衆議院

メインへスキップ



第15号 平成26年4月25日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十六年四月二十五日(金曜日)

    午前九時九分開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    池田 道孝君

      石川 昭政君    今枝宗一郎君

      岩田 和親君    小田原 潔君

      大串 正樹君    門山 宏哲君

      金子 恵美君    小松  裕君

      古賀  篤君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      高鳥 修一君    高橋ひなこ君

      津島  淳君    豊田真由子君

      中川 俊直君    中谷 真一君

      永山 文雄君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    務台 俊介君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      大西 健介君    中根 康浩君

      長妻  昭君    柚木 道義君

      足立 康史君    浦野 靖人君

      清水鴻一郎君    重徳 和彦君

      輿水 恵一君    桝屋 敬悟君

      中島 克仁君    井坂 信彦君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   議員           中根 康浩君

   議員           大西 健介君

   議員           山井 和則君

   議員           中島 克仁君

   議員           井坂 信彦君

   議員           高橋千鶴子君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         新井  豊君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  辻  義之君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  原  勝則君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     小田原 潔君

  今枝宗一郎君     津島  淳君

  大久保三代君     池田 道孝君

  金子 恵美君     石川 昭政君

  小松  裕君     中谷 真一君

  田畑 裕明君     岩田 和親君

  高橋ひなこ君     務台 俊介君

  輿水 恵一君     樋口 尚也君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     門山 宏哲君

  石川 昭政君     金子 恵美君

  岩田 和親君     田所 嘉徳君

  小田原 潔君     赤枝 恒雄君

  津島  淳君     今枝宗一郎君

  中谷 真一君     小松  裕君

  務台 俊介君     高橋ひなこ君

  樋口 尚也君     輿水 恵一君

同日

 辞任         補欠選任

  門山 宏哲君     大久保三代君

  田所 嘉徳君     田畑 裕明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第二三号)

 介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(中根康浩君外七名提出、衆法第一〇号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案及び中根康浩君外七名提出、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案の両案を議題といたします。

 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査の参考に資するため、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣の期日は来る五月十二日月曜日、派遣地は山梨県及び大阪府、派遣委員の人選等は委員長に御一任願うことに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地方分権改革推進室次長新井豊君、警察庁生活安全局長辻義之君、厚生労働省医政局長原徳壽君、老健局長原勝則君、保険局長木倉敬之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西健介君。

大西(健)委員 おはようございます。民主党の大西健介でございます。

 前回の質疑で、民主党の質問は介護に偏っているのではないかという御意見もいただきましたので、きょうはちょっと医療について、まずはお聞きをしていきたいというふうに思っております。

 この法案の中には、医療事故に係る新たな調査の仕組みをつくるということが含まれております。そこで、きょうは、去る二十二日に、千葉県が新たに第三者検証委員会を設けて、そして、死亡原因であったりとか手術に問題がなかったか調査をするということを決めた事案に沿って、ちょっとお話をしたいと思うんです。

 皆さんのお手元に、千葉県のプレスリリース、この調査を決めたというプレスリリースをお配りさせていただいております。

 この事案というのは、千葉県のがんセンターで、同一医師による腹腔鏡手術の後に、短期間のうちにがん患者三人が死亡したという事例であります。このうち、前の二例、一昨年の九月と昨年の一月のものについては、外部の専門家二名を入れた院内の調査委員会というのが立ち上がって、それで昨年八月に報告書というのが提出をされています。その報告書も、ちょっと枚数がありますけれども、つけてあります。

 この報告書を読んでいきますと、何が書いてあるかというと、この二例については、ステージ4aという末期の膵がんだと。末期のがんについては、開腹、おなかを開く、そういう手術をするのが普通である。必ずしも腹腔鏡の手術をすることが、絶対だめだと言わないけれども、普通はおなかを開く手術をする。それから、この報告書に指摘をされているのは、院内の倫理委員会の承認を得ていなかったとか、患者への説明が不十分だったということが書かれております。

 この報告書が八月に出ているのに、ことしの二月、三例目の死亡事故がまた発生をしているということなんですね。そういう意味で、私は、このせっかくの院内調査の結果というのが十分に生かされたのかなというふうに思っているんです。

 そして、報道によりますと、遺族の方々は、この報告書については何にも説明を受けていないということなんです。遺族は、そもそも危険な手術だという説明すら受けてこなかった。今回、たまたま三例続いて、調査委員会が立ち上がって、あるいは報道が上がって、だからこういうことになりましたけれども、そうでなければ、遺族は、そもそもそういう難しい手術だということさえ知らなかったわけですから、例えば医療事故だといって訴えるとか、そういうことにもならなかった。そういう意味では、このまま闇に葬り去られた可能性も、私はあるんじゃないかと思っています。

 そこでお聞きしたいのは、まず、この件について厚労省がどのような報告を受けておられるのか。それからまた、今回の法案には、こういう医療事故と思われるものについて院内調査委員会を立ち上げて、そしてそれをまた第三者機関に上げてという、あるいは患者に十分説明しなさいという内容が含まれております。今、私がお話をさせていただいたことをお聞きになって、大臣としてこの事案というのをどう思われるか、その感想を含めてお答えをいただきたいと思います。

田村国務大臣 これは四月二十二日に千葉県病院局から公表されているということでありますけれども、千葉県病院局から本件事故の経過については、情報提供は我々も受けております。

 その上で、前日、我々は受けておるわけでありますが、この事故調査、院内でやるのをどのように受けとめるかという話でありますけれども、我々、法案の中に、まずは院内調査をすることがあるわけでありまして、これはしっかり報告をすることにもなっておるわけであります。

 場合によっては、それぞれ病院でありますとか患者側、患者といいますか遺族側ですね、そこから申し出があれば、第三者の委員会の方でもまた調査等々するというような形になっておるわけでありますが、院内調査に関しましては、法案を成立させていただければ、ガイドラインをつくっていきたいというふうに思っております。

 今言われたような点も含めて留意しながら、ガイドラインというものをつくりながら、周知徹底を図っていく中において、院内の調査というものが適正に行われるように、そのような努力をさせていただきたいというふうに考えております。

大西(健)委員 これは本当に、せっかく院内調査をしても、それが遺族の皆さんにちゃんと説明されていなかった、それから、調査の結果が出た後にまた同じような死亡事例が出ているということは、私は非常に問題があるんじゃないかと思っております。

 もう一つ、この件の大きな問題は、報告書の九ページにそこが出てくるんですけれども、8の片括弧6というところで、「保険収載のない術式であることを考慮した適切な医療費の請求を検討すべきである」というふうに記されているんです。

 そこで、確認したいんですけれども、この腹腔鏡下手術というのは保険収載が認められているのかどうなのか。また、今回問題になった三例というのがどういう名目で保険請求されているのか。そして、それは保険適用があるのかないのか。そして、その名目で保険請求されているのと実際に行った手術が一致しているのかどうなのか。

 また、あわせて、医師はいろいろなインタビュー等に答えて、初め、腹腔鏡の手術をしていて、途中から開腹に切りかえた、だから、開腹で保険請求が認められると思っていたみたいなことを言っているんですね。ということは、初め、保険適用がない手術をして、途中から保険適用がある手術をしたら、これは混合診療になるという理解でいいのか。この辺、まとめてお答えをいただきたいと思うんです。

赤石大臣政務官 大西先生にお答えいたします。

 腹腔鏡を用いた手術につきましては、腹腔鏡下胃局所切除術などの術式ごとに保険収載がされております。

 今回問題となっております死亡事故三例につきましては、それぞれ、腹腔鏡下胆のう摘出術、それから、膵頭部腫瘍切除術、血行再建を伴う腫瘍切除術の場合、それから、腹腔鏡下試験切除術の術式で保険請求されていると千葉県から報告を受けております。

 保険請求されている三つの術式の手術につきましては、保険収載されているものであります。ただし、千葉県が公表した術式と保険請求された術式の名称は、必ずしも一致しておりません。

 一般的に、手術については、診療報酬点数表にないものであっても、医学的に個別の判断を行い、最も近似する手術の点数を準用して保険請求できる場合があるため、一概に保険適用となるかならないか判断することは難しいわけでありまして、今後、調査した上で個別に判断をする必要があるというふうに思っております。

 開腹手術に際して、内部を腹腔鏡で観察するのみであれば問題はないのかという問いがありましたけれども、手術に係る診療報酬の算定の妥当性については、手術の具体的かつ詳細な方法等について、臨床現場での運用も踏まえ、総合的に判断していく必要があるものと考えております。

 今回の事案については、詳細な報告がなされていない時点で、今現在、厚労省としてお答えをすることは難しいというふうに考えておりまして、今後とも精査をしていきたい、このように考えております。

大西(健)委員 まず、必ず精査をしていただきたいんですが、先ほど私がお示しした院内調査結果では、少なくとも前の二つの例については、不適切な保険請求があったということを病院側が認めているんです。ですから、これは私は不正請求だったんじゃないかというふうに思っています。

 そういう意味では、これは新しい術式で、医者としては症例を重ねたい、そういう誘惑に駆られる。ところが、保険適用されていないということになれば、患者にも負担になりますし、その分を、例えば医療機関で何か面倒見るということになると負担になる。ですから、保険請求できるようなものの名目で請求をしてしまうという不正請求が起きてしまうんじゃないか。

 少なくともこの二例について病院側は不適切な請求だと認めているわけですから、これは、たまたま死亡事故で、こういう調査委員会が立ち上がったからそれがわかったということです。ですから、過去に行った成功している手術でも、もしかすると不正請求をされているということを私は否定できないというふうに思いますので、ぜひこれは、過去にさかのぼって、この医師が行った腹腔鏡手術についてはチェックをしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 今回の事案に関しましては、今後、事実関係を調査してまいるわけであります。

 その調査をしていく過程において、今おっしゃられました、この医師が他に行った腹腔鏡下手術、これに関しまして問題があるかどうかということも我々調査をしてまいりたい、こう思っておりますが、結果、当然、不正請求ということになれば、これは厳正なる対処をしていかなければならぬわけでありまして、我々としては、そのような観点も含めて調査をしてまいりたい、このように考えております。

大西(健)委員 もう一つ、ちょっと問題と思っているところがありまして、それは、週刊誌等で当該医師の一問一答というのが載っているんですけれども、その中で、この医師は、事前に保険適用がされるかどうかというのを医師が確認をして言質をとっているみたいなことを言っているんですね。

 私は、きのう、厚労省の方々が来たときに、事前に医師とかあるいは病院側から、こういう保険請求で問題ないですか、大丈夫ですかというような照会がありましたかということを聞いたら、そういう事実は把握していないということだったんですけれども、きょう、お手元に、この報告書の次ですけれども、資料を一枚つけさせていただいているんです。

 これは、二十五年の三月二十五日付、関東信越厚生局の千葉事務所の、名前は伏せてありますけれども、担当者から、千葉県がんセンターの当時の副センター長に宛てたファクスなんです。

 線を引いておきましたけれども、ここに何て書いてあるかというと、「膵頭部腫瘍を開腹して摘出する事に伴って、腹腔鏡を併用することの保険診療上の規定はないため、開腹術で算定されれば当事務所からは不正の指摘は致しません。」と書いてあるんですね。

 なかなかここだけでは判断しにくい部分もあるんですが、読み方によっては、これは、何かの照会があって、それに対して、開腹、おなかを開いた手術ですよということで請求して、腹腔鏡を併用したとしても、これは不正請求という指摘はしませんよという言質を与えている、そういうふうにも読めるんです。そういう意味では、私はこれは問題ではないかと思いますが、大臣、これを見ていただいて、どのように思われますでしょうか。

田村国務大臣 これは内容をどう判断するかでございますから、ちょっと今、私としてはここで即座にコメントは差し控えますが、これは関東信越厚生局千葉事務所の資料ですよね、今言われたのは。

 これに関して、事実関係は、我々もまだこういうものがあったかどうか確認しておりませんので、まずは事実関係を確認させていただいた上で、ただ、内容的にどうこの部分を判断するかというのは、ちょっと私、現状ではまだ十分に、専門家でもないので、知識がないわけでございますので、我が省として、これの文面というものは、どのようにこれを判断するかということは、一度分析してみたいというふうに思います。

大西(健)委員 繰り返しになりますけれども、読み方によっては、不正請求について厚労省がお墨つきを与えているようにも読めなくはないわけです。ですから、ここをしっかりと確認していただきたいと思います。きのう、私が事務方に聞いたときには、そういう照会とかは把握していないということでしたけれども、実際にこの紙、これは千葉県が記者会見のときに配付をしていますので、ぜひ確認をしていただきたいと思います。

 先ほども言いましたけれども、今回の法律の中には、医療事故に係る調査の仕組みというのが含まれています。ですから、私は、この事案というのは、今回のそういう新しい仕組みを検討していくに当たってもさまざまな示唆を含んでいると思いますので、今後、千葉県の調査を踏まえて、厚労省としてもしっかり対応していただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 次に、介護についてお聞きをしていきたいというふうに思うんです。

 我々は、質疑において、現場主義、できるだけ現場の皆さんのお声を聞いていこうというのを心がけております。

 そこで、私は、地元の、自分の選挙区にある介護事業所の皆さんに、今回の法改正がどんな影響を皆さんの事業に与えるのか、また、利用者の皆さんは何と言っているのか、そういうことについてアンケートをとらせていただきました。実際には、まだ具体的なところがわからないから答えようがないという方も正直多かったです。ただ、現時点で、三十弱、約二十六ですか、事業所から有効回答をいただいております。

 きょうは、それをうちの事務所でまとめたものを資料としてつけさせていただいておりますけれども、ぜひ、私は、厚生労働委員会に所属する与党の先生方も、お地元で、自分の地元の介護事業所とか利用者の皆さんの声をよく聞いていただきたいというふうに思っております。

 きょうは、ぜひ、そのほんの一部ですけれども、大臣にそれを、私が皆さんにかわってお伝えさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、経営への影響ということでありますけれども、こういう意見があります。

 「小規模(十五名)のため現在いる七名の方がいなくなると影響が大きい。」「全利用者の三分の一が要支援者なので経営に大いに影響がある。」「市町村より事業所に委託の場合、報酬面で現状より下がることは間違いなく不安である。」市町村の財政は厳しいので、「現在の報酬額は期待できない。」こういった意見がありました。

 私はごもっともだと思うんですよね。小さいところで、その利用者のうち多くが要支援だった場合には、これはもう事業所は潰れるみたいな話にもなりかねないというふうに思っていますけれども、その結果としてどういうことが起こるかについても、今までと同等、同様のサービスの提供を維持できなくなるとか、人件費の抑制や質の低下を招くおそれがある、こういう意見が出ているんです。

 我々は、人件費を上げようという法案も出させていただいていますけれども、田村大臣、例えば大臣がデイサービスをやっておられて、その利用者の多くが要支援だったら、今回のような法改正があったら、大臣だったらどうされますでしょうか。

田村国務大臣 今回は、移行期間も認めておるわけであります。

 そもそもスタート時期から、いろいろな、こちらの方もガイドライン等々を示しながらやっていくわけでありますが、基本的に、例えば専門性のあるサービス等々に関しましては、以前も申し上げましたけれども、その中において、今までのサービスを勘案しながら価格設定をしていただきたい、このようなこともお願いをさせていただくわけであります。

 また、一方で、デイサービス自体が要支援者ばかりだと言われますが、デイサービスは要介護者を中心にやられておるわけでありますので、そういう意味では要介護者の方々も近隣にはおられる。要介護者の方々は今どんどんふえてきておられますから、そういう意味では、そういう方々を受け皿として事業を運営していただく、こういうこともあるわけであります。

 でありますから、これからどんどんニーズが減っていくというような業種であるならば、そのような御心配があるのかもわかりませんが、基本的にこれからまだまだ高齢者の方々の割合がふえていくわけでありまして、当然、一定程度は、それは要支援のみならず要介護になっていかれるわけでありますから、専門的な知識がある方々は、より重い状態像の方々に対してサービスを提供していただくということも必要であるわけでございます。そのような努力をしていくということであります。

 いずれにいたしましても、それぞれのサービスに応じた適切な単価というものを各自治体には設定いただきたいということでございますので、そのような懸念が生じないように、我々としては、今般の制度というものを周知徹底させていただきたい、このように考えております。

大西(健)委員 できるだけ多くの意見をお伝えしたいので、次に行かせていただきます。

 経営への影響だけではなくて、例えば、事務処理が増加する、「報酬単価や管理方法が煩雑になることが考えられる。」「請求ソフトの入れ替え、利用者の方への説明等、混乱は生じる。」「地域支援事業に対する単価が多様化すると事務仕事も複雑になり、マンパワー不足が危惧される。」というような意見があります。

 当然、事務処理はふえるということになると思うんですけれども、ただでさえ恒常的な人不足で疲弊をし切っている介護現場、そこに、こうした、利用者に新たにいろいろ説明しなきゃいけなくなる、あるいはその中には、後ほど話が出てきますけれども、一割負担の人もいれば二割負担の人もいる、そして事務処理が増加してくる、そうすると現場の負担というのは重くなる、そういう不安や懸念の声があるんですけれども、これに対して、厚労省としてどのようなサポートをしていただけるんでしょうか。

土屋副大臣 おっしゃるように、事務負担については非常に懸念される声を聞いておりますが、既存の介護事業者を活用しながら取り組みを進める必要がありまして、できるだけ事務負担を軽減していくことも重要と考えています。

 新しい制度を円滑に実施していく上では、市町村が住民や利用者にその趣旨とか内容を丁寧に周知、説明することが非常に重要でありますし、また、実際のサービス利用を調整する地域包括支援センター等が利用者に十分な説明を行うことが最も重要であると考えています。その取り組みをしっかりと国も支援していきたいと考えております。

 また、今、事務負担について、事業の委託事務の負担を軽減するため、現行制度と同様に事業所を指定する仕組みを設け、また、施行時には一律に総合事業の事業所としてみなすこと、事業費の審査、支払いの国保連の活用などの枠組みも整備することと考えております。

大西(健)委員 続いて、こういう意見があります。

 「要支援から要介護になった利用者は今までのサービスを継続することがほとんど。要支援と要介護を切り離してしまうのはいかがなものか。」「要支援の方が要介護になった時に、国の事情でヘルパーが交代……高齢者の気持ちや精神的な負担を考えてほしい。」というような声がありました。

 また、利用者側の声として、「利用中のデイサービスが使えなくなるのでは」「「自分は切り捨てにならないか」との懸念や不安を持っている」「「今のヘルパーが来てくれなかったら私はどうしたらいいのか」と悩んでいる方が多くいた。」「利用者はもとより、家族の心配が大きい。」「本人が閉じこもりにならないか不安。」といった御意見がありました。

 このように、多くの方が、これまでどおりサービスが受けられなくなるんじゃないかと大変な不安を持っておられるんですね。その不安が本当に大きいということを、まず大臣にはぜひしっかりと受けとめていただきたいし、知っていただきたいというふうに思います。

 厚労省は、説明の中ではいつも、既にサービスを受けている者については事業移行後も必要に応じて既存のサービス相当のサービスを利用可能とするというように説明されているんですけれども、なれ親しんだヘルパーさんに今までどおりのサービスをやってもらえると本当に大臣が約束できるのかどうなのか、改めてここでお聞きをしたいと思います。

田村国務大臣 いろいろな御心配の声はあると思います。このホームヘルパーさんじゃなきゃ嫌だという声があるのも事実です。また、一方で、今現状、では、ずっと同じ人が見ているかというと、そうではないという現状もあるわけでありまして、一概にそれは、この人じゃなきゃ嫌だというふうな思いがあっても、今も違っている状況があるということは御理解をいただいておるというふうに思います。

 その上で、継続性ということは大事でありまして、今受けておられるサービス、それは、状態像が改善した場合には受けられないということもあるかもわかりません。それぞれのケアマネジメント等々を行う中において、必要性というものを勘案しながら行うわけでありますから、必要であるということであれば、それは継続性ということはしっかり勘案しながら、同じサービスが受けられるように、そういうようなことも含めて、我々周知をしてまいりたい、このように考えております。

大西(健)委員 後でゆっくり意見を見ていただきたいんですが、本当に多くの人たちが不安を持っているんですよ。この不安がこの審議を通して払拭されない限り、この制度は、私はうまくいかないというふうに思いますので、ぜひここはしっかり不安を払拭していただきたいと思います。

 続いて、一定以上の所得のある方の自己負担を引き上げることについて、これは、後でこれもアンケートを見ていただきたいんですけれども、やむを得ないと言っている方も結構多いです。

 ただ、一方で、「二割といっても今までの倍額になるので、利用者の負担はとても大きくなる。そのことで利用回数も減り、事業所の経営は苦しくなると思う。経済的な面で今までのように介護を受けられなくなる利用者も増えると思う。」「必要なサービスの利用が抑制される恐れがある。」といった意見が多数見られました。

 また、その結果として、利用者の外出や交流の場が減ることにより、閉じこもりや孤立が心配される、長期的には結果として重度化を促進させてしまい、介護保険財政を圧迫することになるのではないかという意見もありました。

 さらには、「利用者にとっては同じサービスでありながら不公平感がある。」「預貯金の自己申告も曖昧。」といった指摘がありました。これはちょっと別の話も含まれていますけれども。

 これだけ多くの現場で、実際に介護をしている方々が、自己負担が引き上がると必要なサービスを抑制することにつながるという懸念を持っておられることに対して、大臣、利用抑制は起きないんだと言えるんでしょうか。いかがでしょうか。

田村国務大臣 これはもう御承知のとおり、皆様方が三党協議にのっとって法律をつくられ、成立をいたしました。そして、その上で、それにのっとって社会保障制度国民会議、これのメンバーも皆様方がお選びになられました。もちろん、自民党や公明党の意見もその中に反映をしていただいた、これは感謝を申し上げるわけであります。

 そして、その会議を行った後に政権交代が行われましたが、同じ構成メンバーの中で御議論をいただく中において、やはり負担能力のある方々には負担していただく、こういうような話が出てまいり、その後、社会保障審議会で御議論をいただいて、どのような所得層、どれぐらいの負担がいいかというようなお話があったわけでありまして、今般、二割という提案をさせていただく。

 ただし、その所得は、これはいろいろと御議論がある中において、二百八十万。これは控除もございますので、所得といいますか収入でありますけれども、二百八十万、これは年金収入という形の中、これを基本にこれから政令で定めるということになろうというふうに思います。

 この二百八十万というのは個人単位でございますが、その方の個人の収入に対して、では、その方がどれぐらい平均として支出を、どういうものに使っておられるか、そういうものを見たときに、二割負担にしても、一定程度、生活においては何とかできるね、そういうような中において出させていただいた。

 これは、全所得層のうちの約二割の方、上位二割でありますが、一方で、厚生年金だけで見ますと、これは九%ということであります。さらに、介護保険を使っておられる方々、こういう方々で見ると一五%ぐらいでありまして、医療費と介護費の合算の上限もあるわけであります。そしてさらに、御承知のとおり、介護は、そもそも介護自体の上限もありますから、全ての方が二割になるわけでもないわけでございます。

 そのようなことを勘案してお願いさせていただいておりますので、必要なサービスというものは受けていただけるだけの所得ということを勘案しながら、今回提案をさせていただいておるということでございますから、必要なものは受けていただけるであろう、このような認識を持っております。

大西(健)委員 私は、負担余力のある方に負担をお願いすることに反対しているんじゃないんです。さっきから言っているように、必要なサービスが抑制されるんじゃないかと現場で実際やっている方が言われているわけですよ、これだけ多く。

 だから、今、必要なサービスを受けてもらえるものと思われますとか、思われますとかじゃ困るんです。では、実際にサービス抑制が起きたらどうするんですか。あるいは、そのことによって、先ほども紹介しましたけれども、長期的には結果として重度化を促進してしまって、介護財政が圧迫されるということになったら、これは本来の、今目指している方向とは違うわけですから。

 ですから、何を聞いても、多分大丈夫です、今までどおりのサービスを受けられると思いますとか、サービス抑制は起きないと思いますと。実際やって起きたら、では、誰が責任をとってくれるんですか、どうなるんですか。

 ですから、まさに、負担をお願いすること自体は私は否定をしません。しかし、そのときにサービス抑制が起きないように、具体的にこうやってやるんだということをぜひ言っていただきたい。そうじゃないと、ここの国会審議の中で我々が、こんな懸念があるんじゃないですか、こんな問題があるんじゃないですかと言っても、多分大丈夫です、何とかなりますと言っても、不安は全然払拭されないんじゃないかというふうに思いますので、ぜひ具体的な御答弁をお願いしていきたいというふうに思っております。

 それから、その他の意見として、「市町村の財源力によりサービスの偏りも予見され、地域整備もまだ十分に整っていない状態で、要支援から外れた方々にどう納得していただくのか?予防介護が始まった時以上の混乱が予想される。」「要支援一、二対象者が市町村に移管された場合、市町村での対応の差が出る。市町村の境界の住民からの不平は必ず出る。」といった意見がありました。

 利用者に説明をして、納得をいただいて、また、クレームを受ける、その矢面に立たされるのは事業者の方々であり、また、市町村の窓口の方々です。

 特に、例えば、多様なサービスを使ってくださいと言ったけれども、いや、自分は専門的なサービスを受けたいんだと利用者が不服を言われたような場合に、その不服申し立てをどういうように処理するのか、これは具体的にどう考えておられるのか、教えていただきたいと思います。

田村国務大臣 まず一点目、前段の質問に関してさらに申し上げれば、負担をしていただくという、その負担を上げればやはりいろいろなお声が出てくると思います。そこは十分にやはり説明をしていくことだと思います。

 先ほど、年金収入で二百八十万という、これは基準であります、これから政令で定めてまいりますが、この金額というのは、一人で考えれば月額二十三万円の年金。一人です。一人で考えて二十三万円、毎月年金があるという中において、どのような生活実態で、今受けておられる介護の負担というものが二倍、もしくは、上限がありますから二倍にならない方はいっぱいおられるわけでありまして、そのときに、これならば御生活に対して一定程度必要な介護サービスというものを減らさなくても大丈夫ですねというような、そういう御説明を我々もこれからもしっかりやっていきたい、このように考えております。

 それから、今の問題でありますが、まず、必要なサービスというものは受けていただく。これはなぜかといいますと、地域包括支援センターの中の専門職の方々にケアマネジメントをしていただくわけでありますから、その方の状態像等々を勘案して、必要なサービスをどのような形で受けていただくか、そこで御決定いただくわけであります。

 でありますから、今言われておられるように、専門的なサービスを受けなければならない、そういう方々に関しては、そういうサービスを提供いただくようにしていかなきゃならぬわけでありますから、今ある既存のサービスが全部なくなっちゃうというわけではないわけでありまして、多様なサービスというものはいろいろなニーズの中でつくっていきますけれども、やはりそれぞれの自治体において状況は違うわけですよね。要支援でも、専門サービスを受けなければいけないような方が多いところもあるかもわかりません。そういうところは、一定程度今まであるものを残していただかなきゃいけない。

 そういうものはやはり現場の方々が一番御理解をいただいている。これは、やはり自治体じゃないとわかりません。なかなか我々は、一律のサービスの中ではそういうことはできないわけであります。ですから、そういうところも含めて、自治体の方々に対して、大変な御苦労というのはわかりますが、やはりこれだけの介護という問題を、これから数もふえてまいります、これを解決していくためには自治体の方々にもお力をおかしいただかなければできないわけであります。

 我々としては、自治体の方々に、その点は十分に説明をさせていただきながら、自治体は大変なポテンシャルを持っておられますから、その能力をおかしいただきたいというふうにお願いをさせていただきたいと思います。

大西(健)委員 まさに、これは実際にやり始めたら、クレームだとか、私はこんな新たなサービスじゃなくて今までどおりの方がいいんだと言ってきたときに、具体的にどうするんだと。市町村の人たちとかは、そんなのを言われても私たちは困りますよ、できませんよと言っておられますよ。だから、実際に本当に矢面に立つのは、まさにその現場でやっておられる人たちなんですね。そのことをぜひ御理解いただきたいと思います。

 時間がなくなってきましたので、ほかにも、例えば特養に関して、特養の入所を要介護三以上に限定されると、認定が甘く出たりするおそれがある、あるいは、医師の意見書が過度に重視されて、本当に必要な利用者、例えば、キーパーソンがいない、認知症だが体が元気な方が入れなくなってしまうのではないか。

 この点、特養入所を要介護三以上に限定してしまうと、さっき言ったように、介護認定の方をゆがめてしまうことになるのではないかとか、あるいは、介護度以外の固有の事情、いろいろな、家族の状況とか、入所させる必要性というのが考慮されにくくなるんじゃないかというような懸念もあります。

 そして、私は、きょうこうやって、本当に限られた時間で、一部でありましたけれども、私の地元の生のお声というのを大臣にお伝えさせていただきました。これをぜひしっかり受けとめていただきたいんですけれども、最初にも申し上げましたけれども、まだ潜在的な声というのは、正直言って、今示されている法案の概要だとかなんとかでは、はっきり言って何もよくわからない、だから何も答えようがないという意見が、実は一番多い意見なんですね。

 それから、利用者についても、何と言っておられるかというと、アンケートの中にもありますけれども、利用者がどう思っていますかということを聞くと、利用者はまだほとんど法案の内容については知らないので、どうなるかということについて、実感がまだ湧いていないんじゃないかということを、実際に現場で介護をやっておられる方々が言っておられます。私もそうなのかなと。

 ですから、これは、まさに先ほど、冒頭に公聴会の議決がありましたけれども、国会審議を通して、こういうさまざまな論点について議論を尽くして深めて、そして、今、きょう私がお示ししたようなさまざまな疑問や不安の声に対してしっかりと説明をしていく、そして納得をいただく。

 さらには、さっき言ったように、高齢者の方々は、まだ法案の内容についてさえほとんど知らない。実際、拙速にこれを成立させてやり始めたら、多分、現場で、そんなことが起こるなんて知らなかった、そのときになって、不満や怒りが爆発する、あるいは現場が大混乱するということに私はなるんじゃないかなというふうに懸念をしています。

 介護の部分だけとっても、これだけ、まだきょうは一部の論点です。議論しなきゃいけないことがいっぱいある。そして、この委員会で、何度も言われているように、十九本も法律を束ねているわけですから、これは、十分な審議時間をとって、審議を尽くしていただきたいということをお願いして、ちょうど時間になりましたので、次のバッターに引き継ぎたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻でございます。おはようございます。よろしくお願いいたします。

 まず、配付資料についてなんですけれども、国民の皆様にも申し上げたいんですが、衆議院においては、与党、野党問わず、全ての委員会で審議される質問者が配る配付資料は、国会図書館に全て速やかに届けられて、国民の皆さんの閲覧、コピーというのはできることに今なっているところでありますので、お話を申し上げたいと思います。

 そして、本日は、介護と認知症について、特にそこに絞って質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 やはり、年金、医療、介護、社会保障の大きな固まりについて議論するときに、医療というのは、お医者さんにかかったことがない人というのは、恐らく余りいないと思うんですね。年金というのも、保険料を払っていない人というのは、これは基本的に払うわけで、しかも老後は年金、皆年金であります。

 ところが、介護については、やはり実際に、身近な方、親を含めてそういうふうにならないと、この厳しい現実がなかなかわからないということで、身近に、あるいは当事者にならないと、ある意味では人ごととして考えて、まあ、ホームヘルパーさんは何か家政婦さんみたいになっているから、ボランティアでもできるんじゃないのか、こう抽象的に頭で考えて、政策を判断したり物事を進めると、これは大きなしっぺ返しが来るんじゃないか。これは、自戒を込めて我々は考えなきゃいけないと思っているところであります。

 きょう質問させていただくのは、まず大前提として、私が感じておりますのは、初期の認知症予防こそ日本の喫緊の課題である。これは大臣も共有していると思います。

 ところが、今回の法案は、拝見をいたしますと、要支援の認知症予防が手薄になる懸念があるということ。そもそも、現在の要支援における認知症予防が不十分であるということもあると思います。ですから、むしろ、要支援の予防給付における認知症予防については、強化しこそすれ、薄くするなということを言いたいわけであります。

 この法案のように、私は、認知症予防は手薄になるというふうに思いますから、そうなると、かえって負担がふえる、家族の負担、財政の負担、社会の負担、これがふえる、こういう懸念を持っているわけで、目先の財政を軽くして、よかったと思いきや、最終的にはむしろもっと負担がふえてしまう、こういう強い懸念を持っております。

 国家戦略としてやはり認知症予防に取り組まなきゃいけないというこの現状の中で、今回の法案は逆行しているんじゃないのか、私はこういうことを申し上げたいわけです。

 配付資料の一ページ目でありますけれども、厚生労働省に出していただきました。今回の予防給付の地域支援事業に移行する関係について、定義であります。

 御存じのように、これまで、要支援の方に対する訪問介護、通所介護は介護給付に入っておりましたけれども、今回の法案で、来年の四月から、基本的に、要支援の方に対する訪問介護と通所介護は介護給付から外れます。そして、給付ではなくて事業という形になるということで、これは定義が正式に出ました。

 厚生労働省の老健局振興課のペーパーでございますけれども、給付というのは、定義はどういうことかというと、ここの資料にありますけれども、「利用者一人一人に対して一定の要件のもと、原則全国一律のサービスの提供を行うもの」、これが給付である。事業、「市町村が責任主体として、地域の資源の状況や利用者のニーズ等を踏まえ実施するもの」。

 つまり、地域の資源が乏しい、財政が逼迫しているというところは、全国一律でなくて、格差が生じるというのは、これは大臣もお認めになると思うんです。格差は今以上に生じてしまう懸念があるということをまず申し上げたいと思います。

 そして、大臣にここから質問でありますけれども、この法案が通過をして、施行されると、要支援の方に対する訪問介護は、今まではホームヘルパー以外はできないと私は承知しているんですが、今後はホームヘルパー以外でもできるようになるということでございますか。

田村国務大臣 まず、全国一律というような形でのサービス、これは介護保険であります、給付がされる。それから、事業でありますから、それぞれの地域の資源等々を利用しながら、ニーズに合わせた多様なサービスを御提供いただくのがこの地域支援事業であります。

 今のお話の中で、何か全て、介護保険、介護予防給付の中で受けていたサービスがなくなるというような、そんなイメージで捉えるような御質問だったというふうに私は思うんですが、今までのようなサービスも残るわけですよね。

