衆議院

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第7号 平成27年4月7日(火曜日)

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平成二十七年四月七日(火曜日)

    午前八時二十一分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 赤枝 恒雄君 理事 後藤 茂之君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 松野 博一君 理事 西村智奈美君

   理事 浦野 靖人君 理事 古屋 範子君

      大岡 敏孝君    大串 正樹君

      鬼木  誠君    加藤 鮎子君

      加藤 寛治君    勝沼 栄明君

      木村 弥生君    小松  裕君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      鈴木 隼人君    田中 英之君

      田畑 裕明君    谷川 とむ君

      津島  淳君    豊田真由子君

      中川 俊直君    中谷 真一君

      長尾  敬君    橋本  岳君

      比嘉奈津美君    古川  康君

      堀内 詔子君    牧原 秀樹君

      松本  純君    松本 文明君

      三ッ林裕巳君    御法川信英君

      村井 英樹君    八木 哲也君

      山田 美樹君    阿部 知子君

      大西 健介君    岡本 充功君

      岸本 周平君    中島 克仁君

      長妻  昭君    山井 和則君

      足立 康史君    井坂 信彦君

      河野 正美君    牧  義夫君

      伊佐 進一君    輿水 恵一君

      角田 秀穂君    高橋千鶴子君

      堀内 照文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      山本 香苗君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   厚生労働大臣政務官    高階恵美子君

   衆議院庶務部長      鹿村謙太郎君

   会計検査院事務総局第二局長            村上 英嗣君

   会計検査院事務総局第五局長            平野 善昭君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            佐々木清隆君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 高野 修一君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            岡崎 淳一君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       安藤よし子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  香取 照幸君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 石井 淳子君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            佐藤 悦緒君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     勝沼 栄明君

  加藤 鮎子君     鈴木 隼人君

  新谷 正義君     中谷 真一君

  田畑 裕明君     山田 美樹君

  中川 俊直君     津島  淳君

  丹羽 雄哉君     御法川信英君

  堀内 詔子君     八木 哲也君

  三ッ林裕巳君     加藤 寛治君

  大西 健介君     岸本 周平君

  足立 康史君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 寛治君     三ッ林裕巳君

  勝沼 栄明君     鬼木  誠君

  鈴木 隼人君     古川  康君

  津島  淳君     中川 俊直君

  中谷 真一君     新谷 正義君

  御法川信英君     丹羽 雄哉君

  八木 哲也君     堀内 詔子君

  山田 美樹君     田畑 裕明君

  岸本 周平君     大西 健介君

  河野 正美君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     大岡 敏孝君

  古川  康君     加藤 鮎子君

    ―――――――――――――

四月七日

 新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求めることに関する請願(照屋寛徳君紹介)(第六八二号)

 同(岡本充功君紹介)(第七一七号)

 同(松本剛明君紹介)(第七一八号)

 同(緒方林太郎君紹介)(第七二二号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第七二三号)

 同(中根康浩君紹介)(第七五二号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第七五三号)

 同(大西健介君紹介)(第七七六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第七七七号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第六八三号)

 国民年金第一号被保険者の出産育児期間中の保険料免除に関する請願(佐田玄一郎君紹介)(第六九〇号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(小沢鋭仁君紹介)(第六九七号)

 同(門博文君紹介)(第六九八号)

 同(金子恵美君紹介)(第六九九号)

 同(河井克行君紹介)(第七〇〇号)

 同(北川知克君紹介)(第七〇一号)

 同(熊田裕通君紹介)(第七〇二号)

 同(小林史明君紹介)(第七〇三号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第七〇四号)

 同(齋藤健君紹介)(第七〇五号)

 同(斎藤洋明君紹介)(第七〇六号)

 同(田野瀬太道君紹介)(第七〇七号)

 同(寺田学君紹介)(第七〇八号)

 同(冨樫博之君紹介)(第七〇九号)

 同(長坂康正君紹介)(第七一〇号)

 同(額賀福志郎君紹介)(第七一一号)

 同(野田聖子君紹介)(第七一二号)

 同(馳浩君紹介)(第七一三号)

 同(松田直久君紹介)(第七一四号)

 同(森山裕君紹介)(第七一五号)

 同(柚木道義君紹介)(第七一六号)

 同(青山周平君紹介)(第七二四号)

 同(秋元司君紹介)(第七二五号)

 同(穴見陽一君紹介)(第七二六号)

 同(池田佳隆君紹介)(第七二七号)

 同(岡田克也君紹介)(第七二八号)

 同(岸本周平君紹介)(第七二九号)

 同(工藤彰三君紹介)(第七三〇号)

 同(河野太郎君紹介)(第七三一号)

 同(近藤洋介君紹介)(第七三二号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第七三三号)

 同(鈴木淳司君紹介)(第七三四号)

 同(高鳥修一君紹介)(第七三五号)

 同(武井俊輔君紹介)(第七三六号)

 同(長島昭久君紹介)(第七三七号)

 同(西村智奈美君紹介)(第七三八号)

 同(根本幸典君紹介)(第七三九号)

 同(野田毅君紹介)(第七四〇号)

 同(真山祐一君紹介)(第七四一号)

 同(牧島かれん君紹介)(第七四二号)

 同(松浪健太君紹介)(第七四三号)

 同(宮崎岳志君紹介)(第七四四号)

 同(務台俊介君紹介)(第七四五号)

 同(八木哲也君紹介)(第七四六号)

 同(岩田和親君紹介)(第七五四号)

 同(岩屋毅君紹介)(第七五五号)

 同(漆原良夫君紹介)(第七五六号)

 同(小渕優子君紹介)(第七五七号)

 同(大畠章宏君紹介)(第七五八号)

 同(菅家一郎君紹介)(第七五九号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第七六〇号)

 同(田中和徳君紹介)(第七六一号)

 同(津島淳君紹介)(第七六二号)

 同(中川正春君紹介)(第七六三号)

 同(中野洋昌君紹介)(第七六四号)

 同(福田昭夫君紹介)(第七六五号)

 同(細田博之君紹介)(第七六六号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第七七八号)

 同(石崎徹君紹介)(第七七九号)

 同(大口善徳君紹介)(第七八〇号)

 同(金子めぐみ君紹介)(第七八一号)

 同(金子恭之君紹介)(第七八二号)

 同(神田憲次君紹介)(第七八三号)

 同(坂本哲志君紹介)(第七八四号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第七八五号)

 同(原田義昭君紹介)(第七八六号)

 同(藤井比早之君紹介)(第七八七号)

 同(古川康君紹介)(第七八八号)

 同(前原誠司君紹介)(第七八九号)

 同(松本純君紹介)(第七九〇号)

 同(宮川典子君紹介)(第七九一号)

 同(森英介君紹介)(第七九二号)

 同(横路孝弘君紹介)(第七九三号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第七九四号)

 同(井野俊郎君紹介)(第七九八号)

 同(井林辰憲君紹介)(第七九九号)

 同(石田祝稔君紹介)(第八〇〇号)

 同(泉健太君紹介)(第八〇一号)

 同(黄川田徹君紹介)(第八〇二号)

 同(笹川博義君紹介)(第八〇三号)

 同(園田博之君紹介)(第八〇四号)

 同(高木美智代君紹介)(第八〇五号)

 同(橘慶一郎君紹介)(第八〇六号)

 同(初鹿明博君紹介)(第八〇七号)

 同(三原朝彦君紹介)(第八〇八号)

 同(宮腰光寛君紹介)(第八〇九号)

 同(村上誠一郎君紹介)(第八一〇号)

 同(山田賢司君紹介)(第八一一号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第八一四号)

 同(加藤寛治君紹介)(第八一五号)

 同(亀岡偉民君紹介)(第八一六号)

 同(助田重義君紹介)(第八一七号)

 同(鈴木憲和君紹介)(第八一八号)

 同(田畑裕明君紹介)(第八一九号)

 同(武部新君紹介)(第八二〇号)

 同(中川康洋君紹介)(第八二一号)

 同(福田達夫君紹介)(第八二二号)

 同(松島みどり君紹介)(第八二三号)

 同(御法川信英君紹介)(第八二四号)

 同(赤羽一嘉君紹介)(第八二六号)

 同(木原稔君紹介)(第八二七号)

 同(小島敏文君紹介)(第八二八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八二九号)

 同(高井崇志君紹介)(第八三〇号)

 同(棚橋泰文君紹介)(第八三一号)

 同(松本純君紹介)(第八三二号)

 身体障害者手帳等級の改善に関する請願(長尾敬君紹介)(第七五〇号)

 同(大西健介君紹介)(第七九五号)

 同(後藤茂之君紹介)(第八三三号)

 パーキンソン病患者・家族に対する治療・療養に関する対策の充実に関する請願(井出庸生君紹介)(第七五一号)

 同(伊藤渉君紹介)(第八一二号)

 同(萩生田光一君紹介)(第八二五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第二三号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官佐々木清隆君、総務省大臣官房審議官高野修一君、厚生労働省労働基準局長岡崎淳一君、雇用均等・児童家庭局長安藤よし子君、社会・援護局長鈴木俊彦君、年金局長香取照幸君、政策統括官石井淳子君、中小企業庁事業環境部長佐藤悦緒君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長村上英嗣君、事務総局第五局長平野善昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浦野靖人君。

浦野委員 おはようございます。

 皆さん、先週からお忙しい毎日を送られていると思いますけれども、いつもお騒がせをしております、維新の党です。よろしくお願いをいたします。いや、あっちの件じゃなくて、足立さんのことですけれども。

 それでは、早速質問に入りたいと思います。

 今回の法案は、最近多い、いろいろなものが一緒に入って出されてくる法案の一つということで、非常に我々、対応に実は苦慮をしております。実際、中身について、この部分は我々は賛成だけれども、ここはどうかなという部分が、法案の内容が多岐にわたって、一つ一つの判断が分かれてしまうということが最近多々ありますので、その中で一つ一つお聞きをしたいと思います。

 まず、労働者健康福祉機構と労働安全衛生総合研究所の統合について、ひとつお伺いをしたいと思います。

 これもよくあるパターンなんですけれども、まず統合だけを法案で賛否をしてくれ、認めてくれた後にいろいろと考えるということが最近非常に多いように思います。この統合も、統合した後の計画、中期計画だとかそういう、いろいろ何年か、こうします、ああしますという計画があるものと思ってお聞きをすると、それはまだこれから、統合が決まれば、それを両方の機構の皆さんが集まって、一年かけてその議論をして決めていくんだということなんですね。

 我々、普通、会社が合併するとか、会社に限らず例えば新しい法人を立ち上げる、社会福祉法人を立ち上げるとなった場合、必ず計画をまず出してくださいと監督官庁に一番やはり言われるんですよね。それがないとその法人の設立も認めてもらえないですし、例えば、資産がどれだけあって、こういう運営をしていく、人件費、こういう余剰金がちゃんとプールできている、そういうふうな、結構しっかり見られるわけですね。

 そういうのがあって初めてスタートをしていいですよという許可をもらえるわけですけれども、今回、この統合は、確かに大きな機構同士が、片っ方はむちゃくちゃ大きい機構ですから、今もしっかりとやられているのかなとは思うんですけれども、やはり、まず合併するなら計画をちゃんとつくっていただいて、その計画に基づいて、こういうスタンスでこういう事業をやっていく、そういうことがしっかりわからないと、我々もなかなかこの機構の統合についてしっかりとした判断ができないというふうに考えるんですけれども、その点については、厚生労働省の方はどうお考えでしょうか。

岡崎政府参考人 労働安全衛生総合研究所と労働者健康福祉機構の統合をお願いいたしております。

 新法人につきまして、やはり独立行政法人というのは法律に基づいて設置される法人でございますので、何はともあれ、法律で業務の内容その他をしっかり決めていただく、それを前提として事業計画をつくっていくということにならざるを得ないという面がございます。

 独法の仕組みの中で、所管の大臣が中期目標を定め、それを踏まえまして、各独法におきまして中期計画をつくってやっていく、こういう仕組みでございます。したがいまして、中期目標、中期計画は、法律でしっかりと業務の範囲を決めていただいた後でつくらざるを得ないということでございます。

 ただ、今回御説明していますように、この両法人の統合によりましては、労働者の方々の疾病につきまして、予防、治療、それから職場復帰の支援、そういったものを総合的に展開するような体制をつくっていきたい、そういうコンセプトと、あるいは、業務内容については法律でしっかり書いていただくということでありますので、そういうことで御理解いただければというふうに思っております。

浦野委員 これは細かく我々も、実は大きな統合ですからいろいろと調べていって、中期計画等がないので、ではこれまでどうだったかということをいろいろ調べました。そこで、ちょっとこれはどうかなと思うことがたくさん出てくるわけです。

 例えば、繰越欠損金が四百億を超えているんですね、労健機構の方、大きな方ですけれども、そこに欠損がない法人が統合するわけです。今は大丈夫ですけれども、かつては会社法上も違法なことだったわけですよね。それを今回やるということは、やはり避けて通るべきだなと思います。

 この四百億の欠損はどういうものでできたものなのかということも、書類上ではいまいちわかりませんでした。さらに、四百億もの欠損が出ているのであれば、やはり経営責任というのは問われるべきではないかというふうにも思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

岡崎政府参考人 おっしゃいますように、労働者健康福祉機構につきまして、会計上の処理としまして繰越欠損が四百二十億ぐらいございます。

 この発生要因でございますが、一つは、厚生年金の関係でございます。この法人も厚生年金基金を持って年金の代行等を含めてやっておりますが、そこでのリーマン・ショック以降のいろいろな運用等々の問題もございまして、二百三十四億円の欠損が出ているという部分。それから、独立行政法人になりました際に、資産の再評価をした際の欠損分が百四十億、これは会計処理の方式の違いということで出たものがございます。そのほかに、労災病院を幾つかこれまでに廃止したものがございますが、その際の累積損失として七十億があるというような状況でございます。

 病院経営の分だけで見ますと剰余金が二十五億ということで、全体を差し引きして四百二十億ぐらいということでございます。

 年金の関係につきましては、ほかの年金もそうでございますが、厚生年金基金の関係の法改正を踏まえまして、平成二十九年四月までに代行部分の返上等々を行っていく、そういう中で処理していくということでございますし、あと、会計処理の関係で出てきた分等につきましてはそういう形ではございますが、いずれにしましても、今後しっかりと病院経営等をやっていく中で、収支がよくなりますように努力させていきたいというふうに考えております。

浦野委員 冒頭にも申し上げましたけれども、例えば四百億の欠損をどう処理していくかとか、こういったことをやはり最初に計画として我々に見せていただかないと判断がしづらい、できないというのが実際です。

 最終的にはこの欠損も処理をきっちりとしていくということにはなると思うんですけれども、でも、どうやって、何年かけてしていくかとか、そういうことも全く不透明なんですね。単年度でも欠損を出しておられますので、そういったところはしっかりと我々に対して判断材料として出していただかないといけないと思うんですね。

 次に、これだけ欠損があるにもかかわらず、一千億の現金預金があるんですね。この一千億の現預金というのは一体どういう種類のものなのかというのをお聞かせください。

岡崎政府参考人 現預金約一千億ございますが、幾つかの項目からこれがございます。

 一つは、この機構におきまして、企業が倒産した等の場合に、賃金が未払いになった場合の未払い賃金の立てかえ払いを行っています。これは原資は労働保険特別会計でございますが、その分で年度年度の必要額の違いが出てくるということで、そこの分が百億程度ございます。これは当然、年度年度で計算しまして、不用額は労働保険特別会計に戻すというような処理をやってきているということでございます。

 それ以外には、一つは、労災病院三十病院を運営しておりますので、そこでの買掛金でありますとか未払い金の支払い等々のためのいわゆる運転資金がございます。これで約三百七十億をとってあるということ。

 それから、退職手当、退職一時金のための準備金として、いわゆる退職手当の引当金で持っているものが約八十億でございます。

 それ以外に、これは労災病院でございますので、当然、増改築とかあるいは機器の更新をしなければなりません。そのために必要な分として四百五十億がとってある、こういうようなことでございます。

浦野委員 最初にいただいた資料では、そういうところまで全くわからないのが現状なんですね。

 これは、今まで我々、足立委員からも、例えば医療法人の会計基準の話であるとか、そういう非営利の法人の会計について、会計基準とかそういったものに関してもう少しきっちりとやった方がいいんじゃないかという議論をさせていただいてまいりました。

 社会福祉法人の中でも、今、内部留保がたまっている法人があるんじゃないかとか、そういった指摘も受けておりますけれども、社会福祉法人の中でも、運営する種別によって会計のやり方が若干違いますので、差が出ているわけですね。非営利であるという一つのくくりからすれば、そこはきっちりと、原資は皆さんからいただいている税金ですから、そういったところはもっと厳格化しないといけないと思うんですね。

 例えば、先ほど施設整備の準備として四百五十億、一千億残してある中にあるということなんですけれども、社会福祉法人であれば、これは別建てで会計、しっかりと必要なものは計上させますよね。これはもう会計で決まっております。そういった会計を、もうちょっとぱっと見てわかりやすいように本当はしないといけないんじゃないかと思うんですね。

 きょうもまたニュースになっていましたけれども、徳洲会さんの問題から事を発して、いろいろと議論になってきた医療法人の、病院の会計についての一つの話だと思うんですね。

 これは、独法は独法でいろいろなルールがあって、会計基準もちゃんとルールが定めてあって、それに対応してこの会計の処理をつくっていますけれども、やはりなじまないところはなじまないというので、しっかりとこれから変えていったらいいと思うんですけれども、その点についていかがですか。

高野政府参考人 独立行政法人の会計制度についてのお尋ねがございました。

 独立行政法人制度でございますけれども、法人の経営の効率とサービスの質の向上というのを同時に両立させていこうという観点から、国の関与をなるべく排除いたしまして、法人の自主性、自律性の発揮を期待する制度として制度設計がなされております。それを反映しまして、会計基準につきましても、民間の企業経営の仕組みをできる限り導入するということで、独立行政法人通則法によりまして企業会計基準を原則とする、このような制度になってございます。

 独法会計基準における貸借対照表でございますけれども、したがいまして、企業会計と同様に、まず第一に、預金や有価証券といった形態別の科目での開示、さらに第二点としまして、業績評価に資する情報を提供するという観点から、事業のまとまりであるセグメント情報について、主要な資産項目等の開示を求めているということになっておりますが、資産を使用目的別に再整理した内容の開示までは求めていることにはなってございません。

 他方、独立行政法人会計基準におきましては、財務諸表の情報公開につきまして、独立行政法人の状況を開示するために必要な会計情報を、例えば注記などによって開示するという規定がございます。

 情報の有用性を勘案しながら保有資金の状況を明らかにしていくというのは非常に重要なことではないか、このように考えてございまして、委員の御指摘の点につきましても、当該規定を踏まえまして、まずは各法人において適切な情報開示を検討すべきものというふうに考えてございますが、いろいろな法人がございますので、一律にルールを改定するということには直ちにならない、このように考えてございますけれども、例えば、多額の資金を保有している場合など一定の場合には、その使用目的につきまして、財務諸表を見る方にとってどのような形で有用な情報提供がなされるのかということは大事な観点だ、このように思っておりますので、運用面を含めまして、引き続き必要な検討はしてまいりたい、このように思っております。

浦野委員 それはやはり考えていっていただけたらいいなと思います。

 これ以外に、例えば有価証券も百八十九億円保有しています。非営利の法人でそういったことがいいのかどうかも含めて、これはどうなのかなというふうにここは思います。いろいろ、長期性預金とか、見ただけでは有価証券の内容もいまいちわからない部分があるんですね。

