衆議院

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第7号 平成26年11月13日(木曜日)

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平成二十六年十一月十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 赤枝 恒雄君 理事 高鳥 修一君

   理事 とかしきなおみ君 理事 松野 博一君

   理事 松本 文明君 理事 山井 和則君

   理事 浦野 靖人君 理事 古屋 範子君

      秋葉 賢也君    今枝宗一郎君

      小倉 將信君    大久保三代君

      大串 正樹君    勝沼 栄明君

      金子 恵美君    木原 誠二君

      小松  裕君    佐々木 紀君

      笹川 博義君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    武村 展英君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      中谷 真一君    永山 文雄君

      丹羽 雄哉君    橋本  岳君

      船橋 利実君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      山下 貴司君    大串 博志君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      松原  仁君    井坂 信彦君

      河野 正美君    清水鴻一郎君

      重徳 和彦君    伊佐 進一君

      輿水 恵一君    今村 洋史君

      宮沢 隆仁君    中島 克仁君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   財務副大臣        宮下 一郎君

   厚生労働副大臣      永岡 桂子君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  松岡 正樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 鈴木  哲君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 水越 英明君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  二川 一男君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  新村 和哉君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       三宅  智君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 鈴木 敦夫君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  金子 恵美君     佐々木 紀君

  古賀  篤君     小倉 將信君

  新谷 正義君     武村 展英君

  丹羽 雄哉君     木原 誠二君

  堀内 詔子君     中谷 真一君

  山下 貴司君     笹川 博義君

  柚木 道義君     松原  仁君

  重徳 和彦君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     古賀  篤君

  木原 誠二君     丹羽 雄哉君

  佐々木 紀君     勝沼 栄明君

  笹川 博義君     山下 貴司君

  武村 展英君     新谷 正義君

  中谷 真一君     堀内 詔子君

  松原  仁君     柚木 道義君

  河野 正美君     重徳 和彦君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     金子 恵美君

    ―――――――――――――

十一月十二日

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)(参議院送付)

 社会保険労務士法の一部を改正する法律案(第百八十六回国会衆法第四一号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。塩崎厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

塩崎国務大臣 ただいま議題となりました感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 近年、H7N9型の鳥インフルエンザや中東呼吸器症候群を初めとした新たな感染症が海外において発生しており、これらの感染症に対し万全の対策を講じることが求められています。また、こうした昨今の感染症の発生状況、国際交流の進展、保健医療を取り巻く環境の変化等を踏まえ、感染症に対応する体制を一層強化する必要があります。

 このため、新型インフルエンザ等感染症に変異するおそれが高い鳥インフルエンザ及び中東呼吸器症候群を二類感染症へ追加するほか、一類感染症等の患者等からの検体の採取について定めるなど、感染症に関する情報の収集を強化するための規定を整備し、感染症予防対策の推進を図るとともに感染症の蔓延防止策の充実を図るため、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明いたします。

 第一に、鳥インフルエンザについて、新型インフルエンザ等感染症に変異するおそれが高いものに限って二類感染症とし、その範囲は政令で血清亜型を定めることにより特定することとしています。あわせて、中東呼吸器症候群を二類感染症とします。これにより、現在、政令により暫定的に二類感染症に相当する措置を講ずることができることとしているH7N9型の鳥インフルエンザ及び中東呼吸器症候群について、引き続き、これらの感染症が国内で発生した場合に患者の入院等の措置を可能とし、その蔓延の防止を図ることとしております。

 第二に、医療機関や感染症の患者等に対して検体等の提出等を要請する制度を創設することとしております。

 第三に、一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症及び新感染症について、医療機関や患者等からの検体の採取等の制度を創設することとしております。

 第四に、厚生労働省令で定める五類感染症の患者等の検体等の提出を担当させる指定提出機関制度を創設することとしております。

 第五に、第二から第四までの制度により入手した検体等について、都道府県知事による検査の実施、厚生労働大臣による検査の基準の策定、厚生労働大臣への結果の報告、厚生労働大臣から都道府県知事に対する提出の要請等について規定を設けることとしております。

 このほか、感染症予防対策の推進に関し、必要な事項を定めることとしております。

 最後に、この法律案の施行期日は、平成二十八年四月一日としておりますが、新たな感染症の二類感染症への追加等については、公布の日から起算して二月を経過した日から施行すること等としております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

渡辺委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官松岡正樹君、外務省大臣官房審議官鈴木哲君、大臣官房参事官水越英明君、厚生労働省医政局長二川一男君、健康局長新村和哉君、医薬食品局食品安全部長三宅智君及び防衛省防衛政策局次長鈴木敦夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。豊田真由子君。

豊田委員 自由民主党の豊田真由子でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 感染症法の改正でございます。まさに今、我が国におきましても、エボラ出血熱を初めとする新興感染症に対して大きな不安が起こっているところでございます。

 まず、今回の感染症法の改正でございますが、やはり効果的な対策を講じるためには、検体を採取いたしまして必要な情報を迅速にとるということは不可欠でありますので、今回の改正内容は非常に理にかなったものと考えますが、検体に含まれる情報には遺伝子情報や感染の有無といった非常に機微なものも含まれておりますことから、とりわけ慎重な取り扱いをするということを重ねてお願い申し上げておきたいと思います。

 そして、今、新興感染症の脅威からいかに国民とそして世界を守っていくかという観点から、以下お伺いをいたしたいと思います。

 この新興感染症でございますが、開発によりまして人と動物との接点が増加している、また、国際往来が活発になりまして、航空網の発達により、これは決して遠いアフリカの異国の話ではなく、あすにも日本が、この脅威が現実のものとなるというところでございます。

 水際作戦を行っておりますけれども、やはりウインドーピリオドというのがございますので、日本国内にもいつ感染があってもおかしくないという状況であります。そのためには国内の医療提供体制の整備というものの充実が不可欠でございますが、現在、第一種の指定医療機関がまだ未整備の県が八県あるとお伺いをしております。迅速な整備、また地域への支援をお願いしたいと思います。

 また、実際にエボラなどが発生したとして、指定医療機関に搬送された場合に、やはり、これは例がないということもございますし、適切な治療と感染の封じ込めとともに、当該医療機関への過度な負担を避けるという観点からも、専門的な医療従事者の派遣や応援をするといった形での、国としてのバックアップ体制が必要ではないかと思います。

 また、こうした有事の備えということで、ふだんから、こうした事態に適切に対応できる人材の育成、それは臨床に当たられる専門家のみならず、グローバルヘルス、いわゆるパブリックヘルスの観点から、感染症疫学といった広い視野を持って、今何が必要であるかということをトータルで考えられる、そういう、ちょっと日本にはまだ不足をしていると言われる人材の育成に国としても取り組まれる必要があると思いますが、いかがでございましょう。

新村政府参考人 お答えいたします。

 医療機関に対する国のバックアップ体制についてお尋ねがございました。

 全国四十六カ所で感染症指定医療機関を整備して診療の体制を確保しておりますけれども、重症患者の治療や複数の患者の治療など、医療機関単独での対応が困難になることも想定されます。

 このため、厚生労働省といたしましては、国立国際医療研究センターに今年度から研究班を置きまして、医療機関等における感染症対応を支援するために、医療機関からの相談への対応、あるいは緊急時における専門家チームの派遣による診療や感染予防対策の支援等を行うことといたしておりまして、今後とも、指定感染症医療機関の体制に応じて柔軟に対応してまいりたいと考えております。

 また、人材育成につきましては、厚生労働省といたしましては、平成十三年度より、国内に存在しない感染症に関し海外で医療研修を行っておりまして、これまでに延べ八十名が受講しております。

 今後とも、このような海外での研修も活用した上で、現在のエボラ出血熱のような、その時々で緊急性の高い感染症に関する重点的な研修を組み合わせながら、感染症の専門家の育成に努めていきたいと考えております。

豊田委員 ありがとうございます。

 そして、地域の不安に応えるということも必要であります。

 先般、エボラの流行国から帰国され発熱をされた方が、一般の医療機関を直接受診されたというケースがございました。こうした事例では、当該医療機関の医療従事者、またそこに出入りするさまざまな関係業者の方、そして、そこに受診に来ている、待合室にいる一般の患者さんも含めて感染リスクにさらされることになります。

 これを一個人の責任に帰することは私は非常に酷だと思っておりまして、こうした事態を避けるために、もちろん啓蒙や周知徹底を図るとともに、もっと具体的に国として適切な対策をあらかじめ講じておく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

橋本大臣政務官 委員から、エボラ出血熱の患者さんについての御質問がございました。

 まず、一般論として、エボラ出血熱の患者さんにつきましては、適切な医療を提供するとともに、御指摘のような二次感染を防がなければなりません。そのために、専門の医療機関において治療が行われる必要がまずございます。ですから、一般の医療機関に受診をされることは控えていただきたいというのが、一般論として申し上げなければいけないことでございます。

 その上で、現在どうしているかといいますと、過去二十一日以内におけるリベリア、ギニア、シエラレオネ、この三カ国に渡航歴が確認をされた方については、検疫におきましてきちんと申し出ていただいて、熱を日々はかって確認をしていただいて連絡をしていただく、このような呼びかけをしていたり、また、飛行機の機内でもそうしてくださいという呼びかけをしておりますが、それで、熱が出たという場合には検疫所に連絡をするように指示をしております。おりますが、発生した事案の中で、検疫所への連絡をしないで直接一般の医療機関を受診されたことがあったということはございます。

 したがいまして、それを踏まえまして、検疫所から交付する指示書につきまして見直しを行いまして、保健所の指示があるまでは絶対に直接医療機関には行かないでくださいという明記を改めてさせていただくということをしておりまして、この指示書を活用してさらに周知を徹底させていきたいと思っております。

 それともう一点、その事案では、患者の方が一般の医療機関にかかったときに、そうした国に行っていましたという渡航歴を告げられなかった、そしてまた、診療に当たった医師の方も渡航歴を確認しなかったということがございます。これは、医療機関に対しては、医師会を通じて、そうした確認をしていただくようにというお願いはしておりましたが、現場ではそれはちょっとされなかったということでございます。ですので、今回のことも踏まえまして、医療機関用の渡航歴の確認シートを作成して、なおきちんと確認をしていただくように努めようとしておるところでございます。

 今後、これらの取り組みもしっかりと講じまして、医療機関における二次感染の防止に万全を期してまいりたい、このように思っております。

豊田委員 ありがとうございます。

 やはり、空気感染はしませんよと言っても、一般の国民の方は大変不安を抱えておられます。また、実際に何か生じたときにパニックや風評被害を起こさないためにも、実効性のある事前の対策というものが必要かと思っております。

 私は、二〇〇九年、新型インフルエンザパンデミック、これは豚由来、メキシコ発生でございますが、これが起こったときにジュネーブの日本政府代表部におりまして、WHO、国際保健を担当する仕事に従事しておりました。そのときに、結果的には季節性のインフルエンザと変わらないものだということで終息をいたしましたが、二〇〇九年の発生当初は、これは本当に、世界はどうなってしまうんだというようなことで、当然、日本国内もだったと思いますけれども、WHOにおきましても、また世界の国際保健担当の皆さんの間においても大きな危機感があったところでございます。

 私はそうしたさまざまな教訓を得たわけでございますが、今、日本は国際社会での貢献ということで、エボラの発生国、地域に対して、財政、物的また人的なさまざまな支援を行っています。そして、こうした発生国への支援は、その地域を助けるという国際貢献、国際協力という意味合いだけではなくて、当然それが日本国民の命を守るということに直結をしてまいります。

 そしてまた、昨今のグローバルヘルスと言われるものの世界は、実はこれは各国のさまざまな外交や経済のせめぎ合いの場でもございます。

 例えば、当時はインフルエンザ検体共有問題というのがございまして、当時はインドネシアなどでH5N1が発生していたんですけれども、そうしたインフルエンザのウイルスは、これは知的財産権があるものだ、金のなる木であるから、途上国が先進国にそのまま渡してワクチンをつくられては途上国が損をするんだということで、渡さないといったことがありまして、そうすると先進国は、それをもとにワクチンが開発できない、公衆衛生上の脅威に対応できないといったような、大きな外交、国際保健上の問題がございました。

 そしてまた、このグローバルヘルスの分野におきましては、今、国や国際機関という枠を超えたさまざまなプレーヤーがおられまして、国際社会の新たなこうした課題について、これを自国内で克服すると同時に、やはりこの分野で影響力、発言力を保持していく、イニシアチブをとるということが、私は、これは我が国の国益にも非常に重要であると思っておりまして、こうした観点から、戦略的な対応を国として考えていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

水越政府参考人 お答えいたします。

 グローバル化によって人や物が目まぐるしく移動する社会にあって、新興・再興感染症の発生国のみならず、我が国の国民の健康及び安全をも脅かす重要課題と認識しております。

 我が国は、これまで感染症分野の国際協力においても主導的な役割を果たしております。

 例えば、新型インフルエンザ対策として、感染症対策人材の育成、感染症関連の研究所の能力強化や医薬品の備蓄等の技術支援を実施してまいりました。

 また、エボラ出血熱対策においては、国際機関や二国間援助を通じた約四千五百万ドルの支援に加え、先般、さらに最大約一億ドルの支援を発表したところでございます。また、専門家の派遣及び個人防護服の供与等も行っているほか、医療資機材の供与も決定しております。

 こうした我が国の支援は、米国や国連を初めとして、国際社会からも極めて重要な対応だとして高い評価を得ているものと承知しております。

 さらに、日本企業が開発し、感染後の治療に効果の見込める候補薬のT705についての有用性、安全性を早期に確認できるよう、政府としても側面支援をするとともに、一定の条件で提供の用意もしております。既に、一部の国において緊急に投与された事例もあると承知しております。

 政府としては、昨年五月に策定いたしました国際保健外交戦略に基づき、一、保健医療にかかわる国際課題の解決、二、国際保健分野において日本が果たす役割の増大、三、日本の健康医療産業及びその技術力を生かした貢献といった三つの戦略的目標を掲げまして、それに沿って保健分野での国際協力を一層進めていきたいと考えております。

豊田委員 ありがとうございます。

 今、エボラの流行国へ自衛隊を派遣すべきだという御意見があります。

 これは、自給自足、自己完結型の自衛隊、そして災害支援の御経験、また特殊武器防護隊や衛生隊をお持ちだというようなことが背景にあると思いますが、こうしたことは国内対策を主に取り組まれてきたことでございまして、私の地元には陸上自衛隊朝霞駐屯地がございまして、自衛官の方にもよくお話を伺いますが、まさに皆様は、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務めるという高い志を持って日々任務に励まれておりまして、これは命令で行けと言われたら、お行きになると思うんですね。だけれども、私は、その準備ができていない状況で、日本でも、世界でも、大変なところには、自衛隊が行ってきてちょうだいということで果たしていいのかという疑問を持っております。

 隊員の方が万が一行くということであれば、感染症に罹患することなく安全に活動した上で、しっかりと効果的な支援を行う、適切に任務を遂行できるようなさまざまな体制や環境整備と一体でなければならない、それをしっかりと考えて、どうあるべきかということを実施していくのが政治のまた姿でもあると思っておりまして、こうしたことについてお伺いをしたいと思います。

鈴木(敦)政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省・自衛隊におきましては、十月下旬から、米アフリカ軍の司令部、AFRICOMと申しますが、こちらの方に連絡官二名、自衛官二名を派遣し、米国が行うさまざまな活動の状況ですとか現地の状況などについて情報収集を行っているところです。

 ただ、現時点におきまして、自衛隊の部隊派遣の予定はございません。

 こうしたエボラ出血熱の流行国の支援の対応につきましては、相手国のニーズや被害の状況等を踏まえまして、関係機関とも連携しつつ、政府全体で取り組むことによって支援の実効性を高めることが可能になるというふうに考えてございます。

 そうした上で、自衛隊の今の体制、能力について申し上げれば、陸上自衛隊におきましては、核・生物・化学、私どもはいわゆるNBC兵器と申し上げておりますけれども、こうしたものに対する攻撃等に対処できるよう、隊員が装備する化学防護衣ですとか防護マスクといった装備品を保有するほか、汚染された地域で情報収集等の活動を行うとともに汚染地域の除染を行う特殊武器防護隊など、あとは、生物剤が使用された場合に感染患者を隔離、収容して応急治療を行う対特殊武器衛生隊などを持っております。

 ただ、他方で、こうした今回のような西アフリカにおけるエボラ出血熱への対応のように、現地における基本的な生活基盤が破壊されていないものの衛生基盤が極めて脆弱な遠隔地において、感染症のリスクを避けつつ有意義な部隊活動を一定期間継続するためには、現在の体制に加えてさらなる能力、機能が必要になるというふうに考えてございます。

