衆議院

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第21号 平成26年5月21日(水曜日)

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平成二十六年五月二十一日(水曜日)

    午後一時二分開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      石川 昭政君    今枝宗一郎君

      大久保三代君    大串 正樹君

      金子 恵美君    神田 憲次君

      菅野さちこ君    小松  裕君

      古賀  篤君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高鳥 修一君

      高橋ひなこ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    中谷 真一君

      中山 展宏君    永山 文雄君

      船橋 利実君    細田 健一君

      堀内 詔子君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      山下 貴司君    大西 健介君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    足立 康史君

      浦野 靖人君    清水鴻一郎君

      重徳 和彦君    國重  徹君

      輿水 恵一君    桝屋 敬悟君

      中島 克仁君    井坂 信彦君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   総務副大臣        上川 陽子君

   財務副大臣        古川 禎久君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  香取 照幸君

   参考人

   (年金積立金管理運用独立行政法人理事長)     三谷 隆博君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十一日

 辞任         補欠選任

  金子 恵美君     青山 周平君

  小松  裕君     石川 昭政君

  豊田真由子君     菅野さちこ君

  堀内 詔子君     細田 健一君

  村井 英樹君     中山 展宏君

  山下 貴司君     中谷 真一君

  輿水 恵一君     國重  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     金子 恵美君

  石川 昭政君     神田 憲次君

  菅野さちこ君     豊田真由子君

  中谷 真一君     山下 貴司君

  中山 展宏君     村井 英樹君

  細田 健一君     堀内 詔子君

  國重  徹君     輿水 恵一君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 憲次君     小松  裕君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として年金積立金管理運用独立行政法人理事長三谷隆博君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官樽見英樹君、医政局長原徳壽君、年金局長香取照幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山下貴司君。

山下委員 自由民主党の山下貴司でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 まず、本法案の骨子でございますが、これについては、厚生労働省から提出を受けております資料一のとおりでございます。四つの柱について改正を図るものでございます。

 この法案自体は、喫緊の課題を解決するものであって、速やかな成立を願うものであります。しかし、国民の多くは、年金の将来像について大きな不安を抱いていることもまた事実であります。

 ことしは、折しも、五年に一度の国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し、すなわち、いわゆる財政検証の結果を公表する年に当たっております。今回の質問では、年金の将来像について、その大きな判断要素となる財政検証についてまず問いたいと思います。

 この財政検証は、先ほど申し上げましたように、国民年金や厚生年金といった公的年金の将来見通しを示すものであります。これに基づいて、公的年金の給付水準や保険料率や、あるいは、これを実現するためのマクロ経済スライド、つまり、給付と現役世代の負担とのバランスをとるための調整措置が決められることになると承知しております。

 実際、前回の平成二十一年の財政検証結果に基づき、厚生年金の標準的な年金の所得代替率について、マクロ経済スライドにより二〇三八年度以降五〇・一%になる見込みであるとか、あるいは、マクロ経済スライドは、報酬比例部分については二〇一九年度、基礎年金部分については二〇三八年度まで行う見込みになっているとかということが決められているわけであります。これは民主党政権下でも維持されました。

 また、民主党政権下、三党合意に基づきまして、保険料率につきましても、社会保障と税の一体改革をもちまして、厚生年金については、平成二十九年以降、保険料水準が固定となり、一八・三%になる。また、国民年金の最終保険料率も決められたところであります。

 このように、財政検証は、今後の給付水準、保険料、それを確保するためのマクロ経済スライドなどの調整措置を決定するために非常に重要な資料であると承知しております。

 とすれば、今回のこの財政検証の検討については、現在、その検証に用いる経済前提がことしの三月に公表されました。また、検証の基本的枠組みも決まったというふうに承知しております。それでは、この財政検証本体の公表時期、これについてはいかがでしょうか、副大臣にお尋ねいたします。政務官でも結構です。

高鳥大臣政務官 山下委員にお答えをいたします。

 今回の財政検証では、経済前提が八通り設定されていることに加えまして、国民会議の報告書を踏まえ、プログラム法に明記された年金制度の課題の検討に資するよう、一定の制度改正を仮定したオプション試算も行うことといたしております。

 このように、さまざまなケースを試算することとしているために時間がかかっておりますけれども、現在、鋭意作業を進めているところでありまして、結果がまとまり次第、公表することといたしたいと存じます。

山下委員 高鳥政務官、ありがとうございます。

 ただいま、経済前提が八通りの前提を設定し、オプション試算も検討するということでございますが、この点について、もう少しわかりやすく御説明いただければと思います。

 また、前回の検証では、運用利回り四・一%という数字が取り上げられて、世間に誤解をされたというふうに考えております。このあたりも含めて、これは当局でも構いませんので、御説明いただければと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 年金の財政検証でございますが、お話ありましたように、年金制度は長期にわたる財政の収支の検証を行うものでございますので、その前提となります人口、出生率、あるいは労働力の需給の動向、そして何よりも経済がどういうふうになるかという見通しを立てた上で、長期的な年金の財政の収支を検討するということになります。

 経済前提につきましては、透明性を確保するという観点もございまして、社会保障審議会の年金部会のもとに、経済あるいは金融の専門家で構成いたしました専門委員会を設けまして、公開の場で長期的な観点から議論をいただいた結果を踏まえて、客観的に設定をさせていただいております。

 今お話のありました運用利回りでございますが、公的年金の場合には、給付も負担も基本的には賃金に連動して動くということがございますので、年金財政の観点からしますと、名目の運用利回りと名目の賃金上昇率、この差がどれくらいとれるか、我々スプレッドと称しておりますけれども、実質的なこの運用利回りが年金財政に大きく影響を与えることになります。

 前回の財政検証、二十一年におきましては、経済中位のケースにおきまして、名目運用利回り四・一%という数字をお示ししたわけでございますが、当時非常にデフレの状況であったということで、この四・一というのは非常に高いのではないかということで御批判をいただいたところでございます。

 年金の立場からしますと、この四・一の前提となっております名目の賃金上昇率は二・五%でございますので、四・一の意味は、名目賃金上昇率に対して一・六%上回る運用を行う、こういう意味になるわけでございます。

 実際、この間の年金の積み立ての運用金の利回りでございますけれども、自主運用を開始しました平成十三年度から十二年間の平均の実質運用利回りは約二・七六%ということになっておりまして、一・六%を上回っておりますので、年金財政的に申しますと、今の運用利回り、今実現できている運用で年金財政的には必要な財源は確保されているということになります。

 それから、経済前提につきましては、今、大臣政務官からも御答弁を申し上げましたが、従来から何通りかのさまざまなケースを想定しているわけでございますが、今回も、先ほど申し上げました専門家の議論を踏まえまして、非常に高い成長をするケースから非常に低成長のケースまで、八通りのパターンを用意いたしまして、現在作業を進めているところでございます。

 また、今回の財政検証におきましては、現行制度の検証ということに加えまして、社会保障制度改革国民会議の報告書でございますとかプログラム法に明記されました年金制度の課題につきまして、これから検討を進めるに当たって、それに資するような検証を行うということで、いわゆるオプション試算というものをあわせて行っております。

 具体的に申しますと、物価、賃金の伸びが非常に低い場合に、現行制度ですとマクロ経済スライドが完全には働かないことになるわけですが、これをフルに発動させるような仕組みとした場合にどうなるか。あるいは、これもプログラム法等で指摘されていますが、短時間労働者等につきまして、被用者保険のさらなる適用拡大を行った場合にどうなるか。あるいは、高齢者の就業の促進の必要性といった観点から、保険料の納付できる期間と年金を受給できる期間についてさまざまなバリエーションを設定した場合にどうなるか。こういったような一定の制度改正を仮定した試算というものもあわせて行うことといたしております。

 今後は、こうした結果を踏まえまして、年金制度の課題について検討を進めてまいりたいと考えております。

山下委員 国民の多くは、支給開始年齢の引き上げや、今後の年金支給額にやはり関心を寄せているわけではございますけれども、この点についてどうかということについて御説明いただければと思います。

佐藤副大臣 山下委員の御質問にお答えいたします。

 二つのことをどうかということでお尋ねがあったと思うんですが、まず、今後の年金支給額のことでございます。

 現在の年金制度というのは、将来の保険料を固定いたしまして、その範囲内で給付水準を調整するマクロ経済スライドを導入することで、長期的な均衡を図ることとしているわけでございます。

 このマクロ経済スライドにより、高齢者の生活の安定や円滑な老後生活への移行という公的年金の機能を果たしつつ、緩やかに給付水準を調整する仕組みとなっておりまして、今回はまだ財政検証中でございますので、平成二十一年の財政検証結果によれば、新たに年金を受け取り始める人の年金額で比較すると、名目額では下がらないものの、現役世代の賃金との割合で見た所得代替率は、最終的に六〇%台から五〇%程度まで調整することとなっております。

 もう一点の年金受給資格年齢のことでございますが、これは、現行の年金制度は、平成十六年の改正によりまして、将来の保険料を固定して、そこから得られる財源を給付に充てる設計となっているために、支給開始年齢をどのように設定したとしても長期的な年金給付の規模には影響しない、そういう仕組みとなっているわけでございます。

 特に、年金を受け取り始める年齢については、先日大臣もテレビ番組で、選択制も一つの方法ではないかという話もいたしましたけれども、これらも含めまして、社会全体の状況、また一人一人の状況も踏まえながら、高齢者の就業と年金受給のよりよいバランスについて検討する必要があると思っております。

 先ほど年金局長の方からも答弁いたしましたけれども、本年実施する財政検証においても、年金を受給する年齢については、さまざまなバリエーションを設定した場合にどうなるのかということについてのオプション試算を行っておりまして、この結果も材料としながら、具体的な議論を進めてまいりたいと考えております。

山下委員 副大臣、詳細な答弁、ありがとうございます。

 いずれにせよ、例えば支給開始年齢の引き上げといった問題に関しては、単純に一律に上げるということではなくて、個々人の生活、そういったものを踏まえて選択をできる仕組みが重要ではないか。何よりも、やはり国民の皆様にわかりやすい選択肢、オプション、議論の判断材料を御提供いただく、これが極めて大事だと思っております。

 そういった意味も含めまして、今回の財政検証の結果を踏まえて、必要があれば制度設計を含めて、年金制度についての議論を国民に向けても深めていく必要がございます。

 個人的には、年金議論を年内にでも取りまとめる必要があるというふうに考えておりますので、その検討材料である検証結果、これについても早期に公表できるよう、副大臣に鋭意頑張っていただきたいんですが、何か一言あれば。

佐藤副大臣 公表時期等については、冒頭、高鳥大臣政務官から申し上げました。

 いずれにしろ、我々としては、非常に国民の関心も高いテーマでもございますので、財政検証が結果がまとまり次第、公表をなるべく早くしてまいりたい、そのために努力をしてまいりたいと考えております。

山下委員 前向きな答弁、非常に、ありがとうございます。

 それでは、引き続きまして、本法案の柱の一つである納付率の向上策についてお尋ねいたします。

 今回の改正の柱の一つというのは、納付率の向上であります。納付率及び不納付者の現状について、これは資料四と五でお配りしたとおりでございますが、未納者については、平成二十四年度、約三百万人を数えるに至っております。納付率の推移については、資料五に書いてありますとおり、約二十年前までは八五%を超えていた。その納付率が、この資料によれば、六割を切っております。昨日公表された直近の速報値では、昨年度の納付率は六〇%を回復したと承知しておりますけれども、企業であれば、売掛金の六割しか回収できないということになると、これはもう倒産してしまうわけであります。

 そういったことから、国民年金について納付率をいかに上げるか、これは本当に喫緊の課題であると思います。

 ちょっと意地悪な質問ではございますけれども、今回の改正を見ると、これまで不納付として扱わざるを得なかった部分について、免除や猶予手続によって不納付扱いしないということが主たる改正であり、そうだとすれば、不納付扱いされていたものについて見かけ上の納付率が向上するだけなんじゃないかと、意地悪な見方があるわけです。

 そういったことについて、本改正の意義についてぜひお答えいただきたいと思います。

佐藤副大臣 まず、国民年金保険料の収納対策といたしましては、この法案で、今回法改正で盛り込んだ対策だけではなくて、今年度の予算の予算措置として幅広い対策を講じているという対策もございまして、免除や納付猶予制度の改正のみではないということをまず御理解いただきたいと思うんです。

 この法案による免除制度の改善とか納付猶予制度の対象拡大というのは、一つは、御本人にとって、障害や死亡といった万が一の場合の年金受給権の確保にもつながる、そういうものでございまして、セーフティーネットの観点からも必要な政策である、そのように我々は考えておりますし、二番目にも、さらに、御本人にとって、この免除や猶予を利用すれば、免除等を受けていた月分の保険料はその後十年間追納が可能となりまして、納付機会の確保につながるものであります。

 そういう観点から今回法改正を行うものでございまして、見かけの納付率が向上するだけとか、そういう観点での法改正の目的ではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。

山下委員 わかりやすい答弁、ありがとうございます。

 すなわち、諸事情によって年金が納付できない、そのことによって国民年金の枠外に行ってしまう方を引きとめて、猶予や免除手続によって国民年金制度の枠内に踏みとどまっていただく、そういった改正であると承知いたしました。

 しかしながら、やはり大事なのは、現実の保険料の収納金額をふやす収納対策でございます。

 先般、当局から提供を受けました資料六によりますと、さまざまな対策をとるということがあるわけでございますけれども、収納対策について、現実の収納金額を上げる対策について、できれば御説明いただきたいと思います。

佐藤副大臣 先ほどの答弁で申し上げましたけれども、予算措置としてそういう収納対策はしっかりやっていこうということで、三つぐらい、猶予、免除以外の取り組みをしっかりやっていこうということでございます。

 一つは、何といいましても、年金制度の理解を深めていただいて、自主的な納付を促すために、年金制度の周知、広報、こういうものを一つ目としてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。今、内閣府と調整しておりまして、例えば、若者にももっと理解していただくような、コンビニにそういうものを周知するようなポスターもしっかりと進めていきたい、そのように考えております。あと、口座振替の促進などの納付環境の整備に二番目として取り組んでいきたい。三番目として、強制徴収の強化を図りたいと思っております。

 委員のつけていただいている資料の中でも、特に、平成二十六年度におきましては、控除後所得四百万円以上かつ未納月数十三カ月以上の全ての滞納者約十四万人を対象に督促を実施するなどに取り組むことによりまして、納付率の一層の向上を図ってまいりたいと考えております。

山下委員 ありがとうございます。

 やはり、保険料の納付、これは国民の義務でございます。四百万円以上という所得に関しては、例えば所得の平均を上回っている金額かもしれません。そういった方々に対してしっかりと働きかけていただく。それで、国民みんなで高齢者を支える、あるいは社会を支えるということをしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、引き続きまして、年金記録問題でございます。

 資料は添付しておりませんが、参考資料等を拝見しますと、年金記録問題についての進捗状況については、なお二千九十七万件の記録が残っているということがこの参考資料等からもうかがえます。およそ二千百万件の記録が残っているということでございます。

 この解決の見通しについてお答えいただきたいと思います。

佐藤副大臣 年金記録問題につきましては、平成十九年七月に政府・与党で決定した方針に基づきまして、これまで、自公政権また民主党政権引き続いて、解決に向けてさまざまな取り組みを行ってきたところでございますけれども、今委員御指摘のとおり、約二千九十七万件の記録が、手がかりが得られていないことや特別便の回答をいただけないなどの理由によって残っているわけでございます。

 これらの記録を解明するために、大きく二つ対策をしっかり引き続いてやって、国民の皆様に働きかけを行うなどを行ってまいりたいと思っております。

 一つは、昨年一月から、インターネット上で、こうした持ち主不明の記録を検索できるサービスを開始するなど、ねんきんネットを整備するということをやっております。これによって、国民の皆様がそれぞれ持ち主検索をできる、そういうことができるようになっております。

 二番目は、これからは御本人からの申し出が重要であるわけでございます。申し出を促すために、ねんきん定期便などでやはり引き続いて国民の皆さんに働きかけを行うという取り組みを行っているわけでございます。

 いずれにしても、例えば、長妻元大臣が非常に執着された紙台帳とコンピューターの突き合わせとか、そういうものについては二十五年度までに、そういうことはもう終わっているんですけれども、これからは、ぜひ国民のお一人お一人の方々の御協力をいただきながら、さらに一人でも多くの方の記録の回復につなげていくために、我々としても年金記録の解明にしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

山下委員 ありがとうございました。

 年金につきましては、この年金記録問題もそうでございます、年金自体について信頼が失われつつあるということが実態でございます。不信感の一つは、私たちが払った年金、その分が返ってくるかどうかわからない、そういったことが指摘されることがございます。

 そういった不信感を払拭するために、これはアイデアの一つではあるんですけれども、今年金を受け取っておられる方々に、これまでその方々が納付された保険料の総額と、そしてこれまでに支給を受けた総額の両方をお伝えする。そのことによって、一つは、自分の払った年金額、それがきちんと返ってきているんだ、場合によっては、それを超える金額が返ってきているんだということをわかっていただく。そういうこともアイデアの一つであるかと思うんです。

 そういうことが技術的に可能かどうかについて、お答えいただきたいと思います。

樽見政府参考人 お答えいたします。

 加入者の方につきましては、今、先ほど副大臣からありましたねんきん定期便で、そこで保険料の総額とか年金の見込み額というものを書いてお送りしております。

 受給者ということになりますと、まず、受給者は保険料を払い終わっておる方であって、昔の金銭価値をどういうふうに比較するのかという問題。

 それから、実はもう一つは、受給者には、毎年、年金振り込み通知書というのをお送りしています。ここに、基礎年金番号、あるいは年金額、問い合わせ先といった情報のほかに、年金から医療保険、介護保険の特別徴収ということで天引きしています、そこを書いている。それから、年金額の毎年の改定の説明というのが入っていますので、そうした限られたスペースのレイアウト、システム改修、それから経費というあたりをちょっとよく考えていかなきゃならないなというふうに思っています。

山下委員 今のお話を伺うと、総額については、金銭価値にどう直すかの問題があるにせよ、総額は把握している、あと、レイアウトとかそういう問題はあっても、総額を一度にお伝えするということは技術的には不可能ではないというふうに承りました。そういったことも、ぜひ、年金の信頼を回復するためですから、いろいろな手だてを考えていただきたいと思います。

 それでは、引き続きまして、いわゆるGPIFの運用指針について伺います。

 年金の財源確保という点からは、GPIFの運用が極めて重要であります。

 そこで、まず端的に伺いたいんですが、政権交代後、私たちの政権になった、あるいはその前の解散が言われてからの運用収益額、これは私どもはアベノミクスの効果の一つというふうに考えておるんですが、そういったアベノミクスの効果の一つという観点からも、ぜひ、解散後あるいは政権交代後からのGPIFの運用収益額の総額、これをお答えいただきたいと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 GPIFの資金の運用収益額でございますが、政権交代がありました平成二十四年度の第三・四半期から、直近データがあります二十五年度の第三・四半期、平成二十四年の十月から二十五年の十二月までということになりますが、この間、お話ありましたように、株式市況が非常によかった等々のこともございまして、この間の運用収益額は約二十四兆円ということになっております。

山下委員 政権交代の、私どもの解釈としてはアベノミクスの効果として、二十四兆円もこの年金基金、GPIFに対してプラスの影響があったということ、これはしっかりと受けとめてまいりたいと思います。

 そして、ただ、これはまだまだ、第一、第二、第三の矢ということでもありますし、GPIF自体のポートフォリオ、投資対象についてどういうふうにお考えかということについても伺いたいと思います。

 ポートフォリオ、投資対象については、二十五年度第三・四半期末、平成二十五年十二月末における年金積立金全体の運用資産の割合ということになると、国内債券、国債が中心だと思われますが、五三・四%、国内株式が一六・六六%、外国債券一〇・二六%、外国株式一四・六八%などとなっております。これは資料は提出しておりませんが、海外のほかのものと比べると、ちょっと国債が多いのではないのかなと思われるところではあります。

 ただ、GPIFにおける最近の取り組みとしては、お配りした資料七のとおり、国内外の公的機関投資家と共同でインフラ投資を開始する、あるいは、平成二十六年度以降、発行規模や市場動向を見ながら物価連動国債の購入をやっていく、あるいはJ―REITの採用をしていく、より高い収益を目指すアクティブな運用機関の採用をやっていく、JPX日経インデックス四〇〇などの新たなベンチマークの導入等を実施している、そういったところでございます。これも一つの政権交代の効果とも思われます。

 ただ、ことし一月のダボス会議、あるいは五月のロンドン・シティーにおける晩さん会ですか、安倍総理大臣が、この資料八にもありますとおり、フォワードルッキングな改革をGPIFについて進めるというふうな発言をされておられます。

 この発言について、運用の改革にさらにどのように取り組んでいくのかということについて、お答えいただきたいと思います。

高鳥大臣政務官 お答えをいたします。

 デフレ経済から脱却をし、名目で経済成長していく状況に変わりつつございまして、運用環境につきましても変わりつつある中で、年金財政上必要な利回りをしっかりと確保しながら、リスクを抑えていく運用が重要であるということでございます。

 委員も御指摘になられましたが、GPIFにおきましては、運用対象の多様化等の取り組みを実施してきておりまして、今後も、デフレ脱却を見据えた対応を実施することといたしております。

 厚生労働省といたしましては、財政検証の結果を踏まえつつ、運用環境の変化に対応した運用を行い、安全かつ効率的な年金運用に努めてまいりたいと考えております。

山下委員 ありがとうございます。

 いずれにせよ、GPIFは、大切なお預かりした基金であるとともに、やはりそれ相応の運用利益を出していかなければならないという中で、フォワードルッキングな改革も図っていただきたい、そう思います。

 そして、最後に伺いたいのが、年金と生活保護の問題でございます。

 実は、よく地元を回っていると、この年金、四十年間払って六万円ないしそういった金額なのであれば、生活保護を受けた方が得じゃないかという、本当に素に近い感情をぶつけられることがあります。

 直近の生活保護支給額は、二十四年度で三・六兆円に上ったとも聞いております。生活保護の基準が年金と比べて高いとの指摘もございます。

 そういった中で、年金保険料をきちんと納めた方が皆さんの生活のためになるんだ、得なんだということを個々人が思われるような説明が極めて重要だと思います。

 この点につきまして、ぜひ、地元の本当に心配しているおじいちゃん、おばあちゃん、あるいは若者にもわかりやすいように、どうか御説明いただければと思います。

佐藤副大臣 山下委員の御質問にお答えいたします。

 私も、委員同様、地元の私の選挙区を回っていると、年金を長年額に汗して働いてきて掛けてきたのに、生活保護を受けておられる人より低いというのはどういうことや、そういう声もお聞きするわけでございますが、まず、生活保護というのは、基本的に、事後的な救貧施策であるということが一つでございます。一方、年金は、現役期から老後生活への円滑な移行を図るための事前の備えであるということが、基本的に全く考え方が違うんだろうと思います。

 このため、生活保護では、最終的に、受給額についても自身の資産や家族による扶養の活用というのが優先されますし、また、少しでもそういう収入、資産があれば、そういうものが削られたものが差額として支給されるというところがあります。それに対して、年金というのは、保険料納付実績に見合った給付が権利として保障されるのが年金制度であるということが、支給の条件として大きく異なっているところであると思います。

