしょうか。

田村国務大臣 まず、今までは予算事業でございました。今回は、法律にのっとって、これはもう義務的な経費になるわけであります。そういう意味からしますと、枠も広げますから、もし予算事業のままならば、足らなくなっちゃったら助成はなくなるんですよね、正直申し上げて。そういうことなんですよね。ですから、安定した制度にするために法律にのっとってやるわけです。これからは、ふえてこられても、ちゃんとしっかりと財政的に担保されるんですよね。それは皆様方も御理解いただけるものだと思います。広げるということはそういうことなんです。

 ですから、そこは、予算事業でやっているんじゃなくて、ちゃんと制度として、のっとった医療費の助成制度、それはほかにも幾つかある、その中の一つが自立支援医療です。そのようなものに一つ基準を置いてやっていく。これは無料というものはないわけでありますから、そこは団体の方々にも御理解をいただく中において、今回提示をさせていただいた金額が千円であった、月々でありますけれども。こういうことであるわけでありまして、御理解をいただきたいと思います。

 その上で、千円が上がるか上がらないか。今提示させていただいたのが千円でありますから、上げるつもりはありません。

 ただ、それは、物価も賃金もこれから上がっていけば、そのときにどう考えるか。例えば物価が今の十倍になったときに、本当に千円のままやっていけるか。こういうことに関しては、賃金もあわせて上昇していけば、そのときに見直すことはあろうというふうには思いますが、だけれども、今の時点で、今の経済状況、今の賃金情勢で、これを上げるということは、今提示したばかりでありますから、考えておりません。

中根(康)委員 もうこれで時間が来たので次の機会に回しますけれども、物価が上がったら、それと連動して自己負担も上げていくということでは、生活が全くできなくなってしまいますよ。物価が上がるからこそ、例えば予算措置などで低負担にすべきだ。これは考え方が、ちょっと方向性が違う。また次の機会に議論させていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 おはようございます。民主党の大西健介でございます。

 今回の法改正、これは難病の対策の制度が約四十年前に始まって以来の大改正になります。それゆえに、関係者の皆さんの期待も大変大きいところがあるというふうに思いますけれども、ただ、私は、今回の法改正の中で、非常に大きな宿題が一つ積み残しになっているんじゃないかというふうに思っています。

 それは、キャリーオーバーとかトランジションというふうに呼ばれている問題なんですけれども、私は、きょう、トランジションという問題について、絞って質問をしていきたいというふうに思っています。

 従来から、小児慢性特定疾患の中には、二十になると医療費助成の対象にならない患者が多数発生する、そのことが問題じゃないかということが指摘をされてきました。

 そこで、まず現状を確認しておきたいんですけれども、小児慢性特定疾患の研究事業の対象患者で、成人後もその病気で治療を続けられている方がどれぐらいいるのか。また、その中で、医療費の助成が受けられていない、二十を過ぎると、それまで受けられていた医療費の助成が受けられなくなってしまっている人がどれぐらいいるのか。この現状について教えていただきたいと思います。

土屋副大臣 成人した小児慢性特定疾患の患者数については、平成二十三年度厚生労働科学研究によりますと、約四万七千五百人という推計結果が出ております。

 また、これらの患者の実態については、厚生労働科学研究によりますと、約八〇%の患者さんが毎月または二、三カ月ごとに受診しておられます。また、難病や更生医療など、他制度による医療費助成を受けていないと回答した患者さんが約五九%でありました。

 なお、医療費の年間自己負担額は、中央値では約三万六千円でございます。

大西(健)委員 今、現状を御説明いただきましたけれども、別に二十を過ぎたからといって病気が変わるわけではありませんから、八〇%の人はずっと受診を続けている、そしてまた、六〇%の方々は医療費助成の対象になっていないということであります。

 現実にこれだけの人数の人々が、推定ではありますけれども、制度の谷間に落ちてしまっている。そういう中で、一生続く医療機関の受診と、今、平均値で三万六千円とかいう数字がありましたけれども、そういう医療費の自己負担、これを負って、苦しんでおられる。

 今回の法改正で、成人難病の医療費助成の対象が五十六疾病から約三百に広がっていく、これは大変いいことだというふうに思いますけれども、小児慢性特定疾患の方も、これは対象が少し拡大して、約六百になるということになります。

 ギャップが依然として残っていますので、まだ、制度の谷間に落ちる患者が発生するという、先ほど来申し上げているトランジションという問題は、今回の法改正によっても解決されないということなんですけれども、この問題、実は、平成十七年に児童福祉法が改正されたときからもう指摘をされていた問題なんですね。ですから、きょうは、当時の議論、参議院の厚生労働委員会の会議録というのを皆さんのお手元に配付させていただいています。これをごらんいただきたいんです。

 まず、公明党の遠山議員がこんなふうに質問されています。「二十歳を超えてもこの慢性の病気が続く患者さんを抱えている家族の財政負担というのは非常に重いものがあるわけでございまして、是非この患者本位の立場から、尾辻大臣としても、この小児慢性の病気で苦しんでいる方々が成人になった後にどういうふうに支援をしていくことができるか考えていただきたい」。

 こういうふうに遠山議員が質問したのに対して、当時の尾辻大臣は、「そこのところが今後の課題だと思っております。よく難病対策まで含めて整理して考え方を示さなきゃいかぬと思っておりますから、検討させていただきたい、」こう言っているんですね。

 同じく、共産党の小池晃議員がこのように質問をしています。「二十歳までは今回制度の対象になるが、二十歳超えるともう全く医療費補助がないと。二十歳超えたら病気が変わるわけじゃなくて、二十歳過ぎても全く同じ病気なわけですから、やはり二十歳以上の患者に対しても医療費の補助をしてほしいという願いなんです。」やはりこういうものをしっかり継続してほしいというのは私は当然の声だというふうに思うということを質問されています。

 これに対する答弁も、先ほどの答弁と同じでありますけれども、「よく整理をして検討させていただきたい。大変お気の毒な状態にあることはこれは間違いのないところでありますから、いろんな制度をこの際ですから整理してみたい」。

 平成十六年の国会審議の当時に、こういうやりとりがあって、もうそのときにこれは検討するんだ、これだけ明確にお答えをされているわけです。

 そして、資料の二枚目に、当時の参議院厚生労働委員会の附帯決議というのもつけておきました。

 この附帯決議の中を見ていただきますと、十番目の項目です、線を引きましたけれども、「必要に応じて継続した治療が受けられるよう成人の難病対策との連携を可能な限り図るとともに、福祉サービスの充実についても取り組むこと。」これは附帯決議の中にもこうやって明確に書かれている。当時から既にもう十年たっています。

 このトランジション問題というのは、今回の難病対策、小児慢性疾患の大改正、ここでこの問題を先送りしてしまったら、私は、解決ができないんじゃないかというふうに思っています。

 今回、なぜこの改正の中でトランジション問題を置き去りにするのか、その理由をぜひ、当事者の皆さんが納得できるような形でわかりやすく、大臣から御答弁をいただきたいと思います。

田村国務大臣 小児慢性特定疾病でありますけれども、これに関しては、やはり児童の健全な育成の観点からということが目的であるわけであります。

 難病は、もちろん福祉的な側面もありますが、一方で、やはり治療研究、つまり、治療して、治療のための研究で、治療方法を確立して、難病自体を、今は治療方法がないですけれども治療できるような、そのような形にしていこうという大きな目標があるわけでありまして、そこは基本的に目的が全く一緒ではないというところがあります。

 小児慢性特定疾病に関しましては、児童の健全な育成という観点から、医療費助成とあわせて相談支援というものをやっておるわけでありまして、二十になった後にこれを受けられなくなるという、そのような疾病があるということでありますが、これは、今、指定難病の範囲を見直すということでありまして、対象五十六疾病から、さらに三百ほどに広げていこうということでありますので、その中でカバーできるものも出てくるのであろうと思います。

 カバーできないものに対してはどうするか。全く一緒ではございませんので、あくまでも、指定難病とそれから小児慢性特定疾患とは違う様態、病名、今も既にそれは数が全然違うわけでございますから、そういう形態がありますので、当然、同じ難病に入ってくるものと入ってこないものはありますが、入ってこないものに関しましても、例えば、障害者の認定を受けていただければ、障害者手帳をとっていただければ、当然のごとく自立支援医療等々を受けられるわけでもございますし、そういう意味では、いろいろな対応はあると思います。

 さらには、一般に、その病名等々に関係せずに、かかる医療費において、たくさんかかる医療費に対して一定程度の負担に抑えていこうという意味では、高額療養費というものもあるわけでありますし、また、透析等々に関しましては、そのような観点からの制度があるわけであります。

 あわせて、今言われた部分に関しましては、医療費助成だけではなくて、もちろん相談支援中心でありますけれども、例えば、家族の方々のレスパイトの支援でありますとか、さらに申し上げれば、家族の方々も含めて交流、これはワークショップ等々の交流支援というのもあるわけでありますし、さらには、家族の方々を含めて就労支援というものもある、学習支援というものもある。いろいろな支援を今回この中に入れさせていただく中において、自立に向かったいろいろなお手伝いをさせていただく。これは法律の中に入れさせていただくわけでございますので、そのような形の中で、予算を要求して、実行させていただきたい、こう考えております。

大西(健)委員 小慢と難病がそれぞれ目的は違うんだ、これはもう別に、平成十六年当時もそうだったんです。そのことはもうしっかり議論されている。しかも、そのときの答弁で、尾辻大臣は、よく難病対策まで含めて整理して検討したいと言っているんです。それから、附帯決議の中でも、成人の難病対策との連携を可能な限り図るということが書いてあるわけです。

 ですから、今回、トランジションの当事者の皆さんは、その部分が何らかの解決が図られるんだろうと思っていたら、出てきた法案は相談のことしか書いていない。本当にがっかりされていますよ。ですから、私は、そこをしっかり解決を図らなきゃいけないというふうに思っています。

 そういう中で、きょうは、具体的な小児慢性特定疾患に沿って、さらに話を進めていきたいというふうに思うんですが、先ほどの小池議員の質問の中では、一型糖尿病患者のことに触れられています。私も、この一型糖尿病患者の皆さんの例をとりながら話を進めていきたいと思うんですが、そこで、まず、この一型糖尿病というのはどういう病気なのか、そして、どれぐらい全国で患者数がいるのかについて、説明をお願いしたいと思います。

土屋副大臣 一型糖尿病は、膵臓の機能障害によりインシュリンの分泌量が低下する疾患で、小児に多いとされております。また、一型糖尿病の診断基準や全年齢の患者数等については、一定の見解が得られておらず、今後も、引き続き調査研究を行っていく必要があると考えております。

 なお、小児慢性特定疾患治療研究事業の平成二十二年度の登録人数は約十一万人でありまして、そのうち一型糖尿病は約四千七百人でございます。

大西(健)委員 小児慢性特定疾患の対象事業になっているのは四千七百人ということですけれども、全体でどれぐらいいるのか、成人になってしまっている、二十過ぎている人も含めてどれぐらいになっているのかは、はっきりした数字がないということでありました。

 この一型糖尿病というのは、その名称が生活習慣病である二型糖尿病と混同されやすいということで、誤解も受けているところがあります。でも、これは、まず治療方法がありません。不治の病です。つまり、インシュリンを一日四回、注射等で補充し続けなければ生きていけない、それが唯一の生きる道であるという病気であります。

 先ほど私が紹介した平成十六年の参議院の附帯決議、これを受けて、まず実態をしっかり把握していこうじゃないかということで、過去、厚生労働省において、厚生労働科学研究の中で、平成十七年度と十八年度の二回にわたって調査研究が行われています。その中で何と書いてあるかというと、一型糖尿病では、医療費の自己負担が高額であり、低収入層が多かったというふうに指摘されているんですね。ですから、こういう問題が把握をされている。

 そこで、お聞きしたいと思うんですが、今、一型糖尿病のことを申し上げましたけれども、一型糖尿病に限らず、先ほど来申し上げているトランジション患者の実態調査というのを、厚労省、過去、やってこられているというふうに思います。

 その中で、先ほど少し土屋副大臣からも御答弁がありましたけれども、例えば、医療機関への受診頻度とかあるいは医療費の自己負担とか、どうなっているのか。あるいは、就職の状況、そういう方々が普通に働けているのかどうなのか。あるいは、一般の人たちと比べて、平均的な収入が低くなっているんじゃないか。あるいは、婚姻についても、同年代の健常者の皆さんと比べて婚姻率が低いとか、親との同居等、家族状態がどうなっているか。

 そういう生活実態を調査されていると思うんですけれども、そこから浮かび上がってくる特徴だとか課題について、厚労省から御説明いただきたいと思います。

田村国務大臣 厚生科学研究費でアンケート調査をやった結果でありますが、まず、就労の状況でありますけれども、半数以上の方々が就労をされておられるということであります。仕事についておられない方であって、そのうち四〇%が、働く必要がない学生さんもしくは主婦等である。

 日常生活上の自立状況については、特に障害がない、もしくは、何らかの障害はあるものの日常生活にほぼ自立して独力で外出可能な方、こういう方々が八五%、介助なしに外出不可な方々が八%。

 そして、障害者手帳の所持状況でありますと、これは四六%が所持をされておられるということであります。

 また、成人後も治療を続けている患者が約八〇%おられるということであります。医療を受けておられる方々の頻度でありますが、月数回という方々が八%、毎月が三六%、二、三カ月に一回が三七%、それから年に二、三回が一〇%、年に一回以下七%、無回答二%ということであります。

 婚姻の状況は、一五%ということになっております。

 今のようなところをいろいろ分析しますと、自立して就労しておったり、日常生活を営んでおったりされる方々は比較的多い。一方で、求職活動をしたけれども就職できなかった方々も一定程度おられるということでございますし、成人後も治療を続けておられる患者も一定程度おられるということでございまして、このような観点から、いろいろな施策が必要であるということでございます。

 委員、先ほど、全く何もしていないじゃないかというようなお話がありましたが、指定難病の範囲も見直すわけでありますので、当然のごとく、今まで入っていなかった、小児慢性疾病に入っていて難病に入っていなかった、つまり五十六疾患に入っていなかった、そういうような疾病も新たな範囲の中には入ってくるわけでございますから、先ほど来言われておられる、難病の範囲を見直す中においてこの問題に関して一定程度という話は、当然この中において一定程度は解消されていくということであろうというふうに思います。

大西(健)委員 私もそこは認めますけれども、依然、結局、すき間が、谷間ができるということだというふうに思うんです。

 一型糖尿病についても、そのことを後でお聞きしたいと思いますが、一型糖尿病の場合、インシュリン補充療法による標準的な患者負担というのは月一万五千円から二万円ということですから、そんなにめちゃくちゃ大きいというわけではないんですけれども、子供のころに発症した場合に、生涯払う医療費は、それだけで一千万は軽く超えてくるということであります。

 小児慢性特定疾患の対象である二十歳未満のときには、通院時の医療費の自己負担額が上限五千七百五十円に抑えられていますけれども、これが二十を過ぎると、突然として一万五千円、二万円、つまり三倍、四倍にアップしてくるということなんですね。そういうことになると、例えば、先ほど生活実態の話がありましたけれども、やはり医療費の負担というのは生活の大きな不安要素になっている。

 そういう中で、例えば二十になった瞬間に三倍、四倍に医療費がはね上がった場合に、若い患者さんの中には、医療費が十分に払えないから通院頻度を少し落とそうとか、あるいはインシュリン補充量の不適切な低減みたいなことをもしすることがあれば、これは逆に合併症を引き起こして、透析しなきゃいけなくなったりとか、失明したりとかということにもなりかねない。そうすると、逆に患者のQOLを落とすことになるというふうに思っています。

 そういう中で、ちょっと視点を変えて、それ以外の、ではどういう支援策があるかということですけれども、一型糖尿病患者の特別児童扶養手当、これについてお聞きをしたいと思うんですが、一型糖尿病の児童に対しては特別児童扶養手当の支給が行われていますけれども、この支給認定が、地域間でかなり格差があるんじゃないかということがかつて指摘をされました。

 ただ、それについては、患者団体の要望を受けて、厚労省の方でも地域間格差の実態というのを調査していただいて、その調査結果に基づいて、平成二十二年の十二月から認定要領や診断書への記入内容を全面的に改定をされた。

 このことは患者団体も非常に高く評価をされているんですけれども、ただ、残念ながら、今なお、地方行政の方にその要領の改定とかそういうことをやったことが十分に伝わっていないということで、いまだに、明らかに認定されるべきケースで非該当という判断が下っているということが全国的には散見されるということを患者団体の皆さんが言っているんですけれども、ぜひ、この部分は、地方の行政にも徹底周知をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

佐藤副大臣 大西委員御指摘のとおり、経過としては、一型糖尿病患者の特別児童扶養手当の認定については、これは認定事務が都道府県となっておりまして、地域間格差を解消し、認定の標準化を図る観点から、先ほど御指摘いただきましたように、平成二十二年十一月に認定要領及び診断書様式の見直しを行いまして、認定の対象を明確化したところでございます。

 それに加えて、平成二十三年の十月に、この認定の取り扱いにつきまして疑義通知をさらに発出いたしまして、周知を図ったところでございます。

 あわせまして、平成二十三年の一月と、昨年、平成二十五年三月の全国主管課長会議においても、この認定の取り扱いについて自治体に周知を図ってきているところでありますけれども、今後とも、やはり、地域間格差のないように、適正な認定事務が行われますように、全国主管課長会議等の場を通じて自治体にさらに徹底を図ってまいりたいと考えております。

大西(健)委員 ぜひその部分はお願いしたいと思います。

 もう一つは、資料の四ページ目につけてありますけれども、これは、女の子の写真が写っていますけれども、服を上げて注射を打っているところなんですね。こういう注射をやらなきゃいけないということなんですけれども、例えば、学校に通っている児童は、血糖値測定とかインシュリン注射をやらなきゃいけないんです、学校の中で。そういうときに、服をまくし上げてやらなきゃいけないですから、安全にできる環境を整えることであったりとか、また、そういったことで差別的な取り扱いを受けたり、いじめにつながっていく、そういうおそれもあるというふうに思います。

