衆議院

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第13号 平成26年4月18日(金曜日)

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平成二十六年四月十八日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      小田原 潔君    大串 正樹君

      勝沼 栄明君    金子 恵美君

      小松  裕君    古賀  篤君

      佐々木 紀君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      高鳥 修一君    高橋ひなこ君

      武井 俊輔君    豊田真由子君

      中川 俊直君    永山 文雄君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      牧島かれん君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      盛山 正仁君    八木 哲也君

      山下 貴司君    大西 健介君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    足立 康史君

      浦野 靖人君    清水鴻一郎君

      重徳 和彦君    輿水 恵一君

      桝屋 敬悟君    中島 克仁君

      井坂 信彦君    高橋千鶴子君

    …………………………………

   議員           中根 康浩君

   議員           大西 健介君

   議員           山井 和則君

   議員           中島 克仁君

   議員           井坂 信彦君

   議員           高橋千鶴子君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐藤 敏信君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       内田 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    蒲原 基道君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  大久保三代君     八木 哲也君

  金子 恵美君     佐々木 紀君

  新谷 正義君     田所 嘉徳君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     金子 恵美君

  田所 嘉徳君     小田原 潔君

  八木 哲也君     勝沼 栄明君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     新谷 正義君

  勝沼 栄明君     武井 俊輔君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     盛山 正仁君

同日

 辞任         補欠選任

  盛山 正仁君     牧島かれん君

同日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     大久保三代君

    ―――――――――――――

四月十八日

 介護従事者等の人材確保に関する特別措置法案(柚木道義君外五名提出、第百八十三回国会衆法第二七号)

は委員会の許可を得て撤回された。

同月十七日

 安心して受けられる医療に関する請願(宮本岳志君紹介)(第六七九号)

 高度で危険性の高い医行為を看護師に実施させる制度の創設反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六八〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七三三号)

 地域の景気回復に向け、中小事業所とそこで働く労働者の社会保険料負担を引き下げること等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六八一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六八二号)

 七十〜七十四歳の患者窓口負担一割の継続に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六八三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六八四号)

 社会保障拡充に関する請願(笠井亮君紹介)(第六八五号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六八六号)

 同(畑浩治君紹介)(第六八七号)

 同(亀井静香君紹介)(第七〇四号)

 同(畑浩治君紹介)(第七三四号)

 同(篠原孝君紹介)(第七四六号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第七五九号)

 同(黄川田徹君紹介)(第七九八号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(金子恵美君紹介)(第六八八号)

 同(後藤斎君紹介)(第六八九号)

 同(高木美智代君紹介)(第六九〇号)

 同(長坂康正君紹介)(第六九一号)

 同(前原誠司君紹介)(第六九二号)

 同(松本純君紹介)(第六九三号)

 同(御法川信英君紹介)(第六九四号)

 同(務台俊介君紹介)(第六九五号)

 同(遠藤利明君紹介)(第七〇六号)

 同(梶山弘志君紹介)(第七〇七号)

 同(工藤彰三君紹介)(第七〇八号)

 同(田畑裕明君紹介)(第七〇九号)

 同(永山文雄君紹介)(第七一〇号)

 同(原田憲治君紹介)(第七一一号)

 同(福山守君紹介)(第七一二号)

 同(山田賢司君紹介)(第七一三号)

 同(吉野正芳君紹介)(第七一四号)

 同(石関貴史君紹介)(第七一八号)

 同(石田祝稔君紹介)(第七一九号)

 同(うえの賢一郎君紹介)(第七二〇号)

 同(門博文君紹介)(第七二一号)

 同(菅野さちこ君紹介)(第七二二号)

 同(近藤洋介君紹介)(第七二三号)

 同(左藤章君紹介)(第七二四号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第七二五号)

 同(齋藤健君紹介)(第七二六号)

 同(関芳弘君紹介)(第七二七号)

 同(田所嘉徳君紹介)(第七二八号)

 同(中川正春君紹介)(第七二九号)

 同(長島昭久君紹介)(第七三〇号)

 同(額賀福志郎君紹介)(第七三一号)

 同(三木圭恵君紹介)(第七三二号)

 同(井林辰憲君紹介)(第七三五号)

 同(塩崎恭久君紹介)(第七三六号)

 同(鈴木望君紹介)(第七三七号)

 同(高木宏壽君紹介)(第七三八号)

 同(中川俊直君紹介)(第七三九号)

 同(中丸啓君紹介)(第七四〇号)

 同(保岡興治君紹介)(第七四一号)

 同(山井和則君紹介)(第七四二号)

 同(浅尾慶一郎君紹介)(第七四七号)

 同(井野俊郎君紹介)(第七四八号)

 同(岩屋毅君紹介)(第七四九号)

 同(大口善徳君紹介)(第七五〇号)

 同(橋本岳君紹介)(第七五一号)

 同(三原朝彦君紹介)(第七五二号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第七五三号)

 同(大見正君紹介)(第七六一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七六二号)

 同(國場幸之助君紹介)(第七六三号)

 同(白石徹君紹介)(第七六四号)

 同(田嶋要君紹介)(第七六五号)

 同(高市早苗君紹介)(第七六六号)

 同(渡海紀三朗君紹介)(第七六七号)

 同(中野洋昌君紹介)(第七六八号)

 同(小林鷹之君紹介)(第七八九号)

 同(助田重義君紹介)(第七九〇号)

 同(薗浦健太郎君紹介)(第七九一号)

 同(田野瀬太道君紹介)(第七九二号)

 同(棚橋泰文君紹介)(第七九三号)

 同(津島淳君紹介)(第七九四号)

 同(松本剛明君紹介)(第七九五号)

 同(武藤容治君紹介)(第七九六号)

 同(盛山正仁君紹介)(第七九七号)

 同(泉健太君紹介)(第七九九号)

 同(黄川田徹君紹介)(第八〇〇号)

 同(田中和徳君紹介)(第八〇一号)

 同(武部新君紹介)(第八〇二号)

 同(藤井孝男君紹介)(第八〇三号)

 同(牧島かれん君紹介)(第八〇四号)

 同(松浪健太君紹介)(第八〇五号)

 同(村上誠一郎君紹介)(第八〇六号)

 障害者の生きる権利を保障するヘルパー派遣制度に関する請願(上野ひろし君紹介)(第七〇五号)

 特定行為を診療の補助に拡大する法改正反対に関する請願(篠原孝君紹介)(第七四五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第七六九号)

 憲法を生かし、安心の医療・介護を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第七六〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 難病の患者に対する医療等に関する法律案(内閣提出第二四号)

 児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

 介護従事者等の人材確保に関する特別措置法案(柚木道義君外五名提出、第百八十三回国会衆法第二七号)の撤回許可に関する件

 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第二三号)

 介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(中根康浩君外七名提出、衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、難病の患者に対する医療等に関する法律案及び児童福祉法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省健康局長佐藤敏信君、職業安定局雇用開発部長内田俊彦君、雇用均等・児童家庭局長石井淳子君、社会・援護局障害保健福祉部長蒲原基道君、保険局長木倉敬之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西健介君。

大西(健)委員 おはようございます。民主党の大西でございます。

 きょうは、前回の委員会で山井委員が質問されました、顔マスク、鼻マスクを介した人工呼吸器を使っておられるALS患者の皆さんの、自己負担の上限千円の対象にならないという問題について、改めて御質問したいというふうに思います。

 前回の委員会のちょうど昼の休憩のときに、傍聴に来られていたALS患者の皆さん、それから御家族の皆さんと私もお話をさせていただきました。皆さんも、顔マスク、鼻マスクも当然、この人工呼吸器等、ここに含まれるんだろうと思っていましたということを言っておられました。

 きょうは、当事者の方からメールでメッセージをいただいておりますので、まず、それを大臣にお聞きいただきたいというふうに思います。

  私は二年前の一月に気管切開しました。

  その二年前の確定診断の時に、当時の主治医に、気管切開して人工呼吸器を使用する事を勧められましたが、入院中の担当医から「鼻マスクを使って、生活していく方法もあるよ」と言われました。

  当時、私は普通にしゃべれていたし、まだ子どもが小学校二年と一年だったので、私自身、まだまだ、もっと子供達と話していたいと言う気持ちが大きかったです。

  その後呼吸が苦しくなり、呼吸の補助が必要になった時、当時は鼻マスクと気管切開とどちらを選んでも医療費無料で変わらなかったので、気管切開をして声を失うのではなく、私は子供と話しが出来る「鼻マスク」を着けることを選びました。

  鼻マスクは約二年間使い続けましたが、生きるための呼吸の補助として「鼻マスク」を着ける事を決める時に、医療費が無料だった事は、私の中で大きく影響していたと思います。

  今国会で、気管切開して呼吸器を着けることと、鼻マスクで差をつける話が出ていますが、私の場合は、鼻マスクを着けた時、すでに二十四時間鼻マスクを装着していなければ呼吸が苦しく生きていけない状態でしたので、呼吸器を喉に着けるか、鼻に着けるかの差で、どうして、「鼻マスク」が呼吸器とみなされないのか、わかりません。

  今の私が生きて生活しているのは、今までの難病医療費の制度があったからです。

  もし今、私が呼吸器を着けて生きるかどうかを選択しないといけなくて、これから始まる新法の様な制度だったら、呼吸器を着ける事を諦め、今頃は、成長した娘の制服姿も息子の野球のユニフォーム姿も見ることができなかったかも知れません。

  それくらい、医療費の補助がある事は、低所得者には、とても重要なことなのです。

  そして、どうか、鼻マスクを呼吸器から、切り離さないでください。呼吸器から、切り離さないでください。

こういうメールをいただきました。

 今、大臣、しっかり聞いていただいたと思いますけれども、前回の山井委員の質問に対して、赤石政務官は、鼻マスク、顔マスクというのは取り外しが可能だからということを言われたんですね。ただ、これは、大変失礼な言い方ですけれども、私は全く的外れだと思います。

 というのは、今もお聞きいただいたように、鼻につけるか喉につけるか、この違いなんです。外せるといっても、その外すというのは、経口食をとるときとか、一時的に外すだけであって、二十四時間やはりつけていなきゃいけないんですよ。

 赤石政務官も、持続的に常時、生命維持装置を装着しているということを言っておられますけれども、そういう点では、気管切開して呼吸器をつけている場合と、鼻マスク、顔マスクの場合は、何にも違いはないんです。専門医の方も言っておられます。専門医の方も、NPPVという鼻マスクとTPPVという気管切開による呼吸器、これを分けることには何の意味もない、こうおっしゃっているんです。

 ただ、私も、鼻マスク、顔マスクといっても、正直、余り、初めはイメージができませんでした。きょう、皆さんのお手元に新聞の記事をお配りしているんですけれども、ここに、ちょっと不鮮明かもしれませんけれども、鼻マスクをつけておられる写真というのが載っているんです。これを見たら、これを軽症と言えるんでしょうか。私はそうは思わないです。

 そして、この記事に出てくる男性、この方は、記事を後でごらんいただければわかるんですけれども、気管切開という選択肢もある中で、あえて、顔マスクと息苦しさを緩和するためのモルヒネの投与、こういう選択肢もあるよということで、そちらを選ばれているんです。ですから、別に、気管切開していたら、そうなっていたんです。そういう意味では、重症度という意味では、全く変わらないんですね。

 ですから、鼻マスク、顔マスクだから軽いんだ、だからこの上限千円の対象にはならないんだということは、私はこれは全くおかしいのではないか。

 きょうも、雨が降っている中、朝から本当に大変な思いをして傍聴に来ていただいています。ここは、もう一度、田村大臣から、前回は政務官からの御答弁でしたけれども、この顔マスク、鼻マスクを介した人工呼吸器であっても、ALS患者の皆さんについて、これは上限千円の中に含めるんだ、あるいは、含めることについてこれから検討する、これぐらいどうして言えないのか、ぜひ御答弁いただきたいと思います。

田村国務大臣 人工呼吸器等を装着されておられる方々に関しては、定額での医療費助成という形にしているわけであります。

 その理由はなぜかといえば、やはり常時、生命を維持していくためにこれは必要であるということで、例えば人工呼吸器のようなものですよね、こういうものを常に装着している、さらに、日常生活において著しく制限があるというようなところに着目して、これは一月千円という提案をさせていただいておるわけであります。

 想定しておるのは、気管切開をされた後、人工呼吸器をつけられる方でありますとか、末期の心不全のような形の中で、補助人工心臓、こういうようなものを装着されている方、こういう方を対象としておるわけであります。

 政務官の方から、前回の委員会で、鼻マスク、口マスクというのは取り外しができるということで対象に今考えていないというような答弁がございました。要は、常時、生命維持装置を持続的に装着するというようなものと比較してどうなのであろうかという中で、取り外しができるというところに着目して、常時、言うなれば、これは継続してというものに当たるのかどうかという中での答弁であったということであろうというふうに思います。

 ですから、こういう基準をもとに、今般、今のところそのような判断をさせていただいておるということであります。

大西(健)委員 今、私が読み上げたメッセージを聞いていただいていたと思いますけれども、一時的に経口食をとるときに外すことはあっても、やはりこれはもう常時なんですよ。二十四時間つけていないと生きていけないんです。だから、これは常時、生命維持装置をつけていないと生きていけないという意味においては、先ほども言いましたけれども、鼻につけているか喉につけているか、この違いなんですよ。

 仮に、私は今、常時とか持続的にというところにこだわっておられるのは、恐らくですけれども、事務方にもちょっと内々聞いてみると、いや、鼻マスクみたいな人工呼吸器を使っている病気というのはほかにもありますよ、だから、そこに波及していくのを官僚の皆さんとしては懸念をされているというところはあるんじゃないかというふうに思うんです。

 今言ったように、鼻につけるか喉につけるか、ALS患者の皆さんにとっては同じだと。ALS患者の皆さんにまずは限っての話でありますし、それから、例えば脊損だとか、確かに呼吸障害の方も鼻マスクを使うことがあるそうです。でも、これは本当に一時的なものですよ。

 私たちが言っているのは、では、百歩譲ってというか、それがいろいろなところに波及するのを恐れられるということであるならば、例えば、一日何時間以上これを使っているということになれば、常時、持続的にと言えるとか、あるいは、毎日継続して鼻マスク、顔マスクを使用しなければ生死にかかわると医師が判断したときに限って、これは千円の対象に含める、これなら可能じゃないですか。

 そういう考え方もできるわけですから、私は、今の大臣の答弁を聞いて、せめて、そういう今私が申し上げた特定の場合に限って、これは人工呼吸器と一緒のように扱うということについても検討してみたいとなぜ言えないのか。それぐらいのあったかい答弁があっていいんじゃないかというふうに思っているんです。

 そして、こういう言い方はなんですけれども、今回の法改正で、山井委員も指摘されていましたけれども、ALS患者の皆さんというのは、言い方は悪いですけれども、何も得るものというのはないんです。ですので、せめてこれぐらい認めてあげることができないんでしょうか。

 前回の質疑の中で中根委員は、ALS患者の皆さんで人工呼吸器をつけている方が約千人だと言われました。私、きのう厚労省に、では、鼻マスク、顔マスクを使用されている方がどれぐらいいるのかということを教えてほしいと言ったら、これはちょっとわからないという話なんです。

 恐らく、そうはいっても、鼻マスク、顔マスクを使っているALS患者の皆さんを上限千円にしたとしても、これは大した財源じゃないですよ。この委員会で何回もやった入札不正の話、あの短期特別訓練事業、あれは約百五十億です。あれをやめましょう、国庫へ返納しましょう、百五十億出てくるんですよ。それに比べたら、何でこれぐらいのことができないのか。

 大臣がここで今、すぐやりますとは言えなくても、今委員からの御指摘もいただいて、いろいろな条件をつけることも含めて、何とか、鼻マスク、顔マスクを使っておられる方であっても、常時、持続的ということに読める方については千円にしていくということも検討します、これぐらい、ぜひ言っていただきたい。

 大臣、ぜひこれを言ってください。これはもう政治家としての田村大臣の御英断をいただきたいと思います。改めて、御答弁をお願いします。

田村国務大臣 短期特別訓練事業の話は、その入札過程で非常に不適切なことがあったことは申しわけないことでありまして、今、再入札、その後、これが応札がなかったものでありますから、次に向かって、民間の方々が入札に参加いただけるような要件で再々入札させていただこうと思っておりますが、これは、入札は不適切でありましたけれども、その事業に関しましては、皆様方にもその必要性を認めておられる方々はおられるので、これ自身をやめるという話は別個にしていただきたいというふうに思います。

 これは本当に、職業経験のないような方々が今現状の中においてなかなか就職ができないという中において、しっかりと力をつけていただきながら就職に資する、そのような事業でありますから、我々は、必要性はあるというふうに考えている。これは別個の話で、切り離してお考えをいただきたいと思います。

 その上で、先ほど来お話がございました、持続的に常時、生命維持装置をおつけいただいておるということ、さらには、日常生活動作が著しく制限をされる、一つこういうような基準があるわけでありまして、ここはしっかり専門家の方々に判断をいただくわけでありますが、今言われたような、本来は気管切開してその後人工呼吸器というものと、鼻マスク、口マスクというようなものとがどれぐらい同じ重症度なのかというようなお話でございました。専門家の方々にそこら辺の御意見をしっかりとお聞きをさせていただきながら、これから考えさせていただきたいというふうに思います。

大西(健)委員 短期特別訓練事業は別の話ですけれども、私は、でも、あれはもう、一回仕切り直した方がいいと思っています。別の話ですけれども、結局、何に金を使うかという話をまさにこの国会で議論しているわけですから、百五十億と比べて、これが何でできないのか。

 今の答弁ですけれども、検討するということでよろしいんですか。結局、今私が言ったように、例えば医師が、これは常時、持続的なものとみなしていいと言った場合に限ってとか、あるいは、一日、例えば二十四時間とは言わずとも、何時間以上は鼻マスク、顔マスクをつけていないと生きていけないという場合には含めることができるかどうかについて、検討するということでいいですか、検討していただきたいんですけれども。

 ゼロ回答ではなくて、今おっしゃったように、専門家の意見を聞いてみたいということでありますけれども、これは私が言ったように、いろいろな条件をつけてであったとしても、鼻マスク、顔マスクはもうそれだけでだめということじゃなくて、検討していただきたいと思うんですけれども、検討するという御答弁でいいかどうかの御確認を。

田村国務大臣 いずれにいたしましても、私はもちろん専門家ではありませんので、今委員が言われたような観点を専門家の皆さんにお聞きをさせていただいて、その後、判断をしてまいりたいと考えております。

大西(健)委員 ぜひ専門家にも聞いてください。先ほど私が言ったように、専門家の医師の皆さんは、この人工呼吸器と鼻マスク、顔マスクを区別することは全く意味がないとおっしゃっていますし、それから、ぜひ当事者の皆さんにも聞いていただきたい。当事者の皆さんにも、どういう実態で使っておられるか、これをぜひ聞いていただいて、結論を出していただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 次に、重症度分類等の考え方についてお聞きをしたいというふうに思います。

 現在、医療費助成の対象になっている五十六疾患の中でも、十二疾患については重症度分類を勘案して認定をしているということであります。今後、この法律の中で、症状の程度が重症度分類等で一定以上等であり、日常生活または社会生活に支障がある者というふうに書いてあるんですけれども、これを具体的にどのように考えるのか、この重症度というのを。当事者が納得できる客観的な基準というのを私は示していく必要があるというふうに思っていますけれども、この部分をお聞きしたいことと、あわせて、私、そもそも、この重症度分類という考え方そのものがどうなのかということを、違和感を持っています。

 というのは、治療を続けることで症状が安定している、そういう方がいらっしゃるんですね。でも、治療をやめてしまえば一気に重症化してしまう。あるいは、前回、私、一型糖尿病の話をしましたけれども、インシュリンを打っている、これは対症療法です。対症療法ですけれども、やめれば死ぬんです。あるいは、やめたり減らせば、失明したりとか人工透析になるということですけれども、大臣は前回、私の一型糖尿病に関する質問の答弁の中で、失明や人工透析になったら、これはいろいろなまた障害として認められますからという話をされていましたけれども、そうなってからでは遅いんです。

 軽症のうちに重症化しないようにする、このことが私は重要ではないかというふうに思いますけれども、この点についていかがお考えか、お答えをいただきたいと思います。

田村国務大臣 症状の程度が一定であり、日常生活、社会生活に支障があるというのが基準であるわけであります。

 それで、そういう意味では、厚生科学審議会のもとの委員会、この中の専門家の方々に御判断をいただいて決定させていただいていくということでありますが、軽症度の方をどう見るかという話なんですけれども、おっしゃるとおり、症状の軽い方も一定の医療を受けられて重症化を防いでおるという部分は当然あるわけでありまして、そこは我々も一定の評価をしなきゃならないと思っております。

 でありますから、高額な医療が継続してかかる方、長期にかかる方ということで、三万三千三百三十円というような一つの基準、三割負担の場合は自己負担一万円を超えればという話になるわけでありますけれども、この基準を超える場合に関しては年間三カ月という形の中で、これは今回の医療費助成の中に入っていただいて治療を受けていただくというようなことにさせていただこうと考えておるわけであります。

 全てをこの中に入れるかどうかというのは、この制度は難病の定義の中においてやっておるわけでありまして、その定義から離れるものに関してはなかなかこの制度では対応できないというのは、それ以外の疾病に関しても同じようなことはあるわけで、軽症のときに治療を受けて重症化を防いでいただく。これは委員、いろいろな疾病があるわけで、それを全て難病で対応することはできないということは御理解をいただけるというふうに思います。ですから、難病に対しての一定の指定難病という基準をつくらせていただいておるわけでありまして、ここは御理解をいただきたいというふうに思います。

大西(健)委員 私はやはり、そうはいっても、難病にもいろいろな種類があると思うんですね。先ほど言いましたように、対症療法的なものであるけれども、それがなければ重症化してしまう、あるいは生きていけないというものもあると思いますので、この重症度分類というのを考える場合に、単に軽症、重症、そういう線引きをするのはいかがなものかというふうに私は思っております。

 続いて、トランジションの問題、前回取り上げさせていただきました。これはもう平成十六年の法改正当時に宿題、検討課題になっていた、そして、当時の参議院厚生労働委員会の附帯決議にも明確に書いてあった、でも、何で今回また積み残しなんだ、その理由をこの間は聞かせていただきましたが、改めてきょう、資料として、成人移行した患者さんの医療費、資料の二枚目ですけれども、お配りしています。

 四十八歳の先天性の心疾患の方。この方の場合、身体障害者手帳一級で、東京都の心身障害者医療費助成制度を使っておられます。それでもなお、通院費を含めて年間二十四万円、こういう負担があるわけです。

 私、このトランジションの問題、この間は、何で今回も積み残しなんですかということを聞かせていただきましたけれども、きょう改めてお聞きしたいのは、今回でこの問題というのは打ちどめなのか。先ほどの話で、これはもう、この難病という制度ではこれが限界なんですと重症度の話のとき言われましたけれども、もうこれは打ちどめなのか、それとも、今回はできなかったけれども、このトランジション問題というのは根本解決に向けて引き続き検討していくことなのか、そのどちらなのか。

 そして、もし引き続きまだ、このトランジション問題、今回はできなかったけれども、やるということであれば、これは、我々も修正案を出させていただいていますが、検討事項のところに、このトランジション問題というのは引き続き問題として残っているんだと明記をしていただきたいと思いますが、この点いかがでしょうか。

田村国務大臣 小児慢性特定疾患の方から難病の方の医療費助成という意味では、これは全てが入るわけではないということであります。

 ただ、一方で、指定難病の範囲も広げるということで、五十六疾病から三百、これを超える疾病数に向かって今いろいろ御議論をいただいておるわけであります。ですから、そこで、一定程度の範囲の拡大の中で該当する方々はもちろん出てくるわけでありますし、ほかにも自立支援医療も受けられるという方も出てこられると思います。

 そういう意味からいたしますと、一方で自立支援事業等々を法律に明記して、例えば相談事業をやってしっかりこれを強化しながら、あと、例えば日常生活の支援という意味で、レスパイトでありますとか、さらには交流事業でありますとか、さらには就職支援でありますとか、いろいろなメニューをそろえながら自立に向かって御支援をしていくということはやるわけであります。

 医療費助成というところに限って申し上げれば、これで打ちどめなのかというお話でございましたが、前から申し上げておりますとおり、指定難病の範囲というものはこれで打ちどめではないわけでございまして、これは四つの要件と二つの要件、合わせて六つの要件でございますけれども、これに該当をしていけば、これからも最終的には指定難病という道はあるわけでございます。これで指定難病の数が決まって、打ちどめというわけではございません。

 でありますから、その範囲の中においてこのトランジションの問題が、一つずつ該当していくという可能性はあるわけでございますから、そういう意味からいたしますと、打ちどめという話ではないということであります。

大西(健)委員 指定難病についてはまだ拡大する可能性がある、この件については、また後ほど改めてお聞きしたいと思いますけれども、ただ、それでもやはり溝は、谷間は残っていくという意味においては、このトランジション問題の根本解決というのは図られないということだと思います。

 次に、医療体制のことについてお聞きしたいんです。

 難病患者の皆さんが医療を受けることができる医療機関、これは、今の医療受給者証にその医療機関名が書いてある書いてない、それに関係なく、あるいは、数についても制限なく複数の医療機関が受けられるということが現状だというふうに聞いております。今後、この法改正後、難病患者の皆さんからは、例えば複数医療機関の利用が認められなくなるんじゃないかとか、近くに指定医とか指定医療機関がない場合に、遠距離に通院しなきゃいけなくなるんじゃないか、そんな心配の声があるんですけれども、この点についてはそういう心配はないんでしょうか、いかがでしょうか。

土屋副大臣 難病法案においては、医療費助成の対象となる医療を提供する医療機関を、都道府県知事がその開設者の申請に基づき指定することとしております。

 こうした医療の提供に当たっては、医療に関して一定の質が確保される指定医療機関において行われることが必要であり、また、良好な治療関係の継続や医療費の管理上の必要性から、受診する医療機関を指定医療機関の中から定めることとしております。

 新たな難病の医療費助成制度においては、その運用において、医療機関が必要以上に制限されることなく、難病の患者が病状等に応じて適切な医療機関で継続的に医療を受けられるよう、都道府県に対して適切に助言してまいりたいと考えております。

大西(健)委員 今のお答えのように、過度に受診できる医療機関の制限が加わるというようなことがないように、ぜひしていただきたいというふうに思っております。

 次に、先日の参考人質疑で、膠原病友の会の森さんが、膠原病専門医というのは少ないんだ、地域的にも非常に偏在をしているという話をされていました。

 また、国立成育医療センターの五十嵐先生は、昔は亡くなってしまっていた先天性の心疾患患者が、医学の進歩で助かるようになってきた、そういう中で、成人先天性心疾患という患者さんがふえてきた、やっと大人の循環器学会の中に成人先天性心疾患の外来というのをつくる動きが出てきたんだということを紹介されていました。

 ただ、患者の皆さんあるいは家族の皆さんからは、心筋梗塞とか狭心症とか大人の心臓病と、先天性の心疾患というのは、同じ心臓病でもこれは全く違うんだと。ですから、大人の心臓病を診ている成人の循環器の先生には、やはり診られない。ですから、大人になっても小児科の先生に引き続き診てもらっているという、これが現実なんですというお話がありました。

 今回の法案で、先ほど言ったように、なかなか専門医がいない、あるいは今のように、引き続き小児の先生に診てもらっている、こういう医療体制、これをどのように確保していくおつもりか、この点についてお答えいただきたいと思います。

土屋副大臣 難病の診断や治療は、専門性が高いことから多くの診療科が携わる必要があり、難病にも対応できるには、高い専門性と経験を有する拠点病院を三次医療圏ごとに原則一カ所以上、それから、地域医療の推進や入院・療養施設を確保するための地域基幹病院を二次医療圏に一カ所程度確保していきたいと考えております。

 特に、難病の診断は難しく、診断がつくまでに時間がかかることもあることから、拠点病院、国立高度専門医療研究センター、難病研究班、それぞれの分野の学会等が連携して、全国的な難病医療支援ネットワークを形成し、早期に正確な診断を行うことを目指すこととしております。

 一方で、難病の日常診療については、医師の専門性と患者アクセスも考慮に入れつつ、拠点病院や地域基幹病院と連携して広く指定医療機関において対応できることを目指すため、治療ガイドラインを広く周知し、治療内容の均てん化を図っていきたいと考えております。

大西(健)委員 今、お答えの中に医療アクセスというお話がありましたけれども、先ほどの先天性心疾患の患者さんの医療費の表を見ても、通院費というのが結構かかっているんですね。今申し上げましたように、難病患者の皆さんの中には、県境を越えて通院をされる、こういうことも珍しくありません。

 そういう中で、難病患者の皆さんからは、通院費、交通費、この助成というのができないのかというお声をよく聞くんですけれども、この点についてどういうお考えなのかというのをお聞きしたいのと、あわせて、例えば公共交通機関の運賃割引。障害手帳を持っていると公共交通機関の運賃割引なんかがしてもらえますけれども、同じように、難病手帳とか難病カード、こういうのを発行したらどうか、こういう議論があると聞いていますけれども、これについての厚労省のお考えをお聞きしたいと思います。

土屋副大臣 難病患者の方々からは、交通費等のさまざまな負担を抱えて大変厳しいという声も伺っております。

 助成については、限りある財源を有効に活用するという観点から考えますと、なかなか、通院のための交通費を補助することは、今のところ考えておりません。

 また、障害者手帳で設けられているような公共交通機関の運賃の割引等については、事業者に御協力いただくことが非常に大きい助けになると思います。

 なお、手帳制度とは異なりますが、難病患者データの登録を行った患者に対して、関連情報を付加した難病患者登録証明書を発行することを考えておりまして、患者が各種サービスを受ける際に活用できるようにするなど、検討していきたいと考えております。

