衆議院

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第25号 平成26年6月4日(水曜日)

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平成二十六年六月四日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      岩田 和親君    大久保三代君

      大串 正樹君    大野敬太郎君

      金子 恵美君    小松  裕君

      古賀  篤君    今野 智博君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      高鳥 修一君    高橋ひなこ君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      永山 文雄君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      山下 貴司君    山田 美樹君

      大西 健介君    後藤 祐一君

      中根 康浩君    柚木 道義君

      足立 康史君    浦野 靖人君

      清水鴻一郎君    重徳 和彦君

      輿水 恵一君    桝屋 敬悟君

      中島 克仁君    井坂 信彦君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   財務副大臣        古川 禎久君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      赤石 浩一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 木下 賢志君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            中野 雅之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            岡崎 淳一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  宮川  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       内田 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          杉浦 信平君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       石井 淳子君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月四日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     大野敬太郎君

  大久保三代君     岩田 和親君

  田畑 裕明君     今野 智博君

  高橋ひなこ君     山田 美樹君

  長妻  昭君     後藤 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     大久保三代君

  大野敬太郎君     今枝宗一郎君

  今野 智博君     田畑 裕明君

  山田 美樹君     高橋ひなこ君

  後藤 祐一君     長妻  昭君

    ―――――――――――――

六月四日

 労働安全衛生法の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案(内閣提出第四八号)


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房日本経済再生総合事務局次長赤石浩一君、内閣府大臣官房審議官木下賢志君、厚生労働省労働基準局長中野雅之君、職業安定局長岡崎淳一君、職業安定局派遣・有期労働対策部長宮川晃君、職業安定局雇用開発部長内田俊彦君、職業能力開発局長杉浦信平君、雇用均等・児童家庭局長石井淳子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは法案の審議ということですので、働き方を中心に質問させていただきますが、きのう、財政検証の結果が発表になりました。この委員会でも何度か質問させていただいています。財政検証の内容自体はまた改めて金曜日等に扱わせていただきたいと思いますが、一つ、財政検証の結果をざっと見て、見えてくるというか明らかなことは、経済成長は当然必要なわけですが、労働参加ということが一つのキーワードになっています。

 やはり、年金制度を、今のいわゆる自公政権が言っているところの百年という枠組みで見通したときに、しっかりと所得代替率を五〇%維持していくというためには、成長も必要だし、そのためにも労働参加が進むんだという前提になっております。逆に言うと、それが実現できない場合には、年金制度も維持できない、抜本改革が必要だ、こういうことになるわけであります。

 きょうは、そういう意味で、有期の話、派遣の話、いろいろないわゆる労働法制があるわけでありますが、労働時間規制等も含めてあるわけでございますが、まず、ちょっと通告と順番を入れかえまして、女性の就労の話を、財政検証の話もございますので、先に取り扱わせていただきたいと存じます。

 きょうは財務省から古川副大臣においでをいただいていますので、一番最後、十番目に通告をさせていただいている、いわゆる子ども・子育て支援新制度の財源という問題を先に扱わせていただきます。

 これはどういう問題かということについては、ここでももう何度も取り扱わせていただいていますが、私の問題意識は、厚生労働行政はさまざまな課題があるわけでありますが、その中でも最重要テーマの一つが子供政策であります。もちろんこれは森少子化大臣がいらっしゃるわけでありますが、その大宗は、厚生労働省が担当されている部分がやはり大きいわけであります。厚生労働省、そして文部科学省、そして内閣府が連携して、子ども・子育て支援新制度。

 先般、森少子化大臣が二十七年度の四月からの施行ということを発表されました。これは改めて発表されたわけであります。

 それ以前は、私の個人の理解ですので、もし違っていたら御指摘をいただいたらいいわけですが、森大臣が今回発表するまでは、実際、こども園、子ども・子育て支援新制度の新しい枠組みが施行されるのは、消費税一〇%の増税にディペンドしている、増税が行われることが決まれば、来年十月からですね、それを財源として二十七年度四月一日から施行するということが期待を、想定をされているわけであります。

 逆に、一〇%の増税を安倍総理が年末に御決断をされない、そういう経済情勢に、仮に、万が一なった、万が一かどうかわかりませんね、千が一かもしれませんが、百が一かもしれませんが、経済というのは非常に難しいので、マクロ経済運営の状況によっては、一〇%の増税はないかもしれません。これが一応今のたてつけだと思います。

 そうしたときに、森大臣が、いや、四月からやるんだ、こうおっしゃった。その財源は、では、どうするんだということを先般、この場で、西川文科副大臣などにお聞きをしたときに、おっしゃるとおり、それは課題なんだと。しかし、二十七年度予算編成を通じて、その課題は何とかしていくんだ、何とかそれを解決していくんだということで、解決に向けたある種の思いは表明をしていただいたわけでありますが、何分、予算編成でございますので、きょうは古川副大臣においでをいただいて、増税が仮にない場合の子供政策への予算の充当、これは本当に大丈夫ですかということをちょっとお聞きしたいということでお越しをいただきました。

 ぜひ、副大臣、この点、財務省のお立場から、どういうふうなポジションか、御答弁をいただきたいと思います。

古川副大臣 足立委員にお答えいたします。

 先週でしたか、森大臣がおっしゃいましたことは、予定どおり二十七年四月に子ども・子育て支援新制度を施行する方針のもと取り組むこととするという旨、表明されたというふうに承知をいたしております。

 委員も御存じのとおり、消費税率の一〇%引き上げにつきましては、税制抜本改革法にのっとりまして、経済状況を総合的に勘案の上、本年中に安倍総理が御判断なさるということでございまして、この方針に変わりはないわけでございます。

 いずれにしても、新制度の財源につきましては、来年度の予算編成過程において適切に対応してまいる、こういうことでございます。

足立委員 すると、森大臣は何を発表したかということを古川副大臣に聞いてもいかぬのですが、森大臣は明らかに四月一日の施行を、私のもともとの理解では、増税とこの子供政策はセットなんですから、もともと法律上もリンクしているわけですから、仮に一〇%の増税が行われなければ、この施行も延期になるのではないかと懸念をしていました。

 私は、かつて本会議でも、このたてつけ、今回の消費税増税にかかる社会保障政策の位置づけについて、子供政策が増税の人質にとられているんじゃないか、こういう指摘を申し上げたことがあります。要は、増税が行われなければ子供政策が延期になる、何だこれは、こう申し上げたわけですが、森大臣は、いや、やると。

 今おっしゃった、施行する方針のもとで、もともとその方針はその方針だから、何も変わっていないんだというふうに今聞こえましたが、森大臣が改めて記者会見で、来年四月の施行を国民に対しておっしゃったわけですね。当然、安倍政権としては、この新制度については来年四月からやるんだ、子供政策を消費税増税の人質にはしないんだという決意発表をされたわけです。

 財務省は当然それを支える立場にあるわけで、ちょっと今の御答弁では、財務省としてはそれは知らぬ、こう聞こえるわけでありまして、もう一声、古川副大臣、古川副大臣であればお答えいただけると思いますので、ちょっと踏み込んでお願いしたいと思います。

古川副大臣 森大臣の御発言の真意は何かというのは、それは森大臣にお尋ねいただく以外ないわけでございますが。

 先ほど来、委員から、たてつけという言葉が聞かれたわけですけれども、たてつけということで申し上げれば、まさに税制抜本改革法において、八%、一〇%という引き上げを行うわけだけれども、その際に、経済状況等を総合的に勘案した上でそれを判断するということになっておるわけでして、あくまでもこれがやはり大前提でありますので、私としましては、お答えできますのは、その方針についてお答えを申し上げるところまででございます。

足立委員 副大臣、私は副大臣を個人的にもよく承知を、御指導をいただいていますので、尊敬もしておりますが、きょう、政府参考人ではなくて古川副大臣にぜひ御答弁いただきたいと私が申し上げているのは、やはりそれでは、ごめんなさい、誰でも、役人でも答えられるわけですね。

 今話している財源というのは七千億です。非常に大きな財源の話をしているわけです。いや、後で予算編成過程で何とかしますでは、それは森大臣の御決意を会見で聞いた国民は納得できないですよね。というか、安心できません。やはり国民にちゃんと、子供政策は、消費税の増税、経済情勢のいかんに、だって、子供政策をことしの景気で決める、おかしくないですか。これは財務省として何とかするんだと、ちょっとお願いします。

古川副大臣 子育てということの重要さ、意義については、もちろん言うまでもなく重々承知をいたしておるわけですけれども、あくまでも、その財源というようなことになりますと、消費税率が一〇%に引き上げられるのかどうかということにつきましては、これは抜本改革法で定められておりますとおり、経済状況を判断して、その上でということでございますから、そこは何としてもやはりクリアをしていかなきゃならないことでございまして、私はそのことを申し上げております。

 経済状況をしっかり判断しながら、そして、年内に、一〇%に引き上げられるかどうかという判断を待つわけですけれども、いずれにしても、予算編成過程の中で、この子育てという重要な政策目標、これが最大限生かされるように、その意味では、私どももそういう志を持ちながら編成作業に当たってまいる、このように申し上げております。

足立委員 これ以上やると、足立は何だ、こういう雰囲気が漂ってきますのでもうやめますが、古川副大臣、釈迦に説法だとは思うんですが、幼稚園関係者、保育園関係者、子供たちにサービスというか、施設を運営されている経営者の方々は、この夏にも、秋にも園児を募集して、来年四月に園に入る園児たちを、名前を確定していかれるわけですね、当然そうですね。来年の春の施行を目指して、それはもう募集要項を印刷して、それで募集をしていくわけです。だからこそ、森大臣は記者会見をせざるを得なかった。そうしないと現場が混乱するからです。

 だから、当然、経済情勢の結果、消費税の増税が相ならなかったら、経済情勢、今おっしゃったとおり、一〇%は年末に総理が決断されるわけですから、それまでは決まりません。経済情勢のいかんにかかわらず、消費税一〇%の増税のいかんにかかわらず、やはりこの子供政策は何としても実現をする。そのためには、七千億をどこかから引っ張ってこなあかんわけです。かつては、先ほど私、繰り返しになりますが、一〇%がなければ子供政策の施行もないと思っていましたが、森大臣は決意をしたんです。

 ただ、正面からお答えいただくのは難しい、お立場もあると思いますが、では、消費税一〇%の増税がなかった場合にも、七千億を何か工面する、それは課題ですよね、政府としての課題。これをどうするのかは課題だと思います。これは政府としての検討課題である、これはそうですね。

古川副大臣 一〇%引き上げが、仮にですけれども見送られたという場合には、やはりこれは財源が重要な課題になってくるわけなんですよね。

 具体的には、消費税増収分のうち社会保障の充実分、いわゆる四経費、ここに合計で一・三五兆円程度充てられるということになっているわけなんですけれども、こことの関係性が出てくるわけですから、先ほど委員が七千億というふうにおっしゃいましたけれども、それはそういうもろもろの中での話でございまして、その前提としての一〇%ということがかなわなかった場合には、やはりそこは影響を受けざるを得ないということは申し上げざるを得ないわけなんです。

 私は、何も、この子育てにかかわる施策について財務省が渋く絞り込む、そういう趣旨で申し上げておるのではございませんで、あくまでも、やはり経済状況等を勘案しながら、何とか予定どおり、法律の期するところに従って一〇%の財源を確保し、そこでいろいろ議論されておりますところの新制度というものに充てられることを私としても期待をし、願っている、こういうことでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 副大臣、ぜひ、今私が申し上げた、やはり子供政策のプライオリティーを上げていただきたいというのが私のきょうの質問の趣旨でありまして、子供政策が、要すれば、財政運営のプライオリティーが一番下に見えるわけです。なぜならば、そこだけ穴がどんとあく、そこだけじゃありませんが、子供政策について非常に大きな穴があくわけでありまして、これはやはり政府としてあたかも子供政策を、プライオリティーが下に見えるわけです。

 私は、チルドレンファースト、本当は子供政策は、財源がどうであれ、未来への投資、投資というかな、未来を守る、未来のために、次世代のために頑張っていただく、こういう必要があると思っています。

 副大臣、きょうは、ここに来る途中もエレベーターでお会いして、答えられませんよ、こういうことをおっしゃっていたとおりだと思いますが、副大臣のお立場の中でしっかりお答えいただけたと思います。ぜひ、私の趣旨をきょうは改めて確認を僣越ながらお願いして、持ち帰っていただいて、また財務省の予算編成に力を発揮していただきたいと思います。

 では、お忙しいと思いますので、副大臣はこれで結構です。ありがとうございます。

 田村大臣、これは何度もやっている話ですが、厚労省も当然関係をするわけでありまして、文科省の問題が私学助成等の関係で非常に大きいわけですが、今の古川副大臣とのやりとりを聞いていただいて、これは本当に、子供政策のプライオリティーということで、ちょっと大臣のお立場というか、御見解を、一言で結構です。

田村国務大臣 我が国は、社会保障費の中において、子育てに使う率が比較的低いというふうな声があったわけであります。

 一昨年にもうなりますが、三党合意の中において、やはり消費税というものを財源にせざるを得ない、それは財源がないわけでありますから。そういう中において、七千億円。いろいろな中で、できれば一兆円規模というような話で、そういうような合意を得たわけでありまして、今、それにのっとって、子ども・子育て新制度。

 これは、要するに、施設型の給付だけじゃありません。ほかにも、地域型給付でありますとか、また地域子ども・子育て支援事業でありますとか、いろいろなものを総合的に組んでおるわけでありまして、そういうものを使いながら、何とか子育て環境を整備していきたいということでございます。

 でありますから、先ほどの質問をもし私にされたらどう答えようと思っておったわけでありますが、消費税が上がった後、一旦、今、経済は若干数字の上では落ち込んでいるところがありますが、思ったより早く回復するのではないかというようなお声もあります。着実に、経済政策等々、この実効性を高めて、消費税一〇%に上げられる環境をつくっていく、これが我々の最大の仕事である、このように考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 まさにそういうことだと私ども思っていまして、だからこそ新しい労働時間制度が要る、こうなるわけでありますが、そちらに行く前に、今の子供政策の話をもう少しやっておきたいと思います。

 実は私も、余りこの分野、必ずしも詳しくないんですが、地元を歩いていますと、子供政策については本当に大議論になっています。

 何が大議論になっているかというと、女性に、どう働きに出ていただくか、あるいは、就労という形ではなくても、いろいろな形で、家庭、地域で、主婦の方々に役割というか貢献をしていただく。当然、女性の活躍というのはいろいろな形があるわけであります。田村大臣も、五月二十八日の競争力会議だったかな、女性が輝く日本ということで御提言をいろいろしていただいているし、また、下村文科大臣と一緒に、放課後対策ということでやっていただいているわけです。

 ただ、地元を歩いていますと、こういう放課後対策、私も、実は、応援してくださっている方に、いわゆる小学校でそういう放課後の子供たちの居場所というか、一生懸命取り組まれている、大阪府からもいろいろモデル的に言及いただいている方がいらっしゃる。その方とちょっと議論をしてきたんですけれども、やはり、アベノミクスもいいんだけれども、大丈夫かなと。俺たち、もう目いっぱいやっている、子供たちのケア、子供たちを社会に出していくためにしっかり頑張っているんだけれども、もうへとへとになって、皆さん頑張っておられるんです。

 医療や介護だけじゃなくて、この子供たちのケアも、一生懸命やられている方であればやられている方であるほど、本当に、もう少し家庭で親御さんがという声が出てくる。きょうのテーマの、今申し上げた幼稚園、保育園についても、幼稚園経営者の中には、やはり女性は、子供たちをしばらく何年かの間は御自分でしっかりフルでお育てになった方がいいんだ、そういう議論が大変多くあります。

 大臣もよくその辺は聞いておられることと思いますが、今申し上げたような意見がある中で、一方で、安倍政権は、女性の就労をとにかく促進していく、そのために子育てはますます社会化をしていく、こういう大きな流れにあると思います。今私が御紹介したような現場の声、これを大臣としてどう受けとめておられるか、ぜひちょっと御見識をお願いします。

田村国務大臣 子育てというもの、これは、父母等、保護者の方々が行うというのが、一義的にはそういうわけでありまして、その支援をしていくのが子ども・子育て新制度であるわけであります。

 そういう意味では、安倍総理も、望まれる方、家庭ならば、三年間、子供が生まれてから育児休業がとれるようになるというような、そういうことを企業側の方にも働きかけをされたわけでありまして、決して、望んでいないのに、みんな子供を保育所に預ける、幼稚園に預ける、そういうわけではない。幼稚園はまたちょっと別なのかもわかりませんが、教育という場でありますけれども、そういうわけではないということであるわけであります。

 一方で、今般の新制度の中には、例えば地域子育て支援拠点事業、これは幼保連携型認定こども園にはマストであります。保育所等々にも、これは十三年の児童福祉法の改正だったと記憶いたしております、議員立法でやったものだと思いますが、その中において、やはり地域子育て支援センターというような形で事業をやっていただきたいというようなお願いをして、これはまさに家庭で育てておられる、お子さんに対する、いろいろな親のケアでありますとか、こういうことでありますから、こういうようなものも力を入れていく。

 それから、一時預かりのような事業、これも今回の中において、たしか地域子育て支援事業であったというふうに思いますけれども、こんな中で充実をしていく。

 それ以外にも、ファミリー・サポート・センターでありますとか、そういうようないろいろなものを使っていただきながら、まさに自宅でお子さんをお育ていただく方々に対するいろいろなフォローというものもやっていくということでございまして、決して、保育所に預けなければならない御家庭は、保育所等々を使っていただかなければならぬわけでありますけれども、そうでなければいけないというわけではないわけでございまして、それぞれの家庭の状況に応じたいろいろな支援というものを組み込ませていただいておるわけでございます。

足立委員 今いろいろ施策の例も挙げていただいたわけですが、先ほど冒頭、私、財政検証の話をしました。厚生労働省の財政検証を見ると、いろいろな社会保障の制度をこれから維持していくためには、高齢者もそうですが、女性の就労、女性の労働参加ということはやはり大前提になってくるわけであります。

 だから、もちろん、家庭が第一でそれを支援していくんだ、これが基本なわけですが、しかし、やはり今、日本は、政権として、女性の労働参加をむしろ促す、財政検証がそういうたてつけになっているわけでありますから、これは女性の就労を促す。促すのであれば、子育て、子供政策についても、やはり相応の枠組みを、しっかりと支援も強化していかなければ、そこのバランスはとれなくなるわけでありますので、ぜひそこは、釈迦に説法ですが、しっかりお願いをしたいと思います。

 同じような観点で、ちょっと失念をしましたが、週末だったかな、ニュースで、自民党の野田聖子総務会長が、地域医療介護の法案でもそうでしたが、在宅医療、在宅介護、この在宅シフト、いわゆるサービス給付、医療、介護の在宅シフトという大きな政策と女性の労働参加を拡大するというアベノミクスの大きな枠組みと、実はいろいろ問題があるんだと。要は、相入れるか入れないかという。ちょっとどういう言葉か失念しましたが、野田聖子総務会長は、これはなかなか問題なんだ、こういう御指摘があったやにちょっと記憶をしています。

 野田総務会長の発言自体は結構ですが、私も、女性の労働参加は必要だと思うし、あるいは医療、介護、これは在宅シフトが必要だと思います。両方とも私も賛成なんです。でも、言われてみれば、これは大変な問題だなと。だって、在宅でケアする人がそこにいないわけですから。

 この問題、厚生省というか、大臣として、私は、きょうは追及するということではなくて、むしろ教えていただきたい、こういう思いで質問していますので、在宅シフトと女性の労働参加、これをどう捉えていけばいいのか、ぜひ御教示をいただきたいと思います。

田村国務大臣 要するに介護離職という問題、在宅介護という問題がこれからふえてくるわけですね。当然のごとく、これから高齢者がさらに比率がふえてこられる、人数もふえてこられる。その中において、もちろん施設整備も進めてまいりますけれども、それでは、当然、全ての方々をその施設の中で介護するというわけにはいかない。

 在宅の場合どう対応するかというのは、あくまでも介護離職というものをしなくて済むような、そのような形、一方で、介護休暇がありますから、その休業を使うことによって、介護の体制といいますか、そういうものを整えていただく。これは介護するためのものではないわけでありまして、介護は先がどこまで続くかわかりませんから、その体制を整えていただくためということで、介護の中においての休業、準備期間というものをとっていただくということになっているわけであります。

 もちろん、デイサービスでありますとかショートステイでありますとかいろいろなもの、こういうものは整備をしていきながら、在宅介護のしやすい、レスパイトみたいなことも含めて整備をしていかなきゃなりません。

 一方で、例えば、前もお話ししたと思いますけれども、今、両立支援のための実証実験、これは、中小、大企業合わせて百社、モデルをつくりまして、そのモデル等々をやっていただきながら実証しようということで実証実験を始めました。こういう成果も使いながら、どういうような介護の体制、どういうような働き方であれば、介護離職をせずに、働きながら介護というものを両立できるか、こういうことも今スタートさせていただいております。

 いずれにいたしましても、大変大きな課題ではあると思いますが、あくまでも、やはり家族が離職してしまえば、言われたとおり、我々の労働参加というもの、これは一つの、今回の年金の財政検証の中でも念頭に置きながらやっておるわけでございますので、それが実現できなければ大きな問題になってまいりますから、そういう体制を組むように、サービス面からも働く面からも充実を図ってまいりたい、このように考えております。

足立委員 まさに今大臣がおっしゃられたように、私も、これは、いわゆる在宅医療、在宅介護というその政策の体制、これをますますしっかりと整えていく、そのための地域医療介護法案であったと思いますし、やむなく反対に回りましたが、趣旨は大賛成だと申し上げたのは、まさに在宅医療、在宅介護という大きな方向性を必ず実現していかないといけないと私も思っているんです。

 さらに申し上げれば、今大臣がおっしゃったように、働き方も改革をしていかなあかん。両方とも大改革をしていかないと、この難問、すなわち女性の、女性だけではないですが、女性などの労働参加の拡大という問題と在宅シフトという問題をあわせて、日本の社会をしっかりと守り抜いていくためには、これは相当な難問であります。

 難問であれば、大臣がまさに御指摘された両面で、在宅医療、在宅介護政策を強化するということと働き方を変えていくという両面で、相当大胆な政策を推進していかないと間に合わない、こういう思いが、当然、安倍政権、田村大臣にはあるから、だから、厚生行政だけじゃなくて、労働行政の分野においても矢継ぎ早にこうして法案を出してこられている、こう理解をしています。

 尊敬する山井委員もいらっしゃいますが、民主党さんが政策をとめよう、とめようとするのは、今申し上げたような問題に一体どういうソリューションを持っているのか。

 一つ一つを議論するのではなくて、全体のパッケージで考えれば、これは推進していかざるを得ない。それを、何か残業代ゼロ法案とかいう言葉であおるのは、本当にこれはもう百害あって一利なし、絶対にこれは日本の経済を危うくするし、もし労働規制改革に失敗をし、結果、日本経済が低迷をし、成長しない、増税ができない、子供政策が頓挫する、もう全ては悪循環になっていくわけでありまして、針の穴を通すような、全てに勝利していかなければこのアベノミクスは成功しないわけでありますから、田村大臣、ぜひ、新しい労働時間制度、これは中途半端ではいけません。

 週末、また大臣は御講演で、管理職候補、課長代理は対象じゃない、こう明言をされたやに報道されていますが、されていませんか。されていましたね。私は、絶対これは、大臣、きょうここで議論しているような、大問題ですよ。大問題というのは、アベノミクスがトライしようとしているテーマ、田村大臣が今取り組んでいらっしゃる在宅シフトと、女性、高齢者の就労、労働参加、こういうことを相入れる形で社会をもう一回つくっていくということでいうと、もう働き方の見直しは絶対に不可欠です。

 ちょっと、週末の御講演、訂正をしてください。

田村国務大臣 既に、子育て、介護、こういうような状況、必要性のある、そういう世代の方々に対する働き方を我々も提案いたしております。それは、フレックスタイム制を使いながら、朝型の働き方、もちろん御夫婦で片方は遅番で出るというような方法もあると思います。そういうものを使いながら、有給休暇というものをもう少し弾力的に使って対応するという提案、これはさせていただいております。

 それから、課長代理クラスの方々に関しては、裁量労働制というものをもう少し使いやすくしていこうという提案もさせていただきました。

 多分、委員がおっしゃっておられるのは、適用除外の話なんだと思います。

 これに関しては、そもそも御提案が、成果を評価するというお話になってきておりますので、課長代理の中にも、全てとは言いません、それは成果が評価できるような職の方はおられると思います。そういう方を全く外しておるというわけではないんですが、課長代理、つまり管理職一歩手前という範疇で成果を評価するというのは、これはちょっとやはり、成果というものは我々は定量的なものであると思っておりますから、課長一歩手前の方々はあらゆる仕事をされておられる方々が多いわけであります。

 職種の中には、それはあるかもわかりません。しかし、あらゆる働き方をされておられる方が多いものでありますから、そういう方々を成果でどうはかるのか、困難ではないのでしょうかという中において、裁量労働制という時間で労働量をはかるやり方、みなしというような形でやられた方が、より理屈が通るのではないかというような趣旨から発言をさせていただきました。

足立委員 もう全然だめですね。

 先ほども申し上げたように、労働時間規制、これはもう抜本改革が要るんです、工場の時代じゃないんですから。ホワイトカラーという言葉は使わないようにしよう、こういうことはありますが。

 大臣、ちょっと私の認識が違っていたら直していただきたいのですが、管理職一歩手前という議論がありましたが、管理職はそもそも今でも時間に縛られてやっているわけではありません。だから、管理職の一歩手前を、いや、違うんだといったら、これは何も変わりませんよ。

 何か世界的な、専門的な何とかということをおっしゃいます。日本が、そういう、今、一部の特定の人だけうまくやっていただいたらいいという状況じゃないですね。今議論したように、社会全体を変えていく局面にあるわけです。

 大臣、これはちゃんとやっていただかないと、田村大臣がアベノミクスを失敗させたことになりますよ。ちょっと踏み込んでください。

田村国務大臣 管理職手前の方々というのが、すごく今、委員も御承知だと思いますけれども、大変忙しい中で業務をこなしていただいております。こういう方々をちゃんと成果ではかれればいいんですが、私は、残業代なしでむちゃくちゃ働けというのは、だめだと思うんですよ。ワーク・ライフ・バランスをちゃんと守っていただいて、労働生産性を上げていただいて、この範囲の方々が働く。

 課長は深夜割り増しがつくんですよ。エグゼンプションにしちゃうと課長代理はつかないんですから、これもまたおかしな話になるわけでありまして、ちゃんとワーク・ライフ・バランスを見られる時間で労働量をはかってもらって、その上で、それを早くやるか、その方が時間をかけてやるか、それは自由です。しかし、早くやっていただければ、早く帰れる。もしくは、それを見越して、次は仕事量をふやして、その人の賃金も上がって、その上で生産性が上がるというのが本来あるべき姿なんじゃないかな、これが一番生産性を目に見えて上げる方法ではないのかな、私はそう思っております。

足立委員 もう時間が来てしまったので、また、まあ次回があるかどうか、ちょっとけさの理事会のことは聞いていませんが。

 大臣の御答弁は、とにかく労働時間規制の頭で全てつくられているわけです。我々が求めていることは、そもそもの発想を工場の時代から、だって、大臣、我々実感がありますよ。私も仕事をしていた中で、確かに、おっしゃるように、いろいろな仕事をしています。でも、明らかに、能力に、成果に差があるんです。

 その能力、成果が個人ごとに大きな差がある、そういう世界において新しい規制の枠組みが要るというのが今回の産業競争力会議の提案でありまして、とにかく発想の転換をお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋ひなこ君。

高橋(ひ)委員 自由民主党の高橋ひなこです。

 厚生労働委員会でこのように質問の機会をいただいたことに心から感謝を申し上げ、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案について質問をさせていただきます。

