衆議院

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第9号 平成27年4月17日(金曜日)

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平成二十七年四月十七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 赤枝 恒雄君 理事 後藤 茂之君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 松野 博一君 理事 西村智奈美君

   理事 浦野 靖人君 理事 古屋 範子君

      大岡 敏孝君    大串 正樹君

      加藤 鮎子君    神田 憲次君

      木村 弥生君    小松  裕君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      谷川 とむ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    長尾  敬君

      長坂 康正君    丹羽 雄哉君

      橋本  岳君    比嘉奈津美君

      堀内 詔子君    前川  恵君

      牧原 秀樹君    松本  純君

      松本 文明君    三ッ林裕巳君

      宗清 皇一君    村井 英樹君

      簗  和生君    阿部 知子君

      大西 健介君    岡本 充功君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      山井 和則君    足立 康史君

      井坂 信彦君    牧  義夫君

      伊佐 進一君    輿水 恵一君

      角田 秀穂君    高橋千鶴子君

      堀内 照文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      永岡 桂子君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 時澤  忠君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  唐澤  剛君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  谷川 とむ君     宗清 皇一君

  堀内 詔子君     前川  恵君

  松本  純君     長坂 康正君

  三ッ林裕巳君     神田 憲次君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 憲次君     簗  和生君

  長坂 康正君     松本  純君

  前川  恵君     堀内 詔子君

  宗清 皇一君     谷川 とむ君

同日

 辞任         補欠選任

  簗  和生君     三ッ林裕巳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官時澤忠君、厚生労働省保険局長唐澤剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀内照文君。

堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。

 初めに、国民健康保険制度の現状についてお聞きをしたいと思います。

 厚生労働省の説明でも、国保の抱える構造的な課題として、低所得者が多いことを挙げておりますが、そうした中で、保険料が高過ぎるというのが国保の大きな問題だと考えております。

 兵庫県保険医協会が兵庫県下全市町を対象に行ったアンケートでは、昨年十二月一日現在、兵庫県下で減免制度を利用している世帯が六割近くにもなる一方で、滞納が十三万九千八百五十四世帯、加入世帯全体の一七%にも上っております。

 我が党尼崎市会議員団を通じて尼崎市の資料を取り寄せますと、二〇一三年度、減免を八三・九%もの世帯で受けているんですが、滞納世帯は三五・七%にもなっております。全国的にも滞納世帯は三百六十万を超えております。保険料が高過ぎて払えないということだと。

 保険料がそもそも高過ぎるということは、もはや明らかだと思いますけれども、大臣の認識はいかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今、堀内議員から御指摘がありましたように、国保には低所得者が多く加入するなど構造的な問題を抱えていることから、相対的に保険料水準が高くなっているというふうに思っています。これまでも、低所得者の保険料軽減措置をこれに対して行ってきたところでございます。

 今回の改革におきましても、毎年約三千四百億円の追加的な財政支援を行うこととしておりまして、国民健康保険の財政基盤の強化を図るとともに、保険料の伸びの抑制などの負担軽減につなげて、保険料を納めやすい環境を整えてまいりたいというふうに思っております。

堀内(照)委員 保険料が高過ぎて、これ以上の引き上げには耐えられないというのが現実だと思います。

 所得階級別の保険料負担を見れば、低所得世帯ほど保険料負担率が高くなっており、年収百五十万から二百万の世帯で一四%、機械的に計算しても、およそ三十万円前後の保険料負担となります。

 国民健康保険中央会が発行する「国民健康保険の安定を求めて」という冊子でも、年収二百万の四人世帯でおよそ二十万円前後、年収三百万の四人世帯では三十万円前後と、いずれも協会けんぽの約二倍の保険料になっているとレポートしております。

 そうした中で、滞納しても払う意思があり、分納もしているのに、一方的に差し押さえられる例が後を絶ちません。

 加古川市では、この間、消費税増税や資材高騰によって、過去に滞っていた国民健康保険料約八十万円が払えなくなった業者に対して、売掛金が振り込まれたその日に三十万円全額差し押さえになり、預金残高がゼロになった。加古川市では債権回収課なるものを設けて、ここ二年ほどで差し押さえ件数が倍ほどふえているわけですが、この方がこの回収課にかけ合っても、最初は、払わない方が悪いと木で鼻をくくったような対応だったといいます。

 しかし、滞納は過去のものであり、現年度分はきちんと支払われているわけであります。そして、支払いの意思も当然あるわけです。売掛金は従業員の給与や事業資金であり、その差し押さえは経営と生存を脅かすものである、そういうことなども訴えて、ようやく分納が認められたということでありますが、保険料を支払う意思があるにもかかわらず、売掛金や生活費まで差し押さえるようなやり方は到底認められないと思うんですが、こういう事例を放置されていいんでしょうか。

唐澤政府参考人 先生から御指摘のございました国民健康保険料、保険税、国民健康保険制度を維持するために御納付をお願いしているわけでございまして、財産があるにもかかわらず滞納している場合には、これは差し押さえなどをさせていただくということも自治体の判断でお願いしているわけでございます。

 他方で、滞納している方につきましては、それぞれいろいろな御事情というものもございますので、市町村におきまして、まず納付相談というようなことで、今御指摘のございましたように、分割して納付をしていただくというようなきめ細かな相談対応をしていただきたいと考えております。

 また、いろいろな個別の御事情というものがございますので、生活を著しく窮迫させるおそれがあるような場合ということもございますから、こういう場合には滞納処分の執行の停止というような仕組みもございますので、こういうことも御勘案をいただきながら、個々の滞納者の実情をよく把握していただいて、しゃくし定規というようなことでなくて、丁寧に御対応をお願いしていきたいと考えております。

堀内(照)委員 兵庫県下では、二〇一〇年六月一日現在で三千四百五件だった差し押さえが、二〇一三年同日時点では五千三百三十二件と、三年で一・五倍になっています。中には、姫路市は二百四十件から四百九十八件とか、洲本市で百十三件から六百四十四件とか、先ほどの加古川市は八十三件から二百四十八件と、急増している自治体もあります。

 その全てが一方的なやり方だとは言いませんけれども、分納などをしているにもかかわらず、一方的な差し押さえがやられた、もしくはそういう連絡がいきなり来たという相談がふえております。

 昨年十一月の参議院の厚生労働委員会で、今ありましたけれども、生活が困窮するような特別な事情がある世帯については機械的な差し押さえはあってはならないとの我が党の小池晃議員の質問に、大臣も、温情を持って臨まなければならないし、配慮はせにゃいかぬ、ぬくもりを持った行政をやるべく徹底をしていくということで厚労省としても言っていきたいと御答弁をされております。

 業者の売掛金の場合は、先ほど述べたように、従業員の給料であったり事業の運転資金としてはなくてはならないものであります。まさに、なりわいの成否と従業員、家族の生存のかかったものであります。こういうものはやはり差し押さえすべきではないと考えるわけですが、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど局長からも申し上げましたように、保険料ですから、これは保険の制度として、保険料と税とそして自己負担という三つだけで成り立っているものをどううまく回していくかということなので、保険料についても、負担の公平の観点から必ず納付をいただくということは必要であるわけでありまして、保険料をお支払いできる財産を持っている、財産を持っていらっしゃるにもかかわらず保険料を滞納しているという場合には、やはり差し押さえまでもして徴収を行うことは必要だと思いますが、先ほどお話がありましたように、その事情を何ら勘案せずに一網打尽にやるというようなことは、なかなかこれは許されることではないんだろうということで、ぬくもりを持った行政をやるべしということを私は申し上げたわけです。

 滞納者に対して、市町村は、先ほどお話が出ましたが、分割納付などの納付相談をしっかりとやる、それから、滞納者の個別具体的な状況を踏まえて、生活を著しく窮迫させるおそれがある場合には滞納処分の執行を停止する仕組みもあるということでもございますので、冒頭先生が御指摘になったような、預金残高がゼロになるような、暮らしを続けることが苦しい、できなくなるというようなことは、やはりしっかり勘案した上で、実情をよく把握した適切な対応をすべしというふうに思います。

堀内(照)委員 こういう例もお聞きしました。

 毎月分納をきちんとしている人が、たまたま支払ったコンビニエンスストアから市への送金が月をまたいだがために納付がおくれたとされて、いきなり差し押さえるという連絡が市から入る。コンビニの領収書を市の窓口に持っていってようやく解決したわけですが、全く実情を踏まえない一方的な事例というのも多く見られますし、売掛金とはいえ、今大臣がおっしゃっていただきましたように、預金がゼロになる、生活に困窮するという事態にもなるわけですので、そういうものまで差し押さえる深刻な事例も今聞いておりますので、そうしたことがないように必ず徹底を図っていただきたいと思います。

 保険料を滞納しますと、納付相談を経て短期証や資格証に切りかえられるわけですが、短期証の取り扱いについて確認しておきたいと思います。

 兵庫県内でいろいろ聞いておりますと、自治体の窓口に分納の相談に行くと、納めた金額によって支給される短期証の期間が異なってくるというんですね。病気が重くなって病院通いが必要なのでせめて数カ月の短期証を出してほしいとお願いすると、一万円しか納められないのなら一カ月です、三カ月分欲しかったら三万円納めなさいと、まるでお金で保険証の有効期間を買うかのような扱いであります。

 納付の意思があり、現に分納もしようというわけですから、保険証を渡すというのが原則だと思いますけれども、その期間をお金で切り売りするというようなことが起こっております。しかも、こうした取り扱いが結構各地で、一つ二つではなくて、共通してそういう現状があるんだというふうに私は伺いました。そんな運用というのが奨励されているんでしょうか。

唐澤政府参考人 今御指摘をいただきました短期被保険者証でございますけれども、こちらは、御質問の中にもございましたように、まず、御面談をさせていただくように、納付相談をするということが一番大きな趣旨でございますけれども、私どもといたしましては、納付の金額によって期間をそれぞれ比例的にするというようなことを国として奨励しているわけではございません。

 もちろん、御事情はいろいろさまざまでございますし、短期証の発行の理由もさまざまございますので、もちろん滞納ということが一番多いわけでございますが、先ほども申し上げましたように、やはりきめ細やかな対応をお願いしたい。

 市町村の職員の皆さんも大変御苦労いただいていると思います。きめ細やかに御対応していただいて、それぞれの事情をよく御相談を受けて、そして適切に対応していただきたいと考えているところでございます。

堀内(照)委員 命の沙汰も金次第というようなことはあってはならないと思います。

 また、先ほど紹介した兵庫県保険医協会の調査では、保険証の未交付率、いわゆるとめ置きも三・一七%、兵庫県下では二万六千四十八世帯にも上っております。これはまさに、医療にアクセスできないという人が世帯でこれだけいるということにほかならないわけであります。

 滞納者への納付相談を行うことはもちろん重要ですけれども、相談に来ないからといって、とめ置かれている状況が放置されていいはずはありません。子供の保険については直ちに郵送するという手だてがとられていることだと思うんですが、命の重さは子供も大人も同じであります。

 昨年四月の、これも参議院厚労委員会で、我が党の田村智子議員の質問に答えて当時の田村大臣が、納付相談にも乗り、必要に応じて送る、郵送も含めて渡すのだと答弁をされております。

 市町村からすれば、今挙げたような数字というのは、今後、窓口に来て納付相談も進める中で未交付数は減るということだと思うんですけれども、いっときにせよ、なおこれだけの未交付世帯がある、中には長期化していくというのもあるわけですので、やはりこうしたことが放置されてはならないと思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、行政はいつもきめ細かくやらなければいけないというふうに思っております。

 しかし、一方で、短期被保険者証の交付の趣旨というのは、市町村と滞納世帯との接触の機会を設けるということが大事であって、世帯主が短期被保険者証を受け取りに来ないことによって長期間にわたって短期被保険者証が市町村の窓口でとどめ置かれていることはもちろん望ましくないというふうに思っておりまして、やはり、来ていただいて、どういう事情なんだということを話し合いながら、きめ細かく対応して御相談に応ずるということが大事なんだろうというふうに思うのですね。

 このため、市町村では、まず電話連絡を試みる、それから、必要に応じて家庭を訪問して御事情をお聞きするといった、市町村の実情に応じて速やかに短期被保険者証を交付できるようにきめ細かな対応に努めてもらいたいなというふうに考えておりまして、大事なことは、きちっとお話し合いをして、実情を踏まえて、そして対応をして、この保険料がお支払いいただけるような現実的なやり方を考えるということだろうというふうに思います。

堀内(照)委員 きめ細かくということで、電話や訪問も含めてということでございましたので、来ないからといって長期にとめ置くということがないように、事はやはり命にかかわる問題ですので、保険証がなくて医療にアクセスできない、そして命を落とすような、こんな事態がないようにぜひ対応すべきだと申し上げたいと思います。

 法案の問題に入っていきたいと思います。

 今度の法案は国保の抱える構造的な問題を解決するんだというわけですが、今言いました高過ぎる国保料というのが解決するのかということであります。

 大臣は、本会議での我が党の高橋千鶴子議員の質問に、これは大臣から先ほど御答弁がありましたけれども、今回の改革においても、毎年三千四百億円の追加的な財政支援を行うことにより、国保の財政基盤の強化を図るとともに、保険料の伸びの抑制などの負担軽減につなげ、保険料を納めやすい環境を整えてまいりますとお答えになっておられるわけですが、具体的にどう負担軽減を図り、保険料を納めやすい環境をつくるのかということをお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 今回の改革におきましては、国保の財政基盤を強化して制度の安定化を図るために、平成三十年度より、毎年三千四百億円の公費を投入するということとしたわけでございます。

 具体的には、本年度、二十七年度から、低所得者が多く加入をいたします保険者に対して合計千七百億円の財政支援の拡充をまず実施する、そして平成三十年度以降は、子供の多い自治体や医療費適正化などの取り組みをしっかりと進めている自治体、ここに対してさらに千七百億円の公費をまた投入するということにしておりまして、結果として国保の財政基盤を強化し、そして国保の保険料水準を抑制していくということで、保険料を納めやすい環境を整えていきたいというふうに考えておるところでございます。

堀内(照)委員 今、いろいろありましたけれども、大臣は一方で、この三千四百億円の追加公費投入で、一般会計からの繰り入れの必要性は相当程度解消すると考えているとも述べられております。

 今、市町村が独自に行っておりますこの一般会計からの繰り入れをやめてしまったら、これは保険料の軽減につながらないんじゃないでしょうか。

唐澤政府参考人 一般会計からの繰り入れにつきましての御質問でございます。

 国保はさまざまな御指摘のような構造的な問題を抱えておりまして、私どもの方は、計画的、段階的な赤字の解消に取り組んでいただくよう、これまでも市町村の方にお願いをしてまいりました。

 今回、先ほど大臣からお話がございましたように、三千四百億円の財政支援の拡充を行うことにしております。このほかに、予期せぬ給付増あるいは保険料の収納不足ということで財源が足りなくなった場合に備えまして、財政安定化基金というものを都道府県に設置することとしております。また、このほか、保健事業の推進でございますとか、医療費の適正化等の取り組みも行っていただいて、保険料の適切な設定に取り組んでいただきたいと考えております。

 一般会計からの繰り入れにつきましては、これは自治体の判断で御判断いただくことでございますので、私どもがこれをどうということは申し上げられませんけれども、今回の改革によって、さまざまな、三千四百億や基金の設置等をあわせまして国保の財政基盤の強化を図ってまいりたいと考えております。

堀内(照)委員 いろいろ言われましたけれども、今、一般会計の繰り入れは三千五百四十四億円ですね。ですから、その額だけ見ても、保険料軽減ということにはやはりつながらないと思うわけです。

 また、法案では、都道府県が市町村に標準保険料率を示すということになりますが、この標準保険料率というのは、市町村が行っている一般会計からの繰り入れを解消するということを一方で言われているわけですから、この保険料率には繰り入れというのは反映されるんでしょうか。

唐澤政府参考人 都道府県の定める標準保険料率でございますけれども、一般会計の繰り入れ自体は、今現在は市町村の方の御判断で実施をされているものでございますので、私どもの方は、現在の考え方は標準的な住民の皆さんの負担の見える化を図りたいということで、納付金の算定に当たりましては、一般会計からの繰り入れというものは勘案をせずに算定をしていただきたいというふうに考えております。各市町村が、共通な、基本的な要素で納付金の算式を示したいということを考えているところでございます。

堀内(照)委員 これでは、当然、多くのところで現に今被保険者が支払っている保険料よりも高い額の標準保険料率が示されることになるわけです。保険料はあくまで市町村が決めるということで、繰り入れの問題も今独自の判断だという御答弁がありましたけれども、一般会計からの繰り入れの解消、こういうことを示すことによって、都道府県が市町村に解消せよということを押しつけるようなことは当然あってはならないと思いますけれども、それは御確認いただけますか。

唐澤政府参考人 今回の三千四百億円という規模は、現在の国民健康保険の保険料が約三兆円でございますので、一割強というような水準の財政基盤の強化をお願いしたいと考えているわけでございます。

 したがって、一般会計の繰り入れの現在赤字の対応にはかなり効果を発揮できるのではないかと考えておりますけれども、ただ、今御指摘いただきましたように、一般会計からの繰り入れをどうするかということにつきましては、それぞれの自治体で御判断をいただく。ただ、私どもといたしましては、国民健康保険の健全な運営ということに努めていただきたいと思いますが、これを制度によって禁止するというふうなことは考えていないところでございます。

堀内(照)委員 繰り入れをやめさせるということは一方的にできないということを確認しておきたいと思います。

 ならば、この保険料が高過ぎるという住民の声に応えた市町村の努力にこそ国が応えるべきだと思うわけです。この法案の方向は、標準保険料率を示し、将来的な保険料負担の平準化を進める、一般会計からの繰り入れも解消を目指すような方向だということでは、保険料の軽減にならないということはもう明らかだと思います。

 さらに、納付金の問題であります。

 市町村が都道府県に納める納付金は医療費水準や所得水準を考慮されるとしながらも、決定された額を当然納めなければなりません。この納付金は、各都道府県がそれぞれ市町村ごとに決めることになりますけれども、その際、各市町村での保険料の収納率というのはどのように想定されるのでしょうか。

唐澤政府参考人 現在私どもが考えております納付金、これは、具体的な仕組みは、今後、地方三団体も含めて御協議をさせていただいて、また、各都道府県ごとに県と市町村の間で御協議をしながら最終的には決めていただくものでございますけれども、私どもの現在の考え方は、これからは都道府県が財政運営の責任を持つ、支払いの責任を持つということで、そのために必要な資金と費用というものを各市町村から納付金という形で納めていただくという仕組みにさせていただきたいと考えております。

 具体的に納付金の算定方法でございますけれども、現在の考え方は、一つは、その市町村の医療費の水準を反映するということで、これは、いろいろな保健事業などの御努力をいただけば、その成果が医療費水準ということで比例的に反映するような形、それから、他方では、負担能力に応じた負担ということをお願いするという観点から、市町村ごとの所得水準を反映するということを基本にさせていただきたいと考えております。

 したがいまして、各市町村の収納率につきまして、納付金に勘案するということは考えていないところでございます。

堀内(照)委員 考えていないということですが、都道府県が示す納付金に市町村での保険料が大きく左右されかねないということは当然あるわけです。市町村の収納率が、市町村自身がこれは恐らく想定されるということになると思うんですが、その想定より低ければ、納付金を全額納めるためには、保険料の引き上げか一般財源からの繰り入れかで納付金を確保するしかありません。

 しかし、一般会計からの繰り入れがないことが本来のあり方だということであれば、これは保険料を引き上げて徴収するしか道はなくなるわけであります。幾ら市町村が保険料率を決定するんだといっても、今見てきましたように、標準保険料率のあり方や納付金のこの制度のあり方から見ると、どれも保険料引き上げの圧力になるじゃないかと思うわけであります。

 また、こうした仕組みが、納付金のためにその原資である保険料の徴収強化にもつながったり、滞納者への一方的な差し押さえ等、制裁の強化にもつながりかねないと思います。大臣の言う保険料の納めやすい環境とはとても言えないと思うわけであります。

 その上、重大なのは、保険者努力支援制度を設け、都道府県に医療費適正化計画等、医療に要する費用の目標を定めさせることと一体に、国保の財政運営を握った都道府県が医療費抑制策に乗り出すということになっていることであります。こんなことは絶対に認められないと指摘をして、次の問題に移りたいと思います。

 患者申し出療養の創設についてであります。

 この制度は保険外の診療を保険診療と組み合わせて行うものでありますが、既に行われている保険外併用療養費制度に加えて設けられます。

 前提の問題として確認したいと思います。いわゆる混合診療については厚生労働省も原則禁止という立場だと思いますけれども、この混合診療について厚生労働省の基本的な考え方を、大臣の言葉でお示しいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 いわゆる混合診療の全面解禁というようなことでございますけれども、そういうことをやりますと、安全性、有効性が確認されない医療が行われるおそれがあり得るということが一つ。もう一つは、先進的な医療が保険収載につながらないで保険外にとどまり続けてしまうということで、誰もが一定の負担で必要な医療を受けられなくなってしまって、いわゆる医療格差が生じてしまうのではないのかというおそれがあるわけであります。

 やはり皆保険制度というのが世界に冠たる日本の制度としてこれまで実現してきたわけでありますので、その基本は全く継続をしていかなければならないと考えておりますから、それに反するようなものは考えられないというふうに考えるべきだろうと思います。

堀内(照)委員 今度の患者申し出療養というのは、先進医療の対象にはならないけれども一定の安定性、有効性が確認された医療について行うものだとされております。この安全性、有効性というものは、これまで先進医療でも掲げられてきたものと同じ水準であるというふうに確認してよろしいでしょうか。

唐澤政府参考人 患者申し出療養につきましては、困難な病気と闘う患者さんの思いに応えるために、先進的医療について、患者さんの申し出を起点として、安全性、有効性を確認しつつ、身近な医療機関で迅速に受けられるようにしたいというものでございます。

 その際、安全性、有効性というものはきちんと確認しなきゃいけないわけでございますけれども、これにつきましては、新たに設置をする専門家の会議におきまして、医療機関が作成するデータでありますとか、あるいは保険収載に向けた実施計画等に基づいて審議を行うこととしているところでございます。

 その水準につきましては、もちろんこれから詳細については設計をしていくわけでございますけれども、現在、先進医療で行われているものと基本的には同水準の安全性、有効性というものは求めていかなければいけないだろうと考えているところでございます。

堀内(照)委員 保険適用されていない医療について安全性、有効性を審査するのが、今の保険外併用療養のもとでは先進医療会議ですね、今度の患者申し出療養のもとでは、患者申し出療養に関する会議ということになっていると思います。

 これまでの先進医療会議では、十一人体制で、そこに三十人の技術委員がサポートをする。さらに、それと別に二十人の先進医療技術審査部会があり、ここにも先ほどの三十人の技術委員がサポートをするということですが、この先進医療会議十一人と医療技術審査部会二十人という二部体制になっています。ここで、未承認、適応外の医薬品、医療機器の使用を伴う医療技術についてであれば、おおむね六カ月かけて審査をしてきたわけであります。

 今度の患者申し出療養に関する会議はそれを六週間に短縮するということでありますが、今、同水準ということを言われましたけれども、これは維持をする担保があるのかということであります。

 この患者申し出療養に関する会議の体制はどうなるのか。当然、期間を縮小するということであれば、今の先進医療会議以上の体制が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

唐澤政府参考人 患者申し出療養の審査の体制でございまして、その期間につきましては、今先生の御指摘いただいたとおりでございます。

 そして、私どもは、患者申し出療養につきましては、例えば、がん治療のような場合には迅速に御使用を希望するというような方がいらっしゃるということで、できるだけ早くということでこのような目標を現在設定しているわけでございますけれども、前例のないものでございますが、六週間で審査を行うためには相応の体制の確保が必要であろうと思っております。

 具体的にどういうふうにしていくかということはこれからでございますけれども、専門家による会議が、透明性を確保しながら効率的に審議ができるような体制をつくっていく必要があるというふうに考えております。

堀内(照)委員 具体的にはこれからということなんですけれども、今のような二部構成とかそういうイメージでよろしいんでしょうか。

唐澤政府参考人 これは、全くこれからでございます。

 先進医療の方は、薬事関係が、承認済みのものだけを使っているケースと、あるいは未承認の医薬品や医療機器を使うケースなどによって区分をしているわけでございますけれども、どのような区分を設けてやるのが安全性の審査、有効性の審査、あるいは効率的な審査という観点からよいかということにつきましては、またさまざまな御意見を伺いながら検討してまいりたいと考えております。

堀内(照)委員 安全性の問題というのは、特に患者団体の皆さんが一番懸念をし、反対をしているところなんですね。

 六週間といいますけれども、実際の事務手続の時間などもありますので、それを除くと実質一カ月ぐらいしか期間がない。これは、きのう、当局からレクチャーを受けたときにもそうおっしゃっておりました。きのうレクチャーを受けた中で、機動性を確保する上では今のような二部構成にはならないんじゃないかというようなニュアンスも言われておりましたけれども、いずれにしても方向がまだということでありますけれども、今の先進医療会議よりも体制が少なくなるということは、やはりあってはならないと思うんですね。

 患者申し出などとあたかも患者のためと言いながら、一番重要な審査体制についてまだ具体的に明らかにされていない。それから、現行の先進医療会議よりも強化されたものになるという見通しもまだ見えません。これは本当に重大だと思うんですね。

 日本難病・疾病団体協議会が四月六日に出した声明では、「現行の特定機能病院でさえ、信じられない医療事故が絶えないなか、現在の先進医療にさえも入らない新しい治療技術を、申請からわずか六週間という短期間で結論を出す医療技術に、安全性、有効性の保障がどこにあるでしょうか。」と指摘しておりますが、まさにそのとおりだと思います。

 また、同声明では、「「患者の申出」を起点とするだけに、「自己責任」として、医療事故があった場合の公的な救済制度は適用されないおそれがある。」としておりますけれども、副作用や事故が起きた場合の責任の所在、補償はどうなっているんでしょうか。

唐澤政府参考人 患者申し出療養で事故などが起きた場合の対応の問題でございますけれども、まず、制度の中では医療機関から実施状況の報告を求めるということにしておりますので、その中に重篤な有害事象、事故や副作用についてもきちんと報告を求めることにしたいと考えております。

 それから、事故や副作用が起きた場合の責任や補償の問題でございますけれども、現在の治験の制度あるいは先進医療の制度、そういう中での対応を踏まえて具体的な制度の検討をしていきたいと考えております。

 例えば、治験の場合では、治験の依頼者と実施の医療機関というものは、まず健康被害の補償に関する事項、こういうものに関しまして契約を締結するということを定めております。また、治験の依頼者は、被験者に応じた健康被害の補償のため、あらかじめ保険の加入でございますね、そういうものについて必要な措置を講じなければならないというふうにしているところでございますけれども、こうしたものも踏まえまして詳細について検討してまいりたいと考えております。

堀内(照)委員 患者団体の皆さんが心配されているのは、公的な救済制度があるかということなんですね。今の先進医療の枠でも、民間保険で対応されているわけですね。そういう意味では、公的に支える仕組みがないということだと思うんです。

 また、患者申し出療養の前例を扱ったことのある医療行為については、審査期間はわずか二週間だと。臨床研究中核病院が患者に身近な医療機関を審査する。これは、国には届けるだけで、身近な医療機関を臨床研究中核病院の協力医療機関に追加をさせて、医療行為を行うというわけです。

 この前例というのも、一旦、患者申し出療養に関する会議で認められたら、実際の治療や医療行為が行われていなくても前例とみなされるわけです。つまり、一例でも二例でも先例の治療行為があって、安全性が確認されつつあるということでもないのに、一度承認が得られたらということで前例として、二週間の審査でいいんだと。

 ここには患者申し出療養に関する会議は出てきませんし、国の関与は届け出だけであります。これでは、過大な責任を臨床研究中核病院に負わせることになるんじゃないか。それこそ、問題が起きたとき、臨床研究中核病院の責任ということにならないのか。国は、責任も補償の責務も、この点でも負わないということなんでしょうか。

唐澤政府参考人 御指摘いただきましたように、前例のあるものとないものに分けて考えているわけでございますけれども、前例のあるものにつきましては、その前例を担当いたしました臨床研究中核病院におきまして、ほかの医療機関からの申請を審査、承認していただきたいというふうに考えているところでございます。

 こうしたときに、先ほど御指摘のございましたような有害事象、副作用というようなことが発生した場合につきましては、きちんとした対応が行われるように、先ほど申し上げましたような治験や先進医療の対応も踏まえて検討してまいりたいと考えております。

 また、これは一連の制度でございますので、それぞれのところが、それぞれについて相応の責任を持っているということでございますので、臨床研究中核病院だけということではないと考えているわけでございます。

 これは具体的な事例に即して判断しなければいけないことでございますけれども、いずれにいたしましても、現在の治験、先進医療、そういうものも十分精査をいたしまして、それから、患者団体などの皆様ともよく御意見を伺いながら、詳細について検討してまいりたいと考えております。

堀内(照)委員 やはり、公的な救済制度というのは対象外だということだと思うんです。国の責任は後退、回避をした制度だと言わなければなりません。

 医療機関と患者との当事者同士の関係に任せられれば、いわば、リスクを承知して申し出た患者の立場というのは一層弱いものになるではないかという懸念の声が上がっていることは、さきの難病患者の団体の声明で、患者申し出が起点とされ、自己責任とされることに強い懸念を示しているということを紹介したとおりであります。

 もう一点、中医協の審議でも懸念が表明されている、製薬メーカーなどが、治験や先進医療などの審査の手続に時間も手間もかかるということを嫌がって、短期で承認される患者申し出療養で使ってほしいと患者の背中を押すとか、主治医に働きかける、こういうことを防げるのかどうかという議論がありましたけれども、この点、いかがでしょうか。

唐澤政府参考人 御指摘をいただきましたように、例えば、本来は治験で実施すべきものをこちらの方で出してくるというふうなことは望ましいことではないわけでございます。

 患者申し出療養ということでございますので、患者さんが治療の内容等をきちんと理解して、そして御納得をいただいた上で申し出をしていただくということが最も重要なことであると考えております。そのためにはどういう仕組みを設けるかということもございます。

 それから、患者さんだけではなかなか御判断ができないということもあろうと思いますので、かかりつけ医などが患者さんからの相談に応ずるような、御協力をいただけるようなことも関係団体に要請してまいりたいと考えております。

 それから、いろいろな病院にも、現在は先進医療担当窓口みたいなところはなかなかないんですけれども、この患者申し出療養に関連をして、高度な医療の相談に応ずるというような窓口を設置していただくというようなことも検討してまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、申請に当たりましては、御理解と御納得ということが大変重要でございますので、それを担保できるような仕組みをきちんと考えていきたいと考えているところでございます。

堀内(照)委員 考えていきたいということで、本当にこれで防げるのかと思うわけなんですね。困難な病気と闘う患者のためと言いながら、安全性、有効性が担保できる体制が今本当に見えないわけであります。これで本当に進めていいのかと思います。

 患者申し出療養の創設というのは、そういう意味では、もう本当に撤回すべきだと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今、さまざまな論点について御質問いただいて、また、それに対して局長の方から答弁を申し上げましたけれども、患者申し出療養は、国においてその治療法の安全性、有効性の確認をまずする、そして保険収載に向けて医療機関に実行計画の作成を求める、国においてそれを確認して、そして実施状況等の報告も求めるということにしておりまして、先生御懸念のような、無制限に、いわゆる医療格差をもたらすような、あるいはまた皆保険制度の根幹を揺るがすような混合診療を解禁するものではないというふうに考えているわけでございます。

 今後も、適切な形で保険診療と保険外診療を組み合わせる仕組みを講ずるということで、世界に誇る我が国の国民皆保険を堅持しながら、安全性、有効性等の確認を経た上で、必要かつ適切な医療について、基本的にやはり患者本位で保険適用をしてまいりたいというふうに思います。

堀内(照)委員 本当にこれは安全性が確保できるのかということ、大変な問題だと思うんですね。

 きょう質問しました国保の問題でも患者申し出療養の問題でも、やはり患者負担をふやすということですとか、それから、保険外診療を拡大していくという問題では、本当に安全性が確保できるのかというふうに思うわけであります。

