衆議院

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第24号 平成27年6月12日(金曜日)

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平成二十七年六月十二日(金曜日)

    午前十時十二分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 赤枝 恒雄君 理事 後藤 茂之君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 松野 博一君 理事 浦野 靖人君

   理事 古屋 範子君

      大岡 敏孝君    大串 正樹君

      大隈 和英君    加藤 鮎子君

      木村 弥生君    小松  裕君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      谷川 とむ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    長尾  敬君

      丹羽 雄哉君    橋本  岳君

      比嘉奈津美君    福田 達夫君

      堀内 詔子君    牧原 秀樹君

      松本 文明君    三ッ林裕巳君

      務台 俊介君    村井 英樹君

      八木 哲也君    足立 康史君

      井坂 信彦君    牧  義夫君

      輿水 恵一君    角田 秀穂君

      中野 洋昌君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      山本 香苗君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   厚生労働大臣政務官    高階恵美子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房統計情報部長)        姉崎  猛君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          宮川  晃君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十二日

 辞任         補欠選任

  豊田真由子君     福田 達夫君

  堀内 詔子君     八木 哲也君

  松本  純君     大隈 和英君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     務台 俊介君

  福田 達夫君     豊田真由子君

  八木 哲也君     堀内 詔子君

同日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     松本  純君

    ―――――――――――――

六月十二日

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(三ッ林裕巳君紹介)(第一七三六号)

 全てのウイルス性肝硬変・肝がん患者の療養支援とウイルス検診の推進に関する請願(後藤茂之君紹介)(第一七三七号)

 同(橘慶一郎君紹介)(第一七三八号)

 同(谷畑孝君紹介)(第一七三九号)

 同(長坂康正君紹介)(第一七四〇号)

 同(武藤貴也君紹介)(第一七四一号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第一七七四号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一七七五号)

 同(武部新君紹介)(第一七七六号)

 同(堀井学君紹介)(第一七七七号)

 同(前田一男君紹介)(第一七七八号)

 同(丸山穂高君紹介)(第一七七九号)

 同(吉村洋文君紹介)(第一七八〇号)

 同(緒方林太郎君紹介)(第一八一八号)

 同(小松裕君紹介)(第一八一九号)

 同(武部新君紹介)(第一八二〇号)

 同(中村裕之君紹介)(第一八二一号)

 同(山本幸三君紹介)(第一八二二号)

 同(馳浩君紹介)(第一八九二号)

 同(古田圭一君紹介)(第一八九三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一八九四号)

 同(本村伸子君紹介)(第一八九五号)

 難病と長期慢性疾病、小児慢性特定疾病の総合的な対策の充実に関する請願(石田真敏君紹介)(第一七四二号)

 同(稲津久君紹介)(第一七四三号)

 同(大畠章宏君紹介)(第一七四四号)

 同(岡田克也君紹介)(第一七四五号)

 同(鈴木貴子君紹介)(第一七四六号)

 同(辻元清美君紹介)(第一七四七号)

 同(前原誠司君紹介)(第一七四八号)

 同(井野俊郎君紹介)(第一七八二号)

 同(木原稔君紹介)(第一七八三号)

 同(後藤田正純君紹介)(第一七八四号)

 同(清水忠史君紹介)(第一七八五号)

 同(武田良太君紹介)(第一七八六号)

 同(武部新君紹介)(第一七八七号)

 同(津島淳君紹介)(第一七八八号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一七八九号)

 同(本村伸子君紹介)(第一七九〇号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第一八二三号)

 同(金子めぐみ君紹介)(第一八二四号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一八二五号)

 同(笹川博義君紹介)(第一八二六号)

 同(中川康洋君紹介)(第一八二七号)

 同(福田達夫君紹介)(第一八二八号)

 同(堀井学君紹介)(第一八二九号)

 同(岩屋毅君紹介)(第一八九九号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第一九〇〇号)

 同(吉良州司君紹介)(第一九〇一号)

 同(冨岡勉君紹介)(第一九〇二号)

 同(中川俊直君紹介)(第一九〇三号)

 同(宮崎岳志君紹介)(第一九〇四号)

 同(横路孝弘君紹介)(第一九〇五号)

 同(吉川貴盛君紹介)(第一九〇六号)

 障害者福祉についての法制度の拡充に関する請願(岩屋毅君紹介)(第一七四九号)

 同(大塚高司君紹介)(第一七五〇号)

 同(河野正美君紹介)(第一七五一号)

 同(熊田裕通君紹介)(第一七五二号)

 同(後藤茂之君紹介)(第一七五三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七五四号)

 同(田島一成君紹介)(第一七五五号)

 同(中根康浩君紹介)(第一七五六号)

 同(中野洋昌君紹介)(第一七五七号)

 同(長島昭久君紹介)(第一七五八号)

 同(松浪健太君紹介)(第一七五九号)

 同(横路孝弘君紹介)(第一七六〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一七九一号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第一七九二号)

 同(大西健介君紹介)(第一七九三号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一七九四号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一七九五号)

 同(篠原豪君紹介)(第一七九六号)

 同(田島一成君紹介)(第一七九七号)

 同(中川俊直君紹介)(第一七九八号)

 同(中谷真一君紹介)(第一七九九号)

 同(初鹿明博君紹介)(第一八〇〇号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一八〇一号)

 同(堀井学君紹介)(第一八〇二号)

 同(前田一男君紹介)(第一八〇三号)

 同(牧原秀樹君紹介)(第一八〇四号)

 同(吉田宣弘君紹介)(第一八〇五号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第一八三〇号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第一八三一号)

 同(金子万寿夫君紹介)(第一八三二号)

 同(木原誠二君紹介)(第一八三三号)

 同(田島一成君紹介)(第一八三四号)

 同(武部新君紹介)(第一八三五号)

 同(津島淳君紹介)(第一八三六号)

 同(船田元君紹介)(第一八三七号)

 同(細田博之君紹介)(第一八三八号)

 同(升田世喜男君紹介)(第一八三九号)

 同(松田直久君紹介)(第一八四〇号)

 同(宮路拓馬君紹介)(第一八四一号)

 同(吉田豊史君紹介)(第一八四二号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第一九〇七号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第一九〇八号)

 同(河野正美君紹介)(第一九〇九号)

 同(菅直人君紹介)(第一九一〇号)

 同(郡和子君紹介)(第一九一一号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一九一二号)

 同(田島一成君紹介)(第一九一三号)

 同(遠山清彦君紹介)(第一九一四号)

 同(畠山和也君紹介)(第一九一五号)

 同(堀内照文君紹介)(第一九一六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一九一七号)

 同(本村伸子君紹介)(第一九一八号)

 国鉄年金の附帯決議の履行等に関する請願(斉藤和子君紹介)(第一七七三号)

 同(堀内照文君紹介)(第一八九一号)

 全国一律最賃・時給千円以上の実現に関する請願(斉藤和子君紹介)(第一七八一号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一八九六号)

 同(畠山和也君紹介)(第一八九七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一八九八号)

 社会保障の連続削減を中止し、充実を求めることに関する請願(斉藤和子君紹介)(第一八〇六号)

 安心の年金制度に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一八六八号)

 同(堀内照文君紹介)(第一八六九号)

 憲法を生かし将来に希望の持てる年金を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八七〇号)

 同(池内さおり君紹介)(第一八七一号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一八七二号)

 同(大平喜信君紹介)(第一八七三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一八七四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一八七五号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一八七六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八七七号)

 同(清水忠史君紹介)(第一八七八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一八七九号)

 同(島津幸広君紹介)(第一八八〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一八八一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八八二号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一八八三号)

 同(畠山和也君紹介)(第一八八四号)

 同(藤野保史君紹介)(第一八八五号)

 同(堀内照文君紹介)(第一八八六号)

 同(真島省三君紹介)(第一八八七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一八八八号)

 同(宮本徹君紹介)(第一八八九号)

 同(本村伸子君紹介)(第一八九〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

 労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案(井坂信彦君外五名提出、衆法第二二号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案及び井坂信彦君外五名提出、労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案の両案を議題といたします。

 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤枝恒雄君。

赤枝委員 自由民主党の赤枝恒雄でございます。(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いします。

赤枝委員 総理におかれましては、お疲れのところ厚生労働委員会にお出ましをいただきまして、本当にありがとうございます。

 まず冒頭でございますが、今、国民の一番の関心事であり悩み事は、年金情報の流出の問題であります。これについて総理の御所見を伺いたいと思います。(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いします。

安倍内閣総理大臣 日本年金機構で今般、個人情報が流出し、国民の皆様に不安を与えていることについて、大変申しわけなく思っております。

 現在、年金受給者の方々のことを第一に考え、万が一にも大切な年金の支払いに影響が出ないよう、実態把握と二次被害の防止を徹底的に行い、対応に万全を期しているところでございます。

 具体的には、機構において、情報流出の対象となった方に対し、順次個別におわびの文書を送付するとともに、基礎年金番号の変更を行うこととしています。また、電話相談窓口を設け、不安をお持ちの方々からの問い合わせに丁寧に対応することにより、不安の払拭に努めています。

 この間、住所等の変更手続を行った方もおられますが、万が一にもほかの人によって行われるようなことがあってはならず、窓口での本人確認を徹底するとともに、念のため、御本人確認のための戸別訪問を行い、詐欺、成り済まし被害に遭わないようにするなど、二次被害の防止に全力を挙げています。