 防衛省といたしましては、今後とも海外での活動が想定されることから、感染症対策はますます重要でございますので、感染症に関する研究機関に隊員を派遣するなど、専門家の育成を含めた自衛隊の能力の向上に引き続き努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

豊田委員 済みません、質疑時間の関係から、大臣にちょっと一問だけお願いをしておりまして、恐縮でございますが、よろしゅうございますでしょうか。

 今回の研究、アビガン錠の関係もありますけれども、しっかりと、日本の研究開発税制なども含めた、医薬品、医療機器の研究開発を国としても引き続きバックアップをしていくことが必要であると思うということと、それはお聞きいただくだけでよろしいんですけれども、非感染症対策に今トレンドが移っておりまして、WHOにおきましても、国内でも、生活習慣病を中心とする非感染症対策が重視をされているところでございますが、途上国を含めた世界の疾病構造を考えても……

渡辺委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

豊田委員 申しわけありません。妥当なことなのでありますが、こうした新興感染症の脅威というものも引き続き続いておりますので、改めて、感染症対策に取り組まれる国としての御決意をお伺いいたしたいと思います。

渡辺委員長 塩崎厚生労働大臣、簡潔にお願いいたします。

塩崎国務大臣 非感染症以外に、やはり感染症の対策というのが極めて大事だということは今回のエボラの問題でよくわかったということであり、また、国民の健康危機管理だけではなくて、安全保障の問題としても考えていかなければいけないんじゃないかというふうに思っておりまして、一層の体制強化が必要だと思っております。

 とりわけ、今お話がありましたように、薬の問題等々はもちろんございますけれども、感染症指定医療機関の全県整備、あるいは医師への研修、それから行政や医療機関における対応力の強化、そして、何よりもやはり感染症に対する国民の正しい理解と御協力というものをしっかりといただけるようにやっていかなければいけないと思っております。

 特に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックもございますから、日本として、感染症対策の先進国として、安心して、国民も、そしてまた海外から来られる方も、ちゃんと暮らしたり過ごしていただけるような国として基盤整備をしっかりとやっていきたいと思います。

豊田委員 ありがとうございます。

 質問を終わります。

渡辺委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 おはようございます。維新の党の河野正美でございます。

 ただいま議題となっております感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、関連いたしまして、政府としての感染症政策全般について、ちょっとエボラ出血熱のことも触れましてお話を伺いたいと思います。

 今、豊田委員の方から質問がございましたので、幾つか重なっている点もあるかと思いますが、よろしくお願い申し上げます。

 過日、流行国から帰国した方に発熱が見られ、さらに、その方の所在が一時不明となる事例などが報じられました。速やかな情報公開によって感染を拡散させないことが大切であるというふうに思っておりますが、一方で、不安を拡大させることも避けなければなりません。

 まず、水際対策についてお尋ねを申し上げます。

 国際空港の検疫所でどのようにスクリーニングを行われているか、そういったことについてお答えください。

三宅政府参考人 検疫所におきましては、アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況等を踏まえ、出入国者に対して、エボラ出血熱の発生状況等について注意喚起を実施しております。

 また、入国者に対しまして、空港において日ごろから実施しているサーモグラフィーによる体温測定に加え、九カ国語のポスターや検疫官の呼びかけ等によって自己申告を促し、問診、健康相談等を実施、また、各航空会社に対して、流行国に二十一日以内に滞在した乗客は、空港到着後、検疫官に自己申告するようお願いする旨の機内アナウンスの協力を依頼しております。

 さらに、流行国への滞在等が把握できた在留邦人に対しまして、企業、団体等を通じ、エボラ出血熱の予防などの必要な情報の提供や、帰国時における検疫所への自己申告のお願いなどを実施してきております。

 また、先般、これらの検疫対応に加えまして、ギニア、リベリア及びシエラレオネへの二十一日以内の滞在歴が把握された者につきましては、一日二回、健康状態を確認し、可能な限り過去二十一日の流行国の滞在歴を確認することができるよう、検疫体制の一層の強化を行いまして、各空港における検疫所と入国管理局の連携を強化し、さらなる検疫強化を図ったところでございます。

 引き続き、国内外におけるエボラ出血熱の状況等を踏まえつつ、必要な検疫体制を整備してまいりたいと思います。

河野(正)委員 御丁寧に答えていただきまして、ありがとうございました。

 また、ちょっと簡単にお答えいただきたいんですが、疑いのある方、旅行者ですね、サーモグラフィー等でひっかかってきた場合に、こういった方の検査を行うということになると思いますけれども、感染が疑われている段階の方をどのように追跡しているのか、あるいは隔離しているのか、そういったことについて簡単にお答えいただけますでしょうか。

三宅政府参考人 現在、ギニア、リベリア、シエラレオネに渡航または滞在していたことが確認された者など、エボラ出血熱の病原体に感染したおそれのある者で停留されないものに対しては、検疫法十八条二項に基づき、健康監視を行うこととしております。

 現在、健康監視対象者にかかわる具体的な対応としましては、氏名、年齢、性別、国内における居所、連絡先、当該者がエボラ出血熱の病原体に感染したことが疑われる場所等について報告を求め、また、当該者の居住地を管轄する都道府県知事等に必要な情報を提供しております。

 また、エボラ出血熱の流行国出国後二十一日内において、一日二回、朝夕の体温測定、その他の健康状態について報告を求めております。

 この間、健康状態に異常が生じた者につきましては、当該者に対して、予防上必要な事項を指示するとともに、当該者の居住地を管轄する都道府県知事に対しまして、その健康状態の異常について通知するということにしております。

 以上でございます。

河野(正)委員 次に、感染の拡大防止という観点からお尋ねをいたしたいと思います。

 情報公開ということでお聞きしますけれども、今回の一部報道を見ますと、ロンドン発の全日空二七八便で乗客にエボラ出血熱の疑いがあったというふうに報道されました。羽田空港の検疫所から国土交通省と全日空に第一報が入ったということでございます。しかし、当初は便名が明らかにされていなかったということで、明らかにされたのは入国から五時間ほどたった後ということだそうです。ほぼ同時刻に日本航空便もロンドンから到着しており、他社便の利用者に関しましては、自分と同じ飛行機に感染者が出たんじゃないかということで大きな不安を抱かれたのではないかなと考えます。

 感染拡大防止という点からすれば、今回は陰性でしたからよかったものの、余り、疑いのある方に活発にあちこち動き回っていただいても困るのかな、好ましくないのかなと思います。

 搭乗機の発着地、便名などを公表する際の基準というのをどのように定められているのか、教えていただけますでしょうか。

新村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のような事案を踏まえまして、関係省庁と協議し、エボラ出血熱疑い患者の公表方法を定めております。

 疑似症患者が確認され、国立感染症研究所での検査を行うために医療機関から血液等の検体を搬送する時点で、疑い患者の年代、性別、滞在国、症状、滞在国での接触歴、居住都道府県、外国の方の場合は外国籍、また、他の感染症の罹患の有無、それから航空便に関する情報を公表することといたしております。

 また、国立感染症研究所での検査結果確定時には、厚生労働省より検査結果を公表することといたしております。

河野(正)委員 感染の拡大防止という点からは、そういった情報公開、きちんとルールを持ってやっていただきたいと思います。

 また、先日は、リベリアから帰国後に発熱した東京都の六十代の男性が自宅近くの医療機関を直接受診した、先ほど豊田委員の方も御指摘されておりましたが、そういったことがあったということです。

 本来であれば、流行国滞在者が帰国後に発熱した場合は、検疫所や保健所に連絡して、指定病院を受診していただかなければなりません。しかし、一般医療機関を受診してしまう事例が実際にあったということであります。

 エボラも、初期症状は発熱とか頭痛ということだそうですので、これから寒くなって風邪の流行する季節にもなってまいりますので、そうすると、なかなかこれを発見するのは難しいのかなと思います。

 先ほど御答弁の中に、渡航歴とかを聞かなければいけないということでしたが、私も医師として仕事をしておりましたけれども、患者さんが多くなってきて、同じように頭痛、発熱の患者さんがたくさんやってくるような状況になれば、一々渡航歴がありますかと聞いていくのは、実際、現実問題としてはちょっと厳しいのかなというふうに思います。

 これら疑い症状が出た場合の対応について、旅行者に対しての啓発広報活動というのを、先ほどもちょっと一部答弁あったと思いますけれども、教えていただきたいと思います。

三宅政府参考人 これまで、健康監視対象者に対しましては、検疫所が健康監視対象者指示書を交付して、今後症状が出た場合には直ちに検疫所に連絡するように指示しておりました。

 しかし、今般、健康監視対象者が検疫所に連絡をせず直接医療機関を受診した事案があったため、今後、検疫所から交付する健康監視対象者指示書に、保健所の指示があるまでは絶対に直接医療機関には行かないでくださいと明記することとしておりまして、当該指示書を活用して、発症した際の対応について健康監視対象者への周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

河野(正)委員 しっかりとやっていただきたいと思います。

 結果的に今回陰性だったからよかったわけなんですけれども、仮に陽性だった場合、受診した医療機関の消毒等、二次感染防止対策というのはどのように考えられているんでしょうか。

新村政府参考人 お答えいたします。

 感染症法におきましては、都道府県知事は、感染症の病原体に汚染されたおそれのある場所について、その場所の管理者等に対して、消毒すべきことを命じることができるとされております。当該命令に従わない場合、罰則の適用もあり得るとされております。

 また、費用負担につきましても、通常、施設の管理責任に基づき、その場所の管理者等が負担することとされております。

 しかしながら、こういった事態を防ぐために、厚生労働省としては、エボラの疑いがある患者さんについては一般の医療機関を受診しないよう強く促す、要請するということの取り組みを引き続きしていきたいと考えております。

河野(正)委員 幾つか分けて御質問しようかなと思っていましたが、まとめてお答えいただいたのであれなんですけれども、今お答えいただきましたように、受診した医療機関の事後処理にかかる費用というのは、管理者に命ずることができるということで、命じて、その医療機関の方でやりなさいということだと思います。また、この費用も医療機関が負担をしなければいけないということでよろしいんでしょうか。よろしいと。よろしくないんですけれども、医療機関が負担をしなければいけないということだそうです。

 拒否した場合も罰則等があり得るということですから、これはかなり医療機関にとっては、政府の方でしっかりと広報活動等をやっていただかないと、旅行者の方が御自身の判断で医療機関を訪れてしまって、もしそれが陽性だということになった場合、全部そこの病院なり診療所が自分でお金を出してやらなければいけないということになってしまうわけでありますので、これは本当にしっかりと広報活動なりやっていって周知徹底していただかないと、医療機関は大変なことになるというふうに考えております。

 また、これは若干話がそれるかもしれませんけれども、風評被害、あそこの病院でエボラの患者が来たぞということになると、ほかの患者さんが来ないとか、あるいは入院している方が転院したいとかいう御希望が出てくると思うんですけれども、こういった場合の医療機関への補償とか、あるいは休業補償というのもあるかと思うんですけれども、そういったことは考えておられるでしょうか。

新村政府参考人 感染症法におきましては、エボラ出血熱の患者さんが一般の医療機関を受診した場合に、医療機関の休業に伴う損失を補償するという仕組みは定められてございません。

 しかし、エボラ出血熱は、体液等に直接接触することにより感染するものでございます。インフルエンザのようにせきやくしゃみを介して容易に感染するものではないということを踏まえれば、患者の医療機関内での行動等に応じて適切な消毒を行えば、長期に及ぶ休業を行う必要はないと考えております。

 一方、このような事例が発生した場合におきまして、エボラ出血熱の患者が受診したことによって風評被害が起こるということもあり得ることと考えております。

 これを防ぐために、厚生労働省といたしましては、国民の皆様にエボラ出血熱について正しく理解していただくよう広報を強化するとともに、繰り返しになりますが、エボラ出血熱が疑われる場合には一般の医療機関を受診せずに専門の医療機関での受診を強く要請するなど、国民の協力を得るための取り組みを強化してまいりたいと考えております。

橋本大臣政務官 委員御指摘の点、大変大事なことだと思っております。

 ですから、やはり一般の方に、エボラ出血熱にかかっているかもしれない、三カ国に二十一日以内に行かれたという方で熱が出たという方は、一般の医療機関にかからないでくださいということをいかに周知するか。

 また、医療機関の側も、例えば電話で予約をいただいたときに、熱が出ているんですと言われたら渡航歴を確認していただくとか、あるいは、三カ国にかかわった方は御連絡はこちらにしてくださいといった掲示物等をしていただくとか、そうした工夫をしていただくということもあり得るんだろうというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、厚生労働省としても、いろいろな方にきちんと御理解いただくように努めていく必要もございますし、また広報についても、医療機関を初めいろいろな方々の御協力もなおいただければいいなというふうに思っております。

河野(正)委員 ありがとうございました。橋本政務官におかれましては、私と認識は一致しているのかなと思います。

 ぜひやっていただかないと、本当に、掲示板、ポスターに張ってあっても、実際来てしまったらもうどうしようもないわけですし、医療機関は応需の義務もありますので、なかなか厳しい。実際発生してしまったら大変なことになると思いますので、まさに水際で、一般医療機関を受診されないように、指定医療機関でしっかりとやっていただけるようにしていただきたいと思います。

 時間もありませんので次に移りますが、大阪におきましても、関西空港から入国したギニア国籍の女性がエボラ出血熱に感染した疑いを受けたという報道がございました。

 厚生労働省通知では、エボラ出血熱の感染を確認する機関が、東京にある国立感染症研究所に限定されているということであります。夜、大阪で採取した血液を、車で約七時間かけて運び込んだために、結果判明が翌日の午後にずれ込んだというふうに聞いております。

 東京だけでしかできない理由というのを教えていただきたいと思います。また、国際化社会でございますので、もっと身近で検査できるようにならなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。

新村政府参考人 現在、厚生労働省では、エボラ出血熱等の一類感染症の疑い患者が発生した場合には、国立感染症研究所村山庁舎でPCR検査等により確定診断を行うこととしております。

 エボラ出血熱はいまだ我が国で発生しておらず、また、検査により陽性と認められた場合には、患者として入院措置を含めた厳重な感染対策等を講ずる必要があることから、その検査には慎重な取り扱いが必要でございます。このため、十分な知識を有し、施設設備が整った国立感染症研究所村山庁舎で行うことが必要であると考えております。

 なお、現在の状況におきましては、各自治体に対して、速やかに安全確実な方法で検体を国立感染症研究所に搬送するよう依頼しているところでございますが、国立感染症研究所以外で一類感染症の検査を行うことにつきましては、地方衛生研究所において国立感染症研究所と同等の体制を確保できるかという点や、今後の発生状況等も踏まえつつ、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 この大阪の事例では、感染症法というのでは、感染が確定するまで医療機関から自治体への連絡義務がないということで、国も疑いの段階では自治体への連絡方法を決めていなかったというふうに報道されております。

 先ほど、答弁でわからない点も一部あったんですが、大阪府の方も、こういったことで、なかなか連絡が来ないということで厳しい状況にあったと聞いていますけれども、この点いかがなんでしょうか。

新村政府参考人 自治体との連絡でございますが、エボラ出血熱の検査結果が陽性であった場合には、自治体において接触者調査を実施していただく必要がございますので、初動対応の準備の観点から、厚生労働省における当該事案の公表前に都道府県等当該の自治体に対しては必要な情報を提供しておりまして、これまでのところ問題となるような事案はなかったと考えておりますが、今後とも、必要に応じ、各自治体と緊密に連携をとりつつ対応を行ってまいりたいと考えております。

河野(正)委員 最後に、本当に仮定で終わっていただきたいことなんですけれども、パンデミックという問題もあります。こういった、爆発的に流行する、あるいはそれに近い状況になった場合に、我が国には、エボラ出血熱などの強い毒性を持つ感染症に対応できる医療機関、第一種感染症指定医療機関というのが少ないという問題があります。

 現状を簡単に教えていただけますでしょうか。

新村政府参考人 全国の第一種感染症指定医療機関につきましては、十一月十日に新たに大分県で指定されまして、これを含めますと、現在、三十九都道府県において合計四十五の医療機関が指定されております。

河野(正)委員 先ほども豊田委員のところでちょっとお話が出たと思いますけれども、まだ八県、未整備の場所があるということでございます。ということは、患者さんが発生した場合、速やかに移動するということもできませんし、九十四床ということも聞いておりますので、そういうことであれば、非常に大量発生した場合は対応ができないんじゃないかなと思います。

 こういった現状を踏まえまして、陽性者が発生した場合、人数を問わずにしっかりと国として対応できるかどうか、塩崎大臣に伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 国際的な公衆衛生上の問題になっております、危機になっておりますこのエボラ出血熱対策でございますけれども、行政の対応強化と、それから医療機関における適切な対応、そして国民による御理解と御協力というのが、三位一体で必ず必要だというふうに思っております。