 私、神戸在住で、ことし阪神・淡路大震災二十周年でありますけれども、私の知人に、あの震災を生後二週間で体験した、ですから、ことし成人になった男性がいるんですが、彼が成人の日を喜べなかったのは、お父さんを直前、去年亡くしたわけですね。

 そのお父さんというのは、神戸市長田区の地場産業、ケミカルシューズで働いておりましたけれども、工場が被災をし、転々とする。倒産をやはり余儀なくされて、その後、タクシー運転手として働いていたわけですが、国保だったんですね。保険料がやはり払えなくて、保険証が手元にないということで、ようやく病院に行き着いたときには末期のがんで手おくれだったということでありまして、本当に、あの震災からの二十年、苦労して、困難な中でも、息子を中高一貫の私立に入れて国立大学に入れるということで、国立大学に進んだわけですけれども、そうやって手塩にかけた息子の成人の日も見られなかったわけですね。

 医療にアクセスできないということで、こういう事態をやはり起こしてはならないというふうに思うわけであります。

 今度の法案は、安全性、有効性が確認された必要な医療は保険適用して、一定の負担額で国民に提供されるべく整えられてきた保険診療の制度、国民皆保険制度を根本から掘り崩しかねないもので、撤回すべきだと強く厳しく指摘をして、質問を終わりたいと思います。

渡辺委員長 次に、田中英之君。

田中(英)委員 おはようございます。自由民主党の田中英之でございます。

 今回また質問の機会をお与えいただきました先輩、同僚の議員の先生方、本当にありがとうございます。

 きょう議題となっております持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法案について、私からも質問をさせていただきたいというふうに思います。

 その前に、我々がどのような形で医療行為を受けてきたのかなということを振り返ってみますと、生まれたときというのは、当然ながら自分自身で病院へ行くということはございませんし、少し大きくなって幼少期も、これは親に連れていってもらうということで、ちょっと調子が悪くなったなというような状況になったときには自然と病院の方に連れていってもらうということで、考え方一つとれば、当たり前のように実は病院に行けたというような状況だったかと思います。

 それが少し変わるのは、自分自身で歩いて病院に行って治療を受けるようになると、そのときに初めて健康保険証というものを預かって、病院に提示をして医療行為を受けたということでありますし、その健康保険というものは、一世帯一世帯、また一人一人の方が保険料を支払うことによって、それを交付されていることになると思います。

 また、健康保険が交付されるわけでありますけれども、そこには、保険料だけじゃなくして、税金も当然ながら投入いただいておりますし、保険によっては企業が持ち出しでそこに投入されるということもあって、我々は、そういったことがあったので、一部の負担で、実は高額である本来の医療費というものが、一定の額でそういった医療行為を受けることができてきたというふうに思っております。

 保険にもいろいろな種類があるということであります。職種によって変わりますし、会社へお勤めの方なんかは健保組合であったり協会けんぽといったものであったり、また、公務員の皆さんや学校関係者、こういった方々は共済組合の保険でありますし、自営業者の方、農業をされているような方々というのは国民健康保険というところに属するわけでもあります。

 そういったさまざまな保険があるわけですけれども、いずれかの保険に全国民が加入することによって、医療の行為というものが受けやすい状態、状況というものをつくってきていただいた。それが国民皆保険制度というものであって、我々は、それによって、健康で、ちょっと体調を崩せば治療行為によって元気になって、それを続けることによって本当に長寿社会、長寿国家というところまで今日導いてきたのがこの皆保険制度ではないかなというふうに私自身は思っております。

 国民皆保険制度、そういった意味では、本当に私たちの国の誇るべき制度であるというふうに私自身も思っておりますし、間違いなく多くの国民の皆さんも、またこの委員会室におられる議員の先生方も、大半の方がそのように思っていただいていると思いますし、これからも維持をして、どのように継続していくことが可能かということをしっかりと議論していかなければならないと考えています。

 振り返りますと、これは昭和三十六年に始まったということでありますから、ほぼ五十年ということであります。その間にはいろいろな状況があったでしょうし、改正もされてまいりました。とりわけ、ここ近年、本当に社会の経済情勢や社会の構造、こういったものも大きく変わってきたということもあります。

 そして、先ほど、長寿国家になってきたということは高齢者の方もふえているわけであって、高齢者の方というのは、やはり医療行為を受けられる回数はともすれば若い世代の方よりも多いということもあります。今、医療費の総額が四十兆円にもなるというようなことも言われておりますし、毎年毎年、約一兆円程度の増加が見込まれているというふうに言われております。

 でも、これからもこの国民皆保険制度をやはりしっかりと堅持、守っていかなければならない、持続可能なものにしていくために、今回は、さまざまな健康保険のこの部分を改正することによって、提案して、守っていこう、そういった姿勢であるというふうに私自身は思っております。

 さて、今回のこの改正では、今、中にもありました国民健康保険の安定化ということも含まれております。そして、後期高齢者支援金の全面総報酬割を導入していこうということも含まれております。そして、負担ができるだけ公平であるべきであるということで、そこを改善していこうということなども含まれているわけでありますが、本当に持続可能な形にしていくためには必要な改革であると、私自身は今回、全体を見させていただいて、そのように認識をしている一人であります。

 でありますので、ここで私自身がお聞きしたいのは、やはり健康保険の最後のとりでとなっております国民健康保険、このことについて、今大きく変わろうとしているので、国保の安定化についてお聞きしたいのと、そして、公平性の部分についても少しお伺いできればというふうに考えております。

 そこで、まず、国保の改革によっての安定化についてでございます。

 財政運営の主体というのが、今回、都道府県に移管されるということであります。今回の改正で、市町村から都道府県に移管することになっていますが、まず、この理由を改めて確認のためお伺いしたいのと、国ではなくして都道府県ということでありましたので、この点について、なぜなのかということも含めて御答弁願えればと思っております。よろしくお願いします。

    〔委員長退席、とかしき委員長代理着席〕

橋本大臣政務官 委員御案内のとおり、今回の改革におきまして、今、国保は市町村が運営しているわけですけれども、財政運営の責任を都道府県にも持っていただくということで改革をさせていただこうというものでございます。

 それはどういうことかと申しますと、地域医療構想の策定等の主体である都道府県に国保の財政運営の責任主体となっていただくことによりまして、都道府県が、医療保険と医療提供体制の両面を見ながら、地域の医療の充実を図り、効率的かつ質の高い医療を提供できるように取り組んでいただきたいというふうに考えているところによります。

 また、都道府県が国保の財政運営の責任主体となることで、高額医療費の発生などの多様なリスクが、今、例えば小さい自治体、市町村などで発生すると、それが結構大変なことになったりするわけですが、これが、都道府県全体でそのリスクを分散することができるということ。また、都道府県が域内の統一的な国保の運営方針を定めることによりまして、市町村が担う事務の効率化、標準化、あるいは広域化等の推進を図ることもできるのだろうというふうに考えております。

 こうしたことを通じまして、都道府県が国保運営に中心的な役割を果たすことによって、安定的な財政運営や効率的な事業運営の確保などが図られることになると考えております。

 御質問で、なぜ国ではないのかということもあわせてということですが、全国一本にしたら、リスク分散とかといえば、それはもっと広く分散できるということはあるわけですけれども、逆に、保険者が国で、被保険者の方々が国民の皆様ということになるわけで、物すごく関係が遠くなって、希薄になってしまうということになるんだろうと思います。

 そういうことで、保険料の徴収だとか保険事業、医療費適正化に向けた取り組みなどの保険者機能が発揮しづらくなるのではないかといった課題もあることで、これは慎重に検討しなければいけないことだろうというふうに思っております。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 都道府県がその主体になるということの御説明を今いただき、地域医療構想というものを都道府県がこれからつくっていくということになりますし、そこと国民健康保険というものを上手にリンクすることによって、安定的な医療提供体制が整ったり、また、この健康保険を使って、本当に安心してお一人お一人の被保険者がこの保険を適用して医療行為を受けられるということ。

 また、そういった広い範囲、都道府県の範囲でありますが、一つの範囲が今までの市町村より広がりますので、いろいろと市町村の中にはやりとりも違うところもありますので、それが広域化することによって平準化していくことによって、ある意味では平等性や公平性というものが担保できるという意味では、都道府県に任せるというところに当たり、国に関してはやはりちょっと広過ぎるであろうということもありますので、都道府県であるという御答弁をいただきました。

 地方の自治体の声を聞くと、医療保険制度というのはどうしても国が国がという声を聞いたりしますもので、なぜなのかということを今あわせてお伺いしたわけでありますけれども、私自身は理解をさせていただいたというふうに思っております。

 次に移りますが、今回、公費の拡充というものも三千四百億円、そしてこれは、二十七年度から低所得者の対策としての強化、また、三十年度には財政調整機能強化を初めとするそういった取り組みによって、国保の、ある意味では健全化や基盤の強化というものに寄与するものと私自身は思っております。

 しかしながら、現在でも、法定外の繰入金を市町村がしているのが三千五百億円程度と言われておりますけれども、実は構造的な問題が残っているということを考えると、今後も毎年三千四百億円を投入いただいても、高齢者の増加というものがわかっているので、今後の医療費の増加に対応できるのかなという声もありますし、ともすれば、さらに公費の投入なんということも国としては考えてくれているのかなということ、これは地方自治体の意見でもあろうかというふうに思います。

 でも、だからといって財源が幾らでもじゃぶじゃぶあるわけではございませんので、そういったことの対応をしていくためには、仮に国が役割として財源をしっかりと確保するということであれば、都道府県が、また市町村がそれぞれどのような役割を果たしていくことが求められているかということをお伺いしたいと思います。

橋本大臣政務官 今回の改革によりまして、国保の財政基盤の強化のため追加的な財政支援を行うこととしておりますのは御指摘のとおりでございますが、それでもなお、今後、高齢化の進展等に伴い医療費の伸びが見込まれる中、医療費の適正化等の取り組みも進めていかなければならないというふうに考えております。

 今回の改革におきましては、地域医療構想を策定する都道府県が国保の財政運営にも責任を有する仕組みとすることで、先ほど答弁しましたが、都道府県が医療保険と医療提供体制の両面を見ながら、地域の医療の充実を図り、効率的かつ質の高い医療を提供できるように取り組んでいただく、そうした役目を負っていただくということ、そして、市町村は、地域住民との身近な関係の中で、保健事業や地域包括ケアシステム構築のための医療・介護連携等、地域におけるきめ細かい事業に取り組んでいっていただくというようなことで、お互いに連携をしながら、それぞれが果たすべき役割を担いながら、保険者としての機能を発揮していく必要があるというふうに考えております。

 なお、国民皆保険を支える国保の安定化というのは極めて重要な課題でございまして、国といたしましては、少しお話がありましたように、さまざまな地方の皆様方からの御意見というのもあるということは十分承知をしております。しっかりと伺いながら、今後も国保制度の安定的な運営が持続するように、運営の状況を検証するとともに、国保制度全般についてなお必要な検討を進めてまいりたい、このように考えております。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 国、そして都道府県、市町村、この役割をある意味では明確にして、それぞれがその役割をしっかりと果たしていただくということ、そして、その際には、それぞれの取り組みというものをそれぞれがしっかりと把握しながら連携協力を図っていっていただきたいと思いますし、それぞれの役割をしっかりと守りながら健康保険というものが守れるようにしていくべきものであるということも、私自身も認識をさせていただいております。

 次でございますけれども、三十年度から実施予定、一千七百億円の公費が投入される部分がございます。自治体の責めによらない要因による医療費増、この負担への対応であったり、また保険者の努力支援制度の制度設計、こういったことが、今後、制度や運営の詳細が検討されていくことになろうかというふうに思っております。

 実は、小さな自治体にとっては少し不安感を持っておられるのは、どうしても人口の多いところに、例えばお子さんが多いとかということもあって、その分そこに加算がされるということがあるでしょうし、どちらかというと大きな自治体の方にその予算が偏ってしまうんじゃないかなと心配されているようなところもございます。先ほど御説明いただいた、後期高齢者の部分を広域でそのような形でやると、ともすれば安くなったりするということがありますので、そういったプラスの要素もあるんですけれども、どうしてもそういった見方をされているところがございます。

 ですから、これから国において検討をいただいて、検討においては、自治体、それは大なり小なりあるわけでありますけれども、意見を十分に聞いていただく中で今後の制度設計をつくっていっていただきたいなと思いますけれども、いかがでしょうか。

橋本大臣政務官 今回の国保改革におきまして、財政支援を拡充するに当たっては、予防、健康づくりを初めとする医療費適正化等に取り組む自治体、あるいは子供さんの多い自治体等に対する支援など、自治体の実情を踏まえた効果的、効率的な財政支援を行うこととしておりまして、いろいろ御懸念はあろうとは思いますけれども、決して、大きい、小さいというところでどうしようということを考えているわけではないということでございます。

 今後、具体的にさらにその財政支援策の検討を行うわけでございますけれども、大都市部に偏重した配分にならないようにといった御指摘を今いただきました。そうしたことも含めながら、地方団体は大きいところも小さいところもございます、それぞれの御意見を十分伺いながら、制度設計を行ってまいりたいと考えております。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 次に、先ほども少し委員の方から質問がございましたが、都道府県に納める国保事業の納付金の決定のあり方といいますか、それに関して少しお伺いしたいと思います。

 今回、都道府県が主体となってやっていくわけであります。その際に、標準保険料率、また国保事業の納付金というものを都道府県が決定していく、そういう仕組みについては、一定、どのような形で進めていくのかということは、各市町村、自治体にも示していただいているものというふうに思っております。ですから、都道府県は、医療費の給付を見立てて国保事業納付金の額を決定して、その際に、市町村ごとの医療費の水準であったり、また所得の水準というものを考慮して算定をするというふうに思っています。

 ただ、都道府県において、この医療費の水準とか所得の水準の評価が、これまでこれは市町村が独自でやってきたわけでありますので、その部分が同じようにやってもらえるのかということが、当然ながらまだ定かではございません。

 これまで市町村においては、数年間の医療費の水準であったり所得の水準というものから保険料率であったり保険料というものを決定して、これだけの医療費が見込まれるのでこれだけの保険料をお願いしますと実は直接自分たちでやっているので、説明責任が果たしやすかったということがあります。

 今回、都道府県がそれと同様の評価をするか実はまだわからないという状況でありますので、三十年度にこれがあるわけですけれども、市町村としては、どのようになるのかなという分析を少しずつ始めているとも聞いております。でも、残念ながら、どのように都道府県がこの水準というものを使うということもわからないので、実は分析がしにくいというふうに聞いております。

 三十年度からであります、時間はまだ少しあるわけでありますので、その限られた時間の中でできるだけ早いうちに、都道府県と市町村の間で、その市町村の現状であったり、また都道府県がそれを正確に把握をして算定できるように、それぞれ協議をする必要があると思っていますが、その点についていかがかということと、そしてまた、そのスケジュール感をどのように考えておられるか、御答弁願いたいと思います。

唐澤政府参考人 ただいま御指摘いただきました納付金の問題は、国民健康保険の中核的な問題でございまして、市町村それから住民の皆さんの関心も高い問題であろうと思いますので、できるだけ早く、御指摘のように、これが、どんなふうに算定して、そして最終的にはどのくらいの保険料につながってくるのかということがわかることは大変重要だと思います。

 御指摘いただきましたように、基本的には、納付金は、各市町村の医療費の水準、これは予防や健康づくり、医療費適正化に取り組んでいただければその効果が出るわけでございますし、他方では、負担能力に応じた負担ということで、所得水準を反映するということ、二つの要因というものを基本的な要因とさせていただきたいと思います。

 ただ、これがそれぞれの各都道府県や市町村でいろいろ実情が違う面もございますので、それぞれの地域でお話し合いをしていただくということがどうしても必要でございます。

 そのためには、まず、国レベルである程度しっかりしたものを都道府県にお示しできるようにする、そしてわかりやすい透明なものにしていくということが必要でございますので、私ども、今回の改正案の作成には、昨年来一年余り、国保に係る国、地方の協議会というものを開催させていただきました。知事会、市長会、町村会と厚生労働省の政務三役の間で協議をしていただいてまいりましたけれども、できるだけこの協議会を早く再開いたしまして、この納付金についても御検討いただきたいと考えております。

 そしてその上で、実際、三十年度に実施をいたすわけでございますけれども、先生から御指摘のとおり、これはかなり、千八百の自治体に関することでございますから、丁寧にやらなければなりませんし、手間もかかりますので、実際の実施の前には、都道府県に国民健康保険運営協議会というものを正式の機関として設置していただくことになっております。この協議会で、都道府県と市町村も参加をしていただいて協議をして、そして具体的な検討を進めていただけるようにしたいと考えております。

 いずれにしましても、国と地方三団体との間でよく御協議をさせていただいて、早目にお示しできるようにさせていただきたいと考えております。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 できるだけ早くというところでございますので、国保運営協議会、こういったものの中でしっかりと決めていただきたいですし、ともすれば回数をふやしながらやらないと間に合わないということがあっては困りますので、そういった意味では、そういった取り組みについても、基本的に、していただければというふうに思っております。

 それでは次でございますけれども、財政安定化基金についてお伺いしたいと思います。

 先行して二十七年度から財政安定化基金が二百億円、そして二十九年度には一千七百億円の積み増しということになっております。これはどんな形で使われるのかなとお聞きしますと、都道府県の場合は、医療費が思うよりもふえて市町村に払う給付が不足したとき、また、市町村の場合は、保険料収納率見込みよりもその率が低くなって保険料が不足したときということであります。

 ただ、実は、何でもかんでもこの基金が無制限に使えるというのであってはならないというふうに私自身は思っております。

 こんなことはないでしょうが、例えば保険料収納率の目標は、これは高いことは本当に立派だと思うんですけれども、高くするのはいいんですけれども、実現することが実際はちょっとしんどいな、難しいなという収納率にして、保険料率をやはりどうしても少し低くしたい、そんな思いが働いて、低くして保険料を安くするといったようなケース。標準的な保険料率を都道府県がこれからは公表するということになって、透明化が図られるので恐らくそんなことはないとは思うんですが、実は、こういったケース、場合によって、この基金を使うことができないこともあり得るのではないかなということを推測もします。

 もしそういったことがあるとすれば、どういったような場合が想定されるのかということを一つお伺いしたいのと、また、そのようなことが起こらないように制度として防ぐことができるようになっているのか、この二点についてお伺いします。

橋本大臣政務官 今回の改革におきまして、国保財政の安定化を図るため、予期せぬ給付増や保険料収納不足により財源不足となった場合に備え、財政安定化基金を各都道府県に設置することとしております。御指摘のとおりでございます。

 具体的には、予期せぬ給付増が発生した場合には、都道府県が財政安定化基金を活用して給付に要する費用を確保することとし、予期せぬ保険料収納不足が生じた場合には、市町村に貸し付け及び交付を行うことができるというふうにしております。

 御指摘をいただきましたように、財政安定化基金については、モラルハザードを防ぐために一定のルールを設定することが必要というふうに考えております。

 具体的には、引き続き地方と協議をしていくということの中で設定をするということになりますが、例えば、単に収納不足が生じましたというケースで、それを補うために交付の対象にするといったことは適切ではなかろう、それはやはり収納のための努力をもっとしてくださいということが第一にあるべきことなのだろうということであって、予期せぬ保険料収納不足に対して財政安定化基金からの交付を行うのは、例えば災害が起こったとかそうした特別な事情がある場合にするといった、何かしらそうしたルールを設けるということは必要であろうというふうに考えております。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 実は、モラルハザードと言われる部分でありますけれども、いろいろなことが恐らく想定され得ることもあろうかと思いますので、これから自治体、市町村、都道府県との協議の中で、ある意味ではこういうことがないようにという事例が示せるものであれば、そういったことは言ってあげて、そういうことが起こらないような体制づくりも御検討いただければなというふうに思います。

 順番が一つ変わってしまって、申しわけございませんでした。

 そして、次でありますけれども、これは少し先のことになるのかなと思っております。今、厚生労働省が主導で国保の標準システムを構築するために、自治体とも少しずつ御協議をいただいてきているというふうに聞いております。

 まず、これは一体どのようなシステムを構築されようとしているのか、お伺いしたいと思います。

唐澤政府参考人 市町村の国保のシステムの関係でございますけれども、資格管理、保険給付、そして保険料、こういうような事務を実施しておりますので、全国に千八百の市町村がございまして、小さな町村というところもございますから、厚生労働省が一括して開発をいたしまして標準的なシステムをつくって、そしてそれを活用していただく、このようなことを進めているところでございます。

 ただ、市町村の規模によりましては、やはり大きなところは独自で開発しているところもございますし、それから、既存のものに自分のところに合った独自機能を追加する、いわゆるカスタマイズということで取り組んでいるところもかなりございます。

 そういうことで、私ども、システムの維持でありますとかあるいは新しい開発の費用をできるだけ低廉で合理的なものにしていきたい、市町村の負担を小さくしていきたいということも考えておりますので、この標準的な新制度のシステムも、できるだけ国が一括をして主導して開発をしていくということを進めてまいりたいという方向で考えております。具体的には、市町村の方でいろいろ御意見も地方からございますので、また協議会の方でも御意見をいただきながら進めてまいりたいと考えております。

田中(英)委員 ぜひとも、まだ少しこれは先の話になりますけれども、小さな自治体になればなるほど、保険料の算定方式というものが、三方式を使ったり四方式を使ったりということもございますので、逆に、ちょっとでも幅広い自治体がこの標準システムを使えるようにしていただきたいと思いますので、そのことも御検討をいただければと思います。

 最後になります。時間がございませんが、申しわけございません。

 国民健康保険の制度改正に関しては、今後もやはり、都道府県また市町村の意向を聞いて、制度の確立を図っていただきたいと思っております。また、医療保険制度全体については、できるだけ国民にわかりやすい制度になることが望ましいというふうにも思っております。

 将来の医療保険制度の理想像といいますか、理想の形なんというものをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

橋本大臣政務官 今後、今回の改革の詳細が具体化していくに当たりましては、十分に都道府県や市町村の御意向を伺いながら検討を進めてまいりたい、また、国民の皆様に対しても、制度を御理解いただけるように、しっかり説明責任を果たしていきたい、このように思っております。大事なことでございます。

 また、将来の医療保険の理想像ということでございますけれども、本当に今、急速な高齢化というものに直面をして医療費の増大が見込まれるという中であれば、やはり、我々としては、保険者による自主自立の運営を通じて医療費の適正化努力が図られるとともに、制度間、世代間を通じて、その負担と給付があるわけですけれども、それぞれ、公平でわかりやすい制度というものを目指していくべきであろうというふうに考えております。

田中(英)委員 済みません。時間の都合でちょっと質問ができませんでしたけれども、以上で終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

とかしき委員長代理 次に、豊田真由子君。

豊田委員 自民党の豊田真由子でございます。本日、どうぞよろしくお願いいたします。

 今回の医療保険制度改革であります。

 我が国の医療制度は、WHO、世界保健機関が世界一だと認定をしたこともある、世界に誇るべきものであります。相対的に低い国民一人当たり医療費、また、低い租税負担や社会保障負担率によって、世界トップレベルの平均寿命、乳幼児死亡率の低さを達成し、国民が健康水準を高く維持しているということであります。

 この中核をなすのが、やはり国民皆保険制度であります。今回の改革は、この国民皆保険制度を将来的に持続可能なものとし、また、全ての国民に、質が高く、効率的な医療を提供し続けていくというために必要なものでありますので、国民の皆様の理解を得ながら、しっかりと進めていくべきものと考えております。

 まず、本法案の柱であります国民健康保険の見直しについてお伺いをいたします。

 国保は、国民皆保険のセーフティーネットとして重要な役割を果たしております。それゆえに、低所得者の加入、あるいは年齢構成が高いなどの理由によりまして、やはり結果的に医療費の水準や所得に占める保険料割合が高くなるといった課題を抱えております。

 私の地元でも、年間で十億円を一般会計から繰り入れているというような市もございますし、総額で三千五百億円に上る一般会計からの赤字補填というのが問題になっております。

 今回、国保の財政基盤強化ということで、毎年三千四百億円の公費を追加的に投入するという非常に画期的なものでありますが、一方で、公費を投入され続ける、これを前提に制度が動いていくということに私は多少の危惧を覚えるものでもあります。

 貴重な公費を投入するからには、各市町村の赤字をそのまま穴埋めするというようなことではなく、各国保の自助努力を後押しする、めり張りのきいた財政支援とすべきことが求められていると考えますが、いかがでございましょう。

永岡副大臣 豊田委員にお答えいたします。

 委員おっしゃいますとおり、今回の国保改革につきましては、赤字を抱える自治体に対しましてそのまま赤字額に応じた財政支援を行うというのではなくて、自治体の実情を踏まえた、効果的そして効率的な財政支援を行うこととしております。

 具体的に申しますと、低所得者が多く加入します保険者への財政支援の拡充、子供の多い自治体などに対して支援を行うほか、平成三十年度からは、保険者努力支援制度というものをつくりまして、予防、健康づくりを初めとする医療費適正化などに積極的に取り組む自治体を支援していこうということになっております。

豊田委員 ありがとうございます。

 今回の国保改革のもう一つの柱は、財政運営責任を都道府県に移行することであります。ただ、この制度がきちんと動いていくためには、都道府県において、市町村との密接な連携や、国保に精通した人材の養成、活躍というものが必要になります。今回、都道府県は初めて本格的な国保の運営に参画するわけでありますので、これは急務の課題というふうに考えます。

 今回の改正により都道府県や市町村にかかる負荷というものをしっかりと認識された上で、積極的な支援を国としても行っていくべきと考えますが、対策についてお伺いをいたします。

橋本大臣政務官 今回の国保改革を進めていくに当たりましては、財政運営の責任主体となる都道府県、あるいは、資格管理や保険給付等、地域におけるきめ細かい事業を引き続き担うことになる市町村、それぞれに御負担がかかるわけで、その御負担の軽減を図ることが重要だというふうに考えております。

 そのため、今後、厚生労働省におきまして、都道府県が新たに定めることとしております国保運営方針のガイドラインを示すなど、必要な助言を行うとともに、国が主導的に構築する標準システムの活用や都道府県が域内の統一的な国保の運営方針を示すことなどにより、市町村の事務の効率化や広域化を推進することとしておりまして、都道府県や市町村に対しても支援をしっかりしてまいりたいと考えております。

豊田委員 ありがとうございます。

 一問飛ばしまして、次に、外来の機能分化についてお伺いをしたいと思います。

 昨年の医療介護総合確保推進法で入院の機能分化、今回は外来の機能分化ということで、私の地元でも、地域の基幹病院の待合室が本当に患者さんでごった返している、それによって、勤務医を初めとする医療スタッフの皆様が大変な疲弊をしているという状況がございます。また、救急や重篤な患者さんを含めた本当に必要な方に適時適切に必要な医療が提供される、医療資源の効率的な活用という観点からも、私は、入院はもちろん、外来の機能分化というものもしっかり結果を出していかなければいけないというふうに考えます。

 そのためには、受け皿となります地域のかかりつけ医の充実が必要であります。また、患者とその医療機関の信頼関係、そして、逆紹介も含めました、病院と地域の医療機関、病院同士、医療機関同士の信頼関係の構築、強化というものもまた実効性あるものとするためには不可欠であろうと思います。

 一方、現在でも、二百床以上の病院では、大病院の紹介状なし受診への定額負担というのが実際に行われて、四五%、半分のところで行われているわけでありまして、これを制度化したからといって、機能分化が理想どおりに実現するというのはなかなか難しいのではないかなというふうに思っております。

 私の暮らしておりました欧米では、まず、大病院に紹介状なしに行くというのは、そもそも制度として前提とされていない。一般の医療機関、小さなクリニックについても、予約が前提でありますので、待合室に人がごった返しているという状況は基本的に見られないわけでありますね。

 もちろん、日本の医療機関へのアクセスのよさというものの利点も大いに認めるところでありまして、一概にどちらがいい悪いという話ではないのでありますが、やはり、限られた医療資源の効率的な活用という点からは、さらなる機能分化の対策、あるいは、受け皿となるかかりつけ医制度の真の充実というものが必要と考えますが、御見解をお伺いいたします。

唐澤政府参考人 大病院の外来受診でございますけれども、ただいま御指摘いただきましたように、今回の措置だけで病院や診療所の外来の機能分化が全部完成するというようなものではもちろんございませんで、医療提供体制のサイドの対策、特に、今御指摘いただきましたような主治医機能の評価ということが非常に重要であろうと思っております。そして、病院に来ていただいた患者さんが診療所の方に、かかりつけの先生の方に戻っていって、何かあれば病院の方でまた専門的な診察をしていただける、そういう仕組みをつくっていくことが重要であろうと思います。

 現在は、特定機能病院、大学病院でございますけれども、大学病院でも紹介状のない患者さんが約六割というのが我が国の実態でございまして、やはりこれは外来機能の分化をする。そして、特に、患者さんが逆紹介のときに心配になるというようなお話もお聞きをしますので、今お話のございました医療機関同士の信頼関係というものをきちんとつくっていって、そして機能を分化し、分化するだけではなくて、連携する仕組みを進めてまいりたいと考えております。

 今回の措置はその中の一つの措置でございまして、かかりつけ医機能の強化、評価というものとあわせて進めてまいりたいと考えております。

豊田委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、国保組合に対する国庫補助の見直しについてお伺いをしたいと思います。

 負担の公平化の観点から今回見直しを行うものでありますので、相対的に所得水準が高いとは言えない例えば建設国保のような組合につきましては、国庫補助率、現行水準の三二%維持ということで、これはぜひ、今回に限らず、引き続きお願いをしたいということでございます。

 そしてまた、見直しの対象となります相対的に所得水準の高い組合、例えば医師、歯科医師、薬剤師の国保組合などにつきましても、例えば組合員の年齢構成によっては、後期高齢者支援金や前期高齢者納付金などの拠出額が多額に上ることもあり、今回の見直しが重なって、組合員の方の負担が重くなってしまうというケースもあろうかと思います。実際、私の地元でも、解散を考えている組合があるというような御相談も受けておるところでございます。

 こうした方に対しての、保険料が急激に引き上げられるといったことがないような柔軟な激変緩和措置を、建設国保などの現行水準維持のお願いとあわせて、対応をお伺いいたしたいと思います。

橋本大臣政務官 まず、そもそも国保組合については、これまで同種同業の保険集団として加入者の健康の保持増進に御尽力いただいておりまして、国保組合の自主的な運営に基づく保険者機能は今後とも大切にしていきたい、そういう存在だというふうに思っております。

 今回、国保組合への国庫補助につきましては、負担能力に応じた負担とする観点から、現在、一律三二%の定率補助をしておりますところ、所得水準に応じた補助となるよう見直しを行うこととしておりますが、その際、今お話のありました建設国保のように、所得水準の低い国保組合は補助率を維持することとしております。

 また、見直しの対象となる国保組合についても、保険料水準が急激に上昇することのないよう、平成二十八年度から五年間かけて段階的に見直すほか、特別な事情により財政状況が厳しい組合は、組合ごとの財政影響をよく勘案しながら、特別調整補助金の活用を含め、きめ細かな対応を検討してまいりたい、このように考えております。

豊田委員 ぜひ、現状に応じたきめ細やかな対応をお願いいたしたいと思います。

 次に、歯科保健医療、また栄養、多職種連携に関しましてお伺いをいたします。

 健康寿命の延伸、生活の質の向上の観点から、歯科口腔保健の向上や食生活の改善というのは重要な課題でございます。在宅歯科保健や健診の充実などを含めた地域における歯科保健医療、栄養管理の充実、これも急務の課題であると思います。

 特に高齢者の方にとりましては、自分の歯で、口で食べ続けるということの意義、また、誤嚥性肺炎や糖尿病の予防などのためにも効果が認められておるところでございます。そうした一方で、一般的に、内科あるいは外科的な疾患に比べますと、歯や口腔内のことについては、高齢者御本人や御家族も後回しというのが一般的であり、その意識が高くないという現状がございます。

 予防、健康づくりを重視する観点からも、また地域包括ケアの推進からも、こうした点、非常に配慮していただきたいということ。

 そしてまた、私、地域の医療、介護の現場を見ておりますと、やはりこれからは医療、介護の連携、また多職種の連携というものを、お題目ではなく、本当に実効性のあるものにしていかなければいけないなと思うところでございます。

