衆議院

メインへスキップ



第25号 平成27年6月17日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十七年六月十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 赤枝 恒雄君 理事 後藤 茂之君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 松野 博一君 理事 西村智奈美君

   理事 浦野 靖人君 理事 古屋 範子君

      大岡 敏孝君    大串 正樹君

      加藤 鮎子君    木村 弥生君

      工藤 彰三君    小松  裕君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      谷川 とむ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    長尾  敬君

      丹羽 雄哉君    橋本  岳君

      比嘉奈津美君    堀内 詔子君

      牧原 秀樹君    松本 文明君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      阿部 知子君    小川 淳也君

      大西 健介君    岡本 充功君

      中島 克仁君    山井 和則君

      足立 康史君    井坂 信彦君

      牧  義夫君    輿水 恵一君

      角田 秀穂君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    堀内 照文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      山本 香苗君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   厚生労働大臣政務官    高階恵美子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  谷脇 康彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房情報政策・政策評価審議官)  安藤 英作君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       土屋 喜久君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  坂口  卓君

   参考人

   (日本年金機構理事長)  水島藤一郎君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十七日

 辞任         補欠選任

  松本  純君     工藤 彰三君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     松本  純君

    ―――――――――――――

六月十六日

 難病と長期慢性疾病、小児慢性特定疾病の総合的な対策の充実に関する請願(武藤貴也君紹介)(第一九三四号)

 同(森英介君紹介)(第一九三五号)

 同(鬼木誠君紹介)(第二〇五〇号)

 同(神田憲次君紹介)(第二〇五一号)

 同(郡和子君紹介)(第二〇五二号)

 同(長坂康正君紹介)(第二〇五三号)

 同(野田毅君紹介)(第二〇五四号)

 同(松田直久君紹介)(第二〇五五号)

 同(泉健太君紹介)(第二一六八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一六九号)

 障害者福祉についての法制度の拡充に関する請願(秋本真利君紹介)(第一九三六号)

 同(緒方林太郎君紹介)(第一九三七号)

 同(大岡敏孝君紹介)(第一九三八号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第一九三九号)

 同(清水忠史君紹介)(第一九四〇号)

 同(藤丸敏君紹介)(第一九四一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二〇五六号)

 同(池内さおり君紹介)(第二〇五七号)

 同(石関貴史君紹介)(第二〇五八号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二〇五九号)

 同(大平喜信君紹介)(第二〇六〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第二〇六一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇六二号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二〇六三号)

 同(志位和夫君紹介)(第二〇六四号)

 同(清水忠史君紹介)(第二〇六五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇六六号)

 同(島津幸広君紹介)(第二〇六七号)

 同(下地幹郎君紹介)(第二〇六八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二〇六九号)

 同(高木義明君紹介)(第二〇七〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇七一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二〇七二号)

 同(畠山和也君紹介)(第二〇七三号)

 同(藤野保史君紹介)(第二〇七四号)

 同(堀内照文君紹介)(第二〇七五号)

 同(真島省三君紹介)(第二〇七六号)

 同(御法川信英君紹介)(第二〇七七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二〇七八号)

 同(宮本徹君紹介)(第二〇七九号)

 同(本村伸子君紹介)(第二〇八〇号)

 同(山井和則君紹介)(第二〇八一号)

 同(赤松広隆君紹介)(第二一七〇号)

 同(安藤裕君紹介)(第二一七一号)

 同(泉健太君紹介)(第二一七二号)

 同(漆原良夫君紹介)(第二一七三号)

 同(志位和夫君紹介)(第二一七四号)

 同(田中和徳君紹介)(第二一七五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二一七六号)

 同(野間健君紹介)(第二一七七号)

 同(馬場伸幸君紹介)(第二一七八号)

 同(原田義昭君紹介)(第二一七九号)

 同(御法川信英君紹介)(第二一八〇号)

 同(宮川典子君紹介)(第二一八一号)

 社会保障の連続削減を中止し、充実を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一九四二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇八二号)

 同(畠山和也君紹介)(第二一八二号)

 七十五歳以上の高齢者と子どもの医療費を無料にすることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二〇四二号)

 福祉人材確保対策のための処遇改善に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二〇四三号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(郡和子君紹介)(第二〇四四号)

 同(玉城デニー君紹介)(第二一五九号)

 全てのウイルス性肝硬変・肝がん患者の療養支援とウイルス検診の推進に関する請願(井坂信彦君紹介)(第二〇四五号)

 同(高木義明君紹介)(第二〇四六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇四七号)

 同(堀内照文君紹介)(第二〇四八号)

 同(泉健太君紹介)(第二一六一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二一六二号)

 同(野間健君紹介)(第二一六三号)

 同(馬場伸幸君紹介)(第二一六四号)

 同(畠山和也君紹介)(第二一六五号)

 同(原田義昭君紹介)(第二一六六号)

 全国一律最賃・時給千円以上の実現に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二〇四九号)

 同(玉城デニー君紹介)(第二一六七号)

 社会福祉法等の改正に関する請願(山井和則君紹介)(第二〇八三号)

 同(泉健太君紹介)(第二一八七号)

 介護報酬引き下げを撤回し、国庫負担をふやして利用料と保険料引き下げを求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二一四二号)

 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願(青柳陽一郎君紹介)(第二一四三号)

 同(泉健太君紹介)(第二一四四号)

 同(大口善徳君紹介)(第二一四五号)

 同(金子恭之君紹介)(第二一四六号)

 同(亀岡偉民君紹介)(第二一四七号)

 同(河野正美君紹介)(第二一四八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一四九号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第二一五〇号)

 同(高木美智代君紹介)(第二一五一号)

 同(西村智奈美君紹介)(第二一五二号)

 同(堀内照文君紹介)(第二一五三号)

 同(宮川典子君紹介)(第二一五四号)

 同(宮崎岳志君紹介)(第二一五五号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第二一五六号)

 新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求めることに関する請願(畠山和也君紹介)(第二一五七号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員に関する請願(畠山和也君紹介)(第二一五八号)

 身体障害者手帳等級の改善に関する請願(堀内照文君紹介)(第二一六〇号)

 労働法制の全面改悪反対に関する請願(梅村さえこ君紹介)(第二一八三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二一八四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二一八五号)

 同(堀内照文君紹介)(第二一八六号)

 憲法を生かし将来に希望の持てる年金を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二一八八号)

同月十七日

 安心の年金制度を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二二四四号)

 筋痛性脳脊髄炎患者の支援に関する請願(伊佐進一君紹介)(第二二四五号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第二二四六号)

 同(大西健介君紹介)(第二二四七号)

 同(岡本充功君紹介)(第二二四八号)

 同(金子めぐみ君紹介)(第二二四九号)

 同(重徳和彦君紹介)(第二二五〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二五一号)

 同(角田秀穂君紹介)(第二二五二号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二二五三号)

 同(とかしきなおみ君紹介)(第二二五四号)

 同(冨樫博之君紹介)(第二二五五号)

 同(中村裕之君紹介)(第二二五六号)

 同(仲里利信君紹介)(第二二五七号)

 同(堀内照文君紹介)(第二二五八号)

 同(堀内詔子君紹介)(第二二五九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二三七六号)

 同(稲津久君紹介)(第二三七七号)

 同(浦野靖人君紹介)(第二三七八号)

 同(金子恵美君紹介)(第二三七九号)

 同(金子恭之君紹介)(第二三八〇号)

 同(小松裕君紹介)(第二三八一号)

 同(輿水恵一君紹介)(第二三八二号)

 同(笹川博義君紹介)(第二三八三号)

 同(田嶋要君紹介)(第二三八四号)

 同(田中英之君紹介)(第二三八五号)

 同(丹羽雄哉君紹介)(第二三八六号)

 同(野田聖子君紹介)(第二三八七号)

 同(初鹿明博君紹介)(第二三八八号)

 同(福田昭夫君紹介)(第二三八九号)

 同(森英介君紹介)(第二三九〇号)

 同(山井和則君紹介)(第二三九一号)

 同(荒井聰君紹介)(第二五五三号)

 同(泉健太君紹介)(第二五五四号)

 同(加藤鮎子君紹介)(第二五五五号)

 同(柿沢未途君紹介)(第二五五六号)

 同(高木美智代君紹介)(第二五五七号)

 同(豊田真由子君紹介)(第二五五八号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第二六九三号)

 同(後藤茂之君紹介)(第二六九四号)

 同(船田元君紹介)(第二六九五号)

 同(今津寛君紹介)(第二七三七号)

 同(木村弥生君紹介)(第二七三八号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第二七三九号)

 同(富田茂之君紹介)(第二七四〇号)

 同(中谷真一君紹介)(第二七四一号)

 同(中根康浩君紹介)(第二七四二号)

 同(松本文明君紹介)(第二七四三号)

 同(村井英樹君紹介)(第二七四四号)

 同(村岡敏英君紹介)(第二七四五号)

 同(玉城デニー君紹介)(第二八五七号)

 無年金障害者を含む全ての障害者の生活の公的扶助制度の創設に関する請願(原田義昭君紹介)(第二二六〇号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第二五五九号)

 同(真島省三君紹介)(第二七四六号)

 患者窓口負担の大幅軽減に関する請願(畠山和也君紹介)(第二二六一号)

 同(清水忠史君紹介)(第二七一四号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員に関する請願(畠山和也君紹介)(第二二六二号)

 同(島津幸広君紹介)(第二三五四号)

 同(柚木道義君紹介)(第二三五五号)

 同(郡和子君紹介)(第二八三五号)

 介護従事者の処遇改善に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二六三号)

 同(池内さおり君紹介)(第二二六四号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二二六五号)

 同(大平喜信君紹介)(第二二六六号)

 同(笠井亮君紹介)(第二二六七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二二六八号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二二六九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二七〇号)

 同(清水忠史君紹介)(第二二七一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二七二号)

 同(島津幸広君紹介)(第二二七三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二二七四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二七五号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二二七六号)

 同(畠山和也君紹介)(第二二七七号)

 同(藤野保史君紹介)(第二二七八号)

 同(堀内照文君紹介)(第二二七九号)

 同(真島省三君紹介)(第二二八〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二八一号)

 同(宮本徹君紹介)(第二二八二号)

 同(本村伸子君紹介)(第二二八三号)

 全てのウイルス性肝硬変・肝がん患者の療養支援とウイルス検診の推進に関する請願(伊佐進一君紹介)(第二二八四号)

 同(吉田宣弘君紹介)(第二二八五号)

 同(北村誠吾君紹介)(第二三五八号)

 同(輿水恵一君紹介)(第二三五九号)

 同(階猛君紹介)(第二五〇〇号)

 同(島津幸広君紹介)(第二五〇一号)

 同(松木けんこう君紹介)(第二五〇二号)

 同(上西小百合君紹介)(第二六八一号)

 同(佐々木紀君紹介)(第二六八二号)

 同(青山周平君紹介)(第二七一九号)

 同(浮島智子君紹介)(第二七二〇号)

 同(大串正樹君紹介)(第二七二一号)

 同(竹本直一君紹介)(第二八三九号)

 同(玉城デニー君紹介)(第二八四〇号)

 難病と長期慢性疾病、小児慢性特定疾病の総合的な対策の充実に関する請願(尾身朝子君紹介)(第二二八六号)

 同(高木美智代君紹介)(第二二八七号)

 同(高木義明君紹介)(第二二八八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二八九号)

 同(前田一男君紹介)(第二二九〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二九一号)

 同(宮内秀樹君紹介)(第二三六一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二五〇三号)

 同(池内さおり君紹介)(第二五〇四号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二五〇五号)

 同(大平喜信君紹介)(第二五〇六号)

 同(笠井亮君紹介)(第二五〇七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五〇八号)

 同(志位和夫君紹介)(第二五〇九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二五一〇号)

 同(島津幸広君紹介)(第二五一一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二五一二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五一三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二五一四号)

 同(畠山和也君紹介)(第二五一五号)

 同(藤野保史君紹介)(第二五一六号)

 同(堀内照文君紹介)(第二五一七号)

 同(真島省三君紹介)(第二五一八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二五一九号)

 同(宮本徹君紹介)(第二五二〇号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第二六八三号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第二六八四号)

 同(園田博之君紹介)(第二六八五号)

 同(馳浩君紹介)(第二六八六号)

 同(浮島智子君紹介)(第二七二二号)

 同(寺田学君紹介)(第二七二三号)

 同(富田茂之君紹介)(第二七二四号)

 同(中根康浩君紹介)(第二七二五号)

 同(井坂信彦君紹介)(第二八四一号)

 同(大平喜信君紹介)(第二八四二号)

 同(岡本充功君紹介)(第二八四三号)

 同(北側一雄君紹介)(第二八四四号)

 同(階猛君紹介)(第二八四五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二八四六号)

 同(竹本直一君紹介)(第二八四七号)

 同(畠山和也君紹介)(第二八四八号)

 同(原田義昭君紹介)(第二八四九号)

 同(平野博文君紹介)(第二八五〇号)

 同(藤野保史君紹介)(第二八五一号)

 同(松木けんこう君紹介)(第二八五二号)

 同(松野頼久君紹介)(第二八五三号)

 同(三原朝彦君紹介)(第二八五四号)

 障害者福祉についての法制度の拡充に関する請願(井上義久君紹介)(第二二九二号)

 同(小島敏文君紹介)(第二二九三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二九四号)