 こういったものの運用も、非営利がかかわってくるような場合はもうちょっとルールを厳格化した方がいいように思うんですけれども、その点はいかがですか。

岡崎政府参考人 独法通則法におきましては、余裕資金等の運用につきましても、国債、地方債、政府保証債でありますとか、銀行その他主務大臣が指定する金融機関への預貯金、あるいは信託業務を営む金融機関への金銭信託、かたい運用に限られるというような形になっております。

 そういう中で、先ほど申しましたように、この機構、労災病院を運営している中で、将来に向けた病院の増改築でありますとか設備の更新、そういったものに必要なものは確保しなきゃいけない、その一部をこういう形で保有しているということでございます。

 先ほど来先生がおっしゃいましたように、何のための資金かということがよくわからないという御指摘は、会計ルールにはのっとっているわけでありますが、不親切ではないかということは御指摘のところもあると思いますので、そういうところについては機構と相談して改めるようにしていきたい、こういうふうに考えております。

浦野委員 やはり、非営利であるという理由で、社会福祉法人の一部にはかなり厳しいルールを定めているわけですよね。例えば、流動資産として持ってもいい資金が年間の運営費の三〇%を切らないといけない、そうじゃないと繰り越しできないとか、かなり詳細にルールを決められているわけですよね。それはなぜかというと、非営利であるからという理由なわけです。

 病院運営も、非営利であるという大前提にのっとって病院の運営をされているはずですので、その点は、独法の方が企業会計に準じた、その部分は、理念は理解はできます。そういったところもなじむ部分もあるんだとは思いますけれども、やはり営利と非営利との差というのは非常に大きな部分ですので、そこをどうやって会計の透明性を担保していくかというのはこれからいろいろと議論をしていきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 あと、さらにいろいろ出てきますけれども、例えば、鹿島労災病院の看護師の宿舎、これは百四十戸中九十が未利用になっているんですね。ほとんど、まあ言うたら半分以上使われていない状態で、でも、いただいた資料によると、これは減損はしない、まだまだ使い道があるんだということだと思うんです。

 看護師さんの確保というのは非常に大変なんですけれども、余りにも未利用が多い中で、果たして本当にその利用がこれからできるのか、そういった部分をちょっとお答えいただけたらと思います。

岡崎政府参考人 御指摘の鹿島労災病院でございますが、実は、看護師というよりは医師の確保がやや困難だったということもございます。そういった意味で、病院機能をやや縮小した中で、看護師さんにつきましても減少させた、こういう経緯がございました。

 やはり地域で、労災病院も地域医療で貢献している部分もございますので、医師の確保に努めるとともに、必要な病院機能をしっかりとしていきたい、そういうことでやっておりまして、現在、また看護師さんもふやしつつあるということでございます。

 したがいまして、未利用の分もだんだん利用されてくるようにはなっているということでありますので、病院機能をどうしていくかということとのかかわりの中で、現在については、まだ減損しないで、むしろしっかりとした病院機能を確保する中で利用するようにしていきたい、こういうふうに考えているということでございます。

浦野委員 今回、これは、今おっしゃったような規模を縮小するだとか統廃合していく中で、ずっと減損をしていっている建物もたくさんあります。水上荘ですか、これも、機構としてこういうのを持っていたというのもどうかなとも思ったりもしますけれども。

 こういったものが何年後にどうなっていくというのを、冒頭にも言いましたけれども、何度も言いますけれども、計画でちゃんと、何年かけてこうしますということを決めて見せていただかないと、やはりなかなか判断できないんですよね。合併だけ先に認めてくれたら、後はこっちでやりますよみたいな話になっちゃうので、やはりそこは、先にそういう計画を出していただくべきかなというふうに思います。

 こうやって聞いていかないとやはりわからない部分があり過ぎて、ここはもうちょっと、法案を審議するに当たって、丁寧さに欠けるんじゃないかというふうに思います。

 これは、外部監査法人、民間の監査法人がしっかりと数字を見て、いろいろとやっています。監査法人は、数字が間違っていないかどうかを見るだけですから、その運営についてとかそういうのは見ませんから。それとは別に、独立行政法人の行政監督をしていますよね。

 当初、どういう監査を行っているのかちょっとよくわからなかったので、いろいろお話を聞かせていただいたら、結構きっちりとやられていらっしゃるんですよね。資料もいろいろひっくり返しましたけれども、すごく細かい。機構の方も、実はかなりいろいろなことをしっかりとやっておられて、例えば随意契約を削減していく委員会、これももう毎年何回かに分けてやって、つぶさに状況を見て、改善計画を出してやっておられるわけですよね。きっちりやっておられる反面、今質問の内容みたいに、わかりにくいところもある。それだったら、全部きっちりやればいいのになと。せっかくきっちりやっていらっしゃるのに、そういうのがわかりにくくなっている部分というのは非常に残念だなと思います。

 厚生労働省の評価委員会もいろいろと毎年見ておられます。ただ、社会福祉法人とかだと、監査報告書、改善命令とかそんなのがありますけれども、そういったところまで含めてこの評価委員会はやられているという認識でいいんですよね。

岡崎政府参考人 独立行政法人につきましては、先生御指摘のように、独立行政法人の評価委員会がありまして、これにつきましては、法人の基本的には全てのことについてしっかりと評価していただくということでありますので、御指摘のようなことを含めて、しっかりと説明をして、御判断をいただいているということでございます。

浦野委員 そういうシステムがあったにもかかわらず、過去には、障害者雇用の数を水増ししていたという問題が発覚をした。お聞きすると、それに気づいたのは、また、それは、厚生労働省から出向で行かれていた方が何か数字がおかしいということで調べたら発覚をしたと。結局、厚生労働省の方が気づいたわけですけれども、評価委員会というか、その中ではそういうのも気づけなかった部分があったわけですよね。それなら、やはりきっちりと、民間の監査法人の監査と別に行政の監査がしっかりやられている、これは絶対条件ですので、ここはしっかりと、非営利である以上、監査をきっちりとしていただけたらなと思っております。

 最後に、きょうも、恐らくGPIFのことについてはこれからもいろいろと質問があると思うんですけれども、一つだけ、端的に、運用の責任者を一人ふやすから大丈夫なんだというその根拠が私は全くわからないんですよ。

 複数で運営した方がいいというのはわからぬでもないんですけれども、それがなぜ国民の皆さんからお預かりしているお金を大丈夫なんだと言い切れるのかという理由が、いまいち説明がないというか、まだ私にはしっくりこないので、その点だけちょっとお聞かせをいただいたら。

香取政府参考人 答弁申し上げます。

 GPIFにつきましては、現行ですと理事長一名、あと、できる規定で任意設置の理事が一名ということになってございまして、これに関しましては、今お話ありましたように、今回、中期計画、中期目標のもとで、昨年十月に変更しましたポートフォリオに基づいて機動的な運用を行うということで、運用体制の強化ということで理事一名の追加をお願いしているわけでございます。

 実は、これにあわせまして、GPIFにつきましては、閣議決定に基づきまして職員の定数でありますとかそういったものについて緩和していただきまして、理事だけではなくて、運用体制の強化ということで職員をふやしたり、あるいは専門人材を登用したりというようなこともあわせ行うということで、そういった運用体制全体の強化を行うということの中で、全体を統括する専門の、専任の理事を一名追加する、そういう形で、理事と職員の体制強化をあわせまして全体で運用体制の強化を図りたいということでございます。

浦野委員 時間ももうすぐ終わりますので、これで質問を終わりますけれども、きょうは実は次男の小学校の入学式でして、それに出られなかったのが非常に残念です。

 以上です。どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 選挙中というか統一選の真っ最中でありまして、私もきのう、国会審議がきのうはなかったものですから、地元で、街宣車で地元の候補者の応援をしながら質問通告を携帯でさせていただきまして、役所の皆様にはちょっと御不便をおかけいたしたことを謝りたいと思います。

 きょうは、先日の所信質疑で私がいろいろ質疑を申し上げたことについて、若干報道が過熱をしまして、余り目立つものじゃないなと反省をしております。きょう地味なネクタイをしてきたのは、カメラが鳴っていますが、大臣、できればきょうはもう残業代の話はしないというつもりでおりました。先日の所信質疑で私が三役の皆さんにお願いをした件については、理事会で紙でお出しをいただけると思っていましたので、紙が出てくれば、もうそれで質疑はしないでおきたい、こう思っておりました。

 ただ、伺うところによると、理事会ではどうも紙が出てこなかったということなので、私個人としてはできれば取り扱いたくなかったんですが、国会議員ですから、国民の皆様との関係で、やはりしっかりとこの場で、国会の場で取り上げたテーマについては最低限のフォローはさせていただくのが私の責任であると思っていまして、大臣、前回私が申し上げたいわゆる残業代の取り扱いについて、大臣の事務所はどうなっているのかというところを、簡潔で結構ですから、ぜひ御答弁いただければと思います。

塩崎国務大臣 きょう、理事会で紙を御準備させていただいておりましたけれども、時間切れだったというふうに聞いております。

 その際に、政務三役を含めて、先生から全員についてのお話があったので、私自身も含めて政務三役それぞれの事務所において、いわゆる公設秘書に準ずるような業務を行っている方々、つまり私設秘書と言われている方々については、そもそも残業させていないか、あるいは、職務の内容に照らして、労働基準法の第四十一条第二号の「機密の事務を取り扱う者」に該当すると認識をしているということに、私ども三役について至ったところでございます。

足立委員 実は、先日の質疑で私も若干舌足らずだったところがあると思っていまして、ちょっと補足をしておきますと、前回、私はこう申し上げたんですね。

 二十四時間三百六十五日仕事をしていますなんということを申し上げて、これは、ある種、厳密な、本当に二十四時間、では足立さんは寝ていないのか、こういうこともありますが、そんなことはなくて、二十四時間三百六十五日と申し上げたのは、言えばそういう気持ちで仕事をしているということで、大臣も今うなずいていただいていますが、国会議員たるもの、もう私はないというつもりで仕事をしているという趣旨でありまして、前回のその質疑で、そういう中で、秘書だけ労働基準法に沿って残業代を支払うことはできないと申し上げたので、あたかも労働時間規制を破るというか違法なことをしていると私が宣言したように受け取られたようであります。

 舌足らずだというのは、今から申し上げることを補っていただくとよくわかるんですが、そういう中で、秘書だけ労働基準法に規定する労働時間規制、規定する労働時間規制というのを補っていただければ、労働基準法に規定する労働時間規制に沿って残業代を支払うことはできない。これは、大臣も同じ取り扱いをされていると今おっしゃったように、秘書のような、いわゆる管理監督者、あるいは我々のような、我々も管理監督者ですから、そういう経営者と一体になって仕事をするような方々は、いわゆる労働時間規制の適用除外になっている。

 今大臣の方から、三役については、五人いらっしゃるわけですね。山本副大臣は、前回も、そもそもそういう働かせ方は私設についてはされていないということですが、ほかの四人の方についても、きょうの御答弁では、そもそも残業をさせていないか、あるいは、私が自後、説明を申し上げた、労働基準法四十一条の二号の機密を取り扱う者に該当するということであります。

 ちょっと大事なところなので一言だけ補足いただきたいんですが、すると、三役の方もそうですが、塩崎大臣の事務所はいわゆる三六協定は締結をされていないということでいいですね。

塩崎国務大臣 特にやっておりません。

足立委員 私もしておりませんが、いわゆるパート等の、残業というか、実際、労働時間規制が適用されている方がいらっしゃるわけです。パートの方とか、恐らくいらっしゃると思うんですね。そうでない方は全員、そうでない方というのは労働時間規制を適用せずマネジメントされているスタッフの方については、全て四十一条二号で読んでいるんだ、こういうことだと思いますが、何人ぐらいいらっしゃるかだけお教えいただけますか。

塩崎国務大臣 いわゆる公設以外のスタッフは七名おります。

足立委員 私の事務所の場合は、まだ若輩者でありますので公設以外の秘書は一名でありますが、まあ四名ですね。大臣の事務所は私設七名に公設三名いらっしゃると思います。すると、十名の秘書の方がいわゆる四十一条二号に該当するスタッフとしてマネジメントをされている、こういうことだと思います。

 個人的には、その十名の方というのは、例えば今、統一選があります。統一選が四月三日に告示を迎えたわけでありますが、三日の前、三月なんかは、我々の事務所の秘書たちは総出でいろいろなお手伝いをすることが事務的なことを含めあるわけでありまして、大臣の事務所は十名の方が全員、いわゆるスタッフとしてしっかりと雇っておられて、労働時間に服している、そういうカテゴリーはゼロで、正規の職員については全て、十名の方が全員四十一条二号で運用されている。政務三役の方については全員そうだ。要は、政務三役の方については、残業代を払っていらっしゃる方はいない、三六協定を結んでいらっしゃる方もいない、こういうふうに理解をしました。

 もう本当にきょうは地味にいきたいと思いますので、これぐらいにしたいと思うんですが、今私がこういうふうに受け取りましたということについて、間違いがあれば御指摘いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 特にございません。

足立委員 ありがとうございます。

 もう本当に地味に、ぜひ報道がないように期待をしておりますが、実は、マスコミの方もいらっしゃるようなのでちょっと申し上げますけれども、マスコミの一部には本当に問題があって、例えば前回の所信質疑で私がこうやって申し上げた、先ほど申し上げたように、若干誤解を招きかねないような話を申し上げた、それは反省もしているところでありますが、実は、それを報じた共同通信、毎日新聞はそれをそのまま載せたわけですね、共同通信の某記者が私に取材に来られたんです。

 私はしっかりと、これは、あなたは私のことを違法だと思ったかもしれないけれども、誤解だよ、丁寧に申し上げるとこういうことだから、自分が違法だということで申し上げたのではないんだ、私は当然、国会議員として法律は守っている、ただ、委員の皆さん、また三役の皆さんにイメージをしていただきやすいように議員の秘書の極端な例を、適用除外されているけれども、その極端な例をお出ししただけであるということを申し上げて、その記者の方には正確によろしくねと言ったにもかかわらず、いやあなんて言いながら、結局、その私が補足した部分を割愛して、その報道には違法だと書いてある。

 それについては、党として、それは違うということで申し上げたわけですが、実際、そうやって説明をしていることをわざわざ切り取って、選挙前にそういう形で報じる、ある種の、一部のマスコミですよ、一部のマスコミですが、そういう姿勢については本当にいかがなものかなと思うわけでありまして、きょうここで国民への義務として最低限のやりとりをさせていただいたことについても、正確に取り扱われることを希望している旨申し上げておきたいと思います。

 この件はもう終わりますが、実は、今回の件で私も大変勉強になりました。まだ二期目でありまして、三年目の若輩者でありますが、こう言うとマスコミはこうなるんだなというような勉強にもなりましたし、実は、議員の事務所というものがどうあるべきなのかということも改めて自分の中で頭に整理をすることができまして、非常に勉強になったんですね。

 もし、秘書ではない、秘書のように取り扱わないけれども残業させる場合は、三六協定をちゃんと議員の事務所も結ぶべきである。大臣のところ、三役の皆さんはそういう事例はないということでありますが、もしあれば、三六協定を結んで、しかるべき行政庁にちゃんと届け出をしないといけないわけでありまして、それをしないと、大変重い刑罰が規定をされているわけであります。

 それで、そういう議員事務所のスタッフの処遇、きょうの法案のことにも関係しますのでちょっとだけ補足しておきますと、これは御存じの方も多いと思いますが、まず、国会議員の事務所、私はまだ短いですけれども、大臣あるいは副大臣のように長く何期もお務めいただいている議員の事務所なんかは、スタッフも長く勤務していますね。すると、例えば退職金なんかも、場合によっては必要になってくると思います。

 きょう、実は、法案の関係で、中退共がテーマになっておりますので、中退共は国会議員の事務所も入れますが、国会議員の事務所で中退共に加入をしている例がどれぐらいあるか。きのうのきょうでわからないかもしれませんが、もし調べられたのであれば、教えていただければと思います。

岡崎政府参考人 中退共を運営しております勤労者退職金共済機構におきまして、政党の事務所あるいは議員事務所という分類は行っておりません。

 先生からのお話がありましたので、政党名をつけておられるという加入団体を検索してみました。そうしましたところ、六十一事業所が加入されております。

 ただ、ほかの名前、政党名がついていないものまではちょっと検索できませんので、政党名をつけてあるということで検索したら、そういう数字でございます。

足立委員 ありがとうございます。

 私、これを伺いまして、本当に勉強不足だったんですが、私の事務所も、スタッフのいわゆる職務環境というか処遇というか、そういったものもやはり整えていくべきときがあるかもしれない、そのときには、今おっしゃったように、既に政党支部を中心に六十一が中退共に入っていらっしゃるということでありますので、委員の皆様も御検討いただいて、中退共への加入をふやしていただければと思います。

 もう一つ、実は、私たち国会議員自身のことも、退職金とは違いますが、例えば年金制度、かつていわゆる国会議員の互助年金というのがありました。これも、ちょっときょうは時間がもうなくなってきましたので簡潔にお願いしたいと思いますが、衆議院の事務局からもきょうは来ていただいています。

 いわゆる互助年金制度、これはなくなっています。今はなくなっています。私は全然、それは当然だ、こう思いますが、今は国民年金に入っているわけですね。こういう一号被保険者について、当時まだ互助年金があった時代の一号被保険者の、そういう国民年金の適用、これがどうなっていたか、簡潔にちょっと御紹介いただけますか。議会事務局の方でお願いできますか。

鹿村参事 昭和五十五年三月以前は適用除外となっておりました。それ以降は任意……(足立委員「昭和五十三年」と呼ぶ)五十五年三月以前は適用除外でございます。

足立委員 事前に通告させていただいているつもりですが。要は、おもしろいんですね。おもしろいというか、以前はいわゆる一号被保険者に国会議員はなれなかった、互助年金があったからだと思いますが。その後いろいろ経緯があって、五十五年とおっしゃったかな、ある時期から一号被保険者になれるということになって、その後、いわゆる互助年金がなくなったということであります。

 私も、実は余り蓄財をしていませんので、大変逼迫したというかぎりぎりの生活を今もしておりますが、一号被保険者である国会議員は、国民年金に今は入っていて、国民年金基金あるいは個人型の確定拠出年金にも入れるということであります。だから、我々国会議員も、別に副業も私はありませんので、こういう……。

 何が申し上げたいかというと、国会議員の事務所、その経営者である私たち議員本人それからスタッフ、さまざまに適用されているのが一般の年金制度やあるいは当たり前の労働基準法、これが実はちゃんと適用されているわけですが、かつて社会保険料が未納であった問題なんかが喧伝されたこともありましたが、国会に身を置く我々自身の事務所が比較的そういうことにコンシャスでないケースが実は一部にあったんですね。

 私は今もまだまだ実は勉強不足というか、いわゆる経営者としては本当に未熟なところが私はあるなと今回の件で大変勉強になりまして、これから、自分のこと、まあ自分のことはさておき、スタッフのことについては、よく制度を、一般の小規模事業者それから中小企業者、事業者と同じように、さまざまにその経営を勉強していきたいと思っているところであります。

 一つだけ、きょうは通告していませんが、中小企業庁が小規模共済というのを持っていますね。これは、経営者が入れる年金制度です。経営者が入れる年金制度ですが、小規模共済は僕らは入れないんです。一般の事業をやっていないからということらしいんですね。だから、僕は本当は小規模共済も入れたらいいと思いますが、入れないそうでありまして、基礎知識として付言をしておきたいと思います。

