衆議院

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第9号 平成28年3月30日(水曜日)

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平成二十八年三月三十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 秋葉 賢也君 理事 江渡 聡徳君

   理事 小松  裕君 理事 後藤 茂之君

   理事 白須賀貴樹君 理事 西村智奈美君

   理事 初鹿 明博君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    池田 道孝君

      岩田 和親君    大串 正樹君

      大野敬太郎君    加藤 鮎子君

      神山 佐市君    木村 弥生君

      新谷 正義君    助田 重義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      田村 憲久君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    中川 俊直君

      中村 裕之君    永岡 桂子君

      長尾  敬君    丹羽 秀樹君

      根本 幸典君    橋本 英教君

      比嘉奈津美君    福山  守君

      堀内 詔子君    牧原 秀樹君

      松本  純君    三ッ林裕巳君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      井坂 信彦君    大西 健介君

      岡本 充功君    郡  和子君

      重徳 和彦君    中島 克仁君

      中根 康浩君    山尾志桜里君

      柚木 道義君    伊佐 進一君

      角田 秀穂君    中野 洋昌君

      吉田 宣弘君    高橋千鶴子君

      堀内 照文君    浦野 靖人君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      竹内  譲君

   厚生労働副大臣    とかしきなおみ君

   厚生労働大臣政務官    三ッ林裕巳君

   厚生労働大臣政務官    太田 房江君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室長)            佐々木 基君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        中島  誠君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          北崎 秀一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         杉野  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福島 靖正君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          宮川  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       香取 照幸君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  三浦 公嗣君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  唐澤  剛君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  山尾志桜里君     中根 康浩君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  高橋ひなこ君     中村 裕之君

  丹羽 雄哉君     加藤 鮎子君

  堀内 詔子君     根本 幸典君

  村井 英樹君     神山 佐市君

  山下 貴司君     池田 道孝君

  柚木 道義君     山尾志桜里君

  中野 洋昌君     吉田 宣弘君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     山下 貴司君

  加藤 鮎子君     丹羽 雄哉君

  神山 佐市君     大野敬太郎君

  中村 裕之君     高橋ひなこ君

  根本 幸典君     助田 重義君

  山尾志桜里君     柚木 道義君

  吉田 宣弘君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     岩田 和親君

  助田 重義君     橋本 英教君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     村井 英樹君

  橋本 英教君     堀内 詔子君

同日

 理事山尾志桜里君同月二十八日委員辞任につき、その補欠として西村智奈美君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

三月三十日

 児童扶養手当法及び国民年金法の一部を改正する法律案(初鹿明博君外八名提出、衆法第一六号)

 保育等従業者の人材確保等に関する特別措置法案(山尾志桜里君外八名提出、衆法第二二号)

同月二十九日

 社会保障の切り捨て中止に関する請願(真島省三君紹介)(第一〇四七号)

 障害者福祉についての法制度の拡充に関する請願(青柳陽一郎君紹介)(第一〇四八号)

 同(山本ともひろ君紹介)(第一〇四九号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員に関する請願(岸本周平君紹介)(第一〇五〇号)

 介護労働者の処遇改善と介護報酬の緊急改定に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇八九号)

 同(池内さおり君紹介)(第一〇九〇号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一〇九一号)

 同(大平喜信君紹介)(第一〇九二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇九三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇九四号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一〇九五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇九六号)

 同(清水忠史君紹介)(第一〇九七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇九八号)

 同(島津幸広君紹介)(第一〇九九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一一〇〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一〇一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一一〇二号)

 同(畠山和也君紹介)(第一一〇三号)

 同(藤野保史君紹介)(第一一〇四号)

 同(堀内照文君紹介)(第一一〇五号)

 同(真島省三君紹介)(第一一〇六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一一〇七号)

 同(宮本徹君紹介)(第一一〇八号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一〇九号)

 社会保障の連続削減を中止し、充実を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一一〇号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一一一一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一一二号)

 同(清水忠史君紹介)(第一一一三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一一四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一一一五号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一一一六号)

 同(畠山和也君紹介)(第一一一七号)

 同(堀内照文君紹介)(第一一一八号)

 同(真島省三君紹介)(第一一一九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一一二〇号)

 安全・安心の医療・介護を求めることに関する請願(池内さおり君紹介)(第一一二八号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一二九号)

 同(宮本徹君紹介)(第一一三〇号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(秋葉賢也君紹介)(第一一三一号)

 同(秋元司君紹介)(第一一三二号)

 同(穴見陽一君紹介)(第一一三三号)

 同(井上義久君紹介)(第一一三四号)

 同(井林辰憲君紹介)(第一一三五号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第一一三六号)

 同(岩田和親君紹介)(第一一三七号)

 同(漆原良夫君紹介)(第一一三八号)

 同(江田康幸君紹介)(第一一三九号)

 同(小渕優子君紹介)(第一一四〇号)

 同(大口善徳君紹介)(第一一四一号)

 同(岡田克也君紹介)(第一一四二号)

 同(岡本充功君紹介)(第一一四三号)

 同(梶山弘志君紹介)(第一一四四号)

 同(勝俣孝明君紹介)(第一一四五号)

 同(門博文君紹介)(第一一四六号)

 同(菅家一郎君紹介)(第一一四七号)

 同(北川知克君紹介)(第一一四八号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第一一四九号)

 同(小林史明君紹介)(第一一五〇号)

 同(後藤茂之君紹介)(第一一五一号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第一一五二号)

 同(篠原孝君紹介)(第一一五三号)

 同(田島一成君紹介)(第一一五四号)

 同(田野瀬太道君紹介)(第一一五五号)

 同(田畑裕明君紹介)(第一一五六号)

 同(寺田学君紹介)(第一一五七号)

 同(中川正春君紹介)(第一一五八号)

 同(長島昭久君紹介)(第一一五九号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一一六〇号)

 同(額賀福志郎君紹介)(第一一六一号)

 同(野間健君紹介)(第一一六二号)

 同(平沼赳夫君紹介)(第一一六三号)

 同(細田博之君紹介)(第一一六四号)

 同(真山祐一君紹介)(第一一六五号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第一一六六号)

 同(松本純君紹介)(第一一六七号)

 同(松本剛明君紹介)(第一一六八号)

 同(宮川典子君紹介)(第一一六九号)

 同(宮崎岳志君紹介)(第一一七〇号)

 同(山田賢司君紹介)(第一一七一号)

 同(山本有二君紹介)(第一一七二号)

 同(吉田豊史君紹介)(第一一七三号)

 同(吉野正芳君紹介)(第一一七四号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(清水忠史君紹介)(第一一七五号)

 介護報酬の緊急再改定に関する請願(篠原孝君紹介)(第一一七六号)

 労働時間と解雇の規制強化に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一七七号)

 同(池内さおり君紹介)(第一一七八号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一一七九号)

 同(大平喜信君紹介)(第一一八〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一八一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一八二号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一一八三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一八四号)

 同(清水忠史君紹介)(第一一八五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一八六号)

 同(島津幸広君紹介)(第一一八七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一一八八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一八九号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一一九〇号)

 同(畠山和也君紹介)(第一一九一号)

 同(藤野保史君紹介)(第一一九二号)

 同(堀内照文君紹介)(第一一九三号)

 同(真島省三君紹介)(第一一九四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一一九五号)

 同(宮本徹君紹介)(第一一九六号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一九七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 社会福祉法等の一部を改正する法律案(第百八十九回国会閣法第六七号)(参議院送付)

 厚生労働関係の基本施策に関する件(子ども・子育て等)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に西村智奈美君を指名いたします。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 厚生労働関係の基本施策に関する件、特に子ども・子育て等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府地方創生推進室長佐々木基君、子ども・子育て本部審議官中島誠君、総務省自治行政局公務員部長北崎秀一君、文部科学省大臣官房審議官藤原章夫君、高等教育局私学部長杉野剛君、厚生労働省健康局長福島靖正君、労働基準局長山越敬一君、職業安定局派遣・有期労働対策部長坂口卓君、職業能力開発局長宮川晃君、雇用均等・児童家庭局長香取照幸君、老健局長三浦公嗣君、保険局長唐澤剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤枝恒雄君。

赤枝委員 皆様、おはようございます。久しぶりでわくわくしておりますが、質問の機会をいただきまして本当にありがとうございます。

 きょうは質問がかなりありますので、お答えの方も簡にして要、簡潔な御答弁をお願いします。それをお願いしておきまして、比較的ボリュームがありますので、ちょっと読んでまいります。

 地方創生のためには、全国どこでも安心して産み育て、生活し、医療にかかったり介護を受けたりしながら尊厳ある死を迎えていくということが、この体制の整備が不可欠であると思います。

 そこで、これまで私が国会質問させていただいた事項のフォローをきょうは幾つかさせていただいて、予算の成立を受けて、五点の質問をさせていただきます。

 まず、医師の偏在対策であります。

 国会議員であって医師である私にとって最大のテーマは、医師の偏在対策です。

 厚労省でも検討が進み、新専門医の養成が来年四月に開始予定ですが、新専門医制度が逆に医師の偏在を進めるのではないかということが危惧をされていますが、この観点から二点お伺いをいたします。

 専門医のプログラムについて、厚労省は都道府県に対して、先ごろ、地域偏在の是正などを関係者と調整するようにという指示を、通知を出しましたけれども、具体的な調整の仕方を示す必要があります。

 また、医師の需給分科会で医師偏在に係る課題を提示されましたけれども、具体的な地域偏在対策について、例えば、私が考えるにも四つ五つあるわけですが、医師の偏在を抑える、縛るといいますか、最初の入学時に思い切った地域枠で八割ぐらいを地域で採るとか、こういう縛りもあるかと思います。あと、初期臨床研修の定数で絞るとか、あと、専門医のプログラムで絞る、あと、健康保険医、健康医を認可するときの縛りとか、あと、管理者になるときの要件で縛るとか、いろいろな縛り方が偏在を予防するのにあるだろうと思います。

 加えて、医師の需給の推計方法について言えば、医師の配置は患者数だけでは表現できないことがあります。例えば僻地や離島であれば移動の距離が非常に大きいので、その辺の、エリアも考えた要因も検討すべきじゃないか。

 同じく、供給ですが、配置調整に当たっては、医師がどこで働いているか把握すること、これがもう不可欠なんですが、今みたいに複雑に、アルバイトの医師がふえたりパートの医師がふえてきたりすると、医師の兼務先も含めた所在や履歴の把握が大事になってくるというふうに考えます。

 そこで質問ですが、医師の偏在対策について、専門医プログラムの調整の仕方、偏在解消の各段階に応じた縛りの対策、その検討状況、また、需要に対する調整の要因、供給に関する実態把握の現状と、やはり出身大学で縛るという方法もあると思うんですが、出身大学による管理など、最も確実な勤務状況と履歴の把握方法の案について、御答弁をお願いいたします。副大臣、お願いします。

竹内副大臣 お答えします。

 偏在対策と専門医の仕組みについて、この二点だったというふうに了解しておりますが、厚生労働省では、まず、医師需給分科会におきまして、医師の需給推計とともに、診療科偏在の是正策を議論していくこととしております。

 本分科会におきましては、地域医療構想との整合性の確保や地域間偏在の是正などの観点を踏まえつつ、まずはマクロレベルで将来推計を行うこととしております。製薬業界や国際保健分野等の医師の需要を詳細に推計するとともに、医師の勤務時間の大幅な短縮も見込むこととしております。

 さらに、秋口以降、都道府県の地域医療構想がおおむね出そろってまいりますので、医師の地域偏在、診療科偏在についての実態を把握した上で、具体的な偏在対策について検討していくこととしております。

 新たな専門医の仕組みにつきましては、御承知のとおり、日本専門医機構におきまして、医師が偏在することのないよう配慮しながら、新たな仕組みの導入に向けた準備を進めてきたところでございます。

 しかしながら、現在の方針のまま進めると医師の地域偏在を拡大させるおそれがあるなどの懸念も示されまして、社会保障審議会医療部会のもとで専門委員会を設置いたしまして、日本専門医機構が認定する専門医養成プログラムの地域医療への影響などを検証、調整することとしたところでございます。

 具体的には、日本専門医機構におきまして、必要な研修施設が含まれるように調整するとともに、各都道府県におきまして、大学病院や医師会などの医療関係者による協議会の設置や、プログラムに必要な研修施設が漏れていないかなどの検証等々、調整をすることとしております。

 これらの取り組みを通じまして、新たな専門医の養成により医師の偏在が起こらないように注視してまいりたいと考えております。

赤枝委員 ありがとうございました。

 それでは、医師の偏在にこれもちょっと関係することなんですけれども、地方にある私学の医科大学というのは、やはり、研修医をとられないためにいろいろな手を打っている。助成金を出したり、奨学金を出したり、いろいろな手を使って引きとめようとするんですけれども、授業料を下げる努力とかもしているんですけれども、何しろ、私学の助成金、これが思い切り少ないんですね。

 手元に多分資料が行っていると思いますが、その資料を見ていただければわかりますけれども、同じ石川県にありながら、国立の金沢大学と私立の金沢医大とでは、病院ベースで何と二十七倍も差があるんですよ。二倍、三倍の差じゃなくて、二十七倍も、要するに私学の方が助成金が少ない。

 それでもって、医師偏在を防ぐために、地方から都会に行かないように、奨学金を出したり、授業料を下げたり、いろいろな努力をしているわけですけれども、余りにも助成金が少ないということで、この助成金について、私立の医学部に対する増額の可能性というのはどのように考えていらっしゃるのか、御答弁をお願いいたします。

杉野政府参考人 お答えを申し上げます。

 私立大学の医学部の授業料につきましては、大学によってかなり幅はございますけれども、御指摘のように、一般的には、国立大学の医学部あるいは私立大学の他の分野の学部に比べましても高額となっておるところでございます。

 これは、そもそも医学部におけます教育が、臨床実習を初めといたしまして少人数教育を基本としているといったことから、他の学部に比べて教員配置がかなり手厚くなっていること、あるいは、医学あるいは医療技術の進歩に伴いまして、必要な施設設備などの整備に多額の経費がかかるといった事情があるというふうに考えているところでございます。

 文部科学省といたしましても、このような医学部教育の実情を考慮いたしまして、実は、私学助成の配分基準におきましても、特に医学部につきましては、教員単価あるいは学生単価を上乗せするといった特別の措置を行っているところでございまして、その結果、医科単科大学の学生一人当たりの補助額は、現状では私立大学全体平均の約十五倍という形で配分をさせていただいているところでございます。

 一方、私学助成予算全体につきましては、平成二十八年度予算案では、厳しい財政状況のもとではございますけれども、対前年度同額の総額三千百五十三億円を確保させていただいたところでございまして、文部科学省といたしましては、まずは私学助成の充実、さらには授業料減免の充実、奨学金制度の充実などの施策もあわせまして、私立大学の医学部に通う学生の経済的負担の軽減に今後とも取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

赤枝委員 これはまた次の機会に質問をしたいと思いますが、ちょっと納得できないようなお話でした。

 それで、時間がもう押してきているので、今度は個室ユニットの問題をちょっとお尋ねしたいと思います。

 人生最期の場所を病院で迎える人が七〇%以上いらっしゃるわけですが、やはり最期の住みかであります診療所か自宅か、自宅でなければ施設ということになる。その施設が、多床室か個室かという問題。これは、厚労省も前から七対三というのを、たしかことしに達成するはずですが、ところが、今のところ四対六で、まだ達成をされていないんですね。

 ここに来て、療養病床の廃止が決まったわけですが、これは決まったんですよね、療養病床廃止。決まりましたので、私は、この問題は今後社会保障審議会で検討されると聞いていますけれども、これをチャンスとして、個室ユニット推進の方に一気に進んでいく、そういうお考え、具体策を考えていらっしゃるでしょうか。これは三浦局長、お願いします。

三浦政府参考人 居宅に近い環境のもとで日常生活を送りながら、その中でケアを利用することができるユニットケアを推進するということは、特別養護老人ホームなどの入所者の生活環境の改善を目指すという観点から重要であると考えているところでございます。

 このため、厚生労働省といたしましては、平成二十七年三月に策定しました国の指針で、平成三十七年度の入所定員のうち、特別養護老人ホームなどのユニット型施設の定員が占める割合を七〇%以上とするよう努めることなどを目標とするよう自治体に求めております。

 このようなユニット型施設の整備目標を設けることに加えまして、地域医療介護総合確保基金におきまして、特別養護老人ホームなどのユニット化に係る改修費用の支援を行っておりまして、引き続き入所者の居住環境の改善を進めていきたいと考えております。

赤枝委員 ありがとうございました。

 時間がもうなくなりましたので、あと言いたかったのは、性感染症の予防のために、中学校を卒業すると、もうそこから先は社会人に、社会に出るわけですから、中学を卒業するまでに、無駄な、望まない妊娠とか、悲劇にならない、エイズの感染とかを予防するために性感染症の知識を身につけると本には書いてあるんだけれども、では、卒業時に身についているのか。これを確認する先生が、誰が責任者なんだろう、ここがはっきりしていないので、養護の先生を充てるとか、それをぜひやってほしいということ。

 あと、去年の内閣官房の推計によると、今まで入院していた患者さんを退院の方にどんどんどんどん促していこうという政策がこれから進行されると思うんですけれども、そのために、介護と看護の両方を取得した人、この人材確保がとても必要になると思うんです。

 そこで、この両方の資格、介護と看護の両方の資格が取得できるような相互認証とか単位の互換ができるような方法というのは考えられないんでしょうかということをお尋ねしたいんですが、これはいかがですか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 性感染症についてのお尋ねでございます。

 生徒が性感染症について正しく理解をし、適切な行動がとれるようにすることは極めて重要というふうに考えておるところでございます。

 学校におきましては、学習指導要領に基づきまして、中学校の保健体育科において性感染症について指導しております。文部科学省といたしましても、教材を作成いたしまして全国の中学生に配付をしているわけでございますが、その中で、クラミジアやエイズなどの性感染症につきましても、感染経路や予防法などを具体的に取り上げて示しておるところでございます。

 こうした指導についての生徒の理解度ということでございますけれども、授業の中で、例えばワークシートといった形でその理解の度合いを確認する、あるいはまた、定期に行われる試験などにおいてその理解度を確認するということはあるわけでございます。

 これと同時に、学校における責任体制ということでございます。これは各学校の判断で、保健主事や養護教諭が中心となって、学校教育活動全体を通じて性に関する指導を行っておるわけでございまして、個別の生徒の学習の状況につきましても、そうした体制の中で総合的に判断をしていくことが必要と考えております。その中で、また個別に課題があるといった生徒に対しては個別の指導を行っていくというふうなことをやりながら、生徒に必要な知識や態度が身につくように指導していくことが重要と考えておるところでございます。

渡辺委員長 質疑の時間が終了しておりますので、質疑を終了していただきたいと思います。

赤枝委員 最後のところだけイエスかノーかちょっと聞きたかったんですけれども、これは次の機会にまたすることにして、これで質問を終了させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、大串正樹君。

大串(正)委員 自由民主党の大串正樹でございます。

 質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、健診についてお伺いしたいというふうに思っております。

 一般的な人々からは健康診断というふうに呼ばれている、定期的に健康状態をチェックするような仕組みが多々あると思うんですけれども、正しくは健康診査ということだと思います。

 お配りしております資料にもありますけれども、かなりいろいろな法律にまたがって、そして、それぞれの法律ごとに、健康診査をすること自体の目的等々、異なるものがたくさんございまして、恐らく一般の国民は、この健康診査、それぞれどう違うか、そしてそれぞれどういう意味を持っているかということを意識せずに受診をされているのではないかなというふうに思います。

 まず冒頭、簡潔にお願いしたいんですけれども、どのような種類があって、それぞれどういう目的があるかというのを御説明いただきたいと思います。

福島政府参考人 お答えいたします。

 健康診査でございますけれども、特に成人を対象として行われているものにつきましては、医療保険各法に基づきますものであったり、あるいは高齢者医療確保法に基づくもの、それから労働安全衛生法、そして健康増進法に基づくものがございますし、また、法に基づかないものとして、任意のものとして行われているものがございます。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 それぞれ目的が違う中で、一般的に、乳幼児とか児童生徒、いわゆる母子保健や学校保健と言われる若い世代のものを除いて、就労されている労働者あるいは成人が受けるものには、医療保険各法にあるものとか労働安全衛生法、あとは高齢者医療確保法にあるもの、それぞれございまして、それプラス健康増進法。

 お配りした資料で、私、誤植がありまして、歯周疾患検診とか骨粗鬆症検診の検診のケンの字がにんべんの健診になっておりまして、これはきへんの検診の間違いだと思います。全身に、人間全体にかかわるものは健診という文字を使って、各臓器や個別のものに使うものは検診を使うというお話があるようでございますけれども、よろしければ訂正をしておいていただければと思います。

 そういったいろいろなメニューがたくさんある中で、特に今注目されているのは、特定健診、いわゆるメタボと呼ばれる生活習慣病予防に関するもの、これを、しっかりと健診の受診率、正しくはこれは健診実施率だと思いますけれども、実施率を向上させて、国民の健康の向上に資するという努力が続けられているということだと思いますし、また、健康増進法の、各病気に関する検診に関しては、やはり死亡率の減少効果を期待しての検診であるということで、それぞれの意味があると思いますけれども、どうしてもその細かい内容については、国民それぞれが、この健診はこういう意味を持っているなということを理解されずに受診をされているのではないかなというふうに思います。

 きょうの問題意識というのは、さまざまな法律やさまざまな趣旨があって実施はされているんでしょうけれども、ややちょっと複雑過ぎやしないかなということと、あと、それぞれの目的も、特に特定健診が生活習慣病予防だけに今ターゲットが絞られた健診である、もちろんコストの問題もありますけれども、この部分にだけ絞られたメニューであるということも、少しこれから見直していく時期なのではないかなという一つの問題提起をさせていただければというふうに思っております。

 そして、次にお伺いしたいことは、実際のこの特定健診の実施率の向上ということで、お配りした資料のテーブルの二のところにありますけれども、実際に、保険者ごとにかなり実施率に大きな差があるということで、特に、国保というのは実施率が非常に低いことが知られております。

 確かに、会社とか事業所で健診を受ける、会社に例えばレントゲン車が来て一斉にみんなで健診を受けると、恐らく意識も高いであろうし、また労働者自身にも受ける義務があるということでありますので、これは当然実施率は高くなろうかと思います。

 それで、できるだけ、特に国保の、受診率の低い自営業であるとか農業であるとかそういう従事者の受診率を上げていくことは大きな課題ではなかろうかというふうに思っておりますし、そのためのいろいろな施策が取り組まれているとは思いますけれども、また一方で、表の下の方に括弧書きで、実施率の下の括弧は被扶養者ということで、本人は受診していても被扶養者が受診をしていない。

 この被扶養者は、例えば男性であれば奥さんであるとか、あるいはお父さん、お母さんであるとか、いろいろなパターンがあると思います。高齢者の場合は、健診なんか受けなくても、毎日のように病院に通っているから、基本的には健康チェックできているからいいのではないかという意見もあろうかと思いますけれども、やはり健診の実施率を向上するという施策を掲げている以上は、この被扶養者の健診もいろいろな意味では向上させていく必要があるのではないかなというふうに思っております。

 特に、低いのが、意外にも、共済の実施率は非常に高いんですけれども、被扶養者の実施率となりますと国家公務員共済の実施率が非常に低いということで、これはやはりいろいろな意味で、身近なところから、国家公務員の方々にもいろいろな方々いらっしゃいますので一概には言えないですけれども、身近なところからもぜひ受診の勧奨をしていただきたいなというふうに思います。

 そういう意味では、今まで保険者ごとの実施率の向上ということがよく見受けられたんですけれども、もう少し細かく分析して、どういうタイプの人が行かれていないのか、どうすれば行ってもらえるのか、いろいろな通知の仕方もあると思いますけれども、そういった分析をこれからしていく必要があるのではないかなと思います。その辺についての御見解をお願いいたします。

唐澤政府参考人 先生の御指摘いただきましたとおり、国民健康保険の加入者の方は、やはり、同じ会社に勤めているということではなくて、自営の方でございますとかあるいは小さな事務所のようなところにお勤めの方でございますので、なかなかこの健診受診率、これまで、もちろん上がってきてはいるんですけれども、健康保険組合の被保険者の本人などに比べればかなり低い率となっております。

 それから、御指摘いただきましたように、同じ被用者保険でも、被扶養者の方、奥様ですとか御家族の皆様ですけれども、こちらの方も会社にはかなり遠いところにいらっしゃるということで、やはりそれぞれの御地元で受診していただけるように工夫はしておるのでございますけれども、こちらの方も御本人の被保険者に比べますとかなり低い率になっておりまして、やはりこれを上げていくことが大きな課題であると考えております。

 そこで、私どもの方も、こうした特定健診の受診者の方につきましては保険者でさまざまな工夫をしておりまして、例えば、ずっと受診をしている方は来年も受診されるわけですけれども、昨年未受診の方については特に強いメッセージを送るとか、あるいは、過去に受診してずっと受診していないという方については、例えば保健師さんに電話をしてもらうとか、こういうようなマーケティングの手法などを取り入れた事業をやっているところもございます。

 こうした取り組みをデータヘルスというような形で今広く推進しておりますけれども、こうした受診率の向上につなげることができるように、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 以前にも私、一般質疑のときに、広報のあり方ということでちょっとお伺いをしたことがありまして、やはり健康にかかわることとか命にかかわることについてはいろいろな形で周知をしていく、そして、その理解を深めて、できれば自主的に、自分から受けたいなというふうに思えるような制度に変えていく必要があろうかと思います。

 特に、職業によって格差が生じたり、いろいろな意味で今賃金の問題とかが議論されておりますけれども、健康の面ではぜひ格差が生まれないようにそういう施策にしっかりと取り組んでいただいて、今お話ありましたようなマーケティングの手法もしっかりと、いい事例があればいろいろなところで共有していくような、そういう後押しをしていただければというふうに思います。

 そういう意味で、実施をしていっていただくことと、この次の質問なんですけれども、では、どうやればその本人たちが自分たちも受けてみようかという気持ちになれるかという点に移りたいと思います。

 それは、ターゲットごとにそれぞれの人たちがいろいろな形で受診をして、受診しっ放しではなくて、その結果を受けて自分たちの次の健康にどう生かしていこうか、この結果、自分はここが弱いとか、もちろん疾病が発見されれば治療に専念していただくということでありますけれども、その結果を生かしていく、そして自分の次の生活のスタイルに注意をしていこうという、それを促す、そういった意味での受診者側に対するインセンティブというのはどういうふうなものを検討されているか、教えていただきたいと思います。

福島政府参考人 お答えいたします。

 御本人に健診を受診していただくためのインセンティブというものについてでございますけれども、現在、保険者によるヘルスケアポイントの実施など、個人の予防、健康づくりを促す取り組みを推進しておりまして、これが結果的に健診の受診につながることになると考えております。

 また、がん検診につきましては、昨年十二月に策定いたしましたがん対策加速化プラン、この中でも「検診対象者、市町村それぞれの特性に応じて、行動変容を起こすためのインセンティブ策及びディスインセンティブ策を導入する。」とされておりまして、この具体的中身については今後検討を進めることとしております。

 さらに、二十八年度の税制改正におきまして創設されましたスイッチOTC薬の購入費用に係る医療費控除の特例におきまして、一定の健診等を受けていることがその特例の適用要件とされていることから、健診を受けるインセンティブとしての効果も期待できるものと考えているところでございます。

 こういう取り組みを通じて、受診者の方に対する働きかけということを通じまして受診率の向上に努めてまいりたいと考えております。

大串(正)委員 ありがとうございました。

 そういった効果がどんどん発揮されて、実施率の向上につながっていけばいいなというふうに思っております。

 最後に、今、それぞれの健診、いろいろなメニューがあって、検査項目が多々あって、幸いというか、ちょうどこの時期に健康診査等専門委員会というのが開かれて、ずっと議論がされているようでございます。本当に健診の中身についてもう少し見直していった方がいいのかなというのが個人的にも思っているところでありまして、冒頭お話ししましたように、生活習慣病予防という観点だけではなくて、例えば将来に向かっての介護予防につながるようなもの、例えば、歯がしっかりと生えて物がかめる様子であれば介護予防につながるというエビデンスがあるわけでありますから、歯科検診をもっと積極的に取り入れてみるとか、いろいろな健診のメニューの中身をもう少し広く、長いスパンで見てこれから検討されてもいいのではないかなと。

 もちろん、それぞれの多岐にわたる法律の整備というのを一貫したものに整える必要があるのではないかなというふうに思っておりますけれども、健診を受ける国民の側としてみれば、自分の健康チェックという一つのイベントとして、むしろ成長段階でも、幼児期から学校、そして職場に入ってから、高齢者になってからと、ずっと一貫性というかデータの継続性というのもやはりこれから考えていかなければいけないのではないかなというふうに思います。

 そういう意味では、これから大規模なデータを活用していろいろな医療のことを考えていく、こういう時代において、健康診断という制度を大きく見直していくべきではないかというふうに思うわけでございますが、その辺についての御所見をいただきたいと思います。

福島政府参考人 お答えいたします。

 健診につきましては、それぞれの制度におきます健診の目的、こういうことを踏まえて、また科学的な根拠に基づいて、対象者の数であるとかあるいは疾病の発症リスクなどを勘案しながら、どういうものを健診項目としていくのかとか、あるいは対象年齢をどうするか、そういうことを考える必要があると思います。

 具体的には、対象とする健康事象、例えば病気やリスクファクターでございますけれども、そういうものに対する検査、診断法とか、あるいは治療介入手段があるとか、あるいは早期に治療介入することがよい結果をもたらす、予後をもたらすということの根拠があるであるとか、検査の簡便、安全なものとか、そういう実施可能なものがあるとか、そういういろいろなものを考えながらやっていく必要がありますし、また、例えば精密検査であるとか、事後措置の対象者をどう選んでいくかということについての合意というものも必要でございます。

 こういう中で、全体として健診がより効果が上がるように、いろいろな項目を今後見直していきたいと考えております。

大串(正)委員 ありがとうございました。

 私も、政治の方からしっかりと新しい制度、これからどんな制度がふさわしいのかということを一緒に考えてまいりたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、安倍内閣が取り組んでおります希望出生率一・八をめぐる諸課題についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 一人一人が家庭を持ち、また子供を持ちたいという希望を実現していくために、やはり非正規労働者の待遇改善また働き方改革というものが不可欠であろうと思っております。

