衆議院

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第27号 平成27年7月1日(水曜日)

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平成二十七年七月一日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 赤枝 恒雄君 理事 後藤 茂之君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 松野 博一君 理事 西村智奈美君

   理事 浦野 靖人君 理事 古屋 範子君

      尾身 朝子君    大岡 敏孝君

      大串 正樹君    加藤 鮎子君

      木村 弥生君    小松  裕君

      斎藤 洋明君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    鈴木 隼人君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      谷川 とむ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    中谷 真一君

      中村 裕之君    長尾  敬君

      丹羽 雄哉君    橋本  岳君

      比嘉奈津美君    堀内 詔子君

      牧原 秀樹君    松本 文明君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      阿部 知子君    小川 淳也君

      大西 健介君    岡本 充功君

      中島 克仁君    山井 和則君

      足立 康史君    井坂 信彦君

      牧  義夫君    輿水 恵一君

      角田 秀穂君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    堀内 照文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      永岡 桂子君

   厚生労働副大臣      山本 香苗君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   厚生労働大臣政務官    高階恵美子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山崎 重孝君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  谷脇 康彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房情報政策・政策評価審議官)  安藤 英作君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  二川 一男君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  新村 和哉君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            岡崎 淳一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       安藤よし子君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  三浦 公嗣君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  唐澤  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 石井 淳子君

   参考人

   (日本年金機構理事長)  水島藤一郎君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月一日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     尾身 朝子君

  田畑 裕明君     中谷 真一君

  松本  純君     中村 裕之君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     鈴木 隼人君

  中谷 真一君     田畑 裕明君

  中村 裕之君     斎藤 洋明君

同日

 辞任         補欠選任

  斎藤 洋明君     松本  純君

  鈴木 隼人君     木村 弥生君

    ―――――――――――――

七月一日

 社会福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本年金機構理事長水島藤一郎君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官山崎重孝君、内閣審議官谷脇康彦君、厚生労働省大臣官房情報政策・政策評価審議官安藤英作君、大臣官房年金管理審議官樽見英樹君、医政局長二川一男君、健康局長新村和哉君、労働基準局長岡崎淳一君、職業安定局派遣・有期労働対策部長坂口卓君、雇用均等・児童家庭局長安藤よし子君、老健局長三浦公嗣君、保険局長唐澤剛君、政策統括官石井淳子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧原秀樹君。

牧原委員 おはようございます。自由民主党の牧原でございます。

 まずは、こうしてちょっと久しぶりに厚生労働委員会が開催できたことを、渡辺委員長そして理事の皆様を初め、関係者の皆様に心より御礼を申し上げたいというふうに思います。

 ちょっと理想的なことを言うかもしれませんが、私は、国を思ったり、国民を思ったりする気持ちというのは与野党を超えて同じだと思うんです。やはり、初出馬のときから周囲の反対を受けたり、そして、仮に議員になっても、二十四時間三百六十五日ほとんど休みなく、選挙のプレッシャーなども受けながら、いろいろな苦難に多分耐えながら議員活動をやっているというのは、国を思ったり、国民を思ったりする気持ちがなかったらやはり続かないというふうに私自身も思っているところでございます。

 その議員がこうして国民の負託を受け税金で運営されているこの国会をやっている以上は、こうした議論を通じて、与野党を超えて、反対なら反対、賛成なら賛成、そして問題ならどういうところが問題かという議論を闘わせて、ぜひ役所の皆様にも、議員の方も真剣でございますから、真摯に聞いていただいて、この委員会、正常に運営されることを心から望むところでございます。

 そのことを申し上げて、まず最初、ちょっときょうは少し未来的な視点で私は質問させていただきたいというふうに思っております。

 厚生労働省の分野、私、実は、厚生労働委員会は今回初めてなんですけれども、確かに、予想を超えて急激に進行する少子化あるいは高齢化、そして、財政再建という大きな課題もございます。実際、この二十年で見れば、圧倒的に支出が増大しているのは社会保障関係費でございまして、こうした部分について対応が非常に必要だということはわかります。

 その結果、毎年のようにいろいろな制度改正が行われるわけでございますけれども、やむを得ない面があるとはいえ、やや朝令暮改的なところがあるのではないか、こういう話を、特に現場や社会保障関係の団体あるいは施設、あるいは会社を経営されている皆様からよくお聞きをいたします。

 やはり、何かを始めようと思っても、十年後、二十年後もこの制度が続くということがなければ、そこに投資をしたり、あるいは人生をかけて何かスタートさせたり、人を雇ったりということは難しいということが言えます。

 したがって、私は、現段階でもう一度、橋本岳政務官を初め若い人もいるわけですから、三十年後……(発言する者あり)みんな若いですけれども一番若い人をちょっと取り上げましたが、三十年、五十年後を見据えて、このまま超少子化、超高齢化になることがある程度見えてもこの社会保障システムが維持できるんだということを考える、そうした未来図を考える必要がある、こう思っております。

 その中で、ことしの十月から大きな制度が始まる。マイナンバーでございます。

 マイナンバーは、先日私、予算委員会でも質問させていただきましたが、たまたま年金の情報の不正アクセス問題があって、情報が漏れたということもあって、一気にマイナンバーへの関心が今改めて高まっています。

 特に、医療・介護分野については、私も先日、さいたま市の与野医師会というところと勉強会をしましたし、また、今度、大宮医師会というところとも勉強しますし、歯科医師会や介護業者も大変関心が高くて、マイナンバーについての最新情報をぜひ教えてくれという声はたくさんございます。

 改めて、厚生労働省としては、この医療・介護分野においてマイナンバーというのをどこまで利用するというふうに考えているのか、その点をお答えください。

安藤(英)政府参考人 お答え申し上げます。

 医療等分野での番号の活用につきましては、厚生労働省の研究会を昨年の五月三十日から開催をいたしまして、医師会等の医療関係者、保険者、有識者等で議論をいただきまして、都合七回開催してございます。

 昨年十二月に中間取りまとめを行ったというところでございまして、この中間取りまとめを踏まえまして、医療連携や医学研究など医療等分野で用いる番号のあり方につきましては、マイナンバーそのものを使うのではなく、インフラの二重投資にならないようマイナンバー制度のインフラを活用しつつ、医療情報の機微性に配慮し、セキュリティーを確保して、安全性と効率性、利便性の両面が確保された仕組みとなりますよう、今後、医療関係者、保険者、有識者等と協議しつつ検討を進めていくという状況にございます。

牧原委員 ちょっとわかりにくい回答だったんですけれども。

 もう一回、要するに、医療とかについては、マイナンバーを使うんじゃなくて別の制度を使うということで今のはよろしいんでしょうか。

安藤(英)政府参考人 医療機関などが管理をいたします医療情報の管理、あるいは医療機関の情報連携、あるいは医療情報を活用しました研究開発、そういったことに関しましては、マイナンバーではなく医療分野の独自の番号制度を検討していきたいということでございます。

牧原委員 ごめんなさい、介護の方はどうなんでしょうか。

安藤(英)政府参考人 介護につきましても同様でございます。

牧原委員 ありがとうございます。

 マイナンバーがあると全ていろいろなものが漏れちゃうんじゃないかという不安が今ありますけれども、少なくとも、今、医療とか介護については独自のものを使って、マイナンバーとうまく連携しつつ、活用しつつやっていくということだと理解をしました。

 この医療等については、既に日本医師会等でも相当な検討が進められているようでございますが、その際、電子カルテみたいなものも議論がされているそうでございます。

 この電子カルテについては、今のところ厚生労働省は、これを強制的にやっていくというような方向性なんでしょうか。

二川政府参考人 電子カルテについてでございますけれども、電子カルテにつきましては、医療分野の地域連携を進めていくといったことにつきましては電子カルテの導入ということは大変重要だというふうに考えておりまして、地域医療介護総合確保基金等の活用によりまして進めているところでございますが、先生御指摘のような電子カルテの義務づけといったことについては、現在のところ検討はしておりません。

牧原委員 ごめんなさい、検討していないということは、今のところはそういう方向性で考えていないということでよろしいですか。もう一回確認です。

二川政府参考人 現在、そういった基金の活用等により進めているところでございまして、法令上の義務づけといったことについては考えていないということでございます。

牧原委員 わかりました。ありがとうございます。

 このような新しい制度を入れていくときというのは、大体、導入側の思いと、それを導入しなきゃいけない現場の思いがずれるということが往々にしてございます。特に、新しい、コンピューター等は全く使えないという、年配の方だけではありませんけれども、いらっしゃいますので、ぜひこういうところについては丁寧に進めていただきたいと思います。

 その一方で、私は今、医療について、将来に影響を与える大革命が進んでいるというふうに認識をしております。それは、いわゆるビッグデータの利活用という分野でございます。

 アメリカでは、人工知能という分野において他を圧倒するIBMという会社がございまして、IBMは今もう医療ビジネスにほとんど社運をかけていると言われているぐらい、膨大な投資そして戦略を進めているという状況にございます。

 既に、がんにつきましては、がんに関する過去の膨大な医療データ、そして治験データ、さらにはほとんど全ての論文等のデータを集めてデータベース化をして、そして個々の患者情報を入力するとその膨大なデータと比較しながら適切な診断、治療方針、投薬などを示すということができるのではないかということで、複数の医療機関との連携も始まっているところでございます。

 そうなっていくと、我々人間ではとても及びがつかない膨大な情報から、しかも歴史をさかのぼった情報から、ある情報を入力することによって瞬時にそれと適合するものを見つけ出してくる。しかも、それについて、個々の医療機関の日々のアップデートされる情報、そしてあちこちでアップデートされる論文情報も全て入っていく。さらには、製薬会社なんかとも連携をしていくと、投薬、製薬、まだ未承認のものまで含めてそういうところにヒットしていく、こういうことになります。

 本年に入ってさらにその動きを加速させて、ワトソン・ヘルス・クラウドというのを発表して、いろいろな研究者、医者等があるデータベースにそれぞれの情報を共有、保存しながら、その人たちはIBMのそういう情報サービスも分析等のものも使うことができる一方で、IBMはそういう情報を一手に集めていくという、ブラックホールじゃありませんけれども、そういう求心力を急速に高めているということがあります。

 そして、アップルがアップルウオッチというウエアラブルの製品を発表して、こういう方向が一つの流れにありますけれども、このウエアラブル情報で得られるそれぞれの消費者の情報、健康データを利用できたり、あと、ジョンソン・エンド・ジョンソンと提携をして、先ほど申し上げたようなそれぞれの製薬等の健康情報も集めて利用できるようにしているということが、この五月ですけれども発表をされたところでございます。

 私は、ちょっと衝撃を受けたのは、これは医療関係者の人ではなくてまた別の、こういう分野を専門としている人から、将来的にはもしかすると医者というのはほとんど最後の確認だけの存在になるかもしれないという話を受けたからでございます。その人からまさか医療の話を聞くと思わなかったので、びっくりしたわけでございます。

 確かに、今申し上げたように、膨大な医療データを全部集めて、しかも世界の各国までそれが伸びていって、そして人工知能で日々自分も教育をしていって、世界で一番確実な治療方針、投薬データを導き出せるということになったら、これは本当に革命的なことになってしまいますし、これに乗りおくれると日本にとって、例えばダビンチという医療機器がありますけれども、あれも部品は日本のものだというふうに言われていますが、最終製品がアメリカのものなので、先日うちの地元でオープンをした病院があるんですけれども、そこでも、この病室にはダビンチが入ることになっていますということを一番の売りの一つにしているようなところがございました。

 そうすると、将来的には、うちはワトソンで治療方針、投薬方針を出すことができますということが売りにされるような時代がやってくるかもしれない。そして、その流れの中で、日々の経験やあるいは見立て等に基づく医療というのはどんどん廃れるかもしれない。ちょうど我々が、江戸時代の医者とかそのぐらい前の医者が何となくさわってその時代にあるだけの薬でやっていたり、あるいはアフリカの医者が呪術をもって医療をやっていたりというのは、科学的な立場から見ると変だね、おかしいね、正しくないねと見えてしまうのと同じように、今の医療でもそういうふうに見える時代がやってくるかもしれないというふうに、私は非常に危機感も抱いているところでございます。

 こういう分野で、今からでも遅くない、日本の力をもってやれば、そして医療界やこうしたあらゆる業界の垣根を越えた力を結集すれば、私は日本が世界でそういう国になれる、一番の国になれるというふうに思っているし、ぜひ厚生労働省としてはそうしたことを見据えた戦略を打ち立てていっていただきたい、こう思っておりますけれども、こういう世界の将来の医療に大きな影響を与えかねない動きについて、厚生労働省としての対策、考えについてお聞きをします。

永岡副大臣 牧原委員にお答えいたします。

 先生が大変興味を示されていらっしゃいます医療に関しますビッグデータ、それから人工知能、これにつきましては、日本では、医療データといいますのももう既に着々とデータベース化はしております。

 例えば、がん、難病などの個別疾患のデータベースの整備ですとか、あとレセプトでございますね、これは全国規模でデータベースの整備をしております。それから、学会によります手術例の実績などカルテ情報のデータベースの作成支援などを通じまして、その活用を今日本では図っているというところでございます。

 今後、先生はいろいろと、IBMの話もしていただきましたけれども、それとは別に、今日本でそろっています各種データベースにつきましても、幅を広げたり、また研究分野などへの利用拡大を図るとともに、各種データベースの相互利用もできるように、診療支援などに役立てるために、人工知能というものも使いまして医療データの解析に関します研究事業などを今年度から実施をしているというところでございまして、これは二〇二〇年度を目標にいたしまして基盤整備を進めたいと考えております。

 こうした取り組みによりまして、医療の質の向上はもちろんですけれども、やはり、病院などの経営の効率化、日本発の新薬、医療機器、医療技術の開発などを実現したいと考えているところでございます。

牧原委員 ぜひお願いをします。

 私は、ここが歴史のターニングポイントになっている、こう思いますので、非常にこういう分野に強い三役の皆様がそろっている段階でリーダーシップを持って進めていただきたい、こう思っているところでございます。

 ちょっとこれにも関連しますけれども、先日、ソフトバンクのペッパーというものを見てまいりました。先日発売されて、一瞬で売り切れたということでございます。

 このペッパーという人の形っぽいものをしたロボットなんですけれども、ソフトバンクの人が言っていたのは、ちょっと自分たちにはびっくりしたことに、介護関係の方のニーズが非常に高かったという話をされておりました。

 私も介護の方と大変親しくさせていただいているので、介護施設等に行きますと、とにかく大変な、職務の負担というのは大きいことは間違いありません。特に認知症などが入っていられると、御本人の意思とは別に、どこに行かれるかわからないし、そして突然暴れることもあるし、そして同じことを繰り返し繰り返し言ったりやったりしなきゃいけないということがございます。

 このペッパーを介護施設に連れていったところ、例えば、昔の昭和の歌謡曲がありますね、「青い山脈」とか、もうちょっと古いのはいっぱいあって、私は余り詳しくないんですけれども、そういう歌を歌ってと言うと、わかりましたと言って、曲が入っていれば、歌いながら一緒に踊ってくれたりする、そういうことを非常に喜んで、何曲も何曲も、歌ってください歌ってくださいというリクエストがある。

 これは、人間が歌っていると疲れちゃうんですよね。私も、ちっちゃい子供がいるんですけれども、何回もやっても、もう一回もう一回と言われると、大体五回ぐらいで嫌になって、ちょっと疲れたからと言ってやめちゃうわけでありますけれども、ペッパー君であれば、何回やっても疲れない、電気が続く限りは、充電が続く限りは疲れないということでございます。

 私は、こういうことが非常に、今のは歌を歌う例でございますけれども、例えば、パーソナライズしていけば、そろそろお薬の時間ですよと言って飲むお薬を示してくれる、そろそろ御飯の時間ですよとか、あるいは、きょうはちょっと体調が悪そうですよとか、そういうことまで見てくれる。

 去年からはやった「ベイマックス」という映画があって、これは、亡くなったお兄さんが、優しさあふれる社会をつくりたいということで介護用につくったロボットなんですけれども、これは映画の世界ですけれども、私は、決してそれは全く夢想ではなくて、時代は確実にそういう方向に進んでいるんじゃないか、こう思っていますし、そういうニーズも私は必要で、日本としても考えていくべきじゃないか、こう思っております。

 今申し上げたような例えばこういうロボットの活用なんかについては、これを介護報酬に含める等の何かインセンティブを考えられないか、この点についてお聞きします。

三浦政府参考人 介護分野におけるロボットの活用についてお尋ねをいただきました。

 介護ロボットを活用しまして介護職員の負担の軽減を図るということは、極めて重要な課題であると考えております。

 ことしの一月に政府全体で取りまとめましたロボット新戦略におきまして、介護ロボットの導入により介護従事者の身体的負担を軽減し、安全で安定した職場環境づくりを推進するということにしております。

 厚生労働省では、現場のニーズを踏まえた実用的な介護ロボットが開発されるよう、経済産業省との間で重点的に開発する分野を定めまして、実際に介護現場で実証する機会を提供するなど開発を支援しているところでございます。

 また、介護ロボットの導入が推進されますように、先駆的に介護ロボットの導入を進める施設や事業所に対しまして、今年度から地域医療介護総合確保基金を活用いたしまして、一定の導入経費を補助する事業を実施しております。

 さらに、従前は介護保険の対象となる福祉用具の種目の検討を介護報酬の改定にあわせまして三年に一度行ってきたところでございますが、今年度からは随時要望を受け付けるということにしておりまして、介護ロボットの技術革新に柔軟に対応できるよう、弾力的な運用に見直しを行ったところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、引き続き実用的な介護ロボットの開発導入を支援してまいりたいと考えております。

牧原委員 ぜひ、厚生労働省の皆様は、ペッパーやいろいろなロボットがありますので、一回使ってみて、どういうものかも実体験していただきたいと思います。

 済みません、ちょっと介護関連なんですけれども、うちの地元は認知症のグループホームの会社が幾つかございまして、大変施設が充実しているんですけれども、途中で地域密着型施設という位置づけになって、住所地特例みたいなものが認められておりません。したがって、ある地域には非常に充実しているけれども、ある地域は、ほかの地域の人が入りたいけれども入れないというような状況が生じているところでございます。

 私は、今、認知症の対策強化が叫ばれている中、広域型として住所地特例というのを認めていくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

三浦政府参考人 認知症グループホームについてお尋ねいただきました。

 介護保険制度におきましては、住みなれた地域とのつながりを大切にしながら、地域生活に密着した形で要介護者の日常生活を支えるということが特に重要なサービスを地域密着型サービスとして定めております。身近な市町村の単位でサービスの運営を行うということが基本でございます。

 認知症グループホームは、認知症の特性に配慮いたしまして、家庭的な環境のもと、住みなれた地域におきまして、地域住民との交流を図りながらサービスを提供できるよう、地域密着型サービスの一つとして位置づけております。

 したがいまして、認知症グループホームをいわゆる住所地特例の対象といたしまして、市町村域を超えた利用を前提としたサービスと位置づける、広域型とするということにつきましては、慎重な検討が必要であると考えております。

 厚生労働省といたしましては、本年一月に策定いたしました認知症施策推進総合戦略、いわゆる新オレンジプランでございますが、これに沿いまして、地域における認知症ケアの拠点として認知症グループホームの計画的な整備を進めてまいりたいと考えております。

牧原委員 介護については先日衝撃的なレポートがまた発表されましたので、結構首都圏では動揺もございます。ぜひ、この辺について、ちょっと丁寧な説明もしていただきたいなと思います。

 最後に、未来を考えたときに、先ほど申し上げた少子化、これは本当に恐怖です。将来本当に子供をほとんど見かけない日本になるんじゃないか、そういうおそれすら私も感じているところでございます。

 他方で、私も三人子供がいるんですけれども、子育てというのは本当に大変なことだというのを日々今でも実感をしております。

 その中で、私の地元のさいたま市というのは、いまだに子供がふえているところで、特に放課後児童クラブについて、指導員も施設も足りないということがございました。

 私は、これから人口が減っていって、絶対数として減っていくと、出生率のちょっとの改善ではなかなか人口が挽回しないという状況でありますので、この今のタイミングで緊急的にこうした子育て支援、放課後児童クラブ等の充実を図っていくという集中的なものが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

安藤(よ)政府参考人 少子化の進展につきましては、我が国の最優先課題の一つとしてしっかりと対策を講じていく必要があると認識をしております。

 このため、政府といたしましては、待機児童解消を目指して、自治体とも連携をしながら、待機児童解消加速化プランに基づく保育の受け皿の確保、そして、保育士確保プランに基づく保育士確保を集中的に進めているところでございます。

 また、平成二十七年度予算では、消費税一〇%への引き上げを延期する中で、子ども・子育て支援新制度については予定どおり四月から実施することといたしまして、待機児童の解消などに向けました量の拡充や、保育士の処遇改善、三歳児の職員配置の改善などの、保育の質の向上のための財源として約〇・五兆円を確保したところでもございます。

 今年度の骨太の方針におきましても、平成二十七年度からの五年間を少子化対策集中取り組み期間と位置づけまして、子育て支援の充実、結婚支援、子育て世代包括支援センターの整備など安全かつ安心して妊娠、出産ができる環境整備を図るとされておりまして、内閣府など関係省庁とも連携をして、これらの施策を着実に進めてまいりたいと考えております。

牧原委員 終わりますが、とにかく塩崎大臣を初め、社会保障、この厚生労働分野が日本の将来を決めてしまう、私はこう思っております。ぜひ、いい方に決めるようにリーダーシップをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子です。