大西(健)委員 交通費の助成は難しいという話でしたけれども、公共交通機関の運賃割引、これは、また改めて、事業者の協力が必要ということでしたけれども、事業者にも厚労省からも働きかけていただきたいというふうに思います。

 先日の参考人質疑で、難病のこども支援全国ネットワークの小林会長が、子供の難病の特徴としては、幼い兄弟がいると。ですから、例えば、入院中、受診中に廊下で居場所がなくて遊んでいる、だから、院内に保育施設というか、預かってもらえるような施設があるとありがたいみたいな、こんな話がありました。

 また、子供の難病では、入院した場合には、親が長期間にわたって付き添う必要があります。親は何日も病院のソファーで寝泊まりして、もう疲労こんぱいして、そのために心の余裕もなくなってしまうということもあるというふうに思います。

 きょう、資料を一枚お配りしたんですが、資料の三枚目、これは、公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン、あのマクドナルドさんが、実は世界じゅうでこういう施設を展開されている。日本でも、一人一日千円で病気の子供の家族が滞在できる施設というのを展開されています。

 私は、これは大変すばらしい取り組みではないかなというふうに思います。今申し上げたように、子供の難病については、幼い兄弟のケアとか、あるいは家族が長期間滞在できるこういう施設とか、こういう支援というのが私は大変重要ではないかというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。

田村国務大臣 お子さんがおられて、家族の中で、通院等々を含めて非常に御苦労されておられるということに対しては、今回法律に明記をさせていただきます自立支援事業、この中で、都道府県の任意事業になりますけれども、介護者支援というのがございます。

 これは、今言われたような通院等々に関する付き添い、こういうものに対する事業でございまして、こういうもので対応いただくという形になってこようというふうに思います。

 特に、子供の場合、小児慢性疾病の場合は、そのようないろいろな御苦労もあられるということもございますので、自己負担分を含めてでありますけれども、これは難病と比べて二分の一というような負担にしておるというところの一つの理由、根拠にもなってくるわけでございまして、そういうところにもしっかりと対応をさせていただかなきゃならぬというふうに考えております。

大西(健)委員 私は、ぜひ、こういう取り組みをやられている民間の団体もあるということですから、こういう取り組みを側面から国も支援するというようなことも考えられるのではないかなというふうに思っております。

 次に、再び参考人質疑のときの話でありますが、毎日新聞の記事を資料としてお配りしましたけれども、線維筋痛症友の会の橋本理事長、先日この委員会にお越しになって、意見陳述をしていただきました。大臣はその場にはいらっしゃらなかったので、ぜひ聞いていただきたいんですけれども、橋本理事長が次のように述べられました。

 忌憚なく話してよいというふうに言われましたので、言ってもよいでしょうか。私だけですね、この法案に反対しようとしているのは。法案が送られてきて、一ページ目を開いて、ショックで死にそうでした。なぜかというと、希少、〇・一%と書いてあるわけです。私が言いたいのは、病名で区切らないでください。この病気だから難病指定にするとか、これはだめだとか、そういうことは言わないでほしいというのが切実な願いなんです。どうしても、この希少難病を対策しなければいけなくて、限定したいのであれば、この法案の名前の難病というところを希少難病に変えてください。

 こうおっしゃったんです。

 私は、本当に切実な訴えだなというふうに思いました。この希少という条件でどうしても区切るというならば、法案名を希少難病に変えればいいじゃないか、これはちょっと私は、聞いて、何と答えたらいいんだろうと。

 大臣、この橋本理事長の、病名を希少難病に変えればいいじゃないか、この切実な訴えに、大臣はどうお答えになりますか。

田村国務大臣 私は参考人のときに出席をしておりませんでしたので、直接はお聞きをしておりませんが、この記事は私も拝見をさせていただきました。また、どういうような御議論があったかというのは、簡略には話は聞かせていただきました。

 今、希少という言葉をつけるべきであるというようなお話であったということでございますが、なかなか難しいんですけれども、難病の定義をまずしている中においてその希少性というものが入っているわけなので、今般の難病の定義の中にもう入っているということでございます。これは四つの要件があるわけでありまして、もう委員も御承知のとおりであります。

 でありますから、ここに希少難病というと、希少な疾病で四つの要件に関するものの希少という話になりますので、それは、希少難病という言葉をつけること自体はなかなか難しいというふうに思います。

 これから、いろいろな、線維筋痛症も含めて、どのような範囲になるかという話になってくるんだというふうに思いますが、少なくとも四つの要件、さらには、指定難病の場合は、その希少性に関しても人口の〇・一%程度という要件と、それからもう一つ、客観的な診断基準というもの、これがあるわけであります。さらに、個別の施策に対して体系的なものがあるというようなもの。そうなりますと、これは難病から外れるわけでありまして、その意味では、慢性の痛みに対する対策というものが、一方で今施策としてあるわけでありまして、そちらの方でいろいろな調査研究が進んできておるということもあるわけであります。

 いずれにいたしましても、線維筋痛症が入るかどうかということに関しましては、これから、それぞれの要件を踏まえて、議論をいただくことになろうというふうに思います。

大西(健)委員 私は、本当に文字どおり、希少難病と法案名を変えればいいじゃないかということを言っているんじゃなくて、この訴え……(発言する者あり)そうなんです、皮肉なんです。ここまで言われて、それに対して、政治家として大臣が橋本さんに対してどうお答えするのかということをお聞きしているんです。

 橋本さんは次のようにも言われています。

 希少難病というのは五百あると、ずっと厚労省は言ってこられました。では、何で今回、三百なんですか。何で五百全部対象にする、できるかどうかは別にして、対象として検討するというところに五百になっていないんでしょうか。それはとても違和感を感じています。まず希少難病をやって、これは橋本さんも否定されていないんです。まず希少難病からやる、それは否定していない。希少難病をやって、それからもっと広い、全ての困っている病気の人、障害の人を助けていく方向であるというのであれば、私は少し待つつもりはありますけれども、現在のところ、そういう約束もされていませんので、非常に今は反対しているわけです。

 こうおっしゃっているんです。

 線維筋痛症の患者は約二百万人いるということになると、この希少性という条件からは対象にならない、また、障害者総合支援法の対象外でもある。でも、患者数が多くても、長期にわたって生活に支障を来して、経済的にも困窮をしている人々、これを見捨てていいのか、これが橋本さんの訴えなんです。

 そして、生きていく希望を失い、医療費が払えないために、治療や検査を控えたりして命を落とす者も出ている。線維筋痛症友の会で把握している中でも、四十一名の方が自殺をされている、十五名の方が突然死をされている、こういう事実があるわけです。

 そこで、改めてお聞きしたいのは、先ほど、今後も難病の範囲は拡大していくんだということをおっしゃっていましたけれども、その意味は、今後も、希少性を含む要件を満たすものが出てきた場合には三百に追加していきますよという話なのか、それとも、橋本さんがおっしゃっているように、今回は希少性ということですけれども、将来的にはそうじゃない方も含めて、対象にならなかった方も含めて、将来にわたってはまた引き続き検討していくということなのか、そのどちらなのか、これを明確にお答えいただきたいと思います。

田村国務大臣 五百というのは、難病で、今研究事業でやっている数であります。その中で、要は、今の基準をクリアするものは、判断をいただいて、これから指定難病になっていくということであります。

 なぜ希少性というものに焦点を絞るのか。これは、委員、前からもうお聞きのとおり、一方で福祉の部分もありますが、研究事業であるというところがある。でありますから、症例が少ないものに対して症例数を集める、そして治療。難病対策の究極は、まさに治療法等々を確立していくことでありますから、そのための事業という色彩もあるわけであります。福祉だけではないわけであります。

 それは、難病だけではありません。気の毒な方々はたくさんおられます。その方々を全てお救いしたいという気持ちは我々にもありますが、一方で、財政的な制約というものはあるわけでありまして、難病以外、線維筋痛症がどうなるかわかりませんが、ほかにもいろいろな、がんも含めて、長期的な治療をされる中でお苦しみの方々はおられます。

 どこかでは線を引かざるを得ない。それは我々もつらいですが、あなた方も与党を経験された中で、そのつらさは十分に御理解をいただいておるというふうに思います。

 その中で、今回の難病の範囲の中に、これからも、基準をクリアするものがあれば、ただし、客観的な診断基準というものがなければ、そもそもどういう診断をしてその病名に当てはめるのかという問題がありますから、そういう幾つかクリアしなきゃいけない問題はありますけれども、それをクリアすれば、そのときには対象にしていくということになろうと思います。

大西(健)委員 今のお答えだと、結局、今の条件をクリアしたものが三百に追加されていくかもしれないけれども、例えばこの線維筋痛症みたいなものは、希少性という条件がある限り入っていかない、私は、このことを聞いて、今、橋本さんがどうお感じになるんだろうかというふうに思って御答弁を聞かせていただきました。

 もう一つ、希少性ということについて最後にお聞きをしたいと思うんです。

 今言ったように、線維筋痛症は二百万人患者がいると言われていますけれども、例えば、丁寧な病型分類を行っていって、難治性タイプのものだけを切り出せば、数を絞れるんじゃないかみたいな、そういうことを言う人もいます。

 また、ちょっと違うかもしれませんが、先日の参考人質疑で、膠原病の話、膠原病と総称されるものの中にも、全身性エリテマトーデスとかチャーグ・ストラウス症候群とか、病名が実は何か細かく分かれていて、その中には、指定疾患もあれば、そうでないものもあるということですよね。

 だから、仮に、こういうふうに病型分類を細分化していって、それごとに名前をつけていけば、一見数が多いものも数を絞ることができるということが、もしこういう考え方が成り立つのであれば、これはある意味、病名自体も恣意性があるということが言えるんじゃないかというふうに思いますけれども、こういう考え方というのは成り立ち得るんでしょうか。

田村国務大臣 委員今おっしゃられましたように、膠原病というのは個別の疾病名ではないわけでありまして、総称であります。その中で、今委員言われたとおり、全身性のエリテマトーデス、それからベーチェット病などは、指定難病になる可能性は十分にあるわけであります。

 そういう意味からいたしますと、これはもう今の難病の対象になっておりますので、そういう可能性は非常にあるわけでありますが、線維筋痛症がどうかというのは、これは今研究をしておる最中でございますから、その研究をしていく中において、どのような成果が出てくるかということでございます。これは慢性の痛みに対する対策という中においてやっておられる事業でございますから、その結果どのような調査結果が出てくるかということに関して、我々としては判断していこうということになろうと思います。

大西(健)委員 私が聞いたことに対する答弁ではないんですが。つまり、私は、難治性のタイプだけ切り出すみたいな、そういう考え方があるのかということをお聞きしたんですけれども、時間になりました。

 この法案については、難病患者の皆さんからは早期成立を望む声があります。一方では、皆さん、声を上げておられないですけれども、自分は負担増になるけれども、あるいは自分は何もプラスはないけれども、ほかの困っている人のためだからといって我慢しておられる方がいる。あるいは、今回の質疑でも明らかになったように、確かに対象拡大するけれども、今度また難病患者の中に、指定対象になる人とならない人という新たな線が引かれる。そういうことを考えると、やはり私は非常に何とも言えない気持ちになります。

 ですから、何度も言いますけれども、これで終わりということじゃなくて、これからもさらによい制度にするために検討を続けていく、このことを求めて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

後藤委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩です。

 昨年の臨時国会から続いているこの難病法案に対する議論、我が党としては私のこの時間で最後の質疑ということになりますので、若干、今までの議論と重なるところもありますけれども、確認をしながら質疑を進めてまいりたいと思います。

 これまでの議論においても、消費税が上がり、生活全般のコストがアップしている状況であるにもかかわらず、低所得者の自己負担が引き上げられることや、ALSで人工呼吸器を装着している人たちの自己負担を引き上げるということについては、まだ私たちは、大臣の御答弁について納得できているわけではありません。

 大臣、特にALSの方を例に挙げますが、声を失いたくない、あるいは、大変大きな経済的な負担を伴う治療、療養生活ということになりますので、家族に迷惑をかけたくないという思いが交錯をされると聞いております。生きるためには人工呼吸器をつけなければならない、しかし、声を失いたくない、家族に迷惑をかけたくないという思いの中で、人工呼吸器をつけないという選択もあるわけであります。

 大臣、一つ、これは通告しておりませんけれども、お尋ねさせていただきますが、人工呼吸器をつけていない方、これはALS患者さんの場合は必ずしも軽症ということは一般的に言えないと思いますけれども、人工呼吸器をつけていない方で、例えば障害年金をもらっていまして、これは、障害年金を一年もらうと、年収が百万円程度ですか、そういうことになります。そういった方々は、私がお配りした資料三になりますけれども、この自己負担限度額の表のところでいうと、これはどこに当てはまりますか。人工呼吸器をつけていない方で、障害年金しか収入がない方、これはどこに当てはまりますか。

田村国務大臣 中根委員の提出資料の三ページでいいんですかね。

 本人年収が八十万超ですから、低所得二、市町村民税非課税世帯ですね、それで、一般、高額かつ長期、この範疇に入ってこられるというふうに考えます。

中根(康)委員 そういうことだと思います。

 つまりは、人工呼吸器をつけていないALS患者さんは、一般と分類されて、毎月五千円払うということになるわけであります。一月当たり、障害年金だと、八万円とか九万円とかという月収ということになりますが、その中から、医療費だけで五千円、そして、先ほど大西委員からの話もありましたように、交通費、介護費、あるいは、病気になったがゆえに必要になる家のバリアフリー改修、車椅子、病気になったがゆえに必要な衣料、それから、さまざまな衛生用品、おむつ代、こういったものがかかってくるわけであります。これは相当大きな、重い負担だというふうにやはり思いますよね。

 そういったことを見たときに、今回の法案が成立した場合に、ALS患者さんにとって、いいことは何かあるんですか。あれば、それをぜひここでPRしていただきたいと思います。

田村国務大臣 ALSの患者の皆さんのみならず、今のこの範疇に入られる方、一般と、高額かつ長期という範囲でありますけれども、ここに入られる方々にはこの御負担をお願いすることになろうというふうに思います。

 何がいいことがあるか。

 これはもともと、調査研究という事業からスタートをいたしておるものであります、もちろん、一定の福祉的な意味合いはあるわけでありますけれども。そういう意味からいたしますと、やはり、病態の解明、それから治療法、医薬品の開発、こういうところは大きなメリット、これからこれは、言うなれば法律にのっとった義務的経費という範疇になりますから、症例を一定程度集めるのには、しっかりと予算というものはついてくるわけであります。

 それから、拠点病院の整備でありますとか地域基幹病院の整備、こういう形の中において日々の治療等々を受けられる、こういう整備も進んでくる、このように考えるわけであります。

 あとは、難病相談・支援センター、こういうものに関しましても、今まで以上に、しっかりと法律にのっとって対応していくという形になってくるわけであります。

 決して医療費助成だけがこの難病の対策ではないわけでございまして、そのようなさまざまな支援の強化の中において、究極は治療法また医薬品等の開発、これによって、根治すれば一番いいわけでありますけれども、根治できないという形の中においては、その症状等々を抑える、または和らげる、改善させる、このような治療法や医薬品、こういうものの開発が進んでいくということが大変大きな我々としての目標であります。

中根(康)委員 確かに、法律全体を見れば、さまざまな前進しているところもあるんだろうと思いますけれども、しかし、今の大臣の御答弁でも、今ALSで苦しんでおられる方にとっては、結局、いいところがないという内容になってしまうんですよね。消費税だって、将来の少子高齢社会の負担をみんなで分かち合いましょうということを言ったって、なかなか全ての国民の皆様には御理解がいただけない。それと同じようにと言っていいのかどうかわかりませんが、将来、難病医療体制がしっかり整うかもしれないから、だから今、今の患者さんは、申しわけないけれども犠牲になってくださいというようなことを言っているにも等しい御答弁だったと思います。

 せめてという言い方を我々させていただいておりますが、せめて、これほど重症の患者さんの医療費の自己負担であるとか、こういったものは今までどおり無料にしていくということに対して、決してこれは、ほかの制度と不公平であるとか国民の理解を得られないとか、そこに税金を投入するなというような声は上がってこないだろうと私は考えさせていただいています。

 特にALSさんは、進行が早い。だから、今は一般であっても、すぐに人工呼吸器をつける、鼻マスクをつけるということになるかもしれない。そういった進行の早い、大変重篤な状態の患者さんに、今、一般の五千円を毎月お願いするというのは、やはりおかしいと思います。納得できません。

 しかも、御家庭の状況によっては、お子さんが学校に行って学費がかかるかもしれない。場合によっては、親御さんの介護にお金がかかるかもしれない。こういったさまざまな生活実態をきちんと反映した難病対策、あるいは医療費の自己負担のあり方であってほしいと重ねてお願いをさせていただきたいと思います。

 病名にかかわらず医療費助成が行われるべきこと、病気によって生活に困難さを抱え、支援の必要な方には障害者総合支援法によるサービス、これも難病の枠にとらわれず利用できるようにされるべきこと、または、難病対策に地域間格差が生じないようにするべきこと、こういったことを、これまでの議論の中で、全ての政党の方々が、私たち民主党も含めて求めてまいりました。しかしながら、これらの問題が、ほかの制度との公平性やバランスという理由で難病患者さんのお気持ちや御意見に十分寄り添っているとは言えない大臣の答弁が、残念ながらこれまで繰り返されてまいりました。

 資料二、三というところ、先ほど使ったものも含めてなんですが、二と三に関して質問をしてまいりたいと思います。

 これは先ほど冒頭に御質問したことと同じようなことですし、先ほど大西議員が指摘をしたことにも重なりますけれども、指定難病であって症状の程度が一定以下の人、つまりは軽症の患者さんは、特例で、月ごとの医療費総額が三万三千三百三十円を超える月が年間三回以上ある場合のみ医療費助成の対象とされております。

 ここで何度も話が出ておりますように、薬を飲んで治療をして軽症を維持しているという方が多いわけでございますが、三万三千三百三十円を超える月が例えば年二回にとどまった場合は医療費助成の対象とならず、年間を通すと、重症で医療費助成の対象となる方よりもむしろ負担が重くなってしまうということになります。特に、低所得の方の場合、それが顕著になるわけであります。

 繰り返しの質問になるかもしれませんけれども、ここの部分、これは何とかならないでしょうか。やはり軽症の方でも、医療費の多少にかかわらず、助成対象にすべきではないか。軽症の方というか、重症でない方の医療費助成をなぜ打ち切るのかということについて、改めて大臣、御答弁をお願いします。

田村国務大臣 まず、全ての方を救えるものなら何とかしたいという思いは、それは我々も厚生労働省でありますから持っております。しかし、限られた財源の中において、難病のみならず、ほかにも大変困っておられる方々はいっぱいおられます。

 しかし、その中においては、医療保険制度の中で高額療養費という制度があり、多数該当という、その中で該当すれば高額療養費がさらに下がるというような制度があるわけでありまして、日本の国の保険制度というのは、さまざまなお困りの方々に対してそれで対応をしておるというのが現状であります。

 それから離れて特別な制度という中で、いろいろな状況の中において医療費助成というのがさらにそこにあるわけでありまして、そういう意味では、日本の医療保険制度というものは、基本的に、非常に困っておられる方々に対しても対応しておる制度だという御認識は共通理解として持たせていただきたいと思います。

 そして、難病というのは、その中において、研究開発、つまり非常に希少な疾患に対して、治療がなかなか症例が集まらずに研究が進まないというものに対して、どのように症例を集めていくか。ですから、先ほど線維筋痛症というのが、まだわかりませんよ、これはまだ決まったわけではありませんが、議論の中に出てくるというのは、そこで、多い病に対しては一定の症例が集まって、そしてそこは研究が行われるであろうという部分。そして、これに対しては、慢性の痛みに対する対策というものがあって、そちらの方向で、違った体系の中でいろいろな研究をされておられるという部分があるわけであります。

 そして、希少なものに関して、一定の診断基準がつくものに関しては、もちろん研究のため、治療法を確立するためという意味合いもありますが、一方で、これはこのような形の中に入るわけでありますから、重い方々それから医療費が継続してかかる方々、こういう方々に対しては、一般の医療体系でのいろいろな保険の中における言うなれば上限というものから離れて、さらに医療費を助成しようという制度になっているわけであります。

 ただ、様態だけ見れば、難病と同じように頻繁に医療費のかかる方が実は難病以外の方々にもおられるという実態もあるわけでありまして、そこの公平性でありますとか、いろいろなことを考えたときに、なかなか他の制度で、法律にのっとって、制度にのっとって、義務的経費で医療費を出しておるというものの中において、無料というものはないという中において、そこのバランスというもの、さすればそちらの方も無料というような話になってくれば、これはどんどんどんどん広がっていく。さらに、軽症者の中で医療費が継続してかからない方々、こういう方々まで広げていけば、その分だけやはり資金というものが、財源というものがかかってくる。

 いろいろな意味で、本当は我々としてもいろいろな困った方々を助けたいという思いはあるんです。ただ、そこは、残念ながら、限られた財源の中で、他の制度とのバランスの中でということもこれは念頭に入れざるを得ないという中で、今般、苦しみながらでありますけれども、それぞれの関係者の方々も検討会の中に入っていただいて、全くこれで問題ない、満足だと言わないけれども、ここら辺のところでお互いに我慢し合いながら、今度新しく範囲が大きく広がるんだからということで一定の御理解をいただいたということでございます。

 もちろん、十分に満足されておられないというのは我々も認識をいたしておりますけれども、このような事情の中で今般法律を提出させていただいておるということでございます。

中根(康)委員 今の大臣の御答弁は、私は、大臣の苦しいお立場の中での本音がかいま見えた、本音というか本当の気持ちがかいま見えたような気がいたします。本当はというふうに強調しておられたわけでありますし、お互いに我慢し合いながらというようなことでありますけれども、本当はというところでいえば、これは、担当の局長さんであっても、あるいは課長さんであっても、そういう厚生労働省の担当の職員の皆様方の方が、むしろ我々よりも場合によっては当事者の方々から切実な声を聞いておられる、受けとめておられるというふうに思います。

 ですから、本当は救いたいんだ、だから、それは役所だけではできない、例えば、財務省がお金をつけない、ほかの制度との公平性だということを言い張るのであれば、そこは大臣が政治家として闘ってもらいたいと局長さんや課長さんだって本当は思っておられるんじゃないかと私は推測をいたします。

 お互いに我慢をし合ってということでいえば、政治家が、あるいは行政が我慢をするのは、これはしなきゃいけないと思います。例えば、月額千円の負担で千人の人工呼吸器をつけた方々の負担を計算すれば、年間で一千万円ちょっと。これは、国会議員を一人減らせば、厚労省の役人一人減らせば、全くそれとイコールとは言いませんけれども、考え方、物の見方としてそういう額であるわけであります。

 そのことによって救える命があるとするならば、そのことを理由に国会議員の定数を削減したっていいじゃないですか。大臣にここで闘ってもらうということを国民は期待しているし、私は、厚労省の職員の皆さんだって、大臣はまさに我々よりももっとこの厚労分野で働いてきた、活躍してきた経歴の長い大臣なわけでありますので、そこを、財務省と闘ってもらえるということを期待しての一年半ということであったんだろうと思います。

 次に、これまでの答弁でも、根治に至る新薬の開発はそう簡単にはいかない、今も大臣は、ここが大事なところだし、そこにこれから力を注いでいくというような御答弁もあったわけでありますけれども、それぞれの難病ごとの専門医を養成することも実際にはかなり難しい、容易なことではないというふうに思います。

 その意味でも、難病患者さんの生活の支援を医療だけではなく介護や福祉の観点から行うということが、これまでも多くの議員からたびたび指摘をされてまいりましたが、極めて重要だということは明らかであります。しかし、法案は必ずしもそうはなっておりません。

 資料四を御参照いただければと思います。神経難病ジストニアの方から教えていただいたものでありますけれども、「患者の悩みは?」というところで線が引っ張ってあるところをごらんいただければいいわけなんですが、神経難病ジストニアの方々の生活ぶり、医療以外にも、先ほどのALSの方と同じです、生活に大変さまざまな負担を強いられている。しかし、障害福祉サービスは利用できない。

 また、例えば、これまでの話にもありましたけれども、慢性疲労症候群の方は、原因不明、治療法未確立、診断基準はある。しかし、患者数が〇・一%を超えるため医療費助成は受けられないし、障害福祉サービスも利用できないという現状となっております。

 資料五、二〇一一年改正の障害者基本法では、「その他の心身の機能の障害」ということで、難病の方々が含まれることになりました。二〇一三年の障害者総合支援法の成立で、難病が障害福祉サービスの対象となりました。ただし、このとき、今もそうなんですが、難病ヘルパー事業と同じ範囲ということで、百三十だけが対象になっているということでございます。そして、今回は見直しを図り、対象範囲を拡大する。

 病気の人は皆さんそうだと思いますけれども、特に難病の方は、自力で病院に行くこと自体が大変な負担である。場合によっては、医者に行った後、寝込んでしまうということにもなりかねない。日常生活の、入浴だとか、掃除だとか、洗濯とか、ごみ出しだとか、料理、こういう普通の家事でさえ、困難や苦痛を伴うこともある。

 資料六、これは前回も指摘をさせていただいて、厚労省につくってもらったものでございますけれども、ここにありますように、難病の方で介護保険の要支援認定を受けている人もいらっしゃる。こういう介護が必要な状況に備えて、これは介護保険の話になりますけれども、介護保険料を国民の皆さんは払ってきたということでございます。

 こういう日常生活を支える要支援、ホームヘルプサービスなど、これを、保険料を納めてこられた国民の皆様方の期待に反する形で保険の対象外にしてしまう、いわゆる要支援切りが、今回の介護保険の見直し法案の中で提示をされているわけでありますが、これは私は、国民との契約違反だと考えさせていただいております。特に難病の方々なんかはそうだと思いますが、専門的なケアが受けられるとして介護保険料を払ってきた。しかし、それが受けられなくなる。特に難病の方々は、そういった病気を十分理解した上での専門的なケアが必要で、とてもボランティアの方々では対応しかねるということになるんだろうと思います。

 医療費助成がない人でも、せめて専門的で適切な福祉や介護で対応してもらいたいと願っている国民の皆様に対して、大臣はどうお考えになるかということでありますけれども、資料七、これは、今までの大臣の御答弁の議事録を添付させていただきました。

 七の一のところで、大臣は、まず、指定難病、難病指定されているもの、これと、今福祉サービスを受けられる範囲というものは、連動しているわけではありませんとお答えになっております。ただ、ただということで、その検討の過程において、指定難病が決まれば、それを検討した上で福祉サービスの多寡といいますか必要性、これに応じて受けられる範囲を決めていくわけでありますが、自動的に連動しているわけではありませんと、重ねて、連動しているわけではないということをまず御答弁いただいております。

 しかし、質疑を重ねていくと、下の段の方になりますが、五十六疾患、これを今回三百ぐらいに広げるわけですね、医療支援という意味からすると、これが決まることがまず前提です、やはり決まったものを見て、それから、どれぐらいのところなのかなということを検討するということでございますと、だんだん連動というトーンが強くなってきているわけであります。

 七の二の方に行くと、客観的な診断基準が確立されていませんと、そもそも難病という中において範囲を決められませんから、それは絶対外せないわけでありますと。

 その後は、診断基準もない、しかし、どうも状態は不安定だ、これはサービスを受けざるを得ないというものは、さすがにこの範囲には入ってこれない、まずは客観的な診断基準というものをしっかり確立していただいたものが対象となるということになると。

 下の段ですが、病名がなきゃ決まらない、そこは外せないわけでありまして、病名がなきゃ決まりませんが、その病名で決まった人の中で入る人と入らない人がいる、病名がないのに状態だけで入るということはまずあり得ないということでありまして、病名があった上で、その状態を見させていただいて、福祉サービスの範囲に入る、入らないということは決めるというようなことであります。

 一番最初に聞いた大臣の答弁では、おっ、これは期待が持てるというふうに一瞬思ったわけでありますが、やはり大臣の御答弁は医療費助成と福祉の対象は連動するというもので、これはまさに難病患者さんの実態に応えていないということだと思います。

 資料八、これは新聞記事になりますけれども、ここで線を引いたところをまたごらんいただければと思います。

 障害者総合支援法は、今後、程度区分から支援区分へと見直されていくわけであります。つまりは医療モデルから社会モデルへと転換をして、年齢とか病態とか重篤度とか、こういったものにかかわらず支援の必要性が判断をされていくという方向に変わっていくわけでありますので、この障害者総合支援法の見直しの方向性と、今回の難病法案における福祉サービスの範囲ということに、すれ違いといいますかギャップが生じないようにしていただきたいと思います。

 これは重ねてということになりますけれども、難病の障害福祉サービスの利用できる対象範囲というものは、病名にかかわらず、支援の必要性に応じてその範囲を決めていくと御答弁をいただくことはできませんでしょうか。

田村国務大臣 委員のお気持ちはよくわかるんです。私も同じ立場で、その席から野党として質問を何度もさせていただきました。野党でありますから、与党のときもそうなんですけれども、いろいろな団体と接しさせていただいて、いろいろな要望をお聞かせいただきます。何とかしなきゃならぬという思いの中で、本当にお困りの方々の声を行政に伝えなきゃならぬ、そういう気持ちで何度も質問をさせていただきました。でありますから、委員のお気持ちはよくわかります。

 一方で、与党、政府に入れば特にでありますけれども、やはりいろいろなバランスというのはどうしてもある。それは例えば、きょう、このとき、この団体からいろいろな御要望を聞いたから何とかしよう、しかし、それをやれば、他の方々もやはり同じように、何とかしてくれという声は世の中にはたくさんあるわけでありまして、それを全て何とかしようとすれば、結果的には国家として財政的に動きがとれないという話にもなってくるわけでありまして、そこがつらいところであるわけであります。

