衆議院

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第15号 平成28年5月10日(火曜日)

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平成二十八年五月十日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 秋葉 賢也君 理事 小松  裕君

   理事 後藤 茂之君 理事 白須賀貴樹君

   理事 西村智奈美君 理事 初鹿 明博君

   理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    小倉 將信君

      大串 正樹君    木村 弥生君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      高橋ひなこ君    谷川 とむ君

      中川 俊直君    永岡 桂子君

      長尾  敬君    丹羽 秀樹君

      丹羽 雄哉君    比嘉奈津美君

      福山  守君    堀内 詔子君

      牧原 秀樹君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    山下 貴司君

      大西 健介君    岡本 充功君

      郡  和子君    重徳 和彦君

      中島 克仁君    中根 康浩君

      柚木 道義君    伊佐 進一君

      角田 秀穂君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    堀内 照文君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   厚生労働大臣政務官    三ッ林裕巳君

   参考人

   (NPO法人全国地域生活支援ネットワーク代表理事)

   (社会福祉法人ゆうゆう理事長)          大原 裕介君

   参考人

   (一般社団法人日本ALS協会常務理事)      金澤 公明君

   参考人

   (社会福祉法人プロップ・ステーション理事長)

   (財政制度等審議会委員) 竹中 ナミ君

   参考人

   (日本社会事業大学特任教授)           佐藤 久夫君

   参考人

   (一般社団法人全国児童発達支援協議会会長)

   (一般社団法人全国知的障害児者生活サポート協会理事長)          加藤 正仁君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  村井 英樹君     小倉 將信君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     村井 英樹君

    ―――――――――――――

五月九日

 若い人も高齢者も安心できる年金を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五九三号)

 同(池内さおり君紹介)(第一五九四号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一五九五号)

 同(大平喜信君紹介)(第一五九六号)

 同(笠井亮君紹介)(第一五九七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一五九八号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一五九九号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六〇〇号)

 同(清水忠史君紹介)(第一六〇一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六〇二号)

 同(島津幸広君紹介)(第一六〇三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一六〇四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六〇五号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一六〇六号)

 同(畠山和也君紹介)(第一六〇七号)

 同(藤野保史君紹介)(第一六〇八号)

 同(堀内照文君紹介)(第一六〇九号)

 同(真島省三君紹介)(第一六一〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一六一一号)

 同(宮本徹君紹介)(第一六一二号)

 同(本村伸子君紹介)(第一六一三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一六二一号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(川崎二郎君紹介)(第一六一四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一六一五号)

 同(福田達夫君紹介)(第一六一六号)

 同(宮腰光寛君紹介)(第一六一七号)

 同(今井雅人君紹介)(第一六二二号)

 同(原田義昭君紹介)(第一六二三号)

 同(前田一男君紹介)(第一六二四号)

 同(島津幸広君紹介)(第一六五七号)

 同(北村誠吾君紹介)(第一六六七号)

 同(初鹿明博君紹介)(第一六六八号)

 同(福島伸享君紹介)(第一六八九号)

 同(渡海紀三朗君紹介)(第一六九二号)

 同(井坂信彦君紹介)(第一七三〇号)

 同(後藤田正純君紹介)(第一七四八号)

 ウイルス性肝硬変・肝がん患者の療養支援、B型肝炎ウイルス排除治療薬等の研究・開発促進、肝炎ウイルス検診の推進に関する請願(福田昭夫君紹介)(第一六五五号)

 同(稲津久君紹介)(第一七四九号)

 同(江藤拓君紹介)(第一七五〇号)

 同(大西宏幸君紹介)(第一七五一号)

 同(大平喜信君紹介)(第一七五二号)

 同(門博文君紹介)(第一七五三号)

 同(後藤田正純君紹介)(第一七五四号)

 同(鈴木貴子君紹介)(第一七五五号)

 同(関芳弘君紹介)(第一七五六号)

 同(田畑裕明君紹介)(第一七五七号)

 同(武井俊輔君紹介)(第一七五八号)

 同(寺田学君紹介)(第一七五九号)

 同(長坂康正君紹介)(第一七六〇号)

 同(野間健君紹介)(第一七六一号)

 同(松浪健太君紹介)(第一七六二号)

 同(山井和則君紹介)(第一七六三号)

 同(吉田豊史君紹介)(第一七六四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一七九五号)

 同(荒井聰君紹介)(第一七九六号)

 同(井上貴博君紹介)(第一七九七号)

 同(漆原良夫君紹介)(第一七九八号)

 同(大隈和英君紹介)(第一七九九号)

 同(大塚高司君紹介)(第一八〇〇号)

 同(城内実君紹介)(第一八〇一号)

 同(小島敏文君紹介)(第一八〇二号)

 同(小林史明君紹介)(第一八〇三号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一八〇四号)

 同(斎藤洋明君紹介)(第一八〇五号)

 同(椎木保君紹介)(第一八〇六号)

 同(島津幸広君紹介)(第一八〇七号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第一八〇八号)

 同(田島一成君紹介)(第一八〇九号)

 同(田野瀬太道君紹介)(第一八一〇号)

 同(中川正春君紹介)(第一八一一号)

 同(仲里利信君紹介)(第一八一二号)

 同(原田憲治君紹介)(第一八一三号)

 同(船田元君紹介)(第一八一四号)

 同(松本剛明君紹介)(第一八一五号)

 同(丸山穂高君紹介)(第一八一六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一八一七号)

 同(八木哲也君紹介)(第一八一八号)

 同(吉川貴盛君紹介)(第一八一九号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(島津幸広君紹介)(第一六五六号)

 同(古川元久君紹介)(第一七六九号)

 国の制度による子供医療費助成制度の創設に関する請願(島津幸広君紹介)(第一六五八号)

 同(大西健介君紹介)(第一七三二号)

 空襲被害者の人間回復のための立法に関する請願(柿沢未途君紹介)(第一六六四号)

 同(初鹿明博君紹介)(第一六六五号)

 同(北村誠吾君紹介)(第一六七四号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一六七五号)

 同(秋元司君紹介)(第一六八〇号)

 同(高井崇志君紹介)(第一六八一号)

 障害者福祉についての法制度の拡充に関する請願(畑野君枝君紹介)(第一六六六号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一六八二号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一六九一号)

 同(ふくだ峰之君紹介)(第一六九五号)

 同(赤松広隆君紹介)(第一七〇〇号)

 同(荒井聰君紹介)(第一七〇一号)

 同(安藤裕君紹介)(第一七〇二号)

 同(井坂信彦君紹介)(第一七〇三号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第一七〇四号)

 同(小沢一郎君紹介)(第一七〇五号)

 同(大西健介君紹介)(第一七〇六号)

 同(大平喜信君紹介)(第一七〇七号)

 同(太田和美君紹介)(第一七〇八号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第一七〇九号)

 同(奥野信亮君紹介)(第一七一〇号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第一七一一号)

 同(岸本周平君紹介)(第一七一二号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第一七一三号)

 同(坂本哲志君紹介)(第一七一四号)

 同(笹川博義君紹介)(第一七一五号)

 同(重徳和彦君紹介)(第一七一六号)

 同(篠原豪君紹介)(第一七一七号)

 同(谷畑孝君紹介)(第一七一八号)

 同(玉城デニー君紹介)(第一七一九号)

 同(寺田学君紹介)(第一七二〇号)

 同(仲里利信君紹介)(第一七二一号)

 同(長坂康正君紹介)(第一七二二号)

 同(長崎幸太郎君紹介)(第一七二三号)

 同(西村明宏君紹介)(第一七二四号)

 同(原田義昭君紹介)(第一七二五号)

 同(松本剛明君紹介)(第一七二六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一七二七号)

 同(村岡敏英君紹介)(第一七二八号)

 同(吉野正芳君紹介)(第一七二九号)

 同(稲津久君紹介)(第一七三五号)

 同(漆原良夫君紹介)(第一七三六号)

 同(岡田克也君紹介)(第一七三七号)

 同(門博文君紹介)(第一七三八号)

 同(菅直人君紹介)(第一七三九号)

 同(近藤洋介君紹介)(第一七四〇号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第一七四一号)

 同(椎木保君紹介)(第一七四二号)

 同(田中和徳君紹介)(第一七四三号)

 同(中村裕之君紹介)(第一七四四号)

 同(野間健君紹介)(第一七四五号)

 同(務台俊介君紹介)(第一七四六号)

 同(山井和則君紹介)(第一七四七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一七七〇号)

 同(小倉將信君紹介)(第一七七一号)

 同(小泉龍司君紹介)(第一七七二号)

 同(小島敏文君紹介)(第一七七三号)

 同(小林史明君紹介)(第一七七四号)

 同(後藤祐一君紹介)(第一七七五号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一七七六号)

 同(塩谷立君紹介)(第一七七七号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第一七七八号)

 同(田島一成君紹介)(第一七七九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七八〇号)

 同(武部新君紹介)(第一七八一号)

 同(中川俊直君紹介)(第一七八二号)

 同(中川正春君紹介)(第一七八三号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一七八四号)

 同(平沼赳夫君紹介)(第一七八五号)

 同(船田元君紹介)(第一七八六号)

 同(古川元久君紹介)(第一七八七号)

 同(細田博之君紹介)(第一七八八号)

 同(真山祐一君紹介)(第一七八九号)

 同(宮川典子君紹介)(第一七九〇号)

 同(宮路拓馬君紹介)(第一七九一号)

 同(八木哲也君紹介)(第一七九二号)

 パーキンソン病患者・家族に対する治療・療養に関する対策の充実に関する請願(伊藤渉君紹介)(第一六七〇号)

 同(大平喜信君紹介)(第一六七一号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第一六七二号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第一六七三号)

 同(中川正春君紹介)(第一六八三号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一六九三号)

 同(井坂信彦君紹介)(第一七三三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八二〇号)

 同(中川俊直君紹介)(第一八二一号)

 安全・安心の医療・介護に関する請願(島津幸広君紹介)(第一七三一号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一七九三号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第一七九四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、NPO法人全国地域生活支援ネットワーク代表理事・社会福祉法人ゆうゆう理事長大原裕介君、一般社団法人日本ALS協会常務理事金澤公明君、社会福祉法人プロップ・ステーション理事長、財政制度等審議会委員竹中ナミ君、日本社会事業大学特任教授佐藤久夫君、一般社団法人全国児童発達支援協議会会長・一般社団法人全国知的障害児者生活サポート協会理事長加藤正仁君、以上五名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず大原参考人にお願いいたします。

大原参考人 おはようございます。私は、全国地域生活支援ネットワーク代表理事を務めております大原と申します。

 本日は、このような貴重な御機会をいただきまして、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

 私たち全国地域生活支援ネットワークは、ユニバーサルな支援による、ともに生きる地域社会づくりを目指しております。その実現のために、障害のある方の地域生活支援をより一層推進し、全国の障害のある当事者の方、事業者、行政そして政治などの関係者の横のつながりを深め、国民的な理解と共感を広げられるような、フォーラムの開催でしたり調査研究をしている事業者団体でございます。

 また、私は、北海道で障害者の地域生活支援を展開する社会福祉法人の理事長も務めております。

 本日を迎えるに当たって、日々障害者の地域生活を推進する会員団体である社会福祉法人であったりNPO法人の会員と議論を重ねてまいりました。その議論をもとに幾つか整理させていただいたものを、先生方にきょうはお願いに参りました。

 さて、今回の総合支援法改正法案について、約一年にわたり審議会で議論してきた内容がもとになっております。その過程ではさまざまな関係者の意見があり、その意見を集約し、それを踏まえた上で、できる限りの前進、改善が今回はなされたというふうに考えております。私たちとしては、本国会での本法案の早期成立を望むスタンスでございます。

 これからお話しさせていただく内容は、法案の中身について、障害者施策として前進していると評価し、重視している点についてお話しさせていただきたいと思います。

 まず一点目でございますが、ひとり暮らしを望む障害のある方の選択を広げるサービス類型が創設されたということでございます。

 これまで、障害のある方の地域移行を進め、障害のある方が望む地域で、本人の住みたい地域で暮らしを続けるということが次第に今は当たり前になってきております。ただ、そうした中で、次の課題は、この地域移行、住みなれた地域で障害のある方たちが暮らすための地域移行をより推進していくということが重要であるというふうに考えております。

 地域移行については、これまで、グループホームがその住まいの場ということで大きな役割を果たしてきました。しかしながら、地域での暮らしは、グループホームにおいて共同で生活することばかりではございません。これは、障害のある方、ない方問わず、共同で生活をするということだけが選択肢になるといったことではないということでございますが、共同で生活せずとも、緩やかな支援を受けながらひとり暮らしが可能になるために、今回の自立生活援助が創設されました。障害者が望むあり方に多様な選択ができるようになったと考えております。

 私たちの意見の中でも、ひとり暮らしをしたいという障害のある方がいるにもかかわらず、その方のオーダーメードの緩やかな支援、ちょっとした、ささいな、その方に対するサポートがないがゆえに共同生活をしているというような実態もあります。

 もちろん、共同生活を望まれながら暮らしている方については、そういう暮らしをしっかりと担保しつつ、一方で、そういった暮らしをステップアップし、将来は自立して一人で暮らしたい、そういった彼らの選択の幅を広げていくということが極めて重要だというふうに考えております。

 また、さらに言えば、現行の地域定着支援というものがございます。これを柔軟かつ有効的に組み合わせることで、緊急時、何か起こった際にも重層的な支援ができるということが可能になるのではないかというふうに考えております。

 二点目でございます。重度訪問介護の入院中の利用が可能になったという、これは道が開けたということについてお話をさせていただきます。

 障害のある方は、その特性から、支援をしている、なれた支援者でないと適切な支援の仕方がわからない、もしくは、本人にとっても、いつも信頼を寄せている支援者でないとパニック等の不安定な状態になってしまう方が多くおられます。このため、その方々が入院する場合の支援については長く課題になっておりました。中には、こうした状況から、どうしても家族介護に頼らざるを得なく、介護負担で疲弊してしまう、そうしたケースも多く見受けられました。この点については、医療保険との関係もあり、ニーズはありながらも長らく進まなかった部分でございます。