 きょうは、MERS対策を中心に質問してまいります。

 まず、質問に入ります前に、昨日閣議決定をされました経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太に関しまして一問お聞きをしてまいりたいと思います。これは副題に、「経済再生なくして財政健全化なし」ということが掲げられました。

 その中で、社会保障におきましては、「安倍内閣のこれまで三年間の経済再生や改革の成果と合わせ、社会保障関係費の実質的な増加が高齢化による増加分に相当する伸び(一・五兆円程度)となっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を二〇一八年度まで継続していくことを目安とし、効率化、予防等や制度改革に取り組む。この点も含め、二〇二〇年度に向けて、社会保障関係費の伸びを、高齢化による増加分と消費税率引上げとあわせ行う充実等に相当する水準におさめることを目指す。」ということが盛り込まれました。

 私も、ここに関しましては、党内における議論のときに、三年間で一・五兆円と、キャップをはめるというのはすべきではないということを申し上げ、やっと、この「目安とし」という言葉が入ったところでございます。

 社会保障制度を健全に運営、維持していくために、経済成長に伴う物価また賃金の上昇、介護分野でやはり報酬ということも、介護人材を確保するためにも、その賃金というものも考えていかなければならない。技術革新への対応、障害者関係費等の、高齢化以外の伸びに相当する分の確保が不可欠でございます。制度改正は、国民に直接大きな影響を与えるために、十分理解を得られるよう丁寧に進めていかなければならないと考えております。

 塩崎大臣、この骨太方針、そして、これに基づいて今後行われていく概算要求基準の策定につきまして御見解をお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 今先生お話がございました骨太の方針二〇一五を決めるに当たって、諮問会議でも、私も二度ほど出向いて議論をさせていただきました。

 これは、やはり、機械的に財政再建のために社会保障を切っていくというようなことは今回はしないということがコンセンサスであったと思っておりますし、骨太の方針の中にもそのことは明記をされているところでございます。

 今お読みをいただいたところが、いろいろ「目安」とか、あるいは「経済・物価動向等を踏まえ、」ということが、今先生御指摘になった賃金の問題であるとか、そういうようなことで社会保障の自由度をどれだけ経済成長の中で確保していくかということがとても大事なことだということを認識しながら、しかし一方で、財政再建についても達成はしていかなきゃいけないということで、社会保障の持続性を確保しながら財政の健全化にも資するようにしていくためにどうするかという中で、今回の表現が最終的に骨太の方針に取り込まれたというふうに思っております。

 したがって、社会保障・税の一体改革を確実に進め、経済再生とそれから財政健全化、そして社会保障制度の持続性を確保していくということを実現するために、連立方程式としてこれを解いていこうというのが今回の骨太の方針だというふうに思います。

 今後、概算要求などでの私どもの姿勢としては、やはり、制度の重点化、効率化はもちろんやっていきますが、予防とか重症化予防とか健康づくりとか、そういうような形で取り組まなきゃいけない新たな課題もたくさんあって、国民の安心を支える社会保障について必要な予算がしっかりと確保できるように、概算要求そしてまた年末の予算獲得に向けて頑張らなきゃいけないなというふうに思っているところでございます。

古屋(範)委員 これまで、生活保護の適正化ですとか薬価の切り下げ、また介護報酬の引き下げなど、厳しい改革を行ってまいりました。財政健全化とそれから社会保障の充実、これを両方進めていく非常に難しいかじ取りが迫られているところでございますが、ぜひとも大臣には、国民が安心できるような社会保障制度の拡充にお取り組みをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、MERS対策の質問に入ってまいります。

 今、韓国で深刻な感染が広がっております中東呼吸器症候群、MERS対策でございますが、四十日間たちまして、感染確認が減少傾向にあるというものの、六月二十八日現在で死者は三十二人というふうに聞いております。

 先日、NHKの「クローズアップ現代」で、詳しく感染者のフォローをしておりました。

 まず、六十八歳の男性が中東から帰国をし、そして一週間後に発熱をする。そして、地元の平澤市の病院に行くんだけれども、中東呼吸器症候群、MERSだとは確認をされなかった、中東の滞在を確認しなかった。三日間入院をして、ここでかなりの患者が感染をし、そしてさらに、韓国政府は、MERS患者が出たということを五月二十日に発表したにもかかわらず、どこの病院で発生したかは発表しなかった。

 そして、この最初の男性から感染をした三十五歳の男性が次の病院に転院をする。そのときも、中東の滞在歴がない、しかし、第一番目の感染者と同じ病院にいたということも、どこの病院で発生したかが発表されておりませんのでわからなかったということで、保健所に確認したけれども、特別な感染は発生をしていないということだったそうであります。

 そしてまた、さらにソウルの病院に、バスに乗り、また救急車に乗りかえということで転院をしていったということで、大きくはこの二人の患者から相当な人数の感染が広がっていったということで、最終的にサムスンソウル病院に行くわけなんですが、これが確認をできず救急病室に運ばれ、さらに多くの患者に感染をしていったというわけでありまして、この二番目の三十五歳の方から八十人以上の感染が広がったということで、やっと六月七日になって病院名を発表したということで、この期間、非常に長い期間がたってしまったということだそうであります。

 このMERSに対しまして、WHOが六月十七日に、公衆衛生上の緊急事態には該当はしていないということを発表しておりますけれども、警戒を促している。この韓国での感染症の原因、韓国政府の初期対応のおくれなど、また、韓国特有のさまざまな習慣というものをWHOとしても感染拡大の原因として指摘をしているところでございます。

 この韓国でのMERS感染の現状、そして原因、そういうものについての認識をお伺いしたいと思います。

新村政府参考人 お答えいたします。

 韓国におけるMERS感染の現状でございますが、六月三十日現在で確定患者が百八十二名となっております。このうち、これまで死者は三十三名、退院者は九十五名でございますが、新たな集団感染の事例はこのところ出ていないと聞いております。

 韓国におけるMERS感染の拡大の経過につきましては、今詳しくお話がございましたとおりでございますが、要約して言いますと、中東から帰国した一名の男性がMERSと診断されるまでに九日間を要した、そして、それまでの間に複数の医療機関を受診した結果、多数の方に二次感染したということが感染拡大の背景にあったと承知しております。

 さらに、WHOが公表した報告書によりますと、国内発生が予期せぬものであり、多くの医師にとってふなれであったということ、それから、救急治療室に患者を過剰に入室させるということや同一病室を共有するといったような、医療機関内での不十分な感染防止対策があったということ、また、複数の病院を受診するいわゆるドクターショッピング、また、多くの友人や家族が見舞いに来るといった韓国特有の習慣もあったということなどが指摘されているところでございます。

古屋(範)委員 とりもなおさず、韓国は隣国でございまして、そこに非常に近い壱岐、対馬、離島などは大きな危機感を持っているということも伺っております。

 水際対策をしっかり徹底をしてほしいというふうに思うんですが、潜伏期間がやはり二日から十四日あると、当然、この間に検疫をすり抜ける可能性というのは否定はできないというふうに思います。

 この水際対策、封じ込めの対策の現状、そして国内で感染者が万が一見つかった場合の初期対応、これについてお伺いをしたいと思います。

新村政府参考人 お話がございましたとおり、MERSの対応におきましては、まず、この感染症が国内に入り込むのをできる限り防止するということが重要と考えております。

 このため、韓国での感染が明らかになった直後の六月四日から、中東地域に加えまして、韓国からの入国者に対する検疫体制を強化しております。

 具体的には、検疫所におきましてサーモグラフィーによる体温測定のほか、機内アナウンス、ポスターの掲示、検疫官による呼びかけ、リーフレットの配布を行いまして、発熱等の症状やMERSを疑われる患者との接触歴の自己申告を求めております。そして、接触歴がある場合には、症状があれば直ちに検体検査や医療機関への搬送を行う、また、症状がない場合も健康監視を行うといった対策を行っております。

 一方で、万が一、国内で感染が疑われる者が見つかった場合につきましても、医師または本人から保健所へ連絡が入り、接触歴、症状などから疑似症の患者となれば、速やかに感染症指定医療機関に搬送され、治療が行われるということになっております。

 そして、その後、地方衛生研究所でMERSの検査を行いますが、その検査結果が陽性となった場合には速やかに接触者の調査を行うこととなります。そして、接触状況に応じまして、入院措置、外出自粛要請、あるいは健康観察等を実施いたしまして、感染の拡大を防ぐための対応を行うということとしております。

古屋(範)委員 万が一、感染者が発見をされた場合には、ぜひ初動態勢に万全を期していただきたいというふうに思います。

 六月九日に厚生労働省が専門家会議を開いていらっしゃいます。ここで、患者発生時の対応方針を決めていらっしゃいます。

 MERS患者の入院医療体制につきましては、感染拡大を防ぐための原則として、患者がいる都道府県で医療を完結するようにする、また、患者の受け入れに当たっては陰圧制御可能な病室が望ましい、これが困難な場合には換気が良好な個室も可能ということになっております。

 MERSコロナウイルス感染症は、感染症法を改正して、第二類感染症に分類をされております。法律上は、第二種感染症指定医療機関でも入院をすることができるようにはなっております。

 仮に、MERS感染者が陰圧制御可能な病室のない医療機関を受診したら、ウイルスで汚染された空気が院内に循環をするリスクというのが第一種よりも高くなるのではないかというふうに思います。第二種の感染症指定医療機関というのは、感染症患者だけでなくて、高齢者とか、糖尿病ですとかあるいはがんなど免疫力の低下した患者も入院をしているわけで、法律上問題がないにしても、やはりこれはなるべく避けるべきではないかというふうに思います。

 このような院内感染を防ぐ根本的な手だて、陰圧制御可能な病室を備えた指定医療機関の整備というのが喫緊であるというふうに思います。

 また、エボラ出血熱が騒がれたときにも、スタッフの不足から、患者を受け入れる指定医療機関が整備できない自治体が相次いだということを考えますと、感染症の専門家の養成が急がれているというふうに思います。

 MERS患者の入院医療体制、また早急な専門家の養成についてお伺いをいたします。

新村政府参考人 感染症法上、二類感染症でございますMERS患者の入院医療につきましては、御指摘がありましたとおり、特定、第一種及び第二種までの感染症指定医療機関で受け入れることができるようになっております。

 今般の対応につきましては、韓国におけるMERSの感染拡大を受けまして、速やかに入院医療の提供ができるよう、専門家会議を開催し、御意見もいただいております。その御意見も踏まえまして、MERSに対応するためには陰圧設備の整った医療機関を確保する必要があると考えております。そして、都道府県単位でそれを確保するよう、既に要請しているところでございます。

 このような医療機関は、陰圧設備の整った医療機関ですが、現在、全国で三百十カ所、約千五百床ございますので、当面必要な入院医療体制は確保されていると考えております。

 また、感染症の専門家の養成につきましてですが、国立国際医療研究センターにおきまして、感染症の診療に携わる医師等に対しましてMERSを含む輸入感染症に関する研修会を毎年実施しております。また、今年度からは、同センター及び国立感染症研究所と連携いたしまして、感染症の危機管理に対応できる専門家を養成するプログラムを新たに立ち上げるといったような取り組みも行っているところでございます。

 今後とも、国内でMERS患者が発生した場合の医療体制の確保のため、万全を期してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 最後に、国民への意識の啓発、そして正確な情報発信についてお伺いをしたいと思います。

 昨年、七十年ぶりでデング熱の国内感染が確認をされました。また、隣国ではこのようにMERSの感染が拡大をしているということもあり、全国に十七万以上の医療機関があって、感染症指定医療機関というのはその中のごく一部にすぎません。医療機関ごとにMERSや感染症に関する意識もそれぞれであるというふうに思います。MERSも風邪に似た症状ということから、個々の医療機関が徹底した意識を持っていくことが重要なのではないかというふうに思います。

 まず、国、地方自治体など、医療機関に向けた徹底的な啓発活動を行うことが必要だと思います。

 あともう一つは、私たち自身が過度に恐れたり、あるいはパニックに陥ったりということはいけない。しかしながら、正確な情報と知識を持って、手洗い、うがいなどで予防していく、その冷静な対応が必要なのだろう。もしもと思ったときには、急に医療機関に飛び込んでしまうのではなく、まずは保健所に相談するとか、そういう意識を持っていくことが重要なのではないかと思います。

 この点、国民への意識啓発、情報発信についてお伺いをしたいと思います。

永岡副大臣 古屋先生にお答えいたします。

 先生御指摘のとおり、MERSというのは、せきなどの飛沫感染が知られておりますけれども、インフルエンザに比べますと感染力というのは相対的に弱いということ、また、発症するまでは感染力がないということになっております。そういうMERSの特性を正しく理解した上で冷静に対応するということが、国民にとっても大変重要であるというふうに認識をしております。

 国民の皆様方に対しましては、MERSの特性に加えまして、もともとの感染源であるラクダですとか、あとは感染者との接触、それから感染が確認されました医療施設への訪問などは極力避けていただくことというのがまずは重要になってくると思います。また、中東ですとか韓国に行って、そして帰国された方、その後に発熱やせきなどの症状が出た場合には、万が一のことを疑いまして、お医者さんに行くのではなく、まずは保健所に連絡をいただくことが大事であると思っております。

 厚生労働省のホームページでございますとか、また塩崎大臣からの呼びかけなどを通じまして、これは強くお願いをしているところでございます。

 また、日本に入国する際の検疫での対応というのも強化をしておりますけれども、MERSに感染した人が入国をして、国内で発症することも想定しております。

 このために、医療の現場に対しましては、まず、マスクですとか、あとは手袋の着用、手洗いなどを初めといたしました院内感染対策を徹底すること、それから、発熱やせきなどの症状を呈する患者さんにつきましては、万が一を疑いまして、渡航歴や接触歴を確認すること、それから、MERSが疑われる場合には速やかに保健所に連絡をいたしまして、感染症の指定医療機関などでの受診につなげることにつきまして、日本医師会ですとか都道府県を通じまして周知徹底を図っているところでございます。

 以上です。

古屋(範)委員 以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也です。

 十二日ぶりの委員会ということでございまして、まずは委員長の御無事のお姿を拝見し、こうして委員会の采配を振るっていただけるということに大変ほっとしておりますし、率直に、この場をおかりして、私どもの言動等の行き過ぎについては改めておわびを申し上げたいと思います。

 一方で、委員長、厚生労働委員会は、三カ月延長された国会会期の中、恐らく他の委員会とはまるで違って、全力疾走し続ける三カ月になるんだろうと思います。かかるであろう法案も、国民の暮らしや、場合によっては命に直結する法案ばかりでございます。

 野党側にも一定のマナーが求められるとはいえ、委員長におかれましては、ぜひ、委員会の審議の進行、あるいは採決のスケジュール等については、従来よりの慣例でございます与野党間の合意形成に丁寧にお努めをいただき、円満な環境の中で委員会進行にお努めいただくということを、この場をおかりして、委員長の御見識なり御人徳を委員一同に表明していただきたいと思います。

渡辺委員長 委員長の意見をということでございますので、申し上げます。

 まずは、委員会においては真摯な議論をしていく、これが大前提であります。暴力は絶対反対、まずはそれを申し上げたいというふうに思っております。

 その上で、委員会運営は、当然のことながら、与野党合意の中で基本的に進めていく、これは従来から私自身も変わっておりません。できるだけ理事会協議の中で円満に行えるように、理事間協議を引き続きいろいろなところで図っていきたいというふうに思っております。

 この厚生労働委員会そのものはまさに国民に直結する大変重要な委員会であるということは、私自身も認識をしております。委員の皆様方においてもその点を十分御理解していただいて、十分な議論ができる環境をお互いにつくっていくことが大事だ、そのように思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

小川委員 誠意ある御見解を御披瀝いただきまして、ありがとうございました。

 その上で、直接の委員会の混乱のきっかけは派遣法の審議でございました。現在、形式的には参議院に進んでおりますけれども、私は、本院において説明は尽くされず、審議はまだまだ不十分であるというふうに認識しております。派遣法の議論をしっかり、引き続き、しつこいと言われるかもわかりませんが、納得していません、中身にも、御説明ぶりにも。納得していないからには、しっかりと引き続き質問を重ねさせていただきたいと思っております。

 その前に、きょうは十二日ぶりでございまして、年金記録情報、金曜日にも集中的審議が行われるとお聞きしておりますが、その入り口だけちょっと押さえさせてください。

 最後の厚生労働委員会が六月の十九日でありました。翌月曜日、二十二日に、かねてからの懸案でありました、一体、百二十五万件の漏えい記録は何人分の記録ですかという当然の問いに対して、一カ月半お答えになることができなかった、これは現在既に百一万人というふうにお聞きしておりますし、おわびの旨を含めて、被害者に対しては通知を送付されているというふうにお聞きしています。

 きょうお聞きするのは、この間、再三民主党の対策本部で議論になってきた、その情報管理なり公表のあり方に対するプロセス、ちょっと入り口の議論でお聞かせいただきたいと思います。

 当日二十二日は、午後四時半まで、民主党の対策本部の方でこの問題に対する集中的な議論が行われていました。そして、百二十五万件が何人分に当たるかは全くわかりませんという回答が続けられていました。その三十分後です、午後五時。きちんと整理をされた形で、何県が何人かという一覧表まで添付の上、周到に準備されたんだと思いますが、百一万人分であるということが会見等によって明らかになった。この過程、いきさつについては相当不信感を私どもは持っております。

 まず、事実関係で、理事長は、この百一万人分であるという事実、そして各県ごとの内訳を何日のどの段階で認識をされ、午後五時の会見にゴーサインを出されたのか、この場で御答弁いただきたいと思います。

水島参考人 お答えを申し上げます。

 おわびの発送に関しましては、できるだけ早くやるということで努力をしてまいりました。かつ、できるだけ早く、わかり次第公表をしたいということで努力をしてまいりました。

 当初、二十四日ごろがスタートの予定でございましたが、それを前倒しにしてまいりました。二十二日にスタートしたわけでございますが、最終的に数字が確定いたしましたのは二十二日の午後の早い時間だったと思います。

小川委員 大臣、この点に関して私どもが疑念を深めている理由なんですけれども、さきの週の金曜日の段階で、派遣法がああいう形で強行的に衆議院を通過したわけであります。恐らく、それまでは世の中を揺るがせてはいけないので、不都合な情報はできるだけ隠蔽、隠匿した方がいい、得策だという判断が働いたのではないかという臆測を呼んでいます。

 そして、翌月曜日には、決算委員会で極めて公の議論が行われていた。その五時というのは、委員会が終わった時刻なんですね。臆測ですよ。臆測と言われても仕方のない状況とはいえ、極めてさまざまなことが重なり合っています。

 午後の早い段階で理事長は、全ての、百一万人だという数字と各県ごとの内訳を把握しておられた。夕方の段階では恐らくそれはプレス発表されるということも、理事長はゴーサインを出していたはずです。

 なぜ私どもの部会で、三時、四時半の段階で、知りません、わかりません、いつかも言えませんという説明を理事長の部下が部会で繰り返したことに関しては、ちょっと責任を感じませんか。指導いただく必要があると思います。理事長にお聞きしています。

樽見政府参考人 記者発表をする段取りにつきましては、私どもの広報担当の方と相談をしておりましたので、私の方から御答弁を申し上げます。

 まさに先ほど理事長の御答弁でありましたように、当初、発送を二十四日ごろということでやったものを、できるだけ早くできないかということを私どもとしても強く機構の方にお願いをし、結果的に二十二日にできるということになって、そうであれば、この数字についても一緒にやはりできるだけ早く発表しましょうということで、ぎりぎり、そういうことを並行して進めてきていたわけでございます。

 それで、二十二日の午後に、大体これで数字は確定だということのお話を理事長からいただきまして、私は、中の人間に指示をして、広報担当との調整をし、どうしても、発表するということになりますと、必要な部数を印刷して持ち込むというようなことも必要になってきます。そういう段取りを整えて、これが終わって持ち込めたのが五時ちょっと前だったというふうに記憶をしておりまして、いずれにしても、そういう全体のことを並行してやらせていただいている中で、結果的にそういうふうになってしまった。

 そういう意味で申し上げますと、一方で民主党の会合が開かれていて、そこの中で、そこに出ている人間が、私ども、これは実は非常にそういうことで急いでやっておりましたので、ごく限られた人間でやっていたということもあって、その辺の情報の共有というものについて不十分な点があったかもしれないという点については反省をいたしますけれども、ぎりぎり、そういう並行してやっているという中でこういうことになったということについては、ぜひとも御理解を賜りたいというふうに考えております。

小川委員 非常に後づけの、御都合主義的な説明が万事において繰り返されているわけです。

 それで、今、不十分な対応ということに言及されましたが、やはりこれは、私どもは野党ですよ、野党ですが、しかし、国会に席を預かる者として、真相の究明なりあるいは再発防止なりに、批判的立場から貢献していくのが私どもの仕事です。これに対して、不実な説明なり、あるいは重要な事項を隠蔽しているととられかねないような説明ぶりなりは、極めて信頼関係を傷つけ、国民との関係においても、私どもは国民の批判的あるいは疑問を持っている立場を代弁しているわけですが、極めてこれは信義則にもとる、今後のさまざまな議論や審議においても悪影響を及ぼす。

 その点においては極めて不誠実な対応だった、あるいはそうとられても仕方がなかった、そのことについては、理事長、ちょっと重ねてになりますが、率直に認めてください、今後善処します、改善しますと。

