衆議院

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第36号 平成27年8月28日(金曜日)

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平成二十七年八月二十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 赤枝 恒雄君 理事 後藤 茂之君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 松野 博一君 理事 西村智奈美君

   理事 浦野 靖人君 理事 古屋 範子君

      大岡 敏孝君    大串 正樹君

      加藤 鮎子君    木村 弥生君

      小松  裕君    今野 智博君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      谷川 とむ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    長尾  敬君

      丹羽 雄哉君    橋本  岳君

      比嘉奈津美君    堀内 詔子君

      牧原 秀樹君    松本  純君

      松本 文明君    三ッ林裕巳君

      宮崎 謙介君    阿部 知子君

      大西 健介君    岡本 充功君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      山井 和則君    足立 康史君

      井坂 信彦君    木下 智彦君

      牧  義夫君    伊佐 進一君

      輿水 恵一君    角田 秀穂君

      高橋千鶴子君    堀内 照文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      山本 香苗君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   厚生労働大臣政務官    高階恵美子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  香取 照幸君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 今別府敏雄君

   参考人

   (日本年金機構理事長)  水島藤一郎君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月二十八日

 辞任         補欠選任

  豊田真由子君     今野 智博君

  村井 英樹君     宮崎 謙介君

  足立 康史君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     豊田真由子君

  宮崎 謙介君     村井 英樹君

  木下 智彦君     足立 康史君

    ―――――――――――――

八月二十八日

 勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 確定拠出年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七〇号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、確定拠出年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本年金機構理事長水島藤一郎君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として厚生労働省大臣官房年金管理審議官樽見英樹君、年金局長香取照幸君、政策統括官今別府敏雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角田秀穂君。

角田委員 おはようございます。

 本日、質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 順次質問をさせていただきたいと思いますが、まずは、公的年金の将来的な給付水準の低下や働き方の多様化、さらには厚生年金基金の減少などを踏まえて、老後に向けた個人の自助努力を支援する環境づくりのために、中小企業向けの簡易型DCの創設、個人型DCの対象の拡大、年金資産の持ち運びの拡充などを図る本法案の内容については、全体として評価すべきものと考えております。

 ただ、老後の生活を確実に支えるためには、その下、一階あるいは二階部分となる公的年金制度がしっかりしていて初めて可能になる、共助の部分がしっかりしていなければならないと思います。

 その意味から、まずは一階部分の国民年金について質問をさせていただきたいと思います。

 社会保障改革国民会議の報告の中でも、負担能力に応じた負担を適切に求めていくという観点から、国民年金保険料の多段階免除の積極的活用や負担能力を有する滞納者に対する徴収強化を行う必要が指摘をされ、年金機構の中期計画等でも、重要な課題として国民年金の収納対策が位置づけられておりますが、このことについて、これまでの取り組みについて伺いたいと思います。

 特に、納付の督励を行った件数や、財産差し押さえなど強制徴収の件数の推移はどのようになっていますでしょうか。また、収納対策の結果、納付率はどのようになっているのか、あわせて伺いたいと思います。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国民年金保険料の納付率でございますけれども、平成二十六年度、年度で直近でございますが、対前年度比二・二%増ということになりまして、六三・一%というふうになってございます。また、月ごとの直近でいいますと、ことしの六月末時点の国民年金保険料納付率という数字が出ておりまして、これは五五・八%、毎年年度の頭から年度末にかけてだんだん上がってまいりますのでこの時点はちょっと低いですが、五五・八%で、これは対前年同期比で見ますとプラス〇・七%ということになってございます。

 ここ数年、景気の持ち直し、あるいは収納対策の強化ということもありまして、納付率は回復しつつあるという傾向でございます。

 国民年金の保険料、誰もが納めなければならないということになっているわけでございますが、将来の無年金、低年金の防止、それから負担の公平性という観点から、さらに納付率の向上に取り組む必要があるというふうに考えているところでございます。

 まずは、公的年金制度の周知でありますとか、教育、広報というものを一層推進するということに取り組まなければいけないと思っておりますし、あるいは、口座振替やインターネットの活用とか、納めやすい環境をつくるということも努力しなければいけないというふうに思っておりますが、それとともに、十分な所得がありながら、たび重なる納付督励にも応じず保険料を納めていただけない方々に対しては、強制徴収の拡大ということもしっかり取り組まなければならないということをやっているところでございます。

 具体的に言いますと、平成二十七年度におきましては、控除後所得が四百万円以上かつ未納月数が七月以上という方に対して、全ての方々に督促を実施するということにしているところでございます。

 強制徴収の実績のお尋ねでございます。

 直近の二十六年度におきましては、最終催告状の発行が六万五千六百五十四件、指定期限までに納付がない滞納者に対しまして督促状というのを発行いたしますが、これが四万六千五百八十六件、さらに、督促後の納付督励にも応じない滞納者に対する財産差し押さえが一万四千九百九十九件という状況になってございます。

角田委員 老後の生活を支える、少なくとも下支えする上で、保険料を支払う能力のある人は、これは本人のためにも保険料を納めてもらうように促すこと自体は大切なことであると思いますが、一方で、支払う能力のない人にまで強制的に徴収するようなことがないよう配慮も必要であると思っております。

 このことについて、現状、所得の情報に基づいて、免除対象者を除く滞納者に督促をして、それでも納付に応じない場合は強制徴収手続をとっていると思いますが、具体的にどのような基準によって手続を進めているのか、今後の方針もあわせてお伺いをしたいと思います。

樽見政府参考人 先ほどちょっと申し上げましたが、控除後の所得が四百万円以上あって、かつ未納月数七月以上の方については、全ての滞納者に督促を実施するということで平成二十七年度は取り組んでいるところでございまして、この対象については順次拡大をしまして、所得があって納められるにもかかわらず納めないという方についてはしっかりと徴収をしていく、督促をしていくということで取り組みたいと思っております。

 ただ、一方、いろいろ御事情がある方というのはいらっしゃると思います。例えば失業とか病気とか特別の御事情がある方、そういう方々から、例えば一括納付に応じることは困難であるといったようなお申し出をいただいた場合には、その内容について確認をさせていただいた上で、やむを得ないと判断される場合には、例えば分割での納付を認めるとか、個々の実情に応じた取り組みということもやってございます。そうしたことについても配意をしながら取り組んでまいりたいと考えております。

角田委員 国民年金保険料の納付率については、現年分で平成二十二年には六割を切って、二十三年には五八・六%にまで低下をいたしました。納付率の低下に対してさまざまな収納対策に特に力を入れた結果、納付率も現在は上向きに転じておりますけれども、この間、収納対策の一つである未納者に対する文書、電話、戸別訪問等による納付督励、督促、催告、さらには財産の差し押さえの件数も、特に財産の差し押さえまで行っている件数というのはこの数年で飛躍的にふえていると思いますけれども、このために、扱う年金の情報の件数というものも非常にこの間ふえてきたのではないかと思います。

 今般の日本年金機構による、不正アクセスによる情報流出も、この収納対策のために抽出したデータ等が流出をしたということですけれども、増大する収納対策業務に追われる中で、個人情報の慎重な取り扱いということがおろそかになった。

 機構の報告書にもありますけれども、個人情報が流出した拠点では、業務目的を果たした後も、個人情報を削除せずにそのまま共有ファイルサーバーに保管をし続けるケースがあったり、さらには、定期点検において、個人情報が流出した拠点の幾つかは、確認をしないまま、共有ファイルサーバーの整理及び個人情報のパスワード設定等は全て対応済みと報告していたりといったようなことが行われるようになってしまった。

 言ってみれば、これはかつては余り力を入れてこなかったふなれな業務を進めるに当たって、個人情報の管理の上からは極めて危ない業務のやり方を続けて、業務量の増大に伴って個人情報の取り扱いもずさんになってしまった結果、大量の情報流出を招いてしまったというのがそもそもの話ではないかと考えております。

 ここは年金情報の流出がテーマではありませんので、個人的な感想ということにとどめたいと思いますけれども、今後、納付督励の対象者がふえてくることに対して、個人情報の保護の対策ということについては、今回の事案を踏まえて徹底的に対策を講じていただきたい、このように要望させていただきたいと思います。

 冒頭にも申し上げましたが、あくまでも一階部分に相当する公的年金がしっかりしていなければ、信頼されていなければ、老後の生活を支えるということもできません。このことは重ねて強く要望をしておきたいと思います。

 そして、督促対象の所得金額を今後段階的に引き下げていくということについては、さらに丁寧な対応が求められてくると思います。機械的に所得などの基準に当てはめて手続を進めるのではなく、世帯の構成や事情などにも配慮した対応がますます必要になってくる、重要になってくるというふうに考えます。この点、納付相談も含めて丁寧な対応を今まで以上に心がけていただきたい、これも要望とさせていただきたいと思います。

 次に、法案について何点か伺います。

 今回、柱の一つとして、ライフコースの多様化への対応として、個人型DCの対象として第三号被保険者や企業年金加入者、公務員等共済加入者も可能とするということにしておりますが、このうち三号被保険者について、そもそもこれまでなぜ個人型DC加入が認められてこなかったのか、今回なぜ加入を認めようとするのか、このことについてまずお伺いをしたいと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 今先生御指摘がありましたように、今回の個人型の確定拠出年金の拡充は、まさにライフコースの多様化、働き方の多様化を踏まえて、生涯にわたって個々人が老後に向けて自助努力をしていく、そのためのいわば受け皿として拡充を図るものでございます。

 お話しの三号被保険者ですが、確定拠出年金を創設して十数年たつわけですが、それ以前の一九九〇年代までの状況を見ますと、いわゆる専業主婦世帯の数は共働き世帯よりも多い。たしか九〇年代の半ば過ぎぐらいまではほぼ同水準だったと思いますが、女性自身が御希望されるライフコースとしても専業主婦コースを希望されるという方が相当おられたということもございまして、三号被保険者については税制優遇の対象となる所得がほとんどないという方が多いということで、加入のメリットがないのではないかということで導入が見送られてきたという経緯があると承知しております。

 しかしながら、九〇年代後半以降、そもそも女性が、専業主婦を希望する方からいわゆる両立を希望する両立コース、仕事と家庭の両立を望むという方が非常にふえてきているということ、実態としても共働き世帯の数と専業主婦世帯の数が逆転しまして、現在では共働き世帯の数の方が多くなっておりまして、その数はどんどん開いているということがございます。

 また、いわゆる三号の中の方にも、例の百万円、百三十万円議論がございますが、一定の所得を持っておられて三号でおられる方というのがふえてきたということがございます。

 実は、昨年、公的年金の財政検証を行いましたが、このときに、公的年金の加入期間の中で三号が占める期間というのを調査し、それを財政検証に反映させたわけですが、この推計ですと、やはり若い世代ほど三号期間が短くなっているということで、一号、二号、三号というものを生涯の中でいわばライフステージに合わせて動いている方が多いということで、今般、一時的に三号になるといったような場合でも、継続して自助努力が続けられるという観点で、三号の方々についても個人型のDCに加入できるようにということで措置をするということにいたしたものでございます。

角田委員 今回のさまざまな措置というものは、それぞれライフスタイルの変化というものもあって、被保険者間での移動、流動化が進んでいるということを踏まえて行われるということですけれども、今回の法改正では特に含まれていないことですけれども、ここで、一号被保険者の二階部分として用意をされている国民年金基金と個人型DCについて少し伺いたいと思います。

 国民年金の二階部分としては、現在、確定給付型の国民年金基金と確定拠出の個人型DCの二つの制度があって、しかも、月額六万八千円の限度額の範囲で重複加入が可能という形になっております。

 加入の実態を見ると、一号被保険者のうち、農地や商店など稼ぐ手段を持っている自営業者自体は減って、短時間労働者など被用者としての保障が必要とされる方が増加している。老後のための自助努力の支援が必要な人がふえてきている一方で、国民年金基金の加入者は、平成十五年度の約七十九万人をピークに減少し続け、二十六年三月末では約四十八万人にとどまっております。まず、この理由をどのように捉えているのか。

 そして、一号被保険者も加入できる個人型確定拠出年金の方は約十八万人となっておりますが、この十八万人のうち、一号被保険者はどれぐらいいるのか、両制度への重複加入はどれぐらいなのかということについて、あわせて伺います。

 もう一つ、そもそも国民年金基金と個人型DCの目的に違いがあるのかどうかということについて、あわせてお伺いをしたいと思います。

香取政府参考人 整理して御答弁申し上げます。

 まず、国民年金基金と個人型のDCの違いですが、先生お話ありましたように、非常にわかりやすく言いますと、国民年金基金は、確定給付型、いわばDBと同じように給付型の年金ですので、給付の基本的な設計が異なっているということがございます。

 ただ、機能としてはいずれも自営業者や一号被保険者の方の自助努力を支援するということで、そういう意味では目的は共通するものがあるということで、それぞれメリット、デメリットがございまして、個々人の御判断によって加入されるということになります。

 国民年金基金は、平成元年に法律が成立して平成三年から適用しておりますので、こちらの方が歴史が長いものでございますし、こちらは地域型と職能型という形で二つの形があるわけですけれども、御案内のように、国民年金基金の加入者自身は少しずつ減少傾向にある。

 これは、そもそも一号全体の数が減っている。自営業者の数が減っているということもございますし、もう一つは、お話ありましたように、一号の中で、いわゆる自営業者といいますか純粋一号といいますか、本来の制度が想定している一号の方々は、全体の一号の数の減少よりもさらに実は減少している。一号の中で、一定の所得のある方、パート労働の方とか、そういう被用者で一号になっている方もふえているということもありまして、国民年金基金の場合には、掛金の水準等々からいって一定の所得のある方が入るということになりますので、そういった自営業者の方が減っているということもあって少なくなっているというふうに思っております。

 その意味でいいますと、個人型の確定拠出年金の方が、個々人の方の制度設計、個々人の御判断で掛金が決められるということになりますと、入りやすいといいますか取り組みやすい制度ということになりますので、一号被保険者の方の対応が変わってきているということも頭に置きながら、国民年金基金と個人型の二つの制度を御用意して入っていただくということを考えております。

 数字でいいますと、今、国民年金基金が四十五万人、確定拠出に関しましては、平成二十六年度末、直近でいきますと、約二十一万人の方が入っておられる。

 いずれにしても、一号全体から比べると非常に数が少ないわけでございまして、これからその適用拡大を図っていかなければいけないというふうに考えているところでございます。

角田委員 いっぱい質問しちゃって済みませんでした。

 よくわからないので、せっかくの機会ですので、ぜひちょっとお伺いしておきたいと思ったことがあったんです。年金のエキスパートの方がそろっていらっしゃるので、どなたでも結構なんですが、局長が一番お詳しいかと思うので、ぜひ教えていただきたいんです。

 私は今、一号被保険者です。初め二号で今一号。三号だけはなったことがないんですけれども、私が、老後の備えとして、国民年金基金か個人型DCか、どちらがいいのか迷っていると相談に伺った際に、局長はどういうアドバイスをなされるかということをぜひお伺いしたいと思うんです。今からでは遅いというような、そういうアドバイスはなしでお伺いしたいと思うんです。

香取政府参考人 先ほどちょっと答弁漏れがございましたが、個人型のDCと国民年金基金に重複で入っておられる方は約六千名ぐらいいらっしゃるということでございます。

 どちらが有利かということで言いますと、税制上は同じ枠の中でやることになりますので、その意味では、どちらをどういうふうに組み合わせるかということはありますが、若い方が継続的にお掛けになる、若いうちから入るということを考えますと、国民年金基金はたしか一口目が七千円ぐらいから始まるんだと思うんですが、割と高い水準から上がるということになりますので、例えば、少ない金額、三千円、四千円ぐらいから始めて、自分の年齢がいったときに積み上げていって大きくしていくといったような形を考えますと、早い段階から入ってずっと続けるということであれば、入り口はやはり個人型から入るという方が恐らく取り組みやすいということになろうかと思います。

