衆議院

メインへスキップ



第31号 平成26年8月4日(月曜日)

会議録本文へ
平成二十六年八月四日(月曜日)

    午後零時三十分開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 井坂 信彦君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      大久保三代君    大串 正樹君

      金子 恵美君    神田 憲次君

      菅野さちこ君    小松  裕君

      古賀  篤君    今野 智博君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高鳥 修一君

      高橋ひなこ君    豊田真由子君

      福山  守君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      山下 貴司君    湯川 一行君

      大西 健介君    中根 康浩君

      長妻  昭君    柚木 道義君

      足立 康史君    浦野 靖人君

      清水鴻一郎君    輿水 恵一君

      桝屋 敬悟君    松田  学君

      中島 克仁君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         室城 信之君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    倉田  潤君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    片岡  弘君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 松村 武人君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           芦立  訓君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  二川 一男君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    藤井 康弘君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月九日

 辞任         補欠選任

  重徳 和彦君     宮沢 隆仁君

八月四日

 辞任         補欠選任

  白須賀貴樹君     今野 智博君

  中川 俊直君     神田 憲次君

  永山 文雄君     湯川 一行君

  三ッ林裕巳君     福山  守君

  宮沢 隆仁君     松田  学君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 憲次君     菅野さちこ君

  今野 智博君     白須賀貴樹君

  福山  守君     三ッ林裕巳君

  湯川 一行君     永山 文雄君

  松田  学君     宮沢 隆仁君

同日

 辞任         補欠選任

  菅野さちこ君     中川 俊直君

同日

 上野ひろし君が理事を辞任した。

同日

 井坂信彦君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

六月二十日

 一、世代間格差を是正するための公的年金制度及び医療保険制度の改革の推進に関する法律案(重徳和彦君外三名提出、第百八十五回国会衆法第二七号)

 二、厚生労働関係の基本施策に関する件

 三、社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する件

 四、労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件(危険ドラッグ対策)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 この際、去る七月二十四日の議院運営委員会理事会における理事の各会派割当基準の変更に伴い、理事の辞任及び補欠選任を行います。

 まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事上野ひろし君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。それでは、理事に井坂信彦君を指名いたします。

     ――――◇―――――

後藤委員長 厚生労働関係の基本施策に関する件、特に危険ドラッグ対策について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長室城信之君、交通局長倉田潤君、法務省保護局長片岡弘君、財務省大臣官房審議官松村武人君、文部科学省大臣官房審議官芦立訓君、厚生労働省医政局長二川一男君、医薬食品局長神田裕二君及び社会・援護局障害保健福祉部長藤井康弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。とかしきなおみ君。

とかしき委員 自民党のとかしきなおみでございます。

 本日は、大変話題になっております危険ドラッグに関しての質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 ことしの六月二十四日、池袋で、危険ドラッグを吸って、八人の方々が死傷されるという事件が発生いたしました。私も、実は、七月の二十四日、大阪で同じように危険ドラッグの交通事故がありましたけれども、ちょうどその横を通りまして、大渋滞をしていた、そして、被害者の方々の様子を拝見いたしました。そして、きのうも愛知県の方で、やはり危険ドラッグが疑われる事件がまた起こりました。

 ということで、残念ながら、連日のようにこの危険ドラッグに関する事件があちこちで多発している、そういった厳しい状況であります。

 この危険ドラッグというのは、お香だとかハーブだとか、非常に気軽な感じで、ファッション感覚の一部のように気軽に使えるものだ、さらに、毒性も低く常習性がない、そういうふうに誤解をされている場合が多々あります。しかし、実際は覚醒剤や大麻よりもはるかに危険でありまして、危険ドラッグは覚醒剤の入り口と言われておりましたけれども、最近は出口になっている、このようにも言われております。

 特になぜそれが危険なのかといいますと、大麻や覚醒剤は一つの化学物質でありますけれども、危険ドラッグの場合は複数の化学物質がたくさん入っておりまして、中に何が混在しているのか全く判別がつかない。そのために、治療法もなかなか確立できず、発症する症状で多分こんなものが入っていたのではないかと推察して治療していくしか方法がないというので、根治が非常に難しいという状況にあります。

 さらに、副作用も結構ありまして、横紋筋融解症という、これは筋肉細胞が死んでいくような病でありますけれども、あと急性腎不全とか、死に至る恐ろしい病がどんどん出てきておりまして、乱用者の約一割がこの病にかかっているのではないかと言われております。さらに、吸引したことで高血圧になって心筋梗塞も起こす、こういったことも見受けられます。

 六月二十四日の事件を受けまして、政府も迅速に対応していただきまして、七月の八日には総理の指示が飛びまして対策会議が開催され、十五日には、薬事法七十七条の第一項を活用して、指定薬物の指定をわずか三週間でしていただくというかなり早い対応をしていただきました。二十二日には、危険ドラッグ、それまでは脱法ドラッグと言われておりましたけれども、名称変更をしていただきまして、三十一日には、二十一物質をさらに指定薬物に追加していただくという。私は、田村大臣の御尽力により、この一カ月間、かなりスピード感を持って対応していただいた、このように見ております。

 ということで、池袋の事件など一連の事件を受けて、四月一日より施行されました改正薬事法のもとで、厚生労働省として今までにない新しい対応をしていたら教えていただきたいと思います。

 さらに、今回緊急指定の枠組みをかなり生かされたわけでありますけれども、今後どのようにこれを活用して取り締まりをしていこうとしているのか、短目にお答えいただければ。お願いします。

神田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御指摘のように、池袋の事件の後、七月三日に都道府県、麻薬取締部に取り締まりの強化を要請する文書を発出いたしまして、現在まで、七月二十五日までの三週間で、全店舗、約二百五十店舗ございますけれども、半数に立入検査を実施する。この短期間にこれだけの立入検査をしたのは初めてのことであろうというふうに思っております。

 それから二点目は、先ほど御指摘のように、指定手続の特例を適用しまして、通常ですと数カ月かかるところ、池袋の事件で使用されていた二物質を三週間で指定物質に指定するということをしたところでございます。

 今後とも、危険ドラッグ対策というのは時間との戦いでございますので、個別の事案ごとに精神毒性の強さですとか流通の広がり等を勘案しまして、指定物質の指定手続の特例を積極的に活用して指定してまいりたいというふうに考えております。

とかしき委員 ありがとうございました。

 さらに、今回、この危険ドラッグがこれだけ、大変事件が多発しているわけでありますけれども、法整備の必要があるのではないか、そういった声もあちこちから聞かれるわけであります。ただ、やはりこれは即効性を求めていくことが重要であると思いますので、今ある法律をもっと積極的に活用していく、この方が今かなり効果が早いのではないか、私はこのように考えております。

 例えば、資料でお配りしました薬事法第七十六条の六、これを見ていただきたいと思います。

 こちらの方は、指定薬物の疑いのある物品について検査を命ずること、検査命令、さらに、検査の結果が出るまでの間販売を禁止することを命ずるという販売停止命令、こういったものも指定できることになっております。ところが、残念ながらこの規定が今まで一件も適用された実績がない、このように聞いております。

 また、法のこういった積極的な活用をしていこう、取り締まりをしていこうと思っても、その実動部隊である麻薬取締部の体制が非常に不備であるというふうに見られます。例えば平成二十二年には二百六十四名、全国でわずか二百六十四名で対応しているわけでありますけれども、平成二十六年では二百六十七名、三名微増いたしましたけれども、平成二十五年には五人減っている。とても十分な体制がとれているとは言えないわけであります。

 このように、薬事法の規定を積極的に活用する余地がまだ十分あるのではないかということ、そして麻薬取締部の体制を強化していく、この二点、これからやっていくことには効果が高いのではないかと考えておりますけれども、どのようなお考えなのか、教えていただけますでしょうか。

神田政府参考人 先生御指摘のとおり、先ほど申し上げた取り組みに加えまして、現在の薬事法の七十六条の六に規定する検査命令や販売中止命令を広く積極的に活用して、販売店に対する圧力を強めて、違法、有害な薬物の販売を実態的に抑え込んでいきたいというふうに考えております。

 それからまた、危険ドラッグの実効ある取り締まりに向けましては、関係機関との一斉合同立入検査の実施や取り締まり活動の徹底など、そういう意味で、危険ドラッグの取り締まりの現場で活躍する麻薬取締部の体制の強化というものが必要不可欠だというふうに考えておりますので、そういった方向で検討してまいりたいと考えております。

とかしき委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 そして、今、先生方のところにお配りさせていただいております、この「STOP!違法ドラッグ」のパンフレットの下の方をちょっと見ていただけたらと思います。

 こちらの方を見ていただきますと、今、危険ドラッグの形状がかなり大きく変わってきているのがわかります。単なるハーブというだけではなくて、バスソルト、そして粉末や液体、錠剤の形になって、医薬品や健康食品、こういったものに間違われるように、シロップやキャンディー、こういった形で、およそ危険ドラッグとは判別できないような形状にどんどん今変化していて、それによって服用し、副反応が起こっている、こういった事態が起こっております。ということで、事態はかなり深刻になりつつあります。

 アメリカはある意味危険ドラッグの先進国、日本より一歩先に行っておりますけれども、その中でも、アメリカでも民間団体は、危険ドラッグは成分だけで追っかけていくのはやはり難しいのではないか、イタチごっこになって、永遠にこれを続けるしかない、こういうふうにコメントを出しております。

 ということで、やはり成分だけではなくて、今後、販売ルートにも私たちはちょっと注視していく必要があるのではないかと思います。

 そして、危険ドラッグは若い人たちが、大麻や覚醒剤よりも危険ドラッグの方がやはり若い方が飛びついて使っているということと、初犯が八割ということもわかってきておりますので、これらの若い人たちは、多分、ほとんどの方が最初はインターネットで情報を検索して、そして購買行動を起こしていると容易に予想されるわけであります。

 実際、池袋の事件でも、ハーブはインターネットで一、二年前に初めて知ったとか、山梨県の女子高生も、インターネットで危険ドラッグを買った、こういうふうに供述をしているわけであります。合成薬物中毒患者のうちの約二割がインターネット経由で薬物を入手している、こういう状況であります。

 となると、インターネットでの危険ドラッグの販売に関する情報発信、ここを押さえていくだけでもかなり抑制効果が期待できるのではないか、このように思いますけれども、インターネットの販売上の取り締まりについての現状をお知らせください。

神田政府参考人 御指摘のように、インターネットが一つのツールになっておりますので、麻薬取締部職員等によって、危険ドラッグ広告等に対するインターネットパトロールを実施し、発見した違法有害情報については、サイト運営事業者やプロバイダーに対するサイトの削除要請や注意喚起を実施しているところでございます。

 また、インターネットで指定薬物を購入した者から供述を得て販売者を特定し、突き上げ捜査を実施するなど、実効性ある方法によりまして、インターネット上の販売サイトに対する取り締まりを徹底してまいりたいというふうに考えております。

とかしき委員 ありがとうございます。ぜひ、このインターネットの部分は力を入れていただきたいと思います。

 健康被害のおそれのある医薬品のネット監視、平成二十六年概算要求では七千七百万円請求していましたが、半分以下の三千百万円ということで、予算が半減されてしまっていて、ここは力をしっかり入れていただきたいな、このように思います。

 このように、法整備をしたり取り締まりをしたりといろいろありますけれども、やはり自分自身がしっかり意識を持っておくこと、自分自身でこのドラッグからの誘惑に打ちかっていくことが大切であります。ということで、大切なのは、啓発活動をしっかりして、自己防衛をしっかりしてもらう、この意識を徹底させることがまた重要だと考えております。

 実は、日本薬剤師会の方がこの活動にかなり積極的に長年取り組んできておりまして、学校に入っている薬剤師、学校薬剤師といいますけれども、薬物乱用防止ということで指導もさせていただいております。

 きょうお配りさせていただきましたこちらのパンフレットも、これは学校薬剤師が教材として使ったりとか、あと店頭の薬局で、地域密着の拠点ということでポスターを張ったりということで、啓発活動に長年取り組んでまいりました。

 きょうも持ってまいりましたけれども、これも薬剤師会がつくったポスターなんです。これはガンバ大阪の遠藤選手なんですけれども、ちゃんと危険ドラッグと最新の情報で、ちょっとこれはまだポスターができ上がる前の、印刷所から無理やり持ってきて、切り張りしてつくって皆さんにお見せしているんですけれども。ということで、ちゃんと厚労省の形を受けて、危険ドラッグという最新の情報で今ポスターを刷っているところでありますので、これがもうすぐ大阪の薬局では全店張られることになると思います。このような活動を積極的にさせていただいております。

 さらに、七月の十九日は、全国で薬物乱用防止キャンペーンということで、薬剤師と薬学部の学生さんが一緒になって啓発うちわ二万五千本を配らせていただいたりということをさせていただいております。身体に対する健康被害、社会的な問題もあるよとか、誘いを断る勇気が必要だよ、こういうことを積極的に訴えさせていただきました。

 そして、学校薬剤師が講義を行った後のアンケートを見ますと、薬物乱用が人体に及ぼす影響について、九七%が理解できた、友達や知人から薬物を勧められたときにノーと言えるかというと、九〇%は大丈夫だ、講義を受けた後はこういうふうな意見が出てきております。

 中には、きのうも私資料をずっと見ていましたら、学校薬剤師さんの先生方の報告書を見ていましたら、子供が、小学校のときに中学の先輩から危険ドラッグを使わないかと誘われた、そしてそのときは断れた、こういった感想文も書いていたということが報告書の中に書いてありまして、私も非常にびっくりいたしまして、私たちが思っている以上に実態は低年齢化し、子供の中にもその魔の手が伸びつつあるというかなり厳しい状況にあるということがわかります。

 ということで、学校薬剤師の指導も、これからは、誘われたときに断るためのロールプレーイングもカリキュラムの中に今入れて、練習しているということになっております。

 現場からの声なんですけれども、更生施設、実際にドラッグ中毒になってしまったらどんなふうになるのか、あとは、そこから脱していくためにはどんな苦悩があるのか、こういったDVDを、映像にして見せてもらえないか、こういう要望も出てきております。実は、私も子供のころ麻薬中毒の映画を見せられまして、これがショックで、絶対薬は怖いなと思って、気がついたら薬剤師になっていたんですけれども。

 本当に薬というのは、上手に使えば健康を維持してくれますけれども、一歩間違えれば体を大きく傷つけてしまうものであります。ということで、こういった啓発活動の予算、今後ももっともっと積極的に取り組んで大幅にアップしていただきたい、このように思うんです。

 そこで、最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、こういった啓発活動の強化をしていくことがとても重要だと思うんですけれども、この点についてどういうふうにお考えかということと、今までのやりとりの中で、危険ドラッグの乱用根絶に向けた大臣の強い決意をお聞かせいただければと思います。

田村国務大臣 七月十八日に薬物乱用対策推進会議を官邸で開きまして、緊急対策の議論をさせていただきました。

 もちろん、今るるお話がありましたように、一斉合同の立入検査をやっていくということも重要でありますし、それから、緊急指定を行うことによって、どんどん指定して違法なものをふやしていくということも必要であります。

 あわせて、七十六条の六を使う。つまり、検査命令、その間の販売停止命令をかけることによって、まず店頭販売を、売らせない。よく、これは体に使っちゃいけないものですと確認していますなんて言っていますが、そんなために売っているはずがないんですよ。ほかにどんな用途でこれを売っているんですかという話なので、これを売ること自体、私はもう社会的に許されない行為だというふうに思っております。ですから、売らせないというように徹底して、まず売るという行為をとめていく。

 そして、いろいろな形で、リーフレットでありますとかいろいろな広報媒体を使って社会にこれから広報していくわけでありますが、違法でないという認識は間違いだ、あなたの仮にこれから買おうとしているような危険ドラッグは、やがては、近い将来すぐにでも指定されるんですね、ですから持っていただけで捕まりますよ、そういう危ないものなんですよということを徹底して広報させていただいて、危ないものには手を出さない、法律違反にもなりますし、それだけじゃなくて、自分自身、家族、周りの方々に迷惑もかける、そういうものには手を出していただかない、こういうような広報を徹底してやってまいりたい、このように考えております。

とかしき委員 ありがとうございました。

 鉄は熱いうちに打てですから、今積極的に取り組んでいただいて、啓発活動そして取り締まりをしっかりやっていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 とかしき委員と若干重なる部分もございますが、通告どおり質問をしてまいりたいと思います。

 危険ドラッグを吸引して救急搬送される、あるいは死亡する、また、吸引をして自動車を運転して死亡事故につながる。今、この危険ドラッグは大きな社会問題となっております。

 私も、七月二十五日に、厚生労働省の関東信越厚生局麻薬取締部に行ってまいりました。現場の方々の御意見を聞きますと、危険ドラッグは覚醒剤常習者でさえ手を出さない、そのぐらいまさに危険なドラッグであるということでございます。

 私たちも、これまで薬物に関しましては、啓蒙活動に全力を挙げてまいりました。昨年、通常国会では議員立法も成立させ、また薬事法改正をリードしてまいりました。

 厚生労働省も、この根絶に向けまして、成分が似た薬物をまとめて規制される包括指定を昨年春導入し、違法と定めた指定薬物は今千三百七十を超えると言われております。これは、製造、販売だけではなくて使用、所持、購入も、買う側も、使う側も処罰の対象になるということでございます。

 この乱用に歯どめをかけるために、都道府県が行う監視また指導、警察、厚労省、麻薬取締官、これが徹底して、あらゆる法的手段を駆使して、根絶に向け摘発を進めていただきたい。また、事故の原因となる、他人に危害を加える危険性もあるのだ、そのことをぜひとも普及徹底させていただきたいと思います。

 加えまして、麻薬取締部に行ってまいりましたときに、早期指定のための分析機器、二台あるんですが、一台は覚醒剤専用、一台だけで大量に押収をした危険ドラッグを分析しなければいけない。この分析機器が足りない。また、分析の専門官が足りない。なおかつ、小さなことなんですが、取締官が二十四時間詰めております、そのお部屋、夜間エアコンが切られてしまうという、いざというときに集中力を発揮していかなければいけない、体調を壊すなどの危険もあろうかというふうに思います。

 そうした機器、人員の増強、また環境整備、こういったものも全部含めまして対策に全力を挙げていただきたいと思います。大臣の御所見をお伺いいたします。

田村国務大臣 あの池袋の、事件ですね、あの後、豊島区民の集い、池袋の駅前で開催されました。私も出席をさせていただきましたが、豊島区、池袋の皆様方は、本当に怒り心頭、そして、やはりそのような危険な物質を売っているような店を許さない、徹底して排除していく、そういうようなお声を上げられました。