 国内で万が一、エボラ出血熱の疑いのある方が発生した場合には、専門の医療機関への搬送が円滑に、指定医療機関の方に行かれるということ。それから、自治体に具体的な対応の再確認をいただくとともに、本日、都道府県等にお集まりをいただきまして、担当課長に集まっていただいて会議を開催することとなっております。そこにおいて対応方針に基づく訓練の実施を要請するということで、全国の自治体にもしっかりと対応してもらうようにする。

 また、専門医療機関においても、二次感染の防止を含めて適切な対応が行われるように、全国各地で、ことしじゅうに合計で十四回、感染防御策の研修を行うこととなっておりますけれども、本日、東京で全国研修会を開催いたします。

 先般、安倍総理の指示によりまして、政府一丸となって危機対応を盤石なものとするために、エボラ出血熱対策関係閣僚会議が設置をされまして、これを受けて、厚生労働省の中にもエボラ出血熱等対策推進本部を立ち上げているところでございます。

 今後とも、国内でのエボラ出血熱の発生に備えて、関係省庁とも連携をして、警戒を怠ることなくしっかりと対応してまいりたいと思います。

河野(正)委員 時間が来ましたけれども、指定医療機関というのをしっかりと、これは地域の住民の方の意向もございますでしょうから大変な問題だと思いますけれども、しっかり身近でかかれる医療機関がないと、一般医療機関を巻き込んで大変な問題になってくると思いますので、ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 おはようございます。

 感染症に関するこの法案について、我々野党から、これはやはり命にかかわることですので、なるべく早く審議をしていただきたいということで、与党、野党一丸となってこの審議を始めていただけて、本当にありがたく思っております。

 早速ですけれども、大きく二つ、感染症に対してはいろいろ対応を考えないといけないなと思います。というのは、きょう、朝からも質問が出ていました水際対策が一つと、もう一つは、その病気が一体何なのかというのを検査する施設が、現在、例えばエボラ出血熱に対する確定的な診断を下せるのは国立感染症研究所のみという状況に恐らく日本はなっております。

 そこで、私ども大阪でも、私、大阪府議会議員のときに新型インフルエンザが流行した、なかなか対応を都道府県単位でするのは大変だったという記憶が残っております。そのときに、いわゆるP4施設というものが実は国内には事実上ない、今現在ないということで、大阪府においてもそういったものをつくるべきだという議論もその当時出たこともありました。

 現在、P4、P3、種類がありますけれども、そういった施設に関する運用状況は今どうなっているか、教えていただけたらと思います。

新村政府参考人 今お話ございましたP4あるいはBSL4の施設でございますが、こちらは、感染力が強く、人に重篤な疾患を起こし得る病原体につきまして、安全に取り扱うことができるよう、二重三重の安全対策が施された施設でございます。例えば、インターロック構造の二重扉ですとか、陰圧に管理された実験室、あるいは二重の高性能排気フィルターなどを装備するということになっております。

 国立感染症研究所村山庁舎の施設の安全対策のための設備は、国際的なBSL4施設としての基準にも合致して整備されておりまして、点検、メンテナンスも入念に行っているところでございます。地域住民の御理解がまだ得られないのでBSL4レベルでは稼働しておりませんけれども、こちらの施設では、BSL3あるいはP3のレベルとしてさまざまな検査等を行っているということでございます。

浦野委員 国内でP4施設をつくるというのはなかなか、今あるところも、施設はP4の基準でつくってあるけれども、運用はP3でしかできていないということなんですね。それはもちろん、地元、周辺の住民の皆さん方の理解がないと、なかなかP4の基準で運用できないというのは確かにあるとは思います。

 ただ、これは私は迷惑施設ではないと思っているんですね。例えば、ヨーロッパなんかですと、町中の住宅街にぽんとP4施設があったりするということもお聞きしております。

 それはやはり住民の皆さんの不安というのはもちろん拭う努力をこれからもしていただかなければいけないですし、先ほどの河野委員の質問にもありましたけれども、一カ所でしかできないというのは、対応するに当たって、例えば今のレベルで、週に一回か二回ぐらいそういう何か疑わしい症状が出て、それを検査しているぐらいだったら当然できるでしょうけれども、これがもし爆発的に広がったときにどういうふうに対応していくのかというのは非常に不安になっています。

 東京にあるP3施設、これも本来はやはりP4で運用していくのが本当だと思うんですけれども、国としては、こういった施設をどういうふうにこれから運用していく、例えば、ほかの地域にも本来はつくっていかなければいけない、何個もつくっていかないといけないけれども今はこういう状況ですというのがもしあれば、これからのことについて少しお話をいただけたらと思います。

新村政府参考人 BSL4の施設につきましては、さまざまな厳重な基準等がございます。そして、こういった施設を新たに設置するという場合には、実際に設置して稼働させるまでに種々の調整や建設に多くの時間を要します。もちろん、地元の御理解というものも必要になってこようかと思います。

 そういったさまざまな課題もございますので、私どもといたしましては、現時点では、国立感染症研究所村山庁舎のBSL4施設の稼働について御理解いただけるよう、精力的に働きかけを行っていきたいと考えております。

浦野委員 先ほど言いましたけれども、例えば大阪でも、つくろうという話は一時出たこともありました。それはやはり、関西国際空港、二十四時間の国際空港があるということで、いつどういう状態で国内にそういったウイルスが入ってくるかというのは、水際作戦が非常に難しい面もある。あくまでも自己申告でまずはやってもらう、今それしかやり方がありませんから、そういうふうになっていますので、やはりすり抜けていく人もたくさんいらっしゃると思うんですね。アメリカですら、すり抜けて、ニューヨークの観光地で観光した後、エボラ熱の発症が発覚したという医師もいらっしゃいました。そうなって、それが本当にうつってしまうと、もう恐らく手のつけようがないような話になります。

 やはり東京一つだけではなくて、日本国内、P3の施設はたくさんあります、ただ、P4施設というのは迷惑施設じゃないんだということを国民の皆さんに理解をいただいて、今以上に、数カ所つくっていくということをしなければいけないと思うんですけれども、それについてはどうお考えですか。

新村政府参考人 現在、エボラ出血熱に関しましては、国立感染症研究所村山庁舎で確定診断を行うこととしております。

 これは、エボラ出血熱はいまだ我が国で発生しておりませんし、また、検査により陽性と確定診断がされた場合には、入院措置を含めた厳重な感染対策を行う必要がございます。そのため、検査にも慎重な取り扱いが必要でありますし、十分な知識もあり、施設設備の整った国立感染症研究所で行うことが必要と考えております。

 また、各自治体に対しましては、検体を搬送する場合に、速やかに安全確実な方法で国立感染症研究所に搬送するよう依頼しているところでございますけれども、委員御指摘のような視点も踏まえまして、国立感染症研究所以外でこういった一類感染症の検査を行うということにつきましては、地方衛生研究所におきまして、国立感染症研究所と同様のそういった厳重な体制を確保できるか、あるいはマンパワー等の体制を確保できるかという観点もありますし、また今後のこういった病気の発生状況なども見ながら、必要に応じて検討してまいるべき課題だと考えております。

浦野委員 発生してからではやはり遅いので、そこは、いつ発生しても対応できるような体制をもう一歩踏み込んで考えていただけたらなと思います。

 日本国内はもちろんですけれども、私が一番心配しているのはやはりアジアなんですね。アジア圏で同じような施設がどれぐらいあるかお聞きしますと、今、韓国で建設中のところが一つ、中国もあるかどうか、実際どうなっているのかよくわからないということだったんですけれども、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ大陸、これ以上にやはり日本はアジアとの国際的な交流が大きいわけですよ。

 そうなったときに、アジア全体でそれだけしかまだ検査をする施設ができていなくて、例えば中国で爆発的にエボラがふえたときに、日本に入ってくる可能性は非常に高まるわけですね。私は、そのときに日本が本当に対応できるのかなと今ちょっと心配をしているんです。そのあたりについて、どういうふうな検討がなされましたか。

新村政府参考人 日本における感染症対策は、世界の中あるいはアジアにおいても最先端の体制をとっているものと考えておりますけれども、このBSL4の問題につきましては、重要な、残された課題の一つだと考えております。

 BSL4施設の稼働ができますれば、我が国の感染症治療体制の一層の強化が図られることになりますし、その結果として、感染症に関する研究開発の推進、あるいは優秀な研究者の国内での育成にも資するものと考えておりますので、御指摘のようなアジアの中での日本の役割なども考慮しつつ、検討を進めていくべきと考えております。

浦野委員 例えば、Mの頭文字がつく会社のチキンナゲットなんかをつくっている問題がありましたよね。そういったこと、公衆衛生のそういう観点が非常に低い国なんですね。それはもう事実なんですよ。だから、そういった国とつき合っている我々は、それに対応できるように、やはりもうちょっとちゃんとしていただいた方がいいかなというふうに思います。予算も限りがあるのはもちろんわかりますし、人的な手当てもしっかりとしないといけませんから、そこは難しいのはわかるんですけれども、やはり起きてから手当てするのでは遅いんですね。

 残念ながら事実ですから、そういう国とつき合っているという前提のもとに我々は対応策を考えていかなければいけないと思っていますので、ぜひ、国内でそういう検査体制だとかをもうちょっと充実させていただけたらなと思っておりますので、よろしくお願いを。もし、大臣、何か、このP4施設とか検査体制について国としてもう少し考え方があるのであれば、お聞かせいただけたらと思うんですけれども。

塩崎国務大臣 先ほど来御答弁申し上げているように、まずは村山にありますP4を地元の御理解を得た上で確実に稼働させるということが一番大事で、ここにまずは精力を傾注していきたいというふうに思っております。

 先生御指摘のように、国内に一つでいいのか、あるいはアジアに向けても範を示すべきじゃないかというようなお考えでございましたが、その点についても、そのとおりではあろうと私も思いますので、まずは村山でしっかりと稼働することが何をさておいても大事だと思っておりますので、それをやった上で、またその先のことについても同時に考えていきたいと思います。

浦野委員 日本は多分そういうことを一番きっちりできる国だと思っていますので、ぜひお考えをいただけたらと思います。

 もう一つ、これはインフルエンザのときに、私は今大阪に住んでいますから、関西国際空港に勤めている友人もいます。そのとき、その友人が一番心配をしていたのは、税関、入国管理局等は、各省庁、例えば財務省とか厚生労働省もかかわっていますかね、省庁がかかわっている検査の機関はばっちりとインフルエンザ感染の対策をとって、防護マスクだとかそういう装備をきっちりとやっていた。それは当たり前の話でありますね。関西国際空港はそれでずっと万全の体制を整えていました。そのときは自衛隊も出動していましたので、自衛隊もそういった除染の施設だとかそういうものも持って、きっちりと、どんなことでも対応できるような体制をとって関西国際空港はそのとき運用されていました。

 そのときに、私の友人の職場というのは、関西国際空港ではありますけれども、人と接する部分ではなくて、いわゆる荷物を飛行機の下から出して運び入れてとやっている仕事をしているんですね。荷物にそういった病原菌がついて飛んでくるとかそういったことはほとんどないので、荷物に関してはそんな心配は、もし荷物について感染するんだったら、それこそ世界じゅうすごいことになっていますので、それはないと僕も思っています。

 ただ、関西国際空港全体で、同じ職場で働いている人間が、全く天と地の差があるぐらいの設備、装備なんですね。果たしてそれが、予防という面で、水際作戦をとっている空港として、そういった差というのはほんまに大丈夫なのかなと。その友人も、自分たちはそういうのをつけていないけれども、国の関係の出先機関の人たちはみんなそうやってつけているんや、自分たちは感染しないという保証ってあるんかなというふうに、やはりすごく心配をしていたんですね。

 そういった部分、国として空港に対してどういった指導をしているのかというのを少しお聞かせいただけたらと思うんですけれども。

新村政府参考人 御指摘ありましたように、空港におきましては、税関、入管、検疫の職員のみならず、空港に勤務する職員も適切な感染症対策を行うことが重要と認識しております。

 まず、労働安全衛生法におきましては、事業者は労働災害の防止のために必要な措置をとることが求められておりまして、その一環として、必要に応じて感染症に関する情報の周知を行っているものと承知しております。

 御指摘の空港職員への対応でございますけれども、各空港検疫所におきまして、年一回以上、感染症に関する総合的な訓練を実施することとしておりまして、その際、空港の関係者にも参加いただいております。

 また、各空港検疫所におきましては、税関、入管、空港ビル会社、あるいは航空会社等の関係機関で構成されている協議会がございますが、その場を通じて、感染症に関する情報も共有しているところでございます。

 今後とも、税関や入管の職員、あるいは空港の関係者とも連携しながら、感染症の拡大防止のための対策を講じてまいりたいと考えております。

浦野委員 今答弁いただいた内容ではちょっと、できているのかできていないか、まあ、やっていますということなんでしょうけれども、ぜひ空港全体で万全の体制をとれるということをしっかりと考えていただけたらと思いますので、これからもよろしくお願いをいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党、中根康浩でございます。

 きょうは感染症法の審議ということでございますが、選挙前、私自身として最後の質問の機会ということになりかねませんので、大臣にもいろいろなことを確認しておかなければなりません。選挙の前と後、あるいは選挙中、食い違うような話をされても困りますので、ここで確認を幾つかさせていただきます。

 まず、エボラ出血熱につきまして、これまでの質疑にも幾つか出ておりますが、外務省の方にせっかく来ていただいておりますので、実はもう余り質問の必要がなくなっちゃったんですけれども、今流行している国に日本人がどれぐらい渡航しているか、この数字だけちょっとお聞きしておきたいと思います。

鈴木(哲)政府参考人 お答えいたします。

 外務省としては、エボラ出血熱の邦人への感染リスクを減らす努力の一環としまして、感染症渡航情報を発出しております。

 その結果、八月七日時点で流行国、ギニア、リベリア、シエラレオネの三カ国で合計約百名在留邦人がおりましたところ、現時点で合計約三十名に減少しております。内訳といたしましては、ギニアに約二十名、リベリアに数名、シエラレオネに約十名でございます。

中根(康)委員 外務省の鈴木審議官、どうぞ、もうこれでお引き取りいただいて結構でございます。ありがとうございました。

 それで、民主党としてもエボラ出血熱対策には力を入れておりまして、対策本部というものをつくって、これは枝野幹事長が本部長になって、山井議員が副本部長、長妻議員が事務局長、私は幹事の一人として参画をいたしております。これほど強力な布陣で、力を込めて、政府と連携して、ウイルスは絶対に日本には入れない、もし万が一入った場合でも万全の体制をとるという覚悟で臨ませていただいているところでございます。

 それで、先ほどから例示されております、感染の疑いがあった男性が一般の診療所を受診したということ、ここから学び取る教訓、あるいは私たちが学んだことは、水際対策は完璧にはできていない、あるいは完璧にすることはやはり難しい。流行国への渡航歴、患者からの必要な情報を十分入手するということも困難であるし、場合によっては虚偽というような形での情報も入手せざるを得ないということになってしまうこともある、あるいは、一般医療機関が適切に対応できるとも限らない、また、発熱患者が保健所や検疫所に行かないで一般医療機関を受診するということを一〇〇%防ぐことはなかなか困難である、こういったようなことを学び取ることができるわけであります。

 こういった一つの事態から、ぜひ政府として緊張感を持って取り組んでいただきたい、こういうわけでありますが、国民が知りたいのは、この流行がいつまで続くのかということでありますが、これはいつまで続くんでしょうか。

塩崎国務大臣 なかなか予測をしがたいところでございますけれども、少なくとも西アフリカの三カ国でまだ蔓延をしているわけでありまして、我々は、少なくとも数カ月は臨戦態勢のままでいかなければいけないというふうに考えておりますけれども、確定的なことは、やはりなかなか申し上げることは難しいというふうに思います。

中根(康)委員 流行したけれども終息をしたという国もあるということなんですが、これはどういう理由で終息をしたということでお考えになっておられますか。

塩崎国務大臣 例えば、ナイジェリアはいっとき名前が挙がりましたが、やはり中での封じ込めがきちっとできて、二次感染などが起きないようにするという体制がちゃんとしていたということで、それ以降発生例が出てこなかったということではないかと思うので、やはり国内における体制でしっかりとしたものをつくり上げたところが、そういう意味で封じ込めに成功するということだろうと思います。

中根(康)委員 エボラ出血熱に効く薬がまだ我が国にはない、ワクチンもないということでありますが、この開発状況、あるいは承認に向けての取り組み、また、将来に向けてのワクチン、予防接種の体制、備蓄というか、いつまでにどれだけ、何人分のワクチンを用意するのかということについては、何か今検討されているんでしょうか。