 それが今回、重度訪問介護を利用してきた最重度の方という一定の限定はございますが、信頼を寄せる、なれた支援者でないと本人に適切な支援につなげられないということを切り口に、入院中もこれまで受けてきた支援が受けられるということは極めて歓迎すべきことだというふうに考えております。

 また、特に、重度身体障害の方のみならず、行動障害を呈する人へも入院中の支援が行えることについても高く評価をしております。

 しかしながら、こうした行動障害を持つ方については、入院というなれない環境の変化によって、その方々の状態の変化も予想されます。重度訪問介護というサービスではなくて、その方々がどうした入院生活がふさわしいかということをしっかり専門家が見立てるアセスメント機能を含まれた行動援護サービスが適切ではないかというふうに考えております。

 同時に、まずは今回、制度をスタートし、その実施状況をしっかり検証しながら、広い支援につなげるようになることを心から期待しております。

 三つ目でございます。一定の高齢障害者について、介護保険の利用者負担軽減がされることになったということについても、今回の改正案では高く評価するものです。

 そもそも、障害サービスと介護保険との関係をどう考えるかという点もございます。例えば、互いのサービスを比べてみると、障害サービスは障害のある方の自立生活を支援するものであるのに対して、介護保険は家族介護の負担軽減もしくはそれの補完を念頭に置いていることなど、この点について、それぞれのサービスの違いについてはこれからしっかりと議論しないといけないということを念頭に、一方で、高齢者となった障害のある人が介護保険を利用する際に現実に生じている問題について、まず解決していくことが重要であるというふうに考えております。

 障害者の多くは、若いときから障害福祉サービスを利用者負担なく利用していました。そうした中で生活を組み立てております。生活実態は変わらないままなのに、高齢者になって介護保険を使うようになると急に負担が生じることは、障害者の生活に大きく影響しかねません。

 このため、このたびの改正では、介護保険を利用する際の利用者負担の軽減措置が導入されることは、障害者も一般の方と同様の支援を受けやすくなるという観点から歓迎するものです。

 一方で、障害福祉サービスを利用してこなかった方々や一般の高齢者もいる中で、そうした方々とのバランスを考慮する必要も同時にございます。そうすると、やはり一定の線は引かなければならないので、高齢障害者で長く障害福祉サービスを利用してきて、さらに低所得者の方を対象とすることは、まずは適当ではないかというふうに考えております。

 以上、三点について御説明させていただきました。

 最後になりますが、今回の法案を通じて、障害福祉施策がさらに充実、進展し、障害者のよりよい生活が実現できるよう心から期待をしております。

 皆様、御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

渡辺委員長 ありがとうございました。

 次に、金澤参考人にお願いいたします。

金澤参考人 皆さん、おはようございます。日本ALS協会常務理事の金澤と申します。

 本日は、このような意見陳述の機会をいただき、感謝申し上げます。

 ALSは、筋萎縮性側索硬化症の英語の略称で、難病に指定され、九千九百五十名が登録されています。医療受給者証ですね。いまだに原因が不明で、運動神経が選択的に侵されることによって、身体を動かすことや食べること、話すこともできなくなり、呼吸障害が進行し、人工呼吸器をつけないと三年から五年で命の危険が生じる大変過酷な進行性の神経難病です。

 しかしながら、ALSは、適切な医療と必要な社会福祉のサポートがあれば、地域で人としての尊厳を持って生きられます。

 当協会は、約五千名の会員で、患者、家族約二千名が加入して、患者、家族等の交流や療養環境の整備、原因究明と治療法の確立促進等の活動を行っている非営利の団体です。

 さて、私が法律案への意見を述べる前に、本日の参考人の予定であった、当協会副会長で人工呼吸器をつけている岡部宏生からの、障害者の参考人意見陳述に関してのメッセージを紹介させていただきます。ちょっと事情がありまして、本人は後ろの傍聴席の一番右奥に座っています。光のかげんでまぶしいということがあって帽子をかぶっていますけれども、人工呼吸器でいます。

 では、代読します。

 おはようございます。日本ALS協会の岡部宏生と申します。

 本来であれば、ここに座って、委員の先生方とお話をさせていただいているはずです。

 冒頭の御挨拶として一言申し述べさせていただきます。

 私は、ALSという神経難病の患者当事者で、人工呼吸器をつけていますので、コミュニケーションには特殊な方法を用いて通訳者を必要とします。それでコミュニケーションに時間を要するという理由で、きょうの参考人として招致されたものを取り消されました。

 障害者総合支援法の国会審議において、障害者の参考人を拒否なさったわけです。国会の場は、まさに国民の貴重な時間と費用のきわみだと認識しております。その国民の中には私たち障害者も存在しています。国会の、それも福祉に関する最も理解をしてくださるはずの厚生労働委員会において、障害があることで排除されたことは、深刻なこの国のありさまを示しているのではないでしょうか。

 さきに述べましたように、国会の場は国民の時間と認識していますので、コミュニケーションに時間がかかることで議論が深まらないという懸念は一見もっとものように聞こえますが、少しの工夫があれば、ほとんど問題はなく議論ができます。ただし、それには長期間の訓練による通訳の技能が必要であること、それはこの法案の内容にも直接かかわっていることでもあり、可能であれば、この場において先生方にごらんいただきたかったと思います。

 後ほど、委員会の事務局に具体的にその方法の一部を提出しますので、今後の厚生労働委員会の審議のあり方について委員の先生方に御一考いただけますことを切に願っております。

 この法案の中には、重度訪問介護の利用による居宅などにかわる場所についてもヘルパーを利用できることがうたわれています。それは、私たち重度のコミュニケーション障害を持っている者にとっては生命の危機に面するようなことにもつながっていますので、ぜひ病院内も含めて利用できるようにしていただきたいとお願い申し上げる次第です。

 以上で、岡部からのメッセージの代読を終わります。

 今後は、ぜひ合理的配慮をお願いして、障害者がこういう参考人の場に出られるように、よろしく配慮をお願いしたいと思います。

 それでは、今回の法律改正案に関して、私から参考人意見を述べさせていただきます。

 私どもALS患者の多くは障害者総合支援法を活用して生活しておりますが、今回の改正を評価する立場から、二点、考えていることを述べさせていただきます。

 一つは、法律改正案概要の一、障害者の望む地域生活の支援の三項の、重度訪問介護について医療機関への入院時も一定の支援を可能にすることに関して、もう一つは、四項の、六十五歳に至るまで相当の長期間にわたり障害福祉サービスを利用してきた低所得の高齢障害者が引き続き障害福祉サービスに相当する介護保険サービスを利用する場合に、障害者の所得の状況や障害の程度等の事情を勘案し、当該介護保険サービスの利用者負担を障害者制度により軽減(償還)できる仕組みを設けることに関してです。

 一番目の、重度訪問介護について医療機関への入院時も一定の支援を可能にする、法案の第五条第三項に関係することに関して意見を述べます。

 現在、在宅のALS患者の多くは、介護保険と重度訪問介護を利用し、患者の支援になれたヘルパーから、コミュニケーション支援、喀たん吸引、体位交換や、胃瘻を使っての栄養注入などの介護のため長時間付き添っていただき生活していますが、入院するときは、なれたヘルパーの付き添いができないことが多く、また、一部の自治体で、地域支援事業として一定時間のコミュニケーション支援しか利用できず、個別性に即した適切なケアが受けられないことなどにより体力を消耗し、かえって体調を崩すことがあります。特に、医療スタッフとのコミュニケーションの困難が、時には生命の危機につながるような事態も生じています。

 この辺の具体的なことに関しては、添付の参考資料に、昨年とった、四十九名ですけれども、短期入院したときの患者さんたちの苦労したこと、思いが語られているので、また御一読いただければと思います。

 このため、協会としては、長年にわたって、在宅でなれたヘルパーの入院中の付き添いを認めていただくように要望し続けてきましたが、今回、重度訪問介護によるヘルパーの付き添いが法律として全国で認められる動きになり、患者は一日も早く施行されることを望んでいます。

 施行に当たって、地域によっては重度訪問介護ではなく居宅介護を利用している地方患者が多いことへの御理解をいただき、現在利用している地域支援事業でのコミュニケーション支援も併存し、どちらを利用するかについては優先関係が発生しないよう特段の配慮を希望します。

 また、現時点では障害者支援区分六の者を対象とする予定と聞いておりますが、対象範囲の拡大などについては、法案成立後も引き続き厚生労働省と議論させていただきたいと考えております。

 二番目の、六十五歳に至るまで相当の長期間にわたり障害福祉サービスを利用してきた低所得の高齢障害者が引き続き障害福祉サービスに相当する介護保険サービスを利用する場合に、障害者の所得の状況や障害の程度等の事情を勘案し、当該介護保険サービスの利用者負担を障害者制度により軽減(償還)できる仕組みを設ける、第七十六条の二の第一項関係のことに関して。

 今回の改正案の、重度訪問介護や居宅介護などの障害福祉サービスを六十五歳前に一定期間利用してきた高齢の障害者に対して介護保険の利用者負担を軽減することについては、評価しております。

 現在のALS患者の年齢構成は、六十代後半が最も多くなっています。しかしながら、重度障害者でなおかつ重度難病患者であるALS患者は、今回の改正の負担軽減には該当しないようになっております。

 ALS患者は、現行の介護保険と障害者総合支援法の制度を利用しており、介護保険では、四十歳から六十四歳までの二号被保険者(十六の特定疾病)と六十五歳からの一号被保険者に該当し、介護保険サービスを障害福祉サービスに優先して利用するという規定があるため、病気が進行し、障害がより重度化した場合に障害福祉サービスを上乗せ利用しております。介護保険要介護度五で支給限度額まで利用した場合に、月当たり一割負担の約三万七千円弱の自己負担が生じます。

 また、若年発症のALS患者は、四十歳まで障害福祉サービスを利用して、四十歳からは介護保険サービス優先となり、その自己負担が生じます。

 介護保険と障害福祉サービスを併用する場合に、高額障害福祉サービス等給付費による自己負担軽減措置がありますが、今回の改正による、介護保険負担分を障害福祉で全額負担軽減する措置は受けられません。

 ALS患者は医療費等の出費も多く、学齢期の子供がいる世帯などにおいては、介護保険の自己負担は家計を圧迫し、子供の進路にもしわ寄せが生じています。中には、自己負担を減らすために介護保険サービスの利用を抑制する場合もあり、必要な重度訪問介護等の障害福祉サービスの上乗せ利用ができない患者も少なくありません。

 四十歳以上で介護保険サービスと障害福祉サービスを併用している場合も、今後、改正案との整合性のある対応策を講じられるように、附帯決議等を要望します。

 法案の内容には、今後の課題として残った部分はあるものの、入院中のヘルパー派遣や高齢障害者の利用者負担の軽減などの評価できる部分が多いことから、この法律改正をぜひ今国会で成立させていただきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

渡辺委員長 ありがとうございました。

 次に、竹中参考人にお願いいたします。

竹中参考人 皆さん、おはようございます。ありがとうございます。神戸から来ましたプロップ・ステーションの竹中ナミこと、ニックネーム、ナミねぇといいます。ええ年して恥ずかしいんですけれども、ナミねぇで覚えていただけたらうれしく思います。

 プロップ・ステーションは社会福祉法人なんですけれども、何をやっているかというと、この二十五年間、障害のある人を、ネガティブな部分に着目するんじゃなくて、その人がさまざまなことをできる可能性の方に着目をした、チャレンジドという、これはアメリカの言葉なんですけれども、それを使わせていただいて、チャレンジドをタックスペイヤーにできる日本、あるいは、全ての人が持てる能力を発揮して支え合うことができる、ユニバーサル社会の実現ということをテーマに活動を続けてきました。

 二十五年前というと、ちょっと皆さん記憶を思い起こしていただきたいんですが、パソコンという道具は実は日本の一般家庭にゼロ台だったんですね。大型コンピューターがそろそろ小型化し出して、机の上に載るようなパーソナルコンピューターというのはまだなかった。実は、その時代にプロップ・ステーションというのが生まれて、さまざまな障害のあるチャレンジドたちが自分たちも社会で活躍したいということで動き出したんですが、そのための道具に選んだのがコンピューターだったんですね。

 パソコン通信というのを御記憶の方もいらっしゃるかわかりません。今のようにインターネットが普及する前、パソコン通信だったんですけれども、その前にワープロ通信というのが実はありまして、二十五年前に、目の見えない人たちの中でワープロ通信で音声装置でメールのやりとりをする人がいたんですね。そして、そのワープロ通信で、聞こえない、しゃべれない人たちがメールで、聞こえない、しゃべれないからメールだと何の支障もないわけですね、メールでコミュニケーションをとっていたんですね。

 そして、私の周りには、実は、体の障害が物すごく重くて、寝たきりで介護が必要な方もたくさんいらっしゃったんですけれども、そういう方々が、あ、この道具を使うと、会議に行けなくても、自分が何かに参加したいと思うときに意見を述べたりすることができるなということに気がつかはったんですね。

 つまり、二十五年前に、パソコン通信しかなかった、このインターネットもなかった時代に、重い障害のある人たちが、自分たちが社会参画をしたり意見を述べたり、そして自分も社会に役立つ何者かになるためにこの道具しかないと決めて、プロップ・ステーションという活動が生まれました。当時はもちろん草の根だったんですけれども、今は社会福祉法人として大臣認可で認めていただいているということなんですね。

 このチャレンジドという言葉、実はアメリカで生まれた言葉です。既にアメリカでは、ケネディ大統領が私は全ての障害者を納税者にしたいというようなことをおっしゃったこともあって、制度的にずっとチャレンジドをタックスペイヤーにしようという流れがありました。その中で、二十年以上前に既に、エド・ロバーツという、全身麻痺で夜は酸素テントが必要だというような方がアメリカではカリフォルニア州のリハビリ局長でした。十五年前には、電動車椅子に乗られた、つまり自分の足で全く歩くことができない方が、運輸局、日本でいうと国交省ですかね、運輸局のリハビリ室長も務められました。

 私、十五年前ぐらいにアメリカの全ての省庁をそういうふうな視点で回らせていただいたんですけれども、どの省でも、全く見えない局長さんがおられたり、聞こえない部長さんがおられたり、動けない課長さんがおられるみたいな状況だったんですね。

