衆議院

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第14号 平成26年4月23日(水曜日)

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平成二十六年四月二十三日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    安藤  裕君

      石川 昭政君    今枝宗一郎君

      大串 正樹君    勝沼 栄明君

      金子 恵美君    小松  裕君

      古賀  篤君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    助田 重義君

      瀬戸 隆一君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高鳥 修一君

      高橋ひなこ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    永山 文雄君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      松本  純君    三ッ林裕巳君

      武藤 貴也君    村井 英樹君

      八木 哲也君    山下 貴司君

      大西 健介君    中根 康浩君

      長妻  昭君    柚木 道義君

      足立 康史君    浦野 靖人君

      清水鴻一郎君    重徳 和彦君

      輿水 恵一君    桝屋 敬悟君

      中島 克仁君    井坂 信彦君

      高橋千鶴子君

    …………………………………

   議員           中根 康浩君

   議員           大西 健介君

   議員           山井 和則君

   議員           中島 克仁君

   議員           井坂 信彦君

   議員           高橋千鶴子君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 村中 健一君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           岡田 太造君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  原  勝則君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   参考人

   (独立行政法人労働政策研究・研修機構理事長)   菅野 和夫君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     武藤 貴也君

  大久保三代君     勝沼 栄明君

  金子 恵美君     八木 哲也君

  山下 貴司君     石川 昭政君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     山下 貴司君

  勝沼 栄明君     助田 重義君

  武藤 貴也君     今枝宗一郎君

  八木 哲也君     瀬戸 隆一君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     安藤  裕君

  瀬戸 隆一君     金子 恵美君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     大久保三代君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第二三号)

 介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(中根康浩君外七名提出、衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案及び中根康浩君外七名提出、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として独立行政法人労働政策研究・研修機構理事長菅野和夫君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として総務省大臣官房審議官村中健一君、厚生労働省医政局長原徳壽君、社会・援護局長岡田太造君、老健局長原勝則君、保険局長木倉敬之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。

 いよいよ本日から、医療と介護のこの法案の審議が始まるということでございます。医療のみならず、介護の当事者あるいは関係者の方々、日本じゅうに多くいらっしゃいますけれども、そういう方にかなり重大な変化、影響を与える法案だと思っておりますので、私ももちろん真剣に質問いたしますので、大臣もはぐらかさず、直球で御答弁をちゃんといただければありがたいと思っております。

 本日は、要支援の方、当事者の方も傍聴に来られ、関係者の方も傍聴に来られておられます。本当に日本じゅうが注目をして、心配しながら見守っている法案だと思っております。

 まずちょっと冒頭に、本日は介護離職についても質問をさせていただこうと思っておりまして、五ページにも配付資料がございますけれども、介護離職のメカニズムというのがまだまだ研究途上でありまして、その第一人者である方が独立行政法人労働政策研究・研修機構の池田さんという方でございます。このJILPTというのは当然、税金で運営されている組織でありますので、その研究員の方をきょうお呼びして、介護離職のメカニズム、原因、仕組みをお伺いしようと思って、委員部にも登録をさせていただきました。

 万が一、研究員は呼ぶのはまかりならぬというふうに自民党さんがおっしゃる可能性があると思いましたので、この研究員の方がだめであれば、理事長の方に来ていただいて、研究員を陪席していただいても結構なので、理事長も研究者でありますので、このメカニズムを説明していただきたいというふうに申し上げたんですが、だめだというような話があって、先ほど理事会で議論があって、自民党の方から、やはり十時ごろには来させるというふうに、方向が転換されたというふうに聞いております。

 別に、中立的な、税金で運営されている組織の、純粋に、何か個々の問題を追及するというよりは、介護離職の第一人者がせっかく税金で運営されている組織にいらっしゃるのであれば、やはり委員会にも、通常の審議の中にも来ていただいて、そこで知見を御披露いただくということは、これはむしろ税金を有効に使う道であると思っておりますので、今後ともぜひそういう運営を与党にはお願いをしたいと思っております。

 質問に入らせていただきますけれども、まず田村大臣の基本的なお考えをお伺いします。

 今現在、介護をされておられる方々というのは日本じゅうたくさんおられますけれども、そういう方々の御家族の負担というのは限界に来ていると考えておられるのか、まだまだある程度余裕があると。これは当然、個々の方々によって事情は違うと思いますけれども、全般的に、大臣としては、どの程度、今、全国で御家族の負担というのを認識されておられるのか、基本的なお考えをお伺いしたいと思います。(発言する者あり)

田村国務大臣 おはようございます。

 いよいよ大変重い法案でございます。よろしく御質疑のほどお願いいたしたいと思います。

 今の御質問でありますけれども、今、丹羽先生もおっしゃられましたけれども、当然、要介護度によって違うわけでありますし、地域のサービスの充実度によっても違うわけであります。また、認知症等々がどれだけ重いか軽いかという問題、またはあるかないかという問題、これもあるわけでありまして、一概にどうであるというのは私からは申し上げられないわけであります。

 しかし、自宅で介護をされるというのが、最も重い方においては大変な中において、例えば、よく言われる老老介護でありますとか、場合によっては、認知症が入りかけておられる方が、認知症の重い、重度の方を見ておられるというような状況も、実態として、ないわけではないわけでありまして、そのような状況状況では、大変な思いの中で介護をされておられる御家族の方々、こういう方々もおられるというふうに認識をいたしております。

長妻委員 資料を私どもの事務所で作成して配付いたしましたけれども、配付資料の一ページに、やはり介護も同じ考え方だと思うのは、国民所得に占める保険料とか税、これは国民負担とも呼ばれておりますけれども、これの膨張を抑えるためにこれを圧縮すると、中にあんこが入っているというふうに考えると、それを圧縮すると、そこの部分が押し出されて自己負担や家族の負担がふえていく、こういう形になるわけです。

 介護が必要な絶対量というのは、これは厳然としてあるわけでありますから、今回の要支援を地域に移行するというのは、保険料、税の負担を圧縮していく、こういう発想もあると思いますけれども、そうすると結局、自己負担と家族の負担がふえていく、こういうことになります。

 今大臣、ちょっと首をかしげておられましたけれども、今回、例えば、政府がつくった、配付資料二十ページでございますけれども、これを拝見いたしますと、一番下の方に、要支援について、中長期的には費用の伸びが、後期高齢者の人数の伸び、三から四%程度となることを目安として努力すると。現在の伸びは五パーから六パーですから、その伸びを抑えていく。

 つまり、税と保険料の負担を抑えるというのも目的の一つにあるということでありますから、それは、効率化、ある意味では膨張を抑える。ただ、その膨張を抑えると、結局、絶対量が必要でありますから、家族と自己負担がふえていく。どこまで家族と自己負担が耐えられるのかということにもなると思いますけれども、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 ちょっと委員とは、考え方に相違があるようであります。

 この委員が出された資料でありますけれども、保険料、税、これは、まず、今回の要支援、予防給付から要支援の方に移るという形に関しては、基本的には財源構成が同じで、財政調整もするわけでありますから、保険料をそのまま使うという形であります。

 その中において、今伸びの話をされました。伸びを抑えることを努力するということであるから、すると、保険料が、本来ふえる部分を抑えた分だけこちらが圧縮されて、自己、家族負担がふえる、多分こういうお話であったんだというふうに承らせていただきましたが、これは、サービスの低下、本来必要なサービスを、要は、それを劣化させて金額的に抑えていくというような考え方ではないわけでありまして、予防をすることによって結果的に重症化を防いでいく、こういう考え方であります。

 これは、いろいろなモデル事業等々をやる中において、我々としても、今要支援を受けておられる方々、当然、専門的なサービスを受けられる方は受けていただければいいわけでありますけれども、要支援者の中には、御承知のとおり、今あるサービスでは十分満足されていない方々もあられるわけであります。

 そういう方々も含めて、多様な設置主体による多様なサービス、多様なニーズに対するサービス、こういうものを提供する中において、より効果的に予防というような形で、要は、重症化を防いでいけば当然、介護給付自体の伸びは抑えられるわけでありますので、そういう中において、例えば、今までならば要支援であった方々に自立をいただく、そういうような形の中において伸びを抑えることを一つ目標に置いておるということであります。

長妻委員 より効果的に予防するというふうにおっしゃいましたけれども、ということは、例えば要支援の方に限定して考えると、要支援の方々に対する予防給付がありますよね、そうすると、今現在に投下している予算、人、物、金よりも、今回法案が成立した暁に実現する要支援の方に対する人、物、金の投下量というのは今よりも充実、つまり、予防については予算がふえていく、こういう理解でいいんですか、本当に。

田村国務大臣 お金をかければ予防できるというものではないわけでありますね、これは。結果的に何が効果的であるかということを検証するためにモデル事業もやってきたわけであります。それは、政権が民主党のときからやられておるモデル事業でありますね。

 そういう意味からいたしますと、今まで介護サービスは一律のサービス、しかも全国ほぼ同じようなサービスであったわけであります。要支援の方々というのは、ADLは自立しておりますが、IADLにやはり若干なりとも能力の衰えがあるという部分でありますので、そういう方々に対してはそういう方々に適したサービスというもの、これは地域によっても違うと思います。それぞれ、もちろん個人個人によってもニーズは違うと思います。そういうもの。

 だから、私は、今あるサービスを全員排除しろと言っているわけじゃないんです。そういうサービスが必要な方々もおられますが、本来違うサービスが必要な方、違うサービスを求めておられる方、こういう方々もおられるわけでありまして、そういう方々に効果的なサービスを、お金をかけるとか人をかけるというのではなくて、より効率的なものを提供すれば重症化をとめられる、もしくは自立に向かう、こういう事例を今までもいろいろとモデル事業でやってきておりますので、そういうものを横展開する中において、より効率的、より効果的な、そういう地域支援事業というものをつくってまいりたい、このように考えておるわけであります。

長妻委員 これはちょっと、当然、予算がふえりゃ全部バラ色とは言いませんけれども、予算を削除したらサービスが低下するというのは一般的に言えることだと思います。

 社会保障審議会の介護保険部会の昨年の十二月二十日の意見、これに基づいて今回法律もできたわけでありましょうが、ここには、今回移行することによって、機能が強化された新しい総合事業を利用することで、市町村は、支援を必要とする高齢者が要支援認定を受けなくても地域で暮らせる社会の実現を図る、つまり、機能を強化するというふうに書いてあったり、あるいは、「リハ職等が積極的に関与しケアマネジメントを機能強化することにより重度化予防を推進する」、つまり、機能の強化とリハ職が積極的に関与するということで、では、今よりも、この二つについては予算はふえるということの理解でいいんですか。

田村国務大臣 リハ職自体はこれからもふやしていかなきゃならぬと思います。これは要支援のみという話じゃありません。要介護ということ全体を考えても、全体として数がふえていくわけでありますから、そのような方々に対応するためのリハ職というものは当然ふえていくわけであります。

 要支援の場合はいろいろな見方があると思います。リハ職の数が多ければいいという話じゃなくて、例えば、一対一で対応しておったものを一対多人数の中で、社会に参加するような形の中で対応していく、こういうこともあろうというふうに思います。

 そもそも、今まで施設等々で受けていたようなサービスというのではなくて、要支援の中においてIADL等々が、比較的軽いといいますか、そういう方々に関しては、例えば、地域の中で参加型のいろいろな事業がある。その中においては、御自身も主体的な役割を担っていただく。そういうような形において、ただ単に運動機能等々ではなくて、要は、精神的も含めて、社会に参加していくところの中において自立に向かってというような、そういうインセンティブも働いてくるわけであります。

 そういうものも含めて、今までモデル事業をやってきておりますので、そういうものを参考にさせていただきながら、各地域に、好事例集でありますとか、我々、ガイドラインもつくってまいりたいと思いますけれども、そんなものを利用していただきながら、各地域地域で、それぞれまた工夫もあられると思います。そういうものを使いながら、一方で、コミュニティーの強化ということもそれによって図られてくるという、副次的なそういうような利点もあるのかもわかりませんが、そのような形の中において、それぞれの方々が要支援を、状態を悪化させない、もしくは自立に向かって前に向いて、一歩進んでいただける、そういうような事業になっていければありがたいというような形の中において、提案をさせていただいております。

長妻委員 いろいろなことをおっしゃいましたけれども、結局、一対一のリハでなくて、一対多人数の方が効果的みたいな話がありましたけれども、では、これは全然違うじゃないですか、リハ職等が積極的に関与し、今以上に関与するというのと。非常に何か、言葉だけをおっしゃっておられるような気がするんです。

 これは逆に、私は、やはり政府は正直に国会に説明する必要があると思うんですね。はっきり言うと、介護財政が大変だから、要支援の方は軽いんだから、財政が大変だから、圧縮するその御協力をぜひしていただきたい、地方自治体に、きめ細やかな多様なサービスも自治体ごとにお願いするから、財政の圧縮というのも御理解いただきたいというふうに、正直にですね。それをおっしゃらないで、いやいや、削減しないんだ、サービスが多様になってもっとよくなるんだ、こういう説明が無理があるんですよ。だから、正直にそういうふうに言っていただくと、議論もかみ合うんですね。

 私は、介護というのはやはり膨張、これから医療、年金以上に、二〇二五年に向かって経費が伸びてくる。これは野方図に伸ばすわけにはいかない、これは政府と私も共通していると思うんですが、ただ、その抑制の仕方が、私は、政府は短兵急で、間違っているんじゃないのか。

 例えば、やはりホームヘルプサービスをもっと充実をして、施設に行かないように、施設に入らないで自宅で暮らせるような形で、もっとサポートしていく。あるいは、要支援の方々に対する認知症の初期のサポート、これが不足しているんです。デイサービスも、ほとんどは真面目にやっておられますけれども、いいかげんなデイサービスもあって、ちゃんと初期の認知症のケアをやっていないところがあるんですよ。ですから、そういうところを充実して、結果として施設に移行しない、つまり、施設の方が経費がかかるわけですから、それで圧縮をしていく。

 あるいは、介護離職、これも要支援を地方に移管することで、私は介護離職がふえると思います。これによって、結局、経済の成長の基盤を崩していくことになる。そして、結果的に財政の悪化に拍車がかかっていく。

 こういうことがあるので、やはり予防にさらに力を入れる、専門職による予防。それによって、全体の介護の経費、その規模を抑制する。こういう考え方を私はとるべきだと思うんです。

 議論がかみ合わないのは、田村大臣、政府は正直に、保険料と税を圧縮するためにこういうこともやっている、それだけじゃないかもしれないけれども、それも目的の一つだというふうにおっしゃっていただかないと、議論が全然かみ合わないわけなんです。

 もう一回、別の角度からお伺いしますけれども、そうすると、今回は、要支援の事業については、今までは、給付、介護保険の給付だったのが、今度は給付じゃなくなるという理解でよろしいんですか。

田村国務大臣 要支援者の方々も、訪問看護等々、これは今までどおり予防給付というような形で、介護保険の中で提供されるわけですね。一方で、訪問、通所、こういうものに関しては、これは地域支援事業という形に変わります。

 その上で、その中にも専門職の方々のサービスはあるわけでありまして、その専門職の方々のサービスを使うかどうか、これに関しましては、地域包括支援センターの中においてケアマネジメントをやっていただいて、本人の要望もありますでしょうし、状態像、こういうものを確認していただきながら決めるわけであります。

 予算を、それはもちろん、介護保険の持続可能性という意味からすれば、伸びが急激に伸びていけば、これは大変なことになります。持続可能性というものをちゃんと維持しなきゃいけない。しかし、かといって、予防のところを野方図にお金だけ切ればそれでいいんだという話になると、当然、それによって悪化すれば、将来的には介護保険の給付がふえるわけですね。それは防がなきゃならない。

 だからこそ、それぞれの方に適したケアマネジメントをする中において、この人は専門職が必要だという方に関しては、地域支援事業においてもそのようなサービスをちゃんと提供いただくわけでありますので、そこはしっかりと、そこのところを、この方はどういうようなサービスが必要かということを把握した上で、そのようなメニューをつくっていただくという話になるというふうに思っております。

長妻委員 予防給付は、今回、訪問介護と通所介護が切り離されるわけで、費用ベースでいうと六割がこれを利用されておられるわけです。そもそも要支援というのは、何で要支援というのができたかというと、予防を専門職によってきちっとやることによって重篤化を防ぐ、御本人にとってもいいし財政にとってもいい、こういう理念で始まったはずが、それを削ってどうするのかと思うんですね。

 訪問介護と通所介護、そうしたら、予防給付における訪問介護と通所介護は給付ではなくなるという理解でよろしいんですか。給付でないんですか。

田村国務大臣 ですから、それは介護保険における給付ではないわけでありますよね。財源は介護保険を使いますけれども、介護保険制度の中での給付ではないわけであります。その上で、地域支援事業という中において、財源は今と同じ構成で介護保険から出すわけでありますし、財政調整もしっかりやるわけであります。

 あわせて申し上げれば、これは各自治体が法律にのっとってやらなければならない事業でございますので、やらなければならない事業として必要な方々に対して提供いただくということであります。

長妻委員 今大臣、御答弁されました、要支援の方々に対する訪問介護と通所介護は、今までは介護保険給付だったものが、給付ではなくなって事業になる、こういうことだと思うんです。

 これは全国の皆さん、いろいろ心配されておられる方もいらっしゃるので、ちょっと定義を正確に教えていただきたいんですが、そうすると、給付と事業というのは何が違うのか。給付というのはどういう定義で、事業というのはどういう定義なのか、これを教えていただけますか。

田村国務大臣 給付は、介護保険法にのっとって介護保険として出される給付であるわけであります。一方、事業は、各自治体が行う事業であるわけであります。そして、その財源は介護保険からしっかりと確保をされるというわけでございます。

 ちなみに、先ほども申し上げましたが、市町村は行わなければならないという形になっておりますので、これはマストでやっていただけるという話になっております。

長妻委員 実質的な意味をお伺いしたんですけれども。

 これは役所の方に、きのう議論して教えていただいたんですが、給付というのは、一人一人に一定の要件で全国一律でサービスを提供する、これが給付なんだと。ところが、事業、今回市町村ですけれども、この場合は、市町村が責任を持って、地域の資源を使ってさまざまな取り組みをする、これが事業なんだと。つまり、一定の要件があれば全国一律、最低限これだけのサービスが受けられるということではなくなるというのが、給付から事業ということなわけであります。

 もう一回、大臣、法律の条文がどうだというんじゃなくて、給付というのはどういう意味なんですか。これは介護保険のみならず、社会保障でも給付というのはいろいろな用語を使いますね。給付の意味合い、本質的な意味をちょっと教えていただきたいんです。

田村国務大臣 介護保険だけではないのかもわかりませんが、委員がおっしゃられる意味合いから申し上げれば、一律なメニューにのっとって単価も、若干地域によって加算はありますけれども、単価も一定の国の示すものにおいて行われるサービスであるわけであります。

 一方で、事業は、今も言われたとおり、それぞれの各自治体でいろいろな工夫をしていただいて、それぞれ、この場合に関して言えば、要支援者の状況が一番わかる地域においてそれに適したような工夫をしていただける、そういうサービスを提供いただけるということでございます。

長妻委員 私の理解では、今、要支援に対する予防給付というのは、いわゆるナショナルミニマムのような形で、最低限の全国一律でそういうサービスが、国の基準で行われている、保険者は自治体ですけれども。それにアドオンして、それに上乗せして自治体が、今でもボランティアの方を使ったいろいろなサービスを提供している自治体もあるわけですよ。

 ですから、いわゆるナショナルミニマムの要支援の部分を給付から外すとなると、これは完全に事業になりますから、ある意味では自治体にお任せをする、こういう形になって、では、介護におけるいわゆるナショナルミニマムというのはどういう考え方なのか。それがどこかに行ってしまうのかということが、多分、全国の皆さんも心配で、私も心配になっているというふうに思うわけです。

 具体的にお伺いすると、では、要支援の方が従来受けていたサービス、これは、御本人の状態が変化したら別ですよ、変化しない限りは、継続して全国で同等のサービスを受けられる、こういうことは言えるわけですか。

田村国務大臣 基本的に、今受けておられる方が、それは継続性というものがあるわけでありまして、そのサービスというのは、基本的に、御本人が望まれれば受けていただけるような形で、これは我々も自治体にお願いしていきたいと思っておりますが、ただ、御本人がそうじゃない場合には、それは当然違うサービスになるわけであります。

 今までのサービスも、これはそのまま事業継続していただけるわけでありまして、そのサービス事業者がそのまま新しい地域支援事業の中で御参加いただけることは、これは決して我々妨げているわけでないわけでありますので、それに関しましては、各自治体でそれぞれ御把握いただく中において、そのような対応というものもしていただける、このように考えております。

長妻委員 結局、これは大臣もおわかりになっておられると思いますけれども、今おっしゃいましたように、国が自治体にお願いをするということなんですね、給付じゃなくなるので。ですから、お願いをして、自治体は、いやいや、そのお願いは、ちょっとうちは別の考え方があるというような自治体だって出てくるわけですね。

 就学援助のときだってそうですよね。生活保護基準が下がって、これは地方自治だから自治体にお願いをしたけれども、そのお願いに同意しなかった自治体もあったわけであります。

 ですから、お願いするのは、そう思いますよ、されると思いますが、ただ、自治体はそのお願いを、これは給付じゃないわけですから、一〇〇%聞く必要はないわけですよね。

田村国務大臣 今でも、そのサービスがなくなれば受けられないわけですよね。必ず受けられるということではないわけであります。その地域にそのサービスが永続するかどうかという問題はあると思います。

 今の観点からいえば確かにそうなんですが、より先進的にいろいろなことをやろうとされる自治体は、いろいろなサービスとともに今のサービスも一定程度は残すんだと思います。一方で、余り乗り気でないといいますか、前向きじゃない、そういう自治体に関しては、今までのサービスをそのままどおり提供されるということを当分続けられるんだろうと思います。我々は、それは望んでおりません。それぞれの自治体でいろいろな多様なサービスをおつくりいただきたいと思っておりますけれども。

 ですから、今言われたような観点からいけば、比較的永続して、そのままその事業というのを残されるところは、基本的には、かなりのところがそうなるんではないかというふうに考えております。

長妻委員 ですから、これは重要なんですよね。私は、いわゆるナショナルミニマム、この最低限の要支援に対する給付措置が今なされているというふうに認識しておりますけれども、地方によって全然違ってくると思いますよ、首長さんの考え方で。ですから、非常に楽観的過ぎるんではないか。

 これは、アンケートにも如実にあらわれていますが、十三ページですね。いろいろ心配になって、いろいろな団体がアンケート調査を開始されておられます。

 この十三ページは、四月に、今月発表されたわけですが、中央社会保障推進協議会というところが全国の自治体にアンケートをとりましたところ、十四ページにもございますが、要支援者の地域支援事業への移行についてどう思うか。

 可能であるというのは百十三保険者、百十三の自治体で一七・五%。不可能だとおっしゃっている自治体が二百六保険者、一番多いわけですね、三一・九%。失礼、一番多いのは判断不可、その次ですね、二百五十一保険者、三八・九%。回答なしが七十六保険者、一一・八%。つまり、可能だと答える保険者が百十三保険者。できない、不可能だと答えた方が二百六保険者いる。私もいろいろ自治体にお伺いしましたけれども、そんな受け皿はないから、それはできませんよというふうにおっしゃる自治体もあるわけです。

 十五ページは、これは東京都介護支援専門員研究協議会、ここがまとめたものでございます。ケアマネジャーの協会であります。

 これについて保険者にも、このケアマネ協会が聞いたところ、十六ページでありますが、新しい地域支援事業へ移行された場合の予想される影響はどういうものですかと聞きましたら、一番多いのが、苦情対応の責任主体が曖昧となる、四二・五%、二番目が、健康状態の悪化を招く、三二・五%、不満や苦情等の対応に追われる、二五%ということで、上位三つでいうと、非常に悲観的な話。

 十七ページでは、これはケアマネジャーの協会がケアマネジャー御本人にアンケートをされておられる結果です。五百三票、五百三人から回答を得たということでありますが、十八ページ目、どのような影響が予想されますか。ベストスリーでいうと、ケアマネジャーが不満や不安の矛先になる、苦情対応の責任主体が曖昧となる、健康状態が悪化する。

 つまり、ボランティアの方がするサービスも、ケアマネジャーのプランの中に入っていく、そこでいろいろな問題が、トラブルが起こったときに、やはりそのプランを立てたケアマネジャーにも責任が及んでいく。こういうような、法整備あるいは責任の関係が未整備なまま、見切り発車ではないかというような意見もあります。地方やケアマネジャーがこれだけ未整備だ、受け皿がないと言っているのに、これを強行していくというのは非常に拙速、まずい手法ではないかと思います。

 四ページ目でありますけれども、本日も傍聴に来られておられると思いますが、公益社団法人の認知症の人と家族の会が、昨日、田村大臣に、厚生労働省に行かれて、大臣は不在で老健局長が対応されたということでありますが、六万四千三百四十四人の署名を添えて、五項目の要請をされておられる。一番目は、要支援の人の介護保険外しをやめ、引き続き介護保険の給付の対象としてくださいということなど、るるあるわけです。

 私は、認知症の家族の会の方と話していると、本当に、当たり前ですけれども、家族ですから、認知症のことをよくよく御存じです。やはり我々も反省しなきゃいけないのは、政府の認知症対策の、非常に問題点、抜けているところというのがよくわかるわけで、そういうことがよくおわかりになっているところが、こういうふうに御心配になって、これだけの署名を集めておられる。

 認知症対策については、今回の法案の条文の中にこういう条文があるんですね。「保健医療及び福祉に関する専門的知識を有する者による認知症の早期における症状の悪化の防止のための支援その他の認知症である又はその疑いのある被保険者に対する総合的な支援を行う事業」。

 役所に聞くと、認知症対策は要支援者に対して今よりも充実しますと言うんですが、これは大臣、予算もふえるわけですか、充実するというのは。

田村国務大臣 何点か質問があられたといいますか、御意見があられたので、それに対して一つずつお答えをしなきゃならぬと思うんです。

 まず、今のサービスが受けられるのかという意味からいたしまして、先ほどのアンケート、あのアンケートの中身で、対応ができないというような御意見の自治体も多かったと。これに関しては、まだまだ我々がPRをしていない、またいろいろな意味でガイドライン等々も示していないという中において、これから十分にそのことは周知をさせていただかなきゃならぬなと思いますが、仮に新しい取り組みができないところは、財源は御承知のとおり今までどおり来るんですね、要支援には。そして、新しい、通いの場でありますとか体操教室でありますとか、いろいろなものは、地域資源を使いながら、つくれないというところは、当然今までどおりのサービスを提供することになるんだと思います。

 もちろん、二十九年までは移行期間があって、介護保険から出ますが、それ以降も、仮に移行期間が終わった後も、今までどおりのサービスを提供せざるを得ない。ということは、結果的には何が起こるかというと、今までのサービスはそのまま受けられるということは、これはもうわかっておられるというふうに思いますが、我々はそれをよしとはしておりませんけれども、より効果的ないろいろなサービスを提供いただきたいというふうには思いますが、そういうことなんだろうと思います。

 これから、ガイドラインでありますとか、また好事例でありますとか、いろいろなものを使いながら、各自治体にはより効果的な、そういうようなものをおつくりいただくように、我々も努力してまいりたい、このように思っております。

 それから、今おっしゃられた認知症の問題、これはもちろん予算もふやしております。認知症に関しましては五カ年計画をつくってやっておるわけでありますが、この中において、やはり初期が大変重要でございますので、初期集中支援チームというものを全国でおつくりいただきながら、これは専門職の方々、保健師、看護師、こういう方々に入っていただきながら対応していただく、介護福祉士の方々もこの中に入っていただいて。

 そして、そういう中において、まずそれぞれの御自宅に訪問いただいて、まずはアセスメント、これは観察でありますとか評価、こういうものをしながら、状態像をよく見ていただきながら、一方で、早期のうちに診断をしていただくということも重要でございますので、これは認知症疾患医療センター等々で専門医の方々を含めて、場合によっては診断していただいて、認知症があるのかないのかということも含めて御判断いただいて、そして、初めのうちはその認知症に対してどのような対応をしたらいいかということを集中的に対応する。その後、介護サービスを受けていただきながら対応していくという話になってこようと思いますので、そういうことも含めて、この認知症に関しては対応してまいりたいと思います。

 あわせて、認知症カフェ等々で、御家族の方々は大変でございますので、そういう方々のある意味精神的な、何といいますか、精神的な重荷というものを一定程度緩和していただくための、そういうような取り組みというものも進めてまいりたい、このように考えております。

長妻委員 認知症対策の一般論をどんどんおっしゃっても、要支援に対する経費は、効率化なんですから、これは伸びを抑えるわけですから、縮小するわけですよ、認知症対策についても。ですから、認知症対策について初期が重要だとおっしゃっても、それは一般論であって、要支援の方に対するそういうものは、私は薄くなっていくと思いますよ。ボランティアの方は認知症の専門じゃないですよ。大丈夫なんでしょうか。

 十ページですけれども、要支援一、二を調べていただくと、認知症高齢者の日常生活自立度一以上の者の割合ということで、軽い認知症の方が要支援一で四三・二%いらっしゃる、要支援二で五三・六%いらっしゃる。このときに予防をきちっとするというのがまさに重要なわけですよ。

 ボランティアの方は、我々は否定はしていませんが、認知症の対応の教育なんか受けておられないわけでありまして、本当に、おっしゃっている一般論と要支援の方への対応が異なってくるわけですから、やはり正直に、経費を削減する、それも目的の一つだというふうにおっしゃっていかないと、そちらの立場とこちらで議論がかみ合わない。

 私は、経費を抑制するやり方、先ほど予防やあるいは施設に行かないで自宅にとどまるようなケアを充実する認知症予防を申し上げましたが、と同時に、やはりケアマネジャーの独立性、これも、事業所に併設しているところに雇われておられるので、自分のところの事業所のホームヘルプサービスとか、それを過剰にケアプランに書いてしまう、こういう例も、私は現場に参りまして、拝見をいたしました。

 こういう独立性や、あるいはデイサービスも、多くは真面目にやられておられますけれども、中には、折り紙をずっとさせているような、ほとんど予防に資することのないようなことをやられているところもあります。粗製乱造になっている部分もありますし、これについては政府がもっと手綱を厳しく締めていくということも必要だと思いますから、そういう側面はやらなきゃいけないけれども、本丸である認知症予防を薄くしてどうするんだ、こういうふうに強く思うわけであります。

 今、理事長がお出ましいただきました。JILPTの菅野理事長が到着されましたので、介護離職について。

 介護離職というのは、親を介護されておられるお子さんたちが、一般のサラリーマンの方々が、介護のために職をやめざるを得ないということであります。

 五ページ目に、そのメカニズムのデータを、配付資料で配付させていただきました。

 池田さんというJILPTの優秀な研究員の方が、私は今日本で介護離職の研究の第一人者だと思いますけれども、左上に、どういうメカニズムで介護離職が起こるのかということを端的に描いていただいております。

 理事長から端的に、どういうメカニズムで介護離職が起こるのか、説明をいただければと思います。

菅野参考人 独立行政法人労働政策研究・研修機構理事長の菅野でございます。

 ただいま先生御指摘の、当JILPT、労働政策研究・研修機構の副主任研究員、池田心豪の調査研究でございますが、「仕事と介護の両立支援の新たな課題」と題するものでございます。

 池田研究員の研究のポイントは、従来、育児・介護休業法等で想定しているニーズというのは、要介護状態にある対象家族に対する介護のための時間的やりくりが困難な就労者のための休業であるとか、あるいは、介護の状態にある対象家族その他、要介護状態であるかどうかを問わず、介護サービスの手続を代行するとか、あるいは入院、退院の付き添いをするとか、そういった世話をするということのための休暇等について手当てをしてきた。そういういわば時間的なやりくりが困難な平日のニーズ、それに対応してきた。

 しかし、詳細なアンケート調査をやってみると、確かにそういうニーズは存在し、それについての手当てがなされるということは妥当でありますが、そのほかに、特に、重度の認知症にあって、夜間に異常行動を起こすというのが典型でございます。暴言、わめく、それから暴れる、徘回する、そういうのについて、就業しながら介護をしている家族が、それに対応しながら就労も続けるという状態の場合には、疲労が蓄積し、勤務中も居眠りをしたり、だんだんだんだんつらくなっていって、仕事との両立も難しくなっていって離職なども起こる、離職しないまでも勤務の方がつらくなる、そういうふうなニーズもアンケート調査の結果としてかなりあるというふうなことを、いわば実証的に見出して、その課題を指摘したものだと理解しております。

長妻委員 ありがとうございます。

 今的確にお話しいただきまして、身体介護の場合は、やはり育児と違って、まとまった休暇をとっても意味がなくて、半日とかいろいろな形で、その都度その都度、介護を受ける方の身体状況によって変えていくような、きめ細やかな対応が必要だと。これは制度の改革が今進んでいると思いますから、そこでも対応できるのではないか。ただ、まだまだ問題はいっぱいあります。

 もう一つおっしゃられたのは深夜介護。

 やはり深夜介護は深刻で、本当に二十四時間つきっきりでホームヘルプサービスをできるのかという問題もあるわけで、今、重度の認知症というお話がありましたけれども、私も認知症の家族の方々のお話を聞くと、要支援の方でも夜そういう行動がある方もいて、疲弊をされる家族もいらっしゃるということでありまして、やはり深夜介護が引き金になってやめる方も多いというふうに聞いております。

 六ページ目でありますけれども、今現在、六十五歳以上の七人に一人が認知症というようなデータもございますし、二ページには、これは私の事務所で推計をした、介護離職がどれだけふえていくのかという推計数字。それによるGDPのマイナス、減少額というのも、二〇二五年、一兆五十三億円ということで、これは粗い推計値であって、今、社人研が推計をしておると思います。

 理事長にお伺いしますが、JILPTで、介護離職を防止するため、深夜介護については、どういう対応、あるいは予防も含めて、必要だと思われておられますか。

菅野参考人 私ども労働政策研究・研修機構は、政府の労働政策の立案それから実施に役立つデータとかエビデンスを調査研究で明らかにし、課題を明らかにするということでありまして、政策的にどうした方がいいというところまで踏み込むということは、特に考えてくれというような要請でもない限り、なかなかしないところであります。

 この池田研究員の研究も、そういう課題を事実として明らかにするというところまででありまして、それを政府の方で受けとめて何らかの政策の立案等を考えるというようなことを、いわば課題提起のようなものをしたものと考えております。

長妻委員 五ページ目の表について、この図表二、三、四について簡単に御説明をいただければと思います。

菅野参考人 私、先ほどの説明で申し上げたのは、典型的にはというようなことで重度の認知症ということを申し上げました。

 池田研究員の方の調査は、そういうことに限らず、介護している就労者の方々に対する調査でありまして、この表によりますと、図表の二は、介護による体調悪化がある割合でございますが、それを深夜介護の有無別に見ますと、深夜介護があるという場合には六二・五%というかなり高い割合でありますが、深夜介護がないという場合でも三四・八%という割合で、体調悪化があるというようなことを示しております。

 図表三の方は、介護による体調悪化がある割合の、要介護者の認知症の程度別に示しておりますが、重度の認知症は六九・〇%という、まさしく非常に高い割合でありまして、それが私が典型的にと申し上げたゆえんなんですが、軽度の認知症の場合も三六・一%、認知症がないという場合でも二九・七%の方々が体調悪化というような回答をしているということでございます。

 図表四は、介護による体調悪化が仕事に及ぼす影響でありまして、仕事の能率低下について尋ねております。体調悪化ありの方々が、三五・三%が仕事の能率低下を感じているということで、体調悪化なしが二・六%でございます。

長妻委員 どうもありがとうございました。

 認知症予防を徹底的にしていくということは、やはり成長の基盤をつくる、つまり、介護離職を防いで、そういう道にもつながる、安倍総理がおっしゃる成長戦略にも長期的には資すると思っております。

 時間が参りましたので、大臣にも最後に一問お伺いします。

 そうすると、要支援について、今よりも認知症予防は充実するということなんですか、この法律が通れば。私は充実しないと思いますよ。今よりも要支援の認知症予防が充実するというふうには言えないわけで、これは逆行するわけですよね、認知症を予防する、そして介護離職を防止していくという流れから。今よりも、要支援の方々に対する認知症予防が充実すると言えないわけであると思います。

 また大臣、一般論で、認知症はこう、予防はこうだじゃなくて、要支援に対する認知症予防、これは充実を今よりもできないわけですから、どうするんだということです。最後、お願いします。

田村国務大臣 認知症予防といいますか、今言いましたが、初期集中支援チームの事業等々は、これは包括的支援事業の方でございますので、そちらの方で認知症の初期に対応する。

 これは大変重要でございまして、要支援の中においては、自立度が一、二、二の方が重いわけでありますが、圧倒的に一の方々が多いわけでありまして、夜間徘回となるとやはり重度、中重度の認知症、それを防いでいくということが重要でありますから、この地域支援事業の中の、今言われたような生活支援のサービスはサービスとして移行をするわけであります。

 一方で、今申し上げたような包括的支援事業の中で、認知症を初期のうちから対応して、重度をなるべく遅くしていく、進行を遅くしていくというような、そのような対応にはしっかりと予算をつけて、認知症対策はやらせていただきたい、このように考えております。

長妻委員 これは、訪問介護とか通所介護でも、専門家が認知症の予防、そういうような知識を持った方がされるべきなんですね。今もされておられる方はいらっしゃいます。それをより強化するということが必要でありますので、この訪問介護、通所介護が、認知症の知識がないようなボランティアの方々等々で、その予防に今よりも支障を来すということに私はなるというふうに強く懸念していますので、ぜひそこら辺はお考えいただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、山井和則君。

山井委員 きょうは、四十分間、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。十一時過ぎまで質問をさせていただきます。

 きょうは、多くの傍聴の方々がお越しをいただいております。要支援の高齢者の方、また、介護されている御家族の方、ケアマネジャーの方、介護職員の方、本当に多くの方々が、今回の法案が強行されたら大変なことになるという不安のもと、祈るような思いでこの国会に来られているわけであります。

 そういう中で、今の長妻議員と田村大臣のやりとりを私は聞いておりましたけれども、長妻議員もおっしゃっておられましたが、田村大臣、余り願望的なことをこの委員会で答弁されると、誤解を招くと思いますよ。長妻議員もおっしゃったように、切るなら切るということは正直に認めないと、今のサービスが維持されるんだったら、別にこの法改正をする必要がないわけですから。そこは正直に言わないと、変わりません、変わりません、大丈夫ですと言って、これは変わるんですから、法改正するわけだから。財政も大幅に抑制するわけですから。

 そこは、きょうから実質審議が始まりますが、大臣、余り大丈夫、大丈夫みたいなことを言っていたら、後で大変な問題になりますよ、田村大臣が言ったことと、一年後、三年後、五年後の姿が全く違うと。これはやはり、私たち、これは国会の場ですから、雑談しているんじゃないんですから、責任を持った答弁をしていただきたいと思います。