 そういう意味では、この病気に対して、特に教員の皆さんにはしっかり理解をしていただくということが私は重要ではないかと思っているんですが、この点は、一型糖尿病に限らず、いろいろな希少難病とか小児慢性特定疾患、それに対する正しい知識というのを、教職員の皆さん、それから、場合によっては同級生の児童の皆さんにもしっかり持っていただくことが、これはいじめ防止とかにとっても非常に大切だというふうに思うんですが、その点において、文科省として今どういうことをやっておられるのか。

 また、私は、さまざまな教職員の研修等の機会を通じて、こういうことをぜひ皆さんに知っていただくということが重要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

冨岡大臣政務官 大西委員の質問にお答えしたいと思います。

 委員が御指摘のように、やはりこの小児慢性疾患が、その子の病態が、特別な差別とかあるいはいじめ等につながらない、それは、当然、学校として行うべき措置だと思っております。したがいまして、文部科学省では、平成二十三年度に教職員向けに作成し全公立学校に配付した指導参考資料において、疾病の内容、症状、使用している薬剤等について、主治医からの情報とアドバイスを受けるなどして、適切な管理が行われるようにしております。

 また、児童生徒本人が、自己の疾病や生活管理の必要性を理解できるように指導するとともに、全教職員の共通理解を図ること、さらには、同級生などが疾病や異常について正しく理解し、本人と保護者の理解を得て偏見や差別をしないよう説明していくことなど、周知を図ってきたところであります。

 今後とも、疾病管理が必要なさまざまな疾患がある児童生徒に対する対応の充実が図られるよう、各種会議や研修会等の機会を捉え周知してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

大西(健)委員 今、文科省からお答えいただきましたが、ぜひ、厚労省、文科省よく連携して、お願いをしたいというふうに思います。

 資料の三ページ目を見ていただきたいんですが、東日本の大震災のときに、私も当時、幹事長室に詰めて、さまざまな被災地の皆さんとか団体から寄せられる要望を受けて、それを関係省庁につなぐというような仕事をさせていただきましたけれども、当時も被災地で医薬品の供給が滞っているというようなお話がたくさんありました。

 先ほど来申し上げているように、一型糖尿病患者というのはインシュリンを打たなければ生きていけないわけです。その中で、インシュリンが手に入らないというようなお声もありました。そういう中で、三月十一日、ちょうど震災が起きて、三日後ですけれども、こういうプレスリリースを出していただきました。

 私は、今回の東日本の大震災の教訓から、こういうインシュリンのような、ほかにも難病の皆さんにはこれがないと生死にかかわるというような医薬品があるかと思いますけれども、そういう医薬品の備蓄であったりとか、災害時の供給について、この震災を機に何か厚労省として見直された点があれば教えていただきたいと思います。

田村国務大臣 委員おっしゃられました、この災害時での難病患者の方々の支援に関しましては、厚生労働省で防災業務計画というものをつくっておりまして、この中で、都道府県は、医療機関等々といろいろと協力しながらでありますけれども、必要な薬を確保しなきゃならないということでありまして、それに関しましては、厚生労働省はしっかりと助言や支援を行うということになっております。

 具体的には、震災時のときそうだったんですが、非常に電気が不安定になったというときに、ALS患者の方々がどうしても電源不足で大変なことが起こるということでございましたので、その電源、これは非常用電源を貸し出すということをやったことは皆様方も御記憶に新しいというふうに思います。

 あわせて、災害拠点病院に関しまして、三日分程度の医薬品の備蓄を求めると同時に、この品目の見直し等々、これに関しましてもしっかりと行ったところであります。

 そして、あわせて、どうしてもこういうときには給油が大変になるわけでございますので、医薬品等々の搬送、この搬送車両に対しましては給油を優先的にというようなことも、各省庁と連携しながら、しっかりそういう体制を組めるようにということをいたしておるところであります。

大西(健)委員 ちょっと時間がなくなってきたので、先ほど来話しているこのトランジションの問題、特に一型糖尿病についてトランジションの問題を解決するのは、私は二つの方法があるんじゃないかと考えています。

 一つは、先ほど大臣も言っていただきましたけれども、この小児慢性特定疾患に指定されている一型糖尿病が難病指定を受ければ、これは解決するんですね、すき間が埋まるんです。先ほど言われた希少性、原因不明、そして効果的な治療方法が未確立、生活面での長期にわたる支障ということでいうと、私は、この一型糖尿病というのは、難病に入ってもおかしくないんじゃないかというふうに思っています。ただ、それは、これから決めるということになるというふうに思うんですが。

 もう一つの方法は、これもさっき中根委員が難病と障害者福祉の関係というのを議論されていましたけれども、一型糖尿病を身体障害者福祉法の内部障害として位置づける、こういう考え方があるんじゃないか。

 これは資料の最後につけてありますけれども、公明新聞、二〇一〇年と少し古いんですけれども、「成人後も支援の継続を」という記事があります。この記事では、公明党は、小児慢性特定疾患に対する公的支援を成人後も継続できるよう強く主張してきたと書いてあります。さらに、その続きのところですけれども、身体障害者手帳の交付対象に肝臓機能障害を加えたことで、小児難病の一つである胆道閉鎖症患者の成人後の負担軽減を実現させたと書いてあるんです。

 同じような考え方に立てば、一型糖尿病というのは膵臓機能障害だ、膵臓機能障害として例えば内部障害ということで認定すれば、これはトランジションの問題が解決されるんじゃないかというふうに思います。

 一型糖尿病をぜひ医療費助成の対象にしていただきたいということと、今、後半に言った、膵臓機能障害に認定するという考え方について、大臣からお答えをいただきたいと思います。

田村国務大臣 指定難病になるかどうかは、希少性の問題は研究者においていろいろな御意見があるようでございます。どれぐらいおられるかということも含めて、いろいろな御議論をしていただく中において、第三者委員会でこれは御判断をいただく話になってこようと思います。

 今、内部障害という話がありました。これはまさに、永続する障害であって日常生活に著しく制限を受ける程度、こういうものの中において、要は、障害者の認定基準というものがあるわけであります。でありますから、一概に、今言われました一型糖尿病の疾病名のみ、これは先ほどと逆の話になっちゃうんですけれども、これでこれは障害だというふうにはなかなか認定基準は難しいわけであります。

 ただ、例えば失明を起こしたりでありますとか透析を受けるということになれば、それは、その状態を判断して、そのような形に認定されるということもあるわけでございますが、いずれにいたしましても、そのような形の中において判断をされるものであるというふうに考えております。

大西(健)委員 失明、透析を受ける状態になったら遅いんです。だから、二十になってもちゃんと医療費助成が受けられて、そういうことにならないようにしてくれというのが、きょう私が申し上げてきたトランジション問題だということを重ねて申し上げたいと思います。

 最後に、ちょっと質問はできないんですが、先ほども見ていただいた四ページ目の資料です。

 この女の子、五歳ですけれども、毎日五回、インシュリン注射を打ち続けている、回数は既に九千回を超えている。生涯に彼女が打つ注射は、計算すると十五万回になるということです。先ほど大臣からも、難病については治るようにしていかなきゃいけないと。ここにも患者団体の皆さんは、「「治らない」から「治る」へ」というキャッチフレーズを掲げられております。

 特にこの糖尿病、iPS細胞の山中教授も、糖尿病というのはiPSの応用領域の一つのターゲットだというふうにおっしゃっていますけれども、私も、ぜひこの「「治らない」から「治る」へ」、特に、女の子の写真の横に、「この子の手には「注射」でなく、「希望」を握らせたい」、全くそのとおりだというふうに思います。

 難病の根治治療の研究開発、この患者団体も独自の支援事業というのをやられているんですけれども、国を挙げてぜひやっていただきたいことをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、清水鴻一郎君。

清水(鴻)委員 本日は、時間を賜りまして、大変大事な小児慢性疾患あるいは難病の問題について質問をさせていただきたいんですけれども、その前に、先日から聞いてきたこともありますので、少し進捗状況といいますか、そういうものだけお聞かせいただきたいなと。

 いわゆるJEEDの問題ですけれども、きのうでしたか、新聞に、大臣は、やはり一回出したんだからオリジナルなものでやろうということで、再入札するということでされた、その結果、参加がゼロだったという報道がありましたけれども、それについて、今後のことを含めて、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

田村国務大臣 今般の短期集中特別訓練事業でありますが、もとの公示内容で入札をさせていただきましたが、大変残念なことではありますけれども、応札がなかったわけでございまして、結果、不調ということになりました。これに関して、どこに原因があるのか、ここを分析して早急に新たに入札をさせていただきたいと思っております。

 例えば、以前から、全国一律というところに問題があるのではないか、それだけの組織を持っているところがないのではないかというお話もございましたので、各ブロックに分けるなどいたしまして、より民間の皆様方が応札しやすい、そのような条件。ほかにも何か、今回のことで応札いただけないということが分析した結果あれば、それも含めて。ただし、一方で、訓練の質は担保しなきゃなりませんので、そこはしっかりと対応しなければならないというふうに思います。

 あわせて、今、第三者の調査、我が方の監察本部で外部調査をやっておるわけでありますけれども、これに関しましてはしっかり調査をやると同時に、今般のことが起こったいろいろな中身を分析する中において、入札方法はどうあるべきなのかということも含めて、今回はこのような形で入札を進めてまいりますが、これからの、このような、要は企画競争入札であったにもかかわらず一者応札しかない、この間も発表させていただきましたけれども、五割ぐらいあるわけでありまして、五割以上ですね、こういうもののあり方をどうすべきか、これもやはり検討していかないと、このような不透明な形で一者応札という形が続いていけば、これまた国民の皆様方に対していろいろな不信も招かないとも限らないわけでありますから、そういうことも含めて検討いたしたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、今般の案件は、できるだけ早く応札をいただき、事業が開始できるように努力をしてまいりたい、このように考えております。

清水(鴻)委員 大臣が今おっしゃったとおりだと思います。この新聞記事を見ましても、不調に終わったということとともに、今度は分割発注に改めるなどということですけれども。

 一方、これは、消費税増税もあるし、職業訓練に至急必要だということでやられたけれども、結果的に、はっきり言えば今まだ応札のめどがつかないということです。本当にこれが緊急性があれば、本来何としてもやっていなければいけないものがここまで来ているわけですから、大臣も、今回はこのままいくけれども、根本的な入札方法などについて一度検討したいということを今おっしゃいましたけれども、まさにそういう時期にあるのではないのかなというふうに思っています。

 だから、もちろん決めたんだからということはありますけれども、二百七十八億円の予算でありますので、本当に今やってタイミング的にどうかということも含めて、一回やったからということで、このまま、ちょっと方法を考慮するということですけれども、ちょっとそこには無理があるのかなと。

 それから、これは大臣にまことに失礼な言い方ですけれども、前に、再入札しても極めて応札の可能性はないんじゃないか、ある種、時間のロスじゃないかと僕は申し上げたと思います。

 というのは、全庁の統一基準ですか、これをクリアしているということを最初のときに条件で上げた。後でそれを取ったわけですね、いわば条件を緩めたわけですよ。きつくしたから一者しか来なかったというのならば、午後から条件を厳しくしました、厳しくしたからほかが来なくてJEEDしか来なかったんだというのならば、もとに戻したら来るかもしれないというのはわかりますけれども、もとの方が条件が厳しかったわけですね、全省庁統一資格をクリアしていると。そうすると、緩い条件で一者しか来ないものが、もとの厳しい条件にして、大臣は最初に一応それで出したんだからとおっしゃいましたけれども、それで来るというのは理屈的にはちょっと厳しいものがあるなと。

 だから、私はそのときに既に、やはり、一回出したんだからというよりも、その一回出したものも、局長の許可も得ていない、いわばちゃんとした手続をしていないということが前提でしたよね、そういうことで出したんだから、出したけれども、一回出したんだからということ自体ちょっとおかしいなと思っていたんですよ。

 また条件がより厳しくなったものを、緩くして来なかったものを厳しい方に戻して来るという可能性というのは、大臣は、あると本当に思っておられたんですか。

田村国務大臣 まず、局長の決裁をしていないものを公示した、しかも、それを正当な手続を踏んで戻しているのならまだいいんですが、それも踏まずに戻しているんですね。ここに大きな問題があって、全くもって無法な中でこれが動いちゃっているというのが大きな問題です。

 そして、今、基準を緩めたのに来なかったんだから、それならば、きついままで来るわけがないというお話がありましたが、基準を緩めたことによって高障求機構が入ってきたわけですよね。高障求機構はノウハウを持っています、はっきり申し上げて。ここが入ってくるのなら入ったって勝負にならないと思われれば、当然そんなことをやりに来るところはないわけでありまして、そういう考え方もできるわけなんです。

 ですから、私は、何よりもここに落とすために下げたというような話になれば、みんながそれでもう逃げちゃって、どうせここなんでしょうというような不信感は、やはりこれは何としても拭わないと、事業はいいと皆さんにおっしゃっていただけるだけに、そのいい事業をそのような信頼のない中において進めるわけにはいかないという思いの中で、JEEDはもう入りませんよと。もちろん、もう入札もしないとおっしゃっていただいたわけでありますけれども、その中で手を挙げていただけるところがあるのではないか、そこの公平性というものは担保しなきゃならぬということで、今般の公示内容で入札をさせていただいたわけであります。

清水(鴻)委員 わかりました。大臣のお気持ちもわかりますけれども、本当を言えば、来るのがあるという想定はなかなか厳しくて、これは、一種、時間との勝負でもあると思うんですよ。

 確かに、大臣がおっしゃるように、JEEDが来る条件になったためにJEEDが参加する、だから、ほかのところが、JEEDが来るんじゃ、うちとノウハウが違うから勝負にならないなと思ったからおりたというのも、それは確かに可能性の問題でありますから、ないとは言えないと思いますけれども、一般的に考えれば、緩い条件でほかには来なかった、でも、入札ですから、だめかどうかは結果的に決まるわけですから、入札しなかったものを厳しくして来るということは、ちょっと理論的には厳しいかなと思います。

 まあ、大臣の今おっしゃった気持ちも一部可能性というのはあるのかもしれませんので、あえて申しませんけれども、やはり時間との勝負だし、結果的に時間がロスされてしまって、これから例えば分割等を考えるとしたら、公募して、二回目をやった間は、その間はもしかしたら研究はされているのかもしれませんけれども、残念ながらちょっとロスになったということは、今後のことも含めて、一つの反省材料にしていただきたい。

 これは新聞報道ですから、これが一〇〇%ではないと思いますけれども、消費税が既に始まったということで、省内からも、何のためにやるのかわからなくなってきたという声も出ている。これは新聞報道ですから、本当かどうかわかりません。僕が直接聞いたわけではないんですけれども、まあ、新聞も全くうそをつくこともないのかなと。もちろん、間違いの報道も絶対ないとは言えませんので、新聞報道で、私が直接省内の方から聞いたわけではありませんので、それは申しわけありませんけれども、一般的にはそういう見方もあるということでございます。

 それから、資料二につけましたけれども、これは前に一度つけさせてもらいました。さっき大臣も五割程度とおっしゃいましたけれども、実は、五割を超えてどんどん、パーセントとしては五七、六七、六八と一者入札がふえているわけですね。これで本当に競争入札という機能が、まあ、二割とかだったら確かにそうだなと思いますけれども、五割を超えて、それも六割をもう超えてきたら、競争入札というのが本当に機能しているのかなということになると思います。

 だから、この辺は一度、大臣も先ほどおっしゃっていただきましたし、実は、私が前に質問したときの答弁でも、大臣が、「どこも受けられないというものがもしあるのであれば、それは精査して、どうすべきか検討をしなければならぬ話でございます。」という答弁をこの前もいただいている。今おっしゃったと同じように、やはり物によっては、最初から競争入札がふさわしいのかどうかということだと思います。

 この前、資料三ですけれども、JEEDあるいはそのJEEDの前身でありますけれども、ここが一者でとったものはないのかと聞きますと、やはりあるんですよね。二十二年度に二件、それから二十三年度に一件、同じような職業能力。

 二十二年には、職業能力形成機会に恵まれなかった者に対する実践的な職業能力開発支援事業、これは七億二千万余り。それから、同じ二十二年には、外国人留学生受入事業ということで、開発途上国の方々の訓練ということで一億四千万。それから、二十三年も、外国人留学生受入事業で二億三千九百万、まあ二億四千万程度。こういうふうに、やはりある。これは一者入札で、同じJEEDあるいはJEEDの前身ということであります。

 実は僕が思っているのは、大臣は、幾ら仕事熱心だからといっても公務員として踏み外すのはいけないとか、それは当然そうです。当然そうですけれども、短い、大変難しい。受け手としても、全国にそういうものを、いわば訓練の場所を確保して、かつ講師を確保して、いろいろなものを用意するのに、公示されてから、初めてそこでちゃんとした事業の計画を知って、二週間、三週間の間にそのことが自分たちができるかどうかを判断して、例えば会場の確保とか講師の確保だけでもこれは大変な作業ですよ。それをその間に判断するということは極めて難しい。

 ということは、この過去の例でも、前段階である程度、こういうことをやるから、やはり受けてもらうところがなければ困ると。実際問題、大臣もおっしゃるように、いい計画なんだけれども受け手がないということになれば、予算も宙に浮くし、この事業自体が実行できなくなるわけです。そうすると、厚労省の人にとっては、やはりあらかじめしっかりと、ノウハウがあって受けてくれる可能性のあるところに受けてもらうという担保、ほかも来てもいいけれども、一者は最低入ってもらうような担保をつくりたいなと。あるいは、もしなかったら、何だ、計画は立てたけれども、どこも受け手がないような計画を立ててどうするんだと。

 はっきり言えば、今回処分された人は、僕は、そういうことを言うとあれですけれども、非常に仕事熱心なばかりにえらい目に遭ったんだと思っているんですよ。調べていけば、過去の人だって、そういうことを一生懸命やられた方もいっぱいいらっしゃるんじゃないのかな。