 医師や歯科医師、薬剤師、看護師、またOT、PTなどのリハビリ専門職の方、あるいは検査や栄養関係、さまざまな場面で、それぞれの専門を生かしながら、その情報を提供し、お一人お一人の患者や入所者の方あるいは通所されている方の継続的なケアというものをぜひ地域で進めていっていただきたいというふうに思うところであります。

 こうしたことに関しましての今後の展望とお取り組みをぜひお伺いしたいと思います。

永岡副大臣 先生おっしゃいますように、高齢者の歯科口腔保健につきましては、大変重要でございます。

 平成二十六年度から、後期高齢者医療広域連合におきまして、歯科健診の補助事業を実施しております。ことしは、予算では昨年よりも一・二億円増額いたしまして、六億一千万円となっております。

 また、広域連合に対しましては、さまざまな機会を捉えまして、歯科口腔保健の重要性を周知いたしまして、さらにこの事業を推進していくように働きかけてまいりたいと考えております。

 また、医療広域連合におけます保健事業としましては、自治体における先進的な取り組みも参考にしながら、先生が先ほどおっしゃってくださいました、管理栄養士さんのほかに、お医者さん、歯医者さん、そして薬剤師の方、保健師の方、看護師さんなど専門職が連携をいたしまして行います栄養指導、健康相談事業、これを推進してまいります。

豊田委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 地域におけるよりよい医療の推進の観点から、今度は薬局、薬剤師の件についてお伺いをしたいと思います。

 私、子育てをしておりましたヨーロッパでは、薬局、薬剤師さんへの信頼というのが非常に厚いなという印象を受けました。これは、日本に比べるとやはり医療機関へのアクセスそのものが非常に限定されているということもあり、したがって、ぐあいが悪くなると、皆さん、まず薬局に行くという行動形態が見られます。

 例えば熱があっても、病院に電話すると、じゃ三日後の午後四時に来てねとか言われるので、それだと間に合わないので、とりあえず薬局に行ったりするわけですね。薬剤師さんの方も、かかりつけで、この担当はこの人というのがやはり地域で決まっていて、そうすると、患者一人一人のことを病状の経過なども含めてよくわかっておられて、処方薬はもちろん、一般薬も含めて、ちゃんと相談できる信頼関係というものが構築されているという印象を受けました。皆さん、やはりカウンターできちんと話をして購入していくんですね。

 薬というのは、飲み方や体質によっては重大な健康被害をもたらすというようなことも考えますれば、やはり、病気やけがを治すという観点はもちろん、包括的に地域の薬局、薬剤師さんが一人の方の継続的な健康管理また相談に乗るということが、制度としてもきちんと担保されるといいんじゃないかなというふうに思います。

 やはり、町中で薬局の白い建物とマークを見ると、地域の、私たちの健康を預かっている場所だというような誇りと安心感というものを市民の方が持っているというふうに感じました。

 また、一人の薬剤師さんが開設できる薬局数に限りがあったりして、本当に地域密着できちんと患者を見るんだよという制度になっていますし、あるいは、その地域で輪番制で休日、夜間対応を必ずしているというようなことも、やはり日本ではまだその連携も含めて不足しているのではないかなというふうに思います。もちろん、医師も含めた医療機関との連携というものがベースにあった上でのことではあると思います。

 こうした観点から、薬剤師、薬局のさらなる有効活用について、御見解をお伺いしたいと思います。

橋本大臣政務官 地域包括ケアシステムを構築していく中で、薬局については、平成二十六年度から、かかりつけ医との連携や地域住民の健康づくりを支援する健康情報拠点推進事業に取り組んでいるところでございます。

 こうした事業を活用しながら、地域の方がお薬や健康についてふだんから気軽に相談できるかかりつけ薬局において、残薬への取り組みを含め、最近話題になっておりますけれどもね、患者が服用する薬を一元的に管理したり、薬剤師が在宅医療において積極的な役割を果たしていけるように、先ほど委員がお話しいただいたようなことも頭に置きながら、そうしたものの方向を目指して環境整備を行ってまいりたいと考えております。

豊田委員 ありがとうございます。

 今のは薬歴管理の問題のことだと思いますが、結構メディアで騒がれましたが、やはり私の地元でも、そういう方というのは、基本的に、本当に日本全国で見ても一部の方のことが大きく取り上げられて、非常に地域で頑張っている薬剤師さんが悲しい思いをされていたりもしますので、メディアの方も、本質的なところはどういうことなのか、頑張っていらっしゃる方を、きちんとそれを評価するということを我々もしていかなければいけないなというふうに思います。

 次に、薬価制度に関してでございます。

 市場実勢価格に基づく薬価改定、これはもちろん、薬剤費の適正化のために必要だと思います。

 ただ、これを毎年行うべきではないかという御意見がありますが、仮に薬価を毎年改定した場合には、医薬品の流通の現場、治療の現場では短期間での価格交渉が必要になってまいりますし、また調査のための過度の費用負担など、あるいは卸や医療機関、薬局など、国民の命と健康を守るために全力を尽くさなければならない方について、本来必要でない事務負担が大きくなってしまうというような問題も生じます。また、そもそも、毎年改定のための市場実勢価格が本当に適正に把握することができるのかといった問題もあろうかと思います。

 こうしたことを踏まえれば、改定頻度の変更には極めて慎重であるべきというふうに考えますが、今後の方針を含めた御見解をお伺いしたいと思います。

永岡副大臣 薬価改定につきましては、これまで、基本的に二年に一度の診療報酬の改定の際に、市場の実勢価格に応じた引き下げを実施してまいりました。

 薬価の毎年の改定というのは、御指摘の点も含めまして、卸を含む流通現場での影響、市場実勢価格の適正な把握への影響、それから革新的な医薬品の創薬意欲への影響、また薬価改定に係るコストなどの課題があると考えております。

 これらの課題ですとか、また診療報酬本体への影響につきましても留意をしながら、骨太の方針二〇一四を踏まえまして、薬価調査、改定のあり方についてこれからも検討してまいりたいと考えております。

豊田委員 ありがとうございます。

 この四月から、子ども・子育て新支援制度が始まりました。保育所また幼児教育の充実、さらには子育て支援拠点や産前産後ケア、病後児・病児保育、そういった、切れ目のない、現場のニーズに即した積極的な支援というものが引き続き必要でありますし、また、私は、家庭の力を高める、外出し外出しではなくて、支えることによって、御家庭が子育てに対しての時間的余裕や力を高めることをサポートするという観点も非常に必要であろうと思います。

 また、今般の介護報酬改定によりまして、介護現場では事業継続への不安の声も聞かれるところであります。

 やはり、社会保障のサービスの充実と財政的な持続可能性の向上というのは車の両輪でありますから、効率化すべきところは効率化が必要でありますが、重点化すべきところは重点化するということ、これは厚労省というよりは財務当局によくよくお伝えをしたいところでございますが、こういった観点から、しっかり、少子高齢化への対応というのは今まさに我が国は正念場でありますから、こうした介護、医療、また保育、教育の現場で汗をかく方々、また、お子さんや高齢者の方、御家族、そういったサービスを受ける側と提供する側、双方の身になって、それぞれの真のニーズに対応したきめ細やかな政策を引き続き実現していくということが必須であろうと思いますが、御決意をお伺いしたいと思います。

永岡副大臣 先生御指摘のとおり、少子高齢化が大変急速に進行しております我が国におきましては、利用者、事業者そして従事者の立場に立って、介護、そして子育て支援のニーズにきめ細かく対応すること、その担い手を確保するということは大変重要でございます。

 このため、介護につきましては、今回の介護報酬改定におきまして、介護人材の確保に資するように処遇改善加算の拡充を図りながら、中重度の方のため、そしてまた認知症の方などのニーズに対しまして、その対応を加算する対象としております。

 また、地域医療介護総合確保基金、これを利用いたしまして、地域のニーズに応じた介護基盤の整備と人材の確保を支援することとしております。

 また、今月から施行されました子ども・子育て支援の新制度でございますけれども、新たに、地域の利用者のニーズに応じてさまざまな多様なサービスを提供します地域子ども・子育て支援事業を創設するとともに、保育士さんの確保に資するように、職員の勤続年数に応じた処遇改善加算にも取り組んでおりますし、また、三歳児の職員の配置、これは今まで二十人に一人の先生ということでしたが、十五人の子供に一人の先生ということをいたしまして、質の向上も図っております。

 今後とも、子供や高齢者、その御家族の方などのサービスの利用者と、そしてサービスの担い手、双方のニーズをしっかりと把握しながら、介護保険制度や子育て支援策を実施、検討してまいります。

豊田委員 ありがとうございます。

 次に、障害者福祉についてお伺いをいたします。

 私は、地域で、障害をお持ちの方、御家族によくお会いをするわけでありますが、皆様、必死で頑張っておられます。その頑張りを応援していくことが国としても非常に重要であるということを、繰り返しお願いしているわけでございます。

 例えば、子供さんたちが安心して過ごせる放課後デイサービスなど通所系サービスの質の確保、あるいは、養護学校、支援学校をお出になった後、生活介護事業所や就労支援A、Bなどの事業所、また一般の企業など、それぞれの方に合った形で社会に参画をしていくこと、就労を継続できるような形で、日本の社会の一員としてきちんと役割を果たしていくことができるんだということを、皆さん非常に望んでおられます。またさらに、親亡き後の、地域で支えていける、安心して生活ができる場所の確保ということも必要であろうと思います。

 このように、障害をお持ちの方が本当の意味で地域で安心して社会の一員として活躍をできる、笑顔が続くというようなこと、これが非常に大事であると思います。国のお取り組みについてお伺いをしたいと思います。

橋本大臣政務官 委員御指摘のとおり、障害のある方々とその御家族が安心して日常生活や社会生活を営むための支援を受け、社会参加の機会が確保されることというのは大変重要であります。やはり、障害をお持ちの方であっても、社会に出て自己実現をしたいとか稼ぎたいとか、タックス、税金を払う人になりたいとか、当然そういうお気持ちがあるだろうと思いますし、そのための支援というのは大事なことだというふうに考えております。

 そのため、今般の障害報酬改定におきましては、障害児通所支援の質の確保等を図る観点から、より質の高いサービスを提供する事業所を評価することとしております。また、今般、放課後等デイサービスに関しては、事業者向けのガイドラインを策定、公表し、支援の質の向上を図ることとしております。

 また、就労につきましてですけれども、生活介護や就労継続支援事業による支援も重要でございますけれども、今般の障害報酬改定におきまして、例えば、就労継続支援事業所で働く障害者の支援が充実するよう、高い工賃を目指す事業所を評価するなどとしたところでございます。

 繰り返しになりますけれども、障害があっても、地域で生き生きとその人らしい生活を送ることができるように、障害のある方お一人お一人の特性に応じたサービスを確保していくことが、御本人にとっても、また御家族の安心にもつながるものと考えておりまして、こうした考え方に立って、今後とも障害福祉施策の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。

豊田委員 よろしくお願いいたします。

 私、時間を守らなきゃと思ってちょっと間を飛ばしましたので、余っているので、もとに戻りまして、次は、データヘルスの推進の件をお伺いいたしたいと思います。

 今回、予防、健康づくりにも本改革で力を入れるということでございますが、予防、健康づくりに向けた取り組みとしまして、例えば、広島の呉市など、糖尿病で治療を受けている方が人工透析へ移行することを防ぐための保健指導などに力を入れておられると伺っております。また、こうした医療費適正化効果も、さまざまな自治体でお取り組みがあるところでございますので、こうした非常に効果を上げている好事例につきまして、全国的な横展開ができるように、ノウハウなどを含めた市町村への支援をしていくということが重要と考えます。

 また、いわゆるデータヘルス、特定健診やレセプトから得られるデータ分析に基づいて実施する効率のよい保健事業ということでございますが、これが、保険者に求めているところを実効性のあるものとして結果が出せるように、きちんと、ナショナルデータベースのさらなる利活用も含めたこうしたお取り組みについて、今後の国の展望をお聞かせください。

唐澤政府参考人 御指摘いただきましたように、糖尿病の重症化予防の事業、これはもう非常に積極的に取り組んでいただいている自治体がございます。そういう取り組みを全国に広げていくということが非常に重要なことであると考えております。

 市町村国保の場合には、各都道府県の国保連合会に有識者の皆さんなどから成る支援体制を整備しておりまして、市町村に対しまして、取り組む上での必要な助言を行っております。

 また、ナショナルデータベースの活用ということで、これは、全国レベルでは、予防、健康づくりの取り組みの費用対効果を検証する、そして保険者が取り組んでいただく際の参考にしていただくということにしておりますし、また、その分析結果を、いわゆるNDB白書、ナショナルデータベースの利活用の白書というような形で、国民や保険者の皆さんにわかりやすい形で公表してまいりたいと考えております。

 そのほかに、企業や事業主と連携したデータヘルスの取り組みについても、関係省庁とも連携をいたしまして、手引やガイドブック、そういうものをお互いに紹介したり、共通の説明会を開催するなどの取り組みを進めてまいりたいと考えております。

豊田委員 ありがとうございます。

 私は、この日本に生まれ、生きていく上においては、たとえ病気になっても、けがをしても、障害をお持ちであっても、またお年を召されても、あらゆる世代の方が、日々安心して、あすに希望を持って笑顔で生きていかれる、そういう社会をぜひつくっていきたいという思いでやっております。ぜひ皆様と御一緒に頑張ってまいりたいと思います。

 きょうは、どうもありがとうございました。

とかしき委員長代理 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 本日も、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 医療保険制度の改正法案の議論をさせていただきますが、まず最初に、我が国の医療にどのように向き合っていくかという大きな議論をさせていただきまして、その後、この法案の具体的なさまざまなたてつけについて議論させていただければと思っております。

 まず最初に、医療費が毎年一兆円ずつふえていく。出るのが毎年ふえていくわけですから、対応としては、一つは、入りをふやしていく。具体的に言うと、保険料を上げるか、あるいは国費を投入するか、あるいは患者さんの窓口負担をふやすか、これしかない。

 こういう入りをふやすという考え方と、もう一つありますのは、限られた予算をどうやって使うかという優先事項を割り振る、いわゆる医療資源のレーショニングと言われるものがあります。

 オレゴンプランというものがあると伺いました。アメリカのオレゴン州で議論されたと。これは、アメリカの保険制度、皆保険ではなくてメディケード、貧しい人に対する保険ですが、このメディケードの部分から費用対効果の小さい医療は除いてしまおう、優先順位をつけようというようなものです。

 具体的に言うと、例えば今十万ドルのお金がある、この十万ドルのお金を、高額な医療がかかる一人のために使うのか、あるいは、百人の妊産婦医療のために使って百人の母子を救うのか、どっちなんだという議論がありました。そのオレゴンプランの中の議論では、こうしたぎりぎりの選択の中では後者を選ばざるを得ない、つまり、百人を救うんだという思想でオレゴンプランというのを議論していたというふうに伺っております。

 これはアメリカだけに限った話ではなくて、例えばイギリスでは、一般に、高齢者に対して人工透析を始めるということはしない、保険適用されないというふうに聞いております。

 こうした選別といいますか、医療資源のレーショニングに対して、大臣のお考えを伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 御指摘のオレゴンでのレーショニングを伴うプランでありますけれども、限られた医療資源の中でできるだけ多くの方に医療サービスの提供を行うため、疾病や、疾患や、それから医療行為に優先順位をつけて、今御説明ありましたが、優先順位の高いものには保険給付を認めるけれども、低いものには保険給付を認めないという制度であると承知をしていますけれども、日本の医療保険制度においては、従来、このような順位づけというのは行わないで、安全性、有効性等が確立した医療に対して給付を行うということでやってまいりました。

 日本は、国民相互の支え合いによって誰でも安心して必要な医療を受けられる国民皆保険というのを達成してきたところでございまして、この国民皆保険を持続可能なものとしてしっかりと次世代に引き継いでまいらなければならないというふうに考えております。

伊佐委員 全くそのとおりだと思います。必要な医療はしっかりとカバーされるべきなんだという考え方で国民皆保険制度というのがある。

 レーショニングの議論というのは、よく言われますのは最大多数の最大幸福という議論で、結局、多数者の尺度でそこから排除される少数者というものをはかってしまうというので、果たしてレーショニングというのが社会正義にかなうのかというようなところは大きな疑義があるんではないかと私も思っております。

 必要な医療はしっかりと提供するんだ、カバーするんだとなったときに、全部救うというのである以上、結局、医療費というのは当然膨らんでいくわけです。少子高齢化の中で膨らんでいかざるを得ない。ではどうするか。

 この中で、最も大きな部分、よく言われています七十五歳以上の後期高齢者の皆さんの医療費、あるいは六十五歳以上の前期高齢者の皆さんの医療費、ここの部分が、十年後に三割の高齢者の皆さんが七割の医療費を使うというような状況になると言われています。これにどう向き合っていくかということだと思いますが、例えば、一つ、今私が伺っていますのは、七十五歳以上についても患者の窓口負担を二割にしましょうというような議論が、今審議会でも俎上に上がっているというふうに伺っております。

 しかし、これはそう簡単じゃない、少し乱暴なところもあるんじゃないかなと思っております。

 というのは、窓口負担、昔、老人医療費無料化というのが七〇年代にあって、このときにいろいろな問題が起こったわけです。過剰診療であったりとか、あるいは社会的入院というような話になりました。いろいろな問題が出てきて、それでも、やっと定率負担に戻すのに三十年かかった、こういうような状況です。こんな中で、なかなか、そう簡単な話じゃないなと思います。

 また、今さまざまな議論をされていると思いますが、各党も、例えば民主党さんでは突き抜け方式という形で、それぞれの保険者のOBそれぞれが全部そのままカバーしましょうという考え方、あるいは維新の党では一本化というようなものも考えられている。それぞれにデメリットがあって、あるいは実現困難なところが私はあると思っていますので、私自身は反対なんですが、ではどうするか。

 今回の法改正は、私はこれは当然、全部必要だと思います。今すぐ打てる手、何をやるかという観点からは、当然やらなければいけないようなことばかりだと思っています。ただ、あくまで今必要なものであって、これからのこの十年、二十年を考えたときに、本当にこれは根本的な解決策なのかというと、そこまで踏み込めたものではないんじゃないかな、あくまで今ある制度の中でのやりくりをどうするかというのが今回の法改正ではないかなと思っております。

 そこで、特に高齢者医療制度の中で、抜本的な改革の必要性というものを大臣はどうお考えになっているか、伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 後期高齢者医療制度というのは、創設をして七年たちました。当初いろいろありましたけれども、現在では十分定着をして、安定的な制度運営が行われているというふうに考えています。

 このため、今回の制度改革に当たっては、現行制度を基本としながら、実施状況等を踏まえて、必要な改革を行っていくことが適当であるという認識に基づいているものでございます。

 今回の制度改革においては、後期高齢者医療制度をさらに安定的に運営していくために、後期高齢者支援金について、負担能力に応じた負担として、被用者保険者の支え合いを強化するという観点から、全面総報酬割の導入を盛り込んだところでございまして、中長期的には、高齢者医療の負担のあり方については、今回の制度改革の実施状況等を踏まえて、見直しの必要性を含めて検討していくべき課題かなというふうに考えております。

伊佐委員 団塊の世代と言われる方々が前期の世界に入ってこられた、ことしも入ってこられるわけですが、それから十年後には後期の世界に入ってくるという中で、本当に特にこの十年間は、この前期高齢者医療制度をどうやって乗り切るかというのが大きな山場を迎えると思っております。もう喫緊の課題なわけです。

 今大臣おっしゃっていただいたような全面総報酬割の話とか、今回の法案もさまざま盛り込まれています、入院のときの食事代を引き上げましょうとか。でも、また議論に上がっているのは、高額療養費制度、外来特例を見直しましょうとか、そういうさまざまな修正、改革をしようとはされていますが、これでこれから十年、本当に乗り切れるのかどうかというところじゃないかと思います。

 もちろん、今現時点で踏み込んだことはなかなか言えないんじゃないかとは思うんですが、今後十年、二十年のスパンで何をやっていくか。例えば、ある団体の方が言われていたのは、今、東日本大震災の復興特別税というのがありますが、同じように、社会保障の観点でも、十年、二十年、期限を区切って、そして使途、目的を区切った形で、例えば社会保障の特別税とか、こういうようなものを提案しているような団体もあります。何らかのこうした抜本的な改革、取り組みみたいなものもしっかりと検討しておく必要があるんじゃないかなと思っております。

 もう一点、大事なことは何かといいますと、いかに丁寧に説明をするか、いかに少しでも国民の皆さんに納得していただく努力をしっかりしていくか、これが徹底的に大事だというふうに私は思っております。今、社会保障のいろいろな改革、当然、痛みあるいは御負担をお願いしなきゃいけない場面というのが多くなるかもしれませんので。

 この中で、今回の法案の中身も見ると、応能負担、つまり、能力のあるところがしっかりと負担をするという思想のものが大分多いと思います。例えば全面総報酬割もそうですし、入院時の食事代とか、あるいは標準報酬月額の上限額、国保組合の見直しというような、さまざまありますが、注意しなきゃいけないのは、とにかく取れるところから取るんだというような発想、感覚に陥ってはいけないんじゃないかというふうに思っております。

 我が国の医療保険制度の特徴というのは二つあると言われておりまして、一つは、低リスクの者から高リスクの者に所得移転をしているということです。これは、強制加入で、しかも病気がちな人と健康な人というのは保険料が一緒なわけですから、だから、リスクが発生したとしても、例えば保険加入はできませんということにはならない、保険には入れる。また、そうした結果、低リスク者から高リスク者に所得移転が行われている。

 もう一つは、高所得者から低所得者に所得移転が行われている。これは、もし保険料が一緒であれば、当然、低所得者の皆さんは払うことができませんので、皆保険制度にならない。だから、保険料の設定では応能負担というのを取り入れている。つまり、高所得者から低所得者に所得移転が行われている。

 つまり、今の制度というのは、低リスクで高所得者の皆さんから高リスク、低所得者の皆さんに所得移転がされているというのが前提になっているわけですから、当然、低リスクあるいは高所得者の人たちに納得してもらわなきゃいけない、これが大前提だと思います。

 これはどういうことかというと、いわゆる低リスクというのは若者です。若者の納得が必要だ。そしてまた、高所得と言われる、例えば中間層であったりとか、あるいは中間層以上、こうした方々の納得をどうやって得ていくのかというのが大事じゃないかと思っております。

 つまり、取れるところから取る、あるいは、応能負担になるのは当然だというようなものじゃなくて、若者であったりあるいは中間層、中間層以上、こうした方々にしっかりと理解をしていただかないと、反発を招いてしまえば皆保険制度になりませんので、こういった政府の努力、丁寧な検討と丁寧な説明というのが大事だと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 社会保障制度の大きな機能の一つは、所得の再分配ということで、今先生、リスクの高低など、あるいは所得の多い少ない、そういうものについてどこが負担がふえるといった、そういう背景から丁寧な説明が必要だというお話をいただきました。そのとおりだと思います。

 これから進展する中で、国民皆保険というのをせっかくここまでつくってきたわけですから、これを堅持していくためには、負担の公平を図って医療保険制度の持続可能性を高める必要がある。

 そして、それを実現するためには、国民の負担に関する公平を確保する観点から、今回、後期高齢者支援金に全面総報酬割を導入するとともに、健康保険の保険料算定の基礎となっております標準報酬月額の上限を引き上げる、国民保険料についても賦課限度額を引き上げることとしているわけでございまして、いずれも負担の公平を図って、給付と負担の均衡がとれた制度にするための改革と言うべきであって、これを国民の皆様方に御理解いただけるように丁寧に説明をしていかなければならないというふうに思うところでございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 我が国が誇る皆保険制度といっても、それを維持するというのは、本当に各人のいろいろな大変な努力の中で今維持されているんだというふうに思っております。ぜひ丁寧な議論と説明をお願いしたいと思います。

 では、中身の方に入っていきたいと思います。

 全面総報酬割ですが、今回、全面総報酬割を導入することによって負担が大きくふえるのはどこかというと、健保組合に大きな負担になるというふうに言われております。全面総報酬割で千五百億円の負担がふえる。

 今、健保組合の状況がどうかということですが、単年度赤字を出している保険者が全体の八割、そして保険料率の引き上げというのはずっと続いている、そして、保険料率が一〇%を超えている健保組合が百二十三組合。一〇%というのは協会けんぽの保険料率ですので、これは、一〇%を超えてしまえば、あえて健保組合でいなくても、解散して協会けんぽになったらいいんじゃないかという議論にさえなるのが一〇%です。これを超えているのが百二十三ある。

 では、健保組合の一番の財政に対する圧迫要因は何かというと、後期高齢者の支援金、そして前期高齢者の納付金。つまり、みずからの被保険者のためじゃなくて、前期、後期の高齢者のために制度上払わなきゃいけない額、これが健保組合の財政の中で今四七・七%になっていると伺っています。早晩、これはどんどんふえていますので、この拠出金の負担というのは五割を超えるだろうというふうに言われています。中には既に八割を超えているような保険者もあるというふうに伺っております。

 このままいくと、先ほど申し上げたように、もう健保組合を解散して協会けんぽに移管しようというような組合も出てくるおそれがあるという状況ですが、この後期高齢者支援金、前期高齢者納付金に対してどのような支援をしていくのか、伺いたいと思います。

橋本大臣政務官 今回の改革におきまして、全面総報酬割を実施することにいたしまして、それによりまして、被用者保険者間の負担は公平化されるということになりますが、報酬水準の高い保険者は結果として負担がふえることとなります。また、今後、被用者保険者の高齢者医療への拠出金の負担が増大をしていくことも見込まれるわけでございます。

 これらを踏まえまして、全面総報酬割が実施される平成二十九年度から約七百億円の追加的な財源による負担軽減を行うこととしておりまして、これは前期も後期も含めてですけれども、拠出金負担の重い保険者への負担軽減措置の拡充に約百億円、それから、団塊世代の前期高齢者への移行による前期高齢者納付金の負担増の軽減措置として約六百億円の追加支援を行いまして、被用者保険者の負担軽減を図ることとしております。

    〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕

伊佐委員 ありがとうございます。

 六百億円と百億円の、しっかりと健保組合に対しての補助があるということでした。

 大きいのは先ほどもおっしゃっていただいた百億円の部分で、六百億円の部分というのは、毎年の予算査定がされる部分ですので、どうしてもシーリングがかかって下がっていく可能性がある。この百億円の部分というのは初めて、今回厚労省が努力していただいてつくったと伺っています。ここは制度化されたので、とにかくここは崩さない。あとは、ここをどうやってしっかりと守っていき、また必要に応じて拡充していくかということが大事じゃないかと思っております。

 いずれにしても、本当に協会けんぽに全部移管してしまうと国庫負担というのが一六・四%分出てくるわけですし、あるいは、今懸念されているのは、これだったら正規雇用じゃなくて非正規雇用にどんどん転換してしまおうというような動きにもしなってしまうのであるとすれば、当然、国保になりますので国庫負担は五〇%、五割になりますので、最終的には国全体として高くついてしまうわけです。だから、そういう観点からすると、一定の、もう少しの投入というのはあり得るんじゃないかなと思っております。

 次に、では、協会けんぽはどうなんだと。

 協会けんぽというのは、中小企業、零細企業の被用者の皆さんが入っておりますが、平成二十五年度の準備金残高、いわゆる累積の黒字が六千九百二十一億円になっている。これは二十二年度までずっとマイナスが続いていました。二十二年度で財政特例措置を行って、つまり、国庫補助率を引き上げて一六・四%まで上げました、そしてまた保険料率も一〇%まで上げました、これによってやっと財政が改善されて、今ここまで黒字化されたという状況だ。

 では、これは今後どうなるかなんですが、これもまた見通しが暗いと言われています。恐らく、二十八年度には、つまり来年度には単年度収支が再び赤字になるだろう、二十九年度、再来年度には、この準備金の残高、黒字の積み上げというのは法定準備金を下回る、これだけ準備しておきなさいというものを下回るというふうに言われています。

 つまり、保険料率も引き上げて国費の投入もふやしたにもかかわらず、改善したのは一時的で、結局またこうやって落ち込んでいく、こうなったとき、まあ来年、再来年の話ですが、そのときに厚労省はどういう対応をされますでしょうか。

唐澤政府参考人 協会けんぽの財政状況についての御指摘でございます。

 協会けんぽの財政状況は、その時々の経済情勢、これは賃金の動向でございますけれども、それから医療費の動向に大きく左右されるものでございます。

 協会におきましては、この健全な財政運営に資するように、これまでにも増して、ジェネリック医薬品、後発医薬品の使用の促進を初めとして、さまざまな医療費の適正化対策に取り組んでいただいているところでございます。

 そして、先生から御指摘がございましたように、今、協会では一応非常に厳しいケースについて試算をしておりまして、賃金上昇率ゼロという推移ということなので非常に厳しいケースなのでございますけれども、いろいろな努力をいたしまして、なお今後、準備金残高が法定準備金を下回る、仮にそのようなことが見込まれる場合でございますけれども、これは、協会が現在の平均保険料率を一〇%から引き上げなければならないというようなことも想定しなければならないわけでございます。その場合には、今回の法案におきまして、他の被用者保険の保険料率の動向等を踏まえつつ、協会の国庫補助率について検討するという規定を設けているところでございます。この規定に従って検討をしてまいりたいと考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 私がちょっと興味深いなと思いましたのは、財務省の試算なんです。財務省は昨年十月に試算を出していまして、数年後の協会けんぽの準備金残高は法定準備金の二倍になる、つまり、どんどん財政はよくなっていくんだという試算を出しているわけです。

 これは、厚労省と何が違うかといいますと、先ほど局長がおっしゃっていただいたとおりで、前提条件、賃金上昇率をどう置くかによって大分変わる。厚労省の場合は、確かにちょっと悲観的な数字で、ゼロ%を置いているわけです。これは、過去十年間のデータを使って、本当はゼロより下なんですけれども、とりあえずゼロで置いてみた。財務省の場合は、多少楽観的で、二%プラスアルファというような賃金上昇率を前提条件にしてこの協会けんぽの財政運営を予測している。つまり、片やどんどんよくなっていきますよ、片やどんどん下がっていきますよと。賃金上昇率が一%変わるだけで、これぐらい大きな差が出てくるわけです。

 これは何を示唆しているかというと、賃金上昇率を上げるということがいかに医療保険財政の健全化という観点からも重要なんだということを示唆していると私は思っておりますので、これは厚労省の観点ではありませんが、しっかりと我々は取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。

 次に、患者申し出療養制度ですが、今までも、先進医療のように保険給付の対象とするかどうか評価中のものについては、評価療養という形で保険適用の治療と併用で来ていたわけです。

 今回も同じような枠組みを使おうということですが、違いは何かというと、これまでであれば病院がやりたい医療だった、今回は患者が受けたい医療というものに変わる、これが大きな違いじゃないかと思います。そもそも評価療養となるものというのは、申請するのは病院ですから、病院がやりたいものが選ばれていた。今回は患者です。

 大事なことは、るるこれまで議論はありましたが、国がしっかりと責任を持って安全性、有効性というものを確認するということ、当然これは大事だと思っています。

 もう一点は、将来的に保険収載をされるというのが大前提であるべきだ。つまり、これは患者申し出療養となりました、認められましたとなったからといって、ずっと未承認のままであれば、結局この制度に乗っかったままでいってしまう。つまり、保険収載されないまま、高いままでずっと、高くても売れるというような状況が続く、だからわざわざ苦労して保険収載してもらわなくても十分に市場として成り立ってしまう、こういう懸念があるわけです。

 そういう意味では、保険収載をしっかりされるという前提に立たないと、お金持ちしか治療が受けられないというような、こういう危険性もあるわけですので、最終的には保険適用をしっかり目指すということが大前提だと思っております。

 では、それをどう担保していくのかというのが大事だと思います。厚労省はどう担保するんでしょうか。

唐澤政府参考人 御答弁の前に、先ほどの協会けんぽの関係で、先生御指摘のとおり、協会けんぽはゼロ%という非常に厳しい場合も想定をして設定しているんですけれども、賃金の動向が非常に重要でございます。これは中小企業の賃金の動向がどうなるかということが非常に大きな影響を与えます。これをちょっとつけ加えさせていただきます。

