衆議院

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第11号 平成28年4月6日(水曜日)

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平成二十八年四月六日(水曜日)

    午前十一時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 秋葉 賢也君 理事 江渡 聡徳君

   理事 小松  裕君 理事 後藤 茂之君

   理事 白須賀貴樹君 理事 西村智奈美君

   理事 初鹿 明博君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    井上 貴博君

      大串 正樹君    木内  均君

      木村 弥生君    新谷 正義君

      助田 重義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      高橋ひなこ君    谷川 とむ君

      中川 俊直君    永岡 桂子君

      長尾  敬君    丹羽 秀樹君

      丹羽 雄哉君    比嘉奈津美君

      福山  守君    堀内 詔子君

      牧原 秀樹君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      山下 貴司君    若狭  勝君

      井坂 信彦君    大西 健介君

      郡  和子君    重徳 和彦君

      中島 克仁君    中根 康浩君

      柚木 道義君    伊佐 進一君

      角田 秀穂君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    堀内 照文君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   議員           初鹿 明博君

   議員           井坂 信彦君

   議員           西村智奈美君

   議員           高橋千鶴子君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   総務副大臣        土屋 正忠君

   法務副大臣        盛山 正仁君

   厚生労働副大臣      竹内  譲君

   厚生労働副大臣    とかしきなおみ君

   内閣府大臣政務官     高木 宏壽君

   財務大臣政務官      大岡 敏孝君

   厚生労働大臣政務官    三ッ林裕巳君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        中島  誠君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 金子  修君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           浅田 和伸君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官)    岩本 健吾君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       香取 照幸君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  三浦 公嗣君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  永岡 桂子君     井上 貴博君

  山下 貴司君     木内  均君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     永岡 桂子君

  木内  均君     助田 重義君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     若狭  勝君

同日

 辞任         補欠選任

  若狭  勝君     山下 貴司君

    ―――――――――――――

四月六日

 介護報酬の緊急再改定に関する請願(池内さおり君紹介)(第一二〇二号)

 同(堀内照文君紹介)(第一二〇三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一二九二号)

 同(小川淳也君紹介)(第一四一三号)

 憲法二十五条に基づく権利保障としての社会福祉事業を守り拡充することに関する請願(堀内照文君紹介)(第一二〇四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三二四号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(奥野信亮君紹介)(第一二〇五号)

 同(金子恵美君紹介)(第一二〇六号)

 同(金子めぐみ君紹介)(第一二〇七号)

 同(金子恭之君紹介)(第一二〇八号)

 同(神田憲次君紹介)(第一二〇九号)

 同(木村太郎君紹介)(第一二一〇号)

 同(吉良州司君紹介)(第一二一一号)

 同(城内実君紹介)(第一二一二号)

 同(工藤彰三君紹介)(第一二一三号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第一二一四号)

 同(斎藤洋明君紹介)(第一二一五号)

 同(坂本哲志君紹介)(第一二一六号)

 同(笹川博義君紹介)(第一二一七号)

 同(島田佳和君紹介)(第一二一八号)

 同(助田重義君紹介)(第一二一九号)

 同(高井崇志君紹介)(第一二二〇号)

 同(武井俊輔君紹介)(第一二二一号)

 同(武部新君紹介)(第一二二二号)

 同(冨樫博之君紹介)(第一二二三号)

 同(丹羽秀樹君紹介)(第一二二四号)

 同(西村明宏君紹介)(第一二二五号)

 同(古屋圭司君紹介)(第一二二六号)

 同(堀内照文君紹介)(第一二二七号)

 同(前原誠司君紹介)(第一二二八号)

 同(松浪健太君紹介)(第一二二九号)

 同(松原仁君紹介)(第一二三〇号)

 同(宮路拓馬君紹介)(第一二三一号)

 同(山口俊一君紹介)(第一二三二号)

 同(山井和則君紹介)(第一二三三号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第一二三四号)

 同(井野俊郎君紹介)(第一二六〇号)

 同(石田真敏君紹介)(第一二六一号)

 同(大串正樹君紹介)(第一二六二号)

 同(大見正君紹介)(第一二六三号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第一二六四号)

 同(勝沼栄明君紹介)(第一二六五号)

 同(橘慶一郎君紹介)(第一二六六号)

 同(野田毅君紹介)(第一二六七号)

 同(藤井比早之君紹介)(第一二六八号)

 同(古川康君紹介)(第一二六九号)

 同(古田圭一君紹介)(第一二七〇号)

 同(八木哲也君紹介)(第一二七一号)

 同(阿部知子君紹介)(第一二八〇号)

 同(岩屋毅君紹介)(第一二八一号)

 同(小沢鋭仁君紹介)(第一二八二号)

 同(木原稔君紹介)(第一二八三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一二八四号)

 同(瀬戸隆一君紹介)(第一二八五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一二八六号)

 同(池田佳隆君紹介)(第一二九三号)

 同(國場幸之助君紹介)(第一二九四号)

 同(近藤洋介君紹介)(第一二九五号)

 同(高木義明君紹介)(第一二九六号)

 同(富田茂之君紹介)(第一二九七号)

 同(長坂康正君紹介)(第一二九八号)

 同(原田憲治君紹介)(第一二九九号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一三〇〇号)

 同(保岡興治君紹介)(第一三〇一号)

 同(石田祝稔君紹介)(第一三二五号)

 同(大平喜信君紹介)(第一三二六号)

 同(中川俊直君紹介)(第一三二七号)

 同(松島みどり君紹介)(第一三二八号)

 同(務台俊介君紹介)(第一三二九号)

 同(森英介君紹介)(第一三三〇号)

 同(小川淳也君紹介)(第一四一四号)

 同(大畠章宏君紹介)(第一四一五号)

 同(郡和子君紹介)(第一四一六号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第一四一七号)

 同(福山守君紹介)(第一四一八号)

 同(牧原秀樹君紹介)(第一四一九号)

 同(吉川元君紹介)(第一四二〇号)

 全国一律最低賃金制度の実現に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一二三九号)

 同(池内さおり君紹介)(第一二四〇号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一二四一号)

 同(大平喜信君紹介)(第一二四二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一二四三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一二四四号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一二四五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一二四六号)

 同(清水忠史君紹介)(第一二四七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一二四八号)

 同(島津幸広君紹介)(第一二四九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一二五〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二五一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一二五二号)

 同(畠山和也君紹介)(第一二五三号)

 同(藤野保史君紹介)(第一二五四号)

 同(堀内照文君紹介)(第一二五五号)

 同(真島省三君紹介)(第一二五六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一二五七号)

 同(宮本徹君紹介)(第一二五八号)

 同(本村伸子君紹介)(第一二五九号)

 安全・安心の医療・介護に関する請願(志位和夫君紹介)(第一二七六号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第一二七七号)

 同(郡和子君紹介)(第一四一二号)

 介護保険制度の改善、介護報酬の引き上げ、介護従事者の確保・処遇改善に関する請願(阿部知子君紹介)(第一二七八号)

 障害者福祉についての法制度の拡充に関する請願(阿部知子君紹介)(第一二七九号)

 新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一三二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 児童扶養手当法の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)

 児童扶養手当法及び国民年金法の一部を改正する法律案(初鹿明博君外八名提出、衆法第一六号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、児童扶養手当法の一部を改正する法律案及び初鹿明博君外八名提出、児童扶養手当法及び国民年金法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府子ども・子育て本部審議官中島誠君、法務省大臣官房審議官金子修君、文部科学省大臣官房審議官浅田和伸君、生涯学習政策局生涯学習総括官岩本健吾君、厚生労働省労働基準局長山越敬一君、雇用均等・児童家庭局長香取照幸君、社会・援護局長石井淳子君、老健局長三浦公嗣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田畑裕明君。

田畑委員 自由民主党の田畑裕明でございます。

 今回、質問の機会をいただきまして、理事の先生方また委員の先生方に心から感謝申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。

 さて、本日六日は、私の地元においては公立小学校の入学式がとり行われております。あす七日は公立中学校の入学式と続くわけであります。四月は、進学や進級、そして就職、新たなスタートの時期でもございます。先生方の多くの地元でも、小中学校の入学式が今週行われるのではなかろうかと思います。

 特に子供たちにおいては、家庭の経済力によって進学や学ぶ機会が失われることがないように、子供の貧困対策に、国を挙げて、また党派を超えて総合的に推進していく必要性を強く感じるものでございます。

 安倍総理は、これまで、就労しながらも経済的に厳しい一人親家庭や多子世帯の自立を応援する必要があり、子育て、生活、就業や経済面などについて一層の充実を図っていく旨の発言をなされてこられました。

 子供の相対的貧困率は上昇傾向にあります。対象者の状況に応じて、生活困窮者自立支援制度や子供の貧困対策等、それぞれの施策を組み合わせて、より効果的な支援が必要とも感じるわけであります。

 私自身も、日ごろの政治活動、そうした弱者の方々、光と影であれば影の部分にしっかり光を当てる政治をこれからもしっかり行っていかなければいけない、また、そうした皆さんの声を丁寧にお聞き取りをしながら、その不安の除去に懸命に取り組んでいかなければならないという信念のもとに仕事にも取り組ませていただいている次第であります。

 今回、児童扶養手当法の一部改正、閣法、そしてまた議員立法が提出をされております。それぞれにつきまして質問をさせていただきたいと思います。

 まず一点目。政府案でありますが、一人親家庭は複数の困難な事情を抱えている方が多いため、一人一人に寄り添った支援を実施することが当然重要であろうかと思います。

 これまで、政府においても、さまざまな議論の積み重ねの上、昨年末に取りまとめた、ひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクトがあるわけでありますが、それに基づき、相談員の資質の向上を含めた相談窓口のワンストップ化等が掲げられているわけであります。

 ここのワンストップ化、当然これはしっかりスムーズな相談体制をつくっていかなければならないと思いますが、一人親家庭のみならず、不安を抱え、一人親になりそうな予備軍といいますか、そうした方々に対しても丁寧な説明をするような窓口であるべきだと考えるわけでありますが、ワンストップ化に向けてどのように取り組んでいかれるのかをお聞きさせていただきたいと思います。

三ッ林大臣政務官 田畑委員にお答えいたします。

 御指摘のとおり、経済的に厳しい状況に置かれた一人親家庭については、複数の困難な事情を抱えている方が多いため、一人一人に寄り添った支援の実施や、支援が必要な方に行政のサービスを十分に行き届けるようにすることが重要であると考えているところでございます。

 このため、昨年十二月に決定したすくすくサポート・プロジェクト、すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクトに基づき、自治体の窓口のワンストップ化を推進することとしており、具体的には、毎年八月の児童扶養手当の現況届の時期における集中相談体制の整備、スマートフォンなどで検索できる支援情報ポータルサイトの活用による相談窓口への誘導の強化などに必要な予算を、平成二十七年度補正予算及び平成二十八年度予算に盛り込んでいるところでございます。

 また、一人親家庭からの相談に応じる相談員の資質向上も重要な課題であると考えておりまして、相談支援の質を標準化するためのアセスメントシートの活用、母子・父子自立支援員等の活動マニュアルを活用した研修の充実などに取り組むこととしております。

 こうした取り組みにより、一人親家庭になる前の方も含め、ワンストップで寄り添い型支援を行うことができる体制を整備し、必要に応じて関係機関と連携するなど、総合的、包括的な支援を行うことにより、一人親家庭の自立を全力で支援してまいりたいと考えているところでございます。

田畑委員 ありがとうございます。

 非常にデリケートな部分、そしてまた、時には第三者の方にそうした御家庭の事情を話しづらい、そういった心理が当然働くわけでありますので、そうした窓口において、かえって口を閉ざしてしまうとかそういう形にならないように、丁寧な、相談員の質の向上を含めて、ワンストップ化、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 経済的に厳しい状況に置かれた一人親家庭の自立を図るためには、一義的にはしっかり自立をして働いていただく、就業していただくということが当然大事であろうかと思います。

 これまでも、一人親家庭への就労支援ですとか、特に母子世帯においてはパート、アルバイト労働というのが非常に率が高いとのデータも出ているわけでありますが、我々自民党としても、非正規から正規労働者へのキャリアアップ、このことについても当然問題意識を持ちながら施策に取り組んできているわけでありますが、一人親家庭においての、いわゆる非正規から正規労働者、正社員へのキャリアアップ、この支援について、これまでの取り組みを踏まえて、さらにどう推進していかれるのかをお聞きさせていただきたいと思います。

三ッ林大臣政務官 お答えいたします。

 子供たちの未来が家庭の経済事情によって左右されることがあってはならないと考えております。特に、経済的にもさまざまな困難を抱えている一人親家庭にはきめ細やかな支援が必要であると認識しております。

 具体的には、一人親家庭のキャリアアップなどの就労支援として、就職に有利な資格の取得を促進するための給付金の充実や貸付事業の創設、自立支援教育訓練給付金の支給額の引き上げ、マザーズハローワークにおける一人親支援の体制の充実などを行うこととしております。

 これらの施策を通じて、一人親家庭の就労支援による自立に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

田畑委員 ありがとうございます。

 前段の質問の回答でもあります窓口でのワンストップ化といいますか、そこの窓口においてもそうした就労支援のアプローチが当然あるんだと思うわけであります。さまざまな事象を含めて、体制の強化を求めるものでございます。

 さて、今回の法案の中身について一点触れたいと思いますが、児童扶養手当の多子加算額の倍額、倍増ということが当然大きな柱ということであります。

 これは、総合的な一人親家庭の支援策の中に位置づけられたものであり、限られた財源の中で、特に経済的に厳しい、子供が二人以上の一人親家庭に重点を置いて支援するものであります。もちろん、お金ですから、多ければ多いほどよいということになりますが、当然限られた財源の中で、最大限考慮した中での倍増ということであります。これは一定の評価ができるのではなかろうかと思うわけでございます。

 そうは申せ、一人親家庭になるいろいろな原因といったようなことも分析をしながら、より自立に向けた取り組みもフォローしていかなければならないわけでありますが、平成二十三年度の全国の母子世帯等の調査によりますと、離婚により一人親家庭となったのは、母子世帯では八〇・八%、父子世帯では七四・三%となっているわけであります。非常に近年高どまりをしているわけであります。特に、母子世帯の平均年間の就労収入においては、百八十一万円とのデータも拝見をしているわけであります。離婚の場合では、養育費の確保に関する取り決めというのも当然重要な課題であろうかと思います。

 今回、児童扶養手当の申請書類の見直しということも含まれているわけでありますが、その見直しによって目指す効果と申しますか、また、特にやはり養育費の確保についての取り組みの支援策、そういった方策をどのようにお考えをし、強化していこうと考えていらっしゃるのか、お聞きをしたいと思います。

三ッ林大臣政務官 お答えいたします。

 厚生労働省としても、離婚した一人親家庭の生活の安定と子供の健やかな成長のためには、養育費の確保に向けた取り組みを進めることが必要であり、そのためには、養育費の重要性に関する当事者の意識を高め、当事者間での養育費の取り決めを促すことが重要であると考えております。

 このため、昨年十二月に決定したすくすくサポート・プロジェクトに基づき、地方自治体における弁護士相談の実施を支援するとともに、養育費に関する法的な知識をわかりやすく解説したパンフレットや、養育費などの取り決めをする際に使用する合意書のひな形の作成などを行うこととしております。

 また、御指摘のとおり、児童扶養手当の新規認定申請書の様式を変更し、養育費の取り決めの有無を記載する欄を設けることも検討しているところであり、これにより、申請者の状況に応じた養育費確保のためのさまざまな支援策につなげていきたいと考えております。

 今後とも、関係省庁と十分に連携を図りながら、養育費の確保に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。

田畑委員 こちらも、一義的には御夫婦間のしっかりとした話し合いということでありますが、弁護士であったりとか専門家の介添え、仲介を含めて、しっかりそうした体制を整えていただきたいと思います。

 それでは、議員立法の方につきまして、提案者の先生方にお聞きをさせていただきたいと思います。

 一点目は、いわゆる財源のことについてちょっと確認をさせていただきたいと思うわけでありますが、政府案においても、非常に厳しい財源の中で、第二子、第三子の倍増ということに提案がなされているわけであります。議員立法の方をお見かけさせていただきますと、この御提案の案によりますと、施行による年間のいわゆる国としての経費は約二百二十億円ということが見えるのではなかろうかと思うわけでありますが、この恒久財源について、どのように考えており、このような御提案になっているのかをお聞かせいただきたいと思います。

西村(智)議員 御質問いただき、ありがとうございます。

 先ほど田畑委員もおっしゃったとおり、一人親世帯の経済状況は非常に苦しく、何とかそうした方々の生活支援、また子供の福祉のための支援をやっていこうという意味では、私たちも同じ思いで今回の立法を提案させていただきました。

 この予算、係る予算について、おっしゃるとおり、平年度約二百二十億円と見込んでおります。

 私ども民進党・無所属クラブの前身の民主・維新・無所属クラブは、平成二十八年度予算について組み替え動議を提出いたしました。その中で、児童扶養手当の支給対象年齢の引き上げ、多子加算の一律一万円への増額等を盛り込んでおります。

 ここは、確保するかどうか、やはり政治の意思が問われるところだと思いますので、ぜひ田畑委員からも御賛同いただいて、予算の組み替えによって財源を確保できると私は思っておりますし、ぜひその意味で御理解と御支援をお願いしたいと思っております。

田畑委員 御答弁ありがとうございます。

 なかなか理解はしにくいなと感じるわけでありますが、もちろん、子供の貧困対策を含めて当然行っていかなければならない。西村委員から意気込みはお聞きはさせていただいた次第でございます。

 もう一つは、支給の回数、これも、提案の内容を見ますとちょっと現実的ではないのかなとも感じるわけであります。政府の案では現行年三回ということであります。毎月の給付ということが法案に盛り込まれているわけであります。ここにおいては、当然、自治については、基礎的自治体に、県行政も含めて、担いを行っていただかなければならない部分が多いわけであります。

 御確認させていただきたいのは、自治体の意向についてはどのように調査をされてこのような案を出されているのか。そしてまた、実際に実施自身は可能だと御判断されている理由をお聞かせいただきたいと思います。

初鹿議員 お答えをいたします。

 まず、御質問いただき、ありがとうございます。

 本会議で私が質問した際にも申し上げましたが、今回の法改正に当たって、一人親家庭等の当事者の方や、また、貧困問題に取り組んできた方々に御意見を伺いました。

 その際に、真っ先に上がったのがこの支給の件なんですね。毎月決まった支払いに備えるためにも、児童扶養手当の支払いを毎月にしてほしい、こういう要望が一番強くありました。我々は、このような要望に応え、一人親家庭等の家計の安定を図るべきであると考えて、この改正案を提出させていただいております。

 支払い回数の増加について、自治体の意向を網羅的に調査しているわけではありません。しかし、報道によると、大阪府の箕面市の倉田市長が、児童扶養手当も自治体の工夫で毎月に近い頻度で支給できると思いますと述べております。こうしたことから、今回の改正案では、児童扶養手当につき、現行の年三回から毎月支払うことといたしました。

 あくまでも、手当を支給する御家族、お子さん、またお母さん方、お父さん方のためにこれをしていきたいという思いでありますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。

田畑委員 ありがとうございます。

 十五分という限られた時間でございましたので、時間となったわけであります。

 それぞれ、政府側そしてまた議員立法の先生方からも御答弁をいただいたことに感謝を申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、高橋ひなこ君。

高橋(ひ)委員 自由民主党の高橋ひなこです。

 久しぶりに厚労委員会で質問をさせていただく機会をいただきました。心から御礼を申し上げます。

 質問時間は十五分でございますので、児童扶養手当の法案について早速質問、そして、野党案の方につきましても質問をさせていただきたいと思います。

 今回の法改正が成立した場合に、児童扶養手当の多子加算額が、第二子については三十六年ぶり、第三子以降については二十二年ぶりで、それぞれ二倍の引き上げとなっています。この時期に引き上げた趣旨について、まずお尋ねをしたいと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 御案内のように、一人親家庭の皆様方は、子育てと生計の維持を一人で行っていらっしゃるということで、さまざまな困難を抱えていらっしゃるということです。特に、お子さんが多くなりますと、生活に必要な経費もふえますし、さまざまな困難があるということで、きめの細かい対応が必要であるというふうに私ども認識しております。

 この間、児童扶養手当の多子加算の増額につきましては、地方団体等からも要望をいただいてきたところでもございますし、こういった状況も踏まえまして、昨年の十二月に、すくすくサポート・プロジェクト、すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクトというのを策定いたしました。この中で、就業による自立というものに向けた支援を中心にいたして、さまざまな子育て支援、生活支援、学習支援などの総合的な対策に取り組んだわけでございます。

 その中で、多子加算につきましては、限られた財源のもとで最大限の配慮をするということで、財源の確保について財務省、総務省に御協力いただいて、このプロジェクトの中で確定いたしまして、今回の法律改正をお願いしたということでございます。

高橋(ひ)委員 一人親家庭については、大変大きな支援になると思っております。

 実は、私が市会議員をしていた十年前に、夫を亡くしました。そのとき、電話で役所の方から、あなたは所得制限にひっかかり、扶養手当がもらえないというふうに説明をされました。そのとき、もし、では私が議員でなくなった場合はどうなるかとお尋ねをしましたところ、申請時に決まるので、その後はもらえないというふうに言われました。

 後日、離職して、一年後に申請をすれば、そのときの所得で申請ができるというふうにわかりましたが、私のように突然の死別や、また、離婚などで一人親になったとき、いろいろな支援があることを知らない人たちが多いと思います。制度のこと、支援のこと、適切につないで皆さんにお知らせしていくということが必要と思いますが、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 一人親家庭の方々に対しましては、子育て支援、生活支援あるいは就業支援、それから今回の児童扶養手当のような経済支援、さまざまな支援策が講じられているわけでございますが、今先生御指摘ありましたように、自治体の窓口が幾つかに分かれている場合もございまして、どこの窓口に行けばどのような支援が受けられるかということが、必ずしも一人親の家庭の皆様方に十分周知ができていないということがありまして、さまざまな支援策が十分活用されていないということがある、これはさまざまな場面で御指摘されておりまして、私どもも十分認識しております。

 このこともありまして、先ほど申し上げました昨年十二月策定のすくすくサポート・プロジェクトの中では、支援につながるという柱を一本立てまして、窓口のワンストップ化をするということで、各自治体の相談窓口で、子育て・生活支援から就業に至るまで、一貫してワンストップで相談できるような体制をつくっていくということ、もちろん、それとあわせて、さまざまな今回の支援策につきましては、情報提供のためのパンフレット等々も用意してございますが、未来のことも用意してございます。

 今回は、内閣府の方でロゴマークを策定いたしまして、同じ窓口にはそのロゴマークを統一的に張るということで、あるいは担当職員はロゴマークのバッジをつけるというような形で、できるだけワンストップで御支援できるように体制を今回用意したということでございます。