 あわせて、日本年金機構をかたった詐欺のおそれなどについて、政府広報を初め、政府を挙げて国民の皆様への周知、広報に取り組んでいます。

 さらに、厚生労働大臣のもとに設置された第三者の専門家による検証委員会において、発生原因の究明、再発防止について徹底的な議論を始めたところであり、その結果も踏まえ、サイバーセキュリティー対策なども含め、政府としてしっかり対応してまいる考えでございます。

 二度とこうしたことが生じないよう、厚生労働省による年金機構の業務全般に対する監督指導体制の一層の強化を図ってまいりたいと思います。

 この年金問題については、私は、与党も野党もないんだろうと思います。野党の皆様からもお知恵を拝借しながら、全力で当たってまいりたいと考えています。

 そうした意味におきましては、昨日の年金問題の……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いします。

安倍内閣総理大臣 昨日の年金問題の集中審議に民主党そして共産党の皆さんが出席されなかったことは、大変残念なことであります。(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛に。

安倍内閣総理大臣 この問題については、今後も、与党、野党なく、しっかりと審議をしてまいりたい、このように思います。

赤枝委員 ありがとうございました。

 この年金の流出問題は、情報の流出が余りにも大きくて、範囲が広くて、はっきりと、とにかく急いで情報を出せ出せというふうに言われましても、確実な情報が出せないと、またもめてしまうみたいな。

 ですから、今、第三者委員会が始まったんですから、第三者委員会で審議しながら、両方始めていかなければ、中途半端な情報を出すことによってまた混乱が起こるわけですから……(発言する者あり)

渡辺委員長 質疑中ですから、静かにしてください。

赤枝委員 我々は、これを十分に第三者委員会と連動してやっていきたいというふうに思っております。

 きょうは、私の質問は、若者、今、フリーターとニートというのが都会でも非常にふえているわけで、彼らがやはり社会保障の将来の、ちょっと食い潰しと言うといけませんが、そこに入っていく要因にもなりかねないということで、非常にニート、フリーターの就業支援をやっていかなければいけないというふうに考えていますが、現状は、大臣、フリーターとニートというのはどれぐらい今いるものでしょうか。

塩崎国務大臣 今お尋ねのフリーターの数については、平成十五年の二百十七万人をピークにいたしまして五年連続で減少した後、平成二十一年以降、百八十万人前後で推移をしております。平成二十六年は、対前年比三万人減の百七十九万人となっております。

 一方で、ニートの数は、平成十四年以降六十万人前後で推移をしておりまして、平成二十六年は、対前年比四万人減の五十六万人となっているわけであります。

 こうした不安定就労を続ける方や職につかない方がふえることで、将来の社会保障給付費全体にどのような影響が生じるのかを一概に述べることはできないわけでありますが、例えば、こうした方が将来十分な収入や貯蓄がない場合に、生活保護を受給することとなる可能性もあり、安定した就労に向けた支援が重要になると考えているところでございます。

赤枝委員 ありがとうございました。

 そこで、総理にちょっとお尋ねしますが、まち・ひと・しごと創生の総合戦略として書かれている若者雇用対策の推進と正社員実現の加速、これを入れていただきまして、ありがとうございます。

 今回の法改正がフリーターの就業に対してどのような効果が期待されるものか、お聞きしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 一般に、派遣労働については、働きたい仕事を見つけやすい、そしてまた、あるいは希望する勤務地、勤務時間等の条件を満たす職につきやすいという特徴があるのは事実であります。いわゆるフリーターやニートの方々にとって入職しやすいという面もあります。

 このような若者を含めまして、働くことの経験を積み、安定した就労につないでいくことが重要であります。

 このため、改正案では、派遣元の責任を強化し、そして、計画的な教育訓練や、派遣期間が満了した場合、正社員になったり、別の会社等で働き続けることができるようにする措置を新たに義務づけることにしています。

 このような仕組みを通じ、フリーターやニートの方を含め若者が、ステップを踏みながら正社員になっていくため、いわば橋渡しとなることを期待しています。

 あわせて、若者の安定した就労に向けて、わかものハローワークや地域若者サポートステーション等において、適性に応じたきめ細かな就職支援に取り組んでいく考えでございます。

赤枝委員 ありがとうございました。

 この騒然とした中で、冷静な質問ができなくてまことに残念な思いであります。もっと冷静な議論をこれからは望みたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、安倍総理に質問の機会を与えていただきましたことを心より感謝を申し上げます。

 さて、日本は今、世界でも類を見ない少子高齢化と人口減少が進行している中、経済や社会の持続と成長のための改革は待ったなしでございます。

 現在、団塊の世代の八百万人の皆様が七十五歳以上となる二〇二五年の医療と介護の需要に適切に対応するための制度改革は、プログラム法にのっとり、着実に進められております。この医療と介護の改革とともに、少子高齢化、人口減少に加え、企業を取り巻く環境の変化に適切に対応をした労働法制の改革も喫緊の課題であると考えております。

 現在、日本の労働人口が大幅に減少する中で、労働需要は横ばいとなっております。この高齢化と人口減少による労働力不足にどのように対応し、労働力の需要と供給のバランスを整え、日本の国力を維持向上させる道筋をつけるかが、当面の課題であります。

 また、長期的な視点に立てば、少子高齢化、人口が減少する社会にあって現状の生活水準を維持するためには、一人当たりの年間GDPを将来にわたり確保することが必要になります。そのために、若者から高齢者まで、そして男性も女性も、その持てる可能性を引き出し、かつ生かしながら、個々の労働生産性、また全体としての就業率を向上させ、持続可能な労働力確保への環境整備が必要であると思います。

 そこでまず、少子高齢化、人口減少社会の、またさらに企業間競争のグローバル化などによる我が国の労働環境の変化をどのように御認識されているのか。また、もう一つあわせて聞かせていただきます。これに対して、どのような改革や取り組みが必要と考えているのかにつきまして、あわせて、総理の御見解をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま質問のございました、労働環境の変化をしっかりと把握していくことがまず極めて私は重要だと思います。

 我が国の労働環境については、少子高齢化が進んでいる、あるいは経済のグローバル化が進んでいるといった大きな動きの中において、雇用の安定を図りつつ、働き方のニーズや経済社会の変化に的確に応えていかなければならないという、まさに変革期にある、このように考えています。

 このため、時代の変化に合わせて、働く方一人一人が、ワーク・ライフ・バランスを確保しながら、ライフスタイルや希望に応じ、社会で活躍する場を見出せる雇用制度の実現を目指していくことが重要であります。(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いします。

安倍内閣総理大臣 柔軟で多様な働き方を進め、全員参加型の社会を実現していくことが求められていると思います。(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛に。

安倍内閣総理大臣 労働生産性を図っていくことが極めて重要であります。

 こうした観点に立って、非正規雇用の方々のキャリアアップを支援し、そして処遇改善や正社員への転換を進めるための労働者派遣法の改正、そして、高度専門職が創造性を存分に発揮できるようにする新たな制度の創設も必要であります。こうした改革を行うとともに、働く方一人一人のニーズに対応して、職業能力の向上を図っていくことも必要であろう、このように思います。

 そうした取り組みをしっかりと今後も進めてまいります。

輿水委員 ありがとうございます。まさに職業能力の向上、こういったものがその根底になければならないと思っております。

 そして、今回の労働者派遣法の改正、これは、派遣元にキャリアアップや雇用安定化措置が義務づけられます。この改正が派遣労働者の保護と雇用の安定化への取り組みとして機能するように、その実効性をいかに担保するかが大変に重要な課題であります。

 ここで大事なことは、個々の派遣労働者の意欲、希望などを丁寧に酌み上げながら、派遣先においても、実務の中で個々の可能性を引き出すよう、派遣元と派遣先が連携しての教育訓練や業務範囲の見直し等が必要であると考えます。個々の可能性を引き出し、個々の能力を高めながら、より付加価値の高い業務につけるように、そして、より賃金の高い職域に、さらに、それが最終的には正規雇用として、より安定した就労への道筋をつける、こういうことが大事である、このように思います。

 そこで、今回の改正により、派遣元も派遣先も、派遣労働者の可能性を最大に尊重し、一人一人の職業能力を向上させながら企業活動を展開される取り組み、どのように強化しようとしているのか、総理のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 一般に、派遣という働き方については、雇用の安定やあるいはまたキャリア形成の面で、そうしたものが図られにくいという面があるのは事実であります。また、賃金水準は、契約社員やパートなど他の非正規雇用より高いものの、正社員に比べ低いという傾向があります。

 このため、今回の改正案では、派遣で働く方のキャリアアップへの支援を初めて盛り込むこととしました。派遣元に対し、計画的な教育訓練やキャリアコンサルティングを義務づけるとともに、派遣先に対し、業務遂行に必要な教育訓練を行うなど、責任を強化することにしています。これは今までの法律とは大きく違う点と言ってもいいと思います。

 また、正社員を希望する方については、その道が開かれるようにする。つまり、派遣でそのまま働きたいという方々もおられます。そういう方々の立場はしっかりと守っていく。同時に、正社員になりたいという方々の希望に対しては、その道をしっかりと確保し、開いていくことが求められています。派遣元に対し、派遣期間の満了時に……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にしてください。答弁中です。