 きょうは、この法案について、もう一つどうしても取り扱っておきたいテーマがあります。それは政策金融なんですね。いわゆる医療・福祉分野の、福祉医療機構の金融庁検査等がテーマになっておりますが、私、本当にこの分野は大事というか、問題があると思っています。

 どういう意味かというと、要すれば、この間、農業の改革、安倍総理が発表されました。農業の改革について安倍総理が発表されましたが、これから農協は会計監査を入れますと言っているわけです。当たり前のことをやっていなかったんですね。今回の法案のこの機構の話も、金融庁検査をやるのは当たり前だと私は思っていましたが、実はやっていなかったわけです。ヘルスケアの分野とか、あるいは農業、アグリの分野とか、こういう分野については、実は、厚生労働省が、あるいは農水省が独自の世界を築いて独特の制度を運用してきた、こういう実態があるんですね。

 だから、今回安倍政権が取り組まれている農業改革も、そして、この国会でさまざまに法案が出てくるヘルスケア分野についても、そういう一般的な制度、当たり前の制度を適用していくということは、私はとても重要だと思っています。

 そういった意味で、金融庁検査が入ること自体はいいわけですが、そもそも、何で中小企業金融で一貫して、中小企業向けの政策金融は業種を問わず、中小企業大臣、経済産業大臣がハンドリングしているんですね。なぜこの分野だけ厚生労働省が独立行政法人で特別の貸付制度をやっているのか、これがわからないんです。

 簡潔に、なぜそういう制度をつくっているのかという、ある種の政策思想みたいなものについて御教示をいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 医療・福祉分野におきまして、独自の、独立行政法人福祉医療機構におきまして貸し付けをやっておりますけれども、これにつきましては、福祉施設、医療施設につきまして、中小の、財政基盤が脆弱であるところが多いということもさることながら、介護報酬でございますとか診療報酬、こういったものの公定価格の中で、非営利かつ公共的、公益的な事業運営が求められているということがございます。また、その事業運営は、公的財源によって賄われているサービスであるということもございます。

 こういった点から、国の政策と密接な関係を持ちながらこうした政策金融が運営される必要がある、こういった観点から、福祉医療機構におきまして独自の融資を実施しているというところでございます。

足立委員 ちなみに、今おっしゃった、そういういわゆる保険制度の枠内のいろいろな事業体があります。それは、社会福祉法人もあれば、医療法人もあれば、介護保険については株式会社、営利会社ももう既に参入をしているわけです。さまざまな主体が今活動している中において、民間の金融機関も、あるいは中小企業庁の政策金融も、そういうところに貸し付けを行っています。

 すなわち、彼らも今十分ノウハウを持っているわけですね。十分そういうノウハウを持っているところがあるにもかかわらず、いや、これは私たちしかできないんだということを言い続けていらっしゃることに合理性はもうないんじゃないかと私は思いますが、いかがですか。

鈴木政府参考人 医療・福祉分野の融資につきましては、ただいま申し上げました政策的な観点のほかに、例えば、介護基盤の緊急整備あるいは子育て支援といったような国の政策に即して整備を図っていく、これに機動的に対応していただく必要があると思っております。

 そして、さらに、例えば二十年、三十年にわたります長期、固定、低利による融資、これは民間では実施をいたしておりませんので、こういったものを特に融資する必要がある。

 こういった観点から、福祉医療機構で融資を実施しているということでございます。

足立委員 きょうは、経産省、中小企業庁にもおいでをいただいています。ありがとうございます。

 今おっしゃったわけですけれども、政府の中ですからなかなか答弁しにくいかと思いますが、私はもう全然、今の長期、中長期の貸し付けも一部、当然、中小企業金融で取り扱われていると思いますので、できると思うんですが、経産省サイドから見て、今私が申し上げた、もう余り合理性はないんじゃないかという問いについて、もし何かコメントをいただけたらと思います。

佐藤政府参考人 答弁申し上げます。

 先生御指摘のように、私ども、中小企業向け公的金融機関におきましては、医療・福祉業にかかわらず、事業性を有する者を支援の対象としております。これが基本的な考えでございます。

 引き続き、医療・福祉業も含め中小企業金融の状況をしっかりと把握しつつ、厚生労働省など関係省庁と連携しながら、重複を避けつつ、適切な中小企業支援を実施してまいりたいと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 まさに、私も中小企業庁におったことがありますのでよくわかりますが、全く問題ありません。できます。

 むしろ、一貫してシンプルな制度で、これからの時代は、ここは厚生労働省、ここは農水省、そういうことではなくて、一般的な当たり前の金融制度、当たり前の法人制度、当たり前の税制、当たり前の組織再編、これを導入していくことこそ、安倍政権が推進をしているいわゆる第一の矢、第二の矢、第三の矢の成長戦略、今私が申し上げたようなことで、いわゆるサービス業、医療、介護もサービス業です、そういうサービス業の生産性を向上させていくことを通じてしか日本の成長を確保することはできない。そういう思いで、ヘルスケアの分野、農業の分野、さらにはエネルギーの分野について、引き続き、維新の党として、そういう当たり前の主張を根気よくやっていくつもりであります。

 もう時間が来ましたので終わりますが、先ほど冒頭の残業代の話で、ちょっと申し上げておかないとやはりあかんなと思っていることが一つありますので、御紹介だけしておきます。

 実は、今回のことで、タブーに余り触れるなとかいろいろな議論もありますが、やはり、国民の皆様からいただいた御意見、国民の皆様からたくさんの御意見をいただいたその中には、重要な御指摘がありました。

 幾つかありますが、その一つが、深夜業に対する割り増し賃金であります。深夜業に対する割り増し賃金については、今、四十一条二号でも適用除外されていないと承知をしていまして、この問題は、国民の皆様からいただいたさまざまな御意見の中で、ああ、なるほど、看過できないテーマだなというふうに思っておるわけでありますが、今この時期に余り取り上げてもいろいろまた物議を醸しますので、そういうテーマについては、御指摘をいただいた国民の皆様に対して、足立はちゃんと認識しているよ、また関連の法案がこの厚生労働委員会に提出をされた際に、しっかりと労働基準法の問題は微に入り細に入り審議を尽くしていくことをお誓い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、堀内照文君。

堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文でございます。

 議題となっています独立行政法人についての法案にかかわって質問をいたします。

 まず取り上げたいのは、勤労者退職金共済機構の資産運用委員会による運用のあり方であります。

 初めに、大臣に基本的な認識をお聞きいたします。

 この資産運用は、五兆円もの規模の金融資産の運用になるわけですが、これは労働者の大切な退職金の原資になるわけで、投機的な運用によってリスクにさらすというわけには当然いかないと考えますけれども、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今回、法改正によりまして、基本ポートフォリオを作成する際には資産運用委員会の議を経るということとなりますけれども、資産運用は、中小企業退職金共済法におきまして安全かつ効率的に行うこととされておりまして、その範囲内で作成されることは変わりはないというふうに考えております。

 今後、基本ポートフォリオを作成する際には、中小企業退職金共済法において求められている安全かつ効率的な資産運用を具体化するために、資産運用委員会において適切に議論が行われるというふうに考えておるところでございます。

堀内(照)委員 このたびの法改正で、同機構の資産運用のあり方について、新たに、大臣が任命した外部の専門家等から成る資産運用委員会が運用を行うということになります。

 現在の資産運用の管理についてはどうなっているのか、その仕組みと体制についてお答えください。

岡崎政府参考人 勤労者退職金共済機構におきましては、機構の中の内規という扱いでございますが、三つのシステムがございます。

 一つは、資産の運用について、定例的な議論、あるいは状況把握をするということで、これは機構の役職員から成っておりますが、資産運用委員会というのがございます。ここで、議論それから状況の把握をしている。

 それから、理事長が最終的に資産の運用の決定をするわけでありますが、その理事長の諮問機関として二つの委員会を置いております。

 これは、いずれも外部の有識者から成っておりますが、一つが、ALM委員会。これは資産の運用に関します基本的な事項について助言をするという位置づけでございます。もう一つが、資産運用評価委員会。これは資産運用の結果についての評価をする委員会でございます。これらは、いずれも外部の有識者五名ずつから構成されているという状況でございます。

堀内(照)委員 ですから、従来も外部の有識者が入って、事前にはALM委員会が助言をし、事後には評価委員会が評価をする、多重にチェックが入る仕組みになっているわけです。

 今回の法案では、大臣が任命する五人以内の資産運用委員会だけということなんですが、この五人以内というのは、最少人数というのはどうなるんでしょうか。

岡崎政府参考人 法律上の文言は「以内」となっておりますが、これは、たまたま欠員等が生じるということを想定して「以内」としただけでございまして、基本的には、五名を任命するという考え方でございます。

堀内(照)委員 いずれにしても、大臣やごく少数の資産運用委員会の意向が強く反映するものとなっており、仕組みや人的な体制という点でも、むしろ現行よりチェック機能が弱まっているのではないかと思うわけですが、この点、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今御説明申し上げましたけれども、今回新設をいたします資産運用委員会の委員には、中小企業で働く方に退職金を確実にお支払いするという中小企業退職金共済制度の趣旨、目的を踏まえて、経済、金融等の専門知識に基づいて適切に御議論いただけるような方を任命することが求められているというふうに考えております。

 加えて、現在、外部有識者により構成される委員会は、先ほど御説明したとおり、機構の内規に基づいて助言、評価を行っているのに対して、今回の法改正後は、法律によって、資産運用の基本方針を作成、変更する場合には資産運用委員会の議を経なければならないこと、そして資産運用業務の状況を監視することとされておりまして、外部有識者によって構成されます委員会の権限がむしろ強化をされているというふうに考えております。

 したがって、資産運用委員会の設置後は、現在よりもチェック体制はむしろ強化されるものというふうに考えているところでございます。

堀内(照)委員 内規を法律化して実質強化されているということでありますけれども、実際には、人的な体制という点でいうと、むしろ縮小しているということでありますので、投機的なリスクを回避するという担保が見えないと思うわけです。中退共のホームページでは「安全・確実・有利で」ということをうたわれておりますが、実際にこれで安全が担保できるのかという懸念があります。加入している三百二十八万人の労働者の退職金を守るためにも、投機的なリスクにさらすことは当然あってはなりません。

 これは今、答弁も、安全かつ効率的にとあったとおりだと思いますので、そこはやはり歯どめとなる仕組み、担保が必要で、当事者である労働者や積み立てる使用者が運用委員会の人選や決定に異議を申し立てられるような仕組みですとか、それから、運用委員会の人選についても、大臣の任命ではなく、透明で公平性が担保できる方法、構成とすべきだということを指摘しておきたいと思っております。

 次に、福祉医療機構の貸付事業、福祉貸付事業及び医療貸付事業について伺いたいと思います。

 この福祉医療機構は、福祉の増進と医療の普及及び向上を目的として設立された独立行政法人であります。そうした目的、理念のもと、医療・福祉分野の融資は、必要な施設建設等、重要な役割を果たしてきたと思います。

 とりわけ、福祉や医療の分野というのは、施設の収入が報酬、公定価格などで単価が決まっており、そもそも営利を目的とした事業ではありません。今も議論がありましたけれども、それだけに、融資の返済は長期かつ低利で行って、必要な福祉・医療資源を提供するという点で、この貸付事業の独特の、また重要な意義があるというふうに考えていますが、この点は、今度は大臣に、認識をぜひ。

塩崎国務大臣 この独立行政法人福祉医療機構は、福祉施設や医療施設に対して融資、貸し付けをするわけでございますけれども、特に福祉施設につきましては、小規模零細なものも多く、財政基盤が弱い、それから、介護報酬や診療報酬等の公定価格の中で非営利かつ公共的、公益的な事業運営が継続的に求められるなど、先ほどもちょっと御説明申し上げましたけれども、国の政策と密接な関係を持ちながら運営をされる必要がございます。

 このため、福祉医療機構においては、福祉医療貸付事業として、国の政策に即して、民間では必ずしも実施されないおそれがある長期、固定、低利の資金を融資し、国民生活に必要不可欠な福祉施設や医療施設の基盤整備や安定経営に寄与しているというふうに考えております。

 さらに、福祉医療機構の貸付事業の中でも、例えば東日本大震災への対応とか、あるいは耐震化の整備、介護基盤の緊急整備、保育関連施設の整備など、国の政策に即した整備事業を重点的に貸付利率等の優遇措置を行っているところでございまして、そういうところが意義ではないかというふうに考えております。

堀内(照)委員 そういう事業にこのたび金融庁の検査を導入するということですが、実際どういう検査をされるんでしょうか。金融庁にお願いいたします。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁検査は、平成二十五年十二月二十四日の閣議決定に記載されておりますとおり、金融庁検査の実効性が確保できる業務につきまして、主務省と金融庁の連携及び検査体制の整備を図った上で導入することとされております。具体的には、損失の危険の管理に限るということとされております。

 福祉医療機構につきましては、いわゆる福祉貸付事業及び医療貸付事業が検査の対象でございますので、主として信用リスク管理態勢及び資産査定管理態勢の適切性を検証することになるものと考えております。

堀内(照)委員 リスク管理を行うということなんですが、そもそも現在の財務状況がどうかということも確認しておきたいと思うんです。

 同貸付事業と債権管理についてどう評価をされているのか、お答えください。

鈴木政府参考人 福祉医療機構では、リスク管理債権といたしまして四つの区分、具体的に申しますと、破綻先債権、延滞債権、三カ月以上延滞債権、そして貸し出し条件緩和債権、この区分によりまして、リスクに応じた債権管理を行っております。

 また、債権の悪化を未然防止するといった観点から、全ての貸付先から事業報告書を求めまして、注意を要する貸付先に対する実地調査あるいは面談、こういったことを通じた相談、支援を行っております。

 それから、貸付先に係る事業や財務状況の把握にあわせまして、経営指標などをもとにして経営指導を実施いたしているところでございます。

 またさらには、償還期日の見直し、こういったような貸し付け条件の見直しなどを行うといった対応を行ってございます。

 そこで、こうした取り組みによりまして、リスク管理債権の比率でございますけれども、平成二十三年度末では三・一六%ございましたが、二十四年度末で二・八六%、二十五年度末では二・四〇%ということで、年々減少しているところでございます。

 この中には、東日本大震災におきます返済猶予分も入っておりますけれども、これを除きますと、二十五年度末では一・九〇%となっておりまして、現状、適切な債権管理ができているというふうに評価をしているところでございます。

堀内(照)委員 適切な管理が行われているということでありますが、福祉や医療の施設の特性も把握した現行の事業だからこそ、きめ細やかに対応し、貸し倒れもほとんど発生せずに来ているというふうに思うわけです。

 そこへ金融庁が入るということですが、経営効率の目で検査をして、リスク債権、即経営改善が必要だと効率化が求められるようなことはないのか。リスクといっても、条件変更しながら苦労して返済しているわけで、また、そのようなところへ効率化と言っても、今もありましたけれども、この施設の収入というのは報酬、公定価格であります。民間のノウハウを導入すると言って、収益を上げるために人件費を削れといったような指導につながらないかという懸念もあります。

 答弁があったように、あくまでリスク管理だということでありますが、個々の施設や事業所へ口を出すというようなことはないのか、あくまで機構独自の特性を生かしたチェックということが行われるのか、そういう私が言ったような懸念というのが当たらないということを確認しておきたいんですが、金融庁、この点でも。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお答えいたしましたとおり、金融庁検査は、リスク管理に関する態勢の整備状況について検証を行うものでございまして、個々の貸し付けの是非にまで立ち入ることはございません。

 また、金融庁検査の結果を受けまして各法人がどのような業務運営を行っていくかということにつきましては、引き続き、当該法人及び主務省が政策的に判断されるものと考えております。

 したがいまして、金融庁検査の導入によりまして、御懸念のような政策目的の達成に支障が出るということはないと考えております。

堀内(照)委員 この事業の特性を踏まえた運用が必ず必要だということを重ねて申し上げまして、続いて、この機構の別の事業、社会福祉施設職員等退職手当共済制度についてお聞きしたいと思います。

 まず初めに、この制度の目的はどうなっているでしょうか。

鈴木政府参考人 社会福祉施設職員の退職手当共済制度でございますけれども、これは、社会福祉施設等に従事する人材を確保し、福祉サービスの安定的な供給と質の向上に資することを目的といたしまして、民間社会福祉施設経営者の相互扶助の精神に基づき運営される制度でございます。

堀内(照)委員 この問題は、また別途法案が提出をされておりますけれども、その法改正で、この制度のうち、今度、障害者関連の施設、事業については公的助成を廃止するとしております。なぜ障害を外すんでしょうか。

鈴木政府参考人 この退職手当共済制度でございますけれども、ここにおきます公費助成につきましては、平成十八年に見直しが行われております。それは、介護保険におきます営利法人等とのイコールフッティングの観点から、介護保険制度の対象となる高齢者関係の施設、事業につきまして公費助成が廃止された、こういう経緯がございます。

 この十八年の改正の議論の際に、社会保障審議会の福祉部会の意見書が出されておりますけれども、そこに今御指摘ございました障害についての言及がございます。

 具体的には、障害等のその他の施設、事業に係る公費助成につきまして、平成十八年であわせて見直すべきとの指摘もございましたけれども、当時は、高齢者関係とは異なり、社会福祉法人がサービスの中核的な担い手となっている現状があること、それから、障害者の関連施策など制度自体の枠組みの変更が検討されている、そうした中で、この退手共済につきまして同時に結論を得ることは困難である、こういうことから、その取り扱いにつきまして将来の検討課題とする、こういった言及がございます。

 その後、今日に至りますまでに、障害者につきましては、障害者総合支援法等に関します施設、事業、これにつきまして、既に障害者関連施策に係る制度移行が完了しているという事情の変更が一つございます。

 それから、社会福祉法人が大宗を占めているというのが当時の状況でございましたけれども、現在、障害関連でも社会福祉法人以外の経営主体が六割弱を占める状況になっている。

 こうした点を踏まえまして、前回改正時の介護保険施設、事業と同様に、既に加入している方に係る公費助成、これは維持するという経過措置を講じた上で、今般、公費助成を廃止するということにいたしたわけでございます。

堀内(照)委員 公的助成から外れますと、この共済に加入しようと思えば掛金が三倍になり、事業所への負担が重くなります。かといって、加入せずに退職金を独自に払うことももちろん大変なわけで、いずれにしても、事業所への負担が重くなり、退職金を払えないという事態にもなりかねません。そもそも、退職金を出さない事業所もふえるのではないかと思います。そうなれば、この制度の目的でもある人材確保ということにも逆行することになります。

 この公的助成を外すことによる影響というのを、大臣、いかがお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 今先生から御指摘のございました社会福祉施設職員などへの退職手当共済制度、これにつきましては、職員の処遇の向上に重要な役割を果たしておりまして、今後とも、制度を安定的に運営し、維持することが必要であるというふうに考えております。

 他方、障害福祉サービス分野においては、前回改正時に公費助成を維持する理由とされた障害者関連施策に係る制度移行、これも完了したということなどから、介護関係施設、事業と同様に、他の事業主体とのイコールフッティングの観点から、先ほど局長から答弁申し上げたように、公費助成の見直しが必要ではないかということで考えているところでございます。

 こうした観点から、障害者、それから障害児に関する施設、事業については、今般、公費助成を廃止することとしておりますけれども、法人の運営への影響を緩和するため、既加入者に対する公費助成を維持することとしております。