 こういったことも通じまして、できるだけ一人親の方々がお困りにならないように、現場での対応に万全を期したいと考えております。

高橋(ひ)委員 一人親に対する支援、そして、先ほど田畑委員から御質問がありました就労のしっかりとした支援、そして、あわせて、一人親が頑張っているというときに、実は、子供がその頑張っている背中を見たときに、一人親だと一緒に子供といる時間が実は制限されてしまうんですね。そして、その制限された中で、子供の居場所というのをしっかりとつくっていかなければいけないと思います。

 ぜひ、その点について、働きながら子育てをする、子供たちと一緒にいられない、そんな多感な時期に一緒にいてやれない、そういう子供たちにどうして実際に居場所をつくっていくかという、厚労省としての取り組みを伺いたいと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 居場所づくりも、実は今回のすくすくサポート・プロジェクトの中の大きな柱の一つということになってございます。

 小さいうちはお子さんは、身の回りの整理整頓ですとか家事の手伝いですとか、さまざまな基本的な生活習慣を身につけていただかなければいけないということで、これは結構子育ての中では重要なポイントになります。

 一人親の場合には、申し上げましたように、子育てと生計を一人で担っていらっしゃるということもあって、子供と過ごす時間がどうしても短くなるということで、なかなかこういった、しつけとか育児に関してさまざまな制約があるということは多々指摘されておりまして、私どもも認識しております。

 このこともありまして、今回、すくすくサポート・プロジェクトの中では、一人親家庭のお子様に対して、基本的な生活習慣の習得でありますとか学習支援を行うための居場所づくりというのを行っていこうということで、例えば、放課後児童クラブの終了後でありますとか、あるいは児童館でありますとか、そういう場所にこういった居場所づくりの場所をつくりまして、そこでボランティアの方や地域の方々のサポートを得て生活支援あるいは学習支援を行う、あるいは、場合によっては食事の提供を行うといったことができるような事業を進めてまいりたいと思っております。

 これは、既に幾つか先進的な取り組みもございますので、そういったものをできるだけ各自治体に広めていくことで、できるだけの御支援をしてまいりたいと思っております。

高橋(ひ)委員 さまざまな御支援をいただいて一人親家庭の方々が一生懸命頑張っていくということは、非常に大事なことだと思います。

 その中で、実際に支給額がふえるというのはとても大きな支援にはなりますが、自立することを支援する扶養手当であって、社会が多様化していく中で一人親家庭が長期的に見れば増加している、そこで、持続可能な制度として育てていくということ、公平な支援がなされるということがとても重要であるというふうに思っております。

 そこで、野党の皆さんが提出された法案に対して質問をさせていただきたいと思います。

 財政状況が許すのであれば手当を幾らふやしてもいいということにはならず、いろいろな支援が本来必要だというふうに思っています。そこで、支給対象年齢を二十歳未満の学生に拡大するということなんですが、十八歳で就職する一人親家庭の子供の割合は五八%と伺っております。支給年齢を二年延ばすことで一人親家庭の大学進学率をふやそうというお考えなのかもしれませんが、それなれば、なぜ二十歳なのか、その根拠をお知らせいただきたいと思います。

 あわせて、所得に応じた支給額の逓減措置を設けないとしていますが、その場合の本体額の最小値が二十八年度は九千九百九十円で、多子加算の額一万円の方が多くなりますよね。その点についてはどうお考えでしょうか。

 二点、お伺いいたします。

井坂議員 ありがとうございます。

 まず、なぜ二十歳なのかということについてでありますけれども、我々も、まさにおっしゃったように、財源が許せば二十二歳あるいは大学に行っている間は二十三歳でも二十四歳でもという思いはございます。一方で、今回、もともと十八歳だったところを、せめて学校にいる間は二十歳、実際、現場からもそういう要請が強くありましたので、二十歳、まずは第一歩ということでさせていただいております。

 また、就職をしたのか進学したのかで年齢を分けるのが不公平ではないかという御指摘があり得るということは承知をしております。

 ただ、一方で、全体の高校卒業者の進学率が七割を超えている中で、一人親家庭の子供の進学率は四割にとどまっており、生まれ育った家庭の経済状況によってその将来が大きく左右されてしまうという現状がございます。このような貧困の連鎖を断ち切って、そして、一人親家庭の子供が大学等に進学しやすくするように支援をすることが子供たちの将来のため重要であると考え、今般の改正で児童扶養手当の支給対象を拡大したところであります。

 なお、今国会に政府が提出しております児童福祉法の改正案でも、進学したか就職したかによって自立援助ホームの対象年齢等を分けておりまして、私も、質疑で何度もこういう現実的な対応を求めてきた立場でありますが、これは不公平ではなく、まさに現場の声を聞いてくださったことだというふうに高く評価をしているところであります。

 以上です。

高橋(ひ)委員 大変ありがとうございます。

 一人親で子供を育てていくということは、経済的な援助だけではなくて、子供の居場所づくり、そして親の就労支援、行政の窓口のワンストップ化、そして子供の教育支援、家庭が抱える問題への対応など、さまざまな支援が整った中でこそ、今回の法改正も生きてくるというふうに思っております。

 今、いろいろ御答弁をいただきましたが、質問の最後にとかしき副大臣に、厚生労働省として、一人親家庭の支援についての決意をお聞かせいただければと思っております。

渡辺委員長 答弁が漏れていたようでございますので、答弁をお願いいたします。

 提出者西村智奈美君。

西村(智)議員 恐れ入ります。

 支給額の逓減措置に関連して御質問いただきました。

 本体額の最小値がおっしゃるとおり九千九百九十円で多子加算が一万円、そこに差があるではないかという御指摘ですが、十円の違いということでございます。

 児童扶養手当の支給額については、基本額と多子加算額の区別について、例えば、ここからここまでが第一子の部分、ここからここまでが第二子以降の部分というふうに区別して考えるものではないというふうに受けとめております。

 一人親家庭に対する経済的支援を子供の数に応じて全体としてどの程度の水準で行っていくべきかという観点から考えたいというふうに思っておりまして、今回の改正案では、我が国の一人親家庭等の相対的貧困率がOECD諸国の中で最悪であるということ、また、経済的な理由で進学の希望がなかなかかなっていないということ、貧困の連鎖を断ち切るためにやはり生活支援を現在よりも拡充していくべきであろうというふうに考えて、このような加算というふうにさせていただきました。

 ぜひ御理解をよろしくお願いいたします。

高橋(ひ)委員 御答弁ありがとうございます。

 時間の関係もありますので、とかしき副大臣に、厚生労働省の一人親に対する支援の意気込みをぜひお願い申し上げます。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 一人親家庭の自立や子供の幸せを実現できるように、これから全力で取り組んでいきたい。さまざまな支援、今回拡充させていただきましたが、それがしっかり利用できるような環境、そしてそれがきちっとお伝えできるように努力をしていきたいと思っております。

 ということで、これからもしっかり一人親家庭を応援させていただきたいと国は思っておりますので、よろしくお願いいたします。

高橋(ひ)委員 我が国に生まれました子供たち全てが幸せになる、そういう一助にこの法案がなっていくことを願ってやみません。

 政府による一層の一人親家庭への自立支援をお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 御答弁ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 この児童扶養手当の法案、既に今、同僚の議員からさまざま大枠について質疑をいただきましたので、ちょっとその辺はまた後に回して質問させていただきますが、まず、一人親家庭にとっても非常に重要なというか死活問題でもあると思います、保育の受け皿について質問させていただきたいというふうに思っております。

 先般ずっと議論を聞いておりまして、待機児童の定義についてという議論がこれまでなされておりました。全国で待機児童がどういう状況にそれぞれあるのか、これは国としてもしっかりと把握しておく必要がある、私もそう思っております。これは当然、地域によって全部実情はさまざま違いますので、一番地元地域をわかっている市区町村としっかりと話し合いをしながら、どういう数字が最も適切か、どういう数字であれば国民の皆さんに一番理解していただけるかというようなものを、しっかりと国と市区町村が話し合って決めていくべきだというふうに私も思っております。

 その議論の中で、現在の政府の待機児童の定義というものがあるわけですが、野党の方から、隠されてきた待機児童という言い方があったりとか、あるいは、政府がすきあらば隠そう隠そうとしているというような発言もございました。これは全くの言いがかりだというふうに私は思っております、そもそも現在の定義というのは、民主党政権のときも同じ定義を使っていたわけですから。

 皆さんに配付させていただいている資料の一枚目を見ていただきますと、平成十三年から旧定義が新定義というものに変わっていった。新定義に変わることによって、これまでマルになっていたところが、つまり待機児童とカウントされていたものが、バツになる、待機児童とならないというようになったところもございます。例えば地方単独施策であったりとか、あるいは特定園のみの希望というものがあります。こういうところが、野党の皆さんは恐らく、隠された待機児童というふうにおっしゃっているんだろうと思っております。

 例えば、この特定園のみ希望するという方々、これまで旧定義では待機児童としてカウントしておりましたが、新定義ではカウントしておりません。これは、例えば、近所の保育園というのを紹介してもらったけれども、特定の行きたい保育園というのがある、だから子供をその紹介してもらったところには預けないという場合もあります。これは待機児童とは言わないねといって除くようになったわけですが、これが、ずっと平成十三年からこれで来ているわけです。

 でも、その中でも、もしかすると、近場なんだけれども入れないという理由は、別に単なるこだわりじゃなくて、例えば仕事と開園時間が合わないとか、そういうような理由かもしれません。だから、そういった方々も中にはいらっしゃるだろうというのも考え合わせて、今回は全体の数字を一回出してみよう、これが六万人という数字だったわけです。これを、隠されていたというような発言をされているわけです。

 つまり、どこかで線を引くと、適切に入る人もいれば漏れる人もいる、あるいは、カウントするのは適切でないかもしれないという方々がカウントされる場合もある。これは非常にグレーなところもあると思っています。だから、市区町村でも全く事情が違うし、各家庭でも違う、だからこそ市区町村としっかり協議していこう、これは非常に自然なことだというふうに私は思っております。

 もっと言いますと、保育園がなくて困っているお母さんあるいはお父さんにとってみれば、自分が今この数の待機児童にカウントされているかどうかはともかく、一番大事なことは、預ける場所があるかどうか、預ける場所がしっかりとふえていっているかどうかということ、つまり実績が一番大事だというふうに私は思っております。

 そういった意味で、まず最初にお尋ねしたいのは、自公政権になって、政府はどれぐらい保育の受け皿を拡大してきたのか、実績について伺いたいと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 平成二十五年ですか、安倍政権誕生以来、この政権では、保育の問題につきましては、もちろん保育サービスを拡充するということとあわせて、女性の活躍ということを政権の柱に掲げて進めてまいりました。その観点で、二十五年四月に待機児童解消加速化プランというものを打ち出しまして、保育の受け皿の確保については重点的に取り組んでまいっております。

 加速化プランでは四十万人という目標を立てまして施策を進めました。受け皿拡大は、二十五年、二十六年の二カ年で約二十一万九千人分ということで、当初目標の二十万人分を約二万人上回って超過達成しております。さらに、二十七年度では十一万七千人分の拡大を見込んでおります。

 この拡大のペースはそれ以前の二倍ということでございまして、平成二十九年度末の五カ年計では、四十万人に対して四十五・六万人ということで、自治体の御努力もあって、いわば超過達成の状態になっております。

 さらに、昨年十一月の一億総活躍国民会議の緊急対策の中では、さらに将来の女性の社会進出あるいは保育需要の増大というものをあらかじめ織り込みまして、二十九年度の目標整備値を上積みいたしまして五十万人という目標を掲げて、現在、その計画を前提に整備を進めているところでございます。

伊佐委員 今、計画を上回るだけの実績が上がっているという答弁をいただきました。

 私は、民主党政権のときにどうだったかと言うのは余り好きではありません。ないんですが、ただ、言われると、やはり言われっ放しにはできないなというふうに思っておりまして、自公政権は危機感が足りないというふうにおっしゃった方もございましたので、反論せざるを得ないなと思っております。

 そこで、資料の二枚目を見ていただきますと、このグラフを見るとはっきりしていまして、つまり、民主党政権で整備していた数と自公政権で整備していた数。民主党政権では、大体一年間で三万から五万人程度の受け皿を毎年整備していただきました。自公政権になって、我々、加速化プランというのをつくって、そこで潮目が変わって、一気に年平均十万程度まで加速化をしていったということでございます。これはグラフを見れば、自公政権というのが、本気だ、危機感を持って対応しているということがはっきりとわかるのではないかなというふうに思っております。

 先ほど、目標、当初四十万人が五十万人になったということをおっしゃっておりました。今、待機児童の数が全部で二万三千人、先ほど申し上げた潜在的なものも含めた旧定義で計算する分を合わせると例えば十万弱ぐらいいくかもしれないという中で、なぜ四十万とか五十万という数字にしてきたのか、この根拠について伺いたいと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 二十五年に加速化プランを策定いたしましたときに、実は、自治体に調査をお願いいたしまして、保育のニーズを調べていただいております。このときも、いわゆる定義上の待機児童の数だけではなくて、潜在的なニーズ、例えば、これからもし保育所があれば働きたい、あるいは将来働きたいと考えている、その場合どういう働き方をしたいかといったような、いわば潜在的な保育のニーズも含めて将来に向けての整備量を出すということで調査をお願いして、それを積み上げてつくった数字が四十万ということでございます。

 さらに、その数字で我々計画を始めたわけでございますけれども、各自治体は現場のニーズをさらに受けとめて加速化して整備をしていただきましたので、申し上げましたように、四十五万六千ということで、既に今この時点で超過達成の見込みになっているところでございます。

 さらに、今般の一億の緊急対策の中では、さらに将来女性の就業率は上がっていくだろうということで、さらにより多くの女性の方々が社会進出をされるということを織り込んで、二十五歳から四十四歳の女性の方の就業率で約八〇%、これは欧米のフランスとかスウェーデンとかそういった国々のレベルの水準になりますが、この水準まで女性が働くということを想定して、それを前提に保育の整備量を考えるということでこの五十万という新しい目標値を掲げて、これは、その意味でいうと、積み上げたものというよりはマクロの政策目標として定めたものでございますけれども、いわば潜在のニーズを言ってみればのみ込んで将来の目標を立てて整備を進めるということで、この五十万という数字を昨年十一月に設定したということでございます。

伊佐委員 つまり、この数字の目標を設定するに当たっては、しっかりとまず現場の調査を行った、そしてその声を伺った、その上で目標を設定したと。つまり、待機児童の数がどうなんだという定義にかかわりなく、しっかり、まず現場の声からこういう数字をつくってきたんだ、積み上げてつくってきたんだということでした。

 そういう意味では、今、自公政権で進めている待機児童対策というのは、確固たる現場の声というものに基づいて整備しているんだということを申し上げたいと思います。

 整備をこうして加速化させている中で、実際に残念ながら保育園に落ちて御苦労されている方々がいらっしゃる、これもまた事実なわけです。だからこそ、保育の受け皿整備を今加速化して進めていくのと同時に、当面の緊急措置ということで、待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策というものを取りまとめたということでございます。

 これは、公明党の提言についても、申し入れについても踏まえた内容になっているものでありますが、この場での質疑を伺っていると、例えばこういうような御意見がございました。

 今回の緊急措置については、新たな財源ゼロ、予算措置ゼロという表現がございました。私、これも国民の皆さんに誤解を与えてしまうような表現じゃないかなというふうに思っております。何か、全く経費も何も使わず、国はお金を出さずに単に表面だけ取り繕ったんだというようなレッテル張りのように聞こえると私は思っております。

 では、そもそも、伺いたいと思うんですが、資料三、これが今回の施策についてですが、三月二十八日に取りまとめられましたこの取り組みの中で、国費が必要なものはあるかどうか、もしあるとすれば、責任を持ってちゃんと経費を振り向けていくのかどうかについて伺いたいと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 今回の緊急対策でございますが、これは、今の先生の資料をごらんいただきますとわかりますように、規制の弾力化といったようないわば制度面での対応というものもございますけれども、それ以外に、予算措置を伴うものも当然ながらございます。こういったものにつきましては、基本的には、既存の予算の見直し等によって対応できるものと考えております。

 例えば、資材費の高騰を踏まえまして土地の借料の単価を改善するというのが入ってございます。それから、学校とか公営施設、公民館等の地域の余裕スペースを活用して保育園を整備する場合にその単価を改善するというもの、あるいは、地域のインフラを使った一時預かりをつくっていくもの、あるいは、小規模のものについて、整備について新たに補助金を立てるもの等々ございます。

 こういったものにつきましては、先ほど実は十一月に緊急プランで四十万から五十万に目標値を上げたというお話をいたしましたが、それにあわせて、補正予算、当初予算で新たな予算計上をした部分もございます。そういったもの、あるいは、昨年度から子ども・子育て新制度が始まりましたので、それに伴いましてさまざまな予算措置の手当てをしたものもございます。こういった予算を基本的には活用して、その中で対応してまいりたいというふうに思っております。

 基本的には、もちろん、この予算の範囲内でということになるわけでございますけれども、我々としては、今回お示しした緊急対策につきましては、既存の予算の中でそれを運用することで対応していくことができるものと考えているところでございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 決して経費ゼロでやろうとしているわけじゃない、しっかりと予算を振り向けて、経費を振り向けてきちんと対応していくんだ、特に、先ほど局長からもお示しいただいたように、この3とか4とか、こういう部分は当然予算が必要、資金が必要なわけで、こういうところについてはきちんと担保していくんだという御答弁をいただきました。

 次に、二点確認したいんですが、今回のこの緊急措置、さまざまございますが、これは、国だけが旗を振ったとしてもなかなか、現場が実際に対応してくれないと動かないところも多々あると思います。

 そこで、当然、市区町村の協力というのも必要です。また、事業者あるいは各施設に協力してもらってこそ初めてこれが成立するんだというふうに思っておりますが、では、今回の措置、例えば国基準に合わせて待機児童を少し受け入れていただこうというような措置とか、こういうようなことをすることによって事業者あるいは施設が損をするようなことがないかどうか、伺いたいと思います。

香取政府参考人 まず、市町村との関係でございますが、基本的には自治事務ということになりますので、私どもから命令をするとか義務づけるといったような形で施策をするというのは基本的にございませんが、私どもとしては、先生お示しいただいたような資料の中にありますように、規制緩和をするもの、あるいは予算措置をするもの、あるいは各自治体での取り組みを支援するもの、さまざまないわば道具立てを用意させていただきまして、各自治体においてそれを使ってそれぞれの自治体の待機児童対策をやっていただくということでお願いをする。逆に言えば、自治体で取り組んだものにつきましては、我々、必要な支援措置が行えるようにメニュー立てをした上で自治体と御相談をする。

 具体的な自治体の対応については、今般、大臣も御出席いただいて首長さんと会議をいたしますし、私ども事務方も会議をいたしますので、御意見も承り、また私どもからもお願いをして、それぞれの自治体で、御判断でできることをできる限りやっていただくということを考えております。

 あと、事業者につきましては、特に都市部については、補助単価の話でありますとか、あるいはさまざまな規制等々で、これまで整備の促進に関しましていろいろな要望をいただいております。

 今般は、その要望を、受け入れられるものについては最大限受け入れるということで、例えば、賃貸物件を使った保育園の場合、賃貸料が大分最近高騰しておりますのでなかなか確保が難しいという御議論がありました。こういったものについても今回措置をする、あるいは、一時預かりの定期利用みたいなものについては一定の規制の弾力化をするということで、事業者の御要望も最大限受け入れながらやっていくということでお願いしていると思いますので、そういう意味では、損をするということは多分ないと思いますが、できるだけ取り組んでいただけるような御支援のメニューを用意させていただいたということでございます。

伊佐委員 事業者の要望に最大限配慮するということですが、もう一点、我々がしっかり配慮をしなきゃいけないのは、現場の保育士さん。

 二点目は、負担が大きくなるこの保育士さんへの負担軽減は何かされるんでしょうか。

香取政府参考人 保育士の確保は非常に、大変最近困難になっておりますが、その中でも、現場の業務負担が重たいのでなかなか大変だ、あるいは、何年か勤めると体力的にきつくなって引退するというか退職してしまうというようなお声もあるということで、保育士の業務負担の軽減は、人材確保という観点からもそうですし、現場の保育の質を確保するという観点でも非常に重要だということで考えております。

 これは、この間、保育サービスの確保を図る上でこの人材確保問題は非常に大きな問題になっておりましたので、業務負担の軽減策については補正予算あるいは当初予算の中で組み込んでございます。

 例えば、保育現場の方々の勤務環境の改善のために保育補助者を入れていただく、そのための雇い上げの費用を入れる、あるいは、事務的なこととか直接保育士さんがかかわらなくてもできるような業務についてはできるだけICT化をするということで、そういったものを導入する予算といったものも計上いたしまして、できるだけ現場で活用していただくということをやっております。

 こういったことを通じて、まず一つは、現場で負担を軽減していただく、あわせて、新しい保育士さんの就業の促進でありますとか、あるいは離職の防止のための措置というものも講じまして、全体として人材確保対策の中で保育士さんの負担の軽減を図ってまいりたいと考えているところでございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 もう一点、野党の皆さんからあった指摘で、ちょっと我々の考え方についても質疑で確認をしたいという点がございます。

 こういう議論です。資料三でいえば、恐らく4の二ポツじゃないかと思いますが、一時預かり事業。一時預かりの事業なんだけれども定期利用も可能となるようにしましょうと今回の提言の中に入っております。

 野党の皆さんから質問があったのは、一時預かり自体がただでさえ今満杯なんだ、そうすると、そこに定期利用も入ると一時預かりのお母さんが追い出されちゃうんじゃないか、つまり、お母さん同士の椅子取り合戦が起こるんじゃないかというような御指摘がございました。

 これは、私は必ずしもそうじゃないと思っています。というのは、今、ストック自体は五十万人分ふやすわけです。ふやしていく中で、今回の緊急措置というのは、今あるストックの中で緊急的に何ができるかという観点なわけです。だから緊急措置だと。それでいろいろな規制緩和とか児童の受け入れについての弾力化というものが含まれているわけですが、いろいろな制度、規制、これをそれぞれ弾力化していくことによって、同じストックでも最適化が図られていくんじゃないかというふうに思っております。つまり、いろいろな、あっちは行けたけれどもこっちに行けなかったとか、そういうものがどんどん最適化されていく、それが今回の緊急措置の一つの意味じゃないかというふうに思っております。

 それであれば、今回の措置で本当に大事なものは何かというと、マッチングの機能です、これを最適化するためのマッチングの機能。これを担っていくのが保育コンシェルジュという皆さんになるわけです。非常に大事な存在だと私は思っております。

 今回の緊急施策で、保育コンシェルジュの設置促進でどのような取り組みを行っていくのかについて伺います。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 今委員御指摘のとおり、保育サービスというのは、本当にそれぞれのときによって、そしてお母様の状態、子供の状態によってさまざま対応していかなくてはいけないということで、一人一人の御要望に丁寧にお応えして支援していくことがとても重要であると考えております。