 それでも、アメリカでも昔は、障害のある人はかわいそうな人で、結婚もなかなかままならぬとか言われていたのですけれども、そういうふうにさまざまな法を整備して多様な社会で活躍できるようにし、つまり、その人が働くことで収入を得てタックスペイヤーになることによって、私が出会ったアメリカの役所で働くチャレンジドの皆さんは全員、結婚しておられた、あるいは恋愛をしておられた、子供さんもおられるという方ばかりでした。

 翻って、今の日本ではまだ、残念ながら、多くの法もフォー・ザ・チャレンジドなんですね。チャレンジドのために何かをしてあげようという法であって、バイ・ザ・チャレンジドじゃないんですね。チャレンジドが社会に何かをなせるための法律にしようということも、まだまだ機運が少ないと思います。

 でも、御存じのように、きょうは女性の先生方もたくさんいらっしゃいますけれども、今まさに女性が輝くというか女性が活躍する時代になって、そのような時代が訪れたのは、女性自身の意思とともに、やはり法律の改正というもの、社会の変化というものがあったからこそなんですね。均等法もありましたし、つい最近では女性活躍推進法というのもできました。

 つまり、チャレンジドにとって今、日本で、私たちの視点でいうと大変残念なことは、障害者の法定雇用率という、彼らが働くことを後押しする法律が残念ながらこれしかないということなのですね。

 この法律によって多くの障害のある方々が企業採用される、雇用されるということで、確かに大きな足跡は残した法律なのですが、ただ、こういう家からも出られない人だとか、あるいは全く見えない、全くしゃべれない、介護がずっと必要という人まで雇えというのは無理よというような企業が大半の今の時代において、そういう方々の能力をも働くという形で生かそうということには、残念ながらこの法律は足りていないというふうに思っています。

 プロップ・ステーションは二十五年前から何をやってきたかというと、そういう雇用に至らない、雇用してもらうことも難しい、職安に行ったけれども、あんたみたいな人は帰ってと言われた人もたくさん実はおられるのですけれども、そういう方々も働きたいと意欲を持たれたときに、その方々が技術を磨き、そして、情報通信、コンピューターのネットワークを使ってそのお仕事を自宅のベッドの上ででもやっていくことをコーディネートするという仕事を、実は非営利の法人としてやってきました。

 つまり、企業や自治体からプロップ・ステーションがお仕事をいただいて、きちっとバックオフィス機能を果たして、一人一人のチャレンジドの皆さんが、その人のできる内容のお仕事、自分のできる時間、最高のパフォーマンスを出せるときにお仕事ができるという状況、まあ、究極のワークシェアリングですね、究極のワークシェアリングをして、それをまた企業にお返しをする。そして、そのことによってチャレンジドの方は収入を得てタックスペイヤーになっていただき、御家族の方も、この子は絶対働くなんて無理やと絶望されていたお父さん、お母さんたちが、この子もこんな働き方ができたんやといって喜んでいただいたり、知らなかった人にこんな働き方もあるんよと伝えていただきながら、この二十五年、過ぎてまいりました。

 昨年、ちょうど安倍内閣が一億総活躍ということを言われて、私、初めて、ああ、日本という国家の中で本当に彼らまで活躍できる日が来たんだろうな、来てほしいな、そのことが本当に実現してほしいなと思いました。きょう、こうやって参考人で意見を述べよと言っていただいたのも大変ありがたいと思っています。

 このような考え方はまだまだ広まっていないと思うんですけれども、現実には、そのような働き方を待たれている方が実は日本にたくさんたくさんいらっしゃいます。つまり、一億総活躍の中で、この人は働くことが無理やとみんなが思っている人までも働ける仕組みをつくったときにこそ、本当に日本の国は、元気のある、持続性のある、未来を持った国になれるんやないかなというふうに私は思います。

 私がなぜこんなことを考えついたかというか、そういう仲間たちと活動しているかというと、娘が四十三歳になります。そんな大きい子がおるようには見えないでしょうって、自分で言うてどうすんねん、済みません。ちなみに、上の兄ちゃんが四十六歳になります。その四十三歳になった娘が、四十三年前に重い脳の障害を持って授かりました。いわゆる重症心身障害者ということなんですね。

 ですので、私のことはまだ、おかんというふうにはよく認識をしておりません。目はちゃんと見開いていますけれども、明るい、暗いだけしか見えないし、音は聞こえますけれども、全くその意味は理解できないし、声は出ますけれども、機嫌のいいときと悪いときで声の調子が違うだけということで、言葉を全く、しゃべるわけではありません。私が抱きかかえてやっても、抱き返すというようなことがまだできるわけでもなく、つまり、彼女は生まれてから多分亡くなるまでずっと赤ちゃんのような状態でいるんだろうということで、私は、ベビータイプの娘というふうに呼ばせていただいているんですけれども。

 ただ、そのベビータイプの娘を授かったときに、私、体も元気やし、性格も怖いもの知らずやしと思っていたんですけれども、唯一不安に思ったのが、私、この子を残してこの国で安心して死ねるかなと思ったんですね。これはどう考えても、若い人は減るし、お年寄りはふえるし、経済が大変になっていくというているし、支え手がなくなるというているのに、ほんまに私が安心して死ねる国になるかなと。でも、自分が安心して死にたいと思ったら、やはり同じような思いの方々とその安心を自分たちでつくっていかぬといかぬのじゃないかなと思ったんですね。それがこのプロップ・ステーションという活動でした。

 いわゆる、今ちゃんとお仕事できる方がより働ける、これは当然望ましいことですけれども、そういう仕組みはいろいろあるんですね。だけれども、先ほども言ったように、えっ、こんな人まで働くなんて考えるのは無理よと言われるような方々を働くことのできる場所へ持ってきてあげるのは、制度としてもシステムとしてもやはり全くなかったんですね。

 でも、そういう方々が、私に出会ったときに言うてくれはったんです。いろいろな人に支えてもらって生きているのはすごくうれしいし、ありがたいし、感謝もしている、だけれども、私も人を支えたいし、僕も感謝もされたいし、おまえがおってよかったと言われたいんやと聞いたときに、私は、働くということは、単に情緒の問題でもなく、お金を稼ぐ問題でもなく、人間がやはり誇らしく生きるために絶対必要な行為なんやなというふうに思いました。

 娘は残念ながら、一見、働くということを全くできないようですけれども、私にとっては、私はもと、ごっつい悪い不良やったんですけれども、余り大きい声で言いたくはないですが、ワルやったんですけれども、そのワルやった私を真人間にして、しかも、このプロップ・ステーションという活動を今たくさんの仲間や支援者の方とやらせていただけるところまで育ててくれたのは、私は娘やとやはり思っています。ですから、娘の存在というのは非常に大きくて、彼女が果たしたことは私の中ではすばらしい働きやったというふうに思っているんですね。

 そういうふうに思ったとき、全ての人間に、要らない人なんかないし、何かをなせない人というのは私は絶対いないと思います。必ず一人一人の中にその人にできること、社会を支える力が眠っているので、それをぜひ発揮していただく方に法律を、さまざまな法律の中にそれを加味していただきたい。

 今回も法律が一部改正されるということで、一歩前進し、働くことへの支援だとか生活支援だとか入ってきました。私はこれは、こういうふうに進んでいくことが大変ありがたいことだと思いますが、そこに、もう一歩踏み込んだ、女性活躍推進法にも似た、チャレンジドの活躍を推進するという部分を入れていただけたらうれしいなというふうに思います。

 そして、それに一番今役立つのが情報通信技術、ICTと呼ばれるものですね。先ほども言ったように、見えない方も、聞こえない方も、動けない方も、プロップ・ステーションでは実は平仮名しか読めないとか漢字がほとんど書けないという知的の重度の方々も仲間でおられるんですけれども、確かに計算とかは苦手、漢字も読めないんだけれども、イラストレーターのソフトでイラストのお仕事をされるような方とか何人もいらっしゃいます。つまり、情報通信技術というのは、その人のどんな種類の障害であれ、その人に合わせた使い方を勉強する仕組みと、その人にお仕事を絶対させてあげようという意思を持って使えば、これほどすばらしい道具はないんですね。

 今、プロップ・ステーションは、先ほども言ったように、企業のお仕事などをいただいたことを情報通信で、在宅でいらっしゃる方々にまで、ベッドの上の方々にまでお分けをして、そして、そのワークシェアしたものをまた取り戻しているんですけれども、実は、つい最近、とてもうれしいことがありました。

 大手企業の横浜ゴムさんというタイヤの大メーカーを御存じだろうと思います。そこの会長でCEOの南雲さんという方がいらっしゃるんですけれども、ナミねぇに会いたいといって御連絡をいただいて、先日お会いさせていただきました。

 もう法定雇用率も達成されているし、そして、ちゃんとチャレンジドのための企業もつくられたりなんかして、非常にその部分で貢献されているんですが、プロップ・ステーションが言うような、在宅の人たちにお仕事を発注するというところまで考えたこともなかった、ぜひ取り組んでみたいということで、つい先週なんですけれども、世界各地の、横浜ゴムの極東本部とかを担当されている幹部社員とかも全部集めていただいて、ナミねぇのお話を聞いていただきました。

 そして、まず横浜ゴムとして、大きなお仕事が在宅のチャレンジドたちにやっていただけるように、出してみたいと。それだけではなくて、自分の仲間である大手企業の経営者にお声をかけて、法定雇用率も守っているし、なおかつ新たなそういう取り組みもやりたいというところにネットワークをつくって、在宅の方にお仕事が出る仕組みも企業側としてつくっていきたいのだと。

 そのときに、企業の経営者として、南雲さんが私に、一つ相談があります、お願いがありますと言われたのは、やはり、自分たちのようにきちっと法定雇用率を守っている企業が、よりそういう方へもお仕事を出すということもあるでしょうけれども、法定雇用率を、別に悪意ではなく、本当に雇用することが難しくてなかなか達成できないというような企業があったときに、お仕事を発注した量によって雇用率に何らかの形でポイント加算がされるというようなことがあれば、働ける人たちが広がる上に、お仕事を出す企業もふえてくるだろうということで、企業群としても、そういうことも政府の皆さんにもお願いしながら、プロップ・ステーションと一緒にそういった在宅の人が働ける仕組みを広げていきたいなというふうに言っていただきました。

 こういう場で企業の固有名詞を出すのがふさわしいのかどうか私はわからない、もしかしたらいけなかったことなのかもわからないですけれども、具体的な事例を言うと、多分皆さんも、あ、そういうことってできるのね、共感してくださる企業もあるのねというふうに御理解をいただけるのではないかなと思って、このようにお話をさせていただきました。

 アメリカの場合は、先ほど言ったように、行政機関の中にも多数のチャレンジドの方が活躍されています。そして、政治家の中にもたくさんのチャレンジドの方がいらっしゃいました。日本に一番身近な国ということでアメリカを例に挙げさせていただいたんですけれども、先進国と言われる国は、ほとんどチャレンジドをタックスペイヤーにできるような制度というものが制度の根幹になっています。つまり、バイ・ザ・チャレンジドということですね。ぜひ日本も、一億総活躍の名前に恥ずかしくないバイ・ザ・チャレンジドの法整備に向けて、議員の皆さん方のお力添えを何とぞよろしくお願いいたしたいと思います。

 これでナミねぇの発表を終わります。ありがとうございました。(拍手)

渡辺委員長 ありがとうございました。

 次に、佐藤参考人にお願いいたします。

佐藤参考人 日本社会事業大学の佐藤久夫と申します。このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 日本の障害者政策というか障害者の制度、法律、この数年間、かなり発展してきたというふうに思います。

 二〇一一年には障害者基本法の改正があり、その後、虐待防止法だとか差別解消法などが成立して、障害者権利条約も批准されるというようなことになってきているかと思います。

 基本法の改正では、障害当事者の参加による政策の監視の機関、障害者政策委員会が中央に設けられて、都道府県、政令市にも必置で設けられるというふうなことになってきたことが言えるかと思います。虐待防止とか差別解消というのは、今までそういう権利擁護分野の法律が日本になかったのが初めてできるというふうなことで、大きいと思います。

 そういう点では、この戦後の七十年間くらいの間で集中的に制度が大きく見直された時期として、非常に画期的なことではないかなというふうに思います。

 ただし、その中で、障害者福祉の制度の改革というのが、期待されたほどにはならなかったというか、非常にがっかりするようなものになっている。そういう意味では、障害福祉の改革の課題が現在なおクリアされていない、そういう視点でこの改正案の審議に当たっていただきたいなというふうに思います。私は、障がい者制度改革推進会議の総合福祉部会部会長としてこの骨格提言の作成にかかわることができた、そういう立場から、特にこのことを強く感じるわけです。

 この障害者制度改革というのは、障害者権利条約を批准するために国内法の整備が必要だということと、それから、自立支援法違憲訴訟で基本合意という和解が国、厚生労働省と訴訟団との間に結ばれて、自立支援法を廃止して新しい法律をつくる、そういう約束をした、その新しい法律をつくるに当たっては障害者の意見を聞いてしっかりつくるという、その約束に基づいて取り組まれた改革であったわけで、その課題が依然として残っているということを認識しておく必要があるのではないかというふうに思います。

 総合支援法を国会に提案したとき、二〇一二年の国会の審議の中で、できたら骨格提言を全面的に実施したかったけれども、予算の都合などがあるのですぐにはできない、残された課題については三年後の見直しで検討をしたい、骨格提言は障害者の願いが詰まったものであるのでぜひ実現したいけれども、段階的、計画的に実現するということにしたいという大臣の国会答弁があったので、こういう認識を国会の皆さんも共有しているのではないかというふうに思います。

 資料の四ページ、五ページ目に、骨格提言と障害者総合支援法、現行、改正案との比較の表を掲げておきました。細かくて恐縮なんですけれども。骨格提言には、十の章、それから、その中に六十の項目が掲げられています。

 この六十項目がどのようにこの改正案によって実現するか、実行されるかということの評価をしてみたのがこの表でありまして、丸は二つ、三角は二十、バツは三十八ということでした。今回の改正案による改正を加えてもなお、三角が一つふえてバツが一つ減る、そういうことであるので、現行の障害者総合支援法をさらに改善して改正案にするということの効果はほとんどないような改正案ではないかなというふうに残念ながら言わざるを得ないと思います。