 でありますから、きょう委員がALSの患者の皆様方のお気持ちをお伝えになられたということは、私は、その切実なお気持ちというのは本当に真摯に受けとめさせていただかなきゃならぬというふうに思っております。

 そんな中において、今の御質問でありますが、病名を限るな、いいじゃないかというような御質問であります。しかし、これは、市町村などの現場に混乱を生じさせることなく確実に実施してもらうためには、給付対象を明確にする必要がある、こういうことがあるわけであります。ですから、病名を外して福祉サービスを受けるというわけにはなかなかいかない。これは、お気持ちはわかります。わかりますけれども、客観的な診断基準がないと、その病名に当てはまるかどうかわからない。そして、病名が明確じゃないと、これはどういうものを対象にしていいかわからない。

 これはどうしても外せないところでありまして、立場が変われど、こういうお答えしかできない。そして、このお答えは、民主党政権のときに、民主党の政務官がお答えになられた答弁であります。

 でありますから、お互いにそこは、そちらの立場、こちらの立場、それぞれの思いの中で、行政と立法、そういうかかわりがあるわけでありますが、やはり何らかの基準をつくらなきゃならぬという中で、つらい答弁をさせていただかざるを得ないことをお許しいただきたいというふうに思います。

中根(康)委員 全部外せというわけではなくて、医療費助成と連動するというところをせめて外すというか、そこにこだわらないでほしいと。

 資料の一ページ目の、外側の「難病」という枠の中で、病名のあるなしにかかわらず、まあ病名がありますよね、その広い範囲の方の枠の中で、しかも、全ての方にということではなくて、ちゃんと認定手続をして、それで障害福祉サービスの支援が必要だという程度区分が出た方、難病の方であっても、場合によっては出ない方もあるかもしれません、出る方に対しては、ぜひサービスが利用できるようにしていただきたいということを申し上げているところでございますが、大臣、お手を挙げていただきましたので、ぜひ。

田村国務大臣 私が申し上げたのは、自動的に連動はしないということをこの間申し上げました。

 しかし、この医療費助成の枠、指定難病という枠の中に入ってくるもの、そういうものに対しては、これは参考にするわけであります。これも、同じように、病名と診断基準がありますが、人口の〇・一%程度というような希少性という問題があります。ですから、福祉サービスとは若干違う部分もあるわけでありまして、ここにあるものを自動的にそのまま使うという話ではないですが、やはりこういうものを参考にさせていただいて、福祉サービスが必要な、そういう状況はどういう状況かというような観点も含めながら決めさせていただくということでございます。

 ですから、私は、自動的には連動しないということはそういう思いの中で申し上げたわけでありまして、全く一緒になるというようなことが前提であるわけではないということで申し上げたのが前回の答弁でございますので、そういうふうに御理解いただければありがたいと思います。

中根(康)委員 この法案が成立した後、自治体を含めていろいろな作業が進んでいく中で、今の大臣の御答弁のようなことを、大臣は国会の質問に対する答弁で、自動的に連動するわけではないときちんと答弁しているというようなことを紹介するというか、何か文章の中に書き込むというか、そういったような形で周知をしていただいて、自治体の方々にも、大臣の答弁に沿ったさまざまな仕事をしていただきたいということをきょうは期待しておきたいと思います。

 次に、資料の九というところになります。

 これは、難しい漢字でございますが、皆さんは御存じだと思いますが、多発性嚢胞腎という、これも腎臓の難病でございます。我が国の患者は三万人程度だということでございます。これも、医療費助成の対象にしてもらいたいという御要望が出されておるわけでございます。

 この多発性嚢胞腎という病気の中に、ADPKDという症状があるそうでございまして、これは東京都では既に難病指定されているということでございますが、国としては難病指定されていないということでしょうか。確認です。

赤石大臣政務官 今の中根委員御指摘の多発性嚢胞腎、この疾病は、両側の腎臓に嚢胞が無数に生じ、徐々に腎機能が低下してくる疾病であります。

 多分、委員の皆さんも余りよく理解していないと思いますので具体的に言いますと、この発病の機構は、遺伝子異常はわかっているが、病態はまだ不明であります。また、治療法については、根治的治療法はまだありません。食事療法等、進行例では透析療法をやっている。それから、希少性については、患者数は不明ですけれども、今委員御指摘のように、約三万人程度との報告もあります。現在、厚生労働省の研究班がこれを精査中であります。それから、長期の療養に関しましては、徐々に腎機能が低下していき透析療法が必要となるので、長期療養が必要であるということであります。客観的な診断基準につきましては、多くは家族歴があり、CT、超音波検査、MRI等で両側の腎臓に多発する嚢胞を認める、このようになっております。

 現在、医療費助成の対象となる指定難病につきましては、法案成立後、第三者的な委員会において、難病医療に係る見識を有する先生方に御議論をいただくこととしておりまして、多発性嚢胞腎が指定されるか否かについては今後検討されることになる、このように思います。

中根(康)委員 これは既に東京都からは医療費が助成されているということですか。

赤石大臣政務官 東京都においては、難病指定されていて、医療費助成されているということです。

中根(康)委員 ということであれば、当然、東京は財政力が強いわけでありますけれども、しかし、東京に住んでいる方だけが救われる、助成される、神奈川や愛知や京都に住んでいたら助成の対象にならないということであってはいけないと思います。東京が認めるぐらいでありますので、助成の必要性が認められるという基準をクリアしているということと考えていいんだろうと思いますので、今回、ぜひ国として医療費助成の対象にしていただきたいということを希望いたします。

 次に、資料十になりますが、今度はコケイン症候群、百万人に二人程度の希少難病だそうです。早発早老症の一つで、発症の仕組みや症状の違いの原因は不明だということのようでございます。

 日本コケイン症候群ネットワークの方によりますと、ネットワーク設立以降、十八年間で十九人の子供さんがお亡くなりになっておられて、その平均年齢は十六・五歳ということを聞いております。多くの診療科にかかる必要があって、子供のころに発症するので、若い親には経済的な負担が大きい難病だということでございます。

 十六・五歳、十六歳半でお亡くなりになってしまう、短い人生を精いっぱい輝いていただきたいと思いますけれども、その短い人生の中において、日本に生まれてよかったというふうに思ってもらえる、もちろん、将来、根治ができる医療法やあるいは薬が開発されればそれが一番いいんですけれども、そうなる、今の現状ではそういうふうに願わざるを得ませんが、これは医療費助成の対象になりそうですか。いかがでしょうか。

赤石大臣政務官 コケイン症の前に、先ほどの多発性嚢胞腎の件ですけれども、東京都が医療費助成をしているかどうかについてはまだ確認できていないということですので、訂正させていただきます。

 このコケイン症候群も大変珍しい病気でございまして、これは早老症、要するに、早く、ドッグイヤーといいますけれども、それぐらいのスピードで年をとっていく、そういう一種でありまして、遺伝子の異常で神経が障害され、進行性に重度の精神運動発達遅延、それから腎不全、運動不全を呈する疾病であります。

 具体的には、発病の機構については、原因遺伝子については特定されているんですけれども、病態がわからない。それから、治療法については、根治的な治療がなくて、進行予防の治療もない、対症療法でしか今はありません。希少性については、本邦で約七十名程度ということでございます。それから、長期の療養につきましては、日光過敏症、聴力障害、視力障害、精神運動発達障害が生後半年から徐々に見られ、長期の療養を必要とする。それから、客観的な診断基準について、海外の診断基準をもとに厚生労働省研究班が今検討しているところであります。

 先ほどの疾病と同じように、医療費助成の対象となる指定難病につきましては、法案成立後、第三者的な委員会において、難病医療に係る見識を有する委員会のメンバーに御議論いただくということで、今この場では、検討するというレベルにとどめさせていただきたいと思います。

中根(康)委員 次に、資料の十一というところから質問を進めてまいりたいと思います。

 難病指定医というものが、仮称でありますけれども、指定をされる。この難病指定医はどのような基準で認定されるのか。

 その資料によると、その横にかかりつけ医のお医者様がおられますけれども、かかりつけ医と難病指定医との区別はどのようなものになるのか、そして、難病指定医が地域間格差なく確保されるのかということについて聞きたいと思います。

赤石大臣政務官 今回の難病法案においては、医療費助成を受けるために、難病指定医が書く診断書を求めることにしております。

 難病は早期に正確な診断を行うのが重要なことから、指定医については、難病等に係る医療に関し専門性を有する医師として専門医資格を取得している医師、または一定の基準を満たした研修を受講した医師等を指定することを考えております。

 厚生労働省としては、医師の専門性と患者の方々のアクセスも考慮に入れつつ、いずれの地域においても難病患者が治療を受けることができるよう、難病指定医を確保したいというふうに考えております。

 このため、できる限り多くのドクターに対し、難病に対して必要な知識を習得してもらいまして、指定医としての活動をしていただけるよう、学会や医師会などの関係団体と連携して、この体制の充実、かかりつけ医も含めて図っていきたい、このように思っております。

中根(康)委員 お尋ねしたことの中で、難病指定医とかかりつけ医との違いというものはどのようなものか、改めて御答弁いただけないでしょうか。

赤石大臣政務官 かかりつけ医というのは、自分の一番アクセスしやすいところにそのドクターがいるわけです。ただ、では、その人がかなり専門性を持っているかというと必ずしもそうじゃないわけでありまして、そのかかりつけ医と専門医、指定医との間の連携を必ずとらせていただく、そういうふうなネットワークをこれから関係団体も含めて構築させていただく、このように考えています。

中根(康)委員 かかりつけ医が難病指定医になるということもありますか。

赤石大臣政務官 先ほど言いましたように、研修等を受けてなれば、それは当然なるわけでございます。

中根(康)委員 難病指定医の専門性というのはどのようなものであるかということについてお尋ねしたいのですが、例えば、先ほどから御紹介申し上げております多発性嚢胞腎だとかコケイン症候群だとかジストニアだとか、いろいろな病気があって、一つ一つの病気のことを詳しく知るだけでもなかなか大変なことだと思いますが、難病全体について専門性があるということになるのかどうなのかということなんです。

 例えば、ここはコケイン症候群の専門のお医者様だとか、そういうふうになるのか、どんなふうになるのでしょうか。

赤石大臣政務官 こういう希少疾患の場合は、必ずしも各地域に専門医がいるわけではありませんので、一応、学会が中心となって、学会の方から専門医の指定をしてもらって、各地方に基幹病院がありますので、その基幹病院にはそういう専門医の方を置いて、基幹病院とその地域の二次医療圏、三次医療圏、そしてかかりつけ医。かかりつけ医の場合はふだんからかかっている、そこのネットワークを連携して、例えば年に一回なら年に一回、専門医にちゃんと診てもらう、そのような体制でやっていく、このようになっております。

中根(康)委員 やはり、その地域ごとにあらゆる難病に対応できるような指定医やかかりつけ医がいらっしゃるということは、なかなか現実問題としては不可能だということだと思いますね。

 年に一回ということになって、病気を抱えながら遠くまで出向いていって診察をしてもらうということ自体が、やはり難病患者さんにとっては大変な御苦労だと思いますし、また、経済的な状況から見ても負担も重いということになります。先ほど大西委員が指摘をしましたように、交通費に対する支援というものも、やはりこれから検討をすべきだというふうに思います。

 それで、地域間格差なく難病指定医が確保されるということは、どういう状況ができればというか、どれぐらい難病指定医さんが確保されれば地域間格差なく確保されたということになるんでしょうか。

赤石大臣政務官 まだ具体的な体制ができているということではありませんので、今後、医療提供体制の整備については、昨年十二月に取りまとめられました難病対策委員会の報告書において、診断や治療に多くの診療科がかかわる必要がある難病に対応するため、都道府県は、新・難病医療拠点病院を三次医療圏ごとに原則一カ所以上、それから、地域医療の推進や入院・療養施設確保のため、難病医療地域基幹病院を二次医療圏に一カ所程度指定するということで、その下に専門医、かかりつけ医というような枠組みでつくって、これからしっかりとしたネットワークをつくっていきたいと考えております。

中根(康)委員 お医者様にとっても、信頼される難病指定医になるということは相当御苦労の多いことだと思います。やはり、かなりのインセンティブが与えられるというか、待遇、処遇というものが確保されなければ、難病指定医になってもらうことがなかなか難しいんじゃないかというふうに思います。

 また、資料十一のような、こういった全体の難病医療体制というものは本当にできるのか。こういう絵を描いて、こういうふうなことをしますから、自己負担の引き上げも我慢してくださいということになってしまってはいけないわけでありまして、これは本当にできるのかということなんですね。

 いつまでに、全医療圏といいますか、全都道府県といいますかで、この絵に描かれたようなものが構築されるのか、その目標年度というか目標年は、いつに定めておられるんでしょうか。

赤石大臣政務官 この基本方針につきましては、審議会や患者団体の意見を聞いた上で策定することとしておりまして、法案成立後、速やかに作成に着手し、可能な限り早期に定めたいというふうに考えております。

 この基本方針に基づいて、新たな医療費助成における対象疾病や受給者数の増加、指定医の指定状況を含む制度の運用状況を確認しながら、できるだけ速やかに適切な医療提供体制を構築したい、このように考えております。

中根(康)委員 法案が提出されていて、患者さんの自己負担の引き上げが伴っているわけでありますので、この体制ができないと、うそだということになってしまいます。

 速やかにというのは何年なんですか。速やかにということは、普通にいったら、一年や二年だとは思いません。しかし、五年ぐらいではこういう体制ができる見込みがあるから、この法案が提出をされたということじゃないんでしょうか。何年ですか。大体何年ぐらいだということを御答弁いただかなきゃいけないと思います。

赤石大臣政務官 お答えします。

 今委員指摘のように、確かにそのとおりだと私も思っておりまして、これからいろいろな、第三者委員会等で疾病も確定されていくわけですけれども、おおむね、見直しについては五年程度というふうに考えておりますので、少なくてもそれまでにはこういう体制をしっかりと組んでいきたい、こういうふうに思っています。

中根(康)委員 五年たってこういう体制が十分確立していなかったら、自己負担の引き上げは撤回をしていただいて、もとに戻していただくというお約束をしていただいたものと理解をさせていただきます。

 資料十二の方に移らせていただきたいと思います。

 難病データというものを登録するということでございますが、このデータの信頼性とか、あるいは個人情報の保護ということについてはどのように考えておられるでしょうか。

赤石大臣政務官 この新たな医療費助成制度においては、申請時に提出された診断書の内容をデータベースに集積いたしまして、難病の調査研究に役立てることとしております。

 難病データの信頼性については、指定医が医療費助成に係る診断書を患者に交付する際に、あわせて難病患者データの登録を行えるようにすることで、データの入力率を向上させ、精度の高い登録が可能となると考えております。

 また、難病データの信頼性が確保できるよう、指定医に対して登録制度の意義などについて周知を徹底するとともに、今後の研究の進み方なども踏まえた上で、データ収集のあり方について引き続き検討してまいりたい、このように思っています。

中根(康)委員 社会参加を支援する療養生活支援事業というものがあって、これは都道府県事業で、裁量的経費で国が二分の一補助できるというものでありますが、これも、地域間格差なく行われるようになりますか。

赤石大臣政務官 お答えいたします。

 難病相談・支援センター事業等の療養生活環境整備事業につきましては、難病法案において、国は、予算の範囲内において、都道府県が負担する費用の二分の一以内を補助することができるとしております。

 本事業については、これまで法律の根拠のない予算事業でありましたけれども、今回、法律に位置づけるとともに、その予算を充実させることとしており、都道府県に超過負担が発生しないよう、また地域の格差が生じないよう、必要な予算の確保並びに事業運営を支援する取り組みに努めてまいりたい、このように思っております。

中根(康)委員 次に、大都市特例であるとか、あるいは、資料十三にあるような、保健所のところに書いてあるんですが、難病対策地域協議会を設置する、こういったことによって自治体に新たな負担が課せられるというか、必要になってくるということでございます。

 例えば大都市特例ということでいうと、平成三十年度から、都道府県が行っていた事務を指定都市に移すということでございます。

 これは、例えば、私の住んでいる愛知県名古屋市の場合は、医療費の助成額が約十六億円で、そのうちの半分の八億一千万円程度を、これからは、県ではなく、名古屋市が負担をするということに変わるようであります。

 そういうこととか、あるいは、市町村においても、先ほどの難病対策地域協議会を設置すれば、当然、新たな費用が必要になってくるということでございますが、こういった自治体負担が生じるということに対して、国からの財政支援などは行われるんでしょうか。

赤石大臣政務官 今の御指摘の大都市特例ですけれども、今委員おっしゃられましたように、平成三十年度以降に指定都市が医療費助成等を行うこととしておりますが、実施に当たっては、関係省庁と連携して必要な予算の確保に努めてまいりたい、このように考えております。

 また、難病対策地域協議会につきましては、医療や福祉など関係機関等の連携により、患者の方への支援体制の整備を図ることとしておりまして、厚生労働省としては、協議会の運営が円滑にされるように必要な支援をしていきたい、このように考えております。

中根(康)委員 大都市特例の方の御答弁なんですが、関係省庁と連携してということだと、何か、今の段階ではまだ支援するかどうかよくわからない、場合によっては政令指定都市に負担がそのままのしかかってしまうというようなニュアンスが含まれているような気がしたんですが、どうなんですか、これは。厚生労働省が責任を持ってということは言えないんでしょうか。

赤石大臣政務官 これは、財務省と総務省ときちっと連携をしながら、厚生労働省としても、責任を持ってまで言えるかどうかわかりませんけれども、しっかりと対応していきたい、このように思っています。

中根(康)委員 難病相談・支援センターにおいては、障害年金ということにも丁寧、適切に対応してもらわないといけないというふうに考えますけれども、この年金相談体制というものを難病相談・支援センターできちんとつくっていただくとお約束をしていただけませんでしょうか。

赤石大臣政務官 御指摘の難病相談・支援センターにつきましては、患者からの相談に幅広に応じて、相談内容に応じまして、他の社会保障制度に係る相談センターの紹介等を適切に行えるよう支援していきたいと考えております。

 このため、難病相談・支援センターの相談員の研修を行うとともに、御指摘の障害年金の相談については、関係部局と連携しながら対応していきたい、このように思っております。

中根(康)委員 難病患者というだけで雇用が拒否されるということは、障害者雇用促進法の違反となるということを確認させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 改正障害者雇用促進法に該当する難病のある障害者の方々、この方々に関しましては、当然、差別禁止ということでございますので、そういうような形で差別があるとすれば、これは法律違反ということでありますし、また、合理的な配慮義務もあるわけでございますので、適切に対応していただくということになります。

中根(康)委員 時間が来ましたので、最後に、これは見直しが五年後ということになっておりますが、五年に至る前、経過措置の間にも自己負担がふえるという方もたくさんいらっしゃるわけでありますので、五年後の見直しでは余りにも遅過ぎるということで、随時、必要に応じて見直す、一年一年見直しを図っていくということが必要だと思います。そのことをお訴え申し上げまして、きょうの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 本日まで、本当に毎回難病の問題に質問に立たせていただきまして、私自身、さまざまな議論をさせていただく中で気づくこともありました。

 質問に先立ちまして、ちょっと通告の前に一点、けさ方から大臣がいろいろ大変苦しい胸のうちをおっしゃっていることについてお伺いをしたいというふうに思います。

 限られた財源で全ての患者さんを救うということは、これはやはりできないという苦しい財政事情がある、一方で、本当に困っている人には可能な限り医療費の助成をできるところまでしていきたい、これは、大きな政府という考え方であろうが、小さな政府という我々のような考え方であろうが、本当に困っている人にはということについては、恐らくこの部屋全員、一致をできる部分なのではないかと思うわけであります。

 問題は、この本当に困っている人というのをどのような物差しで、線引きと言ったらあれですけれども、優先順位をつけていくのか。こういうときに、この間議論してまいりましたが、患者数が少ない病気にかかっていれば、それは困った人なのか、患者数がふえたら、それは困った人ではなく、医療費助成の対象から外れていいのか、こういう議論をしてまいりましたし、あるいは、人工呼吸器の形によって線引きをされることが、本当に困った人かどうかという線引きとして正しいのか、こういうふうに疑問に思うわけであります。

 本法案は、医療費助成の対象が結果的に拡大を見込まれますから、私は、一歩前進と高く評価をしております。しかし、この制度の設計思想自体には、やはりこの間の議論で大いなる疑問を持っているところです。

 医療費助成の対象を無制限に広げてください、こういう話を私はするつもりはありません。限られた財源を使う、この優先順位をきちんと決めていく、この根本的なルールをやはりそろそろ変える必要があるのではないですかという議論をこの間させていただいてきたつもりであります。

 例えば、治療法がわからず、とにかく治療費が一生かかるんだという病気、さらには、それが非常に高額であり続けることが見込まれる、そして三点目には、それを払うだけの資力がない、生活実態、経済状況が非常に厳しい、例えば、シンプルにこういう三要件で医療費の助成を行く行くはしていく、今の高額療養費制度の超強化版のような形で医療費助成をすることについて、大臣のお考えを伺いたいというふうに思います。

田村国務大臣 それはなかなか難しいんですよ。

 例えば、病気の発症機構がわかっているとしても、なかなか根治しない方々もおられます。治療法があっても、その治療法が、要するに、病気の進行に応じて、根治しない、もしくは症状を十分に軽くできない、こういう病気もあるわけで、難病と言われるもの以外にもさまざまな病気の体系があります。

 その方々を全て例えば無料にするというような話になると、これは、そういうものに対しての物差しの基準をどこに置くかという中において、かなり国民的な大変な議論になるんだろうと思います。多分、そこで線を引いたときには、線から漏れた方々は、なぜ我々はというお話にもなるのでありましょう。

 そういうような、どこかには線を引かなきゃいけないという大変つらい中において、この難病事業というのは、そもそもが、発症機構がわからずに治療法もない、症状も重い、そういう方々に対してどうやって対応するんだということで、調査研究を中心にした事業としてスタートをしているわけであります。

 でありますから、まず、発症機構がわからない、治療法が確立しない、しかも長期にわたって療養が必要である、そこに希少性というものを入れることによって、症例数を集めるためには医療費助成が必要ですよねというような概念のもとにやり始めておるという部分があるものでありますから、そこからその希少性というものをなくすという話になってくると、そもそも、もとの発想というものから離れていくわけでありまして、そうすると、さらに広げていくと、さらにそこにまた次の線引きをつくらなきゃいけない。

 ですから、非常につらい中でこの事業というものが徐々に広がってきて、福祉的な意味合いというもの、初めの少ない疾患数から五十六疾患に来て、さらに今回は三百というようなところに来ているわけなので、そういう意味では、これからもこの三百はふえていくのであろう。もちろん、抜けていくものがあってくれれば、これはうれしい話で、治療法が確立されて、それによって患者の方々が救われていく、これが究極の我々の目的であるわけでありますけれども、しかしながら、三百でとめるというわけでもないわけであります。

 それが急速に広がらないからだめだというお叱りの声があるのは我々も十分にわかっておりますが、しかし、そのようないろいろな制約の中で、何とかさらに福祉的な意味合いというものが、要件をクリアする中で新たな難病が指定難病として入っていくという中においては、今回の制度というものは、新たなそのような色彩、そして財源的な安定性というものも含めて担保をしている法律であるということでございますので、一歩前進とも言っていただけないのかもわかりませんが、しかし、少なくとも前には歩んでおる、そのような法案だというふうに御理解をいただければありがたいと思います。

井坂委員 私ももちろん、皆さんを無料に、こんなことは無理だということはよくわかっております。パイを広げてくださいともし言えないのであれば、そのパイの切り方をやはりもう少し本質的な部分に変えていけないかというつもりで聞かせていただきました。

 私がやはり一番納得がいかないのが、希少性という要件であります。希少性のお話をすると、必ずお答えに入ってくるのが、そもそも制度の成り立ちで、研究のために症例を集める、数が少ない病気の方を、医療費助成の制度を使ってちゃんと来ていただいてデータをとっていく、こういう話であります。

 そういうお話があったので、ちょっと通告の順番を変えますが、五番目ぐらいですかね、制度本来の目的である研究、難病の治療法を確立するということについて伺いたいと思いますが、その一番基礎的な話として、難病患者のデータ登録率は、現状までどのようになっておりますでしょうか。

赤石大臣政務官 お答え申し上げます。

 現在の難病患者のデータ収集は、主治医が作成した診断書を都道府県がシステムに登録する、このようになっております。

 診断書の中には医学的に高度な内容が含まれること等から、都道府県によるデータの入力率は必ずしも高いものではございません。現在、平成二十四年十月三十日時点で、全国の平均入力率は約六〇%というふうになっております。

井坂委員 私、いつも通告の際には、ここだけは大臣にお願いします、それ以外はお任せいたしますと。実はこの問題は大臣にお願いをしていたんですが、やはり相当、要はお答えいただきにくい内容だったのかなというふうにうかがうわけであります。

 データの登録率が六割である、私は、やはりこの数字に衝撃を受けます。研究のためだ、そのために医療費助成があるんだ、だから希少性要件は絶対外せないんだ、こういう説明を受けてまいりましたが、そもそも、データ登録、研究の前段階ですよ、そのデータ登録をするために、医療費助成という仕組みを使って患者さんに来ていただいていた、こういう話が根底から崩れる、とてつもなくひどい話ではないかなと思うわけであります。

 このデータ登録という、まさに研究の入り口の部分を怠っていた。現場の研究者の方は一生懸命やっておられると思います。ただ、政府として、この制度を回す中で、難病の研究という医療費助成制度本来の目的に対して、大臣、本気で取り組んでいたと言えるのかどうか、お伺いをいたします。

田村国務大臣 今回の制度に関して申し上げれば、そういう点の反省もあるわけでありまして、指定医の方に、まず、診断結果を出す前に診断書を提出するという形の中において、その指定医の方々がつくった診断書がないとそもそも医療費助成というものに入らないという形でありますから、その上で、その診断書をもとにデータ登録をお願いしていくという話であります。

 お医者様の中には高齢者の方々もおられて、なかなかデータ等々を入力できない。これは実は、電子カルテ、レセプト、こういうときも同じような議論があったわけでありまして、高齢者の方々に関しては、なかなかパソコンをいじれない、コンピューターをいじれないという方々がおられるので、なかなか義務化は難しいわけでありますが、ただ、ここは、おっしゃられるとおり、検討して、何としてもお願いしていきたいというふうに思っております。

 ただ、一方で、患者側の方も、データを提供してほしくない、そういう方もおられるわけでありまして、そこに関しては、一定の理由がある場合には、プライバシーの問題もございますので、データを提出いただかないということもあろうと思いますけれども、理由なくデータを提供いただけないという場合に関しては、これは、制度自体がそのような成り立ちでもございますので、理由なくデータを出さずに医療費助成というような形は避けていただくように、こちらの方から対応させていただきたいというふうに思います。

井坂委員 大臣、今のお答えで、制度そのものがそのような成り立ちでもございますのでというような話じゃないと思うんですよ、本当に。そんな軽い話だったら希少性要件をさっさと外してくださいよ。そんな話じゃないと思うんですよ。

 研究のためにといって始めた制度だから、希少性要件は絶対に外せませんと言っておられるわけじゃないですか。ところが、その研究の、もう当たり前の、一番土台のところで、そもそもデータ登録さえされない現状。しかも、今回改められるというふうに私は伺っておりますが、しかし四十年ですよ。四十年間こういう状況を放置してきて、よく研究目的だから希少性要件がどうこうと言えたものだなというふうに、私は非常に強い憤りを持っております。

 重ねて伺いますが、こんなものはお願いベースではないというのが私の考え方であります。制度の趣旨の根本でありますから、義務化をするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 なかなか、諸々の事情で義務化は難しいんだと思います。

 例えば、理由をおっしゃらずに受けられる方に対して、医療費助成をやめるということが本当にできるかどうか、こういう問題もあります。お医者様に関しては、なるべくデータ登録していただくようにお願いしますが、事実上できないようなお医者様もおられないというわけではないわけでありまして、そこをどういうふうなデータ登録をお願いしていくか、これはちょっと工夫をしていかなきゃならぬと思います。

 義務化というのはなかなか難しいわけでありますが、今、六〇%、決して高い数字ではありません。ただ、その六〇%のデータは、治療方法の確立や薬をつくるのに役立っておることは事実でありますから、全くなかったということから比べればそれは意味があったというふうに思いますが、六〇という数字を限りなく一〇〇に近づけるように、今回新しい法律にのっとった事業になるわけでありますから、その中で対応してまいりたいというふうに思います。

井坂委員 研究目的ということでもう一点お伺いをしたいと思いますが、いわゆる日本版NIH設立ということで、それに先駆けて、難病関連予算が百一億円、こういうふうに聞いております。しかし、これは金額の面では例年並みと言える、全くもって何かが伸びたという金額ではありません。

 今回、日本版NIHが設立されることによって、難病医療費助成事業の本来の目的である治療法の確立に何か大きく近づくんだという見通しがあるかどうか、大臣にお伺いをいたします。

田村国務大臣 もちろん、今までも、それぞれ研究をしていただく中において現場では努力をいただいてきたわけでございますから、今までがだめだからというような話ではないわけであります。

 今般の、日本版NIHと我々はもう呼ばないようにしているわけでありますけれども、この日本医療研究開発機構を中心とする、その上部組織としてそもそも健康・医療戦略推進本部というのがあるわけでありまして、ここが司令塔になるわけでありますけれども、この中に九つのプロジェクトを組んでおりまして、そのうちに難病克服プロジェクトと位置づけをしっかりさせていただきます。

 そんな中において、難病に関しても、そちらの方に行く予算、これは今まで厚生労働省予算と文科省予算に分かれていたわけでありますけれども、それぞれ一元化してここに持ってくるわけでありまして、そこで約九十三億円という形で、厚労省から八十三億円、文科省から十億円という形でありますが、そこでしっかりと目標を持ってこれを有効に研究に使っていく、もしくは配分をしていくということをさせていただきます。