 いずれにしても、両方加入できるということから考えますと、年齢によって、自分の所得や就労形態に応じて、途中で例えば国民年金に入るとか掛金を変えていくとかできますので、その意味では、早く始めるということでいいますと、入りやすいというか、最初に取り組みやすいのは個人型ということになろうかと思います。

角田委員 私自身の悩みはちょっと解消しないかなという感じなんですけれども、この二つの最大の違いというのは、国民年金は二号や三号になれば加入資格をその時点で失ってしまう、なくなってしまうということが一番大きな違いだろうと思います。老後のために引き続き掛金を積み立てていくことができないということになります。

 例えば、これまでフリーランスで働いていた人が会社員として働くことになった場合は、この場合は厚生年金に加入をするということになって、国民年金基金の加入資格を失います。その時点までに納めた掛金は、その額に基づいて将来年金として給付をされるということで、一方で、個人型DCであれば、DBでも企業型DCでも持ち運ぶことができる。また、確定給付のDBは例えば企業型DCにも脱退一時金相当額を移転可能ですけれども、同じように確定給付である国民年金基金は、脱退一時金のように加入期間に関する掛金分が途中で返還されるということもありません。

 公的年金を補完する他の制度、ライフスタイルの変化に対応できるように環境の整備を図るために、他の制度についてはポータビリティーの向上が図られようとしている中で、ある意味、一号にとどまり続けることを前提とする国民年金基金の特異さが目立つようになっている気がいたします。

 例えば、三号被保険者を中心に二十八年十月には約二十五万人が適用拡大をされますが、国民年金基金加入者はその中でどうなるのか、個人型確定拠出年金者はどうなるのかということになれば、国民年金基金加入者の場合は加入資格を失うということになると思います。個人型DCの方であれば持ち運べるけれども、例えば企業型年金を実施していない企業の場合、口座をそのまま使えるけれども、ただ、その場合も拠出の限度額が六万八千円から月額二万三千円に減ってしまう。

 被用者年金の対象拡大がこれから大きな課題となっていますが、今後さらに適用拡大がなされた場合、それによって国民年金基金の加入資格を失う人も当然出てくることになろうかと思います。そして、それは被保険者本人には見通せないことでもあります。さまざまな働き方、ライフスタイルに対応した年金の仕組みをつくるということであるならば、国民年金基金も含めて、国民年金の二階部分についてその制度のありようを整理する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 それから、拠出限度額の働く場によるちぐはぐさ、このことについて、この委員会での御答弁の中でも、今後整理したいけれども、まずは加入割合を上げることが先だというようなお考えが示されたかと思いますが、私は、加入を促進するためにも、拠出限度額についても、老後の生活を支えるためにはどの程度が適切なのかという観点から、早急に整理する必要があると考えますが、このことについて改めて御見解を伺いたいと思います。

香取政府参考人 御指摘のとおり、先ほどちょっと御説明をし忘れましたが、ポータビリティーという観点でいいますと、個人型は、今回の制度改正で、お話しのように企業型への移換あるいは継続というのができるようになりますが、国民年金基金はそれがありませんので、お話しのように、生涯自営業、家が代々自営業でというような方ですと国民年金基金ということになりますが、その意味では、脱サラをされたりあるいはパートで働いたりということで一号でいらっしゃる方の場合には、先々のことを考えると個人型の方が便利であるということはあろうかと思います。

 国民年金基金なんですが、お話しのように、今回の制度改正の過程でも、国民年金基金についても同様のポータビリティーを認めていただく必要があるのではないかということは私どもも議論をしましたが、実は国民年金基金は、制度をつくったときの経緯もございまして、御案内のように、付加年金というのがくっついていることになっています。この付加年金部分は国庫負担が入っているということもございまして、給付としては非常に小さい部分なんですが、制度設計上はやはりちょっと制度のたてつけが違っているということもございまして、なかなかそこは、税務当局を含め、制度の趣旨が違っているので、今の段階で一足飛びにポータビリティーを認めるということについては、なかなかそういう結論がいただけなかったということでございます。

 ただ、お話しのように、先々のことを考えますと、国民年金基金についても同様な御議論もありますし、国民年金基金の当事者といいますか事業体の方からは、例えば二号とか三号の方についても個人型同様加入できるようにするというのはないのかとか、幾つか御要望をいただいております。そういったものも含めて今後考えていかなきゃいけないと思っております。

 それから、限度額については、前回のこの委員会でも御答弁申し上げましたが、それぞれ制度をつくっていく中で税制当局と調整をしながらこういった形でなってきましたので、今現在、個人型が事実上皆さんが入られるとなった今の状況で見ますと、確かに、でこぼこしているし、移動した場合に限度額が変わってしまいますと、さまざま利益、不利益が出るということがございます。なので、今後、公的年金の二階の一元化でありますとかパートの適用拡大等々が進む中で、やはり三階についてもある程度共通のルールで限度額を考えるということをこれから早急に詰めて、これは税務当局と御相談しなければいけないことでもございますけれども、先生の御指摘のようなことも踏まえてちょっと検討してまいりたいと思っております。

角田委員 あと、この法案では、特に企業年金の実施の率が低く、厚生年金基金の解散でさらに実施する割合の低下が見込まれている中小企業について、実施をしやすくするために、企業の事務負担を軽減する簡易型DCや個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度の創設などの措置を講じるとしておりますが、これらは中小企業の従業員の老後の生活保障を充実させる上にも非常に重要であると思いますけれども、大切なのは、制度の普及拡大に積極的に取り組んでいくことであろうと思います。

 このことについて、公的年金を補完する企業年金等の普及促進、特に中小企業への普及促進のためにどのように取り組んでいかれるのか、お考えを伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 今回の法律改正におきましては、特に事務負担が困難な中小企業に対する対応ということで、簡易型の確定拠出年金ということで、手続の大幅緩和を狙ったものとして導入しています。その企業として企業年金を実施しなくても従業員の老後支援が中小企業として可能となるという個人型確定拠出年金への小規模事業主掛金納付制度、これも新たに創設をし、また、確定拠出年金の投資教育の企業年金連合会による共同実施というのも新たに始めたわけでございまして、今回は、特に中小企業を含む企業全体に対する対応としての手続の緩和、確定拠出年金の掛金単位の年単位化などもあわせて行うこととしているわけであります。

 今先生から御指摘のありました加入率でございますが、現在、我が国における企業年金、ですから、DC、DB、確定拠出、確定給付を合わせてでありますけれども、三五%程度ということになっておりますが、実はこれは働く人全体から見ると企業年金は二五%ということで、まだまだこれから、企業年金自体は、働く人全体にとって見ると、これからさらにこの普及拡大を私どもとしても着実に進めなければならないというふうに思うところでございます。

角田委員 時間がもうほとんどなくなって、せっかく紙とトナーを消費してつくった資料、せっかくなので、これに関して一点だけちょっとお伺いしたいと思うんです。

 今、日本の年金は、給付の水準が、いろいろなケースによって試算がされておりますけれども、間違いなく減っていく局面にあって、自助を今回の法案でも強調されておりますけれども、これからそういう自助を一体誰に強く求めていくのかというと、当然、公的年金の給付水準が減っていく若い人たち。そういう人たちに対して、今から社会保障制度に対する理解を得るための教育というものを現場でしっかりとやっていく必要があると思っております。

 資料は高校の教科書で、右の方の図は一体何を教えたいのかということをちょっと疑問に思うんですけれども、これは社会保障を教えているところで、下で支えているのが生産年齢人口ということで、高校生に、君たちはおじいちゃんを支えているんだと言っているわけですけれども、本当に教えなければいけないのは再分配ということであろうかと思います。

 この点について、厚生省は、昨年、非常にすぐれた教材をつくられたということで評価をしておりますけれども、実際にこうしたものが現場でもっと積極的に活用されるべきだと考えますが、この実態について、現状どのようになっているか、お伺いしたいと思います。

渡辺委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 先生今御紹介いただいたように、昨年、三年越しの研究会の結論を得まして、教材をつくって全国の五千の全ての高校に配付をし、また、教え方について研修、研究をやっておりまして、こちらの参加者ももう一千人を超えております。

 来年度は、さらに中学校を対象に拡大をしていこうというふうに考えております。

角田委員 以上で終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、山井和則君。

山井委員 四十分間質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 確定拠出年金法等の一部を改正する法律案についての修正について、きょう配付した資料の中の冒頭に、きょう民主党が提出を予定しております修正案の概要、考え方というものを書かせていただきました。

 ここに書いてありますように、確定拠出年金の意義というものは私たちも認めますが、問題点がやはり前提としてあるのではないか。

 それは、この後質問をさせていただきますが、GPIFの株式運用比率を一二%から二五%に塩崎大臣が昨年の十月に上げられました。それによって非常に今、官製相場、鯨と言われているように、この間、二十兆円とも三十兆円とも言われる公的マネーが株式市場に流れ込んでいるわけでありますね。とすると、株が上がるのは当たり前なわけです。こういうPKO、つまり、プライス・キーピング・オペレーション、株価操作というものは逆に経済をゆがめる。さらに、いつか出口が来るわけですね、この公的マネーに。

 昨日発表になりました国内株式の運用比率は二三・三九%。つまり、基本ポートフォリオの二五%までもうあと少しというところまで来ているわけですね。それによって、逆に株価に悪影響が出るんじゃないかということも言われております。そういうふうな、経済実態以上の株高が演出されている。

 さらに、そういう中で、今回私たちが問題視しておりますのは、今の法律にある元本保証の提供義務、元本保証の選択肢も必ず示さねばならないという義務が外されているわけです。

 例えば、私とかは株はそれほど詳しくないですから、株の運用にしますか、元本保証にしますかと言われると、私だったら、どの銘柄がどうかとかそういうことというのはわからないですから、やはり手がたく元本保証にしたいなと。実際、現時点においては、この元本保証を選んでおられる方というのは非常に多いんですね。

 そういう意味で、私たちは、この法案の方向性自体は一定理解をするわけですけれども、元本保証、今義務づけられているのを外すと、必ずというか、元本保証以外のもの、もちろん、これは労使で合意したら元本保証のものも入れられるわけですけれども、中小企業には労働組合がないところも多いわけですから。そういう意味で、きょう修正案を出させていただきたいと思っております。

 これについては後ほどGPIFのこととセットで質問をさせていただきますが、冒頭、ちょっと重要な、概算要求の中で子供貧困対策、私もライフワークとしてやっておりますけれども、子ども貧困対策法をこの委員会で一昨年成立させましたが、その中で、今回、児童扶養手当の機能の充実というものが事項要求、検討課題で入っているんですね。

 私、ちょっとひっかかったのが、児童扶養手当の充実ではないんですよ。児童扶養手当の機能の充実というのがちょっと私はわからなかったので、確認ですけれども、質問を冒頭に一問させていただきます。

 つまり、今回盛り込まれているこの児童扶養手当の機能の充実、その中には、今までから子供の貧困対策の当事者団体から要望が出ております、例えば十八歳から二十歳への年齢延長とか、あるいは多子加算の増額、つまり二人目になっても五千円しか増額されない、こういう多子加算の増額、そして三つ目に基本額の引き上げ、こういう三点セットの検討も機能の充実には含まれているという理解でよろしいですか。

塩崎国務大臣 けさほども官邸で子供貧困対策についての閣僚会議がございましたけれども、今先生から御指摘のあった児童扶養手当、これについても話題になりました。

 一人親家庭の生活の安定と自立の促進のためにこれは効果が当然あるわけでありまして、財源の確保などの課題に留意をしながら、年末までに、その機能の充実について、今先生から御指摘をいただいた点も含めて検討をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

山井委員 二年前、超党派で子ども貧困対策法を成立いたしまして、その当時からの積み残し課題がこの児童扶養手当の増額、拡充なんですね。ですから、ぜひともそのことに関しては取り組んでいただきたいし、このことに関しては党派を超えて、民主党も子供の貧困対策としてこの児童扶養手当の拡充というものにこれから力を入れて取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、テーマがかわりますが、先日も質問させていただきました、和歌山の年金機構の事務センターにおける百十人の未払い賃金の問題ですね。

 まず一点目。これは百十人のうち九十人が直接雇用に四月からなっています。大分と福島は十月一日からの委託業者が決まっていますが、一カ月前であるにもかかわらず、和歌山の年金機構の事務センターの委託先が決まっていません。もう一カ月前です。常識的には、一カ月前には当然、契約が終わるなら終わると言わないと、次の仕事も探さないとだめなわけですから、一カ月前となりました本日において、委託先、今のところめどが立っていないと聞いておりますので、十月以降も引き続き直接雇用をするということを明言していただきたいと思います。いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今お取り上げをいただいた共栄データセンターに委託をしていた仕事というのは封入、封緘などの業務でございまして、これに関しては、日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画、これは平成二十年の七月二十九日の閣議決定で決まっておりますが、これに基づいて、基本的に外部委託すべき業務ということで、先ほどお話のあったとおり、共栄データセンターに委託をされて、今回のような事態になったということでございます。

 今回、機構が本年十月以降の外部委託契約に向けて一般競争入札を行ったところ、今お話ありましたように、福島及び大分、この二カ所の事務センターについては委託業者が決まりましたけれども、和歌山の事務センターについては応札業者がなかった、次期受託事業者が決まっていないという状況と聞いているわけでございまして、この状況を踏まえて、これは日本年金機構において、業務の円滑な実施を図る観点から適切に対応してもらうべきものと考えているところでございます。

山井委員 その適切の意味ですね。もう一カ月前なんですから。本当に従業員の方々、一カ月後に仕事が切れるんだったら、再就職の作業というか就活をしないとだめなわけですから。もうこれは九月末の話ですからね。きょうは八月二十八日です。

 適切ということはあれなんですけれども、きょうから二、三日で新たな業者が見つかるはずはないと思いますので、もう一歩踏み込んで、十月一日からは直接雇用すると。実際、めどが立っていないわけですからね。御答弁をお願いしたいと思います。

塩崎国務大臣 先生御案内のように、これは年金機構が独自に判断をすることで、私ども監督する者としては、今先生から御指摘をいただいているようなことも含めて、考慮に入れた上で適切に判断をすべしということを申し上げているわけでございますので、あくまでも機構が判断をするということで、その際には当然、こうして国会で御議論いただいていることも踏まえた上で適切に判断をするのではないかというふうに思っているところでございます。

山井委員 これだけの深刻な未払い、本当はあってはならないことですよね。未払いの御迷惑をこれだけかけている。それでもう一カ月になっている、契約解除まで。

 だから、私が聞いているのは、監督官庁の責任者である塩崎大臣に、きのうも薄井副理事長とも担当の理事の方ともかなり話をしました、その上で、機構と相談した上で、きょう塩崎大臣に答弁してほしいということを言っているわけですから、監督官庁の責任も含めて、監督官庁の塩崎大臣として、一カ月を切った、この時点においてどうすべきかということを御答弁いただきたいと思います。

塩崎国務大臣 民主党における部門会議が、今先生のお話があったように、先生御自身が御熱心にこの問題について御意見を賜っておることも私も聞いておりますし、機構の方も、いろいろと先生から御指摘をいただいていることも踏まえて、さまざま検討しているというふうに聞いております。

 これはさっき申し上げたように、基本計画というのがあって、それに基づいて機構は業務を執行するわけでありまして、その際に、私どもが監督をするわけでありますけれども、この基本計画に基づくというのは、基本計画を認めている私どもの考え方を踏まえた上で適切に判断をするんだということをさっき申し上げたとおりであります。