 例えば、具体的に、生活保護基準額が、全く身寄りも生活基盤も有していない高齢者でも最低限度の生活水準を維持できるように設定されているために、ケースによっては年金水準を上回る給付が行われることはあり得るんですけれども、その額は、どのような条件にあっても給付されているというものではなくて、先ほど言いましたように、御自身の資産であるとか家族による扶養、そういうものが少しでもあれば、当然それが差し引きされたものが差額として支給されるので、どのような条件であっても給付されるというものではないので、生活保護が得と言えるようなものではないのであろうと考えております。

 いずれにしても、年金保険料を納めることが、現役期の、先ほどありました障害とか死亡というような状態になった、そういう不測の事態への対応ができるなど、個々人にとっても重要であるということをしっかりと御理解いただけるように、今後とも、省を挙げてしっかりと説明をしてまいりたい、そのように考えております。

山下委員 ぜひ、国民の不信感を拭い去るような、本当にわかりやすい御説明、本当に私も政治家の一人としてやってまいりたいと思いますし、政府におかれてもお願いしたいと思っております。

 それでは、質問を終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等改正案について、お伺いをしてまいりたいと思います。

 大臣が戻られましたので、先日、五月十一日のNHK番組の中で、年金の支給開始を七十五歳に繰り下げる案に言及をされたという報道がございまして、一部国民に戸惑いが広がりました。これが、日本の年金制度は危ないのではないかという不安を再燃させるようなきっかけになってしまっては、もう元も子もないわけでございます。

 言うまでもなく、現在の年金制度の維持を前提とするのであれば、支給開始年齢を引き上げる理由はありませんし、それでもやろうというなら、私は反対でございます。

 平成十六年改革で、支給開始年齢を六十五歳からさらに引き上げなくても揺らぐことのないよう設計をされた、ここは再度確認をしておきたいと思います。

 日本人男性の平均寿命は七十九・九歳ですので、七十五歳からということになれば、平均的な日本人男性は年金によって生活できる期間が五年弱しかないということになってしまいます。

 しかし、多くの方々が勘違いをしている。田村大臣も、何も年金の支給年齢を七十五歳まで上げるということをおっしゃっているのではない。自分がいつまで働けるか状況を見ながら支給開始年齢を選ぶことは自分の意思でできる、今も七十歳までは選択できるが、これを例えば七十五歳まで選択制で広げる提案が与党から出されていて、一つの提案だと認識をしている、このようにおっしゃったわけでございます。これを額面どおりに受け取るのであれば、私たちも不安に陥る必要はない。七十五歳まで引き上げるとおっしゃったわけではない。

 ただ、国民年金の納付率というものが年金制度の信頼のバロメーターであると言われるように、大臣の御発言というのは非常に国民にとっても大きいものがございます。年金保険料の納付率を上げるための法案審議にきょうから入るというタイミングでもございました。再度、この御発言の真意を確認させていただきたいと思います。

田村国務大臣 冒頭、きょう、参議院の本会議で、この委員会で大変皆様方に御迷惑をおかけしながら可決をいただきました医療介護総合確保推進法、この趣旨説明を私、させていただいたわけでございますが、参議院は、事前にその趣旨説明、私が読ませていただきます趣旨説明の資料を事前に配付される、そういう慣行があられます。その配付した資料の中で、私が申し上げていない文言が入っておりました。これは、プログラム法の文言が残っておったということでございまして、私、先ほど、参議院の議院運営委員会の理事会にお邪魔をいたしまして、深くおわびを申し上げてまいりました。

 また、こちらは衆議院でございますけれども、いろいろと委員会運営にも御迷惑もおかけをいたします。改めて心から深くおわびを申し上げ、あわせて、先般は、労働者派遣法の法案に関しましても、法文に関しましてミスがあったわけでございまして……(発言する者あり)おっしゃるとおり、たるんでおるわけでございます。二度とこういうことがないように、省内、徹底をしてまいりたい、このように思っております。重ねて心からおわびを申し上げる次第であります。

 そういうことで、大変御迷惑をおかけして申しわけないわけでありますけれども、今の古屋委員からの御質問でございますが、NHKの番組を見ていただいておられれば真意は伝わったというふうに思います。

 私は、六十五歳以上からの一律の引き上げ、これに関しては、国民の皆様方の理解はそうは簡単に得られないということで、難しいと思いますよというような発言をさせていただきました。その上でありますけれども、今も七十歳までは選択制で、年金というものは支給開始年齢を自分で選べるわけであります。七十歳になると、四割強、年金がふえるような制度設計になっております。ですから、それは、自分の働かれる、そういうような都合に合わされて年金は選択していただけるんですよということを申し上げた上で、七十五歳と。今七十歳でありますけれども、以前から比べると平均寿命が延びてきておりますので、御本人が選択されるという前提のもとにおいて、例えばでありますけれども、七十五歳ぐらいまで、今の七十歳までの選択制を延ばすということは検討に値するのではないかというようなお話をさせていただきました。

 もちろん、年金の規模は変わりませんから、早くもらわれれば今の水準で支給はされますし、遅くもらわれれば、一定の計算の上ででありますけれども、月々の年金が多くもらえるということでございますので、それをそれぞれが御判断するというのは、ちょうど与党自民党の方からもそういう提案がございますので、それも含めて検討してみてもいいというような話をさせていただいたわけでございまして、決して、年金が危ないから、六十五歳からを引き上げた上で、七十歳になっても六十五歳からと同じ支給額だったら、これは国民の皆さんにお約束をしていたのとは違うという話になるわけでありますが、そうではないわけでございます。

 あくまでも、選択という中において、それぞれのライフプランに応じてという中において、検討をしてみる価値はありますよというような類いのお話をさせていただいたわけでございます。

古屋(範)委員 納付率の低下につながらないよう、特に若い方々の納付意欲、これを下げるようなことがあってはなりません。ぜひとも、その御発言の真意をこれからしっかりと伝えていただきたいというふうに思います。

 これまで納め忘れていた国民年金の保険料なんですが、過去二年間までさかのぼって納付することができる、これが、平成二十三年八月、年金確保支援法の成立による時限措置といたしまして、平成二十四年十月から二十七年九月までのこの三年間、時限措置として過去十年間までさかのぼることができるようになりました。現行の加入二十五年間に届かず年金を受けられなかった方々は、後納制度で無年金が解消できる、また、現在受給している人も、後納で加入期間をふやせば年金額をふやすことができるわけでございます。

 この制度ができましてから一年半がたつわけなんですが、この実施状況についてお伺いをしたいと思います。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の後納制度、おっしゃるとおり、無年金、低年金になることを防止するといった観点から、平成二十四年十月から施行されております。平成二十四年十月から平成二十七年九月までの三年間という措置でございます。

 二十四年十月の施行からこれまでの間に、この後納制度の利用状況を申し上げますと、累計で百七万五千件の申込書を受け付けております。これはことし四月末時点でございます。それで、保険料の納付が、累計一千四十八万月分の保険料の納付というものが行われております。これはことしの三月末時点でございます。また、こうした措置によりまして、約一万五千人の方が老齢年金の受給資格期間、要は、老齢年金を受けられるように期間を確保できたということになっております。これはことしの四月二十三日の時点ということでございます。

古屋(範)委員 やはり、十年間までさかのぼれるこの制度を導入したことにより、新たに受給権が発生した方が一万五千人ということでございます。一定の成果を上げていると考えます。時限措置でございますので、ぜひ、さらにこの制度を活用していただけるように、国民への周知徹底をお願いしたいと思っております。

 今回の法案では、過去五年間の保険料を納付することができる、その制度を創設していらっしゃいます。現行の十年間という後納制度を三年間の時限措置として、引き続き、その後に新たに五年間の後納制度を創設したその意義、そして、これを三年間の時限措置とした理由、また、本来の納付期限までに保険料を納付した方々への公平感の担保というものはどうしていくのか、この三点にわたってお伺いをしたいと思います。

樽見政府参考人 お答えいたします。

 まず、先ほど、この後納制度についての周知というお話がございました。

 これまでも、後納制度が利用できる全ての方に対して個別のお知らせの送付とか、あるいは新聞、ラジオ、ポスターといったようなことをやってまいりましたけれども、本年度においてもこうしたことを予定しているところでございまして、引き続きましてしっかりやっていこうと思っております。

 新たに五年間の後納制度を創設するということをこの法案で盛り込んでおりますけれども、内容といたしましては、国民年金保険料は本来、納付期限内に納付していただくということが原則で、ただ、二年の徴収時効が経過した後にも、その後で保険料を納める資力ができた場合などを想定しまして、特例的に保険料を納付できるという制度を、現在の十年間後納の期限が切れる後も設けるということでございます。

 具体的には、現行の後納制度が終了いたします平成二十七年十月から三年間に限りまして、過去五年以内の未納期間のうち、保険料の徴収権が時効によって消滅した期間について保険料の納付を可能とする、それによって無年金、低年金を回避できる道を設けるということを考えているところでございます。

 三年間の時限措置というふうにしてございますけれども、これは、そもそも社会保険の原則、事前に保険料を納めて後で給付を受けるということからいたしますと、保険料を事後に納付できる仕組みというのは、やはり社会保険の原則ということからすると特例と言わざるを得ないということでございますし、過去にも実は、昭和四十五年以来、何度かこうした同様の特例措置をやってございます。その時々でも、国会でも御議論いただきまして、いずれも三年以内の時限措置ということになってございます。そうしたことを踏まえまして、今回も、現行の後納制度も二十四年からの三年間となっていたわけでございますけれども、三年間の時限措置としているところでございます。

 また、この後納保険料については、現行制度においても、普通に納めるときに比べますと一定率の加算を行っているところでございます。おっしゃるとおり、納付期限までに保険料を納付した方々との公平性ということがございます。それから、どうせなら納付期限に納付をしていただきたいと思っております。納付期限内の納付をさらに推進するという観点から、今回も一定の加算を行い、また、現行の後納制度よりも若干高目の設定をするということを検討しているところでございます。

 以上でございます。

古屋(範)委員 やはり無年金の方を減らしていく、そのための法改正であろうかと思います。しっかりと実効性あるものにしていただきたいと思います。

 次に、受給資格期間の短縮についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 年金保険料の滞納を減らすために、納付率を上げるための数々の方策というものが今回の法案に盛り込まれております。これは、来年十月から予定されている受給資格期間短縮への対応のためでもあると考えられます。この受給資格期間の短縮を公明党もマニフェストに掲げまして、実現に向け努力をしてきた点でございます。平成二十七年の十月から、これは消費税一〇%引き上げが前提でありますけれども、これまでの年金の受給資格期間二十五年から十年へ短縮をされるということであります。この短縮の恩恵を受けるのは、加入期間が二十五年未満のために年金を受け取っていない高齢者、また、日本に住む期間が二十五年未満、これらの方々が中心であります。

 ここで改めて注意しなければいけないということは、受給資格期間を満たしているかどうかにかかわらず、二十歳から五十九歳の方々はやはり保険料を納める義務がある、これが大前提であると思います。すなわち、十年に短縮されても、十年だけ加入すればいいんだということにはならない。

 しかし、平成二十四年度新規受給権者を見ますと、実際に年金を受け取り始めた人の加入期間は、男女とも被保険者期間が四十年以上の者が最も多くなっている。やはり長いわけです。二十五年という方々も、その前後の年数よりも実際に多くなっている。

 そこで、今後、受給資格期間が十年に短縮されたことに伴って、十年だけの加入が多くなってしまうのではないかという懸念も一方であります。しかし、加入期間が十年では、受け取れる年金というのは非常に少ない。現在の基礎年金で考えると月額一万六千円ほどにしかならない。非常に低年金となります。低年金で、生活保護受給者がまたふえてしまうという懸念があります。

 そこで、この受給資格期間短縮についてはさらに周知徹底をされることが必要ですけれども、これと並行して、今回の法案に盛り込まれている納付率向上のための対策の徹底、両面必要になってくるんだろうと思います。

 年金受給資格期間の短縮、また後納延長について、いずれも私たち公明党が平成十六年から無年金、低年金者への救済措置として一貫して推進してきました。該当者に関しては、漏れのないよう申請をしてほしいと思っているところでございます。

 受給資格期間短縮についての周知徹底はどのように行われていくのか、また、どの程度の効果が見込まれるかをお伺いいたします。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年の八月に成立いたしました年金機能強化法で、今お話ありましたように、受給資格期間の二十五年から十年への短縮措置というものが成立したわけでございまして、これもお話ありましたが、消費税の引き上げ時期に合わせて、平成二十七年の十月から施行される予定というふうになってございます。

 これによりまして、六十五歳以上の無年金者の推計の中で、二十五年の資格期間が足りないだけの年金の加入期間を持っておられる方の割合というところから推計をいたしますと、現在、六十五歳以上の無年金者、四十二万人というふうに推計をしてございますけれども、このうち、およそ十七万人の方が年金を受給できるようになるというふうに見込んでいるところでございます。

 お話ありましたように、周知は大変大事だというふうに考えてございます。これまでも、制度改正に関するリーフレットをつくりまして幅広く配るということをやっておりますほか、後納制度の対象となるような未納期間がある方には、個別に後納というものをお勧めする中で、受給期間の短縮についても説明するといったようなことをやってきたところでございます。

 今後さらに、資格期間の短縮によって新たに受給資格が得られるということが確認できる方については、個別に年金の請求手続のお勧めということをやっていくということを考えてございますし、それから、もちろん、政府広報あるいは厚生労働省や日本年金機構のホームページも活用いたしまして、広く制度を周知するということをやっていきたいというふうに考えてございます。

 今回の後納制度の話もございますし、それから、例えば納付猶予の拡大とか、今回の法案で盛り込んでいるようなことにつきましても、成立をしていただきましたならば、しっかりと周知を図って利用をしていただき、これまで納めないという方についても、しっかり年金制度とのかかわりを持っていただくということが大事だというふうに考えておりますので、それにしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

 以上でございます。

古屋(範)委員 受給資格期間の短縮で新たに十七万人の方が受給権が発生するということでございます。非常に大きなことだと思いますので、ぜひ周知徹底を再度要望しておきたいと思います。

 次に、国民年金に加入をする被用者の現状等についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 平成二十三年国民年金被保険者実態調査によりますと、保険料を納めない最大の理由は経済的な理由ということでありました。実際の所得でも、滞納者が納付者よりも所得が少ないという傾向があると伺っております。

 また、これは五月二十日に発表された国民年金保険料納付率でありますけれども、平成二十五年四月から二十六年二月まで、納付率六〇・二%ということでございます。微増だとは思いますが、やはり低い納付率にとどまっていると言わざるを得ません。

 国民年金加入者の中でも、やはり被用者が増加をしていること、また自営業者よりも被用者で滞納率が高いということも指摘をされているところであります。

 そこで、国民年金に加入をしている被用者がどのような人たちなのか、その現状、また滞納の原因、そして納付率向上対策についてお伺いをしてまいりたいと思います。

樽見政府参考人 お答えいたします。

 平成二十三年の国民年金被保険者実態調査の数字でございますけれども、国民年金の第一号被保険者のうち、常用雇用労働者が七・七%、臨時またはパートの労働者が二八・三%ということでございますので、被用者ということでこの両者をまとめますと、合わせて三五・九%という数字になってございます。

 次に、国民年金保険料の納付が悪い理由ということでございますけれども、これはさまざまな要因が複合的に影響しているものというふうに考えてございますので、なかなか一概には申し上げにくいところでございますけれども、今もありましたように、国民年金被保険者実態調査の数字などを見ますと、一号被保険者の中の、いわば就業構造が変化してきている。特に臨時、パートといったような方がふえている。それから、さらに言いますと、実は無職という方もふえているというような構造の変化がある。これがやはり国民年金保険料の納付率の低迷に影響があるのではないかというふうに思っております。

 それから、景気の悪化によります低所得者の増加といったようなところも、第一号被保険者の属する世帯の総所得金額で見ますと、やはりここ数年の間に下がってきておりますので、そういうことも影響しているのではないか。

 それから、納付しない理由をこの調査で聞いているのですが、その中で、年金制度の将来が不安だというお答えもございます。そういうことで、年金制度に対する国民の皆様の信頼の低下あるいは納付意識の低下といったようなものも要因としてあるのではないかというふうに考えてございます。

 したがいまして、国民年金保険料の納付率向上方策ということになりますが、こうした年金制度に対する国民の信頼を確保するということが大事でございますし、また、未納者の属性に応じてきめ細かな対策をとっていくということが大事だというふうに考えております。

 具体的には、これも先般来、話が出ておりますけれども、公的年金制度についての皆様の御理解あるいは御関心を高めるということで、年金広報、教育を充実する、納付意識というものの向上を図っていきたいということがございます。

 それから、低所得者の方には免除という制度があります。あるいは、未納の方には納付督励をしていくといったような、こういうことを民間の事業者も使いましてしっかりと行っていくということで、これはいわゆる市場化テスト事業というふうにやっていますけれども、そうしたものも強化をしておく。

 それから、三番目といたしましては、一定期間納付をされない未納の方には強く納付を促していきたいということで、特別催告状というものを送っておりますけれども、これもさらに強力に取り組んでいきたい。

 さらに、最後になりますけれども、高所得であるにもかかわらず納められないという方については、差し押さえといったような強制徴収も強化をしていくといったような、未納の方々の状況に応じまして、いろいろな取り組みをしていくということでございます。

 今回の法案によりまして、さらに納付猶予制度対象者の拡大、あるいは保険料納付機会の拡大、先ほどのような後納制度の延長みたいなこともございます、これをやっていくということで、納めることに困難がある方についての対策をとっていくということと同時に、一方では、平成二十六年度において、所得四百万円以上で未納月数十三月以上の全ての滞納者に督促を実施するというようなこともやることとしておりますので、そうした取り組みを通じて、納付率の一層の向上というものを図ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

古屋(範)委員 年金の意識啓発、教育というお答えがございました。若者にとっては、年金、保険料を納めてもどうせもらえないんだからというような意識が広がってはいけないと思います。

 私たちは、消費税が八%に上がりましたけれども、死ぬまで、物を買えば消費税を納めなければいけない。しかし、年金の受給資格がなければ、基礎年金の部分も、二分の一は税金でございます。消費税を払っていながらも、一生涯、基礎年金はもらえない。そのことを考えますと、何としても受給資格を得ておくということが重要であります。若い方々にもこのところを理解していただけるように、さらに周知徹底をお願いしたいと思います。

 最後の質問になります。

 第三号被保険者問題についてお伺いをしてまいります。

 現政権は、女性の活躍促進ということを打ち出してくださって、非常にありがたいとは思っております。

 その中で、第三号被保険者の見直しですとか、あるいは配偶者控除についても見直しの議論が出ております。女性の就労を促そう、労働力人口の減少にも歯どめをかけたい、そういう意図があるんだと思います。

 この第三号の見直しの議論は、過去十年以上にわたって、繰り返して議論がなされてまいりました。これまでその制度の見直しには至っておりませんけれども、多くの識者、研究者の中では、女性の就労を促し、しかも、可能な限り男性と同等の就労、処遇機会を実現していけば、抜本的に解消し得るという意見でございます。

 男性と同等の就労、処遇機会の実現というのはそもそも難しいのが現状です。少しでもそこに近づいていくための対策を練らなければいけない。多く働くと手取りが減るような制度はやはり見直すべきかと思います。

 実際、この第三号被保険者制度の見直しに関して、短時間労働者への厚生年金適用拡大ということが前提とされていて、平成二十四年八月に成立をいたしました年金機能強化法によりまして、短時間労働者への厚生年金の適用拡大が盛り込まれております。週三十時間以上勤務から、週二十時間以上に拡大になったわけであります。

 昨日も、NHKの番組でこの件について報道しておりました。ある大手のファミリーレストランチェーンでは、この厚生年金の適用拡大で非常に社会保険料の負担が増大をする、だから、短時間のパート労働者をふやそうという方針で臨もうとしたわけですね。

 ところが、やろうとすると、やはり勤務上さまざまな弊害が出てきて、どうせ社会保険料の負担がふえるんだったら、この際、能力ある女性にはしっかりと働いてもらおうというふうに発想を逆にして、働いて厚生年金の対象となるのであれば、もうしっかりと店長までやっていただくような方向に女性の能力を生かしていただこう、そういうふうに転換をした企業があるということでございました。しかし、まだ、こういう企業は少ないというふうに感じております。

 そこで、短時間労働者の雇用管理の改善等改正案では、通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取り扱いの禁止、この対象が拡大されることになって、パート労働を取り巻く環境も整備されつつある。

 いずれにしても、この第三号問題は、置かれた立場で賛否両論であります。女性の就労状況、能力開発、雇用の問題等々、非常に大きな問題であります。この丁寧な議論が必要になってくるのではないかと思います。これに対しての御意見を伺いたいと思います。

佐藤副大臣 古屋委員の御質問にお答えいたします。

 御指摘のとおり、経済と社会保障の好循環を実現するためにも、今、政権として、女性の活躍を促進して、男性も女性も、また、さらには若者も高齢者も、それぞれの能力を十二分に発揮できる環境を整備することというのは大変重要な課題である、このように考えております。

 まず、委員が質問の中で御指摘された女性の働く環境整備の観点からは、もう御存じのとおり、育児休業や育児のための短時間勤務制度を盛り込んだ育児・介護休業法の周知徹底、これは平成二十四年七月から完全施行になっておりますので、これをしっかりと企業の皆さんにも周知徹底するということ。

 さらには、次世代育成支援対策推進法に基づく働き方の見直しの取り組み促進についてもしっかりとやってまいりたいと思っておりますし、さらに、女性がその能力を発揮して活躍することを支援するため、ポジティブアクションに取り組む企業に対する助成、支援にも引き続き取り組んでまいりたいと思います。

 従来より、女性の就労の促進を図る上で社会保障が問題になるのは、就労時間が一定以上となる働き方でなければ被用者保険が適用されず、被用者にふさわしい保障を欠くという点。あるいは、被用者保険の適用基準に関連して、特定の働き方が労使ともに保険料負担を免れる構造となっていて、働き方の選択にゆがみを生じさせているということが理由として考えられておりました。

 この点に関して、委員が御質問の中でも言われておりましたけれども、社会保障・税一体改革によりまして、平成二十八年十月に、まずは約二十五万人を対象に被用者保険の適用拡大が行われることが決まっておりまして、さらに、その後三年以内に適用範囲について再検討して必要な見直しを行うことが検討規定として明記されているわけであります。

 そのことを踏まえて、今回、本年実施する財政検証におきましても、週二十時間以上就労する者全てを適用とした場合等を仮定したオプション試算を行うこととしておりまして、大体この対象が約四百万人弱いらっしゃるんですけれども、そういう試算をして、これらの結果も検討材料として、適用対象をさらに拡大するための検討を進めてまいりたいと思っております。

 特に、御質問のありました第三号被保険者制度につきましては、女性の社会進出が進んだ影響もございまして、かつて、平成七年がピークで千二百二十万人いらっしゃったんですけれども、直近の平成二十四年では九百六十万人と、数、割合ともに減少傾向にございます。