 患者申し出療養でございますけれども、保険収載に向けて実施計画の策定を医療機関に求めることとしております。これは、将来の保険収載を目指すということを前提にしておりますので、実施計画を提出させる。そして、少なくとも年一回は国に実施状況について報告を求めることとしております。その報告によりまして、計画どおりに進んでいるのかどうか、進んでいない場合には、何が問題があるのか、こういう点についてもきちんとチェックをさせていただきたいと思っております。

 このようなことを通じまして、保険収載に必要なデータやエビデンスを集積して、安全性、有効性の確認を経た上で保険適用につなげてまいりたいと考えております。

伊佐委員 しっかりとこれは国がフォローアップをしていくということが大事だと思いますので、ぜひ定期的なフォローアップをお願いしたいと思います。

 次の質問ですが、紹介状なしの話です。

 これまでも、紹介状なしで大きな病院に行くと、特別な料金を徴収してもよいということになっておりました。具体的に言いますと、病床数が二百床以上であれば、それぞれの病院の判断で、料金を徴収するのかどうか、あるいは幾らにするのかというのをそれぞれ決められるというようなものになっておりました。今回はこれを義務化しようというものです。

 ただ、ちょっと私、聞いていて、結構な額だなと思ったんです。これまで義務化されていなかった、今まで、現状では、紹介状がない場合どれぐらいお金を取られていたかというと、平均して二千百三十円です。ところが、今回、審議会で検討するというふうに言われていますが、大体五千円から一万円というふうに言われています。結構今までと比べて高い。それだけインパクトがある数字でしっかりと制度化しようということであると思うんですが。

 これはもちろん、今の大病院の勤務医の皆さんの状況を見てみますと、当然、夜勤明けでそのまま日勤に入るとか、こういうのもざらだというような方もいるというふうにも伺っておりますが、この勤務医の皆さんの負担を軽減するという観点では評価できるものだと思っております。

 でも、ただ、こうしてお金を上げて来にくくするというのは、インセンティブでもどちらかといえば負のインセンティブであると思っておりまして、もう一方で、では、行けなくなった場合にどこで受け取ってあげるのかというのをしっかりと用意しておかなきゃいけない。例えば、家の近くにあるのがたまたま大病院だという場合もあるわけですし。

 では、その受け皿としてどうなるかというと、かかりつけ医の制度、こういうものをしっかりと確立していく、これを一緒にやっていくことが車の両輪だというふうに思っております。

 先ほど、負のインセンティブと申し上げましたが、正のインセンティブとすれば、主治医機能の強化というもの、これを車の両輪としてしっかりと進めていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

唐澤政府参考人 先生の御指摘のとおりでございまして、外来機能の大病院と、かかりつけの診療所あるいはかかりつけの中小の病院というところの機能をきちんと分担していただくということが重要なわけでございますが、これは、この定額負担だけで達成できるということではございません。

 これは、その中の一つの、一環の措置でございまして、基本的には、例えば、診療報酬上で主治医機能を強化していくということで、かかりつけ医の機能を評価したりしておりますし、あるいは、今後つくっていただく地域医療ビジョンや医療計画の中で、外来機能の分化と連携というものをどうしていくかということも御議論していただく必要があると思います。

 それから、なかなか患者さんには御理解いただけないところもあるんですけれども、例えば、御安心していただくために、病院とかかりつけの先生の間でICTを活用してデータがつながって顔も見えるというようなことをしていただいて、上手に分化をしていただいている事例もございますので、そういういろいろな施策をあわせて進めてまいりたいと思っております。

 どういう医療機関にするのかとか、定額負担の金額を幾らにするとか、それから、例外的な、救急などは例外にしなければいけませんので、そういうことはまだ具体的に決まっておりませんので、これは今後丁寧に検討してまいりたいと考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 まさしく車の両輪として、こちら側もしっかりやっていきますよということを国民の皆さんに丁寧に説明しながら進めていただきたいと思っております。

 最後の質問になりますが、データヘルスについてなんですが、今、データヘルス、予防、健康づくりというものがさまざま取り組みが進められておりますが、この評価の基準をどうするかというのが大事だと思っております。時間になりそうですので言いっ放しで終わりたいと思います。

 特定健診とレセプトデータというのは、今持っているのは誰かというと保険者だけなわけです。このデータ面から保険者にどうやってそれを支えてもらえるかということですが、では、その保険者の頑張りをどうやって評価するのかというのが非常に大事です。つまり、予防、健康づくりにちゃんと結びついたのかどうか、評価の基準をどうするのか。

 今現状、伺うところでは、後期高齢者支援金の加算・減算制度、まさしくこれは、予防、健康づくり、どれだけ頑張ったか、頑張ったところにはあめを、頑張らなかったところにはむちをというような制度になっていますが、では、これは何を基準にしているかというと、メタボ健診の実施率だけだというふうに言われています。

 私は、本来、この目的というのが医療費の適正化であるとすれば、しっかりそこに結びつくような評価基準というのをつくらなきゃいけないんじゃないかと思いますので、そこはぜひ国としてもリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 以上、本当に今回さまざまな改革案が盛り込まれておりますが、少なくとも、その本筋、一番最初に大臣に言っていただいたように、救える命はしっかり救っていくんだ、必要な医療はしっかり提供するんだ、この本筋をしっかり守った上での改革を進めていただきたいと思います。

 以上、終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 維新の党の井坂信彦です。

 午前中、朝からいろいろ議論が続いております医療保険の改革、特に持続可能性、主に財政面での持続可能性に関する今回の政府から提出された改革案について議論をさせていただきたいと思います。

 まず、国民健康保険。これは、使っている医療費のうち保険料で賄うのは全体の三割。これは前期高齢者も含めてでありますが、全体の三割しか保険料で賄われていない。

 それから、後期高齢者医療制度になりますと、使っている医療費のうち保険料で賄われているのはわずか一割。もはや保険と呼べない、いびつな収支構造になっております。

 全体の保険料負担と全体の医療給付費がイコールになるようにきちんと保険財政を経営していくという保険制度のよさが発揮をされていないのではないかと考えます。さらには、病気になりやすい高齢の方ばかり集めて保険集団をつくっていることにも大きな問題があります。

 大臣にお伺いをいたしますが、ここまでいって本当に保険と呼べるのかどうか、保険と税は実際何が違うのか、お伺いをいたします。

塩崎国務大臣 社会保険というのは、法律によって国民に加入をまず義務づけて、人生のいろいろなリスクがございますけれども、このリスクに備えて被保険者がお金を出し合って、実際にリスクに遭遇したときにその方に必要な給付を行うというプールであるわけであります。

 一方、税方式というのがありますが、社会保険方式とは違って、保険料ではなくて、専ら租税、税で財源を賄って国民や住民に対して給付を行うという仕組みで、医療であれば、イギリスなんかはそういうスタイルをとっているということだと思います。

 後期高齢者医療制度と国民健康保険についての問題と、今先生が御指摘になったところがございますけれども、租税で賄う部分が少なくないということがあって、国民皆保険のもとで被保険者から保険料を徴収し、医療給付を行う仕組みという意味においては、租税で賄う部分が少なくないわけではありますけれども、やはり、保険料と税と、そして自己負担というものが組み合わされた社会保険方式をとっているということが言えるのではないかなというふうに思うところでございます。

井坂委員 今の御説明ですと、やはり、いただくお金を保険料と呼ぶのか、あるいは税と呼ぶのかの違いだけではないのかなというふうにも感じるわけであります。

 例えば、万が一のリスクに備えて皆様からいただいたお金を保険料と呼んでプールして、リスクが発現した方、医療保険でいえば病気になった方にその集めたお金をぼんと使う、これが保険の一般的な姿だと思うんです。

 しかし、似たような話で、例えば火事、火が燃えて火事が起こるようなリスク、これは、我々は税金という形でお金を払って、それがプールされて、消防車が買われ、消防署員が雇われ、そして、万が一自分の家が燃えたときには、そのみんなで集めた税で消防車と消防署員が火を消しに来てくれる。ここと比べて一体何が違うのかなというふうに思うわけであります。保険料と呼ぶのか、税と呼ぶのか。しかし、集めてそれを顕在化したリスクに対してまとめて使うということでは一緒ではないかなと。

 まして、少なくないお金が租税で賄われているとおっしゃいましたが、少なくないどころか、後期高齢者医療についてはもう九割、五割が租税ですか、残りの四割がほかの保険者から支払われたりしている。こういう状態で保険と呼べるのか。

 ちょっと、今の消防車の例えと比べて、もう一度、何が違うのか、お伺いしたいと思います。

唐澤政府参考人 少し先ほどの大臣のお話を補足させていただきますと、税の場合は、強制的に徴収するという形態をとりますので、もちろん世の中いろいろな制度がございますけれども、税の方は、強制的に徴収して、反対給付を請求する権利がない。社会保険の方は、給付と連動して保険料を納めているというところが、後期高齢者医療制度、税が確かに多いわけでございますけれども、まずはそこのところがつながっている、そういうふうな仕組みをとっているわけでございます。

井坂委員 税か保険料か、これは余り議論し過ぎると観念論になってしまうのでこれぐらいにとどめますが、私が問題視をしておりますのは、これを税方式と呼べと言っているわけではなくて、要は、せっかく保険方式にしている限りは、保険方式の本来の姿である、やはり、被保険者からいただく保険料収入、そしてその範囲内でしっかり給付をまとめていく、もし足りなければ、保険料の値上げも含めてしっかり被保険者に話をしていく、本来であればですよ。

 ただ、私、別に後期高齢者でこれをやれと言っているわけではありませんよ。後期高齢者でそんなことをしようとすると、では後期高齢者の保険料や窓口負担を上げろ上げろという話にしかならないですから。要は、最初から組み方がいびつなのではないか、こういう問題意識であります。

 続けますけれども、国民健康保険料、これは、高齢者が多い、それから低所得者が多い、被保険者の集団が既にいびつだという構造的な問題を抱えております。これは政府もお認めの部分であります。

 今回の財政支援を行っても、この構造が変わらない限りは将来的にさらなる財政支援が必要となるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほどの話にちょっとだけつけ加えさせていただくと、後期高齢者医療制度をつくるときにさんざん我々も議論しまして、いろいろなパターンがあり得るということでありました。したがって、先生のような御疑問を持つこともそのとおりだろうと思いますが、保険という仕組みの中でリスクをプールしてやるというスタイルで、今の反対給付の話もありましたけれども、こういう結論になったということで、ですから、決してすっきりした理想的ないわゆる保険方式であるとはもちろん言いませんけれども、しかし、基本はやはり保険方式だろうなというふうに思います。

 財政支援がさらに要るようになるんじゃないかというお話がございましたが、財政状況のもともと厳しい国保の財政基盤の強化をして制度の安定化を図るために、平成三十年度以降、毎年約三千四百億円の財政支援を今度は実施しようということであり、また、国保財政の大幅な改善をこれによって図っていこうということにしているわけであります。

 あわせて、医療費の適正化というのも非常に大事であって、適正化というのは、ただ切っていけという話では決してなくて、これは、データヘルスの話がさっきも出ておりましたが、やはり、予防とかそういうことも含めて医療費をどう適正化していくかという問題であり、それから、保険料の収納対策も大事であって、これを推進していかなきゃいかぬ、事業の運営の改善というのも必要だ、財政基盤の強化をこういったことで図っていくことが大事であることは言うまでもないわけであります。

 いずれにしても、国民皆保険を支える国民健康保険の安定化を図ることは、やはり全体の皆保険を守っていくためにも大変大事だということでありまして、今回の改革後においても、取り組みの状況等を検証して、さらなる取り組みをもちろん推進していかなければならないし、また、国保制度の安定的な運営が持続するように、国保制度全般について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を引き続き講ずる努力をしていかなければならないというふうに思っております。

井坂委員 ちょっと御答弁がよくわからなかったんですが、わからなかったというのは、別にそういう意味ではなくて、私がちょっと理解ができなかったのですが、もう一度通告どおりお伺いをいたします。

 要は、今回の財政支援で打ちどめでは済まなくて、また将来的にはさらなる追加の財政支援が必要となるのではないですかというふうにお伺いをいたしました。御答弁の中で、必要に応じて措置をとるという、その措置というのが追加の財政支援も含めるのかどうか、よくわからなかったので、お伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 それは今私が申し上げたとおりでありまして、やってみて、どういうふうになるかをよく見ながら、必要ならばやはり必要な措置をとらないといけないということなので、さらなる財政支援が要るということを前提に今この新しい制度を導入しようということを言っているわけではなく、今考えられる知恵を出すとこういうことじゃないかということでお願いをしている、こういうことであります。

井坂委員 もちろん、はなから追加の財政支援を前提の今回の解決策であってはならない、これは私もそう思います。ただ、やってみて、足りなければまた出すこともいとわずというようなことでは、これもまた大変物足りない、問題ではないか。先ほど公明党さんの方からも指摘がありましたように、今できる対策ではあるが抜本的な解決策ではないのではないか、こういう指摘、私もそのとおりだというふうに思います。

 大臣、御答弁をいただきたいのは、今回三千五百億円で財政支援を行うと。あわせて、おっしゃったような、医療費の適正化でありますとか、収納率の向上でありますとか、あるいは保険経営体そのものの効率化ですとか、そういったことをより真剣にやることで今回で基本的に打ちどめにするんだ、さっきおっしゃった、その他のやり方で追加財政支援が要らないように、きちんと保険財政をこのままずっと収支均衡させていくんだ、こういうふうに答弁をいただければいいのになというふうに思うわけでありますが、やってみなきゃわからない、足りなきゃまた出す、こういう御答弁なのかどうか、お伺いいたします。

塩崎国務大臣 決してそんな無責任なことを言っているわけではなくて、今回は特に、各都道府県が今年度から地域医療構想というのをつくることになっています、三年かけてやることになっていますが。もう一つは、医療計画をつくるためにも、国民健康保険の財政運営の責任を都道府県が持つだけではなくて、供給体制についても責任を持つということになってくるわけであります。

 さっき申し上げたように、データヘルスなどいろいろありますけれども、予防とか健康づくりとか重症化予防とか、いろいろな形のものを、今までどちらかというと健康保険組合が恐らく一番、保険者のガバナンスというか、保険者機能を発揮して、医療費を抑える、あるいは健康を増進するということをやってきたと思いますけれども、しかし、同じぐらいの規模である国民健康保険、特に高齢者が多い、ここについてもやはり保険者の機能を、しっかりとガバナンスをきかせてもらって、健康づくりとそれから医療費の抑制等を図っていく。

 今、医療ができることが十分発揮されていないがゆえに医療費がかなりかかってしまっているというところもあるわけであります。したがって、国民健康保険の保険者が都道府県になることを契機に、他の仕組みも含めて変わっていくわけでありますから、今回は特に責任を持って、皆さんに健康になっていただくということと、医療費が無為にふえていかないようにして、そして負担が無為にふえていくようなことがないようにして、それぞれの財政運営も何とかうまくいくようにしていくということをセットでやはり考えていくというのが、今我々が目の前にしている課題ではないかなというふうに思っています。

 今回のこの国民健康保険は、特に財政基盤の強化が一番必要だという保険者でありますから、ここがリスクの高い人たちをきちっとリードして、保険者機能を発揮しながら、健康にするとともに、財政的にも持続可能なものにするというのが今回の我々の言ってみれば意図でありますので、今回のこれで何とかうまくいくように精いっぱい努力をしなければいけないというふうに考えております。

井坂委員 健康づくりですとか、あるいは医療費の適正化、こういったことを今回強化されている、ここは私は非常によいことだというふうに考えております。

 ただ、今回、大きな財政支援を行う予定にしておられます。それで、はっきり言えば、もうこれで最後だ、これで打ちどめだ、あとは、今答弁されたような健康づくりとか医療費の適正化とか、そういったところをこれで最後で後はないと思って真剣に保険者はやってくれ、命がけでやってくれ、こういうふうにしない限り、また足りなくなれば結局最後はもらえるかもしれないと。

 まして、最初に申し上げたような、いびつな保険者の構造でありますから、はなから収支が成り立つような保険者集団じゃないんだと言ってしまえば、また足りなくなったらもらえて当然なんだみたいな意識が少しでも国民健康保険の保険者に残るようであれば、幾ら大臣が今答弁したような施策を国として打っても、やる保険者もいるでしょう、でも、そこの取り組みが甘い保険者がまた赤字を膨らませて、国保なんて病気になりやすい方がもともと多いんだから、少しぐらい、もうちょっと財政支援してくれてもいいんじゃないかというような議論がまたぞろ起こってこないとも限らない、私はそういうふうに思って今の質問をさせていただいたところであります。

 保険者責任ということについてお伺いをしたいと思うわけでありますが、今回、被用者保険側からは随分不満の声も聞こえます。それもそのはずで、被用者保険はこれまで保険者機能を一生懸命発揮してきたというふうに思います。会社によってばらつきはありますが、しかし、一生懸命保険者機能を発揮して、何とか保険財政の収支、いただいた保険料と、それから、出ていく医療給付、出ていくお金を何とかバランスさせようということでやってきたと思います。

 ところが、そういうふうに努力をして財政的に赤字を出さないで頑張ってきた被用者保険側から、今回、お金のトータルの流れを見れば、あからさまに国保、国民健康保険側に財政支援という形で流れている形になっています。

 これは、大臣が今答弁されたように、国保側は保険者機能も、それから保険料徴収も、やはり今まで不十分であったと私は思います。いわゆる保険者としての責任を十分に果たしてこなかった国保側に、十分にこれまで果たしてきた被用者保険側からお金が一方的に流れるということは、これは不満を持たれても当然だというふうにも思うわけであります。

 そこで、お伺いをいたしますが、国保の保険者責任ということについてどうお考えか。

 これまで市町村がやってきました。そして、こういう状態になって財政支援が必要になっています。かといって、それは、どれだけ保険料を上げるのか、あるいは税投入をどれだけするのかとか、窓口負担をどれだけするのか、いろいろ難しい問題はありますが、しかし、それを全部ひっくるめてバランスをとるのが保険者の責任だと私は思いますから、国保の保険者責任についてどうお考えか、大臣にお伺いいたします。

塩崎国務大臣 今回の改革では、もう繰り返しで恐縮ですが、後期高齢者支援金の全面総報酬割で生じる財源というのを、さまざまな構造的な課題を抱えて財政状況の厳しい国保へ財政支援として送るわけでありますし、被用者保険者の負担軽減に充てるということもしているわけでありまして、国民皆保険を支える国保の基盤強化に私たちは特に今回力を入れて、皆様方のまた御理解をいただきたい、こういうふうに思っているわけであります。

 改革後、国保におきましては、先ほど申し上げたように、地域医療構想というのを策定するのが今度は都道府県になるわけであって、都道府県が初めてこういう構想をつくって国保の財政運営にも責任を有するという仕組みになって、都道府県が医療保険とそれから医療提供体制、先ほど申し上げましたが、両面を見ながら地域の医療の充実を図って、効率的かつ質の高い医療を提供できるように取り組んでいくということになります。

 同時に、市町村にあっては、地域住民とやはり一番身近な関係であるわけでありますから、保険料の賦課徴収、それから保健事業等、地域におけるきめ細かい事業に取り組んでいくわけでございまして、お互いが、都道府県と市町村が連携をしながら、それぞれが果たすべき役割を担って保険者機能を発揮していくことが必要であるし、それが今先生がおっしゃっている保険者の責任であるというふうに思うわけであります。

 国保は、言うまでもなく、高齢者とか、あるいは所得が必ずしも多くない方々、リスクの多い方々、さまざまな構造的な問題がこうしてあるわけでありまして、事業運営面で困難を伴うことも多いわけでありますけれども、いずれにしても、国保の事業運営には保険者としての責任を果たすように不断の取り組みが重要であって、今後とも、医療費の適正化や保険料の収納対策など、都道府県、そして市町村、双方とも一層責任を持った運営に当たってもらいたいし、我々もできる限りの支援をしてまいりたいというふうに思います。

井坂委員 まず前段の御答弁に関してですが、被用者保険から国保に一方的にお金が流れているのではないのかというお尋ねをすると、大体、いや、被用者保険側にもいろいろ手当てしているんですよという御答弁、本会議でもそういう御答弁でありました。

 ちょっとはっきりさせておきたいのですが、実は今回、厚労省側に、今回本当にいろいろなことがごたごたに盛り込まれている法改正ですので、結局、トータルでどの保険体がどれだけ財政的にプラスになったのか、マイナスになったのか、全部を一覧表で出してくださいということで数字を出していただきましたら、やはりはっきりしておりますのは、今回、市町村国保は、財政的には三千五百億円得をしております。また、協会けんぽは、財政的には二百億円得をしております。健保組合は、財政的には六百億円損をしております。また、共済組合は、財政的には七百億円損をしております。そして、公費は、全体で一千億円余分に支出をされるようになります。また、患者負担は、全体で一千二百億円余分にかかる。これが全体像であります。

 ですから、一つ一つの施策を言えば、これは被用者保険にもいいことをしているんですよとおっしゃるかもしれませんが、全部合わせると以上のような全体像でありますから、そこはもう隠さず、そうなんだということをはっきりおっしゃっていただきたいというふうに思います。

 後段の部分なんですけれども、確かに、市町村、これまでいろいろあったけれども、これから都道府県と市町村でしっかり連携をしながら保険の徴収率も上げていく、また保険者機能も一生懸命果たしていく、それが責任だというふうにおっしゃいました。

 ただ、やはりこれまでやってきたことの責任ということについては厳しく考えていただく必要があるというふうに思います。なぜかといえば、市町村の保険者責任ということが曖昧なまま今回の都道府県にただ保険体を合併するということをやっても、結局同じことが起こるのではないか。

 つまりは、今回の法改正で国保の保険者を担う都道府県も、やはり同じような感覚で保険運営をして、結局、最後は追加の財政支援を求めてくるのではないか、こういうふうに思うわけでありますから、保険者責任ということについて、これからこういうことをやりますという話だけではなくて、保険者の責任ということについてもう一度御答弁をいただきたいと思います。

唐澤政府参考人 先生御指摘のように、都道府県が保険者になってどういう責任をきちんと果たすのか、こういう御指摘だと思います。

 それで、今千八百くらいの自治体でやっているものが四十七になりまして、改革前の御指摘では、赤字の自治体を全部集合しても赤字じゃないかというようないろいろな厳しい御指摘もあったんですけれども、私どもは、やはり四十七という数の保険者できちんと取り組んでいただく。やはり千八百の保険者の皆さんに頑張っていただくというのはなかなか難しい面がございました。そういう点では、しっかりと、予防や健康づくりなど、それから保険財政の運営についても、責任を持っていただきたいと考えております。

 ただ、現実に、これまで都道府県では余り医療費の話、医療保険の話ということを扱ってきていただいておりませんので、市町村に比べて経験が少ないというようなことはございます。その点は私どもも、会議や研修、あるいは人材の養成などにも国が責任を持って取り組んでいかなければいけない、ただ制度を変えればうまくいくというふうには思っておりませんので、国もしっかりとバックアップをしていくということも必要だというふうに考えております。

井坂委員 今、都道府県が今後保険者機能を発揮するということについての御説明がありましたけれども、これは、都道府県がこれまで保険財政にかかわっていなかった、今後かかわることで、医療提供体制をつかさどる都道府県が、同時に保険財政ももう片っ方の目で見るので、そこで一生懸命バランスをとろうという力学が働くのではないか、こういう御説明でありました。

 そこで、次にお伺いをいたしますが、都道府県が保険者機能を発揮するということは、それはずばり、提供する医療の量を都道府県が保険財政を見ながらかげんしていく、こういうことになるのかどうか、大臣にお伺いをいたします。

塩崎国務大臣 医療の量をかげんするというのはどういう意味でおっしゃっているのか、よく理解できないところが若干ございますけれども。

 今回の国保改革では、さっきから申し上げているように、都道府県が国保の財政運営の責任主体になるということでありますから、安定的な財政運営と効率的な事業運営をするためには、都道府県が今までの市町村にかわって中心的な役割を担って、千八百が四十七になるということであります。

 また、さっきも申し上げたとおり、地域医療構想の策定などの責任者も今度は都道府県で、都道府県の中の医療のあり方について、提供体制について決めていく。提供体制というのはまさに医療費そのものに直接影響を大きく与えるわけでありますし、どういう医療を提供するのかというのも、そういうことで決め得るわけであります。

 医療保険と医療供給体制、両方に責任を持つということは、やはり医療全体に責任を持って、どうやって住民の、県民の健康を増進していくか、そして、医療が必要になった場合にも、医療として全体として運営が回っていくかということについての責任を都道府県がこれからは国民健康保険については負ってもらわなければならないということになるわけであります。

 医療の量をかげんするということではなくて、効率的かつ質の高い医療を提供するということであって、結果として、我々が目指さなきゃいけないのは、あるいは都道府県が目指さなきゃいけないのは、当然のことながら、県民の健康であり、それから医療であれば治癒をしていくということに効果をあらわすということにならなければいけないので、なおかつ、それが財政的にも持続可能であるということが同時に求められるので、今回、単なる財政の話だけではなくて、医療の提供のあり方、あるいは医療の質の問題についても、やはり保険者がしっかり考えてもらってやっていっていただきたいという思いを我々は強く持っているわけであります。

井坂委員 今の大臣の御答弁を伺って少し安心はするんですが、ただ、保険者としての都道府県、なおかつ、医療提供体制をつかさどる都道府県ということになると、単純な発想で言ってしまうと、よく言われるように、医療費は結局ベッド数に比例をしがちだといろいろなところで言われます。そういうデータもよく見受けるわけであります。

 そういう現状がある中で、では、都道府県の保険財政が悪化してきたときに、一方で都道府県は医療提供体制をやっているわけでありますから、医療提供体制を決める都道府県として、ではベッド数を減らそうかみたいなことに単純になってしまわないのか、そういう懸念があって質問をしたわけであります。

 それは、おっしゃるように、医療のあり方とか健康づくりも含めたヘルスケアの質みたいなところまでしっかり統合して都道府県がうまいことやれればいいわけでありますが、要は、提供体制と保険財政を都道府県が持つことでここがリンクするんだという御説明が短絡的に結びつくと、では保険財政が厳しいから提供体制をふやすのをちょっと抑えようかみたいな話が出てきかねない。

 そうなるのかならないのか、また、ならないとしたら、それはどういう仕組みでならないのか、お伺いをしたいと思います。

塩崎国務大臣 今回は、国民健康保険のあり方だけを変えようと言っているわけではなくて、先ほど来申し上げているように、いろいろなことを、ちょうど今年度からいろいろ変わってくる、地域包括ケアシステムについても今年度から本格的に各地でやっていただこうということになっていますし、それから、昨年成立をいたしました医療介護総合確保推進法、これによって、都道府県はことしから地域医療構想を策定するという、先ほどから申し上げていることが起きるわけでありまして、今後の高齢化がさらに進展をしていくというのはもう見通しが立っているわけでありますので、そういう中で、全ての患者がその状態に応じた適切な医療を受けられるように、都道府県の構想区域ごとに、将来の医療需要とそれに対応する病床数の推計を行った上で、病床の機能分化と連携、これを進めるわけであります。

 やはり日本は民主主義の国でありますから、これも、協議会というのをそれぞれに設けて、協議を地元でしていただいて、それを、最終的なまとめは都道府県でやりますけれども、そこでお決めをいただくということで、この構想についてのガイドラインはもう既に厚労省においてつくっているわけでありますけれども、将来に向けて、必要な医療を今のような形で、機能の分化あるいは連携も進める中で、都道府県が今まで以上に責任を負ってマネージをしていってもらいたいというふうに考えているところでございます。

井坂委員 次に、都道府県と市町村の関係について確認をしたいというふうに思います。

 今回、国民健康保険の市町村の保険料徴収率が仮に上がった場合、それに連動して市町村が都道府県に納める納付金もふえるような仕組みなのかどうか、お伺いをいたします。

唐澤政府参考人 納付金でございますけれども、市町村が都道府県に納める納付金は、基本的には医療費水準と所得水準で決まっていくという仕組みにすることを考えております。したがって、例えば、ある市町村で収納率が上がって収納額が予想よりも上回ったというような場合は、剰余金として処理されることになるんじゃないかと。納付金がふえるということにはならないということでございます。

井坂委員 そうすると、各市町村が頑張って収納率を上げても、保険財政にはプラスにはならないということですか。

唐澤政府参考人 都道府県全体と市町村のベースがあるわけでございますが、市町村のベースで申し上げますと、やはり積立金を持つことになりますし、積立金を生かして例えば翌年度以降の保険料の上昇額を抑えることもできるということで、それはやはり保険財政にはプラスになるというふうに考えております。

井坂委員 市町村ではそうなのかもしれませんが、都道府県では各市町村から来る納付金はあらかじめ決まった額しか来ないので、市町村が頑張って収納率を上げたとしても、都道府県に入ってくる納付金の合計額は変わらない。だから、都道府県の保険財政に関しては何らプラスはないということですか。

唐澤政府参考人 都道府県は直接保険料を徴収しておりませんので、保険料の収納率が上がっても、都道府県に直接入ってくる総額がふえているわけではございません。これは、結局、必要な給付の額をそれぞれ納付金という形で市町村にお願いをしまして、医療費と所得水準に応じて総額が同じになるように、等しくなるようにお願いをしまして、そして、市町村では、具体的な各自治体ごとの保険料という形で徴収、収納をしていただくということでございます。

 ただ、大きな意味で見ますと、都道府県も、標準保険料率というものを市町村に示して、そして、県民の皆様に、国保の保険料率はことしは幾らです、来年以降は幾らでした、こういうことを言うことになるわけでございますから、保険料の水準が、収納率が下がってしまえば保険料率は逆に上がってしまいますので、やはりそれは、都道府県に関係ないということではないというふうに思っております。

井坂委員 残り十分ぐらいですので、今回、患者申し出療養についても大分質問を用意していたんですが、またそれは次回に回して、飛ばしたいというふうに思います。

 残りの時間で、大臣がきょう答弁でいろいろおっしゃった健康づくりのことについてお伺いをしたいと思います。

 まず、今回、健康づくりなどをやっている被保険者個人に対して、いろいろなインセンティブ、キャッシュバックであったりとか、場合によっては保険料の引き下げも行ってもいい、こういう話が出てきておりますが、お伺いをしたいのは、よく似ているんですが違う話で、要は、病気にならなくて、ある被保険者個人が医療保険を仮に一年間使いませんでした、その場合に、その人にキャッシュバックや保険料引き下げを行うようなことは今回の法改正で可能になりますでしょうか。

 自動車保険のように、事故を起こさなければ等級が上がって保険料が安くなるような保険は世の中にいっぱいあるわけでありますが、医療保険も、健康づくりを一生懸命やっている被保険者個人が、一年間病気にならず、お医者さんに行きませんでした、医療保険を使いませんでした、その場合にもキャッシュバックあるいは保険料引き下げということができるようになるのかどうか。これは、具体的な制度ですので、参考人にお伺いいたします。

唐澤政府参考人 インセンティブの具体的な中身は、これからまた有識者の先生方の御意見も聞きながら決めていくことになると思いますけれども、私ども、これまでの御議論をいただいて考えておりますのは、今までは、もうほとんどインセンティブというものはありませんでしたので、やはり、健診をしていただいたり、保健指導を受けていただいたり、健康づくりに取り組んでいただいた方は評価をしたらどうかということで、一番代表的なものはヘルスケアポイントのようなことを言われております。

 それで、今先生の御指摘の、例えば、一年間で医療機関に全く受診をしなかったというようなことについて、これを何らかのポイントですとか保険料ですとか、そういうものにつなげてしまいますと、これはもう受診抑制で、必要なときに行かなくなってしまうというようなことになっては困るではないかというような御懸念も指摘をされております。

 私どもは、そういうようなことではなくて、むしろプラスの、積極的な面を評価していくことが重要だと思っておりますので、そういう観点から、今先生が御指摘の予防、健康づくりの評価の基準、それをきちんとつくっていくことが重要だと思います。受診抑制になるようなものではないような、プラス面での評価を中心としたものをきちんと今後つくってまいりたいと考えております。これは国でガイドラインを作成していくということで考えております。