 同(玉城デニー君紹介)(第二二九五号)

 同(中野洋昌君紹介)(第二二九六号)

 同(長坂康正君紹介)(第二二九七号)

 同(福島伸享君紹介)(第二二九八号)

 同(松野頼久君紹介)(第二二九九号)

 同(三原朝彦君紹介)(第二三〇〇号)

 同(輿水恵一君紹介)(第二三六二号)

 同(島津幸広君紹介)(第二三六三号)

 同(三原朝彦君紹介)(第二三六四号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二五二一号)

 同(柿沢未途君紹介)(第二五二二号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第二五二三号)

 同(階猛君紹介)(第二五二四号)

 同(篠原孝君紹介)(第二五二五号)

 同(宮腰光寛君紹介)(第二五二六号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第二六八七号)

 同(大野敬太郎君紹介)(第二六八八号)

 同(園田博之君紹介)(第二六八九号)

 同(平沼赳夫君紹介)(第二六九〇号)

 同(青山周平君紹介)(第二七二六号)

 同(小島敏文君紹介)(第二七二七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二七二八号)

 同(土屋品子君紹介)(第二七二九号)

 同(根本幸典君紹介)(第二七三〇号)

 同(藤井比早之君紹介)(第二七三一号)

 同(村岡敏英君紹介)(第二七三二号)

 社会保障の連続削減を中止し、充実を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二三〇一号)

 同(畠山和也君紹介)(第二三〇二号)

 同(畠山和也君紹介)(第二五二七号)

 同(本村伸子君紹介)(第二五二八号)

 七十〜七十四歳の患者窓口負担を一割に戻すことに関する請願(畠山和也君紹介)(第二三〇三号)

 同(清水忠史君紹介)(第二七三三号)

 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願(今枝宗一郎君紹介)(第二三〇四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三〇五号)

 同(角田秀穂君紹介)(第二三〇六号)

 同(中野洋昌君紹介)(第二三〇七号)

 同(堀内詔子君紹介)(第二三〇八号)

 同(横路孝弘君紹介)(第二三〇九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二三七〇号)

 同(尾身朝子君紹介)(第二三七一号)

 同(大隈和英君紹介)(第二三七二号)

 同(輿水恵一君紹介)(第二三七三号)

 同(初鹿明博君紹介)(第二三七四号)

 同(山井和則君紹介)(第二三七五号)

 同(荒井聰君紹介)(第二五五〇号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第二五五一号)

 同(階猛君紹介)(第二五五二号)

 同(加藤寛治君紹介)(第二六九一号)

 同(遠山清彦君紹介)(第二六九二号)

 同(岸信夫君紹介)(第二七三四号)

 同(清水忠史君紹介)(第二七三五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二七三六号)

 同(郡和子君紹介)(第二八五五号)

 同(本村伸子君紹介)(第二八五六号)

 公正な賃金・労働条件に関する請願(大平喜信君紹介)(第二三二四号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第二三二五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三二六号)

 同(田嶋要君紹介)(第二三二七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三二八号)

 同(真島省三君紹介)(第二三二九号)

 同(務台俊介君紹介)(第二三三〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二五六〇号)

 同(大野敬太郎君紹介)(第二五六一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五六二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二五六三号)

 同(篠原孝君紹介)(第二五六四号)

 同(島津幸広君紹介)(第二五六五号)

 同(仲里利信君紹介)(第二五六六号)

 同(野間健君紹介)(第二五六七号)

 同(畠山和也君紹介)(第二五六八号)

 同(堀内照文君紹介)(第二五六九号)

 同(清水忠史君紹介)(第二七四七号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二七四八号)

 同(福田昭夫君紹介)(第二八五八号)

 同(本村伸子君紹介)(第二八五九号)

 労働法制の大改悪をやめ、安心して働き続けられる雇用を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三三一号)

 同(池内さおり君紹介)(第二三三二号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二三三三号)

 同(大平喜信君紹介)(第二三三四号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三三五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三三六号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二三三七号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三三八号)

 同(清水忠史君紹介)(第二三三九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三四〇号)

 同(島津幸広君紹介)(第二三四一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二三四二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三四三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二三四四号)

 同(畠山和也君紹介)(第二三四五号)

 同(藤野保史君紹介)(第二三四六号)

 同(堀内照文君紹介)(第二三四七号)

 同(真島省三君紹介)(第二三四八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三四九号)

 同(宮本徹君紹介)(第二三五〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第二三五一号)

 新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求めることに関する請願(島津幸広君紹介)(第二三五二号)

 同(田嶋要君紹介)(第二三五三号)

 同(田嶋要君紹介)(第二四七七号)

 同(堀内照文君紹介)(第二四七八号)

 同(郡和子君紹介)(第二七一二号)

 同(清水忠史君紹介)(第二七一三号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(志位和夫君紹介)(第二三五六号)

 同(大串正樹君紹介)(第二七一五号)

 同(大野敬太郎君紹介)(第二七一六号)

 同(岸信夫君紹介)(第二七一七号)

 同(盛山正仁君紹介)(第二七一八号)

 同(島津幸広君紹介)(第二八三六号)

 同(平井たくや君紹介)(第二八三七号)

 パーキンソン病患者・家族に対する治療・療養に関する対策の充実に関する請願(志位和夫君紹介)(第二三五七号)

 同(平井たくや君紹介)(第二八三八号)

 全国一律最賃・時給千円以上の実現に関する請願(島津幸広君紹介)(第二三六〇号)

 労働法制の全面改悪反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三六五号)

 同(大平喜信君紹介)(第二三六六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二三六七号)

 同(真島省三君紹介)(第二三六八号)

 同(本村伸子君紹介)(第二三六九号)

 福祉人材確保対策のための処遇改善に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二四七九号)

 同(池内さおり君紹介)(第二四八〇号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二四八一号)

 同(大平喜信君紹介)(第二四八二号)

 同(笠井亮君紹介)(第二四八三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四八四号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二四八五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四八六号)

 同(清水忠史君紹介)(第二四八七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四八八号)

 同(島津幸広君紹介)(第二四八九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二四九〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二四九一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二四九二号)

 同(畠山和也君紹介)(第二四九三号)

 同(藤野保史君紹介)(第二四九四号)

 同(堀内照文君紹介)(第二四九五号)

 同(真島省三君紹介)(第二四九六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二四九七号)

 同(宮本徹君紹介)(第二四九八号)

 同(本村伸子君紹介)(第二四九九号)

 社会福祉法等の改正に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五二九号)

 同(池内さおり君紹介)(第二五三〇号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二五三一号)

 同(大平喜信君紹介)(第二五三二号)

 同(笠井亮君紹介)(第二五三三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五三四号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二五三五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二五三六号)

 同(清水忠史君紹介)(第二五三七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二五三八号)

 同(島津幸広君紹介)(第二五三九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二五四〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五四一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二五四二号)

 同(畠山和也君紹介)(第二五四三号)

 同(藤野保史君紹介)(第二五四四号)

 同(堀内照文君紹介)(第二五四五号)

 同(真島省三君紹介)(第二五四六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二五四七号)

 同(宮本徹君紹介)(第二五四八号)

 同(本村伸子君紹介)(第二五四九号)

 現下の雇用失業情勢を踏まえた労働行政体制の拡充・強化を目指すことに関する請願(大西健介君紹介)(第二六五八号)

 同(篠原孝君紹介)(第二六五九号)

 同(宮崎岳志君紹介)(第二七四九号)

 労働時間法制の規制強化と安定雇用の確立に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二六六〇号)

 同(池内さおり君紹介)(第二六六一号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二六六二号)

 同(大平喜信君紹介)(第二六六三号)

 同(笠井亮君紹介)(第二六六四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二六六五号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二六六六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二六六七号)

 同(清水忠史君紹介)(第二六六八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六六九号)

 同(島津幸広君紹介)(第二六七〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二六七一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二六七二号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二六七三号)

 同(畠山和也君紹介)(第二六七四号)

 同(藤野保史君紹介)(第二六七五号)

 同(堀内照文君紹介)(第二六七六号)

 同(真島省三君紹介)(第二六七七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二六七八号)

 同(宮本徹君紹介)(第二六七九号)

 同(本村伸子君紹介)(第二六八〇号)

 マッサージ診療報酬・個別機能訓練加算の適正な引き上げを求めることに関する請願(堀内照文君紹介)(第二八三四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 委員会の開会に先立ちまして、委員長から一言申し上げます。

 先般の委員会開会に当たり、暴力行為等、混乱が生じたことは、まことに遺憾であります。

 国会は国権の最高機関であり、言論の府であることは言うまでもありません。このことをいま一度確認し合い、二度とこのようなことがないようにお願いするとともに、厳粛な国民の負託に応えられるよう心からお願いを申し上げます。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本年金機構理事長水島藤一郎君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官谷脇康彦君、厚生労働省大臣官房情報政策・政策評価審議官安藤英作君、大臣官房年金管理審議官樽見英樹君、労働基準局安全衛生部長土屋喜久君、職業安定局派遣・有期労働対策部長坂口卓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 質問に先立ち、一言申し上げます。

 先週金曜日に開催された当厚生労働委員会において、一部我が党議員の行為で委員会運営に混乱を招いてしまい、理事として遺憾の意を表します。

 渡辺委員長と松野理事に御迷惑をおかけいたしましたこと、深くおわび申し上げます。

 今回の反省に立ち、今後は与野党で民主的な委員会運営が行われるよう私としてもさらに努力してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、質問に入ります。

 きょうは、一般的質疑、私たち民主党からいたしますと先週の補充質疑ということでもありますので、年金情報流出問題そして派遣法について質問をさせていただきます。

 私はやはり、この間、国民の大きな関心事となっております年金情報流出問題について、この委員会、国会の中での議論のみならず、私たち民主党で設置しております対策本部での議論も日々行っているんですけれども、それを上回るスピードでマスコミにさまざまな情報が出ているということは、二度にわたる流出が起きているというふうに言わざるを得ません。

 今回は、検証委員会を設置して、大臣としては、第三者的にそちらの方で経過の検証をしてもらい、防止策を講ずるという考えのようでありますけれども、ちょっとまだその前にやはり国会で明らかにしていただきたいことはたくさんありますし、そもそもその検証委員会についても、私たちは聞いていてもまだわからないことが多いということは申し上げたいと思っています。

 この間、我が党の議員からも、例えば、この年金情報流出問題にかかわるさまざまな経費が発生しています。コールセンター、調査のため、あるいは基礎年金番号を更新するためということで、さまざまな費用がかかっているというふうに思いますし、また、どこかからその費用は出さなければいけないということで、その出元はどこなんだということについて何度も質問してきました。

 事業にかかわる保険料から支出をされるのか、それとも、運営事務にかかわるということで国庫の方から支出をされるのかということで何度も質問しているんですけれども、それに対する答弁は、検証委員会の結果を待ってみないとわからないということなんですね。

 同じことを聞いても同じ答えが来るということはほかにもありまして、例えば補償の問題です。

 成り済ましなどによって被害が生じたときに、その被害は補償されるのかといったことについても、これは責任体制が明確になってからであるから検証委員会の結果を待たなければいけないということで、どうも、私たちが聞いていることについて、検証委員会で検討するということに逃げ込まれてしまっているんじゃないか、こういう気がしてならないんです。

 大臣に、冒頭お伺いをいたします。

 設置をされましたこの検証委員会、いつまでに結論を得るということで、大臣は指示と申しましょうか要請をされているんでしょうか。

塩崎国務大臣 日本年金機構不正アクセス事案検証委員会、これは、去る六月の四日にスタートさせていただいて、その翌週の月曜日に第一回目の会合を開催させていただきました。

 私の方からは、検証委員会に対しましては、専門的な知識を持った方々にお集まりをいただいています。第三者の厳しい目で検証するということが大事であって、当事者の日本年金機構や、それから監督者である厚生労働省みずからがみずからの検証をすることは、これは当然であります。しかし、やはりそれに加えて第三者の目が必要だということで検証委員会をつくっているわけであって、我々は、今回の検証委員会に全てを丸投げしているようなことは一切ありませんで、我々が自分たちで検証する上に、さらに第三者の厳しい目で見ていただこう、それも、原因究明と再発防止策についての検討を早急に行っていただきたいということをお願いしているところでございます。

西村(智)委員 私が言ったことを繰り返しおっしゃらなくても結構ですから、いつまでにという期限だけお答えをいただきたかったんです。

 ところが、早急にということで、これは期限を示されていないわけですね。これではいつまでたっても、先ほど冒頭申し上げた、例えば補償の問題をどうするのか、それから、そのお金の原資は国庫から出るのか保険料から出るのか、これについても結論が得られないということがずっと続いていってしまうわけですよ。こういう無責任な体制では私はいけないというふうに思います。

 昨日、検証委員会の中に、事務局員たる参与が任命されましたね。九名の方が参与として任命をされたと伺っております。この検証委員会と事務局は、言ってみれば二重構造的になっているといいましょうか、検証委員会の本体があって、その下に事務局長がヘッドとなる事務局がぶら下がっている、こういう関係だというふうに理解してよろしいですか。

塩崎国務大臣 さっき申し上げたように、第三者性を持った検証委員会にも検討していただくということが大事だということで、その第三者性をどう担保するかということを考えました。

