衆議院

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第3号 平成27年3月20日(金曜日)

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平成二十七年三月二十日(金曜日)

    午前十時三分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 赤枝 恒雄君 理事 後藤 茂之君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 松野 博一君 理事 西村智奈美君

   理事 浦野 靖人君 理事 古屋 範子君

      大岡 敏孝君    大串 正樹君

      加藤 鮎子君    木村 弥生君

      黄川田仁志君    小松  裕君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      谷川 とむ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    長尾  敬君

      丹羽 雄哉君    橋本  岳君

      比嘉奈津美君    堀内 詔子君

      松本  純君    松本 文明君

      三ッ林裕巳君    宮崎 謙介君

      阿部 知子君    大西 健介君

      岡本 充功君    中島 克仁君

      長妻  昭君    山井 和則君

      足立 康史君    井坂 信彦君

      木内 孝胤君    牧  義夫君

      伊佐 進一君    輿水 恵一君

      角田 秀穂君    高橋千鶴子君

      堀内 照文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   総務副大臣        二之湯 智君

   厚生労働副大臣      永岡 桂子君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   田家  修君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         宮野 甚一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       安藤よし子君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  香取 照幸君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十日

 辞任         補欠選任

  牧原 秀樹君     黄川田仁志君

  村井 英樹君     宮崎 謙介君

  牧  義夫君     木内 孝胤君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     牧原 秀樹君

  宮崎 謙介君     村井 英樹君

  木内 孝胤君     牧  義夫君

    ―――――――――――――

三月十九日

 介護保険制度の改善、介護従事者の処遇改善に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三二六号)

 同(池内さおり君紹介)(第三二七号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第三二八号)

 同(大平喜信君紹介)(第三二九号)

 同(笠井亮君紹介)(第三三〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三三一号)

 同(斉藤和子君紹介)(第三三二号)

 同(志位和夫君紹介)(第三三三号)

 同(清水忠史君紹介)(第三三四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三三五号)

 同(島津幸広君紹介)(第三三六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三三七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三三八号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三三九号)

 同(畠山和也君紹介)(第三四〇号)

 同(藤野保史君紹介)(第三四一号)

 同(堀内照文君紹介)(第三四二号)

 同(真島省三君紹介)(第三四三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三四四号)

 同(宮本徹君紹介)(第三四五号)

 同(本村伸子君紹介)(第三四六号)

 新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求めることに関する請願(大平喜信君紹介)(第三四七号)

 同(小川淳也君紹介)(第四八四号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三四八号)

 同(池内さおり君紹介)(第三四九号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第三五〇号)

 同(大平喜信君紹介)(第三五一号)

 同(笠井亮君紹介)(第三五二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三五三号)

 同(斉藤和子君紹介)(第三五四号)

 同(志位和夫君紹介)(第三五五号)

 同(清水忠史君紹介)(第三五六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三五七号)

 同(島津幸広君紹介)(第三五八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三五九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三六〇号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三六一号)

 同(畠山和也君紹介)(第三六二号)

 同(藤野保史君紹介)(第三六三号)

 同(堀内照文君紹介)(第三六四号)

 同(真島省三君紹介)(第三六五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三六六号)

 同(宮本徹君紹介)(第三六七号)

 同(本村伸子君紹介)(第三六八号)

 同(大平喜信君紹介)(第三九四号)

 同(細野豪志君紹介)(第三九五号)

 同(本村伸子君紹介)(第三九六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四三二号)

 同(玉城デニー君紹介)(第四三三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四三四号)

 食品衛生監視員を大幅にふやすことに関する請願(穀田恵二君紹介)(第四〇四号)

 同(斉藤和子君紹介)(第四〇五号)

 同(志位和夫君紹介)(第四〇六号)

 同(清水忠史君紹介)(第四〇七号)

 福祉人材確保対策のための処遇改善に関する請願(山井和則君紹介)(第四〇八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四八五号)

 同(池内さおり君紹介)(第四八六号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第四八七号)

 同(大平喜信君紹介)(第四八八号)

 同(笠井亮君紹介)(第四八九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四九〇号)

 同(斉藤和子君紹介)(第四九一号)

 同(志位和夫君紹介)(第四九二号)

 同(清水忠史君紹介)(第四九三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四九四号)

 同(島津幸広君紹介)(第四九五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四九六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四九七号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四九八号)

 同(畠山和也君紹介)(第四九九号)

 同(藤野保史君紹介)(第五〇〇号)

 同(堀内照文君紹介)(第五〇一号)

 同(真島省三君紹介)(第五〇二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五〇三号)

 同(宮本徹君紹介)(第五〇四号)

 同(本村伸子君紹介)(第五〇五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省政策統括官田家修君、厚生労働省大臣官房総括審議官宮野甚一君、大臣官房審議官谷内繁君、雇用均等・児童家庭局長安藤よし子君、年金局長香取照幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀内詔子君。

堀内(詔)委員 自由民主党の堀内詔子です。

 今国会、厚生労働委員会で初めて質問させていただく機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。

 昭和四十年、私が生まれた年ではありますが、戦後二十周年の節目の年に、国は戦没者を忘れないあかしとして特別弔慰金制度を創設されました。

 ことしは、その制度創設五十周年、そして終戦から七十周年の意義深い年であります。国として改めて弔慰の意をあらわしていただいた、再び、国は戦没者を忘れないあかしとして特別弔慰金制度が継続され増額されるこの法律の制定は喜ばしいものであります。私のところに、多くの遺族会の方々から感謝の思いが寄せられています。

 二十年ぶりに年四万から五万円に増額され、五年分を記名国債で交付するというものですが、どれぐらいの皆様が対象となりますでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 今般の改正法案によります特別弔慰金の受給者数につきましては、約百二十三万人と見込んでいるところでございます。

堀内(詔)委員 ありがとうございます。

 受給される方は、配偶者、子、父母、祖父母及び兄弟姉妹、以外の三親等の方、おい、めいのようですが、それぞれの割合はどのようになっていらっしゃいますでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 十年前でございますけれども、戦後六十周年の特別弔慰金の受給者総数は百二十七万人でございましたけれども、そのときの戦没者などとの間柄を見ますと、兄弟姉妹が最も多くて、六割の七十九万人、その次に多いのがお子さんでありまして、三割で三十五万人、そのほかは戦没者と一年以上の生計関係を有するおい、めいなどの三親等内親族などというふうになっているところでございます。

堀内(詔)委員 遺族会からは、毎年、受給要件の緩和の要望が出されております。

 例えば、ある男性をAさんとします。そのAさんのお父さんと同居していた方が亡くなられた。Aさんにとってはおじさまに当たられますが、その方が出征して戦死をなさった。ずっとAさんのお父さんがその方の葬祭をとり行っていまして、英霊をお弔いしてきた。けれども、Aさん自身のお父さんが亡くなって、そして、Aさんがこれからは葬祭を取り仕切ることになる。

 そういった場合、亡くなったおじさんとは一年間はAさんは生計をともにしていらっしゃいました。この方は対象になると思いますが、いかがでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生御指摘の、戦没者等のおい、めい等の三親等の親族でございますけれども、戦没者の方の死亡当時に既に生まれており、かつ戦没者等と引き続き一年以上生計関係のあった者であれば、特別弔慰金の支給対象となるところでございます。

堀内(詔)委員 ありがとうございました。

 次に、基準日についてお伺いいたします。基準日は平成二十七年四月一日ですね。そのときどうかということでお伺いします。

 その方をBさんとします。今まで、戦死した父親の葬儀をBさんのお兄さんがとり行ってきました。そのお兄さんが数年前に亡くなり、今度は弟さんであるBさんがその葬祭を引き継ぎます。

 このような例ですと対象になると思いますが、いかがでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のありましたケースでございますけれども、これまで特別弔慰金を受給されておられた戦没者のお子さんで、長男の方だと思いますけれども、亡くなられた場合、今般の改正法案による特別弔慰金につきましては、平成二十七年四月一日の時点で最も先順位の遺族に支給されることになります。

 今、戦没者の次男の方だと思うんですけれども、その方が最も先順位で、かつ戦没者の死亡当時に生まれておられたのであれば、今回の戦後七十周年の特別弔慰金はその方に支給されることになります。

堀内(詔)委員 ありがとうございます。

 ありがたい制度改正ではございます。ありがとうございます。また、多くの方が該当されると思いますけれども、その対象がわかりづらいところがあり、心配されている方々もいらっしゃいます。窓口は市町村ですので、これらの自治体の方々はもとより、日本遺族会の皆様方のお力もおかりして、国民の皆様に周知いただけるように丁寧にお知らせしていっていただきたいと願っておりますが、いかがでしょうか。

永岡副大臣 堀内委員にお答えいたします。

 国といたしましても、戦没者などの御遺族の方々へ弔慰を表するためには、やはり遺族の方々に確実に特別弔慰金を受けていただくことが重要であると考えております。そのためには、効果的な広報、これを実施することとしております。

 具体的には、現在特別弔慰金を受けていらっしゃる御遺族については、毎年お近くの郵便局におきまして国債の償還金を受け取っていることから、この国債の最終償還、これは平成二十七年の六月十五日からになりますけれども、この際に、全国各地の郵便局の御協力を得ながら、リーフレットなどを活用して、きめ細かに個別に御案内を行うこととしております。

 また、今回新たに特別弔慰金の支給対象者となる方には、新規の対象者となる可能性があります恩給法や援護法の遺族年金などの失権届、これを提出した御遺族に対して、総務省の御協力も得ながら、これも個別に制度の御案内を行うことを予定しております。

 これに加えまして、政府広報も活用いたしました新聞、ラジオなどによります広報、それから都道府県や市区町村の請求窓口、これは市役所の窓口、役所の窓口などになるわけですけれども、ここにおきましても、ポスターですとかリーフレットによる広報などを実施することとしておりますし、また、先ほど先生の方からのお話もありました日本遺族会に対しましても制度の周知依頼などを行うこととしております。

 この法案が成立した暁には、やはり広報に早急に取り組みたいと考えておりまして、特別弔慰金を確実に受給していただけるように取り組んでまいります。

堀内(詔)委員 ありがとうございます。

 窓口の広報活動の充実、どうぞよろしくお願いいたします。

 戦争を体験した世代が年々少なくなる中、戦前戦後の御労苦を次の世代へ伝えていく取り組みがとても重要であると思っております。

 厚生労働省においては、どのような取り組みをお考えでいらっしゃいましょうか。

橋本大臣政務官 お答えをいたします。

 今年度、平成二十七年度は、もう御案内のとおり、戦後七十周年を迎えるということになります。御指摘のように、御遺族の皆様を初め関係者が高齢化をする中、さきの大戦の記憶を風化させることなく次の世代に継承していくということが大事なことだろうというふうに思っております。

 厚生労働省といたしましては、平成二十七年度におきまして取り組むことを幾つか紹介したいと思いますけれども、毎年八月十五日に、政府主催で戦没者追悼式を行っております。日本武道館でする全国戦没者追悼式ですね、それを毎年やっておりますが、ことしからの取り組みとして、十八歳未満の御遺族を御招待し、そしてその代表に献花をしていただくということで、若い世代の方にもぜひ参加をしていただこうということを、ことしからしようと考えております。