安倍内閣総理大臣 正社員になったり、別の会社等で働き続けられるようにする雇用安定措置を義務づけるとともに、派遣先に対し、派遣労働者への正社員募集に関する情報提供を義務づけることとしています。

 これらによって、働く方の意欲に応じてその可能性が発揮され、企業活動にも生かされるような環境を整備してまいります。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 かつて、日本は、学校を卒業して正規社員として企業につき、そして、そこの中で切れ目のない、そういった教育訓練がなされた。しかし、今はいろいろな形の働き方がある中で、いよいよ企業とまた現場、派遣元、派遣先が協力して一人一人の可能性を育てる、そういった若者に対してもきちっとした取り組みがこれからも必要である、このような思いでございます。

 この改革が一人一人の能力を向上させ、より付加価値の高い仕事に多くの人がつける、そういった環境整備につながることを、また、私どもそれを目指して頑張ることをお誓い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。大変にありがとうございました。

渡辺委員長 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 今、場外で大変騒々しい声が飛んでいますが、何か、今回の派遣法の審議で、与党、自民党、公明党や……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いします。

足立委員 ちょっと、私、この話をぜひ総理に聞いていただきたいんですよ。だから、ぜひ、聞こえるように、ちょっと静かにしていただけますか。(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いいたします。

足立委員 もう一回申し上げますけれども、今、何か、年金から我々が逃げたと。政府・与党、自民党、公明党、そしてきょうこうして着席をしている維新の党が、あたかも年金問題から逃げたというようなことを民主党の皆さんが振りまいていますが……(発言する者あり)ちょっと、静かにしてもらえますか。

 これまで、今回の年金問題、年金情報の流出が発覚をしてから、週末を除いて可能な限り我々は年金問題について審議をしてきました。この衆議院においても、この場においても三回、きのうの集中審議を含めて三回の集中審議を繰り返し、そして、私自身も衆議院の内閣委員会まで出向いて、官房長官、そして甘利大臣も含めて質疑をさせていただいておりますし、また、参議院でも集中審議を開いてやってきた。またこれからも、これからも、この審議、年金問題はまだ終わっていません。しっかりと、しっかりと、最優先でやっていくのは当然でありまして……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いします。

足立委員 私たち維新の党も含めて、この年金問題については、一歩も逃げることなく取り組んでまいる決意であります。

 きのう、この場で集中審議をやりました。私も質問をさせていただきました。その場に民主党、共産党はおりませんでした。(発言する者あり)私、政府と議論をしたいんです。

渡辺委員長 静粛にお願いします。不規則発言は慎んでください。

足立委員 これは本当に大事なテーマですから、安倍総理にはぜひこれはよく聞いていただきたいんですが、一連の集中審議でいろいろなことがわかってきました。

 まず、逃げた問題。逃げたのは、自民党、公明党、政府・与党、そして維新の党ではなくて、民主党であると。(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いします。

足立委員 年金問題から逃げたのは、維新の党ではなくて、民主党であると改めて宣言をしておきたいと思います。

 そもそも維新の党は、今最高顧問である橋下徹当時の代表のリーダーシップで、国会運営においても、新しい政治、新しい国会をつくっていこう、そういうことで我々は新党を立ち上げてここに至っております。そのときに、国会対策、国会の運営においても、実質国会ということで、総理にもぜひ、できるだけ世界で活動していただきたい、そうした思いで国会改革も率先して打ち出してきたところであります。

 ところが、今ちょっと騒々しいわけでありますが、こうした民主党のような取り組みは、まさに日程闘争そのものであって、反対のための反対、日程闘争のための日程闘争……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いいたします。不規則発言は慎んでください。静かに。

足立委員 私は、このような、かつて見た光景、まさに五五年体制の亡霊が今この委員会室に。

 総理、ぜひ、これは真剣に、これから日本は、社会保障を初めとして、安全保障もそうです、大変厳しい時代を迎える。この日本が、今までのような、五五年体制で繰り返していたような政治を繰り返しては、国民の皆様の生活とお仕事をお守りすることは絶対にできない、こうした思いで今、維新だけではありません、自民党、公明党、そして維新の党が、こうして今、総理に向き合っているわけでありまして、そうした当たり前の政治をつくっていくその御決意を、ぜひ総理からもお願いします。

安倍内閣総理大臣 今、足立委員から御指摘がございました。かつて、五五年体制と言われた、自民党対社会党という時代がございました。その中において、いわば予定調和のように対立が繰り返されていたわけでありまして、その中で、残念ながら議論が深まらなかったという歴史があるわけでありまして、その反省のもとに、私たちのまさに議論の場は、この委員会であり、国会であり、その場において真摯な意見を交わしていくことによって、新たな……(発言する者あり)

渡辺委員長 答弁中です。静かに。

安倍内閣総理大臣 新たな政策あるいは価値が生まれていく、このように確信をしているわけでございまして、何か問題が起こったら、その問題についてしっかりと議論をしていく。

 その意味におきましては、年金の問題につきましても、昨日集中審議が行われ、維新の党からも突っ込んだ議論がなされた。敬意を表したいと思います。

 我々は、しっかりと、国民の皆様の前で、この委員会において質問を受け、そして政府としては真摯にお答えをしていきたい、このように考えております。(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にしてください。

足立委員 総理、まさに今おっしゃっていただいた、きのうのこの厚生労働委員会での年金問題に関する集中審議で、私は塩崎大臣と幾つか御議論させていただいた。その中で、きのう、改めて大臣の方から、決意というか方向を示していただきました。

 それは、幾つかありますが、例えば、今回の問題は、そもそも、年金の、国民の皆様の大変大事な情報が、インターネットに開かれた場所に一部移されて業務が行われていたことに原因があるんです。

 私は、衆議院の内閣委員会で国税庁に問いただしました。国税庁もそういうことをやっているのかと。やっていません、あり得ませんと。

 これからマイナンバーで、税と社会保障を進めていきます。私は、マイナンバー制度については、これはしっかりと、アメリカにもない、世界にないような最新の、最先端のセキュリティーを施されているシステムでありますから、マイナンバー問題への影響は最小限にとどめることができる、こう思っていますが、ただ、そのマイナンバーのもとに位置づけられるところの税と社会保障の二大柱において、税当局は、国税庁は、絶対にその情報は基幹システムから出さないと言っているんです。

 きのうの集中審議で明らかになったのは、では、なぜ年金機構でそういうことが起こったか。(発言する者あり)年金をやってほしいんじゃないんですか。

渡辺委員長 どうぞ質疑を進めてください。

 静粛にお願いします。

足立委員 きのう明らかになったことは、そういうことなんです。国税庁は、絶対に基幹システムから、要すれば、インターネットに開かれた場所に情報は出さないんです。ところが、年金機構は出していたんです。

 では、なぜか。聞きましたら、昭和三十年代につくったシステムなんです。年金機構とはいえ、旧社会保険庁から年金機構に看板はかけかえたが、実は、その根幹となる、個人情報、国民の皆様の年金情報を預かるそのシステムは、今はNTTデータでありますが、その前身である公社の時代、私が生まれる前ですよ、昭和三十年代、私が生まれる前に構築をした情報システムを、増改築を繰り返してきて今日に至っているんです。だから、一部の業務がそのシステムの中で完結しないために、仕方なくインターネットにつながっているパソコンにCD等で動かして扱っていたんです。それが問題なんです。

 そして、その点については、塩崎大臣の方から、それはそうだと。だから、これから、そういう私が御指摘申し上げた点については、大臣の方から、年金機構を初めとして、社会保険全般のあり方、社会保険全般の情報管理について、指示をして、リーダーシップをとってやっていくという御答弁をきのういただきました。

 私は、ここで総理に改めて、何かそうした細かい、細かいといっても大事な問題ですが、技術的な問題をここで扱うつもりはありませんが、総理、ぜひ総理から一言いただきたいのは、この年金情報の問題、これを安倍総理の在任中に根本的な解決を、単なる看板のかけかえではなくて、今申し上げた、昭和三十年代から何も変わっていない旧社保庁の、年金機構の古い体質を抜本的に解消して、国民の皆様の生活を、人生をお支えできる本当の意味での年金、本当の意味での社会保障、これを再構築するんだという、それも総理の在任中にするんだという御決意をぜひお願いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まさに足立委員の昨日の厚生労働大臣への質問、質疑の中で明らかになったことでもございますが、年金機構で起こった問題は、いわば国税においては起こっていないということでありますが、なぜ起こっていないかということにつきましては、これはまさにシステムの問題、そしてまた、その運用の基本的な問題があったのは事実でございます。

 そういう意味におきましては、もう一度しっかりと、こうした問題が二度と起こらないようにしていくことが大切だろう。

 そのために、厚生労働大臣のもとに設置をされた第三者の専門家による検証委員会において、発生原因の究明、再発防止について徹底的な議論を始めたところであります。

 その結果も踏まえまして、サイバーセキュリティー対策も含め、政府としてしっかりと対応してまいりますが、今委員がおっしゃったように、二度とこうしたことが生じないように、厚生労働省による年金機構の業務全般に対する監督指導体制の一層の強化を図っていく考えでございます。

足立委員 ぜひ、私は、まさに先ほど総理が与党も野党もないとおっしゃったように、まあ維新はずっと野党でありますが、民主党は政権にもありました。野党も与党もなく、国民の皆様の年金情報を守るためには、これは本当に全力で解決に向けて取り組んでいただきたい、こう申し上げたいと思います。