 先ほど申し上げました財政検証のオプション試算において、適用拡大によって、第三号被保険者の人数や平均的な第三号被保険者期間の推移などがどういう影響を受けていくのかということなども示すことによりまして、第三号被保険者のあり方についても、この財政検証の結果を材料として、しっかりと丁寧に議論をしてまいりたい、そのように考えております。

古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 まず、年金の質問に入る前に、先ほど大臣から、きょう参議院の本会議が開かれない状況になっている理由について御説明がありました。

 ただ、皆さん、思い出していただきたいのは、きょうまさに参議院本会議で医療介護の趣旨説明が行われて、審議が参議院で始まるんですよ。我々、先週水曜日、まだまだ審議が必要だと言っているのに、それを無理やり打ち切って、それで、きょう審議に入れないんだったら、打ち切る必要はなかったんですよ。まだ審議が十分できたんですよ。そういう意味では、本当にこのミスというのは、言いたくはないですけれども、謝って済む話じゃないんじゃないか。水曜日に別に審議を打ち切らないで、今までずっと続けていたってよかったわけです、結果ですけれども。そういう意味では、我々は本当に遺憾に感じます。

 それからもう一つ、きょう私は資料として、労働者派遣法の条文ミスについて新聞記事をお配りしましたけれども、私は、あしたの厚労委員会でこのことを聞こうと思って、きのうのレクのときに厚労省の問取りに来た人にその話をしたら、何を大臣はお答えすればいいんですか、説明すればいいんですかと。まず謝るんじゃないんですか、皆さんに御迷惑をおかけしていますということがあるんじゃないかと思ったら、全く反省をしている様子も何もなくて、何を御説明すればいいんでしょうかと聞かれて、私は唖然としてしまったんです。

 まず、この配付資料の新聞記事をごらんいただきたいんですけれども、一年以下の懲役とすべきところを一年以上の懲役としていたということであります。

 衆議院の事務局に確認したら、こういうミスがあったときの対処方法として、大体三つぐらいある。一つは、正誤表を配って訂正をする。これは、議運の理事会に諮って了解を得た上で、正誤表を配って、そして訂正をするというやり方。それから二つ目は、撤回をして再提出する。三つ目としては、内閣みずから申し入れを行って原案を修正する。大体この三つぐらいがある。

 どういうときにどういう方法をとるかという決まったルールはないということなんですけれども、ただ、過去の、正誤表を配って訂正をしたという例を私は見てみましたけれども、ほとんどがいわゆる単純ミスです。引用条文の番号がちょっと違っているとか、誤字脱字があるとかという、いわゆる単純ミスなんです。

 では、今回のケースですけれども、確かに、以下と以上では一字違いではあります。でも、これは罰則の部分ですから、しかも刑が重くなっちゃっているんです。ということは、これは人権にかかわる問題ですから、私は、これは単純ミスというふうに扱うのはやはり適切ではないんじゃないかと。

 それから、先ほど、このままでいいんじゃないのという話もありましたけれども、違反を重ねた派遣会社を厳しく罰する、そういう趣旨に私どもは賛成です。ですから、罰則を重くしていただくことはある意味構わないんですけれども、ただ、もしこの誤りを訂正されるならば、これは当然、撤回の上、再提出をしていただくということだと思うんです。

 先ほど大臣から謝罪の言葉がありましたけれども、これは、撤回の上、再提出していただくことでよろしいんでしょうか。

田村国務大臣 重ねての我が省の本当に初歩的なミス、しかしながら、その初歩的なミスが大変重要なところをミスをしておるということで、深くおわびを申し上げます。

 これは、罰則規定、これを附則へと転記する中において、一年以下というところを一年以上というふうに誤ったものでございます。非常に内容が変わってくるわけでございますので、そういう意味では許されないミスであるわけでございます。

 ただ、一方で、今もおっしゃられましたとおり、今までも、このようなミス、いろいろある中において、それぞれ関係者の方々と調整の上、対応をしてきておるわけでございまして、今般も、関係者の方々と調整を経た上で、適切な対応をさせていただきたいというふうに思います。

 あわせて、先ほど来お叱りをいただいております参議院での本日の趣旨説明読み上げ文の配付資料の過ち、これも、本当に、単純ミスではありますが、あってはならないようなミスでございまして、本来、前のものが残っておる、これは読み上げれば気づくわけでありますが、その意味からいたしますと、そういうもの自体が残っておったこと、徹底して、厚生労働省内、もう一度意識を徹底して、このようなことがないように、しっかりと私も管理してまいりたい、このように考えております。

大西(健)委員 大臣から、今、あってはならないミスというのが繰り返し言われました。あってはならないのであれば、やはりこれは撤回の上、再提出するというのが私は筋だというふうに思いますし、昔なら、これは本当に大臣の首が飛んでいるような話ではないのかなというふうに思いますし、これは続いているんですよね。

 三月十一日に既に閣議決定されているこの派遣法、これはこの国会の最重要法案ですよ。これがこの国会で審議できるかどうか、この条文のミスが大きく影響するということは間違いないと思います。それから、強行採決までやった医療介護の法案でミスがあって参議院で審議に入れない。それからもう一つ言えば、あの短期集中特別訓練事業、あれもあってはならないミスですよね。重なっているわけです。そのことによって、この厚労委員会所管の法案審議が大きく影響を受けている。

 これは、一つだったらあれかもしれないですけれども、スリーストライク、アウトじゃないですけれども、三つ重なっているわけですよ。これで何にも責任が生じないのか。私は、やはり何らかの責任というものを明確にしていただく必要があるのではないかなというふうに思っております。

 それでは、続けて年金の質問に入っていきたいというふうに思います。

 資料の二というのをごらんいただきたいんですけれども、これは、先ほど古屋委員からもお触れになりました、十一日のNHKの番組で、年金の受給開始年齢を選択的に七十五歳に引き上げることを検討する考えを明らかにしたということでありますけれども、このニュースを聞いて、私も地元を回っていると、たくさんの方から、おい、七十五歳にならないと年金はもらえないのか、消費税が上がったのにどういうことだと言って、たくさんのお叱りをいただきました。

 もちろん、これは誤解であって、先ほどもお話ありましたけれども、田村大臣は、現在でも本人の希望で七十歳までにできるところを、七十五歳までに広げることも検討してはどうかということを言っただけだということであるのですけれども、古屋委員は、それを額面どおりに受け取ってと言っておりましたけれども、私は、額面どおりに受け取って本当に大丈夫かな、誤解だった、よかったということで済ましていいのかな、それではちょっと甘いんじゃないかなというふうに思っています。

 というのは、これも先ほども話がありましたけれども、日本人の男性の平均寿命が七十九・九歳ということで、仮に七十五歳から年金をもらうということになったら、五年しかもらえないんですよね。幾らたくさんもらえるからといっても、五年しかもらえないかもしれないという中で、本当に七十五歳ということを選ぶ人が、果たして、現実問題、どれだけいるんでしょうかということだと思うんです。

 ちなみに、ちょっと違う話をしますと、現在の衆議院の最高齢は維新の石原共同代表ですけれども、御年八十一歳、伊吹議長が七十六歳だそうですけれども、お二人は歳費をもらっておられるわけですね。ですから、もしかすると、年金は要らないかもしれません。また、例えば、七十歳を超えて天下りでわたりを繰り返しているような官僚の皆さんだったら、これも、たくさん給料をいただいているので年金は要らないということなのかもしれませんけれども、そういう方は本当に本当にごく一部なんです。

 ですから、むしろ、そういうケースについては、年金をもらわなくても、十分なお給料を七十歳になっても七十五歳になってももらえて、暮らしていける方にはそもそも年金を払う必要があるのかという、こういう議論が別のところであるんだというふうに思います。

 そういう中で、今回、田村大臣があえてこういう発言をしたのは何なのかということを考えたときに、私は、これは、先ほどの説明を額面どおり受け取って果たしていいのかなと。

 つまり、強制的に支給開始年齢を引き上げると言えば、これはもう国民の反発を受けるのは必至であります。ですから、わざと選択制導入で、まあ、七十五歳というちょっと高目のボールを投げておいて、アドバルーンを上げてちょっと反応を見てみる、そして、反応を見ながら、七十五歳はさすがにえらいね、でも、少しずつ少しずつ支給開始年齢を引き上げていくという魂胆じゃないか、こういうことを言っている人もいるんです。

 確かに、イギリスやドイツでも年金支給開始年齢を引き上げているとは聞きますけれども、それはやはり六十七歳とか六十八歳の話なんですね。だから、七十五歳というのは、さっきも言いましたけれども、七十九歳が平均寿命だったら、五年ということは、これはさすがに言い過ぎなんじゃないか。だから、こんな現実的じゃないことをあえて言うのは、やはり何か裏があるんじゃないのかと。

 それともう一つは、今、やっと、六十五歳に繰り下げることに向けて民間事業者の皆さんも必死で努力しているんですよ。その努力しているまだ最中なのに、あるいは消費税増税直後、こういうタイミングで、何か少しでも誤解を招くようなことを発言するというのは、やはり国民感情を逆なでするんじゃないかと思います。

 いま一度、先ほど古屋委員からも真意というふうにありましたけれども、そんなことはないんだということであれば、明確に、そういうことはないということをお答えいただきたいと思います。

田村国務大臣 そこまで疑い深く、テレビを見ていただいていれば、今、大西委員がおっしゃったように、今六十五歳まで上げている最中ですというような話も私はさせていただきまして、その中において、一律に六十五歳から上げるというのは、よほど国民の皆さんに御理解いただけないと難しいんじゃないですかというようなお話までさせていただいております。

 七十五と言いましたのは、七十までは今も選択できるわけでありますので、七十まで選択制といったって、これは今と同じじゃないかという話であります。

 重ねて申し上げれば、自民党のJ―ファイルにはこれも入っているんですね。ですから、J―ファイルの中に入っていることを、党としても、御要望をこの間、党の議員連盟の方からいただきましたので、そういう御提案もある。

 これは、要は、面積という言い方がいいのかどうかわかりませんが、規模は同じでございますので、財政的には中立です。中立というのは、もっと正確に言うと、おくらせたら、初めのところは、基礎年金が、二分の一国庫負担は減りますので助かるんですが、それは後の部分に厚くきいてきますから、そういう意味では中立だという意味であります。

 そういうことでございまして、これで何か、国の財政を何とかごまかそうなんということは毛頭ないわけでございまして、要は、これだけ長生き、男性は七十九歳ですが、女性は八十六、七になりつつあるわけでありまして、そのような中において、今、生涯現役社会というものも目指しておるわけであります。働ける環境というのをちゃんとつくっていくというところもありますけれども、働いて、その分、手厚い年金を欲しいというような、そういう選択をされる方々もおられるであろうということで、あえて申し上げたわけであります。

 ただ、これで一つ、私も思ってもいなかったんですけれども、改めてマスメディア等々で取り上げていただいたのが、七十歳までは選択できるんだよねと。余り七十歳まで選択できるということも知られていない、これは我々のPR不足もあるんですが、それがマスメディアを通じて、現在でも七十歳までは選択ができるねというところをPRいただいたという意味では、今でも選択できるということがわかっていただいたという意味はあろうと思いますが、決して、強制的にこれを六十七や六十八や、そんなつもりはございません。

大西(健)委員 むしろ、財政的に中立だとおっしゃるならば、さっきも言いましたけれども、七十五歳になっても天下りでわたりをしている人たちに年金をやらないでもいいんじゃないかという議論をした方が私はいいんじゃないかというふうに思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。

 それから、別の年金の話をしたいと思うんですけれども、資料三の記事です。

 以前、消えた高齢者というのが問題になりました。戸籍上は江戸時代の人が生存をしているとかということが話題になりましたけれども、そのときに、年金受給者の死亡を家族が申告しないで年金が不正受給されている例というのが判明をしました。これを受けて厚生労働省では不正受給の洗い出しというのを行ってきたんですけれども、昨年、調査対象から漏れていた新たな不正受給というのが発覚した。このケースは、住民票上は死亡扱いになっているけれども、情報が年金事務所に伝わらずに、年金支給が続いていたというケースです。

 そこで、この記事にもありますように、厚労省は、住民票上の住所を把握できていない七十五歳以上の受給者の一部、約八千人を対象に、住民票上の住所の申告を求めて戸別訪問をして生存を確認するというふうにしているんですけれども、あわせて、記事の最後のところには、それでもなお、今回対象にならない人がまだいる、そういう人については、効果的な調査方法を検討し、一四年度以降調べる方針というふうになっているんです。

 そこで、確認したいんですけれども、死亡した人への年金が不正受給されているケースの調査というのが、現状どうなっているのか、また、今までの調査で漏れている対象について、今後どうしていく方針なのかについて、改めて確認をさせていただきたいと思います。

高鳥大臣政務官 大西委員にお答えをいたします。

 年金受給者が死亡した後の家族による不正受給につきましては、平成二十二年から平成二十四年にかけまして、七十六歳以上で一年間継続して後期高齢者医療の給付を受けていない方に対する調査を行いました。この結果、年金受給者の死亡や行方不明が確認できた千六百八十四件につきまして、支払いの差しとめを行ったところでございます。

 委員も今御指摘になられましたけれども、また、本年二月からは、七十五歳以上で現況届により生存確認を行っている方に対しまして、住民票コード等の報告を求め、報告のない場合には、必要に応じて訪問等の調査を進めることといたしております。

 今後は、この調査の対象とならなかった方につきまして、改めて後期高齢者医療の受給状況を踏まえた調査を行うなど、不正受給の防止に向けて、調査に取り組んでまいりたいと考えております。

大西(健)委員 これはしっかりやっていただきたいんですけれども、あわせて、不正受給以外の、死亡した人に年金が支給をされるケースについてお聞きをしたいと思うんですけれども、資料の四というのをごらんいただきたいんです。

 これは、私の地元の知立市にお住まいの方のところに日本年金機構から届いた文書でありますけれども、亡くなられた後に支払った過払い年金の返納を求めている、そういう内容になっています。ただ、この文書の日付を見ていただきたいんです。日付は平成二十二年の二月二十六日になっています。当該年金受給者が死亡されたのは平成二十年の四月十一日です。二年間開きがあるんです。

 この話を最初に私はミニ集会で聞かされたんですけれども、そのときその方が何とおっしゃっていたかというと、来たときに、おばあちゃんが亡くなったのはもう二年も前なのに、二年前の年金を返してくれというのは、これは何か新手の振り込め詐欺じゃないかと思って疑ったという話なんです。それは、お気持ちは、私、わからぬでもないと思うんです。だって、二年も前のことですよ。

 ですから、私は、そもそもなぜこんなに時間がかかってしまうのかと。死亡届が出ていないとかというのもわかりますよ。わかりますけれども、二年ですよ。二年もかかって、二年前に間違って払ったものを返してくださいというのが来るというのは、これは余りにも遅過ぎないか。また、もしこの期間を、いや、いろいろな事情があって短くするのはなかなか難しいというならば、やはりそういうことが発生しないような事務体制をしく必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

田村国務大臣 冒頭、先ほどのお話でございますが、七十五歳、確かに、平均寿命は男性は七十九でありますけれども、平均余命はそれより長いということでございますので、平均余命というものを一つの目安にしながら、いろいろな選択というものもあるのであろうというふうに思います。

 今の点でありますが、年金の場合は、お亡くなりになられた月の分まではお支払いをさせていただく。翌月分からは、過誤払いということになりますので、これはお返しをいただくということになるわけであります。

 実は、すぐに死亡届を日本年金機構に提出をいただいた場合でも、年金の支払い日から換算して、大体、これは約三週間ぐらいだと思うんですけれども、それ以降といいますか、それ以前にお亡くなりになられた場合には手続が間に合うんですけれども、それ以内ですと、手続上、どうしても翌月分は払ってしまうということがございます。

 それでもまだ、死亡届等々をお渡しいただいた場合、これは、どなたがお持ちをいただいたかということも含めて、言うなれば、債務者である相続人、この方がある程度わかるわけでありますけれども、死亡届を日本年金機構の方にお届けいただきませんと、これは住基ネットとぶつける話になるわけでありまして、住基ネットから確認をするということになります。

 住基ネットと確認するのはやはり一カ月、二カ月おくれるわけでありますが、それも時間がかかる要因なんですが、問題は、住基ネットの場合は、どなたが相続人かわからない、債務者を確定するのが難しい。ましてや、相続人が多い場合には、その中からどなたなのかということを確認していかなきゃならぬということでございまして、そのような形で、どうしても、死亡届をお出しいただかなくて、諸々の状況がある場合には、一年だとか一年半、場合によっては二年ということも起こってくるということでございます。

 今お話があった例がどのような例なのか、個別のものは私は把握しておりませんのでわかりませんが、何らかのそのような関係がある中においておくれたものというふうに思いますが、いずれにいたしましても、なるべく早く、しっかりとこの過誤払いの分を請求させていただけるように努力してまいりたいというふうに考えております。

大西(健)委員 この問題は、実は次の資料五というのをつけておきましたけれども、平成五年に会計検査の指摘を受けているんですね。

 この検査報告を読むと、大臣官房に、市町村から出ている死亡に関する情報を積極活用すれば、二カ月を超える期間の過誤払いというのは未然に発生が防止できるんじゃないかと。この部分は、その後、改善されているようでありますけれども、もう一つ指摘されているのは、今大臣がおっしゃったように、相続の状況とかがよくわからないので、二年たってから返してくださいといってもなかなか返してもらえないんですよ、実際問題。

 ですから、こうした過誤払いに係る返納金債権というのは回収率が低い、それから、返納金の債権が回収されずに長期間累積しているということが指摘をされているんです。

 事前に厚生労働省に聞いてみましたけれども、返納金が発生する事由として、こういう死亡届が出ない場合というのもあるんですけれども、それ以外にも、例えば加給年金が停止された場合とか、幾つかの事由が考えられる、その事由ごとに整理をしていないので、死亡届が出ていない場合だけの額というのはわからないということですけれども、では、全体で結構ですので、年金に係る返納金債権、本来返してもらわなきゃいけないけれども返してもらっていない分というのが幾らたまっているのか、また、その回収率がどれぐらいになっているのかを教えてください。

高鳥大臣政務官 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、返納金債権といいますのは、年金受給者の死亡届の提出おくれ等により年金が過払いになった場合に発生するものでございますが、年金の返納金の収納未済額は、平成二十四年度決算ベースで約百三十五億円でございます。また、平成二十四年度の返納金債権の回収率は、四六・一%でございます。

 返納金の収納未済額を減らすには、そもそも返納金債権の発生を防止するということが重要でありまして、住基ネットと連動していない受給者の方に対する住基コードの登録勧奨や、ことし四月に始まりました、所在不明の受給者について家族の方に届け出をしていただく制度を通じまして、新たな返納金債権の発生防止に取り組んでいるところでございます。

 このような取り組みを行っても返納金債権が発生した場合には、債務者が高齢の年金生活者であるケースも多いことなどから、相手の方に十分、丁寧な説明を行うなどによりまして、着実な債権回収に努めてまいりたいと考えております。

大西(健)委員 今、着実な債権回収と言いましたけれども、五〇%も取れていないわけですね。それで、この財政厳しい折に百三十五億も取り損ねているものがあるということですから、これはやはりもうちょっと真剣に考えていただかなければならないのではないかと思います。

 あわせて、次に、取るべきものをしっかりいただくということでありますけれども、本法律案では、保険の納付率の向上というのが主な内容になっていますけれども、納付率を上げていくことはもちろん重要であります。

 ところが、資料六というのをごらんいただきたいんですけれども、これを見ていただければわかるように、社会保険の料率というのは毎年上がっていっています。例えば、今、年金については収納率を上げるような努力もしています。ところが、社会保険料の収入、これは横ばいになっているんです。料率が上がっているのに、収入は横ばいになっている。これはどういうことが原因なのか。それが逆に社会保障財政を圧迫しているんですけれども、この社会保険料収入が伸び悩んでいる要因をどのように捉えておられるのか、御説明いただきたいと思います。

田村国務大臣 大西委員、しつこくて恐縮でございます。二十四年度の男性七十五歳の平均余命は十一・五七歳、女性が十五・二七歳でございます。

 今の点でございますが、一つは、これは社会保険料収入で申し上げれば、年金の場合は第一号被保険者が減少しておるということがございます。全体でいいますと、やはり標準報酬月額が下がっておる、横ばいというよりかは標準報酬月額自体が減少しておるというのが近年の傾向でございまして、これが大きな要因であろうというふうに我々は分析いたしております。

大西(健)委員 大臣の御答弁のとおりだと私も思います。

 資料の七というのをごらんいただきたいんです。

 これは、経済産業研究所のレポートの中からの引用でありますけれども、上の方の表、社会保険料率上昇による期待収入と収入実績の間にすき間ができているんですね。その内訳、要因ですけれども、やはり一番大きいのは、まさに賃金引き下げ要因、報酬月額が下がっていると大臣は御答弁になりましたけれども、それから、短時間労働者への代替要因、そして雇用者数減少要因ということです。

 やはり、給料、賃金が下がっている、それから短時間労働者にシフトしている、こういうことが、料率が上がっても収入が上がらないという要因になっているんじゃないかというふうに思っております。

 この点、もう一つ、私は、この現実というのを厚労省はしっかり直視すべきだというふうに思うんです。平成十八年の社会保障の給付と負担の見通しの財政の検証の部分において、平成十八年時点で、二〇一一年の社会保険料収入は、ケースAで六十五兆円、ケースBで六十三兆円と見積もっていた。ところが、実績は、ふたをあけてみると、五十七兆円なんです。ですから、見通しよりも大分低かった。

 これは、財政検証等において、例えば運用利回りだとか出生率とか、いろいろな値が楽観的過ぎるんじゃないかという話がありますけれども、この保険料収入についても厚労省の見通しというのは甘いんじゃないか、こういう指摘があるんですけれども、この点はいかがでしょうか。

田村国務大臣 これは、リーマン・ショックの当時、大幅に所得が減っておりますが、そういう影響もあるのでありますが、やはり、長引くデフレ経済の中において、そもそも標準報酬月額が長期にわたって上がらない、かえって下がっているという部分があろうと思います。

 そういう意味で、アベノミクスというのは、やはり賃金、所得が上がる社会に戻さなければ社会保障がもたないというような基本的な考え方があるわけであります。

 ただ、年金に関して申し上げれば、賃金が下がれば将来の給付は下がるので、その部分からいえばパラレルな部分があるわけであります。ただ、一方で、物価、賃金は上がっていませんから、マクロ経済スライドというものをかけられなかったという部分が問題としてはあるわけでございまして、それも含めて、今回、財政検証をやっております。

 ほかにも、合計特殊出生率、これは上がっておるでありますとか、それから、平均寿命が予想より延びております、これはマイナス要因でありますけれども。そういうプラス、マイナス要因をそれぞれ加味しながら、今般、財政検証をやっておるということであります。

大西(健)委員 時間がなくなってきたので、これは指摘だけにとどめたいと思います。

 先ほど来、国民年金の徴収についても強化をしている、所得が四百万円以上ある方で十三月以上の滞納がある場合には財産の差し押さえ等もやっているということですけれども、昨年の八月に年金保険料の徴収体制強化等のための検討チームに提出された資料を見ますと、徴収コストというのが国民年金保険料については非常に高い。特に強制徴収の場合には、百円当たり九十円、百円強制徴収するのに九十円コストがかかっている。十円しか取り立ててもプラスがないということで、これはさすがにちょっと、いかがなものかというふうに思うんです。