 この法案は、有期の労働契約について、契約が繰り返し更新され、通算五年を超えた場合に、労働者の申し込みによって無期労働契約に転換できるという、いわゆる無期転換ルールの特例を定める内容になっています。

 この無期転換ルールは、有期雇用で働く方々は、正社員と比べると、雇用が不安定、賃金が低い、能力開発機会が乏しいといった問題点があり、何よりも、継続的に働きたい方々にとっては、次回は更新できるかどうかという不安を払拭して、労働者が安心して働き続けることができる社会の実現のために制定されたものです。無期転換申込権が発生する五年を超える前の雇いどめの問題はありますが、有期契約労働者の方々の雇用の安定のために、無期転換ルールは必要かつ有効なルールであると思います。

 一方で、有期契約労働者の中には、例えば、定年まで無期雇用であった方が、定年後に同じ企業で有期契約の再雇用となって、それまでの経験や能力を生かして活躍されているケースがあります。

 このようなケースでは、労働者の雇用の安定が確保されるのであれば、企業にとっても働く側にとってもウイン・ウイン、どちらもいいという状況になるわけですから、このようなケースには無期転換ルールを適用しないという選択肢があっていいと思います。そうしなければ、第二定年を設けるケースがふえて、第二定年到達により一律に雇用が終了するということになり、その年齢を超えてもまだまだ働ける、働きたいと思っている側と、もっと働いてもらいたい企業側の雇用機会を失うということにもなります。

 また、昨年の臨時国会では、議員立法によって、研究開発力強化法と大学教員等任期法の改正が行われ、大学や研究開発法人の研究者や教員などを対象に、無期転換申込権が発生するまでの期間を十年にするという特例が設けられ、ことしの四月から施行されています。

 私の大学は、芸術学部で、特異な分野なんですが、日本と世界にも発信している先輩の方々が月に一度来てくださって、後輩のためにしっかりとした授業や、また、皆さんに、こういう経験が生かせる、そして、世界で活躍する舞台、いろいろなことを教えたいと。これが前々回では、必ず五年後に雇用しなさいということになると、そういう世界で活躍をしている方の授業がやっていけなくなるという学部長からの要望がありました。

 こういうことに前回の臨時国会では対応していただいたということで、本当にありがたいと思っているんですが、こうした中で今回の法案が提出されていることを踏まえて、質問に入らせていただきます。

 有期契約労働者にもさまざまなタイプがある中で、この法案において、一定の期間に完了するプロジェクトに従事する高度専門労働者と、定年後の高齢者の二つを無期転換ルールの特例の対象としている理由をお知らせいただきたいと思います。

中野政府参考人 無期転換ルールにつきましては、有期労働契約の濫用的な利用がもたらす雇いどめをめぐる課題を抑制し、雇用の安定を図るという制度の趣旨を踏まえれば、原則として全ての有期労働者に適用することが必要であると考えております。

 一方、本法案が対象とする有期雇用労働者につきましては、その特性に応じた雇用管理を図りますとともに、無期転換申込権発生までの期間の特例を設けることによりまして、雇用の安定を損なうことなく、その能力を有効に発揮することにつながると考えております。

 具体的には、高度の専門的な知識等を有する有期契約労働者につきましては、一定の期間内に完了するプロジェクトに従事することを繰り返しながらキャリアアップを図るケースもあり、その能力の維持向上を図るために必要な措置を行うこと等によりまして、その能力を有効に発揮することができると考えられます。

 また、定年後の高齢者につきましては、定年後も同一の事業主等に継続して雇用されることで、それまでに培ってきた知識、経験等を活用することができ、その能力を有効に発揮することができると考えております。

 このため、これらの労働者につきまして、本法案の特例の対象としたところでございます。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。

 働く側も、雇用する側も、ともに都合のいい形がつくれるのであれば、それにまさることはないというふうに思っております。

 有期雇用労働者の中には、さまざまなプロジェクトに参加して働くことを繰り返しながらキャリアを重ねるという方もおり、今回の特例で高度専門労働者を対象とすることは、働き方が多様化する中で選択肢をふやすということになり、経済の活性化につながるというふうに考えております。

 そこで、確認のため基本的な質問をさせていただきますが、この法案による特例の対象となる高度専門労働者とは、具体的にどのような方々が該当するのでしょうか。

中野政府参考人 高度の専門的知識、技術または経験の具体的な要件につきましては、労働基準法十四条に基づく一回の労働契約の期間の特例の対象となっております、一定の国家資格を有する者や、一定期間の実務経験を有する年収千七十五万円以上の技術者、システムコンサルタント等を参考に、法案成立後、改めて労働政策審議会において検討することとなっております。

 また、国家戦略特別区域法では、対象者全員に年収要件を課すこととされておりまして、この要件につきましては、千七十五万円をベースに労働政策審議会において検討していくこととしております。

 これらは、本年二月の労働政策審議会の建議で示された考え方に沿った労使の共通理解でありまして、無期転換ルールの趣旨に反して対象者が必要以上に拡大することはないと考えております。

高橋(ひ)委員 今、年収が千七十五万円をベースということで、かなり限られたものになると思いますので、特例ができる際に抜け道ができるという心配もないのではないかと安堵しております。

 さて、現在、我が国が直面している少子高齢化社会では、若者も女性も高齢者も、働くことを希望するあらゆる方々が、持っている能力や可能性を最大限発揮して活躍できる社会をつくらなければなりません。全員参加型の社会を実現するためには、非正規雇用から正規雇用へのキャリアアップ支援が必要でしょうし、仕事と家庭を両立させるための支援、高齢者の雇用機会の確保も必要です。

 取り組むべき課題は大変多いわけですが、特に、超高齢化社会を迎えるに当たり、高齢者が企業で意欲を持って生き生きと働ける社会を目指していかなければならないと誰もが思っていることと思います。

 そこで、この法案による特例の活用も含め、まず、高齢者が活躍できる雇用の機会を確保していくために、厚生労働省はどのように取り組んでいらっしゃるのかをお聞きしたいと思います。

内田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、年齢にかかわりなく、意欲と能力に応じて働くことができる生涯現役社会の実現に向けて、高齢者が活躍できる雇用の機会を確保することは重要であると考えてございます。

 このため、厚生労働省といたしましては、平成二十五年四月から施行されました改正高齢法に基づく六十五歳までの雇用確保、あるいは、高年齢者の新たな雇い入れや高年齢者の雇用環境の整備を行う事業主に対する助成、あるいは、シルバー人材センターの活用による多様な就業機会の確保などに取り組んできたところでございます。

 今後とも、これらの施策を着実に実施いたしますとともに、法案が成立した際には、この特別措置法の周知に努めまして、その活用も含めた企業における継続的な雇用の促進を通じて、高年齢者の多様な就業ニーズに応じた雇用就業機会を確保してまいりたいと考えてございます。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。

 くれぐれも、高齢者の方々が年金をもらうまで元気に働ける、こういう環境づくりにさらにお力添えをお願いしたいと思います。

 先ほど申し上げましたが、五年間できちんと雇用してくださいとなると、学生たちに最高の教育ができないような場合もある。また、五年になる前にちょっとやめてもらいたいですというような、こういうことも企業がやってしまう可能性もある。でしたら、企業側にも推進策をお示しして協力を呼びかけるという必要性を感じております。

 この労働契約法に基づく無期転換ルールや今回の特例についても、企業側が正しくルールを理解してもらわなければならないというふうに思っております。この点について厚労省はどのように取り組んでいかれるのかをお知らせいただきたいと思います。

中野政府参考人 無期転換ルールは、有期労働契約の濫用的な利用がもたらす雇いどめをめぐる課題を抑制し、雇用の安定を図るためのものでありまして、使用者にはその趣旨を十分に御理解いただくことが必要であると考えております。

 無期転換ルールへの企業の対応を見ますと、五年を超えて反復更新する有期契約労働者について、約四割の企業では何らかの形で無期契約にしていくとしておりますが、約一五%の企業が通算五年を超えないように運用していくとしており、四割弱の企業が対応方針をいまだ決めていないというのが実態でございます。

 また、労働政策審議会の建議におきましては、無期転換ルールについて、人材の確保に寄与することなどのメリットについて十分理解が進むよう一層の周知を図ること、正規雇用または無期転換、人材育成などの取り組みを行う事業主を支援する助成金の効果的な活用を積極的に進めること等とされております。

 このため、無期転換ルールやこの法案に基づく特例につきましては、事業主への一層の周知に努めますとともに、有期契約労働者の正規雇用化や無期転換などの取り組みを行う事業主を支援するため、キャリアアップ助成金の活用等を積極的に進めてまいる所存でございます。

高橋(ひ)委員 大変重要なことだと思うんです。

 今、キャリアアップ助成金というお話が出ましたが、よろしければ、これについてもうちょっと具体的に、そして、恐縮ですが、こういうことを活用して、企業側にもメリットをお示ししながら、しっかりと企業のサポートをしていただければと思います。もしよろしければ、もうちょっと、今お話しいただいたキャリアアップ助成金についてお知らせいただけますでしょうか。

中野政府参考人 キャリアアップ助成金でございますが、正規雇用転換に対する助成あるいは人材育成に対する助成、それから処遇改善に対する支援等がございますが、例えば正規雇用等転換への助成でありますと、要件といたしましては、有期雇用労働者を正規雇用等に転換または直接雇用するということでございますが、有期から正規に転換させた場合、一人当たり五十万円を事業主に助成金として支給する、こういうようなものでございます。

高橋(ひ)委員 やはり企業側にもしっかりとしたサポートをし、また働く側にもサポートをして、そして、私たち働く者も健康を管理しながらしっかりと仕事をしていく、こういう心構えも必要だと思います。このような助成金があるということは大変ありがたいと思いますので、ぜひいろいろな方々に周知をしていただきながら、企業側にもサポートしていただければと思います。ありがとうございます。

 さて、現今、非正規雇用が増加しているということもお聞きしますが、この中には、若者のフリーター、家事、育児、介護などの理由により自分の都合のよい時間に働きたいという女性パート労働者、そして定年退職後に有期契約の形態で働く高齢者など、さまざまな形が望まれます。

 働き方が多様化する中で、労働者のニーズを見ると、パートや派遣を希望してみずから選択している方々がいる一方で、本当は正社員になりたいんだけれども、なることができずに、不本意に非正規雇用になっていらっしゃる方もあります。

 総務省の労働力調査によりますと、非正規雇用の全体に占める不本意非正規の割合は、全体平均では一八・九%、二十五から三十四歳では三〇・七%と特に高くなっています。若者に不本意非正規が多い実態がこの調査から見えてきます。

 働き方が多様化する状況の中、非正規雇用イコールよくないことということでは決してないというふうに思いますが、非正規雇用によって雇用の不安定な若者が多いことが、結婚や子育ての見通しを立てにくくして、それが少子化の一因になっているとも考えられます。不本意に非正規雇用で働き続ける若者が正規雇用につけることを促進するということは、我が国の社会全体にとって大変重要な課題だと思います。

 自民党としても、ことしの四月に、未来をつくる若者の雇用、育成について総合的に対策を行うよう、若者雇用対策に関する提言を取りまとめたところであります。

 そこで、質問ですが、意欲ある若者が不本意な非正規から正規雇用になることができるようにするため、厚生労働省はどのように取り組んでいらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。

内田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、非正規雇用が現在まで増加傾向にございます。若年層につきまして見ますと、二十年ほど前に比べまして、十五歳から二十四歳で非正規雇用の割合が大幅に上昇してございますし、二十五歳から三十四歳で不本意で非正規雇用になっている者の割合が他の年齢層と比べて高くなっていること、まさに先生の御指摘のとおりでございます。

 そのため、次世代を担う若者について、安定した雇用を確保するとともに、正規雇用を希望する非正規雇用労働者の正規雇用化やキャリアアップの支援に取り組んでいくことが重要であると考えてございます。

 厚生労働省といたしましては、全国の新卒応援ハローワークなどにおける新卒者等の安定就労に向けた支援、また、フリーター等を支援するわかものハローワークの拠点の拡充、さらに、今お話がございました、拡充されたキャリアアップ助成金やトライアル雇用奨励金による支援等を実施していくこととしてございます。

 また、非正規雇用労働者である若者等の中長期的なキャリア形成を支援するため、雇用保険制度の見直しを行ったところでもございます。

 さらに、先生からお話がございましたように、本年四月には自民党から、また、五月には公明党さんからも若者雇用対策についての提言をいただいているところでございまして、法的整備も含めて、社会全体が責任を持って若者雇用対策に取り組む体制を検討することが必要と考えているところでございます。

高橋(ひ)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 高齢者、そして若者、次は女性についての質問に入らせていただきたいと思います。

 安倍政権は女性の活躍促進に力を入れております。女性活力は我が国最大の潜在力とも言われていますが、いまだに半数以上の女性が第一子の出産前後に退職することにより、潜在化してしまうわけです。また、国際的に見ても、指導的地位に占める女性の割合が低い。日本の将来を担う子供たちの健やかな成長のために子育てに頑張る、一方で、就業を希望する女性は多く、女性がその希望に応じて、持てる能力を最大限に発揮できるような社会をつくっていくことが必要です。

 子育てをしたいという方は、しっかりと日本の将来を担う子供たちを、休業して、または仕事をやめて、または専業主婦で育てていきたい、その選択ができる、そして再就職をしたいという場合に再就職がスムーズにできる、働きたいという女性が活躍できる、こういう雇用環境の整備を進めていくということも非常に重要だと思っております。

 厚生労働省はどのように取り組んでいこうと思っているのか、お聞かせいただきたいと思います。

石井政府参考人 議員御指摘のように、女性が活躍できるような雇用環境の整備は大変重要でございまして、安倍内閣の成長戦略の中核とも位置づけられているわけでございます。

 ただ、現状を見ますと、議員がおっしゃったように、我が国の女性の労働力率、多くの年齢階級で上昇はしておりますけれども、やはり子育てを機に不本意に職を離れる、そういう方が大変多いわけでございます。希望しながら就業できない女性の方は三百万人以上いるとも言われております。よくM字カーブ自体が問題という御指摘もございますが、M字カーブそのものもさることながら、その中において不本意に離職をしている方がいる、このことこそ、問題としてそれをしっかり捉えていく必要があるのではないかと思っております。

 また、その働き方の中身を見た場合にも、やはり管理職に占める女性の割合が諸外国に比べて極めて低い。これも、質という観点から見たときに、持てる力が果たして十分に発揮できているのであろうかということについて大きな課題があるだろうと思っております。

 こうしたことから、厚生労働省としましては、女性が安心して子育て等をしながらその能力を十分に発揮して活躍できる、そして、それは自分の意思によって、子育てに専念したいときは子育てに専念をする、しかしながら、子育てが一段落したら働きたいときにまたさまざまな可能性を持った働き方ができる、そういう社会を実現していくことが必要だというふうに思っておりまして、いろいろ施策は、福祉施策、それから労働施策、取りまぜてやっていく必要があると思っております。

 一つは、待機児童問題、何といってもこれは大きいわけでございまして、待機児童解消加速化プランを推進することとあわせまして、育児休業法という法律があるわけでございます。あるいは、育児のための短時間勤務制度、これも一部に義務化もされているわけでございまして、その制度が真に企業の雇用管理の中で生きるような、そういう形での雇用管理の周知徹底ということを図っていく。

 あるいは、先般、この委員会でも御審議いただきまして延長を決めていただきました、次世代育成支援対策推進法に基づきます働き方の見直しをやっていく。さらには、女性がその能力を発揮して活躍することを支援できるようなポジティブアクション、これに取り組む企業に対する支援に取り組んでいくということがあります。

 そして、非正規で働く方が多い、ここの問題にも目を背けてはいけないわけでございまして、非正規対策も講じていく。とりわけ、非正規で働く女性が出産をしたときに職を離れる率が高いわけでございまして、これも、手当てをしますと相当就業継続ができるということがございますので、そこにもしっかり目配りをしていきたいと思っております。

 さらには、先月の産業競争力会議で副大臣が御説明いたしましたが、待機児童が終わった後、子供は育っていきます。今度は小学校に入るということでございます。いわゆる小一の壁の打破等のために、文部科学省とも協力をいたしまして、放課後子ども総合プランを策定しまして、平成三十一年度末までに放課後児童クラブについて新たに三十万人分を整備したいというふうに考えております。

 この点も含めまして、一月の産業競争力会議において取りまとめられました成長戦略進化のための検討方針におきまして、女性が輝く日本を目指して具体的な方策を検討するということになっておりますので、この平成二十六年年央を目途に改定する成長戦略に反映させるべく、さらなる取り組みについて検討していきたい、かように考えております。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。

 石井局長が厚生労働省にいらして、そのポジションでさまざまなことをしてくださっているということは、私たち女性にとって本当にありがたい。そして、それをいろいろとサポートしていらっしゃり、また、いろいろな政策をこうして講じて、日本の働く人たちに必ずいい状況をという思いで働いてくださっている厚生労働省の皆さんに、心から敬意を表したいと思います。

 私は、子育てのとき、実は、自分で子供は育てた方がいいというふうに思って、手元で子供を育てながらフリーのアナウンサーをして、そして必要なときにベビーシッターさんを雇い、ベビーシッターさんがなかなかいない時代でしたので、本当に苦労をして子育てをしてまいりました。

 ところが、あるとき、夫が交通事故に遭って、子供を預けなきゃいけなくなった。その際に、保育園に行きましたら、私は自分の母が早く亡くなっているために、保育園で子育てについて教わったことがいっぱいあったんです。子供の目線におりること、そして、自分ではない、自分の都合ではない、子供と向き合うこと、あわせてもう一つ、実際に、どうしても親の都合で振り回してしまうんだけれども、原因があって子供が泣く、原因があって子供がいろいろ言っている、その原因を取り除くことが子育てにとって一番子供と向き合えるという、さまざまなことを教えていただきました。

 ですから、働くというときに、子供を預けるということが悪いとは思わず、そして、自分が手元で育てるという思いを持っている女性も本当にすばらしい、どちらも自分たちが選択できる、こういう社会をつくるということが本当に重要だと思っております。ぜひ、これからもよろしくお願いをしたいと思います。

 そして、今、厚労省の皆様方は周知していらっしゃるとは存じますが、少子高齢化のこの時代に、労働力が不足するということが本当に大変なゆゆしき事態になっていく、こういう危惧をほとんどの方が持っていらっしゃると思います。

 雇用の問題は、我が国の経済社会にとって本当に重要な課題です。元気に高齢者に働いてもらう、若者も女性も本当に元気に働いてもらう、全ての人が生きがいを持って働く、こういうことが本当に大事だと思います。

 そこで、結びに質問させていただきますが、この超少子高齢化社会の中で、企業のニーズにも労働者のニーズにも対応して、生きがいを持って働くことのできる社会を実現していくため、今後、雇用の問題にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお願いいたします。

佐藤副大臣 高橋委員の御質問にお答えいたします。

 きょうは、先ほどから、高齢者、また、若者、女性の雇用という観点で御質問いただきまして、各局長が答えさせていただきました。

 まさに、我が国の若者、女性、高齢者等が能力を高め、その能力を存分に発揮する全員参加の社会の実現を目指すべく、昨年六月にまとめました日本再興戦略において目標を掲げております。それは、二〇二〇年に二十歳から六十四歳の就業率を八〇%とするということ、また、ほかの年代層もあるんですけれども、特に全体としてはそういう目標を掲げて、今向かっているわけであります。

 この目標達成に向けて、詳しくは先ほど各局長が答弁したとおりなんですが、例えば若者の活躍推進については、新卒応援ハローワーク等を通じた、そういう中小企業と学生等とのマッチングの強化、あるいはフリーター等の非正規の方々の正規雇用化の支援、これは委員も再度質問されていた、企業側にも、キャリアアップ助成金とかトライアル雇用助成金、こういうものも活用していただいて推進していただく。

 二つ目の、女性の活躍推進については、企業におけるポジティブアクションの取り組み促進とか、育児・介護休業法等に基づく育児休業や短時間勤務を利用しやすい環境を整えていくということです。

 高齢者の活躍推進については、平成二十五年四月に施行されました改正高齢法におきまして、継続雇用制度等による六十五歳までの雇用確保、高年齢者の新たな雇い入れに対する助成などに取り組んでいくということにしております。

 こういう施策をしっかりとやった上で、今、雇用政策研究会の推計ではどうなっているかというと、労働参加や経済成長が適切に進まない場合には、二〇二〇年の就業者数は五千九百四十七万人と約五・二%減少すると見込まれているんですが、今言ったような取り組みによりまして労働参加や経済成長が適切に進んだ場合には、二〇二〇年の就業者数は六千二百九十一万人となりまして、今の二〇一二年の六千二百七十万人と比較いたしましても約〇・三%増加するという見込みになっております。

 引き続き、このような各種の雇用政策を積極的に推進してまいりたいと考えております。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。

 厚労省が進めるさまざまな雇用政策に、この法案は重要だと思っております。ぜひ通ることを祈りながら、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。私も、きょうは労働行政全般について、広くいろいろな形で聞かせていただきたいと思っております。

 そもそも、日本の労働力需要、これは、バブル崩壊後一九九二年あたりをピークに徐々には落ちてきているんですけれども、最近、二〇一〇年あたりからもう平行線で、需要はある程度安定をしている。

 一方、生産労働人口なんですけれども、ほぼ一九九〇年代の半ばあたりがピークで、それから徐々に落ちて、最近、団塊の世代の方が退職になってきた二〇一二年、そのときに、ついに労働力の需要と労働力人口のカーブが、人口の方が少なくなってきている、そういう状況になっている。

 いわゆる、簡単に言うと人手不足。そういった慢性的、構造的な人手不足に今日本は陥ってきている、このような状況が見えるわけで、今後、さらにその状態が加速をして、人手不足というのが問題になってくるのではないか、このようなことになっているんですけれども、全体、こういった実態に対して、まず、厚生労働省として、どのような認識のもと、どのような対応を考えているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

岡崎政府参考人 今先生から御指摘がありましたように、人口構成上、生産年齢人口は、平成七年の八千七百十七万人をピークに減りつつあります。

 そういう中で、最近の雇用情勢につきましては、リーマン・ショック後、やや雇用情勢が緩んでいたということもありまして、直接的には、生産年齢人口が減少することによる人手不足というものが、現象としては出てこなかった時期がございました。

 ただ、有効求人倍率も、ここ六カ月間継続して一倍を超える、こういう状況のもとで、景気変動部分の人手需要がふえてきている。こういう中で、やはり将来的に構造的に減っていく部分と、その経済的な循環の部分の中で今人手不足というのが改めて問題になっている、こういう状況だろうというふうに思っています。

 経済循環の部分は、その状況に応じて対応するわけでございますが、やはり構造的な部分はしっかりと見据えて対応していくということであります。これに対応するためには、やはり全体としての生産年齢人口が減っていくわけでありますので、若者、女性、高齢者等々、それぞれの方々がその能力を発揮する、いわゆる全員参加型の社会を目指していく、こういう対応が長期的に必要だろうというふうに考えているところでございます。

輿水委員 ありがとうございます。

 まさに、構造的な問題と経済の成長によってますます労働力が不足してくる、このような状況の中で、先ほど来議論にありました、若者、そして高齢者、女性、その労働の現場での活躍が大きく期待をされるという状況であると思います。

 そういった中で、それぞれ、育児や介護など家庭の環境、いろいろな状態にある。また、生活のスタイルも個々によって違ってくる。そういった皆様が、この労働の現場の中で、自分に合ったスタイルで、そして、力を十分発揮できるような環境づくりというのが非常にこれから大事になってくるのかな、このように感じているわけでございます。

 例えば、フレックスタイム制導入の促進とか、あるいはテレワーク、うまくその辺の新しい労働のスタイルというものを、いろいろ一人一人に合わせた形で研究、検討しながら、今までではなかなかそれが普及しにくい状況もあったかと思うんですけれども、それをさらに普及させるような取り組みがこれからは必要になるのかなと思うんですけれども、その辺の見解をお聞かせ願えますでしょうか。

中野政府参考人 御指摘のありましたフレックスタイム制やテレワークにつきましては、育児や介護等の事情を抱えた労働者が、ワーク・ライフ・バランスを確保しながら働き続けやすくする仕組みとして、四月二十二日の産業競争力会議におきまして、田村大臣から、今後の活用促進に向けた取り組みについて説明したところでございます。

 フレックスタイム制につきましては、まず、清算期間の延長など、いつ、どのくらい働くかについての選択肢の拡大、それから、育児、介護の事情がある人については、清算期間における労働時間が枠に達しない場合、清算の際に年休を充てることができる仕組み、それから、完全週休二日制の場合における月の法定労働時間の枠の特例、こういうことなどにつきまして、今後、労働政策審議会で検討していきたい、こういうふうに御説明いたしました。

 また、テレワークにつきましては、厚生労働省といたしましては、これまでの取り組みに加えまして、今年度から新たに、自宅のパソコンから会社のネットワークに安全にアクセスする機器等の購入に対する助成の実施、それから、関係省庁と連携しまして、育児等との両立を可能とする具体的なテレワークモデルの構築に向けた実証事業、こういう施策を推進することなどによりまして、その一層の普及促進に努めていきたいと考えております。

 厚生労働省といたしましては、労働者の心身の健康やワーク・ライフ・バランスの確保とともに、生産性向上の観点から、フレックスタイム制の見直しやテレワークの普及促進のほか、労働時間法制の全般にわたる検討を昨年来行っておりまして、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに、フレックス、テレワーク、それぞれの検討と同時に、例えばフレックス、そして、子供のお迎えだとかで帰りました、その後テレワークというか、いろいろな形で組み合わせながら、柔軟な形での検討をぜひ進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、今政府では、科学技術イノベーションを基盤として、世界をリードする日本の物づくり産業の育成を目指しているというふうに思います。

 ここで、このようなグローバル経済圏で活躍する高度な専門知識を有する人材の育成、確保と、目指しているものはあっても、それに伴う人材をどのような形で確保して育成をしていくのか、ここが重要になるのかなというふうに考えますけれども、この点についての取り組みについてお聞かせ願えますでしょうか。

杉浦政府参考人 急激に進展するグローバル化の中で、企業は、国外への市場の拡大ですとか、現地生産の強化といった対応をするために、例えば、従業員を海外の企業に派遣して現地プロジェクトに参加させるといったような研修を行っているところでございまして、こうしたグローバル人材の育成や確保に対する支援というのを行っていくことは非常に重要であるというふうに考えておるところでございます。

 厚生労働省におきましては、キャリア形成促進助成金という助成金がございまして、その中にグローバル人材育成コースというのを設けておりまして、これで海外関連の業務に従事する労働者を育成するために訓練を実施する中小企業に対しまして、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成してきたところでございます。

 さらに、ことし三月から、中小企業に加えまして大企業も助成対象に追加をするとともに、海外で行う訓練も助成対象に拡充するといった改正を行ったところでございまして、こういった施策によるグローバル人材の育成の促進を図ってまいりたいと考えております。

輿水委員 ありがとうございます。

 さて、ここで、今回、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案が提出されました。この中で、会社を定年退職された方に対して、有期雇用の無期転換権というものは今回発生しないと。この点については、私も理解はできるんですね。高齢者になって無期というよりは、やはり有期の中で自分の体力とか体調に合わせながら仕事をしていく、そういったあり方はあるのかなというふうに思います。

 その上で、今度は、専門的な高度な知識を有する皆様が有期雇用労働者として働き続けて、今回、五年から十年、無期転換申込権の発生までの期間が長くなったということで、そして、この間、みずから能力の維持向上を図る機会もしっかり付与した上でそういったことを認めましょうということなんです。