 だから、この一件に限らず、JEEDに限らないのかもしれませんけれども、一者入札で特にJEEDの同じような案件がありますので、今回の調査は今回に限ってやられているんでしょうけれども、再発防止ということでは、過去の例においてもちゃんと調べて、二例、三例集めて、何例かの例を集めて、そして、やはり再発を防止するためにはこういう方法、例えば、こういう受け手の難しいものには短期間での競争入札は不適合だ、あらかじめちゃんと受ける側とコミュニケーションもとって、ちゃんとこの事業がむしろできるようにしっかり構築して、そのかわり、その交渉過程は透明化して、予算に関しても当然ながら透明化されて、合理的なものでなければいけないと思います。

 そうしないと、僕は、厚労省の人は不幸な結果に今後も陥る可能性が十分あると思いますよ。大臣、どうですか。

田村国務大臣 前も申し上げたんですが、一生懸命やってもらうのはうれしいんですけれども、一生懸命やっても、本来の手続を踏まずに、法令違反でありますとか、業務の適切な遂行以外、間違った方法でやった場合には、これはしっかりと処分はせざるを得ないことであります。

 今回の話は、私は幾つかの問題点を認識しています。

 調べるというのはありますが、今回、一者入札がこれだけあったということ自体が一つの答えで、それは、民主党政権時代に、それまでは一般競争入札それから随意契約、随意契約以外のものは一般競争入札にしましょうという話になったわけです。ところが、民主党政権のときに、随意契約の方も企画競争入札に、なるべくこれをやろうというので、我が省でもかなりの部分を企画競争入札にしました。随契であるのに、これはそういう形にしました。金額で入札するんじゃありません。内容で、企画でやるわけであります。

 これは、私は否定するわけじゃないんです。チャレンジだったと思います。ただ、よくよく考えると、本来、独立行政法人というのは、国の行政がやるものの一部を代行してやるような話ですよね。もともと国がやっていたものをやろうということを一つ目的にしながらつくられた法人であり、そこがそもそも企画競争入札に入っていること自体、何かちょっと私は違和感があるんですね。だから、一者応札でも民間ならば、透明性があって、それは仕方がないのかもわかりませんが、一者応札が独立行政法人であるというのは何なんだろうと。

 すると、そういうものを本来、企画競争入札をするのか。もしくは、それでも企画競争入札、チャレンジングをやってみて、もちろん独立行政法人は入れずにですよ、民間がノウハウがないからできないというのであるならば、そういうものに関しては特命で、ちゃんと随意契約で独立行政法人と組むということもあると思います。そこはいろいろな分析をさせていただいて、ただ、かといって企画競争入札を私は全面否定したくないんですよ。民間でやっていただくものは民間でやっていただいていいと思うんです。

 だから、そこをうまく仕分けして、本来、これはどう見たって、独立行政法人というのはそういう役割なんだから、そこしかできないよねというものに関しては、わざわざ形の上で企画競争入札をやって、それで一者応札しかなくて、そこが案の定とって、時間をかけてそんなことをやって国民の皆さんから不信の目で見られるというような、そういうことはちょっと見直す必要があるのではないかな。

 いずれにいたしましても、そういうことも含めて、どういうあり方があるのか、民間に任せるものは民間に任せるということを大前提で検討する必要があろうと私は思いますので、これを機に検討させていただきたいというふうに考えております。

清水(鴻)委員 全くそのとおりですね。独法がたくさんできていますけれども、やはりそこには特別な役割がきっとあると思うんですよ。

 この間も、現役出向の方もJEEDにはいらっしゃる。いわば半分、出先機関とは言いませんけれども、独法というのはある意味ではそういう部分もあるんだということですから、それが何か入札に、大臣もおっしゃるように、対等な形で民間と同じようにやるんだということはやはり、前も大臣もおっしゃいましたけれども、同僚で、だから出張先で顔を合わせたら飯を食うこともありますよ、そういう話でした。だから、そういうことも含めて、独法のあり方も含めて、企画競争入札自体が確かに否定されるものではありませんけれども、物によっては、やはり競争がなかなかこれは一般的にできないねというものは、そのためにある独法でもあるのかもしれませんので、独法のあり方も含めてしっかりと一度検討していただいて。

 それで、その後の経過、例えば、私が前に申し上げましたけれども、もし大臣が厳しく言われるんだったら、やはりその領収書がちゃんとあって、ちゃんと割り勘になっていたかどうかも含めて、再発防止も含めて、しっかりと今度十八日に出していただくということで、またその機会に。

 きょうは難病のことを質問したいので、これで。あと、またその後、しっかりと再発防止のために、これはあくまで、僕は、誰が悪いとかなんとかというよりは、再発防止が一番の仕事だと思っていますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、難病のことについて。

 まず、難病の定義なんですけれども、今回の説明のポンチ絵ですけれども、発病の機構が明らかでない、治療方法が確立していない、希少な疾病であって、長期の療養を必要とするもの、この四条件を全部満たさなきゃいけないということなんですよね。そうですよね。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 今、議員の御質問にもありましたし、朝からいろいろ御質問がありまして、難病の要件ということについても御質問がありましたので、もうそれを繰り返すことはいたしませんけれども、相談支援などの支援ということに関して言いますと、その要件の運用、適用に当たりましては、できるだけ柔軟に対応するということじゃないかと思います。例えば、患者数などによる限定を余り厳しくすることなく、また具体的な疾病名ということにこだわることなく、個別の施策体系が樹立されていない疾病について幅広く対象として対応していくということではないかと思います。

 もちろん、医療費助成の対象については、今、多分、先生がごらんになっていたポンチ絵の中にもあるかと思いますけれども、患者数が本邦において一定の人数とか、客観的な診断基準とか、別な要素も加味してということになっております。

清水(鴻)委員 この難病の定義についても、例えば、さっきもちょっとありましたけれども、障害者総合支援法で難病の定義がされて、難病というものも含まれました。その定義は、「治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって」というふうになっているんですよね。

 そうすると、定義が、この障害者総合支援法の難病の定義と今回の法案の定義とはちょっと違うけれども、これは違うということでいいんですかね。同じ難病。

佐藤政府参考人 先ほどの質疑の中にもございましたけれども、今回の難病の新法に言う難病の定義と、障害者総合支援法で言うところのサービスの対象となるものというのは、重複はあるものの、完全に一致するわけではないということで考えております。

清水(鴻)委員 では、難病と一般的に言っても、ある意味で、どっちの法律によるかによって難病という定義は違いますよという理解でいいわけですね。そういうことですよね。ちょっと時間もないので、そういうことなんでしょう。だけれども、わかりにくいといえば、わかりにくいですね。政府が言う難病の定義が違うということは、障害者の方あるいは患者さんにとって極めてわかりにくいなということは事実なんだろうと思います。

 それから、特に難病、指定難病の問題ですけれども、「発病の機構が明らかでなく、」というのは、はっきり言って、発病の機構が明らかになっても、治療法がなかったらこれは難病じゃないんですか。治療法が確立していないということが一番大事であって、数が少ないかとか、あるいは発病の原因がまだ明らかかどうかというのよりも、まずは、やはり難病のもともとの方に書いてある、治療方法が確立していないということが一番大事な、そこがポイントで、この四つともクリアしないと難病に指定しないというのは極めておかしな話だなと思うんですけれども、大臣、どうですか。

田村国務大臣 治療法がないということですよね。それは大前提でありますよね、難病認定の。(清水(鴻)委員「それはそうですけれども、ほかのこともクリアしないと難病と呼ばないわけでしょう」と呼ぶ)ほかのことというのは、一つは、発病機構が解明されていない、これも難病。

清水(鴻)委員 いや、はっきり言って、原因が、例えば遺伝子の何番目の異常ということがわかっている病気もあるんですよ。でも、治療法がないんですよ。なかったら、やはりそれは難病でしょう、普通は。

佐藤政府参考人 現行の難病の仕組みというのは、昭和四十七年の難病対策要綱にさかのぼるわけですけれども、このときから、やはり原因が不明、ここでは「発病の機構が明らかでなく、」と言っていますが、当時は原因が不明という言い方をしておりまして、原因が不明であるから、したがって治療法も未確立ということでスタートをいたしました。

 鶏が先か卵が先かではないですけれども、やはり原因が明らかである、例えばウイルスが原因とかあるいは重金属が原因とか、そういうことがわかってくれば、それを防ぐ方法もあるだろうし、治療方法もできるだろうということですから、どちらが重要かというのはなかなか難しいところですが、難病対策のスタートの時点では、やはり原因が不明であって、ちょっと言葉が適切かどうかわかりませんけれども、奇病のような変わった病気、今まで教科書にないような病気がわかってきたなというところからスタートしたというところだろうと思います。

清水(鴻)委員 佐藤局長もお医者さんなので、本当はわかっておられると思うんですけれども、もちろん、発病の機構が明らかになれば治療法が確立する可能性は高まりますよ。だけれども、本当に治療法ができたというのと、できていないというので、原因がわかったとしても治療法が確立しなければ、それは本人にとっては本当に難病ですよ。当然そうですよね。だって、原因が明らかであったって治療法がなかったら、これは難病以外の何物でもない。ただ、これは繰り返しになるので。

 それと、一つ、希少な疾病であると。難病に、希少かどうかというのは、治らない病気が多数いらっしゃるのか少ないのかというのが基準になるのは極めて、むしろ、多くいるからこそ助けなきゃいけないという考え方も一方あるわけですよ。当然、その病気の方がたくさんいらっしゃるから、これは救っていかないとだめだという考え方も一方にあるわけです。

 それが、人口の〇・一%程度ですよね。これは大臣もお持ちかもしれませんけれども、この説明のポンチ絵の中に特定疾患治療研究事業の患者さんの数が出ていますけれども、潰瘍性大腸炎なんて〇・一%を超えていますね。大体、人口が一億二千ちょっとということになると、今既に十四万人近くいらっしゃる、ということは、これは〇・一%を超えている。そうすると、厳密に言えば、もう潰瘍性大腸炎も難病には入らないねと。アルツハイマーも近年どんどんどんどん伸びていますよね、当然、高齢化社会ですから。これももう近々難病からは外れちゃう。

 そんな、人数で決めるというのは、難病としては極めて不適切なんじゃないかなと思いますけれども、いかがですか、大臣。

佐藤政府参考人 医療費助成の対象となる難病につきましては、先生がお話しになりましたように、〇・一%程度ということで、ある程度明示をしていますが、程度というところにポイントがございまして、〇・一をちょっとでも超えたらだめなのかとか、あるいは今後高齢者がふえていく中で、ほったらかしていったらどんどんふえていくかもしれないから、そうしたらもう直ちに、卒業という言い方になるかどうかわかりませんけれども、その外に出ていくかということではないと思いますので、厚生科学審議会の先生方の御意見や、もちろん患者さんの意見とか学会の意見なども聞きながら、今後も引き続き検討していくことになろうと思います。

清水(鴻)委員 でも、大臣もきっと政治家としては、これはおかしいなと。難病だけれども、人数が〇・一%程度をちょっと超えてきたら難病でなくなるというのは、おかしな話だなときっと思われていると思います。だけれども、もう聞きません。聞いてもきっと答えは決まっているし、次にいっぱい聞かなきゃいけないことがあるので、これで時間が潰れるので。

 だけれども、大臣、やはり難病で困っているたくさんの人がいる病気というのも、〇・一%とかなんとかと、高齢化社会でこれから疾病構造がどんどん変わると思うんですよ、余り数値みたいなもので難病を規定するのは極めて僕は間違っているし、患者さん自身が非常に不安だと思いますよ。自分たちの病気がポピュラーになれば、つまり、たくさんいらっしゃるようになれば難病の指定から外れるんだ、これは極めておかしな話だと思いますので、この辺はぜひ時間があったらまた聞きますけれども、次のことも聞いておかないといけないことがいっぱいあるので、次に行かせていただきます。

 それから、難病というのは、名前もついていないような難病、先ほども議論がありましたのでもうあえて言いませんけれども、まだ本当に名前もつかないような難病で困っている人が難病なんですよ。だから、指定された三百を弾力的に見直していけるように、新しい病気が追加できるような仕組みにしていっていただくように、それは要望しておきます。これをやっているとまた時間がないので。

 きょうは、あと財政の問題ですけれども、今回、難病等の業務が大都市、政令指定都市を含めた指定都市に移るんですけれども、そういうことで、指定都市の市長さんたちは、業務も、専門家もいないし、それから財政措置もどうなるんだろうと大変御心配なわけで、大臣の方にも恐らく要望書が行っていると思います。

 大都市特例の施行に当たって、これにかかる必要額を実態と乖離のないように積算して、指定都市に新たに生じる経費について、道府県から税源を移譲するように国の責任において適切にしてくださいということなんですけれども、私、きのうも厚労省の方に聞いたら、それは総務省の話でと。総務省に聞いたら、いや、厚労省できちっと決めてもらわないと、まだ何も決まっていませんみたいな、例のいつもの縦割り的な発言なんですけれども、大臣でも担当者の方でも結構ですので、この点についてはいかがですか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 難病法案におきましては、いわゆる大都市の特例というのを規定しておりまして、平成三十年の四月一日から、都道府県から指定都市に事務を移譲して、指定都市についても医療費助成の実施の主体とするということにしております。

 この医療費助成に係る費用につきましては、厚生労働省としても、関係省庁と調整しながら、適切に財政措置が講じられるよう努めていきたいと考えております。

清水(鴻)委員 これからということなんですけれども、大変心配もされているし、それから、一つ、人材ですよね。それに対して相談業務に当たる方、あるいは保健指導をする方、その方も、今まで府県がやっていたことを市がやらなければいけない。

 そんなに難病の専門家がたくさんいるわけでもないですから、こういう体制も含めて、人の養成に関しても、専門的な研修等については国が責任を持ってやっていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

佐藤政府参考人 言うまでもございませんけれども、難病というのは、数も余り多くないし、それから非常に難しい発症機序、あるいは原因も不明だったりということのようですし、治療方法もさまざまということですから、保健活動や相談支援等にかかわる人々の資質の向上、能力の向上、知識も含めて、非常に重要だというふうに考えております。

 したがいまして、今回の法律におきましても、医療に係る人材の養成とか資質の向上というのを国や都道府県の責務として規定するなどしております。

 これまでももちろん、各都道府県におきまして、難病患者の看護とかあるいは生活指導等にかかわる保健師の皆さん方などを中心にしまして、必要な知識と技術の研修、特定疾患医療従事者研修などをやってきたところでございますけれども、今後、これらの研修事業を着実に実施していくとともに、先ほども御質問がありましたけれども、四月から事務の円滑な移譲ということですから、財政面のみならず、こうした指定都市が実際に適切に難病対策を行うことができるよう、研修の面でも考慮をしていきたいと考えます。

清水(鴻)委員 そうなんです。それで、先ほど言いましたけれども、難病に対する支援に対する財政、あるいは研修に対する費用というものがかかわってくるわけです。

 総務省の方、きょう来ていただいていると思うんですけれども、財政に関する支援については、担当を聞きますと、厚労省で企画はするけれども、お金については総務省の範疇だということですが、その点についてお願いします。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案に基づきます特定医療費の支給に係る地方団体の負担につきましては、適切に地方財政措置を講じていかなければならない、こう考えております。

 したがいまして、指定都市に事務移譲がなされた場合には、指定都市が行う医療費助成等に係る経費について、厚労省と調整しながら、適切に地方財政措置を講じていく所存でございます。

清水(鴻)委員 本当に適切に頼みますよ。適切と言われたら、もうそれ以上何か、適切でないようにやれというわけじゃないし、十分お願いしたいんです。

 それから、もう一つ心配なのは、難病の専門家というのはそんなにいないんですよね、当然。今度、特に病気が三百種類とかになれば、本当に日本じゅうに専門家が何人いるかというような病気もあるわけで、いないというような病気もあるぐらいですから。これで認定審査会を一々指定都市で立ち上げるというのは、なかなか大変なんですよ。都道府県単位でも、認定審査会の審査員になってもらう先生というのはなかなかいらっしゃらない。そういう状況の中で、指定都市にもまたつくらなきゃいけない。

 これは、ある意味で、広域な範囲でやっていくべきものを何か無理に小さく分けて、やりづらくしているんじゃないかなという気がするんですけれども、例えば認定審査会なんかの構成についても、厚労省としてはどういうふうに仕組んでいくんですか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 先生お話しのように、五十六疾患あるわけですけれども、これから三百疾患となりますと、小さな県などでは、では、その三百疾患についてそれぞれの専門家が全部確保できるかというと、なかなか難しい点もあります。指定都市といえども、大都市といえども、必ずしもそれぞれに精通した先生方が常におられるというわけではありません。

 したがいまして、今も御指摘をいただきましたように、指定都市における指定難病審査会などの運営もこれからお願いすることになるわけですけれども、そういうときの委員となるような指定医の確保みたいなことにつきましても、例えば道府県との合同開催など、そういうちょっと弾力的な方法によって乗り切ってもらうということではないかというふうに考えております。

 認定審査会の合同開催等に関しては県と市の調整が大変必要になってまいりますので、そういう場面では、厚生労働省も協力をして、求めに応じて対応していきたいと考えております。

清水(鴻)委員 そうですよね。やはり結局、審査会なんかは道府県と合同でやっていくということしかないのかな。だったら、業務だけを指定都市に移して、わざわざ二つ、当然、県にも残るわけですよね。指定都市以外のところというのは県に業務が残る。そういう数少ない専門的な相談業務も含めて、二つに分かれて、指定都市と県とに分かれてやることに意義があるのかどうか。こういうのは、本当はむしろ県単位で今までやっていたそのことを踏襲してやる方が、ずっと審査会等もスムーズにいく。合同開催といえば、一応、両方の、市と府県との調整もかかるということで。

 大臣、もうこれは決めているのかどうか知りませんけれども、こういうのは本当に、特に難病のこういう専門家の少ないようなものをわざわざ指定都市でやるよりは、府県で今までどおりやったらもっとスムーズにいくと思いますけれども、いかがですか、大臣、政治家として。