 それには、先ほど来話が出ているように、できるだけ強制徴収に至らないで済むようにしていくということが一つの解答ではないのかなというふうに思っております。

 時間がなくなりましたので、最後に申し上げます。

 先ほども言いましたけれども、片や、納付率の向上を目指しながら、他方で、先ほど言ったように、一つの要因として、保険料の収入が上がらないのは、賃金が下がっているからだ、あるいは短時間労働者へシフトしているからだ。つまり、一方で納付率向上を目指しながら、他方で不安定な非正規雇用をふやそうとしているという政権の姿勢というのは矛盾をしているんじゃないか。

 それからもう一つは、先ほども申し上げました、これからの財政検証においては、楽観的な見通しは避けて、しっかりと現実を直視して、かた目の見積もりをしていただきたい。

 このことを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 先ほども委員から御質問がありましたけれども、先週、医療介護法案強行採決ということで、きょう審議が参議院の方でこうなったということで、きょうだけではなくて先週の金曜日も質疑できたのではないかなということで、先週、一週間前、参考人や地方公聴会もやって、その方々の御意見、さまざまな論点がある中で、大変残念だなと、今もちょっと聞きながら思っていたところです。なかなか私自身も頭が切りかわらなくて、もっと伝えたいことがあったなということは今でも非常に思っておりまして、何か力が抜けたような、そんな感じでもございます。

 そうはいっても、きょうの質疑でございますので、改めて質問させていただきたいと思います。

 本日は、政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案についての質疑でございますが、本法律案の改正の大きな柱は、国民年金保険納付率の向上、そして年金記録問題への対応ということだと思います。

 基礎年金の納付率は、創設された六十一年には約八〇%台をずっと維持しておった。平成九年に八〇%を割り込んで、十四年には六二・八%、その後も六〇%台にとどまっておった。この原因としては、経済の低迷とか就労構造の変化で第一号被保険者の中に若者や失業者、フリーターの方が入ってしまったとか、あと、収納事務が市町村から国に移管されたりとか、また年金制度そのものに対する信頼感、そういったことがさまざま挙げられております。

 そして、平成十八年の消えた年金、宙に浮いた年金問題で制度自体への信頼感が失墜したということはよく言われることではありますが、今の経過を見ていっても、消えた年金問題以前から納付率は下がっておった、六〇%になってしまったということで、改めてきょう大臣に、国民年金の納付率が低下した要因、先ほども言ったようにさまざまあるとは思うんですが、一番の要因は何が考えられるかとお尋ねしたいと思います。

田村国務大臣 さまざまな要因だと思います。

 今委員がおっしゃられたように、そもそも就業構造が変わってきた。今まで一号被保険者の方々は、今までというか昔は自営業が多かったわけでありますけれども、その率が下がってきて、一方で、無職でありますとかパート労働者、アルバイト労働者、こういう方々の比率が、もう今やこの二つで七五%ぐらいになってきているわけでありますから、その影響もあろうと思います。

 所得水準も含めて、やはり賃金が余り上がらない、御本人の所得もふえない、また世帯収入としても上がっていないというふうなこともあろうと思いますし、年金記録問題を初め、年金行政に対するいろいろなお叱り、不信感、こういうものもあったんだと思います。

 あわせて、徴収体制というものからすると、今は日本年金機構を中心にやっておりますけれども、以前はそれぞれ地域地域で集めるというような、そういう仕組みがあったわけでありますが、そういうもの自体も変わってまいったわけでありまして、地域で集めるというようなやり方がなくなってきた。こういうことも、社会保険料全体なかなか集まりづらくなってきておるという傾向の中においてはあるのかもわかりません。

 いずれにいたしましても、しっかりと我々、社会保険料が徴収できるように、年金も含めてでありますけれども、努力をしてまいりたい、このように考えております。

中島委員 先ほど私も言ったように、雇用状況の悪化、いろいろな要因があると思うんですが、これは今回だけではなくて、対策を打つ上で、やはり順番というのもあると思います。その上で、何が一番根本的にこうなってしまった要因なのか、そこを見出す、はっきりさせるということが大前提のような気がします。

 私は、年金に対する制度上の信頼感、基礎年金でいえばやはり払ってもらう、そういう行動に移ってもらわないとなかなか納付率は上がらないということを考えると、やはりそこが一番なのではないかなというふうに思います。

 その上で、本改正案、納付率の向上策の内容は、納付猶予制度の対象拡大、要するに納付機会をふやすということが主なことになっておって、事務的なことが多いわけですが、正直言って、本当にこれで納付率が上がるのか。全く効果がないとは言いませんが、無年金者を将来予防するということではある一定の資するところはございますが、これで本当に納付率が上がる効果があるのかなというのは正直な感想でもございますし、疑問があるなというふうに思います。

 なぜなら、一旦下がった納付率ですから、今六〇%、直近では若干上がっておりますけれども、払わなくて、それが当たり前になっている方々に、これをまたもとどおり八〇%台まで、どこに目標を持っていくかなかなか難しいですが、やはりある一定のインセンティブのようなものを持たせないと、実際に自分たちが払ったものが、保険制度ですから、たまったという言い方はちょっとおかしいですが、将来どういうふうに反映されているのか、個人のみならず、そのことが国にとってどれだけいいことがあるのか、そのことをやはりある程度インセンティブを持たせないと、これは事務的な手続上のこと、要するに機会をふやしてもなかなか難しいのではないかなと私は思うわけですが、そのインセンティブに関してお考えをお聞かせ願いたいと思います。

田村国務大臣 もともと一万五千円程度、保険料を今払っていただいておりますが、これはまだ上がっていくんですけれども、これが満額といいますか四十年間納めていただくと、今の水準で六万四、五千円もらえる。これ自体、国庫が二分の一入るという中において、全体としては納めた以上にはもらえるという制度になっているわけであります。でありますから、そういう意味では、メリットというのはそういう部分もあります。

 それから、入っていただければ、不測の事態が生じた場合に障害基礎年金、こういうものをもらえる。また、亡くなられた場合に、遺族がおられる場合には、いろいろな条件はありますけれども、遺族基礎年金というものももらえるわけであります。でありますから、加入していること自体にも意義があるということであります。

 あわせて、今回、後納制度、それから免除、この免除制度も手続の簡素化等々を含めてやるわけでありますが、これは、今言われたとおり、本来無年金になってしまうという方々、これをやはり減らしていかなければならないわけでありまして、国庫負担が二分の一入っておりますので、完全に免除になったとしても二分の一はもらえるわけであります。もちろん、加入になりますから、その分ちゃんと、先ほど言いました遺族基礎年金でありますとか障害基礎年金がもらえる。

 さらに、後納制度は、これは対象者の幅を広げるわけでありますけれども、やはり空期間、これは、後から保険料を払えば給付はついてきますけれども、仮に払わなかったとしても、空期間ということで受給の資格期間にはカウントされるわけでございます。今二十五年という、これが法律改正で十年まで縮まっていくわけでありますけれども、これに関しましても空期間ということで年金の受給権が生まれるという意味では、やはりこれ自体、本来払っていただかなきゃいけない方々に後から払っていただくわけでありますけれども、払えない方々に対しても免除という形で年金に加入いただくということは、その分だけ老後もらえるわけでありますから、意義があるということでございます。

 さまざまなメリットがありますし、所得がなかったらなかったなりにいろいろな対応策があるということでございますので、そこを丁寧にやはり説明していく。この免除制度も余りまだ知られていないというところに我々反省しなきゃいけないところがあるわけでございまして、この法律改正等々を含めて、しっかりとPRを国民の皆様方にしてまいりたい、このように考えております。

中島委員 先ほども言ったように、全く効果がない、意味がないとは申さないんですが、この制度自体、社会保障の基本な部分だと思いますし、当然意味があるということはわかるわけです。ただ、先ほども言ったように、一旦下がった納付率に対して、本当にそれだけのインセンティブとなるのかどうかというのは大変疑問なんですね。

 これはたびたび私たちが言っていることですが、納付率を高めるだけではなくて、国民の利便性を高めたり、そして、将来、自分たちが払ったものがどういうふうに反映させられるんだということもしっかりとわかるように、そういう目的も含めて、最終的には行革の観点にもつながる歳入庁の創設、これもたびたび私ども、私だけではないですが、我が党として主張しているところです。

 税金と社会保険料を合わせて、社会保障個人口座、そして社会保障電子通帳などをつくって、医療や介護、年金など、負担と給付の関係をはっきりと明確化させる。その上で、この先はまだなかなか議論が必要だと思いますが、その個人口座を使って、将来、自前のセーフティーネット、自分たちにとってどういうものがいいのかというものを選べるような、自前でセーフティーネットを自分でつくり上げられるような、そういったものをやっていく必要があるのではないか。

 昨年、マイナンバーもできました。これとあわせて、目に見える形でしっかりと、国民の皆さんにそのメリット、デメリットをはっきりわかっていただいた上で、やはり納付率というものは自然に上がってくるものではないかなというふうに思います。

 これは何度も何度もお答えいただいているわけですが、そのための歳入庁の創設、先ほども、我々、その意味というのはお話をしましたが、改めて大臣に、歳入庁の創設に関して御見解をいただきたいと思います。

田村国務大臣 私と申しますか、これは、何度も申し上げますが、官房副長官のもとで、年金保険料の徴収強化等のための検討会というものをお開きいただいておりました。昨年八月に論点整理がされたわけでありまして、この中において、大変恐縮なんですが、歳入庁というものをつくったことによって、それで徴収率が向上するというようなものではないというような結論を得たわけであります。

 ただ、その意味合いとしては、いろいろな財務省の持っているデータというものを使えば徴収に役立っていくのではないかというのは、それはそのとおりでございますので、それも含めて財務省の方に、法人企業の情報、これは要するに、所得税を納めておられる法人企業等々、こういう法人事業主等々をしっかりと情報をいただくことによって、当然、所得税をお払いになられているというような法人であれば、これは社会保険料も発生をしている可能性が高いわけでありますから、それを突き合わせしていく中においてしっかり徴収漏れというものを対応してまいりたい、このように考えております。

中島委員 これは何度も何度もお答えいただいているとおりでございまして、歳入庁をつくったからといって徴収率が上がる、納付率が上がるということではないということだと思います。今回でいえば基礎年金の部分ですから、歳入庁、ただ、これは、先ほどから申しているように、ある一定のインセンティブには働くと思いますし、お答えの中で、非公務員化された方をまた公務員に引き戻す、それは行革の観点からどうなんだということを言われたこともありますけれども、最終的な着地点からいけば、必ず行革にもつながることだと思います。

 先ほどの答弁の中でもあったように、それぞれの専門性、徴収体制の見直しが徴収、納付率につながるということなんですけれども、今回の改正案の中身ですね、その検討チームの言う保険料徴収の基本的な考え方を整理した結果が、今回の基礎年金の徴収、納付率向上のためのものという理解でいいのかどうか、ちょっとお答えいただきたいと思います。

田村国務大臣 一つは、猶予制度というもの、これを拡大するというのは、言うなれば、先ほど来申し上げておりますとおり、本来は御本人が収入がないということならば免除なんでしょうけれども、世帯で見ますと、世帯に支払い能力がある、所得があるということでどうしても免除にはならないという方々を含めて、こういう方々に対して猶予というような形で、後で保険料をお支払いいただければ、その間は空期間として扱うという対応をしております。

 そういう意味では、徴収はできておりませんが、将来に向かっての徴収という意味では、実際問題、対象にならない者に対して、後から、十年間、後を追って徴収ができるということでありますから、将来の徴収率、納付率にはつながっていくんだろうと思います。

 それから、先ほど来申し上げております免除というものになれば、これは実際問題は納付はしていただいておりませんが、所得がないのでそれは納付ができない話でありますけれども、実際問題、全体としての率は上がるわけであります。

 それは母数が変わるからだろうという話を言われる方もおられますが、しかし、本来その方がもらえる権利がある年金というものを、ちゃんと申請しないがためにもらえないというのは、これは二分の一は税金から出ておりますから、御本人も消費税等々を払っておられるので、本来はもらえる権利があるわけでございますので、そういう対応をしていただければ全体としての納付率は上がっていくということもあろうと思います。

 あわせて、今回、法律の中ではございませんが、強制徴収を強化しようということでございまして、所得が四百万以上あって十三月以上滞納が続いておられる方々に対して、これは強制徴収をしっかりやっていこうということ。それから、やはり市町村、学校等々にしっかりとPRしながら、これは事業主も、例えばパート労働者の方々で国民年金の方々、こういう方々に対して事業主がその保険料を徴収していただく。こういうことに関していろいろと推進をしていこうということも含めて、いろいろな対応を考えております。そういうことを含めて、徴収率をしっかり上げていく。

 長期低落傾向であったものがやっと上がりつつあるというような、若干ではありますけれども上がるような傾向になってきておりますので、この流れをしっかり受けて、我々、率の向上に向かって努力をしてまいりたいというふうに思っております。

中島委員 本改正案はそうだと思いますが、先ほど言ったように、我々は、やはり歳入庁をつくって税と保険料を一元化していくこと、そして、将来どのように自分たちが払ったものが反映させられるんだろう、そういった中で、社会保障の個人口座をつくってやっていくことが、ある一定のインセンティブになって徴収率にもつながる。

 もちろん、今回、法律案の中身を見て、全然関係ないとは言わないんですが、やはり、納付率向上に本当につながるのかなという疑問は何度も言わせていただきたいと思います。

 先ほどもありました消えた年金問題も含めて、消えた年金問題でいけば、先年度末に集中期間も終えた。今まで多額の費用もかかって、四割ぐらいの方がまだ未解明となっている。一方で、これも我々ずっと言ってきたんですが、厚生年金の徴収漏れ。

 こういったもの自体、今回の改正案、納付機会をふやすということは、イコール、事務手続がまたふえる、煩雑になっていくということで、恐らく、厚生年金の徴収漏れや、消えた年金問題も含めてですが、さまざまなトラブル、そして、本法律案に訂正手続の創設というのも組み込まれておって、国の法律で、もう既に訂正することを予想して、そのための制度を整備するということ自体にも正直、そういう意味ではないと言っても、これだけ今まで煩雑な中で、その専門性も問われる中で、大きな年金に関するトラブルというのがあった中で、この先、できる限りそういう煩雑な事務作業を簡略化していくという方向性からいって、やはり歳入庁の創設というのは非常に大事な部分ではないかなというふうに思います。

 最後に、もう時間なので、また次回も質問がございますが、厚生年金の徴収漏れ、これも何度も質問しておりますが、国税から休眠法人のデータを入手して、今後、突合作業ということなんですが、実際にもう手に入れたものなのかどうか。休眠法人、国税と年金機構、それに対する今後の見通しについてお答えいただきたいと思います。

田村国務大臣 これは休眠法人ではございませんでして、稼働法人、つまり所得税を納めておられる、そういう法人ということでございます。先ほども申し上げましたけれども、所得税を納めていれば、社会保険の適用になっている方がおられるという可能性が非常に高いわけでありまして、その情報をいただいて、厚生年金の情報と企業情報とぶつければ、それに一致しないところは、これは適用漏れ事業者である可能性が高いわけでありますから、そういうところに集中的に入るというような中で確認をしていくということでございます。

 申しわけありません、まだ情報自体はいただいておりませんが、近々、年内にはいただけるような状況でございます。

中島委員 時間ですから終わりますが、そもそも、法人登記簿も、一昨年の十二月に法人の登記簿情報が来て、今回、その稼働法人を入手して、恐らくシステムをつくるために時間がかかるという意味だと思うんですが、もうその問題が出てからかなりの時間がたっているわけですね。

 やはり、そういう問題、煩雑さ、事務手続のトラブル、今のままではまた今後も同じようなことが起こる可能性があるんではないか。そういった意味で、歳入庁の創設、次回のときにも、またその辺を御質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 こんにちは。結いの党の井坂信彦です。

 本日は、国民年金の運営それから徴収の法案についてお伺いをいたします。

 まず冒頭、他党の質問にもありましたけれども、納付率の向上、これを年金徴収事務のいわゆるベンチマーク、測定目標にすることの是非をお伺いしたいと思います。

 指摘が再三されておりますように、納付率というのはそもそも、納付しなければいけない人のうち何人が何カ月分ちゃんと保険料を納めてくださったかという、分母と分子があっての納付率で、普通は当然、分子がふえて、払う人がふえて納付率が上がっていくというのが当たり前の発想でありますが、事この年金保険料の納付率に関しては、分母がどんどんどんどん小さくなることによって見かけ上の納付率が上がってきた。これが過去の経緯で見逃せない事実だというふうに思っております。

 これは、分母が大きく変わり得る、また、政府が率先してそういう制度をこの間幾つも幾つも矢継ぎ早に導入している、こういった中で、納付率を保険料徴収のベンチマークとして使い続けるのが妥当かどうか、まず大臣にお伺いをしたいと思います。

田村国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、まず保険制度に入っていただいてちゃんと保険料を納めていただく、これがもう必要なことであることは間違いないわけであります。

 ただ、その中で、保険料を納めるだけの所得をお持ちになられない方、こういう方々はどうするんだと。要は、入れないから未納のまま、もしくは未加入のまま、これは、特に未加入の場合、大変でございますし、これでは困るわけであります。

 そういう方々も、例えば消費税等々をお支払いいただくわけでありまして、今般も、国民年金、基礎年金の国庫負担二分の一分の充当部分、これに消費税をお願いさせていただきたいということで、消費税の引き上げ等々をさせていただいておるわけでございますから、そのような意味ではやはり、その国庫分というものはもらえる権利が本来はあるわけであります。そこで、そういう方々に対して、免除制度等々をしっかりと紹介させていただく。

 一方で、今般、猶予というものを枠を広げるわけでありますが、御本人は支払う能力がないんですけれども家族がその能力を持っておられる、これは、家族の中に入っていますと、同じ世帯でございますので免除が受けられない、世帯に収入があれば免除が受けられないという形になります。

 やはり、そうはいいながらも、家族と個人とは人格も違うわけでございますから、それを払ってあげると言ってもらえればいいわけでありますが、払ってあげると言ってもらえない場合もあるわけでございまして、その方々には、猶予という形の中において、後になって十年間支払いいただけるというような制度を今回広げたわけであります。

 将来、無年金という意味を避けるためには、これは意味があるわけでございまして、分母が減ること自体が、何か見せかけだけ納付率を上げているのではないかというふうに御指摘をされる感もありますけれども、しかし、これ自体はやはり必要なことでございますので、我々としてはそれを進めさせていただくということで御理解をいただければありがたいと思います。

井坂委員 将来の無年金者を減らすために、猶予制度あるいは免除制度で、とりあえず無年金にはならないようにきちんと制度の中に入れていく、こういう趣旨の答弁であります。

 そこで、重ねてお伺いをいたしますが、免除や猶予の増加による納付率向上、それが結果的に将来の無年金者を減らすから意義があるんだと、今、大臣がおっしゃいましたが、私は、無年金者は確かに減るかもしれないが、しかし、免除や猶予がふえればふえるほど、将来の低年金者がふえるのではないかというふうにも考えております。

 通告どおりお伺いいたしますが、この免除や猶予の増加による納付率向上は将来の低年金者の減少に結びつくのかどうか、お伺いをいたします。

田村国務大臣 無年金者が減ることには、確実に我々としてはこれは意味のあることであろうというふうに思っております。あわせて、実は先ほど申し上げましたけれども、要は、遺族基礎年金でありますとか障害基礎年金というものも含めて、何かあったときの対応にはなるということもあろうと思います。

 低年金という意味からしますと、そもそも御本人に所得がないから年金保険料が納付できないという方々への対応でございますので、そういう意味からいたしますと、要は、そのままほっておけば何もないわけでありますから、それよりかは、幾らになるかわかりません、満額にならないまでも、年金というものを老後、やはりしっかりと年金所得として得ていただくことができるという意味からすれば、これは意義があると思いますし、先ほど申し上げました猶予の場合は、その後、納期、要するに保険料を納める十年間、それだけ後から納められるという期間がございますから、その中において納めていただければ、場合によっては満額もらえるということも出てくるわけでございまして、そのような意味からいたしますと、この猶予というものも意義があるのではないか、このように考えております。

井坂委員 猶予によって、しかし十年間は後から追納のチャンスがあって、満額納めてくれる人もいるだろうと。もちろん制度上はそういう方もあり得ますけれども、事実上、毎年毎年の年金が払えない方が突然十年後に十年分払えるということは、これはもうほぼ期待できないことであろうというふうに思っています。

 その結果、何が起こるかといいますと、私、資料を当局からもらいましたけれども、生活保護の受給者の中で、特に六十五歳以上、高齢の生活保護を受けておられる方の中で、では無年金の方あるいは低年金の方がどれだけいるかということなんですね。

 六十五歳以上の生活保護受給者が七十九万人おられます。そのうち無年金者が四十二万人、ここまでは答弁でもよく言われることなんですが、低年金者、定義ははっきりありませんが、しかし、では六万円以下の低年金者は二十五万人。六十五歳以上の生活保護受給者の中で、二十五万人、低年金者がいる。無年金、低年金、合わせて八四%。実に、六十五歳以上の生活保護の中の八四%は無年金ないし低年金という現実があるわけであります。

 仮にここで、無年金はぐあい悪い、免除やあるいは猶予で、せめて無年金ではなくて低年金でと、これは一歩前進ではあるかもしれませんが、しかし、こういった方々は間違いなく低年金になる。今、低年金の方に対しては、そういった方々が低年金じゃなくなる仕組みでは全くないわけでありますから、恐らく、無年金は減るけれども、その分、低年金がただふえて、生活保護受給者はほぼ全く減らないだろうということを私は予測するわけであります。

 こういったこと、現実問題として、生活保護との関連、今申し上げた数字、六十五歳以上の生活保護受給者の八四%が無年金ないし低年金者で、免除や猶予はそこに対しては効果がないのではないかという、私の今申し上げたことに対して、大臣、生活保護との関係はどのようにお考えでしょうか。

田村国務大臣 生活保護は、自分自身の働く能力も含めて、さまざまなものを使っても生活できない方々に関しての制度であるわけでありまして、そういう意味で、年金額だけではなかなか判断できない部分があります。

 老齢福祉年金、低い年金ではございますけれども、それでも、家族形態等々の中において、生活保護ではなくて家族の中で扶養していただくという、時代背景の中ではそういうこともあったわけでありますが、言われるとおり、昨今、どちらかというと、核家族化の中において、お年寄りの方々がお二人で生活される、もしくは独居で生活されるという数がふえてきておりますから、その意味では、年金というものは以前よりもさらに大きな生活の糧になりつつあるということも事実であろうと思います。地方では、例えば、農業を営みながら、満額ではない少額年金で自立してお暮らしになられておる方々もおられる。さまざまあるわけであります。