 普通、役所の中で検証委員会とか、あるいは普通に何か委員会をつくるときには、事務局は役人がやるということが多いわけであります。しかし、今回は、役人は本当に最低限の日程調整とかいうロジをやる程度であって、今回のこの事務局は、各委員の推薦をいただいた参与を任命するということで、今お話しの参与が昨日任命をされたわけでございまして、これを事務局員として充てる。

 委員が事実関係の調査とか再発防止策の検討を行う際にこれを補助するという機能がこの方々に期待をされているわけでありますし、それから、最終的な報告書をつくられる際に原案を起案するのもこの人たちということで、決して厚生労働省の役人がそういった中身についてかかわるということはさせないというのが、私たちの、この第三者委員会をつくったときの、第三者性を担保する手だてとしてこれをやろうということで、これで担保しようじゃないかということでございます。

西村(智)委員 何か大臣の答弁を伺っていると、検証委員会と事務局との関係についてますます混乱してくるんですが、きのう、我が党の調査対策本部で答弁してくださった方の方がクリアに言っていらっしゃいましたよ。組織図を描くとすれば、検証委員会の下にその事務局がぶら下がって、そこに参与として九名の方が入っていく、こういう形になるんだということなんですね。

 それで、冒頭の質問に関係するんですけれども、この検証委員会、いつまでに結論を得るのかという期限は示されませんでした、大臣は先ほどの答弁で。では、この参与を任命するときに、これは大臣が任命をされていらっしゃるわけですから、普通であれば任命期間を区切って、そして大臣からの任命書が出ていると思いますけれども、それについて、その内容を明らかにしていただけませんか。

塩崎国務大臣 先ほど先生がおっしゃった中で、万が一成り済ましで年金を横取られたというようなときに、この委員会の検証を待ってとおっしゃったですけれども、それは、私たちはそういうことは言ったことはないと思います。

 そこで、参与の任期についてのお尋ねでございますが、これは、本年八月三十一日までとしつつ、再任を妨げるものではないということとしております。本年八月三十一日までという任期は、あくまで事務的な区切りにすぎず、検討の結論を出していただく期間について何ら拘束するものではないというふうに考えております。

 いずれにしても、私からは、検証委員会に対して、第三者の厳しい目で原因究明と再発防止策についての検討を早急に行っていただきたい旨をお願いしております。

 ただ、徹底的な検証をお願いするということで一定の時間はかかりますけれども、やはりスピード感というのもとても大事でありますので、早急にということで、また委員長ともよく御相談をしていかなければならないというふうに考えております。

西村(智)委員 申し上げるまでもありませんけれども、厚生労働省は、NISCから指定されている重要インフラ所管官庁の五つのうちの一つに当たります。そのほかにも、医療分野、水道分野など極めて重要な情報セキュリティーのシステムを保有しているわけですし、これからまたマイナンバー制度等々が始まってくるということになれば、早急にその原因をきちんと突きとめるということと、対策、防止をしっかりとやらなければいけないということだと思いますので、ぜひ、この検証委員会の議論に対しては、大臣から、もうこれは八月三十一日という一応の任命期限の区切りがあるわけですから、それを再任しなくても済むように、国会できちんと答弁をするためにもそこは必要なことだからと言ってきちんと督促をしていただきたい、こういうふうにまず強く要望したいと思います。

 それで、改めて具体的な事実関係に戻っていきたいと思うんですけれども、十六日の我が党の調査対策本部の会合でこういう発言がありました、発言というか説明がありました。

 五月八日に、ログの解析を機構が運用委託会社に依頼しております。このログの解析結果は、出てきているし、機構が受けていることは間違いないんだけれども、NISCが受け取っていないんだということなんです、この五月八日のログの解析を。NISCがログ解析結果を受け取っていないということは、手順書に反するという旨の発言がありました。これは担当の方がそのように発言をしていました。

 どういう点が手順書に反しているのか、これはNISCと大臣にお伺いをしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおりでございますけれども、セキュリティーポリシーのベースラインである私ども政府の統一基準におきましては、インシデントを認知した際の府省庁関係者への報告手順あるいは対処手順を各府省において整備するということ、それから、情報セキュリティーインシデントを認知した場合には、当該事象について速やかにNISCに連絡をすることというふうに規定をしているところでございます。

 厚生労働省の手順につきましては、厚生労働省から御回答ということになろうかと思います。

塩崎国務大臣 西村先生が今御指摘になられました、五月八日の機構でのログ解析結果をNISCが受け取っていないのは手順書に反するという趣旨の発言を部門会議でしたようでございまして、結論から申し上げますと、その発言は正確ではなかったというふうに思います。

 機構のログ解析の結果をNISCが受け取っていないことについては、情報セキュリティーインシデント対処手順書に反するとは言えないわけでありますが、専門機関でございますNISCへの緊密な連絡などをどのように確保していくか、これについては、今後のみずからの検証の中で改善をしていかなければならない点だというふうに思っておりまして、検討を加えていきたいと思います。

 いずれにしても、申し上げた事務方の説明は正確性を欠いていたというふうに思っているところでございます。

西村(智)委員 この五月八日の初動の不手際が、私はやはりいろいろな意味で被害を拡大させたというふうに思います。ですので、ウイルスの分析、解析も大事なんですけれども、このログの解析がきちんと共有をされていれば、もしかしたらこのような大きな流出はなかったんじゃないかというふうに振り返りますと、確かに手順書には反していなかったかもしれないけれども、そこは、NISCがまさに政府全体を統合する情報セキュリティーのかなめでありますので、そことの情報共有ができていなかったということは私は甚だ遺憾です、残念でなりません。これはもう大変大きな問題だったというふうに思います。

 それと同時に、先ほどNISCからの答弁で、情報セキュリティーインシデントというふうに認知といいますか認識されていれば、またその後の対応も変わってきたのではないかというふうに思うわけなんです。

 それで、情報セキュリティーインシデントという事象だということになれば、またその手順書の中で別な対応というものがあり得た。NISCがさまざま示しているガイドラインなどからしますと、各府省でつくるいわゆる手順書には、例えば、情報セキュリティーインシデントだと認識された際にはこういうことを対応するように手順書には書き込めといってガイドラインが示されているわけですから、情報セキュリティーインシデントとして認識されるかどうかというところも私は大事なポイントなんだというふうに思うんです。

 そこで、大臣に伺いたいんですけれども、どういう状態になれば情報セキュリティーインシデントだというふうに認識されるのか。これは、情報に関するさまざまな事象というのは毎日起こるわけですし、いろいろなレベルのものがあると思います。その中で、どういうふうになったら情報セキュリティーインシデントだというふうに認識をするんでしょうか。

塩崎国務大臣 先生が今御指摘になった点は大変大事な点だと私も思っていて、今後、これについてはさらによく考えなければいけないなと私も思っているんですけれども、厚生労働省セキュリティーポリシーでは、情報セキュリティーに影響を与える、または与えるおそれのある事故や事件の発生、予告等を情報セキュリティーインシデント、こういうふうにしております。

 インシデントの判断については、NISCからの不審な通信の検知の連絡があった時点では内容が明らかではなくて、その内容を判明させる過程でインシデントと位置づけられるものではないかというふうに思います。

 いずれにしても、今回、手順は、先ほど御指摘をいただいたように、手順書どおりに一応やってはいますけれども、結果として個人情報が流出したということを考えてみれば、どの時点でインシデントと認識を明確にすべきであったかどうかという問題については、よくよくこれはみずから検討し、もちろん第三者委員会にも検証していただきますけれども、政府を挙げてやはりこれは考えていかなきゃいけないことだというふうに思いますが、最も考えなきゃいけないのは、機構とそれから我々ではないか、厚生労働省ではないかというふうに考えております。

西村(智)委員 そこで、改めてこれは要請したいんですけれども、厚生労働省のセキュリティーポリシーと、それからいわゆる手順書、対処の手順書、これを私はやはり明らかにしていただきたいと思います。何度も私たちは要求をしておりますけれども、これについては示されない。質問したときに、その部分の抜粋的なところだけは答弁で出てくることはありますけれども。

 つまり、この間、五月の八日以降起こってきた事象が、本当にそのセキュリティーポリシーあるいは手順書に合致していたのかどうかというところをまずはやはり検証しないといけないと思うんです。ですから、そのポリシーと手順書は公開をしていただきたい。ガイドラインは既にNISCから公開をされているわけですから、これはもう、セキュリティー上の懸念があるとかないとか、そういうレベルの問題じゃないと思うんですね。これはセキュリティー能力を明らかにすることとは無関係だと思いますので、ぜひ明らかにしていただきたい。

 それと、私は、この間の経過、まあ、手順書、ポリシーを見てみないとわからないんですけれども、恐らくは、情報セキュリティーインシデントであるかどうかを判断するのは、いわゆる専門家といいましょうか、特定の人、特定の技術なりノウハウなりを持った人に任せっきりにされていてしまったからこういうことにもなってしまったんじゃないか、問題を大きくしてしまったのではないかというふうに思うんです。

 この間、私たちは、実際に、五月の八日から情報をとどめていたとされる係長さんからも直接話を聞いて、その点も検証したいというふうに申し上げてまいりました。だけれども、まだ残念ながら直接話を伺うことはできておりません。

 しかし、その係長さん一人に何でもかんでも責任を押しつけていくというようなことはあってはならないし、大臣はたびたび、これは厚生労働省の組織全体の問題だというふうに言っているわけですから、厚生労働省の責任としてつくられているセキュリティーポリシー、そしてこの手順書、これが明らかにならない限りは、やはり、専門家に任せっきりにして、そこに責任をなすりつけてこの事件を幕引きしようとしている、そういうふうな疑いを私は晴らすことはできないと思います。

 大臣、この点についていかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほどセキュリティーインシデント対処手順書の公開についてお話がございましたが、これはもう、西村議員も与党でおられたときに政府の中におられて、厚生労働省の大臣政務官をおやりになってわかっておられると思いますのであれですけれども、今回の厚生労働省のセキュリティーポリシーに基づくインシデント対処手順書を公開するということについては、先ほどお話がございましたけれども、やはりこれはセキュリティーの、言ってみれば手のうちというか、能力を含めて手順などを示すということになってしまいますので、攻撃者を利することになるので、恐らく世界的にもなかなかそういうことはないのではないかというふうに思います。

 今、専門家に任せっきりにするような手順になっていないかというお話がございました。

 専門家ということでありますけれども、事案に対処するための判断は、課室情報セキュリティー責任者を初めとした、これは課室長でございますが、責任者が行うこととなっている一方で、情報セキュリティー分野に知見を有する専門家として政府CIO補佐官を指揮連絡体制に配置し、適宜相談をするということになっているわけでありますけれども、最終的に決めるのは専門家ではないわけであって、この責任者が決めなければいけない。

 今回の事案は、御指摘のように、報告が手順どおり上司に上がっていない、こういう大きな問題点があったことは率直に認めるわけでありまして、この判断の手順が適切に行われていなかったということの反省がございますので、この手順書の運用は今後とも徹底をしていかなければならないというふうに思っているところでございます。

西村(智)委員 だから、それが適切なものかどうか、そして、今回がその手順書に沿って時系列に流れてきたのかどうかということを検証したいために、ぜひ提出をお願いしたい。

 あわせて、情報セキュリティー体制も知りたいのでお願いしますというふうに言ったら、これも出せませんと言うんですよ。何か、どうなっちゃったのかなと思いまして。情報セキュリティー体制、厚生労働省の体制がどうなっているのか知りたいので出してくださいと資料をお願いしたら、これも出せない。これも何かセキュリティー能力が明らかになるので出せないと言うんですけれども、それはちょっとおかしくないですか。体制の話ですよね。これも出せないということになると、本当に、厚生労働省は何かを隠そうとしている、隠蔽そのものじゃないかというふうに申し上げざるを得ません。

 私は、今回の件はまだまだ明らかにされなければいけないことがいろいろあると思います。成り済ましで年金の不正な支給がなされたかどうかということもまだ明らかになっていませんし、何より百二十五万件にとどまるのかどうか、情報のサーバーに一体幾つのファイルがあって、一体何万件の情報があったのかということも、私は明らかにされるべきだと思います。

 その上でこそ国民の不信感が払拭されるべきだと思いますので、そこは厚生労働省がみずからしっかりと背筋を伸ばして対応してくれるように希望して、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 民主党の中島克仁です。

 本日は一般質疑ということで、先週金曜日の補充質疑の意味合いもあるということで、私からは、年金情報流出問題そして派遣法改正案等について質問をさせていただきたいと思います。

 厚生分野をめぐりましては、MERSコロナウイルスの感染症等もございまして、その件についてもやはり早急に対応も必要かなというところは思っておりますが、きょうは、年金情報流出問題そして派遣法改正案についての質問をさせていただきます。

 まず、年金情報流出問題についてですが、六月一日の午後に一報がなされまして、その後、本委員会において二回集中審議が行われたということで、これは与野党問わず、今回の情報流出問題に対して厳しい意見、議論がされているわけであります。

 先ほど西村委員からもお話がございましたように、やはり初動の体制、そこのインシデント対応ですね、その辺がやはり不明瞭になっている。NISCから通報を受けて、その後、厚生労働省の参事官室、そして年金局、そして機構への連絡体制、この不備が、昨日の参議院の厚生労働委員会の集中審議においても、その体制に大変問題があったということが指摘をされているわけであります。先ほども、インシデント対処手順書、やはりそこがどうあったのかということが明確にならないと、今回の経緯が、どこに問題があったのかということが一切わからないということになってしまいます。