井坂委員 確かに、受診抑制ということになってはいけない、それは私もよくわかります。

 ただ、健康づくりという活動に対してインセンティブをつけるというのは、半分合っているようで、やはり半分心配なのは、健康づくりを頑張った人にキャッシュバックしましたと。ただ、健康づくりをやっても、実は病気になる可能性は余り変わらないような健康づくりもたくさんあるわけで、キャッシュバックしたが、結局、普通にこれまでどおり病院にかかって健康保険も使ったということになると、むしろ、保険財政という意味では悪化するわけであります。

 要は、健康づくりというプロセスに対してキャッシュバックとかのインセンティブ、動機づけを行うのか、それとも、結果的に病気になりませんでした、医療機関にかかりませんでしたという結果に対してインセンティブをつけるのか。違いは、これは議論の余地があるというふうに思ってお聞きをしております。

 健康づくり、予防の活動と、それから、実際それが病気にならないということのリンクが、私も、実は弟が疫学の研究者で、かなりいろいろデータを注意して見ているんですが、なかなか世界的にそこが、健康づくりの活動をやったからこれだけ病気になる人が減りましたという、いわゆるデータに基づく健康づくりということがはっきりしていない中で、やみくもにプロセスだけにインセンティブをかけて、しかもそれが保険財政を毀損させるような形のインセンティブであれば、結局、何か、一生懸命推し進めたのに結果は余り変わらず、財政的に二重で痛手を負うというようなことも懸念されると思います。

 プロセスにインセンティブをかけるのか、結果にインセンティブをかけるのか、受診抑制というその懸念は私はよくわかりますので、何らかの仕組みは要ると思いますが、プロセスか結果かということについて、もう少しお答えをいただきたいと思います。

唐澤政府参考人 今先生御指摘いただきましたように、なかなか、確立されたエビデンスという点では、いろいろな御議論がございます。そして、物すごく大きな人数で科学的に、二重盲検法に近いような形でデータをとったところまではなかなかないのでございますが、ただ、やはり、予防や健康づくりが全体としてはプラスに作用するということは否定はできないと思います。ただ、それをどのくらいのレベルの効果のものとして評価をするかということがあります。

 それから、先生今御指摘の、プロセスで評価をするのか、あるいは結果、ある種のアウトカムになるのかもしれませんけれども、それをどちらでやるのかというのは、これはなかなか難しい問題でございます。

 私どもは、もちろん、アウトカムの指標できちんとしたものがぱしっととれれば、あるいはそれはエビデンスがないとだめなので、いいんですけれども、なかなかそれは難しいので、やはりある種のプロセスのところも入れていかなければいけないのではないかなと思います。

 もちろん、アウトカムを重視したものをつくっていくというのは学会でもあるいは医学界でも全体的な潮流でございますので、そういうことを踏まえて有識者の皆さんに御検討いただきたいと考えております。

井坂委員 健康づくりについて、あと二点大臣にお伺いをしたいと思います。

 データヘルスということが今回言われておりますが、国が各保険者の取り組みとその成果のデータを集めて、そして、成功したものは、この保険者はこういうやり方で、データを見ればこういうふうにうまくいっていますよということで、国がしっかり横展開、全国展開をしていくべきだというふうに考えます。

 国がきちんとデータヘルスの成果を集めて、いいものは横展開をしていくことについて、御所見を伺います。

塩崎国務大臣 先生御指摘のとおり、データヘルスというのはこれから大変重要でありますし、ITを使って健康づくり、そして財政運営を持続可能にするということが大事だと思います。

 二十六年度中におおむね全ての健保組合などでデータヘルス計画を作成しておりまして、この四月からは本格的に計画に基づく事業を実施していくこととしているわけでございまして、今後は、各保険者が事業を実施していく中で、国において、先進的な事例を全国に広めていく仕組みとか、あるいは各保険者の事業を評価する仕組みを検討して、データヘルス事業がより効果的に実施されるように保険者の取り組みを支援してまいりたいと思っています。

 加えて、厚生労働省では、平成二十年度から、高齢者の医療の確保に関する法律に基づいて、レセプトと特定健診・保健指導データの収集を行って、レセプト情報・特定健診等情報データベース、いわゆるNDB、ナショナルデータベース、これに全て格納しております。これは、二十七年三月時点で、約八十九億三千六百万件のレセプトデータが入っておりまして、さらに約一億四千二百万件の特定健診・保健指導データというのがNDBに入っているわけであります。

 このビッグデータを、公益性の高い学術研究を行う研究者等に対してデータ提供を行ってきておりまして、また、これをさらに利活用するために、今年度から、東京大学、京都大学でオンサイトセンターというのを設置して、みずからセキュリティー環境を構築することが難しい研究者がオンサイトセンターに来て、NDBにあるレセプト情報などを利用して研究をする。あるいは、民間企業等へのデータ提供についても、現在、利用ニーズを把握しながら、有識者会議においてデータ提供の取り組みについて検討しております。

 研究者等へのデータの提供を進めるとともに、やはりこういったデータをきっちり、レセプトをもとにした情報の利活用による治療法、予防法、これの開発をすることによって、まさに健康をつくっていくというデータヘルスを進めていこうというふうに考えているところでございます。

井坂委員 二問目の通告ももう先回りしてお答えいただいたんだというふうに思いますが、おっしゃるように、レセプト、健診データ、これは、統計処理、匿名化して、なるべく幅広い研究者が使えるようにしていただきたい。そこからエビデンスという一番大事な部分が出てくるというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 以上です。

渡辺委員長 この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十八分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 本日は、国保の改革について、法案審議ということで質問させていただきたいと存じます。

 本会議の後、明るい太陽に照らされて、また委員会室に入ってまいりました。また心機一転、質疑をお願いしたいと思います。

 まず、国保の運営の中心的役割を市町村から都道府県に移すということでありますが、これは基本的に財政の面では賛成というか、いい話だと思っていますが、実は、ふだんから私は、前回の質疑でも質問させていただいたように、本当にいいのかなと若干幾つかひっかかるところがあるんですね。きょうは、その点について確認をさせていただいて、質問を進めさせていただきたいと思います。

 まず、前回もお聞きしましたが、もう一度これは大臣の方から御答弁をいただきたいんですが、医療と介護はこれまで両方とも市町村が基本的に保険者としてやってきた。それに対して、今回、医療だけが都道府県が中心的役割を果たすようになると、いわゆる医療保険と介護保険の間の連携にそごが出るんじゃないかなというふうに私は結構心配をしています。

 財政面ではよくわかるんですが、しかし、繰り返しになりますが、地域包括ケアとかいう形で医療と介護がシームレスにというか、地域でまさに連携をしながら保険者機能をきっちりと機能させていくというのが本来のあり方じゃないかなと私は思うんですが、これは、介護保険との連携は大丈夫でしょうかという質問です。大臣、よろしくお願いします。

塩崎国務大臣 今、介護保険との連携は大丈夫か、こういうお尋ねでございましたが、今回の改革によって、都道府県を国保の財政運営の責任主体とする一方で、地域におけるきめ細かい事業については引き続き市町村が担うということになっています。

 市町村には、引き続き、最も身近に住民と接しているということの中で、保健事業とか、あるいは地域包括ケアシステム構築のための医療・介護連携等に取り組んでいただきたいと考えておりますので、今お話がございました、介護保険との連携が、国民健康保険の運営の担い手として市町村から都道府県に移ることでそごは来さないかということでありますが、そういう心配はないのではないかというふうに思っております。

足立委員 ちょっと私も質問に最近慎重になっていまして、きょうも丁寧にやらせていただきたいと思います。

 大臣、今おっしゃっていただいた、御決意としてはわかるんですが、いわゆる保険者ですね、当然、保険ですから、保険者機能が達成されるかどうか、これが保険である最も大事な部分だと思っていまして、そういった意味で、いわゆる国保の運営の中心的役割が都道府県になると、今まで市町村国保が保険者として頑張ってきた、その努力とか、あるいはその機能的なものとか、そういったものがこれから維持しにくくなる。

 今回の法案をつぶさに見ると、国保の運営において都道府県と市町村が果たす役割については、結構精緻にというか、保険料の設定も含めて細かく設計されていますので、若干複雑で、これは一体誰が保険者として本当に機能していくんだろうかと思います。

 だから、質問は、一言で言うと保険者機能は大丈夫ですかということなんですが、先ほどは、介護保険との連携は大丈夫ですか、こう申し上げました。決して、今、連携は大丈夫だという大臣の御答弁に納得しているわけじゃないんですよ。ただ、切りがないですからこれ以上申し上げませんが、では話をかえて、例えば保険者機能ということに着目したときに、要は国保の保険者は都道府県になるということで、まずその点だけ、それはいいですね。

塩崎国務大臣 先ほどの説明で納得をしていただいたかと思ったわけでありますが、必ずしもそうでもないということなので。

 まず、市町村の役割は、財政運営の責任主体が都道府県になったとしても、各市町村は負担を納付金という形でするわけでありまして、都道府県が市町村ごとの医療費の水準とか所得水準を勘案して決定しているわけでありますので、市町村の方は、予防とか健康づくりとか、そういった医療費のコントロールをしていかなければいけないというインセンティブは当然発揮されるわけであって、したがって、住民の、市町村民の健康づくりや、医療費を抑制していくということに関しては、当然、こういう形になっても変わらなくあるわけであります。

 先ほど申し上げたように、都道府県は財政の運営に責任を負っていきますけれども、今申し上げたとおりに、納付金を通じて、まあ、都道府県は、市町村ごとに標準保険料率というのを提示するわけですね。これとともに、都道府県内の給付に必要な費用を全額市町村に支払うという格好になっているわけで、一方で、市町村は、保健事業等、地方におけるきめ細かい事業を行うことによって、役割分担は今回の改正法でも明らかにしておりまして、責任の所在も、言ってみれば、都道府県と市町村が共同で負うという格好になっているわけであります。

 その上で、新たに、市町村の意見を都道府県は聞いて、域内の統一的な国保の運営方針を定めて、医療費の適正化に向けた取り組みや、保険料の納付状況の改善のための取り組みを推進することとしておりまして、都道府県と市町村はやはり共同責任ですから、むしろ連携は強化をしていかないといけないと思いますし、それぞれの果たすべき役割をしっかりと担って、保険者機能を、言ってみれば、あわせてしっかり発揮してもらわなきゃいけないということだと思います。

足立委員 これは私だけがわからないのかな。

 大臣、済みません、御答弁の御趣旨はわかるんですよ。わかるんだけれども、しかし、共同して果たすと。いわゆる保険者機能というのは、責任が明確だから機能するんですね、基本的には。だって、この地域は、あるいはこの職域は自分たちがカバーしているんだということで、それが自分たちの利益になるからインセンティブとして働くわけですね。それが、都道府県と市町村が共同して責任を負うというような形で、本当に国保というものの保険者機能というのは、私の感覚でいうとどうしても理解ができないんですが。

 ちょっと言葉尻で、まず、国保の保険者は誰だというのが模範解答になるんですか。それは都道府県ですということで、それはやはり舌足らずなんですか。国保の保険者は誰ですかというのを一言で答えると、これは都道府県になる、あるいは、今大臣がおっしゃったように、国保の保険者は、都道府県と市町村が共同で保険者であるということですか。ごめんなさい、変な質問かな。お願いします。

唐澤政府参考人 先生の御指摘の、県が今度国保の運営に参加をしてくるということで、保険者機能、保険者はどこになるのかという御質問でございますが、これは全てが県に移ったということではございません。すっぱりと移ればこれは割とわかりやすいんですけれども、そうではなくて、財政運営の責任を県が中心になって持つ、もちろん、そのほかにも国保の運営方針なんかを出します。

 したがって、仕組みとしては、基本的には都道府県が保険者、そして、市町村とともに保険者機能を果たす、主翼は都道府県の方にあるというふうに理解しております。

足立委員 この今のやりとりというか、局長の今の御答弁おかしいよねというところでは、今、共産党の高橋委員と意見が一致していまして、おかしいよね、そうですよねという話を今しているわけですが、ちょっとこういうのはまた不規則発言でよくないですが。

 保険者機能は、私は、機能が弱まると大変強く危惧しています。共産党さんは、もしかしたら、いろいろな意味でもっと国がちゃんとやれということかもしれませんが、我々は全く違って、むしろ、都道府県であれ市町村であれ、基礎自治体あるいは広域行政の役割を明確にしていった方がいいと。これは今、大阪都構想でやっている議論とも実は関係するんですが、国と都道府県と市町村の役割がコンタミしている、要するにまざっているところが実は今いろいろな行政的な課題の根っこにある、こう思っているわけです。

 私は、保険者機能が阻害されてしまうという懸念を持っていて、それについて何か払拭が、まあ、塩崎大臣のことは尊敬していますが、しかし、御答弁についてはどうもそこがよくわからないと思います。

 ちょっと話を先に進めると、今局長も御答弁されて、できれば、市町村が今まで担ってきた、市町村国保が担ってきた保険者の機能をこれからも生かしていきたい、そういう気持ちは何かにじんでいるわけですが、私は本当は、市町村合併がもっとちゃんと進んで、市町村が今みたいに、私の地元でもそうです、何千人とか一万人とか二万人とかの町とか村がいっぱいあるわけですね。それは本来、平成の市町村合併でもっとちゃんと、三十万、四十万、五十万以上の市が全国できっちりと整備されていれば、今回のような、都道府県に前に出てきてもらう必要はなかったんじゃないかという思いがあります。

 これはできれば大臣にお願いしたいんですが、これは要は財政的にもたないからやる措置であって、本来は、市町村国保の保険者としては、市町村がしっかりとその役割を果たしていってもらうことが本当は理想であったというふうに私は理解していますが、御見識、違いますでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど、答えようと思ったら局長が答えちゃったんですが、法律には、「都道府県は、当該都道府県内の市町村とともに、この法律の定めるところにより、国民健康保険を行うものとする。」となっていまして、あと、国、都道府県、市町村の役割の中で、都道府県は、「国民健康保険事業の健全な運営について中心的な役割を果たすものとする。」こう書いてあるんですね。

 したがって、先ほどのようなことで、財政運営の中心は都道府県であるけれども、言ってみれば、保険者としての責任は両方が、都道府県が市町村とともに負うということだろうというふうに思うんです。

 いろいろ、世界の中でも、皆保険制度でここまで相対的に低廉な価格で医療が提供されるというのを達成しているわけですから、これが超高齢化の中で新たなこういった仕組みをつくるときにどうなるかというのは、なかなかすっきり頭の切りかえが難しいかもわかりませんけれども、今度はこういうことで再編をしてみようということでやるということでございます。

 市町村合併の話がございましたが、今回のこの改革では、財政支援の拡充によって財政基盤の強化を図ることで、市町村でやった小規模な保険者の国保を、財政運営の責任主体が市町村から都道府県に行くことによって、多様なリスクを都道府県全体に分散、つまり、リスクプールは都道府県にする。それから、都道府県が域内の統一的な国保の運営方針を示すことなどによって、市町村の事務の効率化、標準化を図るとともに、地域の実情に応じて市町村事務の広域化というのを推進する。

 一方で、例えば住民向けの保健事業、健康づくり、予防、そういったものについては引き続き、さっき申し上げたように、基礎自治体である市町村に、身近な自治体として保険者機能を発揮していただくこととしておりまして、介護保険の保険者としての取り組みともしっかり連携ができるようになっているのではないかなというふうに思います。

足立委員 今大臣の方から、財政の責任とか、あるいはリスクプールは都道府県レベルでというお話がありましたが、これは保険局長、保険者機能というのは、まさにリスクをプールして対処していくのが保険者ですよね。

 すると、財政は都道府県と言うけれども、基本、保険者は都道府県であって、市町村がそのリスクを保険者としてマネジメントするということはもう基本的にはなくなっていく、少なくとも施策の方向的にはもうそっちに行くんだと。前から申し上げているように、介護は市町村に寄っていって、医療は都道府県に寄っていく、これはやはりそうだと思うんですよね。

 ちょっと大臣はお立場があるから、局長、認めてください。

唐澤政府参考人 市町村はもう財政的な関与はないのかというふうに御質問をいただければ、これは、例えば、保険料の収納努力でありますとか医療費の適正化努力だとか、後発品の使用の促進だとか、あるいは予防、健康づくりということで、そういうものが効果があれば、自分のところの医療費の水準が下がって納付金が下がりますので、やはり財政的なインセンティブをなくしてしまうという制度にはできませんので、これは、市町村も財政的な関与というものは残していくという制度にさせていただきたいと考えているわけでございます。

 その上で、医療と介護の連携というものをどういうふうにつなげていくかという点は、先生御指摘のとおり、非常に重要な点だというふうに考えております。

足立委員 きょう、総務省にもお越しをいただいています。お忙しいところ、ありがとうございます。

 市町村合併の目的は何だったんでしょうか。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 市町村の行財政基盤の強化というのが、市町村合併の目的でございました。

足立委員 であれば、時澤審議官、平成の大合併は、その評価はどうなっているんですか。これは一応完了した、終わったわけでしょうけれども、それは途中で終わったということか、目的は達したということですか、どうですか。

時澤政府参考人 市町村合併につきましては、平成十一年度から推進ということで、国の方でさまざま施策を展開しておりました。その法律が二十一年度末で切れるということでございました。そのときにいろいろなことが議論をなされました。

 そのときには、やはり相当程度、市町村合併は進んだということの認識が示されておりますが、ただ、小規模な市町村も残されておりますので、引き続き自主的な合併の円滑化についての支援は行いますけれども、それまでやっておりましたような、国の方がいろいろ計画をつくってというような推進はもうやめようと。

 ただし、小規模市町村等ございますので、合併してくださるところは引き続き合併について御検討いただくとともに、広域的な連携、市町村間の連携、あるいは都道府県の補完、そういったことでいろいろな行政体制の整備を図っていくということが打ち出されたところでございます。

足立委員 こだわるようですけれども、ちょっと引き続きこれをやりたいんです。

 要すれば、市町村の財政基盤の強化に努めてきたわけですね。それが今おっしゃったような形で、今は、総務省としては、今御答弁された状況にある。それぞれ自主的にやってもらえればあとはいいということですが、逆に、そういう平成の大合併の取り組みがあったにもかかわらず、今般、医療保険は、市町村国保は、財政的な課題から都道府県に前へ出てきてもらわざるを得なくなった。私は、本来、市町村国保として維持できればそれにこしたことはなかったと思うんですね。

 すると、きょうは時澤審議官と唐澤局長にお越しをいただいていますが、私の理解は、市町村合併が十分じゃなかったから今般の法改正に至ってしまった、こういうふうに解釈せざるを得ないんですけれども、まず、私の解釈はおかしいでしょうか、唐澤局長。

唐澤政府参考人 国民健康保険の運営責任の問題、主体の問題につきましては、実はかなり以前から議論がございます。

 というのは、諸外国では、医療保険あるいは医療の提供体制、こういうものの主体というのは、大体、州や県というようなところが担っているわけでございます。これは、例えば、町村レベルでは急性期医療の病院なんかないわけでございますね。隣の隣の大きな市の総合病院に救急で搬送されるということで、どうしても広域的な要素を医療には含んでいる。介護は自分のところの中のエリアが多いんですけれども、医療はどうしても広域的なところがある。

 ところが、医療保険あるいは医療費という面では、これは市町村が中心になって実施をしておりまして、都道府県の関与というものが弱いのではないか、医師確保だとか病床とか、提供体制の方は県がやってきましたけれども。だから、それを一緒に考えていただくという総合的な視点が必要ではないかという議論が、実は国保の問題にはございます。

 もちろん、合併の状況ということも関係ないわけではございません、まだ小さな町村がかなりございますので。

 そういうような全体的な状況から議論が進んできたというような状況でございます。

足立委員 ありがとうございます。

 今、局長から諸外国の例を紹介いただきましたが、すると、今おっしゃった諸外国もいろいろでしょうけれども、諸外国はちょっと私は勉強不足ですが、諸外国のグローバルスタンダードは、医療は、提供体制も保険も州というかそういう広域行政がやっていて、介護保険というのは余りないんだっけ、ちょっとわかりませんが、きょう私が申し上げている医療、介護の保険者、そういうところでいうとグローバルに、もう一度、そこはどう評価されるんですか。介護も含めてちょっと御答弁ください。

唐澤政府参考人 もちろん、全世界を承知しているわけではございませんけれども、例えばアメリカでは、公的な医療はメディケアとかメディケードとかありますが、そういうものの、どちらかちょっと今忘れましたけれども、多分メディケアだと思いますけれども、主体は州でやっております。

 それから、北欧などでも、大体、州または県というような名前になっておりますけれども、そこで医療を担当して、介護といいますか福祉といいますか、それはコミューンと言われている市町村ベースでやっている。

 ただ、これをどうやってうまくつなげるか。地域包括ケアというのは医療も介護もつながっていないとだめですので、それをどうするかということは、先生の御指摘のように、設計すればただつながるというわけではありませんので、それは私どもの、これからの重要な地域包括ケアの課題だというふうに受けとめております。

足立委員 すると、世界も、そういう医療と介護、ごめんなさい、保険の体制はまた違うと思いますが、ある種、そういうシームレスな地域ケアのあり方というのは世界的にも課題だということですかね、そこは。ぜひお願いします。

唐澤政府参考人 先生御指摘のように、実は非常に大きな課題でございます。

 それで、日本が一番高齢化が進んできておりますので、我が国で典型的に課題になって浮き彫りになっているところが実はございまして、介護保険制度があるのは、ドイツがありまして、オランダが一部医療保険でやっておりますけれども、実は世界的に課題でございます。これはインテグレーテッドケアというような課題になっておるんですが、それをどうするかという方法論は、これがいいというところまではまだいっていないですけれども、課題でございます。

足立委員 ありがとうございます。大変よくわかりました。

 我々、実は今、大阪でわあわあやっていますけれども、ここで別に都構想の話をするつもりは全くありませんが、しかし、我々が今大阪で苦労してやっているのは、要すれば、基礎自治体と広域行政の役割が、政令市制度もあるがために話がややこしくなっているので、一回整理しとかなあかんよなというのが最大の、根本的な議論なんです。

 そうしたときに必ず、これから整理していく中で、市町村が果たす役割、広域行政が果たす役割、それから国が果たす役割、これは共産党さんと考え方は真逆なわけですが、ただ、ちょっとはっきりしようやというところはあるんだと思うんです。

 なぜはっきりせなあかんかというと、これまでみたいに、市町村と広域行政と国が、まあまあと言って折半するような形で物事を進めているような責任体制では、これからの厳しい時代を乗り越えていくことはできないんじゃないかという問題意識があるわけです。

 通告から話がちょっと飛びますが、今回の制度で、財政安定化基金というのがありますね。これは、交付分への補填については、国、都道府県、市町村が、市町村の保険料を含めて三分の一ずつ、こうなっていますね。これも私はよくわからないんですよ。何でこれは三分の一ずつなんですか。合理的な説明というか、どういうロジックがあるんですか。

唐澤政府参考人 この財政安定化基金、先行する制度といたしましては、最初に介護保険で財政安定化基金が設けられました。そして、現在実施されております後期高齢者医療制度においても安定化基金が設けられまして、国民健康保険におきましても、広域化をして、その際に新しい財政安定化基金を設けようということにしているわけでございます。

 これは三分の一ずつ補填、何かに支出をして、保険料が予定よりも少なかったというような市町村に、やむを得ない事情のときに支援をするということになるんですが、支援した後は穴があきますのでそれを補填するということになるんですが、その補填分につきましては、国と県と市町村が三分の一ずつというふうにしているわけでございます。

 これは、それぞれが三分の一ずつの責任を持ってこの基金を運営するという考え方であろうと思っております。

足立委員 いや、局長、三分の一の責任を負う、それは、なぜ国が三分の一で、なぜ都道府県が三分の一で、なぜ市町村が三分の一なんですか。僕、今聞き逃したかな。その理由は何なんですか。

唐澤政府参考人 ぴったり三分の一でなきゃいけない理由というのは、それにはないんですけれども、類似の制度なども参考にして三分の一ずつにする。

 国が負担をしている理由は何だということになれば、これはやはり公的な、強制的な社会保険制度、国民全員が加入する皆保険だという責任をやはり国は持っておりますので、制度を企画する、そういうようなことも踏まえて三分の一ずつになっているんだというふうに理解しております。

足立委員 先ほどおっしゃったように、制度のベースが介護保険から来ているというお話もありました。介護の財政基盤、財政の構成がどうなっているかということも一応承知しているつもりですので、現状としては理解できるんですが、私は、そういう三者が折半をするような責任のあり方というのが実は非常に問題じゃないか、こう思うんですね。

 どちらかというと、これからの時代は、市町村、都道府県、国がそれぞれ役割を明確にしていって、誰が責任を負うんだと。原発もそうですね。基地もそうですね。全ての問題で、それが明らかでないがゆえに、もめているということが多いわけですよ。だから私は、基本的には三者の役割分担、国、広域行政、基礎自治体の役割分担を明確にしていくべきだと思うんです。

 この法律については、私たち、決してネガティブではないんですよ。ネガティブではないが、しかし、大きな方向性をこうやってつぶさに見ると、逆を向いているんじゃないか。すなわち、三者の責任関係をまぜる方向にまぜる方向に行っていると思いますが、まず、現状、まぜる方向に行っているという認識はいいですかということと、それで本当にいいですか、これからもまぜる方向ですか、本来は分ける方向じゃないんですか。

 橋本政務官、もし御意見があれば。ぜひ政務官に、大臣いらっしゃらないので。副大臣もいらっしゃいますが、政務官、お願いします。

橋本大臣政務官 目が合ってしまいまして。当てていただきまして、ありがとうございます。

 今回の国保の制度改革によりまして、市町村がやっていたものを都道府県にも責任を負ってもらうというようなことは承知をいただいていると思いますし、それも、都道府県がなぜかというところは、提供体制も見てもらうからということになっていることは十分御理解をいただいているということだと思います。

 ですから、どこかがもちろんきちんと責任を持つべきなのだ、確立をさせるのだというのは一つの考え方だと思いますけれども、きちんとそれぞれの役目を分担しながら、責任を分かち合って全体としてよくしていこうという方向というのは、一つ、そういう方向での考え方というのもあってもしかるべきなのではないかと思います。

足立委員 そつのない御答弁だと思います。

 私たちは、共産党さんはわかりませんが、私たちは、とにかくしっかり分けていくべきだという考え方であらゆる政策に向き合っているところなんですが、ちなみに、もう一つ、三者の役割分担ということに加えて、保険なんだから、いわゆる国庫の投入は減らしていくべきだという考え方も強く持っています。維新の党になる前の日本維新の会の時代ですが、国庫を全部引き揚げて、いわゆる被用者保険の一元化みたいな形で、もう国庫はやめるみたいな予算の修正案を衆議院にお出ししたこともありました。

 医療保険財政全体に対する国庫の補助割合というのは過去どうなってきたのか、今回の改正の影響はどうなるかも教えてください。

    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕

唐澤政府参考人 いわゆる国民医療費に対する国費の割合、こういうことになりますけれども、国民皆保険がスタートをした時点、昭和三十六年度でございますが、このときは一七・七%でございました。そして、累次のいろいろな給付の充実あるいは保険料の軽減というようなことがございまして、昭和五十八年度には三〇・六%まで国費が上がりましたが、その後、財政再建などのいろいろな議論などもございまして、昭和六十年度以降はおおむね二五%前後で推移している、おおよそ約四分の一というのが国費の水準でございます。

 今回の改正では、財政支援の拡充に消費税の財源を充てておりますので、その部分につきましては、全体として増額、約三百億円の国費が増額になると思います。ただ、この消費税財源がふえている部分については、都道府県と市町村の負担もございますので、そういうものを合わせれば、全体で、公費の部分で増加をするのは一千億円くらいというふうに理解しております。

足立委員 国費であれ公費であれ、今局長おっしゃったように、これまでも累次の見直しでふえてきたけれども、今回の改正でもなお上がるということで御答弁いただいたと思います。

 これも、我々がもし政権に関与をしていれば、今はまだありませんが、いれば、この点はすごくこだわるところで、やはり保険は保険なんだと。本当に、今御紹介いただいたみたいに、公費がどんどん入っていって、かつ、先ほど冒頭申し上げたように、責任関係が、お金の入り方も三者が平等に入る、国と広域と基礎と。それから保険者機能も、何か都道府県なのか市町村なのかよくわからなくなるということで、私は、医療のあり方、医療の保険者機能への期待という観点から大変心配をしているところであります。

 もう時間が余りなくなってきましたので、次へ行きたいと思います。

 今、振りかぶった大きな観点から御質問させていただいているわけですが、結局今のような、年齢とか地域ごとにある、皆保険とはいえ当初から一七・七%の公費が入っていた、それをできるだけ保険として純化させていくのが本当は行政の、国の役割だと思うんですが、そういう意味では、私の観点からいえば悪化をしてきた。

 でも、やはり将来的には、これからは会社中心の時代でもないということで、私は、職域保険ではなくて地域保険に集約していく、こういう方向性じゃないかと思っていますが、厚労省としては、職域から地域保険への集約というのは、お考えはあるんでしたっけ、ないんでしたっけ、ちょっと確認まで。一言でいいです。

唐澤政府参考人 厚生労働省は、まだ地域保険に集約するというところまでの方針は打ち出しておりません。財政調整をしているという状況でございます。

足立委員 ぜひ、こういうこともなかなか意思決定しにくい、関係者が多いので難しいですけれども、私たちは、やはり一定のそういう方針を本当は国は明確にしていくべきだと思っています。

 その際に必ず、いわゆる健保組合から、何を言うんだ、俺たちこそ保険者だ、今までの努力を何と心得るか、こういう意見が出てきます。これについては、おととしの委員会でも私がこの場で、クリームスキミングという言葉を使って、いや、それは経営努力なのかどうなのかわからないのではないかという指摘をしましたが、これも厚労省の見解をちょっと教えてほしいんです。

 要すれば、健保組合が俺たちのパフォーマンスは立派だろうと言っている、その健保組合のパフォーマンス、アウトプットですね、アウトカムでもいいんだけれども、健保組合のアウトプット、アウトカムは、それは全て健保組合の経営努力だと見るべきなのか。そこには私が何度か指摘したクリームスキミングという議論があるのか。御見解を教えてください。

唐澤政府参考人 健保組合もかなりの数がございますので、かなり予防対策や、あるいは従業員の健康に気を使っているところもございます。ただ、確かに先生御指摘のように、かなり年齢が若くて所得の水準が高いというところもございます。

 ただ、我々の方としては、高齢者医療の費用につきましては、もとはサラリーマンの人が退職した方がかなりいるわけでございますので、その部分の負担の割合というか、保険料に相当するようなものは同じ割で負担をお願いしたい、こんなふうに考えているところでございます。

    〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕

足立委員 後半部分の御答弁は伺っていないところなんですけれども、要すれば、クリームスキミングは、組合によってというか分野によってはあるというふうに御答弁いただいたと思います。ちょっと、ちゃんとあると言ってください。

唐澤政府参考人 なかなかクリームスキミングがあるというふうには申し上げられないんですけれども、非常に健康づくりに努力しているところもございますし、ただ、中には、やはり所得の水準がかなり高くて運営が良好というところがあるのも事実でございます。

足立委員 クリームスキミングというのは、いわゆるミルクのおいしいところだけをすくい取って、それをクリームスキミングというわけでありまして、大企業の健保組合は採用の入り口で健康な人が集まっているんじゃないか、そういう経済学の議論でありますが、今、局長から、あるとは言えないよと。

 そういうところをやはりこれから変えていかなあかんと勝手に思っています。世の中にはタブーというのがあるそうでありますが、ちょっとしいんとしていますが、労働政策、医療政策を超えて、ぜひ、これからこの委員会の場で本当のことを正確にやはりやりとりさせていただいて、言うべきは言う、そうしないと結局本当の改革は進まない、こういうふうに私は僣越ながら思っているところであります。