 なお、新規加入者につきましては、法人の掛金負担の増加について、制度見直し後の施設、事業の経営実態等を把握することによって、適切に報酬改定に反映されるように努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

堀内(照)委員 公的助成から外れるとどういう影響が出るのか、既に二〇〇六年に外された介護でどうなっているかということを見てみたいと思うんです。

 介護関連施設での共済加入者数及び新規加入者数について、二〇〇六年以前との比較でどういう変化があるかということをお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 ただいま御指摘ございました、介護施設、事業に関します公費助成の廃止に伴う影響でございますけれども、法律上の特定介護保険施設等の職員数、これで申し上げたいと思います。

 これは、制度改正時に既に加入していた方、この方々の退職によりまして、制度改正前の平成十七年、これは二十八万七千五百四十四人でございましたけれども、平成二十六年度には二十五万三百四十五人となっておりまして、平成十七年度に比べますと三万七千百九十九人の減でございますが、推移といたしましては、平成二十一年からは二十五万人台を維持しているという状況でございます。

 また、そのうち、この改正に伴いまして公費助成の対象外となりました、制度改正後に新たに加入した職員の数でございますけれども、制度改正直後には、平成十八年、六千五百九十五人でございましたけれども、平成二十六年度には十二万八千八百八十五人となっておりまして、近年は毎年一万人程度のペースで増加しているということでございます。

堀内(照)委員 加入者数はおよそ四万人減っているわけですね。この間、介護労働者の総数は約五十万人以上もふえているのにであります。

 新規加入の方なんですが、みずほ情報総研株式会社が二〇一三年三月に、社会福祉施設職員の退職金の在り方に関する調査研究報告書というのを出しているわけですが、そこによれば、二〇〇六年以前は五万人前後、毎年新規加入があったわけですが、公的助成がなくなってから、毎年二万数千人と、およそ半分の水準で推移をしているわけであります。

 大阪のある介護施設では、二十五人の職員一人当たり四万四千円、合計百十万円でよかった掛金が、一人当たり十三万二千円で、二十五人分で三百三十万、一気に二百二十万円も事業所の負担がふえました。

 介護報酬で手当てすると大臣もおっしゃいましたけれども、この間、介護報酬が上がったのは〇九年改定だけで、一二年改定は、処遇改善交付金が組み込まれていましたので、それを除けば実質マイナスになっているわけで、今回もマイナス改定であります。

 ですから、施設は本当に大打撃でありまして、新規加入が以前の半数になっているように、そもそも共済に入れない、退職金が準備できないという事態であります。

 これは人材不足に本当に追い打ちをかけていると思うんですが、改めて塩崎大臣、これでも、障害施設を公的助成から外そうというこの影響、否定できないのかということを、もう一度お答えいただきたいと思うんです。

塩崎国務大臣 先ほど御答弁申し上げたように、やはり民間の方々の参入というのが半分以上になってきているということもあって、イコールフッティングを考える、しかしながら、今介護のお話が出ましたが、介護のサービス提供主体の経営については、これは全体として、この報酬の中でもしっかりと見ていくということでもございますので、そういったことで、今回の改正の趣旨はやはりお認めをいただきたい、このように考えているところでございます。

堀内(照)委員 しかし、介護報酬は上がらないわけですね。

 大阪の別の事業所では、介護に加え、今回助成から外れる障害者施設も運営しています。それから、今後助成から外そうとも言われている保育も運営をされている従業員三百人の事業所があるわけですが、仮に全部公的助成から外れてしまうと、助成があったときと比べたら、年間二千四百万も負担がふえます。これは、この事業所の総人件費の〇・四カ月分にもなります。規模が大きいと中退共にも入れません。

 事業所の担当者は、本当に負担が大きく、これでは業界全体で退職金の要らないパートなどへの切りかえがふえるのではないか、真面目に正規を雇って人材育成をやればやるほど事業体としてはやっていけない仕組みになっている、何とかしてほしいと切実な声を上げています。

 イコールフッティングと言われますけれども、これだけ介護や保育を初め福祉労働者の処遇改善が言われている中、社会福祉法人以外の経営体の職員へも支援を強めることが大事であって、制度を低い方に合わせるということは処遇改善のマイナスにしかなりません。障害や今後の保育への公的助成の打ち切りはやめるべきだと強く申し上げておきたいと思います。

 残る時間で、所信質疑に続いて、保育の問題も若干質問したいと思います。

 待機児童の問題、その後もさまざま報道がされておりまして、四月六日付の雑誌アエラでは、保活、保育活動ですね、翻弄された母親たち三十一人の訴えということで特集が組まれております。まだ育休中なのに生後三カ月で預けなければならないとか、病院のベッドでも保活、認可外に二十万円以上の負担だとか、復職が遅ければアウト、第十希望に滑り込み、電話すらつながらない、もう引っ越すしかないと、深刻な実態を伝えています。

 一方で、施設の老朽化のため、廃止に追い込まれる保育所も生まれています。

 茨城県守谷市土塔中央保育所は、今、保護者の運動もあって、現在のところは廃止は免れましたけれども、二〇一三年秋に、耐震に問題があるということを一つの理由に、将来的な廃止の方向が打ち出されております。埼玉県ふじみ野市では、園舎が耐震基準に満たないことを理由に、この三月で二つの保育所が廃止になりました。市民が、市長に存続へ直接請求まで行っております。同じく埼玉県鶴ケ島市では、築四十年の耐震強度が不足している東部保育所を段階的に閉鎖するということであります。

 国は、こうした保育所の耐震強度不足の施設や、老朽化で改修が必要な施設についての状況を把握されているでしょうか。

安藤政府参考人 保育所の耐震化につきましてお答え申し上げます。

 保育所を利用する子供の安全、安心を確保する観点から、保育所の耐震化を図ることは重要であると考えておりまして、毎年、社会福祉施設等の耐震化状況調査におきまして、その状況を把握しているところでございます。

 平成二十五年十月一日時点において、全ての保育所の約八割が耐震基準を満たしておりますけれども、各自治体ごとに見ますと、若干ばらつきがあるという状況でございます。

堀内(照)委員 老朽化の方は把握されていないんですね。

 全国保育協議会の「全国の保育所実態調査報告書二〇一一」によれば、園舎の築年数の平均は二十五・六年、老朽改築が今後大きな課題との指摘をしています。築三十年以上の保育所が、公営で五七・一%、民営で四二・三%、全体で五割近くに上るとされています。

 耐震化については、今答弁ありましたけれども、そもそも一九八一年以降の建物については耐震診断すら行われていないわけであります。

 ぜひ国としても、これは実態をつかんで対策を打つべきだと思います。

 ちょっと時間がないので質問を一問飛ばしたいと思うんですが、こうした補修、改修、耐震化工事への支援が、保育所整備交付金で対応するということで、今事業所の負担は四分の一で済むというメニューになっているわけですが、これは不十分だというふうに思うわけなんですね。

 神戸市西区の枝吉保育所は、一九七四年三月竣工の施設で、二〇〇九年に民間移管をしました。その際、建物診断を受けると、屋根、外壁、保育室、事務室、給水、排水通気、衛生器具、軒並み早期補修が必要だと。二〇一四年にようやくその一部を改修に踏み切ったんですが、総額一億三千万円の工事になりました。神戸市の補助制度、安心こども基金を活用した制度を使ったんですが、神戸市の補助は、待機児童解消や新規建設が優先されて、老朽化に伴う改修工事の補助には上限が設けられ、ようやく事業採択されたときには、おりた補助金は一千万だけでした。

 事業所の負担は四分の一で済む制度設計なのに、財源不足で独自の自治体の上限があるがために、工事費用一億三千万円の四分の一どころか、九割以上が自己負担になって、銀行からの融資も受けましたけれども、まだ資金が足りず、改修が半分でとまったままだと。

 いわゆる保育所整備とは別枠で、改修や耐震化のための予算の抜本的な増額が必要だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先生御指摘のように、子供たちの安全を確保するために保育所の耐震化を進めるということは大変重要であることは、そのとおりだと思います。

 先ほど来申し上げているように、このため、平成二十七年度の予算案においては、新たに創設をいたしました保育所等整備交付金、二十七年度は五百五十四億の当初予算で用意をしているわけでありますが、新たな保育の受け皿の確保のみならず、既存の私立保育所等の耐震化や老朽改築を行うための費用も対象としておりまして、必要な予算を確保しているものというふうに考えております。

 耐震化の推進は、各自治体における取り組み姿勢が極めて重要でありまして、厚生労働省としても、この取り組みを強力に各自治体に対して促して、支援をしていきたいというふうに思います。

堀内(照)委員 今申し上げたのは民間の例ですが、公立の場合は一般財源の中で手当てしないといけません。埼玉のさきの公立廃止の動きも、報道では、国や県の補助金がない、財政的な問題だというような指摘もされております。全国で公立保育所閉鎖が進む一因にもなっていると私は思いますので、保育の受け皿がなくなるということでは、これは待機児童解消にも逆行します。

 公立も私立も含めて、整備費とは別に、やはり改修、補修、耐震化工事のための予算の抜本的な増額が必要だと重ねて訴えまして、質問を終わります。

渡辺委員長 午後三時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時三十分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長妻昭君。

長妻委員 長妻でございます。

 本日は、委員長、筆頭理事を初め、質問の機会をいただいて、ありがとうございます。

 まず大臣にお尋ねしますが、GPIFの水野理事、どんな役職で、どんな役割でございますか。

塩崎国務大臣 今回お願いをしております独法の改正法案の中で、理事を一人ふやす、それも運用担当理事ということでふやすということでございますが、そもそも水野理事は、理事長たる三谷理事長が任命をされたものでございまして、運用担当理事というふうに聞いております。

長妻委員 今回の法律の根幹は、理事を一人ふやして、そして、十八条、年金積立金の管理及び運用を行う、具体的な役割をつけるというのが肝だと思います。

 そのときに、この水野理事の任命のプレスリリースというのがあるんですが、そこには、CIO、チーフ・インベストメント・オフィサーの略称であり、最高投資責任者で、新たに設置する役職だと。最高投資責任者というふうになっておりますから、今回、法律もあるので、水野最高投資責任者をお呼びして、一月に就任されたわけでありますから、抱負をお伺いしようとしたんですが、これは、大臣、何でだめなんですか。

塩崎国務大臣 委員会で参考人をお呼びになるときには、政府ではなくて委員会でお決めになるというふうに理解をしております。

長妻委員 厚労省の意向もかなりあったと聞いておりますけれども。

 それでは、これは松野筆頭理事にお伺いするのがいいのか、委員長にお伺いするのがいいのか。法案を審議するときに、百三十兆円の運用、株を半分、基本ポートフォリオを上げるということですね。それで、最高投資責任者である水野さん、私は、水野さんという方の抱負を聞きたいということでお呼びしたんですが、では、国会に一度も来ない、もう永久に来ないことになるんじゃないか。我々も、毎日来てくれとかと言っているわけではなくて、ちょうどこの法案審査をして、国会で抱負を語ってほしいと。では、今後永久に来ないということになるんですか。

 これは、委員長、何で。ちょっと法案審議できないと思うんですが。

渡辺委員長 この件につきましては、理事会において協議した結果、このように決めさせていただきましたので、これは御了解をしていただきたいと思います。(発言する者あり)理事会の協議の結果でございます。

 以上のとおりでございます。

長妻委員 いや、これはちょっと質問できません。もう一回理事会を開いてください。

渡辺委員長 理事会の協議の結果、このように決めさせていただきました。

 そして、その理由として申し上げるならば、一般的に、独立行政法人の質疑者については、大体、代表者を呼んでいるというのが通例であるということでありますので、そういった形で決めさせていただいたわけであります。

長妻委員 通例であれば、これは役人と一緒じゃないですか、通例踏襲というのは。

 こんな役職は独法にないですよ。最高投資責任者なんて初めてですよ、これは。最高ですから、投資の最高責任者ですから。それを呼ばないという、まあ多数派は自民党ですから、自民党の御判断だと思いますけれども、それはおかしいんじゃないですか。自民党の委員の皆さん、どう思われますか。ここへ来て抱負を語るということを何でブロックするんですか。百三十兆円ですよ。抱負を語るというのは何でだめなんだ、国民の皆さんに開かれて。

 一度も国会にお姿も見せずに、百三十兆円の最高投資責任者としてずっとそこで仕事をされるということは、私はおかしいと思うんですね。

 これはちょっと質問できませんので、もう一回理事会で協議していただきたい。

渡辺委員長 では、ちょっと時計をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 今、理事間の協議をさせていただきましたが、今回の決定については理事会で決定したことでありますので、これはそのまま続けさせていただきます。

 ただし、今後については、理事会において協議をさせていただきます。

 そのように進めていきますので、どうぞよろしくお願いします。

長妻委員 そうすると、きょうは呼べないけれども、今後は呼ぶ可能性もあるということですか。

渡辺委員長 それは、理事会協議の場で決定させていただきます。

長妻委員 委員長、私が申し上げたいのは、これはちょっと普通の案件と違うと思うんですね。

 これは、独法で初めての最高投資責任者という役割が、どの独法にもない役割が新設される。しかも、百三十兆円という積立金を運用する最高責任者で、しかも、今回、基本ポートフォリオ、半分を株で運用するということになって、しかも、その法律の審議で、一人をふやすという条文が追加された法律の今審議をしている。今呼ばなかったらもう呼べないと思いますよ、永久に。

 であれば、ぜひ委員長にお願いしたいのは、理事会で決まった決まったといって錦の御旗みたいにおっしゃるのもいいんですけれども、ただ、これはそういう案件なので、理由を、我々は呼んでほしいと言っているんですが、呼ばない理由をちゃんと公表していただきたいんですね、国民の皆さんに。

 それと、集中審議を求めたいと思うんです。この水野さんをお呼びして、積立金についてのいろいろな国会の意見を聞いていただいて、御意見もいただく、こういうような場をやはり設けていただきたい。

 この二点について、ぜひ理事会で協議いただきたいと思います。

渡辺委員長 理事会で協議をさせていただきます。

長妻委員 それと、会計検査院が、かつて、ここに冊子がございますけれども、平成二十四年の十月に、「年金積立金の管理運用に係る契約の状況等に関する会計検査の結果について」という冊子をつくっておりまして、ここでいろいろな指摘をGPIFに対してしております。

 これが配付資料の三ページ目にございますけれども、私が会計検査院に、これは直ったのか直っていないのか、ちゃんと会計検査院の指摘を改善したのかしていないのかということについて、マル、バツ、三角でつけてほしいと申し上げて、直近の、今現在の話ですけれども、マルは改善している、三角は不十分だ、そして、バツは全然改善していない。バツはなかったんですが、三角が六つあるんですが、これは、会計検査院、今時点で改善していないということでよろしいんですか。

村上会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院は、今おっしゃっていただきました年金積立金の管理運用に係る契約の状況等に関しまして、参議院からの検査要請を受けまして、二十四年十月にその結果を報告いたしております。

 この報告書におきましては、年金積立金の管理運用が適切に実施されているかなどについて、多角的な観点から引き続き検査していく旨を記述しているところでございまして、報告書に記載した内容につきまして、その後の状況を注視しているというところでございます。

 そして、今回、委員会に提出いただいた資料の摘要欄に三角が六つほどございます。今回、マル、三角、バツにつきましては、私ども、報告書の検査の結果の所見といたしまして記載した内容について、厚生労働省やGPIFにおきまして一定の対応をとって公表している場合にマル、それ以外は三角、ただし、違法または不当と認めた事項等がある場合はバツといった形の記載をさせていただいているところでございます。

 その後、厚生労働省の方から、改善状況ということで同じく委員会に資料を御提出されておりますが、その中で、国会に対してこういった改善状況を御報告されているということでございますので、私どもとしましては、国会の報告ということで、公表されたと同じように重く確かなものであるというふうに考えている次第でございます。

 したがいまして、こうした状況を見る限り、当初、三角と御提出させていただきましたが、厚生労働省におきまして改善状況を国会に報告していただいておりますので、現時点においてはマルという評価ではないかということで、再度、資料を提出させていただいたという次第でございます。

長妻委員 これは、厚労省、いつ国会に報告したんですか。

村上会計検査院当局者 お答えいたします。

 昨日、資料を拝見しております。

長妻委員 これもちょっと理事会で協議していただきたいと思うんですけれども、私、ちょっと不可解な経験をしたのは、まず、この報告書は、聞いたらば、五人の検査官がこれにかかりっきりで、一年かけてつくった報告書だと。人件費を含めて相当な金額がかかっているものでありますが、そこについて、きのうの時点で、これは先週から聞いていたものなんですが、午前中に資料が出てきて、直近の形でマル、バツ、三角をつけてほしいと。三角が六つあったわけですね。

 例えば、国民年金勘定及び厚生年金勘定に多額の余裕金が発生している、これは三角、まだ直っていない。あるいは、運用受託機関を選定する際の審査過程において、選定の過程の妥当性を事後的に検証することが困難、これも三角がついている。あるいは、株主議決権を行使するのがおくれている運用受託機関がある、これも直っていないです。不十分、三角で出てきた。あるいは、委託調査研究契約に係る予定価格の算定の参考とするために徴取した参考見積もりについて、妥当なものであるかを十分に検証することなく予定価格の算定に使用していた、これも直っていない。不十分で、三角で出ていたんですね、午前中。

 ところが、厚労省と会計検査院が打ち合わせをしたんだと思いますが、厚労省から資料が出てきたんですね、五ページ目。この三角の六つについては厚労省は改善をしているよと。こういう資料を私も作成を要請しましたけれども、厚労省からこれが出てきた。そうしたらば、突如として、きのうの夜、今、別紙にちょっと二枚分かれた資料として配付しているのが、これが会計検査院から出てきた。つまり、三角が全部マルになっちゃっている。会計検査院、午前中と夕方で三角がマルになっちゃったというのは、こんないいかげんな、まあ、厚生労働省が真面目にやるという紙を出したからいいんじゃないか、こういうことでいいのかなと。

 ちょっと私、がっかりするんですけれども、会計検査院はもっとちゃんとしたところだと思っていたんですが、いかがですか。

村上会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院といたしましては、厚生労働省やGPIFにおきまして、今回の報告書で所見として記述しました内容につきまして、どのような対応がとられたのか、また、これらの対応が実効あるものとなっているのかどうか、こういったものにつきまして、その対応が公表されているかどうかにかかわらず検査を実施しているところでございまして、その過程で、両者において種々の対応をとっているということは承知しているところでございます。

 今回、マル、バツ、三角の整理でございますが、マルについては、一定の対応をとって公表している場合ということで整理をさせていただきましたので、そのような種々の対応をとっていることを承知しておりましたが、公表という形で外部的に検証できないというような形であったものですから、今回、三角とさせていただきましたが、先ほど申し上げましたように、国会の方に、委員会に資料を提出されたということをもちまして、公表と同等の扱いになったのではないかということで、マルというふうに申し上げたという次第でございます。

長妻委員 これは五ページ目の一枚っぺらの資料ですよ、厚労省から。この右側の何行か、これが公表で、半日でころっと変わっちゃう。

 私も疑うわけじゃないですけれども、きのう午前中に、この三角のままだと、やはりこの法案審議には問題がある、これは徹底的に追及しないといけないというふうに申し上げたのが、何か皆さんがそれをそんたくしてマルにしちゃったのかどうかわかりませんが、そういうことはないとは思うんですけれども、これは理事会で協議してください。