 そこで、平成二十七年度から施行させていただいております子ども・子育て支援新制度におきましては、情報提供、さらに地域の関係機関との連絡調整機能を行う利用者支援事業を創設させていただきまして、その事業の一つとして、自治体に保育コンシェルジュを置く取り組みを推進させていただいております。

 この保育コンシェルジュ、推進を始める前は、平成二十六年は百六十三カ所ありましたが、まだ統計がちょっととれていないんですけれども、二十七年度では大体三百弱の自治体で取り組んでいただいているような状況となっております。

 ということで、今回の緊急対策では、待機児童が五十人以上いる自治体が百十四自治体でございますので、入園希望者への申請前の段階からの相談支援や、さらに、休日、夜間などの時間外の相談を実施するための利用者支援等の拡充を図って、保育コンシェルジュの設置等を図ることとさせていただいております。

 ということで、保育コンシェルジュの設置を一層促進して、保育を必要とする方々一人一人に寄り添った支援が行われるようにこれからも積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。

伊佐委員 保育コンシェルジュは本当に大事な取り組みだと思っておりますので、しっかりとお願いしたいと思います。

 あと、保育士の処遇改善についてですが、当然、保育士の人材確保というのは喫緊の課題で、箱だけ幾らふやしても保育士がいなければどうしようもないというのはそのとおりだというふうに思っております。

 公明党は、今回の提言、我々が申し入れた中でも、保育士の給料の四%アップというものを主張してまいりました。これがどのように担保されていくかという質問です。

 これは、もともと、去年の四月から子ども・子育て支援新制度が始まって、そこで消費税財源を入れて三%アップしました。これは一兆円の保育の量と質の拡大の中の七千億円分を使ったわけですが、ここで三%アップした後、ここからさらに四%アップすべきだというのが我々の提案なわけです。

 これは、まず、四%のうち一・九%は二十七年度補正予算で上がりました。問題は残り二%です。つまり、この二%は、一兆円のうち七千億円措置されましたが、残り三千億円、ここの中に入っている数字なわけです。この三千億円、とりわけ保育士の皆さんの賃金アップというのは、野党の皆さんからもしっかりやるべきだという強い要望をいただいております。

 保育士の処遇改善の残り二%部分、ここの改善は、今回、この春に取りまとめる一億総活躍プランの中にぜひ盛り込んでいくべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

中島政府参考人 保育士の処遇改善は大変重要な課題でございます。

 委員御指摘のように、昨年度の当初予算及び補正予算で三%そして一・九%上げさせていただきまして、本年度予算におきましても引き続き予算措置をさせていただいているところでございます。

 さらなる処遇改善の御指摘でございましたけれども、御党からいただいた御提言も踏まえつつ、この春に取りまとめますニッポン一億総活躍プランの中で、安定財源を確保しながら、具体的で実効性のある待遇の改善策等を示してまいりたいと考えておるところでございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 ここは、保育士の処遇改善というものが肝であるというのは、我々もそう認識をしておりますので、しっかりと対応していただきたいというふうに思っております。

 今回の委員会でさまざまな指摘があったものについて質疑をさせていただきましたが、最後に大臣から、緊急的に対応する施策についての取り組みというものも含めて、大臣の決意を伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 安倍政権発足以来、三年前から女性の活躍を政権の一つの大きな柱として推進して、二十五年の四月に待機児童解消加速化プラン、これを打ち出して、先ほどお話をいただいたように、それまでの二倍以上のペースで保育園を整備してきたということでございます。

 しかしながら、待機児童が二十七年の四月一日時点で五年ぶりに増加をするということになりました。これは、女性が活躍をするということがさらに進んで、経済も活性化をしているということだろうというふうに思います。

 そこで、十一月の一億総活躍国民会議で、緊急対策を打って、四十万から五十万人ということで、潜在的なニーズも含めてこれからさらに整備を進めていくという決意表明をしたわけでございますし、今回の三月二十八日の緊急対策は、まさに、与党公明党の御提言も十分踏まえて、現在、お子さんを預けたくても保育の受け皿がない、困っているという方々に、早急な対応のために、質の確保を図りながら、しかし、量の拡大を図る、そういう短期間で実効性のある対策を中心にまとめさせていただいたということであります。

 これに全力でこれから取り組んでいくわけでありますけれども、今お話がちょっと出ましたけれども、保育士等のさらなる処遇改善につきましては、中長期的に取り組む施策をあわせて、ニッポン一億総活躍プランの中で具体的で実効性のある待遇改善策を示してまいりたい。これは五月に予定をしておりますけれども、示してまいりたいと思っておりますし、それらによって、改めて二十九年度末までの待機児童解消を目指すということでございます。

伊佐委員 ありがとうございます。力強い御決意をいただきました。

 最後にと申し上げたんですが、まだ少し時間があるようです。文科省からきょう来ていただいておりますので、ちょっと最後に一問だけ伺いたいと思うんです。

 資料の最後のページ、一人親家庭に対する支援という中で、私がやはり大事だなと思いますのは教育の話です。所得格差というものが教育格差に結びつくようなことがあっちゃいけないというふうに思っております。だからこそ、奨学金。我々は、返済する必要のない給付型の奨学金も含めてしっかりと充実をしていただきたいということ、これは提案もさせていただいておりますが、グラフを見ていただいてわかるとおり、OECDのほかの諸国と比べて教育に対する公的支出がどれぐらいかというものを見てみますと、実は、日本は一番最下位に今なっております。

 こういう状況、やはり公的支出というものはしっかりと今後ふやしていくべきじゃないか、これがまた、ひいては一人親家庭への支援というものにもつながっていくというふうに思っておりますが、文科省の考え方について伺いたいと思います。

岩本政府参考人 お答え申し上げます。

 一人一人の個性を大切にする教育を進めるとともに、家庭の経済事情に左右されることなく、誰もが希望する教育を受けられるよう、教育再生を進めていくことは大変重要な課題でございます。

 このため、平成二十八年度予算では、教員の質と数の一体的強化、大学改革の推進やグローバル人材の育成、幼児教育無償化の段階的推進や、高校生等奨学給付金それから大学等の無利子奨学金の拡充など、教育費負担の軽減に努めているところでございます。

 今後とも、文部科学省としましては、与党から御要望いただいている点も含めまして、教育投資の充実に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 今さまざま示していただきましたが、一歩でも二歩でもしっかりと前に進めていただきたいということを強く要望いたしまして、終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

渡辺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中根康浩君。

中根(康)委員 民進党の中根康浩でございます。

 久しぶり、一年半ぶりぐらいに厚生労働委員会で質問させていただきます。

 まず、児童扶養手当法案についてなんですけれども、我が党からも何度も主張しておりますように、第一子と第二子以降に金額に差がある、この理由がどう聞いてもやはりわからないんですね。

 例えば、今話題になっている、議論中の就学前の保育あるいは教育というところにかかわる幼稚園や保育園の保護者負担というのは、第二子は第一子の半額で、第三子は無償ということになっておりますし、私立幼稚園の就園奨励費でも第二子以降は増額というような形になっているわけであります。

 一人親家庭の場合は、第二子以降が極端に金額が少なくなっている。あたかも第二子以降の子供については負担が軽いというように思われるような、そんなたてつけになっているわけでありまして、これは初鹿議員が本会議でも、兄弟は、お兄ちゃん、お姉ちゃんのお古でも着ろ、使えというのかと、そんなような感覚になっている、そんなふうに見えるんですね。

 文科省にも聞きました。平成二十六年度の子供の学習費調査、いわゆる塾代ということを言っても、小学校の六年生だと、公立学校の児童で年間十一万円使っておられる、私立学校の児童さんでは約三十九万円払っている。こういう、今や塾に通うということが当たり前になっていて、塾とかに行かないと、なかなか学校の勉強に、あるいは受験に対応できないというような実情があるようでございますので、これらも、第二子以降、塾代が割引されるというようなことがあるわけでもないわけであります。

 児童扶養手当の四万二千三百三十円ですか、これではとてもとても、この塾代の今の金額に比べれば焼け石に水という感じでありますし、第二子以降のこの手当の額を減らすべきではないとどう考えても思えてならないわけでありますし、むしろ多子家庭の方が家計の負担が重いという考え方の中で、手厚くしてもいいのではないかというような感じがするんですけれども、第二子以降の手当の金額が極端に少なくなっている理由を改めて説明していただきたいと思います。

塩崎国務大臣 第一子と第二子以降の金額に差があるのはなぜかということをお尋ねいただいたわけでございます。

 児童扶養手当は、父母いずれかの不在によって収入が低い一人親家庭の生活の安定と自立の促進に寄与をするというために支給する給付であるわけでございまして、一人親家庭の家計支出は子供の数に伴って増加をするということはそのとおりだと思いますが、その増加額は子供の数に伴って逓減をするということから、子供が二人以上の場合は、第一子の本体額に一定の加算額を加える形で支給をしている。つまり、多子加算と呼ばれるゆえんでございます。

 例えば、平成二十六年度の国民生活基礎調査というのを、母子家庭について、家計支出、平均的なものをサンプルでとってみますと、子供一人の場合には十六万円、子供二人の場合には十八万四千円でプラス二万四千円でございます、子供三人のケースを見てみますと十九万三千円ということで、二人からプラス九千円というような形になっております。

 このため、第二子の加算額のみで第二子のお子さんを、それから第三子の加算額のみで第三子のお子さんを支援するといった考え方ではなく、本体額と加算額を合わせた額で、子供さんが二人以上の一人親家庭全体を支援しようという考え方からこのような形にしているということでございます。

中根(康)委員 第二子、第三子が例えば二万円とか三万円、第二子になると二万円程度ぐらいしか負担がふえない、こういうことなんですが、一人親家庭の生活実態として、そのことをもって豊かな生活が維持されているかということでいえば、決してそうではないはずであります。

 私、今初めて聞いた金額でありますので、何か具体的な証拠を持って言っているわけじゃないんですけれども、しかし、四万二千三百三十円だってこれは十分な金額ではないわけで、その上、第二子以降わずかな負担しかふえないということは、私はちょっと実態と違うんじゃないかなという気がいたします。

 やはり、一人目が十六万円で、第二子目がその倍の三十二万円にならないということは、例えば、ランドセルをお下がりをもらったり、自転車なんかでもお兄ちゃんのものをもらったりと、こういうようなやりくりの中でそういう実態が何とか保たれている、こういうことであろうと思いますので、私は、四万二千円と、第二子は今五千円ですか、それとの余りの落差を説明する十分な説明ではなかったような気がするわけなんですよね。

 どうですか、四万二千円だって十分じゃないと僕は思っているんですけれども。今の説明を、すんなり納得して、はい、わかりましたというわけにはいかないということだけは申し上げておきたいと思います。

 それから、手当の自動物価スライドというものが、今回、改正案で、第二子以降の多子加算額に、第一子と同様に、全国消費者物価指数の変動に応じた物価スライド制を設けるものとなっているわけであります。

 繰り返し申し上げますけれども、もともと四万二千円とか五千円とかという額では、とても一人親世帯の支援には不十分なものであるというわけでありますので、物価が上がったら自動的にスライドしてふやすということはいいんですけれども、物価が下落したら減額するということは、ただでさえ不十分なものからさらに減らしてしまうということになってしまうわけでありますので、これはやめてもらえないかというふうに思うんですが、いかがですか。

塩崎国務大臣 今回、民主党と言っていいのか、何党提出と言っていいのかよくわかりませんが、野党の皆さん方が、全てではありませんが、提出された中の案を拝見いたしますと、物価スライドは導入されていないということでございます。

 児童扶養手当につきましては、物価水準の変動というものがこの手当額の実質価値に影響するというのは、これは政策的には当然のことであるわけでございまして、これまで本体額については物価スライドを適用してまいりました。したがって、上がるときもあれば下がるときもあるという形で来たわけでございます。

 一方で、多子加算額につきましては、本体額に比べて今までは少額でございました。物価水準の変動による手当額の実質価値への影響はもちろんありましたけれども、小さかったということであったために、これまで物価スライドを適用はしてこなかったわけでございます。

 しかし、今回の引き上げによりまして、第二子加算額が最大一万円、それから第三子以降の加算額が最大六千円となることによりまして、物価水準の変動による影響を無視できなくなるという格好になるわけでございまして、今回から物価スライドを適用することとしたものでございます。

 なお、物価スライドを適用することによって、本体額は、平成二十七年度は四万一千二十円から四万二千円に、これは九百八十円上がっておりますが、それから、平成二十八年度は四万二千円から四万二千三百三十円に、三百三十円のプラスということで、増額をされているわけでございます。

中根(康)委員 全国消費者物価指数というもので比べて物価が下がったとしても、子供にかかるお金が下がるわけではない、少なくなるわけではないという場合があるんだろうと思います。全国消費者物価指数というものが下がっても、一人親世帯の生活が楽になるわけではないわけでありまして、何度も申し上げますが、そもそも不十分な金額を、物価が上がるときは上げればいいです、しかし、下がったときに下げるというのは、私は、そもそも少ないものをまた減額するということで、やるべきではないというふうに思います。

 例えば、二〇一三年ですけれども、生活保護の生活扶助の額を下げたことがあったんですね。そのときには、物価の下落を理由に減額をしたわけでありますが、その物価の下落というものが、厚労省が独自に、生活扶助相当CPI、こういう独自の指数を編み出しまして、これは何かというと、生活保護世帯が余りたくさん買うわけではないと思われる電気製品の値下がりが大きく影響してこの生活扶助CPIというものの指数が下落をして、それをもとに、だから生活扶助金額を削減した。このことによって、就学援助の基準とか、いろいろと貧困世帯に対する悪影響がもたらされたというのは、当時大議論になったことがあったわけでありますけれども、そういうように、下げるとき、減額をするときには、厚労省は独自の消費者物価指数、生活扶助CPIと言われるものをつくって、何とか下げようとするわけなんですね。

 今回も、ぜひ児童扶養手当の独自の計算の仕方を編み出していただいて、子供の暮らしに、あるいは就学とかにかかわるものだけを抜き出して、それが上がった場合にはそれは上げる、それが本当に下がった、コストが下がったということであるならば下げても仕方のないことだ、こういうように、当事者、国民に納得のできるような基準で物価スライドを行っていただくということをぜひお願いしたいと思うんですね。

 全国消費者物価指数ということでいえば、ほぼあらゆるものがその中に入っていてそれぞれウエートがつけられているんですが、例えば、最近でもよく上下するガソリン代、ガソリン代が下がってそれで消費者物価指数が下がった、だから子供のこの児童扶養手当を減額する、こういうことには私はならないんだろうと思います。

 そういう意味で、今回、全国消費者物価指数を基準に上げ下げをする、特に下げるということについては、妥当かどうかということについてやはり疑問を感じざるを得ないんですけれども、この点について、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 議員立法で対案を出していただいておりますけれども、これは、物価スライドは、本体というか、一人目の子供さんの場合にはかかるということだと思うんですね。したがって、同じことが皆さんの案にも言えるんだろうというふうに思いますが。

 全国消費者物価指数は、全国の世帯が購入をする家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するものということになっておりまして、これは年金のスライドの際にも当然使われている指標であるわけでございまして、物価スライドの指標としては全国消費者物価指数というのを使うのが適切ではないかというふうに思うわけであります。

 これはそもそも論で、先ほど先生が問題提起をされましたが、児童扶養手当は、一人親家庭の生活に必要な費用を全てこれで賄うというわけではないわけでございまして、他の施策ももちろん、例えば、今回私どもが御提案をしたのは、保育園の一人親家庭の場合の負担軽減、こういうものもあるわけでありまして、こういうものと相まって、その生活の安定と自立の促進、これを実現していこう、こういうことでございまして、全国一律の手当額としているものであるわけでございます。

 このために、全国一律の指標を使うのではなくて、地域ごとに分けた指標を使って物価スライドさせて、地域ごとに、あるいは、今お話がありました、生活保護の場合、生活扶助のCPIをつくっているけれども、そういうようなものを母子家庭についてつくったらどうか、こういうお話もございましたが、生活保護の場合には、やはり生活扶助に関連するものだけについてピックアップをして物価の水準をつくる、つまり、例えば車の価格とか、こういうものは関係がないわけでございますので、そういうことになっているわけでございます。

 一方で、児童扶養手当の対象の家庭は、実は、例えば三子までおられるところは児童扶養手当は年収が四百六十万の方まで出るということで、かなり生活保護とは趣の違う景色がそこにはあるわけで、もちろん三子の方でも八割までは減額なしのフルに出るという格好になっているわけでございまして、そういう意味で、物価スライドにつきましては、やはり、物価が上がったときには実質価値を維持する、逆にデフレの場合には実質価値を維持するために物価スライドをさせる、こういうことが原則ではないかというふうに思うわけでございます。

中根(康)委員 四百六十万の所得制限がある、所得制限というか、そこまでは出るということなんですが、一人親世帯の貧困率は何と五四%を超えているわけでありまして、ほとんどのというか、かなりの世帯は貧困家庭であるわけでありますので、その実態を見れば、物価が多少下がったからといって手当が下がるというのは、百円、二百円でも、やはりこれは痛手ということになるかもしれないということにぜひ思いをめぐらせていただきたいと思います。

 全体の物価が例えば下がったとしても、子供が上の学校に入学したり進学したりということになれば、その家計は圧迫をされるというか、負担が重くなるというようなこともあったり、国民年金保険料が上がればそれもそうだしということもあるし、やはり、もともとは、その金額が不十分だというところとか、あるいは二子以降特に全く不十分だというところに問題の根本があるということでありますけれども、そういったところを十分手当てをしないまま物価スライドだけ自動的に導入するということについていかがなものかということで問題提起をさせていただいているということをぜひ御理解をいただきたいと思います。

 児童扶養手当の今回の改正で、一人親家庭の子供の貧困率、今申し上げましたけれども、二〇一二年で五四・六%という数字が出ていますけれども、今回の改正でどれぐらい貧困率が改善するということになるんでしょうか。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 先生御指摘の貧困率ですが、相対的貧困率と呼ばれているものでございます。

 御案内ありましたように、二〇一二年時点での国民生活基礎調査のデータをもとに算出いたしました、子供がいる一人親世帯の相対的貧困率は五四・六%でございます。

 今般、多子加算の拡充によりまして、一人親世帯の所得がふえることになるわけですが、現在の貧困ラインが変わらないということを前提に機械的に試算しますと、約〇・九%改善して五三・七%となります。ただし、実際には、多子加算の増額がされますと全体の所得水準が動きますので貧困線の額自体も変化しますので、実際にはもう一度改めて測定をする必要があろうかというふうに思っております。

 もう一つ、今大臣からもちょっとお話がありましたが、相対的貧困率のベースになりますのは世帯ごとの可処分所得ということになります。可処分所得というのは、実際の所得と税と社会保険料で決まるということになりますので、例えば、現物給付系のサービスは、手当てされても可処分所得に影響いたしませんので、これは相対的貧困率には影響しないということもございます。

 例えば、今大臣から御答弁しました保育料の軽減ですが、保育料の軽減をいたしましても可処分所得はふえませんので、そういう意味では、現物給付系の施策はいわば相対的貧困率には影響しないということになりますので、相対的貧困率というのはそういう数字だということを前提に私どもは議論をさせていただいているということでございます。

中根(康)委員 その貧困問題なんですけれども、平成二十六年の八月二十九日に閣議決定された子供の貧困対策大綱にはさまざまなメニューが盛り込まれているわけなんですけれども、これらの施策によって、目指す子供の貧困率の改善の数値目標というものを、私どもは、入れろ入れろ、入れてくれということをお願いしたんですけれども、実際には入っていない。

 希望出生率はどういうわけか一・八なんという数字が出されて、何かあたかもそれによって、その一・八という数字だけを見て、安倍内閣の支持率が何とか保たれているというか、人気を保っているようなところがあるような気もするんですけれども。

 希望出生率というものは何か堂々とばんと出しているんですけれども、貧困率の削減目標というのはどうして具体的な数値目標が入らなかったのか、入れないのか、改めて大臣にお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 子供の貧困対策そのものが大事であることは先生御指摘のとおりだと思います。

 子供の相対的貧困率の数値目標につきましては、この大綱にどうして数値目標がないのか、こういうお尋ねでございますけれども、平成二十五年の六月に、子どもの貧困対策の推進に関する法律の法案審議においてもかなり議論が行われたというふうに聞いておりまして、その際に、相対的貧困率は、資産の保有状況が反映をされず、今局長からも申し上げたように、現物サービスの充実などがその改善には反映されないということで、数値目標としないということがその法案審議の際に、全会一致で法案も可決をされているという格好でいるわけでございます。

 このため、政府といたしましても、この法律に基づいて、子供の相対的貧困率だけではなくて、一人親家庭の子供の進学率、一人親家庭の親の就業率など、子供の貧困に関連する二十五の指標を掲げまして、その改善に向けた重点施策を取りまとめた大綱を、一昨年、平成二十六年の八月に策定いたしたところでございます。

 厚労省としては、昨年十二月に、先ほど来議論がなされております、子どもの貧困対策会議で決定をいたしましたサポートプロジェクトに基づいて、経済的に厳しい状況に置かれている一人親家庭の自立の支援に取り組んでいるわけでございまして、子供の貧困に関する指標の改善についても、就業支援を基本としつつ、子供の居場所づくりなどの子育て・生活支援、それから一人親家庭の子供の学習支援など、こういったことを総合的に取り組んで進めていかなければならないというふうに考えているところでございます。

中根(康)委員 その総合的にというところがなかなか怪しいところで、やはり具体的な数値目標を立てて、何年何月までにその数字を達成する、達成できなかったときには何が足りなかったのかというような、PDCAを回していかないとなかなか前へ具体的に進んでいかないということだろうと思いますので、その点だけは指摘しておきたいと思います。

 保育園のことについて、待機児童のことについて少し取り上げていきたいと思います。

 緊急対策の一例として、一、二歳児について、国基準では子供六人に対して保育士一人、例えば世田谷区では上乗せして五対一にしている、これを六対一とかにして、その分一人でも多くの子供を受け入れるようにするというのが今回の緊急対策ということになっているんですけれども、こういったことというのは、例えば、この世田谷区、要請はして、受け入れてくれるんですか。見込みはあるんですか。どうでしょうか。

香取政府参考人 今回の緊急対策につきましては、既にもう何度も御答弁を申し上げていますが、当面、対策として緊急にできることについて、短時間で実効ある施策を中心に取りまとめたものでございます。

 基本的に、保育については、実施義務が市町村にある、自治事務であるということで、自治体における取り組みをできるだけ私どもとしては支援してまいりたいということでございます。

 御案内のように、都市部の自治体に待機児童が多いわけですが、都市部は、独自の基準を定めて保育園の整備を行っている例が多いということもありまして、国の基準との間で一定の余裕があるところについては、できる限りそこを弾力的な運用をしていただけないかということで自治体にお願いしているところでございます。