 それで、きょうも、お名前を出していいと言われておりますので出させていただきますが、渡邉さん、渋谷区から、要支援二の方、お越しをいただいております。

 この配付資料の中に渡邉さんのプロフィールを書かせていただいておりますが、四ページですね。要支援二でありまして、今、八年間、この状況、要支援二が続いております。週三回ホームヘルプを受けて、ひとり暮らしをされているわけであります。

 ここに線を引かせてもらいましたけれども、このサービスが今後も維持されるのかどうかなんですね。線も引きましたが、

 ・有償ボランティアは、ホームヘルパー二級の資格もなく、私の生活全体を支えてくれる安心感がない。掃除に来たボランティアさんにフローリングにワックスをかけられてしまい、滑って骨折したことがあった。

 ・今でも、ボランティアさんや近所の人に送迎やゴミ出しを時々助けてもらっているが、ボランティアや地域の人の継続的な支援に頼ると、ご近所づきあいや人間関係が壊れてしまう。

 ・介護保険から要支援者向けサービスが外されると、自己負担が市区町村の自由になるのでアップするのではないか。支出増に対応できる余裕はない。

 ・今利用しているサービスがカットされれば、体調も悪化し、歩けなくなる不安がある。せっかく八年間要支援二を維持できているのが、要介護になってしまいかねない。

 先ほど長妻委員がおっしゃったように、できるだけ効率的な介護保険のサービスをせねばということは、私たちも問題意識は共有をしております。しかし、安易にこの要支援のサービス、命綱であるデイサービスやホームヘルプというものをカットすると、結果的には、悪化するだけじゃなく、長妻議員も指摘したように、介護者が共倒れで倒れてしまう、施設に入る人がふえる、在宅が困難になる。結果的に、要支援のサービスをカットしても、要介護の高齢者がふえたら意味はないわけであります。

 きょうの資料にも入っておりますけれども、例えば、要支援のサービス給付というのは、予防給付は、四千四百億円で、介護保険全体の五%であります。逆に、予防をしっかりすること。きょうも認知症のお年寄りを介護しておられる家族の方も来られていますけれども、特に認知症も、初期が一番重要なんです。そして、先ほど長妻委員の資料にもあったように、この二ページにもありますけれども、要支援一、要支援二の方の約半数が軽い認知症なんですね。にもかかわらず、こういうサービスをカットしてしまうことに今回なるわけであります。

 だから、きょうの私の質問というのは、非常にシンプルなんです。

 きょうお見えになっておられる渡邉さん、そしてもうお二方。車椅子の、Aさんと申し上げましょうか、九十歳を過ぎて、要支援二、おひとり暮らし、デイサービス週に二回、そこでしか入浴ができない。その方も、本当に祈るような思いで車椅子で来られています。もうお一方、Bさん。Bさんも、今お二人暮らしでありますけれども、脳梗塞の後遺症で右麻痺で、週に一回のホームヘルプで援助していただいているおかげで、お二人暮らしでやっていけている。

 本当にみんな、ぜいたくなサービスを使っているわけじゃないんですね。このサービス以外にも、自己負担のサービスもほかにも利用されているんですよ。それで何とか在宅生活を維持されているのに、なぜ切るのかということが問題であります。

 田村大臣にお聞きしたいんですが、今回、来年四月からこの法改正をされようとしておりますが、今の渡邉さん、Aさん、Bさんが、今までのサービスを維持してほしい、体調がよくなっていない場合ですよ、それはよくなったらサービスが減るのは仕方ありませんけれども、一年後でも四年後でも、維持してほしいと言ったときに、維持してもらえるんですか。それとも、今回の改正になったら、悪いけれども自己負担を上げますよ、サービス時間を減らしますよ、あるいはボランティアさんになっちゃいますよ、そういうことはやはり起こり得るんですか。

田村国務大臣 適切に、地域包括支援センターで、御本人の御要望でありますとか状態像等々を御判断いただいて、ケアマネジメントをしていただくわけであります。

 いろいろなサービスがあります。ありますけれども、基本的に専門職の方々がやられるサービスもあれば、さらに、予防給付から出る介護保険上のサービスも要支援の方々は受けられるわけでありますので、そのような意味においては、必要なサービスはしっかり受けていただくというのが今般の制度であります。

山井委員 漠然として必要なサービスを受けられると言われても困るわけなんです。

 今受けておられるサービスは、体調というか要介護度が軽くなったりしない限りは、保障はされるんですか。

田村国務大臣 ですから、先ほど申し上げましたけれども、ケアマネジメントをしていただくわけでありますから、その中において必要なサービスはちゃんと受けられる、受け続けることができるということであります。

山井委員 それでは、そのケアマネジメントで、ボランティアのサービスを受けてください、あるいは、自己負担が上がります、あるいは、サービス時間が減ります、そうなる可能性はあるんですか、ないんですか。

田村国務大臣 私も、個別の事案なので、事細かくどういう状況かはわかりませんが、ただ、今受けておられるということは、そのような形で判断をされたわけですよね、今までも。

 今回も同じような形で受けていただくわけでありますので、その中でケアマネジメントをされるということでありますから、基本的には、必要であるということであれば、それは当然のごとく、そのようなサービスが受けられるということであろうというふうに考えます。

山井委員 田村大臣、そうしたら、きょう、お三方お見えになっていますが、これは一年後、三年後、検証できることですから、今よりも軽くなっていないのであれば、この法案でも同じサービスは利用できるはずということを田村大臣が約束したということでよろしいですか。

田村国務大臣 個別のことに約束するとかどうかではなくて、制度上そのようになっておりますので。

 もちろん、例えばサービス提供者が基本的になくなってしまえば、それは受けられることがないので、それは物理的な話であります。しかし、制度上は、そのような形の中において必要なサービスをしっかり受けていただけるような、そのような制度になっておるということを先ほどから御説明させていただいておるわけであります。

山井委員 田村大臣も、核心はそらして、逃げて答弁をされておられるんですが、田村大臣の答弁、それは違っていると思いますよ。

 なぜならば、必要なサービスと言うということは、今必要だからサービスを受けておられるんですよ、はっきり言いまして。必要なプロのサービスを、今と同じ自己負担で、今と同じ回数、もちろん症状が軽くならなかったらという前提です、利用できるということでいいですか。

 この法案は、私はそういう内容にはなっていないと理解しているんですけれども、田村大臣、よろしいんですか、法案と違う内容の答弁をされるということですか。いいです、事務方は行かなくていいですから。大臣、しっかり責任を持って、事務方は関係ないから、大臣、責任を持って答弁してください。事務方はいいから。

田村国務大臣 事務方が来ても、答弁するのは私ですからね。私が答弁するので、事務方に答弁させるわけではありませんので。

 今も同様ですよね、今も。今もちゃんと、地域包括支援センターの中において御判断をいただくわけであります、ケアマネジメントをやって。それと同じ対応をするわけでありまして、そのような意味からすると、制度としてそうなっているということを申し上げておるわけであります。(山井委員「委員長、定数が足りていないから、ちょっととめてください。委員長、時計をとめてください」と呼ぶ)

 個別事案に関しては、私も個別事案は把握をさせていただいていないので、ここではなかなか申し上げられないという形でありまして、しっかりとケアマネジメントの中においてそれは対応していただく、そして、そのサービスを受けられるというような形で制度設計してあるということを先ほどから申し上げておるわけであります。

後藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

後藤委員長 速記を起こしてください。

 山井和則君。

山井委員 必要なサービスは受けられるとおっしゃっていますが、田村大臣も、余り願望ばかりを言うのは問題ですよ。

 必要なサービスとおっしゃいますが、きょうも配付資料をお配りしておりますが、例えばこの十ページですね。今まではプロの介護職員のデイサービス、ホームヘルプが権利として受けられていたのが、今度は、この十ページにもありますように、NPOやボランティア、そういうものになる可能性もあるわけですよね。

 だから、今、要支援のサービスを受けていられる、プロのサービスを受けていられます。この方々のサービスが、ボランティアさんに変わったり、自己負担が上がったり、そして回数が減ったり、田村大臣、その可能性はあるということですね。

田村国務大臣 まず、自己負担、これは現行の給付並みということで各自治体にお願いをさせていただくわけであります。

 それから、先ほど来申し上げておりますけれども、要支援者の皆様方、これから人数もふえてこられます。

 今、現状も、先ほど長妻委員からもお話がありましたが、デイサービスでも折り紙を折るだけというようなところがある。ここは直していただかなきゃなりませんが、そういうところも現実にあるわけでありまして、要支援者の方々が本当はほかのサービスを受けたいと思っても他にない、そういう声もあるわけであります。

 そこで、多様なサービスをやはり提供していく。これはまさに、モデル事業をやってくる中において、その効果というものも検証してきておるわけであります。そのモデル事業等々でやってきた結果、それによって自立をされていかれる方々も一定程度出てきておるという結果もあるわけであります。

 何を申し上げたいかといえば、それぞれの状態像。要支援という方々は、確かにサービスは受けておられます。ただ、要介護ではないわけでありまして、要支援の方々というのは、言うなれば、ADLは、日常の行動に関しましては、ある程度自立されておられるわけですね、身の回りのことは。しかし、生活行為等々において、これは一定程度障害があられるという状況のもとでありますから、そういう方々はやはり多様なニーズがあられるわけであります。それはやはり、自治体もしくは周りのコミュニティーが一番把握をしておるわけであります。

 そんな中において、多様なニーズにお応えできる、そういうサービスを提供していただくということが一定の効果を上げておる、そういう証左のもとにおいて、今般このような提案をさせていただいておるわけでございまして、その点は、皆様方の時代に行われた事業もその中に入っておりますから、それは御理解をいただけるものというふうに存じております。

山井委員 田村大臣、きょうは、現場の方、当事者の方、御家族の方、現場を知り尽くしておられる方もたくさん来られているから、余りいいかげんな答弁はされない方がいいですよ。笑われますよ。

 例えば、今、自己負担は現状並みということですが、そんな答弁をして本当に大丈夫なんですか。この法案は、そんな法案になっていないですよ。本当に自己負担は、この法改正になってから、いろいろなサービス、多様なサービスを使っても自己負担は本当にふえないということでいいですか。今の答弁を確認しますよ。

田村国務大臣 今、保険の給付で受けておられるサービスに関しては、自立支援事業になっても今の水準でお願いをさせていただく。これは各自治体と、先ほどそうやって私は申し上げました。同じことを今申し上げておるわけであります。

山井委員 いや、お願いじゃないんです。就学援助のときも、市町村にお願いしたけれども、結果的に聞かなかったという話ですから、お願いでは意味がないんです。

 では、この法案の中で、自己負担が今よりふえないということはどこに書いてありますか、田村大臣。

田村国務大臣 それはガイドライン等々でお願いをさせていただくということを言っておるわけであります。

山井委員 お願いということは、聞かなかった場合、強制力はあるんですか。

田村国務大臣 財源を今よりもお渡ししないということになれば、それは我々も各自治体に対して無理なお願いという話になると思いますが、今般は、もう御承知のとおり、今までどおりの構成で介護保険から財源をお渡しするわけでありますし、あわせて、自治体によっては財政力が違います、ですから、財政調整もさせていただきながら行うわけでございますので、そういう意味では、自治体に対して、財源的な確保という意味では現状の制度のままにおいて対応させていただくわけであります。

 でありますから、それに関して、現行と同じような水準でということでお願いをさせていただくということであります。

山井委員 全く納得できませんので、ガイドラインにどう書くかというのを今言ってもらえませんか。

田村国務大臣 これは課長会議で今出させていただいておる文書をそのまま読ませていただきますと、「従来の給付から移行するサービスの利用料については、要介護者に対する介護給付における利用者負担割合等を勘案しつつ、ガイドライン等に従い、」というような書き方をしております。

山井委員 だから、そのガイドラインに従いというのがわからないので、そのガイドラインはこの審議中に出してもらえますか。

田村国務大臣 法律を通していただかないと、ガイドラインはそもそも出せません。

山井委員 でも、自己負担が上がるかどうかはガイドラインに書いてあると言うから、それがわからないと法案審議できないじゃないですか。

田村国務大臣 ガイドラインは法律が通らないと出せないものであります、当たり前の話で。ガイドラインの内容をということであれば、それは検討させていただきます。

山井委員 金曜日にまた質疑しますので、そのときまでにガイドラインの内容を出してください。

 それと、今言いましたように、市町村がお願いされたけれども、今回の法案では、資料にもありますように、財源はカットする。

 長妻議員も言われましたけれども、この一ページ目の資料、五、六%今まで伸びているものを三、四%に伸びを抑制する、それが千六百四十七億円、十年後には年間抑制を目指すということを田村大臣も答弁しておられますが、さらに、この配付資料の一では、五、六%の伸びを三、四%にするけれども、短期的にはより大きな費用の効率化ということが書かれております。

 さらに、今までの資料では、九ページになりますけれども、「国として法に基づくガイドラインの中で、すべての市町村が要支援者のサービス提供を効率的に行い、総費用額の伸びを低減させることを目標として努力することを記載。」とにかく予算を抑制することを記載する。さらに、市町村は介護保険事業計画の中で要支援サービスの提供のあり方とその費用について明記することになるが、その結果を三年ごとに検証すると。

 つまり、どれだけ減らすのかというのを目標を書かせて、削減できていなかったら、それをまたぐりぐりぐりぐり減らしていく。

 そうなると、どういうことになるかというと、これも資料に入れております。

 一つは、八ページにありますように、「サービス内容に応じた市町村による単価設定を可能とする。」要は、市町村に単価は自由にさせる。ただし、国が定める単価、つまり現行の予防給付の訪問介護、通所介護の報酬以下の単価を市町村が設定する。

 市町村は自由ですよ、しかし、上げてはだめですよ、下げる一方ですよと。こうなると、介護職員の賃金は減る、サービス単価が減ったら撤退するサービスは出てくるかもしれない、ボランティアになるかもしれない。

 それに対してどういうことをやればいいかという、「効率的な事業の実施について」。これも九ページに書いてあります。どうすればいいか。赤線を引きました。

 人員配置基準、運営基準、単価等を柔軟に設定できる。つまり、高くなったらだめなわけだから、人員配置基準を減らしなさい、そして単価を下げなさい。さらに、例えば、「既存の介護事業者を活用する場合でも、柔軟な人員配置等により効率的な単価」。つまり、効率的になるように単価を下げる。そして、「多様なサービス内容に応じた利用者負担を設定」。例えば、これはボランティアさんがやってください、その場合、自己負担がふえる可能性もあるわけです。

 田村大臣に確認しますが、お願いするといっても、全く効果はないんです、このことは。もし自己負担を上げる自治体が出てきた場合、それをストップさせる力は厚生労働省にあるんですか。ないなら、ないと言ってください。ということは、市町村が基本的に自己負担を上げちゃう可能性があるということですから。

田村国務大臣 何と比べて何を上げるとおっしゃっているのかよくわかりませんが、多様なサービスというのは、これから生まれてくるサービスであります。でありますから、それが今より上がるとか上がらないというのは、多分、対照するものがないわけでありますので、それに関してはちょっと私は今お答えできません。

 ただ、やはり、各地域で、要支援者の方々が利用できる正当な単価設定というのは各自治体でやられると思います。受けられないような、そんな単価設定をしたら、そもそも要介護度が上がっていく、もしくは要介護者になるという形で、将来的に、今皆さんがおっしゃったとおり、介護保険自体は地方自治体の負担もふえるわけですよね。各自治体もそんなことはわかっておられると思いますよ。

 ですから、そんな中において、適切に受けていただける単価設定をする中において、先ほど来申し上げておりますけれども、結果、それによって要支援から要介護に入って要介護度が上がっていったら、自治体は何ら財政的にもいいことはないわけでありますから。

 今ここで将来に向かっての伸びを抑えるというのも、そもそも、サービスの質を落として状況を悪くするためにやるのではなくて、多様なサービスの仕方があるであろう、例えば、デイサービスに行って画一的なサービスを受けるよりかは、地域の自主的な取り組みの中において地域参加をして、その中にという方々もおられるんです。

 もちろん、委員がおっしゃられるみたいに、状態像の、言うなれば、必要なサービス、それは専門的な、必要なサービスが……(山井委員「もういいです。時間稼ぎはやめてください」と呼ぶ)もういいんですか。では、もう答弁しなくていいんですね。(山井委員「はい。いいです」と呼ぶ)では、あとはどうぞ御自身で、質問だけやってください。

山井委員 長々と答弁するのはやめてください。私が聞いたことだけ答えてください。

 田村大臣、そこまでおっしゃるのであれば、今までのプロのサービスより、プロでないサービスの方が効果があったという検証結果、あるなら、どこの地域で、どんな経過で、何人中何人かというのを答弁してください。

 ちなみに、きょう配付資料で入れていますが、今まで聞いている範囲では、要支援の高齢者に対してプロのサービスでないサービスをやって、そちらの方が効果があったという資料は、事務方から聞いたけれども、そんな検証はなされていないと言われています。私は聞いています。

 もしあるのであれば、田村大臣、ここで答えてください。

田村国務大臣 答弁するなというお話でございましたので、しちゃいけないのかと思いましたけれども。

 これは、一応、皆さんが政権与党であられたときに、二年間かけて、ちょうど皆さんから我が党に、自公に移る、その足かけしながらやっておる事業で、予防モデル事業というのがあります。

 この事業というのは、御承知のとおり、リハ職等々の専門の方々が、状態像を見ながら、専門的なサービスがそのまま持続するのがいいのか、それとも、生活支援のようなサービスを含めて多様なサービスがいいのかというものを、状況を見ながら判断していく、こういう事業であったわけでありますけれども、これにおいて、専門的なサービスだけではなくて多様なサービスというものを進めることによって状態像が改善されていく、もしくは自立に至っていくというような結果というものは一定程度出てきております。

山井委員 これは質問通告もしているんですから、誠実に答えてください。

 専門的なサービスだけじゃなくてじゃなくて、ここにお配りしておりますが、例えば二十三ページ、総合事業の予防サービスの利用実績では、三百八十四人が要支援一、要支援二でした。だから、私は聞いたんですよ、この要支援一、二の人が総合事業のサービスを利用して、どう変化したんですか、よくなったんですかと聞いたら、次のページ、二十四ページの上、御照会にある三百八十四人に区分した人数の把握はしていませんと。よくなったか悪くなったかの検証はしていませんというんですよね。

 大臣、検証されていないんですよ。大臣はもしかしたら御存じないかもしれませんけれども、今回、介護保険にあった要支援サービスを市町村に任せた方がうまくいくという検証結果は出ていないんですよ。人数は把握していませんと。要支援の人で何人よくなったか、そんな調査はしていないんですよ。

 さらに、次、和光市。先進事例と言われています。和光市について、では、和光市の要支援一、二の高齢者について、介護保険のサービスとそうじゃないサービスを比較して、どっちのサービスが効果的だったんですかと聞いたら、これも、データを出してくれと言ったけれども、データは出てきません。

 さらに、次のページ、今大臣が答弁されたものですよ。大臣も御理解されていないんだろうと思いますが、これも私、既に聞いています。予防モデル事業で、普通の介護保険サービスを利用している人とそうでない人と、どんな差が出ているんですか、要介護度が改善したのか改善していないのか、検証結果を教えてください。ここに回答が書いてありますよね、「現在、作業中です。」

 これはどういうことですか。要介護度なり改善したという結果があったから、この法改正をしているんじゃないんですか。

 田村大臣、今回、介護保険のデイサービス、要支援のホームヘルプなどを市町村に移して、今までのプロのサービスよりもよくなる、ボランティアやNPOの方がよくなる、そういう実証結果というのはあるんですか。

田村国務大臣 総合事業に関して申し上げれば、これは切れ目ない、要介護予防や生活支援サービスでありますから、そういう意味では、全体として、要支援以下の方々が入っておられる事業でありますので、要支援だけに特化した事業ではないわけであります。その中において、一定の成果というものが出てきておるということであります。

 あわせて、今言われました、私が先ほど言いました予防モデル事業、これは基本的にはリハ職の方がついておりますが、これはリハビリテーションをやるというのではなくて、状況を見るのに、専門的な立場からいろいろなアドバイスをするという意味でついておるということでありまして、そのような事情の中において、そのようなプロのといいますか専門職のサービスを受けられずに他のサービスを受けられる方の中において、自立等々をしていくという事例は一定程度見られるということでありますので、そのように私は事務方の方から話を聞いております。

山井委員 そういう、何というか、あやふやな答弁じゃないんです。これは百万人の要支援の方々を介護保険から外すかどうかという審議で、今の答弁を聞いていたら、要支援の方がよくなったか悪くなったのかという、要支援の方々の何人中何人がよくなって悪くなったかという、モデル事業も、実証も検証もされていないということですか。

 いや、あるのならば、何人中何人がよくなって悪くなったという数字を答えてください。

田村国務大臣 和光市の総合事業に関して申し上げれば、これは、要介護者になった、要介護認定の伸びというものが、他の地域の伸びよりも一定程度下がっておる、それも目に見えて。でありますから、成果が出ておるということは申し上げられるというふうに思います。

 もし数字を出せというのであれば、ちょっと今はありませんが、また次の委員会の機会のときでも、その数字はお出しをさせていただきたいと思います。

山井委員 いや、和光市は、ここに照会中とあるけれども、要支援一、二の人がよくなったという、そんなデータが存在するんですか。

 田村大臣、もう一回言いますよ。和光市で、要支援一、二の人が、プロのデイサービス、ホームヘルプを利用しているよりも、利用していない人の方が要介護度が改善したなんというデータがあるんですか、田村大臣。

田村国務大臣 和光市の話は、先ほど来言っております総合事業でありますので、切れ目ない、いろいろな方々が入った、そういうような中での事業。それから、和光は、見える化を進めております。見える化の中において問題点がわかったところに対しては、ピンポイントでそれに対して対応していくようなサービスを提供しておる。

 そういうことをやった結果、二十五年、これは要介護認定率でありますが、全国平均一七・六というものが和光市は九・六と、目に見えて顕著に、しかも下がってきておるということがございますので、そのような事業の効果というものがこの中において一定程度出ておると我々は認識いたしております。

山井委員 田村大臣、あなたの答弁は正確じゃないんです。この法案で議論しているのは要支援者を外すとどうなるかだから。田村大臣の答弁は健康な高齢者がまざっているんですよ。健康な高齢者がやって、要支援一、二じゃない健康な人にとって効果はあるかもしれない、そのことは否定しませんよ。でも、今回の法改正は、要支援一、二の人にとってどうかなんです。

 次回金曜日までに、その資料を出してください。

 それと、田村大臣、これは大事なことですからね、冷静に答えてくださいよ。

 プロの、資格のある職員がホームヘルプやデイサービスをしている、それよりも、プロでないボランティアがお世話した方が効果的だというデータがあるという意味ですか、田村大臣。

 ちょっと確認しますが、プロの人のプラスアルファでボランティアはいいんですよ。ところが、今回の法改正はそうはなっていないですからね、プロの人のかわりにボランティアという法改正になっているわけだから、プロの人よりもボランティアがやった方が効果があるというデータがあるということですか、田村大臣。

田村国務大臣 必ずしも、多様なサービスが全てプロで、全員でやらなきゃいけないというものではないと思います。でありますから、多様なサービスというものはいろいろな形態があるわけで、そういうものも含めて……(山井委員「質問に答えてください」と呼ぶ)いや、ですから、多様なサービスをプロが全部やっていたら、これはもう専門職の方が全国じゅうで足らなくなっちゃいますよ。だから、そういうものを今、各地域でいい事例も含めて提案をさせていただく。

 そして、今、何度も申し上げておりますが、専門職の方じゃなければならない方々に関してはそのようなケアマネジメントをしていただくわけでありますから、要支援者の方々にもいろいろな要支援者の方々がおられますので、それに応じた、そのようなサービスを受けられるような多様なサービスというものをおつくりいただきたいというお願いをさせていただいておるわけであります。

山井委員 きょうは後ほど柚木議員からも質問がありますが、今回、私たちは、介護・障害者福祉人材確保法、月給を一万円、賃金を引き上げる法案を提出しております。ぜひそれを成立させることによって、今、介護・障害者福祉の人手不足というものを解消していく、それが普通であって、人手が足りないからボランティアにやってもらう、外国人を活用する、余りにも安易です。

 でも、田村大臣、今また質問をはぐらかされましたけれども、結局、要支援の高齢者に限ってプロよりもボランティアやNPOの方がいいサービスができるという検証結果はないんですよ。

 でも、皆さん、考えてみてください。そんな検証結果なんか出るはずがないんですよ。私は、今回の田村大臣の言っている答弁というのは、現場で頑張っておられる……(発言する者あり)

後藤委員長 静粛にしてください。

山井委員 現場で頑張っておられる、デイサービスやホームヘルプで要支援の方々を支えておられる介護職員に対する、私は、今回のこの改正というのは、一歩間違えば侮辱になると思いますよ。プロの人よりもボランティアの人の方がいいサービスができたら、今まで賃金をもらって仕事をしていた人の労働は何になるんですか。この法案の意味するところはそういうことになるわけですよ。

 だから、プロよりもボランティアの方が、安いけれどもサービスはちょっと足りないよねというんだったらわかるけれども、田村大臣の答弁は、いや、多様なサービスの方がいいんだとおっしゃっているんですよ。私は、それを言うと、非常に現場の介護職員の方々に対して問題だし、今回、外国人労働者やボランティアの人にやってもらうというのは、賃金も下がりかねない。田村大臣は首を横に振っておられますけれども。

 だから、そこは、介護職員の方々よりもボランティアの方がいいサービスができるというケースはあるということなんですか、ないということなんですか。

田村国務大臣 いや、それは、専門職の方々がすばらしいサービスを提供されるのは当たり前の話でありまして、私が言っているのは、画一的なサービスの中において、多様なサービスと比べて効果がどうかという話をしております。

 和光市は、確かにいろいろな方が入っておられますが、要支援者の方々も多く入っておられます。もし、要支援者の方々が悪化していれば、当然、要介護率は上がるわけでありまして、要介護率が上がっていない、つまり介護認定率が上がっていないということは、そういう方々も、極度に悪くなっていない、もしくは改善しておるということが言えるんだろうと思うんですよね。

 ですから、何か全体で見ているから介護認定率が低くなっているといっても要支援者はもしかしたら悪化しているじゃないかと言われるかもわかりませんが、要支援者が一番要介護になる率が高いのはそれは当たり前でありまして、その方々が悪化していれば、逆に和光市の場合は介護認定率は上昇するというのが普通の考え方だと思います。

 それが極端に、全国平均と比べて半分近いという数字を見れば、やはり和光市は一定の効果を上げておられるんだというふうに、素直に考えれば、そう理解をさせていただけるものだというふうに思います。

山井委員 まずはとにかく、和光市で、要支援高齢者に限ったデータをあさってまでに出してください。それで、その人たちが要支援のデイサービスやホームヘルプを利用せずに、ボランティアとかほかのサービスだけを利用してよくなったというデータが出てくるんでしたら、私もぜひ拝見をさせていただきたいと思います。

 今回、外国人の技能研修を介護に活用するということを言い出されました。私はこれは非常に問題だと思っております。賃金も下がりますし、安易に外国人やボランティアを活用するというのはよくないと思います。

 このようなことの検討というのは私はやめるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 いろいろな御議論は世の中にあるんだと思います。

 その上で、やはり、介護というのは、介護の専門性というものが必要であるわけでありますし、一方で、日本でありますから、日本語のコミュニケーション能力というのがないと、やはり介護というのはできないわけであります。そのような観点を考えながら、いろいろな御議論をしていただくということになろうと思います。

山井委員 もう質問時間が来ましたので、最後、まとめさせていただきますが、一つは、今、プロの資格のあるホームヘルパーさんやデイサービスさんが必死になって要支援の高齢者を支えてくださっています。そのおかげで、渡邉さんのように、八年間要支援二が維持されているというように予防効果があるんですね。これを、何ら、ボランティアに任せた方がより効果が出るという検証も全くないにもかかわらず、あたかも多様なサービスにした方が効果が出るかのごとくを実証結果も全くないのに言って、介護保険から外していくということは大問題であります。

 特に、認知症の家族の方々、介護しておられる方々の負担は大幅にふえるし、さらに、田村大臣の、市町村にお願いするといっても、お願いは全く効力がありませんから、この法改正によって、単価は下がり、自己負担はアップし、サービスはカットし、プロのサービスを利用したいといっても利用できなくなってしまう危険性が多々あるわけであります。そのことは、結果的には、要支援から要介護になる高齢者をふやし、介護離職をふやし、結果的には財政の抑制にも全くならないわけであります。

 その意味では、きょう、私も改めてショックを受けましたけれども、全く要支援の方々に対する検証結果もないままに、こういう人体実験のような要支援を切る改正というのは、断固として阻止をしていきたいというふうに思います。

 以上、終わります。

後藤委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 この法案は、最終的には総理がこの委員会にもお入りになって質疑を行い、採決が行われるという、この国会でも最重要法案として位置づけられているものであります。それを政府・与党は一体となって成立を目指しておられるにもかかわらず、きょうの与党の議員の皆様方の姿勢は、この法案をどうしても成立させたいという、まさにお願いをしている立場として不適切な姿勢である。

 もちろん、さまざまな御用があってこの席を離れざるを得ないということもあろうかと思いますけれども、しかし、今申し上げましたように、最重要法案であるという位置づけがある。しかも、先ほどから質問者に対するさまざまな不規則発言がある。与党は、私たちが言っていることをしっかりと一つ一つ受けとめて、よりよい法案、法律として仕上げていくという責任がある、それだけの数を持っておられるわけでありますので、真面目に、誠実に、この議論に参加をしてもらわないといけない。

 かつて私は河野洋平さんに聞いたことがあります。国会は野党のためにあるんだということであります。(発言する者あり)そういうことを言っているから、簡単に席を外して、定足数が足りないような状況になってしまうんですよ。国民のためにあるということは、まさに野党のためにあるというふうに御理解をいただかなきゃいけないと思うんです。

後藤委員長 どうぞ質疑をしてください。

中根(康)委員 はい。質疑に入らせていただきます。

 この法案が、全てが悪いというふうに申し上げているわけではなくて、問題点というのは限られていて、きょうは重量級の一番、二番バッターが登場してしまいましたので、既に我々としては言い尽くしている、質問し尽くしている。ただ、大臣の答弁が足りないというようなところもあろうかと思います。だから、さらに時間をかけて審議をしていかなきゃいけない。五月十四日に採決ありきという日程でこの委員会が運営されてはいけないということは、まず申し上げておかなければなりません。

 したがって、同じようなことを質問するということになりますが、私は私の言葉で質問をしてまいりたいと思います。

 この法案のキーワードというものは、結局高くつく、結局高くついてしまうということであろうと思います。

 多様なサービス、あるいは、それがボランティアで行われる、いわゆる要支援切りというもの、このことによって、今まで受けていたサービスで何とか状態を維持していた方々が、さらに重度化してしまうおそれが大変強い。全ての人がそうなるとは限りませんけれども、そういうおそれが大変強いということ。そして、介護離職で、人材の損失あるいは経済損失ということも含めて、結局いろいろな意味で高くついてしまうということを意味しているのがこの法案であるということだと思います。

 まず、ボランティアでは適切な支援は十分にできない、専門職に比べてボランティアの方がより適切な支援をできるはずがないというのは認めた方がいいわけで、先ほどから長妻さんや山井さんが、ここを認めないと議論がかみ合いませんよというところは、そのところだと思います。

 そして、給付を削減する。これも、私も資料をつけさせていただきましたが、私の場合は資料一ですけれども、みんな、この資料を見れば一目瞭然であって、給付を削減する、だからボランティアを自治体は使わざるを得ない、その結果、重度化するというようなこと、そのおそれがあるということをやはり認めていかないと、よりよい介護保険制度をつくっていくということのための議論がかみ合っていかないということになってしまうんだろうと思います。

 問題は、繰り返しになりますが、給付を削減したようでも、要支援切りで介護度は重度化して、結局、介護保険給付は増大をしてしまうということであります。

 地域支援事業の上限が削減をされると、これまでどおりのサービスを維持しようとすれば、上限を超えて、自治体は持ち出しということになってしまい、財政力の強くない自治体は、サービスを抑制するか、あるいは、これは後ほど触れますけれども、介護サービス利用希望者に対して、従来の要介護認定の制度ではなく、基本チェックリストを使った介護予防・生活支援サービス事業対象者へと誘導する。まさにこれが、山井さんの資料にもありました、私も資料をつけておきましたけれども、いわゆる水際作戦と心配をされているところでございます。専門職ではなく、ボランティアを使って安上がりのサービスとなる、そこに持っていくための水際作戦。

 これを予告したのが、私の資料でいえば資料二ということになりますけれども、ことし一月の二十一日、全国厚生労働関係部局長会議における原老健局長の御発言ということになるわけであります。線を引いたところですけれども、できるだけボランティアで対応して要介護、要支援認定者を減らすという趣旨の御発言をなされておられます。

 この御発言が意味しているところが、資料三、これも先ほどから使われているものでございますけれども、一番右の方、「費用の効率化」、「認定に至らない高齢者の増加」というところにこの原局長の発言は法案として具現化してくるわけであります。

 介護保険を担当する最高責任者が、自治体の職員さんの前で、要介護、要支援認定者を減らすということを話せば、これは暗黙のうちに自治体の担当者にはプレッシャーがかかって、自治体は、介護認定が必要な人でも無理やり自治体事業に、要するに、これは先ほど長妻さんがこだわっておられた、給付から事業へと無理やり振り分けるということになってしまいかねないということであります。

 この原局長の御発言と、水際作戦で無理やり給付から事業へと振り分けられてしまうのではないかという心配に対しては、大臣、どのようにお答えになられますか。

田村国務大臣 済みません、ちょっと質問が多かったので失念しておりまして、申しわけございません。(中根(康)委員「いや、質問は最後のところだけです」と呼ぶ)そうですか。はい。

 まず、委員もクリーンアップを十分に打っておられますので、そんなに卑下されることはないというふうに思います。

 あわせて、いろいろな議論がありますが、私も、野党でそこに立ったときには、よくやじっていただきました。そういう意味では、議論が活発になるというのはいいことだと思いますが、そこはお互いに冷静にやっていくということも重要でございますので、私も冷静に答弁をさせていただきたいと思います。

 今の点から申し上げれば、ちょっと誤解がありまして、今委員がおっしゃられたのは、なるべく要介護にしないだとか要支援にしないだとか、何かそういうのを無理やり、本来はそうなのに減らすみたいな話でおっしゃられたように私は思うんですが、そうじゃなくて、それは、適正な要支援のサービス、つまり、多様なサービスでありますとか、いろいろな必要なサービス、予防というものに資するサービスを、メニューをそろえていけば、当然、要支援の方々の中においては自立に向かう方々も出てこられるわけであります。

 あわせて、総合事業、これは先ほど来話が出ております。切れ目のない事業の中において、要支援者、要支援未満の方々、こういう方々にいろいろなサービスを提供して予防事業というものをやっていけば、結果的には、要支援になっていない方々も、要支援にそのままだったらばなられる方々、そういう方々を事前に防いでいける。

 そして、当然、そうなれば要介護になっていただく方々も事前に防いでいけるということなので、それぞれ高齢者の皆様方が、健康といいますか、自立をしていただきながら生活をいただけるような、そういうような環境をつくることが、全体として、こういう形の中において給付の伸びも一定程度抑えていけるというような趣旨の中で申し上げている話でございますので、何かサービスを切った……(発言する者あり)だって、それをやると、最終的には、今言われたとおり、逆にふえるわけですから、そうならないような形を目指す。

 つまり、先ほど来言っております和光市のような、要介護認定率が他の地域とか全国平均と比べて半分ぐらい、こういうようなものを目指してまいりたいという思いの中で局長が言ったということであります。

中根(康)委員 資料一に示したように、給付、予算も削減をするということ、そして効率化をするということであれば、これは先ほど長妻議員が例に挙げましたように、一日じゅう折り紙をさせているような、不適切な支援をしているようなところを十分、厳重にチェックして効率化をするということがまず初めになければならなくて、それで、初めから、ここに、資料にあるような、要介護認定に至る人を減らすことを目指すということは、私はこれはおかしいことだと思うんです。

 要介護認定というのは、皆さんそれぞれ、生活をしておられて、保険料を払っておられて、保険料を払った見返りとして、必要に応じて、介護認定がされればサービスを利用できるということでありますので、政府が無理やり減らすということありきというような目標を立てるということはおかしな話で、私は、介護保険財政全体を効率化していく、無駄をなくす、不正をなくすということを目指すことは必要なことだと思いますけれども、認定者を減らすということはおかしいと思います。必要な方は認定しなければならないと私は考えさせていただいております。

 それで、資料四というところで見ていきたいと思います。

 これは、コピーですのでちょっと黒いんですけれども、この下の図の左側、要支援者、そして右側が介護予防・生活支援サービス事業対象者ということになるんですが、この左側の要支援者の方になれば、地域支援事業のうち、専門サービスが受けられるというふうに理解をさせていただきます。これが、資料三の方に戻るとすると、資料三の方の表現で言えば、「専門的なサービスを必要とする人には専門的サービスの提供」ということになるんだろうと思います。

 資料四の右側の方、介護予防・生活支援サービス事業対象者、こちらの方に振り分けられると、資料三でいうと、「多様な担い手による多様なサービス」の対象者となるということになって、こちらの方に行くと、ボランティアによる対応となって、専門性あるサービスは受けられなくなる。つまりは、安上がりサービスへと誘導されるということになるのだと思います。

 この左のコースと右のコース、二つコースがあるわけなんですけれども、どちらになるかというのは、本人の希望を尊重するというふうに聞いておりますが、これは自分でどちらのコースに行くかということを選択できるのでしょうか。言い方をかえれば、このチェックリストで判断されるということを嫌だというふうに拒否して、従来の七十五項目、医師の意見書添付の要介護認定の方できちんとやってほしいということは言えるのでしょうか。いかがですか。

田村国務大臣 まず、ちょっと誤解を解かせてください。

 要介護認定者を減らす、これをなるべくふえないようにする、それはそのとおりであって、それを目指さないと介護予防というものが成り立たないわけであります。

 今、医療も、医療保険を払っている人はたくさんいますが、病気にならない方がいいのは当たり前で、保険料を払っているから病気になって保険から給付を受けようと思う人はいないわけであって、ですから、今、一生懸命、データヘルス等々を使いながら、また、健診データなんかを使いながら、レセプトデータなんかを使いながら、重い病気でたくさん医療費を使っていただくのではなくて、何とか軽いうちに医療を受けていただいて、それで、御本人も余り医療の給付を受けていただかないうち、逆に言えば、自分の負担も払わなくていいわけでありますから、そういうことを進めていきたいし、できれば、病気にならずに、健康な状態のまま維持していただきたいということをやろうとしておるわけであります。