 いずれにしても、業務を円滑に実施するということが大事でありますし、そしてまた国会でこうやって御議論をいただいていることも当然日本年金機構も踏まえていると思いますので、最終的な判断は、私が監督をしているといえども、その一つ一つの細かなことを指示するということではなく、基本計画という形で大枠を決め、そのもとで判断をしてやっている日本年金機構でございますので、繰り返して大変恐縮でございますけれども、機構においてこれは適切に対応する、その際に、今先生から御指摘をいただいたことも踏まえて行われるというふうに私は考えているところでございます。

山井委員 私の指摘も踏まえて行われるということなので、直接雇用されるというふうに私は信じております。

 そこで、今おっしゃったように、円滑に業務を運営するためには、本当に、やっている従業員の方が、これは専門性の高い仕事ですから、ころころかわるというのは好ましくないわけですね。それに、雇用不安が高いと仕事にも集中できないし、過去五年間、日本年金機構が始まってからずっと同じ作業をされている方もおられるんです。にもかかわらず毎年ころころ雇う人がかわるというのは、円滑な業務の遂行のために私はマイナスだと思います。

 ですから、直接雇用で延長していただく際には、三カ月とかそういう細切れではなく、一年間延長する、そういう御判断をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 そういう先生の御意見も機構の方には伝えて、適切に判断をしてもらいたいというふうに思います。

山井委員 この件については、きょうはここで終わりますけれども、やはり日本年金機構の業務を支えておられるのは、ほとんどが現場の非正規の女性なんです。その方々が十時、十一時まで働いて支えてくださっているんですよ。その人たちに対して、賃金は払わない、放置する、払うとしても八割しか払わない、半年、七カ月おくれ、そしてまた一カ月前に至っても雇用を継続するのかどうかもわからないとか、やはりそれは本当に円滑な業務の運営のプラスにはならないと思いますので、ぜひとも私の要望を踏まえていただきたいと思っております。

 それで、もう一つ、漏れた年金問題ですが、四月二十二日が最初の予兆であったということが急に検証委員会の報告書で出てきたということなんです。そしてまた、概算要求では六十二億円、漏れた年金情報の問題で入っている。

 でも、皆さん、おかしいと思われませんか。六十二億円、対策費、セキュリティー対策というけれども、機構の報告書、NISCの報告書、検証委員会の報告書で明らかになったことは何か。

 四月二十二日の時点で厚生労働省が最初の被害のメールを受けた。そのことを、五月八日の機構の被害のときに、同じ攻撃が年金局にも来ている、これは波状攻撃で来る可能性がある、NISCからも、これは非常に、この攻撃を受けてしまったら大量な被害が出るかもしれないと、五月八日の時点では厚生労働省の担当者は聞いていたわけですね。それを大臣に知らせたのは何と先週金曜日、三カ月半たっている。私たちも三カ月も知らされていなかった。

 そういう意味では、今回の三つの報告書の結果、機構よりも厚生労働省の初動ミスこそが根本原因であって、そういう連携の悪さ、連絡の悪さが改まらなかったら、六十二億概算要求をとったってしようがないんじゃないですか。私は、もちろん予算はつけるべきだと思いますよ。でも、根本原因はそっちだと思うんです。

 そこで、塩崎大臣にお伺いしたいんですが、今回の漏れた年金情報の問題において、機構と厚生労働省とどっちのミスがより大きかった、どっちがより責任が重いというふうに塩崎大臣は認識しておられますか。

塩崎国務大臣 今先生から御指摘がありましたように、サイバーセキュリティ本部、そして年金機構みずからの検証、そして甲斐中委員会、検証委員会の結果が出て、今それを精査しているわけでありまして、もちろん、私どもは私どもで、みずからの厚労省としてのどこに問題があったのかということは今精査をしているわけであります。

 先生の今のお尋ねはどっちがということでありますけれども、いずれにも極めて深刻な問題があったということでございまして、どちらが大きい小さいという問題ではなく、今まで申し上げてきているように、年金機構は厚生労働大臣の監督のもとで緊密な連携を持って業務を行うということになっているわけでありますので、いずれにしても、いろいろな問題が双方にあったということは率直に認めてまいりましたし、今のお答えとすれば、どちらということではなく、いずれにも問題があって、二度とこういうことが起きない再発防止策を有効に導入するということが大事だということだと思います。

山井委員 それは違います。

 三つの報告書で明らかになったのは、これは多分みんな認識は一緒だと思いますよ。四月二十二日に最初に厚生労働省が同種のドメインの攻撃を受けたなんて知らなかったよというのが、ここにいる国会議員全員の認識だと思いますよ。

 どっちがより悪いかわからない、そんな次元じゃないですよ。三カ月もそんな重要な情報を、集中審議を二カ月もやったのに、この委員会にも言わなかった。隠蔽ですよ、これは。そういう認識だからだめなんですよ。明らかに最初は厚生労働省だったんですから、第一発目の攻撃は。それを機構に言わなかった。国会議員にも言わなかった。国民にも言わなかった。三カ月隠し通した。私は、誰が見たってこれは厚生労働省の方が罪は重いと思いますよ。

 おまけに、塩崎大臣、この四月二十二日に最初の攻撃があったということに関して、一言でも謝罪されましたか。私は、普通、こういうのが今ごろになって出てきたら、済みませんでした、監督不行き届きで、こんな大事な、第一発目の攻撃が厚生労働省にあったことを私も知らなかったし、皆さんにも言っていませんでした、ごめんなさい、今までの、まず機構が五月八日に攻撃されたという話は違っていました、済みませんと一言謝るのが筋だと私は思いますよ。今までの三カ月の国会審議の前提が全部ひっくり返っちゃったわけですから。

 こうなってきたら、今後何か不祥事が起こったときに、はっきり言って、どうするんですか。三カ月審議して最後の日に、いや、実は一番大きな理由はほかのところにありましたと。そんなんだったらこれは国会も成り立たないし、機構以上に厚生労働省の責任は重いと思います。

 そこで、私は塩崎大臣に一点だけお聞きしたい。まさか水島理事長の処分よりも自分の処分の方が軽いなんてことはないでしょうね。今言ったように、より深刻な隠蔽であり、初動のミスをしたのは機構以上に厚生労働省ですから、まさか水島理事長の処分より御自分の処分の方が軽いなんてことはないでしょうね。

塩崎国務大臣 四月二十二日の問題は、これをしっかり対応しておけば全て年金機構の今回の問題が回避できていたかということに関しては、そうではないということを、NISCも、そして検証委員会、甲斐中委員会も明確に言っていたわけでありますけれども、問題は、そのうちの一部を防げたにもかかわらず、それをしっかりやらなかったというところが問題だということであって。

 いずれにしても、結果としてこういうふうになったわけでありますから、これはもう全て、機構、そしてまた私ども厚生労働省としておわびを申し上げなきゃいけないことは間違いないというふうに思っているわけで、改めて、この四月二十二日の問題、私も実はこの検証委員会の報告書を見るまで知らなかったわけでありますけれども、これは対応の仕方がちゃんとあったのではないかということにおいて、おわびを申し上げなきゃいけないというふうに思っております。

 その上で、ドメイン単位で、同一ドメインについてはこれをしっかりやっておけば防げていたということが検証委員会にも書いてあるわけでございまして、このことが全てではなかったけれども問題であったということは、今申し上げたとおりであります。

 そこで、処分の問題というか、けじめの問題でありますけれども、どちらが重い軽いだのというようなことは、私は、そもそも責任の問題でも特に比較する問題でもないわけで、いずれも深刻な問題を引き起こしたことは変わりがないわけでありますから、そのけじめをしっかりとつけるということであって、組織形態も違う、また身分も違う中でそんな単純に比較できるようなことでないことは、政府の要職をお務めになられた山井先生はよく御存じのところだというふうに思います。

山井委員 この間、三十四回、民主党ではこの漏れた年金情報の会議をやりました。三十四回やりましたよ。塩崎大臣よりも長時間私たちは議論している自負はありますし、まさに日本年金機構がスタートしたとき、長妻大臣、私は政務官で、二〇一〇年の一月五日には日本年金機構の開所式にも行きました。本当に、年金のことは最優先と言っていいぐらい必死になってやっていました、消えた年金の回復のことも含めて。

 私は本当に考えられない。二カ月、三カ月、漏れた年金情報はどうなっているんだと、マスコミ挙げて、国民挙げて、国会挙げて審議しているのに、一番最初の攻撃が四月二十二日だったということが厚生労働省の中から出てこない。ひどいですよ、これは。私は、大臣失格だと思います。

 さらに、私は、根本は根が深いと思うんです。年金局や厚生労働省から塩崎大臣が信頼されていないから情報が上がってこないんじゃないか。

 なぜならば、次の質問に関連するんですが、GPIFの大切な国民の老後の年金資金を株に投資する。もちろん株は上がりますよ、これは。上がるに決まっているじゃないですか、そんなもの。しかし、そういうことをするのは、一歩間違うと年金の安定、安全に反するのではないかということ。

 また、塩崎大臣は、結局はかけ声倒れに終わったけれども、ガバナンス改革もすると言って年金局と大げんかをした。つまり、年金局からも塩崎大臣は全く相手にされていないし信頼されていないんですよ。

 そういう塩崎大臣の不適格性が、今回の漏れた年金情報で、年金局も情参室も機構への連携が悪かった、幹部にも情報が上がらない、大臣にも上がらない、そういうことにつながっているんだと私は思います。

 そこで、塩崎大臣にお伺いしたいんですが、八月十八日から八月二十五日まで二千八百円株価が下がって、先日の議論の中で、三十二兆円の国内株式に掛け算をすれば約五兆円ぐらい年金資産が目減りした可能性があるという議論をさせていただきましたが、さらに、海外、きょうの配付資料二にもありますが、海外にも三十兆円ぐらい、正確に言いますと、この六月末の時点で海外株式には二二・三二%、約三十兆円投資しているんですね。

 これを入れると、塩崎大臣、二千八百円の六日間の下落で、もちろん海外でどんな株式に投資しているかわかりませんが、日本で約五兆円ぐらいの損失が出た可能性があるということは、外国株式にも三十兆円投資しているということは、もしかしたらこれは十兆円ぐらいの損失が一週間で生まれている、可能性ですよ、どんな銘柄を買っているか全くわかりませんから。でも、平均的な数値を見たら、十兆円ぐらいの損失が生まれている可能性があると理解してよろしいですか。

塩崎国務大臣 これは前回先生に申し上げましたが、株価というのは変動するものであって、私ども年金の大事な掛金を預かって運用する者にとって最も大事なことは、日々の上がった下がったのことではなくて、それももちろん重要ではないとは申し上げませんけれども、もっともっと大事なのは、年金財政上必要な積立金額をちゃんと得られる運用をやっているかどうかということが問題であって、あくまでも中長期的にどうなのかということが問われているわけであって、株に投資をしないというなら何に投資をするのか、どういうポートフォリオをやるのかということをぜひお出しいただきたいというふうに思う。

 デフレから脱却をして一定程度の物価の上昇や経済成長ということを前提に、どういうポートフォリオを組むのが年金財政上必要な積立金を得るために長期的にいいのかということを考えた上で、それを満たすだけの組み合わせのポートフォリオを決めたのがこの間の基本ポートフォリオだというふうに思うわけでありますので、もしあれでしたら民主党さんも、自分たちだったらこういう基本ポートフォリオでやるというのをぜひお出しいただいたら、いい議論ができるのではないかなというふうに思うんですね。

 ですから、きのうからきょうにかけてどうのとか、そういうようなことだと、きのうからきょうにかけては、きょうは四百円以上上がっていますから、きのうも上がりましたから、合計すると相当上がっているわけで、まあ、そういう計算をするのはそれはそれで頭の体操で結構なことですけれども、忘れてはならないのは、株価というのは、もう先生には釈迦に説法でありますけれども、企業の将来収益の割引現在価値というのが、普通、誰でも学校でも習う株価の意味合いであって、誰かが買うとかいうような程度のことで趨勢的な株価は変わらない。

 ちなみに、GPIFは、今、国内株式だけで三十三兆余りこの六月末で投資をしていますけれども、時価総額、つまり日本の国内の株式投資全体の中に占める割合だと五・五%なんですね、GPIFというのは。何か、鯨がプールの中で泳いで水が全部あふれてしまうみたいなことをよくマスコミなどでは書かれますけれども、そういう規模だということを改めて皆さん方にも知っていただくことが大事だというふうに思うわけであります。

 それで、では全くGPIFが株価に影響を与えないかというと、それはまた別のことであって、ですからこそ私どもは慎重に情報管理をしてもらっているわけでありますし、出すべきものは出す、しかし、資産運用する立場として、出すべきではないものは出さないという方針でやっているわけで、私どもも全く知り得ない細かなことはたくさんあるわけであります。

 今言ったような考え方で私どもはやっていて、何よりも国民の年金をしっかりと確保するためには、中長期的に年金財政上必要な積立金額を確保する、これが大事であって、今の組み合わせのポートフォリオがそれを達成することをより確実にしていくのだということで、安全かつ効率的な運用にGPIFには努めてもらいたいということでお願いをしているところでございます。

山井委員 五・五%が少ないとおっしゃったのは私はびっくりしました。世界でこんな例はありませんよ。そういう認識なわけですか。

 年金独法の中期目標の資料が九ページにありますが、そこにも、「市場の価格形成や民間の投資行動等を歪めないよう配慮すること。」というふうに入っているわけです。

 民主党はどう考えるんだとおっしゃるから明確に言います。私たちは、今までどおり、国内株式の比率は一二%でよかったと思います。

 そして、年金局も本音ではそうだと思います。私たちもそういう議論を民主党政権のときにやり続けていました。厚生労働省、年金局も、安全、安心のためには、株に投資すると、もうかることもあるけれども失敗するリスクもある、やはりそれは問題だと。

 そして、塩崎大臣がおっしゃっていることは私は違うと思いますよ。株というのは企業業績を反映する、そうなっていないから今、官製相場と言われて、鯨となっているんじゃないですか。

 例えば、きょうの配付資料を見てください。けさのNHKニュース、朝の五時、早朝のニュース。この二週間、海外投資家は売りに転じているんですね。その理由は、GPIFの買う、公的マネーが限界に近づいてきているんじゃないかということも含めて、売りに転じているんです。企業業績がどうではないんですよ。そして、逆に日本の個人投資家が買っているんですよね。

 さらに、けさの日経新聞の五面、左にありますように、ここに線を引いておきましたけれども、今、株の上昇が鈍っている一つの理由は、GPIFの購入が減っている、つまり、四月から六月期は千四百五十七億円ぐらいじゃないかと推定されているんですね。そして、そのことによっても含めて、今回株が下がった。また上がるかもしれませんよ、もちろん。でも、ここで書いてあるのは、日経新聞によると、四月から九月期では株価の評価額は下がる可能性がある、初の試練になる。

 当たり前の話ですが、どんどんGPIFのお金で株に投資するときは上がるに決まっているじゃないですか。ところが、そのうちに出口戦略が来てしまうんですよ。だから、今、官製相場と言われているわけですね。

 先ほども言いましたように、この三ページ、公的資金の運用で十兆円の運用益が出ている。でも、私が先ほど一例で言ったように、もしかしたら、先週の一週間の二千八百円の株価の下落で、十兆円ぐらい、またこの含み益が飛んじゃっている可能性もあるんですね。

 何が言いたいかというと、余りにも変動幅が大きい、リスキーじゃないかということを私は申し上げたいんです。

 そこで、最新の情報がきのう出ましたが、配付資料の二ページ、それによると、六月末の時点では二三・三九%ですね。二五%まであと一%余りしかありません。つまり、ここまで来たら、二五%が近づいてきたら、GPIFが買う余力が減ってくるというふうに判断をされて、それで株価に影響を与えるのではないかというふうに私は心配をしております。