 それは、それぞれの地域で、どのようなサービスが必要かということも含めて、全体像の需要というものもはかっていただくわけでありますので、そういう意味からいたしますと、本来受けなきゃいけないのに、受けなきゃいけないサービスがなくなってもらっては困るわけであります。

 だから、要するに、同じ要支援の中でもやはり状態像が違うわけでありますから、必要な方々は必要な方、つまり、専門職の方のホームヘルプを受けるという方々もおられるわけであります。そこは誤解のないようにしていただきたいと思いますし、今も実は予防給付を受けているわけですから、そういう意味では、それが何か今よりも悪くというのは、それはあるわけでございますので、そこはどうか御理解をいただきたいというふうに思います。

 といいますのは、この国会でいろいろなことがちゃんとまだ伝わっていない、御不安があるという話でございますから、先ほど大西議員はそういう御意見でございましたので、そこはしっかりと我々としてはお伝えをさせていただかなければならないというふうに思います。

 その上で、今の御質問でありますけれども、今も、ボランティアの方々は、家庭に入ってホームヘルプをやられている方々もおられます。ですから、全く今やっていないという話じゃありませんが、介護給付、つまり予防給付としては、言われるとおり、ボランティアが入るということはないわけでありまして、そこはそのとおりでございます。

 一方で、今回、ボランティアが全部ホームヘルプをやるというわけでもないわけでありまして、ボランティアも、有償ボランティアもおれば無償ボランティアもおられます。それから、NPOや事業体が、今のような専門職じゃない中ではありますけれども、労働としてヘルパーを入れるという形もあります。ボランティアと言われますと、何か全て、地域のコミュニティーの中で、ボランティアの近所の奥さんが、また、近所の定年退職された後の方が入って自由にやられるというようなイメージでありますが、そうではないわけでありまして、多様な提供というような形態があろうというふうに我々は考えております。

長妻委員 非常に多弁を弄しておられますけれども、非常に誤解を与えるんですよね。

 確かに、今回給付から外れる要支援の方に対する介護、これは外れないものもあります。しかし、給付費ベースで六割が外れるんですよね、半分以上が。訪問介護と通所介護、給付費ベースで六割を占めているわけでありまして、このメーンのものが給付でなくなる。そして、今も、ボランティアの方が要支援の御自宅に来ている、これは介護給付の外ですよ、別に。

 だから、今度は、介護給付でなくて事業になるけれども、介護保険の財源の中から、有償ボランティアとかあるいはボランティアとか、それがその仕組みとして埋め込まれるということなんですよ。今は、介護給付では、ホームヘルパー以外は禁止なんです。そういう状況になっているわけで、ですから、そこを非常に、何か、聞いている方が、変わらないような御答弁をされるというのは、誠実ではないんじゃないのかと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 そして、ホームヘルパーでない方、当然、大臣がおっしゃるように、事業に移行しても、それは、ある自治体で、ある要支援の方に対しては、ホームヘルパーさんを継続して使う自治体も、ケースによってはあるかもしれません。しかし、ボランティアになるケースもある。

 では、今のホームヘルパーさんでない方がケアをする場合、どういうことになるのかということなんですが、まず、今のホームヘルパーさん、例えば二級という方々、これは今、名前が変わって初任者研修ということになっておりますけれども、このホームヘルパーさんは、資格を取るのに百三十時間勉強しないといけないんですね。そのうち、認知症の理解ということだけ特出しすると、うち六時間勉強しなきゃいけない。

 例えば、認知症の方には、物とられ妄想というのがあると聞きました。つまり、物を盗まれたと、盗まれていないのに、ホームヘルパーさんに対して、あるいは介護をしていただいている人に対して、あなた、物をとったんじゃないのかと。これは認知症の一形態で、知識があれば、ああ、それはこういう形態でおっしゃっているんだということになる。あるいは、非常にどなられる、怒って、本当に大声でどなるということ、これも認知症の一形態でありまして、プライドを傷つけられたりすると、そういうことになる。これも、知識があれば対処できるというふうに思います。

 配付資料の二ページ目でございますけれども、これは介護職員の初任者研修のテキストから表を抜粋したものであります。

 例えば、認知症の「言語的攻撃性のある行動」、大声で叫ぶ、ののしる、かんしゃくを起こす、奇妙な声を出す。「身体的攻撃性のある行動」、たたく、押す、ひっかく、物をつかむ、人をつかむ、蹴る、かむ。知識がないボランティアの方であると、何で、自分たちがボランティアで来ているのに、こんな状況になるんだろう、せっかくこちらはやってあげているのにというふうになりかねないのではないのか。

 左の方ですけれども、例えば「尿で汚れた下着を隠す行為」、これは「羞恥心や失敗をとりつくろう行為」で、「プライドを尊重したケアと予防的介護」が必要だ、こういう知識をきちっとやはり持たなきゃいけない。あるいは「ごみを集める行為や腐敗した食品のため込み等」、これも、「行為を責めたり問いただしたりせず、介護者がごみや腐敗物を処理する視点」を持つべきだと。

 あるいは、この対応も勉強するわけですけれども、認知症の方々、当事者の意識としては、「上のほうから声をかけられると、責められている気分になります。そして、早口でいわれると、不安になって逃げたくなるのです。 そんなに一度にいわれたら、しかられたり、責められたりしている気分になり、落ち着かなくなるのです。」これは、「認知症の利用者とのコミュニケーションのポイントについて学びましょう。」と。

 あるいは、認知症当事者の意識としては、「強制されると大きな声が出てしまうし、その場から逃げたくて歩くのです。説明されても、「いやだ」という言葉が出ないので、だから「ほっといて」と暴力が出るのです。」あるいは、「そんなに一度にいわれたら、しかられたり、責められたりしている気分になり、落ち着かなくなるのです。そんなに一度にいわれても、わたしには理解できないのです。わたしは順序立てて話せないし、なにもできないのです。」と。

 こういうようないろいろなことを勉強して、当事者とも触れ合って研究をされる資格を持った方々であるわけであります。

 このボランティアの方々にどの程度認知症の教育をされるおつもりなのか。私はボランティアは否定しておりませんけれども、やはり要支援一、二でも半分の方が軽い認知症であると、これは厚労省からいただいたデータもありますので、これはどういうふうに、こういう知識がないボランティアの方が、研修は受けるんですか、受けないんですか。

田村国務大臣 認知症もそれぞれ状態像があるわけで、日常生活自立度が二以上、こういう方々の比率というのは、要支援者の中ではそれほど高くないわけであります。二以上の方の方が認知症が重いわけで、こういう方々は、要支援一、二の中において、比率は七・何%だとか八%、一定程度であります。

 今のお話、ちょっと私も、具体的にどういうような状態なのかというのは今のお話だけではわかりませんが、仄聞させていただきますと、要介護になられるような度合いの方の可能性が高いと思います。

 かなり認知症の度合いが、今のお話ですと重度化されておられるということでございますので、そういう意味からしますと、そういう方々に対しては、要介護認定して、要介護を受けていただいて、言われたような専門職の方々にサービス提供いただくというのが一つなんだろうというふうに思います。もちろん、個別事案はそれぞれによって違いますから、それぞれにおいて判断をされることだと思いますが。

 その上で、ボランティア。なかなかちょっと委員と認識が一致しないところは、全てボランティアみたいな話なんですけれども、ボランティアは、御承知のとおり、本当に純粋なボランティアでありますから、なかなか必要なときに行けなかったりなんかしますので、ボランティアだというのは、例えば有償ボランティアもボランティアでありますから、有償ボランティアみたいな形の中において、一定程度そのグループで足らないところはフォローしながら、あなた、この時間は私がいないから行ってねみたいなことをやっていくんだと思います。

 あわせて、ボランティアじゃない、賃金は確かに最低賃金に近いというような形はあるのかもわかりません、最低賃金はクリアしないと労働者じゃありませんから。その中において、NPOでありますとか企業において労働者として、要するに、高齢者として一線から退かれた方々が、今度は地域の中でいろいろな活躍をいただくという中において力を発揮していただく、こういう形態もあろうと思います。

 そんな中において、今、認知症サポーターという制度があります。私も一時間半受けて、これを学ばせていただきました。今言われたようなところ、認知症の方々と接するときにどのような注意が必要か、どのように対応すれば認知症の方々の気分が落ちつくか、こういうことも含めていろいろと研修で御教授いただく、こういうものでありますから、そういうようなところにぜひとも参加していただいて、そういう知識を学んでいただくというふうなことは、我々は周知をさせていただきたいな、このように思っております。

長妻委員 何か、要支援は重い認知症がいないからいいんだみたいな話。そして、認知症サポーターの研修というのは一日ですね、半日とか。要は予防なんですよね、要支援。認知症の初期の段階の予防が重要だと言っているのに、そういう対応は、むしろ悪化をして、先ほど申し上げたように、かえって負担が重くなるんじゃないのか。

 大臣も今ちょっと言われましたけれども、例えばホームヘルパーの方であれば、これは職業でありますから、例えば、その日、その方が急遽病気になって欠員、欠席するときに、それは事業所が責任を持って別の方を派遣するということだと思うんですが、例えばボランティア、有償ボランティアでもそういう体制は間違いなくとれるんですか、急遽、欠席、欠員になったときに。

田村国務大臣 先ほど来申し上げておりますけれども、先ほど言われた、例えば要支援の中の方でも、いろいろな認知症の状態像はあると思います。重くなられれば要介護になっていくわけでありますが、要支援の中でも一定程度はあると思います。そういう方々は、先ほど来申し上げております地域包括支援センターの中で、ケアマネジメントを専門職がやられるときに、そういう方々に関しては専門職のサービスもあるわけですね、要支援の中においても、この総合事業の中においても。そういう方々に対応していただくという話になってくるわけであります。

 ただ、先ほど来申し上げておりますのは、日常生活自立度二、つまり、認知症が一定程度の方に関しては、パーセンテージが少ないということなので、そういう意味では、全体として、必ずそういう専門職が認知症に対して、全員じゃなきゃいけないということを言っているわけではありません。

 一方で、認知症サポーターということを、研修を受けていただいてなっていただく方々は、認知症の軽い方々に対してもどう接していけばいいかということも含めて、研修を受けられるわけなので、そういう方々に研修を受けていただいて、認知症の軽い方々に対しては、一定程度の知識を持っていただきながら対応していただけるということができるのではないか。

 その上で、要は、足らないところをどうするんだというのは、一人で対応するという話じゃない、それは当然できないわけでありますが、一定程度の人数が集まる中において、ボランティア、有償ボランティアで対応していただくというのは、そのようなローテーションが組めるような形で対応いただくということでございますから、それができなければ、これは事業者として提供いただいておるという形にはならぬわけであります。

 もちろん、必ず、そういうものを定期的に受けるか受けないかということも含めて、これは、ケアマネジメントの中において、どのような頻度で、ホームヘルパーといいますか、そのときの家事支援等々を受けるかということが決まってくるわけでありまして、そこでいろいろとケアマネジメントしたことによって決定されてくるということであります。

長妻委員 田村大臣、認識を変えていただきたいと思うのは、要支援の中に、おっしゃるように、確かに軽い認知症の方が半分で、ある意味では本格的な認知症の方は数%というのは、データとしてそうなんです。

 認知症予防といったときに二つあるんですね。つまり、軽い認知症の方が重い認知症にならない、既に認知症の方が重い認知症にならないというのも、これは介護予防の一つだと思いますが、もう一つは、今、認知症じゃない方が認知症にならないようにする、これも介護予防なんですよ。

 ですから、要支援の中で、まだ認知症になっていない、本格的な認知症の方が少ないからいいんだみたいにちょっと聞こえるので、そうではなくて、要支援の中には認知症予備軍の方が大変多いわけです。

 例えば、これは政府の資料でありますけれども、今、認知症と認定されている方が、六十五歳以上で四百四十万人いらっしゃる。六十五歳以上の高齢者の人口が二千八百七十四万人でありますから、今、七人に一人が認知症。ただ、そこのカテゴリーに入らない、MCIと言われる正常と認知症の中間の人というのが三百八十万人おられるわけですね。

 つまり、要支援の方々は、全く認知症じゃない方こそ予防をきちっとやらないといけないということなんです。ですから、大臣の認識をぜひそこは変えていただきたい。そこを私は心配しているんですよ、本当に。

 例えば、デイサービスで、先日も大臣と議論させていただいたときに、多くのデイサービスはきちっとやっておられると思うんですが、中には、折り紙をずっと一日じゅう折らせていたり、そんなデイサービスもあるというふうに聞いております。ですから、デイサービスの中にもっと介護予防を取り入れさせる、そういうことをやったらどうなのか。

 独立行政法人の国立長寿医療研究センター、これは六ページに、コグニサイズという運動法を開発したというか、そして、これはエビデンスがある、認知症の予防につながる、特にMCIの方を対象にした認知症予防には効果があるということであります。

 このコグニサイズというのは、コグニティブ、認知という言葉とエクササイズを合成したコグニサイズという運動方法で、まだ厚生労働省はデイサービスとかホームヘルパーの方々にこれを推奨はしていないというふうに聞いております。例えば、簡単な運動で、足を前後に出したり後退したりして、三歩ごとに手をたたくとか、こういうエビデンスのある予防というのもデイサービスにきちっとやはり取り入れるということも、これまで我々、厚生労働行政が怠ってきたのではないのかというふうに思いますので、そういうところについてもぜひ強化をしていただきたい、新しい知見を取り入れていただきたい。

 そして、もう一つは、やはり認知症に対する要介護度の判定における評価なんですけれども、当然、今も認知症に対する評価というのはきちっとやられていると認識しておりますけれども、ただ、どれだけ家族や介護する人が介護の時間がかかるか、こういうような視点で要介護がなされている嫌いがある。

 そこで、やはり認知症について、認知症がない方は、例えば要支援二だけでいいんでしょうけれども、認知症がある方は、要支援二プラス認知とか、認知症も含めた新しいカテゴリー、そういうものもつくったらどうか、こういう御意見も各方面からいただいておりますので、ぜひ大臣も御検討をいただければというふうにも思うわけであります。

 そして、きょうは警察も来ていただいているんですけれども、この認知症が社会的負担という意味でも、予防がどれだけ重要だという意味でもお伺いするんですけれども、認知症で行方不明になった方というのが年間何人おられて、そのうち死亡が確認された方が何人おられて、まだ見つかっていない方が何人おられるのかということについて、お示しいただければと思います。

辻政府参考人 お答えをいたします。

 平成二十四年中に行方不明者届を受理したもののうち、主な原因、動機が認知症であるものは九千六百七人でございました。

 また、平成二十四年中にその所在が確認されました行方不明者のうち、認知症に係るものは九千四百七十八人でございまして、このうち死亡が確認されたものは三百五十九人でございます。

 また、平成二十四年中に認知症に係る行方不明者届を受けたもののうち、同年中に未解決であったものは二百三十一人でございます。

長妻委員 平成二十四年ですから随分前ですけれども、このいまだ行方不明の二百三十一人の方は、今どうなっておられるんですか。

辻政府参考人 お答えをいたします。

 昨二十五年中の取り扱いにつきましては、現在、その状況につきましては数字集計中でございますけれども、平成二十四年中に認知症に係る行方不明者届を受け、同年中には未解決でありました二百三十一人、数字は現在集計中でありますので、あくまで暫定的な数値でございますけれども、平成二十五年中にその所在を確認できましたものは五十三人ということでございます。

長妻委員 ですから、まだ百八十人の方がわからない。これは大変な話だと思います。

 認知症で死亡が確認された方が一年間で三百五十九人ということなのでございますが、これはちょっと警察に資料をつくっていただいた、十二ページ目でありますが、認知症で行方不明になって死亡された方の県別があります。一番多かったのが大阪で二十六人、二番目が愛知で十九人、そして三番目が鹿児島県で十七人、四番目が警視庁、東京で十六人、次に茨城が十五人というようなデータも出ております。

 ぜひ警察にお願いしたいんですけれども、これは、我々、認知症予防、認知症対策を考える上で大変重要なことだと思っておりますので、この死亡が確認された三百五十九人の方の介護保険の有無、受けているかどうか、施設からなのか自宅からなのかなどについて情報提供いただけないかと思うんですが、いかがでございますか。

辻政府参考人 お答えをいたします。

 警察といたしましては、認知症対策を所管する厚生労働省におきまして、認知症対策を推進する上で必要な調査を行うに際し、協力を求められた場合には、個人情報の保護にも配意しつつ、警察の所掌の範囲内でできる協力はしてまいりたいと思います。

長妻委員 そうすると、田村大臣、今答弁を聞かれたと思うんですけれども、一年間に認知症で行方不明になって、確認されただけで三百五十九人が死亡されておられるということで、ぜひ警察にデータを求めて、この方々が介護保険を受けておられたのかそうでないのか、自宅からの失踪なのか施設からの失踪なのか、あるいは、介護度、要支援の方がおられたのか要介護の方なのか、要介護であれば、介護度が一、二、三、四、五、どれなのか、データを警察からもらって、厚労省でそういうデータをプラスして、ぜひ公表を御検討いただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

田村国務大臣 やはり、認知症の方々がふえてくるという中において、社会の中でそういう方々がいろいろな苦難に遭っていくということは、これは何としても我々も避けていかなきゃならぬわけであります。

 先ほど来いろいろとお話がありましたけれども、認知症に関しては、初期のうちに対応するということで、今般も地域支援事業の中に位置づけておるわけでございまして、初期のうちに集中支援チーム等々を含めてしっかり対応して、なるべく悪化を防いでいく、こういうことも含めて対応してまいりたい、このように考えております。

 今の件に関しましては、もちろん、地域において、警察でありますとか住民の方々、行政、さらにはいろいろな機関の方々と協力しながら、認知症の方々を支えていける、そういうような地域づくりをやっていかなきゃなりませんが、まずは、どのような状況であるのかということも踏まえて、我々、実態を把握することは大切だというふうに認識をいたしておりますので、警察それから自治体等とも協力をしながら、できる限りの調査をしてまいりたい、このように考えております。

長妻委員 今の答弁は、警察に調査要請をして、データをいただいた上で、いろいろなデータをプラスしていくということだと受けとめましたので、よろしくお願いをいたします。

 ちょうど昨日、認知症の方、九十一歳の要介護四の方が徘回中に列車にはねられたということで、御遺族に対してJR東海が損害賠償請求をした、その控訴審判決がありましたけれども、判決は、妻に責任あり、こういう判決になって、損害賠償せよということでございました。

 この妻というのは八十五歳でいらっしゃって、妻みずからも要介護一であります。長男は、一緒に同居しているわけではなくて、近くに転居してこられて、介護されておられるということでありまして、こういう問題について、やはり社会がどう受けとめて考えていくのかというのは非常に深刻だと思います。

 これは田村大臣にちょっと調べていただいたわけでありますが、これまで、平成二十五年の九月から二十六年の四月まで、一年弱で、認知症と思われる方で徘回等で亡くなった事例ということを調べていただいたんですが、大体どんな事例がありますか。

赤石大臣政務官 今委員指摘の認知症と思われる方が徘回等で行方不明となり亡くなった事例は、平成二十五年九月から二十六年四月までの新聞報道によりますと、少なくとも五例ありました。

 五例の概要を整理いたしますと、七十代の女性が二名、八十代の男性が二名、九十代の男性が一名。在宅の方が四名、有料老人ホーム入居者一名。要介護二の方が一名、要介護四の方が一名、不明の方が三名。死亡原因は、列車にはねられた方が四名、側溝で凍死された方が一名。行方不明になった理由は、家族が目を離したすきに出かけた、二名、家族と買い物途中にはぐれた、一名、散歩に出かけた、二名ということでございます。

長妻委員 時間が参りましたので、最後、申し上げたいのは、二〇二五年問題、問題という言葉が適切かどうかわかりませんが、二〇二五年になると団塊の世代の方全員が七十五以上になる、七十五以上になるとがくっと認知症がふえる、こういう統計があるわけで、認知症予防、今でももう認知症は社会問題になっているわけで、二〇二五年までにさらにきちっと予防をしないと、本当に社会が大きく混乱をして、結局は家族の負担、財政の負担がふえる、こういうことにつながると思います。

 私は、そういう意味で、要支援の方の中には、半分の方は認知症ではない方がいらっしゃるわけでありますけれども、でも、先ほど申し上げましたMCIと言われる正常と認知症の中間の人、あるいはそこにも至らない人たちに対する認知症予防というのがこれから大変重要になってくる。

 軽い認知症の方が重くならない予防というのはこれまで言われておりましたけれども、もっとその前の段階の研究が、さっき申し上げました国立長寿医療研究センターで、かなり最先端のものが進められておりますので、認知症になっていない要支援の方に対する認知症予防というのも大変重要でありますので、今回はそれに逆行する法案であると私は思っておるんです。強化しこそすれ、薄くしちゃだめですよ、これは。本当に、成長の基盤を壊すんじゃないかと強い懸念を持っております。

 過去にも、介護認定の基準を変えて、一割程度変動させて軽くするようなことをされて、そして大騒ぎになって、結局、厚労省は是正をするということがなされました。そういう二の舞にならないように、ぜひこれは考え直していただいて、認知症予防についてはむしろ強化をしていく、今回のように事業にはしないというような判断をぜひしていただきたいということで、私の質問を終わります。よろしくお願いします。

後藤委員長 次に、山井和則君。

山井委員 よろしくお願いします。

 では、三十五分間質問をさせていただきます。

 きょうも、本当に満員の傍聴の方々がお越しをいただいております。

 高齢者の方々、介護や障害者福祉の現場の方々、また御家族の方々、本当に、今回のこの法改正によって、介護職員の賃金は下がる危険性が大である、市町村が自由に単価を下げることができるということになっているわけです。上げることは許されない、下げることができるということになっております。消費税を増税するにもかかわらず、このような介護保険のカットということは、私たちは大問題だと思っております。

 そして、今も大西議員、長妻議員からも話がありましたけれども、結局、今までは、要介護認定を受けて要支援一、二と判断をされれば、権利としてプロのデイサービス、ホームヘルプが利用できた。しかし、今後は、できるだけプロのサービスは受けないでください、ボランティアのサービスを受けてくださいと。もっと言えば、水際作戦ということで、要介護認定を受けないでください、まずはチェックリストで、ボランティアのサービスを受けてください、それを受けないとプロのサービスは受けては困りますというようなことをやり始めている自治体があるんです。田村大臣は御存じないとは思いますが、そういう話も入ってきております、残念ながら。

 前回も、二日前も私たち議論をさせていただきましたが、傍聴された方からは、田村大臣はわかっておられないわね、厚生労働省がお願いしたら、市町村がそのままするはずがないじゃないのということを言っておられました。

 財源をカットしながら、今回、市町村に要支援を任せていく。ところが、田村大臣は口では、今のサービスは維持します、維持しますと。でも、維持するんだったら、今回法改正する必要はないわけであります。

 そういう意味では、私たちは、今回のこの要支援切りによって、要介護認定すらなかなかさせてもらえなくなる。そして、介護保険のサービスが権利ではなくなってしまうわけですね、要支援の高齢者にとったら。そういう深刻な問題であります。そのことについて質問をさせていただきたいと思います。

 私も、国会議員になる前は大学で介護を教えておりましたし、二年間スウェーデンで介護の研究をしておりました。その前は、大学院で酵母菌の研究をしておりました。私が政治家になった一つの思いというのは、私、二年間スウェーデンで勉強してすごいなと思ったのは、スウェーデンは、エビデンス・ベースド・ポリシー、人手とコストを幾らかけて、どういう効果の医療、介護、福祉をやるのかということをしっかり研究しているんですね。

 きょうの質疑の中でも、今回、要支援の高齢者百万人を市町村に渡すという大きな政策判断です。大きな政策判断に、どんなモデル事業を厚生労働省が行って、どういう結果が出たことによってこの法案が出てきたのかということを田村大臣にお伺いしたいと思っております。

 それでは、まず一枚目の資料ですが、田村大臣は今までから国会答弁でも、和光市ではうまくいっている、和光市ではうまくいっているとおっしゃっていたので、私も、どんなすばらしいことを和光市はされているのかなと。実際、参議院の厚生労働委員会の民主党の議員も、昨日、和光市に視察に行かせていただきました。

 そこでまず、田村大臣、ここの資料にありますように、私、一つびっくりしたんですね。和光市で、では、今回問題になっている要支援切り、要支援の高齢者何人に介護予防・日常生活支援事業、つまり、これを全国に広げるんですね。全国にこの法案で広げます。配付資料の二ページ目に書いてありますよね。平成二十四年度に導入した介護予防・日常生活総合事業を発展的に展開、つまり、今、和光市などでやっていることを全国に広げるというんですよ。だから、私、要支援の高齢者が和光市で何人ぐらいこの事業に参加しているのかなと思って聞いたら、五人なんですよね、五人。

 要は、五人で、ほとんど、二百二十一人は要支援じゃない、健康なお年寄りのモデル事業をやっているんです。きのう視察に行った民主党議員が言っていました。和光市の担当者の方も、別に要支援のモデル事業じゃないですよ、健康なお年寄りに予防をすると要介護になりにくい、そういう事業ですよということをおっしゃっていたそうです。いや、私、五人にはびっくりしましたよ、はっきり言って。

 それで五人ともよくなったからと、皆さん、これを見て信用できますか。五人よくなったというけれども、この五人はどういう基準で選んだんですか。例えば、中島先生も医師ですけれども、病院から退院して、これからリハビリしようという人だったら、割と短期間で自立になる可能性が高いに決まっているじゃないですか。五人だったら、ではどんな選び方をしたのか。

 それと、田村大臣にお伺いしますが、この方々は二十四年の九月までは介護予防のプロのサービスを受けておられた。十月からはこの日常生活の事業に変わった。どう変わったんですか、五人の方々が利用しているサービスは。かつ、その人手とコストはふえたんですか、減ったんですか。

 私、その資料を出してくださいと言ったら、厚生労働省はわかりませんと言うんですよ。わからないじゃないでしょう。こんなものは、法案審議以前、法案をつくる前にそういうことを精査して、百人か千人かわかりませんが、百万人のサービスを切る話ですからね。法案審議で、地方公聴会まで決めておいて、五人効果が出ています、でも、その五人の内訳は、なぜよくなったのかは厚生労働省もわかりません。さっき聞いたら、和光市も十分に把握していなくて、和光市も委託しているんですって、地域包括支援センターの現場に。だから、和光市も十分にまだ把握していない。

 はっきり言って、根拠があってこういう法改正を出してくるんだったら、その根拠を議論したらいいんですよ。さっき私、もともと研究をやっていたという話をしましたが、こういうのは調査とは言えない。こんなことで法改正するのは許されないと私は思います。

 大臣、今質問したことに答えてください。この五人はどういうサービスからどういうサービスに変化して、人手はふえたのか減ったのか、コストはふえたのか減ったのか。そして、五人しか要支援の高齢者を和光市では調査していなかったということを大臣が知ったのはいつなのか。御答弁ください。

田村国務大臣 まず冒頭、要介護認定させないという発言がありました。どの自治体か教えてください。本来、要介護認定させなきゃいけないのにさせないとすれば、それは我々、指導しなきゃなりません。教えてください。

 その上で、そういう自治体は、新しい制度になったとしても多分させないでしょう。ですから、制度の問題じゃありません。それは本来の介護保険制度自体がわかっておられない自治体でありますから、ぜひとも自治体名を教えていただければ、しっかりと指導させていただきたいというふうに思います。

 その上で、和光市の話でありますが、和光市だけで我々はやっているわけじゃありません。ほかにもいろいろな事業をやっております。和光市は、予防という意味で、要介護認定率が下がっているという事案として顕著にいい事例でございましたので、そういう意味で前回も申し上げたわけであります。他にもいろいろな事業をやっておる中において、総合的に判断して今回提案をさせていただいておるわけであります。

 さらに申し上げれば、何度も申し上げておりますように、必要ならば、それは専門職のサービスを受けていただければいいんです。我々はそれを否定しているわけではありません。ですから、しっかりと専門職の方々にケアマネジメントをやっていただく、状態像をしっかり見ていただいて、どのような事業がいいか。

 そして、御本人も、これは委員ももう御承知だと思いますが、今ある画一的なサービス、これに満足されていないような高齢者の方々もおられるんです。そういうお声も反映しながら、さらに、これからふえてまいられる高齢者の方々、こういう方々に対応するためには、今の一律の国の制度だけでは、これは自治体にいろいろなことをお願いするにも難しいんです。

 ですからこそ、今般のような提案をさせていただき、自治体の方々の力をよりしっかりと発揮できるような、そんな制度というものを考えさせていただいておるということであります。(山井委員「委員長、注意してください。質問に答えてください」と呼ぶ)

 いや、これは先ほど来、なぜこのような提案をしたのか、やはりこの審議でいろいろと質問に対してお答えしていかないと十分に御理解いただけないということでございますから、趣旨等々も含めて御説明をさせていただいておるわけであります。

 今のお話でありますけれども、昨日、事細かく、和光市からいろいろとお聞かせをいただく中において、こういうような話であります。

 平成二十四年十月に総合事業を導入し、同年度の利用者は二百二十六名。これは、介護予防・日常生活支援総合事業は平成二十四年度に法制化されたわけでありまして、その中において行ったものであります。民主党政権時代であります。そのうち、要支援者五人、二次予防事業対象者二百二十一人ということであります。要支援者の五人については、改善、自立につながった、このように聞いております。

 そしてさらに、要支援者五人の、要支援一、二の内訳、利用しているサービスの詳細な内容、また利用頻度等の詳細なデータについては早急に調べるべきだというお話でございますが、これに関しましては、和光市の方といろいろとこれから調整をさせていただいて、御負担もかかる話でございますので、どういうような状況であったかということは、調査することは検討させていただきたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、昨日の夜のお話でございますので、現状といたしましては、和光市のことを事細かくまでは、詳細な分析までは出ておりませんが、我々、和光市の方といろいろと相談させていただきながら、出させていただきたいと思っております。

山井委員 本当にあきれて物が言えない。

 先日の委員会での質疑でも、田村大臣はこう答弁しているんですね。「改善すれば、例えば要介護者から要支援者、要支援者が自立ということもあろう。事実、和光市で私、そういう事例を拝見させていただきました。」これは、普通、拝見したら、この五名はどんなサービスからどんなサービスでよくなったんですか、人手はふやしたんですか減らしたんですか、コストは減ったんですかふやしたんですか、今回の法案にこのことは参考になるんですかと聞くでしょう。

 だから、私、今、田村大臣が詳細を知らないということで、もう全て皆さんもおわかりになったと思うんですけれども、和光市、和光市と言っていながら、和光市では、はっきり言って健康な高齢者の事業をやっているんですよ。要支援の高齢者の調査はやっていないんですよ、基本的には。

 これはもう話になりませんが、田村大臣、連休を挟みますので、五月七日水曜日、次の厚生労働委員会の理事会が八時五十分にありますが、そのときには、今言った資料、耳をそろえてしっかりと出していただきたいと思います。

 委員長にもお願いをいたします。委員長、いかがですか。

後藤委員長 ただいまの件については、理事会で、先ほども協議いたしましたし、引き続き協議します。

山井委員 田村大臣、答えてください、それまでに出しますと。

田村国務大臣 和光市のデータでありますから、和光市に御理解をいただけないと出せないわけでありますので、こちらからお願いはさせていただきたいというふうに思います。

 あわせて、和光市の方へ私も行ってまいりました。和光市の方で全体としてのマクロの数字を拝見させていただく中において、これは事業が非常に効果があるということを、私もその説明の中で理解をさせていただく中において先般の発言をさせていただきました。

 あわせて申し上げれば、私は和光市のことだけを言っているわけじゃありません。今回、この法律の審議は始まってからまだ二回目ですが、今までも皆様方から、昨年からこの御議論はいつもさせていただいておりまして、和光市以外にも幾つかの御事例は挙げさせていただいております。前回たまたま和光市の話をさせていただいたから、和光市、和光市と、和光市しかないんじゃないか、だからその根拠はという話でありますが、そうではないことは、今までの議事録を見ていただければ御理解いただけると思います。

山井委員 ということは、要支援の方に和光市以外で日常生活支援事業をやって効果があったというデータはあるんですか。

 ほかに出てこないから、出てきたのが和光市だけだから私はやっているのであって、ほかの資料、どこのデータがあるのか言ってください。

田村国務大臣 前回も申し上げましたけれども、総合事業だけではなくて予防事業もやっておるわけであります。そういう予防事業と、他の事業も含めて今までいろいろなモデル事業をやっておる中において、我々は判断をさせていただいておるわけでございます。

山井委員 答弁になっていないんです。

 今回の要支援切りは、健康なお年寄りをどう変えるという法改正じゃないんです。要支援の方々百万人を介護給付から外して事業にするという、その検証が全国で五人しかなされていない。百万人のうち、たった五人。その五人についても、田村大臣も厚労省も、今日に至っても全く、それがどうよくなったのか、コストや人手がふえたのか減ったのか、どんなサービスを利用していて、今どんなサービスを利用しているのかも知らない。そんな無責任な話はないでしょう。

 田村大臣は総合的に総合的にと言っているけれども、健康なお年寄りに対するモデル事業は関係ないんです、今回の法案では。要支援の人たちを変えるものですから。

 それで、もう一つ、私、今回びっくりしたデータが出てまいりました。

 配付資料にもありますように、予防モデル事業というのもされているんですね。これは配付資料の十ページ。

 ここにありますけれども、これは、リハビリの専門職とかがプラスアルファで入っている介入群、リハビリの専門職とボランティアが中心にやっているそうです。比較群というのは、今までどおり、プロのデイサービス、ホームヘルプを利用している。

 これについて、今、一枚ぺら、最新の資料をつけ足しましたけれども、今出てきた資料によりますと、全国で十一市区町村に、百四人の要支援の高齢者に対してやりました。やった結果、要支援、要介護認定を受けた人が六十三人。しかし、更新せずが三十七人。

 しかし一方、今までのとおりのデイサービスやホームヘルプを利用していた人は、要支援百十人に対して、更新せずはたった九人。そして、要支援、要介護認定を受けた人が百人ということなんです。

 これはどう思われますか。要は、これをもって、今までの既存のサービスよりもリハビリの専門職やボランティアの方が効果的だという資料らしいんですが、田村大臣、今回の法案では、市町村に任せたら、このモデル事業のような、リハの専門職がしっかりとケアするという体制は必ずできるんですか、このモデル事業のような体制は。いかがですか。