 介護も同じように、保険料を払っているから悪くなって介護保険を受けた方が得だ、そんなことを思われる方は多分おられないと思いますので、なるべく介護保険のお世話にならないように、つまり、要介護になっていただかないように、もっと言えば要支援にもなっていただかないように、なるべく自立して、健康な、そういうような状況をつくりたいという思いの中で言っておる話でございます。

 委員の言い方をすれば、要介護が必要な人を減らすと言ったらわかっていただいたのかもわかりません。必要な方はちゃんと介護サービスを受けていただく。介護サービスが必要であるという人を減らすということは、これはいいことですよね、そうですよね。介護サービスが必要な方がふえた方がいいんですかね。ちょっとそこが委員と意思疎通ができていないので。

 我々は、介護サービスが必要じゃない方をふやした方が世の中はいいと思っているので、そういうような事業はやってまいりたいと思っております。もちろん、要介護認定をちゃんと受けて、必要な方はサービスを受けていただく、これは当たり前の話でありまして、そこはちゃんと対応してまいりたい、こう考えております。

 その上で、今言われたところでありますが、チェックリストとそれから要介護認定、これはどちらも御本人が選択で受けられますし、仮に、チェックリストを受けてサービスを受けておられる方であったとしましても、途中で要介護認定を受けたいと言われれば、それは要介護認定を受けていただくことができます。それによって、場合によっては、要支援ではなくて要介護ということになるかもわかりません。でありますから、そこは常に御本人の意思というものが尊重されるわけであります。

 ただ、なぜチェックリストがあるかといえば、チェックリストの方が簡易でございますので、要支援の中でのいろいろなサービスを受けるときに、チェックリストの方が、例えば体操の集いを受けたいだとか、いろいろサービスがあると思います。そういうものを受けるときに受けやすいということであるわけでありますので、そのような意味で、いろいろなサービスを受ける場合になるべく早くサービス等々を確定してもらいたい、ケアマネジメントを受けたいという場合には、チェックリストというものを使っていただければありがたいということであります。

中根(康)委員 だから、今の大臣の御答弁が、先ほどから議論がかみ合わないところだと思うんです。要するに、給付の上限を削減する、予算を削減するわけだから、これはおのずと介護サービスは量も質も低下をしてしまうのではないかということ。

 それで、我々は、国民が保険料を納めているのは、別に要介護になりたくないとかそういうことではなくて、いざ介護やあるいは支援が必要になったときに、安心して、適切、必要十分な介護や支援が受けられるようにということのために保険料を納めているということである。ここは大臣も否定できないだろうと思います。

 それで、このチェックリストのことなんですけれども、今大臣が、自分で選択できる、本人の希望が尊重されるということ、これはありがたい、大事な御答弁であると思いますので、この答弁はきちんと議事録に当然残りますけれども、その上で、先ほど山井議員も御指摘をされたガイドライン、ここにもきちんとその旨を明記していただかなくてはいけません。

 老健局長が、あるいは大臣が、要介護認定者の数を減らすというようなことを言っておられれば、そういう御発言は自然にひとり歩きをしかねないわけでありまして、とにかく認定者を減らすということが自治体の責務だというように誤解をされかねないわけでありますので、そういったことが生活保護でも何でも現実に起きている前例があるわけでありますので、そこはやはり慎重に考えていくという意味合いで、ガイドラインにきちんと明記をしていただくとか、あるいは自治体に対して何かきちんとした通知、通達のようなものを出して、決して、水際作戦ととられるような、チェックリスト側に無理やり誘導するようなことはあってはならない。

 窓口に行った場合に、地域包括支援センターに行った場合に、いきなりチェックリストを示されて、それで、これに、はいかいいえか丸をつけてくださいということで、この図でいえば、自然に右側の方に誘導されてしまうということが心配としては当然あり得る話でありますので、ここを、大臣、もう一度、自治体に対して必要十分な周知、通達、あるいは、指導と言ってはちょっと語弊があるかもしれませんが、何かガイドラインのようなものをお示しいただくということはお約束いただけますか。

田村国務大臣 先ほど来申し上げておりますのは、簡便法を使うのは、要は、予防給付等々を使わない方々、つまり地域支援事業を使いたいという方々、これはなるべく早くですね。こういう方々は要はチェックリスト等々を使った方が早く受けられるということでありますが、御本人の選択であります。

 ただ、今も言われたとおり、いやいや、そうじゃない、要介護認定してほしいんだ、場合によっては要介護かもわからない、要支援でもサービスを受けたい、予防給付を受けたいというような場合は、それは要介護認定をしていただいてもいいと先ほど来申し上げておるわけでありますので、ガイドライン等々にそういうことを明記させていただいて、しっかりとその点は担保をさせていただきたい、このように考えております。

中根(康)委員 資料の五に、基本チェックリストというものを添付しておきましたが、これは、介護認定の訪問調査員による七十四項目や、あるいは医師の意見書添付のいわゆる介護認定作業とは違って、簡単な二十五項目の質問でできているわけであります。

 資料の五の二の注意書きのようなところにもあるんですが、上の方の幾つかに該当する人で、十六とか十八とか十九、二十あたりに該当する人は、あるいは二十一から二十五のうちの二つに該当する人は、五の二の下の方に書いてありますけれども、うつ、閉じこもり、認知機能の低下のおそれがあるということであります。

 つまりは、このチェックリストの一つの目的は、うつや認知症の兆候を見つけようとするということであって、この目的のようなものは、私は、一つの、あり得る話といいますか、いい方向、考え方だというふうに思います。

 これは自分もやってみたんですけれども、やってみれば、恐らくかなりの数の人が、うつとか閉じこもりとか、あるいは認知機能の低下リスクありと判定をされるんだろうと思います。

 つまりは、やはり、このチェックリストが目指しているように、これから、うつ、認知症というものに対してきちんと対応をしていこうという、これは厚労省の一つの考え方としては、その方向性は正しいものだと思っております。

 だからこそ、うつとか認知症とか、こういう方々に対して、判定をするだけではなくて、きちんと専門性ある適切なケアとか支援というものが行われなければならないということであって、そこがボランティアの方々で十分利用者の方に満足されるような、御家族の方々の支援になるようなサービスが提供されるかどうかということであると思います。

 少し飛びますけれども、これも今まで使ったものでありますけれども、資料の十三。これはこの間までの難病法案の審議でも使わせていただいたんですけれども、難病の方で三・七%の方が要支援認定を受けておられるという実態。

 それから、先ほどから指摘がありますように、資料十四。要支援一、要支援二の方で、もう半分の方が認知症であられるということ。

 それから資料十五。要支援になった理由として、脳血管疾患、認知症、高齢による衰弱というように、いろいろな病気も理由になっているということ。

 それから資料十六。これは、単独というふうに書いてありますけれども、ひとり暮らしの方が今大変多くなっているということ。

 こういうような、要支援の方々にもさまざま、専門的なケアが必要となるような状態像の方が多くいらっしゃるわけであります。

 資料十一。これは高齢者虐待の実態でありますけれども、高齢者虐待は、要介護施設従事者によるもの、養護者によるもの、つまりは御家族、身内によるものということで比較をすると、御家族の方々による虐待事例というものが大変多くなっているわけであります。先日発生をした千葉県袖ケ浦の障害者施設における虐待事件というものもありました。

 虐待防止ということも含めて、難病あるいはひとり暮らし、さまざまな要支援になる理由の病気、こういったさまざまな状態に合わせた、対応できる、きちんとした支援が提供をし得るのは、やはりこれは、ボランティアではなくて、介護福祉士であるとかあるいはホームヘルパーの資格を取った専門性ある方々であるということは明らかだと思いますが、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 いろいろな御質問がありましたので、どれをお答えさせていただいたらいいのかよくわからないのですが。

 まず、おっしゃられた、先ほどの基本チェックリストですが、ここに書いてありますとおり、うつ、閉じこもり、その後、認知機能の低下予防でありますので、決して認知症というふうに決めつけているわけではないので、認知機能が低下しているおそれがあるので予防をちゃんとやってください、そういう支援をやってください、こういう意味合いなんだろうというふうに思います。

 これは、最後、虐待の話ですよね。そうじゃないんですか。

中根(康)委員 いや、病気とか虐待とか障害とか認知症とか、そういったことも、要支援になる理由はいろいろあるわけです。要支援の方々の状態像はいろいろあるわけです。そういった方々に対して適切なケアを、支援を行うことができるのは、ボランティアの方々なのですか、介護福祉士やホームヘルパーなど研修を積み重ねた一定の資格を持った専門家の方々なのですか、どちらですかということです。

田村国務大臣 さまざまな状態像があると思います。そういうものも含めてケアマネジメントをやるわけですね。

 これは、例えば、申し上げれば、基本チェックリストで一応チェック項目があります。これをもとに、これをやるのは地域包括支援センターの中でのケアマネでありますとか、そういう方々が多分チェックリストでチェックをいただいたものを判断するんだと思いますが、その後、ケアマネジメントを必ず保健師さん等々がやられると思うんですね。そういうケアマネジメントの中で、そういう状態像、いろいろな、複層的な要因も含めて判断されれば、当然のごとく、必要なサービスというものをそこでお決めいただく話になります。

 訪問看護が必要だということになれば、もちろん、そのときに、まず要介護認定を進めるという話になって、その上で、要介護者ならばそのまま要介護サービスでありますが、要支援者であるとすれば、要支援者で、今度は訪問看護が必要であるとなれば、当然のごとく、それは介護給付の中から訪問看護を受けていただくという形になるのであろうと思いますし、それぞれの状態に応じたサービスというものをケアマネジメントの中においていろいろとおつくりいただけるということになろうというふうに思います。

中根(康)委員 申し上げたいのは、先ほど山井さんも指摘をされましたが、要支援だからといって、軽度だと支援が少なくてもいいとか、素人の支援でいいとか、専門性のある支援は必要ないとかということではないということを申し上げているわけです。それで、財政抑制をして、要支援の方を自治体に丸投げして、そこでボランティアの方々にお任せをして、それでもいいというような軽い状態の方ばかりではない。

 要支援の方もきょうもお越しになっている。先ほど御紹介があった渡邉さん、ひとり暮らし、ホームヘルプサービスを週三回お使いになっておられる。あるいは、Aさんは車椅子の状態である。一人ではやはり入浴ができない、ひとり暮らしであるということ。Bさんも要支援の方で、ホームヘルプサービスを週一回利用しておられる。

 要するに、要支援という言葉が何年か前につくられたものですから、あたかも何か要介護よりもはるかにサービスが手薄くても構わない、それはナショナルミニマムで守っていくものではなくて、自治体にお任せして、できるところはやる、できないところはしようがないというように切り捨ててしまっていいものではないということを我々は繰り返し繰り返し申し上げているわけであります。

 だから、そこにこの法案の最も大切な問題点があるということでありまして、給付を抑制する、上限を下げる、それで、ボランティアに任せる、自治体に任せる、国は責任を放棄するというようなことではいけないということを申し上げているわけであります。

 百万人の利用のあるホームヘルプとデイサービスを保険の対象外にする、自治体に委ねる、これだけ多くの方が利用しているものを国が責任を持たないということは、これはイコール自治体への丸投げということであります。

 資料三にあるように、これも先ほどからずっと指摘をされているように、サービス内容、人員、単価の基準がなくなる、事業者への単価の切り下げが起こる、そして、利用料が一割ではなく二割から三割へと引き上げられる可能性がある。ここは、引き上げ、そういうことがないようにガイドラインで示していただけるということをさっきおっしゃっていただいたのかもしれませんが、それが本当ならいいんですけれども、今、二割から三割とか、そういう自己負担の引き上げが行われるのではないかと、現状では、心配をされておられる方が多いわけであります。

 市町村がどのようなサービスを提供できるか、このガイドラインというものが、この法案を審議していけばいくほど、やはりなるべく早くその内容あるいは概要をお示しいただかなくては、これは同じようなことの繰り返しの議論が、堂々めぐりのようなことが行われてしまうわけでありますので、金曜日までに一定のものをお示しいただくと先ほど山井さんと大臣が約束をされたということでございますので、ぜひそのことはしっかりしていただかないと、これはなかなか議論が深まっていかないということになってしまうと思います。

 資料六にも添付をいたしましたけれども、これは東京都社会福祉協議会が会員事業所に対してアンケート調査を実施した自治体移管への影響ということでありますけれども、利用者への影響あるいはホームヘルプサービス利用者の影響ということでありますが、これは時間がないのでごらんをいただければと思いますが、ここからわかるのは、専門性あるサービスを受けられない利用者は状態が悪化するという心配、あるいは介護事業所の経営状態が悪化するという心配、その結果、介護保険財政はより圧迫される、つまりは、結局高くつくということ。介護分野が成長分野にならない、あるいは家族介護のため仕事をやめるいわゆる介護離職がふえてしまうというようなことが明らかになっているわけであります。

 それで、法改正後、全国の自治体がどのようなサービス提供体制をつくるか、まさにこれを住民の皆様は知りたいと思っているということでありますが、厚労省としても、これは全国の自治体で本当にボランティアやNPOが十分確保できるか、利用者負担はどうなるか、事業所単価はどうなるか、厚労省が描いているようなことが本当に地域において実現されるのか、絵に描いた餅ということになるのかならないのかということを、これは本来は、和光市のモデル事業だけではなくて、この法案を国会に提出した前後に、要するに、この審議の直近に自治体の意向調査というもの、この法案をもとに、自治体がどのように考えているか、やれること、やれないこと、どんな現状であるかという意向調査のようなものをやるべきであると私は考えさせていただいておりますけれども、大臣、こういったことはおやりになったんでしょうか。

田村国務大臣 何度も申し上げておりますけれども、これはちゃんとケアマネジメントをやるわけでありますので、必要なサービスは必要な部分で受けられる。先ほど来、必要なサービスが受けられないと言われますが、必要な方々には必要なサービスを受けられるという話になります。

 でありますから、そこは、例えば要支援者であっても、先ほど来言っておりますとおり、介護保険からの介護給付を受けられるんですよね、必要ならば。そういうたてつけになっておりますので、決して介護保険が受けられないというわけではない、必要者にはそうやって受けられるということ、これは御理解をいただきたいというふうに思います。

 それから、ガイドラインの件は、これはガイドラインでございますので、先ほど申し上げましたとおり、ガイドラインは示せませんが、その内容というものは、それはどのような書きぶりにするかということはお示しをさせていただきたいと思います。

 その上で、今のお話でありますが、移行期間が二十九年まであります。これは、今のまま介護保険の中で対応いただける期間であります。これをどうしても時間がかかるという形の中であればそういう対応でありますが、移行をされたとしても、要支援者に対してのサービスは今やっているわけです。だから、今、サービスはあるんですよね。あるサービスをそのまま継続すれば、当然、財源は今までどおり出るんですから、今と事実上変わらないわけでしょう。変わらないですよ。

 そういう意味からすると、それでは我々は困るので、より多様なサービスをおつくりいただきたいということで、いろいろな事例集であるとか、ガイドラインにお示しをしたりだとか、いろいろな形でアプローチをさせていただきます。

 その都度その都度、その自治体がなぜできないのか、何が問題があるのかというのは、我々は対応させていただきたいというふうに思いますので、意向をいつの時点で出すという話ではなくて、そのような形で、個別の対応も含めて、新しい制度に取り組んでいただけるように我々としても支援をしてまいりたいというふうに思います。

中根(康)委員 今受けているサービスはそのまま続けられると先ほどから大臣はおっしゃいますけれども、給付は上限が削減されるから単価も切り下げられる、それが専門家、今までの介護福祉士やヘルパーからボランティアにかわるという意味合いでは、今までどおりではないんですよ、大臣。

 そこを問題にしているわけで、ここをきちんと御答弁いただかないと、本当に議論がかみ合っていかない、同じようなやりとりがいつまでも堂々めぐりしてしまうということになりますので、次回はきちんとかみ合うような議論を期待して、きょうは終わらせていただきます。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 きょうは、いろいろ、時間の変更というか、おくれておりますが、厚生労働大臣を初め厚労省の皆さん、そして、きょうは社会保障と税の一体改革担当並びに経済財政担当で、先週の木曜日に決算委員会でも質疑をさせていただきました小泉大臣政務官にもお越しいただいておりまして、前回の続きの面も含めてやりとりをさせていただければと思っております。

 私も、四月の一日に、十七年ぶりに消費税引き上げとなった当日に、安倍総理大臣に、まさにこの医療介護の推進法案について、衆議院本会議で代表質問に立たせていただきました。

 そのときにも提起をさせていただいた視点といたしましては、今回、消費税が引き上げになって、そして、五兆円の増収のうち、社会保障の充実分はその一〇%の五千億円。国民の皆様が、本当に社会保障が充実をした、あるいは、きょう傍聴に来られた方々が、社会保障がよくなったと実感をしていただけているかどうか、私は、正直、ほど遠い部分があると思います。

 さらに、いや、むしろ、充実どころか負担増が先行、充実は先送り、子育て支援の四千億円は確保もされない、あるいは、きょうの要支援カットの話、こういう中で、本当に国民の皆様に今回の消費税の引き上げを御理解いただけるのかどうなのか、非常に危惧をするところでもございます。

 また、公共事業をやるなとは言いません。しかし、自民党政権になって、この間、民主党政権の二十四年度の最後の予算編成、当初とその前年の補正を足して、それぞれ二十五、二十六と比較をしても、三兆一千億円、公共事業予算がふえている。

 そういう意味では、社会保障の充実分五千億円の六倍以上の予算が公共事業に流用されているような見方を国民の皆様にされないように、きょうは具体的に少し公共事業予算の中身についても取り上げさせていただきますが、ゆめゆめ本当に、やはり消費税が公共事業に流用されているような使われ方を、少なくともされていると国民が見るようなことであってはなりませんので、防災、減災等やるべきことはやりますが、しかし、本当に無駄があるのかないのか、そのあたりについても、きょうは小泉政務官ともやりとりをさせていただきたいと思っております。

 また、今回の要支援切りに関して、本当にこの懸念が現実になっていくようなことになれば、きょうは後ほど介護・障害福祉職員の人材確保法案について提案者にも質疑をさせていただきますが、今まさに三百万人もの方々が介護をしながら仕事をされていて、そして、そのうち年間十万人の方々が御家族の介護を理由に仕事をやめざるを得ない、経済損失も一兆円、こういうようなことも言われる中で、また、多くの方々がその場合女性であるという面、そういうことからしても、まさに、安倍総理も女性支援、女性活用という言われ方をされますが、女性支援にも逆行する、あるいはアベノミクスにも逆行する。

 そして、もっと言えば、介護の現場の方々の処遇改善という視点だけじゃなくて、そうやって社会全体で支えることができなければ私たち現役世代も働くこともままならないという意味においては、全世代にかかわる問題を今回は本当にはらんでいる。そして、こういう給付カットを行うことが、むしろ健康の悪化、そして、そういう意味では財政の悪化、経済にもプラスにならない、こういった側面をはらんでいるということをよくよく踏まえつつ、具体的な質疑に入らせていただきたいと思います。

 まず、ちょっと要支援カットのお話をしたいんですが、それとも絡むので、二項目めにきょうお聞きをさせていただく予定になっております、認知症で、今回、行方不明の方が一万人というNHKの報道、私も拝見をしました。資料の二ページ目以降に今回おつけをしておりまして、この問題を先に取り上げるというのは、先ほどの質疑を聞いていると、まさに要支援切りという部分も、場合によっては、そういったことが起これば、まさに認知症で行方不明になられる方々がふえかねない、私はこういう懸念も持つわけですね。

 二ページ目以降をごらんください。認知症で行方不明、この一年で、これはおととしまでだったと思いますが、一万人近くになっている。これは下線を引いております。そのうち、もう既に亡くなられていると確認をされた方が三百人強、残りの方が行方不明、こういう状況。

 そして、次のページ。認知症で行方不明後に死亡、そのうち三割はおひとり暮らしの高齢者の方々。まさに要支援サービスを受けられている方でおひとり暮らしの方は多いです。今後、高齢者の方が四割に達する、そしてそのうち、全体の中で三七%ぐらいはおひとり暮らし、こういう時代にもなっていく中で、この現状をどのように考えるか。

 そしてまた、次のページには田村大臣のコメントも載せさせていただきました。これは非常に大きな社会問題で、行方不明はいつ起きてもおかしくない、地域ぐるみの体制づくりに力を入れなければならない、警察、自治体と連携をして認知症の人を見守る取り組みを支援と書いてあるんですが、具体的な取り組みはどうなのか、こういった視点。

 そして、さらに次のページは、きのうの毎日新聞の一面でございます。「身元不明 認知症高齢者ら 緊急一時保護五百四十六人」。しかし、この中で、都内でも豊島区、あるいは大都市圏、川崎、名古屋などはまだ入っていないということでいえば、さらにこの実数は膨らむ可能性が高い、こういうような状況があるわけでございます。

 田村大臣にまず伺いますが、こういう状況を踏まえて、実は、厚生労働省は、これはちょっと資料にはつけていませんが、認知症についての社会的負担を試算して、そして今後の対応につなげていくと。既存データで試算すると、全体でいわゆる認知症の方々への対応の社会的コストが十兆円を超すんじゃないかというような報道も出ておりますが、こういう実際の認知症に対する対応、今回、行方不明者が一万人という状況が明らかになって、どういう具体的な対応をとっていくのか。しかも、今資料につけたようなばくっとしたことではなくて、具体的にこれは本当に早急な取り組みが求められると思いますので、一定のスケジュール感を持って御対応いただきたいと思うんですが、田村大臣、今の時点での御認識をお答えいただけますか。

田村国務大臣 一万人行方不明。ただ、九千六百人は、その後、身元がわかって、ちゃんと保護されておられるわけでありますので、一万人が本当にそのまま、行方不明のまま、どこにおられるかわからないという話ではないということは、誤解を解くために申し上げたいというふうに思います。

 これは非常に大きな課題であります。ひとり暮らしの、独居の御高齢者の方々で認知症が入ってこられると、やはり自分で徘回をされたりですとかするわけで、その時点で誰かが家から出ることをとめるわけにはいかないわけでありまして、一旦外に出られた方をどうやってまた家にお戻しするかということを考えれば、一つは認知症サポーターという制度、これは私も受けましたが、一時間半講習を受けて、認知症に対する理解というものをしっかりとつけていただきながら認知症の方々に接していただく。

 今、四百七十五万人までふえてまいりました。今、目標で六百万人を目指しておりますが、こういう方々が一定程度ふえてまいられますと、御高齢の方々でお一人で歩いておられて、どうも様子が違うなというときには、お声かけをいただいて対応いただけるということもあろうと思います。

 それから、認知症SOSのネットワークをつくられている自治体もありまして、これは携帯電話等々で連絡網をつくっておられるようでありますが、地域ぐるみのそういう対応の中で、家を出られた、御近所のあの方は認知症をお持ちかもわからないなというような御高齢者には、お声がけをいただきながら御自宅にお戻しするというようなことも、これはやはり地域ぐるみでやっていかなきゃならぬのだろうというふうに思います。

 誰かが常に独居の認知症のあられる高齢者の方々と住むというわけにも、四六時中その見守りをし続けるというわけにもいかないものでありますから、なかなか難しいわけでありますけれども、少なくとも、夜等々に出られるとなかなか把握しづらいですし、冬場ですと、そのまま命にかかわるという問題も出てくるわけであります。

 そういう意味からすると、夜徘回されるというような認知症をお持ちの高齢者の方々というのは、昼夜逆転等々が行われて、昼間は寝ておられて夜元気になられる。こういうことを防ぐためにも、やはり、先ほど来言っておりますとおり、認知症は初期対応ということが重要でございますので、認知症があられるなというような疑いがあるときから、先ほど来申し上げておるような地域包括支援センター等々に御相談をしていただく中において、場合によっては認知症疾患医療センター等々で認知症の診断をしていただいて、そしてアセスメントをしながら、初期集中チームが入って、会議をやって、初期対応、これは大変重要であります。そして、それを介護サービスにつなげていくというようなこともやっていく。早目の治療というものも必要になってこよう。こういうことをやることによって、状態を悪くさせないということをするということも重要であります。

 いずれにしましても、今、五カ年計画を進めておる最中でございまして、このような中でいろいろな課題も見えてくると思います。そのような課題もまた我々はフィードバックしながら、よりよい認知症対策というものを進めてまいりたい、このように考えております。

柚木委員 初動が大事だということをおっしゃいました。私も、警察庁から、過去全ての年次の行方不明者届け出の受理状況、これを取り寄せまして、ちょっときょう資料にはつけておりませんが、見ますと、大臣は一万人全部が行方不明じゃないとおっしゃいましたが、それぞれの、二十四年度まで、二十四年に初めて認知症というカテゴリーで調べたわけですが、所在が確認できた方と、実際、行方不明者届け出がある方とのギャップ、例えば二十四年であれば、千三百八十一人、ギャップがあるんです。

 二十四年より前の五年間を足すと、一万八千百六十二人は行方がわかっていないんです。さらにその前五年間というのは、実はこれもまだすごい乖離があって、四万五千九百八十一人が見つかっていないんです。つまり、十年たつと、六万四千百四十三人が見つかっていないということになるんですね。

 ですから、全ての方がわかっているから大丈夫だということでもないわけですし、もっと言うと、実際に今回、二十四年度にわかった九千六百七人の中でも、実は、まさに初動が大事と言われたのはそのとおりで、私も、この九千六百七人の発見をされるまでの期間についても、初めて公表されている資料をちょっと手元に入手しましたが、実際に、しかし、その中でもまだ百二十九人は見つかっていないんですよ、この九千六百七人の中で。

 ですから、大体の方は見つかっているからいいというわけじゃなく、百二十九人が、この現代の日本の進んだ社会の中で、これだけネットワーク化されている中でも見つかっていないということの方が私は問題意識を持たなきゃいけないと思います。

 実際、発見されるまでの期間、受理当日に実は六千二百六十三人が見つかっていて、そこから一週間以内に約三千人、二千九百七十九人です。それ以降、一週間、二週間とたつにつれ、六十人とか四十人とか三十人とかになっていくんですね。ですから、やはりこれは初動が大事なことは私も共有をするんです。

 ただ、そのときに、では、初動でどういう対応をするのか。今、SOSネットワークの話もありました。そして、私も例えば地元の消防団の方とかの話を聞くと、こういうような方が出たら、もうみんな総出で捜すわけですね。ですから、あらゆるルート、ツールを通じて、まさに初動でどれだけ対応できるか、これが肝心で、そこで見つからなければ、最悪な場合はお亡くなりになる、いろいろなところで転落をされたりとか、本当にそういうことになるわけであります。

 そのためには、今の、SOSネットワークが九億円ぐらいの予算だったと思いますが、やはりもう少しネットワークの体制の整備、あるいはそれに対する予算、そういったことも含めて、これは本当に、厚労省だけではなくて、警察庁、自治体とも連携をして、早期の対策をもう少ししっかりとスケジューリングを持った形でイメージをしていただくことが重要だと思っております。

 これはぜひ、大臣、実際にそういう自治体と警察庁との連携ということはおっしゃっているわけですから、いつまでというのがどこまで言えるかどうかは別として、早急に、今既にまだ行方不明の方もおられることも含めて、そして初動対応をしっかりやることも含めて、具体的な施策を講ずるということを改めて一言御答弁いただけませんか。

田村国務大臣 多分、地域においてもかなり差があるんだろうと思います。

 おっしゃられますように、まず状況を把握しなきゃなりませんので、各自治体、ただ、各自治体だけでは把握できていない部分もありますから、警察の方とも連携しながら、今どういう状況なのかということを、各自治体に通知等々をさせていただきながら、情報をいただきたいというふうに思っております。

柚木委員 なるべくそういったことをしっかりと情報把握しつつも、同時進行で対策を考えていただきたいと思うんですね。

 もう一点、ちょっとこの問題に関係して、余りこういう言い方をするのははばかられる部分もあるんですが、やはり少しこういう問題意識を持つ必要があると思うんです。

 というのは、とにかく行方不明の方は無事に発見していただくこと、あるいは防止することが大事だということを前提に申し上げますが、これだけ多くの方が行方不明になった後、そのまま見つからない、場合によってはお亡くなりになってしまうようなこともある中で、以前、消えた高齢者問題というのがあったわけですね。江戸時代の方が百五十歳でもまだ生きているようなことも含めて。そういうような中で、これは本当にデリケートなことなんですが、行方不明になられた方々に対しては、例えば、年金はずっと支給されるのか、あるいは、逆に言えば、保険料などはまさに負担をするのか。

 そういう扱いについては、ちょっと私も事前にきのうの通告のときにやりとりができていないんですが、やはりこれだけの人数や期間とかを含めると、少しそういうところについてもしっかりと整理をしながら対策を講じていかなきゃいけないと思うんですが、そのあたり、例えば年金の支給についてはずっと継続して支給をされるとか、その辺、わかる範囲でいいんですが、お答えいただけますか。

田村国務大臣 ちょっときょうは年金の担当はいないんですけれども。

 御本人の所在地がわからない場合には、年金の給付は一旦とめさせていただくということになろうと思います。それは今、いろいろな形で確認できるような仕組みを工夫してつくっておりますので、いっとき、本人はおられないのに年金が振り込まれて御家族がそれを使われておられるというような事例があって、大分マスメディアでも問題になりましたけれども、そのようなことが防げるような仕組みは今現在つくってきつつあります。

柚木委員 これはもちろん、御家族が行方不明になられることの心痛、御家族の方が一番そういう意味ではお気の毒であり、心を痛められるわけでありますが、同時に、やはり年金財政のことも議論になっている中で、一つ一つそういう部分についても、今回問題が起こったことで、しっかりと整理をしながら対策を講じていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 それで、要支援の問題に入りたいんですが、私は、この認知症の行方不明の問題も含めて、言われるように初動もそうだけれども、やはり予防、まさに要支援、予防、こういったところをないがしろにすることで、さまざまな面で弊害が出てくるのではないかということを懸念しております。

 資料の一枚目にもおつけをしておりますが、実際にきょうもさまざまな議論をされておりますが、要支援というのは、当然、自治体の財政力や、あるいはマンパワー等のネットワーク体制の整備等によって、いろいろな形で格差が出てきてしまうわけでもございます。

 そして、実際に私も一昨日、山井委員と御一緒させていただいたんですが、都内で二軒のお宅にお訪ねをして、要支援二の方にお話を伺いました。お一人の方は、八十代の男性、渋谷区にお住まいの方でした。もうお一方は、九十一歳、おひとり暮らしの男性、三年前に奥様が認知症で亡くなられました。しかも、御自分が介護をされていて、そして料理をつくっているときに、お風呂の中で溺れて亡くなってしまっているんですね。

 私も、実際にお話を伺うと、渋谷区ですから、一軒目伺ったところは表参道の景色が見えるような集合住宅でした。しかし、その御家庭の中で、本当にこの法律改正の行方を固唾をのんで見守っている方がいる。ひょっとしたら絶体絶命のピンチになるかもしれないとおっしゃっていました。そういう方がいるという現実を踏まえながら、この議論をしていかなきゃならないと改めて感じたわけであります。

 ちなみに、その一軒目の方は、一旦病気になられ、しかし、後遺症が残っているんだけれども、何とかリハビリも頑張って、ヘルパーさんのサポートを受けながら生活を続けておられる。しかし、もしこれまで来られていたヘルパーさんが来れないようなことになったりすると、あるいはそれが、ボランティアの方が善意で来てくださるのはもちろんありがたいんだけれども、やはり、その方は、歩行するのもなかなか難しくて車椅子で移動されるようなことも含めて、ボランティアの方にどこまでそういうことをやっていただけるのか不安だと。

 もっと言うと、私もお話を伺っている間に奥様の様子が少し大丈夫かなと心配をしていたら、実は、おいとまをした後伺ったら、奥様がもう二十年間外に出られない状態、お心の中に病を抱えておられる、そういうようなことでありまして、もし御主人様にもしものことがあれば、本当に、最悪、時々報道がある孤立死とかいろいろな問題につながりかねないんじゃないかという懸念も、御本人の中にも心配があって、そういう方がおいでの中で、しかも、その方は、当初要介護三だったのがいきなり要支援二になっていて、本当にこれからどうしていこうかというような状況の中で、今、この要支援サービスの自治体移管の議論が出てきていて、本当に夜も安心して眠れないような状況にあると。

 そして、二軒目に伺った九十一歳のおひとり暮らしの高齢者の方は、先ほど申し上げたように、奥様が認知症で、ずっと御自分が介護をされて、そしてその介護をしているさなか、食事をつくっているときに、奥様が入浴中に溺れて亡くなってしまう、人工呼吸をしたけれども間に合わなかった、そういうお話でした。

 そして、その方は、実は、その後、肺炎になられたり骨折をされたり、いろいろなことがあっても、例えば肺炎になったときは、ヘルパーさんが体調の少しの変化に気づかれて、すぐに対応されて、治療を受けて、そして在宅に復帰できて、しかも、そのときの退院後のさまざまな支援体制も必要であります、そういったことも含めてちゃんと対応いただいたということで、今何とか生活が成り立っている。しかし、それが仮にボランティアの方であったときに、そういうタイミングでちゃんと人手が確保できて、後のことも考えていただいてとか、それはなかなか、正直、プロの目から見たら難しいんじゃないかというようなお話も、同席をいただいた専門のヘルパーさんやケアマネさんからも伺いました。

 そういう状況が今あるわけで、単にボランティアの方々、それは私は望ましいと思いますよ、できるところは。でも、そういう先進事例を全国であたかもうまくいくようなことでやっていくことで、実際に本当に必要なところに必要なサービスが行かなくなるんじゃないかということをこの間ずっと議論をしているわけです。

 私はやはり、余り希望的な観測に基づいてこの要支援の自治体移管ということを進めてしまうと、私も両親が介護士、看護師でもあります、現場の声もこの間聞かせていただきました。本当に、健康管理が行き届かなくなって、あるいは社会的な引きこもりなどになって、そして、最悪の場合、報道されるような悲惨な事例になりかねないというようなことを現場も家族も心配している中で、今回本当にこの要支援の自治体移管というものを進めることがいいのかどうなのか、非常に大きな懸念を持っております。

 そこで、大臣にぜひ伺いますが、先ほど来、今後進めていく上でいろいろな方向性を示していくということを質疑の中で言われているわけですが、そういうものが見えない中で見切り発車のように進めていくということは、これは、先ほどちょっと山井委員が人体実験という言葉、ちょっと強い言葉で言われましたが、私は、それはこういうことだと思うんですよ。

 以前、舛添厚生労働大臣のときに、軽度者切りが問題になって、要介護認定の認定基準の変更というのが議論になったんですね。覚えておいでかもしれません。そのときに、やはり、あれはちょっと間違いだったということで、すぐにまた再修正したんですね、認定基準を。そういうようなことになっては本当に逆効果だと思うので、よくよく方向性が定まった上でこの要支援の自治体移管というものを考えていく、そういう手順を踏んでいただきたいと思うんですが、そういうところの御検討をぜひいただけないか、大臣、御答弁をお願いします。

田村国務大臣 それもあって移行期間を設けさせていただいておるわけであります。

 今のお話でいくと、ボランティアで訪問介護、生活支援というようなものをやっていただけるような先進的な地域があれば、それはボランティアでやっていただければいいというふうに我々も思っておるわけでありますが、当然、ボランティアで全てが対応できるとは我々も思っていないわけで、そこは、専門的なサービスを提供されるような事業者も入ってきます。また、他の主体、例えばNPOでありますとか、そういうところが、どなたか地域の方を雇われて、研修等々をやって対応される、こういうこともあろうと思います。

 でありますから、殊さらボランティアで全てやっていただきたいということを申し上げているわけではありません。

 今のようないろいろな事例があるわけでありますが、何度も重ねて申し上げて恐縮なんですけれども、そこは、地域包括支援センターの中で、やはり専門職の方がケアマネジメントをしていただきますので、その中で、その状態像に応じて、プロが必要な場合は当然そのサービスでありますし、もっと言えば、訪問看護のような方が必要な場合には介護給付から出るわけでございますので、それぞれ専門職が適切な対応をしていく中において、ニーズに応じたサービスを提供いただければありがたい、このように考えております。

柚木委員 今の答弁の内容については、ちょっときょうは時間がありませんから、金曜以降にまた具体的な議論を深めさせていただきたいんですが、やはり、自治体の力量差であったり、あるいは地域包括支援センターそのものの力量差も当然ありますし、また、そもそも要支援二と要介護一の認定の間に自治体ごとにばらつきもあるわけでして、さらには、自助、互助に頼るといっても、ボランティアのお話、画一的な適用はというお話がありましたが、やはり、民生委員さんとかも本当に全国で全然足りないような状況になってきていて、核になる人もどんどん減ってきているわけですから、そういう中で今後どうしていくのかについては、ちょっと改めて後日議論を深めさせていただきたいと思います。

 時間がありませんので、この次の質問、資料の六ページ目をごらんください。きょうは、小泉大臣政務官、担当でお越しいただいておりますが、先週の決算委員会でもこの表を示させていただきました。まさに四月一日に安倍総理に申し上げた、民主党政権と自民党政権とで、公共事業予算の推移でございまして、約三・一兆増額、これは社会保障の充実の六倍強になる部分でございます。

 そして、次のページをごらんください。では、公共事業等に無駄がないのかといえば、ここに「「ゾンビ事業」動きだす」というような見出しになっていますが、これはスーパー堤防の話です。スーパー堤防そのものの議論はいろいろあるでしょう。ただ、見てください、「完成に二二〇〇年?」。これは二二〇〇年にできるんじゃないですよ、二千二百年かかるという意味ですよ。こういうようなことを本当にやることがどれだけ実効性があるのか。

 次のページ。ちょっとお名前が出ていて恐縮ですが、「和歌山「二階バイパス」より津波対策を」と。これは、地元の方は、高速道路よりも高台への避難路などの整備や充実を優先してほしい、津波が来たら今度こそ逃げられないかもしれない、こういう声もある中で、どんどんこの予算が、これは、ちなみに、この二階先生の御地元の道路については、民主党政権時代の七倍強の予算がついているということ。

 次のページ。「ムダ判定予算 八割復活」、これは、安倍政権自体が無駄と判定したもののうちの八割が実は復活をしている、こういう状況。

 そして、その次のページをさらにごらんください。今、その次の次のページ、その次のページもあわせていきますと、十二ページ目に、「予算の早期執行」というので東京新聞の社説をつけておきましたが、景気対策でいろいろ消費増税の落ち込みを防ごうという考え方そのものは否定しませんが、こういうことをやることで、その前につけている資料のようなことが起こっているし、さらに起こってくるわけであります。

 資料の十ページ。「保育所・病院など延期、凍結」、これは、公共投資の中でもこういった分野がどんどん後回しになる、率直に言うと、道路等よりも採算が合わないということなんですね。