 ちょっと私、重複する通告をしておりましたので今の西村議員の通告は飛ばしまして、まず確認をしたいんですが、NISC、厚生労働省、そういった統一の基準というものは、資料の二枚目にもございますように、これに沿って厚生労働省もインシデント手順書、セキュリティーポリシーに沿った手順書というものがあるということで、我々もまだ正確には確認できないわけでありますが、改めて厚生労働省、さらに、今回ウイルス感染が五月八日にあった時点で、年金機構において別途そういったインシデント手順書というものがあるのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

水島参考人 私どもにも、厚生労働省のセキュリティーポリシーに沿って対応指針がございます。

中島委員 これは、我々の部会でも、今回の経緯、先ほど西村委員の質問の中、答弁の中にもございましたが、一連の対応が厚労省のセキュリティーポリシーに基づくインシデント対処手順書に沿って適切に行われて、ただ、その後の連絡体制等に不備があった、そのことが結果的にはこれだけの大きな情報流出につながってしまったと。

 今回は、五月八日にウイルス感染が確認をされ、NISCから通報があって、その後、アンチウイルス対策に集中して、結果的に対応が後手後手になったということですけれども、年金機構にもう一度確認をいたしますが、その年金機構の、独自と言ったら変ですが、年金機構には手順書がある、その手順書に沿って今回の対応がなされたということでいいんでしょうか。もう一度確認を。

水島参考人 まず、不審な通信が確認された場合には、当該パソコンについて抜線をするという手順になっております。

 そういう意味では、それに沿った手続が行われたというふうに考えております。

中島委員 では、端的に聞きますが、今回、年金機構の現場というか、五月八日の時点で九州ブロックのパソコンがウイルスに感染をした、そしてインシデント対処手順書に沿って、手順書どおりにやった結果、今回のこれだけの大きな流出問題に至ってしまったということでよろしいんでしょうか。

水島参考人 五月八日に、NISCから不審な通信が行われているという御連絡をいただきまして、年金局経由でございますが、いただきまして、抜線をいたしました。その後、不審な通信がとまったということでございますが、翌日だったと思いますが、ウイルスの検知を行いまして、その後、ワクチンを接種といいますか、パソコンに装填をしたということでございます。

 したがいまして、その後、五月十五日には、いわゆるウイルス除去社から、このウイルスについては情報を外に持ち出すものではないという連絡をいただいておりまして、そういう意味では、五月八日に関しまして、一応収束を見たというふうに考えたということでございます。

中島委員 そうしたら、手順書に沿って対応した結果、このような状況になったということでよろしいんですね。もう一度。

水島参考人 五月八日に関しましては、手順書に沿いまして抜線をいたしました。その結果、不審な通信がとまった、ワクチンも開発をして対応したということでございまして、手順書に沿って行った結果、このような結果になったということでございます。

中島委員 手順書に沿ってやったという理解ですけれども、では、今回は、五月八日の時点で異常な通信があることをNISCから通告をされたということ、そして、その後に、五月二十八日に警察から通報があって情報流出が確認されたということですが、今までに、ウイルス感染、そして現場対応でアンチウイルス対策をとった例がどれくらいあったんでしょうか。

水島参考人 当機構のLANのパソコン等に関しましては、運用委託会社が一括管理をいたしております。ウイルス感染等の異常が検知された場合には、機構本部に対して報告がされる仕組みになっております。

 本件事案が発生するまでの間で、ウイルスに感染したという事案はございません。

中島委員 先週、報道でもございました。六月十三日、健保連と国立医薬品食品衛生研究所のパソコン端末でウイルス感染が確認されたと発表された、いずれも情報流出は確認されていないということであったわけですが、私は、先日、地元の年金事務所へ行ってきて、ほかにお客さんがいませんでしたので、少しお話を聞く時間があったんです。

 五月八日にウイルス感染があって、機構側から年金事務所に、不明なメールには絶対手をつけないようにというようなことがあったということで、もちろんそれ以上のことは私には話をしてくれなかったわけですが、やはり今回、NISC、厚生労働省のセキュリティー対策、インシデント手順書、そして機構の手順書、ここが連動性が全くできていない。そして、アンチウイルス対策に走って、結果的には、ウイルス感染にとどまらず、情報が流出してしまった。

 私は、今回の一連の流れを見ていくと、六月十三日に報道された厚生労働省管轄のウイルス感染報道もしかりですが、今までにもやはりそのような事例はたくさんあったんじゃないかというふうに思うわけです。本当にそういう事例の報告は上がっていないんでしょうか。

水島参考人 当機構に関しましては、先ほど申し上げたとおりでございまして、運用委託会社が一括管理をしてそのようなことに対応いたしておりますが、今まで、ウイルスに感染をしたという報告は、五月八日前はございませんでした。

中島委員 そのお言葉はあれしますけれども、やはり今回、五月八日の時点でNISCが察知をして通告をした、そして、現場対応でアンチウイルス対策に没頭して、情報流出の対策には全く無頓着だった。

 厚生労働省管轄の年金機構での管理体制が今問題になっておるわけですが、年金機構のインシデント手順書と厚生労働省のインシデント手順書、その連携性、関係性というのはどういうふうになっているんでしょうか。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 日本年金機構のインシデント手順書につきましては、厚生労働省のインシデント手順書をベースに、年金機構の独自のシステムに対応するような修正を加えまして作成しているものということでございまして、例えば厚生労働省の方でインシデント手順書が変更されたような場合には、日本年金機構においても同様に、それに伴う必要な変更を行うというようなことをやってきておりまして、両者について内容的に連動したものが作成されているというふうに考えております。

中島委員 やはり、今回の一連の流れを見ていて、もちろん、NISCから厚生労働省参事官室、そして年金局、誰が受けたか、誰がどういう受け方をして、誰がどういう指示をしたかというのがまだはっきりしない、わからないわけですよね。

 そもそも、そのインシデント手順書に沿って全てが行われたのかどうか、その結果、百二十五万件の情報流出に至ってしまったのか。それとも、インシデント手順書に間違いがあった、そこに問題があったのか。そもそもそのインシデント手順書に問題があるなら、やはりそこを手直ししていかないと。これも年金事務所に行って、私は現場の対応をしている職員の方にも言いました。

 もちろん、今回の年金情報流出問題に関して言えば、さまざまなシステムの問題、ネットと通じているPCを使いながら個人情報を扱ってしまった、そもそもそういった問題があるわけであります。だからこそ、当初は五月二十九日で全遮断と言っていたものが、六月四日、業務に最大限支障がないように、感染、情報流出の可能性は低いということで、これも答弁がひっくり返ってしまったわけですが、そういう対応をされていたわけですね。

 今現在も、年金事務所の業務はネットが遮断された状態でやっている。そうなってくると、現場の人が非常に危惧していたのは、今現在は通常業務には影響がないかもしれないが、これがいつまで続くのか、そういうことで、ふだんの業務に今後支障が出ることは間違いなくあるというふうにおっしゃっていました。

 そうなってくると、やはり、もちろんシステム自体に問題があることは間違いない、これを改善していかなきゃいけないわけでありますが、そのためにはお金もかかるし、恐らく時間もかかると思うんです。

 先日、おとといですか、この問題発覚後初めて年金支給が行われましたが、今後、通常業務をある程度の段階から始めていかなきゃいけない。しかも、システム変更は、いろいろ問題は指摘されておりますが、全て改善するわけにもいかない。そうなると、その手順書自体が間違っているのか、それとも、手順書どおり全てのことがいかなかったから今回の大きな問題に至ってしまったのか、そこは非常に明確にしないと、今後、本当に通常業務が今までどおり、受給者の皆さん、国民の皆さんが迷惑をこうむらないようになるのか。その辺がしっかりとできていなければ、問題の再発予防には全く至らないんじゃないかというふうに思います。

 それに付随して、今後、先ほども言ったように、通常業務をある程度始めていかなきゃならない段階というのがあるというふうに思うわけですが、どういう見通しで今後の対応をしていくつもりなのか、お答えください。

水島参考人 二度とこのような情報の流出が生じることのないように、安全性が確認されるまでの間は、日本年金機構LANシステムについては、五月二十九日から行っております統合ネットワークへの接続及び六月四日から行っております独自のメール送受信専用回線の遮断といった措置は継続せざるを得ないというふうに考えております。

 今後でございますが、今回の事案を踏まえまして、まず、共有フォルダにおける情報管理のあり方、個人情報を扱うパソコンのインターネットへの接続を禁止すること等の情報セキュリティー対策の見直しを検討いたしますとともに、機構職員の情報セキュリティーに関する研修のさらなる充実を図ることとしたいというふうに考えております。

 さらに、当機構内にも調査委員会を設置いたしておりますし、厚生労働省におきましても日本年金機構不正アクセス事案検証委員会が設けられております。これらの検討経緯を踏まえまして適切な情報セキュリティー対策を講じました上で、インターネットメール等を用いた業務の再開を行ってまいりたいというふうに考えております。

中島委員 今までそのようなことをやってきたにもかかわらず、今回のように至った。やはり完全にインターネットと遮断していくためには、今現在の通常業務をやっていくためには、恐らくパソコン二台、つながっているものとそうでないものを、作業をするためにはそういう体制を整えないと、こういうことがないようにと幾ら言葉で言っても、現場ではそういう体制を整えなきゃいけない。

 そのような準備には、先ほども言ったように、ある程度の目安をつけて、今後いつぐらいまでにそういう体制を整えるかという目安ぐらいはしっかり整えないと、やはり国民の皆さんが非常に不安に思っているのはそういうことだと思うんです。

 具体的に、例えば先ほど言ったインシデント手順書がどこが間違っていたのか、ここははっきり、取り繕うのではなくて明確にするべきだと思うんですね。

 先ほど、NISCからの情報伝達やそういったことに、全体の部分ではまだまだわからないという質問もございましたが、やはり現場で、各年金事務所で、どういうセキュリティーポリシーに沿ったインシデント対処になっているのか。

 そして、ウイルス感染、先ほど理事長はそのような例はないと。私は、上がっていないだけのような気がするんです。現場で、局所でウイルス感染があった、それをアンチウイルス対策をして、それが上がっていない、そこにとどまっていた。現場では、日常茶飯事とは言いませんが、そういったこともあったんじゃないか。

 だからこそ、今回、アンチウイルス対策に没頭して、その情報伝達がおくれてしまった。そして最終的には、情報漏えいを警察から指摘されて初めて明るみになった。だから後手後手になったんじゃないんでしょうか。

 では、大臣、一言。

塩崎国務大臣 お答えする前に、西村智奈美議員が戻られたので申し上げます。

 先ほど私は大臣政務官と申し上げましたが、大変失礼しました、副大臣と言ったつもりだったのでありますが。厚生労働副大臣として政府の中で重要な役割を果たしたということを申し上げたかったので、訂正して、おわびを申し上げたいというふうに思います。

 今、中島先生から御指摘の点は、大変重要な点を御指摘いただいていると思います。

 昨日、参議院の厚生労働委員会で、日本年金機構の情報漏えいの問題についての集中審議がございましたが、その際に、参考人が来られていました。その参考人のお一人がこういうふうにおっしゃっていたんですね。今回の個人情報の流出は、いわゆる標的型の攻撃として狙われた、セキュリティーへの攻撃で、日本では初めて実被害が明らかになったケースだということでございました。

 先ほど来お話が出ている、手順書にのっとってやったのか、こういうことであります。

 今、先ほど来ずっと申し上げているように、手順書に定められた措置は、例えば抜線をするとかそういうようなことは、先生がおっしゃっているいわゆるアンチウイルス対策という意味においてはしっかりやってきた。問題は、責任者に伝えていない、こういう大事なところで手が抜けているというのがありまして、これはこれで反省をせないかぬと思っています。

 そしてまた、私としては、NISCから来た注意喚起については全部上げ、そして、その後どうして、どこまでできちっとけじめをつけたのかということも私に上げろということをすぐに指示を出しました。

 そういうことでありますけれども、しかし、問題は、先生御指摘のように、今回のような攻撃というのは、単なる、単発のウイルスが送られてきたみたいな話ではなくて、今、実は年金機構だけではなくて、先ほど御指摘いただいたように、いろいろなところにこの標的型の攻撃が行われつつあって、これは世界のいろいろなところで起きているわけであります。

 したがって、私としては、やはりセキュリティー体制そのものを、本当にこのままでいいのかどうかを含めて、今回のこの問題を本当に重視して、見直すことが必要じゃないか。そのためには、やはりセキュリティーポリシー、あるいはそのもとの手順書、これについても見直していかなければいけないということが十分ありますし、どこでどう間違ったのかということは、今回の攻撃が今まで想定していたのと違うかもわからないということがあります。したがって、そういうことはしっかりと検証して、これは警察がまずやっていますが、みずからもやり、そして第三者委員会にもやっていただくということをこれからしっかりやっていかなきゃいけないと思います。

 そういう意味で、先生が御指摘になっていらっしゃることは大変重要なことで、しっかり、その点を踏まえて検証を重ねて、新たな体制をつくりたいというふうに思っております。

中島委員 大臣がおっしゃるとおりだと思うんです。

 だから、私は、今現在、システムを抜本的に変えていくには、先ほども言いましたが、お金と時間がかかるわけですね。でも変えなきゃいけないとは思いますが、やはり、ある一定期間の中で、先ほど西村委員の質問にもございましたが、一つのめどというものを設定して、その上で、先ほど言ったように、最前線の現場ではPC二台を並べる体制づくりもしなきゃいけないわけですよね、完全にやっていくためには。そのためには、やはりインシデント手順書を本当に見直さなきゃいけない。