 それから、きょうのテーマであります派遣法でありますが、そもそも今回の派遣法の大改正に至ったその背景について私は指摘をしたいと思います。

 これは、そもそも、よく皆さんもお覚えであると思いますが、長妻大臣のときに、二十六業務の適正化と銘打って、現実離れした、今までの厚生労働省の運用を抜本的に変えてしまう、行政の継続性もへったくれもない、そうした行政指導を長妻大臣のリーダーシップでやったんですよ。

 その結果、派遣労働者は当時、当時ですね、別にこれだけじゃないですよ、景気の問題もありますが、当時、私もこれは派遣法の審議の中で明らかにした事実でありますが、長妻プラン、これは、山井さんは長妻・山井プランと呼んでくれと。総理、あれは山井さんが長妻さんと一緒になってやったんです。だから、これからはこれを、長妻プランではなくて、長妻・山井プランと呼びたいと思いますが、その結果、大事なことは、百万人から五十万人に、五十万人もの派遣労働者の雇用が、その長妻さんの行政指導の結果、失われたんです。

 今、民主党は、あたかも今回の問題で派遣労働者の皆様の職が失われるかのようなデマを振りまいていますが、むしろ民主党政権の時代に、派遣労働者の雇用は五十万人……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いします。

足立委員 五十万人失われたわけであります。

 そして、今回の派遣法、私は、今回の派遣法、幾つか問題はあると思いますよ、幾つか課題はあると思いますよ。しかし、このまま放置したら、ますます当時の悪影響がマーケット、労働市場に……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いいたします。

足立委員 当時の悪影響がまだまだ続いていく、マーケットの混乱がこれからも続いていくんです。それを一刻も早く食いとめるために、政府が提案してきた派遣法改正案について、しっかりと審議をし、そして結論を出していく、これが我々の立場であります。

 総理にぜひ伺いたいのは、今申し上げた長妻プランの総括をやはり改めてしておいていただきたい。これは政府として、安倍総理として、これをどう総括されているか、御答弁ください。

安倍内閣総理大臣 現行制度においては、専門的な二十六業務について、派遣受け入れ期間の制限対象から除外をしています。

 平成二十二年に行った専門二十六業務派遣適正化プランは、この二十六業務と称して違法派遣を行う事業者に対し集中的な指導監督を実施したものと承知をしております。この後、派遣期間の制限に係る行政指導件数が減少したことは事実であります。

 しかしながら、この専門の二十六業務については、専門性が時代とともに変化をする、そして、対象業務に該当するかどうかわかりにくいといった課題があり、この点は、指導を重ねても解消し切れません。

 このため、今回の改正案では、現行の期間制限を廃止し、全ての業務に適用される共通の期間制限を設けることとしています。

 なお、この見直しの必要性については、平成二十四年法改正の際、自公民の三党で共有されているところであります。

 なお、今委員が御指摘になったように、専門二十六業務に従事した派遣労働者の数は、平成二十一年、九十万人から、平成二十六年、約四十九万人へ減少していると承知をしています。この減少には、平成二十二年の適正化プランが影響しているという指摘があるということも承知をしております。(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛に。

足立委員 ありがとうございます。

 ぜひ、私はやはり、労働市場そして経済というものをよくわかって政策運営をすることが、国民の皆様の生活とお仕事を最終的に守るためにそれはもう必須である、こう思っている次第であります。

 一方で、日本の労働市場、これからも改革を続けていく必要があります。単に現状維持だけではありません。

 私たちはやはり、民主党の方々がよくおっしゃるように、いわゆる正社員の雇用だけを守る、正社員の雇用さえ守れればあとはどうでもいいんだ、そういう……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いします。

足立委員 そういうことではなくて、労働市場全体で、お一人でも多くの方に働く場を提供する。そして、さまざまな環境の中で、あるいは能力やそういうものに応じた働き方を労働者みずからが自分の希望に応じて選択できるような、多様な働き方を実現できるような社会を何としてもつくっていきたい。これは、さまざまな改革の中でも最大の、日本のあり方をしっかりと、今の日本の経済と社会を次の世代に確実に引き継いでいくためにも不可欠の改革である、こう思っているわけであります。

 そして、今申し上げた、単なる正社員の終身雇用、しっかりとした終身雇用と社会保険に守られているいわゆる正社員の方、既に今正社員の職についている方の職を守ることだけではなくて、新しく正社員になられる方もたくさんつくっていかないといけないし、また、派遣で働きたい方もいらっしゃるわけです。

 そうした、非常にバランスのとれた、本当の意味での労働市場をつくっていく上で、私は、さまざまな、例えば解雇法制なんかもまだまだ解決していく必要があると思っています。(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛に。

足立委員 総理、私は、民主党さんのような、こういう、何といいますか、レベルの低い、こういう……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いいたします。質疑中です。静粛に。

足立委員 総理、私は政府に対しても批判しているんですよ。(発言する者あり)ちょっと、うるさいな。

渡辺委員長 静粛にお願いいたします。

足立委員 総理、今まで派遣法が二度潰れ、廃案になり、また、以前さまざまな取り組みを、安倍政権も、一次政権も含めて、取り組まれてこられました。例えば解雇紛争の金銭解決といったテーマもあったと思います。これからまた労働時間規制の問題も出てくる。それは全て必要なんです。特に解雇紛争の金銭解決などは、これは労働者の皆様のためになる制度なんです。なるんです。

 民主党さんは、わざと……(発言する者あり)ちょっと、聞いてください。

渡辺委員長 静粛にお願いいたします。

足立委員 民主党さんは、わざと国民の皆様にうそをついているんですよ。

 要すれば、金銭解決というのは、解雇の金銭解決じゃないんですよ、解雇紛争の金銭解決なんです。それを、あたかも解雇の金銭解決のようなデマを振りまいて国会を混乱させてきたのは民主党なんです。

 この金銭解決の話は、もうきょうは時間もありませんからいたしません。

 私は、最後に、もう二、三分しかありませんので、総理にあと一つだけ御見解を聞いておきたいことがあります。

 この委員会でも、私は何度も、年金局長を初め、聞いてきたことなんですが、よく民主党さんは格差と言われます。派遣法があたかも格差を生んでいるかのような、そういう、まあ、これも誤解だと私は思っています。

 むしろ最大の問題は……(発言する者あり)これは大事な問題ですから、ちょっと静かにして。

渡辺委員長 静粛にお願いします。

足立委員 やはり社会保険。

 これは年金局長も認められましたが、被用者性のある方々が被用者保険に入れずに、各論は聞きませんよ、各論は聞きませんが、昔は被用者性のない方の保険が国民年金だったんです。だから、収入もあるような方が国民年金をもらっていたんです。今は、被用者性のある方が国民年金に、要は被用者保険に入れない方がふえているものだから、それが実は格差問題の最大の問題であって、これは民主党政権にあっても全く手がつけられなかった。そういう社会保険の抜本改革を私はしていく必要があると。(発言する者あり)民主党の皆さん、もし反論があるなら委員会の場でやってください、委員会の場で。

 もう時間がありませんが……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いいたします。

 質疑を続けてください。

足立委員 総理、最後に、今申し上げたように、格差の問題というのは、民主党がおっしゃるような矮小な問題ではなくて……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛に。

足立委員 格差の問題というのは、社会保障制度を含めた大変重要なテーマだ、私はそう指摘をしているわけでありまして、その点について、総理の御見識を開陳いただければと思います。

安倍内閣総理大臣 社会保険制度は、今委員がおっしゃった格差の問題、あるいは貧困の防止という意味においては、大きな役割を果たしています。

 今後ともその機能を果たし続けていくことができるようにするためにも、短時間労働者に対して被用者保険の適用拡大を進めることが重要であると考えているわけでありまして、その点においては全く委員と同じ考え方であります。

 平成二十八年十月からは、週二十時間以上などの基準を満たす短時間労働者について適用拡大を実施することとなっています。その実施状況を踏まえまして、さらなる適用拡大に向けて検討を進めていく考えでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 もう終わりますが、実はこの派遣法、三度目の提出に当たって、政府は修正をしてきました。その修正は、どうも民主党に相当配慮をした修正だったんですね。この点、私は、課題がある、その修正については、民主党に過剰に配慮した結果、若干問題が発生しているということだけ御指摘を申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 これより民主党・無所属クラブの質疑時間に入ります。

 これにて民主党・無所属クラブの質疑時間は終了いたしました。

 これより日本共産党の質疑時間に入ります。

 これにて日本共産党の質疑は終了いたしました。

 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時六分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、日本共産党所属委員に対して、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 この際、内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、足立康史君外一名から、維新の党提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。足立康史君。

    ―――――――――――――

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

足立委員 ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、維新の党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の要旨は、労働者の能力の有効発揮と雇用安定に資する雇用慣行が損なわれるおそれがあると認められるときの検討規定を改め、この法律の施行後速やかに、労働者の解雇に関する法制度を含めた労働に関する法制度のあり方について、これに関連する社会保険制度のあり方とあわせて、抜本的な見直しを行うものとすることであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

渡辺委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、お諮りいたします。

 両案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房統計情報部長姉崎猛君、職業安定局派遣・有期労働対策部長坂口卓君、職業能力開発局長宮川晃君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより両案及び修正案を一括して質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村弥生君。