 ついては質問ですが、先日の私の質問、この件に関する質問に関して、塩崎大臣はこう答えておられるんです。二五%がどうのこうのということで運用しているようなことはないと思いますと。これはびっくりしたんですけれども、基本値、基本ポートフォリオ、これは一番重要な数字ですよ。二五%がどうのこうのということで運用しているようなことはないと。基本ポートフォリオの二五%は関係ないんですか、大臣。

 これは一番重要な数字ですよ。関係ないって、これが一番重要じゃないですか。二五%がどうのこうのということで運用しているようなことはないと。どうのこうのって、関係ないんですか、二五%は。どういう意味ですか。暴言ですよ、これは。

塩崎国務大臣 先生、全て御存じの上でお話をされていると思いますので、しかし、それでも改めて申し上げると、基本ポートフォリオは、二五%というのが国内株式の資産構成割合として示されていますけれども、この間も申し上げたように、乖離許容幅というのがプラスマイナス九%あるわけであって、株式比率が二五%を超えた場合であっても直ちに株式を売却するといったことではなくて、先ほど申し上げているように、GPIFにおいて、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から適切に運用するというのがGPIFの使命であるわけであります。

 そういう意味で、だから、やはり被保険者の利益のために長期的に運用方針を持って臨むということが大事なのでございまして、それを申し上げたかったわけです。

 先ほど、民主党であれば、あるいは山井先生御自身であれば、前の基本ポートフォリオのままでいいんだとおっしゃいますが、実は、今の経済前提が変わった中で、古い基本ポートフォリオのままですと、例えば二〇三九年の時点で見ると、明らかに長期的に年金財政上必要な資金を得られないということになっているわけであって、こういうことを考えて、私どもは、新しい経済情勢のもとでどういう新しい基本ポートフォリオが必要なのかということを決めたわけでございますので、そういう経済分析並びに資産運用の理論に基づいて専門家がこの基本ポートフォリオをつくっているということをお考えいただかなければならないというふうに思うわけでございます。

山井委員 いや、私は恐ろしい答弁だと思いますね。結局、国債中心だとなかなか運用利回りが稼げないから、一発、ハイリスク・ハイリターン、株に投資しようと。それはうまくいったらいいですよ。でも、それは言ったら悪いけれども国民の年金のお金ですからね。そんな勝負をかけていいんですか。大損するリスクは高まります。そういう意味では、私は極めて無責任だと思います。

 それで、先ほどおっしゃった、直ちには二五%を超えても売るようなことはしないと、微妙に答弁を修正されましたね。やはり二五%は重要なんでしょう。直ちにということは、やはり二五%が基本ポートフォリオだから、二五%を上回ったときには、長期的にはそれに近づけるような行動をするということでよろしいですか。

塩崎国務大臣 先生もよく御存じでおっしゃっているんだろうと思いますけれども、何度も申し上げますが、基本ポートフォリオは国内株式について二五%ということで、当然これが基本だということであります。

 しかし、運用というのは、やはり生きている市場を相手に生きている経済環境のもとで行われるわけでありますから、だからこそ、乖離幅が九%ということでプラスマイナスで認められているというのは、機動的に運用することが、先ほど少しお触れになりましたけれども、市場にゆがんだ影響を与えてはいけないというようなことも含めてさまざま考慮すべきことがございますので、何よりも大事なのは、専ら被保険者のために安全かつ効率的な運用をして、年金財政上、長期的に必要な資金をきっちり運用の結果として得られるようにして国民に対する責任を果たす。前のポートフォリオのままでは責任を果たせませんから、それではいけないというので私どもは新しい基本ポートフォリオに変えたということでございます。

山井委員 やはり、二五%がどうのこうのということで運用しているようなことはないというのと、二五%が基本だというのと、全然答弁が違うじゃないですか。

 ということは、やはり、二五%を上回ってすぐ売るということはそれはないでしょう、変動幅九%が認められておるわけですし。でも、基本的には二五%を目指していくということであれば、この七ページにも書いてありますけれども、日経新聞ですが、「公的マネーからの資金流入規模は膨大」「「クジラ買い」の爆発力」。GPIF、これは三月の時点ですけれども、七兆円の買い余力がある。三共済で三兆円。こういうふうな爆発的な公的マネーを入れて、アベノミクスと称して、官製相場、経済実態以上に株高を演出した。

 しかし、一番最後に書いてあるんです。記者が聞いたときに菅官房長官は、「官製相場なんだったら、すぐに底が割れて下がるんじゃないですか」と反論したと。しかし、最後にこの記事にはこう書いてあるんですね。「それはその通り。いずれクジラの買いは終わるし、そのとき答えは出るはずだ。」と。

 これは、出口戦略、どうするんですか。上げるときはいいですよ。株価を上げて、支持率を上げて、安保法案を通そうとして。でも、その結果、いつか、GPIFはもう今限界に来ているんです、海外の投資家がもう売りに出しているじゃないですか、きょうのニュースでも。それで株が下がったら、その損失をこうむるのは国民であり、年金生活者になりかねないわけです。

 出口戦略、どうするんですか。最後にそれをお答えください。

渡辺委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

塩崎国務大臣 先ほど来申し上げているように、年金の資金の運用というのは、長期的に年金財政上必要な資金をしっかりと得られる運用をするということで、安全かつ効率的な運用をするということでありますので、これは短期的なことではなく、出口とか入り口とかなんとかいう話ではなく、長期的に見て、国民の皆様方の年金がちゃんとお支払いできるように運用を安全かつ効率的にやっていくということが大事だということであります。

山井委員 一言申し上げます。

 出口とか入り口とかじゃなくということじゃなくて、あなたが大臣になって、あなたの責任で公的マネーをつぎ込んだわけです。いつかそれが切れたら株が落ちる可能性があるというのは当たり前じゃないですか。

 出口も考えずにこんなギャンブル的なことをやるということは極めて無責任だということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 きょうは確定拠出年金法の改正案についての審議ですけれども、まず冒頭、漏れた年金記録情報の問題について、少し時間をいただいてお話をさせていただきたいと思います。

 民主党で何回かヒアリングをした。三十四回、本当にたくさんの回数、厚生労働省の皆さんにお越しをいただいてヒアリングをしました。

 このニュースが伝わったときの当初の問題点は、本当に今情報が漏れていないのか、今既にこの時点で漏れているのではないか、まだ漏れているんじゃないかということについて議論があった。大きな論点の二つ目が原因究明ということでありまして、原因究明として、一体いつからその端緒があったのか。三つ目が、最大、被害はどこまで広がるのか。こうした話だったんですよ。

 それで、私どもは、一つ目の問題、今も漏れているんじゃないかと問いかける中で、厚生労働省は、いや、もう完全に遮断しましたから大丈夫です、こう言っていた。ふたをあけたらどうだったか。もう皆さんも記憶のとおりです。実はメールはしていた。

 二つ目の論点、五月八日が本当に端緒だったのか、NISCからの検知は五月八日しかなかったのか、厚生労働省の年金局を含めてそうした外部からの攻撃はなかったのか、これを聞いたんですよ。そのときに、五月八日が端緒だ、五月八日より前はない、こう言われていた。

 そして三つ目、一体何人の方の個人情報が最大抜かれた可能性があるのか。これは塩崎大臣にも六月の予算委員会で私は質問をさせてもらいました。一ページ目にあるとおりです。

 そういう意味で、この三つの論点の中の重要な一点目、これが厚生労働省年金局の、また年金機構の説明の話と違っていたというのは、もう皆さん知っているとおりです。

 では、二点目、本当に五月八日が端緒だったのか。そのとおりです、こう答えられた席に、きょうお越しいただいている樽見年管審も来られておりました。そのときの答弁、そして今回の甲斐中委員会から出てきた報告書、明らかに違うんですけれども、これについて御説明を求めたいと思います。

樽見政府参考人 お話しのとおり、今回の検証委員会の報告書では、五月八日に発生した機構に対する標的型攻撃というものが、四月二十二日に発生した厚生労働省に対する攻撃と類似の手口によるものであるということが指摘をされているところでございます。

 四月二十二日に標的型攻撃があったということについて、翌日、厚生労働省の企業年金国民年金基金課においてそういう不審メールを受信したということについての注意喚起メールが全職員宛てに送付をされてございます。私自身もその全職員の一人としてメールを確認しておりましたので、それは見ていたということになるわけでございますが、率直に申しまして、毎日多数そういう不審メールの受信の通知というものは各職員に送られておりまして、そのうちの一つということでございましたので、明確に機構事案に関係するという認識はございませんでしたし、明確に、六月五日、民主党の会合の際にそういうやりとりがあったというときに、そういうことの関係ということについては認識をしておらなかったということでございます。

 したがいまして、機構に対して行われた標的型攻撃と関連する攻撃が五月八日以前にあったのではないかということの六月五日の民主党の会合でのやりとりの際に、私としても、年金局に対して四月二十二日に不審メールが送信されたという事実について思いが至らなかったということでございます。

岡本(充)委員 いや、思いが至らなかったということではなくて、やはり重要な論点だったんですよ、どこが端緒だったのか。そのときに違うお答えをされて、我々は、なるほど、では、五月八日が最初だったんだね、そこが本当に最初なんですねと、そこを本当に確認したんですよ。それを、今さらになってこんな話が出てくるというんじゃ、原因究明をする以前の問題として、情報をきちっと管理するという立場にある者として、樽見さん、やはりこれは問題がありましたね。

 それを踏まえて、ぜひそこはしっかり謝罪をするべきじゃありませんか。

樽見政府参考人 今申し上げましたように、率直に申しまして、その当時、私としても、個別に承知をしておりませんでしたし、認識がなかったということでございますが、言いわけめいてしまいます。

 率直に申し上げまして、今から考えれば危機意識が低かったということだと思います。おわび申し上げます。

岡本(充)委員 私は、樽見さん一人の問題だと言うつもりはありません、正直申し上げて。これはやはり、厚生労働省として危機管理が薄かったんだと思いますよ。私は、この人一人が悪いということに帰結をさせてしまってはいけないと思います。

 何が言いたいかといえば、この二つ目の問題も、やはり厚生労働省のガバナンスという問題、もっと言えば、たくさん来るでしょう、変なメール。私の事務所にだっていっぱい来ますよ。ただ、それについてどう対応するかということ、それは徹底していかなきゃいけないし、それができていなかったということに対しては、やはり管理監督者の責任になるんだと思いますよ。

 三つ目の論点、大臣がお答えになられました、この私の配っている一枚目の資料のとおり。本年の六月十八日の予算委員会で、NHKのテレビも入っているところで、塩崎厚生労働大臣はこう答えられているんですよ。

 つまり、どれだけのデータが抜かれた可能性があったか、どれだけの個人情報をそこで扱っていたのか、これについて当然公表しなければいけない、こう言っているわけであります。水島理事長が渋る中、最後、大臣は、個人情報がどれだけあったのか公表すると言っています。

 大体七割調査が終わったと聞きました。残り三割あるそうですけれども。この七割の中に、一体、国民の、職員の個人情報が入っていたことは報告されています、それ以外、機構からいえばお客様、この皆さん方の個人情報、わかっている百二十五万件以外に何件あったと現時点で確認できているのか、お答えいただきたいと思います。ゼロなのか、それとも何件かあるのか。

 これは大臣が公表するとお話しされているのですから、大臣からお答えいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 私がわかり次第公表しなければならないということを申し上げたのは、そのとおりでございまして、共有ファイルサーバーの調査、これを今機構の方で鋭意やっているところでございまして、現在、共有ファイルサーバーにどのような個人情報が含まれているかについての調査をやっておりますけれども、かなり、さっき七割というような話がありましたが、現状では大変困難な状況になっているというふうに聞いているわけでございます。

 それが、残り三割のところがパスワードがかかっているというような状況で、なかなかそれを、個人情報が入っている確認作業に時間がかかっているということでありまして、いずれにしても、これはわかった段階で公表をしていくということは、御答弁申し上げたとおりでございます。

 ただ、我々として一番気にしていたところは、そのこともさることながら、百二十五万件以外に国民の皆さんの年金の個人情報が流出していないかどうかということを大変心配しておったわけでありますけれども、これに関しては、NISCの方の調査でも、また第三者委員会の方でも、フォレンジック調査を含む調査の結果、これはもちろん機構の方からも明確に書いてありましたが、国民の皆さんの個人情報流出は百二十五万件以外確認されていないということで、もちろん断定的に申し上げることは難しいわけでありますが、百二十五万件以外の個人情報が流出した可能性は極めて低いということであります。

 したがって、先生御指摘のように、共有ファイルサーバーに一体何が個人情報として入っているのかということを突きとめ、それをわかった段階で公表するということは、お約束したとおりでございます。

岡本(充)委員 七割の調査が終わった現時点において、大臣のもとに、個人情報がこれだけあったという報告は機構から来ていない、そういうことでよろしいですね。

塩崎国務大臣 まだ、この七割部分についても、詳細な報告は私のところには来ておりません。

岡本(充)委員 水島理事長、七割の部分で判明したことはあるはずですよ。大臣のところに報告していないんですか。七割解析すれば、相当いろいろな話がわかってきているはずですよ。

 もちろん、わからない三割の部分、難航をきわめる、それはあるでしょう。しかし、本来、取り扱いとして、業務が終わった後も、サーバーに残してはいけない個人情報を残していたり、パスワードをかけなきゃいけなかったものについてパスワードをかけずに置いていたり、こうした手順にもとる個人情報の扱いをした件数は一体何件あったのか。これは当然、パスワードはかかっていないわけですから、開けるはずですよ。

 したがって、先ほどの大臣の話で、パスワードがかかっているからわからない、そこの部分は、ある意味、手順に基づいてパスワードがかかっているから見られないんでしょう。しかし、パスワードもかからずにぱっとあくようなところに個人情報が入っていなかったか、これは結構早くわかるはずです。そういう意味で、かなりの部分がわかっていたからこそ、職員の情報がそこにあったことが報告をされている。

 一方で、それ以外のいわゆるお客様情報、これについては一件もまだ確認できていないんですか。百二十五万件以外にただの一件も確認できていない、そこに置いてあった、サーバーの中に残されていた、こうした情報が一件も確認できていないのかどうかだけお答えをいただきたいと思います。

水島参考人 ちょっとお話をさせていただきたいと思いますが、現在、共有ファイルサーバーに個人情報が含まれているかどうかについては、ファイルベースで調査を行っております。

 具体的な調査方法は、四百余りございますサーバーについてのコピーを全部本部にとりました、物理的にとっております。そのファイルの中身を順次調べてきているわけでございます、個人情報の有無を調べてきておりますが、このうち、おおむね個人情報があるかないかということについて調査が終わってきたのが約七割だということでございます。

 今現実に行っておりますのは、可能性があるファイル、これはかなり幅広に可能性があるものを抽出しておりますので、このファイルの中身を一つ一つあけて、個人情報がどういうものなのかということを、本当に個人情報なのかどうかということも含めまして、それを確認しているという作業を行っているところでございます。

 それから、残りの三割でございますが、もちろんパスワードがかかっているものもございます。しかし、かなり古いものもございまして、どういうものであるかということがなかなかわかりにくいというものもございます。こういうものについて、まずパスワードについては、それを解明して、転勤をしている人もいますからそれを追っかけてパスワードを調べるというようなことをやっていかなきゃいけないわけです。それは、今その調査を行っている。

 今御指摘の、例えばアクセス制限がかかっていたかどうかということに関しましても同時に調査を行っております。アクセス制限が全体の中でどの程度かかっていたかということについては一定の時期にわかってくると思っておりまして、私どもも、実態がどうであるかということもきちっと把握しなければなりませんので、この調査はできるだけ早く進めたいというふうに考えているということでございます。