 あわせて、残り十八億、これは厚生労働省の中で、疫学的な部分でありますとか、診断基準等々に関するものでありますとか、また診療のガイドライン、こういうものに関して有効にこの予算を活用させていただいて、難病患者の皆様方に資する、そのような研究等々を進めるように努力してまいりたいと考えております。

井坂委員 続いて、先日に続きまして、難病患者の就労問題について伺います。

 先日、質問通告なくお伺いをいたしましたので、本日は通告の上伺いますが、いわゆる障害者雇用促進法の法定雇用率について、難病患者百万人を加えると、この法定雇用率が何%上昇すると見込まれるか、参考人に伺います。

内田政府参考人 お答えいたします。

 法定雇用率の算出でございますが、法定雇用率の算出には、常用労働者である障害者の数と失業者である障害者の数が必要でございます。先生からは難病患者の総数のお話がございましたが、障害者と難病患者の総数からは法定雇用率を算出することができないものでございますので、御理解を賜りたいと思います。

井坂委員 続きまして、大臣に伺いますが、前回の大臣答弁でこういうふうにおっしゃっています。精神障害者が法定雇用率の対象に入ったばかりで、難病患者の雇用についてはまだ企業のノウハウや環境整備が十分でなく、時期尚早と考える、こういう大臣の御答弁でありました。

 しかし、実際に企業で働いている難病患者も今は多いわけで、一体、大臣はどのようなデータや根拠に基づいて、精神障害者はもう入れるけれども難病患者はまだ時期尚早なんだとおっしゃったのか、お伺いをしたいと思います。

田村国務大臣 難病患者が働いておられる職場があれば、それは難病患者の方々のそれぞれの日常生活における状態にもよるのでありますけれども、それは非常に理解をいただいておる企業でございますので、そういう企業がふえてくることは大変うれしいことであります。

 しかし、まだまだ多くの企業が難病患者の方々を雇い入れているわけではないわけでありますし、そもそも、難病があるかどうかということを認識されて雇っているかどうかということも、我々もよく分析ができておりません。

 そんな中で、先回私が申し上げたのは、精神障害者の方々の法定雇用率への算入というのは、実は、今まで長年そういう議論をしてきたわけであります。何度も何度もどうするんだという御議論をいただく中において、長年かかってやっと先般の改正の中でこれを導入させていただきました。ただ、一方で、法定雇用率の中に算入するのは平成三十年四月からの話でございまして、この間は、それとは別に、一・八から二%に法定雇用率を上げたわけであります。

 ですから、そのときのいろいろな御議論、これは労働政策審議会で御議論いただいたわけでありますが、やはり一定期間あけないと、それは上げたばかりだからというような御意見があって、なかなか話が、いろいろと議論のあった中において平成三十年四月からということになったわけでありまして、そのときの議論でも難病の患者の方々の御議論はあったんですが、やはり労働政策審議会の中においてもこれはまだ時期尚早であるという御議論をいただく中において、前回の私の答弁があったというふうに御理解をいただければありがたいと思います。

井坂委員 労働政策審議会の議論はわかるんですが、私は、やはり精神障害者と同じく平成三十年四月に向けて今から準備をすれば、十分に企業側の環境整備とか理解は進むと考える立場であります。

 一体、何に本当にそれほど時間がかかるのか。議論の経緯とか、精神障害者の方の方が随分長くやっているんだというお答えでありましたけれども、経緯の長い短いはあるにしても、実際に難病患者の就労問題を本気で一歩前に進めようとしたときに、一体、二〇一八年までにそんなに何か時間がかかるようなことがあるのかどうか、大臣にお伺いをしたいと思います。

田村国務大臣 障害者の皆様方に対する雇用義務制度でありますが、これは、もう強制的に、達していないところに関しましては納付金を納めていただいて、そしてそれを障害者雇用に使うという話になっておるわけでありまして、本来、採用は自由ですよね、誰を採用するかというのはそれぞれの企業の判断で決められることであります。その採用の自由というものを、これは制約をかける法律であります。かなり厳しい、きつい法律であります。

 当然のごとく、率というものが出てくるわけでありますし、今、二%というお話が出ましたが、まだ精神障害者の方々を入れた法定雇用率がどれぐらいになるかも出ておりません。これから、これは三十年に向かって出していくわけであります。

 さらに、難病の皆様方、これも、どこまで入れるかということがあるわけでありまして、なかなか難しい。範囲によっては何百万人という話になってくるわけでありまして、すると、それだけまた法定雇用率が上がるわけであります。つまり、企業の自由な企業活動を制約するわけであります。

 ただし、一方で、それが社会的要請として必要性があるというようなことを長年かけて御議論いただく中で、労使ともに、また三者構成の中で、労働政策審議会というところで、そろそろ、では準備もできたし、やろうか、いろいろな制約もあるけれども、事業主側も、一歩我々も踏み出そうという話の中で御議論が決まってくるわけでございまして、そういう意味からいたしますと、それぞれの理解感といいますか、理解の度合いといいますか、そういうものも含めてやはり醸成されてこないとなかなか難しいというのが実のところでございまして、そういう意味で、すぐにというのがなかなか難しいということであります。

井坂委員 今回、精神障害者の方、三百五十万人と俗に言われ、難病患者の方、百万人、あるいは対象拡大されても百五十万人ということだったと思います。

 そんな中で、私、大臣に最後にお伺いしたいのは、では、難病患者のうち働ける方は何人で、そのうち実際に今も働いている方は何人なのか、そして、どのようにそういう方は企業と折り合いをつけてやっているのか。あるいは、働けるのに失業している方は何人なのか、それは、なぜ離職をし、なぜ就職できないのか。

 難病患者の就労を政府が真剣に考えるのであれば、こうした基礎的な調査を今すぐ始めるべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 数はつかんでいないんですが、現在、障害者手帳を所持しておられない難病患者の方々に対して、疾病の種類や症状の程度、こういうもの、就労の困難性というものがなければ対象になってこないわけでありまして、障害をお持ちの方々もおられるわけでありますが、やはり、障害をお持ちの方々も、就労の困難性というものがあるから障害者という形の中で法定雇用率の中に入ってくるものでありますから、その部分を、どの程度なのかということを勘案するような形で、今、独立行政法人高齢・障害・求職者、言うとまた怒られる機構でありますけれども、この機構において研究をしていただいておるということでございまして、これは二十六年度までという期限のもとで研究をいたしております。

 一応そのような対応はさせていただいておるわけでありますが、なかなか、これを全部、どれぐらいいるかというのを調べるのは難しいわけでございますので、その点に関しては、我々、今数字は持っておりません。

井坂委員 別にJEEDが嫌いなわけではなくて、できレース入札をするのは悪いけれども、そういう研究をしていただけるなら大いにやっていただきたいという立場であります。

 難しい難しいと、本当に根拠を持っておっしゃっているのか、やればわかることではないかなというふうに私は思いますから、そこはぜひ、本当に予断なくやっていただきたいというふうに思います。

 時間がありますので、もう少しお伺いをいたします。

 就労に関して、現場でこういう声を聞いてまいりました。

 今、受給者証と登録証というものがあります。症状が少し軽くなってくると、医療費の受給者証ではなく登録証に一時的に戻る、こういう仕組みと伺っておりますが、この登録証というものを持ってハローワークに行くとなかなか難病扱いをされないような対応を受けるんだ、こういう話を聞いてまいりました。

 現場のささやかなアイデアとしては、これは登録証という名前がそもそも誤解を与えるのではないか、あなた、本当に難病なんですかみたいなことになってしまうようなので、難病認定証というように名前を変えて、しかも、その意味をきちんとハローワークの全ての職員さんに周知すべきではないか、こういうことでありますが、現場のことですから、参考人にお伺いをいたします。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 議員の御質問にありましたように、現行の特定疾患治療研究事業におきましても、症状が改善して、著しい制限を受けないで日常生活を営むことができる、こういうふうに判断された方は軽快者というふうにしているわけですけれども、こういう方には、受給はしていないわけですから、医療受給者証にかえまして特定疾患登録者証というものを交付することとしております。

 御質問にありましたように、登録者証という名前だと、なかなか、本当に難病なんですかというようなこともあるんだろうということでお聞きしました。

 新たな医療費助成制度においては難病患者データの登録を行うということで、ここまで御答弁も申し上げてきましたけれども、そういう方でデータ登録を行った患者に対しましては、関連情報を付加して、ちょっと名前が今回も似てしまうんですけれども、難病患者登録証明書というものを発行するということにしております。

 これは、私どもとしては難病患者であることを証明する証明書だというふうに考えてはおりますけれども、今御指摘のように、患者さんが就労相談などの各種サービスを受けられるときに、これだけではなかなか難病患者さんということでお認めいただけないケースがあるということでしたら、まずは、ハローワークも含めた関係機関に、こういう登録証明書というものの意味を理解していただくように努めます。

 そういう形で、引き続き、難病患者さんの就労も含めた生活支援が進むように努力してまいりたいと考えております。

井坂委員 時間があるので、もう一点伺います。

 この間議論になっております線維筋痛症の患者さん、参考人のおっしゃるには、二百万人いて重症者だけでも十五万人、こういう話でありました。しかし、同じ病名だったら重症者もそうでない方も患者数としてカウントをされて、合算をされてしまって、この場合であれば、線維筋痛症の患者さんは二百万人いるから希少性要件にはかからないのだ、こういうことになってしまうんだというふうに事前に担当の方からは伺っております。

 それならば逆に、症状の重い場合のみ病名をつけることで患者数を少なく数えることが技術的に可能ではないかなというふうに思うわけでありますが、実際、今の指定難病の中で、こういう、症状の重い場合のみ病名をつけて患者数を結果的に少なくカウントされているような難病の例はないのか、参考人に伺います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 今の御質問は、現行の制度の中で、症状の重いもの、重いグループと申しますか、重いものだけを取り出して、これを限定して病名をつけることで患者数が少なく数えられているような難病の例がないのか、医療費助成の対象となっているものはないのかという御質問だろうと思います。

 議員の御質問を正しく理解してお答えをしているかどうかわかりませんけれども、思い当たるものがあるとすると、難治性肝炎のうちの劇症肝炎とか、あるいは重症急性膵炎というのが思い当たるんですけれども、これは私どもの理解としては、一般の肝炎や急性膵炎とは異なる病態とか、当然ですけれども診断、こういったものがある、異なる病態に着目してこういう区分をしているというふうに理解をしております。

井坂委員 この劇症肝炎や重症急性膵炎、これも、異なる病態とおっしゃいましたけれども、多分、非常に曖昧な状況ではないかなと実際は思います。ゆめゆめ、こうした病気が今回の新しい見直しのときに、いや、これも肝炎の重いものだとか膵炎の重いものだということで、希少性要件を理由に指定から外れるなどという逆のこと、そういうことを意図して質問したわけではないですから、そのことはお願いをしたいと思います。

 本当にいろいろ議論をしてまいりましたが、とにかく、限られた財源でどういう優先順位づけをしていくか、その中で、私は、この希少性ということに関しては本当に一考の余地があると思っておりますので、そのことだけ再度申し上げて、私の質問を終わりといたします。

 どうも本当にありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 前回の続きを少しやりたいと思います。障害福祉サービスについてであります。

 障害者総合支援法で新たに該当になった百三十疾患と関節リウマチについては、手帳がなくても障害福祉サービスを受けられるわけですけれども、その際、使うのは、他の障害者と同じ障害程度区分を使います。

 ただし、難病の特性を踏まえた認定をということで、厚労省は、難病患者等に対する障害程度区分についてマニュアルをつくっています。

 それが資料の一枚目であります。このアンダーラインは、私がつけたのではなくて厚労省がつけたものでございます。「難病の特徴」「難病には、症状の変化が毎日ある、日によって変化が大きい等の特徴に加え、進行性の症状を有する、大きな周期でよくなったり悪化したりするという難病特有の症状が見られます。」これは、つけてありませんが、調査もありまして、症状の変化が毎日あると答えた方が実に四一・二%もあるわけですね。そういう特徴を踏まえて、これは、疾患群ごとに、血液系疾患、免疫系疾患、内分泌系疾患、代謝系疾患などなど、大きくくくって分類をして、どういう特徴があるのかということを示しているものであります。

 また、二枚目、これは太字の部分がありますね。ここは網かけをしていたんですが、コピーしたらよくわからなくなってしまっているんですけれども、少し読みたいと思うんですね。「難病患者等は、障害が固定している身体障害者と違い、症状が変化したり、進行する等の特徴があるため、それらを踏まえ認定調査を行う必要があります。 特に、症状が変化(重くなったり軽くなったり)する場合は、「症状がより重度の状態」=「障害程度区分の認定が必要な状態」と考え、市町村審査会で検討するために必要な情報である「症状がより重度の状態」を詳細に聞き取ることが重要になります。」と書いてあります。

 私は、これは非常に大事だと思っているんですね。厚労省が、こういうことに気をつけなさいとわざわざ書いてくださっている。

 これまで参考人からも直接お話があったと思いますが、症状が変化しやすい、疲れやすいなどの特徴があるのに、たまたま認定のときには張り切って元気だった、そういうふうなことを捉えるのではなく、それは一断面でしかないのだ、そういう特徴なんだよということを捉えて、重度の状態こそが一番必要な状態なんだということを踏まえなさいということを言っているわけですね。

 これは、指定難病に限らなくても、共通したものではないでしょうか。また、最初に紹介したように、疾患群という捉え方というのは、これもまさに共通したものではないのか。このマニュアルを踏まえれば、病名によらずに、認定区分によって必要な障害福祉サービスを受けてもよいのではないか。まさに、重度の状態が目の前にある、このことを評価するということができるのではないか。いかがでしょうか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生のお話にありましたとおり、認定のマニュアルというものを難病患者等についてつくっているということでございます。

 これは総合支援法の全体の支給決定にかかわることでございますので、少し説明いたしますと、具体的な法の対象者が決まった後、その人に対してどのような支給をするかというプロセスに入っていくわけです。そのプロセスの過程で、本人に、言ってみればどういうサービスが必要か、あるいはそのサービスについてどういう形で報酬をつけていくのか、こういったことを決めていく過程で、先ほど話が出ました支援区分というのを決めているということで、支援区分はいわば支給決定プロセスの中で使う、こういう整理になっておるものでございます。

 また、この支援区分をつくる過程でも、最初に障害者の対象が決まっていて、それとの関係でつくっている、こういう関係になっているわけでございます。

 そういった意味でいうと、やはり、そうした対象が決まった上でつくっている支援区分自体を、それをベースに全ての状況に対して適用していくということはなかなか難しいんじゃないかというふうに考えておりまして、これは法律がもともとサービス給付法であるという性格がございますので、そこは支給対象を明確にするという必要性がございますので、これまでも御説明しているとおり、きちっと個別の疾患名で決めていくということが大事だというふうに考えております。それをベースに、具体的な範囲についてはこれから検討していきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 もちろん答えはわかっているんですよ。私が言いたいのは、これまで述べてきた議論というのは全く無体なことを言っているわけではないのと、それから、手がかりがないわけでもないのだということの一つとして挙げさせていただきました。

 シンプルな問いをしますけれども、最初に私が紹介したように、疾患群でそれぞれ特徴があるという考え方、それから、非常に毎日症状が変わる、こうした難病ならではの特徴、こういう点では、診断基準があるなしにかかわらず難病全体として共通する、そういう認識は間違いないでしょうか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申しましたとおり、この総合支援法の支給体制というのは、対象がきちっと決まった後、その人に対して必要な支援を行っていく、こういうことでございます。必要な支援を行う過程で、今お話がございました障害支援区分というのを活用するということでございます。

 こういう支給決定のプロセスにおいても、先生お話がございましたとおり、個々具体的ないろいろな状況だとか、このマニュアルに書いてあるようなことをきちっと踏まえて支給区分をきちっと出していく、こういうことが必要だというふうに認識をいたしております。

高橋(千)委員 そんなことを聞いているんじゃありません。何回も言ったでしょう、シンプルな問いなんですと。

 これは佐藤局長に聞きたいと思います。私が言っていることが間違っているでしょうか。つまり、やれ、やれという議論をまず切り離して、今のいわゆる疾患群という考え方ですね、血液系、免疫系、代謝系というような大きなくくりがあるということ、また、非常に変化がしやすいという難病ならではの特徴ということは、それはある意味、全体に共通するものがあるよね、そこだけを聞いているんです。どうですか。

蒲原政府参考人 先生お話がございましたとおり、個々の疾患が、難病については非常に変化しやすいだとか、なかなか従来の障害と違う特性があるということは私どもも認識をいたしております。

 そのために、今回、昨年の四月に難病を対象にしたときに、単純に従来のいわば認定のマニュアルということでやってしまうとよくないんじゃないかということで、この認定マニュアルを昨年つくった、こういうことでございます。

 その意味でいうと、まさにおっしゃっているように、疾患にそういう特性があるということは私どもも全く認識をしているところでございます。

高橋(千)委員 ようやっとお認めいただいたと思うんですね。

 やはり、話の取っかかりというか、一つ一つ見ていかないと、結論が、とにかく、やれ、やれと言われるからそれを認められないという話ではなくて、事実を積み上げていくということが大事なのではないかなと思っているんです。

 その上で、ちょっと通告していないんですが、大臣、一言、感想を含めて伺いたいんですけれども、前回もお話をいたしました。それで、例えばネットで質問を見てくださったCFSの患者さんなどは、本当に症状が重ければ入院さえできない、そういう訴えもあるわけなんですね。仮に医療助成があったとしても、専門外来が近くにない。そういう困難を抱える患者さんにとって、対症療法ではあるけれども訪問介護ですとか同行支援とか、本当に必須なんだということを訴えられているわけなんですね。やはりそこをちゃんと見ないと、全体の枠があるから、不公平だからということを理由に排除すれば、それこそ不公平ではないのかということなんです。

 資料の三枚目に、今の特定疾患を受けている患者さんたちの平均発症年齢をつけておきました。本当に若くして発症していますよね。平均発症年齢が四十一歳なんですね。見ていただければわかるように、十代、二十代の方がかなりいらっしゃるわけなんです。

 さっき中根さんが、難病患者の中の介護認定は三・七%いらっしゃる、そういうことを言っていましたよね。だけれども、四十歳を過ぎないと、そもそも介護に入れないじゃないですか、特定疾病になったとしても。だから、そういうどこにも拾われない若い方たちが、今ここで大変な思いをしているんだということなんです。社会経験を積む機会さえなく、生涯にわたって闘病生活を送ることに変わりない。そこに線引きをしてはならないと思うんです。

 これまで、日本の障害者福祉法における身体障害者の定義というのは、内部障害も含めて、固定と永続性が条件だったと思います。これは何回も障害の問題を質問したときに、いやいや、固定していないからとかという答弁があったわけですよ。だけれども、これが、さっきから議論しているように、難病患者を適用するに当たって、変化をする人もこの障害者福祉法の中に入るということが初めて今回行われたわけですよね。

 このことを、日本難病・疾病団体協議会の伊藤建雄会長の言葉をかりれば、難病も障害者福祉の対象になるということは、障害の固定と継続ではなくても対象とするということとなったわけで、まさに日本の障害者福祉の根本にかかわる大変革だというふうにおっしゃっています。私、本当にそうだと思うんですね。ぜひ柔軟な対応を求めたい。ぜひ検討していただきたい。

 大臣、もう一言、いかがでしょうか。

田村国務大臣 先般の改正で、難病の方々も障害福祉サービスの範疇に入るということで、サービスを御利用いただけるようになったわけであります。ただ、一方で、病名というものとそれから診断基準というものは、その対象者を確定していくためにはどうしても必要な部分であります。

 その上で、それぞれの状況に応じて必要なサービスを受けていただくわけでありますので、少なくとも、総合支援法に基づく給付に関しては、これは法律にのっとった事業でございますし、義務的経費になっておりますから、予算がないとかあるとかではなくて、しっかり受けていただけるということでございますので、そのような形で、必要のある方々が認定をいただいて、その上でサービスを受けながら生活をしていただけるというような形になっておるわけであります。

高橋(千)委員 大臣にこの問題を通告していなかったので、ちょっと前回と同じ答弁だなという気がします。

 しかし、手がかりがあるんだということ、もちろん病名はあるわけですよね。ただ、そこに診断基準、つまり指定難病医療費助成の基準とリンクさせているところに無理があるのであって、それを突破する手がかりとしてこういう考え方があるじゃないかということをきょう提起させていただきましたので、まだ決まったわけではないですので、ぜひ検討いただきたいと思います。

 そこで、次に、今少し話題になったわけですが、難病の医療費助成は義務的経費となって、長年の課題でありました自治体の超過負担、これがなくなったことは評価したいと思います。

 ただ、先ほども議論がありましたけれども、療養生活環境整備事業についてはできる規定となっているのはなぜでしょうか。同じように義務的経費にすべきだと思いますが、どうでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 今御質問の中にもありましたように、医療費助成につきましては、指定難病ということで一定の要件を満たし、また、個々の患者さんにおきましても、その指定難病の要件に合致する患者さんに対しては医療費の助成をするということですから、日本全国にお住まいの患者さんにとってみると、公平に医療費助成という仕組みの恩恵を受けていただく必要があるということで対応しております。

 一方、今御質問のありました療養生活環境整備事業ですが、今般の新しい法律の中には二十八条ということで位置づけておりまして、現在も行われております難病相談・支援センター事業などを、今申し上げましたように法律上にきちっと位置づけて、しかも、財政的な支援を行うことができるということで明記をしているところでございます。

 ここに関して、なぜできる規定なのかということでございます。今も多少申し上げましたけれども、医療費助成と異なりまして、こちらの難病相談・支援センター事業を含む療養生活環境整備事業につきましては、自治体における実態の差異、あるいは、重点的に行うべき領域がそれぞれ自治体によって違うだろうという想定のもとに、義務的な規定とはしておりません。

 例えば、例示を挙げますと、この療養生活環境整備事業の中には、特定疾患医療従事者研修事業といった研修事業を設けているんですが、人的あるいは医療機関のような箱、箱といいますか、施設の資源が必ずしも十分でないようなところでは、こうした特定疾患医療従事者研修事業のようなものに重点を置いていくこともあるでしょうし、また、そうでないところもあるだろうということで、自主性あるいは地域の実態に応じた対応ということで、柔軟に対応していただくようにということでございます。

 しかし、それにしても、法律に位置づける事業ということでございますから、各地域でこうした療養生活の支援が充実していくようにということで、厚生労働省としても、これから法律に基づいて基本方針を定めていくわけですけれども、その中において、都道府県、自治体に対しても、取り組みのあり方について明確に示していきたいと考えます。

高橋(千)委員 私は、この研修事業にしても、あるいは相談事業にしても、これは本当に地域の格差を取り除いて充実していかなければ、たとえ特定疾患が指定難病になって広がったとしても、全然知らない、自分の病名が何かということにたどり着くまでに何年もかかっているというのが一般的なわけですから、そこにたどり着けないわけですよね。そういう意味でも重要だと思うんです。

 資料の四枚目に、都道府県の難病相談・支援センターの相談件数、これは補助金ベースなんですけれども、資料をつけておきました。非常に格差が大きいわけです。

 また、下の方を見ていただくと、これはお金と件数でやっているんですけれども、ゼロ円から百万円未満のところもあるというのは非常に小さいわけで、千葉県が、難病医療協力病院が九カ所あって、相談を受けていて、こういう核になるところがあるところというのは非常に有利なんだなと思ったんですが、六千三百九件ですね。大臣の地元三重が三千三百七十二件、総理の地元山口は四十九件と、非常に開きが大きいわけであります。

 こういうのを誰が担っているかということで、次のページの資料を見ていただければおわかりのように、やはり患者団体が頑張って受けてくださっているわけですよね。患者団体に委託しているのが二十三自治体、医療機関等が十一、都道府県直営は十三にすぎないわけであります。やはりここを、予算の範囲内でという中で奨励するだけではなかなか進まないんじゃないかと思うんですけれども、もう一声お願いします。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま御指摘いただきましたように、現行の難病相談・支援センター事業につきましても、相談件数とか実施形態に地域ごとに違いがあるということは確かに認識をしております。

 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、今般の難病法案につきましては、当該事業を、予算事業から法律の事業ということで位置づけ直して、国が財政的支援を行うことができるということを明記したところでございます。

 平成二十六年度の予算においても、もう既に予算を見直して、難病相談員の人件費などを充実させたところでございますし、またこれまでも、先ほどからお話がありますように、必要な知識と基礎技術を習得するための研修事業を行ってきたところでございます。

 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、今後、法律成立後、基本方針をお示しするわけですけれども、その基本方針の内容等々とも関連をしまして、こうした難病相談・支援センター事業を含めて、充実していくようにということで努めてまいりたいと思います。

高橋(千)委員 本当に頑張っていただきたいと思うんです。

 そこで、大臣に伺いますが、もともとこの難病対策というのは、自治体独自の難病助成、さまざま、取り上げている疾患に違いがありますけれども、そういうところから始まって、都道府県の難病連なんかが結成されてきて、全国団体になってきたという歴史もありますよね。また、長く超過負担をしてきた。

 そういう中で、今後、都道府県がやはり独自の支援策というのを維持したい、あるいは拡充したい、こういう場合について、例えば交付税措置ですとか、何らかの支援をしていく必要があるかなと思うんですが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 今般の法律で、医療費助成に関しましては、これは法律にのっとって義務的経費化して二分の一を見るということですから、超過負担というものはこれでなくなるわけであります。

 今おっしゃられた難病相談・支援センター事業、さらには療養生活環境整備事業、こういうものに関しまして申し上げれば、これは、それぞれ、地方でそれぞれの必要性に応じてやられるわけでありますが、法律にこれも法定事業として二分の一補助というような形で位置づけた。ただ、これは予算事業であるわけであります。でも、これは規定したこと自体は意味があると思います。というのは、なくならないわけでありますから。位置づけていなければ、いつなくなるかわからないという話でございますので、そういう意味では意味があるんだと思います。

 それぞれの地方で独自にいろいろな事業をやられておられるわけでありますけれども、そこはやはり地方のそれぞれの状況がありますので、それを一律に国が何らか示しながら地方交付税で見るというのはなかなか難しいわけでございまして、そこはひとつ御理解をいただきながら、今般、法律でしっかり書き込んである事業等々、それぞれの自治体で対応していただく中において、難病患者の方々が日々生活する上においてしっかりとした環境を整えていただきたい、このように考えております。

高橋(千)委員 ここは私、言いぶりに気をつけて言ったつもりですけれども、国が何々をやれと言えと言っているわけではないんです。もともと自治体が独自にやってきたものを支援したらどうかと言っているだけですから、義務的経費になったからあとはできないというふうになったら残念だなという思いで述べたわけであります。

 それから、療養生活支援事業については、もともと超過負担がありません。だって、予算の範囲内でとなるわけですから。結局そうなっちゃうわけなんですよ。そこを本当によく見て支援をしていただきたいなと思っています。

 難病対策委員会の中でも、長野県の福祉部局の参考人が、五十六疾患以外に頑張って独自支援している、上乗せしているところがあるから、そこを拾ってほしいと述べていらっしゃいます。それがみんな今回なるかというのはまだまだ難しいところがありますので、そういうことに、やはりせっかく頑張ってきた県独自のものには支援していくということでお願いをしたいと思います。

 次に、小児慢性特定疾患においては、小児慢性特定疾患医療費の支給に要する費用及び小児慢性特定疾病児童等自立支援事業に要する費用、これがどちらも大人の難病とは違って義務的経費になったのはなぜでしょうか。

石井政府参考人 小児慢性特定疾病児童については、児童の健全育成という児童福祉法の趣旨に鑑みまして、医療費助成のみならず、相談支援等の地域におけるさまざまな支援を組み合わせて、安定的に支援していくことが大変必要だというふうに思っております。

 このため、小児慢性特定疾病児童等に対する相談支援等につきましては、消費税財源を充てた安定的な仕組みとして構築をいたしまして、都道府県に実施義務を課し、国としてはその二分の一を負担することとしております。

 なお、小児慢性特定疾病の医療費でございますが、現行の裁量的補助金においても国は二分の一補助としておりまして、これに倣っているということでございます。

高橋(千)委員 安定的と強調されたわけですが、では、その実績はどうなっているでしょうか。今示したような都道府県ごとのデータというのはないということでありましたけれども、いかがでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 小児慢性特定疾病児童等自立支援事業はこれから創設しようとするものでございますので、そういう意味で実績はないものでございますし、また都道府県のデータもないというのは、そういう意味では御理解いただけるものと思っております。

高橋(千)委員 わかっていて聞いているのに、そういう答えはないと思うんですよね。

 ですから、今やっていることを参考に新しいこの自立支援事業に行くわけですけれども、結局、療育相談ですとか、やるわけですよね。その実績というのはあるわけじゃないですか。それをもう少し、余りにも不親切な答弁だと思いますが。

石井政府参考人 大変失礼いたしました。多分、趣旨をうまく酌み取れなかったのだと思います。

 確かに、今現在、療育指導事業あるいは巡回相談事業、小児慢性特定疾患児ピアカウンセリング事業などを行っているところでございまして、平成二十四年度の実績で申し上げますと、まず療育指導事業でございますが、実施回数としては三千四百四十七回となっております。また、巡回相談事業でございますが、実施回数として九百十一回、そしてピアカウンセリング事業でございますが、これも実施回数として九百二十五回となっているところでございます。

高橋(千)委員 ですから、これは、全国で丸めても、最大多くて九百回とか三千回とか、そのレベルなんですよね。そこを本当に安定的に、そして義務的にしてやっていくんだとなったら、相当の覚悟が必要であろうということで指摘をさせていただきました。