渡辺委員長 後刻、理事会で協議いたします。

長妻委員 そして、今回法案に出ております独立行政法人福祉医療機構というもの、これは、昨今、一部マスコミで大臣のいろいろな融資にかかわる報道があるので、ちょっと私も調べてみました。

 福祉医療機構については、これは医療法人や社福への融資をしているところでありますが、ここの福祉審査課にちょっとお伺いしますと、国会議員、秘書から、法人名を出して融資の対象になるか問い合わせがあるということ、あるいは、国会議員、秘書から、法人名を出して融資の相談を受けてほしいとの依頼もあるということ。これだけで直ちにどうこうではありませんが、一部の方は、厚労省経由で国会議員、秘書から問い合わせがある場合もあると。

 当初は、具体的な法人名を出して厚労省経由で問い合わせとおっしゃっていたんですが、後半には、法人名はやはり出ていなかったというふうにおっしゃっておられるということで、塩崎大臣、こちらも、国会議員あるいは国会議員の秘書からどんなような接触があって、よもやそういうことはないと思いますけれども、融資について、その融資決断のスピードとかあるいは判断に影響があるのか、調査していただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

塩崎国務大臣 福祉医療機構の融資の可否は、当然のことながら、これは規定に従って決定をされているわけでありますから、国会議員等の相談により影響を受けるというようなことはないはずでございますけれども、今お尋ねの、照会など、あるいは問い合わせというかがあるのかないのか、その点について福祉医療機構の方に確認をさせるということはやっても構わないというふうに思います。

長妻委員 ぜひ調査をお願いします。

 そして、私もびっくりしましたのは、四月一日、朝日新聞一面に、エープリルフールではないと思いますが、正しい記事だと思いますけれども、「医師に謝礼 一千万円超百八十四人」という見出し、「製薬会社、講演料など」。「推奨薬決める医師重視 製薬会社、講演依頼し謝金」「競争激しい分野高額に」、見出しですね、「講演会 薬名繰り返す 講師の医師 製薬会社から謝礼」。「公表 医師抵抗で一年遅れ 製薬会社からの講演・原稿料 印刷できず閲覧期間制限」「米は」、アメリカですね、「公開度高く検索可能」とか、こういう記事が出ております。

 びっくりしますのは、十一ページ目に、厚労省がつくっていただいた、製薬会社からの接遇等費用が二〇一三年は幾らなのか。接遇費というのは飲食代、手土産、慶弔関係などなどなんですが、飲み食いをお医者さんにさせるということでもありますが、それがトータルで七十四億円あると。

 ちょっとサンプルで、社名を出すのは申しわけないので、十二ページ目に、あるA社という事例をお伺いすると、このEの、社会的儀礼としての接遇等の費用、一社で年間五億円なんですね。

 そして、十三ページでは、例えば情報提供関連費というのは、これは講演会をするということなんですね。そうすると、この会社は、一社で年間一万一千二百七十四件講演会をしている。担当者の方に聞くと、この一万一千二百七十四件のうち、二回に一回は、講演会の後、立食パーティーを大体している。これは、ただでお医者さんに飲み食いさせている、お客さんもお医者さんですから。会場費を除いて、一人当たり大体九千円ぐらい飲み食いをさせている。費用は販売促進費でさせている。パーティーの費用はこの情報提供関連費に入るんですね、講演会の後の立食だということで。

 E、その他であります、さっき申し上げました接遇費ですが、これについて、この会社は五億円であります。飲食にかかる費用、飲食費あるいは交通費、手土産、慶弔関係、災害見舞い、こういうようなもので五億円ということでございますが、大臣、どう思われますか、こういうのは。好ましいのかどうなのか。どう思いますか。

塩崎国務大臣 私も新聞を拝見しました。

 製薬メーカーによる講演会などに伴う懇親行事における飲食の提供ということだと思うんですが、これにつきましては、医療用医薬品製造販売業公正取引協議会というのがございまして、これは公正競争規約を運用する業界の自主団体でございまして、消費者庁長官及び公正取引委員会の監督を受けている協議会でございまして、これが、公正取引委員会そして消費者庁長官の認定を受けてルールを定めているというふうになっています。

 具体的には、講演会等に伴う懇親行事における飲食の提供というのは一人当たり二万円未満とされていると聞いておりまして、今お話がございました九千円程度というのは、今の割り算だろうと思いますが、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択及び事業者間の公正な競争を確保するという観点から、各企業において、この内容について引き続き遵守をしていただくことが必要ではないかというふうに考えております。

長妻委員 何だか官僚的ですね。

 ただで立食パーティー、二万円までオーケーなんですよ。この会社は一万回ぐらい講演会をしていて、半分ぐらいがその後、立食パーティーをやって、二万円までは大盤振る舞い、大盤振る舞いかどうかわかりませんが、飲食ができる。

 私は、これが普通の業界であれば何の問題もないんです。ただ、薬価ベースで年間で九兆円、これは全部医療保険で負担しているんですね、薬。そして、製薬メーカーから医療機関と医師に、年間合わせて四千七百億円が流れているんですね、研究費も含んでいますけれども。それでこんな立食パーティーとか飲み食いとか、これは、大臣、何とも思わないんですか。二万円以内ならいいんじゃないの、こういう感覚ですか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、消費者庁長官と公正取引委員会の、言ってみれば指導のもとで公正取引協議会というのが設けられて、これは先生の方にもお届けをしていると思いますけれども、ルールを書いたものでお届けをしております。

 「「飲食等の提供」に関するルール見直しのご案内」ということで、そこに、一人当たり超えてならない額というのが一つ一つについてあることはもう御存じのとおりで……(長妻委員「いや、説明じゃなくて感想ですから。それは全部聞いています、説明は」と呼ぶ)いや、委員の皆さんにお披露目をしておかないといけないので。「下記の金額を超えない飲食等以外は、二次会ならびに娯楽の提供を含め全て禁止しています。」と。

渡辺委員長 大臣、簡略にお願いします。

塩崎国務大臣 こういうことになっているわけで、自主ルールで決めているわけでございますので、公取のもとで、消費者庁のもとでということで、ルールに基づいて彼らもみずからを律しているんだろうというふうに思っています。

長妻委員 私はお医者さんを疑うわけではありませんけれども、やはり、飲み食いを特定のメーカーのところでされて、そこで、講演会で、はっきり言えばメーカー宣伝のためもあるわけですけれども、そこでなったときに、本当に公正な判断をして適切な薬というのができるかどうかという疑いを国民の皆さんに持たれる可能性があると思います。

 サンシャイン条項という、十六ページにありますが、これはアメリカで、非常に厳しい、年間百ドルを超えなければ報告の対象から除外される、年間一万円を超えなければ報告の対象から除外されますが、一万円を超えちゃったら全部ちゃんと報告をするというようなものであります。

 大臣、今そういう閣法を検討されておられると思いますけれども、せめてこの米国のオバマ・ケアに入っているサンシャイン条項について、これは昨年九月三十日から公表されておりますけれども、こういう対応をする、やましくなければ公表する、このぐらいの決意を言っていただきたいんですが。

塩崎国務大臣 今先生が御指摘になったのは、臨床研究に係る制度の在り方に関する報告書に基づいて、今、法案を検討しているということだと思います。

 製薬企業等が提供する資金等の開示については、業界が自主的に取り組みを進めているところであるが、行政は製薬企業等の取り組み状況も踏まえ、法的措置も視野に対応を検討すべきとされておりまして、それを受けて、被験者の保護とそれから臨床研究の適正な実施の確保の観点から、製薬企業等が提供する資金の透明性の確保について、今、与党で議論をし、そして省内でも議論をしておりまして、法的な措置のあり方を含めて検討を進めているというところでございます。

長妻委員 これは、代金は税金と保険料でありますので、ぜひこのサンシャイン条項並みに透明性を高めていただきたいと思います。

 そしてもう一つは、子供の貧困の調査をされるということで、かなり時間はかかりますが、平成二十八年の二月から三月に公表するということになりました。この中でぜひ入れていただきたい案件があるんですが、例えば、一日子供一人が食費三百円以下でお暮らしになっているお子さん、あるいは一日子供一人が食費五百円以下で暮らしているお子さん、こういうお子さんが何人ぐらいいらっしゃるのか、こういうことも調査項目に加えていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

塩崎国務大臣 先般、総理を先頭に私ども、私も、有村大臣も、それから下村大臣も集まって、子供の、言ってみれば貧困の解決に向けて国民運動をということで始めさせていただきました。

 今先生御指摘の、子供の貧困の実態把握等については、一人親家庭への支援や子供の貧困に対する調査研究を進めるための経費を今年度予算案に私どもも計上しておりまして、御指摘の、子供の食事に関する実態の把握も含めて、今後、具体的な調査研究の内容について検討していきたいというふうに思っているところでございます。

 今、一日三百円以下とか五百円以下で食事をしているというお話がございましたが、今申し上げたとおり、子供の食事に関する実態をどういうふうに把握するのかということを含めて考えていきたいというふうに思います。

長妻委員 せっかくの大規模調査なのに、今検討されている項目は、大変厳しいとか、おなかがすいて大変だとか、そういう抽象的なもの、それもだめとは言わないんですが、やはり金額、大体このぐらいの金額というものを入れていただきたいということを強くお願いをします。

 最後に、残業代がこの委員会でも問題になりましたので、私もかねてより問題意識を持っておりますのは、霞が関の残業代なんですね。これが払われていない。

 二十九ページを見ていただくと、これは厚労省のポスターですけれども、賃金不払い残業をなくしましょうと言っていながら自分の省は残業代を払っていない、こういうことは非常におかしいのではないか。

 いろいろな方にお話しすると、ある部署では、残業の予算は二十時間ぐらいかな、それを超えるとなかなか予算が出ないと。

 こういうような、まあ、うわさですけれども、未確認情報ですが、財務省はかなり残業代の予算があるというようなこともあり、私も質問主意書でお伺いしましたところ、答弁がございまして、二十六ページ、非常に奇妙な論理構成なんですが、つまり、残業の命令に従って勤務した時間は残業代は出るけれども、職場にいても、職員がこの命令を受けずに在庁している場合は超過勤務手当は支給されない、こういううまいロジックになっているんですね。自発的に残務整理を職場でしていても残業代は出ない、具体的にこの仕事で残業しなさいと言われたものについては出るけれども。

 でも、私も民間企業におりましたが、これは常識でありますけれども、民間企業、私が少なくとも知っている企業は、職場にいるときは残業代は出る、職場から出たときは出ない。つまり、職場で遊んじゃいけないわけですから、自分の何か勉強をしちゃいけないわけですから、仕事をしているわけですから、職場では。そういうことが今なされていないんですね、霞が関全体で。

 これは、ある意味では霞が関のタブーなのかもしれませんが、余りこういうことをほったらかしておくと、働く方々も非常に不満というか、やるせなさというか、そういうことが積もり積もっていくんじゃないか。国家としても私は損失だと思うんです。

 これは大臣、実態調査をして、きちっと残業代を全部払う、あるいは、払うとしたら幾らぐらいお金がふえるのかとか、そういう試算をしていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

渡辺委員長 既に時間が経過しておりますので、質問はこれで終了して、お願いします。

塩崎国務大臣 長妻大臣が大臣をお務めのときにどういうふうにされていたかよくわかりませんが、国家公務員の超過勤務手当というのは、先ほどお話があったとおり、やはり、公務のために臨時または緊急の必要がある場合に、正規の勤務時間以外の時間において勤務することを命ぜられたときに、この命令に従って勤務した時間に対して支給されるものであって、当然、残らざるを得ない業務が生じてしまった場合には、明示的な命令がなくても、超過勤務の指示があったものとして超過勤務手当を支払うこともあり得るということだというふうに思っています。

長妻委員 時間が来ましたのでこれでやめますけれども、それは建前で、ちょっと大臣、何か昔の塩崎節が出なくなったような、何か官僚答弁をそのまま丸読みになっちゃって残念なんですが、これは本当に、職場にいて何で残業代が出ないんだ、こういう大きな問題もあります。

 そして、最高投資責任者である水野さんを、一度も国会に来ないで、もう永久に国会に来ないで百三十兆円を運用している、こういうことで本当にいいのかという問題意識がありますので、ぜひしっかりと理事会で議論していただきたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 民主党の岸本周平でございます。

 きょうは、予算委員会で二度の質疑をさせていただきました続きを、塩崎大臣と議論をさせていただきたいと思います。

 GPIFのガバナンス改革について、きょうは大臣の応援弁士のつもりで参っておりますので、答弁書はちょっと横に置いていただいて、塩崎節を炸裂させていただきますようにお願いをしたいと思います。

 まず、今、我が党の長妻委員からもいろいろ御質問がありましたし、水野CIOの招致問題についてもありましたけれども、少なくとも、GPIFという国民の財産である年金を運用する機関について、政治的に外部からプレッシャーをかけるとか、あるいは、今のガバナンスの仕組みとしては弱いですけれども、運用委員会というのがあれば運用委員会の人選等についても、これは、やはり政治的な意味では中立性をできるだけ保っていただくというようなことが前提だと思います。そこはもう異論がないところだと思うんですけれども。

 それで、これまで二回予算委員会で質疑をさせていただきましたときには、一応私もGPIFが独立行政法人であるという前提でオーソドックスな議論をさせていただきましたけれども、きょうは、独立行政法人の法律改正の審議でありますから、そもそも論をさせていただきたいと思います。

 まず、百三十兆円ある国民年金、厚生年金の積立金、これは、今までの考え方でいうと、過去勤務債務を入れて、積立金というのは実は一割を切るんですよね、資産として。つまり、積立金と将来の保険料、将来の保険料というのが資産の方に立って、過去勤務債務的な、過去約束されている債務、それの比率をとると、積立金というのは実はもう一割を切っていて、まさに年金というのは、これからいただく保険料、それとこれから支払う年金との見合いで、百年安心というのを自公政権でおつくりになった。

 これがなかなか、いろいろな外部の環境の変化で、私どもからすれば決して百年安心ではない。昨年の検証でも、非常にバラ色の数値を目標にしても結構代替率は低くなりますし、常識的に考えられる経済の動向からすれば、特に基礎年金を中心に非常に厳しい状況になるということでありますから、これは実は、トータルでいえば、余り積立金の部分が大きく影響するということではない、計算上は幾らでも計算はできますけれども。そこはもう十分大臣は御理解をされていると思います。

 したがって、アメリカでは、二百兆円近い公的年金の積立金は、一〇〇%非市場性の国債という形で、アメリカの財務省と年金の担当の間で運用しているわけです。非市場性の国債ですから、運用費用はかかりません。担当者が一人いればいいわけであります。

 これは、実は日本でも同じことをやっていたんですね。理財局というのがありまして、資金運用部が、昔々、郵便貯金のお金を預かったりしたときに、少し自主運用という、私が係長をやっていたころに自主運用という流れが来たときに、実は、理財局と郵政省の間では、担当者一人置いて、自主運用は国債を相対で私募の形でやっておったということもありました。

 ですから、本当は、国債のマーケットさえ十全に機能していれば、今全く機能しておりません、アベノミクスの結果国債市場は死んでいます、国債市場さえ十全に機能していれば、実は私なんかは、国債の非市場性の運用だけで十分だと思いますし、あるいはこれは考え方によってプラスマイナスありますけれども、超長期の物価連動国債を運用してもいいんだろうと思うわけでありますけれども、その議論はきょうはしません。

 国債原理主義的な運用ができなくなった中で、ともかく、百三十兆円のお金はGPIFという運用機関に運用させましょう。それは当たり前でして、個人で運用できませんから。今、修正積立というか、ほとんど賦課方式でありますけれども、個人が年金を自分で運用するというのは、まず手数料がかかり過ぎますし、それから、ともかくその方が引退するまでの期間、非常に限られた期間でありますから、期間の利益もとれません。これは大きな運用機関に任せて、規模の利益、そして期間の利益をとっていただく、そういうことが筋だろうというふうに、そういう立場に立ちましょう。そして、GPIFに運用させましょう。この前提でお話をします。

 その上で、本当にこれは独立行政法人でやった方がいいとお思いですか、大臣。独立行政法人という手かせ足かせをはめられた非常にやりにくいやり方で、運用機関ですよ、運用する、これは実は相当無理があるんじゃないか。

 一つは、前も委員会で言いましたけれども、国民年金、厚生年金の出し手は国民であります。国民の虎の子のお金であります。これは、しかしながら、国民一人一人が運用できないと申し上げましたし、制度上、厚生労働大臣が代表してそれを運用する責務を負っていらっしゃる。それを厚生労働大臣が、今でいえばGPIFにお金を預けて、運用しなさいよという形でやっている。これは大臣、あのときも言いましたけれども、GPIFという運用機関のお客様、投資家は国民なんです。お客様は国民なんです。国民は一億二千万いらっしゃいますから、それを代表して、受け手として厚生労働大臣が、ある意味投資家としてGPIFに運用を任せているという側面があります。

 一方で、独立行政法人でありますので、中期計画のもとで、監督官庁は厚生労働省であります。厚生労働大臣が実は、独立行政法人という形をとっているがゆえに、GPIFの監督官庁である。サラリーマン社会でいえば上司になるわけですね。お客様が上司である、お客様が監督官庁であるというのが、GPIFが独立行政法人であるがゆえにそうなっちゃっているんですね。

 これも、制度論じゃなくて虚心坦懐に、こういう形は本当にいいと思われますか、大臣。

塩崎国務大臣 当然のことながら、私は今厚生労働大臣で、行政の、省のトップを務めておるわけで、言ってみれば、そこを管轄する法律のもとで動いておるということは、先生はもともと財務省、大蔵省でありますから、よくわかっておられるはずであります。

 いろいろな議論があり得るし、実際にございます。今は、この委員会は、独立行政法人の法律としてのGPIF法を御議論いただくということでもございますので、私どもとしては、それを今お願いしているということであります。

 それをおいておけということであるならば、我々、社会保障審議会年金部会で今議論をお願いしているところでございまして、去年の秋から冬にかけて六回、ガバナンスに関して作業班というのを植田座長のもとでやっていただきました。

 その前に、おととしの十一月に、御案内のように、閣議決定をされてつくられた有識者会議というのがございました。そこにも、今先生御指摘の組織論について提言がございます。もう御存じだと思いますけれども、伊藤隆敏座長の有識者会議では、独立行政法人は独任制の組織なので、それは改革の必要性が特に高いと書かれておられまして、それにかわって、合議制機関である理事会に重要な方針の決定を行わせるとともに、その専門性を云々、こう書いてあります。

 それから、今申し上げた植田先生の年金部会の作業班においては、報告が一月の二十三日にございまして、そのときには、基本ポートフォリオその他のGPIFの基本的な事項の決定は、複数の理事の合意によって決められる合議制への移行が望ましい、また、理事会の決定を受けて業務を執行する執行部を理事会が有効に監督、監視するためには、両者がある程度分離され、両者間に一定の緊張関係が存在することが望ましい、こんなことが書いてございます。しかし、まだこれは一回しか議論していただいていないので、これからまたやっていただけるんだろうと思います。

 それと、私ども自由民主党の中にも、それから公明党の中にもいろいろな御意見があって、まだ、これはこれからの議論で、年金部会での議論を一巡した後、それから与党の中でも議論が始まるのではないのかなというふうに思っておりますので、私としては、それを見守りながら、今後どうすべきかということは、与党の皆様方にもよく諮りながら、そして最終的には、国会の皆様方の御意見を聞きながら考えていかなきゃいけないのかなというふうに考えております。