 今イノベーションを進められて、専門的な知識を持った方であれば、将来のために、早目に有期から無期、あるいは正社員にしながら、自分の会社で人材を育てていきたい、またさらに、この中で能力を向上させていっていただきたい、雇用者側からはそんな思いもするわけで、実際、具体的にどのような方が、そういった五年を十年にすることによって、仕事が続けられる、また、自分自身の意思も十分通すことができるような働き方になるのかについてお聞かせ願えますでしょうか。

中野政府参考人 高度専門職の具体的な事例につきましては、例えば、新商品の開発や新興国との販路の開拓のために、企業内で一定の期間に限ったプロジェクトを立ち上げることはあると考えておりまして、こうしたプロジェクトのために雇用される有期契約労働者に該当するケースがあるのではないかと想定しております。

 また、今回の法案策定に当たって実施した企業ヒアリングにおきましては、例えば、一定の期間を要する海外でのプラント建設にかかわる専門家等についてもニーズがあるのではないかという意見も聞いているところでございます。

 こういう方々につきましては、その持つ専門的な高度専門知識でございますが、これは常に経済社会の変化に見合ったものになるようにしていくことが必要でありますので、常にブラッシュアップすることが重要になると考えております。

 こういう観点から、条文上も例示しておりますが、例えば、セミナー等の教育訓練を受けるために、事業主には有給休暇の付与をしていただくとか、あるいはそのための経費を援助するとか、そういう教育訓練を受けやすくするために、始業、終業時刻を変更したり、場合によっては勤務時間の短縮によりまして、そういう自己啓発の機会など、こういうことを雇用管理に関する措置として事業主にとっていただく、こういうことをあわせてこの法体系の中では組み込んでいるところでございます。

輿水委員 ということは、そういったプラントなんかは、五年というよりは十年くらい、ある程度かかってくる、そういった方に対して十年くらいの契約の中でしっかりと仕上げていただく、そういったものを意識した上での今回の延長という形になるというふうに理解したいと思います。ありがとうございます。

 そして、先ほど、千七十五万円でしたか、そういった仕切りもあるということで、それなりの能力とかまた人脈を持って仕事をしていく、仕上げていく、そういった方が今回の対象になるということで理解をさせていただきます。ありがとうございます。

 その上で、やはり今後、そういった方ばかりが日本にいるわけではなくて、各現場で、確かに高度な知識を持っている方、もうちょっと短期間で結果を出して、さらに次のその企業にとって新しい開発に挑むという、十年ではなくてもうちょっと短期間の中でのサイクルもあると思うんですけれども、そういった方がいつまでも有期雇用であるよりは、より安定した、またモチベーションも高くなるような、しっかりとした正規雇用への転換というのが非常に大事になるのかなというふうに思っております。

 そして、まさに先ほども出たんですけれども、キャリアアップ助成金などをしっかりと周知徹底しながら、そういった全ての方が五年以上かかるようなプロジェクトをやっているわけではないと思います。最近、製品等のライフサイクルもどんどん短くなって、開発期間も早く、そして、すぐ次のものを出さなければ、コスト競争になってしまっては日本の産業もなかなかもたないということで短縮されている中で、人材の正規雇用化ということをしながら、しっかりとした育成を企業の中で進められるような、そして、安定した製品開発の道を開いていくことも大事だと思うんですけれども、この点についての見解をお聞かせ願えますでしょうか。

岡崎政府参考人 非正規のいろいろな働き方の方々がふえていくという中で、もちろん非正規の働き方を望んでおられる方もいるわけでありますが、やはり不本意で非正規で働いている方々も相当多いというのは事実であります。

 そういう方々をできるだけ安定した雇用、いわゆる正規雇用あるいは無期雇用に転換していくということは非常に重要だというふうに思っておりますし、先生おっしゃいますように、やはり、非正規の方と正規の方を比べますと、企業が行っている能力開発等々でも相当差があるというのも事実でございます。そういった意味におきまして、正規を望んでいる方々についてできるだけ正規雇用にして、能力開発をしていけるようにしていくというのが非常に重要だというふうに思っております。

 その過程におきましては、先生からも御指摘がありましたけれども、キャリアアップ助成金につきましては、この三月から助成額をそれぞれ一人当たり十万円増額する等々の改正もしております。

 せっかくそういう形で制度を拡充しておりますので、これをしっかり周知して、非正規の方を正規にしていただくという努力を企業にお願いしていきたいというふうに考えております。

輿水委員 ぜひ、そういった取り組みもあわせてお願いをしたいと思います。

 そこで、最近、先ほどの構造的、慢性的な労働力不足と同時に、企業も昔は、年々売り上げを伸ばして、社員をふやして、そしていろいろな事業を展開しながら役職とかポジションがふえる、そして、そんな中で終身雇用制の中で人材を活用して大きく成長してきた、そういった時代があったと思うんですけれども、今はどちらかというと、年々売り上げを大きく伸ばして拡大というよりも、いかにその体制を維持していくか。

 また、昔のように、長いライフサイクルを持った製品があって、ずっとそれでやり続けられるというよりも、変動が大きい中で企業の活動をされているという中では、なかなか会社で人材の能力開発をしていくといった余裕も、限られた人材の中でもうぎりぎりでやっている。昔は、いろいろ研修へ行ったり、余暇の時間を使っていろいろな人との交流の中で、さまざまな視点を持った多彩な人材を現場の中で育てられたような時代もあったかと思うんですけれども、今、そういった余裕がない。

 また、だからといって、全てを正規社員にしても、変動を予測すると、なかなか正規社員にしたときのリスクも高いということで、有期雇用、非正規の方にお願いしている部分もあるのかもしれません。

 しかし、日本の一人一人の人材の能力をしっかり高めていく、また、そういった皆さんが新しい時代の流れに乗って、最先端の中で働けるような環境というものもしっかりつくらなければいけない。企業がそういった取り組みがなかなか難しい中で、厚生労働省として、個々の能力の開発、アップのための取り組みも非常に重要なのかなというふうに考えますが、現状の取り組みについてお聞かせ願えますでしょうか。

杉浦政府参考人 お答えいたします。

 サービス産業を初め各種産業の労働生産性を向上するという観点から、労働者の個々の能力アップを促進するということは大変大事なことであると考えております。

 厚生労働省としては、みずから能力アップを図ろうとする労働者の方々に対しまして、訓練を受講するために支払った費用の一部について教育訓練給付という形で支給をする制度を設けておりますが、企業に対しましても、従業員の能力アップを支援する事業主に対して、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部について助成をするキャリア形成促進助成金といった制度を設けて支援を行ってきているところでございます。

 さらに、中長期的なキャリア形成の支援という観点から、雇用保険法の改正により教育訓練給付を拡充しまして、本年十月から、専門的、実践的な教育訓練として厚労大臣が指定する講座を受講する場合に給付を引き上げるといったような取り組みをすることにしておりまして、こういった取り組みによって、個々の労働者の能力アップについてさらなる支援を行ってまいりたいと考えております。

輿水委員 ありがとうございます。

 とにかく、できるところから個々の生産性を向上させていく、そういった取り組みも着実に進めていただきながら、日本の労働力の需要にしっかり応えられるような体制をつくっていただければと思います。

 今は、どちらかというとグローバルな経済圏、そういったものを意識してのお話をしてきたんですけれども、今後、やはりローカルな経済圏、社会の高齢化に伴って、医療や介護の福祉サービス、さらに、交通、物流、飲食や宿泊などの人材、そういった方の不足が非常に懸念されるわけでございますが、この非製造業における多種多様な人材の育成や確保に向けた取り組みの状況についてお聞かせ願えますでしょうか。

佐藤副大臣 輿水委員の御質問にお答えいたします。

 御指摘のとおり、今、足元の雇用情勢を見ましたら、全国的な雇用情勢の改善やそれぞれの分野での労働需要の高まりに伴いまして、特に、それぞれの地域においても、介護や保育、看護といった分野を初めとして一層の人手不足が懸念される状況にあります。

 さらに、中長期的に見ましたときに、これはまた厚労省でとりました推計によりましても、二〇二五年には、例えば介護職員というのは、現在の一・五倍以上、今よりも約百万人ぐらい必要とされるんじゃないか、あるいは、看護分野においても、二〇二五年においては、今の一・三倍以上、今よりも五十万人以上必要とされるんじゃないか、そういう推計をしております。

 こうした状況を踏まえて、本年二月なんですけれども、私のもとで、人材不足分野等における人材確保・育成対策推進会議というものを省内に設置いたしまして、今言われました人手不足分野に対して、今までは部局ごとにどういう対策を考えるかということをやっていたんですけれども、そうじゃなくて、分野横断的に、また部局横断的に、関係部局が緊密に連携して、省全体として総合的な取り組みの検討を開始しているところでございます。

 まだきちっとした結論が出ていないのではっきりとは言えないんですけれども、今後、こうした検討の結果等を踏まえながら、今言われました地方公共団体であるとか、あるいはその分野の産業界等とも連携しつつ、三つぐらいの分野にしっかりとチームをつくって力を入れていこうということを考えております。

 一つは、人材不足分野における雇用管理改善。これは、処遇改善も含めたそういう雇用管理改善の促進をして、職場の魅力をしっかり高めていく方策はどういうことができるのか。

 二つ目には、潜在有資格者の掘り起こしを初めとしたマッチングの強化。例えば、保育士さんにしても看護師さんにしても、一度家庭に入られた、休まれている方をしっかりと人材として確保して、そして、そういう資格をお持ちの方を次に社会に復帰したいときにしっかりと生かせるような、そこに人をしっかり誘導していく方策、こういうものをしっかりとやりたいというのが二点目。

 三点目には、人材育成、能力開発ですね。やはり、個々の能力を高めてさらなるキャリアアップにつなげていくような、そういう好循環の政策というものもしっかりと考えながら、人手不足の分野における各種の人材確保、育成対策を総合的に推進してまいりたいと考えております。

輿水委員 ありがとうございます。

 最初の話に戻るんですけれども、労働力の需要が一定のレベルで、さらに新しい産業をつくるとそちらにふえる可能性もある。一方、やはり構造的な問題で、労働力の人口は下がっている。

 こういった現実の中で、やはり、どちらかというと地方の方が今度は労働力というものの確保が難しくなる。地方の方に行くと、さらに、今、佐藤副大臣おっしゃられました人材不足分野というのはどちらかというと地方に集中してくるという部分では、地方でどうやって労働力をしっかり確保するのか、これはこれから本当に重要な課題でありますし、そういったところで働く皆さんの処遇について、どういった観点できちっと対応していくのか、ここが大きな課題になると思いますし、今後議論をさせていただきたいと思っております。

 その上で、本日はせっかく内閣府の大臣官房審議官、木下審議官にいらしていただいておりますので、一点確認という意味でさせていただきたいと思います。

 特に、日本の労働力不足を賄うために、今言われた高齢者、女性、若者、当然なんですけれども、思いどおりに動かない場合に、どちらかというと、今建設関係で外国人労働者の話が出てきているんですが、決して私は、外国人労働者をという、そういった推進派ではないんですけれども、もしものときに、外国人労働者の受け入れというものを考えなければならない場合が来るかもしれない。

 そういったときに、例えば日本で働くための、言葉や文化の違いへの対応、あるいは地域での教育だとか、あるいは社会保障のあり方等、さまざま課題をしっかりと捉えた上で、どれくらいそれが大変なのか、また、具体的に進めるためには、どのレベルで、どういった形であれば可能性があるのかということも、事前に、やはり未来のためにはある程度はシミュレーションをしておく必要があるのかなというふうに考えるんですけれども、その辺の考えと現状につきましてお聞かせ願えますでしょうか。

木下政府参考人 委員今御指摘にありましたとおり、これまでも、特に若者ですとかあるいは女性、高齢者、働きたいと思って働けない人がいる、まずは活用していく、それから能力開発を高めていくということは極めて大事だと私は認識しております。

 その上に立ちまして、外国人の活用につきまして、四月四日に経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議がございまして、その中で、外国人の扱いについて幾つかの議論がございました。

 一つは、高度人材を積極的に受け入れるべきではないのかというのが一つ目。二つ目として、現在、農業ですとか製造業等におきましては技能実習制度でございますので、それについての抜本的な見直しを図るべきではないのか。三つ目として、特に女性の活躍推進ですとか人材の確保という観点も含めて、中長期的な経済成長の観点から、十分な監理のもとで、さらなる外国人材の活用の仕組みを考えたらどうかという点について御議論いただきまして、現在、関係省庁と詰めているところでございます。

 今委員御指摘の点でございますけれども、特に日本で永住される外国人の方、在日の方ですとか、あるいは先ほど申し上げました高度人材の方々というのは、場合によっては、配偶者の方あるいはお子様を持ちながら、教育の問題等々についていろいろ課題を抱えながら日本に住んでおられると思います。

 こういった方々につきましては、現在でも、今教育の問題等々につきまして支援策等について講じているところでございますけれども、今回議論いただいておりますのは、そういった子弟の学校教育等が必要となるような、日本に、国内にとどまって定住する外国人の受け入れを新たに拡大するということにつきましては政策を検討しているわけではございません。

 したがいまして、まずは、高度人材の受け入れの推進あるいは技能実習制度の見直しという点についての検討を中心にいたしまして、労働力不足と、建設労働者は特別に、二〇二〇年のオリンピックまでのところでどういうふうに受け入れるかということにつきまして関係閣僚で議論をし、一定の方向性を出しておりますけれども、それ以外につきましては、中長期的な課題といたしまして慎重に検討を進める。

 そういう中で、恐らく、外国人材全体としての受け入れの問題というのは、中長期的な課題の中であれば、教育の問題等々についての議論が進められるものと思っております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 今、労働力の需要に対して労働力人口が非常に減ってきている、また、特に、今度は労働の人材の分野によって、非常に厳しい分野、そして、どちらかというと都市部というよりは地域の、そういったところの人材の確保が非常に難しい、こういった確認がなされました。

 また、その点につきましては佐藤副大臣より、積極的に取り組んでいる、そういったお話をいただきまして、この点につきまして、今後の、二〇二五年を見据えながらも、不足している分野、そして地域、そこにしっかり光を当てながら、全力で取り組んでまいりたいと思いますので、今後もよろしくお願いいたします。

 きょうはありがとうございました。

後藤委員長 次に、山井和則君。

山井委員 短い二十五分間ですので、田村大臣、赤石次長、端的に御答弁をお願いしたいと思います。

 まず最初に、田村大臣に総論としてお伺いしますが、どう考えても、成長戦略として、こういう残業代ゼロ制度の導入というのは私はおかしいと思います。長時間労働はふえますし、残業代がなくなれば賃金は下がるかもしれない。今やるべきは、残業代ゼロではなくて、過労死ゼロということをやるべきときなんじゃないでしょうか。

 その意味では、成長戦略にこのような残業代ゼロ制度を入れるということは私はぜひ撤回すべきだと思いますし、閣議決定のときには、当然、成長戦略ですから田村大臣も御出席されると思いますが、体を張ってでも、席を蹴ってでも、このような残業代ゼロ制度を成長戦略に入れることについては阻止をしてほしいと思います。

 田村大臣、いかがですか。

田村国務大臣 残業代ゼロというのは、ちょっと私は理解できていません。

 もっとも、産業競争力会議でも残業代ゼロなんという議論はしていないわけでありまして、成果を評価するということは、そもそも残業代というような概念がないわけでありまして、正当な成果を評価するわけであります。でありますから、成果を評価する働き方として今提案がなされているというものは、残業代とは余り関係ない。

 それから、私は前から言っているとおり、時間でしかはかれないような労働、そういうものに関しては、やはり時間ではかるような中において労働法制の中で対応していくのが筋ではないんですかという主張をさせていただいておりますので、これからもそのような主張をさせていただきたいというふうに思います。

山井委員 田村大臣、ということは、今産業競争力会議で議論している内容は、ホワイトカラーエグゼンプションと言われるものでもないんですか、ホワイトカラーエグゼンプションを議論されているんですか。

田村国務大臣 産業競争力会議の中では、ホワイトカラーエグゼンプションという言葉は使っておりませんので、ホワイトカラーエグゼンプション、これは総理も、前回、第一次安倍内閣のときにそういう話がございましたが、そういうものは念頭に置いていないとおっしゃっておられますので、委員が思っておられるようなホワイトカラーエグゼンプションというものではないというふうに理解をいたしております。

山井委員 先ほど、残業代はゼロでないということですが、では、今回の産業競争力会議で議論されていることが制度化された暁には、その対象者にも残業代が明示的に残業代としてつくということですか。

田村国務大臣 適用除外という話になれば、それは労働時間の適用除外になるわけでありますので、残業代というような概念がないということで、そこは、我々は、成果を評価するという一つの考え方のもとに、これは総理もおっしゃっておられますので、この議論をいたしておりますが、当然、ワーク・ライフ・バランスを考えたような形での働き方の成果という設定を労使で設定するのであろうということでございます。

 でありますから、過重な労働にならないというような分野においての成果を評価できる職種を中心に、そのようなものがなされるのであろうというふうに認識いたしております。

山井委員 田村大臣ははぐらかしているんですよね。残業代という概念はなくなるということは、残業代がゼロということになるわけじゃないですか。だから、残業代ということは明示的にもう入らなくなるわけですよね、これは。だから残業代ゼロなんじゃないですか。そこを、残業代というものが明示的になくなるのに残業代ゼロではないというのは、私は、はっきり言って国民からは理解をされないと思います。

 それで、このことについては、中根議員、柚木議員も引き続き議論したいと思いますが、今回、私は、対象がどれくらいなのかという議論をしてみたいと思います。

 配付資料にありますように、ホワイトカラーと言われる方は三千万人、そして、そのうち正社員は一千九百万人、まあ約二千万人としましょう。約二千万人の中で、赤石次長、幹部候補生あるいは管理職の一歩手前、幹部候補生になり得る方は、このホワイトカラーの正社員のうち大体どれくらいだと思われますか。

赤石政府参考人 お答えしたいと思います。

 民間議員からの提案につきまして言えば、せんだってもお答えしましたとおり、そういった方々の中で、職務内容と達成目標が明確で一定の能力と経験を有する者、それから、極めて裁量度が高く自律的に働く人材、さらに、各部門、業務においてイノベーティブな職務、職責を果たす中核・専門的人材、さらに、将来の経営・上級管理職候補等の人材であるということが明確に述べられておりまして、そういったことから、長谷川主査の方からは、一割にも満たないという一つの目安が提示されたということでございます。

 しかしながら、具体的な数字などにつきましては、私どもとしてはまだ明確なものは持ってございません。

山井委員 赤石次長、その一割にも満たないという長谷川議員の発言ですが、母数は何ですか。ホワイトカラーですか、全雇用労働者ですか、ホワイトカラーの正社員ですか。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、長谷川主査は極めて限定されているということを申し上げたかったということと理解しておりまして、したがって、雇用者数全体なのか、あるいは従業員なのか、あるいはホワイトカラーの中での一割なのか、そこの点については明確にしていないと理解してございます。

山井委員 本当に大ざっぱな話なんですが、逆にあえて限定的に捉えたとしても、雇用者全体でいったら五千万人ですから、五千万人の一割に満たないというと五百万人以下というイメージだし、少なく見てホワイトカラーの正社員、そのうちの一割に満たないといっても、二百万人以下とかそんなイメージになるんですね。

 二百万人以下といってもこれはかなりの数ですが、赤石次長、前回も言いましたが、幹部候補やそういう限定される方は一割に満たない、二百万人以下かもしれませんが、人生全部で考えたら、ホワイトカラーで正社員二千万人の中で、その中で幹部候補生になる可能性がある方といったら、これは日本社会ではかなり多いんじゃないんですか。半分とか半分以上の可能性があるんじゃないですか。赤石次長、どう思われますか。限定されないですよ。

赤石政府参考人 お答えしたいと思います。

 幹部候補のイメージにつきましては、民間議員のあの御提案は極めて限定的でございまして、主査それから私ども日本再生事務局の受けとめ方としましても、少なくとも日本で働いている方の半分ぐらいの方が将来の経営・上級管理職候補の人材であるというふうには考えてございません。

山井委員 ホワイトカラーの正社員の半分以上が管理職候補とは考えていないということは、逆に言えば、半分以下、四割ぐらいの可能性というのはあるということですか。

赤石政府参考人 そういうことも含めまして、民間議員の方は、いずれにせよ、一割にも満たない程度の方が対象になり得るのではないかというふうに答えたところだと理解しております。

山井委員 前回も聞きましたが、輪切りですれば一割に満たないかもしれませんが、人生を通じてだったら、その方のホワイトカラーの人生三十年をとったら、その方々は大体何倍ぐらいになりますか、赤石次長。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 一割の方が、三十年間、毎年一割ずつ来ますと三十割になるという単純な計算を主査は念頭に置いているものではございませんで、一割の方が何年にも通じてその一割の中のままにいるということも想定して一割未満というふうにおっしゃっていると私どもは理解をしておりまして、単純に、一割未満掛ける毎年毎年入ってくる人の数を掛け算すると全体の数字が出てくるというのが主査の提案だというふうには理解してございません。

山井委員 いや、これは極めて限定が曖昧なんですよ。幹部候補生というと、今言ったように、二千万人のうち一千万人とか、そういうことにもなりかねないわけですし、前回の答弁で赤石次長は、若者であっても女性であっても、幹部候補であったらこの制度の対象になり得るとおっしゃったんですね。

 ですから、私たちが心配しているのは、配付資料の図もありますけれども、この図にあるように、何か一割ぐらいのイメージで箱は書かれていますけれども、これがどんどん広がっていく可能性があるんですね。プロジェクトリーダー、企画責任者、管理職の一歩手前、こういう限定でいけば、それは赤石次長がどうおっしゃろうが、可能性としては、日本社会では、幹部候補と言われたら多くの人が、ホワイトカラーの人は幹部候補になり得るんです。

 そこで、赤石次長、その広がりを限定するには、私は一つしか方法はないと思いますよ。年収要件です。年収要件ぐらいのクリアなことがなかったら、これはプロジェクトリーダーというふうに名前をつけたらいいんでしょう、企画責任者と名前をつけたらいいんでしょう。そうなってしまうじゃないですか。

 前回、赤石次長は、年収要件を入れるかどうかまだわからない、決まっていないとおっしゃいましたが、年収要件を入れるかどうか決まっていないということは、年収三百万円ぐらいの方や低所得者もこの対象に入ってしまう可能性はまだ排除できないということですか、赤石次長。

赤石政府参考人 お答えさせていただきます。

 前回、主査の紙で、新しい労働時間制度の対象者イメージというのが出ておりますが、その中で、対象となる者につきましては、能力、経験、実績などが高い、極めて限られた方ということが明示的に書かれておりまして、これにつきまして年収三百万円以下の方が果たして対象になるかどうか、そういったことにつきましては今後議論されていくことになる、そのように理解しております。

山井委員 非常に重要な答弁ですね。三百万円以下が入るかどうかは今後議論されていく。ということは、三百万円以下の低所得者も入る可能性を排除されませんでした。

 でも、これは国民的に理解されますか。三百万円以下、年収二百万円台の方々も残業代と休日、夜間手当をゼロにする、そんな制度を検討するというのは、本当に考え方がちょっとおかしいんじゃないですか、はっきり言いまして。まあ、びっくりしました。

 それでもう一つ、田村大臣は、問題提起で、課長は深夜手当がついています、ところが、この制度が導入されたら課長代理は深夜手当がつかなくなる、逆転現象が起こるということを産業競争力会議の場で発言されました。

 赤石次長、そういう現象は起こり得るんですか、逆転現象というのは。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 仮に、深夜手当をつけないという制度が導入された場合について、なおかつそれが、逆転というお言葉でございますが、管理職よりも低い方であるということが、仮定の話ですからお答えしにくいと思いますが、そういったものがあれば、逆転現象というのも全く排除できないものであるというふうには思っておりますが、そういう制度をつくるかどうかも含めて今後検討していくことになると思います。

山井委員 皆さん、今の答弁を聞いてどう思われますか。課長より手前の課長代理に、今回の残業代ゼロ制度になっちゃったら、課長は深夜手当が十時以降つくのに課長代理はつきません、そのことも含めて今検討していますと。そんな制度はおかしいじゃないですか、常識的に考えて。何が成長戦略ですか。非常識ですよ。

 三百万円以下の人にも残業代ゼロにするかもしれないとか、課長についている深夜手当を課長代理につけないようにするかもしれないとか、よくそんなことを成長戦略の目玉と言って検討されていますね。検討すること自体が異常ですよ。おかしいです、こんな検討をしていること自体が。

 田村大臣、今の、ホワイトカラーエグゼンプションで課長代理が深夜手当がつかなくなって、それで課長がつく、これはおかしいと思いませんか。

田村国務大臣 私は問題提起として申し上げましたが、どういう設定にされるかわかりませんけれども、設計の仕方なんだと思います。それは、そこが適用除外にならないというような組み方もできないことはないというふうには思います。

 ただ、我々が申し上げているのは、今、課長代理を中心におっしゃられておられますけれども、課長代理という役職で要するに成果をはかれるというものではなくて、その成果をはかれる、つまり時間でははかれない、成果でははかれる、こういうような御議論でございますので、時間ではかれず成果ではかれるというような職種はあるであろう。そういうものであって一定の交渉力が持てるだけの年収要件を備えておられる方々に関しては、適用除外というものは検討に値しますよねという話をしておるわけでありまして、そこがどの幅なんだという議論を今民間議員の方々とやらせていただいておるということであります。

 三百万以下の方というお話もありましたが、赤石さんはああやって慎重な言い回しをされておられますけれども、我々が会議等々で聞かせていただいておるニュアンスでは、そういう方々は対象にならないというようなニュアンスで民間議員の方々もおっしゃっておられるというふうに私は認識はいたしております。

山井委員 それはニュアンスじゃなくて、では、年収要件を入れるんですか。田村大臣、入るんですか、これは。年収要件が入らなかったら排除されないでしょう、その三百万円以下が入るかどうかは。年収要件、入れるんですか。

田村国務大臣 ですから、我々は、労働契約を結ぶ場合にやはり交渉力のあるということを前提にしておりますから、それをはかるとすれば、年収要件という形の中で、ある程度年収のある方々に関しては、みずからそれだけ専門能力もあるわけでありますから、交渉力があるであろうということでそれを主張させていただいておるわけでありまして、それは今議論をさせていただいております。

 先ほど私がニュアンスと言ったのは、民間議員の方々も、いろいろとマスメディアに流れておるような、余り豊かでない、ワーキングプアと言われているような方々に対しては対象じゃないですよねということを、これは常日ごろからおっしゃっておりますので、そういうことを受けて、ニュアンスとしてはそういうような方々は対象にならないであろう、このように私は思っております。多分そうであろうというふうに思っております。

山井委員 でも、そのことを排除せず今検討していることは事実なわけでして、議事録にもそういうことは全然残っていないわけです。

 それで、赤石次長にお伺いしたいんですが、今後、田村大臣が出席する、このことを議論する産業競争力会議というのは開かれる可能性があるんですか。それとも、もしかしたら、産業競争力会議、これは臨時議員ですから、田村大臣は常任メンバーじゃないですから、田村大臣はもう出席することなく、六月末にこの残業代ゼロ制度の成長戦略の案が決定してしまう可能性もあるんですか。どうですか、今後の会議の予定は。

赤石政府参考人 お答えさせていただきます。

 今後の会議の予定につきましては現在まだ検討中でございますが、いずれにせよ、年央の成長戦略取りまとめに向けて何度かさらに開催されることとなります。そこにどのような大臣が御出席されるかどうかにつきましては、今後、政府部内で引き続き検討していくこととなる、そのように理解してございます。

山井委員 ひどい話ですね。これだけ労働者の人生、働き方、過労死にもつながりかねない問題を、労働者の代表を入れないだけじゃなくて、今後、田村大臣の意見をもう一回聞くかどうかもわからない、もう聞かずにこのまま決めてしまう可能性もある。何が成長戦略ですか。