岡本(充)委員 ちょっと説明させていただいていいですかと言って、全く違う話に話をすりかえて、結局私の質問に答えない。ちゃんと答えてください。

水島参考人 これは再々御答弁を申し上げておりますが、共有ファイルサーバーの中に他の個人情報が入っている可能性は否定しないというふうに申し上げております。

 それで、もちろん、百二十五万件以外の個人情報が入っていることは否定しないというふうに申し上げておりまして、ただし、これは申し上げるまでもございませんが、そういうものも含めて、フォレンジック調査等の結果で百二十五万件以外は流出をしたことが確認をされていないというふうに申し上げているわけでございます。

岡本(充)委員 理事長、理事長はもう私の質問をわかっているはずですよ。出ていったかどうかを聞いているんじゃない、ここにあったかどうかを聞いているんですよ。あったかどうかは否定しないと言っているけれども、七割調査をすれば一件ぐらいは見つかっているはずですよ。それは一件ぐらいは見つかっているでしょう、現時点で。

 ただの一件も見つかっていない、現時点において百二十五万件以外に一件も見つかっていないとここで言えるのか。それとも、実は何件か見つかっているけれども、可能性のある情報があるけれども、それについては今まさに精査をしている、少なくともそのぐらいは答えられるはずです。お答えください。

水島参考人 今お答えを申し上げましたとおり、百二十五万件以外の個人情報が共有ファイルサーバーの中にあるということについては否定しないと申し上げておりまして、したがいまして、逆に申し上げれば、あるということでございます。これが、しかし、流出はしていないわけでございまして、その点はぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 そのあるという情報は何件ぐらいある、この七割の調査の中で何件既にわかっているんですか、それは答えてください。流出していないかもしれないけれども、実際にサーバーの中にあった件数は大臣が公表すると言っているんですから。

 現時点で何件わかっているのか。大臣に上がっていないそうですから、大臣に聞いても仕方がない話ですから、理事長がお答えください。

水島参考人 まさに御指摘の件数も含めて現在調査を行っているということでございまして、先ほど申し上げましたとおり、サーバーの中の個人情報が入っている可能性があるファイルというのを抽出して、それを一件ずつ当たっている。その中にはもちろん個人情報がございます。それを、どのような個人情報であるかということも含めて現在調査を行っているということでございますので、まさに途上にあるということでございまして、これがまとまり次第公表をするということになります。

岡本(充)委員 わかっている分だけでいいと言っているんですよ。これ以上ふえてもいいんですよ。これ以上ふえても、別に後で、あなた何件と言ったじゃないですかと責める話じゃないんです。七割調べた中で、少なくとも何件は現時点でわかっているか、それは答えてくださいよ。

水島参考人 これも何度か申し上げておりますが、こうした調査の途中段階で、例えば共有ファイルサーバーの中にこういう個人情報が含まれているということを明らかにするということは、やはり、特定の情報について流出の可能性が高いという誤解や予断を生じさせるおそれがあります。

 そういう意味で、きちんと調査をした上でということでございますし、一方で、何度も、再々申し上げておりますが、いろいろな調査をした結果、百二十五万件以外のお客様の情報の流出は確認されないということでございまして、その点はぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 答えていないですよ。それは全然答えていない。早く法案質疑をやりたいんです。局長も待っています、答弁したくて。理事長、これはちゃんと答えてください。

 これは本当に重要な話なんですよ。それは、自分の情報が漏れた可能性があるんですよ、前から言っているように。可能性を否定はできないんですよ、いろいろなサーバーと通信しているんですから。一体誰の情報が出た可能性があるのか。

 最終報告で出したって、例えば中途で出そうと最後にまとまってから出そうと、結局、現時点で確認されている人は後からでも当然公表されるわけですから。結果として、これから先公表しないというのなら、言わない、これは筋が通りますよ。でも、公表すると言っちゃっている以上はいつか公表しなきゃいけないんです。そのときに出そうが今出そうが、結局のところ、国民の皆さんに与える不安というのは同じ話なんですよ。だから、それを先延ばしするんじゃなくて、今ここで出してください、わかっている分だけで結構ですと言っているんです。

 今現時点で七割やったけれども、結局、今のところ一件も確認できていません、それならそれでいいです。それは一つの答弁です。一方で、七割確認したら、現時点では、例えばウン万人、ウン十万人、何百万人、わからないですよ、何百万件ですね、件数ではこのぐらいはあるということを現時点で確認していますが、重複等があるので何人かは答えられません、これも答弁です。こういう形で答弁ください。

 委員長、私の質問を御理解いただけたと思いますから、また違うような答弁をされた場合には、ぜひしっかり委員長からお話をいただきたいと思います。

水島参考人 先生に大変申しわけないと思いますが、私どもは、本当の意味で真剣にこの調査を行っております。

 それで、これはお答えになるかわかりませんが、私どもは、個人情報が入っているファイルは別に隔離をしようと思っております。正確に把握をしてまいります。その作業の段階にございますし、その件数を申し上げるというよりも、全体を把握した上できちんと公表させていただくということが必要だと思いますし、繰り返しになりますが、百二十五万件以外は、いろいろな調査の結果、確認をされていないということについては、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。

渡辺委員長 岡本充功君。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 岡本充功君。

岡本(充)委員 そうしましたら、ちょっと角度を変えて質問したいと思います。

 七割の調査が終わった現時点、個人情報がサーバーの中にあったかどうか、共有サーバーの中に入っていたかどうか、お客様情報があったかどうか、これについて個人情報の解析を進めている、そのことについては理解はしていますが、現時点で七割が終わった中で、この解析が終わった中で、一体何件の個人情報、お客様情報があったか、この時点では答えられない、こういうことだそうでありますけれども、では、切り口を変えて、期日を設けて公表のタイミングを教えていただきたいと思います。

水島参考人 七割についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、可能性があるファイルを幅広に抽出したというふうに申し上げました。その中身を開いているというふうに申し上げております。

 この七割については、そう遠くない将来には、例えば個人情報が含まれているファイル数等についてはお答えができる状態をつくるべく努力をしてまいりたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 明示してください。

水島参考人 努力をいたしますが、今時点でいつまでということを申し上げられる材料をちょっと今持っておりません。そう遠くない将来にはお知らせをさせていただきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 委員長、ちょっと、ぜひコメントいただきたいと思います。このやりとりについてのコメント。

渡辺委員長 委員長は、お互いの質疑を聞いておりますけれども、この案件については一度理事会で協議をさせていただきたい、そのように思っています。

岡本(充)委員 そうすると、期日について理事会で明示をしていただける、このように理解してよろしいですか。

渡辺委員長 それは理事会で協議をするということでございます。

 岡本充功君。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 岡本充功君。

岡本(充)委員 ぜひ委員長にも、この議論を踏まえて、理事会での明確な期日が出るようなお取り計らいをお願いして、次の質問に移ります。

 確定拠出年金法の質疑に行きたかったんですけれども、ようやっと入れて、もうちょっと早く入りたかったです。

 また、きょうは、資料の二ページ目以降にいろいろな資料をつけました。

 一つ目のポイントは、本当にこれは加入者がふえていくのかという点です。厚生労働省としては、いわゆる確定拠出年金を含む三階建ての部分、ふやしていきたいという思いがあると聞いてはおりますが、残念ながら、その加入の割合というのは決して高くない。その理由はどこにあるのか。私はやはり、中小企業を中心に、掛金を出すことに対して大変その負担を感じている、それは否定できないと思います。大臣としては、これは否定できるとお思いですか。

塩崎国務大臣 私も、実は最初に確定拠出年金を法律でつくる際に随分かかわっておった者の一人として、おかげさまで今五百万人ぐらいは超えるところまで来たわけでありますが、確かに、もっともっと伸びてもいい制度ではないかというふうに思っているわけであります。

 今先生が中小企業の負担ということをおっしゃいましたが、確かに、中小企業が三階部分をみずから用意するということはなかなか、みずからも職員を抱えている身としては、かなりの負担であることは間違いないことでございますので、今回、そういうこともあって、制度を拡張して、言ってみれば、企業がそれを用意しなくても、個人の積み立てていくものに企業が乗っかるという形のものを御用意するというようなことも新たに創設をするわけでございますので、先生の御懸念の点はそのとおりだというところが私もあるというふうに思っているわけでございます。

岡本(充)委員 今回法改正をしたところ、この二枚目の表にある個人型DCで、一号被保険者はわずか六万人しか入っていないというこの現実。本当に少ないんですよ。

 この現実を見るときに、果たして、三枚目にあるように、全ての制度の皆さんに、三階部分に入れますよと箱は用意をしたけれども、入るお金がない皆さん方に対しての何らかの加入促進策を一緒に出すべきだったんじゃないんですか、本当は。大臣、そう思われませんか。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 もちろん、私どもは、個人型にしても企業型にしても、できるだけ多くの方に三階部分の年金、私的年金、企業年金等に御加入いただきたいと思っております。

 他方で、これは基本的には任意の制度だ、あるいは、基本的には公的年金と異なりまして補助金等々が入るという性格のものでもありませんので、できるだけ入りやすくする、あるいは取り組みやすくするということと、もう一つは、やはり制度の広報にこれ努めるということが必要なんだろうというふうに思っております。

 先般、金融庁さんがNISAという制度をおつくりになりましたけれども、NISAの認知度が高くなったのには、やはりかなりきちんと広報活動をしたということもございますので、そういったこともあわせて取り組まないといけない。

 今回も、個人型については、国民年金基金連合会で広報活動をきちんとできるような制度改正もいたしますし、私どもも広報にこれ努めるということと、できるだけ皆様方に認知をいただいて入りやすくするということで努力をしていく。

 さまざま制度的な手当てということ以外にもできることはあろうかと思いますので、そこの点は努力してまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 制度の問題だけではなくて、やはり掛金を払うことに負担感を持っているというのが加入が進まない理由ではないか、先ほど大臣は、お伺いしたところ、そうお認めになられました。そういう意味では、その理由の一つだと私も思います。

 どういうふうな促進策をするかは議論があるとは思いますが、そうした議論を踏まえて本来この法改正をするべきだった。後ほどお話をしますけれども、さまざまな積み残し点を残して法案を出された感が拭えないんですね。であれば、来年きちっと整理をして出すべきじゃなかったか、最後にもう一度それは指摘をしたいと思います。

 論点のもう一つが、三ページ目にあるように、拠出できる金額に物すごいばらつきがある。DCとDBは、例えばDB、確定給付型の年金は青天井ですよ、掛けられるお金が。幾らでも掛けることができる。一方、同じように横並びにしているこの三階建て、今回の例えば三号被保険者に関しては、月額二万三千円ですよ。同じ制度だと言えるんですか。ある意味税優遇がある年金として、この年金制度、専業主婦だったら二万三千円しか税優遇が受けられないけれども、どこかの大企業であれば青天井でどこまででも税優遇が受けられる。これは本当に平等と言えるのか。

 厚生労働省の資料では、差がないというふうにしているけれども、これは実際には大きな差があって、極端なでこぼこがある。もっと言えば、DBに入る入らないはその会社が恣意的に決めることができる。規約を定めれば、同じ給料をもらっていても、この社員にはDBはつけない、この社員にはDBをつける。そして、もっと言えば、報酬見合いにして第三の給与を、第二の給与と言うべきか、そこにお金を大きく盛ることもできるという、ある意味不公平を同じ企業の中でも生じさせるこの制度、もちろんDCもそうですけれども、こうした部分についても不公平がある。これは大臣は認められますね。大臣に聞いています。

香取政府参考人 もし必要があれば大臣から補足いただきますが、まず、今回、特に個人型に関して言いますと、事実上全ての方が入れるようになりますので、新しく皆さんが入れるという目で見ますと、御指摘のように、まだでこぼこが残っている。

 拡大していく過程の中でそれぞれ経緯があって、これは税務当局との御協議の中でこういう形になったわけですけれども、これは前回のこの委員会の御答弁でも申し上げましたが、個人型について、今後のことを考えますと、それぞれライフコースが多様化するということを考えますと、ある程度それは統一的な考え方を整理する必要があるというのは、そのとおりだというふうに思っております。

 他方、企業型に関しては、DB、DC、企業によってそれぞれ取り組み方が違っている。それから、これは制度の成り立ちということによりますが、DBは、企業が退職金をいわば延べ払いのような形にしてDBに移行させてつくったというふうな経緯もございますので、退職金としての要素もあるということになりますと、税制面でのことも考えますと、やはりそれぞれ退職金との関係も出てくるということで、同じような形で基準をつくるというのは、やはり税務当局との折衝の中でもなかなか議論がかみ合わないところがあったということがございます。

 それと、DBが青天井だというお話がありましたが、申し上げたように、DBは、給付を確定させて、それに合わせて掛金を企業が積むということになっていますので、いわば一人一人の限度額という概念がないので、その意味でいいますと、給付の総額というところで決まるということもありますので、DBとDCを、個人のレベルでの限度額を厳密な意味で比較するというのは、制度上、実はちょっと、なかなか難しいということもございます。

 それから、先ほどあった、DBの場合に、従業員によって、今でいうと給付の号が決まるわけですが、給付分が異なるという話がありますが、まず、基本的な給付設計を決めるというのは、事業主側が一方的に、恣意的に決めるということは基本的にはできませんで、これは規約で、労使合意、加入者との協議の上で、こういう方は入ります、こういう給付要件にします、例えば五年以上入った人をしますとか、そういう給付要件を決めるということですし、給付の水準を、労使合意で規約を決めるということになりますので、基本的には労使の合意をベースの上で決めるということになります。

 それからもう一つは、経緯で申し上げますと、退職金からの移行でDBをつくった企業が多いので、そうしますと、退職金そのものが、例えばどういう役職でおやめになるかということによって、企業の側が、退職金の水準が決まりますので、それを移行させた企業ですと、例えばそういった退職金の水準、あるいは勤務期間の長さといったものを反映するということになりますので、そういう意味では、恣意的なものではないということと退職金との見合いになる。

 さらに言いますと、私どもが規約を認可しますときに、特定の人を排除する、あるいは差別的な取り扱いをする、あるいは極端に給付水準を変えるといったものがあれば、それは私どもの方で一定の基準の中で御指導申し上げておりますので、そこは事業主が恣意的に、自由に、好きなようにできるということではないというふうに私どもは理解しております。

岡本(充)委員 何も自由に、恣意的にやると言っているわけじゃないんですよ。これはある意味、従業員の間での差別的取り扱いにつながるんじゃないか。厚生労働省としてそういうことは認められないはずですよ。ある職員は社員食堂を使えるけれども、この職員は社員食堂を使っちゃいけない、許されないですよね、こういう取り扱い。

 したがって、この職員にはDBをつけるけれどもこの職員にはDBをつけない、こういうことではなくて、本当は、公的年金であれば、もらっている給料に従って、その会社に勤めている人はひとしく同じ会社負担が生じる、こうでなきゃいけないんじゃないか、私はそうお話をしているわけです。

 なおかつ、これは金額にばらつきがある。それは確かにDBとDCは性質は違いますよ。ただ、企業が出すお金であり、なおかつ税制上の優遇があるというこの観点でいえば同じ話なんですよ。したがって、これはやはり金額について合理的説明ができなきゃおかしいと思う。

 三枚目、これは、上、天井がそろっているけれども、DBの上に今度は拠出型の、拠出限度額一・二万円でお金を出せるようになると言われている。例えばこの一・二万円、隣のいわゆる企業型DCの上に今度乗ることができる二万円、そして新たに三号被保険者が入れる二・三万円、この金額についてもばらつきがあるんですよ。

 これは、上がそろっているような絵を見せてあたかもきれいにしているけれども、物すごく合理性がない。もっと言えば、入っている、足元の年金によってかなりの差が出てきてしまう、そういう制度になってはいないか。これは本当はきちっと議論をするべきでしたよ。例えば三号だってそうです。