 まさに、今、世の中でこの危険ドラッグというものとの戦いが始まっているわけでありまして、何としてもこれを根絶しなければならないというふうに思っております。

 私も、麻薬取締部に行ってまいりました。おっしゃられるとおり、二台検査機器があるわけでありますが、一つが覚醒剤、一つが危険ドラッグ等々指定薬物を含めて検査するものであるということでございました。

 機械をふやせばいいかというと、そういうわけではありませんでして、それをちゃんと機械を使って測定しなきゃいけないわけでありまして、そういう方々もあわせて人員を配置していかないと分析ができないわけであります。

 そういうことも含めながら、これからしっかりとした対応も含めて準備をしていかなければならないなと改めて私も決意を新たにしたわけでありますが、麻薬取締部の方々は、この危険ドラッグだけではなくて、他の業務もある中において、今この問題が大変大きな問題になっておりますから、そこに力を割いていただいております。体制も含めて、しっかり強化もしていかなきゃならぬというふうに思います。

 あわせて、今委員がおっしゃったように、薬物中毒患者の方々ですら、危険ドラッグは危ないから使わないというようなことを言われる方がおられるという話も私も聞きました。成分が安定しない、指定をされる前に次から次へと出してくる。だから、品質管理という言い方がいいのかどうかわかりませんが、もうわけがわからないまま出してきている。使う人もそれをよく理解して使わないと、どうなっちゃうかわからないんですよね、体が。

 違法じゃないから、子供たち、これは使っている全体的な年齢も低いです。覚醒剤は四十代でありますけれども、危険ドラッグは三十四歳ぐらいが平均だというような数字も、これは確定数字じゃありませんけれども、いろいろな形で調査すると出てまいってきています。若い人たちも使う、値段も比較的安価、覚醒剤なんかよりも安いということで手も出しやすいんだろうと思います。

 違法じゃない、たばこは吸っちゃいけないけれども危険ドラッグは違法じゃない、とんでもないですよ。先ほども言いましたけれども、すぐ指定しますからね、こんなものを持っていたら捕まっちゃいますからね、そういうような啓発を徹底していかなきゃならぬと思います。つまり、これを売ったり使ったりすること自体は社会的に悪いことなんだということをしっかりと社会の中で徹底していく、意識を徹底していく。

 そういう中において、売る方も売らせない、買う方も買っちゃいけないものだという認識をしっかり持っていただく。それには、やはり麻薬取締部等々の強化、これも必要でありますし、警察でありますとか地方自治体との協力も必要であります。ありとあらゆる対策をとって、この危険ドラッグの撲滅に向かって我々全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。

古屋(範)委員 大臣の強い御決意を伺うことができました。早急にこの予算を確保し、また、人員の育成には時間もかかると思いますけれども、ここに力を注いでいただきたいと思います。

 次に、インターネット販売について質問をしてまいります。

 かつて私が子供のころもシンナー、さまざまな薬物がございましたけれども、インターネットによる販売というものはやはり近年しかございません。警察におきまして、関係機関が協力をして、このインターネットについても情報収集を図ったり、仕入れ、販売、流通ルートの解明、また新たな規制や摘発に結びつけていく必要があると思っております。

 危険ドラッグに関する違法有害情報を確認した上で的確な対応がなされますよう、今、インターネット・ホットラインセンター、ここで違法情報は監視をされているというふうに思います、ぜひこのインターネット・ホットラインセンターの監視の対象に危険ドラッグも含めるべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

室城政府参考人 インターネット・ホットラインセンターにおきましては、一般のインターネット利用者等から違法情報、有害情報に関する通報を受理し、警察への通報やサイト管理者等への削除依頼を行っているところであります。

 同センターにおいて対応する違法情報、有害情報の範囲は、有識者等から構成されるホットライン運用ガイドライン検討協議会において検討され、ホットライン運用ガイドラインにおいて定められております。

 お尋ねのインターネット上での危険ドラッグに関する情報については、現時点においては同ガイドラインの対象外でありますが、薬物乱用対策推進会議において定められた政府の緊急対策において、インターネット・ホットラインセンターの通報等の対象情報の範囲の見直しについて検討を要請するとされているところであります。

 警察庁といたしましても、ホットライン運用ガイドライン検討協議会において、同ガイドラインの見直しの検討がなされますよう要請するとともに、必要な情報提供を行ってまいる所存であります。

古屋(範)委員 ぜひ、早急な通報対象の見直し、検討をし、結論を得ていただきたいと思います。ホットラインセンターも、丸一日じゅう違法情報を皆さん見ていらっしゃるので、ここの体制の拡充も必要ではないかなというふうに考えます。

 次に、学校教育での意識啓蒙、また教員の研修についてお伺いをしてまいります。

 国立精神・神経医療研究センターの全国中学生調査によりますと、中学生において違法ドラッグの経験があると答えた者もありまして、既に違法ドラッグが中学生まで広がってしまっている。違法ドラッグ使用者が身近にいると答えた者一・二%、違法ドラッグの入手可能性がある、一五・六%。中学生の身の回りにもこうした違法ドラッグ、危険ドラッグが迫っている。しかし、危険性の周知率、六二%にすぎない。回答した約五万四千人のうち百二十人が使ったことがあるという答えが出てまいりました。このうち六〇%が大麻、覚醒剤などにも手を出している。こうした、中学生が実際に使っている、この事実は見過ごすことができないと思います。

 やはり根本は子供への教育であろうというふうに思います。規制や取り締まり、これを強化していくとあわせて、学校での薬物に対する教育、特に危険ドラッグに対する教育、意識啓発の強化は欠かせないと思います。また、教員向けの研修の充実、これも必要かと思います。これについて文部科学省の御所見をお伺いいたします。

芦立政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今の危険ドラッグによる犯罪、交通事故などの状況を踏まえますと、薬物乱用を拒絶する規範意識を向上する上で、学校における薬物乱用教育をさらに充実させていくことが重要な課題であると考えているところでございます。

 現在、文部科学省におきましては、警察職員や麻薬取締官OB等の専門家の協力をいただきながら、中学校、高等学校において、少なくとも年一回は薬物乱用防止教室を開催するよう指導しているところでございます。

 また、大学生などに対しましては、警察庁、厚生労働省などと連携しながら、入学時のガイダンスで活用することを目的とした学生向けの薬物乱用防止啓発資料を作成しているところでございます。また、全ての小学校五年生、中学校一年生、高等学校一年生に対しまして、薬物乱用と健康について総合的に解説する啓発教材を作成、配付するなどしているところでございます。

 また、教員の研修につきましては、これも極めて重要な課題であると考えておりまして、都道府県が実施いたします教員を対象とした薬物乱用防止教育の研修について必要な経費を措置するなど行っているところでございますが、こうした取り組みにつきまして、今後、危険ドラッグに関する内容を盛り込んで充実したものにしていくよう努力してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 初犯の八割が二十代、三十代ということでございますので、やはり社会に散ってしまう前に、学校にいる間に、小中高、大学含めてしっかり教育をしていただきたいというふうに思います。

 最後に、薬物依存から抜け出す仕組みについてお伺いをしてまいります。

 先日、東日暮里にありますNPO東京ダルクにも行ってまいりました。ここは、薬物依存からの回復、また社会復帰を目指す施設でございます。施設長からお話を伺いましたけれども、やはりここ二、三年危険ドラッグ常習者がふえているということでございます。

 しかし、やはりお香とかハーブとか、軽い気持ちでこれを吸引して、だんだんと覚醒剤など重いものに手を染めていく。行き着くところまで行き着かないと、なかなか本気で更生をしよう、抜け出そうという気持ちにはならない。ですので、始めてからいろいろ経て、最後、薬物依存から抜け出すまでに非常に長い年月がかかってしまいます。

 また、一度薬物に手を染めた人の相談を受ける体制整備というものも重要だと思います。こうした危険ドラッグから抜け出そうとする人の医療、機関の体制整備もまだ十分ではないのではないか、このように思います。

 危険ドラッグ、薬物乱用者、その家族への体制、本人への相談体制、またその支援、治療、薬物依存からの脱却の仕組み、この拡充について御所見をお伺いいたします。

藤井政府参考人 依存症対策につきましてお答えをさせていただきます。

 薬物依存症に関する相談につきましては、精神保健福祉センターあるいは保健所において行われてきておるところではございますが、実は、本年度、平成二十六年度から全国五カ所程度の医療機関を依存症治療の拠点機関として位置づけまして、依存症に関する専門的な相談、あるいは治療また回復支援、さらに関係機関あるいは依存症者の家族等との連携及び調整等を試行的に実施することとしてございます。

 あわせまして、この事業の中で、全国の拠点機関として一カ所指定をいたしまして、拠点機関で集積した知見の評価、検討を行うといったようなことも実施してまいりたいと考えております。

 また、先生、ダルクに御言及いただきましたけれども、薬物依存症患者の回復に向けましては、平成二十二年度から、依存症回復施設職員の研修事業といたしまして、ダルク等の依存症回復施設の職員に対しまして依存症に関する医学的知識あるいは関係機関との連携に関する研修を行うことによりまして、依存症への対応力の強化を図っているところでございます。

 今後とも、こうした取り組みを通じまして、依存症対策の推進を図ってまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻でございます。

 まずは、池袋を初め、危険ドラッグによる暴走運転でお亡くなりになった方々の御冥福を心よりお祈り申し上げます。

 きょう質問させていただく趣旨としては、これは皆さん、当局を初め頑張っておられるとは思うんですが、人、物、金が圧倒的に不足をしている。それプラス、いろいろな対策をしていただいているのはよくわかるんですが、全て現行法の範囲内でやられている。それには、私は、限界があるのではないのか、法改正に踏み切る必要があるんじゃないのか、緊急対策と同時並行にぜひ政府内でも御検討いただきたい、そういう趣旨で質問をいたします。

 私の選挙区は渋谷区と中野区なんですが、渋谷区でも、危険ドラッグという名前がついてから、駅前で、警察の方、地元の方を初め、危険ドラッグ撲滅、手を出さない、こういうキャンペーンをされておられました。しかし、非常にじくじたるものがあるのが、しかし、とはいえ、この渋谷には、判明しているものだけでも十軒ぐらいのお店があるんですね。危険ドラッグを売っているお店が、平気で、人通りのあるところに。つまり、駅前で手を出すなとキャンペーンをしても、平気でお店が開いて売っている。

 これについては、政府を追及する一方じゃなくて、やはり、我々、立法府ですから、何とかそういうおかしな状況を変えないといけない、国民に申しわけない、そういうふうに本当に思うわけであります。まさにイタチごっこ。

 そして、田村大臣も豊島区に行かれたときにおっしゃっていました。夏休みに入って、これは子供たちや学生が手を染める可能性があるから早くやらなきゃいかぬと。

 それはそのとおりなんですけれども、それらについて、まず警察に今の実態をちょっとお伺いしたいんですが、資料一ページに、これは警察に無理を申し上げてちょっとつくっていただいた資料があるんですが、つまり、私もこれを見てびっくりしたのは、交通事故、あるいは人身事故を起こした危険ドラッグによる暴走運転、このうちの合法的な薬と指定薬物の違法の薬と、比率がどのくらいなのかというのを教えてください。

倉田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年上半期中における危険ドラッグに係る人身事故の検挙事件数は十九事件でございまして、そのうち、検挙対象行為が行われた時点では未規制であった薬物のみが検出されたものが十四事件でございます。その割合は約七四%でございます。また、人身事故十九事件の中には死亡事故の三事件も含まれておりますが、三事件とも、検挙対象行為が行われた時点では未規制であった薬物のみが検出をされております。

 次に、平成二十五年中における危険ドラッグに係る人身事故の検挙事件数でございますが、これは二十三事件でございまして、そのうち、検挙対象行為が行われた時点では未規制であった薬物のみが検出されたものは十七事件、その割合は約七四%でございます。この二十三事件の中には死亡事故は含まれておりません。

長妻委員 そうしたら、危険ドラッグによる、人身事故も含む全部の交通暴走事故、それはどのぐらいの比率でございますか。

倉田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年上半期中の危険ドラッグに係る検挙事件数でございますが、これは全体が三十三事件でございまして、そのうち未規制に係るものは二十六事件、約七九%でございます。

 二十五年中の危険ドラッグに係る交通関係法令違反等事件でございますが、これは事件数三十八事件でございまして、未規制に係るものは二十八事件、七三・七%でございます。

長妻委員 この間、政府も一生懸命この何年かやっていただいていると思うんですけれども、私もこれを聞いてびっくりするのは、つまり、危険ドラッグによる暴走運転では、去年もことしも、上半期まででいっても、七割以上が合法的なんですね。その時点では合法的なんです、それは。合法なんです。そういう形で、その後慌てて指定する、そしてまた業者は合法のを出してくる、こういうイタチごっこが続いていて、この七〇%という比率も下がってこないわけであります。

 そして、全国の警察にお伺いしまして、これもつくっていただいたんですが、二ページ目でありますが、四十七都道府県の県警に調べていただいて、危険ドラッグの使用が原因と疑われる死亡事案、これはどのぐらいでございますか。

室城政府参考人 都道府県警察における警察活動の中で、危険ドラッグの使用が原因と疑われるものとして把握した死亡事案は、平成二十四年が八人、二十五年が九人、二十六年上半期が二十四人であり、二十四年以降、四十一人の死亡事案を把握しております。

 これらの死亡事案は、変死現場における危険ドラッグの発見、死亡前の錯乱状況、関係者の供述等から、危険ドラッグの使用が死亡の原因と疑われるに至ったものであります。

 警察といたしましては、警察活動を通じ、危険ドラッグの使用が原因と疑われる死亡事案の把握に努め、関係機関による危険ドラッグの身体への危害の分析に貢献をしてまいりたいと考えております。

長妻委員 これは、危険ドラッグをやって自分がお亡くなりになった、ですから、危険ドラッグの暴走運転で相手を死亡させてしまったというのは入っていないと承知をしておりますが、これもちぐはぐがあって、二十九の県警は全く統計がないということなんですけれども、今後、ぜひこの統計もきちっととっていただきたい、それに対する対策もとっていただきたいと思うんですが、いかがですか。

室城政府参考人 御指摘のとおり、危険ドラッグの使用が原因と疑われる死亡事案の把握には今後とも努めてまいりたいと思います。

長妻委員 そして、三ページ目でありますが、これも警察につくっていただいた資料でございますけれども、危険ドラッグ事件の起訴率というのはどのぐらいのパーセントで、ほかの薬物に比べてどのぐらい差があるのか、教えていただければと思います。

室城政府参考人 平成二十五年中の指定薬物に係る薬事法違反の検挙被疑者は三十七人でありまして、このうち、一八・九%に当たる七人がこれまでに起訴をされております。

 薬物事件では、被疑者の、当該物品について違法薬物であるとの認識が必要でありますけれども、被疑者がこれについて認識を否定した事件の中には、不起訴とされる事例も見られるところであります。

 警察としましては、危険ドラッグの法的規制の周知に努める一方で、例えば、販売店舗に対しては、危険ドラッグには違法薬物が多く含まれることについて指導、警告を行うなど、被疑者に係る違法性の認識を裏づける客観的事実の収集を図り、適切な科刑を得られるよう努める所存でございます。

長妻委員 これは、検挙の人数が三十七で起訴が七人ですから、単純に割り算すると一八・九%だと思うんですが、では、その比率でいうと、覚醒剤、大麻、麻薬はそれぞれどのぐらいの起訴率なんですか。

室城政府参考人 平成二十四年中における覚醒剤事件等の検察庁終局処理人員ということで手元にあります数字ですと、覚せい剤取締法違反につきましては起訴率が八〇・八%、大麻取締法違反につきましては五二・四%、麻薬及び向精神薬取締法違反につきましては四八・一%ということでございます。(長妻委員「危険ドラッグは何%ですか」と呼ぶ)

 危険ドラッグにつきましては、先ほど申し上げたとおり、一八・九%という数字です。

長妻委員 これは、検挙、あるいは逮捕と呼んでもいいのかもしれませんけれども、二割しか起訴されていない、覚醒剤は八割。私は、やはりここにいろいろな問題があって、法律の限界、しかし、世間はもっと取り締まってほしい、しかし、法律がなかなか未整備な部分があるということも大きな原因になっているのではないかと思います。

 そこで、田村大臣にもお伺いするのでございますけれども、この後、山井議員からも質問があって、先ほど自民、公明の質問でもいろいろ店舗の問題もありましたので、私はちょっとネットの販売についてお伺いしたいんです。

 この配付資料の最後のページを見ていただきますとカラーコピーがありますが、けさ、私もネットをちょっと検索していると、多くの販売業者のサイトがあって、今ももちろんこれは売っているわけで、これがもうごまんと、何百種類というのがカラーのきれいなパッケージで今も堂々と売られているということでありまして、田村大臣、ネット販売は、決め手は何を武器にこれを根絶していくんですか。

田村国務大臣 まず、ネット販売、そのようなものがあれば、これはプロバイダーを通じて削除依頼等々をかけていっておるというのがあります。

 もちろん、指定薬物をその中で売っておるということになれば、これは確実に違法でございますので、そのような形でネット販売に対して対応を随時していくということになろうと思います。これは覚醒剤等々を含めて同じような対応になろうと思います。

 それから、そもそも危険ドラッグ、今、警察庁の方では指定薬物の中での危険ドラッグ事件というような書き方をしておりましたが、本来、危険ドラッグというのは指定薬物の概念には入らないわけでありまして、言うなれば、脱法ドラッグを今回危険ドラッグという名前に変えたわけでありますから、指定薬物が入っていないというような、そのような認識のもとで危険ドラッグというものを使っておるというふうに我々は認識しておるわけであります。

 これに関しては、例えば薬事法七十六条の六、これをこれから使っていくという形の中においては、店頭で売っておるのと同じように、ネットでもそのようなものに対して対応していくということは十分にあり得る手法であろうというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、やれる限りの手法を使ってネット販売に対しましても対応してまいりたいというふうに考えております。

長妻委員 七十六条の六も限界があるんですね、その店舗だけですから。

 削除依頼とおっしゃいましたけれども、では、ネットで指定薬物でないものを売っているサイト、これも削除依頼を出せるんですか。

田村国務大臣 お願いという意味ではやれるということにはなろうと思いますけれども、権限として削除をさせるということはできないわけであります。

 いずれにいたしましても、これから、このような危険ドラッグというものを、もちろん使うこと自体も言うなれば悪いことでありますし、売っておることも悪いことだというような、そのような社会的な認識というものをしっかりと広報していく。その中において、プロバイダーも含めて、そういうものを何とか削除していただけないかというようなことは、これから我々もプロバイダーに対してお願いベースではしてまいらなきゃならないというふうに検討させていただきたいと思っております。