 そこで、大臣に改めてのことなんですけれども、小児慢性特定疾患はもともと児童福祉法に位置づけられていたわけですから、児童の健全育成ということが目的だと思っています。そのために児童と家族を支援するという福祉的目的があると思うんですが、そこの意義について改めて確認をしたいと思います。

田村国務大臣 おっしゃられましたとおり、これは児童の健全育成というのが目的になっているわけであります。その治療の確立でありますとか普及を図りながら、一方で、今申し上げましたような、患者、家庭の負担の軽減というものがあるわけであります。

 しかしながら、現在の位置づけは、やはり治療研究事業という位置づけになっておるわけでありまして、福祉的要素はもちろんあるんですけれども、位置づけがそうなっておるものでありますから、今般の法律改正の中において、しっかりと福祉的観点というものを明確にしていこうということであります。

 あわせて、今もお話がありましたけれども、安定性というような部分で法定給付化をするわけでありまして、そういう意味では、これに関しましても前進であろうというふうに我々は思っておりまして、いろいろな事業の中においても、先ほど話がありました自立支援事業も含めて、小児慢性特定疾病の患者の皆様方が日々生活される上において、環境整備というものを進めてまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 十五日の参考人質疑でも、NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク会長の小林信秋さんが、家族を支援することの重要性について述べておられました。

 さっき大臣がおっしゃったように、確かに治療研究というところから始まったんだけれども、予算だけでは、構造改革法によって毎年一〇%削られる、これではなくなってしまう、そういう中で、医療費助成を維持できるように児童福祉法に位置づけたという歴史的なこともおっしゃいました。逆に言うと、本当にこの医療費助成がなかりせばということだったのではないかなと思います。

 多くは兄弟がいる、また親がまだ若くて経済力がない、そういう中で本当にこの助成制度というのはありがたいし、半分でも、自己負担増だけれどもありがたいという控え目なことをおっしゃっていたけれども、しかし、そういう児童と家族の支援といったときに、医療費を半分にすればいいんだとか、食費も負担という整理で本当にいいんだろうか。食事は治療の一環であって、今までどおりで、なくていいのではないでしょうか。財政影響額だって大したものではないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 小児慢性特定疾病については、治療が長期にわたり、医療費の負担も高額となるため、児童の健全育成を目的として、患者そして家族の負担軽減を図る観点から、自己負担限度額を従来から難病医療費助成の二分の一といたしておりまして、現時点において、これを変更する特段の事情変更もないと考えているところでございます。

 また、食事療養費でございますが、それのみに着目するのではなくて、自己負担限度額の水準や複数の患者がいる世帯での負担のあり方など、多様な観点から総合的に負担のあり方について検討が進められまして、費用の二分の一を自己負担することが適当とされたところでございます。

 なお、食事療養費に係る費用でございますが、平成二十四年度の実績は、助成対象数が約十一万人で、約七・一億円となっているところでございます。

 二十七年度の助成対象数は十五万人と推計いたしているところでございまして、このうちの約十万人が食事療養費について全額公費負担の経過措置対象者で、約五万人が二分の一自己負担となる新規助成対象者と推計されることから、二十四年度の実績をもとに二十七年度において食事療養費を全額公費負担した場合の財政影響を試算いたしますと、約二億円と推計をいたしているところでございます。

高橋(千)委員 そうなんですよね。だから、その二億円、我々は、そこはいいじゃないかということで、修正案を出して、食費は今までどおりにしてほしいということを訴えております。

 今、まさか特段の理由がないという答弁になるとは思っていなかったんですが、従来から子供は大人の二分の一と言っていて、それを変更する特段の理由はないとおっしゃったんですが、委員会の中では、結局、私が言ったように、児童と家族の経済的支援ということを考えたら、やはりふやさない方がいいんじゃないかという意見と、いやいや、もう少しふやした方がいいんじゃないかという意見、両方あって、中をとって二分の一になったんでしょう。そういうことなわけで、やはり、もっと実態に合わせてまだまだ検討していく必要があるのではないか、経過措置の間に、ぜひ上げない道を選んでいただきたいなと思っております。

 それで、大臣に改めて伺いたいんです。

 小児慢性特定疾患治療研究事業の受給者であった成人に対する調査を、前回、大臣が紹介されました。仕事をしている方は五四%いるんだと。特に障害なしという方が六割というデータもあります。これを捉えて、大臣は十一日の委員会で、自立して就労しておったり日常生活を営んでおったりされる方々は比較的多いと述べられました。確かに半分は働いているんだけれども、半分は働けていないということをどう見るかということが一つあるんです。

 小児慢性疾患の場合、発病で一番多いのはゼロ歳なんですよね。ゼロ歳に発病している。だから、まさに生涯にわたって病気とつき合わなきゃならない。そういう中で、登録者数というのが一番多いのは実は十代の前半で、そこから若干減っていきますよね。そういう意味で、治療に効果があった方たちがそこに数字としてあらわれてきているのかなと。だから、実際にはずっと続いている人のことは、やはり実態としては同じなんですよね。

 そういう意味で、小児のときに、医療費助成で低所得者はゼロ円だった、食費は自己負担なし、こうやって支えてきたことが、治療の面でも効果があったし、成人になってからも一定の日常生活に支障がないという人もいる、そういうふうなこともあると言えないかなと思うんですね。

 ですから、今回、負担がふえることで治療に結びつかない、そういう患者がいてはならないということで、改めて伺いたいと思います。

田村国務大臣 小児慢性特定疾病の方々が、今まで医療費の助成を受けながら、また一方で、それだけではなくて、相談支援でありますとか日常生活の用具の給付、こういうものを含め、さらには教育でありますとか就労、こういう種々の支援を受けながら、今委員がおっしゃられたように、半分の方々が自立をされて就労にもつかれておられる、こういう現状がある。これは、そのような小児慢性疾病への支援というものがあればこそという部分は、私はやはり理由としてあるんだろうというふうに思います。

 今般、そういう流れの中において、先ほど来言っておりますとおり、非常に不安定な予算事業を法定給付化するということにさせていただき、他の自立支援の事業もさらに強化をしていこうということであります。

 法定給付化をするということになると、これも何度も何度も申し上げていて恐縮なんですけれども、一定のバランスをとらざるを得ないというところがあるわけでございまして、その中においても、もちろん、自己負担の上限、これはそれぞれの負担能力に応じて差はつけさせていただいておるわけであります。

 さらには、今ほど来お話があったとおり、食事療養、これを二分の一、これは一般の保険の給付の中においての二分の一という形になっておるわけでございまして、この二分の一というものも含めて、無料にすればいいのではないかということをおっしゃられるのであろうと思いますが、なかなか、これは制度の中においてのバランスということがございまして、いろいろと勘案をして、福祉的な色合いも強めているわけでございますけれども、対象の拡大ということも含めまして、どうか御理解をいただければありがたいというふうに思います。

高橋(千)委員 同じ答弁ではあったんですが、小児慢性の医療費助成や総合的な支援があればこそ今こうして頑張れているということからまず出発点にして、検討を進めていただきたい、このように思います。

 それで、二つまとめて次に伺いたいと思います。

 今紹介した小林さんのお子さんの場合は、百人程度の患者さんだという極めて少ない疾患であったということで、小児慢性特定疾患の場合には、物すごく少ないという特徴もあるわけですよね。その反面、やはり希少性を条件としない、現行でも幅広い概念を持っています。これは、今回の法改正に当たってどのように整理をするのか。

 それから、トランジションの問題はずっと議論されてきたわけですけれども、今ある疾患のデータ、これを成人期にリンクさせるということが非常に重要な課題となっておりますが、どのように進めるのか。

石井政府参考人 社会保障審議会の専門委員会の報告では、これまでの小児慢性特定疾病の考え方を踏まえまして、まず一つとして、慢性に経過する疾患であること、二つ目として、生命を長期にわたって脅かす疾患であること、三つ目でございますが、症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾患であること、そして四つ目でございます、長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾患であることを考慮して選定することが適切であるとされたところでございます。

 これを踏まえまして、この法案の第六条の二第一項に規定を設けておりますが、そこで、「小児慢性特定疾病とは、児童又は児童以外の満二十歳に満たない者が当該疾病にかかつていることにより、長期にわたり療養を必要とし、及びその生命に危険が及ぶおそれがあるものであつて、療養のために多額の費用を要するものとして厚生労働大臣が社会保障審議会の意見を聴いて定める疾病」と定義しているものでございます。希少性の要件は入っていないものでございます。

 そして、もう一つのお尋ねでございますけれども、データの関係でございます。

 現在の小児慢性特定疾患治療研究事業におきましては、治療研究に活用するため、患者の各種検査値等のデータの登録管理を行っておりますが、効率的、効果的に治療研究を進めるため、今年度、新たなデータベースの構築を図ることといたしております。

 新たなデータベースの構築に当たりましては、御指摘のような観点、これも踏まえまして、小児慢性特定疾病の登録データについては、先行してデータベースの構築を進めている難病の登録データと登録項目を合わせるなど、円滑にリンクする仕組みとして開発を進めていきたい、かように考えております。

高橋(千)委員 円滑にリンクしてということでありましたが、今の難病の分野では、資料の六枚目、これは時間の関係でここは問いにしませんけれども、特定疾患調査解析システム入力率ということで、これも物すごい格差があります。

 やはり、データベース化しなきゃいけないんですけれども、紙媒体のを本当に原始的な手作業で入力しているというところを今やらなきゃいけない。これは本当に大変なことで、これを均てん化するというのは大きな課題であろう。ただ、私は、そういうことを思い切って今やろうとしているときだからこそ、トランジションの課題も本当に解決するチャンスではなかったかな、こういうふうに思っております。

 難病対策委員会の中で小慢のことを議論して、全体として、成人期と一体として議論していこうということを始めた。それが今度の法案の中にはなかったということはすごく残念だなということを指摘しなければならないなと思っております。

 それで、小児のがんや心臓病、糖尿病などは、やはり成人になれば対象とならない可能性が大きいわけですよね、がん疾患患者は物すごい多いじゃないかということで。しかし、小児のときに発症するということの意味は、だからこそ難病なのであり、特別の困難さ、違いというのがあるわけですね。そこを本当に反映させていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 これまでの議論の中で、今回の難病法案の位置づけ、あるいは、希少な疾病だとか難病の要件はどういうものかというのは御説明もいたしましたし、同時に、医療費助成の目的が何であるのかということについても御説明をしてまいりましたので、もうこれ以上申しませんが。

 今ありましたように、小児のがんとか心臓病とか糖尿病など、本当に細かく見ていきますと、確かにそれぞれの細かな違いというのは出てくるんだろうとは思いますけれども、今般こういう形で法案を考えていく中で、がんや心臓病、糖尿病など、ある程度の患者さんがおられて、そして別個の施策体系が一定程度構築されているものについては、今般の難病対策の枠内とはせず、難病の方は、これまで御説明いたしましたように、要件に合致するものということで考えております。

 いずれにしても、どういう疾患が対象になっているのか、あるいは小児の特定疾病との整合性をどうとるのかということについても、法案成立後に速やかに設立して検討していただくであろう第三者委員会の中で御議論いただくことになると思います。

高橋(千)委員 いっぱい時間をいただいたと思ったら、やはり問いをいっぱい残してしまいまして、申しわけないんですが、最後、ちょっと丸めて、まとめて質問させていただきたいと思うんですね。

 大臣にも聞いていただきたいんですけれども、大臣は、これまでトランジションの質問を受けたときに、指定難病も範囲が広がるからそこで拾えるんじゃないかということと、自立支援医療で見るということもあるんじゃないか、そういうふうにおっしゃっていました。

 ただ、今も特定疾患は五十六あるんですが、そのうち小慢と重複している疾患数はたった十五しかないんですね。しかも、その十五は、まさしく細かく見ていきますと一桁とか二桁、せいぜい十四人とか、その程度の極めて希少な疾患しか重複していないんです。あとの圧倒的に小慢で多い疾病は実はダブっていないんですよ。

 そうすると、これがいきなり、広げたからといってうんとこの関係が変わるというふうには考えにくい。まして、糖尿病などは生活習慣病だと言われているわけですよ。そこを今からちゃんと考えないといけないのではないか。そこをちゃんと受けとめていただきたいということ。

 その上で、私がきょう通告していたのは、例えば日常生活用具。これも、二十になったら全部、医療費助成もないしこっちもないというんじゃなくて、ここをこう支援していくということを考えてもいいのではないか。あるいは、二十四時間つけなければならないインスリンポンプ、一型糖尿病ですね、これなどをやはりせめて人工透析並みの支援にするとか、そういう形で、少しソフトランディングというのでしょうか、一緒に考えるべきじゃないか。どうでしょうか。

木倉政府参考人 インスリンポンプの部分で簡単にお答え申し上げます。

 今の人工透析等、これは高額療養費の制度の中で上限を一万円に抑えている仕組みのものでございますが、これは約三十年前、昭和五十九年に健康保険法の改正で、被保険者本人の自己負担が、十割から九割というときに、人工透析あるいは血友病という具体的な疾患について御議論が国会で行われまして、このようなものについては、高額療養費の仕組みはあるんだけれども例外的に負担を軽減するということが合意をされ、それが盛り込まれておるものでございます。その後、血友病患者の関係で、抗ウイルス剤が投与されている後天性免疫不全症候群の方も入っておりますが。

 この対象の議論につきましては、その後も医療保険部会等で議論はありましたけれども、やはり医療保険の考え方は、疾病でなかなか区分、差をつけにくいということが原理原則であるということ、それから、医療保険財政が極めて厳しい中で保険者等の合意がなかなか得られにくいということで、その後、追加はなされていないという状況にございます。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員、先ほど五十六疾患のうちわずか十五というふうにおっしゃいましたが、小慢の方から考えましたら、五百十四疾患のうち百を超える疾患が今重複しているということでございます。現状はそういうのはおっしゃるとおりでございます。

 しかしながら、今回、これまでとは違いまして、安定財源を得て疾病対象は拡大していく、五十六から三百になるということが予定をされているわけでございまして、これはそこで打ちどめというわけではなくて、今後の可能性も秘めた、そういう位置づけ、条件を満たした場合には追加されていくという枠組みが、しかも安定的なものとしてできた。そういう意味では、相応の改善が図られていくというふうに私ども受けとめておりますし、また、そういう方向で対応していくというのをまず原則として考えたいというふうに思っております。

 また、あわせまして、自立支援事業についても新たに法定化され、しかも負担金化されておりますので、これについてもしっかり、子供を支えていくという観点から取り組んでいきたい、かように考えております。

高橋(千)委員 終わります。言いたいことは討論でやります。

後藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 維新の質問時間に珍しく民主党の先生が二人いらっしゃるということで、ありがたく存じます。

 足立が出てくると、またあの非営利何とかというテーマかということですけれども、きょうは法案審議ですので、しっかり難病法案について質問をさせていただきます。

 何日も法案に関する審議を続けていただいておりますが、私は難病については初めて時間をいただきました。もともと私は医師でもありませんので、難病については、正直、最初、ハードルがあるというか、なかなか、やはり病名も、ふだん私は聞きなれないものが多うございますし、同僚の医師の議員等に中心にやっていただきたいということで控えておったんですが、いろいろ質疑を聞いていまして、失礼ながら、これは改めて大事だなと思いまして、私も三十分だけいただいて、重複するところもあるんですが、幾つか確認をさせていただきたいと思います。

 民主党さんとめったに意見は合わないんですが、難病対策については、ところどころちょっと違和感、例えば財源の問題とかいろいろ大臣もおっしゃっているところについては、うんっと思うところもありますが、ただ、御主張の多くは、非常にそうだなと思う部分が多くて、多分、あまたある政策の中で、この難病だけだと思いますけれども。

 加えて、先ほど結いの党の井坂委員も非常に大事なポイントを質疑されまして、私、感銘をいたしまして、井坂議員とはいろいろな会でも御一緒させていただいていまして、できれば将来一緒にと思っていますので、またよろしくお願いします。

 大臣、私がなぜ民主党の方々とこの点については意見が比較的合うかなと思うかというと、やはり難病というのは誰でもなるかもしれない、要は原因がわからないわけですから、あした私が、あるAという難病、Bという難病にかかるかもしれない、わからないわけですね。原因がわからないから、わからない。

 こういうテーマというのは、私も一年強、厚生労働委員会で仕事をさせていただいていますが、いわゆる厚生行政というか、こういう行政の分野の中でも最も、公益性という言葉がちょっとよくわからないんですけれども、税金を投入する合理性というか、そういう合理性が高い分野だと思っていまして、その一点で、やはりそうだなと思う部分が多分多かったと思うんです。

 大臣、この点、要は難病対策は、原因が不明、それから治療方法が確立されていない、そういったことを踏まえると、大臣が所管されているさまざまな政策分野の中でも、税金を投入するというか、あるいは公益性が高いというか、そういう政策の必要性、これが最も強く、説得力があるというか、合理的に説明できる分野だと思いますが、改めて大臣の難病対策についての御認識をお伺いできればと思います。

田村国務大臣 原因がわからない、そして治療法が確立されていないわけでありますので、希少性があるかないかではいろいろと御議論が分かれるところもありますけれども、基本的には、非常に治療が困難、それを研究開発していかないと、しかも、希少疾患の一つには、なぜ希少というのが入っているかというと、これは研究開発もなかなかやってもらえないですよね。

 なぜかというと、製薬会社が薬をつくろうと思っても、インセンティブが余り働かないというのがある。そういう意味では、希少疾患に対して、いろいろな難病という範囲の中において支援をしていくというのは、そういう部分も実はあるわけであります。こういうところには税金を使っていくということで、医療保険以外に医療費助成をする。

 ただ、それだけじゃありません。自立支援医療という分野も同じような分野。そして、境目があって不公平じゃないかというお叱りをいただく分野には、ほかにも、肝炎もそうであります。いろいろな分野があります、そういう分野では。

 それを全て、全員、どこまでというので、いつも財源やいろいろなものとの間で我々も苦しんでおるわけでございまして、そういう意味では、難病だけという話じゃありません。あまたそのような分野がこの厚生労働の分野ではあるというふうに認識いたしております。

足立委員 大臣はあまたとおっしゃいますが、あまたある行政分野の中でも、ここだけだとは言いません、特に税金を投入するに値する、合理的な説明ができる、そういう分野の一つであると、私は質疑をお聞きする中で改めてそういう思いを深めているわけであります。

 なぜ、私が、難病は特にと申し上げるかというと、大臣が、きょう、いろいろな質疑の中で、ほかの制度とのバランスということをおっしゃいました。ちょっとこれは通告していないと思いますが、例えば自己負担を入れていることについては、さっきのいろいろな質疑でも、この分野は、あるグループの方については、やはり自己負担がきついんじゃないかという議論がずっとあります。

 特に、ちょっと通告ベースにもう一回話を戻すと、ある学者の方が、難病患者の医療負担については生涯ベースで考えるべきだ、こういう指摘をされています。

 経済産業研究所というところに所属をされている方ですが、その方は経済学者ですから、いわゆる論理、ロジックで考えると、この難病という分野は、もともと、必ずしも大きな対象があるわけではない、かつ、誰でも難病になる可能性が否定されない、かつ、その負担は、例えば平均在院日数なんかで見ると三カ月とかいろいろな数字がありますが、難病の方は、もし治療の方法が見つからなければ一生その負担をしていくわけですね。その生涯ベースの負担ということを考えるとやはり自己負担は重いんじゃないか、こういう指摘をされている方がいらっしゃいます。

 私は、経済学者というのは、必ずしも、どうかと思うこともありますが、いわゆるロジックで突き詰めるという意味では、非常に傾聴に値する意見だと思います。この意見について、これは局長でも結構です、よろしくお願いします。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 御質問の中にありましたように、難病は、根治療法がない、発症、発病のメカニズムが明らかでない、そして、希少な疾病、長期の療養を必要とするものということが要件になっております。この長期の療養ということと根治療法がない等々を総合的に勘案すると、やはり医療費の負担も大きいだろうというふうに想定をしているわけでございます。

 今御紹介のありました経済学者の御発表の中でも、通常の疾病の患者さんと同じ基準で負担の水準を議論することには極めて慎重な態度で、生涯を通じて医療費がかかるんだという生涯ベースで考える必要があるんだ、こういう御指摘をいただいているんだろうと思います。

 そういうこともありまして、今回の難病法案を議論するに当たりましても、他の制度、医療費の助成制度等々と比較をするというプロセスを踏んでまいりました。

 まず、通常の疾病でありますと、保険制度の中で高額療養費制度があり、また、高額療養費制度の中には、一年のうちに何回も何回も高額が続くようだったら多数該当という制度がありますし、同一の御世帯の中に同じように高額療養費を持っていらっしゃる方だったら世帯合算がある。こういうことで、自己負担の額が、通常の疾病であっても一定の額以上にならないようにということで設定をされているわけでございます。

 ですから、今般の難病対策における負担それから上限を考えていく上でも、こういった一般の疾病の高額な場合の仕組み、そして、その過程では、高齢者の高額療養費というのを参考にして、一旦は難病対策委員会でも御提示があり、公表もし、御意見を頂戴するというプロセスであったわけです。

 その過程で、高齢者の高額療養費ということでは相当に負担が大きい、それから低所得者についてはどうなんだ、それから、これまでるる御議論があっておりますけれども、ALSで気管切開をして人工呼吸器を使っているような方、そういう方についての自己負担というのはどうなんだ、これまで無料であったというような、そういった経緯や実態を十分踏まえるべきだと。こういうことがありましたので、今般のような形で、所得区分とそれから病状の程度、長期かどうかというようなことも総合的に勘案した上限の設定というものをさせていただいたということで、話をもとに戻しますが、難病患者の医療費負担を生涯ベースで考えるべきという思想的な部分は、十分に盛り込まれているのではないかというふうに考えます。

足立委員 この自己負担の問題は、るる、何度も各委員の方から指摘もありましたので、もうこれ以上繰り返しませんし、また、生涯ベースという考え方について、私の方から改めて指摘を申し上げ、今、佐藤局長の方から、踏まえているつもりだという御答弁がありました。

 私は、高齢者の高額療養費制度も勘案しながらという御答弁がありましたが、厚生労働省としては当然精緻に議論を尽くしてこられた結果だと思いますが、先ほども関係の委員と昼に話をしていまして、近い将来、この自己負担のところについてはやはり改めて検討を深めたい、こういう思いを共有していたところであります。

 もう一つ、きょう私が、素人ならではと言うとちょっと変な言い方ですが、きょう何度も出ています希少性の話ですね。これは、ぜひもう一度、私の立場から大臣あるいは佐藤局長にお聞きをしたいと思っていることがあります。

 これは大臣には通告していません。大臣にはぜひ一つ通告外でちょっと御答弁いただけたらと思うんですが、虹がありますね、虹が。これは何色ですか。例えば小学校のとき、クレヨンで虹を描くとき、大体何色で描いていたか、描いていないかな。

田村国務大臣 厳密に言えば、どれをどの色だというふうに言うのか、濃淡はあるんでしょうけれども、普通は七色という話でございますよね。

足立委員 まさに私も、小学生のとき、余り虹は描かなかったんですけれども、周りで描いている子たちは七色が多かったです。日本は七色で、それは学校教育で七色になっている、なっていたか、なっているかだそうで、学校教育の影響が非常に大きい、こう物の本には書いてあります。

 グローバルに言うと、ヨーロッパではもともと五だったんですって。それを、ニュートンが、五より七の方が縁起がいいというか、いい数字だということで、二つ加えて七色ということで整理をしていった歴史がある。一方で、もっとアフリカとかいろいろ見ると、アフリカのある国では、小学生がクレヨンで描くと三色なんだそうです。

 当然、科学的には、これは無限にあるわけですね。どこかに線があるわけではないわけです。

 私がなぜ虹の話をしたか、もうおわかりだと思いますが、私は、まさに委員の先生方の質疑を聞いていて、いまだに、ずっと何日も聞く側に回って聞いていましたけれども、大臣の御答弁、副大臣の御答弁、局長の御答弁を伺っていても結局わからなかったのは、誰がそれを決めているんですか、その概念、病名というのを。

 言語学という学問がありますね。言語学の世界で、認知するというのは、認知があって名前があるんじゃないんです、名前がつくから認知できるんですね。だから、言語学の世界では、名前がつく前は、とにかくのっぺらとしているんです。でも、これは赤だ、これは黒だ、これは人間だ、これは机だという、名前がつくから机だと認知する。だから、認知と名前というのは、認知が先なんじゃなくて名前が先なんだという議論は、非常にポピュラーな議論なんです。佐藤局長、言っていることはおわかりいただけますね。

 難病の定義には、原因がわからないとかいろいろなことが書いてある。難病の定義、第一条に書いてあるその定義にもかかわらず、なぜ病名が一意に決まるんですか、局長。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 なかなか難しい御質問をいただいたように思います。

 おっしゃるとおりでございまして、長い長い医学、医療の歴史を見てみますと、病名をつける、そして、そのつけた病名が、AさんがA大学病院で言っている病名と、BさんがB大学病院で言っている病名が一緒なのか、また、日本で何とか病という、山本病とか田中病とかいう名前がついたときに、それがヨーロッパで言う何々病と一緒なのかどうかということは、歴史的には常に検討されて、見直されたり、意見の交換があったりしたわけです。

 最近になりますと、やはり病名というものは統一しなければいけないということで、例えば、高血圧の基準などもそうですし、糖尿病の基準などもそうですし、人種差というものはあるものの、世界的にもこの病名というのは通用するのかどうなのか、世界では何と言っているのかというのを常に学者さんたちが考えながらやっているということが言えると思います。

 一般論で言うと、やはり近年は、そうした形で、国際学会ないしは今はインターネットだとか、もちろん、最近話題になっておりますランセットだとか、ネイチャーだとか、あるいはセルだとか、そういった雑誌に載る過程で、病名というもの、あるいは病態の概念というものについても一定の合意が得られていく、そういう形になっています。

 では、難病の場合はどうかといいますと、もともと、昭和四十七年にスタートして以来、研究班の大きな作業の一つは疾患の概念をはっきりさせること、言いかえれば、疾患がどういうものであり、病名が妥当であるか。そして、もうちょっと言いますと、疾患の基準が妥当であるかということを御検討いただき、日本全国でと申しますか、日本全体を通じてコンセンサスの得られる病名であるかどうかということに心を砕いてきたと思われます。

 したがいまして、きょうはお見えになっていませんけれども、河野正美先生の御質問の中にもありましたけれども、医学部やあるいは国家試験の出題の際にも、厚生労働省の研究班の決めた基準に合致しているかどうかとか、この病名がついたときにこの診断基準というのが合致しているのかどうかとか、どういう診断基準が加わればこの病気と判断していいのかどうかというのが、ある意味、国家試験や医学教育の中での重要な一つの柱であったというふうに見ていいと思います。

 そういう意味では、御質問に正確に答えていないかもしれませんけれども、難病の研究班というのは、繰り返しになりますが、疾患概念をはっきりさせ、疾患概念に合うような診断基準をつくっていくという作業が、この何十年もに及ぶ研究の中のポイントだったと思います。そうやって疾患基準を決めることによって、では、A先生の言うこの患者さんとB先生の言うこの患者さんは一緒だなということでデータが集まる。集まったデータをもとに、では、こういう治療基準でどうだろうかとか、あるいは、もう少し細かく見てみると違う疾患を同じものと理解していたんじゃないか、こういう議論が深まっていく、こういう経緯だったと思います。

 したがいまして、まとめて申しますと、実際に病気を診断する難治性疾患克服研究事業の中の先生方、もちろん、その外側におられる学会、そして、さらには海外の先生方、こうした方との間の意見の集約によって今は比較的ユニバーサルな形で疾患名がついていっている、こういうふうに理解をしております。

足立委員 今、一般の疾病と難病と、ちょっと分けて解説いただいたと思うんですが、一般の疾病はグローバルなコミュニティーがそれなりにある。でも、難病もある、どっちですか。

佐藤政府参考人 これも一般論でお答えしますと、高血圧だとか、糖尿病だとか、がんだとかいうことになりますと、人種差はあるものの、ある程度、学者の数も多うございますし、患者さんの数も多うございますので、コンセンサスは比較的得られやすくなっているんじゃないかと思います。

 それに対しまして、これまでの議論の中でもありましたが、難病というものに、こういう形で患者のデータベースをつくり、さらに医療費助成をし、さらには、社会環境あるいは就労支援まで含めて総合的に対応している制度というのは、余り多くはないようでございます。

 どちらかというと諸外国は、基本的にはオーファンドラッグ、すなわち、希少性疾患に対する医薬品、医療機器の開発の促進を進めるという程度にとどまっておりますので、こういう疾患概念でやりましょうとか、全く同じシステムで疾患概念の決め方をやっているかどうかは、ちょっと私も存じ上げません。恐らくは、オーファンドラッグなんかの議論をするときに、私どもも参考にするし、そういう中で疾患の名前というのはある程度決まっていくものだろうと思います。

足立委員 今おっしゃったのは、どちらかというと難病対策が、日本はこういう形をとっているけれども、当然、諸外国ではそもそもそういうたてつけではないというお話ですけれども、さっき私が申し上げた名前と認知というもっともっとベースのところで言うと、難病の概念というのは、グローバルに、リファーというか、相互にコミュニティーがあるのか。例えば難病の名前も、検索すると、大体英語名も出てきますよね。そういう意味では、それはグローバルに収れんした概念だと考えていいんですか。

佐藤政府参考人 我が国で、今般の新法の中で今回整理しました難病の定義に近いもの、要件に近いもの、それから医療費助成の対象となる要件、これと世界とを比較しますと、違うところもたくさんあるだろうと思います。

 ただ、個々の疾患について見ますと、今般、とりわけ医療費助成として認めていこうとしているものについては、疾患の概念がはっきりしていて、疾患の基準ないしは診断基準に準ずるようなものがあるものということで、ある程度最初は限定していこうというふうに考えますから、そういった疾患については、言うまでもありませんけれども、本邦においては診断基準も疾患の概念も決まっております。そうしたものは、ほとんどのものがヨーロッパやアメリカでもそういう疾患概念として認知されているものばかりだというふうに理解をしております。