 個別の自治体についてどうかというのは、まだ聞いたわけではありませんのでわかりませんが、世田谷区は世田谷区で、世田谷区の基準をもちろん前提に置いた上で、それなりの弾力化については取り組んでおられるというふうに伺っておりますし、今回の対策は、いわゆる規制緩和だけではなくて、さまざまな施設整備でありますとか、一時預かりその他、私どもが今持っているメニューについて、いわばたくさんメニューを用意して、この中で、それぞれの自治体で対応できるものには対応していただくということになっております。

 世田谷区自身も、やはり待機児童の問題は最重要施策の一つということで取り組んでおられますので、私どもの施策を利用できるものは利用し、世田谷区自身で対応できるものは対応するということで取り組んでいただける。これは、そのようなお考え方は区長もいろいろな場面で発言しておられると伺っておりますので、最終的にはもちろん自治体の判断ですけれども、今回の場合は、それぞれの施策を十分活用しながら、待機児童解消に御尽力いただけるものと信じております。

中根(康)委員 自治事務だと言われて、最終的な判断はそれぞれの自治体が判断するということだと、余り強力な緊急対策ということにはやはりならないのかなと思わざるを得ないですよね。

 こういうところは全国でどれぐらいあるんですか。世田谷区のように、国基準よりも手厚くしているところを、今回の緊急対策として緩和するというようなことを要請するというか、そういうことの対象になるような自治体はどれぐらいあるんですか。

香取政府参考人 今回の緊急対策は、待機児童の多い自治体を中心に対策を講じるということで、待機児童が五十名以上いらっしゃる自治体がたしか百十四、百名以上が六十二だったと思いますが、基本的にはそういった自治体にお願いをします。

 それ以外にも、例えば、大変待機児童が急増して、対応を、今ふやしているところでありますとか、あるいは、人数が少なくても、自治体の規模が小さいと、待機児童の率みたいなものは高い自治体なんかもありますので、そういった自治体で、積極的に待機児童解消の取り組みを自分たちでやりたいと言っているところの自治体に関しては、広くその施策、私どもの今回の準備した施策で対応していただきたいと思っております。

 いずれにしても、これも対策の中に入っておりますけれども、四月中に、関係する自治体に集まっていただきまして、首長さんに集まっていただいて、大臣からもお話しいただきますし、私どもも、さまざまな個別の対策について、私どもからも働きかけをいたしますし、自治体側からも御提案をいただきますので、そういった中で対応してまいりたいというふうに思っております。

中根(康)委員 待機児童が百人以上いるところはある程度わかっていると思いますが、今僕が尋ねたのは、世田谷区のように、国基準より手厚くしているというところはどれぐらいあるかということは把握しておられる、四月中に集まってもらうということは、呼びかけ対象ははっきりしている、こういうことでいいか、ちょっと時間がないので、簡単に言ってください。

香取政府参考人 まず、単独事業としてどのようなことをやっておられるかというのは一応調査はしておりますので、もちろん、人をふやすのもありますし、給与の上乗せをするのもありますし、いろいろなものがありますので、把握しております。

 それから、今回は、そのこととは別に、待機児童が多い自治体についてお願いをする。待機児童が多い自治体は都市部が多いので、都市部はその種の手当てをしているところがかなり多いので、そういったところには、お話しのような緩和も含めていろいろなお願いをしようということでございます。

中根(康)委員 次の質問に移りますけれども、文科省の学校基本調査だと、平成二十七年度の幼稚園の定員充足率は全体で八四%程度だということになっておりまして、特に公立幼稚園では六九%と、かなりあきがあるんですね。

 ここで提案なんですけれども、待機児童対策として、幼稚園がこども園に移行してもらうということをもっともっと政府として進めてもらう必要があると思っておりますし、それから、幼稚園にあきがあるということを利用して、その幼稚園の空き教室で小規模保育なんかをすれば、三歳の壁とか言われるものがなくなって、そのままそこの幼稚園なりに入園していくというようなことにもなるかもしれない、あきがあるわけですからね。

 だから、幼稚園のあきということ、幼稚園が定員を下回っているという全体状況を見て、幼稚園のこども園への移行とか、あるいは空き教室の有効活用、こういったものについてはいかがお考えでしょうか。

浅田政府参考人 御指摘のとおり、幼稚園が認定こども園に移行することも待機児童の解消に資することであると思います。

 幼稚園の認定こども園への移行につきましては、これは設置者が判断することでありますけれども、文部科学省としても、その判断に資するように、待機児童の状況なども含めて情報提供を行うとともに、幼稚園等が認定こども園に移行するために必要な施設の整備などについて、厚生労働省とともに財政支援を行っているところでございます。

 なお、幼稚園を活用した待機児童の受け入れについては、このほかにも、一時預かり事業を活用した長時間の預かりや、小規模保育事業の実施なども考えられます。文部科学省としては、こうした取り組みについても、内閣府、厚生労働省とも連携しながら情報提供などに努めてまいりたいと考えております。

中根(康)委員 幼稚園の認定こども園化が進まない一つの理由として、公定価格がまだ十分ではない、特に園児の多い幼稚園においては、私学助成と比べて一人当たりの単価が少ない、移行するメリットが少ないということもあるんだろうと思います。だから、そこをぜひ手厚くしてもらって、移行が進むように進めていただきたいと思います。

 それと、その公定価格、施設型給付の公定価格なんですけれども、処遇改善ということが盛り込まれておりますけれども、しかし、やはりわずか三%程度なんですよね。もっとこの処遇を手厚くというか、給料を上げるには、いろいろな加算をとっていかないといけないんです。加算をとるということになると、午前中から出ているように、幼稚園や保育園の先生が忙しくなっちゃうんですね。こういう循環になっておりますので、やはりこれは、民進党や共産党さんや皆さんが提案しておられるように、基本的に五万円なりなんなりのベースアップをどんとやらないと、加算で給料を上げろ、上げろと言われたって、なかなかそれはそう簡単には現場ではできないということになりますので、五万円のベースアップというものがやはり必要だということを改めて申し上げておきたいと思います。

 それと、処遇の改善ということでいうと、この公定価格では、施設型給付では、勤続年数が長いほど処遇の改善率がよくなるような仕組みになっているんですけれども、これはやはり、学生さんが保育士なり幼稚園の先生なりを選ぶときには、初任給というものが一つの重要な目安になりますので、勤続年数ではなくて初任給を、ほかの産業に比べてやりがいのある、苦労が多いけれども報われる、そういう仕事だということがはっきりわかるように初任給をぽんと上げてあげる、ここが、これから人材の確保ということでいえばとても重要なことだというふうに思いますけれども、加算をとらなきゃ給料が上がらない、あるいは初任給を上げるべきだ、こういうことについてどのようにお感じになるでしょうか。

香取政府参考人 処遇改善については、幾つかの切り口があると私ども考えております。

 先生御指摘のように、就職段階で他の職種との人のとり合いになりますので、初任給を引き上げるというのは、一つこれはポイントだと思いますが、同時に、年間五万人程度の方が離職をされている、平均勤続年数が十年ぐらいしかないということから考えますと、やはり、長く勤めていただくという観点からしますと、それなりに職階を引いて、キャリアアップがあり、給与が上がっていくという意味で、真ん中辺の給料を高くする、あるいはキャリアパスをつくるということも恐らく必要だということになります。

 それは、もちろん財源がないとできないということがまず基本なんですが、改善するときにどういう形でどの部分を上げるかというのは、やはりそういった人材の確保を全体的に見て、どの部分にどういうふうに配分するかというのは、その時点で検討した上で決めていくということが必要なのではないかというふうに思っております。

中根(康)委員 その財源の話なんですけれども、これはもう政府の意思だと思いますよ。保育の問題が重要だということであれば、例えば高齢者に対する臨時給付金を一旦やめて、緊急にこちらに回すとか、これは優先順位の話だと思いますので、財源がないからできないという言い方だけは、ぜひこの問題についてはやめてもらいたいとお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民進党の大西健介でございます。

 法案の質問に入る前に、きのうも日経平均が一万六千円を割りました。国民の皆さんは、年金積立金が株式で運用されて、また損が出たんじゃないかと心配をしているわけです。

 きょう、資料の一枚目、一ということで、専門家の試算をつけておきました。これは山井さんの試算じゃなくて、専門家の試算です。野村証券の西川財政アナリストが、二〇一五年度の年金運用の損失額、約五・一兆円という試算をされています。

 一方で、GPIFは、これまで例年六月の末から七月初旬に行ってきたこの運用損益の発表を、ことしは七月二十九日にやるということを言っています。

 この件については、先日、本委員会で我が党の井坂委員が追及をしたように、我々は、これは意図的な損失隠しじゃないかということを疑っているわけです。

 資料の二ページ目をごらんいただきたいんですけれども、ここに二十八年度の年度計画というのが書いてあります。これは、二十七年度と違って、四半期の実績あるいはアニュアルレポートの発表時期、これを明示した。この間のあの質疑の中でも、大臣の答弁にもありました。

 これを見ていただくと、例えば四半期の運用状況については、四月から六月分は八月二十六日に、七月から九月分は十一月二十五日に、十月から十二月分は三月三日に公開する。つまり、技術的に言うと、大体二カ月ぐらいあると、四半期の運用実績というのは確定して公表できるんです。

 ということは、二〇一五年度の第四・四半期、つまり、二〇一六年の一月から三月、これについても、二カ月あれば発表できるはずなんです。ということは、五月末に技術的には公表することが可能なんじゃないかと思うんですが、まずこの点について大臣に確認をしたいと思います。

塩崎国務大臣 まず第一に、何度も申し上げておりますけれども、GPIFの運用というのは、国内外の債券と株式を組み合わせてやっているわけでございまして、日経平均株価だけの動きで決まるというようなことも、もちろんないわけでございます。

 いつも申し上げているように、年金の積立金の運用というのは、長期的な観点から、安全かつ効率的な運用を行っていくということで、短期的な動きに過度にとらわれることはないということで申し上げているわけで、何よりも大事なのは、長期的に見た年金財政上必要な利回りを確保するかどうか、これが最も大事なわけでありまして、もう既に、民主党政権から安倍政権になってから、株価は、当時かわったばかりのときは大体一万円でありました、したがって、これまでの収益額は約四十兆円弱のプラスになっているわけであります。

 そこで、GPIFが先般、年度の計画としてお示しをしたのは、幾つかの意義があると思います。

 最も大きな意味は、これは、確定日付を明らかにすることによって、言ってみれば不必要なスペキュレーションを招かないようにするということが第一であり、大体こういうことで、今度の場合であれば、七月の二十九日と言っていますから、一―三の次の、ちょうど四カ月弱の先に出るということがわかり、それぞれ、もう既に明らかにしたということが最大の意味であるわけであります。

 今までは、いつ出るんだろうか、いつ出るんだろうかというようなことで、いろいろなことで不要なスペキュレーションを買っていたということでありますので、その点については御理解を賜りたいと思います。

大西(健)委員 答えていないんですよ。一月から三月は二カ月あれば出せるんです。だから五月末に出せるんですよ。

 それから、大臣の御答弁にあったように、確かに日経平均だけじゃないですよ。だから、一ページ目に配った記事の中でも、国内債券はプラスになっていますよ、株はマイナスになっていますけれども、というふうになっていますし。

 何度も大臣が言われているように、短期じゃなくて長期で見てくださいと。だから、短期でマイナスが出ていても堂々と出せばいいじゃないですか、技術的に二カ月で確定できるんですから。ことしの一―三月の分は五月末に確定するんですよ。だから、それを出してほしいんです。

 年間のレポートは、何か、事務方に説明を聞くと、今回は十年の歩みとか、あるいは保有銘柄の情報などを公開するので、それにちょっと時間がかかるんだと。それはそれで七月の二十九日に出してもらえばいいですよ。だけれども、運用実績の方は五月末に別途出してほしいんですよ。というのは、何でかといったら、通年で株式運用の比率を五〇%に上げてやった初めての年なんです。

 だから、年度の発表は七月二十九日でどうぞやってください。加えて、二カ月で出るんだったら、それを出してほしいんですよ。それを出さないと、隠しているんじゃないですかと言われちゃうんじゃないですかということを言っているんですけれども、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 まず第一に、この間、井坂先生からも御指摘があったように、インデックス運用をやっているわけで、皆さん方が、専門家の野村の方が記事を書いていますけれども、大きな方向性についてのスペキュレーションはできないことはないということであります。

 さっき、ちょっとうっかりしましたが、前回答弁したのでもう御理解いただいていると思ったつもりだったんですが、改めて申し上げれば、今先生がおっしゃったように、ちょうどGPIFがスタートして十年たつという中で、いろいろな運用の手法も変わってきて、プライベートエクイティーについてどうするかとか、いろいろなことが始まっているわけでございます。

 したがって、どういうふうに、皆さん方に御安心をいただけるような、運用方針の変遷と現状がどうなっているのかということを、きちっとした分析をするということに少し手間がかかるだろうということと、それから、これは銘柄についても、どこまでかは別にして、公開をできる限りしようということで進んでいるわけでございますので、これについても、どういうような形でやるのが一番いいのかということを申し上げようと思っているわけであります。

 今の話で、速報値だけ切り離したらどうだ、こういう話でございました。積み立ての運用というのは、さっきから申し上げているとおりでありますけれども、長期的な観点から評価すべきものであって、短期的な動向はやはり余り過度にとらわれるべきではない。これは、情報開示においても同じように、国民に対して正しい情報を伝えるということが大事であります。

 GPIF法において、情報開示について、事業年度ごとの決算完結後に業務概況書を作成しろ、そして公表しなさい、こう書いてあるわけであります。

 GPIFでは、この法律上の義務に加えて、年度の運用の、第一・四半期から第三・四半期の運用状況を、経過報告として速報を年三回、業務概況書とは別に公表しているわけでありまして、一方、第四・四半期の運用状況については、第三・四半期までの運用状況とあわせて、年度通期の、法律どおりの通期の運用の状況を示すということになっています。

 法律の規定に則して、年度通期の運用を、年間の運用状況に関するさまざまな情報を付加して、この概況書の中で公表してきたわけであります。

 この情報開示につきましては、運用収益がプラスであろうとマイナスであろうと……(大西(健)委員「答弁が長い」と呼ぶ)今一番大事なところを申し上げますから、聞いてください。運用収益がプラスであろうとマイナスであろうと、民主党の政権下でも同じように一貫してこうした対応をしてきたわけでございまして、政治的な理由でこれまでの取り扱いを変更すべきという考え方は、私どもとしては持ち合わせていないし、GPIFもそのような考えでいるわけでは全くないということでございます。

大西(健)委員 だから、年度の計画は、七月二十九日の報告はいいです。ただ、民主党政権と違うのは、初めて株式運用を倍増させて、それが通年の初めての年なんですから、より丁寧な情報公開が必要なんじゃないですかということを言っているんです。

 もう一度、大臣。年金積立金は誰のものですか。これは国のものじゃないですよ。年金の加入者のものですよ。国民のものですよ。

 普通のファンドだったら、運用が失敗したらファンドからお金を引き揚げればいいんですよ。でも、年金積立金はもう自動的にGPIFしかないわけですから、その委託者である国民が、唯一と言っていいほど、それに評価を与えることができるのは、これは選挙のときなんですよ。だから、その選挙の前に出してもらわないと意味がないんです。選挙が終わって幾ら出しても、もうそのときは委託者である国民は物を言えないんですから。ですから、選挙の前に出してくださいということを言っているんです。

 このことは引き続きお願いをしていきたいと思いますが、こればかりやっていたら児童扶養手当の質問ができませんので、きょうはここまでにとどめたいと思います。

 児童扶養手当の質問に移りたいんですけれども、先ほど来お話が出ている多子加算の話です。

 さっき、中根委員の質問に対して、子供の数がふえることでふえる家計負担額が逓減していくというような説明があったんですけれども、数字も出ていましたけれども、ちょっとこれは、私の感じていることと違うんですね。

 資料の三ページ目というのを見ていただきたいんですけれども、この三ページ目を見ると、上のグラフというのは、子供の人数別の子供の貧困率なんです。これを見ると、やはり、三人以上で上がっているし、四人以上になるとぽんとはね上がっているんですよ。ですから、子供がふえればふえるほど貧困率が上がる。

 それから、下の方ですけれども、これも、児童数別の一世帯当たりの家計支出の額ですけれども、一人と二人は実はほとんど変わらないんです。ところが、三人になるとふえるし、四人になるとまたぽんとはね上がるんですよ。

 だから、やはり、子供の数が多いほど支援が必要だというのは、私はこのデータから見てとれると思うんです。先ほどちょっと厚労省が紹介になったデータとは違うことがここにあらわれていると思うんです。

 そういう意味で、私は、我々は対案で第三子以降の加算額、政府案は六千円になっていますけれども、我々は第二子と同じ一万円にすべきだということで対案を出していますけれども、第三子以降を手厚くすべきだというこの私の考え方に対して、なぜそうしないのかということを改めて政府にお聞きするとともに、提出者の方に、第三子以降を手厚くすべきじゃないかという考え方についてのお考えをお聞きしたいと思います。

塩崎国務大臣 多子加算額、特に第三子以降を手厚くすべきではないか、こういう御指摘でございました。

 一人親家庭は、子育てと生計の維持を一人で担うという意味において、さまざまな困難を抱えていることはもう言うまでもないわけでありまして、生活に必要な経費、二人以上の場合は特に増加をするということで、きめ細かな支援が必要だということはおっしゃるとおりだと思います。

 先ほども申し上げたとおり、私ども、改めて国民生活基礎調査で、さっき御披露申し上げたような、コストがどれだけふえていくのか、生活費の支出がふえていくのかということを調べてみた際に、その増加額は、子供の数に伴ってどちらかというと逓減をしていくということが見てとれるわけでございまして、したがって、第三子以降の加算額よりも第二子の加算額について高い額を設定しているということでございます。

 今回、特に経済的に厳しい一人親家庭を支援するために、多子加算額で、第二子を最大一万円、そして第三子を最大六千円と、それぞれ倍増をしているわけでありますけれども、限られた財源の中で最大限の拡充をしてきたというのが実態でございまして、子供の貧困率について四人目以上がはね上がるということについては、これはまた子供の貧困率の統計の中から言えることでございまして、これはこれとしてしっかりと踏まえながら、私どもとしては、また、それ以外のサンプリング調査の中から出てくる家計の負担のふえ方というものを考えてみると、私どものような逓減をさせるということは意味のあることではないかというふうに思っているところでございます。

高橋(千)議員 お答えいたします。

 今委員から、資料として、子供がふえるほど家計の支出もふえるし、また貧困率も高まるというお示しをいただきました。

 御指摘のとおり、第二子と第三子で、同じ年齢のときに必要となる費用が変わるとは思えず、差をつける必要はないと私ども考えております。

 一人親家庭の平均所得は、全世帯と比べるとその四七%、児童のいる世帯の三八%にとどまっております。そのため、収入の面で見ますと、児童手当や児童扶養手当など年金以外の社会保障給付金は、全世帯で所得の一・六%、子供のいる世帯では三・六%にすぎないのに比べると、母子世帯は二〇・三%、いわゆるこの児童扶養手当が重要な支えとなっていることが明らかであります。

 こうした一人親家庭における経済状況と、今日の教育費負担など、かかる子育て費用からすれば、むしろ手厚くするべきだと考えます。

 そこで、野党案としては、第三子以降の多子加算額について、政府案より手厚くし、一万円としたところでございます。

大西(健)委員 今の大臣の答弁と高橋提出者の答弁を聞き比べていただくと、どっちが説得力があるのかということだと思います。

 もう一つ、政府案と対案の違いですけれども、それは支給頻度の話です。

 一人親世帯の支援策のあり方に関する専門委員会においても、これは初鹿さんからも答弁があったと思いますけれども、当事者である、しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石理事長から、四カ月に一回の支給を二カ月に一回あるいは毎月支給にすべきじゃないかという提言が行われています。

 このことに関して、非常に興味深い分析が行われています。資料の次のページですけれども、四という新聞記事ですけれども、左上のグラフ、朝日新聞の錦光山さんという記者さんが、二〇一四年九月に母親が中二の一人娘を殺害した事件に関して、一人親だった母親の二年間の家計の状況を分析したものです。

 この母親は学校給食のパート調理員だったということで、夏休みは仕事がなくて、九月の収入は、元夫からの養育費三万円のみになっています。一方で、児童扶養手当が入る四月、八月、十二月は収入が三十万円前後とふえていて、収入が大きく波を打っている。

 そして、事件の二年以上前から県営住宅の家賃を滞納していて、年五回、手当の入る偶数月の中下旬に払っているんですね。

 それから、二〇一三年の二月には、娘さんが中学校に上がったということで、制服代等が必要だったので、社協と闇金からお金を借りている。

 その同じ年の四月を最後に家賃の支払いが途絶えて、二〇一四年の九月の二十四日、部屋明け渡しの強制執行の日に娘の殺害に至っているということなんです。

 これを見ると、まさに低所得者世帯の支出というのは、食費であったりとか家賃であったりとか光熱費であったりと、固定費が大半であって、少額の臨時出費が原因になって現金不足に陥ってしまう、それで滞納や借金を重ねて、家計が破綻をするんです。貧困状態にある人は、きょう、あすをどう過ごすかということで頭がいっぱいで、なかなか先のことを考える余裕がない。そういうところで手当をまとめ支給すると、どうしてもお金の使い方にむらが出てしまって、家計のやりくりが難しくなるというのがこの分析なんです。

 年金も、かつて年四回だったのが六回払いになっています。児童扶養手当についても、毎月支給、あるいは支給頻度を上げるというのが、私はこれは非常に有効だというふうに思うんですけれども、これをなぜやらないのか、やらない理由を政府に改めてお聞きしたいと思います。簡潔にお願いします。

塩崎国務大臣 これは前から申し上げているように、山井政務官も、政権におられたときに、これは難しいということを明確におっしゃっているわけで、その理由は、市町村、自治体の事務負担から考えて厳しいということをおっしゃっているので。

 私どもとしても、この児童扶養手当の支給回数をふやすという考え方はもちろんあると思います、あると思いますが、支給認定の請求時やその定期払い時に、住民票等で事実婚でないこととか子供の養育関係等の受給資格を確認する必要があるということもございます。それから、受給資格に疑いのある事案については事実関係を十分に確認する必要があるわけでございまして、職員が現地調査などを一定期間かけて実施するという必要があるわけであります。

 何分にもこれは税金そのものでありますから、それを公正に使う、公平に使うというためには、要件をきちっと満たしているかどうかを確認することも大事なことでございまして、そういうことであるとともに、もちろん、児童手当そのものが、あと同じ三回がずれて行われているという、二月、六月、十月にも行われているという自治体の負担ということも考えてさしあげなければいけないだろうというふうに思います。