長妻委員 今おっしゃっていただいたように、お願いベースなんですね、あくまで。

 ですから、この後も山井議員からも提案があると思いますけれども、法律の改正、当然、今、麻薬取り締まり班、麻取も警察も頑張っていただいて、これはもうどんどんやっていただきたい、現行法の範囲内で。しかし、立法府は、それを応援するのに加えて、予算に加えて、やはり法律の枠組みをつくっていく、できるだけお願いベースでないような形でネットについても対応できるように、法律の改正が私は必要だと思うんです。

 これは事務方にお伺いすると、いやいや、法律の改正は必要ない、かなりそういうふうにおっしゃるんですが、責任者である大臣から、なぜ法律の改正が必要ないというふうにおっしゃられるのか、現行法でなぜできるのかということをお伺いしたいんですが。

田村国務大臣 これは、委員も議員立法でやっていただいた御記憶があられると思います。あのときにも同じような議論を多分立法府でもやられて、その中の限界として、なかなか、危険ドラッグを指定薬物というような形で物質を特定できれば指定して、それを単純所持もだめ、使用もだめ、販売もだめとできるわけでありますけれども、まず物質が特定できていないものを、大くくりに、これを売っちゃだめですよというところができない。

 当時、我々は野党でありました。野党であって、我々自民党の厚生労働部会でも、当時、政府はあなた方の方でありまして、厚生労働省に何でできないんだ、何でできないんだとかなり厳しく追及したんですが、なかなか、罪刑法定主義の中において、これを特定するということができない、そうなれば、いろいろな物質に対して全て売れなくなってしまう等々があるから、これは難しいという話であったわけであります。

 我々もいろいろな知恵を絞っておるんですが、これは世界じゅうそうであります、日本だけじゃありません。世界じゅうが、やはり物質を特定する前に押さえてしまうということがなかなかできないというところで苦しんでおるわけでありまして、その中において、我々厚生労働省それから警察を含めて、今ある法律を最大限使って、徹底的にこの危険ドラッグというものを排除していこうということをさせていただいておるわけであります。

長妻委員 これは超党派で、本当に野党、与党にかかわらず知恵を出していく必要があるんですが、例えば薬事法の七十六の六について、今は「指定薬物である疑いがある物品」ということで、これは内閣法制局にも聞きましたけれども、指定薬物である蓋然性がかなりないと、なかなかこの条文では踏み切れないと。

 かなり広く網をかけるには、例えば、一つのアイデアといたしましては、この「指定薬物である疑いがある物品」というところを、法改正によって、指定薬物と同等程度に精神に影響を及ぼす疑いがある物品ということに広げていくというようなことも一考に値すると思うんですが、いかがでございますか。

田村国務大臣 現場に検査官が行かれて、要するに検査命令をかけるわけであります。例えば麻薬取締官が行って検査命令をかけるにいたしましても、その現場に行って、蓋然性が高いというふうに認識をすれば、それは当然のごとく検査命令がかけられるわけであります。あくまでも現場で、これは指定薬物の蓋然性が高いのではないかというふうに判断すれば押さえられるわけでございますので、そこは、法律にのっとって適切に対応することによって、しっかりとした危険ドラッグの対応、指定薬物の対応というものをやってまいりたい、このように考えております。

長妻委員 ただ、それは、大臣のお気持ちはわかるんですけれども、指定薬物というのは、いいかげんなものじゃなくて、ちゃんと、化学式できちっとこれこれというリストがあるものでありまして、それに対する蓋然性が一定程度ないとできないというのは非常に狭い形で、なかなか広くは使えないということを聞いております。

 アメリカなどでは、暫定指定をして、そして禁止をする、こういう法整備があるということも聞いております。ただ、アメリカは、もう御存じのように、裁判で最終的に決着するということで、日本の法体系とかなり違う部分もあるんですけれども、そういう、初めから法改正はしないということではなくて、ぜひ法改正の検討もいただきたい。

 最後に大臣の決意をいただきたいのは、麻取の、九段ですか、あそこを見学されたということで、彼らも警察も、身の危険を感じながら、しかも人員が圧倒的に少ない中、予算がかなり少ない中で頑張っておられますので、やはり圧倒的に人、物、金を、まあ予備費を使うかどうかは別にして、この一カ月、二カ月がかなり勝負だと思いますので、国民の皆さんの危機管理ですので、ぐっと予算をつけていく、こういう決意を最後にお願いできればと思います。

田村国務大臣 暫定指定の話がございました。暫定指定をするにも、物質を特定しているんですね。日本も、物質を特定すれば、これは緊急指定ですから、場合によってはアメリカと同等もしくはもっと早く指定という形になっておりますので、これは我々も、暫定指定というものをやっておられる国を、参考も含めて、今回、緊急指定という形で、ほぼ同じような形で指定をさせていただくということでございますので、これは御理解いただきたいと思います。

 今言われた麻取、麻薬取締部のいろいろな予算要望に関しましては、おっしゃられるとおりでございまして、これだけの社会的な問題になっておるわけでございますので、しっかりと対応できるような予算要望をしてまいりたいと考えております。

長妻委員 時間が来たのでこれで終わりますが、ぜひ、法律改正をしないということではなくて、それも選択肢に入れて、幅広く政府も立法府と連携しながら検討していただきたい、そういう柔軟性を持っていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

 よろしくお願いします。

後藤委員長 次に、山井和則君。

山井委員 二十五分間質問をさせていただきます、長妻議員の質問の続きになると思いますが。

 この間、迅速に厚生労働省、警察、都道府県が対応していただいていることに非常に敬意を表しますし、田村大臣も大変スピーディーに取り組んでくださっているということで、感謝をしております。

 これは、民主党政権のときから危険ドラッグは問題になっていることでありまして、与野党とか政府とか、どこが悪いということではなく、私たちも民主党政権のときから十分に取り締まることができなかったという反省と責任を感じながら、質問をさせていただきたいと思います。

 今の長妻議員の質問にありましたように、この問題の本質は何かというと、四十万人の方が危険ドラッグを使用されたことがあると推計されております。もちろん、この四十万人の方々は問題です。しかし、あえて言うならば、その方々の暴走する車によって何の罪もない方々が命を落とされたりけがをされたり、そういう事故も起こってしまっているということなんですね。

 おまけに、先ほど長妻さんから話がありましたように、二十六年上半期、三人の方が危険ドラッグの交通事故、暴走によってお亡くなりになられた。しかし、残念ながら、その三件とも未規制であったということなんですね。その時点においては違法ではなかった。これは非常に深刻です。

 私の配付資料を見ていただきたいんですが、二ページ目、池袋の六月二十四日の暴走事故で中国人の女性がお亡くなりになられました。私も現場に行って手を合わさせていただきましたし、また、その運転した容疑者が買ったお店にも行かせていただきました。しかし、この事件においても、残念ながら薬事法違反ではないんです、指定薬物ではなかったから。

 そして、この毎日新聞の記事にもありますように、二〇一二年の十月には、脱法ドラッグを吸引後に車を運転した容疑者によって女子高生が死亡している。また、同じく二〇一二年の十月には、脱法ドラッグを吸った男が小学校に侵入し、女子児童に馬乗りになり、けがを負わせた。こういう事件も起こっている。

 さらに、次のページを見ていただきたいんですが、痛ましいことに、ことしの一月には、香川県の善通寺市において、小学校五年生の女子児童が、脱法ドラッグ、危険ドラッグを吸った容疑者が運転する車にはねられてお亡くなりになってしまいました。

 先日の七月三十日の「クローズアップ現代」という番組で、この女子児童の方のお父様のコメントが報道されておりましたけれども、本当に許せないという怒りを語っておられました。そして同時に、そのお父様は、犯人が許せないだけではなく、危険ドラッグの存在自体が許せないとおっしゃっているんです。

 つまり、なぜそういう薬物が二百五十二の日本の店舗そしてインターネットで気軽に、簡単に買えるのか。〇・二グラム五百円、はっきり言いまして安いです、気軽に買えます。インターネットでも店頭でも、合法ですというのがうたい文句で売っているわけです。

 そして、次の四ページ目、八月二日の毎日新聞でも、一月から六月、暴走事故は三十三人。そして、ことし五月十四日、長野県では、痛ましいことに、二十五歳の消防士の方が危険ドラッグの暴走事故によってお亡くなりになられた。このお父様はこうおっしゃっているんですね。「危険ドラッグを吸えばどうなるか分かっていたはず。昼間から街中を走るなんて殺人に等しい」、危険ドラッグ運転は殺人だということをおっしゃっているんです。

 そこで田村大臣にお伺いしたいんですが、私の配付資料の中にも、インターネット、皆さん、今でもインターネットを見てもらったら、もう何十、何百と危険ドラッグを買うことができます。三時までに申し込んだらあしたお手元に届けますとか、もう何十、何百というのが自由に、手軽に、安く買えます。

 田村大臣にお伺いしたいんですが、自由に、手軽に買える、長妻さんからもインターネットをどうやって取り締まるんだという話もありましたが、この店舗や店頭に売られている薬物の中には、改めてお聞きしますが、毒性の強い、将来的には規制薬物に指定されるようなものも今自由に売られている可能性はあるんですか。

田村国務大臣 これはほとんど全部だと思いますね。

 ですから、緊急に指定するものは指定する。もちろん、緊急といっても、それは物質を特定しないことには何が何だかわかりませんから、その手続を早めるということ。今までの一般的な指定よりもさらに早めて、例えばパブリックコメント等々を飛ばして指定するというやり方もある、今言った緊急指定というやり方もある、それは、そのそれぞれの状況に応じてやってまいります。

 なるべく早く指定をする中において、こういうものは売れない。また一方で、こういうものも、中には指定薬物も入っている可能性もありますから、しっかりと検査をして、指定薬物が売られておればしっかりと摘発をしていかなきゃならぬということでありまして、ありとあらゆる対応をしていかなければならぬと思っております。

 いずれにしましても、このような形態で売られているものは、それは私は使ったことがないですからわかりませんし、全て検査したことがないからわかりませんが、しかし、ほぼ全て指定薬物になり得る可能性のあるものであろうというふうに我々は見ておりますから、徹底した対応をしてまいりたいと考えております。

山井委員 田村大臣、今、非常に重要な答弁をされました。つまり、インターネットを見れば、何十、何百の危険ドラッグが売られている。店頭でも、二百五十二、日本に店舗があります。ここで合法ドラッグと呼ばれているものが、薬事法の責任者である田村厚生労働大臣によれば、ほとんど全ては近い将来、規制薬物になる、麻薬や覚醒剤並みの毒性があるものなんだと。私も実は同じ危機感を持っているんです。私は、田村大臣の現状認識、危機感は正しいと思います。私も同じ危機感を持っています。

 そこでなんですよ。そこで、田村大臣、そこまでわかっておられるのであれば、なぜこれを今売ること、店頭に置くことを許しておられるのかという疑問になってしまうんです。

 七月十八日に、七十六条の六で立入調査を疑わしいものに対してもするということを表明されて、私はこれはすばらしいことだと思いますし、今回、七月十五日に緊急指定を初めてされたのも、すばらしいことだと思います。

 しかし、田村大臣と私の最大の違いを申し上げます。

 それは、田村大臣は、この配付資料の一枚目にもありますように、今のやり方は、危険ドラッグがあって、分析、審議、意見公募に半年程度かかる。これを、先日の例えば池袋では死亡事件が起こったから、短くして三週間で指定したんです。しかし、皆さん、最大の問題点は、死亡事故が起こったから三週間で指定されたんです。一番重要なのは、死亡事故が起こらなかったら、そんな早く指定されていなかったということなんです。

 そこで、田村大臣、私は提案したいと思うんですね。確かにスピーディーにはなってくる。でも、私の提案、法改正は違うんです。何か問題が起こればスピーディーに指定するというのでは遅いんです。池袋でもう既に一人亡くなってしまっているんです。

 ついては、田村大臣が、今売られているのはほとんど覚醒剤、麻薬並みの毒性があるということをわかっておられるのであれば、そうすれば、私が提案するように、指定薬物でなくても、指定薬物と同様の毒性を持つと疑わしいものは、まず暫定指定をする。そして、検査結果が出るまで販売を一時中止にする。まずは販売を一時中止にして、店頭からもインターネットからも買えないようにする。そして、その後、三カ月かかってもいいですよ、半年かかってもいいですよ、本当に安全だとわかれば指定は解除で売っていただく、それは当たり前です。しかし、毒性があるとわかれば販売は禁止、規制薬物に。

 しかし、田村大臣の答弁からいけば、恐らくほとんどが毒性があって販売禁止なんだろうということなんですね。そう考えたら、私もきのう、おとついと地元で国政報告会でこの話をしましたが、この話を聞いた人全員が、そこまで危険なものが売られているんだったら、まずは暫定指定して、それを売らせないようにしてほしいということをおっしゃっていました。(発言する者あり)

 繰り返し言います。なぜ私が言うかというと、今、大西さんもおっしゃってくださいましたけれども、死亡事故が起こってからでは遅いんですよ。だから、田村大臣、法律の枠内でできることをやる、七十六条の六、疑わしいものを販売中止命令を出す、これはぜひやってください、早急にやってください。しかし、申しわけないですが、それではやはり限界があるんです。長妻さんも先ほどおっしゃったように、七十六条の六というのはその店、一店舗一店舗ですから、これは非常にスピードにも欠ける面があります。

 しかし、この私が提案している暫定指定であれば、その薬物を指定すれば、二百五十二の店舗、インターネット全て一気にストップをかけられます。例えば、ある店舗で中止命令をかけていたのがインターネットで売られていて、その薬を利用した方が暴走事故を起こして誰かが死亡したとしたら、その方や御遺族は激怒されると私は思いますよ。

 だから、そういう意味では、もちろんハードルが高い、そんな簡単な話ではないとおっしゃるとは思いますけれども、ぜひこのような法改正というものを御検討いただけないでしょうか。

田村国務大臣 ですから、もうやっているんですよ。

 暫定指定という話を今使われました。ヨーロッパやアメリカでやられています。これは、まずその物質を特定しているんですね。それがなければ指定できないでしょう、暫定指定にしても。この間のあの事件は、東京都がすぐに物質を特定しました。だから、緊急指定で、これはもう売っちゃいけないと。言うなれば、暫定指定どころか、緊急指定で本指定しちゃったんです。

 今委員がおっしゃっているのは、この薬物を売らせないといっても、その薬物を特定しなければ売らせないとはできないわけです。例えば、この製品は売らせないといったって、売っている方はパッケージを変えて違う名前で売りますよ。だから、その物質を特定しないと。

 言われている意味はわかるし、私もやりたいですよ。やりたいですが、物質が特定できなければ暫定指定も何もできないんです。世界じゅうの暫定指定は、物質を特定してやっているんです。だから、我々も、物質を特定して、もう暫定じゃない、本指定で緊急指定をやって、売っちゃだめ、持っちゃだめ、そして使っちゃだめ、こういうことをやっているので、今委員がおっしゃっている部分では同じです。

 でも、委員はもっと先へ行って、物質を特定しなくても、らしきものは全部だめだ、売らせないようにしよう、多分そういうふうにおっしゃりたい。これは思いは一緒です。ただ、それをやっても、多分また名前を変えて同じものを売る。同じものだけれども、物質は同じでも特定できていませんから、それがパッケージが変わっちゃうと同じ物質かどうか特定できないんですよ。だから、我々は、なるべく早く物質を特定して指定をするということでございます。

 これはまさに、山井委員が与党のときに、議員立法をするときにこの議論をされたと思います。それで、やはり物質を特定することを早めなきゃならぬと。でなければ、何でもかんでもこれはだめだと言ったって、どれをだめにするかが特定できないということで、多分あの議員立法のときに断念されたんだというふうに思います。

 我々も思いは同じで、だから、指定されていないものでも危ないものがあったら売らせないようにどうするか。指定しているんじゃないか、指定薬物なんじゃないかということで、検査命令等々を含めて、そこにあるものを売らせなくすることも含めて対応しなきゃならぬということで、今ある法律。

 世界じゅうが今悩んでいます、同じです。世界じゅうも同じなんですよ、日本と。これはよく勉強されれば多分御理解いただけると思いますが、世界じゅうが、まず物質を特定してから暫定指定していますから。だから、世界じゅうが悩んでいる中において、我々は、今ある法律で、ある意味ヨーロッパやアメリカよりも一歩進んで、この七十六条の六を使って、売らせないようにしていこうということを対応してまいりたいというふうに考えているわけであります。

山井委員 田村大臣が頑張ってくださっている思いは私もわかります。しかし、山井委員が言っていることを既にやっているんですよと言われたって、売られているじゃないですか。田村大臣みずからが、ほとんどが毒性があって、近い将来指定薬物に指定されると言われるものが売っているじゃないですか、今。全然、既にやっているじゃないじゃないですか。(田村国務大臣「だから、今の法体系の中でやろうと。法律をつくりたいですよ、私だって」と呼ぶ)

後藤委員長 どうぞ。発言を順番にしてください。

山井委員 それで、先日、一週間、ヨーロッパに衆議院厚生労働委員会で視察に行ってきまして、ヨーロッパで脱法ドラッグの問題も調査をしました。そこで得た結論は、各国、多少はあります。しかし、日本ほど危険ドラッグが大きな問題になっている国はないんです。やはり日本が今一番深刻になっています。

 それで、田村大臣は、物が特定できないと規制ができないということをおっしゃいました。おっしゃる意味は私もわかります。しかし、そこが本質なんです。残念ながら、物を特定しようとなれば、今の現行法になるんです。そう言っている限り、必ず、まずは死亡事故が起こって、その後で禁止をするという後手後手に回るんです。

 私は、田村大臣がおっしゃったように、今インターネットや店で売っているものはほとんどが毒性がある、規制薬物になるものですとおっしゃるのであれば、それを暫定指定されるべきだと思います。今、暫定指定、販売中止命令をされるべきだと思います。田村大臣がやるやるとおっしゃっても、今やっていないから、そこは説得力がないんですよ。実際、売られているわけですからね。

 ですから、今の現行法の枠内でいえば、今インターネットや店頭で売られている毒性が疑わしいものの多くを一時販売中止するのは、私は限界があると思っています。長妻さんもそのことはおっしゃいました。現行法で限界があると思っています。