 ただ、おっしゃる意味はわかるんですが、少なくとも、無年金ならば何にもないわけでありまして、それが、今般の免除制度やまた猶予制度等々を使う中において、低年金ではあっても、収入として年金所得がふえる、もしくは無年金にはならないという意味からすれば、こういうものを広げないよりかは、こういうものを広げていった方が、老後の生活の中において、場合によっては、免除制度によってこれだけの年金があるので、今までの蓄えだとか、畑仕事、田んぼをやりながら、自分の食べる分をつくりながら、生活保護を受けなくても済むんだという方々も出てこようというふうには思いますので、無年金になるよりかは、もしくはもっと少ない低年金になるよりかは、やはりふえた方が、生活保護になられる方々というのは少なくなるのではないか、このように認識いたしております。

井坂委員 今、無年金の方が、あるいは極めて低年金の方が、そこまで低くない低年金になるのであれば、それはプラスであろうという御説明だったと思います。

 一方で、逆もあり得るわけで、こういった制度ができる前、あるいは周知徹底、便宜が図られる前であれば、苦しい中にも満額年金を納めている方、今もたくさんおられます。この制度を使おうと思えば使える人でも、納めておられる方がたくさんおられます。そういった方々が、ああ、こういう制度があるのかと。しかも役所は、どんどん使ってくださいよ、こういうことになってくる。そうすると逆に、一方で、無年金が低年金になるケースもありましょうが、一方で、満額年金を払っていた人でも、こういった低年金状態、要は、免除や猶予を使って将来の低年金状態に陥る逆の可能性も私はあるというふうに思っているんです。

 後ほどまた少しこの点、議論をしますけれども、納付率ということで、もう一点お伺いをしたいと思います。これは参考人にお伺いをいたします。

 納付率、現在は、時効の二年後をもって、その時点まで払っていただいた方を最終の納付率というふうにカウントしておりますが、今、後納ですとか追納ですとか、十年後まで払える、あるいは五年後まで払える、こういった幾つもの制度がある中で、それらも含めた十年後の最終納付率をせめて測定するべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 まず初めに一点、免除あるいは猶予の制度の拡充によって、今保険料を納めておられる方がそっちに行って納付率が下がるのではないかということについては、まずは、免除、猶予については、所得の要件、先ほど大臣も申し上げましたけれども、所得の要件があって、一定の所得を超える方についてはそれにはまってきませんので、そういう払える方が免除、猶予という形で納付率が下がるということにはならないというふうに考えてございます。

 それから、今の御質問でございます。

 国民年金保険料の徴収時効二年ということで、原則として、未納については納期限後二年以内に解消するということを目指してやっておりますので、納付率については、その年の現年度納付率、それから納期限後の二年間の期間、それを含めて納付率を算出いたしまして、徴収業務の一つの指標としているところでございます。

 後納制度、あるいは免除、猶予による追納ということにつきましては、後納が一つは特例的なものとされているという点がございます。それから、追納あるいは後納というのは、いわば、時効の中での保険料は義務でございますけれども、追納あるいは後納はそういうことができるということでございまして、いわば納める側の任意という形になりますので、そこのところは、本来の納付率と足してどういう意味になるだろうかということは、ちょっと頭の整理が必要かなとは思います。本来の納付率と別にどう把握するのかということも含めまして、どういうふうに把握していくのが適当か、検討してみたいというふうに考えます。

井坂委員 幾つか反論したいことがあるわけですけれども、まず冒頭おっしゃった、所得要件があるから、要は、非常に所得の低い人しか免除や猶予を使えないんだから、払える人は払わなきゃいけないんだ、こうおっしゃる。

 私ももちろんそこはわかった上で、所得要件以下の人がたくさんおられます。その方々は今、全員、免除や猶予の適用を受けているんでしょうか。申請をされているんでしょうか。もちろん、そうではないわけですね。所得要件に入っているのに、別に申請をせずに満額払っておられる方はたくさんおられるわけです。

 そういった方々に対して、いや、免除、猶予をもっと使ってくださいよと、今回いろいろな便宜が図られますけれども、そういったことで、逆のケースも大いにあるのではないですかということを伺ったわけで、そういうことは物すごくあると思いますよ。所得要件があるから、払える人は払うし、払えない人はこれまでどおりなんだ、こんな話では全くないと思いますから、そこは、もし反論があればまた言っていただきたいというふうに思います。

 それからもう一つ、後納や追納はいわゆる時効後で、義務ではなくて、払えるという制度であるから、そこまでカウントすることはどういう意味があるのかという御発言がありましたが、私は、今回の一連の制度改革の最終的な目的は、やはり将来の無年金者、低年金者を減らしていく、国民皆保険というか、年金制度に皆さん入っていただいて、将来きちんとしかるべき金額を受け取っていただくということが目的でありますから、義務者が義務を果たしたかどうかのベンチマークが納付率だとお考えならそういう答弁ですが、そうではなくて、だからこそ、後納や追納の制度を重ねてつくっているわけですよね。

 別に義務者に義務を果たしてほしいからではなくて、とにかく、後追いだろうが何だろうが、何とか保険料を払っていただきたいという趣旨での納付率でありましょうから、そういった点も、何か根本的なお考えが私と違うんだなというふうに思いましたので、何かありましたらお願いします。

樽見政府参考人 失礼いたしました。

 今の点については、まさに保険料をしっかり納めていただくということが今回の制度改正の趣旨でもございますし、そういう意味で、保険料をどうやって納めていただくか、どれだけ納めていただいたか、これは意味あることだというふうに私も思っております。

 そういうことでいいますと、やや形式的なところを申し上げ過ぎたかもしれませんので、意味あることだと思いますが、そこをどういうふうにとっていってどういうふうに集計するかということの、少しいろいろ技術的な問題はあろうと思いますので、そこを整理して検討したいというふうに思っております。

 以上でございます。

井坂委員 次に、後納制度について伺います。

 後納制度を暫定的に取り入れるに当たって議論があったと聞いております。いわゆる、後から納められるんだったら、では期限までに納めなくても、ちょっと様子を見て後々納めたらいいやということで、期限までに保険料を払う人が減るのではないか、むしろ未納がふえるのではないかという懸念があって、三年間の暫定措置とされたというふうに伺っております。

 実際、この三年間、三年間ではないですけれども、後納制度を始めてみて、その当時の懸念は当たっていたのかどうなのか、実施してみた結果について参考人に伺います。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 後納制度の利用状況です。

 二十四年の十月からこれまでの間でございますけれども、後納の申込書は、累計百七万五千件の申込書を受け付けた、これがことしの四月末まで。保険料の納付は、累計で、この三月末までの時点で千四十八万月分の保険料の納付ということがございました。これによりまして、老齢年金の受給資格期間を満たせなかったけれどもこれで確保できたという方が、ことしの四月二十三日時点の集計でございますが、約一万五千人ということになってございます。

 納付率を見ますと、これはほかのいろいろな要素もあるわけでございますけれども、この制度がスタートしました平成二十四年度は五九・〇%でございましたので、対前年度にしてプラス〇・三%の上昇。それから、二十五年度としてはまだ判明しておりませんけれども、先日公表いたしましたとおり、二月末までの部分でいいますと六〇・二%、これは対前年同期比で見ますとプラス二・〇%ということになってございますので、この後納制度の実施後において納付率はむしろ改善をしておるというような傾向になってございます。

井坂委員 ちょっと時間もありますので、一つ飛ばして、大臣にお伺いをいたします。

 平成二十五年八月の徴収強化に係る論点整理というところで、以下のような話が出ております。保険料の納付は義務であり、自主納付原則の見直しも含め、今後検討していくべきである、こういう意見が出ておりますが、この自主納付原則のその後の検討状況はどうなっておりますでしょうか、大臣に伺います。

田村国務大臣 年金保険料の納付は義務であります。自主納付というのは、納める場合には、自分から納めていただかないとこれは納められない、つまり、対象が個人であり、それをまとめるものがないものでありますから、自主納付という考え方になっております。

 これに呼応するものは、言うなれば源泉徴収。これは、税の世界ですと申告納税、まさにこれが自主納付の考え方と同じでありまして、これに対するものは、やはり源泉徴収ということになります。

 申告納税であるから税金を納めなくていいというわけではないので、同じように、自主納付であっても、これは納付義務があるということでございますから、そういう中において、しっかりと納付をいただけるように、我々の方は、いろいろな体制をとっていきたい、このように思っております。

井坂委員 また次回議論しますが、今、全体が大分おかしくなってきている、制度全体がかなり複雑になってきているというふうに思っています。

 義務といいながら、払わなくても、税金ほど厳しくは取り立てられない。払わない人が多いから、払わない人を、払わなくてもよい人というカテゴリーをつくって、行政が免除や猶予の制度をつくっていく。しかも、申請主義だから、その免除や猶予を使う人はなかなか出てこないということで、いろいろ便宜を図って、何とか使ってくださいよという動きになってきて、結果的に、そういう免除や猶予がふえると、将来の低年金がふえてくる、こういうふうに私には見えるわけです。

 また次回、三十分時間をいただいて、議論をさせていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻でございます。

 きょうは、年金の審議ということでありますが、まず、いわゆる消えた年金問題というのは、その後どうなったか、最新の数字で申し上げますと、記録が回復した方が国民全体で一千三百七十万人いらっしゃる。日本の人口が一億三千万人弱でありますから、十人に一人。受給者が七百二万人、被保険者等が六百六十八万人回復した。一人二記録、三記録回復した方もいらっしゃる。取り戻した生涯年金額でいうと、今の時点、集計分のみで二・一兆円。そして紙台帳とコンピューター記録、これは捜しに捜して七千九百万人分、六億枚が発見されて、これを全部もう今コンピューターに入力をいたしました、ことし三月末で。

 そういうような形でありまして、一つの山は越えたのではないかと思っておりますが、そうして、もう一つの山が、次に越えなきゃいけないということで、これはもちろん終わりじゃありません。そこの意識が、今の政府と我々とかけ離れているのではないのかということで、心配をしているところであります。

 この三ページ目を見ていただきますと、五千万件の記録のうち、約三千万件は、今申し上げましたように、解明されて、記録がくっついた部分もございますが、なお二千万件、これがわからないということであります。

 我々の政権のときは、このわからない記録についても、サンプル調査をカテゴリー別にして、どういう対策がとれるのかと試行錯誤しながら、確かに難易度が高いのは事実ですが、試行錯誤しながら対策を前に進めてきたつもりでありますが、自民党政権になって、この二千万件について、サンプル調査もしない、ほったらかしと言ったら言葉は悪いですけれども、ねんきんネットで検索は勝手にしてください、そして申し出てください、こういう形にトーンダウンをしてしまったんです。

 田村大臣、二千万件、どうしてこれは解明できないのか。いろいろなカテゴリーが資料三ページにもあるんですが、これをサンプル調査して、さらなる対応の検討を進める、こういう御決断をしていただきたいんですが、いかがでございますか。

田村国務大臣 これはもう委員も御承知のとおり、大臣として担当をされたわけでありまして、いろいろなサンプル調査を委員が大臣のときにやっていただきました。その上でもなかなか解明ができないということでございます。

 言われるとおり、紙台帳等々ともこれはぶつけたわけでありますが、それでもわからないという中においてどのように進めていくかということで、定期便の方はしっかりと今も送らせていただいておりますが、あわせて、ねんきんネットというものを使って、これはスタートしてから二万件ほど解明をしてきたわけでございまして、これからも、ねんきんネット、今度はスマホでも使えるようにしてまいりますけれども、こういうものを使って、最後の一人まで真剣に我々解明に向かって努力はしてまいりたい、このように考えております。

長妻委員 随分そっけないですね。

 例えば、未解明の中で、名寄せ特別便を送っても御本人から回答がない人が三百十五万件ある、一体どういうふうになっているのか。あるいは、お知らせ便が未到達のもの、つまり住所が合っていない、では、どういうふうになっているのか。あるいは、国外に転居をしている人はどのぐらいいるのかとか、そういうものをサンプル調査でもう一段階調べていくということぐらい、やはりやらなければならないのではないのかというふうに思います。

 二ページ目に、安倍総理がおっしゃった国会の答弁、「最後の一人に至るまで徹底的にチェックをし、そしてすべてお支払をするということはお約束をしたい」。一国の総理大臣がここまで言っているものを、ちょっとあっさりし過ぎているのではないかというふうに思っております。

 田村大臣、今、紙台帳の話もおっしゃいましたけれども、もう一つ、今やられていないことは、過去、自分の記録がありませんと年金の事務所に相談に来た、それで、いやいや、あなたの記録は見つかりませんということで帰してしまった方々の中で、さっき申し上げましたように、七千九百万人分の紙台帳はコンピューターにことし三月末で全部入れましたから、紙台帳検索システムは今動いているわけで、当時帰っていただいた方の中で、ひょっとしたらそこで見つければくっついた人がいっぱいいらっしゃるんじゃないのかということで、あなたの記録はありませんということで当時お帰りいただいた方に対してもう一度働きかけをする、こういうようなお考えはありませんか。

田村国務大臣 これは委員から追加で質問をいただいた部分だと思います。申しわけありません、一時四十五分にいただいておりますので、私はまだ目を通していないものでありますから、確かに私自身が答弁できるものなのか自信がないわけでありまして、それも含めて、今事務方の方がつくった答弁書を読ませていただくということで御勘弁をいただきたいというふうに思います。

 紙台帳検索システム稼働前も、他の事務所や市区町村等が保管している紙台帳については、時間はかかっていますが、きちんとお調べして回答しているということであります。

 なお、紙台帳とコンピューター記録の全件突き合わせ及び紙台帳検索システムを利用した未統合記録持ち主検索作業を現在実施している、こういうことであります。

長妻委員 これは、きのう、未解明の二千万件の質問をするということである程度の通告はさせていただいて、そして念のため先ほど通告をしているわけで、私が大臣のときは、言いたくありませんけれども、自民党の議員の中には、ほとんど何にも通告がなくて答えろ答えろということで、こっちは精いっぱい答えていたわけでありますから、ぜひ、もっと幅広に調べて、答弁できるような準備をちゃんとしていただきたい。いつも、通告がない、ないとおっしゃいますけれども、逆の立場のときはまた逆のことをおっしゃられているわけですから。

 今申し上げたのは、全く的外れの答弁で、つまり、申し上げたのは、過去、年金事務所に相談に来て、あなたの記録はありませんと追い返されてしまった方々の中で、今度は紙台帳が全部照合されたので、コンピューターに入力されたので、そういう追い返された方々をもう一回、その方々の記録が残っているわけですから、チェックして、やはりありましたということで御連絡差し上げる、そのぐらいの作業はしていいんじゃないのかということなんです。

田村国務大臣 以前という話でありますので、そのような記録をとっているかどうか、確認をさせていただきたいと思います。民主党政権時代が主でございますので、民主党政権時代にそのような御指示をしておられれば、多分、そういうような記録が残っておると思います。

 それも確認の上で、対応できる部分は対応してまいりたいと考えております。

長妻委員 記録は紙ベースであるということでありますから、ぜひそういう対応をしていただきたい。

 もう一点。二千万件のうちのサンプル調査をやはりちゃんとやってほしいんですよ、これでほったらかしにしないで。

 もう一つ。解明をできない理由の一つに、申請される方が、自分の記録が十年分ぐらいはある、ただし、それを申請しても、今二十五年ルールで、受給資格に結びつかないから、やっても無駄だから、もらえないんだからやらないという方が多いんですよね。

 ところが、我々民主党政権のときに法律を通させていただいて、来年、消費税が上がると同時に受給資格が二十五年から十年に短縮される。つまり、十一年分の記録でも受給できる。これを御存じなくて、自分はもうそんな十年分の記録なんか戻ったってしようがないから要らない、こういう方がたくさんいらっしゃるので、そういう告知をきちっとやはりしていただく。

 これについてもぜひ前向きに御答弁を。

田村国務大臣 これは、三党合意に基づいて、受給資格期間を二十五年から十年に、これからでありますけれども、縮めるわけでありますから、もちろん、そうなれば、今まで、自分の記録は今の持っている記録と合わせたとしても受給資格が生じないと思って諦めておられる方々がおられると思いますので、周知を図ってまいりたいというふうに考えております。

長妻委員 これも、周知を図るといっても、本当に真剣にやっていただきたいんですよね。

 これについては、また金曜日にも質問させていただきますので、ぜひ精緻な御答弁をいただければと思います。

 七ページ目に、今度、総務省のこの第三者委員会がなくなるということで、厚労省に戻るということで、大変これは心配をしております。

 総務省も来ておられるので、職員の方が移管されると、総務省がやめて、それが厚労省に移ると、総務省の職員の五十人はマイナスになってしまうということでありますが、総務省として、厚労省が五十人の職員の定員の増加を総務省に要請したら、総務省は受けていただけますか。

上川副大臣 これから厚生労働省におきまして、どういう体制で、どのような形で進めていくかということについて設計をしていただくということでございますので、そうした要請に基づいて対応していきたいというふうに思っております。

長妻委員 そうすると、厚労省が、五十人総務省に戻ってしまうので、五十人の定員増を要請したら、これは前向きに厚労省の定員増に応じる、それでよろしいんですね。

上川副大臣 繰り返しになりますけれども、厚生労働省の方でしっかりと体制について検討していただきまして、それに基づいて定員要請ということでございますので、その時点でしっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。

長妻委員 これはちょっと事務方に聞いているのと違うんですけれども、本当に間違いないですね。

 では、今回、事務局の体制が五十人減ってしまうんです、総務省から厚労省に切り離されると。なぜかというと、五十人は総務省の職員でありますから。では、厚労省が、厚労省の職員として五十人の定員増を申請したときに、これは前向きに検討を本当にしていただけるんでしょうね。

 ちょっと一旦とめてください。

後藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

後藤委員長 速記を起こしてください。

 上川総務副大臣。

上川副大臣 厚生労働省におきましての対応が、体制がしっかりとれるように、総務省としても協力をしてまいりたいというふうに思っております。(長妻委員「定員増を認めるんですか」と呼ぶ)定員の話ではなくて、体制についての協力……(長妻委員「定員の話で聞いています」と呼ぶ)それは、定員の要請があった段階で総務省として対応してまいりたいと思います。

長妻委員 いや、ですから、定員の要請が、五十人これは減るわけでありますので、定員の要請が厚労省から仮にあった場合はどうするんですかということを聞いております。

上川副大臣 繰り返しで恐縮でございますが、厚生労働省の方から定員要請があった段階でこちらとしては対応するということでございます。今、そのことについて要請のない状態ということでございますので、今、そういう御質問そのものにお答えすることができないということでございます。

長妻委員 職員の方が事前にきのう来られたときは、私が大臣のときも、これは役所が定員増を要請しても、総務省は定員管理が厳密になっていますから、これは基本的には認められないということで官僚の方も説明されておられるので、ちょっと今の答弁というのは違うんですが。

 そうすると、田村大臣、多少前向きだとすると、五十人人員が減るわけですから、厚労省の定員を五十人増加要請を総務省にされるおつもりはありますか。

田村国務大臣 訂正手続を行う組織体制でありますけれども、これは、それがしっかりできるように、第三者委員会の体制を参考にしながら、我々としては二十七年度予算要望をしてまいりたいというふうに考えております。

長妻委員 予算要望でなくて定員要望の話を申し上げているところで、これはちょっとまだ、今、何か表面化を恐れて答弁を明確にされないのかどうかわかりませんけれども、私は、五十人厚労省が新たに定員の増加を総務省に要求したときに、認めるというのは非常に困難だと思います。つまり、この第三者委員会の事務局体制が脆弱になるということについて何らかの解決策がない限り、総務省でやめて厚労省に移すというのは今回の法案にも入っているわけですから、それを、人員の手配をちゃんと差配した上で、この法案を議論しないといけないと思っております。

 そして、もう一点は、先ほども質問が出ましたが、違法未加入年金、健保という問題であります。

 これも、六ページ目に、資料をつくっていただいたんですが、そもそも、今回の法案といいますのは、国民年金の納付率を上げる、徴収をスムーズに進めていくという趣旨でありますが、一つ重要なのは、国民年金に入っていらっしゃるんだけれども、本当は企業で働いていて、企業で厚生年金に入るべき方が国民年金にいっぱい入っておられる違法未加入年金、こういう方々が厚生年金に入れば、入った途端に未納はゼロになります。それは、源泉徴収で事業主負担とともに本人の保険料が天引きされるからでありまして、それで一挙にその部分は解決する。これが非常に大きい部分で、それを置き去りにして、この法案だけ通して、それである程度できましたということにはならない。一番重要なことだと思っております。

 この六ページ目に出していただいたのは、私もかねてより質問しておりますけれども、では、厚労省はよく、頑張っている、頑張っている、一生懸命やっているとおっしゃっておられますけれども、一年間に何人ぐらい新たに違法未加入の方が加入されておられるのかということで、基本的に、この三万五千百人と二万一千七百七十八人を足すと、約五万七千人の方が毎年毎年新たに入っておられるわけです。

 これが、五万七千人、一生懸命やられているんですが、これは田村大臣が国会でも御答弁されたとおり粗い推計ということでありますが、違法未加入年金の疑いが四百万人。仮にその四百万人がそうであれば、厚労省にお伺いしますと、四百万人という中の上の方、事業所が丸ごと適用されていない事業所についての推計数字だとおっしゃっているので、仮に四百万人だとしたら、この三万五千人を割り算すると、全部加入させるのに百十四年かかっちゃうんですよ。その方たちは老後を無年金、低年金で、もうお亡くなりになっている状況であります。五・七万人を四百万人で割り算しても七十年かかってしまうということで、今度、国税の稼働法人情報を入れるから大丈夫だと言いますけれども、仮に半分になったとしても五十年ぐらいかかる。

 ですから、サンプル調査をして、一体どのぐらいの件数、四百万件、四百万人というのが違うというのであれば、サンプル調査をして全容をある程度明らかにして、国民の皆さんにお願いして人、物、金を桁違いに入れないと、この問題というのは解決できないというふうに思っているところで、年金事務所は三百十二事務所ありますから、一事務所十件だけ例えばサンプル調査するとか、ほかの方法でも結構ですので、こういう全容をぜひ明らかにしていただきたい。これは再三再四申し上げているところであります。

 大臣は、この前、私が質問させていただいたときに、では四百万件というのはちょっと粗い推計なので、それは非常に誤解を招くような答弁をされました。であれば、この違法未加入年金は、数百万人、つまり三桁なのか、数十万人、二桁なのか、三桁か二桁か、それすら答えられないとおっしゃったんですね。

 三桁か二桁かも違法状態がわからないということは、これは解明しないとおかしいんじゃないですか。これは与党の皆さんも、これは別に対決しているわけじゃありませんから、我々も厚生労働行政を担っていた時期がありますから、与党の皆さんも、違法状態の方が二桁、数十万人なのか数百万人なのかさっぱりわからない、それで本当にいいんでしょうか。

 推計すると非常に長く時間がかかると。せめてサンプル調査ぐらいして、桁数ぐらいわかるようにしていただきたい。そして、きちっと進める体制を、国民の皆さんもそれは了解いただけると思います、予算をきちっとふやすとか。ぜひサンプル調査していただきたいと思うんですが、いかがですか。

田村国務大臣 これは、委員、五万とかおっしゃっておられましたが、二十三万、昨年入っているんですね。これは、職員もやっておりますが、外部委託しておりますので、外部委託が二十万七千事業所、職員が二万三千事業所、合わせて二十三万ぐらい事業所に入っております。