田村国務大臣 権限移譲することとした趣旨でありますけれども、この難病法案において、難病患者の希少性でありますとか人口規模、事務処理体制を踏まえつつ、住民に身近な行政は可能な限り住民に近い自治体で行うことが重要であろうということでありまして、難病患者の医療ニーズを的確に把握し、総合的なサービス提供が可能、申請から支給認定まで一貫して行うことにより、患者の利便性の向上といったメリットがあるということであります。

 いろいろと委員の御質問について私も言いたいこともございましたけれども、時間がないので、また次回にといいますか、議論させていただきたいと思います。

清水(鴻)委員 大臣、今のはちょっと役所のをそのまま読まれている感じで、政治家的でないな、もっと本当はちゃんと政治家として考えていただければと。

 それで、身近なところと言いますけれども、指定都市というのは大都市ですよ。特別な大きなところは別ですけれども、大抵、県庁所在地で、県庁と市役所というのはほとんど隣り合わせなんですよ。全然、利便性がそれで高まるというようなことも実際ないんですよ。むしろ合同でやったりすることの方が難しいと思うので、そこをちょっと。何でも決めたらということはありますけれども、修正できたら、修正というとおかしいですけれども、もうちょっと考えてもらった方がいいと思いますよ。

 これは大臣も今度また考えてということなので、次回にさせていただきます。もう一個、どうしても聞いておきたいことがあるので。

 あと、研究体制も、この難病でしっかりやっていくんだということも書いているわけですね。難病の医療に関する調査及び研究の推進。国は、難病の発病の機構、診断及び治療方法に関する調査及び研究を推進すると。

 これは、今度、例の日本版のNIHというものができましたよね。研究も難病の予算やこの中でやっていくんですか。それとも、今度できた、あえてちょっと簡易な言葉で呼ばせてもらえば日本版のNIHの方に、いわばそちらで研究の班をつくってもらったりしてやっていくんですか。そのことだけお伺いして、最後の質問にさせていただきたいと思います。

田村国務大臣 健康・医療戦略関連二法案が通りました。この中で、例えば難病の治療法ですね、薬でありますとか機械でありますとか、いろいろなものを臨床研究も含めて進めていく、こういうものは、九つプロジェクトを抱えているんですが、このうちの一つ、難病克服プロジェクト、九十三億円計上を今させていただいておるんですが、この中でやります。

 一方で、厚生労働省の中でも今までどおりやらなきゃいけない部分がありまして、十八億円計上いたしまして、例えば診断基準、こういうものをどう確定していくか、それから診療のガイドライン、こういうものもこちらの方でやっていくということで、ここはすみ分けをしながら、両方が協力もし合いながら、しっかりと難病対策を進めてまいりたい、このように考えております。

清水(鴻)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、難病の方も非常に心配されている、これがいい法案になりますようにということで、また後日やらせていただきたいこともたくさんあります。きょうは時間の関係で小児特定疾患に触れられませんでしたけれども、どうかまたよろしくお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会、伊東信久です。

 冒頭、ちょっとやりにくいですね。私、大阪十一区、地元大阪の枚方市が本年四月一日に全国で四十三番目の中核市に移行いたしまして、そういったわけで、難病患者さんに対する法律案というよりも、この児童福祉法の一部を改正する法律案、非常に地元でも私も興味があるところでございまして、そもそも、本法案、医療に従事してきた私にとりましても、思いの深いものもあります。

 今現在、医療に関して専門は、平均年齢でいうと五十八歳の、いわゆる椎間板とかのヘルニアのレーザー治療なんですけれども、実は、ずっと小児の難病の患者さんに接してきました。

 医療というのは、完全治癒を目指して施術を尽くすわけなんですけれども、それでも不治の病というのはございます。それがまさしく、先ほどからの答弁にございますように、治療法が確立できていないということは、まさに難病の定義としては共通の認識を皆さんお持ちだとは思うんですけれども、小児の病に対しては、治療を施すことはもちろんなんですけれども、本当に、限られた時間を充実したものとするためには何をすべきかということが問われています。

 特に、言葉の定義で、小児の御病気というところで、難病という名前はついていないんですけれども、例えば小児の悪性腫瘍であれば進行も早いものでございます。

 きょう、くしくも、この委員会に橋本岳議員が来られていますけれども、きのう、ちょっと例え話で、三十年後、四十年後の話をされていたわけですね。医療が発達して、お名前を出すとなんですけれども、伊吹議長は四十年たつと百十何歳という話をされていましたけれども、健康長寿というのは、医療の発達に伴って非常に喜ばしいことでございます。

 悪性腫瘍に関しては、五年生存率という話があって、とりあえず五年生存したらその悪性腫瘍は治ったということになりますけれども、五年生存しても、お子様の場合、まだ十歳にも満たない、もしくは十代ということもございまして、本当に、医師としても政治家としても、そういった定義もちょっと冗談じゃないと思うんですね。

 本法案の根本である、病を持った子供たちに寄り添い、支援をするということなんですけれども、このことに関して、田村大臣、どのように思われますか。

石井政府参考人 伊東議員にお答え申し上げます。

 慢性的な疾病を抱える子供たちについては、幼少期から慢性的な疾病に罹患しているために、学校生活での教育や、あるいは社会性の育成におくれが見られがちであります。自立を阻害されてしまうといったことも多いために、やはり療養生活を総合的に支援していくことが極めて重要じゃないか、自立支援を図っていくことが大変重要じゃないかというふうに考えております。

 このため、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業を児童福祉法に、今回法律の中に位置づけまして、地域の資源を活用して、児童や家族の状況に応じたきめ細かな支援が行われるよう、それも、その地域の実情に応じて事業展開ができるような仕組みを設けたいと考えております。

 この自立支援事業においては、必須事業として、小児慢性特定疾病にかかっている児童や家族等に対して必要な情報提供やあるいは助言等を行う相談支援事業を行うこととしておりますし、また、任意事業としては、患者や家族のニーズや地域の関係者の意見を聞きながら、都道府県等において、患者の自立支援に資する事業を検討して実施していくこととしております。

 具体的にこの法律の中に書き込んでおりますけれども、いわゆるレスパイトなど、医療機関等で一時的に患者さんを預かって必要な支援を行う事業とか、患者同士、子供たち同士が交流をしていく機会を提供する事業、そして職場体験など、社会も知り、またいずれ、みずから就職に向けて思いを高めてもらう、体験も積んでもらう、そういう事業とか、あるいは学習支援など、その他患者の自立支援のための必要な事業を想定しているところでございます。

 これらの事業を展開していくことによって、小児慢性特定疾病児童の療養生活、この充実を図っていきたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 さすが石井局長、おっしゃることはパーフェクトなんですけれども、小児の慢性特定疾病に関しまして、最初に申し上げたのは悪性腫瘍に関することなんですけれども、やはり不治の病もございます。たとえ年末年始であろうとも、本当にお気の毒な話なんですけれども、死に至る病でずっと病院にいなければいけない、クリスマスも正月も病院で過ごさなければいけないという患者様もおられます。

 この最初の資料、サンタクロースだらけの資料なんですけれども、このサンタクロース、大阪城公園に集合しているサンタクロースなんですけれども、六千人集まっております。

 これは、私が亡くなられたやしきたかじんさんと始めたOSAKAあかるクラブという団体のイベントです。もともとはイギリスのエジンバラでやっていたんですけれども、クリスマスに病院にいなくてはならない子供さんにひとときでも安らいでいただこうということで、子供たちにサンタさんからプレゼントを差し上げようということですね。そのためのチャリティーとして、みんなでサンタクロースの格好をして、大阪城内、三キロほどなんですけれども、走りましょうと呼びかけたところ、六千人集まっていただきました。

 それで本当に実際の患者さんが心が安らぐかどうかというのは、わかりません。お子様の患者さんのお顔を見ていると、子供たちなので本当にうれしそうな顔をしてくれるんですけれども、わかりません。しかしながら、このイベントのもう一つの意義は、こういった小児の慢性特定疾患もしくは難病という、疾病に対して社会的に認知していただけるということなんですね。

 ですので、今法案というのは、それぞれの団体がそれぞれの思いがあると思うんですけれども、そういったところで、先ほどの石井局長の社会支援というお話であれば、厚生労働省としては、それをやはり認知していただけるような、そういった活動も支援の一つではないのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

石井政府参考人 この問題を議論してきました専門委員会におきましても、患者団体の代表から、そういうお話はるるお聞かせいただいたところでございます。

 病気についての理解をやはり社会の中でもっと広めてほしいという声もありまして、ホームページなどでもう少し発信を工夫していこうということは検討会の報告の中でも取りまとめたところでございまして、これはホームページに限らないわけでございますが、例えば、手帳の支給の中でももう少し工夫するものがあるとか、あるいは口コミもあると思いますし、さまざまな手法を使って、子供たちが、自分たちの病気も知ってもらって、社会に認知してもらって、自信を持って大きくなっていくことができるような環境づくりに向けて、いろいろまた今後とも考えていきたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 午前中からの質疑、答弁にもございましたように、先ほどの我が党の清水議員の質疑にもございましたけれども、難病に係る医療費の助成制度の確立というのは、安定的というよりも、かつ公平さが求められます。現在の特定疾患治療というのは五十六疾患ございまして、その中のばらつきということが指摘されております。

 難病の定義に関しては、医療的な定義なのか、法律の定義なのか、不治の病を指すのか、原因の病を指すのか、もしくは数少ない疾患を指すのか、それは法律、つまり、人間がガイドラインをつくって決めることというのはよくわかります。それはよくわかります、法律の話であれば。

 ただ、私の思いというのは、四十一番、亜急性硬化性全脳炎なんです。私、去年ちょっとお話しさせていただいたかもしれないですけれども、こちらの医学博士でありまして、大の専門家でございます。そのときの博士論文がこれでございます。

 この論文、患者さんの脳から、実際に原因となるウイルスを取り出しました。先ほど佐藤局長のお話で、原因がウイルスとかということがわかれば治療法もという話をされていましたけれども、佐藤局長にそういった悪意はないと思うんですけれども、原因がわかっても、やはり治療法がまだ確立できないものもあるんですね。

 この病気というのは、はしかにかかった患者さんが、スローウイルス感染症といいまして、十歳ぐらいまでに発症して、BSE、狂牛病みたいな御病気になられます。その治療法というのが確立されていないので、亜急性硬化性全脳炎という炎症なので、脳に直接ステロイドの注射をしようということで、脳にステロイドの注射を振りかけます。だけれども、一回一回頭をあけるわけにいかないので、穴をあけて、この一部分にリザーバーという針の刺し込み口をつくります。そこにぷすっと注射を刺して、頭にステロイドなり抗炎症剤を入れまして炎症を抑えるということです。けれども、最終的には必ず亡くなります。

 そういった治療法のときに、一部からウイルスを取り出して、このウイルスの原因は何たるかということを確かめるために動物実験をしました。動物の脳に、私はハムスターを使ったんですけれども、ハムスターの脳に注入して、そのハムスターの脳を取り出して、狂牛病、つまり海綿状になっている脳を示しているこの図、どこかから切り張りしたものじゃなくて、私がつくった図です。この図、確かにスポンジ状に穴があいているのがわかっていただけると思うんですね。

 横のBは、ウイルスというのは目に見えないので、集積していくと最初は泡状になるんですよ。泡になったのがBの図で、確かにウイルスがあるよと。余談ですけれども、私、矢印を打っていますけれども、この矢印を打つという加工だけ、ネイチャーでも認められています。この加工は認められています。この画像も私が撮ったんですけれども。

 ところが、この病、百万人おられて、はしかにかかった、かからないにかかわらず、発症率が百万人中十人もいないんですね。認定されて、受給者証の所持者数というのが九十一名ということなんですね。先ほど清水議員が質疑されたように、潰瘍性大腸炎だったら十三万三千五百四十三人、パーキンソンの関連疾患でも十一万六千、やはりかなりばらつきがあるんですね。

 こんな中で、対象疾患、五十六が三百疾患になります。恐らく午前中からの質疑で何度もやりとりされていますけれども、改めて私もこの専門家としてお聞きしたいんですけれども、新たに対象となる疾患名というのはもうお決まりでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 これまで幾つか御質問もありましたし、お答えもしましたし、難病の定義、それから指定難病になる場合の定義ということはお示しをしているわけでございますけれども、それはそれとして、では、仮にですけれども、三百ぐらいまで広がるとした場合に、それがどういう病名かという御質問だと思います。

 個々の疾病の選定というのは、今後、厚生労働省内に第三者的な委員会を開催して、専門家の御意見を聞いて議論を行うということにしておりまして、現時点ではまだ疾患名を提示できないということで御理解を賜りたいと思います。

伊東(信)委員 この病気が入るのか入らないのかで、いろいろな思いがあるから、病名において、そういった患者さんの中に公平さがなければいけないというところで、三百疾患が特定できないのはわかります。質疑とか議論はしませんけれども、では本当の専門家というのはいるのか。

 私がこの疾患を昔やっていて、今、高齢者の方の疾患に移行しているのは、残念ながら、私としてはやはり医師としての敗北を感じております。その中で、しかしながらチャレンジされている方が、例えばiPSの山中先生であったり、今回のSTAP細胞の小保方ユニットリーダー。こういった難病に対してのチャレンジという精神があるからこそだと思っております。

 難病であるからこそ、治療法や創薬はかなりの研究時間を要します。真の難病対策、例えばパーキンソンとか悪性腫瘍、潰瘍性大腸炎、その他の疾患を別建てにして、本当に最も弱い立場にあるこういった希少疾患に対して予算を措置すべきという考えもありますけれども、改めて、見解はいかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 議員はもう、御研究の成果もお示しをいただきましたように、この分野については十分、現場の感覚で御存じのことと思います。

 これも言うまでもないんですけれども、希少な疾病ということでございまして、希少な疾病というのは、普通の状態、個々の研究機関の個別の研究に委ねておりますと、なかなか患者さんに集まってもらおうと思っても難しい。Aという患者さんとBという患者さんを比較しようと思っても、比較の患者さんがいない。よく言うんですけれども、医師生活三十周年で初めて見たよ、この患者さんはということもありますし。そういうことで、お医者さんの側にとってみても、なかなか特定の希少な疾患に出会うことがない。

 これを研究班のような形で束ねていきますと、医療費助成もしながら患者データベースのような形にしますと、今風に言うと、多施設共同研究、メタアナリシスのような形で研究が進んでいく。

 また、医薬品や医療機器を開発する企業の立場に立ちましても、莫大な投資をして、しかし、結果としては患者さんの数が少ない、こういうことになりますと、なかなか新しい薬の開発や機器の開発にも目が向かないだろうということでございますので、まず、難病法案の中では、希少な疾病である難病に対して調査研究や患者支援を行うことでデータベースをしっかりし、研究者、研究機関の皆様方にしっかりと研究していただく素地をつくる。

 また、きょうは健康局の担当ではない話もしますと、例えばオーファンドラッグのような仕組みで、企業にも開発意欲をかき立てるといいますか醸成するということが必要になってくるのではないかと思いますし、また、これまで御議論がありましたように、新しい医療研究開発機構のようなものもできるので、そういうところでもっとブレークスルーにつながるような研究を進めていただく。

 それからまた、別な場面では、薬そのものといいましても、未承認薬とか適応外薬の中で治療法等々を組み合わせる、何か投与の方法を変えるというようなことで劇的な効き目を出すというものもあるようですから、未承認薬、適応外薬の枠組み、こういったもの、厚生労働省全体として、こういう希少な疾患に対するサポートというものをしていくんだろうと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。佐藤局長のおっしゃること、本当にごもっともだと思います。

 加えて、佐藤局長の先ほどの言葉にこだわるわけじゃないんですけれども、このSSPEのような、ウイルスが原因となる疾患であれば、やはりそのワクチンの有効性というのは絶大なものなんですね。百万人に数人の疾患でございます。だけれども、かかれば必ず亡くなってしまうんですね。それで治療法がない。

 であるならば、このSSPE、亜急性硬化性全脳炎を例にとれば、はしかウイルスからの変異なので、はしかウイルスのワクチンの有効性が考えられるわけなんですけれども、ワクチン行政の話をする前に、であるならば、やはりこの難病の認知と、加えてそのワクチンの大切さを訴えていく、そういった広報もホームページとかでされていると思いますけれども、法案をつくるのであれば、そういったところにリンクして、もっと国民的な認知度を広げていくことも大事だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 かなり高度な御質問をいただいたように思います。

 SSPEに限らないわけですけれども、難病というものは、もともと希少性ということもありまして、患者さんでない方、患者さんの家族でない方についてはなかなか御理解をいただけない部分もありましょうし、お医者さんであっても、余り見たことがないよとか、私は神経内科の専門医だけれども、そういうスローウイルス感染症のようなものは見たことがないよという方もいらっしゃるでしょうし、あるいは、整形外科的な疾患の難病は見たことがないよという方もいらっしゃるでしょうから、これまでも、広報活動、啓発活動は、パンフレット、リーフレット、あるいはウエブサイトというような形でやってきたところです。

 また、今はSSPEに絡めてお話をされましたので、麻疹のワクチンの接種というようなこともお話しになりました。ワクチン行政はワクチン行政として、やはり、これまで必ずしも欧米と比べて十分でない部分がありましたので、ここについては、ワクチンで守れる病気はきちっと守っていくんだということを、またワクチン行政という観点からは推進をしてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。前向きな発言として受けとめます。

 とはいうものの、私は、かつては、この小児の疾患において、克服というか治療法を確立することができなかった学者の一人でありますけれども、やはりオール・ジャパンで治療法を研究していかなければいけないと。

 そんな中、パーキンソン病に関しては、終脳という、大脳があるんですけれども、大脳の一番底の部分に大脳基底核というのがあって、そこに黒質という部分があって、そこの部分の神経細胞を復活させるという、iPSを使った技術を山中先生が発表いたしまして、それが数週間前に新聞報道に載りまして、厚労委員会、内閣委員会、科学技術特別委員会の質疑の中でもその話題がかなり出ていたんですけれども、ただ、試薬となれば試薬でもいいんですけれども、どうやってそこの脳にまで届けるんだという、デリバリーシステムのところが問題になっていくんですね。