塩崎国務大臣 先生御指摘の、ワクチンという意味では、現時点でエボラ出血熱に対する有効性が確認をされたワクチンというのは存在をしないというふうに聞いております。

 ただ、今、開発は進んでいるところもございまして、カナダの公衆衛生庁の国立研究所において開発されたワクチンの臨床試験が今アメリカで行われているというふうに聞いております。また、イギリスの製薬会社グラクソ・スミスクラインも、開発中のワクチンの臨床実験をアメリカ、イギリス、そしてマリ共和国で今実施をしているということでございますので、ワクチンはとりあえず開発中ということでございます。

中根(康)委員 今お尋ねしたのは、そういった外国で承認されたもの、あるいは研究開発されているもの、これを日本でどのようなスケジュール感で承認していくお考えなのか。あるいは、ワクチンについて我が国として用意しておくべき数量みたいなもののイメージは持っておられないんでしょうか。

塩崎国務大臣 今申し上げたように、ワクチンはまだ世界じゅうで開発中であって、まだ確定した有効性が認められたものはないということでございますので、まだそれを備蓄するとかいうようなところまでは行っていないということで、もちろん、アビガン錠については例えば二万人分はあるとか、そういった対症療法的なお薬についてはございますけれども、ワクチンという意味で、予防という観点からは、まだそういう段階ではないというふうに理解をしております。

中根(康)委員 開発については外国頼みというか、外国の開発の様子をうかがう、様子見をしているということだけでいいのか。我が国として積極的にそういった開発についても支援をしたり、あるいは我が国として独自の研究開発を進めていったりという必要性はないのかということでございますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 繰り返し申し上げますけれども、ワクチンについてはまだ日本において開発が行われているわけではございませんで、我々としては、このカナダの動きとイギリスの動きをウオッチしているということでございます。

 さっきのアビガン錠については、対症療法と申し上げましたけれども、これは治療薬として有効ではないのかということで、まだこのエボラに対しては未承認でありますけれども、そういう意味で、備蓄は二万人分ぐらいはあるということでございます。

中根(康)委員 それは、エボラに対しての承認はどのように考えておられるんでしょうか。

塩崎国務大臣 これは別な、インフルエンザに有効なものとして認められているものでありまして、エボラについては検査をまだまだこれからやっていくことで、もちろん我々厚労省としてはそれを応援していくという立場でございます。

中根(康)委員 何となく緊迫感がない、スピード感を感じられないというような答弁に感じられてなりません。

 潜伏期間がある、二日から二十一日ということでございますが、これも今まで出た質問にも重なりますけれども、潜伏期間があるのに、水際では体温測定だけで十分だというふうに思っておられるということではないでしょうけれども。ないですよね。

塩崎国務大臣 先ほど先生も御自身でおっしゃったように、水際対策というのは、万全を期しますけれども、やはりそこをすり抜けるケースというのは十分あり得るわけであります。

 我々としては、水際で、まず、ギニア、リベリア、シエラレオネの三カ国に二十一日以内の滞在歴が把握された場合には、必ず健康監視をする。一日二回確認をして、体温をはかっていただいた結果を聞くということにしているわけでございまして、この健康監視対象者、これについては、この間改めて、検疫所でそれを発見して、きちっとそういう形で、監視の対象であるということを先方に告げた上で、さらに戻られたときの地域の保健所にも事前に通告をして、保健所としてもその体制を組んでいただくということにしているわけでございます。

 もちろん、これはもうお話が出ているように、我々は今回、保健所の指示があるまでは絶対に直接医療機関には行かないでくださいと明記したものを改めてつくり直して、指示書としてお渡しをして周知徹底をするわけでありますけれども、それでも行ってしまう場合もあるということで、我々としては、そうすると、この間のケースでは、医師が渡航歴を確認しなかったということもありましたので、これについても改めて日本医師会の方に、全国の先生方に対してもう一回、渡航歴の確認を必ずした上で対処をしてほしいということを申し上げたところでございます。

中根(康)委員 ぜひ、政府として、エボラウイルスは日本に入れない、絶対に入れないという強い決意で取り組んでいただきたいと思います。

 十一月十二日といえば、きのうですね。きのうの新聞で、厚労省が医療保険制度の改革試案の公表を見送ったと発表したという報道がありました。

 この医療保険制度改革試案というのは、七十五歳以上の方々の後期高齢者医療制度、この方々の保険料の減免措置、こういったものを見直していくとかいうことが含まれているわけでありますけれども、これは、見送ったということは、もうやらないということで捉えてよろしいですか。

 もしやるのであれば、これは当然、国民生活に極めて重要な課題であるわけでありますので、来週から実質的に始まる選挙の論点、争点に政府として、与党として正々堂々と掲げなければ、国民に対してうそをつくということになりかねませんよ。大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 まず第一に、医療保険制度改革をやめるというようなことはあり得ないことでございまして、これはもう、改革をしていかなければならないことは、皆さん方との議論の中でも共有をしているところだと思います。

 今回のこの医療保険制度改革については、私ども、厚生労働省の中で、審議会を含めて議論を重ねてまいりました。今回、与党、特に自民党との間でいろいろな議論のやりとりがございまして、その中で、もちろんこれは国民の負担増につながる話が入ってくるわけでありまして、弱者に対する配慮というものについていろいろな意見が出たわけであります。

 今の厚生労働省を中心に政府内で、もう少しやり方について、あるいは中身についても慎重に検討する必要があるんじゃないか、こういう意見が出ましたものですから、試案の公表は延期をして、続いて、どのような形でこれから与党にも持ち込むべきものとして我々はこれをつくっていくかということを考えているということでございまして、決して改革をやめるだのようなことはございませんので、よろしく御理解を賜りたいと思います。

中根(康)委員 やめるということでないならば、なおさら正々堂々と公表して、負担増も含めて国民にきちんと説明して御理解をいただけるように、選挙戦を通じて論戦を展開していくというのが本来の厚生労働省あるいは厚生労働大臣としての姿勢ではないでしょうか。

 負担増だから公表を見送った、与党との間でいろいろな意見があった。いろいろな意見というのは、これは選挙に対して不利になるであろう、こういう意見であったに違いないわけでありますけれども、負担増で人気がないような政策は選挙前には発表しない、大変ずるいやり方ではないでしょうか。

塩崎国務大臣 いろいろな負担増があり得るわけでありまして、もちろん負担減のものも入っているわけでありますけれども、いずれにしても、与党自民党から特に出てきたのは、例えば、どのくらいの時間をかけてやるのかとか、あるいはどういう段階を踏んでやるのかというようなことについて、実はさまざまな御意見が出ました。

 少なくとも、もう少し党の意見が反映されるような形も考えた上での出し方というのがあるのではないのかというような御意見があったものですから、これはやはり一回引き取って、もう一回出していこうということで、負担増、負担減、両方ありますけれども、これをどう国民に出すかということにもう少しソフィスティケーションがあってもいいんじゃないかというような御提案があったので、それを今つくり直しているということでございます。

中根(康)委員 やはり納得できないですね。この時期に公表する予定だったものが、負担増だから、負担増が目立つから選挙に不利になるから公表を取りやめたということについては、これは選挙の本質をゆがめるものになってしまいかねないということを、警鐘を乱打しておきたいと思います。

 これまでも、負担増ということでいえば、消費税が一〇%に上がるかどうか、それはわかりません。上がらないかもしれない。上がらないかもしれないけれども、しかし、この四月に八%に上がったという事実はあるわけでありまして、この八%に上がったことにおいても、本来は社会保障の充実に、安定に使われるべきであった。もうこれ以上社会保障の負担を個人や家計に押しつけてはいけない、みんなで広く薄く分かち合っていこう、担い合っていこうということで消費税の引き上げに国民の皆様に御理解をいただいたということであるにもかかわらず、その四月以降も次から次へと給付の削減、負担増というものが繰り返されているわけであります。

 改めてきょう確認したいのは、これから迎える超高齢社会において、介護の問題というのは大変重要な国民的な課題であります。老老介護、介護離職あるいは多重介護、認認介護と、さまざまな形で国民に大きな負担がかかってくるわけであります。この状況を政府として責任を持って乗り越えていっていただきたいということでございます。

 そこにおいて、現場で頑張っていただくのが、介護職員であったり福祉職員の皆様方であるわけであります。こういった方々が、その厳しい仕事に対して正当な対価として報われるような処遇が施されなければならないということであります。

 ぜひ、介護・障害福祉職員の処遇改善法案も成立をしたわけでありますので、大臣、今年度内に処遇改善を必ずやっていただかなくてはいけないということになるわけでありますけれども、例えば、消費税が一〇%に上がらなくても、八%に上がったという事実も踏まえて、処遇改善を必ずやるということをきょう断言していただけないでしょうか。

塩崎国務大臣 先生、介護職員の処遇の改善につきまして、それを含めた人材確保を確実に進めるということについては、財源を確実に確保しながら、サービスの効率化に向けた不断の努力をするとともに、やっていかなきゃいけないということは繰り返し申し上げてきたところでございまして、それは骨太の方針でも、必要な適正化を行いつつ、介護保険サービス事業者の経営状況等を勘案して見直すとともに、安定財源を確保しつつ、介護職員の処遇改善等に取り組むこととしておりまして、これは閣議決定でございますから、厚生労働省としても、この方針に基づいて検討を進めていかなければならないというふうに思っております。

 近々決めなければいけないという介護報酬についても、こういったことを踏まえて、予算編成の過程で決定をしていかなければならないというふうに思っております。

中根(康)委員 処遇改善を行うというストレートな御答弁はいただけなかった。

 処遇改善の方向でというようなことはかいま見えたのかもしれませんが、もしそうだとするならば、介護報酬、来年の改定、マイナス改定なんということはあり得ないということになるわけであります。消費税が一〇%に上がらない場合であっても、もう八%には上がっているわけでありますので、財源の一部は、あるいはかなりの部分は確保されているわけでありますし、あるいはまた、政策の優先順位からしてみても、極めて重要な課題である、国民的な課題であるのがこの介護の問題であるわけでありますので、最優先でこの分野には予算をつけてもらわなくてはいけないということになるわけであります。

 介護報酬のプラス改定は必ず行う、処遇改善は必ず行うと、もう一度明確に御答弁をいただけないでしょうか。

塩崎国務大臣 今、消費税に絡めての御質問かと思いますが、消費税につきましては、これは仮定のお話でございますのでなかなかお答えをしかねるわけでございますけれども、今御指摘の、介護人材の確保を図るためにも介護職員の処遇の改善が求められていることはしっかりと受けとめておりまして、今後も必要な検討を進めていくことには変わりはございません。

中根(康)委員 もう必要な検討は終わっているはずなんですよ。ほかの産業と介護の分野で働く人たちとの格差を見れば歴然としているわけで、必ずやらなきゃいけないということは明らかになっているのに、いまだに必要な検討を加えていくなんということはおかしいわけであります。できないんだったら、消費税の引き上げをやめるなんて言わなければいいんですよ。

 さっきの負担増の話は公表を見送って国民に隠して、それで消費税は引き上げませんなんて国民受けのいいことばかり言って、それで処遇改善はやるという、相矛盾したような御答弁が今なされたわけでありまして、そういった御答弁の趣旨のようなことが選挙戦中にも行われていくとしたら、これは大変な国民に対するごまかしということになるわけであります。

 ぜひ、自民党として、あるいは政府として、この消費税と社会保障、あるいは介護分野での処遇の改善、こういったものについて、整合性のある政策を取りまとめていただいて、私たちに、あるいは国民に御提示をいただかなきゃいけない。

 あっちでいいことを言って、こっちでもいいことを言って、都合の悪いことは隠してというような選挙戦になってはいけないということを、強く申し上げておきたいと思います。

 最後に一つ。

 社会福祉法人の課税の問題。これは、社会福祉法人の社会的な貢献度からいったら、今、法人税の減税の穴埋め財源として課税を行うということは決して安易に許されてはいけないことだと思っております。

 社会福祉法人の非課税、これについては堅持をすると、大臣から御答弁をいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 先ほどの件にちょっとだけ触れさせていただければ、先生方も、政権を担っての経験を踏まえれば、一つの政策だけをとってやる、やらないということはなかなか決められないことは、財源の問題も含めて、言ってみればかみしめられたのではないかというふうに思いますので、我々としては、先ほど言ったとおり、しっかりと考えていくということでございます。

 それで、社会福祉法人に対する課税の問題でございますけれども、厚労省としては、社会福祉法人が社会福祉サービスの基盤としての公共性の高い社会福祉事業を担う、この役割をしっかりと果たしていくためには、税制措置の意義は大きいというふうに思っております。

中根(康)委員 ぜひ、社会福祉法人の非課税措置の継続ということについては、厚労省として、大臣として頑張っていただきたい、このことをお願い申し上げ、きょうの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 まず、委員長、定数が足りているか確認をいただければと思います。

渡辺委員長 確認をお願いします。

 達しております。

 長妻昭君。

長妻委員 先ほども消費税の話が出ましたけれども、まず、仮に消費税を先送りした場合、年金の福祉的給付や子育ての充実、これも一緒に先送りになるという理解でよろしいんですか。

塩崎国務大臣 消費税の引き上げを先送りするという話は私は聞いておりませんので、その仮定の話には答えられないと思います。

長妻委員 法案に入りますけれども、先ほども何人かの委員から質問が出ました。今配付資料で、けさの毎日新聞の社会面の大きな記事、エボラ出血熱の可能性が否定できない方が一般の病院にそれを言わずにかかってしまったという案件について、当該一般の医療機関のお医者さんにインタビューをしているという記事が載っております。

 先ほど来答弁もありましたけれども、再度こういうことが絶対にあってはならない。アメリカを笑うことはできないわけですね、アメリカの初動が問題があったということを。今後具体的にどういう対策をとるのかということを、もう一回明確に御答弁いただければと思います。

塩崎国務大臣 既にお答え申し上げましたが、まず、エボラ出血熱の患者については、適切な医療を提供する、すなわち専門の医療機関において治療が行われるということがやはり極めて大事だ、つまり隔離をするということが大事であるわけでございます。

 過去二十一日以内における三カ国への渡航歴等が確認された健康監視対象者に対しては、発熱等の症状が出た場合には、直ちにまず検疫所に連絡をするようには指示をしておったわけであります。これまでに発生した事案には、連絡をせず直接一般の医療機関を受診したケース、今先生御指摘の件があるわけでございます。

 そこで、我々としては直ちに、検疫所から交付する指示書というのがあったわけでありますけれども、これを改正いたしまして、保健所の指示があるまでは絶対に直接医療機関には行かないでくださいということを明記したわけでございまして、当該指示書を活用して周知の徹底を、仮に渡航歴があるという人が検疫所でわかったときには、発症していない限りは必ずそれを渡して国内に入っていただく。

 その上で、先ほど申し上げたように、今回新たにやったことは、所管の保健所、つまり、地方にお帰りになったりする海外から戻ってこられた方が、あるいは日本で滞在をされる外国人だったら、そういう形で、保健所もちゃんとこの地域に、自分の所管の地域にいるんだということを把握するように、事前に通告をするという新しい仕組みを導入いたしました。

 それで、今回の先生御指摘の事案では、患者の方が、医療機関に行って、流行国に行っていたという渡航歴を告げなかったわけですね。さらに、診療に当たったお医者さんも渡航歴を確認しなかった。これらはいずれも、やってくださいということを既にお願いしていたことでありますけれども、やっていなかったわけであります。

 このため、今回、まず第一に、私としても、すぐに日本医師会に連絡をして、全国の先生方にもう一回、熱があって来られたときには渡航歴があるかどうかを確認してくれということを徹底してほしいということと同時に、我々として、医療機関用の渡航歴の確認シート、紙に書いたものを、ここに行きましたかということを、ちょうど入管でも今お願いをしていますけれども、検疫だけではなくて入管でも、こういう紙を見せて、アフリカのこの三カ国に行きましたかということを確認しますが、そういう確認シートを作成してお渡しするということで、ホームページからダウンロードできるようになっていますけれども、そういうことを把握することといたしたわけであります。

 今後も、これらの取り組みをしっかりと講じて、医療機関における二次感染の防止に万全を期していきたいと思っています。

 これは、どんな公衆衛生の場合でもそうなんですけれども、全国民や全入国者に対してお願いをし、そして該当者に伝えたとしても、やはり繰り返し繰り返しお願いをしないといけないというふうに思っております。これについてはやはり、国、行政の対応の強化と、そして医療機関の協力、それに国民の御理解と御協力という三位一体の取り組みというのが必ず必要であるということで、私はこれを繰り返し申し上げたいと思いますし、厚労省のホームページにも、私からのメッセージとしてもそれを明確に掲げさせていただいているところでございます。

長妻委員 ウイルスというのは、事と次第によっては国家存亡の危機を招くこともありますので、ぜひ万全を期していただきたいと思います。

 そして、これも質問が出ましたけれども、P4の指定がある施設が日本にはない、一ページ目には、海外主要国はみんなあるにもかかわらず日本はないということで、これは近隣住民の皆さんの御理解がなかなか得られないというところも大きいわけでございますが。