 もう時間も来ますので、最後に、大臣にお願いしていいのかわかりませんが、いわゆる患者の申し出療養、これは、保険適用の問題で大変なせめぎ合いがあって、皆様の御努力でここまでつくっていただいたと敬意を表したいところであります。ついては、これは将来的には保険適用を目指すという文言で今落ちついているわけですが、実際に、患者申し出療養、保険適用を目指すという方針が書いてあるわけですけれども、これはちゃんと保険適用できますか、通常のペースで。

 その辺のことはまたタブーだと思いますが、塩崎大臣であれば、はっきりとわかりやすく御答弁いただけると思うんです。よろしくお願いします。

塩崎国務大臣 法律に目指すと書いてはないのではないかという認識でございます。

 おっしゃるように、将来的な保険収載に向けて、実施計画の作成というのを義務づけていくわけでありまして、保険収載までの期間がどのくらいになるかというのは、それはケース・バイ・ケースで、なかなか難しいケースもあるでしょうし、比較的早いのもあるかもわからないということでありますけれども、保険適用に必要なデータとかエビデンスを集積して、安全性、有効性の確認をした上で、将来的には保険適用につなげようというのがこの制度でありますので、広く国民が、医療保険制度の中で先進的な医療を、たとえ今、保険収載されていなくても、将来されることを前提に、ぜひこの新しい患者申し出療養で必要な医療を受けてもらいたい、こういうことでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 時間が来ましたので終わりますが、かつて混合診療と言われていたようなテーマについては、私は、とにかく医療は大変なイノベーションが起こっている世界ですから、このイノベーションの成果を国民が享受していくためには、ありていに言えば、はっきり言えば、保険収載にこだわらず、国民の手に技術、イノベーションが渡る、そういう形を目指していきたいと個人的決意を申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 民主党の阿部知子です。

 塩崎厚生労働大臣には、社会保障分野、年金、医療、介護、福祉、そして今、とりわけ労働分野も大変に懸案事項というか対立事項が多い中で、日夜、あらゆる場面に御自身で答えを出していかねばならない激務であると思いますが、やはり国民が一番望むのは社会保障分野がどうあるかということでありますので、大臣御自身のお言葉でお答えいただくよう、私は、きょうは細かい数値になるべく立ち入らず、骨格的なことのお尋ねをしたいと思います。必要な場合は担当部署の方に立っていただきますが、なるべく大臣御本人の御答弁をお願いいたします。

 今回の法案は大変長いタイトルで、持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案だと。これまでにできましたプログラム法にのっとって、国民健康保険等の保険の持続可能性をどうするかという趣旨でつくられておる改正案であり、並びに、お手元の資料の一枚目を見ていただきますと、ここに、市町村国保が抱える構造的な課題と社会保障制度改革プログラム法における対応の方向性というふうに銘打って、プログラム法にのっとってやった場合にこういう課題がありますよという現状の課題認識がございます。

 ごらんいただければわかりますが、まず、国保の問題については、年齢構成が、年齢が高い方が多くて、医療費もかかっておる。それから、財政基盤が弱くて、所得水準が低い、そのゆえにまた保険料負担が重い。財政の安定性、市町村格差などにもきちんと対応するというのが問題認識としてここに挙げられております。

 私は、ここに欠けたる四つの視点ということで、きょうは大臣に質問をしたいと思いますので、なるべく後ろの担当者の方は大臣を妨げないように、大臣が御自身でお答えいただくようにお願いいたします。

 もともと、今、日本の時代は大きな転換点に当たっておる。すなわち、人口が戦後ふえ続けて、そして高度経済成長のその先に、ダウンサイズ、サイズも小さくなっていくし、しかし、その中で、どうやって本当の意味の持続可能性のある社会保障をつくっていけるかという問題なんだと思います。

 誰でもがすぐ気づくことですが、この改正によって医療保険の持続可能性はあったとしても、これもわかりませんが、本当に、保険あって医療なし、すなわち、保険料は払っているんだけれども医療は受けられないというような最悪の事態が来るやもしれない。私は、まず第一点、これが一番大きな問題だと思います。

 大臣には、今の人口減少時代、特に消えてしまう自治体などの指摘もある中で、果たして医療提供体制の現状についてどのようにお考えか、お願いをいたします。

塩崎国務大臣 私もかつて中選挙区時代の選挙をやっておりますので、高知県境から広島県境、山口県境の島まであって、そういったところの医療は、今から二十年以上前から、その時点でもなかなか厳しい。

 例えば、かつては山の中に済生会の病院の出張所みたいな形の診療所があったにもかかわらず、それももう今閉じたというようなこともあって、島は、もちろんもっと大変なことになっているわけでございまして、先生方は大体おられない。そうすると、松山まで船で出てきて病院に行かないといけないという状態がある。

 また一方で、救急体制などを見ると、私の今の選挙区である松山であれば、救急体制はぎりぎり大丈夫かなと。それから小児科も、ぎりぎり二十四時間体制を当番制で組んで、医師会が頑張って何とかなっている。しかし、あと東予とか南予、こういったところは、もう救急体制がなかなか難しくて、産科も、難しい産科はもう初めから宇和島から松山に来て産まないといけない。

 そういうようなことがそれぞれやはり地域によってあるということは私もよくわかっていますし、救急体制がうまく回っているといっても、それは辛うじての松山であって、松山も、このままいくと、あと十年もたてば、今当番制でやっている、小児科の二十四時間当番でやっている先生方も、もう私は、俺はできないということをおっしゃっているということでありますから、いろいろ課題があることは大変多くある。

 だからこそ今回我々は、県に、全体を見ながら、医療のビジョンをつくりながら、供給体制にも責任を持ってもらって、なおかつ、国民健康保険についても、市町村だけが今まで苦労してきて、いつも毎年大会をやって、金くれという話をやっていて、苦しい国民健康保険はもう県単位にしないとだめじゃないかとよく言われておりましたが、今回それが、両方が保険者に事実上なりながら、都道府県が中心となってやるという制度を提案申し上げているということであります。

 なかなか難しいことがたくさんあるのは、よくわかっています。

    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕

阿部委員 私が冒頭お尋ねしたのは、保険料は払っているけれども、例えば地域に病院がない、いわゆる無医地区、無医村というものが大変ふえているわけです。そうすると、保険料を払って一体どうなのという疑問が、当然そこにお住まいになる方にも芽生えてまいります。

 資料の二ページ目、お開きをいただきますと、ここには、国保直営診療施設の推移というものが挙げてございます。

 昭和三十六年に国民皆保険制度が国保、いわゆる国民健康保険法として発足したときに、同時に、提供体制として、国保の直営診療所をつくっていくということが、二つの車輪で回ってまいりました。これも今大臣がおっしゃったように、もちろん済生会のようなプレーヤーもありましたし、いろいろなところが、保険をつくるんだったらやはり医療が提供されなくちゃということで、日本全国を支えてきた。

 国保の直営診療所あるいは病院について、昭和五十五年と平成二十五年を比べていただいて、中の段、不足市町村というところを見ていただきますと、診療所にすると、五十五年を一〇〇とすると三三%、病院で三九%。三割ちょっとの診療所しかなくなり、四割弱の病院しかない。これ一つ見ても、身近なアクセスのところに、もう既にかかれる病院がなくなっているわけです。

 大臣に伺いますが、この国保の直営診療所というのは、これから健康保険の方の保険者は市町村じゃなくて県だと言いますが、国保の直営診療所の運営あるいは配置などについての事業主体、運営責任は、今度はどこになるんでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、私の身近なところでも、診療所があるかないかぐらいのところもたくさんあるということで、いわゆる医療難民と呼ばれている人たちができているということだろうと思います。

 今の国保の直営診療施設でございますけれども、今回私どもが御提案申し上げているこの改革の中では、やはり引き続いて市町村の事業としてやっていただいていくということになるというふうに私どもは考えておりまして、先ほど来議論がありましたように、都道府県が財政運営責任を負うといっても、一番身近なのはやはり市町村でありますので、市町村が身近にこういったところについての配慮をしてもらって、責任を担っていただくということに引き続きなると思います。

阿部委員 実際は非常に難しいですね。財政的な主体と医療という現物給付の主体にずれが生じていくわけで、この点、きょうは深く聞きませんが、ぜひ大臣にはそこに問題意識を持っていただきたい。

 今までであると、例えば各村の村長さん、町長さんは、自分のところにお医者さんを連れてこなくちゃ、あるいは診療所をやらなくちゃということがほとんどの政治の中心で、保険料をいただいて医療を提供する、それがなかなか実現できなかったのも事実でありますが、そこには、ある責任を伴った体系がございました。

 今度は、保険料は一括プール、医療の体制については各都道府県。よっぽどこれは綿密に、例えば、足の便が悪くて病院にも行けない、隣町には病院がある、三つ向こうにはある、果たしてそこまでの交通費はどうするんだろう。住む町によっては大きな格差が出てまいります。

 私は、今回の改正、ある意味でこの方向はあり得ると思っておりますが、果たして、先ほど言った、保険あって医療なしにならないのか、この点が一番懸念でございますので、課題は残されているという認識に立っていただければと思います。

 引き続いて、資料の三ページ目をおめくりください。

 ここには、都道府県別の一人当たり医療費の格差の状況、これはよく言われますが、各都道府県の中でも、医療費の高い市町村と医療費が余りかかっていない市町村で差があるんだと。赤で囲ってある、東京都で一番かかっている村とかかっていない小笠原村では三・一倍、使っている医療費の格差がある。あるいは、一番格差が少ないのは富山県で、朝日町と高岡市では両方比べても一・二くらいしかない、標準化されているというような数値です。

 大臣にお伺いしたいのは、医療費というもの、先ほど足立さんのお話にもちょっと出ておりましたが、今までは、病院が多いと、入院ベッドが多いと医療費が高くなるんじゃないか、よくそう分析されておりました。大臣には、こういう数値を見て、あるいは格差と指摘されることを見て、どのような原因分析があり得るとお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 私の地元もあるものですから、これを見てみると、安い方は市であり、もう一つは山の中の町、高知県境まであるところであります。

 市町村別の一人当たりの医療費につきましては、よく言われているように、いわゆる西高東低と言われていて、西の方が随分高い。また、北海道は東低の中でも突出して高いということになって、医療費に地域差が何でこんなに出てくるんだということを今お尋ねでございました。

 一つは、やはり医療供給体制がどうなっているのかということを一番に挙げなければいけない。つまり、ベッドがどのくらいあるのか。

 それから、人口の年齢構成でこれを見ると、高齢者が多そうなところに比較的、やはり最大というところに来ているのはそうなのかなということを感じさせるところがございます。

 それから、住民の生活習慣とか健康づくりも、これは長野のPPKの話がよく出ますけれども、こういうようなものも随分その差をつくっているのではないか。

 さまざまな要因があると思いますけれども、やはり先ほど来申し上げているように、病床数が一番相関が高いのかなというのが我々いつも見ているところでございまして、そういうことであるからこそ、いわゆる地域差の見える化ということを進めるための分析を行って、みんなに認識してもらいながら、病床の機能分化、連携の推進ということで、今回、医療供給体制を都道府県が責任を持って見てもらうということでありますし、また、特定健診や保健指導は、どちらかというとこれは市町村で頑張ってもらわなきゃいけないと思いますけれども、いずれにしても、重症化予防を含めて、予防、健康づくりというものを全体的にやっていかないといけないのではないか。

 差という意味では、先ほど申し上げたような理由が主かなと思います。

阿部委員 私は、大臣が前段おっしゃった、ベッドが医療費を引き上げているというのは常識のうそだと思います。

 どういうことかというと、例えば青森県を見ていただきます。これは、たまたま私の仲のいい友人が青森で医者をしております関係で、どうして佐井村の医療費が一番高いのか、大間は低いんですけれども、この差が何なのかと思って、ちょっと尋ねてみました。そうしましたら、佐井村は二〇〇八年から無医村、お医者さんがいません。病膏肓に入るではありませんが、いよいよ重くなって、どこか近隣に出かけて治療を受けている。それから、さっき前段、大臣が御答弁の中でおっしゃったように、愛媛も恐らくそうです、県境にある町はなかなか医療アクセスが悪い。そして、おっしゃったように、宇和島等々はいろいろなものがまだ残っている。

 となると、今までの指標で、ひたすら病院の入院なんだ、入院が長いんだ、高齢者が大変なんだ、負担なんだという視点から、もう一度これを丹念に見直して、丁寧な分析と、何が医療費を上げているのか。方向が逆になると思うんです。身近な診療所で、例えばイギリスなどもそうですし、各地域のお医者さんが受け持ち医を決めて、予防医学に力を入れる、キューバもそうでございます。そういう方式が、もしかしてこれからの格差時代に一番人の幸せをつくるのかもしれません。

 これを全部数値に落とし込んでポジティブなデータに病床数とかを入れていくと、ある一面、うがった見方はできるかもしれないけれども、これは生身の従事者に聞いてみると、よくプロフィールがわかると思います。

 もう一つ付言させていただければ、佐井村には小学校はありますが、給食がありません。結果、何が起こるかというと、今子供の貧困問題でも問題になっておりますが、食事がインスタントラーメンとか非常に、給食たった一回でもその子にとって栄養を与えているということがあるのは大臣も御承知だと思います。

 そうすると、幼少期の給食もない、御高齢期になって医療機関もない、だけれども医療費は高いんだ、医療費が高いからもっと保険料を上げましょうとやっていくのは、私は診断と処方が真っ逆さになってしまうと思います。本当に幼少時からのよりよい、フェアスタートといいますけれども、子供のケアと、それが保健ということですが、そういうことに大きくシフトしていく時代になっています。

 このデータ、毎年毎年のを見ていると非常に参考になりますので、厚生労働省としてもそういう地に足のついた分析をしていただきたい。数値に入れ込んでしまうと消えるものがそこにはあります。ぜひ、今私が御紹介した青森県の事例、高橋さんがおられれば、今度聞いてみるとこの件についてよくわかると思います、高橋さんは青森ですので。

 そうやって地方から見て、何が医療費を上げているかということは非常に、大臣はちょうど地方部も抱えたところの御出身でありますし、私はそういう目で見ていただきたい、都会だけの目で見ないで。もちろん、東京とか千葉、神奈川は高齢率がぐっとふえて、その方たちの入院ベッドをどうしようというのが一番のテーマになってはおります。でも、多様な日本の中で本当に誰にも生存権を保障するというのが役割でありますので、分析についてぜひお考えをいただきたいと思います。それが一点目です。

 ダウンサイズする時代の、そして地域格差が広がり人口が消滅するかもしれない地域もなおかつあるわけで、そこに生存権の基本をどう担保していくかという問題であります。

 二点目は、私は、貧困化が著しいスピードで進んでいることに対して、今回の改正は根本的な処方箋の視点を欠いていると思います。

 お手元の資料の四ページ目をおめくりいただきたいと思います。

 私がきょう取り上げますのは、全部国民健康保険、国保であります。というのは、国保はもう最終ランナーで、ここで受けとめて医療を保障していかなきゃいけないということで国保を引き合いに出させていただきますが、ここには、保険料負担の格差といって、もちろん、協会けんぽや組合健保との格差を比較したものであります。

 大臣にぜひ着目していただきたいのは、収入なしという世帯でも国保の場合は保険料がかかってくる。その地域の非課税世帯でも保険料がかかってくる。生活保護受給額の保障するところの金額よりも低い収入でも保険料がかかってくる。ゆえに、保険料を払えなくなって、御病気を得て、そこから生保に行かれる方が非常に多いです。

 私は、救急医療も含めた医療現場におりましたから、無保険で来られる患者さんも含めてしょっちゅう診ておりましたが、そうすると、なぜ国保は生保以下の人に保険料を払えと言うのかなと、素朴に疑問でありました。

 収入なしの世帯にも、収入なしというのは非課税世帯ですね、保険料がかかってくる構造を大臣はどうお思いでしょう。

塩崎国務大臣 国保というのは、全ての被保険者がひとしく保険給付を受ける権利がある。そして、被保険者全体の相互扶助で、プールで支え合うということでもあるわけでございますので、世帯の所得とか被保険者数等によって応分の保険料を負担していただくというのが必要なわけでございます。

 具体的には、所得等を基準に負担能力に応じてお支払いをいただく応能割保険料と、それから、被保険者数等を基準に受益に応じてお支払いいただく応益割の保険料の合計によって算定をしているわけであります。

 そうはいいながら、しかし、所得が低い世帯については現行制度で軽減の手だてを講じているわけでございまして、応益割の保険料を軽減する仕組み、あるいは自治体判断で、収入の減少などの特別の理由がある方の保険料を申請によって減免することを可能とする仕組み、それから、低所得者が多く加入する保険者への財政支援により、被保険者全体の保険料水準を抑制する仕組みなどによって、保険料負担に配慮しているわけでございます。

 今回の改革では、平成二十七年度から、低所得者が多く加入をする保険者に対しては合計約千七百億円の財政支援を拡充すること、そして、それに加えて平成三十年度以降は、子供の多い自治体や医療費の適正化などの取り組みを推進している自治体に対してはさらに千七百億円を上乗せして財政支援を行うということで、国保の財政基盤の強化を図って、保険料の伸びの抑制などの負担軽減につなげて、保険料を納めやすい環境を整えていきたいというふうに考えているところでございます。

阿部委員 今大臣がおっしゃったのをやってあるのは知っているんです。

 私は、実は、こうやって質問しますが、国保の持続のために厚生労働省も含めていろいろな細かなサポート体制をつくっておられるということは承知した上で、しかし、収入なし、非課税世帯、七割減免してもらってもあとの三割が払えないという、収入なしですから、そうなっているんじゃないかということなんですね、問題意識は。いわば人頭税みたいに、応益部分、あなた、このグループに入れてほしかったらちょっとは払いなさいなと言われても、これは払えない。だったら生保に行った方が、行かざるを得ないというのが現実なんです。

 それで、生活保護にかかる費用が今膨大になっていて、どんどん受給が縮小しています。しかし、それがまた生存権を脅かす。であれば、なるべくこのプールにいてもらう、保険の中にいてもらうという仕組みは極めて重要で、今大臣がおっしゃった応益部分の七割、五割、二割を軽減していくという仕組みをつくっておられるのは知っています。

 次のページをお開きいただくと、これは甲府市の例なんですけれども、一九九二年から二〇一四年までを比べると、逆に、政府としては応益部分をふやして、二〇〇七年の政令改正で、実際に実施されたのは、ここの二〇一四年以降ですが、応能部分と応益部分をフィフティー・フィフティー、五〇%ずつにして、そのうち応益部分の七、五、二でやりましょうと、減免をしたいと思ってやられた制度なんだと思うんです。

 ところが、収入のない、課税所得もない低所得者にとっては、こっちの応益部分のボリュームがふえて、そこでまた、減免されない三割を払っていくということができなくなってしまっています。

 これは複雑だからよく見ていただきたいんですけれども、大臣たちが一生懸命、応益部分の減免をしておられるのは知っているんです。だけれども、その減免をきかすために、全体の幅の中で応益部分をどんどんふやしてきたんです、国から直にお金が入るから。だけれども、今度、その応益部分の三割は、払わなくちゃいけなくなった人にとっては払えなくなっているんです。ここをぜひ認識していただいて、よかれと思ってやっていらっしゃるんだと思います、だけれども、払えない人がふえていて、生保に行かざるを得ない人がふえてしまっています。

 大臣がおっしゃったように、各自治体は、応能部分、応益部分を含めて減免を、自治体は自治体でやっております。やっていないところも、やっているところもありますが。

 大臣、果たして、これから県単位になったときに、本当にこのまま応益部分の三割は、どんなに金がなくても払えと言い続けるのか、そして、各自治体ばらばらの負担軽減策をとってきましたが、そこの調整はどうなるのか、今の時点でのお考えをお聞かせください。

塩崎国務大臣 これは、甲府市の例を今お出しいただいておりますが、各市町村の保険料については、住民の理解が得られる形で、それぞれ適切に市町村が判断をして設定されるということで、基本的には、今回の仕組みでも賦課をするのは市町村ということになります。ですから、標準保険料こそ都道府県が示しはしますけれども、そこから先どうするかというのは、納付金を勘案して市町村が決めるということになります。

 御指摘のとおり、甲府市の国保保険料については、応能割の保険料の比率が減少して、応益割の保険料の比率がふえているということは、今先生御指摘のとおりだと思います。このような応益割の保険料、応能割の保険料の比率も含めて、各市町村の保険料設定の実情については、私どもとしてはよく見ていかなければならないと思いますので、把握する努力はしていきたいというふうに思っているところでございます。

阿部委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。ぜひ実態を把握していただきたい。

 応益割がふえればふえるほど、例えば甲府市でも、全体が、年間です、これは所得なし世帯四万六千八百円というところで、これの半分は応益割だと二万三千四百円、その三割はどうやっても減免されなくなってしまうんです。ですから、各モデルでいいです、幾つか選んでいただいて。

 というのは、国保の保険料の賦課方式は、資産まで入れるか、平等割も入れるか、そして世帯割をどうするかとか、いろいろ、二分方式、三分、四分あります。だから、幾つか挙げていただいて。

 私の問題意識は、収入が非課税世帯以下で保険料が払えないゆえに生保に行かざるを得ない人をふやしているかもしれない、いや、ふやしていると私は思いますけれども、そういう実態が、この応益部分をふやせばふやすほど逆に、政府としては、何度も言いますが、ここを応益割にして、国から直に入れようと思ってやっていらっしゃるんだと思います。だけれども、現実は、特に非課税世帯で重くなっているということをぜひお調べいただきたいと思います。

 続いて、今、非常に貧困をきわめる時代の貧困化の問題であります。三番目は、いわゆる女性の視点ということでお尋ねをいたします。

 国保全体に、もちろん男性よりも女性の加入者の方が多いですけれども、そのことはちょっとさておいて、一体、国民健康保険におられる方は、育児休暇はどのくらい取得しておられますでしょう。今度、少子化大綱などにのっとって、育児休暇の男性取得率をあと五年後一三%にしようというような数値も出ていますが、国保に加入している女性の育児休暇はどのくらい取得しておられますでしょう。

塩崎国務大臣 今、国保の被保険者の女性について、育児休業をとっているかどうかということについて把握しているかというお尋ねでございましたが、結論から言うと、把握は特にしてございません。

 国保の被保険者は自営業者とか無職の方とかさまざまな就業形態の方が加入をしておりまして、国保運営を行う上で、個々の被保険者の就業形態まで把握をすることはなかなか難しいということで、育児休業の取得率を把握するには至っていないというところでございます。

阿部委員 大臣、そうはおっしゃいますけれども、最近たくさん厚生労働省が出す資料に、国民健康保険の方々の属性というところで、かつては自営業者が多かったが、今は無職者と非正規が多いと、いつも属性分析でちゃんとお出しであります。非正規の方の中にも、雇用保険に入っておられれば、当然、育児休業はとれる資格がございます。そこで、今私が言ったような質問が出るんです。

 自営業の方がとれないのも私は問題と思って、後で問題にいたしますが、なぜ厚労省が現状把握をなさらないのか。国保という中に、確実に非正規の女性たちがおられます。果たしてどのくらいが雇用保険に入っておられて、そのうちどのくらいが育休をとれているのか。これはせめて数値化する。かつて、子供の貧困の数値化を、民主党政権時代に数値でお示しをしました。今、政権にあっては、子供の貧困に挙げて取り組もうということになっております。数値で示して見える化する、問題を共有する、そこから政策は一歩も二歩も進むと思います。

 大臣に宿題です。国民健康保険に加入している女性の、男性でもいいです、育児休暇の取得率について情報を収集、分析していただきたいが、いかがでしょう。

塩崎国務大臣 厚労省も意外にいろいろなものを出しているじゃないかという話で、市町村国保の世帯主の職業別構成割合の推移というのがあったかと思いますけれども、これも実はサンプル調査をやっているわけでございます。

 したがって、今お話を頂戴した国民健康保険の被保険者の女性の育児休業の取得率についても、悉皆調査をやるということになるとこれはなかなか大変かもわかりませんので、どういうふうな調査が可能かということを含めて、検討してみたいというふうに思います。

阿部委員 女性の活躍ということが安倍政権でとてもクローズアップされていますが、それが一部の女性であってはならないんだと思います。どの女性にとっても、家庭生活と仕事、地域の生活をやっていけるような国にならなきゃいけないので、そこが網の目から抜けているようなやり方では私はやはり行政が誤っていると思いますので、今の大臣の前向きな御答弁、サンプル調査でも構いません、まず数値化する、まず見える化することについてお願いをしたいと思います。

 引き続いて、次のページ、資料六をごらんいただきたいと思います。

 ここには、国保にお入りの方の出産一時金の支給件数というのが書いてございます。いわゆる国保に入っておられる女性が産む子供、年間の出生の数でございます。

 平成十五年から平成二十四年にずっと実数が書いてございますが、出産一時金というのはお産のときに分娩にかかった費用に相殺されるものですが、大体、平成十五年で二十一万三千人、平成二十四年で十五万九千人となっております。出生数はおのおの、全体に生まれる子供の数は、百十二万が平成十五年、平成二十四年が百万少々。全体に生まれる子供の数の中で国保に入る女性が産んだ子供の数の比率は、平成十五年では一九%、平成二十四年では一五・三%というふうに、比率も減ってきております。もちろん、この要因は、自営業が減った、農業が減ったと言えるかもしれませんが、私は、一方で、これは非正規雇用等々で取れない人がふえているのではないかと。

 大臣、この数値についても、いろいろな角度から見られると思いますが、少し分析をしてみていただきたいが、いかがでしょう。

    〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎国務大臣 分析はしてみたいと思いますが、国保は、もう言うまでもなく、高齢者が非常にふえているわけでございまして、非正規も、大体この十年でふえた数の六割は高齢者でございまして、あと三割ぐらいが女性、これは若い人も含めて非正規がふえているという格好なんですね。したがって、ここにある出産をされている比率が一九%台から一五%台に下がっているというのも、かなりの部分、高齢化があることは事実、半分以上は多分そうなんだろうなと思います。

 しかし、そうはいいながら、何があるのかということは、特に、サラリーマンの奥様だった方が離婚されて一人親家庭になって、国民健康保険で御苦労されているというケースは十分想定し得るわけでありますから、どういうことがこの背景に起きているのかということは、できる限りの調査をしてみたいというふうに思います。

阿部委員 今の大臣のこれからの調査の御参考になればと思って、次の資料七をお願いいたします。

 私が考えますに、国保の女性たち、同じ働いているのに、職業生活で活躍が期待されているのに、こんなに不利という不利の数々を出してみました。

 出産育児一時金は、いわゆる組合健康保険や協会けんぽ、あるいは国保でも出ます。これはお産したときのお金です。

 出産手当は、国保では出ません。出産手当というものは何かというと、ILOでも保障された産前産後の休暇中に、実際は働いていないわけですから所得保障がないわけです、その間のいわば所得代替がない、お産をしたので働けないので、お休みしているから保障しましょうねというのが出産手当金です。国保にはない、国保で保険料をお払いの女性には。傷病手当、これもない。実は、この二つは、各市町村がやろうと思えばやれるんです。だけれども、お金がない、あるいはやっていない、一例もない。

 それから、四番目の育児休業の給付金は、先ほど私が申しました、もともと農業、自営業者の女性はこれが雇用保険から出ているので取れませんが、非正規の女性であれば、雇用保険に入っている場合は取れます。そこで、この三角部分が何%くらいなのかを数値化してくれということです。

 最後の、産休、育休中の保険料免除、これは、御承知のように、組合健康保険などで働いている女性の場合は、産休、育休中も保険料を払わずに産休も育休もとれます。でも、国保の場合はとれません。

 塩崎さん、これだけ差があったら、国保は高齢者が多いというのも事実です。でも、出産年齢の女性たちだって今もたくさんいます。産むに産めない構造的問題だと私は思いますが、いかがですか。

塩崎国務大臣 方向性としては、先生がおっしゃっていることを否定するつもりは全くありませんが、高齢化のインパクトというのは想像以上にでかいということもやはり御認識をいただいて。

 これは今、国保の被保険者の年齢構成を見てみますと、平成五年、ですから、今から二十年前ですけれども、このときに、二十歳から三十九歳の割合というのが一八・九だった。つまり、子供さんを産んでいただけるかもわからないという年齢ですね。これは一八・九が今一七・六で、そのまた下のゼロ歳から十九歳が一八・八から一一・三ですから、テンポイントまではいきませんけれども、かなり下がってきていることも事実であるということもちょっとつけ加えておきたいと思います。

 そこで、国保の被保険者は、被用者保険の被保険者と異なって、自営業者とか無職の方など、いろいろな職業の方々がおられるわけでございますから、これまで、出産手当金とか傷病手当金の給付などについて、被用者保険と異なる扱いがなされてきたというふうに考えております。

 今後、国民健康保険の被保険者に対して、出産手当金や傷病手当金の給付、あるいは産前産後の保険料免除などを行うことについては、当然のことながら、これは先立つものがなければできないわけでありますので、何の財源でやるのかという、その必要な財源をどう確保するか。それから、就業形態がさまざまな被保険者の公平性をどう確保していくのか。それから、対象となり得る被保険者の就業状況とか収入などを把握することが果たしてどこまでできるかなどの課題を踏まえて、引き続きこれはウオッチをしていかなければいけないのではないかというふうに思うところでございます。

阿部委員 その答弁じゃ、政府が少子化対策に全力を挙げるというのは、二階から目薬どころか、三階から眺めているというくらいになっちゃいます。

 大臣もおわかりのように、今、本当にこの五年、どんなに、あらゆる努力をして、例えば二〇五〇年の人口がどのくらいになるかとかもここ数年にかかっているという認識は、政府だっておありだと思うんです。

 大臣がお挙げになったように、確かに国保の中で高齢者比率もふえていますが、逆に、私がお示ししたように、その中でも、国保の中でも、現状でも十五万九千人の赤ちゃんが生まれているんですね。産んでくださっているとも私は言っていいと思うけれども、その女性たちの待遇は余りにも格差があります、はなから制度がないとか。それで子供を産んでくれ、あるいは育ててくれと言ったって、大変過ぎます。

 本当にここは、やはり政府がジェンダーの姿勢をきちんと持って、そして少子化対策に万全の力を入れるのであれば、お金の財源は引いてくるところがあると私は思います。

 せめてです。どれからやってくれてもいいです。育児、産休中の保険料免除、これも大事です。出産手当金、産前産後のお休みしているときの賃金の保障です。これは、自営業だって働けないですよ。自営業だったらお産した翌日から働けるというものじゃないですから。制度的な、区分された、区分けされた中で、どうしてこれだけ女性に不利が生じているのか。

 大臣はこれをじっと見ていただいていますから、よくよく安倍総理とも御相談の上、本当に今の政権が少子化対策に万全を挙げるのであれば、そのようなお取り組みを重ねてお願いしたいと思います。

 四点目の視点は子供であります。

 子供については、先ほど私がお示しをしましたが、資料の八ページ目。国保の中に生まれる子供さんには、いわゆる均等割として子供の頭数に応じて保険料が上がります。八ページを見ていただくと、ここには、組合健康保険あるいは共済組合などにおられれば、子供が何人おられてもそのパパないしママの払う保険料は変わりません。国保であれば、子供の数が多ければ多いほど保険料が上がってまいります。

 藤沢市の場合だと、年収五百五十万くらい、自営業だと四人の保険料は大体五十四万円になります。これを組合健保でお払いだと半額であります。せっかく自営業で頑張って、子供を産んでくれて、保険料が高くてやっていられない。やはり、子供の頭数に応じて保険料を上げていくというやり方、人頭税ですよ。子供について見直したらどうですか、少子化と言っているんだから、子供をふやしてほしいと言っているんだから。

 最後につけてございますのは藤沢市の例であります。

 藤沢市では、医療分そして後期高齢者への支援金分、ここにも国保の子供には負担がかかるんです。国保の家に生まれれば、保険料負担も支援金負担も他の家の子供とは違う。これだけ子供に負担がかかる。子供を持つことに負担がかかる。もしも十八歳未満の均等割、すなわち人頭税分をここから引くと、年間約七万円が軽減をされます。これは私どもの藤沢市でやった実際の例から引いて計算をしています。