木村(弥)委員 自由民主党の木村弥生でございます。

 本日は、派遣法の質疑ではございますが、その前に、まず年金についてお伺い申し上げます。

 来週の月曜日、六月の十五日は年金の定期支払い日となっておりますが、年金の支給は問題なく行われると考えてよいのか、質問させていただきます。

塩崎国務大臣 日本年金機構への不正アクセス事案をめぐりまして、一部に、漏れた年金という表現も使用されておりますけれども、この表現は国民に無用な不安や誤解を与えかねない。(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にしてください。答弁中です。静粛に。

塩崎国務大臣 昨日の参議院の内閣委員会で、内閣官房長官と民主党の蓮舫議員とのやりとりがございました。その際、蓮舫議員からも、この漏れた年金という表現について陳謝をされ、年金は漏れていませんと発言されたと承知をしているところでございます。(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にしてください。

塩崎国務大臣 年金は漏れていないということを改めて強調をしたいと思います。

 この問題で国民の皆様に大変な御心配をおかけしておりまして、厚生労働省、日本年金機構においては、国民の年金を守るということを最優先に取り組んでまいりたいと思いますし、これまでもそのように取り組んでまいりました。

 来週月曜日、すなわち六月十五日は年金の定期支払い日でございまして、全国で約四千万件の年金のお支払いが行われることになっています。年金受給者の皆様には、通常の予定どおり、年金のお支払いを実施する予定でございます。

 なお、年金のお支払いに当たりましては、厚生年金に加入をしております事業所にお勤めの場合、あるいは現況届が未提出の場合、こういった場合には年金の支給停止等が行われる場合がございますので、御自身に振り込まれた年金の額について御疑問がある場合は、お近くの年金事務所や電話相談窓口に御相談をいただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、来週月曜日、六月十五日に、年金は予定どおり四千万件お支払いをする予定でございます。

木村(弥)委員 ありがとうございます。

 ぜひしっかりと対応していただきまして、国民の皆様の不安をなくしていけるよう、お願いしておきたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、派遣法についての質問に移ります。

 一番目の質問は抜かしまして、二番目の、多様な働き方についてお尋ねしたいと思います。

 安倍政権になってから、雇用情勢は堅調に推移している一方で、非正規雇用の増加が議論になっています。非正規雇用は長期的に増加傾向にありますが、最近の増加の背景には、高齢者の雇用確保が進んでいることや、景気回復や雇用情勢の改善に伴ってパートなどで働き始める方が増加しているといった要因もあり、非正規雇用の増加が直ちに問題であるとは言えません。

 私自身、実際に派遣で働いた経験があります。一人息子が中学生になり、子育てが一段落したところで、看護師として社会に貢献したい、そんな思いから、看護大学への編入学を目指していたからです。私が経験した派遣という働き方が、とりたてて処遇が悪いということもなく、残業もなく、スキルや経験を積むことができて、子育てをしていた当時の私にとって、ニーズに合った働き方で学費をためることができました。

 事ほどさように、私のように、それぞれ夢を実現するために派遣で働く人がいるのも事実です。派遣を選ぶ方が必ずしも正社員を目指しているわけではないということは、私の経験からも十分に理解できます。

 そこで、質問でございます。

 既に人口が減少に転じている我が国におきまして、経済社会の活力を維持向上させていくためには、女性や高齢者など、多様なニーズを持った人たちが参画しやすい、柔軟で多様性のある働き方を実現していくことが必要だと考えております。

 そこで、私の看護師としての先輩でもあり、女性の健康の包括的支援に関する法律案の取りまとめに向けて中心的な役割を果たされた高階恵美子政務官に、政府の見解を伺います。

高階大臣政務官 夢を実現するための働き方、現在、政府におきましても、一人一人がそれぞれのライフスタイルあるいは希望に応じて社会で活躍する場所を見出せる、そうした柔軟で多様な働き方が可能となるような取り組みを進めさせていただいているところでございます。

 今回の法改正におきましても、正社員を希望する現在派遣で働く方につきましては、正社員への道が開けるようにしていく、そしてまた、みずからの働き方として派遣を積極的に選択している、そういう方についてはその待遇の改善等を図っていく、こういったこととしておりまして、政府が現在目指しておる、柔軟で多様な働き方が可能になるという望ましい働き方に合致したものであると考えております。

木村(弥)委員 政務官、ありがとうございます。

 今の女性の活躍できる働き方、ぜひ推進していただきたいと思います。

 私は、看護師を経験した後、日本看護協会に入りました。そこで広報部に在籍し、メディアなどさまざまな分野で活躍する優秀な女性の方々と出会いました。その中には、配偶者の海外勤務を機に仕事をやめた方がいらっしゃいます。そういった能力のある方々が日本に帰ってきたときに、また働こうとしても日本の企業への再就職が難しく、外資系の企業に就職されるという実情があると聞きました。本当にもったいないことだと思います。

 日本の正社員は、職務の範囲が曖昧なメンバーシップ型の働き方と言われ、残業あり転勤ありのとても拘束度の高い働き方を求められます。一旦出産を機に仕事をやめて、子育てをしながら働く女性には、なかなかニーズに合った職場を見つけることが困難です。

 他方、パートタイムなどの非正規雇用では、正社員よりも待遇が低く、意欲を十分に発揮することが困難なケースも考えられます。

 女性の活躍を促進する上では、意欲や能力を十分に発揮でき、かといって、残業でも転勤でも何でも引き受けるといった働き方ではない、女性のニーズにマッチした働き方を広げていく必要があるのではないでしょうか。政府の見解を伺います。

坂口政府参考人 今御指摘のように、日本の労働市場が抱える課題の一つとしまして、雇用が安定し賃金も高いけれども、残業や転勤などの働き方の拘束度が高いというような課題がある正社員の方と、あと、柔軟な働き方ではありますけれども、雇用が不安定で賃金が低いといった課題のある非正規労働者という、働き方の二極化があると認識をしております。

 この二極化を解消しまして、雇用形態にかかわらず安心して働くことのできる環境を整備するためには、今委員も御指摘がありましたけれども、勤務地や職務を限定した正社員など、多元的な働き方の普及を図っていくということが重要な方策であると考えておりまして、そういった多様な正社員制度を導入する企業への助成等も実施しているところでございます。

 また、「日本再興戦略」改訂二〇一四を踏まえまして、本年一月からは、月百時間超の残業を把握した事業所に対しての監督指導の徹底でありますとか、あるいは本年の四月からも、過重労働に係る事案、複数の労働局にまたがるようなものについては、特別のチーム、「かとく」を東京、大阪労働局に新設するというようなこともしまして、働き過ぎの防止のための取り組みを強化しております。

 今後とも、そういった必要な対策をしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

木村(弥)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、女性それぞれのライフステージ、夢にかなった働き方ができるような日本にしていただきたいと思っております。

 最後の質問になります。

 派遣という働き方については、一定の課題があることは事実です。

 不本意に派遣で働いている方がいらっしゃいますので、そうした方については、希望に応じて正社員になれる道を開いていくことが重要です。

 他方、派遣で働く方の中には、みずからの高い専門性や技能を生かして、あるいはより自由度の高い働き方として、積極的に派遣という働き方を選択されている方も数多くおられます。

 派遣で働く方の賃金は、パートタイムなどほかの非正規雇用に比べれば高い水準にありますが、ただ、正社員と比べると相対的に水準が低く、正社員ほど年齢とともに上昇するという傾向が見られません。

 質問です。

 派遣という働き方を積極的に選択している方が徐々に知識やスキルを身につけて、それに応じて処遇も改善されるなど、派遣の中でもキャリアアップを図ることができるという道筋をつくることが重要なのではないでしょうか。政府の見解を伺います。

塩崎国務大臣 派遣という働き方には、ワーク・ライフ・バランスが図られやすい働き方であるというメリットがある一方で、やはり直接雇用と比べますと、雇用の安定あるいはキャリアアップ形成、そういったことが図られにくいという問題、課題があるわけでございます。

 このため、今回の派遣の制度の見直しでは、派遣元事業主に、同じ職場で三年働いた方に対する雇用安定措置、それから、計画的な教育訓練やキャリアコンサルティングの実施を義務づけるということによって、派遣で働く方の雇用の安定とキャリアアップを図るということを推進することとしているわけでございます。

 また、賃金あるいは教育訓練、福利厚生施設の利用の面における均衡待遇を強化することによって、派遣を希望する方の待遇を改善することを図ることとしているわけでございます。

 このように、政府としては、選択ができる雇用形態があって、どの雇用形態をとろうとも、働く方々が生きがいを持つことができる、働きがいの持てる、そういう環境を整備していくことが重要だというふうに思っております。

木村(弥)委員 大臣、ありがとうございました。

 私は、もう十分にこれで審議が尽くされたと思っております。ぜひ速やかに質疑終局をしていただければと思っております。

 これで質問を終わります。

渡辺委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まずもって御礼を申し上げます。

 この派遣法の審議につきましては、五月十二日の本会議で質疑入りをしてから六月十日までに二十八時間十五分、この間、二度の参考人質疑も行われたわけでございます。そして、きょうの午前中には安倍総理が出席しての質疑も行われました。

 そもそも、この派遣法自体が成立したときの審議時間はどれぐらいだったのかということを見てみますと、十九時間五十八分という質疑でございました。その後、累次にわたる改正も行われてきましたが、その中でも特に大きな改正と言われるものでも、どれだけ質疑が行われてきたかを見てみますと、例えば対象業種をネガティブリスト化する、大きな改正でございました、この際の質疑時間は十一時間十四分。さらに、製造業を対象に加えるという改正の際にも、十八時間二十七分という審議時間でございました。