 我々も政権を担った経験がありますので、非常に難しいということはよくよく承知をしておりますけれども、やはりこういう今回のエボラの世界的事態も受けて、これはもう与野党超えて、早目にいずれかの場所を適切にP4として指定をしなければ、これは非常に時を争う事態であるし、このP4の施設がないというのは、致命傷になりかねない事態が起こる可能性も否定できないと思っておりますので、ここは本当に与野党関係なく全力で進めるということで、我々もそれは御支援、サポートをさせていただきたいと思っております。

 そして、塩崎大臣の基本的な姿勢をお伺いしたいんです。

 今回、GPIFが、半分株で運用をしていくと基本ポートフォリオを変更されましたが、九ページ目に、塩崎大臣が就任したときのインタビュー記事がございます。そこには、例えば、右下の方に線を引かせてもらいましたが、「皆さんに安心してもらえる運用体制をつくった上で、運用の改善を行っていくということである。」と。

 つまり、まずガバナンス改革、運用体制をつくった上で、かなり株に投資を、比率を引き上げる、こういうようなことをする。なぜならば、リスク管理を非常に高度にしないといけない、確実にしなきゃいけないから。

 こういうことだったのに、ガバナンス体制改革は本格的なものはせずに、何でそのポートフォリオだけ急いで変えてしまうんですか。

塩崎国務大臣 GPIFのガバナンス体制の強化につきましては、ことしの六月の日本再興戦略改訂版、ここにおいても、基本ポートフォリオの見直しとあわせて、ガバナンス体制の強化を図る必要がある、こうされておりまして、私も申し上げているとおり、この閣議決定に沿って、今回の基本ポートフォリオの見直しにあわせて、実はあの基本ポートフォリオの発表のときに三谷理事長の方から、運用委員会から建議が行われて、GPIFで必要なガバナンス体制の強化に取り組んでいるというふうに私どもは理解をしています。

 具体的には、あのとき、多分パネルを使われて三谷理事長が説明したと思いますけれども、こういう形でガバナンス体制の強化というのを、特に、内部統制の強化とリスク管理体制の強化ということで発表されております。

 なお、今、株をふやすというお話でありますけれども、むしろそれは、リスクを分散するための分散投資をする、そういう中で、内部統制の強化とリスク管理の強化、それに加えて専門人材の強化ということがあるんだろうと思うんです。

 今回のGPIFが発表されたガバナンス体制の強化というものの中には、内部統制の強化を図るため、GPIFを監視する運用委員会に新たにガバナンス会議というのを設置いたしまして、投資原則とか行動規範を策定する、それから、執行部においても、コンプライアンスオフィサーを新設する。それから、リスク管理体制の強化を図るために、マクロ経済分析や市場予測に係る体制を強化する、あるいは、運用資産と年金給付の両面を一体的に分析するリスク管理ツールの導入。あるいは、専門人材の強化を進めているというふうに思っております。

 また、GPIFのガバナンスのあり方については、今、社会保障審議会年金部会のもとで検討作業班というのが設置をされまして、そこでまた鋭意御議論を深めていただいているというふうに思っております。

長妻委員 今、ガバナンス改革をある程度しているような趣旨の発言がありましたが、これは微修正なんですね、あくまで。これは、塩崎大臣がおっしゃっている日銀的なガバナンスとか、あるいは、事実今おっしゃった、検討委員会を設置してガバナンスの検討をしている。

 ですから、微修正、ガバナンス改革とは言えないと思いますけれども、それなしに、非常に急いで株の比率を上げる決定をしたというのは、私は、これは株価維持というふうに市場からとられても仕方がないような非常に拙速なやり方ではないか。

 しかも、国内債券の比率を六〇パーから三五パーに下げると、ちょうど三十兆円弱ぐらいの国内債券が最終的に放出をされる。ところが、黒田日銀総裁の第二弾の金融緩和のときに、なぜか、ちょうど三十兆円国内債券、国債を買い増しするということで、非常にその数字が一致をするということで、非常に不可解な、国債が右から左に、政府のポケット、同じ政府からポケットがただ変わったというような趣旨にとられる可能性も高いというふうにも思っております。

 では、ちょっとお尋ねしますけれども、今回、株の比率を五〇%にしました、倍増しましたが、これはリスクは高くなったんでしょうか、低くなったんでしょうか。

塩崎国務大臣 御案内のように、今回の基本ポートフォリオの見直しに際して、名目賃金上昇率からの下振れリスクが全額国内債券で運用した場合を超えないことをリスク許容度ということで要請しておりまして、それでリスク許容度を計算いたしますと、全額国内債券で運用した場合よりも低いという数字が出ているところでございます。

長妻委員 いや、そうじゃないんですよ。私が聞いたのは、これまでの基本ポートフォリオは株が二五%、国内、海外を合わせてそのぐらい、それが、倍の、半額、半分、五〇%を株で運用するということに変わったわけですが、そうすると、この変わった、新しい、株を五〇パー運用するポートフォリオは、前よりもリスクは高くなったのか、低くなったのかということなんです。

塩崎国務大臣 まず財政検証で示された利回りは、御案内のように、賃金上昇率プラス一・七というのが示されて、リスク許容度に関しては、今申し上げたように、今回、新たに名目賃金上昇率からの下振れリスクが全額国内債券で運用した場合を超えないことという形で示されたわけでございまして、その意味では、今回のこのリスク許容度からいけば、今回の基本ポートフォリオは、全額国内債券で運用した場合のリスクを超えていないということでございます。

長妻委員 いや、私の質問はその質問じゃないんです。基本ポートフォリオを変える前と後で、リスクは高くなったんでしょうか、低くなったんでしょうかということです。

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 GPIFは、国から、厚生労働省から要求されるのは、先ほど申し上げたように、利回りと、そしてリスク許容度という形で示されているわけであります。

 先生お尋ねの、基本ポートフォリオのいわゆる標準偏差、リスク、これに関して見直しの前後でどう変わったのかということだけで申し上げますと、新しい基本ポートフォリオのリスクは一二・八であって、一方、変更前の基本ポートフォリオと同じ構成割合のポートフォリオについて、新しい各資産のリスク等を当てはめると、リスクは、つまり標準偏差は七・〇となっており、今回の方が標準偏差は大きいということになりますけれども、問題の、年金がちゃんと受け取れるかどうかということにとって一番重要なのは、名目賃金上昇率からの下振れリスクが全額国内債券で運用した場合を超えないことという観点であって、その点では、今回のリスク許容度の方が低いということを申し上げているわけでございます。

長妻委員 今の回答は、今回の方がリスクが低い、株五〇%の方が、そういう最後の御答弁と了解してよろしいんですね。

塩崎国務大臣 さっき申し上げたように、新しい基本ポートフォリオの標準偏差、リスクということだけを取り上げれば、先生御指摘のように、高いということでありますが、何しろ、約束どおりの年金を受け取れるかどうかということが国民にとって一番大事なことでございます。

 その意味で、GPIFに対して財政検証で求められているのは、今回、名目賃金上昇率からの下振れリスクが全額国内債券で運用した場合を超えないことということをリスク許容度として要請されているものですから、そこの観点からいくと、今回の基本ポートフォリオの方が許容度としては低いということを申し上げているわけでございます。

長妻委員 そうすると、ちょっとよくわからないのは、リスクは高いけれども低いと。これはどっちなんですか。政府は何をリスクと捉えておられるんですか。

 これは運用する側も非常に困るわけでありまして、つまり、では、政府は、リスクというのは上がるのか下がるのかと問われたときに、政府が考えるリスクというのはこういうことで、こういう基準のリスクからいえば上がったか下がったかという問いかけでもいいんですけれども、どっちなんですか。

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 繰り返し申し上げますけれども、いわゆる標準偏差で見たリスクというのは、先生御指摘のように、高くなっているわけでありますけれども、年金の受け取りにとって大事なのは、名目賃金上昇率からの下振れリスクが、今までは六割でありましたけれども、全額国内債券で運用した場合を超えないことということで指示をされておりまして、それによってはじかれたリスク許容度という観点からいきますと、今回の方が低いということになるわけでございます。

長妻委員 そうすると、リスクというのが、政府が捉えているのは二つ意味合いがあって、片方は高いけれども片方は低い。これは、リスクとしてはトータルではどうなんですか、政府は。

塩崎国務大臣 これは基本ポートフォリオの前段としてあった財政検証をごらんいただければわかることでありますが、名目賃金上昇率からの下振れリスクが全額国内債券で運用した場合を超えないことということがリスク許容度として要請をされておるわけであって、これが年金にとって一番大事なリスクとして捉えられているわけでございますので、これに基づいて今回の基本ポートフォリオは計算をされたというふうに御理解をいただければと思います。

長妻委員 ですから、政府が考えるリスクはトータルで上がったのか下がったのか、どちらかというふうに聞いているんです。

 さっき、許容度が下がった、許容度が前回よりも今回の方が低いというお話がありましたが、私の理解では、許容度というのは、全額国債で運用したときの名目賃金上昇率から下振れのリスクのことを許容度というので、許容度は変わらないはずだと思うんですよね。

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、名目賃金上昇率を下回るリスク、確率については、変更前の基本ポートフォリオの場合には、経済中位ケースでいきますと四五・九、これが変更後だと四四・四ということで、下がっているわけでございまして、そういう意味でのリスク許容度は下回っているというふうに理解をしているわけでございます。

長妻委員 だから、そうすると、リスクは下がった、前回のポートフォリオに比べて、今回の方が株を半分運用しているにもかかわらず、リスクは下がりましたよ、こういう国民の皆さんへの説明でよろしいということですか。

塩崎国務大臣 何度も申し上げているように、一番大事な、名目賃金上昇率からの下振れリスクというのが大事でございまして、この下振れリスクが下がったということでございます。

長妻委員 先ほど、許容度が下がったというふうにおっしゃいましたけれども、許容度が下がったというのはちょっと、私の理解では、許容度というのは全額国債で運用したときの下振れリスクの値ですから、これは物差しですから、これが下がる、上がるというのはないと思うんですが、その答弁は撤回されますか。

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 繰り返し申し上げますけれども、今回の見直しでは、GPIFが要請されているのは、名目賃金上昇率からの下振れリスクが全額国内債券で運用した場合を超えないことをリスク許容度として要請しているわけであって、この下振れリスクが、全額国内債券での運用という形でのポートフォリオの場合に比べると、それはリスクが超えていないということでございます。

長妻委員 ちょっと答弁が混乱していますよ。

 許容度を超えていない、リスクを超えていない、許容度と。でも、さっきは許容度が下がったとおっしゃったので、許容度というのは下がるものなんですか。

塩崎国務大臣 許容度として要請をされているので、許容度としてはかった場合には下がったと言っているわけです。

長妻委員 いや、先ほどは、許容度が下がった、リスク許容度が下がったとおっしゃったので、本当に御理解されているのか。許容度というのは物差しですから、それは下がっちゃだめなんです。その範囲内におさまるかおさまらないかということで。

 これは結局、ということは、リスクは下がったというふうに国民に我々は説明するべきなんですか。これでよろしいんですか、本当に。

塩崎国務大臣 何度も言いますけれども、下振れリスクは下がったということでございます。

長妻委員 そうすると、上がったリスクはどういうものがあるんですか。標準偏差の中身、意味合いを教えてください。

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 標準偏差はリターンからの乖離幅、ぶれでありますから、それがどうかということを申し上げているわけでございます。

長妻委員 そうすると、リターンからの乖離幅は今の方がリスクが高いけれども、下振れリスクは今の方が低いと。

 これをちょっと論理的に説明いただけますか。

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 先ほど、単純なリスクについての標準偏差は一二・八と七・〇ということで、リターンからの乖離幅は今回の方が大きいということを申し上げましたけれども、何度も申し上げますけれども、今回要請をされているのは、名目賃金上昇率からの下振れリスク、これが全額国内債券で運用した場合を超えないことということがリスク許容度として示されて要請をされているわけでありますので、今回は、前のポートフォリオよりもそれは下回っているということを申し上げているわけでございます。

長妻委員 これはちょっと理事会で整理していただきたいと思うんですね。

 標準偏差でリターンのリスクが高くなっているけれども、下振れリスクは低くなっていると。これは、数値とともにやはりきちっと出していただきたい。

 委員長、ぜひお願いします。

渡辺委員長 後刻、理事会で協議いたします。

長妻委員 これはなぜかというと、これまでの塩崎大臣の発言も私なりに理解すると、リスクが高くなってきているから、やはりちゃんと、きちっとしたガバナンス改革をしていかないと、それがコントロールできなくなるから。そういう車の両輪だというふうに理解していたわけでありますので。

 これは、今、重大なお話だと思うんですね。

 一番議論しなきゃいけないのは、つまり、国民の皆さんは心配されているので、今の政府の統一見解、リスクは下がっているんです、株を半分、ふやしたけれども、実はリスクは前よりも下がりました、こういうことをおっしゃっておられたとすれば、それをきちっと国民の皆さんに納得するように説明をいただくということが非常に重要だ。

 私は、具体的な細かい数字を見ると、本当にそれが正しいのかどうかということに首をかしげる部分もあるんですけれども、その統一見解を、委員長、出していただきたいと思います。

渡辺委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。

長妻委員 それで、きょうは財務の副大臣も来ておられるので、ちょっと質問を移ります。

 資料の十ページでございますが、これも私もいつも解せないのは、なぜ国家公務員の年金積立金は株に投資を余りしていないのか。これは財務省が所管なので、以前、レクチャーに私がお呼びした担当の方は、いや、安全第一なんだ、年金ですからとおっしゃって、株が低いという理由を説明されておられたんですが。

 そうすると、十ページ目、これは今度新しい基本ポートフォリオを書かせていただきましたが、国民の年金百三十兆円、これは国民年金と厚生年金で、公務員は入っておりません。株、国内、外国合わせて五〇%、フォワードルッキングな投資だ、成長への投資だ、こういうふうな形で、ベンチャー投資もされるような検討がなされていると聞いておりますが、一方で、国家公務員は結局一六%。国民のお金は、株五〇%。これは発表したとき、ばあんと株価が上がった。しかし、国家公務員は一六%。

 これは合わせるんですか。それとも、やはり安全第一で、このまま低く、株の比率を抑えるおつもりですか。

宮下副大臣 お答えいたします。

 国共済の年金積み立て運用につきましては、法令上、国家公務員共済組合連合会がみずから基本ポートフォリオを定めて、これに基づいて行うこととなっております。

 国共済では、GPIFに比べますと、成熟度、現役世代に対する受給率の比率でございますけれども、これが相対的に高い。そのため、年金支払いのための積立金の取り崩し需要も大きい。こういうことから、支払いに円滑に対応することができるという意味で、満期や元利払いの金額が確定している国内債券への投資をより重視してきたというふうに承知をしております。

 なお、今後のお話についてもお尋ねがございましたけれども、必要な利回りを最低限のリスクで確保できるように、済みません、これは過去の話です、去年十二月、基本ポートフォリオを見直して、その結果、内外株式などの資産の割合を高めるなどの運用を行ってきているということであります。

 それで、今後の話でありますけれども、御承知のように、平成二十七年の十月以降は、厚生年金と共済年金の財源の一元化に伴いまして、共済年金の資産構成につきましても、今後、GPIFや三つの共済が共同して定めますモデルポートフォリオに即して定められるということになりますので、その一元化に向けては、その構成は変わるということかと思います。

長妻委員 ちょっと今の説明は容認できないですね。成熟しているから、キャッシュアウトがあるから。それだったら、国債を、長短を織りまぜて、キャッシュアウトに合うように国債を買いそろえればいいだけの話だと承知しておりますから、これは私は理由になっていないと思うんですね。

 いつもこういうことで、結局、グリーンピアだって国家公務員は関係ないですね。あるいは、消えた年金問題だって厚生年金、国民年金が中心ですから。本当に変な特権意識があるとすれば、それは本当に捨てていただきたい。

 時間も参りましたので、最後に一問。

 十五ページ目に、これは、派遣労働者が、製造業の現場で事故がそれ以外の方よりも二倍も多いということで、原因究明をいたしましたら、厚労省が先日発表した資料を見てびっくりしましたのは、製造業の現場で安全衛生教育を受けていないのは、実は、派遣労働者が四四%ということで、パートタイム労働者、日雇い労働者よりも受けていない方が高くて、雇用形態では安全教育を一番受けていない。

 これは、なぜ、派遣の方がこれだけ受けていない、一番受けていない、こういうことが起こるのか。要因分析、どうお考えですか。

塩崎国務大臣 派遣労働者の安全確保というのは、当然、有期であろうと無期であろうと何であろうと、これは取り組む必要があるわけであります。

 厚生労働省で、これまでも、派遣元、派遣先の事業者が実施すべき重点事項や具体的な安全衛生管理の方法等を、製造業のお話をされましたが、製造業における派遣労働者に係る安全衛生管理マニュアルというのでまとめて作成、公表するなどによって、製造業における派遣労働者の安全確保に周知、指導を行ってまいったわけであります。