 安倍総理が、施政方針演説の中で踏み込んだ言及をされました。同一労働同一賃金の実現、これは公明党においてもマニフェストに掲げて取り組んできたところでございます。

 総理は、二月の二十三日に、我が国の雇用環境に十分に留意しつつ、ちゅうちょなく法改正の準備を進めるということを表明されました。三月の二十三日には、専門家による検討会の初会合が開かれたということでございます。

 公明党におきましても、同一労働同一賃金の実現に向けた検討小委員会を立ち上げまして、現在、経済界また労働界、有識者と精力的にヒアリングを行って、政策を取りまとめているところでございます。

 この検討会の中で、具体的な法制度のあり方を改善していくべきだということが出てまいりました。同一または同等の職務内容であれば同一賃金を払うこと、これが原則であるということを明確にした法改正を行うべきではないかと考えます。合理的理由のない不利益取り扱いを禁止するということを明確にするために、労働契約法またパート労働法、それから派遣法、この三法律にこのルールを盛り込んでいくことが必要なのではないかというふうに考えます。

 また、現行法の中で、合理的な理由の中身、すなわち、雇用主が不当な理由で正規と非正規との待遇の差をつけることがないよう、どのような場合なら賃金格差が許容なのかということを、具体的な事例を示したガイドラインを早急に策定をして、これをしっかりと周知徹底させることが重要かと考えます。この点についての御見解を伺いたいと思います。

三ッ林大臣政務官 お答えいたします。

 我が国の非正規雇用労働者については、例えば女性では、結婚、子育てなどもあり、三十代半ば以降、みずから非正規雇用を選択している方が多いことが労働力調査から確認できております。また、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の賃金格差は、欧州諸国に比して大きいとの指摘があると認識しているところでございます。

 同一労働同一賃金が実現すれば、非正規雇用で働く方の待遇改善が図られ、女性や若者などの多様な働き方の選択の範囲が広がることとなります。その結果、国民一人一人の結婚、出産、子育てなどの状況に応じた柔軟な働き方がかなえられ、一億総活躍社会の実現に大きく資するものとなると考えられます。

 同一労働同一賃金実現については、一億総活躍国民会議で議論いただいた上で、この春取りまとめるニッポン一億総活躍プランにおいてその方向性を示すこととされております。具体的には、我が国の労働慣行にも留意しつつ、同時に、ちゅうちょなく法改正の準備を進めるとともに、あわせて、どのような賃金差が正当でないと認められるかについては、早期にガイドラインを制定し、事例を示してまいりたいと考えております。

 総理の指示に基づき、三月二十三日から議論を開始いたしました同一労働同一賃金の実現に向けた検討会におきまして、非正規雇用労働者の待遇改善のさらなる徹底に向けて、実効性のある方策について多角的、精力的に検討していただきたいと考えているところでございます。

古屋(範)委員 やはり合理的な理由のない賃金の格差というものは、ここは改めていかなければならないというふうに思います。

 その上で、今政務官もおっしゃいましたように、不本意に非正規労働に従事をしている、そして、どうしても長年働いていても所得がふえていかない、家庭を持ちたくても持てない、ここのところを改善していくということが、私たちの今回の同一労働同一賃金を考える目的でございます。

 また、女性の中には、不本意とは言わない、本意とおっしゃっていながらも、やはりその選定状況がなかなか厳しい、諦めてしまっている、自分は非正規で働くしかないのだ、こういうところもやはり目を向けていかなければならないというふうに思います。若者、女性、中高年にかかわらず、この非正規の方々の処遇改善をどうアップしていくかということが問題だと思います。

 その上で、非正規社員には、やはりキャリアアップの機会が少ないのではないかというふうに思います。正社員の場合には、会社に入ってだんだんとスキルを身につけていく、それによって賃金も上昇していくということがあるんですが、そこのところ、生涯にわたるキャリアアップ、職業教育訓練、この機会を提供していくことが重要だと考えます。

 まず、早い段階、義務教育において職業教育をしていく、また、労働関係法令の知識を学んでいくこと。また、高校、大学におきましては、進路選択の際に職業に対する具体的な知識、情報提供を行っていく。また、ここでも、具体的な労働法制、また社会保障、自分がどういう働き方をして、そしてまた高齢になってどういう過ごし方をしていくのか、そういうことも必要だと思います。

 また、インターンシップ制度、これはもっと踏み込んで、例えば一日職業見学をしてきましたというような遠足のようなものではなくて、もっと一歩踏み込んでその職業というものを体験していく、こういうインターンシップ制度をもっと充実させていくことが必要なのではないか。また、中高年の再教育ということも必要だと思います。

 非正規労働者のキャリアアップを後押しするため、職業教育訓練についてのお考えをお伺いしたいと思います。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、非正規雇用で働く方のキャリアアップ、これを支援する、後押しするということは大変重要な課題だと認識しております。今、議員の方からお話がありましたさまざまな施策を総合的に進めていくことも必要でございます。そのために、さらに、企業や業界が主体となった人材育成、あるいは個人が自発的、主体的に取り組む能力開発、この双方をともに推進する必要があろうと考えているところでございます。

 このため、厚生労働省では、非正規雇用で働く方の能力開発の推進のため、一つは、企業等の人材育成に対する支援として、キャリアアップ助成金によりまして、非正規雇用で働く方に対して職業訓練を行った場合に、教育訓練経費等の一部を助成するということを行っております。

 また、個人の能力開発に対する支援といたしまして、教育訓練給付金制度による、働く方が自発的に行った教育訓練の経費に対する支援、あるいは、一旦離職した方の公的職業訓練の受講を通じた再就職の支援、それから、ジョブカードを活用したキャリアコンサルティングを通じたキャリアプランの作成、能力開発の助言指導などの取り組みを行っているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、これらの取り組みを通じまして、引き続き、非正規雇用で働く方の能力開発、またそれを通じたキャリアアップの実現を積極的に支援してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 そうしたキャリアアップ助成金などのさまざまな施策、これを非正規労働者に直接届くように、積極的な取り組みをお願いしたいと思います。

 また、希望出生率を実現していく上で、働き方改革も欠かせないと思います。非常に長時間労働、仕事が忙しくて、子供は二人欲しいんだけれども、やはり一人で諦めてしまう、このような方もいらっしゃるのではないかというふうに思います。

 安倍総理は、二十五日ですけれども、一億総活躍国民会議において、長時間労働の是正に向けた具体策の検討を指示されたわけでございます。公明党としても、希望出生率一・八の実現に向けた早急な対策として、これまでも、長時間労働の是正、また短時間勤務とかテレワークの推進、こういうことに取り組んでまいりました。このたび総理がこういう具体策を提示されたということは、非常に評価をしたいと思っております。

 時間外労働につきましては、これを定めた三六協定について、以前から、協定を結べば上限なく長時間労働をさせるという問題が指摘をされていました。過労死ラインとされる月八十時間以上の時間外労働を強いられているという方々もいるわけです。この上限規制を設けても、記録を残さないようないわゆるサービス残業というようなおそれもあるということも考えていかなければいけないと思います。以前この委員会でも申し上げた、インターバル規制の導入なども考えていく必要があるかなというふうに思います。

 実効性ある法改正、また、現行法の中で可能な取り組みについて早急に対応すべきと考えます。これについて、大臣にお伺いをいたします。

塩崎国務大臣 安倍総理は、今後三年間の政権にとっての最大のチャレンジは働き方改革だ、こう言って、その中でも長時間労働の問題は、言ってみれば、これは働き方ではありますけれども、実は暮らし方というか、家庭での生活そのものにも投影をされる、そういう重要な問題だと思います。そういう意味で、長時間労働の是正に取り組むというのは極めて大きな、大事なことであり、また、家庭をどういうふうな位置づけにしていくかということにもつながってくる、そんなふうに思っています。

 もちろん、厚生労働省として、私どもも、長時間労働削減推進本部とか、それから、既に国会に労働基準法の改正法案を提出しております。

 総理から、三月二十五日に、国民会議の方で指示を受けました。それは、一つは、先ほどお話ありましたが、長時間労働の是正のために法規制の執行強化の具体策を早急に取りまとめて直ちに実行せい、これがまず第一。そしてもう一つは、三六協定がありながら、言ってみればその実効性がいかがなものだろうか、この実効性がちゃんとあるような再検討を行うということの御指示をいただいたわけでありまして、執行面では我々としてはできることは何でもやるということであり、また、そういう中で、重点監督の対象拡大、そして監督、捜査体制の強化、「かとく」というのを大阪と東京でやっていますが、これをもっと広げるべきじゃないかというようなことを今検討しております。

 そういった執行強化の具体策を、可能なものから実行に移すということをやっていきたいと思いますし、また、ニッポン一億総活躍プランでは、総理から示された指示に従って内容をしっかり盛り込んでいきたいと思いますし、それが広い意味での働き方改革につながるような改革になればという思いで、五月に向けて作業を詰めていきたいというふうに思っております。

古屋(範)委員 執行強化をしていくということでございます。

 私も昨年、特にブラック企業の関係で東京労働局に行ってまいりましたけれども、この「かとく」、非常に成果を上げてきているというふうに思います。ただ、やはり人員が少ないという問題があるかと思います。この辺の人員の強化も含めて、ぜひ強化をしていただきたいというふうに思います。

 次に、待機児童対策についてお伺いをしてまいります。

 これは二〇〇一年なんですが、公明党が待機児童ゼロ作戦という政策を掲げまして、当時それがそのまま政権の政策となりました。

 また、二〇〇五年には党内において少子社会総合対策本部というのを立ち上げまして、少子社会トータルプランというものを作成いたしました。この中で、チャイルドファースト社会、子供最優先の社会ということをテーマに掲げてまいりました。

 また、二〇一二年には次世代育成支援推進本部を立ち上げまして、待機児童ゼロについては地方議員とも連携をしながら進めてきたところでございます。

 しかし、今取り沙汰をされております待機児童、本当にふえております。二〇一三年には、政府で待機児童解消の加速化プランというものを発表いたしました。しかし、待機児童は依然として二万人を超えているという状況であります。

 待機児童は、二〇一五年四月一日現在で二万三千百六十七人、前年より一千七百九十六人多い。保育施設定員というのは、今、二百六十二万七千八百八十一人ということで、前年に比べますと十四万六千二百五十七人ふえております。この定員は、一二年の自公政権発足以来、民主党政権の二倍というふうになっております。しかし、全体の枠がふえても、一人一人、入れたか入れないか、そこが非常に重要なんだろうというふうに思います。

 今般、潜在待機児童について、昨年四月時点において約一万一千人いるということが明らかになりました。これまでの判明分と合わせ、潜在的な待機児童は約六万人ということで、都市部を中心に、依然としてこれが非常に深刻な課題というふうになっております。

 先日、公明党の待機児童対策推進プロジェクトチームで緊急提言を取りまとめまして、総理に提出をしたところでございます。意欲ある女性たちが仕事と家庭が両立できる環境をつくっていく、未来を担う子供たちが健やかに成長できる環境を整えていく、このことが今求められているというふうに思います。

 この点について、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、小松委員長代理着席〕

塩崎国務大臣 先般、総理の方に公明党から御提言をいただいて、特に、例えば短時間正社員制度の推進であるとか、あるいは施設整備費の補助の拡充であるとか、公明党ならではの御提案もたくさん盛り込んでいただいた提言をいただきました。

 待機児童への対策が喫緊の課題となっている中で、こうした与党からの具体的な緊急提言も十分踏まえて、特に現在、本当にお子さんを預けたくても預けられないで困っていらっしゃる方々に対して、早急な対応のために、短時間で実効性のある対策として、先般、私どもとして発表をさせていただいたところでございます。

 この緊急対策の中で規制の弾力化として挙げている項目も、国の定める人員基準であったり面積基準であったり、これを上回ったものについて、市区町村に実施を促すものであって、質の確保を行いながら実施をするということでございます。

 今後、この緊急対策に取り組みつつ、待機児童解消加速化プランに基づいて、質の確保を図りながら量の拡大を図っていくということをやるとともに、この春に取りまとめが予定をされておりますニッポン一億総活躍プラン、この中で、具体的で実効性のある待遇の改善策などをしっかりと示してまいりたいというふうに考えているところでございます。

古屋(範)委員 私も神奈川に住んでおりますが、横浜市、川崎市もこの問題には非常に熱心に取り組んでおりまして、川崎なども、横浜と川崎の連携協定というものを結んで、境においては相互乗り入れを行う、あらゆる施策を駆使して、川崎は、二十七年四月に待機児童を解消しております。保育コンシェルジュ、これは横浜発でございますけれども、やはり自治体と連携をしながら、待機児童解消に国が全力を挙げていくべきというふうに思います。

 公明党の提言の中で、保育士確保、ここが非常に重要だということで、保育士の処遇改善のことを提案させていただきました。保育士の賃金水準を四%引き上げるために、ぜひ財源を確保して、着実にこれを進めていただきたいということを申し上げました。

 保育士だけではなくて、介護従事者また福祉人材、ここの確保というのは一億総活躍に向けて非常に重要な観点であるというふうに思います。この保育士の処遇改善、福祉人材の確保について、総合的な取り組みを進めていただきたいというふうに思います。この点についての御所見をお伺いいたします。

三ッ林大臣政務官 お答えいたします。

 保育士や介護職員など福祉人材の確保に当たっては、処遇改善や勤務環境の改善など、総合的対策を講じることが重要であると考えております。

 保育人材の処遇につきましては、人事院勧告に従った処遇改善を行うとともに、今年度の当初予算において、消費税財源を活用し、三%相当の処遇改善を行ったところでございます。

 介護職員の改善については、平成二十七年度介護報酬改定において、一人当たり月額一万二千円相当の処遇改善加算の拡充を行っており、平成二十七年十二月時点では、約七割の事業所がこの加算を取得しているところであります。

 また、保育につきましては、平成二十七年度補正予算及び平成二十八年度予算におきまして、保育士を目指す学生に、卒業後、保育士として五年間の勤務で返済を免除する奨学金制度の拡充、また、一旦仕事を離れた人が再び仕事につく場合に、保育士として二年間の勤務で返済を免除する再就職準備金や、未就学児がいる場合の保育料の一部貸付事業の創設、また、保育現場の厳しい勤務環境の改善のため、保育補助者の雇い上げ支援や、ICTの活用による業務の効率化を行うことによる離職の防止、このようなことに取り組むこととしております。

 介護につきましても、平成二十七年度補正予算及び来年度予算におきまして、介護福祉士を目指す学生に、介護職に五年間の勤務で返済を免除する奨学金制度の拡充、一旦仕事を離れた人が再び仕事につく場合に、介護職に二年間の勤務で返済を免除する再就職準備金貸付制度の創設、また、地域医療介護総合確保基金を活用した、介護施設等における職員のための保育施設の開設支援の実施、介護ロボットの活用促進や、ICTを活用した生産性の向上の推進、このようなことに取り組むこととしております。

 厚生労働省としては、処遇改善の進捗状況などを踏まえながら、この春に取りまとめるニッポン一億総活躍プランにおきまして、具体的で実効性のある処遇改善を含む待遇の改善策を示し、不足している保育及び介護の人材の確保をしてまいりたい、このように考えております。

古屋(範)委員 ぜひ、待機児童解消のためにも、財源を確保しつつ保育士の処遇改善に取り組んでいただきたいと思います。

 こうして、今は量の拡大をしなければならない、ここが差し迫った課題なんですが、とともに、子供の安全の確保ということも進めていかなければならないと思います。保育施設での突然死ということも、ずっと私も取り上げてまいりました。

 これについて、平成二十年から二十四年までの五年間、保育所及び認可外保育施設事故報告書を詳細に分析して昨年十一月に発表した、東京都保健医療公社多摩北部医療センターの小保内小児科部長らの研究グループの論文によりますと、二〇〇八年からの五年間で、保育施設で死亡した乳幼児は五十九人いる。うち五十人が睡眠中に死亡していました。月齢別では、六カ月以下が十八人、七カ月以上一歳未満が十五人、一歳が十二人、二歳が五人ということで、発見時の体位は五六%がうつ伏せ寝でございました。

 また、死亡した全乳幼児の在園期間との関係を調べますと、登園初日に死亡したのが六人、その後、二日目が三人、三日目から七日目までが四人、一週間以降一カ月以内が六人、一カ月以降が十四人ということでございました。やはり、うつ伏せ寝や、また登園して間もない時期にどう接していくか、保育をしていくかということが非常に重要かと思っております。

 保育施設での突然死を防ぐために、ぜひ、睡眠中の突然死発症リスクが高くなるということを保育現場に周知徹底していただきたいと思います。これについて、お考えをお伺いいたします。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 保育施設の死亡事故でございますが、もちろん、これはあってはならないものと私どもも考えておりますが、今御指摘のありました睡眠中の事故を中心に、死亡事故は、年々、残念ながら発生しております。

 今先生から数字のお話がありましたが、平成二十六年度の数字で申し上げますと、死亡事例が十七、このうち睡眠中が十一ございまして、そのうち、いわゆるうつ伏せ寝が原因と思われるものが四件ということになってございます。

 この点につきましては、私ども、保育所保育指針解説書というものがございまして、この中で、いわゆる乳幼児突然死症候群、SIDSと言われているものですが、このリスク因子としてうつ伏せ寝というものが指摘をされてございます。うつ伏せ寝にしたまま放置をするということが非常に危険で、これは避けなければならないということで、うつ伏せ寝については、子供のそばを離れないこと、あるいは、離れる場合にはあおむけにする、ないしは保育士が見守るということで御指導申し上げているところでございます。

 死亡事故につきましては、保育園、幼稚園あるいは学校等でございまして、重大事故の発生を防止するということで、平成二十六年九月に、内閣府と文科省さん、それと私ども厚生労働省、三府省で、教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会というのを開催いたしまして、昨年の十二月に取りまとめをいただいております。

 この中で、睡眠中、食事中、それから水遊び中というのが特に死亡事故が高いということで報告がございます。このため、事故防止あるいは発生予防のためのガイドラインというものを三府省で今鋭意作成を進めております。この中でも、睡眠中の事故、とりわけうつ伏せ寝のリスクについては改めて記載をいたしまして、策定され次第、自治体、保育園等、関係機関に周知徹底してまいりたいと思っております。

    〔小松委員長代理退席、委員長着席〕

古屋(範)委員 最後の質問に参ります。児童虐待についてお伺いをいたします。

 先日、相模原で、虐待を受け自殺をしたという事件がございました。全国の警察が昨年児童相談所に通告をした、十八歳未満の子供の虐待が疑われる数が三万七千二十人でございます。二〇〇四年以降増加を続け、過去最高を記録いたしました。

 児童虐待から子供の生命を守るために、塩崎大臣の御決意を最後にお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 残念ながら、児童虐待が、児童相談所や市町村で対応している件数を見ても増加傾向である、そしてまた、死亡事故も、今回のケースも含めて、あるというのは大変残念なことでありまして、これは何とか政府としても力を入れて取り組まなきゃいけないと思っておりますし、重要課題の一つだと思っております。

 今回、児童福祉法の改正を提出させていただきました。

 幾つかポイントがありますけれども、一番大きなことは、民法八百二十条で、親の権利、親権というものが明確に定められている一方で、子供の権利というのは法律のどこにも書いていないということが続いてまいりました。したがって、今回最大のポイントは、子どもの権利条約を批准している日本として、子供の権利、つまり、全ての子供は健全な養育を受ける権利がある、それを保障するということを定めたことが最大のポイントで、これは今後の司法関与の問題にも大いにかかわってくる問題だと思っております。

 それから、もう一つは、家庭養育というものについて定義をしました。一つは、やはり実の親による家庭養育が一番、そして次は、やはり家庭に準ずる、言ってみれば養子、特別養子縁組、そして里親、ファミリーホーム、こういった形でのものを家庭養護とすべきではないか、そして家庭的養護はやはり施設ということで、この三つを峻別するということも初めてやりました。

 国、都道府県、市町村の役割そして責任の再定義と明確化、これもやる。さらには、児童相談所、市町村の体制強化、そして中核市には事実上必置にしていくというぐらいの勢いでいかなきゃいけないし、専門性も高める。弁護士さんを、本来は児相にそれぞれ常勤でいるべきじゃないかと私は思っておりますが、そちらに向けての動き等々入れ込んでおります。

 こういったことで、児童虐待防止に法律としてちゃんと立ち向かえるような改正になればと思っております。

古屋(範)委員 私も、児童福祉法改正案、国会の側として、成立に向け最大限努力をしていくことを申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、山尾志桜里君。

山尾委員 民進党の山尾志桜里です。

 前回の質問のときと少し立場が変わったんですけれども、やはり当事者の声、国民の声をしっかり政治に届けて、国民の皆さんと一緒に、与党、野党問わず、いい方向に、政策を前に進めていきたい、その思いは変わりませんので、大臣、きょうの議論もどうぞよろしくお願いいたします。

 きのう、安倍総理は会見で、この待機児童の問題、子育てについて、国会審議では野党からの建設的な意見をたくさんいただいたとお話しされたようです。塩崎大臣も緊急対策の発表をされたようです。

 しかし、今回発表された待機児童の緊急対策には、私たちが本当に、お母さん、お父さん、保育士さん、当事者の皆さんと一緒に提案してきた本丸の二つ、一つは、待機児童をこれ以上隠さずに自治体別に正直に公表するべきだ、二つ目、保育士の給与改善なくして待機児童の解消はないんだ、この核心部分の二点が出てこないんです。やったふりはだめ、やるべきことから逃げてはだめ。この二点に、核心部分に絞って、きょう持ち時間三十三分ですけれども、建設的な議論をしていきたいと思います。

 まず、この公表の問題なんですけれども、何回かの議論を経てようやく、表向きの待機児童二万三千百六十七人の外に、隠されてきた待機児童が合わせて六万二百八人いる、これが公表されました。表向きに公表されてきた数の三倍に迫る数、結局、合わせれば八万三千三百七十五人の待機児童が四月に確認されていた。

 まず、大臣、公表していただいたことは本当に前進だと思いますが、これからもこういった形で、隠されてきた待機児童をしっかり公表するとお約束いただけるんでしょうか。

塩崎国務大臣 まず第一に、きのう総理から申し上げたように、私どもは、子育て支援の対策、そしてまた、特に今問題になっている待機児童対策などは、本当に与野党超えて、言ってみれば、我々の大事な大事な子供たち、そして未来を背負ってもらわなければならない子供たちの問題でありますから、これはお互い知恵を出し合いながらやっていければありがたいなということで、総理もそのようなことを申し上げたということでございます。

 それで、待機児童のいわゆる数字の問題でありますけれども、これは、以前に申し上げたとおり、現在の待機児童数というのは、国が定める定義、これは平成十三年に定めたもので、毎年度、各市町村が集計をして、それを都道府県を通じて国がまとめてきた、そういうことであることはもう言うまでもないことでありまして、これは民主党政権時代もこの新しい定義でずっと出してきた。

 その中で、去年から一体改革で新しい制度が始まりました。そして、かつては保育に欠けるという定義で保育園に行かれる方とそうじゃない方を分けてきましたけれども、これからは、保育が必要な方という前向きな形でやってきたわけであります。

 しかし、そうはいいながら、お話があるように、以前は、地方単独事業を利用している方々、それと特定の保育園のみ希望されて残念ながらそこに行けなかった方々、そういった方をこの委員会でまず御報告申し上げましたけれども、それに対して、さらに先般、求職活動を休止している方々、それから育児休業中の方々ということで、こういった方々の中で、やはり我々はこういう数字もちゃんと踏まえながらこの待機児童対策をしっかりやらなきゃいけないということで、定義自体はもうずっと、十三年からやってまいりましたので、そのことは民主党時代からもずっとやってきた、そういう意味ではこれをあえてここで変える理由はないと思いますけれども、しかし、我々は、ほかの定義である待機児童についてもちゃんとしっかりと把握をしながら、ただ、そうはいいながら、必要性の高い方々を自治体の御意見もお聞きをしながらやるということでございます。

 今回新たに把握をしたことについて、地方単独事業を利用している児童の場合には、自治体が関与し、言ってみれば一定の根拠を持って待機児童から除外をしているわけでありますし、市町村においては、待機児童以外の方も含めて潜在ニーズを広く把握しております。これから働きたいという需要なども含めて計画的に保育サービスを拡大しておるわけで、また、その待機児童から除外をしている方々についても……(山尾委員「質問に答えてください」と呼ぶ)答えますから。市町村は個別ニーズに合ったサービス提供にきめ細かく対応している。

 こうしたことから、この数字を我々は隠したりしているわけではないということでありまして、二十七年度から新たに把握したデータを公表することとしたわけであります。

 現在、私どもはホームページで国民からの御意見を募集しています。四月には保活の実態調査も行います。(山尾委員「質問に答えてください」と呼ぶ)今から答えます。また、四月には、自治体との緊急対策会議も行う予定となっておりまして、これらを通じて、今後の市区町村における待機児童の公表のあり方や待機児童対策の効果的なあり方などを改めて幅広く議論してまいりたいと思っておりますので、そう遠くない、四月でありますから、市区町村が自治事務として責任を持ってまず一義的な対処をしている、その方々の御意見もしっかり聞いた上で、今後どういうふうにするか、私どもは公表をしたわけでありますから、そういう形でいくことがどうなのかということも含めて、市町村の皆さん方の御意見を聞いていこうというふうに思っているところでございます。

山尾委員 要するに、今回は盛り上がってきているから公表したけれども、ここから先、同じように公表を続けるかどうかというのは全く決まっていない、こういうことだったと思います、一言で言えば。

 私も、与野党を超えて一緒にやりましょうよと言っているんですから、民主党政権時代にはというような議論は……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いいたします。

山尾委員 もう余り建設的ではないと思うし、このテーマについて、私は前回、民主党政権時代にも公表してこなかったのだから一緒に責任を負いましょうよと、これはもう申し上げたはずです。

 あえて変える理由はあるんです。なぜなら、これまでの議論の中で、待機児童の定義に入らない当事者の声を聞いてきたじゃないですか。

 結局、認可に入るポイントを稼ぐために、入所を希望する時期を前倒しして、まさに待機をする目的で認可外の保育所に入れている実態、自治体が登園できるというふうに判断しても、それは当事者の家族の生活にとっては過酷な送り迎えを前提としている事例が多発していること、保育所が決まらなければ職探しができず、職が決まらなければ実際は保育所が決まらないという現実のはざまで、求職活動をやめたのではなくて、求職活動が事実上できなくなっているという実態、育休を延ばしたのは、まさに待機せざるを得ないからであって、延長できれば、そうしたら待機から外されるという矛盾。

 それでも待機ではないと言い続けることに大義はあるんでしょうか。今回公表しても、来年以降公表するかどうかわからない、なぜそういうことになるんでしょうか。すきあらば隠そう隠そうという気持ちが透けて見えたら、当事者の皆さんの納得は得られない。

 もう一つ申し上げます。

 大臣、今回……(発言する者あり)大臣も聞こえにくいようなので、少し静かにしていただけますか。

渡辺委員長 静粛にしてください。

山尾委員 大臣、今回の公表の数字、厚労省は自治体ごとの数字を御存じですよね。

塩崎国務大臣 私どもは、出さないと言っているわけでは全くなくて、市町村に出してきていただいている数字をどのように今後公表するかということを市町村の皆さん方とよく議論しようと。つまり、これは自治事務であって、保育は、基礎自治体たる市町村が責任を持って保育を提供しなきゃいけない、こういうふうに法律に書いてあります。もう先生、法律の御専門家ですから、よくわかっていると思います。

 ずっと、平成十三年から待機児童という定義が変わって、新しい定義で来た。しかし、大きく制度を去年の四月から変えた。したがって、今回、待機児童の定義こそは変えないけれども、しかし、先ほど申し上げた四種類の数字は、ここは参考数値として公表すべきだということで申し上げたわけであります。

 当然、市町村から上がってきている数字は、私どもは持っているわけであります。しかし、それの出し方については、やはり市町村の皆さん方の御意見を聞いて、来月聞きますから、その中でどういうふうにするかを決めていきたいということを申し上げているので、何か隠そうとしているかのようなことをおっしゃいますが、それは全く違います。

山尾委員 これはそもそもは自治体の事務なのだということをこの間もおっしゃるんですけれども、この待機児童の問題について、カウントから外すという方向では国はリーダーシップを発揮してきたわけです。なぜちゃんとカウントに入れていこうという方向でリーダーシップを発揮することはしないのですか。

 結局、実態とかけ離れた自治体ごとの公表が何をもたらしているか。お父さん、お母さん、当事者の方は、公表を信じて引っ越したら入れなかった、今いる住まいが激戦だと区役所、市役所で言われたから、数が少ないと言われている場所に引っ越したら、そこも激戦だった、数が多くても激戦、少なくとも激戦、引っ越した分、負担が増したと。こういう公表の仕方は、むしろ当事者にとっては有害な結果をもたらしている場合が数々起きているということを言っているんです。

 もちろん、実態と離れた自治体ごとの公表、あるいは、ばらばらの基準のままの公表を国が放置しているから、結局、保育園をちゃんと供給したいと思っている事業者さんの皆さんも最適な配分ができないでいる。一見数字は少ないけれども実は激戦のところに保育園が来ないわけですから。(発言する者あり)

渡辺委員長 不規則な発言は慎んでください。

山尾委員 委員長、ありがとうございます。

 結局、自治体ごとの数字が公表されないことによって、一番大事な当事者家族とか事業者がその判断を間違えて、そのしわ寄せが子供に来ているんです。だから、私は、自治体ごとの数字を出すことがこの待機児童の問題の解消に本気で取り組むための大きな大前提だと申し上げています。

 では、大臣、来月市区町村の意見を聞くと言いました。市区町村の意見を聞いて、公表しないでくれと言われたらどうされるんですか。

塩崎国務大臣 まず第一に、きのうの総理の会見の際にも、やはり地域によって待機児童問題は千差万別だということを明確に言っています。そして、自治事務だから市町村がやるだけだと言っているわけでは全くなくて、国としては、自治体が直面している問題を十分に酌み取りながら、自治体を応援する形で取り組みを強化していきたいと総理は言っています。

 まさにそのとおりでありまして、今お話がありましたが、毎年一回、基本的には、待機児童の数字を出してまいりました。それは皆さん方の政権のときも同じです。私どもは、今回お出しをしたように、参考数値としてこの四種類についてはお出しをしようと思っていますから、ここで一回で終わりとかいうようなことはないということをまず明確に申し上げておきたいというふうに思います。