足立委員 きっとそうだろうなというか、先ほども局長がおっしゃったように、インターネットもあり、こういう時代ですから、情報はすぐに共有される、学会もいろいろ、先生方は頻繁に、海外、学会にも参加をされて情報をシェアされている、私はそういう実態に当然あると思うんですね。

 すると、特に今回の法案が福祉的側面のみならず研究開発の側面もあるとすれば、そこの研究コミュニティーでの活動が大事なので、例えば希少性といえども、本邦においてという国内の患者数だけでカウントしていること自体が、そもそも非常に論理的にどうなんだろう、こう思うわけですけれども、これは、世界の研究コミュニティーの中でどれぐらいそれが、日本がそうやって助成してデータを集めなければならないような状況にあるのか、そういう詰めというか、これはどうなっているんですか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 正直申し上げまして、私も、最近国外で難病というもの、本邦で言うところの難病に相当する疾患をヨーロッパ諸国やアメリカの諸国、政府はもちろんのこと、学会、それからコミュニティー、医療機関、そういったところが、どの程度の認識で、我々と同じような思い、哲学で取り組んでおられるのかというのは承知はしませんけれども、私どもが報告を受けているところないしは文献等で見る限りは、基本的には彼らは、政策的にはオーファンドラッグという視点で、企業の努力を促すという仕組みですし、あとは基本的にはアカデミアの世界にお任せをしているというところではないかと思います。

 ただ、我が国においては、昭和四十七年以来、独特の発想である、希少な疾患で、こういう言い方をしていいかどうかわかりませんけれども、必ずしも光が十分当たりにくいような疾患について、患者さんを集めて、しかも、今何度かお答えもいたしましたけれども、きちんとした診断基準に基づいた疾患概念に基づいて集めたデータを分析することによって、我が国でも、我が国初の新しい治験とか、ひいては治療法などが開発できるのではないかという視点で努力をしているというのがこれまでの経過だと思います。

足立委員 大臣、私がきょう改めて指摘申し上げているのを御理解いただけると思いますけれども、やはり研究ということでいうと、グローバルな研究コミュニティーが当然あるわけですから、日本がその視点で政策を講じることの費用対効果、そういう議論は本当は必ずあって、むしろ、グローバルな研究をもし促進するのであれば、当該疾病に関する、まあ難病ですね、当該疾病に関するグローバルな研究動向というか、そういうものを必ず視野に入れざるを得ない、私はそう思います。

 そう思う立場からいうと、ずっと議論があった、そもそも、研究の側面もいいけれども、福祉的側面で整理を貫徹していった方が難病対策としてはわかりやすいんじゃないかというのを、私は、今、そういう研究というのがグローバルだということを踏まえると、野党の皆さんというか、きょう質疑で幾つかあったそういう指摘に、私も賛成だなという論拠の一つになるかな、こう思っているわけであります。

 法律にも、三条において、研究体制、国際的な連携ということがうたわれています。今、もう既にお答えいただいた部分もあるかもしれませんが、簡潔で結構です、それは今どうなっているか、簡潔に現状を教えてください。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 簡潔にというお話でもありましたが、今の御質問の中で幾つかありましたので、少し答えさせていただきます。

 これまでお話をしてまいりましたように、難病というのは、遺伝的と言えるかどうかわかりませんけれども、遺伝子の異常のようなことで起こっている病気が多いのも事実でございます。そうなると、人種差というものがありますから、諸外国がどうであれ、日本でどうなのか。日本人ないしは、日本人の中でも多種多様な遺伝子があるようですから、地域性があるのかどうかとかいうようなことも含めて、きちっとデータをとっていく必要があるだろうと思います。

 そういう診断基準にのっとった、きちっとしたデータができて初めて、今度は国際的に比較ができるということになってまいりまして、日本人やアジア人に固有の難病なんじゃないかとか、あるいは逆なんじゃないかということもわかってくると思います。

 そうしたことで、今般、これまでに議論の中にもありましたように、正確なデータの収集とその分析がきちっとできることで国際的な比較もできるし、また、そういう中で、今先生の御質問にありましたように、国際連携もできていくんじゃないかと思います。

足立委員 もう時間が参りましたので終わりますが、今申し上げたように、あるいは今、佐藤局長からあったお話を踏まえると、厚生省の研究班で疾病の特定をずっとやってこられた歴史があるわけですけれども、そのコミュニティー、厚生省の研究班のある種のグルーピングが、まさに救済されるかどうかの谷をつくったりしている現状があるので、やはり厚生省の、まさに行政の研究班の取り組みが本当に重い、名前のつけ方というのがいかに人の生活を左右しているかということに思いを持っていただいて、またこの難病対策を強化していっていただくようお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、清水鴻一郎君。

清水(鴻)委員 日本維新の会の清水鴻一郎です。

 きょうは、三十分間とちょっと短いですけれども、質問の方、よろしくお願いしたいと思います。

 きょう一定の報告がいただけるということで、難病とは少しかけ離れるんですけれども、きょうも午前中にも、この予算があればもっと難病対策ができるんじゃないかという話もあったぐらいでありますけれども、いわゆる独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構、JEEDです。

 何か一定の調査報告がきょう出るとかいうふうに前回お伺いしたので、大臣の方で、今調査と、それから、この間、不調に終わりましたよね、不調に終わって、今後新しくつくっていくのを、今、受け皿をつくるための工夫をしているということで、はっきり言えば、もう時間がどんどん過ぎて、消費税増税のある意味での切り札といいますか、離職者対策のものでありますから、やるなら早くやらなければ意味がないということですけれども、現状どうなっていますか。お知らせください。

田村国務大臣 きょう理事会の方に報告させていただいた内容でありますが、三月十九日の理事懇談会におきまして、調査に一カ月は要する旨を報告させていただいたところでありますが、現在、厚生労働省監察本部における外部専門員の主導のもと、収集した資料の分析や、それを補充するための聞き取りを行う等、徹底的な調査を実施しているところであります。

 今現在、調査途中でございますが、その検証作業に時間を要しており、二十一日の週以降もその検証に費やさざるを得ないという状況でございます。また、検証作業に並行して、外部専門員に報告書案を作成していただいている状況でありまして、外部専門員のお考えに従い、連休明け早々に監察本部を開催して取りまとめることを予定しておりますという内容を、きょう理事会に報告させていただきました。

清水(鴻)委員 まだ原因究明については道半ばということですよね。

 いわば原因がまだはっきりわからないけれども、あるいは実態調査はまだ不明だけれども、また別途、その受け皿をつくるための、この間、不調に終わった、だけれども何とかこの事業を大臣としてはやらなきゃいかぬという思いで、今、その作業はどのような形で進めていらっしゃるんでしょうか。

田村国務大臣 三月二十四日から四月の七日までの間に、公平性を確保するために前回の公示内容で入札を募集しましたが、残念ながら応札されるところがなかったということでありまして、今、再々入札の準備をいたしております。

 具体的にこれから内容は詰めますが、まず、全国一律というところ、いろいろとお聞きをいたしますと、ここがかなり難しいということでありますので、幾つかに、ブロック別に分けさせていただいて、発注をさせていただきたいと思っております。それから、キャリアコンサルティングと訓練の認定作業、これが利益相反になるのではないかというような御指摘もいただきましたので、ここは分けて発注をさせていただきたいというふうに思っております。

 いろいろとお話をお聞きする中で、幾つか、民間の方々がとりやすいような、そういう要件に変えさせていただいて、早急に再々入札をさせていただきたいと考えております。

清水(鴻)委員 大臣のお気持ちはすごくわかるんですけれども、今、はっきり言えば、まだ原因の究明も、明確にはなかなかいっていない。この形で、厚労省の方もまた次の入札に向けて、はっきり言えば受け皿をつくるために、ブロック別にしようとか、今工夫をなさっている。

 だけれども、いわば、またこれは公募でとお考えなのかどうかちょっとわかりませんけれども、もし公募でやるとすれば、ブロック別にするけれども、例えば近畿なら近畿で、これを受けてくれるところはどこかなと当たりをつけるわけにもいかない。あらかじめ聞くことは、またネゴになってしまう。でも、今度やって、結構工夫して分割発注というような形で入札をされたけれども、ある場所はあったけれどもある場所はないということもまた考えられる。そうなると、ますます、この事業をことしやって本当に意味があるのかなということにもなってきます。

 また、そんなことのないように、やはり、全国を何ブロックかに分けたところに受け皿があるようにちゃんと工夫しようということになると、大臣はこの前も、仕事熱心とはいえ、厚労省の方がこの事業を成功させるために、どうもJEEDぐらいしか全国でやれるところはないなということで、そことある程度、ほかもあるかもしれないけれども、最低でもそこは入札に参加してもらって、受け皿として最低限一つは確保しておかなければいけないなという思いもあってかどうか、そういうことでされたと。

 今度も、そういうことで同じような形でされたら、厚労省の方も、やはり大臣の思いもあるので、何とかこの事業を、受け皿をつくろうと努力される、努力された結果が、また同じ、原因究明もはっきりしない中でまたやられれば、まさに厚労省の方の生首がまたそれで飛んでしまったり、一生涯のところに非常に傷がつく。

 もし私がそういう立場にあれば、やはり一生懸命、何とか事業が成功するために、そういう受け皿になるようなところ、どこか当たりがないかなと考えるでしょう。一生懸命私がやって、だけれども、やり過ぎたということで傷つけば、私の家族も、家内も大変悲しむだろうな。

 原因もはっきりしない中で今進められているということに、私は非常に違和感を感じるんですけれども、大臣、今度やってそういうことになったら、厚労省の人もかわいそうじゃないですか。どうですか。だって、受け皿を探さなければ、この事業はできないわけでしょう。

田村国務大臣 一生懸命仕事をやることと、やってはいけないことをやるのとは、これは違うわけでありまして、それは、一生懸命やる中において、やってはいけないことをやらずに、やることはできるわけであります。ですから、そこはやはり、幾ら目的は正しくても手段を選ばないというのは、ちょっとこれは問題があるんだろうというふうに思います。

 その上ででありますが、この問題は、大変な不適切な入札行為があったわけであって、入札だけではない、公示から始まっての話なんですけれども、それはそれで、担当者は入れかえましたので、今、そこにかかわった方々は、この担当にはおりません。

 そしてまた、一方で、いろいろな、この委員会の場でも、これは必要な事業であるというようなお話もいただいておるわけでありまして、事業としてこれが無駄な事業だとは我々は思っておりません。

 そしてまた、入札という形で、もし高齢・障害・求職者機構に参加をいただくということになると、これは一方の当事者でありますから、まだ高障求機構がいいか悪いかというのは我々わかりませんけれども、これが入札にかかわるという話になると、それは事件の真相もわかっていないのにどういうことだという話になりますから、それももう参加はいただかない。というよりかは、高障求機構の方から入札という制度には参加しないというお話をいただいておりますから、そこは事件の真相とまた違った中において、必要な事業に対してちゃんとした入札をやらせていただきたい、こう思っております。

 では、次、とれなかったらどうするんだと。我々はとっていただくように最大限努力いたしますが、これはまた原点に戻らなきゃいけない話だと思います。

 もともと、何度もお話ししておりますが、一般競争入札できるものは全部一般競争入札にしようという流れがありました。しかし、できない、随意契約のものに関してどうするんだというときに、民主党政権下で、随意契約も全部、企画競争型の入札でやろうということで踏み出されました。それを私は否定はしません。民主党の皆さんは民主党の皆さんで、何とかその中においても競争原理を働かせて、公平な、オープンな中で、とれる能力のあるところがとったらいいじゃないかというおつもりだったんだと思います。そういう壮大な実験をやられた、壮大かどうかわかりませんけれども、実験をやられた。

 結果、一者応札というのが非常に多い。これは、委員が示せという資料で、六〇%以上が一者応札であった。しかし、一者応札だからといって、ではすぐに特命で出すのがいいかどうか。私はすぐに特命だとは思いませんので、ですから、今般、この事業は企画競争入札をもう少し続けさせていただきたいと思っています。

 しかし、それでもとれないところ、いや、とれるところもあるかもわかりません。しかし、ブロックによっては力のある企業がなくて、とれないようなことがあれば、そのときにはどうあるべきか。何度も何度も同じことをやっておっても、これはらちが明かないわけでありますから、その場合には、やはり企画競争入札にそぐわない側面もあったのではないかというふうに我々も判断する局面もあるかもわかりません。そのときには、特命で、やれるところにお願いするということもあるのかもわかりません。

 しかし、今はまだそういう段階ではなくて、まずは民間がとりやすいような条件にしてみて、そして民間のところにこれを落札いただいて、この仕事をしっかりとやっていただきたい、こういう思いであります。

清水(鴻)委員 わかりました。

 ただ、大臣も、今、私もこの間取り寄せさせていただいた資料をお示しいたしましたけれども、現実的に六〇%以上一者入札ということは、そういう意味での競争原理が実際には働いていないということになる。

 その現実はやはりしっかり受けとめた上で、言葉が、随意契約というと何か悪いようですけれども、決してそうではなくて、やれると判断できるところに、きちっとした、透明性の高い、そして費用もきちっと説明ができる、そういうものでやるのが、僕はこの結果として出てきたのではないかな。

 もちろん大臣は、今もまだこの方法でということをおっしゃいますけれども、これはやはり、今年度の予算で組んだもので、今年度でその事業をしっかりと、消費税も上がった中で、離職者に対する政策ですから、時間的余裕はないわけですよね。

 だから、もちろん順を踏んでやられているわけですけれども、やはり急いでやるべきことに対しては、今まで、残念ながら二十二年、二十三年、二十四年と、ずっと一者入札の率が上がっているんですよ、実は。下がってきたのなら、まだこれは努力のかいもあるのかなということですけれども、明らかに上がっているものに対してまだチャレンジするというよりは、僕は、どこかで、やはりしっかりした決断を政治家としてしていただいて、何もきちっとした手続をとれば、公募しなければ不平だとか、そういうことでは全くないと思いますよ。

 その辺は、やはり大臣の政治家としての決断と、どこかのタイミングが非常に大事だと思うので、そこはしっかりお願いしたいと思います。お気持ちはよくわかっていますので、お願いしておきます。

 もうあと、難病のことを質問する時間がなくなるので、それはまた結果を報告していただいたときにしっかりとやっていきたいなと思いますけれども、余り、厚労省の方も一生懸命やった、もちろん、大臣からいえば一生懸命というのは限度があるんだというわけですけれども、一生懸命やればやるほど、ある意味で頑張り過ぎるんですよ。

 だから、そこのところを、その人たちが決して本意でないのに傷ついていくということは、僕は、何か有能な人が傷ついていくということは非常に耐えられないことでもありますので、ぜひとも大臣の決断というのを早い段階でして、今回も、この事業はことしはやらずに、来年しっかり構築してやるのなら、それも一つの大きな決断だと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 難病対策、僕は、難病の、いろいろな皆さんとの議論、ほかの委員の方の質問もずっと聞いていて、この法律で、いい法律で前へ進んでいるし、もちろん、これは今回成立していただかないといけないなという思いはあるんですけれども、何か変だなというふうに思っていたんですよ。やっと、さっき、質問するちょっと前に気がついたんです。

 この法律は、やはりちょっと無理が、というのは、法律自体に余りにも大きな目的を二つ入れ込んでいるから、そこに無理があるんだなというふうにちょっと気がつきました。

 それは、一つは、ある意味で、難病というものに対し、あるいは小児慢性特定疾患に対して、いわば福祉的な意味合い、つまり、難病の方々や小児の慢性疾患の方々に、治療費もかかるし、しょっちゅう病院にも行かなきゃいけないし、入院もしなければいけない、ずっと抱えていくものだから、やはり、医療費助成を含めて、あるいは関連の生活支援を含めて福祉を充実させよう、そういう政策が一方であります。

 一方で、なぜ希少な、例えば人口の〇・一%を超えたら難病であってもこの難病には入らないのかというと、希少なものだから、希少疾患だから、やはり統計的にもなかなか集まらないし、進歩させていくために、そういうもののデータをとるためにも、学術的なものを根拠にするために、余り大きなたくさんのものはこの中には入らないんだというような説明もあります。つまり、学問的に難病あるいは小児慢性特定疾患を解明していく、そして治療法を確立していく。

 この両方をこの法律は願っているわけですね。

 そうすると、やはり難病でも、本来的に言えば、最大多数の最大幸福ということからいえば、たくさんいらっしゃる難病の病気の方々をまずはお救いするのが、いわば筋からいって当たり前、常識的には。だけれども、数が多いとこれには入らない。それは、ある意味で学術的な意味もあるので、大きな、二百万人いるような病気というものは入らない。

 これは、この法律の目的が余りにも二つのものを追求している余り、相反するところがあるんだな、僕はそういうふうに思いました。だから、何かおかしな、数が多い人が助けられない。何で、数が多い人こそ助けないと、もちろん、少ない人を助けるのも当然ですけれども、まずは多い人から取り組むのが普通は常識でしょう。それが何か守られない、そこがおかしいなと。なぜかというと、少ない病気はやはり数も少ないし、全国的統計もとるためにやるんですよと。

 その辺、大臣、僕の言っていることはちょっと変ですか。

田村国務大臣 いや、変ではないんですけれども、もう一つ大きな視点は、やはり財政の問題です。

 それは、今まで予算事業でやってきて、超過負担が都道府県に生じていた。これはまさに、予算事業で予算がない。それは、大きい固まりといいますか、疾病数、患者の方々がおられる、そういうものをどんどん、入れられれば入れた方がいいのは決まっているわけでありますけれども、そうすれば当然のごとく予算がパンクする。つまり、五十六疾患というのはなぜ徐々にしか広がってこなかったのかというのは、そこに大きな一つの問題点があったんだと思います。

 ですから、その超過負担も含めて、今回は、消費税の導入を機に一定の予算をしっかり確保して、それで一定の範囲を広げようということであるわけでございますが、かといって、これを全てまでなかなか広げられないという問題点もあるわけであります。

 もちろんそれだけではありません。先ほど委員がおっしゃられたような、やはり希少な疾患研究という意味からすれば、一定程度の患者の数というものは一つの理由、理屈といいますか、対象になってくるという部分もあるわけでありますが、財政というのも一つ大きな制約であることも事実であります。

清水(鴻)委員 確かに、財政ということを言われればまさにそうなんですけれども、もしも財政的な意味があるんだということであれば、僕はやはり、難病の方は多くても入れて、ただ、それは重症度を大事にして幅広く入れて、だけれども軽症の方には、まあ、もちろん、例えば、きょう資料をつけさせていただきましたけれども、これは、午前中にも実は同じものを民主党の大西委員も出されていたと思います。この間来ていただいた、「難病 区別しないで」という資料。

 午前中も同じものをつけていただいたので、ダブってしまったんですけれども、ここで僕はアンダーラインを引かせていただきました。助成の条件を満たさない疾患であっても、原因不明で治療困難な病であることには変わりはありません、その思いから、重症疾患患者への支援を病名で線引きしないでくださいという声。

 また、線を引きましたけれども、患者数が国内人口の〇・一%、約十二万人程度以下であることが盛り込まれている、そうすると、線維筋痛症の患者さんは二百万人、こんなにたくさんいる患者さんが逆に漏れてしまうのは何か極めておかしいな、違和感があるというのは、これはまさに僕もそうだなと思います。

 それから、真ん中の辺でも線を引きましたけれども、数は多くても難病は難病、見捨てられることに違和感を感じますと。本当に自分がその病気だったら、そんな気がすると思います。予算もあるんだろう。だけれども、たまたまなった難病が、数が多い難病になってしまった、だから、予算の都合もあって、その中に加えてもらえないんだ、これはやはり極めておかしな話だなと思うと思います。

 また、ほかにも、ここにも線を引きましたけれども、患者数が二十四万から三十万人と言われる筋痛性脳脊髄炎の患者さんも同様ということであります。この患者さんの四分の一は寝たきりの重症になる。そういう方々も入ってこられない。

 これは、確かに大臣おっしゃるように、予算もあるし、そうだけれども、その当事者にすればかなり違和感のあることであることは、もう間違いのないことだというふうに思います。だから、ぜひ、むしろ幅広く入れて、そして、むしろ重症な人から。

 今度、例えば、話はかわりますけれども、介護の方でも、特養に入れるのは介護度四と五だというふうに決められました。つまり、やはり重症者から救う。窓口は、やはり大きく難病に広げて、そして、少なくとも予算があるんだったら重い人から救っていく、これが普通の考え方だと思います。いかがですか。

田村国務大臣 どういう意味でおっしゃっているか、ちょっと私、理解できていなかったんですが、今の財源の中でそれをやれば、今入っている方々が抜ける、つまり、軽い方々が抜けるという話になるのであろうと思いますが、果たしてそれが理解を得られるかどうか、それはまたいろいろな御意見があられるというふうに思います。

 それから、難病は確かに原因もわからない大変な病気でありますが、これは法定給付ではありませんけれども、例えば肝炎の方々、これも肝炎対策で助成をやっています。ただし、これも、肝硬変、肝がんの方々は出ない。患者会の方々の御意見は、何で我々に出ないんだということで、前政権から引き続いて、我々、いろいろなお叱りもいただいております。

 こういうものが結構いろいろなところにあるわけでありまして、難病は確かに気の毒であると思いますけれども、では、難病だけが本当に気の毒か。それは、いろいろな気の毒な方々がおられる中において、それぞれどこかに線を引かなきゃならぬという苦しみを我々も感じながら、いろいろな政策を打っておる。

 財源を何に使うかということになれば、これはまたいろいろな政党で、いろいろな考え方が違ってくるんだろうというふうに思いますが、今、現政権の中において、我が厚労省が財務省といろいろと折衝しながら、いろいろな予算を獲得して事業をやっていく中において、これは、患者団体ともいろいろとお話をさせていただく中で、今般の消費税に関する難病対策予算というものに対して、このような形で使わせていただくというようなことで、本法のお願いをさせていただいているわけであります。

清水(鴻)委員 大臣おっしゃられるように、私の意味はそうなんですよ。それは確かに、今認められているものを幅広くして、重症者からということになれば、軽症者の人が落ちるかもしれないとおっしゃいましたけれども、そうなんですよ。それはやむを得ないと思うんです。

 つまり、重症者から救うということをやはりやっていかないと、たまたまその病名が指定された人たちは軽症者まで結構救われるけれども、入らなかったら重症者でも救われないというのは、やはり極めて不自然だと僕は申し上げている。そういう意味です。

 だから、そういう意味で、私は、これから一番大切なのは、この法律ができ上がって、恐らく、指定されなかった難病の方々が、やはり大きな期待を裏切られたという感じになると思うので、その人たちに対する施策をこれからどうしていくのかが大きな課題になってくるだろうと思います。その辺のところは、この三百あるいは六百と言われている病気から漏れたとしても、やはりそれに対して常に今後もウオッチをして、必要があれば加えていく、あるいはまた、見直しについても検討していくということにぜひ温かい目を注いでいただきたいなということを私からお願いしたいと思います。

 それから、次に、時間が迫ってきましたので、小児慢性特定疾患で、今回、法制化して一番いいことというのは、やはり、補助金制度というようなものから、確実な、義務的経費といいますか、法律できちっと設定されたものになったことだと思います。

 その中で、小児慢性特定疾患、相談支援でありますとか情報提供、助言、関係機関との連絡調整、こういうものは必須事業になっています。そのほかに、任意事業とかいうのがありまして、都道府県で実施するということですけれども、このことも、レスパイトとかワークショップとか、職場体験、就労支援等、そういうものについて、必須事業と任意事業については、どのような形で、きちっと担保できるのかどうか、ちょっと教えていただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 議員が御指摘のように、今般、法律の中に小児慢性特定疾病児童等自立支援事業というのを位置づけたところでございます。地域の資源を活用して、児童や家族の状況に応じたきめ細かな支援が行われるよう、まず、地域の実情に応じた事業展開を可能とする仕組み、こういうコンセプトでございます。

 その中で、まず必須事業でございますが、小児慢性特定疾病にかかっている児童、家族等に対して必要な情報提供、助言等を行う相談支援事業、これはどこの自治体においても共通して必ずやっていただくということでございますが、やはり地域事情があるわけでございます。

 それから、患児さんあるいは家族さんの置かれた状況、ニーズの違い、あるいは地域のサポート状況、地域資源の状況、その辺がございますので、家族、患者のニーズ、地域の関係者の意見を聞きながら、都道府県等において、患者の自立支援に資する事業を検討して、その中で選んで実施していただくというものでございます。もちろん、全部お選びいただくことも可能であるわけでございます。

 具体的に、先ほど議員がおっしゃいましたレスパイトとか、相互交流の機会だとか、あるいは職場体験、さらには学習支援など、お子さんにとっては大変重要なものでございますが、そういう患者の自立支援のために必要な事業を盛り込んでおりまして、これは負担金という形で位置づけておりますので、やるとなった場合は、お金は必ずついてくるという形で、しっかりとした財政基盤のもとに展開していただきたいということでございます。

清水(鴻)委員 そうすると、予算もきちっと手当てをして、都道府県で、その事業を地域事情に合わせてやっていただく。

 それと、地域地域で、難病支援センターというのが各都道府県にあるというふうにお聞きしています。ただ、難病支援センターというのは、いろいろな形があるようでありますけれども、一応、各都道府県にある。

 それで、これも、これからも中心的な、こういう難病対策をしっかりしていくという話を少し聞いているんですけれども、これに対しては、NPOみたいなのもあるし、いろいろな形があるということですけれども、この難病支援センターの位置づけみたいなものはどんなふうになっているか、お教えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 難病相談・支援センターは、難病患者さんたちの療養生活の質の向上あるいは維持ということを支援することを目的とする施設でございまして、さまざまな悩みとか不安を訴える難病患者さんにとって大変重要なものでありまして、そのため、これまでも予算事業として運用しておりました。

 今回の難病法案においては、さらなる療養生活の質の維持向上という観点から意義があるということで、法律上にも位置づけるとともに、午前中の議論にもありましたように、国が財政的支援を行うことができる旨明記したところでございます。

 今御質問がありましたように、各都道府県の難病相談・支援センターと一言で言いましても、さまざまな態様があるようですし、また、単純に集計をしてみましても、都道府県間で地域差のようなものもあるのも事実のようでございますけれども、今般、法律に位置づけたこと、その中でさらに必要な知識と技術習得のための研修事業なども実施することとしておりまして、これまで以上に充実していただくよう、国も都道府県と協力をしながら努めてまいりたいと考えております。

清水(鴻)委員 そういうものが各地域にあるようですけれども、かなり組織力の違いが、各都道府県の難病支援センターには、生い立ちも違うし成り立ちも違うということですので、やはり各地域で格差があっては困りますので、今局長がおっしゃったような支援、そしてどの難病支援センターもやはり一定のレベルを保っていただいて、しっかりした難病支援センターになるようにということをぜひやっていただきたいなと思います。

 私、この難病の法律で、先ほど申しましたけれども、やはり福祉の面とこれから研究をしていくということが一番大事になると思うんですけれども、最後、研究について。

 これからしていく研究の方法、厚労省でもやるんだ、だけれども、何か、日本版NIHでもやるんだ、そういうのがあるので、最後、研究に対して取り組みはどうしっかりやるかだけ一つお答えいただいて、終わりたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 これまでも、研究につきましては、難治性疾患克服研究事業ということで実施をしてまいりましたけれども、平成二十六年度の予算におきましては、今回の難病法案に先立ちまして充実をしまして、とりわけ、今議論いただいております日本医療研究開発機構、そことの役割分担。

 とりわけ医療研究開発機構におきましては、各省庁との連携のもと、研究のさらなる推進、それからリーダーシップを発揮していただくと聞いておりますので、そうした中でやっていきます。また、私どもの方でも、政策的な研究、先ほどから何度か議論になっております、診断基準を決めていくとか、あるいは疾患概念を考えていくというような政策的な部分も必要ですから、そういう機構と、それから私ども厚生労働省の独自の機能等、役割分担をしながら、一層の研究の充実に努めてまいります。

清水(鴻)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、難病が克服されるようにということで頑張っていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦でございます。

 難病に関する法案について質問させていただきます。

 まず初めに、難病にはいわゆる四つの要件があるということで、一つ目が発病の機構が不明、二つ目が治療方法が確立していない、三つ目が希少な疾病であること、そして四つ目が長期療養の必要性があるということで、この委員会で何度もいろいろなやりとりがなされてきたところでございますが、この三つ目の希少性の要件、〇・一%につきまして少し質問をさせていただきたいと思います。

 今申し上げました四つの要件のうち、特に難病が指定されるときの要件でありますが、〇・一%という具体的な数字が出てくるのはこの希少性というところだけだと認識しております。実際にはこれから省令で定めるということですが、一体どのような議論を経て〇・一%と定めることとなったのか、この点について解説をお願いします。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 議員のお話の中にありましたように、難病法案におきましては、希少な疾病であるということを、調査研究とか患者支援等の対象となる難病の要件というふうに決めております。

 経緯につきましては、御存じのように、厚生省の中に置かれました審議会、難病対策委員会などで御議論をいただきまして、その中でも、どういうふうに決めていくのがいいのかということはるる御議論いただいた、プロセスはそういうことになります。

 では、実際にはどういうふうに決めていくのかということですが、一つは、先ほどから何度かお話をしておりますように、診断基準のようなもの、また別な言葉で言うと客観的な指標によるもの、そういうものが確立しているかどうか。あわせて、そのときに、議員の御質問の中にありました、患者数が人口の〇・一%程度以下ということで御提示をいただいたということであります。