 また、九段下の近所に昭和館とかしょうけい館といった施設がございます。この展示内容の充実をさせる、あるいは地方展の開催を通じまして、小中学生、高校生等の来館促進を図ることにしております。例えば教育委員会等にお伝えをして、修学旅行のときに寄ってくださいというようなことを今申し伝えるようなこともしております。

 それから、戦傷病者の戦中戦後の労苦を後世に残すため、証言映像の収録をしておりますけれども、やはり御高齢化も進んでまいりますので、より迅速にその記録を進めていこうということで、これも取り組んでおります。なお、これはしょうけい館の方でごらんをいただけるようになっております。インターネット等でもちらっと見られるようであります。

 こうした取り組みを通じまして、次の世代の方々がさきの大戦の御労苦などに触れる機会をふやしまして、さきの大戦の記憶を次の世代にしっかりと継承してまいりたい、このように考えております。

堀内(詔)委員 ありがとうございました。

 私自身にも二人の息子がおりますが、若い世代への継承、そして若い世代の啓発をよろしくお願いいたします。

 国のために命をささげられた方々の慰霊と、その御遺族の皆様の福祉増進に尽くしていく、戦争の悲しさと平和のとうとさを語り継ぐこと、日本遺族会の皆様方は、国は戦没者を忘れないあかしとして本事業の推進、実現に取り組んでこられました。日本遺族会の皆様方の役割はますます大切になってきていると思います。本法成立を契機として、戦争のない日本、世界とともに平和である日本を皆様とともに築いてまいりたいと思います。

 結びに、さきの大戦で散華されました御英霊のみたまが安からんことをお祈り申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、大岡敏孝君。

大岡委員 滋賀一区選出の大岡敏孝でございます。

 私から、この法律案につきまして、大きく三点質問をしたいと思います。

 質問に先立ちまして、個人的なことでございますが、先日の日曜日、三月十五日に、地元の遺族会の皆様二百四十四名と靖国神社に参拝をしてまいりました。年に一度は靖国へということで、国や家族を思って命をささげられた先人の英霊に頭を下げながらも、私自身が国や国民のためにしっかり働こうという決意をしてきたところでございます。

 さて、法律案の質問に入りますが、まず今回の変更点についてお尋ねをいたします。

 戦没者の御遺族の中で、ある一定の条件を満たされた、戦没者とともに暮らされた経験がある等の条件を満たされた方に支給されることになっております今回の弔慰金でございますが、今回の改正案では年四万円を五万円に増額するということになっています。さらに、一括して十年分の国債を出していたのを、二回に分けて交付するということになっております。

 この変更された理由について教えていただきたいと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省におきましては、戦没者の御遺族から、今回の改正案を検討するに当たりまして、高齢化が著しい戦没者遺族は孤独な生活境遇にある者が多く、戦没者遺族に国は戦没者を忘れないというあかしをぜひ示していただきたいとして、戦後七十周年の特別弔慰金の継続、増額の御要望をいただいていたところでございます。

 厚生労働省といたしましては、こうした御遺族の皆様の声を最大限受けとめて、改めて今日の我が国の平和と繁栄の礎となった戦没者のとうとい犠牲に思いをいたし、戦没者の御遺族に一層の弔慰の意を表するため、平成二十七年はこの制度創設から五十年目に当たる大きな節目であるということ、また御遺族の方がかなり高齢化しているということ、さらに平成七年以降の社会経済情勢の変化、また償還額がこの二十年間据え置きになっていることなどを総合的に勘案しまして、年額五万円に増額することとしたところでございます。

 また、五年ごとに国債を二回交付することといたしましたのは、先ほど述べましたような御遺族の声を踏まえまして、戦没者の御遺族に対して弔慰の意を表する機会をふやす観点から改めたものでございます。

 なお、これまで、戦後何十周年の節目の年以降、新たに支給要件を満たすことになった御遺族に対しましても特別弔慰金を支給できるよう、中間年におきましても法改正を行っておりましたけれども、今回、五年ごとに国債を二回交付することといたしましたことによりまして、平成三十二年の支給により、こういった遺族につきましても特別弔慰金を受けることが可能となるということでございます。

大岡委員 次に、支給の目的や根拠とその実態との整合性についてお尋ねをしたいと思います。

 弔慰金ですから、弔い慰めるお金ということになっているわけでございますが、最も戦没者を弔って慰めておられる方とは言えない方が今回給付を受けるということもあり得ます。

 例えば、その対象になられた戦没者が亡くなられて、長男がその墓を見てこられた、この長男が亡くなった、そうすると、その長男の子供、孫に当たる人が引き続き墓を守って弔い慰めておられるんだけれども、この制度上は、この弔慰金はどこに行くかというと、遠くに離れたおばさんのところに行ってしまうということがあります。

 さらには、ふだんは何の連絡もないし、遺族としての活動もしていない、ただ、この給付の時期になりますと、施設に入っているおじいちゃん、これが対象者だとすると、その子供から、どうやったらおじいちゃんの弔慰金がもらえるんだという問い合わせが山ほど来るというのが実態なんですね。

 本来は、公金を受ける以上は、戦没者に対して何らかの活動をする、あるいは社会全体に対して戦没者の思いや経験を伝えていくとか、そういった社会的な活動、何らかのアクションが求められてしかるべきだと思いますが、この支出、その目的と実態との整合性について、皆さん、どのように整理をされているのか教えていただきたいと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 今回の特別弔慰金でございますが、弔慰の意を表するという趣旨で支給するものでございますので、この趣旨を踏まえますと、先生御指摘のように、受給者の方々に一定の活動を求めるといったことは困難であるというふうに考えております。

 しかしながら、さきの大戦の記憶を風化させないように、次の世代へ継承していくことは非常に重要であると考えております。

 厚生労働省におきましては、先ほど橋本政務官から答弁がございましたように、昭和館、しょうけい館を通じまして、さきの大戦の労苦を次の世代へ継承していく取り組みを進めているほか、戦没者の御遺族の方々も、語り部としての活動など、戦争の記憶を風化させないための取り組みを自主的に行っていただいていると承知しているところでございます。

 また、先生御指摘の、戦没者の墓を実際に守っている者に支給するという考え方につきましては、昭和四十年のこの制度の創設時より、弔慰の意を表する特別弔慰金として支給しているものでございまして、祭祀料として支給しているものではないということでございます。さらに、現在、特別弔慰金を受給している遺族などの関係者の理解を得ることはなかなか困難ではないかと考えております。

 また、墓の形態でございますけれども、地方や習慣によってさまざまでございまして、また、とりわけ近年の都市化や人口流動化の進展など社会状況の変化に伴いまして墓そのものが整理され、あるいは無縁化したものもございます。したがいまして、墓を実際に守っている者の確認が実務上可能なのかといった課題がございますので、先ほど申し上げましたように、戦没者の墓を実際に守っている者に支給するという考え方には困難な課題があるというふうに認識しているところでございます。

大岡委員 それでは、最後に、戦後八十年に向けた方向性についてお尋ねをしたいと思います。

 今回七十年でございますが、今回の法律で十年分の国債発行を担保するわけですね。これは発行と償還を担保するわけでございますから、特に問題がなければ、次の議論というのは十年後ということになります。

 では、十年後どうなっているかということを申し上げますと、この十年で環境というものは大きく変化をいたします。

 まず、今回給付を受ける方の最低年齢は七十歳ですね。同居していることが条件でございますから、七十歳ということになりますが、十年後には八十歳ということになります。これで、人口問題研究所の推計によりますと、まず、給付を受ける方の対象者は半分に減るということがほぼ確実視されています。

 さらに、戦争の記憶を風化させないということから考えますと、終戦時に十歳だった、十歳であれば物心ついていますから、十歳だった人は、今回八十歳、十年後には九十歳です。これは全人口の二・七%、しかも、恐らく、健康で物がしゃべれるという方はごくわずかになっているということが予想されています。

 対象者が半分になって、しかも、当時物心ついていた方はほぼ健康ではなくなって、また、ひょっとしたら言葉がしっかり話せるかどうかわからないということになってしまいますと、戦没者を弔い慰める、戦争の記憶を風化させないということが、この国債を発行して毎年償還をするということで果たして達成できるのかということになってくるわけです。

 これは、私も先日御遺族の皆様ともお話をしましたところ、お金がどうのこうのというよりも、やはり戦争の記憶あるいは戦没者の思いが風化してしまうことの方が怖い、さらには、十年後には、自分も含めて、仮にこれをいただいたとしても自分では恐らく使えない、意識があるかどうかもわからないと。だから、そうではなくて、遺族としての活動の方にもっと力を割いていただきたいという声が多数寄せられました。

 だとすれば、この本来の目的を、やはりもう一度、戦争の記憶あるいは戦没者の経験を風化させないということに定めていただきまして、先ほど政務官がおっしゃったような事業もやっておられるわけですから、そうしたツールを各県各地区の遺族会の皆様ともしっかりと連携をしてフル活用をして、そして、例えば公民館での社会教育、それから小中学校出前授業等、この各県各地区の遺族会と連携してそういった事業を進めるなど、この制度のあり方そのものを見直すべき時期が来るのではないかというふうに考えています。

 もう一度申し上げますと、この十年で環境は一気に変わります。多くの方が、この十年で、戦争を経験された、戦争時に生きていた方が次々に寿命を迎えられるからなんですね。

 だとすれば、今まだ元気なうちに、まだ話ができるうちに、皆さんの方でしっかりと聞き取りをして、議論をして、そして、八十年、九十年となればどんどんどんどん風化をしていくわけで、せめて百年は風化をしない、できるだけ長くこの記憶を風化させないための活動に政策そのものをこの十年かけてしっかりと議論を進めるべきではないかと考えますが、大臣あるいは副大臣の、この事業本来のあり方や、あるいは皆さんの望ましいと思う議論の方向性につきまして、考えをお尋ねしたいと思います。

永岡副大臣 大岡委員にお答えいたします。

 大岡委員は、戦後ことしで七十年ということで、さきの大戦の記憶の風化ということに大変御心配があるというふうに受けとめさせていただきました。

 この委員会室におきましても、塩崎大臣を含めまして、どなたも戦争の体験はしていないわけですね。ですから、私たちですと、それこそ親から親戚から戦争中はどう大変だったのかということは聞いておりますが、やはりこれも又聞きなわけですよね。そこで、本当に戦争の体験の風化を少しでも食いとめなければいけないという先生のお気持ち、私も大変賛同するところではございます。

 先ほど政務官の方から、きちんと今取り組んでおります戦争に対するそれを、次の世代に受けとめていただく対応をお話しさせていただいたわけですけれども、今後の弔慰金のあり方につきましても、戦没者の御遺族が高齢化をいたしまして、さきの大戦の記憶を次の世代に伝えていく重要性というのが本当に増しているわけでございます。このことも踏まえまして、今回の法改正によって戦後七十周年の特別弔慰金が支給された後、遺族の方たちの心情なども勘案しながら、今回の特別弔慰金が最終償還を迎えることになっております十年後を見据えまして、また新たに検討していきたいと考えております。