水島参考人 御理解をいただきたいのは、私どもといたしましては、できるだけ早く発送をし、お知らせをしたいということを進めてまいりました。

 その過程で、機構内の情報連携について十分でなかった面があったということに関しましては、おわびを申し上げます。

小川委員 理事長は時に本当に率直に御答弁されるので、その点は私も敬意を表したいと思っておりますが、部下の方のさまざまな対応を含めて、しっかりと指導監督に当たっていただきたい、重ねてお願い申し上げたいと思います。

 委員長、ちょっとしつこいんですが、この点について、私は、与党側のしかるべき、松野先生初め幹部の方々は、百二十五万件が百一万人分だったということを報道で知ったということでは、職責上、不十分であるというふうに考えております。

 その上で、私どもは野党ですから、当然、与党側にまず情報提供なり、理解を当局が求め、その後、野党に対して可能な範囲で誠意ある説明をするというのが通常だ、その点は心得ているつもりであります。

 その意味でちょっと委員長にお伺いしたいんですが、委員長、この百二十五万件が百一万人分である、そして各県ごとの内訳はああいう状況であるということは、私は、報道で知りましたという御答弁はあってはならないと思いますが、では、そうでないとすれば、当局側からどの時点で説明を受けられたのか。その点、委員長に少し見解をお聞きしたいと思います。

渡辺委員長 この案件につきましては、たしか夕方に報告というか文書で来たんですが、私はその段階では見ておりません。翌日の朝、私はそれを見ました。

小川委員 率直な御答弁、ありがとうございます。

 理事長あるいは厚生労働大臣、これは不十分ではありませんか。国会において厚生労働行政全般に責任を持っておられる委員長に事前にきちんと御説明をし、こういう方向で当局としては情報を取りまとめております、ついては速やかに公表したいという段取りをきちんととるのが筋道ではありませんか。

樽見政府参考人 先ほど申し上げましたように、この状況について、何といっても情報の流出の可能性のある方におわび状をできるだけ早く送る、関係する国民の皆さんにできるだけ早く送る、それを最優先というふうに考えて取り組んできたわけでございまして、結果的に、そういう中で、できるだけ早くということの中で、私どもとして、できるだけ、先生方にも情報はお届けしなければならないということを並行してやらせていただいたということで、発表とほぼ同時にお届けをするということになったということでございます。

小川委員 委員長、今のような御答弁を委員長御自身が是認されるのか、よしとされるのか。

 国会において、厚生労働行政全般に対して、さまざまな法案の見直しを含めて責任を負っておられる立場であります。その職責に照らして、一般国民とほぼ変わらずしてこの情報に触れましたということがあってはならないと思いますし、今のような答弁で委員長御自身が満足されるか。委員長、ちょっと一言コメントしてください。

渡辺委員長 基本的には、厚生労働の委員長として事前にきちんとした説明を求めていきたい、それは当然のことです。

小川委員 委員長、ありがとうございました。

 そういう気持ちですよ。委員長はぎりぎりのところで代弁されたんだ。

 一事が万事です。そういうことも含めて、今後もさまざまな情報整理なりあるいは公表手続なりあろうかと思いますが、事をこじらせないためにも、少なくとも感情的な信頼関係を傷つけないためにも、万全の誠意ある対応を改めてお願い申し上げたいと思います。

 この点を含めて、ただ、情報操作とも言われかねないような、ある種の計算があったんじゃないかという疑念そのものは拭えていません。金曜日の集中的審議を含めて、ぜひ議論を深めていただくことを求めたいと思います。

 その上で、冒頭申し上げました派遣法について、私は全く納得できておりませんで、幾つかポイントがあります。きょう、複数お聞きしたい点があるんですが、順を追って、きょうだけじゃないでしょうから、この点については本当に納得いくまでしつこくお尋ねをし続けたいと思っています。

 まず一点目。先般の審議の中でも、やはり最高で八七%というマージン比率は異常じゃないか、人権、人道にもとると言っても過言ではないということを重ね重ね指摘、お尋ねをしてまいりました。

 実態把握に努めるという趣旨のことは再三、さまざまな場でおっしゃっておられると思います。大臣、この八七%のマージン比率について、その後の議論の経過あるいは実態把握、調査等を踏まえて、改めて今どういう認識でこの法制の責任者としてごらんになっているか、御見識をお聞きします。

塩崎国務大臣 この問題については、何度か御質問をいただいて、また御説明も申し上げた、御答弁を申し上げたところでございますが、何度も申し上げておりますけれども、マージンそのもの全てが派遣元の利益になるというわけではもちろんないことはもう繰り返し申し上げたとおりでございまして、社会保険料とかあるいは教育訓練費などに充てられる部分が大変大きいというところも、ケース・バイ・ケースではありますけれども、あるわけであります。

 もともと、例えば職業紹介の場合の手数料というのは、言ってみれば中間搾取とか人身売買などの弊害が生じているようなことがないように、職安法に基づいて、手数料に規制を設けて、上限を設けているわけですね。

 一方で、この派遣法につきましては、派遣業につきましては、もともと、労働者供給という原則禁止されているものから分離する形で、働く方の保護に欠けない事業形態として法制度化をしたもので、派遣労働者を雇用している派遣元にはさまざまな経費がかかるわけですね、その労働者を雇用していない職業紹介の先ほど申し上げたような場合とは少し規制は異なるということが、まず第一点、押さえなきゃいけない事実だろうと思います。

 今申し上げたように、社会保険料とか、あるいは一番大きかったのは、説明の中でも申し上げたのは、教育訓練費などが大変かかって、それがマージンという形で出てきているケースがあるということがあったと思いますので、必ずしも派遣で働く方の賃金が高い低いに直接結びつくことでもない場合もあるということだというふうに思っておりまして、教育訓練等を充実させていた派遣元は、どちらかというとマージンが多いという格好になるわけでございます。

 もちろん、不当な利益を上げているとか、そういうようなことはやはり我々としては注視をしなきゃいけませんし、それがゆえにこの開示を求めているということでございますので、その辺は我々としてもきちっと見ていかなければならないというふうに思っております。

小川委員 資料によりますと、特殊技術を習得するための教育訓練の経費だとか、いろいろなことを書いていますよ。

 もしですよ、もし本当に派遣労働者の方に払うのが一万円、そしてその教育訓練に必要な経費が九万円であれば、私、これは心情的にも、みんな生身の人間ですから、派遣委託費の中に込み込みで計上するのではなくて、労働者の賃金はこれだけ、そして別途、教育訓練費はこれだけというふうに、別経理、別計上をせめてするように指導すべきではありませんか。大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 このマージン率の開示は、平成二十四年の改正で開示もすることとあわせて決まったことでございまして、今お話しのように、賃金がどれだけ、それから、例えば社会保険料、労働保険料、教育訓練費、福利厚生費、あるいは正社員等の人件費、営業利益等、いろいろなものが含まれているわけでありますので、これを仮に開示するということになれば、やはりそこは御議論をいただいた上で平成二十四年の考え方を変えるということが必要になってくるわけでございます。

 これはもちろん、委員会で御議論がされるということは、十分そのことは絶えずあり得るわけでございますので、その辺は委員会での御議論を深めていただければありがたいなと思っておりますし、必要とあらば、また労政審の方でも御議論があるのかもわからないというふうに思っておるところでございます。

小川委員 大臣の御答弁ぶり、かねてからお聞きしていますけれども、私は、ある種の、雇用行政に責任を持っているということに対する正義感といいますか、そういう感覚が伝わってこないことが一番不足なんですよね。やはり弱い労働者の立場に立たないと、最終的には企業経営だってうまくいきませんし、社会は安定しないし、その一角を担っておられるわけでしょう。

 大臣がもし派遣労働者だったらと思って想像してくださいよ。自分の契約には、いただいている給料の十倍近い契約金額が払われている、そのわけ、区別もよくわからずに。そういうこと自体が人道にもとるでしょう。そのことに対する繊細な感覚を雇用労働行政の責任者は持つべきではありませんか。だから申し上げているんですよ。

 必要なものであればきちんと区別して計上するように、厚生労働省において指導すべきだ。いかがですか、大臣。

塩崎国務大臣 繰り返し申し上げますけれども、これは平成二十四年に、民主党政権のときにお決めになった、国会で決めた法律に基づいてマージン率を定義した上で開示をしているわけでございます。

 弱い立場の人たちの立場を代表してやれということでありますが、労政審は、これは三者構成になっているわけであって、働く側、そして使用者側、中立側、ILOもそうですし労政審もそうなっているわけで、そこの場でさまざまな議論をお互い、みずからの利益を代表する形で御議論をされている方々が労側そして使用者側とおられた上で、中立側の方々も含めて、議論が収束をして固まったところで建議なり建議のような形で出てきたものを今度は法案化していくということが労働政策のプロセスだということを、私も大臣になって改めて再認識をさせていただいたわけでありまして、働く側だけの論理で物事を決める、あるいは使用者側だけの論理で決めるというのは、やはり労働政策としては少しバランスが欠けているのかもわからないなというふうに思います。

 お気持ちは、御指摘の点は、弱い立場のことを絶えず考えるべし、政治は当然、弱い立場の代弁をするということもそのとおりだと思っておりますし、私もそれなりにそうしているつもりでございますけれども、しかし、一方の立場だけで労働政策を決めるというわけにもなかなかいかないなという中で今こういう形での法案審議をお願いした上で、さまざまな御指摘をいただいて、それをもって今度参議院の方で議論を深めていこうということになっているわけでございます。

小川委員 労政審は三者ということでありますけれども、今回に関して言えば、そもそも連合さんが派遣労働者の権利を十分、まあ、きょうお聞きしたい点が幾つもあって、残念ながらちょっとそこまでたどり着けませんが、例えば労政審において派遣労働者の意見すら聞いていないんですよね。聞かずにやっているんですよ、こんな重大な法改正を。

 そういうこと一つとっても、大臣、バランスを本当にとりたいなら、もっと労働者の側に立ってもらわないと、バランスがとれていないんじゃないんですかということを私たちは主張しています。

 そして、民主党政権云々とおっしゃいましたが、マージン比率の公表そのものは一歩前進でしたよね。それから二年半たつわけでしょう。それなりの、大臣なりの見識があってしかるべきじゃありませんか。しかも、これだけの大改正を今回控えているわけですから、ほかに問題点はないか、いろいろなところにひずみが生じていないか、これで、この後、派遣労働市場に何が起きていくか、いろいろと想像力を働かせるべきですよ。

 そういったことも含めて、本当に真摯さ、本気度が伝わってきません、大臣、重ねて申し上げますが。

 きょう、改めて、常用代替防止の旗印はどうするのか、専門二十六業務の方には既に法的保護に値する期待権ともいうべきものが発生しているのではないか、そのことには経過措置を設けるなど、真に社会正義、社会的公平に資する形の修正が必要ではないか、こういった点、あるいは、派遣労働者が今、これも再三議論になりましたが、労働組合への加入も含めて、憲法で保障された団結権、労働基本権が実質的に担保されているのかどうか、引き続きお聞きしたい点が多々あります。

 残念ながら、これ以上はきょうは時間の関係で限界がありますけれども、しつこいと言われるほど、三カ月国会が延びましたので、この点は引き続き徹底的に、納得いくまで説明を求めたい。そして、説明し切れない部分については、謙虚に、虚心坦懐に修正を含めて柔軟な対応をいただきたい。そのことを申し上げたいと思います。

 残り五分で、年金にちょっと戻ります。

 冒頭お聞きしようと思っていたんですけれども、理事長、百一万人分の通知については既に終了したということをきのう事務的にお聞きしました。それで、週刊誌なども含めてになりますから甚だお聞きしにくい点でもありますが、このうち、どのぐらいが不達で返ってきているのか。つまり、年金機構が真に加入者、受給者の住所を正しく把握しているというケースがどのぐらいの割合で、把握し切れていないというケースがどのぐらいの割合なのか。不達で現時点で返ってきている数についてお答えいただきたいと思います。

水島参考人 百二十五万件のお客様百一万人でございますが、六月二十九日におわび状をお送りいたしております。

 御存じのとおり、未送達分の戻ってまいりますのは、週単位で戻ってまいります。したがいまして、現在まだ集計中といいますか、戻ってくる途中でございまして、現在はまだ全体像がつかめていないという状況でございます。

 ただ、今、私どもといたしましては、もちろん未送達があると思います、それに関しまして、お送りした住所以外の住所を私どもで持っている場合がございます。これに関しましては、もう一度そこにお送りし直すということにしたいと思っております。さらに、それでも判明しない場合には、戸別訪問で御本人を特定していくという作業をこれから進めてまいりたいというふうに思っております。

小川委員 私どもも、仕事柄、郵便の発送というのは常に多数行うわけでありますが、やはり相当数、住所を把握し切れていなくて、追跡できていなくて戻ってくるということは多々あります。その戻ってくるのは意外と早いんですよね。びっくりするぐらい早期に、宛名、尋ね当てられませんでしたということで返ってくる。

 そうすると、集計中という御答弁でしたが、恐らく相当数あるんでしょう。それについては速やかに整理をして、委員長を初め委員、そして国会に対して御報告いただけるということでいいですか。

水島参考人 全容を解明いたし次第、御報告を申し上げるようにいたします。

小川委員 これは、住所をどのぐらい年金機構が本当にきちんと追跡できているかという意味で一つの指標になる可能性がありますし、そういう意味での関心は高いと思います。冒頭議論させていただいたきちんとしたプロセスも含めて、適正に整理の上、公表いただきたいと思います。

 それから、あと二分、済みません、NISCにきょうお越しいただいております。

 かねてからの私の問題意識、平成二十五年度の、五百万件のサーバーに対する攻撃、そして百三十九件の不審な通信のキャッチ、これは、情報がどのぐらい漏れたか、あるいは漏れていないかすらわからないということでいいかどうか。今回、たまたま百二十五万件分見つかったということですよね。それを早期に追跡するためには、いわゆる不正な通信を含めて、通信量、トラフィックをきちんと追跡するようなシステム構築、設定を全省庁を挙げてすべきだと思いますが、この二点、簡潔に御答弁いただいて、終えたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 NISCにおきましては、政府機関に対するサイバー攻撃などの不審な通信を監視、分析して、これを感知した場合には関係省庁に対し通知を行い、所要の対策を講じるよう求めているところでございます。

 今委員御指摘の点でございますけれども、一般論として申し上げますと、不正アクセスによって生じる通信、これは通常の通信に紛れ込んでなされておりまして、組織のシステム、通信量を全体として監視することだけでは不正アクセスを十分に感知するということは難しい点がございます。したがいまして、NISCと各省との適切な役割分担のもと、各省において把握すること、これが有効であるというふうに考えております。

 ただ、NISCにおけるGSOCシステムの検知、解析のあり方につきましては、現在の原因究明調査の結果などを踏まえながら、さらなる強化につきまして多角的な観点から検討をしてまいりたいと考えております。

小川委員 もう一回時間をいただいてしっかり議論したいと思いますが、非常にNISC自身の当事者意識が欠けているということもこの間感じています。単に警報機関にすぎないという状況をいかに実効ある監督、監視そして対策機関にするかというのも、今回の事案を通して非常に大きな課題だというふうに感じておりますので、引き続きしっかりと議論をさせていただきたい、そのことを申し上げて、ひとまず終えたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 民主党の中島です。

 本日は一般質疑ということで私も質問をさせていただくわけでありますが、今、小川委員からもございましたように、五月、六月と不正常な状況での派遣法の質疑、そしてその途中の六月一日には年金情報流出問題、本当にこの間いろいろなことがあったんだと改めて思うわけであります。

 この間にも厚生労働分野にかかわります報道がされて、私も大変気になるところがあって、派遣法に関しましては私もまだまだ、最後は安倍総理にも質問させていただいたわけですが、納得できないところがたくさんあります、さらには年金情報流出問題についても今後集中審議もあるということでありますので、本日は、この間にございました厚生労働分野における報道等について御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、一枚目の資料でありますが、これは、五月末に東京商工リサーチが、老人福祉・介護事業所の倒産件数の推移、ことしの一月から四月までの倒産件数を発表したわけであります。これによりますと、ことし一月から四月までの介護事業所の倒産件数が前年比六割増の三十一件になっているというような結果が示されております。

 まず大臣にお尋ねをいたしますが、この数字についてどのようにお感じになるのか、また、この数字は何が原因だとお考えになるのか、お尋ねをしたいと思います。

塩崎国務大臣 東京商工リサーチの資料をお配りいただきました。

 平成二十七年度の介護報酬改定は、もう何度も御議論をいただきましたけれども、特に認知症高齢者等への質の高いサービスとか、あるいは介護職員の処遇改善に取り組む事業者に手厚い報酬を加算という形で支払われるようにするといったことなど、全体としては、改定後も経営に必要な収支差が残るように改定率を設定し、適正化を行ったものだということを申し上げてきたわけでありまして、この改定後、四月のサービス提供分の報酬が事業者に支払われるのは六月以降ということで、きょうから七月でありますけれども、御質問の一月から四月の倒産の原因については、基本的には改定の影響が主な要因ではないのではないかというふうに思います。

 一方で、介護事業者の動向については、厚生労働省としてもこれは当然注視をしていかなければいけないのであって、当然、原局ではそれをやっているわけでございます。

 それで、介護給付費実態調査により把握をしております直近の請求事業所数を見ますと、平成二十七年四月の審査分、これはサービスとしては三月に提供したものでありますけれども、これを見ますと約十九・五万の事業所でございまして、その前の月よりも約一千事業所増加をしているわけでございます。

 平成二十七年度介護報酬改定後の状況についても、この調査を通じてなるべく早く把握をしていきたいと思っておりますけれども、このほか、関係する事業者団体等に対して、介護サービスの運営がどのような状況になっているのかも伺っていかなければいけないし、さまざまな機会を通じて状況は把握をしていかなきゃいけないというふうに思っているわけであります。

 いずれにしても、大事なことは、介護サービスがきちっとサービス量として必要なだけ提供されるということが大事だというふうに思っておりますので、もろもろの点によく注意をしながら注視をしてまいりたいというふうに思っております。

中島委員 今大臣からは、四月から介護報酬改定ですからこの東京商工リサーチの数字は直接的ではないというような答弁がございましたが、二〇一三年、一四年と徐々に介護事業所の倒産件数はふえてきて、そして私、この件については何度も何度も御質問させていただいていたわけでありますが、私は実際に地元の小規模のデイサービス等々へ行って、非常に厳しい、もうこのままではやっていけない、ただ、今、目の前にいる利用者さんがいるためにと。やはり、実質的に今回の介護報酬の改定によって倒産してしまう介護事業所は間違いなくふえるだろう、ただ、すぐには閉鎖できない理由が事業所にはあるんだというふうに私も想像していたわけです。

 しかし、今回の介護報酬の改定、物価上昇等を勘案すれば二・二七%のマイナス改定は史上最大幅だ、このことは一月の時点でもう明確になっていたわけです。この数字は一月から四月、もちろん四月から実質的な改定は行われたわけですが、その前にもう既にやめてしまう事業所が、このペースでいったら六割、七割増し、さらにはもっともっと、私が予想する、利用者さんの次の対応先が決まった後には倒産する件数がふえてしまう、そのことを、私はこれを見たときに大変驚いたわけです。

 今の大臣の答弁、私も何度も何度もしつこいぐらいこの件については質問させていただいて、資料の二枚目でありますが、これは四月の十五日の議事録です。今後どうやってこの実態調査をフォローしていくのかということに対して、たまたまこのときの議事録を出しておりますが、同趣旨のことを何度も何度も大臣はお答えになっています。

 介護給付費実態調査というのが定期的にございまして、サービスごとの請求事業所数の月別の推移をしっかり厚労省としても把握しているわけでございますと。先ほども御答弁いただきました。今回の報酬改定はこの四月の一日からでございますから、これがどういう状況になっていくかということはしっかりとフォローしていきたいというふうに思っておりますと。

 このように、私の懸念に対して大臣は、今後の動向は、トレンドを見ながらというお言葉も使われておられましたけれども、しっかり見ていくというふうにおっしゃっていたわけです。

 先ほど、介護給付費実態調査、請求事業所の三月、四月の件はお伺いをいたしましたが、私がこのことを厚生労働省に尋ねたところ、今回、介護報酬の改定に伴ってシステムの変更があるので、五月以降の請求事業所の実態調査の結果は半年後の十月、十一月になるとお伺いしたんです。まず確認ですが、そのことは本当でしょうか。

塩崎国務大臣 大体十月前後になるのではないかというふうに私も聞いております。

中島委員 では、この答弁にあるように、月別のしっかりとした状況把握は一体どういう形でやっていくつもりですか。

塩崎国務大臣 請求額については今申し上げたようなことになるということを申し上げているので、先ほど答弁申し上げたように、事業所数がどうなのかということにつきましては先ほど申し上げたとおりで、三月の分について四月に出てきているのを見ますと、一月で十九万三千六百二が十九万四千五百七十八と約一千事業所ふえているということで、新規参入がかなりあるということなんですね。

 そういうことで、これもまたサービスごとによく見ていかなければいけないと思っておりますけれども、今申し上げたことは、そのようなことでございます。

中島委員 厚労省が調べている、この実態調査と言われる、ではほかに、請求とおっしゃいましたが、東京商工リサーチは民間でありながらこのように調べているわけです。

 大臣は、今回の介護報酬による影響を調べていくと答弁で何度も何度も繰り返されているわけです。でも、システム変更によって五月以降、では、ほかに厚生労働省として、東京商工リサーチはこのような数字を出しましたが、今回の介護報酬によって、倒産件数なり、私は倒産してからではもう遅いと思いますが、そのような実態調査、小まめに丁寧にトレンドを見ながらと、大臣は、癖のある部分もあるというふうに何度も答弁されておりましたが、その実態調査は、きめ細かにどのようにしていくおつもりですか。