田村国務大臣 これは、個別に訪問で行かれて、それぞれの個別のリハビリをやっているわけではありませんでして、専門職の方々に、全体としての事業の中において、それぞれの方々に対してのいろいろな、状態像も含めてアドバイスをしていただきながら事業を進めておるというものでありますから、リハビリを直接やっておる形態、必ずリハビリをやらなきゃいけない、そういうものではないわけであります。

 でありますから、中においては指導しながらという部分もあるわけでありますけれども、全体としてリハ職の方々が個別対応でいろいろなことをやられておるというわけではないということは御理解をいただく中において、リハ職の方々がおっていただいた方がいいのは間違いないわけでありますが、リハ職の方々の人数というものは限られてくるわけであります。

 でありますから、必要なリハ職の方々は養成しながら、そういうところに入っていただくということは、我々としても、いい形態として推奨はしていきたいというふうに思いますけれども、必ずしもそうではない場合もありまして、それも含めて、そういう指導者の方々をしっかり養成していく、これは必要なことであろうというふうに思います。

 あわせて、今の事業の内容、これを御説明させていただきたいと……(山井委員「もういいです。時間がないですから、いいです」と呼ぶ)いやいや、じゃないとわかりませんよ、状況が。ちゃんとした情報を伝えないと、ちゃんとした議論が伝わらないんですが……(山井委員「配付資料に入っていますから結構です、その答弁は」と呼ぶ)国民の皆さんは配付資料はわからないですから、事実関係を説明させていただきたいんですけれども。

 先ほど、国民の皆様方がやはり国会での議論というものを注目されてということを言われていますから、御党の……(山井委員「時間稼ぎはやめてください」と呼ぶ)時間稼ぎじゃない。これが時間稼ぎになるんですか。読ませてくれれば時間はすぐ終わるじゃないですか。

後藤委員長 冷静にお願いします。

 それぞれの答弁と質問を尊重していますので、誠意を持って、お互いに相手の話も聞きながらやってください。

山井委員 それで、この十一市区町村、百四人というと、もしかしたら皆さん多いかなと思いますが、これは一つ一つに分解するとすごい少ないんですよ。

 例えば和光市。要支援の方十三人にリハ職が介入した。一方、今までどおりの要支援のサービスは六人なんですよ。それで、和光市の場合は、リハ職が介入したら、六人が認定を受け続けて、更新せずが七人だった。今までどおりのサービスの場合は、三人、三人だった。ほとんど有意の差はないじゃないですか、そういう意味では。

 それと、この資料にもありますように、個別名を出してなんなんですけれども、この資料、見にくいですけれども見てもらったら、例えば岡山市は、要支援一、二の人は六人、リハ職のモデル事業を受けている。それと、六人、今までのサービス。六人ずつなんです。

 私も元研究者の端くれの立場からすると、岡山市の中で六人ずつを選んでいて、はっきり言いまして、田村大臣、こういうのをスクリーニングというんです、研究では。どういう六人を選んだのか。それはモデル事業だったら、効果がありそうな人を選ぶ可能性があるじゃないですか。六人ずつを選んで効果が出たなんというのは、百万人の要支援の高齢者を左右する法改正のエビデンス、データにはなり得ないんです。

 おまけに、田村大臣もわかっておられるように、この介入群と比較群、人手とコストはどっちがかかっているんですか。幾らと幾らか教えてください。平均で結構ですから。

田村国務大臣 これは、自立支援度が高い方を調べる、そういうような調査でございますから、基本的にはコストの調査というわけではありません。

山井委員 皆さん、聞かれましたか。リハビリが介入した方が今までのサービスよりも効果があるという調査を発表しておきながら、コストがどちらが多くて人手がどちらが多いかは調査していない。そんなもの、人手やコストがたくさんかけられたら効果が出るに決まっているじゃないですか。そういうのは調査と言わないんですよ、はっきり言って。

 私はすごく失礼だと思うのは、コストや人手がふえたのか減ったのかも、そういうことも調査しないで、効果があった効果があったと言って、あたかも今利用しているデイサービスやホームヘルプが効果が低いかのようなことを宣伝する。これは、今、全国で要支援の高齢者百万人を支えていられるデイサービスやホームヘルプの介護職員の方々、賃金が低いなりに必死に頑張っておられる方々に対して失礼だと私は思いますよ。失礼だと思います。何ですか、コストも人手も知りませんというのは。そんなモデル事業がありますか。

 田村大臣、少なくとも介入群の方が人手とコストは安いんでしょうね。高かったら当たり前じゃないですか。安いか高いかだけぐらい教えてください。

田村国務大臣 一定の仮定を置きますけれども、それは安いのは安いということであります。ただ、詳細に、これはコストの調査ではありませんのでそこまで出しておりませんが、この事業の一定の要件を置いたモデルにおいては、それは当然のごとく、安いというような結果を出してきております。

山井委員 それでは、委員長と田村大臣にお願いします。

 安いというならば、各十一市区町村、幾らと幾らコストが違うのか、人手は何が何人、何が何人というデータ。

 そしてさらに、私は、この調査結果は、はっきり言ってにわかに信じがたい。なぜならば、百四人のうち三十七人が更新せずなんですよ。これは自立になったということじゃないんですよ。なぜ更新していないのか。

 だから、田村大臣と委員長に言います。

 この更新していない方々は、納得して更新していないのか、今どんな状態なのか、どんなサービスを利用しているのか。例えば、介護保険を利用できなくなったから自費でサービスを利用していますということだったら意味がないし、更新していないけれども入院していましたでは、これも全く意味がないし、本人が納得しているのか、どんな状態に今あるのか、他のサービスは今どんなサービスを使っているのか。

 そもそも、この百四人の方々をどうスクリーニングしたのか、各市町村によって。これはすぐわかると思います。岡山市だったら六人ですから、和光市でもたった十三人しかいないわけですから。

 委員長、これを五月七日の八時五十分の理事会までに出していただきたいと思います。

 そして、田村大臣、出すという答弁をお願いします。

後藤委員長 御要望の件については、理事会で協議をいたします。

山井委員 田村大臣、今のコスト比較も含めて、出すという答弁をしてください。

田村国務大臣 事実上そういうことができるかどうか。そのようなコストに関しては、一定の仮定を置けばそれはわかりますよ。だけれども、もともと、詳細なコストを調査する、そういう調査じゃございません。先ほど申し上げました。これは自立度がどうかということを対象にした調査であります。

 ただ、一定の仮定を置けば、それは当然、高くかけて予防が進んだ、つまり要介護認定が下がった、これは意味がないわけでありますから、もとから安くなるという前提のもとでやっておる調査でありますから、それはそうでありますが、それは詳細なものが、データがなければ出せないですよね。

 しかも、今委員おっしゃられるのは、これは各自治体がやっていただいておる事業でございますので、厚生労働省でやっておればそれはいろいろなものを出せますけれども、自治体に今から要請してこれからの間に出していただくのはどうか、これに関しては、我々としては、そこまで御無理をお願いするというわけにはいかないというふうに思います。

山井委員 それが出てこないのであれば、それ以降の国会審議は、出てくるまで待ちますので、日程協議はやめさせていただきます。

 私は、別にむちゃなことを言っているんじゃなくて、聞いてもらったらわかると思いますが、これは、市区町村と言っているけれども、法改正をするのは国なんですから、厚生労働省なんですから、私たちが審議する前提の資料を出せばいい。例えば、安くなるのは安くなるんですと、では幾ら安くなるんですか。一割ですか、五割ですか。そんなこともわからないで、これは審議の前提じゃないですか。

 そこで、十二ページを見ていただきたいと思います。

 能美市というところがございます。一足先に日常生活支援事業を経験したケース。和光市と同じようなケースですね。そこで今どういうことが挙がっているのか、聞いてみました。

 この資料にありますように、能美市の地域ケア会議では、市の職員、市の保険課と地域包括支援センター四、五人対ケアマネ一人で検討。

 例えば、ここにデイサービスセンターのお風呂の話が出ていますが、九十五歳の男性が、要介護からたまたま要支援二になった。そうしたら、ケアマネは、今までどおりデイサービスに行ってもらいたいと言ったら、市の方から、いや、それは困ります、デイサービスのお風呂じゃなくて、老人センターのお風呂に行けませんかと。九十五歳の男性で、それは無理ですよ、無理ですよと、かなり攻防戦になった。そういうことになってしまうんですよ、これは。先取りしているんです、この法改正の後を。

 たまたま市の職員さんの中にこの九十五歳の男性のお知り合いがおられて、さすがにこの人は無理だということで思いとどまってデイサービスを利用できるようになったものの、そのとき市から言われたのが、平成二十七年度からは使えなくなるのよ、ケアマネはそのときどうするの、つまり、この法案が通ったら使えなくなるのよ、どうするのと。実際、こういう話になっているわけですよ。

 それとか、ケアマネがデイケアを使ってもらおうと思うと、半年で卒業してね。それで、ごみ出しができない方に関しては、ホームヘルパーさんにごみ出しや掃除を頼もうとしたら、市から、それは困ります、ボランティアや民生委員に頼んでください。ケアマネさんが渋々民生委員さんに言ったら、民生委員さんは、何であなたからそんなことを言われないとだめなのよと。結局、この方の家はごみ屋敷になって、本人が要介護になって初めてサービスが入ることになった。かえって悪化しているじゃないですか、手おくれになって。

 こういう事例が既に出てきているわけです。そういうことになってしまうわけじゃないですか。

 ですから、十三ページになりますが、和光市もうまくいっている点はあるんでしょう。でも、これはさっきも言ったように、和光市で要介護認定率が下がっているというのは、要支援の高齢者に対する取り組みじゃないんですよ。健康なお年寄りをとってやっただけの話で、今回の法案とは直接関係ないんですよ。

 それで、能美市のこのようなモデル事業をやったケアマネさんがおっしゃっているのは、信耕さんがおっしゃっているのは、この法改正になると、まず、介護サービスにたどり着くまでに遠い道のりになってしまう。そして、今まで言ったように、要介護認定を受けさせてくださいと言ったら、まず日常生活支援事業を受けてください、ボランティアのサービスを受けてください、それを受けられないと、なかなかそう簡単には要介護認定まではいきませんと。そんなムードになってきて、本来、保険料を払ったら、介護サービスは権利だったはずです。しかし、今回は権利じゃなくなるんです。保険から措置に逆戻りする。

 次に、保険あって介護なしが強まる。介護福祉士の専門性を軽視して、ボランティアでもできる、外国人でもできる、こんなことを言い出せば、賃金は上がるどころか下がってしまいます。

 そして、何よりもケアマネジャーさんの存在意義。要介護認定率は下げてくださいということをペーパーに入れています、厚生労働省は。そうなると、市町村は萎縮して、今回の改正で財源も抑制されますから、それによって、ケアマネさんは市がノーというプランは立てられなくなるんです、萎縮してしまって。今までは、この人はプロのデイサービス、ホームヘルプへ行っていたけれども、それでは市がうんと言わない、ボランティアさんに頼もうか、でも、さっきも言ったように、ボランティアさんに頼んでも、民生委員さんは、何でそんなことを言われないとだめなんだと。結果的には手おくれになってしまう、こういう問題が起こりかねないわけであります。

 そこで質問ですが、今回、ガイドラインに、利用手続、地域包括支援センター等が、利用者の意向や状態像を踏まえつつ、ケアマネジメントに基づき総合事業と予防給付の適切な利用を支援する、これがガイドラインに盛り込む案の内容ですが、ここで今言ったようなことが起こり得るわけですから、私はプロのサービスをあくまでも受けたい、あるいは日常生活支援事業じゃなくて要介護認定が受けたいと言えば、それは権利として要介護認定は受けられるんですか、プロのサービスは受けられるんですか、要支援に判定された場合は。田村大臣、お答えください。

田村国務大臣 ちょっと正確じゃない話がいっぱいありましたので。

 今でも外国人は、介護保険の中で、介護福祉士として従事できるようになっておりますから、外国人はもう既に従事されておられます。そこは御理解をいただかなきゃならないと思います。

 それから、今、能美市、私はこれはどういう状況なのか知りませんよ、事例を出された例が。ただ、この方は今でも受けられるんですよね、入浴を。今でも受けられるんです。受けられる方が受けられないというならば、それは、その現場、いや、個別事情はわかりませんよ、もしそのような状況ならそこに問題があるので、そこはやはり直していただかなきゃなりませんし、今度の新しい制度でも受けられるんです。そこも御理解をいただいて、受けられるものを、必要があるのに受けさせなければ、それは自治体に問題があるわけで、自治体は提供しなければならないわけでありますから。

 いろいろなことを言われましたが、大変なレアケースということでございますので、そういうものに対して対応していただけていなければそこに問題があるわけでありまして、そこは、言っていただければ、こちらとしてもまた助言指導はしてまいりたいというふうに思います。

 その上ででありますけれども、要介護認定は、これは当然、必要であれば受けていただかなきゃならぬわけでありまして、チェックリストを受けたからといって要介護認定を受けさせないというようなことはだめであります。一方で、チェックリストを受けた後、サービスを受けていただいたときも、要介護認定を受けたいと言われれば、それは要介護認定を受けられるわけでありますから、そのような意味では、要介護認定を受けることは担保されておるということでございます。

山井委員 ということは、もう最後の質問になりますが、要介護認定を受けたいという人は、権利として要介護認定を受けることができるということはガイドラインに入れてもらえるということでいいですね。今の大臣の答弁は重いですよ。

 それで、まとめになりますが、きょう、たった三十五分だったので言い尽くせませんが、審議の前提となるデータもない、たった五人で、その人たちが、どう五人を選んだのか、コストがふえたのか減ったのか、どんなサービスからどんなサービスに移ったのかもわからない。つまり、今回の改正はエビデンスはないんですよ、何ら。要は、財源を抑制したいから切ろうと。何かエビデンスがあるかのようなことをおっしゃっていましたけれども、エビデンスは全くないどころか、エビデンスをとろうとする、そういう努力も田村大臣はされてこなくて、田村大臣自身がこの法改正の根拠を全く持っておられないし、勉強もしておられない、そういうことが明らかになったと思います。

 そういう形で百万人もの方々の要支援のサービスを市町村に移行することに関しては絶対反対だということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 水曜日に引き続きまして、法案質疑をさせていただきます。

 先ほど長妻委員の方から、認知症の行方不明者、私も前回も質問をさせていただきましたが、一万人。そして、そのことに対する対応についてのやりとりがありましたので、まず、そのことからお尋ねをさせていただきたいと思います。

 私の方も、資料の一ページ目、これに密接にかかわる認知症での緊急一時保護の今の自治体等における対応の実情でありましたり、あるいは二ページ目、先ほど長妻委員のやりとりにもありました、平成二十四年度、認知症で行方不明の方、九千六百七名。そしてまた、この間の推移を三ページ目におつけし、その次のページには、前回議論をさせていただきました初動が重要ということで、ただし、九千四百七十八人が見つかったといえども、残りの方々、見つかっていない方々にやはりしっかりと光を当てた対応が重要ではないか、そういうやりとりをさせていただいたわけですね。

 実は、先ほどの長妻委員とのやりとりで非常に重要なやりとりがありまして、さらに加えてちょっとお伺いしたいんですね。

 それは、この資料の四ページ目に、見つかった方が九千四百七十八人で、では残りの見つかっていない方がというお話の中で、百七十八人というお話がありました。そして、それに対して、それぞれ、どういった内訳というか御事情、それこそ施設からなのか自宅からなのか、あるいは要介護度とか、介護保険の対象でいらっしゃるのか、そういうことも含めて、警察庁とも連携して状況を把握してという御答弁が田村大臣からあったんですね。

 そういう中で、私は、そのことを踏まえてさらに伺いたいことがあります。それは、冒頭の一枚目にもつけておりますが、認知症で緊急一時保護をされる方々というのが、これは毎日新聞の調査ですが、全国で五百四十六人に過去六年で上るということで、いろいろなことが書かれております。

 それに加えて、昨日の、JR、認知症男性事故死のお話も重要だと私は思っていまして、これについては、当初は、認知症で、九十一歳、列車にはねられて亡くなられてしまった方の御遺族、それは奥様であったり御長男の方に、一審で全額支払いを命じた名古屋地裁判決を変更して、奥様に対してのみの賠償を命ずる、そして長男に対する請求は棄却、そういう報道がけさの毎日新聞等にも出ております。

 私は関連してぜひ伺いたいのが、一ページ目、これは認知症で、見つかっても身元がなかなかわからない。例えば、ここにあるように、夫婦で認知症でいらっしゃって届け出自体が困難であったり、そしてまた、下の段にありますが、法的な仕組みも非常にまだ不備があり、対応にばらつきがあるということで、自治体ごとに、ある程度、徘回高齢者緊急一時保護といったような名称で、受け皿となる施設を事前に確保して対応しているところもあれば、そうではない、記事のとおり言うと、路上生活者と同じ扱いで生活保護の部署が担当する自治体もあるとか、非常に対応がまちまちであります。

 認知症の行方不明の方で、ひょっとしたら、それこそ列車事故に巻き込まれてお亡くなりになってしまうようなケースも想定されるわけですが、やはり、緊急一時保護も含めた、きっちりと対応できる体制とか、あるいは必要な法整備、こういったものもなければ、ここの毎日新聞の報道にあるように、本当に自治体ごとに対応がまちまちで、三十二の自治体が要綱を設けて対応していると回答しているけれども、そうでないところは、先ほど申し上げたように、路上生活者と同じ扱いで生活保護の部署が担当する自治体もあるとか、本当にこういう現状があるわけですね。

 今回、行方不明一万人の結果が初めて明らかになって、そして、二十四年度でも百七十八人がまだわからない。そういう方の中には、本当に不慮の事故で亡くなってしまう、もっと言えば、その御家族の方々が場合によっては責任を問われてしまう、そういう可能性もある中で、やはり、緊急一時保護などのそういったことが、きっちりと自治体、そして国、もちろん厚労省、警察庁が連携をして、自治体と連携をして対応できる体制、そして必要な法整備、こういったものがないと、ある意味、自治体任せの対応に今なってしまっているわけでございます。

 ぜひ、大臣、状況を把握いただくのはもちろんのことでありますが、その先に、対応できる体制、そして必要な法整備などを御検討いただきたいと思いますが、いかがでございますか。

田村国務大臣 先ほど申し上げましたが、やはり、認知症の方々が安心して地域で暮らせない、そのような環境であるということは不幸なことでありますので、その環境整備ということは重要であろうと思います。これは厚生労働省が一省でどうという話じゃないわけであります。もちろん警察とも協力しなきゃなりませんし、各自治体、さらには住民の方々やまた関係機関の方々、そういう方々と協力しながら、こういう環境をつくっていかなきゃならない。

 あわせて、行方不明のままといいますか、身元がわからないという問題は大変私も大きな衝撃を受けておりまして、本来、地域のコミュニティーとしての力があれば、どこで誰がいなくなれば、それは大変だという話になって、御家族の方等々に連絡する中において捜索願等を出すわけであろうと思うわけでありますが、それがないのかどうかわかりませんけれども、御本人はおられるにもかかわらず、その方がどなたか特定できない、こういう問題をどう解決していけばいいのか。

 先ほど、各自治体や警察当局とも協力しながら、現在、この状況を把握したいと申し上げましたが、実態がまずどういう状況なのかを把握しないことには、ではどういう対応ができるのかということもなかなか検討できないわけでございますので、まずは状況等々実態を把握させていただいて、その上で、今、現状どのようなことができるのか。

 もし本当に法律改正をしなければならないということがあるのならば、そのときにはそれは検討してまいりたいというふうに思いますが、まずは実態を把握した上で、現状どういうことができるのかということを検討させていただきたい、このように考えております。

柚木委員 前回よりも踏み込んだ御答弁だと思います。

 まずは状況把握をし、そして、先ほどの長妻委員とのやりとり、そういった警察庁との連携の中で状況把握をさらに進め、必要があれば法改正などの議論も検討したい、法整備などということでございましたので、これはぜひ、早急なそういった体制整備、必要な法整備についても御検討いただきたいと思います。

 こういう自治体ごとにばらつきがあるような対応では、自治体の方も非常に大変だと思いますし、ましてや、今回のJRの本当に痛ましい事故死のようなことがあって、責任が御家族の方に問われてくるようなことがあれば、それこそ、これはいろいろな、全国の介護をされている御家族や介護の現場で働かれている方々に衝撃を与えている判決でもあるんですね。ですから、こういったことにもつながりかねませんので、早急な体制整備、あるいは場合によっては法体制の整備をお願いしておきたいと思います。

 続きまして、きょうも議論がありましたが、特別養護老人ホームで、今回、要介護三以上の方々を優先して受け入れる体制へと見直しが図られるということなんですが、これはさまざまな見方がもちろんあるわけですね。中島委員も質問でやりとりされておられたとお聞きしておりますが、そもそも、三以上にしても余り意味がないじゃないかというような見方ももちろんあるわけですね。

 他方で、私は、やはり逆の見方もあって、自治体によってもちろんばらつきがあり、大半の方が三以上であることもあるにせよ、逆に言うと、二以下でも重篤な方が認知症も含めておられて、入れない、そういう方がさらにふえてくる。つまりは、資料にもおつけをしておりますが、八ページ目、特養待機高齢者が五十二万人で、しかも五年間で十万人もふえておられるわけですね。ですから、今後、当然高齢化も進んで、さらにふえていくことが考えられるわけです。

 そういった中で、今回の重点化によって、入りたくても入れない、しかもばらつきもある、そして、場合によっては、次のページにもおつけしましたが、介護の利用料負担が一割から二割になるということであれば、これまでは特養以外のそういった施設やサービスを利用されていた方が、何とかやはり特養に入りたいんだというような方もひょっとしたら出てきて、さらに待機高齢者、介護難民、まあ、厚生労働省は待機高齢者と言わずに入居希望者なんだとおっしゃっていますが、言い方は別としても、間違いなく待機されている方もおられるわけですから、いわゆる待機高齢者、介護難民がさらに増大をしていくということが私は懸念をされるというふうに思います。

 伺いたいのが、今後、重点化によって、本当に入りたい、あるいは入らなければ大変だという方々が入れなくなってきたときへの対策。そして、その対策に関連して、今後、これは特養だけじゃありませんが、そういった施設やサービスの整備をどのようにして進めていくお考えがあるのか、御答弁いただけますか。

赤石大臣政務官 柚木委員にお答えいたします。

 御指摘の特別養護老人ホームにつきましては、入所を望む重度の要介護者が多数存在することから、限られた資源の中で、より入所の必要性の高い人が入所しやすくなるよう、在宅生活が困難である中重度の要介護高齢者を支える施設としての機能に重点化を図ることとしております。

 他方で、要介護一や二の要介護者であっても、やむを得ない事情により、特別養護老人ホーム以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、特例的に特別養護老人ホームへの入所を認めることが適当であると考えております。

 例えば、認知症高齢者であり、常時の適切な見守り、介護が必要な方、家族等による虐待が深刻で、心身の安全、安心の確保が不可欠な方、知的障害、精神障害等も伴って、地域の安定した生活を続けることが困難な方、このような方は現状と同じように対応していきたいというふうに考えております。

 また、要介護状態になってもできる限り自宅で生活を継続できるよう、日中、夜間を通じて訪問介護と訪問看護を提供する定期巡回・随時対応型サービスや、通い、訪問、泊まりを柔軟に組み合わせて提供する小規模多機能型居宅介護などの在宅サービスの充実に重点的に取り組んでいきたいと考えております。

 さらに、心身の状況等に応じて、できる限り住みなれた地域で居住ができるよう、サービスつき高齢者向け住宅や有料老人ホームなど、要介護状態になっても住み続けることが可能な住まいの確保を支援するとともに、低所得、処遇困難な高齢者が入所する軽費老人ホームや養護老人ホームの活用等を図るなど、高齢者のニーズに応じた多様な住まいの確保に努めていきたいと思っております。

 なお、要介護認定制度は、全国一律の基準に基づき公平公正に運用される必要があるため、認定調査員に対する研修を行う等、今後とも適切な要介護認定の運営に努めていきたい、このように考えております。

柚木委員 御丁寧に答弁をいただいたわけですが、問題は、本当にその待機高齢者がそれによってふえてしまわないのか、いわゆる介護難民と言われるようなことになってしまわないのか、こういったことでございますので、本当に、今のようなおっしゃられた対応で実際にそういった十全な対応になるのかどうなのかというのは、私は、言葉は悪いですけれども、やってみなきゃわからない面があると思うんですね。

 ですから、そういうことも十分に想定をしながら、さらなる詳細な施策の検討を進めていただきたいということをお願いし、また、そうでなければ、それこそ、こういった部分でも、施設に入れなかった介護難民の方が、ひょっとしたら行方不明の方になってしまいかねないわけです。あるいは事故に巻き込まれかねないわけですから、本当にそういう危機感、認識をお持ちいただく中で、この三以上という議論も進めていかなきゃいけないということを申し上げておきたいと思います。

 それから、資料の十ページ目以降に、今回、地域包括支援センターの機能強化について対応されるということになっているんですが、本当にこれが実際に機能するのかどうなのかということなんです。

 十ページ目には、新たに機能強化の中で、在宅医療・介護連携とか、それこそ認知症対応とか、あるいはボランティアのマッチング、こういったことが入っているわけです。他方で、十一ページ目の、もともとある本来業務。

 そして、十二ページ目につけましたが、地域包括支援センターの現状と課題という中で、四分の一は業務量が過大というふうにセンターが認識をされていたり、なおかつ、困難事例の対応に要するための時間がふえてきていて、専門職の確保も困難、何でもセンター任せの風潮ということで、現場は、私も話を聞いてまいりましたけれども、本当にもういっぱいいっぱいでやっている中で、さらに今回、機能強化という言葉のもとに、それこそボランティアのマッチング、これは大変なことですが、実際にできるのかできないのかという見方もあります。

 そしてまた、苦情対応とか、今回、世帯要件把握など、本来であれば行政の窓口に行くべきところが、ひょっとしたらセンターに相談に来られるかもしれないとか、実際にさまざまな重要な機能を担う地域包括支援センターが機能できないんじゃないかという見方もあるわけです。

 ちなみに、例えば、ボランティアの議論もきょうも随分なされておりますが、その中核となることが、あるいはなっていることが想定をされる民生委員さんも、この間、定員不足が、私もずっと調査を見ると、今から五十年ぐらい前は千人ぐらいだったのが、二十年、三十年ごとの調査の数字ですが、三千人になり、五千人になり、二〇一三年は六千七百八十三人まで定員不足になっているんですね。

 こういうことも含めて、それこそ、後ほど議論しますが、要支援の方々がボランティアで対応をされるようなことができるのかという議論もある中で、そもそもマッチング自体が本当にできるのかどうなのか、こういうことであるんですね。

 これは本当に、地域包括支援センターの機能がこういった状況の中で十全に機能し得ない場合を私は懸念するわけですが、こういった点について何らかの対応を今後お考えいただくことも必要かと思いますが、御見解を御答弁いただけますか。

田村国務大臣 これは要支援者だけじゃなくて、今自立をいただいて、まあ、要支援者の方々も自立をいただいている方々がおられるわけでありますけれども、要支援者未満の方々に関しても、実のところ、いろいろな事業に参加いただいて、要支援にならない、もちろん要介護にならないというような事業は、これは総合事業の中で要支援者の方々とともにやる事業というものもあるわけであります。

 全体として、今般、要支援の問題だけじゃなくて、地域包括支援センターの業務というものはこれからまだまだふえてまいります。それはなぜかといえば、当然のごとく、高齢者の方々がふえてこられるわけでありますから、それはもういたし方ないわけであります。しかし、この地域包括支援センターがそれにたえられないとなると、これは、今、自治体のいろいろなお力をおかしいただこうといっても、何といってもこのセンターが中心になるのは間違いないわけでありますので、いろいろな自治体の御努力の中においても大きな役割を果たしていただく、そういうわけであります。

 委託型、また一方、行政の直営型といいますか、これがあるわけでありますが、業務量は確かにふえております。今回の制度改正でも新たな業務というものがふえてまいります。そこは、基幹となる地域包括支援センター、これはやはり行政直営型が主になるんだと思うんですが、そういうところとの役割分担というものもしっかりとやっていく中において、例えば、今回の新しい事業の中にある医療と介護の連携であるならば、これは、地域の、地区の医師会の皆様方は専門性をお持ちでありますから、そういうところに中心的な力をおかしいただく、こういうこともやっていかなければならないわけであります。

 それぞれいろいろな形の中において、地域の資源といいますか、そういうものも活用しながら、今般の事業というもの、新しい制度というものは進めてまいりたい、今般の法律改正というものは進めてまいりたい、このように考えております。

 ただし、一方で、初期集中支援チーム、これは認知症でありますけれども、これは地域包括支援センターが中心となってやっていくわけでありまして、こういうものに関してやはりしっかりとした体制整備もやっていかなければならないわけでありまして、業務がふえる部分は、当然その分事業がふえてくるわけでありますから、地域包括支援センターの人員面も含めてしっかりと我々も強化を図っていく、ここも大変重要でございますから、これも進めてまいりたい、このように考えております。

柚木委員 ぜひ、そういった予算、人員の体制整備を、本当に業務量の増大、実態に即した形での対応を、今御答弁いただいたように、進めていただきたいと思います。

 それから、今回、診療報酬改定の中で非常に大きな議論になっております、いわゆる在宅医療で同一建物居住者への最大七五%減算、これは緩和措置等が出されているわけですが、それにしても私は非常に懸念される部分があると思っていまして、ここをちょっと、なるべく短くやりとりをさせていただきたいと今回は思いますが。

 私も説明を受けました。もちろん、患者紹介ビジネスのようなことで不当な利得を得るようなことに対する対応は必要なんですが、しかし、それが今回のいわゆる最大七五%減算ということであって本当にいいのかどうなのかというのは、私は本当に丁寧な議論が必要だと思うんですね。

 なぜならば、国は、施設から在宅へということで大きな流れの中で今施策を進めている中で、急性期も、ワイングラスからヤクルト形へというようなことで病床の再編も進めていく中で、在宅機能がしっかりしていないと、これは下手をすれば在宅医療難民みたいな形になりかねないわけですよね。

 ですから、今回、例えば、サ高住でみとりができるのかとか、そういうところに協力する在宅医さんが減っちゃうんじゃないのかとか、そういった専門の団体さんの意見も出ていますよね。そういうことも含めて、そもそも在宅医療そのものをどう考えるのか、ドクターフィーの扱いをどういうふうに考えて今回の減算ということが出てきているのか。経過措置もない。そして、例えば本当に訴訟とかになったら国は大丈夫なのかなという、私は逆に心配までしてしまうわけですね。

 もっと言うと、こういうことで影響が出てくると、当然、在宅医療を必要としている患者さんはもとより、御家族の方、仕事もしていればそういうことへの影響、そして、それこそ認知症であったり独居であったり、いろいろな面で今回の七五%減算が影響が出てきかねないと私は非常に憂慮しております。

 ですから、今回の、さまざまな工夫が一旦なされるということは私も説明を聞きましたが、その上でもやはり影響が出てしまうことを懸念されている現場の医療関係者や、あるいはその当事者である患者さんや御家族の方々に対して、もっと現場の声を丁寧にお聞きいただいて、できれば、さらに精査をいただけるように御配慮をお願いしたいと思いますが、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 まず、誤解を招かないように、委員はよく御承知でありますけれども、御説明をさせていただきますが、これは集合住宅型でございますので、個々の御自宅に訪問診療される場合はそういうことはないということであります。

 その上で、これに関しては、もう御承知のとおり、いろいろな報道がありました。わあっと回って荒稼ぎをして、手数料ビジネスみたいなことまであるというような報道がある中において、それはやはりしっかりとした対応をせざるを得ないということで、中医協の中において御議論をいただいて、今般のような制度改正になった、診療報酬改定になったわけであります。

 いろいろな御心配もあるので、いろいろな対応もしておりまして、三名内の医師であれば、個々に訪問していただいた場合には、一つの集合住宅であっても減算をかけない、今までどおりでやるというような対応もさせていただきます。

 それから、そもそも訪問診療の話でありまして、往診というものはこれは別の世界で、往診の加算がつきますから、緊急時はちゃんと点数がつくということ。それから、末期がんの方々のように頻回の診療が必要な方は、これは今までどおりということでございますので、そこは御理解をいただくように周知をしてまいりたいというふうに思います。

 さらに、在宅支援診療所それから病院ですね、在支診、在支病に関しては評価を今回しっかりとつけさせていただきながら、また一方で、在宅療養後方支援病院、こういうものに関しましても評価をちゃんとしよう、訪問看護に関しましても評価をしていくようにしようというような診療報酬改定もさせてきていただいておるわけでありまして、在宅診療、在宅医療全体に対してはしっかりと対応してまいりたい、このように考えております。

 ただ、言われたとおり、いろいろな御懸念の声もございます。我々といたしましては、医療を提供される方々もそうなんですが、医療を受けられる患者の方々、基本的には、元気な方々は外来に行っていただければいいわけでありますが、外来に行けない方々に関して、医療が受けられないと困りますので、そんな方があられる場合には、御連絡いただければ、地区の医師会の皆様方と相談させていただいて、医療が受けられるようなお手伝いは我々はさせていただきたいと思っております。

 全体として制度に問題があるというようなことがもしこの後わかってくれば、そのときにはしっかりとした対応も検討しなければならないというふうに考えておりますので、今は制度の中において推移、経緯というものを見守らせていただきたい、このように思っております。

柚木委員 今、最後に言われた部分、問題があれば対応したいというのはもちろんのことなんですが、実際、健康や命に影響する話ですから、これは本当に見切り発車にならないように、私は、実際の制度のスタートまでにさらなる精査をお願いしておきたいと思います。

 あと残りの時間、要支援の話がありましたが、百万人の方々が影響される今回の話、和光市の五人の事例というのもありましたが、きょうもたくさん傍聴に来られている方々、私も実際に、きょう傍聴に来られている方にもお話を伺いました。まさにそういう要支援サービスが受けられなくなって、本当に当事者も大変、御家族も大変。そして、きょうずっと議論させていただいているような行方不明者、場合によっては事故等で、本当に大変なことになりかねないような問題をはらんだ議論なんですね。