 山中先生の発表は、シーズでございます。いわゆる種でございますね。本来というか、以前、厚労委員会で御質問させていただいたときには、やはりマーケットが必要だという話をしたんです。ニーズが必要だということを申し上げたんですけれども、今回は希少疾患もございます。パーキンソンはそれでも多いですけれどもね。

 今回に関して言いますと、シーズからニーズというよりも、治療の立場でいくと、もう一つの資料ですけれども、文部科学省、厚生労働省、この死の谷のところを、シーズからやってくるわけじゃなくて、研究が確立されたとわかったのであれば、この橋渡しを、厚生労働省側から手を差し伸べるような形で橋渡しをしていただきたいわけですね。

 つまりは、厚生労働省かつ厚生労働大臣の田村大臣に、こういった難病の研究成果が出たのであれば、この研究課題に各省が省庁間にわたり協力し、予算の効率化を図るリーダーシップをとっていただきたいんですけれども、そのあたり、今回の法案に関連して、大臣の御決意などがあれば。

田村国務大臣 希少疾患ということで、なかなかシーズからニーズにつながっていかない。もちろん、今言われたみたいに数の多いものに関しては別なんでしょうけれども、基本的にはやはり希少性ということが言われるわけでありますから、そこは難しいわけでありまして、さまざまな支援策、オーファン、ウルトラオーファンに対してもいろいろな助成をしておるわけであります。

 そういうようなものをしながら、企業にももちろんそういうものの開発に向かって御努力をいただくわけでありますけれども、今般の、健康・医療戦略推進本部のもとに新たな機構をつくって対応していくという中において、これは以前から言っておりますが、九つのプロジェクトをつくっております。この中に難病克服プロジェクトというのがございまして、ここの中にしっかりと予算を確保しながら、これは厚生労働省だけじゃありません、文科省の予算も入れながら、九十三億円というような形で対応させていただくということでございます。

 まさに、これをつくったのは縦割りを排していくということでございますから、しっかりと連携をとりながら、難病に対しての克服に向かってのいろいろな治療法また薬、こういうものの開発にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 先ほど佐藤局長も手を挙げられていましたけれども、何か追加する点がございましたら。ないですか。

 繰り返して申し上げますけれども、難病の原因がいまだ解明されず、解明に向けモデルケースをつくるというのが、一つはやはりiPS細胞でございます。

 例えば筋萎縮性硬化症、八番目の疾患ですけれども、ALS、こういった患者さんから皮膚の細胞なり血液の細胞をとって、初期化と言っていまして、生まれたときの細胞に戻して、それをずっと見ていくうちに、この病気になったときにどこの遺伝子が変わったかというところで原因が解明されるであろうというところが、いわゆる創薬のプロジェクトでございます。

 これが治療法に向けての真の難病対策であると考えるんですけれども、本当に、原因の究明から治療法までの確立、そして、闘病されている患者さんの自立に向けて社会生活に対しての支援。政府としては、それを研究としてバックアップ、そして治療法を確立させるためのシステムづくり。もちろん、どういった患者さんを対象にするのかというのも、本当に苦渋の選択がございます。

 こういったことで、難病対策というのはすごく広い範囲にわたるわけなんですけれども、政府として、真の難病対策というのはどういうものが理想であるか。今申し上げたところ、政府の見解としてはどういうものを理想と考えているか、率直な見解をお伺いいたします。

田村国務大臣 難病政策は、医療費助成ということがよく言われるわけであります。もちろん、福祉サービスも現在は総合支援法の中において対象とされてくるわけでありますが。

 先ほどもございました、なぜ指定難病の要件の中に、〇・一というような数字も含めて希少性というもの、希少性は難病の中の一つの法律上の定義ではあるわけでありますけれども、その中でも基準をどう認めていくかという形の中においてそういう数字が出てくるのかというところなんですが、要は、やはり希少性ですから、患者の皆さんが少ないので症例が集まってこないわけであります。

 そういう意味では、一方で福祉的な役割として、医療費が当然かかるわけでありますから、医療費の助成という形で今回範囲を広げるんですが、そこは一定程度、そのような希少性の中で、そういう方々が治療をされる中において症例が集まってくる、つまりデータベースもつくっていこうということでございますので、その中において、やはり症例が集まってくればそれだけ研究が進むという側面があるわけであります。

 全ての方に本当は医療費助成を、そういうところも気持ちとしてはあるんですが、ただ、やはり制約がある中において、そういう希少性の中においてある程度症例が集まってきて、それを治療に、また研究に回していくという意味からすれば、そのような側面もあって、実は指定難病というものの基準といいますか、そういうものも一定程度勘案されてくるわけであります。ここは、つらいながらも、しかし、難病対策は究極は治療法を見つけるということでございますから、そのような意味で、限られた予算の中で、我々としては一定の基準をつくらざるを得ないというところがあります。

 何よりも、治療方法が確立されれば、今苦しんでおられる方々も健康な体に戻っていただける可能性があるわけでございますので、そこにしっかりと力を入れながら、一方で、それぞれ困っておられる方々に対しては、医療的なサービス等々も含めて、支援策も含めて、また、当然のごとく相談業務もありますし、小慢のお子さんの皆様方には自立に向かってのいろいろな支援も総合的に勘案しながら対応していくということでございます。

 全体として一つのパッケージではありますが、何よりも治療という部分、ここにこれからも我々は力を入れていかなきゃいけない、研究の方もしっかりと進めてまいりたい、このように考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。さすがに同じ昭和三十九年の田村大臣ということなんですけれども。私と同い年という意味ですが。

 私の時間が三十四分までなので、最後に、ややもすれば政治家らしくない、もしくは医師らしくないまとめ方なんですけれども、日本維新の会というのは、自立する個人、自立する地域、自立する国家を目指しまして、本当に救いの必要な方に手厚くということがスピリットとしてあります。今回の法案の中に、文言の中に、広く薄くという言葉がありました。大臣はおっしゃられました、限られた予算であると。財源が決まっているのにもっともっとという言い方もプラクティカルでないし現実離れしたことなんですけれども、今回の難病に関しては、広く薄くじゃなくて、できるだけ手厚くしていただければということをまとめとして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 午前中最後の質疑となりました。本日は、難病それから児童福祉法ということで、早速質疑をさせていただきます。

 まず、そもそも論ですけれども、先ほど最後の議論でもありましたが、本法律及びこの事業が、研究を目的としているのか、あるいは福祉を目的としているのか、こういったところから質疑をしてまいります。

 この特定疾患治療研究の主な目的は、難病を克服するための研究体制の整備ということであります。しかし、今回、新たな難病対策における医療費助成については、効果的な治療方法が確立されるまでの間、長期の療養による医療費の経済的な負担が大きい患者を支援するという、福祉的な目的もあわせ持つとされております。

 大臣にお伺いいたしますが、今回の法改正は、難病患者に対する福祉といった目的もあわせ持つものであるのかどうか、まずお伺いをいたします。

田村国務大臣 治療方法の確立という大きな目的があります。そのためには調査研究をしなきゃならないということで、一定の症例を集めていかなきゃならない。そういう意味では、データベースもつくっていかなきゃならないという目的があります。

 一方で、今委員が言われたように、長期的に非常に療養期間があって、医療費等々がかかられる、こういう方々に対して、やはり福祉的な目的の側面もあるわけでありまして、そのようなものを目的としてあわせ持った難病対策、これは今までもそうであったわけでありますけれども、今般は、大きく、消費税という財源の中から、難病対策ということで疾病対象数をふやす中において、研究も含め、そして福祉的な意味合いも含めて対応をさせていただくということで、今般提出をさせていただいたということでございます。

井坂委員 もともと研究が主であったが、今回、福祉的な要素をより強めての改正であるというお答えであります。

 そこで、まず、難病の定義からなんですが、先ほど来何人かの議員から疑問が呈されておりますが、四つの要件を満たすと難病であると。発病の機構が明らかでない、かつ治療法も確立していない、しかも希少な疾病であり、長期の療養が必要、この四要件を満たすと難病。

 さらに、その難病の中で、追加で二つの要件を満たすと医療費助成の対象となるということで、患者数が人口のおよそ〇・一%以下であること、さらには客観的な診断基準が確立をしている、この合わせて六つの要件を満たすと、医療費助成の対象となる指定難病ということであります。

 そこでお伺いいたしますが、実際に、患者数が人口の〇・一%、厳密にはそうはしないとおっしゃっておりますが、人口の〇・一%を大きく超えた疾患というのは、これは指定難病ではなくなるのかどうか、お伺いをいたします。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど来、難病の定義それから指定難病の定義ということについて御議論をいただいておりましたので、余り繰り返すことはいたしませんけれども、公平で安定的な医療費助成制度ということですから、指定難病も、客観的で、しかも公平に選定されるということは重要であろうと思います。

 また、その選定に当たりましては、先ほどからお話をしておりますけれども、枠組みについては厚生科学審議会において議論をしますし、また、どんな疾病を選ぶかということについても、第三者委員会的なもので選んでいただくということになろうと思います。

 御質問の、患者数が人口の〇・一%を超えた場合、これが結果的に大幅に多くなった、しかも個別の対策が体系的に行われるようになっているということでありますと、指定難病の要件を満たさなくなるとも考えられます。そういう場合についても、当該疾病の患者数とか、今も申し上げましたように、個別の政策体系が十分できているかどうか等々を総合的に勘案して検討していくことになるだろうと思います。

井坂委員 続きまして、同じように、発病の機構が明らかになった疾患、これも、先ほど議員の方からこんなルールでいいのかという質疑があったわけでありますが、実際問題として、発病の機構が明らかになったというだけで指定難病ではなくなるのかどうか、お伺いをいたします。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 医療費助成の対象となる疾病の選定の仕方、それからその後の検討については、今もお答えしましたとおりですので省略をさせていただきますが、では、発病の機構が明らかになった場合はどういうことかということでございました。

 先ほどまで私がお答えをしたことにちょっと補足をするような形で答えさせていただきたいと思うんです。

 もともと、昭和四十七年の難病対策要綱以来、原因不明という言い方をしていたんですけれども、考えてみますと、原因不明というのも、医学の進歩とともにちょっと内容が変わってまいりました。例えば、遺伝子に原因があるというのはわかりました。だけれども、遺伝子に原因があるというのは、生まれつきなのか、それとも、何かウイルス感染があったり、ストレスがかかって遺伝子に変異が起こるのかということもあります。

 先ほど伊東議員から御質問がありましたように、SSPE、スロー・バイラス・インフェクションという特殊な感染の一つですというのはわかりました。では、どういうときに感染するのかとか、あるいは、どの程度の量だったら感染するのかというのは、そういう意味では、原因がわかっているようでわかっていないということ。そこで、発病の機構が明らかでない、こうやっております。

 ですから、発病の機構が明らかでないと申しましても、やはり医学の進歩とともに、原因はわかったけれども、本当のメカニズムはわからない。何でAからBに進行し、BからCに進行し、そして最終的にDという病気になるのかというのがわからない部分もありますので。

 極端な例を言いますと、疾病の原因とか、そこから発症していく、今AからDという例をとりましたけれども、そういったものがもう完全に解明をされて、どことかの段階で予防して、そういうものに暴露しないようにすればもう全然発病しないよとか、一旦病気になっていても、そういう原因を取り除けば、もはや疾病が進行しないか、むしろ治ることだってあるんだよ、こういうことになってきますと、理論的には、指定難病でなくなるという可能性もあるんだろうと思います。

井坂委員 今の御答弁、特に後段の部分をお聞きしておりますと、極端な例を言えば、一から十まで発病の機構がわかって、しかも、わかったことによって予防もできれば治療もできる、こうなれば外れるということであります。

 大臣、今のやりとりでお伺いしたいんですが、私、難病の四要件のうち、発病の機構が明らかでないというのは、今おっしゃったように、もう事実上、ほとんど意味をなさない要件になっているというふうに思います。外されるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 今局長が言いましたとおり、発病の機構が明らかでないというその考え方自体が、いろいろと医学の進歩の中で変化はしてくるんだろうと思いますが、ただ、発病の機構が明らかでないということは、それは一つ、難病の大きなポイントであることは間違いないわけでありまして、どの部分がという部分に関しては、それぞれの医学の進歩の中では変わってくる要素はあると思いますけれども、概念としては、やはり難病の定義として入れておくということは私は適当であろうというふうに思います。

井坂委員 難病の定義ということであれば、確かに、おっしゃったように、理念として入れておくというのはあり得るんですが、ただ、一方で、指定難病という、まさに医療費助成を受けられるか受けられないか、こういう政策の対象を判定する一つの重要な要素になってしまっているわけですね。そこに対して、具体的にお聞きすると、事実上、それが理由で指定難病を外れたりすることはほぼあり得ないという御答弁をされたと私は思いますので、その点についてなんですけれども。

田村国務大臣 ですから、疾病において、あるんだと思います。もう事実上、それが外されるようなものもあれば、今までどおり、発症の機構が明らかでないということで外れぬものもあるのであろうということでございますので、それは、それぞれ、第三者委員会が判断される中において、どのような要件でそれを判断するかということであろうと思います。

 もちろん、今局長が言ったみたいに、もう事実上、医学の進歩とともに、そこは要件にならないというようなものもあれば、相変わらず要件になるというものもあろうというふうに思いますので、運用の中でそこはしっかりと御判断いただけるものだというふうに思います。

井坂委員 難病の四要件、さらには指定難病の追加二要件ということで、大臣、一番最初のお答えでは、今回、より福祉的な要素を強めたということでおっしゃっていましたが、しかし、患者数がふえたら医療費助成の対象から外れかねない、あるいは、治療法が全く確定していないにもかかわらず、おっしゃったように、発病の機構さえ明らかになればこれまた医療費助成の対象から外れかねない、こういう仕組みをお聞きしますと、残念ながら、これは福祉的な制度なのかなと。ここだけ考えると、極めてドライな、やはり研究目的の制度設計に感じられるわけであります。

 そもそも、病名がわからない疾病も含め、あるいは診断基準がない疾病も含め、もちろん、患者数が時代を追ってふえてきた、こういった疾病も含め、これは今の医療費助成のルールでいうと要件を満たさないことから、対象にならずに、いわゆる制度の谷間というのは相変わらず今残っているというふうに感じるわけであります。

 この医療費助成の対象者と同様の生活上の困難を抱えながら支援を受けられない患者を救済する、これがまさに福祉的な観点で私は必要だというふうに考えておりまして、この対象を、病名だけではなく、病状や生活実態などから総合的に判断をする必要が今後追加であるのではないかと考えますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

田村国務大臣 病名の診断がつかなかったり、大変御苦労をいただいている方々がおられるということもよく理解いたしております。一方で、医療費がかかるという意味では、難病ではないけれども、他の疾病で医療費がかかる方々もおられるわけであります。それも長期にわたってですね。

 そう考えると、そういう方々は、高額療養費という制度が医療保険制度の中にあって、そして、一定程度以上は自己負担がかからないというように日本の国はなっておるわけでありまして、基本的には、そちらの方で、それぞれ医療費に関して負担の軽減、これが図られるのであろう。

 今般の難病における医療費助成、指定難病制度、これ自体は、言うなれば、希少疾病、患者数が少なくて医療研究をする場合に症例が集まりづらいというような方々を一つ念頭に置いている部分もあるんですね。ですから、〇・一程度というのは、そういう限定をさせていただいておる、要件に入っておるというのは、そういう部分もあるわけでありまして、なかなか症例の少ない方々に、治療の中において症例が集まって、データベース化して、研究開発につなげて、新しい治療法を確立していく、そのような意味合いがある中においてという部分もございます。

 今委員がおっしゃられた意味もよくわかるんですが、それだと、難病以外にもいろいろな方々がおられるという公平性を考えた場合に、どうしても一定の制約をつけざるを得ないという部分もあるわけでございまして、そこはなかなかつらい部分もあるんですが、御理解をいただければありがたいというふうに思います。

井坂委員 通告からやや外れるんですが、参考人にお伺いをしたいと思います。

 先ほど、発病の機構が明らかになった疾患は指定難病でなくなるのかということをお尋ねいたしましたが、事前に、スモンの例などを少し伺っております。これはキノホルムという整腸剤が原因とわかった、いわば発病の機構、原因がわかった例だと思いますが、スモンはその後どういう扱いになりましたでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 先ほどから昭和四十七年の難病の話をしているんですが、もともとこの難病対策のスタートはスモンから始まって、スモンの患者さんの症例を集めて、やはりたくさんの症例を集めて検討していくと、何かそこに因果関係、とりわけ原因らしきものが見つかるんじゃないかということで検討した結果、今御質問の中にありましたけれども、整腸剤でありますキノホルムが原因ということがわかってまいりました。

 とはいえ、スモンがそういうことで歴史的には難病対策のスタートだったということもありまして、予算措置の世界ではこういう形でやってまいりましたけれども、新しく難病の法律をつくりまして、今るる御審議をいただきましたような四要件、さらには指定難病としての二要件というようなものをつくっていきますと、はっきりと原因がわかっておりまして、もうこれ以上は患者さんも発生しないだろうということがわかってまいりました。

 ただ、これまでの経緯がありますので、患者さんたちが、もうこれであすから一般の保険者、国民の皆さんと同じように医療費の自己負担をしていただくというわけにはいきませんので、予算措置等の形で、スモンの方はスモンの方で、別途の政策の中で対応していきたいと考えております。

井坂委員 まさに、難病の枠からは明確に外れた病気であるにもかかわらず、きちんとこうやって福祉的な対応を続けてくださっているということであります。

 誤解があってはいけませんけれども、厳格に適用して外すべきだという趣旨では全くありません。難病のいわゆる四要件、六要件から外れたにもかかわらず、過去の経緯とおっしゃいましたけれども、こうやって福祉的な対応をしておられるということであります。私は、こういうのが本来の正しいあり方ではないかなというふうに思って、先ほどの質問を申し上げたわけであります。