 その際は、ぜひとも大岡議員、それぞれこの厚生労働関係の方々にはぜひともその検討をいただいて、新しい取り組みというものをつくっていただく御努力をいただければありがたいと思っております。

塩崎国務大臣 基本的には今副大臣が答弁したとおりでありますけれども、私も両親に戦争中の話を随分子供のときに聞きました。父はもう亡くなりましたけれども、母はまだ九十四歳で生きておりますが、そのうち話も聞けなくなるということもありますから、今お話しのように、さきの大戦のこの記憶を風化させない、そして、未来志向でこれからどう考えていったらいいのかということを考えていくべきだということを私も感じるところでございます。

大岡委員 それぞれ御答弁ありがとうございました。大臣、副大臣、御答弁いただきましてありがとうございました。

 私自身も地元の遺族会の皆様ともよくこの点につきまして意見交換をしまして、先ほど大臣からお示しいただきましたとおり、建設的で未来志向で、できるだけ戦没者の記憶をなくさないという方向で政策の見直しをしていけるように、私自身も情報を集め、自分なりにも考えをめぐらせて、また各委員とも議論をしてまいりたいと思いますので、引き続き御指導、御支援賜りますようお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 皆様、どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本です。

 本日、さまざまな議論をしていきたいと思い、この席に立たせていただきました。

 とりわけ、このたびの法律審議に当たり、多くの皆さんが亡くなられたさきの大戦について、本当に、亡くなられた皆様方に深い哀悼の気持ちと、そしてまた何より、国を思って亡くなられた皆さん方に対して本当に感謝をしなきゃいけない、今を生きる者として私はそう思っています。

 御遺族の皆さんにその弔慰の気持ちをあらわすという考え方に私は賛同をするわけでありますが、制度の改正に当たってさまざまな点を確認していかなければならないという意味で、少し立ち入った質問もさせていただくとは思いますけれども、そういった趣旨であるということを理解していただきながら御答弁いただければと思います。

 まず、今回、改正に当たって、交付国債の額が引き上げられます。

 いろいろなお金が支給される制度がありますが、政府の答弁ですと、高齢になったから、そしてまた寂しさが増すからということで増額をするという話でありますが、そういうことであれば、ほかの支給されるお金、例えば老齢年金だって、高齢化はしていくわけです。支給されている人の平均年齢は上がってきています。

 そういう意味でいえば、国から支給されるほかのお金も引き上げられてもいいのではないか、こう思うところもあるわけでありますが、国から支給されているほかのもので、この二十年間で同様に引き上げられているものを援護局として把握しているか、これをまず聞くというふうにお願いしていますが、いかがでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の点につきましては、現時点では把握しておりません。

岡本(充)委員 そういう意味では、なかなか、ほかでは高齢化を理由に支給額を引き上げたという話がないわけでありますが、あわせて、もう一度問いたいと思います。

 これは、ふやすなと私は言っているわけではないので、そこは誤解を招かないようにしてもらいたいんですが、なぜふやすのかということについてはっきりしておきたい。これは後ほどお話をしますけれども、十年後どういう議論をしていくかという、その前提になる話ですから、ここははっきりさせておきたいと思うんです。

 だから、私は実はレクのときにも言ったんです。高齢化という理由で増額をするということは、やはりほかの制度と横並びで見たときに理由として立たないのではないか、こういうお話をしたわけであります。高齢化だから、弔慰金だから、寂しいから、こういう話ではなく、どうして引き上げるのか、そこをもう一度詰めるようにお願いしていたはずですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 けさほどからの議論の中で御説明をいたしておりますけれども、今回、繰り返しに若干なりますけれども、戦没者の御遺族から、高齢化が著しい戦没者遺族は孤独な生活境遇にある者が多い、それから、戦没者遺族には国は戦没者を忘れないというあかしをぜひ示してもらいたいということで、戦後七十周年の特別弔慰金の継続そして増額についての御要望をいただいておったわけであります。

 厚労省として、こうした御遺族の皆様方の声を最大限受けとめ、改めて、今日の我が国の平和と繁栄の礎となった戦没者の皆様方のとうとい犠牲に思いをいたして、そして、戦没者の御遺族に一層の弔慰の意を表するために、平成二十七年はちょうど制度創設から五十年目に当たるという大きな節目であること、それから、先生今御指摘になられましたけれども、高齢化が御遺族の中で進んでいること、さらには、償還額が据え置きとなっておりまして、平成七年以降の社会経済情勢の変化なども鑑みるというようなことを総合的に判断をいたしまして、年額五万円に増額することといたしたわけでございまして、高齢化だけというわけではないわけであります。

 そして、特別弔慰金というのは一体何なのか、その意味合いを考えてみますと、国として、今日の我が国の平和と繁栄の礎となった戦没者の犠牲に対して弔慰の意をあらわす、戦没者遺族に対しその意味で支給をするものであるわけでございますので、今、先生、年金の問題等お触れになられましたけれども、他の給付とは少しやはり制度の趣旨が異なるということから、比較はなかなか、単純には難しいかなというふうに考えているところでございます。

岡本(充)委員 大臣、どういうレクを朝受けられたかわからないですけれども、恩給の公務扶助料を受けられている方は、この国債はもらえないんですよね。恩給の公務扶助料が続いている、公務扶助料は生活扶助のためだと。

 今回、弔慰を示すのは、公務扶助料をもらっていたら弔慰が示されないというのはやはりおかしいんですよ。公務扶助料が終わって初めて国債がもらえる、公務扶助料を受けられる方がいなくなって。これは、本当に弔慰だと言うんだったら、公務扶助料とダブル受給は可能なはずですよ。これは、制度として、やはりここが整理できていないんだと思う。

 確認したいんですけれども、今回、公務扶助料と重ねての国債発行、あり得ませんね。事務方の方から。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 議員の御指摘はそのとおりでございますけれども、ただ、戦没者等の奥様に対するものにつきましては、別途の法律で、戦没者等の妻に対する特別給付金という法律で出しておりまして、そういったもので支給しているということもございます。

岡本(充)委員 ただ、遺族に対してのお金は出ないという意味においては、そういう国債は発行されないんですよ。

 本当に弔慰だと言うんだったら、公務扶助料と関係なく弔慰は示されるべきだと私は思う。ところが、実際のところは、生活扶助の色合いが濃いものだから、結局、公務扶助料とのダブル受給をとめている。

 公務扶助料の話、後で恩給の話もしますけれども、恩給もこの間ずっと据え置かれているわけですよ。社会経済情勢が厳しい、変化したと言われるけれども、こちらの方は変わっていない。その中で今回変えたというのであれば、高齢化だ。恩給だって受給者は高齢化していますよ。それから、孤独で寂しい。恩給受給者だってそうだと思いますよ。そういう意味でいったら、それは理由にならないんじゃないか、理由をもう少し整理するべきだということを、私は、この一週間、月曜日ぐらいからですか、ずっと言ってきたんです。

 ところが、ずっと同じ理由で五万円にしたと言っているから、それでは、この後で、本当に十年後また金額をどうするかといったときに、このたてつけでいったら、私は、次の十年後に厚労省としてその根拠を示すのは大変になると思いますよ。だから、事務方の方にも言いました。十年後、それぞれ皆さん、違うポジションに行っているからそこは知らないという話じゃなくて、ここでしっかり、はっきりさせておこうという話をしたわけです。

 ですから、大臣、もう一度、これは私も、繰り返しになりますけれども、ふやすことに反対すると言っているわけではないけれども、五万円にする理由をもう一度吟味して、その根拠を磨く必要があると思います。いかがですか。

塩崎国務大臣 我々としては、弔慰を示すという意味においてどうするかということを今回考えて、先ほど申し上げたような理由でこういうふうに増額をしたということでございますが、十年後を見据えてという話でありますけれども、おっしゃるように、今回、先生のような今の御意見を含めて、この国会でいただいた御意見を踏まえて、十年後を見据えて検討は続けていくべきなのかなというふうに考えておるところでございます。

岡本(充)委員 本当に残念です。今回五万円に上げるこの土台をしっかりやっておかないといけないと言っているわけで、十年先にこの話がまた困ることになりかねないから、今回五万円になる理由をきちっと、私は、政府見解としてやはりもう一度見直すべきだ、こういうお話をしているのであって、大臣、十年後にどうするかという話じゃないんですよ。

 やはりそこはきちっと土台をつくりましょうよ。そうしておかないと、やはりこれから先、御遺族の方も心配になる、どうなるかと思われる。そういう意味で、たてつけをもう一度整理するべきだ、こう言っているんです。

 もう一回だけ御答弁いただけますか。

塩崎国務大臣 先生のお考えはお考えとして、しかと受けとめたいと思います。

 今回の我々としての問題の整理は、先ほど申し上げたとおりでございまして、それを、先ほども言ったことの繰り返しはいたしませんけれども、高齢化ということだけではもちろんないわけでございますので、やはり、一言で言えば、弔慰を示すということに尽きるのかなというふうに思っておりますので、先生の御意見は御意見として、しかと受けとめたいというふうに思います。

岡本(充)委員 繰り返しませんけれども、本当に、公務扶助料をもらっている間はもらえないということも事実ですから、それはしっかり認識していただいた上で、もう少しこの話を進めていきたいと思います。

 特別弔慰金をもらえる方はどういう方なのか。準軍属という方がいるようでありますが、準軍属とはどういう方を対象にしているのか、その定義を教えていただけますか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の準軍属の定義でございますけれども、戦傷病者戦没者遺族等援護法にその定義がございまして、例えば、準軍属の中には、もとの陸軍または海軍の要請に基づく戦闘参加者とか、あとは、例えば、基地におきます、有給でお勤めになっている方とか、そういった方等が準軍属ということになっているところでございます。

岡本(充)委員 では、今回の特別弔慰金の支給について確認をしたいんですけれども、民間人で、軍と直接雇用関係がない方でも支給対象になっている方はいらっしゃいますか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、例えば、陸軍または海軍の要請に基づく戦闘参加者の方は、民間人であっても、準軍属ということでございますので、今回の対象となるケースがございます。

岡本(充)委員 そこで、ちょっと確認をしたいんですが、沖縄において、いわゆる民間人で、軍の関与のもと、軍の命令、指令のもと、集団自決をしたということで今回の支給金の対象になっている方は準軍属としていらっしゃるわけでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 ただいま議員御指摘のありましたケースにつきましても、対象となったケースがあるというふうに承知しているところでございます。

岡本(充)委員 既にこれは質問主意書への答弁としてこうした答弁があるわけでありますけれども、これは沖縄以外でも、例えばグアムやサイパン等においてもそういう事例があるのかについて調査をしていただきたい、こう思っているわけでありますが、いかがでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 ただいま議員御指摘の点でございますけれども、まず、どのような方法でそのような調査が可能かどうかを含めて検討させていただきたいというふうに思っているところでございます。