塩崎国務大臣 統計的になかなか正確なところが出るのに時間がかかるということでございますれば、当然のことながら、先ほど御答弁申し上げたように、事業者団体等を通じて聞くなり、あるいはそれぞれの都道府県に聞くなり、いろいろな形で、実際は市町村が介護保険は運営をしているわけでありますから、市町村からの声というものもよく耳を傾けていかなければいけないというふうに思います。

 まさに、この四月からの改定を踏まえてどういう状況が起きてくるのかということについては、しっかりと見ていかなきゃいけないという認識は何も変わらないと思いますし、統計的になかなか難しい部分については、今申し上げたようなことで、他の手段を使ってできる限りの情報を集めて対応していくというふうにしてまいりたいと思います。

中島委員 いや、認識はいいんですが、具体的にどういう方法で調査、各自治体とおっしゃいましたが、私が聞いたところでは、厚生労働省は全くそういう動きはないというふうに私は聞いております。

 さらに、東京商工リサーチの結果、今後、四月の時点でもう六割増しになっている状況を考えて、では大臣は、具体的にどういう方法、そして具体的にどういう数字だったらどういう対応をするおつもりなんですか。

塩崎国務大臣 先生御心配のように、この四月の改定がどういう影響が出てくるかというのは、当然、私どもとしても、リアルタイムでできる限り、ヒアリングベースも含めてしっかりと把握をしていかなきゃいけないと思っておりますし、先ほど、十月前後になるんじゃないかというふうに申し上げたデータについても、できる限り前倒しをするために、国保連なり都道府県なり市町村なりにお願いをすることによって、速報ベースの数字がどうやったらとれるのかということも含めて考えていきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、厚生局、厚生支局も全国にございますので、そういうところを含めてしっかりと状況把握に努めてまいりたいというふうに思います。

中島委員 私が聞いたところの話では、私はびっくりしたわけです。大臣はこのように、毎月毎月、全体のトレンドを見ながら月別のものを見ていく、そして、私の危惧に対してしっかりとフォローアップするというふうに明確にお答えになっていたにもかかわらず、厚生労働省に尋ねたら、五月の請求事業所、実態調査の結果は秋になると。

 先ほども言ったように、介護報酬の改定が四月になされるその以前からもうふえ続けている、これは予想以上に地域の小規模事業所が逼迫している状況、それを民間が出したわけです。それに対して、認識はもちろんですが、今私は、具体的にどうするのか。そしてもう一点、具体的にどういう数字、どういう状況になったときにどのような手を打たれるのか。どういうお考えがあるんでしょうか。

塩崎国務大臣 それは、先ほども申し上げたように、あらゆるルートで、介護保険にかかわっていらっしゃる方々から民間の団体も含めてお話をしっかりと聞いていくということが大事であり、統計的には、先ほど申し上げたように、改定があった際に少しおくれてしまう、これをどれだけ前倒すことができるのかということについて考えなきゃいけないというふうに思っております。

 いずれにしても、先ほど申し上げたように、退出する事業所があると同時に参入する事業所もあるという中で、サービス量がちゃんと必要なだけ応じられているのかというところを私どもとしてはしっかり見ていかなきゃいけないというふうに思っているわけでございます。

 こういう変わり目こそ大事だという先生の御指摘はそのとおりだというふうに思いますので、秋になるという、今までの改定があった際の、ラグが生じるということについて、できる限りそれを短くするような努力をさらにやっていきたいというふうに思います。

中島委員 これ以上私は言いませんが、私は、さっきの派遣法の小川委員の話もそうですけれども、認識はわかるんです。ただ、実態として、ちゃんと調査して、そして改めるところは改めて、やはりその姿勢というものが私には伝わってこないんですね。

 私、毎週毎週、土曜日、日曜日、今でも地域の小規模デイサービスを中心に、先日はショートステイにも行ってきました。今、地域の小規模な、二〇〇〇年に介護保険ができてから、地域に密着して、自宅を改修したりしながら、小規模だけれども本当にその地域のニーズに合った小規模事業所の人たち、三重苦なんですよ。

 もちろん、前提となる介護従事者が足りない、それで今働いている人たちに荷重がかかっている。さらに、そういう状況の中で今回二・二七%マイナス改定、それだけでも大変な状況。

 そんな中で、私もびっくりしたんですが、多くの事業所、ほぼ八割ぐらいの事業所が、実際に利用する方々が減っていると言っているわけです。これは何か、えっ、本当ですかと聞きたくなるような声なんですが、もちろん、これだけ高齢者の方がふえて、利用する方がもっとふえて、例えば特養であれば待機待ちの人が五十二万人もいると言われている状況の中で、小規模なデイサービスの利用者さんは減っているんだと。

 介護報酬は減額され、さらには介護人材も不足し、荷重がかかり、さらに利用者さんまで減っている、だから我々、もうこれはやっていけないというのが実際の声なんです。

 この三つ目の声の原因、大臣、どうしてそうなっているか、おわかりになるかどうかわかりませんが、私は、今、国として小規模多機能を進めていると思います。その件についてケアマネさんにも聞きに行きました。

 やはり、今、保育も学校も全てそうかもしれません。高齢化の一方で人口減少もあるかもしれない。そういったことを考えると、やはり国の方針というのは、集約化、そして小規模多機能、もちろんいいですよ。しかし、ケアマネさんたちの介護計画、その中には、今はまだ必要じゃないけれども、要介護二、三の方であって、デイサービスだけしか利用しないかもしれないけれども、いずれ今後通所も、そして泊まりも必要になるかもしれない、ですから、あらかじめ小規模多機能に登録しておこう、そういう流れが今もうできてきているわけですよ。

 私は前も大臣にお尋ねをいたしましたが、今回の介護報酬の改定、そして今の国の方針、流れというか、そういう中で、今現場で、先ほど言いました二〇〇〇年から地道に活動してこられた方々、私は在宅医として、そういう方々が、事情によっては泊めてくれたり、お泊まりデイサービスがいい悪いというあれもありますが、本当に身近な方々を親身になって、これはやはり介護保険制度を土台となって支えている事業所なんですよ。そういう方々が、今の集約化、さらには今回の介護報酬の改定の中で、我々はもう役割を果たした、もう終わったんだと国から言われている、そのような認識をしている方がたくさんいるんです。

 そのような声に、これは通告しておりませんが、そういう小規模事業所、今回の介護報酬、最大のマイナス幅は小規模のデイサービスです、その役割は終わったということではないということをしっかりと大臣に答弁いただきたいと思います。

塩崎国務大臣 私自身も、母が九十五歳、妻の両親が九十二歳と八十九歳、いずれもいろいろな施設にお世話になっているわけでありますから、先生がおっしゃっていることはよくわかるところで、また、現場の働いていらっしゃる方々がどれだけ苦労し、また創意工夫の中で、高齢者の、言ってみれば心に少しでも明るさをということで御努力をいただいている姿も、私もしばしば見ているわけであります。

 今お話がありましたように、小規模多機能にしても何にしても、やはりニーズは多様化をしていますし、生活パターンや家族構成、体の状況など、いろいろございます。そういう中でどういう対応をしていったらいいのかということを考えた上で、今回、経営の状況も踏まえた上で報酬改定をさせていただいたわけでございます。

 特に今デイサービスの例を取り上げていただきましたけれども、これについても、やはり私どもとしては、特に重点を置く認知症、それから中重度の方々への対応というものを、例えば介護福祉士の人数にしても経験年数にしても、それによって、言ってみれば加算を拡充することでそのニーズに応えていくということをやり、なおかつ、その加算があることによって、経営的にもその事業体がより回っていくように配慮をするということもやっているわけでございます。

 ですから、いろいろ政策意図を反映する形で今回の介護報酬の改定も行われていることと私どもとしては理解をしているわけであって、そういう中で、それが本当に合っているのかどうか、あるいは現実にちゃんとついていっているのかどうかということを、私どもとしては、この四月の変わり目の後にしっかりと見ていくということは大変大事であることは言うまでもないわけで、それをどうやるかということについては、先ほど申し上げたとおり、さまざまなルートを使ってでもやっていかないといけないし、できる限りリアルタイムでやることによって、変化が起きていることに気がついて早く手を打つということもできるようになるわけでありますので、心してそういうことについて気配りをしてまいりたいというふうに思います。

中島委員 私がなぜそういうことを危惧するか。

 先ほどから派遣法の件もありましたけれども、先日も派遣法のときに私は、もちろん派遣法の内容、その以前の段階で、労安衛法と労働契約のはざま、もしくは雇用主、使用主のはざまで、派遣労働者の方々の最低限の権利でもある安全であり健康の担保が非常に置き去りになっているということを、最後、安倍総理に指摘させていただいたんです。そうしたら、安倍総理は、だからこの法案を通すんじゃないかと。私には全くわけがわからなかったです。

 それと同じように、机上の空論で、きめ細かく、手厚く、重点化、効率化してあるから大丈夫なはずだという前提のもとで、本当に介護保険の前提、まさにこれは事業所の問題じゃないんですよ、そこを利用している利用者さんたちが弊害を受けてくる。まさに命綱としている介護保険、それがどうなってしまうのか、これは事業所のみならず、そこを利用している利用者さん、もしくは利用者さんの家族までも大変不安に感じている部分であるわけです。

 私は、決して、お金をたくさん出してそこに充填するべきだと言っている意味ではなく、むしろ、この後少し質問いたしますが、介護人材がこれだけ足りない中で、今デイサービスの例を出しましたが、ショートステイだってそうです。療養や生活の二タイプがあります。しかし、さきの介護報酬の改定で、重度化する方を、特養の待機者をそのかわりにショートステイに置けるような配置になりました。一方で、介護人材は圧倒的に足りない。そんな中で、夜勤をした人が次の日のお昼まで仕事をしなきゃいけない。でも、それは、利用者さんに迷惑をかけちゃいけない、そういう思いの中でやられて、回しているわけです。それでも経営が逼迫する。

 やはり、この実態は、認識とか気配りとかという言葉ではなくて、しっかりと具体的に調査をして、今のままでいったら、五月、結果は十月になってしまいます。この間に、先ほども言ったように、もうそれ以上聞きませんが、具体的にどういう状況になったらどう対応するのか、ちゃんと事業所の方々に示していただきたい。そうでないと、私は、介護報酬の改定があって一年後ぐらいから、恐らく次の改定までの間に多くの事業所が閉鎖をしてしまう可能性があるということを危惧しているわけです。

 しかし、これはその予想よりもはるかに速いペースでそうなりかねないということは、私の声というか現場の声としてしっかりと受けとめていただきたいと私は思いますので、民間がやっていることですから、ぜひ厚労省としても具体的にしっかりとやっていただきたいと思います。

 関連してですが、今回、四月から介護報酬の改定もございました。一方で、障害福祉報酬も実質マイナス改定をされました。その背景は、障害福祉に係る予算が大きくふえていることがあると言われておりますし、実際に、障害福祉サービス報酬改定検討チーム、その検討会においてはそのような背景をもとに議論がなされ、報告書も私も読ませていただきました。最終的には、厚生労働大臣と財務大臣との折衝を経て今回の報酬改定が決まったと私も理解をしております。

 一五年度予算で、障害福祉に係る予算は一兆五千億円余り。二〇〇九年では九千九百億円、それに比べて一・五倍に膨らんだ障害福祉予算でありますが、過去の報酬プラス改定などで公費支援が手厚くなった結果、事業所数がふえ、福祉サービスを利用する人もこの五年間で月当たり四十七万人から七十一万人と。そのような背景が今回の障害福祉報酬の改定にも反映されたということだと思います。

 介護と同時に、障害福祉事業所に関しても、昨年、経営実態調査、そして事業所の平均収支差率が約一〇%という数字も出ておるわけですけれども、これは介護のときにも言いましたが、この経営実態調査の回収率というのは、介護の場合は五割を切って、そして、障害福祉事業所の場合は三三%ですよ。単純に、予算がふえた、そして利用する方がふえた、経営実態調査をやったら収支差率が一〇%、そういったことをもとに今回プラス・マイナス・ゼロと言っておりますが、本体部分はマイナスになっているわけです。

 現場の障害福祉事業所は、施設整備等、利用者へのサービス向上や安全性の確保、さまざまな分野に障害福祉分野は広がっておりますから、その設備や人材の確保にも大変苦労があるわけです。国や県からの補助金も削減されていく一方で、今後どうやって維持していけばいいのかと、介護同様というよりは、介護事業所よりさらに深刻で、不安が広がっているのが現実です。

 先ほどの介護事業所と同様に、今回のマイナス改定、特に就労支援A、Bありますけれども、地方にある小規模な、民間もやっているような小規模事業所の調査は、介護事業所の動向とともにしっかりと把握をしてほしい。これは、もう時間もございませんので、質問しようと思ったんですが、大臣にはとにかくそのことはしっかりと認識していただきたいというふうに思います。

 私は、もう端的に言うと、今回の障害福祉報酬の実質マイナス改定は介護報酬のとばっちりを受けたと。先ほどの、前提となる、背景となるその予算の膨れ上がり、そういったことの中で、介護と同様、医療と同様に、効率化、重点化の観点で実質マイナスになってしまったというふうに思われますけれども、やはりこれは全く私は観点が違うと。

 これは、利用者がふえている理由は、当然のことながら、精神の方や難病の方、その対象範囲が広がったからであって、それを見込んでいなかったとしたら、そもそもそこが大きな間違い。さらには、昨年の一月、障害者権利条約を日本は批准したわけです。障害者基本法や差別解消法、国内法の担保ができて、そして、まだ拙速ではないかという意見もあったようですけれども、批准もされたわけです。

 厚労大臣として、今回の実質マイナス改定、これの及ぼす影響、それは先ほど言ったようにしっかりと介護と同様に実態調査していただきたいのと、今後、国として、障害福祉のこれからのあり方、しっかりとグランドデザインを描いて示す必要があると思いますが、大臣の御見解をお尋ねします。

    〔委員長退席、とかしき委員長代理着席〕

塩崎国務大臣 今回、介護とともに障害報酬改定というのを行ったわけでございますが、まさに障害者施策というのは、OECD諸国の中でも実はまだGDP比でいきますとやっと二十八番目に位置されるようになって、これは二〇〇〇年に三十一位だったものが今二十八位ということですから、まだまだ発射台は低いという認識を私どもも持たなきゃいけないんじゃないかというふうに思っております。

 二十七年度の障害福祉サービス等の報酬改定については、サービスを提供する事業所が非常に小規模なところが多い、私も地元でたくさんの作業所、旧作業所などと頻繁に話し合いをしておりますけれども、そういう弱い事業所が多い、それから、自立支援法ができてからでも十年と、まだそこまでいっていないということもあって、私どもとしては、何としても、プラマイ・ゼロの今度の改定率がもうぎりぎりいっぱいというところでやってまいりました。この結果を踏まえて、きめ細かな対応をしなきゃいけないと思っております。

 先ほど先生御指摘のように、介護保険と同じように、やはり障害福祉サービスについても、障害福祉サービス事業者の動向、これについては事業所の推移を把握しなければいけないと思っております。一方で、しかし、先ほどの介護と同じように、事業所数自体はふえているわけで、これも、例えばこの四月の数字を見ると、つまり三月にサービスを提供した事業所の数字を見てみると、前月に比べますと約一千カ所ふえているわけであります。

 処遇改善加算の効果の把握、これについては、障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査というのが十月に予定をされております。

 それから、障害福祉サービス等の事業の経営実態については、障害福祉サービス等の経営実態調査を行うこととしておりまして、実態の把握に引き続き努めてまいりたいと思っております。

 一方で、これからの大きな意味での障害者施策をどうするんだというお話でありましたけれども、先ほど申し上げたように、先進諸国の中でもまだまだ努力をしなければいけない。

 やはり、障害があるなしにかかわらず、相互に人格と個性を尊重し合いながらともに生きることができる社会として実現をしていくことが大事でありますので、私どもとしては、入院、入所からの地域移行の推進とか、グループホーム等の住まいの場の確保、あるいは障害児、障害者の生活を支える障害福祉サービス等の充実、さらには障害者の一般就労への移行や定着への支援、そして工賃の向上の取り組み等の就労支援というのが極めてまたこれも大事です。あるいは、手話通訳者等の養成、派遣等のコミュニケーション支援、あるいは障害者の移動の支援等の社会参加の促進などに総合的に取り組まなきゃいけないと思っております。

 来年、障害者総合支援法の三年後の見直しが控えております。当事者あるいは関係団体を交えて丁寧な議論を行って、障害者が安心して地域で暮らすことができる安定的な障害福祉サービスの実現を目指し、先進国の中でも評価を上げていけるように努力をしてまいりたいというふうに思います。

    〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕

中島委員 時間がなくなってしまいましたので、その件についてもっともっといろいろ聞きたいことはあるわけですが、もう一つ、この間、先ほど五月、六月と言いましたが、本当にびっくりしたのは、資料の五枚目、「病床十年後一割削減」。

 これは端的にお聞きします。もう時間がないので、はしょって言いますが、昨年の医療介護総合確保推進法の中で、地域医療構想、まさにこの四月から始まったところだと思います。そんな中で、御丁寧に各都道府県の削減率まで示して、これからまさに地域の実情を踏まえながら病床数を見ていくところなのに、この時期になぜこのようなものを出したのか。これは地域医療構想の足かせになると私は非常に考えます。

 そういった中で、私の地元の山梨でいえば、九千二百というベッドの中で二五%削減という数字が出ているわけです。

渡辺委員長 中島君に申し上げます。

 既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。

中島委員 済みません。指摘だけで終わります。

 これは、山梨でいえば二千三百床。一番大きな病院が四百床ぐらいですから、病院が幾つもなくなってしまうという統計になってしまうわけです。このことはまた一般質疑もあると思いますけれども、この問題点。

 さらには、きのう閣議決定されました、首都圏の方が地方へ移住する、そういったことも厚生労働省として容認をするのかどうか。その辺について問題意識を持っているということだけお伝えをして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、山井和則君。

山井委員 三十五分間、質問をさせていただきます。

 きょうは七月一日、漏れた年金情報の問題が発覚してから一カ月がたちました。

 この間、漏れた年金情報百一万人分、百二十五万件の原因究明、何かわかったことはあるんですか。再発防止策は何か出ましたか。検証委員会が二回開かれただけ。一カ月間、一体何をしていたんですか。そして、誰がどう責任をとったんですか、この問題に関して。年金に対する大きな信頼を損ね、おまけに全容もまだ明らかになっていないんじゃないですか。

 先ほどの、渡辺委員長に対する連絡が、百一万人というのが事前になくて、何かポストに投げ込んであったと。はっきり言って、厚生労働委員会なんかもう関係ないんですよね。全く気にしていない。でも、私たちは、年金不安を解消し、年金を守るために、年金の信頼を回復するために、党派を超えてこの年金問題をやっているわけですよ。

 きょうは、一カ月目となりました、その検証をさせていただきたいと思います。

 まず、水島理事長にお伺いします。

 私は、未確定ですが、ちらっとうわさを聞いたことがあるんですね。これは百二十五万件じゃなくて、もしかしたら四百万件ぐらい漏れているんじゃないかと。未確定です、私も全くわかりません。あるいは、四情報だけじゃなくてほかの情報も漏れているんじゃないか、こういうことも聞いたりします。

 そこで、きょうで一カ月の節目ですので、改めて水島理事長にお伺いしたいと思いますが、ある日、百二十五万件じゃなくて四百万件漏れていました、あるいは、四情報以外も漏れていましたなんということは絶対ないのか、絶対ないとは言い切れないのか、お答えください。

水島参考人 たびたびお答え申し上げておりますが、現在確認をされておりますのは百二十五万件でございます。もし新たな流出が判明した場合には、可及的速やかに公表をさせていただきたいというふうに思っております。

山井委員 理事長、質問に答えてもらっていません。

 今確認できているのは百二十五万件、これは誰もがわかっていますよ。問題は、またある日、申しわけありません、四百万件漏れていましたとか、あるいは、四情報以外も漏れていました、そういうことが発表される可能性がないのかあるのか、イエスかノーでお答えください。

水島参考人 繰り返しになりますが、確認をされておりますのは百二十五万件でございまして、現在それ以外は確認をされていないということでございます。

山井委員 今後、四情報以外が出てくる可能性、あるいは、百二十五万件がふえる可能性はあるんですか、ないんですか。同じ答弁はだめですよ。

水島参考人 全く同じ答えになって恐縮でございますが、現在確認されておりますのが百二十五万件でございます。

山井委員 委員長、だめですよ。だめです。そんなのだめですよ。

 何で言えないんですか。

渡辺委員長 山井和則君、どうぞもう一度言ってください。

山井委員 だめですよ。答えていないじゃないですか、質問に。

 大西議員にも答えているじゃないですか。理事長。

水島参考人 漏れているか漏れていないかということについて、仮定といいますか、臆測といいますか、それで私の立場としてお答えすることはできないと思っておりまして、現在確認されておりますのは百二十五万件だということでございます。

山井委員 そうしたら、大西議員が質問して、これがふえる可能性はあるという答弁をされていましたが、その答弁を変えられるんですか。この委員会で答弁されたことですよ。あの答弁を変えるんですか。間違っていたんですか、あの答弁は。理事長。

水島参考人 現在、百二十五万件について、これ以上の流出がないかどうかについては、もちろん私どもとしては解明すべく努力はいたしております。

 その上で、現在、百二十五万件以外は確認をされていないということでございます。

山井委員 解明すべく努力しているということは、いつまでに答えが出ますか。もう一カ月たちましたよ。いつまでに百二十五万件以上あるかないか解明ができるんですか。解明の努力をされているんだったら、いつまでにわかりますか。