 そして、きょう来られている方々は、全国の自治体にそれぞれ、百四十七の自治体に対して要請活動まで危機感を持ってされている方々が傍聴に来られているわけですよ。

 私、本当に心配なのは、こういう議論がどんどんどんどん見切り発車で進んでいくことで、きょうも議論がありましたけれども、サービス単価が下がる、下げざるを得ない、そういうことを既に自治体も言われていたりすると、当然、介護事業所の経営や人件費にも影響があって、現場から出てきている声は、プロの介護士さん、ヘルパーさん、事業者も、要支援サービスから撤退していかざるを得ない、こういう声も聞いております。

 そうすれば、当然、そもそも人件費が下がったりすれば、そうでなくても今介護人材不足なのに、ますます人材不足に拍車がかかる。どうやってこれを二〇二五年までに百万人ふやすんですか。何か秘策でもあるんですか。

 そして、ガイドラインの議論もありましたけれども、本来そういう中身がわかった上でこの議論をしなければ、誰も責任をとれないわけですよ、我々も、大臣も含めて。見切り発車して、要支援切りで、健康が悪化して、場合によっては行方不明とか事故とかに巻き込まれたり、こんなことになったら誰も責任をとれませんよ。

 そして、私は、ボランティアの話も、先ほど地域包括支援センターの機能強化の話もあえてさせていただいたのは、そもそもマッチング機能自体を担えるのかどうなのかという問題もあれば、ボランティアさんが不足をしている、民生委員さんが全然足りていない、こういう現実もあるのに、いいところの事例だけをとってこれを全面展開していくということを、もちろんそういうことを考えてやるのはいいんですけれども、それを全部にやれるやれないの議論は別問題ですからね。こういうことも含めて本当に考えていかなきゃいけない。

 そして、私、大臣に伺いたいのは、今回、資料におつけしておりますけれども、六ページ目、七ページ目、サービスが非常にわかりづらいんですね。今回の新しい事業の全体像ということで、自治体の窓口の方が説明をされることを想定して、厚労省の方に聞きましたよ。例えば、要支援で認知症の方々がこの新しい総合事業サービスを利用したいと思っても、私は正直、きのうも厚労省の方からお話を聞きましたよ、本当に利用者の方や家族の方が理解できるような制度の整理になっているのかどうなのか。これは本当に、私は、そもそもそういうことから含めて問題がある流れだと思っているんですね。

 ですから、そもそも、新たな事業をやろうとしているこの制度は、実際に利用される御家族、ひょっとしたら認知症の方もおられる、利用者の方、そういう方に今既に十分に周知、理解ができているとお考えですか、大臣。

田村国務大臣 今までも、新しい制度に向かっていろいろなところで各担当者の方々を含めて説明をしてきましたし、これからも、いろいろな会をつくる中において、そういうような形で御説明をしてまいりたいと思います。

 いずれにいたしましても、現場の方々に御理解いただく、もしくは、地域包括支援センターの皆様方に御理解いただくとしても、そこから利用者の方々にどうやって御理解をいただくかということが重要であろうと思います。

 周知、広報、これはしっかりやってまいりますが、例えば今の話ですと、地域包括支援センターの中でケアマネジメントをする、その中においてどのようなサービスをというときに、しっかりと御説明をいただいて、どのようなサービスをどのような形で受けるのが一番適しているかということも含めて、いろいろと御理解いただけるような、そのような説明をいただけるように我々も努力していかなければならないというふうに思います。

 ただ、一方で、確かに百万人、これから大変なんです。大変なだけに、多様な方々にこの介護というものを、要介護はなかなか難しいわけでありますけれども、要支援で比較的軽い方々、こういう方々に対してはやはり対応いただくようにしていかないと、今言われたように百万人、本当に百万人で済むのかどうなのかということも含めて、我々は大変心配もいたしております。

 でありますからこそ、地域全体の力をおかしいただきながら、多様な方々に介護というものをお助けいただきたいという思いもあるわけでございまして、介護人材の不足というもの、これに対しても、一定程度このような形でお力をおかしいただきたいという思いもあるわけであります。

 ただ、言われるとおり、必要なサービス、それはその方にとって必要なサービスでありますから、そのときにはちゃんとした対応をしていかなければならないわけでありまして、そこは我々もしっかりとした対応ができるように周知徹底をしてまいりたい、このように考えております。

柚木委員 終わりますが、きょうの議論でも、本当に、下手をすれば要支援難民が激増するかもしれない、在宅医療難民がどんどん出てくるかもしれない。

 そして、田村大臣は心配しているとおっしゃいましたが、心配しているのは、きょう来られている傍聴席の方であり、全国の百万人の要支援の方々なんですよ。そういう方々に対して、まるで要支援カットは起こらないような、誤解をされているんですけれども誤解をされているんですけれどもと言いますが、本当にそうなんですか。そういう言い方をしておきながら実際に要支援カットが起こったときのことの方が、よほど無責任ですよ。

 そういうことをこれからなし崩し的に進めようとしているということは絶対にあってはならない、私はそのことを強く最後に申し上げ、これはしっかりとこの後も議論させていただくことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。

 本日も、地域医療介護総合確保法案につきまして質疑をさせていただきます。

 前回までは、主に認知症、特養、それから介護、介護職員などにつきまして焦点を当てて議論してきました。それだけでも非常に論点が多くて、まだまだ議論がし切れていないと感じております。

 ほとんど全ての議員の先生方がおっしゃるように、十九本ですか、この法律をなぜか一括で改正する法案でありまして、この後、一つ一つ、どうしても深くはなりません、浅く広くになりますけれども、一つ一つの論点につきまして課題を指摘していきたいと思っておりますが、審議時間、この先どれぐらいとっていただけるのかということが今から心配でなりません。本当に命にかかわる内容も、たくさん、てんこ盛りです。こういうことにつきまして真摯な政府としての審議への対応を強く求めまして、質問に入らせていただきます。

 まず初めに、病床機能報告制度につきましてですけれども、政府からの説明資料などでは、現状では各病院や診療所の持つ病床の機能が見えにくい、これが課題だという指摘があります。これを、高度急性期機能、急性期機能、回復期機能、慢性期機能、この四つに明確に分けるんだというのが今回の報告制度だということなんです。

 これは、素朴な疑問として、これまでも診療報酬の支払いの段階でどんな診療内容かということは明らかになるわけですし、レセプト等の分析をすればかなり正確に把握できるんじゃないかと思っております。その一方で、小規模な病院あるいは有床の診療所なんかにおきましては、同じベッドでも、急性期の患者さんに使うときもあれば慢性期の患者さんに使うこともあるということで、病床ごとにきちっと色分けというのはなかなか難しいというか、どこまで意味があるんだということも疑問がございます。特に地方では、小規模な病院がオールラウンドでどのような患者さんに対しても対応している、そういう病院もたくさんあります。

 そこで、まず、現状の具体的な問題点と、医療機能を四分類に明確化することのメリット、そしてデメリットというものがあれば、御答弁をお願いしたいと思います。

田村国務大臣 七対一看護、こういう対応を進めてまいりました。手厚い看護体制の中において、急性期の方々に、重い方々に対応していただく。三十六万床までふえました。我々が当初見込んでおったベッド数よりもふえてしまったということは、我々も真摯に反省をしなければならないというふうに思います。

 それを見ればわかるではないかと言うんですけれども、実はそこで、本来必要のない状況の中で医療が提供されているという問題が指摘をされるわけでありまして、七対一看護の病床がふえると、当然のごとく、他の病床に対して看護師自体が足らなくなってくる、こういうことも起こってくるわけでありますから、ここは見直していきたいという思いの中で、今般は診療報酬改定の中においても、このようなものの形、評価を盛り込ませていただきました。

 中身がわかりづらいんです、実際のところ。七対一の中で受けている医療というのは、レセプトやいろいろなものを見ればわかるではないかと言われますけれども、その体制の中で受けておるものでありますから、なかなか必要量というものがわからない。

 そこで、それをもう少しわかりやすくすることが必要であろう。それはやはり、病棟ごとにですけれども、それぞれ今言われたような病床を分けて、高度な急性期、急性期、それから回復期でありますかね、亜急性期といいますか、それから療養期、慢性期というような形で分けていく。それによって、本来必要なところ、そこにははっきりと、体制が違うわけでありますから、必要な医療資源というものが適正に分かれるわけでありまして、今言ったような、本来七対一看護を受けなくてもいい方々がその病床に入るということはなくなるわけであります。

 ただ、これは各地域で違います、状況によっても違います。だからこそ、地域医療構想というものをつくっていただきたい。その前には、ちゃんと報告してください、今現状はどうなんだということを報告してくださいという中において、それを区分していって、必要なものを協議の場で話し合いをしていただきながら、それをこれからつくっていくということでありますので、そういう意味では、今回、適正な医療資源を適正に使っていただくような努力をする、そういう制度であるというふうに御理解をいただければありがたいというふうに思います。

 中小病院はどうするんだという話がありますのは、確かにそうなんです。だからこそ、病棟ごとに病床区分というものを分けるということでありまして、大体、その地域のいろいろなことをやっておられる病院においても、急性期でありますとか慢性期でありますとか、いろいろやられていると思います。それは病院ごとじゃなくて病棟ごとに区切ることによって、それに対してニーズに対応いただきたいというふうに考えておりまして、今言われた委員の問題意識というものもしっかり我々持ちながら、この制度というものを運用してまいりたい、このように考えております。

重徳委員 大臣、病棟ごとにとおっしゃいますが、病棟の中で病床ごとに使われ方がさまざまだったりということも中小病院ではあるという話があるので、これからの報告制度について、どういうふうに運用されるのかなということがしっくりきていない病院も多数あると思います。

 ですから、これは、きょうはこれ以上詰める時間はありませんけれども、そういった小規模な病院、診療所がどのような対応ができるかということについても、もう少し具体的な議論をさせていただきたいと思います。

 次に、都道府県のナースセンターの話が前回の議論でございました。私の方から、看護師不足という状況があるものですから民間の職業紹介事業が盛んになってきている、こういう点を指摘申し上げました。それに対しまして、原医政局長の御答弁の中で、公的な無料職業紹介の拠点であるナースセンターの機能強化も不可欠である、これについて法案に盛り込んでいるという話がございました。

 ただ、民間の有料職業紹介、これも、いろいろな会社がありますので、よく批判されているような団体ももちろんあると思いますけれども、いわば、看護師さん、今働いている人はもちろん把握できます、あるいは、離職するときに届け出ろというんだったら、それはそれで把握できると思います。だけれども、今現に、仕事をやめて、資格は持っているけれども別の仕事をしているとか、働いていないとか、そういう方々についてまでは把握できないし、働きかけも直接的にはできないわけですね。そういうところに対して、民間の事業者がいろいろな、プレゼントとかそういうようなことも含めて、ネットを通じて働きかけをしているという意味で、機能している部分もあると思うんですよ。

 それに対しまして、都道府県のナースセンターの仕組みでは、現在働いている看護師さんが離職するときに把握をする、これは前回も御答弁の中にありましたけれども、働いていない方、これは把握のしようがないんじゃないかと思うんですが、現状、どこまでそういったことを把握しているのかということが一つ。

 それからもう一つ、やはり求人、求職という問題は、ハローワークが既に存在するわけですから、ハローワークとナースセンターの関係と、求人、求職の取り扱っている実績、これにつきまして現状を御答弁いただきたいと思います。

原(徳)政府参考人 まず、いわゆる潜在看護師さんということで、働いておられない看護職員がどれだけいるかということなんですが、おっしゃるとおり、現在、看護師等につきましては、二年に一回、働いている人は届け出をしていただくことになっておりまして、その数は把握しております。

 ただ、やめられた後は、実はどうなっているかわからないというのが正直なところでございます。そのために、平成二十二年末時点ですけれども、調査研究事業を行いまして、その中で推定値を出しておりまして、その時点では約七十一万人程度が潜在看護師としているのではないか、そういうことが推計されております。

 この方々について、現在七十一万人で、そのアプローチをどうしていくのかという問題、これは確かに御指摘の点はありますけれども、御本人が働きたいと言われるようなときには、その前に、求職という形でハローワークやあるいはナースセンターに登録をしていただくことになろうかと思います。逆に、余り積極的に、こちらから、わかっているわけではありませんので、やっている状況ではないというのが確かなところでございます。

 ただ、今後は、その点について、やめられる際に連絡先等についてナースセンターにお届けをいただくということを今回は織り込んできたということでございます。

 それからもう一点、求人、求職の状況でございますけれども、ハローワークにおいて新規の求人数は約四十三万件、それからナースセンターの方には約十三万件、これは人を求めている方でございます。それから、職場を求めている新規求職者数につきましては、ハローワークが約十二万人、ナースセンターが約五万人となっております。

 御指摘のとおり、職業紹介という意味ではハローワークが非常にプロでございます。ただ、ある意味では技術的な職場でございますので、そういう意味では、ナースセンターとハローワーク、これがお互いに協力をするという形で連携をするという事業も取り組んでおりますし、例えば、ハローワークの方にナースセンターの職員が詰めて、いろいろ相談に乗るというような形の事業もやっております。これらも含めながら、看護職員の確保が図られるように努めていきたいと考えております。

重徳委員 さらに、今回の法案では、ナースセンターに対しまして、支援体制を強化するための委託制度を整備するということもありまして、当然これは予算を伴う話だと思うんですね。連携協力というと聞こえはいいんですが、一体どっちが主なんだとか、どういうすみ分けなんだという話になると、また曖昧な部分が出てくると思います。

 行革の観点からも、こういったことについてはきちんと整理をして進めていかなければ、お金の無駄遣いじゃないか、いろいろな指摘が当然出てくると思います。ナース、看護師さんだけが特殊な職業でもありませんので、その必要性は必要性として、きちんと説明していただく必要はある上に、では、ほかの業種の方には何でそれが必要ないんだということも、多角的な視点からの説明がやはり求められると私は思います。

 また、看護師の確保については、看護師の就労環境を向上させる必要があります。

 ここで、一つルールがありますね。診療報酬上のルールとして、看護師の夜勤は七十二時間までというルールがございます。これは、ぱっと聞けば、もちろん、看護師さんが昼も夜も働くということに対する制限をかけるというのは、一見それが正しいようにも聞こえますけれども、ただ、やはりいろいろな働き方を希望される方がいらっしゃって、夜勤を中心に働きたい、こういう看護師さんも現にお見えになるわけですね。そういう方に対しては、いや、七十二時間までだからだめよ、そういう余計な制約になっている、こういう現状もあると思います。

 そういうことにつきまして、今申し上げました、看護師の働き方を制約したり、あるいは看護師さん自身にとって不都合な場面が生じるんじゃないか、こういうことにつきまして、厚労省としての見解をお願いいたします。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今の議論にもありましたように、地域医療の中で、それぞれの病院がその機能に応じた必要な看護職員を確保していただく、大変重要な課題だと思っておりまして、七対一の見直し等も進めておるところでございます。

 御指摘の月平均の夜勤時間数の要件でございますが、これは入院基本料の算定のときに、看護職員の皆様、夜勤が大変大きな負担になっているということで、その負担を軽減して、医療の質をきちっと確保していただく、あるいは安全に欠けることがないようにしていただく。それから、離職が多い中で、定着をきちんと図っていこうというようなことで、環境改善ということをやっております。

 考え方は、入院基本料の計算のときに、その条件として、夜勤を行っていらっしゃいます看護職員の一人当たりの月平均を出します。平均でございます。それを、お一人当たりの平均を七十二時間以下という条件を満たしていただいて、入院基本料を算定していただくということでございます。ですので、お一人お一人の上限ということではないわけでございます。

 一方で、看護職員の皆様は、やはり先生御指摘のように多様な働き方を求められておるという実態もございますので、一つには、夜勤専門で働きたい、働けるという方もいらっしゃいますから、夜勤専門の看護職員、その夜勤時間を、今の月平均お一人七十二時間以下という要件からは夜勤専門の方は除外をして計算しております。

 それから、二年前の改定でございますけれども、その平均を出すときに、余り短い夜勤の仕方をしている人まで入れてしまうとちょっとバランスを欠くんじゃないかということで、従来、月十六時間以上夜勤をやっている方で平均を出そうとしておりましたけれども、それとともに、一方で、きちんと短時間正職員と位置づけられている看護師さんについてはもう少し短く、十二時間以上夜勤をされている方も含めて算入をすると、一人平均七十二時間というのがもう少し柔軟になりますので、そういう算定の仕方についても柔軟性を持たせて、お一人お一人のニーズに応えていきたいということもやっております。

 さっき大臣もおっしゃいましたように、今回、四月からの改定では、七対一の病床、本当に必要な方に見直していくということで、看護職員の方々の配置をまた見直そうということでございます。

 もう一つ、今回やりましたのは、七十二時間を一人当たり平均で超えてしまいますと、入院基本料が急に減算をされる、これですと非常に看護師さんの確保が難しくなるということで、従来から、三カ月間ぐらいは、看護職員が少し足りなくなっても確保に努めていただいて、従来どおりの算定をしていただきながら確保に努めていただこうということをやっておりましたが、この対象病院をより広く、三カ月間、従来の基本料をとりながら確保できる対象病院をより広く、今回も見直しをしております。

 こういうふうに、お一人お一人の勤務環境を改善しながら、しかし、一方での多様な働き方、ニーズに応えていくというようなことで、看護職員の確保、働き方の支援をしてまいりたいというふうに思っております。

重徳委員 いろいろなニーズ、声が届いておりますので、ぜひとも適切な改善を行っていただきたいと思います。これまた事務的にもちょっと確認をさせていただきたいと思います。

 さて、本法案にもう一度戻りますけれども、また看護師についてですけれども、特定行為というものが、今回、研修制度が位置づけられますね。

 趣旨としては、在宅医療を進めるには、看護師さんがいろいろな行為ができるようにならなければ、お医者さんだけではなかなか手が回らないだろうという趣旨、これは、私も、全体的には、それはそういう方向であるべきだと思っております。だからこそ、先般も、介護職員も胃瘻の行為をもっともっとできるように幅を広げるべき、範囲を広げるべきだということを申し上げたりもしてまいりました。

 しかし、やはり、具体的にどんなことを特定行為とするのかにつきましては、個別にきちんとした議論を国会の場においてもする必要があると思っております。今回、法律上、保健師助産師看護師法三十七条の二というものを新設しまして、そこで特定行為の定義を定め、そして、省令で具体的に何が特定行為なのかということは定めると委ねられているわけです。

 当面、例えば、一つ二つ、三つぐらいできるようにするんだよということであれば、具体的、個別に、想定されている特定行為の内容について国会の場でも議論ができると思うんですが、いただいている資料だと、何か、特定行為のイメージといって四十ぐらい、ずらずらっとあって、はっきり言って、専門家の方以外は、何のことだかよくわかりません。

 それで、私も、同僚議員のお医者さんの詳しい方に一つ二つ聞いてみたら、病態に応じたインスリン投与量の調整、これをできるようにするとか、それから、脱水の程度の判断と輸液による補正ということもできるようにする、これは結構、その病状によっては、一つ間違えると非常に命にかかわるリスクがあるんだよということも指摘をされています。

 この点につきまして、こういった特定行為、まだ想定という段階ではありますが、このリスクにつきまして、わかりやすく御答弁、解説をいただきたいと思います。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 特定行為は、今御指摘のように、診療の補助であって、手順書により行う、こういう場合に、看護師に実践的な理解力や思考力、判断力かつ高度な専門的知識及び技能が特に必要とされる、そのようなものを定めるということになっているわけであります。今御指摘のありました、今想定される約四十程度というのは、これは、今までの数年にわたる議論の中で、それに該当するものを絞り込んできたということでございます。

 例えばのお話でございますが、今御提示ありました、脱水の程度の判断によって輸液をするということについてお話をしてみたいと思いますが、高齢の方々はやはりしばしば脱水に陥りやすい、こういうことがあります。したがいまして、どういう状況になれば輸液、点滴をするか、こういう場合がある程度想定されるわけであります。

 その場合、例えば、食事のとる量が減ったとか、あるいは皮膚の乾燥が進んでいるとか、あるいは排尿の回数が減っているとか、そういうような状況を見ると、一応脱水の状況であろうと。通常の場合は、そういう場合には、では、何とかという点滴を五百cc入れてあげてくださいというような指示を前もって出しておく、その手順書ということであります、それに基づいてこの方には対応してくださいと医者が看護師に言う。それが、今、特定行為がやられる話になります。

 ところが、例えば、この方が腎臓が悪い方で、どうも尿量がもともと少ない方がある、そういう場合に同じ量の点滴をしますと、逆に言うと、水であふれるような状態になりますので、そういう場合にはどうするか。改めて二百ccにしておきなさいという指示を出すのか、そういう状態のときには改めて医者にちゃんと相談してくれと言うのか、いわゆる特定行為ではなくてふだんの指示に戻る、そういうような状況も考えられるわけであります。

 どの患者さんにどういう形でやってもらうかということについては、医師が最終的にその患者の状況などを見ながら指示を出していく、その中の一例として、手順書によってある程度段階的に看護師に任せてやっていっていただくということが発生してくる、こういうことでございます。

 大体わかっていただけましたでしょうか。

重徳委員 今本当にお聞きしたかったのは、医療上のリスクですね。まあ、リスクも含めての御答弁だとは思うんですけれども。腎臓に疾患のある方に対しては水分を投与することによって非常に危険な状態になり得る、そういうことも含めて、今御答弁いただいたものと理解をいたしております。

 これは本当に、非常に重要なところだと思うんですね。一つ二つ聞いてみても、危険といえば危険、重要といえば重要。危険と言うと、ちょっと嫌な顔を局長もされましたけれども。危険と言ってはいけないのでしょうかね、わかりませんけれども、そういうリスクがある。こういうことを一つ一つ丁寧に議論していくのが国会の場だと思いますし、こういうことを何となく潜り込ませているような印象ですよ。

 先ほどのナースセンターのことだって、基本的な概要の資料には出てこないんですよ、ナースセンターのことは。分厚い何十ページもある、概要というには少し詳しいような議員用の説明資料を見ると、一ページそれが出てくるというようなことで、非常に、説明は、そもそも役所からの説明も事実上受けていないというような状況です。

 この特定行為については、やはり非常に、一般人からすれば高度な判断が求められる。だからこそ看護師さんが医師の指示のもとで手順書に基づいてやるということであって、その仕組みの理屈はわかるんです。

 ただ、これは、具体的には、在宅医療の場面で、看護師さんがお医者さんのもとから離れてやっていくことを想定しているわけですよね。看護師さんも人間ですから、ふだんはある程度しっかりした看護師さんでも、やはりお医者さんのもとでやるわけですよね。だから、私が全部全ての責任をしょって、自分が全部責任当事者なんだというふうには、なかなかなれない人もいるかもしれないじゃないですか。

 というようなことを思っていたら、説明資料の一部分に、本制度を導入した場合でも、包括的な判断は医師または歯科医師が行うことに変わりないみたいな、要は、あくまでお医者さんのもとでやるんだよと。

 だから、独立してやらせるのか、あくまでお医者さんのもとでやるんだよと、何か両方、どっちの立場かわからないような説明が随所にあって、任せたようで任せていないというか、何かちょっと大丈夫かなという感じがするんですね。しかも四十もあって、実際には五十、六十にふえるかもしれない、そういうような内容ですから。

 しかも、これは、個別に熟練した看護師のみでは足りないという前提でやっているわけですね。熟練したしっかりした看護師さんだったら、任せて安心かもしれません。だけれども、それだけじゃ足りないから、熟練はしていないけれども、研修を受けて、手順書に基づいて、こういう看護師さんが在宅でやるわけですね。

 だから、こういうことについて、一つ一つ、根掘り葉掘り聞いてみたいところであるにもかかわらず、審議時間自体、非常に足りないと私は思いますよ。

 それで、ちょっと大臣に確認したいんですけれども、今、原局長がおっしゃったようなインスリンの投与だとかあるいは脱水の判断、こういったものを、もし、看護師さんが特定行為として行った場合に判断を間違えた、判断というか、結果、何か医療ミスのようなことが起こってしまった場合、法的な責任は、どこまで医師にあって、どこまで看護師にあるのか。こういったことについて、どのように認識をされていますか。

田村国務大臣 看護師の特定行為でありますけれども、基本的には、医師または歯科医師が、もちろん患者の方々の病状を勘案しなきゃいけないわけでありますが、看護師の方の能力というものをしっかりと見た上でこれをさせるわけであります。これは、医師がさせるわけでありますので、包括指示のもとに、手順書にのっとってするわけであります。でありますから、独立で看護師さんがやるという話ではないということであり、あくまでも包括指示の中において、手順書にのっとってやるということであります。

 危険じゃないかというお話でありますが、基本的にこれはどういうものをやるかというのは、チーム医療推進会議、これは厚生労働省のもとにつくったものでありますけれども、医師や看護師、要するに専門家の方々に、有識者に入っていただいて、どういう行為ならば、ちゃんと一定程度の能力を持っている看護師ならば、それを包括指示のもとに手順書というものでやってもらって、危険性、リスクというものを抑えられるか、つまり大丈夫であるかということをいろいろと専門家の立場で御議論をいただいて、今委員が言われたようなものを出してきておるわけであります。

 ですから、もとから、看護師に任せたら危険だというものは基本的にはこの中には入っていないわけでありますから、それは一定程度の能力をお持ちの看護師さんであって、今言ったような手順書をもってして、包括指示をもって行為を行えば、患者の方々に適切な医療行為ができるというような形のものを選んでいただいておる。

 ただ、これは、これから医道審議会の中においてさらに御議論をいただいた上で最終的には決定をしていくわけでありますので、まだ完全に決定したわけではありません。

 その上で、では、何かあったときの責任はといえば、これは司法判断になると思います。要するに、医師の包括指示、つまり手順書が間違っておれば、これはもうそのときは医師の責任になるでありましょうし、そもそも、全く能力のない看護師さんにさせれば、それは医師の責任になる可能性はあると思います。もちろん、看護師さんは手順どおりにやったつもりでも、そこで大きな過失があれば看護師さんの責任ということもあろうと思います。

 今私が言ったのはあくまでも一つの例であって、そういうものを総合的に司法で判断していただいて、医師と看護師との間のどのような責任問題になるかということが最終的に司法の中で決められてくるということであろうというふうに認識いたしております。

重徳委員 一般論で聞けばそういう一般論の答えしか来ないので、本当はもうちょっと詰めた議論が必要なのかもしれません。

 いずれにしても、私が言いたいのは、この特定行為、これ一つとっても非常に重要なものであって、これだけを一つの法案で取り扱ってもいい内容ではないかと思います。

 ここで想起するのが、私が以前、総務省消防庁で働いていたころに、平成三年に救急救命士の三つの行為を想定した法律ができたと思いますけれども、当時の国会での審議は一体何時間ぐらいとられたのか、お聞きしたいと思います。

原(徳)政府参考人 お答えいたします。

 平成三年に救急救命士法が成立しました。この際、参議院の社会労働委員会では、同じ日に一般質疑も行われていましたので正確な時間はちょっとわかりませんが、推測では約二時間程度。また、衆議院の社会労働委員会では、戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案と同時に審議されましたので、この救命士法案だけではありませんが、合わせて二時間二十二分という結果でございました。

重徳委員 この法律、そもそも、各委員が、皆さんがおっしゃっているように、十九本一括というやり方そのものが批判を浴びていると思っております。ですから、今、ほかの法律と一緒に審議されたということも注釈を加えられた御答弁でありましたけれども、やはりこの法案一つをきちんと丁寧に皆さんで、衆参二時間ずつという話でありますけれども、衆議院は二時間二十分という時間ということでありますけれども、こういった手続を、一つの法案について集中的に審議するのと、たくさんの中で、各委員が問題意識をそれぞれ持ってちょこちょこ質問するのとは全然わけが違うと思うんです。そういったことを指摘させていただきたいと思います。

 次に、診療放射線技師の業務範囲の見直しという中で、造影剤の血管内投与について。

 造影剤を血管の中に投与する、これが業務範囲に追加される、こういう改正が今回行われるわけでありますけれども、ぴたっとこのことかどうかはわかりませんが、つい最近、国立国際医療研究センターにおきまして、レントゲン撮影時に、これは整形外科の女性研修医、だからお医者さんですね、医師が脊髄に造影剤の投与、これを誤ってやってしまって、その患者さんがお亡くなりになった、こういうことが起こりました。本来脊髄に入れるべき造影剤を間違えて、血管注射用の造影剤を投与してしまったということなんですね。

 私も、医師じゃないので、その薬品の名前を、もう舌をかむような名前ですけれども、いずれにしても、その箱とか容器には脊髄造影禁止と赤字でちゃんと注意書きがあったんだけれども、若手の研修医さんが誤って投与をしてしまった、こういうことも起こりました。

 もともと、造影剤の血管内投与というのは、アレルギー反応が起こる、アナフィラキシーショックが起こるリスクがあるというふうに言われておりまして、ベテランのお医者さんも非常に神経を使って投与されていると聞いております。

 この造影剤の血管内投与のリスク、これもどうごらんになっているか。また、今後、この法案が通ったとして、診療放射線技師がこれを実施する場合には、医師はどの程度そこに関与するのか、御答弁願います。

原(徳)政府参考人 診療放射線技師の業務範囲の拡大についてお答えいたします。

 今回、診療放射線技師に関しましては幾つかの拡大を予定しておりますが、今御指摘のありました造影剤の血管内投与についてでございますが、これにつきましては、あらかじめ医師または看護師が、静脈路といいまして、点滴ができる道筋を確保しておいた状態の後、診療放射線技師が造影剤の自動注入器をつなぐ。それから、つないだ後、実際は、自動注入器ですのでスイッチを押す、これで自動的に入っていく。それで撮影をするわけですけれども、撮影が終わった後、今度は、静脈路から抜いて止血をする。そういうところをやっていただこうとしております。

 ですから、今回の、造影剤そのもののリスクというのは、誰が入れようと、そこは同じなわけであります。ただ、例えば、今回は、その場に医師が必ずいなさいということを想定しておりませんので、患者の状態の変化等々についてはしっかりと、やはり放射線技師が見てもらわないといけない。そのためには、そういう知識もつけていただく、あるいはそういう研修もしていく、こういうことが必要だろうと思っております。

 いずれにしましても、これは、医師が、当然ながら、どういう造影剤を、どれぐらいの量、どのぐらいの速さでやりなさいとか、全部指示をいたしますので、それに基づいてやる。ある意味では行為だけであります。だから、そういう意味では、アナフィラキシーショックが起こるリスクが技師がやるから高くなるとか低くなるという話ではないということであります。

 ただ、今の話のように、ショックも起こり得るわけですので、院内の、すぐに連絡ができるような体制をどう組むか、そのあたりについては、しっかりととれるように十分に医療機関の方にも周知をしていきたい、こういうような形で進めていきたいと考えております。

重徳委員 言いたくはないんですけれども、こういうことを野党の議員として、委員会において私もいろいろと、じっと何時間もかけて法案とにらめっこして、説明もいただきながら、ああ、これはなかなか重要な改正だなというふうに気がつくわけでありまして、こういうことも、与党の審査がどのように行われたかというのは、ちょっと表舞台じゃないのでよくわかりませんけれども、与党議員さんの中でも余り認識をされていなかった方もいらっしゃるというふうにちらっと聞きましたのでね。野党だって、それは人のことは言えませんけれども。

 要は、専門性の高い分野ですから、そして、実際に患者さんは素人ばかりなんですから、そこで、実は放射線技師もやれるようになったんだよということを言われても、何をどうやれるようになったのかも理解できないと思うんですね。だから、そういう意味では、私のような医療の素人の人間も納得できるような審議を尽くしていただきたいというふうに思います。

 だから、今も、院内の体制をきちんととる必要がある。これも、具体的にどういうことなのかということも詰めていかなければならない話なのではないかと考えております。

 先を急ぎますけれども、今度は、医療事故が起こったときの第三者機関につきまして質問させていただきたいと思います。

 この第三者機関というのは、新たな民間組織を、これは名前も決まっているんですね、医療事故調査・支援センターとして指定をするということなんですけれども、これは、第三者機関といっても、非常に客観性がなければならないし、利害関係とかなんでしょうかね、当然ぶつかる、利害が相反するところへの第三者機関なので、どなたがそれを担うのか、その体制はどうなのか、第三者性、客観性というものをどう担保するのか、こういうことも非常に重要なところだと思うんですよ。

 しかし、この法文を読むと、第三者機関はこういうことやりますと書いてあるだけで、そういうものを厚労相が指定をするとしか書いてないんですね。その体制だとか、あるいは、お金もかかるでしょう、財源だとか、このあたり、どのようなことを想定されているんでしょうか。

原(徳)政府参考人 医療事故調査・支援センター、いわゆる第三者機関につきましては、御指摘のように、例えば、院内調査の結果の収集をして、情報の整理、分析をするなどなど、さまざまな業務を想定しております。

 その中で、当然ながら、中立性、専門性の観点から、その業務を適切に行うことができる社団または財団を指定するということを規定しているところでございます。

 具体的にどうかというのは、これは、実際にやっていただけるところを探す必要がありますが、例えば、類似の業務を行っている機関として、既に、診療行為に関連して死亡をした方の調査分析モデル事業、こういうことをやっていただいている法人もございますし、医療事故情報収集等事業という形でお願いをしている団体もございます。これらの団体を含めて、しっかりと考えていきたいと思います。

重徳委員 具体的な御答弁はないわけなんですが。

 過去に、平成十六年に、福島県立大野病院で産科医が逮捕される事件が起こりました。これは、帝王切開手術を受けた妊産婦の方が死亡したことにつきまして、その執刀を担った産科医が業務上過失致死そして医師法上の異状死の報告義務違反の容疑で平成十八年に逮捕され、起訴までされた。最終的には、平成二十年に福島地裁で無罪判決が出て確定したということで、そのお医者さんは病院に復職したというふうに聞いております。

 これは、出産時の危険性を患者さんというかその産婦さんとか家族の方に説明したんですが、そして大学病院に移るべきだと説明したんですが、そこは遠い、お金もかかるということで、地元の病院で分娩を希望したということでございますが、結果的に、非常に不幸なことでございますが、死亡事故ということになってしまいました。

 このことについて、県が、院外の専門家の検証が必要だということで調査委員会を設置しまして、その結果、その報告書には、執刀医の判断ミスがあったんだ、こういう結果が出たものですから、それが報道され、そして警察も動く、こういうことになってしまいまして、非常に大きな事件だったと理解をいたしております。