 田村大臣は、現行法の枠内で、今、日本じゅうのインターネットと二百五十二の店舗で売られているこの疑わしい薬物は販売中止できると思っておられますか。

田村国務大臣 ですから、我々もやりたいです。お知恵があるのなら、おかしください。

 でも、暫定といって、何を暫定するのかというのが特定できないわけですよね。例えば今ネットで売っているこんなパッケージでも、中身は関係なしですよ、パッケージのものは暫定でやりますと言えば、多分、次の日にはパッケージを変えて売りますよ、中身が特定できないんですから。彼らは、売っている方は、悪いと思って、わかっていて売っているんですから、こんなものは。

 こんなものが本当に、バスソルトやお香や、それこそハーブなんて言っていますけれども、そんなものに使われると思って売っているはずはないわけですよ、これは。だから、彼らだって、悪いと思って売っている限りは、このパッケージはだめですよと言ったら、パッケージだけ変えて売りますよ。結局は危険ドラッグを排除できない。

 だから、暫定指定をやりたいです、我々も。でも、何をもって定義して暫定をするのか。そこに苦しんでいるので、いいお知恵があれば、逆にお教えいただきたいと思います。

山井委員 本当に、目指すところは一緒なんです。

 だから、私の提案、今、田村大臣から質問がありましたのであえて申し上げますと、薬物名、薬物のパッケージ、そして、それだけでは、今おっしゃるように、翌日からビニール袋に入れて売るでしょうから、薬物名、薬物のパッケージとその中に入っているものということで私はいいのではないかと思います。なぜならば、それを特定しようとすると数カ月かかってしまうんです。だから、それを店頭から排除しようとするには、その商品名と中に入っているもので私はやるべきだと思います。

 ただ、もちろん、それで本当にできるのかという議論もあるかと思うんですが、私のお願いは、そういうことも含めて一度法改正を検討していただきたい。臨時国会に薬事法の改正を出していただきたい。今、法改正の検討をしないと、臨時国会に間に合わない。通常国会になったら一年ぐらい先になる。

 だから、申しわけないけれども、内閣改造とかいろいろ言われていますが、本当に、そういう谷間になって、私は田村大臣が続投されるかどうかわかりませんけれども、そういう中で、またこの対策が後手後手になるということがあってはならないんです。

 ですから、私も、今言った提案が一〇〇%とはもちろん言いません。しかし、今のようなことを考えないと、あすにでも、来週にでも、またお子さんが危険ドラッグの暴走車でひき殺されるという事件が残念ながら起こりますよ。起こります、起こり得ます、売っているんですから。そのときに、私はもう国民は許さないと思います。政府も許さないし、国会議員も許さないと思います。何でこんなものを放置しているんだと。

 ですから、何とかこの法改正をぜひ検討していただきたいと思いますが、前向きな答弁を、田村大臣、お願いします。

田村国務大臣 その中に入っているものというのが、パッケージが変わっちゃったら中に入っているものという概念は、違うパッケージの中に入っているものですから、それではやはり暫定指定できないですよね。その中に入っているものを特定するためには、成分、物質をちゃんと検査しないと、中に入っているものがわからないわけでありますので。

 ということで我々も苦しんでおりますし、多分、民主党政権下でこの問題は大きな議論になって、議員立法を我々も含めてつくったわけですよね。そのときも同じように、これが特定できない、つまり暫定指定という指定ができないから、だから対策が組めないというので苦しんで、結局は、そこから、そこにあるものを収去する、そのような権限であるとか、麻薬取締官の取り締まれる範囲を、覚醒剤だけではなくて、麻薬だけではなくて、指定薬物まで広げるという議員立法をつくったんだというふうに私は記憶をいたしております。

 ですから、もう既に何度も何度も我々もチャレンジしてまいりました。しかし、どうやって特定をするのか、どう、その指定薬物という中に、たとえ暫定指定であろうが、定義できないものを暫定的に指定するのかということの悩みの中でできなかった。

 我々もこれからいろいろな知恵は絞りますけれども、しかし、国唯一の立法機関であります国会議員であられる山井先生も法律をつくる権限をお持ちでありますので、そのような形で、本当に指定がどうやればできるのか、いろいろなお知恵をおかしいただければありがたいというふうに思います。

山井委員 私もこの三週間、本当に、夜中も、ヨーロッパ視察中も、自民党、公明党、野党の皆さんを含めて、この議論は国会議員もやらせてもらっています。

 ただ、私は一つ理解できないのは、なぜ法改正を検討するという答弁をされないのか。ぜひ、法改正も含めて検討するということを答えてください。なぜそれを排除されるのかがわかりません。

田村国務大臣 民主党政権のときからずっと検討してきているんです。これは、あなた方が政権与党のときから検討してきているんです。我々がそのときは逆にあなた方のような主張をしたんです、なぜできないんだと。

 しかし、ずっと厚生労働省の中で、いや、これは、罪刑法定主義の中で、物が特定できないのに、物が特定できないものを持っていれば罪であると。これは犯罪ですからね。犯罪の要件を確定するためには、罪刑法定主義ならば、その行為自体を特定しなきゃいけないんですよ。物が特定できないという中で苦しんで、あなた方が政権のときから今に至るまで、ずっと我々も悩んで検討しているんですよ。しかし、検討しているけれども特定できないという中で苦しんでいる。

 これは、日本だけじゃなくて世界じゅうがそうなんです。多分、ヨーロッパに行かれて、ヨーロッパで同じような御意見を聞かれたというふうに思います。

 先ほど言われた暫定指定は、やはり物質を特定しているんですよ。ここで悩んでいる、しかし悩んでいるだけではだめですから、だから、今ある中において徹底的な対策を組むということであります。

 ですから、検討していないわけじゃありません。検討はもうずっと何年もやっております。しかし、特定できないという中において苦しんでおる、こう御理解ください。

山井委員 時間が来ましたので終わらせていただきますが、これは残念ながら、また死亡事故は起こってしまいます、このままいけば。やはりそれではもたないです。大人だったら逃げられるかもしれないけれども、下校中の子供の列に脱法ハーブを吸った運転手の車が突っ込んできたら、子供は逃げられません。そうしたら、もう安心してこの日本で本当に生活できなくなってしまいます。

 私、以前、田村大臣とも一緒に薬害C型肝炎の被害者の救済ということをやらせてもらったことがあります。半年間、与党も無理だ、政府も無理だ、法務省も無理だ、厚生労働省も法律的には絶対無理だ無理だと言い続けたけれども、最後は、薬害肝炎救済特別措置法という法律をつくって、やはり与野党力を合わせて救済したんですね。

 今回も、申しわけないけれども、残念ながらこれからも死亡事故で亡くなられる方がふえていく、そうすると、今の法律の枠内ではこの議論は終わらないと私は思います。ぜひともぜひとも法改正を検討していただきたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、清水鴻一郎君。

清水(鴻)委員 日本維新の会の清水鴻一郎です。日本維新の会それから結いの党を代表しまして、質問をさせていただきたいと思います。

 今もう大分議論もありましたので、私も質問通告をしているかなりの部分が重なっているので、重複を避けて質問させていただきたいと思います。

 政府におかれましても、第四次薬物乱用防止五カ年戦略ということで、ことしの六月十九日に出されている。そしてまた、七月の十八日には、いわゆる「脱法ドラッグ」の乱用の根絶のための緊急対策ということで、かなり積極的にやっていただいていることは私も大変高く評価をしているところであります。

 ただ、今も議論がありましたけれども、何とか、いろいろ法の壁は確かにあるんだろうと思うんですよ。確かに、よく中身がわからないものを禁止するとかなんとか言っても難しいものはあるかもしれませんけれども、そういう危険薬物とおぼしきものを店頭に並べている者に対して、何か少なくとも仮処分といいますか、できないのかなと。

 そして、結果が出るまでは、薬事法もあるわけですから、現行の法律でもそれを厳しく運用することによって、その中身がわかるまで、また違うものに確かに変えるかもしれぬけれども、すぐにこれも調べるからというふうにどんどこいけばいいのかなと思うので、何とかそこのところ、大変人手も要るし、頻繁にそこに行かなきゃいけない、これはしかし、そこの店が潰れるまで、ちゃんとしたお商売をされているところに対してはまことに申しわけないわけですけれども、そういういわば違法な行為をされているお店はやはりなくなるように、根絶するような形で取り組んでいくことがまず必要なんだろうと思うんですよね。

 現在、最近の新聞報道でも、昨年の二・五倍の検挙数。もちろん、新しい法改正がありました。だけれども、その法改正で捕まえた使用者、使用あるいはその所持というものはほんの三十数件ですから、わずかで、圧倒的に、その製造、販売等、もともとの、薬事法の改正以前の問題で摘発されている例が倍を超えている。半年で昨年の件数を超えたということでありますから、やはり件数が多くなっているところでは蔓延してきているということです。

 そしてまた、ちょっと恐ろしいのは、二十代、三十代の方が七割、そして初犯の方が八割ということであります。このことを考えても、今後またその若い人たちが、これは実は依存性というのは極めて高いんですよ。

 これは報告ももう既にありますけれども、薬物の依存専門外来をされている埼玉県立精神医療センターの成瀬先生のペーパーでも、外来に危険ドラッグで来られている患者さん八十三人のうちの八〇・七%、六十七人が依存症レベルにあるということでございます。

 そして、これは精神科の先生のお話でございますので、私、先週、実は大阪医大の麻酔科の教授にお会いしまして、麻酔科の先生からの御意見としても聞いたんですけれども、依存性は極めて高いと思うよということであります。そして、一度覚醒剤等そういう依存性の高いものに手を染めると、動物実験でありますけれども、同じ環境に戻すと必ずまたその覚醒剤のある方に、そこに赤いラベルがあって、そこに行けばあるということを特定しておくとその環境に、ずっと長い間隔離して、そしてもう抜けた、いわばそういう状況に置いても、もとに戻せばまたやはりその印のところに行く。やはり物すごく習慣性というか依存性があるということであります。

 それで、私、これから、そのお店等、やはり一番大事なのは、その中で、まず物がなければ使えないわけですから、輸入とか製造とか、国内での製造等も含めて、させないということが大事だと思うんです。それからもう一つは販売。それができたとしても今度は販売させない。さっき言った、販売をすることができないようにする。そして最後は、やはりどうしても、でも使った人が今いるわけですから、その人たちが、薬物治療をして、再犯ですね、要するにもう一回使うということのないような、そういうことに取り組む。その三つのことが緊急に必要だろうと思います。

 まず、お店等について、検査に行くのに人手が、例えば厚生労働省の専門官、それから東京都であれば都の専門官等が同行、薬剤師の資格等がなければその店頭に入って検査ができない、そういう法律があるということであります。それが、圧倒的に警察官は多いわけでありますけれども、警察官単独ではそういう捜査ができないというところに大きな壁があると思うんですけれども、警察としての大きな壁というのはそういうところにあるんでしょうか、いかがでしょうか。

室城政府参考人 お尋ねは、立ち入り権限が警察官にあるのかということだと思います。

 立ち入り権限、薬事法につきましては、権限はございません。一部、例えば大阪府の条例で警察官に立ち入り権限を規定しているという例はあります。

 以上でございます。

清水(鴻)委員 そこで、大臣、今、確かに中身を見つけるのは難しいというのは、そういう意味での改正は難しいと思うんですけれども、少なくとも例えば条例等で、警察官が捜査に入れるというようなこともあるということですから、そういう意味で、国全体として、法改正として、警察官がそういう捜査を独自にでもできると。

 例えば、これはやはりそのバックには恐らく、まずその原材料のルートが、今まで東京都の工場でつくられていたという工場が摘発されましたよね、それについては原材料は中国ルートだと。それから、九州厚生局の案件で、沖縄の例では、これも原材料が中国からのルートだということが判明しているようでありますし、さらに、福岡あるいは東京都の製造工場の場合も暴力団が関与していたということも明らかなようでありますけれども、そういう組織犯罪、あるいは原材料の輸入ルートの特定、それから暴力団の関与について、警察としてはどういうふうに把握されていますか。

室城政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、危険ドラッグが暴力団の資金源になっている、あるいは暴力団の関与ということについてでございますが、本年上半期の危険ドラッグに係る検挙事件のうち、暴力団構成員等を被疑者として検挙したものは、指定薬物に係る薬事法違反が五件、麻薬及び向精神薬取締法違反が一件、交通関係法令違反が一件となっております。

 しかしながら、危険ドラッグの流通ルートへの暴力団の組織的な関与については、資金源となっているか否かも含め、解明の途上にあるというのが現状であります。引き続き、取り締まりを徹底し、暴力団の関与実態の解明に努めてまいりたいと考えております。

 また、危険ドラッグの製造ルートや原料の密輸ルートは警察が把握できているかということにつきましては、ただいま先生からも御指摘ございましたが、幾つかの事件で関連の検挙をしております。

 例えば、平成二十五年二月、指定薬物を含有する液体及び乾燥植物片を危険ドラッグ店経営者に販売した男らを薬事法違反で通常逮捕し、製品化される前の大量の白色粉末等を押収した事案、平成二十五年十一月、脱法ドラッグと称して麻薬成分を含む商品を製造していた事実等で、会社代表者の男ら四人を麻薬及び向精神薬取締法違反で通常逮捕した事案、そして、本年六月、沖縄県内の危険ドラッグ製造販売業者が中国から指定薬物である通称α―PHPP約二キログラムを密輸入したとして、経営者の男ら四人を薬事法違反により通常逮捕した事案があります。

 このように国内で危険ドラッグが製造された例や原料が密輸された例を把握しておりますが、引き続き、危険ドラッグの製造ルート及び原料等の密輸ルートのさらなる解明に努めてまいりたいと考えております。

清水(鴻)委員 今お聞きしましたように、やはり暴力団等の関与に関しては、まだ少ないといいますか、もちろん、今挙げていただいた例がありますけれども、でも、いわゆる危険ドラッグを売るお店等について、いわば普通の方がそういうお商売をするというのはなかなか難しいと思うんですよね。基本的には、暴力団あるいはその周辺の方々の関与というのがやはりあるというふうに考えた方が自然だと思うんですよ。

 だから、ぜひ警察の力というのを、薬事法とかいろいろな、いわば厚生労働省に関係することでありますけれども、圧倒的にやはり警察の捜査力というのは大きいわけでありますから、警察が関与してどんどん取り締まって、そういうお店を根絶するという方向に行かないと、これはやはり解決しないと思うんです。

 大臣、警察の捜査に関して、今、一つの壁が、警察だけでは捜査できないという壁があるわけですけれども、その辺について柔軟に対応するような法改正というのか、あるいは法解釈というのか、そういうものについて弾力的にして、警察の力というのはやはり圧倒的に大きいし、人数もすごくたくさんいらっしゃる。警察がしっかり乗り出さないとこれはやはり解決しないし、恐らくそのバックには暴力団の関係がある、だから、それを根絶するためにはそういう力が必要だ。だからこそ、いわば法改正というのが、そういう意味での警察の関与ができるような形にするべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 通告をいただいていないので、的を得た答弁になるかどうかちょっとわからないんですが、今も当然、覚醒剤を売っていれば、警察が捜査令状等々を持って捜査して、そのまま検挙できるんですよね。指定薬物を売っていることがわかっていれば、それは警察が、薬事法違反にのっとって、警察独自で入って検挙できるわけであります。

 問題は、例えば今般の七十六条の六、これで検査命令、販売停止命令をかけるのは、麻薬取締官でもできません。これは薬事監視員しかできないんです。この人たちが、要はその店に行って、そして検査命令、販売停止命令をかける。

 ところが、その後、どうも販売停止命令をかけたものをまだ売っているということが確実的にわかっておれば、そこは麻取が行かなくても、また一方で薬事監視員が行かなくても、警察が入って、薬事法七十六条の六に違反していますねということで検挙してこられるわけでございますので、そこは連携をすれば対応できるという話であろうというふうに認識いたしております。

清水(鴻)委員 ぜひ、今大臣おっしゃいましたけれども、その連携をしっかり組めるような体制、組織をつくっていただいて、まず販売店が根絶できるように。お店がある限り、あるとそこにやはりアクセスするということでありますから、お店がなくなれば、売る方法、もちろんインターネット等がありますけれども、それに対してはまたインターネット対策が大変でありますけれども、まず六割の方は今お店で買っている、二割の方がインターネットで手に入れた、そういうデータでありますから、まず、やはりそういうところを取り組んでいただきたいと思います。

 やはり一つの大きな問題は、依存性の問題、覚醒剤と同じように依存性が八〇%ある。さらに、一番の主症状は、幻覚、妄想であります。これが八十三例中五十三例、つまり六四%。半分以上が幻覚や妄想になる。さらに、精神運動興奮が五四・二%、意識障害、これも三一・三%、三〇%。三割強は意識障害になるわけです。それで運転したら、それはあかんやろうという話です。だから、こういう怖いもので、過剰摂取すればもうこれは死亡例もある。

 こういうものだということを明確にしながら、警察、そして厚生労働省、あるいは都道府県等で総合的に取り組んでいただきたいと思います。

 それから、ちょっと次の話になるんですけれども、どうしてもやってしまった、そういう人たちが恐らく今八割は初犯ですよ。だけれども、恐らく、麻薬、覚醒剤とかは初犯よりも圧倒的に再犯が多いと思うんですよ。

 実は、犯罪というのはもともと、覚醒剤とかこういうものでなくても、犯罪の六割は再犯ですよ。つまり、再犯がなくなれば、六割の犯罪がなくなるわけであります。恐らく、覚醒剤等の例は八割初犯ということはない。つまり、これは、いわゆる危険ドラッグが出始めた、だから今初犯だけれども、これが時間がたって、十年、二十年たってくれば再犯がどんどんふえてくる。

 そのためには、やはり治療施設。まだ今、治療施設が、ちゃんとした精神科の、そういう薬物依存症に対する治療ができるところは日本でも十カ所ぐらいしかないんじゃないか、そして専門医が二、三十人しかいないんじゃないか、そういう指摘もあるわけですよ。

 さらに、刑務所に入られました、そういう薬物依存で。そして、出てきた後、更生保護施設ですね、薬物依存症の更生施設が二十五年度で初めて五カ所指定されましたよね。二十六年度で十カ所になったと聞いています。

 だから、その辺のところをさらに充実、全国で五カ所、十カ所といっても、実際どれだけの人が対応できているのかということを含めて、まずは最初は、もう時間がないので、麻薬、覚醒剤の再犯率というのはどうですか。今、危険ドラッグは八割初犯ですけれども、覚醒剤等では再犯率というのはどれぐらいですか、初犯率との比率は。どんなものですか。