水島参考人 いつまでにといいますのは、現状、確定的にお答え申し上げるのは難しいというふうに思っておりまして、いずれにいたしましても、私どもとして、百二十五万件以上はもうないと申し上げられるような努力を今続けているということでございます。

山井委員 本当に無責任な答弁であると思います。こういうふうに、百二十五万件以上漏れている可能性もある、四情報以上漏れている可能性もある、全容がまだわからない、一カ月たっても全容がわからない、極めて問題だと思います。

 さらに、この原因究明ですね。塩崎大臣に質問通告をしましたが、配付資料九ページですね、アエラの報道記事がございますが、この記事にも書いてありますように、十七日間、一人の年金局の担当係長が情報をずっと持っていて、上司に一切報告せず、警察の捜査が始まったということも報告しなかった。この記事にもありますように、トラブル絡みの危ないことはまずは上司に報告というのが役所の常道、係長が一人で抱え込むなんということはあり得ないとある関係者も言っているわけですね。

 それで、きょう質問通告もしておきました。塩崎大臣、この係長に、本当に上司に報告しなかったのか、報告していたんじゃないのか、もし報告していないんだったら、なぜ報告しなかったのか、そのことを直接係長に聞いて、この委員会で塩崎大臣に答弁してほしいということを質問通告しましたので、では、お答えください。

塩崎国務大臣 これも何度もお答えを申し上げてまいりましたが、年金局のこの担当係長は、専ら情報政策担当参事官室と年金機構との間のいわば連絡役としての問題意識でおったということで、五月二十五日まで上司への報告を行っていなかったというふうに理解をしております。

 厚生労働省は、やはりここは組織で仕事をしているわけでございますので、その事実の状況については当該組織の責任者から話を聞くことに私はしておりまして、本件についても、組織の責任者であります課長、そしてまた年管審がしっかり話を聞いて私に上げてきているというふうに理解をしております。

山井委員 本当に、民主党政権のときだったらあり得ないですね。こういう大事件が起こったら、即、係長に大臣、政務三役が会って、どういうことだったんだと聞きますよ、それは。即その日に。一カ月たっても係長から話を聞こうともしない、今後も聞く気はないように思いますが、邪推かもしれませんが、それは、下手すると、聞くと都合が悪いんじゃないんですか。そうしたら、係長さんが、いや、当然上司には報告していましたよ、そういう答えが出てくる可能性があるんじゃないんですか。だから聞けないんじゃないんですか。

 一昨日、年金業務監視委員会の委員長を昨年三月までされていた郷原弁護士の話も聞きました。郷原弁護士もおっしゃっていました。今までのさまざまな検証委員会で、いざ調べていったら、名前は係長で連絡していたけれども、上司も実は知っていた、そういうことが明らかになったケースもあるとおっしゃっています。

 本当に、一カ月たっても、一番の核心の情報を握っている担当係長から話を聞こうともしない。私は職務怠慢だと思います。もっと言えば、怠慢じゃなかったら、わざとそれは真実を隠そうとしているんだとしか私には理解できません。

 そこで、一ページ目の新聞記事を見ていただきたいんですが、例えば、お役所仕事じゃなくて、民間企業の損失隠しだったらどうなっていたか。

 この記事にありますように、二〇一一年十一月一日に、オリンパスの損失隠しの第三者委員会が立ち上がりました。委員長は、今回の検証委員会と同じ甲斐中さんです。同じ委員長です。そして、ここにも書いてありますように、素早い結果公表が課題だ、買収に伴う資金の流れを、事実関係を速やかに解明することが課題だということで、日付を見てもらいたいですが、十二月七日、一カ月後には報告書が出ているんです。そして、上司に報告もしていた、トップは認識していた、一カ月間で、甲斐中委員長のもと、解明しているんですよ。

 ところが、厚生労働省は何ですか、まだ二回検証委員会をやっただけ。余りにも民間とスピードが違い過ぎるし、やる気がみじんも感じられない。

 では、塩崎大臣、この検証委員会の結論はいつ出すんですか。あえて申し上げますが、国会は九月二十七日まで。新聞報道によると、もしかしたら十月には内閣改造もあるかもしれないと言われております。まさか、今の任期が終わってからになるなんということはあり得るんですか。今の塩崎大臣のもとで起こった問題で、もちろん、塩崎大臣が再任されるかどうかはわかりませんよ、でも、自分のこの任期が終わるまでに結論を出さないということもあり得るんですか。

 いつまでに結論を出すんですか。これは検証委員会が決めることではなくて、最高責任者の塩崎大臣の判断です。いつですか。

塩崎国務大臣 先ほどの係長の問題は、言ってみれば、政権運営あるいは組織運営のお考えの違いというふうに私は思います。

 そこで、検証委員会については、二回開かれただけじゃないか、こういうことでございますけれども、フォーマルではない打ち合わせもやっておられると聞いておりますし、さまざまな資料徴求がそこここで行われているということも漏れ聞いておるわけでありまして、かなりの活動を活発にしていただいているというふうに私は認識をしております。

 それで、私どもがお願いをしたのは、この検証委員会は、まず、第三者性を持って役所の影響力を排除する中で、甲斐中委員長のリーダーシップのもとで、第三者としての検証を厳しくやってほしいということを申し上げております。

 これは、まず実態、真相の究明、さらには再発防止、これについて徹底的な御議論をいただいて、検証を重ねた上で報告を出してほしい。それなりにやはり大きな問題でもございますので、これは、当然のことながら、一定の時間はかかるだろうということを容易に想像できるわけでありますが、私どもとしては、やはり早くこの結論は欲しいわけでありますので、できる限り早期にお上げをいただきたいということは甲斐中委員長にお願いをしているわけです。

 最終的にいつこの報告書をまとめるかというのは、私が決めることではなくて、これは検証委員会が決めることで、私の要望はもちろんしているわけでありますが、最終的には甲斐中委員長が御決断になって、最終報告書が出てくるものだというふうに思っているところでございます。

山井委員 いや、驚きました。そこまで丸投げされますか、そこまで。この問題の最高責任者は塩崎大臣じゃないですか。いや、私は驚きました。

 これは、今まで記者会見二回、検証委員会の後は事務局長の野村修也弁護士が行っておられましたが、私たちは非常にもやもや感があるんです。委員長の甲斐中委員長は発言をされない。

 ぜひ塩崎大臣からお願いをしていただきたいと思います。オリンパスのときにもすばらしい検証を一カ月でされたわけですから、甲斐中委員長にもぜひ記者会見で発言をしていただきたい、プレスの方々に対して発言をしていただきたい、ぜひその中で、いつまでに結論を出すのかということは発言をしていただきたい。そして、そのことについて、塩崎大臣から甲斐中委員長にお伝えいただきたい。

 これは、私は別に甲斐中委員長を責めているのではなくて、全くわからないんですよ、国民には。国会議員にも見えないんですよ。三回目がいつ開かれるのかも、いつ結論が出るのかも、年内なのかも来年なのかもさっぱりわからないんですよ。民間企業で締め切りのない仕事なんというのは私は聞いたことがありませんよ。甲斐中委員長にお伝えいただけますか、大臣。

塩崎国務大臣 繰り返し申し上げますけれども、第三者委員会をお願いしているわけでありますので、甲斐中委員長が適切に判断をされるものだというふうに思います。

山井委員 事務局長をされています野村修也弁護士も立派な方だと私は聞いておりますが、でも、厚生労働省の顧問なんですね。身内なんです。応援団とも言えるかもしれません。

 そういう意味では、何か、厳密な第三者委員会というより、身内の方々にお願いして、言い方は悪いかもしれませんが、今の状況であれば、検証委員会を隠れみのにして、真相究明や再発防止策をおくらせているんじゃないかという疑念を持たれても仕方ないんじゃないかと私は思います。

 そこで、塩崎大臣、今回、一カ月たちましたが、責任も、けじめも誰もつけておられません、これだけの大問題を起こして。私は賞与や給与の返納だけで足りる問題では全くないと思いますが、ただ、まず第一歩、厚生労働大臣を含む政務三役の給与、賞与の自主返納について、これも第三者委員会の検証結果を踏まえて判断すると。塩崎大臣の意思というのはないんですか。

 ちなみに、二ページにもありますように、昨日賞与が、安倍総理に三百五十三万円、菅官房長官、塩崎大臣に約二百九十四万円、そして水島理事長に二百二十五万円振り込まれたということを聞いております。おまけに、塩崎大臣、検証委員会の結果を待っていて、その検証委員会の結果がことし出るのか来年出るのかもわからないんでしょう。既にこれだけの迷惑をかけているにもかかわらず、大臣の意思というのはないんですか。責任感は全く感じていないんですか。

 塩崎大臣、これは一応確認ですが、きのう賞与はもう振り込まれているんですか、塩崎大臣のところ。それで、今はこれを返納する意思はないんですか。

塩崎国務大臣 振り込みがあったかどうかは私は確認をしておりませんので、あったものだろうというふうに理解をしております。

 その上で、もちろん、私は厚生労働省の最終的な責任者でございますので、今回の日本年金機構への不正アクセスという悪意を持った攻撃で起きたこととはいえども、機構の問題もあり、その監督責任としても私は当然その責任があるわけでありますので、一定のけじめをつけるということは国会で、既に参議院の方で申し上げたところでありまして、その具体的なあり方というのは、やはり事の中身をしっかりと踏まえた上で対応するというのが、世の中、常識的な対応だというふうに思っております。

山井委員 これは、そうしたら、塩崎大臣、もしかしたら、きのう賞与を受け取って、全額もらったまま一銭も返さないということも、検証結果のいかんによってはあり得るんですか。幾ら返すかを今検討しているんですか、それとも、そもそも返すか返さないかを検討しているんですか、塩崎大臣。

塩崎国務大臣 参議院の厚生労働委員会で申し上げたとおりでありまして、私ども政治家でありますから、二言はないということであります。

山井委員 いや、ちょっと、参議院の厚生労働委員会は聞いていないから答えてください。どう言ったんですか。何と言ったんですか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたとおり、厚生労働省の責任者として一定のけじめは必要であるということを申し上げたということをさっきも御答弁申し上げたところであります。

山井委員 私の質問に答えていないじゃないですか。

 全額受け取る可能性もあるんですか、それとも、いやいや、幾らかは返納するんです、その額を検証結果を見て判断するのか、そこを答えてください。

塩崎国務大臣 事の全体像をやはり踏まえた上で、それにふさわしいけじめをつけるというのが普通の常識的な対応だというふうに思って申し上げているところでございます。

山井委員 そうしたら、塩崎大臣、これは、全容解明が十月以降になって、失礼な話かもしれませんが、もしかしたら大臣の任期が終わってからとか、そういうこともあり得るんですか。

 私が大臣だったら、少なくとも自分の任期中に起こった問題に関しては、再任されようが再任されまいが、それまでにはけじめをつける、それが国民に対するけじめ、責任のとり方だということぐらい、私は、政治家の矜持として答弁をされるのが当然だと思いますが、それは、もし次の改造があった後になって、もしかしたら塩崎大臣がかわった後になっているかもしれないということですか。

塩崎国務大臣 常識的に御判断をいただければと思います。

山井委員 非常識なことをやっているのはあなたたちじゃないですか。検証結果がいつ出るかもわからない、一カ月たっても誰の責任もとれない。一般の会社だったら倒産していますよ、会社の社長は首ですよ、一カ月たっても何にもやっていないんだったら。その常識を教えてください。わかりません。

 自分の今の任期中に検証結果を出すのか、あるいは返納するのかしないのか、幾ら返納するのか、答えを出すんですか出さないんですか。

塩崎国務大臣 繰り返し申し上げているように、全体像がわからないで責任をとるという人はまずいないというふうに思っております。

山井委員 いや、本当にこういうのを往生際が悪いというんですよ。全体像以前に、百一万人の人に被害をかけた、これはもう明らかじゃないですか。

 私はそうおっしゃるんじゃないかと思って、この配付資料も入れました。六ページ。今まで過去十例、大臣が自主返納した事例。見てください、この中の七番目。平成十九年六月、消えた年金問題。この場で柳沢大臣とこうやって議論しましたよ。この配付資料六ページの一番下。

 当時、消えた年金の全容は全く明らかではありませんでした。最終的には二百万人、二兆円の年金が消えていましたけれども、全くわかっていなかった。けれども、検証委員会をする前にですよ、まずは賞与全額、柳沢厚生労働大臣は返納されているじゃないですか。検証委員会任せじゃないですよ。柳沢厚生労働大臣は賞与を返納されているじゃないですか。塩崎大臣も、そこは政治家として、国民に対してけじめをつけられるべきじゃないですか。いかがですか。

塩崎国務大臣 まず第一に、きょうお配りをいただいているこの資料には、実は検証委員会があるということが書いてあるのが幾つかありまして、平成十四年四月のBSE問題、平成十六年十月の監修料問題、平成十八年八月の国民年金不正免除問題、さらには平成十九年十月の総務省年金記録問題検証委員会報告書に対する措置、これらについては、それぞれ検証委員会的なものができて、その報告書が出た後にこういったことがとられているわけでございます。

 ちなみに、その十九年の六月の柳沢厚労大臣のときの、社保庁の皆さん方全員にというのは、実は私が官房長官として決めたことでございまして、それは、実損が、つまり年金自体が失われているという実損が出ていたという状況であったということも踏まえた上で、事の重大性を踏まえて、そのようなことでございました。

山井委員 びっくりしたな。今回、この漏れた年金情報の対策費、一説によれば五十億、百億円ぐらいかかると言われて、それが年金保険料から出される可能性も高いわけですよ。年金が五十億、百億円減るわけでしょう。何を言っているんですか。本当にびっくりしましたよ。

 それで、きょうは内閣官房の審議官の方にもお越しをいただいております。

 ところで、蓮舫議員の参議院の質疑の中で、菅官房長官は、六月十一日、こう答弁されているんですね。三ページの議事録。蓮舫議員が、給与や賞与について、返納を総理も官房長官も検討すべきではないかというのに対して、菅官房長官は、「責任を私ども感じております」「当然検討はしたい」と前向きな答弁をされて、ああ、これで返納されるんだなと誰しも思いました。

 ところが、どうですか、審議官。安倍総理、菅官房長官はきのうの賞与は返納されたんですか、この件に関しては。いかがですか。

山崎政府参考人 総理、官房長官の賞与でございますが、特別職の職員の給与に関する法律に基づきまして、一部返納した結果、三百五十三万円と二百九十四万円支払いがされております。

 お尋ねの、けじめのつけ方でございますが、先ほど来のお話として、日本年金機構不正アクセス事案検証委員会において、原因究明と再発防止策の検討が行われているものと承知しております。本件に関するけじめのつけ方につきましては、この委員会の検証結果を踏まえまして検討されることになるものと承知しております。

山井委員 だから、これは全然関係ないことで多少返納はしているけれども、安倍総理三百五十三万円、菅官房長官二百九十四万円、丸ごと受け取っているということでいいですね。審議官、確認です。

山崎政府参考人 詳しく申し上げますと、本来は五百四万円と三百六十七万円でございますが、内閣として行財政改革を引き続き着実に推進する観点から、閣僚懇談会におきまして、申し合わせによりまして、給与の一部返納をしております。その結果、三百五十三万円と二百九十四万円となっております。

山井委員 これは、安倍総理の責任のとり方も検証委員会任せ。結局、消えた年金のときも、安倍総理も塩崎官房長官も、十分な責任をとっていなかったじゃないですか。

 なぜ私がこだわっているのかというと、結局、責任を感じていないわけですよ。国民に対して申しわけないと安倍総理も塩崎大臣も思っていないわけですよ。私は本当に、一カ月たって全く反省がない、国民に対して申しわけないというふうに思っていないと言わざるを得ない。私は、これは民間企業だったら許されないと思いますよ。会社だったら倒産、社長は首だと思います。

 そうしたら、塩崎大臣、検証委員会で政府、厚生労働省の責任とかは少ないと出たら、全く返納しないということもあり得るんですか。

塩崎国務大臣 仮定のお話でございますが、そのような結論が出るということはまずあり得ないというふうに思っておりますし、繰り返し申し上げますが、先生きょうお配りの資料の四ページに、私が蓮舫議員の質問に対して答弁をさせていただいた、そのことが載っております、知らないとおっしゃいましたが。

 もう一回申し上げますと、「今回の事案につきましては、機構がこういう問題を起こしながら、この責任は私どもも監督責任として持っているわけでありますから、それなりのけじめは付けないといけないというふうに思います。」

 蓮舫議員は、それに対して一切反論なく終わったわけでございまして、それは、常識的にお考えをいただければ、おのずと答えは決まってくるというふうに思うところでございます。

山井委員 わかりません。

 必ず返納するということですか。非常識なことをやっておられるから、私、常識がわかりませんので、必ず返納を安倍総理も塩崎大臣もするということですか。どうですか。お答えください。

塩崎国務大臣 検証委員会の報告を受けて決めたいというふうに思います。

山井委員 本当に、検証委員会、検証委員会で、おまけにその検証委員会は、では、検証委員会の結果報告、来年になる可能性もあるんですか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたとおり、できるだけ早くお願いをしたいということを申し上げておりまして、一方で、これだけの大きな問題でもあり、また政府全体にもかかわってくるような問題もはらんだ、極めて悪質なサイバーテロでもあるわけでございますので、こういったことについての検証作業はそれなりに大変な作業だろうというふうに思います。

 しかし、さっき申し上げたように、我々は、早期にやはり結論を出していただくことが大変ありがたいということは、甲斐中委員長に私からも明確にお伝えをしております。

山井委員 そういうのをお役所仕事というんです。早くという場合、民間だったら必ず締め切りがあります。締め切りがない早くなんという仕事の頼み方がどこの世界にあるんですか。

 このおわび状も、塩崎大臣にお伺いしますが、このおわび状、間違っていますよ。最大、ここにありますように、年金番号、お名前、生年月日、住所が漏れているというおわび状を約百万通もお送りになりましたが、塩崎大臣、このおわび状を事前に見られましたか。

 さらに、塩崎大臣、今回の約百万人の中に住所が漏れている人はいるんですか。いないんだったら間違ったものを送ったということになりますが、塩崎大臣、いかがですか。

 塩崎大臣に聞いております、監督官庁である、塩崎大臣に質問通告をしていますから。理事長は結構です。塩崎大臣、答えてください。

渡辺委員長 水島理事長。(山井委員「だめですよ、質問通告してあるんですから」と呼ぶ)

 私の指示に従ってください。(山井委員「そうしたら、時間を延ばしてくださいよ、質問通告してあるんですから」と呼ぶ)まず、聞いてください。

 はい、どうぞ。

水島参考人 住所でございますが、おわびの文書につきましては、印刷のスケジュール等がございまして修正が難しかったこともございまして、速やかにお客様にお送りするということを最優先に取り組んだところでございます。

 御指摘の修正を行う場合は、発送が七月六日から八日ごろまでずれてしまうということと、相当な経費もかかるということもございまして、私の判断で、おわび状は修正を行わずに送付するということにさせていただきました。

 大至急、これに関しましては、既に対処をいたしておりまして、今、お問い合わせにはお答えできるような体制にいたしております。さらに、基礎年金番号を御送付申し上げますときに、追加的な対処についても検討いたしたいというふうに考えております。

山井委員 住所が含まれていない約百万人に、何で住所が漏れている可能性があると送っているんですか。不安をあおるものを何で送っているんですか。修正が間に合わないというけれども、二文字抜くだけじゃないですか。

 塩崎大臣、これを見ておかしいと思いませんでしたか。幾ら発送に費用がかかっているんですか。出し直すべきではないですか。国民に対して謝ってください。こういう、不安をあおる、住所が入っているか入っていないかで受け取った人の印象は全然違いますから。塩崎大臣、お答えください。塩崎大臣、通告しているんですから。

塩崎国務大臣 いただいた紙の通告にはそれは入っておりません。

 その上で申し上げれば、言葉足らずであったことは認めなきゃいけないと思います。先生の御指摘の点はよくわかるところでありますが、今、理事長から答弁したように、最大でお客様の基礎年金、お名前、生年月日、住所、つまり、最大の場合には四情報が出ているかもわからないということを書いているわけでありまして、したがって、それは最大である方とそうじゃない方がおられるということでありまして、これをさらに細かく書くべきであったという御意見については理解をするところでありますが、それにまた、先ほど来何度も出ております費用の問題についてもございましたものですから、今回はお許しを賜ってこのような形でお願いをするということで作業を進めているところでございます。

山井委員 費用は幾らかと質問通告しているでしょう。

 さらに、塩崎大臣、今の答弁、間違っていますよ。今回の約百万の中には一人も住所が漏れている人はいませんよ。今の大臣の答弁、間違っていますよ。修正してください。うその答弁をしないでください。

渡辺委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、質疑はこれで終了させていただきますが……(山井委員「だめですよ、そんな。間違った答弁をしているんだから」と呼ぶ)最後に、それでは、答弁を簡潔にお願いできますか。

塩崎国務大臣 今回の約百万については住所は入っていないという先生の御指摘は、そのとおりだと思います。

 今般の不正アクセスにより二情報、三情報が流出した方に対しては、六月二十二日から個人情報が流出した旨のお知らせ及びおわびの文書の発送を開始して、六月二十九日に既に完了しているわけでありますが、印刷、郵送等に要した費用は現在精査中というふうに聞いているわけでありまして、概数でいくと、大体、印刷代と郵送料を合わせて一億円強程度というふうに聞いております。