 次のページ。「公共事業過熱 弱者後回し」ということで、まさにそういった保育園等の建設のおくれ、ツケを払うのは住民たちというような内容の報道でございます。

 さまざまなこういう問題もある中で、小泉大臣政務官、前回、政務官はこのように御答弁をいただいているんですね。社会保障についてももちろん同様ですが、公共事業についても、やはりやるべきものはやる、しかし、そうでないものについてはやらないということを、さすが政務官らしく、明確に答弁されているんですね。

 今ここに資料で累次挙げました、さまざまな無駄が指摘されているような事業を見て、公共事業、防災、減災が必要なところはやるんですが、全く無駄がないというふうに言い切れるかどうか、御答弁いただけますか。

小泉大臣政務官 前回、柚木先生とは、決算行政監視委員会でもこの問題を議論させていただきましたが、恐らく、世の中で無駄がゼロになることはないと思うんですね。どんなことでも、Aさんという人はこれは無駄じゃないと言って、Bさんという人は無駄だと言う。全部、あらゆる問題、そうじゃないでしょうかね。

 だから、これは、無駄は限りなく減らすという取り組みを、不断の努力を続けていく中で、その時代時代に合わせて、何が無駄か、そして何が無駄ではないか、これをとめずにやっていくことが、社会保障や公共事業、教育、安全保障、全ての分野において必要な認識だと捉えています。

柚木委員 その御答弁はそのとおりなんですよ。

 では、次の十三ページ目の資料をごらんください。配偶者控除の議論が今されていますね。

 私も、やはり女性の方がもっと頑張りたい方は頑張っていただいて、そのことが経済や財政にもプラスの好循環を生み出すのは望ましい面があると思いますよ。ただ、ここに下線を引いておきましたが、話はそんな単純ではない、女性の社会進出を阻んでいる大きな要因は、保育所の待機児童や介護施設の定員不足に代表される、子供を預けられず、介護も女性任せ、こういったところにあるんだと。

 自民党さんも法案を準備されるというふうな報道も聞いていますよ、女性の支援に。でも、ここに書かれているような問題は置き去り、後回し。要支援カットの話も出ている。こういう中で幾ら配偶者控除の見直し等々をやっても、本質的な問題が置き去りにされたままであっては問題は解決しないと私は思うんです。

 そこで、政務官、では具体的にお尋ねします。

 確かに、どれが無駄か無駄でないか、この報道の事例を挙げたことも含めて、それはあるでしょう。しかし、目の前に待機児童の問題がある、あるいは待機高齢者の問題がある、行方不明者の問題がある、そういう中で、今回、消費税、充実五千億円ですよ。

 我々は当時、政権のときに、四対一という考え方の中で、八%時に少なくとも一兆円は社会保障の充実に回そう、こういうことを提案しているんですね。仮に一兆円充実に回るということになれば、あと五千億円回せるわけです。そうすると何が実現できるか。まさに子育て支援に不足をしている四千億円、例えば質の充実。

 例えば、三歳児の方々の職員、保育園、これは質を充実しようということになっていますが、一歳児とか四歳児は後回しになっていますね。学童保育の職員の方の処遇、皆さんよく御存じですよ。その処遇の改善も、予算が足りないから後回しになっている。私の子供、三歳、ゼロ歳がお世話になっているファミサポ、機能を拡充する、これも後回しになっている。こういうことができる。

 さらに言えば、この後伺いますが、介護の現場、障害福祉の現場、最大十万円月給が低い、だから、やりたくてもやめざるを得ない、こういう方々も、仮にこの法案が通れば、すぐには施行できませんから、七月、八月施行でも一千億円ぐらいの単位です。

 つまりは、あと五千億円あれば、そういった子育て支援や介護の現場、家庭、働いている方、現役支援、実現できるわけですよ。

 そういった視点について、仮に公共事業の無駄があるんだとすれば、もう少し社会保障の充実に回す、こういうお考えは担当大臣政務官としてありませんか。

小泉大臣政務官 社会保障の充実のために、ほかの、例えば公共事業みたいなところから切って持ってくるという発想も、もちろん通用する部分というのはあると思いますが、私が野党のときからずっと言っていたのは、例えば、七十歳から七十四歳の医療費の窓口負担を私は早く二割に上げるべきだとずっと言っていたんです。当時、民主党の政権のときも私はずっと言っていました。これだけで二千億円ですよ、毎年補正予算に突っ込んで。その二千億円でどれだけのほかの社会保障のサービスができるんだということをずっと言っていました。

 しかし、これもさまざま、反対もあって、なかなかできなかったけれども、ようやくこれが実現することになりました、自民党政権になって。

 そういったように、社会保障の中だって、見直さなきゃいけないところがいっぱいあります。

 今、私の内閣府政務官の担当の一つで、政府の抱えているシステムの見直しもやっていますが、最もお金がかかっているのはハローワークのシステムですよ。今千五百ぐらい国がシステムを持っていますが、一番お金がかかっているのはハローワーク。メンテナンスだけで四百七十億円ですよ。こういったことはおかしいですよ。(発言する者あり)そして、年金は二位、三位ですけれども、合わせたら四百七十億よりもいきますよ。

 そういったことを考えたら、ほかのところから持ってきて社会保障ということも必要なことはあるかもしれませんが、社会保障を今のままやっていったら、五千億、一兆という話どころか、消費税八パー、一〇パーだって到底足りないわけですから。

 そういったことから考えると、あらゆること、できることは全てやるんだ、そういった思いで税・社会保障の一体改革も自民、公明、そして民主党と一緒に合意をしたものだと捉えています。

柚木委員 世代間不均衡の是正という視点は私たちも共有しているんですよ。

 ただ、その二千億円の話も、それを、では、どこに今後再分配するかが重要なんですよ。公共事業に回っていくというような見方をされる、そういうことでいいのか。そうではなくて、まさにその二千億円が例えば子育て支援の充実に回るとか、そういうことまで含めておっしゃるんだったら、ぜひ言っていただきたいんですよ。

 そして、次のページ、十四ページをごらんください。公共事業のいわゆる経済効果に対して、社会福祉、介護、医療、全て実は波及効果が上回っているんです。こういうような、まさに社会保障が経済や財政にもプラスになるという視点も、ぜひもっと、担当大臣政務官として、経済財政、社保一体改革担当でいらっしゃるわけですから、それだけ世代間格差の是正ということも明言されている中で、公共事業と社会保障の関係性についても、明確に、もっともっと、ぜひ踏み込んだ発言をいただきたいと思います。

 時間がございませんので、今後、また改めてその議論は深めさせていただきたいと思いますので、小泉政務官、一言だけ、この資料を見て、社会保障というのは、必ずしも財政のお荷物ではなくて、経済財政にもプラスになり得る、こういう視点は共有いただけるかどうか、一言御答弁いただいて、小泉さん、最後です。

小泉大臣政務官 まさに、社会保障を社会保障の観点だけで捉えるのではなくて、経済と、またあらゆる世代の均衡とか、そういったことを考える上でも考えなければいけないという点では、私は全く同じ認識だと思います。

柚木委員 小泉政務官、ここまでで結構です。御退室いただいて結構です。ありがとうございました。

 民主党の法案提出者に伺います。

 今回、今るる申し上げたような状況があって、もう来年まで待っていられないということで、介護・障害福祉人材確保法というのを提案いたしました。

 提案者にそれぞれ伺いますが、なぜこのタイミングでこの法案を出したのか。

 それから、今回、介護職員と障害福祉施設職員の賃上げがセットで提案されていますが、その理由についてはなぜなのか。

 三点目は、これは実際、経済効果とか、ある意味の経済ロスとか、そういった視点についてはどのように盛り込まれているのか。

 もう一つ、二回に分けると言っていましたけれども、時間がないのでまとめてお答えいただきたいんですが、今ボランティアの話がありましたが、介護分野に外国人の方の活用というのも、この間、議論が出ているんですけれども、私はそれを全否定はしません。しかし、今のような状況でそういうことがなし崩し的に進んでいくことが本当に大丈夫なのか。

 このあたりについて、それぞれ法案提出者から御答弁いただけますか。

中根(康)議員 柚木委員にお答え申し上げます。

 今般の消費税引き上げで介護、障害福祉分野、ともに実質賃金が下がってしまうということで、この両分野で処遇改善が必要だということであります。また、障害福祉分野も、介護分野と同様に、賃金が全産業平均と比べ最大十万円程度低い水準にとどまっているということ、そして、これまでも介護と障害福祉はセットで処遇改善をしてきたということが、今回、介護と障害福祉を同時に処遇改善が必要だと考えている理由でございます。

大西(健)議員 柚木議員からは、経済的視点それから全世代的視点という御指摘をいただきました。

 全く御指摘のとおりだというふうに思っております。

 介護離職十万人という数字がよく出ますけれども、ある大手の商社では、四千人の社員の中で実態調査をしたところ、現在介護をしている方が一一%、ただ、二〇一六年時点で介護に直面する可能性を持つ社員が約八割ということであります。商社にとっては、その方々、四十代、五十代という中核の社員の方々が海外転勤できない、あるいは離職するということになれば、これはまさに、企業にとって、経営にも直結する問題になります。

 まさに、御指摘のとおり、介護離職は、介護する個人の問題だけではなくて、企業や日本経済全体にとっても損失であるという認識に立つ必要があるというふうに思っています。

 また、介護離職の経済的な影響ですけれども、エコノミストの試算では、GDPの喪失が九千八百億円、また、潜在成長率に対して〇・一八%の押し下げ効果があるというふうに言われております。

 もう一つ、全世代的な視点ということでありますけれども、企業においては働き盛りで会社の中核を担っており、家庭では子育て中の人たち、そういう人たちがまさに四十代、五十代、現役世代で介護の問題に直面する。私も一九七一年生まれ、団塊ジュニアの世代でありますけれども、二〇二五年、団塊の世代の皆さんが七十五歳を超えてまいります。親の介護というのは私たち四十代にとってはまさに自分たちのことであるというふうに思っております。

 そして、団塊ジュニア世代の特徴として、兄弟が少ない、また未婚率というのも高くなっていますので、今まで以上に介護の問題が重くのしかかってくるというふうに思っております。介護保険のサービスを充実させることが、一見、社会保障の負担増に見えますけれども、間接的には、現役世代にも大きなシャドーベネフィットがあるというふうに思っております。

 最後に、先ほどもお話が出ていましたけれども、安倍首相は、女性の活躍や就業促進を成長戦略の柱に位置づけようとされておりますけれども、そのためには介護人材の確保が不可欠だというふうに思っています。安易に外国人の活用を検討する前に、介護職員の処遇改善を行って、介護人材の確保に努力をしていくべきだというふうに思っております。

 以上、経済的側面それから全世代的側面、両面において、この法案の必要性というのは与党の皆様にも十分御理解いただけるものだと思っております。

 以上です。

山井議員 今回、介護・障害福祉人材確保法ということで、月給を一万円早急に引き上げるという法案を提出しております。その趣旨は、高齢者を支えておられる、障害者を支えておられる方々の賃金というのは平均の給与より約数万円から十万円も安い、やはりこれではだめなわけで、早急に上げていかねばなりません。

 しかし、二月二十五日の課長会議でも、先ほども資料を配付しましたように、今後、デイサービス、ホームヘルプ、要支援の方々の単価を自由に市町村は決めていい、そして、それも、今より上げてはならない、下げるのは自由だということで、このままいけば、賃金が上がるどころか、下がってしまいます。

 やはり、最もとうとい高齢者や障害者の方を支えておられる方々の賃金を上げるということに関しては、政党関係なく、この厚生労働委員会に所属しておられる全ての議員の方々も賛同をしてくださると思いますので、多少の修正ということは当然私たちも受け入れますので、この法案をぜひとも超党派の賛成で成立させていただきたいと思います。どうかよろしくお願いします。

柚木委員 以上で終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 八十分という貴重なお時間を頂戴しました。うちの秘書からも、ちょっと議員はしゃべるのが遅い、民主党の先生方のようにもっとペースを上げてしゃべるようにというアドバイスが事務所の秘書からありましたので、できるだけ早口でいきたいと思います。民主党の先生、きょうは三人いらっしゃいますので、ありがとうございます。

 午前中、大臣、大変お疲れさまでございました。私も、この法案は大変重要だと思っていまして、私自身あるいは維新も、大変力を入れて準備をしてきたところでございます。

 ただ、午前中の審議は大変中身の偏ったというか、私は、もちろん民主党さんの、またここで民主党さんについて解説をするのは私の分を越えていますが、御主張自体はあっていいと思うんですが、個々の利用者さん、個々のAさん、Bさんについて、その取り扱いについて大臣に質問してコミットを求めるというのは、民主党の先生方が政治行政についての御見識というか、やはりちょっと正していただかないといけないところもあるかなと。

 我々もまた、何らかの形で政権入りをしたいと思って頑張っているわけですが、やはり、政治がやるべきこと、行政官がやるべきこと、あるいは地域でしっかりやっていくこと、いろいろあると思います。私は、やはり政治は大きく、特に今回の法案のような大変骨太な政策パッケージについては、その大きな枠組みについてまず議論を深めて、大きな枠組みから議論に入っていく方が、傍聴されている方、私の傍聴者は余りおりませんが、既得権というか、既存の集団と余り関係ないものですから、済みません、寂しくて。

 ですが、この法案の大きな枠組みについて、例えば、私、午前中聞いておって、では民主党さんだったらこれはどういう改革をするのか、そもそも地域包括ケアという、地域にサービスを、いろいろな意味で地域に力を持ってもらってやっていただくという大きな流れ、ではそれにそもそも反対なのかどうか、そういう議論がまずあると思います。

 私は、維新の会の中でもこの法案を担当させていただいて、何度も委員の方々と、あるいは党内の部会で議論をしてきましたが、最初に申し上げたいことは、自公あるいは政府・与党がつくってこられたこの法案、全体については大賛成です。だから、本当は、議論の当初、上野理事がちょっと首をかしげているかもしれませんが、当初、部会で議論をしたときに、これはやはり進めないといけないよなというところから、我々は議論に入りました。

 ただ、何度も申し上げますが、例えば、本会議で清水鴻一郎議員の方から申し上げたように、我々は、今回のこの法案、この審議、これは本当に、十年後に向けた、二〇二五年に向けたラストチャンスだというふうに清水先生もおっしゃって、私も常々そう言っています。だから、厚生労働省あるいは田村大臣、皆様方は、プログラム法を受けて、満を持してここに出てこられている、こう承知をしているわけです。

 であれば、この点とこの点とこの点だけは議論、討論をやはりさせていただかないといけない、あるいは、この点だけはもう少し手を入れていただく必要がある、こういう議論が維新の中で幾つか出ているということで、いろいろな理事の先生方、自公の理事の先生方といろいろ、陰に陽に、陰に陰に、水面下でいろいろ御相談はさせていただきますが、なかなか、頑張っていただいていますが、第一歩というところであります。よくわかりませんね。

 法案の話にすぐ入るべきなんですが、今ちょっと大変関心も高いGPIFの話を、一言だけ触れておきたいと思います。

 これも先般の、あれは一般質疑だったかな、野党、民主党の方からもいろいろとございました。委員の人事について、新聞報道もありますので、大臣の方から、今、このGPIFの委員の交代、これにまつわる、簡単で結構です、今こうだということだけ、ちょっと御紹介をください。

田村国務大臣 GPIFの運用委員のお話だと思いますが、四月二十二日でございますので一昨日に、七名の方を任命いたしたということであります。

 任命に当たって、我々いろいろな勘案をしながら、今回、七名という形で任命をさせていただいたわけでありますが、一つは、やはり金融でありますとか経済に見識の高い方という形で選ばせていただきましたが、あわせて、やはり経済の局面が変わってきております。デフレから脱却をしつつあるという状況の中で、当然、運用環境も変わってくるわけですね。そういうところもいろいろと勘案をしていただきながら、しかし、我々が目指すのは、年金の財政検証をしたことによって、目指す運用利回り、この運用利回りをしっかり確保しつつ、一方で、リスクはなるべく低くということでございますので、こういうようなことをやっていただけるような方々ということで、今回、任命をさせていただいたということであります。

足立委員 ありがとうございます。今おっしゃられたような考えで任命をされた、こういうふうに理解をいたしました。

 いろいろ批判もありますが、安倍政権は比較的積極的に人事権を使うということをやっていらっしゃいます。例えば日銀総裁や、いろいろとやっていらっしゃいます。ちょっと事例を忘れましたが。

 GPIFについても、いろいろ物の雑誌等を読むと、厚生省は、理事長の更迭と言うと非常に言葉が悪いですが、理事長についても人事を検討されている、一部こういう指摘がありますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 済みません。先ほど、運用委員、一昨日と言いましたが、昨日でございまして、訂正させていただきます。

 理事長は適任の方にお願いをするということでございますので、適任の方にお願いを今させていただいておるということ以外、何物でもございません。

足立委員 先ほど具体的な話をちょっと失念いたしましたが、安倍政権は、例えば日銀もそうですし、内閣法制局長官についても、これも明らかに、安倍政権が目指す方向。私は、人事権を持っている方がその政策意図に従って人事を行う、これはもう当たり前のことで、法律の枠組みがそもそも想定していることだと思っているんです。

 そういった意味では、GPIFの理事長職についても、私は、厚生労働大臣が一定の、先ほどおっしゃったような、マクロ経済と年金資金の運用、ここには一定の関係があるわけですから、これが、マクロ経済環境あるいはマクロ経済政策の流れによっては、不適任だということはあっていいと思いますが、これは任期があります。任期前の更迭は考えていらっしゃらないんですか。

田村国務大臣 任期というものがあるわけでございまして、今の理事長も大変御活躍をいただいておりますので、適任な方に理事長をやっていただいておるというふうに思っております。

足立委員 ありがとうございます。すると、ないということですね。任期は満了させると。

田村国務大臣 任期というものは決まっておるということを申し上げたわけであります。

足立委員 きょうは法案審議ですのでこれぐらいにいたしますが、いずれにせよ、なぜこれを私が今ここで取り上げたかというと、若干保守的な意見が一部政党からもありましたので、むしろそういう人事権の行使というのはあっていいはずだという応援演説、まあ応援されている気分はしないかもしれませんが、私としては応援演説のつもりであります。

 それから、これはきょうの法案とも実はかかわりますが、徳洲会グループに一定の調査をされている、こう聞いています。猪瀬前東京都知事の起訴ということもあったわけですので、今、徳洲会グループに対して調査をされているようですので、その調査の現状と見通し、できればその目的もあわせてお願いします。

田村国務大臣 いわゆる徳洲会グループが公職選挙法違反に絡んでおるというような中において、法令にのっとって国民に医療を提供するという役割を担っておられる中において、理事長も含めそういうところに絡んでおられるとすれば、これは大きな問題があるという認識のもと、調査をさせていただくということであります。

 医療法に基づく医療法人への監督という意味、また指導監督ということを行うわけでありますが、今般のは、医療法にのっとったというよりかは、自主的に報告を出してくださいということで二月の二十八日にこれを求めたわけでありまして、四月の七日に報告書を提出いただきました。

 ただ、十分ではないので、改めて、足らない部分に関して報告を今求めておるという状況でございます。

足立委員 今、徳洲会グループと私申し上げたわけですが、医療法上、ちょっと私も勉強不足ですが、これは、いわゆる医療法人あるいは社会医療法人、特別医療法人、いろいろグループにはあるのかもしれませんが、医療法人だけでしょうか。あるいはその関連の、いわゆるMS法人と言われているような、例えば株式会社徳洲会、いろいろあります。このグループ全体について調査をされているということでしょうか。

原(徳)政府参考人 お答えを申します。

 今、任意の調査ということでお願いしておりますが、具体的な相手方としては医療法人徳洲会にお願いをしている。その中で、そのグループの中でいろいろあるので、グループ全体のことについても報告を求めている、そういうような状況です。

足立委員 きょうこれからそのグループという話も出てくると思います。前も原局長とは討論させていただきましたが、そもそもグループとは何だとか、そういう議論もありますので、ぜひこれは、私は、今回の猪瀬前知事の事件は、徳洲会グループが、特に医療にまつわる巨大医療グループのかかわりでありますので、これは実際に何が起こったかということについて、やはりしっかりと明らかにしていただかないと話が終わらない、こういうふうに理解していますが、大臣、最後までしっかり徳洲会グループの調査をしていくと、一言お願いします。

田村国務大臣 いろいろな法人があります。もとより、都道府県とも協力をしていかなければならない部分でありますけれども、これだけ大きな案件で、国民の皆様方も注目をされておられるものであります。

 医療法人という、国民に適切な医療を提供する法人が、変なお金の流れであったりでありますとか、直接、公職選挙法に触れるようなことをしておれば、これは大きな問題でございますので、しっかりと調査をさせていただきたいと思います。

足立委員 今大臣から、しっかりと調査をすると。いつごろまでにお願いできるでしょうか。

田村国務大臣 今、追加の報告を求めておるわけでございますので、これを見た上で、どうするのか判断をさせていただきたいと考えております。

足立委員 大臣、物事には一定のタイミングというのがあるので、大体、今国会中ぐらいでしょうかね。

田村国務大臣 これからの調査の、といいますか、まず報告の内容を見ないと、それによっては、またさらなる、場合によっては法律にのっとったということもあるのかもわかりません、そういう対応をしなきゃなりませんので、一概に申し上げられませんが、どこかにめどをというようなお話であるならば、夏ごろを、夏も幅が広いんですけれども、夏ごろをめどに一定の、今般の調査に関しての成果といいますか、何らかのものを我々としても判断させていただきたいなというふうに思います。

足立委員 ありがとうございます。

 国会中と私が申し上げたのは、我々はやはり開会されていないとなかなかアプローチができませんので、会期中と申し上げましたが、臨時国会もあるかもしれませんので、しっかり明らかにしていただきたいと申し上げておきたいと思います。

 冒頭申し上げた法案ですが、今回の法案、党内で最初、閣議決定の後かな、厚生労働省から説明を受けました。党内ではもう、やいのやいの、この法案は何だ、でか過ぎる、こういう意見がありました。私は担当者として、しかしと、大臣のお気持ちもおもんぱかって、内閣法制局も通ったんだから、一定の総合確保ということであり得るんじゃないかということを申し上げたわけですが、つぶさに見ると、やはり薄いなと。医療、介護の橋渡しが、こっちからも申し上げると、基金とか計画の整合性とか、あと在宅関係とか、若干はあるわけでありますが、私は、もっともっと、医療と介護は、実態的には、地域においてシームレスに連携しながらサービスが提供されていく面があると思っています。

 大臣、政党によっては、これは国会対策だ、こういう指摘もあるわけですが、ちょっと反論をお願いします。

田村国務大臣 医療と介護という意味からしますと、もう以前から申し上げておりますとおり、団塊世代が七十五歳以上になる二〇二五年というものを一つ目途に置きながら、医療・介護連携、地域で完結するような医療、介護ということで、例えば急性期の受け皿の整備でありますとか在宅、こういうものの整備、さらには地域包括ケアシステム、これは医療も介護も入ってまいります。そういうものの、今までもやってきたわけでありますけれども、しっかりとした位置づけ、それに向かっての整備、こういうものを入れ込んでおるわけでありまして、当然のごとく、地域支援事業の中で、医療・介護連携ということも入れさせていただいておるわけであります。

 それを実現するためにということで、総合確保、これにのっとって方針をつくる。国で方針をつくって、地域にそれぞれ都道府県計画をつくっていただいて、それに合わせて、これはまさに人材確保や在宅のサービスの整備であるとか、それこそ先ほど言いました地域の病院の受け皿、こういうものも含めて、新たな財政支援策というものを、それぞれ、基金というような形で配分をさせていただくためのいろいろな計画をつくっていただく。もちろん、地域の実情によって、それはそれぞれ都道府県と話し合いをさせていただく中で配分は決まっていくわけでありますが、そういうものをやっていく。

 そしてもう一つは、介護保険事業計画と医療計画、これは都道府県の地方医療計画ですね。こういうものを、今までは五年と三年ということで合わなかったものを、これを合わせていく、そういうようなものを盛り込ませていただいております。

 ただ一方で、言われるとおり、医療の第三者委員会、まさに、医療事故に対してどう対応するんだという法案が入っておったりでありますとか、あと、チーム医療の話もあります。

 ただ、これも、この医療事故の問題、調査の問題に関しましては、やはりこういう医療事故をどうやって防止していくか。防止していくこと自体が、やはり医療に対する信頼にかかわってくる、また質にかかわってくるわけでございますので、そういう意味ではやはり、これだけこれからいろいろな意味で医療と介護が協力をし合っていくという中において、医療、病院というもの、病院だけではないんですけれども、その事故を防止していくことは大変大きな観点でありますし、医療自体、強化するためにはチーム医療を進めていかないと、今日本の医療の人材の現状の中においては、なかなか厳しいところもあるわけでございまして、でありますから、チーム医療もこの中に盛り込ませていただきました。

 国会対策だという話があるんですが、本来は、これは一緒にやはり御議論をいただきたい、いただいた方が、多分いろいろな意味でいろいろなところが見えてくる。逆に、一本一本だと見えない側面が、全体で議論していただくと、違った側面の方から見ていただけるということがあるので、私は、これは一緒に御議論をいただきたいという思いがありました。

 ですから、これだけボリュームがある法案なものでありますから、大変恐縮で申しわけなく思うんですけれども、このような形で、今般、一本化して提出をさせていただいたということでございまして、御理解をいただければありがたいというふうに思います。

足立委員 理解をしました。

 まるで与党の質疑のようなやりとりでありますが、まさに今大臣がおっしゃったように、これは一緒に議論すべきだと私も思います。

 さて、では医療と介護を一緒に議論しようということで、総合確保という、総合というのは何だとか、そういう議論も本当はしてもよかったんですが、時間も、長い時間ですけれども限りがありますので、その辺は割愛をして、ちょっと資料をお配りしています。

 ページがたくさんありまして、済みません。ちょっと気合いを入れ過ぎまして、これも要るだろう、これも要るだろうと思って、そうしたら、紙がきょう朝なくなりまして、何とかそれを隣の事務所から借りてくると、今度はトナーがなくなりまして、ぎりぎり先ほど運び込んできた次第であります。

 一番申し上げたいことは、この一枚目です。足立康史、足立事務所作成というものですね。これは、医療と介護を一緒に議論しないと出てきません、こういう議論は。

 非常に簡単に書いていますので、厚労省の皆様方からすると稚拙に見えるかもしれませんが、要すれば、医療と介護というのは、源流という言葉がよくわからないんですけれども、昔、もともとどういうサービスだったかというと、個人のお医者さんが民間で普通にやっていましたよね、でも、介護はもともと措置でしたよねというようなことから入って、でも今や、今や医療は皆保険となり、介護もすばらしい保険制度ができた。

 これは、私の経済産業省の同僚の伊原さんというのがいまして、お兄さんが介護保険のチームにいらっしゃって、当時、隣の役所から、何と介護保険制度というのはすばらしいのかと。医療保険のある種、学習効果もあったんだと、いや、勝手に思っているんですよ、勝手に思っていて、非常にいろいろな観点で新しい考え方が入っているということで、私は介護保険制度というのは個人的には高く評価を、僣越ながらさせていただいていて、一方で、医療保険制度あるいは医療の提供体制には課題が多い、どうしてもなかなか直せていないことが多い、こう思っているわけです。

 こうやって並べてみると、平成十八年の医療法人の抜本改革、社会医療法人ができましたね。ここには、公益性の高いサービスを担う法人として、医療分野では社会医療法人が非課税で、介護については社会福祉法人が特養等を経営している、これも非課税です。積極的な公益性を要求されない法人として、介護では営利法人の参入を認めた。医療については、経過措置型医療法人として、法人税の課税はあるという形で、そういう経過措置型の医療法人として見直しがされ、あわせて、持ち分なし医療法人を原則とする、こうなったわけであります。

 ぱっと見ると、何か平仄が合っていないなと。何で介護は会社で、医療は、一生懸命一生懸命、会社的なるものから離れよう離れようと。

 これは、なぜ持ち分なし医療法人が原則になったか。当時の資料を読めばもう至るところに、要は、持ち分の配当は禁止しているから非営利だけれども、持ち分の解散時の分配等は認めるということで、会社でもないと。公益法人でもない、会社でもない、そういうものが医療法人だ、こう説明しているわけであります。そういう二義的な、両面のある医療法人、要は、解散時には分配もするという意味では営利性が一定程度ある、でも、配当は禁止しているという意味では非営利性もある、そういう若干ハイブリッドな法人制度が医療法人制度だったわけです。

 当時、私は、もういいじゃないか、議決権もリンクさせて、もう持ち分会社にしてしまったらいいじゃないか、こう思っていたわけです。持ち分会社というのは例えば、会社法で言う、株式がないとすれば多分、合資会社、合名会社、合同会社とか、そういう会社にしてしまえばいいと思っていたんです。

 厚生労働省は当時、もう持ち分は返上しよう、こう決められたわけですけれども、少なくとも医療、介護を並べると何か平仄が合っていないように見えますが、いかがですか、大臣。

田村国務大臣 私もこれを見て、医療法人、社会福祉法人の歴史的な経緯まで勉強しているわけじゃないので的確に答えられるかどうかわかりませんが、そもそも違いますよね、これは。

 医療の場合は、この真ん中の医療法人、今言われた持ち分がある医療法人から社会医療法人の方に、左にシフトしたものができてきたわけであります。

 一方、介護の世界は、措置のとき、左の社会福祉法人、この非営利のところから始まって、公益性の高い、つまり非課税ということですね、始まって、介護保険制度と同時にこっちにシフトしているということなので、ちょっとやはり……(足立委員「経緯は違う」と呼ぶ)経緯も違うし動きも違うという流れの中で、こういうような平仄が合っていないという部分もあるんだと思います。

 今言われたような、ちゃんと持ち分を議決権にリンクするというような方がいいじゃないかというようなお考えも委員は言われるわけでありますが、委員とは意見が合うところが多いんですけれども、ここは絶対に合わないところなんです。

 やはり、ここにも書いてありますが、事業をどう承継するか。この中で、やはり持ち分という考え方が、今、大きく弊害が生まれてきておるということでございますので、今般の法律にも絡んでくるわけでありますけれども、持ち分、できればこれからはなしという中に置いた方が事業を永続できるのではないかという流れの中で、委員が余りお気に入りになられていない方向に今動いてきておるということであります。

足立委員 私も田村大臣を限りなく尊敬申し上げているわけですが、この点だけは違うなと。多分、私の方が正しいと思うんですよね。

 大臣は、必ずしも全て詳しいわけではないとおっしゃいましたが、きょうは局長もおいでですからあれですけれども、これは今おっしゃったように、経緯と向きが違います。

 この表からわかることは、もともと医療は個人ですから、営利も非営利もありません、個人ですから。民間です、まあ営利です。営利と非営利が区別がないんだから、営利です。その民間営利個人事業であった医療が、持ち分ありの配当なしの医療法人を経て、今や原則持ち分なしよというふうに、営利からハイブリッドを経て、今や持ち分なしに行っちゃったわけです。

 ところが逆に、措置であった介護サービスは、社会福祉法人を経て、今や営利法人に至ったわけです。

 逆どころか、両方とも医療保険、介護保険なんだから、普通は、違うところから発しても、ここで一緒になればいいわけですよ。ところが、違うところから発したものが行き過ぎちゃって、医療は何か、株式会社参入論の圧力から逃げるためだと思いますが、どんどんどんどん非営利の方に、非営利を徹底させれば株式会社参入論を蹴飛ばすことができるという、その一点で、そういう措置をとってきた。

 介護保険は、さっき申し上げたように、伊原先輩を初めとしてすばらしい厚生官僚が、これからの保険制度はこうあるべきだということで白地からつくったから、当然それは競争してもらおうと。実際にそういう方がプレーヤーとしていたということももちろんありますが、逆転しているんです、行き過ぎちゃっているんです。

 同じ保険であれば、同じように平仄を合わせませんか、大臣。苦しければ、局長でも結構ですよ。

田村国務大臣 これまたやはり経緯が違うんだと思います。

 医療はそもそも、自由診療から始まって保険診療になるという中において、出来高制という流れでありました。出来高制というものは、いろいろなものをつけて、いろいろな診療報酬を取ろうと思えば、やろうと思えばやれる。もちろん、余りやり過ぎると、保険者からクレームが入ったり、監査が入るわけでありますけれども、しかし、いろいろなやり方があるのは事実だと思います。

 介護はもともと措置でありますから、株式会社というよりかは、もう決まった措置費の中で運営するので裁量性がなかったものを、保険という形で、しかも介護保険制度というのは、前から申し上げておりますけれども、出来高ではなくて、基本的には要介護認定において上限が決まるということでございますから、それでも、ないサービスをつくって出しているような事業者がたまにあって、そういうものは我々としてはしっかりと対応しておるわけなんです。

 しかし、上限というのは一人一人決まっておりますので、それ以上というものはないわけでありまして、そこに民間が入ってきても、もちろん悪いことをするところばかりじゃありませんよ、真面目にやるところもあるわけでありますが、悪いことをしようと思っても、なかなか、一定の歯どめがあってそんなに大稼ぎはできないというような、そういう制度の違いがある中において、介護の方は、これも前も申し上げましたけれども、初め、保険あってサービスなしと言われる可能性があるということで、民間のお力もおかしをいただいて、特に訪問系に関しては、民間のお力で今サービスが拡充をしてきておるわけであります。

 だから、そういう、やはり経緯が違うものでありますから、本当は一致したところでとまればいいんですけれども、こちらはさらに、先ほど言っております事業承継をどうするんだみたいな、そういう問題があって行き過ぎておるというのが今の現状であろうというふうに思います。

足立委員 通告と順番がちょっと入り乱れていくかもしれませんが、大臣、恐縮です、この点はもう明らかに、私が申し上げることがやはり合理的なんです。

 何でかというと、今、この表をお出ししました。まだ解説していない文字があります。三角のかぎ括弧みたいなのでくくってあるところに、事業承継税制なしとかありとか書いていますね。わかりますか、この一枚表。

 まさに今大臣がおっしゃられたように、当時、持ち分なしの議論をしたときに一番議論をされたのは、持ち分でやはりみんな困っていたんです。

 何でかというと、またこれもちょっと議論がいろいろあるんですけれども、要すれば、診療報酬が出来高制であり、言えば幾らでも入ってくるわけです。一方で、配当はできませんから、すると、持ち分あり医療法人の持ち分は、持ち分というか資産は、剰余金は膨らんでいくわけでありまして、その中で、例えば今、医療法人の事業承継コンサルティングをしますみたいなホームページは山のようにあります。それを読むと、必ず柱の枕言葉に、配当できないから皆さんお困りでしょうと。

 先生方、済みません。お金がない先生もいらっしゃるのはわかっています。わかっていますが……(発言する者あり)私とかおっしゃっていますけれども。

 ただ、要すれば、配当できないから、あるいは医療機器が、医療機関でいろいろな機器をそろえないといけないこともあって、やはり資産は膨らんでいるんです。すると、事業承継とか、あるいは誰か持ち分を持っている人が抜けるとかいうときに大変な問題が起こるわけです。

 そのときに、では事業の継続性が問題になるじゃないかといってできたのが、この持ち分なし医療法人。それは、株式会社参入を阻止したい人たちの、言ったら無理やりでっち上げたロジックがそれであります。

 この会社のところを見てください。事業承継税制は毎年のように拡充を続けているわけであります。具体的に、この資料でいうと二十五ページ、二十六ページをちょっとあけてください。

 これは、いわゆる非上場株式の相続税、贈与税の納税猶予あるいは軽減制度でありまして、大臣、これは当たり前のことなんですけれども、医療機関が直面している事業承継問題、持ち分問題は、当然に中小企業、零細企業、全部同じなんです。物づくりの企業、サービス企業、あらゆる事業者が事業承継に悩んでいるんです。

 私、中小企業庁にもいたことがありますが、中小企業庁の毎年の大きな政策の柱の一つは、必ず事業承継対策なんです。毎年毎年充実をさせてきて、これを見てください。平成二十七年、来年施行される拡充事項もたくさんあるわけです。抜本拡充に今入っているわけです。なぜこれを医療法人は使わないのかと私は思いますよ。

 だから、もう一回、一枚目に戻ってください。今申し上げたように、中小企業庁が財務省主税局と一緒に整備をしているこの事業承継税制は、非上場株式等持ち分なんですよ。それはそうです、株式会社じゃない会社もたくさんあります。持ち分なんですよ。でも、医療法人の持ち分だけは、厚生労働省が頑として事業承継税制の要求をしていないんです。不作為なんです。

 大臣、どうですか。

田村国務大臣 私は、厚生労働族だと思われがちですが、商工族もやっておったわけでありまして、一連のこの事業承継税制は、毎年税調で要望してまいってきておりました。

 これも、ここまで拡充してきたのはそんなに歴史が長いわけではなくて、ごくごく最近でありまして、もうとにかく、このままではなけなしの工場を手放さなきゃいけないという悲痛なお声の中で、自民党の中で議員連盟もつくってやってきたわけであります。

 そういう意味からすると、確かにおっしゃるとおり、医療の方が若干出おくれたのは事実であります。何度もこれは財務省、国税庁と議論をやって、ああでもない、こうでもない、どんな方法があるんだとやり出したのが、多分今からもう、それでも政権を失う前でしたから、もう五年も六年も前だと思いますけれども、それでやっとここにたどり着いた。

 そういう意味では、なかなか税という問題は御承知のとおりハードルが高いわけでありまして、それを乗り越えるために、これはもう私というよりかは自民党の関連の議員の先生方が大変な思いをしてここまで持ってきたということでございまして、若干遅くはありますが、そんなに何十年もおくれたというわけではございませんので、何とかこのおくれを取り戻すべく、お力をおかしいただければありがたいというふうに思います。

足立委員 御答弁はもっともで、この事業承継対策は本当にここ最近、急速に変わってきた分野だと思います。ただ、いずれにせよ、八割相当の減免等が実際にはできるわけであります。

 要すれば、この経過措置型医療法人について、事業承継税制の対策からそこだけ穴があいているものだから、彼らは当分の間、経過措置として持ち分ありと認められているにもかかわらず、事業承継や贈与、そういう問題にぶち当たった途端、仕方ないから持ち分なし医療法人に移らざるを得ない、そういう政策体系になっているわけです。

 私は、この持ち分あり医療法人について、経過措置型医療法人について、事業承継税制が、要は、ほかのあまねく会社については一定の要件のもと制度が整備されつつあるのに、ここだけ措置がゼロであるのは、厚生労働省の不作為であり、実際にこの持ち分というのは財産です。だって、実際に、今、持ち分ありの医療法人で、持ち分ありの人がちょっと抜けると言ったら、資産を当該割合で持っていくわけです。これは実際に、今の存在している財産権を侵害していませんか、大臣。