 ちょっと参考人に重ねてお伺いいたしますが、四要件、六要件の理由で指定難病から外れても、そのように予算事業でいわゆる補助、助成が続くか否かの判断基準はどうなっておりますでしょうか。

佐藤政府参考人 発病の機構の話もそうですし、患者さんの総数の話もありましたけれども、この四要件、二要件、それから、先ほども申しましたけれども、病態や解明の程度がどうなのか、個別施策でもう施策が体系化されて、きちっと対応できているのかどうかとか、総合的に勘案をしながら、将来的なそういう今おっしゃったような課題については検討していきたいと考えております。

井坂委員 ぜひ、難病の枠ということに余りとらわれ過ぎずに、今回せっかく福祉的な意味合いを強めていただいたわけでありますから、さらなる福祉の色合いを濃くしていくということについても、今おっしゃったような、総合的な判断という方向で検討を深めていただきたいというふうに思うものであります。

 続きまして、先ほど大臣が御答弁でおっしゃった、本来の目的、治療法の確立であります。この事業本来の目的に対して、これまでどのような成果が出ているか、これも参考人にお伺いをいたします。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 特定疾患といいますか、難病の定義、それから指定難病の定義を見ていただいてもおわかりのように、もともと原因不明といいますか、発病の機構、発症の機構が未解明というものが多いわけですから、簡単には治療法や予防法が見つかるわけではないんですけれども、これまで、特定疾患調査研究事業という形で、過去においては調査研究事業という名目で研究を進めてまいりまして、幾つか成果が出ております。

 例えば、例を挙げますと、自己免疫疾患として有名なSLE、全身性エリテマトーデスと言っていますけれども、この治療については、病態解明も相当に進みましたし、ステロイドというありふれた治療薬ではあるんですけれども、その投与方法等を工夫して、症例について検討がされることによりまして、予後が随分改善した。それから、他の免疫抑制剤として使われているものをSLEにも使ってみたら割に効いた、よく効いたというようなことがありまして、飛躍的に治療成績が向上したということでございます。

 もうちょっと具体的に、では治療成績の向上がどうだったかといいますと、一九五〇年代に、発症後五年以上生き延びる人、さっき五年生存率という話がありましたけれども、五年以上生き延びる人が半分ぐらいの五〇%程度であったものが、現在では九〇%以上ということで、かなり予後が改善しているようでございます。

 それから、いろいろな場面でよく御存じと思いますけれども、大腸の炎症性疾患である潰瘍性大腸炎につきましては、昭和四十八年から研究を行っておりますけれども、メサラジンと呼ばれます薬が開発されて、これは生物学的製剤というんですけれども、こういう医薬品の開発に寄与して、症状の著明な改善に資する成果を挙げております。

 もちろん、これも、これまで何度も申しましたように、難病の枠組みの中での研究事業のみならず、今のメサラジンもそうですけれども、オーファンドラッグという制度が日本にできたころの、ほぼ最初の段階でオーファンドラッグとして指定を受けて、そして承認までこぎつけたということがありまして、難病そのものの研究のみならず、医薬行政、薬事行政の中での研究とか、あるいは枠組みとか、そういったものの中で治療法や治療の開発が進んでいるという状況であります。

井坂委員 今の二例、潰瘍性大腸炎と、それからSLE、全身性エリテマトーデスについて、事前に資料で成果の一覧表というものをいただいております。

 ただ、これを見ますと、成果が出た年というのが、もう平成十六年を最後に何も載っていないということなのでありますが、この十年間、研究成果が、さらに目覚ましいものが出ているのか、あるいは、この二つの症例については、もう平成十六年で大体、おっしゃったように、何か解決済みというようなことになってしまっているのか、お伺いをいたします。

佐藤政府参考人 今、たまたま潰瘍性大腸炎とメサラジンのお話をしましたが、先ほど申しましたように、ほぼ二十年ほど前なんですけれども、オーファンドラッグの枠組みも活用しながら、ペンタサ、商標名を言っていいのかどうかわかりませんけれども、ペンタサという名前で開発をされまして、そのときには、胃で溶けずに腸で溶けるという工夫をしまして、腸の中で薬が効くようにということでやっていましたけれども、アサコールという薬がまた最近になって出まして、このアサコールという薬ですと、今度はpHに感受性がある。胃の中は、pHが七より低いわけですけれども、非常に強酸性なわけですが、そこでは溶けずに腸に行って溶けるというようなことをしまして、ペンタサではなかなか難しかった患者さんが、アサコールでは効くというようなことも出ておりまして、これもここ数年の目覚ましい治療薬の開発の一例だというふうに言えると思います。

井坂委員 実は、難病情報センターのホームページ、これは疾患ごとにこういうレポートが全疾患出ております。ただ、多分、情報が相当古くて、どの疾病も十年前ぐらいまでの研究成果しか公表されていない、こういう感じでありました。

 私は、これはたまたまそういうずさんなことになっているのかもしれませんが、やはり本事業の目的、究極の目的は治療法の確立であるということで、希少性のルールであるとか、そういった、やや福祉的な目的からは相入れないルールがあるわけでありますが、しかし、その究極の目的であるところの治療法、そして、その情報収集と公表、こういったところがずさんであるという、このささいなことをもっても、何か本当にそこがメーンの目的になっているのかなと、やや疑問を感じるところなわけであります。

 重ねてお伺いしたいんですが、難病で、治療法が確立していないから難病である、そこが、まさにこの事業で症例をたくさん集めた結果、治療法が見つかって、難病だったものが難病ではなくなりましたよというものについては、どういう病気があるのか教えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 今おっしゃったような、もともと難病という形で指定されていたものが、卒業という言葉がいいかどうかわかりませんけれども、難病ではなくなって、この枠組みの中から出ていったというのは、現時点では承知をしておりません。

井坂委員 もとより、大変難しい病気である、文字どおり難病ですから。とはいっても、四十年、こういった事業で症例を集めることによって治療法が確立するんだ、こういうたてつけの制度であります。

 成果が一例もないことをもって、この方針が間違っているとか無駄だとか申し上げるつもりは全くありませんが、まさに、研究目的の制度なのか、福祉目的の制度なのか、二択ではないですが、この色合いの中で、余り研究の要素を強めて制度の設計、運用をするのは、私は、やはり今後おかしなことになってくるのではないかなというふうに考えているわけであります。

 症例を集めて治療法が見つかる、このサイクルがどんどんうまくいっているなら進めていけばいいわけでありますが、やはり世の中で、私も地元の神戸で市議のときから難病の団体の方の会合に毎年出ておりましたけれども、そうはいっても、日々の治療のお金がきちんと補助をされていく、その福祉的な意味合いも大変大きくある制度だと思います。

 大臣、重ねて最後にお伺いをしたいと思いますけれども、あくまで、やはり研究が主で福祉目的は従である制度であり続けるべきだとお考えかどうか。やれるものなら、財源があるならやれるだけやりたい、そういう苦しい部分もよくわかるわけでありますが、この制度自体、あくまで希少な症例を集めることが主の目的であって、難病の患者さんの医療費を賄うといったものはあくまでサブの、従の目的であるのかどうか、また、それであり続けるのがよいと思っておられるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

田村国務大臣 主とか従とかというのはなかなかコメントしづらい話なんですが、ただ、一方で、財源というのは限りがあるわけであります。

 そしてまた、難病の患者さん以外にも、大変困った状況で医療費がかかられる方々がおられます。この方々は、先ほども言いましたとおり、高額療養費、さらに多数該当というような形で負担が軽減されるという仕組みがあります。

 基本的に、この難病の場合は、治療を確立する、もしくは、治療は確立されていないにしても、根治はしないにしても、症状をいろいろと抑えるという薬は今までも出てきておるわけでありますし、全く成果がないというわけではないので、これはもう委員も御承知のとおりだと思いますけれども、やっている意味はあるわけでありまして、そこはやはり両輪なんだろうと思います。

 ただ、そこがなくなると、では、福祉的な側面をどこまで範囲を広げるんだという話にもなってまいりますから、一定程度、この研究というものの重要性、新しい治療法を開発するという重要性というものはやはり外せないわけでありまして、その中において、ここの部分の医療費助成という制度はある。

 ほかの部分はほかの部分でまた役割があるわけでありまして、決してこの難病政策、対策は医療費の助成だけではないわけでございますから、そこは御理解をいただきながら、一方で、その助成の部分に関しては、治療研究というもの、ここも大きな意味合いがあるということは御理解をいただきたいというふうに思います。

井坂委員 今の関連のお尋ねになりますが、難病患者に対する医療費助成は、研究のための難病対策費とした一般財源でありますけれども、これを保険料財源を中心とした医療保険によって賄う、こういった考え方についてはいかがでしょうか。

田村国務大臣 医療費の助成という意味でですね。(井坂委員「そうです」と呼ぶ)

 これは、医療保険の場合は、疾病によって負担が変わるというような仕組みになっていないんですよね。ですから、難病だけは何か負担が下がるというようなことはなかなか仕組みとしては難しいと思いますし、何よりも、今、財政状況が厳しい中で、保険者の理解が得られないと動かせないわけでございますので、そういう意味では、なかなか、公平性を考えても、難病だけはより多い給付が医療保険の中でできるという制度というのは、保険制度の趣旨からいって難しいというふうに認識いたしております。

井坂委員 本日、この制度、特に医療費助成の制度が、研究目的なのか、あるいは福祉目的なのかということで一連の議論をさせていただきました。

 もちろん、誤解があってはいけないのは、こうした、今、この制度によって大変救われている方々、そしてまた、それが今回さらに対象が拡大をされるということについては、私は賛成の立場であります。

 ただ、一方で、おっしゃった、難病であるのかないのか、こういう病気の名前によって、また受けられる補助、助成の手厚さが違うという、そこの部分も私は少し気になるものでありますから、本日、こうした議論を中心にさせていただきました。

 また次の機会には、今度、障害者福祉サービスとの関連など、本日残された質問をさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

後藤委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時三十二分開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 私もお時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。

 本日は、難病の患者に対する医療等に関する法律案、児童福祉法の一部を改正する法律案の質疑でございますが、まだこの後も審議時間があるということなので、きょうは、難病の患者に対する医療等に関する法律案について質問をさせていただきたいと思います。

 難病対策は、当初、治療研究のための謝礼金として始まったという経緯もあって、法律的根拠を持たない予算措置として手当てをされてきました。難病対策の法制化については、これまで、特定疾病対策の根拠が明確化するという長所が指摘される一方で、難病の定義が困難であるという意見や、法制化によって対象疾病や施策の固定化が生じ、柔軟な制度の運用ができなくなる可能性があるといった意見も出ておった。賛否がある中で、今回、法律案が提出されて、難病の定義の明確化とともに、難病対策の目的が明文化されたと私自身は理解をしております。

 今回の改正案では、対象になる病気を五十六から約三百にふやすこととしており、具体的にどの病気が対象になるか決まるのは、今後の検討ということになっておりますが、患者数が人口の〇・一%以下、診断基準が確立しているといった基準を満たすものが選ばれる。一方で、これまで自己負担のなかった重症者にも、所得に応じて負担を求めたり、対象の病気でも軽症者は助成対象から外したりとすることで、広く薄く支援する制度とも言えるのではないかという御意見もあります。

 医療費助成の対象となるのは、指定難病でなければなりませんし、指定難病の要件は、患者数が一定の人数に達しないこと、診断基準が確立していることなどが挙げられております。

 改めて、確認も含めてなんですが、診断基準が確立していない疾患、患者数が多い疾患について、要件を満たさないため医療費助成の対象に入らないことが妥当と言えるのかどうか、まず厚生労働省の御見解をいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 これまで御議論いただきましたように、希少な疾病というのは、患者数が少ないために調査研究の対象となりにくい、それから、調査研究の実施に当たってもデータの収集が難しいなどの問題点がございます。こうした事情がありまして、希少性とか、あるいは効果的な治療方法が未確立だとか、そういった性格を持つ疾病を幅広に難病としているわけでございます。

 難病のうち、今も御質問にありましたけれども、医療費助成の対象となります指定難病につきましては、その範囲を明確にして、客観的かつ公平に選定する必要があるということで、患者数について一定の基準を設けているというのもありますけれども、客観的な指標による診断基準が確立しているということを要件としております。

 これは、単に、今申し上げました客観的かつ公平に選定するということのみならず、患者さんのデータを収集して、トータルで議論していくときに、一定のクライテリアと申しますか、基準にのっとって集めていないと、科学的なデータとしての妥当性にも欠けてしまうことになるので、やはり、一定のこういう診断基準の確立などが重要になってまいります。

中島委員 難病の定義ということになるのかもしれませんが、今御説明したとおりで、イメージとしてはわかるんですが、私も医者で、一人の医者として、何か喉に突っかかったような気がするんですね。

 それはなぜかというと、診断基準が確定していなくても、例えば御高齢の方であれば、ほかの疾患もまじって実際には苦しんでおられる方がいたり、この定義に当てはまらなくても、実際に苦しんでおられる方を目の当たりにしておるということで、何となく、ちょっとすっきりといかない部分があることも事実です。

 私はもともと消化器外科の医者でして、大学病院時代は、難病といえば、潰瘍性大腸炎とかクローンとか原発性胆汁性肝硬変とか、そういうものをメーンに難病の患者さんともおつき合いをさせていただきました。

 開業して在宅医療をやってからは、御自宅で療養するALSの患者さんとか重症筋無力症の方とかパーキンソンの方、そういった方々、そして外来においては、軽症者というよりは症状が安定しておられる方々が外来に来て、その更新の手続も含めて、かかりつけ医としてふだんから日常的に接しさせていただいておる。

 難病という性質上、治療による完治はなかなか難しい。経過が非常に長くなるために、仕事や生活そのものを維持することが大前提というふうになると思われますが、従来、若年の難病患者さんであれば、介護保険も使えず、また、症状が固定されていないため障害とも認定をされない、制度のはざまとも言われておりました。

 昨年の四月から、難病の方々は、障害者総合支援法の対象となってサービスが受けられるようになりました。昨年の障害者総合支援法の支援の対象となったことは、一定の評価はできると思いますけれども、今回の法律案の拡充によって、生活維持の観点から、制度間のはざまが解消されると考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御発言のとおり、制度の谷間をなくすという観点から、障害者総合支援法におきまして、障害者の定義に難病を位置づけ、障害福祉サービスの対象とするということに、平成二十五年四月からしたところでございます。具体的には、今お話のありましたとおり、百三十疾病を対象としているところでございます。

 今回、難病の制度の中で、いわゆる指定難病の範囲が大きく変わるということでございますので、私どもといたしましては、まずは、制度の谷間の解消という観点をしっかり踏まえて、具体的な難病の範囲について、これは、指定難病の拡大の範囲の考え方を踏まえながら、また、障害サービスの対象という観点もよく考慮しながら、その具体的な検討をやっていきたいというふうに思います。

 その上で、残された課題といったことについての精査を行っていくことが大事であるというふうに認識しております。

中島委員 先ほど言ったように、私、ふだんから地域医療の現場で、難病の患者さん、さまざま、重症の方から軽症の方まで診させていただく中で、難病対策の観点はいろいろあると思うんですが、接していてつくづく思うのは、やはり、病名にかかわらず、介護が必要になったり医療が必要になったり、それはなぜかというと、先ほども申し上げたように、単一疾患でない可能性もありまして、御高齢になればなるほど、違う病気がかぶってしまったり、加齢による変化も加わったり、必ずしも一定条件の中で継続していくということではないなと。

 そういう観点からいきますと、現在、介護保険の適用、要するに、難病の方も実際に、浮き沈みがあるにしても、生活していく上で介護も必要になってくる、そういったことを地域の医療の現場で非常に思うわけです。

 現在、介護保険の適用は、特定疾患に該当しても四十歳以上ということになっております。難病の方々が御自宅で療養されていくに当たって、訪問看護、訪問介護、介護用品のレンタル、またレスパイト機能、レスパイトできる場所として介護保険事業所、施設などを利用できるようなことがうまく組み合わさっていくと大変いいのではないか。

 これは、私、介護保険は大変運用を高めていって、日本全国、過疎の地域においてもそういった施設がある、事業所もそういう場所が随分平たく伸びたということもあって、難病の方々のその部分にしっかりと組み込んでいく必要があるんじゃないか。

 難病の患者さんが住みなれた地域で療養していくために、介護保険サービスとの連動の必要性について御見解をお伺いしたいと思います。

原政府参考人 介護保険制度は、老後の不安要因である介護問題に応えるために、加齢に伴って介護を要する状態になっても、尊厳を持って自立した生活を送ることができるよう、高齢期の介護を社会的に支える仕組みとして創設されたものでございます。

 このため、保険給付の対象となるのは、六十五歳以上の第一号被保険者が中心となるわけでございますが、これに加えまして、四十歳から六十四歳までの方も、第二号被保険者として給付の対象としているところでございます。

 議員の御指摘は、難病の方も介護保険の対象にしてはどうかということでございますが、介護保険そのものが、先ほど冒頭申しましたように、加齢に伴って介護を要する状態になったときに、その要介護リスクを保険として、サービスとして給付をするという仕組みでございますので、そういう基本的な制度の性格、これをどういうふうに考えるか、ここにかかってくると思いますので、そういった幅広い視点からの検討が必要かと考えております。

中島委員 システム上の問題だったり制度上の問題だと思うんですね。

 そもそも、介護保険ができた平成十二年ですが、その趣旨というのは十分理解した上で、要するに、現場においてという話でして、私、在宅医療をやっています。難病の患者さんのみならず、例えば二十代、三十代のがんの末期の患者さん、私も何人か診させていただいております。小さいお子さんとできる限り、最期、御自宅で住みたい、暮らしていきたい、そう願っている方たちが、やはり若年の方でも結構多いわけです。

 そういったときに、私はもう当然医療として入りますが、訪問看護も医療として入ります。ただ、状況が徐々に徐々に悪くなってきたときに、例えば介護レンタル、介護サービスの電動ベッドであったりポータブルトイレであったり、あと訪問入浴等、そういったものがやはり使えたらいいなと。