 人口の〇・一%程度以下という理由は、なかなか難しゅうございますが、一つは、諸外国の例を参考にしたというところでございます。これもこれまでの議論の中で一、二度御説明したかもしれませんけれども、アメリカの場合ですと、患者数が二十万人未満、これは人口に当てはめますと〇・〇七%未満になるんだそうですけれども、そういった例がある。それから、ヨーロッパの場合は、患者数が人口一万人に五人以下、人口でいいますと〇・〇五%未満というようなことになります。

 これも、御質問の中で、それは難病対策じゃないでしょうという御質問をいただいたこともあったんですけれども、それはそのとおりでございまして、難病対策そのものではなくて、オーファンドラッグという言葉でこれまで御説明をしてまいりましたが、希少な難治性疾患に対する医薬品や医療機器等の開発を促進するための対象としての希少疾病の定義でございまして、それぞれが、繰り返しになりますが、アメリカで人口の〇・〇七、欧州で人口の〇・〇五ということです。

 そういったことを勘案し、さらには、現行五十六疾患としております医療費助成の対象疾患のこれまでの経緯とか実態、こういうことを総合的に勘案しまして、我が国独自の基準として〇・一%程度ということでございます。パーセント程度の中には、もう少し幅広く柔軟にこれを捉えていこうというものであります。

重徳委員 ありがとうございます。

 もう一つ、この〇・一%程度以下に該当するかしないかということについては、今後、数字の調査を行って判断するということが必要だと思うんですが、どのようにこの調査というものを行うのでしょうか。

佐藤政府参考人 例えば、ある疾患が指定難病だ、こうしますと、まあ指定難病にしようとしてもいいわけですが、これからなる、あるいはもうなった、どちらでもいいわけですけれども、患者数がどのくらいかということは、いろいろな方法があります。

 一般論で申しますと、日本全体でやっております患者調査というのがありますから、そういうものでおおよその概況を知ることができます。

 それから、歴史的に、とりわけ指定難病になるようなものというのは、どこかの大学の附属病院であるとかどこかの研究所の先生が、ある意味ライフワーク風に御研究をなさっていて、データを集めていく、その過程で、先ほどの話にもありましたけれども、学会に出席すると、同じような病気、病態を研究していらっしゃる先生がいるということで、学会や学会発表を通じてお仲間が集まっていく、そういう経緯を持っていたと思います。

 そういう中で、昭和四十七年に難病対策要綱ができまして、むしろ、もっと国が積極的に研究を進めて、患者さんを集めてくださいというようなことでやっております。

 したがいまして、今の五十六については、確かに、これまで御議論ありましたように、患者さんのデータベースへの記入率と申しますか登録率といいますか、悪いというようなお話もありましたけれども、それはそれとして、学者さんベースないしはこれまでの長い長い経験の中で、患者さんの数というのは一定程度把握をされておりました。それがある。

 それから、指定難病にこれからなろう、ないしは、指定難病にはならないけれども、いわゆる普通の難病として研究を進めていくという班でも、やはりまずは、診断基準とあわせて、患者さんの数がどれくらいありますかというのが、私どもが学者の先生方や研究所の先生に最初に投げかける質問になります。ですから、先生方も、常に患者さんの数がどのくらいになるかということは念頭に置いて、もっとわかるならば、年齢階級別にどのくらいいますか、性別はどうですか、先ほど御質問の中にもありましたけれども、発症年齢はいつぐらいですか、予後はどうですか、こういったことがある程度そろって初めて難病としての研究や対策が進み、さらには指定難病としての指定にもつながるんだろうと思います。

 いずれにしても、そういう形で、患者さんの登録ないしは患者数の予測、推測というものがやはり難病対策の一つの最初のステップであるということは申していいのではないかと思います。

重徳委員 ありがとうございます。

 今回のこの指定難病、法案の第五条一項で定義がされておりまして、まず、難病のうち、当該難病の患者数が本邦において厚生労働省令で定める人数未満であるかどうかということなんですが、ここが本当に客観的な数値になっている、ここだけがすごく際立っているという印象です。

 逆に言うと、今局長からの御答弁の中だと、唯一絶対の基準とは言い切れない、〇・一%がそうだとは言い切れない、また、〇・一%未満になるのかどうかという調査の方法も、絶対な、客観的な調査方法であるとは言い切れない、そういう印象を受けたわけですが、その割には少し数字に引っ張られ過ぎているような指定難病の要件だなという感覚でございます。

 それで、ちょっと違う観点の質問をさせていただきたいのですが、日本では、国民皆保険とフリーアクセスというものが完備されておりますので、どんな重たい病気の方であっても必要な医療を受けられるという建前になっております。ただし、そこは、やはり財政といいましょうか、個人個人の経済的な負担に耐えられるかどうかということが実際に医療にかかれるかどうかのもう一つ大きな要素でありまして、それをカバーするための制度もさまざま用意されていると考えております。

 典型的には、高額療養費制度というのがありますね。自己負担が過重なものにならないように、自己負担限度額を八万百円プラスアルファという感じで、医療費百万円の三割負担というと、通常だと三十万円かかっちゃうんですが、実際には計算すると八万七千四百三十円で済む、こういうシステムがございます。

 ここでちょっと質問なんですけれども、今回、指定難病になるかどうかによって大きいのが、やはり医療費の負担をどれだけ軽減してもらえるかというところが極めて大きなところだと思うんですが、今五十六疾病あるのが三百にふえるということで、自分の病気はこの三百の中に入るんだろうな、入ってほしいなと多くの皆さんが思っているわけでございます。

 実際入らなかったらどうしようかというようなことなんですが、そういう中で、高額療養費の今申し上げました八万円という水準の特例としまして、高額長期疾病というものが昭和五十九年に創設されまして、これは、主に人工透析と血友病の患者さんに対しては、自己負担限度額は月一万円とされています。

 実際に、私の地元でも、親しくしている方の中には透析の患者さんが大勢見えます。この制度で助かっている方が大勢お見えになります。全国で透析患者は三十万人いらっしゃるということで、この特例に該当するかどうかという要件は、私が聞いているのは二つ要件があって、一つは、費用が著しく高額な治療として厚生労働大臣が定める治療を要すること、それからもう一つが、その治療を著しく長期間、ほとんど一生にわたって継続しなければならない、この二点が要件になって、人工透析や血友病が上限一万円という特例になっているということなんです。

 これは専門の方に聞かなきゃわからない話なんですが、今申し上げましたこの二つの要件だけだったら、かなりいろいろな病気が実際には該当しそうなものだなと思うんですが、まず、なぜこの上限は一万円という金額になっているのかということと、もう一つは、人工透析と血友病、あとは血液製剤に起因するHIV感染症という方が少しお見えになるということですが、なぜここに限定されているのでしょうか。その制度の内容というか趣旨について御説明をお願いします。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、医療保険制度の中で高額療養費制度が設けられております。所得に応じて自己負担を月々一定の上限までで抑えようということでありまして、この高額療養費制度は、新しい予算では、来年一月から、低所得者にも配慮しながら上限額をさらにきめ細かく設定し直そうということで準備をしておるところでございます。

 今の御指摘の部分につきましては、三十年前、昭和五十九年に健康保険法の改正で、被用者保険の方、それまで本人は十割給付でございましたが、これを一割の負担をしていただこうということで、その改正をするときの議論の中で高額療養費の改善ということも指摘がありました。多数回該当といいまして、一月単位ではなくて、直近一年間で例えば四回以上その限度を超えるようなときにはさらに下げようということで、そういう仕組みもそのとき導入されたものでもございます。

 そのとき同時に、疾病を挙げまして、今先生が御指摘のように、著しく高額な治療を長期間ほとんど一生の間必要とするような疾病があるではないかというものとして、具体的な疾病名で議論が交わされました。血友病と人工透析の患者さんということでございました。こういう方々については特段の措置が必要ではないかということで、国会の中の審議の結果として、これを高額療養費制度に反映させるべきという御指摘があり、法律成立後、政令でございますが、高額療養費の仕組みに取り込んでおるところでございます。

 現在も、一つには人工腎臓、そういう治療法と疾病で押さえておりますので、人工腎臓をしている慢性腎不全患者さん、血漿分画製剤を投与されている血友病患者さん、それから、血友病はその後、その中でHIVウイルスに感染されるというあの製剤の問題がありましたので、抗ウイルス剤を使用されている後天性の免疫不全患者さんが追加をされておりますけれども、これが該当するものとして定められております。

 その後も、先生御指摘のように、概念的にはこれに当たるものがあるではないかという御指摘がございました。審議会の場でもそういうことを審議していただいた経緯がございますけれども、一つには、やはりこれは非常に特例的なものである、原理原則としては、所得に応じての負担のレベルということをどういう患者さんであっても一定で定めている医療保険の制度からして、疾病ごとにこれを変えるということは極めて難しいのではないかという保険者さん等の御指摘、それから、医療保険制度の財政がますます厳しさを加えておったという中で、なかなか新しいものに対しての保険者等の合意が得られていないということで、今日までこれ以上の追加は行われていないという状況にあるというのが現状でございます。

重徳委員 一言で言えば、余り理屈じゃない部分もあった、国会の審議の中で決まったというような経緯もあったんだと思います。

 それから、財政的な制約というのは、先ほどの清水鴻一郎議員に対する田村大臣のお話でもありましたけれども、それを言われてしまうともうそれまでという感じもしてしまうんですが、そうはいっても、日本も財政難といいつつ、やはり無駄な歳出というのは私はまだまだ幾らでもあると思います。そういうところに大変厳しく当たるべきだと私は思っておりますし、財源を捻出することを通じてできるだけ多くの、これは本当に御本人の責任でも何でもない方々なわけですから、生まれながら、あるいは人生の途中で難病にかかられた方々は、できる限り助けていくというのが政治の基本姿勢だと思います。

 国会の中で、主にその二つの、血友病と透析だけがまずは昭和五十九年から上限一万円という制度がスタートしたということでありますけれども、これと今回の難病の制度との整合性はまた別のロジックだとは思いますけれども、根幹的な部分は共通するところがあると思いますので、できるだけ多くの方々を救う必要が私はあると考えております。

 そういう中で、具体的には、この間、民主党の大西健介議員からも指摘のありました一型糖尿病というのがあります。インシュリン注射を毎日四回打たなければ生命に危険が及ぶほどの、非常に重たい難病であると私は思っております。

 先ほど清水議員からも線維筋痛症の例が出されまして、重症度とか、あるいは一型糖尿病のような、この医療を、インシュリン注射をとめてしまえば本当に生命にかかわる、こういうものについては、やはり、冒頭から申しております四つの要件の中でも、とりわけ優先順位を上げるとか、少しそういった要素も加味していかなければならないんじゃないかなと思うんですね。

 財政的な制約があるというのは一般論としてはわかりますが、財政というのはもっと大きな話ですから、その中の資源配分として、何も厚生労働省のこの部分の予算の中の優先順位だけじゃなくて、全体の、もっと数十兆円という規模の予算の中の財源配分ということまで考えれば、財政的に厳しいからということだけで必ずしもここは塞いでしまうような議論ではないと思うんですけれども、こうした、命にかかわる病気かどうか、重症度といったものについて、田村大臣、重要な判断尺度と捉えるべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 命にかかわる病は難病だけではありません。いろいろな病があります。大変おつらい中で日々過ごされておられる、そういう状況は我々も理解しておるわけでありますし、できる限りの支援というものを、それはいろいろな形でありますけれども、制度の中で日本の国はつくってきた、そういう歴史もあります。

 今言われた高額療養費制度も、多数該当というような制度があって、多数、年間のうちに高額医療費上限までいく場合には、さらにその上限が低くなるというような制度があるわけであります。そういうのは、今までいろいろと病のために苦難な日々を送られている方々に対して、なるべく負担を少なくしていこう、そういう中において生まれてきた制度であるわけであります。

 一方で、それぞれの疾患、疾病、これは今まで歴史的な体系といいますか経緯がありまして、例えば糖尿病一つとりましても、これに関して今もいろいろな事業をやらせていただいております。

 例えば、まずは早期に発見して早期治療ということでございますから、受診勧奨をしながら、早くから治療していただいて、重症化、まあ、まずは糖尿病になることを予防していただく。血糖値が高い方々にはそういう予防をしていただく。その上で、糖尿病になった場合に、今度は、腎疾患重症化予防戦略研究というような形で、なるべく重症化しないようなことをいろいろ研究しながら、それを、実践事業というのがございますから、その実践事業の中で、実際問題、人工透析等々の導入をなるべく避けていく、そういうような事業もやってきておるわけであります。

 また、がんでありますとか感染症も、それぞれの法律のもとに、いろいろな対策、それは相談事業もそうでありますし、医療提供体制をしっかり確立、こういうこともやってきておるわけであります。

 でありますから、それぞれ、いろいろな命にかかわる対策はいろいろな方法でやってきておるわけでありますが、この難病という部分に関しては、その中において、研究開発でありますとか医療提供でありますとか情報提供でありますとか、そういういろいろなツールの中において、一つ、医療費の助成というものが入っておるわけであります。

 そういう意味からいたしますと、医療費の助成のない、そういうような疾病、それで命にかかわるような疾病もあるわけでございますので、命にかかわるだけで特別抜き出して何らかの医療助成というものをつくっていくというのは、日本の国の中においては今までない。また、そういうことをした場合の財政的な影響はどうなのかということも我々も検証したことがありませんし、命にかかわる病はありとあらゆるものがあるわけでございますので、そういう意味では、委員のお気持ちはわかるのでありますけれども、そこだけ取り出して何らかのことを行うというのはなかなか難しいのではないか、保険者の理解も必要だということもございますので、なかなか難しいのではないか、こんなふうに感じております。

重徳委員 そこだけ取り出すというか、やはり個別の病気、症状、病状ごとにしっかりよくよく検証していくという必要はあると思いますので、一概に、命にかかわるものは全部救うよとか、そういうやり方というのはもちろん荒っぽいかもしれませんが。

 それを言えば、希少性ということについても、〇・一%、程度という言葉は一応ついていますが、〇・二%だと倍じゃないか、ということは、〇・一%程度じゃないんじゃないか。それは少しぐらい幅はあるかもしれませんが、いわば希少性という点では極めて一律なルール化になっているんじゃないかと思う一方で、重症度だとか、もうちょっと口語的に言うと命にかかわるような病気かどうかということについては、一概に言えないとかそういうようなことで、少し、今の御答弁では、何というんですかね、希少性の方が大事だと。

 ちょっと揚げ足をとるようで恐縮なんですけれども、希少性は必要だ、それは財政的な制約もある、それから法の趣旨、難病という定義からしても希少性は必要だ、だけれども、重症度とか、生命にかかわるかどうかというのは何とも言えない、難しい話ですね、そういうふうに聞こえるんですけれども、少なくとも、一型糖尿病のような、医療を安定的に受けられさえすれば、というか、逆に、医療を安定的に受けられなくなったら命を守れなくなるかもしれない、こんな病気の場合に、〇・一%より上だ下だというようなことをもって、アプリオリに、定量的な基準にはまらないからといって指定難病から外すべきではないんじゃないかというのが私の考えなんですが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 繰り返しになりますけれども、〇・一というものが必ず〇・一ではないというのは委員のおっしゃるとおりでありますが、一方で、何らかの基準を示さないと、よくわかりませんけれども希少性ですといったときに、では何が希少性なんだということに今度はなってくるわけでありまして、それは海外のオーファン開発等々の事例も見ながら、〇・一という数字を一つの基準として置いた。ただ、程度でありますから、それは幅はあるという局長の答弁であったわけであります。

 それぞれの疾患で、これは入れてほしい、どうだというのはそれぞれあると思います。しかし、どこかにやはり線を引かざるを得ないというのが、この制度のある意味限界でもあるわけであります。

 これは難病だけではないです。これは難病の制度ですけれども、私も特に、今はもう大臣をやっていてなかなかお会いできないんですが、野党の議員をやっているときには、また与党の議員をやっているときもそうでありました、いろいろな方々、いろいろな団体の方々、そのお話をお聞きすると、本当にお気の毒な方々なんです。そういう方々を何とかお助けできればということで私もこういう厚生労働という仕事をやってきているわけなんですけれども、その力の限界ですかね。そういうものを感じながら日々仕事をしております。

重徳委員 本当に非常に難しい事柄であることは、恐らく、大臣はもとより委員共通の思いだと思います。厚生労働委員会でこの問題に取り組んでいる全ての皆さんの共通する思いだと思います。しかし、難しいからこそ前を向いて取り組んでいかなければならないと思っております。

 時間もあと少しですので、今は一型糖尿病の話を申し上げましたが、もう一つ、この患者さんの親御さんの言葉をかりれば、直ちに命を失うわけではない、しかし、本当に重い障害であって、家族からすれば、人生を背負った非常に長い闘いである、こういう種類の障害あるいは難病というものもまたある。

 私は、アンジェルマン症候群という病気のお子さんを持つ親御さんからいろいろと話を伺いましたけれども、その中で一点、これは、病気あるいは障害のある子を持つ親に共通することだと思うんですが、例えば、小さいころから診てくれてきたお医者さんも、いつかは患者さんより先に引退をしたり、お亡くなりになったりします。それから、小児科医として診てくれたお医者さんも、患者さんが大人になればもう自分の仕事じゃなくなるというふうに、いつかいなくなってしまうときが来る。さらに言うと、親は先に亡くなる、あるいは老いるということで、なかなか子供たちの面倒を見ることができない。こういうことがたくさんあります。

 アンジェルマン症候群に関して言えば、これは一九六五年にイギリスで発見された病気でありますので、まだ、そういう意味では歴史の浅い病気だと言うこともできると思います。

 アンジェルマン症候群の場合は、信号の色を御本人が判断できないとか、あるいは、足元に注意を払えないからいろいろなものにつまずきやすくなるとか、場合によっては、なぜか洗面器に顔を突っ込んだままお亡くなりになっている、そういう発作を起こす、そういうこともあるというふうに聞いておりまして、これを、我が子がそのような病気のときに他者に委ねることはなかなか難しいと思います。不安で不安でならないと思います。

 まして、自分の子供が大きくなって高齢者という域に達したときに一体どういう状況になるのか、全く情報もない、ほかの例もない。これがやはり難病の大きな、本当に数が少ないがゆえの特徴だと思います。先ほどは命にかかわる病のお話をしましたが、そういうものではないものについても、そうした情報が著しく不足しているのが難病の問題だと思います。

 こうした患者さん、あるいは、今のところ難病患者とは言えない範疇かもしれませんが、例えば障害者としての手帳を持っておられる方、そういう方の高齢化に伴う課題をどのように認識されているか、大臣の御答弁をお願いします。

田村国務大臣 日々、日常生活等々で、親自身が子供の支援をすることができなくなった、こういうような場合のことをいろいろな方々が悩まれておられるんだと思います。

 これは、障害もそういうところがあるわけでありまして、親亡き後、子供をどうするんだ、こういうことを日々悩まれながら、それでも障害の方はサービスがだんだん今強化されてきておるところがありますので、それに対して、地域で生活をしていただきながらいろいろなサービスを受けて、言うなれば人生を何とか元気に全ういただく、こういうような制度はでき上がりつつありますが、まだまだ足らないところがあります。

 難病に関しても、その状態像でいろいろなサービスがやはり受けられるわけでありまして、もちろん、お年をとられれば介護の施設ということもあるでありましょうし、医療サービスが必要ならば、例えば療養病床等々において過ごされることもあろうと思います。そしてまた、障害に該当されるという方であれば、グループホーム、ケアホームというようなこともありますし、また、入所型の施設の中において日々お過ごしになられて、必要なサービスを受けられるということもあろうと思います。

 ただ、この間、中島委員からもお話がありましたが、それぞれのはざまの間でなかなかうまく、制度が違うものでありますから、ここで使えればうまくいくのになというようなお話もございました。こういうものに関しましては、基本的には地方の部分だとは思いますが、どうすればその制度間の中でうまくそういうものが使っていけるかということも含めて、やはり国としても一定の検討はしなきゃならないなというふうに思います。

 いずれにいたしましても、それぞれ、難病の方々にいたしましても障害者の方々にいたしましても、高齢者になってもしっかりと生活ができる、地域で暮らせるというような、我々はいろいろな準備をしていかなきゃならぬわけでありますし、使い勝手のいい制度というものを検討していかなきゃならぬ、このように考えております。

重徳委員 ありがとうございました。終わります。

後藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 朝からの審議でお疲れだとは思いますが、三日間、難病、あと小児慢性疾患、この法案について、参考人質疑を挟みまして審議をされてまいりました。

 前回、私、先ほども言っていただいたように、その他の制度との連携、制度というものが一体誰のためにあるのかという観点からいきますと、やはり必要な方が必要な支援を受けられると。一方で、財源の問題があったりさまざまな課題があることは、今回の審議の中でも、私も、課題ではありながら、厚生労働省、大臣も含めて認識をされておるんだなということは感じました。

 そういった中で、私は、どうしても現場目線というか、実際に日ごろ、今までの経験の中でも直接かかわってきた立場として、いろいろ思うこともございます。そんな中で、今回、難病対策というものが、長年懸案事項であったところ、初めて法制化をされた。火曜日の参考人質疑の中でも、おおむね、スタートとして、第一歩として、今後の課題は残しつつも評価をしているという御意見もございました。私もその一人でございます。

 希少性とか診断基準の問題、もちろん、それに当てはまらなくても苦しんでおられる方がまだまだたくさんおることはもう十分理解された上で、第一歩として今回踏み出せたということは、遅かれという御意見もあるかもしれませんが、一定の評価はできるのではないかなというふうに思うわけです。やはり完璧な制度というものはあり得ないと思います。そういう意味では、今回スタートを切って、さまざまな課題について、これから、実際の御家族や御本人、いろいろな方の御意見を聞く場をもっとたくさん設けて、運用を高めていく。

 完璧な制度はなかなかできない。これはもう、今回の制度だけではなくて、さまざまな制度、完璧な制度というものはあり得ない。一方で、要するに、介護が必要な方が地域において必要なサービスを受けられるように、そこに制度間のはざまというものが出てきてしまう現実があります。制度を完璧にするというよりは、他制度との整合性というものをしっかりなじませていくということが、今後最も効率的でもあるのではないかなというふうにも非常に感じます。

 先日の参考人の質疑の中でも、私、重症度のことをお話しさせていただいて、今回、医療費助成の対象疾患が三百にふえる一方で、軽症の方は医療費助成を受けられなくなる。そういう意味で、この重症度判定、先ほどからも委員の方々から御質問ございましたが、もともと原因がはっきりしない、そして病状も不安定である、一般の検査ではなかなか重症度判定しづらいという中で、一つ、日常生活にどう支障が来ているのか。もちろん、命に直接かかわるような御病状の方を重症度というのはわかりやすいんですが、わかりやすいと言ったら大変失礼ですけれども、ただ、一方で、長い経過の中で苦しまれる方、日常生活にどの程度支障が来ているのか、そういったものに関して、重症度の中にそういった意味を十分考慮していただけるようなものが必要ではないかというふうなこともお話しさせていただきました。

 そうなりますと、参考人の質疑の中で、線維筋痛症の橋本さんという方がおられまして、今回の法案には私一人だけ反対の立場だというようなお話を聞かせていただきました。これは恐らく、私も線維筋痛症の方を何人も診させていただいておりますが、多くの方が、今回の、希少性というか、あと診断基準というところで大変違和感を感じておられるのはわかります。

 一週間前、私は、筋痛性脳脊髄炎症、一方で慢性疲労疾患と呼ばれてしまっておりますけれども、その方々の考える会というのにも参加をさせていただいて、私も医師でございまして、何度も言われるのは、医師に病状を悪化させられたと。これは当然だと思うんです。原因がわからないということで、やはり患者さんにとって、原因がわからないというのは大変不安なことだと思うんです。

 例えば、私たちはよく例え話で言うんですが、ある程度の年齢になれば老眼になります。でも、皆さん、多くの方が、老眼というのは病気だという認識はないと思うんですね。では耳鳴りはどうでしょうという話になると、皆さん不安で、何か脳に腫瘍があるんじゃないか、脳梗塞、脳出血じゃないかと思って、不安になって耳鼻科へ行くわけです。ただ、耳鼻科の先生、全てではないですが、ある程度加齢によって、耳孔の狭さとか、形態学的なことで耳鳴りが起きやすい方もいると。老眼は皆さん全然不安にならないのに、耳鳴りは大変不安になる。

 その一方で、病気というのは、例えば風邪を引いた原因は何でしょうと言われても、恐らくこの間寒い中で立っていたからだとか、疲れ過ぎかなということで納得するわけですが、やはり原因がわからないというのは大変不安になる。それで病院に行って、体が痛い、そして動けなくなってきた、それに対して、検査したけれども異常ないよと。そういったことを繰り返すと、当然、精神的に病んでくるわけです。それで、何度か来たときに、症状が落ちつかない、そして向精神薬を出される。ひどい人は精神科の病棟に行かされる。結果、病状は悪化する。

 そういったことを筋痛性脳脊髄炎の方々も多く言っていらっしゃいましたし、線維筋痛症の方も、やはりその初期診断ですね。検査所見上異常がないから、あなた、気のせいだよと言われたときに、どうして何にもないのにこんなに痛いんだ、そんなことから精神的に病んでくる。一方で、やはり精神的な、あなた、気にし過ぎだよと言ったことが、本人にとっては、私はそうではないのにということから、だんだんだんだん病状が悪化する。

 そういった意味でいきますと、やはり、難病にかかわらず、原因がはっきりしない疾患に対して、最前線で接する医療者に対する指導、考え方というのは大変重要なのではないかなというふうに思います。

 私は、がんの終末期医療、緩和ケアというのにかかわっておりますが、トータルペインというのがあります。全人的痛みですね。身体的な痛みはもちろん、社会的な痛み、そして心理的な痛み、スピリチュアルペイン、四つの痛みのことをトータルペインといって、がんにかかって残念ながら終末期を迎え、実は、緩和ケアはスタートは初期診断から始まるわけですが、その方々が、身体的な痛みはもちろん、社会から受ける痛み、わかっていただけない心理的な痛み、私はどうしてこうなってしまったんだろうかという霊的な、スピリチュアル的な痛み。

 難病疾患にかかわらず、そのようなことで悩まれているこの間の橋本さんのような方に対しては、やはり最前線で、幾らこうやって財政的なことも含めて取り組まれても、実質、最前線で接する医療者、その方々に積極的な考え方をしていただかないとなかなかこの問題は解決できないんだろうなというふうに、私は、実際にやっていても思います。

 そういう意味で、先ほどの緩和ケアでいうトータルペイン的な、受診する、診療に際するガイドラインというか、そのようなものが今後必要なのではないか。これは今現在はなかなか難しいかもしれませんが、やはりそういったものを今後作成していく、そのようなことが必要だと思うわけですが、何か御見解をいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 今、がんの緩和ケアの例、それから線維筋痛症を御提示いただきまして、痛みについてどう考えるかということでございました。

 とりわけ、私自身も、参考人質疑のときには国会テレビを通じて橋本さんのお話を拝見しておりましたが、この線維筋痛症につきましても、議員はよく御存じのように、疾患の本態と申しますか病像といったようなもの、それから、では客観的にそれをどう判断するのか、橋本さんも痛みの程度みたいなことはおっしゃっていましたけれども、もう少しわかりやすい形で客観化する方法はあるのかどうなのか、それから痛みの性状とか、そのときに熱が出るのかどうなのかとか、ともかく複雑に分析をしていく必要があります。そういう意味では、研究は今後続けていただく必要があるんじゃないかと思います。

 現在は、この難病という枠組みの中では必ずしも捉え切っておりませんけれども、痛みというもの、とりわけ慢性の痛みということに着目をいたしまして、平成二十一年度から、慢性の痛みに関する検討会というのを開催いたしまして、平成二十二年の九月には、その報告書というような形で提言を取りまとめていただいております。

 提言を踏まえまして、平成二十三年度から、新たに慢性の痛み対策研究事業ということを立ち上げまして、いわゆる線維筋痛症でもいいんですけれども、原因のいかんを問わず、慢性の痛みがあるものに対して病態の解明とか治療法の開発とか、どんな疾患がそれに包含されるだろうというようなことも含めまして今御検討をいただいておりますし、平成二十四年度からは、からだの痛み相談・支援事業ということで、医療従事者への教育、患者への情報提供、相談体制の充実なども図っております。

 また、先ほど申し上げました研究班が全国に十七カ所ぐらいの拠点を持っておりまして、そうしたところで、地域の中核として、痛みの訴えに対して総合的に対応していくということで聞いております。総合的という意味は、神経内科の先生がいたり、精神科の先生がいたり、それ以外の、脳外科だったり、要するにマルチディシプリンというんでしょうか、多診療科による総合診療が行えるようなことも目指して頑張っていただいていると聞いております。

 私どもも、難病という枠組みは難病という枠組みとして、慢性の痛みということで関係者の間でこういうものに対する認識が深まり、知識が深まり、そして研究開発が進むよう努力をしてまいりたいと考えております。

中島委員 今おっしゃっていただいたように、多職種ですね。例えば緩和ケアの場合でいけば、そのトータルペインに対するアプローチというのは、例えば社会的に受ける、仕事をしている方が仕事になかなか復帰できない、そういう経済的な問題に関して病院のソーシャルワーカー、ケースワーカーみたいな方が入っていったり、当然、結果的に精神的に病んでしまった場合には精神科の先生、そういう方がなかなか確保できない方には臨床心理士とか、いろいろな方々がそれぞれの痛みに対してアプローチをしていく。

 ただ、やはり、その初期の段階、そういった方が来たときにそういう目線で見られるかどうかというのは大変重要な問題でして、先ほども言ったように、慢性疲労症候群と言われてしまうと何となく、軽く、あなた、疲労だよというイメージを持ってしまわれがちですが、実際には炎症所見が解剖所見でもある、病態があるという方々に対して、その会の中でも言われました、やはり救われたのは医療者からの、大丈夫、安心しなさいとか、そういった言葉がけですね。