片岡政府参考人 お答えします。

 薬物関係の再犯率、ほかの一般の犯罪の再犯率より高うございまして、初犯から再犯で既に五〇%を上回る、高い再犯率となってございます。

清水(鴻)委員 では、精神科の、薬物依存に対する専門的な医療施設というのは、今現在、何カ所ぐらいございますか。

藤井政府参考人 薬物依存症に対する治療といたしましては、薬物の使用によります弊害を本人に気づいてもらうような、いわゆる認知行動療法を用いた治療回復プログラムがございますが、これを行っている医療機関の数は、私どもの厚生労働科学研究の調査結果によりますと、現在、二十五カ所程度でございます。

 私どもといたしましては、その普及をさらに進めますとともに、今年度、平成二十六年度から、全国五カ所程度ですが、医療機関を依存症治療の拠点機関として位置づけまして、支援体制の整備を図ってまいりたいというふうに考えております。

清水(鴻)委員 ぜひ、二十五カ所といっても、四十七都道府県あるわけですから、少なくとも都道府県に一カ所程度は最低つくっていただきたいというふうに要望しておきます。

 それから、いわゆる更生施設の方ですけれども、今、二十五年度で五カ所、二十六年度でも五カ所、十カ所と聞いていますけれども、それは今現在どことどことどこにあって、今後さらに拡充していく予定があるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。

片岡政府参考人 お答えいたします。

 ただいまお尋ねがありました、二十六年度十施設を指定しております薬物処遇重点実施更生保護施設の関係でございます。岐阜、京都、鳥取、宇都宮、東京等々、全国十カ所ございます。

 そして、専門家を配置しました専門プログラムを実施しておるわけですが、今後、その効果を見ながら、よりよいプログラムに改善していくとともに、重点施設も充実させていきたいと考えております。

 以上であります。

清水(鴻)委員 ぜひ、覚醒剤等が再犯が今もう五割を超えているということですから、恐らく、今、初犯八割の方々が再度またしていくということはもう容易に考えられると思うんです。だから、これからは、その治療プログラム、さらに更生施設等をしっかり拡充させていって、専門家によって必ずもう再犯をしないという体制をつくっていくことも大変重要だと思います。

 今まだ全国で二十五カ所、そして更生施設十カ所ということでありますけれども、大臣、これはしっかりと予算もつけて、再犯しないという体制をしっかりつくっていくということについて、最後、御決意を聞かせていただければありがたいと思います。

田村国務大臣 再犯防止ということでございます。これに関しましては我々もしっかりと対応していかなきゃならぬというふうに認識いたしておりますので、そのような形で我々も取り組んでまいりたいと思っております。

 先ほど委員がおっしゃられましたけれども、これはやはり常習性があるというふうに我々も認識いたしております。あわせて、薬事成分等々がわからないものを使われるので、まず、担ぎ込まれてもなかなか治療の仕方すらわからないということで、麻薬や覚醒剤であればある程度成分がわかっておりますので、それに対する対応もできるのでありましょうけれども、さっぱりわからないものからの対応ということで、そういう悩みもそれぞれあるのであろうというふうに思います。

 そういうことも含めて、どのような対応があるのか、我々もこれからも検討してまいりたい、このように考えております。

清水(鴻)委員 ありがとうございました。終わります。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 維新・結いの党の井坂信彦です。

 この間、危険ドラッグ対策のために委員会開催を訴え続けてまいりました。本日、このように閉会中にもかかわらず厚生労働委員会が開かれましたこと、与野党そして政府の皆様に心よりまず感謝を申し上げます。

 製造や輸入、流通、販売、購入、そして使用、あるいは宣伝、もう本当にあらゆる場面でさまざまな規制のオプションが考えられます。しかし、最大の問題は、この危険ドラッグを調べて、実際に化学式、枝の枝まできちんと定めるのにやはり数カ月いろいろ手続がかかるので、販売業者は、例えばラッシュ13という銘柄を今は合法ですよとどんどん売って、そして、大体三カ月後にそれが違法薬物に指定をされたら、今度は満を持してラッシュ14というものを出して、また堂々と数カ月売り続ける、こういうイタチごっこが続いていることであります。

 そして、本日質疑にもありましたように、事件のほとんどは違法指定される前の薬物によって起こっているということ。本日は、法改正も含めて、化学式がまだはっきり定まっていない違法指定前の危険ドラッグの販売を事実上できなくする方法について、ともに議論をしたいというふうに思っております。

 危険ドラッグは、販売時点では指定薬物ではなく、後から違法指定されて指定薬物になったとしても、過去の販売をさかのぼって処罰することはもちろんできません。

 しかし、危険ドラッグ業者は、このドラッグも近いうちには指定薬物になるだろうとわかった上で販売をしており、いわば未必の故意というようなものに近い状態が認められるわけであります。本当に合法、問題ないと信じて売っている業者は私はいないと思っています。実際、販売の現場でも、早く使ってくださいね、三カ月後ぐらいには東京都のホームページに載って違法指定されるので、それまでに使ってくださいね、こういう売り方がされているわけであります。

 事後的に指定薬物となるものをわかっていて繰り返し売る、その売っている客観的な行為自体を規制、処罰できないものかということについて、大臣、これは通告どおりですから、お伺いをいたします。

田村国務大臣 法律の遡及適用をするのか、先ほどの山井委員がおっしゃったみたいに、何というんですかね、ふわっと定義もなしに指定をかけられるというような方法を考えるのか、それはちょっとどちらをおっしゃっておられるのかよくわかりませんが、法律の遡及適用は、多分、憲法三十九条違反になるのであろうと。

 未必の故意というお話がありましたが、未必の故意というのは、意図もしくは希望をしてそうするのではなくて、そうなっても仕方がないというような形で行為を行っているというふうなことであろうと思いますが、指定薬物になるという意味では未必の故意はあるのかもわかりませんけれども、指定薬物になってから犯罪になるわけでございますので、その犯罪に対してそのまま未必の故意が適用されるという話ではないのであろうというふうに思います。

 思いは一緒でありまして、何とかしたいわけでありますから、先ほど清水委員からもお話がございましたが、店頭で売られているというのが六割という形でございますので、まずは、店頭で売られているのをもう事実上売れなくするために、今、ありとあらゆる、薬事法七十六条の六も使ってこれに対して対応していこうということです。

 おっしゃるとおり、売っておられる方々は許せないですよ、我々。しかし一方で、法律というものは法律として純然たるものがあって、それを法改正もしたいんですが、どうしていいのかわからない。これはもう委員も多分、ごめんなさい、山井さんのことでありますけれども、それはずっと同じ思いでこの三、四年間やってきたんだと思いますよ。ですから、我々も何とかしたいんですが、それはどうにもならない。

 これは世界じゅう同じ思いで悩んでおるわけでございますので、事実上売れなくするためのいろいろな対応をまずはやらせていただきたいということで、今、その第一歩を、まだ第一歩、第二歩、第三歩です。

 包括指定によって、実際、枝葉までというか、基本的なところでアウトになったので、今、それぞれ販売業者が返品がきかなくなってきている。昔は、指定がかかると、返品してお金を返してもらったというようなことがあったらしいんですけれども、返品がきかなくなってきておる。そして商売がしづらくなってきておるというような話もある筋から我々も聞いておるわけでございまして、やはり商売しにくくなっているんだと思うんです。そうやって、できなくしていくということが重要であろうというふうに考えております。

井坂委員 事実上販売ができなくする方法として、ここ最近は薬事法七十六条の六の適用ということが出ているわけであります。これは、指定薬物である疑いのあるものを見つけたときに、検査の命令が出せる、そして、その検査の結果が出るまでは、これの製造、輸入、販売、陳列などを禁止を命ずることができる、こういう法律であります。

 しかし、この法律は、現時点では、この製造、輸入、販売、陳列禁止命令というのは、検査命令を出した、違法の疑いのあるものを見つけたその個別のお店にしか適用されないという弱点があります。

 そこで、ある店舗でこの販売禁止命令、検査中の一時販売禁止命令を出した銘柄のドラッグ、商品を、法改正によって、一時製造流通禁止銘柄のようなものにして公示をして、全国の店舗及びネットでも検査結果が出るまで販売できないようにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 多分、先ほどの話に戻るんだと思うんです。要は、成分自体は特定できていないわけですよね、これから検査するんですから。(井坂委員「いや、銘柄で」と呼ぶ)だから、銘柄で押さえると、多分、違う袋に入れかえて売るんだと思うんですよ、結果的には。

 ですから、銘柄がその物質であるという特定ができていないわけなので、仮にそうしたとしても、それで例えば、要するに公告しますよね、こういうものは今検査命令がかかっているので、販売停止の命令もかかっていますと。すると多分、その売っているところは、その入れ物を入れかえる、商品名が変わっているからと。

 商品名なんて別に、普通の製品ならば、テレビで宣伝して、こういうものですから品質がしっかり確保できていますので、こういうような名前で売っていますというのがあるんでしょうけれども、こんなものはそんなものありませんから、結果的に違う名前で売られちゃえば同じことがそのまま続くということでございますので、今言われておるのは一つ検討ができない話じゃないんですけれども、事実上は効果を余り示さない可能性があるのではないのかな、このように認識いたしております。

井坂委員 まず、大変残念です。私は、この問題は、与野党協調、政府、国会協調で、とにかく結果を出すべき問題だと信じてこれまで動いてまいりました。通告もいつもより早目に出させていただいて、もっと深く検討した上でお答えがいただけるものと思っておりましたが、袋の詰めかえをしたら同じものが売れるという、その大臣の理屈が成り立つのであれば、そんなもの、七十六条の六を個別の店舗に適用したって、その店が次の日から、同じ中身をラッシュ14と、別の袋に入れて売るんじゃないんですか。

 再答弁をお願いいたします。

田村国務大臣 七十六条の六、これをその店に向かって使う、この意味合いというものがどういう意味合いなのかというところに、今回の七十六条の六を使うというところの答えがあるんですよね。

 つまり、基本的には、そこにあるものに対して、言葉の使い方が難しいので、なかなか国会答弁として使いづらいんですけれども、狙いがどこにあるかということを御理解いただきながら、なぜ七十六条の六をその店に対して使うから効果が出るのか。これ以上言うといろいろな捜査の手法にかかわってきますので、これ以上は言えませんけれども、そこに意味があるんです。

 つまり、まず店舗を徹底的に商売ができなくするために七十六条の六を使っていくんです。今いるこの人員で、とにかくまず店頭の店を何とか根絶やしにしたいという思いの中で使うんですね。この意味合いを御理解いただきたいというふうに思います。

井坂委員 七十六条の六、私は効果のある法律だというふうに思っています。

 例えば、ラッシュ13と売っていても、今は違法指定されていなくたって、その疑いがあるということで検査命令を出し、そして、検査結果が出るまではラッシュ13という銘柄は売らないでくださいよと、今は個別の店舗には命令を出せるわけです。それは詰めかえとかいろいろあるかもしれませんが、詰めかえがあったら、またその店で、要は、これだって怪しいということで検査命令を出していくということで、個別の店舗で事実上そういったものをほとんど売れなくすることは、私は可能だと思っております。

 そういったことを個別の店舗ごとにやっていって、ネット上にあまたある個別の店ごとにそれをやっていく、シラミ潰しで全部やっていただけるならそれでもいいですが、ただ、やはり法改正をして、全部の店舗を一個一個、そういう検査命令と販売禁止命令を重ねて出し続けるよりは、同じことですから、一つの店でそういうことをやったら、それはもうネット上であろうが全国のどこのお店であろうが、ラッシュ13は今検査中の銘柄ですから、販売、陳列禁止銘柄として、結果が出るまでは一時販売停止をしましょうよ、こういう御提案を申し上げております。いかがでしょうか。

田村国務大臣 現有の人員の中で対応をしなければならないという現状がありますよね。その中で一番効果的な対応を期間を絞ってやることによって、まずは店頭で売っているものを徹底的に何とか駆逐したいという思いがありますよね。

 となれば、当然、そこにある店頭のものを、おそれがあれば押さえる、そして売れなくする。そこにあるお店だ、どこにあるお店だという認識があるから、まずはそういうことが集中的にできるわけです。ですから、今も申し上げましたが、限られた人員の中で集中して徹底的にこれをやるために、この七十六条の六というものを使おうという決断をしたわけであります。

 ですから、まずはそこを徹底してやらせていただく中において、まず店頭を駆逐していく、ここは思いが一緒なんであろうというふうに思います。

井坂委員 店頭を駆逐ということで、その手段で、私も、人員が非常にまだそんなに潤沢にあるわけではないという中で、では全店舗シラミ潰し、あるいはネット上全部シラミ潰しに、個別店舗に対する検査命令、そして検査中の販売一時停止命令を出すのはなかなか大変だろうという思いから、一つ検査中の銘柄を決めたら、その銘柄は一時的には全店舗そしてネット上でも販売停止をかけられないか、こういう御提案を差し上げたので、検討の上で御答弁いただけたらよかったんですけれども、ぜひ、これから前向きに、こういったやり方もあると思いますから、省内で検討していただきたいというふうに思います。

 ちょっといろいろ議論したいことがありまして、この七十六条の六で、指定薬物である疑い、これが一つキーになってまいりますので、この指定薬物である疑いの基準についてどのようにお考えか、まず大臣に包括的に御答弁をいただきたいと思います。

田村国務大臣 先ほど、山井委員だったというふうに思いますけれども、お答えをさせていただいたと思いますが、これは基本的に、検査をしに行った検査員といいますか、検査官が行って、そして、そこで蓋然性が高いということを判断する。それは具体的に答弁でどう答えるというよりかは、そこでやはり、検査しに行った人が、検査といいますか行った方々が、検査員が、要は蓋然性が高いかどうかということを専門的な知見から判断をされるということだと思います。

 例えば、例示でいったら、それは包装だとか名称だとかいろいろなものはあると思いますよ。あると思いますが、とにかく何とかしなきゃならないんですから、そこはやはり専門的な知見で、その方の御判断で、それをそれぞれ指定薬物かどうかということの蓋然性に合わせて検査命令をかけるということの答弁が、一番ここでは適しているのではないかというふうに思います。

井坂委員 確かに、現場に行って物を見れば、もう明らかに疑いがあるということがわかるケースも多いと思います。例えば、裏を見たら、絶対に吸わないでくださいとこれ見よがしに書いてあったり、あるいは日本語では書いてあるけれども、英語ではまた全然違う、何かこれは気持ちよくなりますよみたいなことが書いてあったりとか、ちょっと見れば怪しいということはわかるわけでありますが、そうはいっても、現場の裁量で、捜査官の主観でというわけにもいかないでしょうから、私の方から幾つか御提案をしたいんです。

 例えば、一番最初に申し上げたように、事後的に指定薬物になるものを繰り返し売っていた業者、これは、未必の故意という話を先ほどしましたが、その業者が売っているものは、また次もそういう、三カ月後には違法指定される可能性が高い。こういう繰り返し違法指定になるものを売っていた、過去にさかのぼれないけれども、イエローカードがもう累積して、また今度やっていることもほぼ悪いことだろう、こういう客観的事実をもって指定薬物である疑いと言えるのではないか。

 技術的な話ですから、担当者にお伺いをいたします。

神田政府参考人 御指摘の指定薬物である疑いのある物品については、物品ごとに判断するということになるわけでございます。先ほど大臣の方からも申しましたけれども、現場に行って、指定薬物である疑いがあるものを発見した場合には、検査命令がかけられるという規定でございます。

 したがいまして、指定薬物が検出された物品の形状ですとか名称ですとか包装ですとか、あるいは事件、事故が発生した場合の健康被害の発生の原因物質として疑われるものと、精神毒性の点から指定薬物である可能性が否定できないようなものについて、対象になるものというふうに考えております。

 過去にやった業者だから一律にということではないとは思います。物ごとに判断というのが基本だと思いますが、いずれにしろ、悪質な業者については、繰り返し販売停止命令などをかける、あるいは立入検査もございますので、そういったことによって実質的にその販売店に圧力を強めまして、違法、有害な薬物の販売を実態的に抑えていきたいというふうに考えております。

井坂委員 同様に、例えばネット上で売り文句を見ていますと、ラブドラッグとか、そういう売り文句で売っているわけであります。これもまともなハーブとは思えないわけでありますが、こういった売り文句、広告されている事実をもって指定薬物である疑いと言えるのではないか、お伺いをいたします。

神田政府参考人 先ほど申し上げたように、その広告の一点をもって指定薬物の疑いと言えるかどうかというのは申し上げられませんけれども、個々に判断することによって、先ほど申し上げたような個々の物品の形状、名称、包装等もあわせて考えまして、疑いのあるものかどうか判断して、積極的に運用を検討していきたいというふうに思っております。

井坂委員 同様に、化学式の細かい同定までは時間がかかるわけでありますが、ドーパミンを上昇させる効果があるとか、あるいは脳の受容体への親和性がある、こういう大まかな効能がわかった時点で指定薬物である疑いと言えるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。ちょっと一問飛ばしていますが。

神田政府参考人 この規定自身は、立入検査等で現場に行って、指定薬物の疑いがあるものを検査命令をかけられるということでございますので、先生御指摘のように、ドーパミンの上昇ですとか脳受容体への親和性が高いかどうかということを、動物実験その他、そういう検査をするまでもなく、むしろ店舗などでそういったことが疑われるということで検査命令はかけられますので、そういった検査をするまでもなく、疑いがあるということであれば検査命令をかけることは可能だというふうに考えております。

井坂委員 最後に、大臣にお伺いをいたします。

 世界じゅうがこの危険ドラッグをどう規制するか悩んでいる、私も確かに各国の例を見てそういうふうに思っております。だから、国会もぜひ、立法府なんだから知恵を出してときょう大臣は再三おっしゃられております。私も同じような気持ちで、何とかこの法律、しかも規制、一方でこの脱法ドラッグ業者とは全然別の健全なお香屋さん、ハーブ屋さんが世の中にいっぱいある中で、どうやって本当に悪質なものを根絶できるか、これは本当に知恵比べの側面があると思い、きょういろいろ細かい話もさせていただきました。

 ぜひ一言いただきたいのは、本日幾つか法改正も必要なことも申し上げましたが、本日提案申し上げたような内容を今後省内で具体的な検討をしていただけるのかどうか、そのことだけ最後にお答えをいただきたいと思います。