 いずれにしても、百三十兆、大体給付の一〇%から一五%ぐらいの間の支出がこのGPIFから来るわけでございますので、修正賦課方式と言った方がいいのかなと私は思っておりますが、国民からお預かりをしている大事な年金資産だと思っています。

岸本委員 今おっしゃった、その議論のスピードが遅過ぎるんですね。

 昨年、基本ポートフォリオをお変えになられましたけれども、それについても別の意見はありますが、仮にポートフォリオを変えられるのであれば、大変なリスクをとりに行くのであれば、まさに大臣もおっしゃったガバナンスと車の両輪じゃないですか。何できょうの法案審議のときにその法案が出てこないんですか。徹夜で年金部会を動かしていただいて、ガバナンスのあり方について一定の結論を出していただいてもよかったんじゃないでしょうか。とても大事な話だと思いますよ。それは国民のお金なんですから。

 それで、もとへ戻ります。ぜひ議論を速めていただきたい、きょう間に合わないんだったら、もうすぐに審議を進めていただきたいんですが、その際に、やはり独立行政法人になると手足を縛られるんですよ。ですから、理事の数だって今一人。それは横並びですから。経費の節減とか、要するに横並びで来るわけですよ。だけれども、運用機関なんですから、少し経費がふえたって、利回りがふえればいいわけですよね、実は。そういう性質の機関なんですよ。ただひたすら金食い虫で、国から交付金をもらっていますから、経費節約しましょう、理事の数を減らしましょう、役員の給与を減らしましょうという組織じゃ本来ないはずなんです。

 しかも、独立行政法人でありますと、透明性とか説明責任を求められちゃうわけですよ。私も予算委員会でそう言いました。だけれども、これもおかしな話でして、透明性を運用機関に求めるなんてあり得ないですよ。透明にしちゃったら先回りされるじゃないですか。ヘッジファンドに先回りされて、ぼろもうけされておしまい。過去のパターンが実はそうだったんですね。今回だって、ポートフォリオを変えますよ、変えますよと言っている間に、もう先回りされちゃっているわけですよ。もちろん、株価は上がっていますよ。だけれども、それは先回りされている。

 説明責任も、これも大変ですよね。これは運用機関と投資家の間の実はエージェンシー問題ですから、プライベートな運用機関でもあり得る話ですけれども、特に独法だと説明責任を求められますよね。そうすると、当然、今回水野さんがなられたとしても、GPIFそのものが、インハウスをどれだけされるか知りませんけれども、実際自分で運用するわけじゃありませんよね。それは当然、運用会社を選んでいく。パッシブの運用なのか、アグレッシブな運用がされるのか、それはそれぞれですけれども。つまり、ファンド・オブ・ファンズなわけですよ。

 だから、そういう形になったときに、当然、言いわけをしたくなりますよね、GPIFの。それは水野さんだってそうでしょう、担当の職員さんだってそうでしょう。つまり、後で説明責任を求められるということは、人間ですから、言いわけのきく運用をしがちなんですよね。だからベンチマークを中心とした運用になりがちで、あるいはお化粧買いもしちゃうわけですよ。これはGPIFだけじゃないでしょう。民間だってやりますよ、お化粧買い。つまり、自分だけちょっと買い損ねた株があって、それが上がっていれば、年度末締めるときにちょっと買っちゃって、ポートフォリオを合わせてしまう。実は、損をさせているんですよね、そのファンドには。

 そういうことは、つまり、説明責任を求めれば求めるほど、運用利回りは悪くならざるを得ないおそれが出てくる。さらには、透明性を言えば言うほど、運用機関としては勝てない。だから、独立行政法人ではやはりいけないんじゃないですか、大臣。虚心坦懐に、いかがですか。

塩崎国務大臣 これも年金部会でしっかりと議論していただいて、それをまとめていきたい、このように考えております。

岸本委員 本当に、さっき長妻さんがおっしゃったように、塩崎節を聞きたいですね、久しぶりに。守りに入られちゃっていますね。総理大臣を目指していらっしゃるんですね。せっかくの厚生労働委員会じゃないですか。もう少し本音でお話しをいただければと思いますが、お立場はある程度理解はいたします。

 では、さらに申し上げますけれども、もう一つ、水野さんがきょうこの場におられないということと関係しますけれども、これも一度議論しました、OECDがしばらく前にレポートを出しました。確かに、これはレポートです。レポートですけれども、OECDが日本のGPIFに対して実はレポートを出しているんです。運用の仕方、あり方、ガバナンスのあり方について、OECDに言われちゃっているんですね、私たち。

 それは、一つは、やはり理事会を設置しなさいよ、理事会方式でやりなさいと。目標収益率、リスク許容度、特に、リスク許容度を決めてあげないと運用担当者は大変ですよね。今、リスク許容度というのは本当にきちんとした形では決まっていない。運用委員会があるとおっしゃるかもしれないけれども、資産運用方針を理事会で決めなさい、こうなっているわけです。これは今おっしゃった年金部会なり伊藤先生の考え方と似てきて、通常、誰が考えてもそういう結論になるんですよ、合議制でやりましょうということになるんですけれども、OECDはそう言っています。

 もう一つは、これはともかく国民の資産なんだから、年間の事業計画や予算や年次報告を日本の国会に報告しなさいよ、あるいは承認を求めなさいよとOECDのレポートでは言っています。私もそう思います。だって、国民のお金なんですから。

 去年、基本ポートフォリオを大きく変えられました。株式に随分大きくウエートを上げられました。これについては議論はしませんが、それは、しかし、国民はあずかり知らないんですよ。自分たちの年金、虎の子の資産なのに、聞いていないんですよ。それは国会が聞いていないからですよ。私たち国民の代表である国会議員、与党も野党もありませんよ、自民党の先生方だって聞いていないんですよ。これはおかしい。やはり、少なくとも国会に対する承認あるいは報告、少なくともチーフ・インベストメント・オフィサーは厚生労働委員会に来て、自分の運用方針を堂々と開陳すべきですよ。これも常識なんですよ。

 ですから、これについて大臣、合議制の話はもういいです、少なくとも国会への承認、報告、その必要性についてどう思われますか。

塩崎国務大臣 OECDがペーパーを出していることは私もよくわかっておりますし、そもそも、企業年金ではありますが、年金の運用機関が守るべきガイドラインというのも出していることもよくわかっておって、それにのっとってそのペーパーは書かれているというふうに思います。それにのっとっていくと、今先生が御指摘になったようなポイントについてのアドバイスが出てきているんだろうな、あれは個人のペーパーですから、そういうことなんだろうというふうに思います。

 国会との関係でありますけれども、これはいろいろあると思います。

 例えば、これは、誤解を招くことも恐れず言えば、私はGPIFが日銀のような組織になればいいとは全く思っていませんが、日銀のときでも、国会との関係はどうあるべきかということは大議論でありました。要は、細い赤い糸で結ばれている二つの、政府と中央銀行という関係のその太さの問題で、どう説明責任を果たすのかということでありました。

 今回のことは、先ほど先生おっしゃったように、CIOが出てこい、こういう話でありますけれども、一つ忘れてはならないのは、先生、先ほど来、独立行政法人とはという話をされていますけれども、独任制とさっきの伊藤ペーパーにあるように、独立行政法人は最終責任はたった一人が全部負うんですね。これでありますから、理事は単に理事長を補佐するだけですから、GPIF自身が何という名前に内規でしたかは別にして、理事はあくまでも理事長の補佐をするだけであって、最終的に責任を持っているのは、運用にも理事長が全て負うということであります。

 もう一つ忘れてはならない大事なことは、国民が受け取る年金そのものというのは、法律でもって決められています。運用でどうのこうのではございません。年金は法律で負担も給付も決まっていますので、これは、どんなことがあろうともお約束どおり支払うというのが年金であります。

 ただ、だから、では運用はいいのかといったら、そんなことはないので、それはもう安全かつ効率的にやれ、こう法律は厚生労働大臣に命じているわけでありますから、私が全てを負ってやらなければいけないという立場にあるので、運用の一つ一つについても、最終的には運用の責任は厚生労働大臣に回ってくるということは、これはもう潔く認めていかなければいけない。それはもう認めるもくそもない、これは法律そのものでありますから。ちょっと今、余りいい言葉じゃないのを使っちゃいましたが、ということであります。

岸本委員 今の、後半は少し議事録から削除した方がいいと思いますが、それはともかく、今おっしゃいました、まさにそのとおりです。だから、私は、独立行政法人というあり方もやめ、組織を合議制にした方がいいということを申し上げているわけです。

 今大臣が図らずもおっしゃった、法律上、積立金の運用は、専ら被保険者のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行う。安全かつ効率的に行う、今まさにおっしゃいました。安全かつ効率的に行う運用というのはどういう運用ですか、具体的に説明してください。

塩崎国務大臣 今、たしか、GPIF法には安全かつ確実にと書いてあると思います。この安全かつ確実にというのと安全かつ効率的にというのは大分違うと思います。安全かつ効率的にという、これは厚生年金法などに書いてありますが、これはやはり、きちっとやるべきことをやって利回りも効率的に回してくれ、こういう法律的な要求ではないかというふうに私は思っています。

岸本委員 それが具体的にどうなっていたのかということなんですけれども、安全かつ確実の方なんでしょう。

 実は、二〇一三年の十二月十八日に、厚生労働省の審議会、まさに年金部会で、米沢さん、GPIFの運用委員長が次のように発言されています。つまり、運用の考え方はどういうことなのかというと、リスクは国内債券並みのリスクに抑えるというようなところで暗黙の合意でやってきていましたと。

 まさに法律の言う「安全かつ効率的」あるいは「安全かつ確実」、違うかもしれませんけれども、実際、要するに、年金というのは本来、債券中心主義で基本は運用するんですよね、マーケットさえ生きていれば。その中で米沢さんは、リスクは国内債券並みだ、それが暗黙の合意だ、これが安全かつ効率的、安全かつ確実だということをおっしゃっているわけで、これが具体的な運用の仕方だったんです。

 ところがどっこい、国債のマーケットが崩れちゃったんですよね。きょう、長期金利は〇・三五五%ですか、〇・四を切っちゃっています。これでは、皆さんがおっしゃるように、名目でも実質でもいいですけれども、賃金の上昇率を上回る一・七%ポイントの運用を上げるというのは、それはできにくいでしょう。だから、去年無理やり、基本ポートフォリオをお変えになった。

 では、今何で国債のマーケットが破壊されているのか。アベノミクスの強引な第一の矢によって日本銀行の金融政策が国債のマーケットを破壊しているから、そうなっているわけです。

 これは、エコノミストでもあられる大臣、どう見ていらっしゃいますか。やっていることがぐちゃぐちゃじゃないですか。

    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕

塩崎国務大臣 去年、基本ポートフォリオを変えるに当たっての大前提は、財政検証でありました。財政検証は、将来の経済の見通し、前提というものが極めて大事であって、それについては年金部会の中で専門家が集まって経済条件を提示して、そして、これは厚生労働大臣から基本ポートフォリオを決めるに当たって名目賃金上昇率プラス一・七という数値を与えて、これ以上の利回りで回してもらわないと年金は将来約束どおり払うことができないということになったわけでございます。

 それは前提があって、今国債市場についてのお話がありましたが、私はアベノミクスが国債市場を破壊しているとは思っていません。それは評価の問題ですから意見はいろいろあると思いますけれども、むしろ問題は、将来金利がどうなるのかということ、あるいは賃金がどうなるのか、成長率がどうなるのか、これで運用は決まってくるわけであって、これだけデフレから脱却をして経済が中長期的に新しい局面に入ったときに、今までのような運用のポートフォリオで約束どおりの年金を払えるのかという観点から、専門家が集まって基本ポートフォリオの大議論をしてもらったというふうに思っています。

 その結果、国債一〇〇%で仮にやったとしたら、このままではとてもではないけれどもお約束どおりの年金の支払いはできないという結論でございますし、以前のようなポートフォリオでも、やはりそれでは賄い切れないおそれが高いということで、いわゆる標準偏差は、ぶれはそれぞれ多少あったにせよ、長期的に見て、年金で国民に対して約束している支払いができる利回りを確保できる確率が高いという組み合わせを選んだというふうに私は理解をしているところでございます。

 先ほど、国債で運用しているアメリカの例をおっしゃられましたけれども、あれは言ってみれば完全賦課方式と同じようなものでありますので、それは言ってみればデポしておるようなものであると私は理解をしています。あれは運用と言うには値しないやり方で、彼らは彼らの、一〇〇%国債で運用しているのではなくて、ペイロールタックスを一時預かってもらっているという格好ではないのかなというふうに私は理解していますので、国債市場の問題については多少見方が違うかもわかりません。

    〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕

岸本委員 基本ポートフォリオの見直しについて議論するとまた一時間かかりますので、もう時間も来ましたので、それはまたの機会にさせていただきますけれども、少なくとも、基本ポートフォリオの見直しについての説明の仕方も、もう少しやはりGPIFはきちんと説明をすべきであったのではないか。

 標準偏差をリスクだと従来言ってきたのを、今回は、まさに今大臣がおっしゃった下振れリスク、運用利回りが下振れるリスクをリスクとおっしゃるように変えられた。これは、やはり国民はわからないですよ。少なくとも、それは変えられるときに国会で審議していないんですよ。厚生労働委員会で、我々国会議員、国民の代表たる我々が、今おっしゃった基本ポートフォリオの変更についての考え方の変更について納得していないんですよ。

 これは、やはりGPIFのあり方としては問題があるのではないかということを指摘させていただきたいと思いますし、もう一度、少なくとも、基本ポートフォリオを専門家が集まってお変えになったという今のたてつけを我々は否定するわけにいきませんから、そうだとするならば、ともかくガバナンス改革を一日も早く行っていただきたい。これは、私は大臣と思いは一緒だと思います。まさに年金部会で議論をしていただいていますけれども、だけれども、今言ったように、誰が考えても、常識的に考えていけば、やはり独法ではない合議制の機関で、きちんとした運用の組織にする方がそれはいいだろうということになると思います。

 スピーディーな年金部会の回しと、そして一日も早いガバナンスの改革を、大臣だからできると私は信じておりますよ。塩崎さん、やってください。

 以上、質問を終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 岡本です。

 きょうは大臣と少し議論をしていきたいと思っていますが、先ほどの岸本委員ではありませんが、私も、塩崎大臣、ぜひ厚生労働省のさまざまな課題に果敢に、そして積極的な姿勢でまさに課題を克服していっていただきたいと本当に思っています。そういう意味で、私はきょう、政府参考人を登録させてくれという役所からの申し出がありましたけれども、それをお断りさせていただいて、大臣と少しお話をしたい。

 特に、今回、この独法の法律に関して幾つか議論の前提となる資料を用意してくれという中で、本当にここに至ってまだ出てこない資料がある。それは、私は、重要な議論のポイントとなるものでありますから、これをきちっと用意してもらうことは必要なんじゃないかと思っています。

 一点目は、お手元にお配りをさせていただいております資料のうち、皆様のお手元には二ページ以降、先ほど長妻委員からも指摘がありました、ことしの四月一日の朝日新聞の記事にあります「医師に謝礼 一千万円超百八十四人」というものに基づいて、では、実際、今回の法案の審議の対象になっている独法の一つである労福機構の労災病院、どのくらいの医師がどのくらいお金をもらっているのかちょっと調べてくれ、そういう話をしたら、出てきたのが三ページ目。

 これは一年分じゃないんですね。一年以内の短い期間でこれだけもらってみえるわけなんですが、そういう意味でいったら、一年間にするとまたこれより大きな金額になるんですよ。六百万円以上もらっている。

 それをさらに調べてもらうと、どういうふうにしてこれだけもらえるのか。四ページ目に出てまいりました。一部の医師はこの一年に満たない期間で四十二回も講演をしたり、それから、場合によっては時間内にこうしたアルバイト的なことをやっているという実態が出てきた。これはおかしいじゃないか、この実態はどうなんだということを調べてくれという話を例えばしているわけです。

 これについて、製薬メーカー側が公表しているデータに基づいてきちっとした資料を整えて出していただけるのはいつになるというふうに大臣はお聞きになられているか、承知をしていますか。

塩崎国務大臣 申しわけないですけれども、細かなことはちょっと聞いていなかったものですから、今事務方から聞いたところでは、製薬会社ごとの公表資料から抽出した、製薬会社が労災病院の医師に支払った講演料や原稿料等の二十五年度分の実態、これでよろしいんですか。

 これにつきましては、二十日の月曜日までに提出をさせていただきたいということを事務方は考えているようでございます。

岡本(充)委員 これは時間内に勤務している実態があるわけですから、こういう実態をしっかり調べていかなきゃいけないのに、二十日だという話では、とてもじゃないけれども、やはり問題じゃないですかということを指摘したい。

 それで、九ページ以降、これは二〇〇八年の五月十六日の私の議事録です。このときにも同じ問題を指摘しているんですね。贈与等報告調査一覧表というのを出させていただいて、これと見合いのものを今回いただきたいんですね。このときはナショナルセンターの話でしたけれども、このときにも、大変不自然な、いわゆる勤務外のある意味報酬を得ているという実態を指摘したところ、当時の舛添大臣はこう答えている。最後の十一ページを見てください。

 もちろん、それは今のところ、ちゃんとルールに基づいて年休もとって、しかるべき出張届も出してやっているという報告は受けておりますが、少し細かく精査をした上で、国家公務員としての職務の使命にもとるようなことがあれば、それは厳しく対処をしたいと思っている。これはもう、作業の時間がどれだけかかるか、いろいろなことはありますけれども、私は指示を出して、できるだけ早くお答えするようにします。

 こういうふうに言われているんですね。

 塩崎大臣も、ぜひリーダーシップを発揮していただいて、これはしっかり実態を見た上で法案審議をしたいと思うんですが、いかがですか。

塩崎国務大臣 きょうは、局長が答弁するということで余り細かいことは聞いておりませんでしたが、私も、時間内に講演をしているというのは、最初に不可思議だなというふうに思って、これはどういう意味なんだと聞きました。そうしたところ、いわゆる報酬がない、仕事として講演をするというのは、それは十分あり得る話であるので、そういうものだという説明があったのであります。

 しかし、先生今お話しのように、どういうものがあるのかということは、時間内は特に調べておくべきことであろうと思いますので、私の方からも督促をして、早くするように言いたいというふうに思います。

岡本(充)委員 これは大前提として、私は、やはり労災病院の医師の給与の問題もあると思っているんですね。国立病院機構も同様ですけれども、やはり本俸がきちっと支払われているということがあれば、私は、一定程度、こういう話が出てこなくなるんじゃないかと思っています。前回の質疑のときにも指摘をしているんですが、やはりこうした公的病院の医師の給与のあり方というのを少し考えないと。それは医系技官の皆さんも同様だとは思います。医系技官の皆さんも、場合によっては、昔は監修をしていたことがあったんじゃないかと思います。

 そういう意味で、少し、網羅的にもっと調べてもらいたい。それで、やはり改善するべきところを改善して、こういう話が出てこないようにしないと。平成二十年にこれを質問して、七年たっているのに何でまた同じ話が出てくるんだという思いは、私、正直ありますよ。同じ話をまたやっているんですね。

 このとき舛添さんはこう言われていた。でも、今、舛添さんは大臣じゃないから答弁される立場にないかもしれないけれども、これは本当に繰り返しになりますから、今回で最後になるように、大臣、徹底的に、国立病院機構を含め、厚生労働大臣がある意味関与し得る、そうした職種の皆さん、全部調べてもらえるということでよろしいですか。