 今回は、既に三十時間を超え……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いいたします。

角田委員 丁寧かつ十分な質疑が行われてきたものと確信をいたします。本日、締めくくり総括質疑を行い、質疑終局をすべきと考えます。

 まず、このことを最初に申し上げてから、私の質問に入りたいと思います。

 ちょっと喉が弱いので最後までもつかどうかわからないので、質疑の順番を変えて、具体的には、キャリコンを後回しにして質問していきます。よろしくお願いいたします。

 景気の回復に伴い、雇用をめぐる環境も着実に改善の傾向を見せております。有効求人倍率を見ましても、リーマン・ショック前の二〇〇七年半ばの一・〇七、これがピークでありましたけれども、ことし三月には一・一五と、既にリーマン・ショック前を超える水準にまで改善をしております。地方によっては深刻な人不足という状況すら生じている、これが現状であるというふうに思います。

 現在、就職戦線も非常に好調ですが、これは本人の能力や努力ではやはりいかんともしがたいめぐり合わせ、そのときの雇用情勢というめぐり合わせというものが大きく左右する、それがある意味、日本の一つの大きな特徴ではないかというふうにも思っております。これは、企業の新卒主義など、日本の雇用慣行のもとでは、そのめぐり合わせというものによって不本意な雇用形態のまま固定されやすいという側面があると思います。

 それでは、今なすべきことは、雇用情勢が改善をしているこのときに、不本意に今の雇用形態につかれている方が自分の望む雇用形態に移行できるようにすること、経済再生の果実というものを多くの方が実感できるようにする、働き方についてもそうで、不本意な雇用形態の解消を進めることが最も重要なことであるというふうに考えております。

 総務省の労働力調査の中で、新たに二〇一三年から項目が追加された不本意非正規雇用者についての調査を見ても、非正規の雇用形態についた理由のうち、正規の職員、従業員の仕事がなかったからと回答する人の割合は、この二年で約二割から一七%台に全体では少し減ってきております。年齢別に見ますと多少でこぼこはありますが、全体としては不本意非正規は減少をしている。

 では、このうち派遣労働者はどうなのかということについては、不本意ながら派遣という働き方を選択している方の割合は四割にアップすると言われております。これは派遣労働者実態調査の結果に基づくものと思いますが、聞き方がこの調査では少し違っているので単純な比較もできないとは思いますが、今後希望する働き方として正社員を希望する方の割合は四割を超えている。

 一方で、過去の委員会でも、派遣という働き方を続けたいという人も四割いるという説明でしたが、これを少し詳しく年齢別に見ていくと、その割合も大きく違っております。特に、若い年齢層、二十五歳から三十四歳という年齢層では、五割以上の方が今後の働き方として正社員を希望している。その一方で、五十歳以上になりますと、派遣労働者として働き続けたいという割合が上回るようになっております。

 ここでは、若い年代の正社員への転換を後押しするということの一方で、派遣労働の継続を希望する方が多い比較的高齢者の労働者の雇用の安定をどう図っていくのかということについて、今回の改正で、こうした比較的高齢の労働者の雇用の安定ということについてどのような手だてが講じられようとしているのか、まず、この点について確認のためにお伺いをしたいと思います。

坂口政府参考人 今委員御指摘のとおり、比較的年齢層の高い中高年層の方々への支援というのは非常に重要だということで考えております。

 今回の改正案では、全ての派遣で働く方を対象にしまして、派遣会社の方に計画的な教育訓練ということを新たに法的に義務づけるということとしております。

 これは新たな義務づけということになりますので、政府としましては、委員御指摘の中高年層で働く方々を念頭に置きつつ、丁寧な事業主の指導ということを行うとともに、現行制度でもいろいろ派遣会社の方はキャリアアップに向けた取り組みもしていただいておりますので、そういった取り組みを参考としていただくべく、事例集をしっかり作成して周知をするなどして、そういった支援ということをしっかりやってまいりたいと思っております。

角田委員 今回の派遣法の改正の内容について、さまざまな懸念も示されてきたわけでございます。例えば、専門二十六業務を廃止して全てに期間制限を設けることについて、職を失うことにつながってしまうのではないか、あるいは、法改正で派遣労働者がふえる、常用雇用代替が進む、正社員が全て派遣社員に置きかわってしまうという懸念等も示されてきました。

 これについては、これまでの審議の中で、さまざまな対策が講じられているということについてはおおむね了とするものでございますが……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にしてください。質疑中です。

角田委員 大事なことは、こうした改正の目的が達成されているのか、これからしっかり監督していくことも必要ですし、検証していく必要があると思います。特に、年齢の高い層の雇用の安定が図られているのかどうか、こうしたことも含めて実態の把握をしっかりとやっていく必要があると思います。

 そうしたことからも、現在、派遣労働者の実態調査は不定期で行われておりますが、これなども定期的に、さらには小まめに調査を実施していく必要があると思いますが、こうしたことも踏まえまして、今後の実態調査についてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。

姉崎政府参考人 厚生労働省におきましては、雇用の構造に関する実態調査というものを実施しておりまして、この調査は、その時々の雇用情勢に応じて、毎年テーマをかえて実施をしております。派遣労働者実態調査につきましては、この調査の一環として調査を実施しておりまして、これまで継続的に三回調査を実施しております。

 今後につきましても、引き続き、定期的に実施できるように努力をしていきたいというふうに思っております。

角田委員 言われている実態調査なんですけれども、厚労省のホームページによると、不定期に実施していると書いてあるんですね。しかもこれは四年ごとということで、私は、これを見た上で、やはり定期的に、さらに小まめにやっていただきたいというふうにお願いをしているんですが、これについてもう一度答弁をお願いしたいと思います。

姉崎政府参考人 委員御指摘のホームページでは、不定期に実施というふうに「公表予定」のところに書いてございます。これは、毎年必ず実施をしているわけではないということで不定期というふうに書いておりますけれども、ホームページでは、「過去情報」のところで「結果の概要」という欄がありまして、ここをクリックすると、過去の十六年、二十年とか、二十四年というふうに出てくるということでございます。

 先ほど、その時々の情勢において毎年テーマをかえて実施をしているということで申し上げましたけれども、これまで、派遣以外にも、若者を対象とした調査であったり、パートタイム労働者を対象とした調査ということであったり、そういうことでテーマをかえてやっておりますので、毎年毎年必ずというのはなかなかちょっと難しいかなというのはありますけれども、定期的にきちっと実施をしていきたいというふうに思います。

角田委員 これは非常に大事なところだと思いますので、極力小まめに、しっかりと実態の把握の方を進めていただけることを要望させていただきたいと思います。

 そもそも、派遣労働法ということについては、その時々の規制緩和の流れであるとか働き方の多様化、さらには、途中、政権交代など変化の中で数次にわたる改正を経る中で、派遣法そのものについてなかなか労働者にとってもわかりづらいというところがあるのではないかと思います。

 そもそも、この派遣法は、常用雇用代替防止と派遣労働者の保護という、ある意味相矛盾する目的を抱えており、その二つの目的の間でどのように労働者の保護を図っていくのかという性格がありますので、もともとわかりづらい面があると思います。

 今回の改正についても、その目的を労働者に正しく理解してもらうということは非常に重要なことだと考えます。制度改正の中身について、労働者への周知ということについてどのように取り組んでいかれるのかということをお伺いしたいと思います。

坂口政府参考人 今委員お尋ねございましたように、この改正案について、派遣で働く方を初めとしまして、関係者の方にわかりやすく伝えていくことが非常に重要だということで考えております。そういったことで、働く方を初めとする不安の解消ということも含めて、円滑な施行というための準備をしっかりしてまいりたいと思っております。

 具体的には、やはりホームページでありましたりリーフレットというようなものを使って、わかりやすい形で、今おっしゃいましたような趣旨であったり目的ということもわかりやすく伝えていく、それからあと、各都道府県労働局でも、改正案の内容についての説明会というようなものをきめ細かく実施して、しっかり周知を図ってまいりたいと思っております。

角田委員 しっかりと中身を理解してもらうためには、相談などにも丁寧に対応していただくことが必要だろうと思います。

 例えば、今、厚生労働省のホームページでは、労働者派遣事業の制度等でわからないことがある、このようなことでお悩みなら、全国の労働局では労働者派遣事業等に関する相談を総合的に受け付けますということで、都道府県労働局のホームページのリンクが張られておりますが、そこから、例えば相談したいなと思って労働局のホームページに移動しても、トップページを見ても現状では派遣のハの字もないんですね。相談したいのに電話番号等もないという状況で、ここからどう進めばよいんだというふうにちょっと悩んでしまうところがあります。

 私なんかは気が短いので、この段階で、もういいやと投げ出してしまうんだろうなと思いますけれども、こうしたところも含めて、ぜひともこれは丁寧な対応をお願いしたい、これは要望とさせていただきたいと思います。

 あと、時間があるので、もう一つ。

 正社員を希望する方に対する後押しの一つとして、キャリアアップのための措置の義務づけということがあります。この中で、特に重要になってくるのがキャリアコンサルタント。このキャリアコンサルタント、できるだけ有能な人材を配置して、少しでも労働者のキャリアアップにつながることが大事なことだろうと思うんですけれども、現状、八万五千ぐらい事業所があるという中で、本当に充実した体制が組めるのかどうか。