田村国務大臣 中小零細企業の事業承継税制という意味からすると、これは、ずっと持ち分といいますか株式なりがあるわけですよね、納税猶予という形にはなりますけれども。実は、この納税猶予も使い勝手が悪いというので、何度も何度も、やってから怒られながら改良してきているんですが、まだ完璧じゃないのかもわかりません。

 しかし、一方で、医療法人の場合は、これは持ち分なしにするということで、実は今回承継をしようと。ここはなかなか私からも申し上げにくいんですが、税務当局と議論をする中で、やはり医療というような、医療法人というような特殊性に鑑みながら、やはりそのような持ち分なしということが一つの要件であるねというような話し合いの中で、このような形態になってきたわけでございます。遅きに失したわけでありますが、実はそこにも大きな要因があった。

 そういうような方向性を出すという中において税務当局の方とも一定の合意を得られてきた、そういう流れもあるということは御理解いただきたいと思います。

足立委員 この持ち分なしというのが、私は、もう誰と議論してもそうです、医療界のどなたと議論しても、これはフィクションですよね、そうですと。某医師会の役員だってそう言いますよ。某医師会の役員と議論しましたら、これは賛成したんですか、いや、そのとき私はいませんでしたとか、そんな人ばかりです。誰が腹を据えて持ち分なしにする覚悟があるんですか。

 例えば、この資料二十三ページをあけてください。

 これは、厚生労働省が今回の持ち分なしに移行を促進するための移行計画をつくって、厚生労働大臣が認めた場合につくる税制です。これは大した税制じゃありません。要すれば、持ち分なしにするんだから、税が免除というか猶予される。免除されるのは当たり前です、だって贈与を受けないんだから。当たり前なんだけれども、手続上いろいろとそごが出てくるから、その一定の期間、要は、事業承継をするんだけれども来年なんだよねとか、そういういろいろな手はずがあるからその間を埋めてくださいねという、ある種、制度と制度のすき間を埋めるような制度なんです。

 ただ、この説明紙の二十三ページと打ってあるところの「有効性」のところを見てください。これは、厚生労働省がいかに持ち分なしにするかと。要は、法律に持ち分なしと書いてある、厚生労働省は、持ち分なしなんだ、こう言っているけれども、では、その経過措置となっている持ち分あり医療法人の持ち分なし医療法人への移行の意思、診療所については五%ですよ。これで、持ち分なしが原則って……。(田村国務大臣「診療所ね」と呼ぶ)

 今、大臣は診療所ねとおっしゃいましたが、もちろん私の関心は病院です。私の関心は病院ですが、厚生労働省の政策は、診療所であってもあまねく医療法人ですよね。社団の持ち分あり医療法人です。あまねくそれが持ち分なしですよ。五%は、これは整合性というか、厚生労働省として、舌をかんでいませんか。

 私はこれをとっても、厚生労働省が、持ち分なしを原則として、経過措置型医療法人なるものをつくって、当分の間、現状を認めた。これは壮大なるフィクションで、国税当局と握り、そして、持ち分ありの多くの医業を営んでいらっしゃる医療機関の財産権をじわじわと、彼らは相続のときにしかその問題にはぶち当たらないわけです。じわじわと、相続の際には持ち分を放棄せざるを得ない。苦しくてせざるを得ないような政策枠組みをわざわざつくって、真綿で首を絞めるように医療機関を次第に持ち分なしの方に持っていく。こんな政策があっていいのかと思うが、厚生労働省及び医療界がそれでいいなら、まあいいですよ。

 しかし、さっき申し上げたように、一枚目にあるように、平仄が合っていないわけですよ。大臣が、地域医療介護総合確保法案、先ほど冒頭おっしゃったように、ぜひ両方一緒に議論してもらうことによって見えてくるものがある。これは見えてきましたね。これはおかしいんじゃないですか、大臣。

田村国務大臣 与党が、また厚生労働省が、勝手にこんなことをやりたいと言うわけないんですよね。そんなの、納税猶予して持ち分なしになったらば税金要らないですよなんという制度を、わざわざそんなものを自分らで思って誘導するわけではないので、これは病院団体から強い要望をいただいて、税制要望の中で毎年いただいてきた案件です。

 委員は、病院を経営する持ち分あり医療法人、三分の一しかないじゃないかと言われるかもわかりませんが、全病院の三分の一がこれで困って病院を次に移行できないというような話になれば、もう日本の医療はがたがたになってしまうわけで、実は三分の一というのは結構大きい要望だと私は思うんですね。

 そういう皆さんの要望をいただいた上で、与党・政府が一体となって、これを何とかしなきゃならないということで今般の法律になってきておるわけでございまして、三分の二が関係ないと言っているからいいじゃないかというのはなかなか、今の日本の医療の現状を考えると、そうは切って捨てられないという中で今回の状況になってきておるということを御理解いただければありがたいと思います。

足立委員 厚生労働のみならず商工にもお詳しい大臣に僣越なんですが、私、医療関係者と議論をしても、この事業承継税制についてやはり御存じない方が多いんです、お医者さんだから。本当にそうですよ。

 だって、繰り返し言いますけれども、皆さん、あらゆる経営者が、あらゆる事業者が事業承継問題を抱えているんです。先ほど大臣もおっしゃいました。長年の大問題だったわけです。

 これは、中小企業庁等と平仄を合わせて、同じ、持ち分ありのままであっても、事業承継対策は中小企業庁と厚生労働省が一緒になってそれを講じていく手もありますよ、これが一つの案です、持ち分なしも一つの案ですと、これを並べて聞きましたか。並べて聞いたときに、少なくとも私は、多くの医療関係者に、持ち分を放棄しますか、しませんと。この数字のとおりですよ。

 なぜ、なぜ、持ち分ありの医療法人について事業承継税制を、中小企業と同様の事業承継税制を講じないんですか。

 大臣、百歩譲って、この持ち分なしへの移行に当たっての制度整備、それはやればいいですよ、そういう方もいるんだから。でも、三分の二の方のために事業承継税制を講ずる必要はありませんか。

田村国務大臣 そこで初めに戻るわけでありまして、医療法人を持ち分なしという方向に誘導しているわけですね。それは、これからは持ち分なしという形でなければならないと。

 税務当局と、事業承継を何とか、このままではだめだから、税制上何らかの優遇措置をいただかなければ病院が運営し続けられない、そういう危機的な病院がかなりの割合あるというお話で、これをいろいろと議論させていただいたときに、やはり税務当局にしてみれば、もう医療法人は持ち分なしという方向性でしょう、そういう方向性であるのに、持ち分を持ったまま優遇措置、事業承継の優遇はなかなか難しいのではないですかというようなやりとりがいろいろある中で、そんな今ある状況を勘案したときに、では落としどころはどこかということで、それならば、これならばお互いに目指すべき方向、利益というものは一致するよねということで合意を得たわけでございます。

 もとへ戻って恐縮でありますけれども、非営利性という流れの中で、もともと医療法人が持ち分なしという方向に進んでいったわけでありますので、今般、このような形の決着になってお願いをさせていただいておるということであります。

足立委員 いや、大臣、ごめんなさい、持ち分なしに行ったのは平成十八年です。今般は、それを促進するというか、制度的な不備を直すというだけの話ですね。

 私が問題にしているのは、十八年の判断は間違っていませんかと。当時は医療だけしか見ていなかったからわからなかったけれども、地域医療介護法案としてこうやって横に並べるとおかしいと思いませんかというのが私の質問なんです。

 ちょっと一回休まれて、局長に。

 局長、どうですか、これはおかしくないですか。

原(徳)政府参考人 平成十八年のときに、やはり非営利性を徹底する、そういう趣旨で、方向としては持ち分なしの医療法人へ行くということを、議論の末に決めてきたわけであります。そういう中で、今、承継税制もそういう方向の中で、今回、持ち分なしへの移行についての措置を考えているところでございます。

 また、医療と介護は、先ほど大臣からも触れましたけれども、医療につきましては、要するに上限がないといいますか、当然ながら、医療の必要に応じてサービスを提供していけるという保険制度上のそういうものがあるのに対して、介護保険は、例えば上限が決められている、そういう、世界が違う形でサービスを提供していますので、そこの中であって、全ての形態が同一でなければおかしいというふうには考えてはいないところです。

足立委員 先ほどの大臣の御答弁も含めて、出来高制あるいは上限がない、この話は実はもうちょっとちゃんとやりたいんですが、今の話、十五ページの資料、これは営利、非営利ということで、かつての判例も含めて書いてあります。

 営利法人の定義、この「そもそも、」というところの判例ですね、アンダーラインが引いてあるところ、「毎年利益配当しない場合であっても解散時にまとめて社員に残余財産ということにして分配することを契約しているならば、」普通、持ち分ありの医療法人はこうです、「法人形態として営利法人と違いがない」と。

 こういう判例もあるから、どんとジャンプして、その下の方に移ると、「医療法人について、「社員の出資額に応じた払戻し」が認められることは、医療法人における非営利性の確保に抵触するのではないかとの疑義が生じた。」疑義が生じた、だから非営利性の徹底、こうなるので、理由が書いていないんですよ。

 要は、抵触したら、その条文がおかしいんだから直せばいいわけですよ。なぜ非営利性がそんなに大事なのか。

 そこで、先ほどの、上限がないとかそういう話になるんでしょうが、一般質疑等でも再三申し上げてきたように、そもそも、では、今の医療は非営利であることによって医療費を管理できていますか。局長、できていますか。

原(徳)政府参考人 ちょっと御質問の趣旨がよくわからないのですが、管理ができているかというのをもう少し、どういう意味か教えていただけたら。

足立委員 要は、医療費を抑制、際限なく医療費が伸びていくと、これは財源がもたないですよね。だから、医療費を適正な形で管理していくのは厚生労働省の、まあ医政局長の仕事ではないかもしれませんが、大臣、これは大事なことですよね。

 提供体制のところを非営利にすることによって、この後、徳洲会とかにまた戻るんですが、それが管理できていますか。

田村国務大臣 それは、完全に管理できていれば監査に入る必要もないわけでありますし、保険者がいろいろな問題提起をする必要もないわけなので、個々においては適正な診療だと医療機関が思っていても、それはそうでないという場合で、いろいろな対応はあるというふうに思います。

 ただ、株式会社が入った場合とそうでない場合ということを考えると、これは前も申し上げましたけれども、株式会社は基本的には株主に対して配当をしなければならないわけでありまして、場合によっては、株主を満足できなければ経営者は解任をされるわけであります。

 そう考えたときに、やはり常に、制度上、制度上といいますか形態上、利益を上げなければならないというような形、そしてそれを分配しなければならないという制度になっておりますので、どうしても利益を上げる方向にインセンティブが働くがために、完全な不正とは言わないまでも、これをやらなくてもいいのかもわからないけれども、ここまでやった方が、うちも入るし、患者の方も今までよりも悪くはならない、ちょっとはよくなるというような、そういうさじかげん等々の中において医療費が伸びていくというおそれは、これはもう株式会社という形態に内在はしておるんだろう。

 もちろん、全ての株式会社がそんなことをやるとは、私は言っておるわけではありません、形態に内在しておるであろうと。

 一方で、非営利という形からすれば、そういう形態は内在していない。だからといって、悪いことをする、そういうような医療法人も事実あるわけでありますから、だから絶対に悪いことはしないとは言いませんけれども、形態的にはそもそもそのような内在しているものが違うんであろうということであろうと思います。

足立委員 私は、先ほどフィクションと言いました。要は、当面、持ち分あり医療法人のままとどまるものが大宗であるにもかかわらず、持ち分なしを原則とするというそのこと自体が大きな大きなフィクションだと思っていますが、加えて今の、非営利であれば利益が漏れていかないんだ、これも私は壮大なるフィクションだと思っています。

 例えば、もう紙は見なくても結構ですが、二十七ページ以降に明治安田の紙を載せています。要は、非営利法人であっても幾つかの形で利益が外へ漏れていく。非営利性が侵食されると彼らは言っていますが、例えば二十八ページ、これは何度もやっています、MS法人を通じた配当ですね。それから二十九ページ、これは土地建物の流動化を通じた流出であります。

 私は、これまでの一般質疑では、この点について、例えば原局長から、世間の相場ならいいんだ、こういう御答弁で、私も引いてきたわけですけれども、きょうは、これは引きません。きょうから法案審議ですから、真剣度が上がっていますのでね。

 本当に医療法人が非営利だというのであれば、その取引先に、本来医療法人としてできるようなものを、例えば病院の建物を持っていてもいいですね、それを流動化して外に出す。外に出すと、必ずそれは営利事業体が受けているわけですから、利益が出ますね。彼らは利益を出すのが仕事ですから、大臣がおっしゃるように。その利益を積んでやっているわけでしょう。それは、その利益分が外へ流れ出していますよね。

 例えば、私は経産省にいたのですぐそういう話になるわけですが、これも何度かやりました、トップランナー制度というのがあるということを御紹介したことがあると思います。トップランナー制度の紙を十二ページに、大臣、これはぜひ見てほしいんですよ。十二ページの左下に、トップランナー方式の例ということで、省エネ、自動車の燃費のことを書いています。ある基準設定時に、トップランナーの効率、このレベルを目標年度の最低の基準にするんですね。これがトップランナー方式です。

 診療報酬はボトムランナー方式です。かつ、この診療報酬というのは、もう時間がないので急がないといけないんですが、これは丼なんですよ。

 例えば医師会なんかも、これは九ページの日本医師会の主張、右側の二段目、診療報酬には再投資費用が明確に含まれていない云々という記述があります。そもそも、診療報酬というのは出来高制だという話がありましたが、診療行為について点数がつくだけなんです。いわゆる再投資についてはつきません。これは、経営者がそれをしっかりやっていくしかないんです。だから、もともと診療報酬というのは丼なんです。この丼である診療報酬でばたばた倒産されても困るから、ボトムランナー方式で公定価格を決めているのが診療報酬なんです。

 何度もこの場でやりましたが、経営力のある法人は必ず剰余金がたまります。大規模であれば、なおたまります。規模の経済、範囲の経済が働けば、なおたまります。行き場がないんです。

 その行き場はどうなっているかというと、先ほど御紹介をしたような、明治安田と言って御紹介をしたような、二十八ページのような形で流出をしているんです。本当に非営利だということであれば、MS法人を認めてはいけないし、さらに言えば、薬局も非営利にすべきだ、こう思いますが、大臣どうですか。

田村国務大臣 ちょっと整理をさせていただきたいんです、なかなか難しいお話をされているので。

 まず、MS法人というものは、何か商行為をしているわけですね。ですから、そこで適正な価格でやられている限りは、MS法人を使わなくても、他の経営者主体の企業に利益というものはちゃんと行くわけでありまして、それが適切な金額であるかどうかというのは大切であります。

 たまたまそこに、同じ運営者の方がつくった会社があるとしても、そこは商行為という労働があるわけなので、それに対する利益というものが、他の事業主体の企業に移った場合でも同じように利益が行くわけでありますから、そこまではやはりなかなか否定できないのである。そこで何か不当に高い金額、安い金額か……(足立委員「両方あります」と呼ぶ)両方ともありますね。要するに、利益を移すような行為があれば、それは問題だということで、前々から言っておるわけであります。

 それから、病院等々、ボトムランナーというお話がありましたが、診療報酬は、確かにおっしゃるとおり、医療経済実態調査を踏まえて、病院等々、診療所が運営できるような形の部分で、上げ下げという部分もあるわけであります。もちろん、それ以外にも、そのときの医療ニーズ、さらには政策的な部分、こういう部分で診療報酬をつける部分がありますから、必ずしもそれだけではないわけでありますけれども。

 そう考えたときに、この出し方は、それぞれの事業規模、例えば病院なら病院の規模、規模別、それから診療所、有床診、それぞれ分かれております。その上で、その中は平均で出しておりますから、そういう意味では、ボトムという意味ではなくて、平均で対応いたしておるわけであります。

 それは、中には、潰れる医療機関も最近はふえてきておるということでございますから、潰れるところもあると思いますし、一方で、剰余金を出すところもある。剰余金を出すところは、本来は、やはりちゃんと医療的な投資をしていただいて、さらによい医療を提供いただくというのが医療法人のあるべき姿でありますし、多くはそうしていただいているんだろうというふうに思うわけでございます。

 そういう意味からいたしますと、MS法人というのは、確かに、同じ運営者という形からすれば、委員には、利益が漏れたというふうに映るのかもわかりませんが、これは、他の企業であっても同じだけのものが出ていくということで考えれば、そちらの側面から考えれば合理的であるというふうにも見えるというふうに思います。

足立委員 私が、MS法人を禁止すべきだ、仮に非営利だというのであればですよ、仮に非営利だというのであればMS法人も論理的に破綻すると申し上げているのは、大臣が今おっしゃった、系列のMS法人に出すか、また別の事業者に出すかの比較でありますが、私が言っているのは、医療法人で本来やっていた事業を外に出すと、例えば、病院というのは、病院の建物、これは自分のところで持っていらっしゃるところが比較的多いのか少ないのかわかりませんが、持っています。ところが、だんだん資金的に融通がきかない、要は、資金調達の一環として、これを流動化といって、言ったら外の方に持ってもらってリースバックする、こういうことがありますね。

 そういうふうにすると、その建物の、先ほどSPCと書いてあった紙ですが、必ず利益が出ます。そうすると、利益は流出していますので、その二つの比較、自分の中でやっている、その当該事業を医療法人の中でやっているのと、MS法人に出すのと、これでは利益分が外へ出ているでしょうという話です。

 この点については、かつて、この場で原局長に、そもそも医療法人は何をやらないといけないんですかと。いやいや、それは医業に差し支えない範囲であれば何を出してもいいんだ、そういう類いの、そういう傾向の、そういう内容の御答弁があったと思いますが、これは明らかに、この二つを比べれば、利益は外に出ていますねと申し上げているんです。

田村国務大臣 ヘルスREITみたいな形のことをおっしゃられておられるんだと思いますが、この場合、資産を流動化しただけの話であって、それで入ってくる、仮に現金といたしましょう。それは、賃料をずっと払っていくわけでありまして、賃料を払っていくものを一旦現金化したというような形であろうと思いますから、それをどう考えるかというのはまた別の話なんだろうなというふうに思います。

足立委員 ちょっと全然わからないんです、別の話って、何が別の話かわからないんですけれども。

 自社ビルを持っていれば、要すれば、その減価償却というか、そのビルは自分が持っているわけですよ。でも、それを、例えば何とか何とかREITとか、あるいは何とか不動産とかに売っ払ってしまう、すると、彼らはそこに利益を乗せて賃料設定をしてくるんですよ、リースバックするとね。賃料は、彼らの利益が乗った賃料になってくるわけですよ。その利益は流出していますね、自分で病院を持っているのに比べたら利益分が外に出ていますねと言っているんです。それは事実としてそうでしょう。

田村国務大臣 リース料に利益を乗せて払っているという意味合いですか。それは、ある意味、委員が以前言われた、融資を受けたものに金利を乗せているのと同じ話で、資金を調達するためのコストであると考えられるわけであります。

 だから、それを利益の流出と考えるかどうかというのは、まさに、医療法人の利益というものを、株主配当で出すのがいいのか、それとも、融資だとか今のヘルスREITみたいな形で賃料で出すのがいいのかというのは、どこが違うかというと、多分、ヘルスREITで利益を出して、要するに賃料としてもらわれた側は、病院に対しては支配権がないわけであります。しかし、株式の場合は、それぞれ株主が支配権を持っておるわけでありますので、そこでもうけるためのいろいろな行動をするおそれがあるということでございますから、それに関しては、我々としては、そういうものは余りよろしくないということで、持ち分なしというような方向性を打ち出しておるわけであります。

 ちょっと考え方が、若干、会社に対しての支配権みたいな形の中でずれておるのかなというふうに私は思いますけれども。

足立委員 私と大臣がずれているだけじゃなくて、いわゆる世間の、一般の常識に私は乗っていまして、大臣がその世間の常識から若干、本件については、ずれているかなと。

 まことに僣越なことではございますが、この二十七ページに、非営利性の侵食が想定される現象ということで、実質配当行為ケースとか営利企業に実質的に支配されるケースとかを書いています。だから、これは実際、別に株式で支配されなくても、例えばある会社が、お金がもうないんだ、本当に苦しいんだと、某地銀からお金を借りました、人も一人入れました。これは、実質的には、その銀行の言うことを箸の上げ下げまで聞かないといけないようになっている病院はたくさんありますよ、今でも。それは実質的に支配されているんです。

 だから、私が申し上げているのは、本当に、非営利、非営利、非営利と、特にこの医療の分野で、これだけ設備投資もする、特に、その設備投資や、病院の建てかえ、そういったことについては丼勘定で、そもそも診療報酬で手当てをされていない。明らかに経営の中で処理をされている。やっていることは、営利事業と全く同じことをやっているんです。

 それを、この範囲は医療法人の中でやりなさいよというような規制が全くないわけです。何ぼでも外へ出せるわけです。医療行為だけ中でやっていればいいんです。全て外に出せばいいんです。それは、規律として成立していないでしょう。

 大臣は、ううんという顔をされていますが、原局長、これはそうでしょう。原局長は、足立さんの言うとおりだな、こう思っていらっしゃると確信をしますが、イエスかノーか。

原(徳)政府参考人 どうしても意見の相違になるんですけれども、非営利である、要するに、事業活動を行う上で必要なものを、例えば利息を払うとか、そういう当然なものは、必要なものとして当然、お金の移動としてはあるというのは、この前からもお話をしているところです。

 ただ、一番根本のところは、医療を営利の目で見ると、先生がおっしゃるように、いろいろと工夫する余地があり過ぎるといえばあり過ぎるわけです。だから、逆に言うと、非営利ということを徹底しないと医業全体がうまくいかないというふうに考えているわけです。

足立委員 本当に、原局長、申しわけないですけれども、違うんですよ。営利になると何でもできちゃうと言うけれども、今は何でもできますよ、医療は。それに、医療法人は非営利だという大きな大きな、何かバリアというか、何かテーゼを、テーゼというか看板を、非営利ですという看板を張っておいて、さあ、会計基準もない。まあ、できましたけれども。では、開示もしない、それで社福のような丁寧な監督もない、自由にみんな営業というか医業を営んでいる、幾らでも外にアウトソーシングができる、利益を乗せてアウトソーシングができる。

 きょうはこの一枚目にまた戻るわけでありますが、なぜ、そんな世界を、無理やり看板だけ持ち分なしと言う必要があるんですか。大宗の医業を営んでいらっしゃる方は、事実上会社を持ってやっているんですよ。医療法人でやるのは、それは医療行為だけやっていればいいわけです。これからイメージングセンターとか、あるいはいろいろな機器も要る、いろいろな建物も要る。全部やっていますよ。

 もう時間がありませんが、通告の中で、私も勉強不足なんだけれども、何か、かつて徳洲会グループ、この例は本当に悪いことをしている例だと思いますが、私が言っているのは、合法的に利益が流出しているじゃないかということをきょうはずっと言っていたわけですが、そもそも厚生省から見てもおかしなことをやったケースがあると聞いています。

 徳洲会とセコム、これはどういう対応になっていますか。

原(徳)政府参考人 まず、徳洲会グループにつきましては、平成十六年に、当時の特定医療法人徳洲会に医療機器を納入している系列企業二社が、医療機器のリース代を通常より高くして、利益を外部に移転したということは把握しております。これに対しましては、近畿厚生局及び九州厚生局において立入検査及び改善指導の対応をとったところでございます。

 また、二点目のセコムにつきましては、いろいろと御指摘があることは承知しておりますが、この事例に関して具体的な対応を行ったことはございません。

足立委員 まず一点目の徳洲会については、これは誰が摘発というか、事件を掌握しましたか。国税ですよね。厚生省は何をしましたか。

 それから、セコムはなぜ対応していないんですか。

原(徳)政府参考人 徳洲会の件に関しましては、国税局から指摘を受けたということであります。

 また、セコムにつきましては、これは医業経営の非営利性等に関する検討会の参考資料として出された資料の中に一部そういう記述があったというふうに聞いておりまして、具体的に私どもで把握したわけではないということであります。

足立委員 セコムが医療に参入しているというのは、恐らく常識だと思います。ただ、自分でやっているんじゃないんです。実質的に医療法人なり病院なりを支配しているんです。そういうケースはたくさんこれから出てきます。

 セコムについてはよく知りません、それから徳洲会の事件については国税ですと。厚生労働省は大丈夫ですか。非営利、非営利と言っていますが、私がきょう指摘した、少なくとも局長がおっしゃった世間の相場から外れているものでさえ、厚生省はそれを取り締まる体制も知識もノウハウも見識もない。

 そこに加えて、私がきょう申し上げた、そもそも合法であっても、そもそも世間の相場であっても、あまねく医業にまつわるさまざまな事業を外へ出せば、利益は際限なく、利益は相当大きな形で、営利法人の配当等の形で外へ出るんです。閉じていないんです。これは、局長、そうですね。

原(徳)政府参考人 繰り返しの答弁になりますけれども、医業の活動に必要なものについては、正当な対価を払って、その分が受ける側の利益になることは当然あるわけですけれども、医業の中から配当という形の目的でやることについてはお断りをしているということでございます。

足立委員 もう時間が来ました。

 繰り返しになりますが、規制がないんです。規律がないんです。規範がないんです。幾らでも医業について、医業にまつわるサービスについて、外へ出ます。それは、かつて局長もおっしゃいました。

 私は、この点について、この法案の審議中、毎回これをやり続けますので、必ず、この営利性、非営利性、持ち分の話は、平成十八年の政策を変更していただいた上で賛成したいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございます。

後藤委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。

 足立委員の熱い質疑に続きまして質問させていただきます。ぜひ、柔軟な御答弁をお願いしたいと思います。

 まず、私は、特別養護老人ホーム、そして認知症とのかかわりについて質問をさせていただきたいと思います。

 認知症の方がどこに現にいらっしゃるのかという質問を、以前、四月二日の委員会でお聞きいたしました。そのときの御答弁は、まず、これは数え方によりますけれども、厚労省の一つのカウントの仕方として、全国で二百八十万人の認知症の方のうち、居宅、つまり在宅の方が百四十万人、およそ半分いらっしゃるということでございました。多くの方が家でお過ごしだということなんです。

 先ほど民主党の柚木委員からも、一昨年の統計として、行方不明の認知症の方が一万人に上る、そして、そのうち、行方不明のまま、あるいは亡くなられた方が五百五十人というような報道がなされていることを取り上げていらっしゃいました。

 同様というか深刻な問題といたしまして、これは昨年八月に名古屋地裁の判決が出ました、JR東海の線路の中に認知症の方が入られて、その方がはねられてお亡くなりになりました。その上、その地裁判決におきましては、家族が見守りを怠ったということで、遺族に対しまして七百二十万円の賠償を命じた。この介護をされていた奥さんの過失は、まどろんで目をつぶり、夫から目を離していたというようなことで、本当に一瞬目を離したすきに線路の中に入ってしまった。その責任を遺族の方が多額の賠償金という形でとらなきゃいけない。本当にこれは深刻な問題です。

 ほかにも、これまで、新聞報道によりますと、過去八年間で、同様に列車にはねられて亡くなった方が百十五人に上るというような数字もあり、実際には隠れた数字もまだまだあるんじゃないか、こういうことがございます。

 そこで、まず、認知症の方が在宅に半分ぐらいいらっしゃるということですが、さらに、家族の方が見守ることができる状態ならまだしも、独居の老人という状態である、その状況、独居率というのがどのぐらいなのかということをちょっと事務方にお聞きしたところ、把握していないというような話をきのう伺ったんですが、これは何とか把握していただけませんでしょうか。非常に深刻な問題だと思いますので、いかがでしょうか。

原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。

 認知症の方で独居の方の割合ということで、議員の方からお話ございましたように、厚生労働省として全国の数字を把握はしておりません。

 ただ、お尋ねもございましたので、手元にあるデータとして、都内のある自治体が、実際に地域の中で独居の認知症の方がどのくらいいるかということをマップ化して把握したものがございましたので、それをちょっと参考までにお答えを申し上げますと、これは認知症の生活自立度二以上の方、要介護認定を受けている方という前提で、さっきの二百八十万人に対応するものでございますけれども、大体約三割程度がその自治体では該当した、独居の方がいらっしゃったという統計がございます。

 ただ、これは確かに、地域によって、いろいろ地域の状況も違いますし、あるいは高齢化の進捗状況も違いますので、全国、全体がどうなっているかということについては、これだけで判断はできないわけでございます。

 私どもとしては、今、全国で日常生活圏域ニーズ調査というようなことを、介護保険事業計画を策定する上で、全国でやっていただくようにしております。あるいは、それ以外にも、この東京都の自治体のように、独自にいろいろ調査をしているようなケースもあろうかと思いますので、全国の状況の把握については、場合によっては推計ということも含めて、どういうことをどういうふうに把握できるのか、ちょっと検討させていただきたいと考えております。

重徳委員 ぜひ前向きに把握に努めていただきたいと思うんです。

 これはケース・バイ・ケースかもしれませんけれども、一緒に同居して、見守る義務を怠ったというような判決が出るぐらいですから、そもそも、ひとり暮らしにさせておいたということ自体、家族としての責任を放棄したんじゃないかとか、いろいろなケースがこれから出てくる可能性があると思いますので、まず実態把握というものをきちんと正確に行った上での対策を考える必要があると思います。

 その上で、私は、前回から議論をさせていただいておりますけれども、認知症の要介護度認定については低目に出る傾向があるというふうに申し上げてきておりまして、これを適正化する必要があるんじゃないかと申し上げてまいりました。

 つまり、本当に在宅介護が可能な方は在宅でもちろんいいわけなんですけれども、そうじゃなくて、やはり施設で、二十四時間きちんとした認知症のケアができるところでお世話になる必要がある方には、きちんと施設の介護を受けることができるように、今の法制度の運用をきちんと行う、これが本筋だと考えております。

 実際、認知症の要介護度については、その時々で状態が違ったり、人によっても、同じ認知症といっても随分症状が違います。それから、御家族の説明と本人の自覚というのはまた違っていたりとか、いろいろなことがあるものですから、今まで何度か御答弁いただいてきましたが、これまでの御答弁をおさらいすると、介護認定の一次調査の結果が二次判定において変更されているのが一三・五%あるという御答弁も以前いただきました。

 それから、適切な要介護度判定への対策としましては、認定調査員の研修の充実によりまして、全国できちんとした水準の認定ができるように技術を上げていくんだと。あるいは、実際に、全国五十の自治体に昨年度聞き取りを行った結果、認定調査員が特記事項を記載する場合の視点を国として指導助言する必要があるとか、基本調査項目、七十四の項目の選択に迷った際には、その趣旨がわかるように、迷ったよということがわかるように具体的に記載をしていただくとか、そういったことを周知徹底するんだ、こういうことを厚生労働省として行っていくという御答弁でした。しかし、これでどれだけ適正化できるかということは、必ずしも定かではないと思います。

 それから、要介護度認定がおかしいんじゃないか、要介護度がもっと高いんじゃないかというようなことについては、不服申し立てとか区分変更申請を行うこともあるわけですが、その申請の内訳も厚労省として正確に把握していないということだったので、それも、認知症に係るものがどのぐらいあるのかということについても、把握をしていただけるようにお願いをしましたところ、市町村の事務負担の問題はあるものの、検討するという御回答もいただいております。

 このように、状況をより正確に把握して改善していくというのは当然の努力だと思うんですが、結局、私が思うに、あるいはいろいろな方から聞いたところによりますと、認定調査員の個性といいましょうか、経歴あるいは経験年数によって、やはり多少、認定の仕方が違ってきてしまう。本人の話と家族の話が食い違った場合にどう判断するのか、これは相当ベテランの方でないとわからない部分もあるというふうに思います。

 そこで、田村大臣に改めてお伺いしたいんですが、認知症の要介護度認定を適正化、これは絶対しなきゃいけないと思うんですが、現在の一次、二次という判定の制度に加えまして、バックグラウンドの違う、経験年数の違う、そういった認定調査員による、いわばセカンドオピニオンのような、そんな仕組みを導入するというようなことが必要ではないかと私は思うんですが、適正化に向けて、どのような工夫が考えられるかということについてお願いします。

田村国務大臣 もちろん、認知機能に着目した項目でありますとか、認知症の方々の伴う行動、さらには心理症状みたいなものをしっかり勘案いただきながら認定調査をしていただくわけでありまして、大原則は、先ほど委員がおっしゃっておられるみたいに、しっかりと、質を一律にしていくといいますか、ちゃんとした認定調査機能をそれぞれの調査員の方々が持っていただけるように、研修も含めてこれは進めていくということであろうと思います。

 区分変更の申請は比較的簡単にできますので、これは有効期限の間ならば出せますから、不服の申し立てはちょっと手間がかかるという話でございまして、それよりかは、そういうような形で、もう一度、認定調査していただくのがいいんだろうというふうに思います。

 ほかにどういうことが考えられるか。そのセカンドオピニオンというもの自体がどう機能するのか、ちょっと私もそこに関しては分析もいたしておりませんし、本当にそれが、どのような人材が、どのような形の中で、どのような状況でやるのがいいのかというのはコメントできないわけでありますが、一つは、主治医等々に関して、やはりサポート医をふやしていく。サポート医ならば、一定の認知症に対する症状というものは御理解を当然いただいておるわけでございますので、専門家からの、主治医からの意見という中において、ふだんこういう状況であるということは伝わるのであろうなというふうに思います。

 今、サポート医の養成もいたしておりますので、そういうことを含めて、今言われたような認知症に対する認定のばらつきというものをさらに減らしていく努力はしてまいりたいと考えます。

重徳委員 非常に重要な、しかも深刻な事態に至る、もう国家的な課題だと思いますので、これは、きちんとした精度を確保するための仕組みという意味での制度、これも、もっともっとブラッシュアップしていかなければならないと思っておりますので、この辺ももう少し詰めていきたいなと思っております。

 次に、特養への入所者の問題なんですけれども、今回の法案におきまして、特養への新規入所者は、原則、要介護度三以上の高齢者に限定するという方針がとられております。

 今、特養の入所者がどうなのかということについては、現状でも要介護度三以上の方が九割ということであります。もちろん、それを待っている申込者を見ますと、要介護度一、二の方が三割ぐらいお見えになるということですが、実は入っているのは九割が三以上という状況ですから、言ってみれば、今でも重い方がよっぽど優先されていて、今回のルールは後追いのような、追認といいましょうか、そういった面があると思います。

 一体、厚労省はこの先何を目指しているのかというのが、ちょっといま一つそういう意味ではわからない部分があるんです。つまり、九割が三以上ですから、残りの一割の要介護度二以下の方を本当にゼロにするんだということかというと、そこは、要介護度二以下であっても、やむを得ない事情により特養以外での生活が著しく困難であると認められる場合には特例的に入所を認めるということで、そういう道も開かれているということなので、結局、今回の方針に基づいて、どういう変更があるのかというのはよくわかりません。

 二以下の方をゼロにするのが本当にいいのかどうかということももちろんあるんですが、こういうことをつらつらと考えてみると、この重点化というものを実効あらしめるために、これは少し邪推が入るんですが、要介護度二以下の方の点数を下げるようなことをして、事実上、特養として二以下の方は今以上に受け入れたくないなというようなインセンティブといいましょうか、そんなようなことがないのかどうか。

 こういったことを邪推してみたりもするんですが、今後、点数についてどのようなお考えを持っているのか、この辺、御見解をお示しください。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の特別養護老人ホームの見直しにつきましては、議員お話ございましたように、非常に入所を望む重度の要介護者が多数待っておられるというようなことから、限られた資源の中で、より入所の必要性の高い人が入所しやすくなるように、在宅生活が困難である中重度の要介護高齢者を支える施設として機能を重点化していきたい、こういう趣旨でございます。

 確かに、平均では大体全国で一二、三%ぐらいになっていますが、割と地域差もございまして、その辺、常に入所判定は公正中立に行われなきゃいけないと思っていますし、また、そのように努力はされていると思いますけれども、こういうふうに制度上明確化することによって、よりそういった中立公正な判定にもつながっていくということを期待しております。

 また、そうはいっても、実際に、やはり要介護一、二の方でも、どうしても特養に入らざるを得ない、在宅ではなかなか生活できないという方も例外的にはいらっしゃいますので、そういう方については認めていきたいというのが今回の改正の趣旨でございます。

 それで、御指摘のありました、要介護一、二の方の報酬を下げるというのが何か動機じゃないかというような御懸念がございますけれども、私どもとしては、そういう問題意識は全く持ってございません。

 ただ、特別養護老人ホームに係る介護報酬の問題につきましては、これは平成二十七年度介護報酬改定に向けまして、今後、社会保障審議会介護給付費分科会において御議論いただくことになっておりますので、現段階で私どもの方から具体的にどうだこうだというようなことについては差し控えさせていただきたいと思います。

重徳委員 この辺は介護報酬全体の中でもまた議論させていただきたいと思います。

 それから、特養に関するもう一つ問題としまして、特養の入所者が、入所した状態から病気になってしまって、病院に行かざるを得なくなってしまう、入院をします。そうすると、退院するまでの間、特養としてはベッドがあく状態なわけですね。

 ですが、あいたからといって、また戻ってくることが前提なものですから、そこをほかの方で埋めちゃうということは施設側としてはできないということでありまして、そうなると、特にこれから重症者の方を重点化するということになると、一たび病院に入ると長くなることがあるとか、そういうことも懸念される中で、あけた間の収入が、施設としては、特養としては全く穴があいてしまうということになります。

 それから一方で、その方、本人が入院をしました、でも別にダブルで払っているわけじゃない。つまり、特養と病院と両方にお金を払っているわけではないので、病院から、もうちょっと様子見ましょうかといったら、念のためもうちょっと入院させておきましょうというようなことで、入院期間も長くなる。逆に言うと、退院するインセンティブがないというような状況で、そうなると、医療費も余計にかかるわ、それから、待機している方が別に入れるわけでもないわということで、その地域の医療・介護資源の有効利用という観点からすると、全く誰のためにもなっていない、こういう状況ではなかろうかと思います。

 このような観点から、これは一案なんですが、病院からの早期退院をある意味促す、むちゃくちゃをやるわけにはいきませんが、よくなってきたんだからそろそろ戻りましょうということを適切に行う、これを促すためにも、その空きベッドの維持コストを、キープしておくことに対しまして、一部でもいいから御本人の自己負担を導入するとか、何かしらこの状況を解消する仕組みが必要なのではないかと考えるんですが、大臣のお考えをお願いいたします。

田村国務大臣 特別養護老人ホームに御入所されておる高齢者の方々が、何かお体が、急性期、悪くなられて入院される。三カ月以内であれば、原則、これは出られたときに特養に戻っていただくということになるわけであります。

 その間どうするんだという話でありますが、今現状、外泊時費用というのがありまして、二百四十六点といいますか単位であるわけであります。ただし、これは一月六日間、月をまたげば十二日間という話でございますから、すると、二千四百六十円にそれを掛けて、十分な費用として、一室あけている特養の運営者の方々にしてみれば、これは十分に運営するのには足らないではないかという御議論があることは承知をいたしておりますが、今はそういう状況であります。