 では、例えば、何で一号被保険者の国民年金基金は月額六万八千円と決まったんですか。局長でいいです、答えてください。

香取政府参考人 国民年金基金は、平成元年の制度改正で導入したと記憶をいたします。平成三年施行です。平成元年は、私は補佐で年金課におりましたので、当時の記憶で言いますと、たしか、厚生年金の標準報酬の上限額の人が払う当時の料率で計算した保険料額をベースに算定したと記憶しております。

岡本(充)委員 これは通告しているんですから、たしかじゃ困るんですよ、局長。これは極めて重要。

 これは、六万八千円、それ以後変わりましたか。

香取政府参考人 変わっておりません。

岡本(充)委員 標準報酬月額は変わりましたか。

香取政府参考人 標準報酬月額は、年金……(岡本(充)委員「上限、変わっていますか」と呼ぶ)はい、変わっております。

 むしろ、この額に関して言いますと、税務当局からは、高過ぎるので下げろと実は毎年のように言われているというのが現実でございます。

岡本(充)委員 それは聞いていないんですよ。

 制度の設計が、厚生年金の標準報酬月額の上限を見て六万八千円を決めた、このたてつけであれば、当然、標準報酬月額が上がっていく過程でこれは上がっていかなきゃおかしいんです。理屈が合っていないんですよ。

 結局、この部分についても、長らく年金部会で企業年金に関して議論することは非常に薄かったと聞いている。このたび、法改正になって急遽集めて、年金部会の中で企業年金に関して話す部会をつくって話を始めた。話を始めて十一回ですか、十三回ですか、話をされたと聞いていますけれども、これは煮詰まらないまま出てきたんじゃないか。この金額が本当に妥当なのか。先ほど言った二万三千円、二万円、一万二千円、これだって合理的に説明できませんよ、きのう大分やったけれども。本来、これをきちっと詰めてから出すべきだった。大臣、聞いてみえますか。お願いしますよ。

 ぜひ、これは詰めてから出すべきだったということを大臣にもやはり一定程度認めてもらって、また三年後なんて言わずに、改めて、早急にきちっと合理的に説明できるような制度に見直していくべきではないか、それについて大臣のコメントを最後に求めたいと思います。

塩崎国務大臣 先生から御指摘をいただいた問題点は、やはり企業年金部会で言ってみれば議論はしたけれども答えが出なかったというところがおっしゃるとおりのことでございまして、先ほど数々問題点として御指摘になられました。

 特に、DBの側の問題点について多く御指摘をいただいたわけでございまして、今回は、確定拠出年金というのが、つくったけれどもなかなか伸びないという中で、これを伸ばすことが、公的年金を補完する形で、国民の将来設計をみずからが選んでいくということの可能性を早く御提示をしようということで、十年たってこういった形でまた再提案を申し上げたということで、先生がおっしゃったような問題点は、企業年金部会でさらに議論を深めていかなければならない。

 また、確定拠出年金と確定給付年金との間のイコールフッティングの問題など、本当に引き続き議論を重ねていかなきゃいけないということはよくわかった上で、確定拠出年金側の、これを伸ばすということも待ったなしでもございましたので、今回はこういう形で出させていただいたということでございます。

岡本(充)委員 時間になりましたから終わりますけれども、ぜひ大臣、早急な見直しをしなければ、箱ができても入る人はふえませんよ。それだけ指摘をして、終わります。

渡辺委員長 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 皆様、お疲れさまでございます。私たちもきのう党内でちょっとがたがたありまして若干疲れていますが、頑張って御質問を申し上げてまいりたいと思います。

 まず、大臣、今、岡本委員が、後半は法案の審議にようやくなりましたが、それまでは、きょうはあたかも年金情報流出の集中審議かのような雰囲気でありました。それはそれで悪いことではないと思いますが、一つ、山井さんがまたGPIFの話をされています。何かあたかも、いや、私はわかりませんが、大臣があるいは政府が平和安全法制を乗り切るためにPKO、株価操作をしているんだ、こういう話がありましたが、それはそういうことでしょうか。

塩崎国務大臣 年金の掛金の運用は、何度も申し上げておりますけれども、専ら被保険者の利益のために安全、効率的な運用をするということでございまして、為替市場でも同じですけれども、影響を与えようと思って勝てるような市場の大きさではもう日本の株式市場もそしてまた為替市場もないということだというふうに私は基本的に理解をしているところでございます。

足立委員 私も大臣のお考えと同じで、特に、きょう大臣が御答弁された、そもそも、では、かつての基本ポートフォリオでいっていたらどうなっているんだという御紹介をたびたびいただいていますが、まさにそのとおりで、大臣が国民に対する責任だということをおっしゃっている点、全く同意でありまして、ぜひ、山井さんのような陰謀論、これは排除をしていくように、しっかりと否定をしていくということが大事だと思いますので、改めてお伺いをした次第であります。

 陰謀論ということを申し上げましたが、我が党が最近ちょっともめていますのも、実は似たようなものがありまして、例えば、山形で市長選挙があります。いや、これは法案にも関連するので申し上げますが、九月に山形市長選挙があります。これは本当に、山形の地域の経済あるいは社会、人々の、山形市民の仕事と生活をどういうふうに守っていくかということで、四年に一度の大変重要な選挙があるわけであります。

 ところが、私は行くなと言われたので行っていませんが、現地の話を伺うと、もう平和安全法制一色、安保一色になっています。我が党の幹事長も、安全保障法制で受けた恩を返すために行ったと。

 向こうへ行くと、民主党や共産党、特に共産党と五十項目近くの政策協定を結んだ候補がいます。私は、共産党候補だ、こう言っていますが、民主党候補だという意見もありますが、いずれにせよ、関係の政党の支援を受けて立っている政党の候補者は、小林節さんという先生とのツーショットのポスターがばっと張ってあります。今は告示がまだですから、ポスターが張ってあります。

 そういうことで、あたかもまさに安全保障法制に絡めて、国政に絡めて現場の政治を、地域の政治を、四年に一度の選挙を今左右しようとしているわけでありまして、そういう我が党の幹事長の行動については強く批判をしてきたし、絶対やっちゃいけない。むしろ、山形の未来にとって今誰が市長になるのが一番大事なのかという観点でずっと党内論争をしてきて、きのうに至ったわけであります。

 私は引き続きこういう陰謀論、陰謀論というのは、すなわち、本来あるべきテーマ、例えばGPIFの話であれば、GPIFの運用、基本ポートフォリオをどうするかということを議論すべきなのに、そこに大臣が、大臣がですよ、政府がですよ、あたかも安全保障法制の関連でPKOで公的なお金をつぎ込んでいるかのようなデマを振りまくことは決して政策論争において真っ当な議論ではない、それは陰謀論だ、こういうふうに考えています。

 それから、ちょっとこの場をかりて申し上げれば、我が党は代表選があります、十一月一日。この代表選は、まさに維新の党が、そういう間違った、陰謀論を含めたそうした路線に歩んでいくのか、真っ当な政策論議を政府・与党と、政府・与党に協力するんじゃないですよ、政府・与党と向き合って政策論争していける真っ当な野党、政権交代のできる野党になるのか、万年野党になるのか、その大きな分かれ目になります。

 厚生労働省の皆さん、関係ないかもしれませんが、我が党が厚生労働委員会でどういう立場でこれからも仕事をしていくのかということは関係あると思います。ぜひこの私の方針に御賛同いただける方は、あしたあさって、しあさってまで一般党員の受け付けをしております。あと三日、あと三日でございますが、しっかりと政党政治をつくり上げていくために頑張ってまいりたい、こう思います。(発言する者あり)民主党さんも何でもありなので、私も多少ちょっと追随をしたということであります。

 きょうは、まさに法案の審議でありますので、個人型DCにきょうも光が当たって、岡本委員も質問されていますが、私は、個人型DCというのは何なんだというところは、やはり引き続き、一週間前の質疑でも御質問申し上げましたが、大変重要だと思っていまして、先ほど大臣も、あるいは香取局長も、広報のことも含めていろいろ考えていかなあかんかなということで御答弁いただきましたが、一方で、〇・五%を、要は、今四千万人対象になっているものが二十万人も入っていない、〇・五%だと。これを何%にするという目標も別にないですよね、ないわけです。

 すると、この個人型DCというのは、対象者皆さんに入ってほしい制度なのか、入ってほしくないのか。単にこれは気づきの制度で、要は、自助に取り組んでくださいよ、皆さん、貯蓄もしてくださいよ、あるいは投資もしてくださいよ、それは老後のためですよと、そういう気づきのための制度なのか、対象者全員に入ってほしいのか。これは税制要望をされる際にも結構重要だと思っている。

 何でこんな質問をするかというと、同じようなことがほかの制度でもあります。例えば中小企業政策。これも、中小企業庁は中小企業に例えば補助金を出しています。全ての中小企業、あるいはそれを受ける資格のある中小企業者、イノベーションに取り組んでいる、技術革新に取り組んでいる、連携に取り組んでいる中小企業者があります。でも、みんなが受けられるわけがないんです。中小企業庁に補助金を申請する余裕のある、若干マニアックな方々がその制度に、それで、もらう人はずっともらっているわけです。でも、申請することさえ思いつかないで頑張っている中小企業者はいっぱいいます。

 だから、これについても、中小企業政策は、補助金は全ての人が受けるべきなのか議論があります。そんな財源はありません。もしかしたら、それは中小企業にイノベーションを促すための気づきの制度なのかもしれない、こう思っているわけです。

 では、個人型DCはどうなのか。四千万人、それが、今度この改正で大きく広がったときに、では、みんなこれに入ってほしいのか。どうでしょうか。

    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕

香取政府参考人 個人型DC、前回も御答弁申し上げましたが、任意の制度ということになりますので、その意味では、全員が必ず入るというような性格、もちろん理想としては入っていただきたいと私ども思いますが、なかなかそういうこともないでしょうし、さまざま他の選択肢も老後の備えという意味ではあると思いますので、その意味では、数値目標を掲げて進めるという性格のものではないと考えております。

 私どももさまざまな形で、こういう制度ができた場合にどのくらいの方が入るだろうか、意向を示すだろうかというのは調べておりますが、直近ですと、これは私どもの調査ではありませんが、ある民間の機関の方が調査をされたものによりますと、今度新しく入られる三号の方や二号の方、あるいは一号の方である程度制度を御理解された方のうち、意向を示される方が三割強いらっしゃるというデータがありました。これは民間の調査ですので私どもは責任を持てませんけれども、その程度の方はやはり御関心を持っていただけるということではないか。

 それからもう一つは、これもよく巷間言われることですが、金融庁さんがNISAという制度をおつくりになって、非常にこれは、証券会社さんも含めてかなり広範な広報活動をきちんとされる、銀行等の窓口でも資料をお配りして説明をするということがきちんとされたことによって、かなり認知度が高くなって利用がされたということもありますので、ある意味、こういった制度がある、あるいはこういった制度の詳細がこうであるということを認知していただくことによって、制度の普及はある程度進んでいくということはあるのではないかというふうに思っております。

 それからもう一つは、先ほどの議論でもありましたが、国民年金基金等々と比べますと、掛金を自分で決めることができますので、かなり若い方でも少額から始められる、こういったところはかなりメリットだと思いますので、そういったところを中心に広報していくということだと思います。

 それからもう一つは、企業型のDCの議論を企業の方々としていますと、企業型DCを企業で導入しようと思って例えば従業員側に提案をしたときに、その導入に当たって一番大変だったのは、従業員の方々に投資経験がほとんどないということになるので、まず投資教育等々をきちんとやって御理解をいただくというところが結構大変だったというお話もよく伺います。

 その意味で、同じことは多分個人にも言えるんだろうと思っておりまして、やはりよく制度を理解していただくための取り組みというのをきちんと私どもがすることで、多くの方々に関心を持っていただいて、制度を設計している側の立場なのでちょっとあれですが、それなりに役に立つ制度を御提案しているというふうに一応私どもは思っておりますので、できるだけそういった方々に入っていただけるように努力をしてまいりたいと思っております。

足立委員 できるだけ入ってほしいということです。

 一週間前の質疑でも御答弁いただいたように、これは個々人の努力を支援している、だから一応自助だと。自助、共助、公助ということであえて整理すれば自助に位置づけられると思いますが、一方で、税制措置を、税制上の支援を講じているという意味では、共助的な性格も多分ちょっと入ってくるんだと思います。

 まさにこれから財務省と引き続き税制面での調整をされていかれるときに、あるいはこれまでしてこられた中で、そういう非常に本質的な議論が財務省と厚生労働省との間ではなされていると思いますので、ぜひ、漸進的なものだとは思いますが、私たちは、余りゆっくりしていると公的年金制度の方の事情もありますから、しかるべきスピードで環境整備を深めるならちゃんと深める、そうじゃない、これはこの程度でいいんだということであればそうだということで、やはりもうちょっと自助、共助、公助の整理の中でのクリアな位置づけを求めていきたい、こういうふうに思っています。

 もう一つ、今、漸進的と私申し上げました。例えば、前回、イギリスの、自動的に入るようなことに対して、局長からも、なぜそれが日本では難しいのかということで御説明をいただきました。労使慣行とかいろいろなことをおっしゃいました。

 大臣にちょっと御答弁をいただきたいのは、まさに私、労使慣行とかにかかわる、例えばDCをどれぐらい、日本みたいに、〇・五%から広報していきますというレベルの我が国の様子もあれば、イギリスみたいに自動的に加入して八割という国もある。それは当然、お国柄があり、経済の仕組み、労働の仕組みが違うわけですね。

 すると、日本の社会保障、年金をこれからどうしていくのかと考えるときには、労働制度、労使関係にも当然相互作用しているということでありますので、その全体について、日本は今、格差とかいうことも言われている、非正規の問題もある、だから、年金はもともと、全部じゃないかもしれないけれども、基本的には厚生省の仕事ですが、厚生労働省でまとめてやっていらっしゃる意義は僕は大変あると思うんです。それは、例えば労使関係とかのあり方も含めて日本の将来はどうあるべきなのかということを議論していくべきだ、こう思っているんですけれども、そういう場が厚生労働省にあるのかなと。

 例えば、この法案は年金部会で議論をしてきたのかな。それは社会保障の枠組みで年金の議論をしてきているわけです。でも、そこで明らかに出てくるのは労使の話も僕はあると思うんだけれども、そこに入ると、それはもう労働省の世界だからということで、どうしても総合的なビジョン、絵を描くことが難しいんじゃないかなと思うんですが、大臣、ちょっと通告をちゃんとしていないかもしれませんが、私は、塩崎大臣、ぜひ来期も大臣を続けていただいて、余計なお世話ですが、そういう議論をぜひやっていただきたいんですが、今でもそういう場はあるんでしょうか。

    〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎国務大臣 場としては社会保障審議会の企業年金部会というのがございまして、今回ここで議論をして、結論の得られた確定拠出型年金についての改正を今お願いしているわけであります。

 今先生、基本的な社会保障や企業で働く人たちの老後の生活をどう設計していくかという、その際に、みずからが設計を、自分でし得るというのが確定拠出年金の一つの特徴でもあるわけであります。

 今、実は、厚生年金に入っている、いわゆる二階がある人たちというのが三千六百万人ぐらいいますが、それに対して、三階部分がない人たちというのが約六割いるんですね。約六割で、ごく一部、この確定拠出年金の個人型というのに入っていらっしゃる方がいますけれども、あとはない。企業型がある方が五百五万人にまで伸びてきた。そして、あとDBがあって、厚生年金基金、これは大分解消に向かっているわけであります。