 先ほど言われました、法務省からいただいた法人登記簿情報でありますが、これは二百四十万ほど適用事業所等々のデータと合わせて差があるということで、これを五年かけて当たっていこうということであります。今、予算要求して進めてきておるわけでありますが、仮に二十三万事業所、今のペースでいっても十年かかるではないかという話なんだと思いますが、この二百四十万事業所は多分、これ全てではないと思います、休眠事業所もありますから。

 そういうこともございますので、今これでやっておりますが、もう少し正確なデータ、先ほど来申し上げております、財務省が持っております法人企業情報、これはまさに所得税を払っておるものでございますので、これは動いておりません、対象になるわけであります、こことぶつければ、当然、どこが所得税は払っているけれども社会保険料は払っていないかというのがわかるわけでありますから、そこに入るということをすれば、そこで、ここが適用事業所かどうかわかる。

 そして、もう一つは、四年に一回、全適用事業所を回っています。つまり、全適用事業所を四年に一回回っていますが、そこに入れば、そこで、適用事業所だけれども対象者を加入させていないのもわかるわけなので、まず適用事業所漏れを全て財務省のデータで把握する、そして、その適用事業所に入ったものを四年に一回ぐるぐる回ってチェックを入れる。

 でないと、これは一回やったら全て終わる話ではありません。年金記録は一回やれば過去のものは全部直りますが、この問題は毎年毎年そういうところは出てくるんです。後追い、後追いで何遍もやらなきゃいけない。だから、四年に一回必ずやる。そして一方で、適用事業所漏れは財務省情報をいただいて埋めていくということが一番合理的なやり方だと思っておりますので、そのようなやり方をさせていただきたいと思っております。

長妻委員 だから、今やっているやり方を今説明しているだけなんですよ。私、そんな質問をしていないんですよ。稼働法人の、今やる予定の話でしょう。

 今まだ未適用、事業所が丸ごと適用されていない、違法状態にあるところを適用して、三万五千人が毎年入っている、これが事実なんですよ、事実。それで、仮に四百万人あるとすれば、百年かかる。四百万人ないというのでおっしゃるならば、では、数百万人なのか数十万人なのか、規模数も答えられないわけでしょう、大臣、この前質問したときに。それはおかしいですよ、どう考えても。

 違法状態ですからね、これは。法律違反の状態がずっと放置されているわけですよ。これは我々の責任もありますよ。だから、別に一方的に追及しているんじゃなくて、これだけ看過できないような問題があるから、せめてサンプル、我々が政権をとっていたらサンプル調査をしますよ、それは。サンプル調査をして、三桁なのか二桁なのか、違法状態の、これは先進国として恥ずかしいわけでありますから、どのぐらいあるか、そのぐらい調査するというので、自民党の皆さんは、それもだめだとおっしゃいますか、本当に。

 それはやはり与党の役割として、全部大臣の言うことをへいへい聞いて追認するということでは与党の役割はないと思いますので、これは同じ繰り返しですから、また金曜日に質問しますから、ぜひ本当にやってくださいよ。何十年かかって、だめでしょう、違法状態が。

 最後に、GPIF、年金の積立金の質問をいたします。

 これは、麻生大臣が非常に見過ごせない発言をされました。四月十六日に財務金融委員会で、「GPIFの動きが六月以降出てきます。」「そういったようなものの動きが出てくるというのがはっきりしてくると、外国投資家の方が動く可能性が高くなる。」株価が低迷していかがかという質疑の中で、GPIFが頑張るから大丈夫だみたいな、ちょっと本末転倒な、PKO、プライス・キーピング・オペレーションのような、誤解を受けるような発言ではないか。

 実際に、株価が上がりました。前日終わり値で一万四千円を割り込んでいた日経平均株価が一気に急上昇して、上げ幅は、ことし二番目の大きさになりました。前日比で四百二十円上昇して、これは、因果関係は麻生財務大臣本人が認めているんですね。ことしの四月十八日の記者会見で麻生財務大臣が、この話を言った途端に株価が動いてしまったと、みずからおっしゃっておられる。

 GPIFを、一%国内株を買い増しすると、一・三兆円動いていくんですね、これは。十二ページにもありますけれども、一日の売買代金というのは総額で一・七兆円ぐらい。ですから、この一兆円というのはいかに大きい、影響力のある数字かということなのでございます。

 これは、三谷理事長、虎の子の資金を預かる立場のGPIFの理事長にも来ていただいておりますけれども、この麻生さんの発言というのはいかがお感じですか。

三谷参考人 お答えします。

 私どもは、年金積立金の運用は、専ら被保険者の利益のために行うという厚生年金保険法等の規定に従って、受託者責任を果たすように行っております。

 麻生大臣の発言の詳細は私ども承知しておりませんが、私どもとしては、今後とも、年金積立金の運用の目的に照らして、安全かつ効率的に運用してまいりたいというふうに考えております。

長妻委員 きょうは古川財務副大臣も来ておられます。本来はこれは麻生財務大臣を呼ぶべきなんですが、厚労委員会ですからお呼びできないので、副大臣、麻生発言というのは、これは訂正するとか何らかのことはお考えにはなっていないんですか、省として。

古川副大臣 四月十六日の麻生大臣の発言は、これは委員も御承知のとおり、GPIFにつきましては、昨年の成長戦略を受けて一月に閣議決定をされました産業競争力の強化に関する実行計画というのがございますけれども、この中において、財政検証の結果を踏まえた新たな基本ポートフォリオを決定すること、それから、所要の積極的な対応を行うことなどを規定しておりまして、これを踏まえて、ことしの六月までに行われる予定になっております成長戦略の改定ですけれども、この改定作業を初めとして、種々の作業の中で議論されているものと考えての麻生大臣の発言であったというふうに理解をいたしております。

 もう御存じのとおり、株価というものは、さまざまな要因に影響されて、そして市場において決定されるものでありますので、財務大臣、金融担当大臣を担当しております大臣が発言をすることで影響があるということを、十分、大臣は認識をされております。

長妻委員 今の答弁が本当だとしたら、これは、財務大臣、株価操作のような話になっちゃいますよ。ちょっと、本当にこういう話がいいのかどうかということで、今の答弁を、私の理解力が十分か十分でないか、私の理解では、非常に大変なことをおっしゃられたんじゃないかというふうにも思います。

 十ページ目をちょっと見ていただきますと、国内株式でいうと、今、GPIFが一七・二二%なんですね。それで、外国株式が一五・一八%。ですから、そういう議論をしていく順番がおかしいと私は思うんです。

 ポートフォリオを見直すというのは、私は、それはもちろん否定するわけじゃありませんけれども、成長戦略のために虎の子の年金積立金をいかに活用するか、こういう視点は議論の順番として本末転倒で、これは、被保険者のために、これから厳しい年金財政をいかに乗り切るかということで、被保険者の代表者を交えて、冷静に、被保険者のためだけを考えてGPIFをどうするか、こういう議論の中でいろいろな見直しが出てくるのなら、私もある程度理解できる部分もあると思うんですけれども、話の順番が違う。

 しかも、国家公務員の共済年金について積立金があるんですけれども、七%しか国内株式を運用していない。外国株式は五%。外国株式は三分の一なんですね、GPIF、厚生年金、国民年金の国民の積立金に比べると。国内株式も国家公務員は半分以下なんですね。

 国家公務員の共済年金の担当者の方に、一度聞いたことがあります。なぜ国家公務員はこんなに株の比率が低いんだと言ったら、安全第一ですとおっしゃるわけですよ、運用が。でも、それだったら、そういう視点だったら、GPIFも安全第一でやっていただきたいというふうに思うわけでございます。

 ぜひ、与党の皆様も、これも別に一方的に追及する話じゃありませんから、我々も一度政権を担った立場でありますから。ただ、どう考えても、田村大臣、成長戦略の会議の中から、しかも、ベンチャー企業を育成するような会議の中からGPIFの運用の見直しが出てくるというのは、これはおかしいと思いませんか、大臣、話の順番として。

 最後、それだけ聞いて質問を終わりますから。ぜひ、くぎを刺していただきたい。

田村国務大臣 その成長戦略、当然、経済状況は変わります。変われば、運用状況も変わります。当然、経済状況が変われば、それだけ、成長戦略でありますから、賃金も含めてふえていく、そういうような方向性を示していくわけであります。

 その中において、必要な運用利回り、これは現在、年金の財政検証の中においてやっておるわけでありますが、それで出てきた目標とする運用利回り、これを目指してどのようなポートフォリオを組んでいくか。それは、先ほど来話がありますとおり、専ら被保険者のために、やはり安全じゃなきゃなりません。それでいて、効率的じゃなきゃなりません。

 そして、それをどう目指すかという意味からすれば、やはりリスクというものを最小限にしていくという中において、分散投資という形の中で決めていくということでございますから、GPIFの中においてしっかりとお決めをいただける、このように考えております。

長妻委員 これで質問は終わりますけれども、真っさらの、何にも議論がないときで大臣の今の答弁だったら、なるほどと思うんですが、もう成長戦略の会議やベンチャー企業の育成の会議でどんどんこういう話が出て、前に進んでいるんですよ、六月という話も出てきて。そのときにどうお考えですかということで、非常に不十分だと思いますので、また金曜日に質疑させていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 私ども日本維新の会はまだ政権をとったことがありませんので、一方的に追及できる立場でありますが、GPIFについては追及しません。

 長妻委員御指摘の点、わからないではありません。私も経験があるのでありますが、やはりこれは、もちろんGPIFなり厚生当局が適切にマネジメントをしていくわけでありますけれども、外野がいろいろおっしゃるわけですね。外野もやはり、影響が大きいので、関心はあるわけですね。大臣がおっしゃったポートフォリオについて、外野は若干、その思いが前つんのめりというか、あれして、やはりポートフォリオを外野から見たときに、そろそろというか、状況、環境に応じて見直しを期待していくわけでありまして、その期待値形成は当然マーケットであるわけであります。

 それについて、外野が、まあわざわざ発言するのはいかがなものかという議論はあると思いますが、外野からすると、早くしてくれよ、早く適正にしてくれよという議論はあるわけで、余り大した話じゃないなという感じがいたします。

 ただ、GPIFのガバナンスをちゃんとやるべきだという指摘は、長妻委員の御指摘ごもっともであり、ただ、大臣の御答弁に従うと多分大丈夫だろうなというふうに、私は信頼をしているところであります。

 ずっと医療法人の話をしてきましたので、気を取り直して年金の話に入りたいと思いますが、一言だけ。

 修正案は委員会で否決をされましたので、大臣、私ども日本維新の会として申し上げていた四点、医療法人の情報開示、病院の再編円滑化、持ち分あり医療法人の事業承継税制、それから補足給付の資産捕捉、この四点について、もうこれは検討課題ではないということか、検討課題であるということか、四点について、マル・バツで結構ですので、厚生省としてのお立場を御答弁いただければと思います。

田村国務大臣 医療法人の情報開示であります。

 以前申し上げましたが、今も一般の方は見られるわけでありますが、さらなる情報開示ということで、インターネット等々で開示することということが委員からの申し出でございました。これは、医療法人の事業展開に関する検討会、ここでさらに検討をしてまいりたいというふうに思います。

 それから二番目が、医療法人の分割の話ですね。これに関しましても、今の検討会で議論をしてまいりたいというふうに考えております。

 あわせて、事業承継税制の話、これは持ち分ありの話でございました。ここは、基本的に持ち分なしの方に移行するということが前提で今動いております。しかし、そういう方向はありますけれども、検討という意味では検討してまいりたいというふうに思います。

 それから補足給付、これに関しましては、特養の補足給付でありますけれども、我々も問題意識としてはあります。資産といえども、これは預金だけではなくて不動産も入るのではないか。何とか我々も実現しようと思ったんですが、まだ現状では現実的にできないということで、我々もさらに検討を進めさせていただきたいということでございます。

 大きく言うと、四つとも検討ということで御理解いただければありがたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 私ども、本則にこだわったために、法令という形では獲得できたものはないわけでありますが、今大臣の御答弁では、四つとも検討はするということをこの委員会で明言いただいたわけですから、検討している、あるいはするということでおっしゃっていただいたので、四つマルということで、ありがたく頂戴しておきたいと思います。

 それから、きょうは年金ですので、大きく二つ、討論をさせていただきたいと思っています。

 一つは、大きく年金財政全体の話ですね。年金財政全体の話で、マクロ経済スライド云々という民主党さんのお好きなテーマでありますが、これが一点。それからもう一つは、いわゆる短時間労働者の問題、これを国民年金で相当受け入れているわけでありますから、これを被用者年金と国民年金でどうしていくのか。この大きく二つのテーマを議論していきたいと思っています。

 まず、これは復習でありますが、今政府は、インフレ目標ということで、デフレからの脱却ということを最優先課題の一つとして取り上げられています。インフレ下におけるマクロ経済スライドというこの制度は、当たり前のことでありますが、年金財政には一定の財政を安定させるという効果はありますが、必然的に低年金者を拡大するという副次的なマイナス、まあマイナスでしょうね、マイナスの影響がある、こう言ってよろしいかと思いますが、確認だけさせてください。そういう副次的なマイナスの効果がある、これでいいですか。

田村国務大臣 マクロ経済スライドは、長くかかればかかるほど、やはり給付が下がっていくわけであります。ただ一方で、所得代替率という考え方のもとに、一定のモデルの所得層に関して五〇%代替率を確保するということになっておりますから、変な話、その一点ではしっかり保障をしておるわけであります。

 ちなみに、今度の見直しがどうなるかはわかりませんが、現状では世帯所得が三十五万八千円ということでありまして、それよりも低い世帯収入のところは所得代替率が五〇よりも上がっていく、それより高いところは下がっていく、これが年金制度であります。

 でありますから、そこをもし割り込むことがあれば何らかの改正はせざるを得ない、これが今の法律の構成になっておりますが、ただ、低所得者の方々もやはりマクロ経済はかかりますので、仮に低い方々は今よりかは低くなっていく、マクロ経済がかかればということであります。

足立委員 影響はあるという御答弁だと受けとめさせていただいていいかと思います。

 私は、先般来、この委員会でも何度か取り上げさせていただいたように、やはり無年金、低年金問題、これは年金制度に残る最大の課題の一つである、こう思っています。これは大臣も、何度かこの場で議論をさせていただいて、それは課題ではあるなということでおっしゃっていただいています。

 これは、通告で言うと一番最後にジャンプをするかもしれませんが、この低年金、無年金の問題は、例えば以前のこの委員会では、いわゆる福祉的給付の扱い等も含めて非常に複雑な、政府と国会、与党との関係でもいろいろな修正を経ながら福祉的給付というものが今でもあるわけでございますが、非常に制度設計が難しくて、やはり低年金、無年金の抜本的な解消のためには、私は、ある種マイナンバーの活用というか、いわゆる収入だけじゃなくて資産についても、先ほどの補足給付の話も同様でございますが、これは分野は違いますが、介護であり年金であり、分野は違いますが、福祉的な観点、低所得の方々に対する福祉的な観点が入れば必ず出てくるのがそういう収入及び資産の捕捉ということがあって、大臣も先ほどおっしゃったように、介護分野においては、引き続きそこはチャレンジをしていくということであります。

 そのときにやはり大事になるのはマイナンバーだと、私はもうずっと個人的には思っているわけでありますが、ちょうど今、マイナンバーについても政府内で動きがございます。きょうは内閣官房の向井内閣審議官にもお越しいただいていますので、IT本部等におけるマイナンバーに関する検討状況を簡単に御紹介いただければと思います。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバー制度の利活用につきましては、本年二月に、IT総合戦略本部の新戦略推進専門調査会に、新たにマイナンバー等分科会を設置いたしまして、検討を進めてまいりました。

 先般、五月十六日に中間取りまとめが行われておりまして、その中では、例えば、健康保険証等、公的サービスや各種資格証明に係るカード類の個人番号カードへの一体化、一元化、それから、暮らしに係る利便性の高い官民オンラインサービスを提供するマイガバメントの実現、そして、番号そのものの利用の拡大に関しましては、公共性が高く、さらなるメリットが期待される預貯金付番、それから医療、介護、健康情報の管理、連携、戸籍事務等に拡大することを検討するというふうな内容となってございます。

 先生御指摘の資産につきましては、現在、現行法では、証券とか保険につきましては、税務の調書がございますので付番対象となっておりますが、預金が、なっておりません。これにつきましては今後検討していくということで、前向きに検討してまいりたいと思っております。

 なお、資産の中の不動産につきましては、登記情報もマイナンバーはついておりませんが、登記につきましては、不動産の実態を必ずしも反映していない、例えば地方におきましては、まだ相続が済んでいない、亡くなってもう何年もたたれる方の登記というのが結構残っております。これらをどうするかも含めて、さらに検討する必要があるのではないかというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 まさに今、非常に大事なところを内閣官房の方で御議論をいただいている、こういうふうに理解をしています。

 今いろいろ御説明いただいた中で、預貯金、預金の扱い、これは前向きに検討ということですが、今の取りまとめでは言及をされているかいないか、それから、前向きに検討するとすれば、それはどういうことでこれから検討していくのか、簡単で結構です、お願いします。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 この中間取りまとめにおきましては、預金、貯金に番号をつける、マイナンバーをつけるということを言及しておりまして、これを政府が検討すべきであるというふうに言及してございます。

 預金につきましては、三つの観点から付番ということが考えられるかなと。一つは、税務の観点から、調書という形でございます。もう一つは、マネーロンダリングの観点から、預金に番号をつける。これは諸外国、全部やっておりまして、例えばアメリカなんかでは、預金口座を開くときにソーシャル・セキュリティー・ナンバーが必要となる。それからもう一つは、破綻法制でございまして、破綻した場合に名寄せをして、一人一千万とか限度がございますが、現時点では名寄せし切れていないということでございますので、マイナンバーを活用すればすぐに名寄せができる。

 この三つの面から検討してまいりたいというふうに考えております。

足立委員 まさに今御指摘をいただいたとおりの検討状況だと私も承知をしておりますが、預貯金については、今おっしゃった、預貯金と言っていいのかな、預金と言った方がいいのかな、まあ預金について、税、マネーロンダリング、破綻法制、そういうことで御議論いただいていると。

 一方で、私どもの清水鴻一郎委員が再三主張されておられる、不動産を含めたいろいろな議論があります。これは地域医療介護法案の審議プロセスで相当議論が出ましたが、大臣、いわゆる厚生労働省が抱えているさまざまな、今私が冒頭申し上げたような課題、これはこういうところにしっかりと位置づけていくべき課題だと思います。例えば、介護の補足給付でもそこが課題になってきているわけだし、銀行の協力というかね。

 それから今、私がきょう年金のことで、年金についても、低所得高齢者へのいろいろな給付とか、あるいは低年金の問題、無年金の問題に対処していくためには、その方々が一体どれだけの収入があり、どれだけの資産をお持ちであるかということを捕捉しないことには、厚生行政は始まらないと私は思います。

 大臣、これはぜひ厚生省としてももっともっと前向きにマイナンバーの議論に絡んでいっていただかないといけないと私は思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 まず、前段の補足給付、特別養護老人ホーム等々に給付しています補足給付、これは、マイナンバーがない世界でも預貯金というものを自己申告していただいて、銀行等々に照会してもらってもいいという承諾を得て、うそをつくなり悪意があった場合には三倍返しでしたっけね、というような形でお返しいただくという話だったと思います。

 なぜ年金生活者支援給付金にはこれがないんだというようなお話がございました。

 法律が前回であったということもあるわけでありまして、今回初めて介護保険にこれを導入するということもあるんですが、どこが違うかというと、一つは、これは事務的ないろいろな手間を考えると、やはり圧倒的に人数が多いわけでありまして、しかも現場が自治体ではないので、これは多分、日本年金機構になろうと思いますので、そこが対応できるかという問題なんだと思います。特養に入られる方々は数十万人でありましょう。こちらは多分数百万人という規模になってくると思います。それが一つ。

 それからもう一つは、現物給付と現金給付。

 この給付金の方は現金ですから、やはり現物給付である補足給付と比べるとかなりセンシティブな話になりますので、公平性という意味。向こうは、公平性というものもあるじゃないかと言われましたけれども、そこはとりあえず御本人と約束して、要するに、銀行なんかに照会することも了承を得てみたいなところで何とかそれを担保をとるわけでありますが、それでも厳密かどうかというとなかなか難しいところもあるんです。ただ、現金の場合はもうちょっとやはりセンシティブであろうなという部分で、なかなか難しいのであろうな。

 そこで、今言われたように、マイナンバーを入れてくると、かなりそこはクリアになってくるんじゃないか。少なくとも現金、預金の方は、もちろんそれを引き出して息子に渡しちゃったらどうなるんだという話はあるんですけれども、現預金の場合は、ある程度確認できる。

 これを導入したらどうだというお話でございましたが、残念ながらまだ、今もお話がありましたとおり、我々がそれを要求する前段階で、政府の方から、こういうものも含めて検討しろというふうに御指示を受けておられるんだと思います。

 その上で、そういうものが入ってくれば、我々としては、ほかにもいろいろなものを利用できるかもわかりません。そういうものを利用できるかどうか、また、国民的に御理解もいただけるかどうかということも含めて、検討をしてまいるというような手順になってこようと思います。

足立委員 大臣の今の御答弁、よくわかります、整理も。

 ただ、あえて一つ、大臣の御答弁につけ加えると、つけ加えるというのは僣越ですけれども、生活保護なんかもありますね。生活保護は、まあ議論がありますが、一応現金給付と言っていいのかな。一応現金給付ですね。現金給付の世界であります。ところが、いろいろ資産についても調査をするわけでありまして、厚生省のこの世界というのは、本当によく整理を、大臣は頭の中では整理されているかと思いますが、一見、非常に不整合かなと思えるところが多々あります。

 それは、主に経緯の中でそうなってきているわけでありますが、例えば一年審議がずれるだけで、こうやって議論が違ってくるわけでありますので、ぜひこれをきっちりと、長いタームで政策思想を整理できるのは田村大臣しか、多分自民党には、ほかにもたくさんいらっしゃいますけれども、佐藤副大臣もできるかと思いますが、済みません、切りがないのでこのぐらいにしておきますけれども、皆さんも大丈夫ですけれども、委員の皆さんもできると思いますが、これはぜひやっておくべきだと思います。

 特にサービス給付については、大臣の御指摘があったとおり、マイナンバーを前提としなくても、サービスを給付するわけですから、いろいろな局面で確認をする手段というものが多分あるんだろうと思います。

 ただ一方で、やはり現金給付の世界については、現金給付の制度間のそもそもの整理も要るし、それぞれの制度におけるインフラの活用、これは私はマイナンバーだと思っています。

 向井審議官、可能であれば、せっかくきょう田村大臣から比較的前向きな御答弁をいただいたので、私は、ざっと今、中間取りまとめの案というものを拝見すると、医療等のことは言及があります。年金という言葉は、ちょっと今見つけられなかったんですけれども。