 一方で、レスパイト機能を果たす場所ということなんですが、難病の患者さん、あくまでも介護保険は四十歳以上、特定疾患も決まっております。ただ、それ以下の年齢で、それ以上でも特定疾患に当てはまらない方々、この方たちに、せっかく介護保険がこれだけ広がって充実、これは恐らく厚生労働省さんがそのために運用を高めて努力した結果、全国各地域においてそういうレスパイト機能を果たせる場所があるわけですよね。

 これは私の本当に経験なんですが、私、前に有床診療所の話をしました。その在宅医療のバックベッドとして有床診療所を使っていたわけですが、残念ながら、三年で、経営破綻寸前だったので閉鎖をして、その後、介護保険のショートステイに変えたわけですね。ショートステイを使って、ある意味、在宅患者さんのレスパイト機能を果たすものとして今利用しています。

 今現在も継続しているわけですが、その場合、二十代、三十代の若年の乳がんや胃がんの末期の方、その方たちもやはりバックベッドとして利用するんです。そのときには自費になるわけですよね。そういったことからいくと、住みなれた地域で、これは地域包括ケアの充実ということでうたわれているわけですが、今、現状ではそういう制度上の問題だということなんです。

 例えば、小児慢性疾患の場合もそうなんです。先日お話しした重症心身障害児、そのレスパイト機能を果たす場所の確保も、今全く見通しが立たないような状況だと思うんです。

 ですから、介護保険ということでうたっておられるのは、これから高齢化をされる方々の生活維持とかということなんですが、介護という言葉は決して高齢者だけではないはずなんです。高齢者だけではなくて、小児においても若年者の方にとっても、生活されていく上で介護が必要になる方はおられるわけです。

 ですから、今後、もちろん介護保険がどうあるべきかということはこれからまた議論もあると思うんですが、ぜひ、障害者も含めて、この難病の方々、そして小児慢性疾患の方々を含めて、幅広く介護が必要な方々のための施設として、利用できるサービスとして検討していただきたいと思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 委員もおっしゃられましたとおり、四十歳以上が被保険者ということで、六十五歳以上が基本的には原則サービスを受けられるわけでありますが、四十から六十四歳も、加齢による特定の疾患に関しては、要介護等になればサービスが受けられるということであります。

 言われた若い世代、つまり四十歳未満の方々という見方をしますと、保険料を払っていないわけなので、福祉とはいえどもこれは保険ですから、そういう意味では、純粋に、公的ないろいろな福祉、扶助ではないわけであります。そういうような意味からいたしますと、そういう方々も保険に入っていただかなきゃならぬ、保険料を払っていただく、これが前提になるんだと思います。

 一方で、今議論をいろいろとしますと、介護保険制度の運営、財政、制度自体の安定という意味から、若い人たちにも保険料を払っていただいたらいいのではないかということを言われる方々もおられます。

 問題は、若い方々が、サービスとしては余り受けないわけですよね。本当にまさかの場合、今言われた、誰しも難病になる可能性はありますが、しかし、確率としては、誰もが高齢者介護を受けるよりかは低いわけであります、若い間は。そういう意味からすれば、保険料を払っていただくことを理解いただけるかという問題があります。

 あわせて、今までの経緯でいきますと、実は、障害者総合支援法、自立支援法と言いましたけれども、これをつくる以前は、エージフリーで保険料を払っていただいて、介護保険をそのまま障害者サービスに使ったらどうだという御意見もあったんです。そのとき、それまでは予算事業ですから、これならば法律にのっとった義務的経費でありますから、幾らかかったって予算を心配する必要がないわけでありますので、そういうお声もあったんです。

 ただ、そこは、障害者は障害者の福祉サービスでやはり違う部分もあるから、障害者のサービスを義務的経費化しようということで、法律にのっとって、自立支援法、その後、総合支援法ということになりましたので、今は、障害者の方々は、もうそれは一緒にはしないでほしいというお声が圧倒的に多いという現状もございます。

 そういうような種々の問題があるということもございます。

 でありますから、障害は、もう今サービスがある。すると、本当に何かあったときという、今例を言われたようなときに使うために保険料を払うということに御理解をいただけるかということを考えると、やはりここは慎重に議論をしなければならない。ただ、そういうような御議論も実は出ておるというのも事実であるということであります。

中島委員 先ほども言ったように、障害者総合支援法に組み込まれたことは一定の評価なんです。ただ、障害者総合支援法というのは自立を前提ですから、生活をして、障害を持たれた方、そこに組み込まれた難病の方たちの自立を支援するための制度。ただ、先ほど言った難病の方にしても、軽症者から重症者まで結構幅広いわけですよね。その部分が何とか、私はうまく運用できないかなという発想なんですね。

 要するに、資源が少ない地域、医療ベッドも少ない、医師偏在の中で、なかなか、そういうバックベッドや、そういう方々のための施設というのが整備できない。一方で、総合支援法の方の家事サービス等は、やはり介護という観点からはちょっと違う。ですから、例えば、重心のレスパイト機能を果たすためのモデル事業というのも今やられておりますね。あれを見ますと、正直、現実的にはなかなか難しいだろうなというふうに思うわけです。

 そういう中で、今やられている税と社会保障の一体改革の中での地域包括ケアシステムというものが、地域包括ケア会議みたいなものの中で、福祉や医療、そういった方々がチーム連携だと言われるわけですが、ただ、その現場でよく言われることが、私たちが幾ら連携をとろうと思っても制度間の連携ができていないじゃないか、そして、一番連携できていないのは行政の方だという意見が出てくるわけです。

 それはなぜかというと、患者さんにとって、制度は関係ないわけです。生活を維持していくためにどんなサービスが必要かということが一番重要なわけです。それで、先ほど言った難病の定義も、もちろんわかります、わかるんですが、何となく喉が詰まるような感じというのは、やはり、実際に生活を維持して、住みなれた地域で療養なさっていく、そのためには、難病であろうが、がんの末期の方であろうが、高齢者であろうが、必要なサービスを受けられるような、それを横断的に使えるような、今後、検討をしていただきたい。

 それは次の法案で、もう付託されていますが、医療、介護の中で、介護保険の改正、改革ということの中で、要支援一、二を地域支援事業に移していく。もちろん将来的には財源の問題や重点化というところはあるとは思うんですが、一方で、今言った難病や、障害者とか、重心の子供たちとか、小児慢性疾患の子供たち、そういったところに広げていって、本当の意味での地域包括ケアというものを実践していくための改革が必要だな、そういうことで、少し問題提起を私はさせていただいておるわけです。

 そういうことになると、これは次の法案のときに審議いたしますが、介護保険の事業所やデイサービスとかショートステイとか、小規模多機能もそうなんですけれども、やはり、介護保険というベースがあるから、先ほど、私の診療所で、ショートステイで、そこでがんの末期の人や難病の人たちを受け入れているわけです。実は、ここでカミングアウトしてしまうと、市にばれると、介護保険の事業所でそういう方たちを入れていると事業所取り消しなんて言われてしまうかもしれませんが、ただ、これは必要なものとして。

 前も言いました、デイサービスでふだん来ておられる方々が、御自宅の都合、急にお葬式ができてしまったとか、そういうときに、全く知らないショートステイに行くより、では、うちで泊めてあげよう、そういう発想の中から宅老所みたいなのが出てくるんです。実際に私の知っているところでも、デイサービスから宅老所を五人とか六人、そこは自費でやるわけですね。でも、その担保は、やはり日中のデイサービスの介護保険、その報酬ということがあって初めてそういう運用が高まってくるんです。

 せっかく、私は、いろいろな地域においてそれが高まってきたところ、これは恐らく、先ほども言いましたが、厚生労働省の方々が運用を高めようといろいろな工夫をなさっている中で、ようやくこういうふうになってきた、だからこそ、障害者や難病の方、若年のがんの末期の方たちにもそれをうまく使えるようなものに、使っていけば、何も全然別建てのところで重心の子供たちのモデル事業をしたり、いろいろなことを縦割りでやる必要は全くないのではないかな、そういうふうに思っているわけでして、その介護保険の改正については、また次の法案のときに質疑をさせていただきたいと思います。

 それぞれの制度間のはざまもあるわけですが、制度内でも、違う制度の間でも、やはり谷間はなかなか埋まらないという現実が現場ではあるということを御理解していただきたいというふうに思います。

 続いて、指定難病の選定手続について御質問をさせていただきたいと思います。

 現在、医療費の助成の対象疾患は、健康局長の私的諮問機関である特定疾患対策懇談会の意見を聞いて選定をされておる。今後、対象疾病の選定や見直し、対象患者の認定基準の選定や見直し等を行うに当たっては、厚生科学審議会に新たに難病に係る医療に見識を有する者で構成する第三者的な委員会を設置して、審議を行うこととされております。難病対策のあり方等の制度設計に係る審議については、引き続き難病対策委員会で検討するともされておる。

 第三者的な委員会における対象疾病の選定については、公平性、透明性を担保する観点から、議論を公開することが予定されておると聞いておりますが、委員会において自由な発言が保障されるように、公開の方法についてどのような工夫をされるつもりなのか、お尋ねしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 今御質問の中にありましたように、難病法案におきましては、医療費助成の対象となります指定難病につきまして定義を示しておりますので、この定義に沿って、当該要件を満たすかどうかということを選定していただくことになります。その際には、医療費助成ということですから公平性というのも重要ですし、先ほどから何度も申し上げておりますが、科学的に治療研究に資するようなデータを集めなければいけないということですから、公平と科学性、両方の側面から議論していただくということになります。

 そういうこともありまして、指定難病の検討に当たっては、議論の透明性とか客観性を担保することが重要と考えております。その際には、公開という言葉も重要な要素なのかと思います。

 しかしながら、今議員が御指摘になりましたように、委員の皆様方が科学的な立場から、ないしは公平という立場から、ある程度活発に御議論いただくというのも、これはこれで非常に重要と考えておりますので、実際の具体的な運営の方法については、今後検討してまいりたいと考えております。

中島委員 当事者とか患者団体の方が入る予定というのはあるんでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 今も申し上げましたように、指定難病の選定というのは公平性と同時に科学性というものが非常に重要と考えておりまして、そういう意味では、難病医療について見識を有する方、つまり専門家のみで議論を行うという方向で考えております。

 実際には、個別の患者さん方の御意見もあろうかと思いますから、そういうことについては、事務局を務めております厚生労働省の方で御意見は頂戴したいと思いますし、また、難病の医療費助成制度そのもの、あるいは難病対策全般につきましては、これまでどおり厚生科学審議会のもとに設置している難病対策委員会等で承りますし、そこの中には患者さんの代表の方も参画しておられます。

中島委員 やはり、公平性とかいろいろな部分からいくと、当事者の方々や患者団体の方を入れるのは実質難しいし、むしろ大変問題も出てくるかなという認識は持っておるんですが、だからといって、患者さん、当事者の方々の御意見を聞く場というのはしっかりと守ってもらわないといけないなと。やはりそういう場を設けていただいて、今回、まだ決まってはおりませんが、三百疾患にふえるということで、それぞれの立場で、構成員の中に含むのは難しいかもしれませんが、ヒアリング形式にしても、やはり当事者の方々の意見を聞く場をしっかりと確保していただきたい、そのように思うわけです。

 時間もありませんが、もう一点だけ、医師の要件についてちょっと御質問させていただきたいと思います。

 申請に必要な診断書を発行する医師の要件はこれまで定められておりませんでしたが、本法律案においては指定医が発行することとされておって、手続は以前より厳格になったとも言えると思います。新規の申請については専門医、更新については指定医と連携したかかりつけ医でもできるということになっております。実は私もそれをやっておるわけですね。

 ただ、やはり専門性の中で非常に迷うところなんです。例えば、経過が長い方であれば加齢による変化も伴ってきたり、状態、パーキンソンの方であれば日中によっても随分差がある。そうなってくると、やはり年に一回は専門医の方には何としても診てもらいたい。

 しかし、私の地元も大変田舎ですので、その専門医のいるところまではかなり遠くなってしまって、年に一回だとしてもやはりかなり負担になる場合もあるということで、私の場合は、在宅医ですから、知っている神経内科の先生とかに日曜日とかに来てもらって、飯でもおごりながら、患者さんのところに来てもらって診察をしていただくとか、そういう工夫はするわけです。

 一方で、神経疾患の方は、理学療法士さんとか作業療法士さんとか、その部分で私も非常にアドバイスをいただくんです。その測定した結果とか診断した結果を専門医の先生に送って、意見を求めて、更新の手続の意見書を書いたりとか、そういうこともよくやるわけです。

 そういった意味からいきますと、更新に当たっては、また別の方法、実態に伴った、疾病によっても随分違うと思いますけれども、いろいろあると思います。

 そして、地域間格差ですね。専門医の先生も、今回、疾患が広がるということであれば、やはり地域間格差という問題が出てくると思うんです。その地域間格差が生じないように、今どのように考えられているか、お尋ねをしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 地域間格差そのものをすぐに解消するというのはなかなか難しゅうございますけれども、まず、議員の御質問の中にありましたように、指定医について、専門医資格を取得しているかどうかということをきちっと要件としておりますし、また、これにかわる、一定の基準を満たした研修を受講したお医者さんにやっていただくということを少し徹底していかなければいけないというふうに考えております。

 また、議員の御質問の中にもありましたように、単に厳しければいいというものでもありませんし、公平で科学的であればいいというものでもありませんが、最初の認定の際とか、あるいは定期的にはこういった専門性の高いお医者さんに診ていただくし、また、それ以外の通常の投薬だとか経過観察ということにおいては、患者さんのアクセスということもありましょうから、指定医と連携をした地元のかかりつけ医にお願いをするということで、そういった仕組みを少し都道府県などにも周知を徹底して、できる限り差がないようにということで考えていきたいと思います。

中島委員 時間ですので終わりますが、先ほど言ったように、理学療法士さんとか、ほかに、専門性が高くて、うまく利用できる職種の方もおられると思います。更新に至っては、患者さんに負担をかけない、そして、かかりつけ医、専門性、私も含めてですけれども、なかなか難しい部分がありまして、その辺については、要件を少し、今後の検討課題としていただければなというふうに思います。

 次回は、重症度分類とか難病の方の就業支援とか、その辺について御質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。一日、御苦労さまでした。

 難病対策四十年の歴史を経て初めて法制化されるということは、大変意義深いことだと考えております。疾患の違いを乗り越えて声を上げ続けてきた関係団体の皆さんには敬意を表するとともに、同時に、自己負担増や指定されない難病との新たな谷間が生まれることへの強い懸念もあり、十分な審議を通じて改善されていくことを強く願っています。

 そこで、昨年の臨時国会最終盤の混乱の中でも、議員連盟の奮闘もあり、障害者権利条約批准への国会同意が実現し、ことし一月二十日、批准がされました。

 改めて、確定した条文には、第一条、「この条約は、全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする。」とあります。当然これは難病患者も含まれたものであり、この立場に立って、制度の谷間がない、そういう制度をつくっていくことが期待されていると思いますが、この権利条約に照らして、難病の新法の意義について、大臣の認識を伺いたいと思います。

田村国務大臣 昭和四十七年以降、難病対策要綱に基づいてスタートをしたわけでありまして、そのような意味からいたしますると、医療費助成も含めて、この難病対策というものは一歩ずつ前へ進んできたというふうに思います。

 ただ、一方で、やはり公平性という問題があったわけでありますし、あわせて、都道府県に超過負担をお願いしてきたというようなことがございました。そのような反省も含めて、今般このような形で難病施策の見直しをさせていただいたということで、医療費助成の疾患数も大幅にふやす中において、一定の成果というものが今回の改正法案にはあるのであろうというふうに思います。

 公平かつ安定的な医療費助成制度、さらには、難病の調査研究でありますとか、療養生活の質の維持向上というようなもの、こういうものを進めていくためには、やはり今般のこの法律というもの、これはぜひとも御協力をいただきたいというふうに思うわけであります。

 障害者のかかわりという意味からすれば、もちろん、障害者施策と難病施策でありますから、これは一義的には同じでないわけでありますが、ただ、障害者権利条約に通ずるところは、その目的でありますとか対象という意味では通ずるところはあるというふうに認識をいたしております。

高橋(千)委員 一つ一つ言い返したいところがあるんですが、議論の中でやっていきたいと思います。

 それで、今大臣もおっしゃったように、難病対策のスタートが一九七二年の難病対策要綱の策定にありました。また、先ほど答弁がありましたように、そのきっかけが薬害スモンの研究だったわけです。

 スモンは、太平洋戦争前から安全だと言われて使われ続け、また、戦時中は軍需用として生産が拡大された整腸剤キノホルムによる薬害だったこと、この薬害スモン訴訟の和解をきっかけに、医薬品副作用被害救済基金法が七九年に制定をされました。戦後の混乱期、資源も海外からの情報も不足する中で、全国の国立病院の医師たちが懸命に研究し、原因を突きとめるとともに治療指針を示したことで、特定疾患調査研究事業、スモン等八疾病、また、うち四疾病が治療研究事業として指定をされて、難病対策もそこからスタートをした、まさに原点であったと思います。

 国立医療学会の学会誌、二〇〇九年第四号に、スモン研究班の主任研究者である国立病院機構鈴鹿病院小長谷正明院長がそうした闘いの歴史をまとめていたのを読み、大変感銘を受けました。

 まさに原点であるスモンが難病の枠から外されるといいます。昨年十一月の質問のときには、別の形で支援するというふうに答えていらっしゃいますけれども、どのような枠組みで支援をしていくのか伺います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 現在の難病対策、つまり特定疾患治療研究事業ですが、これとスモンとの関係については、歴史も含めてもう議員からお話がありましたので繰り返すことはしませんけれども、今回の法制化に当たりましては、発症の機構が不明など幾つかの要件を決めております。

 そういう中で、スモンにつきましては、これもるるここまで御議論いただきましたけれども、その原因がキノホルムということがわかっておりますので、今回の要件に照らしますと難病の範囲には含まれないということになるわけですけれども、これまでの経緯、すなわちスモンの恒久対策という観点から、これは予算事業として、引き続き、患者さんにとりましてはこれまでと同様の対応となりますよう対策を講じることとしております。