 なおかつ、一億総活躍社会づくりの中での、特に子育て支援で、この受け皿を四十万から五十万にふやすというときも、もともと今の待機児童、そして広義の待機児童、今の四種類のものを足し上げたもの、これに加えて、これから女性が職場進出をしてお仕事をされる、それに見合った潜在的な需要も含めて、これを四十万から五十万にしようというふうに申し上げているわけでありますので、当然これらを踏まえた上の対処を政府としてはやりますし、それ以上のことを今やろうとしているということを申し上げたいというふうに思います。

 ということでありますので、今、市町村がどういうふうにおっしゃるのかということによってどうするのかというお尋ねでございましたが、もともと、市区町村からのデータの提供を受ける際には、待機児童数以外の数値について、つまり今の待機児童という定義のものの数値以外については、個々の市区町村の状況を公表する前提ではまず提供を受けていないんですね。ですから、我々は御意見を聞こうと言っています。

 それで、もし嫌だと言ったらどうするか。そこは、我々はどうするかをその場で、やはり待機児童問題の重要性ということを踏まえた上で考えていかなきゃいけないと思いますが、しかし、自治事務としてやっていらっしゃる方々がどうしても出したくないということをどう扱うかというのは、行政もやっておられた方とすればよくわかることだと思いますけれども、そこは、どう決めていくかというのはその場でやはり考えていかないといけないんだろうというふうに思っているわけでございます。

山尾委員 自治体の皆さんは一生懸命頑張っていると思いますよ、多くの自治体。でも、結局、国は途中から、育休をカウントに入れなくてもいいよ、自治体の判断でと言った。あるいは、求職中、職探しの最中、これは自治体ごとにさまざまな解釈があって、在宅で職探しをしている人をカウントに入れるかどうか、確かにこれも自治体のそれぞれの判断にそのままお任せをしている。

 そういう中で、やはりできるだけちゃんと待機児童というのを外に出していこう、表に出していこう、こう思っている自治体は、数が見え方としてふえてしまう、でもやはり、それは自治体の気持ちはわかりますよ、公表される数字というのは怖いですから、できるだけそれは減らして見せたい。そういう中で、解釈を絞っている自治体もある。

 こういう現状が今あって、そうだよねと今大臣もうなずいていただいていますけれども、こういう中で、自治体に、これは公表していいですか、どうですかとお伺いをしたら、それはなかなか応じてもらえない自治体も私は出てくると思います。

 なので、ここはやはり、国が、自治体と一緒に私たちも責任を背負ってやっていくからちゃんと自治体ごとの数字を公表するべきだ、させてほしい、こういうふうに大臣がリーダーシップを発揮すべき場面だということを申し上げているんです。自治体を応援する形で取り組みを強化したい、こういうふうに総理もおっしゃったと今大臣おっしゃいました。

 緊急対策、これはきのう私も説明を受けました。そして、その緊急対策の言葉の中に、「自治体が独自に支援する保育サービスの支援」という言葉もありましたけれども、でも、これは、よく中身を見たら、自治体が独自に支援する保育サービスの質を低下させて、どうか子供を入れてくれという対策になっているじゃないですか。

 一つ一つ申し上げていきたいと思います。

 まず、大臣、発表された緊急対策、もともとの、きのう成立した平成二十八年度予算とは別に、この緊急対策のために確保されたお金はあるのですか。

塩崎国務大臣 今回の緊急対策には、規制の弾力化の内容も含んでいるわけでありますけれども、国の人員配置とか面積基準を遵守した上で、自治体の判断によってより多くの子供たちが認可保育園等に入園可能になるようにするということで、申し上げておきますけれども、保育の質は確保されるということでございます。

 それで、今、予算の問題が御質問にありました。

 予算における補助内容の拡充としては、資材費等の高騰なども踏まえた土地借料の単価の改善とか、工事着工前への対象範囲の拡大も図ることとしておりますが、新たな財源を組むということではないわけであって、既存の予算として計上されているものについての運用の改善ということでございます。

山尾委員 そうなんですよ。新たな財源ゼロ、予算措置ゼロ、保育士の給与改善もゼロ、これが今回の政府の緊急対策なんです。どうやって、予算ゼロ、給与改善ゼロで、八万人を超える、大臣の言葉をかりれば広義の待機児童を解消させていくんでしょうか。

 そして、今回は、規制緩和というのか柔軟な運用というのか、これはお役所言葉に任せますけれども、結局、まず一点目、お金を出さずに数をふやそう、こういう試みその一。人員配置とか面積基準について国を上回る自治体独自の基準を設定しているところに、この上回っている部分に子供を入れてくれ、こう要請をするということです。

 この間、当事者の皆さんのこの緊急対策に対する受けとめを聞きましたけれども、国の基準というのは、戦後間もなくつくられた最低の最低基準なんだと。大臣御案内だと思いますけれども、面積基準、これは戦後間もない昭和二十三年以降変わっていないんです。人員配置基準、これは昭和四十四年以降変わっていないんです。

 経済が成長し、働き方も変わって、社会全体で保育の重要性を深く認識するようになって、そういう中で、自治体によっては、それぞれやはり待機児童解消に本当に苦労しながらも、数がふえて見えることに本当にある意味恐怖を感じながらも、でも、やはり子供の安全が第一だ、こういう価値観で国を上回る基準を、人員配置とか面積基準でやってきた自治体が数多くあります。この自治体の判断を曲げさせて、子供を多くいわば詰め込んで、万が一にも保育事故が起きたら、国は推進した責任をとるのですか。

塩崎国務大臣 月曜日に発表させていただいたのは、「待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策について」ということで、緊急対策を立てさせていただきました。

 予算は昨日成立をしたところでございまして、新たな予算を入れるといっても、きのう成立したものでございますから、なかなかそれは簡単ではないわけでありまして、そういうことで、先ほど申し上げたように、緊急的にすぐできることは何なのかという観点から、与党の御提言も受けて、取りまとめをさせていただいたということでございます。

 それで、保育園等への臨時的な受け入れ強化でありますけれども、例えば、東京は今、認可の保育園は二千百八十四あります。我々は、今ある国の基準、つまり、人員配置基準とそれから面積基準などについて、これを変えるというようなことは全く言っているわけではございませんで、その二千百八十四がさまざまな工夫をしていただいてお一人でも子供さんを預かっていただければ、二万三千余りの待機児童のうちの二千百八十四人解消するということになるわけであって、その御協力をお願いできないか。それに関しては、実は、さまざまな市区町村の、特に東京だったら二十三区であったり市であったり、そういうところの運用がややばらつきもあることは否定しがたい事実であります。

 そういうところでの、やはり我々としての、期待に応えていただけるような対応を我々はお願いしようということを言っているわけでありまして、来月、特に多い、百人以上の方々が待機児童としておられるところの市区町のトップの方々とお話し合いをしようと私は思っておりますけれども、そういう中でやっていこうということでございますので、私どもとしては、こういった中で緊急的に対応できること、そして先ほど来申し上げているように、五月の一億総活躍プランの中で、先ほど来重要だとおっしゃっている待遇改善、これについても責任を持って実効的な案をお出しするように、今鋭意努力をしているところでございます。

 先ほど先生おっしゃった、子供さんにとってみれば、親御さんにとってみれば、一生に一回の大事なときでありますから、確かに、どこに住んだらいい保育園に行けるかとか、そういうことをちゃんとわかるということは大事なことだと私も思っておりますので、先ほどのお話に戻って恐縮ですが、市区町村との話し合いの中でそのような思いは私からも伝えたいと思いますし、前に申し上げたように、私の身内にも待機児童になりかけの者がおりまして、たまたまうまくいきましたが、それはたまたまの話であって、うまくいっていない方が、二万三千人以上の方々がおられるということをしっかり踏まえた上でやっていきたいと考えております。

山尾委員 国が緊急だからといってお願いをし、自治体がそれぞれぎりぎりの判断の中で、子供第一でそれぞれがベストだと考えているルールを曲げてもらって、それで万が一何かあったら、その責任をとるのは国じゃなくて自治体あるいは事業者になってしまうのではないですか。どうして、国はやるべきことをやらないで、国がやれるはずのお金を出さないで、給与改善に取り組まないで、そうやってリスクを子供に負わせたり責任を自治体にとらせたり、そういう方向に行くのでしょうかということを私は申し上げています。

 小規模保育、これは、十九人というところを二十二まで拡大することを推進する。人員基準や面積基準を満たすという注意書きは私も読んでいます。でも、小規模保育というのは、保育用地の確保が難しくて、保育士さんの求人倍率もとりわけ高い都心部を中心にスタートしていて、そこで、人員の基準も面積の基準も満たしながら、保育士さんが絶望的に足りていない中で、子供を三人ふやせる現実的な余地のある保育園は幾つあって、何人ふやせる予定なのですか。(発言する者あり)

塩崎国務大臣 質問通告がなかったので、ちょっとお時間がかかって申しわけありませんでしたが、ぜひ、こういう具体的な細かい数字を聞くときは、事前に通告していただくとスムーズに議論が進むというふうに思います。

 今、小規模保育の、何人ふえるのかというお尋ねかと思いますが、全国で約千六百ぐらいたしかあったと思いますけれども、三人ふやすとすればという単純計算をするわけにはいかないことは先生おっしゃるとおりで、面積基準がどこまでになっているのかということは、一つ一つによって違うのはもう御案内のとおりであります。

 したがって、私どもは、これらをこれからどこまでおやりいただけるのかということをやはりきちっと詰めていかないといけないというふうに思っておるところでありまして、それはもう単純にみんなが三人ずつふえるかのような簡単なことでは全くないことはよくわかった上での、これは与党からも提案があった知恵でございますので、そういう中で、皆さん方が安心してお預けをいただけるようなことになるようにしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

山尾委員 私、大臣の会見では、単純に三人ふえたらこういう数字になるということをおっしゃっているのも知っていますし、一方、きのう、厚労省の保育課長とのやりとりの中では、では、現実にできる枠を把握しているのかと聞いたら、把握していないとおっしゃっていたので、ちゃんと今回の緊急対策の課題の大前提、その部分は通告してありますから、今質問を申し上げたわけです。

 ちょっと時間がないので、そのほか、規制を柔軟に考える、定員超過入園の柔軟な実施。定員を一二〇%超えて入園させた場合には、二年連続したら今まではペナルティーがあったけれども、そのペナルティーの取り扱いを柔軟にする。結局、二年を超えても一二〇%超えも大目に見るからと。これはないでしょう、大臣。

 そしてまた、一時預かりを定期利用させる。これは、お母さんに聞きました。お母さんの声がいいと思う、働くお母さんの声。

 一時預かりは、親が病院に行ったり、介護の施設におばあちゃんを送ったり、主に専業主婦のお母さんがどうしても必要な用事で子供を預けるのに使われていて……(発言する者あり)ちょっと、大臣に聞こえにくいと思うので、少しよろしいですか。

 どうしても必要な用事で子供を預けるのに使われていて、今現状でも満杯だ、そこに私たちのような働くお母さんが子供を長時間預けることに優先されて使ったら、困っている専業主婦の人たちを追い出すことになると。

 これが待機児童で困っている働くお母さんの口から出てきた、こういう重さを受けとめてもらいたい。

 こうやって、お母さん同士、保護者同士で椅子取り合戦を加速させるような、そういう取り組みは、やはり、緊急とはいえ、余りいい取り組みじゃないと私は思います。

 そして、今まで申し上げたことで、やはり本丸の給与改善五万円、これに一緒に取り組んでいきたいんです。

 ここには、これは、私たちが五万円アップを言い出す前から、二カ月以上前から署名活動されてきた方がいて、やはり給与五万円上げるべきだという署名、これは、安倍総理と塩崎大臣に宛てた二万八千四百五十三名の署名と、そして大事な声です。

 これは、大臣、きょうこの署名を、私宛てじゃないんです、大臣宛てなんです、持ってきてくださった方がおりますので、きょう直接受け取っていただけませんか。

塩崎国務大臣 国民の声にはいつもきちっと耳を傾けなければいけないと思っておりますので、当然、そういったお声には耳を傾けるつもりでございますので、お受けをいたしますが、しかし、きょうもまた国会がずっと続いているものですから、よく理事に計らっていただいて、この委員会の中での御提案ですから、ここは理事に計らっていただいて、私の気持ちとしては、そういうことはしっかりと、前回同様にお受けをするつもりでございますので、よろしくお取り計らいをお願い申し上げたいと思います。

山尾委員 少しの時間でも結構です。きょういらしています。ぜひ大臣の御自身の意思で直接受け取ると言っていただけませんか。

渡辺委員長 既に申し合わせの時間が経過をしておりますので、質疑は終了してください。

塩崎国務大臣 今申し上げたように、委員会の中での先生からの御発言でございましたので、委員長にお取り計らいをお願い申し上げたいというふうに思います。

 気持ちとしては、私は、いつでもお受けをする気持ちでございます。

山尾委員 前回は大臣みずから受け取る、こうやって言っていただいたんですね。今回も同じようにきょう受け取っていただけるものと私は思っています。

 私たち、給与アップの法案を提出していますので、今国会で、この委員会でしっかりと議論をしていきたい、それを申し上げて、私の質問を終わります。

渡辺委員長 次に、郡和子君。

郡委員 民進党の郡和子です。

 まず、やじが大きくて質問が聞こえない委員会。国民の代表として私たちは質問をさせていただいているわけです。不適切なやじ、そしてまた、やりとりを妨害するようなやじというのは慎んでいただきたいということをまず冒頭お願い申し上げて、質問させていただきます。

 私は、外国人家事支援労働者の受け入れ事業について伺いたいと思います。

 二〇一五年、平成二十七年九月に施行された……(発言する者あり)委員長、どうにかしてください。

 改正特区法によって、家事支援サービスを提供する事業者、法律上は特定機関と呼んでいるわけですけれども、この特定機関が、外国人である労働者を受け入れて、家事支援サービスを利用する一般家庭にその外国人労働者を送って家事サービスを提供するという、この事業が神奈川県と大阪府で始められることになっていますけれども、まず、この制度がつくられる過程についてお聞きしてまいりたいと思います。

 内閣府の地方創生推進室のホームページで、国家戦略特区ワーキンググループ、各関係省庁等からのヒアリングなどの情報が一部公開されているんですけれども、この外国人家事支援人材については、去年の七月六日、七月十五日、二十四日、三十一日、八月七日、八月二十日、二十八日、十月二日のヒアリング内容、そしてまた、そこに出された資料など、一切非公開になっております。ほかのワーキンググループにおいては、内容と資料というのが公開されているにもかかわらずであります。

 労働条件や在留資格の問題、そこで働くことを期待している人たちにとっては、これは大変重要な、貴重な情報であるし、また、国民は、どのような話し合いが行われているのか知る権利もありますし、実際利用したいというふうに思う方は、どんなふうに利用できるのかなど、知る権利がそれこそ著しく損なわれているというふうに思うわけです。

 まず、ワーキンググループの内容について、公開と非公開の基準について伺いたいと思います。なぜ外国人家事支援人材についてはかくも非公開が多いのか。公開できない内容が語られているのか。話し合われているほとんどが非公開とされている理由について教えてください。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区ワーキンググループの審議の内容等につきましては、運営要領によりまして、座長が適当と認める方法により公表するということとされているところでございます。

 したがいまして、一般的には、関係資料等をできる限り公表するとともに、議事録もホームページで公表しているところでございますけれども、公表することによりまして率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある、こういうときには案件名の公表にとどめるといった判断がワーキンググループにおいてなされることがございます。

 お話のありました外国人家事支援人材につきましては、平成二十七年七月以降につきましては、制度の細部に関する詰めの折衝を行っていたものでございまして、案件名の公表にとどめるといった判断がなされてきたものと認識しております。

 今後とも、原則公開という考え方に立った上で、ワーキンググループにおいて適切に御判断をいただきたいと考えているところでございます。

郡委員 だから、なぜ公開できなかったのかということについては、説明は大変不誠実だったというふうに思います。積極的な情報開示を求めたいというふうに思います。また、このワーキンググループの話し合いのもとで指針等々を示されたわけですけれども、これがどういうふうに反映されていったのか、評価のしようもないんですね。

 ぜひ積極的な情報開示をしていただきたいというふうに御要望申し上げます。

 そして、この制度が適正に運用されるかどうかということについての責任を持つ省庁はどちらでしょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 家事支援外国人受け入れ事業につきましては、国家戦略特区法に基づく指針により、区域会議のもとに置かれます第三者管理協議会が、事業の適正、確実な実施を管理することとなっております。

 具体的には、この協議会が、外国人材を受け入れる企業が基準に適合しているかどうかの確認、あるいは定期報告等の受理や聴取、あるいは監査、こういった業務を行うこととなっております。また、苦情相談窓口の設置や、雇用の継続が不可能となった場合の新たな受け入れ先の確保などもこの協議会が行うこととしております。

 また、業務の適正な運用につきましては、協議会の構成員であります関係地方公共団体、内閣府、法務省、厚生労働省、経済産業省が、例えば労働基準法に違反していないかどうかとか在留期間が更新されているかどうかといったような、それぞれの所掌に応じ責任を持って対応することにより確保することとしているところでございます。

郡委員 きのう質問レクのときにも、この問題はどこなんだ、どこなんだということでいろいろやりとりがありましたけれども、責任の押しつけになっている、そんなところが見え隠れいたしましたので、そうならないように徹底的にしていただきたいというふうに思います。

 家事支援人材については、出身国で二百時間以上のトレーニングが義務づけられています。この二百時間以上のトレーニングということを受ける養成校ですけれども、これは日本の特定機関とは別でありまして、そのトレーニングに係る費用についても、特定機関が負担することは義務づけられていないわけです。

 外国人労働者の雇用と渡航においてこの費用負担が借金として課せられて、他国の事例などを見ましても、これが足かせになって、家事労働者においては、フィリピンやインドネシアなどで、事実上の搾取、奴隷労働、人身売買として非常に大きな問題になっているんですね。この法案の審議のときにもいろいろと議論になったかというふうに思います。

 送り出し国でのトレーニングを義務づけるというのであれば、受け入れる日本政府も責任がないとは言えないわけです。

 この点について、必要以上の費用負担にならないように具体的にどのような対策をとるのか、明示をしていただきたい。また、日本で雇用された企業の給与から、かかる費用を天引きされていた場合には、当該企業と現地の養成校あるいはエージェントとの法的契約について監督する省庁及び部署はどこなのか、教えていただきたい。また、その費用の適正金額については幾らぐらいと考えておられるのか、具体的な金額を明示いただきたいと思います。よろしくお願いします。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人材の方の研修費用の負担者や負担割合につきましては、その外国人材の方と特定機関との間において決定すべきものであるというふうに考えております。

 ただし、その内容につきましては、当事者間の合意に基づきまして明確かつ適切に定められ、契約書として文書により締結することが必須であると考えておりまして、そういった内容を特定機関に関する指針において義務づけているところでございます。

 こうした雇用条件を文書により締結しているかといった要件に適合しているかどうかといった確認でございますとか、その後の業務の実施状況の監査につきましては、関係自治体と国の関係機関で構成する第三者管理協議会で行うこととしているところでございます。

 先ほどお話もありましたその金額についてでございますが、あくまでも当事者間の合意に基づくということでございますので、この場でお答えすることはできないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、こうした適切な運用を図ることを通じまして、本事業の適正かつ確実な実施を確保してまいりたいと考えております。

郡委員 二百時間以上ということは、一日八時間だとしても二十五日、こういうカリキュラムになるわけでして、それ相応の費用がかかるというふうに思います。

 ちょっと言及しましたが、外国の事例ですけれども、この研修がどういうふうなものかというと、基本能力、コミュニケーション、チームプレー、安全衛生など、共通能力として、顧客との良好な関係構築、パフォーマンス管理など、専門能力として、掃除、洗濯、料理、食事の給仕等となっているわけなんですけれども、ここでは現地の研修費用負担については明言されていないわけですね。

 それで、NGOが既に調査を行っております。もちろん、日本はまだこの制度が導入されていませんから、日本での調査はできないわけでして、先行している外国の状況を調査されています。

 それによりますと、香港の外国人家事労働者の六人に一人が強制労働であるという結果が出ている。賃金から、六六・三%、およそ三分の二が、契約書でサインを強制されていて、借金を負わされて、年収三〇%以上もそこから引き抜かれているということ。それから、台湾のフィリピン人家事労働者のケースでは、最賃よりも安い賃金しか支払われず、渡航費だとかさまざまな費用が仲介派遣業者の人に負わされている。こういう実態も明らかになっています。

 現地の人材育成機関に関して日本の法律では効力が発揮されないところですから、既に借金を負わされた場合に、借金の返済のために、文句も言えずに長時間、休日なしで働くということは、現在行われている日本での技能実習制度の現状からも想定されるわけでして、しっかりと対応をとってもらわなきゃいけないというふうに申し上げたいと思います。

 それから次に、日本で働き始めた以降についてお尋ねをいたします。

 この制度では、特定機関と外国人家事支援労働者との間で雇用契約を締結するというふうになっていますので、労働基準法、最賃法、労働組合法の適用があるというふうに思うわけですけれども、それでよいか、そして、家事支援労働者の労働条件等の確保を担うのは厚生労働省及び都道府県労働局や労働基準監督署でいいのかどうか、確認させてください。

    〔委員長退席、秋葉委員長代理着席〕

山越政府参考人 国家戦略特別区域の家事支援外国人受け入れ事業でございますけれども、御指摘のありました家事支援活動を行う外国人につきましては、当該外国人を受け入れる企業、特定機関でございますけれども、この特定機関が労働契約に基づき労働者として雇用することとなっておりますので、労働基準法あるいは最低賃金法等の法令が適用されるところでございます。

 厚生労働省といたしましては、こうした法律の遵守に向けて、あるいは適正な労働条件の確保に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

郡委員 ありがとうございます。

 特定機関と家事支援サービスを利用する一般家庭との間では、特定機関が家事支援サービスを提供するという請負契約を締結するものですから、一般家庭、実にサービスを受ける側としては、その労働者に対して直接指揮命令を行うことができません。これは、そういうことをしたらば労働者派遣法上の違反ということになるわけですけれども、その点に対して、これを防止するために、一般家庭に、直接仕事を指示できないんですよということを徹底しなくちゃいけないと思うんですが、この徹底はどのようにされるおつもりでしょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区法に基づく受け入れ企業の指針におきましては、外国人材を受け入れようとする企業につきましては、外国人材を利用世帯の指揮命令のもとに労働させてはならない、そういう旨の基準を置いているところでございます。

 受け入れ企業につきましては、事業の開始時やあるいは開始後にこの基準に適合していなければならないということでございますので、受け入れ企業に対しましては、利用世帯と請負契約を締結する際等に、利用世帯に対しまして、外国人材への指揮命令を行わないということを周知するようにやってまいりたいと考えております。

郡委員 ですから、どのようにやっていかれるのですか、徹底できるのですかと聞いているんです。

佐々木政府参考人 まずは、特定機関に対しましてそういうことを周知するように申し上げるということもございますが、違反していれば基準適合性がないということになるわけでございますので、事業開始後も、例えば監査でございますとか、あるいは苦情報告でございますとか、いろいろな手段がございますので、そういったところでさらにこの辺に対して目配りをしていくということはやっていくつもりでございます。

郡委員 さまざまな問題が発生した場合の対応というのはそれぞれ都道府県の労働局が行うことになるんでしょうけれども、それでは、厚生省本省として、都道府県の労働局に対してどのような対応を行うように指示をしているのか。指示をしている場合には、その指示通達を明らかにしていただきたいと思います。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今議員御指摘のような外国人家事支援人材の受け入れにおきまして、いわゆる偽装請負のおそれがあるというような事案が把握されましたときには、私どもとしましても、偽装請負事案につきましては都道府県労働局が必要な調査を行う、そして、請負事業を適正に実施することができるようにということで、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準ということを定めております。

 この区分基準に基づきまして、そういったおそれがある事案については、必要な調査の上で、特定機関に対して適正な請負事業とするように必要な指導をするようにということを徹底してまいりたいと考えております。

郡委員 この外国人の家事支援人材、労働者の方々が仕事をする場所というのは、家庭という密室であります。こういう環境を考えますと、働く側は、安心して働くために、問題が発生したときにそれを相談したり、それを調停してもらったり、さまざまな不利益を受けることがないようにしてもらうための相談窓口というのが必要なんだろうというふうに思います。また、実際に設けられるという、例えば特定機関、事業所内に設けられるとすれば、どうしても利用者寄りのことになりましょうから、労働者にとっては、それこそもみ消す方向に働いてしまうんじゃないかと心配にもなります。

 そこで、ぜひとも外部に第三者的な相談窓口を設けることが大切だというふうに考えるわけですけれども、こういう相談窓口というのは、第三者的なところは設けられますか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人家事支援人材の苦情及び相談を受ける窓口につきましては、もちろん企業には設けるわけでございますけれども、それだけではございませんで、自治体においても設置することとしております。

 その上で、これらの窓口を含めまして、外国人材が苦情相談や緊急の際に困らないように、個々の人権相談でございますとか、出入国手続あるいは労働条件等に関する窓口の連絡先を一覧にした携行用の資料をつくりたいと思っておりまして、受け入れ企業を通じまして外国人材の方にお渡しして、その活用を推進してまいりたいと考えております。

郡委員 今、自治体にもその対応をするところをつくるというふうなお話がありましたけれども、自治体でそれに対応できるスキルがあるのかどうかというのは、ここもいろいろ議論していかなくちゃいけないところだと思いますし、お知らせを当該の労働者にお配りするといっても、実際に相談したところが的確に機能していかなくちゃならないわけで、ぜひここのところも、さらに議論できる機会があればというふうに思います。

 昨年の十一月十二日に、国家戦略特区法の十六条の三に規定する国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業に係る解釈というのが出されました。

 きょう資料でお渡ししましたのは、施行令、一昨年の三月二十八日に出たもの、第十六条の三第一項の政令で定める業務ということで、第十五条、炊事、洗濯、掃除、買い物、児童の日常生活の世話及び必要な保護、前各号に掲げるもののほか、家庭において日常生活を営むのに必要な行為というふうに定められているところを、十一月の十二日、資料の二枚目、めくっていただいて、解釈というのが出ておりますけれども、ごらんをいただきたいと思います。

 この解釈では、家事支援人材を受け入れる特定事業者は、必ずしも、炊事、洗濯、掃除、買い物など一般的な家事サービスの代行の専業あるいは専らとする事業者である必要はないというふうにされています。ですからこれは、保育事業を提供する事業者も特定機関として阻まれるものではないというふうに思われますが、そうでしょうか。

香取政府参考人 今回の外国人家事支援人材の活用につきましては、今御議論ありますように、国家戦略特区の枠組みの中で実施されるものということで考えてございますので、この枠組みで提供されるサービスが、例えば今私どもで持っておりますさまざまな公的サービス、あるいは家庭的支援等で行っているサービスの中でこういった方々が活動されるということは想定しておりません。

郡委員 保育にかかわる業務は単独では行えないという決まりになっているのは承知します。でも、日常生活の一部である保育園への送迎などは可能だというふうに解釈では書かれておりますし、本業であるベビーシッターとしての派遣はできないわけですけれども、家事代行の一部として保育に携わって、ほかの家事代行と差をつけていきたいというふうな企業が、もう既に名乗りも上げているんですね。

 先日まとめられました政府の待機児童解消に向けた緊急施策の中に、「一時預かり事業を活用・拡充」というふうにあります。これは三枚目にコピーさせていただいたものですけれども、その中で、訪問型のサービスも含まれております。待機児童解消のために、まずは特区で、保育関連事業所が特定機関、特定事業者となって、外国人の家事人材として家庭内での子供の世話に当たらせるということになっては本末転倒だというふうに思います。

 子供に万が一のことが起きた場合の補償、それから密室であるということ、何度か申し上げましたけれども、この何か起きたときの実証、検証、難しいケースも出てこようかと思います。労働する側も虐待を受けるリスクもありましょうし、また、虐待を行う、こういうケースもないとは限らないわけです。誰が、どのように責任をとるのか。子供の命にもかかわってくることですので、ここのところ、しっかりと見ていただかないといけないということを強く申し上げたいと思います。

    〔秋葉委員長代理退席、委員長着席〕

 そして、次に、先ほどの解釈の後段でありますけれども、外国人家事支援人材が行う介護についてのサービスについてであります。

 入浴、排せつ、食事などの身体介護の提供は含まないけれども、つまり、公的介護保険の保険給付を行うことは想定していないということでありますけれども、一方で、要介護者に対する、食卓への利用者の移動の手助け、買い物など外出時の付き添いやそれに伴う衣服の準備及び着がえの手伝いのような業務は通常の家事支援活動に含まれるというふうに例示をされております。身体介護は含まないとしながらも、要介護者への付き添いや手伝いは可能だというふうなことだと思います。

 これでは、当初説明された制度設計を逸脱しているんじゃないかというふうに私は思うわけです。特区でいうところの家事サービスが、要介護者への支援といった曖昧な表現をもって拡大解釈される可能性、危険性が大きいというふうに言えるんじゃないだろうか。

 こういった曖昧なままで特区で受け入れる家事支援人材のサービス、介護保険が適用されない、あるいは介護保険でカバーされない高齢者の支援を行う代替制度として実施されてしまうんじゃないかとうがった見方もしてしまいますが、これについてはどういうふうにお考えですか。

    〔委員長退席、小松委員長代理着席〕

三浦政府参考人 外国人家事支援人材を受け入れる企業でございます特定機関は、外国人家事支援人材に家事支援活動以外の業務をさせてはならないとされているところでございます。

 また、外国人家事支援人材は、家事支援活動が在留資格となっております。家事支援活動以外の業務を行うことができないと承知しているところでございます。

 このため、仮に介護事業を行う企業というところが特定機関となったというような場合にあっても、家事支援外国人受け入れ事業と介護保険制度とは別個の制度として運用されると理解しておるところでございます。

郡委員 別個のものだというふうにして運用されるといいながらも、既にこれは何かとても曖昧なんです。家事支援サービスが実は高齢者介護の隠れみのとして転用され、悪用されかねないという余地をこの解釈で明確に示しているんじゃないかと私は思います。

 資料の最後ですけれども、「介護保険 高収入ほど負担」「厚労省、一八年度見直し議論始動」ということで記事が出ておりますけれども、傍線を引いたところを見ていただきたいと思います。「介護保険のサービスを利用する高齢者の負担も増やす方向で検討する。介護の必要度が軽い人が掃除や料理のサービスを受ける場合は保険の給付対象から外し、自己負担の割合を原則一割から「十割」に上げることも検討する。」というふうになっています。どうしても、こういう議論とこの特区での家事支援人材、家事サービスというのが重なって見えて仕方がないんです。