渡辺委員長 山井和則君、もう質疑を終了してください。

山井委員 もう時間が来ましたので意見を言って終わりますが、皆さん、今の答弁を聞かれたように、住所が入っている人は約百万人中一人もいないんですよ、漏れている人が。何でそれを、住所が漏れているというものを一億円かけて約百万人に送っているんですか、不安をあおるように。

渡辺委員長 質疑を終局してください。

山井委員 住所が漏れているか漏れていないかで、被害者の心情は全然違うんです。

 もう本当に、これは一カ月たったけれども、真相はわからない、再発防止策はわからない、おまけに、塩崎大臣、私は一回目の手紙でも間違いがあると指摘して、おわびをしましたね。

渡辺委員長 質疑を終了してください。ルールを守ってください。

山井委員 二回目も指摘をさせていただきました。

 だから、時間が延びるから水島理事長の答弁を要らないと言ったのに、こんなことになるわけです。

 とにかく、今後、漏れた年金情報の問題、しっかり審議を進めていきたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。井坂信彦君。

井坂委員 維新の党の井坂信彦です。

 本日は一般質問ですので、三つのテーマで、それぞれ短目にお伺いをしたいと思います。

 一つ目は、病理医についてお伺いをいたします。

 以前の一般質問で、浦野議員の方から、抗がん剤の効き目を事前に調べる感受性試験ということについてお伺いをいたしました。これをやるだけで、胃がんに限っても、年間百四十三億円の、効かない薬をやるという無駄な医療費が削減できる、こういう趣旨の質問でありました。しかし、それを行おうとすると、実際は病理医さんが不足をしており、そして、法律で必ず病理医を置かなければいけないがん拠点病院ですらいまだ病理医のいないところがある、こういう質疑が行われたわけであります。

 そこで、まず大臣にお伺いをいたしますが、病理医が足りない現状をどう認識し、その理由をどう分析しておられるか、お伺いいたします。

塩崎国務大臣 私の地元に四国がんセンターというのがございまして、そこでがん登録の議論をする際に、病理医が足りないという話を私自身も聞きましたし、それ以前からいろいろなところでそういうお話を聞いておりました。

 病理医というのは、病理診断あるいは病理解剖を専門的に行う重要な役割を果たす医師であるわけでありますが、数字を改めて見てみますと、病理診断科に従事をする医師、つまり病理医の数は、平成十八年に千二百九十七人であったところが、平成二十四年には約二四%増の千六百五人と増加傾向にあるというふうに知りました。

 しかし、先ほど先生からもお話があったとおり、病理医が足りないという御意見はよく聞くことでもありますし、今議員からもその点が指摘をされたわけでありまして、その点は、この問題意識を受けて、さらによく関係者の意見を伺って、今後どうすべきかということを考えていきたいというふうに思います。

井坂委員 病理医さんがここ最近で二四%増という数字もいただきました。一方で、この十年間で病理診断の件数は一・七五倍、つまり七五%増であったり、うち、外科手術や内視鏡手術の最中に行ういわゆる術中迅速病理診断というものは、これはもう三倍、要は二〇〇%増であったり、また、免疫染色というのも二・七倍、一七〇%増ということで、仕事の方はさらに急速に、件数ベースでふえているということであります。

 また、実態としても、病理医がそもそも一人もいない、こういう二次医療圏が全国で二割を超えるのではないか、こういう、私から見れば異常事態であります。

 大臣も、今後関係各方面と相談しながらということをおっしゃいましたが、まず、現状認識として、大幅に不足していて、大問題だという御認識なのか、それとも、やりくりを工夫しながら何とかやっていける範囲だとお考えなのか、お伺いします。

塩崎国務大臣 今数字を挙げられて、医療の現場で行われるいろいろな医療行為や検査などに当たって、病理医が携わることが大変ふえているということで、確かにそういう意味で、私もいろいろ聞くぐらいでありますから、かなりいろいろ問題があるというふうに思うわけであります。

 いろいろ数字がございまして、「診療科別の最低必要な医師数(現状との比較)」というのを見てみると、病理診断科というところが一番、最低必要医師数の倍率というのを見てみると、三・七七ということで最も高い。婦人科がその次で二・九一、救急科が二・〇七ということでありますから、相対的に見ても、病理はかなり対応が必要な科ではないかというふうに思います。

井坂委員 大臣の、相対的に見ても、ほかの診療科と見ても、救急やら婦人科、産婦人科、そういうところに比べてもなお一番足りないところであるという御認識でありました。

 一方で、私も、この問題をいろいろ調べておりますと、どういう仕組みになっているのか、これはもう本当に、率直にわからなくなってきた部分がございます。病理診断というのとそれから病理学的検査というものの違い、すみ分け、あるいは実態として何が行われているのか、このあたりが本当によくわからなくなってまいりました。

 病理診断の保険件数、要は医行為として行われている病理診断の保険件数と、それから標本作成の保険件数、これを分子、分母で比べますと、ざっとした計算ですけれども、本来病理医が行うべき医行為の七割近くが医療機関外で行われているようにも見受けられるわけであります。

 病理医の行う医行為の多くが保険診療として行われていないということを聞くわけでありますが、これは事実かどうか、またその理由は何か、参考人にお伺いをしたいと思います。

唐澤政府参考人 先生から御指摘いただきましたように、病理のドクターを確保していくというのは大変重要な課題でございます。

 それで、我が国の保険制度でございますけれども、診断、治療に給付をするということになっておりますので、病理の先生の行為を評価するというものは、先ほど先生が御指摘いただきましたような、組織の標本をつくる、それからそれを診断するというようなものが中心になっております。

 最近は、先ほど御指摘いただいたように、術中の迅速診断というようなものを新たに設けまして、それは御評価いただいておるんですけれども、数といたしましては、内科や外科に比べますとどうしても、この診療報酬の点数の項目というのは非常に少ない。そして、このほかにも病理の先生は、亡くなった方の病理解剖でございますとか、あるいは健康な方の検診というようなものにも携わっておりますけれども、こちらの方は保険が適用されていないわけでございます。

 いずれにいたしましても、病理の先生方の行為というものをどう評価していくか。従来のように外科と兼務をしてやっていただくというようなことになかなかなりませんので、きちんと病理を専門にして実施をしていただくという方につきまして、臨床検査のあり方とも関連させながら、中医協で検討させていただきたいと考えております。

井坂委員 ちょっとお尋ねしたことにお答えいただいているかどうかわからなかったんですが、本来病理医さんが医行為としてやらなければいけない病理診断が、その七割近くが医療機関外で行われているようにも見えるわけでありますが、そういった実態があるのか、あるとしたら、その理由は、あるいはどういうからくりになっているのか、お伺いをしたいと思います。

唐澤政府参考人 今正確な数字を持っておりませんけれども、検査の多くが委託という形で外注に出されているわけでございます。それにつきましては、検査技師さんがその職能の範囲内で業務を行っているという実態がございます。

 もちろん、望ましいのは、院内できちんと病理の判断ができる、医行為としてですけれども、判断ができるということが望ましいわけでございます。それはすぐに結果も出るということがありますので望ましいのですが、なかなか、一つには、先生御指摘のように病理の先生がいないということと、あるいは、病院の業務全体の効率化という観点も含めて検査の外注ということが行われているのではないかというふうに理解をしております。

井坂委員 病理医さんがいない、あるいは病院経営の効率化ということで検査を外注している。これは登録衛生検査所というところに検査を外注しているということはわかりました。

 検査を外注して検査結果が返ってきます。結局、そこで病理診断という医行為が必要になるのではないかなと思うわけでありますが、そのあたり、現状はどうなっているんですか。病理医さんが病理診断をしているんですか。

唐澤政府参考人 医行為になっているのかどうか、それから全てについて病理診断をしなければいけないものなのか、あるいは検査そのものとして検査技師がその検査をしてよいことになっているのかということは、ちょっと今正確にお答えできませんけれども、きちんとまた私どもの方も調査をいたしまして、御報告させていただきたいと思います。

井坂委員 検査の外部委託、これはあっていいことだと私は思います。

 ただ、検査の外部委託をしても、結局、その検査結果報告書が返ってくるわけです。それを、病気ですね、あるいは、病変がありますねと診断をする行為は、これは病理医による医行為だというふうに思うわけでありますが、それが必要なのにそこが曖昧なまま飛ばされてしまっているケースが多いのではないですか、そういう実態についてはどう認識しておられますか。

唐澤政府参考人 先生ただいま御指摘いただきましたように、最終的にその方が病気なのかどうかということについて、これは医師が判断しなければいけないということでございます。もちろん、私どもは必要なものについては判断がされているというふうに理解をしておりますけれども、しかし、さらに精密な診断が必要なのかどうか、それから、実際どのように業務の流れといたしまして実施をされているのかということについては、ちょっと私どもの方でも精査をさせていただきたいと考えております。

井坂委員 いや、これは私がちょっと調べただけで怪しいなと、怪しいなと言ったらちょっと語弊がありますけれども、本当に病理医さんの診断が必要なところで行われているのかなという疑問を持っておりますので、物すごく御存じなことだと思いますから、もう少し誠実に答弁をしていただきたいと思います。

二川政府参考人 医師法で、医行為に該当するものにつきましては医師が最終的な判断をしなければならないというふうになってございますので、検査を委託して、その検査結果が戻ってくる、その検査結果を見て最終的にどのような病名なのかという診断を行う、その最終的な権限は医師法上は医師にのみ認められているものというふうなことでございまして、最終的には医師が確認を行った上で治療方針等が決められるものというふうに承知しております。

井坂委員 医師が医師がというふうにおっしゃるわけでありますが、それは、要は病理医のいない病院が委託をするわけですね、いればそこでやればいいわけですから。多くの病院は病理医がおりません。八千六百病院があるうちの多分千病院ぐらいしか病理医はいないと思います。病理医がいない病院が検査委託をして、また返ってきたものを医師がという場合は、当然病理医じゃない医師が病理診断をするということになると思うんですが、厚労省の見解としては、病理医じゃない医師が検査結果を診断すればそれでオーケーだ、問題ないという御見解でしょうか。

二川政府参考人 医師法上のことでございますけれども、病理診断医がいない場合に、例えば外注をして、それで結果が返ってくる、その結果を総合的に判断して行う医師は、医師であれば医師法上は差し支えないということでございます。もちろん、その総合的な判断をする場合に、病理診断医の方がより専門的な、その結果も踏まえての判断ができることはあろうかと思いますけれども、医師法上は、医師が全てのいろいろな情報を総合的に判断して診断をし、治療を行っていくものというふうに承知をしております。

井坂委員 きょうは時間の関係もありますので現状認識をお尋ねするにとどめますが、最後に、大臣にこれまでの流れから一点だけお伺いをしたいと思います。

 今、参考人は医師法上は問題ないというふうに答弁をされました。それはそうかもしれませんが、しかし、病理医という専門家があって、まさに病理診断を専門とする医師が日本にも世界にも物すごくたくさんおられますが、にもかかわらず、日本では、検査の外部委託、返ってきた検査結果を病理診断の専門性が全くない臨床医がただそれを見て病理診断をするということが横行しているとすれば、これは実態把握もお願いをしたいと思いますが、政策のあるいは日本の医療の方向性として別にこれで問題ないということなのか、あるいは足りないから泣く泣く今はそうなっているということなのか、あるいはもう外部委託で病理医以外の診断ということで構わないということなのか、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 私も実はこの問題については前々から、特にがん拠点病院なんかで足りないという話を聞いたときに、今お話があったように、トレーニングをきちっと受けた病理医ではない方が病理診断をする、ですから、これは医師法上は点数はとれるということであるわけでありますけれども、これは実は他の診療科にも通じてあることで、病理医の場合には、かなり基本的な診断をする際に必要な医療の判断であるがゆえに、高度な医療あるいは難しい病気の場合の判断にはやはり不可欠なことだろうと思う一方で、我が国の今の医師の育成、教育の中では割り振りを科目によってするということもしておりませんので、希望者が少ないという話をよく病理医について聞きます。

 でも、これは同じように、例えば脳外科とか小児科、産婦人科、そういったところが足りないということが、今学生の中で希望する人が足りないがゆえになかなかニーズに足りない状態が続いていて問題が起きているということもあって、ややそれと通じる問題もあって、どうするのかということについては、医療の質ということを考えてみると、正面から考えなきゃいけないことだと思っています。

 何科を標榜するかというのは自由に今はできるわけですね。ですけれども、この間私どもでお願いをして、勉強会でまとめていただいた「保健医療二〇三五」の中でも、この自由標榜ということについても、今後やはり地域のニーズや医療ニーズから見て何らかのことを考えなきゃいけないんじゃないかというふうな御提案をいただいております。

 それと同様のことが、この病理医については、厚みのある、しっかりしたベースのある医療を守っていくためには必要になっていくのではないかということを、私も医者ではありませんが感じるとともに、今申し上げたように、医療政策としてもどうするかということを考えるべきかなというふうに思っております。

井坂委員 時間がありますので、今は答弁をいただくのみにとどめて、また次回以降させていただきたいというふうに思います。

 続きまして、本日二点目は、歯科技工士さんの問題であります。

 歯科技工士の方は、先日、歯科技工士の方々から直接お話を伺う機会がありましたが、五年以内の離職率が八割とも言われている、こういう大変離職率の高い仕事というふうに今なってしまっているようであります。

 一問質問を飛ばしますが、実際、厚労省の調査でも、仕事の時間が非常に長い、平均で週六十二・二時間働いておられるんだ、にもかかわらず、収入は、一番多い価格帯が年収三百万円台である、こういうことであります。これですと、なかなか大変な仕事だな、割に合わないな、幾ら志、思いがあってもそういうふうになってしまうことにつながっているのではないかなというふうに思います。

 大臣にお伺いをしたいと思います。

 私は離職率の高い原因になっていると思いますが、この歯科技工士の長時間労働あるいは年収の伸び悩みについてどう捉え、まず改善が必要だと考えておられるのかどうか、またその方策などがあればお伺いをしたいと思います。

塩崎国務大臣 今先生がお触れをいただきましたことを含めて、厚生労働省では、日本歯科技工士会が三年ごとに実施しております歯科技工士実態調査というものを見ているわけでありますけれども、技工士の皆さん方の現状を見ると、今お話がありましたように、労働時間については、平成二十四年で一週間当たりの平均六十二・二時間、前回調査と比べて約九時間も長くなっているということで、歯科技工士の働く環境というのはなかなか厳しくなっているということを我々も承知をしているわけであります。

 御指摘の長時間労働などの背景には、さまざまな原因があると考えられますけれども、例えば、小規模な、私の地元でも、見ていると、一人で御自宅でやっていらっしゃる方もたくさんおられます。歯科技工所、小規模なものですね、それから、一人の歯科技工士がさまざまな事務的な業務を行っていて、こうした業務形態のあり方などが長時間労働につながってしまっていて、それが必ずしも給与に反映されないがゆえに離職をしたいというこのアンケート調査を見ても、一番はやはり給与というところにあらわれてきておりますので、こういった点をどう解決するのかということについて考えていかなきゃいけないなというふうに思うところでございます。

井坂委員 考えていかなければいけないなという御答弁でありますが、これは別に、ここ最近急にこうなったわけではなくて、随分昔から、歯科技工士さんは非常に長時間働かなければ、そして、働いたにもかかわらず、なかなかお給料が得られない、三百万円台だ、こういう状況が続いてきているというふうに思うんですね。

 週六十二・二時間といいますと、これは、残業ベースで直せば、月百時間残業に当たるペースだというふうに思います。平均でこれということは、歯科技工士さんの約半数は百時間を超える残業をしている、そういうぐらい猛烈な時間数を働いているということではないかというふうに思うわけであります。

 せっかく厚生省と労働省がくっついて、医療の側面からもそれから労働の側面からも、この問題は両面から対処できるはずでありますから、長時間労働、また、構造的な問題だと思いますけれども、これだけたくさん働いてもなお年収が最頻値で三百万円台にとどまってしまう。このあたりは構造的な何か手だてが必要だというふうに思うわけでありますが、この間何も改善策を打ってこなかったのか、また、今後改善策をどのような方向性で考えておられるのか、お伺いをしたいというふうに思います。

塩崎国務大臣 歯科医療における歯科技工士の役割が大事であり、なおかつ問題を抱えているということは、私どもも前々からもちろん認識をしているところであって、良質な歯科医療をするためには、良質な歯科技工物を提供する歯科技工士の皆さん方がいていただかなきゃいけないということであるわけでありますが、もちろん、歯科医師との連携がしっかりととれていないといけないということもあるわけであります。

 勤務環境について今御指摘でございますけれども、これまで、昨年の通常国会で医療法などの改正を行う一環として、歯科技工士法の改正も行いました。これは、御案内のように、各都道府県で行っていた歯科技工士の国家試験を全国統一化いたしまして、質の向上を図るということ、この質を向上させることがやはり、最終的には報酬にもつながってくる話であろうかというふうに思います。

 それから、国家公務員の中にも歯科技工士がおられて、その初任給基準表というものの改正を人事院に働きかけて、今年度から改正が行われるなどの政府としての対応も行ってきて、歯科技工士の全体の評価の引き上げにつながるような国家公務員の中での位置づけというものも行ってきたところでございます。

 さらに、今年度から、厚生労働科学研究において、歯科技工業の実態について情報収集を行った上で、その方向性について検証を行うということになっておりまして、あわせて関係団体や現場の御意見もこの際伺っていかなきゃいけないなというふうに思います。

 報酬という意味においては、やはり診療報酬が大事で、歯科医療の中での、言ってみれば口腔機能の維持とか向上の取り組み、それから歯の喪失リスクの増大とか、こういうようなものに深く歯科技工士のお仕事がかかわってくるわけで、義歯などの製作に係る診療報酬の点数についても、これまで引き上げを行ってきております。

 この改定については、もちろん、二十八年度、この年末にかけてございますので、必要な要素に十分な配慮をしながら、今申し上げたような、歯科医療の質を向上するためにどうしていくのかという中での、言ってみれば、歯科技工士がかかわる仕事の評価を上げるための診療報酬にも配慮をしていかなければならないというふうに思います。

井坂委員 過去の議事録もずっと見てきたんですが、歯科技工士のこの問題を過去何回か各党の議員がお尋ねをすると、必ず質の問題に最後は答弁がすりかえられてしまってきています。何か歯科技工士の仕事の質が低いから給料が三百万円台なのか。私は、どうも問題の立て方が違うのではないかなと。

 これだけ、月百時間残業が平均で、資格物のこういう仕事でですよ、それなのに年収三百万円台が中心だと。これはちょっと構造的に異常ではないかなというふうに、これは質の問題とはまた違う、正面から別のアプローチが必要ではないかなと思いますから、これは申し上げておきたいというふうに思います。

 最後に、学童保育料における母子家庭、父子家庭の減免についてお伺いをしたいと思います。

 昨年、母子寡婦福祉法が改正をされました。その中で、放課後児童健全育成事業その他でも母子家庭の福祉が増進されるような特別の配慮が求められるようになりました。

 学童保育、私も子供がずっと学童保育でお世話になってまいりましたが、この学童保育においても、もちろん収入要件は必要だと思います、年収要件は必要だと思いますが、母子家庭、父子家庭について学童保育料の減免を国としても行うべきではないかと考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

塩崎国務大臣 放課後児童クラブにつきましては、安倍内閣としても、これを平成三十一年度末までに、五年間で約三十万人分の受け皿を新たにつくっていこうということで、力を入れていこうということに私ども取り組んでいるわけであります。

 今御指摘のあった利用料の問題でありますが、母子家庭、父子家庭、それぞれ放課後に子供たちの安全な、安心できる遊び場や学びの場というものが必要であることは当然であります。

 今、運営費の二分の一相当を保護者から徴収するというのが基本でございます。市町村が自由に設定をする仕組みとなっているわけでありまして、経済的に厳しい環境の家庭については、保護者の所得の状況に鑑みて減免措置を講ずるということも市町村の判断で行えるということに今なっているわけでございます。

 全国に約二万二千カ所あると聞いておりますが、実際に、放課後児童クラブの事業内容等については、地域の実情に応じてさまざまな創意工夫を図っていただいており、また、裏返して見ると、地域でそれぞれいろいろな問題を抱えているということでもあって、私も地元で、ミニ集会などでPTAのお母さん方からも随分いろいろと御要望をいただきますが、利用料の設定についても、運営実態に応じて自治体が柔軟な対応が適切に行われるようにしていかなければならないと思いますけれども、そういう実態については、私たちとしてもしっかりと目配りをしていかなきゃならないというふうに思っております。

井坂委員 ちょっと最後の方がよくわかりませんでしたが、市町村はいろいろやっているんです。昨年、国の法律が、この部分が変わったものですから、それをしっかり受けとめて、そろそろ母子家庭、父子家庭の学童保育料減免が国の制度として必要ではないですかということを、国の法律との関係でお尋ねしておりますから、お伺いをいたします。

塩崎国務大臣 国で一律の仕組みをつくるかどうかということについては、さまざまな御意見があるのではないかなと。

 今の仕組みは、先ほど申し上げたように、実施主体である市町村が判断をして、所得に応じた配慮をするということになっているわけでありまして、また、今お話がありましたように、地方でそれぞれいろいろな工夫をしていて、事業もさまざまなことをやっていらっしゃいますので、そういったときの人件費などの見方というのをどうするのかということをそれぞれやっていただかなきゃいけないので、どこまで国がメニューを固定的に決めてしまうかということについては、御議論を賜っていくことではないのかなというふうに思います。