 それで、今の委員の御提案からすれば、契約の中で、そのような場合、つまり、そこの特養の部屋を一室それでもずっと借り切っているわけでありますから、費用を取れるというふうな契約を結んでおれば、それは費用を徴収することができるということになっております。

 あわせて、今、御本人の同意を得ることはもちろん前提でありますけれども、あいている間、計画的にショートステイで貸し出していただけるということになっておりますので、ショートステイ等々で、帰ってこられるまでの間御利用いただきながら、運営者にしてみれば、収入を得ていただいて、運営の費用に資していただく、このような形の中で現在対応をいただいております。

重徳委員 任意の契約を結ぶことができる、それはそうなんでしょうけれども、そこの仕組みがきちんとできていないと、誰にでも同様な対応ができないわけですから、そういった点を、これもまた実情をしっかり把握した上で改善をしていく必要があると私は思っております。

 繰り返しになりますが、要介護度三以上というふうに重点化すると、やはりそれだけ、重症というか、一たび病気になれば重い方も多いわけですから、一度にインフルエンザにばっとかかってしまって皆さん出ていかれるとか、本当に施設の運営も不安定化するということもありますので、そういったことについて、またこれは引き続き議論が必要なことではないかと考えております。

 それから次に、先般、四月十六日に規制改革会議が、社会福祉法人の社会貢献ということについて提言をされました。

 具体的に文面を少し見ましたが、「内部留保の明確化」というような項目の中で、「一部の社会福祉法人の巨額の内部留保が問題となっている。厚生労働省は、内部留保の位置付けを明確化し、福祉サービスへの再投資や社会貢献での活用を促すべきである。」このような記述になっております。

 「一部の社会福祉法人」と書いてあるように、内部留保は、批判はもちろんされておりますけれども、団体によって相当な差があると思いますし、実際に、減価償却とか施設更新の資金とか、そういう形で、必要不可欠な、常識的な内部留保もあるとは思います。その意味で、一言で「一部の社会福祉法人の巨額の内部留保が問題となっている。」というのも、どういうふうにラインを引くのかということも一つの課題だとは思います。

 そういうことを前提といたしまして、今回言われておりますところの社会貢献というのは一体どういうイメージなのか。

 例えば、施設が、全然違う、奉仕作業みたいなことをするというのもないわけじゃないでしょうけれども、例えば、特養であれば、その専門性、その施設の性格からいって、要介護の、ある意味、点数の低い方であっても、それを受け入れてお世話をする、こういうことも一つの社会貢献と言えるのではないかという感もありますけれども、この規制改革会議の見解に対しまして、厚労省としてはどのようにお考えでしょうか。

岡田政府参考人 御指摘のとおり、四月の十六日に、社会福祉法人に対します社会貢献活動の義務化などを含めまして、規制改革会議の意見書が公表されたというふうに承知しています。

 規制改革会議の意見書におきましては、社会貢献活動を具体的に例示されておりまして、生活生計困難者に対する無料、低額の福祉サービスの提供、生活保護世帯の子供への教育支援、高齢者の生活支援や人材育成などというような具体的な例示がされているところでございます。

 社会福祉法人につきましては、公益性の高い社会福祉事業を主たる事業とする非営利法人でございます。低所得者でありますとか生活困窮者などに一定の規制のもとで事業を実施していただいておりますし、地域の福祉ニーズに対応することが求められているということでございまして、これらに対応するため、補助金であるとか税制上の優遇などを受けているということでございます。

 厚生労働省といたしましては、社会福祉法人が地域のネットワークとしてしっかり役割を果たしていただくということで、規制改革会議で御指摘のありましたような地域貢献活動のほか、地域に不足しておりますサービスであるとか、低所得者であるとか重介護者への重点的な対応など、地域で真に望まれるサービスが実施されるような、必要な制度見直しを行っていく必要があるんじゃないかというふうに考えているところでございます。

 具体的な方策につきましては、現在、厚生労働省に、有識者や関係者にお集まりいただきまして、社会福祉法人の在り方に関する検討会で議論を進めさせていただいているところでございます。規制改革会議の御意見も踏まえつつ、引き続き検討していきたいというふうに考えているところでございます。

重徳委員 社会貢献のことについてはわかりましたが、内部留保についての御見解はございますでしょうか。

岡田政府参考人 内部留保も、そもそもどういうふうに捉えるかという問題もございます。

 これにつきましては、会計基準を、従来は社会福祉の各事業ごと、例えば高齢者の事業であるとか障害者の事業ごとに会計基準をばらばらにしておりましたのを、法人全体で見られるような形に、新しい会計基準をつくりまして、二十七年度から新しい会計基準で運用していただくということになっているところでございます。

 内部留保をどう捉えるかということですが、実際には、例えば施設開始のための積立金であるとか、そういうものを予定していても、会計上、そういうことを明確にしていなかったというようなこともございますので、そういうような新会計基準が新しく始まること、それから、今、社会福祉法人改革につきまして検討会で検討しているところでございますので、その中で引き続き検討していきたいというふうに考えているところでございます。

重徳委員 次に、私は、介護職員の処遇について議論していきたいんですが、これも、何か手をつけようとすると、内部留保があるじゃないか、いや、ないんだとか、そういうところですぐつまずく議論でもありますので、そういう意味では、会計基準の話も極めて重要なところだと思います。引き続き、これも議論させていただきたいと思います。

 この介護職員の処遇についてですが、ちょっと何点か確認していきたいんですけれども、まず、以前の、措置と言われていた、措置制度のころは、これは制度的な位置づけが本当にそうだったかどうかわかりませんが、準公務員のような処遇というか位置づけだったというような話も聞きます。その一方で、今、介護保険制度になりまして、下がった下がったと言われておりまして、比較してどうなのかということをお聞きしてみたいんです。

 いずれにしても、今の介護職員の報酬が非常に低いということは、かなり世の中の常識的なことになっておりまして、そのような意味で、過去、措置制度のころの処遇と比べて今はどうなんでしょうか、違いはいかがでしょうか。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険制度創設前後で介護職員の賃金がどう変わったかということについてちょっと調べてみましたけれども、統計調査がなくて、正確には把握できません。したがって、賃金水準をその前後で比較することはなかなか難しいわけでございます。

 ただ、これは児童福祉事業や障害者福祉事業なども含んだ数字でございますので、ちょっと単純に、正確な比較ということになりませんが、賃金構造基本統計調査というのがございまして、その中に、社会保険、社会福祉業という区分がございます。この中で、一般労働者、いわゆる常勤の労働者の決まって支給する現金給与額月額の比較は可能でございます。これを見たところ、介護保険制度前の平成十一年が二十六万一千三百円であるのに対し、創設後の平成十二年が二十五万八千七百円となっております。

 もちろん、この後は当然、三年ごとに介護報酬改定をやっておりまして、介護報酬改定の際には、その時点における全国における賃金とか雇用の状況、あるいは各施設の経営状況、こういったものも踏まえながら介護報酬の改定を行っていく、介護報酬の中で具体的にどういう賃金額にするかは、これは労使間で決めていただく、こういうことであろうと思っております。

重徳委員 きのう打ち合わせをさせていただいたときにも、賃金の統計が介護職員に特化したものがなかなかないということで、ただ、これから百万人ふやそうと言っているときに、やはり、どういう処遇で、どういう立ち位置に労働市場の中であるのかというのは、これは正確に把握をしていかなければ、国策として進める以上は、これはぜひとも正確な把握をお願いしたいと思います。

 いずれにしても、今の数字だけ見ると、ちょびっと下がった感はあるけれども、そんなに変わっていないぐらいの御答弁なのかもしれませんが、少し現場の感覚とこれは食い違っているような気がいたしますということを指摘しておきたいと思います。

 それから、次に地域加算についてお聞きしようと思いましたが、これはあらかじめ資料もいただいておりますので。

 地域ごとの国家公務員の地域手当に準ずる形での加算が行われて、経過措置を経て改正がなされようとしているということはお聞きしておりますが、これも私の地元の愛知県の場合は、田舎のところも意外と企業がしっかりしていて全体の民間水準が高いものですから、それと比べて介護職員の給料は低くて人材が集まらない、こういう問題もありますので、こういったことにも今後御配慮いただけるように、要望いたしたいと思います。

 次に、介護職員、今度は勤務年数に応じて、これはいろいろな方がおっしゃいます、男性の寿退職なんという言葉が介護の現場ではあるということでありまして、結婚したら配偶者を養うことができないから転職するんだというような悲痛な声が上がっているわけでございます。

 でも、やはり経営側から見ても、質の高い介護サービスを提供するためには、そう簡単にころころやめてしまうというような、かわってしまうというようなことでは困ってしまいますので、本当は給料を毎年少しずつ上げていってでも定着をしてもらいたい、こういう思いで一生懸命運営、経営をされている方々が大勢いらっしゃるんです。

 問題は、長く働いてもらいたいんだけれども、そうすると、給料、賃金が上がっていきます、その方の賃金を見れば。ところが、そういった、少しずつ賃金が上がっていくということに見合った介護報酬体系となっていないので、定着すればするほど経営が苦しくなる。

 こんなような状況で、それ以前に、水準が低いという問題はもちろんあるんですが、上がっていくことに見合った介護報酬の仕組みというものがどのようになっているのか、それ以前にそういった問題があるということに対する問題意識について確認してみたいと思います。

原(勝)政府参考人 介護職の方の人材確保にとって処遇改善は大事でございますが、ただ賃金を上げるということではなくて、やはりキャリアパスの確立と連動した処遇改善が大事だろう。

 そういう意味で、平成二十四年に実施しました介護報酬における処遇改善加算、これは、まさにこれを要件にして加算をつけるということでございますので、そういったことについては一つ有効な対応だと思っています。

 また、平成二十一年の介護報酬改定におきましては、当時の介護従事者の離職率が高く人材確保が困難であるというような状況を踏まえまして、サービス提供体制強化加算というものを創設しております。これは、具体的には、職員の早期離職を防止して定着を促進する観点から、三年以上の勤続年数を有する者が三割以上配置されていることなどについて、加算として評価をしているというものでございます。

 このサービス提供体制強化加算の要件も含めまして、平成二十七年度の介護報酬改定に向けた検討については、今後、関係の審議会におきまして御議論をしていただく予定でございます。今後、審議会において委員や関係者からの御意見を伺いながら、必要な対応を図ってまいりたいと考えております。

重徳委員 今のサービス提供体制強化加算というのは、いわば二段階ですよね。三年以上の勤続年数のある者が三〇%以上配置されていれば上のランク、そうでなれば下のランクという、それだけのことなものですから、段階的に上がっていくという話とはまた違うと思うんですが、この辺もきめの細かい仕組みも検討していくべきではなかろうかと考えております。

 そして、次に確認してみたいんですが、介護職員は若い方がどんどん転職をしていくということなんですけれども、そうなると、初任給は一体幾らなのかというところがよく話題になるわけなんです。

 愛知県の関係者から聞くと、高卒で十四万円ぐらいかなとか、いろいろな相場観が話し合われるわけなんですが、厚労省として適切な初任給の水準をどのようにお考えかということについてお伺いします。

原(勝)政府参考人 介護職員の適切な初任給の水準についてのお尋ねでございます。

 これにつきましては、初任給も含めまして具体的な賃金の水準、これは労使間の関係を通じて決定されるものでございますので、私どもとして、具体的にこういうのが適切な水準だということについてお答えすることについては、差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、現実に初任給はどうなっているかということにつきましては、これもちょっと統計が、介護職に限定した統計はなくて大変申しわけございませんけれども、これは医療も含んだ数字でございますので、医療、福祉ということでございますのでちょっとくくりが大きくなりますけれども、賃金構造基本統計調査がございまして、ここに医療、福祉という区分がございます。

 これは平成二十五年調査の、大卒、男女計の数値でございますけれども、産業系が約十九万八千円であるのに対して、医療、福祉が約十九万三千円といった数字になっております。

重徳委員 本当に賃金センサスをしっかりととっていただきたい。ちょっと部局が違うかもしれませんけれども、同じ厚労省の中、あるいは総務省でしょうか、賃金の水準は極めて重要なところですので、特に国が差配するような世界ですので、ここはしっかりとした統計をとっていただきたいと思います。そうでないと、きちんとした議論ができませんので、よろしくお願いをいたします。

 今るる確認をさせていただきましたけれども、不明確な部分もありますけれども、なかなか現場の賃金について応え切れていないという状況にもかかわらず、これから介護人材は二〇二五年に向けてあと百万人ふやさなきゃいけないということとか、さらには、現場からは、人手が足りないから外国人労働者を導入するすべをもっと拡充してほしいとか、いろいろな声が聞こえてまいります。そういう中で、野党の、きょうは誰もいませんけれども、野党の介護報酬引き上げの法案まで出されているわけですね。

 私は、介護職員の給与については、基本的に介護保険の報酬改定によるべきものとは思います。ですから、税金を突っ込むというのはなかなか、これは議論が必要だと思いますし、何よりも今、本当に、水膨れと言われる巨額の当初予算が組まれたところで、私どもも真摯に減額修正の予算を提出させていただいたところですが、そういった財源確保の努力をしっかりと行った上で、介護報酬の引き上げそのものは必要不可欠だと考えております。

 ですから、今出されている介護報酬に関する法案は、今年度内に、できるだけ早いうちに介護報酬を何とかしてくれないか、こういう強い要望、要請も含めた内容の法案だと思いますが、聞き方はあれなんですが、遅くとも来年度の介護報酬改定においては、大幅に介護の報酬、賃金が引き上げがなされるような改定をしていただけるのでしょうか。大臣、ここで確約していただけるのかどうか、お尋ねをいたします。

田村国務大臣 介護職員の方々、福祉職全般なんですけれども、やはり全体として、他の職種に比べて低い。

 これは、措置費のときはどうだったかというのはなかなかわからないんですが、そもそも措置費はその単価で入っていますけれども、契約の中で賃金は決まるわけでありまして、例えば、一応入っているんですが、労働時間が長いがために、結果的には時間当たりの単価がそのとおりにならなかったりだとかというのは、今の保育も同じようなところがありまして、全体として、賃金としては決して他の職種と比べて高くない。公務員準拠といいながら、なかなか応募しても来ていただける方々がいない、そういう現状は福祉職全般にあるのであろうというふうに思います。

 その中において、介護の場合は、平成二十年の前からそういうお話はずっとあったものでありますから、二十一年に、介護報酬改定のときに、これではだめだということで、九千円ぐらい上がるような、そういうような報酬改定をしました。これは月額であります。そして、その秋だったと思いますが、麻生政権のときに、これは基金で、四千億弱だったと思いますけれども、積みまして、一万五千円、これは月額で、何とか上げられないかということで、そういう基金で対応いたしました。そして、二十四年度は、これは民主党政権下におきまして、介護報酬改定の中において、六千円ぐらい月額で上がったんじゃないか。

 合わせて三万円ぐらいは、必ずとは言いません、これは我々が試算するとそれぐらい上げる余地があったのではないかという話でありますが、それぐらい上げられる余地があったんだというふうに思います。

 それでもまだ、今お話をお聞きいただいた状況でありますので、さらなる、特に、これから人材的には、景気がよくなりつつありますので、有効求人倍率が今一・〇五であります。介護はもっと高いわけでありますけれども。失業率が三・六。三・五が十二月あたりの均衡失業率。言うなれば、自然失業率みたいなものでありますから、ほぼ自然失業率に近い数字になってきておるということは、もちろんこれは無期、有期という問題はありますけれども、正規、非正規という考え方もありますけれども、かなり人材的にはタイトになってきておりますので、そうすると、どうしても賃金の低いところには集まりにくくなる。

 もちろん、介護という職業は非常に崇高なものでありますけれども、一方で、厳しいことも、きついことも確かでございまして、そういう中において、やりがいを持って頑張っていただいておる、こういう方々に報いるためにも、しっかりと我々は、次の介護報酬改定に向かって、介護従事者の方々の賃金を上げていくための努力をしていかなければならないと思っております。

 まだお約束をする段にまでは来ておりませんが、厚労省といたしまして、しっかりと努力をさせていただきたい、このように考えております。

重徳委員 ことしじゅうですよね、介護報酬の方針が固まるのは。ですから、これから半年少々の間、本当にこの問題は、私、今後の高齢社会において、認知症の問題とあわせて最重要の課題の一つだと思っておりますので、引き続き、この委員会においても取り上げさせていただきたいと考えております。大臣から、努力をされるというお言葉がありました。そのお言葉どおり御尽力いただきたいと思います。

 特に、先ほど局長からもお話がありましたけれども、キャリアパスをきちんとして、今後の給与水準はもちろんのこと、やはり、組織の中でステップアップしていくということ、介護という崇高な職業の中でステップアップしていくこと、これをあわせて制度設計していかなければならないテーマだと思いますので、それもあわせて、引き続き議論させていただきたいと思います。

 さて、次に、テーマはかわりますが、看護師の話をしてみたいと思います。

 今、看護師不足、看護師不足と言われておりますが、それでも、この十年間で、看護師の数は、統計上、三十万人ふえております。七十七万人が百七万人になったという数字がございます。

 これは、結局、不足しているかしていないかというのは、ひとえに、診療報酬のルールの中で配置基準、これは看護師の配置基準ですから、看護師さんの配置基準がどうなるかということによって決まってくるという面が非常に大きいわけでございます。

 その意味で、今、いろいろな病院のお医者さん、経営者の方々からは、看護師さんの労働市場、需給ギャップというのがあって、本当に、人手不足、獲得するのが大変だという話が上がってきております。

 そういう中で、看護師の紹介事業というものが最近非常に盛んになっているという話がございます。民間職業紹介事業者ですね。近年増加しまして、全国で大小数百社あるとも言われております。

 転職希望の看護師さんをネットで募集して、看護師不足の病院に紹介をして、その給料の一部を手数料として取るということでございまして、事業者側からすれば、もちろん、病院や看護師さんのニーズに従ってやっているんだということで、医療界に貢献しているんだということが言われておりますが、一方でやはり、病院の方々からは批判が上がっているのも事実でございます。手数料は一人百万円に上るという話もございます。

 もちろん、業者によるものですから、一概にいい悪いは言えないんでしょうけれども、ただ、これは、数字、どうでしょうか、年間二百五十億円市場だと言われているような紹介料、これはやはり、診療報酬が充てられているわけですから、そのような使い道が果たして本来いいのか、そして多額に過ぎるんじゃないかという問題があります。

 また、看護師さんからすれば、売り手市場ですから、転職も容易になるということでありますので、職場に定着しないで転職を繰り返す、こういうこともあるので、これは果たして、病院のニーズに合わせてやっているんだということに対しても、いや、ニーズに合っていないよという指摘もございます。

 こうやってどんどん入れかわっていくと、医療器具がどこにあるかとか、薬の投与の仕方も病院によって少し違っていたり、そういうことで医療事故にもつながりかねないとか、いろいろな指摘がございます。

 このような看護師の紹介事業の動向につきまして、厚労省としてどのような認識をされていますでしょうか。

原(徳)政府参考人 御指摘の看護師等の紹介ビジネスにつきましては、医療関係団体から、今もありましたように、高額な手数料負担、あるいはそれが医業経営を圧迫しているとの御意見もいただいているところでございます。

 こうした中で、民間の職業紹介事業については、その運営の実態を把握するべく、事業者、また利用者を対象とした調査を行っているところでございます。この調査において、医師、看護師の紹介の状況についても調査項目を設けるなどにより、実態の把握に努めているところでございます。

 また、医療そのものは、御指摘もありましたように、社会保険の中で運営されているわけでございまして、適切に看護職員の確保を図るということは必要であります。

 そのためには、公的な無料職業紹介の拠点であるナースセンターの機能強化も不可欠であると思っておりまして、今回も、このナースセンターの機能の強化を図る部分を法案にも盛り込ませていただいたところでございます。例えば、そこでは、離職時などにナースセンターに届け出をしていただくということによって、復職の支援につなげていくというようなことが考えられるわけであります。

 また、七対一という看護師配置についての御指摘がございました。看護師の偏在の原因ともされておりましたが、今回の診療報酬改定において、その要件の厳格化などによって、適切なところに適切な看護師が配置されるように進めていきたいと考えております。

 いずれにしましても、地域の医療機関と連携しつつ、看護職員の人材確保を図っていきたいと考えております。

重徳委員 ありがとうございます。

 非常に、官製市場といいましょうか、診療報酬のルール次第で、そういったいろいろなところが過熱したり、寂れたりとか、いろいろなことが動いていくものでありますので、今の看護師不足の状況についても、ゆがんでしまった部分はちゃんと正していただきたいと思います。

 あと五分となりましたので、あと二点お伺いしたいと思いますが、ショートステイというものがございます。

 ショートステイ、これは地域によるのかもしれませんし、施設によるのかもしれませんけれども、あるいは、その印象からしても、一泊二泊、あるいはせいぜい一週間、二週間ぐらいのことをショートステイというのかなというふうに感じておったわけなんですが、ルール上は、レスパイトケア、家族の介護疲れとかそういうものを癒やすというような趣旨もありまして、連続三十日までとか、場合によっては百八十日まで認められているというようなことのようです。

 現場では、長いショートステイということで、ロングショートなんて言われているようで、どっちなんだという、そんなような名前があるようなんですが、このあり方ですね、平均十日ぐらいだというふうには聞いておりますが、この運用のされ方、どういうことが本来であって、課題はどういうところにあるのかということをお伺いしたいと思います。

 あわせて、デイサービスも、最近はお泊まりデイと言われる自主事業、そういうものもあるということなんですが、この辺、制度が少し錯綜しているようにも見えるんですが、このあたり、制度の違いや課題について、よろしくお願いします。

原(勝)政府参考人 お答えいたします。

 ショートステイについては、実態として、少し長くなっているというのがございます。

 やはり、家族のレスパイトということで、これはこれで大変重要な役割だと私は思っておりますけれども、余り一人の方がずっと使うというのは、ほかの方が利用がなかなかできないということもございますし、それから、ショートステイというのは、通常のデイサービスなどに比べまして、どうしてもケアという意味で少し弱くなるということもございますので、やはり、計画的な利用というのが大事じゃないかと思っております。

 それから、お泊まりデイは、通所介護、デイサービス事業所の設備を利用して、介護保険制度外でございますけれども、宿泊サービスをあわせて提供する、こういう事業でございます。したがいまして、介護保険制度外のサービスでございますので、事業所指定の基準といったような規制はないわけでございますけれども、泊まりの環境が十分でないといった、いろいろ問題点も指摘されております。

 そこで、今回、私どもとしては、審議会でもいろいろ議論いただきまして、介護保険法に基づく省令、これはデイサービス事業所としての省令でございますけれども、その省令の中で、利用者保護の観点から、宿泊サービスの届け出の義務づけ、あるいは事故報告の仕組みの導入、あるいは情報公表の推進を位置づけまして、サービスの実態を把握するとともに、利用者や介護支援専門員に情報が適切に提供されるような仕組みとすることを今考えているところでございます。

重徳委員 ありがとうございます。

 最後に、養護老人施設、軽費老人ホーム、ケアハウスの位置づけにつきまして確認をさせていただきたいと思います。

 本格的な介護状態を迎える前の一つの重要な施設だと思うんですけれども、高齢者の居場所として非常に重要だと思うんですが、どうも、いわゆる介護施設に比べると、市町村の措置控えがあるんだとか、いろいろなことが指摘をされておりまして、財政的にも、あるいは制度的にも不十分じゃないか、もっと力を入れていってもいいんじゃないかと思われますが、厚労省の見解をお願いいたします。

原(勝)政府参考人 お尋ねございました軽費老人ホームや養護老人ホームでございますけれども、今後、地域包括ケアシステムの構築に当たりまして、住まいの確保が大変重要でございます。特に、居宅での生活が困難な低所得高齢者等に対して、こうした施設が一定の役割を果たすことが必要であると考えております。

 一方、この二つの施設については、地方分権推進の観点から、いわゆる三位一体改革により施設整備費や運営費の一般財源化が行われていることから、施設整備や入所措置等については、地域の社会資源や高齢者の状況を勘案し、各自治体において適切に対応されるべきものであろうと考えております。

 近年、定員割れの施設等も見られるなど、十分にこれらの施設が活用されていないというような状況もございますので、厚生労働省といたしましては、必要な施設の整備、入所すべき者の把握や措置等が適切に行われるよう、各自治体に対しまして、全国会議で指導するとかいったことを通じまして、理解と協力をお願いしているところでございます。

重徳委員 私は、本当に、地方分権派、地方自治派でありますので、地方の力で自治の力をしっかりと発揮するというのが本来だと思いますが、これだけ制度を国が握っちゃっている中でですから、これは、現状としては、やはり、そういった今の養護老人ホームや軽費老人ホームに対しても国のリーダーシップを発揮するほかないんじゃないかなと考えております。引き続き議論させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 よろしくお願いします。

 質問に入る前に、一つだけ。

 きょうも、頻繁に自民党の筆頭理事が後ろを振り向いて、定足数が足りているか足りていないかを非常に心配されております。

 ただ、与党が定足数をちゃんとやるというのは僕は当然だと思いますので、よろしくお願いをいたします。余りにも出席者が少ないことが余りにも多いです。(発言する者あり)はい。その一番やられていた民主党が一番また欠席しているのが、また問題なんですけれどもね。

 それでは、質問に入りたいと思います。これから定足数が足りなくなったらすぐとめますので、よろしくお願いします。

 きょうは、足立さんと同じく、病院について。ただ、ちょっと足立さんの質問の内容とは違いますけれども。

 今回の法案の中に、地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保ということで、病床機能の報告制度と地域医療構想の策定というものが出てきています。この地域医療構想の目的というのが何なのかというのをまずお答えいただきたいと思います。

原(徳)政府参考人 御質問にお答えいたします。

 地域医療構想の目的でございますけれども、二〇二五年には、団塊の世代が七十五歳以上となられる、そういうときには、三人に一人が六十五歳以上、五人に一人が七十五歳以上となると見込まれておりまして、こうした高齢化に伴い、医療サービスの需要の格段の増加が予想されるわけであります。それに対して現在の我が国の医療提供体制では十分ではないと考えております。

 このため、二〇二五年を見据え、限られた医療・介護資源を有効に活用し、必要なサービスを確保していくためには、医療機能の分化、連携を推進する必要があると考えております。

 このため、地域医療構想においては、将来人口推計や年齢階級別の入院・外来受療率等を用いて、二〇二五年時点での入院や外来別、あるいは疾患別の患者数等の医療需要をまず推計したいと考えております。

 これによって、この医療需要に対してどのような形で対応していくかということが必要になるわけでありますけれども、こうした目的を達成するための手段として、まずは、病床機能報告制度により医療機関から報告された情報を都道府県が活用する。

 その活用した現状の医療機能、これを将来の医療機能にどう当てはめていくかということになりますが、そのために、そういう構想をつくっていく。その医療構想の中には、後で申し上げますけれども、それぞれの機能に応じた必要な病床などが書かれることになるわけであります。それに向けて、それぞれの医療機関がどのような役割を果たしていくかをまずいろいろと考えていただく。

 そのようなことを考えてお互いに話をしていただく場として、都道府県が協議の場を設置していただく。それによって、医療機関の自主的な取り組みによって、また医療機関の相互の連携を推進していただく。

 そのような形で、必要となる医療機能を達成しよう、そういうような形を考えているわけであります。そのために、例えば今回の新たな財政支援制度なども活用できるようなことを考えているということでございます。

浦野委員 二〇二五年問題ということが言われている中で、先ほどの局長の答弁の中にもありました、十分でないという部分なんですけれども、医療資源が十分でないのか、医療に対する予算とかそういうものが十分でないのか、十分でないと言われるその中身がまだちょっとわかりにくいなというふうに私は思うんですね。

 今回、いろいろお話を今回質問をするに当たって聞かせていただくと、結構実は思い切ったことを厚生労働省は考えているというふうには私も思うんですけれども、この十分でないという具体的な部分というのをもうちょっとわかりやすくお答えいただけたらと思います。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、単純に、今現在の入院しておられる方々の状況、これはそれぞれの年齢階級別におられるわけですね。この年齢階級の例えば六十歳から六十四歳の男性の十万人当たりの入院の方が何人というのは、これは数字として出てまいります。これを単純に、例えば二〇二五年、あるいはその先の年齢階級の構成は大体わかりますので、それに単純に合わせていきますと、ピークになる二〇四〇年以降になりますと、今の入院ベッドの一・数倍が必要に当然なってくるわけであります。今の状況が続くとしたら、そうなっていく。

 すなわち、ベッドの数も足りない、当然ながら、例えば医師や看護師の数も、単純に同じことをしていくと比例的に上がるわけですけれども、それだけの医師や看護師を養成することはできませんので、そういう意味では、人的や物的な面において、効率化をしてある程度の増加のところで抑えていく、そういう必要があるということで、足りないのは、人的や物的の両方の面からあるとは思います。

浦野委員 このビジョンを策定するのは都道府県にお任せをすることになるわけですけれども、私もこの法案をいろいろ読ませていただいて、都道府県知事がこのビジョンを策定するに当たって、公立、民間、両方にいろいろ会議の中で調整をするわけですよね。

 どうしても、いろいろな利益の対立といいますか、恐らく意見の相違というのは出てくると思うんですけれども、そうなった場合の都道府県知事の、それに対する、こうしてください、ああしてくださいという強制力というのはどこまであるのかというのが疑問に思うんですけれども、その点について。

原(徳)政府参考人 将来の姿を描いていくために、それぞれの医療機関がそれぞれの考えの中で、機能をどう分担していくか考えていただく必要があります。

 そのために、その地域の中にあるいろいろな方々に協議の場に出てきていただいて、その協議の場で、どういう姿を描くかということを話し合いで決めていただく。医療機関の自主性を十分に尊重した形でやりたいというのがまず第一点であります。

 ただ、御指摘のように、やはりそれぞれの考え方もございますので、その協議は必ずしも調わない可能性もございます。

 この場合に対して、今回法案の中では、公的医療機関に対しては、例えば、都道府県知事が、医療審議会の意見を聞いて、過剰な医療機能への転換の中止を命ずる。もう既に過剰になっているのにそういう機能をさらにやりたいという場合は、やめてくださいということを命ずることができる。またさらに、逆に、不足している医療機能、足りない部分について、提供することを指示することができる。公的医療機関に対しては、命令や指示ができることになっております。

 一方、いわゆる民間の医療機関に対しましては、同様の形で医療審議会の意見を聞いて、過剰な医療機能への転換については中止を要請するという形、また、不足している医療機能をやってくださいという要請をするという形を考えております。

 ただ、いずれにしましても、公的にしろ民間にしろ、こういう命令や指示あるいは要請に、お願いしても聞いていただけなかった場合には、例えば、民間の方には、さらに勧告という形を考えております。さらにそれでも聞いていただけない場合は、医療機関名を公表するとか、あるいは助成制度の対象から外すとか、そのようなことを考えているということでございます。

浦野委員 まず一つ、今、公立の病院に対してどういう権限があるか、民間に対してどういう権限があるかということを答弁していただきましたけれども、最初に、命ずる、指示する、要請する、この三つが大体出てきました。この三つの法的な拘束力の違いというのはどういうふうにあるのか、教えていただきたいと思います。

 資料を、きのう言ってすぐに、公的医療機関と民間医療機関、知事の対応がどういうふうに違うのかという公民の比較の表をつくっていただきました。きのう急に言ってつくってもらっていますので、本当はお手元に、皆さんにお渡しできたらよかったんですけれども、そこにも、命ずる、指示する、要請するというこの三つが大体出てくるわけですね。

 この三つの法的な強制力がどこまで違うのかというのが恐らくみそになるんですけれども、いかがですか。

原(徳)政府参考人 お答えいたします。

 今言いましたように、指示をしたりあるいは命じたり、それから民間に対しては要請をする、それについては、そういう行為はそれぞれの形式でいっておりますけれども、結果としてどう動いていくか、それに対して、その結果が伴わなかった場合にどうなるか。

 結果が伴わなかった場合に、今回の場合は、例えば、医療機関名の公表であるとか、あるいは補助金の交付対象から外すとか、あるいは、例えば、これはないと思いますけれども、特定機能病院とか、いわゆる医療法の中での特定の名称のついた病院がございますので、そういう病院からの取り消しといいますか、そういうことも考えていく。そういうことを、結果としては、行き着く先はそのような形で考えているということであります。

浦野委員 では、要は、病院の名前を公表していただいて結構ですということで、従わなかった場合は、それで終わりということになるんですか。

原(徳)政府参考人 最終的には、公的病院の場合は、例えば、管理者を変えてくださいとか、いろいろな手段はほかの一連のものとしてもございますけれども、今回の中では、必要な機能を満たしていただくことが肝要なわけであります。

 当然、既存の医療機関ですので現にそこで医療が行われておりますので、病院自体を潰すというわけにはなかなかいきません、現にそこの患者がおられるわけですので。そこで提供されている医療が、そこの医療機関が将来担うものとしてふさわしくない医療であれば、変えてくださいということは、最終的にはお願いするしかないんだろうと思っておりまして、強制的な形で病院を動かしていくというのはなかなか困難な面がある。

 だから、そういう意味で、かなりソフトなような感じがしますけれども、やはり医療機関名の公表というのは、何々病院は悪い病院ですよというイメージを植えるということですので、そこはかなり大きな影響があると思います。

 基本は、そこまで至らない、それぞれの自主的な取り組みというのを重視したいというふうに考えております。

浦野委員 議論させていただいたときも感じたのは、皆さん、やはりそれは性善説に立って話をされていると思うんですね。

 そうであってほしいですよ、ただ、ここで問題になるのは、都道府県でそういうビジョンをつくる段階で言うことを聞かないところが出てきたときに、都道府県の言うことを聞いてくれない、だから、ビジョンは策定できません。それに対して、では、知事は、都道府県は何もできない、結果的には。

 もう一つ心配なのは、公的病院は赤字の病院が半分ございます。

 その赤字の病院というのは、では何で今もずっと赤字かというと、昔は確かにその地域の医療を担っていた、完全にカバーをしてくれていた病院も確かに公的病院にはあります。市町村病院なんかは特に、やはり、医療資源に乏しいところは、もともと、公的な機関で病院を開設して、地域の医療のために頑張ってきてもらったといういきさつは多分あるでしょう。今は時代が変わって、民間病院もたくさんできた、医療資源がたくさんふえた、その中で、市民病院、市町村病院に行かない人たちもふえてきた。それもあって余計に赤字になりやすくなって、赤字が多いというのが一つ。

 それともう一つは、高コスト。これは、別に病院だけに限ったことじゃないです、公立のほとんどのものは大体が高コストです、民間に比べれば。だから赤字になるんです。赤字になると、市町村が一般財源で補填を大体しています。

 そこで、市町村の首長さんなんかは、自分の政治的な、政治の一つの政策として、市民病院は赤字やけれども頑張ります、やりますといって、やっているんです。今、そういう市町村がほとんどです。市民のために、この市民病院は赤字やけれども一般財源を入れながらやるんですというふうにやっています。

 もし、この公立病院が、いや、どう見ても民間病院でちゃんと回っていますやんか、もう公立病院の役目は要りませんねとなったときに、その人がわかりましたといってそれをなくすかどうかというのは、性善説に立てば、はい、わかりましたといって言うことを聞くかもしれません。でも、聞かない人もいるかもしれません。そうなったときにどうするんですか。

原(徳)政府参考人 性善説といいますか、現にその病院に患者がいるということは、普通で考えれば、何らかの医療が必要だからそこに患者さんがおられて、医療が提供されている。そこには病気があるわけですね。ですから、それを無理やり潰すわけにはなかなかいかないというお話をさっきしました。

 それから、例えば、これは仮想的な、ある圏域で、民間病院もありました、公立病院もありました、民間病院は体力がないのでどちらかといったら慢性期をやりましょうというふうにしてくれ、いや、ここの地域は急性期が必要だといった場合に、例えば公立病院に急性期を担ってくださいと指示をするとか、そういうことはできますけれども、例えば医師が確保できなければやはり現実的にはできないわけですし、そこで必要な急性期医療は、ある場合だったらその隣の圏域で賄われているかもわからない。

 そういう中で、できればここでやってほしいけれども、指示を出しても現実的にできないという問題があったときに、無理やり、あなたのところは急性期ですよと位置づけても仕方がないことになる。それこそ絵に描いた餅だけになりますので。

 だから、それは、できるだけ急性期に、頑張ってもらうというのなら頑張ってもらうという形で全体構想を描いていく、あるいは、足りないときは隣の圏域で急性期を診るというような形も考えられるわけですけれども、無理やり、基本的には要請とか指示とか命令とかという言葉はありますけれども、基本的にはできる範囲でやってもらうしかないというのが現実的な問題だと思っています。

 ですから、みんなで考えてやはりやってもらおうということになったときに、努力はしてもらう必要があると思いますけれども、結果、できなかったからといって、何かペナルティー的にやるというのは、もともとの発想からいうと、余りそこまで至るようなことを考えたくはないということなんです。

浦野委員 そうしたら、都道府県によってはビジョンができませんでしたというところも、それはもうやむを得ないということになるんですか。だって、今、局長がおっしゃっているのは、調整ができなかったらそれはもうやむを得ないみたいなことを今おっしゃっていましたけれども。

 それを、そうじゃなくて、きっちりと数字に、これもいろいろ議論の段階でお話をいただきましたけれども、きちっとしたデータにのっとってそういうビジョンをつくってもらうということでしたので、データにのっとってやればこうなりますけれども、いや、私たちはこれはできませんというふうになった場合に、ビジョンができなくなりますけれども、それはいかがですか。

原(徳)政府参考人 まずは、現状が把握されます。現状こういうような機能ですというのがあります。それから、将来の医療需要に合った機能別の必要な数が例えばこれだけありますと。これを、それぞれの機能をどの病院に具体的に担ってもらうかを、合計してそういう姿に持っていかないといけない。そこをどう描くかというのがビジョンの姿になるわけです。

 その際に、これは先の話ですので、こういう機能を担ってくださいといったときに、では、私どもはそれを頑張ってやりましょうと言っていただくような形には持っていく必要があると思います。そういう形で都道府県として全体としての、二次医療圏も、もちろん完結する必要もあるし、足りない分は隣の二次医療圏の力をかりるとか、そういうことも当然含めながら、全体として絵を描いていただきたいというふうに考えております。

浦野委員 私は、これは前に進めてほしいというふうに実は思っているんですね。ですから、実は、厚生労働省が思っているよりも都道府県に権限を本来は与えた方がいいんじゃないかというふうに僕は思っているんですね。だから、こういう質問をしているわけです。某団体さんなんかは、そんなに権限を与えるなというふうにおっしゃっているということも小耳に挟みましたけれども。