 先ほども言ったように、検証委員会でやられるということですけれども、やはりその日程感というか、そういったものをしっかり示さないと、これは国民の皆さんもそうですが、年金事務所で今、毎日のように追われている事務所の関係者の方々も、今後どうなっていくのか非常に不安になる、そういったことにもなると思います。

 そういったことができていないから、今回の流出問題、まだほかにも問題はたくさんありますが、そもそも、現場から上がってこなかった情報が、今回、約一カ月近くそのまま放置されてしまった結果がこういう状況になったわけですから、やはり、手順書どおりやってこういう結果になったのか、そうではなくて、手順書どおりいかなかったからだめだったのか、そこはしっかり認めた上で、大前提として国民の皆さんにも明確に示して、ここがだめだった、ここがだめだったのでここを明確にこのように直しました、だから安心してくださいといったようなものをしっかりと示す必要があるというふうに私から示させていただきたい。大臣。

塩崎国務大臣 問題意識は全くそのとおりだというふうに思いますが、一方で、何が問題なのかという、めどをまず示せとおっしゃるんですけれども、何が問題なのか、何が起きたのか、原因究明を本当にしっかりやって、今回、さっき申し上げたように、初めての標的型攻撃だということであれば、ますますもってそれを、まず真相を究明するということがあって初めて対応も決まってくるので、それで、今から時期を設定するということはなかなかそう簡単ではないということだと思っています。

 国民に対して、そういう、示した方がいいんじゃないかという意識はわかります。一方で、しかし、年金というのは実務としてちゃんと国民にサービスを提供していかなきゃいけないし、年金を確実に支払うということでありますから、これをどこかで、今はメールもそれからホームページも閉じていたりするわけでありますので、このままでいつまでもやるかどうかというと、やはりそうはいかない。しかし、それをもし再開して、どうやったら再開しても間違いなく安全かということも確保してやっていかなきゃいけない。

 なかなか悩ましいことでありますけれども、これは総理からこの間御答弁申し上げたように、この問題には与党も野党もない、やはりこれを一緒に考えて、年金が確実に守られ、支払われるということを、一日も早く再開をしていけるようにしていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っておりますので、よろしくまたお願いいたしたいと思います。

中島委員 今大臣もおっしゃっていましたが、そのインシデント手順書、厚労省もそうですけれども、年金機構のセキュリティー上の問題ということで、我々には確認できないわけですよね。

 そういう中で、この検証作業というのがどういう進行をしているのか、どこに不備があったのか、だから堂々めぐりになったり、そして、我々が聞いて調査中であったり捜査上ということで明らかにならないことがたびたび報道に先に出てしまったり、やはりそういった不信感というものは、我々もそうですけれども、国民の皆さんにも伝わってくる。

 これは、年金事務所の担当者の方、もろもろいますが、言っていたんですが、そういうガバナンス体制とか管理体制ということは今回大前提の問題として言われておるわけですが、このことも気にしていました。五月の二十八日、二十九日、三十日と2ちゃんねるの掲示板に掲載された件ですね。ウイルス感染しましたので共用ファイルは利用禁止となりました、全職員はパスワードを強制的に変更させられました、これは明らかに機構内部の書き込みじゃないかと言われたことに対して、大変遺憾、我々としては、本当にそういう人がいるのであれば早く処分してほしい、そのことも強く現場の方は言っていました。

 今現在、その件について、これがもし機構内の人間もしくは職員の間であれば、完全なる守秘義務違反ということになって、犯罪ということになります。捜査届を出していて、捜査しているのかどうなのか、確認をさせてください。

水島参考人 今回の個人情報の流出に関しまして、機構職員のみが知り得る機構の内部情報が2ちゃんねるに書き込まれていたという旨の報道がございます。事実であるとすれば、絶対にあってはならないことだというふうに考えております。

 2ちゃんねるへの書き込みが万一、仮に当機構の職員であったとすると、日本年金機構法第二十五条及び第三十一条の第二項に違反する可能性がございます。現在、告発に向けて、警察当局と打ち合わせを行っているところでございます。

中島委員 これはプロバイダーにIPアドレスの確認をして捜査すれば、だって、二週間以上たっているわけですよね。本気でその気があるのかどうか、その姿勢が問われているわけですよ。そういうことをちゃんとしっかりとやらないから、例えば情報が出てこない、マスコミに先に漏れてしまう、そのようなことに、隠蔽しているんじゃないか、身内をかばっているんじゃないかと。これは本気でやろうとしているのか、大変疑問なわけです。

 そういった身内をかばっているような姿勢に、年金事務所、現場の身内の方から、そういう人がいるんだ、本当にいるんだったらちゃんと取り締まってもらいたいと声が出ているわけです。それに対してもうこれだけ時間がかかって、これからとかということではなくて、早期にやはり捜査して、プロバイダーにIPアドレスの確認をして。この内容を見ていきますと、そんなに入念にいろいろ変えて、犯罪のように変えているわけではないと思うんです。その気になればすぐ確認できることだというふうに思いますが、近日中に、早急にやっていただきたいと思いますが、いかがですか。

水島参考人 既に警察当局とは緊密な打ち合わせを行いまして、告発に向けて具体的な作業をかなり開始いたしております。私どもの内部の調査も含めまして、現在、精力的に行っているということでございます。

中島委員 ぜひそういう姿勢を、大臣も先ほども言いました、先日の第三者委員会の中でもおっしゃっていましたが、徹底的にという言葉は確かに出てくるんですが、やはりまだそういう姿勢が国民の皆様にも我々にも伝わってこないんです。そういった姿勢をしっかりと示していただく、言葉ではなくて行動でしっかりと示していただきたいというふうに言わせていただきます。

 済みません、この件で時間になってしまったんですが、派遣法に関しては、私は医師として、産業医として、派遣労働者の置かれた現状、数字ではあらわれない、間接雇用だからこそ、労働者の安全とか健康とか、担保が非常に未確立になっているその現状を私はこの肌で感じておりますし、その件についてまだまだ審議が必要だというふうに思います。

 しかも、今までの議論の中でも、専門二十六業種の方々が既に三年後雇いどめの現実があったり、逆に今回の法改正で雇用が不安定になる、そういった今回の改正。さらに、キャリア制度やそういう教育訓練にも実効性がないということを考えると、まずは、やはり派遣労働者が今抱えている最大の問題、私の立場では、派遣労働者の置かれた健康や安全、その確保が、確立が、今現在、溝の中に落ちて光の当たらないところにある、そういったことにしっかりと手当てをしていく。今回の改正案がその趣旨に沿っているのか、そういったところにスポットを浴びせているのかというと、大変疑問でございます。

 その件については、まだまだ審議があると思いますので、私は産業医の立場から、派遣労働者の置かれた現場、現状についてまた質問をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 民主党の阿部知子です。

 私は、いただきました貴重な時間、労働者派遣法の改正案について質疑をさせていただきます。

 そもそも、今回の改正が本当に派遣労働者にとってより直接雇用に結びつくのかどうか、このことについて、既にこれまでの私の質疑で、塩崎大臣には大変失礼ながら宿題だと言って問いかけをいたしておりますので、今回の大臣の御答弁はなるべく簡潔にお願いをしたいと思います。

 現行の派遣法では、四十条の二、これは業務ごとの派遣のいわゆる期間制限について規定してございます。

 ある業務が三年という期間を過ぎた場合に、その業務に携わる派遣労働者の全ての人、すなわち、三年たっていない人も、二年の人も、半年の人もいると思います。そこにいる全ての派遣労働者に直接雇用のチャンスを与えるものと理解されますが、大臣の認識、現行の四十条の二、一九九九年に設定された四十条の二、今の質問にイエスかノーかでお願いします。

塩崎国務大臣 先生がおっしゃるように、現行の業務単位の期間制限については、上限に達した後に同一の係での継続的な派遣の受け入れができないということで、そのことが直接雇用のチャンスになり得るんじゃないかという御指摘の向きもあることは、それはそのとおりであろうかと思います。

 一方で、その方が従事してきた業務については、言ってみれば雇用者の方がどう判断するかでございまして、社内の正社員を持ってくるかもわからない、あるいは他の契約社員を持ってくるかもわからない、そういう配置を変更する社内の中だけのことも十分雇用主としては対処可能であって、必ずしも、その派遣の方が、働く方が、その同じ業務で直接雇用につながるとは限らないのではないかというふうに思います。

阿部委員 そこで、あくまでもチャンスと言ったのです。チャンスがなければ、その次も生まれませんから。ここにいる全ての派遣労働者にとって、もうここで派遣を使えないという方は、そこの業務を継続するときに、その方を直接雇用するチャンスが生まれる。

 そして、四十条の三には、一年以上その業務に携わった方には優先的にそこで雇用を申し入れる努力義務というのも、事業をやっている側には課せられていると認識していいですか。

 ここにダブルチャンスがあるわけですね。何カ月であれ、その業務で働いた人、そして、一年以上の場合は優先的に雇用の申し込みをする事業者側の努力義務がある、これもよろしいですか。

塩崎国務大臣 努力義務があると私も認識しております。

阿部委員 ところが、今回の改正は、これを業務ではなくて事業所と人単位に変えました。そして、事業所単位の見直しは、これはもう井坂さんが何度も大臣と質疑しておられます。過半数労働組合の動きいかんですが、これまでですと、ほとんどの過半数労働組合が、派遣については継続という答えを出しています。集計すると九十数%になると思います。

 では、今度始まる人単位はどうか。

 事業所単位は期間制限をしたとしてもほとんど実効性がないということは、井坂さんとの質疑で確認された。まず、これはいかがでしょう。

塩崎国務大臣 これは何度も井坂議員とも議論をさせていただきましたけれども、アンケート調査から見て、ほとんどの場合、意見聴取に対して過半数組合が異を唱えていないじゃないかということで、そのことが実は、要するに声を上げられないんじゃないかという解釈というふうに私には理解をさせていただきましたけれども、私は、むしろそれはそうじゃないんじゃないかということを何度も申し上げてまいりました。

 それは、やはり雇用主も、臨時的、一時的な方としての派遣の方をどのようなお仕事で、どの程度の人数を入れることが会社、職場として一番士気が上がるのかというようなことを考えた上で私はやっていると思いますので、やはり意見聴取に、おかしなときには意見をしっかり過半数組合もおっしゃるんだろうというふうに思いますので、反対する方が少ないからといって、この意見聴取が意味がないということには決してならないと思います。

 それから、さっきのチャンスという話でありましたけれども、仮に派遣先の方で当該業務の直接雇用になったとしても、例えば、本当の正社員ということになるとは限らない。そして、直接雇用というだけで、有期の契約社員でお願いしますと言われることだってあり得ます。パートの労働者だということもあり得ます。

 それから、そうしてみると、これまで以上に雇用が安定するかというと、必ずしもそうじゃないことも十分あり得ますし、もう一つは、一番大事な労働条件、賃金、これについても派遣よりも下がるということも十分私はあり得ると思いますので、確かに、先生おっしゃるように、そういうことは機会としてはあるかもわからないけれども、では、それが本当にいいのかということを考えると、総合的にやはり判断した上での今回の改正、提案だということで御理解いただきたいということを申し上げてきたわけです。

阿部委員 前段の御答弁については、事業主側と過半数労働組合をごっちゃにして答えられていますので、事業所単位の見直しで、過半数労働組合は派遣でいいよと答えている場合のことを井坂さんと大臣は論議されたんですね。事業主側は、もちろんそこに、この人は優秀だから欲しいと思うこともあるし、この業務は大事だから直接雇用してやろうと思うこともあると思うんです。今、事業所単位の見直しで問題になっているのは過半数労働組合側の対応ですから、大臣の御答弁は当を得ていない。

 そして、二番目ですけれども、では、この四十条の二に基づいて、チャンスがあったかなかったかということですね。さらに不安定な有期やパートになるかもしれない、直接雇用であってもというのが大臣の御答弁でしたが、私は、まず、雇用の原則は直接雇用で、そしてそこでの待遇が安定していく、両方あると思うんですね。

 大臣がそこまでおっしゃるなら、では、一九九九年から四十条の二が施行されて、一体どのくらいの数の派遣労働者がそこで直接雇用かつ正社員となったか、直接雇用だけれども有期だったか、直接雇用だけれどもパートだったか、こういうデータはお持ちなんでしょうか。私は、それが審議の前提だと思っています。実際に何のデータもなく、こうじゃないか、ああじゃないかとやるから、結局、実りがないんだと思います。

 四十条の二が始まってもう十六年です。果たして、この項目によって正社員化された方はどのくらいあったんでしょうか。大臣の言う、有期、パート、直接雇用だけれども不安定になっちゃったという人はどのくらいあったんでしょうか。大臣、明確に答えてください。

塩崎国務大臣 できれば事務方を呼んでいただければもう少し細かなことまでわかると思いますけれども、私が聞いている限りでは、そういう細かな調査を今までしているということはないというふうに聞いております。

阿部委員 私がこの法案の審議の当初から申し上げているのは、状況を把握するためのデータがこの審議には圧倒的に、絶対的に欠けているということで、現場が見られていないんだと思います。事務方を呼んでも、調査していませんと言うんだったら、呼んだって意味がないんです。そのことを、大臣、責任者として深刻に考えていただきたい。大臣こそ、そういうことを、実態を把握せよと命ずる一番の最高責任者なんです。