田村国務大臣 現行法の中でやれることも含め、もちろん法改正、実効性の上がるものがあれば、それは法改正も当然やれるのならやりたいわけであります。

 とにかく、危険ドラッグというものを、これは本当に怖いのは、合法ハーブだとかいろいろな名前で販売してくれたものでありますから、若い人たちを中心に、法律違反じゃないというふうに思って使っているんです。しかし、先ほど来言っていますとおり、次から次へと指定していきますので、持っているものがそのときは確かに法律違反じゃなかったかもわかりませんが、持っている間に法律違反になっちゃうんですよ。逮捕されちゃう話です。

 さらには、覚醒剤や麻薬と同等もしくはそれ以上ということもあるかもわかりません、物によっては。毒性が高いものもある。治療方法だって確立されていません。非常に、自分の体も壊す、精神も破壊する、家族も泣く、そして、周りの方々に交通事故やいろいろな形で迷惑をかけるわけでありますから、もう絶対にこういうものをやっていただきたくない。そういうようなことの広報も含めて、やれる限りのことをしっかりとやってまいりたい、このように思っております。

井坂委員 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、松田学君。

松田委員 次世代の党の松田学でございます。よろしくお願いいたします。

 先週の金曜日に次世代の党という党が正式に結党されまして、国会の質疑は、私が次世代の党ができてから最初の質問をするということに相なりました。よろしくお願いいたします。

 ただ、私、厚生労働委員ではございませんで、必ずしも専門家ではございませんので、ただいまいろいろな議論をちょっと聞かせていただいて、やはり根絶に向けて、販売業者に対して取り締まりをしっかりやる、これはもう当然やらなければいけないことである、それを前提にした上で、ちょっと違う視点からも、この問題について根本的なことも考えなければいけないなという気もしておりますので、幾つか御質問させていただきたいと思います。

 次世代の党をつくったときに考えたのは、政治の新しい対立軸として、いわゆる国への依存というか、パターナリズムでいくのか、あるいは自立でいくのかというのは、私、これが重要な観点になってくるんじゃないかと思っております。

 社会悪に対しても、いろいろな社会悪があるんですが、例えば、先般、内閣委員会でIR法案が議論された。あれは賭博罪という社会悪。賭博罪は、何でいけないのかというと、国民の射幸心をあおって勤労意欲を阻害する。これというのは、もしかすると、いや、そんなのは個々人の自立の問題で、依存症の人はちゃんと対策すればいいので、ちゃんと自立している人に対してまで全部禁止するのはどうだ、そういう議論があろうかと思います。

 ただ、この薬物に関して言うと、これは販売するのは当然いけないとしても、所持すること、それまでも絶対にだめだと言っていることについては、このパターナリズムか自立かという対立軸を超えた規制の理由というか、一方で、これは個人の自己責任でなくて公共の福祉に反するという面。これは、たばこも、喫煙も、そういう意味でいえば、個人の健康だけじゃなくて、周辺に副流煙とか、いろいろな公共の福祉に反する。しかし、喫煙はそこまで禁じていない。しかし、薬物は禁止している。

 ちょっと基本的な話になるんですが、その点についての大臣の御認識を聞かせていただけますか。

赤石大臣政務官 松田委員にお答えいたします。

 今、たばこと医薬品のバランスの問題を問われましたけれども、医薬品につきましては、効能、効果と副作用をあわせ持つために、品質、有効性及び安全性の確保が必要であります。このため、薬事法に基づきまして、開発、承認、製造、流通、使用の各段階で必要な規制を行っているところであります。

 とりわけ麻薬や覚醒剤といった薬物は、乱用者自身の精神及び身体への障害のほか、思考や感覚や行動の異常を来す結果、外傷事故を起こしたりなど、社会全体に対してもたらす危害が大きいため、薬事法とは別に、麻薬及び向精神薬取締法や覚せい剤取締法において、より厳しい規制を行っているところであります。

 一方、喫煙につきましては、麻薬や覚醒剤のような、乱用者自身の精神及び身体への障害のほか、思考や感覚や行動の異常を来す健康上のリスクが発生するとはみなされていないことから、成人後については規制されておりません。当然、未成年者の喫煙については、未成年者の健全育成の視点から、未成年者喫煙禁止法による規制が行われておる、このようになっております。

松田委員 済みません、非常に基本的な質問で恐縮でございました。

 ただ、一応ここで確認しておきたかったのは、この危険ドラッグと言われているものも、もともと、先ほどから非常に議論がありましたように、依存性ははるかに麻薬より高いものもあるし、常習性というか、それになってしまう危険性が非常に高いということになっているわけでございます。そういう意味では、麻薬と同じぐらいの規制すべき対象であるということで今議論になっているんだと思います。

 私、この話をちょっとフォローしてみて思い出したのが、昔、シンナー遊びというのがあって、それで、シンナー遊びというのは、別にシンナーそのものじゃなくても、例えば接着剤か何かを袋に入れて、これを吸っている不良少年がいて、私も、母親から、ああいうことをやるのは頭が悪くなるからやめなさいと言われて、まさにこれは自分の自覚で近づかなかったんですが、例えば、そういう接着剤まで規制するのかという話になっていくと、これは切りがない話になってくるんですね。

 だから、そういうところで、危険ドラッグというふうに命名をしたところで、何が危険ドラッグで何が危険ドラッグでないのか、何を売っていいのか、何を買っていいのかというのは、そもそものところ、先ほども議論を聞いていて、どこで線を引くのかというのは、らしきものというのはなかなか難しいので、そのあたりの基本的な線引きというか考え方というのをちょっとお聞かせいただければと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 危険ドラッグというのは、今回名前をつけたわけでありますが、もともとは脱法ドラッグなどというような言われ方をしておりました。

 薬事法等々で規制されていないもの、もっと言いますと、本来、薬事法でも、体の中に入れるとなれば、それはやはり規制されるわけでありますけれども、そういうふうに言って売っていない。認識して売っておられるんだと思いますが、あえて使わないでくださいと言って売っておられるようなものでありまして、そもそもは一九九〇年代前半ぐらいからそういうものが出だしてきた。これは多分、海外から入ってきたんだと思います。その後、そういうものをやはり規制しなきゃならぬということで、指定薬物という形でこれを禁止したわけであります。

 どういうものかというと、まさに、よくアッパー系だとかダウナー系なんというような名前のつけ方がされるわけでありますが、カチノンだとかカンナビノイドでありますとか、そのような薬事成分等々で精神を高揚させたり酩酊させたりというような、言うなればマリファナだとか、一方では覚醒剤だとか、ちょっと違う効果があるわけでありますが、同じような成分を使って、若者のみならずなんでしょうけれども、人をいい気分にするというか、そういうようなものであったわけでありまして、そういうものをやはり規制しなきゃいけないということで指定薬物にしたわけであります。これはやはり構造式も含めて指定薬物にしないと、物がわからないと指定ができない、規制ができないわけでありますので。

 ところが、それでは追いつかないので、今度は包括指定という形で、基本的な構造式が似ていればこれはもう全部指定しちゃおうということで一遍に、数十から、今、千を超えてきた、もう二千近くになってきたわけであります。

 それでもまだ追っつかない、次から次へと出てくるものを、今、危険ドラッグと言っているわけでありまして、これは言うなればやがては規制される薬物でありますが、今現状では、タイムラグで規制できていない。しかし、売ってもらっちゃ困るから、これをどうやって対応するかというのが今我々が一番頭が痛いところで、あらゆる限りの現行ある制度等々を使ってこれを徹底的に取り締まっていこうというような形に今なってきておるわけであります。

松田委員 これからは徹底的に取り締まる、当然これはやっていただかなければいけないことであります。

 私も昔、財務省におりましたときに税関の現場を預かったことがございまして、密輸、麻薬の取り締まりというのを多少経験したことがあるんですが、日本の場合、やはりいろいろな意味で、摘発に関する、取り締まりに関する人員だとかあるいは体制であるとか、そういうものがほかの国に比べて手薄である上に、捜査手法も限られているということで、当時、今はどうだかわかりませんが、日本は密輸業者にとっては草刈り場であるというような話もあったんですね。

 そういう点からいうと、その辺の体制についてもやはりきちっと考えた上で、組織体制、人員、資機材等、ほかの国に比べた日本の今の状況というのを、今、少し明らかに、御説明いただければと思うんですが、いかがでしょうか。

神田政府参考人 諸外国におけます麻薬ですとか危険ドラッグの取り締まりについてでございますけれども、国によりまして薬物情勢とか法制度が異なることから、単純な比較は難しいというふうに考えております。

 我が国におきましては、麻薬取締部が、厚生労働省の地方支分部局であります全国八カ所の地方厚生局に設置されているところでございます。二十六年度の定員は二百六十七人ということで、全ての事務所に鑑定機器を設置して、鑑定が行えるという体制をとっているところでございます。

 いずれにいたしましても、危険ドラッグの実効ある取り締まりに向けまして、関係機関と一斉合同立入検査の実施ですとか、取り締まり活動を徹底するとともに、危険ドラッグ取り締まりの現場で活躍する麻薬取締部の体制を強化する必要があるというふうに考えております。

 これは一概に比べられませんけれども、例えば、米国における司法省の麻薬取締局については、特別捜査官、これは麻薬と全体が一緒ということかと思いますけれども、特別捜査官約五千人というふうに承知いたしております。

松田委員 まず国内の体制をしっかりしなきゃいけないという課題もあるんですが、一方で、これはやはり外から結構入ってきているという話があって、私も水際の方を担当していたことがあるので、ちょっとその観点からもお聞きしたいんです。

 次世代の党というのは非常に国家安全保障を大事にしているんですが、やはり、国民の生命と健康を守る。これは今、状況を見ていると、この話も国家安全保障の観点から考えなきゃいけないんじゃないかなという感じがしておりまして、相当きっちりやらなきゃいけない。

 それも、かつては、こういうドラッグ、脱法ドラッグと言われるのは欧米から入ってきたのが、最近は中国から相当入ってきているという話も聞くんですね。そういう状況において、いわゆる危険ドラッグが世界規模の巨大市場で流通していて、日本はカモになっているという面があるんじゃないかというふうなことも心配するんですけれども、そういった動向の把握というか、あるいは国際的犯罪組織との関係とか、その辺についてはどの程度把握されているのか、お答えいただければと思います。

神田政府参考人 御指摘のように、危険ドラッグは世界規模の巨大市場で流通しているということでございます。直近でいいますと、九十四カ国にそういった危険ドラッグの存在というのが確認されているということが、国連麻薬犯罪事務所の報告などにも記されているところでございます。

 供給ルートなどにつきましては、委員今御指摘のように、現在では、我が国で摘発いたしました事例などからもわかりますように、中国から輸入している事例というものがふえている、これも現場からそのように聞いているところでございます。従前は、中国からアメリカに輸出して、アメリカ経由で入ってきたものが、最近は中国から直接入ってくるようになっているというようなことを現場から聞いているところでございます。

 国際犯罪組織との関係につきましても、非常に未解明な部分が多く、今後、国連等を通じまして各国間で情報の共有、連携を行い、供給ルートの特定とあわせて実態解明に努めてまいりたいというふうに考えております。これについては、国連麻薬委員会等を通じまして情報交換等を行っていきたいというふうに考えております。

松田委員 七月に発表された緊急対策で、水際対策等を徹底するということが書いてございまして、関係各省庁間の連携、情報共有を一層強化すると。具体的にどういうことを行っていくか、お聞かせいただければと思います。

赤石大臣政務官 重要な質問だというふうに思っておりまして、これは国を挙げてしっかりと水際作戦をやっていかなきゃならないと思っております。

 危険ドラッグの乱用防止のためには、需要の削減を図るとともに、その供給を遮断することが肝要であるというふうに考えております。その一環として水際対策に取り組んでいるところでありまして、水際対策の徹底を図っていくためには、特に密輸等に関する情報収集の強化が重要であることから、危険ドラッグを発出している国に関する分析を進め、関係省庁と情報を共有し、早期の指定につなげてまいりたい、このように考えております。

松田委員 そもそも世界じゅうに蔓延しているわけですから、私は、各国間の情報交換というのが今もございましたとおり非常に重要だと思うんですが、どういう観点でやっていくのか。麻薬であれば、麻薬というものがありますから、それに関する情報交換ができるんですが、非常に捉えどころのない世界の中で、どういうふうな観点から力を入れていくのか、お聞かせいただければと思います。

神田政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、国連麻薬犯罪事務所の報告によりますと、九十四カ国で三百四十八種類の、新精神活性物質と諸外国では言っておりますけれども、そういうものが報告をされているということでございます。

 この国連麻薬犯罪事務所が中心になりまして、各国の取り締まり情報等の集約、分析、発信ということを行っております。これは、国連麻薬委員会や国連が主催します国際会議において、各国が危険ドラッグ対策について活発に情報交換をしているところでございます。ことし公表されました国連麻薬犯罪事務所の報告の中でも、情報交換、連携の必要性というものが強調されております。

 ただ、現在では、麻薬などについては条約がありますけれども、そこまで取り組みが行っていないわけでございますけれども、積極的に情報交換を行っていく必要があるということで指摘をされているところでございます。

 私どもも、この場に担当官を派遣するなどして情報交換を行っているところでありますが、今後とも、そういった連携をしっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。

松田委員 それぞれの国で、先ほども出ているように、いわゆる指定薬物制度、日本にもありますけれども、これが危険な薬物なんだという情報を、そういう疑いが出たものをその段階で事前に交換し合うというような意味での情報交換、連携体制の強化だというふうに理解していますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、税関について、きょうは関税局の方に来ていただいていると思いますが、かつて私がやっていたころは、覚醒剤、大麻といった麻薬は、関税法上の禁制品というか、これに該当していたんです。ということで一生懸命やっていたんですが、いわゆる指定薬物というのは関税法上どういう扱いになっているのか、禁制品として扱われているのかどうかですね。あるいは、これから危険ドラッグというのを幅広くやっていく上で、水際で税関がどういう体制を構築していくのか、お聞かせいただければと思いますが、よろしくお願いいたします。

松村政府参考人 指定薬物は薬事法に基づき輸入が規制されておりますことから、税関におきましては、指定薬物の輸入申告があった場合には、関税法七十条、これは他法令確認の規定でございますが、それに基づきまして、厚生労働省が医療等の用途に供するものであることを確認した輸入指定薬物用途誓約書の提示を求めることとしておりまして、その誓約書が提示されない場合は輸入を許可しないということでやっております。

 それから、税関におきましては、規制薬物及び指定薬物につきまして従前より積極的な水際取り締まりを行っているところでございますが、先日の薬物乱用対策推進会議における緊急対策を踏まえまして、財務省関税局より各税関に対しまして、規制薬物及び指定薬物を含有する危険ドラッグに係る一層厳格な取り締まり等を行うよう、改めて徹底したところでございます。

 今後とも、水際対策の徹底等により薬物の国内流入の阻止につながりますよう、厚生労働省等との連携及び情報共有に努めてまいりたいと考えております。

松田委員 麻薬でありますと、今までも税関のいろいろないわゆる監視、取り締まりのノウハウを蓄積していると思いますが、これから指定薬物、これは他法令ということですが、それがさらに危険ドラッグという世界まで、税関も相当程度錬磨していかないといけないんじゃないかなと思いますが、大いに頑張っていただきたいと思っています。

 それから、この問題について少し基本的なことをお尋ねしたいんですが、次世代の党、石原慎太郎さんがよくおっしゃるのは、毛沢東の矛盾論というのがあって、目前の矛盾の背後にある根本矛盾というか、いわゆる主要矛盾、それに目をつけなければ目前の矛盾も解決しないということをよく引き合いに出されているんですけれども、このところ、危険ドラッグの検挙件数が急速に上がっているわけですね。

 これは先般も新聞発表されていますが、これを分析してみると、社会経済的な背景とか、あるいは覚醒剤使用者と危険ドラッグを使っている人との社会層の違いとか、そういうところから、この検挙がふえているのは実際にそういうのがふえているのかどうか、実態がふえているのかどうかを含めて、どういうような傾向がうかがわれるか、ちょっと御認識をいただければと思います。

室城政府参考人 お答え申し上げます。

 危険ドラッグに係る検挙は、平成二十四年、七十六事件百十二人、平成二十五年、百二十五事件百七十六人ということで、前年比で増加の傾向にあるということでございます。

 その増加の中身等につきまして、例えば年齢層、それから有職、無職別というようなことで考えてみますと、まず、平成二十六年上半期の危険ドラッグ乱用者と平成二十五年中の覚醒剤乱用者の検挙事件に係る年齢層別構成率というのを対比してみますと、危険ドラッグ乱用者につきましては、二十歳代が三四・五%、三十歳代三三・六%、四十歳代以上が二八・四%、覚醒剤乱用者につきましては、二十歳代一四・〇%、三十歳代三三・六%、四十歳代以上が五一・三%となっておりまして、危険ドラッグ乱用者の検挙に比べて、覚醒剤乱用者の検挙では中高年層の比率が高いという傾向があります。

 また、就業別状況を見ますと、危険ドラッグ乱用者では、有職者が六二・一%、無職者が三七・九%、一方、覚醒剤乱用者では、有職者が四四・〇%、無職者が五六・〇%ということでございまして、危険ドラッグ乱用者の検挙では有職者の比率が高い、覚醒剤乱用者の検挙では無職者の比率がやや高いという特徴があるところでございます。

松田委員 済みませんでした。

 あと、先ほど包括指定の話、大臣が御答弁されましたが、幾ら包括指定をしても、いわゆる物質の基本骨格といいますか、それそのものがイタチごっこみたいに次から次へと出てしまう。これも結局は、包括指定をしてもイタチごっこの状態からなかなか抜け切れないんだという話も聞いたことがあります。

 規制が強化されるたびに化学構造式の変更がどんどん繰り返されていくということが、これはもう世界じゅうが悩んでいることだと思いますが、この状況を見ていると、まるでモグラたたきの世界にこれから入っていくような気がしないでもありません。

 かつてアメリカで禁酒法ができてマフィアがはびこったように、これは厳しくすればするほど逆に悪がはびこっていくということにぜひならないようにしなきゃいけないと思うんですが、その意味で、単に規制を強化する、取り締まりを強化するだけじゃなくて、そもそも需要そのものを減らしていくとか、あるいは取引の経済的なうまみを低下させていくとか、かなり知恵のある、知恵を使った対策というものを組み立てていかなければいけないと思いますけれども、これについてはどういうようなお考えをお持ちか、お聞かせいただければと思います。

赤石大臣政務官 大変難しい問題だというふうに思っておりまして、危険ドラッグの乱用は世界的に共通の課題でありまして、特効薬的な対策は難しいと考えておりますが、若者が気軽に危険ドラッグに接することができないよう、各種の対策を複合的に講ずることが大切だというふうに思っております。