岡本(充)委員 あわせて、戦地での女性で、同様に、こうした弔慰金の支給の対象になっている方がいらっしゃるのかについても確認をしていただきたい。

 どういう方が対象になっているのかというのを明確にすることは、実はもらえる可能性があるのにもらえていない人もいるという観点もある、こういうふうにも思っていますので、女性でもどういった方がいらっしゃるのか調べていただけますか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 ただいま議員御指摘の点につきましては、先ほどの答えと同じでございますけれども、まず、どのような方法でそのような調査が可能かどうかを含めて検討させていただきたいというふうに考えているところでございます。

岡本(充)委員 大臣、これは非常に重要な問題をはらんでいて、国としては、政府としては、もう既に閣議決定もされている答弁書です。これは、平成十九年の六月二十五日提出、質問第四一九号ですか、沖縄戦における集団自決をめぐる教科書検定に関する質問主意書。

 これは私のではありませんけれども、これを読ませていただくと、「沖縄戦における住民の犠牲者のうち、戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用上、過去に戦闘参加者と認定されたものについて、その過程で軍命令があったとされた事例がある。」として、自決の命令が下されたか否か、どれだけの人がいたかということについては定かではないけれどもということでありますが、こうした方がいたということを認めているわけですね。

 ということであれば、政府としては、これはやはり、軍の命令が下されたもと、自決をされた方がいらっしゃる、こういう認識でいるということで間違いないわけですね。

塩崎国務大臣 答弁書でお示しをしたとおりで、今おっしゃったとおりでございます。

岡本(充)委員 ということであれば、これはいろいろな歴史家が検証して、さまざまな意見があるということも十分承知をしていますけれども、ほかの地域でもこうした、ある意味、軍の命令のもと、自分の意思に反して命を落とした方がいらっしゃるということについて政府として確かめるという意味でも、先ほどお話をした、沖縄以外のところについても調べるということは極めて重要だと思いますので、大臣、ぜひ、この七十年の節目の年に当たって、しっかりと調査をするという御決意をいただけませんか。

塩崎国務大臣 これは、公務傷病による死亡と認められる例があるかどうかという御指摘、特に沖縄県以外、そしてまた女性についてお話をいただいたわけでございまして、先ほど事務方から答弁したように、どのような方法でそのような調査が可能かどうかということを検討してみたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 今お話をしたとおり、この国の歴史を政府がどのように認識するか、これまで決めてきたかという過去の積み上げでもありますから、そこはぜひ検証されることを私は望みたいと思います。

 続いて、きょうは総務省にも来ていただいています。

 これは、先ほどお話がありましたような、今回支給される方、要するに亡くなられた方の認定の方法は、総務省における恩給の支給の決定とも同様にリンクしていると承知をしていますが、いかがですか。

田家政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の、公務による死亡かどうかということでございますが、戦前は、恩給局というのがございまして、そこでもってその考え方をお示ししていたというふうに私は承知しております。

 それが、戦後は、厚労省を経て、厚労省の方から、旧軍人の方々の申請につきましては、恩給局の方に申請されるというふうなことに相なったわけでございますので、その考え方が厚労省に引き継がれて、厚労省の方で一義的には御判断をされるというふうに聞いておりますが、私どもの方の考え方と厚労省の方の考え方とでそごを来しているとか一致していないとか、そういうふうなことは一切ないというふうに考えております。

岡本(充)委員 これは、厚労省の決定が総務省の恩給にも影響しているわけですね。したがって、厚労省でどのように認定して、どういう方が戦没者かということを決めているというのは極めて他制度にも影響しているということでありますので、そこはもう一度しっかり調べていただきたいと思います。

 続いて、恩給のことについて、恐縮なんですけれども、きょう皆様のお手元にお配りをしましたペーパー、一ページ目は、もう皆さん御存じの年金の特例水準の解消の話で出てきた特例水準と本来水準のペーパーです。ちょっと前後して申しわけありません。三ページ目が、一方で、年金、いわゆる国民年金の改定率と恩給の改定率がどうかという話であります。

 実は、被用者年金を含めて一元化をしていく、そしてまた、さまざまな年金を一本にしていくという話の中で、恩給については、その改定のあり方、検討の仕方が少し違っている。

 したがって、実は、今でも、恩給について、国民年金の改定率よりも実は高い水準にあるのではないか、こういうふうに私は思っているわけでありますが、本来水準との間に、本来水準、要するに、国民年金と同様のスライドをしたときと比べて、恩給は今、支給額が多いという状況であるということは総務省として認めていただけますか。

田家政府参考人 お答えいたします。

 恩給改定につきましては、平成十九年の恩給法改正によりまして、従来の公務員給与、物価をもとに総合勘案する方式から、国民年金の引き上げ率による自動改定という方式に変更しておりますが、もともとは公的年金と違う考え方によりましてその水準を決めていたところでございます。

 したがいまして、恩給の水準と公的年金の水準に差があるということにつきましては、そういう事情で差が生じているというふうなことであるというふうに考えております。

岡本(充)委員 事情を聞いているわけじゃなくて、現に今、国民年金と同じ改定率をとっていた場合には、恩給は、本来、今支給されている金額よりも少なくなりますよねと聞いています。それについて端的に、少なくなるのか、それとも今と変わらないのか、はっきり答えてください。

田家政府参考人 お答えいたします。

 恩給の年額水準についての現在の改定の考え方を離れまして、先生の方から、仮に国民年金が実際に引き下げられた場合の引き下げ率というものを各年度の恩給年額に適用した場合、恩給予算額がどうなっていたのかというふうなことについて試算をしてほしいというお話がございました。

 その結果を御報告させていただきます。

 その結果は、平成十五年度以降、国民年金が引き下げられておりますので、平成十五年度以降、来年度、二十七年度までの国民年金の引き下げ率を恩給に反映した場合、恩給の予算額は幾ら減ったのかということになりますが、実際の恩給の予算額との差は、累計で一千五百三十億円。仮に年金が下がった年度において同様に恩給の引き下げを行っていたとしたら、十三年間で計千五百三十億円の減額となったというふうなことに相なります。

 なお、これはあくまでも仮定の上での計算結果であるということを申し上げさせていただきたいと存じます。

岡本(充)委員 これは二ページ目に、総務省からもらった資料をつけているんですね、皆さん。

 それで、今おっしゃられたように、平成二十七年度単年度でも百十九億円実は支給額が多い。本来の改定率で、本来というか、国民年金と同様の、要するに、一般的な国民が受け取っている年金の改定率と比較をしたときの改定のあり方というのは、私は、確かに平成十九年の法改正のときの法律は各党の合意のもとで成立したとは承知をしていますが、以降も、国民年金が厳しい状況にある中で、恩給の支給金額が多いという現状を委員各位にもやはり知ってもらって、その上でこれからどうするのかという議論があり得るべきではないか。

 法改正からは既に八年たっていますから、こうしたことをきょう皆さんに御紹介させていただいたわけであります。

 年金の絡みでいうと、もう一つ私は気になることがあって、少し、きょうは年金局長にもお越しいただいていますけれども、今、年金のGPIFの運用のポートフォリオ、株式ポートフォリオを見直したという話でありますが、いかがですか。年金の運用のポートフォリオ、株式の比率を高くするということで日本のいわゆる日経平均株価が上がったのではないかという指摘があると思いますが、こうした情報を公表される前に知り得る立場にある人はどういった人なんですか。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 ポートフォリオの見直しは、GPIFにおいて検討がされているわけでございますが、私ども行政サイドと申しますか厚生省サイドで申し上げますと、ポートフォリオにつきましては、御案内のように、非常に市場の関心も高い、いろいろな、さまざまな臆測が出る、市場に影響を与えるものでもございますので、情報管理については、非常に厳しい情報管理を行うということで、厚生労働省内におきましては、事前に情報を知り得る者はごくごく限られた人間に限定をいたしております。

 具体的に申し上げますと、私、年金局長と、運用を担当しております大臣官房の参事官、その下に事務を担当する職員、基本的には、一般職の職員では、この三人以外は事前にGPIFに関するポートフォリオの見直しの議論については承知をしていない。

 あと、一応、大臣には御説明申し上げますので、その際には秘書官が陪席をいたしますので、この者が承知をしているということで、それ以外の者は具体的には内容は承知していないということでございます。

岡本(充)委員 いや、これは財務省も知っているんですよね。財務省の職員も、一般職の方、御存じなんですよね。そういう意味では、一般職でほかに知っている方もいらっしゃるんです。

 それで、何が言いたいか。これは、年金局の職員が株の取引をすることについて、局内の内規で、平成二十一年四月から、ある意味、慎むようにということで、誤解を招かないようにという通知を出していることは承知をしていますが、GPIFの職員、この基本ポートフォリオを変更するに当たって議論する人たち、この人たち、株式はもちろん禁止をされているとは承知していますが、例えば、日本株、日経平均株価に連動する投資信託を買うこと、これは禁止されていないんじゃないですか、年金局の職員も。いかがですか。

香取政府参考人 投資信託につきましては、基本的には、銘柄指定をしないでパッケージで取引をするものなので、直接、運用の情報等々にかかわるものとして取引が行われるわけではないので、恐らく、ちょっと確認をしますが、いわゆるNISAみたいなものは、私どもも含めて、そういう一般的な、パッケージ商品になっている投資信託については特段の規定はないと思います。

 基本的に、GPIFにつきましても、私どもと同じように、管理運用業務を行う者については、秘密の保持と盗用については禁止規定が書いてございます。

 それから、先ほどの財務省のお話ですが、最終的に大臣協議をしなきゃいけないので、向こう側に協議いたしますが、今回の例でいきますと、実際に認可をいただく当日に行っておりますので、事前といえば事前ですけれども、ほとんど時間差のない形で情報が行くということでございます。

岡本(充)委員 局長、これは通告しているんですよ。

 投資信託で、日本株連動型といって、日経平均株価に連動して上がっていきます、そういう投資信託があるわけです。こういう投資信託だったら、日経平均株価が上がることがわかっちゃっているわけですから、こうした投資信託、個別にどこに投資するかは別として、日経平均株価に連動するわけですから、当然利益が出ることが事前にわかっちゃう。だから、私は、これもきちっと禁止をしていく、投資信託にも網をかけるべきだと言っているわけです。それについて、いかがですか。

香取政府参考人 結論から申し上げますと、規制はしておりませんが、事前に、ポートフォリオが動いたときに、日経平均全体の株価が必ず上がる、あるいは必ず下がるという、個別の株式について情報があってインサイダーで株が動くということはあり得ますが、日経平均が動くかどうかということは、必ず上がるということではないので、その意味では、一般的に行為規制としてやるということはちょっと難しいかと思うんですが。

岡本(充)委員 だって、株式市場に入るお金ががんとふえるんですよ、何十兆単位で。それで日経平均株価は上がらないと言っているんだが、大臣、どうですか。上がらないんですか。一般的には上がる傾向が強いんじゃないですか。

塩崎国務大臣 株価はやはり市場で決まるものでありますので、一プレーヤーだけの動きでどうのこうのということはないんだろうと思うんです。たまたま同じ方向を向くということは、それはあるかもわかりませんが、個別銘柄を、今局長から答弁したように、インサイダーとして何か情報を持っているというときとは全く違う話であります。

 ただ、今お話がありましたように、株式についても規律があるように、やはり、資産運用全般に関しても規律があってしかるべきというふうに考えることは自然な発想だと私も思います。