 そして、今度の人単位の見直しを例にとれば、人は三年たったら、課をかえるか、違う課に行くか、人をかえるか、AさんからBさん、あるいはCさんになるか。

 そして、もう一つあったのは、派遣元で派遣労働者ではない無期雇用の仕事になる、これは雇用安定措置の中の一つです。

 では、大臣、これも前に伺いました。派遣元で無期雇用になった派遣労働者、その人はもう派遣じゃない、いわば管理側に回ったと言いかえてもいいのかもしれない。その派遣元の事業所内業務をやるようになったケースは一体どのくらいあったのか。せめてこれを出してください、安定化措置の一つの項目なんだから。いかがでしょう。

塩崎国務大臣 今お話がありました派遣元での無期雇用、このことでございますが、一般的に、派遣元がみずから雇用する派遣労働者を派遣労働者以外の労働者として雇用するということはあるというふうに認識をしておりまして、元派遣労働者という経験を生かして営業などを行う方もおられるというふうにヒアリングベースで聞いております。また、派遣労働者から派遣会社の言ってみれば役員に、執行役員などになっている方もおられるということもヒアリングで聞いているわけであります。

 平成二十四年に厚生労働省が調査を行っておりまして、事業所の営業、コーディネーター、管理等の正社員に転換し、派遣労働者を無期雇用に転換した派遣元の事業所が、これは事業所ベースの数でございますけれども、約四%。ですから、人数ベースではちょっとわからないわけですけれども、事業所ベースでは約四%。

 それから、ことしの五月末に、都道府県の労働局で、これは委員会審議の中からヒントを得てさせていただいた、百七十九カ所の派遣元事業所を対象に、現行法の第三十条の雇用安定に係る措置の実施状況を調査したところ、派遣労働者以外の無期労働者として直接雇用を行ったと答えた事業所は二十五ございました。

 いずれにしても、雇用安定措置の中で、今回の改正案で新たに法的に雇用安定措置は義務づけて、無期雇用という選択肢を明確にしているわけでありまして、派遣元での無期雇用のほかに、他の措置も含めて、雇用安定措置の適切な履行を確保しなければならないというふうに思っていますし、これも申し上げたと思いますが、この法改正が行われて施行になった際に、雇用安定措置については、それぞれの派遣元の事業報告の報告事項として、これを開示するようにするということを検討させていただきたいと思っております。

阿部委員 まず、前段の答弁で、約四%、今回の調査ではなく、事業所ベースであったということですね。大臣も自覚しておられるように、四%というのは少ない、ケースとして大変少ない。人数ベースじゃないですから、まず人数ベースもきちんと出していただきたいですけれども、人に着目するんだったら、人がどのくらいそこに到達できるかということがすごく重要になってきます。ないよりは、その四%というデータは貴重だと思いますが、しかし、もっと言えば、やはり働く人の一人一人を見るのが厚生労働行政です。人でぜひこのデータを出していただきたい。

 あわせて、大臣が言及された、この審議を通じて、平成二十七年の五月二十八日から二十九日にかけて行った現行の三十条の各号の実施状況調査。行っていただいてよかったと思いますが、審議に出される間もなく、せっかくこれだけの調査を行ったのに、私、けさいただいたんですね。もう何かうわさには質疑が終局しそうなお話も、この前そこで、委員長には失礼でしたが、討論の終局ということは認められない。だって、データが出たなら、共有して一緒に考えないと、本当の姿が見えません。

 そして、残念ながら、私のいただいたデータの中には、今おっしゃった、派遣元で派遣以外の、役員になったり無期雇用になったりした方の数は、データ上載っていません。私がいただいたのは、三十条の一号、二号、三号。一号は、無期雇用になった人、無期雇用派遣が一号です。紹介予定の対象が三十条二。教育訓練が三十条三。

 三十条に関しての調査はそこしか述べられていませんが、大臣、もう一度確認です。派遣元で、派遣労働者ではなくて、そこの無期雇用になったという方のデータは、どこに載っているんでしょうか。

 御答弁が遅いなら、とめてください。貴重な審議の時間です。

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 こういうことがあるので、ぜひ事務方を呼んでくれと申し上げているのでありますが。

 どういうことかというと、紙には書いてございませんが、先生に、事務所にメールを送った中に明確に二十五社ということを書いているそうでございまして、私がちょっと、そこまで知る由はないので、ぜひ事務方を一緒に呼んでいただいて、効率的な審議をお願いできたらと思います。

阿部委員 今大臣が言っていただいたように、私は質問予告してございますので、そして、朝方メールで来たからそれを見よということでありますが、共有できる資料として私は出すべきだと思うんです。厚生労働省が公式に出している中にはないんですね。私があえて伺ったんですね、こんなのはどのくらいのケースあるのと。

 だって、厚生労働省が雇用安定措置の四本柱の一つに出しているんだったら、堂々と出されたらどうですか。阿部さん、メール見てないねと言わないで。確かに、朝までなかったですから、知りません。でも、そこが問題なんじゃなくて、雇用安定措置の四本の柱の一つなら、大臣が、答弁の中でこの委員会の全ての人に共有できることとしてお話しされるべきじゃないですか。

 雇用安定化措置というのは何ですか。大臣、四本の一つでしょう。どうしてここの審議のこんなぎりぎりのところまで、そのことの実態を皆さんにお伝えなさらないんですか。私だけじゃなくて、これを質問された方は何人もおられました、一体、本当はどのくらいあったのと。いかがですか。

塩崎国務大臣 確かに、今の、現行の努力義務における実績はどうなのかということがデータとしてあった方がいいというのは、もう先生御指摘のとおりでございまして、これは、岡本先生の御指摘から、先ほど申し上げたような数のところに今調査をしたということでございまして、そこの中に明確な今の二十五社というのが入っていなかったというのは申しわけなかったわけでありますが、おっしゃるように、データはできる限りあった方が、正確な判断をするためにはいいというふうに私も思います。

 朝だということは、今また聞いたものですから、大変申しわけなかったわけでありますが、そういうことも、事務方がいればそういう失礼なことを私が言わなくてもいいようになるのではないかというふうに思います。

阿部委員 大臣もおっしゃったように、私だけではなくて、これは岡本委員も問題にしておられたんですね。共通のこの委員会の認識なんだと思います。

 一体どのくらいの方がその道が開かれるのかによって、事は違ってまいります。現行の四十条の二と三でどのくらいの方がその道が開かれたのかというデータもない。今度変える、これからやろうとする中で、派遣元の派遣以外の無期雇用というデータも、今初めていただきました。比べられないし、労働者の実数にも迫っていないし、極めて不誠実です。

 大臣、この一連の法改正の中で、もし改正されたとしてですよ、この雇用安定化措置は労働者にはどういうふうに告げるんですか。告げ方です。これから雇用安定化措置に入るから、さあ、こういうメニューがあるよ。どういうふうに派遣労働者には告げるんですか。

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 現行のプラクティスは、まず、これは個々人に就業を続けたいかどうかの意思確認をする、これは一人一人やるわけですね、一人一人契約が、期限が異なるでしょうから。その際に、その御本人の就業継続に関する御意向を踏まえて、努力義務である現行の雇用安定措置、これを企業側が、雇い主側がこのプロセスにのっとってやるということになっているというふうに聞いております。

阿部委員 改正されたらどう変わるんですか。今回、雇用安定化措置が大きな柱ですから、改正されたら労働者にとって、今まで個々にお尋ねがあって決めてきました、これから何か変わるんですか。

塩崎国務大臣 基本的には同じプロセスで、一人一人に御意向を述べていただいて、それを踏まえて、今度新たに義務化をされる雇用安定措置を選択して、雇い主が当該派遣で働く方にお伝えをするということだと理解をしております。

阿部委員 でも、伝えられても、伝えることはもう当然なんですね。さっき言った、課をかえるか、あるいは人をかえるか、あるいはレアなケースの派遣元の無期雇用の派遣以外になるかくらいしかなくて、正社員あるいは直接雇用のチャンスというのが今回の改正は非常に少ないと私は思っております。

 もう一つ、特定派遣労働者という言い方をして、この方たちは、一年以上の継続がある場合、現行の四十条の三に当たるところですね、事業主に努力義務がかかっている。

 今回、新たに特定派遣労働者というふうに命名される方の内容はどういうふうに決めてあるんですか。それは、さっきの、労働者にお話しするときにどういうふうに伝えられるんですか。

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 派遣先の同一組織単位での継続就業期間が一年以上の方がこの特定有期雇用派遣労働者で、今お話がありました努力義務というのが課せられるわけでありますが、そのプロセスについては、手続は、先ほど申し上げたとおりだというふうに理解をしております。

阿部委員 そうすると、現行の四十条の三と全く変わらないで、何が特定なんですか。今までそんな、特定派遣労働者と言わなかったんですよね。私、この法案を見ていて、あっ、これは何だろうと思ったんです。素朴な疑問ですが、何で特定派遣労働者と今度命名するんですか。

 今までだって、一年以上の方は、事業所側から、同じ業務を続けようとするときには、優先的に直接雇用に働きかける努力義務があるんですね。今回の法改正も、今おっしゃった内容だけだったら同じだと思うんですけれども、特定の意味は何ですか。特定というのは、今度は何で特定なんですか。済みません、言葉にこだわって。でも、法律だから、特定とした以上は意味があるんだと思います。

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 大変失礼をいたしました。

 今までは、派遣元との通算雇用期間が一年以上の者に限るということで努力義務を課していました。今回は、派遣先の、先ほど申し上げたように、同一組織単位での継続就業期間が、一つは三年見込み、これが今回新規に導入される義務でございまして、それから、一年以上三年未満の者は、これは努力義務ということになるわけでございまして、派遣先の継続就業期間、これで一年以上の者を特定と呼ぶということでございます。

阿部委員 法律の用語というのは、一つつくったときは、その中身が特に派遣の労働者に伝わるようにしなきゃいけないし、法律をつくった側は理解していないと、とてもとても伝わらないと私は思うんですね。

 今、大臣のお答えでは、従来は派遣元で一年以上ですか。これからは派遣先で一年以上ですか。そういう大きな転換なんですか。派遣元で一年以上の人の努力義務と、派遣先で一年以上の努力義務の違いですか、特定というのは。

塩崎国務大臣 さっき申し上げた、派遣元での通算雇用期間につきましては一年以上ということは変わりはないんです。それに加して、派遣先での継続就業期間というものを、三年見込みないしは一年以上三年未満見込みというところを指して特定有期雇用派遣労働者と呼ぶという、二重の、派遣元だけではなくて、派遣先も期間で区切って、努力義務と、それから義務を課すということで、三年見込みの方々については、これは義務で全てやっていただくということになるということでございます。

阿部委員 そうすると、狭まるわけですよね。派遣元と派遣先で今の要件を満たさなくちゃいけなくなるということですか。派遣元一年は同じですよね。派遣先でさらに今大臣がおっしゃったような要件が加わるということですか。現行の四十条の三と、改正したところの特定派遣労働者の対象者は広くなるのか狭くなるのか、教えてください。

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 ふえるか減るかというお話でちょっと今議論をしていたものですから遅くなりました。

 この現行法の四十条の三で、これは、一年以上受け入れている派遣で働く方の後任を雇おうとする場合であって、本人が直接雇用されたいと申し出た場合に、先ほど先生がおっしゃっていた、派遣で働く方を雇い入れる努力義務がある、これを派遣先に努力義務として課しているんですね、派遣先に対して。改正案の第四十条の四というのは、一年以上受け入れている派遣で働く方の後任を雇おうとする場合であって、今度は、派遣元が直接雇用を依頼した場合に、その派遣で働く方を雇い入れる努力義務を派遣先に課しているということになるわけであります。

 そうなると、対象としては、一年以上受け入れている派遣で働く方という意味においては、これは対象は変わらない。あとは、現行法でいきますと、本人が直接雇用されたいと申し出た場合に、派遣先にその努力義務を果たして雇い入れるかどうかということが決まる。今回の場合には、今度は派遣元が直接雇用を依頼して、派遣元での直接雇用ということがあり得るということが選択肢としてどうなんだという御指摘が今ありましたが、そこの数によって変わってくるというふうに理解をしております。

阿部委員 本当にそうであれば、これは重大なことで、労働者が、自分がその要件を満たしたから自分が派遣先に言っている、それで今までだったら可能だったんですね。今度は派遣元が言わなくちゃならなくなったんですね。

 派遣元と派遣先の力関係というのが当然あるんですよ。うちでずっと派遣を使ってあげているじゃないかと言われたとき、派遣元から言えなくなっちゃう。派遣労働者にとってはダブルバリアになるじゃないですか。

 大臣、本当に今の答弁でいいですか。私、これはすごく重要なところだと思うんです。絶えず労働者側から見て、その人がなりたいと言ったことをかなえられる制度かどうかなんですね。まず、派遣元に了解してもらわなきゃいけない。派遣元から、二階から目薬みたいに、派遣先に言ってもらわなきゃいけない。そんな改悪をするんですか。大臣、明確に答えてください。そうしたら、またチャンスが減っちゃう。どうでしょう。