 このため、危険ドラッグ販売店に対する一斉立入検査など取り締まりの徹底や、違法な薬物の発見、取り締まり、インターネットサイトに対する削除要請や注意喚起、若者をターゲットにした危険ドラッグの有害性に関する普及啓発などの取り組みを総合的に推進し、危険ドラッグの乱用根絶を図ってまいりたい、このように考えております。

松田委員 時間になりましたが、最後に大臣の御答弁をいただければと思うんです。

 基本的に、もともとこの危険ドラッグというのは、若者というかそういう方々が、何といいますか、自分の世界に閉じこもってしまうというか現実逃避というか、そういう傾向というのは人間に弱さとしてあって、まさに自立をしていないというか、そういう人たちをどうするかという非常に大きな社会的な問題が背景にあるように思います、これは世界どこでもそうだと思いますけれども。

 やはり、そういう点で考えますと、地域社会とか市民、社会全体で、若者をどうしていくかというふうなことを考えていく、あるいは未来に対して希望のある社会をつくっていくとか、もっと社会全体で取り組んでいくべき問題だと思います。

 その面でいうと、例えば医療というのも、厚労省の所管の医療も、これからは、単に病気を治すということじゃなくて、精神的にいい状態をつくっていくとか精神生活の質を改善していくとか、いろいろなところで医療の課題にもなっていると思うんですけれども、これはかなり総合的な取り組みが、単に摘発するというんじゃなくて、そういうもう少し社会全体を見据えた、まさに厚生行政が必要な世界じゃないかと思いますが、どういう方針で、トータルな観点で臨んでいかれるか、大臣の御答弁をいただければと思います。

田村国務大臣 自分の殻に閉じこもりがちな若者が今ふえているのかどうなのかというのは、なかなか、その時代時代にそういう若者もおりますから、一概には言えないんだと思いますが、だからといって薬物に手を出すというのは余計不幸になるだけの話なので、そこはそういうことも含めて徹底的に周知すると同時に、あわせて、これは教育の問題でもあるんだと思うんですよね。そういうような若者のふつふつとした思いというものを、例えばスポーツだとかいろいろな、他の、自分のため、世の中のためになる趣味であるとか、そういうものに向けていくということも大事であろうと思います。

 我々厚生労働省は、やはりこの危険ドラッグというもの、覚醒剤もそうであります、このような薬物に手を出した結果、将来どうなるか、自分にとって絶対プラスになりませんよというようなことを周知徹底をやっていくということが大変重要であろうというふうに考えております。

松田委員 どうもありがとうございました。

 この問題は、もちろん、厳密なる取り締まり、規制をやるのは当然ですけれども、やはりこれは世界共通の問題として、社会の病理的なものにも目を向けて、我々次世代の党は、日本の今の現状において、まさに若い人たちが非常にかわいそうな状況になっている、これを何とかしようというのも我々の問題意識にありますので、ぜひ、いろいろと建設的な議論をさらに進めていきたいと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 本日は、閉会中であるにもかかわらず、危険ドラッグの対策に関する審議ということで、六月の二十四日、池袋での、脱法を改名して危険ドラッグ吸引後の死傷事件、それを受けまして、私も、医師ではございますけれども、みんなの党として、やはり閉会直後でございましたので、その直後に起こった事件ということで大変問題意識があるということで、いろいろ相談をさせていただいて、与野党の筆頭理事そして委員長、他の方も含めて、多くの方の御尽力で、このような閉会中にもかかわらず委員会が開かれたことを大変意義深いと思いますし、なおかつ、それだけ大きな重要な案件ということも表現されておるのではないかなというふうにも思います。

 きょうも先ほどから、主に薬事法の七十六条の六に関して、いろいろな議論がされておったと思います。私はやはり、現行法を見ていっても、これがしっかりやられていれば、ある程度、ここまで至らなかったのかなとか、あらゆる観点から。

 私も地元が山梨県でございますけれども、資料一枚目、二枚目、これは山梨県、東京都の隣、地方になるわけですけれども、七月の十一日には、ハーブを吸って運転して、これは通学路なんですね、通学路で、幸い、大きな事故、死傷者は出ませんでしたが、このような事件があった。

 そして二枚目は、七月の二十四日に、「県内の高一女子逮捕」、高校生が逮捕された。この新聞記事を見ていきますと、この高校生はインターネットで購入したということですけれども、友人から誘われたりとか、要するに、これはもう氷山の一角というふうに見られておるわけです。

 そのような中から、決して、法改正しなきゃだめだとか、そういう観点ではなくて、今の現状を何とかするために、その法改正も含めていろいろな議論、あらゆる観点から議論が必要なのではないかな、そのように思うわけです。

 私の地元も、私なりに、飲食店初め多くの方に、この危険ドラッグの現状がどうなっているのか、知っている範囲で教えてくれというようなことも聞いてみました。そうしますと、恐らく今の中高生、我々もそういう時代があったわけですが、こういうところであれしてはいけませんが、例えばたばこに興味を示す年代とか、それと同じような感覚で安易に手に入れてしまう。そして、これは、麻薬や覚醒剤、大麻とか覚醒剤のように、ある一定のルートにかかわらなければさわらないというものではなく、友人から誘われる、そういう安易な状況にある。

 先ほどから、他の各会派の委員の方から、とにかく今の現状、これは合法だから絶対安心なんだよという言い方で売られているものに対して、先ほど大臣の答弁でも、今まだある店頭、間違いなく違法だろう、そう認識しているものが今現在堂々と売られてしまっていることを、やはり、先ほど言ったように法改正云々ではなくて、あらゆる観点から、今の現状を一日も早く、そうしませんと、きょうこの夕方にも、そしてあしたにも、また吸引した後の交通事故、事件というものが起こってしまう、今まさにそんな現状なんじゃないかなというふうなことを思います。

 そして、私からは、まず、先ほどからも言われているように、今回の議論、根本的には、大麻や覚醒剤のように迅速鑑定がなかなかできない。その影響で、規制と、そして化学構造を変えてしまう、そのイタチごっこが続いている。

 根本論の一つとしては、迅速鑑定機器の技術の開発というか技術革新というか、そして鑑定官の拡充ということ、これも古屋委員からも御質問がありましたが、取り組むという強いお言葉をいただいておるわけですが、現実的には実際にいつぐらいまでに、そういう鑑定機器の拡充、そして人員体制の整備。

 なぜそういうことを聞くかというと、きょう議論を聞いておって、さっき暫定という話があったり緊急指定の話もありました。まず、先ほどから言っているように、今この現状を何とかするためには、いずれ迅速鑑定機器というのができてまた状況は変わってくると思いますが、その間をどうやって乗り切るかということが非常に大事になるわけです。

 今現在わかる範囲で構いませんので、迅速鑑定機器や鑑定官の補充、一体いつごろまでにどのぐらい、そしてどの程度今の現状を改善できるのか、お答えいただきたいと思います。

神田政府参考人 先生御指摘のように、取り締まりに向けまして、関係機関との一斉合同立入検査の実施ですとか取り締まり活動の徹底など、そういったことをしていく上では麻薬取締部の鑑定体制というのが重要だというふうに考えております。今、各麻薬取締部には鑑定課というのと鑑定官というのを置いておりますが、この体制を充実させていくことが必要だというふうに思っております。

 それから、指定薬物への指定という観点からいいますと、危険ドラッグの精神毒性を検査いたしております国立医薬品食品衛生研究所の検査機関の体制整備というのが重要だというふうに考えております。

 いずれも、来年度の要求の中で、私どもとしてもできる限りの体制ができるように検討してまいりたいというふうに考えております。

中島委員 来年度ということなんでしょうか。やはり先ほども言ったように、今何ができるか。

 先ほどから七十六条の六に関して大臣からも答弁いただいておって、徹底的にやるという強いお気持ちは伝わってまいりました。ただ、根本論としては、そういう鑑定、迅速鑑定ができないと徹底的な取り締まりにはなかなか至れない。

 そうであれば、先ほどの暫定指定も緊急指定もそうなんですが、その間のつなぎとしても、時限措置としても、やはり今店頭で置かれていて、先ほど大臣も答弁していただきました、もうこれは明らかにおかしいわけですよね。ネット上で見ても、中枢神経系に作用があるということを明らかにうたっているわけです。興奮する、ここではちょっと言いづらいような言葉もたくさん書かれているわけですよね。その時点でこれはもうだめじゃないかというぐらいのものは、やってもおかしくないのではないかと思うんです。

 例えば、それからいきますと、何か具体的に言った方がいいでしょうか。インターネット上でですよ、インターネット上で、中枢神経、例えば、興奮しますよとか、これを飲むと、これはダウン系ですというようなこともうたっている。先ほど山井委員の資料の中にもあったように、もうその言葉自体が、既に、中枢神経系に影響を及ぼすという文言が入っている。

 そういったものに関しては、その内容、先ほども言ったように、紙袋を変えてしまえばもうだめだとおっしゃいますけれども、最終的には、迅速鑑定ができる間、やはり、もう明らかにおかしいうたい文句を言っているものに関しては、きっちりと、暫定指定でも緊急指定でもどちらでもいいんですが、販売をストップさせるような措置は早急にやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 ネットでいろいろなことを書いてある、ネットも多いものでありますから、全てチェックできていないところもあるのかもわかりません。それも含めてしっかりと対応しなきゃいかぬと思いますが、今言われたような、体内に摂取して効果をうたうとなれば、これは薬事法上違反の疑いが高いものでありますから、そもそも指定薬物に指定しなくても対応でき得る可能性がございますので、そういうものがあれば迅速に対応をしてまいりたいと考えております。

中島委員 現実には、先日、東京都も一斉に入った、そんな中で、十一店舗閉鎖をして二店舗再開しているということも確認されておる。

 これは、資料の三枚目、その立ち入りのときの警告書。これをどなたに説明したのか、ちょっと定かではないですが、例えば多くの店舗は、そこで売っている販売員というのはアルバイトで、何の権限もない、ただ売っているだけという人たち。そういう方々に対して、立入検査をして、この警告書が送られているわけです。

 この内容を見ますと、主に自粛を促すような内容になっている。正直、これを見て、弱いなと。これで本当にもうこれ以上やるのをやめようと思うのかどうか。もっと、店舗へ行かれて、これは明らかにおかしいというものに対しては、今大臣もおっしゃったように、うたい文句も含めて、徹底的に取り締まる必要があるのではないか。

 今後、恐らくまた立入検査等も、何度も繰り返しとおっしゃっていましたが、同様の指導、そのようにしていくつもりなのか。同じようなことをするつもりなんでしょうか、ちょっとお答えいただきたいと思います。

神田政府参考人 御指摘の七月十日の立入検査につきましては、これは早急に、店舗に入って、自粛を促すということでございます。これは法制上の措置ということではございませんけれども、法令違反がある疑いということを警告した上で、販売の自粛を促したというものでございます。

 それから、先ほどから申し上げておりますように、疑いがあるというものについては、その店舗に行って検査命令をかける、あるいは販売中止命令をかけるということができるわけでございますので、これを積極的に活用して、販売店に対する圧力を強めて、違法、有害な薬物の販売を実態的に抑え込んでいきたいというふうに思っております。

 当然、その検査の結果、指定薬物ということになれば、これはもう犯罪ということになるわけでございますので、捜査の対象にしていくということで、法制的な措置もしっかりととってまいりたいというふうに思っております。

中島委員 先ほどの話にちょっと戻るかもしれませんが、要するに、法改正した方がいいのか悪いのかという議論は、まず現行法の中で、今、これからやろうとする解釈の問題もあるかもしれませんけれども、やはり、いつごろまでにどのぐらいできるかということが明確になっていないと。

 それは、やはり法改正は、十月、国会が始まらないとできないですけれども、それまでに、先ほどの話を聞いていると、迅速な鑑定機器の充実とか拡充に関してはもう来年度ということのお答えですから、ではそれまで、もちろん、田村大臣が先ほどから熱く御決意を語っておられるように、一生懸命やっているのはよくわかります。そして、厚生労働省も、現行で何とかやろうというのはわかります。ただ、実際には、昨年から改正薬事法も成って、改正された後、立て続けに、毎日のようにこういう事件が起こっているわけです。

 現状認識とともに、今の現状で、どこまで、いつできるのか、もう一度、大臣、お答えいただきたい。

田村国務大臣 それは行政のつらいところでもありますけれども、機器を買おうとすればお金がかかります。お金がかかる機器だけではなくて、それを分析する人たちの人件費もかかります。そういう意味で、数をふやそうと思えば、予算に縛られているという部分からすれば来年度という話、これは今局長が役人としてそのような答えをしたんだと思います。

 ただ、いろいろな方法がありますからね、要は店頭で売らせないための、いろいろな。悪知恵とは言いませんけれども。そんなものも含めて、やれることを徹底的にやる。つまり、需要をなくしたらどうだというお話が先ほど松田委員のお話の中にありました。売る方も、リスクが高くて得る利益が少なかったら商売にならないですよね。

 つまり、そういうことも含めて、それは、真っ当な商売をやられているのならば、ある程度我々もそういう感覚でおつき合いしなきゃなりませんが、真っ当な商売をやられていないという認識を我々も強く持っています。

 ですから、やはり商売ができない、つまり、リスクと利益、ベネフィットを考えて、これはやらない方がいいな、やっていたら危ないなというふうな、つまり損も、先ほど言いましたよね、包括指定したので返品がきかなくなりつつあると。これは、返品がきかなかったら、買った方は、指定されて売れなかったら、これは指定して売ったら捕まりますから、全部破棄していたら利益が出ないわけでありますから。そういう効果もあって、今、店の軒数も減っているというのもあるんですよね。

 ですから、徹底して、売る方も、売ったって得しませんよという環境をどうつくるか。それはいろいろな方法があると思います。そういういろいろなことも含めて対応をしてまいりたいと考えております。

中島委員 おっしゃる意味もよくわかります。

 やりづらくするというのは、いろいろな方面から、私が先ほど言った表示の問題、消費者庁の問題かもしれませんが、そういったもの、ネットであれば総務省と連携を組んでということになると思います。

 ただ、本当に、先ほど悪知恵が働くと言いましたが、もともと悪知恵が働くからこういうことになっておるわけで、これはある情報で、確かかどうかわかりませんけれども、大変粗末なつくり方をしているわけですよね。ということは、今現在、これが例えば、あるものが違法になったとしても、それ以降に、千や二千ぐらい、もう準備できているんだぞと、それぐらいの用意周到さ。ある報道によりますと組織化されているというふうなことも言われております。

 そうなってくると、先ほど言った、来年度までこのまま、イタチの追いかけっこの強化で終わってしまうのか、それとも早急に、十月に始まる国会の冒頭のときに、必要なものに関してはやはり薬事法の改正も含めて検討を早目にやっていく必要があるのではないか。

 例えばですが、これは御提案で、私は医者でもございますので、先ほど言った、中枢神経系に作用がある興奮、抑制、幻覚等、今はそういったものに関して一つ一つ構造を調べて規制をしていくというやり方ですけれども、逆規制、これはもう根本論になってしまうかもしれませんが、そもそもそういう薬物に関しては全て規制をかける、逆に医薬品や芳香剤、お香を除外規定として、そういう逆規定をつけていく。

 これも、先ほど欧米の話がありました。今回の危険ドラッグの問題、日本は今まで比較的薬物に関しては厳しいとも言われておりましたが、諸外国、欧米の例を見ていきますと、この先そのような現状にならないためには、そういったことも含めて検討していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 ポジティブリストみたいなものをつくれというお話なのかもわかりません。

 薬物と言われますけれども、薬物というのは化学物質の中において薬物というふうに定義しただけの話であって、全ての化学物質、それから精神毒性といいますか、精神に対して影響を与える、脳に対して影響を与えるというものは、多分、数を数えられないぐらい、極端な話をすればニコチンもそうかもわかりません、カフェインもそうかもわかりません。もうありとあらゆるものがあるので、それをポジティブリストで全部拾って、書いていないものは全部犯罪だ、所持していること自体捕まえる、これはなかなか、法律としてつくるのはかなり難しいなと。

 実は、そういうことも含めていろいろな御提案を我々もいただいておりまして、全く検討しなかったわけでもないんですけれども、そもそもかなり難しい。多分、これは世界じゅう、やはり同じようなことを考えて、なかなか法律化できていない部分なんだろうというふうに思いますが、しかし、全く排除はしないわけでありまして、言われている意味も含めて、何かの形で規制できる方法があれば我々も検討していきたいと思いますし、また、いいお知恵があれば、いただければありがたいというふうに思います。

中島委員 先ほどから緊急指定、暫定指定、要は、その一店舗を七十六条の六で、さっき井坂委員もおっしゃっていましたが、そこへ丹念に今現状の人員体制でやったとしても、やはり、そこでは取り締まって売れなくなるけれども、ほかでは売ってしまう。あるところで規制されていたものを、あるところで買った、そこで事故が起こってしまったら、さっき山井委員もおっしゃいましたが、これはやりきれない、大変なことになるわけですね。

 そうなっていくと、並行して、先ほど私言ったのは、ずっとそうやれというわけではないんです。先ほど鑑定機器がいつまでにできるんですかと聞いたのは、それまでの間徹底的にやらないと、このタイムギャップの中で、恐らく業者も、今、常習性を持って依存性を持っている、患者さんと言ったらいいか、そういう方々は、躍起になってそういったものを探ろうとしてくると思うんです。このタイムギャップの中で、今もう既に組織化されておるかもしれませんけれども、さらに抜け道を生み出す可能性がある。

 やはりもうこの時点で徹底的にやらないと、むしろ、先ほどもありましたけれども、陰に隠れてしまって余計わからなくなってしまう、そういう現状もあると思います。

 そして、これだけ連日のように報道されますと、今まで知らなかった中高生ももう知ってしまっているわけです。そしてまた、友達から、私もやっているよと言われれば。そのような現状をさらに蔓延させないためにも、時限的でもいいんです、ある一定期間でも構わないので、やはりそれぐらい強硬な手法をやらないと。

 これは、私も聞いた話で恐縮ですけれども、丸一日、ある店舗の前で、張り込みと言ったら変ですが、やっていれば、本当に普通の高校生、普通のサラリーマンが、普通に入っていって普通に購入してくるわけです。やはり、そういうような現状を、田村大臣の御決意は本当に十分に伝わってまいりますが、そのためには、根本論である迅速鑑定、それができるまでの間、頑張ります、頑張りますだけではなくて、実際に何をするのかということが問われる、そのように思います。