岡本(充)委員 では大臣、どうですか、李下に冠を正さずで、ここは投資信託もきちっと規制の網をかけるということで、省内そしてまたGPIF、こうした方向で御指導いただけますか。

    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕

塩崎国務大臣 GPIFの役職員について、GPIF法の規定によって、年金積立金の管理運用業務に係る職務に関して知ることができた秘密を漏らし、または盗用してはならないというふうになっております。

 したがって、今御指摘のことは広い意味で盗用に当たるというふうに思っておりますので、広くこれで縛りはかかっているというふうに私どもは理解をしているところでございます。

岡本(充)委員 では、もう少しちょっと聞いてみたいんです。きょうは総括審議官にも来てもらっています。局が違うというか、総括ですから答えてもらおうと。

 ほかでもあると思うんです。例えば、医薬局、医政局経済課。やはり、例えば新しい医薬品の情報とかが入ると思います。こういった皆さん方の株の私的運用、投資等についてはどのように制限をかけていますか。

宮野政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、国家公務員それから厚生労働省の職員につきましての株取引の件でございますけれども、まず、国家公務員倫理法に基づきまして、本省の審議官以上の職員については、毎年、株取引の報告書を提出しなければならないということになっております。

 それに加えまして、平成七年の事務次官等会議申し合わせで「国家公務員の株式の取引について」というのがございます。この中には、所管する企業の株式の取引については職員に取引自粛等の措置を講ずること等が規定をされております。

 厚生労働省におきましても、これに基づきまして、例えば今先生から御指摘がありました医薬食品局等々について、必要な徹底を行っているところでございます。

岡本(充)委員 ほかの省庁でも、それはそれぞれあるでしょう。

 ただ、今の話で、厚生労働省は、やはりいろいろな意味で国民の皆さんに近い役所であり、いろいろな皆さんの大変厳しい目にも日々さらされているところもあるわけでありまして、大臣、ここはもう一度、どういう規制のあり方がいいのか、これは、今言った投資信託も含めて、では、少なくとも、検討するという御答弁はいただけませんか。

塩崎国務大臣 基本ポートフォリオもああいう形でかなり大きく変わっておりますから、先ほど申し上げたように、規律をきちっとしておくということについて私は全く異論はございませんので、何ができるかということを含めて検討していきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 最後に、ちょっと違う質問を少しさせてください。保育の話を時間まで、残り、少しだけやらせていただきたいと思います。

 私は、本当に保育を充実していくことが重要だなと思っているんですね。一つ大きなポイントとして、私は病児保育をもっと全国に広げていきたいなと思っています。

 病児保育の基準を厚生労働省がつくっていますが、きょうは局長にお越しいただいています。

 確認をしたいんですけれども、市町村がそれでいいと言えばという前提のもと、病院やクリニックの診察室の中の一部スペースを専用スペースとして、そして、そこを移動可能なパーティションやカーテンなどで仕切ったときに、そのスペースを使って、必要な人員を確保する、例えば看護師さんは、そこの医療機関の職員を日々ローテーションさせて、同じ、専任の人ではないけれども必ず誰かはいるというような状況で確保をした上で、保育士を三人用意する、四人用意する、規定どおり来ていただければ、これは、院内で病児保育は可能、補助金をもらう保育が可能になる、こういう理解でいいか。本当に時間が限られていますので、端的にお答えいただきたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 病児保育につきましては、病院、診療所等に附属して設けられた専用スペース、あるいは専用施設を設けて実施することとしております。この専用スペースについては、保育室及び児童の静養または隔離の機能を持つ観察室または安静室を有する等の要件を満たし、市町村が適当と認めたものとされているところでございます。

 現在、主要なタイプとして、医療機関併設型、保育所型がございますが、このうち医療機関内に併設して行う医療機関併設型の場合は、急性期の子供の受け入れや感染力の強い疾患の子供を受け入れることが想定されることから、できる限り医療部門と独立性を確保することが望ましいと考えております。

 一方で、病児保育のニーズは非常に高いところで、御指摘のように、事業者をふやしていくようなことも重要だというふうに考えております。

 この事業は、受け入れる子供の想定される状態や施設の状態に応じて、隔離室を有するというものからそうでないものまで、比較的幅広い対応の仕方が可能でございます。

 パーティション、カーテンというお話がありましたが、一般的にそれが大丈夫だというふうなところまではちょっと難しいかなとは思いますけれども、個々の施設の状態によって事情が異なる中で、市町村において適切に判断されるものと考えております。

岡本(充)委員 局長、端的にもう一回だけ。

 では、何でパーティション、カーテンではだめなんですか。だめとは言わないんですよね。それを市町村がいいと言えばそれでいい、そういう理解でいいですね。端的に、それだけ答えてください。

安藤政府参考人 要綱に定められた要件に従いまして、児童の安静が保たれる状態である、また、児童の保育に適した状況が確保される、衛生面の配慮も含めまして児童の養育に適したものと認められるような環境であるということを市町村に判断していただく、そういうことでございます。

岡本(充)委員 その前提の上で、市町村で適切に判断していただければ否定はしないということだと理解をするわけですが、それがだめだというならもう一回最後に答弁を求めたいと思いますし、あわせて、こういった、より簡便にできるんだということをもっと周知するべきだと思いますけれども、市町村にこれをしっかり周知してもらえますか。

安藤政府参考人 幅のある、簡便な方法も含めまして、工夫ができる制度であるということについての周知は、させていただきたいと思います。また、事例もいろいろ勘案いたしまして、簡便な取り組みというものについても周知をさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 私のお配りした最後のペーパーは、これは医政局がやっている方の、院内保育の話でありまして、これを見ると、同じく病児保育、これは全然進んでいないんですね。二十四時間の保育もないところもあれば、申しわけないですけれども、都道府県によっては、そもそもこうした交付決定すら受けていない都道府県もあるわけでありまして、これはすごく差がありますね。

 大臣、こういった状況なので、やはりこれはかなりむらがありますよ。ぜひ、院内において二十四時間保育、しかも病児保育、だって、病院の中ですもの、病児保育ができないはずはないんですから。

 これはどうですか、大臣。ぜひ、なぜ交付決定がされないのかという理由を含めて、しっかり調査の上、進めていくという御決意をいただけますか。

塩崎国務大臣 御指摘のように、この院内保育は私も大変重要だと思っております。

 平成二十五年度までも、国の補助事業として、都道府県の実情に応じた取り組みを支援してまいりました。平成二十六年度以降は、消費税増収分を活用した地域医療介護総合確保基金というので、その事業としての実施が可能となったわけであります。

 二十五年度には実施していない県が三県ありましたけれども、二十六年度において、都道府県の計画策定に資するように、病院内の保育所の運営に関する支援が今申し上げた基金の対象事業である旨をお示しした結果、二十六年度に実施を計画していない県は一県というふうになっております。

 今後とも、病院内保育所の運営支援を含めた医療従事者の確保対策が着実に実施されるように、具体的な基金事業の例を周知するなど、都道府県に対して積極的に働きかけてまいりたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 最後になりますが、大臣、これは、読まずにぜひ、政治家としてこれを進めたいと本当に思っているんだったら、何でこんなに進まないか、原因を探さなきゃいけないと思いますよ。やはりこれはおかしいですよ、ゼロとか。

 やはり、これはどうして進まないのかというのをしっかり大臣がリーダーシップを持って調べて、そして全国でこれが展開できるようにリーダーシップを持つという御決意を伺って、私の質問を終えたいと思います。決意をお願いします。

塩崎国務大臣 今申し上げたように、最終的に残っている一県というのは青森県であるわけでありますので、そこのところはもちろん調べてきちっとすることも大事だろうと思いますが、しかし、先生がおっしゃるように、これは非常に大事なことでありますのは私も全く同じ考えですので、全般的に、院内保育についてはできる限り前進させるように、私どもとしても、ふだんからちゃんと方向性を示して、そしてなおかつ都道府県とも話し合っていきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 その御連絡、お待ちしています。

 終わります。

高鳥委員長代理 次に、井坂信彦君。

井坂委員 維新の党の井坂信彦です。

 先ほどの委員の質問で幾つか質問がかぶっておりますので、支給額引き上げの理由及び今後の制度設計についてというところは飛ばさせていただきます。

 まず、時効失権についてお伺いをいたします。

 受給権があるのに請求されないまま、御自身に受給権があることも知らないままとかいろいろ理由はありますが、とにかく受給権があるのに請求されないまま三年たってしまって、そして時効で特別弔慰金の受給権が失われた、こういう時効で権限を失う時効失権の件数をまず把握しておられるか、お伺いをいたします。

    〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕

谷内政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省としては、議員御質問の件については把握しておりません。

井坂委員 把握をしていないということでありますが、先ほど来質疑でずっとありますように、今回の弔慰金の趣旨は、とにかく弔慰を示すということであります。そういう意味では、請求権がある方、御遺族というのは、当然、御自身が気づいておられようがおられまいが、国として弔慰を示すべき対象に間違いないというふうに思うわけでありますが、弔慰を示すべき方に弔慰を示せていないということは大変問題でありまして、まず、こういう方がどれだけいるか、件数を調査すべきではないでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 我々としましては、この特別弔慰金につきましては、確実に受給者の方に受給していただけるようにしていきたいと考えておりまして、広報等につきましてはきちっとやっていきたいというふうに考えているところでございます。

 議員御指摘の件につきましては、現段階ではそういった調査をすることは考えていないというところでございます。

井坂委員 ちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、先ほど申し上げたように、件数をまず把握ぐらいはするべきだというふうに思うんです。本来お渡しをすべき方にお渡しができていないわけでありますから、どれぐらいの規模でおられるのか。

 もちろん、広報などは今も一生懸命やっておられるわけでありますから、対策が足りている足りていないはまた後ほど議論したいと思うんですが、まずは、基礎的なデータとして、時効失権がどれほどあるのか、調査ぐらいはすると答弁をしていただけませんか。

塩崎国務大臣 私も実務的な仕組みをそう存じ上げているわけじゃないので、何が調査として可能なのか、つまり、受け取って、それを郵便局に行っていないという方がどのくらいおられるかということだろうと思うんですね、端的に言えば。ですから、それをどうわかるのかというのは、実務的にどうなっているのかを確認した上で、何が可能なのかということを考えてみたいと思います。

 先生がおっしゃるように、弔慰を示すというのに、それが現金化されていないということは、やはり弔慰がきちっと示されたかどうかというのは、せっかくですから、本当は、お渡しをするところで弔慰を示したということになるのが我々の解釈ではありますけれども、しかし、それをちゃんと実行していただくことを望んだ上でお渡しをしているわけですから、何が可能なのかということを考えてみたいと思います。

井坂委員 大臣、ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃった、現金化をしていないということだけじゃなくて、そもそもその請求すらしていないという時効失権の方もぜひ調べていただきたいというふうに思います。

 ちょっとまた基礎的なことからお伺いしますが、そもそも、受給権のある遺族というものをリスト化して、厚労省は把握をしておられないんでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 この特別弔慰金につきましては、前回、十年前の請求書類でございますけれども、請求書類に記載されている御遺族が、この基準日、平成二十七年四月一日において生存していること及び現住所を国において把握していないということでございますので、国において、そういった方がどれだけいらっしゃるかということを個別には把握していないところでございます。