 御答弁が遅いならとめてください。貴重な時間です。

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 これもまた、どっちが可能性が高いのかという、なかなか難しい御質問であったわけでありますけれども、先ほど先生おっしゃったように、この今の四十条の三の場合には、一年以上受け入れている派遣で働く方の後任を雇おうとする場合で、本人が直接雇用されたいと申し出た場合には、その派遣先に、派遣で働く方を雇い入れる努力義務が発生をするということで、これが変わるじゃないか、そうするとチャンスが減るよねというお話でありました。

 確かに、今回は派遣元が直接雇用を依頼した場合にとなるわけですけれども、引き続き、努力義務を派遣先に課しているわけであります。

 今の、先生がなくなったとおっしゃっているもののかわりに、今回は、一号というところで、直接雇用の依頼というのを派遣元に義務として三年見込みの場合は課すし、それから、これは今までありませんでしたけれども、一年以上三年未満の見込みの方に対しては努力義務が新たに課されるということで、派遣元がこの雇用安定措置でちゃんと責任を果たさなきゃいけないということになってくるわけであります。

 ここのところで、今までのやり方と違うやり方で、今度は派遣元の方に義務を課すことによって直接雇用を言ってみれば促すということにおいては今までの形とは変わりますけれども、新たな義務を課して、派遣元が一緒に努力をしないといけなくなるということになるわけでございます。

阿部委員 それは二重の隷属になりますね。派遣元がそのことをやらなくちゃいけないというのは、派遣労働者にとっては、派遣元に了解してもらって、派遣先にもお願いしなきゃいけないんですね。

 私は、この法案を見たときに、果たして派遣労働者側にとってどんなチャンスやどんな広がりが生まれるのかということに着目して、きょう質疑をして、改めて驚いています。今まで直接申し入れられたものが、派遣元から、義務だ何だと言われても、派遣労働者にとっては、靴下の上からかいているようなものなんですよ。大臣、それくらい、派遣という立場の、直接雇用ではない、直接契約ではない弱さを大臣も自覚していただかないと、ここが改悪と言われる最大の理由なんだと私は思います。

 そして、私のいただきましたお時間、実は予定質問の三分の一も終わっていません。

 私は、賃金の問題でも最後に一つだけ言わせてもらいますが、大臣のお手元に、議事録訂正をお願いしたいことがもう一つあります。私の質問の大半はいつも議事録訂正で申しわけありませんが、資料の二です。

 ここに、坂口さんの答弁で、五月十五日の委員会で、これは大岡議員との質疑の中で、派遣労働者の賃金に触れたところがございます。下段に「民間の一般労働者の賃金が日額で平均約一万三千五百円」、それに比べて、通訳、翻訳、速記が「一日一人当たりの平均が三万七千五百九十六円。」とございます。これは本当に賃金ですか、大臣。賃金ですか。この答弁は合っていますか。

渡辺委員長 塩崎厚生労働大臣、簡潔にお願いします。

塩崎国務大臣 御指摘のこの部長の答弁につきましては、五月二十九日に、阿部委員の資料について事務方からの説明を受けた際に知ったわけでございまして、その場で担当部長に確認をしたところ、答弁メモの派遣料金という文言を読み飛ばしてしまったと。

 誤って読み飛ばしてしまったということで、派遣料金という言葉が抜けていたということで、大切な法案審議において担当部長が誤解を招く答弁をしたという点については、まことに申しわけないというふうに思いますし、担当部長には、決定的にこの言葉が抜けておれば違う意味に解されるわけでありますので、厳重注意をして、担当部長も深く反省をしておりました。

 質疑者である大岡委員にも謝罪と御説明に伺っておりまして、今後とも、私や担当部長を含めて、答弁者は誠意を持って正確に答弁することを心がけてまいりたいというふうに思います。

阿部委員 委員長に最後にお願いがございます。

 これだけの間違いを放置して、委員会の審議の質疑終局などあり得ません。派遣の賃金ですから。待遇ですから。ぜひ、委員長として見識を持ってこの委員会の運営をお願いしたいと思います。

 終わらせていただきます。

渡辺委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先週金曜日、十二日の委員会は、理事会での合意が得られないまま派遣法案の質疑が終局とされたこと、極めて残念に思います。

 本日、補充的質疑の機会をいただいた、このことを多として、派遣法案について、機会を生かし、質疑をさせていただきたい、このように思いますけれども、ぜひ、今後、やはり与野党合意を追求しながら、引き続き議論は深めていった方がよい、きょうの議論を見ても、強くそのことを求めたい、このように思います。

 質問に入りますけれども、きょうは一枚だけ資料をお配りしております。これは、私が五月二十九日に本委員会で質問したのに対して、資料を要求いたしました。厚労省が、六月二日の理事会に提出をいただいたものであります。タイトルが「個人単位の期間制限が特定目的行為につながらない理由について」。

 これはどういうことかといいますと、私の質問の趣旨は、今回新しく導入される個人単位の期間制限、最大三年までとして、課を移すとすればずっと同じ派遣労働者を受け入れることができるというものであります。これは、三年ごとにキャリアの見直しができるんだなどという説明がされたと思うんですけれども、しかし、やはりAさんは総務課がよいというように誰が決めるんですかと質問しました。そして、これは派遣法で禁止されている特定行為につながるのではないかと指摘したのに対しての答えであります。

 丸が五つあるわけですけれども、まず、丸の一つ目、当たり前のことを言ってあります。「派遣先にどの派遣労働者を派遣するかを決定するのは、派遣労働者と雇用関係にある派遣元である。」

 確かに、派遣法第二条第一号には「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」と書いてあるわけですから、雇用主は派遣元、派遣会社であるわけです。だから、決定するのは派遣元であるということがまず一つ目の確認だったと思います。

 かつ、丸の四つ目です。こんなふうに書いてあります。「例えば、派遣先が、個人単位の期間制限に達した派遣労働者を別の部署に派遣して欲しいと派遣元に要請し、当該要請に基づいて派遣元が当該派遣労働者を派遣した場合は、特定目的行為となることから指導の対象となる。」

 つまり、何度も指摘をしたように、Aさん、Bさんと決め打ちすること、それは特定目的行為になるからだめなんだということを再確認したいと思います。

坂口政府参考人 今委員の方から御指摘ございました、今回の改正で個人単位の期間制限を創設いたしますけれども、この特定目的行為に関する法律の規定というのは変わりませんので、特定目的行為が行われた場合には指導の対象となります。

 今委員の方から御紹介いただきましたとおり、派遣労働者が個人単位の期間制限に達した際に、派遣先が当該派遣労働者を別の部署に派遣してほしいと派遣元に要請する、それを受けて、派遣先の要請に基づいて派遣労働者が決定されるという場合につきましては、いわゆる特定目的行為があったものということで判断されますので、私どもとして、指導の対象となるものでございます。

高橋(千)委員 まず確認いたしました。

 そこで、私は、やはりこの問題、大変こだわるんですけれども、制度の根幹にかかわる問題だと思っているからであります。

 大臣に伺いますが、丸の二つ目、「派遣先は、」「特定目的行為をしないように努めなければならないこととされている。」と、当たり前のことを書いているんです。労働者派遣法第二十六条七項、今、部長もお認めになりました。

 では、改めて基本を伺いたいと思うんですが、なぜ派遣が特定目的行為をしてはならないのか、お答えください。

塩崎国務大臣 現行の労働者派遣法では、いわゆる事前面接などの特定目的行為を禁止している趣旨というものは、雇用関係のない派遣先が派遣労働者の就業に影響を及ぼすことが、職業安定法で禁止されている労働者供給事業につながるおそれがある、それから、派遣労働者の就業機会が不当に狭められるおそれがある、この二つの理由があるためだというふうに理解をしております。

 労働者派遣制度が労働者供給事業の禁止の例外として位置づけられている趣旨からも、特定目的行為の禁止は重要な考え方であるというふうに考えております。

高橋(千)委員 正確に答えていただきました。労働者供給事業の例外である。

 結局これは、誰を続けてほしいのよみたいに特定をしてしまうと、これはもう派遣先と派遣労働者の間で雇用関係が成立するということになってしまうわけですよね。だから、これは、労働者供給事業を職安法四十四条で禁止されているにもかかわらず、そこに該当する可能性があるということと、就業機会がその結果として不当に狭められる可能性があるということを確認させていただきました。

 その上で、今回、三つ目には、「今回の改正により個人単位の期間制限を創設するが、特定目的行為に関する法の規定は変わらず、仮に特定目的行為が行われた場合には、指導の対象となる。」ということを書いていただいています。

 つまり、丸五つのうち四つまでは、特定目的行為というのはいかぬのだということをるる説明しているわけですね。これは、私がずっと言い続けてきたことをちゃんと厚労省は認めていただいている。

 ですから、私が質問したのは、個人の期間制限を設けることによって特定目的行為につながるおそれがないかということを聞いたわけです。イコール目的行為だと言ったのではなくて、つながるおそれがないかということを指摘したんです。

 ですから、これは、場合によっては、行われた場合は指導の対象となると言っているわけですから、つながることもある、だから、そうしちゃいけないよということを、私が指摘したとおりである、これは確認してよろしいですね、部長。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、個人単位の期間制限を設けたということで、個人単位の三年の期間制限の後に、同じ派遣労働者を同じ派遣先の異なる組織単位に派遣するかどうかということは、新たな派遣契約に基づきまして、誰が判断するかというと、派遣元事業主である派遣会社が判断するということになりますので、今ここも委員おっしゃったとおりで、個人単位の期間制限そのものが特定目的行為の禁止への抵触ということはないということかと思いますが、今議員は、つながるおそれがあるのではないかという御質問かと思います。

 直ちにそれがつながるということではないですけれども、理事会協議事項でも、ペーパーの方にも出させていただいたとおり、先ほども御答弁しましたとおり、派遣先が、個人単位の期間制限に達した際に、別の部署に当該労働者を派遣してほしいということを派遣元に要請しまして、派遣先の要請に基づいて派遣先が決定される場合は、いわゆる特定目的行為があったものと判断されて、私どもとしては、指導するということでございますので、そういった案件にならないように、私どもとしては、しっかり注視をした上で、そういった場合が出てくるということであれば、必要な指導をしっかり行ってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 つながるおそれがある、即ではないけれども、おそれがあるということをお認めになったと思います。

 六月二日の参考人質疑でも、全労連副議長であり全日本金属情報機器労組中央執行委員長の生熊茂実参考人が次のように述べておられます。「派遣労働は業務の遂行能力だけが必要とされています。派遣先による個別の労働者の特定は許されません。それは、派遣先による雇用と同じことになるからです。 ところが、人を単位にし、課をかえて派遣労働を続けさせるということになれば、それは必ず個別労働者の特定、選別につながる、」と指摘をしています。これは当然、現場を知っている方は、当たり前だ、特定になるじゃないか、つながるじゃないかとおっしゃっている、そういうことだと思うんですね。

 では、特定しないでどうやって個人単位の期間制限を運用できるのか。厚労省の答えは、最後の丸であります。「一方、派遣先においてある派遣労働者の評価が高いこと等を踏まえ、当該派遣労働者が個人単位の期間制限に達した後に、派遣元の判断で、当該派遣労働者を派遣先の別の部署へ派遣した場合は、特定目的行為とはならない。」

 全く意味がわかりません。評価が高いというのは、ひょっとして、風のうわさですか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 この六月二日付のペーパー、委員が配付していただいておりますペーパーの一番下の丸のところでございますけれども、これは、派遣先において派遣労働者の評価が高いこと等を踏まえということでございますが、今回、実は派遣法の改正の四十条の第六項におきまして、派遣先に対して、派遣労働者の業務の遂行の状況でありましたり、その情報で一定のものについては必要な協力をということで、派遣元に対して、派遣会社に対してそういった情報の提供に努めるという努力義務を課しております。

 これは、心は、どういう趣旨かといいますと、派遣会社の方で、派遣労働者の方が派遣先でちゃんと仕事ができているかということについての情報を得て、派遣労働者の評価、処遇でありましたり、さらに、どういった教育訓練をできるようにするかということを派遣会社にしっかり考えてもらうために、情報の提供の努力義務を設けているということでございます。

 そういったものを通じて、派遣会社が派遣労働者について、どういったところが向いているかということについて判断するということについて考えるということで、先ほど申し上げたような、派遣先がこの派遣労働者がいいということを言っているという趣旨とは異なるということを述べておるということでございます。

高橋(千)委員 やはりそれを出してきましたね。それしか答えが出ないと絶対思いました。

 これは、昨年私が、四十条の六項、「派遣労働者の業務の遂行の状況その他の情報であつて当該措置に必要なものを提供する等必要な協力をするように努めなければならない。」これは派遣労働者の要するに選別につながる、通信簿だ、そういうことにならないかということを指摘しています。だって、派遣先が、この人はどうやって働いている、働きぶりがいいよということを派遣元に情報提供するということでしょう。

 これは、今の期間制限のあれと一体となって、結局、特定につながるじゃないですか。違いますか。

坂口政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、この四十条の第六項の情報の提供についての努力義務というものについては、派遣会社が派遣労働者の方の処遇であったり教育訓練ということについてどう考えるかというために行っていただくということでありまして、あくまで派遣会社が決定する、派遣労働者をどこに派遣するか、あるいは誰を派遣するかということに資するようにという趣旨で設けているというものでございまして、委員御指摘のような、派遣先が派遣労働者を特定するための材料ということではありませんし、情報提供すること自体が特定をするという趣旨ではないということでございます。