井坂委員 時間が参りましたので、終わります。また引き続き、一般質問で議論をさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 ちょっと風邪ぎみで、ごめんなさい、聞きづらいかもしれませんが、一般質疑ということで質問させていただきたいと思います。

 きのう、骨太方針も決まり、さまざまな大事な議論が政府において進められています。財政の問題、社会保障全般の問題もいろいろありますが、きょうは、医療等分野の番号を中心に、ちょっと年金情報の話もありますので、この番号制度全般について質問させていただきたいと思います。

 その内容に入る前に一言申し上げておきたいんですが、先般来、私、この委員会で、最高裁まで争う等々いろいろ申し上げて、大変皆様にお騒がせいたしましたことをおわび申し上げたいと思います。

 ちょっとプライベートなことも半分ありますが、政治家としてのあれですので一言だけ申し上げておきますと、六月二十六日に一応和解をさせていただいています。したがって、元秘書の方とはそういうことで終わっていますが、ただ、この委員会をおかりしてさまざま申し上げたところがありますので、一言、委員の皆様にも、また国民の皆様にも、お騒がせをしたことをおわび申し上げておきたいと思います。

 ただ、私があの場で申し上げたのは、事務所のことはさておき、やはり労働法制全般についての問題意識を申し上げたかったというところもございまして、それについては切り離して、この国会でももしまた労働法制が出てくるようなことがありましたら、私は期待をしておりますが、しっかり議論をさせていただきたいと思います。

 今質問に立っておりました井坂委員が、先般、予算委員会で、労働基準法が出てきたときには、これは問題が多いので徹底的にやるというようなことを、ごめんなさい、言葉は忘れましたが、申し上げましたが、私は、労働基準法の、審議会等で議論されてきた内容については賛成である、こう申し上げておきたいと思います。

 ただ、申し上げたいことは、派遣法のときもそうでしたが、我が党は、党内で議論して党の立場を決めるまでは、俺は賛成だ、俺は反対だ、いろいろなことを言います。予算委員会で総理の前で言うのがいいかどうかわかりませんが、しっかり徹底的に議論して態度を決めていく。そして、決まったら、全員で一致団結して行動するという党であることを申し上げておきたいと思います。

 例えば、そういう観点で、最近の我が党の関係でいうと、この委員会とは関係ありませんが、安保法制というのがありまして、我が党の某議員が、何か、採決に応じること自体に反対だ、こういうことを共産党の志位さんと一緒に申し上げた。浦野理事、済みません、しようもないことを言っていまして。しかし、申し上げたいことは、あれはもう党として方針を決めた、きょうも安全保障調査会で決めるわけですが、党として決めている、あるいは決めようとしている問題について違う行動をとることは、まさに今私が申し上げたような意味で、それは間違っているわけであります。

 そのあおりを私もたくさん今受けていまして、先ほども、昼におりていきました、雨が降っていまして、横にいた高橋千鶴子委員に御一緒にどうですかと傘を差し上げたら、維新の議員と一緒に傘に入ると除名になるかもしれないということで、そういうことで、場合によってはこれは議事録からはちょっと削除していただきますが、いずれにせよ、大事なことは、しっかりと審議の中で賛否を含めて議論をし、そして決めていくということであることを、改めて我が党のモットーとして申し上げておきたいと思います。

 それから、先ほどの労働基準法の話だけもう一言申し上げると、大臣にも何度か大変失礼な質問をさせていただきましたが、やはり国会議員もいろいろきっちりせないかぬなということを私も思っています。

 私のケースは、余りケースを言っちゃいかぬのかな、一言だけ申し上げると、結局、いわゆるスタッフを秘書として扱ったときに、事務的にある意味で形式的な契約書が更新されてあったりすると、私が仮に知らなくても、判こが押してあるので、それが大変大きな意味を持つわけでありまして、しっかりこれからの政治家の事務所も、必要があれば三六協定を結ぶし、また、必要があれば夜の十時以降朝五時までは割り増し賃金を払う。当然のことでありますが、大事なことですので申し上げておきたいと思いますし、私の事務所は、私は大阪の北部でありますので、夜十時以降できるだけスタッフに仕事がふえないように、今、新大阪に駐車場を借りまして、最終で帰ったときは自分で運転して帰るというようなことも実践しておりますことを一言申し上げておきたい。

 済みません、ちょっと長くなりました。

 本題の年金記録の問題でありますが、年金記録の問題も、しっかり議論すべきことは議論せないかぬけれども、余り大きな声で、何といいますか、やはり山井委員の声は大き過ぎるということが言われております。実際、私もきょう委員会で審議に参加をさせていただいていまして、民主党政権のときにもし厚生労働省の中で山井さんが政務官だったら事務方は大変だっただろうな、こう思うわけでありまして、やはりしっかり中身を一歩、二歩、一歩でも前進させる討議を心がけていきたいと感じたところであります。

 さて、山井委員も取り上げられておりました年金情報流出、これはまだまだこの委員会でも議論を続けていく必要がある、確認を続けていく必要があるというふうに思っておりますが、しばらく間があいていることもあり、細かいことはまた紙でいただいていることもあり、国民の皆様に対してもあるので、まず、年金情報流出問題の最新の状況、これを、簡単で結構です、御紹介ください。

樽見政府参考人 まさに、今回の事態、不正アクセスということで、また警察の捜査も進められているということではございますけれども、国民の年金を守るべき立場にある日本年金機構でこうした事態が起きたということで、国民の年金に対する信頼にかかわるものでございますので、改めて、監督官庁、私どもとしてもおわび申し上げる次第でございます。

 数字ということだろうと思いますので、六月二十二日に、該当するお客様におわび状をお送りするということで、その時点で、個人情報が流出した件数百二十五万件について、約百一万人であるということを公表したところでございます。二情報、三情報、四情報と分かれておりますが、三情報の方が人数的には多いわけでございますが、そういうことでございます。

 厚生労働省としては、二次被害を最小のものにするべく、こうした深刻な事態を二度と起こすことがないように、年金機構の業務全般に対する監督指導体制の一層の強化を図っていく。それから、広報をしっかりやりまして、二次被害を防ぐということに向けて努力をしているというところでございます。

足立委員 これはしっかり、各委員がおっしゃっているように、何としてもこの年金機構の問題は、もう私は理事長はお呼びしていませんが、厚生労働省としてしっかり責任を持って対処して、やり遂げていただく必要がある。これは対総理の質問でも申し上げたとおりであります。

 加えて、一番私が気になっているのは、マイナンバーへの影響であります。これについても、甘利大臣を含めてさまざまな発言がありました。

 きょうは内閣官房は呼んでおりませんが、年金等の分野、厚生労働省が所管している分野についてで結構ですが、マイナンバー制度の施行に向けた何か影響が今あるのかないのか。これは、十月に番号が通知をされ、来年一月からは運用が開始されるわけでありまして、私はそういう理解でおりますが、これはどうなるのか、御紹介ください。大臣、お願いします。

塩崎国務大臣 マイナンバーについては、これはもう基本線は変わらないということで、国民の皆様の生活にとって重要な制度だという認識は変わらず、そして引き続いて、関係省庁と連携をして、個人情報の保護に万全を尽くして、マイナンバーに対する御理解を深めて前に進めようというのが基本線であります。

 現時点において、ことし十月の番号の通知、そして平成二十八年一月からの番号の利用開始というマイナンバーの全体スケジュールについては影響がないというふうに承知をしておりまして、一方で、厚労省にとっては、年金分野でのマイナンバーの利用開始時期については、本件の原因究明と再発防止策の状況を確認した上で最終的に判断をする必要があるというふうに考えておるところでございます。

足立委員 先ほど山井委員との間で、任期中というか、今の任期の間でどうだというような議論もありましたが、これは、十月に番号が通知される、番号が通知されるときにまだ一月からの運用が、今の大臣の御答弁だと、要は、そのままやるのか、やらないのか、検証次第なのか、基本はやるということで検証結果によっては考えるということか、ちょっとよくわかりません。

 十月の番号通知までには、一月から一体何が動くんだということはやはり国民は知りたいというか、懸念について払拭していくべきだと私は思いますが、それはどうでしょうか。しかし、検証がいつになるかわからないのであれば、わからないかもしれません。大臣、その辺、やはりそこは検証がいつになるかわからないから十月の番号通知の際にどうなるかもわからない、こういうことですか。

塩崎国務大臣 先ほど来御答弁申し上げているように、かなり大きな事案で、対処をしなければいけないことがたくさんあることは間違いない案件でありますけれども、事年金でもありますし、また、国民生活に深くかかわる問題でもありますので、できるだけ早く、こういうふうに言っているわけであります。

 常識的に考えて、検証委員会も、そして、検証しているのは検証委員会だけではなくて、私ども自身、厚生労働省もやっていますし、それから年金機構もやっていますし、恐らく政府もいろいろな形でセキュリティーの問題については考えることがあるんだろうと思うので、こういうことをやはり総括した上で、どうするかということを年金については特に考える、こういうことだと思いますので、御理解を賜れればと思います。

足立委員 こういう問題が出ると必ず国会でも、与野党の中で、あるいは政府と野党との間で、特に民主党との間で、マイナンバー制度自体を、やるんだ、いやいや、やめろ、こういう議論になりますが、我々維新の党は、あるいは私はいつも思うのは、もう十月の番号通知、そして一月の運用が決まっているわけでありますから、このマイナンバーの問題は余り先延ばしをしていられるほど日本の社会は私は余裕がないと思っていまして、マイナンバー制度については予定どおり施行すべきだし、逆に政府は、体を張ってでも、このマイナンバー制度が予定どおり、国民の皆様に安心をしていただける形で施行できるように、何としても解決をして不安を払拭していただく必要があると思います。

 マイナンバー制度については何度もここでやりましたが、制度自体あるいはシステム自体は大変高度なものであり、また世界の中でも最先端だと承知をしていますので、私は、マイナンバー自体はしっかりとやっていく。

 ただ、一方で、では年金機構の問題が十月までに解決するかというと、しないと思います。私は、マイナンバーとは切り離して、年金機構のあり方についてはとにかく徹底的に、私は安倍総理に、安倍総理の御在職中と申し上げましたが、とにかくそれはやり遂げていただきたいと思います。

 最後に、この年金情報流出問題について、例えば地方自治体とかほかの社会保険とか、いろいろ質問を申し上げたことについて、検討するとか通知をするとか、いろいろ御答弁をいただいています。

 これも時間の関係で簡潔で結構ですので、一体、きょうの時点というか、これまでのところで、この年金情報流出に絡んで何が決まり、まだ何を検討しているのか、この辺、項目で結構ですので、ざっと総括をしていただければと思います。

樽見政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、現在、今回の事案に関しましては、まず年金受給者の方々のことを第一に考えて、万が一にも大切な年金の支払いに影響が出ないように、実態把握それから二次被害の防止を徹底的に行うということで、対応に万全を期しているところでございます。

 具体的にやっていることを申し上げますと、まず、日本年金機構におきまして、六月中におわび状、情報流出の対象となった方に対し、個別におわびの文書というものを送付したところでございます。今後、基礎年金番号の変更を行うということにしてございます。

 それから、電話相談窓口を設けまして、不安をお持ちの方々からのお問い合わせに丁寧に対応するということで、不安を払拭するということに努力しているところでございます。

 それから、この間、住所等の変更手続を行った方がいらっしゃいますので、万が一にも成り済ましのようなことがあってはならないということで、窓口での本人確認を徹底するとともに、念のため、御本人確認のための戸別訪問ということも行っておりまして、詐欺あるいは成り済まし被害に遭わないようにするということで、二次被害の防止に全力を挙げているところでございます。

 それから、年金機構をかたった詐欺のおそれなどもございますので、政府広報を初めとしまして、政府を挙げて、関係各所、大変御協力をいただきまして、国民の皆様への周知、広報に取り組んでいるところでございます。特に、日本年金機構から直接電話やメールで連絡をすることはないということを国民の皆様にもお伝えしているというところでございます。

足立委員 引き続きこれは委員会でもまた取り上げてまいりたいと思います。

 年金情報の話は一旦ここまでといたしまして、関連で、きのう決定をされました骨太等において、まだ全体を精読はできておりませんが、特に医療等IDについては、医療等分野の番号云々ということで記述がございます。

 これは、きのう決まった内容の関連部分について、どういう状況か。私は、医療番号については、いろいろ反対する団体もありましたから、何がきのう決まったのか、御紹介をいただきたいと思います。

安藤(英)政府参考人 お答え申し上げます。

 医療連携や医学研究など医療等分野で用います個人番号につきましては、インフラの二重投資にならないようマイナンバー制度のインフラを活用しつつ、医療情報の機微性に配慮し、セキュリティーを確保して、安全性と効率性、利便性の両面が確保された仕組みとなるよう検討を進めていくこととしてございます。

 具体的な制度設計につきましては、昨日閣議決定されました日本再興戦略におきまして、本年末までに一定の結論を得て、二〇一八年度から段階的に運用を開始し、二〇二〇年までに本格運用を目指すということになってございます。

 引き続き、医療関係者や保険者等と十分に協議しつつ、検討を進めていきたいと考えてございます。

足立委員 例えば、報道も含めて出ていますが、健康保険証の機能をマイナンバーカードに持たせるという議論があります。これは決まったということでしょうか。御紹介ください。

唐澤政府参考人 御指摘のマイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせることにつきましては、医療保険事務の効率的な遂行、それから今後の医療分野の情報連携や研究等に役立ってくるというふうに考えられるところでございます。

 医療関係者の皆様とはこれまでさまざまな場で意見交換を重ねてきており、こうした今後の医療分野のICT化の大きな方向性については、おおむね共有できているというふうに考えております。

 昨日閣議決定されました日本再興戦略二〇一五におきましても、二〇一七年七月以降早期に医療保険のオンライン資格確認システムを整備し、個人番号カードを健康保険証として利用することを可能とするというふうに記述されているところでございますので、今後、具体的な制度、システムの詳細につきまして、省内の検討会を通じまして、医療関係者などとさらに意見交換を行いながら詰めていきたいというふうに考えております。

足立委員 今御答弁いただきましたように、関係団体というか、日医を初めとして、大変丁寧に調整を進めていただいていることは承知をしていますし、それを乗り越えてというか、ちゃんと御理解をいただきながら、きのうの閣議決定を含めて、こうして進捗していることについては心から敬意を表したいと思いますし、ぜひこれは、私は、スピード感、それぐらいが精いっぱいかなとは思いますが、できるだけ精力的にこの分野は進めていく必要がある、こう思っております。

 特に、この番号を有効活用していくに当たっては、レセプトの電子化とかあるいはカルテの電子化ということがあわせて進めば、まさにそういうビッグデータを活用して、それを医療の効率化とかあるいは医療の質の向上に生かしていくことが言うまでもなくできるわけでありまして、ただ、私が承知している限りでは、例えばカルテの電子化なんかを見ると、なかなか思いどおりにいっていないのかな、こう思います。

 この辺、現状と、それから、これからそれは入っていくのか入っていかないのか、その辺の見通しについて御紹介ください。

二川政府参考人 まず、電子カルテの普及状況でございますけれども、普及状況につきましては、三年に一遍の医療施設調査でございますけれども、これが、平成二十三年のものが最新でございます。

 これによりますと、一般病院におきましては二一・九%、診療所で二一・二%というふうになってございます。まだそんなに高くないわけでございますけれども、徐々にふえてきている、こんな状況にございます。

 この電子カルテの普及に関しましては、昨日閣議決定されました「日本再興戦略」改訂二〇一五におきましてもこの点が盛り込まれておりまして、地域医療ネットワークの普及促進を図るといったことで地域の医療情報を連携していくといったことが書かれております。

 その関連で、二〇二〇年までに地域医療において中核的な役割を担うことが特に期待される四百床以上の一般病院の普及率を九〇%以上に引き上げ、中小病院や診療所における電子カルテ導入を促進するための環境整備を図る、こういうふうにされておるところでございます。

 私どもとしては、この方針に沿って進めてまいるということでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 そういうことが書かれているわけでありますが、私個人的には、野党ですから荒っぽいことも多少申し上げることがあるわけですが、この電子化、情報化の分野については、今おっしゃった数字、環境整備、すなわち中核的な四百床以上を九割まで持っていくということで、その他中小が電子化を進めていくその環境として、中核的なそういう主体がやっていく。だから、まだまだ入り口というか、本当に、情報化されて、地域ケアが効率的に、また質も高くやっていけるような状況では全然まだないわけであります。

 私は、例えば診療報酬に絡めて、今でも補助金とかが出ているのかもしれませんが、診療報酬自体の中で、結局、実際に保険医療をされる方については当然にそういう電子化が図られる、あるいは法律で義務づけてしまう、そういう強い措置がなければ到底今のままでは進捗が足りないんじゃないかな、こう思っているわけでありますが、これは可能であればぜひ大臣にお願いしたいんですが、そういうちょっと踏み込んだ措置について御検討をいただけないか、御答弁いただきたいと思います。

唐澤政府参考人 診療報酬の部分だけ、ちょっと事実関係をお話しさせていただきます。

 今、医政局長から先ほど御答弁いただきましたように、日本再興戦略におきまして、医療情報連携ネットワークを二〇一八年度までに全国に普及、そして、二〇二〇年度までに四百床以上の一般病院の電子カルテ普及率を九〇%、こういう二つの目標が掲げられておりまして、この目標実現のための方策の一つとして、基金などもございますけれども、「次期診療報酬改定時に、診療報酬におけるICTを活用した医療情報連携の評価の在り方を検討する。」というふうに記述されているところでございます。

 したがって、私どもも、診療報酬におけるICTの医療情報連携の推進につきましては、重要な課題だというふうに受けとめているところでございます。

 なお、従来、十八年度から二十二年度まで、レセプトオンラインの推進で電子化加算というものを設けたこともございますので、こういうものを踏まえながら、中医協で検討させていただきたいと考えております。

塩崎国務大臣 先ほどもちょっと触れました「保健医療二〇三五」、この間まとめたばかりの報告書を見てみても、まさにこれからは、ビッグデータを分析しながら予防、健康づくり、そして重症化予防などをやっていくということで、保険者が大事であったり、それから、日本の場合には既にナショナルデータベースというのが構築をされていて、ずっとレセプト情報を集積しているわけですね。こういうようなものもございますし、それから、外科の全国の手術を分析した上で、個人個人の医師のパフォーマンスや病院のパフォーマンスも全部データベース化されていて、これを各科に全部広げることも可能だということも、この「二〇三五」で提案をされています。

 そういうことになると、個人個人の診療の選択ということにも役立つし、それから、医療の分析そのものにも役立つということもあります。

 これも最近聞いた話ですけれども、アメリカの医学部の中では、教員の三割ぐらいがコンピューターサイエンスの先生だ、こういうことを聞きました。つまり、医療も、コンピューターによる分析なくして、よい治療や、よい医療を提供することはできなくなるということにもなりますので、義務化は難しいにせよ、先ほど答弁があったように、診療報酬などでインセンティブを提供しながらそちらに引っ張っていくということは十分あり得るわけでありますし、最終的にはコスト的にもパフォーマンスがどうなのかということも、ともに考えていくことも大事だろうというふうに思います。

 国民皆保険という我が国のよき制度を守りながら、何が、データ分析を通じて、よい医療、国民の健康づくりのために役立つか、そしてコストにも寄与するかということを考えていくべきかな、こう思います。

足立委員 ありがとうございます。

 まさに今、塩崎大臣おっしゃったように、日本は皆保険制度であります。

 我々、混合診療について発言したりすることも多くありますが、日本の皆保険制度の意味、意義というものを決して軽視しているわけではなくて、むしろ、日本の皆保険制度というのは日本の本当に大変大きな財産だと思います。日本の社会がこれから少子高齢化が進展する中で、どうやって国民の皆様に質の高い医療サービス、介護サービスを提供していくかというときには、本当に皆保険制度ということが実は大変大きな基礎になる、基盤になる、こう思っていますので、ぜひ大臣のリーダーシップで推進をしていただきますようお願いをいたしたいと思います。

 もう時間が来ましたので終わりますが、冒頭、私、労働法制について申し上げました。自分のことはそういうことで収束したわけですが、一方で、今回の騒ぎで新聞にもいろいろ書いていただきました。その中でたくさんのメールをいただきました。お叱りのメールももちろんございますし、反省するところもあるわけでありますが、一方で、やはり労働時間規制については、ぜひこれは何とかせなあかん、やってくれという激励のメールもたくさんいただいています。

 特に、高度プロフェッショナル、政府が検討されてきているいわゆるホワイトカラーエグゼンプションの話、それからさらには裁量労働制の使いにくさ、ここが本当に今これから政府が出してこられる政府案でしっかりと対処できているのか、しっかりと野党として追及、確認をさせていただくことをお誓い申し上げて、この労働法制については懲りずに取り組んでいくことを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、堀内照文君。

堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。

 私は、六月三日のこの委員会で、年金機構和歌山事務センターでの、委託を受けた会社が再委託をしていたという事例を取り上げました。その後、新たに書類が届きまして、「採用通知および提出書類のご案内」という、労働者向けに、もともと業務を請け負った共栄データセンターの名前で発せられたもので、センターの担当者の名前も明記されております。

 これは、ずっと文面を読んでいきますと、最後に、「尚、雇用契約書につきましては、雇用会社である株式会社KDCキャリアコンサルティングと雇用を取り交わしさせていただきたく存じます。」ということで、頭は共栄データセンターで、最後の問い合わせ先がKDCというもので、そのKDCの代表取締役が、冒頭の共栄データセンターの担当者の名前がそのまま代表取締役ということになっておりまして、本当にひどい事態だなと思いました。