 これは古屋委員も前回おっしゃっていましたけれども、この養成というのが非常に重要になってくると思いますが、今後、具体的にどのような取り組みをされるのか、計画等があればお伺いをさせていただければと思います。

宮川政府参考人 働く方のキャリアアップを支援するための、適職の選択や能力開発に関する相談、助言を行う専門家であるキャリアコンサルタント、これをふやしていくことが非常に重要だと認識しております。

 政府といたしましては、厚生労働省といたしましては、平成二十六年七月にキャリア・コンサルタント養成計画を策定いたしまして、現在四万八千人のキャリアコンサルタント有資格者、養成数について、平成三十六年度までに十万人とする数値目標を定めるとともに、今国会に提出中でございます若者雇用促進法におきまして、キャリアコンサルタントの登録制度の創設ですとか守秘義務などを盛り込んでおりまして、このような形でキャリアコンサルタントの計画的な養成及び資質の確保を図ることとしております。

 キャリアコンサルタントの資質の向上のための研修ですとか好事例の発信、あるいはキャリアコンサルティング制度を導入する事業主に対する助成措置等も行いながら、質を伴ったキャリアコンサルタントの数をふやしてまいりたいと考えております。

角田委員 今回の改正でこれは非常に重要なところだと思いますので、ぜひとも充実を早期に図るように積極的な取り組みをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 維新の党の井坂信彦です。

 今回の派遣法改正には、三つの大きな矛盾があります。

 一つは、専門性の低い低賃金の派遣だけ規制緩和で拡大をされるのに、比較的高いスキルで比較的高い賃金が得られている専門二十六業務は、規制強化で働きにくく、受け入れにくくなる矛盾。

 そして二つ目に、企業側は、ずっと派遣を三年、六年、九年と使い続けられるようになるのに、肝心の派遣労働者は、必ず三年ごとに派遣契約を切られて行き先を探さなければならない矛盾。

 三つ目に、臨時的、一時的と法律に今回わざわざ追加をしながら、企業は派遣を取っかえ引っかえずっと使い続けられる規制緩和になっている矛盾であります。

 まず一点目に、事業単位の期間制限を三年、六年、九年と延長する際に、政府側、大臣の説明は、意見聴取手続があるから大丈夫だと。しかし、過去の例を見れば、意見聴取手続を行っても、反対意見はほとんど出ないことがもう明らかであります。

 平成十五年の改正で、自由化業務の期間制限を一年から三年に延ばすときもこの意見聴取手続が義務づけられましたが、そのときの実績では、意見聴取をしても、延長に反対をした組合はわずか一・二%です。つまり、この手続を入れようが、もうほとんどの場合はそもそも反対すら意見が出てこない。しかも、反対が出たとしても、なお理由を説明すればそれがそのまま実行、強行できる仕組みになっております。

 大臣は、私のこの指摘に対して、五月二十七日の答弁で、この意見聴取手続が期間制限延長の抑止力になると答弁をしておられますが、一体どのような合理的な根拠があってこれが抑止力となるのか、大臣にお答えをいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 今回の法案では、過半数労働組合等からの意見聴取、これに際して、現行制度にはない意見聴取の記録の周知、それから反対意見があったときの対応方針等の説明を新たに義務づけているわけでありまして、労使間で実質的な話し合いが行われる仕組みをつくることによって、つまり双方向の話し合いが行われるということによって、現場の実態を踏まえた労使自治のもとでの適切な判断が行われるように、こういうふうに考えているわけでございます。

 加えて、事業所内の派遣労働者数の推移等の資料の提供を求めることとしていることは御存じのとおりでありますが、派遣労働が拡大をして、本来正社員が従事すべき領域が侵されている、つまり常用代替とかそういうような事態でしょうか、こういった領域が侵されていると判断されるような場合には、今いる正社員の仕事を奪っていなくとも、正社員の言ってみれば業務負荷、これがふえる可能性があるなど、慎重な検討が行われ、必要な意見が出されるのではないかということは十分に考え得るわけでございます。

 先ほど、アンケートの結果について先生から御指摘がございまして、「受入期間を延長すべきではない」というのが一・二%で、ほとんど意見が出ないじゃないかということでありますけれども、このアンケートの結果についての考え方、受けとめ方については、あるいは解釈の仕方というのは、それぞれいろいろあり得るわけでございますので、先生がお示しになった考え方も一つだろうというふうには思いますが、他の解釈の仕方というものもあり得るのかなというふうに思っているところでございます。

井坂委員 大臣、人生いろいろみたいな、そんな答弁で済むのであれば、それはあらゆる議論が人生いろいろで済んでしまうと思います。

 明確にデータをお示ししておりますので、大臣が今説明されたことは、そもそも抑止力になりません。大体、反対があったときはとおっしゃいますが、反対の意見の出る割合が前回は一・二%でしたから、今回それが多少伸びたとしても、一体どれだけの組合が実際に反対をするのか。多くは反対すらなく、延長し放題になるのではないか。なぜ抑止力になるのか、もう一度お願いいたします。(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にしてください。

塩崎国務大臣 「受入期間を延長すべきではない」というパーセンテージが一・二%である一方で、これを見ますと、「受入期間を延長してよい」というのが三九・五%あるわけでございます。したがって、受け入れを受け入れるという方々が四割ということであります。「特に意見は出されなかった」が四四・九%。ですから、四割の方が受け入れ期間を延長していいと言い、そして、特に意見がないという方が四割ですから、それを合計しただけで八割を超えているわけでございます。

 これをどう解釈するかということで、今の先生の解釈だと、本当はそうじゃないけれどもというふうにとるのかなとも考え得るような御説明がございましたけれども、素直にこれを読むと、この場合は、この場合というのは今とったアンケートでいくと、受け入れることを容認するという方がかなり多いなということであって、今後、反対する人が一・二%しかいないから意見聴取が意味がないというのは少しどうだろうかというふうに考えて、ですから、解釈はさまざまあり得るけれども、私どもは必ずしもこれが実態をあらわしていないとは思っていないということを申し上げたかったわけでございます。

井坂委員 実態をあらわしていないとは思っていないとか、ちょっと意味が不明になってきているんですけれども、これはさすがに与党の皆さんも、本当にこういう答弁でいいと思われますか。聞いたことに答えているというふうに、委員長、思われますか。

 大臣も今、全然、抑止力のあるということに関する説明は一秒もなかったというふうに思うんですが、なぜ反対がそもそも一・二%しかない意見聴取手続が抑止力になるのか、お願いいたします。

塩崎国務大臣 いや、アンケートは、反対という方も、延長すべきではないというのが反対ですよね、延長に関して。その方は一・二%で、もともと反対がこれしかいないというのは、同意をしているからいないという解釈が普通の解釈だろうと思うんです。

 抑止力は、先ほど申し上げたように、これまでになかった意見聴取の記録の周知と、それから、そもそも今までは反対意見があっても説明をする義務はなかったわけでありますから、それを新たに義務としてやってくださいということを申し上げていますので、今までよりもはるかにそれは抑止力を持つはずであるということを申し上げているわけで、もともと労使の間はやはり話し合いでもって決めるものでありますので、それが労使自治というものだと思うんですね。

 ですから、その労使自治の中で、御意見を言っていただいて、それについての説明を今回追加的に義務化するということをしているわけですから、今までよりもこれは意見が行ったり来たりということで交わされ、なおかつそれを周知していこうということでございますので、言ってみれば、社員が知り得ることにもなるということが抑止の力になる。ですから、それは情報公開というのと同じような発想で、周知をすることによって抑止力は今までより増すということは論理的に言えるのではないかというふうに思います。

井坂委員 結局、今回の意見聴取手続では、恐らく反対意見が出ることすらほとんどない。事実上、延長したいと言えば幾らでも延長ができる仕組みだというふうに思います。

 一方で、お尋ねをいたしますが、では、今回の法改正で、派遣の雇用枠が減る方向の改正というのは何かあるんでしょうか。先ほど議論したのは、これは明らかに派遣の雇用枠がふえる方向の規制緩和でありますが、派遣の雇用枠が減る方向の今回の法改正は何かありますでしょうか。

塩崎国務大臣 派遣先における雇用形態別の労働者構成をどうするかというのは、これも何度も申し上げてまいりましたけれども、法制度も一要素でありますけれども、当然のことながら、経済状況とかあるいは技術の進歩とか、労働者の考え方とか姿勢とか家族構成とか、いろいろなことを含めて、最終的には経営判断によってどういう雇用形態がなされるかということが決まるわけでありまして、法制度の影響を正確に測定するというのはなかなか難しいというふうに思います。

 その上で申し上げるとすれば、今回の改正案においては事業所単位の期間制限を設けており、派遣先が三年を超えて有期雇用の派遣を利用するには、過半数労働組合等からの意見聴取等を、先ほど申し上げたように新たに義務づけることとしており、また、他の雇用形態でこのような規制はないことを考えてみると、こうした負担を回避するために、派遣先の企業が派遣雇用枠を減らすことはあり得るものだというふうに思っております。つまり、それは、派遣から、例えばパートとかあるいは契約社員とか、そういうところに移る可能性があり得るというふうに考えていくのが自然かなというふうに思うわけでございます。