 家事労働というのは、介護も含まれますし、先ほど申し上げました、育児も含まれるわけです。これらへの公的制度の拡充ではなくて、マーケットにより多くを任せるようになっていけば、これは所得によっては介護や育児サービスを受けられない人たちがさらにふえてくるんじゃないかというふうにも心配いたしますし、マーケットへの依存度をさらに高める施策、これが推進されることになるんじゃないか。そして、それがあたかも女性の社会進出を促すんだというふうな言いかえになっているというのはいかがなものなのかと強く私は思います。まずやるべきことは、既存の育児、介護施設の拡充を図ることではないかと強く申し上げたいと思います。

 国家戦略特区は別枠だからいいということなんでしょうか。それが風穴として全国に拡大するのではないかというふうに私は心配しているんですけれども、大臣はどうですか。いかがでしょうか。

    〔小松委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎国務大臣 介護保険を最初に導入を決定する際に、私もたまたま、自社さ政権のもとで福祉プロジェクトチームというのに入って、民間の事業者に参入をさせるかどうかというのは、大議論がありました。

 最終的には、やはり効率性、それから価格の、言ってみれば効率性を考えて導入するということになりましたけれども、実際の介護保険の介護そのものについては、高齢者の自立支援そして介護の重度化防止というのが基本理念でありますので、これをやれるのは、やはり介護福祉士等一定の資格を有する介護に携わる人がサービスを提供する以外はないだろうというのが私どもの結論だと、今でも変わらず思っているわけでございます。

 ましてや保育の問題は、まさに生涯にわたる人間形成の基礎をつくる大事な時期のことでございますので、これはやはり、今後も、専門的な知識そして資格を持った保育士の皆さん方が中心となって担っていただくというのが大事なことだと思っております。

 これに対して、外国人家事支援事業というのは、目的が異なって、外国人家事支援人材が介護保険や保育サービスの従事者となることは想定はしておりません。外国人家事支援事業を推進することによってこれらのサービスを縮小するというようなことは全くあり得ないというふうに考えているところでございます。

郡委員 大臣、家事人材を送って家事サービスをやる、これは保育にしても介護にしても公的なところと切り離して行うんだというふうに言っているわけですけれども、実際に、一般的な家事支援だということで、既に、ベビーシッターが本業であるところは、それも織り込みながら、ほかの家事代行とは差をつけて、それこそ受け入れ先というんでしょうか、サービスを必要とするところを募っている。こういうことも実態の調査というのをやるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 親御さんがみずからの子供さんをどのようにお育てになるかというのは、それはそれぞれだというふうに思いますが、少なくとも、私どもが公定価格で提供する保育に関しては、その世界の中できちっとしたものを提供するということが当然のことであります。

 それの周辺でいろいろなことが行われていることについての調査をせい、こういうことでありますが、それについては、何らかの形で、やはり実態がどうなっているのかはしっかりと見ていきたいというふうに思います。

郡委員 ぜひ調査してください。

 私は、こういうふうにマーケットに依存度を高めていくということで公的なサービスが減らされていくことを心配しています。実際、家事人材を受け入れているところでは、公的サービスが圧倒的に不足しているからこそ、こういう家事人材というんですか、家事サービスが成り立っているということ、このこともちゃんと頭の中に置いていただかなくちゃいけないというふうに思います。

 安倍総理は、今月十一日、経済財政諮問会議で、さらなる外国人の活用ということに言及をされまして、自民党内では早速、労働力の確保、労働人口がだんだん少なくなっていくということを踏まえて、労働力の確保に関する特命委員会の初会合が設けられたというふうに報じられておりました。少子高齢化の進展を踏まえて外国人労働者の受け入れ拡大の議論を始めて、四月の末までに政府への提言をまとめるとのことであります。

 一億総活躍社会の看板に偽りがないのであれば、外国人労働者の受け入れ拡大の前に、総理もおっしゃった同一労働同一賃金、これを、国籍、性別にかかわらずちゃんとやっていくんだ、保障するんだということをやっていただかなくちゃいけませんし、現状の外国人の技能実習制度でも、日本人が従事する場合と同じような報酬をというふうに決められてはいるものの、厚生労働省自身がお調べになったところでは、実際、技能実習制度の実習生の賃金は、最低賃金、中学卒業生、十五歳程度の水準に近くて、高卒の初任給よりも四万円、製造業の生産労働者の平均よりも七万円も低い水準であったというのは、厚生労働省自身がお持ちになっているわけじゃないですか。

 この状況を放置したままでは、労働力を都合よく利用しているだけだというふうに言わざるを得ませんし、国際社会からも強く批判を受けるというふうなことを申し上げて、私の質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民進党の柚木道義でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 きょうは、塩崎大臣に、まさに今、与野党を超えてという議論もあるんですが、待機児童問題について。

 私もこの間、議論もさせていただきましたが、二歳の息子、五歳の娘、それぞれお世話になり、今でもお世話になっている、そういう中で、本当に議員として以前に親として、さまざまな課題、直面する問題、認識をしている部分もございます。

 そういった中で、通告に従って質問をさせていただきたいと思うんですが、大臣、間もなく新年度を迎えるわけですね。私もここ連日、お母さん方、もちろん子育て、働きながら、あるいは保活中、いろいろなお母さん方と、昨日も、私も深夜三時ぐらいまで議員会館で準備していましたが、子供さんを寝かしつけている、いろいろな状態があると思うんですけれども、たくさんのメールをいただくわけです、メーリングリストとかやっているので。このままいくと四月から復職できない、会社をやめなきゃいけない、そういう切実な声は本当にリアルにあるんですね。

 大臣、こういう状況の中で、本当に新年度を迎えることを大丈夫だと率直に思われますか、今の緊急対策で。

塩崎国務大臣 昨年発表しております待機児童の数だけ見ても二万三千人おるわけでございますので、今回どういうことになるのか、私どもとしても大変心配をしているわけでございまして、だからこそ、この緊急的な対策というものを打たせていただいているわけです。

 今、三月いっぱいまで、それぞれ市区町村の御担当の方々が必死で、何とか保育サービスが提供できるようにということで御努力をいただいているというふうに私は理解をしています。

 したがって、まず第一に、それが成就することを願うとともに、私ども申し上げているように、今回、保育コンシェルジュ、もう既に大分できつつはありますけれども、やはり寄り添って、本当にそれぞれのニーズに合った形で保育の機会を提供することを一緒に考えるという行政側の努力をさらに広げていこう、深めていこう、こういうことでございますし、四月から仮にうまくいかなくても、年度途中からも入れるように努力をするためのコンシェルジュでございますので、そういった形で精いっぱいの努力をし、また私どももできる限りのお手伝いをする、そのような基本的な考え方でございます。

柚木委員 今大臣が、寄り添ってという言葉を使われたんですね。保育現場に、あるいは親御さんたちに、もっと言えば子供たちに、本当にこの緊急対策が寄り添ったものになっているか。

 私、子供がお世話になっている保育園はもとより、地元の保育園にこの間お話を伺ったり、もちろん、いろいろなメール等では全国の保育関係者の方からお話を伺っているんですね。幾つか声を紹介したいんです。私の事務所でアンケートをさせていただいたものです。

 例えば、早期離職防止や定着促進のために取り組まれている方策、これは働きやすい職場づくりに意識して取り組んでいる、休暇、就業時間など、しかし、現場での保育の大変さ、帳簿などを含めての仕事量に離職となる場合があります、やはり一番必要なのは処遇改善、こういう声。

 質の低下が顕著になってきていると。そして、私が驚いたのは、その質の低下について、こういうコメントがあるんですよ。質の低下が顕著になってきているが、少々のことには目をつむる、そうでないと退職されると困る、こういう現実。これはこの後、いろいろな定員拡大の議論でさせていただきますけれども、現場にはこういう声がある。

 それから、既にもう今のシフトを組むのでも本当にぎりぎりだ、ぎりぎりでシフトを組むために、本当に現場の負担が過重になっていく、働ける時間帯、もちろん常勤の方、パートさん、非正規の方、いろいろな方がおられて、保育士確保が本当に厳しい現実があります、賃金引き上げ、五万円アップがあれば少しでも変わってくると思います。

 こういう声もあるんですよ。私は、この後もちょっと質問しますけれども、これは本当に危機感を持っています。今の状況だと子供を安全に見られる人員ではなくて、本当に危険な状態、いつ事故が起こっても不思議ではない。給与引き上げ、これが最重要、そして同時に、職員の人数をふやしてほしいです、一人当たりの負担が少しでも軽くなれば、もっと働きやすく、楽しい保育が子供たちにもできます。

 これは本当にごく一部なんですが、こういう声がある中で、大臣、今回の保育士の処遇改善、やはり一に処遇改善。そして同時に、さまざまな、一人当たりの保育士さんの負担軽減に当たる勤務環境の改善ということだと思うんです。

 この委員会の中でも、これまでの二%、さらに二%、さまざまな議論はあるんですが、今度、五月に緊急経済対策、五兆円ということで報道が出ていますが、塩崎大臣、今私たちは、少なくとも五万円引き上げる法律、署名もたくさんいただき、現場の保育士さんの声も今たくさんいただき、法案を出しています。一体、政府は幾ら、そしていつまでに処遇を引き上げる、そういう方針なんですか。

塩崎国務大臣 これは一体改革の中でも、総額一兆円余りの子育て支援対策が必要だということで、消費税の引き上げを決めて、二%引き上げを一旦延期しましたが、その際にも、子育て支援は大事だ、最重要だということで、この子育て支援関係の支出については、一体改革で決められたことについてやることに安倍内閣として決めさせていただいたわけでありまして、子育て支援が最重要課題の一つだということは、何ら変わらない重みであるわけであります。

 今、補正予算のお話がございましたが、私どもは、補正予算の話についてはまだ何も聞いているわけではございませんので、今私どもが明確にお伝えをしているのは、去る三月の一億総活躍国民会議の中で、五月のプランの中で具体的で実効性のある待遇の改善策を示してまいりたいということを申し上げているわけであって、先ほど来申し上げている、その一兆円の中の残りの三千億についても、民主党政権時代からの積み残し案件として我々はしっかりと対応していく、そういう所存であって、中で、この待遇改善は約四百億円必要でございます。

 やはり大事なことは、恒久財源があって初めて、ずっと処遇は改善をしたままでいけるわけでありますので、この恒久財源をどう見つけてくるのかというところが最も大事でありますので、それなくして幾らということを言ってみても、余り効果がないんだろうというふうに思っているところでございます。

柚木委員 きょうの資料におつけしておりますが、これはかつて自民党政権の中で、御存じの議員の方も多いと思います、人材確保法、これは教員ですね。その次には看護師さん。それぞれ、まさに保育もそうですが、子供たちの教育、未来、そして命を預かる、こういう職種で人手が不足していた時期に、その職種について給与を引き上げる、こういう取り組みがなされてきているんですよ。

 しかも、この人材確保法については、当時は田中角栄内閣のときに、三次にわたる計画的改善により合計二五%引き上げの予算措置が行われていて、これは、例えば二十万円であれば五万円まさに引き上げという、私は、当時の自民党、特に田中総理といえば公共事業、こういうイメージがありますが、公共事業だけではなくて本当に人への投資、人材確保、こういうことが行われていたわけですよ。

 これは自民党の皆さんの中にも、やはりこういうところにもっと投資すべきだ、予算を確保すべきだ、前倒しでやるべきだ、こういう声があることも、私もお聞きしていますよ。ぜひ、大臣、今のように、今回の緊急経済対策にも、処遇改善の予算も入らない、次もまだわからない、そういうようなことではなくて。

 当時の人材確保法というのは、私もいろいろ当時の資料を見てみました。これは、総額、当時で五百八十三億円。これは当時の、それこそ森元総理のブログも拝見しましたよ、本当に文教族の方、あるいは文科大臣、そして何よりも当時の田中角栄総理が、結果これは二五%だけれども、当初、五〇%やれと田中角栄元総理は言っているんですよ。今でいえば十万円引き上げるみたいな話ですよ。こういう議論があって、教員は処遇改善し、その後、人員不足ということにならずに来ているんですね。

 ぜひ、大臣、自民党の皆さんとも連携をして、元大臣も、こっちにも大物がおられますから、連携して、こういう保育士の処遇改善について、我々五万円出していますから、連携してそういう動きをする、そして、大臣もそれに応える、こういうお気持ちはありませんか。

塩崎国務大臣 この人材確保法というのは、実は、私の父が深くかかわって成立させた法律でございます。田中角栄先生が中心となって、私の父なんかも一緒になってやって、本当に教員の先生方には大変感謝をされて、おかげで選挙が強くなったというところもあったぐらいでありますが。

 しかし、時代はやはり少し違うのであって、高度成長期、四十六年といえば第一次オイルショックがあったころの、その手前ですね。それから、ニクソン・ショック。そういう、大きく日本の経済が伸びていて、いろいろなことがあったときであります。

 もちろん、私どもは、先ほど何も決めていないかのようなことを柚木先生はおっしゃいましたが、そんなことは全くなくて、これは先ほど申し上げたように、昨年の四月からは、子ども・子育て新制度のスタートに合わせて、予定どおり消費税財源を活用して処遇改善等加算として三%引き上げたということであり、さらに、人勧に合わせて上げてきて、今年度の補正予算でも一・九%の処遇改善、来年度も同様に上げるということになっているわけです。残りの、民主党時代から積み残しになっている三千億についてどうするかというのは、これは与野党を超えて財源を探していこうということを申し上げているわけであって、もちろん、今、政権を担っている私どもが責任を持つということは当然でありますけれども、この二%相当分の積み残しをきちっとやっていくというのも我々の大事な責務であることはよくわかっています。

 そして、何よりも、先ほど申し上げたように、五月の、きのう総理がはっきり五月と申し上げたので五月と申し上げますが、ニッポン一億総活躍プランの中で、具体的で実効性のある待遇の改善策等を示してまいりたいということを申し上げているわけであります。

 お聞きになっていらっしゃる方々が、今の安倍政権は何もしていないんじゃないかというあらぬ誤解をされてもいけませんので、明確に私どもはやることを申し上げているわけで、私たちと皆さん方と少し違うのは、責任を持って恒久財源を探すという、その責任感の違いではないかと思います。

柚木委員 では、一体幾ら上げて、そしてその幾ら上げるという見通し、私たちも大体ついていますよ。

 それで、では、今検討している、幾らか言えないのかもしれませんけれども、検討している金額、処遇の改善で、保育士の不足は改善するんですか。改善するというのなら、どの程度改善すると見込んで、幾ら引き上げるということを議論しているんですか。

塩崎国務大臣 保育士にならない理由の一つの重要な要素が処遇の問題であるということは、私もそのとおりだと思っていますし、安倍内閣としてもそのとおりだと思っているからこそ、今度の五月のプランで決めていこうということを申し上げているわけで、それが唯一の原因でなっているわけでは、離職されることになっているわけでは、あるいは、資格を取っていながらそうなっていないというのは、実は、働く環境の問題でもあり、そして体力的にもなかなか大変だというようなことが重なっているわけでありますので、これは幾ら給料を上げれば何人雇えるとかなんとかいう簡単な話では全くないと思いますので、私どもとしては、さまざまなことを考えて、この五月のプランの中で柱立てをしてまいりたいと思っております。

柚木委員 これは、もちろんその議論はこの後するんですが、先ほども、では民主党の五万円、野党の五万円でどれだけ不足が解消するんだと。少なくとも今の政府案よりは解消しますよ。五万円、あるいはそれ以上でも結構ですよ。何か、野党が五万ならその倍だという声もあるそうじゃないですか。ぜひやりましょうよ。

 そして、今回、潜在保育士七十万人の六割、約四十二万人になるんですか、処遇改善されたら現場に戻りたいと答えていますよ。保育士さんの七万人の不足、解消に向かうじゃないですか。今回は五万円どころか一円も入っていないですよ、緊急対策。そして、その先も、もちろん五月に発表されるんでしょうけれども、まだ見えない。

 もう新年度を迎えるんですよ、やめなきゃいけないという切実な声が目の前にあるんですよ。何で今回やらなかったのかと、私は本当に政府の本気度を疑いたくなります。これでは本当にどんどん育休切れで、お母さんたちは仕事をやめなきゃいけない。

 そして、逆に、この後触れますけれども、現場の保育士さんたちも、今回のこの緊急対策は、正直期待していたけれども、本当にがっかりだ、こういう声ですよ。これだと、保育士さんの不足、改善されるどころか、むしろ退職が加速しちゃいますよ。そして、その結果、待機児童もふえて、そのしわ寄せはお子さん、親御さんに行くわけでしょう。本当に私は、ちょっと大臣、やはり危機感が欠けていると言わざるを得ない。

 それで、今まさにおっしゃったように、お金だけじゃないです。本当に現場の保育士さんが、私や、どの親御さんもそうかもしれない、もう神様のように見えるんですよ。もう先生がいないとやっていけない。そういう保育士さんたちから、処遇はもとより、働き続けられる環境を整備してほしいと。それで、今回も、例えば保育補助者雇い上げ支援等推進、あるいは業務負担軽減のためのICT化推進、あるいは保育士さんの子供の優先入園、いろいろ入っているんですけれども、どれも全部まだ全然実績も上がっていない。本当に未知数ですよ。

 こういう中で、私は、必要だと思いますよ。でも、ちょっと時間がないので小規模保育の議論にあわせていきますけれども、こういう、いわば現場の負担の軽減は保育の質、安心、安全を担保することになる、こういうところについてはまだまだこれから、見切り発車、それなのに、規制緩和の方だけはどんどん前に進めていく、処遇改善もまた後回し、不十分。こういうことで本当に子供たちの命、安心が守られるのか、私は本当に不安です。

 そこで、今回、小規模保育の定員拡大について、実際、現場からはこんな声が上がっていますよ。保育士さんが確保できなければ、定員だけ拡充したって受け入れ数の拡大にはつながらない、あるいは、それでも受け入れ数が拡大されれば保育所間での競争が起こるから、結局、保育士さんが確保されないままに受けざるを得ないような状況が起こりかねない、そして、そうすれば、当然現場の負担はふえて、保育の質や安全、安心の低下につながる。こういう声が、今回の案についても現場から起こってきているんですね。

 それで、私、きのう通告で聞きましたよ。では、小規模保育所に、当然、A、B、Cとそれぞれある、保育士資格が必要なA型、半数は必要ではないB型、家庭的保育のC型、いろいろある、それぞれどういう形でどの程度ふえると想定して、では質の担保、どういうことをやるんですかと言ったら、全然そういうような準備がされていないんですよ。

 拡大だけは先行するけれども、質や安心、安全の担保は後回し、こういうことで本当に、親御さんや子供たちは安心して、待機児童の解消につながると大臣は思いますか。

塩崎国務大臣 これはさっき山尾先生からも御指摘があって、正確な予測もないままにはいかがなものかということであります。

 今回、十九人以下とされている小規模保育事業の定員を弾力化する、二十二名まで受け入れを可能とするということを緊急対策に盛り込んだわけでありますけれども、この三人プラスすることがどの程度できるのかというのは、さっき申し上げたとおり、それぞれ小規模保育所によって異なるわけでございます。追加でこの受け入れを行っていただいたとしても、私どもの考え方は、国の定める職員配置とか面積の基準というものは満たしていることが前提であって、地域の待機児童の状況を踏まえて、一人でも受け入れの数をふやしていただきたい、こういうことを申し上げているわけです。

 今回、緊急的な対策は、小規模保育事業はA型、B型、C型というのがございますけれども、私どもは、やはり質は下げないということが原則でありますので、今回の対象も、A型、B型について二十二人までの弾力化を可能とするものであって、いわゆる家庭的保育者、保育ママですね、この方に担っていただくC型というものは対象外であるということを申し上げておきたいと思います。

柚木委員 今、大臣は、質は下げない、国の基準を満たすとおっしゃるんですけれども、どうしてそう言い切れるんですか。

 国の基準を、そんなものは当たり前の話ですよ、もう最低中の最低で、これでは危ないから、自治体独自でいっぱい上乗せしてやっているんじゃないんですか。そんなのは当たり前の話で、質を下げないとおっしゃるんですけれども、二月に発表された保育施設における事故報告集計、これは死亡報告が十七件ですね。この十一年間で百六十人の園児さんが亡くなっている。

 大臣、小規模保育所はこの保育施設における事故報告集計に含まれているんですか。わからなければ、ちょっと後ろからお願いします。

塩崎国務大臣 新制度が始まった二十七年度からは含まれているということでございます。

柚木委員 ということは、最新のものは二十六年ですから、まだ出ていないわけです。

 質を下げないとおっしゃる。しかし、認可外も多い、認可でもふえている、あるいは改善が見られていない、こういう中で、私たちは、保育の受け皿、メニューの拡大は必要だと思っているんですよ、ただ、その質の担保、安全の担保なくして、あるいは、それを後回し、見切り発車で、基準だけを緩和していくということに対しては、これはやはり、子供や親や現場の視点からも、せめてそれを同時、あるいは先に、処遇改善、質の安心というのをやった上で緩和をするのであればまだしも、順番が逆だという認識なんですね。

 それで、これは、今回、事故を予防していくために、事故予防のガイドラインを四月から保育施設あるいは自治体向けに発出をされるということなんですけれども、これについても、私は非常に実効性については疑問があると思いますよ。罰則規定もないし、自治体あるいは現場に委ねざるを得ないような形になっている。

 これは、本当に、質を下げないとおっしゃるんだけれども、小規模保育、規制緩和してどうやって質を担保するんですか、子供の安心、安全、命を。

塩崎国務大臣 まず、先ほども申し上げて、お聞きになっている方が誤解されるといけないので。

 今回の、小規模保育事業で十九人から二十二人まで、三人マックスでふやす場合にあっても、国の定める職員配置とか面積基準は満たした形で三人ふやすということになっているので、安全性における基準は何も変わらないということをまず皆さん方に御理解をいただかないといかぬなというふうに思いました。

 そこで、弾力化によって、保育士の非正規の割合の増加、それから質の問題というのがございましたけれども、私どもは、今、二十二人まで受け入れ可能ということは、現在ある保育サービスを最大限活用する。つまり、「待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策について」という、今回発表したものの冒頭に書いてあるのは、「待機児童解消までの緊急的な取組として、」ということで今回の緊急的な対策をやっているのであって、基本は、我々は、もう既につくり上げてきたものがベースであって、そこに緊急的な対応として今すぐに何ができるかということを入れた、そして、今度、五月の一億総活躍プランの中で待遇改善を含めてさらなる対策を入れていこう、こういうことになっているということを重ねて御理解いただきたいと思います。

 そういうことでありますから、定員弾力化でありますけれども、国が定める人員基準、面積基準を満たした上で実施するものであって、保育士の方々は、常勤、非常勤を問わず、専門的知識を有し、その専門性を発揮しながら保育を行っていただいていることから、保育の質は低下はしないということでございます。

柚木委員 その認識が甘いと私は申し上げているんです。

 私は、この間、この緊急対策が出てきて、現場の保育士さんたち、その中の四ページ目に、これは報道で、こういう声は全国に満ちていますよ。

 「保育園の事故は、保育士の人数や面積の不足が原因となることが多い。基準を緩和するのは危険だ」。これは世田谷区で、まさに、川に落ちて六歳の園児が死亡する事故が起きて、保育課長のコメントですよね。そして、現役の保育士さんからも、今ですら一人一人に目を配るのは難しく、一日じゅう緊張が続く中で仕事をしている、緩和すれば負担は一層重くなる。

 そして、先ほどの、私が実際にアンケートをとっている方でも、いつ事故が起きても不思議がない、もっと言うと事故が起こらないのが奇跡だ、これは親御さんの前では言えないけれどもという本音、切実な声があるんですよ。

 大臣、では、今の質、配置基準が、例えばこれは、ゼロ歳三対一、一、二歳六対一、三歳二十対一、四、五歳三十対一と、一定の、一つの目安がありますね。

 私も、自分の子供が保育園で、うちはビル保育で二階です、この間子供が転落しそうになって、たまたまそばに妻がいてキャッチしたという話をしました。散歩に行く直前の様子に出くわしたこともあります。三歳児が十人、二十人、階段の目の前、先生は準備をしているから一切いない瞬間がある、その出発の瞬間を見ていました。柵がない川、溝がそばにあって、車が通るところを子供たちが十人から二十人、先生一人あるいはプラス一人。

 大臣、今、質は下げないということもおっしゃったけれども、では、例えば三歳児、これは二十対一です、もちろん、保育園、自治体によりますけれども。仮に、塩崎大臣、御自分で、一人で三歳児二十人、ちゃんと目が行き届いて、例えば散歩とか行けますか、御自分がもし保育士さんだったら。

塩崎国務大臣 子育てが大変であり、また、保育園、私の子供二人も行きましたし孫たちも行っていますから、どれだけ大変かということもわかりますし、私の家内は私の地元の女子大、短大の教授をしておりますけれども、そこにも保育士の養成コースがあって、そこの方々から、うちの家に来られたりするときの話も聞いていますし、私の友人にも保育園をやっていらっしゃる方がたくさんいて、どれだけ大変かということは、ミニ集会などをやって、よくわかっています。

 ただ、先生、今の規制で十分じゃないという気持ちもよくわかるし、規制を超えて上乗せの人員配置をするとか、そういうことをやっていらっしゃるところが多いこともよくわかっています。わかっていますし、それはやはり大事にしていかなきゃいけないと思っていますが、しかし、では今、逆に、規制をさらに強化して、私どもは今、国の基準でいくと言っているわけですけれども、強化をしていくということは予算がまた要るということですよ。

 ですから、そういうこともよく考えた上で、今の基準はしっかりと守りながら、緊急的にできるところについては応えていただきたいな、そういうことで、これから市町村とよく話し合っていこうということでございます。

柚木委員 緊急対策だからといって、命を軽視していいということにはならないと思いますよ。

 時間がありません。

 私は、この間、ママさんたちからさまざまな声を聞く中で、きのうも深夜三時ぐらいまで会館で準備している中で、ちょうどNHKで深夜に「ママたちが非常事態!?2」という番組をしていました。七割の母親が子育てに孤独を感じている。何の地獄かと思いました、子育てしながら働くのがこんなに大変とは思ってもみませんでした、こういう声ですよ。しかも、この声は、お母さん方の声なんですね。

 私が違和感を感じるのは、なぜお父さん方、もちろんいらっしゃいますよ、しかし、この間、御要望に来られる方、あるいは、この後保活の調査について聞きますが、回答されている方、あるいは大臣のところに署名を持ってこられる方、ほとんどみんなお母さん方なんですよ。私は、やはり、男性の育児や家事、もっと言うと保活などへの参加も含めて取り組んでいかないと、これは、お母さん方が活躍できるどころか、ますます負担がふえて、子供たちにそのしわ寄せが行きかねない。虐待、発達障害、いろいろな問題にもリンクしかねない、こういう問題意識なんですね。

 それで、保活調査について伺いましたら、これは三月二十二日から千件ぐらい来ている。ほとんどが女性の方の回答だということなんですけれども、大臣、ぜひ一つ私が加えていただきたいのは、まさに新年度になるわけですけれども、基準の中に、育休切れでどうなりましたかの中に、仕事をやめましたがないので、一つは、それを加えていただきたいんですが。

 その上で、ここに三項目ありますね。「調査の手法について」「保育制度全般の改善について」「「保活」について」。

 特に、まず、手法については、ワード以外でも出せるようにしてほしい、スマホでもやれるようにしてほしい、これについてぜひ改善をお願いしたい。

 それから、やはり、処遇の改善、質が重要、このこと、ぜひ改善をお願いしたい。

 そして、保活についてなんですけれども、今のような状況で、こういう声ですよ、私、本当に驚きます、責任を感じます。ある方、もう二人目を諦めようと思っている、そういう思いで夫婦で考えているんだけれども、なぜならば、一人目の保活でもう懲り懲りだと。あるいは、もっと切実なのは、二人目を宿られた、だけれども、一人目の状況を考えたときに、もう産むのを諦めようかということが頭をよぎった、きのう伺った声ですよ。こういう実態が、今の保活の現状についてあるわけですね。

 今申し上げた、調査の手法について、それから、やはり処遇、質の改善、これが声が上がっているということ、それから保活の今の状況について、それぞれ、私、これは事前にそっちからもらっている情報をもとにつくっているものですから、改善について御答弁をお願いします。

塩崎国務大臣 スマホからでも書き込みができるようにするということについては早速やるということで、ほかからも御指摘をいただいて、きのうの参議院の厚生労働委員会でもお話がございましたので、対応していきたいと思っています。

 処遇改善の問題については、もう先ほど来申し上げたとおりでありますので、プランをお待ちいただきたい。

 先ほど来、質の低下等々で御懸念をいただいておりますけれども、五万円上げるだけの一点張りではなかなかやはり待機児童は解決をしないのであって、私どもとしては、やれることは全てやる、そして、今緊急的にできることは全てやるということで御提案を申し上げた、そして実行をしていく、そういうことでございます。

 保活については、さまざまあることは、私の周りにも保活をやっている方々がおられたり、あるいは、自分はたまたま今うまく区立の保育園に入れたけれども、周りでいろいろ聞いてみるとこんなことだという話も随分私も聞かせていただいています。

 したがって、しっかりと耳を傾けていくということは、先生がおっしゃるとおり、大事なことでありますので、やっていきたいというふうに思います。

柚木委員 終わりますが、委員長に最後にお願いしておきます。

 ぜひ、この問題、もっともっとやはり審議の時間が必要です。待機児童解消に向けた問題についての集中審議というような時間をしっかり委員会に確保いただいて、私は、やはり、児童福祉法二十四条を変えるとか、ドイツのような、児童青少年扶助法のようなもので必ず希望するお子さんが保育を受けられる権利を保障するとか、そういうところまで踏み込んでいかないと今の待機児童問題は解消しないと思っていますので、委員長、この問題の集中審議の時間をしっかりと確保いただくことを理事会で協議をお願いしたいと思います。

渡辺委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

柚木委員 以上で終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。民進党の初鹿明博です。

 質疑者も、六番目ぐらいになると、かなり前に質問をされてしまっているので、ちょっとおさらいも含めて幾つか質問していきたいと思います。

 まず、今回の緊急対策の中の、小規模保育の定員を二十二人までというお話なんですが、私は、これは全く現実味がないんじゃないかと思うんですよ。

 というのは、人員配置は変えない、面積の基準も変えないということですよね。では、今の小規模保育で、基準よりも一人、二人、三人も余裕を持って保育室の面積を持っているような、そういう保育所が本当に幾つあるのかということなんですね。先ほどの答えだと、その数は把握していないということでしたよね。把握していないということでよろしいんですよね、大臣。ないんですよね。