 こういうことは、本当にお医者さん方にとっても脅威といいましょうか、萎縮する効果を生むと思います。

 今回想定している第三者機関というのは、過失を認定するとか、そういうことが目的ではないということではありますけれども、ほかにどういう判断の選択肢があったんだとか、どういう対処、処置をする可能性があったんだとか、病院の体制はどういう、やり方はほかにもあったはずだということは、当然、そこに至らなければその後の再発防止の普及啓発もできないわけですから、だから、おのずと、どこに過失の、過失だったとは言い切れないにしろ可能性があったかというようなことに類するようなことは言及せざるを得ない、こういうことだと思いますが、非常に重要な第三者機関だと思うんですね。

 ですので、この位置づけは、先ほど局長からも、何か、どういう組織体制かというのは、それはちょっとこれからの話ですという御答弁に終わってしまいましたけれども、今回、この第三者機関があったら、この大野病院の事件はどのような当てはめになっていっただろうか、答えられる形でお答えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 なかなかケーススタディーは難しいんですけれども、今般、今言われたとおり、この制度は、何か医療事故が起こった場合、それを調査、整理した上で、分析して、再発防止そして医療の質の向上、こういうものを図るためが目的でありまして、紛争解決でありますとか、誰が犯人だなんていうことを行うための制度ではございません。

 でありますから、第三者機関に、必要があって調査ということになって、調査を行いますが、内容としては、事実がどうであるかということを報告書の中に書くということでありまして、今委員が言われましたとおり、名前でありますとか、それから過失がどうのこうの、誰が悪いだとか、そういうことは書かれないわけでありますので、このような行為をして、こうなって、結果、こういう状況が生じて亡くなられたというような可能性が高いであるとか、そういうような書きっぷりになるのであろう。ただ、これはこれからでございますので、ガイドラインでそこは示してまいりたいというふうに思っております。

 医師法二十一条における警察への報告、これは課しているわけであります。これは別でございますので、そのようなことはしないわけでございますから、これをもってしてケーススタディーはどうだというのは、なかなかちょっと、私が今ここで軽々に申し上げることはできないわけでありますが、そのときの状況とは全く違う想定のもとにおいての今般の法律であるというふうに御理解をいただければありがたいというふうに思います。

重徳委員 結局、そのガイドラインも全くこれからだということだから、私も、当てはめたらどうなりますかなんという、ざくっとした質問になってしまうのでありまして、やはりちゃんと、ガイドラインはどういうものを想定しているかというのは出していただかないと、審議のしようがないと思うんですね。この法律にこう書いてあるとおり以上のことは何も出てこないわけですから、これはもっと深掘りをしていきたいと思います。

 これだけでも重要な法案だと思います。これは本当に、理事会でもよく御議論いただきたいと思いますが、こういった議論、審議の仕方、参考人をどういう形で、どなたを呼ぶのか、これもよく詰めていただきたいと思いますので、これを要望しておきます。

 最後、一、二分で。

 これは、清水鴻一郎委員が本会議でも質問をさせていただいております補足給付、特養なんかに入るときの食費、居住費、これは自己負担のところに、所得の状況に応じて補足給付を出すということについて、これから資産要件を課すということでございます。これが預貯金のみであって、不動産は勘案されない、こういう内容なんですね。不動産として、現金を不動産化して持っておけば、それは全く勘案されないわけですから、みんな、現金を、預貯金を全部不動産に置きかえればいい、こういう話であります。できる人とできない人がいると思いますけれども。

 これは不公平じゃないかという指摘を清水委員がしたところ、本会議でありましたけれども、まずは預貯金を保有している方を対象としてやります、不動産の勘案についても引き続き検討してまいりますという御答弁でしたけれども、こんな生煮えの状態で法案として国会に出して、これは中途半端じゃないかと思います。こんなのは削除して、もう一回法案として出し直すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、資産ということで、預貯金に加えまして不動産というのが一つありまして、これを何とか勘案できないかということで検討いたしました。

 資産のうち、この不動産については、現に居住している場合があるなど、直ちに現金化して活用することが難しいわけでございますので、補足給付のかわりに、これを担保とした貸し付けを行うという仕組みが考えられるということで検討いたしました。また、それを昨年の社会保障審議会介護保険部会においても御審議をいただきました。

 しかしながら、この仕組みを実現するには、貸し付けの対象者や不動産の評価方法、業務を受託する機関の確保、担保不動産の処分方法などの、実務や体制面での課題があるとの指摘が審議会でもございまして、まずは、一定額を超える預貯金等を保有している方々を給付の対象外とするということで御提案をさせていただいております。

 したがいまして、不動産の勘案につきましては、今回見送ったわけでございますけれども、厚生労働省といたしましては、補足給付の支給に当たっては、預貯金だけではなく、不動産を勘案することも重要な検討課題であるというふうに考えておりまして、不動産を担保とした貸付制度に関しまして、審議会で御指摘のあった課題も含めまして、引き続き具体化に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。

重徳委員 これはもう完全に役所主導で、衆参ともに与党が多数をとっているから何でも通ると思って一本化して、こんな審議のあり方は私はないと思いますよ。与党だって、追認機関じゃないんですから、もっとしっかりやっていきましょうよ。

 そういうことに配慮した審議をこれからも続けていただきたいと思います。議会制民主主義をきちんとやっていきましょう、皆さん。よろしくお願いします。

後藤委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十八分開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。清水鴻一郎君。

清水(鴻)委員 日本維新の会の清水鴻一郎です。

 きょうは、まず、いよいよ先日からの医療介護の法案ですね、十九法案。本会議でも申し上げましたけれども、どれも、一つ一つ見ても、この間の難病の法案と同じぐらい重い法案がいっぱい並んでいて、十九を一遍にやるのかと。少し趣旨の違うものも含めて、これからの日本の社会保障、特に医療、介護を見詰めるにしては、ちょっと余りにも多い、てんこ盛りの法案ということで、本会議でも申し上げたとおりでございます。

 だから、一つ一つ、本来は丁寧にやって、将来に禍根を残さないようにするためにも、審議時間も十分とって、場合によっては、やはりこれは分割しないとできないような法案もあるのかなというふうに感じている次第であります。

 この間ももう申し上げたとおりでありますから、これ以上重ねて言いませんけれども、ぜひ、地方公聴会も早々とセットされるようでありますけれども、まだこの委員会ででも、十九の法案をそれぞれにちゃんと丁寧にやるとすれば、十分な時間をとってやっていきたい。

 そして、将来に禍根を残して、また、以前あったように、五年か六年で、これはまた多過ぎた、少な過ぎたということで、病院の開廃をしたり、方向を変える。もちろん、医療機関や現場の人間も当然そうでありますけれども、そのたびに患者さんたちも、自分たちが今入院している介護療養病床がなくなるのか、介護難民になるのか、そういうことも含めて大変御心配をなさる。

 そういうことでありますから、今回は、ぜひ、そんなことのないようにしっかりと審議をしていただいて、そして、間違いのない方向性を定めていきたいなというふうに思っている次第でございます。

 きょうは、資料には示しませんけれども、まず、日本のこれからの将来を本当にどうしていくのか。

 今、日本の総人口は、二〇〇八年の十二月をピークにして減少傾向にある。二〇一三年の四月一日現在で一億二千七百三十五万人。二〇六〇年には、総人口は約八千七百万人。推計でありますから、もちろん高位推計、低位推計ありますけれども、一番中位の推計でも、二〇六〇年には、今からもう四十五年後には八千七百万人になるだろう。そして、二・五人に一人が六十五歳以上になる、超高齢社会が到来すると予測されているわけですね。

 だから、これは必ずしも、今の二〇二五年問題、団塊の世代の方たちが、私も含めてそうなんですけれども、七十五歳の後期高齢者になる、そこを乗り切ればということではなくて、これからも、人口は減るけれども、高齢化率、つまり高齢者の比率は一層高まる、そういうことであります。

 そういう中で、お配りしました資料一でありますけれども、社会保障の給付費というのはやはりどんどん上がっている。今、これはもう百十兆を超えたということであります。国民所得からいうと約三一%に達している。厚生労働省の資料をそのまま使わせていただきました。こういう状況にある。

 さらに、その次の資料二を見ていただきますと、これも、財務省の出しておられる資料をそのまま使わせていただきました。国際比較でありますけれども、日本の国民負担率というのは、国民所得比で今四一・六%まで来た。そういう中で、もちろん、これがどうかといいますと、ヨーロッパ先進諸国から比べれば、まだ負担率は若干、そういう意味では少ないかもしれない。しかし、実際の潜在的な国民負担率というのは、実はもう五一・九、つまり五二%まで達しているわけであります。

 この中でも、見ると、いろいろな負担の仕方があるんですけれども、日本の場合は決して、いわゆる直接的な社会保障負担率というのはそんなに低くないんですよね。結構、やはりそういう目的のための負担はしている。

 例えば、アメリカは特別な国ですから違いますけれども、社会保障負担率ということでいえば、イギリスの一〇・七とか、あるいはドイツでも二一・七、スウェーデンなんかは逆に一〇・七。だから、我々日本も、ある意味で社会保障のための負担というのは十分、まあ、十分ではないかもしれませんけれども、それなりにしている。あとは、税がどこまで社会保障等に向けられるのかということになるかと思います。

 こういう数字を見て、日本がこれから超高齢社会を迎えるに当たって、今、消費税がまさにこの四月から五%が八%に上がりました。しかし、もちろん社会保障に全てを使うということでありますけれども、現実的には、日本が今抱える財政の負担というものがありますので、財政健全化に向けても使われていく。一〇%になった予測でも、いわばかなりの部分は、実際に現実的に今の社会保障がよくなるというよりは、やはり財政健全化のために多くが使われていくという現実があるわけであります。

 そして、その資料の三ページを見ていただきますと、医療費の動向でありますけれども、医療費というのはもちろん伸び続けています。これはもちろん、一番の原因は、二つあるというふうに僕自身は思っています。

 一つは、やはり医療のイノベーションだと思います。

 私が大学を卒業した昭和四十八年のときは、実はCTもMRIもない。私は脳神経外科の医者ですけれども、頭の中がしっかり見えるという状況ではない間接的なデータ、いわば検査で、どこに脳腫瘍がある、あるいはどこに出血があるんだということを想定して手術をしていた時代から、ちょうど私が研修医を終わった昭和五十年ぐらいから、CTが初めてイギリスのEMI社で開発されて、今から思えば粗い画像でありましたけれども、当時はもうびっくりしました、頭の中が見える、本当に革命的なことだなと。

 それからどんどん改良されて、さらにはMRIが出て、脳溝、いわゆる脳のしわ、それまでが見える、どこに何センチの腫瘍がある、そこまでわかるようになってきた。これは大変ありがたいことだし、患者さんの苦痛も、一々血管撮影をしなくても、そういう病態がはっきりする。そして、医療もどんどんそれに向けて、マイクロサージェリー、いわゆる顕微鏡で手術をするというようなことも発達してきて、内視鏡も発達してきました。

 だけれども、そのためにはやはり大きなイノベーションの費用がかかっている。

 では、MRIの機械を一億円で買いました、何年使えるか。十年、二十年使えないんですね。せいぜい五年か六年。今、皆様が携帯電話をお持ちになっていると思いますけれども、五年前、六年前の携帯ではかなり機能が古い。どんどん技術革新していく、画像もよくなる。だけれども、その機械はますます高くなる。

 そういう中で、どうしても、患者さんの苦痛やあるいは命を長らえるためには大いに貢献はしているけれども、医療費はかかってしまう。だけれども、人間の一番の願いであります、苦痛がない、痛みがない、そして命を大切にする、健康を維持するというためには、これは必要不可欠な費用だと私は思います。

 さらにもう一つは、そのおかげでありますけれども、結果としてやはり高齢になる、高齢化率が高まる、長生きできる。がんになる前に、前は脳卒中で亡くなっていた方が、血圧のコントロールがうまくいく、そのために長生きをされる、そうするとがんが発生する。つまり、二人に一人はがんに罹患する、そういう時代にもなってきました。これまた費用がかかる話であります。

 だから、ある意味で、しかし何が大切か。今、医療費抑制というのはよく言われますけれども、しかし、本当に一番人間にとって大事なのは何だろう。

 もちろん道路が立派になることも大切でありますし、それもある意味では、アクセスで、遠い村の方がいい道路を通って救急病院に早く運ばれる、これは命のための道路だということはもちろん言えると思います。だから、何がとは難しい問題でありますけれども、しかしながら、やはり医療やそして人間の尊厳を守る介護、そういうものに費用をかけることを渋っては、あるいはそこを抑制しては、本当の先進国、あるいは文明国としての現状はないのではないかという私自身の思いはあります。

 その中で、医療費が、今ここでは、直接的な医療費は八・二%まで来ました。総保健医療支出の対GDP比というのも参考として出ていますけれども、これはどこまでが含まれているのか、ちょっとお聞きしたいなと思います。その次のページの国際比較を見てみますと、これだけ日本は、ある意味で皆保険制度で、どんな皆様にも日本のいわば今できる最高の医療を提供できる、世界に冠たる皆保険制度を守りながら、この資料でも、今、OECDの中で十二番目ということになっています。

 でも、九・六%というのは、この参考資料の方のデータがここに書かれているんですけれども、現実に国際比較している医療費、総医療費のあれは、むしろ八・二%を引用すべきではないのかなというふうに思うんですよね。そうすると、今度は、ずっと来ると二十四番目、つまり、スロベニアの八・九%、スロバキアの七・九の間ぐらいが実際の日本の現実的な医療費じゃないのかなというふうに思います。

 どちらにしても、中位もしくはそれほど費用をかけない中で、今、日本の医療は随分いい医療を頑張っている。だけれども、これがいつまで続くかということについては、大変厳しいものがあるだろうというふうに思います。

 八%に今消費税が上がった、そしてこの後一〇%を見据えているわけでありますけれども、田村大臣におかれましては、今後の社会保障の中で医療、介護の先行きについて、どんなふうに未来を見通しておられるか、ちょっとお聞きしたいと思います。

田村国務大臣 医療、介護をどう将来に向かって方向性を見ているか。ちょっとどの範囲の話なのかが、なかなか、申しわけありません、私がよく理解できていなくて、財政的な話なのか、それとも技術が発展することに関しての話なのか。多分、財政的な話なんだろうなというふうな認識のもとでお話をさせていただきたいと思います。

 さっき、この日本の医療の対GDP比を見ておりまして、どっちで見たらいいのかという話がございました。見ておると、以前よりも順位が上がってきたなというふうに思うわけでありまして、もしかしたら、それだけ本当に、日本の国の高齢化の中において、また医療技術の進展の中において、それだけの医療費というものがふえてきているのかもわかりません。

 いろいろな数字はありますが、我々が国民会議等々で使った数字は、GDPに対する給付費の割合というのを使いました。たしか足元が七・三ぐらいだったと思います。これが二〇二五年には八・八から九ぐらいということでありまして、一・五ポイントから一・六ポイントぐらいこれがふえる。

 一方で、介護は足元一・八が三・二%、二〇二五年に向かって。これも一・四。介護の方はもともと割合が低いですから、すると、倍近くまでふえるということで、これから十年ちょっとで大変な大きな伸びを示すわけであります。

 いつも言うんですが、年金は、どちらかというと、今一一・二なのが九・九まで給付の比率が下がるということでありまして、これはマクロ経済調整という、例の自動的に給付が下がっていくという制度の中において、財政的に均衡しておるものでありますから、もちろん支出はふえてきますけれども、対GDP比という意味からすると、予想しておるGDPでありますが、比率は下がっていくということでございますので、そこだけ見ておりますと、やはり医療と介護は大変だなと。

 医療費はどうなんだと。建設もいろいろあるけれども、しかしながら、やはり命が大事だから、医療費は大切だろう。しかし一方で、特に、命といって、医療費の場合は高齢者に非常に多くかかる部分でありますが、介護もそうであります、子供たちにもしっかりお金をかけていかないと、当然支えるのは次の世代でありますから、支え切れなくなってしまうわけでありまして、当然そちらにもお金を使っていかなきゃならぬというのが国民会議の中での結論でもございました。

 公共事業、これも、なくせばいいというものでもありませんし、必要量は確保していかなきゃいけない。ただ、公共事業の方は、そんな勢いで伸びるものではありません。

 問題はやはり、医療、介護というもの、社会保障というものは、毎年、兆のレベルでふえていく、これは大変なことでございまして、十年たったら、一兆円ずつふえれば十兆円ですから、これをどう賄っていくんだというのは、我々も非常に頭の痛い問題でございます。ただでさえ、足元、赤字国債で対応してきた部分でありますので、建設国債の伸びなんかよりも、よほどこちらの伸びの方が、ここ十年来見ておりますと伸びてきておったということもあるわけであります。

 そういうことを考えると、一つは、消費税というのは実はそういうところでお願いをさせていただきたい。今、足元が赤字という部分もありますから、そこも何とかこの消費税という部分で対応していかないとこれは賄えない。

 もちろん充実分もあるわけでありますが、しかし、やはり多くは、赤字を何とかしないと持続可能ではないという部分で消費税をお願いしたというのが、我々自民党というよりかは、当時民主党がこれを言われたわけでございますから、民主党の考え方にもあった。まさに赤字を補填する部分の方が、これは年金も含めてですよ、充実なんかよりもよっぽど多いんですよね。というのは民主党も御理解をいただきながら、そういう制度設計をされたわけであります。

 国民負担率を見ると、潜在的国民負担率が五〇%ちょっとでしょう。ドイツと大体同じぐらいなんですが、ドイツは借金がありませんから、ということは、生の税金と社会保険料、これで来ているんですよね。日本の国は、同じなんですが、一〇%ぐらい事実上は低いですね。ということは、まだ、ドイツと比べると、税と保険料で取る、そういうような、まあ、余裕と言っていいのかどうかわかりませんが、対比から見ればそういうものがあるわけでありまして、そういうものを消費税を上げる中において若干詰めさせていただく。

 あわせて、いつも言っておる、それこそ、薬価改定のたびに、薬価差益で薬価改定分は切られるわけであります。これは自動的ではありませんが、そのときそのときの大きな医療課題、必要なものは、こういうものでも使わせていただいておったということがございますので、これからも、毎回の薬価改定の中において、そういうものに対して、これはそのときの財政状況もありますけれども、一定程度は、必要なものはやはり必要なものとして使わせていただきたいというようなお願いをさせていただきながら、獲得をしていかなきゃならぬと思います。

 重ねて、伸びをどう抑えるか。伸びを抑えるかというのは、サービスが、質が落ちたのでは意味がないわけでありまして、質を落とさずにどうやって伸びを抑えるか。でありますから、例えば、今般の医療提供体制の見直しというのも、言うなれば、適正な人たちに適正な資源を配分しようという一つの考え方であります。

 それから、予防、健康管理、重症化予防、こういうこと。今、厚生労働省の中にも健康づくり推進本部というのを去年から立ち上げて、何とか医療、介護、二つで五兆円ぐらい伸びを抑えられないかなと。とらぬタヌキでありますと大変なことでありますが、一応そういう計画をつくって、今、ロードマップみたいなものをつくろうとしております。

 こういうことで、これは、国民の皆様方も、みずから健康であって長生きされるわけでありますからウイン・ウインでありますので、そのようなことも取り組んでいく。ありとあらゆるものをやりながら、一方で、もちろん、財政再建とのバランスはありますけれども、一定程度の経済成長の恩恵というものも我々としては期待をしていくところでございます。

 いろいろなものを考えながら、本当に頭の痛い話でありますが、何としても、この日本の医療、介護というもの、世界に冠たるものでございますから、これを持続可能という形でつなげてまいりたい、このように考えております。

清水(鴻)委員 ありがとうございます。

 田村大臣は、非常に厚生労働行政に精通されていますし、十分そういう医療や介護の実態もおわかりになった上で、医療費の抑制といっても質が落ちないということを担保しながらやろうということに対しましては、私も全く同感でございますので、ぜひともそういう形で進めていただきたいなというふうに思います。

 これは参考人の方にお答えいただければいいんですけれども、この資料とかで、いわゆる総保健医療支出の対GDP比といわゆる国民医療費の対GDP比ですけれども、これは何を入れることによってこの差が出ているんですか。

木倉政府参考人 先生が今御指摘のものは、三ページの総保健医療支出と国民医療費、この違いということであります。

 総保健医療支出、これはOECDとの比較のときに使用される医療費です。

 三ページの下の注一に書いておりますけれども、総保健医療支出はOECD諸国の医療費を比較する際に使用される医療費で、予防サービスなども含んでおるということで、次の四ページの方にも下の注に、これは総医療支出で、国民医療費に加えて介護費用の一部、予防、公衆衛生等のコストを含んでおる、こういう注意書きをしておりますが、そういう範囲のとり方の違いということであろうかと思っております。

清水(鴻)委員 もうちょっと具体的に言ってもらえませんか。具体的にはどういうものでかさ上げされているわけですか。

木倉政府参考人 国民医療費の方は、医療保険等の……(清水(鴻)委員「等というのは、医療保険と」と呼ぶ)医療保険と労災等のものも含んだ、医療に直接かかわるようなものであろうと思いますけれども……(清水(鴻)委員「労災も入っているんですか。本当ですか」と呼ぶ)済みません、ちょっと手元に、概念の整理ができませんが。

 総保健医療支出の方は、公衆衛生サービス、それから、アンド予防給付というような、そういう税も含んだ概念として計上されておるものだと思います。

清水(鴻)委員 ちょっとわかりにくいので、また後ほど、詳しくちゃんとした資料をお届けください。委員長、よろしくお願いします。

 医療費を考えるときに、随分この開きは、二%ぐらい違うわけですから、やはり、それは何に使われているかということが明確じゃないと論議できないわけですよ。だから、少しちゃんとした資料を下さい。お願いします。

 それから、私がきょう提出しています資料の五ページになります。

 実はきのうの新聞にも、これは日経新聞なんですけれども、これはきのうのことなので、ちょっとまだ資料にはできなかったんですけれども、「混合診療 政府内なお溝」ということがありまして、規制改革会議は患者の選択肢拡大を、厚労省は高額医療の強要懸念にもなるというような記事があります。

 それから、これは少し前の四月十一日の記事でありますけれども、規制緩和で、いわゆる混合診療という問題であります。

 混合診療という定義というのはなかなか、ちょっと誤解もあるかと思うんですけれども、今既に、ある意味で、混合診療が導入されています。いわゆる選定療養とそれから評価療養というものがあります。そういう中で、今回はさらに、仮称でありましょうけれども、選択療養というものを導入しようというのが、これは一つの、まだまだ、規制改革会議がおっしゃっている話でありまして、決して、これが今すぐ現実になっているかどうかは別でありますけれども、しかし、こういうことが提案されている。

 それに対して、選択療養については、いわば医師と患者さんとの契約といいますけれども、患者さんはお医者さんと比べて、医療の知識等についてはもちろんやはり落差があるわけですよね。そこで契約を結んで、そしてやっていくということについて、例えば、今までの評価療養のような、いわば安全性の確保とか、そういうものも担保されにくいということもあります。

 そしてまた、これは、逆に言えば、それのためのベースである検査等は健保で見るということになれば、保険の責任の範囲を超えて見なければいけない部分が出てくるかもしれない。

 さらに、患者さんの団体であります、この新聞記事にもありますけれども、日本難病・疾病団体協議会の会員の方は、安全性の確認がない自由診療は健康被害を拡大しかねない、必要な医療は保険で受けられる原則をやはり堅持すべきだという御意見もあります。

 その中で、その次のページ、資料の六ページでありますけれども、大臣が、これはもちろん新聞記事の見出しでありますから、よく読めば必ずしもそうではないのだと思いますけれども、一応見出しは、「混合診療拡充 容認へ」、田村大臣が重篤患者限定で検討する、そういうことで、今より早く使えるように最大限努力する、混合診療の対象範囲を拡大する方針をお示しになったという記事がありました。

 これに対して、やはりちょっと誤解もあるかもしれませんので、大臣から、この選択療養についての真意をお話しいただければと思います。

田村国務大臣 この委員会でも申し上げておるんですけれども、私は混合診療という言葉は使わないわけでありまして、よくわからないものは、保険と一緒に適用するというのはやはり問題があるであろうと。

 このときに私が申し上げたのは、要は、有効性、安全性が一定程度やはりしっかりと検証できるもの、これに関して、例を言うなら、海外で承認をされて、そして一般的に使われておる、ただ、日本ではまだ開発が進んでいない、でありますから、例えば先進医療等々にもまだ入っていないので、保険外併用療養の評価療養、こういうものが使えないというようなもの、そういうものに対して患者の方々に強い要望があられます。なるべく早くそれを保険外併用療養が使えるような形で考えようということでございます。

 混合診療解禁容認と言われますと、混合診療なんて、そもそも概念を私は持っておりませんので、解禁も何もないわけでありまして、今の制度の中において、保険外併用療養の制度の中において、先ほども言ったとおり、大切なのはやはり一定の安全性と有効性であります。これを確認しながら、なるべく早く、必要なもの、こういうものは患者さんの手元で保険と併用して使えるようにしようということを申し上げたということでございまして、そう御理解をいただければありがたいと思います。

清水(鴻)委員 安心しました。ありがとうございます。

 ただ、それにしても、今ちょっと大臣もおっしゃいましたけれども、評価療養でもなかなか取り入れにくいという、それを逆にやっていけば、何か別のもの、名前が何であれ選択療養みたいなものになると、それはある種の歯どめがききづらいものになると思うんですね。

 だから、やはり評価療養をいわゆる拡大して、拡充といいますか拡大、これをしっかりと、いわば今の評価療養をもう少し、大臣がおっしゃったように、海外ではもう既に評価がされているというようなものについて、つまり、一定の安全性やそういうものがちゃんと学術的にもエビデンスがあるというものに対しては、評価療養の中でやはり解決していくという方向が私は正しいと思いますけれども、大臣、一言、それはどうですか。

田村国務大臣 評価療養がいいかどうかというのは、今、とにかく併用療養の中でやろうということは、これ以外のものをつくっちゃいますとそもそも制度外になっちゃいますから、その中に幾つかカテゴリーがある。それは評価療養とそれから選定療養というのがあって、選定療養はどちらかというとアメニティーの部分が多いわけでありまして、評価療養の方はいろいろと保険収載に向かって努力をしていくというようなものであります。

 ですから、保険収載を目指していくという部分、これはやはり、保険と併用するわけでありますから、そこがなければこれは何かよくわけがわからない話になって、保険者の方々にも御理解をいただけないという部分があるわけでございますので、そのようなもとで、安全性と有効性、これを一定程度確認ができたものに対しては早めていこうということでございますから、そのような御認識をいただければありがたいというふうに思います。

清水(鴻)委員 今大臣のおっしゃったことはよくわかります。ただ、新しいジャンルがどんどんできて、それがいわば歯どめがきかない、一種の選択療養といいますか、そういう意味で、いわば安全性が確保されないものが横行する。さらに、そのためにベースの検査等に対して逆に保険料が使われる。やはりそういうことがないようにしていかなければいけないということをぜひお願いして、これは大臣もそういう認識であるということを確認させていただきましたので、次の質問に移ります。

 これも、まだ厚労省が示されているわけではないんですけれども、参考資料七に、いわば都道府県ごとの医療費の目標を検討しよう、こういう報道がありました。医療費がかかり過ぎている地域をあぶり出して、無駄をなくしていく試みだというようなことであります。

 ただ、その地域が、例えば医療費が都道府県で差があるとか、あるいは高齢者医療の医療費がかかっているといっても、それこそ過疎で高齢者しかいらっしゃらない、もう家庭でのいわゆる在宅医療等がとても難しいというような環境でありますとか、近くにすぐに往診をしていただける診療所や病院がないとか、いろいろな地域の事情があった中で生まれている数値だと思うんですね。

 これを単純に、一人当たりの後期高齢者の医療費がこうだから、この県が無駄遣いだとかというのは、極めて短絡的で、実態に合っていないというふうに思うんですね。

 だから、こういう意味で、ぜひこういうことに対して、これからは知事がかなりの権限を持って、医療ビジョン等、病院の病床の医療制度の整備等にもビジョンを持ってやっていくということでありますけれども、ただ、こういう実態に対して、こういう報告があって、こういうことを具体的に医療費の抑制の一つの標準にしよう、目標にしようということでありますけれども、これに対して大臣のお考えをお聞かせください。

田村国務大臣 四月二十二日の経済財政諮問会議の中で、有識者議員の中で、地域医療ビジョンに合わせて財政支出の目標をしっかりと立てる、こういう提案がなされたわけであります。

 今までも、もう御承知のとおり、医療に関して申し上げれば、一定の仮定を置いた上で医療費の適正化計画というものをつくってきておるわけでありまして、例えば、特定健診の受診率や特定保健指導の指導率、こういうものを一定の仮定を置きながら、一方で、平均在院日数、こういうものの目標値、なるべく縮めるという目標を置きながら、適正化計画というものをつくってきたわけであります。

 今般、大きな違いは、もちろん、そういう数値に目標を置くのも大事なんですが、やはり、地域医療という意味からすると構想をつくるという形になってまいります。地域医療構想をつくるということになれば、やはりそれぞれの地域の必要な医療のニーズといいますか、そういうものを一定程度協議の場で話し合いをしていただきながらつくっていくわけでありまして、それはその地域によって違うんであろうと思います。

 都道府県によっても、今委員がおっしゃられたように、高齢者の多い都道府県、それから若年者の多い都道府県、それぞれございますので、そこにおける地域医療構想というもの、こういうものをこの中に含めていく中において、新たな医療費の適正化計画というものをつくってくるわけであります。

 我々は、そういうものの中において、今般の有識者議員の皆様方からの御提案というものもこれから協議をしながら、委員がおっしゃられたような視点も踏まえて、必要なものは必要なものとしてやはり目標はつくらなきゃなりませんので、そのような中において取り組んでまいりたい、このように考えております。

清水(鴻)委員 おっしゃったように、いろいろな要素を加味した上で、現実的な対応をしていただきたいなというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 午前中にも我が党の重徳議員からもありましたので、重なりのないようにしていきたいと思いますけれども、いわゆる病床の整備ということで、地域医療構想を実現するという流れは、ちょっと資料八ページに、厚労省からいただいた資料の中で、それについては、都道府県が地域医療構想の実現についていろいろな医療関係者等と協議の場を設けながら、都道府県知事が以下の措置を講ずるということになっています。

 「都道府県知事が講ずることができる措置」ということで、資料の八ページですけれども、「病院の新規開設・増床への対応」「都道府県知事は、開設許可の際に、不足している医療機能を担うという条件を付けることができることとする。」さらに、既存の医療機関による医療機能の転換への対応、医療機関が過剰な医療機能に転換しようとする場合は、こういういろいろな命令をすることが、転換中止要請とか、そういうこともすることができる、そういうふうになっています。

 実は、昨日可決をされたんですけれども、次の資料九ページに、きょうですか、第四次一括法案で、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案でありますけれども、ここで、右下の方に、見てもらうと、「都道府県から指定都市への事務・権限の移譲等」の中に「病院の開設許可」というのがあります。

 一方、今審議している法案では、都道府県で、都道府県の知事が、これから、二次医療圏をベースにしながら、県単位で地域医療構想をまとめていこうというわけですよね。だから、当然、病院の開設も、そこで開設許可や増床等についてもコントロールしていこうということであります。

 例えば、私のおります京都市の伏見区というところ、京都市は、京都・乙訓医療圏というのが一つの医療圏になっています。つまり、京都市のほかに向日市、長岡京市、大山崎町というところが一つの二次医療圏になって、そこの中で一つのビジョン、そして、もっと大きな範囲でいえば、物によっては、例えば不妊治療であるとか、そういう、非常な緊急性はないけれども非常に専門性の高いものというのは、必ずしも二次医療圏に一つということでなくても、京都府で一カ所、二カ所とか、あるいは近畿全体でどうだと。

 そういうふうに、いわば医療というものは、ある意味非常に密着した救急医療から、もう少し幅広い流れをつくった、そのために一つの二次医療圏というような単位の構想があるわけですよね。

 その中で、だけれども、病院の開設許可を指定都市に移したら、コントロールが都道府県できかないんじゃないですか。大きな矛盾があると思うんです。

 厚労省に聞いてもこれは仕方ないんですけれども、これについて、きょう内閣府の方が来ていただいていると思うんですけれども、どういう形で整理していくんですか。

新井政府参考人 お尋ねの病院の開設の許可でございますが、今国会に提出させていただいたいわゆる地方分権一括法案の中では、指定都市からの要望を踏まえまして、身近な窓口で手続が可能になるということで利便性が向上するということ等から、病院の開設許可権限を都道府県から指定都市へ移譲する、これによりまして、指定都市の区域内に病院を開設するような際にはワンストップで申請を行うようにする、こういった内容が含まれてございます。

 ただいまのいわゆる医療圏との関係、医療計画との関係というところでございますが、これにつきましては今後政令の中で検討していくということで承知しているところでございますが、いずれにせよ、そういったものと矛盾のないように、例えば、指定都市の側から都道府県に協議をして同意を求める、こういったような形でされていく方向で検討されているふうに聞いております。

清水(鴻)委員 今、ワンストップでやるというのと、都道府県とまた相談する、結局、余計二重行政であったり、全然ワンストップじゃなくなるじゃないですか。まして、身近なところでと言うけれども、例えば、指定都市というのは基本的に町中にあって、県庁があったり、あるいは県庁の分所があったり、全然何の利便性もないんですよ。

 京都でいえば、京都市役所も府庁も近所にありまして、京都市に行ったら非常に便利だなとか、むしろ、京都市がまた医療計画のビジョンの中でここに開設したら、実際には医療圏の端っこの方、京都市の一番乙訓に近いところでいけば、これは救急の流れが変わってしまうなと。結局は二重手間になって、かえってよくないんじゃないか。

 こういうようなのは広域行政でやるべきもので、今この法案をやっている最中に、指定都市へ移してどうするんだという話だと僕は思うんですけれども、どうですか。

新井政府参考人 御指摘ではございますが、いずれにせよ、申請の窓口としては指定都市にワンストップ化するということでございます。また、都道府県庁所在地ではない指定都市もございます。