井坂委員 まだまだ矛盾がありますが、例えば、今回、専門二十六業務で主に問題になりますが、企業側は、こうして三年、六年、九年と派遣労働者を取っかえ引っかえ入れ続けることができるようになります。これはほぼ歯どめがありません。

 一方で、派遣労働者の側は必ず、個人単位の三年期間制限ということで、派遣労働、行き先をまた、三年たてばほかのところを探さなければいけない。

 この個人単位の三年期間制限というのは、政府がよくおっしゃる派遣労働を続けたい側の派遣労働者にとって、一体どのようなメリットがあるんでしょうか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 この個人単位の期間制限でございますけれども、これは、有期の派遣労働が、雇用の安定でありますとかキャリア形成が図られにくいという面があるということから設けることとするものでございます。

 今委員お尋ねございました、派遣で働き続けることを希望する方にとってでございますけれども、これは、今回新たに義務づけます、派遣会社、派遣元に実施することを求める計画的な教育訓練等とも相まって、個人単位の期間制限、三年ごとということでございますので、この三年という節目節目でキャリアを見詰め直すということをしていただき、キャリアアップの契機にしていただくということでございます。

 そういったキャリアアップの契機ということで、キャリアの見詰め直しということがまた処遇の改善にも結びつくということが、派遣労働を続けたい、希望する方にとってのメリットということで考えております。(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いいたします。

井坂委員 大臣、再質問いたします。

 今、派遣で働き続けたいという方をなぜ三年で切るんですかということに対して、キャリアの見詰め直しの機会を、チャンスをつくるんだということであります。

 お尋ねをいたしますが、なぜ派遣労働者だけ三年に一度の強制的なキャリアの見詰め直しが必要なのでしょうか。仮に、見詰め直して、よし、やはり同じ派遣先で働きたいとなることも多いと思いますが、だったらそのまま働き続けられるようにすればいいのに、なぜ三年で強制的に同じところで働くことを禁止するんでしょうか、お伺いをいたします。

塩崎国務大臣 これは、もともとの労政審の建議であるとか、あるいは、今回を含めて厚労委員会で多くの野党の先生方から確認をされたのは、派遣労働というのは臨時的、一時的なものが原則だということを繰り返し御指摘いただきました。私どもも、それを明確化するために、今回の修正提出させていただいた改正案には、臨時的、一時的なものが原則だということを明確に法律に明記いたしたわけであります。

 私たちがいつも考えなきゃいけないのは、もちろん経済全体のことはもとより、働く人たちがどうやって御自分の働くスタイルを選べ、つまり、それは、正社員になりたいというときには正社員になれるように、よりなりやすくなるようにということを考え、そして、派遣で勤めたい、勤め続けたいという方がおられるときには、その方々にとっては、やはり評価をきちっとしていただけるようにする。つまり、それはまさに、みずからの力をつけていただけるように支援をする仕組みというものをつくる。つまり、キャリア支援……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にしてください。

塩崎国務大臣 キャリア形成支援制度というものをしっかりと持っていないところはもう派遣元としては許可をしないということによって、働く人たちが絶えず、どっちを選ぼうとも、みずからの価値を上げていくということをやることを、私たちは今回の仕組みの中で、特に全面許可制という中でそれをバックアップしていこうということにしているわけでございます。

 したがって、個人の三年の期間制限というのは、今部長からも御答弁申し上げたように、その三年という区切りで一回見詰め直して、そして、そこに、その先に行く場合には、雇用安定措置を義務化することによって、さらに言ってみればキャリアアップしやすいようにしていくということでやっているわけでございます。

井坂委員 正面からお答えいただきたいと思います。

 いいんですよ。いろいろなキャリアアップ措置があってもいいと思います。あるいは、正社員化のチャンスが三年に一度あってもいいと思いますが、見詰め直しの結果、同じところでまたもっとやりたいという考えになる人も当然多いと思います。なぜ強制的に派遣だけかえなければいけないのか、なぜ派遣だけキャリアの見詰め直し、そして見詰め直しがどうなろうと別の場所で働かなければいけないのか、お答えください。

塩崎国務大臣 多分、二十六業務を主に想定しておっしゃっていることかなというふうに思いますけれども、何度も申し上げますけれども、二十六業務で働く方々についても、約八七%の方が有期雇用でそれを転がしていくという契約をずっとやっているわけです。特に、半年以下というのが過半を占めるということもあることを皆さんも御存じだと思いますけれども、そういう不安定な雇用の中で派遣を続けられているということであって、有期の雇用だということをまず押さえなければいけないことであって、労働契約の更新がされる保証はないということであります。

 また、いわゆる二十六業務だからといって待遇がいいということも必ずしもないことは、井坂先生、多分よく御存じのとおりであって、時給でいくと、ほとんどパートと変わらないというところもあります。(井坂委員「二十六業務に限らずお聞きしています」と呼ぶ)

 政府としては、まあ二十六業務以外でももちろんあり得ますが、二十六業務に従事する有期雇用契約の方について、雇用が不安定なまま臨時的、一時的原則の例外とする現状を放置することは控えたい、こういうことで、私どもとしては三年の個人の期間制限というのを設けて、みずからを見詰め直しながらキャリアアップをし、生活を豊かにしていくということが大事ではないかということを申し上げているわけでございます。

井坂委員 その話はおととい議論済みなんですが、では三年たって正社員になれるなら、おっしゃるとおりです、臨時的、一時的ですが、多くは、結局、次の派遣先を紹介されるだけで、派遣労働はずっと続くわけですから、全くもって今の御答弁は理屈が通っていない。矛盾に満ちた制度だというふうに思います。

 最後に一問だけ。

 この二十六業務の問題、おとといも議論させていただきました。そんなことは起こらないという御答弁でありますが、しかし、もし、我々が本当に懸念をしているように、今回の法改正後に、いわゆる三年後の雇いどめ予告、あるいはそれに先立っての雇いどめ、こうした例が目立って出てきた場合はどのような手を打たれるおつもりか、お伺いをしたいと思います。

塩崎国務大臣 この問題は先生が特に御懸念を強くお持ちであることはよくわかっておりまして、私どもも先生の問題意識は正面から受けとめて考えているところでございますけれども、そもそも、いわゆる二十六業務、これに従事している方々が今回の法改正の三年後に大量に雇いどめされるような事態は起きないようにすることが必要だということは、私どもも同感であるわけでございます。

 このため、今回の改正法案では、個人単位の期間制限の上限に達する見込みのある派遣労働者に対して、派遣労働者が引き続き就業することを希望する場合には、その雇用の安定を図るために、新たな就業機会、派遣先の場合ももちろんございますが、その提供等の雇用安定措置を講ずることを派遣元に新たに法的に義務づけるとともに、キャリアアップ助成金、これは今まで六十万だったのを今年度から八十万にするわけでありますけれども、これを活用するなどによって正社員化を図っていくこととするわけであります。

 その上で、現在いわゆる二十六業務に従事をしておられて、改正法施行後、個人単位の期間制限の上限に達することにより離職をすることを心配されている方々に対しては、全国の都道府県の労働局に特別の相談窓口を設置して個別に御相談に応じる中で、法令違反が疑われる場合には、これは指導監督部門に誘導して、派遣元を厳しく指導する。それから、就職の支援が必要な場合には、これはこの間も申し上げましたけれども、ハローワークに誘導するなどの、個々の事情に応じて、これはしっかりと対応していかなければならないというふうに考えているところでございます。

 なお、派遣で働く方に限らず、有期労働契約における雇いどめについては、労働者保護の観点から、その有期労働契約が更新されるものと期待をすることに合理的な理由が認められる場合など一定の場合には、これを無効とするルール、すなわち雇いどめ法理というのが確立をしておりますから、労働契約法第十九条に法定化されているところでございます。

井坂委員 今の大臣の御答弁どおりだったらどんなにいいかというふうに思うんですね。

 窓口に行って相談すれば雇いどめがなくなるというような、そんなようなお答えでしたけれども、ちょっと理屈がよくわからないんですが、窓口に行くと、雇いどめはどういう理屈で回避をされるんですか。

塩崎国務大臣 相談に行ったらすぐ解決するということを申し上げているわけではないということでございます。

 問題は、相談をして、どういう具体的なやりとりが行われているかということをつぶさに教えていただくことによって、先ほど申し上げたとおり、法令違反があるような場合、あるいは法の趣旨に反するようなことをやっている、特に今回は全面許可制でございますから、法令違反がある場合には厳しく指導するというのは当然の指導監督部門の責任でありますので、そういうことであるかどうかということを含めて御相談を、特別に、二十六業務に特に特化をして窓口をつくるということを申し上げているわけでありまして、そのほか、もちろん、労働局には相談窓口がもともとあるわけでありますから、御相談に広く応じることは当然のことでございます。

井坂委員 大臣、御自身が仮に派遣労働者だったら、あるいは自分の子供や孫が派遣労働者だったら一体どうだろうか、こういう真剣な想像力を持って我々は法改正を行わなければいけないというふうに思います。

 本日は時間が参りましたが、大変大きな怒りを持って私の本日の質疑を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 現在、民主党・無所属クラブ及び日本共産党所属委員の御出席が得られておりません。

 理事をして御出席を要請させますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 理事をして御出席を要請させましたが、民主党・無所属クラブ及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 ただいま議題となっております両案中、内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、公報をもって……(発言する者多く、聴取不能)こととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五分散会


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