井坂委員 前回の受給者が百二十七万人で、今回の受給見込み者は百二十三万人というふうに伺っておりますが、てっきり私は、百二十三万人、大体どういう方がおられるのか、厚労省はリストを持っておられるのかと思いましたら、その辺も割と大ざっぱに、人口統計で、百二十七万人おられたのがこのぐらい減るだろうと。減った中で、これぐらいは兄弟がいるのでこっちに移るだろう、移った兄弟の中でどれぐらいが請求するだろうと、何かかなり大ざっぱに数字を出しておられるというふうに事前に伺っております。

 これは、やはり本来の受給権者というのは本当に把握できないものかなというふうに思っておりまして、実際の事務は、厚労省ではなくて、戦没者の本籍地がある都道府県が実際に戦没者の遺族の家族関係を調査して、どなたに最優先の受給権があるのか、また同じ順位の受給権者がいたらその中でどなたが受給されるのかという、いわゆる裁定というのを都道府県が行っているわけであります、前回も。ということなので、都道府県は少なくとも家族関係まで含めて完全把握をしないと裁定できないわけでありますから、していると思うんです。

 そうすると、都道府県と連携すれば厚労省も受給権者がどれだけいるのかというのを把握可能ではないかというふうに思うんですが、ちょっと技術的にどうでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 今議員御指摘の、十年前の百二十七万人でございますけれども、当然、十年前の情報でございますので、十年後になった平成二十七年四月一日においてどういう状況になっておられるかということを改めて事前に調査するということはなかなか難しい面があるのではないかというふうに思っているところでございます。

井坂委員 今回、時効失権のことを私が問題にしておりますのは、十年前に請求をされた方、この方はもちろん御自身に受給権があると御存じの方ですので、その方が御存命であれば、もちろん、また十年たった今回も自分は最優先順位の遺族だと御自覚がありますから、今厚労省がやっておられるように郵便局からリーフレット一枚届ければ、ああ、もう十年だな、自分がまた請求すればいいんだなということで、請求漏れは防げるというふうに思います。

 請求漏れが起こる可能性があるのは、十年前に受け取った方がこの十年で亡くなっておられる場合、これはこの時代ですから非常に多いと思うんですね。その場合に、次の受給権がある、次の優先順位の戦没者遺族の方は、御自身に受給権があるということを気づかないケースが間々あるのではないかというふうに考えております。

 ですから、十年前に受給しておられた、請求された方が御存命なのかどうかというのは、これは非常に重要なポイントだというふうに思っておりまして、今、先におっしゃいましたけれども、そこは把握しておられないということであります。十年前に受給された方が亡くなったのか御存命なのか、厚労省は把握しておられないということであります。

 実際、十年前に受給した遺族が亡くなった場合どういう手続をされるかといいますと、記名国債ですから、そこに亡くなった方の名前をもともと書いてあるんですね。それが、そのお子さんなどに記名国債が相続されますので、相続するときに、当然名前を書きかえる手続が発生します。それを取り扱いしている郵便局から、もうこの方は亡くなったので、その相続先のお子さんに名前を書きかえてくださいという書きかえの手続が日銀に依頼をされて、書きかえ手続が必ずされているはずなんですね、十年前の受給権者がこの十年で亡くなった場合は。そこを見れば、どなたが亡くなったかというのは私は把握可能ではないかというふうに思うわけであります。

 十年前の受給権者が実際亡くなって、記名国債を相続した、どなたが相続したのか、そこがわかれば、その方は当然今御存命じゃないですから今回請求してこないですけれども、次の優先権者がその背後にいらっしゃる可能性は高いので、そこに着目して時効失権を防ぐという手が打てるというふうに思うんですが、記名国債の書きかえをもとにこの十年で亡くなった方を把握することの可能性について、どなたかお願いいたします。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 ただいま議員御指摘の、受給権者が亡くなられて書きかえが行われたということで、さらにそういったことで把握できるのではないかということでございますけれども、名前をかえるだけの情報しか例えば日銀では持っていないという状況でございますので、それだけをもって、ただいまどこに受給権者がお住まいなのか、本当に受給権者なのかということを把握することはなかなか難しい面があるのではないかと思っております。

井坂委員 日銀はそういうことだというのですけれども、細かい話で申しわけないです、もともと、十年間、ずっと毎年四万円ずつ国債を現金化する手続を、郵便局に結構なお金を渡して委託しているわけでありますが、その郵便局はもう少し把握ができるのではないでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 今回、特別弔慰金の支給に当たりましては、郵便局と連携してやっていきたいというふうに考えているところでございますけれども、ただいま議員御指摘のようなことを郵便局ができるかどうかにつきましては、当方からなかなか申し上げることはちょっとできないということは御理解願いたいというふうに思います。

井坂委員 ちょっと細かいことをお聞きし過ぎて申しわけありませんでした。

 大臣にまとめてお伺いをしたいと思いますが、この時効失権を減らすということで、一つは、私が申し上げた、特に、十年前にきちんと請求されたけれどもこの十年間で亡くなった方は、次に、その次の優先順位の方が請求をされないという形での時効失権が起こる可能性があるというふうに私は思っております。ふだん、これまでされておられる広報は私は別に否定するものではありませんが、まさに戦後六十年、七十年たって、多くの方がもうお年になられて、亡くなられる方もふえているこのときに、こういうパターンの時効失権は次の十年も非常にふえるというふうに思うんです。

 何らかの形で受給者が亡くなったということを把握していただきたいというふうに思うんですが、最後に大臣に一言、今の議論を聞いて、何か打てる手があればやるというふうに言っていただけないかどうか、お伺いをいたします。

塩崎国務大臣 先ほど来事務方から、なかなか難しいということを申し上げてきているわけでありまして、しかし、今の先生のお気持ちは、先ほど申し上げたとおり、弔慰をあらわすということが果たせるかどうかということでもありますから、技術的にも、これは総務省などの協力も、あるいは郵便局も含めて、先生今御指摘のように、一体何が本当にできるのかということは、先生の今の問題提起も受けて考えてみたいと思います。

 今までのところではなかなか難しいということではありますが、なお今の気持ちを受けて、何ができるか考えてみたいと思います。

井坂委員 今、事務方の方が難しいとおっしゃったのは、ちょっと細かいところまで通告をしていなかったものですから、本当に郵便局ができるかできないかの詳細な検討の上、難しいとおっしゃったわけではないはずですので、ちょっとそこの可能性も含めて追求をしていただきたいというふうに思います。

 次に、請求から交付までの期間の短縮についてお伺いをいたします。

 現状、受給権者が特別弔慰金を請求してから実際に記名国債が交付されるまで半年近くかかるんだというふうに伺っております。これはもうこれ以上短縮できないのかどうか、まずお伺いをいたします。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 特別弔慰金の事務処理手続でございますけれども、まず、居住地の市区町村で受け付けられた請求書を戦没者の本籍地の都道府県において裁定し、その結果は厚生労働省に報告、その次に、厚生労働省は財務省へ国債の発行請求を行い、国債は日銀から居住地市区町村に交付されまして、請求者は市区町村から受領することになっている、そういう手続をとっているところでございます。

 議員御指摘のように、この手続をもう少し早くできないかということでございますけれども、厚生労働省といたしましては、御遺族の高齢化を鑑みまして、できる限り国債の発行を迅速化するべく、請求書の受け付けから審査、裁定までの事務の促進を図るため、実際に請求書類を受理して必要書類が整うよう請求者に教示などを行います市区町村及び裁定事務を行います都道府県に対しまして、事務処理マニュアルを配付するほか、研修会を実施するなど、事務処理期間の短縮化に努力していきたいというふうに考えているところでございます。

井坂委員 事前に事務方との詳細な打ち合わせの中で実際既に聞いているんですが、請求から交付まで半年近くかかる、もし仮に、請求をした方がこの半年の間に亡くなられた場合どうなるんですかと事前に聞きましたら、亡くなっても、その方のお子さん、相続相手に実際もう最初から記名国債が交付されてしまうんだ、こういう話でありました。

 つまり、請求から交付までの間に請求権者が亡くなった場合、私は、本来であれば次の優先権を持つ遺族、遺族の相続先のお子さんというのはもう戦没者遺族ですらないケースが多いと思いますから、そうじゃなくて、次の優先権のある弟さんなり妹さんに記名国債が最初から交付されれば本来の姿だなというふうに思うわけでありますが、残念ながら今の仕組みでは、ここが半年かかる上に、この間に請求権者が亡くなった場合はそのお子さん、相続相手に最初から行ってしまう、こういうことになるわけです。

 ちょっと大臣にお伺いをしたいんですが、先ほど大臣は答弁の中で、やはり現金が支給されたときが、それが弔慰なんだというふうに非常に明快におっしゃったわけなんですけれども、これはやはり受給権者の子がいきなり最初から相続されてしまう、しかも、この間が六カ月、五カ月かかるということであれば、そういうケースも決してまれなことではないというふうに思います。

 これは弔慰すら示せていない。要は、最初からもう戦没者遺族の相続相手である戦没者遺族じゃない人に行ってしまうということが、今後、これも全然レアケースじゃないというふうに思うわけでありますが、弔慰とそれから実際の支給、しかもお金の段階での支給ということの関係について、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど私は、現金化するときが弔慰をあらわしたときだというふうに言ったのではなくて、渡したときがまず、渡したというのは、記名国債を渡したときが弔慰をあらわしたときだというふうに申し上げたので、そこは正確にしておきたいと思います。

 今の相続のお話でございますけれども、この弔慰の意をあらわした受給者が、国債を受領後、償還の終了前に亡くなったという場合のことを今おっしゃった……(井坂委員「いや、請求から国債を受け取るまでのこの六カ月間」と呼ぶ)受領前の。

 質問は何でしたっけ。もう一回。

井坂委員 大臣が今答弁されたとおり、国債が実際御遺族の手に渡るときが弔慰なんだと大臣はおっしゃいましたので、今私はまさにそこを問題にしておりまして、請求をしてから国債が、現金化される前のこの紙、国債自体が届くまでに現行五、六カ月かかるんですね。請求者がその五、六カ月の間に亡くなる可能性も、もうこの御年齢ですと全然レアケースじゃないというふうに思います。

 その際に、この紙が、本来、例えば私が請求して、これが来るまでの五、六カ月の間に私が死んだ場合、次の遺族である私の妹、弟にこの紙が行くのではなくて、私の子供、戦没者遺族でも何でもない私の子供にこの紙がいきなり初回から行ってしまうんです。

 だから、大臣がおっしゃったように、これが渡るのが弔慰だとしたら、何にも関係ない私の子供に弔慰を示すような形になってしまうので、ここの短縮は思ったより大事なことなんじゃないですかという話をしているんです。

塩崎国務大臣 おっしゃるように、この処理が進んでちゃんと受け取っていただいておられれば、その後にお亡くなりになれば、今のような相続が発生しても、弔慰は伝わった上でそういうふうになるということでございます。