 その理由は、骨格提言は、障害者福祉の制度を権利条約に合うように抜本的に見直す、そういうモデルチェンジの提案であったのに対して、総合支援法も今回のその改正案も、マイナーチェンジをやるというレベルでとどまっているということなのではないかと思います。

 骨格提言に照らしてみると、十点ほどの改正案の問題点があります。

 一つは、地域生活に必要な支援を受ける権利と、提供する国、自治体の義務が書かれていないということです。

 二番目に、依然として支援から漏れる、谷間の障害が残る医学モデルの対象の定義を維持しているということ。

 三番目に、障害程度区分、障害支援区分の廃止と、個別ニーズ評価方式への転換を図らないということ。

 それから四番目に、市町村が支援を渋る、国、都道府県、市町村の間の財政負担の構造を維持しているということ。

 それから五番目に、機能別、目的別のサービス体系への転換を図らない。

 六番目に、市町村、事業者から独立した相談支援体制としない。相談支援を重視する方向を政府もとっているわけで、それは骨格提言の方向と一致するわけですけれども、さらに独立して障害者の立場に立って相談支援ができるような体制にというのを骨格提言では提起していたわけです。

 そのほか、新たな権利擁護制度を設けない。

 利用者負担の制度を見直さない。

 国の十割負担による地域移行プログラムなど実効性のある地域移行対策を設けず、その受け皿となる地域資源整備十カ年戦略を採用していない。総合支援法のもとで、そして今回の改正によってもなお、何万人、二十万人とも言われる社会的入院を減らすめどが立たない。二十万人くらい入所型施設で暮らしている障害者の数を減らすことができない。今度の改正でようやく地域移行が本格的に進むというふうにとても思えないということです。

 それから、事業者への報酬を日額制と月額制の組み合わせとする、非常勤でも常勤に換算できるという常勤換算方式の廃止、全国平均賃金以上の給与支給を事業者に義務づけるような制度の見直しなど、報酬とか従事者の待遇の改善とかについてほとんど手をつけていない。そんなことが言えるのではないかというふうに思います。

 骨格提言を実行するということしか、これからの日本の障害者福祉の道はないのではないかというふうに私は思うわけですけれども、その理由として四点ほど挙げたいと思います。

 一つは、基本合意と障害者権利条約の実行のための福祉分野の政策を示したのがこの骨格提言だからであります。

 二番目に、政府が組織した機関、総合福祉部会が政府の依頼により作成したもので、その計画的、段階的実施を厚生労働大臣が国会で約束しているものであります。

 三番目に、そのプロセスの問題ですけれども、総合福祉部会の五十五人は、障害者と家族が二十九人、事業者が十四人、学識経験者が九人、自治体の首長さんが三人の構成で、障害者と家族を中心に、多様な立場を反映したものだということです。

 それから、その五十五名というのは、自立支援法に賛成してきた団体や個人も、反対してきた団体や個人も含めて、多様な意見の人々が協議して到達した合意である。

 権利条約を実行する日本の障害者福祉はどうあったらいいかということで、いろいろ議論をした結果の合意の方向でありますので、政権がかわってもこの方向しかない、権利条約をまともに日本で実施しようという立場をとれば、これ以外にないというふうに思われます。

 そんなものが私の基本的な意見ですけれども、今回の法律の改正の中で具体的な改善の課題が幾つか示されているわけで、いずれも要望のあったことを部分的に実行しようということで、よい方向、発展、改善ではないかというふうに思います。

 ただ、個別の幾つかの制度について、いろいろな条件づけ、二重三重のハードルを設けて、どうして利用者を絞り込もうとするのか、その辺が理解しにくいところであります。

 例えば、就労定着支援事業は、なぜ就労系の三事業を受けた障害者に限定して、支援期間も限定するのか。就労定着支援ニーズのある全ての障害者への支援を、既存の幾つかのジョブコーチだとかいろいろな事業がありますので、そういうものも含めて総合的に検証して、全てのニーズのある人の就労定着支援をどんな体制でやったらいいのかということこそ検討するべきではないかというふうに思います。それから、自立生活援助でも対象と支援期間の限定があったりとか、そういうことがあります。

 これは、うんと対象を限定しておかないと市町村によって対象がばらばらになって公平性が損なわれる、そういう発想があるんだろうと思いますけれども、もっと市町村、現場の相談員、サービス利用計画をつくるそのプロセス、その専門職を信頼して、余り中央で細かく縛らないで、専門的なニーズ評価を行ってサービスの利用を広げていく、第三者評価だとかいろいろな仕組みを設けながら市町村の間の公平性も図っていくというような、そういう仕組みにぜひ切りかえることが望まれるのではないかと思います。

 以上、私の意見を述べさせていただきました。(拍手)

渡辺委員長 ありがとうございました。

 次に、加藤参考人にお願いいたします。

加藤参考人 皆さん、おはようございます。

 私は、このたび当委員会の参考人として意見を陳述する機会を与えられたことに対して、心から感謝を申し上げたいと思います。

 私自身は、専ら子供のことを中心にこの年まで生きてきました。

 一方では、もちろん、地域でハンディを背負って生きる方たちが安心、安全のうちに生きるためには、さまざまな公的な援助、公助というものが必要であるのは言をまたないわけですけれども、さりとて、それで十分かというと、なかなかそれもままならないという中で、自助、共助というような、そういう視点からの地域での活動を全国組織化したものとして、私の肩書の後段にあります一般社団法人全国知的障害児者生活サポート協会という組織を立ち上げて、全国で今、十二万人ほどの会員がおられます。

 その立場を代表してという発言も可能ですけれども、私の前に四人の方たちの発言がございました。基本的には、大きなフレーム、そしてまた大人の方たちの問題といいますか、視点的にはそういう視点からの発言が多いということもありまして、私は、最初にあります肩書の一般社団法人全国児童発達支援協議会という立場で今から発言をさせていただきます。

 さきの児童福祉法の改正によって障害の一元化ということが図られました。結果として、従来、それまで障害種別ごとにあった地域の資源といいますか、サービスといいますか、施設が一元化されたということで、身近なところで発達に必要なさまざまな資源を活用できるというような形になりました。

 この協議会は、そうした動きを受けまして、その二年前に、それまで第一種社会福祉事業として存在していました知的障害児通園施設、肢体不自由児通園施設、それから難聴幼児通園施設という、第一種の児童に関する障害児施設がありました、それから、第二種の心身障害児通園事業という市町村の事業としての活動がありました、それらを、そうした児童福祉法の改正の動きに呼応して、一本化して今日に至っております。

 組織率からいきますとまだまだ十分ではないんですけれども、とりあえず、さきの法改正から、こうした形で子供関係者が大同団結して活動をしているという状況でございます。

 我々の思うところ、考えるところについて、あるいはこれまでの流れについては、この私のレジュメ、七ページにわたっていますけれども、最後の三枚は図版です、四枚を使って書いてございますので、追って説明をさせていただくわけですけれども、いずれにしましても、前の佐藤先生からの御発言にもありましたように、やはり近年の障害施策については、目覚ましい前進、進歩、拡大、充実ということが図られて今日に至っているというふうに、私もこの世界で四十年間、実践、現場で生きてきて、実感するところであります。

 ただし、とはいえ、それでは、今これで十分かというと、決してそんなことは言えません。まだまだやはり課題は山積しております。

 さりとて、私も法律の専門家ではないんですけれども、やはり制度的にも、完璧な制度とかいうものは、多分、古今東西、これからもなかなか難しいだろう。つまりは、ベストではなくてベターを常に、よりショートタームに反復、繰り返しながら前進を図るということが、多分、現実的な、最も理想的な進め方だろうというふうに実感します。

 そういう意味で、今回の、このたびの総合支援法並びにそれに伴う児童福祉法の一部改正ということに関しましては、これを成文化するに当たっては、さまざまな皆さんの、政党のヒアリングがございました。それから、社会保障審議会障害者部会でのさまざまな議論がございました。そしてまた、我々も、民間の団体として、厚労省のさまざまな研究事業を分担させていただいて、これまでの実態と問題点をいろいろ調査研究させていただいてきました。

 そういう中で、最終的に、今回の内容につきましては、ベストではないけれどもベターであろう、とにかく一歩でも二歩でも前に進んでほしいというふうに強く願うという立場から、ぜひこの法案を一刻も早く通過させてほしい。通過したとしても、これは三十年ですから、まだ先なんですけれども、とにかく、私たちとすれば、一刻も早く、少しでもいいと思われることは早く、待ったなしでやってほしいというのが、特に私、子供関係者の人間として強く思うところです。

 我々の、子供関係のそうした育ち、暮らし、生きざまを見ていますと、あるいはそばに寄り添って生きる保護者の皆さんの生活、暮らしを考えるときに、彼らは、よく言われることですけれども、不幸ではない、しかし、不利で、不自由で、不便な生活を余儀なくされているということがよく言われます。私もそういうふうに思います。

 それはどういうことかというと、結局、さまざまなハンディを背負って生きるということは、生きる上での選択肢が限りなく貧弱になるということで、選べない、選べる選択肢がない、そういう中で生きざるを得ないというようなこと。そして、もう一つの大きな特徴は、待たされるということですよ。待ったなしで彼らは日々生きているわけで、あと五年待ってくれとか、あと十年待ってくれというのはナンセンスです。

 ですから、そういう意味では、確かにさまざまな課題を抱えながら制度は進むわけですけれども、それをショートタームに、早く、多様な選択肢の中でぜひ確保していただきたいというふうに強く思います。

 そういう意味では、今回も、多くの課題を抱えつつも、私は、積極的にこれをとりあえず進めていただきたいというふうに強く願うものです。

 そういう中で、私が用意させていただきましたこの七ページの表をちょっとごらんいただきたいと思います。先生方の皆さん、いろいろデータとして、知識としてお持ちかと思いますが、これは、文部科学省が平成二十六年五月一日、これが最新のものです。間もなく六月が来ますので、今度新しいもの、二十七年版が出るかもしれませんが、この表を見ていただきたいんです。

 これは何を意味しているかというと、現行の義務教育の段階で特別支援教育体制の中で生活をしている、学びの場を持っている子供が同世代の三・三三%。これは文科省の数字ですよ、私の数字じゃありません。これは年々ふえています。その意味するところはともかくとして、三・三三%。プラス、その下を見てください、薄い緑のところですが、発達障害、LD、ADHD、高機能自閉症等の可能性のある子供が、これは通常学級の中に六・五%いるというんですね。これはトータルすると一割近くになるんですよ。

 一割近くも、特別な、まさに合理的配慮を必要として育ち、生き、学んでいるべき子供たちがいるという前提で考えたときに、この少子化傾向の中で、それらを促進するたくさんの制度が立ち上がっていますけれども、この一〇%の子供たちがしっかり視野に入っているかということですね。ある意味ではネグレクトされちゃっているようなところがあるんですね。

 子ども・子育て支援法に基づくいろいろな諸制度、事業が始まっているわけですけれども、そこで、その同世代の一〇%を占める特別な配慮を必要とする子供たちの生きざまがどこまで視野に入って制度化されているかということになりますと、議論の中で、どこまで進んでいるかは私はちょっとわからないんですけれども、例えば無償化とか義務化とかいうような話があったりします。そのときに、それでは、この一〇%の、あるいは私が今守備範囲としています就学前の子供たちが視野に入っているか。実は入っていません。保育園とか幼稚園児、あるいは学齢児にはそうした網がかかるんですけれども、実はかかっていないんですね、我々の、育ちが気になる子供たちという意味では。我々の児童発達支援事業関係者の中にはその話が入ってこない。

 あるいは、もっと卑近な例でいえば、地域によっていろいろですけれども、学校にAEDあるいはアレルギー児対応というような話があって、それは行政からの手厚い支援がさまざまにあるわけですけれども、例えば私たちのような事業にはそういう話は一切入ってきていません。

 だから、そうした調子で、やはり児童憲章、子どもの権利条約、児童福祉法の頭の文には必ず全ての子供という文言が出てくるわけですけれども、全ての子供というのは一〇〇%であって、九〇%ではないはずですよね。しかし、現実的には、どうも残りの一〇%の子供が非常に希薄な存在として位置づけられてしまってはいないかということを強く感じます。

 そういう中で、さりとて、もちろん、ベターなものを目指して、関係者の御努力のおかげで事は進んでおります。例えば、このところの制度改正の中で、最終的には、契約ということで、保護者にはインフォームド・コンセントがかなり徹底的に行われます。それから、子供には、先ほど申し上げました、サービスの選択肢が、ハードルが下げられたことによって、多様に地域の中で確保できるようになってきております。それからさらには、我々事業者、提供者としては、頑張りによってインセンティブが働くようになってきている。

 これは明らかに前進です。進歩です。評価したいと思うんですが、しかし、この動きの中で、現実的には、今、今日、さまざまな課題が浮上してきております。ですから、この法案が通過後には、時間を置かないでぜひこうした事柄について当委員会を中心に議論を進めていただけたらと心から願うものです。

 その一つは何かと申し上げますと、皆様のお手元の三ページをお開きください。

 これは、我々が現実、現場の中で日々全国の仲間たちからいろいろ聞かされる課題であります。

 一つは、事務量の増大。結果として、支援スタッフがその事務処理に疲弊こんぱいしちゃっている、消耗している、ストレスが増しているという状態で、本来、彼らは事務職ではない、直接処遇職員であるにもかかわらず、そうした事務的な処理、時間に振り回されてしまっているという事態が起きております。これは法律のせいなのか運用上の問題なのか、ちょっと私は手法的にはわかりませんが、いずれにしろ、現象として今そういうことが全国の津々浦々で起きてしまっているんですね。これは、法の趣旨からは違ったところでそうしたさまざまな課題が起きてしまっているんですね。これを何とか、一刻も早く解消していただきたいというのがまず一点です。