 大臣は、内閣官房から御指示があればという話もありました。ぜひ、この中間取りまとめの案、厚生労働委員会で指摘があったという背景でも何でも結構です。ぜひ、厚生行政全般について、医療、介護等のサービス給付だけじゃありません、現金給付にあっても、低年金、無年金等の福祉的な配慮が必要なものについては、やはりマイナンバーの活用を含めて、マイナンバーの御検討をされているわけですから、マイナンバーを使って、より適切な、適正なハンドリングをすべきだ、こういう提言を盛り込んでいただきたいんですけれども、審議官、どうでしょうか。審議官のお立場では答えにくいかもしれませんが、ぜひちょっとお願いします。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバー法そのものでは、税、社会保障の共通番号でございますので、社会保障の分野では基本的に全ての給付、それから保険料の徴収等にマイナンバーが利用できるということに現行法はなってございますが、ただ、医療情報、いわゆるカルテ情報と病院間の連携については対象外となっております。

 したがいまして、基本的にはつくわけでございますが、先生御指摘のとおり、資産に関してマイナンバーがついていない部分というのはかなりございますので、もし仮に資産についてマイナンバーをつけることができますと、税のみならず社会保障の面でも、例えば先生がおっしゃるような生活保護とか、そういう面でもさらに利便性が高まるものではないか、そういうふうに考えてございます。

足立委員 ありがとうございます。

 そういうことで、先ほど向井内閣審議官の方から、預金については議論されているのは三つある、税とマネーロンダリングと破綻法制ですか、その三つだとおっしゃった。三つだと限定的に今内閣官房でハンドリングをされると、足立君はちょっと悲しいわけでありまして、ぜひそこを膨らませて、大臣もここで、もし内閣官房から要請があれば検討しようかななんという感じになっていますので、これはどうしたらいいですかね。どうしたら、その中間取りまとめの案にそういう議論がもうちょっと膨らみを持ってまとめていただけるか。野党の議員がここで幾ら叫んでも無理かもしれませんが、向井審議官ならできると思いますので、ぜひちょっと御検討いただきたいと思います。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 中間取りまとめでは預金の付番を検討するというふうになっておりまして、その観点まで書いているものでは決してございませんが、こういう資産の捕捉というのは社会保障にも当然役立つというふうに考えられますので、これらにつきましては、厚生労働省とともに活用方法を検討してまいりたいというふうに思っております。

足立委員 今でも排除していないという御答弁であると思いますが、ぜひ、大臣でも、あるいは樽見審議官でも香取局長でも結構なんですけれども、ぜひ、これはまだ案がついたままです。厚生省として、きょう私が申し上げたような観点から、むしろしっかりそこを書いておけ、ちゃんと受けとめるから書いておけ、そういう役所間調整をちょっと、どなたになりますか、樽見さんですかね。あるいは香取局長、お願いします。

香取政府参考人 一体改革の議論のときは私も事務方で参加しておりましたので、マイナンバーの活用についてはさまざまな局面で私どもの方でも活用できますので、今、向井審議官からありましたように、よく相談をしながらやっていきたいというふうに思っています。

 ただ一点、例えば資産の問題なんですが、捕捉をするというところまでは仮にできたとして、捕捉をした後、それを例えば福祉給付金の制度に織り込むときに、資産が一定ある者については給付はしないという整理を仮にしたとしますと、先ほどの、現物で資産を持っているということとフローの給付の調整との間で、結局どこかで資産をどういうふうにエンキャッシュするかとか、その次の問題を今度は私どもは考えなければいけなくなりますので、一応そういうことも含めて、どういう形で今後考えるかということも考えながら、よく相談をしてやっていきたいというふうに思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 今、年金局長がおっしゃられたとおりと私も思います。そういうことだと思います。

 逆に言うと、厚生省主導でやはりそういう議論をしておかないと、何か周りから差し込まれてばかりだと大変ですから、むしろ、内閣官房あるいは競争力会議、いろいろな会議に入れていくぐらいの勢いで、田村チームでお願いをしたいと思います。

 もう三、四分しかありません、金曜日もまたお時間を頂戴するので、ちょっと予告をしておきたいと思います。

 やはり、先ほど井坂委員もおっしゃっていました、ちょっと政策思想がわかりにくくなっているんじゃないかという議論、私も同じように感じるんですね。要は、継ぎはぎがふえていって、制度が若干複雑になっていっていると思うんですね。

 例えば、今回の法案でも、もうこれは一応通告しているので時間があればお答えいただいたらいいと思うんですが、年金の徴収権の時効の問題、それから受給資格期間の問題、それから事後納付、後納制度とその保険料額の問題、申請免除制度をどう修正していくか、延滞金利率をどう軽減するか、納付猶予制度をどうするか、強制徴収体制をどう強化するかなどなどなど、たくさんの論点が入っていて、これは、最終的には国民一人一人がこれを理解しないと意味ないですね。制度は基本的には自主納付、申請主義なんですから。

 ここで今私が読み上げたさまざまな制度、一人一人の国民がそらでも理解できるぐらいじゃないといけませんが、これは私は理解していません。大臣に、ここでぜひそらで何かこれを解説してくださいというのが通告の六番なんですけれども、そういうつまらぬことはやめておきます。

 例えば、今、年金局長がおっしゃった、仮に捕捉できるようになったとして、それを年金制度にどうリンクづけしていくのかということ自体が大課題であると。これは例えば受給権の問題等にもかかわることだと思います。

 しかし一方で、政治的に、福祉的給付、先ほど大臣も言及いただいた給付制度が入ってきたり、さまざまな制度的な修正が加わっているわけでありまして、私は、自主納付原則、申請主義についても若干の修正が加わった法案だと今回は思っているんですね。それは勝手に思っています。

 だから、ぜひ、そういう年金制度、それから医療、介護についての社会保険制度の政策思想というものをもう一回きっちりして、シンプルな制度にしなければ、私は、納付率の本格的な回復ということは困難である、こう思っているわけであります。

 一応、六つ目は大臣に通告をさせていただいていますね。こういうのを繰り返してきて、びほう策ではないかと、私、通告をさせていただいていますので、ちょっと最後に、金曜日に向けてお願いできればと思います。

田村国務大臣 やはり、自主納付でありますけれども、納付義務がかかっているわけであります。いろいろなものはやはり申請主義でありますから、年金記録問題が生じたときも、申請主義という中においてなかなか難しい。これは申請することが前提でありますから、自動的に年金が裁定されて給付されるわけでもない。そこは、やはりそれぞれ国民の皆様方が御自身の権利として意識を持っていただきたいという意味があります。

 今般、びほう策だとおっしゃられます。それは、制度を長年やってまいりますと、いろいろな問題点を直していかなきゃならぬわけでありまして、そういう意味では、適宜、穴があけばそこを縫っていくわけでありますけれども、今般のいろいろなものは、無年金の方はやはり年金をいただくようになっていただこう、それから低年金の方は、少なくともその低年金を少しでもふやしていただくようにしていこう、こういう思いの中において、自主納付、申請主義といいながら、強制徴収の強化というのも入っておるわけでございます。

 そこはもう、やむを得ない場合、どう見てもこれは払っていただく能力があられるという方に関しては、そこまで含めて対応していくということでございまして、それをやること自体、また、納付率等々に対しての意識というものにもなっていただけるのではないか、こういう思いもあります。

 委員が大好きな小泉政務官には、コンビニ納付ということでいろいろと対応いただいておりまして、そのような納付しやすい利便性というものもしっかりと担保してまいりたい、このように考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 時間が来ましたので、幾つか、短時間労働者の問題、被用者保険と国民年金の問題、それから、きょう御協力いただいたマイナンバーの問題、金曜日にも引き続き質疑をさせていただきますので、御協力のほど、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 ありがとうございます。日本維新の会の重徳和彦です。本日もよろしくお願いいたします。

 本日は、政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして議論をしてまいりたいと思います。先ほどから足立委員や井坂委員が指摘されておりましたような国民年金の体系、全体につきまして、少し分析を加えながら質疑をして深めていきたいと考えております。

 まず、基本的に、この日本の国民皆年金でありますが、保険の世界ですね。税とか、強制的に徴収される世界とかではなくて、保険の世界というふうに整理がされております。ですから、保険である以上は、自主的に保険料を納めて、納めた分に応じて給付が年金として払われるということだと思うんですけれども、そういう意味では、強制されることは余り基本ではないんだけれども、逆に言うと、払いやすい仕組みをつくっていくということはありかなと思います。

 ですが、今回の法案におきましては、その使いやすさ、入り口を広げる、間口を広げるというところには非常に気配りがされていると思いますが、その副作用といいますか、やはりモラルハザード、いつ払ってもいいんだとか、そんなようなモラルハザードを及ぼす可能性がある。さらに言うと、それが結局は年金財政に支障を来すようなことになるのではないか。こういう視点からまず質問に入りたいと思います。

 初めに、保険料の後納制度につきましてでございます。

 平成十六年に年金の大改革が行われてから、もう無年金とか低年金の問題はずっと指摘をされ続けていたわけで、これに対しまして、後納制度というものが平成二十三年の法改正で、徴収時効二年を経過した国民年金保険料について、三年間、二十四年の十月から二十七年の九月までに限り、本人が希望した場合には、徴収権が時効消滅した保険料について、過去十年以内の納付を可能にしたというものなんですが、過去を追っかけてみますと、政府の原案では、もともと三年間に限りじゃなくて恒久的な措置だったとして政府提案がされたんですが、いや、それじゃ本来の期限までに納付する意欲が低下する、したがって、かえって低年金を招くんじゃないかということで、三年間の時限措置に修正が衆議院においてはされたということでございます。

 ということで三年に限ったと思っていたら、つまり来年の九月までの措置だと思っていたら、今度、また延ばすということでありますので、真面目にその三年間の期限を守ろうとした人にとっては、何かまた、やはり、いつでもいいのかなというふうに見られちゃうんじゃないかなというふうに思うんです。

 こうした過去の議論も踏まえて、それから、先ほど、後納制度によって納付率が上がったというような御答弁もほかの委員の方に対してあったと思うんですが、そのあたり、どのようにごらんになっているんでしょうか。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 後納制度は、今お話ありましたように、二年の徴収時効が過ぎた過去の未納期間につきまして、特別の時限措置ということで、保険料を事後的に納めることを可能とする制度ということでございます。

 後納制度について、まさに、後で納められるということになると、そのときに納めなくてもいいという議論が出るのではないかという議論がございました。そういうことで、先ほども御説明申し上げましたけれども、後で納めるときには、最初に納めるときよりも若干金額を加算して納めるというような仕組みになっているわけでございます。

 この二十四年からの納付率、これだけが要素ではないと思いますけれども、状況を見ますと、納付率は回復傾向という形になってきているということでございますので、これによってかえって納付率が下がるというようなことにはなっていないのではないかなというふうに思っております。

 したがいまして、今回も、後納制度、さらに三年延ばすということでございますが、ただ、やはり保険の原則からいたしますと、あくまで例外的な考え方ということになりますので、三年の時限ということをやらせていただくということと、本来納めていただくべきときに納めていただくものに比べますと、やはり少しお金を高く払っていただくという仕組みにしたいというふうに考えているというところでございます。

 以上でございます。

重徳委員 今回、もう一つ、若年者猶予制度、これが延長されるというのもございます。

 これまでは三十歳未満だったところを、五十歳未満まで猶予措置を広げるということです。時限措置は既にもう延びているんですね。年齢が三十歳から五十歳に延びるということなんですね。

 最初、十七年から二十七年までの十年間の措置というのも、一度、二十四年あたりで、これは有意義であるというふうに評価された上で、もう十年延びて、今三十七年までの制度になっているということなんですけれども、このあたり、どのように評価されたのか、ここでお伺いしたいと思います。

樽見政府参考人 お答えいたします。

 若年者の納付猶予の制度でございますけれども、これも、先ほど申し上げましたけれども、誰でも猶予できるというわけではなくて、一定の所得以下の方が対象になるわけでございます。

 それで、例えば、世帯主の方、親御さんなんかが一定の所得があるけれども、御本人には所得がない、だけれども、そこで、したがって、親に所得があるということで免除にはならないけれども、御本人が所得がなくて苦しいというときに、いわば出世払いといいますか、後で納めていただくということができる。また、猶予の手続をとっていただきますれば、障害、遺族というような給付の対象、あるいは老齢についての資格期間への算入ができるというようなことでございます。

 それが、今までは、二十九歳まで、三十歳未満ということでございまして、三十歳になった途端にその対象から外れてしまうということで、これが不便であるという声もあったわけでございますけれども、いわゆる中高年フリーターというようなものも出てきているというようなことも言われておりますので、そういう中で、こういういわば出世払いの制度を利用しやすくする。もう少し年が上の方まで利用して、年金制度とのかかわりを持って、全く未納というふうになるのでなくて、利用しやすくするということで、今回、この年齢の引き上げということを考えたわけでございます。

 したがいまして、こうした制度を利用していただきますと、納付機会の確保、それで、先ほど大臣も申し上げていましたけれども、無年金というのが少しでも減らせる、あるいは低年金というところも、もう少し納付を後からしていただきやすくするというようなことで、将来の年金額をふやす、そういう効果を持っているというふうに考えております。

重徳委員 無年金、低年金という状態をどこまで心配するのかという議論もあると思うんですね。これは、本人の選択によって払わないということも、保険制度を前提とする限りあるわけですので、そこについても後ほど議論したいと思うんです。

 今審議官がおっしゃった、出世払い制度を利用しやすくということなんですが、先ほど申し上げたように、利用のしやすさということと、それに伴う副作用ということについてよく考えなきゃいけないと思うんですね。

 人間、やはり、猶予すると言われれば、それは後から払おうかなという気になります。ですから、実際には頑張れば支払えるとか、あるいは家族にちょっと金を融通してくれと言えば払えるような人も、自分自身の所得がないからちょっと猶予してくれと言って、後で払いますと。後で払うときに、払うべきものもあるし、そこに猶予されたものを加えて払うということですから、それもなかなか大変な話であります。ということが一つありますので、ですから、これを後で追納してねといったときに、ちゃんと追納するかどうか、できるかどうかというのは、なかなか、人間、厳しいものがあるんじゃないかなと思います。

 それからもう一つは、これもかなり本質的な問題なんですが、結局、後で払うにしろ、いつ払うにしろ、払っておいた方が得だよと思って払うかどうかというのは非常に根本的な問題だと思います。

 今、納付率は六〇%、数%上がったといっても六割ですから、六割の方々が、払った方が絶対得だ、たんす預金だとか自分で運用したりとか民間保険の方が得だと思わずに、絶対、国民年金を払っておいた方が本当に得だと思っている方はどれほどいるか、ちょっと疑問もありますね。本来、保険料を払った上に、半分は税金で追加した上で返ってくるんですから、そこだけ考えれば得に決まっているはずなんだけれども、どうもそういう感じがしない。

 これはやはり賦課方式ということが原因ですね。今自分が払った分がそのまま戻ってくるんだったら、税金分もつけ加えて戻ってくるなら得に決まっているんですけれども、自分に返ってくるんじゃない、今の高齢者の方に払っているという部分があるものですから、どうしても、払った分だけ返ってこないような気がするというか、そこもちょっと大臣に御説明いただきたいんです。

 つまり、よっぽど長生きすればそれは元は取れるだろう、しかし、普通の人生の寿命が来て死ぬと思っていたら、その間に元を取り返せないんじゃないか、こういう感覚があるのではないか。そういう中で、今回、猶予制度を拡充しますとかいうことを言っていくわけですよね、そういう制度ができるわけですから。

 この猶予制度、使ってくださいと言うんですか。それとも、制度はできたけれども、でも、余りお勧めばかりしているとどんどん先送りになっちゃうから、どちらかというと、本来は、減免の制度もありますので、ほかの制度を使っていただきたい、猶予制度というのは余り表に出さずに、しかも五十歳まで使えるなんて言っちゃったらもうどこまでも延期されてしまいますので、余り宣伝しない方がいいような気もするし、どういうふうに周知をされるんでしょうか。

 それから、もともと、年金保険料を払ってくださいと厚労省あるいは年金機構の方が被保険者の方に説明するときに、必ず後でちゃんと返ってきますからと今胸を張っておっしゃっているんでしょうか。

 このあたり、どう周知、説明しているのか、そして、これからしていくのか、大臣から御答弁願います。

田村国務大臣 猶予制度は、まず、なぜ猶予制度を引き延ばしたか。

 今も話がありましたとおり、若年フリーターと言われた方々が年長フリーターになってしまっている。これは、もう二十年近く、ずっと成長しない日本の経済の中において、そのままフリーターというような形で生計をつないでいる、もしくは親と同居しながら生活されておられるという方々がおられます。そういう方々を対象にした場合に、保険料を払う能力が今はない、しかしながら、親がおりますから、世帯で見るとこれは免除にならない。

 この場合、この猶予制度に入ると、メリットの一つは、それは、もし何かあったときに、死亡したときに遺族年金が出る、それからもう一つは、障害者になったときに障害基礎年金が出るというのがあります。

 しかし、もう一つのメリットというのは、空期間ということでありまして、年金の受給資格期間にはカウントされるということであります。ですから、今は二十五年でありますけれども、二十五年にカウントされる。だから、受給資格期間が足らなくなっちゃって年金を全くもらえないということは防げるわけであります。

 ところが、一方で、保険料を納めません。しかも、これは免除でもありませんから、何ももらえないですよね。もらえないということは、私は今猶予を受けていますからこれでいいんですと。それは、もらえないものを猶予を受けたって、老後、何の意味もないわけであります。

 ですから、そこは、追納してください。追納すれば、その部分はちゃんと埋まりますから、場合によっては満額ということもあり得るかもわかりません。でありますから、本当に苦しいときにこれを使っていただいて、やはり納めていただくというのが本来でございますので、所得があったら猶予にもならないんですが、なるべくなら、やはり、頑張って所得を取っていただいて、納めていただく。

 そのために、我々は、経済をやはり好転させて、そういう方々がしっかりと保険料を納められるだけの所得を持っていただけるような、そういう経済環境をつくっていかなきゃならぬということでございまして、一方では、そういうようなことも我々はやっていかなきゃならぬ、このように考えております。

重徳委員 もう一度、金曜日にもう少し長い時間をいただけるというふうに聞いておりますので、さらに深めたいと思います。

 次に、年金記録の訂正手続についてなんですが、これは、先ほど長妻委員からも御指摘がありましたように、紙台帳とコンピューター記録の照合がことしの一月にほとんど終了したということで、一山越えたという話がございました。

 ただ、いわゆる消えた年金記録、安倍総理が最後の一人まで必ずチェックをしますというふうにおっしゃった第一次安倍政権のときの大問題ですね。あれが、実際、五千万件ぐらいあったのが二千万件になりましたと。

 よくよく聞けば、これから短期間の間に、二千万件があっという間にゼロに近づいていく、最後の一人までというふうに近づいていくとは思えないんですが、思えないというか、そういう説明を聞けば、なるほど、そんな気もするというふうになるんですが、やはり、今回の法案で、一山越えたということを機に法整備をしていく以上は、消えた年金記録の問題は、結局、現時点でどうなんだということをきちんと説明を、明言する必要があるんじゃないかなと思います。

 今回、新しく法手続を整備して、いろいろな行政手続を、法的な位置づけをして、場合によっては訴訟にもつなげられるような法整備をするということなんですが、何か今さらのような感じもしますし、それから、職員の体制、事務局体制もまだまだ急になくすということでもないような印象もあります。

 一体、年金記録の訂正手続というものは、いつまで、どのような体制で続けるんでしょうか。そして、そのときの費用対効果もありますね。人員も、これまで、正職員を千五百人体制で置いていた、第三者委員会の事務局にも数百人規模で置いていた、これはこのまま続けるんでしょうか、それともぎゅっと縮小するんでしょうか。そのあたりについて御説明を願います。

樽見政府参考人 年金記録の訂正手続でございます。

 現在総務省の方でやっていただいております年金記録確認第三者委員会の仕組みは、年金記録問題に対応するということで平成十九年に設けられたものでございますけれども、これまでに約二十八・四万件を処理してきている、ことしの三月末まででございますけれども、ということでございますが、現在、月別の受け付け件数を見ますと、ピーク時に比べますと八割減という感じで、一番多かった十九年、二十年ぐらいに比べますとかなり、率直に申して、減ってきているという状況にございます。

 しかし、一方で、申し立て事案の内容が変化をしてきておりまして、かつては、過去の国民年金の記録の訂正、国民年金について保険料を払ったはずなのに記録がないということについての訂正を求める事案が中心でありましたが、最近は厚生年金の、特に、厚生年金の適用は事業主から届け出が出ます。事業主と御本人の認識がずれていて、御本人はこういうふうになっているはずであるということについて、事業主の方からの届け出が間違っている、あるいは違っている、漏れがあるというようなことの案件をめぐる議論というものが割合として増加をしているということにございます。

 そういうことを考えますと、もちろん、年金記録問題の中でありましたように、日本年金機構の方で、何らかの事務的なミスということ、これも大分減らすように努力をしておりますけれども、まだ出てきておりますけれども、それだけでなくて、やはりやや構造的に、そういう事業主、本人、日本年金機構という三者の間で何らかの形で間違いが起こる可能性というのをこの仕組みははらんでおるということでございます。

 第三者委員会の報告書、第三者委員会としても二十三年六月に報告書を出しておりまして、そこでも、司法手続も考慮に入れた年金記録確認の仕組みが必要だということを書かれておりまして、政府において新しい年金記録確認体制の構築について検討をするべしという御意見をいただいております。

 そういうことを踏まえましての今回の訂正の手続ということでございますので、考え方といたしましては、臨時というよりは、恒常的というふうに考えております。

 体制等につきましては、実態に合わせて、ただ、しっかりと、従来の第三者委員会のときに比べましておくれるとか、利用者の方々に御迷惑をかけるということのないようにしていきたいとは思いますけれども、実態に基づいた形での体制というものを今後検討していきたいというふうに考えてございます。

重徳委員 これからは厚生年金の事業者の記録の訂正を中心に取り扱っていくというようなお話でございましたが、これとて、先ほど足立委員からありましたが、マイナンバー制度の充実によりまして、かなりの部分、自動化といいましょうか、効率化が図られるんじゃないかと思うんですが、今おっしゃったような観点から、マイナンバー、どういうふうに機能するといいなと思われていらっしゃいますでしょうか。

樽見政府参考人 マイナンバーの制度、まさに社会保障制度、税制のより公平な運営を実現する、それから行政の効率化、国民の利便性の向上ということで大きな意味があるというふうに思っておりまして、着実に導入を進めたいと考えておるところでございます。

 年金制度の運用ということで申しますと、まず、御本人の確認ということで、それがより確実かつ効率的になると思いますので、それによって年金記録の適正な管理ということに役立てたい。

 それから、所得あるいは住民票といったような情報について、市町村、関係機関から入手して届けに添付をしていただくというような事務が今までもあるわけでございますけれども、そういったところについて、それをこちらでマイナンバーということで確定をして、直接入手するということがより確実、迅速にできるようになると思いますので、そういう加入者の方々の手続の添付書類の簡略化、あるいは不要にするといったようなことができるのではないかというふうに思っております。

 また、ほかの制度に関する情報を私ども日本年金機構の方で入手しやすくなるということがあると思います。入手するときに間違いがなくなるということがあると思いますので、いわゆる給付調整などにおける連携というものを強化するということができるのではないかというふうに考えておりますので、そういうことで、しっかり検討を進めて、使っていきたいというふうに考えております。