 私は、そういうビジョンをちゃんと、ほんまに二〇二五年にたえ得る医療体制、そういうものをつくろうと思えば、やはり、ある意味、冷酷にデータにのっとって調整をしてビジョンをつくって、都道府県でやっていく、これができないと意味がないんですよ。そのためには、やはり都道府県には権限を与えないとビジョンがつくれないと思うんですけれども、権限を与える、与えないについては大臣はどう思われますか。

田村国務大臣 委員は、権限がこれでは弱いという話でありますが、結構、私、これは今までの常識からするとすごい権限を与えているんだと思っています。

 公表というのは、先ほど局長が言ったとおり、これをされるとかなりダメージがあります。補助金がもらえないなんというのは、何かやろうと思ったときにできない。さらに、もし地域医療支援病院の指定、認定が取り消されるだとか、特定機能病院なんて、それは我々もそんなことをしたいとは思っていないわけでありますけれども、これは診療報酬にそのまま影響が出てくる話でありますので、もしそんなことになれば大変なことになるわけでありまして、これは、そういう意味では非常に強い力があるというのは事実だと思います。

 ただ、それを使うとなると地域医療が壊れちゃう可能性があるのは事実で、実際問題、地域医療を支えているのは、今病院を運営している、それは市民病院であり、民間の病院であり、それぞれの病院であるわけであります。

 今委員のおっしゃられたところからいえば、では、言うことを聞かないという理由は何なんだと。それぞれ今受け皿があるわけですよね。本当に急性期を受けておられるのならば、それはそれで地域医療構想をつくるときに必要なものだとなるわけでありますが、御承知のとおり、七対一看護というものに関しましても、余りにもふえ過ぎた、今三十六万床ぐらいありますが、予定していたもののかなり、何倍もの数字になっているんだと思うんですよね。

 そういうものは本来、そうじゃなくて、もうちょっと、それこそ回復期だとか療養期だとかと移れるのであるならば、それは現状でも移れるはずで、今回、病院全てというのではなくて、病棟ごとにそういうのを色分けしていこうということでありますから、一つの病院の中でもそういう色分けはしていただけるんだろうというふうに思います。

 それでもちゃんと病院が運営できるんですよということを、それは診療報酬とか人員配置だとか、いろいろなものを勘案しながら、ちゃんと御理解をいただければ、それならばそういう話でやりましょうというようなことになると思うので、要は、あんたのところはこれをやりなさいというんじゃなくて、みんなでどうやってこのニーズをそれぞれ役割分担していくか。

 それぞれ、やはり病院として、また地域医療として運営できますよということを細かく御説明をすれば、そこは、よほど、変な話、知事さんと市長さんがけんかしていて絶対言うことを聞かないなんという話になると、これはちょっと困るわけでありますけれども、そうでなければ、ある程度そこは話し合いの中で、お互いにそれぞれ理解をし合える中において地域医療構想というものはつくれてこられるんじゃないか、我々はそう思っております。

浦野委員 本当に私も、今大臣がおっしゃったように、前に進めばいいなとは思っています。

 ただ、今提供している医療の現状でも、バランスが崩れているところはあるわけですね、ベッドの余裕があるのに稼働していない場所もありますし。そういったところも全部含めてこれから地域医療構想をつくっていくわけですから、かなりいろいろな議論が恐らく出てくるだろうと思うんです。

 私は、公立病院には強制的に、強制的にと言ったらあれですけれども、かなり指示ができる、命ずることができるということで、ある程度、実効性が担保できると思うんですね。

 ただ、私は、このビジョンをつくるときに、公立だから民間だからという、お互いが甘えるというのはしてはいけないと思って、厚生労働省さんも多分そういうふうに、運営主体はどこであろうと、ビジョンをつくったときに、皆さん、ちゃんと話をしてください、聞いてください、協力してくださいということになると思うんですね。

 ただ、民間の方からすると、やはり公立病院は、確かに、僻地とか、民間病院もそんなところには行けないというようなところの医療を担っている自治体病院で、もうやむを得ず赤字になっている、我々しかその地域の医療を支えられていないんだというようなところは別ですよ、別ですけれども、都市部で周りにたくさん病院があって、せやけれども、自治体病院としてずっと赤字が続いているというところは幾らでもあるわけですよね。そういったところの改革をまずしてくれよと民間病院は恐らく思うと思うんです、同じ土俵に乗って議論をする場合に。

 そういったときに、やはり公立病院改革というのはもっとスピードを出してやらないとだめだと思うんですけれども、きょうは、公立病院は総務省が管轄していただいているということでおいでいただいているんですが、この公立病院の改革がどこまで進んでいるのか、ちょっとお教えください。

村中政府参考人 お答え申し上げます。

 公立病院の役割について端的に申し上げますと、地域において提供されることが必要な医療のうち、採算性の面などから民間医療機関による提供が困難な医療を提供することにございます。

 現実にも、先ほど先生がおっしゃったような僻地医療であるとか、あるいは救急、周産期、災害などの不採算・特殊部門に係る医療などを公立病院が提供する役割を担っているところでございます。

 したがいまして、一般的に言いまして、公立病院というものは、決してもうかるような事業ではないところでございます。

 しかしながら、そうした役割を担っております公立病院といえども、不断に経営の効率化を図って、持続可能な病院経営、言いかえますと、開設自治体にとっても財政的に支え得るような経営状況になっていただくということを目指してもらう必要があるということでございます。

 ところが、平成十年代の後半におきましては、多くの公立病院において経営が悪化している状況がございました。

 そこで、総務省といたしましては、平成十九年に公立病院改革ガイドラインというものを策定いたしまして、各自治体に対しまして、開設しております公立病院の経営改革に取り組むよう要請し、これに基づきまして、各自治体は公立病院改革プランというものを作成して、経営の効率化であるとか、再編・ネットワーク化であるとか、あるいは経営形態の見直しということに取り組んできていただいているところでございます。

 こうした取り組みによりまして、平成二十年度には、公立病院の中で黒字病院の割合は三割弱でございましたけれども、平成二十四年度には五割強が黒字となるなど、一定の成果が得られているところではございます。

 しかし、決してこれで十分ということではございませんで、各自治体には、引き続き公立病院改革に取り組んでもらっておりますし、総務省といたしましても、こうした動きを今後とも支援、促進してまいる所存でございます。

浦野委員 今、公立病院改革もやっていただいているということで、私も、思ったよりは、赤字の病院が五割ということで、もうちょっと多いかなと思っていたんですけれども、頑張っておられる。

 ただ、これは、頑張っていただいた上で、もうどうしても、僻地医療とか、その地域にその病院でしか受けられない治療とか、そういうのが原因で赤字になってしまっている公立病院なんかは、僕は、そこはやはり行政としても最終的には助けてあげてほしいなと思ったりもするんですけれども、その分は、またこれからの議論でしていきたいと思います。

 この法案、私は、先ほども言いましたけれども、このビジョンがちゃんとつくれるにこしたことはない、応援をしたいと思っています。そのためには、僕は、都道府県知事がこのビジョンをつくるときに闘わないといけないのは、もちろん、その地域のいろいろな思惑と、あと、プラス、医局との闘いもあるわけですよ。

 そういったところも含めて、どこまで都道府県知事が力を発揮できるのかというのは、その実効性の担保にかかっていますので、もしこれで不十分じゃないかというふうになれば、絵に描いた餅になってしまいかねませんので、どうかその点はよろしくお願いをいたします。

 以上、質問を終わります。

後藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 朝からの御審議で大変お疲れだと思いますが、いよいよというか、地域医療介護総合確保推進法案、四月一日、まさに消費税増税がされたその日に本会議に上程をされて、審議がスタートして、その間、難病と小児慢性疾患が挟みましたが、きょうからいよいよ本格的な審議ということで、本日は、本会議で質疑した内容について確認とともに、恐らく審議時間もたっぷり今後あると思いますから、総論的な御質問からさせていただきたいというふうに思います。

 何度も何度も言っているんですが、私は地元で、まさにこの地域医療を介護と連携を図るために、約十年間、平成十六年に診療所を開業して、やってきたわけです。そして、その現場の実情はなかなか届かないなという実感から、私は一人の医師から政治の道へ来た。

 まさに今回、法案の内容を見ておりますと、全てにおいて私はかかわった、今現在もかかわっているわけですが、そのような問題から、本会議のときに、まず冒頭に御質問させていただいたのは、やはり、医療、介護、そして医療事故調、特定行為にかかわる看護師制度は、全く異質の分野だと思います。

 もちろん、医療とか介護という言葉を使いますと、何となくどこかでつながるという意味はあるかもしれませんが、特に医療事故調の問題は、私も、もともと外科医でしたから、手術をしていて、現場の医師はいつも事故と背中合わせの中でチャレンジしていく。これは、安易な考え方をすると、やはり医療現場の萎縮を招く。現在の救急車のたらい回し等を含めて、医師の偏在、さまざまあると思いますが、やはり、この問題は、全く別な、異質のものとして私は捉えておりますから、そういった内容が入っていることは大変違和感を覚えます。

 そのことをまず冒頭に言わせていただいて、これは安倍総理にまず質問したわけですが、安倍総理の答弁は、今回の法律案は多くの内容を含んでいるが、いずれも医療、介護の基盤整備のために必要な内容であって、早期の法案成立が必要なためと答弁されました。

 先ほどから、たびたびその趣旨の発言は御答弁いただいておりますが、今回、なぜこのような盛りだくさんの、先ほども言ったような、象徴的なのは医療事故調、それ以外にも全く異質のものも入っていると私は認識しておりますが、改めて大臣に御答弁いただきたいと思います。

田村国務大臣 大変盛りだくさんの法律案で、御審議も本当に時間をかけてやっていただくということで、そういう意味では大変申しわけなく思っておるわけであります。

 一方で、医療と介護という意味からいたしますと、まさに、この医療提供体制の見直し、地域包括ケア等々、言うなれば、社会保障と税の一体改革という流れの中で、社会保障制度改革国民会議でいろいろと御議論をいただいてきたもの、まずそれが今回の中身として医療、介護の中にはあるわけでありまして、医療と介護は別ではないかと言われるかもわかりませんが、これは、制度は別ではあります、保険制度は別ではありますけれども、しかし、これは密接に絡んでくる。まさに地域包括ケアシステムというのは、医療、介護、住まい、予防、さらには生活支援、これでございますので、そういう意味からいたしますと、要は、医療も介護もということであります。

 一方で、では、事故調査、これに対してはどうなのであろうと。

 確かに、おっしゃるとおり、この議論はもうかなり年数があるわけでありまして、我々が与党、野党をまたいで与党であったころであります。今の愛知県知事であります大村さんが自民党の責任者となって、これを自民党の案としてまとめて、そして、法律を出すか出さないかというところまで行きました。

 ただ、そのときに、医師法の問題がございまして、どうしてもそれは、警察等々に報告する、しないという部分で、これに関しては意見がまとまらなかった。また、重度の過失といいますか、そういうものは一体何なんだというふうな問題もあって、そこはまとまらなかったところはあります。

 でありまして、それ以降、民主党政権に移ってもこの議論はずっとやってきたわけでありますが、ここでちょうどまとまってきた。これは、もしかしたら、それはわかりませんが、社会保障制度改革国民会議においていろいろな議論がなされて、医療と介護、大改革をやらなきゃならない、これを機といたしましていろいろな意味で意見の集約というものが、そういう意味では、ここをターゲットにされてきたのかもわかりません。

 特定行為も同じでありまして、委員も御承知のとおり、これもずっと以前から議論になっておったわけでありまして、チーム医療という中において、いろいろなそれぞれの職種の中での調整というものがなされてきたわけであります。これも、軌を一にして、この時期にまとまってまいったというわけでございまして、ちょうどこの医療、介護の大改革にフォーカスを合わせるかのようにそれぞれが出てきた。

 別のときに出ていれば別の法案だったのでありましょうけれども、それぞれまさに医療の基盤のところにかかわってくる問題でございます。でありますから、これは、今ほども足立委員に申し上げましたけれども、一緒に御議論をいただいた方が、一本一本だとその側面からしか議論がないかもわからないけれども、まとまってくれば、それぞれの法案がそれぞれの立場からの、側面からの見方が出てくるであろう、いろいろな御議論をいただけるのではないか、こういうことで、今般、一緒に御議論をいただこうということで、一本化させていただいて提出をさせていただいたということでございます。

 足立委員には御理解いただいたんですけれども、中島委員には御理解いただいていない。どうか御理解いただきますように、よろしくお願いいたします。

中島委員 総理からも御答弁いただいたわけですが、私は、その説明では全く納得いかない。

 恐らく、いろいろな御意見があると思います。例えば、先ほど足立委員もおっしゃっていました、法制化とかそういう意味からいけば、例えば前回の難病、私は大変理解、評価いたします。それは、やはり一歩前進するため、そういった意味では、制度というものは完璧な制度はあり得ないんだ、ですが、今後、やはり時代背景や社会背景の中で運用を高めていかなきゃいけない、そういった意味では、私は前回の難病法案に関しては大変評価をいたしました。

 しかし、今回は、それはそういう面から見ればそうかもしれませんが、冒頭にも言いました、私はまさにほとんど、先ほどの医療事故調、特定行為にかかわる看護師制度、大きな病院勤めもしておりました、公立の病院にもいました、私立の病院にもいました、そして開業した後、地域医療と。そういう中で、今回の法案、確かにいろいろな方向性を見出すという意味はあるとは思うんですが、やはり今の御説明では私はどうしても納得いかないんですね。

 それを前提に御質問を続けさせていただくわけですが、今回の法律案を見ていきますと、細かく分けると二十五項目あるわけです。

 単純にですが、本当に一項目について三問ずつしたとして、私ども野党は小さい政党ですから、一回の質疑時間は三十分として、全部で単純に七十五回になるんです。そして、もちろん、先ほど言った大きなテーマ、特定行為にかかわる看護師制度、医療事故調、まさに介護保険の部分も含めていきますと、最低でも百問必要。そうなってきますと、単純に三十分という割り振りの中でやっていったら、これは最低でも十日間必要ということになるんです。

 私は、まず冒頭に、それぐらいの質疑時間、これだけ多くの思い、まあいいです、いろいろな方向性から議論をする、そうやっていろいろな角度から御意見をいただきながら進めていくことがいいんだというのであれば、大前提としてやはりそれぐらいの時間はとっていただかなければ、私は先週の日曜日も現場へ戻って、今回の法案、大変、こんなのなんだよと。いや、何ですか、これはと。とても一つの議論にはおさまらない、現場の意見はほとんどそういう意見です。

 ですから、これは先ほど言ったように、法制化等、いろいろな意味での見方があると思いますが、これは、現場の声を反映させて、現場の意見を取り入れた内容、議論とはとても思えないというふうに私は申し伝えさせていただきます。

 そもそも、今回の法律案の趣旨、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため、医療法、介護保険法等の関係法律について所要の整備等を行う、これが本法案の趣旨ということなんですが、これも大変耳ざわりのいい言葉が並べてあるというふうに私は思うんです。

 例えば、持続可能な社会保障制度の確立、これに関しては、例えば複雑怪奇になってしまった年金保険制度や医療保険制度、その徴収体制も含めて、その制度の持続性ということが論点になるんじゃないか。そういったことも含めてですよ。ですが、今回の法律案には全く同じ土俵では話し合われない。

 例えば、効率的かつ質の高い医療提供体制の構築のためであれば、私は、医療市場の改革、医師会の改革であったりとか、社会福祉法人、きょうも医療法人も出てまいりましたが、質のよい医療提供体制、例えば家庭医、総合診療医、そういったものの議論が必要だと思いますが、やはり、ここの中身では入っていない。

 さらに、地域包括ケアシステムの構築ということであれば、前回の難病のときにも話をしましたが、本来の地域包括ケアシステム、その本質というのは何だろうかというふうに考えたときに、私は、他制度、総合支援法も含めて、難病対策、がん対策、そういったものとの連動性を高めていくということが議論されないとなかなか、もちろん高齢者だけに限って言えばそうかもしれませんが、進められないのではないか。やはり、そういった内容が今回の二十五項目の中には含まれていない。

 一方で、臨床研究中核病院の医療法での位置づけ、この内容を見ますと、地域医療とは正直、地域の中核病院でやらせる内容だけれども、研究内容、そういったことが盛り込まれていたり、外国医師の臨床修練制度、これも本質とは全くかけ離れているような、そんなふうに思います。

 恨み節ばかりになってもあれなんですけれども、今挙げた趣旨についての私の意見や、さまざまなことについて、改めて大臣に答弁いただきたいと思います。

田村国務大臣 高齢者医療と介護の問題は、これはしっかり連携をしなきゃならぬということで、地域支援事業の中でもこれを盛り込んで、しっかりバックアップしていかなきゃならぬというふうに思います。

 制度自体は、ちょっとなかなか、一緒にするのはかなり難しい。というのは、一方は出来高中心のものでありますし、一方は上限を組んでと。自己負担の構成も違うわけでありますし、なかなかこれを一緒の制度にすることは難しいんですが、それぞれの制度で、なかなか使い勝手が悪いというものに対してどう扱うか、これはいつも委員が問題意識をお持ちのところでありますけれども、これに関してはいろいろと我々は知恵は絞っていかなきゃならぬというふうに思いますが、この法律にはまだそこまではないわけでございまして、盛り込んでいないのは確かでありますが、しかし、連携という意味からすれば、やはり地域包括ケアシステムの中においてしっかり連携していく必要があると思います。

 臨床研究中核病院に関しては、そこの成果がいろいろな意味で、医療という意味で広がっていくわけでありまして、これはこれで、今、保険外併用療養の話も出てきております。我々は混合診療とは絶対言わないわけでありまして、何でもいいとは絶対思っておりません。やはり一定の安全性と一定の有効性というもの、それがある程度見込めないことには、何かよくわけのわからない水を飲んでどうだというようなことまで入ってこられては困るわけでありますが、そういうものも含めて、やはり臨床研究中核病院というものは、大きな役割を担っていただくわけでありますから、それが新しい医療の技術や薬等々をつくるという意味では、健康を守るという意味で、一定程度、関係がないわけではないんだろうなと思います。

 医師会改革は、ちょっと、これは任意の団体でありまして、我々が医師会を何か変えるということは法律ではできないわけでありまして、それは医師会は医師会でいろいろと内部での改革はされておられると思いますし、何といいましても、医師会が中核になって地域の医療というものを支えていただかないことには、今回のこともそう簡単には進んでいかないことも事実でございますから、その点では期待をさせていただきながら、我々は、医師会は医師会で独自に、さらなる地域貢献のために改革をいただいていくんだろうなというふうに思っております。

 それぞれいろいろな議論はあります。徴収がどうだという御議論もありますが、これはこれで随時やっておることでございまして、法律を変えるというよりかは、今、現状の中でどうやって徴収率を上げていくかというような話でございますし、あわせて、この間から長妻先生とのいろいろなやりとりの中でもやっておるわけでありますけれども、例えば年金というような議論であれば、これはこれで財務省からのデータをいただきながら進めてまいる。全てが全て法律に載せなきゃいけないというものでもないわけでありまして、やれるものはしっかりとやっていくという形でございます。

 多分、他にもいろいろな御意見があると思います。同じ時期にやっていますけれども法律に載せずにやっている部分も、それは法律改正マターじゃないものもあれば、そもそも医療や介護とは違う法律の中でやっておるというものもありますから、それはそれで順次やっていくわけでありますが、いずれにいたしましても、今般は医療、介護というような分野の中で提案をさせていただいておるわけでございまして、ちょっと種類が違うじゃないかというようなこともおっしゃられるかもわかりませんが、全体としては関係が全くないわけではないものでありますから、このような形でお願いをさせていただいております。

 理解をお願いしますと言っても、なかなか御理解いただけないのかもわかりませんが、努力をしてまいります。

中島委員 それだけでもどんどん広がっていくと思うんですよね、やはり医療とか介護という言葉で結びつけていくと。

 先ほど医療事故調の話も、その何年も前から大村議員を中心にやられた、その経緯も知っております。だからこそ、逆に、なぜこのタイミングなんだと。たまたままとまったからこの中に放り込まれてしまうということに違和感を感じるということなんです。

 先ほども言ったように、これは医師法の第二十一条、この問題なんですよね。それをどういうふうな捉え方をしていくかということになるので、そうなってくると、やはり、地域医療という、もちろんそれは地域医療の中核病院でも同じようなことが起こるわけですから、関係ないとは言いつつ、先端医療でのそういう事故も含めて、もっと違う土俵だというふうに私は、まあ、この話はまた改めてするので、きょうはそういうことなんですが。

 例えば、特定行為に関しても、私が以前から言っていますように、一人訪問看護師にかかわるわけです。要するに、私どもの政党はNPを目指しています。やはり、専門看護師という独自のものをつくる。そうしていけば、医師と同じように看護師が一人で開業していける。そこを拠点に、資源の足りない看護師さんたちを中心に、プライマリーケアからターミナルケアまで、医師と役割を連携しつつやっていけるんじゃないか。星降るほどの訪問看護ステーションをというようなことにつながる。やはり方向性がどんどん変わって、広がってくるわけですね。その大もととなるところということなんです。

 先ほど、要支援の地域支援事業への移行、たびたび議論にもなっておりますが、これも本会議のときに質問をさせていただきました。地域包括ケアの充実を図ろう、そういったことの中で、今回、要支援の部分を地域支援事業に移していく。

 その前にやらなきゃいけないことは、介護における経営主体間のイコールフッティングがまず大前提だというふうに思うわけです。

 デイサービスとかショートステイ、訪問介護、通所介護も含めてですが、同じサービスを提供しているにもかかわらず、その経営主体によって、社会福祉法人は税制上のさまざまな優遇を受けている、しかし、本当に民間と言ったらいいかわかりませんが、NPOとかそういう事業は、同じデイサービスをやっていても、そういう税制上の優遇がない。

 そういう市場の中で、やはり今回、地域支援事業に移していくということであれば、その前の大前提として、同じサービスを提供する母体に不公平感があってはいけない。社会福祉法人改革に踏み込んで、介護における経営主体間のイコールフッティングの確立の必要について、大臣のお考えをお聞かせください。

田村国務大臣 もともと、介護、措置の時代は社会福祉法人が中心になってやってきたわけであります。それはやはり、社会福祉法人としての役割というものがあって、公益というものに対してどのように関与していくか。このために、税制上の優遇でありますとか、いろいろな特典があるわけであります。

 そういう意味からいたしますと、介護保険というのは、保険事業にしたということで、株式会社に、全てではありませんけれども、一部を開放いたしました。その株式会社自体、これは御承知のとおり、保険があってサービスなしというような、そういうような御批判が当初言われる中において、民間事業者、要するに株式会社にお力をおかしいただこうということもあってやり出したわけでありますが、イコールフッティングという意味からすれば、役割が違うわけであります。

 そのかわり、社会福祉法人に対してどういう役割が必要なんだ、本当にそれがやられているのかということも含めて、あり方検討会を去年の九月から開きまして、いろいろな関係者の方々に入っていただきまして議論をしていただいて、例えば、財務内容が余り透明にされていないということでございましたので、これは、理事等々の報酬の総額も含めて開示していったらどうだというような方向性であるわけでありますし、一方で、今もございました積立金というものが非常にわかりづらい。これは、要するに、本来施設の更新のための積立金が内部留保みたいな形で入っている。こういうのも透明化して、それでも内部留保というのがあるのではないかという中において、本来、社会福祉法人は地域貢献事業をするのがその役割であるから、それもしっかりやっていただかなきゃそれはおかしいではないか、こういう御議論も規制改革会議等々でもいただいてきておるわけであります。

 そういう意味では、それぞれ成り立ちが違いますから、それは成り立ちが違わなければ全部一緒にしちゃえばいいわけでありまして、そのかわり、社会福祉法人は利益の分配ができないという中において、その役割を果たしていただくべく、今、社会福祉法人改革をさせていただいておる。

 でありますから、イコールフッティングという考え方は、それであるならば、株式会社になれる、もしくは株式会社が社会福祉法人になればいいわけでございますので、それぞれ違う立場の中で、役割はちゃんとやっているか、やっていないならばやらせなきゃいけないじゃないかという改革を今進めておるということであります。

中島委員 そうだと思うんです。ですから、やはり先ほど出た社会福祉法人の役割は、措置から契約、介護保険制度の導入によって随分さま変わりしたと思うんです。

 そんな中で、地域貢献、その評価、先ほど言った、財務諸表とか内部留保の問題以前に、その地域で同じ仕事をしているにもかかわらず、その母体によって、もしかしたら給料が違う可能性もあったり、その母体の経営状況が全く違う。そういう状況の中で、同じ仕事をするにもかかわらずこんなに差が出てしまう、先ほど言った株式会社にしていけば。まさにこの社会福祉法人改革というのは、今後の介護のあり方に非常に重要だと思うんです。

 一言で地域貢献度と言っても、例えば、措置の時代であれば、地域の困っているひとり暮らしの方とか経済的に困窮している人たちを積極的に取り入れるという役割があったわけですが、今、完全に個人との契約になっている以上、真ん中にケアマネジャーさんを挟んだり介護認定があったり、そういう中で、何をもって地域貢献度とするのか、その指標というものが明確になっていないんですね。

 例えば、不採算事業、私はなぜそういうことを言うかというと、先日の、医師会のあり方と言ったのは、私は医師会員だから中がわかるわけです。その中で、決して医師会が要らないと言っているわけではなくて、その改革のあり方というものは必要ですと。私の診療所も施設も、母体は社会福祉法人なんです。中にいるからこそ、真面目にやっていると言ったら変なんですが、しっかりと地域貢献としてやっているところと、今介護保険になっていますから、さまざま、言い方は悪いですが、都合のいい利用者さんをどんどん集めてどんどん運用しようとする、二つに分かれているわけです。

 これは、大きな母体の中、老施協とか、逆の、経営機関ですか、いろいろ母体があるわけですが、いろいろな議論がされているわけですね。ですが、なかなかそれが進まない。私は、やはり、地域において、今後、地域支援事業、その件はその件でまた私は異論があるわけですが、まず大優先としてこの社会福祉法人改革が前提にないと、地域支援事業といっても、さらにその格差が広がってしまうだけなのではないかと。

 これは、はっきり言いますが、その主たるものは社会福祉協議会。社会福祉協議会に至っては、もちろん、社会福祉法人ですから、さまざまな税制上の優遇も受けている、そしてなおかつ補助金もいただいている、なおかつ会員から会費も納められている。その中で、県の社協があって、市町村は各委託を受けながらやっている。にもかかわらず、民間と同じ土俵の中で、同じようなデイサービスをやったりショートステイをやっている。やはり、ここの問題は、ある意味、既得権化してしまっている。

 例えば、自治体、ある市で、小規模多機能、手を挙げさせたといたします。そのときに、社協さんが手を挙げた、そして一方では民間の小さい事業所が手を挙げた。ほぼ一〇〇%、社協さんがとります。そして、採算がなかなかとれないような部分に関しては手を挙げない。要するに、そうやって事業をえり好みする部分もある。

 そうなってきますと、やはり今回の介護保険の改革、あり方を考えるのであれば、社会福祉法人の改革、あり方そのものを見詰め直して、まずそちらが先ではないかなというふうに思います。

 イコールフッティングの問題ですけれども、資料の八枚目を見ていただければと思います。これは、山梨県北杜市、ありがたいことに、厚生労働省さんがうちの地域をモデルとして、成功例というか、今回、地域支援事業、民間のNPOとかを活用して、地域ケア会議等を開いて合意形成をして、介護度を下げたということになっておるわけです。

 実はこれは、まさに私、ここへかかわっていたんです。このグラフを見ていただけると、私の診療所は平成十六年にできたんですが、そのときの要介護認定率は一四%だったのが、その後下がってきているんです。要するに、これはどういうやり方をしたかというのは、まさに私はやってきたので、小地域ケア会議、個別ケースのケア会議等、私は全部出ておりましたし、地域包括ケアセンター長と一緒にやってきたわけです。

 結果として、こういうふうに取り上げていただいたのは大変ありがたいことなんですが、一方で、これも本会議のとき質問した要介護認定、先ほども重徳議員の方から少し質問がありましたが、要介護認定審査、この地域間格差、これについて質問をさせていただいて、これは資料がいっぱいあるんですけれども、そのときに、大臣は答弁の中で、高齢化率が高い地域の方が要介護認定率が高い傾向があるというふうに、議事録を見ると書いてあるんです。

 ちょっと確認したいんですが、これは、介護認定の場でよく言われる、要介護度が高くなるというのは、三だった人が一に行くことが高くなるという言い方をするときもあります。三だった人が五になると要介護度が下がったという言い方もあるんですが、確認なんですが、大臣の御認識として、高齢化率が高い地域では要介護認定率が重く出やすいという認識でよろしいんでしょうか。

田村国務大臣 これは、高齢化が進んでおる、そういう高い地域の方々が、要介護度一から五の方々の六十五歳に占める割合が高いという意味で申し上げたわけであります。

中島委員 資料のグラフを見ていきますと、確かに、要介護度が高ければ高いほど高齢化率とリンクしてくるんですね。でも、これは当然といえば当然なんです。要支援になっていく部分では、加齢による変化、そこで、脳溢血とか、骨折とか、がんとか、そのような重い病気を併発した後、介護度は、四、五と重度化していきますから、介護度が高い部分ではそうだと思うんです。

 ただ、やはり、要支援、この資料の五枚目は要支援のグラフですけれども、ここは、要するに、非該当、自立とみなされた方と、要支援と認定された、現状の介護保険の適用となった方たちなんですね。そう見ていきますと、私の地元山梨県と一番高い長崎県では約四倍の開きがあるというふうに思うわけです。

 そうなってきますと、折れ線グラフが高齢化率ですけれども、やはり、介護認定に至っては、高齢化率は余り反映されていない。もちろん、重くなって、誰が見ても重度だなという方に関しては、先ほど言ったように、疾患が高齢になればなるほどふえますから、なるんですが、改めてこれもまた次回のときに続きをやりますけれども、介護認定審査、この地域間格差についてどのような認識を持たれているのか、そしてその原因について、お答えいただきたいと思います。

田村国務大臣 おっしゃるとおり、要支援に関して言えば、高齢者の年齢が高いというよりかは、日常生活に対して、社会の中でどういう参加をされておられる方とか、また、介護予防という意味でどのような地域が取り組みをしているか、こういうところが要支援の認定率にはかかわってくるわけでありまして、私が先ほど申し上げたのは、要介護一から五ということでございますので、どちらかというと重い方という認識をいただければありがたいというふうに思います。

中島委員 時間なのでまた次に回しますが、資料七の方を見ていきますと、今度は要支援と要介護の差というところでもまだかなり開きがあるんですね。その要因について私なりの見解がございますので、次回また御質問させていただければと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 本日は、ようやく医療介護総合法案の審議入りということで、大変長い審議になることが予想されますので、まずは、本当にテーマを絞って、本当の入り口の入り口論、まず法案の出し方について、それからお金の出し方について、この入り口だけに絞って議論をさせていただきます。

 ほかの議員も本会議あるいは本日ともう重々指摘をしているところですから、ちょっと一問目を省いて二問目から伺います。

 今回、十九本の法案をまとめて、賛否までまとめて決めろ、こういう、総理も本会議で答弁されたとおり、過去に例のない、前代未聞の法案提出だというふうに認識をしております。自民党内でも実際抵抗が大きかったというふうに報道をされております。

 これは、百歩譲って審議はまとめてやるとしても、せめて、採決まで一つにまとめるいわゆる一本化ではなくて、採決はちゃんと法案ごとに分ける、一括審議にすべきだと考えます。

 審議は一括にして、賛否は別々に採決すると政府としてどのような不都合が生じるのか、大臣に伺います。

田村国務大臣 一括といいますか、一本で御審議をいただきたい、それの理由は、先ほどから申し上げておりますからあえてここでは申し上げませんが、やはり一本で、何としても御議論を同じ場でやっていただきたいという思いで一本にしたわけであります。

 一括審議というのは、これは申しわけないんですけれども、我々政府の方から一括審議というものを議会に確約をとって出すというやり方はないわけでありまして、議会の方でいろいろな御議論をいただく中において、審議の仕方があるわけでございますので、政府としては、何としても一つの場所で議論をしていただきたい、そういう思いの中で一本化をさせていただいたということで、御議論をいただければありがたいと思います。

井坂委員 一本化でないと、国会に出したときに、本当に同じ場で審議されるかどうか確証が持てない、こういう理由でありました。

 であれば、先週まで議論しておりました難病と小児慢性疾病、これはまさに同じ場でずっと議論をして、そして最後の採決だけ別々にしたという形になっておりますが、これはそういうおそれはなく、ばらばらにして、たまたま国会がうまいこと二つ同時にやってくれた、こういう考え方でしょうか。

田村国務大臣 それぞれ法案というものは、国会の中で、国対間でのいろいろな御議論があられるという話だろうと思います。その中においてこの二本は一括で御審議をいただけたということでございまして、そのような意味からすると、難病、小児慢性特定疾病という、言うなれば、同じ、困っておられる方々に対しての制度の枠を広げる、それから中身を変える、こういうものであったわけでありまして、国会の中で、そのような関連性という中において一括で御審議をいただいたんだというふうに理解をさせていただいております。

井坂委員 今の御答弁を伺っていると、難病と小児慢性は、国会議員の側も一括で審議しようというふうに言えるぐらい近い法案だったから、分けて出しても大丈夫だった、ただ、今回は、一本化しなければ、国会では恐らくばらばらに審議されてしまうおそれがあったのではないかな、そんなような御答弁だったわけであります。

 多くの法案をまとめて審議にかけ、しかも採決まで一本化をすると、私の立場からすれば、いろいろある中で、十九本ある中で、一つ、二つ、三つでも賛成できない法案があると、結果的に全部に反対票を投じなければならない、大変賛否の判断が難しくなるわけでありますが、それは、一つ、二つ賛成できなかったら反対してもらって構わない、こういうお考えでしょうか。

田村国務大臣 いろいろなお考えがあると思いますけれども、我々は提出者でございます。御理解をいただいて、なるべく多くの方々に御賛同いただければありがたいというふうに考えております。

井坂委員 大臣が野党議員でいらしたとき、もし今回のように十九本が一本化された法案が出てきたら、素直に審議ができましたでしょうか。

田村国務大臣 私は現在提出者でございますので、野党議員、与党議員という立場で議会で法律を審議する立場ではないわけでございまして、これに対する答弁はちょっと差し控えさせていただきたいと思います。

井坂委員 切りがないので、この出し方に関しての質疑はこれぐらいにいたしますが、大変問題のある法案提出だということは重ねて申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、お金の出し方についてであります。

 今回は、基金という形で都道府県に財源を配分するわけでありますが、診療報酬や介護報酬ではできないので基金で行うという事業、あるいは、自治体への通常のこれまでの補助金ではできないので基金というやり方で行う事業、それぞれ明確な線引きと役割分担をまず大臣に御説明いただきたいと思います。

田村国務大臣 診療報酬、介護報酬というのは、特定のサービス等々に対して対価というものを示していくものであります。でありますから、全国一律であるわけでございますから、そういう意味では、単価設定というもの自体、地域によって若干の加算はありますけれども、基本的には一緒であるということであります。

 一方で、基金という形になりますと、人材育成でありますとか機器、設備投資、こういうものにも使えるわけであります。

 いずれにいたしましても、これをうまく両方とも使っていただきたいというのが今回でありまして、例えば、この基金でいきますと、急性期の受け皿の整備でありますとか、それから人材育成でありますとか、また在宅医療、介護もそうでありますけれども、こういうものに対しての整備に向かってこれを使っていただける、つまり、目的を絞ってこの基金からいろいろなものにお使いをいただけるというような利点があるわけでございます。

井坂委員 ちょっと細かい具体の話なので、次は参考人に伺います。

 これまで補助金で行っていた三十の事業が廃止をされて、そして、ほぼ同じ内容の、今度は基金事業となるというふうに伺っています。今回の基金九百四億円のうち、約三分の一に当たる二百八十億円はそのような看板かけかえである。

 平成二十一年から二十五年に地方に配られた、地域医療再生基金という似たようなものがあったわけでありますが、要は、この五年間、その基金があるころは、基金事業にせずに補助金事業にしていた。ところが、同じものを、今回は補助金事業から下げて基金事業に入れ直してきた。これは役割分担論と大いに矛盾するのではないかと思いますが、今回、基金事業とした理由は何か、参考人に伺います。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地域医療再生基金の方は、設立経過からもそうでございますが、補正予算を財源として、一時的な形で基金が積み上がってきたというような形になっております。目的は、地域の医療課題の解決のため、地域の実情に応じてそれぞれ事業を行っていただくという、その地域のために使うという意味では似ているところがありますけれども、基本的には、補正予算を使ってやるという、一定期間継続して対応する必要のある事業の一時的な措置であったということが一番大きな特徴であります。

 一方、今回の新たな財政支援制度におきましては、これは消費税増収分を財源とすることを本法案にも位置づけておりますので、毎年の当初予算で措置されるものという意味では、いわば恒久的に積み上げることができるような基金である。

 そういうような安定的な財源であるということから、今回、もともと、それを何に使うかという目的の中に、例えば病床の機能分化や連携とか在宅医療の推進、あるいは医療従事者の確保という目的がありますので、その目的に沿った既存の補助事業についてはこの基金の中で対応をするというふうにしたわけでございます。

井坂委員 先ほど申し上げた、過去五年間やっていた地域医療再生基金、これは、当初、各都道府県に同額が配分をされました。今回の基金はどのように分配をされるのか、大臣に伺います。

田村国務大臣 この法律に位置づけているわけでございまして、総合確保方針というものを国がつくって、それに基づいて各都道府県で計画をつくっていただきます。でありますから、計画をつくっていただかないと基金というのは配れないわけであります。

 計画をつくっていただいた上で、ただ、その計画にそのままというわけではありませんでして、基礎的な要因があります。それは、交通の便だとか地形の部分もあるでありましょうし、あと、人口だとか高齢化がどれぐらい進んでいるかだとか諸要素、こういうものを勘案しながら、やはり都道府県と何度かヒアリングを重ねさせていただいた上で、必要なものをつけさせていただくというような形になってこようと思います。

 今委員がおっしゃられたみたいな、地域医療再生基金当初というような形で、一律というような形ではありませんでして、それぞれの計画の御努力だとかいろいろな部分を勘案しながら話し合ってつけさせていただきたい、このように考えております。

井坂委員 新聞報道によりますと、今後、七月に基金を地方自治体や都道府県に配る交付金の要綱を発表して、十月までに都道府県が事業計画をまとめ、十一月には資金を交付して、各都道府県が基金を設ける、こういうふうに報道されているわけであります。

 過去の、五年前の基金のことをいろいろ調べておりましたら、二〇〇九年の雑誌の特集記事で、「バラマキかクリーンヒットか 地域医療再生基金が抱える火種」こういう記事がありまして、これは自治体の担当者の声としてそこに紹介されているんですが、五年間の中期計画をわずか五カ月でつくるのは非常に難しい、こういう、現場から実務面での悲鳴がそこに記されているわけであります。