 もちろん、先ほど新聞記事でお示しをいただきましたけれども、確かに、きちっとした計画的使い方というものをしていただくことが大事であることはそのとおりでございますし、私どもとしては、ファイナンシャルプランナーなどによって家計管理の講習会を実施するということも同時にやっていかなければいけないというのが、今の頻度での児童扶養手当の配り方ということではないかと思います。

大西(健)委員 ちょっと時間がなくなってきたので、もう質問しないで紹介していきますけれども、長妻議員の質問主意書に対して政府は、では、諸外国でこの支給回数はどうなっているのかと聞いたら、「把握していない。」と答弁書に書いているんですけれども、資料の次のページを見ると、これは図書館に調べてもらったら、こうなっているんです、大体毎月ですよ。それから、ほかの新聞記事でも、例えば、オーストラリアは隔週払い、また、イギリスは四週置き、ここにも四週置きと書いていますけれども、ただ、一人親世帯だと週払いも選べるんです。そういうふうになっているんですね。だから、大体毎月支給というのはスタンダードなんです。

 例えば、質問主意書でも、できない理由として、政府は、「地方公共団体において円滑な支給事務を実施するための体制の確保等が難しい」という答弁を出しています。ただ、それは、私はやる気の問題で、乗り越えられる問題だと思っているんです。

 資料の次のページを見ていただきたいんです。

 ちょっとこれは字が小さいですけれども、午前中に初鹿委員が答弁の中でも言及していましたけれども、大阪府の箕面市、これは右の方の部分ですけれども、年二回だった私立幼稚園の授業料補助金の支給を毎月に変えた例が載っています。これは、倉田市長が最初に担当部署に毎月支給にできないかと言ったら、無理ですと言われたそうです。その理由は、今の答弁と似たような話なんですけれども、前年の所得で決まる課税額が六月にならないと確定しないということと、対象者の補助額の計算に時間が相当かかるので無理だという話だったんです。そこで、倉田市長は、では、補助額がきっちり確定するまでは所得に関係なく最低額を仮払いして、確定後に残額を分割して毎月支給するようにしたらどうかというふうに指示をして、そして、実際にそうやったんです。保護者からは非常に好評だと。

 この記事では、総務省出身であるこの倉田市長が、児童手当や児童扶養手当についても、支給事務の担当者に聞いてみたら、システムの改修とか入力機器の買い増しが前提になるけれども、アルバイトをふやせば、人件費はほぼ変わらず、現在三カ月かかっているデータ入力を一カ月に短縮可能だと言っているんですよ。

 また、先ほどの資料四の錦光山さんの記事によれば、ほとんどの自治体では振り込み手数料は無料になっている、つまりコストもかからないわけです。

 つまり、政府は、毎月支給できない理由として、自治体の事務量やコスト増というのを挙げていますけれども、これはその気になれば私は乗り越えられるものだというふうに思います。

 ちょっと時間がないので、続けていきます。

 それで、もう一つこの倉田市長が言っているのは、ただし、では箕面市がやろうと思ったら、現行法では、児童扶養手当であれば支給月は四月、八月、十二月と法律に明記されちゃっているんですよ、ですから、例えばこれを年三回以上の支給というふうに文言を変えてもらえば、毎月支給は難しくても、自治体の判断で支給頻度を上げようと。箕面市は、今の年三回を年四回にしようとか二カ月に一遍にしようと思ったら、その事務負担を、うちはできますというところはできるわけです。ですから、この文言を、例えば、四月、八月、十二月となっているのを年三回以上に変えれば、これはやる自治体もあるんじゃないか、うちは支給頻度を上げますよと。

 私は、これはすごくおもしろい提案だし、政府案と野党案との妥協案になり得るというふうに思うんですけれども、時間がないので、提出者の方にだけちょっとお聞きをしたいと思います。

初鹿議員 大西議員、質問ありがとうございます。同じ問題意識を持って質問をしていただいたことに心から感謝申し上げます。

 我々の法案は、児童扶養手当の支払い期日について、現在の四月、八月、十二月の年三回から毎月に変更することとしています。これは、毎月支給することによって、毎月の決まった支払いに備えることができるようになり、一人親家庭等の家計の安定を図ることができると考えたからでございます。

 これに対して、政府は、先ほどから答弁しておりますけれども、地方公共団体において円滑な支給事務を実施するための体制の確保等が難しいことから困難であるという答弁をしております。

 先ほど御指摘があった倉田市長からの御提案の件でございますけれども、児童扶養手当の支給回数をふやすことが可能な自治体があるということでありますから、こうした点を踏まえますと、支給回数をふやすことが可能な自治体については、各自治体の判断に委ねて、条例等へ委任をするということも一つの案ではないかなというふうに考えますので、これは非常に有効ではないかと我々も考えるところでございます。

大西(健)委員 先ほども言いましたけれども、私たちの対案は毎月支給になっています。毎月支給がいいと思いますよ。でも、毎月支給がいきなり無理だというんだったら、これは年三回以上に変えませんか。そうしたら、やるところが出てきますよ。やれるところがあるんだったら、それを拡大していけばいいわけですから、ぜひこれはやってください。ぜひ修正協議を私はしていただきたいというふうに思っております。

 時間がありませんので次の質問に行きますけれども、未婚のシングルマザーが受ける制度的不利益というのがあります。

 これは資料の次のページなんですけれども、先ほどのしんぐるまざあず・ふぉーらむが婚姻歴の有無による年間負担額を比較試算した資料なんですけれども、これはどういうことかというと、同じシングルマザーであっても、いわゆる未婚の母に対しては、所得税法上の寡婦が法律婚を経由したものであるというふうに定義されているために、寡婦控除というのが適用されません。寡婦控除が適用されないと、所得税だけじゃなくて、その寡婦控除規定により算出された所得が地方税だとかあるいは公営住宅の賃料だとか保育料にはね返ってくるんです。

 例えば、この表を見ていただくと、ちょっとこれは数字が間違っているところもありますが、例えば例一では、婚姻歴の有無で市営住宅の賃料に差が出ています。それから例二では、婚姻歴がある場合はかからない住民税や保育料が、未婚の場合はかかってくるんです。給与収入が例二だと約二百一万円と書いてありますけれども、年額で二十万円違うんですよ。二百一万円の家計で二十万違うといったら、これは大変なことじゃないですか。

 厚労省の二〇一一年度の全国母子世帯等調査によりますと、母子世帯のうち、もちろん離婚で母子世帯になっているのが一番多いんですけれども、未婚の母の割合は七・八%で、これは一九五二年の調査開始以来初めて、夫との死別の七・五%を上回ったんです。だから、死別よりも未婚の母の方が多いんです。これが実態なんですから、ここだけが差別されているというのは、私はおかしいと思います。

 本当は厚労省に聞きたかったんですけれども、きょうは財務省と総務省に来ていただいていますので、もう時間がないので、あわせてお聞きしますけれども、次の新聞記事を見ていただくと、やはりこれはおかしいよねと。自治体の中には、未婚のシングルマザーも離婚の一人親世帯も家計の苦しさは同じだ、それから、子は親を選ぶことができないのに、親がたまたま非婚だったということで子供がそういう不利な状況に置かれているというのはおかしいということで、寡婦控除のみなし適用というのをやっているんです。つまり、保育料とか、公営住宅、市営住宅とかの家賃は、結婚歴のある一人親家庭並みに軽減をするということを運用でやっています。

 問題は、この記事でも独自に、東京都内の区市町村とか首都圏の県庁所在地、政令市など計六十一自治体で寡婦控除のみなし適用の状況というのを調べているんですけれども、これを見ると、状況にばらつきがあるんですね。格差が生まれている。

 私がお聞きしたいのは、では、全国の自治体で寡婦控除の適用というのが実態がどうなっているのかということを、国で、どこかでちゃんと把握をしているのかどうなのかということが一つ。それから、続けて行きますけれども、本来、税の負担というのは、支払い能力、担税力に応じて平等であるべきであって、同じ経済状況であれば同じ控除を受けるのが基本なんです。ですから、結婚したかどうかで差別されるというのは私はおかしいと思います。

 自治体における寡婦控除のみなし適用自体はいいことだと思いますけれども、これでやっている限り、ばらつきが生じてしまうわけですから、ぜひ、これは国の責任で寡婦控除の対象を見直して、未婚のシングルマザーが不利益を受けているこの状態というのは解消すべきだと思いますけれども、総務省とそれから財務省に、それぞれお答えいただきたいと思います。

渡辺委員長 既に申し合わせの時間が経過しておりますので、本来であれば質疑は終局をしていただかなければ困ります。(大西(健)委員「せっかく来ていただいているので」と呼ぶ)

 では、せっかく来ているので指名しますが、ぜひとも時間を厳守してください。

土屋副大臣 簡潔にお答えを申し上げます。

 地方団体の中には、税制上は寡婦控除の対象とされない未婚の一人親家庭について、その経済状況等を踏まえて、保育料や公営住宅の家賃が寡婦と同様の負担となるよう運用している団体もあることは承知をいたしております。

 その具体的な状況につきましては、総務省として把握しているものではありませんが、各種制度における利用料金等については、制度の趣旨や関連する施策との関係等を考えながら、各地方団体において判断されているもの、このように理解をいたしております。

 各分野の行政の実情という観点から、地方の実態把握や制度的な検討が必要と考えられる場合には、それぞれの所管の省庁において対応が行われることではないかと考えております。

 以上であります。

大岡大臣政務官 大西先生にお答えを申し上げます。

 先ほど先生に御指摘いただいたような税制上の運用をされております。ただ、この点につきましては、与党の税制改正大綱におきましても、自民党、公明党も同様の問題意識を持っておりまして、とりわけ公明党の先生方は熱心に取り組んでいただいておりまして、二十八年度の税制改正大綱に、先生と同様の問題意識を持った記述がなされております。

 したがいまして、それを受けまして、私どもとしましても、今後、政治で、この寡婦控除だけではなくて、控除全体のあり方、さらには個人所得税全体のあり方を御議論いただく中で、我々としても思い切った材料をぶつけていきたいというふうに意気込んでおります。

 よろしくお願いいたします。

大西(健)委員 ぜひ見直しをしていただきたいと思いますし、一緒にやりたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 民進党の初鹿明博です。

 きょうは、児童扶養手当法の改正案の質疑ですけれども、子供の貧困対策、格差の是正という観点から、生活保護制度についても、この後質問をさせていただきたいと思います。

 それではまず、きょう、法務省から盛山副大臣に来ていただいているんですけれども、皆さんのお手元に、資料で新聞記事を一つつけさせていただいております。

 私が非常に気になった記事なんですね。これは先に先行の記事がありまして、どういうことかというと、今、生活保護が引き下げられたことによって、全国各地で、この引き下げに反対をする受給者の方々が裁判を起こしております。国、自治体を相手取って、引き下げの取り消しを求める訴訟を起こしているんですね。原告が八百五十人以上で、全国二十六の地方裁判所でこの裁判が行われております。

 その裁判の中のさいたま地裁での裁判の際に、国の側の代理人であった訟務担当の検事というんですか、訟務検事の方が、これは裁判所と検察官の人事交流の中で法務省の訟務局付の検事になっているということで、国の代理人を務めていた。その方が、裁判所に戻って金沢地裁の配属になった。そうしたら、金沢地裁で訴訟が提起されている、全く同じ、生活保護制度の、生活保護費を引き下げられた訴訟の裁判官になっているということで、原告の側から、これはおかしいんじゃないのか、ついこの間まで国の側に立って国の主張をしてきた人が今度は公正公平な判決を下さなければいけない裁判官になっているということで、忌避の申し立てをしたということでございました。

 結果、裁判所は、やはり法の番人であって、冷静な判断をされたんだなと思いますが、裁判官の忌避を認めるということで、当該裁判の担当からは外れるということに、これは三月の三十一日に決まったということなんですね。

 この訟務検事というのは、法務省の中で訟務局に格上げになって訟務検事というのが置かれるようになって、交流を進めているわけですよね。この交流があって、同じような形で国の代理人を務めて裁判所に戻るという方はこれからある程度ふえていくということだと思うんです。

 全国にわたって地裁とかで一斉に国を相手取ってやっている同じような裁判というのは、生活保護の問題だけじゃなくて、例えばアスベストの問題だったり、トンネルじん肺だとか、あと原爆の認定訴訟などたくさんあるわけで、そういうことを考えると、交流するのもいいんですけれども、裁判所に戻ったときに、自分が国の代理人を務めていたような案件からは外れるようにしないと、やはり裁判の公平性、公正性という観点からして、非常に疑問を持たれるんじゃないかと思うんです。

 いや、しっかりやりますよということを理解はしますよ。でも、やはり訴えている側からすれば、この前まで国の側で主張していた人が今度ジャッジする側になったら、これはちょっと、公平な判断がされるのかなと疑問に思うと思うんです。

 そこで、きょうは盛山副大臣にお越しいただきましたが、私は交流するのがいけないとは言いませんけれども、やはり担当をした裁判と同じ案件を裁判所に戻って受け持つことはできないように、また、しないようにしていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

盛山副大臣 今、初鹿委員から御指摘いただいた件につきまして、法曹というのは、裁判官、検察官、弁護士、いずれの立場におかれましても、その立場に応じて職責を全うするところに特色がありますので、裁判官の職にあった者を訟務検事に任命するなどの法曹間の人材交流は、裁判の公正中立性を害するものではなく、国民の期待と信頼に応える多様で豊かな知識経験等を備えた法曹を育成、確保するため意義あるものと認識しております。

 そして、本件。国側の指定代理人を務めた裁判官出身者が裁判官として復帰した後に担当する事件については、これは、我々法務省ではなく、裁判所において判断される事柄であり、我々法務省としてお答えする立場にはありません。

 しかしながら、我々法務省の立場として申し上げますと、裁判官として復帰した後に法務省出向中に担当した訴訟と同種訴訟を担当することにつきましては、国民の皆様に誤解を与えかねないという指摘もありますことから、そのような誤解を生じさせないためにどのようなことが考えられるか、委員御指摘の点を踏まえ、我々としては、検討してまいりたい、そんなふうに考えております。

初鹿委員 確かに、戻った後は人事は裁判所の方にあるということも理解するんですけれども、やはりぜひ誤解がないようにしていただきたいし、民事訴訟法の第二十六条の規定によれば、申し立てをすると裁判がとまるわけですよね。やはりそのとまった時間も無駄だと思いますので。それで、今回みたいにきっと申し立てをしたら忌避されるんですよ。こういうことがわかっているんだから、あえて担当させないようにここは徹底していただきたいと改めてお願いをいたします。

 では、盛山副大臣、これで終わりですので、御退室して結構でございます。

 それでは、本題の児童扶養手当法の改正案についてお伺いいたします。

 私も午前午後と答弁に立っておりますけれども、やはり、今回の改正に当たって最優先でやらなければいけないのは、支給回数を毎月支給にするということではないかなというふうに私は思います。

 やはり支給頻度があいていることによって家計管理が難しくなるということはあり得るし、それが結果として、先ほどの大西議員の資料にあったとおり、貧困を招いていくことにつながっているんじゃないかと私は思います。

 そこで、まず最初に、塩崎大臣、塩崎大臣の認識を伺いたいんですけれども、四カ月ごともらっているわけですね。中には、自分できちんと四等分して管理をすればいいだけの話で、それはルーズなんじゃないかという指摘をする方もいます。

 大臣の認識としては、まとめて払った場合に家計管理が難しくなるのはやはりあり得るという認識なのか、それとも、本人がしっかりやればできることなのにやらない方が悪いんだという認識なのか、どちらの認識に立っているのか、まず塩崎大臣の御認識をお伺いいたします。

塩崎国務大臣 一人親の場合には特に厳しい生活環境であるわけでありますので、必要なサポートをしっかりとやるという意味においてこの児童扶養手当は送られるわけでございます。

 今お話がありましたけれども、人はやはりそれぞれいろいろな方々がおられるわけで、私どもとしては、やはりみずからきちっと管理をできるように、みんなができるようになるということが一番だろうというふうに思います。

 そういう意味では、ファイナンシャルプランナーを使ってでもみんなにきちっとした家計管理というのは、我々も自分たちの家計の管理というものも、流されるときもあるわけでありますから、そういうことをきちっと管理しながらやっていくということは大事だろうというふうに思うわけでございまして、それはやはり、余り性悪説に立ってやるような話ではないというふうに思います。

初鹿委員 資料で三枚目を見てもらいたいんですけれども、そこに、先ほど大西議員もつけていた記事の中の一囲みなんですが、大竹文雄さんという大阪大の特別教授が書いている記事です。「「自制心」の問題ではない」ということなんですね。

 ここで書いてあるのは、人間というのは目先の利益に飛びついてしまうことが傾向としてある、行動経済学でこれを現在バイアスまたは現在志向バイアスというそうなんですね。

 この現在バイアスについて、ある研究者の研究で非常に有名なものがあるんですが、マシュマロが置いてある部屋に子供たちを入れて、子供たちに、自分が戻ってくるまでマシュマロを食べなければマシュマロを二個上げると告げて部屋を出ていきました、さて、どうなったでしょうか。

 大臣、どうなったと思いますか。わかりませんか。

渡辺委員長 では、もう一度。

初鹿委員 答えは、ほとんどの子供がマシュマロを食べてしまったんです。待っていればさらに二個もらえるのに、やっぱり食べちゃったんですね。

 要は、何が言いたいかというと、人間というのは目先のことにやはり飛びついてしまうんですよ。さらに先にもっとよいことがあるということがわかっていても、目先のものについ出てしまう。

 だから、支給をまとめ払いにすると、これは四等分してちゃんと後の月のためにとっておかなければいけないと思っていても、やはり、お金を今持っていると欲しいものがあったら買ってしまうし、少し無理してでも外食をしようとかになったりというふうになって、結果として、最後、家計が苦しくなるということにつながっているんだろうと思います。

 これは貧困世帯だけじゃないと思いますよ。例えば喫煙している人もそうじゃないですか。誰もが、たばこを吸い続けていたら体に悪い、がんになる可能性も高いし、ほかの病気になるとわかっていても、たばこを吸っている人はやめませんよね。やめられませんよね。だから、これも多分、現在志向バイアスに基づく行動原理なのではないかなと。

 これが今の行動経済学の中では確定をされている説になっているわけですね。だから、この説に基づいて言えば、やはり支給は毎月支給にすることが望ましいのではないかと思います。

 先日の私の質問に対する答弁の中で、大臣はこう言っているんですよ。「一人親家庭の自立を図る観点からは、一人親がみずから計画的に家計管理をできるように支援していくことが必要と考えており、そのための自治体の取り組みを支援してまいります。」と答えているんですね。「自治体の取り組みを支援してまいります。」と答えています。

 先ほど、ファイナンシャルプランナーを使ってどうのこうのと言っておりましたけれども、では、自治体の取り組みを支援するとは、具体的に何をされるんですか。

塩崎国務大臣 実際の自治体の支援の話がありましたけれども、自治体で一人親の支援を行う母子・父子自立支援員という方々がおられますけれども、これは、家計管理の支援も含めた活動マニュアルの作成、そして、その使い方というか活用の仕方を指導するということでありまして、これは自治体の福祉事務所などに配置をされておりまして、一人親家庭及び寡婦に対して、生活一般についての相談、指導や、母子父子寡婦福祉資金に関する相談、指導というのをやっています。これは全国で約千六百六十四名いるところでございます。

初鹿委員 全ての自治体にいるわけではないわけですよね。自治体においても、そんなに人数がいるわけではないから、では、きちんと家計管理まで支援ができているかというと、そういうわけではないんじゃないかというふうに思います。

 大臣、先ほど大西議員が私に質問をした件なんですけれども、記事、二枚目に戻っていただきたいんですが、箕面市の倉田市長の、では、年三回以上の支給に条文を変えて、自治体の中で意欲があって取り組もうとしている自治体は毎月払いをする、そうじゃない自治体は今までどおりでいいけれども、やる気がある自治体が始めれば、それを先行事例として追随する自治体が出るんじゃないか、そういう提案なんですけれども、今、大臣が自治体の取り組みを支援していくという答弁をしているわけですから、では、これを修正して、自治体の判断で毎月支払いができるように変えて、そういう自治体を支援するという考え方もあり得るんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 この箕面市の例、先ほど大西先生も取り上げられたわけでありますが、三回以上にしたらどうだ、こういうことでございます。

 何度も申し上げますけれども、児童扶養手当の支給回数をふやすことが可能と言っている一部の自治体があることは我々もよくわかっているわけでございまして、実際にそういうことをやろうという御提案をされています。

 一人親家庭の生存にかかわるナショナルミニマムをどう確保するか、こういうことでいろいろ御意見があるんだろうと思うんですけれども、私どもとしては、ナショナルミニマムについては、やはり全国一律の制度でやっていくというのが、生活保護にしても年金などにしても必要なんだろうというふうに思います。まあ、年金の場合にはナショナルミニマムではありませんけれども。

 国民年金、それから児童手当、障害児福祉手当などの他制度を見てみると、全国一律の基準で行うべき事務については、法律で支給回数とか支給月が規定されているというのが現実であります。

 こういうことから、自治体によって支給回数が異なる仕組みとすることは、ある地域の受給者と別の地域の受給者の間に差が生じるということで、なかなかこれは難しい。

 すなわち、自治体ごとに支給回数が異なってまいりますと、例えば、受給者が自治体を越えて転居した場合、この場合に混乱が起きないか。つまり、既にもらっている人がもう一回もらうとか、あるいは、もらっていないのに次に行ってもまたもらえないとか、そういうようなことをどう解決するのかというようなことも課題としてあるということと、これは、先ほど申し上げたように、大事な税金の使い方でありますから、やはり公平公正に使わなければいけない、本当のニーズのあるところにきちっと行かないといけないということでありますので、事実婚の確認をするとか、一定の期間をかけて調査をしないとやはり決まらないということが起きるということも同時に考えなければいけないことは、先ほど来申し上げているとおりです。

 ですから、同時にいろいろなことを解決しないとなかなか、今おっしゃったような、三回以上にできないか……(発言する者あり)よろしいですか。三回以上にできないかということを……(発言する者あり)いいですか。

 そういうことはなかなか難しいのではないのかというのが現状の私どもの考えでございます。

初鹿委員 転居した場合云々というお話ですけれども、まとめ払いでも同じようなことは生じる可能性はあるわけですから、余りそれは理由にはならないんじゃないかと思います。

 私が申し上げているのは、やる気がある自治体のやる気をきちんと支援していく、そして何よりも受給者の側のニーズに応えていくということが必要で、自治体の都合に合わせるのが主になってはいけないと思うんですよ。

 ぜひそのことも考えていただいて、私はこれは可能だと思いますので、まだ審議は続きますから、少し検討にのせていただきたいとお願いをさせていただきます。

 では、次、一枚めくっていただいて、四枚目の資料を見ていただきたいんですが、私は、今回、担当の方とやりとりしていてちょっとびっくりしたことが幾つかあったんです。

 例えば、児童扶養手当を受給している世帯の中で生活保護を受給している世帯が何世帯あるんですかということをお尋ねしたら、二十三年度までのは出てきたんですが、二十四年度以降は把握しておりませんと言うんですね。