 今お話があったように、派遣における労災の比率のことが指摘をされているわけであって、こういったことで、引き続き、派遣労働者の労働災害の実態の把握をしっかりとして、今後、派遣元、派遣先事業者に対して、派遣労働者の安全衛生教育の実施の徹底に重点を置いたリーフレットを新たにまた我々としては作成、配布することにしておりまして、派遣労働者の労働災害の防止を進めていかなければならないというふうに思っているところでございます。

 先生も何度も御指摘をされているように、やはりしっかりした労災教育というか、ちゃんと安全衛生教育をしなければならないということも、そのとおりだろうと思っていますし、こういったところについてはさらに徹底をしていかなければならないというふうに思っております。

長妻委員 時間も参りましたのでこれでやめますけれども、今の答弁は本当に驚きなんですね。分析がなされていない。

 この調査は、厚生労働省そのものが調査をして、派遣の方が一番安全衛生教育を受けていない、パートさんや日雇いの方よりも受けていない、こういうことがデータとして出て、派遣法も法律が出ているのに、その原因が何にもわからないということでは、この問題を放置したまま、本当に一生涯派遣という働き方を実質上解禁するようなものであると思っておりますので、非常にお粗末ではないかということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、今村洋史君。

今村(洋)委員 では、今般の感染症法の改正案について、エボラ熱関係でお聞きいたします。

 さきのリベリアからの入国者、これは六十代男性です。また、ギニアからの入国者、これは二十代女性ということですが、そういう人たちがエボラウイルスに感染しているんじゃないかという疑いを持って検査をされておられますけれども、このエボラウイルスの遺伝子検査、PCR検査はどのような手続で行われたのか、お聞かせください。

新村政府参考人 お答えいたします。

 まず、リベリアに渡航歴のある疑い患者の方につきましては、入国後に国内で発熱した場合でありましたので、感染症法第十九条の入院措置の規定に基づき、特定感染症指定医療機関に入院していただきました。そして、採取した検体を国立感染症研究所に送付し、検査を行ったものでございます。

 一方で、ギニアに渡航歴のある疑い患者の方につきましては、関西国際空港の検疫所で発熱が判明した場合でございましたので、検疫法第十五条の隔離措置の規定に基づき、特定感染症指定医療機関に入院いただき、採取した検体を国立感染症研究所に送付して検査を行ったものでございます。

    〔委員長退席、とかしき委員長代理着席〕

今村(洋)委員 今回の改正法案では、都道府県知事による検査の実施、厚生労働大臣による都道府県知事に対する提出の求めなどが行えるように定め、一類感染症等々を対象として、採取措置、収去措置などを行えるようにしている。

 現在はまだ国が都道府県に対して検査を指示する法的根拠がありませんが、今回のエボラ熱感染の疑いがある二名については、こういう法的な根拠によらず、協力的に検体の検査とかそういったものができたんでしょうか。

新村政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、リベリアに渡航歴のある患者さんにつきましては、感染症法に基づき入院措置をしたわけでございまして、その一環として検査を行っておりますので、その入院措置は法律に基づくものでございます。また、ギニアに渡航歴のある患者さんにつきましては、検疫法に基づいて隔離し、入院いただきまして、その中で検査を行ったということでございますので、それぞれ、感染症法、検疫法の法律に基づく対応として入院し、隔離し、その中で検査を行ったということでございます。

今村(洋)委員 今回、ギニアから入国された二十代女性に関しては、りんくうですか、大阪の方の空港で発熱したということで検査に至っておりますけれども、この検体が国立の感染症の検査機関まで運ばれるのに車で七時間かけたというふうになっておりますけれども、これは、正確にはどのような手順で検体を運んで、どんな時間的経過でその検査結果というのが判明したんでしょうか、お教えください。

新村政府参考人 委員御指摘のとおり、ギニアに渡航歴のある患者さんにつきましては、発熱の症状が検疫所で把握されましたので、近くにございますりんくう医療センターに搬送されまして、そこで診察をし、そして検体を採取いたしまして、その検体を東京の国立感染症研究所に緊急に搬送したということで、御指摘がありましたような時間がかかったということでございます。

 その検体が感染症研究所に届きましてからも、検査のための準備、そしてPCR検査に数時間かかるということがございますので、その時間的な経過を経まして、この場合には陰性ということが確定をしたということでございます。

今村(洋)委員 でも、これは、もっと離れた場所、例えば九州の福岡とか、そういったところで疑いがある方が出た場合、もっと時間がかかるということですか。

新村政府参考人 検体の搬送につきましては、できるだけ早く行う必要はもちろんございますので、陸路だけでなく空路も含めまして、その辺につきましては時間帯にも当然よるところではございますけれども、さまざまな手段を使って、なるべく早く検査機関である国立感染症研究所に検体を送付する必要があると考えております。

 各自治体とも連携をとり、そして、各自治体の中で疑い患者さんが把握されるということもございますので、そうした場合の医療機関への搬送とともに検体の搬送についてもきちんとシミュレーションをし、そして準備をするように、連絡をし、指示もしているところでございます。

今村(洋)委員 エボラウイルスの簡易検査というふうに報道されていますけれども、この簡易検査というのはPCR検査のことですか。

新村政府参考人 国立感染症研究所で行っておりますのは、御指摘のように、エボラウイルスの遺伝子を増幅して検査するPCR検査のことでございます。

今村(洋)委員 今回の改正法では、都道府県知事に対して、厚生労働大臣が策定する検査基準による検体等の検査を義務づけることとしており、また、検体の採取または検査等のため、都道府県知事から国または他の都道府県知事に対し、その感染試験研究機関の職員の派遣その他の必要な協力を要請できる規定が設けられています。

 今回、りんくう総合医療センターに入院したエボラ熱疑いの女性の検体を運ぶのに七時間かかった、そういうことで、大阪府の知事はこの状況を踏まえて、迅速な判断のため、検査キットの設置を求めているという報道がなされています。

 先ほどお聞きすると、この検査キットというのはPCR検査のことだというふうに理解しますが、今般、改正法でも都道府県知事が必要な協力を要請できるという規定があると今読み上げましたように、その大阪府知事の求めももっともなことだと思いますけれども、これが、たしか報道では、厚労省と少しお話し合いを持たれたというふうに、持たれるやに聞いておりますけれども、そのことについてお聞かせください。

新村政府参考人 エボラの検査キットということにつきましては、PCR検査に必要なさまざまなそういった資材と申しますか材料、こういったものが必要になるわけですが、こういうものを用意すれば、技術的には地方の衛生研究所でも行うということは可能であろうかとは思います。

 しかしながら、今般のエボラ出血熱につきましては、一類感染症という重篤な疾患でもありまして、患者、接触者に対して、もしその患者さんが陽性と確定した場合には、隔離を含めた厳重な予防体制を講じる必要もありますので、十分な設備が整い、知識もある国立感染症研究所村山庁舎で検査を行うことが不可欠と考えておりますので、現時点では、大阪を含む主要都市においてエボラ出血熱の検査のための試薬を配付するということは必要はないのではないかと考えておりますが、一方で、迅速かつ正確な検査結果を得るということは重要でございます。確かに御指摘のとおり、大阪府の職員の方がお見えになりまして、お話を伺ったところでもございます。

 今後、地方衛生研究所において国立感染症研究所と同等の体制を確保できるかといった点ですとか、こういったエボラ出血熱等の今後の国内、海外での発生状況等も踏まえまして、この点については引き続き検討してまいりたいと考えております。

今村(洋)委員 では、質問を少し飛ばしてお聞きします。

 国の水際対策、エボラウイルスを国内に持ち込ませないという体制がきちんと本当に厳格に整えられていれば、今おっしゃったように、検査する機関も今一カ所ですけれども、それで事足りる可能性もありますけれども、外務省の方は十月二十九日に、エボラ熱の件に関しては入国制限は行わないというふうにおっしゃっているんです。これは、入国制限を行わなくて大丈夫だという考えをどういう論拠、根拠でお持ちになったのか、お答えください。

新村政府参考人 外務省も含めまして、私ども、WHO等国際機関の情報を参考にしておるところでございますが、WHO等によりますと、仮に西アフリカ三カ国からの入国を禁止すれば、渡航歴を隠して入国する者があらわれ、その結果、適切なスクリーニングや検疫を行えなくなるおそれがあるということ、また、そのような措置により当該三カ国が経済的、社会的に大きな打撃を受け、その結果、エボラ出血熱の流行はさらに拡大するおそれがあるとされておりますので、外務省といたしましても、エボラ熱に関して入国制限は行わないという方針を持たれていると承知しております。

今村(洋)委員 これはアメリカの例を見てもわかるように、例えば国境なき医師団とか、そういったところで従事した医療関係者が帰国してから発病する。そういうふうに、容易に国境を乗り越えてウイルスが国内に持ち込まれているという事実があるんですね。

 先ほどおっしゃられたように、検査機関も一カ所しかないような状況で、入国制限を行わない。これは、入国するなというわけではないでしょう、もちろん。ですから、そこを、そういうエボラが発生している西アフリカ諸国から来られた方のきちんとしたチェック、そういったことを時間をかけてやるということが必要なんだろうと思いますけれども、これを考えずにおいて、先ほどおっしゃったように経済的孤立とかなんとかということで、我が国にウイルスが持ち込まれる。

 これが、僕が一番恐れるのは、アメリカでもそうですけれども、専ら国内で発症している方は医療従事者なんですね。ですから、それまでの医療従事者がどういう経過で入国したかとか、その後どういう行動をとったかというのは割と把握しやすい環境にある。ところが、一般の方々、例えば今回お聞きした、リベリアとかギニアとか、これは医療従事者じゃないというふうにお聞きしていますけれども、そういう方がウイルスを持ち込んだ場合、非常に後追いがしにくい。

 これも質問の中で聞くことにしていますけれども、では、これをお聞きします。六十代男性が検疫所に報告をする前に、渡航歴を告げずに医療機関を受診した。これは先ほどから各委員もお聞きされていますけれども、厚労省は、こういう事実確認を行った上で、どういう対応をとるというふうに考えておられますか。口頭で、一般の医療機関を受診しないでください、お聞きしていたものを文書で出しましたと。こんなもので、そういう抑制がちゃんと、そういう疑いがある方、入国した方の後追いができるというふうにお考えになっているんですか。

三宅政府参考人 健康監視対象者になった方には、まず、検疫所で、対象の三カ国から帰ってこられるということで、三カ国での状況等をいろいろお聞きします。その際に、お話しの健康監視の指示書をお渡しするわけですけれども、その際にも、よく念を入れて、検疫所から連絡があって、指示を受けてくださいということを丁寧に御説明をいたします。

 また、この指示書に、これまで、検疫所に御連絡くださいというようにしか書いておりませんけれども、保健所の指示があるまでは絶対に直接医療機関には行かないでくださいということを明記いたしまして、発症した際にはこの指示書に従っていただくように、しっかりお願いしていきたいと考えております。

今村(洋)委員 そうすると、やはり、今お聞きすると、個人個人にお願いをして、何とか自己申告してくださいという状況だというふうに理解いたしました。

 私がお聞きしたいのは、国立感染症研究所のホームページに、このエボラウイルスが、無症状病原体保有者という、いわゆる症状は出ないけれどもウイルスを持っているという方がいますよというふうに書かれているんですけれども、これはちょっと私はびっくりしたんですけれども、本当ですか。

新村政府参考人 私ども、専門家の御意見もお聞きして理解している範囲では、感染して、そしてその症状が出るまでは、人に感染することはない。

 無症状病原体保有者とおっしゃいます点に関しましては、恐らく、症状が出る前に人に感染することがあるのではないかという観点の御質問ではないかと思いますが、これまでの知見では、症状が出てから人に感染し得るというふうに理解しております。

 一方で、無症状病原体保有者というのは、症状が生じて、そして、治療等によって回復してきて、症状がなくなった場合でも、まだそのウイルスが体内にあるということを示していると聞いております。

今村(洋)委員 私もいろいろ調べましたら、例えば、エボラを発症して生き長らえた、これは死亡率がすごい高いですけれども、亡くならない方も当然いるわけですね。そういう治癒した方、症状がなくなった方でも、治療されてですけれども、血液の中にウイルスがいなくなったのが発症して十七日以降、次が尿、尿は三十日間ウイルスが出ていた、汗については四十日間というふうになっていますけれども、こういうことも厚労省としては把握されていますか。

新村政府参考人 私ども、国立国際医療研究センターを中心に今研究班を設けておりまして、その中で、ウイルス性出血熱の診断の手引といったものもつくっております。

 その中で、そういったエボラ出血熱を発症して、症状はなくなった、しかしながら、一定の期間、血液等々、体液の中に、ウイルスとしては検出し得る状態があるということは書かれておりますので、承知をしております。

 その日数につきましては、さまざまな数字があるようでございますが、体液等の種類によりまして少しずつ違いますけれども、そういった、一定期間そういうウイルスが存在することがあるということは承知しております。

今村(洋)委員 では、入国される方、特に航空機等々で入国される方に、エボラを発症して治癒して入国している人ですかというような聞き方はしているんですか。そういう質問事項というのは答えていただくようになっていますか。

    〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕

三宅政府参考人 当然、発生した国での滞在の状況、それから患者さん等との接触の状況等もお聞きしておりますし、健康に異常がなかったかどうかというようなこともお聞きすることになっております。

今村(洋)委員 ダイレクトにお聞きはされていないんだろうと思いますけれども。

 空港で、そういうサーモグラフィーにひっかかった方が健康相談室というところにまず行かれるんですかね。そこの施設はどういう体制になっていますか。いわゆる第一類感染症にエボラは該当しますけれども、そういうものに対応するような体制でちゃんと対応されているのかどうか、そこをお聞かせください。

三宅政府参考人 健康相談室には、当然、防護服ですとか、必要な感染症予防のための装備と申しますか装具も置いてございます。

 それから、トイレですとか、下痢されたり嘔吐されたりする場合がありますので、そういうような施設もございますし、消毒が必要になれば消毒をするといったような設備が伴っております。

今村(洋)委員 お聞きすると、エボラウイルスに対しては少し心配だなと思われる点はありますけれども、船舶について、船で入国される方についてはどういう体制をとられているのか、お聞かせください。

三宅政府参考人 エボラ出血熱に関する船舶に対する検疫強化でございますけれども、全ての船舶に対しまして、その乗員乗客のうちに流行国に二十一日以内に滞在した者がいるかどうか、また、そのような者がいる場合には患者との接触等があったかどうかということを確認させまして、船舶の長、船長さんから検疫所に報告をさせる仕組みを実施しております。

 この際、乗客の中に、到着前二十一日以内にエボラ出血熱の発生国に滞在し、エボラ出血熱の患者との接触歴などがある者がいた旨の連絡があった場合には、検疫官が当該船舶に乗り込んで検疫を行うなどの対応をとることとしております。

 現在、船舶についてはこのような検疫対応を実施しておりますけれども、いずれにしても、国内外の状況を踏まえつつ、引き続き必要な検疫対応の実施に努めてまいりたいと考えております。

今村(洋)委員 わかりました。

 僕は、るるいろいろお聞きしたのは、西アフリカ諸国でアウトブレークが起きている。次にパンデミックが、今度は北半球といいますか、ヨーロッパやアメリカで起きた場合、日本にもきっと、医療従事者ではない、後追いができない一般の方がそのウイルスを持って日本国内に入ってくるという事態がいずれ起きる、そういう可能性が高い状況までもう来ているんじゃないかというふうに心配しているんです。

 もし国内でのパンデミックというか、感染が拡大するような状況が起きた場合に、日本にはファビピラビルという薬が、今インフルエンザに対するお薬として、先ほども各委員からの質問で、あと大臣の方も、二万人分備蓄があるやというふうにおっしゃっておられましたけれども。

 そのファビピラビルが、エボラウイルスに感染したマウスに用いて、六例感染させて六例とも生き残ったというのが、効果があるんじゃないかというそもそもの論拠になっているわけなんですけれども、これが、体重当たりに使うファビピラビルの用量というのが、インフルエンザで用いますというふうにされている量より、いわゆる体重当たり十倍ぐらい多いんじゃないかと私は思って、ちょっと文献を読み解くとそういうふうに読めるんですが、エボラに対してファビピラビルを用いる場合の用量が多いんじゃないかという私は疑問を呈しているんですが、その件に関してはどうでしょうか。

新村政府参考人 御指摘のファビピラビルを有効成分とする商品名アビガン錠というものがございます。こちらは、既存の抗インフルエンザウイルス薬が新型インフルエンザに対して無効または効果が不十分な場合に使用される治療薬として薬事承認されたものでございますが、御指摘のとおり、エボラ出血熱に対しては、マウスにおいては一定の効果が示唆されているというふうに承知しております。