 また、今回の許可権限、先ほど、病院の増床とか、そういったものに関するものについては協議という形もございますが、一方で、そのほか、処理件数の多いような病院の診察室等の構造設備の変更、こういった許可につきましても指定都市に移譲され、それらの事務、権限について、都道府県に協議を行うことなく指定都市の方で許可できるようになるというような話も聞いております。

 いずれにせよ、申請者、指定都市、双方にとってメリットがあるように取り進めていきたいものと考えております。

清水(鴻)委員 余りメリットがあると思いませんね。二次医療圏ごとにやると、今これはやっているんですよ。それをまた切り離すというのは、病院の開設許可と整備というのは一体じゃないですか、おかしいと思いますけれども、大臣、どうですか、思いませんか。

原(徳)政府参考人 端的に申し上げますと、民間から出てきた場合に、病院の開設は許可しなければならないということになっている。それは、知事であろうと市長さんだろうと許可をしなければならない。

 ただ、そのときに、今回は条件を付するということを今提案しているわけであります。その条件を付する部分を市長さんが申請を受け付けたときに知事と相談していただく、そういうように市長さんが協議をするわけです。先生がわざわざ府庁へ行くという話ではないということであります。ワンストップというのはそういう意味であって、必ず開設許可を与えるときに、その目的にそぐわないようなことがないように知事と協議をするような規定を設けたいと考えております。

清水(鴻)委員 病院は今、病床規制で、現実にはほとんど病院は許可されないですよ、京都市もそうですけれども。これで話をしてもしようがないので、こういうことも含めて、もう少し省庁間の連絡も含めてやはり一体的に考えていってもらわないと、本当に非常に能率が悪いなと思います。

 時間がもうなくなってきたので、次の質問に移らせていただきますが、そういうことも含めて、都道府県、結局、二重に二重にまたなっていくということにならないようにぜひお願いします。

 あと、特定行為に係る、きょうもちょっと午前中の審議、重徳委員から質問して、原局長も臨床経験をお持ちの先生でありますけれども、ちょっとびっくりしたのは、放射線技師さんが造影剤を投与されたときにアナフィラキシー等が起こったときに、その場にいないけれども連絡して、その連絡網をちゃんとしていればいいんだという話ですね。アナフィラキシーの怖さというのは、先生も、すぐその場で息がとまってしまうんですよ。これは連絡していて間に合うんですか。僕はちょっと原局長の答弁とはとても思えないなとびっくりしたんですよ、午前中の答えを聞いていて。

原(徳)政府参考人 どれぐらい早く来れるか、そこも含めて院内の体制を組んでいただく。これはこれから検討して、どういう形でやるかは、しっかりと守っていただくような形で通知をしたいと考えております。

清水(鴻)委員 御存じのように、大学病院とか、京大病院もそうですけれども、かなり広いですよ。国会と同じぐらい結構遠いんですよ。走っても五分とか、かかりますよ。だから、本当にアナフィラキシーが起こったときに、五分たったらもう死にますから。少なくとも、心臓は動いても、不可逆性になってもう脳死になりますから。その辺のところ、やはり本当に安全を担保しながらやらないと、これは大きな問題になるなと。

 これは、ちょっともう時間がないので、きょうは余り触れられませんし、次回にしたいと思いますけれども、特定看護師さんの行為でも、いろいろ行為の中に書いていますよ。挿管ですね、チューブの位置とか、あるいはデブリードマンなんかでも、シャープなデブリードマンでやるといったら、実際にそこをシャープにやったら血が出てとまらないということも、医者だっていっぱい経験しているんですよね。ここにある特定行為の中で、我々自身でも怖いなと思う行為がいっぱい書いてあるんですよね。これは本当にやれるのかなと。

 きょうは時間がもう余りないので次のときにしたいと思いますけれども、その辺についても、これから決めるんだ、これから決めるんだということでありますけれども、それに研修の時間も定かでない。それについてはどんなふうな、特定医療行為をされる看護師さんの養成というのはされるつもりなのか、ちょっと時間がまだあるようでありますので、お願いします。

原(徳)政府参考人 御心配のところは私どもも共有するところでございまして、その点については、どういうものを対象にするかということは、慎重に、今回新たに、法案成立後、審議会の中でしっかりと議論をしていきたいと考えております。

 また、その研修の内容につきましても、今までの議論の中でもいろいろなことが言われておりまして、基本的な、基礎医学的な知識も含めて学んでもらおうというようなことが言われておりまして、それにつきましてもこの審議会の中で決めていきたいと考えております。

清水(鴻)委員 もう時間が終了したので、きょうは、本当は補足給付の問題もやらせていただきたいなと思っていました。

 実は、やはり預貯金だけをターゲットにするのは極めて遺憾だ。やはり、やるなら、不動産も含めて、いわゆるそういうものを含めた法案を修正してでもちゃんとつくって、前向きにいくということをぜひお願いしたいな。それでなければ、いわばそこで不公平が起こる。

 つまり、現金収入がある人と、預貯金があるけれども今現金収入がない人に対して、預貯金から引こう。では、預貯金のない人との差は埋まるけれども、預貯金はないけれども大きな不動産を持っておられる方、固定資産を持っておられる方については、そこで不公平が起こる。これはあってはならないと思いますので、これは、きょうは時間がないので、また次のときにしっかりと質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、大臣には非常に前向きに答えていただいたことを感謝申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 清水鴻一郎先生は、途中から入ってこられたわけですが、医療分野に大変御造詣が深くて、皆様ももともと人間関係がおありでありますが、ただ、きょうの清水鴻一郎先生の質疑の中で、混合診療については個人的見解と。個人的見解でありまして、やはり混合診療については、我が党は公約で混合診療ということで掲げていますので、これは先ほどの大臣の御答弁で我が党として納得しているわけではありませんので、一応、清水先生、済みません、議事録にしっかり残させていただきたい、こう思います。

 それから、毎度のことでありますが、きょうは民主党の先生方はいないということでありまして、もう本当に、ちょうど私の席と田村大臣の間に山井理事がおるものですから、うるさくてうるさくて仕方ないので、きょうは大変聞きやすい議事でございました。

 先般の、おとといの動画については、なかなかアップされませんで、やっときょう、御存じの方いらっしゃるかな。普通は議事が終わるともう一時間ぐらいでぱっと全部上がるんです。私はいつもそれを復習したりすることもあるわけですが、おとといについては上がっておりませんでした。上野理事にもお願いをして、若干理事会でいろいろお話をさせていただいたわけでありますが、欠席裁判はいけませんが、山井理事の発言がいろいろ入っていたりしたということで、非常に議事がいかがなものかなという苦言を、申しわけありませんが、ちょっと一言申し上げておきたいと思います。

 それから、おととい八十分時間をいただいて、ありがとうございました。質疑を終わりまして席に戻りますと、共産党の尊敬する高橋千鶴子先生が、よくわかりました、こういう一言をいただきまして……(発言する者あり)ああ、趣旨は。主張、立場は違えど言っていることは足立の方が正しいと。まあ、言っていることはわかるということですね。しかし、私は、共産党の先生方、立場は違えど大変よく勉強しておられるので、高橋千鶴子先生に、趣旨はわかった、よくわかったとコメントをいただいて大変うれしかったものですから、一言これも申し添えておきたいと思います。

 恐縮ですが、引き続き、持ち分の話をさせていただきたいと思います。

 動画が上がっていなかったものですから、議事の速報を手にしながらやっておるわけでありますが、これも余り言い過ぎると怒られるかもしれませんが、私、自民党の先生方にお会いするたびに、済みません、いつもこのテーマをやってごめんなさい、もうやめた方がいいですかねと言うと、皆さん大体、いや、もうちょっとやっていいんじゃないですか、こうおっしゃっていただきますので、もうしばらくやりたいと思います。

 きょうはおとといより短いですが、大臣、私は、繰り返しになるけれども、医療と介護を一緒に議論するというこの法案の趣旨に照らして、医療に係るサービス提供体制の形、組織と介護のサービス提供体制の形を比較するのは、もう資料は配っていませんが、やはりこれはせざるを得ないんです。

 平仄が合っていないということについて私が指摘をおとといいたしましたが、大臣の方からは、そもそも二つは違うんだと。しかし、そもそも二つが違うのではいかぬからこれを一緒に審議しているわけですし、それから、平仄が合っていないという部分も確かにあると、これはお認めでいらっしゃるわけであります。

 さらに言うと、通告で二つの問いにまたがりますが、どんどんこっちから申し上げると、一昨日は、事業承継をどうするんだみたいな、そういう問題があって行き過ぎておるというのが今の現状だ、こう御答弁をされました。行き過ぎというのは、もう一回復習すると、医療と介護が、本来もともとあった位置から同じところまで公的保険の中で来て、それが逆転をして、措置であった介護分野で株式会社の参入を認め、そして民間の個人事業であった医療が持ち分を否定する、これは逆転しているんじゃないか。

 この逆転現象について、本当に地域医療介護総合確保法案においてこれを放置していいんですか。もう一度、大臣、お願いします。

田村国務大臣 委員のお気持ちはよくわかります。高橋千鶴子先生や阿部知子先生に、質問して、ああ、よくわかったと言っていただくと私もうれしかった覚えが今までも何度もありまして、本当にお二方はよくお勉強されておられるわけでありますので、そういう意味では、委員と同じ思いできょうはここに立たせていただいております。

 行き過ぎているというのは、委員の立場に立って申し上げたわけでありまして、寄っていって離れていって、クロスして離れてしまった、行き過ぎちゃったわけであります。

 これは、今般の法律というのは制度を全く一緒にしようというものではないわけでありまして、サービスとして、介護のサービスがあります、医療のサービスがあります。医療が、在宅それから医療提供体制の見直し、そういうものを含めて、いろいろな足らざる部分を強化していかなきゃならない。介護の方も同じように、足らざる部分を今強化しようとしておるわけでありますが、サービスという意味からすれば、それぞれ必要なところ、補うところというものを、医療と介護でうまく、一つの例えば地域包括ケアシステムという中ならば中において提供できるようにしていかなければならない。何か足らなければ、そこで目指すべき生活ができないわけでありますから。そういうことを申し上げておるわけであります。それは、予防も当然同じような概念の中に入ってきます。

 ただ、制度はやはり違うわけでありまして、医療保険と介護保険の制度が違うものでありますから、そこでサービスを提供する主体というものは、当然、それぞれ違う制度の中において、サービスを提供するのにどう適した形態であるかということでございまして、介護の場合は、そういう意味では、まあ特別養護老人ホームは社会福祉法人でしかできませんけれども、在宅サービスを中心に株式会社も含めて提供できるような、そういう保険制度、たてつけになっておるので、そういうふうな形になっておる。

 一方で、医療の方は、もともとは言われたとおり個人からやって、もっと言うと、その昔は自由な世界でやっていたものが保険制度に入ってきて、だんだん、保険というものの財政やいろいろなことを考える中において、やはりこれは非営利という形の中でやっていく方がより適切な医療を提供できるのではないかという流れの中において、このような事業体といいますか法人の方が適しているのではないかということで、今の方向性が出てきておるわけであります。

 言っているところが同じ部分とちょっと違う部分とがありますので、サービスというのはやはり一体的にいろいろなものが提供できなきゃいけないですけれども、それを提供する主体の形態というものが一体でなければならないということではないわけでありまして、それぞれの保険制度、たてつけにのっとって、一番適正な形態ならばいいのではないかと私は認識いたしております。

足立委員 大臣、私はちょっとこだわっていますが、これはぜひこの審議中に折り合いをつけたいと勝手に思っているんです、僣越ながら。

 私は厚生労働省は尊敬していまして、毎回部屋に来られる役所の方々も優秀な方ばかりだし。きのう実は、これは言っていいのかな、政治家は役人の人と食事していいんでしたっけ。いいですよね、別に。厚生労働省の、法案に関与していませんが、ある方と夜食事をしたんですけれども、すばらしい方でね。それはまあいろいろな方がいらっしゃいますけれども、私は、大臣率いる厚生労働官僚というのは本当にすばらしいチームだと思っているんです。

 だからこそ、ぜひこの法案の審議中に法案修正を、平成十八年に決めた枠組みであるでしょうが、何らかの、きょう私が問題提起している問題について一定の足跡だけでも、だけでもと私が勝手に言っちゃいけませんが、やはり一歩、もし一定の御理解をいただけるところがあれば、ぜひ大臣のリーダーシップで、なかなか難しいことだと思っているんですけれども、本当にお願いしたいと思っているんです。これは心からそう思っているんです。

 今、サービスは補い合うが、保険の制度が、仕組みがちょっと違うのでと。それは、おとといでいうと出来高とか上限ということに、こっちから言ってしまいますが、復習すると、そういうものを取り上げておっしゃられたわけでありますが、医療でも、ある種、出来高で際限なく膨らんでいく世界で本当にいいのかという問題意識は、医療界にもあるし厚生省にもありますよね。それだけではないかもしれないけれども、そういう観点も含めて、例えばDPC病院みたいなものも非常にふえてきた。私はすばらしいことだと思うし、DPC病院が、いろいろ、利用者、患者の方の御理解も得ながら、工夫しながらマネジメントされていることもよく承知をしています。

 例えば上限ということを、こちらから言ってしまいましたが、言うのであれば、そういうおそれがない、すなわち、際限なく出来高ベースで経費が膨らんでいくおそれがないようなサービスについては、参入規制は緩めていい、こういうことでしょうか。

田村国務大臣 以前、私も委員に、このお話を一番初めに委員がされたときにDPCの話は申し上げました。ただ、そういう医療機関もやはり外来は出来高でやっておられるわけでありますし、手術も出来高でやっておられるわけであります。出来高の科目が幾つかあって、一定程度、手術や外来というのを持っておられる。

 そういう意味からすると、DPCだけというわけではないので、おっしゃられている趣旨はそういうことなんだろうなと私も理解はいたしますが、現実、実態はなかなかそうなっていないわけでありまして、委員のおっしゃられておることは、なかなか難しいなと。私も何とか委員に心から御理解をいただいて、この議論、そろそろ何とかお互いに融和点を見つけられればありがたいな、このように思っております。

足立委員 多くの委員の方も聞いていただいているので、できるだけ余り退屈なやりとりにしたくないんですが、DPCについては、あるいは出来高から包括へ、これは大きな方針として、例えばDPC対応の病床はどんどんふえてきている、準備もしてきている、これからもふえていくと思うんですね。だから、大きな政策の方向はそっちなんだと私は理解をしています。

 そうであれば、将来、大きな方向が出来高から包括、用語はちょっと不適切であれば直していただいたらいいんですが、その方向であれば、そういう組織形態についてもそれに応じて参入規制を緩める、これはあり得ることではないでしょうか。

田村国務大臣 疾病群ごとに決まった金額でというようなやり方というのは、アメリカなんかではやっておられますよね。アメリカは、民間保険ですからいろいろなパターンがあったりだとか、あと、もちろん、公的な保険の中においていろいろな評価の仕方があるわけでありますが、日本の場合、DPCというのはあくまでも、要するに出来高の中で余り選択の余地がない、そういうような入院期間中のいろいろな医療に関して、それならばDPCという形の中で包括的にやれるであろうという流れの中で出てきておるわけでありまして、だからこそ、手術だとか個別具体的な医療行為に対して出来高がやはり残っておるということでございます。

 今委員がおっしゃられておるのは、世界の医療の中ではそういうことをやられている、近いことをやられておられるところもありますけれども、日本ではまだそういうような考え方が主流になっておるわけではなくて、余り裁量のないところはそういうふうに包括的なことでやっていこうという流れであろうというふうに考えております。

足立委員 大臣にしてはちょっと苦しい。(田村国務大臣「苦しくない」と呼ぶ)私には苦しそうに見えましたが。

 原局長、ちょっと通告はないんですけれども、DPCの病床の数がふえてきていますよね、ずっと。数字はちょっとわかりますか。大体でいいですよ。粗っぽいのでいいんですけれども。要は、どうふえてきているかということで、現状、病床の中でDPCの病床はどれぐらいか、雑駁で結構なので、ちょっと簡単に紹介していただけますでしょうか。

原(徳)政府参考人 DPCに参加しておられる病院が、病院数としては、二十六年度の四月の見込みで千五百八十五病院。これは、全一般病院が七千五百ぐらいですので、約五分の一になります。病床の数でいきますと、一般病床が約九十万、そのうちの四十九万がこのDPCの対象になるだろうというふうに思います。

足立委員 今聞いていただいたらわかるように、まあ、医療機関は大きさがいろいろありますから。私も経産省にいたので、よく中小企業は何%かとかいう議論をするときに、企業数でいうと中小企業が九九・何%とかになるわけです。でも、従業員でいくともうちょっと割合は大企業がふえるわけです。これは当たり前です。だから、今の話も、医療機関ベースでいうと五分の一とかそういう数字かもしれませんが、病床でいくと半分以上がもうDPC病床になっているわけであります。

 これがこれからもそういう方向で、すなわち、出来高から包括払いという中で適正に医療費をマネージしていくということは制度として必要なわけで、私は、繰り返しになりますが、大きな方向がそういう方向なのであれば、医療についても、介護保険制度の上でのある種の組織のあり方あるいは規制のあり方に見習う部分がふえてくると思っております。

 例えば、おとといも、私は、介護保険というのはなかなかよくできていると。これは当たり前なんです。なぜならば、昔できた医療保険を直しながら来ている医療保険と、ゼロから設計した介護保険を比べれば、介護保険の方がそれはいろいろと新しい知恵が入っているわけです。いろいろと医療保険では実現し得なかった知恵が入っているわけです。

 大きく言うと、私の理解は、介護保険は、参入規制は最小限にして、事後規制が非常に強い枠組みができているわけです。私は、それがこれからの、特にこれから医療費を、一番効率のいい、かつ質の高いサービスを提供していかなければいけないこの医療、介護の世界において、参入規制をもうちょっと柔軟にして、もし必要があれば事後規制でいいじゃないかと。

 そういうことも含めて、DPCの病床に戻ると、大きな方向がそうなのであれば、なぜ出来高ということにこだわって、あえて平成十八年に、今ある財産をあたかも没収するかのような体系の法律を導入してしまったのか。私は、それを少しでも軌道修正というか、適正にもう一回仕切り直すとすれば、この四月、五月しかない。

 だって、そうでしょう。そうやってこういう議論をできるのはここだけですよ。地域医療介護総合確保法案を、既に大臣がおとといおっしゃったように、医療と介護を並べて初めてわかる議論です、これは。

 大臣、きょう即答しなくてもいいんです。五月七日ぐらいまでに回答をいただければいいんですが、ぜひ、やはり本文で、この持ち分のあり方について、平成十八年の枠組みについて一考の余地がある、一考の必要があると。大臣、どうでしょう。

田村国務大臣 委員の思いというものは重いという重さはわかるんですが、これは根幹にかかわる部分なんですよね。そう簡単に私も、委員の思いはよくわかりましたので、わかりました、検討しますとは言えないというような、それぐらい重い部分でございます。

 先ほど言いました、疾病群ごとに治療の費用を決めていく、よく記憶ありませんが、DRG・PPSなんていうのはそういうような方向だったと思いますが、これも、いいところと悪いところがあります。

 つまり、疾病群の治療というのはこれぐらいでマルメで払いますよという話になると、介護の場合は即座に命という話じゃありません、ところが、医療の場合は命にかかわってくるものでありますから、それによって、実際問題、受けられる医療、つまり、特に株式会社という話になってくると、一定の利益を出さなきゃいけない。これをやれば助かるけれども、そこまでやると赤字になるというようなことを、全ての株式会社の医療がそういうことを思うとは思いません、真面目にやられるところがかなりあると思いますけれども、そういうことをやらざるを得なくなるようなところも出てくるかもわからない。となったときに、やはり命の重さを考えると、なかなか、今、全てを疾病群ごとに金額を決めるというのは日本の中では導入できない。

 ですから、DPCというのはあくまでも、日本の中で、これは出来高で裁量をつけて余り上げることがそう簡単にできないよというようなものに関して、これならばマルメでもやれるねという中において導入をいたしておる部分でございますので。

 根本論の、持ち分があるかないかは別にして、ここで利益を上げるという集団がこの中に入ってくるという部分、それを配当として外に流出するというような事業体が入ってくる、法人が入ってくるということに関して、なかなか委員とここが折り合わないところでございまして、あくまでも、かなりの企業というか、ほとんどの企業は真面目な企業だと思いますが、前から、内在していると言ったのは、悪意でなくてもそのような方向で、どうしても事業運営する中において、完全にこちらには行かないんですよ、そちらの方に行きかねないと言った方がいいのかもわかりませんが、そういうものを内在している株式会社形態というものは参入というわけにはいかない。

 何か検討と言うんですが、私の中ではいろいろ考えてみますけれども、検討ということを言うわけにはなかなかいかないわけでございまして、そこはどうか根幹の部分ということで御理解をいただければありがたいと思います。

足立委員 大臣は、絶対に折り合えない、こうおっしゃいますが、必ず折り合えると思っていますので、ちょっと頑張ります。

 そもそもの介護と医療、こういう話は引き分けということにしておいて、わかりませんが、ちょっと時間もあるので、あわせて、大臣の、あるいは今の医療のあり方については、幾つかの切り口からやはり問題があるわけです。

 一昨日は、二つのフィクションということを申し上げて、そもそも、持ち分が、みんな残っているけれども原則はなしよというのもフィクションだし、それからMS法人みたいなものもフィクションだ、こういうふうに申し上げたわけですが、特に、株式会社をどう排除するかということについて大議論があると思います。

 あと、後半、この株式会社論についてやはりどうしても深めておきたいと思うわけですが、今大臣おっしゃった、株式会社という形態に問題が内在しているというか、ある種、医療サービスというところからいえば問題が内在している、こうおっしゃるわけでありまして、確かに一昨日はこうおっしゃいました。医療費が伸びていくというおそれは、これはもう株式会社という形態に内在しておるのであろう、形態に内在しておる、非営利という形からすれば、そういう形態は内在していないと。

 そういうことで、そもそも法人の形態に問題があるということなんですが、私、大臣がおっしゃっているのは一理あると思うんですよ。でも、そうであれば、繰り返しになりますが、大臣がおっしゃる、そういうものを内在した株式会社なるものが医療グループの中にあっていいんですか。

 例えば徳洲会。徳洲会、徳洲会と言いますけれども、私、それしか知らないんです、ごめんなさい。清水鴻一郎先生ではありませんので。私が知っているのは、徳洲会に十の会社があって、なぜ十かというと、徳洲会が十だと言っているからだという。原局長、申しわけありません。繰り返し言いますけれども、何の規律もなく、規範もなく、徳洲会側が十の会社があると言えば、それがグループであると。

 そういう会社がグループ内にある、大臣が、医療費が伸びていく、そういうおそれが内在をしている組織である株式会社が、株式会社徳洲会が徳洲会グループを事実上仕切っていたと私は思っているわけですが、いいんですか、それは。私は、もし大臣の言うとおりであれば、医療グループから会社を排除すべきだと思いますが、どうでしょう。

田村国務大臣 ちょっと思い出しましたので。

 清水鴻一郎先生の話が出ましたが、でき上がりとして、いろいろな安全性それから有効性が一定程度認められる、そういうもので、海外の場合は一般的に使われて承認されている薬、そういうものなんかが、今よりも患者の方々の要望をしっかりとかなえられる形で、安全性ということは担保できながら、これを早く保険外併用療養できるというのをどう呼ぶかという話であって、そこは清水鴻一郎先生が全く維新の会の考え方とは違うというふうには私は思っておりませんので、また中でいろいろと御調整をいただければありがたいと思います。

 その上で、今のお話でありますが、徳洲会の話が出ましたが、あえて徳洲会という話はしませんが、そういう医療グループというのは、ではそのMS法人自体が仕切っているのかというと、そうでもなくて、別に株式を持っているわけじゃないので。MS法人の支配者が、実は、他の医療法人の事実上のいろいろな権限を行使する場合に御意見を聞かなければならない方であるというような場合を、多分想定されておられるんだと思います。ですから、決してそのMS法人が仕切っているというんじゃなくて、人について、こうピラミッドでくっついているということなんだと思います。

 そのときに、以前からお話が出ましたが、正当な価格以外で利益を流出した場合、これは、やられている場合は、やはり我々はしっかりとこれに対して厳正に対処していかなきゃならぬわけでありますから、対処しますが、これも以前から申し上げておりますとおり、別にそのMS法人じゃなくても必要な商取引はやるわけでありまして、そのときには利益というものは乗せて支払う。つまり、こちらからいえばコストでしょうし、こっちは利益でありますけれども、そういう形で取引がある。そこがたまたまMS法人であった。

 必要ないものをいっぱい買っていれば、これは問題でありますから適切に対応しますが、ですから、これをどう考えるかというのは、必ず必要なものに支出をしているわけですから、これは利益の流出とは言わないのではないかというのが私の基本的な考え方であります。

足立委員 大臣、申しわけない。この議論はもう圧倒的に私の勝ちだと思うんですね。もう明らかに、委員の方も多分そう思っていますよね。

 だって、大臣、要すれば、医療グループがあるんだったら、医療グループの事業全体を、例えば医療法人でできる仕事は全部中でやればいいじゃないですか。そうすれば、当該MS法人が上げる利益分、それは減らせますよね。

 要すれば、非営利、営利というのは、私の提案は、大臣がおっしゃるように参入規制をするんだったら、医療グループについては、その全体が非営利でないと、その中に会社があったら、その会社が配当したらそれで個人のポケットに入っているじゃないですか。だから、大臣の参入規制の考え方を適用すれば、医療グループが会社形態をなぜグループ内に持つ必要があるのか全くわからないんですよ。それは、参入規制をするのであればその規制をすべきだ。例えば、建物を流動化することはけしからず、医療法人で自社ビルにしなさい、そういう行為規制もあわせて講じなければ、フィクションになるじゃないですか。

 幾ら非営利、非営利といっても、繰り返し言いますけれども、大臣は、MS法人じゃなくても、どこかと取引しなくちゃいけないと言っているんだけれども、おとといと同じです。私が申し上げているのは、系列のMS法人と取引するのと系列外の会社と取引することを比べているんじゃないんです。自分たちの医療法人なり医療法人の周りにある非営利法人グループの中で事業を行うこと、NPO法人でもいい、何でもいいじゃないですか、非営利法人でグループを構成してあらゆる必要な事業をその非営利の中でやることと、会社をつくって営利会社と取引することを比べると、そこに利益が乗っていますでしょう。その利益は、本来、税金や診療報酬で上乗せするべきものじゃないんですかという、その比較をしているんです。

 これはおとといと同じことなんですけれども、大臣、大丈夫ですか。ちょっとお願いします。

田村国務大臣 まず、医療法人にやれる業務というのは決まっていますから、何でも医療法人から商取引する行為はできないわけであります。

 医療法人に残るお金というものは一緒ですよね、医療法人自体に残るのは。いろいろな商取引をした場合、必要なものを買うわけですから……(足立委員「一緒じゃない」と呼ぶ)いや、医療法人ですよ。当該医療法人の、病院経営していますよね、病院業務をやって、その結果そこに残るお金というものは、要するに必要な商取引をやって経費としてお金が出ますよね、収入からその経費を、もちろん人件費やいろいろなものを引いた差額が例えば内部留保なりで残るわけですね。ここにもう一つMS法人があったとします。MS法人には、MS法人以外と同じようにお金は行きますよね。そこで、MS法人はいろいろなものを差っ引いて利益が出ますね。それは他の企業も残りますね。

 このMS法人というのは、医療法人グループとはいいながら、当然のごとく、医療法人とはお金の融通はできないわけですよ。ですから、ここで例えば同じ経営者といいますか運営者であれば、運営者の方は、ここで出た利益はそのまま自分の収入になるわけでありますが、これはこの人がたまたま同じであるわけであって、違う人が同じ商取引をやっていれば、そこの方々が同じような利益を得るというだけの話であります。

 多分、私と委員の言っている視点がちょっと違うんだろうと思うんですね。

足立委員 恐らく、これもまた僣越なことでございますが、私は大臣がおっしゃっていることは一〇〇%理解できています。でも、私が申し上げていることは多分一〇〇%理解されていないなんと言うと僣越ですけれども。

 大臣、要すれば、今医療法人ということをおっしゃったけれども、それであれば、医療グループがあります、徳洲会でも徳洲会グループがあります、グループ内に何で営利会社が要るんですか。非営利会社でいいじゃないですか。なぜ営利会社をつくらないといけないんですか。

 もちろん、医療法人が営める事業、営めない事業、それはまた別の理由で規制されているかもしれません。でも、医療グループとして必要なことであれば、それは非営利で囲い込めばいいじゃないですか。なぜ、非営利であるはずのグループが営利会社をグループ内に持つ必要があるんですか。

田村国務大臣 まず、グループ内、グループ外という話はおいておきまして、こう申し上げたら御理解いただけるかもわかりません。なぜ株式会社で医療法人をやっていただくといけないかというと、そこにたくさんお金を残すというインセンティブがあって、それを配当として出せる、ためたものは出せるというのが株式会社形態。そこで、いろいろな不必要な医療行為等々をやって医療費が伸びるというおそれがある、端的に言うとですよ、簡単に言うと、だから株式会社が医療法人をやってもらっちゃ困るという話になっているわけなんです。

 今の委員のお話は、MS法人は、今と同じように、いろいろなものをやって医療機関がそこにお金を残す、残してもそこは外部に流出できないわけです。正当な取引の部分しかとれないわけですよね、要は。正当な取引をした利益分しかとれないので、だから、この医療法人にいろいろな無駄な医療を施してお金を残しても、それを外に取り出すことができないわけですよ。

 そこが一番の違いであって、株式会社だとじかにとれる。こちらはとれないから、それは中には残るかもわからないけれども、それを利益分配できない。する場合には、あくまでも正当な商取引であるいろいろな医療機器でありますとか医薬品でありますとか、あとはREIT、ヘルスREITをそうやっておっしゃられるかもわかりませんが、それは、ヘルスREITをやったところで、ヘルスREITというのはちゃんとした取引行為の中でやっているわけでありますから、それに対する商品構成をしたりだとか、いろいろなリスクを抱えながらやるわけなので、その間の歩合というのを手数料として取るわけでありますから、そういう意味では、正当な取引であるということが言えるのであろうと思うわけであります。

足立委員 申しわけありません。医療法人に剰余金があっても取り出せない、おっしゃるとおりです。だから、グループ内に会社があるんですよ。医療法人に剰余金がたまってもそれを取り出す方法がないから、大臣がおっしゃっていることが理由で、医療グループには会社があるんですよ。大臣は正当な取引とおっしゃるけれども、正当な取引というのは普通は利益が乗っているわけです。それが資本主義なんですよ。

 医療は、利益を乗せちゃいけないんですよ。利益というのは外へ出すんですよ。要は、再投資する剰余金のことを言っているんじゃないんです。株式会社というのは、正当にお金を外に流し出せるのが株式会社でしょう。それがグループ内にあったら流れ出るじゃないですか。(田村国務大臣「出ないですよ」と呼ぶ)いや、出る出る。

 ちょっと、困ったときは原局長、お願いします。多分、原局長は私の言っていることがほぼ正しいともうわかっていると思うんですよ。だから、ぜひ法案修正も含めて、原局長と大臣でよく相談してください。ちょっと答弁してください。

原(徳)政府参考人 病院を経営している医療法人、その病院が必要な例えば医薬品や何かを買います、これは正当な価格で買います。相手先がいわゆるMS法人だろうと普通の関係のない卸さんだろうと、病院の中から出ていく費用、これは同じなわけです。

 今、グループと言われましたけれども、たまたまいわゆるMS法人というところが株式会社で、ここが利益を出したらそれは当然外へは出るわけですけれども、これは普通の卸さんでも利益が出るわけですから、そこは全く同一形態なわけでありますので、医療法人として不当に何か外へ出ているというわけではないというふうに考えます。

足立委員 原局長も苦しい御答弁でありますが。

 要すれば、非営利というのであれば、非営利の領域と営利というのは、世間は営利でしょう、営利の海の中に非営利が浮いているわけですよ。本当に非営利を徹底したいというんだったら、その非営利の浮いている船は、極力非営利の中でいろいろ事業をやればいいけれども、外との取引は最小化しないと。外との取引は、営利の世界と非営利の世界があるわけでしょう、境界があるわけですよ。そのやりとりがたくさんあれば、そこに全部利益が乗っているんですよ。それよりは、それを最小化した方がいいでしょう。非営利の徹底というのはそういうことなんですよ。

 だから、私は繰り返し言うけれども、例えば医療グループと言って、我々はグループなんですと言って、一体的に運営するのであればグループでしょう、何で中に営利法人をわざわざつくって、利益流出の穴をあけるんですか。

 それは、医政局の規制でもって、もし参入規制をするのであればですよ、もし参入規制をやると、わざわざ昔の判例まで持ち出して、持ち分を持っている者は営利だなんていうことを、何十年も言ってこなかったそんな判例を急に持ち出してきて、持ち分のある人は何かよこしまであるかのような、そういうプロパガンダを十八年に張ったんですよ、厚生省は。そうでしょう。ずっとふだんは机の上に載っていなかった昔の判例を持ち出してきて、昔、こういう判例があると。持ち分を持っていれば、それを配当しなくても、最後解散時に分配すればそれは営利企業と同じであるという判例をわざわざ持ち出してきたんですよ、平成十八年は。それはフィクションだと僕は言っているわけですよ。

 だから、非営利の世界と営利の世界をまたぐ取引は最小にすればするほど利益は流出しない、これはもう当たり前ですよね。そういう参入規制、そういう事前規制をするならしてくださいと。

 でも、私は、介護と同じように、そういう入り口規制、参入規制は詮ないから、資本主義の国において詮ないから、事後規制でやったらどうですか、参入は自由にして事後規制でやったらどうですかと。もしいかがわしい会社が入ってきたら、それは介護と同じように入り口で登録したらいいじゃないですか。事後規制でできるものは事後規制でやればいい、それで十分医療は効率性と医療の質の確保を両立できると私は思うんですよ。

 これは、大臣、この法案の審議中にぜひ省内で検討していただいて、一歩、中途半端な形でいいから、平成十八年の、持ち分なしを原則とするという大きな大きなフィクションについて一定の、見直しじゃなくてもいいので、何かあるでしょう、それを検討してくださいとお願いを申し上げます。