 そういう意味において、やはりここは事務処理期間をどうやって短縮化してこの弔慰を受け取っていただくかということが大事なので、先生御指摘のように、ここのところを短くしていくということは大変大事で、今お話し申し上げているように、ここについてはあらゆる手を使って短縮化に努力をしていかなければならないというふうに考えております。

井坂委員 ちょっと正確に伝わらなかったと思いますが、この紙自体がもう戦没者が受け取れないケースが今後結構予想されるということなんです、その事務手続がかかり過ぎているので。請求した本人がそもそもこの紙すら受け取れないケースが、結構珍しくない可能性で起こるというふうに思います。その点をちょっと質疑をさせていただきました。

 あと、時間が限られてまいりましたが、国債発行以外の方式で考えられないかということについてお伺いをいたします。

 今、このやり方ですと、国債の償還手数料として、財務省から郵便局に四十六億円も支払われております。それから、記名国債なので、交付手数料として日銀に四億円。国債であるがゆえにコストがその分かかっているようにも見えるわけでありますが、仮にこれを現金支給にすれば、償還手数料など余分なコストがかからないのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど来申し上げているように、弔慰をあらわすというのが、今先生がお手持ちの記名国債の受け取りということでございまして、これは、現金で支給するのではなくて記名国債という形でこれまで営々としてやってきたわけでございまして、毎年償還を受けていただくということでございます。

 この方法は、昭和四十年の制度創設以来、五十年間継続しておりまして、御高齢になられた御遺族にとっては、国債を受け取ることが、こういうことで国が弔慰を示してくれているということを確認してこられたんだろうというふうに思います。

 ですから、この仕組みを変更するということは、御遺族の皆さん方にも、心理的にも混乱が、あるいは若干の違和感も感じられる方もやはり多いのではないのかなというふうに思いますので、私どもとしては変更する気持ちはないわけでございます。

 コスト的にどうなんだというお話でございましたが、これを見てみると、これは財務省が所管していますけれども、今の、記名国債の製造費で約九億円、それから償還等の手数料、これは郵便局の手数料でもありますけれども、これで約五十億ということであります。その前に、今先生が問題にされておりました請求と裁定に至るまでの経費、これもかかるわけですが、これで大体我々は二十七億円ぐらいかなというふうに見ております。

 これをもし現金で行ったらどうだろうかという御提案をいただいているようでございますが、実は、請求、認定の経費を、我々としては、これは毎年一回、請求を受けて認定をやるということを毎年やるという仕組みで多分御提案をいただいていると思うんですが、それをやると、今申し上げた、二十七億円と我々が言っているのは二回分ですので、一回は十三・五億、これの十倍ということで約百三十五億かかることになりますので、トータルでいくと、税金の投入額は政府案で今やっているやり方の方が少ないというふうに我々は考えているところでございます。

井坂委員 コストの中で半分以上広報費が入っていたりとか、そこはいろいろ議論があるんですけれども、ちょっと時間もあれですので。

 今回、これは、やはり国債を手渡す、お届けすることで弔慰を示す、それを十年に一回を五年に一回に変えるんだ、こういう趣旨でおっしゃっておりました。

 我々は、途中で受給した方が亡くなって、それが相続されて、戦没者遺族じゃない方が戦没者遺族より優先してそのお金を受け取る問題が法の趣旨に反しているのではないか、また、弔慰をあらわす回数をよりふやせないか、こういう趣旨で今回修正案を出させていただきたいというふうに思いますので、また後ほど審議をいただければというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 戦傷病者、戦没者の身近な親族に対する特別給付金または特別弔慰金の制度は、それぞれ妻や父母などを対象として四種類あるかと思います。

 戦後七十年に当たって、本年は、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給を、改めて向こう十年間、年四万円から五万円に引き上げる形で給付をしようとするものであり、賛成であります。

 これらの給付の根拠は、国による使用者としての国家補償であること、戦傷病者戦没者遺族等援護法第一条にも明記をされております、並びに、国による慰藉または弔慰をあらわすとされているわけでありますが、このことを改めて確認し、また、その認識について、戦後七十年に当たって、大臣に伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 戦傷病者戦没者遺族等援護法、この法律は、国と雇用関係にあった軍人軍属等が、公務等による傷病によって障害の状態になって、または亡くなられた場合に、国家補償の精神に基づいて、国が使用者の立場から補償を行うというものでございます。

高橋(千)委員 改めて、七十年に当たっての大臣の認識というのを伺いたかったわけですが、書いてあることを確認されただけでありました。少し思いがなかったのかなと思って、ちょっと残念に思うんですが、後半にも趣旨を伺う場面がありますので、続けていきたいなと思います。

 そこで、前回、二〇〇五年、平成十七年改正では、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金が、国債発行が百二十七万一千五百五十七件であります。また、中間年を設けて、要するに、恩給を受給されていた方が亡くなるなどして新たに遺族としての受給者が発生するわけですよね、そういう方たちが支給を受けた件数は四万四千四百五十七件いらっしゃいます。これを、中間年ではなくて、十年刻みではなく五年刻みで、基準日を五年に設けるという改正にするわけですが、どのような効果が期待されるでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回の改正による特別弔慰金の支給対象者は、約百二十三万人と見込んでいるところでございます。

 また、これまで、戦後何十周年といった十年ごとの節目におきます支給のほか、このような節目の年以降に、法改正を行った上で、恩給法の公務扶助料や戦傷病者戦没者遺族等援護法の遺族年金等を受給されていた御遺族が亡くなった場合に、その御遺族を対象として、節目の年から四年目に特別弔慰金の支給を行ってまいりました。議員御指摘のとおりでございます。

 今回の、五年ごとに交付国債を交付するという改正によりまして、こういった方々につきましては、新たな法改正を行うことなく、平成三十二年の支給により、対象とすることが可能になるという効果がございます。

高橋(千)委員 実は、今、井坂委員から時効失権の問題が議論されていたんですけれども、私自身、この問題は繰り返し委員会で取り上げてまいりました。大阪で二人の女性が裁判もされて、本当に残念なことに、最高裁では、憲法違反ではないからという非常に非情な判決が出されたわけであります。

 私は、このことはやはり議員立法として乗り越えることができるんじゃないかということは重ねて指摘をしたい、このように思っているんですけれども、次善の策として、御遺族も高齢になっているのに、時効に気がついたときに、次はちゃんともらえるよと言われても、十年ですから、あと七年あったりするわけです。そうすると、本当に待てないという現実があるわけですよね。ですから、その次の機会が早く来ればということで、刻みを短くするという手があるんじゃないかという提案をしてきました。

 そういう点で、五年刻みということになったことでは一定改善になるのではないか、このように思っております。

 そこで伺いますけれども、政府として、時効により失権する方をなくすためにどのような努力をしてきたのか、簡潔に。また、妻の場合ですとある程度推計ができると聞いておりますので、戦没者、戦傷病者の妻、それぞれで、時効失権者数がどのくらいになり、金額にすれば幾らくらいか、お答えください。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 まず、政府としまして、時効により失権する人をなくすためにどのような努力をしてきているのかということでございますけれども、厚生労働省といたしましては、戦没者の妻等の特別給付金等につきましては、支給対象者の高齢化を踏まえまして、請求権が時効で失効しないよう、できる限り丁寧な対応を行っていくことが必要と認識しているところでございます。

 このため、広報誌等による制度周知を行ってきたところでございますけれども、特に、平成二十一年に改正されました戦没者等の遺族に対する特別弔慰金につきましては、総務省の協力も得ながら、恩給法や援護法の遺族年金等の失権届を提出した御遺族の方に対しまして、個別に制度の案内を行ったところでございます。

 また、平成二十三年に改正されました戦傷病者等の妻に対する特別給付金や、平成二十五年に改正された戦没者等の妻及び父母等に対する特別給付金につきましても、総務省より恩給受給者等のデータ提供を受けまして、申請の便宜を図る観点から、対象となる可能性がある御遺族に対しまして、国でできる事項についてあらかじめ印字した請求書を同封した個別案内を送付したところでございます。

 今回の改正におきましても、これまでと同様に、効果的な時効失権対策を確実に講じていきたいというふうに考えているところでございます。

 あと、議員御指摘の二番目の、特別給付金の時効失権者数及び金額についてのお尋ねでございますけれども、まず、戦没者等の妻に対する特別給付金でございますけれども、平成二十五年分につきましては、現在請求中でございますのでデータがございません。平成十五年改正分について申し上げますと、我々厚生労働省で把握しております受給権者総数から実際に請求、可決された人の数を差し引いたもので申し上げますと、平成十五年改正分で、約八千件で百六十億円となります。戦没者等の妻に対する特別給付金でございます。

 また、戦傷病者等の妻に対する特別給付金の時効失権者数でございますけれども、平成二十三年改正分につきましてはゼロ件、あえて五年前の平成十八年改正分について申し上げますと、約五百件で三億円という数字となっているところでございます。

高橋(千)委員 ようやっと少し効果が出てきたということではないかと思います。まだ、平成十五年は八千件、単純計算すると百六十億円の、本来は給付されるべき方たちが失効になったということになりますので、非常に悔しい思いをするわけですけれども、戦傷病者の妻の方は平成二十三年の時点でゼロ件になっている、そこまで把握できるようになってきたということでありますので、これが本当にもう出てこないように願うわけであります。

 そのときの、平成二十一年からの「戦没者等のご遺族の皆様へ」ということでの、弔慰金制度について広報したものを資料につけておきました。これと、これはわかりやすいですけれども、二枚目を比べますと明らかに違うわけなんです。つまり、一枚目にはないもので、二枚目にはアンダーラインを引いています。「この国債を時効により受け取ることができなかった方も対象となります。」つまり、前回のときに権利がありながら時効となって受け取れなかった方、今度は応募してくださいということを一生懸命呼びかけているわけですね。こういうことをやってきたということであります。

 ただ、実際に今、大変高齢化が進むことで、申請自体が非常に大変だと。もちろん、紙に印字をして、できるだけ簡素にということをやってくれているわけですけれども、今、全国では戦傷病者相談員五百四十二人、大臣が委嘱しているということであります。そうした方たちにも活躍をしていただいて、手続のところで挫折するようなことがないようによろしくお願いしたいと思っております。

 そこで、総務省にもきょうおいでいただいていますが、総務省所管の傷病恩給は時効がございません。このことを確認した上で続けますけれども、何十年たっても、戦争による障害あるいは重症化を認めているわけです。だからこそ、それが戦争によるものか特定するのが難しくて、今も恩給を認めてほしいという要望が強いものがございます。

 二〇〇二年、平成十四年に私自身が青森県議会で、こうした強い要望を受けて、傷病恩給の裁定に実は一年以上もかかる、決定されるまでの生活が成り立たない、あるいは間に合わなくて亡くなってしまう、このことで改善を求めたことがありました。それで、国会に届けてくれたわけですね、県の方で。その後も国会でも取り上げたことがございます。

 そこで、今、裁定状況がどのようになっているのかということと、行政手続法に基づく傷病恩給の標準処理期間は十三月になっているわけですけれども、実際それが短縮されてきたのかどうか、実績でお願いいたします。