塩崎国務大臣 ちょっと迂遠な話で恐縮ですけれども、インハウスローヤーというのは、なかなか、なぜふえないんだということと似たようなところがあって、厚労省にも、あるいはほかの行政、県庁とか、ほかのところにも、なぜ医師が少ないのかということを考えると、やはりそこはいろいろ考えられるんだろうと思うんですね。使命感と、生活をしていくということ、あるいはプライドとか、そういうものもいろいろありますから。

 そういうことも考えていかなきゃいけないことは先生今御指摘のとおりだと思いますので、今どんなふうに国立病院機構、少なくとも国のテリトリーの中の医師がどういう扱いになっているのかということについて調べてみたいというふうに思います。

岡本(充)委員 それも二十日までにいただけるということでよろしいですね。

塩崎国務大臣 今は私の一存で言っていますから、それができるかどうかというのはよくわかりませんので、できる限り努力はしてみますけれども、できる範囲内で、まず二十日に御報告申し上げるということにしたいと思います。

岡本(充)委員 ぜひこれは理事会でも今後扱っていただきたいんです。委員長、いかがでしょうか。

渡辺委員長 理事会で協議をさせていただきます。

岡本(充)委員 理事会で協議をするという話になりましたが、この理事会で協議をするという話は、後ほどちょっと話をしたいと思います。

 もう一つ出てこなかった資料が六ページ目。これは、独立行政法人のいわゆる効率化がどう進んでいるのか。取り組み例だけ出してきて、これは例なんですよ。

 一体幾ら削減をすることができたのか。取り組み例じゃなくて、きちっとそれを例示して、これは抜け落ちていても例ですから済みます。そうじゃない。きちっと説明をしていただきたい。どのくらいまさに独法になってさまざまな無駄削減をしてきたのか、これを明示的に出すべきだというふうに考えます。そうでなければ、独法にした意義の一つは、やはりこうした自助努力にあると思っていますから、評価できないじゃないですか。

 これは、きちっとやはり、大臣、数字を出していただけませんか。

 いや、大臣。だって、答弁者は大臣だから。

渡辺委員長 山本副大臣。(岡本(充)委員「ちょっと待って。答弁者は大臣でしょう」と呼ぶ)その後にちゃんと聞きます。

 どうぞ、答弁してください。どうぞ。

山本副大臣 今お示しいただきました六ページのところ、例示だけだったのでございますが、この間ちょっといろいろと調査をさせていただきまして、今の中期計画期間中の業務経費、一般管理費、人件費の額で、例えば労働安全衛生総合研究所、五年間で約一億二千百万円の削減、そして福祉医療機構、三年で約一億八千八百万円の削減などとなっております。

塩崎国務大臣 先生は、組織として全体の削減というか合理化をどれだけやったのかというのを、目標と実績を見せろ、こういうことだろうと思いますので、どこまでできるのか、ちょっとよく聞いてみないとわかりませんけれども、今の御要望に応えられるように、中期計画とかそういうのもちゃんとできているはずでありますので、やってみたいというふうに思います。

岡本(充)委員 いや、できるだけじゃない。それはできなきゃおかしいんですよ。だって、目標があって、計画に対して評価をしなきゃいけない中で、それが、できるだけということはないです。出すとちゃんと明言していただかないと。

 それも、いつまでに出すんですか。そうしないと法案の質疑に、いや、この採決にとは言いませんよ、それは。だけれども、これでは。これはやはり、少なくとも本会議の採決ぐらいまでに出せるとか、そういうめどぐらい出してもらわないと。

 委員長、時計をとめてください。

渡辺委員長 塩崎厚生労働大臣、どうですか。(発言する者あり)

 では、とめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 二十日までに御一緒にやりたいと思います。

岡本(充)委員 であれば、これはやはり二十日以降に審議するべきだと思うんですけれども、委員長、どうですか。

渡辺委員長 この法案については、今回の委員会において質疑をして、進めていきます。

岡本(充)委員 独法にしたことの意義の一つは、やはり、中期計画を立てて、それぞれが自律的に目標に向けて頑張ってやっていくという話じゃないですか。その総括がなくて、その独法の中身について、統合するから審議してくれというのは、やはりそれは無理がありますよ。ちゃんと出してもらいたい。

 だから、二十日に出すというなら、これは補充質疑をするなり何か、委員長、ぜひ理事会で協議してもらいたいし、今、委員長からもそうした方針について明示的にお話をいただきたいと思います。

渡辺委員長 基本的には、今の中期計画についての削減目標とかいうこの問題については、今大臣の方でお話がありましたけれども、二十日までにと明言をしたわけでありますので、これはそのまま進めていきたいというふうに思います。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 ただいまの件につきましては、理事会で協議をさせていただきます。

 岡本充功君。

岡本(充)委員 理事会で協議をするという話になって、どういうものが出てくるかというのをちょっと示しましょうか。

 八ページ、これは、ことしの予算委員会、二月二十五日、私が質問したんです。高度プロフェッショナル法案の中で、時間とそして成果との関連性が通常高くないと認められる業務、こういう話があるので、では一体、時間はわかる、成果とは何ですかということを聞きました。そうしたら、大臣はこうおっしゃられたんです。「法律的にどういうふうに定義をするかということについては、また法律を目の前にしてきちっとした定義を示したいというふうに思います。」こう答弁された。このときも、理事会で協議をするという話になりました。

 法律が出るときに示された定義とは一体何ですかと言ったら、七ページ、出てきた。

  「成果」は、一般的には「なしえたよい結果。できばえ。」という意味であるが、「高度プロフェッショナル制度」の場合においては、事前に設定された業務目標に照らして、定量的かつ客観的に判断されるものであると考えている。

  これらは各企業において個々に決められ、また、業務の内容によっても異なるものであるため、一概にお示しできるものではないが、例えば、「金融商品のディーリング業務」に従事する場合は一定期間における一定の利益といったものが想定される。

ということで、これは定義ではないんですね。想定している話なんです。

 定義をお示しいただけると、大臣、ここでお約束したじゃないですか。結果として出てきたものがこれでは、大臣、これは大臣は御存じなかったんだと思う。さすがに、塩崎大臣ともあろうお方が、これで定義だと言われることは僕はないと思うけれども、定義を示すと言っていただいたんだから、やはり定義を示していただかないと。

 そういう意味で、理事会で協議をしたけれども、出てきたものがそれではなかったという一例を示しましたが、これでは困るんですね。これは、大臣、定義じゃないですよね。

塩崎国務大臣 議事録をおつけいただいて、私の発言がございますけれども、私も、このときに申し上げたのは、法案に定義を書き込むという意味で言ったわけではないつもりでございまして、しかし、法案として、一体成果とは何だ、こう言われれば、やはり説明をしないといけないわけですから、それを私は定義と申し上げているので、今お示しをいただいた、これは実は私はまだちょっと見ていなかったんですが、成果をどう説明するのかということは、私どもとしても、こういう形でまずお出しをしましたが、法案審議の中ではっきりさせていきたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 法律を目の前にしてきちっと定義を示したいと大臣は言われたんですよ。

 大臣が知らなかったペーパーを事務方が、大臣の答弁なのに、大臣が知らないままこれを持ってきたこと自体も私は問題だと思いますよ、正直。正直、今、すごい発言だと思います。

 大臣、それ一つとっても、やはりしっかり役所の中を指導していただかないとだめですよ、これは。いかがですか。

塩崎国務大臣 法案審議ではないのであれですけれども、あえて言えば、この高度プロフェッショナル制度の場合において、成果というのは、事前に設定された業務目標というのがあって、それはやはり定量的で客観的に判断されるものでなければ、なかなかこれは評価ができないわけでありますから、一つ一つについてはそれぞれの目標というのが設定をされるんだろうというふうに思います。

 その際に、定量的かつ客観的であればあるほど、やはりきちっとした定義に、そのときそのときの高度プロフェッショナル制度のもとでの成果になるわけでありますから、それを全体としてどういうふうな表現をするかというと、さっきのようなことになるのかもわかりませんが、いずれにしても、定量的、数量的、客観的に判断をされる目標というのがやはり示されないと、なかなかこれは成り立たないんじゃないかなという感じがいたします。

岡本(充)委員 定義というのは、そういうふうに時々によって移り変わるものじゃないと思いますよ、大臣。やはりそれはきちっとした大前提であって、そこをスタートに議論がスタートするわけですから、定義は、今大臣がおっしゃられたようなものではないと思います。

 委員長、今お話をさせていただいたように、こうした、議事録に残っていても残念ながら明確なものが示されていないという現状もありますので、もう一度確認をしたいと思います。理事の皆さんにもお願いをしたいと思います。ぜひ、どういった資料が出るのか、委員長としてもそこはきちっと担保していただけるのかどうか、御確認をいただきたいと思います。

渡辺委員長 この件につきましては、理事会協議をさせていただきますが、今、その議論の経過も私自身も拝聴させていただいていますので、しっかりと頭に入れて理事会で協議をいたしたいと思います。

岡本(充)委員 本当に重要なデータ、唯一出てきたのが一ページ目。私、これは正直申し上げて、どうかと思った話でした。労福機構で障害者の雇用率を虚偽で報告していた。障害者の皆さんを法定雇用率どおり雇っていると言っておきながら、実際は、ふたをあけてみたら、雇っていなかった。雇っているといった虚偽の報告を上げていたこの事実。それで、慌てて雇い始めた人たちは一体どうかというと、もうほとんど非正規雇用で雇っている。これは事実ですね、大臣。

塩崎国務大臣 これは、お配りいただいたとおりでございます。

岡本(充)委員 大臣、障害を持たない皆さん方は正規職員の割合の方が高いんですよ。障害を持つ皆さんは圧倒的に非正規ですよ。障害を持つ方、二百五十七人、非正規雇用、そして正規雇用はわずかに四十四人じゃないですか。これはやはり見直していかなきゃいけないんじゃないですか。どうですか。

山本副大臣 御指摘のとおり、三百一名中二百五十七名が非正規となっております。

 この点につきましては、御指摘も踏まえまして、今後、正規職員の採用に当たって、障害者の方々にしっかりと広報をさせていただいて、障害者向けの就職説明会や、障害者に配慮しました採用試験等を行わせていただきまして、積極的に正規社員として採用してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 この資料も結構出るのに時間がかかったんです。本当に時間がかかりました。

 大臣、役所の中、特にこうした重要な問題について資料要求がある中で、どのようにしてその資料をつくっていくか。いや、私も、先ほどのどなたかの話じゃないけれども、無理に残業してやってくれと言うつもりもないし、あんまりな業務量であれば申しわけないと思う、それは。

 ただ、先ほどの、例えば製薬メーカーのデータを集めるのだって、全省挙げてさまざまなツールを使えばもっと早くできるんじゃないか、そう私は原課の方に言ったんですよ。ところが、局を越えるとなかなか頼みづらいだの、国会で言ってもらえばまだできるんだけれども、こういうふうに、あそこで笑っている課長もいらっしゃいますが、しかし、そういうふうに答弁をするんです。

 それじゃだめなんですよ。やはり、役所として、必要なデータ、局を越えてでもきちっとつくるという体制をつくらなきゃだめですよ。基準局だけでやっていたらそれは難しいでしょう。そういうまさに全省挙げて、せっかく厚生労働省なんですから、労働省じゃないんですから、そういう風土を改めていく、そういう御決意をいただけませんか。

塩崎国務大臣 おっしゃるように、厚生省と労働省が一緒になるというのは世界的に見ても珍しいことでもありますから、いい、プラスの効果が出るように、今おっしゃったように、統一して一つの方向を向けるように、先生の言うような、今のようなものがさっと、出るものが遅く出るんじゃなくて、出るものはちゃんと出るというようにしたいというふうに思います。

岡本(充)委員 それで、今後の理事会の協議だとは思いますが、私は、これは絶対補充質疑をやるべきだというふうには思いますが、そもそも本当はここから始めたかった。

 つまり、私が問いたかったのは、労災病院がなぜ労災病院としてあるのか。労災病院がある意義とは一体どういう、どこに意義があるのか、それをまず、根本的な問題ですが、問いたかったんですね。

 大臣の手元には恐らく役所がつくったペーパーがあるんでしょう。しかし、一般の市中病院と比べて労災病院じゃなきゃできないことって、大臣、何があると思いますか。本当に労災病院が目指すべき方向性というのが明確になっていなければ、私はやはり他の公的な病院と統合していくべきじゃないかと。

 これは、私が政務をやらせていただいていたときからお話をしていたテーマなんですね。検討してくれという話もしてきたけれども、これはある意味、中途で終わっています。本当に、労災病院が労災病院という名前であるその意義というのを私はもう一回考えるべきだと思いますが、どうでしょう。

塩崎国務大臣 これまで、労災病院は、脊損とかアスベストとか、専門的な、労災に特化した医療の提供ということが一番でございましたし、また、その労災疾病に係る臨床研究というのを本来やっていたはずでございますし、また、勤労者の早期復帰支援のモデル的医療ということで、やはり専門的な知見、設備を生かした取り組みを今までやってきたつもりであっても、十分じゃないかもわかりませんので、これをやはり強めていくというのが大事かなというふうに私も思います。

 労災病院の医師は、労災認定に係る専門的な知見による意見書の作成とか、アスベスト関連疾患の労災認定のための石綿小体計測検査の実施など、労災補償制度を医療面から支えるというユニークな、言ってみれば一つしかない役割を担っているということもあるわけでございます。

 今回、この両法人を統合するということについて、いや、国立病院機構と一緒になるべきじゃないかというのが先生のお考えだと私は聞いておりますけれども、それはそれとして、先生の一つのお考えとして、ある面、真理ではないかとは思いますけれども、私どもとしては、今回のこの法人の統合によって、労災における治療、それから病歴、職歴に関するデータの収集とか、収集したデータを活用した基礎研究、応用研究、研究成果の事業場への提供による労働災害の予防とか職場復帰支援とか、こういう予防、治療、職場復帰支援を総合的に展開するということが可能になるんじゃないかということで、こういう形でお願いを申し上げているということでございます。

岡本(充)委員 大臣、今おっしゃられましたけれども、本当に冷静に考えてみて、労災病院でしかできないこと、病歴の徴取だと言われました。職歴の徴取。それも私は、正直、ああ、いいアイデアかなと思ったんです、聞いてみえるかもしれませんが。

 ただ、これも、集めているデータを解析しようと思ったら、ビッグデータだと役所の方は言うんだけれども、結局これは、ふたをあけてみると、ソートをかけることができないんですよ、一部かけられますけれども。何万件もある情報の中から、こういう働き方の人がどういう疾患になっているかというものがもし出せれば、これは意義があると思います。

 ところが、どうやら今のコンピューターシステムではそれが出せないんですよ。職歴について情報を集めているけれども、それを活用するためにはさまざまな制限がかかっていて、結果として、そのコンピューターを運用できない、こういうふうになっているだとか、それから、今の労災に対する研究、産業医科大学なんかもやってみえます。いろいろな大学なんかでも予防医学なんかでやっている。そういう意味では、労災病院だけが唯一やっていることではないんですね。

 私は、労災病院を潰せと言っているわけじゃない。やはり労災病院のあるべき姿と、そしてその方向性を明示しないと、先ほど、厚生と労働が合体したじゃないか、世界に類を見ない、いい事例だ、それはそれで結構なんです。では、枠を超えて統合したらいいじゃないですか。労働系の官僚が自分たちのある意味ポジションをつくり、厚生系の官僚が同じように病院を持ち、それぞれ持っているというふうにしか私には見えないんですよ。

 だから、それを統合していけるかどうかは、やはり大臣のイニシアチブですよ。今回はこの統合でも、それはそれで一つのステップかもしれない。でも、その次はそれを見据えるんだということぐらい、大臣ぜひ、検討してみたいぐらいは御答弁いただけませんか。

塩崎国務大臣 今回初めて、民主党時代に国立病院機構と労災病院を合体すべきだという御意見があったということは聞きましたし、今、生の声で先生からも拝聴しました。

 それが一体どういうメリットがあって、今我々が提案していることで限界は何なのか、そういうことも含めて、私は、どういう考え方が、今の先生の、最大のメリットなのかということもちょっとまだよくわからないところがありますから、検討してみたいというふうに思ったところでございます。

岡本(充)委員 メリットは幾つかあると思いますよ。いろいろ、物品購入だって、量が多くなれば、大きくなるだけメリットが出てくるはずですし、さまざまな研修だって一カ所で同じようにできるようになってくるでしょうし、やはりスケールメリットというのは出てくると思いますので、その点も踏まえて、役所が持ってくる数字をよく見ていただきたいと思います、できるだけ合併したくない話を持ってきますから。それをやはりうのみにせずに、よくつぶさに見ていただければ、それはわかると私は思います。

 その上で、もう一つだけ私が質問したいのは、独立行政法人勤労者退職金共済機構のいわゆるお金の運用についてですね。

 資産運用委員の任命の考え方と、どのような人物を任命し、そして報酬はどのくらいになっているか、お答えいただけますか。

塩崎国務大臣 勤労者退職金共済機構の新たにつくる資産運用委員会、この委員の人選については、今後検討することになっておりますが、中小企業で働く方に退職金を確実にお支払いするという中小企業退職金共済制度の趣旨、目的を踏まえて、金融、経済などの専門知識に基づいて適切に議論していただける方を選ばなきゃいかぬというふうに思っているわけでございます。

 報酬についても、これは類似の機関における報酬とのバランスを考慮しながら今後検討したいというふうに考えておりまして、特にまだ、どのくらいということを決め込んでいるわけではございません。

岡本(充)委員 類似というのは、一体、具体的にどういうものを指すんでしょうか、類似の機関というのは。

塩崎国務大臣 当然のことながら、先ほど議論をいただきましたGPIFもこの運用機関であります、サイズはでっかいわけでありますが。それが一つ参考になる組織ではないかというふうに思います。

岡本(充)委員 そういう意味では、先ほど来話になっている、規模は確かに違いますけれども、お金の運用のあり方、そのポートフォリオの見直し等をどういうふうにしていくかというのは一つテーマになってくるんだろうと思いますが、これについてはどのようにされるお考えですか。同じように株式の比率を今後高めていくというようなことがあり得る、こういうふうな考え方でしょうか。

塩崎国務大臣 今のポートフォリオは、国内債券がたしか八割ぐらいになっていたと思うんですね。七六・九%は国内債券、国債になっています。

 この基本ポートフォリオは、退職金給付に必要になる運用利益を確保でき、かつ効率的な資産運用となるように策定されているわけでありますから、現時点で直ちに見直す予定はないというふうに私は聞いています。

 中小企業退職金共済制度と公的年金制度では、資産運用において求められる水準というのがやはり異なる、前提が違うということがありまして、GPIFが基本ポートフォリオを見直したからといって、直ちに勤労者退職金共済機構の基本ポートフォリオを変更する必要はないというふうに考えているところでございます。

岡本(充)委員 直ちにと言われますけれども、その求められる水準が違うということですが、具体的にどういうふうに違うと大臣はお考えなんでしょうか。

塩崎国務大臣 この中小企業退職金共済制度の予定運用利回りは、今一・〇%でございます。GPIFの方は、御存じのように、先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、名目賃金上昇率プラス一・七という数字でありますので、そのくらい違うということであります。

岡本(充)委員 これは退職金ですから、やはり物価に連動していった上がり方は一定程度求められるんじゃないかと思うんですね。今の話ですと、政府が目指している物価の上昇率に追いつかないんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、その点についてはいかがですか。