 子供は所得がありません。子供が応益で、それは医療にかかるからあなたが払いなさいと言われて、では、なぜサラリーマンの子供は払わなくていいのでしょうか。子供に格差をもたらすということはやはり間違っていると思います。このためにかかる費用、ここにいる国保の子供たちがもし応益負担分をゼロとした場合にかかる費用を、大臣、試算していただきたいが、いかがでしょう。

塩崎国務大臣 今の、応益部分を除いた場合という試算はやってみたいと思います。

阿部委員 実は、民主党政権下に、私は何度も、しつこいので同じ質問を長妻大臣にもいたしました。六百六十億とか、六百八十億でした。国保が県単位になるとき、せめて子供たちにそのくらいのプレゼント、育ち行く子供たちにしていただきたいと私は心から願っております。

 残された質問は、また次回やらせていただきます。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 さて、今回の法案というのは、全面総報酬割の導入であったりとか、患者申し出療養まで、幅広い内容を含んでおります。そういうものを一本にくくって出してくる、こういうやり方自体は我々もどうかなというふうに思っているんですが、その中で、私は、まず後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入、このことに絞って質問していきたいというふうに思っております。

 私は、この問題に関しては一貫して反対を表明しておりまして、この委員会でも何度もこのことについてはお聞きをしてまいりました。にもかかわらず、今回こういう形で法案が出てきたことに対しては、個人的には非常に不満に思っておりますし、ある種の憤りを感じております。

 きょう、資料をお配りさせていただいていますが、そういうことを言っているのは何も私だけではなくて、これは、二月の二十日、被用者保険関係五団体の意見書ということでありますけれども、これをごらんいただきましても、健保連はもちろんのことでありますけれども、連合も、それから日商も、それから経団連も、みんな反対しているんです。ですから、関係者の納得は全く得られていない中で、今回この全面総報酬割を見切り発車しているということを私はまず強調しておきたいというふうに思います。

 根本的な問題にして最大の問題というのは、この意見書の中にもまさに書いてあるんですけれども、本来国が果たすべき財政責任を被用者保険に転嫁をしている。全面総報酬割によって浮いた国庫補助分を被用者保険の負担軽減に活用する、これならまだわかります。しかし、これをなぜ国保の赤字の肩がわりに使うのか。

 結局は取れるところから取るというやり方であって、健保組合の組合員にもそうですし、それから半分の保険料を負担している企業にも、私は、このやり方というのは全く説明がつかないというふうに思います。

 関係者の納得を得ないままに、今回この全面総報酬割ということを強行すること、それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、本来国が果たすべき役割をサラリーマンであったり企業に押しつける、このことについては、これで本当にいいのか、改めて大臣に所見をお聞きしたいと思います。

塩崎国務大臣 今、五団体の意見というのを拝見いたしました。当然私もかつて見たことがございます。

 後期高齢者支援金について、負担能力に応じた負担として、被用者保険者の支え合いを強化するという観点から、今回、全面総報酬割を行わせていただいて、公平な負担を実現するということにさせていただいているわけでございます。

 被用者保険者からは、全面総報酬割導入によって生じる財源を国保の財政支援に優先投入するのは、国の財政責任を被用者保険の負担増に転嫁するものであるとの意見があると、今お配りをいただいておりますものの一と書いてある最初の黒丸のところにあろうかと思います。

 しかしながら、国民健康保険というのは、国民皆保険を支える極めて重要な基盤であって、本改革によって、財政支援を拡充し、財政基盤を強化した上で、都道府県が国保の財政運営責任を担うことによって制度の安定化を図る必要があるというふうに考えているところでございます。

 このため、国保への財政支援に全面総報酬割で生じた財源を投入することに何とか御理解を賜りたいというふうに考えているわけでございます。

 なお、全面総報酬割の導入に伴う健康保険組合の負担増の半額でございます約七百億円規模の追加支援による負担軽減も同時に実施をすることとしていることもつけ加えさせていただきたいというふうに思います。

大西(健)委員 大臣は今御答弁で、御理解をお願いしたいと言うけれども、理解されていないんですよ。納得していない。納得していないまま、今進めようとしているということであります。

 それから、消費税も上げたんです。それは社会保障に充てるということなんですから、被用者保険者間の負担のつけかえによって国が本来果たすべき公費の負担というのを果たさないで、それをほかに押しつけるというこのやり方そのものがやはり根本的におかしいということは申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、資料の二というのをごらんいただきたいんですけれども、先日の本会議の質疑に関する新聞記事ですけれども、ここにもありますように、健保組合の六五%は負担増になる。その中には、当然保険料を上げざるを得なくなってくるところも出てくるということが予想されております。

 ことしの春闘では、多くの企業、特に大企業を中心にベースアップが実現をしています。しかし、保険料が上がれば、それは給料から天引きされますから、手取りの給料は減るということになります。

 この点、ちょっと粗い試算を私もやってみたんですけれども、平成二十六年度ベースで試算をすると、大体年間二万五千円以上保険料が上がる。これは月額にすると大体二千百円以上ということなんですけれども、そういう保険料が上がる組合というのが二百二十四組合ぐらいになる。

 先日発表になった連合の第四回の春闘の回答集計結果によれば、定昇分を含まない賃上げ分が二千五十六円。つまり、二千百円以上保険料が上がるところが二百二十四組合あるんですけれども、結局、こういう組合では賃上げ分が保険料の引き上げで帳消しになっちゃうんですよ。

 ですから、給料が上がった上がったと言うけれども、その分保険料が上がっているから、それは意味がなくなってしまう。あるいは、賃上げ分の半額の千円以上の保険料の上昇が見込まれる組合は八百六十九組合になる。

 円安の影響があって物価高が先行して、そして実質所得を上げなきゃいけない、これが安倍政権が目指しているところだというふうに思いますけれども、この法改正によって保険料が上がれば、結局、実質所得がふえない。これは安倍政権が目指している方向性と矛盾するんじゃないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入というのは、被用者保険者間において、負担能力に応じた負担ということで、公平な保険料負担の実現を図るものでございまして、これによって、報酬水準の高い被用者保険者は支援金の負担が確かに増加をする一方で、報酬水準の低い被用者保険者は負担が減少するという格好になるわけでございます。

 なお、総体として見てみますと、健保組合は平成三十年度時点で約千五百億円の支援金の負担が増加をいたすわけでございますけれども、その一方で、約七百億円の拠出金負担の重い保険者への支援や、入院時食事療養費の見直しによる約二百億円の負担減によって、トータルでは六百億円の負担増にとどまるということになるわけでございます。

 アベノミクスというのは、デフレ脱却、経済再生を通じて経済の好循環を拡大して、賃金、所得、これが国民各層、全国津々浦々に持続的に拡大していくことを目指しているわけでありますけれども、厚労省としては、労働生産性や人材の付加価値を高めることを通じて雇用や所得の増加を伴う経済の好循環に貢献をしていきたいというふうに考えているところでございます。

大西(健)委員 全く答えになっていないんですけれども。拠出金負担がふえるところもあれば減るところもある、そのとおりですよ。では、減るところが保険料が下がるんですか。下がらないですよ。ふえるところは保険料が上がるんですよ。

 ですから、給料から天引きをされる保険料がふえれば、せっかく大企業を中心に今回の春闘は賃上げした賃上げしたと一生懸命言っていても、さっき言ったように、賃上げした分、それと同じぐらい保険料が上がるところだってあるわけです。ですから、私は、やはりそれはおかしいんじゃないかというふうに思っています。

 そういう中で、では、大企業だからいいだろうという考えがあるというふうに私は思うんですけれども、でも、今言ったように、大企業でも大幅な負担増になれば保険料を上げなきゃいけなくなって、そして手取りの給料は減ります。それから、会社も半分を負担していますから、会社の経営にとってもこれは成長の足かせになるということです。

 過去には、平成二十年度特別保健福祉事業の枠組みの中で、また平成二十一年度は高齢者医療運営円滑化等事業の枠組みの中で、増加財源率というのを基準にして激変緩和措置を行った例があるというふうに承知しております。

 これは後でまたお話ししますけれども、今回も拠出金負担が特に重いところに対する支援をやっていますけれども、そうじゃなくて、大企業だから負担は決して重くはないんだけれども、激変緩和、そういう観点を入れて支援を行った例があるんです。今回も、全面総報酬割導入に伴って来年度予算の中で高齢者医療運営円滑化等補助金を拡充して、激変緩和目的での大企業も含めた補助金の交付、こういうことをやっていく、こういうことを考えておられるかどうか、この点についてお伺いをします。

塩崎国務大臣 後期高齢者支援金の全面総報酬割が実施される平成二十九年度から、約七百億円の追加財源を投入して、被用者保険者の負担軽減を実施することとしているわけでありますけれども、今御指摘のように、二十二年度に三分の一総報酬割を導入したときに、平成二十二年度に限って、報酬水準の高い大企業の健保組合も補助金による負担軽減の対象とされておりましたけれども、二十三年度から報酬水準の低い健保組合に限定をするということになったわけでございます。

 この負担軽減措置については、現時点において、拠出金の全体の負担の重さとか、あるいは前期高齢者納付金の負担に着目して支援を行うということを想定して、義務的経費として百億、それから予算措置として六百億を充てているわけでございます。

 これによって、全面総報酬割の導入に伴い負担増となる保険者の負担軽減に相当程度資するものと考えているわけでございまして、いずれにしても、施行までに具体的な要件を定めることとしておりまして、激変緩和の観点からも支援をする必要があるとの今の御意見も踏まえて、直近の被用者保険者の負担増の状況なども見きわめてまいりたいというふうに思います。

大西(健)委員 今の御答弁だと、今後の検討の中で激変緩和という視点を入れることも考える余地があるのかなというふうに思いましたので、そこは、過去にもそういうことをやった例がありますので、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 私は、この問題に関してもう一つ申し上げてきたのは、被用者保険者間で、給与水準の高い大企業が中小企業を助けるというのは、これは私も十分理解します。被用者保険者間の助け合いという精神は必要だというふうに思います。ただし、集めた保険料の半分以上を拠出金のような形で召し上げられると、これでは何のために健保組合をつくっているかわからない。実際に、京樽とか西濃運輸とか、会社が倒産したわけじゃないけれども、健保組合、こんなのは意味ないから解散しようといって、解散しちゃったところが出ているわけです。ですから、これは私はおかしいんじゃないかと。

 そこで、具体的な提案をしたいというふうに思うんですけれども、例えば、集めた保険料に対する拠出の割合に、例えば四五%だったら四五%とキャップをかけて、それを超える分については公費をちゃんと出しますよ、こういう仕組みにしたら、これは私はフェアじゃないかというふうに思うんですね。

 私はそのことを考えていて、見ていると、実は同じような提案を与党の議員の方もやられているんです。

 資料の三というのをごらんいただきたいんですけれども、これは、元厚生労働大臣の坂口先生が代表を務めて、そして津島先生が顧問を務める市民の目線で医療と介護を考える会が平成二十七年の三月に出した報告書、最近ですよね。

 これの右側の方を見ていただきたいんですが、線を引いてあるところよりもう一つ上の段ですけれども、「国の財政状況に対応した医療費国庫負担軽減・財源捻出のための調達方策として総報酬割の全面導入が安易に行われることがあってはなりません。」と書いてあるんですよ。そのとおりですよ。下線を引いた部分ですけれども、「保険者間の連帯による支援には、それぞれの存立と安定的運営に支障を来たさない範囲内に、自ずと一定の限界があって当然です。各保険者の保険料に占める支援金、納付金、拠出金の総額は、保険料総額の四割を超えないことを目途に、新たな制度設計がなされるよう、前向きの検討をお願いしたいと思います。」。

 私は四五%と言いましたけれども、この報告書では四割というキャップをかけたらどうだと。さすがは坂口先生ですね。すばらしい提案だというふうに私は思います。

 大臣の大先輩であるこの先輩の御提言に対して、大臣、いかがお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 先輩方もいろいろな人がおられまして、お立場お立場があって、お立場にのっとってしゃべっていらっしゃる方が多いんだろうなというふうに思っております。

 御指摘のように、拠出金負担率に上限を設定するということについては、高齢者医療の財源として、公費それから現役からの支援金、高齢者の保険料や自己負担しかない中で、これらのバランスがとれなくなってしまうおそれがあって、私どもとしては、やはりちょっと慎重に考えなければいけないのかなというふうに思っております。

 今回の改革におきまして、被用者保険者に対する約七百億円規模の追加的な財政支援を行って、高齢者医療の拠出金負担の重い保険者、この負担軽減というものを図ろうということにしているわけでありまして、これによって、当面は、高齢者医療への拠出金負担の伸びの抑制に資するものではないかというふうに考えております。

 平成二十九年度において、全ての健康保険組合の義務的支出に占める拠出金負担の割合を仮に五〇%以下にするためには、総額で約六百四十億円が必要となると推計をされるわけでございます。この六百四十億円が必要であるということになれば、今申し上げた約七百億円規模の追加的な財政支援の範囲内であるわけでございますので、そういう規模だということを御認識いただければ、こう思うわけであります。

 中長期的には、今回の制度改正後、高齢者医療の負担のあり方について、現役世代の負担の状況等を見ながら、見直しの必要性を含めて検討すべき課題であると考えておるところでございます。

大西(健)委員 先ほど来私が申し上げているのは、二つのことを言っているんですね。

 一つは、国が本来果たすべき責任を保険者間にツケ回す、保険者間のツケ回しに責任転嫁する、これはおかしいじゃないかと。

 それからもう一つは、何度も言っていますように、集めた保険料の半分以上をほかの制度の支援のために持っていかれるというのでは、これは今後も、もうこんなもの、健保組合をつくっていても意味がないじゃないかと、健保組合は解散しますよ。そうしたら、それはみんな協会けんぽに移るわけです。だから、そういうことを起こしていいんですか。

 あるいは、健保組合は、それぞれ事業主と一体となっていろいろな保健事業を推進して、そして医療費を下げようという、保険者機能をきかせた努力をしているんです。それをするのがばからしくなってくる。それをやったって、それで浮かせた分の医療費は全部召し上げられるわけですよ。だから、そんな、頑張った人が報われない仕組みでいいんですかということを言っているんです。

 だから、例えば四五%、そういうキャップをかけて、それ以上はちゃんとほかの負担でやりますよという制度の方がわかりやすい、こう私は言っているのであって、それが、坂口先生や津島先生も同じことを言っておられるんじゃないかということを私は思います。そのことを改めて申し上げておきます。

 それから、今おっしゃったように、確かに、今回の制度の中でも被用者保険への支援というのが入っています。資料の四というもの、これは厚労省の資料を参考にお配りしておきましたけれども、今回、全面総報酬割を入れることによって協会けんぽへの国庫補助分が二千四百億円浮く。でも、その七割の一千七百億円は国保の赤字穴埋めに使うけれども、大臣がさっきから御答弁でもおっしゃっているように、七百億円は、拠出金負担が重い、そういう被用者保険への支援に回すことになっているんですね。

 それで、下の左側の方、まず百億円の話ですけれども、ここで、拠出金負担の特に重い上位一〇%についてこういう支援をやると。これは、上位一〇%ということなんですけれども、平成三十年度になると、市町村国保が都道府県単位化される。そうすると、保険者の数がぐっと減りますよね。そうすると、分母が減るんです。分母が減ると、同じ一〇%でも、対象の数も、単純にそのままやってしまうと減りますよね。だから、それはそうならないんですよねということを確認したいんです。

 この一〇%という数字については、厚労省は政省令で定めるというふうにおっしゃっていますけれども、さっき言ったように、三十年度、分母が減ったときは、この一〇%という数字は、この下の「1の負担軽減」のイメージというところのグラフにあるように、例えば、先ほど来大臣がおっしゃっているように、義務的経費の拠出率が五〇%を少し上回っているようなところで大体がカバーされるような感じにすると、今の保険者数だったら大体一〇%ということであって、これは将来、三十年度、分母が減ったら一〇という数字は変わってくるということでいいのかどうなのか。このことを確認させていただきたいと思います。

塩崎国務大臣 今回の改革におきまして、二十九年度から約七百億円の追加財源によって被用者保険者の負担軽減を実施することは、何度も申し上げてまいりました。このうちの、今お話が出ました百億円、これを制度上の支援として、つまり法律で、高齢者医療への拠出金負担の重い上位の保険者の負担軽減の拡充に充てるということにしているわけであります。

 この負担軽減の対象保険者は、今後、今先生おっしゃったように、政令で定めることになっておりますけれども、現時点では、平成二十九年度において、現行の上位三%から上位一〇%程度の保険者にまで支援対象が拡大する見込みであるということでございます。

 翌年度、平成三十年度、ここに至ったときに国保の財政運営の都道府県移行が実施をされるわけでございますけれども、全ての保険者数が、トータルの保険者数が確かに約半減ということになるわけでございますが、上位一〇%の要件を固定するのではなくて、負担軽減の財政規模が平成二十九年度と同程度、つまり百億円となるように対象保険者の基準を見直して、引き続き負担軽減を図っていくことを考えているところでございます。

大西(健)委員 今のは確認でしたので、その確認がしっかりとれたということで、ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃっていただいた百億円、私はこの百億という数字自体には不満がありますけれども、今おっしゃったように、これが制度化をされて義務的経費化された、このこと自体は評価をできることだというふうに思っています。

 ただし、資料四で言うところの、右の方の六百億円、この部分については、高齢者医療運営円滑化等補助金、これを拡充して前期高齢者納付金の負担軽減をやる、これが六百億円。これは義務的経費じゃないんです、これは予算措置になっていますので。過去、高齢者医療運営円滑化等補助金というのは事業仕分けの第三弾にひっかかったことがあって、そのときに減らされちゃっているんですね。ですから、今後もやはり財政当局からは狙われると思うんです。

 ですから、先ほど来申し上げているように、今回、関係者の強い反対を押し切って全面総報酬割というのをやられるんであったらば、ぜひ大臣には、この高齢者医療運営円滑化等補助金の予算は、これは何が何でも将来にわたってちゃんと守るんだということをここでお約束いただきたいんですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 健保組合などの被用者保険者の高齢者医療への負担については、中長期的に高齢者医療費の増加等による拠出金の負担の増加、あるいは、当面の間は、団塊の世代が六十五歳から七十四歳までの前期高齢者に到達することによる前期納付金負担の増加、これにどう対応するかというのが一番の課題になるわけであります。

 今回の改正で、平成二十九年度において、中長期的な課題については、拠出金負担の重い保険者への負担軽減措置の拡充を、今お話をいただいたように、法律によって約百億円制度化するということで対応する。一方で、今の六百億円の話でございますが、前期高齢者の増加といった当面の課題について、追加支援による予算措置での拡充で対応するということにしているわけでございます。

 高齢者医療運営円滑化等補助金というのは、裁量的経費と呼ばれるものであって、毎年度、予算編成で財務省と調整をしていくものであるわけではございますけれども、私どもとしては、被用者保険者に対する必要な負担軽減を行うということが大事でありますので、方々、自公政権では事業仕分けはございませんので、全力でこれはしっかり守っていく努力をしなければいけないなというふうに思っているところでございます。

大西(健)委員 仕分けはないかもしれませんが、仕分けということで私たちがやったことによって、行政レビューというのはちゃんと残っているわけです。行政レビューの中でもこれは取り上げられていますので、必要なものについては必要だということでしっかり守っていただきたいというふうに思います。

 まさにこの六百億円、前期の高齢者納付金の方に入れているということですけれども、これはまさに、健保連を含め、被用者保険関係団体の皆さんも、本来、全面総報酬割で浮いた分というのは、これは前期高齢者の納付金の方に穴埋めしてくれということがもともとの御要望ですから、そのことにも沿っているわけで、ぜひ、この部分について、今大臣御答弁いただいたように、今後も財務省からは厳しい削減要求があるかもしれませんが、しっかり守っていただきたいということを重ねてお願いしておきたいというふうに思います。

 繰り返して先ほど来申し上げていますけれども、私は、今回、この全面総報酬割というのをやるならば、関係者の理解と納得をちゃんと得ていかなきゃいけないというふうに思っています。

 その納得を得る上で、被用者保険関係団体の皆さんが納得感を持てていないもう一つの理由というのは、これはちょっとほかの委員の質疑の中にも出ておりましたけれども、国保の構造改革努力というのが今回の法案の中で十分に見えてこない、具体的なところが見えてこない。

 例えば、先ほど来も申し上げましたけれども、健保組合は、事業主と一体になって、医療費を削減するさまざまな努力を行ってきている。一方、国保が抱える課題としては、いっぱいいろいろなことがありますけれども、法定外の一般会計繰り入れが多いということ、あるいは、保険料収納率が低いこと、それから、所得把握や保健事業の推進が不十分なことなど、いろいろな課題がある。

 では、そういう課題を具体的にどう解決していくんだということが何も示されていないままで、ただ赤字の穴埋めをしてしまうと、また将来さらなる財政支援を求められるんじゃないかという不信感が私は被用者保険側にはあるんじゃないかというふうに思うんです。

 国保の構造改革、この部分について、具体的にどうしようとしているのか。あるいは、こうやりますから、被用者保険の皆さんも、国保も頑張ってやりますから、何とか御理解ください、こういう態度が必要だというふうに思うんですけれども、この部分はいかがでしょうか。

塩崎国務大臣 被用者保険の皆さん方に高齢者医療の支援をしていただくということに関して、当然、やるべきことをやって、そして、御理解をいただくというのは、そのとおりだというふうに、私も大西議員のお考えはよく理解ができるところであります。

 今回、国保改革の方では、さまざまな構造的な問題を抱えて厳しい財政状況にある国民健康保険に対する財政支援の拡充を図ることにあわせて、医療費の適正化に向けた取り組み、あるいは保険料収納対策、そして保健事業の一層の推進といった事業運営の改善なども推進をいたしまして、財政基盤を強化していく、あるいは、医療の需要そのものを抑制していくということがまた事業運営の改善にもつながるわけであります。

 具体的には、各都道府県が定めます国保の運営方針というのがございまして、医療費の適正化とか保険料の徴収の適正な実施に向けた取り組みを定めることとして、例えば、後発医薬品の利用差額通知の推進、あるいは、複数の自治体によります滞納整理事務の共同実施とか、あるいは、収納対策職員の研修会の共同実施などによって市町村における取り組みの底上げを図ることとか、あるいは、市町村において、各都道府県の国保連合会に整備をされました支援体制も活用して、先ほど来大分出ておりましたけれども、データヘルス事業の取り組みを推進することなどを考えているわけでございます。

 また、多くの市町村が赤字補填のために行っている一般会計繰り入れ、これについても今御指摘がございましたが、これについては、国保の健全な財政運営のために、これまでも計画的、段階的に解消するようにお願いをしてきたところでございまして、今後とも、収納率の向上、医療費適正化の取り組みにあわせて、保険料の適正な設定などによって赤字の解消に取り組んでいただきたいと考えているわけでございます。

 先ほども申し上げましたように、今回は、都道府県の保険者としてのガバナンスを強化する、格段に強化をするという中で、国民健康保険のいわば宿題をきっちりやっていくということをやっていかなきゃいけないというふうに思っております。

大西(健)委員 今大臣、答弁の中で、やれることはやった上でということを言っていただきました。それから、今、一般会計からの法定外繰り入れの話が出ましたけれども、その点について、資料の五というのをごらんいただきたいんです。

 これは、法定外繰り入れが多い都道府県を上位から並べた資料ですけれども、大都市圏に集中しています。上位五県というのは、東京、神奈川、大阪、埼玉、愛知なんですね。

 次の資料の六というのを見ていただくと、この折れ線のグラフ、これは一人当たりの保険料負担率ということなんです。これに注目していただきたいんですが、真ん中に点線が入っています。これがちょうど平均負担率一四・三%。今言った法定外繰り入れが多い上位五県のうち大阪を除く四県は、この平均の負担率、一人当たり保険料負担率を下回っているんですよ。ですから、つまり、法定外の繰り入れをすることによって保険料が上がることを抑えている。

 では、まだ保険料を上げられるじゃないか。これはちょっと、わからないですよ、ちゃんと精査をしなきゃいけないですけれども。でも、先ほど言われたみたいに、やれることをやった上で、それで被用者保険にお願いしますと本当に言っているのかといったときに、法定外繰り入れが多いところがまだ保険料が平均よりも低いというのは、これは本当にやれることをやったのかというふうに被用者保険側から言われてしまう可能性があるんじゃないかというふうに思いますが、この点は大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 国民健康保険で多くの市町村が赤字補填のための一般会計繰り入れを行っているわけでありますけれども、地域ごとに大きな差があることはおっしゃるとおり事実でございまして、今お配りをいただいた紙のとおりであります。

 これまでも、国保の健全な財政運営のために計画的、段階的に赤字を解消するようにお願いをしてまいりましたけれども、東京都が一千億円、これは、全体で、法定外繰り入れは合計で三千五百億円ぐらいですから、その三分の一近いところを東京都一都で占めていて、一位から六位までの都府県、これで約二千四百億円、全体の約七割を占めているわけでございます。

 今回の改革においては、国保の厳しい財政状況に鑑みて、毎年約三千四百億円の財政支援を実施するが、単純に赤字のある自治体に対して補填をするのではなくて、予防、健康づくりを初めとする医療費適正化に取り組む自治体や子供の多い自治体等に対する支援など、自治体の実情を踏まえた効果的な、そして効率的な財政支援を行うということでございます。

大西(健)委員 今のは聞いたことに全然答えていないんですけれども、要は、おっしゃるとおりで、約三千五百億欠損の繰り入れがあって、うち二千四百億というのが、これは大体上位五県で占めているんです。

 ただ、そこの保険料について、一人当たり保険料負担率の平均より下じゃないか、だから本当にこれでやれることをやったんですと言えるのか。だから、赤字のツケ回しをされている被用者保険側からすると、だったらもうちょっと保険料を上げて、頑張るところはこれだけ頑張ったんです、それでもまだしんどいので助けてくださいということなのかどうなのかということを言っているわけです。

 ちょっと時間がないのでさらに進めますが、このたびの法改正で、国保の都道府県単位化に合わせて、国保運営協議会を都道府県に設置するということになっています。

 今まさに述べたことに関連するんですけれども、被用者保険側からすると、先ほど来言っているように、国保がちゃんと運営してくれないとまた赤字が出てきて、また追加で財政支援をお願いしますと言われるんじゃないかなという不安があるわけですよ。これだけお金も出すわけですから、これは、言い方は非常に悪い言い方ですけれども、お金も出すけれども口も出すよということで、では、国保運営協議会に被用者保険の代表を参画させるべきだという御意見がありますが、この点、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 結論から言いますと、被用者保険代表にも御参加をいただく予定でございます。

 今回、都道府県が国保の財政運営責任を担って国保の健全な運営について中心的な役割を果たすことになるわけでございますが、それに伴って、都道府県においても、今お話がございました国保運営協議会というのを設置することになっておりまして、これは各地方公共団体の方々との私どもの話し合いの中でも設置をするということになっておりまして、その合意の文書の中でも、各都道府県に、被保険者代表、それから保険医または保険薬剤師代表、そして公益代表、さらに被用者保険代表が参加する国保運営協議会を設置するというふうになっておりますので、御指摘のように、被用者保険代表にも参加をいただく予定でございます。

大西(健)委員 私は、入っていただくことはいいことがあると思うんです。

 というのは、先ほど来言っていますように、健保では、事業主と一緒になって、データヘルスもそうですけれども、保健事業をいろいろ推進している実践例が既にありますから、そういう取り組み事例を都道府県国保の方にもうまく生かしてもらって、うちではこうやっているので、こうやったらどうですかという御意見をどんどん出してもらったらいいんじゃないかなというふうに思います。

 きょうは、全面総報酬割導入のことを専ら質問してきたので、最後に一点だけ、紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入についてお聞きをしたいというふうに思います。

 これについては、現在でも、二百床以上の病院では、地方厚生局に届け出をすれば特別の料金を徴収することができることになっています。実際にやっているところも多いわけであります。

 例えば、資料の七ですけれども、これは、私の地元の病院、刈谷豊田総合病院という地元の中核的な病院なんですけれども、ここでは、初診時に三千円の選定療養費を徴収している。

 刈谷豊田総合病院に聞いてみますと、以前は、初診で風邪みたいな軽症で来る人がかなり多かった、一月当たり二千人ぐらい来ているときもあった、それがやはり三千円取るようになって大体半減をした、これは医師の負担軽減にもつながっているということを言われていました。

 ただ、私は、単に定額負担を患者に求めるだけでは厚労省が目指している外来の機能分化というのは進んでいかないんじゃないかと。そのためにはあと二つのことが必要だと思っています。

 一つ目は、言うまでもありませんが、患者の理解です。

 このペーパー自体は、これは病院が、こういう形で紙をつくられたり、ポスターを張られたりしているわけですけれども、それだけじゃなかなか患者の理解を得ることは難しい。当然のことですけれども、行政であったりとか保険者であったりとか、関係者が皆さん協力して、患者の皆さんに、まずかかりつけ医にかかってください、それから大きな病院にということを、やはり理解を得る努力をみんなでやっていかなきゃ、病院だけではなかなか患者の理解を得ていくことは難しいと思いますので、まず患者の理解をしっかり得る。

 それからもう一つ、次の資料ですけれども、資料の八というものです。

 この刈谷豊田総合病院の場合は、地域医療ネットワークシステム、KTメディネット、こういうネットワークを結んでいて、まさにかかりつけ医の地域の医療機関と刈谷豊田総合病院でネットワークを結んで、紹介患者さんの診療情報を今度はかかりつけ医の方に参照できるようにしている。こういう地域連携があると、安心して患者さんも、まずはかかりつけ医に行ってから病院という、うまく使い分けることが、患者さんにとっても安心感があって、できると思うんですね。

 ですから、まさにこういう地域連携とそれから患者の理解、この二つがないと、ただ受診時の定額負担を取るだけでは機能分化は進まないというふうに思いますが、この点、大臣のお考えをお聞かせください。

塩崎国務大臣 まず第一に、この刈谷豊田総合病院の、初診で三千円というのは、これは全国の平均でいきますと二千百三十円ですから、少し高目ではありますけれども、今お話を聞きますと、大分いろいろ付加価値もあるようでございますので、大変いい例ではないかなというふうに思います。

 ちなみに、今、紹介状なしの大病院受診時の定額負担をやっているところを見ると、初診で千百九十一病院、再診で百十病院で特別料金を設定しておるところでございます。

 また、今の、地域の医療ネットを持っているということも、大変すばらしいなというふうに思いました。

 そこで、今回の外来の機能分化、連携を進めるためには、このほかにもさまざまな取り組みを行う必要があると考えておりまして、医療介護総合確保推進法が昨年成立いたしましたが、その中で、国民は、医療機関の機能分化と連携の重要性について理解を深め、医療機関の機能に応じ適切に医療機関を選択し、医療を受けるように努めるという旨の規定も設けているわけでありますから、国民の理解というものをやはり我々がちゃんと促進するようにしていくということも大事であります。

 また、診療報酬上、診療情報提供料として医療機関間の情報共有を、今お話ありましたが、評価しているほか、平成二十六年度の診療報酬改定においても、診療所等の主治医機能の新たな評価を設けて、複数の慢性疾患を有する患者に、継続的かつ全人的な医療を行う取り組みを推進するなど、機能分化と連携を促進する取り組みを行っているところでございます。

大西(健)委員 時間になりましたので終わりますけれども、きょうはもうほとんど全面総報酬割の話でした。本当は、医療の適正化、あるいは、きょうは支払基金の話もしたかったんですけれども、そのようにいっぱい論点がありますので、十分な審議時間を確保していただいて、私もまた来週ぜひ質問させていただきたい、このことをお伝えして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美です。

 きょうから委員会での審議が始まりました医療保険制度改革、先ほどありましたように、非常に論点の多い重要な法案であります。一見いたしますと、いいものもあれば悪いところもあったり、また不十分なところがあったり、懸念するところがあったりと、一概にはなかなか評価のしにくい法案だと思っておりますけれども、きょうは、時間の中で、できる限り多くの論点について大臣の意向を伺いたいというふうに思います。

 まず、基本的な考え方について伺いたいと思うんですけれども、そもそも、国民皆保険と持続可能で納得のいく医療保険制度の確立、これは、質のよい働き方の確保とあわせて、国民生活のまさに基盤と言えるものだと思います。