 まだ終わりと来ていないので、大臣、局長、どうですか、これは。お二人とも今違う違うとおっしゃったけれども、違いますか。ちょっと時間がないけれども、大臣。

田村国務大臣 医療法人が何でもできるということを仮定して、そうやって全部中でやればいいじゃないか、そうしたら出ないじゃないかというお話なんですが……(足立委員「いやいや、非営利グループでいいんです」と呼ぶ)まあ、グループでもいいんですけれどもね。

 いずれにしても、それは、何もかも抱えれば効率的かどうかというのは、もう委員もわかっておられるとおり、細分化した方がより効率的に利益を流出させないこともあり得るわけであります。それはそれぞれプロフェッショナルのところがその対応をすればいいわけであって、決してそこは全部抱えるというような話ではないのであろうというふうに私は思います。

 委員は違う観点からいろいろなことを申されておられますので、一度頭は整理してみますが、しかし、なかなかここで検討しますとは言えませんので、整理は頭の中でさせていただきたいというふうに思います。

足立委員 もう時間が来ると思いますので。

 医療法人になって、そこに医師がいる、処方する、そういうことで、私もお医者さんの先生方を尊敬していますので、それはそれでいいと思うんですが、今申し上げたように、参入規制をするのであれば、やはり医療グループ、医師が真ん中にいる、医療法人が真ん中にあるその医療グループについて規範が、規律がないと、言っていることが一貫しないんじゃないですか。都合のいいときだけ、ごめんなさい、言葉が悪いけれども、繰り返しになるけれども、判例を急に持ち出してきて、持ち分があたかも悪いことかのように政策を組んだことについては私は一定の留保が要るということで、大臣、ぜひ局長に、来週足立事務所に一回行けということでちょっと御指示をお願いします。

田村国務大臣 役人は、国会議員から呼ばれれば、いろいろな御説明には上がるということはするわけでございますので、何をどうではなくて、お呼びいただければ、また御説明には上がらせていただこうと思います。

足立委員 では終わりますが、ぜひ一定の整理をしてお越しいただきますよう、ここでお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 本日、急遽、みんなの党の中島議員と順番を前後させていただきました。御理解いただいた各党の皆様に心より感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。

 本日は、医療事故調査についてのみお伺いをしたいと思います。

 この医療事故調査の仕組みについては、長年、医療機関、患者、遺族、また政府関係機関の間で議論が積み重ねられてまいりました。

 政権交代の前の自民党の内部でも、医療紛争処理のあり方検討会などで議論が重ねられ、そして、平成二十年六月に公表された医療安全委員会設置法案大綱案は、条文も整理され、ほとんどそのまま法案として出してもよいほど詳細に書き込まれておりました。

 その後、この平成二十年の大綱は立ち消えとなり、そして、間をあけて、今回出された医療事故調査制度、本法案は、本日お配りしました一枚だけ、この赤い矢印、いろいろ書いてあります。この配付資料の上下、上が平成二十年のいわゆるポンチ絵、そして下が、それに合わせて私が書き直した今回の本法案のポンチ絵であります。上下を比較すれば、まさに、もう説明をするまでもなく、一目見て異なる仕組みというふうになっております。

 お伺いいたしますが、長年の議論を経て、完成目前だった前回の平成二十年の大綱が法案化されなかった理由、大臣にお答えをいただきたいと思います。

田村国務大臣 これは、平成二十年でございます、二〇〇八年でありますけれども、この間も申し上げましたが、大村座長だったというふうに思いますが、医療安全調査委員会設置法案大綱案、こういうものをつくったわけでありまして、これはパブリックコメントにかけさせていただきました。パブリックコメントにかけましたら、医療機関等々から、この調査をするそういう実施機関が公的な機関であるということ等々、いろいろとやはり懸念が示されたわけであります。

 それで、引き続き検討しておったんですが、その後、政権交代、二〇〇九年でございますので政権交代が起こりまして、民主党政権になりまして、時の大臣が、これに関しては大綱案のまま成案とすることは考えていないということで、立ち消えになったわけであります。

 その後、民主党政権の中においていろいろな検討をされたようでございますが、また政権が戻りましてといいますか、自公政権になりまして、今般のような形の法案というものを提出させていただいたということでございまして、それらの経緯の中において、いろいろな御意見等々を踏まえて、今般はこのような法律案になったということであります。

井坂委員 二度の政権交代を挟んで、まさに大臣くしくもおっしゃった、政権が戻ったにもかかわらず、今回五年たちましたが、同じ自民党の中で長年議論が積み重ねられたものと随分違う仕組みになっている。この違いについては、後半いろいろと議論をしたいと思います。

 まず、制度の本当に入り口の部分から順番にお伺いをいたしますが、本法案の対象は死亡と死産に限定をされております。私は、ここに、意識不明の重体、あるいは重度の後遺症が残るケースも含めるべきではないかと考えますが、こういったところまで対象にすることについて、参考人、御見解をお伺いいたします。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の制度におきましては、御指摘のように、医療機関に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産であって、当該医療機関の管理者が死亡または死産を予期しなかったものとしております。すなわち、死亡または死産が対象になる。

 これにつきましては、現在、一部の医療機関を対象に日本医療機能評価機構が行っております医療事故情報収集等事業におきましては、死亡事例に限らず、濃厚な処置、治療を必要とするような事例、これについても報告義務を課して、死亡事例以外を含めて情報収集を実施するということで再発防止策を周知してきたところでございます。

 ただ、今回は、一部の医療機関ではなくして、全ての医療機関、病院や診療所また助産所を含めるということでございますので、まずは死亡または死産について対象としたということでございます。

井坂委員 続きまして、医療事故の発覚についてでありますけれども、私は三通りのパターンがあるというふうに捉えております。

 一つ目は、病院の自己申告、今も政府が、いろいろな調査制度で病院の自己申告によって医療事故だというふうに認識をしている。二つ目のパターンは、病院内の医師等医療従事者の内部告発、こういった形での発覚のケースも大いにあり得る。そして三つ目が、患者、遺族のいわゆる司法手続。この三通り、医療事故の発覚のパターンはあるというふうに考えております。

 本法案の調査は、まず病院の管理者が第三者機関に医療事故発生を報告するところから始まる仕組みとなっております。一方で、この図を上下見比べていただきますと、上の平成二十年の案では、遺族が調査依頼を公的な委員会にかけて、そこから調査が始まるという道も普通に設けられておりました。

 この平成二十年の大綱と同様に、本法案でも遺族の依頼で調査が始まる仕組みが必要ではないでしょうか。大臣にお伺いをいたします。

田村国務大臣 今局長が申しましたとおり、当該医療機関の管理者が死亡または死産を予期しなかったもの、これが対象になるわけでありまして、そういう意味では、そういうものとは何ぞやと。

 言うなれば、合併症等々予期しないもので亡くなられたというような形になるわけでありますが、そこはやはり一定の、届け出の事例、これに対する基準といいますか標準化をしていかなきゃいけないわけでありまして、その基準や例というものをしっかり示していかなきゃならぬわけであります。

 また、医療事故の調査にかかわる方々が一定の能力を持っていなきゃいけないわけでありますから、そういう意味では研修等々もやっていかなきゃならぬということでございまして、そのようなことをしながら、こういう場合は要するに第三者機関の方に報告をして院内調査をやっていただきますよというようなものは、ガイドラインで示していきたいというふうに考えております。

 委員がおっしゃられたのは、多分、そもそも、責任問題があったら隠すんじゃないかというお話なんだろうと思いますが、そういうことを念頭に置いておるわけではなくて、これは紛争解決手段ではないわけであります。あくまでも、医療事故が起こった場合に、その医療事故の原因等々、いろいろな部分を調査して、収集した上で分析を行って、次の医療事故防止につなげていこう、医療の質の向上につなげていこうというものでございます。

 ただ、一方、調査過程の中において、第三者機関等々が調査したものに関しては遺族の方々にも情報が行くわけでございまして、そこで、これは副産物的な話になるのかもわかりませんが、一定程度御理解をいただく、こういうことにはなってこようというふうには思いますが、あくまでもこれは紛争解決の手段ではないという中において、今般、法案として取りまとめさせていただいたということであります。

井坂委員 紛争解決ではないので、今大臣がイメージされたのは、多分、遺族が怒って、病院が悪いに違いないということで訴えを提起する、第三者機関に申し立てをする、そういうイメージだと思うんですけれども、もちろんそういうことも多いでしょうが、ただ、一方で、本当に再発防止、単なる、純粋に原因究明をすべきだと遺族は考えて申し立てる、こういうケースも普通にあっていいんだというふうに思うわけであります。

 私は、この条文もずっと読んでみたんですけれども、私も実は事前に事務方から、そういう遺族からの申し立て、いわゆる最初のスイッチは遺族は入れられないんだというふうに説明を受けてきたんですが、これは条文を読むと、何か余りそういうふうには見えないのです。

 今回追加される医療法第六条の十七で、第三者機関は、病院の管理者または遺族から調査依頼があったときは、必要な調査を行うことができるとだけ法律には書いてあるのですが、別に、これだけ読んだら、普通に遺族が依頼したら第三者機関が調査を始められるというようにも見えるんですけれども、おっしゃったような、いわゆる院内調査がまずなければ遺族の調査依頼はできないという仕組みは、法案ではどこを読み込めばいいんでしょうか。

原(徳)政府参考人 今回の医療事故調査の流れは、先ほど言いましたように、何らかの医療事故とか何か起こったものを、管理者が、死亡または死産で予期しなかったものとしてまず認識することから始まるわけでありまして、その認識があった後、まずはそういうことがありましたということで第三者機関に報告をすることになっております。

 第六条の十一によりまして、「病院等の管理者は、医療事故が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、速やかにその原因を明らかにするために必要な調査を行わなければならない。」それに当たりまして、報告をして調査をする。

 その結果につきまして、同じ条文の第四項ですが、「病院等の管理者は、医療事故調査を終了したときは、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、その結果を第六条の十五第一項の医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。」ここでまず調査結果が報告されます。

 また同時に、第五項で、「報告をするに当たつては、あらかじめ、遺族に対し、厚生労働省令で定める事項を説明しなければならない。」ということが書いてあるわけであります。

 その後、それを受けて、条文的には六条の十七になりますけれども、「医療事故調査・支援センターは、医療事故が発生した病院等の管理者又は遺族から、当該医療事故について調査の依頼があつたときは、必要な調査を行うことができる。」ということになっております。

 ここで言うと、医療事故が発生した、医療事故そのものがどうかというスタート時点が管理者の判断から始まりますので、管理者が判断をしてスタートした時点から医療事故という言葉が生きてくるということであります。事例がどうであるかという話ではなくして、今回の流れの中で、医療事故が起こるというのは、管理者が判断した場合に初めて医療事故であると認識される。したがって、その流れはその後に続いていくものであるということであります。

井坂委員 この法律では、医療事故と言った瞬間に、最初に病院の管理者が判断をしたということがない限り医療事故とは呼ばれない、この法律で医療事故と書いてあるところは全て最初に管理者がスイッチを入れたものだけを指す、そういうことなんですか。

 私、いろいろ読みましたけれども、何か普通に遺族発議ができそうな書き方になっているので疑問に思ったわけでありますが、ただ、事前に事務方から聞いていたのは、そんなことはできない、そういう制度設計にはしていないということでありましたので、法案の書き方自体はちょっと疑義がありますけれども、議論を続けたいというふうに思います。

 遺族発議はできない。同様に、医療を提供した医師本人やあるいはその他の医療従事者、内部告発により調査が始まる仕組みも必要ではないかというふうに考えるわけでありますが、この点については、参考人いかがでしょうか。

原(徳)政府参考人 お答えします。

 その前に、今の定義のところに書いてあるんですが、六条の十のところに、医療事故の定義が後で括弧書きで書いてありますが、当該病院等に勤務する何々何々ということで、厚生労働省令で定めるものをいう、これが判断をしたものをいう、それが医療事故であるというふうに定義をしておりますので、これは医療機関の管理者が判断しないと医療事故ということにこの法律の中ではなっていないということでありますので、先ほどの流れになるということでございます。

 今のは院内でのプロセスの話ですけれども、確かに、管理者が医療機関の中の全てのことを把握しているわけではありませんので、何らかのことが起こったときに誰かからその情報を伝えなければいけないということになります。

 したがいまして、その医療機関内における医療事故の範疇に該当するか否か、それについての決定プロセス、ヒヤリ・ハットも含めてどういうことが起こった、どういう形でやるかについては、関係者のあり方も含めて、ガイドラインの中で検討していきたいと考えております。

井坂委員 今の御答弁を含めて、本当に本法案は、何かお聞きすると、それは今後ガイドラインで決めていきますというお答えが非常に多い法案だな、そこも大変問題意識を持っております。

 例えば、なぜこういうことを申し上げるかというと、平成二十年の大綱にははっきり書いてあるんですよ。医療従事者、いわゆる医師、平のお医者さんがちゃんと管理者に報告しなければいけませんとなっていて、管理者が、二十年大綱だったら、委員会、公的機関にちゃんと届け出をしなければいけない。ここが法律できっちり続けられているので、事実上の内部告発に近いことが可能になっているわけでありますが、もともとはっきりそういう条文があったのに、今回わざわざ削除しているんですから、今後、ガイドラインで決める、決めないの話じゃないと思いますから、その点、経緯も含めて大臣に少しお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 平成二十年の大綱、これは、先ほど来申し上げておりますけれども、医療安全ということは言っておりますが、一方で、やはり紛争解決という意味合いもあったわけであります。ですから、外部の事故調査機関、外部といいますか公的な機関でありますが、これも、例えばこれはちょっとおかしいなと思うものに関しては警察の方に届けるというふうになっておった。まさにそこは紛争解決という部分もあったわけであります。

 一方で、今般の提出させていただいております法律案はそういう部分はないわけでありまして、あくまでもこれは調査をした上で再発防止にどうつなげていくかというところが主眼でありますので、やはり二十年の大綱に書かれている内容とはそこはかなり変わっておるというふうに御理解をいただければ、今ほど来おっしゃられたことも、ああ、そうなのかなというふうに少しは御理解をいただけるのではないのかなというふうに思います。

井坂委員 理念が大きく変わったのは理解をしておりますが、ただ、特に先ほどの患者、遺族ですら、私は別に、それが直ちに紛争につながるとは思っておりません、患者発議が。まして、医療機関内の医師、担当医師がおかしいと上に上げることは、これは紛争の話じゃなくて、純粋に、まさに医療全体のために、こういう医療事故の事例をきちんと調査していくというのに必要な発議だというふうに思いますから、今回は紛争の思想がないから医師、平医師の発議は要らないんだ、これは私は余り納得はできないわけであります。

 もし何かありましたら、お願いします。

田村国務大臣 ですから、医療事故調査・支援センターの方ではなくて、内部告発ならば病院の方にしていただければ、病院の中で管理者等々が判断をして、これはあなたの言うとおりだよねという話になれば、そこからは予期せぬという話になりますから、これは医療事故という話になってくるわけであります。

 ただ、仕組みとして、そこに第三者機関が介在するというたてつけにはなっていないわけでございます。その理由は何かというと、先ほど来申し上げておる理由からだということで御理解をいただければありがたいというふうに思います。

井坂委員 今の御答弁がありましたが、ちょっと先に、一つ飛ばして次の通告の質問をいたします。

 結局、今回はそういう責任追及の仕組みじゃないからいいんだ、多分私がいろいろお聞きすることは何でも基本的にそう答えられてしまうのかもしれませんが、ただ、一方で、患者側の立場に立てば、では、最初、二十年と違って、今回はまず院内調査だという、しかも管理者だけが報告の義務がある、こういう仕組みで本当に十分な調査ができるのか。

 あるいは、病院側の、あってはならないですが隠蔽やあるいは責任逃れ、これは今の仕組みだと可能だというふうに思います。なぜなら、現場の医師は報告の義務が法定されていなくて、内部ルールではそれはあるかもしれませんよ、ただ、法律ではなくて、現場の医師が言わないおそれが法律的にはある。あるいは、管理者も、別に義務がないんですから、いや、聞いていませんでした、下が悪いんです、こういうことも言い得るわけであります。

 その点についてはいかがですか。

田村国務大臣 それは、まず、先ほどの局長の話からすれば、医療事故にならないという意味で、つまり、まずは内部調査もしないというような意味合いでおっしゃっておられるのかというふうに認識をさせていただきましたが、基本的には、この法律のたてつけは、そこは、言っている基準を我々はガイドライン等で示します。法律は大体ガイドラインがあるんですが、この法案は、お叱りいただいておりますように、幾つもの項目がありますものですから、それだけガイドラインが多いというふうに見えるのかもわかりません。その点は恐縮に存じます。

 そのガイドラインの中で示させていただいて、先ほども申し上げましたけれども、その届け出の、どのような形で届け出るか、どのようなものを届けるかというような基準でありますとか、例というものを示させていただいたりだとか、また、一定の方々の研修、こういうものは届け出るべきものだよということを御理解いただかなきゃいけないわけでありますので、研修等々もやっていくわけでありますので、そのような意味からいたしますと、ちゃんと病院がそこは対応をしていただくであろうというのが基本的なこの制度のたてつけであります。

 委員が思っておられるようなことというのが全くないわけではありませんが、基本的に、そうではなくて、このたてつけは、そのような状況の中でちゃんと対応していただけるであろうというような形の中で、今般のような形が動いていくというたてつけになっておるわけであります。

井坂委員 確かに、世の中のお医者さんあるいは管理者の方、もちろんみんな善意の方々ですから、厚労省がガイドラインや研修をやれば、そのとおり院内でもちゃんと報告をすると思いますよ。

 ただ、まさにこういう法律をつくるのは、一方で性悪説の部分も必要であって、だから、隠蔽をするような人だったら全然きかないんじゃないか、あるいは、こういう責任逃れが管理者の方は可能になるんじゃないか、こういう疑念は少なくとも本法律では全く消えないわけであります。悪意の方にとっては全く効果がない仕組みであるというふうに思うわけであります。

 もう一つ、まだ入り口だけでも論点があるわけでありますが、医師法二十一条の問題です。

 医師法二十一条、「医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。」という非常に古い法律の問題であります。

 物の本によれば、この医師法二十一条のルーツは明治七年の通達というふうに聞いておりますが、医師が死亡診断の際に、当時は疫病や殺人や飢饉や、いろいろなことがまだまだあった時代に、死体を見て、そういうおかしな部分を見つけたら警察に届けなさいよと。当時としては理解のできるルールだったというふうに思いますが、そもそも、これは医療事故を念頭に置いてできた条文では全くないというふうに思います。

 それが、この間、たび重なる厚生労働省の拡大解釈あるいは間違った解釈が積み重ねられ、さらには、広尾病院事件や大野病院事件で、実際に医師が医師法二十一条違反に問われることが起こったということで、医療事故を警察に届けなければ、逮捕されて有罪になる可能性が今実際に残っているわけであります。

 大臣にお伺いいたしますが、通告どおりお伺いいたしますが、平成二十年大綱にあったように、最初の第三者機関への報告をもって医師法二十一条の届け出とみなす、こちらに報告すれば、医師法二十一条に従って警察に届け出る必要はない、こういうルールにすべきではないでしょうか。お伺いをいたします。

田村国務大臣 この医師法二十一条が非常に曲解されたという部分が、医療機関等々にとって大変心配事になったわけでありますが、これは法医学会の方のお考え方でありますとか、国立大学病院のお集まりでそのようなことが報告される中において、何でもとは言いませんけれども、疑わしきは報告みたいな話になりまして、本来のものでもないことまで報告をしなければならないのかであるとか、ここでいろいろな議論があった。

 実は、この医療事故調査機関の法律に関しましても、二十年のときから、この議論というのが一番ネックになっておったわけなんです。

 公的機関が調査の実施機関である、そこで、もちろん故意というのは殺人に近い話になるんだと思いますけれども、重過失みたいな話が出まして、それ自体は一体どこまでの範囲なんだ、誰の裁量なんだ、誰がこれを決めるんだ、いろいろな議論がある中において、この議論は非常にいろいろな御議論を呼んだわけでありまして、あわせて、それがパブリックコメント等々の心配にもつながってきたわけであります。

 そういう意味からいたしますと、今般は、側面的には医療機関からの見方もあれば警察からの見方もあって、それぞれ意見のところでなかなか一致しない部分もありました。そこで、今般の法律は、医師法二十一条の報告、この義務に関しては一切触れておりません。それによって各関係者の方々に一定の御理解をいただく中において今般の提出に至っておるわけでありまして、そこを入れると、なかなかいろいろな関係者の中の意見が集約できていけなかったというところがあるわけであります。

 今委員がおっしゃられた、この医療事故調査・支援センター、第三者機関の方に報告をすれば、それで警察への報告はなかったことにするというような話になると、当然それは、またそれだけのことをどう担保するんだという話になりますから、以前の、またもとへ戻って、公的調査機関がやったように、そこが警察に対して、何かあったときにはこれはおかしいですと訴えなきゃならぬというようなことにならないと、また一方の方々は納得されない。でも、そうなると、今度は医療関係者の方々が、それだと前と一緒じゃないかという話になるというような中において、今回は、医師法二十一条に関してはこの法案からは切り離した。

 ただ、そうはいいましても、いろいろな御心配をされる方々もおられますので、与党内において御議論をいただきまして、この医師法第二十一条のあり方に関しましては、本法の附則第二条で検討規定という形で置かせていただいたということでございまして、これが事の成り行きの経緯でございます。

井坂委員 まさに、医師法二十一条の免除をやろうと思えば、第三者機関は公的な性格を持って、しかも、そのお尻の部分では、またその機関自体が厳しい処分の道も持っていなければ、その免除に値するだけの要は役割を果たせない、こういう議論だろうというふうに思います。

 半分もう次の質問にかかっているわけでありますが、端的にお伺いいたします。第三者機関、平成二十年大綱は公的機関としておりました。今回は民間組織としたのはなぜか、お伺いをいたします。

原(徳)政府参考人 今ほども大臣からお答えいたしましたように、今回は、その二十一条と切り離して、責任追及とは切り離して議論を行って、結論を出したわけであります。

 このために、全ての医療機関が事案の届け出を行って、かつ調査、報告を行う機関としては民間であることの方が望ましいのではないか、こういう議論がございました。かつ、第三者機関から警察や行政機関への通報は行わない、あくまでも再発事故防止のために、民間の中で事案を検討して再発防止につなげていく、こういう仕組みをつくるということで合意したということでございます。

井坂委員 昨年の医療事故に係る調査の仕組みのあり方検討部会の最終回で配られた、それまでの、第十一回までの議論というものを取り寄せて、全部見ましたら、こういう意見がやはり書かれているんですね。第三者機関は公的な機関でなければ刑事司法との調整は難しい、一方で、よしあしを決めて司法的なものに利用するところとは独立した民間の組織にすべき、こういう両論併記で書かれていて、結局、今回はこっちの、よしあし決めるところとは独立して切り離された民間組織にした、こういう決断をされたということであります。

 では、最後にお伺いをしたいのが、本法案は、よしあしを決めるところとは独立した民間機関を第三者機関といたしました。では、その切り離したもう片方の、よしあしを決めるところというのは本法案ではどうなるのか、どこになるのか、お伺いをしたいというふうに思います。

原(徳)政府参考人 同じように、先ほどの大臣の答弁にもございました、附則の中で全体の見直し規定も入っておりますので、そういう中で、実際にまずは院内の調査をしっかりやるという体制をつくる、それをしっかりと御遺族と十分な話をする、それから、第三者機関ではそういう結果を十分に調査、分析をして再発防止につなげていく、これを動かしながら、そういう中で、今の部分についても、どういう形がいいかというのは検討を続けていきたいというふうに考えております。それが、附則の中の、全体の検討規定の中でやっていくというふうに理解をしております。

井坂委員 時間が参りましたので、また続きは次回させていただきたいと思いますが、やはりここが私は本法案の最大のポイントだというふうに思っています。

 いわゆる再発防止のための純粋な調査と、責任追及やその後の処分、そういったことを切り離したのはいいですけれども、こっちのことは今回一切棚上げにされている、何も決まっていない。全体の見直し規定といったって、この法案はここの部分ですから、本当にここが入るのかも定かではない。

 また次回、こっち側の部分、きょうお示しした図では下の右側に赤く書いてあった、いろいろ論点がありますから、その点についてさせていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 朝からの御審議で大変お疲れだと思いますけれども、またおつき合いをいただきたいというふうに思います。

 本法案に対して、前の段階で井坂議員が医療事故調の話をされておりましたが、医療や介護、医療事故調、そして特定看護師に係るそういう関係ですね。さまざまな分野、性質が異なると言うと言い過ぎかもしれませんが、医療や介護というくくりの中でそれはもちろん関係があることなんですが、今の前の井坂議員の質疑を聞いていても、いろいろ多角的に見ていくからいいんだとおっしゃるかもしれませんが、専門性も含めて、医療事故調は特にしっかりと、これは賛否がどうたらという問題ではなくて、やはりそういった機関をつくっていくに当たって慎重な議論が必要だなというふうに、改めて今聞いておりまして思いました。

 前回は、介護保険の部分、介護保険のこれからの効率化、重点化という中で、今回大きく、要支援の地域支援事業への移行、もしくは特別養護老人ホーム、要介護三以上への重点化ということについて、今現状で、その大前提となる介護認定審査、介護認定のあり方にやはり地域間格差、そのようなことを質問させていただいて終わったわけですが、これは本会議でも質問させていただいて、大臣からも答弁をいただいております。

 前回お示しした資料の、資料の三枚目になりますけれども、これは要支援一ということですから、自立と介護保険、現状のそのはざまということになるわけですが、私の地元山梨県と一番高い長崎県では四倍の格差がある。これについて大臣からは、比較的、介護認定審査、高齢化率が高い地域においてはやはり高くなる、重い病気を持っている方もおられるということで。確かに、資料の二枚目、全体の要介護度別要介護認定率ということになると、要支援の部分で比較しますと大分平均化はされてきます。ただ、まだやはり格差があるということだと思います。

 さらに、資料の四枚目、五枚目になりますと、これは要支援二、要介護一ということになっておりまして、ここがまさに、今回、要支援の地域支援事業への移行というところのはざまの部分ということになると思うんですが、先日の大臣の答弁の中で、先ほど、高齢化率が高い部分、これでもある程度わかります、それは。要するに、要介護四、五ということになると、脳溢血や重い病気を抱えて寝たきりになる、胃瘻をしている方も多くなる、これは誰が見ても、この方は介護度が高いだろうと。

 ただ、問題なのは、要支援と要介護一。これは資料の一枚目にあるように、介護認定審査の上で要支援二と要介護の一の違いは何だということになりますと、予防給付の利用の理解が困難か、日常生活自立度、そういったことで見ていくわけですね。ただ、これは、ぱっと見た目にはなかなか判断しづらい。だからこそ、介護認定審査というものがある、調査書というものがあるわけですが、本会議の答弁で、大臣はもう一つ、地域間格差について、「社会参加の状況や介護予防活動の取り組み状況等、その地域の実情により、地域ごとの認定率に一定の差異が生じることはやむを得ない」というふうに答弁をされました。

 まず、お聞きしたいのが、この一定の差異というのはどこまでを考えていらっしゃるのか。現在の格差、これはその一定の範囲内だという御認識なのかどうか、まずお尋ねしたいと思います。

田村国務大臣 前回も、最後、たしかお答えしたんだと思いますけれども、要支援に関しては、社会への参加の状況でありますとか、また、どのような予防、こういうことをやっておるかということの取り組みで、差異が出てきておると。

 一方で、要介護に関しては、やはり年齢等々もあるわけでありますし、それから、これは、正直言って、地域の差もあります。例えばの話でありますが、日常生活の中で、農業等々をやられるなどして、ふだんからよく動いておられる方、こういう方々は、比較的お元気な方々が多いというようなこともございますし、また、寒いところ、暑いところ、いろいろな要因が入ってくると思います。

 でありますから、どこまでが差が認められるか、容認されるかといったら、なかなか定量的にお示しするのは難しいわけであります。

 ただ、一般論でありますけれども、要介護認定の調査員によって差が出てくるということはよろしくないわけでございますので、それに関しましては、研修も含めて、一定の能力を持った方にしっかりやっていただけるような、そんな努力はこれからも引き続き行ってまいりたい、このように考えております。

中島委員 まだまだ改善が必要だという認識という答弁として捉えますけれども、ただ、今回の要支援の地域支援事業への移行という部分では、これは大変大事な問題だと思うんです。

 先ほども言ったように、今の介護認定審査の中で、要支援の方はこれから地域支援事業へ移行する。先ほどのはざまの中でいきますと、自立と要支援のはざまでは約四倍の違いがある、要支援と要介護の違いでも、一・八倍ぐらいの差があるわけです。同じ状態でも、あるところによっては介護保険のサービスになる、あるところに変わると、今度、地域支援事業になってしまう。

 そういう意味でいきますと、この介護認定審査、さまざまな要因、確かに、今おっしゃったように、地域活動の差だとおっしゃいましたが、まさに地域活動の差があるところに、要支援、もしかしたら介護サービスが必要かもしれない方がそちらへ入ることになるわけですから、ここをしっかりと、もっと精度を高める工夫が必要なんじゃないかと私は思います。

 先ほども大臣、答弁で、改善が必要、先ほど言った調査員の研修ですね。今までもやっていると思います、私も何度も出たことがありますので。調査のやり方云々、そのマニュアルみたいなものがあるわけです。ただ、改善していくために、ほかに何が必要だと考えているのか。

 そもそも、どこまでが地域間で格差が許容範囲なのかということは、今の介護保険認定制度の中で、さっき言ったように、要支援の方は地域支援事業へ行くわけですから、やはりここの差はしっかりと、何がいけないからこういう差が出てしまうのかは、しっかり論点整理しなきゃいけないと思うんですね。その上で、どこまで精度を高めていくのか、そのことはしっかりやっていただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 きのう、委員からいろいろと御質問の内容をいただく中において、具体的には、私よりも本来は事務方の方が詳しく説明できるのかもわかりませんが。

 認定調査員に対する研修内容、そしてまた、研修以外の取り組みは一体どういうことをやっているんだということに関しましては、昨年、全国十三カ所で、都道府県職員、市区町村の指導的立場の認定調査員を対象といたしまして、例えば認定調査の基本的な考え方、それから一次判定ソフトの基本的な構造、さらには介護認定審査会の手順とポイント、そして、これは重要なことだと思います、模擬審査会と特記事項などのテーマで、二日間かけて、講義と演習を組み合わせた研修を実施いたしております。

 そして、研修以外の取り組みといたしましては、自治体の介護認定審査会を訪問し、その審査について技術的助言を実施、これは昨年、五十自治体やっておるようであります。それから、要介護認定調査に関する学習ができるよう、認定調査員向けのEラーニングシステム、これを運営しております。さらには、介護認定審査会向けDVD教材、これを各自治体へ提供等の取り組みを行っておるわけであります。

 このような形の中で、認定調査員の方々の質というものの差異をなくしていく、このような努力をさせていただいてきております。

中島委員 恐らく、今までもやってきているけれども、やはりこれだけ差があるという結果だと僕は思うんですね。であれば、やはり違う原因もあるんじゃないか。

 なぜ私はそこにこだわるかというと、先ほども言ったように、私の北杜市、一番最後の資料にきょうも出しましたけれども、非常に評価していただいて、大変うれしく思います。私も、まさに平成十六年からこの事業にかかわっていた一人ですから、そのような評価を受けるのは大変うれしいんですが、ただ、実際、今回の要支援一、二の方が本当に地域支援事業で今後請け負っていけるのかどうか、また、その辺は大変不安に思われている方、事業所も多いわけです。

 そういう中で、山井先生、またいなくなりましたが、きょう和光市の例が出て、私も北杜の事業について、どういう人が対象で、その中に要支援の方がどのくらいいたのかということを調べさせていただきました。そうしますと、北杜のこの事業については、NPOとか、任意団体、社協、介護保険事業所、その中に私たちの事業所も入っているわけですが、通所介護でいくと五十二人、そのうち要支援の方は三人しかいないんです。そして、生活支援ということになると、やはり二十七人中三人なんです。

 そうなっていきますと、もともと非該当、自立されている方にこういう事業をやって、その結果どうなったか。もう一個調べたのは、要するに、要支援の方々が地域支援事業の中で、この三人の方、結果どうなったか。もちろん、目指すべきは、また自立されていくことが最高なわけですが、残念ながら、その三人の方、お二人とも要介護の方へ移行します。これは現実問題ですけれども、要支援と一度認定を受けた方が、またその生活が自立されていく確率はほとんどない。私は現場で実際やっていて、そのように思います。

 そういう中で、やはり私の地元北杜市はそのように取り組みができていて、いい結果というか、介護認定率は一一%ぐらいまで下がってきたということなんですが、やりたくてもできていない、それはやりたいんだけれども、なかなか取り組みがうまくいかない、どのような事情で取り組めていないのか、原因等は厚生労働省としてどう把握されているのか、お尋ねいたします。

原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。

 現行の地域支援事業でございますが、地域の実情に応じた市町村の取り組みを推進するものとして、介護予防事業でありますとか、地域包括支援センターの運営等の包括的な支援事業が全ての市町村で実施されております。

 こういった事業について市町村の格差があるということでございますけれども、その理由といたしましては、一つは、やはり何といっても、市町村における体制、特に専門職を初めとした人材の確保みたいな問題、あるいは、生活支援サービスでいえば、そういう生活支援サービスの基盤みたいなものの差。

 こういうようなものに加えまして、例えば地域包括支援センターの実施している事業の点検や評価が十分には行われていないとか、あるいは、市町村と地域包括支援センターとの意識の共有が十分ではない。市町村がみずからやる場合はいいんですけれども、地域包括支援センターを他の事業者に委託をしているという場合もございますので、七割ぐらいございますけれども、そういった連携が十分でない。いろいろな要因があるのではないかと考えております。

中島委員 問題意識を本当に持っておられるかなと私は非常に感じるんですが。

 要するに、要支援の方、先ほど言った、もともと介護保険の理念自体もそうかもしれません。もちろん、自立した生活を長く続けたい。ですが、人間ですから、いつまでもお元気でというわけにはいかないわけです。そして、要介護認定、認定された以上、何かしらの課題がある。そして、同時に加齢というものもなっていけば、当然その先、要介護になっていく。