塩崎国務大臣 それは、この退職金の仕組みと目的、意義を踏まえた上で、新しい運用委員会で御議論いただいて決めていただくことになるんだろうというふうに思います。

岡本(充)委員 だとすれば、なおさらやはりどういう人を選ぶのかというのをもう少し明示する。

 それから、報酬がやはり一つの、ある意味、いい人を呼ぼうと思えばそれなりの報酬を用意しなきゃいけないというのはあるんだと思います。そういう意味で、私は、そういう報酬のめどぐらいはここでやはり示すべきじゃないかというふうに思うわけなんです。特に、またこれが株価対策に使われるというようなことになるのは困るなという思いもあるので、もう一度だけお答えいただけますか。

塩崎国務大臣 実際の報酬の水準を私から申し上げるわけにもいかないと思いますが、それは独法が決めることでありますので。

 これは五兆円の資産運用をするという組織であります。したがって、それを踏まえて、なおかつ公的な役割というもの、特に中小企業に対しての大事な退職金の制度だという、今御指摘のとおりでありますから、それを踏まえた上で、常識的な報酬というものがなければ五兆円をちゃんと運用するという人が来ていただけないんだろうと思いますので、そういうことも考えて決めていかなきゃいけないというふうに思います。

岡本(充)委員 続いて、GPIFのガバナンスについて、前回も指摘をさせていただきましたけれども、今の話とも絡むんですけれども、では、前回の質問で指摘をさせていただいた、いわゆるGPIFの職員、それから厚生労働省もそうですね、知り得る立場にある方々の株、投資信託等の運用禁止について、その後どのように議論が進んだか、ちょっと御説明いただけますでしょうか。

塩崎国務大臣 投資信託等の金融商品の取り扱いについては、厚生労働省の職員に関してですが、特段のルールを設けているわけではございませんけれども、国家公務員倫理規程で定められた倫理行動基準においては、国家公務員は、その職務や地位をみずからの私的利益のために用いてはならないこととされているのは、もう御案内のとおりであります。

 このため、例えば、職務上知り得た秘密を利用して投資信託を購入し、そして経済的利益を得た場合には、国家公務員法第九十九条の信用失墜行為として懲戒処分の対象になり得るわけでありまして、この点については、研修等の場を通じて職員に周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

岡本(充)委員 その点についてはもう一度後で聞きますが、GPIFはどうなんですか。

塩崎国務大臣 GPIFにおいては特に禁止をしているわけではないと聞いております。

岡本(充)委員 であるから、前回、私はそれを指摘したんです。

 大臣、これは紙にして通告の文書を厚生労働省にお渡ししているんですよね。確かに質問の順番は変わりました、私。だけれども、それが、申しわけないけれども、大臣のところに届いていないのかどうかは知りませんが、通告をしている話ですから、ぜひ御答弁いただきたいんです。

 GPIFを今後どういうふうに、投資信託による、インサイダー等を防ぐのかということについて前回も議論したと思いますが、それについての進捗を聞いています。(発言する者あり)

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 これはGPIFが決めることでございますので、GPIFの方に方針を確認しないといけないと思います。

岡本(充)委員 方針を確認していないんですか。

塩崎国務大臣 特に定めがないというふうに聞いております。

岡本(充)委員 だからどうするんですかという話をこの前して、その後どうなったんですかということを私は今聞いているわけです。これは通告していますから。それはGPIFに今から聞く話じゃないんですよ。お願いします。(発言する者あり)

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 私どもの事務方が先生と接触した際に、前回の議論のときは厚生労働省の職員の扱いについてであったというふうに理解をし、また今回も、GPIFの職員ではなくて、厚労省の職員の話というふうに理解をしたというふうになっておりましたので、今、GPIFの職員の扱いについてどうなのかということについては、大変申しわけないんですけれども、今は調べていないので、これは改めて問い合わせてみなければいけないというふうに思います。

岡本(充)委員 委員長、お渡ししてもいいですけれども、私はこれをこのまま渡しているんですよ。「GPIFのガバナンスについて」、株の運用に当たって、職員の株、投資信託運用禁止についてどうなったかと書いているんです。厚生労働省の職員なんて書いていないんです。これを送っているんです。

 それで厚生労働省だと言われるのでは、これはもう話にならないんですね。だって、何のためにこの紙をファクスしているんですか。もう一回答弁。

塩崎国務大臣 そのように先生は御説明になられますけれども、一、二、三、四、五とあって、三つ目に「GPIFのガバナンスについて」とございまして、ここでGPIFのガバナンスの話はきょう他の先生方からもたくさん出ていましたので、こういう話かなということで、この投資信託の問題についても、厚労省の職員のこの間の延長線かなというふうに受け取ったようでございますので、大変申しわけない限りでありますが、先生の意思をちゃんと確認できていなかったということで、改めて調べたいというふうに思います。(発言する者あり)

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 ひとつ整理させていただくと、前回の先生との、三月二十日の厚生労働委員会での議論の際には、厚生労働省の職員の議論をさせていただきました。

 今回のことについて、今お話がありましたように、「GPIFのガバナンスについて」という中で、「職員の株、投資信託運用禁止について」と書いてあるので、これを私どもがちゃんと答えられなかったという先ほどの話は、私が申しわけないというふうに思います。

 ただ、今改めて確認をしましたけれども、さっき申し上げたように、職員の株についてはGPIFは禁止をされています、取引が。しかし、投資信託はされていません。そのことは確認をしておりました。改めてそれを申し上げたいと思います。

 ただ、それについて今後どうするかというのは、GPIFの方に考えてもらわなきゃいけないことなので、それについてこれからどうするかはGPIFが決めなければいけないことだというふうに思います。

岡本(充)委員 いやいや、大臣、そのときにも話したと思います。要するに、株を、そのままどこに投資するというのをGPIFは決めているわけじゃない、日経平均株価に対しての影響があるんじゃないんですかという話をしたと思いますけれども、覚えてみえると思います。

 そういう意味で、これはそのときにも話題になっているんですよ、投資信託の話。投資信託だけ抜けているのを、これはどうするんですかという話のその後の進捗を聞いているわけでありまして、これはどう見たって厚生労働省の職員についてじゃないんです。「GPIFのガバナンスについて」と書いて、そこに「職員」と聞いていますから、これはGPIFの職員だって誰が見てもわかる話なんですね。

 これを厚生労働省の職員だと勘違いしたというのは、私はあり得ない話だと思うし、委員会での答弁をきちっとつくっていないのであれば、これは大きな問題だと思いますよ。大変重要なガバナンスの話なんですから、もう一度きちっと答弁してもらわないと、残念ながら、これで終局というのはどうかと思います。

 委員長、もう一回整理してください。

渡辺委員長 それでは、もう一度答弁をお願いします。

塩崎国務大臣 今申し上げたように、GPIFの職員は、株の取引は禁止をされているけれども、投資信託については禁止をされていないという状況でございます。

岡本(充)委員 だから、それは今言ったように、例えば日経平均に連動する投資信託がありますよね、ポートフォリオを上げたら日経平均が上がることが見込まれますよね、これはインサイダーできるじゃないですかという話をした。これは問題じゃないか、これをどうするんだということがそのときの議論ですよ。それをどうするのか、今後の方針を示してもらわなきゃ、それは話にならないということです。

塩崎国務大臣 先生今おっしゃっているのは、GPIFの中の情報を使った場合の話をされているということなので、そういうことであれば、これは、GPIF法の中の第十三条で、「管理運用法人の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、管理運用業務に係る職務に関して知ることができた秘密を漏らし、又は盗用してはならない」と。

 盗用してはならないということになっていますから、当然、それは、悪用したらだめに決まっているので、一般的に職員が投資信託をやってはいけないかというところについては定めがないということを申し上げているわけであります。

岡本(充)委員 だから、それが利益につながりませんか、利益につながる可能性があるんだから、李下に冠を正さずじゃないですかという話をしたじゃないですか。

塩崎国務大臣 それは、職員全般にそういう規律を課すかどうかというのは、これは大いに議論があるところだと思います。ですから、例えば事務の女性にまでそれを課すかどうかというところまでもあるわけでありますし、いろいろな、総務の人もおられますから、そういうことをどうするのかということ。

 つまり、はっきりしていることは、今申し上げたように、知り得た情報を盗用して運用したりすれば、それは当然、法律違反になるということであります。

岡本(充)委員 そのリスクがあるならば、では、何で株だけ禁止して、投資信託は残しているんですか。これはおかしいですよ。

 やはり、大臣、申しわけないけれども、きちっと事務方から話が上がっていないのじゃないかと私は本当に危惧するわけであります。

 これは繰り返し事務方とは議論をしています。おかしいんじゃないかということの趣旨も私は説明をしているつもりです。

 今改めて説明をしたとおり、では、株だけ何で禁止するんですか。おかしいじゃないですか。だったら、同じ盗用してはならないだったら、株もいいじゃないですか、やったら。そうじゃないんですよ。やはりそこは問題があるから、そこを修正する道のりを見せてくれと言っているんです。

塩崎国務大臣 それは私どもが禁止するわけにはいかないので、GPIFがみずから決めなければいけないことだというふうに思います。

岡本(充)委員 それは、厚生労働大臣として、そのようなスタンスでいいんですか、本当に。先ほどの株の運用の話も、最後は私のところに来ると言ったじゃないですか。最後は私のところに来るんですよ。大臣ですよ、やはり。

 大臣、ここでやはり方針を出すべきじゃないですか。どうですか。

塩崎国務大臣 独立行政法人というのは、何でもかんでも、箸の上げおろしまで指図をできるということにはなっていません。先生御存じのとおりだと思います。ですから、これはあくまでもGPIF自身がみずから決めることだと私は思います。

岡本(充)委員 大臣、これは本当にガバナンスの結構重要なポイントだと思いますよ。これは、本当にこれで、投資信託を制限しなくていいと大臣はお考えなのか。塩崎厚生労働大臣としてどうですか。

塩崎国務大臣 それを言い出すと、為替もありますし、いろいろなものがあるわけでありますから、それについてどうするかは、やはり一義的には、独任制である独法の理事長がみずから決めなければいけないことだというふうに思っています。

岡本(充)委員 大臣、もう時間になったようですから、私、これだけ時計がとまる話になるということ自体、この問題はいろいろな問題をはらんでいると思いますよ。

 それで、繰り返しになります。私は、本当に塩崎大臣はある意味リーダーシップを発揮して省内改革をやれるんじゃないかと期待をしているからこそ、こういうお願いをしているんです。そういう意味で、やはり今の役所の中の風土として、大臣にそういう情報が上がらなかったり、もしくは、さまざまなそれぞれの縦割り、厚生と労働のそれぞれの主張があったり、さらには、今の話で、役所の人たちはそうやって言うでしょう。大臣の見解を示して、こういうリーダーシップでやっていくんだという姿勢をやはり示してもらわないと私はいけないと思う。

 そういう意味で、きょうは大臣とさしでやりたかったけれども、結局役所の人たちが入れるペーパーを見ながらという話になる。それは、小さな話、数字を聞くのならそうなるでしょう。でも、大きな方針の話をするときにまで結局役所のペーパーを読むということは、私は残念でならない。

 だからこそ、最後にこのことをもう一度、大臣の決意とGPIFのガバナンスの強化に向けた大きな方針をもう一度お話をしていただいて、私は質問を終えたいと思います。お願いします。

渡辺委員長 塩崎厚生労働大臣、簡潔にお願いいたします。

塩崎国務大臣 私は、ペーパーをそんなにたくさん読んだつもりはきょうはございませんが……(発言する者あり)いやいや、大事なところは自分の考えを言っています。

 そういうことで、今の先生のお考えについては、独立行政法人たるGPIFに対しては、こういう強い御意見があったということはきっちり伝えたいと思います。

渡辺委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。中島克仁君。

中島委員 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律案に対して、反対の立場から討論を行います。

 昨年十月、塩崎厚生労働大臣は、年金積立金を運用する基本ポートフォリオを見直し、国内株式と外国株式の比率を倍増させて、それぞれ二五%に引き上げることを認可いたしました。

 ローリスクの国内債券中心の運用から、リスクの高い株式の割合を急激に高める変更により、国民の財産である年金積立金が毀損しかねません。仮に大きく毀損することがあれば、国民の年金制度に対する信頼は損なわれてしまいます。

 基本ポートフォリオを変更したことにより、経済状況が悪化した場合に従来よりも年金積立金が失われてしまうことは政府も認めております。

 政府は、ことし一月、民主党の同僚議員の質問主意書に対して、新たな運用方針をリーマン・ショックのあった二〇〇八年度の運用利回りに当てはめると約二十六兆二千億円の赤字になるとの答弁書を閣議決定いたしました。二〇〇八年度の実際の赤字額は約九兆三千億円であり、今般の運用方針の見直しで約十七兆円も多く年金積立金が失われてしまうという驚くべき試算です。

 さらに問題なのは、このようなリスクがあることを被保険者にきちんと説明していないことです。

 国民の貴重な財産である年金の積立金を成長戦略の延長線上で株価対策に投じ、被保険者にきちんとした説明もないままにリスクにさらすことは、断じて許すことができません。

 私たちには、国民の財産を使って株価をつり上げ、アベノミクスへの評価、さらには安倍政権の支持率を保とうと年金積立金の流用を行っているとしか思えません。

 塩崎厚生労働大臣は、運用の見直しとガバナンス改革は車の両輪と位置づけておられます。であれば、運用方針に見合ったGPIFのガバナンス改革を行うべきです。しかし、安倍政権はGPIFのガバナンス改革に関する新法を提出するかどうか明確にしておらず、ガバナンス改革が行われるめどは立っておりません。

 また、本法案に規定されている理事の追加、法律上の主たる事務所の所在地の変更という改正項目は、ガバナンス改革とはほど遠い内容で、びほう策にすぎません。

 よって、本法案には断固反対です。

 最後に、国民の生活の糧である年金を守るためには、被保険者の利益、確実性を考慮し、年金積立金の株式運用倍増をやめ、堅実で最適の運用を目指すべきであることを強く訴え、私の反対討論を終わります。(拍手)

渡辺委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 私は、維新の党を代表して、独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律案に反対する立場から討論を行います。

 政府は、本法案の提案の理由を、厚生労働省所管の独立行政法人について、組織や業務の見直しを進めるための基本的な方針に基づいて、法人の統合や役員数の変更等の所要の措置を講ずるためとしています。

 しかしながら、その内容は、独立行政法人の単なる数合わせ、看板のかけかえ等、小手先の対応に終始していると批判されかねない点が含まれています。

 具体的に申し述べます。

 まず、独立行政法人労働者健康福祉機構と独立行政法人労働安全衛生総合研究所の統合についてであります。

 政府は、統合の目的を、労働者健康福祉機構の運営する労災病院の臨床研究や医療提供の機能と、労働安全衛生総合研究所の高度な基礎研究、応用研究機能とを有機的に統合し、労働災害に係る予防、治療、職場復帰支援を総合的に展開することであるなどと説明をしています。

 しかし、どのように政策実施機能の強化を図るのか、統合後の事業計画についての具体的な方針が不明確です。そもそも、研究成果を臨床に活用することは統合を行わなくてもできることであり、統合によりどのように業務の効率化、円滑化が図られるのかを明示する必要があります。

 また、労働者健康福祉機構の平成二十五年度の繰越欠損金は、優に四百億を超える状況にあります。経営や財務面でかかる問題が指摘されているならば、多額の繰越欠損金を生じた経営責任を明らかにすることが先決ではありませんか。

 本法案により、二法人を統合し、名称を改めたとしても、これまでの経営責任を免れるようなことはあってはならないことです。

 単年度でも、平成二十五年度の経常損益は、収益が費用を二十五億円下回り、臨時損失を加えると当期総損失は四十億円にも上っています。地道な経営努力による財務体質の改善は焦眉の急です。

 今回の統合によって、職員の配置をどのように見直すのか、事務所の移転、統合等による経費削減効果が見込まれるのかなどについて、具体策が提示されていないことは大きな問題です。

 本法案では、これまで国の委託事業として実施されていた日本バイオアッセイ研究センター事業が法人の業務に追加されることになっています。行政活動のスリム化を目的の一つとしているはずの独立行政法人の組織が肥大化しかねない内容を含むことは、改革に逆行するものではないでしょうか。

 統合後の組織の業務の拡大に伴って、個々の事業の必要性や費用対効果をどのように見直すのか、その判断基準すら何ら示されておりません。

 法人の統合に当たっては、政策実施機能の強化や組織運営の効率化のための計画を先に検討した上で統合の是非を判断するのが本来あるべき姿であり、平成二十五年十二月に閣議決定された独立行政法人改革等に関する基本的な方針に基づくものであるとして両法人を統合することは、本末転倒であると言わざるを得ません。

 次に、年金積立金管理運用独立行政法人、いわゆるGPIFについてであります。

 塩崎厚生労働大臣は、就任以前より、ガバナンス強化と基本ポートフォリオの見直しは車の両輪であるとたびたび発言しています。

 両輪の一つである資産運用の基本ポートフォリオの見直しについては、昨年十月に先行して行われ、国内株式の運用比率を一二%から二五%に引き上げることとされました。

 そこで、本法案により追加される理事を含め、GPIFのガバナンスを強化することが求められております。公務員出身者が理事に任命され、新たな天下りポストなどとの批判を受けることがないよう、適切な人事管理を求めます。

 以上、本法案には、その趣旨に理解できる部分もありますが、一部に不十分な内容が含まれており、総合的に判断した結果、維新の党としては反対せざるを得ないことを申し述べ、本法案に対する反対討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

渡辺委員長 次に、堀内照文君。

堀内(照)委員 私は、日本共産党を代表して、議題となっております独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律案に反対の討論を行います。

 本法案に反対する第一の理由は、労働安全衛生総合研究所と労働者健康福祉機構が、統合を機に、より一層の合理化、効率化を迫られることです。

 昨年改定した独立行政法人通則法は、事業の廃止縮小に向けた制度強化となるものです。労働者健康福祉機構の中期目標は、労働安全衛生総合研究所との統合メリットの発揮を強調し、事務事業の見直しを打ち出しています。

 今回の改革は、両法人の自主性を制約し、職場における労働安全、健康確保に資する基礎研究、労災疾病に対する高度専門医療等、それぞれに担う役割の発揮を困難にしかねません。

 重大労災事故が高どまりし、長時間過密労働による精神疾患を含む健康障害、過労死、過労自殺は一向に減らず、化学物質の暴露によるがんの発生など、労働者の健康をめぐる状況は深刻であり、二つの法人の機能を一層拡充することこそ必要です。

 第二に、勤労者退職金共済制度について、リスク管理体制強化といいながら、資産運用に関する権限を集中することになっている点です。運用の基本方針の審議も、運用業務の事後評価も、大臣が任命した資産運用委員会が担うことになりますが、積み立てる側の労使から人選や決定に異議を申し立てる仕組みがありません。

 勤労者退職金共済制度は、中小企業のための国の退職金制度であり、リスクの高い投機的な運用がされることがあってはならず、これを回避するための仕組みがないと言わざるを得ません。

 第三に、年金積立金管理運用独立行政法人に新たに積立金運用の専門理事を配置することは、高リスクの投機的な株式運用を進めるための体制整備そのものです。

 同法人の中期計画は、積立金運用について、株式比率を倍加することを掲げていますが、年金積立金は国民が払った保険料が原資です。損失が出れば、そのツケは年金削減や保険料の引き上げとなって国民に押しつけられることは避けられず、安定運用の原則を棚上げにすることは許されません。

 以上、反対の理由を述べ、討論とします。(拍手)

渡辺委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十分散会


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