 私は、ほとんどないと思います。小規模保育というのは、恐らく都市部なんですよ。東京は比較的多い。家賃が高いんですよ。事業主からすると、できる限り家賃を抑えようとしたら、ぎりぎりの面積でやろうとするのが当たり前じゃないですか。しかも、百平米を超えないようにするんですよ。

 大臣、何で百平米を超えないようにするかわかりますか。

塩崎国務大臣 その理由については、つぶさに把握はしておりません。

初鹿委員 百平米を超えると、用途変更をしたり、また、消防法の適用になってスプリンクラーをつけたり、そういう事業主の負担がふえるんですね。ですから、基本的に、大体のところは、小規模保育をつくろうという人は九十九以下の物件を探そうとするわけです。そうなると、保育室が七十ぐらいになるということですから、数をふやそうとしても、結局、余裕を持った面積の事業所というのはまずほとんどないと私は思います。ですので、これは即効性がないということを指摘させていただきます。

 では、次の質問に移りますけれども、今回、緊急対策でこれを出したということで、予算は一銭もふやさずに、できることをこの一週間、二週間で決めた、二週間もかからずに決めたわけですから、それはそういうことなんだと思いますが、これで終わりじゃないですよね。この後、きちんと処遇の改善も含めた対策を出す、そういう理解でよろしいんですよね。

    〔委員長退席、小松委員長代理着席〕

塩崎国務大臣 そのとおりでございます。

初鹿委員 それだったら、ぜひ、我々が提出している五万円の法案とあわせて、この委員会で集中審議という形で保育の問題を審議していただきたいんです。ぜひ、そのことを、まず、委員長じゃないんですけれども、委員長にお願いをいたします。

小松委員長代理 後刻、理事会で協議いたします。

初鹿委員 次に、先ほど大臣が、賃金を上げただけでは保育士不足は解消するわけではないという趣旨のお話があって、そのときに、働く環境の問題というのがあるということでしたけれども、働く環境の問題というのは具体的にどういうことを指しているのか、ちょっとお答えください。

塩崎国務大臣 いろいろ聞いてみると、本当に、燃え尽き症候群的に忙しい。もちろん、子供さんがいるだけでも気配りをしないといけないことがたくさんあるということもありますし、一方で、書類を書かないといけないなどのこともあります。

 必ずしも保育士さんがやらなくてもいいこともやらなければいけないということなので、私どもは、補助者をつけられるように今回も予算、手だてを打っているわけでございまして、さまざまなことがみんな保育士さんがやらなきゃいけないことになっているということが、負担が重くなっている一番の実態ではないのかなというふうに思っています。

 したがって、なかなかしんどい仕事で長く続かないという話をよく聞きます。

初鹿委員 先日、認可外の二十四時間の保育施設に視察に行ってまいりました、夜中に。そのときに、働いていた園長先生は、認可園で働いていた人が認可外に移ってきているんですよ。なぜだかわかりますか。普通に考えて、給料は何となく認可園の方が高そうな感じがしますよね。給料の問題じゃないと。

 何でかといったら、認可園は忙し過ぎて休みもとれないし、このままここで働いていたら自分の人生が送れなくなる、それで二十四時間のところに来ました、二十四時間で何がいいかといったら、夜勤の人がいるので、朝、割と遅目に出てくることができる、時間がある程度、シフトになっていて、柔軟になっている。

 つまり、どういうことかというと、今の保育士不足の原因の一つ、子育てしながら保育士を続けられないんですよ。これは、単に子供を預かる保育園がなかったというだけではなくて、保育園のあいている時間に勤務をするとなると、それよりも先に子供を預けなきゃいけない、また、終わった後、もっと後に子供を預かってくれるところがなければいけない、そういう受け皿が今ほとんどないわけですよ。だから、保育士さんが子供が生まれたら断念をすることになっているんじゃないかと思うんですよ。

 それを、勤務時間を真ん中に決めればいいという言い方をする方もいるんですが、大人数でやっているわけですよ。特定のこの人だけ朝早い勤務がない、夜遅い勤務がないといったら、やはり働きづらくなるわけじゃないですか。保育士さんの退職した理由、離職した理由のベストスリーの中に入っているのは職場の人間関係ですからね。つまり、働きづらい環境になるようなことはしたくないわけですよ。その結果、保育士さんはやめていって、子育ての最中はなかなか仕事につかないということになるわけです。

 このように、保育士さんの保育のニーズにどのように大臣は応えていこうと考えていますか。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 今委員御指摘のように、保育士の方の育児環境を整えていくこと、これもとても大切でありまして、働き続けていただける環境を整えていくことがとても重要である、このように考えております。

 ということで、子ども・子育て新制度の認可サービスは、家庭的保育を含めて、全体の優先順位のつけ方の中で利用調整されていく仕組みでありますけれども、保育士の子供を優先することは難しいんですけれども、ただ、これは自治体独自でも優先入園の仕組みをとっているところもございます。

 御指摘のようなものに近いものとしましては、企業主導型保育を今回入れさせていただいておりまして、複数の企業が共同利用する、例えば保育所とか近隣の企業と協力し合って企業型保育所をつくっていただいて、そこで事業者が共同で経営をしていただいて、そういった保育士さんのニーズに応えていくような環境をつくっていくということも対応できるのではないか、このように考えております。

 ということで、いろいろな政策を組み合わせながら、保育士の皆さんも子育てしやすい環境をつくっていきたいと思っております。

初鹿委員 先ほども言いましたけれども、施設型の保育だと多分限界があるんですよ、開園時間がありますから。だから、私は、保育士さんの保育ニーズに応えるためには家庭的保育をやはり広げていく必要があると思います。

 保育士さんの場合は特にそうだと思うんですよ。早く子供を預かる、また遅くまで預かれる。あと、保育士さんの子供が病気になったとき、病児保育に預けられないとお母さんは帰らなきゃならないじゃないですか。小規模保育で一人保育士さんが抜けたら子供を預かれなくなっちゃいますから、帰るわけにいかないんですよ。そのときに、家庭的な保育で、しかも病児保育の研修もきちんと受けている、そういう保育士さんに預けられていれば、帰る必要がなくて、その日は勤務を務められるようになると思うんです。

 保育士さんの保育を家庭的保育で担う、これを広げていくということについて、大臣、御見解をお伺いいたします。

塩崎国務大臣 いろいろなニーズがあって、多様な保育の形があるべきだというのは、もうこれまでやってきた保育改革の一つの大きな考え方だと思うんです。

 ですから、今先生がおっしゃった、家庭的保育を、保育園という施設よりももうちょっと小さい、何人かで、保育ママのような形も含めてやるということは、私は有効な手だてだというふうに思いますが、その際には、やはりきちっとしたさまざまな基準、安全性、子供の発育にとってのプラスマイナスのこととか、いろいろ考えてみて、規制はしていかなきゃいけないんだろうというふうに思っているわけであります。

 病児保育は全般的にもう長い間の宿題になっていて、私の地元でもやはり幾つかの小児科ぐらいしか、それも一つに二人分、三人分しかないというようなことが続いていますから、ここはやはりもっと力を入れないといけないと私も思っているところでございます。

初鹿委員 今お答えがあったとおり、やはりきちんとした研修をして、しっかり保育ができる人を家庭的保育の保育員にするべきだというふうに思うんです。

 実際に自治体でも少しずつ広がってきていますけれども、やはりなかなかそこが、広がるペースが、少ないんですよね。大体どこの自治体も十人とかそれぐらいなんですよ。私の住んでいる江戸川区はもう昔からゼロ歳児は保育ママでやると決めているので二百人いるんですけれども、そんな自治体は多分、日本全国でまれなんだと思うんですね。

 ただ、そういいながら、実は、家庭で子供を預かって業としてやっている人というのは、自治体を通さずに、たくさんいるんですよ、現状で。多分そのことは御存じですよね。

 今、届け出制になり始めていますけれども、届け出が進んでいくかというと、なかなか進まないんですよ。なぜかといったら、届け出たら施設基準を入れられてしまうんじゃないかとか、そういうことを懸念して、地下に潜ってアングラでやっちゃっているようなところもあるんですよ。でも、これは私はもったいないと思うんですね。こういう人材をきちんと制度の中で使えるようにしていくことが私は重要だと思います。

 そこで、ちょっと大臣にお伺いしますけれども、チャイルドマインダーという資格を御存じでしょうか。

塩崎国務大臣 チャイルドマインダーというのは、保育における実践的な職業人材育成を目的とした民間の資格だというふうに聞いております。もともとはイギリスの制度だというふうに聞いておりますけれども、これは民間の資格で、英国における職業資格としてあるものを、日本でも同じように、民間で、一部の団体の方が認定を行っている制度というふうに理解をしております。

初鹿委員 英国の国家職業資格で、法律にものっとって定められている資格で、これに準じたカリキュラムで日本でも保育のニーズに応える人材の養成をしている、そういう制度なんですね。結構、この団体は、自治体の家庭的保育の研修なども委託を受けて行ったりしているんですよ。

 ということは、このチャイルドマインダーという資格をきちんと認めて、これで家庭的保育の枠を広げていくことにすれば、今、会員、受講を終わった方々で二万人ぐらいいるそうですから、一気に二万人ぐらいの枠が広がるんですよ。

 このチャイルドマインダーを活用するということについて、大臣、御見解をお伺いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 昨年の四月からスタートしている中の小規模保育、先ほども議論がありましたが、この保育従事者などとして従事できるようにする子育て支援員がございますが、この仕組みの中で、研修は都道府県、市町村が委託などをして実施しています。

 チャイルドマインダー講座のカリキュラムの詳細は、まだ私ども十分、事務方もよくわかっていないところがありますが、その内容を子育て支援員の研修内容とあわせて整備をする、要するにシンクロするということになれば、地方自治体がチャイルドマインダー講座を子育て支援員研修として委託をすることもあり得るのではないかというふうには考えているところでございます。

 また、小規模保育事業のB型については、子育て支援員研修や市町村長が指定する研修などを修了した者であれば、保育士の資格を有しない者が従事することが可能となっています。各自治体が最終的にこれは判断をするということになっていますので、チャイルドマインダー講座を受講された方がこのB型で従事していただくという可能性もあるのかな。

 ですから、制度的に整備をして、大事なことは質の確保だろうと思いますので、少し研修の期間の長さなども異なるようでありますから、内容も含めて、その辺は調整が若干必要なのかなとは思いますけれども、基本的には、シンクロをさせていけば、今先生がおっしゃったような制度も取り込み可能ではないかというふうに思います。

    〔小松委員長代理退席、委員長着席〕

初鹿委員 加えて、預かれる子供の年齢が二歳までですけれども、これを広げていったらどうかなと思うんです。

 それで、なぜ広げていくかということなんですが、今の待機児童問題の、特に三歳児問題がありますよね。三歳児は入れない、小規模保育に入れているけれども連携園がなくて困りますという人が物すごく多いわけですよ。そういう人たちに、例えば幼稚園に入ってもらうんですよ。そうしたら早く帰ってこられるから困るじゃないかということになりますよね。そのときに、家庭的保育でそれまで預かっていた保育員の方が迎えに行って、お母さんが帰るまでその子を今までやっていたとおりに預かるということができれば、私はかなりの割合で待機児童の問題は解決できていくと思うんですよ。三歳児の子供たちを幼稚園に入れて、その後、預かる人をつくる。

 これは、学校に行ってからも使えると思うんですよ。同じように、例えば学童保育に行きますよね。この小学校一年生の問題というのは非常に課題になっていますよ。今まで八時まで延長保育してくれたのに、学童保育はほとんど六時で、その後どうするんだということを大臣も非常に耳にしていますよね。そういう小学生になった子供たちも、この家庭的保育でゼロ歳から三歳まで預かっていた人が引き続き三年生ぐらいまで、自分でお留守番できるまで迎えに行くようになれば、これは親も安心だし、ずっとかかわってくれている人だと信頼できるし、非常に有意義じゃないかと思うんです。

 こういう新たな仕組みをつくるという、初めて私が提案するので、すぐにやりますとは言えないと思いますが、この私の提案について、大臣、どのようにお考えになりますか。

とかしき副大臣 先にお答えさせていただきます。

 私、概況の方をちょっと御説明させていただきたいと思います。

 三歳以上につきましては、保育の受け皿をふやしていくこと、これも大切だというふうに考えております。特に、三歳以上は、幼稚園とか認定こども園、保育園を合わせて、利用率は今、九〇%になっております。四歳以上は九五%を超えております。ということで、就学前の教育、保育のサービスの量は全体的におおむね充足している、このように考えております。

 ということで、今お話ありました幼稚園と家庭的保育、これのことでございますけれども、今の対応といたしましては、市区町村事業として、ファミリー・サポート・センター事業、こういった形で対応させていただいているところであります。

 委員御指摘のように、幼稚園と家庭的保育、これを仮に組み合わせた場合は、公的な給付を一人のお子さんに二つ行うことになってしまいますので、現状では、今の状況では難しいということでございます。

初鹿委員 今の現状だと難しいんでしょうけれども、ファミサポで代替するというのは私はいかがなものかなと思うんですよ。ファミサポの人は、しっかりしている人もいると思いますが、やはり子供を預かるということに対する研修の期間は明らかに少ないわけですよ。事故が起こったときにどう責任をとるんですかという問題にまで発展をしていくと思いますので、きちんと保育の教育を受けた方がきちんと担うように私はすべきだと思いますので、これはぜひ検討していただきたいと思います。

 では次に、大臣にお伺いしたいんですけれども、待機児童の問題です。

 この待機児童の問題、みんなが認可保育園に入りたいと言っている。認可外に預けていても、認可保育園に入りたいと言っている。その一番の理由は何だと思いますか。

塩崎国務大臣 恐らく、一つは質であり、それから、コストではないかというふうに思います。

初鹿委員 そうですね、質の面もあると思います。でも、認可外でも、いい保育をやっているところはたくさんあります。あたかも、この議論をしていると、認可外が全て悪みたいな、全て質が悪いみたいな言い方になってしまう方もいるんですが、そうではなくて、認可外でもきちんとした保育をしているところはあるんですよ。

 でも、預けている親からすると、認可園に入れたいというのは、やはり金額の問題ですよ。公的な支援が入っていない認可外は高いんですよ。入れたら安くて、入れないと高いという、このギャップの大きさをやはり私はどうにかして埋める必要があるんだと思います。

 認可外ですと、子供を預けて保育料を払いますよね、そこに消費税がかかるんですよ。御存じですよね。消費税がかかるんですよ。その消費税を自分が落ちた認可園のために使われているんですよ、認可園を落ちて認可外に入れている人は。このことを考えても、本当に、認可園に入れた場合と入れなかった場合のギャップが余りにも大き過ぎる。

 だから、私は、以前からずっと、民主党政権のときから言っていたんですけれども、施設に対して補助を出すというのは一定数は必要だと思いますが、やはり預けるという行為に対して補助を出す、支援をするという形に変えていくことが私は一番重要だと思うんです。そうすれば、家庭的保育の場合もそれで賄えるし、認可外に入れた場合も負担の軽減になるわけで、そうなったら、別に認可園じゃなくてもいいという人はたくさん出てくると思うんですけれども、この預けるという行為に対して補助を出すということについて、御見解をお伺いしたいんです。

塩崎国務大臣 コストが非常に大きいファクターだという先生の今の御指摘で、そのとおりかと思いますが、今、子供を預けるという行為に対して公的な支援が行われる制度にしてみてはどうだというお考えだと思います。

 いずれにしても、こうやって建設的な提案をたくさんしていただくのは、大変いい議論になると思って、参考になりますので、ぜひお願いしたいと思います。

 これはきのうの予算委員会でも少し出ていましたが、いわゆるバウチャー制度というのが時々提案をされて、今もその考え方に相通ずるものではないかなというふうに思いましたが、さまざまな仕組みが考えられるわけで、一般的には、いわゆる使い道が制限をされて、給付を個人に対して支給して、あとはお任せする、こういう格好だろうと思うんですね。

 当然、利用者のメリットには、サービスの選択がみずからできるという、幅が広がる、これがある。それからもう一つは、多様なサービスが対象で、官製サービス一つみたいなことじゃないということで、選べるということがいいんじゃないかなというふうに思います。

 一方で、問題は、安全性とかそういうような質の問題があって、サービスの質が本当に確保できるかということを担保しないといけないという課題がある。それから、一定の利用料で一定のサービスを受けることができなくならないかという心配をされる方もおられる。この問題を解決せないかぬ。一人親家庭とか障害児などの弱者への配慮がこれで本当にできて、優先入所などが、バウチャーを持ってきた人が早い者勝ちみたいなことで、阻止されてしまうようなことがないかといった課題もあるのかなというふうに思っています。

 今回、新制度において、従来対象となっていなかったメニューを取り入れるということで、小規模保育などについても、多様なサービスについて質を確保した上で広く選択できるようには私どもしているわけでありますので、そういう意味で、今申し上げたようなメリットをどう今の制度の中でつくり込んでいくかということを、さらに私たちは絶えざる改革をしていかなければいけないのかなというふうに思います。

 きょうはまだ余りお話が出ていませんけれども、事業主がつくる、企業がつくる事業所内の保育所、こういうところにもいろいろな、バラエティーのあるサービスは用意が可能かもわからないなということで、私どもは今回期待をして企業主導型の保育事業というのを導入しているということも申し添えておきたいと思います。

初鹿委員 私がこれを提案する理由はもう一つあって、認可保育園には仕事の働き方によって入れない人がいるんですよ。夜働いている人は、ほぼ一〇〇%、認可保育園に入れられないんですよ。

 ですから、私、二十四時間の保育施設に視察に行ってきたんですが、半分以上はホステスさんです。それと、そのとき預かっていた子供さんのお話を聞いたら、鉄道会社に勤めている人がいると言いました。スチュワーデスさんもいると言いました。そういう九時から五時じゃない働き方をしている人にとって、預ける場所は認可保育園にはほとんどありません。二十四時間の認可保育園も確かにありますが、それはわずかです。

 エイビイシイ保育園という歌舞伎町にある二十四時間の保育園、もう十年以上前ですけれども、認可になったときに伺ったことがあります。そのとき園長さんがちょっと悲しそうに言っていたのは、どういうことかというと、歌舞伎町で夜働くホステスさんを助けようと思って二十四時間の保育を始めた、でも、いろいろ考えて認可保育園になった、そうしたら、自治体を通して来るから、預かる人の親は大体、厚生労働省の人も当時いました、スチュワーデスさん、収入が高くて仕事が安定している人ばかりになりました。

 認可保育園は比較的そうなんですよ。でも、認可外で、仕事の時間が合わなくて、夜働いて、就労も不安定、収入がいつどうなるかわからない、そして雇用環境も不安定、そういう人たちには公的なお金が入らない。収入の高い人には、物すごい金額の公的な負担が認可保育園には入っている。この矛盾をやはり解消しないとならないと私は思うんです。

 この前行った二十四時間の保育所のホステスさんはどういう母親像なんですかというのを聞きました。十代、十八、十九歳のお母さんもいます、大体が二十代前半ですと言いました。十代で産んでいる。恐らく高校を中退しているか何か。そのまま昼間働いたら、多分、収入が手取りで十万そこそこ、それで子供と一緒に二人でアパートを借りて暮らして、子供を保育園に入れて、生活できますか。できないと思います。

 きのう、私、実際に子供を保育園に預けているホステスさんの話を聞いてきました。やはり昼間働いてそれで生活ができるんだったら昼間働きたいと子供のために思うけれども、東京でひとり暮らしをして、手取りで大体、今、シングルマザーで十五万ぐらいですよ。そこに児童扶養手当が乗っても二十万ぐらいです。そこで、認可園に入れなくて、七万円の保育料を払って、六万円から七万円の家賃を払ったら、生活できないじゃないですか。できないんですよ。だから夜働く、そういう人たちがたくさんいるんです。

 そういう現実を、塩崎大臣、どう思いますか。このように、認可保育園には多大な公的な資金が入っていて、そうじゃない認可外は入っていなくて、そこにいる人の方が経済的に厳しい、環境も厳しい、そういう状況をこのまま放置していいと思いますか。大臣、御見解をお伺いいたします。

塩崎国務大臣 当然、全ての国民は無視されるべきではないわけであって、あらゆるニーズに応えていくということは大事な我々の責務だというふうに思っています。

 公的な、いわゆる認可の保育園の場合の硬直性というか、そういうことについてはよくわかるところで、ですから、今、それをどう解決できるのかということについて、できることは何でもやっていかなきゃいけないという時期に来ていますし、何よりも大事なのは、やはり子供の問題は我々にとって本当に、後を託す世代の子供たちでありますから、そういった子供たちがつらい目に遭って、しっかりとした健全育成ができないというのは好ましいことではないので、これは解決をしていかなきゃいけないので、知恵を出さなきゃいけないと思います。

 先ほど申し上げたように、今回もいろいろな緊急的な対策を設けましたし、これは緊急じゃありませんが、企業型のものもフレキシブルに、いろいろなことで、初めて、企業の中、敷地の中から、今度は外に置いてもいいというようなこともやっているということで、歩みは進んでいますけれども、それが十分なペースかどうかということは絶えず見直していかなければいけないんじゃないかなというふうに思います。

初鹿委員 一億総活躍というからには、やはり子育てしながら夜働いている人にもきちんと目を向けてもらいたいんです。この待機児童の問題を語っていくと、どうしても、認可園に入れる人たちの、入れる時間で働いている人たちのことにしか目が行っていないように感じるんですよ。

 私は、そうじゃない人たちもたくさんいて、そうじゃない人たちは公的な支援が今後も一切受けられない状況に置かれているんだということを忘れないでいただきたい。ですから、私は、預かるという行為に対して公的な支援をできる、そういう制度をつくってほしいということをここで提案させていただいているんです。

 ぜひ、そのことを真摯に受けとめて、検討を始めていただきたいとお願いをして、私の質問を終わります。どうもありがとうございます。

渡辺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中島克仁君。

中島委員 民進党の中島克仁です。

 きょうちょっと体調を崩しておりまして、鼻声でお聞き苦しいかもしれませんが、医者の何たらということかもしれませんが、決してインフルエンザ等の変な感染症ではございませんので、御理解をいただきたいというふうに思います。

 本日は、子ども・子育て等を含みます一般質疑ということで、通告では、待機児童問題さらには保育士の処遇の問題、これを通告してあったんですが、午前中にも何点か重複するところがございます。

 恐らく大臣も目を通されていると思います、私も午前中いただきました、昨年の介護報酬の改定と同時に行われました処遇改善加算、この処遇状況等調査結果、昨年の九月時点での処遇改善の調査結果が、私もきょう午前中届けられましたので、資料としてもお配りできていないんですが、恐らく大臣も目を通されておるというふうに思います。まだ分析まではいっていないのかもしれませんが、ちょっとこの件について、まず冒頭、御質問させていただきたいというふうに思います。

 これは昨年の九月の時点での処遇改善加算の取得状況、実際の平均賃金、給与額を調べたもの、今年度中に取りまとめるということで、先ほど申し上げたように、きょう午前中、私もいただいたわけですが、これを見ますと、昨年の処遇改善加算で加えられた介護職員処遇改善一、届け出をした施設、事業所では、平成二十六年、一昨年の九月の時点よりも一万三千百七十円、賃金が、給与が上がっているというふうに出ております。

 また、処遇改善加算の届け出は、届け出しているが八八・五%、届け出していないが九・六%。届け出をされている事業所のうち、処遇改善加算一をとっているのが七五・一、とっていないところが二四%ぐらいですか、このような結果が出ております。

 端的に、この調査結果を見て、分析はまだされていないのかもしれませんが、大臣、これを見てどのようにお感じになられるか、まずお尋ねしたいと思います。

塩崎国務大臣 かねてから調査をするということで申し上げてきて、今月いっぱいに結論が出るということでありましたが、きょうですか、介護給付費分科会というところでお披露目をいたしたところでございます。

 介護職員の処遇につきましては、平成二十七年度の介護報酬改定の中で、一人当たり月額一万二千円相当の処遇改善加算の拡充を行ってきたということを繰り返し申し上げてきたわけでありますけれども、平成二十七年の十二月時点で約七割の事業所が加算を取得しているということがわかりました。

 それで、今回の調査は、サンプル調査をさせていただいて、約七割がというのは、これは正確には六八・六%の事業所がこの処遇改善加算を取得しているという、これは実数なわけですけれども、その中でサンプリング調査をして、八千弱のサンプルを調べたわけでありまして、それを見ると、今お話をいただいたように、月平均、前年と比べて一万三千百七十円高い、そういう賃上げがなされているということがわかりました。

 これは、当然のことながら、事業所独自の御努力というのも含まっての話でございますので、加算額以上の処遇改善が進められたというふうに思っているところでございまして、私どもとしては、この政策意図が実現に向かって進んでいるかなというふうに思っているところでございます。

中島委員 大臣お答えになったように、昨年十月の時点、十一月ですか、最後、処遇改善加算の取得は六八・八%だったというふうに私がいただいた資料ではなっていたんですが、これを見ると、九月の時点で七五%ぐらいになっている。この数字も少し乖離があるんですね。

 そして、この数字、私、申し上げますが、調査していただいたことは大変感謝しています。これは、サンプル調査とはいえ、事業所数十三万八千事業所、有効回答率は七二%。経営実態調査やもろもろの調査に比較すると非常に回答率も高いということで、決して信用しないというわけではないんですが、ちょっとこの数字の乖離が見られるということ。

 私も、実際、介護事業所を回ったりしているわけですが、この一万三千百七十円、ちょっとにわかに信じがたいなという印象は正直持っているわけです。これは、恐らく、今大臣もお答えになったように、昨年マイナス二・二七%の最大幅のマイナス改定をされた。経営状態は大変苦しい中で、非常に、小規模事業所を中心に、真面目にと言ったら変ですが、しっかりと事業所の努力、相当な努力をされてこういう数字が出ているんじゃないかというふうに思うわけです。

 そして、届け出をされていないのは九・六%ということになっておって、この理由は、我々も従来指摘をしているように、事務作業が煩雑だと。これは、小規模事業所になればなるほど一人がつきっきりでやらなければ毎月の加算はとれないというようなことも、この回答の中でも届け出をしない一番高い理由として出ているわけです。

 これは、もちろんこれで介護の処遇が改善されたということには全く至っていないと私は思っているわけですが、この数字を見て、恐らく一億総活躍プランの中でまた介護の処遇改善、我々もさきの雇用保険法の改正のときに議員立法として処遇改善を出していたわけですが、正直、真摯な御議論、向き合っていただけなかったということからいきますと、この数字は数字として、今後、介護の処遇改善に向けてどのように考えているのか、お答えいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 統計を見れば、いわゆる全産業の平均給与と比べて介護並びに保育の働く方々の報酬が少ないということはもう共通認識でございまして、私どもとしても努力をせないかぬということで、まずは報酬改定の際に一万二千円相当の処遇改善加算を仕組んだ、こういうことでございます。

 今回、私どもとして、以前よりももう少し精緻にデータをとらないかぬということで、やむを得ず賃金を下げるというケースがかつてございましたね、そういう、経営状況によってやむを得ず賃金水準を下げなきゃいけない場合には、事業所が都道府県等に届け出る特別事情届出書というものを今回私ども必要にしたわけでありまして、この件数を見ますと、今回、サンプリング調査の中で、五千九十四事業所の中で九事業所がこの特別事情届出書というものを出しておりまして、〇・一八%という、比較的、私どもが予想した以上に低い水準であったというふうに思います。

 しかし、いずれにしても、約十万ぐらいの差が、若干の平均年齢とか勤続年数の差はあるにせよ、やはり差が、ギャップがあるということは介護についても言えるので、今回の調査結果を踏まえて、あるいは現況をいろいろお聞きする中で、まずこの加算をより多くの事業所に活用していただけるように引き続き取り組むとともに、必要な財源を確保しながら、介護人材の確保に向けてしっかりと待遇改善について考えていかなければいけないというふうに思います。

中島委員 大臣お答えいただいたように、経営状態が悪化して処遇改善がとれない、基本給を下げてもいいという特別事情届出書の提出は非常に少ないです、確かに少ない。ただ、先ほども私が言ったように、これは事業所の方々は相当御苦労されていると私は思うんですね。

 前回、私、三月九日の一般質疑でも、予算委員会でも御質問させていただいたんですが、昨年の大幅な報酬改定に伴う介護事業所への影響、これについては、大臣も、厚生労働省の参考人の方も含めて、影響は出ていない、介護計画どおり進んでいると。例えば、介護離職ゼロ、この車の両輪である働き方の工夫と基盤整備、これは全く支障が出ていないんだ、その根拠が、請求事業所の数がふえている、そういうお答えを終始されるわけです。

 しかし、これはきょう資料として出しておりません、もう何回も何回も御指摘していることでありますが、日本政策金融公庫総合研究所の調査、これは新聞記事にも大きく出ておりましたが、介護事業所の四割が赤字に転落している。そして、私も前回のとき御指摘をいたしましたが、そもそも、介護報酬を改定する前の、前年の経営実態調査では、もちろん収支差率が高い施設もございましたが、収支差率が五%以下のところが全体の四〇%あったわけです。昨年の介護報酬の改定で事業所がかなり逼迫している、これは私たびたび御指摘をさせていただき、東京商工リサーチの結果でも倒産件数がふえているということになっているわけです。

 それで、前回、私、この実態調査は一体いつやるんですかという質問に対して、この経営概況調査、来年度初旬にして来年度中に結果を出すというお話になっておりますが、実際に、いつやられ、その結果がいつ出て、そして、今回の経営概況調査というものは、今回特別にやられるものなんでしょうか、それとも通常ベースでいつもやっていることをやるということなんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 経営状況をしっかり見ていこうということで、今回は特に、主に処遇改善のことだけでありましたが、来年度に向けて、収支差を含めて見ていこうということになっておりまして、五月に調査を実施しようというふうに思っています。これを集計して、来年度中に調査結果を公表したいというふうに思っておるところでございます。

 先ほど支障がないというお話をされましたが、支障という言葉が適切かどうかは別にして、私どもは、それなりにやはり事前の調査をした上で報酬改定をしておりますので、それぞれ、どういう影響が出てくるかというのは、きちっと子細に把握を常にしないといけない、そういう姿勢で臨んでいるところでございますので、引き続きそうしていきたいというふうに思っております。