 それで、労働者は労働組合をつくり、共栄データセンター及びKDCを相手に、未払い賃金の支払い等を要求して今闘っているところです。

 この外部委託のあり方について引き続ききょうはお聞きしたいんですが、前回質疑の中で、大臣から、機構職員に占める正規職員の割合は半分弱だと答弁がございました。しかし、ここには外部委託で働く労働者は含まれておりません。

 現在、年金機構が委託している業者は何社であり、そこで働く労働者はおよそ何人か、教えていただきたいと思います。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 日本年金機構がその業務の一部を委託している業者の数ということでございますが、契約金額が一億円以上ということで集計いたしますと、平成二十六年度の実績として九十九社であるというふうに承知をしてございます。

 委託先の事業者において、日本年金機構に関する業務に従事する労働者数ということだろうと思いますが、それについては把握をしていないというふうに聞いております。

堀内(照)委員 外部委託だといっても、確かに文書発送作業の文書の印刷だけですとか、そういう場合もあるでしょうが、事務センターでの入力業務や書類作成、電話相談の対応など、基幹的な業務に従事する方も多くおられるわけです。いずれにしても膨大な数に上ると思われます。

 正規職員が半分弱どころか、年金業務に携わる労働者数ということで考えますと、本当に正規職員がむしろ少数派になっているような実態じゃないかと思います。およそどれぐらいの人が年金機構の業務に携わり、個人情報を扱っているのかが把握できないという状況がいいはずはない。ここは指摘をしておきたいと思います。

 また、さきの委員会で、私が全国の事務センターでの外部委託の実態について調査すべきじゃないかと質問したことに、大臣も調べるべきだというふうにおっしゃったわけですが、結果はどうだったんでしょうか。

水島参考人 現在、日本年金機構の事務センターにおけます入力業務及び共同処理委託業者は、十社でございます。これらの十社に再委託契約があるかどうかということを調査いたしましたが、再委託の契約はございませんでした。

 また、派遣職員の活用について確認をいたしましたところ、五社が活用しているという状況にございました。

堀内(照)委員 私、きのうペーパーもいただいたんですが、十社中五社で派遣を雇っているという中に、括弧で繁忙期も含むという書き方がされていまして、つまり、繁忙期以外にも常時派遣を使用しているところもあるということなんですね。

 それで、まさかとは思うんですけれども、丸ごと派遣労働者を使っているというような例はないでしょうね。

水島参考人 共栄データセンターについてはそのような例でございました。他社、ほかではございません。

堀内(照)委員 この再委託問題では、既に二〇〇七年、再委託はあってはならないという大臣答弁が、この委員会で高橋議員に対する柳沢大臣の答弁がございました。それから、ことしの六月十八日の予算委員会でも高橋議員がこのことについて言及されています。にもかかわらず、今回、再委託という事態が起きたわけです。

 前回、私が理事長に、事前にはつかめなかったのかとお尋ねしましたら、それはつかめなかったんだという答弁でした。

 それでいいんだろうかと思うわけでありまして、これは前回も取り上げたんですが、日本年金機構の内部統制システム構築の取組方針には、「適切な外部委託管理」という項目があり、本部には外部委託管理責任者を置き、外部委託ごとに、その所管部署に外部委託業務責任者を置いて、実際の管理、監視を行うということになっているわけです。

 今回の和歌山事務センターの事例では、管理責任者は本部にいる、業務責任者は部署ごとだということですが、その業務責任者というのは、どのように配置をされ、どのような管理を行っていたんでしょうか。

水島参考人 日本年金機構におきましては、内部統制システム構築の取組方針におきまして、適切な外部委託の管理のために、委託業務を所管する部署に委託業務責任者を設置いたしまして、業務委託の各過程における管理及び監視を行うことといたしております。

 事務センターにおきます入力業務、共同処理業務に関しまして、外部委託業務責任者は、本部の品質管理部長になっております。

 当該委託契約におきます外部委託の実績の管理、個人情報の管理状況及びサービス水準の保証値、いわゆるSLAでございますが、その確認を行う等、適切な外部委託管理に努めることと規定をされております。

 御指摘の事案を踏まえまして、今回、和歌山、福島、大分の三事務センターにおきまして、業務委託契約を締結した会社が年度途中で契約を解除するという事態に至りました。

 このような事態を踏まえまして、次期の委託契約からでございますが、まず、受託事業者の作業員につきましては、原則、受託事業者が直接雇用しなければならないことといたします。次に、受託事業者が繁忙期における業務履行体制を充足するために派遣業者を使用する際は、労働者派遣事業許可証の写しを添付させ、機構の了承を得ることを外部委託の仕様書に規定をいたします。また、受託事業者に作業員の名簿の提出を義務づけますとともに、派遣職員についても守秘義務契約を結ばせることといたしまして、これらの対策を実施することといたしております。

堀内(照)委員 事務センターの事務は、本部の品質管理部が発注したことですので、業務責任者も本部にいたと。

 現場にはそういう管理する担当者はいなかったということですか。

水島参考人 現場には監督職員及び監督職員補助を置いておりまして、この職員が監督を行うこととなっております。

堀内(照)委員 そういう方が現地におりながら、見抜くことができなかった。

 この外部委託は請負業務であります。請負ですから労働者を直接指揮命令するわけにはいきません。ですから、管理のあり方も、機構側の責任者、和歌山の場合は、業務責任者ではありませんが、それに類する担当者がいたわけですが、その人が請負の側の責任者を通じて管理をせざるを得ないんだと思います。

 大臣にお伺いしたいんですが、そもそも、機構職員が労働者に直接指揮命令ができない業務のあり方というのが、本当に適切な管理運営ができるのか、個人情報を扱う業務として成り立つんだろうかと思うわけであります。少なくとも、基幹的な業務については外部委託するには無理があると思うわけですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 日本年金機構は、平成二十年の七月に閣議決定されております日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画に基づいて、業務の効率化を図り、そしてコストの削減の見地からも業務の外部委託というのを進めていると承知しているわけでございます。

 機構の業務の委託については、日本年金機構法の第三十一条第二項において、委託を受けた業務に従事をする者や過去に従事していた者に対して守秘義務が課せられていて、それに違反した場合は罰則が科されるということになっておりますので、問題はないのではないかと思います。

 さらに、機構が実際に業務を委託するに当たっては、法令等に則して、その事業所が個人情報の適正な管理ができる事業所として認められているかを把握した上で委託先の認定をしているものというふうに承知をしておりまして、一般財団法人の日本情報経済社会推進協会からプライバシーマークというのを付与されるということが条件で、委託先を選定しているというふうに聞いております。

堀内(照)委員 和歌山の例をお聞きすればするほど、本当に適正な管理ができていたのかなと私は思うわけですね。

 先ほど言いましたように、これは直接指揮命令するわけにいかないので、請負の側の会社のいわゆる責任者を通じてということになるわけですが、和歌山では請負先の責任者というのはどういう役職、立場の人だったんでしょうか。

水島参考人 共栄データセンターの管理職であるというふうに認識しております。

堀内(照)委員 私が労働者の方から聞いたのと全く違うんですね。共栄データの社員は現地にはいません。KDCの社員がいた。

 私が伺った話では、大体そういう役職者はKDCの社員の中にはいない、みんな一社員ばかりです。一番勤務経験の長い人が、その人がつかまえられて、業務が滞るともっと早くせいと叱責をされ続けたんだということで、別に役職者でも何でもない一労働者をつかまえてやるということでありまして、これは請負の労働者を直接指揮命令する違法行為にならないんでしょうか。

水島参考人 私どもの監督者と請負先の責任者との間で指示命令が行われるわけでございますが、私どもの監督者は、KDC、共栄データセンターの職員だと認識をして指示命令を行っていたというふうな報告を受けております。

堀内(照)委員 どんな役職がついていたんですか。役職はないはずですよ。確かにKDCの社員ですけれども、実際は。確かに表向きは共栄データセンターの名札をつけていた。しかし、何かしらの責任者という役がついていたんですか。

水島参考人 業務責任者としての役職があったというふうに認識をしております。

堀内(照)委員 私が労働者の方から聞いた話と全然実態が違っているんですね。今も、業務責任者と認識をしているということで、確たる役職名がついているわけではないわけですよね。これは本当に、こういうことが起こっているということでいいのかということだと思います。

 和歌山の労働者は、三月末で共栄データセンターがだめになって、四月からは直雇用されているという前回の答弁でしたけれども、その六カ月以内前まで年金機構への直雇用で非正規だったKDCの従業員二人については採用されませんでした。三月末で年金機構の非正規の直雇用だった、契約が満了になって四月からKDCのもとで働く予定だった三人も、年金機構での引き続き雇用はされませんでした。

 これは、つまり、年金機構は非正規職員を六カ月のクーリング期間を置いて繰り返し雇用しているからだと思うんですが、継続して雇用が必要なら、やはりきちんと正規として雇うべきじゃないでしょうか。

水島参考人 大変申しわけございません。

 御通告いただいておりませんので、正確なところを把握いたしておりません。また把握した上でお答えをしたいと思います。

堀内(照)委員 これは確かに通告していませんので、ぜひそういう実態があるかどうかというのもよく見ていただきたいんですが、外部委託の労働者たちも、もともとの契約の中で、委託先が、会社がかわっても、事業の継続の必要性から、雇用は新たな請負企業で保障されるというふうに説明をされてきているんですね。

 いずれにしても、非正規の職員も、外部委託の職員も、こういう年金機構の業務の性格上、継続して雇用が必要な業務なわけです。しかも、請負というやり方は、今少し御紹介しましたように、どうしてもやはり無理が私はあると思うんですね。個人情報を扱う重要な業務は正規でやはりきちんと雇うべきだと指摘をして、次のテーマに移りたいと思います。

 次は、歯科技工士問題、先ほど井坂さんも取り上げた問題ですが、私もお聞きしたいと思っています。

 全体の問題として、歯科医療の位置づけ、役割についてです。

 貧困が広がる中で、子供の口腔崩壊というような事態が進み、歯科医療の重要性に注目も集まっています。また、高齢者の健康維持には口腔ケアが非常に大きな効果を上げているということがさまざま報告をされています。

 大臣にお聞きしたいと思いますが、歯科医療の果たす役割はますます重要だと思いますが、その点の認識はいかがでしょうか。

塩崎国務大臣 子供の話もありましたけれども、最近出てくるのは高齢者の問題で、特に、口腔ケアが誤嚥性肺炎の発症予防になることがよく知られているわけであって、口腔と全身の健康の関係について広く指摘をされているところでございます。

 高齢化が進展をし、要介護者などに対する口腔ケアや在宅歯科医療のニーズも高まっておりまして、歯科保健医療の重要性というのは増しているというふうに認識をしております。

 議員立法で成立をいたしました歯科口腔保健の推進に関する法律、これに基づいて口腔保健推進事業というのを実施するとともに、地域医療介護総合確保基金において、都道府県が在宅歯科医療などを実施できるように、政府としても支援をしております。

 今後とも国民の口腔と全身の健康の維持増進に向けて取り組まなければならない大変大事な問題がこの口腔ケアだというふうに思っております。

堀内(照)委員 中医協の議論の中でも、誤嚥性肺炎の問題だけではなく、経口摂食することによって腸管の粘膜免疫機能が正常化して、感染、褥瘡も減り、入院日数の短縮にもつながる。

 兵庫県歯科医師会の調査では、七十歳以上の高齢者で歯が二十本以上あった人に対して、零本の人の年間医療費は、男性で約十四万、女性で約九万五千円高かった。これだけのやはり違いが出てくる。健康を維持し、結果として医療費の抑制にも大事な効果があるというふうに思うんですね。

 にもかかわらず、歯科医療の現場というのは大変困難な状況に置かれておりますし、とりわけ歯科技工士の実態というのは深刻です。これは井坂さんも紹介されました、低賃金、そして長時間労働と。

 私も、技工士の置かれている現状についてどう認識され、どこに原因があるのかということを大臣にお聞きしようと思って通告していましたが、これは先ほど答弁がございました。厳しいという実態は認識をされているということとともに、その原因が小規模や一人ラボと言われるような業務体系のあり方もあるのではないかということでありましたが、私は、これはやはり違うのではないかと。井坂さんも構造的な問題とおっしゃっておりました。

 日本歯科技工士連盟の機関紙でいろいろな声が紹介されています。保険技工を中心に四、五人、確かに一人ラボというのは八割を占めているわけですけれども、ここは四、五人の従業員の技工所ですが、ここでも、帰りはほとんど終電、どんなに先生、歯科医師ですね、先生に尽くしても、突然仕事が来なくなることもあります、ですから、リスクヘッジのために、ちょっとオーバーぎみに仕事を抱えなければなりません、このままだと日本人の歯科技工士はいなくなります、こう言っております。

 私が衝撃を受けましたのは、兵庫県では技工士の養成学校がなくなったんです。大阪の学校等に通っているんですが、ことしの兵庫県歯科技工士会の新規会員は一人か二人だということなんですね。

 今、年齢構成で見ても、技工士は五十歳以上が四三・二%でして、これは地域から技工士がいなくなるという本当にゆゆしき事態だと思っております。

 それで、技工士のいわゆる技工料をめぐっては、いろいろこれまでも議論があり、取り組みがあったというのは先ほども大臣の答弁にございましたが、私が一つお聞きしたいのは、一九八八年に、いわゆる七、三告示と言われる、技工料の問題をめぐって厚生省から告示が出ております。その趣旨、目的について御説明をいただきたいと思います。その目的が果たされているのか、そうでないなら、どこに課題があるのか、あわせてお聞きしたいと思います。

唐澤政府参考人 ただいま先生から御指摘いただきました七、三告示でございますけれども、これは、歯科診療報酬における歯冠修復及び欠損補綴料、この中に含まれる費用のうち、製作技工の部分と製作管理の費用というものがそれぞれおおむね七割とおおむね三割であるというものを示したものでございます。これは長い歴史の末にこういう形になっております。

 これは、歯科医療機関から歯科技工所に対する製作技工の委託を円滑に実施する、いろいろなトラブルもございましたので、円滑に実施をするということを目的として、標準的な割合を国として示したものでございます。

 もちろん、診療報酬そのものの額は保険医療機関が製作技工を委託する際の委託料の額を拘束するものではございませんので、大きな考え方はもちろん尊重していただかなければなりませんけれども、個々の契約における委託料につきましては、契約条件等の相違や地域差等を踏まえて実施をされているものと認識しているところでございます。

 このいわゆる七、三問題と、それからまた、これまでも御議論がございましたけれども、歯科診療報酬そのもののあり方ということも大きな課題であろうというふうに考えております。

堀内(照)委員 今ありましたように、当然、保険診療ですから診療報酬が出ているわけですが、実際、歯科医から技工所へ補綴物を外注すると、そこはもう民民の取引であって、公定価格は及ばないわけです。そのことからダンピング、低価格競争にもなっているわけですが、七、三告示があくまで目安だというように、逆に価格を縛ろうとすると、確かに独禁法なんかにひっかかってくる。

 しかし、私は、公的には縛れないものだからこそ、当時、厚生省として、今もありましたように、円滑に実施させていく標準的な割合というふうに言っていただきましたように、歯科技工の経営が成り立つようにするための目安として示されたんだと思います。現場からも、およそ七割が技工料として入ってくるならやっていけるという声もあるわけなんですね。

 ならば、どうやって七、三告示の趣旨が生きるようにするのか、これはまさに政治の責任だと私は思うわけであります。

 根本的には、歯科全体の診療報酬を引き上げるということがまず重要だと考えています。これは先ほども大臣少し答弁ございましたけれども、診療報酬を、思い切った手当てをして、歯科医師側から技工士に対して七対三の七を支払えるような環境をつくるということが今本当に求められていると思います。

 必要な歯科医療の保険収載をすることとあわせて、診療報酬での思い切った手当て、これはぜひ必要じゃないかと考えるわけですが、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど井坂議員のときにも御答弁申し上げたところでございますけれども、二十六年度の診療報酬改定のときには、歯科医療については、虫歯とかそれから歯周病などの治療に対する評価だけでなくて、口腔機能の維持あるいは向上の取り組み、そして歯の喪失リスク増加への対応等に取り組んだところであって、歯科技工士がかかわる義歯などの、入れ歯ですね、製作に関する診療報酬の点数も引き上げたということであります。

 今先生がお話しのように、七、三告示があるといえども、やはり全体としての歯科の診療報酬の厚みがないとなかなかうまくいかないじゃないかということでございますけれども、どういう工夫をして歯科技工士がかかわる治療に関して点数があり得るのかということも考えていかなきゃいけないのではないのかというふうに思います。

 診療報酬改定については、ちょうどことしがその年になりますので、物価、賃金の動向、あるいは医療機関の収支状況、対応が必要な医療課題、その中にはこの歯科技工士の問題も念頭に置くべきなのかもわかりませんが、保険料等の国民負担のあり方などを総合的に勘案して改定率を決めなければならないということで、予算編成の過程においてしっかりと議論をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

堀内(照)委員 我が党の田村智子参議院議員が二〇一一年の九月に質問主意書で、歯科の基礎的技術料について、長期に据え置かれたものについて問いただしたときに、五十八もの技術が二十五年間報酬が引き上がっていないということが答弁でありまして、これは歯科業界でも大きな反響を呼んで、前々回、二〇一二年の改定で基礎的技術料などが引き上げられ、前回、一四年の改定では、今大臣の答弁がございましたように、当然幾つか引き上げられているものもあるわけです。

 しかし、その一二年改定の際に、兵庫県保険医協会歯科部会長の談話でこう述べているんです。

 二〇一〇年改定以前の十年間で七・三%引き下げられた診療報酬を回復するに至らず、十六年間にわたり二兆五千億円台に抑制された歯科医療費の総枠拡大にはほど遠い改定率である、そのため、中医協の医療経済実態調査で損益差額が初めて百万円を切るまでとなった歯科医院経営の危機を改善するには到底及んでいないということであります。

 ぜひ、こういう実態、声に応えて努力をいただきたいということを指摘したいと思います。

 同時に、考えなければならないのは、若い技工士をどう育てるのかということであります。

 一つは、地域的な特徴も踏まえて、都道府県が事業を策定する地域医療介護総合確保基金で、若い技工士を育てるための奨学金制度なり、研修制度なり、必要だという声があるわけですが、そういうものが活用できるかどうか、これを確認したいんです。

二川政府参考人 昨年成立いたしました医療介護総合確保推進法に基づきまして、各都道府県に地域医療介護総合確保基金が設置されているわけでございます。

 対象の事業といたしましては、医療従事者の確保に関する事業、これがあるわけでございまして、ただいま御指摘の歯科技工士の人材確保、あるいは養成所に対する設備整備等も対象の事業というふうになってございまして、実際にこの基金を活用した取り組みも既に行われているところでございます。

堀内(照)委員 私も調べましたら、幾つかの都道府県で既に歯科技工士にかかわる事業を進めているところがありました。養成学校などを通じて新しい技術の養成などに取り組んでいるわけですが、しかし、兵庫県は、今言いましたように、そもそも養成学校がなくなってしまっている。そういった事業をやる足場という点でも非常に、なくなっているという面と、それからまた、この問題はやはり全国的にも共通した課題だというふうに思うわけです。

 この点も最後に大臣にぜひお伺いしたいと思います。

 国としても、今から本腰を入れて、つまり十年、二十年たてば本当に技工士がいなくなるという事態が危惧されると私は思いますので、若い技工士を育てていくこと、育成することとともに、働き続けられる環境、これを支える事業もぜひ検討すべきではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほども申し上げたわけでありますけれども、質の高い歯科技工士を確保していくということが、よりよい歯科医療を提供するために極めて大事でありますし、うまく合わない歯科技工物を改良していくときのつらさというのは、はた目で見ていると大変なことでもありますから、やはり質を上げていくということはとても大事なんだろうというふうに思います。

 去年、通常国会で医療法の改正を行ったときに、歯科技工士法も改正を行って、この試験の全国統一化というのをやっとできたわけでありまして、これが一つのきっかけとなって質の向上につながればなというふうに思うことが一点。

 それと、さっき申し上げたように、国としても、技工士の評価を上げる先鞭をつける意味で、人事院で初任給基準表の改正というのを今年度から行ったというようなこともございます。

 一方で、これもやはり質を上げるということで、先ほど井坂議員からはお叱りを頂戴いたしましたけれども、質が上がらないで評価を上げろと言ってもなかなか難しいので、やはり評価を高めるための質をどう上げていくかということで、厚生労働科学研究において、歯科技工業の実態についても情報収集を行っていくということもございます。

 いずれにしても、先ほどの診療報酬の中でも、この歯科技工士がかかわる行為についての評価を上げていくような質の改善というものを厚労省としてもバックアップができればなというふうに思います。

堀内(照)委員 終わりますけれども、私がこの間お話を伺った技工士の皆さん、患者のために技工物をつくるということに非常に喜びを感じて、みずからの技術に誇りを持っておられます。その喜びや誇りが将来を見通せない低賃金、劣悪な労働環境の中で傷つけられている。質を改善してとおっしゃいますけれども、私は、むしろ今の歯科技工士の働き、役割をもっと評価するということが、質を改善するのを待って評価じゃなくて、今の実態をもっと評価していくということが必要なんだと思います。

 若い技工士を育て、その彼らが誇りを持って仕事を続けられるような環境をつくる、その政治の責任を果たすことを強く求めて、質問を終わります。

渡辺委員長 次回は、来る三日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十三分散会


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