 先ほど赤石次長は、三百万円以下ということも、対象として、年収要件を入れるかどうかわからないわけで否定されませんでしたが、前回、七年前、安倍一次政権で世論の反発を買って頓挫したときは九百万円以上だったんですよ。それよりも今回は広がっている、広げた検討をしているということでよろしいですか、赤石次長。

赤石政府参考人 お答えします。

 総理も御答弁されていますとおり、前回ホワイトカラーエグゼンプションの提案がなされたものと今回の提案は、趣旨も範囲も違うものでございまして、一概に比較はできない、そのように理解しております。

山井委員 これは新聞にもホワイトカラーエグゼンプションと明記されていますよ。

 それで、今のことと違うということでありますけれども、やはり、本人の希望、選択と書いてあるけれども、幹部候補なわけですから、幹部候補になってくれ、ついてはこういう対象になってくれと言われたときに、日本の雇用環境で、経営者からそれを言われて、あるいは上司からそれを言われて断れますか。赤石次長、これは断れると考えているんですか。

 私は、なかなかそんな簡単に断れないと思いますよ。本人の希望と言うけれども、本当は希望していないけれども渋々受けざるを得ないというケースは絶対起こらないのか、そして、そのことを断ったときに、昇進などで絶対に不利益をこうむらないということは担保するんですか、赤石次長。

赤石政府参考人 お答えします。

 本件につきましては、総理の御発言におきましても、希望しない人には適用しないということが明確に言われておりまして、それから、長谷川主査のメモにつきましても、断った場合に処遇を悪くするようなことがあってはならないということが明確にうたわれておりますので、そういった総理の指示あるいは主査の提案を踏まえて、今後きちんと、希望しない人が不利なことにならないよう検討がなされていくもの、そのように理解しております。

山井委員 赤石次長、それをどうやって担保するんですか。具体的に、断ったときに不利益をこうむらないということをどう担保するのか。赤石次長、お答えください。

赤石政府参考人 断った人をどう不利益にならないようにするかということにつきましては、どのように担保するかどうかも含めて今後検討していくこととなると思いますが、繰り返しになりますが、希望しない人は選択しない。それから、主査の提案では、不利益があった場合、あるいは、みずからがこの制度から脱退したいと思う場合には戻れる仕組みも導入すべきだということを提言しておりまして、いろいろなやり方で、不利益になることがないような仕掛けを今後検討していくことになると思います。

山井委員 希望しない人は導入しないということは、上司や経営者から、この制度どうですかとお誘いもしないということですね。自発的な労働者からの要望でしかやらないということでいいですか。経営者も上司もお誘いはしないんですね、赤石次長。

赤石政府参考人 お答えします。

 お誘いという趣旨がちょっとよくわからないところでございますが、こういう制度が存在するということを示さないわけにはいかないと思いますので、それが強制なのか、お誘いなのか、単なる提示なのか、あるいは、そういったものについてどういった歯どめをつけるのか、いずれにせよ、今後検討していくことになると思います。

山井委員 今この答弁を聞いても、本当に非現実的なんです。そんなことを打診されて、断れないですよ。転職をそう簡単にできる社会では、今の日本ではそれほどないわけですから。

 長時間残業にならない、あるいは賃金が下がらないと安倍総理は言っていますが、それもどうやって担保するんですか、法律に明記するんですか、赤石次長。

赤石政府参考人 お答えします。

 法律に書くかどうかは別といたしまして、主査の提言では、希望しない人は選択しないということでございますから、賃金がこれによって下がると思う人は希望しなければ選択しないことになりますし、万が一賃金が下がりそうだということであれば、主査の提言によれば、そこから外れてもとに戻るということもできますので、いろいろな形で担保する仕掛けは考えられるというふうに思っております。

山井委員 本当に非現実的としか言いようがないと思います。

 とにかく、今、長時間残業、サービス残業、過労死、そういうものをいかに減らそうかということを言っているときに、逆にこういう残業代ゼロ制度というものを導入しようとするのは、私はとんでもない話だと思います。

 おまけに、悪質なのは、残業代がゼロになることは明らかなのに、残業代はゼロにならないゼロにならないとか。長時間労働になったり賃金が下がるリスクはあるに決まっているじゃないですか。この委員会室の皆さん、そう思われるでしょう。あるに決まっているじゃないですか、そのリスクは。ところが、それは誤解だと安倍総理はおっしゃっている。私は、すごく問題が多いと思います。

 こういうものを閣議決定されるんだったら、田村大臣、厚生労働大臣として、責任を持って、体を張って、席を蹴って阻止をしてほしいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩です。

 有期雇用の法案についての質問も通告をいたしておりますが、議論があっちこっち行ってもあれなので、今の残業代ゼロの問題について引き続き、通告順を変えて、まず質問をしていきたいと思います。

 骨太の方針の中にも書かれているものは、人口減少を克服するとあるわけでありますが、人口減少を克服するという目標に対して、今政府が同時に行っているのは、さまざまな、派遣法の見直し、改悪であったり、今回の残業代ゼロ制度の導入であったり、解雇の金銭解決制度であったりということで、雇用ルールのいわば改悪ということであります。

 人口減少の一つは、子供がふえないことの理由の一つは、結婚ができないということ。結婚ができないことの理由は、賃金が低いということ。賃金が低いことの理由は、正社員ではなく非正規の方がふえているということであります。こんなことでは、まさに政府の目標としている一億人の人口を守るということはとてもできない。日本の人口は、もうどんどん減少してしまうということになるわけであります。

 安定雇用を確保するということが、所得の向上につながり、結婚しやすい社会につながり、子供もふえ、少子化対策につながり、年金も、制度の中だけで幾らいじくっていても、これは限界がある。年金を安定的なものにして持続可能なものにするためにも、雇用をしっかりと安定的なものにしていくということが今の日本にとっては必要なことであるし、政府が考えなければならないことだというふうに考えさせていただいております。

 それで、資料七というところから始めたいと思います。これは日経新聞でありますけれども、ここに編集委員の瀬能繁さんという方が書かれた記事の中に、一番下の段の右側の方に、だらだらと長時間働く正社員が多い結果、一人当たり時間当たりの付加価値を示す労働生産性は主要七カ国で最低の水準にあるというのが実態であると記載をされております。

 これは、だらだらと長時間働く正社員が多いということなんですが、大臣、日本には、このだらだらと働く正社員というのは何人ぐらいいらっしゃるんでしょうか。

高鳥大臣政務官 中根委員にお答えをいたします。

 新聞等にはそのような表現も見られるようでございますが、だらだらと長時間労働する人が何人いるのかについては、承知をいたしておりません。

中根(康)委員 承知をしていないけれども、労働生産性を上げるために残業代ゼロ制度を導入しようとしている。だらだらと長時間働く正社員が多いということを認めているということじゃないでしょうか。

 多いのか少ないのか、何人いるかというのは確かにわからないかもしれませんが、こういうだらだらとという人がいるという認識で政府はいるんですか。

田村国務大臣 この方の表現なんだと思いますが、だらだらと長時間働く定義がちょっとわからないんですね、これは。どの仕事量をどれぐらいの時間でやるかというのがよくわからないので、コメントのしようがない。

 ただ、労働生産性を上げるというのは、だらだらじゃなかったとしても当然必要なことでありまして、日本は、労働生産性、特に非製造業では生産性が比較的伸びていないというような話があります。そういう中においては、例えば、IT投資が進んでいないでありますとか、国内の対内直接投資、この規模が小さいでありますとか、種々理由があるわけでありまして、労働生産性を高めるということは悪いことではございませんから、だらだらと働いていない方々も含めて、やはり、労働生産性を上げる努力というものは経済の成長のためには必要だというふうには思っております。

中根(康)委員 つまりは、労働生産性を上げるということは大切だ、しかし、だらだらと長時間働く正社員がいるかどうかということは、政府も把握をしていないし認識をしていないということであるから、こういったことを理由に残業代ゼロ制度を導入する理由にはならないということは、ここで確認をさせていただきたいと思います。

 資料八、これはまさに今大臣がおっしゃった日本の労働生産性でありますけれども、OECD三十四カ国中、この資料でいえば十九位ということになっております。

 残業代ゼロ制度の導入の理由は、今大臣がおっしゃったように、労働生産性を高めるということでありますけれども、日本より上位の国でこの残業代ゼロ制度と同じような労働時間法制を採用しているかどうか厚労省にお尋ねをしたところ、これは資料九に添付してありますけれども、こういう回答を得たんですね。イギリス、カナダ以外には、残業代ゼロ制度のような制度を導入しているかどうかわからないということであります。

 残業代ゼロ制度の導入が労働生産性に結びつくかどうかというデータは、つまりは持っていないということであって、残業代ゼロ制度を導入したから労働生産性が上がるのか、あるいは導入していないから上がらないのか、低いのかという関連性を示すデータ、統計、資料というものを厚生労働省は持っていないということになりませんか。

田村国務大臣 労働生産性というのは、いろいろな上げるための方法はありますけれども、効率的に働いていただくということになれば、それは労働生産性はわかりやすく上がるわけでありまして、そのような意味からいたしますと、労働生産性を上げる方法として、エグゼンプションというものも一つの考え方ではあるんだろうと思います。

 ただ、ホワイトカラーかどうかは別にして、適用除外という働き方自体が生産性が上がるような制度設計にしないと、それは逆に生産性が落ちる、もしくは過重労働になるわけでありますから、そうならないような制度設計、つまり、働く方々にとっても適用除外の方が働きやすい、そのようなものに限って、絞り込んで、そのようなものを適用するというのは一つの考え方であろうというふうに思っております。

中根(康)委員 大臣のおっしゃることも、考え方の方向性として理解できないわけではないんですけれども、しかし、やはり、一つの制度をつくっていく、あるいは法律をつくっていくということについては、根拠となるデータ、資料、あるいは前例、こういったものがきちんと把握されていなければならないということになります。

 赤石次長、では、労働生産性と残業代ゼロ制度を関連づけるような何か根拠はお持ちですか。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 田村大臣からもお答えがありましたとおり、労働生産性の要素は非常にさまざまなものがございまして、労働時間制度のみをもって判断できるものではないというふうに考えてございます。

 しかしながら、四月二十二日の経済財政諮問会議それから産業競争力会議の合同会議では、経済財政諮問会議の有識者四人の方、いずれも極めてすぐれた有識者だと私ども認識してございますが、人材力の強化、多様な働き方の拡大といった労働市場改革を中核とする成長戦略により、競争力を強化、企業の生産性、収益を向上させ、その成果を賃金上昇に結びつけるということを通じて持続的な経済の好循環を確立させるということについて、御提言がございました。

 また、その後開催されました五月二十八日の産業競争力会議課題別会合におきましても、これは長谷川主査の方でございますが、来年以降も賃上げという形で継続的に適切な分配が行われていくためには、生産性が向上し、企業の収益が向上しなければならない、そのためには働き方の改革が重要という発言がございまして、それらの御意見に対して、どなたも、異論を唱える方はその場ではおられなかったということについて述べておきたいと思います。

中根(康)委員 今、四人の有識者、極めてすぐれた有識者、尊敬する有識者と言ったかどうかはちょっと覚えていませんが、極めてすぐれた有識者。この中に、労働者を代表する有識者はいらっしゃいましたか。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 私、労働者を代表するというものの定義が必ずしもわかってございませんが、しかしながら、企業経営者の方々あるいは経済学者の方々、労働問題についてもきちんと考えておられる上に、知見、知識、いろいろと持っておられる方というふうに認識しております。

中根(康)委員 やはり最低でも田村大臣がそこに入らなきゃだめですよ。労働問題を真剣に考えていらっしゃる方、これは誰ですか、一体。労働問題を真剣に考えている方が残業代ゼロ制度を導入するわけないじゃないですか。

 最低でも田村大臣、あるいは連合の関係者とか、そういう方が入る。もう一度聞き直すというお考えはありませんか。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げました四月二十二日の合同会議、五月二十八日の課題別会合、いずれも、厚生労働関係者、田村大臣も含めて、御出席いただいております。

中根(康)委員 資料十、これもまた新聞記事で恐縮ですけれども、我々は、やはり国民は新聞記事で大きく影響されるし、それしか判断できない場合もありますので、新聞記事を活用させていただきますけれども、線を引いた星印の上の方の、「働いた時間で処遇する今の制度は「同じ仕事を短時間でこなす人より、ダラダラ残業してやる人の方が給与が多くなる仕組み」」、経済官庁幹部の方がこうおっしゃっておられるんですね。

 今の日本の労働法制は、だらだら残業してやる人の方が給与が多くなる仕組みということになっているんですか、大臣。

田村国務大臣 確かに、残業された場合、それは給与は多くなります、残業手当がつくわけでありますから。(中根(康)委員「だらだらかです」と呼ぶ)だらだらの定義がわからないものですから、お答えのしようがないとしか言いようがありません。

 適切な仕事を残業という形でやっていただいて、所定外給与というような形で収入がふえるということは確かでありますが、だらだらというのはちょっと私もわかりかねますので、お答えのしようがないということで御理解いただければありがたいと思います。

中根(康)委員 これは本当かどうかはわかりませんけれども、経済官庁幹部の方がこうおっしゃっておられるということでありますので、ある意味、政府の中にはこういう見方をしておられる方もあるということでありまして、日本の雇用制度は、だらだら残業してやる人の方が給与が多くなる仕組みだ、こんな認識のもとで制度や法律がつくられるなんてあり得ますか、赤石次長。

赤石政府参考人 だらだら残業しているか否かの評価を申し上げることは非常に困難でございますが、民間有識者の御認識としては、時間外労働が生じている場合には、割り増し賃金により、一般的には、労働時間が長ければ長いほどより多くの賃金が得られる関係にあるもの、そのように理解してございます。

中根(康)委員 この記事の中に、下の方には、残業代を当て込んで必要以上に長時間労働をする人がいて、これが減れば、仕事と家庭の両立にも役立つというようなことが書いてある。

 残業代を当て込んで必要以上に長時間労働をする人がいるかいないか、あるいは、いるとしたら、どれぐらいいらっしゃるか。ある程度、多いのか少ないのかとか、半分とか半分でないとか、何か目安を持っていなければ、こういった考え方をもとに残業代ゼロ制度を導入するということにはならないわけですので、これは次長、いかがですか。

 残業代を当て込んで必要以上に長時間労働をする人がいるという認識だから、こういう制度を導入しようとしているんでしょう。やはり政府もそういう認識なんですか。国民に対してそういう見方をしているんですか。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 長谷川主査の提案は、残業代を当て込んでだらだらと残業する人がいるのでこういう制度を提案しているのではなくて、創造性を発揮できるような能力的な働き方が可能な制度を構築することを通じて、働き方を変え、それから日本の生産性を高めるという観点から御提言をなされているものと理解してございます。

中根(康)委員 資料十一の左側の、城繁幸さんという方、この人もひどいことばかり書いてあるんですよ。その中でも、一番下のところを取り上げたいと思うんですけれども、「時間給の場合は競って無駄な残業をすることにもなりかねず、だからこそ日本では過労死が多い。」

 過労死法案を今参議院で審議中です。過労死が多いのは、無駄な残業をすることになりかねず、だからこそと。無駄な残業をする人が過労死するという認識で、政府はこの過労死問題について捉えていらっしゃるんですか。これは田村大臣。

 要するに、この城さんのコメントに対して、田村大臣はどうお考えになられますか。

田村国務大臣 正規社員で時間給で働いている方々がどれぐらいおられるかわからないんですが、多分、所定外の割り増し賃金を時間給というようなニュアンスで捉えて言われているんだろうなというふうに思いますが……(中根(康)委員「それはどうでもいいんですよ」と呼ぶ)いやいや、正確な話をしなきゃいけないので。

 「時間給の場合は競って無駄な残業をすることにもなりかねず、だからこそ日本では」、いや、普通、過労死される方というのは、かなり精神的にも肉体的にもきつい状況の中で仕事をされるわけでありますので、みずから自発的に過労死するような状況に好んで入る方々はおられないと思いますから、どういう真意でおっしゃっておられるのかわかりませんが、これは記事ですから、どういうニュアンスで言われたかわかりませんが、この内容だけ見ると、こういうようなことは、普通はこういう選択をされる労働者の方はおられないのであろうなと。

 何か必要に迫られる、もしくは企業から、そういう状況があって仕事をせざるを得ないということはあるかもわかりませんが、生活にも余裕があってという中において、みずから好んで、もっとお金が欲しいから、体はきつい、精神的にもきついけれども、もう過労死で倒れそうだけれどもということは、普通は選択はされないだろうというふうには認識しております。

中根(康)委員 この記事は、残業代ゼロ制度を推進する立場でこの城さんという方はインタビューに答えて、記事になっているんですね。

 では、赤石次長、この方の最後のコメントに、「そうした現実を直視する必要がある」とありますが、次長は、無駄な残業をすることが過労死につながっている、過労死の原因は無駄な残業をするからだという現実を直視するという、残業代ゼロ制度推進派の方のコメントをどう捉えますか。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 私の意見を申し上げる場ではございませんが、主査のお考えでは、時間給の場合は競って無駄な残業をすることになりかねない、それが過労死を招いているという御認識ではございませんで、提言の一番最初に、まずは働き過ぎ防止をやっていくことが重要であって、そういったことをやった上で自由な働き方を進めるべきだということで、ちょっとロジックが逆転されているような。そういった提案を主査はなされているところです。

中根(康)委員 要するに、こういうとんでもない考え方の人に支援されているというか、推進力を与えられている残業代ゼロ制度の導入ということ、これはやはり立ちどまるべきだと思いますよ。

 きょうは、新聞記事を利用して、幾つかの残業代ゼロ制度を推進する人の発言を見てきましたけれども、明らかに、間違った物の見方の上にこの残業代ゼロ制度というものは提唱されているわけでありますので、日本の雇用政策が間違った方向に行かないように、これはやはり少し慎重に、労働者の方の御意見もしっかりと承った上で、どういう制度であるべきか、労働生産性を上げるためにはこの残業代ゼロ制度でなければならないのか、もっとほかにやれること、やるべきことがあるんじゃないかということを産業競争力会議の中で議論すべきだということを、次長の立場で長谷川さんとかに言うことはできませんか。

赤石政府参考人 貴重な御意見を承りましたので、長谷川主査以下全員にきちんとメッセージを伝えるようにしたいと思っております。

中根(康)委員 絶対に伝えますね。議事録を後で見せてくださいね、伝えたという。

赤石政府参考人 お伝えは必ずいたします。

中根(康)委員 それで、厚生労働省に民主党の部門会議として質問をしたのは、今回のこの残業代ゼロ制度が、さっき山井議員も指摘したように、成長戦略の目玉になっているわけなんです。では、この残業代ゼロ制度を導入したら、消費や雇用やGDPにどのような影響が出る、だから成長戦略として入れ込まなければならないんだという明快な根拠があるのか、あるいは、最低でもそのことに対しての試算がなされているのかということでいえば、試算を示すことは困難ですと。

 これは資料十二に添付いたしましたけれども、こんな、試算することすらしていないのに、なぜ成長戦略の目玉としてこれが位置づけられるんですか。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 これまでの合同会議あるいは課題別会合の議論でもございましたが、労働時間制度の新たな選択肢は、今後、具体化の検討を行うものでございまして、今この段階で影響を試算することは困難でございますが、一般的に、働き手の能力、効率的な働き方の実現により、企業の競争力の強化、新しい雇用の創出、所得の向上による消費の拡大等を通じ、さまざまなパスを通じて、経済成長の実現につながることが期待されるものでございます。

 なお、昨年六月に閣議決定された日本再興戦略では、成長戦略を初めとする三本の矢を実施することを通じて、中長期的に、二%以上の労働生産性の向上を実現する活力ある経済を実現し、今後十年間の平均で、名目GDP三%程度、実質GDP二%程度の成長を実現するということを目指すこととされておりまして、一連のこういった改革につきましても、こういった試算の中でいろいろな形で盛り込まれている、そのように理解してございます。

中根(康)委員 次長はそういうふうに考えるけれども、我々は、この制度の導入はGDPとかに寄与するとは必ずしも言えない、むしろ逆行するのではないか、賃金は減る、結婚はできない、子供はふえないということにつながるんじゃないかという考え方を持っているんです。

 だから、違う考え方を持っている人を説得するのには、きちんとした数字とかデータとかを示さなきゃだめじゃないですか。それを示せないのに、こうなったらいいな、ああなったらいいなということで導入するような性質のものじゃないんじゃないですか、これは。

 ちゃんとした、成長戦略に位置づけるに値する根拠というものを示してもらえますか。これから計算しますか、しませんか。次長、しないということですか。

赤石政府参考人 計算をする前提としての制度の設計でございますが、今、中根議員が御指摘になりましたような、残業代がなくなって賃金が減るとか、そういったマイナスの影響が出ないということも踏まえまして、総理も明確な指示を出しておりますので、私どもとしては、まずは総理の指示に従ってきちんと制度を検討していくことが重要と考えております。

中根(康)委員 最後に、余り時間がありませんので確認だけさせていただきますが、総理が三つ示した前提条件があるんですが、賃金が減らないということ、今も次長おっしゃいましたけれども、この制度を導入しても絶対に賃金は減らないと約束できますか。お答えいただいて終わりたいと思います。

赤石政府参考人 繰り返しになりますが、主査の提案は、本人が希望する場合ということでございまして……(中根(康)委員「総理のですよ」と呼ぶ)総理の御指示にございました、残業代がなくなって賃金が下がるということがないようにするという意味では、御本人が選択をしなければ、少なくとも新しい制度によって賃金が下がるということはない、そういった制度設計にしていきたい、そういうふうに思っております。

中根(康)委員 選択したらどうなるかという話をしているんですが、これは柚木さんに譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。きょうもよろしくお願いいたします。

 まず、冒頭は、有期雇用の特措法のことについて伺いたいと思います。

 今回、私、この後ちょっと高齢者雇用のこととも絡むものですから、高齢者の無期転換ルールの特例措置について、まず、冒頭伺います。

 六十五歳以上の無期転換ルールに特例を設けるということであれば、これは大臣に伺うんですが、希望者全員のまずは六十五歳までの雇用確保が大前提だと思います。それがないままに特例措置を講ずるというのは、適切とは言えないと思うわけでございまして、高齢者雇用安定法の趣旨を踏まえた上で、この本特措法に、雇用確保措置を講ずるということを指針などに明記いただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 改正高齢法で、御承知のとおり、六十五歳までは雇用確保措置を講ずると、これは企業に義務づけられておるわけであります。もちろん、定年をなくす、六十五歳まで定年を延長する、継続雇用で六十五歳まで段階的につないでいく、こういうようなことを行うことが義務になっておりますので、そういう意味では、改正高齢法の中でしっかりと明記をされておるということであります。

柚木委員 これは確認の意味で聞いているわけでありまして、この特例措置については、実際に、今申し上げましたような六十五歳までの雇用確保を図るために、第二種計画において、その雇用確保を確実にするための措置の内容について記載すべきであるという考えに基づいて、先ほどの質問をお聞きしたということでございます。

 この間のやりとりを聞いていますと、今後、細部において労政審等の議論で詰めていくということでございますので、ぜひ、この第二種計画の中に、今申し上げたような六十五歳までの安定雇用確保についての措置内容を記載するなど、しっかりとした御対応をいただきたいと思うんですが、もう一遍御答弁をお願いできますか。

田村国務大臣 契約更新基準に、改正高齢法の趣旨を没却することのないような、するような事例がある場合は、是正に向けた必要な助言は行ってまいりますので、そのようなことがないように、しっかりと我々としても対応してまいりたいというふうに考えております。

柚木委員 ぜひ、しっかりとした御対応をお願いしたいと思うんです。

 実は、この後ちょっと年金の財政検証のことを伺うんですが、まさに高齢者雇用と視点としても非常にかかわる部分、そういった視座を持ちながら伺いたいと思います。

 けさの新聞各紙、昨晩のニュース等も、年金のこの財政検証一色と言ってもいいような、やはり国民の皆さんの老後の最大の関心事とも言えるこの年金の問題。

 けさのそれぞれ各紙を見ておりましても、例えば、これは日経の有識者コメントで、日本総研の西沢研究員は、やはり労働力や生産性の前提が高過ぎる、こういったコメント。まさにバブルのころの経済に戻るような、この八パターンの一番いいものなんかは。なおかつ、法人減税とか成長改革とかも全部実現した前提で出てきているもの。もっと言うと、逆に、最悪シナリオは、積立金が枯渇するなど年金は百年安心ではないというメッセージが伝わってくる、こういうコメントもされております。

 別の朝刊、これは東京新聞で、駒村先生のコメントも出ていますね。厚労省は五勝三敗だから、この八パターンですね、大丈夫と言うかもしれないが、楽観してはだめ、八ケースの平均値は所得代替率四八パー程度、しかも高成長のケースは経済前提が大甘と。

 同様のコメントがずっと有識者から出ている部分がございます。

 私も、これはきのう説明を受けました。この中にたくさん資料も、きのう本当に急遽の御説明をいただいてありがたかったわけですが、聞けば聞くほど、今回の、百年安心どころか、むしろ百年安心撤回試算ではないか、私は率直にそのように思いました。

 やはり、全要素生産性という非常に重要な、TFPというこの数値も、過去二十年以上、バブル期以降一度も達成していないような上昇率で経済前提を一番いいものを立てていたり、本来、中立的、客観的な見通しを示すべき年金財政検証の役割を果たし得ていない。

 GPIFの運用の見直しも今後あるわけですが、これについても、本当にこういうものを盛り込んだものを、プラスの要因として前提のように入れているというのもどうなのかと思いますし、賃金上昇率も非常に高い。直近の実質賃金上昇率がマイナス三・一%と出ていますが、二〇一四年度のこの検証ではマイナス一・六%で、半分程度でしか試算もしておりません。

 きのうの報道等でも、私もこれは本当にどうかなと思いましたが、所得代替率五〇%が達成される五つのケースですね。きょう、今いませんけれども、まさに長妻委員が前回の検証のときに、非常に運用利回りが高過ぎると、これは四・一パーだったわけですが。

 そういう議論があったにもかかわらず、今回、一番いいもの、四・二パーで百年近く推移すると。これでいけば、二〇三〇年には株価三万八千円、これはバブル期の最高値のころ、そして、しかも、このままいったら日経平均十二万円になるとか、こんなこと本当に推計する意味があるのか、実現可能性があるのかということを思うわけですよ。十年間の国債金利というのも二・二六%ですね、この間の。だから、ちょっと、今回余りにも楽観過ぎると思うわけであります。

 その上で伺いますが、冒頭、高齢者の無期転換ルールの特例措置についても伺ったのは、前回の質疑の中で、年金の受給開始年齢、選択制といえども七十五歳というようなお考えも田村大臣はお示しになったわけですが、まさにこの受給開始年齢の、今回のオプション試算の話にもなるわけですが、引き上げとか、納付年数も基礎年金四十年から四十五年に五年延長とか、マクロスライドをデフレ下でも発動とか、いろいろ出てきているわけですが、とりわけ重要なのは高齢者雇用の議論だと私は思うんです。

 ですから、今回仮に、オプション試算、今後、法改正も、政府・与党内でも議論が始まると聞いていますが、例えば、六十五歳までの高齢者雇用確保措置、法定義務化、先ほどそういう視点から質問したわけですが、仮に七十とか七十五歳とかいうような形で受給開始年齢引き上げの議論が行われるとするならば、まさに高齢者雇用安定法を改正して、そして、雇用の受け皿整備なくして年金受給開始年齢の延長はあり得ないと。

 そもそも、私、今の時点で七十五歳という議論が出てくることに違和感がありますが、最低でもこの雇用確保について、例えば高齢者雇用安定法改正とかも視野に議論をするという必要性があると思いますが、大臣、どういう御認識でいらっしゃいますか。