重徳委員 それでは、次に、納付率六〇%という状況において、強制徴収体制を強化するというようなお話が先ほどからございます。この話題に移してまいりたいと思います。

 六〇%なんという納付率、非常に低いと思います。でも、これは保険だからしようがないのかな、六割しか保険に加入する希望者がいないんだったら六割だろうと。ただ、これは、法律上は、国民年金法の八十八条で「被保険者は、保険料を納付しなければならない。」という、義務なんですよね。だけれども、この納付義務を定めた法があるにもかかわらず六割というのは、これはもう本当に、法の趣旨に反する、法を損なうような状態に陥っていると思うんですが、このあたりはどのようにごらんになっているんでしょうか。

樽見政府参考人 御指摘のように、国民年金保険料の納付ということにつきましては、公的年金は世代間の支え合いによって成り立っているものでございますので、それを支える、誰もが守るべき義務であるということでございます。

 そういうことで法律にも書いてございますので、納付率の現状について、率直に申し上げまして、そういう観点からすると、大変厳しい状況にあるというふうに認識をしてございますので、法の趣旨を踏まえて、しっかりと納付率を向上させるように取り組んでいかなきゃならないというふうに思います。

 今回の法案の内容もそれにつながるものでございますけれども、あわせて、予算措置の方で強制徴収をしっかりやっていくとか、あるいは、年金に関する広報、周知、教育といったようなところについても幅広く取り組んでいかなければならないというふうに認識しております。

重徳委員 結局、この国民年金の法律で義務とされている、だけれども保険だ、ここが何か中途半端なわけですね。だから、この辺のもやもやとした感覚を先ほどから各委員が指摘されているんだと思います。だって、義務なんですから、義務だからちゃんと守りますというのは当たり前の話で、守っている人から守っていない人を見ると、何か自分がばかを見たような気がしてしまいます。

 ですから、義務を徹底するなら、税金並みにしっかりと罰則を設けたり、上乗せというか追徴課税のようなことを行ったり、それから、査察の権限を持ってしっかりと徴収するということが必要だと思います。

 でも、逆に言うと、保険だから、法律上義務とは書いてあるけれども、罰則も何もないし、任意なんだ、だから、払わなかったらもらえない、これだけの話なんだよということになると、最初に申し上げましたように、では、そういう判断をして払わない人が低年金になったり無年金になったりすることをどこまで政府が気にかける必要があるんだろうか、こういうことになると思うんですね。

 人間、どうしても、若いうちには自分の将来のことを余り考えない人も多いですから。私もそうだと思います。俺は無年金でもいいんだ、自分で金をためて、しっかり働いて、政府なんかに頼らないんだ、こういう判断をして、覚悟を持って年金をもらわないという決断をする人がいても別に、そこまで覚悟のできている、そして責任をとる、こういう人間ばかりであれば、そういう方はもう納めないでもいいですよという世界があってもおかしくはないんじゃないかなと思うんですが、まあ、どうしても人間の覚悟というようなものは、やはり年とともに、時代とともに、環境とともに変わっていってしまうものでありまして、だからこそ、無年金問題とかいうことを政府も気にされているということだと思うんです。

 もし本当に覚悟のある方ばかりだったら、例えば、そういう方はもう絶対年金を払わない、支給しないというふうにして、ただ、さすがに長生きのリスクはあるので、例外的に九十歳以上になったら支給を始めるけれどもというような仕組みだってあり得なくはないと思うんですが、ただ、今の法体系、制度体系の中では、やはりこれはあり得ないんですね。

 なぜかというと、これはちょっと自分なりに考えてみたんですが、やはり、さっき言いましたように、賦課方式なんですよ。俺はもう将来要らないから年金なんか払わないと宣言する人たちがたくさん出てきちゃって徴収できなくなっちゃったら、今の年金の受給者がまず即座に困ってしまう、こういう問題があります。

 それから、基礎年金にも半分税金が入っていますから、保険料を払わなかったことをもって、だから年金を全部支給しないよというのもバランスとしてよくないのかなという感じもあります。

 それからもう一つは、実際、無年金、低年金で生活保護になってしまう方が、先ほどの議論の中では、八割以上そういう方だという話もありましたように、何だかんだ言って、最後は結局、政府が生活保護という形でそういう方の生活を保障しなきゃいけない、こういう義務がある以上は、余り、若いうちに俺は年金なんか要らないと言った方の言葉を真に受けて、では結構ですというふうには踏み切れないということで、結局、自己責任方式も貫徹できない。

 だけれども、保険という建前を維持しているから税金ほどは強制できないというのは、今の方式だからなのであって、自己責任を完全に貫徹するには、いわゆる積立方式に移行するということしかないのかなというふうに思い至ったりもします。

 そういう意味で、そういう大きな議論をし始めると収拾がつかないんですが、田村大臣に、やはり、いろいろと入り口を広げて、できるだけ払いやすいようにという仕組みを今回導入するわけですが、その分、いろいろなモラルハザード、副作用が起こります。

 この際、徴収に関しては、もっと税方式に近いような、もっと強制力のある、義務規定がそもそも法律上あるわけですから、その義務を担保するだけの、厳しい取り立てと言ったらあれですが、こういう仕組みである以上はちゃんと取り立てて、税と同じように、これは歳入庁の議論もあります、そういうところにも視野を広げて、きちんとした財源を確保して年金財政も安定させる、こういった考え方についてどのように思われているか、御見解をお願いいたします。

田村国務大臣 委員がおっしゃられましたとおり、これは保険料を納めて初めて給付につながるわけでありますから、そういう意味では、確かに税とは若干違うところがあるわけであります。ただ、納付は義務でありますので、それは、自主納付とはいいながら義務でありますから、払っていただくという意味では、強制徴収という制度はあるわけであります。

 でありますから、納付督励を行う、今回、これは市場化テストをいたしまして、民間にここをやっていただきながら、しっかり、これで浮いた人員と言ったら変でありますけれども、その方々に、強制徴収に向かって、最終催告状でありますとか、それから督促状でありますとか、場合によっては財産差し押さえという話になってくるわけでありまして、こちらの方をやっていただこうということで、所得がある方々で一定程度保険料を納めていない方にはそのような対応をしようと。これはかなり今回力を入れていく話であります。

 しからば、全員やればいいじゃないかというお話なんですが、全員やれないことはないんですけれども、問題は、やはりそれだけの人員というもの、これはかなりの人員がいないとできないと思います。かなりの方々に対して対応する、これは多分歳入庁とかいうレベルじゃなくて、本当に、人を集めて、地域を、ぐるっとそういう方々を回って強制徴収までつなげていく。すぐにはできませんから。そういうことをやっていかなきゃならぬわけであります。

 そう考えたときに、なかなか現実的には、今やっておるようなことをやりながら、やはり払ってもらうことが前提ですよ、そうじゃないと老後の生活に困りますよということを周知していく。また、今般のような、払えない方々に対しては、しっかりと、免除でありますとか、さらに申し上げれば、猶予というような形の中で、将来に向かって保険料を納めていただくチャンスを持っていただく等々をしながら納付につなげていくということが重要であろうということで、今般法律を出させていただいたということであります。

重徳委員 また次回、引き続き議論させていただきます。よろしくお願いします。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 ちょうど七年前、第一次安倍政権の命取りともなった消えた年金問題。私は、年金は老後の支えであり、その人の生きてきたあかしでもあるわけですから、この年金問題を世に出して、また、先ほど長妻委員おっしゃっていましたが、千三百七十万人が記録に結びついたと。そういう意味で、民主党が最初にこのことを取り上げた取り組みは評価できると考えております。今いらっしゃいませんが。

 しかし、国会でのその後の論戦は責任のなすりつけ合いの様相が強く、社保庁解体、解雇という形で、その責めを前線の職員のみが負う形にされたことに、私は強い怒りを持っています。

 資料の一枚目に、朝日新聞の昨年の十一月十三日付のものを書いておきました。「社保庁解雇 政治のパワハラだった」。思い切った見出しでありますけれども、読む時間がありません。アンダーラインを引いておりますので、ぜひ見ていただきたい。三段目の真ん中に、「長年にわたり蓄積されていた旧社保庁問題の責任を末端の職員に転嫁したのは「政治のパワハラ」と言わざるをえない。」、最後に、「ツケは国民にも及んでいる。」

 私は、まさにこのことは当を得ているものだ、このように言わなければならないと思います。時間があったら続きをやります。

 そこで、平成十九年五月二十五日、安倍総理出席のもと、ここの委員会で年金機構法案が採決をされました。このときも強行採決と言えるものでありました。消えた年金五千万件と言われた記録問題は、七年間取り組んできたわけですが、本法案が一つの区切りとなるのでしょうか。今も未統合の記録は二千百万件残されており、当時、柳沢厚労大臣は、「私どもがどこまでも責任を負っていかなければならないもの」と答えていらっしゃいます。年金記録について政府が最後まで責任を持つという点は変わらない、このことを大臣に確認いたします。

田村国務大臣 今までも解決に向かって努力をしてきたわけでありますが、いまだ二千九十七万件が、記録が未解明のままということで残っております。

 現状、定期便等々でしっかりとそれぞれ被保険者の方々に対して情報を提供させていただきながら、一方で、ねんきんネットという形で、結びついていない記録というものを開示させていただいて、しっかりとこれを記録に結びつけていく、スマートフォンでもそのようなことができるようにしていく、このような努力を続けながら、これからも政府の責任としてしっかりと未解明記録が解明に向かって結びついていくように我々は努力してまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 民主党さんのときは、一期四年ということを何度もおっしゃいました。

 ことしの三月末で、コンピューター上の記録の七億二千万件、紙台帳の全件照合を終えたということでよろしいのか、確認をしたいと思います。

 実は、一時は費用対効果で問題があって照合自体を断念するという報道があって、そのこと自体を野党時代の田村大臣が細川元大臣に追及をした、やめることもあるのかと。これは、やめてもいいよねという意味を少し含んでいるのかなというふうに私は聞いていましたけれども、そういう場面もあったわけであります。なので、最初にまず聞いたわけです。

 改めて、未解明記録、今二千九十七万件ですね、今後どのように解決を目指していくのか、簡潔にお願いいたします。

樽見政府参考人 簡潔にお答えいたします。

 ことしの三月末時点で、お話のありました紙台帳、コンピューター記録、ひもづいたものについての確認は終わったというところでございまして、なお二千九十七万件残っているわけでございますけれども、昨年一月から、インターネット上でこうした持ち主不明の記録を検索できるサービス、ねんきんネットの中でそういうサービスができるようにしてございますので、こうしたものを充実していく。ねんきんネット自体についても、スマホで使えるというふうにもなりましたし、充実していく。

 それから、私どもの中でのいろいろな記録の確認ということを一通りやったという状況でございますので、これからは御本人からの申し出が重要であるというふうに考えてございますので、ねんきん定期便を初めとして、多くの機会を使って国民の皆様に申し出の働きかけを行うということをしていきたいというふうに思っています。

 引き続きまして、皆様の協力をいただきながら、あらゆる機会を捉えて年金記録問題にしっかりと取り組んでいきたいと考えてございます。

高橋(千)委員 確認をいたしました。

 ちょっと、年金記録問題特別委員会の報告が、これからはやはり個人の皆さんにお願いするしかないというふうに言っているわけですから、どうしても、これは本当は一番最初に言わなきゃいけなかったせりふだったんですけれども、何か政府が責任を国民に転嫁しちゃったのかなというふうに受け取られかねないんですよ。そうではないんだということを重ねて確認させていただいたということです。

 それで、二千九十七万件の内訳が二枚目の資料で、後でやります苦情申し立ての処理状況の資料が三枚目で、四枚目に、これからの訂正手続の創設ということで、総務省ではなく厚生労働大臣が訂正請求権を得た方たちの窓口となるということを示したポンチ絵がございます。

 そこで、大臣がこれから、かつてであると第三者委員会に当たる人たちになると思うんですが、地方に民間有識者から成る合議体を置く、ここで審査の基準をまずつくるということ、それから、裁決までどの程度の期間を目途とするのかということなんですよね。これは総務省の第三者委員会のスキームを当然踏まえるものだと思うんですが、やはりそれ以上のものでなければ、つまり、厚労省に来たらがくんと時間がかかるようになっちゃったよとか、全然解決しなくなっちゃったよというのでは困るわけですよね。そこをどういうふうに考えているのか、伺います。

田村国務大臣 総務省の第三者委員会でございますけれども、これに関しましては、その申し立てられたことが、内容でありますけれども、社会通念に照らして明らかに不合理でなく、一応確からしいことということでございまして、これは前も申し上げましたが、私が総務副大臣をやっているときに第三者委員会をつくらせていただいたわけでございまして、幅広に、やはりこういうものに対して、しっかりと記録の訂正に結びつけていくということで基準を設けたわけであります。

 そういう意味からいたしますと、実際問題、受け付けから、あっせんされるものに関しては、おおむね四カ月か五カ月ぐらいの期間でやっておったわけであります。

 今般、我々は新しい仕組みをつくるわけでありますけれども、これに関しては、当然のごとく、社会保障審議会の中の分科会において審議をされるわけでありまして、審議、判断基準というものはそこでつくっていただくわけでありますが、この第三者委員会の考え方というものをもとに、しっかりした対応、体制を組んでまいりたいというふうに思っております。

 予算に向かって、この人員をしっかり確保できるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 大臣が総務に行ったときにこれをつくったわけですけれども、一応確からしいという、物すごい、今までになじまなかった言葉が、しかし、これが威力を発揮して、この第三者委員会のあっせんを見ますと、各進捗状況が九七・七%ということで、受け付けたものがかなりの形で処理をされているということがあったわけでありますよね。

 ただ、年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会とりまとめというのがありますけれども、これからは厚労省に行くんだから、厚労省はもっと確かな証拠を手にするであろう、だから、その一応確からしいという判断基準が必要な事案はおのずと限られてくるであろう、つまり、もっと具体的な証拠のもとに解決が進むであろうということを厚労省に言っておりますので、そこをしっかりと受けとめていただいて、これまで以上の結果が出てくることを望みたいと思います。

 そこで、今、行政不服審査法の見直しが総務委員会でやられているわけですけれども、不服申し立てという仕組みがなくなったわけですね。だけれども、今回、ちゃんと請求権を得たことによって、請求する人の権利が狭まったり、再審査を申し出たんだけれども受けるところが同じで返事も同じだ、そんなことはありませんということで、一言お願いします。

樽見政府参考人 年金記録の訂正手続でございまして、今回、その訂正請求権、訂正あるいは不訂正の決定というところがいわば法律上の処分ということになって、それに基づいて不服申し立てができるというふうになるということが利用者の方々にとってのメリットということになるわけでございます。

 この訂正手続については、地方厚生局に設けます、民間有識者から成る合議体である地方審議会の審議の結果に基づいて、厚生労働大臣から権限の委任を受けた地方厚生局長が訂正または不訂正の決定を行うということにしてございます。

 これに関する不服申し立てにつきましては、行政不服審査法に基づきまして、地方厚生局長の上級庁である厚生労働大臣に対して審査請求を行うということにしています。

 したがいまして、審査請求を受けた厚生労働大臣は、大臣が定めた基本方針に基づいて地方厚生局長が適正な審議、決定を行ったかどうか、あるいは、地方厚生局における事実関係の調査が不十分でなかったかどうかという観点から審査を行いまして、訂正決定が妥当か否かを判断するということにいたしておりまして、端的に申しますと、訂正決定を行ったところと審査請求に対する回答を行うところは別でございます。

高橋(千)委員 そんなのは当たり前じゃないですか。別だけれども、厚生労働大臣が委託する厚生局が最初はやって、次は厚生労働大臣ですよ、だけれども、厚生労働大臣が再審査をしたのに結果が同じですよということはないですよねということを聞いているわけなんです。前段の説明なんか要りませんよ。当たり前のことじゃないですか。そこを確認したかったわけです。違うということではなくて、さらに審査をして、権利をちゃんと守っていくんだということを確認したかったのであります。

 次の問いに対して、イエスかノーかで、今のをもう一回確認をさせてください。

 それで、次の問いは、もっとシンプルなことでありまして、実は、解明された記録というのは、五千万件のうち、統合できなかったものも含めて二千九百九十八万件あるわけですよね。だけれども、苦情申し立てという形で受けたのは、二十八万四千件、一%に過ぎないわけです。つまり、残りの九九%というのは窓口で解決しているということですよね。そういうことでしょう。

 だから、全部が全部、そういう複雑な仕組みをたどるのではなくて、窓口で解決できるというものは当然あるんだ、そこがやはり決め手なんだということを確認したかったのです。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 最初の点につきましては、失礼しました。

 要は、審査請求を受けた厚生労働大臣の方で、上級庁として、改めて、先ほど申し上げたような点について十分審査を行った上で判断をするということでございます。

 それから、二点目でございますが、この手続を経なくてもというところは、実は現在も、年金事務所における記録回復基準というものを、この第三者委員会のあっせんの経験などを整理してつくってございまして、それが今回、この仕組みが変わることによって、ちょっとその数字につきましては、済みません、私、今、はっきりと申し上げることができませんけれども、年金事務所における回復基準がなくなってしまうというようなことではなくて、引き続いて、事務所段階で解決できるものについては解決していくということで取り組むつもりでございます。

高橋(千)委員 それでいいんです。つまり、権利救済の仕組みがきちんとできて、今までより狭まったものではないということ、同時に、だからといって、必ずそういう複雑な仕組みを通らなくても、年金事務所の窓口できちんと対応ができるんだということを確認したかったんです。

 それで、年金記録問題に関する特別委員会の報告書、ことしの一月に出ていますけれども、「年金機構の問題点の根底には「人手の質と量の不足」があるが、年金機構は各種基幹業務の充実はもとより、今後の制度改正や徴収対策強化のため、ますます人的必要性は大きくなる。」と書いています。それで、要員の増、ふやすということとともに、業務フローの見直しによる人手のひねり出しが必要であると。人手のひねり出し、ちょっと変わった表現をしていますけれども、やはり、体制というのが大事だということを指摘しているんだと思うんです。

 そこで、まず、簡単に答えていただきたい。

 記録問題のために雇用した有期雇用契約職員は何人で、これまでに、そのうち何人を雇いどめにしましたか。

樽見政府参考人 お答えいたします。

 平成二十二年一月の日本年金機構の発足から二十五年末までに雇用いたしました有期雇用契約職員の数は、延べ約四万人でございます。

 一方で、機構発足以降、二十五年末までにおいて退職をいたしました有期雇用契約職員の数は、延べ二万五千人ということでございます。

 記録問題対応のためということの御質問でございますが、この有期雇用職員については、中でのシフトといったようなこともございますので、記録問題対応のために雇用した、あるいは、記録問題対応に従事していた職員の退職者数という形での数は把握をしてございません。

 なお、有期雇用職員の退職理由というところにつきましては、期間満了によるもの、あるいは、自己都合によるもの、正規職員等への職種変更による退職といったようなものを含めまして、さまざまでございます。

高橋(千)委員 記録問題に限らないという御答弁だったと思います。そうだと思うんですよね。逆に言うと、正職員が記録問題に集中的にぐっとシフトをしましたので、だからその分、逆に窓口が手薄になったり徴収の方が手薄になったりして、全体として回ったんだということがあったと思います。

 だけれども、二万五千人が雇いどめになった。期間満了と言えば済むという話ではないということは、この間ずっと議論してきた話ではないでしょうか。

 それで、資料の五枚目にあるように、日本年金機構の職員配置状況、これを見ますと、正規職員、准職員が一万三千八百九十人に対して、特定業務契約職員、これは一年契約ですね、アシスタント契約職員、合わせて九千百七十三人、つまり、四割が一年契約などの非正規雇用であるという状態になっているわけです。そういう中でさまざまな支障があったということは、実際に指摘がされていることではないか。

 それで、大臣に確認をしたいんですけれども、まず、まだまだ記録統合問題は残っている、対応されなければならない。

 また、年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会とりまとめの中に指摘がされているんですけれども、当初は、いわゆる消えた年金に属する記録問題が非常に多かったんだけれども、今は、むしろ八割以上が厚生年金の記録であり、かつ、七割以上がここ十年間、新しい記録問題が起こっているという指摘がありますね。そういう形で、今後も新しい記録訂正問題というのは残念ながら恒常的にあるという指摘がされています。

 ですから、仕事量が減っているという条件はやはりまだないですよね。そのことを確認したいのと、そういう意味で、合理性のない雇いどめはやめて、やはり希望する人の正規化を含め、体制の確保をしっかり行うべきではないでしょうか、大臣。

田村国務大臣 日本年金機構でありますけれども、平成二十年の七月でありますが、日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画、これが閣議決定をされておるわけでありまして、職員の必要人数の管理を行う必要があるわけであります。そういう意味で、一定程度退職を毎年していくわけでありますけれども、今、正規職員と准職員、この確保に努めておるんですが、現在、一万四千人体制というふうな状況であります。

 日々必要な人数というのは確保していかなければならぬわけでありますが、今、年金記録問題はまだいろいろと続くということは、それはそのとおりであります。一方で、やはり紙台帳とコンピューターとの突き合わせ、これは一応二十五年度で終わったということでございますので、そのような種々の状況を勘案しながら体制を組んでいかなきゃならぬわけであります。必要な人数は必要な人数としてしっかり確保をしていく必要があろうと思います。

 一方で、正規化に向けて、これも積極的に登用をしておるわけでございまして、そういう部分で、必要な人数、また必要な人材に関しましては、正規化に向けてもこれからも対応してまいる、このような状況でございます。

高橋(千)委員 最後に正規化へ向けてとおっしゃったことをしっかりお願いしたいなと思うんですね。

 記録問題の報告書には、「年金機構に移行する過程での旧社会保険庁職員の退職者増、処分者の不採用に起因する“ベテラン人手不足”も、深刻な問題として尾を引くこととなった。」こういう指摘がございます。

 ですから、昨年十月に、私は、五百二十五名の職員の解雇問題を取り上げました。社保庁の職員が一万名近く年金機構に引き継がれたことが何かすごい大問題かのように、そういう議論さえあったんですね。だけれども、そういう本当に長い間、四十年という記録をずっと守ってきて支えてきた人たちがまるでいなくなるということはないですよねということが指摘をされた、経験者が少ないということ自体が問題とされたということをやはりきちっと受けとめていただきたい、このように思っているんです。

 本当に、解雇撤回を訴えている皆さんが、社保庁の解体直前の職場の様子を訴えていました。解体直前に、毎日のように記者会見をされて、あれをやる、これをやる、例えば、土日も開きますとか、東京に職員を集めます、それで、あなたはいつ行きますかとなって、翌日には職員を募集される。本当に怖くて、要するに、休むとは言えない。だから、独身者は東京に行くし、課長クラスはとにかく休日出勤、そういう中で体を壊していく人が次々、あるいは退職に追い込まれる人が次々起きるわけだけれども、そうやってやめていくと、逆に解雇回避努力の中で頭数に入っちゃった。そういう大変な思いをしてきたということをやはり指摘しなければならない。

 そういう意味で、最初の朝日新聞の記事に戻るわけですが、もうこれ以上は言いませんので、やはり記録問題、本当に最後まで丁寧にやっていくということをきょうは確認させていただきましたので、そのために人の確保ということをやっていただきたいと指摘をして、終わります。

後藤委員長 次回は、来る二十三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十五分散会


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