 この薬につきましては、欧米で患者が発生した場合に、その治療担当医等の判断で実際に投与された症例がたしか四例以上あったかと思いますが、ほかの治療法等もあわせて行われているので、その効果についてはまだ確立はしていないということでございます。アフリカで今後臨床試験も行われるという情報もございますので、その状況をフォローしていく必要があろうかと思います。

 御指摘の用量につきましても、薬の効果が見込まれると思われる体重当たりの量、一方で、副作用、催奇形性の問題等もありますので、そのあたりをあわせ考え、また、しかしながら、エボラ出血熱という治療法が確立していない致死率の高い病気にどう対応するかということで、慎重に検討する必要があろうかと考えております。

 厚生労働省におきましても、エボラ出血熱の治療に当たる医師に対して助言を行うため、専門家会議を立ち上げておりまして、十月二十四日に開催したところでございます。その議論におきましても、エボラ出血熱の現在の流行状況や極めて高い致命率を踏まえると、十分なインフォームド・コンセントを実施の上で、こういったアビガン錠も含む未承認薬の使用については……

渡辺委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。

新村政府参考人 倫理的に容認されていると結論が得られているところでございまして、御指摘の点も含めて、専門家によるアドバイスをいただけるものと考えております。

今村(洋)委員 これで質問を終わりますけれども、今答弁をお聞きしまして、大臣、危機感を持って、本当に対岸の火事ではないということで、もうおわかりになっているでしょうけれども、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 こうやってじっくりと質疑するのは、もしかしたら今国会初めてなんじゃないかな、何か大変新鮮な感じがいたします。法案の質疑でございますから、そういう意味で、きょうは質問させていただきたいと思います。

 本日は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部を改正する法律案についての質疑でございますが、十五分と短い時間ですので、私も、きょうもたくさんの委員から質問されております、大きな問題となっておりますエボラ出血熱対策について質問させていただきます。

 西アフリカが震源地となりましたエボラ出血熱、疑いを含めた感染者は、最新のWHOの発表ですと一万四千九十八人、そして死者はとうとう五千人を超えて、最新の数字ですと五千百六十人というふうに発表されております。その拡大の速さと、医療従事者に二次感染したことが世界への衝撃を大変大きくさせておりまして、政府においても、内閣官房に対策室、そして官邸でも情報連絡室、厚労省内にも対策推進本部が設置されたというふうに聞いております。

 十月二十七日には、国内初患者ではないかということで日本じゅうに緊張が走ったわけでありますが、結果、陰性であって、厚生労働大臣も、厚労省としても、水際作戦は奏功したというふうにもコメントを出されております。

 この事例ですと、男性は、羽田空港に到着して、健康相談室で医師の診察を受けて、三十七・八度Cの発熱が判明、検疫官らが防護服を着て、その後、国立国際医療センターに搬送されたということです。搬送された国立国際医療センターは特定感染症指定医療機関でありまして、搬送から隔離まで、大変スムーズにいったということでございます。

 この特定感染症指定医療機関は全国で三医療機関、そして第一種感染症指定医療機関が最新で四十五医療機関というふうになっております。今回は大変スムーズにいったということで、これはこれでいいんですが、今回は東京ということで、そういう意味では大変スムーズにいったということもあるのかもしれませんが、その他の四十五医療機関、このように人的な面、ハード面、ソフト面、もし万が一そういう患者さんが発生した場合に、今回と同じような対応ができる、そのような設備が整っておるのか、まずお聞きしたいと思います。

新村政府参考人 お答えいたします。

 エボラ出血熱の疑い患者が発生した際、全国四十六の特定感染症あるいは第一種感染症指定医療機関、こちらで受け入れを行うわけですが、これらの施設は、エボラ出血熱等に対応するための施設設備の基準を満たしております。

 また、エボラ出血熱のような一類感染症の診断、治療の経験のある医師は少ないことから、厚生労働省におきましては、これらの医療機関の医師を対象として、平成十三年度から、一類感染症等の実際の症例の診察、治療も含めた海外研修を実施してきているところでございます。

 また、今般の西アフリカにおけるエボラ出血熱の感染拡大を受けまして、厚生労働科学研究班におきまして、十月八日から医療従事者向けの感染防御策の研修会を開始しており、年内に十四カ所以上で実施する予定です。

 これに加え、本日になりますが、国立国際医療研究センターに全国のそういった感染症指定医療機関の従事者にお集まりいただきまして、疑い症例の診察や移送、感染防御策につきまして研修を実施する予定となっておりまして、今後とも、研究班の協力も得ながら、対策に万全を期してまいりたいと考えております。

中島委員 十一月一日の報道では、その四十五医療機関、全回答ではないですが、アンケートをとった結果、八二%の医療機関が、今現在、万が一エボラ出血熱の陽性の疑いがある患者さんが来ても、受け入れられる体制にないというふうな答えをされておる。

 それで、十一月十日前後、これは参議院の質疑での答弁を見ておるわけですが、国立国際医療研究センターとの調整の結果、そのような防護服のもう一度確認をされるということなんですが、この八二%の医療機関が、現在、エボラ出血熱が発生したときに、対応はちょっと難しいんじゃないかと答えている。

 要するに、今現在、国際空港も東京だけではないわけですから、そういった意味で、その四十五医療機関、この八二%の医療機関がちょっと困難だと答えているのがもう解消されたと考えてよろしいんですか、それともされていないんですか。

新村政府参考人 こういった感染症指定医療機関は、施設設備の、ハード面の基準は全て満たしておりますけれども、エボラ出血熱等について診療経験のある医療従事者が当然ながら極めて少ないということもございますし、また、二次感染の防御というのが非常に重要、かつ、それがまた心配な事項であるということから、受け入れ体制について不安があるということをおっしゃった医療機関もあるんだろうと思います。

 現在、さまざまな研修も進めておりますし、各医療機関に改めて確認をとっておりますが、現時点では受け入れ体制としては整ってきていると私どもは理解しております。しかしながら、引き続き万全を期していきたいと考えております。

中島委員 ハード面、ソフト面は整っているけれども、経験したことのない医療従事者も多いということで、その不安というのがそういう数字に出ているという理解でいいのかなというふうに思いますが、やはりこれは、いつ何どき、今回はエボラ出血熱ではございますが、それ以外にもいつこういった事態になるかわからないということで、もう一度、国内対策の再点検は常に日ごろから行うことが必要だということは言わせていただきます。

 今回は結果が陰性だったということで、検疫体制が機能したということになっておりますが、これが陽性だったらまた追加対策等が必要になっておる、混乱が生じなかったとは言いがたいかもしれないというふうにも言えます。

 同じ飛行機に乗り合わせた人の追跡調査についても、今回も含めて、もし検査の結果陽性だった場合、流行国での滞在歴を申告せずに入国して自宅などで発症した場合、家族や入国後に接触した人も隔離や監視の対象となるということになるんだと思いますが、その際の手順についてちょっと確認をさせていただきたい。

 また、航空機内で発生した場合、これは、海外、国内の航空会社がありますから、それぞれなのかもしれませんが、もし航空機内で発症した場合。先ほど船舶の話が出ましたが、船舶の場合は、例えば豪華客船みたいなものですとかなり長期間にわたって乗り合わせる、そこでもし船舶内で発病した場合。各国で対応が違うかもしれませんので、航空機内で発病した場合、船舶内で発病した場合、どのようなことが考えられるのか、お教えください。

新村政府参考人 まず、国内での自治体における手順についてお答え申し上げます。

 エボラ出血熱につきましては、積極的な疫学調査を迅速に実施いたしまして、感染した方を早く把握することにより、感染拡大を防止するということが極めて重要であると認識しております。

 このため、国立感染症研究所におきましては、積極的疫学調査につきまして、接触者ごとの感染のリスクに応じた対応につきまして、ちょうど本日になりますが開催いたします自治体の担当者の会議において、詳しく説明することといたしております。

 また、厚生労働科学研究班におきましても、今月二十六日から、自治体の担当者を対象として、こういった積極的疫学調査の具体的な方法について研修会を開催することにしまして、年内に全国で八回実施することとしております。

 厚生労働省といたしましても、地方自治体におけるこういった接触者調査がしっかり行われるよう支援してまいりたいと考えております。

三宅政府参考人 航空機内におきまして、エボラ出血熱の流行国に二十一日以内に滞在し、かつ発熱等の症状がある者が確認された場合には、通常、空港到着前に検疫所に連絡が入ることになっております。

 この上で、当該航空機が空港に到着次第、検疫官が機内に入りまして、感染の疑いがある患者を隔離措置することになっております。それと同時に、当該患者、周辺乗客、乗務員などから、患者の機内での行動や使用したトイレなどの状況を聴取します。また、吐瀉物の有無ですとか患者周辺の状態を確認した上で、これらの情報を勘案して、ほかの乗客等のうち、停留または健康監視の対象となり得る者を決定いたします。

 また、停留または監視対象となり得る方々に対しましては、患者がエボラ出血熱につき陽性が確認された場合には停留または健康監視となること、停留または健康監視となった場合の留意事項などについて説明し、その後、患者が陽性であることが確定した場合には、実際にこれらの方について停留または健康監視を行うこととなります。

 船においても、患者さんが出た場合には、検疫官が乗り込んで同様の措置をとります。

中島委員 時間がございませんので、全部質問を飛ばして、最後の、ちょっと質問したいところがどうしてもありましたので、お聞かせ願いたいと思います。

 先ほどからアビガン錠については各委員からも質問が出ておりますが、現在、製造元において約二万人分ぐらいはあるということではございますが、現段階で万が一日本で発病者が出た場合、このアビガン錠が投与され得るのかどうなのか、そして、もし投与されるのであれば、その可否は誰が判断するのか、その件についてお尋ねしたいと思います。

塩崎国務大臣 今、有効性及び安全性が確立した医薬品がないということは御案内のとおりでありますけれども、万が一患者が発生した場合の治療の内容につきましては、アビガン錠の投与を含め、主治医の責任のもとで個別に判断されるものだというふうに思います。

 ただ、厚労省においては、エボラ出血熱等の治療に当たる医師に対して助言を行うという意味もあって、先ほど来お話が出ていますように、十月の二十四日に専門家等による会議を開催いたしました。一類感染症の治療に関する専門家会議というものでありましたが、この結果、エボラ出血熱の現在の流行状況や極めて高い致死率を踏まえると、十分なインフォームド・コンセントを実施した上でアビガン錠を含む未承認薬を使用することは、倫理的に許容されるものとの結論がこの会議で得られたものでございます。

 万が一国内においてエボラ出血熱の患者が発生した場合に備えて、引き続き、治療に当たる医療現場を支援する体制を厚労省としても確保してまいりたいというふうに思っております。

中島委員 有識者の中では、異例の場合も投与も可能という意見が出ている、そのもとで最終的には主治医が判断するということを今御答弁されましたが、もともとこれは、今、治験段階、未承認薬ということで、それを人命とリスクの間で主治医が判断する、これはもちろん非常にグレーな部分だとは思うんですね。

 例えば、感染症から敗血症になって、命の危険がある。どの段階で投与するのがベストなのか。まだ治験段階で何もわかっていないというその段階で、それを主治医の判断ということになりますと、もちろん、いつも言われております薬害の問題、その後何かトラブルがあったときに、その責任は判断した医師にあるということですと、今の段階で、アビガン錠をどこの段階でどう投与するのかということを、その責任の所在を主治医というのは、非常に曖昧かなというような気がします。

 あくまでも今後進めていくわけですけれども、有識者もそのような判断をしている以上、この判断の責任の所在は、厚生労働大臣というのはちょっと難しいかもしれませんが、やはり、ここまで繰り返された薬害の問題等々を考えていきますと、この段階で万が一このようなケースが出た場合、これは、主治医の責任というよりはやはり国がしっかりと判断基準を定める、もしそれができる余裕がないのであれば、やはり国が責任を持って判断するという明確なものが必要ではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。

渡辺委員長 厚生労働大臣、簡潔にお願いします。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げましたように、主治医の責任のもとでやるというのは、これは、医師法に基づいて医師が御判断をされるというのは、法律上許されているというか、認められているわけでございます。

 しかしながら、医師としても、やはりそれなりの責任のある判断をする際の目安というか参考になるものがないかということで、恐らく今回も、助言を行うという意味でこの専門家会議を開いたわけでありますけれども、当然、万が一、実際に日本の国内でエボラ出血熱の患者が発生したといった場合には、改めてまたこの会議を開いて、対応方針として、医師がどう対応すべきかということについてもさらに議論を深めて、何らかの形での助言を出していければなというふうに考えているところでございます。

中島委員 もう時間ですので終わりますが、先ほどの一般診療所にもそういう可能性、医療機関ですから、想定外が起こり得ることは十分あるわけです。

 そういう意味で、アビガン錠に関しては、まだ治験段階ではございますが、本当にこの先国内で発生した場合の、先ほど言ったように、水際作戦も全てがうまくいくとは限らない、先ほど答弁されたように、今後、海外でどれだけ拡大するかもわからないという状況ですから、そういう最悪の事態も想定をして今後対応していただくことを希望いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 国会が緊急事態ということで、十分な審議ができないことは大変残念ではあります。

 参考人質疑を初め、参議院での議論は大変勉強になりました。本当に、こういう機会はさらに深めていく必要があるかな、このように思います。

 私が今一番関心を持っているのは、エボラ出血熱について、医療従事者への感染防止が非常に重要な鍵となっているのではないか、危険と隣り合わせの過酷な業務でありながら、感染したことで非常に責めを受けている、こういうことでは、やはり医療従事者がもうついていけない、国際社会がエボラを克服することは到底困難だと言わなければならないと思います。

 国境なき医師団、MSFの一員としてシエラレオネで医療活動に従事した看護師の大滝潤子さんが、帰国後、記者会見を行って生々しい現場の実態を訴えたことが、多くのメディアで報道されました。例えば、重い患者さんを一人で抱えると防護服が破れて感染してしまうので、必ずペアでなければならない、患者を番号で呼び、弔いも十分にできなかったこと、許される作業時間がとても短いために、スタッフが到底不足していることなども報告されていました。

 また、四日の参議院の参考人質疑では、リベリアでの医療支援にかかわった元国立感染研の岡部信彦さんが、なぜ医療従事者に感染が起こるのかというプレゼンを行っています。延べ一日百人のスタッフ、つまり、短い期間なので、何度もかわらなきゃいけない。防護服を着てケアをするけれども、ある意味恐怖の中で働くという点で、心理面のケアも重要だと指摘されていらっしゃいます。

 そこで伺いたいのは、やはり最前線、国際支援として看護師の派遣がどのように今されているのか把握されているでしょうか。また、日本における感染症専門の看護師の養成などはどのように取り組まれているのか伺います。

二川政府参考人 国際派遣の問題と、国内における専門の看護師の養成の件かと思います。

 まず、国立国際医療研究センターにおきましては、アジア、アフリカ等の開発途上国における感染症対策を含む保健システムの強化を図るために、昨年度、平成二十五年度は、医師、看護師等の専門家九十三名を派遣しているところでございます。毎年百名前後の派遣となっているところでございます。

 また、国内におきます、感染症に関して高い専門性を有する看護師を認定する仕組みといたしましては、感染管理認定看護師及び感染症看護専門看護師の認定制度がございます。

 感染管理認定看護師の方は、十二の都道府県看護協会研修センター等で行っておりますし、また、感染症看護専門看護師は、十三の大学院で教育が行われておりまして、いずれも、日本看護協会がその修了を確認した上で認定を行っている、こういったものでございます。

 まず、感染管理認定看護師につきましては、パンデミック等の緊急事態を想定した準備とか緊急時の対応等の知識、技術を有する者が認定をされておりまして、現在、平成二十六年十一月現在で、二千七十名の人が認定を受けております。

 また、感染症看護専門看護師につきましては、パンデミック等の緊急事態を想定した準備、緊急時の対応のみならず、ほかの保健医療福祉関係者とのコーディネーションあるいは教育的機能を果たす、そういった人が認定されているというものでございまして、こちらの方は、平成二十六年十一月現在で、三十名となってございます。

 これらの認定制度は、看護実践の実績等を踏まえ、五年ごとに更新という仕組みでございまして、常に専門性の維持、確保が図られているという仕組みになってございます。

 今後も、感染症に関し高い専門性を有する看護師の充実に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 ゆうべ通告したときは数字がなかなか出てこなかったので、具体的な答弁をいただいて助かったと思っております。ぜひ、本当に医療従事者を守れなければ次の対策はやはりないだろうと思っておりますので、しっかりとこの支援をお願いしたいと思っております。