田村国務大臣 先ほど、私、契約更新基準に没却しないような事例と言いました。没却するような事例でございまして、全く逆の話でございましたので、ここは訂正をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 財政検証なんですけれども、委員おっしゃられた、まあ平均という話は余り意味がないので、それぞれを見た中において、八つあるうちの三つは所得代替率五〇%を切るということで五勝三敗、こういう話もありましたが、それ自体に余り意味があるとは思いませんけれども。

 あえて申し上げれば、前回と、TFP一・〇、それから労働市場への参加、これが同じようなものはどれかというと、前回の五〇・幾つというのを示した真ん中の例がケースEに当たるということでございまして、今回はそういう出し方はしませんでした。

 というのは、いろいろなパターンというものを考えなきゃならぬ。しかも、四・一%という運用利回り、目標が高いという話もございましたので、今回、スプレッドというような出し方で出させていただきました。

 ここは、前回のいろいろな御意見も踏まえて、本来、実質的に必要な運用利回りがどうなんだということをお示しした方がわかりやすいだろうということで示させていただいたわけでありまして、前回いろいろといただいたそういうような御意見も参考にしながら、今回は、八つに分けて、しかも、このような形で出させていただいたということであります。

 今言われた点で申し上げれば、年金七十五歳というのは、毎回言っておりますが、選択であります。何度も言います、誤解を招かないように。でありますから、今、六十五歳から一律に引き上げることは考えていないわけであります。将来どうなんだということは、将来であるからわからないわけでありますけれども、今は六十五歳から一律に上げることは考えていないわけであります。

 高齢者法等々に合わせて今まで六十五歳という措置をしてきたわけでありますが、これをさらに引き上げるということは、そのときそのときの状況に応じて、あり得ないことではないわけでありますが、今それも含めて検討をしておるわけではございませんので、そのような御議論を今私自身がここでさせていただくということは、差し控えさせていただきたいというふうに思います。

柚木委員 慎重な御答弁の中にも、大臣、多少正直に本音も言われているわけですね。

 この受給開始年齢引き上げの議論、もちろん、急に七十五ということではないわけですが、七十とかいろいろな、今後、オプション試算の議論の中で、当然、私は、政府・与党内、来年の国会以降になるんでしょうか、法律改正の議論が起こるときには俎上に上ってくるんだと思うんですね。ですから、そういった高齢者雇用安定法の改正というのは、この間、まさに、年金の受給開始年齢とある意味パラレルで改正も行われてきておりますから、そこは、私はそういう議論になっていくんだろうというふうに推察するわけです。

 あり得ないことではないという御答弁でもありますので、逆に、本当に雇用の確保なくして受給開始年齢引き上げというのはあってはならないというぐらいの認識で、私は、今の段階で、引き上げが選択制であってもどんどん議論が出てくることは、この後、国民年金、基礎年金の議論もしますが、非常に違和感があるということを前提としつつも、これはしっかり雇用確保措置とパラレルの議論をお願いしておきたいと思います。

 あり得ないことではないということですから、将来、それがどのタイミングであるのか、政府・与党内で、まさに、このオプション試算の議論を受けて年金法改正等の議論がされるときには、そういった議論も俎上に上ってくるということだと理解をしますが、しっかりとお願いをしておきたいと思います。

 それから、今回の財政検証の中でも非常に大きな論点、問題点、大臣もそこは御認識をいただけていると思いますが、国民年金、基礎年金部分の今後の見通しでございます。

 六万四千円満額受給の部分が、今後、私たちもきのうちょっと、パーセンテージではなしに額でどれぐらいに減るんだという話もしたわけですが、四万円、四万五千円とかいう報道もありました。最大四割ぐらいの減少を見込むということであれば、もはや最低保障機能を果たし得ない、これは有識者のコメントでもございます。

 そういうこともあって、私は、先ほど、オプション試算ということを盛んに申し上げているわけですが、オプション試算、はっきり言えば、もちろん将来の世代に責任を持つという議論は必要ですが、非常に負担増メニューにもなるわけでございます。そうであるならば、なおさら、低年金、高齢者の方ほど所得格差、健康格差も大きくなる中で、この基礎年金部分、国民年金部分への対応をどう考えるかというのをセットで議論していただかなければならないと思いますが、大臣、どう対策をとっていくお考えですか。

田村国務大臣 それも含めてまずやっていただいたのは、低年金者に対しての対応、福祉的な給付ということでありまして、年金生活者支援給付金、これはもう法律が通っているわけでありまして、消費税の一〇%導入と同時にスタートしていく。これは結構大きなことだと思います。

 それから、これをどう見るか。所得代替率で見ております。所得代替率では、御承知のとおり、賃金の上昇というものに着目いたしております。

 賃金で今幾らぐらいになるかというお話がありましたが、当然、賃金の上昇率で割り返す場合と物価上昇率で割り返す場合と違うわけでありまして、物価上昇率で割り返した場合には、今の名目金額というものと実態はそれほど変わらない数字が出てくるわけであります。

 どう見るか。そこはちょっといろいろとこれから分析もしなきゃなりません。物価というものがその方の生活の質を担保するということであれば、物価で割り返したその金額というもので生活されることが実態であるのでありましょう。一方で、賃金上昇率という、現役世代の受ける恩恵というものも年金世代の方々も同じように受けると考えるならば、それは今の所得代替率というような形の中で、下がる部分というものをどう判断するんだということになるでありましょう。

 そういうことも含めて、検討会でどうあるべきかということは議論をしていく。つまり、高齢者の方々の老後の生活の質というものをどの基準で見るかということも含めて、御議論をいただけるものだというふうに思っております。

柚木委員 これは、今後しっかり国会の中で議論をしていかなければいけないと思います。

 有識者の中には、当然、まさに高齢者雇用の有無も含めて、年金の本格受給までの少額の生活保障の新たな機能を考えるべきじゃないかというようなコメントを、これは小塩先生ですけれども、されておられますし、私もこの間、マクロスライドの発動のあり方とか、あるいは総合合算制度で、出の方でいろいろな工夫が、高療制度のきめ細やかな拡充などのようなスキームも利活用しながら考えていくべきだということを提案させていただいていますので、これについてはぜひ丁寧な議論を今後もさせてください。

 それから、労働時間の規制緩和について、きょうずっとるる議論があるわけですが、私、ちょっと赤石次長に伺いたいんです。

 重複は避けたいと思うんですが、課長は深夜手当がつくのに代理はつかないというような議論がされているわけですが、昨日新たに経団連の会長になられた東レの榊原会長ですか、将来は一般労働者にも適用をという御発言もされています。甘利大臣も、一握りでは意味がないという御趣旨の御発言をされているわけで、私は役所の皆さんのことを考えてもちょっと気の毒だなと思いながらこの議論を聞いていたんですが、実際、ちょっと確認しておきたいのは、今の課長とか課長代理のそういう話、そもそもこの残業代ゼロ、適用除外の話というのは、公務員の方々というのは適用対象になるんですか、ならないんですか。議論の経過を、赤石次長、お答えください。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 これまでの議論の中で、国家公務員は労働基準法の適用から原則外れているというふうに、私どもそれを前提に議論しておりますので、特段、国家公務員を念頭に議論しているものではございません。

柚木委員 私も、役所の皆さんの、国会対応も含めて、非常に大変な状況というのは承知していて、最近、前々日に通告を出す努力とかもちょっと取り組んだりしているわけですが、これは、国民の皆さんには適用対象で、公務員の皆さんはそこから外れるというのも、逆に言うとちょっとどうかなと思うわけですよ。

 本当にこれをやることで残業がどんどん減って生産性が上がるんだったら、むしろ公務員の方から率先してやったらいい話で、何でこれは、赤石次長、適用除外なんですか。

赤石政府参考人 民間議員との産業競争力会議での議論につきましては、国家公務員につきまして労働基準法を適用するということの議論は行われてございませんので、そういったことは念頭に置かないで議論しているところでございます。

柚木委員 これは、なかなか国民の皆さんの御理解をいただけない答弁だと思いますよ。ちょっとそこは、私、今後の議論の、そもそもこのエグゼンプション自体がどうかという視点ですが、この点、公務員の皆さんは別ですよということにもなるのか、ならないのか、大きな論点だと思いますよ。

 それから、きょう、佐藤副大臣、大変恐縮なんですが、公明党の副大臣ということで、最後に公明新聞の資料もおつけしているんですね。

 これは、過労死防止法、御党も非常に御尽力をなされた中で、ようやく実効性のある法律案ができて本当に感謝しているという寺西笑子代表のコメントも出ているわけですよ。

 しかし、ここにまさに書かれておられるように、一番労災認定された発症原因は「仕事の内容や量の変化」、まさにこの公明新聞の中にもこう書かれていて、しかも、「労災認定する事後的な救済も大事だが、防止対策も重要」、これが寺西代表のコメントも含めて書かれていて、残業代ゼロの制度が導入されたら、過労死はふえると思いますか、減ると思いますか。佐藤副大臣、いかがですか。

佐藤副大臣 田村大臣も先ほどから答弁しておりますように、私どもは、産業競争力会議では、民間議員の皆さんが提案しているものと全く違う案を提案させていただいているものでございまして、民間議員の皆さん方の進めようとしているそういう制度というものに対しては、さまざまな、今、衆議院を通過して参議院で審議しております過労死等防止対策推進法案等を考えましたときにも、やはり極めて慎重な議論を進めていかなければいけない、そのように考えております。

柚木委員 これは重要な答弁ですよ。与党の副大臣として、極めて慎重に、そういうことですから、これをよく踏まえて、政府の産業競争力会議の中でも御議論いただかなければならないと思いますよ。

 ちなみに、安倍総理の示されている三原則も、これは非常に実効性が担保されていないと思うんですね。希望しない人には適用しないとか、対象を絞り込むとか、賃金が減らないとか残業ゼロにならないとか、全くどこでも担保されていない今の議論の状況ですよ。

 私が資料七につけたのは、これは三十一日の朝刊の記事ですが、「パワハラ相談 過去最多」、これは昨年度。俺に従わなければ出世できないぞとか、現場で言っているわけですよ、こういうことを。

 それで、先ほどの過労死防止法案のことも含めて、佐藤副大臣、これは大事なことなので、私は本当にしっかりと認識を共有させていただきたいと思って、あえてもう一回伺いますが、残業代ゼロ制度、もちろん厚労省の立場はあるといえども、仮に押し切られてこの制度が始まったら、パワハラはふえると思いますか、減ると思いますか、副大臣。

佐藤副大臣 明確な答弁をさせていただくのが一番いいんでしょうけれども、具体的に、今、民間議員の皆さんの提案がそのまま通ってどういう制度設計になるかということも、明確にまだ見えていない段階で、ちょっと明確な答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

柚木委員 普通考えたら、皆さん、私の事務所にもインターンの学生さんが頑張って来てくれていて、就職が幸いにも内定しているんですけれども、ちょっと尋ねてみたんです。例えば、上司が、君は将来有望だ、幹部候補だから残業代なしでも頑張ってくれと言われたら断れるかと言ったら、いや、絶対無理ですと。それは、だって、一年でも幹部候補になる可能性はあるわけでしょう。違うんですか。一年だって。

 パワハラ相談過去最多というような状況の中でこの議論がなされている、過労死防止法案も議論している、そういう中で、全く真逆な議論をやっていること自体が私は本当に大問題だと思います。

 ちなみに、これもきのう私も報道で知ってちょっと驚いているんですけれども、田村大臣に伺いますが、今回、きのうですね、新たに経団連の会長に就任された榊原会長が、何ですか、献金あっせんを再開すると。これはどういうことなんですか。私も新聞の記事を読んで驚いたんですが、我々政権のときに中断していた献金を復活させる、しかも年内に判断と。

 これはタイミングがちょっと余りにもどうかと思いますよ。この残業代ゼロの議論をしているときに、法人税とか復興法人税前倒し廃止とか。はっきり言って、賃上げの分なんか、残業代ゼロになったら十倍以上吹き飛ぶんですからね、企業側にしてみれば。はるかに経営効果が大きいわけですよ。

 そういう中で献金あっせんと、これは見返りという報道の見方が出ていましたが、田村大臣、これはどう認識されますか、こういう議論。

田村国務大臣 まず、柚木委員の事務所にインターンで来られている方が就職を決められて、会社に入られて、すぐにこれが適用になることはないと思いますので、ちょっとデフォルメし過ぎでありまして、さすがに民間議員の方々も、そこは言っておられません。一定の経験だとか一定の能力だとかという話でございますから、それはさすがにそういう方はないとは思います。

 今の献金のお話は、ちょっと私は把握をいたしておりません。どういうことなのか、それはどうぞ経団連の会長さんにお聞きをいただければありがたいと思いますし、私は求めておりませんので、どういうことなのか、よくわかりません。

柚木委員 ちょっと時間がなくなってきているので、もう少し。

 本当は、残業ゼロと残業代ゼロというのは大きく違うわけで、本来、本当に労働生産性を高めたり残業を減らすのであれば、実は、私たち、野党の超党派で、新しい社会保障制度を確立する会というのをやっていて、そこでも議論しているんですが、例えば、ヨーロッパ、デンマークのフレキシキュリティー。本当に若者の就労支援とか、これをもっと戦略的に、日本はそこが非常におくれている。そういうことをやって、逆に言うと、手厚い手当とか社会保障制度があって、その上で流動性を高めていくことで生産性が高まっていく、そして経済、財政の好循環を促すとかですね。オランダなどでも、ワークシェア、そして、同一価値労働同一賃金、こういった仕組みの中で、雇用創出型で、しかも生産性、競争力が高まってというような、いろいろな事例があるわけですよ。

 そういうことで、残業ゼロ、時短、長時間労働是正を議論するならまだしも、残業代をゼロにしたら残業が減るというような、これはそもそも本当にエビデンスがあるかどうか、議論は分かれますよ。過労死も残業とパラレルですよ、労災の認定。

 こういう中での議論があるということを明確に申し上げておいた上で、もう時間が来ましたので、最後にお願いだけして終わります。

 今回、この特措法の方の議論は有期労働者ですね。この有期労働者の方々、非正規労働者の方々が、特に女性支援とか安倍政権は言われているわけですが、育児休業とか介護休業とかを非常にとりづらい今の現実が、データを四ページから六ページ目におつけしておきましたので、こういった方々もちゃんと育休、介護休なども取得して、ワーク・ライフ・バランスが可能になるような、そういったことをぜひ今後の、実は、育介法の法施行五年後の見直し規定があります。来年がそれに当たりますから、ニーズ調査なども含めてやっていただくことを検討をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。清水鴻一郎君。

清水(鴻)委員 日本維新の会の清水鴻一郎でございます。

 久しぶりに日曜日に三十八度三分の熱が出まして、声だけは顔よりは自信があったんですけれども、きょうはちょっと声もだめになりまして、顔も声もだめ、めちゃくちゃでありますけれども、質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初、ずっと心配をしていまして、この間も、先週ですか、私も日曜日に帰って、地元京都で、京都市の市長さんやあるいは知事さんとも三時間ぐらい、七時から十時ぐらいまでお話をしました。いろいろなお話もしたんですけれども、例の高齢者、雇用の機構、いわゆるJEEDの問題で、ああいうことですけれども、都道府県とかでできないですかねとかいう話をしていましたら、同じような事業も結構、都道府県、京都の場合は京都府でありますけれども、やっていますよと。簡単に言えば、ちゃんとお金を、予算をつけていただければ十分できますよというような話もありました。

 今回は、それを一括してやろうということで、結果的には、なかなか制度的に難しい、受け皿としては難しいなということで、大臣も非常にこだわりを持って、もう一回やろうということで、条件を外してもう一回やって、そしてさらに今分割をしてということであります。

 これは、予算も補正でされたものがここまで引っ張られてきているわけですから、実際に実行するべき段階でないのかどうかも含めて、今現状どういうふうになっているか、ちょっと教えていただいて、しっかりした予算の使い方でなければ、これはやはり我々も考えなければいけないなと思うので、どうぞお答えをお願いします。

杉浦政府参考人 お答えいたします。

 短期集中特別訓練事業に係る公示につきましては、五月十四日から公示をしておりましたが、二十九日に企画書の提出を締め切ったところでございまして、現在、その結果、六つのブロック中、四つのブロックにおきまして六機関から企画書の提出があったところでございます。

 現在、提出のあった企画書等について、参加資格を満たしているかどうか等の審査を行いまして、企画選定委員会で委託候補者を選定するという段階になっております。

 企画書等の提出がなかったブロックにつきましては、不調となった要因等も分析した上で、今後、特命随意契約の可能性といったようなことも含めまして、どういったところがよいのか、どういう方法が望ましいのかということを十分に検討してまいりたいというふうに考えております。

清水(鴻)委員 六ブロックで、四ブロックは応募があった、そしてさらに、そのうちの二ブロックにおいては複数あった、そういう理解でいいわけですね。だけれども、なかった二ブロックに関しては、今後さらにまた検討して、どうするかと。

 だけれども、これはタイムリミットがありますよね。これは今年度でやり切るんでしょう。今から検討して、やるめどがあるんですか。

杉浦政府参考人 御指摘のとおり、今年度の事業ということで設置された基金に基づく事業でございますので、できるだけ早急に選定の手続を図ってまいりたいと思っております。期間は短くならざるを得ないところで、大変申しわけないと思っておりますけれども、できるだけ早急に手続を進めていきたいと思っております。

清水(鴻)委員 数日前も、いわゆる雇用統計も参りました。有効求人倍率とかも若干上昇しているという報告もありましたよね。

 もちろん、いろいろな職種によっていろいろなことがありますけれども、日本全体としては、消費税の増税という一つの景気を中折れさせる可能性のあるものがあったわけですけれども、その後も、もちろんいろいろな角度からの見方がありますから、しかし、今のところ、それほど大きな影響もなく、相変わらずまだ建設業界なんかでは人手不足でありますし、かつ、人手がないために工期を守れないぐらい、公的な建物あるいは社会保障に関係するような、特養とか、そういうものもなかなか正常なコストにならなくて苦戦しているというのが現状であります。

 そこのところで、消費税も上がって、非常に雇用も厳しくなるだろう、景気も厳しくなるだろう、そういうことも含めてこういう対策が補正でなされたと思うんですけれども、もちろん違う意図もあるのかもしれませんけれども、もうこれは、今さら無理して、短くなるけれども無理やり突っ込んでやる、そんなものですか。

杉浦政府参考人 確かに、景気の好転に伴いまして人手不足といったような問題が生じているのは事実でございますけれども、やはり求職者、失業者の方々の中には、訓練などをしっかりやらなければなかなか就職できないという方がいるのも事実でございます。

 今回の短期の特別訓練事業といいますのは、従来の職業訓練のパターンではなかなかついていけない、あるいは訓練が十分に効果が発揮できないといった業種とかやり方を含めて、新しく仕組もうとしておるところでございますので、そういった方々に対する訓練はぜひやる必要があるというふうに考えておるところでございます。

清水(鴻)委員 それはわかりました。

 では、ともかく、これは全国でやらなきゃ、ある意味、意味がないですよね。くまなくやるということでしょう。四ブロックだけは今めどがついた、あと二ブロック。

 これはどうなんですか。例えば、めどがついたところからやろうというのか。今もう応募があった、もちろん今精査中ですから、それが適合するものかどうかわかりません。ある意味で五月雨式にやっていって、あと二ブロック残ったところは、工夫をしても来るかどうかまだ保証はないですよね。だから、場合によっては、四カ所、今来ているところ、これが全部適合しているかどうかわかりませんけれども、これはやるけれども、あと残った二カ所について場合によってはできないこともある、そういう認識でいいですか。

杉浦政府参考人 確かに、二つのブロックについてはまだ候補者が決まっていないところでございますので、我々としては、できる限りそこの地区に対してもやっていきたいと思っておりますが、できる候補者が定まったところについては、もし二つのブロックがおくれるということになれば、四つのブロックを先行してやるということも方法としてはあると思っております。

清水(鴻)委員 いや、方法としてあるんじゃなくて、リミットを、例えば、今あるところを、あと二つが来るまで、あとどれだけかかるかわかりませんけれども、用意ドンのそろうまで待つんですかと聞いているんですよ。

杉浦政府参考人 全部そろうまで待つということまでも決めているわけではございません。そこのところは、これからその残りのブロックについて我々が働きかけをする中で、もしなかなか選定が難しいということになれば、その四つについて先行するということもあると思っております。

清水(鴻)委員 いやいや、今から働きかけるといっても、今までもやってこられたんじゃないんですか、当然。この間、何もやらずに、ただブロックを分けました、たまたま手を挙げるところが四つあった、そんなことないでしょう。頑張ってこられたけれども二カ所はないということでしょう。頑張っていなかったということですか。今後まだ頑張りようがあると。

杉浦政府参考人 これまでは公示で一斉に募集をかけてやっておりますので、個々の例えばそういった訓練業者とか企業に対して働きかけをやってきたわけではございません。ですから、今度、この公示について応募がなかったところについては、今まで出てきたところ、あるいはそのほかのところも含めて、適当なところに、こちらから個別にお願いをしていくというようなやり方もあろうかと思っております。

清水(鴻)委員 とすると、いわゆる随契、そういうものをあとの二カ所については取り入れよう、そういうことですね。

杉浦政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたとおり、そういった特命随契の可能性も含めて検討してまいりたいと思っています。

清水(鴻)委員 余り検討している時間はもうないんじゃないですか。今、やっと四カ所あった、二カ所はこれから検討して決めていくということですけれども、もちろん検討されるのは幾らでも検討されてもいいんですけれども、今言ったように、もうこれはずっとおくれているんですよね。おくれていて、下手したら次年度の予算を考えていかなければいけない時期にだんだんなりますよね。

 その状況の中で、慎重というのは大事なんですけれども、実際問題、では、今一番可能性のある具体的な方法として、四カ所は先行して、今応募されているところが適切なところで信頼に足り得るところであれば、そこからスタートする、あとの二カ所については、今おっしゃるように、検討を加えながら、いわゆる随契的な要素も含めてやる、そういう理解でいいんですね。

杉浦政府参考人 確かに、全国的に実施する事業でございますので、六カ所、全ブロックについてそろうのが一番いいと思っておりますが、先ほど申し上げましたとおり、応募がなかったブロックについて我々が働きかけを行っていく中で、なかなか見つからないということになれば、そういった四つの部分を先行するという方法もあると思っておりますが、まだ、今の段階で、すぐ先行するということまで決まっておるわけではございません。

清水(鴻)委員 大臣、今、事務方の方はそういう考えでありますけれども、大臣も同じ思いということでいいんですかね。

田村国務大臣 これはブロックに分けました。ブロックに分けましたが、二ブロックは応札されなかったわけでございます。四つは、今から資格等々の要件を含めて、企画選定委員会、ここでオーケーかどうかということを選考するわけでありますが、オーケーであれば、まだ残り二つ、すぐにどこかがうまく見つかればいいですよ、見つからなかったら、四つはオーケーなのに二つが決まらないから事業がスタートしないなんということは、こんなことはあってはならないわけであって、要は、これは分けた時点で、やれるところからやっていくということがやはり前提でございます。

 慎重な言い回しを局長はやっておりますけれども、早くやらなければいけない事業でございますので、可能な限り、やれるところを早く進めてまいりたいというふうに考えております。

清水(鴻)委員 では、現状で結構です。今、どの地域はやっていただける候補者があって、どこがないのか、ちょっと僕は知らないんですけれども、やはり我々も地元で、こういう職業訓練どうなんだと。これは今ちょっと問題があってとまっているということですけれども、では、いつからやれるんだというようなあれもありますので、できるだけ今現在の状況を厚生労働委員会に、委員長の方にぜひお知らせいただいて、我々が地元で、心配をかけているJEEDの問題だけれども、解決しつつあるんだと。

 私は京都なので、京都がその応募のあった地域に入っているのかどうか僕は知りません、知りませんけれども、もし入っていれば、比較的速やかにそういうことが行われることになるでしょうと。もし京都が入っていなかったら、積極的に、参加できるようなところに対して京都府とか下からでも働きかけて、厚労省から呼びかけがあれば、できるようなところを厚労省にもアドバイス、こういうところだったらいけるんじゃないかなというようなこともして。

 やはりこれは、もちろんお役所が主導してやられるのは大事ですけれども、今ここに至ってこういう状況ですから、オール日本、みんなで、地域の知恵も入れながら、ないところは探し出そうということをしよう、そういうふうに思うんですけれども、局長、どうですか。

杉浦政府参考人 ブロックの状況ですが、決まっていないところは北海道・東北ブロックと中国・四国ブロックでございまして、近畿ブロックについては応募が来ております。

 ですから、その中で適格があれば選定をされるということになろうかと思いますが、残りの二つのブロックについても、先ほど申し上げましたように、早急に働きかけを行う等、選定の手続を進めていきたいと思っています。

清水(鴻)委員 ありがとうございます。

 今、六つのブロックに分けたうちの北海道、もう一つは中国・四国地方は残念ながらなかったけれども、近畿ブロックを含めて、あとの四つは応募者があった。もちろん、それが今まだ、適正かどうかとか、請負に足りるかどうかという調査をされているというわけですけれども。

 仮に、例えば、少なくとも応募のあったところについては、現実に今精査中でありますけれども、北海道、中四国は別途考えるということを今大臣はおっしゃいまして、別途考えるというか、なかったらそれはしようがない、あるところからしっかりやっていかなきゃいけないということであれば、めどとして、今精査して、現実にスタートはどれぐらいから切れそうな感じですか。もちろん確約でなくていいですよ。

杉浦政府参考人 これから選定の手続を進めまして、近日中に決定はされるのではないかと思いますけれども、具体的に業者と契約を結びまして、諸準備を含めてやっていきたいと思っておりますので、少なくともあと一、二カ月のうちにはスタートできるようなことを我々としては希望しておりますが、ちょっとまだその辺の、具体的にどういった手順というかスケジュール感で進めていくかについては、具体的なところまではまだ決まっておりません。

清水(鴻)委員 ありがとうございます。

 一、二カ月といいますと、今、六月に入ったばかりでありますので、七月ないしは八月というような段階でそういうことがスタートされるという期待といいますか、そういう予定になる可能性が高いという理解でいいですね。

 あとは、ぜひ、北海道、中国・四国の方は、もうここに至って、これはというところを目星をつけて、随契をしっかりと透明性を高めた上でやられるというのは、僕は、そうでなければきっとこういう事業はできないんじゃないかなと思うので、積極的に、大臣を中心にしながらやっていただきたいなというふうに思います。

 また同じようなことで厚労省の方が変な疑いをかけられるとか傷がつくということがないようにしないといけないと思いますので、ぜひとも公明正大な中できちっとやっていただいて、一生懸命やっている厚労省の方が、責任を果たさんがために傷ついていくということのないようにぜひしていただきたいなというふうに思います。

 次に、今議題に上がっています専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法の概要ですね。

 これは、僕もある程度意味はわかるんですけれども、今、労働契約法第十八条、通算五年を超えた場合には労働者の申し込みによって無期労働契約に転換できるということがまだスタートしたばかりですよね。もちろん、だから、現実にそういうことを行使といいますか、そういう申し出を受けたこともないし、そういうことも現実に起こっていないわけですよね。

 その中で、早くも、いわばこれでは支障を来す可能性があるというようなことも踏まえて、最大十年ということをめどに有期雇用でいけるという、もう一つ、定年後というのはまたちょっとニュアンスが違うので、これはまた後ほどお伺いすることにして、この法律をつくろうとされる主な目的といいますか趣旨というのは、皆さんも聞いておられますが、もうこれに対して質問することはないと思うので、改めてちょっとお伺いしたいなと思います。

中野政府参考人 本法案の目的でございますが、本法案は、有期契約労働者のうち、高収入かつ高度の専門的な知識等を有する有期契約労働者、それから、先生がまた改めて言われましたが、定年後に継続雇用される有期契約の高齢者、この二者につきまして、その能力の維持向上や活用を図ることが労働者の能力の有効な発揮や活力のある社会の実現のために重要であることに鑑みて、特別な措置を講ずることによりまして、国民経済の健全な発展に資するということが本法案の目的でございます。