 もう一枚めくっていただいて、今度は生活保護世帯のうちの母子世帯数の推移なんですが、これはきちんと二十六年まであるんですね。ただ、これもまた不思議なもので、母子世帯でとっていて、一人親じゃないんですよ。父子世帯については把握していませんとなっているんですよ。

 本当に、格差の連鎖をなくそう、子供の貧困をなくそうと本気で思っているんだったら、この種のデータはきちんととっていった方がいいんじゃないかと思うんですね。

 特に、我が国の生活保護の捕捉率は一五%から一八%ぐらいと、他の諸国に比べて低いと言われているわけです。本来生活保護をもらえる水準の収入の方でももらっていない、生活保護を受けていない、そういう人が多い。それは制度に対する知識不足なのか、またほかのことがあるのかわかりませんけれども、捕捉率が低いという事実もあるわけです。

 なぜきちんとデータを調べた方がいいんじゃないかということを言っているかというと、児童扶養手当を受給している世帯の中で、本来なら生活保護も受けられる水準の所得しかないんだけれども、働いていたら生活保護はもらえないと誤解をしていて、受けられるものを受けていない方もいるんじゃないかというふうに推測するからです。しかし、これはあくまでも推測にすぎません。それをしっかり調べていくためには、きちんとしたデータをとる必要があると思うんですね。

 ですので、まず、私からの提案ですけれども、児童扶養手当を受給している世帯の中で生活保護世帯が何世帯あるのか、また、生活保護を受給していないけれども生活保護をもらえる収入の範囲の世帯がどれぐらいいるのか、そして、生活保護世帯においては母子世帯だけではなくて父子世帯も含めてきちんと世帯数を調べるべきじゃないか、この三点をお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 今委員おっしゃいますように、実は、生活保護の調査については、地方自治体の意見を聞いて検証するとともに、どんな項目がいいのかというのはこれから検討していきたいなというふうには考えております。

 被保護者調査によりますと、世帯の類型は、高齢者世帯、母子世帯、障害者世帯、傷病者世帯、その他の世帯の五分類とさせていただいております。

 先ほど委員御指摘のように、では父子は入らないのかという御指摘でございますけれども、平成二十三年の全国母子世帯等調査によりますと、父子世帯の就労に関しての平均収入は三百六十万円、母子世帯の場合は百八十一万円になります。さらに、就労の割合は、父子の場合は八七・一%、母子世帯の場合は四三・〇%。持ち家の割合は、父子世帯は六六・八%、母子世帯は二九・八%。こういうふうに見てまいりますと、一人親の世帯でありましても、父子世帯は母子世帯に比べて保護受給に陥る可能性は比較的低いのではないか、こういうふうにも見られます。

 ということで、また繰り返しになりますけれども、こういった状況を把握しながら、どの項目が一番しっかりと数字を把握できる、実態を把握できるのかというのは、自治体の意見を聞きながら検討していきたいと思います。

初鹿委員 いつもそういう数字を挙げてくるんですけれども、八七%は働いていますと。では、その逆の一三%は働いていないということじゃないんですか。そういう方々が生活保護になっている可能性もあって、それがどれぐらい、本当にどれぐらいいるのかということをきちんと把握することが、格差の是正とか、格差の連鎖とかをなくすことにつながるし、それが本気でやるということだと私は思うんですけれども、違いますかね。

 では、ちょっと具体的な話に行きます。

 先般、本会議でも質問しましたけれども、高校生の子供がアルバイトなどで収入を得た場合に、現在の生活保護の制度ですと、自立更生計画というものをきちんと福祉事務所で承認してもらえれば収入認定から除外をされるという仕組みになっております。

 では、お伺いしますが、昨年一年間で自立更生計画が認められたケースは何件あるんでしょうか。

とかしき副大臣 件数は正確に把握をしておりません。これは、件数を把握するよりも、むしろ、きちっと適切に運用されているかどうか、高校生のアルバイトの収入の認定除外の活用を含む自立更生計画を策定することを通じて、高校生の就労意欲を喚起し、自立を促していくことが重要だということで、こちらの内容の方に注目をさせていただいております。

 ということで、収入認定除外の取り扱いを適切に行うことが重要でありまして、収入申告の義務を生活保護受給者に説明する際に、収入認定除外等の説明等を行うよう、平成二十八年の三月から通知を改正させていただいたところであります。

初鹿委員 びっくりする答弁なんですけれども、高校生の就労意欲を喚起する、それはちょっと違うんじゃないですか。これは、本来なら学校で勉強に励む、そういう時期なのに、親の所得が低いから自分のお小遣いは自分で稼ごう、また、将来の、大学や進学したときのための費用を貯金しよう、そういうつもりで働いているんだと思うんですけれども、就労の意欲を喚起するというのはどういう意味かなと。

 それと、やはり数をきちんと把握するぐらいはしてくださいよ。でないと、実態が本当にわからないじゃないですか。

 皆さんのお手元に資料をつけております。五枚目の資料の二つ目の表を見てください。二十五年度における未成年者の稼働収入の無申告及び過少申告の件数、金額。これは、アルバイトの収入、アルバイト以外もあるかもしれませんが、それを申告していなかった、もしくは過少に申告をしていたということで、不正受給ということで返還を求められている、そういう件数ですよ。三千九百九十一件が無申告、過少申告は三百六十三件、総額で十四億円なんですよ。これは返還を求めているんですよ。

 このように、四千件も、アルバイトで働いている高校生に対して返還を求めているわけであって、この数字を見ても、自立更生計画がきちんとつくられている、それを勧めているとも思えないし、自治体がちゃんと生活保護受給者に対して、子供が、高校生がアルバイトをした場合もちゃんと申告しなきゃ困るんですよということを伝えているのかどうかも本当に疑問に思う金額だと思いますよ。違いますか。

 その上で、あえてさらに加えて言いますけれども、では、貧困世帯に生まれた子供は、高校生のときに、普通の高校生がするような、おしゃれをしたり、友達とカラオケに行ったり、遊園地に行ったり、そういうことに対して自分でアルバイトしたお金を使っちゃいけないんですか。楽しみをしちゃいけないということですか。全部家族のために、生活費のためにアルバイトしても使えというんですか。こんな切ない話はないじゃないですか。

 私は、少なくとも、基本的に、制度をよく理解していなくて申告していないという場合が多いと思うんですよ。その場合は、事後的にでも自立更生計画を立てさせて、自治体がそれを勧めて、それを承認するのならば不正ということで返還を求めないでいいような仕組みを、そういう運用をするべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 おっしゃるように、同情を禁じ得ないケースはあるんだろうというふうに思います。思いますが、生活保護は、憲法第二十五条に基づいて行われている国民の最低限度の生活を保障するという中から出てくることでありまして、ですから、本当の善意でやっていることが認められないということはよくないということで、学費とか入学金の問題とかは収入認定をしないというようなこともやってきているわけでございます。

 釈迦に説法でございますけれども、生活保護の基本というのは、やはり資産、能力その他あらゆるものを活用したことを前提として成り立っているものでありますので、収入がある場合の届け出義務というのは未成年者に対しても同様に適用されるということが原則であって、申告がなかった場合には返還を求められるということで、今のようになっている。

 ただ、その中にいろいろなケースがあるということは私も理解できるところでありますけれども、この収入申告の義務について、保護開始時とか世帯訪問時に、高校生のアルバイト収入を含めて、稼働年齢層の世帯員全員が収入申告義務を負うことについて御協力を願うということをやっています。

 一方で、貧困が世代を超えて連鎖しない環境を整備していくことというのも同時に重要でありますので、高校生のアルバイト収入を先ほど申し上げた受験料とか入学金とか、そういうものに充てる場合には、当然、一定額が手元に残る仕組みをやってきているわけでありまして、収入申告について説明をする際に、収入認定除外の仕組みについてもあわせてきちっと説明をするように私どもとしても通知をしているわけでありますけれども、こうした仕組みがきちっとなされていないというようなことはあってはならないので、そういうところは私どもも注意していきたいというふうに思っています。

 高校生などの自立が促進されるということは大事なことでありますので、適正な運用が行われるように気をつけなければならないというふうに思います。

初鹿委員 大臣の答弁を聞いていると、本気で貧困世帯の格差の連鎖をとめようという意思が感じられないんですよ。

 確かに、生活保護制度は税金で行っているものですから、利用できる資産、能力、あらゆるものを活用することが要件、それは私も理解します。でも、それはやはり親の世代のところでとめておいて、子供にまでそれを押しつけることはやめていこうじゃないかという提案を私はしているんです。

 この前の本会議でも質問しましたけれども、例えば、高校を卒業して就職をした場合、その十八歳のお子さんが同居をしていたら、全部収入認定されるわけですよ。勤労所得控除はあるとしても、収入認定されるわけですよ。場合によっては、それによって生活保護が打ち切られる場合もあるんですね。十八歳の若者がいきなり一家の大黒柱になって、例えば、病気のお母さんと弟、妹を、自分の働いたお金で全部生活を見なきゃいけない、こんな切ない話はないと思いませんか。

 だから、私は、今の制度でできることとして、同じところに住んでいても、世帯分離をして、違う世帯として認めようじゃないかということを言っているわけです。世帯分離をして、親と下の弟たちは今までどおり生活保護を受ける、そのかわり、それと別に、働いたお兄ちゃんは別世帯として、同じところにいて家賃はかからないけれども、同じところで暮らすことができる。これは、期間を限定してもいいですよ、三年なり五年なり。でも、そうやって貧困が連鎖をしないように、自立がその後進んでいくようにしてあげた方が、本来の生活保護の制度に沿うんじゃないんですか。

 ここで、例えば、三年なり実家に暮らしてお金をためて、高卒ではなかなか取れなかった資格を勉強して、別の資格を取って別の仕事について生活保護から脱却をすることができるかもしれないじゃないですか。しかし、一家の大黒柱になって弟やお母さんの生活費まで全部賄わなければならなくなったら、未来が暗いですよ。そんなことを国が制度として押しつけているんですよ、子供たちに。

 その認識をしっかり持っていただいて、ぜひ、運用でできる話ですから、世帯分離を認めて、同じ屋根の下に暮らしていても、世帯分離をして、働き出した若者は自分の収入で自分の生活を送る、もともとの家族は今までどおり生活保護を受けられる、そういう運用に変えられないでしょうか。

塩崎国務大臣 先生がおっしゃっているのは、今の制度のままでいくと貧困対策として十分なことができないじゃないかという問題意識ではないかなというふうに受け取りました。

 その問題意識自体は非常に私も理解をするところもあるわけでございますが、問題は、今の制度そのものが世帯単位で運営をされているということが第一でありまして、その世帯から外れて生活保護受給者ではなくなった高校生ですか、子供さんに対して生活保護を適用するということについて、今のままできるかどうかということについては、なかなか難しいので、例えば住宅扶助をするとか、そういうようなことは今の制度のままだとなかなか難しいというところがあります。

 ただ、今お話があったように、十八歳で独立をして、それで生活保護もなしに自分でやっていけというのはなかなか難しいということも同時にわかるところでありますので、そういうようなケースの場合にどういうふうに対処していくのが貧困の連鎖を招かないかということを我々も考えていかなきゃいけないんじゃないかなと思います。

初鹿委員 では、私、できる例を提案させていただきます。

 恐らく、高校生で新卒で入ったら、多分、手取りで十三万とか十五万ぐらいですよね。これは十分に生活保護を受けられるぐらいの金額なんですよ、東京二十三区だったら。この子たちが独立したとき、住宅扶助だけを単給で出す、家賃だけ生活保護で見る、あとの生活費については自分の収入で賄うという、この住宅扶助の単給というのをもっと進めていけば、若い人たちが就職をしたときに自立が進むんじゃないか。

 これは若者だけじゃないですよ、母子家庭の方とかでもそうなんですけれども、先ほど捕捉率が低いという話をしましたけれども、こういう人たちに対して住宅扶助の単給というのをもっと進めていけば、貧困から少しは脱却することができるんじゃないかと思うんですよ。それをしないで、ぎりぎりの生活で苦しい思いをさせて、結果として、病気になったり、または精神的な病になったりということに追い込む前に、私は、できることは、生活保護の中の住宅扶助を単給するということだと思うんですけれども、この提案に対してどのようにお考えになるか、お答えいただきたいと思います。

渡辺委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

塩崎国務大臣 先ほど少し申し上げましたけれども、例として今のような御提案に近いことを申し上げたつもりだったわけでありますけれども、今の制度のままですと世帯単位でいくのが原則でありますから、その世帯から外れて生活保護受給者ではなくなった子供さんに対して、若者に対して、生活保護費である住宅扶助を、単給とおっしゃいましたが、支給をするということは、今の制度上はなかなか難しいということであります。

 しかし、同時に、貧困の連鎖を断ち切るという考えを私どもも当然持っているわけでありますし、これは総理も申し上げているわけでありますから、そういう際に何をどういうふうにしたらいいのかということについては、今の先生の問題意識も含めて受けとめさせていただいた上で考えていきたいというふうに思います。

初鹿委員 かなり質問を残してしまったので次回も続きをやらせていただきたいと思いますが、とにかく、やはり貧困の連鎖をとめるということがこの国の今の最大の課題の一つだと私は思いますので、ぜひ真剣に取り組んでいただきたいとお願いをさせていただきます。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、堀内照文君。

堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。

 きょう、私、質問を準備するに当たって、心に刻んできたことがございます。

 資料の一枚目に配らせていただきました。

 ちょうど一週間ほど前、三月三十一日の毎日新聞に載った五十五歳の女性の投書です。「娘の除籍」とあります。母子二人、必死に必死に生きてきた、その娘さんが、十一万五千円の学費が払えずに大学を除籍になったというものであります。

 この娘さんは、高校生のときにお母さんが正社員を離職されたことで、通信制高校へ転校した。卒業後二年間はアルバイトで授業料を稼いで、大学受験をして、ようやく入学できた大学です。その入学直後に母親が今度は解雇に遭った。それでも娘さんは奨学金を受けながら通い続けた。そして、母親も何とか新たな職が見つかって、ダブルワークで上向きになるかと思った矢先の除籍の通知だったというわけであります。

 このお母さんはこう書いておられます。「非正規雇用の母子家庭として、我が家が直面した状況は、今の政策が、本当に私たちレベルの庶民の現実など、全く理解できていない人々によって生み出されたことを物語っています。」と。こんな現実を生み出す政治でいいのかと問われていると思います。

 今回の法改正は、第二子以降の加算額を増額することを中心とするもので、それそのものは、関係者が強く求めてきたものであり、歓迎するものであります。同時に、今の一人親家庭の置かれている現実を考えればさらなる拡充が必要だ、そういう立場で、きょうの議題の両案に対して質問したいと思います。

 初めに、一人親家庭の現状への認識について確認していきたいと思います。

 資料の二枚目にグラフを載せておきました。

 これは、離婚と母子世帯に対する社会保障給付状況の推移というもので、ちょっと見にくいんですが、母親が親権を行う離婚件数、つまり、母子世帯になった数は横ばいで推移しています。にもかかわらず、児童扶養手当の受給が増加をしているわけです。つまり、児童扶養手当の受給がふえたのは、離婚がふえたんじゃなくて生活困窮が進んだということが示されていると思います。

 しかし、ちょうどその離婚件数と重なり合うように推移しています、生活保護を受給する母子世帯の数もこの間横ばいなんです。生活保護を受けずに就労しながらも生活困窮から抜け出せない世帯がふえているんだということだと思います。

 そのことを示しているのが、厚労省の調査であります、生活保護基準未満の低所得世帯数の推計についてというものであります。そこで母子世帯についても調査をしております。

 母子世帯のうち、最低生活費未満の世帯数、被保護世帯数、さらに、いわゆる捕捉率、これは何%になるのか、国民生活基礎調査による調査でお答えいただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 生活保護基準未満の低所得世帯数についてですが、保有する資産、あるいは親族からの扶養の可否、さらには稼働能力の有無等の把握が困難でございまして、なかなか正確な把握は難しいところがございます。平成二十二年に公表した数値は、あくまでも一定の仮定を置いた推計値として算出をしたものでございます。

 推計のデータに全国消費実態調査を用いるか、あるいは国民生活基礎調査を用いるかによっても結果はかなり異なるものでございますが、先生お尋ねの、平成十九年国民生活基礎調査のデータを用いた推計値によりますと、母子世帯総数約七十四万世帯のうち、フロー所得において最低生活費未満の世帯は約四十六万世帯、そのうち生活保護の資産要件を加味した世帯が約二十二万世帯となっております。全国消費実態調査を用いた推計値は、低所得世帯数はこれよりは少なくなっているところではございます。

 そして、被保護世帯数でございますが、この時点での被保護母子世帯数は約九万世帯でございまして、低所得世帯に対する被保護世帯の割合で見ますと、フロー所得で見た場合は一六%、資産を加味した場合は二八・五%、こうした推計値をお示ししているところでございます。

堀内(照)委員 今の一覧表になっているのを資料の三枚目に載せておきました。母子世帯のところに線を引っ張っておきました。

 今ありましたように、捕捉率、フロー所得でいうと一六%、そして資産を加味した上では二八・五ですから、本来生活保護が受けられるはずの母子世帯の七割から八割以上が、わずかな就労所得などと児童扶養等の手当のみで、生活保護基準以下で必死に暮らしているということだと思うんです。

 仕事をするにしても、それからまた子供の送り迎えなどで、生活上どうしても車が必要だということで、それが資産ということでなかなか生活保護に結びつかないですとか、ただでさえ、今、生活保護申請の窓口に行けば、働け働けということで、なかなか受給に結びつかないという実態があるわけです。そうして必死に働いていても所得がこれだけ低い実態にあるんだということだと思うんです。それだけに、この児童扶養手当というのは、文字どおり命綱なんだと思うんです。

 二〇〇二年の同法改定以降、国は、就業・自立に向けた総合的な支援だということで、就業による自立の努力を強く求めてきました。二〇〇二年当時と現在で、母子世帯の就業の割合、それから、そのうち正規、非正規の割合の変化をお聞きしたいと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 母子世帯の就業状況につきましては、全国母子世帯等調査というものの中で把握してございます。

 母子世帯の就業割合ですが、平成十五年度八三・〇%、平成二十三年度では八〇・六%となってございます。

 また、就業している母子家庭のうち、常用の方と、いわゆる臨時、パートの方ですけれども、十五年の調査ですと、常用雇用者三九・二%、臨時、パート四九・〇%。二十三年では、ちょっととり方が変わっておりますが、基本的には同じ統計のとり方をしておりますが、正規の職員、従業員が三九・四%、パート、アルバイトが四七・四%ということになってございます。

堀内(照)委員 二〇〇二年ということでお聞きしましたので、それに一番近い平成十五年、つまり二〇〇三年の数字との比較でお答えいただいたんですが、これは五年ごとの調査ですので、その前の平成十年で見ますと、正規は五割を超えていて、非正規は四割弱だったと思うんですね。それから見ると、やはり就業の割合というのが若干減りつつ、そして、正規が減り、非正規がふえるというのが大きな傾向ではないかと思うんです。やはり雇用の規制緩和が進んだことや、比較的定時で勤めることができ、女性の就労が多い給食調理員など公務の現場も、指定管理者制度が導入されることなどで非正規が広がってきたというのが大きな一因ではないかと私は思っております。

 さらに、社会保険の加入状況についてお尋ねしたいと思います。

 雇用保険の加入率、健康保険、公的年金、それぞれ、被用者保険と国保、国民年金の加入率はどうなっているでしょうか。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 同じく全国母子世帯等調査で、二十三年度の調査で申し上げます。

 回答いただいた全ての母子世帯のうち、雇用保険に加入している世帯の割合が六〇%。健康保険に関しましては、被用者保険が四九・五、国民健康保険が四一・二となっております。同じく公的年金に関しましては、被用者年金制度に加入しておられる方が四七・九%、国民年金につきましては三六・〇%ということになってございます。

堀内(照)委員 八割の方が就労しているのに、事業主負担のある社会保険制度への加入は五割弱から六割という水準なんです。就労していても、被用者保険に入れないような短時間の仕事をダブルワーク、トリプルワークで働いているという状況だと思うんです。国保などには低所得者に減免制度などもあるわけですが、自己責任の世界だと言わなければなりません。

 国は就業支援をするといいますが、一人親家庭の保護者の皆さんは、国から言われる前からずっと、ずっと八割台ですから、仕事について頑張ってこられたわけです。そして、国がそういう就業支援といいながら、一方で非正規雇用を広げる、社会保険制度もセーフティーネットとして十分機能しているとは言えない状況を生み出してきている。ここの責任が私はやはり問われると思っております。

 私は、就労支援そのものはもちろん否定するものじゃありません。必要なことだと思います。しかし一方で、就業、自立支援の名のもとで児童扶養手当の給付の拡大が抑制されてきた、その結果、多くの母子世帯が、就労してもなおワーキングプア、生活困窮の状態から抜け出せないことになっている、これが二〇〇二年からの政策の帰結じゃないかと思うわけであります。

 こういった、就労による自立を促進することに余りに重きを置くようなやり方、これは、大臣、見直すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今の一人親家庭の現状の厳しさについて堀内先生御指摘があったわけでありますけれども、一人親家庭への支援については、家庭の生計維持あるいは子供の将来への影響とか、そういったことを考えてみると、やはりできる限り就業による自立というものを支援していくことが望ましいというのは変わらない考え方ではないかなというふうに思っています。

 さっきも出ておりましたけれども、一人親家庭で約八割が就業をしているわけで、しかし、その半数がパート、アルバイト、非正規、不安定な就業形態にあって、経済的にもさまざまな困難を抱えている。そういうことで、私どもはこれまでも、最低賃金の大幅な引き上げ、あるいは同一労働同一賃金に踏み込むということも申し上げてきて、正社員転換などもやってきたわけでありまして、安定的な就業に結びつくということが一番大事なんだろうというふうに思います。

 そのためのきめ細やかな支援というものが大事であり、一方で、一人親家庭はなかなか生活面で厳しいわけでありますから、自立を支援していくためには、子育て・生活支援、就業支援、あるいは経済的支援、あらゆる支援に総合的に取り組まなければならないということで、年末にもパッケージをまとめさせていただいたところでございます。

 我々の考える支援は、やはり現物給付と現金給付のバランスをしっかり捉えながら、財政が厳しい中にあってもしっかりやっていくということでありますけれども、何よりも働き方改革というのが最大のチャレンジだと今安倍内閣で安倍総理も言っているわけでありますので、同一労働同一賃金、あるいは最賃の千円に向けての引き上げを含めて、一人親家庭の自立の促進に取り組まなければならないというふうに考えております。