中島委員 先ほど言った経営概況調査、来年度中に結果を出すということですが、一点だけ、端的に。

 これは、例えば、三年に一回の介護報酬の改定があります、改定された翌年の、真ん中の年ですね、これが、やるのが通常ベースなのか、それとも、今回は大幅なマイナス改定をしたから特別これをやるのか。どちらでしょうか。

塩崎国務大臣 先生今御指摘いただいたように、介護報酬改定が行われた翌年、ちょうど真ん中の年に通例やっているというものでございます。

中島委員 では、特別去年の、私、何度も何度も指摘して、恐らく、倒産件数、請求事業所の数は確かにふえております、ただ、廃業なのか休止なのか合併なのか、そういう調査もしていないわけです。一方で、民間のデータでは倒産件数がふえているという調査が出ているわけですよね。もちろん、今回も、処遇改善に関してはこういう調査をしていただけましたが、今お尋ねしたところ、これは特に去年の大幅改定で特別配慮をしてやっているわけではないということでございます。

 私、前回も指摘をしましたが、大変無責任だと思いますよ。やはり、これだけ介護人材が不足をして、そして、介護離職ゼロでも、車の両輪の一つが基盤整備だと言っているわけです。そして、私は、実際に介護事業所へ行って話をしていると、もちろん昨年は一昨年の事業計画に沿って四月からやっている、でも、この四月以降、もうこれは厳しいと判断をした事業所が本当にどんどん倒産していく可能性が、なければいいですが、可能性はあるんじゃないかと私は思うんです。

 これは、概況調査、通常ベースでなくて、もっと真剣に経営状態の実態調査を早急にする必要があると思いますが、大臣、ぜひお願いしたいと思います。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、私ども、事前に分析をした上で介護報酬率を決めて、三年に一遍の改定を昨年からしているわけでございますが、その後の状況については、絶えずさまざまなチャネルを通じてよく注視をしていくというのが基本姿勢だということを先ほど申し上げました。

 それは、今お話しのように、東京商工リサーチの調べの倒産件数というのも一つでありますし、請求事業所数の推移というのもそうですし、それから、ヒアリングベースでさまざま都道府県から聞いているというのもございますし、さらには、当然のことながら、老人施設の協会、老施協からも聞いているわけでございます。

 東京商工リサーチも、毎月、ふえたり減ったりいろいろなことがありますけれども、私どもが見る限りは、極端にふえているということは、前年からの動きから見ると必ずしもそうでもなくて、例えば、ことしになってから、一―二月を見ると、去年が十六件だったのがことしは九件とか、それで、この二月までとその前の年の二月まで、ちょうど年度が始まる二十六年の四月から二十七年の二月までと、昨年の四月からことしの二月まで、これを合計してみると、倒産件数は一年前が五十七件で、負債総額七十二億円でした。ことしの二月までの一年間というか、四月から、年度初めからのを見ると、倒産件数は五十八件、一件多いということでありますが、負債総額はむしろ三十五億円ということで、約半分、半分以下になっているということもあって、結論から言えば、さまざまな指標やお話を聞きながら、介護の事業者がどうなっているのか、そして、現場の介護を受けられる方々がどういうふうになっているのかということは絶えずウオッチをしていかなければならないというふうに思っております。

中島委員 私はもうこれ以上余り、質問通告内容は全部できませんので詳しく言いませんが、とにかく、昨年の、これは私も承知しております、大臣も、その前の年、当初は五%、六%と言われたのを、介護の分野をしっかりと守りたいという思いで、マイナス二・二七%。しかし、これはやはり小規模事業所中心に、まさに介護保険創設以来、今、国が目指している地域包括ケアシステム、その本当の基盤となる、そういう小規模事業所が閉鎖に追い込まれる、この可能性を私は本当に危惧しているんですよ。

 だから、何度も何度も、しつこいと思われるかもしれませんが、子ども・子育ての問題、待機児童の話も、午前中の話でも、これは与野党超えていろいろな議論を、知恵を出し合いながらということでございますので、先ほど聞いた経営概況調査、これは通常ベースなわけですよね、やはりあれだけの史上最大幅のマイナス改定をしたからには、しかも、介護人材が不足をしていて、小規模事業所ほど経営が困難になることが当初から危惧されておるわけです。老人福祉協議会とか、別にその協議会から話を聞くのを悪いと言っているわけではありませんが、本当に聞こえない声というものが実際に存在するという認識で、ぜひ、この経営実態調査、概況調査でいいですから、前倒しで。

 来年度といったら、もしかしたら一年後になってしまうかもしれませんよ。そういうことではなく、早急に対応していただきたい、お約束をしていただきたいと思います。

 そして、今の経営概況調査、結果が来年度中ということであれば、本当に一年後になる可能性もあるという、かなり幅広いわけですね。

 これもまたしつこいというふうに言われるかもしれませんが、いわゆる骨太の方針に沿って、要介護一、二の方の生活援助を介護保険から切り離すということが検討をこれからされるというふうなことで、これは大臣、我が党の委員からも、前回の質疑、さまざまな分野でこのことも質疑がされておって、答えは常に、政府としては、厚労大臣としても、制度の維持、介護保険の理念に沿ってこれは検討をされるべきだというふうにお答えになっているわけですが、前回、郡委員も、ケアマネさんのアンケート、そして、私も予算委員会のときに緊急でアンケートをとりました。そして、今、五十何人からのアンケートで、この要介護一、二の方の生活援助を自己負担化したらやはり介護離職は間違いなくふえますよという答えが返ってきているわけですよ。

 もちろん、財務省の諮問機関からの要請だから検討しなきゃいけないというのは、これは大臣の立場ならそう答えるしかないとは思うんですが、これも、先ほど言ったように、与野党を超えて、我々の意見もちゃんと真摯に聞いていただきたい。

 検討委員会に全て投げるんだったら厚生労働大臣は要らないんじゃないですか。これはちゃんと理屈的に、政府は大看板で介護離職ゼロとうたっている、そして、例えば介護報酬改定の影響も来年度中ですから、検討された結果、介護保険法の改正、来年の通常国会ですか、出されたときにはもう後の祭りじゃないですか。だから我々、こうやってしつこく指摘をしているわけです。

 これはやはり介護離職ゼロとは相反する政策です。これはぜひ大臣の指導力を持って、せめて、介護の概況調査の結果が出る、そして、要支援一、二の方々が総合事業へ移行している今まさに真っ最中です、この結果の検証をして、その後でも私は十分遅くないというか、まずはそういう段階を踏んでそういう御判断するというか、検討すらも今する場面ではないと私は思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 まず、経営概況調査に関しては、先生おっしゃるように、私は年度と申しましたけれども、できるだけ早くできるように、結果が出るように努力をしたいというふうに思います。急がせるようにしますが、割合大がかりな調査ではあるのですぐにというわけにはなかなかいきませんが、そういう方向で努力をしたい。

 つまり、先生のおっしゃるように、手おくれだみたいなことが指摘されないようにしなければいけないということはわからないでもないのでありますが、まあ、そんな深刻なことになるとは私どもは全然思っていませんけれども、しかし、いろいろなところでいろいろなことが起きるということはよくわかるので、そういうふうなことによく注意をしてまいりたいと思っております。

 今、要介護度一、二の軽度者、これに対する生活援助サービスのあり方についての議論は、これも何度も申し上げているように、何も、私どもは初めに答えありきで議論をしていただいているわけでは決してないわけで、原点にまず立って、介護保険の原点である高齢者の自立支援と介護の重度化をどう防止するかというこの理念にのっとって、持続可能性を含めて議論をするというのがこの立場でございます。

 私ども、春の一億のプランでも介護の待遇改善についても考えるということを、きのうの総理の記者会見でも申し上げているわけでありますし、また、絶えずいろいろな方々の意見を聞く、先ほど、老施協というのは代表的に老施協という言葉を出しただけで、いろいろな方々がおられることはよくわかっていますから。私も、今週末地元で、さまざまな介護にかかわる方々とのミニ集会をじっくりやろうということになって計画もしておりますので、そういうようなことをしっかり踏まえて判断をしていきたいというふうに思います。

中島委員 大臣、勘違いしないで聞いていただきたいんですが、我々は制度の持続性がどうでもいいなんて全く言っていないですし、むしろ、先ほども言ったように、理念である高齢者の自立を支援して介護の重度化を防ぐ。今も大臣御答弁されましたが、要介護一、二の方の生活援助、五割以上の方がこれを利用して、老老の方、ひとり暮らしの方、今、介護のあり方も多様化しました、遠隔介護という言葉まで出てきているぐらいで、この生活援助を介護保険から拙速に切り離すことで重度化が進む可能性があるということを、さまざまなアンケートでも現場の方々は言っておられるわけです。

 だから、何度も申し上げるように、要支援一、二の方の総合事業への移行のときにも、よく大臣は和光市の例を出されます。もちろん、私も和光市へ行ってきて、すばらしいと思います。そして、私の地元の北杜市で、北杜も厚生労働省のモデルの一つにされていて、大変うれしいことではございますが、ただ、実態は、こんなことをあえて言うことはないのかもしれませんが、和光市の場合もそうです、もともと要支援一、二だった方が非該当になった例はほとんどないんですよ。そして、私の北杜市もそうです。

 そもそも、総合支援事業、従来やっていたのは、要支援一、二の前段階の方を、それ以上行かないようにケアをしていたんです。それを今回、昨年から、要支援一、二の方々を総合支援事業へ移した。そして、今回は要介護一、二の方。これは少なかりとも認知症がある方ですよ。これを、自立を支援といっても、それは理屈的にはいいことだとは思います、ただ、実際に、本当にどれだけの方が要介護一、二から自立されていくのか。

 これが現場と厚生労働省が考えているギャップだということをぜひ御認識していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょう。

塩崎国務大臣 これは繰り返し申し上げているように、我々、問題を考えるときには、原点に立って、その原点に照らしてみてどうなのかということが一番大事だというふうに思います。

 そういう意味では、今回のいわゆる軽度者に対する生活支援の扱いの問題については、今先生も御指摘いただきましたけれども、重度化を防ぎ、自立を促進するという介護保険の原点に立ち返ってどうすべきかということを考えるということに尽きるんだろうというふうに思います。

 したがって、予断なく議論をしていただくようにお願いをしているので、私どもは、それを丸投げしているわけでは決してないわけで、最終的には我々が決めなければいけないことでありますから、自分の頭で同時に考えているということでございます。

中島委員 先ほども言ったように、制度の持続性を考えた上で、決してこれは拙速にやるべきではないという我々の意見だということは真摯に受けとめていただきたいというふうに思います。

 結果、重度化が進んで、将来の制度維持、さらには介護費が増大するようなことになる可能性があるから慎重にやってほしいということを言っているんだということで御理解をしていただき、拙速に、検討した結果だからといいますが、介護離職ゼロをもう大看板で掲げているわけですから、その上で、そして概況調査もできない秋にこれを決定して、それで、来年の通常国会で介護保険法の改正で要介護一、二の方が出るなんていったら、もう議論の場はないじゃないですか。

 そういったことを、厚生労働大臣には厚生労働行政のトップとして、検討するまでもないということはしっかりと指導力を発揮していただきたいというふうに思います。

 本筋、保育の話を珍しくしようと思っていたんですが、時間もなくなってしまったのであれですが、今回の緊急対策。受け皿の拡大のための既存施設など規制緩和ということで、処遇改善の部分、これは五月の一億総活躍プランにということになっておりますが、これはもう午前中にも何人もの委員の方が指摘をしていますから、繰り返しになるかもしれません。

 私からは、今回の緊急対策で、既存施設の基準緩和、もちろん配置基準、面積等は変えずにということですが、大臣、記者会見だったか、ちょっと私わかりませんが、認可保育園が一人ずつ、小規模保育が三人ずつ受け入れをふやせば、約三千人の待機児童が解消すると発言されておるわけです。

 これは一方では、午前中も何人もの方が指摘をしておりましたが、保育士さんの過重につながるわけですよ。それで、今回、緊急対策の中には、処遇改善、それに対する事業所へのメリットとか、そういったものは全く盛り込まれていない。

 各自治体で基準を国の基準よりも厳しくしている理由は、安全面と質の担保ですよね。一点目は、もし仮に、国の緊急対策に対して自治体がノーと言った場合、私たちはそれはしないと言った場合、どうなさるのか。そして、もし仮に、それを受け入れた、そして基準を緩和した、そこで事故があった場合、事故が発生した場合、その責任の所在はどこにあるんでしょうか。

塩崎国務大臣 けさほども申し上げましたけれども、子育て支援というのは、安倍内閣にとって大変重要な柱の一つであることは言うまでもないわけでございます。

 保育については、これも何度も申し上げておりますけれども、実施の主体は市区町村が自治事務として行うということに法律上なっていますが、私どもは、きのうの総理の記者会見で申し上げたように、国がやはりしっかりと市町村とタッグを組んで、支援もしながら進めていくというのがこの待機児童問題にも言えることだというふうに思っております。そういう意味では、市区町村においてまず積極的にこの緊急対策の取り組みについては進めていただきたいと思っております。

 それから、規制の弾力化の中ではさまざまな種類の項目を盛り込んでおりますけれども、趣旨を自治体に我々としてはしっかりと説明する。来月、私自身がお会いをする会議も開く予定でございますし、それから部局長の会議も予定をしております。初めて市町村の部局長をお呼びするという格好になるんだろうと思いますが、自治体の実務に照らして、実行可能なものをより多く取り組んでいただくように周知、依頼をしていかなければならない。

 また、財政的な支援が必要であるものについては、土地の借料とか、それから一時預かりの定期利用の際の保育料の負担軽減とか、こういった財政的なものも国が支援をするわけでありますから、自治体の取り組みに対してやはり最大限の支援をしていかなければならないと思っております。

 責任の話が出ましたけれども、今般の定員の弾力化というのは、何度も申し上げているように、国の人員配置とか面積基準を遵守した上で、自治体の判断によってより多くの子供が認可保育園等に入園可能となるようにするものでありますので、保育の質は確保されることから、これまで同様にそれぞれの保育園で取り組んでいただきたいというふうに思いますし、できる限りの支援をいたしたいというふうに思います。

中島委員 時間になってしまいました。ちょっと最後一点だけ。

 先ほど言ったように、自治体は、質や安全の担保のために基準を国より厳しくしているのがほとんどだと思うんです。それに対して、国の要請で基準を緩和した、例えば小規模保育であれば二十二人まで。そこで起こった事故に対しては、厚生労働省が責任をとるということでよろしいでしょうか。そこだけお答えください。

渡辺委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

塩崎国務大臣 さっき申し上げたように、基準については、今までどおり国が定めている基準を守っていただくという範囲内で御検討いただくということになっております。

中島委員 時間なので終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 井坂信彦です。

 本日は、保育所待機児童問題の審議ということで、私も、実は子供を三人とも、認可の保育所に一旦申し込んだんですけれども残念ながら入れず、三人とも無認可の保育所に入れてきました。また、市会議員をやっていた時代も、当時も待機児童が非常に多かったものですから、保育所の民営化などでいろいろ地元の親御さんたちと随分話し合いをしてきたこともあり、保育問題にはいろいろ思うところがございます。

 本日、質問に入る前に、午前中からの大臣の答弁で一つ気になるのが、我々、保育士の月給を五万円アップすべきだということで法案を出しておりますが、大臣は答弁でたびたびこうおっしゃいます。保育士の月給を五万円アップするだけでは待機児童は解消しない。それはそのとおりだと思うんですね。

 後ろには実は田村前大臣がおられるわけですけれども、きょう田村前大臣もいろいろやじっておられまして、給料アップでどうやって待機児童が減るんだ、保育所の受け皿をつくらないと意味ないだろう、こういうふうに何度もやじっておられるわけであります。

 私も、保育所、受け皿、ふやさなければいけないのは当たり前だと思います。そして、政府もそれは計画的にやっておられるというふうに思います。今問題となっているのは、保育所をふやそうが何をしようが、保育士の給与アップで保育士をしっかりふやさなければ、それがネックになって、せっかくつくった受け皿、保育所が機能しない、こういうことを言っているわけであります。

 これはNHKですけれども、ちょうど先月下旬から今月上旬にかけて、全国の政令指定都市と東京二十三区で、この春、要はこの四月から新たに認可保育所を開設する合わせて百五十一の社会福祉法人や企業にアンケート調査を行って、回答を寄せた法人は合わせて百八十二の認可保育所を開設する予定で、その受け皿、定員枠はおよそ一万三千人。非常にこの春も大規模に受け皿の拡大、ハードの拡大はされるわけであります。

 ところが、アンケート結果では、保育士確保のめどについて、一部でめどがついていない、あるいはめどがついていないと回答した法人が半数以上を占めました。

 保育士が確保できなかった場合の対応について、さらにアンケートで尋ねると、子供の受け入れを制限するというところも二〇%あり、また、開園時期を延期するというところまで、四%ですけれどもある。保育士不足が子供の受け入れそのものに影響を及ぼしている実態がうかがえますということなんです。

 実際、保育所の開設を間近に控えた大田区のある保育所では、現在四十人の子供を受け入れ予定なんだけれども、待機児童は大田区ではその五倍の二百人に上っている。この保育所でも、施設のスペースにはまだ余裕があるため、保育士をあと五人確保できれば最大で七十人の子供を受け入れることができる、こういう実態なんだそうです。

 大臣にお伺いいたしますが、保育士の給料をアップして、今いる保育士がまずそう簡単にやめないように、また、保育士資格を持っている方はたくさんいらっしゃる、そういう方々が一人でも多く保育士になろうと思ってくださる、こういうふうにしなければ、幾ら計画どおり保育所をふやしても、待機児童の解消にはつながらないと思います。お伺いしたいのは、保育士の給料大幅アップなくして待機児童の解消なし、ここは認めていただけますか。

塩崎国務大臣 これは何度も申し上げておりますけれども、さまざまな要素で職を離れたり、あるいは保育士の仕事を敬遠されたりということで、けさほどの審議の中でも、その理由のトップが処遇ということであることはそのとおりだと思いますけれども、人間関係も三つのうちの一つに入っているというような話もありました。さまざまな要素でやはり決まってくるんだろうというふうに思います。

 一方で、保育士になってこういう保育の仕事に当たりたいという方々はたくさんまだおられるわけでありますので、どうやってそういう方々が本当に来てもそのまま働き続けることができるようにするかというのが大事で、それこそが、言ってみれば、今私たちがやれることは何でもやるというような気持ちで対処しなければいけない、問題の幅広さと奥行きの深さではないかなというふうに思います。

 地域限定保育士というのを特区でやりました。一体どのくらい応募してくださるのかなと我々もちょっと心配をしながらやりましたが、御案内のように、これは去年の特区でやって、四府県、大阪、沖縄、神奈川、そして千葉の成田市、ここでやりましたが、約一万人受けていただいて、二千三百八十四人が合格をされました。これは養成校に行かない方がみずから勉強された上で試験を受けるということになりまして、これがまた起爆剤になって、今まで一回しかやらなかった試験が二度、もう今年度から、特区は普通は全国化するには少し時間がかかりますけれども、翌年度にもう全国化ということで、ことしは全都道府県で試験が二回行われることになりました。

 そういうようなことも、こういった保育に情熱を持っていただける方々に応えるためにも機会をつくるということでありますが、しかし、先ほど来出ている処遇を含めて、さまざま条件整備が整っていないがゆえに離職者がふえる、あるいは今、有効求人倍率、東京は六倍強、そして全国でも保育士は二倍強、こういう状況でありますから、なかなか人が来ていただけないがゆえに、さまざま問題がある。

 三月末までに、多分さっきの社会福祉法人でお取り上げをいただいたケースは少し改善はしていると思いますけれども、人材を獲得するのに御苦労されているという現状はやはりそのとおりだろうというふうに思っています。

井坂委員 大臣、いろいろお答えされるんですが、ちょっとやはり大事な論点なので、ここをまずはっきりさせたいというふうに思うんです。

 もちろん、保育士さんがやめられる理由、複合的だと思います。ただ、やはり一番は賃金のことだ。それから、例えば職場の人間関係とおっしゃいましたけれども、今御紹介した、今からできる保育所に人が来ないという話は、職場の人間関係も何もないわけでありますから、まさに今のお答えは、ずれているというふうに思います。

 また、地域限定保育士を養成するのも大事だと思います。ただ、やはり保育士資格者が今足りないのではなくて、資格者は物すごいたくさんおられて、でも、その方々が主に賃金などの理由で保育士の職場を選んでくださっていない、ここなんですね。

 ですから、大臣は何か、保育士の処遇改善、賃金の問題をなるべく、いろいろある理由の中の一つ、ワン・オブ・ゼム、相対化しようとしておられますが、私は、虚心坦懐にこの問題を改めて見渡したときに、いろいろ理由はあるんですが、しかし、ほかを全てやったとしても、処遇改善を大幅にやらない限り、これがネックになって、結局、保育士をふやす、ひいては待機児童を解消するということはできないというふうに今思っているんです。

 ですから、ワン・オブ・ゼムではなくて、やはりここが最大のネックなんだと大臣が思っておられるかどうか、まず確認したいと思います。

塩崎国務大臣 大事な要素であることはもう言うまでもないからこそ、私たちも一億総活躍プランの中でこれを入れ込むということを、特に具体的で実効性のあるものにするということを総理が申し上げているわけでありますし、私は担当する者として、保育について人材確保をするために処遇改善が大事だということを、全くこれを避けて通ろうとしているわけではないわけで、問題は、安定財源をどう見つけてくるのかというところが難しいので、重要性に関しては全く問題意識は共有していると私は思っています。

井坂委員 もちろん重要だということで、私は、単に重要というだけでなくて、重要といえば、あれも重要、これも重要とまた相対化をしてしまうんですけれども、どうも現状を見る限りは、保育所の受け皿を幾らふやしても、保育士を幾らふやしても、大幅な処遇改善がない限りは、まさにこの一点がネックになって、ほかにやったことが無駄になってしまう。

 さっきNHKの調査の例なんかでは、保育所を新しくつくったって、そこに面積はあって、施設も七十人受け入れるつもりで開いたのに、結局、保育士不足で四十人しか初年度は受け入れられませんと。まさにこれはボトルネックそのものだというふうに思うんですね。

 ですから、私は、今この現段階においては、保育士の大幅な処遇改善なくして待機児童の解消なしという認識を持っていただく必要があるというふうに思います。

 その上で、おっしゃる財源なんです。もちろん、こういう毎年かかることですから、恒久財源を用意するというのが王道だというふうに思います。ただ、ここも、さはさりながら、では、恒久財源が見つかるまではこれはやらなくていいのか、最後はこういう政治判断になってくるというふうに思います。

 私などは、もちろん、ふだんは恒久財源でやるべきだというふうに思いますよ。軽減税率のときだって予算委員会で、財源なくして何で勝手に決めているんだと文句を言っていた側ですから。基本的には、ちゃんと財源を見つけてから、こういう毎年かかるであろう政策はやるべきだというふうに思います。

 ただ、まさにこういう緊急事態、しかもこの一点が今一番大きなボトルネックになっているということであれば、私は、これは補正予算、補正予算なんて別に、ある年はやるけれどもある年はやらないというのが本来の補正予算ですが、日本政府はもうここ最近、毎年三兆、五兆、十兆と、必ず補正予算をやっているわけですよ、お金がないわけではないんです、毎年あるんです、この補正予算を使ってでも、この保育士の大幅な処遇改善、私は緊急避難的にやったらどうかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 何度も申し上げますけれども、気持ちは同じ気持ちで、子供たちをしっかりと育ててくれる保育士を確保するために処遇改善が何よりも大事だという先生のお考えには同調するところ大であって、しかし、問題は、責任ある立場として、補正予算というのも財源が当然要るわけでありまして、最近の補正予算は大体新規国債も出さずにやるということもあるわけでございますが、そうはいかないのが毎年の安定財源あるいは恒久財源と呼ばれているものなので、そこのところをどうするかというところで呻吟しているということでございます。

井坂委員 現場の厚労省の方も、やりたい気持ちはあるんだけれども恒久財源がなかなか見つからずに悩んでいる、こういうことなんですね。

 ですから、これは、私は、今の政府の補正予算、毎年三兆、五兆、十兆、おかしいじゃないかというふうに批判している立場ですよ。こんなものが補正予算と言えるのかというふうに言っている立場でありますけれども、逆に裏を返せば、毎年何だかんだ理由をつけて必ず三兆、五兆、十兆、財源を確保して補正予算はやれているわけでありますから、その優先順位の中で、こういう保育士、例えば我々が出している月額五万円の処遇改善、これはやったって二千八百億円というふうに試算をしていますよ、別にこれを毎年補正予算でということはいかなくても、それは恒久財源が見つかるまでの間、数千億円のこれが確保できない小規模の補正しか組めない年なんてないと私は思いますから、そういうことをやったらどうかというふうに思うわけであります。

 続いて、お配りしております資料一というところをごらんいただきたいと思います。ごらんくださいといっても、これは物すごい字がちっちゃくなってしまいましたので、私から説明をいたします。

 これは厚生労働省からまとめていただいた、各自治体の条例の制定状況というものです。物すごい分厚いものを一ページだけコピーしてまいりましたが、これは、三鷹市、府中市、調布市、町田市、小金井市、小平市、東京都内の都下の市で、真ん中に丸をつけてあるところは、これは保育士の配置、国基準に加えて市独自で条例で、要は保育士を手厚く配置しているのが書いてあります。

 これは、一歳児は、国基準は六人に対して保育士一人、六対一ですが、三鷹市は五対一、それから四歳児以上も、国基準は三十対一ですけれども、三鷹市は二十五対一。その後、府中市、調布市、町田市、小金井市、小平市と、これは全部、一歳児はせめて六対一から五対一に条例で手厚く保育士を配置しましょう、手厚く配置しなければ条例違反ということでしましょう、こういう運用を各市がしているわけです。

 別に私、このページだけコピーしてきたわけでなくて、全部見ていただければ、東京都下の市はほとんど国基準より多く保育士を配置しておりますし、二十三区もほぼ全ての区が、手厚く保育士を配置しなさいという条例を持っています。また、政令市でも多くが、国基準より手厚く保育士を配置しなさいという条例を持っています。

 お伺いいたしますが、国基準より多くの保育士を加配している自治体は多いと思いますが、この自治体基準、条例に基づいて国基準より加配している保育所の数は、全国の保育所のうち何%に当たるでしょうか。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 今委員御指摘のとおり、国の最低基準を上回る人員基準を市町村単位で条例や要綱等で設置している例が一定程度あるというのは承知をしております。特に大都市圏で非常にそれが多いという傾向があるということも承知しております。

 実は網羅的な数字は把握をしておりませんけれども、例えば、平成二十六年度の十二月の段階では、保育士の配置については、基準を上回っているのは、二十政令指定都市の中では六自治体、四十三の中核市では九自治体となっております。このほかに、東京都の二十三区では、待機児童五十人以上の自治体について把握しておりますけれども、これは二十区の中の十九区となっております。

 ということで、先ほども申し上げましたけれども、このように、大都市圏の自治体が比較的こういう取り組みをしている傾向があるというふうに思っております。

 以上でございます。

井坂委員 自治体数は、今お配りした資料一、私もこれはもらっていますから、幾つの自治体のうち幾つの自治体がこういう条例で上乗せ配置しているか、これは私もわかっているんです。

 問題は、その各自治体で、要は、条例に基づいて実際に保育士を多く配置している保育所が何%あるのか、さらには、自治体基準の有無にかかわらず、国基準や自治体基準を上回って保育士を多く配置している保育所がどれだけあるのか。ここの数字をお尋ねしたかったわけでありますが、政府はこのデータを持っていないということであります。

 そこで、大臣にお伺いするんですけれども、この資料二、これは、政府が今回緊急対策としてやっておられる中で、一ページ目には会議とかあるいは意見募集ということが書いてあって、実効性ある対策のまさに一番目に、保育園への臨時的な受け入れ強化の推進ということで、国基準を上回る保育士を加配している自治体にさらなる受け入れを要請する、これが一番に来ているわけであります。

 お伺いをしたいのは、実際、大都市であればあるほど、国基準よりも多くの保育士を条例でも配置させる、また、各保育所はさらに国基準や条例を上回って保育士を置いている、こういう実態があると思います。その割合は政府は把握もしておられませんが、実際あります。非常に多いです。その中で、今回これをやると、国基準ぎりぎりまで、多くの児童を受け入れるように要請をするわけでありますが、これで本当に保育の現場は回るというふうに考えておられますでしょうか。

塩崎国務大臣 長い目で見てどういうふうな形であるべきかということ、それに加えて、それを実現するために財源がどれだけ要るのかとか、そういうことは本当に考えなければいけないことで、条例で、今お示しをいただいたような加配をしている、そういうところがあることはよくわかっているわけでありますが、一方で、そうしていないところがまだまだ多いというところを見ると、やはり、それはそれなりにいろいろなことがあるんだろうというふうに思います。

 そこで、これも先ほど申し上げたように、今回はあくまでも緊急的な対応として、できる限りのことをやろう、そしてお願いをしようということで決めさせていただいたわけでございます。

 今回の緊急対策で、今お配りをいただいておりますけれども、人員配置とか面積基準については、国の定める基準を上回る基準を設定している市区町村において、国の基準を上回る部分を活用して、一人でも多くの子供さんを受け入れるように、市区町村に対して、大体、市区町ですね、お願いをしようということでございます。追加で受け入れを行っていただく場合でも、国の定める職員配置とか面積基準は当然遵守をしていただくということが前提でありますけれども、国の基準ぎりぎりまでの受け入れを必ずしも求めるものではなくて、地域の待機児童の状況とか、その地域での保育の状況がいろいろあろうかと思いますので、あわせ考えて、各園一人でも受け入れ数をふやしていただくことができないかということを認可保育所などへ申し上げていきたい、お願いをしていきたい。

 こういうことでございますので、回らないものまでやれというようなことを申し上げているわけではなく、どこまでもやはりこれは要請ではありますが、できる限りそういうことに応えていただければありがたいということでございます。

井坂委員 私は、最初に現状のデータをお聞きしたのは、大臣が今おっしゃったみたいに、国基準よりも手厚く配置をしている自治体もあるけれども、配置していない自治体もあるんですよ。だから、そこだけ見ると、何か別に、国基準だけでも十分やれるんじゃないか、保育の現場は回るんじゃないか、むしろ、手厚くやっているところは、ある種ゆとりのある豊かな保育というようなぐらいでやっているのかなと見ることもできると思うんです。