田家政府参考人 お答えいたします。

 傷病恩給につきましては、傷病恩給の権利発生の時点の認定が非常に困難であることから、恩給法第四十六条第三項、爾後重症の規定によりまして、恩給審査会に付議され、給与をすべきというふうに認められたときから、将来に向かって給与がなされるということになっております。したがいまして、実質的に時効がないというふうな運用になっておりますが、戦後七十周年を迎える今日においても請求が絶えない状況になっております。

 傷病恩給の審査に当たりましては、公務との因果関係についての医学的な検討のため、どうしてもある程度の期間が必要となりますことから、過去五年分の総務省における処理実績を見ますと、給与案件については平均で二・八月から三・七月、棄却案件については平均で二・三月から三・三月の期間を要しているところでございます。

 総務省といたしましては、傷病恩給を請求される方が大変御高齢になっておられるということを踏まえまして、できる限り早期の審査処理に努めているところでございます。今後とも一層努力してまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今お話しいただいたように、標準処理期間は十三月と定めているわけですけれども、二・八から三・七月、また棄却は二・三から三・三月、これは、早く棄却されたというのは余りいいことではないかなとは思いますけれども、ただ、処理期間が非常に短縮されているということでは感謝を申し上げたいと思っております。

 その上で、傷病恩給の裁定状況、過去五年分、資料の三につけておきました。平成二十一年度から見ていきますと、容認されたのが三十一、それに対して棄却が五十七、その次は、容認が三十六に対して五十二という形で、ずっと見ていきますと、一番高いのが二十四年度の二十二対二十三で、四八・八%容認されている。ただ、あとは三割から四割台の率だということがわかります。

 そこで、資料の四を見ていただきたいんですけれども、今度、その容認の率が要するに三割から四割台である、それでは納得ができないということで、異議申し立ての制度、これをどれだけの人が使っているかという件数であります。見ていただくとおわかりのように、毎年二十件以上の異議申し立てがある。ただ、残念ながら、これがほとんど却下をされているわけです。まず、このことが一つ。

 それと、真ん中に米印がありまして、平成二十六年五月三十日に、内閣人事局の設置に伴って、恩給の裁定権者、これまでは人事・恩給局長だったわけですけれども、これが総務大臣に変更になった。これは、局長より大臣が偉いんじゃないかとかそういう議論ではなくて、あるように、異議申し立て、さらに審査請求と、二度チャンスがあったものが一度になる、あとはもう裁判しかない、こういうことにもなりかねないわけですよね。

 こういうことを踏まえて、審査請求の状況をどう評価しているのか、また、その上で、異議申し立てのプロセスが一段階になったことで影響はないのでしょうか。

田家政府参考人 お答えいたします。

 昨年の内閣人事局の設置に伴いまして、恩給法が改正をされました。裁定権者が総務大臣となったことから、処分に対する不服申し立てにつきましては、それまでの異議申し立てと審査請求の二段階制が、総務大臣に対する異議申し立ての一段階のものとなったところでございます。

 しかしながら、行政不服審査法における異議申し立て期間は六十日以内とされているのに対して、恩給制度においては引き続き一年以内というふうにしております。また、総務大臣が異議申し立てに対する決定を行う場合におきましては、高度な専門的知識を持つ委員により構成されている恩給審査会に諮問を行い、十分に審理をした上で決定を行うということにしております。このため、不服申し立ての権利は十分に保障されていると考えているところでございます。

 不服申し立てが二段階制から一段階制になったということのために、申請者に不利となったり、マイナスの影響が出ているというふうには考えていないところでございます。

高橋(千)委員 ほかの制度と比べて異議申し立ての期間が長いのであるということ、また、専門家が見るんですよというお話でありました。

 ただ、せっかく、最初におっしゃっていただいたように、これは実質時効がないんだと。取り返しのつかない問題でありますからね。そういう立場でやってきたことであるからこそチャンスは多い方がいいのではないかということを、何とかそこの気持ちをしんしゃくした対応をしていただきたいと思っております。

 実は、こうした問題をなぜ取り上げるかということなんですけれども、青森県の津軽半島に今別町という小さな町がございます。東北新幹線が津軽海峡に潜る直前の駅があるんですけれども、九十一歳になる小鹿さんという男性。実はこの方は、既に二度のプロセスを経て、とうとう総務大臣から、結果は却下である、しかし、これまでの労苦はねぎらいますという、大変、ある程度心のこもった趣旨のお手紙をいただいたわけです。それでも納得いかないとおっしゃっています。あとは裁判しかチャンスがないんですよと言われたわけですけれども、そうではない解決を望みたいとおっしゃっている。

 昭和十九年、旧満州で、ソ連国境の歩哨に立たされた。そのときの凍傷がもとで陸軍病院に入院して、その後も痛い足を引きずって、陣地づくりなどの任務についたといいます。それが原因で今も歩行困難。夜は足が冷たくて、若い方はわからないかもわからないけれども、あんかを入れないと眠れないのだと訴えているんですね。私自身、この方から何度も何度もお手紙をいただき、お叱りも受けました。

 きょうは、この裁定をどうにかしろと今言っているのではありません。ただ、戦後七十年たっても、傷病恩給を認めてほしいという要望が本当に強いこと、戦争による障害なんだということを認めてほしいというこの強い思いをどう受けとめていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

田家政府参考人 お答えいたします。

 傷病恩給を請求される方々は、さきの大戦で大変御苦労をされた方々でありまして、また、大変御高齢になっておられる方々であるということは十分承知をいたしておるところでございます。

 そうした方々の思いを適切に受けとめまして、申請理由や症状等について、申請される方の御主張を十分にお伺いいたしながら整理をし、少しでも給与の可能性がある場合には、不足している医証、医学的証拠について、場合によっては追加的検査のアドバイスを行うなど、我々としてはできる限りの誠意を尽くして審査を行っているところでございます。

 引き続き、申請される旧軍人の方々への敬意を持ち、丁寧で親切な対応に心がけつつ、より迅速に手続を進めるなど最善を尽くしてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 大臣にも、もう一回同じ趣旨で質問したいと思います。所管ではないからという議論ではなくて、本当に、戦後七十年たっても、やはり戦争によって起きた障害である、病気であるということを訴え続けている方がいらっしゃる、その思いをどう受けとめていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 恩給制度の御議論を今いただいて、これは総務省でありますので、所管ではないことは間違いないわけでありますけれども、いずれにしても、やはり、これは国のために戦地に赴いて負傷されたという方々でありますので、さきの大戦で本当に国のために、あるいは家族を思いながら御苦労されてこられたわけでありますので、こういった方々に対して、我々としてはしっかりと敬意を払っていかなければならないというふうに思っておるところでございます。

高橋(千)委員 この方がまだ今病床にいらっしゃる、そういう段階で何かできることがないのかということで、改めて問題を提起させていただきました。

 青森市内にいらっしゃる方でも、私、ずっと前に取り上げたことがあるんですけれども、父親の軍歴が一年数カ月足りないと。それは、昭和十四年に中国・漢口で現地除隊後、消息がつかめないんだ、軍恩新聞に尋ね人を出して、私自身も目黒の資料室に足を運んで一生懸命調べたりとか、さまざまな努力をしたんだけれども結局見つからなくて、死亡宣告をしたけれども、まだ葬儀という形では認めないんだということをおっしゃっていた方もいらっしゃいました。

 このように、弔慰をあらわすと言っているんだけれども、そこにさえ結びついていない方たちがいるんだということを本当に受けとめる必要があると思うんですね。

 軍人軍属などの戦没者は約二百三十万人、戦災被害者約五十万人など、一般邦人は約八十万人が犠牲になったと言われております。ただ、戦災被害者についてはまだ十分な数字とは言えないと思います。しかも、何百万人が実は出征されたのか、このことがよくわからないんですね。その中で、恩給法や援護法に結びつかない方たちがどれだけいるんだろうか。これはちゃんと調査するべきではないでしょうか、大臣。

塩崎国務大臣 厚生労働省では旧陸海軍の残務の整理に関することを所掌事務としておりまして、旧軍資料が引き継がれておるわけでございますけれども、旧軍の資料は、戦災、あるいは艦船の沈没、あるいは終戦時における焼却とか、それから連合軍による没収等のために、滅失あるいは散逸したものがかなりございます。

 このため、今お話がありましたけれども、当省が有する資料では、お尋ねのような調査は困難だというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 もともと困難な中で、被害者の皆さん、あるいは被害者の御遺族の皆さんがデータを積み上げて、今の戦災、空襲の被害者ですとか、要するに犠牲者の数を積み上げてきた、こういう努力もしてきているわけですよね。やはりそういうことを政府としてやるべきだということを重ねて訴えたいと思うんです。

 昭和五十九年の有識者による戦後処理問題懇談会の報告には、「わずかな軍歴期間の差により年金恩給を受給できない人々にとってみれば、家族を残し、職業をおいて戦地に赴き、生命を賭けて国のために尽くした日々、その間の残された家族の労苦は心を去らなかったと思われる。」と認識をしておきながら、その前段で、「もはやこれ以上国において措置すべきものはないとの結論に至らざるをえなかった。」と。要するに、戦後処理問題はもうないみたいな報告が出ているんですね。

 決してそうではないと思う。だって、その後に、さまざま、この委員会でも取り組んできた中国残留邦人の問題や、あるいはシベリア抑留、これは総務だったかと思いますが、議会の力で解決をしてきたわけですよね。そうした点では、まだまだ残された問題はあるという立場に立って、調査や検討の場を国として戦後七十年に当たって設けるべきだということを提案いたしまして、終わりたいと思います。

渡辺委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、本案に対し、浦野靖人君から、維新の党提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。浦野靖人君。

    ―――――――――――――

 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

浦野委員 ただいま議題となりました戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、維新の党を代表し、その提案理由及びその主な内容について御説明いたします。

 政府原案につきましては、戦後七十周年の節目の年に、戦没者等の遺族に対し改めて弔慰の意をあらわすため、これらの方々に特別弔慰金を支給しようとするものであり、その基本的な方向性は賛成いたします。

 しかしながら、政府原案のままでは、国債により特別弔慰金を受給した者が死亡した場合には、その国債を戦没者等の遺族ではない相続人が相続することができ、戦没者等の遺族に弔慰の意を表すという法律の趣旨に必ずしもそぐわないものとなっているのではないかと懸念をされます。

 そこで、遺族が高齢化している現状に鑑み、できるだけ法律が本来想定している戦没者等の遺族が特別弔慰金を受給することができるよう、修正案を提出した次第であります。

 次に、修正案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、特別弔慰金の支給の基準日を細分化し、政府原案では、五年に一回、すなわち平成二十七年四月一日及び平成三十二年四月一日となっている基準日を、毎年一回、すなわち平成二十七年から平成三十六年までの間の毎年四月一日とし、その基準日における戦没者等の遺族に対し、五万円の特別弔慰金の支給を行うものとしております。

 第二に、特別弔慰金の支給方法について、記名国債をもって交付することを改め、現金給付により行うものとしております。

 第三に、その他所要の規定の整備を行うものとしております。

 以上が、修正案の提案理由及びその主な内容であります。

 何とぞ、御審議の上、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、浦野靖人君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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