 私、以前も言いましたが、要支援は、加齢によって認知機能が低下してきたりとか、そういう問題から要支援になっていく。そして、加齢の中から骨折をしたり脳溢血、そのような病気から一気に要介護に進んでしまう。ですから、これは、民主党の議員、またいなくなっちゃいましたけれども、要するに、ここの部分は非常に大事なんです。

 先ほど言ったように、認定率、私の地元山梨県は非常に少ないわけですが、だけれども、一方で、長崎県は四倍ぐらいの高さということは、今現状で地域支援事業を整備ができていないわけですよね。そこへ今回の法改正、来年からその方たちをそのできていないところへ、放り出すというとちょっと変ですが、ただ、一方では、そういうことを無理やりやらせることでそういう整備をさせるという言い方があるのかもしれませんが、私は、余りにも乱暴だなという印象を受けます。

 そして、もっと違う要因、さまざまな要因というふうにおっしゃいましたが、ちょうど原老健局長さんお答えいただいたので、四月二日の厚生労働委員会の中根委員の質問で、原老健局長が、一月二十一日の全国厚労関係部局長会議で発言があったと。この部局長会議で原老健局長は、「全体の要介護・要支援認定者を減らし、事業を効率化・効果的に実施していく体制にもっていきたい。」というふうに御発言したことに対して、中根委員からは、初めから要支援、要介護者を減らしていくことが大前提にあるということを示唆するような発言で、自治体は要介護者をふやしてしまうと老健局長に叱られてしまうんじゃないか、あの自治体は何をやっているんだと叱られてしまう、これは水際作戦を暗に示唆されているんじゃないかと。

 今お笑いになりましたが、これは私は原老健局長さんを責めているわけじゃないんです。それは、お立場からすればそういったことを言わざるを得ないということなんですが、言っていないんですか、これは。(田村国務大臣「意味合いが違う」と呼ぶ)意味合いがね。まあいいです。

 ただ、これは私は実際に座長をやっていて、自治体の受けとめ方というのは、効率化、重点化ということに対して、特に高齢化率が高い地域において、今回、北杜市、大変評価されているのはうれしいと言いましたけれども、もしかしたら叱られてしまうんじゃないか、高齢化率が高いからといって、介護認定率が高いまま、あんたのところは何をやっているんだと、そういう意識が働く。

 そして、私が何でそういうことを言うかというと、もちろん、全国一律のガイダンスみたいな、マニュアルみたいのはあります。ただ、実際の介護認定を始めるときには、我が市は財政が大変なんです、もちろん介護認定は大事な問題ですが、だからといって、かわいそうだとかそういった概念の中で介護認定は絶対しないでください、そのような指導もあるわけです。

 これは私の市だけではなくて、いろいろな高齢化率が高い地域において、介護度はあくまでも客観的に、それは客観的でいいんです。その一方で、年齢も考慮しない、家庭環境、例えばひとり暮らしであろうが老老だろうが二世代だろうが、もっと言ってしまうと、施設にいようが関係ないです、あくまでも客観的にその人の個別性で見てくださいというふうに指導されるわけです。

 もちろん、それは理屈としてはそうかもしれませんが、やはり介護、自立ということを考えていけば、ひとり暮らしの人と老老の人、もしくは二世代、三世代で住んでいるおうち、もっと言ってしまうと施設にいる方と、今後の介護度のあり方を平等で考えるというのはやはりちょっとおかしい、私はそう思うわけですが、大臣はどうですか。

田村国務大臣 要介護度は、やはり本人がどういう状態であるかということを判定するわけであります。それは認知症も含めてでありますから、認知症も要介護認定の見直しの中でそれをしっかりと判定できるような、そういう取り組みをしてきたわけであります。まだ足らないと言われれば、ばらつきがあると言われれば、そこは直していかなきゃいけないところだとは思いますけれども、そうやって、個人の状態像を含めて要介護認定はするわけであります。

 一方で、ケアプランをつくるときは、当然のごとく、置かれている環境、家族がどうであるとか、ひとり暮らしだとか、つまり、受けるサービスというものはそれに応じて変わってくるわけでありますので、その部分で、今委員が言われた部分というのは、しっかりと生活ができるような形でプランニングしていくということでありますので、そこはやはり、ケアプランをつくる場合と要介護認定をする場合と若干違っておるわけでありますから、そこはそこで、ちゃんと生活できるような形でプランをつくっていただければそれでいいというような形の中で、今この制度というのが動いてきておるというふうに御理解いただければありがたいと思います。

中島委員 先ほど言ったように、それぞれ、そういうプランニングの中で個別性とか客観性というのは大前提だとは思うんですが、先日の報道でもありました、これから独居の高齢者がどんどんふえていく。やはり、私は実際に訪問診療に行っていて、では、独居の方ががんを抱えたにしても認知症にしても、残念ですが、この先の見通しというのは非常に厳しいと思います。

 ただ、それを、独居だろうが、二人暮らしだろうが、介護施設にいようが、同じ客観性の中で、例えば、今回のように要支援一なのか二なのか、それとも要介護一なのか、まさにここのはざまのところが、今後の、その方たちがどういう移行の仕方をしていくか、大変重要なところだと思うんです。

 その論点というか、冒頭にお聞きしたのは、この介護認定審査の地域間格差というものがどこまで平均化するということをちゃんと示さないと、これはなかなか、地域の取り組み、先ほど言った、何度も言いますが、原老健局長さんを責めているわけではなくて、今回、例えば要支援の地域支援事業、特養の要介護三以上への重点化ということを声高らかに言ったとします。そうしますと、恐らく多くの自治体、事業所もそうなんですが、申請の段階で、例えば特別養護老人ホーム、今、私の嘱託している特養は八百人ぐらい、もう待っています。そういう中で、皆さん、今後のことを不安視して申請しようとするわけです。

 もし、今回、要介護三以上を重点化ですよということを声高らかにしてしまうと、それだけ待っている段階の中で、申請の段階から受け付けないということは間違いなく起こると思うんです。そして、要支援、そこの移管の部分もそうなんですが、非常にそういったことを危惧して、そのはざまに陥ってしまう要介護一や二の方、この方たちが、ひとり暮らしであったり老老の方たちが、そのサービス提供も含めてですが、大変困ってしまうんじゃないか。

 実際にそのようなことを経験しているということで、この介護認定審査のあり方と地域支援事業への移行の部分は、この大前提である認定審査の考え方をしっかりと論点整理していただかないと、先ほども言いましたように、ある地域ではこういうサービスを受けられるのに、ある地域では全く受けられない、結果、そのはざまに陥った方々が一気に要介護になってしまう、そして、そのときには特養も入れない、そんなことになってしまうんじゃないかというふうに思います。

 もう一点、介護認定期間ですね。今、最高で二年ということになっております。この介護認定審査、先ほど言ったように、私も出ていたということですが、一時間の間に八十件とか九十件やるわけです。全国共通のソフトで出た一次判定の結果等、先ほど言ったように、煩雑になってくるわけです。その中で、本当にその人の状態を見た調査、認定審査になっているのかどうか。本当に客観的に振り分けられてしまうように要介護度が決まってしまう、そんな中で、今回、要支援一、二、間違いなく問題があるわけです。

 やはり、認知症、軽度な認知症といいますが、認知症は病気です。病気を抱えている人が、同じ病気を抱えていながら、日内変動の中で、ある一方の方はこういうサービスを受けられるけれども、これは何度も言うようですが、地域を信頼していないわけではないんですが、先ほどのように、地域間で、まだ整備されていない地域へぽんと放り出されたときに、大変問題があるんじゃないかなというふうに思うんです。

 ですから、介護認定審査、一つの工夫で、これは御提案なんですが、最高で今、二年ということになっております。ただ、私の認識ですと、先ほど言ったように、施設に入っている方は担当のケアスタッフがいます。そうであれば、状態は常に担当の者が見ておりますから、ある意味、五年でも十年でもいいんじゃないか。それはなぜかというと、状態が変わったら区分変更すればいいわけです。

 そのかわり、在宅、居宅にいる方は、それを誰が主になって見ているかというと、独居の人はヘルパーさんもいるかもしれませんが、やはり家族がなかなか判断できないのであれば、そういう方たちは、年に一回必ず正確な調査をしなきゃいけない。でも、そのかわり、施設にいる方は、大きな変化がないと判断されれば五年でもいいんじゃないか。

 そういう工夫をしながら、介護認定審査の、今回、本当に大前提だと思うんですね、そのように思うわけですが、いかがでしょうか。

原(勝)政府参考人 答弁に入ります前に、私の全国部局長会議での発言につきましていろいろと議論になっておりますので、一言だけ弁明をさせていただきたいと思います。

 私の発言が言葉足らずで、議員が御心配になっているようなこと、誤解を与えているのであれば、おわびを申し上げたいと思いますけれども、私の発言の趣旨は、予防給付の見直しや介護予防、生活支援サービスの充実を通じて、介護予防や自立支援が進み、結果として要介護、要支援者にならない人をふやしていく、そういう趣旨で発言をしたものでございます。

 要介護認定制度は、こうした見直しが実施されるか否かにかかわらず、議員がおっしゃっているように、全国一律の基準に基づきまして公平公正に運用される必要があると考えておりますので、そのことを明確に申し上げておきたいと思います。

 また、御質問でございますけれども、要介護認定におきまして、在宅の状況でございますとか年齢だとか家庭環境、こういったことも加味して考えるべきじゃないかと。

 これは、一次判定は確かにコンピューターで機械的にというか論理的な計算をして要介護の基準時間を出すわけでございますけれども、二次判定におきましては、審査会で、専門の先生方が、合議の中で、認定調査書やあるいは主治医意見書の特記事項に書かれているような中身から、例えばその方が単身かとか家族の状況はどうなのかとか、そういったこともやはり踏まえた上で総合的には判断されているものと考えております。

 また、そういう状況でございますので、例えば、御質問がございました有効期間についても、最短三カ月から最大二十四カ月まであるわけでございますが、これもやはり二次審査の場におきましてそういったいろいろな状況を勘案して判断していただいているということでございます。

 そこで、施設と在宅で有効期間に差をつけてはどうか、こういう御質問でございますけれども、これにつきましては、申請者の心身の状況が適切に反映された介護の必要量に基づきまして要介護度が認定されるためには、一定の期間ごとに要介護度の評価、判定をやはり実施することが適切ではないかと考えております。必要以上に長期に及ぶ認定の有効期間を設定することはいかがなものかなということでございます。

 現行の認定制度においても最長で二十四カ月の有効期間を設定しているところでございまして、今後とも、申請者、利用者の心身の状況を適切に反映できるような要介護認定制度の運用に努めてまいりたいと考えております。

中島委員 また時間になってしまうので、まだいっぱい通告してあって、聞きたいことはたくさんあるんですね。

 今言ったように、一次判定は、本当に客観的にソフトで、コンピューターでやります。それをもとに、それぞれの個別性を重視した専門の合議体が判断するとおっしゃいましたが、実際には、高齢化率が高い地域では、先ほども言いましたが、一時間に八十件ぐらい審査するんです。ということは、その論点をまとめて、本当に個別性をその中で重視するようなものに、実際、介護認定審査がなっているのかどうか。

 先ほど言ったように、それぞれの状態を一年に一回見るということ、もちろんそれは重要だとは思うんですが、であると、ちょっとまた論点は変わっちゃうかもしれませんが、では、施設は居宅なのか、それともあくまでも施設なのか、どういう基準でおられるのか。

 例えば、私、この後、特別養護老人ホームの話をしようと思ったんですけれども、そもそも、特養は居宅なのか、それともあくまでも施設なのか、そういうところから本来話を詰めていかなきゃいけないんじゃないか。もちろん、専門のケアスタッフが見ている中ですから、では、なぜ御自宅と同じような判断基準で審査しなければいけないのか、そもそもどっちなのかというところを、また次回聞こうと思っております。

 そんな中で、要介護三以上、地域独自の優先入所の対象というものが今決められている中で、先ほども申し上げましたように、今回の法案で、声高らかに、要介護三以上は特養の優先ですよと言ってしまうと、これは優先入所の基準にさえ査定されない方々が多くふえてしまう可能性があるということだけは御認識をしていただきたいというふうに思いまして、私は、どうしても介護保険、先ほど井坂先生がおっしゃっていたように、医療事故調のことをたくさんやりたいんですが、この話だけでも、私も口足らずで、なかなかいい質問ができなくて申しわけないんですが、また次回も恐らく介護保険の話をさせていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 冒頭に、きょうの委員会の最初に、地方公聴会が、全党の合意が得られない形で起立採決という形で行われたということを非常に残念に思っております。たくさんの傍聴されている方たちが、公聴会の日付が十二日ということだったので、その前後でもう決まっちゃうのかというふうに思われたとすれば、非常に不本意である。もちろん、私は、当然十二日はまだまだ早過ぎる。間にいっぱいあいているんだけれども、それは全部連休で塞がってしまうわけですから、早過ぎると思っております。

 ただ、やらないという選択肢はないのだという立場であるということ、採決の前提としない、そして、この後行われる参考人質疑や地方公聴会の議論を踏まえて、さらに審議を深めていくべきだと思っておりますので、委員長に確認をしたいと思います。

後藤委員長 運営については、理事会でしっかりと相談してやらせていただきます。

高橋(千)委員 そういうことが理事会でも実は確認をされておりますので、また、きょうの議論を聞いていても、まだまだ課題が出てくるということで、私、もう絶対きょう問いを残すなと思っているんですけれども、そういうことですので、しっかりと議論を深めていきたいと思います。

 そこで、まず大臣に伺いたいと思うんですが、ある女性の義理のお姉さんが脳梗塞で倒れて病院に運ばれました。きょうあすの命と言われたんですけれども、一命を取りとめたんですね。お兄さんが本当に献身的に病院に通いまして、意識を戻さないんだけれども、声かけをして、それが功を奏して一命を取りとめた。しかし、実際には寝たきりなんですね。そのまま、次の転院先を直ちに探さなければならない、こういう状況に追い込まれています。

 まさに、こういう現実というのはみんなの周りに起こり得ることだし、現実に起こっていることだと思うんですね。それが家族を一気に経済難に追い詰めたり、あるいは、家族を介護に縛りつけて、仕事もやめて縛りつけて、本当に残念な事件などが起こっていく、これが現実ではないか。その認識と、今度の法案がそれに応えることができるのか、大臣に率直に伺いたいと思います。

田村国務大臣 今委員が、脳梗塞でお倒れになられました方のお話をされたわけであります。

 まさに、一定期間急性期におられて、急性期の病院を出られて、次どこも行くところがない、その結果、リハビリが受けられないでありますとか、自宅に戻られましたけれども在宅での医療を受けることができないでありますとか、そもそも、介護等々、要介護度が重度になって十分なサービスを受けられないでありますとか、現状において種々いろいろな不満があられる、医療、介護等々を含めて不満があられるという話は我々も聞くわけであります。

 そこで、今般の法律でありますが、急性期の後の受け皿をどのように整備していくかということ、これも大きな眼目であります。そして、その受け皿の、これは病床だけではなくて、在宅でしっかりと医療を受けられる、こういうような体制をつくる、これも今般の法律の中において大きな一つの目標であるわけであります。

 そして、さらに申し上げれば、やはり自宅で医療と介護をしっかり受けられる体制づくり、地域包括ケアシステム、いつも申し上げておりますけれども、こういうものをしっかり整備する中において、安心して生活ができる環境を整える、これもこの法律の中の大きな目的であるわけでありまして、ぜひともそのようなことを進めさせていただきたいというもとに、今般、この法律を提出させていただいておるということであります。

高橋(千)委員 在宅で医療ということが言われましたけれども、本当に、受け皿整備が追いついていかない中で、待ったなしで病院を出される、やはりこういうことがあってはならない、助かったことが喜べないということがあってはならない。私は、今度の法案がそういう危険を物すごく拡大するものではないかということをあえて指摘したい、このように思っています。

 それから、もう一つ大臣に、通告していないんですが、きょう、何人かの方が名古屋高裁の話をされましたよね。認知症の男性がJRにはねられて死亡した事件。八十五歳の妻が、この方も要介護一なんだけれども、二人きりでいて少しうとうとしたすきに出ていったことではねられた、それに対して妻に責任と断じられたわけですね。

 私は、きょうこのことを取り上げた方たちが、こういうことが広がってはならないというふうにおっしゃったんですけれども、事件は終わっていないんですね。高裁ですから、これは決めちゃいけないんですよ。認知症の人と家族の会の高見代表は、とても承服できない、こういうコメントをしています。当たり前だと思うんですね。こういう判決がまかり通っていけば、誰だって家族はもう受けられないですよ、追い詰められていますよ。

 やはりそこは、社会が、本当にこうした事件を起こしてはいけないんだという立場に立って、これを単純に妻の責任にしてはならないという立場で言っていかなければならないんじゃないか。大臣、率直な感想を伺いたいと思います。

田村国務大臣 我々、行政でございますので、司法の御判断というものに対して口を挟むわけにはいかないわけであります。

 ただ、今委員が言われましたとおり、これで確定したわけではないわけでありまして、この後どのような形で対応されるかは私は存じておりませんが、さらに上の判断を仰がれるのかどうかも含めて、我々としては、この事のてんまつ、これを見守らせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、このような不幸なといいますか、非常につらい事象がこのような形で起こっていくこと自体が、大変我々、今の社会の中において十分に環境が整備できていない、厚生労働省としてもまだまだ力不足なところでもあろうというふうに思います。

 今回の法案は、そういう意味では、一つは認知症に対する対策、これもこの中に入ってきておるわけでございますが、いずれにいたしましても、それだけではなくて、地域でどうやって、そのような方々に対して見守りも含めて対応していくのか。よく申し上げますけれども、地域の自治体、警察、住民、さらには関係機関、こういう方々がしっかりネットワークを組みながら、このような事件といいますか事象が起こらないような、そんな体制もつくっていかなきゃならぬわけであります。

 きょうも申し上げましたけれども、今回の件に関しまして、いろいろな話の流れがあるわけでありますが、行方不明でずっと身元がわからないというような方々もおられます。警察等々とも協力をしながら、自治体とも協力しながら、実態を調査する中において、どのような対応があるのか、これも検討してまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 これ以上は言いませんけれども、司法と行政は独立していますけれども、やはり行政の判断あるいは議論というのは司法に影響します。また、司法の判断というのが、この間ずっと法律を変えてきたように、大きく影響するんですね。だから重要なんですよ。

 だから、地域で支える、そういう体制をつくるんだ、法律はそうなったんだとなったら、地域で支えていないから責任があるんだとなったりとか、あるいは施設の責任じゃないか、単純にそうなっては困る。そこの体制が十分できていない、悲鳴が上がっている、なのに、整備することになっているんだからということになっては困りますので、そういう意味で、この事件はまだ終わっていないということで本当に注目をしていきたいし、私も怒りを持っているので一言言わせていただきました。

 次の問いに入りたいと思うんですけれども、資料をちょっと見ていただきたいんですが、これは、介護される人もする人もみんな笑顔に!北海道連絡会というところが集めたアピールの賛同者の表であります。「「要支援者への介護予防給付を継続すること」「特別養護老人ホームへの入居を要介護三以上に限定せず従来通りとすること」を求める共同アピール」、簡単に一部だけ読みます。

 二行目、「要支援者は、廃用症候群や引きこもり等、心身の機能低下を防ぎ、生活を支えるために適切な介護を必要としている人々であり、独居や老老世帯で頑張って暮らしている方が多くいます。この人たちから介護サービスを奪うことは、生活を奪うことを意味します。」

 また、下の方を読みます。「しかし、要介護一・二であっても、介護者がいないなど「終の棲家」として特養への入居が必要な方が少なからず存在することはこれまでも明らかになっています。今後も特養入居については、利用者家族の選択を尊重し、入所判定は事業者の主体性に任せるべきと考えます。」

 私、実は、介護の質問をするに当たって、やはり一番の距離感を感じたいということで、三十分圏内の地域包括ケアなんてとてもほど遠い、いわゆる距離感ですよね、それを感じたくて北海道に行ってまいりました。そのときに、こういうアピールに取り組んでいまして、どんどんどんどん集まって、これは中を省略しているんですね。最後、七百七十団体まで集まっています。

 見ていただければわかるように、石狩やオホーツクから札幌までずっと、社協の方たちも名を連ねているんです。ですから、いわゆる我々とよく協力、共同している民主団体とか、そういう枠では全くない、党派を超えて、本当に介護を、今のままでは危険だという声を上げているということを受けとめていただきたい。

 それから、二枚目の右の方に書いてありますけれども、中央社保協が、各自治体が意見書を提出して上がってきている採択の件数、これもどんどんどんどん上がっております。自治体も意見を上げている、こういう状況だということをぜひ踏まえていただきたいというふうに思っています。

 そこで質問をしますけれども、特養ホームの入所者を要介護度三以上に絞る、この問題ですが、資料の三枚目に書いてあります。

 ここで、丸ポツの二つ目、線を引いてあるところですが、「やむを得ない事情により、特養以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、市町村の関与の下、特例的に、入所を認める」と言いますが、やむを得ない事情とは何か、また、この特例入所について指針で書くことになるのか、具体的にお答えください。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 議員が提出されています資料にもございますけれども、やむを得ない事情といいますのは、この参考のところにございますように、知的障害、精神障害等も伴って、地域での安定した生活を続けることが困難な場合、あるいは、家族等による虐待が深刻であり、心身の安全、安心の確保が不可欠な場合、あるいは、認知症高齢者であり、常時の適切な見守り、介護が必要な場合、いろいろとあろうかと思います。

 こういうことについて、具体的なものについては、今後、現場で運営をされている施設の方やあるいは市町村の関係者の方からいろいろ御意見を聞きながら、検討していきたいと考えております。

 また、このやむを得ない事情については、入所判定の公平性を確保するため、各市町村等で判断基準に大きな差異が生じないように、関係者の意見も踏まえながら、厚生労働省において指針を策定したいと考えております。

高橋(千)委員 今、指針だということをおっしゃったんですけれども、私が出した資料の三つの点を読み上げられたと思うんです。

 認知症の問題は昨年の国会でも随分議論になったから、これは外すんだということは、特例入所を認めるんだということで議論されたんだと思うんですよ。ただ、知的障害、精神障害、虐待、認知症、これしかないのかという議論なんですよ。

 でも、本当は、昨年の十月三十日の介護保険部会では、特養ホームの重点化に当たって、特養の施設の方から意見を聞いているんですよね。そのときにいろいろな意見が出てきているはずです。認知症による頻繁な徘回がある、うつによる逸脱行為がある、同居人も要介護であり、経済状況が困難である、独居で孤独であり、孤立による事故死とか自死が懸念される、そういう、やはりホームならではの、施設長ならではの具体的な議論がされました。

 ですから、今言われた三つのほかに、家族によるサポートが期待できず、また、現に地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないことを要因にとっている。つまり、これは、広く現状を見て、とっているというふうに受けとめられるんですね。

 そういう議論をしてきたんですから、そのまま受けとめるべきだ、広く見るべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 まず、三以上、重点化を重い方々にさせていただくというのは、その方々が皆さん入っておられるのならば、それよりも軽い方々という話になるんですが、残念ながら、重い方々もまだ入れていない方々が多くおられる。それは、待機の状況を見れば、委員も御理解いただけるものだというふうに思います。でありますから、そこの重点化ということは一定の御理解をいただければありがたいというふうに思うわけであります。

 ただ、一方で、言われたとおり、三ではない未満の方々、一、二であったとしても、認知症の問題でありますとか、また、知的障害、精神障害の中において生活が御自宅ではなかなかできない方でありますとか、種々のこと、虐待もそうでありましょう、こういうものに関しては、やはり御自宅ではどうしても対応できないということでございますので、特養の入所という意味では、特例的にこれを認めるというようなことを今般盛り込ませていただきます。

 これは指針で示すわけでありますが、今委員がおっしゃられました、家族のサポートが期待できない、さらには、地域での介護サービスでありますとか生活支援サービス、こういうものが十分に提供される環境にないというような場合は、これはもう生活ができないということでございますので、そういう場合も含めて、この一定の要件の中に含めることも含めて、これは指針の中でお示しをさせていただくことになってこようというふうに考えております。

高橋(千)委員 今言ったことを含めてという意味だったと思います。確認をさせていただきました。

 そこで、重い人がいるんだからということをおっしゃるんですけれども、そうなんですね。では、その重い人が入れる、あるいはどこかに行ける、そういう受け皿があるのかということも議論しなくちゃいけないと思うんですね。

 同じ資料の下の方に、介護度に応じて、待機している方の状況が書かれております。例えば、要介護四から五の方で在宅の方が今八万七千人いらっしゃる。介護度三以上で見ますと、もう既に十四万人を超えるわけですね。

 それで、ここにある資料は、今、毎年特養に新規入所する方というのは大体十四万人いらっしゃる、その内訳がこの三本目の棒グラフなんですね。それでいっても、介護度三以上の方たちも半分は入れない。しかも、これは単純計算でいかないですよね。だって、幾ら数の上ではそうだっていったって、自分の地域に施設をつくらなかったら入れないわけです、青森から東京にいきなり引っ越してきなさいという話ではなくて。ですから、現実にはまだまだキャパがないということはあるわけですね。

 そうしたときに、施設整備については、必要量、予算などをどのように考えているのか、伺います。

原(勝)政府参考人 まず、特別養護老人ホームでございますけれども、これは広域型あるいは地域密着型を含めまして、市町村のサービスの必要量の見込みを踏まえまして、市町村や都道府県が策定します介護保険事業計画等によりまして、計画的に整備をしていくというのが基本だと思っております。

 広域型については、税源移譲で、国が直接施設整備に対して補助をするという仕組みは今ございませんけれども、地域密着型、定員が二十九人以下の特別養護老人ホームや認知症グループホーム等につきましては、各都道府県に設置された介護基盤緊急整備等臨時特例基金の実施期限を平成二十六年度末まで一年延長するとともに、基金が不足する都道府県内の整備分として、平成二十五年度補正予算で、介護基盤整備のための国からの市町村への交付金を二百六十六億円計上したところであり、これらを活用して、必要とされている整備を行っていくこととしております。

 また、今後でございますけれども、介護保険事業計画における今後のサービス見込み量については、今回提出させていただいています法案におきまして、当面の三年の計画期間は当然でございますけれども、それだけではなくて、二〇二五年に向けた中期的な視点も見込んで策定をしていただきたいということで、法案を出させていただいております。

 当該計画の策定に当たりまして、今後、市町村が地域の実情に即した適切なサービス量を見込めるように、私どもとしても、推計のための計算ソフトの提供だとか、いろいろな技術的な支援をしていきたいと考えております。

高橋(千)委員 今おっしゃられたこと、資料の四枚目に、まず、施設整備費の現状と変遷ということで、上の段につけました。平成十八年度から特養ホームは一般財源化をされてしまって、そもそも予算がつかない。その下に、市町村交付金ということで、介護基盤緊急整備等臨時特例基金ということがやられてきて、地域密着型などがやられている。

 本当は、地域密着型というのはいいのかもしれないけれども、二十九人以下というのは実は採算がとれないんですよね。そういう大変な中で、頑張っている地域では、施設整備もしながら頑張ってきているんですね。

 その下の表を見るとわかるんですよ。括弧の中が基金なんですね。括弧の中と整備した人数を見ますと、やはり基金に頼らずに頑張っている。この四年間のトータルで十六万二千人ですけれども、そうやって頑張っているということがわかるんだと思うんです。

 それで、今説明があったのは、結局、医療と一括だ、一つの基金にするんだという話だったと思うんですね。だけれども、医療の基金については、この間議論してきましたが、九百億ですよね。この規模からいうと、これまでは五年間で三千七百九十七億円だったわけですから、かなり厳しいんです。どこから出ますかということもはっきりしないんですね。これは一体改革の中でもいろいろ探しましたけれども、よくわからない。本当にこの水準が維持されるんでしょうか。大臣に伺いたいと思います。

田村国務大臣 今も局長の方から話がありましたが、小規模な地域密着型の特別養護老人ホームでありますけれども、介護基盤緊急整備の臨時特例基金という形で対応してきたわけであります。

 新たな財政支援制度は、これは少なくとも今年度からスタートしておりますが、今年度は介護は入っていないわけでありまして、九百四億円は医療中心であります。そういうような意味で、この基金を一年間延長して、そして補正予算で今言ったような金額を手当てしたわけでありますが、これからは、新たな財政支援制度に関しましてはこの法律にのっとって運営をしていくということが前提でありますので、そういう意味では、法律にのっとったそのような財政支援制度、そして、これは消費税というものを財源に考えておるわけでございます。

 毎年の当初予算の要求の中において、いよいよ来年度は介護も入ってくるわけでございますので、必要な額というものをしっかりと、我々も各地域から情報等々を収集いたしまして、必要なものをしっかりと確保していくということでございます。

 委員が御心配のなきよう我々も最大限努力してまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 どんなに地域や在宅で支えるといっても、施設が必要なことはまだ現実としてあるわけですから、しかも、そういう中でいろいろな形で頑張って、グループホームや小規模多機能という形で整備をしてきた方たちを見てきました。その方たちの頑張りに応えるように、この水準はやはり維持していくということで頑張っていただきたい、このように思います。

 次に、介護予防に入りたいんですが、時間がほとんどなくなってきたので、さわりになってしまうと思うんですけれども、資料の六枚目ですが、予防給付の見直しと地域支援事業の充実ということで、昨年の国会でも随分議論をされたことで、新しい総合事業に移行する中身が全部ではなくなって、それで訪問介護と通所介護が移行するということになったわけです。

 それで、大臣が何度も、特に山井委員などに質問されて答えているのは、専門的なサービスを必要とする人には専門的サービスの提供をすると言っています。その専門的サービスが必要な人とは、どう選ぶんですか。

原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。

 要介護認定申請というのは、今後もどなたでも被保険者であれば申請ができるわけでございまして、その制度をなくすということではございません。また、認定申請ではなくて、簡易な判定という形で、基本チェックリスト、これで判定を受けてサービスを受けるというような選択も可能でございます。

 そういう中で、市町村が行いますケアマネジメントに基づきまして、これまで同様に、地域包括支援センターが利用者の意向や心身の状態像、置かれている環境等を踏まえて、専門的なサービスを必要とすると判断される人には専門的なサービスを引き続き継続するということは可能であるということでございます。そういう仕組みにしているということでございます。

高橋(千)委員 答えになっていません。専門的な人をどうやって選ぶのかと聞いています。

原(勝)政府参考人 専門的という意味は、現在、予防給付として事業所を指定しまして、そこで行われている訪問介護サービスあるいは通所介護サービス、このことを申し上げているわけでございます。そこで行われるサービスのことを専門的サービスと申し上げているわけでございます。

高橋(千)委員 全然意味が違うんですよ。

 大臣、私が聞いている意味わかりますよね。何回も議論されてきているじゃないですか。要支援の人というのは軽度者じゃないんだ、介護が必要なんだとこれまでずっと議論されてきて、参考人まで来た。それに対して、必要な人には専門的なサービスをしますと言って、だから、その人をどうやって分けるんですかと聞いているんじゃないですか。大臣、答えてください。

原(勝)政府参考人 先ほど言いましたように、要介護認定申請、これは今後も制度は残るわけでございますし、地域包括支援センターにおきまして、本人の意向だとか状態像を踏まえまして、どういうサービスが必要かということを判断するということでございます。

高橋(千)委員 全然意味がわからない。それで、何でわざわざ介護給付から切り分けるんですか。

 新しい総合事業は、もともと介護保険でやっていたときと同じ予算をつけると何回も説明していましたよね、だからお金は変わらないんだと。そうすると、では、専門的なサービスの中身というのは、介護予防給付のときと同じなんでしょうか。同じだとすれば、利用料も同じなんでしょうか。どうなんですか。

原(勝)政府参考人 今回の見直しの趣旨は、軽度者の方、あるいは、そこまでいかないようなひとり暮らしの高齢者の方とか、そういった方にとって必要となっているのは、専門的なリハビリ職の方がやるような機能回復訓練、こういうふうなものもございますけれども、生活支援サービス、そういったものが非常にニーズが高いということでございまして、そうしますと、これは今の予防給付の中ではなかなか提供ができない、事業に移すことによって、多様な主体による多様なサービスというものを広げたいということで提案をしているものでございます。

 ですから、引き続き、要支援認定を受けている方で、現実に今訪問介護事業所に通って専門的なサービスを受けている方については、ケアマネジメントで必要だと判断される場合には、継続してそれを受けられるということを申し上げているわけでございます。

高橋(千)委員 完全に論理が破綻していると思いますよ。

 今局長がおっしゃっているのは、チェックリストを資料の七枚目につけておきましたけれども、これは、認定を受けなくてもいい、簡単なチェックリストでわかる人の話なんですよね。そういう人は、地域支援事業の中で、多様な主体でやっていこうという議論でしょう。だけれども、今言っているのは、介護認定を受けて、必要な人に専門的なサービスをやりますと言っているんだから、それは介護保険給付の中で今までどおりやればいいんですよ。何が違うんですか。それはおかしいですよ。

 大臣、言っている意味わかりますか。

田村国務大臣 介護保険の場合は、要は、その中において一定のルールがあって、一律で、十分に受けられないという部分もあったと思います。(発言する者あり)いや、例えば家事支援等々も含めて、これは基準があるわけです。

 しかし、例えば、今回の新たな地域支援事業の中においては、いろいろなバリエーションをつくれますから、その中において必要なものをどのような形でケアマネジメントをしていただくか、これでありますから、例えば一つとれば、週の回数というものも含めて柔軟な対応ができていける。そういう意味では、受ける受益者の方々も、より必要なものを受けられる。

 今言われたのは、多分専門性という話なんだろうと思います。専門性というものは、要介護認定をする中において、ケアマネジメントをする専門職の方々が、例えば認知症の度合い等々も含めながら、どういうようなサービスであるべきか、そういうことを含めて検討されるということであります。

高橋(千)委員 時間が来たのでこれで終わりますけれども、私は、介護保険の給付はそのままやれと。だって、同じなんですもの。認定を受けて、専門的なサービスが必要だと。その上に多様なものは上乗せすればいいじゃないですか、地域支援事業の中で要支援の人もそうじゃない人も受けられるんですから。そこに放り込んじゃうところに問題があるんだということなんです。

 引き続いて議論が必要だと思います。終わります。

後藤委員長 次回は、来る五月七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.