 そういったものがなかなか今の臨床の場で、まあ医師というのは、きょうも先生方がおられるかもしれませんが、自分たちがこうだと思ったことをなかなか広げられない、そういう職種でもあると思うんです。一方では、専門性を突き詰めていくという意味もあるとは思うんですが。

 やはりこれは、今回のだけではないですが、臨床の最前線に立つ医師たちにもっと強い指導を発揮していかないと、余りに医師の自主性だけに任せていたら、先ほども取り組みの中で、さまざまな、例えば重症度判定をする専門医、ただでさえ医師偏在のこの状況で、私のふるさとへ行けば内科医を確保するのさえ難しい、そういう現状の中で、この難病をしっかり診てもらえる専門医を確保するのは大変なことだと思うんです。そうであれば、実際に開業している医師に対してもしっかりとこういう認識を持たせるような、日本医師会が何と言うか知りませんが、やはりここは強い指導力というものが大変重要だと思います。

 先ほども言ったように、決して医師を、医師会を否定しているわけではないんですが、これだけこの厚生労働委員会でも今回問題になっているわけでして、それに対してしっかり強い指導力を発揮して、その対応をやる必要があるのではないかなということを言わせていただきたいと思います。

 きょう、私も最後の質問者なので、私の話もちょっとさせていただければなと思うわけですが、この難病のお話をすると、私は、医師になった一年目、研修医のときを非常に思い出すんです。そのとき、初めてではなかったですが、何人目かに担当したのが、難病の指定には入っておりませんが、家族性大腸ポリポーシスという病気の、十八歳の大学に入ったばかりの子でした。

 家族性大腸ポリポーシスというのは遺伝性疾患です。常染色体優性遺伝ですから、一人の子供が生まれれば、ほぼ六〇から七〇%の確率、そして、二人の子供がいれば、間違いなく一人の子供は遺伝してしまう。大腸全域にポリープができて、もっといくと小腸や胃にもポリープができちゃう。そして、好発は、その後、三十から四十歳でがん化する、そういう病気です。

 もちろん、その子のお父さんも大腸ポリポーシスだったわけです。その子は十五歳で発症して、私は十八歳で診させていただいたわけですが、もう十八歳のときには大腸全摘、大腸粘膜を全部取る手術。でも、直腸のところにもポリープがまた多く出始めたために、直腸を切除して人工肛門。その子の場合は、胃にも小腸にもポリープがたくさんあります。

 私は研修医で一年目でしたから、その子とよく接していて、話をしました。お父さんとも話をしました。そして、正直、その子のお父さんに、どうしてそういうことがわかっていながら子供を授からなきゃいけなかったかと。その子にも、同じような話ではないんですが、その子の夢はという話をしますと、私は将来、ちゃんと結婚して、子供を育てて、仕事にもつきたいんだと。

 正直、そういう話を聞きますと、ううんと思わざるを得ないわけですが、その理由は、きっと、私が子供を産める時代、そのときには、医療や薬学、新しい治療方法が見つかっているかもしれないと。お父さんもやはりそういう思いで、子供を育てていこうと決心をして、お子さんを授かった。でも、残念ながら、その時代、今からもう二十数年前になりますけれども、今現在でもその治療法は見つかっていないということなんです。

 ですから、先日も、日本版NIH、私どもは内閣委員会の方でも反対をしました。そして、この厚生労働委員会では、厚労所管の二独法についても反対をさせていただきました。

 これは、私どもは、日本版NIHともう呼ばないというような話になっておりましたが、大変期待していたわけです。先ほどの私の最初に診た患者さんの例からいけば、もしかしたら二十年後、十年後には、この家族性大腸ポリポーシス、遺伝性疾患ですけれども、治療方法が見つかっているんじゃないか、そういう思いで、その子のお父さんもお子さんを授かって、でも、結果的にはまたなってしまった。そして、間違いなくがんになるわけです。それがわかっていながら、子供をつくりたいと。その一明の光というのは、やはり創薬や新しい治療方法をもっと進めていただきたい、難病の方、多くの方がそういう思いだと思うんです。そういった部分に光を見出して、日ごろ、苦しい中、頑張っておられる。

 恐らく、日本版NIHともう呼ばないというふうになっているんですが、私どもが反対した理由は、先ほどちょっと言いましたが、私たちはもっと総合的な、本当に本場アメリカのNIHに負けないような、要するに、文科、厚労、経産が、その研究から開発、そして出口戦略まで。さっきの遺伝病ということであればiPS細胞ということになるんですが、STAP細胞は今このような状況になってしまいました。

 ですが、日本の研究分野はすぐれていると言われているわけですから、そういう子たちがまだまだたくさんいると思うんです、そういう子たちのためにしっかりと、従来の厚労省の難病研究予算、今後、日本医療研究開発機構に移っていくということになると思います。先ほどからもありました希少性疾患もそうなんですが、成果の出そうな研究ばかりに資金がつぎ込まれて、実用化が遠いものは冷遇されないようにしてもらいたい。そして、新しくできる、私は、もう日本版NIHと呼ばないでではなくて、NIHとしっかり名づけて、そういう子たちの、そして難病に苦しむ方々の本当に光となれるような、そういったものにぜひしていただきたい。

 厚生労働省、所管の一人でございます田村大臣、私の話はおいておいたとしても、そういう難病に苦しむ方々のためのまさに光だと思うんです。ぜひしっかりとしたものにしていただきたい。御決意について、御見解をいただきたいと思います。

田村国務大臣 まあ、日本版NIHと呼ばなくなってしまったものでありますから。とはいえども、いろいろなもの、いろいろな薬、それこそ日本発と言われるようなものを含めて、こういうものを研究開発していこうという意味では、そこは思いは同じであります。

 日本医療研究開発機構という形でありますが、先ほど申し上げたんですが、その上に、全閣僚が入っております健康・医療戦略推進本部というのをつくって、これは閣僚が責任を持ちながら、どのような方向で日本の医療研究というものを進めていくか。

 今まで、ともすれば、基礎研究でいいものがあっても、それが商品化できないというようなところが弱い。よく我々も聞いたのは、例えばハーセプチンにしてもザーコリにしても、それからグリベックにしても、そういうものがもし日本でうまく育っていれば日本発なんということもあり得たのではないかというような話もお聞きするわけでありまして、目ききから、さらには出口戦略から、知財の管理の支援から、また企業との連携から、いろいろなものをこの新しい機構の中で支援していけるような、そんな体制をとっていきたいと思います。

 あわせて、ここは研究機関を持っていませんが、日本の中においてこれからやはり、臨床研究という意味では、中核病院をしっかりと育てていく必要があると思っていますし、今まで早期、探索型の臨床試験拠点というような形で整備してまいりましたファースト・イン・ヒューマンに関しましても、試験に関しましても、もっともっと日本の国がどんどん行っていけるような環境もつくっていかなきゃならぬというふうに思っております。

 そういうことも含めて、世界標準の研究ができるような体制も含めて、難病の患者の方々の期待するそういう薬、こういうところにもしっかりと研究予算が回るような形で、この新しい機構というもの、そして新しい本部というもの、これを運営していかなければならないというふうに思っております。

 難病克服プロジェクトというのも、九大プロジェクトのうちの一つにしっかり位置づけております。そんな中において頑張ってまいりたい、このように考えております。

中島委員 私どもが反対した理由は、最初うたっていた日本版NIH、昨年の日本再興戦略でうたっていたわけですが、内容を見ますと、やはり私の目には、新たな独法を一つつくるための何かお飾り的なものになっちゃうんじゃないか、ほかにも同じような機関がある中で、この新しいものがどれだけ特化したものなのか。やはり、難病に苦しむ方、小児慢性疾患に苦しむ親御さんにとって大変期待の星というか、高いと思います。ぜひ、田村大臣には中心になっていただいて、決してそういうことではない、大きく育てていただきたいというふうに思います。

 時間もあれですが、資料の一枚目、重症心身障害者を取り巻く現状ということで、これも質問しようと思っていたんですが、在宅志向が強いということなんですね。NICUの整備に関して、一方では、重心の子供たち、この統計を見ますと、施設志向というよりは在宅志向が高い。約八〇%の親御さんがやはり御自宅で見ていきたいと。

 ただ、一方で、そのレスパイト機能を果たせる整備が難しいというふうにも言われておりまして、これは資料二、三なんですが、先日の参考人質疑で、NPO法人難病のこども支援全国ネットワークの会長の小林参考人が来られました。実は、私の地元の山梨県白州町というところで、「難病患者施設へ支援の輪」ということで、難病患者さんが御家族で宿泊できる、そういった施設をつくられました。

 私も、今後、できるだけかかわりを持って御支援していきたいなというふうには思っているわけですが、これまた前回の質問に戻ってしまうかもしれません。地域で住む方々にとって、これは重心の子であっても、慢性疾患、難病の方であっても、がんの末期の方にしても、やはり必要なものをしっかりと地域の資源として使えるように。

 私は、医療、福祉に従事している人間ですから、現場の話をよく聞きます。例えばデイサービスで、富山型デイサービスというのを、大臣、御存じですかね。わからないですか。きょうは資料として出していないんですが、デイサービスを特区で始めたんですね、富山県が発祥なんですけれども。要するに、障害を持つ子供も高齢者も、さまざまな人たちが一つでデイでやろうと。それが、特区以外でも自治体の判断でできるようになっています。

 まさに、そういったものが各地に点在するようになることが、障害者の支援、そして、難病の方や小児慢性疾患、がんの終末期の方に対しても、先ほど言った、広く、制度間のはざまを埋めるそういう施設となる。

 ただ、残念ながら、その施設はだんだんちょっと立ち行かなくなってきている。原因は、要するに、自宅を改修してやっていくわけですが、例えば障害であれば、施設基準というのがあります。高齢者、デイサービスであれば、例えば十人の定員であれば何平米、どこどこに入り口がなければいけない。その制度を全部満たさなきゃいけないということになります。そうなってくると、やはりなかなか難しくなってきちゃう。

 これは、今回のあれではないですが、例えば待機児童の問題ですね。私は、そういう今抱えている厚生行政の中での課題については、一つのくくりというわけにはなかなかいかないと思います。

 ただ、そこをうまく自治体の判断で、待機児童解消のために、各地にたくさんふえた介護施設、デイサービスに保育所を併設させるとか、一方で、難病対策のためのレスパイトを果たすのであればショートステイ機能を果たすもの、要するに、障害の部分と介護を組み合わせる形、待機児童ゼロを目指す形と介護を組み合わせる形、いろいろなパターンを自治体の裁量でやった場合に、まさにボトムアップで、そこに関しては制度の枠を少し緩める。そのことによって、それぞれ横、縦割りではなくて、そういったことができるのではないかというふうに思います。

 先日からの質疑の中で、私、ちょっとお手紙をいただいたので、それを読ませていただきます。

 私の知り合いのお子さんで、重度の小児疾患で身体障害者のお子様、やっと自宅介護になり、家を全面リフォームし、これからはママが四六時中介護になります。市の福祉課に行き、借りられるものは何でも借りたい、使える制度は何でも使いたい、医療費も自分たちの生活も大変になるからということで、市の福祉課に行きました。

 その後、連絡が入り、聞いてください、車椅子一つ貸し出してくれない。大人のはありますが子供のはない、御自分で購入してくださいね、あなたのお子様は規定に載っていないので、市の対応はできかねます、他に相談してくださいと言われました。

 これから、脳に障害を持って手も足も動かない我が子を命ある限り精いっぱい介護していかなければならない彼女のことを思うと、同じ子を持つ母として何かできることはないかというふうに思いました。

 行政は結局何もしてくれず、何でも規定に沿ってと言うばかり。心はないのでしょうか。私にできること、知り合いに声をかけ、そして、私は彼女に小児用の車椅子をプレゼントしました。

 本当に必要なことに予算を組んで、本当にちゃんと国民と向かい合う行政、国会であっていただきたい。

 こういうお手紙をいただきました。

 まさに、先ほど冒頭にも言ったように、制度というものが一体誰のためにあるのか。もちろん、財源の問題はあります。しかし、難病であれ、さまざまな疾患であれ、地域で支えていくためには、いろいろな組み合わせの中で、それをボトムアップで、制度を国が認めていくということが今後も必要なのではないかなというふうに思います。

 冒頭にも言ったように、今回、初めて難病対策が法制化されたこと、スタートとして私は大変評価をさせていただいております。ただ、これはスタートにすぎないということで、今後、完璧な制度はなかなか難しいとは思いますが、ぜひ、制度横断的な、そして患者さんや利用者さんのためのよりよい制度づくりのために御尽力いただきたいと思います。

 質問を終わります。

後藤委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 この際、両案に対し、とかしきなおみ君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び結いの党の六派共同提案による修正案並びに高橋千鶴子君から、日本共産党提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者より順次趣旨の説明を聴取いたします。大西健介君。

    ―――――――――――――

 難病の患者に対する医療等に関する法律案に対する修正案

 児童福祉法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大西(健)委員 ただいま議題となりました難病の患者に対する医療等に関する法律案に対する修正案及び児童福祉法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び結いの党を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 両法律案に対する修正の要旨は、それぞれ、検討規定について、原案では「施行後五年」と定められております検討の目途を「施行後五年以内」に改めようとするものであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

    ―――――――――――――

 難病の患者に対する医療等に関する法律案に対する修正案

 児童福祉法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高橋(千)委員 ただいま議題となりました日本共産党提出の難病の患者に対する医療等に関する法律案に対する修正案及び児童福祉法の一部を改正する法律案に対する修正案について、趣旨を説明いたします。

 難病対策に法的根拠を持たせ、義務的経費化することは、患者、関係者が待ち望んだものです。

 しかしながら、新たな制度は、低所得者、重症患者等への負担増、患者数や重症度によって線引きをされ支援から除外されること、小児慢性特定疾病の成人期移行問題など、多くの問題を残しています。難病患者の多くは、生涯治療を継続しなければなりません。障害福祉の谷間に置かれ、家族に重い介護負担がかかっており、命の維持のため医療費以外にも多額の負担がのしかかっています。

 医療費助成は正真正銘命綱であり、治療継続が困難になり、難病患者をさらに追い込むことがあってはなりません。

 患者の皆さんは、議論の積み重ねの中で一致をかち取った、難病は、まれではあるが国民の中に一定の割合で発症する可能性のあるものであり、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指すとした基本認識、基本理念を高く評価しました。新たな制度をこの理念に一歩でも近づけるために、修正案を提出するものです。

 以下、修正案の骨子を説明いたします。

 初めに、難病の患者に対する医療等に関する法律案に対する修正です。

 第一に、指定難病の範囲について、指定難病の定義から、患者数が本邦において厚生労働省令で定める人数に達しないとする規定は削除します。

 第二に、難病患者にとって食事は治療の一環であり、食事療養費、生活療養費は自己負担上限に含めるものとします。

 第三に、難病に軽症という概念を持ち込むべきではなく、病状の程度にかかわらず、支給認定を受けられるようにするものとします。

 第四に、施行後五年を目途としている見直し時期を三年に前倒しするものです。

 次に、児童福祉法の一部を改正する法律案に対する修正です。

 第一に、難病と同様、食事療養費は自己負担上限に含めるものとします。

 第二に、成人期移行の問題等積み残された課題は多く、施行後五年を目途としている見直し時期を三年に前倒しするものです。

 以上、委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。

後藤委員長 以上で各修正案の趣旨の説明は終わりました。

 この際、高橋千鶴子君提出の両修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 衆議院議員高橋千鶴子君提出の難病の患者に対する医療等に関する法律案に対する修正案及び児童福祉法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより両案及び各修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。中根康浩君。

中根(康)委員 中根康浩です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました難病の患者に対する医療等に関する法律案、児童福祉法の一部を改正する法律案に対して、賛成の立場から討論を行います。

 難病や小児慢性疾病の患者や御家族の皆さんは、長期の療養のみならず、医療費や通院のための交通費、衛生材料の費用などの経済的負担も強いられ、長期にわたって厳しい生活を送っておられます。

 難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指す理念や、創薬や新たな医療機器の開発などを含めた研究体制の強化及び難病の医療費助成の予算の義務的経費化と、限定的ではありながらも対象疾病の拡大などは、一定の前進として評価し、期待をいたします。

 しかし、本二法案は、当事者の方々の問題を根本的に解決するものにはなっておらず、さまざまな問題を抱えています。

 例えば、医療費の助成を受けていた小児慢性特定疾病の子供が成人となった後に医療費の助成を受けられないというトランジション問題が引き続き残ってしまいます。また、依然として医療費の助成を受けられない患者の方が残ってしまいます。何よりも問題なのは、現在助成を受けている人については、医療費の自己負担がふえる人が多く出てしまい、患者やその家族がこれまで以上に重い負担を強いられる内容は、制度の後退とも言えるものです。

 これらの問題の深刻さを考えれば、本二法案の施行後、できるだけ早く、新たな医療費助成制度のあり方について再検討する必要があります。

 そのため、民主党は、本二法案に規定されている検討時期を五年から三年に前倒しをするとともに、難病については、検討すべき事項に、指定難病に限定されない難病その他これに類する疾病の患者に係る医療費助成の制度の導入、難病その他これに類する疾病の患者に係る医療費の自己負担のあり方を加えること、小児慢性特定疾病については、検討すべき事項に、小児慢性特定疾病に限定されない疾病児童等に係る医療費助成の制度の導入、疾病児童等が成人となった後も必要に応じ継続して医療及び自立支援を受けられるようにするための医療費助成等のあり方、疾病児童等に係る医療費の自己負担のあり方を加える内容の修正が必要だと考えました。

 結果的には、検討時期について、「五年以内」とだけ修正されました。

 障害福祉サービスの対象範囲なども含め、難病患者をめぐる課題は多く残るものの、難病対策が一歩一歩前進していくことを期待し、本法案の早期成立を切望している患者、家族の皆さんの気持ちを大切に思い、民主党は、本二法案に賛成することといたしました。

 最後に、民主党は、引き続き、難病や小児慢性疾病の患者や御家族の声に耳を傾け、施策の拡充に取り組んでいく所存であることを申し上げ、賛成討論を終わります。(拍手)

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました難病の患者に対する医療等に関する法律案及び児童福祉法の一部を改正する法律案について討論を行います。

 政府提出の両法案は、難病対策に法的根拠を持たせ、医療費助成制度と小児に対する自立支援事業を義務的経費化するものです。法制化による安定的な制度と対象疾患の大幅拡大は、患者、家族の積年の願いであり、その実現に踏み出すものとして、賛成するものであります。六派共同提案の修正案についても賛成します。

 一方で、新制度にはいまだ多くの課題があると言わざるを得ません。

 第一に、難病は、まれではあるが国民の中に一定の割合で発症する可能性のあるものであり、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会を目指すとした基本認識、基本理念が法案には明示されていません。今後定める基本方針に明記すべきです。

 第二に、厚労省が示した案では、新規認定者の負担が大幅に軽減される一方、既認定者の八六%が負担増になり、低所得者、重症者に新たな負担が生じます。

 医療費以外にも重い負担を背負う患者、家族が治療を諦めることがないよう、さらなる軽減措置を求めるものです。

 第三に、医療費助成の対象を人口比〇・一%程度以下とする基準についてです。

 難病患者として同じ苦難を背負いながら、患者数が多いというだけで除外され、新たな格差を生み出すことがないよう、より広い疾患が選定される基準とすべきです。

 第四に、重症度分類を満たす者を医療費助成の対象とするとした点です。

 進行する難病に軽症はなく、通院、治療をためらわせ、軽症者のデータ収集に支障を来し、ひいては難病克服の道を遠ざけることになりかねません。重症度分類設定は見直すべきです。

 第五に、医療費助成の対象とならない方たちへの支援です。

 医療費負担の抜本的な軽減のため、高額療養費制度の負担上限の大幅引き下げ等、難病、がん、慢性疾患等、長期に治療が必要な患者への対策を急ぐべきです。

 寝たきりなど介護サービスがなければ暮らせない人たちを、障害でも難病でもないと放置することは許されません。障害福祉制度こそ、病名や障害名による線引きをなくし、谷間を解消することが必要であり、支援が必要な人全てが利用できるようにすべきです。

 第六に、小児慢性疾患児の成人期移行の問題は積み残したままです。

 二十歳を超えても、医療費助成、研究、教育、就労等、継続した支援体制の確立が必要です。

 JPAの伊藤代表は、「二十年後に、どのような現実を迎え、この法律がどのような評価をいただくことになるのか、その評価を恐れつつ、私は今ここに立っております。」と陳述されました。患者、家族の皆様は、新たな制度に不安を抱えつつ、この機会に法制化をかち取り、医療費助成をより多くの疾患に広げなければと苦渋の思いでこの日を迎えているのではないでしょうか。

 この思いを真摯に受けとめ、難病、小児慢性疾患の新法制をスタート地点として、真に人として尊厳を持って生きることを保障し得る制度が確立されることを求め、討論といたします。(拍手)

後藤委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより採決に入ります。

 初めに、内閣提出、難病の患者に対する医療等に関する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、高橋千鶴子君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、とかしきなおみ君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、児童福祉法の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、高橋千鶴子君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、とかしきなおみ君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 この際、両案に対し、とかしきなおみ君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党、結いの党及び日本共産党の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。井坂信彦君。

井坂委員 お疲れさまです。

 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党、結いの党及び日本共産党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    「難病の患者に対する医療等に関する法律案」及び「児童福祉法の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 指定難病の選定に当たって、診断基準の作成に係る研究状況等を踏まえて対応するとともに、疾病数の上限を設けることなく、医学、医療の進歩等を踏まえて、指定難病の要件に該当するものは対象とすること。また、今後の指定難病の見直しに当たっては、患者数だけでなく、患者の治療状況や指定難病に指定された経緯等も考慮しつつ、慎重に検討すること。

 二 新制度において大都市特例が規定された趣旨を踏まえ、指定都市が支弁する特定医療費の支給に要する費用が十分に確保されるよう必要な支援を行うこと。

   また、指定都市に新たに生じる経費については、国の責任において適切な措置を講じること。

 三 難病患者及び長期にわたり疾病の療養を必要とする児童が地域において適切な医療を受けることができるよう、指定医療機関及び指定医の指定に当たり地域間格差が生じないよう取り組むとともに、医療機関等のネットワーク等を通じた情報の共有化を図ること。

 四 療養生活環境整備事業等、義務的経費化されない事業について、地域間格差につながらないよう、地方自治体の負担に配慮すること。

 五 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に基づく障害福祉サービスの対象となる難病等の範囲については、難病対策における指定難病の拡大を踏まえつつ、支援の必要性等の観点から判断するものとすること。

 六 長期にわたり疾病の療養を必要とする児童が成人しても切れ目のない医療及び自立支援が受けられるよう、指定難病の拡大、自立支援事業の取組促進を図るとともに、成人後の医療や成人に対する各種自立支援との連携強化に鋭意取り組むこと。

 七 最大の難病対策は治療法の確立であり、難病の原因究明、治療法の研究開発に万全を期すこと。そのため、研究開発のための必要な予算の確保を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。ありがとうございます。(拍手)

後藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立総員。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、田村厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。

    ―――――――――――――

後藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

後藤委員長 この際、お諮りいたします。

 第百八十三回国会、柚木道義君外五名提出、介護従事者等の人材確保に関する特別措置法案につきまして、提出者全員より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

後藤委員長 次に、内閣提出、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案及び中根康浩君外七名提出、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。田村厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田村国務大臣 ただいま議題となりました地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を説明いたします。

 高齢化の進展に伴い、慢性的な疾病や複数の疾病を抱える患者の増加が見込まれる中、急性期の医療から在宅医療、介護までの一連のサービスを地域において確保し、患者の早期の社会復帰を進めるとともに、高齢者が住みなれた地域において継続的に生活できるようにしていくことが必要です。

 このような状況を踏まえ、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、効率的かつ質の高い医療提供体制や、地域包括ケアシステムの構築を通じ、地域における医療、介護の総合的な確保を推進するため、この法律案を提出した次第です。

 以下、この法律案の内容について、その概要を説明いたします。

 第一に、都道府県は、厚生労働大臣が策定した基本的な方針を踏まえ、市町村等と連携、共同しながら、新たな基金を活用し、医療・介護サービスの提供体制の総合的、計画的な整備等を推進することといたしております。

 第二に、地域での効率的かつ質の高い医療の確保に向けて、医療機能の分化、連携を推進するため、医療機関が病床の医療機能を都道府県知事に報告することとし、都道府県は、この報告制度等を活用し、各医療機能の必要量等を含む地域の医療提供体制の将来のあるべき姿である地域医療構想を策定することとしています。

 また、医療機関相互の協議の場の設置や都道府県の役割強化など、地域医療構想の実現のための必要な措置を講ずることといたしております。

 さらに、医療従事者の確保や医療機関における勤務環境の改善、看護師の研修制度の創設等のチーム医療の推進、医療事故に係る調査の仕組みの創設などにより、医療提供体制の整備を進めていくこととしております。

 第三に、地域包括ケアシステムの構築に向け、介護保険制度において、在宅医療・介護連携の推進、認知症施策の推進、生活支援サービスの充実等の措置を講ずるとともに、予防給付のうち通所介護と訪問介護について、市町村が地域の実情に応じて取り組むことができる地域支援事業に移行するなどの見直しを行うこととしております。

 また、特別養護老人ホームについて、在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設としての機能に重点化することとしております。

 さらに、介護保険制度の持続可能性を高めるため、低所得者の保険料の軽減強化、一定以上の所得を有する者の給付割合の見直し、補足給付の支給要件の見直し等を行うこととしています。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部を除き、公布の日としております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要です。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

 以上でございます。

後藤委員長 次に、中根康浩君。

    ―――――――――――――

 介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中根(康)議員 ただいま議題となりました介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案につきまして、民主党・無所属クラブ、みんなの党、結いの党、日本共産党、生活の党及び社会民主党・市民連合を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 今月から、消費税が八%にアップしました。にもかかわらず、介護報酬の賃金に関する部分は全く引き上げられないため、介護・障害福祉従事者の賃金は、今月から実質的に下がることになります。本来、今回の消費税引き上げは社会保障充実のためであったはずなのに、実質賃金が下がるのはおかしいのです。

 まず、本法案の提案理由の説明です。

 厚生労働省の調査でも、全産業の平均賃金が月額約三十二万五千円であるのに対し、ホームヘルパーは月額約二十一万円、福祉職員は月額約二十二万円にとどまり、月額で数万円から十万円程度も低い水準にあるのが現状です。

 そうしたことも一因となって、介護職、障害福祉職の離職率は高く、介護現場などの人材不足は、ますます深刻なものとなっています。

 また、年間約十万人の労働者が、親の介護等を理由に仕事をやめざるを得ないという現状もあります。介護現場での人材不足は、こうした離職をさらにふやすことになり、労働者の働き方、さらには経済活動への影響は非常に大きなものになります。

 本法案は、こうした現状を改善すべく、賃金改善のための措置を定めることにより、介護の現場にすぐれた人材を確保し、高齢者等に対する支援の水準の向上を目的とするものです。

 次に、本法案の主な内容を説明します。

 第一に、都道府県知事は、賃金を改善するための措置を講ずる事業者等に対し、その申請に基づき、助成金を支給することにいたします。

 支給の対象範囲は、平成二十四年度の介護報酬改定及び障害福祉サービス等の改定により導入された処遇改善加算と同範囲とします。助成金の支給により、一人につき、平均して、一月当たり一万円の賃金の引き上げがなされることを見込んでおります。

 第二に、国は、都道府県に対し、助成金の費用の全額、そして事務の執行に要する費用を交付します。

 第三に、この法律は、制度について見直しが行われ、すぐれた人材の確保に支障がなくなったときは廃止します。

 第四は、この法案が障害福祉従事者を対象としている理由です。

 これまで、介護と障害福祉は、いつもセットで処遇改善されてきました。ところが、今回、政府は、来年四月の介護報酬の引き上げには言及していますが、障害福祉の報酬引き上げは明言しておりません。

 一般企業と異なり、この分野の収入は国などからの報酬がほとんどで、自助努力で稼ぐことはできないのです。だから、政府の判断で引き上げるほかはないのです。政府が決めれば処遇改善はできるのです。

 また、介護と障害福祉をセットで引き上げるのでなければ、昨年成立した障害者差別解消法や批准した国連障害者権利条約の理念にも反するものとなります。

 このような趣旨で、介護と障害福祉をセットで提案いたしました。

 なお、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたします。

 以上が、本法案の提案理由及び内容の概要であります。

 大企業には、政府が法人税の減税をしてまで賃上げを要請したり、公共事業をふやすのに、政府自身が決めることのできる介護・障害福祉分野の処遇改善を放置しておくことは許されません。できるはずのことをやらないのは政治の怠慢です。

 全ての国民が直面し得る介護や障害福祉分野の仕事は、一人一人の全ての人の命を、最後の一瞬まで、意味があり、かけがえのない存在として尊厳を守り、輝かせる、非常にたっとい仕事です。弱い立場にありながら頑張っている人たちを応援する仕事に消費税が活用されることが、国民の願いではないでしょうか。外国の方に頼る前に、我が国の介護・障害福祉分野で働く人たちを応援しようではありませんか。

 国民の思いを国会全体で受けとめ、全ての国会議員が共有し、誰一人置き去りにせず、みんなで幸せになれる政治の実現を目指すことにおいては、全ての党の皆さんの思いは同じです。そのことは難病法案の審議で証明されております。

 本法案につきまして、党派を超えて全ての議員の皆様方からの御賛同をいただけるものと信じております。人に寄り添い命を大切にすることにおいて見識を同じくする厚生労働委員の皆さん、ぜひ、みんなで一緒にこの法案を成立させ、介護・障害福祉分野で働く人たちを応援しようではありませんか。

 どうぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

 以上です。

後藤委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十三分散会


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