 ちょっと時間もございません。最後に一例、一つだけなんですが、地方への拡散ということも言われております。都市部を中心に、東京、愛知等を含めて条例等で取り締まりが厳しくなった反面で、この危険ドラッグの販売店が地方へ拡散している、そのようにも言われております。

 そんな中で、条例をつくられている県等、圧倒的に少ないわけです。もちろん、自治体判断と言われるとは思います。ただ、私の地元、山梨県もそうなんですが、条例をつくりたいんだけれども、実際には資金の問題があったり人員体制の問題がある。そのようなつくりたいと言っている県に対し、自治体に対し、厚生労働省としてどのように支援していくおつもりなのか、最後にお聞きして、質問を終わりたいと思います。

田村国務大臣 いろいろな相談また情報提供は、しっかりやっていきたいというふうに思います。

 ただ、各自治体ごとに知事指定等々をやられたとしても、そこで売っていたものが隣の県で売られたのでは、これは隣の県はまたいい迷惑になるわけなので、国がまずは迅速に指定をして、全国に投網をかけるというのがやはり一番重要なんだと思います。

 ですから、各都道府県、自治体等々がいろいろな対策をしていただくためには、これも必要なこともありますから、我々はしっかり情報提供や相談には乗ってまいりたいと思いますが、まずは国として、今言われたようないろいろな部分も含めて体制を整備しながら、しっかりと、指定を早くして、売らせない、または使わせない、こういう状況をつくってまいりたいというふうに考えております。

中島委員 時間ですので終わりますが、先ほど申し上げたように、これは党派は関係ない問題だと思います。各自治体、それぞれの御地元もあると思います。そのような現状の中で、段差があったりすると、先ほど言ったように、厳しくなったところからそうじゃないところへ行ってしまう。やはりこれは、各自治体、国が一斉に足並みをそろえて取り組んで、根絶するんだという強い気持ちの中で、国を挙げて取り組む必要があるということを強調させていただきまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 八月一日の警察のまとめで、ことし上半期の危険ドラッグの摘発件数が百二十八件、百四十五人で過去最多だったと言われています。昨年一年間の百二十五件を既に上回っているわけです。危険ドラッグが原因と思われる救急搬送や交通事故が急増し、深刻さを増しております。

 先ほど来の議論では、簡易検査の難しさや検査物件の滞留など現場は逼迫し、指定されても成分を少し変えて新製品を並べるなど、イタチごっこになっているということが繰り返し議論されてきました。

 しかし、そもそも不当表示ではないのか、吸ってはいけませんと書いてはいるんだけれども、なぜそこに効能をうたっているのか。こうしたことを突き詰めていくと、成分を指定しなければ規制ができないんだという以前に、こうした表示がおかしい、なぜここで売っているのか、そういうさまざまな角度からのアプローチが可能だと思いますが、いかがでしょうか。

神田政府参考人 御指摘のとおり、効能、効果などをうたうものについては、無承認の医薬品として取り締まることも考えられるわけでございます。

 それを医薬品というかどうかということについては、そのものの成分、形状、名称、それから、そこに書かれております、今御指摘のありましたような効能、効果、使用目的などを総合的に判断するものということになりますので、御指摘のようなものについては、無承認の医薬品として取り締まることも含めて検討していく必要があるというふうに考えております。

高橋(千)委員 まず一つは、無承認の医薬品としての取り締まりが可能であるということであります。

 それから、きょう、あえて消費者庁を呼んでいないわけですけれども、これは当然厚労省として認識を一致させる必要があるので、あえて呼びませんでした。

 七月十八日の薬物乱用対策会議においては、表示義務違反のおそれのあるサイトに対し、住所などを正しく表示させるなどの適切な措置をとるとともに、警察、厚労省、プロバイダーへの情報提供を行うと確認をしたわけですね。

 先ほど、長妻委員の質問に対して、プロバイダーに規制されていないものの削除を求められるのかという指摘に対して、大臣、ちょっと曖昧な答弁であったんだけれども、こうした形で、表示義務違反なんだ、成分云々以前の問題として可能であるということを改めて確認をしたいと思います。

神田政府参考人 御指摘の表示義務違反のことについては、消費者庁とよく連携をしてまいりたいと思いますけれども、私ども厚生労働省といたしましては、先ほど申しましたようなインターネットパトロールというのを行っておりますので、その中で、違法、有害な情報というのを確認した場合には、プロバイダーですとかレジストラーに削除を求めていくということをしてまいりたいというふうに考えております。インターネットパトロールはことしの四月から始まったところでございますので、今後、そういったものをしっかりと運用してまいりたいと思います。

 また、インターネット上ですと、住所とかが書いてあっても虚偽であったりすることがありますので、現場から話を聞きますと、むしろ、実際にインターネットで物を買った人からその販売者を特定して、突き上げ捜査をしていくということが有効だというふうにも聞いておりますので、両方あわせて取り組みをしてまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 危険ドラッグの名称を変えたのが七月二十二日、これは警察庁のプレスリリースなんですけれども、こういうふうに説明を書いております。新呼称は、規制の有無を問わず、使用することが危ない物質であると明確に示す呼称である、こういうふうに説明をしているんですね。

 それで、先ほど来の、例えば山井委員の議論なんかを聞いていましても、指定をされていないけれども、多分将来は指定されるような危険なものであるんだろうということを大臣も答弁されました。そして、そういうことを言いたいがために、今言ったように、規制の有無を問わず、使用することが危ないという意味で危険ドラッグとしたんだと思うんですね。だから、この趣旨がきちんとやはり徹底されなければならない。

 そういう意味で、さっきから法定化できる、できないの議論をしましたけれども、少なくともその趣旨が徹底されなければならない。この点についてはいかがですか。

神田政府参考人 危険ドラッグというふうに名称を変えましたのは、先生御指摘のとおり、ある意味では、脱法的に、合法ではないかというようなことで、興味本位に使われるということがあることから、危険だということを強調するためにそのような名称に変更したわけでございます。

 これにつきましては、先ほどから申し上げているとおり、特に若い方々についてゲートウエーになっているという御指摘もございますので、私どもとしても、フェイスブックですとかツイッターなどを使った周知、それから高校生向け、青少年向けのリーフレットをつくるなど、そういった趣旨を徹底してまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 ここは指摘にとどめますけれども、先ほど来、大臣は非常に強い決意を述べているんです。もう排除するんだということを言っているけれども、委員がさまざま、法定をするべきだ、改正をするべきだと言うと、できないできない、世界じゅうの問題なんだという話になってくるわけなんですね。

 だけれども、そもそも危険ドラッグというのは、規制の有無を問わずということを名称につけたわけですから、その趣旨をきちんと法律に書く。そういうことをやらないと、まず、そこでいきなり逮捕はできないかもしれない、だけれども、全体として、危険ドラッグというのはそういうものなんだ、だからそれに対してきちんと、例えば報告を求めなければならないとか、何を売っているんですかということをちゃんとやらなきゃいけないとか、そういう一つ一つの規制をそこに沿って仕上げていくということをやるべきだと思うんですね。

 何か、さっきからすごく溝があるんですよ。決意は強いけれども、答えは、全然できないとなっている。そこをどうして埋めていくかという議論をしていきたいということで、大臣、後できちっと答えていただければと思います。

 それで、質問は、イタチごっこの中で、どうやってドラッグに結びついたのかというのを、やはり何通りかあると思うんですね、一つじゃないと思います、そこをきちっと調査して、連携して行う必要があると思うんです。

 例えば、第四次薬物乱用防止五カ年戦略では、覚醒剤事犯検挙人員の約六割が再犯者とあります。一方で、覚醒剤の経験者が、合法だから、今度は捕らわれないからということで危険ドラッグに流れている、そういう実態もあるわけですね。

 例えば、ある三十六歳の男性は、覚醒剤の常習で刑務所に入り、出所した後、危険ドラッグに手を出したと言います。効き目はほとんど変わらないし、かつ罪に問われないと思ったと言うんですね。値段が安い。覚醒剤の十分の一。だけれども、気がつくと払っているお金は覚醒剤と同じなんですよ。ということは、十倍使っている。安いから十倍。完全に依存になっているわけですね。そういう告白をされています。

 ですから、一度逮捕されて刑務所に入った方たちが結局そこで危険ドラッグに流れていく、こういう流れを断つということが非常に重要だと思いますが、大臣の認識を。

田村国務大臣 まず、委員、思いは強いんだけれども全然進んでいないとおっしゃられましたが、かなり店舗も、今この動きの中で店を閉めているところもふえてきておるわけでありまして、やはり思いだけではなくて、しっかりとした対応も始めておるということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 危険ドラッグというような名前、これに対してどうだというようなお話でありますけれども、名前というものを、危険ということでありますから、これはそのとおりでございまして、周知徹底しながら、今薬事法のお話も出ました、本来、認められていないようなものを体の中に入れること自体、こんなものは売っちゃいけないわけでありまして、薬事法のいろいろな規定も含めて、対応できるものはしっかりと対応してまいりたいと思います。

 覚醒剤利用者が危険ドラッグを利用しているかどうかというのは、ちょっと我々は数字をつかんでいません。中にはそういう方もおられるのかもわかりませんが、そもそも、危険ドラッグの方がわけのわからない成分だから危ないと思って使われないというような薬物中毒者もおられるようでありまして、とにかくそのような危ないもの、もちろん覚醒剤も大麻も危ないものでありますから、そんなものに対しては、法律にのっとってしっかりと取り締まりをやっていかなきゃならぬわけであります。

 危険ドラッグというものを売らせないようにするために、また、指定をしっかりと早めていって、気がついたときには、要するに違法であるということになれば、覚醒剤と変わらないわけでありますから、そういう環境をつくる中において、この危険ドラッグ、また指定薬物というものを使わせないというような環境整備というものもしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 進んでいないなんて一言も言っていないじゃないですか。皆さんが頑張っていることはわかっていますよ。だけれども、その思いを実現するためにそれぞれの方たちが提案をしているのに対して、できないではなくて、何からできるかということを考えようということを議論しているんじゃないですか。

 今だって、大臣、覚醒剤の方の再犯と危険ドラッグの関係を把握していないとおっしゃいました。

 でも、これは厚生労働省の科学研究がございます。二〇一二年の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査、脱法ドラッグ関連患者の六割が大麻の経験があり、覚醒剤が三割です。また、二〇一三年の薬物使用に関する全国住民調査、脱法ドラッグ乱用経験者の七五%が大麻の経験あり、五割が有機溶剤、三割が覚醒剤。

 このように、脱法ドラッグというのは、一二年から急激にデータとして出てきているわけですね。その中で、初めてこういうデータがとられて、大麻の経験あり、覚醒剤の経験ありということが厚労省の科学研究で出ているわけですよ。だから、前もって言ってあるのに、そういうのはないという答弁だったのは非常に残念だなと思っております。ぜひ生かしていただきたいと思っております。

 それで、資料の一枚目に、厚労省における薬物依存症関連対策についてのペーパーをつけました。相談・指導、人材育成、調査・研究、それから地域体制整備、四つのカテゴリーでまとめてある。これは、私はいずれもとても大事なものだと思っております。

 危険ドラッグは根治療法がないとも言われるわけですけれども、依存症回復施設の取り組まれている質を担保して、人材育成するというふうなことが右上に書いてあります。でも、これは、ダルクなどの民間団体の支援に実際は頼っているのが現実なのに、質を高めますというこの言い方はちょっと偉そうだなと思うんですね。民間団体に頼っているのに、もっと応援しなきゃいけないのに、質を高めます、この表現はちょっといかがなものか、失礼だと思います。

 それから、左下には、厚労科研を重ねる中で、薬物依存症に対する認知行動療法プログラムが開発されてきたことがわかります。

 先ほど答弁の中で、この認知行動療法プログラムを実践しているのはどのくらいかという質問があって、二十五という答弁がありました。資料の二枚目を見ていただきたいんですけれども、二十五、これは網かけしているところなんですね。だけれども、よくよく見ていただくと、括弧して、医療観察法病棟のみと書いてあるんですね。そうすると、医療観察法にかかわるとなると、もう既に犯罪を起こしちゃったとか、そういう方たちだけが対象であって、入り口ではないわけですよ。

 そういう意味では非常に足りないというふうに思いますけれども、まずその認識をしっかり確認した上で、対策を伺いたいと思います。

藤井政府参考人 先生御指摘の薬物依存症に対する認知行動療法を用いた治療回復プログラムの有効性につきましては、平成二十四年度の研究により示されたところでございますけれども、まさに今普及途上にあるところでございまして、私どもといたしましては、このプログラムに関する医療従事者向けの研修会をこれまで開催してきておりまして、指導者の立場となる方々の育成を進めておるところでございます。

 まさに高橋委員がおっしゃるとおり、今後より多くの医療機関においてこの認知行動療法プログラムが取り組まれますように、その普及に努めてまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 ちょっと問いが多過ぎて時間がなくなったので、一言、認識だけ、よろしいですかねということで伺いたいと思うんです。

 これもちょっとやりとりをしたときにはよく把握していないというふうなことだったんですけれども、例えば八月一日の朝日新聞で、県議だった男性が危険ドラッグで辞職をするわけですけれども、そのきっかけは、うつに悩んでいたときにインターネットで検索して出会ったことだったと告白しているわけですね。どんな治療よりもてきめんに気分がよくなったと言っている。

 今、向精神薬の多剤投与というのが非常に問題となって、国としても当然薬を減らす指導をしているというのはよくわかっています。だけれども、先ほど紹介した科学研究の中でも、やはり処方された向精神薬の過量服薬による自殺企図者の数は年々増加傾向を示すとともに、薬物依存症の臨床現場では、精神科治療薬の乱用とか、依存患者の増加が指摘されている、こういうふうにあるんですね。

 ですから、自分に合った治療がない、たくさん服用されて副反応が出たり、あるいは合うものを探していく中で結びつく、そういうケースもあるんだという問題意識も一つ持っていただけるでしょうか。

藤井政府参考人 そこの認識も高橋委員がおっしゃるとおりでございまして、例えば認知行動療法の効果等々につきましては、決して依存症対策だけでもございませんで、うつ病等々の精神疾患につきましても今後広めていかなければいけないというふうに考えております。

高橋(千)委員 あわせて非常に重要な問題だと思いますので、取り組みを強めていただきたいと思います。

 それで、危険ドラッグを使用した経験のある人が約四十万人という数字があるんですけれども、中学生の調査でも〇・二%という数字がございます。

 早期の薬物防止教育が重要なわけでありますけれども、学校での薬物乱用防止教育が現在の認識や意識に影響を与えていると答えているのは、高校生九割以上、大学生でも八割以上となっております。

 重要性は非常に明らかだと思いますけれども、どのように取り組まれて、今後改善していくつもりなのか、文科省に伺いたいと思います。

芦立政府参考人 薬物乱用教育の今後の取り組みについてお答え申し上げます。

 従来から、全ての中学生、高校生、大学生を対象に薬物乱用教育の啓発資料などを配って、その意識啓発を図っているところでございますけれども、今回の危険ドラッグをめぐる深刻な状況を踏まえまして、より一層充実して、この恐ろしさがストレートに子供たちに伝わるように工夫、改善に努めてまいりたい、かように考えております。

高橋(千)委員 今紹介いただいた、学校の副教材として使っているものを、資料をいただいたんですね。小学生版が「わたしの健康」、中学生版が「かけがえのない自分」、タイトルはとてもいいと思います。高校生用は「健康な生活を送るために」。

 ただ、中身はちょっと物足りなさを感じるんです。

 これが大学生用の簡単なリーフレットなんですけれども、「薬物のない学生生活のために」ということで、先ほど私が何回もしゃべっているのが真ん中に書いてありまして、厚労省と文科省と警察庁が合同でつくったものですけれども、「脱法ドラッグや大麻を誤解していませんか? 合法ドラッグなんてありえない!」というふうに言っている。合法ドラッグなんてあり得ない、このフレーズが私はすごく大事なんじゃないかなと思っているんです。

 だけれども、ほかの小学校以上のものは、実は、昨年の十月に発行したものでありながら、「(いわゆる脱法ドラッグ)の拡がりも心配されています。」という記述のみで、それがどんなものなのか、どんな影響を与えるのかというのは全くないわけですね。そうすると、名前を変えるだけで、危険ドラッグがありますと言っただけでは、何の効果もありません。

 文部科学省の二十四年度の薬物等に対する意識調査報告書では、小学校五年生から高校三年生までの意識調査があります。資料にずっとつけてありますので見ていただきたいと思うんですけれども、これはサンプル数も多いんですね。一学年四千人から五千人のところから聞いているんです。

 そもそも、違法ドラッグという名前を三割、あるいは合法ハーブは五割以上が名前を知っている。それで、資料を見ていただくといいんですが、格好いいとか、気持ちよくなれるとか、痩せるとか、そういうふうに思っている人が多いということで、意識が、かなり早い段階でこういう情報に触れているということなんですね。そのことからいったら、学生になって初めてこういうのがわかるというのでは、とても遅いわけです。

 そうした中身の見直しや取り組みについて、もう一度伺いたいと思います。

芦立政府参考人 これらの資料は、いずれも文部科学省で作成しているものでございます。

 今回の厳しい状況を踏まえまして、私どもとして、子供たちにこの危険ドラッグの状況がストレートに伝わるように、改善の記述に努力してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 時間になりましたので、一言だけ意見を述べて終わります。

 実は、資料の六を見ていただければわかるんですけれども、絶対に使うべきではないと回答した生徒の割合が、私は余り高くないなと率直に思うんです。九割を切っている。それはやはり、最後のページを見ていただければわかるんですけれども、なぜそう思うかというと、個人の自由だとか、あるいは一回くらいなら構わない、そういう意識を子供のときから持っているということが非常に重大ではないかと思うんですね。

 国立精神・神経医療研究センターの診断治療開発研究室長の松本俊彦先生は、薬物乱用は自己破壊的行動とも関連していると指摘をして、一割がハイリスク群にあるんだと言っているんですね。つまり、自分を大切にしない、自傷経験がある、そういう子供に幾ら危険だ危険だと言ったって、個人の自由でしょうと。そもそも、そういうみずからを否定している子供たちなわけですから。そういうことを指摘しているということも、非常に深く受けとめる必要があるかなと思います。

 これは、さすがに教育現場だけではできないことがあると思います。いろいろな取り組みが地域でもされていると思うんですけれども、やはり相談窓口とかいろいろなことをやられている中で、国がきちっと責任を持つところと、民間を大いに支援するところということで、相乗的な効果を図っていくように、また知恵を出していきたいというふうに指摘をして終わりたいと思います。

後藤委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.