 ですから、厚生年金基金をどっちにしていくのかということと、それから、今全く三階がない、私の事務所の職員もそうですけれども、そういうところがごまんとあるわけですね。約六割ですから、それが約二千万人近くおられるわけで、この人たちが、自分の老後の設計という意味では、二階部分までしかないということでやってきている。それでいいのかということを考えてみると、やはり我々はしっかりと議論をして、人生設計を皆さんにやっていただく、そういうことが大事で、公的年金二階までの分と私的年金の三階部分をどう組み合わせていくのか。

 イギリスのように、さっきお話があったものがありますが、日本は厚生年金自体の厚みが割合ある国であります。ですから、三階がなくてもということが許されてきていますけれども、さあ、果たしてそれで本当にいいのかどうかということはこれから皆さんに考えてもらわなきゃいけないので、そういう意味で、これまで以上に老後の所得保障という観点からも議論する場を、これは企業年金部会でやっていますから、とりあえずここが議論の場でしょうけれども、各政党でもあるいは国会でももっと議論をしていただくと、さらにいい、深みのある制度づくりができるのではないか、そんなふうに思います。

足立委員 ありがとうございます。

 私が質問を申し上げたのは労働サイドとの連携ということですが、それはいいです。ぜひ、そういう場も設けていただいてやっていただいたらいいと思います。

 企業年金部会での議論、これはよく私も理解しています。今大臣が御答弁いただいた、一階、二階、三階、二階が若干状況が変わる中で、三階が今のままではいかがかということで取り組まれている。しかし、大臣が今おっしゃった、そういう意味でいうと、企業型であれ個人型であれ、DCはやはりもっともっと充実をさせていく。先ほど申し上げた〇・五%が発射台だとすれば、それはやはり抜本的な拡充をしていかないと、国民の皆様の老後が安心できないということですね。

 もしそうやって、〇・五を発射台にしながら、大きく年金制度全体の中で、二階が細る中で、三階をしっかり整備していこうということであれば、戻りますが、やはり、イギリス型とは言わないけれども、もうちょっと加入が、単なる広報の問題ではなくて、労使のあり方、会社のあり方、企業のあり方も含めて制度整備をしないと。要は、厚生労働省としてはこう考えているという絵は描けている。

 きょうは採決があるのでしっかり最後までやらぬといかぬと思っておるんですが、いいですか。そういう意味で、通告の質問が大体終わったので、もうちょっといきます。

 本当に、今申し上げたような、年金とそれから労使のあり方まで含めてしっかりと議論していかないと、厚生労働省の施策が、きょうのテーマではないけれども、例えば年金もそうだし、医療、介護の地域包括ケアもそうです。余り質問しませんから気楽に聞いてほしいんですけれども、要すれば、厚生労働省の絵としては全部よくできていると思うんです。今回の企業年金の法案も非常にすばらしい。僕は、本当によくここまでつくられたと思っています。あるいは地域包括ケア、在宅シフト、これも全部、それは理屈上はよくできていますね。ところが、選挙区を回るともう大変です。地域包括ケアといったって大変なことだし、民主党さんがいろいろ批判されていた要支援の部分の総合事業もなかなかまだ動き出していない。

 だから、厚生労働省が描いている絵は美しいんだけれども、それが現場でどこまでやり切れているかというところについてやはり大変課題があって、そういう観点から年金制度を見ても、一体〇・五%を何%にするのかということは、それは五%でいいのか五〇%なのか、それによって現場の動きが変わってくるということだけは申し上げておきたいと思います。

 あと、通告申し上げている最後の問いですが、きょうは企業年金ということですが、社会保障制度改革国民会議では、公的年金も含めたさまざまな提言がなされました。多分、企業年金に関する提言はこの法案でほぼ片づくのかなと理解をしていますが、企業年金を超えた年金全般でいうと、いろいろな提言がなされていますが、一体あと何が残っているのか、ざっと御紹介ください。

塩崎国務大臣 先ほどの先生の議論にちょっと追加しておいた方がいいのは、企業年金というのは、この形をとった退職金という側面も非常に大きい。ですから、一時払いというものも多いということをつけ加えて、そういう意味では、労使関係のお話が出ましたが、そういう観点も十分考慮することが大事だというふうに思っているわけであります。

 国民会議の提言、それからそれらを踏まえて立法された社会保障改革プログラム法、さらには昨年の財政検証結果を踏まえて、社会保障審議会の年金部会で議論が行われて、本年一月に議論の整理が取りまとめられているわけでありまして、年金部会の議論を踏まえて、年金制度を支える経済社会に対して、年金制度として労働参加を促進していく等によってその発展に寄与するとともに、それを通じて、年金制度の持続可能性を高めて将来世代の給付水準の確保等を図る観点から、一つは短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進、それから年金額の改定のルールの見直し、さらには国民年金第一号被保険者の産前産後期間の保険料の取り扱いについて、必要な制度改正が実施できるように準備を進めているところでございます。

足立委員 今簡単に御紹介いただきました。これはまだまだ国民会議での提言は積み残しというか、当然まだやるべきことが幾つも、三つ、四つあるわけですが、スケジュールというか、今御紹介いただいたものはいつごろ出てくるのか、もし御紹介いただければ、お願いします。

塩崎国務大臣 まだ確定的にいつまでということを申し上げるところまで行っておりませんけれども、煮詰めているというところに来ているのであろうというふうに思います。

足立委員 質問は以上ですが、繰り返しになりますが、先週と今週ときょうと、私はこの企業年金、年金について御質問申し上げましたが、基本的には、自助、共助、公助という整理からどう考えていくのかということを申し上げました。

 従来から公明党さんなんかは一生懸命こういう整理をされて、PRもされてこられて、いつも拝見をしてきているわけでありますが、繰り返しになりますが、共助の年金制度が、要は年金というのは基本は共助であります、社会保険ですから。社会保険という意味ではこれは共助なんだけれども、その共助が細る中で、一方からは税金で年金制度を何とか下支えしようという形でずっとやってきている、また一方では、自助をもっと強めていこうということで、これも税制で措置をしながらやってきているわけでありますが、やはり大事なことは現場、国民の意識、あるいは現場の状況がしっかりとそこについていくことが大事、あるいは制度を現場にしっかりと合わせていくことが大事だと私は思っています。

 そういった意味で、私個人の意見としては、やはり自助をもっと強めていく。これは大事でありますが、一体自助というのは何なのか。先ほど中小企業政策の話も申し上げましたが、自助というのは一体何なんだというところが実は大事だと思っています。

 中小企業政策であれ、三階の年金制度であれ、これは必ずしも全ての人が入る必要はないのかなと私は思っています。先ほどイギリス型と申し上げましたが、これが本当に基本的なインフラとなって、みんな自動的に入るんだということがすぐに実現するとは思っていませんが、国民の皆様がもっと自分の老後について意識を持って、貯蓄をする、あるいは投資をする形でしっかりと老後に備えるような喚起は絶対していかなあかん。

 それをする中で、公的年金の支払いの、加入も含めた、それが非常に今、無年金、低年金がふえているのも、やはりそういったものへのコンシャスネス、意識が低いわけでありまして、私は、しっかりと、こういう年金の議論を通じて一人でも多くの、全ての国民の方に老後の備えに憂いがないように、自助も含めてやっていくように、ぜひ大臣、引き続き御努力をお願い申し上げて、私からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、堀内照文君。

堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。

 限られた時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 きょうは、まず法改正の目的についてです。

 法文上では、高齢期に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民生活の安定と福祉の向上に寄与するとしておりまして、この委員会でも同趣旨の答弁がありました。

 しかし、これも議論がありましたけれども、日本再興戦略二〇一四では、「金融・資本市場の活性化」の項目に確定拠出年金の普及がうたわれております。この中を見ますと、ここに本当の目的があるのではと思うわけでありまして、なぜこの日本再興戦略で、確定拠出年金の普及がこの「金融・資本市場の活性化」の項目に出てくるのか、大臣にお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 今回御審議をいただいておりますこの法案は、いわゆる人生設計というかライフコースとか働き方の多様化が進んでいるわけでありますが、そんな中で、企業年金の普及拡大を図るとともに、老後に向けた個人の継続的な自助努力を支援する、さっき自助、共助、公助というのがありましたが、その自助を支援する、そのために確定拠出年金等の法改正を行うということでございます。

 今回の法改正の目的は、あくまでも企業年金の普及拡大、そして老後に向けた継続的な自助努力の支援ということで、結果として資産運用の活性化につながって、我が国の中長期的な成長に資する、そういう可能性があるものだということから、日本再興戦略の全体構成も踏まえて、金融資本市場の活性化等の項目に位置づけたものでございまして、金融資本市場の活性化自体を目的としたものではございません。

堀内(照)委員 これは前回も、高橋委員の質問に、結果としてとおっしゃったわけですが、私は、結果としてという生易しい話じゃないなと思うんです。再興戦略の文章の中では、確定拠出年金制度全体の運用資産選択の改善ということがうたわれており、まさに金融資本市場の活性化のために具体化されたものだと読めるわけであります。

 この間議論のありました元本保証型商品の提供義務づけを外すことは、まさに、預金を中心にした運用から株式への運用ということで、その象徴だと思うわけですが、加えて今回、デフォルト商品の扱いを法定しております。現在設定されているデフォルト商品のうち、元本保証は九八%を占めています。今回、デフォルト商品の運用方法の設定を通知からわざわざ法定するのも、この分野で投資をふやそうということが目的ではないか、投資への誘導をするものではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今回さまざまな点の改正をお願いしているわけでございますけれども、加入者が適切な運用商品をみずから選択できる環境を整備するということとともに、そうした対応を講じてもなおみずからが商品を選択することがなかなか難しいという方、こういう方々のための措置として指定運用方法の規定の整備を行うということとしているわけでございます。

 具体的には、指定運用方法を法律に位置づけるとともに、指定運用方法の内容に係る周知や商品選択を促す通知など、より加入者本人によります商品選択につながるような手続を法律上整備することとしているわけでございます。

 こうした措置は、加入者のよりよい運用商品の選択を通じた老後資産の形成に資するために行うものであって、単に投資をふやすとかいうようなことを目的にしているようなものでは決してないわけでございますので、あくまでも老後の生活の厚みを増すということのための法改正というふうに御理解を賜れればというふうに思います。

堀内(照)委員 私は、今運用されている通知とこの法案の文章を読み比べまして、これは全然書きぶりが違うなと思ったんですね。

 通知では、「設定する運用方法として、元本確保型に限らず、例えば、株式や債券など複数の資産の組み合わせによりリスクが分散され、資産分散効果や時間分散効果が得られる運用方法なども、年金のような長期運用においては、安定した運用成果が期待できることから、労使で十分に協議し設定すること。」とされているわけですね。

 それが、今回の法案では、「運用の方法は、長期的な観点から、物価その他の経済事情の変動により生ずる損失に備え、収益の確保を図るためのものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものでなければならない。」と。

 通知では、元本保証型に限らず例えば株式うんたらかんたらなんですけれども、今度の法案では、最初から、長期的な観点から物価その他の事情云々ということで、ここでも議論になりました物価云々ということで、元本保証は実際は目減りするんだ、そういうリスクもあるということで議論がありましたけれども、これを読んでいますと、まるで元本保証型はだめだと言っているように今度の法文上読めるわけですけれども、そう言えないでしょうか。

香取政府参考人 この点は当委員会でも何度も御答弁申し上げておりますが、やはり、これは老後の生活のために毎月毎月何がしかのお金を掛け続けて運用していくということになりますので、基本的には、長期的に安定的に運用するということとあわせて、やはり老後の資金として、それがきちんと経済変動等に合わせて適切に管理運用されるということが大事だということになります。

 これは前回も答弁申し上げましたが、多くの方はこれまで、老後の備えというと生命保険を買うか貯蓄をするかということでやってこられたので、なじみがあるという意味では、いわゆる元本保証、簡単に言うと定期預金ということなわけですが、やはり今後の経済状況を考えたときに、ある意味、元本が保証されていれば老後生活が保障されている、そういうふうに例えば考えるということを前提にそれこそ元本保証をデフォルトで考えるということですと、やはりそれは実際に経済状況に対応した運用ができない、あるいは老後の資金が確保できないということになります。

 やはり、今回は、運用は経済状況に合わせてそのときそのときで考えていかなければいけないものですので、そういった考え方に立って、まずそもそも本人がきちんと選択をする、選択をできるような情報を提供するという投資教育の強化ということとあわせて、いわゆるデフォルト商品については、いわばニュートラルな形で経済状況に対応した選択ができるようにしてくださいということで申し上げたので、元本保証がいいとか悪いとか、こちらをお勧めするとか、やめるとかというような趣旨で今回の法律改正を考えているわけではございません。

堀内(照)委員 しかし、元本すら割れるよりはましなわけでありまして、投資へ向かわせるという懸念を拭えないわけです。

 この間、株価も大変下がっております。将来の年金を投機的な資金での運用に任せるということは、老後の安定を脅かすものだと言わなければなりません。

 年金部会の議論の中では、「公的年金を補完し、自助努力を促進するその他制度の重要性が相対的に高まっていくものと見込まれる」などと書かれているわけですが、そもそも公的年金の比重を低めてきたのはこの間の政治であって、それを進めておきながら、自助努力で補完せよ、しかもリスクまで背負わせるというのは本末転倒だと指摘をして、この切り下げられていく公的年金の代表的な事例として、きょうは障害年金の問題を取り上げたいと思っております。

 このたび、精神、知的障害の等級判定について都道府県格差が問題になりまして、検討会の開催、ガイドラインの策定へと今進んでおります。なぜ都道府県格差が生じたのか、その原因について厚生労働省としてどう捉えているのか、お答えください。

樽見政府参考人 障害年金でございますが、障害等級に該当する場合に支給するという仕組みになっているわけでございまして、その障害等級ごとの障害の程度というものが政令で定まっておりまして、より詳細な基準として全国一律の認定基準というものが定められている。

 障害基礎年金につきましては、各都道府県にございます日本年金機構の事務センター、そこで障害認定医というお医者様を委嘱しておりまして、認定医が認定基準をもとに医学的知見に基づいて個々の事例の判定を行って、認定基準に該当するものかどうかということの認定を行うという仕組みになっているわけでございます。

 御指摘のとおり、障害基礎年金の認定状況ということについて調査をいたしまして、その結果、精神障害あるいは知的障害については各県ごとの不支給割合にばらつきがあるということが確認をされたところでございます。

 精神障害、知的障害につきましては、身体障害のような場合とは異なりまして、一律の、例えば検査数値によって障害等級を判断するといったようなことがなかなか難しいという面がございまして、認定基準でも、日常生活の状況を総合的に評価するんだということになっているわけでございまして、各県ごとの認定医の方が認定の際にそれをどう考えるのか、何を目安にして考えるのかということについて、認定医の先生方の考え方に違いがあるということが認定の傾向に地域差が生じた要因の一つということではないかというふうに考えているところでございます。

堀内(照)委員 障害種別ごとの等級非該当割合を見ますと、精神、知的の場合、これは二〇一二年ですが、非該当が〇%、つまり全て認定されたのは四県であります。一〇%未満が二十九県あるのに対して、私が住んでおります兵庫県は五五・六%も非該当、半分以上がはねられているということで、大変な格差なんですね。

 ガイドライン案が示されて、パブリックコメントも募っているわけですが、関係者から強い懸念が今表明されております。

 それにかかわって幾つか聞きたいと思うんですが、きょう、資料で、精神、知的障害者の方の診断書の裏面ですが、一ページ目につけておきました。この左側の「日常生活能力の判定」、七項目四段階で評価をすることと、右側の「日常生活能力の程度」、これは五段階評価ですが、これをそれぞれ評価して、二枚目に、そのガイドライン、目安なんですが、縦軸、横軸、それぞれ七項目四段階評価と五段階評価、判定と程度、それぞれありまして、クロスをさせて等級の目安にするということであります。障害基礎年金の場合は三級は不支給でありまして、二級か三級かというのが大事な境目になります。