 具体的には、これらの有期契約労働者について、その特性に応じた雇用管理に関する特別措置と、労働契約法における無期転換申込権が発生するまでの期間の特例を設ける、こういうものでございます。

清水(鴻)委員 おっしゃることはすごくわかるんですけれども、人生、十年というのはかなりの大きな期間ですよね。

 恐らく働ける期間というのは、もちろん何歳から働くかというのはいろいろありますけれども、一般的に、二十二とか二十三で大学を出ました、少し社会経験を積んで、ここで言う、もしこれに該当するということになれば、それなりのキャリアがあるということですよね。収入がある、高収入だ、あるいは高度な技術、高度専門的な知識があるとなると、天才とか特別な人は別かもしれませんけれども、常識的に考えれば、やはり大学を卒業して、そこまで十年ぐらいはかかっちゃうんじゃないかなと。

 収入もあるし高度な専門的知識を身につけている、そうすると、三十五とか四十とか、そこから十年というプロジェクトに入るわけですね。それで、十年で有期雇用ということになりますよね。これはやはり働く人にとってはきついと思いませんか、どうですか。

中野政府参考人 高度な専門的知識を有する有期雇用労働者、そのような形態で働く方の中には、一定期間内に完了するプロジェクトに従事することを繰り返しながらキャリアアップを図るケース、こういうことも考えられるわけでございまして、そういう形態で働くことによってみずからの能力の発揮、維持向上を図る、こういう形態の働き方をする方もおられることが見込まれるということで、今回のような特別措置法を提案しているところでございます。

清水(鴻)委員 わかりますよ。わかりますけれども、でも、人生の中でいい時期はそんなに長くないんですよ。三十五から四十五、十年間、また次のプロジェクトに引っ張られる、そのときに、四十五から引っ張られたら次は五十五ですよ。

 そんなに、人間、いつまでもすごく若く元気で優秀で、体力もというわけにはいかないわけですよ。その大事な時期、十年間である種の雇いどめになるよりは、やはりそこでプロジェクトでしっかりやる、その後はそこでまた指導者的な立場になる、そういうものがなければ現実的にはなかなか厳しい。むしろ、ある意味では、これは優秀な人にとってもなかなか厳しい選択肢になるんじゃないかと思うんですよ。どうですか。

中野政府参考人 今申し上げましたような形態で働く方が全てずっと有期契約で渡り歩いていかなければならないというわけではございませんで、もちろん、そういうプロジェクトに従事したことによってその会社に見込まれて、ある特定の会社で無期雇用に転換することもあり得るわけでございます。

 今回の法案は、あくまでも選択肢といいますか、そういう有期プロジェクト、しかもそれが五年を超える形で行われるような形を、いわばエンプロイアビリティーといいますか、職を渡り歩く、キャリアを積み重ねるような能力を、その能力は常にブラッシュアップしなければなりませんので、そういうことを事業主に雇用管理措置として支援することを要件としつつ、そのような形で働き続けるというのも、一つのあり方として、選択肢としてあり得るという道を開くための法案というふうに理解していただければと思うところでございます。

清水(鴻)委員 でも、それだったら、五年以上たてば別に従来の法律でも、五年たって、本人が有期でやりたいと。十年のプロジェクトに入っていて、その間でもう五年たった、六年目、七年目に入った。だけれども、この十年間のプロジェクトが終わったらまた新たなところでやろうという人は、それはそれで、十年間の有期で終わったらいいわけですよ。

 だけれども、五年済んで、六年、七年、そのプロジェクトの終わりに達するところで、やはりここでもう常用雇用、いわゆる無期限の雇用に変えてもらいたいと思ったときに、これではできないわけでしょう。

 もともとの法律も、五年を超えたら確実に縛られますよ、あなたはもうここで無期限ですよということでなくて、自分のチョイスで申し込んで、ここで働きたいということを申し出れば、それは無期にしますよという法律じゃないんですか。

 働き方をチョイスしてもらえるといっても、もともとの法律でそういうチョイスができるじゃないですか。その方がその人にとってもずっと安心、安全じゃないですか。

中野政府参考人 先生のおっしゃる点は、労働者の側から見れば、もちろんわかるわけです。御指摘のとおりだと思います。

 ただ、一方において、労働契約関係は使用者サイドと結ぶわけでございますから、使用者サイドからすれば、そういう無期転換権が発生しないような形態であればもっと雇う、こういう人を雇いたいというニーズも一定の場合はあるわけでございますので、そういう道を開くことによって雇用機会が広がる、そういうチャンスが広がるということもあり得るかと思います。

 いずれにせよ、そういう形態をとるのは、先生おっしゃるとおり、働く人にとって非常に厳しい環境下で働くわけでございますので、そういう環境下においてもいわばやっていけるぐらいの高度な専門的知識を持っている人、しかも年収要件もかなり高目のところを今後審議会で議論して決めていただこうと考えておりますが、そういう層。

 すなわち、先ほども少し申し上げましたが、非常にエンプロイアビリティーが高く、渡り歩けるような、したがって、その人をこういう特例の対象としても雇用が不安定になることを抑制できる層ということで、また、そういうチャンスを開くことが能力の有効発揮につながる、そういうケースに限ってこのような特例を設けよう、こういう趣旨でございます。

清水(鴻)委員 そうすると、むしろ使用者側に立って、やはり高度専門的な知識もあって給料もそこそこ取る人を、仮に十年なら十年のプロジェクトでは雇えるけれども、そのままではもうさすがに、高い給料で、そこそこ年もいくし、使えないなと。使用者にとっては割と便利な法律だな、そういう感じですかね。労働者にとってはなかなか厳しいなと。

 もちろん、次がある人はいいですよ。でも、人間というのは三十五とか四十でとまりませんよ、年をとっていきますから。年をとっていったら、どこでも嫌がられる。僕も年をとって嫌がられているんですけれども、そうなるんですよ。

 だから、それはやはり労働者サイド、まあ、僕は使用者さんの気持ちもわかりますよ。だけれども、自分の会社で十年間そういうプロジェクトをしっかりやった人間なら、それはコストの問題は、年俸の問題は、大きなプロジェクトを抱えているときの年俸と同じかどうかは別ですけれども、雇用という点について、やりたいと、ここでその後のフォローもやっていきたいという場合に、その道はあってもいいんじゃないか。

 その人がみずから、ヘッドハンティングじゃないですけれども、そういうのがあって、いや、もう新たな道を行く、もちろんそれはそれで全然自由ですけれども、五年を超える、そういうものについてはそれぐらいのことがなかったら、やはり人間やっていけないんじゃないかなと思うんですけれども、どうですか。

中野政府参考人 我々、この制度は、決して使用者サイドだけでなく、そういう一定の高収入の高度専門知識労働者の人にとってもかえってチャンスが広がるという、双方にとってメリットがある仕組みであろうかと考えております。

 もちろん、当該プロジェクトに従事することによって、その企業に、ずっとここで無期雇用で働いてほしいということであれば、本人もそれを望めば、そういう道は当然あっていいと思っておりますし、そういう選択はできる形になっております。

 ただ、そういう形よりも、一社に、一つのところにとどまらず、いろいろなプロジェクトを渡り歩くことによってみずからの能力も高めていく、そういうチャンスを渡り歩きたいという人たちもいるわけでございまして、そこを想定して、このような道もつくるような仕組みの法案を提案している、こういうことでございます。

清水(鴻)委員 今、何か、できる道もあるとおっしゃったけれども、できる道はないですよね、使用者側が拒否すれば。ないですよね。ないでしょう。残る道もあるというのは間違いですね。ないですよね。いや、もう時間がないですから。ない。今の、残る道もあるというのは間違いですよね。今答弁された中で、残る道もあると。

田村国務大臣 限られたプロジェクトの中で働かれる方でありまして、要は、その能力を生かすという意味では、その職種がなければ、なくなってしまえば、仮にその会社にいたって違う仕事をせざるを得ないわけですね、その人は。

 そうじゃなくて、その仕事をやりたい方、しかも専門職種というところに実はフォーカスしますから、当然高い評価を受けた待遇を受ける方でありまして、そこが終われば、ずっと続けるとすれば、違う仕事をやりながらもうちょっと低い待遇でその会社に残るというような、そういう選択になる可能性があるわけでありますから、その専門的に高い評価をしてもらう仕事を次も続けていきたい、その間自分の能力も高めていきたい、こういう働き方の方々を対象にこのような制度設計というものを考えておるわけであります。

清水(鴻)委員 わかりました。

 ただ、非常に能力はあるけれども、あるプロジェクトで活躍されたけれども、その人が今路頭に迷っているというようなことが起こると、やはり余りよくないなと思いますし、想定されている職種も、博士号とか、博士号の学位なんて今あったってなくたって余り関係ないですよ。僕は一応医学博士だけれども、それで何にも飯が食えませんしね。それから、公認会計士さん、医師、歯科医師さん、獣医師さん、弁護士さん、一級建築士さん、税理士さん、薬剤師さん、社労士さん、不動産鑑定士さん、弁理士さんとか、なかなか開業しても飯が食えない職種もあるんですよ。だから、そういうことを、ちゃんと現実的なところを見て対応していっていただきたいなと思う。

 それから、いわゆる高齢者の問題ですけれども、高齢者の方が、あるA社というところに勤められていて、A社でそのまま、仮に六十歳定年で五年間働かれて、今度六十六歳になった場合でも、いわゆる五年超えるけれども無期限への申し出はできない、そういうことなんですよね、この法律は。そして、逆に言えば、六十歳までA社におられて、六十歳を超えて六十一歳からB社に入られて、それから一年ごとでも有期で更新されて、これが五年を超過していった場合は、その方は、仮に六十歳定年として、六十六歳でもこの行使をできる、そういう理解でいいんですね。

中野政府参考人 御指摘のとおり、本法案の特例の対象となる高齢者は、定年後、同一事業主または特殊関係事業主に引き続いて雇用され、高齢者雇用確保措置の期間を経て、すなわち、六十歳の場合で、仮に一年契約であれば六十五歳を超えて、その後も同一の事業主のもとにいる有期契約労働者でございます。

 したがいまして、今申し上げた以外の一般の高齢者については、通常の有期契約労働者と同じ取り扱いになるということでございます。

清水(鴻)委員 確かに、A社におられた、A社の子会社に行かれた、あるいは関連の何かに行かれた、これは継続して見るという基本になっていますよね。だけれども、現実に、六十歳で定年になられました、必ずしもそのA社に残るわけじゃないですよ。有用な人ですから、有用な人であれば、例えば、具体的に、違うところでその力を発揮してくれと言ってくる。

 だけれども、さすがに、六十一歳から六十五歳、まだお元気なので働いて、一年契約だけれども自動更新みたいな形で、特別問題がなければ、それで六十五歳になって、六十六歳になったら今度、突然無期限にしろと言われると、実際に雇うところは、その人が有能であっても、やむを得ず六十四・五歳ぐらいのところで切らないと仕方なくなりますよ。

 僕自身が、そういう六十歳で定年になられた方を実際雇用して、非常に優秀だから、今は五年、六年と、体力もある場合やっていただいていますよ。だけれども、今度から、もしそこで無期限にしてくださいと言われたら、これはちょっとさすがに、六十六、七になられた方を無期限にということになると、これまた考えざるを得ない。

 ということは、六十四、五歳までに、五年未満にいわゆる雇いどめをしなきゃいけないことになると実際思うんですけれども、現実問題としてどうなんでしょう。

田村国務大臣 先生の問題意識、わかります。ただ、今回の法律は、これは特例ということでございまして、今までずっとその会社で継続雇用されて、六十五歳まで雇用措置という形でつながった方、こういう方々は、その会社で今まで培ってきた経験、それから能力、いろいろなものがありますから、そのまま働いた場合、雇いどめをなるべく受けないで、特例という形で有期を繰り返せるというような形、特例にしたわけであります。

 先生の言われておるようなパターンの問題意識はあるんですが、ただ、一方で、そうなれば特例じゃなくなるわけでありまして、その場合には高齢者は適用除外。そうすると、やはり年齢でこのような形で差別をするというのは問題があるのではないかと一方で御議論がある中において今般は対象にはならなかったわけでありまして、今回、特例というような範疇でございますので、このような形で提案をさせていただいているということで御理解をいただければありがたいというふうに思います。

清水(鴻)委員 時間が来ましたのであれなんですけれども、ちょっとそこで検討していただきたいのと、一般の官庁とかが六十歳定年ですけれども、民間の我々はもう六十五歳を取り入れているんですよ。六十一歳から来られても、六十五歳までは逆に雇用する、うちの定年は六十五だと。それで五年間継続するんですよね、有期契約というのかどうか知らないですけれども。その場合でも、やはり、では六十六から行使されると、ほかの人の定年から今度はまた働き出すというような矛盾が起こるので、その辺のところは、大臣、ちょっと工夫をしていただけませんか。

 また、もし僕の理解に間違いがあるんだったら、後に説明に来ていただけませんか、そういう場合はどうなんだということを。今申し上げましたように、一般官庁とかで六十歳で定年になられた、うちの会社に来られた、そして六十五歳がうちは定年なので五年間たった、その時点で、そこから例えば無期限になるというようなことではなくて、そこからもまだお体が元気であればあと一年、二年働いていただきたいと思うけれども、そういうケースの場合、現実にはどんな扱いになるのか、また教えていただければと思います。

 この法律も、若干まだまだ難しいところがあると思いますので、今後、運用する中でよりよくなるようにということを願いまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 前回に引き続きまして、高度専門職の有期労働者の無期転換のルール除外について伺います。

 十年未満のプロジェクトに従事する高度専門職の有期雇用労働者は無期雇用に転換を申し込む権利が例外的に発生しない、こういう規制緩和の法律であります。一方で、前回も終わりがけに議論いたしましたが、事業主はこの高度専門職に対する能力向上機会を与え、国が助成をするという仕組みがセットになっており、これはさすがにやり過ぎではないか、不要ではないかという議論をさせていただきました。

 本日も、ホワイトカラーエグゼンプションが残業代ゼロ制度だ、こういうことで議論をされています。私は、労働者の多くは残業代ゼロは嫌だと思うし、過労死するような長時間残業も望んでいないというふうに認識をしております。ただ、一方で、残業代がなくてもいいから自分のペースで仕事がしたい、あるいは、早く成果を出したら早く帰り、また、とことん仕事を前に進めたいときは深夜までも働きたい、こういうタイプの、雇用主と対等に渡り合える労働者というのも一定数存在するというふうにも認識をしているところであります。

 本日は、一般労働者と比べて特殊なケースと申し上げていいかどうか、こういうケースに対応する労働制度が必要ではないかということ、また、あわせて、本日議論になっております残業の問題について伺ってまいります。

 まず、そもそも論ですが、大臣に伺います。この労働時間規制の目的は、労働者の健康と、加えてワーク・ライフ・バランスの確保、こういう認識でよろしいでしょうか。

田村国務大臣 労働基準法の労働規制というのは、一日八時間、それから一週間四十時間、これを超えてはならないということになっているわけでありますし、少なくとも週一日は休暇を与える、こうなっておるわけであります。もちろんこれは、健康的な生活をする上でということであります。

 ただ、一方で、労使間で協定を締結して届け出をするということであれば、これに関しましては、時間外労働というもの、それから休日出勤というもの、こういうものが一定の範囲内で認められてくるというわけでございます。当然、そのような場合には割り増しの賃金を払わなきゃいけないわけでありまして、それは、そのような過重な労働を行うことに対する補償という形でありますし、また、割り増しということになれば、そのような過重な労働をさせないようにしようというようなインセンティブも働くわけであります。

 一方で、一定の条件のもとに年次有給休暇がとれるわけでありまして、これは、ワーク・ライフ・バランスを含めてそのような形での対応ということでございますので、おっしゃられるとおり、そのような意味合いがあるということであります。

井坂委員 労働時間規制、さまざまな制度の目的は、主に労働者の健康、それからワーク・ライフ・バランスということでありました。

 私も、大前提、土台はそうだというふうに思う一方で、本日ずっと議論がされているホワイトカラーエグゼンプションなど、なぜああいう話が出てくるかといえば、一方で、労働の制度というものでもう一つ考えなければいけないのが、例えば労働生産性の向上、あるいは産業競争力の強化、国の政策ですから、こういったところにも一定の目配りが必要だ、こういうふうに考えているところであります。主従関係はもちろん労働者の健康ということが土台であるわけですけれども、かといって、生産性あるいは産業競争力ということを全く度外視することはできないというのが私の立場であります。

 重ねて伺いますが、そんな中で、ホワイトカラーエグゼンプションに対して、厚生労働省としては、既存の制度の拡大適用で十分目的が果たせるのではないかと、この間、大臣、さまざまな答弁をされておられます。専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制、あるいはフレックスタイム、こういったいろいろな制度を使えば十分できるではないかということを大臣はおっしゃっているわけで、その議論に乗った上でお伺いをいたします。

 これは参考人に伺いますが、せっかく大臣がそのようにおっしゃっているにもかかわらず、専門業務型裁量労働制が適用される労働者は全体の一・二%、また、企画業務型裁量労働制の労働者は〇・三%と、大変少ない現実があります。適用が少ない、使っている労働者が少ない原因をどのように分析しておられるか、伺います。

中野政府参考人 裁量労働制につきましては、業務遂行の手段や時間配分に裁量性がある労働者に限って認めている制度でありまして、おのずとその想定される労働者は雇用労働者のうちの一定の範囲に限られるものでございます。したがって、適用労働者の比率は御指摘の水準となっているところでございます。

 企画業務型裁量制につきましては、労働政策審議会において既に議論を開始しておりまして、これまで使用者側から出ております意見は、対象業務を強く限定する仕組みであって、特に中小企業にとっては利用が難しい、それから、現行制度は繁忙期の応援や複数のプロジェクト参加等がある実態に対応できていない、これは対象業務に常態として従事することが必要というふうにやっているためでございますが、それからまた、さまざまな届け出制度があって事務手続が煩雑である、こういった意見が出されておりまして、この点も含めまして、今後どのように見直すべきか審議会において検討していきたいと考えております。

井坂委員 今、参考人の方から、特に企画業務型は、使用者側からも、もう少し使いやすくという声が上がっているという話がありました。

 大臣に伺いますが、この企画業務型の適用、利用をふやすために、例えば、今は企画、立案、調査、分析、これを全てやっている人でないと、何かこのタイプとして認められないということが言われているようであります。これは余りにも非現実的ではないか。企画、立案だけやっている労働者でも認めていいのではないか、あるいは、調査、分析だけやっている労働者であっても、自分の裁量でどんな仕事をどの時間やるということが十分差配できる高度な専門的な労働者については認めていいのではないかと思うわけで、これを全部、一連、一気通貫でやっている労働者しか認めないというのは、緩和すべきではないか。

 あるいは、この企画、立案、調査、分析以外のちょっとした事務仕事をやっていると、それをもってだめだというようなことも判断もされているというふうに伺っておりますので、それ以外の業務に従事する時間がごく一部、一定割合はあってもよいなどの規制緩和。また、参考人の発言にもありましたように、労使委員会の設置など、やはり煩雑な手続も一定見直し、簡素化する。

 こういったことで使い勝手を具体的によくしていく、もちろん労働法制の基本は外さない上で適用範囲を拡大していく、こうしたことが必要ではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 今、局長からも話がありました。

 確かに、委員がおっしゃられますとおり、業務の対象でありますとか手続、こういうものに対して不満がある。非常に手続が煩雑であるでありますとか、対象を厳格に絞ると、これは、そもそもそういうような働き方で働いている人たちは限定される。今、企画、立案、調査、分析、こういうものが全て業務の中に入っていなければ対象にならない、難しいというのでは使えないというようなお話がありました。

 実際問題、先ほど来お話がありますとおり、労働政策審議会でも事業主側からそういう話もありますし、いろいろアンケートをとってみますと、裁量労働制を利用されている方々の中にもそういうお声があることは事実であります。

 ただ、一方で、その業務対象というものをある程度幅を広げてやり過ぎますと、そもそもが、業務遂行のその手段でありますとかまた時間配分、こういうところに裁量性というものがしっかりと持てないということになれば過重労働ということになってくるわけでありまして、そこのところは心配する声もありますので、それも含めて、今、労働政策審議会で、労使ともの中で、どのような形であれば使いやすくて、しかも、一定程度ちゃんと労働者を、労働者の労働時間等々も含めてでありますけれども、しっかりと対応できていけるか、そういうようなことをいろいろ御議論をいただいております。

 労働政策審議会の中の御議論を踏まえた上で、裁量労働制の見直しも含めてこれから検討してまいりたい、このように考えております。

井坂委員 労働規制を緩和すべきいわゆる例外的なケースとして、本日、もう一つ、スタートアップ期、会社あるいは事業立ち上げ直後のベンチャー企業の従業員についても伺います。

 まず、大臣に伺いますが、こうしたスタートアップ期、最初、一年目、二年目、こういったころのベンチャー企業においても、労働時間は一日八時間、週四十時間、また、三六協定を結んで、残業は月四十五時間までを完璧に守るべきだというふうにお考えでしょうか。

田村国務大臣 今言われましたとおり、三六協定を結んでいただいて、月四十五時間、年間三百六十時間というような枠があるわけでありますから、それは、結ぶ、結ばない、いろいろ手法はあると思いますけれども、そのときに応じてその範囲内を守っていただくということが前提であります。

 ただ、特別条項というものがございますので、必要がある場合には、年間のうち六カ月、そういう枠はありますけれども、そこは、協定の中でどれぐらいの時間を設定していただくかということは労使で御議論をいただいて、特別な枠というものを考えていただくということはできるわけでありますので、そのようなものを御利用いただくということもあるのかもわかりません。

 ただ、我々といたしましては、なるべく、働く方々にはやはりしっかりワーク・ライフ・バランスを守っていただきたい、労働者保護という観点からすると、必要がなければ短い労働時間でなるべくお働きをいただきたい、このような思いであります。

井坂委員 もちろん、厚生労働大臣ですから、そのような建前に沿っての御答弁にならざるを得ないわけですが、重ねてお伺いしたいのは、一般企業は本当におっしゃるとおりだと思います、ただ、スタートアップ期のベンチャー企業、今大臣がおっしゃったような、本当にこの八時間、四十時間、あるいは残業は四十五時間ということを守ってベンチャー企業が成り立つと思われるかどうか、これはもう大臣の感覚的なお答えで結構ですが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 それは守っていただきたいというのが思いですが、先ほども申し上げました、本当に必要と認められる場合、特別条項つきの協定というのが結べるわけでありまして、これは一年のうち六カ月でありますけれども、六カ月の間においては、労使の中において特別条項つき協定で労働時間の設定というものは自由にできるわけでございますので、ちゃんと労働者の健康を守っていただくということが前提ではありますけれども、そのような形で対応いただくということは、ベンチャー企業であっても可能であります。

井坂委員 特別条項もいろいろ制限があって、具体的にどういう事情だとか、実際それでも、再延長の限度はどこまでなのかとか、いろいろ決めなければいけないわけであります。

 私が本日伺いたいのは、そもそも、このスタートアップ期のベンチャーの社員、労働者ではありますが、しかし、最初の立ち上げ時期の二人や三人や四人、これは出資していれば経営者ですけれども、出資していない、ただ、初期メンバー、あるいは、一年目に入った、二年目に入った社員さん、こうした方々は、本当のバイト、パート、あるいは本当の事務員さん、電話番、こういった人を除けば、このスタートアップ期のベンチャー社員は、むしろ、その実態を見れば、労働法上の管理監督者のようなものではないかというふうにも見えるわけです。

 管理監督者の定義もいろいろ細かく見せていただきましたが、別に部下がいないスタッフ職のようなものでも、場合によっては認めていいというようなことも書いてあったり、この辺、こういう考え方については、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 もちろん、管理監督者であれば、これは労働基準法第四十一条第二号でありますけれども、労働時間でありますとか、休憩、休日、こういうものに対して適用除外になるわけでございますので、それは言われるとおりであります。

 一方で、この管理監督者というものはどういうものかといいますと、労働条件の決定その他労務管理について、経営者と一体的な立場であるということであるわけでありまして、ベンチャーだからといって、全ての社員が管理監督者というのはなかなか通らないであろうなと。

 ベンチャー企業の中でも、そのようなお立場の方というのは、先ほど来申し上げておるような適用除外になるのであろうと思いますので、それは役職名というよりかは、実態としてどうかということで判断をされてくるものだというふうに考えております。

井坂委員 まさに、役職名ではなくて実態で判断をしていくからこそ、ベンチャー企業においてはそういう判断が成り立つケースが非常に多いのではないかというふうに考えています。別に、管理監督者とそれ以外の方の割合が、それ以外の方の方が多くて、その上司として管理監督者がいなければいけない、こういうルールも特にないようですし。要は、おっしゃった、自分たちの労働制度を自分たちで決めていると言えればということでありますから、まさに立ち上げ時期のベンチャーの社員などは、そこに当てはまるのではないかなというふうに思います。

 ただ、問題は、管理監督者という名前とか、労働法もかなり詳しく見てこういうやりとりをしないと、普通、管理監督者と言われたら、やはり、社長であったり経営者であったりというような、どうしても役職上のものというイメージがしてしまうもので、なかなかそういう判断には現場でもならないのかなというふうに思うわけです。

 先ほど、課長より課長代理の方がどうこうという話がありましたけれども、別に、上司より給料の高い部下が、しかも、大臣がおっしゃるようなディーラーで、成果報酬で、上司より物すごく稼いでいて、でもそういう裁量労働的な仕事をしているケースだって世の中にはいっぱいあるわけで、そうした特にスタートアップ期のベンチャーに関しては、そういう実態を見た適用というものを、もう少しわかりやすい話も含めて進めていただきたいと思いますが、最後に一言、いかがでしょうか。

田村国務大臣 労働条件やその他労務管理というものを経営者と一体として、これ自体に対して一体的な立場であるという人が果たしてどういう人なのかということ、これはまさに実態を見なければならぬわけでありまして、例えば職務内容でありますとか、さらに申し上げれば、責任と権限というものがどういうふうにあるかでありますとか、こういうことをまさに実態を見た上で、ですから、全員がなるということはやはりあり得ないんだろうと思います。その中の何人かはそういう方々はおられるというふうには考えられますが。

 あくまで、社長でありますとかは経営者でございますので、これは当然これには当たらない、基準には当たらない話になりますので、適用除外になるわけでありますが、その方と一体でということでございますから、まさに今言ったようなところを、実際問題、実態として見てみて、これは管理監督に当たるというふうな形になれば、それは適用除外になるのであろうというふうに考えております。

井坂委員 私がイメージしておりますのは、本当に当初の三人で回しているような時期とか、そういうことでありまして、仮に、そこで三人いて、一人は経営者、一人は管理監督者、一人はいわゆる労働法がばっちり適用される労働者ということになって、この人は、八時間、四十時間、四十五時間でやりなさいというのは、これはなかなか実態としては非常に現場は回らないだろうなというふうに思いますので、そのあたりのことを、非常に現実離れした適用にならないようにという趣旨で本日質問をさせていただきました。

 続きまして、残業のことを幾つかお伺いしたいと思います。

 時間外割り増し賃金というものがありますが、これは雇用主が、割り増し二五%、あるいは深夜も加われば五〇%高く払わなければいけないから、残業を余り社員さんにさせたら雇用主がお金が出ていくのが多くて損だなということで、雇用主が残業を減らすインセンティブになるだろう、こういうことがよく説明をされるわけでありますが、お金がたくさんになるから雇用主は残業を減らそうとするというインセンティブの説明が成り立つのであれば、逆に労働者の側から見れば、やはりこれは、お金の面だけ見ると、みずからの残業時間をふやそうとする金銭的なインセンティブにもなるというふうにも考えられるのではないでしょうか。