 その中身についても、いろいろございますが、とにかく、いいサービスをするということに関しては、やはりいろいろなスタッフを抱えなければいけない、いろいろなサービスを組み立てなければいけない。それは確かに、インセンティブが働いて、加算事業としてインカムが多少拡大していって、それはいいことではあるんですけれども、結果として、現実は、そうした非常に厳しい作業現場になってしまっている。結果として、若い人たちの職員としての参入が非常に難しくなってきているというのが現実であります。

 それから、さきの改正の中で始まった保育所等訪問支援事業という事業がございます。これは、我々のような児童発達支援センターが持っているファンクションを、地域のさまざまな場で育って、生きている子供たちへデリバリーする、そういう機能です。これは、インクルーシブな社会を志向する今日的な我が国にあってみれば、とても大事な事業だというふうに思います。今後これを一層拡大、充実させなきゃいけないと思っているんですが、現実的には、なかなかこの事業が思うように伸びません。拡大しません。

 それはなぜかというと、この事業の性質上、非常に時間がかかるんですね。ロスがさまざまな形で出てくる。かばんを背負って職員が地域のさまざまな子供の生活空間に出向いていくということは、それなりのキャリア、レベルが必要なんですね。そういう職員が例えば半日かけて一人の子供の支援をしていたのでは、これは採算がとれませんよ。結果として、だから全国的にふえないんですね。

 この趣旨は誰もが納得して進めようと思っているわけですけれども、現実的には全く、遅々とした状況ですね。この辺についても、大所高所から、もう少しこの事業の展開が進むように、検討をぜひお願いしたいというふうに思います。

 それから、四番目の問題としては、これも先生方よくよく御存じかと思うんですが、さきの改正のときに放課後等デイサービスという機能が加わりました。これはこれで、先ほど冒頭に申し上げました、選択肢、地域の中でというようなキーワードを押さえた事業として、私たち、最初はウエルカムでとても期待をしたんですが、現実、今、御案内のように、物すごい勢いで地域の中で拡大をしているということですね。それはそれで、それだけのニーズがあるということなんでしょうけれども、問題はその中身ですね。

 一つは、親御さんの、保護者のニーズというものが結局それをそうせしめているわけですが、その背景にあるものは、保護者の社会参加といいますか、自己実現といいますか、あるいは就労というようなことの気持ちが前面にあるのではないかというふうに懸念します。もちろん、そういう方だけではありませんけれども。それと子供の地域での育ち支援ということとの、二つの機能が対立してしまっているのではないか。

 そういう意味では、子供の最善の利益と言われているときに、本当に子供の最善の利益になっていると言い切れるかどうかですね。ある意味では、子供がいろいろな意味でネグレクトされたという状況になっている可能性があるということですね。

 ですから、これについては、やはり、規模も小さい、五、六人の事業で、非常勤職が約五割、経験も五年未満、資格もないというような状態で、六歳、小学校一年生から高校生までの、本当に、さまざまな課題を抱えた、あるいは障害の多様さの中で、十分な、タイムリーな、まさに合理的な配慮がきちっと担保されるような支援サービスができるのかということですね。

 これはやはり、就労支援施策という問題と子供の育ち支援という問題を少し切り離して考えないと、ごっちゃになってお互いが足を引っ張り合っているような状態で、問題が先送りになっている可能性があるというふうに思います。

 それから、もう一つは日額制の問題です。

 我々は出来高払いで事業費収入が来ます。台風がある、大変な感染症がはやっている、子供が欠席する、そのことによって事業費収入は減るんですね。安定的に一定のサービス、一定の質を担保するにしては、余りにもその変動が大き過ぎる、ばらつきが過ぎるんですね。だから、まずは、事業費は出来高であったとしても、運営費については、つまり人件費を中心とした運営費については、やはり安定的な確保をぜひしてほしいというのが我々支援サービス提供者としての心からの願うところであります。

 それからあと、済みません、もう時間が来て、だめ出しが出ているんですが、六ページを見ていただきたいんですね。

 これは、さきの厚労省の検討会で出された資料です。一昨年出された資料ですので、ぜひどうぞ、お手元に、見ていただきたいんですが、ここで大事なのは、結局、地域で本人中心、家族中心と言っているときに、何もないところで本人、家族中心と言うだけでは安心、安全な暮らしは確保できません。やはりそこに、相談支援専門員という信頼と評価とを持った、そうした事業所と人がいることが大事なんですね。ところが、まだそれも不十分です。なかなか広がりません。これも結局は、そうした人材が十分確保できていないということが大きな問題になっていると思います。

 これについてもぜひ御検討をいただいて、一刻も早く解消し、地域で本当にオーダーメードの暮らしを、育ちをしていくには、そうした方たちが本当に黒子のように、影のように寄り添っているという社会を構築しない限り、絵に描いた餅だと思うんですね。そんなリスキーな生活は誰もできません、現実的には。

 そういう意味でも、ぜひそうした充実を検討していただきますようお願い申し上げまして、済みません、少し延長してしまいました。

 ありがとうございました。(拍手)

渡辺委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 まず、参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村弥生君。

木村(弥)委員 自由民主党の木村弥生でございます。

 質問の機会をありがとうございます。短い時間ですので、全員の方に質問できないかもしれませんことをどうかお許しください。

 私は、医療的ケア児とその御家族の支援について、まず質問させていただきます。

 加藤先生にお尋ねいたします。

 今回の法案につきましては、近年増加している医療的ケアを要する障害児が適切な支援を受けられるように、地方自治体が関係機関の連携体制の構築を促進する規定というものが新設されました。

 日本の新生児、乳児死亡率の低さは世界でトップレベルであります。それ自体は大変誇らしく、すばらしいことなんですけれども、しかしながら、増加傾向にあります重度心身障害児、重心児と呼ばせていただきますが、その本人と御家族をケアする医療と介護の整備が追いついていなかったのが実情でございました。そのため、社会資源を活用することができず、御両親、特にお母様が疲弊しながら面倒を見ていたというのが大半だと思います。従来の判定基準は昭和四十六年に定められた大島分類と呼ばれる区分でありまして、そこに制度がまだ追いついていなかったといった問題がございました。

 私は、衆議院議員になりましてから、障害児に関する勉強会にこつこつと出席しながら、どこかでこの問題を取り上げられないかと考えておりましたところ、自民党の障害児者問題調査会に設置されました医療的ケア児の支援の在り方を考えるワーキングチームの事務局の次長を務めさせていただける機会がございまして、このたび、厚生労働大臣また文部科学大臣に提言書を提出いたしまして、こうやって新たな条文が設けられることを求めてまいりまして、大変うれしく思っております。

 しかしながら、まだまだ課題は山積しております。

 例えば、平成二十六年の文科省の調べによりますと、特別支援学校及び小中学校における医療的ケア児、生徒数は、八千七百五十人であります。人工呼吸器や経管栄養を行っているお子さんたちが地域や学校で生活するために、特に学校にきちんと通学できるために、医療、保健、福祉などの各分野が連携することが重要となります。

 そこで、御指摘いただいたとおり、看護師の積極的な活用、確保、そしてまた通学手段の確保ですね。自治体によっては介護タクシーを利用しているところもあるようです。それから、母親の就労支援ですね。経済的基盤をきちんとやっていく、そういったことが必要かと思っております。

 いろいろ申しましたけれども、看護師については、まだまだ、看護の教育のところでそういった障害児への支援といったものが教育のプログラムに組み込まれていないこともございまして、そこもこれからは整えるようにしなくてはいけないところではありますが、当座はやはり訪問看護師が非常に重要な課題となってくるかと思いますので、そういった点について、手短に、本当に簡単で申しわけないかもしれませんが、御回答いただければと思います。よろしくお願いいたします。加藤先生にお願いいたします。

加藤参考人 ありがとうございます。

 今、先生の御指摘の問題につきましては、今回の法案の中で重点的に取り上げていただいているということで、とてもうれしく思うところであります。

 ただ、問題は、先ほど来申し上げていますように、彼らの生活が非常に選択肢が貧弱であるとか、あるいは、時間、待たされるとかいうようなことを中心に、非常に、その生きにくさ、生きづらさ、不便さ、不自由さ、不利さをまさに集約的に受けてしまっているお子さんたちではないかというふうに思います。

 彼らの生活空間、育ち空間を拡大し、向上させるためには、やはりいろいろなことについて配慮が必要だろうと思います。

 今先生が御指摘のトランスポーテーションの問題、いろいろな場に出向きたい、やはり、そうしたお子さんを抱えて家族が出向くということに関しては、さまざまな困難が伴います。それから、たとえそこの場所にたどり着けたとしても、彼らあるいはその家族の持つ多様なニーズといいますか課題場面を一カ所のスタッフが一カ所の事業所で完結するということも、これもあり得ないことです。誠実になろうとすればするほど、一カ所で一人が一専門職で完結するということはあり得ません。

 そういう意味では、人材のネットワーク、機関のネットワークということを積極的に行わない限り、家から外に出ればいいというだけではなくて、やはり、出るからには、さまざまなポジティブな刺激を受けながら積極的な生きざまにつながっていくような、そういう配慮、工夫、仕組みが大事かというふうに思います。

 それからもう一つは、看護師さんということは大事な要件になろうかと思いますが、では、看護師さんだけでいいのか。生命に関してはそうかもしれませんが、彼らの持つ発達課題等々を考えますと、やはり、受け皿としてのスタッフ、看護師さんを中心としたスタッフの、育ち、子供、障害というようなところに関するマルチな知識、技術、経験、情報みたいなものを培うような、そういう養成というようなことがこれから必要不可欠であろうというふうに思います。

 そういう意味では、ぜひそういうことに関する積極的なサポートもお願いしたいというふうに思います。

木村(弥)委員 ありがとうございます。

 加藤先生御指摘のとおり、看護師だけではなく、例えば居宅介護の人材も活用するといったことが必要かと思いますが、現状ではなかなか、訪問介護につきましても居宅のみとされているところで、まだまだ課題はあるところでございますので、そういったところで医療的ケア児そしてその御家族が負担なく、そしてまた、特にお母様も就労できるような、そういった仕組みづくりを進めていかなければいけないかなと思っております。

 ありがとうございました。

 特別支援学校を卒業した後、また、さまざまな、なかなか受け皿がまだ整っていないといったことについて、次の質問に入りたいと思います。これは就労支援でございます。こちらにつきましては、大原先生と竹中先生にお尋ねしたいと思っております。

 今回の法案では、自立生活援助を創設いたしまして、自立を促進していくという動きが促進されてまいりました。

 私は、実は、先日設立されました超党派のソーシャルファーム推進議員連盟の事務局長を務めております。このソーシャルファーム議連といいますのは、障害者、ニートの若者、高齢者、刑務所を出所した方などの社会的にハンディを持った方々を含めて、誰もが仕事を持つことができる方策を考えていこうとするものでありまして、そのためにソーシャルファームという社会的な企業の推進を図ろうとしております。経済的自立を確保するだけではなく、人間としての自尊心、心身の健康の維持、社会とのつながりを確保することにつながると思います。

 障害者が仕事を持つためにどのようなことが必要とお考えになるかをお聞かせいただきたいと思います。

 先ほど竹中先生の方から、チャレンジドからタックスペイヤーへという動きが必要だ、全ての人たちが働く誇りと力を掘り起こしていくといった言葉に私、大変感動いたしまして、本当に、そういう人の力を眠らせることはもったいないことだ、雇ってあげましょうではなく、そういうところから脱却をして、みんなで働いていって税金を納めていくんだ、そういう動きになることを心から願っております。

 どうぞお願いいたします。

大原参考人 御質問ありがとうございます。

 実は、私自身が理事長を務めております北海道にあります社会福祉法人では、まさに先生がおっしゃられたソーシャルファームとまで言えるかわかりませんが、農福連携ということで、障害のある方が農作業を務め、私どもの町は基幹産業が農業でございますので、そうした農業の推進、振興に寄与しようということで、細々と畑の作業をやっております。

 障害のある方のみならず、御高齢の方や、もしくは生活困窮者と呼ばれるような、なかなか就労機会のない方々についても、そこでお務めいただいている中で、こうした御時世ですので、我が町では特に農業が、これから後継者がいない、畑がなかなか使われない、だんだんだんだん衰退の一途をたどっていくという中で、こうした活動を続けていく中で、もちろん、障害のある方がそこで自分の役割を見出すというようなこともございますが、もう一つ、大きな効果としては、地域の中で彼らが生産者としてとても大切にされる。だんだんだんだん衰退していく一次産業を、障害のある方たちが救世主のようにそうした役割を担い、そうしたことを通じて地域の中で障害のある方がいわば認められていく。彼らが働くということを基幹産業を通じて地域の中でしっかり理解していただくことで、地域の幅広い理解につながり、ひいては障害のある方の自尊心の高まりにもつながっていく。

 そうした意味では、こうした就労支援の広まりというのは、障害のある方の自立支援にとっても、これからの衰退していく基幹産業にとっても、極めて有益なものではないかなというふうに思っております。

 以上でございます。

竹中参考人 御質問ありがとうございました。

 働く誇りについて御共感いただけて大変うれしく思います。

 先ほどもう少し具体的に言えばよかったんですけれども、実は、私たちの働き方の、その情報通信技術を使ったものというのは、今、お仕事をいただいたところと個別のやりとりみたいな形をしているんですね。ですので、きょうは、ぜひ皆様方に御協力いただきたいこととして、プロップ・システムともいうべきクラウドのシステムをきちっと公的な資金で構築して、そして、この二十五年間そのような働き方を推進してきたこのプロップ・ステーションが責任を持って運営できるような形を構築していただきたいと思います。

 先ほども言いましたように、幾ら企業が大きなお仕事を発注してくださったとしても、今プロップ・ステーションとつき合いがあるとか、プロップ・ステーションで学んだというチャレンジドだけではなくて、そのクラウド上で、例えば、全国の作業所の中で、こうしたオンラインでお仕事ができるとか、したいとかいう方々が、オンラインで教育を受けたり、オンラインでお仕事ができるというような、その集約のできるクラウドシステムのようなものがあれば、これはすごく推進されていくのでないかなと思います。

 同時に、先ほども言ったように、そういう働き方もきちっと雇用率の中で捉まえていっていただければ、たくさんの方が誇りを持って世の中に参入していただけるのではないかなと思っております。