堀内(照)委員 就労支援や雇用環境を改善していくことはもちろん私も大事だと思っていますので、そうなんですが、総合的支援というのは、文字どおりいろいろな法律のもとでの制度を総動員してそれこそやっていくわけであって、この法律はこの手当の支給に関するものでありますから、今、現物、現金、両方述べていただいたんですけれども、手当の位置づけが後景に追いやられるということがやはりあってはならない、こう私は思うわけですが、その点は確認いただけますでしょうか。

 就業支援は大事なんですけれども、そのことが余りに強調されることによって、手当の位置づけが何か後ろに追いやられるような、施策として後ろ向きになるようなことはあってはならないですよねということを確認したいんです。

塩崎国務大臣 今回の児童扶養手当につきましては、申し上げているように、特に多子家庭が厳しい中にあって、多子加算が何十年と変わっていないということでありました。それを、反省を込めて、倍額をするということにしているわけでありますので、やはりそこは、働くことと、それだけでは賄い切れない生活の部分についての現物と現金の支援の組み合わせをどうベストミックスにしていくかということだろうと思いますし、その政策自体は、やはり、全体としての財政制約の中で、できる限りのことをあらゆる手だてを使ってやっていく。

 今回、例えば保育園の、一人親に対してはかなり手当てをしているわけでありますから、そうやって総合的な支援をしていくということが、働くことを支えるということにもつながるというふうに考えております。

堀内(照)委員 今大臣から、反省も込めてと言っていただきましたので、この位置づけはそうだと確認したいと思うんです。

 その上で、幾つか具体的に質問したいと思います。

 これは、ずっときょうも議論になりました支給回数の問題です。

 四カ月に一度ではやはり家計の管理が大変なんだ、毎月支給してほしいというのはごく当然の願いだと思っています。

 賃金の方は、支払いは毎月が原則なんです。これはなぜなのかということをちょっと確認したいと思います。

山越政府参考人 労働基準法におきまして、賃金は、臨時に支払われる賃金あるいは賞与等を除きまして、毎月一回以上支払わなければならないとされておりますが、これは、賃金支払い期の間隔が開き過ぎることを防ぐことを目的として、一定の期日を定めて払わなければならないという規定と相まちまして、働く方の定期的収入の確保を図るものでございます。

堀内(照)委員 済みません、なぜ間隔があき過ぎるとだめなのかということも含めて、ちょっと説明いただきたいんですけれども。

山越政府参考人 賃金は労働者にとりまして主たる収入でございますので、働く方の生活上の不安を取り除くということを目的といたしまして、賃金支払い期の間隔が開き過ぎないようにするという目的でこの規定が設けられているというふうに承知をしております。

堀内(照)委員 資料の次のページに、朝日新聞、二〇一五年十二月二十七日付の記事を載せておきました。

 「ひとり親 波打つ収入、綱渡り」ということで、手当の支給月とそうでない月とで収入が非常に差が出てくる。手当が支給されると、公共料金を一気に支払って、もう手当の半分がなくなる。一息はつくものの、長くは続かない。そうすると、次はどの料金を滞納するかということで、じきに頭がいっぱいになってくる。手当の支給前が一番しんどいんだという声が紹介されております。この記事は、次のページ、これはもう大西委員も紹介されましたけれども、低所得世帯の現金給付の渡し方に着目をし、千葉での悲劇的な事件のケースで、母親の収入状態の変動からこの事件について検証しているわけであります。

 毎月給付の重要性というのが非常に浮き彫りになっていると私も思います。一方で、賃金は、生活上の不安を取り除くために毎月支払いなんだと。しかし、なぜ児童扶養手当は毎月じゃないのかということなんです。

 これは、ずっと答弁がきょうもありました。いろいろな理由を大臣述べられましたけれども、その理由の一つ一つは、きょうの質疑の中で、自治体は独自にもうやっている、毎月やっているというケースなんかもあるわけですから、乗り越えられると私は思うわけです。そういうことを理由にして、賃金は生活上の不安を取り除くために毎月なわけですから、では、受給者の不安を取り除かなくていいのかということが問われていると私は思うんです。

 この点、大臣、毎月支払いにやはり踏み出すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど来、何度か同じ御質問をいただいて、同じ答弁を繰り返しているわけでありますので、今回も同じことを言わざるを得ないわけでありますが、いわゆる年金とかそういうのとは少し違って、児童扶養手当に該当するかどうかということを毎回必ずチェックしていかないといけない。つまりそれは、税金の使い方という意味においてそうだということでございます。生活保護でも同じようなことが言われるわけでございますけれども。

 そういうようなことで、しっかりと、例えば、本当に所得をお一人だけで得ているのかどうか、つまり、御一緒に住んでいらっしゃる方がいて収入があるとかないとか、そういうこともチェックをしなければいけなかったりするわけであります。

 それともう一つは、やはり、一人親家庭の生活に必要な費用を全部児童扶養手当で賄っているわけでは決してなくて、先ほど来申し上げているように、現金給付も現物給付も組み合わせた支援をしているわけでありますので、他の施策と組み合わさって生活を支援していくということを考えてみると、目いっぱい、もらわれる側の立場を考えてみれば、そういうようなことであるということが一つ。

 やはり、これはもう何度も言っているように、かつて山井さんが政務官をやられたときに、事務的にこれは無理だということをおっしゃっておられたように、今申し上げたようなエリジビリティーのチェックを含めてやるということはなかなか難しいということでありますので、そういったことを全て乗り越えていく解があるかどうかということではないかなというふうに思います。

堀内(照)委員 いろいろなものを組み合わせ、児童扶養手当だけが収入じゃないと。もちろんそうであって、その中でも、この資料五枚目の朝日新聞の、大西さんも提供しておられた、収入の推移、これだけ波があって大変なんだという実態を受けとめて、どうするのかということをやはり検討すべきだと思うんです。

 野党案では毎月支払いとなっています。

 これも大西さんも初鹿さんも資料で出されておりましたけれども、自制心がないから計画的に使えないということじゃないと大阪大学の先生も述べておられるとおりでありまして、まとめて支給されるというやり方によって生じているさまざまな問題というのは、受給者個人の問題、責任に帰すわけにいかないと思うんですが、いかがでしょうか。

初鹿議員 堀内議員、ありがとうございます。

 先ほど私も質疑の中で申し述べましたが、現在の行動経済学の、これは現在バイアスという問題を取り上げさせていただきましたけれども、やはり目先のところに支出をしてしまうという傾向が人間は強いわけでありまして、それと比べて、毎月支給をすることによって、家計管理がしやすく、生計の維持が可能になってくるというのはもう明らかだと思います。

 おっしゃるとおり、まとめ支給によって現在生じている問題は、受給者個人の問題や責任に帰することができるものではないという委員の御指摘はそのとおりでありまして、だからこそ、今回の我々の改正案は、このような最近の行動経済学の研究の成果を反映させると同時に、受給者の生活実態に合わせて、児童扶養手当について、現行の年三回から、毎月支払うこととしております。

 ありがとうございます。

堀内(照)委員 毎月支給にぜひ踏み出すために努力していくべきだと思います。

 もう一点、支給期間の問題で、子供が十八歳までとなっております。しかし、冒頭の、大学を除籍されたという例もありますように、教育費の負担というのはやはり大学が一番かかるわけで、とりわけ入学の初年度が、入学金等もあるわけですから一番かかるわけです。ここが本当に子供の進学に深刻な影を落としているというのが現状だと思います。

 文部科学省が発表した高校卒業以降の進学率、これは大学、短大及び専修学校、各種学校ですが、平成二十七年の学校基本調査では、現役世代では七一・三%、過年度卒業生も含むと進学率は七九・八%になっています。

 一方、母子世帯がどうなっているのか、これをお答えいただきたいと思います。

香取政府参考人 先ほど来御答弁で申し上げております全国母子世帯等調査によりますと、平成二十三年度、一人親家庭の子供の高等学校卒業後の進学率は四一・六%、これは、大学等、大学、短大、専修学校等に在籍している者の割合ということでございます。

堀内(照)委員 一般家庭では七割、八割の高等教育への進学率ですが、母子家庭だとおよそ半分の四割台になるわけです。

 今回の児童扶養手当の議論の中でも、先ほどもありました、総合的に支援していくんだということで、いろいろ私もメニューを見ましたら、子供の学びを応援するということもありました。

 しかし、それだけで本当に解決するのかということです。そうした支援で勉強ができるようになっても、いざ進学する際に先立つものがなければ諦めなければならない、こういうことではやはり意味がないと思うんです。一番苦しいところをもっともっと応援していくということがやはり必要だ。

 この支給、二十歳未満というのが野党提案でありますけれども、それを引き上げていくということについて、大臣、ぜひ私は必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 児童扶養手当の支給対象年齢について、高校進学率が九割を超えて、高校卒業の年齢までの間、働いてみずから生計を立てるケースがほとんどないというこの事実を考慮して、十八歳の年度末、こういうふうに今はなっているわけであります。

 大学進学機会の確保のために、支給対象年齢を引き上げて、大学在学中も支給対象とすべきという御提案については、大学に行かずに、高校を卒業して就職をされるという方々もおられるわけでありますので、そことのバランスを踏まえると、なかなかまだそういうことは難しいのではないかというふうに思っております。

 政府としては、やはりさまざまな支援策を組み合わせていくわけでありますので、一人親家庭を含む子供の大学等への進学機会の確保については、奨学金の充実などによって、教育費負担の軽減によって対応していくということにしているわけでございまして、こうした取り組みの充実を含めて、一人親家庭の自立の促進に総合的に取り組まなければならないというふうに思います。

堀内(照)委員 バランスと言われますけれども、今の経済状態だから四割にとどまっているわけで、ここに支援が行けば、もっと母子世帯の子供の進学率も上がっていくと思うんですよね。

 それでは結局、今の議論では、バランスを理由に、金がない人は大学に行くなということになるのかと思うんですね。これは、一人親家庭だろうが二人親家庭だろうが、経済的理由で進学を諦めるような事態というのはやはりなくすというのが私は政治の責任だと思います。

 昨年十二月二十二日付の毎日新聞で、慶応大学の学生のことが紹介されておりました。

 彼女は、中学校のときに母親がリストラに遭って派遣社員になった。勉強が得意だったけれども、塾に通う余裕がなかった。受験対策が必要な進学校は諦めた。それでも、高校時代は進学資金をためるためにアルバイトをした。部活でくたくたになった後、夜十時まで働いた。勉強はそれからだ。働かないと進学の道が途絶えるが、働いただけ勉強時間が減るというジレンマ。高校三年生になって、バイトでためたお金で塾に通って、志望大学に合格をした。バイト代の残りも授業料の足しにもなった。精神的にも肉体的にもぎりぎりの毎日で、いつ進学を諦めてもおかしくなかった、こう言っております。ここまで頑張らないと進学への道が開かれないというのが現状なんです。

 この彼女が、今度の法改正に非常に期待したということも書かれてありました。これは、手当支給を二十歳まで延長してほしい、貧しいなら大学に行かずに働けと言われているような感じだ、これが彼女の言葉なんです。

 大臣、これをどう受けとめますか。

塩崎国務大臣 先ほども申し上げたように、さまざまな支援策というものを御用意して、厳しい環境にある若い人が育っていけるようにするというのが大事なんだろうと思います。

 今の問題は、一つ、例えば、これは今回、給付型の奨学金の話で随分出てまいりましたけれども、その手前にあったのが、授業料免除とか、そういうようなこともあるわけであります。

 いずれにしても、さまざまな政策ツールを用意し、また、民間でも、あるいは国立大学もそうですけれども、そういったところでも対応する仕組みというものを幅広く持っていただくということも、みんなで育てよう若い人たちということになるのではないかなというふうに思います。

堀内(照)委員 まだ全然具体化にもなっていない話でありまして、今すぐできるのがこの手当の拡充ということですから、ぜひやるべきだ。

 最後に、野党案は、私がこれまで指摘してきました、支給を拡充していくこと、毎月支払いを行うことなどなど、一人親家庭の現実から見ればどれも待たれているものをしっかり提起しているんだと思うんです。

 この法案の意義について、最後に提案者に伺って、質問を終わりたいと思います。

高橋(千)議員 お答えいたします。

 子供の六人に一人が貧困世帯、うち一人親家庭は二人に一人ということはよく知られておりますが、しかし、母子家庭でも八一%、父子家庭では九一%が就労しており、OECD平均六六・五%と比べても、就労率は既にとても高いです。

 ダブル、トリプルと働いても、非正規で、最賃に張りつく低賃金。父子家庭は、二〇〇六年には三百九十八万円だった平均年収が、五年後には三十八万円も下がっています。長時間労働や出張、転勤が当たり前の職場が多い中で、これまでと同じ働き方ができないことが要因にあると思います。収入が少しふえれば支給額を打ち切る、あるいは減らされる。貧困からなかなか抜け出せません。

 一人親家庭の子供のうち、大学、大学院へ進学したいという希望が三八・五%もあるのに、実際の十九歳時点の就学状況では二〇・六%にとどまっております。

 野党案は、こうした一人親家庭の経済状況に鑑み、貧困の連鎖を断ち切るためにも、命綱とも言える児童扶養手当を、対象年齢あるいは多子世帯あるいは使いやすさという角度から支援を拡充しようとするものです。もちろん、大臣の言う組み合わせも当然必要なことでありますが、決定的なものとしてぜひ実現させていきたい、このように思っております。

 ありがとうございます。

堀内(照)委員 ありがとうございます。終わります。

渡辺委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 おおさか維新の会の浦野です。本日もよろしくお願いします。

 きょうは、二回ほど委員会に来ていただいて、結局時間切れで質問をできなかった三浦老健局長、やっと、きょうは一番最初にやりますので、お答えをいただきたいと思います。

 日本ライフ協会の話なんですね。これは参議院でも津田議員が取り上げて、質疑を行っております。私もその議事録を読ませていただきました。

 公益財団法人でしたので、内閣府からも担当者に来ていただいて、厚生労働省からも担当者に来ていただいて、これはどうなっているんだという話をしました。

 すると、内閣府の方は、公益の資格は剥奪したので、もう私たちは関係ありませんということを言うんですね。まあそれは確かにお役所仕事、お役所の人ですから役所仕事は当然なんですけれども、でも、公益の許可を出したのは内閣府なんですよね。

 それで、何かおかしいと気づいて、ちょっと調べたけれども、そのとき既に非常に状況が悪化していて、もうどないもいけへんようになって、こういう状態では公益を取り消すしかないということで、取り消しましたね。

 取り消したら、私たちは関係ないですという態度だったんですね。まあそれは百歩譲ってそうだったとしても、公益財団だということで信用して、日本ライフ協会にお金を預けた高齢者の方々が少なからずいてるわけですよね。

 私は、この態度は非常に腹が立ちました。久しぶりに腹が立って、どなり散らして、帰らせました。もうあなたたちに聞くことは一つもない、というか、もう何の期待もしないということで、内閣府の皆さん、二人いらっしゃったんですけれども、帰っていただきました。

 厚労省の担当、担当課というか、これは実は担当課がなくて困っているんですよね。正確に、公益財団の場合は、公益財団を監督する内閣府が今まではある程度の接触を保っていた。ところが、公益財団じゃなくなったから、手が離れた。すると、途端に、糸の切れたたこのように、こういった類いの団体を縛る法律が実は存在しなくて、どの省庁も手が出せなくなってしまったというんですよね。

 厚生労働省の職員も、正直、今現在、日本ライフ協会はもう破産手続、管財人も入っていますし、これは粛々とそういう手続が進んでしまうんでしょう。でも、同じことをやっている団体が実はまだたくさんあるんですよね。そこに対して、第二の日本ライフ協会が出てこないとは限らないわけですよね。そうなった場合に、では、国は、日本ライフ協会で問題が起こったのはわかっていて、現状も、取り締まる、しっかりと見る法律がないということも認識している上で、何を今しているんですかという話だったんですね。

 今既にそういうところがある以上、これは早く対応してあげないと、もう既に、初めて国会でこういう話が出てからもうすぐ一カ月がたとうとしています。それで、内閣府がこの事実を把握してからももう大分、何カ月かたっていますよね。私は、その間、では何もしてこなかったのかとは言いません。恐らく厚労省の方々も、この件に関してどういう対応ができるのかというのはかなり、かなりというか検討されたんだと思うんですね。その結果、取り締まる法律がない、当てはめられるものがないという結論で、今、ではそれをどうしましょうという話になっていると思うんです。

 この数カ月の間に、では、それをきっちりとできてきたのか、今どういうふうに考え、やろうとしているのかというのを、三浦さん、お願いします。

三浦政府参考人 身寄りのない高齢者などを対象といたしまして見守りや葬儀などに関するサービスを行う事例について、現在、私どもとしては情報収集をしているところでございます。

 例えば、葬祭費用などに備えるための葬祭互助会、葬祭等が確実に行われることを担保するための葬儀信託サービス、弁護士、司法書士などによる死後事務委託契約など、民間企業などにおいてもさまざまな取り組みが行われているということがわかってまいりました。

 私ども、今申し上げましたような把握した情報も踏まえて、今後とも引き続き、関係省庁との情報交換を進めるとともに、厚生労働省として何が求められるかということにつきまして検討を深めてまいりたいと考えているところでございます。

浦野委員 今お答えいただいたように、現状どうなっているかというのは調べていただいて、内閣府は、私たちはもう全く関係ありません、だまされたあの人たちが悪いんですみたいな態度でしたけれども、厚労省はそういうわけにはいかないと思うんですね。やはりどこかの官庁がきっちりと対応しないと、これに対応する省庁も決めていなくて、次に同じ問題が起きたときに、何もできませんでしたとなった場合、それは国の不作為だと私は思いますので、それはしっかりと、早急に、すぐに対応できるものを、立法府なわけですからつくれるわけですよ。それは、だから、やる気次第やと思っているので、これはぜひすぐにつくっていただきたい、そういうのをちゃんとできる、取り締まれるようなものをちゃんとつくってもらいたいなというふうに思っていますので、きょうはここまでにしておきます。よろしくお願いをいたします。

 何回も来ていただいて、出番がちょっと少なかったですけれども、ありがとうございました。

 きょうは閣法と衆法の審議ですので、質問に入っていきたいと思います。

 きょう午前中からもずっと質問が続いていますけれども、私、手当の金額が、今、現行法が幾らで、今からそれを上げていくという法案になるわけですけれども、なぜこの金額になっているかということをちょっとおさらいで教えていただきたいということで、閣法と衆法と両方、答弁をいただけたらと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 今回の児童扶養手当の多子加算でございますけれども、これはけさほどから何度も御質問いただきまして、大臣からも御答弁申し上げておりますが、やはり一人親家庭のお母様、御家族、子育てと生計の維持を一人で行っているということで、特に子供がふえた場合、二人、三人となった場合に非常に負担が大きい。生活に必要な経費も増加するということで、これはきめの細かい支援が特に必要であろうということで、この間、夏以来、これは総理からの御指示もありまして、検討を進めてきたものでございます。

 児童手当の本体の額は、ことし、スライドで上がって、現在四万二千三百三十円になっておりますけれども、第二子の加算につきましては、今から三十六年前ですが、昭和五十五年に、当時のいろいろな考え方でセットした金額が五千円、三子以降の加算については、これは平成六年、二十二年前の水準ということで、それ以来引き上げを行ってきていないというのは、こういった背景がございます。

 今般、これも何度もきょう御答弁申し上げておりますが、十二月にすくすくサポート・プロジェクトを策定いたしました。この中では、児童扶養手当の引き上げもそうですが、就労支援、あるいは学習支援、子供の居場所づくり等々、さまざまな総合的な支援を行う中で、特に現金給付の場合には大きな財源を必要といたしますので、確保できる財源の範囲内で最大限の手当てをしようということで、最終的には、関係大臣、財務大臣と厚労大臣の大臣折衝まで行わせていただいて、最大限の手当てをするということで、加算額の倍増、最大二倍ということでセットをさせていただいたということでございます。

西村(智)議員 公的給付の支給額について、決定方法はそれぞれの目的、また成り立ちといいましょうか、生い立ちによってそれぞれであろうというふうに思っております。

 私ども、今回、児童扶養手当、多子加算を倍増するということで提案をさせていただいておりますけれども、これによります効果は、厚生労働省の試算によりますと、相対的貧困率が改善する。つまり、児童扶養手当の第二子以降の加算額を一万円とした場合に、子供がいる現役世帯で大人が一人である場合の相対的貧困率が、五四・六%から五三・二%へと一・四%減少する。これは厚生労働省からやってもらった数字でございます。

 こういった試算も参考にしながら、先ほどありましたとおり、やはり一人親家庭の、子育てと生計の維持を一人の人が担わなければいけないという困難さ、置かれている経済状況等に鑑みまして、その福祉の増進を図るために、第二子以降の加算額を一万円へと引き上げることとさせていただきました。

浦野委員 要は、この金額は、財源、お財布との相談で、大体、今までの流れの中でこういうふうに決めてきましたというのが現状やと思うんですね。だから、実際、果たして本当にこの金額で皆さんが十分その生活をよりいいものにできていけるのか。何にこれだけ必要で、何にこれだけ必要、だからこの金額を児童扶養手当として出すんだというのではなくて、財源との問題で、この金額に一応しているんだというのが実態だと思うんですね。

 私は、だから、そこはもうちょっと、何にどれだけのお金が必要かという実態に即してこういう金額を決めていくのが本来じゃないかなと。確かに、難しいのはわかります、わかりますけれども、本来はそういう手法で金額を決めるのが当然だと思っています。上げれば上げるだけ皆さん助かりますから、それはええことだとは思いますので、それは、金額を上げるということに関しては僕は間違いじゃないと思ってはおります。

 次に、衆法の方にお聞きしますけれども、これは今、対象の年齢を上げるという項目を含んでおります。これも、恐らく、皆さんも多分僕と同じだと思うんですけれども、成人年齢が、今、二十から十八に引き下げようという議論がなされています。それを前提に、今回、十八歳から選挙に行けるという法案が通って、先行して十八歳から選挙に行けるようにしましょうということで十八歳になりました。恐らく、どこかのタイミングで成人年齢も二十から十八歳に下がる、私はそういうふうに思っています。

 今回、逆に対象を十八から二十に上げましょうということになるんですけれども、今回のこの法案のそういった取り組みと成人年齢の上げる下げるというこの議論というのはリンクしないと私は思っているんですけれども、その辺の考えをお聞かせください。

井坂議員 ありがとうございます。

 おっしゃるように、成人年齢については平成二十七年の公職選挙法で二十から十八歳に引き下げられて、その後、民法や少年法、その他の法令における年齢条項の引き下げについては今後検討されることというふうに承知をしています。