 今回も同様の、非常に短い準備期間で、ずさんな計画にならないのかどうか、七月、十一月ということに対して、ちょっと、通告をしていないですが、お伺いをしたいと思います。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 全体のスケジュールは、今委員御指摘のとおりの方で進めております。

 ただ、その中身に当たりましては、ことしの初めから、今回提出する法案の概要といいますか中身については十分に都道府県にも御理解いただきたいということで、いろいろな場を通じながら説明をしてきております。また、例えばこの基金を使った事業の内容につきましても、折を見て、粗い項目でありますとか細かい項目ですとか、その時々に応じて提供してきたところでございます。

 そういう意味では、確かに短いといえば短いという、五年かけてつくるのか、二年かけてやるのか、一カ月でやるのか、それはいろいろとあるとは思いますけれども、いろいろなタイミングで情報提供しておりますし、また、関係団体も中央の方からそれぞれの都道府県にも流れておりますので、そういう全体の中で、地域の中でいろいろと考えていただく時間は、十分とは言えませんが、かなりあるというふうに考えておりまして、地域の中で十分話し合って計画をつくっていただきたいというふうに私どもは考えております。

井坂委員 今御答弁ありましたが、しかし、実際は、どんなことにこの基金が使われるのかという一番大事な、使える項目が決まったのを発表されたのはつい最近だというふうに聞いております。

 先ほどの記事には、引き続きどう書いてあるかといいますと、短期間で再生プランをつくるとあって、もらえる金を使い切る予算の策定が第一の優先事項になってしまった、その中身は当然、ずさんな箱物も多く、積算根拠なしの事業もあると認めた県もあった、こういうことが書かれているわけであります。

 前回の反省を踏まえ、今回、都道府県の事業計画の積算根拠、これはどのようにチェックをしていかれるのか、参考人に伺います。

原(徳)政府参考人 お答えいたします。

 当然ながら、国の標準的な単価等を参考にするなど、適切な積算根拠を含めた事業内容の確認をしていきたいと思います。

 また、当面は、今年度については、恐らくハード物というのはそれほど出てこなくて、ソフト的な事業になろうかと思いますので、そういう意味では、荒唐無稽な単価にはならないというふうに考えております。

井坂委員 当たり前の一般論と、ことしはさすがにそんなややこしい積算のものは出てこない、こういう話でありますけれども、前回の反省を踏まえて、期間とかあるいはチェックの仕方とか、そのあたりの工夫についてはお答えがなかったわけであります。

 重ねて伺いますが、この地域医療再生基金、これは、病院や箱物や医療機器など本来診療報酬から支出すべきものに使われた、問題だ、こういう指摘が前回、五年前にはあったわけでありますが、今回、この点についてはどのように改善をしていかれるか、大臣に伺いたいと思います。通告どおり読ませていただいています。

田村国務大臣 診療報酬では、具体的に、病院建設、改修、それから医療機器等々を購入するための点数はない、もう御承知のとおり、ないわけでありまして、それは報酬の中で、それぞれ、各医療機関が、それこそ足立委員のお話ではございませんけれども、内部留保ではありませんが、そういうものを確保して、整備していただくということであります。

 でありますから、逆に言うと、基金でそういうものを買ってはいけない、建ててはいけないというわけではないわけであります。

 ただ、無駄なものをやってもらっては困るわけでございまして、地域医療再生基金、これに関しては、いろいろな無駄もあるというようなお話もございましたが、これも計画を立てていただいておったわけであります。

 私も、自分の県の幾つかの事業を拝見しましたが、例えば、地域の中核的な役割を担っていただいておる病院、こういう病院が老朽化していて大変な状況になっている。そのときに、ちょうど他の病院と統合するような形の中においてそういうものを一つ大きな役割として機能させよう。そのときの建てかえ、こういうものは、当然、地域医療の中心的な役割として意味があるわけでありまして、そういうようなものに対してしっかりとつけていく、また、必要な医療機器に対してちゃんと見ていくというのは、これは問題がないわけであります。

 でありますから、今般の新たな方針にのっとった計画、これに関しても、前回の地域医療再生基金の場合はちょっと公立につけ過ぎたというような、そういう御批判はいただいておりますから、そこはよく我々も見ていかなければならないというふうに思いますが、基本的には、これは必要であるというような認識のもの、例えば医療機器でありますとか病院等々に対するいろいろなハード的な部分というものに関しましては、それは当然我々も認めていく。

 そういう方針ではありますが、これはどうもというものに関しましては、計画の時点で、こちらからもいろいろと注文をつけさせていただくということになろうというふうに思います。

井坂委員 中身を見て、きちんとだめなものははじいていく、それは当然そうあってほしいわけでありますが、後ほど質問いたしますが、その審査、チェック体制も非常にずさんだったというふうに認識をしております。

 本来は診療報酬から支出すべきだったのに、基金から箱物や医療機器を買ったりするべきでない。これはどなたの意見かといいますと、神野正博全日本病院協会副会長、この方が、内閣府で二〇一〇年十一月に行われた規制・制度改革に関する分科会ワーキンググループ、この中で、そもそも今回の、本法案のまさに原案とも言える地域の医療ビジョン、二〇二五年に向けたシミュレーション、それに向けて、いわゆる病床機能をどう変えていくか、まさに本当に、今回の十九本あるうちのベッドの部分、もうほとんどそのままと言えるようなものをこの日出したんですね。

 その出した書類とあわせてもう一枚出されたのが、きょう持ってきているこのペーパーなんですけれども、地域医療再生基金に対する意見書ということで、大変辛辣なものを出されております。

 ちょっと朗読をいたしますが、「自民党政権下で構想が練られ、政権交代後に発効した地域医療再生金は効果を上げたのか?単なるバラマキなのか?それを検証しないまま、今年度新たな補正予算化に大義はあったのか!」、冒頭、こういうことがびっくりマークつきで書かれております。

 中身も、多くの基金の使い道は、マルチスライスCTスキャンや、高磁場MRI、手術ロボット等の高額医療機器、あるいは病院のセンター増築、電子カルテ購入等に充てられようとしている、本来、このような施設設備機器は診療報酬で手当てすべきものであり、それができないとしたら、診療報酬点数が低いのか、需要がないためにほかならない、こういうことを書かれてしまっているわけであります。

 もちろん、診療報酬は機器やハードのためのお金じゃない。それはそうです。我々の議員報酬も、別に車を買うためのお金じゃないですけれども、ただ、その中でやりくりをして、車も買う、テレビも買う、必要な物も買う。これが、本来、診療報酬のあり方だというふうに思うわけであります。

 また、別の新聞報道なんですけれども、こんなことも、今回の法改正では、解説記事で書かれております。もともとこの新基金は、実質減となった二〇一四年度診療報酬改定の代償という側面がある、診療報酬を抑えたい財務省と既存の補助事業に安定財源の欲しい厚労省が、既存の補助事業を看板だけかけかえて基金に潜り込ませる案でひそかに折れ合った、こういう解説記事も出ております。

 何か、こういうことを書かれておりますけれども、実際、そういう代償という側面があるんでしょうか、大臣に伺います。

田村国務大臣 代償という言い方がいいかどうかは別にいたしまして、これは、診療報酬改定の段でこのような形での基金という話が出てきたのは事実でございますし、我々は、もともと診療報酬改定の中で、今言っております地域包括ケアも含めて、言うなれば、医療提供体制も含めて、いろいろな改革を今やらなきゃならないときだから、診療報酬に対してのアップというものをお願いし、さらに、一方で、がんでありますとか、それから認知症に対する対策でありますとか、法律を通していただいた精神疾患に対するいろいろな対応、こういうものも含めて、診療報酬改定でぜひともこれを御理解いただきたいというお願いをさせてきていただいたわけであります。

 議論の中で、今般、ちょうど消費税導入ということで、消費税分が上がります。消費税分は、当然のごとく、基本的なところに今回かけるという話になっておりますので、これは、医療、自己負担の部分のアップになるわけでありますけれども、あわせて、他のもの、いろいろな政策的な課題に関して診療報酬改定をしていけば、それはやはり利用者の方々の負担になる。つまり、それはアップする。消費税が上がったときにそのような形でアップすること自体、これはダブルパンチになるという部分もあるということの中において、今般は、診療報酬という中でなかなか対応できない部分もあるというお話があったのも事実でございます。

 その中で、一体として今般の基金という御議論が出てまいりまして、やらなければいけない大改革に対してこういうような方法もあるという中において、今現在、これを使わせていただきながら、何とかこの大改革というものを進めてまいりたいということで、制度設計をさせていただいて、法案を出させていただいておるということであります。

井坂委員 診療報酬をなかなか上げられる状況にないので、しかし、やらなければいけないことがまだあるから、そこは基金でやっていく、こういう御説明でありました。

 そのやらなければいけないことに本当に絞ってお金が使われるのであれば、私はここまでは申し上げないわけでありますが、やはり過去五年間の基金を見ていると、本当に大丈夫なのかな、ずさん過ぎやしないかなと思うことが多々見受けられたわけであります。

 例えば、先ほどのクリーンヒットかばらまきかという記事にはこういうことも指摘をされています。都道府県のプランの審査は一回だけだ、しかも、事後検証するといったって、その事後検証に必要な数値目標を記していない県も中にはある、要は、事実上、事後検証は不能だ、二〇〇九年当時からそういうことを書かれてしまっているわけであります。

 いわばこういうずさんな評価が指摘をされてきた地域医療再生基金の過去五年間の成果測定をどのようにこれまで行ってきたのか、参考人に伺います。

原(徳)政府参考人 地域医療再生基金につきましては、各都道府県が策定した地域医療再生計画において、現状、課題、目標及び具体的な施策を定めて、平成二十五年度末までを計画期間として事業を実施してまいりました。

 ただ、まだ事業の途中のものもございますし、例えば奨学金のようなものはもう少し後までいいということにしておりますので、二十五年度末で一旦切りまして、二十五年三月に中間評価を行ったところでございます。

 この中では、具体的には、医療関係の有識者や地域の患者の代表などで構成されました有識者会議が、事業ごとに進捗状況それから目標に対する自己評価なんかを都道府県から報告いただいた上で、有識者からのいろいろな御指摘、御質問に答えていただいたところでございます。その中で、有識者会議で、効果的、効率的な基金の活用が図られたかどうかを一定の基準に基づいて評価を行っていただきました。

 この結果は、中間段階ではございますが、例えば都道府県の自己評価ということでいきますと、A、B、Cでいきますと、Aが非常に多いわけでありますが、一応、有識者の会議でAの都道府県は九つにとどまったということで、Bランクが残り三十八件であったということであります。

 これは一応、中間段階のあれをやりましたので、締めが終わるまではもう少しかかりますので、その段階で最終的な評価はしていきたいと考えております。

井坂委員 今のやりとりを踏まえて、ちょっと大臣に簡単なことをお聞きしたいんですが、基金というのは、結局、自治体側の裁量の範囲が広い、これはいい面もありますけれども、やはり出している側は、そのかわり、審査であるとか、あと事後検証の仕組み、そういったものを当初からしっかり埋め込んでおかないと、出して、結局どうなったのかよくわからない、自己評価あるいは専門家評価、曖昧な定性的な評価にとどまってしまう、こういうことでは今回は絶対にいけないと思うわけであります。

 今回は、当初から測定可能な定量的目標を義務づけ、そして進捗管理をすべきではないかと思いますが、大臣はいかがでしょうか。

田村国務大臣 やれる範囲でやるべきことはやっていかなきゃならないと思いますが、地域医療再生基金と違うところは、地域医療再生基金は、御承知のとおり、補正で繰り返した中において、法律上位置づけられておりませんから、いつ終わるかわからない。

 私は、必ずしも地域医療再生基金が無駄に使われたとは思っておりません。効率的に使われたところもありますし、それによって医療人材の確保等々にも使ったところもありますし、使い勝手がいいということで、震災の対応の中においてもいろいろな使われ方をしていただいたということで、それは、中にはそういうのもあるのかもわかりませんけれども、比較的うまく使っていただいたものではないのかなと思いますが、ただ、一方で、いつ終わるかわからない基金ということになれば、なるべく確保して使わなきゃならないというような意識があるのかもわかりません。

 今般は、法律にのっとった、そういうような財政支援措置でございますから、継続的にこれは続いていくものでありますので、仮に何らかいいかげんなことをしていただければ、次からのことに対しての影響が当然出てくるわけであります。

 あわせて、今までは十分の十でありましたが、今般は、三分の一都道府県の負担がございます。これはやはり、それぞれの計画をつくる中においてはかなり、今までは、決して不真面目とは言いませんけれども、さらに真剣にしないと、自分たちの負担もあるということでございますから、そのような意味では、さらなる精度の高いといいますか、そういうような計画をおつくりいただけるのではないか、このように期待をいたしております。

井坂委員 補正の話が出ましたから、最後に補正の話をお尋ねしますが、これはちょっと、大臣の御答弁で、私、何かおかしいなと思うのが、そもそも、前回の五カ年のは、五カ年計画を立てて、平成二十一年にもう五年分をまとめて出し切りでしょう。何か、いつなくなるかどうかなんて、そんな性格じゃなくて、五年分を当初に出して終わり、そういう基金だったと思うんですよ。だから、御答弁はおかしいなと思います。

 二十一年補正で各都道府県に五十億円ずつ出して、ところが、二十二年にもまたそれより多くのお金を、今度はもう一つ大きな三次医療圏規模で出した。こういう補正で基金を積むというまさに悪い例のようなお金の出し方をしたんだなと私は認識をしているんですが、これまでの御答弁で、今回は当初予算だと繰り返し強調しておられますが、今回の基金は補正予算で積み増していくことがあるのかどうか、最後にお答えをいただきたいと思います。

田村国務大臣 これは、当初はそうだったんです。ところが、政権交代いたしまして、ちょっと、いろいろな出し方、初めと計画も変わった出し方になりました。そういう中において、毎年何かあったときには積んでいくみたいな形になったわけでありますから、そういう意味では、先ほど言われたみたいなこともあった可能性はあるのかな。

 私はそういうような事案ばかりではないと思いますけれども、もらえるだけもらった方がいいのではないかというような、委員がおっしゃられたようなことも起こり得るのかなという気はいたしますが、当初は、その後政権交代する前のプランというものは、さらに地域においていろいろな計画をきめ細かく提案できるようなものであったことは事実であります。

 それはそれといたしまして、今般は、これはもう補正というものではなくて、財源は基本的には消費税という形になってまいりますので、毎年、当初予算という形の中において積んでいくというような類いのものになろうというふうに考えております。

井坂委員 補正で積むことはないということでしょうか、補正でだらだら積んでいくというようなことは。大変問題のある積み方だったと思うんですよ。

 ちょっと、最後にそこだけ明快にお答えいただいて、もう私は発言なしで終わりにいたします。

田村国務大臣 できないかというと、それは受け皿があるので、できないという形にはなっていませんが、今は想定いたしておりません。

井坂委員 終わります。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本法案は、重要広範議案として、四月一日に総理への本会議質疑を行いました。随分間があき過ぎてしまったわけですけれども、同時に、先ほど来随分議論がされているように、余りに多くの法案を一括して審議することは、やはり納得いきません。

 十九本まとめれば、一つ一つを見ていけば、幾ら我々だって少しは賛成するものが入っているかもしれないわけですし、また、本数の問題じゃなくて、過去に、年金特例という、後納を認めるよという法案と、企業年金が、たった二本なんだけれども真逆の、我々からいうと真逆の法案が一緒に採決ということで、なぜそういうふうなやり方をするのかということを指摘したことがあったんですね。

 国会のいろいろな日程感というものがあるかもしれないけれども、やはりそこは、本当に真摯に一つ一つに向き合うべきではないかというふうに思っています。

 また、少なくとも、少なくとも医療事故調についてはやはり切り離して、これは採決だけ切り離すというのではなくて、それ専門の集中的な審議をしなければならない、私はこのように思っていますが、まず、提出者として、大臣に伺いたいと思います。

田村国務大臣 何度かきょうも御答弁させていただいているんですけれども、やはり二〇二五年を見据えて、医療提供体制の見直しをしなきゃならない。あわせて、地域包括ケアシステムというものを確立していかなきゃならない。そして、主治医機能というものもしっかりと一つ見越しながら、在宅医療というものに対しても力を入れていかなきゃならない。いろいろな要因があります。介護という要因がそこに入ってくる。

 そういう意味からいたしますと、介護の法律と医療の法律というものを一緒に御審議いただいた方が、より効率的に、また効果的にいろいろな御議論をいただけるのではないか、こういう思いの中で、この法律を一緒に出させていただくわけであります。

 そのほかにも幾つか入っております。今言われました医療事故調査委員会のお話に関して申し上げれば、この法律はそもそも、今般、事故の再発防止という意味で出させていただいておる、医療の質の向上という意味で出させていただいておるということでございまして、そういう意味からいたしますと、これはやはり再発防止というものは、医療において大変大きな役割といいますか、位置づけであるわけであります。

 地域でいろいろな医療を提供いただくのに、そのような質の向上等々ということも、その側面から見ていただければ、いろいろな制度に関しましても、またいろいろな御意見も出てくるのではないか、このような認識のもとで、この法律も、法律といいますか、これも御一緒に提出をさせていただいたということでございまして、委員には委員のいろいろなお考えがあられるというふうに思いますけれども、どうか意をお酌み取りいただきながら御議論をいただければありがたいというふうに思います。

高橋(千)委員 大臣にはこの問題でこれ以上は質問しませんけれども、事故調の問題というのは、まさに二〇〇六年の医療制度改革の委員会審議をしている最中に福島の県立大野病院の問題があったわけです。あれを契機として、事故調のようなものをつくらなきゃいけないということで、ずっと議論を積み重ねてきました。

 我々は地方公聴会で福島に行ったわけですけれども、結局、このような問題が起きるのであれば、産科医を、一人だけというときは絶対できないということで、医師を全部引き揚げちゃった。これでもう深刻な医師不足になったわけですね。

 やはりそういう問題があって、しかし、当事者がいて、御遺族がいて、さまざまな議論を積み重ねてきたんですね。これを簡単には、この法案と関連しますよ、しますからといって、この法案の中でなかなか議論がしにくい。

 要するに、そのこと自体を、ちゃんと参考人を呼んだりしてお話を聞いて、みんなで議論するという時間がやはり必要なんです。そういうことをぜひ委員会として検討していただきたいと委員長に要望いたします。

後藤委員長 御指摘の点については、また理事会で御相談させていただきます。

高橋(千)委員 では、そこはお願いいたします。

 そこで、〇六年の医療制度改革は、まさに二〇二五年ということが盛んに言われたわけであります。団塊世代が七十五歳以上となるということで、二〇二五年の姿ということが言われたわけですが、それが今法案のまた大きなテーマでもあると思うんですが、政府がそれをどのように描いているのか。

 住みなれた地域での暮らしが継続できるということが本会議でも何度も強調をされました。しかし、そんなきれいな言葉では本当はないんだろうと思うんですね。

 政府は、日本再興戦略に位置づけた健康寿命延伸計画、これで、医療・介護費の伸びを五兆円程度抑制すると言っています。まずは、やはりこの医療費削減ありきではないのか。そして、そのツールの一つがベッド数の削減であります。

 資料の一枚目、一体改革のときに示された、現状を投影した場合にどのようなベッド数が必要になるのかということを描いたものであります。

 政府が認めた数字は、二〇二五年、一般病床が百二十九万床必要であるということを言っていたわけですけれども、精神病床などを入れて二百二万床と言っていた、これをどう変えようとしているのか、伺います。

原(徳)政府参考人 資料にお示しいただきましたのは、現状投影型ということで、平成二十三年度現在の病床数、あるいは入院医療ですね、それを前提とした上で、二〇二五年まで延ばしたものでございます。

 今般、この中でこれをどうしていくか。例えば、精神病床まで含めますと、入院計で二百二万床まで必要になる。これをこのまま伸ばしていくことができるかということについては、大きな疑問がございます。

 その意味では、人や物も含めて、効率的に効果的な医療を進めていく必要があるだろう。そのために、今回、病床の機能分化や連携をしっかりと進めて、入院医療そのものの強化をすると同時に、また退院後の生活を支える在宅医療や介護サービス、生活支援や介護予防を充実する、こういう一連の流れをつくっていきたいと考えているわけであります。

 その点において、二〇二五年に、ではどれだけの病床を考えているかということでございますが、これにつきましては、今回、機能別にそれぞれ、都道府県が、二次医療圏ごとにそれぞれ算定をしてくることになりますので、その結果を見ていきたいと考えております。

高橋(千)委員 今局長がお答えいただいたことが、二枚目の、これからの姿ということであるのかなと思っているんです。

 病床を、高度急性期、一般急性期、回復期、亜急性期、長期療養という形で分けていく。今は、診療報酬に応じて、七対一、十対一、十三対一、十五対一、療養病床という、いわゆるワイングラス型のような姿になっているのを、ヤクルト型と言うそうでありますけれども、こういう形に移していくんだと。

 しかし、これをよくよく見ますと、七対一入院基本料を取る約三十六万床、最も手厚く診療報酬が出ているところを十八万床まで減らすわけです。これを計算しますと二年間で九万床を減らすということで、これが、局長さっきおっしゃっているように、現状を投影したものをそのまま延ばしていっていいのか、効率化が必要だと言うけれども、しかし、だからといって、この減らし方が適切なのかということが問われなければならないと思うんですね。

 そこで、まず創設されたのが病床機能報告制度でありますけれども、その理由、いつまでに何を報告させるのか、伺います。

原(徳)政府参考人 まず、病床機能報告制度では、地域の医療機関が担っている医療機能の現状をまず把握をしたい。その上で、それぞれの医療機関が将来どのような医療機能を担っていくのかという方向をまず聞いてみたい。そういうふうに考えているわけであります。

 先ほど申し上げましたが、先ほどの医療ビジョンを、地域医療構想をつくっていく段階で、将来に必要なそれぞれの機能の病床が何床、何床というのが出てまいりますので、それに向けて、初めは、それぞれの医療機関が現状からどう変わっていくのかという意向を聞いていく。その上で、都道府県としては、二次医療圏ごとに、それぞれどういう方向で、各医療機関がどのような方向に変わっていくのかを、最終的にビジョンの形で書いていくというふうに考えております。

 その意味で、病床機能報告制度につきましては、法案が成立して、一番初めは平成二十六年の十月から運用を開始したいと考えておりまして、これは毎年一定の期間に状況は報告していただくということを考えております。

高橋(千)委員 三枚目を見ながらちょっと聞いていただきたいんですが、まず一つ確認は、現状把握をして将来の病床をどういうふうにやっていくかというのを聞いてみたいということ、つまり、各医療機関の希望ですよね。とにかく、こうあるべきだではなく、こうしたいということを聞くのだということをまず一つ確認したいと思います。

 その上で、都道府県は、先ほど大臣も県の権限が強まるのだというお話をしておりました。本当にそうなんですね。地域の医療需要の将来推計や報告された情報等を活用して、二次医療圏ごとの各医療機能の将来の必要量を推計して、地域医療ビジョンを策定するとしています。

 ただ、既に各都道府県は、昨年度から五年間の医療計画をスタートさせたばかりなわけですね。これとの関係はどうなるのでしょうか。

原(徳)政府参考人 先ほどの機能報告のところの話もちょっと補足させていただきますと、当面は、今ある現状がどうかというものをまず御報告していただいて、例えば医療圏域での状況を把握する。それから、将来は、計算によって、一定の機能別にどういうベッドが必要かが計算上出てきます。それに向けて現状を動かしていくときに、それぞれの医療機関が、将来自分たちはどういう機能を担っていくか、まずは聞いてみる。その上で、各医療機関の機能の調整をするというのが協議の場になっていくわけでありまして、その上で都道府県が将来像を示していくということになります。

 今御質問のありました医療計画そのものでございますけれども、医療計画の一部としてこの地域医療構想というのは入ってくるというふうに考えておりまして、医療計画、大きなところでは五疾病五事業という形で今回つくっていただいたわけでありますけれども、その中に、今度は病院のベッドの機能というものが新しく加わってくる。現在の医療計画に追加をしていっていただく形で、この地域医療構想を書いていっていただく。次回の、平成三十年になりますか、そのときの医療計画の改定というのは、完全に情報をマージさせた形でしっかりとつくっていただく予定でございます。

高橋(千)委員 ですから、最初は手挙げといいますか、それぞれの医療機関の希望を聞きながら、その向かう先は、またかなり厳しいものが待っているということなわけですよね。

 それで、まず、今の医療計画の一部だという答弁をされました。都道府県別医療計画における基準病床数と既存病床数、これを比較しますと、一般病床及び療養病床において基準病床を下回っている、少ない自治体というのは三県しかないんですね。千葉、静岡、兵庫だけです。全体としては上回っている。足しますと、十八万四千三百三十三床も上回っているわけですね。

 そうすると、手挙げして、いろいろ希望を出したとしても、この域を出ない。つまり、既にオーバーよというのが見えているわけですよね。そうすると、そこから出発するというか、そこの枠の中でもっと削減しよう、そういう話にしかならないんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

原(徳)政府参考人 お答え申します。

 最終的に、例えば二〇二五年の時点でどのような状況の患者がいるかというのは、ある意味では計算で出てまいります。ということは、それぞれの、例えば急性期の患者、あるいは高度の急性期の医療が必要な患者の数というのは出てまいりますので、そのような方々が実際に、例えば二〇二五年の時点で、それにふさわしい病棟に当てはまっていただく必要があるわけですね。

 逆に言いますと、医療機関側が、いやいや、私のところは高度急性期をやっていますといっても、患者さんがいなければ高度急性期の医療じゃないわけですので、そこは、これから病床の機能というのを、今は定性的に高度急性期とか急性期とか言っておりますけれども、いずれ、どういう医療をしているかの中身を定量的にあらわした基準をつくってまいりますので、おのずと患者像によって果たすべき機能というのは当然限られてくるので、余り恣意的に、自分はこれをやりたいだけで決まっていくものではないということを申し添えておきます。

高橋(千)委員 ある意味、計算上はそうなると局長おっしゃいました。

 私は、この先また議論していくんですけれども、計算といいましょうか、実態ではなくてやはり数字から出発しているのではないか、そういうことを言いたくて議論をしています。

 それで、地域医療ビジョンを計画倒れにせず実現する仕組みについて、この表現ぶりは医政局長が全国の会議で表現した言葉であります。何のことかというと、要するにペナルティーのことだと思うんです。

 資料の四があるんですけれども、地域医療ビジョンの実現についてということで順々に書いておりますね。まず、協議の場を設けるということ、その間に都道府県知事が講ずることができる措置ということで、新規開設を許可する際に条件つきで認めるですとか、さまざま書いているわけなんです。それで、真ん中のところに、「「協議の場」の協議が調わず、自主的な取組みだけでは機能分化・連携が進まない場合」と書いています。

 この自主的な取り組みだけでは進まない、これはどういう場合を指すのか、そして、都道府県知事は当該医療機関に何を要請するのか、具体的にお答えください。

原(徳)政府参考人 できるだけその地域の将来の患者の状態、患者像を想定しながら、それぞれの医療機関がどういう役割を果たしていくかを真剣に考えていただいて、それぞれの機能の分担をしていただくというのが求めている姿であります。

 ただ、その場合でも、やはりそれぞれのお考えがありますので、必ずしもそれが完全にぴったりとその将来像に合わないという場合には、やはり、ある医療機関にはこういう機能を担っていただこうとか、そういう形でお願いをしていく必要がある。そういう場合に、協議の場で調わない場合での措置というのは、先生お示しになられました四ページの中に書いてあるわけでございます。

 協議の場が調わないというのは、例えば、考えますと、今もう既に急性期の機能はこの医療エリアに要りませんというのに、さらに急性期の病床をふやしたりであるとか、今、五十、五十ある慢性期と急性期のところを、百全部、急性期にするんだとか、そういうようなことの申し出があるとか、それを譲ってくれないとか、そういうことが考えられるわけです。

 先ほど申しましたように、実際に、例えば、急性期の患者さんは限られているわけですから、幾ら急性期をやるといってもそこに患者がいなければ急性期の機能を担うという結果にはならないわけですので、そこは将来像を考えれば、患者像に合わせた形で皆さん納得していって協議が調うだろうと私どもは考えているわけでありまして、そこをうまく都道府県に調整をしていただきたい。それができなければ、いろいろとステップがあるということでございます。

高橋(千)委員 今局長おっしゃったように、本当に急性期の患者さんはそこまでいないのに我も我もと手を挙げる、そういう状況であれば、それはそうかもしれませんよ。でも、それはやはり極端な例ではないかなと思います。

 これに従わない場合の措置として、医療機関名の公表、各種補助金や融資対象からの除外、地域医療支援病院などの不承認といった措置を決めているわけですね。その意図を簡潔に説明してください。

原(徳)政府参考人 ここは先ほども御答弁したんですけれども、基本的には病院というのを潰すわけにはいかない。というのは、患者さんがそこに現におられて医療がされている以上は、その病院をどんどん潰していくわけにはいかない。

 ただ一方で、必要な機能をそれぞれの医療圏で実現していくためには、具体的な病院にそれぞれの機能がうまく張りついていないといけないわけでありますので、その地域の中で話し合いをしていった中で、うまくやらない場合に、都道府県知事から、公的病院には指示をしたり命令をしたりする。あるいは、民間の医療機関には、要請をして機能を変更していただく場合もあろうかと思います。

 それに従わない場合にどうするかというところで、最終的には名前の公表もしますよというようなところを、ある意味では、一応、懐に武器を忍ばせている、そういうようなことで、それを実際に使うということを想定しているわけではないということで、これは例えでございます。

高橋(千)委員 懐に武器を忍ばせているということで、実はかなり厳しい措置を準備している。

 今回、公的病院に対しては当然指導することができるわけですけれども、民間病院に対しても、そういう要請をして、かつペナルティーがついているということで、そうすると、これはどうやって選ぶんですかというときに、協議の場のあり方ですとか、さまざまな課題が出てくるんだろう。本当に公正公平に将来必要なものということで見ていけるのかなという疑問はありますよね。ちょっときょうは時間の関係で、そこまでは行きませんけれども。

 そこで、大臣に伺いたいと思うんです。

 この報告制度、病棟単位で報告するというわけなんですけれども、ただ、病棟が稼働していない、その背景にはさまざまありますよね。つまり、さっき言ったように、急性期の人がいもしないのに我も我もと、そういう場合ばかりではなくて、やはり、本来は必要なんだけれども、医師不足である、どうしてもいない、そういう地域のさまざまな事情があって、数字だけではわかりません。

 これは本会議でもその趣旨を少し述べたんですけれども、北海道のある市立病院に行ったときに言われたことなんです。医師がいなくて一病棟閉鎖しているんだと。だけれども、その病院が何もしていないわけじゃないんですね。臨床研修医制度を採用して、本当に定着のために医師住宅とか環境を整えて、もちろん奨学金とかも整えて、地域で、本当に地域医療で骨を埋めよう、そういう人を育てる努力をしていますし、それこそ、きょうずっと議論のあった認知症の支援なんかでも、健康町づくりみたいな、健康広場みたいな取り組みの中核となって頑張っている、そういう病院なんです。

 だから、その努力がされている中で、本当は病棟を復活させたいと頑張っているところに、いや、だって、ここは動いていないでしょうという形で、削減ねというふうなことがやられては困るよねと思っているわけですが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 日本の国は、医師の数は確かにOECD諸国の中で加重平均するところよりかは少ないわけでありますが、かと言って半分とかいうわけではないわけであります。

 しかし一方で、病床数が多いのは確かでありまして、千人当たり大体十三病床、十四病床ぐらい。フランスがたしか六ぐらい、アメリカ、イギリスは三ぐらいということであります。百床当たりの医師の数は、日本は十六、七人ですかね、それに対してフランスが五十人、イギリス、アメリカが七十人とか八十人、九十人というような、そういう状況であります。

 でありますから、今、医師をふやそうということで、医学部の定員枠をふやして、一方で、先ほど来言っておりますとおり、このまま病床数をどんどんふやしていくわけにはいかない。そうなれば、当然のごとく同じような状況がずっと続くわけでありますので、そういう意味では、限られた中においてどのような医療提供体制というものを整えていくかという大変な苦労をこれからしていかなければならぬわけであります。

 今言われたところからいきますと、病床数が余っているのが、正当な理由がなく病床の全部もしくは一部業務を行っていないということになれば、公立病院であれば、都道府県が今、命令をすることができる。今般、法律の中において、民間に対しても、医療計画を行うに当たって必要があれば、正当な理由がなければ、同じような状況であれば、これは要請ができるという形であります。

 でありますから、正当な理由というものがどうであるかということを判断するわけでございまして、それは、勘案できる事情があれば、そのときには命令でありますとか要請はしていかないという話でありますし、そうでなければ、そのような形もあり得るということになろうと思っています。

高橋(千)委員 いろいろおっしゃいまして、一つ一つ反論する時間がありませんので、今私が言ったような、今は一病棟閉鎖になっているけれども、医師をふやしたいんだ、その上でこういう医療をやりたいんだという場合もありますよね。それは当然勘案しますということでよろしいんですね。

原(徳)政府参考人 さまざまな理由があるのは確かだろうと思いますので、それは一律に、使っていないからすぐだめとかそういうような話にはならないということは確かですが、どの場合がよくてどの場合がいけないか、それぞれの事情をやはりしっかりと聞いた上で判断していただくことになろうと思います。

高橋(千)委員 本当にそれをやらなければ、医師が不足して地域医療が本当に壊れてきているのに、そこをまた、閉鎖しているから減らしましょうねと言ったら、どんどん悪循環になるわけなんですよ。だからといって、たらたら維持しろということを言っているわけじゃないんですよ。必要なものと言っているんだから、そこをちゃんと、現状を見てほしいということを言っているわけであります。

 次に、都道府県に強い権限の話なんですけれども、今の資料の(2)のところで「開設許可の際に、不足している医療機能を担うという条件を付けることができることとする。」つまり、これは逆に言いますと、今こういう分野が必要なんだ、それを担うという条件がなければ開設を許可しないよという意味ですよね。そうすると、これも都道府県の権限が大変強いんです。

 ただ、今真っ最中やっている議論で、地方分権一括法、うちの委員会ではないんですが、指定都市への権限移譲、これが審議中であります。そうすると、この指定都市との関係はどうなるんでしょうか。

田村国務大臣 これは、地方分権一括法の中で、指定都市の要請を受けて、このような形で指定都市が開設許可というような形で権限を移譲するというような話になっておるわけであります。

 しからばどういう関係になるのだ、この法律とでありますけれども、指定都市が開設許可を行うに際して、これは事前に都道府県と十分に協議をいただくということでございまして、そのような規定を設ける予定であります。

高橋(千)委員 ここも分権といいながら、一方では、この間ずっと市町村に主体となってくれと言っていて、今回は県ということで、その中で出てきた今回の事態なのかなと思っておって、少し課題として考えているということであります。

 それで、きょう、残りの時間でどうしても質問をしたいのが、次の、資料の五枚目ですけれども、七対一入院基本料の見直しということであります。これは、病床再編を進めるためには診療報酬でも誘導するということだと思います。

 資料の五番、七対一入院基本料の見直し。

 七対一というのは、平均在院日数十八日以内ということで、自宅あるいは在宅復帰機能を持つ病棟及び介護施設である場合、つまり、自宅等そういう施設に退院する患者の割合が七五%以上、受け皿がもうあるよ、うちに帰るような人たちだというのが七五%以上あるというのが要件として新設されました。かなり厳しいのではないか。さらに退院を促す仕組みになるのか。

 また、ここにある一番目の特定除外制度、この見直しで、難病等の長期療養患者の扱いがどうなるのか。

 済みませんが、二つあわせて質問をいたします。

木倉政府参考人 御指摘の急性期医療を担っていただきたい七対一の看護配置の病棟の見直しでございます。

 これはやはり、真に急性期医療の必要な患者さんということで対応していただきたいということで、前回の改定におきましても十八日の要件とかは見直したところでございますけれども、今回の見直しにおきましても、患者さんの病態、重症度、それから、看護の必要度だけじゃなくて医療の必要度もきちんと図れるような指標に見直すということで、患者さんをきちんと把握していただきたい。

 それから、今先生の御指摘の在宅への復帰。これは、在宅といいますのは、御指摘いただきましたように、自宅だけに限らずに、慢性期の患者さんを受けとめるような病棟あるいは介護の施設、老健施設等も含めて受けとめていただきたいということと同時に、整備をしていただきたいということであります。

 これを、受け皿の方でも、地域包括ケアの病棟をきちんとやって、リハビリをしていただいて在宅に送り出す、それから、在宅の方でも、主治医機能あるいは訪問看護ステーションの機能を強化することと同時に、評価を進めておるところでございます。

 それから、この七対一病棟に入っていらっしゃる、特定除外制度と言っておりますけれども、長期間の入院が必要な方も入っていらっしゃる実態がございました。

 これにつきまして、その方々について、これまでは平均在院日数要件の算定から除外しておったわけでございますけれども、これを今回、算定に入れますけれども、その算定をする場合に、これが一定割合はやはりいらっしゃらなきゃいけない患者さんでありますので、その存在の今の実態を踏まえて、クリアできるような要件として、在院日数の設定を、今回も配慮しておるところでございます。

 単純な追い出しにならないように、それぞれの必要な病棟で治療を続けていただけるように、十分注意をして見直しを進めてまいりたいというふうに考えております。(高橋(千)委員「難病と聞いたんです」と呼ぶ)

 恐れ入ります。今の最後の特定除外制度、これは、難病患者さんであるとか障害の患者さんで、長期に、九十日を超えてその病棟にとどまっていらっしゃるような方について、在院日数の計算に入れますけれども、一定割合はいらっしゃること、そういう実態の調査も踏まえまして、それも前提を置いて、この見直しを進めておるところでございますので、それの追い出しとならないように注意してまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 時間なので指摘にとどめますけれども、これはすごく深刻な話なんですね。在院日数をとにかく短縮せよということがずっとやられてきて、それで、例えば眼内レンズの手術みたいに一泊で終わるもの、そういうので平均を縮めていったもの、これはカウントしない。今言ったような、難病さんとか、そういう長期に入院の必要な重度の人たちは、今度はカウントするわけですよ。そうすると、全体として入院日数が広がっちゃうじゃないかということで、非常に厳しくなる。

 一定の割合だと言っていましたけれども、そういう中で、やはり、簡単な追い出しにはしないといっても、実際にはそういう方向に向かっていくのではないか。だから、きょうずっと議論されてきた介護がその受け皿になるということで、介護の世界でも軽度外しとか、さまざまなことが起こっているということで、続きはまたやりたいと思います。

 終わります。

    ―――――――――――――

後藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十二分散会


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