高橋(千)委員 私は、二〇〇六年の薬事法の改正のときに、薬害の原点を忘れるなという趣旨で、七九年の福岡スモン訴訟の判決文を読み上げたことがありました。また、身近にスモンの会の県代表の方もいらっしゃいますし、何より、今回、当事者の皆さんが、薬害だから、今回の指定難病からは外れるから、でも予算はつくんだしということで声を上げにくくなっている、そういう声を聞いたんですね。非常につらいと思いました。

 今でも、受診の際のトラブルはある。あるいは小長谷先生の報告にも、研究班は治療指針を確かにつくった、でも完全治癒例はなく、現在も重篤な後遺症が続いていると指摘をしています。だからこそ、今日まで研究班の活動が続いてきたのではないでしょうか。

 大臣に改めて確認しますけれども、今、恒久的な措置ということで局長は答弁したかに思うんですけれども、予算措置を要するに毎年毎年とらなきゃいけないというのはえらい大変なことでありまして、だからこそ今回法定化したというのもあるわけですけれども、このスモンについて、激変緩和措置の扱いではなく、恒久的なものとして確保されていくのか。今、患者数も、二〇一一年末で、受給者証をもらっている方は千六百八名です。これ以上ふえることはないわけですから、しっかりと継続されるということを確認したいと思います。

田村国務大臣 今も局長から、キノホルムが原因であるということはもうわかっておるということで、そういう意味からいたしますと、今般の指定難病というような範囲からは条件としては外れるわけでありますが、それ以前の、このスモンがきっかけであったということもあるわけでございますが、スモンに関しましては、国の責任として問われた上での恒久対策、それからスモンのその原因究明、こういうことの中において、昭和五十四年にこれは和解がなされたということがあるわけでございます。

 今委員がそのようにおっしゃられましたけれども、そのような意味からいたしますと、医療費助成、これは予算事業ではありますけれども、これからも、このような経緯を踏まえれば、継続をしてまいるということであります。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 次に、資料の一枚目を見ていただきたいと思うんです。きょう、午前からかなり同じ趣旨の質疑があったと思うんですが、ちょっと整理の都合上もう一度確認をさせていただきたいんですね、自分自身が何度も取り上げてきたことですので。

 昨年四月から施行された障害者総合支援法には、障害の定義に難病等と入り、身体障害者手帳がないけれども一定の障害がある方に対して、障害福祉サービスが使えるようになりました。その範囲が、難病患者等居宅生活支援事業の対象疾患と同じということで、現在、難治性疾患克服研究事業の対象である百三十疾患と関節リウマチが対象となっております。

 二枚目を見ていただきますと、四月からの利用状況の推移がわかり、私が質問したときは三百四十七だったのが、十二月で六百五十九と、順調に伸びているのはわかるんですね。それはありがたいんですが、桁がもう一つふえてほしいなという気持ちは強くあるわけです。ですから、まだ周知徹底というのは必要なんだろうと。

 問題は、今後、指定難病が仮に三百疾患となったときに、それにリンクをするのか。何度も言うように、福祉で支援するべきは、医療費助成と完全一致していなくても、もっと広くてよいと思うけれども、いかがなのでしょうか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お話がございましたとおり、昨年の四月から難病を障害者総合支援法の対象としたところでございまして、具体的には、当時の予算事業の範囲でございます百三十疾患を対象としたというところでございます。

 今回、難病の法案に基づきまして、いわゆる医療費助成の対象が広がるということでございます。これに伴いまして、障害者総合支援法のもとにおける難病等の範囲についても検討していくということでございます。

 具体的には、客観的な指標というのがまず大事でございますので、客観的な指標に基づく一定の診断基準が確立していること、これを前提にいたしまして、その上で、指定難病の考え方、範囲等をよく踏まえながら、また、障害者の、いわば福祉サービスの対象になるという点もよく考慮しながら、具体的な対象範囲というのを検討してまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 具体的な範囲については、一致ではなくて、今後の検討だという答弁だったかと思うんですね。そこの中身について、これからの議論でまた深めていっていただければいいなと思うんです。

 それで、指定難病の要件として、希少性、これが人口の〇・一%以下を規定するとされているわけですけれども、なぜ〇・一%なのか、その根拠について伺います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 ここまで御議論いただきましたように、難病、とりわけ指定難病を考える上で、患者さんの数が少ない、希少性ということを一つの要件とするということでやってまいりまして、人口の〇・一%程度という数字を示しているわけですけれども、これは、ここまでお話ししましたように、数が少ないということで調査研究の対象となりにくい、つまり、患者さんのデータが集まりにくい、治療法を研究しようと思っても比較などがなかなか難しいということでしたので、希少性が要件となっているわけでございます。

 〇・一%程度としていることについては、〇・一%をちょっとでも超えたらもうだめとか、そういうことでもなく、柔軟には対応するんだろうと考えております。

 では、その場合に、〇・一%に根拠があるのかどうかということになりますが、経済的支援を行うということもありますし、それから、研究が進むように科学的な側面から応援をしていくということからいうと、患者数に一定の基準は必要だろうと考えます。

 その際は、これまでの経緯、例えばどんな疾患を対象とし、その疾患がどのくらいの数あるのかということもありますし、また、アメリカとかヨーロッパでどういうふうに捉えられているかというようなこともありまして、そうした諸外国での希少疾病の定義なども参考にしまして、我が国で独自に定めた形になりますが、人口の〇・一%程度というものを設定させていただいております。

高橋(千)委員 二つ反論したいんですが、一つずつ聞きたいと思うんです。

 まず、欧米を参考にしたという議論ですけれども、日本が〇・一%だとすれば大体十二万人、それに対して、米国でいうと、日本でいうと八万二千人くらいですよとか、あるいは欧州でいうと六万四千人くらいですよ、〇・〇五%ですよというような説明があったわけですね。

 それはあくまでも、オーファンドラッグ、希少疾病用医薬品を創薬するときの採算点との兼ね合いで支援をするという尺度で見たときに、アメリカでいうとオーファンドラッグ法があり、EUでいうとオーファンドラッグ規制があり、そことの比較でいうと確かにそうなのかもしれない。

 だけれども、もともとヨーロッパには医療の自己負担というのがほとんどない国が多いわけですし、福祉サービスというのはアメリカも含めて基本的にないわけですよね。ですから、そこと比べて、〇・一%が医療費助成の対象としても同じなんだとか、そういう議論はちょっと違うと思うんですが、いかがですか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 議員の御指摘のとおりでして、米国や欧州を参考にしたと申しましたが、米国や欧州で、今先生から御提示のありました、例えば二十万人未満だとか、患者数が人口一万人に五人以下というのは、確かにオーファンドラッグを考えるときの定義であることは事実でございます。

 ただ、逆に申しますと、日本の、今般でいうと指定難病、これまででいうと特定疾患治療研究事業に係る制度がないというのも事実でして、先生がおっしゃいましたように、医療制度そのものが違って、ヨーロッパの場合はそもそも医療費の自己負担が余りない国が多い、ないしは、逆にアメリカのように、無保険の方が意外に多かったり、あるいは自己負担がえらく高かったりというような国で、医療制度がまず違う。

 それから、今も言いかけましたけれども、何よりも、希少な患者さんを集めてこれを研究していこうという、今般お示ししましたような基準にのっとって難病というものの疾病登録をしていこうという仕組みはどうもないようでございます。

 そういうこともありまして、参考にするとすれば、とりあえずオーファンドラッグが参考になるということで、これを参考にした次第でございます。

高橋(千)委員 要するに、私の指摘を認めた上での御答弁だったということだと思うんです。

 それで、改めて七二年の難病対策要綱のときから振り返ってみますと、そもそもここには希少性という言葉はないわけですよね。原因不明、治療方法未確立、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない、あるいは、経過が慢性にわたる。そうした中で、調査研究、医療施設の整備、医療費の自己負担の解消、この三点を柱とするけれども、このほか福祉サービスの面にも配慮していくということが書かれているかと思うんです。

 また、一昨年の中間取りまとめの中でもこれは引き継がれておりまして、希少性という言葉はないわけですよね。そのときの考え方として、難病対策要綱も参考にしつつ、できるだけ幅広く捉えるべきという考え方があったと思うんです。

 そういうことからいきますと、この法案が、いろいろ議論をしてきた難病の理念というものが盛り込まれるはずだったのに、大臣も昨年十一月の私の質問に対して何度も答えているわけですよね、難病の克服を目指すとともに、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指すと。こういう視点からいうと、いきなり第一条に「希少な疾病であって、」というのがかかってしまうと、全体にかかってしまう、医療だけでなく。これから福祉も含める、「医療等」という中に含めているんでしょうけれども、いろいろなものをやっていくということを言っているにもかかわらず、いきなりここに希少性が出てくる、これでぐっと狭めてしまう、このつくりはやはりおかしいのではないか。どうでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 昭和四十七年の難病対策要綱におきましても、末尾の方に、当時はこういう言い方をしていたんですけれども、寝たきり老人、がんなど、既に別個の対策の体系が存在するものについては、この対策から除外するということもあります。

 また、それのみならず、ここまで私の方からも説明をさせていただきましたけれども、今般、疾患を三百ぐらいにふやして、さらに治療研究を進め、もちろん福祉的要素も加えていくということになりますが、その際には、先ほどから申し上げますように、やはり光の当たらない、調査研究をするといってもなかなか光の当たりにくい分野、とりわけ、お医者さんや医療機関が患者さんのデータを集めよう、それから患者さんについての治療研究や、予防も含めて診療に係るデータを集めようと思ってもなかなか難しい、こういうことに着目をするということが重要であろうということで、今般、この希少性というのも改めて書き込んだということでございます。

高橋(千)委員 非常に残念な答弁だと思っています。やはり、最初の理念がかなりしぼめられてしまったのではないか。やはり医療にだけ着目しているという問題と、それと、言ってみれば社会保障と税の一体改革の中での、最初に大臣が、私が権利条約の理念を聞いているにもかかわらず、やはり予算のことが先に出てしまうという、そこの中の兼ね合いなのかなと、そこはちょっと残念に思います。ただ、これが第一歩でありますから、議論は続けていきたい、このように思います。

 それで、指定難病となっても重症度分類でふるい落とされるのではないかという不安が非常に大きい、これも昨年質問しているわけですけれども、ただ、昨年の時点では、詳細がほとんどわからない、専門委員会で検討されるということばかりだったんですね。だけれども、それだと、法案段階で、全くわからないのに、通してください、賛否を言ってくださいというのはある意味乱暴なわけですよね。

 そこで、少し具体的に聞いていきたいと思うんですが、資料の三枚目に、現在、重症度分類が確立している十二の疾患について列記したものを書きました。よくよく見ると、意外にざっくりした基準も多いわけですよね。一とか二とかという段階ではなくて、ただ軽症という表現が使われているとか、あるいは日常生活への支障とか、そういうざっくりとした書きぶりもあるんですけれども、そこに歴史があって、根拠があるということがあるんだと思うんです。

 例えばパーキンソンでいうと、重症度が五度まであるうちヤール三度以上、生活機能障害度が三度まであるうち二度以上、これがこの分類の足切りといいますか、そうなっているわけですが、これをこのまま採用するのかどうか、あるいは、今ある分類も線引きの基準を変えたりするのかということを確認したい。

 それから、逆に、数が非常に少ないために重症度分類がつくれない、そういうような疾患もあえて分類基準を必ずつくって、落とす部分をつくるという意味でしょうか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 もう議員の資料にもございましたし、今のお話にもございましたように、現行の特定疾患治療研究事業においては、十二の疾病については一定の重症度以上の患者さんのみを対象としております。

 今後、では、例えば三百ということで拡大していく際にどうするのか、診断基準はどうするか、重症度分類についてはどうするかということですけれども、現在、厚生労働科学研究班で、言ってみれば下ごしらえと申しますか、下準備に係る研究班で情報収集を行っておりますので、その結果も踏まえるし、今お話がありましたように、現在こういう形で十二の疾病については重症度分類が勘案されているわけですから、そういったこと。

 それから、今もお話がありました、患者数が非常に少なくて診断基準の作成がなかなか難しいもの、そういったものも含めて、個別の疾病にどのような重症度分類を設定するかなどについては、これは大変御理解をいただかなければいけないんですけれども、法案成立後に厚生科学審議会のもとに第三者委員会のようなものを設けて議論するということでございますので、専門家の意見を聞いて公平かつ科学的に決定していきたいと考えております。

高橋(千)委員 どちらともとれる答弁であったので、またそこは非常に心配をしているところなわけですね。

 そこで、もう少し話を進めていきたいと思うんですが、資料の四枚目に、「軽快者の基準について」という、平成十五年六月十八日の課長通知をつけました。これは、今は三十疾患が軽快者ということの基準があるということですけれども、この考え方の意味するところは何か、また今後、重症度分類で線引きするということは、その軽快者という概念が全疾患に導入されるという意味なんでしょうか、伺います。

佐藤政府参考人 お示しをいただきました資料の四ページ目に、軽快者というのはどういう者かと書いてありますので、ちょっと読むことになりますけれども、疾患特異的な治療が必要ない、つまり、この病気だからこの薬だとか、この治療法だというものがないとか、臨床所見が認定基準を満たさず、著しい制限を受けることなく就労等を含む日常生活を営むことが可能である、それから、治療が必要な臓器の合併症などがない、こういうことでありまして、しかも、その全てを一年以上満たした者ということにしております。

 これも結論としては先ほど申し上げましたことに近づくんですけれども、新たな難病の医療費助成制度においては、難病研究、これまで厚生労働科学研究その他でやってまいりました対象疾病の診断基準に、さらに重症度分類などを組み込んでいきまして、疾病ごとに対象患者の認定基準を策定するということになります。

 これも繰り返しになりますけれども、どの疾病にどのような重症度分類を組み込むかということについては、法案成立後に専門家から成る第三者委員会を設置いたしまして、そこで御議論いただいて、公平かつ科学的に御検討いただくこととしております。

高橋(千)委員 大臣に質問したいと思うんですが、今の説明を聞いていて、もし、難病には違いないんだけれども治療の必要はない、日常生活が送れる、そういう軽快者がいるというのであれば、私はそれはそれでいいと思うんです。ただ、それ以上の人をあえてふるい落とさなければいいなと思うわけです、軽快者じゃないのに。つまり、軽快者と軽症者は違うはずです、ですよね。

 総理と同じ薬を飲んでいますという方たちが先日訪ねてこられました。潰瘍性大腸炎並びにクローン病を総称してIBDと呼んでいるわけですけれども、潰瘍性大腸炎は二〇一一年で十三万三千五百四十三人、希少性で切られるおそれがあったわけですけれども、若いときに発症し、生涯病気とともに歩むという人たちであります。

 見た目でわからない、そのために理解されず、患者のアンケートでも、体調管理のために休憩をとったり、自己管理しなければならないのに、その場所と時間の確保、あるいは通院への配慮などに三七%前後の方が困っていると答えており、職場の理解が大きな悩みだと言っています。病気を隠せば、無理して悪化してしまうわけですよね。

 こういう方たちは手帳の取得率がたった三%なわけですね。だから、一定の薬を飲み、治療しながら職場に行っている。

 そういう方たちを軽症であるということで切ってしまうと、結局、重症化になってしまうこともあるわけですから、そうではない、軽症者と軽快者は違うということをしっかり確認したいということと、軽症であっても、重症化を防ぐため、あるいは高い医薬品を飲み続けていることで就業ができている、そういう患者が省かれるということはあってはならないということで確認したいと思います。

田村国務大臣 医療費助成制度にかからない軽症者の方々、軽快者と軽症者は違うというようなお話がありましたが、そういう方々もやはり研究等々に含めて、いろいろな症例等々を集めていくということが大事であるわけでありまして、ぜひとも、そういう方々も治療をされている症例をデータベースの中に入れていって、研究調査等々に役に立てていく中において治療法等々を確立していきたいわけでありまして、今回のこのシステムの中にぜひともそういう方々もお入りをいただいて、結果、この難病対策の中に加わっていただきたいという思いがあるわけであります。

 以前も申し上げましたけれども、要は、確かに、重症度の高い方々に対してどういうふうな支援があるかというのと同時に、軽症者の方であっても、長期間にわたって医療費がかかる、そういう方々をどう考えるかということは申してまいりました。今般も、そのような中において、三万三千三百三十円、つまり、三割負担と考えれば月一万円自己負担、これを三カ月継続する方に関しては医療費助成制度の中に入っていただこうということを考えておるわけでございます。

 そのような意味からいたしますと、先ほど委員がおっしゃられました、そういうような方々は、当然、軽快者というよりかは長期間にわたって医療費がかかるわけでありますから、しっかりと助成制度の中において対応させていただきたい、このように考えております。

高橋(千)委員 最初に大臣がおっしゃった、症例を集めていくことは大事だということ、その話を本当はきょうしたかったんですが、時間の関係で次回に回したいと思っています。

 それで、今の、私が紹介した平成十五年の通知の出された背景というのは、一部自己負担のあり方が見直されて、重症患者以外について一部自己負担が導入された年でもあったわけですね。一方、低所得者は全額公費負担となるかわりに、軽快者という概念がそこで導入をされた。つまり、一定支援をするかわりに、こちらからは負担をしてもらうという、大変似たような構図。

 つまり、同じ難病患者のパイの中で負担を分け合っているのは問題だよということが、昨年来、随分議論されてきたんですけれども、そのきっかけになった改正の年であったということを考えれば、やはり、最初に議論をした、どうしても予算の制約ということの中で、いきなり定義の中に希少性が出てきてしまったということの残念さということが問われてくるのかな、自己負担の問題もまさにそこに出てくるのかなと思うんですが、次回以降にまた議論をしたいと思います。

田村国務大臣 済みません。私、三カ月連続と先ほど申し上げましたけれども、三カ月は連続でなくても結構でございます。申しわけありませんでした。

高橋(千)委員 終わります。

後藤委員長 次回は、来る十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.