 今回我々が提出した法案が成立をしたその暁には、成人年齢の見直しの議論の中で、児童扶養手当の支給対象についても議論の対象になり得るというふうに考えています。しかしながら、委員もおっしゃったように、その際には今回の改正の趣旨、すなわち、我が国の一人親家庭の相対的貧困率はOECD諸国の中で最悪であるということ、また、一人親家庭の進学率が低い現状、こうしたことに鑑みて、やはり貧困の連鎖を断ち切る、この法改正の趣旨で、一人親家庭の子供が大学等に進学しやすくなるように支援する、今回の改正の趣旨を十分に踏まえて議論されるべきであるというふうに考えています。

 今国会で提出されている児童福祉法の改正でも、やはりこの支援対象を十八から二十まで延長する、こういうことが出ているわけでありますが、これらも、成人年齢が今後引き下げられたとしても、再び十八歳に戻ることは想定されていないものだというふうに考えています。

 以上です。

浦野委員 今、井坂委員がおっしゃったように、これから審議する予定になっている中でも、二十歳に引き上げようという部分は、今まさにおっしゃったところで出てきます。私は、恐らく、ほとんどの皆さんが同じ意見だと思っていますので、それをちゃんと確認しておきたいというふうに思って質問をさせていただきました。

 最後の質問ですけれども、これは毎月支給にするというところで、朝からずっと議論があります。法案を提出されている方からその法案の内容を否定するような質問があるのはちょっとどうかと思って、まあまあおもしろかったんですけれども、ただ、私は今、大阪の箕面の倉田市長のおっしゃっているやり方、これは本当に現実的でいいと思うんですね。やはり、地方自治体の責任を持って、つかさを負っている方々からそういう具体的な提案もちゃんとあって、実際にもう実践をされている首長さんがいてる中で、できないことはないと思いますし、私、今回の質問で事前にお聞きしようと思っていたのは、費用がかさむんじゃないかという、ここだけだったんですよね。

 朝からの質疑の中で、そんなに実は費用もかからないんじゃないか、これは倉田市長のおっしゃるように、かからないんじゃないかということももう出てきています。私は、そうであるならば、やはり現実的な対応として、別に、そういうふうに書きぶりを変えたからといって、国が今提出している法案の中身が大きく変わるわけでもないわけです。それは市町村が自分たちの自主的な取り組みで、裁量で決められるようになるというだけの話ですので、私はこれは現実的な選択肢だと思っていますけれども、この部分に関して、衆法の提出者の方に思いを述べていただけたらと思います。

初鹿議員 どうもありがとうございます。

 まず、前提として、なぜ毎月支給にするという改正案の提出をしたかということですけれども、先ほども御答弁させていただいておりますが、今回の法改正に当たって、一人親家庭等の当事者の方や貧困問題に取り組んできた方々に御意見を伺った際に真っ先に上がったのが、支給を毎月にしてほしいということでありました。

 やはり受給者の生活実態に合わせていくということが我々政治の使命ではないかというふうに考えておりまして、まず、我々の案としては、一人親家庭の家計を安定させるために、毎月支給という御提案をさせていただいているところであります。

 先ほどの大西議員の質疑の中でも御発言がありましたけれども、箕面市の倉田市長も自治体の工夫でできるのではないかということもおっしゃっておりますし、振り込みの手数料については自治体はかからないということでありますので、費用としてはさほど多くかかることではないというふうに認識をしております。その上で、今委員からの御指摘がありますとおり、現実的に可能なところから始めていくという倉田市長の提案というのは、私は非常に有意義ではないかというふうに考えております。

 与党、野党の皆さんがここで賛同していただけるならば、この趣旨で修正を行うということも検討の必要があるのではないかというふうに我々も考えております。

浦野委員 今答弁いただいたように、私もそのとおりだと思っています。これは与党の皆さんがどういうふうにお考えになるかということだけになるとは思いますけれども、私は、これはいい提案だと思っていますので、ぜひ与党の皆さんも検討していただけたらなと思っています。

 時間が来ましたので、終了させていただきます。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 西村智奈美です。

 きょうは、堀内委員に御理解いただきまして、質疑の順番を入れかえさせていただきました。どうもありがとうございます。

 それで、きょうは児童扶養手当法の一日目の質疑ということでございます。

 一人親家庭等への支援策として、政府は、就業・自立に向けた総合的な支援というふうに施策を強化して、子育て・生活支援策、就業支援策、養育費の確保策、経済的支援策、この四本柱によって施策を推進するというふうに示しています。

 私も、児童扶養手当のあり方、そして一人親世帯に対する支援策、これについていろいろ考えてくる中で、よかれと思ってやってきたこと、とてもたくさんあります。児童扶養手当の額の増額はもちろんですし、民主党政権のときには父子家庭に対象を拡大するということも行いました。それから、自立支援のための職業訓練、またいろいろな支援策、こういったものも、職につくための、あるいは自立するための第一歩として、メニューはいろいろ取りそろってきたというふうに思っています。

 ところが、肝心の社会の状況ですね。一回そうやって例えば就職ができたとして、あるいは、本当に高度な職業訓練を受けて看護師とか介護士、そういったところに就職できたとして、やはりそこから先も困難があるというのが今の日本の雇用の現状なのではないかというふうに思います。

 ですから、政府が例えば就業支援とかいろいろなことをおっしゃっていますけれども、それをやっていくのはもちろん必要なんだけれども、それだけでは足りなくて、やはり雇用慣行そのものを見直していく。

 つまり、正規、非正規、同じ働き方をしていたら同じ賃金を受け取ることができる。これは、非正規と正規の違い、あるいは常用と、それからパートやアルバイトといったものだけではなくて、違う仕事をしていても同じ価値の仕事をしていたら同じ賃金を受け取ることができるというところまで踏み込まないと、私は、せっかくこれだけメニューをいろいろ取りそろえて、児童扶養手当も、今衆法として出しているものにぜひ賛同いただいて、多子世帯に対する額も倍増していきたいと思いますけれども、こうやってせっかくいろいろやっていっても、結局、根本のところは変わっていかないんじゃないか、依然として一人親世帯が、一人の親が子育てと生計の維持を担わなければいけないというこの困難さに加えての経済的困窮の状態というのはやはり続いていってしまうのではないかというふうに考えているんです。

 それで、大臣に一点目伺いたいと思いますけれども、そういう日本特有の問題ですね。

 先ほども高橋委員への答弁だったかであったかと思いますけれども、日本の一人親は働いているんです。本当に働いています。母子家庭で八割、父子家庭で九割ですから。ほかの国を見ると、六割とかいうところが結構ありますよね。そういった中で、働いているにもかかわらず、著しく低い賃金などの低待遇に置かれているということが問題なのであって、そういう状況を解決していくことがやはり必要だというふうに思いますが、これについての大臣の認識をお聞かせください。

塩崎国務大臣 私も余り労働政策というのはそう詳しい方ではなかったままに厚生労働大臣を拝命して、この一年半余り、結局、一番本質的に重要なのは働き方改革なのではないかという思いを日に日に強めてまいりまして、これは、総理が既に、これから三年間の、将来三年間の最大のチャレンジは働き方改革だということを明言しているわけで、それがゆえに、その中心的課題である同一労働同一賃金に踏み込むということを総理自身が言い始めて、施政方針演説の中で明らかにしてきたわけであります。

 今先生は同一価値労働同一賃金とおっしゃっていますが、とりあえず同一労働同一賃金としても、踏み込むということに関しては同じ思いであって、日本ではできないということはないはずだというふうに私も思っておりますので、何が隘路になって、何をしなければいけないのかということは、今、同一労働同一賃金に関する検討会もスタートさせていただいておりますので、そういう中で働き方全般についても深く考えていかなければならないし、それが、今お話が出ております、特に一人親の非正規での低所得の中での貧困の問題ということが、解決でき得る方法が見出し得るのではないかというふうに思ってもおりますので、これについてしっかりやっていきたいというふうに思っております。

西村(智)委員 同一価値労働同一賃金と同一労働同一賃金の違いは少なくとも大臣は御理解くださっているというふうに今答弁から受けとめました。一年半前大臣に就任されたときは労働政策にお詳しくなかったとみずから認められたんですけれども、一年半でよく学習されたのではないかなというふうに思いますが、安倍総理が言っている同一労働同一賃金、これは習熟度などという物差しが入ってきますと、ますます格差を広げて固定化してくるおそれが強いというふうに思いますので、そこはよくよく注意をして今後の制度設計に臨んでいただきたいというふうに思います。経団連なども早い段階から習熟度といった言葉を繰り返し発言しておられたようですけれども、少なくとも大臣は、そこのところの問題点は、本当に、一年半大臣をやられたので御存じだというふうに思います、私がもう申し上げるまでもないですが。

 これはやはり入り口の話になってしまうんですね。雇用管理が全く違うという、つまり、習熟度が違うというふうにばさっと壁をつくってしまうと、どうしてもそこの間で移動できないということがまた起こってしまいかねないので、そういった問題点があるということはこれから議論が始まっていく中での注意点だというふうに思いますので、そこは申し上げておきます。

 それで、児童扶養手当についてであります。

 一点、まず伺いたいのは、今回の多子世帯への加算を行うに際して、財務省との大臣折衝ペーパーがございました。これを拝見いたしましたら、不正受給を防止しなければいけないということがまたあえて書かれていて、その中で、養育費の話し合いが行われたかどうか、その有無を問うことになると思われるような文言が記載されておりました。

 養育費の取り決めをしている例えば離婚したカップル、養育費の取り決めをしているのはおよそ四割、実際に受け取っているのは二割であります、定期的に。その中で、養育費の話し合いをしたかどうかということを問うということは、これは現況届といいましょうか、現況届になるのかな、申請書になるのかな、そこに例えば養育費について話し合いをしましたということを確認するような項目を新たにふやすということになるんでしょうか。

塩崎国務大臣 養育費の問題でございますけれども、日本は特に芳しくないところがあって、それが一人親家庭の貧困につながっているということがよく指摘をされているわけであります。

 ちなみに、養育費の取り決め率というのは三八%、受給率は二〇%という低水準であって、養育費の取り決めの促進を初めとして、養育費の確保が重要であるということは間違いないんだろうというふうに思います。

 今お話しでございましたけれども、今回の児童扶養手当の多子加算の拡充に当たって、養育費確保を促進する観点から、新規認定申請書の様式を変更して、養育費の取り決めの有無を記載する欄を設けるということを今検討しているところでございます。これは、自治体の窓口において、児童扶養手当の申請者の状況に応じて、養育費確保のためのさまざまな支援策につなげていくということが目的でございまして、その活用をするということを考えているものでございます。

 養育費について取り決めること自体は児童扶養手当の支給要件ではなくて、養育費の取り決めをしないと児童扶養手当を受給できないというようなことではない、自治体にはこの趣旨を周知徹底しているところでございまして、養育費をしっかりと得た上で、しっかりと生活ができていくということが大事だということでございます。

西村(智)委員 ちょっと済みません、聞き漏らしたんだと思うんですけれども、一点確認させていただきたいですが、例えば、そこに、どういう書き方になるのか、話し合い、取り決めをしました、マル、バツ、あるいは、今話し合い中ですというような項目になるのか。あるいは、そこが空欄になっていても申請書は受け取られるということでよろしいですか。記入していなくても申請書を受け取る。

塩崎国務大臣 まず第一に、現行どうなっているかというと、新規認定の申請及び現況届において、養育費を受け取っている場合、受け取った養育費の額を記入するとともに、養育費の額や受取人などを記した養育費等に関する申告書というのを添付することになっているんですね。

 今回は、新規認定申請書に養育費の取り決めの有無の欄を設けるということを検討中でありまして、現況届の様式の変更は考えておりません。

 今、書いていなかったらどうなんだ、受け取らないのかということですが、これは、受け取るということであります。

西村(智)委員 確認いたしました。

 それで、竹内副大臣がお見えになりましたので、続けて、児童扶養手当のことについて質問を続けたいと思います。

 お忙しいところどうも済みませんでした。

 先ほど来、何人もの委員が質問しておりましたとおり、私たち、今回の衆法の中で、一つのポイントとして、支給回数を毎月にするという提案をさせていただいております。

 野党の方からは応援のメッセージもいただいて、大変心強く思っておりますが、与党の皆さんはどういうふうにお考えになっておられるのかなとちょっと心配でありました。

 それで、そんな心配の中でいろいろ調べておりましたら、大変心強い情報を得ました。それは、公明党の皆さんが、平成二十二年、第百七十四国会で、児童扶養手当法の修正案を提出しておられまして、この中で、児童扶養手当の支給回数を三回から六回に引き上げるという提案をされていたということであります。ここにいらっしゃる古屋範子委員が趣旨説明をされておられて、もう一人の提出者は元大臣の坂口先生であられたということでした。これは、私は大変意を強くいたしました。

 それで、竹内副大臣にお伺いしたいんですけれども、当時、まだ行動経済学的なアプローチが余りなかったとは思うんですけれども、支給回数を年六回にするということを盛り込んでいた、この理由についてお伺いをしたいと思います。

竹内副大臣 お答えします。

 公明党が平成二十二年に提出いたしました児童扶養手当法改正法案に対する修正案におきましては、受給者の利便性に配慮する観点から、支給回数を年六回とすることを盛り込んだと伺っております。

西村(智)委員 利便性に資するということで年六回という大変シンプルな理由で提案をされたということでありました。

 これは、実は理にかなっているんですね。例えば、公的給付というのはいろいろなものがありますけれども、年金とは何か。年金は、大臣、どういうお金でしょうか。位置づけ、どういうお金なのか。

 では、私の方でもう答えを言ってしまいますと、年金というのは年単位で額が決定されるものですよね。ところが、あれこそまさに、今、竹内副大臣がおっしゃったように、受け取る側の利便性等々を考慮して年六回支給されているんです。

 児童手当あるいは児童扶養手当、これは、額は月単位で決まっています。つまり、月ごとの給付であるべきというのが法律の要請事項なんです。ところが、支給は年三回ずつということになっていると、本来年単位のはずの年金が年六回で支給されているのに、毎月ごとの額の決定となっている児童手当、児童扶養手当もそうですけれども、それが年三回という支給回数ということは、これはやはりちょっと論理的にもおかしいのではないかというふうに私は思うのですね。

 それで、竹内副大臣に重ねてお伺いをいたしたいと思います。

 支給頻度を六回にするということで、私は、その必要性を今も公明党の皆さんは御理解くださっているものだというふうに確信をしております。

 今回の衆法、私たちの提案は、年十二回に引き上げるというものであります。年六回よりもさらに多くなっているわけですけれども、これこそまさに利便性につながってくるというふうに思いますので、ぜひ、副大臣のお気持ちとして賛成の意をあらわしてはいただけないか、この意味で質問したいと思います。

竹内副大臣 お答えいたします。

 まず、整理をして申し上げる必要があると思っておりますので、改めて申し上げます。

 児童扶養手当の支給回数をふやすことの御提案が今あったわけでございますが、一人親家庭の生存にかかわるナショナルミニマムでございますので、これをまず確保する必要があるということで、手当の支給事務につきましては全国一律に実施しているという事実がございます。例えば、国民年金や児童手当、障害児福祉手当などの他の制度でも、全国一律の基準で行うべき事務については、法律で支給回数及び支給月が規定されているところでございます。

 現行の年三回よりも支給回数をふやすことの御提案でございますけれども、事実婚の確認など、一定の期間をかけて調査を行わないと過払いが発生する懸念もあるということもございますし、また、そういうさまざまな課題が自治体からも指摘されているところでございます。

 当時、平成二十二年に支給回数を公明党が六回とすることについて提案したことにつきましては、当時の山井厚生労働大臣政務官から、振り込み手数料の増加や自治体の事務負担から大変厳しいとの御答弁をいただいたところでございまして、この点を申し上げておきたいと思います。

西村(智)委員 竹内副大臣、その点につきましては、山井元政務官も、そこの答弁席ではっきりと、当時はそういう苦渋の判断で答弁をいたしたけれども、今になってみれば、やはり反省すべきであるというふうに明言されておりますし、これほどまでに、先ほどから塩崎大臣の口からも何度も何度も、山井政務官が、山井政務官がと、いらっしゃらないのに、どれだけここで名前を繰り返されたら気がお済みになるのかなと。もうそろそろその話は当時の話として、私どもはその反省の上に今回の衆法を提出いたしておりますので、ぜひその思いを酌み取っていただいて、賛成をしていただきたいというふうに心からお願いをいたします。

 竹内副大臣がいらっしゃらないときに、私どもの党の委員から、例えば、自治体ごとに条例をつくって対応できるように、幅を持たせて三回以上としたらどうかという提案もさせていただきました。

 また、自治体の業務についても、大阪の箕面市の倉田市長などは、実はそんなにかからないんだ、振り込み手数料もかかっていない、かけていない自治体の方が多いんだというような指摘もありましたので、ぜひそこのところはフラットにして、今後また修正等々のお願いもさせていただくことになると思いますけれども、よろしくお願いをいたします。

 それで、残りの時間で、保育料の問題について、内閣府から来ていただいていますので、重ねて質問したいと思っております。

 先月、私は、多子世帯における保育料が急に値上がった世帯が現実問題としてあったということを質問いたしました。

 それで、これは子ども・子育て会議の無藤会長も、実は多子世帯の第三子以降の子供たちの保育料が上がることについては子ども・子育て会議で余り議論していなかったというふうに率直にお認めになっています。

 だから、少なくとも、全ての自治体の全ての世帯でやってくれというふうには申しません、だけれども、サンプル調査をやって、一体どういう場合に、どういうケースで保育料が値上がっているのか、実際に、二万五千円とか三万円とか、急に値上がりしているお宅もあるんですよ。こういったことは大変大きな問題だというふうに思いますので、サンプル調査くらいはしていただきたい。

 これについて、改めて答弁をお願いできないでしょうか。

高木大臣政務官 お答えをいたします。

 西村委員、多子世帯の保育料問題に熱心に取り組んでいただいておりますけれども、委員御承知のように、年少扶養控除のみなし適用については、市町村の事務負担が大きい、そして、年少扶養控除の廃止後一定期間が経過していること、さらには、今後、他の税制改正が行われれば再計算が相当複雑になる可能性があるということを考慮して、新制度の実施主体となる市町村の御意見も踏まえつつ、子ども・子育て会議で御議論をいただいた上で廃止することとしたものであります。

 一方で、委員御指摘のとおり、子ども・子育て支援新制度における保育料の算定については、年少扶養控除のみなし適用を行わないことにより、子供が三人以上いる世帯において負担増となる場合があり得ると想定されていたため、市町村の判断により、既に入園している子が卒園するまでの間に限り、年少扶養控除のみなし適用を行う経過措置を講じることを可能としているところでございます。

 こうした廃止に至る背景や経緯、経過措置を設けていること、あわせて、当該経過措置を講ずるか否かについてはそれぞれの状況に応じてなされた各市町村の判断をしっかり尊重することが適切であると考えることから、委員、今サンプル調査でもやってはどうかという御指摘がありましたけれども、御指摘のような調査を行うことは考えてはおりません。

西村(智)委員 少子化という言葉が出てきてどのくらいですかね、もう二十年以上になるかと思いますけれども、今も安倍政権は希望出生率一・八を実現すると言っているわけですよね。つまり、女性の活躍促進ということもあって、女性には外に出て働いてもほしいし子供を産んで育ててもほしいしという、本当に大変なスーパーウーマンをたくさんつくろうとしておられるわけなんですよね。

 ところが、実際に、では、二人、三人と子供が現にいらっしゃる御家庭に対しては、保育料が上がってもその実態の把握は全く政府としてはしませんというのは、これは本当に、どうなんですか。私はやはり、経過措置を設けるというその前段で、みなし適用をやめることにしたというあの内閣府令、あれがそもそもの問題のスタートだったというふうに思っています。

 今は経過措置を講じている自治体においても、新しく入園してくる子供たちは新しい仕切りによってまた高い保育料を請求されるようになってくるわけですよね。こうならないために、少なくとも実態はきちんと把握をして、それこそナショナルミニマムの話ですから、そこはやはりやるべきだということは重ねて申し上げたいと思います。

 これは私、この前、副大臣にもお願いしたんですけれども、相変わらず同じ答弁だというのは、安倍政権の子育てに対する余りにも冷たい姿勢がやはりよくあらわれていることだというふうに言わなければなりません。

 それで、さっき政務官はおっしゃらなかったんだけれども、これは塩崎大臣も、多子世帯に対しては保育料を段階的に軽減していきますからみたいな話をよくされるんですね、年収三百六十万円未満相当の世帯に対してということなんですけれども。

 これは、先ほどからも児童扶養手当の話でもあるんですけれども、子供が二人、三人、四人になっていくと、やはりかかってくるお金はふえてくると思うんですよ。これは先ほど大西議員が示されたデータの中でも明らかです。ここは政府とは、今回の児童扶養手当法については見解が異なるところですけれども、私はやはり、今の例えば教育費のかかり方とか、いろいろ見ていると、二人目、三人目で、例えばお兄ちゃんやお姉ちゃんのお古を着て、それで済んでいますみたいな話などというのは、もうなかなか現実的じゃないというふうに思うんですね。

 だから、やはり、子供が多くなれば多くなるほど、かかる負担もふえていくということからすると、今回の多子世帯の保育料負担軽減というのは、子供が何人でも同じ年収三百六十万未満世帯というのが条件になっているんですよね。これはやはりおかしくないですか。子供の数あるいは年収によってもう少し細かく見ていくとか、それこそがきめ細かな対策ということになりはしないかというふうに思うんですけれども、いかがですか。

高木大臣政務官 子供が何人でも同じ三百六十万円未満とした理由ということについてでありますけれども、子ども・子育て支援新制度においては、政府としても、第二子、第三子以降の保育料の減免にかかわる所要の措置を講じているところでありまして、特に平成二十八年度当初予算においては、多子世帯の保育料負担軽減として、年収三百六十万円未満相当世帯について、多子計算にかかわる年齢制限を撤廃して、第二子半額、第三子以降無償化を完全実施することとするとともに、一人親世帯等の保育料負担軽減として、年収三百六十万円未満相当の一人親世帯等への優遇措置として、第一子は半額、第二子以降は無償とすることとしており、それぞれ所要の経費を計上したところであります。

 当該保育料負担軽減策の適用にかかわる所得基準が世帯の子供数にかかわらず同じである点については、子供二人の世帯よりも、子供三人以上の世帯の方が、適用により享受するメリットが一般より大きくなると考えられるため、当該措置は十分に多子世帯に配慮した仕組みであると考えております。

 なお、御指摘のような、子供の数によって所得基準が変わるといった仕組みを採用した場合には、市町村の事務負担が増大することについて留意が必要であると考えております。

西村(智)委員 終わりますけれども、この多子世帯の保育料の負担軽減、あるいは一人親世帯への負担軽減、対象世帯何人ですかと聞いても、答えが出てこないんですよ。つかみ金で百億円です、割り返すと三十五万人ぐらいになるかなと言うので、本当にエビデンスが全くない中で、つかみで、雰囲気で保育料の軽減というのをやろうとしている。こういうやり方では、本当に必要なところに必要な施策が届かないということを指摘して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次回は、来る十三日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時七分散会


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