 これは参考人に、インセンティブの考え方について伺います。

中野政府参考人 労働基準法の労働時間規制は、一日八時間、一週四十時間の法定労働時間を前提に、これを超える時間の労働に対しましては、法定の割り増し賃金を支払うことを使用者に義務づけることによりまして、過重な労働に対する労働者への補償を行うとともに、法定時間外労働の抑制を図っているものでございます。

 労働基準法における労働時間規制は、以上のような考え方に基づき設けられているものでありまして、御指摘のように、労働者がみずからの残業時間をいたずらにふやすことを促すためのものではないと考えております。

 また、労働政策研究・研修機構の調査、「仕事特性・個人特性と労働時間」、二〇一一年の調査でございますが、これによりますと、労働者の残業する理由、複数回答でございますが、これにつきましては、「仕事量が多いから」が六三・九%、「予定外の仕事が突発的に飛び込んでくるから」が三一・二%、「人手不足だから」が三〇・二%等の回答が多く、「残業手当や休日手当を増やしたいから」は三・九%にとどまっておりまして、こうした点からも、御指摘に当てはまる向きは少ないのではないかと考えているところでございます。

井坂委員 続きまして、残業でもう一点、三六協定について伺います。

 平成二十五年の労働時間実態調査というもので、三六協定を実際に結んでいる事業所は全体の五五%だったということであります。これは、裏を返せば、残りの四五%というのはほぼ違法であると見て間違いないのではないかというふうに思うわけでありますが、こうした四五%の事業所が違法である可能性が高い実態を早急に是正すべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 言われるとおり、労働時間総合実態調査、これによりまして、三六協定を締結していないという事業者が四四・八%、こういう数字が出てきております。

 この中において、時間外労働等がないというものも結構あります、多いです。一方で、言われるとおり、三六協定があることを知らないというような方々もおられて、三六協定を知らないという方々は、これは違法の状況の中で働いているという場合があるわけでありますから、こういうものはしっかりと是正をしていかなきゃならぬわけでありまして、これに対して対応をしっかりやっていきたいと思います。

 ないというのは、そもそも零細等々の会社といいますか工場といいますか、そういうところでは、パートさん中心に、ほとんど職員がパートさんというようなところが結構あるんですよ。委員は地元がどこかわかりませんが、私の地元なんかには結構あられます。

 そういうところは時間で動いておりますので、そもそも時間外労働をやっていないというような会社も結構あるものでありますから、全体として、全てが違法だという話じゃなくて、そういうものもかなりその中に入っておるというふうに御理解をいただければありがたいというふうに思います。

井坂委員 かなり多いのかどうかは、ちょっと本当にそうかなという気もするんですが、要は、社員誰一人も一時間も残業していない場合であれば三六協定を結んでいなくても違法でないということですが、本当にそういう企業がこの四五%の結構なボリュームを占めるのかというと大変疑問があるところであります。

 加えて、この三六協定で残業時間月四十五時間以下で締結しているという企業が全体の九九%、実際に一カ月の法定時間外労働が四十五時間を超えている労働者が一人もいない、三六協定の範囲内で全員おさまっているという事業所が八九%というふうに結果を伺っておりますが、私の実感からすると、これはもう事実と随分かけ離れた調査結果ではないかなというふうに考えますが、本当に、世の中の会社は、もう九九%が四十五時間の三六協定、八九%が実際に四十五時間を超えている労働者は一人もいない、こんな実態になっているのでしょうか。参考人に伺います。

中野政府参考人 御指摘のような状況で、数字は御指摘のとおりでございますが、この調査は、実は、全国の労働基準監督署の監督官が実際に現場に入って、もちろん、対象の事業場の選定は業種別分布や規模別分布等を勘案して決定しておりまして、これをもとに無作為に抽出するということで選んでおりますが、全国の労働基準監督官が実際に事業場を訪問して、いわゆる調査的監督という形で行っているものでございまして、この数字は実態を反映しているものというふうに考えているところでございます。

井坂委員 私、二十代、三十代と周りの友人をいろいろ見聞きしてまいりましたけれども、それは、月四十五時間の残業というと、一日平均二時間、多い日、少ない日があったとしても一時間から三時間ぐらいということだというふうに思います。五時か六時に終わるとして、では、もう本当に七時、八時にみんな帰っているのかといったら実際そんなことは全くないわけで、それはもう、夜、電車に乗られてもすぐわかると思いますけれども、普通に、九時、十時、十一時、十二時まで働いている会社勤めの方は山ほどおられるんだというふうに思うんですね。

 この辺、本当に実態を反映されているのか。また、あるいは、いわゆるサービス残業みたいな感じで二時間だけ残業をつけて、あとはもう個人の裁量で勝手に残っているんだみたいな扱いに逆になっているとしたらさらに問題ですし、このあたり、にわかには信じがたい数字だなというふうに思うわけです、この四十五時間をほとんどみんなが守っているという話は。

 もう一つ、似たような話でお伺いをいたしますが、医師や看護師、これは労働時間が長いということはこの委員会でも再三問題になっているところです。この医師や看護師は労働時間が長いわけですが、病院は病院でやはり三六協定を結んでいる。

 でも、これは、真面目に考えたら、全部の病院が、月の残業時間八十時間、百時間、百五十時間、これぐらいの三六協定を結んでいないと、とても理屈が合わないというふうに思うわけでありますが、こういう協定で各病院さんは結んでおられるのか。参考人に伺います。

中野政府参考人 平成二十五年度の労働時間等総合実態調査によりますと、病院と福祉関係事業場等を含む保健衛生業でくくっておりますので、病院だけを取り出した数字はちょっとないんですが、その保健衛生業におきましては、特別条項つき三六協定を締結している事業場一一・六%のうち、一カ月の延長時間が月八十時間超の特別条項つき三六協定を締結している事業場は五・六%というふうになっております。

 なお、今も申しましたように、病院に限定した三六協定の締結状況はこういうくくりですから把握しておりませんが、職業別の労働時間を見ますと、週労働時間が六十時間以上の雇用者割合、医師は三八・一%と非常に高くなっております。全体平均が一一・六%でございます。看護師は、恐らく夜勤が多いことが影響しているのかと思いますが、六十時間を超えている労働時間の割合は四・九%、こういう実態になっております。

井坂委員 週六十時間働いているお医者さんが結構な割合でおられる。週六十時間ということは、週に二十時間の残業があって、月で八十時間以上の残業ということで、これは過労死基準だということであります。

 三六協定が本当に有名無実化しているのではないかなと思うのが一つと、それから、冒頭にわざわざ、そもそも論を大臣にお伺いしましたけれども、何のための労働時間規制なんですか、労働者の健康のためだと。だったら、特例があるから合法なんだといったって、これだけ週六十時間働くお医者さんがかなりの数いるということを放置していたら、そもそもの立法趣旨に根本から合わないというふうに考えるわけであります。

 特に、お医者さん、看護師さん、これは民間企業とまた違って、厚労省の管轄のど真ん中でこういう働き方が常態化をしていて、三六協定、特例だから青天井なんだといったって、そもそもの労働時間規制を守る気が本当にあるのかという気がしてしまうわけですが、所管の大臣として、いかがですか。

田村国務大臣 人の命を預かっておられる御職業の方々であります。そういう意味では、なかなか実態は厳しいものがあるわけでありますが、一方で、今ちょうど参議院の方で議論が始まりました、例の医療介護総合確保推進法、この中においても、医療の勤務環境改善、これを行うために支援センターを各県につくって、今のような問題も含めて、雇用というもの、医療現場での労働というもの、環境というもの、こういうものをどのような形で整備すれば勤務の環境の改善になるかということも含めて議論を始めていこう、そういう内容でございます。どうか、その点は御理解をいただきたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、この国は働き過ぎだとよく言われておりますので、我々といたしましては、やはりワーク・ライフ・バランスということを考えれば、ゆとりを持ったそういう生活をしていただけるような、そのような労働環境というもの、これは医療だけではなくて他の産業も含めて、しっかりとそのような環境をつくれるように我々はこれからも努力をしてまいりたい、このように考えております。

井坂委員 時間が参りましたので終わりますが、望まない方が必要に迫られてそういう過重な労働、しかも厚労省のど真ん中で続けておられる。一方で、一定もっと自由に働きたい、働くときはがんがん働きたい、こういう方向けの自由な労働制度がなかなか規制が緩和されていかない。二重の意味で、もう少し考慮の余地があるのではないかなというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 最初に伺いたいのは、本法案は、労働契約法第十八条の特例が中心となった法案であります。なぜ、労働契約法の一部改正ではなく、特措法として提案されたのでしょうか。

中野政府参考人 昨年の臨時国会で成立いたしました国家戦略特区法附則第二条におきまして、労働契約法第十八条に定める通算契約期間のあり方に加えまして、労働契約が適切に行われるために必要な措置についても検討を行って、所要の法律案を平成二十六年の通常国会に提出することを目指すこととされたところでございます。

 これを受けまして、本法案では、対象となる労働者について、労働契約法十八条の特例を設けるだけでなく、労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置についての計画を事業主が作成し、厚労大臣が定める基本指針等に照らして適切なものとして厚労大臣の認定を受けた場合、特例の対象となる仕組みとしているところでございます。

 こうした内容を一体的に規定するため、労働契約法の改正ではなく、対象となる有期契約労働者に関する特別措置法という法形式をとったものでございます。

高橋(千)委員 余り答えにはなっていないかと思うんです。経過はもうみんなが承知のことでありますけれども、だからといって、なぜ特措法なのか。私は、このつくりからいうと、むしろ時限立法にした方がいいんじゃないかと思っているんです。

 なぜかというのを続けて質問したいと思うんです。

 労働契約法の第十八条は、ずっと議論されているように、有期雇用契約を二回以上反復して五年以上たった場合、労働者の申し込みによって無期雇用に転換するみなし規定を置いているわけであります。

 昨年の臨時国会、研究開発促進法の改正並びに大学の教員等の任期に関する法律の改正が、文部科学委員会によって審議をされ、成立をいたしました。大学の研究職に限って、同様の無期転換ルールの特例を図るものでありました。

 十一月二十九日、衆議院文部科学委員会で、我が党の宮本岳志議員の質問に対し、提出者は、「これはそもそも、通常の民間企業の雇用とは違う、大学や研究開発の現場という特殊な性格を持った現場に限定をした話でございます。」こう答えています。

 そこで、さらに、資料の一枚目の上段にあるように、今言った発言を担保する形になっているんだと思うんですが、この委員会は附帯決議をしているんですね。その一で、「本法で労働契約法の特例措置を講じたことは、あくまで例外であることを踏まえ、その趣旨に反して他の職種にも適用されることがないよう十分留意すること。」「二 雇用労働政策の決定や法律の制定改廃は、労働政策審議会の議を経るというこれまでの原則を変更しないこと。」

 だから、よく解釈すれば、あくまで例外なんだから労働契約法という名前を使いたくないというのが皆さんの中にもあるのかもしれない。だけれども、これはおかしいですよね。そもそも文部科学委員会はこの法案の所管ではありません。自分たちは労政審も経ずに勝手に特例措置を決めながら、これはあくまで例外であって、ほかの職種については適用するなと言っているじゃないですか。今後は、やるときはちゃんと労政審を開いて決めなさいと。

 大臣、これはおかしく思いませんか。

田村国務大臣 どの法案をどの委員会に付託するかというのは国会がお決めになることでございますので、政府として、それに対して物を申すというのは適当でないというふうに思っております。

 今般の法律は、中身を見ましても、研究開発力強化法というものを議員立法で改正されているということ、それから、先ほど委員もおっしゃられましたけれども、研究というような分野で活躍される方々というのは、一般の民間の企業とは異にする働き方というような形もあるわけでございまして、そういうところを鑑みながら、労政審に対しては経過や法案の概要というものを説明するということであったわけであります。

 ただ、我々も、労働というもの、雇用というもの、こういうものに関するいろいろな法律の改正等々、これに関しては、大きな制度改正も含めて、労働政策審議会のもとで御議論をいただくことが前提であるということは変わっていないわけでございまして、これからもそういうような方針で対応してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 まず、国会が決めることだとおっしゃいましたけれども、それは仮に、今言ったように、研究職である大学の特殊な場面についての特例措置であるという仕切りを、政府としてやったんならいいんですよ。閣法だったら閣議決定ですから、大臣がその閣議決定に責任を持つじゃないですか。所管は文部科学委員会であっても、関係する厚労大臣として認めますということで閣議決定をして案を出すわけでしょう。

 だけれども、これは、そういうのを抜きにして、議員立法ですから、やはりそこは、議員立法で国会が決めたんだからそれはできるんだといったら、幾らでも例外をつくれちゃいますよ。名前は、特措法であったり、基本法であったりして、労契法はさわっていないという形をとりながら、穴をあけることができちゃいますよ。私は、こういうことはやはり安易にやるべきではないと指摘をしたい、このように思います。

 しかも、今御自分で、民間企業とは違うと、これは提案者が答弁したことですけれども、言っておきながら、今議論しているのは民間企業の契約法の話をしているわけですから、そこで、ここだけ違うのよということでやっているこの仕組みについて、やり方について、やはり私は異を唱えるべきだ、このように思います。

 そこで、契約法は昨年四月に施行されたばかりです。実際に無期転換ルールが初めてできるとしても、五年後、二〇一八年、平成三十年なわけですよね。そうすると、労働契約法は、そもそも、今読んだ資料の下の段に検討規定がついています。政府は、附則第一項ただし書きに規定する規定の施行後八年を経過した場合において、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、必要な措置を講ずるということで、検討規定を置いていますよね。

 五年たたないと無期転換というのは生まれないんだ、生まれてから三年たって状況を見て検討しましょうねと言っているわけでしょう。だから、まだ実績もなく、しかも検討規定もあるのに、なぜ今、特例なんですか。

田村国務大臣 労働契約法第十八条、これの施行後でありますけれども、国家戦略特区ワーキンググループにおきまして議論がなされまして、部内で検討をいろいろとやってきたわけであります。これに関しましては、一定の高度専門労働者に関して、国会に対して法案を提出するようにというような旨の内容でございまして、労働政策審議会で御議論をいただいて、高度な専門知識を持っておられる方々、さらには高齢者等々、これは継続しての話でありますけれども、こういう部分も、これは事業主の方からお話があって、一定の合意を得た上で、今般のような形で法案提出という形になっておるわけであります。

 無期転換ルールというものは、この精神は維持しつつ、特例という形で、今般出させていただいておるということでございますので、無期転換ルールの趣旨、精神というものを曲げておるわけではないということでございまして、特例という形の中において、今般、このような対応をさせていただいておるということであります。

 なお、施行後に関しましては、またそれは一定の検証をしながら、その影響というものに関してはしっかりと我々としても検証してまいりたいというふうに思います。

高橋(千)委員 本来なら、見直し規定まで置いているものを、国家戦略特区法で、特例をつくること、またその期限まで決められたわけですよね、今国会でやりなさいと。これは労政審をちゃんと開いて決めなさい、そこまで縛られたということでは、私は、この成り立ち自体が非常に乱暴な議論だと指摘をしたいと思うんですね。

 それで、国家戦略特区ワーキンググループの八田座長提案では、特区内の適用対象に限り、無期転換しない約束を可能にするということを言っているんですね。これは十月四日のペーパーなんですけれども、どういうことかというのを、九月二十日の産業競争力会議課題別会合の中でもう少しわかりやすく言っているんです。要するに、五年たって無期転換が発生するときに云々ではなくて、契約を締結するときに、五年を超えた際の無期転換の権利を放棄することを認める、これにより、使用者側が無期転換の可能性を気にしないで有期雇用を行える、こういうことを言っているわけです。だから今から決めておけと言っているようなものですよね。

 これは明確に否定されたと思いますが、確認をします。

中野政府参考人 今先生御指摘のような議論があったことはそのとおりでございまして、そのような議論を経て、昨年秋の臨時国会で国家戦略特別区域法が成立し、その附則によりまして、今般出すような内容の法律を今通常国会に出せということでございましたので、今般、我々が提案しておりますように、高度の専門知識を有する有期契約者であって一定の年収要件をクリアするもの、それから定年後引き続き雇用される高齢者について特例対象にするという内容としたものでございます。

高橋(千)委員 聞いたことに答えていないでしょう。契約を締結するときに、最初から無期転換の権利を放棄するということはしないと明確に否定したはずですよねということを確認したいんです。

中野政府参考人 そういう意味では、そういう考えは否定した上で、今国会に提出している法案内容になっているものというふうに承知しております。

高橋(千)委員 承知をしておりますって、厚労省がきちっと特区法の中で、ちゃんと答えているわけでしょう。それをちゃんと言ってくださいよ、なぜだめなのかということを。

中野政府参考人 そのときの議論でも我々申し上げておりましたのは、あらかじめ放棄しないと契約を結んでもらえないということで、本当に自由意思のもとでそのようなことができるかどうかに問題があるということで、我々はそのような法制度をつくるべきでないという主張を議論してきた経緯がございます。

高橋(千)委員 「労使の交渉力の格差を背景として使用者が事実上その権利放棄を強要する状況を招きかねず、労働契約法十八条の無期転換のルールの趣旨を没却するものであり、こうした有期契約労働者の意思表示は、公序良俗に反して無効と解される」、このように特区法の審議の中で厚労省がお答えになっています。

 やはりこれを厚労委員会に残さなければ、特区の議論じゃないんですよ、そこが大事なんだと。絶えずこれは、この先々を見越しての提案がされているという背景がある中で、きちっと形を残しておくということが大事なのではないかということで、重ねて指摘をさせていただきました。

 そこで、大臣に、私、通告していなくて申しわけないんですが、大臣が述べたことについて一言言いたいことがあります。悪い意味ではないですので、大丈夫です。

 九月二十七日の第一回産業競争力会議フォローアップ分科会、言ってみれば厚労大臣が集中砲火みたいな、有期雇用、解雇ルール、労働時間法制の雇用三本柱、まあ医療もありましたけれども、集中的に規制緩和を迫られたという中で、大臣が踏みとどまっているのではないかと私は思っております。

 そのときに八田座長から、グローバルな企業が有期労働者を五年過ぎても雇いたいし、本人もそうしたいと思っているのに、正規雇用で長く雇うことはできないからと五年を前に解雇された、こういう事例を紹介して、事前に五年を延ばせると、今言った議論ですよ、今言ったように最初から決めておけば、誰も損しないじゃないかと発言があって、大臣は、本人も納得して事業主も納得しているんだったら、申し込まなければ無期転換にならないんだから、五年を超えても有期のままでいいという返事でしたよね。

 これはまさに正解なわけですよ。何でこんなことであの方たちは議論しているのかと思わず言いたくなるんですが。

 もっと言えば、何で、まだ五年たっていないのに、五年を前に解雇するのか、これは便乗雇いどめだと突っ込みたいところでありますが、余りにも労働法の成り立ちを無視した議論をし過ぎです。しかも、そもそも解雇規制に対しても、判例法理自体を、裁判所が立法するわけでないなどと否定をしている。

 幾ら何でも、大臣、これは譲ってはなりません。これは応援の意味で質問していますが、一言どうぞ。

田村国務大臣 どこに行っても集中砲火を浴びておりまして、大変つらい立場でもあるんですが。

 それは私の素直な厚生労働大臣としての気持ちといいますか、まあ当たり前の話なんですけれども、それを申し上げただけでございまして、今もってそのときの考え方が変わっているわけではございません。

高橋(千)委員 しっかりとお願いをしたいと思います。

 ただ、呼ばれなければ困るという議論がさっきからされているわけですが、最後は大臣同士で決めることだということをおっしゃっていましたので、最後までしっかりと頑張っていただきたいと思います。

 そこで、特例の対象となるのは、三十日の委員会で、約一万一千人という答弁があったわけでありますよね。これはどういうことかというと、国家戦略特区で示された年収要件一千万円以上は大体二・一%、高度技能活用型は三・六%、これは掛けなきゃいけないわけですよね。そうすると、全体の〇・〇六%にすぎないわけです。

 ただ、この方たちが全て五年を超すプロジェクトに従事するわけではないから、さらに絞られることになるのではないか。

 もともと、有期契約は原則三年を上限とする、それを例外的に五年と認める人たちが、今話題となっている高度の専門的知識を有する労働者なわけですよね。ですから、もともと例外として認められている方たちなんですから、同じように、あらかじめオリンピックのような期間の決まっている事業として、七年なら七年という契約を認めるというように、この特例の世界で対応すればいいんじゃないでしょうか。

中野政府参考人 ただいま先生の御指摘は、一回の契約で、恐らくそういう御趣旨だと思いますが、今回の法案で特例の対象とするのは、有期契約を繰り返して五年を超えて一定の期間に終了するプロジェクトに従事する、こういうケースでございますので、プロジェクトのそれぞれの進捗状況等によって適切に能力を発揮するためには、そのような種類の類型の働き方も必要であろうということでこの特例措置を提案している、こういうことでございます。

高橋(千)委員 私は、本当に期限が決まっている、そしてその人材が必要である、そうであれば、こういうことも可能だよねということを確認しました。

 もう一度。

中野政府参考人 一回の契約では、労働基準法によりますと、十四条で、三年が原則、それで一定の高度専門家は五年というのは、先ほど先生御指摘があったとおりでございます。

 それで、一定の事業について、終期がある場合、例えばダム工事などが典型でございますが、そういう事業の終了で、場所的概念としてその事業がなくなるようなケースにつきましては、その事業の完了までの有期契約、それは五年を超えても有効と解されるような規定は労働基準法にございますが、この法案で提案しておりますような形のものは、新たな法的枠組みをつくらないとできないものというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 私が言っているのは、まず、終期が決まっているのにはそういう対応ができる、だけれども、やはり細切れ雇用、要するに、一回の七年という雇用ではなくて、一年契約を結んでいって、成果を見ながら、そういう気持ちがあるから、これではうまくないんだということをおっしゃっているんだと。わかるんです、それは。

 だけれども、さっきから言っているように、〇・〇六%掛けるさらに何%かのレアケースであるわけだから、そこだけのために本当にこういう法律をつくるんだろうか。本当に必要であれば特例でちゃんと認めればいいだけであって、これをやはり、最初は限定的なんだけれども、法案成立後につくられる省令で、年収要件や業務というのは結局省令に委ねることになりますから、広げることになりませんか。

中野政府参考人 省令に委ねる高度専門知識、技術または経験の具体的な要件につきましては、現在、労基法十四条に基づく、先ほどもちょっと議論になりました、一回の労働契約期間の特例の対象の高度専門家の例を参考に、法案成立後、労政審において検討することとしておりまして、その際には、対象者全員に年収要件を課すこととしておりまして、これは一千七十五万円をベースに検討。

 いずれも、こういう考え方につきましては、本年二月の労政審建議で示された労使の共通理解に即したものでありますので、対象者が必要以上に拡大するような事態を招くことはないというふうに考えております。

高橋(千)委員 そうすると、これも見なければ確実だという担保はされない、法定をしていない限りはということを指摘したいんです。

 次に、一定の期間の終期を契約書に明示するのか、つまり、何年とか終わったときという表現ではなくて、いついつという、何月とか、そういうふうな表現なのかというのを確認します。

 仮にそれが十年後だったとして、十年後の何月何日と日付が明記されたとしても、そこまでずっと雇用が約束されたことは意味しませんよね、確認をしたい。

中野政府参考人 まず、高度専門職を対象とする第一種計画においては、プロジェクト等の業務の開始日、御指摘の終了の日を記載する必要がございます。

 それから、同時に、法案成立後、紛争を未然に防止する観点から、労働基準法施行規則を改正いたしまして、認定を受けた事業主は、特例の対象となる労働者に対しまして、労働契約の締結、更新に際し、無期転換申込権発生までの期間等を書面で明示することを義務づける方針については、労働政策審議会でコンセンサスを得ているところでございます。

 無期転換申込権発生までの期間は、あくまでも有期労働契約を反復更新してきた通算契約期間でありますので、御指摘のように、十年間の雇用が保障されるという意味ではないということでございます。

高橋(千)委員 改めて大臣に聞きたいんです。

 さっきの答弁でもそうだったように、結局、終期があるものだと言っていて、しかも、終期を書いていても、そこまで確実に雇用が約束されたものではない。つまり、契約はやはり更新を重ねていくわけですよね。

 そうすると、その細切れの反復更新が、今までは五年、五年も繰り返されたんだから無期転換しようねという議論をしてきたのに、それが倍になるかもしれない。つまり、不安定な時期がさらに続くことになるわけですよね。そういうことについて、どのようにお考えですか。

田村国務大臣 今もお話ありましたけれども、高度な専門知識でありますとか、技術でありますとか、また経験、要は、一定の国家資格でありますとか一定の経験に基づいた、例えば、年収要件もありますけれども、システムコンサルタントでありますとかデザイナーだとか技術者、こういう働き方の方々がプロジェクトの中で働かれる、そのプロジェクトがなくなれば、そもそも、自分がやりたい、働く仕事自体がなくなるわけでありまして、にもかかわらず、長期の労働契約という話になると、違う仕事をやらざるを得ないわけであります。

 本人は、その専門職種で、自分でスキルアップをしながら、ブラッシュアップをしながらより高い能力をつけていきたいという方々が対象であるわけであります。そのために、その能力に適したような雇用管理の措置をしなければならないということでございますから、そのような意味で、企業は、一方で、例えばセミナーを受ける等々あれば、そういうものに対しての支援でありますとか、また、自己啓発のための休暇等々も含めてとっていただくというような対応もしていただかなきゃならぬわけであります。

 そういうことを含めますと、やはり、そういう方々が選ぶような形態の働き方だというふうに御理解をいただければありがたいというふうに思います。

高橋(千)委員 別に、さっきの、大臣が産業競争力会議で議論をしたように、お互いが納得すればという議論だってあるように、これだって、終期があるんだ、仕事が決まっているんだというのがわかっているのであれば、無期雇用にしたとしても、本人は、ここでやめたいと言う権利はあるわけです。労基法にちゃんと労働者の権利は認められております。また、使用者側だって、仕事がなくなったんだということで、合理的な理由があれば、それは解雇ということだってあり得るわけですよね。

 それを、そこは避けたい、そこは避けたいけれども、一年間の契約更新はやはりやっていくんだということでは、それは、延びた期間が、プロジェクトが終わるまでの間安心できるという意味ではないということが言いたいわけですよ。それは事実ですよね。

田村国務大臣 あくまでもプロジェクトというものにこれは着目しております。例えば、それ以外にもその会社に同じような職種があって、そこで働いている方々がおられる場合もある。しかし、これはあくまでプロジェクトということにおいて雇用をしておるわけでございます。

 そういう点に着目しているところから、そのまま、先ほど言いましたように、一回の労働契約の延長というようなもの、こういうものの特例でありますけれども、これなんかの場合も、実際問題、そこに職場がなくなるからそのような形があるわけでありまして、今回の場合は、同じ職場であってもプロジェクトというものを組んだときに、そのような形が使えるのを、どう工夫して新たな働き方として特例をつくるかということでございます。

 そのような観点から考えれば、雇う側にしてみれば、やはりプロジェクト。御本人も初めはプロジェクトですけれども、その職種がその会社のどこかにあるという場合になれば、そこでまたいろいろな問題が起こってくるわけであります。ですから、若干、先ほど私が申し上げたのとは違った形態であるのではないかというふうに考えております。

高橋(千)委員 ですから、使用者の側にだけ解雇というリスクを負わなくてもいい、その上で、都合のいい時間だけ雇うことができる、そういう側に立った議論じゃないか。お互いによければ、本人だってそのときにやめることができるんだからということを指摘しているんですよね。プロジェクトだからいいんだという議論ではないし、本人の不安が消えないということは、消えないというか、これまでよりもふえるということは、やはり指摘をしなくちゃいけないなと思うわけです。

 本来は、さっき言っているように、三年という期限があり、あるいは例外だと五年という期限が労基法であるわけだけれども、それを長期に反復雇用してきたことを是正するのが目的だったはずなわけです。