 ただ、私が今そうじゃないかなと思っているのは、今全国では別に保育所が全部満員になっているわけでは全然ないですよね。あきが物すごい、地方ではやはりあります。あいている、定員に満たないからといって、子供が減った分、保育士を減らしているかというと、別にそうではないですよね。だから、余裕はあるんですよ、国基準どおりでも、子供が少ないから。

 一方、満員になっている都市部の保育所になってくると、これは国基準どおりだと本当に回らないから自治体で上乗せ配置を求める、さらには、自治体がどう言おうが、国がどう言おうが、保育所独自の考えで保育士を一人、二人と足していく、こういうことが起こっているのではないかなというふうに思います。

 これはまさに現場を見ないと、本当はどうなのか、国基準だけで回るのか、上乗せ配置はあくまで豊かな保育ぐらいな話なのか、それとも、やはり上乗せ配置をしないと、定員が満員のときはもう回らないという現状があるのか。

 私がこの質問をしようと思ったのは、保育の関係者の方が、厚労省の職員さんのいらっしゃる目の前で、実際、六対一とか三十対一で子供を見れるならやってみろとまでおっしゃったんですよ。だから、私も、確かにそれができるのかなと思いますよ。一歳児六人を一人の保育士で見る、あるいは四、五歳児三十人を一人の保育士で見る。そこだけ聞くと、それは無理やろなと思いますよ。

 各自治体、各保育所は、国基準はもう本当の最低基準で、それじゃ回らないから独自で上乗せをしているんだったら、この対策は随分的外れなんではないかなと思って、お聞きをしているんです。

 どう思われますか。本当に回ると思いますか。

塩崎国務大臣 これは何度も申し上げますけれども、ぎりぎりでやっていらっしゃって全く余裕がないというところももちろんありましょうし、これはやはり、保育の言ってみれば哲学でそれぞれ園を運営されているわけでありますから、それはケース・バイ・ケースだろうと思います。

 中には、いろいろな工夫をして回っているところもあるわけでありますので、そういうことが全く可能性がないにもかかわらず、こういうことを御提案申し上げるということは私どもとしても考えられないことでありますので、これは与党からの提案でももちろんございましたし、そういうことで、できるところはぜひ御協力いただけないかということをお願いしたいということでございます。

井坂委員 これはちょっと大臣にこの件を再質問しますけれども、今回、私は、やはり大幅な給与アップ、処遇改善が必要だという立場でありますが、もし仮に、政府が今後される処遇改善、給与アップが非常に、数%とか数千円とか、小幅であった場合、それと引きかえに、既に市の基準ではいっぱいいっぱいやっている、そういうところ、あるいは、保育所独自には保育士をふやしているけれどもさらにそこにも追加の子供の受け入れを求めていく、こういうことをやっていくと、要は、現場はもう今ぎりぎりで回しているのにさらに大変になってくるということなんですね。

 これは、もしやり過ぎると、処遇改善は小幅、でも、現場はもうぎりぎりでやっていたのをさらに追加でやってくれということで、本当に職場が目の回るほど大変な職場にさらになっていくということになると、よほど気をつけないと、この政策で一旦見た目の受け皿はふえたように思っても、この政策が理由でやめる保育士さんの率が上がってしまったら、私は、これは本末転倒だというふうに思います。そこの心配はないですか。

塩崎国務大臣 これは何度も申し上げて恐縮でございますけれども、基準自体を変えるわけではございませんので、人をふやす、保育士さんをふやすということになれば、当然、財政的には同じように一人分行くということにもなるわけでありますが、それはやはり、御指摘のようななかなか厳しいケースも中にはあることは、私も全く否定をするわけではございません。

 何度も申し上げているとおり、可能なところに、緊急的なお願いとしてお聞き入れをいただけないかということでございますので、これだけでいこうと言っているわけでは決してございませんから、その他のいろいろな、今回緊急的な対応も組み合わせていただいて、御判断を願うということだろうと思います。

井坂委員 続きまして、資料の三でお配りをしておりますが、都市部の問題、土地代とか賃料あるいは人件費が高いです。国の方でも、それに応じて、この資料三にあるような地域区分ということで、公定価格を上乗せしたり、あるいは賃借料加算というものもあるようでございますけれども、こういうことを国は一応やってはいても、結果として、まだ、上乗せをされても公定価格だけでは保育所の運営ができない現状があって、自治体が上乗せ補助をするのが当たり前になっている、こういう話も聞くわけであります。

 この上乗せ補助は自治体独自ですから、やっている自治体もあれば、やっていない自治体もある。自治体が上乗せ補助をしていない場合は、そういう自治体は保育所の整備がおくれてしまったり、あるいは上乗せ補助をしても、上乗せ補助と同時に上乗せ規制が課せられて、やはり進出が別の意味で難しくなってしまったり、こういう例もあるんだそうであります。

 大臣にお伺いしたいんですが、まず、この都市部の公定価格、これは十分なのかどうか。ここをもう少し上げないと、結局、公定価格だけでは保育所が運営できない現状が都市部では特にあるのではないかというふうに思うんですが、そこは実態はいかがでしょうか。

塩崎国務大臣 特に都市部、地価も高い、人件費も全般的に高い、そういうところでの保育園の運営で公定価格だけで足りるのか、こういうことでありますが、新制度における公定価格の設定は、人件費とか事業費とかあるいは管理費のそれぞれについて、標準的と考える経費に上積みをして設定をしているわけでございます。

 そのうち、保育士等の人件費については、地域ごとの民間給与の水準を反映させている国家公務員の地域区分等に準拠をしていることはもう御案内のとおりで、地域区分の最も高い都市部では、本俸に加えて二〇%の地域手当を上乗せしています。

 平成二十八年度予算では、賃借形式による保育が都市部は多いので、これを踏まえて、賃貸物件を活用した保育園の賃借料加算というのを実勢に見合うように大幅に上積みをさせるということにいたしました。これは、これまで、二十七年度までは年額百六十二万だったのを、二十八年度では四百二十一万二千円、こういうことでございますので、かなりの上乗せをするということになりました。保育園の負担軽減がこれによって図られて、保育の受け皿拡大を進められることになるということであります。

 あと、緊急対策においてさらに支援を強化することにしていて、整備費についても、土地借料加算、一園について現行二千百万円からの引き上げ、これはまだ幅は決まっておりません。工事着工前の土地借料も支援対象、つまり、工事が着工する前から土地を借りている場合の借料も支援しようということになります。それから、定期借地権の契約によって必要となる権利金とか前払い地代などの支援のための加算の新設、それから改修費の単価の改善など、さまざまな点で都市部に特化して支援を強化するという手だても行っているわけでございます。

 何とかこれで運営ができるようにということで御用意をしているわけであります。

井坂委員 実際に、何とか運営ができるようにということでいろいろやってはおられると思うんですけれども、例えば二十三区でも、区ごとによって人件費とか土地代は本当に雲泥の差がありますし、実際、私は、最後、現状がどうなっているかということをよく見ていただきたいと思うんですね。

 おっしゃるように、公定価格で運営ができるようにやっているという気持ちはわかりますが、では、それで本当にそうなっているのか。上乗せの補助なしで大体どの区もやれているのか、あるいは、上乗せ補助はあっても、それはもうあくまで、本当に、ゆとりとか、ある種ぜいたく品的な政策でやっているだけであってという話なのか。これはやはり現状を見て判断をしなければいけないというふうに思います。

 今回、事前にいろいろ当局の方ともお話をしたんですけれども、例えば、また次回やりたいと思いますが、非正規の保育士さん、これは人数とか平均給与がどうなっているのかと言っても、把握をしていないと。あるいは、東京都認証保育所みたいな、ああいう、認可外だけれども、一定の基準を設けて自治体が頑張って工夫しているのはどれだけあるんだと言っても、これは認可外なんだから我々は知らない、把握する必要もないと言って、データを出さない。あるいは、保育所の民営化はどうなっているんですかと言ったら、これも自治体のやることですからと言って、これも特に何ら把握しておられない。こういうことなんですね。

 私は、国は一生懸命制度を考えますが、その裏でどういうひずみが起こっていて、それをカバーするために自治体がどういう工夫をせざるを得なくなっているのか、こういう基礎的なデータなく、また現場がどうなっているかを、関心をやはりもっと持っていただかなければ、政策立案をしても的外れになりかねないというふうに思いますから、引き続き、こういうデータ、また現場で実際どうなっているのか、こういうことをもとに議論をしていきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今、保育所待機児童問題と保育士の処遇問題は焦眉の課題となっております。保育園落ちたのブログは、瞬く間に共感が広がり、政治の責任を鋭く迫っております。本日、集中的質疑という機会を得ましたので、やはり与野党の枠を超えて取り組むべきだということをまず述べておきたいと思います。

 私が厚労委員会に所属したのは二〇〇六年、ちょうど十年前です。その二〇〇六年三月の委員会で保育問題を取り上げ、以来、何度も質問しておりますが、改めてその最初の速記録を読み返してみて、たった今問題とされ、指摘されていることと同じなんですね。とても悔しくてたまりません。

 当時の待機児童数は、十年前ですよ、二万三千人、ほとんど同じです。旧定義というものがございました。四万三千人でした。それから、二〇〇四年度から公立保育所の運営費が一般財源化され、公立から民営化あるいは民間委託が進んでいることを指摘しました。非正規雇用が拡大しているじゃないか、こういうことも指摘をいたしました。国はさまざまな対策をうたいつつも、結局、根本が解決していないことが言えるのではないでしょうか。

 保育問題は、保育の市場化を叫ぶ規制改革会議との闘いでもありました。結局、当時も既に指摘しておりますが、待機児童問題も、根本解決ではなく規制緩和や詰め込み保育によってしのごうとしてきたという、この反省から出発すべきではないでしょうか。

 二十八日、厚労省は、待機児童緊急対策と待機児童数を公表しました。既に朝からたくさんの方が取り上げていらっしゃいます。昨年四月の待機児童数が二万三千百六十七人、その後、年度途中の保育の申し込みなどで、十月には四万五千三百十五人となり、前年同月と比べ、二千百三十一人ふえたと発表しました。

 資料の一枚目の下の段ですが、これは、待機児童に含まれる、含まれないのマル・バツ表が出されております。十二年度までと、平成十三年度から二十六年度まで、それから二十七年度以降ということで、三通り出しているんですよね。

 その上の段に、定義の変遷ということで示しておりますが、二〇一五年度から、子ども・子育て新制度で、保育サービスの対象者は、いわゆる保育に欠けるという児童から、保育の必要な児童とされました。これは上の段に書いてあるとおりです。「市町村は、待機児童の対象外としている者も含めて個別ニーズに合ったサービス提供にきめ細やかに対応」と書いております。

 そこで、質問は、まず、今回、待機児童の定義について改めて示し、潜在待機児童六万人を公表したのはなぜでしょうか。

 もう一つ。新制度における保育の必要な児童は、ここに、ここにというのは、つまり、待機児童と潜在待機児童に網羅されているとお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 先日、与党からの御提案も受けて、厚生労働省として、待機児童解消に向けて緊急的な対応策を公表させていただきました。その際、あわせて、平成二十七年の四月時点での保育園等の待機児童数とその後の状況について、及び、待機児童から除外している四つの類型も含めて、待機児童の考え方についてお示しをいたしました。

 三月十八日の厚生労働委員会で、平成十二年度以前の待機児童の旧定義と平成十三年度以降の新定義、これに関して質疑がございまして、その中で、もともと平成二十七年度から待機児童以外の状況も把握することとしていたということをお答えしたところでございまして、今回、その数字を明らかにしたということでございます。

 二十八日の公表で待機児童の考え方についてお示しをしたのは、待機児童の定義の考え方や経緯について、言ってみれば、実態を正しく理解いただく、このためにこの数字をお示ししたわけでございます。

 きょうお配りをいただいておりますが、お示しをしている待機児童から除外をしている四つの類型については、もう御案内のように、一つは地方単独事業を利用している方、二番目は特定の保育園等のみを希望している方、三番目は求職活動を休止している方、四番目は育児休業中の方でございまして、いずれも保育の利用申し込みが行われている方でありますけれども、このうち、求職活動を休止している、とめている方については保育の必要性の要件に該当はしないけれども、地方単独事業を利用している方、あるいは特定の保育園等のみを希望している方、そして育児休業中の方については、保育の必要性について各市町村において適切に判断されている方であると考えております。

 市町村においては、潜在的な保育ニーズも勘案をして計画的に保育の受け皿整備を行っておりまして、厚労省としても、必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 長かったんですけれども、聞いたことに答えたとは思わないんですね。

 要するに、聞いたのは、待機児童数と、いわゆる潜在的な待機児童数、約六万人と発表されました、それと、新制度における保育の必要な児童、これはイコールですかということを聞いています。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 先生お配りいただいた資料は、私ども、二十八日に大臣から緊急対策を御説明したときの資料でございます。

 ここの線にありますように、今回新しい制度になりまして、保育に欠けるというところから、より、保育を必要とする方について客観的に、そういう意味でいうと、手を挙げることができるということで、外延を拡大したわけでございます。まず、この外延の拡大というのが、一つ、できるだけ多くの方に保育サービスを提供するための枠組みということになります。その中で、現に認可保育所以外の保育所でもさまざまに利用できている方については除外をするというのはこれまでの考え方と同様で、今回新しい場所がふえましたので、その分がふえたということでございます。

 それ以外に、御指摘の、育休の方ですとか特定園のみの希望の方についてはこれまでと同様の考え方でございますが、ここにありますように、大きな広い外延の中という意味でいえば、必要な児童の中に入っているということになります。

 もちろん、私どもが潜在的なニーズというふうに申し上げたときには、そもそも求職をもう初めから諦めているような方ですとか、あるいは将来そういったことがあれば働きたいと思っている方といったことも広く含めて、例えば五十万人といった数字を積み上げるときには対応しておりますので、その意味では、保育の必要な児童との関係はこの絵に示されたとおりでございますし、整備量を考えるときの外延というのはもうちょっと広いものをもちろん想定して考えております。

高橋(千)委員 わかりました。

 当初は、潜在ニーズ百万人などという数字も出されたわけですよね。ですから、私は、待機児童数の旧定義と言うときに、まず、そもそもそういう枠のはめ方が非常に問題だと思っておりましたが、それでも説明はしていたわけですよね、旧定義ではこうですということを説明していたし、今回、新制度でニーズを把握するとなった以上は、当然、旧定義よりもさらに広い方が把握されるはずだ、そこから出発するんじゃないかと思っていたんです。なのに、何で今まだ定義がどうの、待機児童の数がどうのと議論をしているんだろうか、それが納得いかないから聞いております。

 十四日の参議院の予算委員会でも、我が党の田村智子議員が、川崎市では認可保育所に申し込んで利用できなかった方が二千二百三十一人もいるのに待機児童はゼロになっていると指摘をしました。これは、ですから、厚労省の言う狭い定義で言うとゼロになるわけですよね。それをわかって聞いているにもかかわらず、塩崎大臣は待機児童の定義をるる説明されたわけであります。全く意味のない答弁だと思います。

 でも、三年前の四月の本委員会で、私も同じような質問をしております。杉並区の例です。認可保育所の待機児童五十二人と。そのとき、五十二人というのは一つの保育所が一人受け入れれば間に合う数になっちゃうじゃないかと。それは二十八日に大臣が会見でおっしゃったことと同じような意味ですよ。でも、実際は一月に申し込んだ方の三分の二に当たる千八百名がはみ出しているんだ、その声にどう応えるんですかということが言いたかったことなんです。

 それに対して当時の田村大臣は、我々も、もっといるだろうなということは大体わかっているんですが、そこはカウントの仕方というものがそれぞれ自治体であるわけでございまして、そういう数字になってきておると答えておられます。一方で、認証保育園は、これは待機児童にカウントされないわけでございますから、潜在的にあるわけでございます、そう考えると、どうやって本当の待機児童の数をちゃんと把握するか、ここが一番大きな問題だということは我々も認識いたしておりますし、昨年の三党協議の中での議論の中でも何度も申し上げたとして、ちゃんとカウントできるような方策を考えていかねばならぬと答えていらっしゃいます。

 ですから、もう一度聞きますが、絞って絞って、どこにも行き場のない待機児童がこれだけですよと公表するのは何の意味もないんです。新制度は、必要なニーズをつかみ、これに応えていくというスキームじゃなかったんですか。

塩崎国務大臣 十三年度から使っているいわゆる待機児童は、ずっと民主党政権を含めて使ってきた定義であって、しかし、必ずしもそれだけではないということは我々もわかっているわけで、そのために、今回、特に新しい定義も、つまり、保育に欠けるとかつて長らく言ってきたことを、去年の四月からそれをやめて、保育が必要な方々には保育を提供するというのを原則にするということに変えたわけですね。

 そういうこともあったので、私どもとしては、さらに、今までももちろんいろいろあることはよくわかっておりますが、改めて今回、先ほど申し上げた四つの類型のいわゆる広義の待機児童プラス、さらに、これから女性がお仕事を始められる方もいて、そうすると保育の需要はさらにふえるという潜在的なニーズを含めて、我々、今、一億総活躍社会づくりの中で四十万から五十万人にしたのは、最も多い、定義として、各市町村が上げてこられたものを合計したもので五十万人ということを申し上げているところでございます。

高橋(千)委員 実は私、百万人の潜在保育需要の問題があったときに、こういうことを言ったんですね。そうはいっても、たった今の二万三千人の待機児童、四万人の旧定義の待機児童、その対策ができていないじゃないか、潜在ニーズを掘り起こす話をするのはいいんだけれども、四十万人受け皿をふやすというのはいいんだけれども、今の対策をやってくださいということを言いました。

 ですから、きちんと、やはり、抽象的なことではなくて、中身でつかむということが大事だと指摘したいと思います。

 ですから、私は、政府が今回緊急対策を出した中の、例えば保活の実態を調査するとか国民からの意見の募集とかいうのは、それはそれでいいと思うんですよ。全部やるべきだと思っております。それから、受け皿確保のための施設整備促進で、借地料への支援の強化ですとか余裕スペースを活用した保育園等の整備促進、これも党として緊急対策をやるべきだということを言っておりますので、それはもう、やるべきことはしっかりやる。ただ、そのニーズというのが四十万なのか五十万なのかというばくっとした話ではなく、しっかりとつかんでいただきたいということなんですね。

 それで、次に行きますけれども、子ども・子育て支援法第六十条に基づく基本指針には、前文に次のように明記されています。

  子ども・子育て支援については、この法の目的を達成するため、「子どもの最善の利益」が実現される社会を目指すとの考えを基本に、子どもの視点に立ち、子どもの生存と発達が保障されるよう、良質かつ適切な内容及び水準のものとすることが必要である。

  また、法は、障害、疾病、虐待、貧困、家族の状況その他の事情により社会的な支援の必要性が高い子どもやその家族を含め、全ての子どもや子育て家庭を対象とするものである。このことを踏まえ、全ての子どもに対し、身近な地域において、法に基づく給付その他の支援を可能な限り講じるとともに、関連する諸制度との連携を図り、必要な場合には、これらの子どもに対する適切な保護及び援助の措置を講じることにより、一人一人の子どもの健やかな育ちを等しく保障することを目指す必要がある。

と書いてある。

 私は、この子ども・子育て支援法の基本指針は、児童福祉法にある子供の最善の利益、これをきちんと明記したということは歓迎したいと思うんです。

 先週、保育園に落ちたの私と私の友達だと銘打って集会が行われ、私も参加させていただきましたが、赤ちゃんを抱いたママ、パパがたくさん集まって、仕事を本当にやめなければならないかと迫られている悲痛な訴えを聞きました。同時に、ただ預かってくれればいいと思っているわけではないと共通して出されました。子供を保育園で亡くされたお母さんも訴えておられました。

 新制度においても、量だけでなく質もと説明してきたはずであります。受け入れ枠をふやす緊急対策では解決にならないのではないでしょうか。もしも、それはあくまでも一時的だというのであれば、恒久的な対策とセットで行うべきではないでしょうか。

塩崎国務大臣 おっしゃるように、緊急対策は緊急対策であって、私どもは、一体改革の中の積み残しであります三千億についても、恒久財源を見つけながら実行していくということを、やるということを申し上げてきているわけであって、子ども・子育て支援新制度では、認可保育園のほかに、小規模保育など多様なサービスを公的な認可サービスとして位置づけ、そして待機児童解消加速化プラン、これを中心に今まで受け皿拡大を行ってきたわけですね。

 質の向上についても取り組みを私どもは進めてきておりまして、消費税財源を活用して、三歳児の配置改善、これは二十対一から十五対一にいたしました。それから、処遇改善三%、保育士が研修を受けやすくなるような代替職員の配置などをやってきたわけでありまして、これは、三千億円超のメニューの中には質の向上というのも入っているわけで、安定財源を確保しながら、処遇改善については、約四百億、二%を上げるという、そういうものを含めたさまざまな質の改善をメニューとして取り組んでいるわけでありますので、これは安定財源を確保しながら実現していきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 聞いたのは、例えば、小規模保育を、その定員を、十九までなのに三人も受け入れていいんだよとか、そういう緊急の受け入れをするというのをどうしてもやるというのであれば、次は、例えば分園つくりますよとか、そういう対策とセットでやるべきじゃないですかと言ったんです。今大臣が答えたのは、保育士の配置の問題で、それはこの後質問しますけれども、やはり、そうでなければ、緊急だというのが恒久になっちゃうんですよ。

 前だって、これはそれこそ民主党政権のときでしたけれども、六割が定員枠をふやしてやったじゃないかという指摘を私はしました。小泉総理大臣のときのいわゆる待機児童ゼロ作戦のときも、定員枠を一一〇%、一二〇%とふやす。だから、それがいずれ定員になっちゃうわけですよ。そうじゃないということをセットでやってくださいということを指摘しています。どうですか。

塩崎国務大臣 これも申し上げたとおり、今回、待機児童解消までの緊急的な取り組みということの位置づけで明示をしながらやっていることでございますので、それを恒久的な制度にするだのような発想は持っているわけではないので、今先生おっしゃったように、きちっとした、緊急事態が終わった後、克服した後、そういうことはやはりやっていかなきゃいけない。

 しかし、それにつけても、当然必要なのは、やはり恒久財源がなければ一回だけの線香花火に終わってしまうということだろうと思います。

高橋(千)委員 克服した後なんて言っていたら、いつまでも克服できないですよ。だから、対策をとりながらと言ったじゃないですか。言っている意味が違うんです。緊急事態が終わったらやりますよって、いつ終わるのかというこの状況をやはりちゃんと把握していただきたいと思います。

 やはり現行基準よりも上回ってやっている自治体が多いんだということは、既に先ほど来御紹介がありましたので繰り返しません。

 それで、大臣、昨年十一月二十七日の毎日新聞で記事が書かれておりますけれども、一億総活躍国民会議で保育の量を二〇一七年度末までに四十万から五十万にふやすと決めたとき、そのときの記事の中でこう書いています。規制緩和でできるものをやるように、金はかからないんだからと、取りまとめに向け、塩崎厚労大臣は省内で繰り返し指示したと書いてあります。

 ですから、多分、昨年は余り、そこまで世の中の話題になっていなかったからおっしゃったのかもしれませんよ。先ほど山尾委員に指摘をされたのに対して、いやいや、予算はきのう通ったばかりだから、金かけないと言ったのは、それは言われても違うとおっしゃっていたけれども、最初から、去年のうちに、金かからない規制緩和をやれと言っていたじゃないですか。そういうところに本音が出ちゃうんですよ。違いますか。

 手を振っておりますが、ちょっと、ここをやっていると、次、どうしてもしゃべりたいところに行かないので、次へ行きたいと思います。(塩崎国務大臣「言いっ放しじゃないか」と呼ぶ)それは指摘をして、本当に恒久的な対策をやるのかどうか、ちゃんと見ながら、言っていきたいと思います。

 それで、当然、受け入れ枠をふやすことは保育士にとっても負担を重くすることになるわけですけれども、保育士不足と言われていますけれども、保育士を希望する人が減っているわけではないと思うんですね。

 養成施設の箇所数、定員などがどうなっているか、簡単にお答えください。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 指定保育士養成施設、保育士の養成施設でございますが、二十七年四月一日時点で、全国で六百四十一カ所ございます。ここの入学定員は、二十六年度において、定員五万六千四百四十八名、実際に入学された方は五万八百三十一名で、ほぼ定員の九割が入学されているということでございます。

高橋(千)委員 資料の二枚目につけておきました。今、六百四十一と、それから定員が五万八千百三十一人とお答えがあったんですけれども、平成十八年との比較で見ても、五百三から出発して六百四十一ということで、ふえている。だから、介護の場合は養成施設が減っているという問題が起こっているわけですけれども、保育の場合は、まず目指す人はいるんだ。だから、目指す人が続けられるような対応をとればいいと思うんですね。

 それで、次の質問は、なぜ今回の緊急対策に処遇改善が入っていないのかという質問をするつもりだったんですけれども、さっき大臣が答えた、あれが多分その答えだったと思うんですね。人勧と合わせて約四%の確保をするんだということを言っているんだと思うんです。それでは全然足りないよという議論を私たちはしております。

 それで、資料の三枚目、保育士の平均賃金。短時間労働者の賃金というのが下にございます。

 よく、全産業と比べて月収で十一万低いと言われるけれども、やはり、ベテランの所長でも二十五万円程度、新人なら十数万と、まさにワーキングプアです。奨学金も返せない、学生時代のアルバイトの方が高かった、養護教諭で臨採のときより十万円も減ったと。笑えない話です。そもそも公定価格の基本単価が安過ぎるのではないでしょうか。

 二〇〇八年に保育所保育指針を改定しておりますが、保育所と保育士の役割はやはり高まっているわけですよね。つまり、地域の子育て支援としても位置づけられて、一層求められるものが大きくなっているんです。ですから、専門職として、そして子供の安全と豊かな育ちという観点から見ても、つまり、子供の立場から見ても、保育士の処遇を抜本的に拡充するべきではないでしょうか。

中島政府参考人 お尋ねの、子ども・子育て支援新制度におきます公定価格の設定をどのようにしているかということでございます。

 まず、単価の設定につきましては、人件費、事業費、管理費のそれぞれにつきまして、標準的な経費を積み上げて設定しておりまして、そのうち、人件費の額につきましては、標準的な賃金水準と各施設が満たすべき職員の配置基準をベースに計算しているところでございます。

 昨年四月からは、先ほど塩崎大臣からの御答弁にもございましたけれども、消費税一〇%の引き上げを前提とした〇・七兆円メニューを前倒しさせていただいたわけで、その中で、研修を受講する保育士のかわりに保育に従事するために加配される研修代替保育士の人件費を新たに基本単価で評価したということでございます。

 それとともに、各種加算等につきましては、処遇改善加算等々でも保育士さんの処遇については手当てをさせていただいたということでございます。

 今後とも、公定価格の適切な設定というのは大変重要なことでございます。引き続き、安定した財源を確保しつつ、しっかり頑張ってまいりたいと思っているところでございます。

高橋(千)委員 ちょっと時間の関係ではしょりながらやります。

 今のお答えは資料の四枚目に書いてあるわけですけれども、子ども・子育て支援の量的拡充と質の向上項目ということで、質の向上のところは二重丸と三角と丸があるわけですね。三角のところが、この間から議論になっている、財源のまだ決まっていない三千億円が出なければできないところ。だけれども、これは、一歳児の職員配置を改善すること、四、五歳児の職員配置を改善することなど、待ったなしの課題だと思うんです。

 やはりこれは、私は、最初から消費税財源ということに組み込んでしまったことが結果として大変なことになったんじゃないのかなと思っています。もし一〇%、我々は増税反対ですけれども、もしや一〇%をやらないかもしれないという議論がされているわけですけれども、やはりここは急いでやる、財源を切り離してもやらなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今先生の方から御指摘をいただいたいわゆる〇・三兆円超のことでございますが、今回の緊急対策については、規制の弾力化とか運用の改善とか、予算を伴わない対策が多く含まれているわけでありまして、二十八年度予算に盛り込まれている補助メニューの中で、条件等の見直しで支援を強化して実施するものもあるわけであります。

 一方で、恒久財源をもって拡充すべき改善等については、今回の緊急対策の中には入っておらないわけでありまして、これまでも、消費税財源を活用して、三歳児に対する保育士の配置を二十対一から十五対一に改善するといったことは、質の改善としてやってきたわけでありますけれども、例えば一歳児の職員配置、六対一を五対一にするというのは、大体六百七十億円かかることが見込まれているわけであります。

 こういったことについては、現場から強く求められているわけでありますけれども、質の向上を実施するための三千億円超のメニューに入っているわけでありますから、先ほど来申し上げているように、安定財源を確保して実現に向けて取り組んでいかなければならないし、また、職員給与の二%分というのが、児童養護の関係の施設も入れれば四百億強ということになりますので、こういったことについてしっかりと取り組んでいかなければならないと思っております。

高橋(千)委員 しっかりと取り組んでいくということでありましたが、財源の問題を、やはり消費税増税しなければということではなく議論していってほしいということを求められているということを重ねて指摘したいと思うんです。

 それで、資料の五枚目を見ていただきたいんですね。これは、保育所の単価表の推移。さっき私は、基本単価が少ないんじゃないかという議論をいたしました。それをちょっと経年で見ているわけですね。

 元帝京大学の教授で保育研究所の所長である村山祐一さんが一定の条件を入れて公定価格のいわゆる試算をしたものです、九十人定員ですとか、民改費を一二%にしてとか。それで、その出した表を調査室にも精査をしていただいて出してみました。

 そうすると、九五年から比較をしているのは、おわかりのように、九五年というのはエンゼルプランの最初の年なんですね。そこから見ると、二〇〇〇年度が一番高くなっている、ピークです。五年後が一〇〇%と書いているのはそういう意味なんです。そこから、二〇一五年度というのは、また下がっておって、九五年と比べても下がっているものもあれば、二〇〇〇年度と比べても一〇〇を割っている状態。

 これだけ、この間もいろいろ加算をやってきたとか言うけれども、やはり基本的なところが少ない、変わっていない。この現状をどう見るのか。やはり急いで解決しなければならないと思いますが、いかがでしょうか。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 手元に細かい数字はございませんが、二〇〇〇年から以降、このあたりは、現行制度ではなくて旧制度下での保育の単価ということになります。