 次に、日本においても、辛うじてこの間、疑いがあった帰国者の結果は陰性であったわけですが、感染者の発生というのは時間の問題かもしれない。最初の患者を確実に発見し、ウイルスを封じ込める対策をどうするかが問われていると思います。

 私は、平成二十年、二〇〇八年のこの委員会の参考人質疑で、成田空港の検疫所長だった藤井紀男さんに次のような質問をしたことがあります。このときは、新型インフルエンザの水際対策について、発生国からの出入国規制や在外邦人の帰国についての方策を政府が検討していました。ですから、規制をしながら在外邦人だけ帰すというのはどうやってやるのというふうな、そういう議論をしたときなんですね。

 そのときに私が指摘をしたのは、検疫に関する業務というのは、国際保健規則、IHRによって各国共通だと思うんだけれども、その国際スタンダードと比べて国内の対策がどうだと思いますかという質問に対して、藤井参考人は、感染症法とIHRがきちんと整合性がとれているということは非常に重要だと述べた上で、しかし、検疫業務というのは入国者に対する対応をするところなんだ、ですから、出国に対しては権限がないということをおっしゃいました。ただ、実際に情報をよく交流する中で、命令するとかではなくて、出国を取りやめるとか、そういうような運用上のいろいろな工夫ができるのではないかと発言されたことが非常に重要かなと思っております。

 IHRの目的というのは、国際交通及び取引に対する不要な阻害を回避し、つまり余りにも規制が強くてはいけない、あるいは、公衆の保健上の危険に応じた制限的な仕方で、しかし、疾病の国際的拡大を防止、防護、管理し、及びそのための公衆保健対策を提供することであると明記をしております。

 また、第三条の原則について、原則の実施は、人間の尊厳、人権及び基本的自由を完全に尊重して行わなければならないということで、旅行者に対する検査などについては、当然その人権の配慮とインフォームド・コンセントが必要である、前提であると書いていることを、そこは当然考慮しなければならないと思っているわけです。

 その上で、この国際保健規則に基づく情報の交流と出入国に当たって、やはり円滑にやっていくことが必要ではないかと思っておりますけれども、大臣に伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 かつてこのIHRが対象としていたのは、コレラと黄熱病とペスト、この三つだけだったということでありますけれども、SARSとか鳥インフルエンザ等々、言ってみれば、新たなリスクが高まってきたということで、二〇〇五年に改正をされたというふうに認識をしております。

 現在、検疫所では、入国者に対しまして、ギニア、リベリア、シエラレオネへの二十一日以内の滞在歴が把握された方について健康監視を行うとともに、可能な限り、過去二十一日の流行国の滞在歴を確認することができるよう検疫体制の一層の強化を行って、各空港における検疫所と入国管理局の連携を強化して、縦割りを排除した上で、水際を強化するということをやってきているわけであります。

 また、今先生御指摘の、こっちから行く海外渡航者に対しましては、外務省が西アフリカ三カ国に関しては感染症危険情報を発出し、不要不急の渡航を延期するように呼びかけているほか、厚生労働省においては、WHOがIHRに基づいて情報収集したエボラ出血熱の発生状況等、必要な情報をホームページやポスター等を通じて提供することで注意喚起を行っているわけでございます。

 私ども厚労省としては、今後とも、国内外の関係機関等と緊密に連携をしながら、感染症の流行情報を積極的に入手して、海外渡航者が感染症に罹患することなく安全に過ごしていけるように、必要な情報提供に努めてまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 国内対策、水際対策だけではやはり限界があるということがこの間も議論されてきた。また、潜伏期間というものがございますので、発症前のどれだけの規制ができるかというのも非常に難しい問題でもあります。しかし、そういう中だからこそ、やはり国際機関での情報の交流と統一した対策というのが非常に重要ではないかということで議論をしてまいりましたので、ぜひ、重ねて、そこが協力して高まっていくようにお願いをしたい、このように思っております。

 それで、感染症指定医療機関の不足については、これまでも随分指摘をされてきました。私自身も何度も取り上げているわけなんですけれども、例えば、国立国際医療センターに私も視察に行って、特定感染症病床と渡航者外来というのがありまして、視察をしたことがあります。

 そのときに、陰圧室、特別な設備が必要で、ただ、それを維持するのはとてもコストもかかります、そういう率直なお話も聞きながら、しかし、私が一番大事だなと思ったことは、専門の病床が、幾らあってもと言えば大変語弊がありますけれども、初動の封じ込めに大変重要ではありますけれども、本格的に蔓延してしまった場合はそれどころじゃないんだと。つまり、廊下にもベッドを敷かなくちゃいけない。指定病床だけでは当然対応できませんということをおっしゃられたこと、非常に印象に残っております。

 ですから、肝心なところをしっかりと確保しておくことは当然大事ですけれども、それとあわせて、結局は、地域保健活動がどう対応していくかということが問われているのではないのか。行政と各機関が連携しての訓練、シミュレーションを重ねていくこと、そして、そのための国による指導が不可欠だと考えますが、大臣の考えを伺います。

塩崎国務大臣 先生御指摘のように、保健所等の行政機関と感染症指定医療機関等の関係機関が連携して準備に当たるということは極めて重要だというふうに私たちも認識をしております。

 この観点から、本年十月から厚生労働科学研究班が感染症指定医療機関で行っている感染防御策の研修会では、より実践的な研修となるように、地域の保健所や自治体職員等と合同で訓練を行っているわけでございます。

 この研修を通じまして、実際にエボラ出血熱に感染した疑いのある患者の搬送を受け入れる際には、医療従事者と自治体担当者との連携体制を確立させる、これが不可欠であることが明らかになったと聞いております。

 厚労省においては、先ほど来出ておりますように、本日、全国の自治体の担当者、課長さんレベルでありますが、担当者会議を開催いたしますけれども、その中で、エボラ出血熱の発生時における搬送等の体制において、医療従事者と自治体担当者が連携する重要性についても改めて強調することとしておりまして、各自治体において再確認した対応方針に基づいて実地訓練を行っていただくことを私どもから要請することとしております。

 今後とも、自治体におけるエボラ出血熱への対応が関係機関の密接な連携のもとで行われるよう、今後ともしっかりと支援をしてまいりたいと思います。

高橋(千)委員 先ほどの専門の看護師のところで、教育に回る人が今三十名という答弁があったと思うんですが、それも本当に同じで、少数のとき、あるいは初動のときは本当に専門家が必要です。だけれども、本当に多数になったときは、みんなで、いろいろな人が対応しなければなりませんので、まだ蔓延していない今の瞬間にその訓練を積み重ねていって、その専門家による教育を重ねていって準備をしておく、あるいは、どんなものを備えていくかということを整えていくことが決定的に大事だと思いますので、重ねてよろしくお願いしたいと思います。

 最後に私、もう一つ、きょうどうしても質問したいのは、結核の問題なんですね。

 日本の結核罹患率は、今、人口十万人当たり十六・一人で、依然として諸外国と比べても大変高いです。また、死亡者も、かつてに比べれば減っているとはいえ、毎年二千人を超えています。

 こうした中、結核の診断の経験がないために、診断がとても難しいという指摘があります。

 結核を、レントゲンで撮ったら、がんと誤っちゃった、それで抗がん剤を投与してしまった、そういう事例もかつて取り上げたことがありますけれども、そのときに、難しいから研修をちゃんとやっていくという答弁がありましたけれども、その後の取り組み状況を伺いたいと思います。

新村政府参考人 結核につきましては、この五十年間で罹患率が約二十分の一に減っているというものの、御指摘ありましたように、年間二万人の新たな患者が発生し、年間二千人が亡くなるという我が国の主要な感染症でございます。

 厚生労働省といたしましては、公益財団法人結核予防会結核研究所の協力のもとで、これまで、結核の臨床及び結核対策に必要な知識の習得を目的として、医師等に対してさまざまな研修を実施しております。御指摘のレントゲンにつきましては、放射線学科の研修も行っているところでございます。

 引き続き、こうした取り組みを実施することによりまして、医療従事者の結核に関する知識、あるいは診断技術の向上を図り、結核対策を推進してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 二〇〇六年に結核予防法が感染症法に統合されました。対策は後退させないというのが当時の大臣の答弁でありましたけれども、それがないようにしっかりと求めて、終わりたいと思います。

渡辺委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、感謝を申し上げます。

 先ほど来委員の方から質問がございましたように、感染症は、発生してから慌てて対策をとるのでは遅過ぎるということで、事前にスタッフから体制をどのようにきちっと整えた上で、適切な対応をしてその拡大を抑えるか、これが大変に重要な課題であると考えているわけでございます。

 先ほど来さまざま質問がありましたが、私の方からも、もう一度その点につきまして。

 今、エボラ出血熱が発生をしている中で、もう今はグローバル社会でございますので、世界のどこで発生しても、この危険性というのは私たち日本にもあるわけでございまして、先日、国内においてもその疑いのある患者が発生したというふうに伺っておりますが、今後、こういった感染症、エボラ出血熱等の医療機関での感染症予防対策、準備をしっかりとやっていかなければいけない、また、やっていると思いますが、まずその状況をお聞かせ願えますでしょうか。

新村政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省におきましては、特定感染症指定医療機関及び第一種感染症指定医療機関の医師を対象といたしまして、平成十三年度から定期的に、海外で一類感染症の実際の症例の診察、治療も含めて経験させる等の研修を実施してきております。

 さらに、今回の西アフリカにおけるエボラ出血熱の感染拡大を受けまして、厚生労働科学研究班におきまして、医療従事者に対する感染防御策の研修会を十月から開始しております。年内には全国十四カ所以上で実施する予定であり、さらに、本日、国際医療センターで全国の感染症指定医療機関の医療従事者にお集まりいただいて研修を実施することとしております。

 引き続き、医療機関での感染予防対策等が適切に講じられるように、必要な支援をしてまいります。

輿水委員 ありがとうございます。

 医療機関はまた、ふだんからの訓練、対応も非常に大事だと思いますので、その辺も怠りなく進めていただければと思います。

 さて、今般の法改正におきまして、動物から人へ感染する鳥インフルエンザが人から人へ感染するようになるおそれがある特定の鳥インフルエンザにつきまして、血清亜型を政令委任することにより二類感染症に位置づけることとしている、このように認識しておりますが、このような病原体の変異の発生は今後もあるのか、また、どのようにこれを捉えてそれに対応しようとしているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

新村政府参考人 鳥インフルエンザにつきましては、ウイルスの変異が突然かつ頻繁に生じるため、今後も、二類感染症に相当する新たな血清亜型の鳥インフルエンザの発生はあり得るものと考えておりますが、その発生を前もって予測するというのは困難でございます。

 今般の改正法案におきましては、ウイルスの変異が突然かつ頻繁な鳥インフルエンザについてのみ、法律におきまして、新型インフルエンザに変異するおそれが高いものというふうにその性質を明確化した上で、政令によって血清亜型を定めるということで、期限を設けることもなく二類感染症として指定することができることとなりますので、新たな鳥インフルエンザが発生した場合にも、機動的にこれは対応することが可能になると考えております。

輿水委員 いずれにしても、早期の対応とそして適切な行動が必要になる、そのためにもこの指定というのは重要になってくるというふうに認識をしております。

 さて、次に、二〇〇二年、東アジアを中心にSARSが発生した、そのとき、SARSというのは当初は、病原体が特定できない、そういった形で、どのようになるのかとかどこまで広がっていくのか大変騒がれたわけでございますが、この感染症法において、病原体の類型、病原体をしっかり特定していく、そういったことが必要になるのかなと思うんです。

 感染症法において、病原体が特定されていない、そういったものが発生しました、そのときに、どのような類型にまず指定された上で、どのような取り組みがとられていくのか、この点についてお聞かせ願えますでしょうか。

新村政府参考人 病原体が特定できない感染症につきまして、この疾病にかかった場合の病状の程度が重篤であり、かつ、当該疾病の蔓延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある、こういうふうに認められる場合には、その当該感染症につきましては、感染症法において新感染症として位置づけられることになっております。

 新感染症につきましては、感染症の性状が明らかでなく、一類感染症と同程度の危険性があることもあり得るということから、一類感染症に相当する措置まで実施できるとされております。

 なお、SARSの例もございましたけれども、その後、新感染症の病原体が判明した段階で、指定感染症への指定、あるいは、一類感染症から五類感染症までの適当なところへの分類などを行うということにしております。

輿水委員 ありがとうございます。

 そこで、病原体が特定できない方が入院隔離された場合、とにかく病原体を特定しなければ、その先がなかなか進まない。そして、その特定によって感染の拡大の防止も進むように思いますが、まず、特定するためには検体の採取あるいは分析が必要になると思いますが、今般の法改正でその点がどのように進められるようになるのか、お聞かせ願えますでしょうか。

新村政府参考人 効果的な感染症対策を講じる上で、確実にその発生状況を把握し、病原体の種類、特性や感染経路など、感染症に関する情報を迅速かつ的確に収集することが重要でございまして、患者さんから採取された検体はそのための非常に重要な資料になるものでございます。

 現行の感染症法におきましては、都道府県知事は必要な調査を実施できる旨の規定はございますが、検体の採取については明確な規定がなかったということから、関係者からの協力を得る際に支障を生じるケースがあったということでございます。

 また、都道府県知事から要請を受けた側には、協力する努力義務はございますが、協力を拒否された場合には、都道府県知事が検体を入手することが困難であったという側面がございます。

 このため、今般の改正法案におきましては、全ての感染症について、医療機関に対して、保有する検体の提出を要請することができるといたしております。また、特に一類感染症などの感染症については、これらの感染症の患者の検体を所持している医療機関から検体を収去できるとすることのほか、それでもなお検体を入手できない場合には、都道府県知事がこれらの感染症の患者から検体を採取できる、こういった内容を規定してございます。

輿水委員 ありがとうございます。

 そこで、今後、例えば検体からいろいろな分析が進みまして病原体が特定できた、また、その後、さまざまな方の検体を検査していく、そのときに、やはり適切に迅速に行うことが必要になるのかと思いますが、この点についての取り組みはどのようになっているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

新村政府参考人 今般新設する検体採取の措置につきましては、一類感染症など公衆衛生上特に重要な感染症に限定することや、患者本人ではなく医療機関からの検体の収去を優先させる、措置に当たっては、事前の勧告の実施、書面による理由の提示などの手続を踏むこと、検体の採取は検査に必要な最小限度で行うことなど、人権にも十分配慮した手続に従って丁寧に行う仕組みとしております。

 また、検体の分析につきましては、改正法案の中で、検体の検査に当たって、厚生労働大臣が策定した基準を遵守して行うということを定めております。

 これによりまして、検査の質が向上すると考えておりまして、病原体の分離、同定等につきましても確認の精度が向上するということもございますし、検査体制の整備が進むということにより、その実施を確実なものにすることが可能になると考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 それでは、最後に塩崎大臣に。

 やはり、感染症、発生して慌てて対応をとるというよりも、ふだん事前にどういった体制を整えていくのか、また、人材の育成についても、すぐにできるようなものではなくて、ふだんからの訓練が必要であるというふうに考えますが、国民の安全、安心、こういった状況の中にあって、どのように今後この感染症に対して確保されていこうとしているのか、大臣の御決意をお聞かせ願えますでしょうか。

塩崎国務大臣 ボーダーレスになったこの世界の中で、人が大変出入りをする、物も出入りするということで、感染症が本当に国際的なリスクになっているわけであります。

 御指摘のように、感染症対策は、健康危機管理だけではなくて、国家の安全保障のレベルでも考えていかなきゃいけない、命を守るということで一層強化が必要な分野であって、とりわけオリンピック・パラリンピックもあって、さらにまた日本にいろいろな人が来る、そういう中で、情報収集体制の強化等を通じて、今回の感染症法の改正をお願いしたわけでございます。

 エボラ出血熱の対応が今当面の危機でありますけれども、これにはやはり行政の対応、そして医療機関の対応、そして国民の理解と御協力、この三位一体があって本当に感染を封じ込めることができるようになるだろうということに私は大変大事なポイントがあると思っております。

 きょう、先ほど来申し上げているように、県の担当課長を集めて、訓練の実施も今後やるようにということでお願いをするわけであります。そしてまた、一種感染症指定医療機関の皆さん方、専門家の皆さん方あるいは現場の人たちを対象にした研修を全国各地で行うとともに、きょうは、むしろ向こうから一堂に会してもらって、そこで、防護服の着脱を含めて実際に学んでいただくということで、認知度を上げていこうということでございます。

 もちろん、ホームページ、ツイッター、政府広報等々、情報提供を強化していきたいと思いますけれども、この感染症の高まるリスクにしっかりと国を挙げて対応していきたいというふうに思います。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 地方自治体も含めた行政の対応、そして医療機関の対応、そして国民の対応、この三つともしっかりと進められることを期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 大変ありがとうございました。

渡辺委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次回は、明十四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十七分散会


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