 だけれども、前回の労働契約法の改正というのは、半年間のクーリング期間を置けば、五年を超えても実は雇用できるということが出されたわけですよね。しかも、必ずしも半年ではない。つまり、一年間の契約であれば半分で半年なんだけれども、もっと短い契約であればその半分でよいということ。つまり、六カ月の契約であれば三カ月でいいということで、細切れ雇用をすれば、細切れを重ねていけば、要するに、ちょっと休めばまたずっと有期で雇うことも可能だ。そこまで変えちゃっているんですよ、今回の契約法というのは。

 その上さらに特例まで必要ないじゃないかということを重ねて聞きたいんですが、どうですか。

中野政府参考人 クーリング期間の御指摘については先生御指摘のとおりでございますが、今回の法案における特例は、クーリングを行わず、同一の使用者のもとで有期労働契約を繰り返し更新した場合における無期転換申込権発生までの期間について、特例を設けるものでございます。

 こうした特例が設けられなければ、プロジェクトの終期が不確実な場合もある中で、プロジェクトの進捗状況や成果に応じて高度専門職を雇用し、その能力発揮を前提とした事業遂行を確保することは困難であると考えられます。また、クーリングにより労働契約を締結しない期間を設けることは、事業継続や雇用の安定の観点からも問題を生ずることになろうかと思います。

 このため、本法案による労働契約法の特例は、一回の有期労働契約の期間を定めるものではなくて、労働者の特性に応じた能力発揮ができるよう、適切な雇用管理に関する特別の措置とあわせて、無期転換申込権発生までの期間の特例を設ける、こういうものでございます。

高橋(千)委員 時間が来たので、残念ながら言い切りにしますけれども、ですから、そういう指摘もあって、さまざまだけれども、しかし、みなし規定というものを残した。だから、その様子を見ましょうということで見直し規定を入れたんじゃないですか。それをやってもみないうちに、一人も無期転換をされていないうちにこの特例が始まるということが、私はどうしても承服できません。

 前回の法律をつくったときに、三割、三百六十万人が無期転換になるであろうということが言われてあったんですね。事業所の調査の中で、四割の企業が何らかの形で無期にしていきたいと答えていますし、そのうち一%は、もう契約の最初から無期にすると答えています。非常に前向きだと思うんですよね。

 つまり、本当に必要であれば、別に五年を待たずに無期転換をすればいいのであって、そういう努力をしているところがあれば、まさにそういうところにこそ応援をするべきだと思います。

 今の労働行政をめぐる議論は、原則は先送りして例外は前倒し、いつの間にか例外が原則になる、こういう傾向が非常に強いと思って、重ねて、許されない、反対であるということを指摘して、終わりたいと思います。

後藤委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 阿部知子です。

 きょうは、中島委員を初め与野党の委員の皆様並びに委員長に特別の御配慮をいただきまして、三十分、質問時間をいただきました。ありがとうございます。

 なるべくこの法案に即してお尋ねをしたいと思いますが、この法案の審議にあっては、やはり今の安倍内閣の考えられる労働法制全般の、私は改悪だと思いますが、改革、その船がどこに行くのかという見通しがないままに、山井委員がお尋ねになった残業代ゼロ、そう言うかどうかは別として、労働時間の規制を外すということで、これはかなり大きな改正になることであります。

 過労死などの問題も含めて、我が国では、ILOの一号条約が八時間というところですから、それに始まって、時間規制は一切、実は国際法上では批准していないわけで、労働基準法の三十二条で、一応、労働時間規制のところにありますけれども、逆に言うと、時間規制がちゃんとやられていれば過労死は起こらなかったはずである中で、さらに時間規制を外そうということで強い反対があるんだと思います。

 今問題になっている有期雇用の問題は、私はこれは永遠の有期雇用と名づけて、何を言っているかというと、やはり、これだけ有期で頑張れば次は無期になるかもしれないと期待をしながらみんな頑張って、でも、それがどんどんどんどん遠のいていく、そうした永遠の有期法になりかねないと思います。もう一つ、派遣法の改正もあって、これは何でも派遣と。もう何でもかんでも派遣。

 これだけそろうと、一体、我が国は、ワーク・ライフ・バランスと呼ばれているけれども、どんなワークの仕方を理想として、そこでライフ、生活との兼ね合い、あるいは、どんな生活を理想としてワークとの兼ね合いをするのかがもっと明確でないと、国民には非常に、ただ単に労働規制がずたずたにされていっているという暗い未来しかイメージできないと思います。

 よく言われるオランダ・モデルなどは、ワークシェアして、パートの働き方でお互い家庭生活を重要視する。そういうふうに進むのか、あるいは、ここで言われる能力のいいとこ取りをして、どんどんそこで逆にスピードアップして、それを使い尽くしていくのか。本当に根本に立ち返って考えていただきたいなと思います。

 質問の一点目は、果たして、この無期契約をある意味で放棄させる労働契約法の十八条の例外、枠外、らち外とすることは、労働者にとってはどんなメリット、この法案はそもそも労働者にとって何が売りなんでしょう、何がメリットでしょう、大臣に伺います。

田村国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、いろいろな経済の環境が変わってきまして、プロジェクトでいろいろな仕事をする分野がふえてまいりました。これは、国内企業が海外へ行って、プロジェクトで仕事をする場合もあります。ある意味、国際競争力という意味からすれば、世界と競い合っている部分もあるのかもわかりません。経済が高度化する中でいろいろなプロジェクトもできておる。

 そのプロジェクトというもので、日本でそれをしっかりと雇用に結びつけていこうと思うと、そのプロジェクトという中においての働き方、本来ならば会社をつくればいいのでありましょう。会社をつくって、その仕事が終わればその時点で会社がなくなるということになれば、そこで働いている方々は、当然、自然とその時点で労働契約はなくなるわけでありますが、そういうことがなかなか頻繁にはつくれないという中において、プロジェクトという働き方の中において、専門的な知識というもの、また、能力というものを生かしたい方々がおられる。

 企業の中で、他の働き方というものを選ぶわけではなく、その専門職の中で頑張ろうと言われる方々が、自分の能力をブラッシュアップしながら、また、それを伸ばせる機会を得ながら、そのようなプロジェクトの中において力をつけられて、また違うプロジェクト等々に移られる、もしくは、それを恒久的にやられておる企業があれば、そこに正規社員として、高まった能力をもとに雇用されるという方もおられるでありましょう。

 でありますから、そういうような意味での働き方という意味で、今般、特例として提案をさせていただきました。

 ちなみに、商品開発でありますとか、海外への販路の開拓でありますとか、また、海外プラント、こういうところでニーズがあるというようなお話は我々も聞いております。

阿部(知)委員 名づけてプロジェクト転々法案ということかもしれません。

 さっき清水委員の御質問にもありましたけれども、最も労働者としての能力がある例えば三十歳から四十歳、この十年をそのプロジェクトにはまったとして、その後、どこかに八そう跳びできるかどうかということは、本当に運よくそういうプロジェクトがそこにあればいいですけれども、今大臣は、そういう事案もございますというふうにおっしゃったやに聞きましたが、私は、そういうふうにおっしゃるなら、せめて、さきの平成二十四年の改正のときに厚生労働省がなさった実態調査、こんなに厚い、労働者側と企業側、両方にアンケートを大変に細かくとっているんですね、立法背景、ニーズがどこにあるんだろうかということを実態調査すべきだと本当に思います。

 この法案は、さきの改正がまだ一回も実施されていないのに、急に、五年での無期転換をまたさらに遠くするよと言っていることであります。

 大臣にお願いがあります。

 そのような長期のプロジェクトのニーズはどのくらいあるのか、これを、事業主側でも構いません、あるいは労働者側は、五年で有期はもういい、なるべく無期になりたい、はっきり言って無期になりたいという方の方が大半です。全部とはもちろん申しません。そうなると、一体どんなものを念頭に置いて、実態を、背景を言っていられるのか。これに次ぐ第二次実態調査をなさっていただきたいんですが、いかがでしょう。

田村国務大臣 この対象となる高度な専門能力を持っておられるそういう方々とはどういう対象者かというのは、先ほど来お話ししておりますが、労働基準法第十四条の、一回の労働契約期間の特例、こういう方々を参考にして労政審で話をするわけであります。

 ここは、国家資格等々を持っている、それから、一定の経験年数があって云々というところで、一定の経験年数があって云々のところは、一千七十五万だったと思いますけれども、所得要件を設けております。

 これも参考でありますが、今般は、その所得要件は全部にかけるということでありますから、かなりの高収入をもらっておられる方が対象でありますから、やはりそもそもが、それなりの能力を持って、専門的な力を持っておられる方であるわけでありまして、そういう意味からいたしますと、そういう方々は今どれだけおられるのかといえば、それは何万人もおるわけではないと思いますが、一方でそういう働き方がふえてきておるということは、これは委員も、今の日本の国の働き方、特に海外といろいろなものを競争力で争っている中においては、御理解いただけるんだと思います。

 そういう意味で、かなり交渉力のある方であるということは御理解をいただく中において、その能力を高めることによって今度は、それを専門でやっているところに、当然のごとく、有能な方々はうちでずっとやってほしいという話にもなってくるわけでございまして、御本人が能力をつけていく中で次のステージというものに上られる、そういう働き方だというふうに御理解をいただければありがたいと思います。

阿部(知)委員 大臣の、こうあってほしいという思いはわからないではありません。

 私がお願いしたのは、現状、そういうプロジェクトが実態として、ニーズとしてどのくらいあるのかを把握した方がいいですよと。これは、さきに申しました二十三年九月に出された報告書のときは、事業所も労働者も調べているんですよ。労働者は何年くらい有期を続けたいか、あるいは事業所はどう考えているか等々、本当にそんなプロジェクトがあるのかどうかということでお尋ねをいたしました。

 次の質問に行かせていただきます。

 これは、基本指針をつくって、基本計画をつくって、個別の労働者との労働契約を結ぶという法の体系をとっております。基本指針には労政審がかかわりますし、基本計画も、それにのっとったものであると厚生労働大臣が、あるいは労働基準監督署がでしょうか、認定をされて、でも、実際にそこにはまってみた労働者にとって、これはやはりちょっと話が違うんじゃないかと思ったときは労働基準監督署に言っていく、そこで初めて、そのプロジェクト自身が本当にこの労働契約法の中身に合っているのかどうかがチェックされるという枠を持っています。

 でも、逆に言うと、厚生労働省としては、労働者が、おかしいよ、これは違うんじゃないのと言い出さない限り、みずからプロジェクトの成り行きなり、これはちょっと違う方向じゃないかというようなことをチェック、検証する機能は全くありません。労働者が言い出せるかというと、例えば不満を言った有期労働者に対して、かなり何回も、頻回に起こっていることですが、次の契約をしないとか、ここが有期労働者の弱いところであります。

 そうなると、こういう枠組みをつくられるのであれば、厚生労働省、大臣が、プロジェクトの成り行きを、単に報告を受け、あるいは労働者から争議が上がってきただけじゃなくて、むしろ、経過をきちんとチェックするような前向きな、監査とまでは申しませんが、きちんと立ち入るとか検討するとかなさったらどうでしょうか。いかがでしょう。

中野政府参考人 事業主が作成いたします雇用管理に関する措置の計画については、厚労大臣は、計画の実施状況について事業主から報告を求めることが可能となっております。

 また、労働基準法施行規則を改正いたしまして、認定を受けた事業主は、特例の対象となる労働者に対しまして、労働契約の締結、更新に際しまして、無期転換申込権発生までの期間等を書面で明示する、ですから、自分はいつ無期転換申込権が発生するかということがわかるような形、そういうことを義務づける方針について、労働政策審議会でコンセンサスを得ております。

 ですから、こういうことを通じて、労働者から申し出があれば、労働基準監督署に権限を落としますが、そこで実態に合わなければ認定を取り消すことができます。取り消した場合は効果が原則に戻りますので、そうした手段によって労働者保護は図れるというふうに考えています。

阿部(知)委員 局長、わかっていて重要な部分をはぐらかしたんだと思いますが、労働者が言っていかなければ事態がおかしくなっているということが発見できない仕組みじゃおかしいよと私は言いたいんですね。

 今の御答弁は、突き詰めれば、労働者が労働基準監督署に、これはちょっと最初の計画とも違うし、指針とも違っているんじゃないのと言い出さない限り、事は何も起こらないんですよ。五年を十年にする、これだけの長い期間の、そして、あくまでも十八条に特例を設けたものに対して、もう少しチェック機能が働くべきであるという指摘であります。

 これは大臣も、きょう指摘させていただきますので。こんなやり方で本当に、さっき言った、労働者は言い出しづらいんです。それが、有期の立場の現実的に一番弱いところであります。だって、次の契約を期限切れで切ればいいんですから。そういうこともあるんだということも含めて、ここは、厚生労働省がきちんと厚生労働行政にのっとってチェックする機能を持つべきだということを指摘させていただきます。

 次に、大臣の最初のお話ですと、これはキャリアアップしていくんだからということで、あるいは年収も一千万円以上なんだからということで、それだけ聞けばいいと思いきや、私はどういう事態を想定するかというと、実は有期と無期で一番違うのは、年収要件が少々高くても、ちなみに、正社員より有期の人の年俸が高いのは、この調査によれば二割だと言われますね。でも、それはよく考えてみると、諸手当、住宅手当とかもろもろ手当がありますけれども、その差はどうなんだ。あるいは、福利厚生はどうなんだ。あるいは、例えば学会などの出張があるとします、そのときの旅費は誰が出すのか。有期で、あなたのキャリアアップのためなんだから、あなたが全部持ちなさいよ、おおむねそうなります。

 本当にその人のキャリアアップに何にお金がかかるかというと、学会だって、国際学会いろいろあります。行って、アップ・ツー・デートに自分の能力や知見を高めなければ、とてもこなせない仕事も多いでしょう。そうなったとき、単に年俸、年収だけで比べられない。もろもろの手当、福利厚生、あるいは研究、研修にかかわる費用などの大きな負担が生じるのが有期なんです。これは研究者の間でも多く、このことは大学でも指摘をされております。

 今回、それをまた民間にまで広げるわけですから、これはもしかして不利益取り扱い、相違じゃないですか、正社員と有期との。ほかの人には福利厚生がある、あるいは手当がある、学会に行くときも費用を出してくれる、でも有期だったら出さないというのは変ですよね。不利益に当たりませんか。どうでしょう。

中野政府参考人 先生ただいま御指摘の点は、労働契約法二十条の問題であろうかと思いますが、二十条におきましては、職務の内容でありますとか人材配置の状況、そういうところを勘案した上で、有期契約労働者であることによって不合理な取り扱いをしてはならないという趣旨でございますので、個々の実態ごとに判断をしなければなりませんので、一概に、今御指摘の点がどうこうというのはなかなかお答えするのが難しいというのが現状でございます。

阿部(知)委員 そんなのじゃキャリアアップもできませんよ、一概にとか言っているんじゃ。いや、そういうのは積極的に出しましょうと。それは、有期労働者の個人の財産になるようなスキルアップでも、それをも援助しましょうというならば少しはメリットはありますよ。でも、一概には言えませんという場合は、大体出しませんということなんですね。

 本当に、現実をどれほど調査されたでしょう。各会社は、有期の職員の、さっき言った単純な出張旅費でもいいです、学会の研修費用でもいいです、あるいは三カ月短期留学するときの、もちろん有給で行かれるんでしょうけれども、それでも費用は全然違うんですね、正社員で行く場合と。それだけ差があるから、少々の年俸の多さなんて実は吹っ飛んじゃうんですよ。それで、プラス十年で一番人生の旬をそこに使う。

 これは日本の労働市場にとって何がマイナスかというと、中堅の最も優秀な労働者のノウハウを会社側に蓄積できないだけじゃなくて、その人材を安定的に開花させることができないということでもあります。一概に、一般的に言わないで、実態がどうなっているか調べてごらんになればいいです。

 私は、これは大学の研究者も同じだと思います。研究、自分に与えられる費用が少ないから、今、薬剤会社とのいろいろな問題があります。特に学会出張などは大変です。有期の職員だった場合はもっとです。

 そういう現状があるので、こういうふうに永遠の有期にしないで、無期転換してきちんとキャリアアップしていただきたいと思います。

 大臣、今の点について現状を把握する、いかがですか。

田村国務大臣 どういうことを想定されているのか、なかなかイメージしづらいんですが、プロジェクトの中で、自分のところの研究者とか専門職の方も入っている、外からそういうような有期での専門職も入れているというようなことをイメージされているのかもわかりませんが。

 そもそも、その会社の中での能力アップのためのいろいろな研修費等々を含めて、学会ということがあるのかどうかはちょっと私はわかりませんが、その会社の人材活用の仕組みの中において、ずっとその方がおられる中においてつけられた能力というものを会社に還元されるというようなことであれば、言われたように、学会の旅費まで出るのか私はよくわかりませんが、何らかのものはあるのでありましょう。

 一方で、このような形でプロジェクトの中で働かれる方に関しては、その中において、その方に対してのいろいろな能力開発のための措置というものは対応いただかなきゃならないということで、そういうものを雇用管理の措置の中に入れていただく。これは、あえて言えば労働契約法二十条で言う不合理な労働契約の相違というもの、この範囲の中においてどう考えるかという話になってこようというふうに思います。

 それとは別に、今回の場合は、要は、そのような雇用管理の措置というものを置いて、持っておられる能力の特性に合わせて、それを磨くための対応というものを求めておるわけでございますから、そのように整理をしていただければありがたいというふうに思います。

阿部(知)委員 私が言いたいのは、それだったら、正規の職員としてさまざまな研修の機会をフルに担保された方が、本当に能力ある中堅の、あるいはこれから未来を開くような労働者並びに研究者が生まれると思います。

 次に、大臣も御承知のように、有期労働者の三分の二、もっとでしょうか、男性対女性、大体三分の二は女性であります。

 私は、この法案、ぱっと思ったんですね。こんな、五年が十年になったら、女性は妊娠なんかできないなと。もし女性の優秀な、上位何%かに入る人がいたとして、その期間中、妊娠は研修でしょうか、それとも妊娠は何かキャリアアップでしょうかと言われたら、違いますよね。今までだって、五年有期なら、五年は働いてから子供を産むとか選んでいた女性が少なからずいますよ。はなから女性は目にないんだなと私は思いましたね。

 これから優秀な女性がこの国を支えるとか安倍政権は言っていて、女性だったら、十年フルにそんな契約したら産めません。だって、産むことは、本当にタイトなこのプロジェクトの中でプラスになりますか。ならないでしょう、普通に考えたら、企業側から。

 なぜ、こんな抜け穴法制をして、本当に活用すべき女性たちの、まあ小保方さんもそうかもしれません、ああいう研究者の未来を閉ざすんでしょうか。私は、本気で政府が女性を活用しているなんて思えない法案だなと直観で思いました。

 大臣のお手元に資料一、見ていただきたいですが、雇用均等法で今上がってくるもろもろの問題、これは平成二十五年度ですが、いわゆる九条関係、妊娠、出産、婚姻等を理由とする不利益取り扱いと、母性健康管理に関する不利益取り扱いの相談件数がふえてきております。プラス、是正勧告を見ても、特に第九条関係で、婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いの是正勧告がこれもふえてきております。

 この事態をどう見るかですね。女性の労働者が働いていて、マタハラと言われますが、マタニティーハラスメント。いろいろありますよね。セクハラ、パワハラ、そして出産、妊娠にかかわるハラスメントも現状ふえています。

 そして、大臣、次のページをめくっていただけますか。時間がないので、二つ一緒にいきます。

 これは、そうした女性の妊娠や出産にかかわる不利益取り扱いが有期と無期で差があるだろうかということを調べたものであります。青いアンダーラインをしてありますが、第五条関係で見ると、期間雇用者の育児休業の取得と、それから、期間の定めのない方の育児休業にかかわる相談というと、これは期間の定めのある期間労働者の方が相談件数もふえており、下の、同じです、是正もふえている。

 ここに二重の、すなわち、マタニティーハラスメントは全体にふえている、プラス、その中でも非正規の、有期の皆さんはここに深刻な実態があるということであります。

 さて、これに大臣はどのように対処していかれますでしょう。

田村国務大臣 男女雇用機会均等法九条、妊娠、出産等々、不利益取り扱いでありますが、これの相談件数を見てみますと、平成二十二年度が千九百二十五件、二十三年度千九百九十件、ちょっとふえて、平成二十四年度千八百二十一件と減ったんですが、これは百数十件減ったんですが、平成二十五年度は二千九十件までふえてきております。全体で見ると、やはりふえている傾向だというふうに我々も感じ取っております。

 もちろん、これは大変大きな問題でございますので、しっかりと対応するように申しておりますが、全国労働局長会議においても、私の方から、とりわけ近年でありますけれども、指示を出させていただいて、対応するようにということを申し上げております。

 いろいろと考えてみますと、やはり雇用均等室自体がこういう問題を扱っているという認識が余りないわけでありまして、そういうものをPRしていかなきゃならないということで、母子健康手帳、これにそのようなことを書き込ませていただく、情報発信をさせていただく等々対応させていただくでありますとか、また、事業主に対する集中的な指導、こういうこともやっていきたいということで、今現状、実施しておるわけであります。

 もう一方で、就業規則に育児休業等々のことを書いておるということになれば、やはり非正規の方々も比較的とられている、とりやすいという傾向があるわけでございまして、そういうこともこれから各企業等々に我々は指導してまいらなきゃならないというふうに思っております。

 就業規則等々にしっかりと書き込んでいただく。さらには、マニュアル等々をしっかりと我々も配付して周知を図る。さらには、両立支援助成金、これは、両立支援のための、特に非正規の方々が育児休業をとるというようなものに対しての助成金もあるわけでございまして、こういうものの周知も含めて対応していかなきゃならないというふうに思っております。

 いずれにしても、少子高齢化、子供たちを産み育てやすい環境をつくるという意味からすれば、このマタハラというような問題がやはりまだ今なおふえているという現状は大きな課題だというふうに思っておりますので、このようなことにしっかり対応できるように、これからも我々は頑張ってまいりたいと考えております。

阿部(知)委員 今大臣の御答弁いただいたのは資料の三に載せてあることでございまして、ここには、いわゆる非正規と正規では、正規の労働者の方が育休は当然とりやすいですし、継続就業もしておる。非正規であっても、その会社に何らかの、非正規の皆さんも育休をとれる、あるいはそれに伴うフォローがあれば、まだ少しはとりやすい。ただ、圧倒的な差はありますけれども、現実的に。それと、さっきの、雇いどめもありますから、とにかく非正規である場合は女性は出産しづらい。

 そうしたことのデータはなかなかないのですが、次の資料の四を見ていただきますと、実は、雇用均等法が一九八六年にできてから二〇〇九年まで、果たして育休の取得はどのようにふえたか、あるいは、女性労働者の労働形態別に、子供のいる数、あるいは次を産みたいかなどの調査をしたものがございます。

 何度も同じことを言って恐縮ですが、非正規の方々の妊娠、出産にかかわるデータというのは、探してみると本当に少ないんですね。そうしたことを望む前に、自己制限したり、あるいは就労の場から去っていったりということが多いんだと思います。

 でも、結果的に見ると、実は、正規の職員で育休が五二・九%、パート、派遣で一八・〇、パート、派遣というより非正規と言っていいと思います。そして、女性のいわゆる働いている率も、残念ながら、そうそうはふえておりません、徐々にふえておりますが。ということで、労働形態と妊娠、出産というのは非常に関係が深いということです。

 最後の質問になりますが、大臣は、今、雇用均等室の存在をもっと高めていく、あるいは、企業に機会均等責任者等々の設置を促してお願いする等をおっしゃいましたが、それにつけても、雇用均等室における職員の推移、最後のページを見ていただくとわかりますが、実は近年減っております、職員数は。

 これだけマタハラもある、セクハラもある、パワハラもある、非正規は産みづらい、雇用均等室がもっともっと頑張っていただくしかない。本当にここは重要なポジションだと思います。でも、県にみんな一つです。そして、今現在、全国で二百二十六人、大体一つのところに四人ということです。事業所に調査に入るにも人手が足りないし、機会均等責任者を置いてくれと言いに行くにも、なかなか全体を回り切れない。

 大臣、ここで具体的な提案ですが、政令指定都市にもぜひこの雇用均等室を置いていただきたい。理由は、多くの女性の労働者がそこにいるところであります。本当に、知っていれば違う、労使ともに。その知る機会を広める人間が必要ですし、問題があったら拾ってくる人間が必要です。前向きに検討していただきたいが、いかがでしょう。これで終わりです。

田村国務大臣 それぞれ企業訪問をしながら周知徹底をしたりでありますとか、監督署の集団指導等々に合わせて出張っていって集団指導をさせていただくというようなことも含めて、周知徹底をしてまいりたいというふうに思います。

 今、雇用均等室を、各県のみならず政令指定都市という話がありました。その申し出はよくわかるわけでありますが、なかなか厳しい状況の中で、より効率的に対応しなきゃならぬということでございますので、そういう申し出ではございますが、例えば監督署でありますとか公共職業安定所等々、さらには自治体、そういうところと連携をしっかりとしながら、仮に政令指定都市になくても対応できるような、そんな体制というものをしっかりと組んでまいりたい、このように考えております。

阿部(知)委員 対応が十分であればこれだけマタハラもふえませんし、本当に女性を活用、女性が働いて、そして男性も働いていけるモデルをつくるために必要な人材ですので、もう一度よく考えて、よろしくお願いいたします。

 終わります。

後藤委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、ただいま議題となりました専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案に対し、日本共産党を代表し、反対の討論を行います。

 反対する第一の理由は、労働契約法の無期転換申込権に特例を設ける理由が存在しないからです。

 有期契約労働者は千四百四十二万人にまで拡大し、契約更新を繰り返しながら、雇いどめの不安にさらされています。無期転換申込権は、こうした雇用の安定を求める労働者の願いに応えて、仕事が継続しているにもかかわらず有期契約を繰り返すような、有期労働契約の濫用的な利用を抑制するために創設されたはずです。

 その適用は昨年の四月一日以降の有期労働契約からとされたため、今の段階で無期転換申し込みが行われた事例は生まれていません。実績もないうちから、なぜ特例を設ける必要があるのでしょうか。無期転換申込権への企業の対応状況に関する調査では、四割の企業が何らかの形で無期契約に転換していくと答えており、こうした流れを促進することこそ求められています。

 第二は、特例の対象が拡大する懸念が大きいからです。

 法案は、対象労働者の範囲について、高度専門的知識等を有する、一定額以上の年収を要件とするなど、あたかも限定されるかのように言いますが、その具体的な内容は省令で定めるとされており、省令を変更すれば対象を大幅に拡大できる仕組みとなっています。

 そもそも、今回の特例措置は、無期転換の可能性を気にせず有期雇用を行えるようにしたいという財界の要求から出発したものであり、到底認められません。

 第三は、定年後に有期契約で継続雇用される高年齢者を無期転換申込権の対象外とすることは、働く高年齢者の雇用を一層不安定にするからです。

 六十歳から六十四歳の雇用される高年齢者の約六割が非正規であり、その六割から七割が、就業する理由として経済上の理由を挙げています。こうした実態からすれば、継続雇用される高年齢者にも安定した雇用の確保が必要なのは当然です。

 最後に、本法案は、労働政策立法は三者構成の労働政策審議会で協議するという国際的な大原則を踏みにじり、国家戦略特別区域法の附則第二条で、無期転換権が発生する期間のあり方、今国会への法案提出など、立法内容や法案提出時期まで指定し労政審に押しつけるという異常なやり方で提出されました。また、その内容も、全ての有期雇用契約労働者に付与された無期雇用転換の権利を行政の裁量で制限するものであり、断固認められません。

 以上を述べ、反対討論とします。(拍手)

後藤委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

後藤委員長 次回は、来る六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十五分散会


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