 これは、そうしますと、当時の単価は、人件費については人勧ベースですし、その他物件費については、基本的には物価変動ということになりますので、この時期は、御案内のように、デフレの時期でありましたし、私ども公務員の給与も基本的にはマイナス改定でございましたので、もちろん、それは世の中全体がそうであったということだと思うんですが、そういう社会経済の賃金なり物価の動静にあってこういう形で改定が行われたものというふうに理解しております。

高橋(千)委員 人勧はずっと減っておったし、デフレだったしというのは、全くそのとおりだと思うんですね。だけれども、他産業と比べても少ない状態がずっとこういうふうに維持されてきたということをやはりちゃんと見て、この間もいろいろ加算、民改費などのものをやってきたわけですけれども、新制度の前は十年までの加算でしたけれども、それが十一年までと、たった一年だけアップがふえただけなんですね。そういう点ではまだまだ改善がおくれているということを指摘して、これを急いで正すべきだと思っております。

 それで、公立保育所の整備費が一般化されたこと、また、総務省の公共施設等総合管理計画によって、老朽化した公立保育所から順々に廃止などが迫られている、こういう指摘がされてきたと思っております。民間保育所がこの十年間で四千五百一ふえているんですが、かわりに、公立が二千五百六十七減っているんですね。つまり、看板がかけかわっただけ。

 私は、何度かこの問題を質問しているんですけれども、志を持って保育をやりたいと思う民間の法人の方がいらっしゃったのに、結局、器を、そのままお願いしますねと言ったら、全然その待機児童は変わらないわけですよね、解消されない。そこを何とかならないものかなということをずっと思ってきたんです。

 仙台市は、十年間で公立保育所を四割、二十カ所民営化するという方針を持っていました。ちょうど引き継ぎのときに視察に行きまして、公立の保育士さんは、民間の方に引き継ぐ瞬間なので、もう手を出さない、手を出すと子供たちとの関係がいつまでも切れないからと大変寂しそうに言っていたのを覚えております。

 結局、その方たちは、スキルがありながら、公務員なので、市役所のどこかの部署で仕事をするんですね。保育士さんとして活躍してもらえるのになと思って、残念でした。この仙台市がもし公立を廃止していなければ、六百四十三人、児童の受け入れができていたのに、この点でももったいないなと思っております。

 そこで、総務省に伺いますが、二〇〇五年から二〇一〇年までの集中改革プランで、地方公共団体の職員は二十三万人減少し、うち、保育士を含む福祉部門が約四万人減少している、これは平成二十五年四月の厚労委員会で答弁されています。

 その後の五年間がどうなったのかということと、公立保育所の廃止が、結局、全体の削減の目標達成のツールとなってきたと言えないんだろうかということを指摘したいと思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 平成二十二年から平成二十七年の五年間において、地方公共団体の職員数は約七万六千人減少しております。公立保育所の保育士を含む福祉部門の職員数については、民間委託や民間移譲の進展等により、約一万三千人減少しております。

 総務省としては、厳しい財政状況にあっても、質の高い公共サービスを効率的、効果的に提供する観点から、地方公共団体においては、民間にできることは民間に委ね、真に行政として対応しなければならない政策課題などに重点的に対応した簡素で効率的な行政体制を実現することが求められているものとの基本的認識を持っております。

 こうした基本的認識を踏まえつつ、地方公共団体においても、地域の実情に応じて、民間の能力やノウハウを活用することによりコスト削減やサービス向上を図る観点から、民間委託や民間移譲などが推進されるべきものと考えております。

 具体的な手法については、地方公共団体が地域の実情に応じて自主的に判断するものでありまして、公立保育所の廃止をその手段として、地方公共団体に対して通知などをして要請しておるわけではありません。

 以上であります。

高橋(千)委員 やはりぎりぎりのところまで、私は本当は五年でもう底をついたと思っていたわけですね。でも、結局、それからまた、保育、福祉関係だけでも一万三千人も縮減をしている。結局、全体の目標を達成する上でも、一つなくすればそれだけの職員を減らせるわけですから、そうなってきたんじゃないか。

 民間にできることは民間にと言うけれども、やはり公立でなければやれない仕事というのもあるわけですね。まして、今のような、待機児童が大きな問題になり、保育士の処遇が問題になっているときに、その模範となるべき保育士がやはりあってしかるべきではないかと思うんです。

 実は、この仙台市の保育所では、正規職員が五年間で百四十人減って、非正規雇用の割合は二七%になっているんですね。それで、二〇一三年の正規の職員の募集はたった二十一人でした。それに対して二百九十三人、十倍以上応募しているんですね。翌年は十八人の枠に二百八人、二〇一五年は十八人の枠に百七十九人応募したそうです。

 ですから、公立保育所だからと、やはり一定の条件があれば保育士になりたいと思う人がこんなにいるんですね。だから、やはり、その人たちに応えてもらう、働いてもらうということを考えて、公立保育所も必要だというふうな立場に立つべきではないでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 私ども総務省といたしましては、個別具体の地方団体の実情に応じて、地方団体が責任を持って、これは民間に委託すべきである、あるいは、こちらの方に地方公務員の正規の限られた人数の方を集中すべきであるというような判断をぜひしていただき、議会でも御議論いただいて、地域の実情に合わせた対応をとっていただきたい、そういう指導をしておるところでございます。

 以上であります。

高橋(千)委員 時間が非常に迫っておって、どうしても言いたいことがあるものですから。

 大臣にも改めて、私は全部公立でやらなきゃだめだなんて言っているわけじゃないんです。やはり必要なものはちゃんと整備するということを、残念ながら今は予算がついていないということになっていますけれども、本当に必要であれば、児童福祉法二十四条をせっかく残したんですから、市町村の実施義務を残したわけですから、そこで、本当に足りないんだ、そのときに、誰か手を挙げてくれよ、お願いしますよというわけにはいかないわけですね。そのときにやはり市町村の手段としてできることがあるということは今後考えていく必要がある。公立保育所もやはりつくれるようにするべきじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 公的な保育園についての議論は随分いろいろこれまでなされてまいりました。

 これは最終的には市区町村長がお決めになることであろうかと思いますけれども、公立ならではのよさももちろんあることはよくわかるわけでありますが、そこのところのベストミックスをどう考えるかというのは、それぞれ自治事務としてその自治体がお決めになるということで、それぞれの保育ニーズとか人材の状況とか、さまざま考えた上でお選びをいただくことではないかということで、東京都内でも区立というのがたくさんございまして、私の身内も、うちの子供たちも区立で行っていましたが、まあ、それはそれとして、本当にあるべき姿はそれぞれが考えることだろうというふうに思います。

高橋(千)委員 そんな人ごとのような話をしないで、やはり、選んでもいいよと言うんだったら、それに見合うお金を出してくださいということを議論しているんです。緊急対策というんだったら、それが一番効果的なんですよということを指摘しておきます。

 きょうは、ぜひお話ししたかったのは、さっき認可外の保育所の話が出ました。きょう持ってきたのは、これは写真集なんですけれども、朝市センター保育園というので、実は仙台市の駅前に朝市があるんですが、たまたま私の比例東北ブロックの事務所が借りているビルの五階にございます、認可外ですけれども。でも、その朝市の中に子供たちがいるものですから、おじちゃん、おばちゃんから日常的に声をかけられ、また、朝市で仕入れる新鮮なものを食べて、とても地域で喜ばれて、二十八年間頑張ってきた保育園なんです。

 それが、新制度になって、せんだい保育室という、東京の認証保育所みたいな、補助をもらっていたんですが、それを廃止するから小規模か認可かどちらかを選びなさいと言われたんですね。ところが、認可を選ぶには、つい七十メートル先にパチンコ屋ができたんですよ。認可保育所があればパチンコ屋はつくっちゃいけないんだけれども、認可外保育所だから、後から来たんです、パチンコ屋が。それで、だめだと仙台市に言われたものですから、署名をたくさん集めて、地域の人たちに支えられて、これは、ちゃんと特別な事情を見るということで、認可を選びました。大変なイバラの道をあえて選んだんです。

 小規模の方が簡単です。でも、なぜ認可を選んだのか。園長が言っているのは、赤ちゃんから就学前まで一貫した保育がしたいと言っていること、それから、兄弟を引き離したくない、だから、どんなに苦しくても認可を選んだんだと言う。だから、保育園に入れなくてつらい声を上げていたお母さんたちのことを思って、本当にどきっとしました。

 でも、そのために大変なお金を集めて、今、改修の準備をしているんですが、認可ってすごいと言うんですよ。五分の一採光基準があるとか、避難階段をつくらなきゃいけないとか、ゼロ歳児の部屋も広くなってゆとりがあるんだとか、それが保育士にとってもいいことだと言って、本当に大変だけれども喜んでいるんですね。そういう方たちもいるんです。

 認可化の移行事業というのが今回若干緩和されるわけですけれども、やはり認可外から認可に移行するのは、五百二十八が新しくつくっている認可外、でも、認可に移行しているのは、それに比べ、たった七十六なんですね。本当に少ないんですよ。そこをもっと応援してあげる、受け皿になれる、頑張れると。あるいは、保育の志を持っている人たちに、応援する道があるんだと。

 やはり、最低基準というのはそういう意味があるんだということをせっかく現場が言ってくれているので、保育とは何かという立場に立ってここを応援していただきたい、このことを指摘して、残念ながら、質問したかったんですが、時間が来ましたので、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 おおさか維新の会の浦野です。

 本日最後、あと二十九分間頑張っていただけたらと思います。

 きょうは、朝から本当に、保育にかかわるさまざまな意見、納得のいく意見もありましたし、ううんというような意見もありました。そういうのも含めて質問していきたいと思います。

 まず、今回の政府が出されたものですけれども、それは納得できるものもありますし、これはどうやろというのももちろん含まれています。我々おおさか維新の会が出させていただいた緊急提言の中に含まれているものもこの中にはあります。そういった意味では、理解のできる部分もあるというものです。

 今回は、予算の執行を伴わないものを、予算関係なしに、やれる範囲でやりましょうという意図というのは非常に僕はわかります。予算の編成権限を握っているのはやはり政府・与党ですから、政府・与党が、きのう本予算が通った、その次の日に新たな予算を組むなんということはできないでしょうから、これは仕方がないかなと。

 ただ、きょうの朝からも皆さんが御指摘しているように、保育士の給与改善というのは、必ず、これは恐らく絶対やっていただけるだろうと思っています。その額は、民主党さんは五万円と言っていますし、我々は、五万円という財源がしんどいのであれば、五年間で九万円。これは、比較する数字が九万円の差だということだったので九万円にしているんですけれども、実際、本当はどういう数字を持って保育士の給料を比較するべきか。

 それはやはり、今現在、保育園として、保育所として、法律用語では保育所ですから保育所と言いますけれども、公立の保育所があるわけですよね。公立の保育所と民間の保育所の給与の差というのは歴然としているわけです。この給与の差をまずは埋めるべきだというのは、本来私は思っています。

 ただ、今回、緊急提言で、待機児童、待機児童解消だとわっと騒ぐから、保育士給与の改善だということだったので、緊急的に提言をさせていただいたから、九万円の差ということを捉まえて提言をさせていただいていますけれども、本来は、公立の保育所との給与比較、これが大前提になってくると思います。

 そこで、先ほど井坂委員もおっしゃっていましたけれども、データが本当にないんですよ、厚生労働省に。これは、過去に厚生労働省にそういう指摘をされている方もいらっしゃいますけれども、東京の公立保育園で園長さんが一千二百万とっている、保育士も八百万、九百万もらっている公立の保育所がたくさんあると。それでも、ほんまかどうか私らはわからないんですよ。だって厚生労働省にデータがないから比べようがないんですよね。それはやはり調べるべきだと思うんですよ。そういう数字、全ての数字を厚生労働省は把握した上でいろいろなことを考えないといけないと思うんです。

 社福法が返ってきます。社福法の中にも、今までなかった、社会福祉法人の数字を全部集計していくというのが今回含まれています。それも今までやっていなかったこと自体が僕は疑問ですし、そんなのでよく今までの補助金とかそういう計算をやっておったなと。経営実態がさっぱりデータとして数字としてわかっていなかったのにそういうことを決められていたというのが僕は不思議で仕方がないんです。

 この保育もそうです。やはり、まず全てのデータが厚生労働省にそろわないとここで議論ができません。だからそれはしっかりと全部調べてもらいたいんです。

 なかなか質問しようと思っていたところにいかないんですけれども、それとプラス、先ほど、これはもうずっと指摘され続けていることですけれども、やはり待機児童のカウントの方法というのは統一しないとだめだと思うんですよ。

 というのは、この間も指摘させていただきましたけれども、同じ法人で市町村をまたいで保育園をやっているところなんて、もう今ざらにあるんですよ。その法人の中で、Aという市の保育園はこの人は待機児童になるけれども、Bという市では待機児童にならないというカウントがあるんですよ、あり得るんですよ、存在するんですよ、もう既に。保育園からしたら、何でこの人は入られへんでこの人は入れるのやろうというのがいっぱい出てきています。

 これは監査もそうです。監査権限が市町村におろされたことによって監査基準がばらばらになっちゃっているんですよ。A保育園ではこれはあかんと指摘された、B保育園ではこれはあかんと指摘されていない、でも経営者は一緒だから同じように経営しますよね。でも、ではAという保育園はこれはだめだからこうしましょう、Bという保育園はこれはええからこのままでいきましょうなんという経営の仕方なんて、本来おかしいんですよ。AだろうがBだろうがCだろうが、どの保育園でも同じ基準で監査をしてもらわないと、保育園の経営者側としては、そのたびに全部対応を変えていかないといけない。

 待機児童のカウントの方もそうです。それはやはり統一してもらわないと、これからそういった、市町村をまたぐ保育園、都道府県をまたぐ保育園も今幾らでも出ていますから、もう珍しくありません。昔のように一法人一保育園なんというところは大分減りました。ほとんどがやはり複数経営しています。だから、これはやはり皆さん、もうちょっと真剣に取り組んでいただきたいなと先に言っておきます。

 今回の提案の指摘に入らせていただきます。

 一つ目。二年連続して定員を一二〇%超えて入園させた場合に三年目に公定価格を減額するという、今まではそういう制度になっています。それを今回しばらく取りやめる、これは僕は非常にいいことだと思うんですね。

 というのも、やはり保育園の経営者も、経営をしている以上、待機児童の解消のために子供を多目に入れて、それが原因で減収になるなんてことになれば、それはみんな協力しないですよ。だって、保育園の収入が減ったら、それは何に直結するかというたら人件費に直結するんです。保育園の収入の八〇%は人件費に消えていきます。一番影響を受けやすいのは人件費なんですね。だから、減額されるようなことをわざわざ保育園は絶対選ばないんですよ。だからこそ、今回の、二年連続して一二〇%を超えた場合のものは、これはやらないというのは非常にいいことだと思っているんです。

 ただ、心配なのは、今は待機児童があるからこれを続けていただけたらいいと思うんですけれども、待機児童がなくなったときに、突然、はい、では、もう待機児童がなくなったから減額しますということになられると、もう保育園は対応してくれません。その辺をちょっとしっかりと答弁をいただきたいと思うんです。

塩崎国務大臣 今回、定員超過入園の柔軟な実施ということで、今御指摘の、定員を一二〇%超えて入園させた場合の三年目の公定価格の減額になる扱いを柔軟にしよう、こういうことでありますが、この減算措置が実際に行われるのは、まず第一に、平成二十七年四月の子ども・子育て支援新制度施行から二年が経過して以降でございますので、この減算措置が平成二十八年四月から適用されるという保育園はないわけでございます。

 そういうことでありますが、今回は、特に緊急的な対応ということでございますが、保育園が定員の弾力化の実施に当たってちゅうちょをして、今お話しのようなことがないように、延長措置の取り扱いについて周知をきちっとして、十分に御理解をいただいた上で対応を願うということにしなければいけないなということを、今、御質問を聞いていて改めて思ったところでございます。

浦野委員 済みません、興奮して答弁いただくのを忘れたんですけれども、データをしっかりととるということに関しても、ちょっと御答弁をいただけたらと思います。前段のものですけれども。

中島政府参考人 内閣府といたしましては、子ども・子育て支援新制度の財政及び給付事務を取り扱わせていただいております。したがいまして、公定価格等についての決定をさせていただいているというところでございます。

 今後、公定価格等を決定していく、検討していくに当たっては、本日の御指摘の趣旨も踏まえて取り組ませていただければということで、きょうの御指摘も踏まえて検討させていただければと思ってございます。

塩崎国務大臣 今回、保育ではなくて、児童福祉法の虐待関係で抜本的に改正をしようという中で、今の、自治事務であるがゆえに壁があるというか、意識の壁かもわからないなと思うような壁があることがよく私はわかりました。自治事務だから、こちら、国側から言えることと言えないことがあるような、そんなことがあるのでは、なかなか子供の命は守れないなというふうに私は思いました。

 例えば、今回、中核市には児相を事実上必置にしようということでありましたが、かなりいろいろな御意見で前に進まない時期がありました。

 もう一つは、児相に弁護士を常勤で必置にすべきということを私は強く主張しましたが、これについても、自治事務だからそんなことはできないというのが説明でありましたけれども、では、国の法律というのは何を決められるのかということを深く考えさせられました。

 総務省が代弁をしてくるわけでありますが、ここのところの、地方自治が大事であるということと、自治事務としてお願いしている中に、例えば、今回の保育にしても、虐待対応にしても、この辺の自治事務という、地方分権の中でさらに独立的に御判断をいただくような必要があるものについて、データを含めて、国と地方公共団体との関係というのは少し整理をし直さないといけないのかなということを私は個人的に感じたところであります。

 今回、児童福祉法の改正は改正として出しておりますけれども、データも実はなかなかそろっていないというのが実際で、それはなぜかと聞くと、自治事務だからだということでありますけれども、それで通るのかと。

 やはり国の法律でありますので、その守備範囲をきちっと整理し直すことは大事だというふうに思いますので、先ほどの報酬問題等々を含めて、考え直すべきことかなというふうに思ったところであります。

浦野委員 ここは、我々も地方分権をすべきだという立場ですので、自治事務がどこまでの権限を持っているのか、国がどこまで口を挟めるのかというのは非常に大きなテーマだと思います。

 ただ、私はやはり、全国的にこうやって待機児童を解消せよ、保育士の給与の水準を上げよ、こういう声が大きくなっている以上、どこが対応できるかというと、それは国しか対応できないんです、どうしても。であるならば、そこは一定国が関与せざるを得ない。その部分に関して市町村からいろいろ意見はあるだろうけれども、そこは、では、そういう対応はできませんけれどもそれでよろしいですかということになってしまうと僕は思うんですね。

 きょうも、待機児童を解消しろという反面、最低基準以上の上乗せをして、最低基準上は子供がまだ入れる保育園も子供を入れていないところ、これも前の質問のときに指摘させていただいた部分ですけれども、これも私は、待機児童を解消しなければいけないということを目標にするのであれば、そこは最低基準までは子供を入れてあげてほしいと思うんですね。

 というのは、やはり保護者の皆さんが求めているのは、小規模保育所でもなくて、認可外保育所でもなくて、認証保育所でもないんですよ。やはり認可保育園に子供を預けたいんですね。残念ながらその声が一番大きいんですよ。私は、無認可の保育園も、小規模保育園も、認証保育園も、形態としてはあってしかるべきだと思っています、思っていますけれども、でも、保護者が今一番子供を入れたいところは認可保育園なんですよね。だから、それに応える努力をせなあかんのは、やはり認可保育園も一緒なんですよ。認可保育園が最低基準を守りながらまだ子供を入れられるのであれば、入れていかなければならない。

 今回、国がそういうことを市町村にお願いするということになりましたけれども、例えば、先ほど井坂さんも言っていましたけれども、東京の特別区はほとんどみんな上乗せしているんですよね。でも、東京都が一番待機児童が多いわけですよ。世田谷区なんかは千百人でしたか、今数字が出ているのは。トップなわけですね。でも、世田谷区も上乗せをしているんでしょう。それで、待機児童、待機児童と言っているわけです。

 世田谷区なんか、前の民主党政権のときの厚生労働大臣の地元ですよ。そこが今待機児童を全く解消できないんですよ。それじゃだめでしょう。私は、言う以上は協力をしていただかないとだめだと思います。ちなみに、小宮山さんですね、そのとき。

 残念ながら、おおさか維新の会は東京の選挙区にほとんど議員がおらぬのであれなんですけれども、東京の選挙区の先生は非常に多いと思うんですよ、ここにも、委員会にもぎょうさんいてはります。でも、地元に帰って、やはり認可保育園が頑張ってもらわないとだめじゃないかと言ってもらわぬとあかんと思います、まずは。その上で、解消できない部分についていろいろな政策をやっていくというのは僕はしかるべきだと思っています。まあ、これは政府に言っても仕方のないことなので、意見として言わせていただきましたけれども。

 それで、先ほど井坂委員が指摘した保育の質が下がるという指摘、これはどこに行っても言われると思います。正直、申しわけないですけれども、現在既にもう保育士の質は下がっているんですよ。だって、保育士不足で、受けに来てくれる人をみんな採用しないと、もう保育所はやっていけないんですから。そこには競争がないんですよ。どんな人でも仕方がないから採用するという保育園はもう既に出てきていますよ。

 その中で、我々は、できる限りいい人材を、こうやって引っこ抜いて、わっと集めて、保育園の質を保っているわけですよね。そういう努力は、みんな保育園はしています。でも、どうしてもそれでも保育士が手当てできないところは、もうどんな人でも仕方がないから雇わなしゃあないんですよ。そうじゃないと子供が入れないから。もう既に質は下がっていっているんです。だから、やはり冒頭に言ったみたいに、保育士の待遇改善というのは絶対に必要だというのは、それはもう間違いないと思っています。

 最低基準でも既に保育園はもう回らないんじゃないかという指摘はありましたけれども、正直、きょうの朝一の山尾さんも、最低基準はもう最低の最低やとおっしゃっていました。いや、それは確かに最低基準という名前ですから最低なんですけれども、でも、最低基準のレベルだったら保育園はやっていけています。今現在、最低基準でやっている保育園が大半です、日本全国で。大阪の保育園でもそうです。

 それで、上乗せ部分がなくなって、我々の知っている保育園と同じ定員の子供が入ってきて保育士はやっていかれへんのじゃないかという心配は、それは心配はごもっともかもしれませんけれども、保育士の能力はそんなに低くありません。ちゃんと頑張っている保育士もたくさんいてますし、経験も積んだ保育士がたくさんいますので、それは僕は大丈夫だと思っています。最低基準の質というのは絶対担保できる、それは間違いないです。

 ただ、大阪の、我々なんか、それでも待機児童を解消するためにもっと努力しようということで、その最低基準も超えて、今、保育園に入れない子供たちをやはり何とかしてあげなあかんということで、保育園の最低基準をちょっと今クリアをして入れているというのが現状なんです。それでも、保育の質が下がったなんということは大阪では聞いたことがないです。皆さん努力をされています。しっかりとやっています。そんな重大な事故も起こっていないです、それでも。

 私は、だから、まだまだ、これが未来永劫続けられるとそれは保育園も大変ですけれども、待機児童を解消するという一つの目標に向かって我々はやはり努力をしていかなあかん、そういう意味では、認可保育園が一番やはり頑張らないとだめだ、それは絶対に思っています。

 そのために、今回いろいろ政府も出していますけれども、この中で、質問に戻りますけれども、保育士の子供を優先的にやはり入れてくれないと保育園に戻れないというのは、これはもう間違いなく、実際起こっています。うちの法人でもそれが実はことしありました。保育士が子供を預けられないので戻れませんということで何とかしてくださいというので相談がありました。こういうのは実際に起こっています。これは、市町村によって恐らく優先順位が違うんだろうと思うんですけれども、これはしっかりとやっていっていただきたいと思います。

 それともう一つ、この次の質問なんですけれども、小学校の空き教室。これは、確かに待機児童が多いところは小学校も結構ぱんぱんだというところは多いと思います。ただ、実際に、小学校は空き教室があるけれども保育園として転用させてもらえないというのが非常に多いです。教育委員会が反対しているのか何かよくわからないですけれども、全然進まないです。でも、これがある程度前に進んだら、分園形式で小学校の空き教室に保育園をつくってくれる法人は必ず出てきます。そこを私は、これは馳大臣とトップ会談で決めてもらえたらと思っているんですけれども、いかがですか。

塩崎国務大臣 空き教室を活用する保育園というのは大変意味があると思っておりまして、これまでも実際に取り組みが行われてきているわけでありますので、今、学校それから公民館などの地域の余裕スペースを活用して保育園等の整備をする場合には、今回も本体工事費の補助基準額に加算をしてきているわけでありますが、先日公表いたしました緊急対策の中でも、小学校の空き教室などを利用した保育園等の整備を促進するために、施設整備費に設けられた加算額の改善をさらに行うということを発表しました。

 したがって、私としても、今御指摘のように、馳大臣とちゃんと話をして、これが前に進むようにやっていきたいというふうに思います。

浦野委員 小学校に、小学校に限らないですけれども、分園形式で保育園をつくっていくというので、実は、認定こども園はまだ分園に関する制度がはっきりと決まっていないんですよね。その辺の検討というのは今どうなっているのか、ちょっとお聞かせください。

中島政府参考人 委員の御指摘のとおり、まだ決まっておりません。

 認定こども園につきまして、新たな分園を設置するということについては制度上可能だという形でお示しはしておりますけれども、分園を設ける場合に、本園と異なる取り扱いが果たしてどこまで可能なのかということについては、保育所等から認定こども園に移行される場合についてはお示しをしておりますけれども、そうでない場合については必ずしもお示しをしていないというのは、委員御指摘のとおりでございます。

 本日の御指摘もございましたし、自治体からも同じようなお声をいただいておりますので、現在、内閣府の方で具体的案を作成して、関係省庁であります文科省さん、厚労省さんと最終的な詰めをさせていただいているところでございます。

 きょうの御指摘も踏まえまして、できる限り速やかに案を示して適用していきたいと考えておるところでございます。

浦野委員 認定こども園は、去年、ことしで、かなりの数ふえるということになると思います。大阪でももちろんかなりふえましたし、全国的にも大分ふえていっているだろうと思います。

 分園のやり方が正式に決まっていないというのはちょっと、何でそこを決めていなかったんだろうというのは思うんですけれども、この認定こども園の制度をつくるときに、もともとは幼保一元化しようといって、制度を一つにしようといって始まった話が、ふたをあけてみたら制度が三つになっていましたという話なんですよ、私、これも何度も今まで指摘しましたけれども。

 これは、ちょうど、自民党政権から民主党政権に交代して、また自民党政権に戻ってという、政権がころころかわってしまったときの過渡期にこの議論がなされていて、本当に、僕は、そこで相当それに影響を受けてしまったと思っているんですね。私は、やはりここは、そういうのを度外視して、最終的に、一番最初に決めた幼保の一元化をしようといった目標に向かって、そこは与野党関係なしに議論してもらいたかったなと本当に思っているんですよ。そういうことができへんかったから、今みたいな問題が、分園の形式もまだ決まっていないみたいなことになっちゃうんですよ。

 僕は、そこは、今まで政権を担ってこられた皆さんがやはりもうちょっとしっかりと議論して、そのときは私はまだ地方議員だったので文句しか言えませんけれども、ここはやはりちゃんとやってもらいたいなと今でも思っています。我々は、幼保一元化をするべきだと今でも思っていますし、ここはまだまだこれから先議論をしていきたいと思っています。

 私は、民主党政権時代も自民党政権時代も、待機児童の解消については一生懸命やっていたと思います。朝の山尾さんの質問なんかは、意図的に、自民党政権がやっていないみたいな、印象づけたいのか何かわからないですけれどもそういう言い方をしますけれども、私は全然そんなこと思いません。それは、やれる範囲のことはやっていたと思います。

 ただ、私は、待機児童の解消、待機児童の解消と、余りにもこの言葉を使い過ぎて、大事な、本当にこれは皆さん指摘されている部分はありますけれども、例えば保育士の質とか保育園の質とか、そういうのを二の次に考えた結果、今いろいろな問題が起こっているんだと思うんです。

 私は、この指摘もさせていただいてきました。専門学校を二年から三年にするべきだとか、保育士の質の改善もするべきだ、このままだったらどんどんどんどんしんどくなっていきますよ、早く手を打たないとだめですよと言ってきました。

 でも、先ほど高橋さんもおっしゃっていました。私は昭和四十八年生まれですけれども、昭和四十八年にも待機児童の問題はあったわけですよ。我々は第二次ベビーブーマーですから、そのときに保育園が絶対的に足りなくなって大変だった。そのときに保育園はいっぱいつくられたんですよ。そのとき待機児童の問題は大きかったんです。だから、もう四十年以上、待機児童の解消というのはずっとやっているんですよ。

 だから、私は、今さら始まった問題でもないし、今、問題解決できるような即効性のあるようなことはなかなか難しいけれども、でも、やはり保育について真剣に、これを機に、与野党関係なしに考えていただけたらなと思います。

 これは質問通告もしていませんけれども、最後に、現の塩崎厚生労働大臣が、そういったきょうの朝からの議論を踏まえて、今どういうことを思っておられるか、少しお聞かせいただけたらと思います。

塩崎国務大臣 今の安倍内閣では、一億総活躍社会をつくるんだ、こういうことを言っておりますが、これは一くくりで申し上げれば、人口問題に正面からぶつかる、そのために何をするのかという問いが問われているんだろうというふうに思っています。

 その大きな柱は、やはり人口が減っていく中で、働く人の人口も減っていって、高齢化が進んで、そして一番夢を持ち得るはずの、少子化が逆に進んでいく、子供がたくさん生まれてくれば逆であったはずのところがそうなっている。

 そういう中で、我々は考えなければいけないことは、さまざまありますが、やはり子供をこれからどう産み育てていくのかということを中心的な課題の一つとして据えていくということはとても大事であって、これは、日本の社会が、本当にみんなが思ったような、納得できる生き方ができる国にもう一回なれるかどうかということがかかった大事な問題ではないかというふうに思っています。

浦野委員 ありがとうございました。質問を終わります。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 次に、第百八十九回国会、内閣提出、参議院送付、社会福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案は、前国会で本院において議決の上参議院に送付したものを、参議院において継続審査に付し、今国会におきまして、法律番号の年表示を「平成二十七年」から「平成二十八年」に改める修正を行って本院に送付されたものであります。

 したがいまして、趣旨の説明を省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 社会福祉法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 本案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 第百八十九回国会、内閣提出、参議院送付、社会福祉法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十三分散会


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