 今、高齢化が急速に進行するとともに、医療の高度化なども加わりまして、医療費は毎年約一兆円規模で増加している、これはもう皆さん御存じのとおりです。特に、後期高齢者医療の給付費は約十四・四兆円、これは昨年度予算ベースでありますけれども、こんなふうに前年比で約四・三%増加をして、同様に、前期高齢者医療の給付費は六・五兆円と、これまた前年比で約六・六%の増加というふうに見込まれております。

 こんな中、被用者保険におきましては、高齢者医療への支援金、納付金が保険料収入の約五割を占めているという非常に大きな問題、保険者の財政にとっては硬直化が進んでいるというふうに言わなければならないと思います。そのために、保険者機能の発揮が困難になっているということも指摘をしなければなりません。

 今求められていることは、やはり、私たちは、高齢者医療制度の抜本改革であるというふうに思っています。被用者保険と地域保険の二本立て、これによる国民皆保険を堅持しながら、保険者機能を積極的に発揮できる持続可能な医療保険制度を確立すること、これも必要な点でございます。

 しかし、今回の法改正では、午前中も、また午後も、我が党の議員からもさまざま指摘がありましたとおり、高齢者医療のあり方には全く切り込むことなく、被用者保険を初めとして取りやすいところから取る、まずは取る、そういう医療保険財政のつじつま合わせが非常に目立ったものとなっております。大変問題が多いものと考えております。

 そこで、最初にお伺いをしたいのは、全面総報酬割で生じる国費を国保に優先活用することについてでございます。私は、これはやはり非常に問題が大きい。

 今回、全面総報酬割ということで、被用者保険における後期高齢者支援金の負担については、総報酬割部分を現行の三分の一から段階的に拡大していく、二〇一七年度からは全面総報酬割にするということ、また、市町村国保については、二〇一五年度から保険者支援制度の拡充を実施し、二〇一七年度には、高齢者医療における後期高齢者支援金の全面総報酬割の実施に伴って生じる国費を優先的に活用して、これは千七百億円を投入するということなんですけれども、これはやはり議論の過程も不十分だったと私は思うんです。この中身もさることながら、合意形成の努力が決定的に欠落をしているのではないか。

 それは、社会保障審議会の医療保険部会では、二〇一四年の十一月十四日、ちょうどこのころ衆議院の解散風が吹き始めていた、もう十四日ですから相当強く吹いていたと思いますけれども、それ以降に予定されていた意見取りまとめの議論が急遽中止されてしまっております。その後、しばらく開催されていなかったこの部会が、年明けの一月九日に再開されまして、そこで医療保険制度改革骨子案なるものが示されて、わずか三時間、三時間の部会でこの議論は打ち切られてしまっているわけであります。それで、その数日後の一月十三日に、医療保険制度改革骨子が閣議決定されている。非常に速いスピードなんです。

 医療保険制度の持続可能性が問われている中で、保険者機能をしっかり発揮してもらいながら、医療保険財政の厳しい状況を乗り越えていってもらうためには、やはり当事者、保険者、事業主、被保険者の理解とか納得、こういったものが必要不可欠だと思うんですけれども、果たして、こういう経過で本当に適切だったのかどうかということは伺いたい。

 特に、全面総報酬割で生じる国費を国保に優先活用することについて、これはもう先ほど大西委員からも指摘がありましたけれども、被用者保険関係五団体からは、一貫して強い反対が訴えられているわけであります。それにもかかわらず、今回は、結論ありきのような乱暴な議論を強行したのではないかというふうに言わざるを得ませんが、こういうようなやり方で本当に納得してもらえるのか、どういうふうに関係者に納得をしてもらおうというおつもりなのか、大臣の考えを伺います。

塩崎国務大臣 私、昨年の九月から厚生労働大臣を務めさせていただいておりますけれども、最初からこの問題が議題になって、法律をつくらないといけないということはよくわかっておりまして、おっしゃるように、かなり大きな改革であることは間違いないので、正直、私自身も、本当にどういうことになるのかなと心配を当初はいたしたところでございます。

 今回の与党内の審議のプロセスを見ても、全体としては、そういった、今、乱暴なというお話でありましたけれども、乱暴さを感じるような対立、対決のお話し合いが、そう激しかったというふうには聞いていないわけでありまして、特に全面総報酬割の導入については、昨年の四月以降、被用者保険者の代表を含む社会保障審議会医療保険部会において、全面総報酬割の導入に伴う被用者保険者の負担軽減策を含めて、議論を行ってきておるわけでございます。これは四月の二十一日から五月の十九日までずっとやっておりまして、決して急にやって一気に通したみたいなことではないということを申し上げておかなきゃいけないと思います。

 それから、厚生労働大臣が被用者保険者の代表の方々と直接面会をするという機会も実はありまして、私自身、ことしの一月十三日に、健保連の大塚会長と意見交換をさせていただきました。それから、事務方も、被用者保険者の主催する会合へ出席するなど、丁寧に説明を行ってきたところでございまして、私どもとしては、さまざまな機会を捉えて、被用者保険の関係者とできる限り丁寧に議論を行ってきたところでございます。

西村(智)委員 大臣は、丁寧にやってきたというふうに胸を張っておっしゃるかもしれませんけれども、しかし、ことしの二月の二十日にこの五団体が意見書を出していて、ここに大変強い言葉で、容認できないですとか、いろいろなことを言われているということでございますので、ここの議論に参加していた方の受けとめと大臣の受けとめでは、やはりそこは大きな差があると言わなければならないと思います。

 私は、ここは、関係者の皆さんの思いはしっかりと受けとめて大臣にはやっていってもらいたい。そういう意味では、やはりこれまでの議論の経過は不十分なものだったというふうなことは指摘をしておきたいと思います。

 当事者の皆さん、特に被用者保険の関係の皆さんが一番容認できない、納得できないと言っていることについてですけれども、やはり、高齢者医療への支援金や納付金が保険料収入の約五割を占めているということだと私は受けとめています。

 何せ、保険者に集められた保険料の半分が、自分たちへの給付とは全く異なるところに、言ってみれば強制的に転用されてしまっているわけでありますから、これはやはり納得や理解というものはなかなかできるものではない、しろと言う方がちょっと難しいんじゃないかと思います。

 しかも、今後高齢者の数がますます増加していくことから、強制的に転用される割合は今後ますます高まっていくことになるということなんですけれども、こういう状況の中で、ふえていく高齢者の費用に対する手だてといったものはやはり不十分であって、かつ、医療費の適正化、それから市町村国保自身の努力、こういったものもさらに求められている中で、今回の改正によって被用者保険が市町村国保のためにさらに負担を負わせられようとしているということは、大臣、よくこれは肝に銘じていただきたいと思うんです。

 このような、保険者や被保険者、それから事業主が納得していないままで今回のように強行的な手段をとる、対応をとるということでは、いよいよ医療保険に対する信頼が損なわれることになるんじゃないか、こういうふうに懸念をしているから、私たちとしては質問をしているわけでございます。

 そこで、ちょっと基本的なことを伺いたいと思うんですけれども、そもそも、大臣、医療保険はどうして強制加入とされているのでしょうか。

塩崎国務大臣 なぜ強制加入をしているかということでありますけれども、これは、国会で法律でもって決めた、国民の助け合いという仕組みの中で医療を提供していく仕組みを、保険というものを通してやろうと。

 つまり、イギリスだと、税方式でやって全国民に医療を提供するけれども、いろいろな問題があった。我が国は、いろいろな問題をこれまで経験をしてきたけれども、一九六一年から、皆保険という形で強制加入をして、所得再分配をしながらリスクをプールして、保険という形で全国民の健康を守っていこうということにしたということを、国民の代表たる国会が選んだものだというふうに思います。

西村(智)委員 税と保険料とそこは違うところだと思うんですけれども、やはり基本的にはリスク分散を、連帯というか支え合い、支え合いとさっきたしかおっしゃったかと思うんですけれども、そういった仕組みの中でやっていこうということなんですが、そういった支え合いの仕組みが成立していくためには、同質性のある者の方々で連帯をしていくということの方が支え合いはやりやすい、同質性の高い層のグループで連帯をしていく方がやりやすいというふうに考えられております。

 医療保険の被保険者は、所得に応じた保険料を支払っておられます。他方で、給付は所得に応じて増額をされるわけではありません。では、どうして被保険者は応能負担の保険料で納得をしておられるのか。それはやはり同質性のある者同士で連帯をしているからだというふうに思うわけですけれども、その点について、大臣、同意してくださいますでしょうか。

塩崎国務大臣 医療というのは現物給付でやっている医療保険であって、その保険料負担をどうするかということは、国民健康保険それから被用者保険ではとり方が少し違うところがあるわけでありますが、基本的には所得に応じて保険料を払うということで、同じように、必要な医療サービスを現物で受け取るという形を国民は選んでいるんだというふうに思います。

西村(智)委員 やはり支え合いとか助け合いとか、そういった仕組みの中で医療保険制度というのは私は成立をしているというふうに思うんですね、基本的には。そうでなければ、また別の仕組みというのを考えられるわけなんだけれども、そうではない今の仕組みですから、助け合いの仕組みだと。

 そういった中で被用者保険というものは存在をしているわけであります。この被用者保険が、他の保険制度に保険料収入の約半分を支出するということになっているというか、なるわけであります。これはやはり、私は、医療保険制度の、ある意味限界を超えているんじゃないか。どこかでキャップをかけるという話も先ほどありましたけれども、今回の法改正は、やはり連帯の限度だけではなくて保険制度の限度を超えているのではないか、このように思うんですけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 さっきも申し上げたんですが、後期高齢者医療制度をつくるときに、どういうことがあり得るのかというのは幾つかパターンがあったと思うんです。いわゆる突き抜け方式で、それぞれ、今おっしゃった均一性のあるグループがそのまま先輩たちをお世話するという仕組みもあるよねということもありました。それ以外にもあと二つ三つ選択肢があって、最終的にこういう形で、保険という形であるけれども、かなり公費も入れてやるという制度が、後期高齢者医療制度についてはでき上がったわけであります。

 それがために、被用者保険者から高齢者医療への拠出金を出していただくということで、それが限界を超えているじゃないかということを今繰り返し御指摘いただいているわけでございますけれども、確かに、これは平均で見ると、高齢者医療への拠出金の負担割合は、それぞれ、健保組合と協会けんぽ、四八・二と四一・四ですから、かなり高いということは事実だろうと思います。

 さりとて、ではどうするのかというのが、先ほど申し上げた突き抜けでいくのかどうかということなので、それも、しかし、かなりいろいろな問題を解決しないと突き抜け方式も成り立たないということになります。

 高齢化の進展によって、今後とも拠出金の負担が増加していくことは可能性としてあるわけでございますので、支援金などの拠出金について、社会連帯の精神に基づいて、国民全体でできる限りフェアに負担をするという必要があって、先ほども、限度を設けたらどうだというお話でありましたが、なかなか限度を設けるということにはなりにくいかなというふうに考えているわけでございまして、だからこそ、被用者保険者に対する七百億円の追加的な財政支援を行って、高齢者医療の拠出金負担の重い保険者の負担軽減を図るということにしたということであります。

 なかなか、壮大な、高齢化の中での医療保険の支え合いの仕組みをつくるというのはそう簡単なことではないので、今回、いろいろ考えた末に、このような形で今提案を申し上げているということでございます。

西村(智)委員 では、逆に私の方から伺いたいのは、被用者保険における高齢者医療への拠出率、キャップをかけるのも難しいというようなお話でしたが、高齢者医療がだんだん増大していく中で、今、非常に難しい中でのこういう選択をしたということなんですけれども、では一体どの程度の拠出率が限度だというふうにお考えでしょうか。今のお話ですと、何かだんだんだんだんまたこれからも拠出率が上がっていくような、そんな懸念を持つわけなんですけれども、大臣、この点についてはどうお考えですか。

塩崎国務大臣 先ほど資料が配られましたけれども、今回の、被用者保険に対する百億円と六百億円の支援があるわけでありますけれども、そのうちの百億円の方で、大体五〇%までのところをカバーすることを想定して百億まで広げているわけでございまして、今回新たにつくった仕組みでいくことで、おおむね、大体五割ぐらいをカバーするという拠出率を、そこのところに支援を出すということが、我々としては当面考えていくべきことかなというふうに思っているところでございます。

西村(智)委員 何だか余りはっきりしないような答弁で、かなり不安になるわけなんですけれども。

 今回、このような被用者保険の納得性というところから考えていきますと、私は、やはり抜本的な解決策というのは、そもそもが年齢で区切った別制度としている高齢者医療制度の抜本改革を実現するほかないんじゃないかというふうに思います。

 私たち民主党は、一昨年の社会保障制度改革プログラム法のときに、高齢者医療制度それから年金制度の抜本改革、これが盛り込まれていないということで反対をしたわけですが、今回の法案でもこの高齢者医療制度の抜本改革が見当たらないということなんです。

 今回、審議会の段階で、高齢者医療制度の抜本改革を求める意見がなかったのかどうか。意見は恐らくあったんじゃないかと思うんですけれども、では、なぜこれを検討しなかったのか、それについて大臣の見解を伺います。

塩崎国務大臣 この間の議論で、先ほどの医療保険部会の審議においても、特に、被用者保険者の代表の方からも含めて、この後期高齢者医療制度について、これはちょうど創設から七年たっているわけでありますが、これについて、抜本改正をどうしてもやれというような御意見が強く出されたというふうには聞いておりませんで、我々の認識は、確かに、導入時は私も随分地元で怒られました、全国で怒られました。怒られましたが、今はかなり安定、定着をして、制度的にも、特にどこが問題だということはなかった。導入当時は本当に毎週帰るたびに怒られて、ここを直せ、あそこを直せ、こんな不都合をしているというようなことを言われたわけでございます。

 今回は、保険制度の改革に当たって、現行制度を基本としながら、後期高齢者医療制度についても、実施状況等を踏まえて必要な改革は行っていくけれども、抜本改革という話にはなっていなかったかなというふうに思っておりまして、この後期高齢者医療制度をさらに安定的に運営をしていくために、後期高齢者支援金について負担能力に応じた負担として、被用者保険者の支え合いを強化する観点から、全面総報酬割の導入というのを盛り込んだというところでございます。

    〔委員長退席、とかしき委員長代理着席〕

西村(智)委員 やはり、私は、先ほどもずっと指摘があるとおり、高齢者の医療制度の方に納付金あるいは支援金として被用者保険のお金を転用していく、保険料収入の約五割をつぎ込むというような話は、とても納得の得られるような話ではないと思います。

 また同時に、懸念がありますのは、医療保険制度を支えていると言われる被用者保険の中の中所得者あるいは高所得者層の動向であります。

 厚生労働省の会議でもそういう意見が出されたというふうには聞いておりますが、中所得者あるいは高所得層の被保険者が公的医療保険への加入を今後はボイコットして、これからは自己責任で民間保険で医療をカバーする、そういう行動に移るということのないようにしなければいけないというふうに思っています。

 だけれども、今回国がやろうとしていることは、これは言ってみれば真逆の方向ですね。全面総報酬割で生じる国費を国保に優先活用するということは、やはり、私は、これは撤回をすべきではないか、持続可能な医療保険制度を維持するという点からもこれは撤回すべきではないかと思いますが、いかがですか。

塩崎国務大臣 議論が始まったばかりで撤回せいと言われても、なかなか厳しいものがあるわけでございますけれども。

 今回、何度も申し上げておりますけれども、もともと、今の形になる以外に突き抜け方式とかいろいろなことがあるわけで、なかなか悩ましい選択で今日のベースができているわけでありまして、ぜひ民主党の皆さん方には、抜本改革というならば、その抜本改革案を示していただいて一緒に議論をしていくということをやっていただくと、年金も含めてですね、ありがたいなというふうに思って、みんなそれぞれ、一〇〇%満足をしているというのはなかなかないものですから。

 今回は、特に制度改革における全面総報酬割の導入について今御指摘が繰り返しございまして、拠出金の半分を持っていかれるんじゃ意味がないじゃないかということでございますけれども、やはり、先ほど申し上げたように、全面総報酬割の導入に伴っても、被用者保険者の負担軽減策もあわせて議論をして導入もしてきているわけでもございますし、さっき申し上げたように、医療保険部会も含めていろいろ議論をしてまいりました。

 それから、先ほどの五団体の要望の中でも、この中で、特に後期高齢者医療制度を撤回せいという話にはなっていなくて、「高齢者医療制度の負担構造の改革をはじめとして、医療保険制度全体のさらなる改革に取り組むべく、議論を継続させ、積極的に進められることを強く要望する。」これは連合の高橋さんのお名前もございますけれども、こういうことでございまして、今、大変厳しい御指摘をいただいておりますけれども、ぜひ御議論を賜って、何とか御理解をいただければというふうに思うところでございます。

西村(智)委員 予算編成権があるのは政府・与党でありますので、そこは、今後の高齢者医療制度、年金制度、いかにあるべきかということは、まずは政府の責任で私は考えるべきだというふうに思いますし、また、この意見書については、明確に、「被用者保険にさらなる負担を求める財源捻出策は容認できない。」というふうに書かれているわけです。そこのところはぜひ重く受けとめてもらいたい、このように思います。

 次に、医療費の伸びを抑える努力ないしは市町村国保の問題に移りたいというふうに思います。

 医療保険財政は、被用者保険も国保もともに厳しい状況にあるということです。そのために、健康維持の取り組み推進だけではなくて、毎年医療費が大きく伸びている状況に何らかの手だてを講じる必要もあるというふうには思います。

 ここから先はエビデンスを積んでいかなければならない部分だと思いますけれども、午前中も、また先ほども我が党の阿部委員からの質問もありましたけれども、病床数と、それから平均在院日数と一人当たりの医療費の関係ですね。これについては、ベッド数が多いところはやはり平均在院日数も長くて、一人当たりの医療費も高いという傾向があるということは長年指摘をされてきたことなんですけれども、では、これをもうちょっと細かく、市町村単位で見るとどうなのかというようなお話も、先ほどの御指摘の中でありました。

 政府の方は、二〇〇六年の法改正から、二〇〇八年より平均在院日数を減少させる取り組みを行ってこられたというふうに承知していますけれども、それがどれだけ医療費の適正化につながってきたのかということはまだ明確になっていないんじゃないかというふうに思います。

 そこで、伺いたいんですけれども、政府としては、この病床数と医療費の相関関係についてどういうふうに捉えていらっしゃるでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど阿部先生から、必ずしも、供給が多いから、ベッドが多いから医療費が高くなっているとは限らないというお話もございました。

 現在の医療費適正化計画では、医療費の地域差の大きな原因となっている入院医療費の適正化を図るために、これと高い相関関係があることが指摘をされるいわゆる平均在院日数の短縮を目標として掲げているわけでございまして、ベッドの数だけと入院医療費とのリンクを言っているわけではございませんが、平成二十年度から二十四年度までの第一期医療費適正化計画について、その実績を見てみますと、平均在院日数は当初の目標よりも短縮され、それから医療費も計画で立てた水準よりも少なくなっております。

 具体的な数字を見ますと、在院日数でいきますと、目標が二十九・八というのが、若干下回って二十九・七ということで、ポツ一だけ下がっております。医療費の方は、見通しが三十八・六兆円が、実際の実績が三十八・四兆円ということで、微減ということで、少し少なくなっているわけでございます。

 平均在院日数の短縮というのが医療費にどの程度寄与しているかまでは、必ずしも数値的にその相関を述べるのはなかなか容易ではないわけでありますけれども、一定の効果はあったのかなというふうに考えているところでございます。

西村(智)委員 まあ微減ですね、わずかな。

 私、もうちょっとここは分析をしてみる必要があるのではないかと思います。きょうの議論をずっと聞いていましても、そのように感じたんです、医療費の地域差を生んでいる要因がもっとほかにあるのかどうかということも含めて。

 ですから、ベッド数、平均在院日数、これ以外の何かほかの要因があるのかどうかということについても、やはりもう少し科学的に分析をしてもらいたいと思いますし、今後も、市町村国保にはいろいろな意味で努力はしていってもらいたいというふうに思うんですけれども、やはり国がここはきちんとリーダーシップをとって、医療費の適正化について、地方にお任せをするだけではなく、やるべきではないかというふうに私は思いますけれども、大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 おっしゃるように、国が大きな目標、方向性はやはりきちっと示した上で、今回、都道府県化をする国民健康保険、そしてこれは都道府県と一緒に保険者機能を発揮しなきゃいけない市町村に、今の医療費の適正化をしっかりやっていただくようにしなければいけないんだというふうに思っているわけであります。

 昨年、医療介護総合確保推進法が成立しましたけれども、そのときに、都道府県が地域医療構想を策定する、質が高い、効率的な医療供給体制を構築するということであります。

 この地域医療構想を、都道府県が地域ごとに医療機能別の医療需要と病床数の必要量を推計することとしておりまして、その推計方法を含めて、厚労省は、地域医療構想策定ガイドラインというのをことしの三月に出したところでございまして、都道府県にはそれを示した上で、この四月から三年かけて構想、ビジョンをつくってくれということになっています。ただ、三年かけるといっても、そんなにゆっくりかけてもらっては困るので、我々は、実質的にはもっと早くしろということをお願いしているところでございます。

 さらに、今後、都道府県の担当者に対しては、策定のための研修というもの、三日間の研修というものを、既に第一回目は、予定を、六月の十六日から十八日まで三日間缶詰でやってもらう。それから第二回目も、これは二日間でありますけれども、七月。第三回目は十月。十月はまた三日間缶詰で、都道府県から来てもらってやってもらう。

 心を一つにしてこのガイドラインをつくっていくことによって、その哲学に、言ってみれば整合性を持った形で、それぞれの地域のまた特徴というのがあるわけですから、都道府県で構想をつくってもらって、医療費の抑制策もそこなりのやり方というものがそれぞれまたおありでしょうから、やってもらう。そのときに当然、市町村も御一緒にやっていただく、そして地元の関係者、医師会を初め、一緒にやっていただくことになるということでございます。

西村(智)委員 次に、先ほども問題になっておりました法定外繰り入れのことについて伺いたいと思います。

 何度も繰り返しになりますけれども、やはり全面総報酬割の導入ということは、市町村国保財政の赤字を補填するために、被用者保険が国保を肩がわりすることになっているんじゃないか、そういうふうに見ざるを得ないという思いがあります。

 しかし、東京を中心とする一部大都市の市町村国保では、保険給付を賄うには不十分な低水準の保険料設定でありながら、一般会計から決算補填を目的に法定外繰り入れが行われているというふうに指摘をされている実態がございます。

 こういう事態が起きる背景、一般会計から決算補填を目的に法定外繰り入れが行われているという事態が起きる背景については、大臣はどうお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど、法定外繰り入れについて、三千五百億円全体のうち、一位から六位までで二千四百億円ということで、かなりの部分がそういった六都府県によって占められているということでございます。

 そういうところは、それぞれみずからの財政が許すような格好なものですから、こういうことになっていますけれども、では、それが医療費の抑制につながっているかというと、そうなっているとは必ずしも言えないので、我々としては、先ほど申し上げたように、国民健康保険が厳しい財政状況にあるために一般繰り入れをやってはいますけれども、これは計画的、段階的に赤字を解消せいということをずっとお願いしてきたところでございます。

 今回の、国保の厳しい財政状況に鑑みて、毎年約三千四百億円の追加公費を投入して、予期せぬ給付増とかあるいは保険料収納不足により財源不足になったときに備えて、都道府県に財政安定化基金というのを設置することなどによって、一般会計繰り入れの必要性は相当程度解消するものというふうに考えております。

 自治体においても、今後とも収納率の向上とか、それから医療費適正化というのは、先ほど申し上げたようにビジョンをつくり、そして保険者機能が必ずしも今まで市町村国保は、先ほどこれは大西議員から、健保連からはいろいろ、データヘルス的な分析に基づく医療費の抑制策というのは蓄積があるんだという話がありましたが、まさにそのとおりなんですけれども、そういうものを、今度都道府県が責任を持つ国保にもやってもらいたいというふうに思っておりますし、それは当然、市町村と組んでやってもらわなきゃいけない、保険事業などは市町村でやってもらうものですから。

 そういうことで、保険料の適正な設定も含めて、赤字の解消に取り組んでいただきたいというふうに思いますし、先生もおっしゃったように、これは大西議員もそうでしたが、やはり被用者保険者に協力を願うならば、みずからもきちっとやるべきことをやっていかなきゃいけないというのは事実だというふうに思います。

    〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕

西村(智)委員 この先二つ質問しようと思っていたことを全て先回りして答弁してくださったので、もう質問はしませんけれども、やはり努力をちゃんとしてもらうということを大臣がきちんと踏まえた上で、これまで健保組合が本当に努力してきたということからすれば、国保のこういう状況というのはとても容認しがたいことだと思うんです。そこのところはやはり見過ごせない問題として、関係者の気持ちを踏まえてちゃんとやっていってもらいたいというふうに思うんですよ。

 私は、そもそもこういったことについては余りよくないというふうに思いますけれども、そこは引き続き、問題としては指摘をしたいというふうに思います。

 続いて、協会けんぽへの国庫補助について伺いたいと思います。

 当分の間、国庫補助率が一六・四%、本則では下限を一三%にする、引き下げるということになっています。また、準備金残高が法定準備金を超えて積み上がっていく場合には、新たな超過分の国庫補助相当額を翌年度減額する特例措置を講ずるということであります。

 まず、この一三%への引き下げなんですけれども、これはどうして引き下げるんでしょうか。

 中小や零細企業が協会けんぽの主たる加入者で、所得水準はやはりまだ低いままである。アベノミクスといって浮かれているのは、ほんの一部である。財政基盤が脆弱であるために、協会けんぽは、これまで、平均保険料率一〇%という高い保険料率を維持して頑張ってこられたわけです。その結果、一時的に法定を超過する準備金が積み上がった状態となっているわけですけれども、だけれども赤字構造というのは変わらないわけですね。

 今回、国庫補助率の本則の下限を何でわざわざ一三%に引き下げなければならないのか、明確な理由をお答えいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 今出ました協会けんぽの国庫補助率につきましては、現行の制度では、本則に、一六・四%から二〇%までの範囲内で政令で定める割合、こう書いてありまして、実際には、附則において、当分の間一三%というふうに規定をされておって、平成四年度以降、この附則が実質的な効力をずっと持ってきたわけでございます。

 今回、約二十年間にわたって国庫補助率が一三%とされた経緯を踏まえて、本則においては一三%から二〇%までの範囲内と規定することといたしますけれども、実質的な国庫補助率の効力を持ちます附則規定については、当分の間一六・四%と規定をいたすことで、協会の国庫補助率を安定化させることとしたいと考えているところでございます。

西村(智)委員 要は、これまで附則が一三%だったから、そのまま持ってきて本則の下限にしましたというだけの話なのかなと思うんですけれども、何かこれで本当に合理的な理由と言えるのかどうか、私は甚だ疑問に思います。逆に言うと、では、何でこれまで本則の下限が一六・四%だったのかなということも疑問になってくるわけであります。

 それは一つの問題といたしまして、次に特例措置について伺いたいと思うんですけれども、そもそも、保険制度は単年度収支の均衡を図りながら運営されるべきものであると思います。法定を超えて準備金が積み上がった場合には、本来は、保険料率を引き下げて被保険者に還元すべきではないかと思うわけです。

 しかし、今回は、高い保険料率を維持させておく一方で、国庫補助を削減しようとしています。これは、保険給付を推計して必要な保険料を設定するという保険者機能の発揮を阻害させるものではないかというふうに思います。

 こういった経過をずっと見ていきますと、国は、協会けんぽの保険料率最低ラインを将来にわたって一〇%の水準で固定化するつもりなのかというふうに思えてしまうわけなんですけれども、大臣は、協会けんぽの保険料率についてはどう考えておられるんですか。

塩崎国務大臣 今、協会けんぽの保険料率のお話が出ましたが、現在、平均保険料率が一〇%という水準は被用者保険の中でもどちらかというと高い方でありまして、これ以上の引き上げは厳しいという御意見があることを承知しているわけでございます。

 今回の制度改革において、協会の国庫補助率を当分の間一六・四%と規定をするわけでありますけれども、そのことによって国庫補助の安定化というものをまず図ることとした上で、現下の財政状況や経済情勢などを踏まえてみると、協会の準備金が法定準備金を超えて積み上がる場合に限って、新たに積み上がる分の一部を翌年度の国庫補助から減額するという特例措置を講ずることとしたものでありまして、言ってみれば、法定準備金を超えて積み上がった場合の税金で積み上がった部分はお返しをいただくということにしたわけであります。

 今、保険料の将来の水準についてお話がありましたが、それは、私が今答えるようなことではないんじゃないかなというふうに思います。

西村(智)委員 いや、そうでしょうかね。私は、国の基本的な考え方は、やはり一〇%で固定化するつもりなのかなと。大臣が今お答えにならなかったことも含めて考えますと、この先のことについては非常に大きな不安を持ちます、懸念を持つところであります。

 ちょっと時間もあれですので、国保組合への国庫補助について、一、二点伺いたいというふうに思います。

 私たち民主党政権のとき、行政刷新会議の事業仕分けで、国保組合については、定率補助を五段階として、被保険者の所得水準の一番高い国保組合の国庫補助はゼロにするということも含めるということで結論を出させていただいておりました。

 その後も、社会保障制度改革国民会議報告書において、そういった方向での取り組みを進める必要があるというふうにも指摘をされているところ、今回の法改正では、所得水準に応じて一三から三二%の補助率とするということについては、一部評価はしたいというふうに思います。

 ただ、性格そのもの、この所得水準の高い国保組合への国庫補助の性格については、ちょっとやはり明確にしておくべきではないかというふうに思いまして伺うんですけれども、所得水準の高い国保組合にどういう構造的問題が存在して、そして国庫補助を投入しなければならないというふうに判断をしているのか、その点を伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 国保組合は、本来、市町村国保の被保険者となるべき方のうちで、同種の事業とか業務に従事をする自営業者などを組合員として組織されておりまして、加入者の健康保持増進に取り組んできておりまして、今、百六十四組合、大体三百万人おられるというふうに聞いております。

 国保組合には事業主負担がないこともありまして、国保制度の一環として、同じく事業主負担がなく、国庫補助がなされている市町村国保とのバランスを踏まえて、一定の補助を行っているものでございます。

西村(智)委員 バランスということのお答えなんですけれども、やはり私は、国庫補助というのは、保険者の努力ではどうしても解決できない、そういう構造的な問題があるときに、その解消に活用されるべきものだというふうに思うんです。ですので、国保組合への国庫補助については、ここはやはりいささか問題のあるところだというふうに思います。

 加えてなんですけれども、国保組合については、私たちも、正直なところ、いろいろなことを議論していく上で前提となる数字がなかなか手に入らないということがあります。

 例えば、所得水準が高いと思われる国保の中で、例えば医師国保とかですね、そういったところの保険料率、また、被保険者一人当たり総報酬の最高値、最低値、平均値、中央値、こういったものがあれば、ぜひ明らかにしていただきたい。

 その上で、保険料負担率で見ると、医師国保などの国保組合は、協会けんぽや健保組合、そして市町村国保との比較でどういう位置関係にあるのか、それを明らかにしていただいた上で、この国庫補助の、言ってみれば正当性というか必要性というか、そういうものを議論したいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 さっき申し上げたように、国保組合もなかなか幅がいろいろございまして、同種同業者の人たちでありますけれども、幅が非常にあるということであります。

 こうした国民健康保険組合の運営状況につきましては、先生、今、保険料率等々についていろいろデータをということでございましたけれども、厚労省は毎年、国民健康保険事業年報というのを出しておって、今も確認をいたしましたら、保険料率がどうかというようなことについても所得についても載っているということでございましたので、それで十分かどうかを御確認いただけたらと思うんですけれども、収支状況などのデータを取りまとめて公表しておるところでございます。

 いずれにしても、わかりづらいということでもありますから、国保組合の運営状況をわかりやすくするような努力は引き続きやってまいりたいというふうに思います。

渡辺委員長 西村智奈美君、既に終了しておりますので。

西村(智)委員 済みません。

 時間になりましたので、終わります。また次の機会をいただきたいと思います。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十三日木曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十二日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十三分散会


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