 障害基礎年金の障害認定の地域差に関する調査によると、不支給割合が低い十県における精神障害、知的障害の年金支給状況を見ると、診断書の記載項目である「日常生活能力の程度」が(2)相当であることが障害基礎年金を支給する目安となっている一方で、不支給割合が高い十県においては、この程度がおおむね(3)相当が基礎年金支給の目安となっているとされているんですね。

 しかし、このガイドライン案を見ますと、(2)は二級じゃなくて三級になっております。(3)のところで、二級や、二級または三級ということであります。

 三ページ目に、その基礎年金の現状の認定状況の表もつけておきました。この二ページ目と三ページ目を見比べていただきますと、例えば、程度の横軸のところの(3)の縦の筋、それから判定の平均でいうと二・五以上三・〇未満のところなんかは、現状ではほぼ二級に認定されているのに、今度の判定目安では二級または三級ということになっているわけであります。

 なぜ、現状で九割近くも二級に認定されているにもかかわらず、今度のガイドラインでは二級または三級になってしまっているのでしょうか。

樽見政府参考人 まず、今御提示いただきました資料でございますけれども、先ほど申し上げたように、地域差があるということが確認されたということで、ことしの二月以降、専門家の検討会というものを開きまして、この等級判定のガイドライン、いわば各地域ごとの目安に違いがあるとすれば、不公平があってはいけないので、それをできるだけ共通の考え方でそろえていこうという観点から専門家の方々に御議論をいただいているところでございまして、現在、この検討会で取りまとめていただいたガイドラインの案ということについて、パブリックコメントを行っているところでございます。

 そのガイドラインの案についてのことを今資料でお示しをいただいたということでございますが、このガイドライン案、御指摘のとおり、等級の目安として、日常生活全般における援助の程度というものを評価いたしました「日常生活能力の程度」という項目と、日常生活の場面ごとの援助の程度を評価しました「日常生活能力の判定」という、この二つの、これはいずれも、お示しいただきましたように、その方の診察をして申請をされるときの診断書にお医者さんが書いていただくことでございますけれども、それの状況の組み合わせで等級の目安というものを示すということがガイドラインの内容になっているわけでございます。

 日常生活の制限の度合いに応じて障害年金一級から三級まであるわけでございますが、実際の、今お示しいただいた三ページの方でしたか、最初に示したものでございますが、当初、事務方がこの検討会に示したたたき台ということで、これは実際に何級に認定された件数が最も多いかという観点から整理をしましたので目安を二級というふうにしていたわけでございますけれども、この検討会の議論の中で、三級と認定された件数も相当程度あるんだということで、むしろ総合評価、ガイドラインでこういう「日常生活能力の程度」「日常生活能力の判定」ということの組み合わせで目安を示しながら、さらにそれを総合評価するということがこのガイドラインの内容になっているわけでございますが、その総合評価の中で、その他のさまざまな要素を考慮して、二級と三級両方の可能性を慎重に検討する必要がある、検討会の議論でそういう意見があったということでございます。

 そういう意味で、まとめられた案につきましては、「二級又は三級」というふうにするとまとめられたということでございます。

堀内(照)委員 総合評価ということなんですが、「日常生活能力の程度」の(2)というのは、「家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。」という方でありまして、この点では、稼得能力、就労して生計費を稼ぐという点ではなかなか厳しい方も当然多く含まれているわけです。だからこそ、不支給割合が低い県ではここを二級の目安にしていたんだと思うんですね。しかし、このガイドラインでは二級にならない。

 認定医が総合評価を行うというんですが、この目安によって事務方であらかじめ等級を仕分けるというふうに聞いております。結局これでは、認定医が判定するのは、この「又は」のボーダーのところだけになりかねないんじゃないか。目安が事実上の原則化してしまうんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

樽見政府参考人 現在パブリックコメントを行っているわけでございますが、このガイドラインにおいては、「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」の組み合わせで目安を設ける。おっしゃいますとおり、この目安の確認作業につきましては、認定医による審査の事前準備として事務担当者のところで行うことができるということでございますので、実際、その事務を効率的に進めるということとしては、日本年金機構の担当職員の方でこういう目安の確認作業というものは行うことになるというふうに思っております。

 しかしながら、この目安はあくまでも認定医が認定を行う際の参考でございまして、個別の認定に当たりましては、認定医が、具体的な症状などについての診断書の記載、それから御本人や御家族が作成した病歴に関する書類などを総合的に判断するということになっているわけでございます。

 そういう意味で、機械的な認定にはならないというふうに考えてございますし、機械的な認定ということにはならないように認定をしていただかなければならないというふうに考えております。

堀内(照)委員 この点では日弁連から意見書も出ておりまして、「いったん目安が示されれば、この目安が原則化し、総合的考慮による等級判定の見直しが難しくなり、事実上、障害認定を厳しくする効果を持つおそれがあることは、介護保険制度の要介護認定や障害者総合支援法の障害程度区分認定においてもかねてより指摘されてきたところである。」と言われているんですね。

 私は、総合評価についても、これは時間がないのできょうはお聞きしませんけれども、幾つか例示がされておりまして、逆にそれが線引きの基準になってしまわないかと思うわけです。

 そういう懸念がなぜ強くあるかといえば、現にそうした事態が心疾患のところなど他の障害で起こっているからなんですね。

 先天性心疾患の方、手術を受けてペースメーカーを入れて生活をされています。チアノーゼはなくなりましたけれども、そのことをもって状態が安定していると判定されてしまいました。決していい状態で安定しているのではなくて、これ以上悪くならないようにということで生活しているわけで、仕事も制限勤務、しかし年金が切られ、無理をすると状態悪化する。

 別の事例では、きょうはその資料も、心疾患の診断書を四ページ目につけていますが、下の方の左側が大体その所見ですね。手術等によって症状がよくなるということで、ここの所見にあらわれない、しかし生活では困難だと。右側の2の一般状態区分というところがありますけれども、これでもエかオでないと年金給付に至らない。エという項目を見ますと、日中五〇%以上就床している、ほとんど半分以上寝ている状態。日常生活、社会生活ともに大変で、もうこれでは相当重くならないと年金支給に至らないわけなんです。

 心臓病の子どもを守る会の皆さんが、二十歳以上の方を対象にアンケートを行っております。重症の方が五七%、中等症が三三%、そういう対象の方ですけれども、一般状態区分はアかイでもう九割だというんですよ。

 ですから、心疾患の方のこういった状況を適切に評価されていないというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。

樽見政府参考人 今、心疾患ということでお話がありましたが、先ほど来お話に出ております精神あるいは知的障害ということと同様に、内部障害の方につきましてもその判定というのがなかなか難しいという要素があるということがございますが、こうした内部障害について、日常生活の制限の度合いということで、あわせて認定に当たって検討するということになっているわけでございます。

 いずれにしましても、認定現場の御意見ということも踏まえて、それぞれの病気の特性に応じて、まさに障害、その生活にどういう御不便が生じているかということを公正に評価して、制度の趣旨に合った形で障害認定を行うことができるようにしなければならないということについては、私どもも認識は共通であるというふうに思っております。

 具体的に、ここ数年でも、最新の医学的知見を踏まえた形で、個々の疾病ごとに、毎年二つか三つごと、病気について具体的な認定基準の改定ということをやってきております。私がこの職に参ってからも、二十五年は高次脳機能障害、二十六年は肝疾患、それから、実は心疾患の診断書の書き方というところについても見直しを行ったわけでありますが、ことしについては失語症、音声・言語機能の障害、あるいは腎疾患、聴覚障害ということについて行ってきております。

 これからも、個々の病気ごとの医学的知見の進歩、あるいは具体的な必要ということに注意をしまして、必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

堀内(照)委員 なかなかそういう病状や症状に、実態に合った認定になっていないということで私はきょう申し上げているわけです。

 私のところにも、このガイドライン案が示される中で、同じ病状なのに等級が下がったとか、就労ということだけで支給が受けられなくなった、いろいろな声が寄せられております。格差是正といっても別にならすということが目的じゃないと思うんです。本来支給できるはずの人が支給できていない現状をどう正すのか、そのためのガイドラインでなければならないと思っております。本来受給できる人が受けられないという意味で、新たな無年金状態の人をつくってはならないというふうに思います。

 最後に、ちょっと時間がなくなりましたので、大臣に二問あわせてお伺いしたいと思うんですが、幾つか提案をしたいと思っています。

 一つは認定のあり方です。

 今、現状では、資料を最後につけておりますが、認定医が本当に少な過ぎると思うんです。その限られた人が一人で何百人もの認定作業をされているわけであります。この抜本的な見直しが必要だと思っています。せめて、この認定を、他分野の専門家も含めた合議制にしていくこと、書類審査だけでなくて本人などとの面談を行うこと、そのためにも認定医をしっかりふやすということが第一であります。

 第二には検討会のあり方です。

 現在、検討会は九人のメンバーですが、そのうち八人がお医者さんで、六人が認定医であります。この間の障害者施策のあり方から見ても、当事者参加というのは当然であります。障害者家族、関係団体など、当事者を検討会のメンバーに加えて今後の検討を進めるべきだと思います。

 この二点を最後に伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 障害年金の認定というのは、専門的な知識を有する日本年金機構の認定医が、主治医の診断書及び申請者御本人あるいは家族が作成をいたしました病歴に関する書類を総合的に評価した上で認定をするということになっています。

 御指摘のように、認定を合議制で行うこと、あるいは本人等との面談による審査を行うということにつきましては、認定医の確保が難しいということ、それから審査に相当の時間を要することなどの課題があると考えているところでございます。

 認定に当たっては、現在も必要に応じて診断書を作成した主治医に照会を行うなどの対応をしているところでありまして、引き続き、認定事務が適正に行えるように努めてまいりたいと思っております。

 それから、当事者を検討会の中に入れるべきじゃないかということでございますけれども、この検討会では、専門性を踏まえた客観的な等級判定のガイドラインを作成するという趣旨から、障害認定に詳しい医師、精神障害や発達障害の専門医及び精神保健福祉士を構成員としております。

 一方で、当事者の皆様方の御意見を踏まえて検討することは重要でありまして、ことしの四月の第三回検討会において、障害者の関係団体からヒアリングを行った上で、先般、ガイドライン案を取りまとめたわけでございます。

 さらに、現在、このガイドラインにつきましては、パブリックコメントによって広くさまざまな方の御意見をいただくことにしておりまして、これらの意見も検討会に報告した上で、最終的な取りまとめを行っていただきたいと考えております。

堀内(照)委員 終わりますけれども、年金機構と認定医との契約書では、認定医は、裁定等に係る障害の程度の認定事務のうち、医学的事項に係る審査を行うとなっているわけですね。社会生活等を含めて総合的に判断というんだったら、やはり他分野も含めたメンバーが必要だと思いますし、私たちのことを私たち抜きで決めないでと、これは障害者権利条約の合い言葉、原則でもあると思いますので、ぜひその方向で検討いただきたいと強く要望して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、本案に対し、山井和則君外二名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。大西健介君。

    ―――――――――――――

 確定拠出年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大西(健)委員 ただいま議題となりました確定拠出年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 本法案では、確定拠出年金における元本確保型商品の提供義務規定を削除することとしています。政府は、確定拠出年金制度創設から十年以上経過し、同制度の普及が一定程度進んだことなどから、元本確保型商品を運用商品の選択肢に入れることを一律に義務づけることまでは必要ないと説明しています。しかし、加入者の中には、依然として株式等の投資知識に乏しい者が少なくありません。加えて、企業型確定拠出年金においては元本確保型商品による運用が約六割を占め、元本確保型商品へのニーズは高いと言えます。

 また、政府は、法改正後も労使の判断により、元本確保型商品の提供は可能であると説明していますが、中小企業の多くには労働組合がありません。このため、労使協議において労働者の意見が十分反映されず、元本確保型商品の提供が確約されないのではないかと懸念しています。

 このような状況を勘案すると、元本確保型商品が商品の選択肢に確実に含まれるよう、法律による提供の義務づけを継続する必要があると考え、本修正案を提出しました。

 修正の要旨は、企業型年金加入者等に係る運用関連業務を行う確定拠出年金運営管理機関等による確定拠出年金の運用方法の選定及び提示に関し一以上の元本確保型商品の提示を義務づける規定を削除することとする改正について、現行と同様、一以上の元本確保型商品の選定を義務づけることとすることであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

渡辺委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、確定拠出年金法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 確定拠出年金は、確定給付企業年金と並んで企業年金制度の中心であります。二〇〇〇年に導入された際、我が党は、賃金の後払いである企業年金を加入者の自己責任での運用に委ね老後の所得を不安定にすること、企業の運用責任と拠出負担を軽減する一方、国民資産を金融市場に動員するものであることなどの問題点を指摘して反対しました。今回の改定は、これらをさらに拡大するものにほかなりません。

 反対する第一の理由は、本法案が、公的年金の給付削減を前提に、国民の自助努力による老後所得の確保を一層進めるものだからです。

 塩崎大臣はたびたび、年金だけで老後生活を賄うという考えではないと発言していますが、国民年金法第一条には、憲法二十五条第二項の理念に基づき、老齢や障害等の場合にも生活の安定を図ることが国民年金制度の目的として明記されています。

 昨年は消費税増税の影響で年金が実質減となり、ことし四月からはマクロ経済スライドが初めて発動されました。さらに、支給開始年齢の引き上げやデフレ下のマクロ経済スライドの適用などを検討しながら、国民には確定拠出年金の拡大で自助努力を迫ることは、到底容認できません。

 第二に、確定拠出年金拡大の大きな狙いの一つに、国民の資産を動員して株価のつり上げを中心とした景気対策を進めることがあるということです。

 日本再興戦略二〇一四では、「金融・資本市場の活性化」として、確定拠出年金の拡大について、「豊富な家計資産が成長マネーに向かう循環の確立」と位置づけています。本法案では、現在二十一万人が加入する個人型確定拠出年金を全ての公的年金加入者を対象とするなど、今でも資産残高百兆円に迫る企業年金等をさらに拡大し、多額の国民資産を市場に流し込むものです。

 第三に、加入者は提供される運用商品の中から運用の指図を行うため、元本確保型商品の提供義務を削除することは、加入者をより高いリスクにさらすことになるからです。

 なお、民主党の修正案は、老後所得を自己責任で確保させる確定拠出年金を拡大するという政府案の根幹を容認するものであり、反対であります。

 最後に、高齢者の消費動向は、景気指標にとっても重要な意味を持ちます。民間銀行のレポートでも、昨年度の個人消費が勤労者で減少率〇・一%であったのに対し、高齢無職世帯は〇・九%も落ち込んでいることに注目しています。公的年金を縮小して、不足分は自己責任の運用で補えというのは、老後の支えを不安定にし、景気対策としても誤っているのです。

 雇用の安定と最低賃金の抜本引き上げ、最低保障年金など安心の公的年金制度こそ必要であることを強く指摘し、討論を終わります。

渡辺委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、確定拠出年金法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、山井和則君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、本案に対し、高鳥修一君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党及び公明党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。中島克仁君。

中島委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党及び公明党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    確定拠出年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

  運用商品の選定及び提示に当たっては、元本確保型の運用商品の選択の実態にも配慮しつつ、加入者の運用商品の選択の幅が狭められることのないよう、元本確保型の運用商品を含めたリスク・リターン特性の異なる運用商品から三つ以上の運用商品が適切に選定され、加入者に提示されるように必要な指導を行うこと。

  また、労使合意の形成に際して、特に労働組合のない中小企業において、加入者の意思が合意に適切に反映されるよう必要な指導を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

渡辺委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、塩崎厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次回は、来る九月二日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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