高橋(千)委員 だから言ってるじゃないですか。これは、去年私が、派遣先が通信簿をつけて選ぶことになるんだと指摘したときに、今おっしゃったように、教育訓練を適切にやるための情報提供なんだとおっしゃったんですよ。それがどうして、「派遣労働者の評価が高いこと等を踏まえ、」このことにつながるんですか。特定行為を避けるためにこれを利用する、そういう趣旨ではなかったはずです。

 答弁をもう一回整理してください。できなければ、理事会にもう一度出してください。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで、今申し上げたとおり、最終的に、期間制限に達した後にどの部署に誰を派遣するかということは、派遣会社、派遣元の判断であるということでございますし、その点について、個人単位の期間制限との関係で特定目的行為につながらないということを申し上げているということでございます。

 繰り返しになりますが、四十条の六項というのは、そういったことを派遣先が特定するということではなくて、あくまで情報の提供ということで、派遣会社における処遇の改善、教育訓練のためということでございますので、その観点は違うということでございます。

高橋(千)委員 これは詭弁でしかありません。断じて認められません。

 同じ論点ですが、少し違う角度から質問します。

 例えば、期間制限のある中で、派遣先が一定期間クーリングを置いた、その後に再度同じ派遣労働者を受け入れることをあらかじめ決めておいた、これも特定行為ですね。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今の点につきましては、まさに委員御指摘のとおり、一定のクーリング期間の経過後に同一の業務に同一の派遣労働者の派遣の受け入れということを、今委員の御指摘ではあらかじめ決めておくという御趣旨でございますので、その点につきましては、特定目的行為に該当するということで考えております。

高橋(千)委員 確認いたしました。

 これは、山口県防府市のマツダ防府工場を雇いどめされた元派遣社員十五名がマツダを相手取り地位確認を求めた訴訟、これで確定をしております。二〇一四年七月二十二日、広島高裁で和解が成立をしています。

 これは、山口地裁で、二〇一三年三月なんですけれども、要するに、クーリング期間が三カ月なので、三カ月と一日だけ、サポート社員と呼んで直雇用をして、またもとに戻すんですね、同じところに。これは、常用雇用の代替防止に触れるということで、実質的にもはや労働者派遣と評価できないということを判決に明確に書いて、黙示の労働契約を認める判決をいたしました。

 また、この訴訟に先立って、労働局が動いています。山口労働局が、本件について、職安法四十四条違反、労働者派遣法四十条の二違反を指摘する是正指導を行ったわけです。

 これは、結局、これを争ったときに、特定行為が一つの鍵になるわけですよね。つまり、特定しているからこそ、わざわざクーリング期間を置いて同じ派遣先に雇用されるわけですよね。次また戻ってくるからねということをお互いに約束しているわけですよ。

 もともと彼らは請負社員でした。それが、製造業への解禁を契機に派遣労働者となり、三年で期間が来るので、苦肉の策として出されたサポート社員。しかも、それを、単に直雇用するだけではなくて、ランク制度を設けて、パフォーマンス評価制度と名乗るんですけれども、派遣料金に差をつけていた。明確に派遣労働者をそうやって選別していた。だから、もはや派遣とは言えないという評価にうなずけると私は思うんですね。

 こういう事例に照らしても、やはり、今の厚労省の見解は非常に逸脱していると言わなければなりません。

 大臣は、これから大臣に伺いますけれども、やはり率直に派遣先企業の思いを代弁していると思うんですね。

 五月二十九日の委員会で、井坂議員に対する大臣答弁。全体として、ほかの手だても含めて、その方の価値を上げること、この人だったら長くてもいいかなと思ってもらえるようにするとか、この方に来てもらいたいということであれば、やはりそれなりの手当とか、無期にするために、むしろこの人が絶対に欲しいんだということであれば云々ということで、これは要するに、派遣先が長くこの人には働いてもらいたいという気持ちを大臣は代弁して、何らかのことができないかということを言っているんです。

 これは、質問者が井坂さんなので、翻訳してくれているんですね。大臣がおっしゃったように、派遣元業者に働きかけて、ちょっと、無期でやってくれたらずっとうちに引き続き来られるから無期で雇ってやってよということもあると思うと共感して述べていらっしゃる。

 私は、同じ日の質問で、大臣の今の答弁は特定でしょうと言ったときに、指定するということを申し上げているわけではなくて、そういう心意気があるということは認めてくださいと。こんなので答弁になりますか。心意気、ふざけないでくださいよ。

 一方では禁止だと言っていながら、一方では違います、これはどう考えても無理があるんです。つまり、法律が、それは厚労省が禁止だと言っているものを、最初から織り込み済みみたいな、そういう法律をつくっちゃいけないでしょう。

塩崎国務大臣 御指摘の私の発言は、一般論として、非常に高い能力の、派遣で働く方がおられた場合には、派遣先は、このような人であれば長く使いたい、こう思うだろうということであって、また、一般に、長く派遣で受け入れるには無期雇用派遣でないとできないという制度論を述べているわけでございまして、御指摘のような、特定の人を長期間受け入れるために無期雇用にしてほしいということを派遣先が派遣元に要請することについて述べたものではなく、それは、今さっきから問題になっている特定目的行為ということに当たるわけでございますので、私が申し上げたのはそういう意味ではございません。

高橋(千)委員 では、井坂さんが解釈してくれた、派遣元業者に働きかけて、ちょっと、無期でやってくれたら、つまり、派遣元が無期で雇ってくれたらずっとうちに雇うことができるから無期で雇ってやってよと働きかける、これはありですか。

塩崎国務大臣 派遣先からそういうことを働きかけることはできないということでございまして、あくまでも、誰を派遣するかというのは派遣元が決めるということでございます。

高橋(千)委員 では、井坂議員が理解しちゃっているわけですよ、大臣が答弁したことはそういうことだと意を解して言っている、お互いに理解し合っている。訂正されますか。

塩崎国務大臣 申し上げているように、派遣元が誰を派遣するかを決めるのであって、私が申し上げたのは、先ほどの一般論を申し上げたところでございます。

高橋(千)委員 一般論では絶対済まないです。これは絶対法律の欠陥です。こうなることがわかっていて、普通に一般論ですと言って法律をつくっちゃう。完全に論理が破綻していると思います。これは、重ねて、廃案にするしかないと指摘したい。

 派遣労働者の皆さんのお話を聞くと、どこどこの課へ行きなさいと当たり前に特定されていた。多いです。先日も、お話を伺った派遣労働者の女性の方、全て事前面接を受けましたと言っていました。落ちたのも入れると二十社ですとおっしゃっていました。

 さっき、大臣はあえておっしゃいました、事前面接を初めとした特定行為とおっしゃいました。それも日常茶飯事にやられているという。

 これは本来、必要な業務に派遣会社がマッチングするんだから、派遣法という法律の仕組みはそうなんですよね。だから、選考で落とされるということ自体が本当はおかしいわけなんです。キャリアアップのために派遣会社が何かしてくれるのではなくて、自前で資格を取ってスキルを磨いている、派遣社員の皆さんは、みんなそうやって努力をしているんです。そのことを結局事前面接で見ているわけじゃないですか。

 これは、当初は労政審の案には解禁が入っていました。でも、最終案で労働側の反対を踏まえて落とされて、今も禁止なんです。せっかく踏みとどまって禁止にしたんですよ。これを、全く目をつぶっていいんでしょうか。禁止にしていることが現実に起こっていますよという訴え、どうされますか。

坂口政府参考人 今委員の御指摘の点につきましては、先ほど大臣の方からも御答弁申し上げましたとおり、審議会でも御議論があったのは事実でございますけれども、現行の派遣法の第二十六条で、この特定目的行為について、「しないように努めなければならない。」とした上で、派遣先が講ずべき措置に関する指針のところで、派遣先というものは、「労働者派遣に先立って面接すること、派遣先に対して当該労働者に係る履歴書を送付させることのほか、若年者に限ることとすること等派遣労働者を特定することを目的とする行為を行わないこと。」ということで明確に書いておりますし、また、派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針におきましても、派遣元事業主は、「派遣先による派遣労働者を特定することを目的とする行為に協力してはならないこと。」ということも明確に書いております。

 ですので、私どもとしては、個別の事案でそういった事案が明確になったということであれば、適切に、しっかり指導もしてまいりたいということで考えております。

高橋(千)委員 私が心配しているのは、個人の特定というのは、生涯派遣と私たちは指摘しましたけれども、その逆もあるんですね。つまり、長く働いてもらいたい人は課をかえてずっと働いてもらうけれども、そうでない人、意に沿わない人は短い契約を結んで、これで終わりですということもあり得るじゃないか。本当にそういう仕組みをつくっちゃったということなんですよ。

 ある女性派遣社員はこんなことを指摘していました。かつて、役員に派遣には退職金がないと訴えたときに、役員から、派遣は正規の雇用の調整弁だ、そんな派遣の老後のことなど知ったことかと言われたと言います。課長に部長から受けているパワハラを訴えたら、そんなにつらいんなら死ぬという方法もあると自殺を勧められたこともあったそうです。ところが、そのパワハラ部長は何と言っているのか。あなたは長くこの職場にいるのだから何でも知っているはずだ、だから、上司のミス、新たに入ってきた者のミスはあなたのミスだとむちゃぶりされたと。

 人間扱いされない働き方の中で、意見を言えばすぐにやめろと言われる。現実に、個人単位の期間制限を口実に雇いどめが合理化されることにならないですか。

坂口政府参考人 今委員の方の御指摘があった事例そのものについてはちょっとお答えするあれではないですけれども、ただ、お聞きする範囲で、非常にひどい言い方であると私も思っております。

 ただ、個人単位の期間制限そのものにつきましては、従前申し上げていますとおり、派遣労働への固定化ということを防ぎ、やはり派遣労働者にそういった個人単位の期間制限に達するごとにキャリアの見詰め直し、キャリアアップに努めていただくというきっかけにしていただくということでありますので、私どもとしては、そういった生涯派遣というようなことにつながらないように、この個人単位の期間制限という趣旨についてもしっかり派遣会社あるいは派遣先の方にも御理解をいただいて、しっかり運用してまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 キャリアの見詰め直しという答弁がいかに空疎なものか、現場に全然合っていないということが、どなたも御理解いただけていると思います。

 派遣労働者は雇用の調整弁として活用されてきたころ、まあ、今も言われていますけれども、リーマン・ショックがあり、紙切れ一枚で雇いどめされ、仕事も、住まいまで失うという派遣労働の実態が世に問われました。

 そのときに、さすがに政府・自民党も、これではまずい、安易な派遣切りは許さないと、わずかですけれども規制強化と労働者保護へ踏み出したと言えるのではないでしょうか。保護という言葉が法律に入ったきっかけはリーマン・ショックだった、やはりここを私は改めて考える必要があると思うんですね。

 二〇〇八年十一月二十八日、職安局長の通知では、次のように書いています。「昨今の経済情勢による企業業績の悪化等に伴い雇用失業情勢は厳しさが増しており、」「労働者派遣契約の期間満了に伴う契約の不更新や契約期間満了前の契約解除等により受け入れる派遣労働者の数を削減する動きも見られる。」つまり、派遣切りのことをこういうふうに表現しているわけですよね。

 期間満了というのは、派遣法の体裁からいうと、それ自体は違法ではありません。でも、雇用の安定が損なわれるおそれがあるということをきちんと指摘して、その上で、私が注目したいのは、この通知は非常に特徴があります。

 「今般、国会に提出された労働者派遣法改正案においては、適用除外業務への派遣労働者の受入、派遣可能期間の制限や偽装請負等に違反した役務の提供を受ける者に対しては、当該派遣労働者に対して労働契約の申込みをするよう勧告することができるとされているところであり、」この改正案の趣旨も踏まえて、「派遣先又は発注者に対して対象労働者の直接雇用を推奨すること。」と言っているんです。

 つまり、これは、法律は実はこの国会で廃案になっています。でも、今言うみなし雇用の前身とも呼べる、単なる勧告ではあるんだけれども、労働契約の申し込みをせよ、そういう法案をつくるから、その趣旨を踏まえて直接雇用をやってくれよ、そこまで踏み込んだんですよ、あのときは。だから、それが出発点なんです。それが今は、労働者のためなんだか誰のためなんだかわからないという声が出るようになっている。これはやはり違うんだ。原点に返らなければならない。

 時間が来ましたが、大臣、一言でもあったら、ぜひお願いします。これで終わりますから。

塩崎国務大臣 今、平成二十年のリーマン・ショック時の通知についてお触れをいただきました。

 今回の期間制限の見直しによって雇いどめが生じないように努めていきたいと考えておりますけれども、そもそも、今回の改正は、派遣元に、何度も申し上げてまいりましたけれども、雇用安定措置を初めて義務づけるとともに、許可制によってさまざまな義務を履行させる、それを担保するということで、全体として、リーマン・ショックの際よりも雇用を維持するための措置を強化しているというふうに私どもは考えております。

 厚労省としても、改正法成立後、施行に当たっては、改正法の趣旨、目的や遵守すべき事項を明らかにした通知を発出するとともに、事業主に対しても、説明会やリーフレットの作成等によって、改正法の内容を丁寧に説明してまいらなければならないというふうに考えておるところでございます。

高橋(千)委員 いっぱいしゃべりたいことがあります。また続けてお願いしたいと思います。

 終わります。

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.