 一人の力も眠らさずにいるように、ぜひ御助力をくださいませ。

 ありがとうございます。

木村(弥)委員 ありがとうございます。

 竹中先生におかれましては、もともとお母様という立場から、こうやって一つ一つつなげていらしたということに非常に敬服いたします。これからそういった就労支援を応援してまいりたいと思いますので、ぜひまたいろいろと意見交換ができたらと思います。

 ありがとうございました。

 もう時間がなくなりましたので、きちんとした質問にはならなくて大変申しわけないんですが、先ほど金澤先生の方からお話がございました中で、資料の中に、私は看護師出身でございますが、看護師に対して患者さんが非常に失望している、ALSに対する知識が余りないということがございまして、非常に胸を痛めました。このことはきちんと受けとめて、しかるべきところに伝えたいと思います。

 それから、佐藤先生がおっしゃっています共生社会の実現でございますが、私の知り合いで、障害児のデイサービスを始めようとしたところ、大家さんの方が貸してくれなかったと。それは、大きな声を出したり、そういった障害を持つ方が近所に来たら、非常に、よくないといった、迷惑施設扱いをされてしまったという話を聞いて、私は大変憤慨いたしまして、そういった社会の考え方というものを、これは待機児童問題で保育所もそうなんですが、変えていかなくてはいけないと切に思います。そういったことについてまたいろいろと意見交換をさせていただけたらと思います。

 きょうは、短い時間の中、ありがとうございました。

 私の質問を終わらせていただきます。

渡辺委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。民進党の初鹿明博です。

 まずは、参考人の五名の皆様、きょうは、お忙しいところを国会までお越しいただき、貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。心から感謝を申し上げます。

 また、金澤さんについては、先ほど岡部副会長のお話がありましたが、何とか障害を持っている当事者の声を聞きたいということで私も努力させていただきましたが、なかなか十分に与野党の調整がつかずにこういう結果になったことを、まずは力不足をおわび申し上げさせていただきます。

 その上で、金澤さんにまず最初にお伺いいたしますけれども、今回の法改正の中で、介護保険との関係について、六十五歳を超えて介護保険に移った場合の利用者負担の軽減をするという措置が設けられ、この点については、きょう参考人でお話をされた皆様、おおむね、いい方向であるという評価をしていただいていると思います。

 しかし、その一方で、金澤さんからもお話があったとおり、進行性の難病であるALSの対象の方になると、発症した時期によってこの軽減措置が受けられる人と受けられない人で差が出てしまうという、非常にこれは大きな課題だなということを、私も話を伺っていて感じました。

 今回のこの改正案では、一定程度の利用期間障害福祉サービスを受けているということが条件とされていて、厚生労働省の話ですと大体五年程度ということでございました。こうであると、例えば、発症した時期が三十七歳とかまた六十二歳とかそういう微妙な年齢で、五年使わずに介護保険に移るというときには対象にならないということになってしまうということで、非常にこれは不公平ではないかということも、私も御意見を伺っていて感じた次第です。

 そこで、改めて金澤さんにお伺いをいたします。

 ALSの患者さんの中で、人によって多分進行していくスピードが違うと思うんですけれども、発症してから実際に介護保険のサービスを使うような重度化までに至る期間、大体どれぐらいの期間がかかっているかということと、六十五歳までの間に五年使わずに六十五歳を迎える、または、若くになって、四十歳までの間に障害サービスを五年使わずに介護保険を使うようになってしまうという方はどのぐらいの割合でいらっしゃるのかということがもしおわかりになりましたら教えていただきたいんですけれども、お願いをいたします。

金澤参考人 ありがとうございます。

 今の御質問の一つの、ALSの患者さんの場合は、重症化して介護保険を使うようになるのにどのぐらいの年月がかかるか。

 これに関しては、そもそもALSの場合は、中高年で発症して、一つは個人差というのがあります。要するに、人それぞれによって、足だとか手とかから発症したり、球麻痺という、しゃべることとか、これが出る。いろいろあるんですけれども、要は個別差があるということをちょっと頭に入れていただいて、その上で、一般的に言われていることは、三年から五年ぐらいですね、ALSという診断がついてから。そのぐらいになってくると、最初は手足が動かなくなって、その後やはりしゃべれなくなる、食べられなくなる、さらには呼吸筋麻痺が起きて、呼吸器をつけないと生きられなくなるというのが、大体三、四年、そのぐらいです。

 だから、大体、介護保険を使う人でいうと、二年とか三年とか、そういうことで、ちょっと正確には言えないんですけれども、そういうぐらいだと思います。それで徐々にふえていきます。それが一つですね。

 それから、四十歳まで、あと六十五歳までにどのぐらいの人がいるかという話なんですが、ちょっと今手元にその資料は持っていないんですが、四十歳までだと本当に数%、ALSの場合は六十五歳から後半が今年齢のピークになっていて、四十歳未満で発症する人は極めて少ないです。協会で行った患者会員対象のアンケートを見ても数%でしたけれども、少ないですね。

 それから、六十五歳までですかね、六十五歳までとかいうと、主に今、二〇一二年の十一月に私どものもとでとったアンケートなんかによりますと、介護保険だけを使っている方が大体四〇%。四十から六十四までですね。それから、あと介護保険と障害福祉を併用して使っている人が四五%ぐらいだったです。大体の比率ですけれども。よろしいでしょうか。

初鹿委員 つまり、個人差がかなりあるということですよね。

 それで、やはり話を伺っていて、例えば四十歳未満で発症する方は数%だということですが、その数%の方だから無視をしていいという話ではないということを私も非常に強く今感じました。個人差によって受けられるサービスが変わってしまうということはできるだけ避けた方が制度としては好ましいと思いますので、やはり今回の改正、確かに第一歩だと私も思いますが、この先、さらに対象を拡大したり、期間の問題をもう少し短縮できないかということも検討しなければいけないなということを感じさせていただきました。

 そして、重度訪問介護が入院で使えるという問題について、大原参考人そして金澤参考人からもお話がありましたけれども、お二人の話を聞いていて、共通しているなというふうに思った部分が一つありました。

 それは、ALSの患者さんですと、やはりコミュニケーションが非常に難しい。ナースコールを押すような場合でも自分では押せない、声も出せない。そういうときにやはり誰かが付き添いで、それこそ二十四時間いてもらわないと非常に困る場合があるという、それは本当にそのとおりだなと思いました。

 また、大原参考人からは、行動援護の対象になるような、そういう知的発達障害の方々のお話がありましたが、こういう方々も、今まで支援に当たったような人でないとやはりなかなかコミュニケーションがとりづらい、何を本来意思表示したいのかがつかめないということで、では、こういう方々が今回のこの重度訪問介護を広げたことによって十分に支援が受けられるのかというと、まだまだ不十分ではないかなということを改めて感じさせていただいたんです。

 まず、金澤さんに伺いたいんですが、入院をしたときのコミュニケーションの支援というものの重要性ということをどのようにお考えになっているかということと、現在、地域生活支援事業の中で一部やられていると思いますが、それが市町村によってばらつきが非常にあると思いますが、その点についてどのように今考えているのかということをお聞かせいただきたい。

 そして、大原参考人には、行動援護の対象になっているような方々を重度訪問介護で十分なのか、それではやはり不十分で、きちんとしたコミュニケーションをとるためには、その専門的な知識や能力を持った行動援護の支援をする必要が本当にこれは大きいんだということなのかどうかということをお聞かせいただきたいと思います。

金澤参考人 ALSの場合の入院時のコミュニケーションの大切さ、これに関しては、大体、ALSの患者さんが、今、在宅療養していて入院する場合というのは、家族の休息とか冠婚葬祭とか事情があって患者さんが一時的に入院する、そういう場合と、胃瘻とか検査だとか発熱したとか、そういう場合で入院する場合があります。

 そういう場合に、一つは、入院先の病院がきちっとコミュニケーション障害とかそういうことに対して対応できる、なれた看護師さんだとかスタッフがいればできないわけじゃないんですけれども、それが極めて少ないというのが実情です。

 そういうことで、病院に入ったりすると、例えば、呼吸器をつけている人なんかがたんの吸引をやってほしいとか、ちょっと微妙な、寝返りとか手を動かしてほしいとか、そういうことを依頼するにしても、看護師さんなりそういう方々に意思が伝わりにくいんですね。一つの例ですけれども、そういうこととか、要は、本当に岡部がきょうしゃべればよかったんですけれども、患者さんが医師なり医療職の方なりに意思を伝えるというのが、病院の中においては、十分設備もなければ、なれていないから、できないんですね。そこが一番大事です。そういう面で、呼吸器が緩んだりしていてちょっと漏れていて何とかしてほしいとか、そういうことがあってもすぐに対応できない、そういうことがあります。

 それから二番目の、コミュニケーション支援の、現状実施している市町村のばらつき、これに関しては、千七百余の自治体があると思うんですが、ALSの患者さんのそういう入院時に付き添いができている市町村というと実際上は数十ぐらいしかなくて、それも実情は、地域で先生方とかに働きかけて予算化して要綱をつくってやっているというのが実情です。一回当たりの付き添いの時間というのも、百五十時間とか、少ない、いろいろな形で時間の格差もあります。

 一番大きいのは、まず、そういう実施制度自体がある、ないということの格差が圧倒的にあるということ、それから周知もされていないということ、これが第一です。それから、実施に当たっては、対象者をどういう人にするかということも格差がある。それからあと、時間ですね、時間の格差もあります。

 なので、そこら辺で、今回の重度訪問介護ができるということは法律なので、これは全国的に保障されるかなと思っています。そういう意味で、今回の重度訪問介護の施行を皆さんが歓迎しているところです。

 以上です。

    〔委員長退席、小松委員長代理着席〕

大原参考人 御質問ありがとうございます。

 先生がおっしゃられたように、行動援護を必要とする方はかなり行動上にさまざまな問題があって、例えば、入院中に管を抜いてしまったりとか、医療器具を倒してしまったりとか、行動上かなり、入院中の生活のストレスも伴って、その中でパニックを起こしてしまったりとか、こちらが想像できないようなそういった行動も想定されます。

 そういった意味では、重度訪問介護よりも行動援護の方が、専門的なカリキュラムを受講する要件など、かなり専門性の高い従事者というようなところがそのサービスに当たるというような観点から、重度訪問介護は一方で長時間のサービス、行動援護は、例えばそうした利用者の方々がパニックになったときの、適宜、適所に短時間かかわるとか、先ほども御説明させていただいた、しっかりと入院中の見立てをしてそうしたことが起きないように予防していくなど、短時間の専門的なサービスと、先ほど申し上げたようなカリキュラムをしっかり受講しているというような観点から、行動援護でもこうした入院中のサービスを使えるというようなことが、障害のある方にとってより広い選択肢になるのではないかなというふうに思っています。

 以上です。

    〔小松委員長代理退席、委員長着席〕

初鹿委員 時間が来てしまったので、三人の参考人の方にも質問したいことがあったんですが、これで終わらせていただきます。

渡辺委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、参考人の皆様、朝早くから国会においでいただきまして、貴重な御意見をいただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。

 私たちも、平成十七年成立の障害者自立支援法施行後から今回の総合支援法の改正まで、利用者の方々、また事業者、当事者の方々から一つ一つお声を伺いながら進んでまいりました。特に、利用者負担の大幅な軽減ですとか、また事業者の激変緩和措置など、特別対策、緊急措置も実施をしてきたところでございます。

 総合支援法施行後三年の見直しということで、今回、障害者へのさまざまな支援が盛り込まれた改正案が提出をされました。

 まず、竹中参考人にお伺いをしたいと思っております。

 意見陳述の中でも述べてくださいました、チャレンジドがタックスペイヤーに、納税者にということで、二十五年、これまで続けてこられたということで、私も心から敬意を表したいと思っております。

 ICTを使った働き方、テレワークに関しましては、私も、障害者のみならず、子育てをしている親の世代、あるいは家族に介護を抱えている、また地域で活動する、また自己研さん、勉強する、さまざまな人にとって、通勤をしないで済むこの働き方というものが非常に有効であるということで、これまでも普及に努めてきたところでございます。

 特に、意見陳述の中で述べられていらっしゃいましたので、まず、法定雇用率、ここのところを改善していく必要がある、そしてまたさらに、クラウドを活用したシステムの基盤整備、ここが重要である、そして、企業においては、こうした障害を持った方々に発注をしていく、ここへのインセンティブをつけていく支援が大事だ、このような御意見だったかと思いますが、そこのところをもう一回確認させていただきたいと思います。

竹中参考人 御質問ありがとうございます。

 まさに今まとめていただいたとおりのことをお話しさせていただきました。

 法定雇用率は、そもそも、出発が、ともに働くことが難しい人たちなんだけれども何ポイントは雇ってあげましょうよというような、そういう発想からやはり来ているように思えてしまうんですね。ですから、いろいろな企業の方から御相談があるときも、どんな仕事でもいいんやけれども、ポイントがうちは足りませんねんみたいな御相談みたいな、本当に、その人を、人としてというよりポイント数に換算してしまう結果に、そういう意図の法律ではないんだけれども、結果としてそのようになっている部分があるのが私はとても残念だと思います。

 でも、さはさりながら、その法律によってたくさんのチャレンジドの方が雇用されてきたわけですから、これは非常に重要な法律であった。

 ただ、今の時代、こういった情報通信を活用することで、通勤が無理であっても、あるいは一日短時間であっても、自分のパフォーマンスの出せるときだけでも働けるというような時代が来た今になって、今のままの法定雇用率の制度でよいのかというところは、ぜひ、きょうお集まりの皆さん方に御一緒に考えていただければうれしいし、そういった法律、制度の中身を変えていくということは、私たち民間、現場で頑張っている人間がなかなかできない、こういうふうに要望を述べたり意見を述べるということしかできませんので、ぜひ皆さんのお力で何とかかなえていただければと思います。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 まずは企業によって法定雇用率を何とか達成しなければというところから出発していると思うんですが、またさらにその先、柔軟な働き方ができるような制度づくりが必要だということを理解いたしました。

 続けて竹中参考人にお伺いをしてまいりたいと思います。

 今回の改正案の中で、就労定着支援というところが創設をされました。障害を持って働いている方が、仕事を続けていく上でいろいろな課題に直面するんだというふうに思います。そこで、相談、そして課題の把握ですとか、企業等の関係機関の連絡調整、ここで必要な支援が行われるということになりました。

 二十五年間、テレワークという在宅の就労ではありますけれども、障害を持った方が働くことについて支援をされてきた中で、就労を定着させていく、この支援についてお考えがあれば伺いたいと思います。

竹中参考人 在宅で働くことだけを推進しているのではなくて、在宅ででも働けるようにということですので、プロップ・ステーションの組織自身には、通ってきているチャレンジドのスタッフがたくさんいます。先ほども言ったように、二十五年、そういったチャレンジドのみんなと一緒にこのグループをつくったので、精神の障害の方、知的の障害の方、あるいは身体の障害、さまざまなチャレンジドの皆さんと一緒にこの組織自身を運営しているのですね。そうしたときにわかることは、家族が、まず、この子を働かせてやりたいとか、この子が働けると信じることができるかとか、そこのところがすごく大事やなというのを物すごく感じるんですね。

 やはり、養護学校の先生方に車椅子で連れられてきて、この子も何かお仕事をと先生一生懸命おっしゃっていただいたんだけれども、お母さんが、横で、いや、この子は無理ですと言われるような経験はすごくたくさんしているんです。でも、現実に、その子が、ゆっくり動く指で、何かかわいい絵を描くのがお好きやったら、それをペンタブレットに持ちかえた途端に、そのイラストデータを使ってすてきなのを描かれた。それがきちっとカレンダー会社なんかで採用していただいて、ペイが入った。その瞬間にお母さん、次の仕事はいつですかと言われたりするぐらい、やはり親御さんもまだまだ夢が見れない時代かなというふうに思うんですね。

 ですので、一人一人の人が家族とともに意識を変えて働いていけるようになるという、システムとしても私はこのコンピューターのネットワークというのはすばらしい。それは、通える人も通えない人も、あるいはどんな種類のハンディの方もということで、お考えいただけたらいいかなと思います。

 それから、先ほどのクラウドというのは、ちょっとまだまだ御存じのない方も多いかもわからないんですけれども、そういったコンピューターネットワークを集約させて、そこに置いてある情報で全部つながり合いができるというような形で、それをぜひ国家的に、いわゆる職安のシステムとまた別に在宅のお仕事のために構築をしていただく、そしてそれをしっかりと経験のある者たちで運営させていただければなと思っています。

 よろしくお願いいたします。

古屋(範)委員 家族、親も含めた就労定着支援というものが必要だという御意見であったと思います。

 次に、大原参考人、竹中参考人、お二人にお伺いしたいと思います。

 今回、障害者がひとり暮らしを継続するに当たって、自立生活援助というものが創設をされました。特に、大原参考人も意見陳述の中で、グループホームで生活しなければならない方々もいるけれども、一人で生活したい、自立したい、オーダーメードの支援が必要だ、選択肢をぜひふやしていくことが大事だという意見陳述をなさいました。

 そこで、今回の改正案では、グループホームを出てひとり暮らしを希望している障害者の方々に、グループホームのスタッフが定期的に自宅を訪問して支援をする、また相談に応じてサービスを提供していくということを盛り込んでおります。

 その自立をして生活をしていく、ここに対してどのような支援がさらに必要か、お二人の参考人にお伺いしたいと思います。

大原参考人 御質問ありがとうございます。

 先生がおっしゃっていただいたように、障害のある方が、共同生活ではない、一人での暮らしというものを実現させていくための今回創設される事業というものは、私ども大変歓迎しておるところです。

 この従事者についてですけれども、これはヘルパーに似ている要素もございます。ただ、ヘルパーというのは、家事の援助でしたり、食事の介助でしたり、さまざま、生活上その方が必要とされるものについてヘルパーが提供するものですが、この自立生活援助については、その方が一人で暮らしていくための、例えば調理をどのようにその人が一人でしていくのか、はたまた、その方が一人で暮らしていく上での対外的な関係性をどのように築いていくのか、そういったところで、やはりその人の暮らしを、ある意味、積み立て、組み立てていく立場になりますので、一定の経験や研修期間は必要なのかなというふうに思っております。

 そうした観点からも、この方々のひとり暮らしというものを実現する上で、従事者の専門性については今後協議していただきたいというふうに考えております。

 以上です。

竹中参考人 実は、私が仲間たちとプロップ・ステーションを始めた二十数年前というときが、ちょうどアメリカからIL運動、自立運動が入って、全国的にチャレンジドの皆さんの自立活動が大いに広まった。そして、家族と離れて独立をして生活をされ、そこにさまざまなサポートを得ていくというような、介助者の逆にアテンダントのシステムだとかも生み出した側に私もその当時はいたわけですけれども、そうしたことをする中で、アメリカでは、やはり人をちゃんと雇って、自分の介助する人を雇えるという状況がチャレンジドにはあるんだけれども、日本にはそもそもそれがないなということで、全て公的資金だけに頼らなければならなくなるんですね。

 だから、そうではなくて、きちっとその人自身が仕事もできるという状況をつくることによって、負担もできるけれども、ちゃんと公的資金と公的システムとあわせてそれがやれる。それもアメリカは先行してやっているわけですけれども、そういう発想法が、今、税金がないから何もできないではなくて、税金が大変なんだけれども、そういう組み合わせをすることによって自立生活を支える方法を真剣に考えていくということは、私は絶対可能だというふうに思っています。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 最後に、加藤参考人にお伺いをしたいと思います。

 先ほどの意見陳述の中で、障害を持った子供たちの存在が希薄に位置づけられてはいけない、そうおっしゃいました。私もそのとおりだというふうに思います。多くの選択肢を持っていただき、そして、それも短期で、ショートタームで実行していくということが大事なんだろうと私も思います。

 その中で、保育所等訪問支援事業、今回、発達支援を提供するこの保育所等訪問支援事業というものが行われることになっておりますが、ここが拡大、充実をしない、伸びないという課題を御指摘になりました。ここを今後さらに拡大させて、充実させ、より多くの子供たちにこうした支援を行き渡らせるためには何が必要かということをお伺いしたいと思います。

加藤参考人 ありがとうございます。

 先ほど申し上げましたように、この事業というのは、本当に我が国のこれからの障害児施策、障害者施策の基本をなす考え方だと思います。そういう意味で、この事業が一層充実、拡大をしてほしいと願うものです。

 そのときに、問題になっているのは、これが契約制度の中で個別給付になっているという問題です。つまり、例えば、幼稚園とか保育所で育ちが気になるというようなことを周りのスタッフ、関係者が気づいたとしても、当事者の親御さんがオーケーを出さない限り、我々は基本的には手が出せない、そういう仕組みになっております。

 ですから、ここを何とかしないとということで、今、障害児等療育支援事業という別の事業がありまして、これは、施設給付といいますか、必ずしも個別給付になっていませんので、それと両輪のように組み合わせながらカバーするということが今現在行われていますけれども、ただ、これも各自治体、県によっていろいろです。あったりなかったり、非常に充実していたり、非常に希薄になったりというようなばらつきがあります。そういう意味では、全国津々浦々、どこにいても必要な支援サービスが必要なだけ必要なときに得られる、そういう仕組みをぜひ構築していかないといけないだろうというふうに思います。

 それから、やはり一人一人の彼らの育ちの場、生活の場に出向いてということになりますと、移動ロスという問題がどうしても出てくるんですね。その効率の悪さ、ある意味ではコストパフォーマンスの悪さというようなことがどうしても出てきますので、やはりそのことも十分、その給付額に加算するなり見合う単価を出していただくなりしないと、とにかく頑張っても頑張ってもなかなか、頑張れば頑張るほど、赤字と言うとあれですけれども、見合わないという事業になってしまって、現場では本当にじだんだを踏んでいるというのが実情でございます。

 それからもう一つは、スタッフですね。先ほども申し上げましたように、やはりそうやって地域に出向いていって、まさにあらゆる子供の育ち状況、あるいはあらゆる子供の生活環境をしっかり受けとめて、本人、あるいは御家族、あるいはその場に生活している機関のスタッフの方たちにも適切な助言なりアドバイスなりをしなければいけない。それがまた重要な役割になるわけですけれども、そのためには、それなりのレベル、パワーを持った人材がどうしても必要になります。そういう意味では、やはりそれに見合う単価が出てこないと、極端な場合、ビギナーのスタッフではこの任は到底務まりませんので、その辺の対策が必要かと思います。

古屋(範)委員 本日の皆様の貴重な御意見、改正案の議論にさらに生かしてまいります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、堀内照文君。

堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。

 きょうは、貴重な御意見を本当にありがとうございます。限られた時間ですので、早速質問に入りたいと思います。

 初めに、佐藤参考人に伺いたいと思います。

 先生が部会長として、基本合意も受け、骨格提言を取りまとめられたのは、当時民主党政権でしたが、障がい者制度改革推進本部のもとに置かれた推進会議の中の総合福祉部会でした。ここでは、私たちのことを私たち抜きで決めないでと、この原則のとおり、構成メンバーという点でも、またさまざまな運営面でも、当事者参加のもとで進められてまいりました。これにかかわって、ちょっと二点伺いたいんです。

 その際、当事者参加でどういう工夫がされたのか。そして、そういう体験も踏まえて、今回の法案提出に至る議論の経過をどのように見ておられるか。お伺いしたいと思います。

佐藤参考人 ありがとうございました。

 当事者参加という点での工夫としては、いろいろなことがありますね。

 知的障害のある委員の方には、難しい言葉を説明したりするような補助者を隣につけるとか、会議の前に、きょうのテーマはこういうことですというふうな解説をするとか、ルビ振りの資料を用意するとか、それから、会議の途中でわからない言葉が出てきたらイエローカードを掲げて、会議をとめてその言葉の説明をするようなやり方とか、そんなのが知的障害の委員の方についてはあったり。

 盲聾の方には、指点字の通訳者が四人くらいついてやるというようなことになったり、指点字というのは疲れるので、四十五分たったら休憩を入れるというふうにしたりとか。

 夏の厚労省の講堂が暑くて、脊髄損傷の人が体温調節がうまくできないので体調を壊すというふうなことがあって、かけ合ったところ、いや、しかし、全庁的な節電の事業なのでここだけやれないというふうなことだったので、厚労省のスタッフの方が近くのコンビニに走って氷をたくさん買ってきて、わきに入れるとかですね。

 いろいろな努力を事務局も委員の人たちもやったりしたというふうなことで、そういうようなノウハウもこれからほかでもどんどん生かしていけるといいなというふうに思います。

 それから、今回の改正案の準備の過程なんですが、すぐできることは総合支援法に入れたけれども、検討を要することに関しては三年かけて検討するという約束で三年の検討が入ったわけですけれども、実際、審議会で検討を始めたのは最後の一年余りというふうなことで、拙速に検討したことで自立支援法について問題が起きたということを反省したはずなのに、今度もまたばたばたとやって、しかも、お金がないので余り改革できませんよという雰囲気の中でやってしまったということが残念だなというふうに思います。

堀内(照)委員 ありがとうございます。

 続いて佐藤参考人に伺いたいと思うんですが、この総合支援法は本来、自立支援法を廃止して、基本合意、骨格提言を反映させるために新たに立法されるべきものでした。ところが、支援法から看板をかえただけの不十分なものとなった。今も先生おっしゃっていただきましたが、三年後の見直しに議論が持ち越される。しかし、このたびの法改正もそれに応えたものでないというのは、先生が陳述されたとおりだと思います。当時の大臣答弁も引用していただきました。

 この骨格提言の実現へ、本来の法案のあるべき姿、全面的にもちろん骨格提言が実現するというのが望ましいんだと思うんですけれども、少なくともまずはどういった法改正が必要だったとお考えでしょうか。

佐藤参考人 資料の二ページ目に、骨格提言に照らした総合支援法とその改正案の問題点のポイントということで、十点ほど挙げさせていただきました。

 この中で、例えば一番目の「地域生活に必要な支援を受ける権利と提供する義務が書かれていない。」ということなどについては、なかなか当時、厚労省も難色を示したというか、権利を保障するのは憲法であって、福祉の法律はできるだけそれを実行するレベルにとどまる、ほかの福祉の法律を差しおいて障害福祉だけそれをやるわけにいかないというふうなことで、骨格提言の一番大事な部分なんですけれども、もっとほかの審議会を含めて総合的に検討しないと、すぐには今度のその法改正には入らないということもあったりするのかなというふうには思います。

 しかし、障害者権利条約がこう書いているわけですから、それが国の憲法に次ぐ法律になったわけですから、これを実行できないはずは本来的にないんだろうと思いますね。そういう意味では、政府というよりは国会がその辺の判断をきちんとして、国のあるべき方向を示すのは国会ですので、そういう議論をぜひやっていただければと思います。

 ほかの十項目も、報酬のあり方とか、検討すれば困難でないことが結構ある。技術的に開発をしなければならないとか専門職の養成が必要だというふうなことで、すぐに実行できないこともあるけれども、それについても実行することを法律で決めて、そのためにこれこれの準備をかけるとか、方向を決めることが何よりも国会としては大事なことなのかなというふうに思います。

 以上です。

堀内(照)委員 ありがとうございます。

 続いて、介護保険の優先原則について、同じく佐藤参考人に伺いたいと思います。

 この法律では、優先原則の立場を改めていません。今回の改定で国が利用者負担の軽減をするというんですが、支援区分などの要件で、対象は、本会議の大臣答弁で、およそ三万人だと見込まれていると。絞られるということになります。それ以外の人は、廃止すべきだった応益負担がかかり、地域で生きるために必要なサービスも制限されてしまいます。

 こういう事態というのは、障害者の権利保障という点で、骨格提言が目指す方向とやはり私は違うというふうに思うんですが、先生のお考えをお聞かせください。

佐藤参考人 この辺は、恐らく厚労省がかなり苦労をされた部分かなというふうに思います。

 基本合意で、低所得の人がたとえ五千円でも一万円であっても利用者負担が払えないということで、基本合意で低所得者は無料とする、自己負担ゼロにするということを決めたわけです。しかし、その人が今度六十五歳になったら一割負担がかかってくるということになってしまって、収入がふえたわけではないので、障害が軽くなったわけでもないのに一割負担がかかるということで、裁判も起こったという中で、何とかこの問題を解決しようということで取り入れたその施策が、障害福祉の方から介護保険の一部負担を払おうというやり方なんだろうと思いますけれども、根本的に考えて、私は、障害者福祉と介護保険というのはかなり大きく違うんだろうと思います。

 四点ほどあるんだろうと思いますけれども、一つは、一割負担ということですね。二番目は、社会参加を目的としないということ。それから、レディーメードの商品を提供する介護保険と、個別のニーズを尊重しながらオーダーメード的なサービスを提供する障害者福祉との違いもある。それと、サービス量の制限ということがあって、これら四つほど大きな違いがある中で、六十五歳になったから介護保険だよということで単純にやろうとしている。その辺をもうちょっときちんと根本的に見直す必要があるのかなと思います。

堀内(照)委員 ありがとうございました。

 金澤参考人にお伺いしたいと思います。

 ALSの方で、介護の、先ほど、今度の施策が実現されたとしても、発症時期によって負担軽減がなかなかとれないということで負担が多かったり、あと、サービス利用の抑制に実際つながっているというお話もありました。

 私が聞きたいのは、あわせて、障害福祉サービスの支給という点でも、一日二十四時間介護が必要であっても市町村によっては認められないということで、ALSの方が裁判に訴えられたという例もお聞きしました。これでは必要な支援が受けられないわけですので、そういった障害福祉サービスの支給のあり方という点で改善点なりお考えがありましたらお聞かせください。

金澤参考人 ありがとうございます。

 先ほど意見の中で言ったんですが、ALSの場合は、在宅なり社会生活する上で、どうしても家族だけじゃなくて人の介護ということが大きなウエートを占めます。そういう意味で、四十歳からの介護保険というのに入れてもらうことにも取り組んで、しました。

 ただ、その中で、二十四時間三百六十五日、本当に介護が必要なわけですね。家族だけでやってもやり切りません。それで、人らしい社会的な生活をするには、やはり他人介護というか社会的介護が充実する必要があります。

 そういう意味で、介護保険は、せいぜい月に五十時間とか六十時間しか使えません。それ以外は訪問入浴等ほかのことで使うんですね。それに上乗せするのは、障害福祉の重度訪問介護だとか居宅介護とかそういう時間になります。

 これに関して、サービスの支給量というものは全国的に見て随分格差があります。多いのは百時間未満が圧倒的なんですけれども、本当に、今度、多い人は八百時間とかそういうところまで出ているところもあります、月です。

 これは何によってそうなるのか。これは、家族介護をどのように評価するかとか何かそんなところで変わってくるんですけれども、要は、やはりもう少し必要な介護の時間はきちっと保障されるということを、これは患者さんから見れば当然のことなんですけれども、それが市町村の解釈というか基準の違いによって出るんですね。

 そういうところから、例えば和歌山なんかでは、家族がやっている中で、介護がきついのでヘルパーを時間をふやしてほしい、そういうことで裁判も起こされました。二十四時間にはなっていませんが、二十時間を超える時間をちゃんと公的には給付するようにしなさい、そういうこともありました。

 そういうことで、まだばらつきなりが多くて、なかなか理解してもらえないのが実情です。

堀内(照)委員 最後に、済みません、ちょっと時間がないんですけれども、佐藤参考人に、財源の問題で、人間の尊厳と基本的人権のための支援で財政の壁という理由は使うべきでない、私は本当にそのとおりだと思いました。

 一言だけ、この点でおっしゃりたいことがございましたら、お聞かせください。

佐藤参考人 ありがとうございます。

 ちょっと時間がなくて説明できなかった部分なんですけれども、表現の自由だとか、移動だとか、居住の自由だとか、選挙への参加など政治への参加とか、こういうものは、本当に基本的人権として、どんな状況があっても、お金がないので我慢してくださいと言えない性質のものだろうと思うんですね。

 障害福祉サービスというのは、それをやるために不可欠なものですので、例えば、手話通訳でなければコミュニケーションが図れない、移動支援がなければ選挙にも行けない、そういうようなものですので、ぜいたくなものじゃなくて、本当に基本的人権に直結するものですので、財源がないからということではまずいというか、そういう社会であってはほしくないなというふうに思います。

堀内(照)委員 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 おおさか維新の会の浦野です。

 本日は、参考人の皆さん、どうもありがとうございます。

 貴重な質問時間ですので、早速入りたいと思います。

 加藤さんにお伺いをしたいと思います。

 今回の法案で、保育所等の訪問支援事業の拡大ということです。

 これは、私も保育園を経営している人間ですので、正直、この制度というのを余り身近に感じたことがない、今、先ほど加藤さんがおっしゃったように、なかなかアプローチできていないというのが現状だ、拡充できないということなんですけれども、例えば、これは、今、拡充していきましょうという法案の内容になっていますけれども、実際に加藤さんの施設なんかは、保育所と通園施設が、恐らく一緒に運営をされているので、すぐ近くにあるということで、その交流もできているということだとは思うんですけれども、本当に、先ほどから発言されているように、これは行う方も非常に負担がふえると思うんですよね。

 それに加えて、事務量の問題も指摘をされておりました。今回、政府では、保育園ですけれども、そういった事務の方々の負担を軽減できるように少し予算を上積みするという話も出ております。これは、保育園に限らず、社会福祉施設は、もう年々事務量がふえていっていると思うんですね。

 こういったことから、地域移行などをしていけば、もちろん、その一番最先端で、最前線で対応されている施設等で負担がふえて、一番困るのは人件費、事務量の増大だとか、新たな事業を展開するために人を雇っていく、そういったことが非常に問題になってくると思います。

 今、現状でこういったことが、法律が通ったとして、この先、将来性が見込めるかということを少しお話をいただけたらと思います。

加藤参考人 ありがとうございます。

 先生の御指摘のように、この保育所等訪問支援事業は、立ち上がって満三年がたつわけですけれども、残念ながら、まだ関係者の中に認知が、高いとは言えません。

 それで、この「等」の中には、幼稚園、あるいは小学校、学校ですね、あるいは他の子供の機関というようなところが該当しているんですけれども、我々は、地域からのそういうニーズがあって、制度がある前からそういうことを積極的にやってきたものですけれども、全国規模で考えますと、やる側も受ける側も余りそういうことを知らなかったということもありまして、そしてまた、しかも、そうやって、事業としての採算、効率が非常に悪いというようなこともありまして、なかなかふえない、拡大しないというような状況がございます。

 これに対しては、先ほど来申し上げていますように、この考え方というのは、まさにアウトリーチという、バベルの塔のような大きな施設をつくって、用があればみんなここに集まってきなさいというような、そういう、確かにそれは効率、能率という意味ではいいかもしれませんけれども、本人中心、家族中心というような視点で考えたときに、やはり、そうではなくて、その子供たち、家族がまさに日々生活をしている場に、生きて、育って、学んでいるその場での困り感があったときに、我々のセンター的な機能がその場所までデリバリーされるというようなこと、これが最終的にはインクルージョンの世界、社会を構築するという方向につながっていくと思うんですね。

 そういう意味では、まさに、小さい年齢の段階からやはりそういうことがきちっと社会の中に根づいていくということが、結果として、社会全体をそうした理念に基づく社会にしていくであろうというふうに私は確信しております。

 そういう意味でも、ぜひ、この事業をもう少し関係者に周知せしめる手だて、もちろん、厚労省を初め文科省ともリンクしていろいろな手だてを講じてはいただいていますけれども、残念ながら、まだ十分ではないという事態が起きております。

 それから、先ほど来申し上げていますように、やはりスタッフが今の人件費単価という意味でいくと、今保育所で騒がれていますけれども、我々とて全く同じ世界で、保育所だけが問題ではないんですね。我々の世界もまさにそのことが本当に大きな問題になっていますので、そういうものを議論するときには、保育所とか幼稚園だけの問題ではなくて、我々のこの事業も全く同じような事態に陥って大変な思いをしているということを御理解いただいて、検討の際には、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思う次第です。

 ありがとうございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 続いて、佐藤さんにお伺いをいたします。

 佐藤さんだけではなかったですけれども、日払い制の構造自体が非常に運営を圧迫している。これはもう本当に、私も、障害者施設を運営されている法人の理事も、ほかの法人の理事もさせていただいているので、この声がやはり一番大きな声ですね。収入が安定しない以上、運営が安定できないというのが非常に大きな問題になっていると思います。

 それと、やはり、佐藤さんが指摘をされた、市町村が支援を渋る、これも非常に大きな要因の一つで、国は交付金で渡している渡しているというふうに言うんですけれども、では、交付金で渡されているからといって市町村がほんまに全部使ってくれているかといったら、お金に色はないわけですから、それをなかなかきっちりと、先ほどおっしゃったように、市町村、都道府県でも非常に温度差のある部分ですので、こういったところをやはり改善していかないといけないと思うんですけれども、そこら辺の思いをもう一度言っていただけたらと思います。

佐藤参考人 骨格提言の中では、いろいろな形で、お金のない市町村がサービスを渋らざるを得ないその現状を変えるための手だてを提案しておりまして、地域生活支援事業という裁量的な経費の部分に入っている移動支援だとかコミュニケーションなどの支援を、必ず国がその二分の一負担をする事業に組みかえることだとか、国庫負担基準という国からの負担、都道府県からの負担の上限を決める制度をなくすことだとか、それから、小さい市町村で重度障害者がたくさんいるとその負担が大変になるので、そういう場合の調整の仕組みだとか、いろいろなことを提言しているわけで、そういうことも本格的に検討していただくといいのではないかと思います。

 それと、先ほどの日払いのことに関しては、障害児の施設でもやはり風邪を引きやすかったりで、精神障害のところでもやはり病状が不安定で、日払いが基本だと経営がうまくいかないというようなことが出されているので、大人でも共通する問題ではないかと思います。

浦野委員 先ほども堀内委員から財源の話がありましたけれども、財源は私はないわけではないと思っているんですね。財源がないということを問題にすること自体が私も問題だとは思います。

 例えば、人事院勧告で、公務員の給料が低いということで、今回上がります。この法案に賛成をした政党がほとんどです。そういった財源、あるんですよ、恒久財源。そういうのには使えるんです。ただ、こっちには使わないというだけの話なんです。

 国家公務員の給料が上がるということは、地方公務員もみんな人事院勧告に付随して、ほとんどの市町村、都道府県、上がっちゃうんですね。では、全国でどれぐらい公務員の皆さんに給料が払われるのか。それは、給料を上げることは悪いことではないですよ。しかし、私は優先順位というのがあると思うんですね。

 だから、そこは国の言いわけだと私ははっきりと思っていますので、これは質問ではなくて、そういう財源はないということは絶対ないということを皆さんにわかっていただいて、しっかりと皆さんの方から、これからも与党の政治家にはっきりと言っていただけたらと思います。

 最後に、もう時間が少ししかないので、一つ竹中さんにお伺いをしたい、お伺いをするというか、ちょっと参考に聞いてみたいなと思っているのは、今、熊本でも震災のボランティア、きのう、きょうの報道で、実はボランティアのニーズに対してボランティアの数が不足していて全然足りないと。現地の熊本市の社協の方にお伺いをしていると、結局、手探りでマッチングをするので、なかなか、ニーズの把握からボランティアの派遣までというのが非常に難しいと。

 我々、今の御時世で、ほとんどみんなスマホを持っていて、ネットでそういう情報、まずそういうのがあるかどうかと検索をみんな若い人はするわけですよね。ところが、実際、ほとんど、そういったボランティアの情報を集約できているサイトというのが実はまだ立ち上げられていないんですね。

 そういうサイトとかも、例えば竹中さんのところとかで、そういうことも含めて、そういうサイトを立ち上げるとか、そういうことはできるんですか。

竹中参考人 御質問ありがとうございます。

 実は、私、神戸からきょう来たと言いましたけれども、プロップ・ステーションを立ち上げて、その何年か後に、今から二十一年前ですけれども、阪神・淡路大震災が起きて、我が家は全焼しまして、仲間全員が阪神間にいたので、チャレンジドも含めて全員被災者になったんですよね。

 それで、したことは何かというと、コンピューターネットワーク、初めは電気も電話もつながりませんから、はっきり言ってコンピューターネットワークに何の意味もなかったんですけれども、それがつながった瞬間に、それで情報をやりとりして、大阪の社会福祉協議会さんと、それから大阪ボランティア協会さんというところがあったんですけれども、そこがヘリでボランティアを送り込んだりなんかしていたので、そこと連携をしてデータベースをつくって、それでボランティアのニーズのマッチングというのを、実はシステムをつくったのはうちだったんですね。

 ただ、結果としては、その後、今、熊本の震災、うちは母が熊本なので、まだ親戚が車の中で生活していますけれども、現場のニーズをきちっとデータベースに入れ込む人の手がないというのが実情なんですよ。

 だから、コンピューターネットワークに、つくるということは私たちの組織でやれるし、やりたいし、やってきた経験もあるんですけれども、物すごく混乱している状況の中でマッチングするものがなくて、実は、東日本のときには、国交省さんが、手書きでも何でも必要なニーズを書いたものをそのまま国交省のネットに上げて、そこを何とかくしの歯作戦で物資を届けるとかいってやりはったんですね。ですから、そのときに、やはり国が動き出したときの結果の大きさというのをすごく私たちは実感しました。

 ですから、やはり震災のときに、そういった今おっしゃったようなことも含めて、私たちのようなものを使っていただいてもいいんですけれども、国がそういう方向性で取り組んでいただく、物すごく混乱時は無理かもわからないけれども、少し日にちがたてば必ずできるので、そういうことはぜひ推進していただきたいなというふうに思います。

浦野委員 私も、阪神大震災は、西宮の大学にいてたので、ちょうど学生のときでした。大学も休講になって、幸い、知人はみんな亡くなることはなかったんですけれども、二日目からボランティアでずっと入っていました。社会人になってから、実は府社協にも、二年間ほど仕事をしていましたので、いろいろと縁があると思いますので、これからもまた勉強をいろいろさせていただきたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

渡辺委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 参考人の方々には、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして改めて御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

 次回は、明十一日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十七分散会


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